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1980/04/24 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第22号
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1980/04/24 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第22号

#1
第094回国会 本会議 第22号
昭和五十六年四月二十四日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十号
  昭和五十六年四月二十四日
    午後二時開議
 第一 国民年金法等の一部を改正する法律案
    (内閣提出)
 第二 郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正
    する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 国民年金法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第二 郵便為替法及び郵便振替法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 北西太平洋における千九百八十一年の日本国の
  さけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議
  定書の締結について承認を求めるの件
 本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路
  事業等に関する特別措置法案(内閣提出)
 銀行法案(内閣提出)、中小企業金融制度等の
 整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の
  一部を改正する法律案(内閣提出)及び証券
  取引法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  の趣旨説明及び質疑
    午後二時三分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 国民年金法等の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
#3
○議長(福田一君) 日程第一、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長山下徳夫君。
    〔山下徳夫君登壇〕
#4
○山下徳夫君 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、昨今の社会経済情勢にかんがみ、福祉年金の額の引き上げを図るとともに、児童扶養手当等の額の引き上げを行い、あわせて厚生年金保険、船員保険及び国民年金の昭和五十六年度における年金額の物価スライドの実施時期を、それぞれ繰り上げること等により、老人、心身障害者、母子家庭及び児童の福祉の向上を図ろうとするもので、その主な内容は、
 第一に、国民年金の福祉年金の額につきましては、本年八月から、老齢福祉年金の額を月額二万二千五百円から二万四千円に、障害福祉年金の額を、一級障害について月額三万三千八百円から三万六千円に、二級障害について月額二万二千五百円から二万四千円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額を月額二万九千三百円から三万千二百円に、それぞれ引き上げること、
 なお、老齢福祉年金については、扶養義務者等に一定の所得があるときは、改善額の一部の支給を停止すること、
 第二に、昭和五十六年度における年金額の物価スライドの実施時期を、厚生年金保険及び船員保険については昭和五十六年十一月から同年六月に、国民年金については昭和五十七年一月から昭和五十六年七月に、それぞれ繰り上げること、
 第三に、児童扶養手当、特別児童扶養手当及び福祉手当の額については、国民年金の福祉年金に準じて、本年八月から、それぞれ引き上げること、
 第四に、児童手当については、市町村民税の所得割の額のない者に支給する児童手当の額を本年十月より月額六千五百円から七千円に引き上げること等であります。
 本案は、去る四月十日付託となり、昨日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合より、老齢福祉年金の扶養義務者等の所得による一部支給停止に係る改正規定の削除及び年金額の物価スライドの実施時期をさらに繰り上げる内容の三党共同修正案が、また、日本共産党より、老齢福祉年金の扶養義務者等の所得による一部支給停止に係る改正規定を削除する修正案が、それぞれ提出されましたが、採決の結果、両修正案は、いずれも否決され、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 郵便為替法及び郵便振替法の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
#7
○議長(福田一君) 日程第二、郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長佐藤守良君。
    〔佐藤守良君登壇〕
#8
○佐藤守良君 ただいま議題となりました郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、現在実施しつつある為替貯金業務のオンライン化に伴い、郵便為替及び郵便振替のサービスの改善を図る等のため所要の改正を行おうとするものであります。
 まず、郵便為替法の一部改正の主な内容について申し上げます。
 第一は、普通為替及び電信為替については、どこの郵便局でも証書と引きかえに為替金を払い渡すことができること。また、電信為替については、従来の払い渡し方法に加え、郵便局の窓口で現金を払い渡すこともできるようにするものであります。
 第二は、普通為替証書及び電信為替証書の一枚当たりの金額の制限額を現行の十万円から百万円に引き上げること。また、これに伴い、その料金について所要の調整等を行うこととしております。
 次に、郵便振替法の一部改正の主な内容について申し上げます。
 第一は、小切手払いについては、小切手払い口座を廃止するなど、手続の簡易化をすることとしております。
 第二は、通常現金払い及び電信現金払いについては、郵便為替と同様に、どこの郵便局でも証書と引きかえに払出金を払い渡すことができ、また、従来の払い渡し方法に加え、郵便局の窓口で現金を払い渡すこともできるようにするものであります。
 第三は、払出証書の一枚当たりの金額の制限額を現行の十万円から百万円に引き上げること。また、これに伴い、その料金について所要の調整等を行うこととしております。
 以上のほか、公金に関する郵便振替の払い込みの料金を改正すること等の内容を織り込んでおります。
 本案は、去る三月二十五日本委員会に付託され、四月二十二日山内郵政大臣から提案理由の説明を聴取した後、昨二十三日質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#11
○鹿野道彦君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、北西太平洋における千九百八十一年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#12
○議長(福田一君) 鹿野道彦君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 北西太平洋における子九百八十一年の日本国
  のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関す
  る議定書の締結について承認を求めるの件
#14
○議長(福田一君) 北西太平洋における千九百八十一年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長奥田敬和君。
    〔奥田敬和君登壇〕
#15
