くにさくロゴ
1980/05/15 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第25号
姉妹サイト
 
1980/05/15 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第25号

#1
第094回国会 本会議 第25号
昭和五十六年五月十五日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十三号
  昭和五十六年五月十五日
    正午開議
 第一 商法等の一部を改正する法律案(内閣提
    出)
 第二 商法等の一部を改正する法律の施行に伴
    う関係法律の整理等に関する法律案(内
    閣提出)
 第三 日本学校健康会法案(第九十三回国会、
    内閣提出)
 第四 食糧管理法の一部を改正する法律案(内
    閣提出)
 第五 都市公園等整備緊急措置法の一部を改正
    する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第六 銀行法案(内閣提出)
 第七 中小企業金融制度等の整備改善のための
    相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正
    する法律案(内閣提出)
 第八 証券取引法の一部を改正する法律案(内
    閣提出)
 第九 銀行法の施行に伴う関係法律の整備等に
    関する法律案(内閣提出)
 第十 障害に関する用語の整理のための医師法
    等の一部を改正する法律案(内閣提出、
    参議院送付)
    …………………………………
  一 国務大臣の演説(帰国報告について)に
    対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 各種手数料等の改定に関する法律案(内閣提出、
  参議院回付)
 日程第一 商法等の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 日程第二 商法等の一部を改正する法律の施行
  に伴う関係法律の整理等に関する法律案(内
  閣提出)
 日程第三 日本学校健康会法案(第九十三回国
  会、内閣提出)
 日程第四 食糧管理法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第五 都市公園等整備緊急措置法の一部を
  改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第六 銀行法案(内閣提出)
 日程第七 中小企業金融制度等の整備改善のた
  めの相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 日程第八 証券取引法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第九 銀行法の施行に伴う関係法律の整備
  等に関する法律案(内閣提出)
 日程第十 障害に関する用語の整理のための医
  師法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
  参議院送付)
 国務大臣の演説(帰国報告について)に対する
  質疑
    午後零時四分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(福田一君) お諮りいたします。
 参議院から、内閣提出、各種手数料等の改定に関する法律案が回付されました。この際、議事日程に追加して、右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 各種手数料等の改定に関する法律案(内閣提
  出、参議院回付)
#5
○議長(福田一君) 各種手数料等の改定に関する法律案の参議院回付案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 各種手数料等の改定に関する法律案の参議院回付案
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#6
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#7
○議長(福田一君) 起立多数。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案(内閣提出)
#8
○議長(福田一君) 日程第一、商法等の一部を改正する法律案、日程第二、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長高鳥修君。
    ―――――――――――――
 商法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係
  法律の整理等に関する法律案及び同報告書
    〔本号口に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔高鳥修君登壇〕
#9
○高鳥修君 ただいま議題となりました両法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、商法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、最近の経済情勢及び会社の運営の実態にかんがみ、会社の自主的な監視機能を強化し、その運営の一層の適正化を図る等のため、商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律並びに有限会社法の一部を改正しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、株式会社の設立に際して発行する額面株式の金額及び無額面株式の発行価額は、五万円を下ることができないものとし、既存の上場会社については、原則として、券面額の合計が五万円に当たる数の株式をもって株式の一単位とすること、
 第二に、一単位の株式を有する株主のみが完全な株主の権利を有し、一単位に満たない株式を有する株主は、利益配当請求権等の自益権のみを有するものとすること、
 第三に、会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関して財産上の利益を供与できないものとし、これに反して、