○奥田敬和君 ただいま議題となりました北西太平洋における千九百八十一年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 政府は、昭和五十三年四月二十一日署名された日ソ漁業協力協定に基づき、北西太平洋における本年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件を定める議定書を締結するため、本年四月六日以来モスクワにおいて、ソ連邦政府と交渉を行ってまいりましたが、合意に達し、四月二十日本議定書に署名が行われました。
 本議定書は、北西太平洋の二百海里漁業水域の外側の水域における本年の日本国のさけ・ますの漁獲について、漁獲量、禁漁区、漁期、議定書の規定に違反した場合の取り締まりの手続等について規定しております。
 なお、本年の総漁獲割り当て量は、昨年と同じく四万二千五百トンになっております。
 本件は、本二十四日外務委員会に付託され、伊東外務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
#18
○鹿野道彦君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#19
○議長(福田一君) 鹿野道彦君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航
  路事業等に関する特別措置法案(内閣提出)
#21
○議長(福田一君) 本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長稲村利幸君。
    〔稲村利幸君登壇〕
#22
○稲村利幸君 ただいま議題となりました本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、本州四国連絡橋の建設に伴い影響を受ける一般旅客定期航路事業の再編成、当該事業を営む者に対する助成及び離職者の再就職の促進等に関する特別措置を講ずることにより、当該一般旅客定期航路事業等に係る影響の軽減を図ろうとするものであります。
 本案は、四月七日本委員会に付託、同十日提案理由の説明聴取、自乗、参考人よりの意見聴取、社会労働委員会との連合審査等、慎重に審査を行い、同二十四日質疑を終了、直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対しては、「航路事業の再編成に当たっては、事業者及び従業者への影響を最小限にとどめる」など、五項目の附帯決議が付されました。以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 銀行法案(内閣提出)、中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#25
○議長(福田一君) この際、内閣提出、銀行法案、中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣渡辺美智雄君。
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#26
○国務大臣(渡辺美智雄君) 銀行法案、中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、銀行法案につきまして申し上げます。
 わが国経済の安定成長への移行に伴う金融構造の変化等、銀行をめぐる経済社会情勢の変化は著しいものがあります。このような変化に対応して銀行の健全経営の一層の確保を図るとともに、国民経済的、社会的に要請される銀行の機能の適切な発揮に資するよう、銀行制度の整備改善を図ることが必要となっております。
 このような状況を踏まえ、金融制度調査会は昭和五十年以降四年間にわたる審議を行い、昭和五十四年六月に「普通銀行のあり方と銀行制度の改正について」の答申を行い、銀行法を全面的に改正するよう提言されました。
 この答申を受け、その後政府部内において検討を進めてまいりました結果、今般、昭和二年に制定された現行銀行法の全部を改正することとし、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。
 以下、この法律案の主要な内容について御説明を申し上げます。
 まず第一に、銀行が営むことができる証券業務につきまして、所要の規定を設けることとしております。
 銀行が営む証券業務につきましては、現行銀行法に明文の規定がないこともあって、従来種々の議論があったところでありますが、金融制度、公社債市場、国債管理政策等、種々の面からの総合的な検討を踏まえ、銀行が、国債、地方債及び政府保証債、すなわちいわゆる公共債につきまして各種証券業務を営むことができる旨を規定することといたしました。
 第二に、大口信用供与規制に関する規定を設けることとしております。
 銀行に対する大口信用供与規制は、昭和四十九年以降行われてきたところでありますが、この規制が、銀行の資産運用の安全性の確保と銀行信用の広く適正な配分のために重要な役割りを果たしていることにかんがみ、今回、この規制に関し、所要の規定を設けることとするものであります。
 第三に、業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧に関する規定を設けることとしております。
 すなわち、銀行が、業務及び財産の状況に関する説明書類を主要な営業所に備え置き、公衆の縦覧に供するものとすることによって、自主的かつ創造的な努力を通じ、銀行が社会的要請に適切に対応するよう促すものであります。
 第四に、外国銀行に関する規定を整備することとしております。
 近年、金融面におきまして急速に国際交流が進み、これを背景に、外国銀行のわが国への進出が増加している現状にかんがみ、外国銀行支店等に対する銀行法の適用の仕組みを明らかにし、もって関係者の理解に便ならしめるとともに、外国銀行について適正な規制を行おうとするものであります。
 このほか、本法案におきましては、銀行の休日に関する規定の弾力化、一年決算制への移行等につきまして、所要の改正を行おうとしておるものであります。
 次に、中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 この法律案は、昨年十一月の「中小企業金融専門機関等のあり方と制度の改正について」の金融制度調査会の答申において、経済社会情勢の進展に即応して、中小企業金融制度などの整備改善を図る必要があるとされた事項等に関し、相互銀行、信用金庫、信用協同組合及び労働金庫に関するそれぞれの法律の一部を改正するものであります。
 以下、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 まず第一に、相互銀行法につきましては、相互銀行が担保付社債に関する信託業を行うことができることとしております。
 第二に、信用金庫法につきましては、信用金庫の会員資格のうち、現在法律で定められております法人の資本または出資の額の限度を、諸情勢の推移に弾力的に対応することができるよう、政令で定めることとするとともに、信用金庫及び同連合会が外国為替取引を行うことができることとするなどの改正を行うこととしております。
 第三に、中小企業等協同組合法につきましては、信用協同組合が内国為替取引等を組合員以外の者のためにも行うことができることとするとともに、政令で定めるところにより、組合員以外の者に対しても融資を行うことができることとするなどの改正を行うこととしております。
 また、信用協同組合連合会につきましても、信用協同組合に準じた改正を行うこととしております。
 なお、協同組合による金融事業に関する法律につきましても、中小企業等協同組合法の改正に伴う所要の規定の整備のほか、信用協同組合等の行う余裕金の運用方法に関する改正を行うこととしております。
 第四に、労働金庫法につきましては、労働金庫が内国為替取引を行うことができることとするとともに、政令で定めるところにより、会員以外の者に対しても融資を行うことができることとするなどの改正を行うこととしております。
 なお、労働金庫連合会につきましても、労働金庫に準じた改正を行うこととしております。
 次に、証券取引法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 この法律案は、最近における証券市場の変化に対応し、その健全な発展を図り、あわせて投資者保護に資するため、証券取引法の一部を改正するものであります。
 以下、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 さきに御説明いたしました銀行法案において、銀行の公共債に関する証券業務について明文の規定が設けられることにかんがみ、銀行等の公共債に関する証券業務について、証券取引法上の取り扱いを明確にするための規定の整備を図ることとしております。すなわち、銀行等が公共債に関する証券業務を営もうとするときは、投資者保護の観点から、一定の場合を除き、大蔵大臣の認可を要することとするとともに、公共債に関する証券業務の認可を受けた銀行等につきまして、不公正取引の禁止の規定など、所要の規定を準用することとするなどの改正を行うこととしております。
 このほか、外国の譲渡性預金証書及びコマーシャルペーパーの取り扱いを証券会社も行うことができるようにするため、証券会社の兼業制限に関する規定を改正することとしております。
 以上、銀行法案、中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 銀行法案(内閣提出)、中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#27
○議長(福田一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。堀昌雄君。
    〔堀昌雄君登壇〕
#28
○堀昌雄君 私は、ただいま議題となりました銀行法等の改正案について、日本社会党を代表して、その基本理念について鈴木総理、具体的な問題について渡辺大蔵大臣に質問をいたします。
 まず最初に、銀行法の歴史的背景を見ますと、現行法は昭和二年三月三十日に制定をされておりますが、この三月三十日という日はきわめて重大な時期にあるのでございます。
 皆さんも御承知のように、昭和の金融恐慌というのは、昭和二年三月十五日に東京の東京渡辺銀行が休業いたしまして、この休業に始まって、全国の銀行の取りつけ騒ぎに発展をいたしたものであります。まさに現銀行法は、そういう意味では大変な金融恐慌のさなかに法律が成立をしたという歴史的な問題があるのであります。
 それから五十四年たちました。そうして今度、この銀行法は、目的を含めてすべての条項がほとんど書きかえられて、新法が提案をされるということになったのであります。
 そこで、当時は普通銀行が千四百二十四行もありましたけれども、それが今日は御承知のような数になってまいりました。これらの問題を下敷きにしながら、私は私なりの金融という問題についての基本的な考え方を持っておりますので、まず、その問題を皆さんに申し上げ、その土台の上で、総理に基本理念について伺い、具体的な問題を大蔵大臣に伺うことにしたいと思うのでございます。
 金融というのは、皆さんも御承知のように、企業に対して金を貸すという部分が一つございます。しかし、企業に金を貸すためには、金融機関に金が集まらなければ貸すことはできません。そこで、当然国民の貯蓄という問題があるわけでございます。言うなれば、こちら側に日本経済というものがありまして、この日本経済は、現在の市場経済という仕組みの中では当然合理性、効率性が求められるわけであります。そうして、この日本経済というところで考えられている金利というのは、実は貸出金利なのであります。
 今度は、この日本経済をずっと細分化をしてきまして、一番細分化をしてきた最小単位、原点というのは何かといいますと、これは家計であります。個人の家計がこの日本経済の最小単位であります。言うなれば、日本経済というのは、この家計が全部全国民の中に集積されたものが日本経済に見合うわけであります。
 そこで、この家計の面を考えてみますと、家計というものの裏側には私たちの生活があるわけであります。生活ということになれば、われわれは、その日その日で暮らす時代はもう終わりました。少なくとも五年、十年、二十年という生活設計をしながら国民は生活をしていると考えるのであります。
 その際に、貯蓄はきわめて重要なものになってくるのであります。五年、十年先を見通しながら貯蓄をしておる、この貯蓄の資金が、物価の異常な上昇によって目減りをするならば、その生活設計というものは大きく狂ってまいるわけでありますから、家計で見る貯蓄金利というのは、まさにそういう意味では物価に関係があるわけでございます。
 かつて、あの狂乱物価のときに、私どもは福田大蔵大臣に、この異常な預金の目減りを調整するために何らかの処置を講ずるべきであるという要求をいたしまして、皆様も御案内のように、福祉定期預金というものがつくられたわけでございます。まさにこれは物価に着目をした金利決定の商品であったわけでございます。
 ですから、こう考えてみますと、家計において重要なのは実は貯蓄金利、預金金利でありまして、こちらは貸出金利、こちらは預金金利、両極端がそういう仕組みになっているのであります。
 そこで、預金金利は皆さん、高い方がいいわけであります。より高い方がいい。貸出金利はどうか、より安い方がいい。この預金金利と貸出金利がどこで一つになるかというと、これは金融機関というところで初めて一つになるわけであります。その意味では、金融機関は、できるだけ高い預金金利を国民に払いながら、できるだけ安い金利で企業に貸し出すということが、いまの仕組みでは求められていると私は思うのでございます。
 そうなりますと、そのときには当然銀行の経営というものは、できるだけ経費を最小にして、いまの国民と企業の要望にこたえる方向にならなければなりません。これがすなわち金融行政に対する効率化の導入なのであります。
 すでに、前回の金融制度調査会で、この問題をわれわれも論議をいたしました。そこで初めて日本の金融機関の中に効率性追求、競争原理が導入をされました。それから後、今日に至って、さらにこの問題は大きく国民やあるいは企業から求められているのであります。
 金利一元化という問題がいま大きく問題になっておりますけれども、これは私はおかしいと思います。金利というのは、貸出金利と預金金利と異質のものがあるのでありますから、いま申し上げましたように、金利の一元化を求める者は貸出金利を中心に物を言っておるわけです。しかし、国民の側は、貯蓄金利についてやはりその保証を求めるわけでありますから、この二つの問題をどこで調整するかというのが、いま郵便貯金と民間金融機関の中の大きな問題点で、その調整こそがまさに政治にかけられておる、私はこう考えるわけでありますから、そういう意味では、この問題については、ひとつ皆さん方がおのおの冷静な判断によって、国民的な規模における調整を考えていただかなければならない、こう考えるわけであります。
 もちろん、個人の家計の中の支出面の方に消費と貯蓄があるわけであります。収入面はそれでは何に関係をしてくるかといいますと、日本経済の状態に関係をしてくるわけでありますから、収入面について日本経済の問題を考える際には、やはり貸出金利の問題を無視するわけにはいかないのでありまして、一つの家計という問題を見ながら、いまの貸出金利の問題と預金金利の問題の調整をするというのが、今日政治に求められていると考えるわけでございます。
 これが私の金融という問題に対する一つの基本的な考え方でございます。
 二番目に、現在の仕組みは市場経済ということでありますが、これは、企業においては自己責任というものが厳しく求められなければならない体制なのであります。
 ところが、これまで銀行行政というのを見ておりますと、ともかく大蔵省が細かい監督や検査を行って、手とり足とりして処理をしてきたというのが今日までの歴史的な経過でございます。
 しかしもう今日では、この仕組みの中では、企業がみずからの責任において、国民に公共性の上でこたえるような対応をしなければならないところへ来ているのでありますから、その点で、政府の介入を最小限にしながら、自主性を尊重するということはきわめて重要なことでございます。
 今度、自由民主党の中では、例のない逐条審議などということをなさって、新聞にも大分いろいろ報道されましたが、しかしその中で、自主性の尊重という問題が目的に入ったことと、監督命令という細かいことを規定した二つの条が削られたということは、私の立場から見るとそれなりに評価に足るものである、こう考えているのであります。
 しかし皆さん、ここで問題なのは、片方で監督権を減らして自主性を尊重するというならば、国民の側からどの銀行が一番安全なのかという選択の基準を銀行は示さなければなりません。要するに、これが公開の原則なのであります。
 民主主義の世の中では、この公開の原則を欠いたのでは実は無責任になり、公共性が損なわれるわけであります。でありますから、そうなれば当然このディスクロージャーと言われる問題は、銀行の責任において、国民に明らかにわかるようなものをつくってもらわなければなりません。
 私は、何も政府が監督をすることだけが万能だとは思いませんが、いまの銀行の体質では、何らかの公的介入を行わない限り、自分たちの望まないことはやりたがらないというのがいまの銀行の体質でありますから、この問題についての自民党の対応は、この基本的な物の考え方に立つならば、きわめてアンバランスな対応であったということを、ここで明らかにしておかなければならない、こう考えるわけでございます。(拍手)
 そこで、ディスクロージャーの問題の次に非常に大きな問題になっておりますのは、さっき大蔵大臣も触れられましたけれども、あの昭和二年の当時と大変違うのは大量国債発行という問題であります。昭和五十四年には、もう御承知のように、銀行が集めた預金の九割を実は国は国債で吸い上げた、こういうような事態があったわけであります。いまの銀行の対応の中で今度一番大きく問題になったのは証券業務の問題でございました。特に国債の窓口販売とディーリングの問題というのが一番大きな課題になっておりましたけれども、なぜそういうものが出てくるかというのは、まさに民間金融機関が一生懸命集めた預金を力ずくで国が国債として取り上げる、この背景の上にこの問題が出てきているわけであります。
 私は、そういう意味で、二月十日の大蔵委員会の中でこの国債問題に対する対応を問題提起いたしておきました。それはどういうことかといいますと、郵便貯金というのは、皆さんも御承知のように、あれは一覧払いの貯蓄国債という性格を持っているのであります。戦前においては、この郵便貯金の原資はほとんど国債を買うために使われていたのであります。ところが、今日では財政投融資というものができて、郵便貯金の一部だけで国債を買って、あとは財政投融資にみんなほうり込んでいるという状態であります。
 そういう意味で、ともかく昭和五十六年度は八兆九千億郵便貯金が集まると言っているのでありますから、これでひとつ国債を全部買い上げたらどうだ、本来そういう姿でありますから。そうすれば、実は市中に出るのはわずかに三兆余りになるのであります。
 もし三兆余りしか市中に国債が出ないとするならば、金融機関はどういう対応をするでありましょうか。いままで国債で運用していたところに穴があくわけです。貸出金利に穴があく。穴があいた部分はどうしようか。いまの経済状態ではそんなにみんな金を借りてくれません。必然的に国債を買いたいという問題が、いまとは逆に起こるわけであります。
 国債を銀行が買いたいということになれば、即、国債の値段が上がって金利が下がるのであります。本日の新聞を見ますと、今度の国債の長期金利について、政府は〇・五%下げたい、民間は〇・三%だ、その折衷案で話が決まったようですが、それは過剰な国債を出しておるから、こういうことが起こるのでありまして、国債対策をまともにやらない限り、日本の長期金利は下がらない。そうすれば、日本の経済の復興には大きなマイナスになるのであります。
 いま、行政改革について総理は熱心にやっておられますけれども、この行政改革について、行政改革デフレ論というのが企画庁から出ております。これらの問題の試算をいたしてみますと、私なりの試算では、もしいま二兆七千億というあの中期経済展望の中の費用を行政改革で処理をした場合には、成長率で約〇・七%程度は下がるわけでありますから、この行革デフレという問題は避けられない経済上の問題であります。では、これをどうやってカバーするかと言えば、やはり金利を下げて民間設備が拡大するようにしなければならぬにもかかわらず、いまの国債発行のやり方がうまくないために金利は下がらない。そこで中小公庫その他の政府関係のところだけは特別に下げるという異例の対応をしなければならぬわけであります。
 そこで私は、そういう意味で、国債特別会計という問題を提起をしてございます。この問題について大蔵大臣はどう考えておられるか、ひとつお答えをいただきたいのでございます。(拍手)
 その次に、週休二日制の問題がございます。
 この週休二日制の問題は、今度の法律で、週休二日にできるだけの法律は整備をされておるのであります。しかし、これはできることになっても、一体いつやるかというのは全然触れられていないのであります。
 いまや皆さん、日本の国民は、本来非常に働くことが国民性に合っておるといいますか、働くことが好きな国民でありますから、そのために実は大変な長時間労働をやっておるのでありまして、今後日本は、欧州その他との関係で、アメリカとの関係で、一番問題になるのは労働時間の問題でありますが、そういう対応をやらないでこのままいくならば、貿易、経済上の問題における大変なマイナスをもたらすことになるのでありまして、どうかひとつ大蔵大臣、この点については、一体いつから週休二日制を行うのか、実施のめどを明らかにしておいていただきたい、私はこう考えるわけでございます。(拍手)
 さらに、グリーンカードの問題について自民党内部にいろいろな意見がありますけれども、私は、グリーンカードによって郵便貯金の定額貯金を、いま二億四千万枚の通帳が出ておりますが、これをともかくも圧縮をして、一人に一枚というカードにしない限り、いまの民間金融機関から問題が出ておりますところの郵貯問題に対する対応はできない。
 だから、このグリーンカードというのは、単に税制上の問題ではなくて、きわめて重要な郵便貯金と民間金融機関との調整問題の一つの手段である、こう考えておりますけれども、渡辺大蔵大臣は、これについてはどういう考えを持っておられるのか、あわせて、ひとつグリーンカードの実施についての責任のある答弁を求めて、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 堀さんからお話がございましたように、現行の銀行法は、昭和二年の金融恐慌の時代に制定されたものでありまして、その後の経済社会の変化はまことに著しいものがあります。
 したがって、銀行法の改正に当たりましては、時代の趨勢、特に国債の大量発行という新しい情勢を踏まえまして、昭和五十年から、金融制度調査会で四年間審議を行い、その後、政府部内で二年間の検討を続けたのでありまして、今回の改正は、このような長期にわたる検討の集大成であります。私は、国際化の進展など、近年の諸情勢の変化のテンポが速いととは御指摘のとおりでありますが、新しい銀行法によって、情勢の変化に十分対応できるものと考えております。
 金融機関に自己責任を持たせ、余り行政介入はしない方がいいとの御意見でありましたが、私は、基本的に賛成であります。このことは、新銀行法の目的規定にも明記されているところであります。
 なお、預金保険機構やディスクロージャーにつきまして御提案がございましたが、今後、長期的な視野に立って十分検討さしていただきます。
 その他の御質問につきましては、所管大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#30
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 大量の国債発行で金融機関に対する非常に大きい影響が出ておる。そこで、何か国債特別会計のようなものを整理基金のかわりにつくらして、そこへ郵便貯金を全部ほうり込んで、それで国債を全部買い上げてしまえということはどうかというお考えであります。
 私は、これからも非常に国債発行が続くとすれば、これは何らかの研究をしなければいかぬ、こういうように思っておるわけでありますが、実は、堀委員の御提案に直ちにいま賛成できないという面もございます。
 問題は、そうすると現在の財投の原資をどうするんだ。財投の原資は政府保証債でやれ。政府保証債で、いままでと同じことぐらいの仕事の量をやると、そこでもやはり民間資金をかなり、一つの国債ですから、集めてしまうということになるわけです。問題は、やはり何といっても、財投を欲しがるところの財政需要を減らすということでないと国債の減額にはつながっていかない、そういうようなことになるのじゃないか。しかし、せっかくの御提案でございますので、私はかねて、それらのプラス・マイナス両面というものも含め、これは研究材料にしていきたいということをお答えをしておるところでございます。
 それから、その次は、週休二日制の問題でございます。
 この実施の時期をいつからということで明らかにしろということでございますが、この週休二日制の問題は、いままで銀行法で決まっておったものを、法律を整備をして、法律事項から政令事項に移すことにいたしました。
 したがって、内閣におきましては、今後どういうふうに図っていくか。金融制度調査会の答申のように、週休二日制というものが世の中の流れである。しかしながら、やはりここには郵便局とか、あるいはお客さんの問題というような問題も、労働問題のほかにございますので、そういうような問題との同時実施ということをしなければならぬ。したがいまして、これは大蔵省だけで一方的にやってしまうというわけにもなかなかいかない問題でございますので、今後とも引き続き、全銀協、週休二日制関係省庁連絡会議というものもございますから、これらの関係機関の中で協議をされるものと考えます。
 それから、その次はグリーンカード。
 これが大問題でございまして、これは非常に複雑になるというのも事実でございます。事実でありますが、一遍できてしまえば楽になる面もございます。したがいまして、この実施の方針としては、私どもは、五十九年から予定どおり実施をするという方針を少しも変えないわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○議長(福田一君) 柴田弘君。
    〔柴田弘君登壇〕
#32
○柴田弘君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題になりました銀行法案等三法律案につきまして、総理並びに大蔵大臣に対し若干の質問をいたします。
 銀行法の改正が要請された理由は、いまさら申すまでもございませんが、高度成長から安定成長への経済の構造転換、インフレ防止と銀行経営のあり方、大量の国債発行、企業の銀行離れ、国際化社会の進展などによるものであります。
 こうした社会的、経済的背景を踏まえて、金融制度調査会では、銀行法改正について、銀行の社会的責任の強化、健全経営、経営の効率化と金利の自由化など、競争原理の導入などを盛り込むことを答申いたしました。
 しかし、改正銀行法は、銀行の社会的責任について、目的条項が設定をされたものの、内容では、ことさら銀行の自主性の尊重を強調するなどの点で、金融制度調査会の小委員会案よりも後退をした感があります。
 そこで、私は、総理に単刀直入にお伺いをいたしますが、改正銀行法は、国民の要望や金融制度調査会の答申に十分にこたえているとお考えになっているかどうかということであります。また、採点をするとすればどのようになるのでしょうか、総理の御所見のほどをお伺いをいたします。
 さらに、銀行法は金融界の憲法とも称され、その改正による影響は、単に金融面にとどまらず、広く国民生活と経済全般にわたるものであります。したがって、銀行法の改正は、現状の経済、金融動向に対応するだけではなく、将来展望に立った対応力を備えていることが望まれるのであります。このことは、現行銀行法が、昭和二年に制定をされて以来五十年の風雪を乗り越えて、わが国経済の発展に貢献してきたことからでも明らかであります。
 こうした長期的展望に立っても、改正案は十分に対応できるものとなっているのかどうか、総理の御見解を示されたいのであります。
 なお、金融問題の将来展望に立てば、金融制度調査会の答申にも見られますように、金利の自由化は避けて通れるものとは考えられません。総理は、この金利の自由化問題について今後どのような具体的方針のもとに取り組んでいかれるのか、御所見のほどをお伺いをしたいのであります。
 次に、銀行法改正の具体的事項についてお伺いをいたします。
 まず第一は、改正作業途上で難航が伝えられました銀行の業務範囲、とりわけ公共債の窓口販売について伺います。
 国債の大量発行下にあって、国債の個人消化を図ることは、財政インフレを防止するためにも当然のことであります。そのため、銀行法改正に伴って国債の個人消化推進の制度整備を行うことも、これまた必然性を持つものと言えましょう。
 しかし、国債の個人消化策を銀行の窓口販売の認可で肩がわりさせることは、関連業界の相反する利害、銀行の力による強制販売への懸念などから、一層の熟慮が要請されるのであります。したがって、国債の個人消化促進がその主目的であれば、政府の政策選択の余地はまだあり得るのではないでしょうか。
 それは、近年の個人消化の好調ぶりや国民の金融資産選択の広がりから見て、たとえば、個人向け小口貯蓄国債を、一人当たりの購入限度額を設定し、グリーンカード制度を利用した名寄せによる利子所得税の減免制度を採用するとともに、市場取引の制限などの条件のもとで、この小口貯蓄国債を発行し、その取扱機関などをあわせて検討することも、国債の個人消化促進の一つの方法ではないでしょうか。大蔵大臣の御見識をお聞かせいただきたいのであります。
 また、銀行の国債等の窓口販売については、懇談会を設置し、その結論をもって認可するものと伝えられておりますが、この懇談会の構成とメンバー、認可の基準と業種及び証券業務の認可の種類についての概要をここに示されたいのであります。
 第二は、大口信用供与規制であります。
 この問題が行政指導から法律的根拠を持つものとされたことは評価をいたしますものの、銀行の同一企業への融資限度の比率は、貸出金から商業手形などが除外をされるため、たとえば普通銀行では規制枠が自己資本の二〇%から二五%になるなど、実質的な拡大になるとも言われております。
 この大口信用供与規制に当たっては、狂乱インフレ時における銀行の過剰融資に対し、国民の強い批判があったことも私どもは忘れることはできません。したがって、今回のこの措置についても、単に預金者保護と資金の効率的運用という言葉のみで済まされるのではなく、インフレ助長など反社会的な融資については厳重に監視することなどにより、具体的な形で国民の納得を得られるものとする必要があると考えますが、大蔵大臣の明快な答弁を求めるものであります。
 第三は、銀行の経営内容の開示、すなわちディスクロージャーについてであります。
 このディスクロージャー制度は、今回の銀行法改正の目玉商品でもあります。銀行のディスクロージャーに対する金融制度調査会の銀行法改正に対する小委員会案では、「銀行は、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書面及び資金運用の概要に関する書面を公告しなければならない。」とされておりましたが、改正案では、現行の貸借対照表に損益計算書のみが加えられたものとなっております。また、銀行の業務及び財産の状況に関する縦覧制度も、小委員会案の法的義務づけから単なる訓示規定にとどめられております。
 私は、このディスクロージャー制度が改正案で一歩前進したことは評価するにやぶさかでありませんが、少なくとも小委員会の案まで実現し得なかったことは、開かれた銀行のイメージを期待した国民の要望に完全にこたえておらず、残念であります。同時に、銀行法の改正理由が、銀行の公共性、経営の効率化を進める点にあったことを考慮するとき、小委員会案どおりにすることの方がより効果的であったのではないかとさえ考えるものであります。
 したがって、ディスクロージャー制度については、今回の措置による推移を見守りながら、銀行が、より公共性や資金の効率化を推進していくことを要望いたすものでありますが、大蔵大臣の御見解をお伺いをいたします。
 最後に、今回の銀行法改正に関連をいたしまして、次の二点について大蔵大臣にお伺いをいたします。
 まず第一点は、告知型定期預金の新設についてであります。
 この新型定期預金は、高利回りで利息は複利計算となることなどから、国民から早期実施が期待をされておりますが、大蔵省は、銀行から要請があれば認可をするかどうか、明確に御答弁をお願いをしたいのであります。
 また、現在の銀行定期だと、預金残高元利合計が三百万円を一円でも上回るとマル優制度が使えなくなり、利子が課税対象となりますが、この告知型定期預金では、元本がマル優枠の三百万円以内なら、期間途中に元利合計が三百万円を超えても利子には一切課税しない、いわゆる預入限度方式を適用することとなっておりますが、この点につきましても大蔵大臣の御見解を明確に承っておきたいのであります。
 第二点は、歩積み両建て預金についてであります。
 歩積み両建て預金及びにらみ預金の解消については、金融制度調査会の答申で、それらを解消する法律的な手段はないとされたことから、今回の改正では全く触れられておりません。しかし、大蔵省の調査や公正取引委員会の報告にも明らかなように、拘束性預金は依然として行われ、中小零細企業など利用者を苦しめているということから、今後とも、法制化の検討はもとより、行政指導の徹底などによってその解消に一層努力されることを強く要求するものであります。大蔵大臣の決意のほどをお聞きし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#33
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、銀行は、私企業ではありますが、公共性の強い、社会的責任の大きい業務を営むものであります。しかし、基本はあくまで私企業でありますから、自主的な経営努力、自己責任の原則が強調されますことはむしろ当然なのではないでしょうか。今回の全面改正に当たりまして、目的規定でこの趣旨が確認されたわけでありますが、一方、銀行業務の公共性の観点からもいろいろ規定が置かれておりまして、公共性と私企業性との調和には十分配慮されていると存じます。
 今回の改正が将来展望に立った対処力を備えるものであるかどうかとのお尋ねでございましたが、今後予想される安定成長の定着、国際化の進展、国民の資産選択の多様化等々の環境の変化に即しながら、銀行が国民経済的、社会的に要請される機能を十分に発揮し得るよう今回の改正を行ったものでありまして、今後の情勢に適切に対応し得るものと考えております。
 金利の自由化及び一元化についてお尋ねがございました。
 金利の自由化はもちろん好ましいことでありますが、金利全般を直ちに自由化することには種々問題もありますので、当面必要な規制は残しながら、できるだけ金利の弾力化、自由化を図る方向で金利政策を運営してまいりたいと存じます。特に預金金利の場合、一般の預金者保護と金融機関経営の健全性確保に配慮してまいらざるを得ませんので、現行の臨時金利調整法に基づく規制を維持していかざるを得ないのではないかと考えております。
 金利の一元化の問題につきましては、現在内閣に設けられております金融の分野における官業の在り方に関する懇談会において、実りある結論が出されることを期待いたしております。
 その他の問題につきましては、大蔵大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#34
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 国債の消化を促進するために、個人向けの貯蓄国債、ある程度譲渡を制限したり禁止をしたりして個人に持たせる国債をつくったらどうだ。
 これは、一つのアイデアなんです。アイデアなんですが、果たして売れるかどうかに問題があるのです。それはどうしてかと申しますと、問題は、いま郵便貯金とかマル優制度というものについての把握がきちっとなれば、これは一つのアイデアだ、そう思って私もこれは研究しているのです。研究してまいります。
 それから、その次は、銀行の窓販で、懇談会を設置し、その結論を待って窓販の認可をするというのだが、懇談会の構成メンバーはどういう人ですか。
 これはいま考えているのは、一人は銀行業界の推薦するような人、一人は証券業界の推薦するような人、もう一人は両業界でこの人ならばよろしいという人、中立的な大体三人くらい、そういう人がいいんじゃないかというように考えておるわけでございます。
 それから基準でございますが、証券業務の認可の種類、これは売買いわゆるディーリング、売買の仲介、それから引き受け及び売り出し、募集または売り出しの取り扱いの四種類、こういうことに考えておりまして、この細かい基準等につきましては、いずれ委員会等で説明をさせていただきます。
 それから大口規制の問題につきまして、商業手形を除外するというようなことはどうかという御疑問でございますが、金融制度調査会の答申は、大口信用供与規制について、「経済金融情勢の変化等に適切に対応することができるよう、規制の弾力的な運用を可能とすることが必要」だ、こう言われておりますので、その趣旨を十分生かしまして大口規制の弾力化というものを図っていきたい。
 今回の新銀行法では、省令において商業手形の割引、預金それから国債の担保貸し並びに輸出代金保険質権設定貸し出しなどは除外するという予定でございます。これは、諸外国の例を参考に、回収が確実で安全性の高い貸出金という点に着目をして、それで適用除外ということでございまして、銀行経営の安全性確保という大口融資規制の趣旨に反してはおらない、かように考えております。そういうものは安全ですから外しても心配ない。
 それから、インフレを助長するような貸し出しは反社会的なことなんだから、銀行がそういうことをやらないようによく監督しろ。
 これはごもっともな話でございますから、そのように指導いたします。
 それから、ディスクロージャーについて緩和されたじゃないかということでございますが、ディスクロージャー制度は、銀行に対する社会的要請に銀行が自発的にこたえていくということが大切だ。監督ずくめも結構かもしらぬけれども、やはり銀行がその気になってもらわなければ困る。
 そこで、その内容については、できるだけ銀行の自主性を尊重して、その創意工夫というものを発揮しながら、みずから進んでそれにこたえていくというように持っていきたいと思っておるわけでございます。したがって、今回の銀行の自己責任と自主性に基づく努力、これは決して答申の趣旨に反するものではない、かように考えます。
 それから新型告知定期預金の新設。
 これは結局、定期預金だけれども、途中で解約しても要求払い預金と違ってもう少し有利な利息をつけろ、こういうことのようなんでございます。複利でやるんだ、こういうお話でございますが、前向きに考えます。
 それから歩積み両建て預金につきましては、これは法律上決めろと言われましてもなかなかむずかしいのです。金を貸すのは普通は担保を取って貸すわけですから、銀行は無担保でどんどん貸せということは言えない。やはり担保を取って貸せ、担保がないとかどうとかについて多少のものがあることも事実でございますが、そういうものは極力なくせという趣旨でございます。
 しかし、一切きれいにできるかどうかという問題は、ではやはり担保を取れという話になってまいりますから、そちらの問題にひっかかってくる。担保のない人は借りられない、これも困る。人によってまた千差万別ですから、それを全部法律や政令で書くこともむずかしい。行政指導でこういうものがなくなるように、今後とも適宜――物には常識というものがありますから、そういうことで担保のない人が金を借りられなくなっても困るし、そうかといって歩積み両建てをよけい取られても困るしというような兼ね合いを見ながら、要するに、歩積み両建てが弊害になって弱い者いじめになる、これは困る。それは認識が一致しておりますので、さように行政指導を進めてまいりたいと存じます。御了承願います。(拍手)
    ―――――――――――――
#35
○議長(福田一君) 竹本孫一君。
    〔竹本孫一君登壇〕
#36
○竹本孫一君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました銀行法案等に対しまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 油のない日本には、昔から油断大敵という言葉があります。確かに、一バレルについて一ドル値上がりをいたしますと、日本の油代金支払いは年間十八億ドルふえるのであります。したがいまして、かつて五十億ドル前後でありました油の支払いが、昨年は五百八十億ドルに達しました。この油の値上がりがインフレの原因であり、この支払い代金の増加がデフレの原因になるのであります。
 第一次オイルショックのときの狂乱物価の際に、商社の性悪説が大きく叫ばれました。しかし、その九兆六千五百億円の買い占めをやりました商社に対しまして、あるいは担保なしで、あるいは中小企業に対する場合よりも比較にならない低金利で、巨額の金を融資いたしましたのは銀行であります。ある銀行のごときは、自己資本をはるかに超える巨額の金を特定の商社に融資しておったのであります。銀行の公共性が問題になりまして、国民からひどく批判を受けましたのは当然であります。
 今回の銀行法改正の第一条が、「預金ノ受入ト金銭ノ貸付又ハ手形ノ割引」「為替取引」云々といったような、単なる銀行業務の古い定義ではなくて、新たに目的規定を設け、銀行業務の公共性を強調するに至ったのは、けだし時代の必然でありまして、私の強く歓迎するところであります。
 また、業界の活力を生かすために、自主性尊重の精神を第一条に入れたことも、民間の創意工夫を尊重し、計画的市場経済体制を主張するわれわれとして理解できるところであります。ソ連のフルシチョフでさえも、晩年には、プライベート・インセンティブ、個人の創意を尊重することこそは、人々をしてより真剣に働かしめる唯一の道であると言っております。
 問題は、この公共性と自主性との調和でありまして、銀行が、これから愛される銀行としてみずからを社会の中に位置づけるか、あるいは、われわれも反対でありますけれども、非能率と強権主義の銀行国営にまでみずからを追い込むかということは、すべて銀行の社会的自覚のいかんにあるということを強く主張しておきたいと思います。(拍手)
 同時に、私は、最近の一連の金融行政のあり方についても、この際一言いたします。
 すなわち、銀行法改正作業をめぐる長いもたつき、公定歩合引き下げに伴う政府・自民党の圧力と先走り、銀行と郵貯をめぐる役所間のなわ張り争い等々、すべての金融行政は、国民不在のまま、単なる利害調整、行政のテクニックに終始したと言っても、決して過言ではありません。(拍手)
 わが国の経済は、最近とみに国際化するとともに、業種間、学際間の複合的、総合的交流が活発化いたしておるのであります。この過程を通じて、国民のニーズにこたえる商品の開発あるいは技術の革新がいま積極的に行われております。
 しかるに、金融界、証券界の世界を見ますと、実態は、国際化がどんどん進んでおるし、相互交流がますます高められていくのにかかわらず、行政は依然として当事者間の利害調整だけに終始しているのであります。そこには、今後のわが国の金利自由化がいかにあるべきか、国民のニーズにこたえる新しい金融像をどうすべきかなどといった次元の高い議論は全く欠落しておるのであります。
 政府、大蔵省は、この際、もう一度行政の原点に返り、国民のための、国民に顔を向けた金融行政はいかにあるべきかを真剣に考えるべきであります。総理並びに大蔵大臣の所信を伺いたいのであります。(拍手)
 次に、銀行法案について重要なポイントを指摘いたします。
 その第一は、監督規定であります。
 民主主義の原則並びに民間のバイタリティーを活用する見地からすれば、政府が銀行の自由なる活動に対して介入すべき場合と介入すべからざる場合と、その具体的基準を規定するということは、むしろ一歩の前進であると考えますが、しかし、今回は、一部の圧力に押されて原案の条文を書きかえて、もとの現行法文に逆戻りしたのであります。一体大蔵省が銀行を監督するのか、あるいは銀行が大蔵省を監督するのか伺いたいのであります。(拍手)
 第二は、ディスクロージャーについてであります。
 大きな影響力を持つ銀行の業務並びに財産の状況を国民にできるだけオープンにするということは、愛される銀行の必要条件であります。情報の公開はいまや政治の常識でもあります。しかるに、新銀行法案が、利益処分その他、ディスクロージャーの範囲を狭めて、しかもこれを罰則を伴わない訓示規定に改めたことは、許すべからざる時代逆行でありまして、鈴木内閣の政治姿勢を疑わざるを得ないのであります。総理大臣の見解を伺いたい。(拍手)
 第三は、大口融資の規制についてであります。
 融資の危険を分散するとともに、中小企業に対し、サラリーマンに対して、資金の再配分を公平かつ適正に行うためのこの大口融資規制が今回法的根拠を持つに至ったことは、一歩の前進と評価しております。しかし、その内容たるや、商業手形、貿易手形その他で、条件を実質二五%以上に緩和したことは理解できません。アメリカのごときは一〇%であるし、西ドイツは一五%以上は届け出を必要としておるのであります。一体信用供与二〇%の基準は、融資を受ける側の中小企業やあるいは電力事業の立場からして、いかにこれを受けとめるべきであるか、通産大臣の所見を伺いたいと思います。
 第四は、銀行の証券業務に関してであります。
 公共債の残額引き受け、窓販、ディーリング等といった重大な問題について、今回、政府が粘り強く銀行界、証券界との妥協に努力をされたことは、私はこれを評価するにやぶさかでありません。マスコミは、この点に関して、銀行が勝ったあるいは証券が勝った、あるいは大蔵省が押し切った、または押し切られたとさまざまな批評をいたしておりますけれども、問題は、論議の過程において重要な国民的視野と国際感覚が欠けておるということであります。
 私の計算では、昭和六十五年までに国債の累積債は恐らく百五十兆円になるであろう、借換債の合計も六十兆円に達するのであります。単なるなわ張り争いではなくて、これらをスムーズに消化するための市場機能の整備こそが問題であります。(拍手)
 政府は、この国債消化についてどれだけの自信をお持ちであるか、伺いたいのであります。
 第五は、週休二日制についてであります。
 銀行の営業日については命令で定めることになり、週休二日制について、先ほどもお話がありましたように、法的な第一歩が踏み出されたわけでありますが、問題はそれの具体化をいつやるかということで、政府はいかなる展望を持っておられるかを伺いたい。さらに、その際、わが国の大多数の中小企業はむずかしい特殊事情を抱えておりますけれども、この中小企業に対していかなる配慮を行うつもりであるか、大蔵大臣並びに労働大臣の所見を伺いたいのであります。
 最後に、いまや五十年ぶりに銀行法は改正されるのであります。しかし、かたかなの銀行法がひらがなになるということだけが改正ではありません。過保護の銀行行政、偏った融資の状況、これらを改めて、内外時局の要請に沿った公正で親切な金融新秩序をつくることこそが改正の眼目でなければなりません。
 「金融資本論」の名著で有名なヒルファーディングは「人は最初の恋人に帰る」、資本主義貨幣経済は金より出て金に帰る、そこに金融寡頭支配とお金万能の必然性を指摘しました。しかし、われわれ日本人にとって、われわれのエルステ・リーベ、最初の恋人は祖国日本であります。銀行法の改正は、経済に、金融に、この日本の心を取り戻すことが基本理念でなければなりません。(拍手)私が七年前に銀行法の改正を叫び、銀行はマスターとして国民に君臨するのか、サーバントとして国家、国民に奉仕せんとするのか、鋭く批判したのもそのためであります。
 現に、資本主義の総本山アメリカにおいてさえも、そのドル紙幣の裏側を見てごらんなさい。イン・ゴッド・ウイ・トラスト、われわれは神を信ずと書いてあって、イン・ゴールド・ウイ・トラスト、われわれは金を信ずとは書いてないのであります。われわれ日本人は、いまこそ日本人の正義を信じ、祖国を信じ、金権万能に潔く訣別すべきときであります。(拍手)
 思うに、今日の産業経済は銀行に奉仕し、そして、国の政治は経済に奉仕しておるような実情でございますけれども、政府はすべからく二十一世紀を展望して、銀行は経済に奉仕し、経済は国家、国民に奉仕するべきであります。総理大臣並びに大蔵、通産両大臣の御見解を伺いたいのであります。
 もちろん私は、ここで銀行法の逐条審議をしようというのではありません。重要なのは、銀行法と銀行行政の理念を変えることであります。かつて、軍国日本は、富国日本に始まり、強兵をねらい、原爆、敗戦、廃墟で終わりました。これからの日本は、福祉に始まり、平和を願い、偉大なる文化創造、グレートソサエティーに至るべきであります。
 その点から言えば、戦時立法的色彩の強い日本銀行法のごときは真っ先に改正すべきであります。少なくとも政府は、銀行法改正の最後の仕上げとして日銀法を改正し、八〇年代を展望する新たなる日本の金融新時代を建設すべきであります。
 その点に関する政府の決意と見通しを伺って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#37
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 まず、銀行の公共性についての見解のお尋ねがございました。
 銀行は、国民大衆の預金を受け入れ、もろもろの取引を仲介して信用秩序を維持し、企業、個人及び公共部門などに対して適切に資金を供給することによって、国民経済の健全な発展を確保するという高い公共性を有していると認識をいたしております。
 今回改正されました新銀行法では、その第一条で、銀行の持つ公共的性格が明らかにされておりますが、今後、銀行が自主的な企業努力のもとに、業務の健全かつ適正な運営を推進し、もってその公的な機能を十分に発揮していくことを期待いたしております。
 ディスクロージャー制度についてのお尋ねでありますが、銀行がその業務及び財産の状況を国民に開示して、国民の判断、評価を受けることにより、社会が銀行に何を望んでいるかを適切に把握する、それによって、自主的な経営努力を行い、社会的要請に適切に対応する道を開くということはきわめて重要なことであると考えます。
 したがって、ディスクロージャーの内容につきましても、できる限り銀行の自主性を尊重し、その創意工夫の発揮を促すような仕組みが望ましいと考えておるのであります。
 銀行の国民経済に対する奉仕の問題でありますが、今回の銀行法改正もその趣旨にかなうものと考えておりますが、今後とも金融の一層の効率化と金融機関の公共性、社会性の発揮を図り、銀行その他の金融機関が国民経済の健全な発展に適切に貢献し得るよう、環境の整備に努めてまいりたいと存じます。
 残余の点につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#38
○国務大臣(渡辺美智雄君) 銀行の公共性について、国民に顔を向けた銀行にしなさい。
 全くそのとおりでございまして、また、総理の答弁と全く同じでございます。
 それから、監督規定の問題で、原案の条文が書き改められて、現行銀行法の簡単な条文に逆戻りしたということでございますが、監督問題については、余りごてごて書き過ぎて、取り締まり銀行法みたいになってしまうのではないか、こういうような批判がございまして、そう言われてみるとそれも本当だし、もっと簡潔にして中身が同じならいいではないかということで、簡単にして中身を同じにしたわけでございます。したがって、現在の銀行法の監督規定というのは、これはかなり強大なものでございますから、かたかなをひらがなに直した、そこへ新規の外国銀行等の問題が入っていますから、そういうところの手直しをしたということでございまして、決して監督をルーズにしたとか、そういうようなことでは全然ございません。
 それから、週休二日制の問題につきましては、これは法律に書いてありますが、今度は政令に落としまして、閣議決定できちっと決められるように、すぐ対応できるようにしよう。これについては、ほかとの関連性がございますから、なかなか大蔵大臣だけというわけにはいかない。なるべく早く内部で話し合いをしまして、社会的にみんなに歓迎されるようにしなければならぬ、さように考えております。ある程度の準備期間は避けられないものと存じます。
 それから、その次は産業は銀行に奉仕するというようなことでなくて、銀行は産業に奉仕しろ、経済に奉仕しろ、経済は国家へ国民に奉仕すべし、蔵相の見解いかん。
 その精神は私も全く同じでございます。
 それから、戦時立法的色彩の日本銀行法の改正、これをやれ。
 なるほど、あれはかたかな書きでございまして、日本銀行の目的の中には国家目的遂行とかなんとか書いてあります。昭和三十五年に日本銀行制度に関する答申というのが調査会から出たことがあるのですが、政府と日銀との関係につきまして、どっちに比重を置くかということで、両論併記になってしまって、結局まとまらなかったといういきさつがございます。
 日本銀行法の改正というのは、わが国の経済全体のあり方に非常に深い関係がございます。したがって、今回の銀行法でもこれだけの大論争が出たわけでございますから、日銀法については慎重に配慮してまいりたいと考えます。
 国債消化の問題につきましては、これはやはり現在の段階では、どうしてもシ団の御協力を得なければ大量の消化というものはなかなかできない。しかし、余り銀行だけに依存ということもなかなかむずかしい問題がございます。
 国債を消化するためのいろいろな手法としては、いろいろな種類、発行方式の多様化、市場の整備、こういうようなことは御指摘のとおりに非常に重要な問題だと私も考えております。
 これまでにも国債の取引所取引制度の改善、国債の店頭気配発表制度の改善、あるいは公社債の流通金融の拡充など、国債流通市場の整備ということは実はやってはきております。それで十分かと言われれば、完璧とは申しませんが、極力充実をしてまいりたい、こう思っております。今後とも公社債市場の整備育成に配意をしてまいりたい、こう考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣田中六助君登壇〕
#39
○国務大臣(田中六助君) 竹本先生にお答えいたします。
 銀行の貸し出しと中小企業との関連でございますが、御承知のように、日本の中小企業は、日本経済を支える大きなバックボーンになっております。私どもは、中小企業者に対しまして、四月二日、特に全国の銀行に通達を出しまして、ぜひとも困らないように貸し出しを緩和してくれということを出しておりますが、昭和五十五年十二月末の統計によりますと、全国銀行の中小企業者向けの貸し出しは四五・二%でございます。そのうち市中銀行が四〇・四%となっておりますので、だんだん緩和されておりまして、今後とも私どもはその推進に努力してまいりたいと思います。
 それから、電力事業並びにそういう重要産業に対する貸し出しを表に出すべきではないかという御意見でございますが、まさしく特定の事業などにのみ集中することなく、電力事業その他重要な産業に対する融資についての要請を私どもは常にやっておりますし、これからもそういう方針で臨みたいと思います。
 それから、産業経済が銀行に奉仕しているのではないかということにつきましては、総理並びに大蔵大臣がお答えいたしましたが、私どもは、木の葉が沈んで石が浮くというようなことのないように努力していきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣藤尾正行君登壇〕
#40
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。
 私に対しまする御質問は、週休二日制の問題でございます。
 今日、何らかの意味で週休二日制度といいまするものを採用いたしておりまする企業は四六%、その適用を受けておりまする労働者の比率は七三%でございます。しかしながら、大企業におきまして約九〇%に近い方々がこの適用を受けておられるのに対しまして、中小企業の方々は四〇%そこそこである、こういう現実を考えてみましても、この週休二日制度といいまするものを今後一般化していくという私どもの考え方を推進していきまするためには、中小企業をどのようにしてこの週休二日制度に踏み切っていただくかということが、私どもの政策の重点となっていかなければならないわけでございます。
 今日、中小企業の方々に、どういうわけで週休二日制度にお踏み切りをいただけないのかという調査をいたしてみますと、取引上の都合がどうもぐあいが悪い、あるいは同じ地域、同じ業種でほかの企業が働いておるのに自分たちだけ休むわけにはいかない、こういうお答えが多いわけでございますので、こういったところを打開をしていくということが必要であり、したがいまして、同一地域あるいは同一業種に対しまして集団的な御指導をさしていただくということが非常に大切であろう、かように考えます。
 特段と、その取引上の都合という絡みから考えてみました場合に、中小企業と銀行といいまするものが非常に密接不可分な関係にお立ちになっておるわけです。したがいまして、今日、との銀行法の中におきまして、従来法制で禁止せられておりました土曜日の閉店といいますることを政令事項に移されまして、週休二日制の導入の道をお開きをいただいたということは、私どもにとりまして非常に意義のあるこれは一つの決断である、かように考えて、御同慶の至りだ、かように考えておるわけでございます。(拍手)
#41
○議長(福田一君) これにて質疑は終了いたしました。
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#42
○議長(福田一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十七分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        外 務 大 臣 伊東 正義君
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
        厚 生 大 臣 園田  直君
        通商産業大臣  田中 六助君
        郵 政 大 臣 山内 一郎君
        労 働 大 臣 藤尾 正行君
        建 設 大 臣 斉藤滋与史君
 出席政府委員
        大蔵省証券局長 吉本  宏君
        大蔵省銀行局長 米里  恕君
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ソース: 国立国会図書館
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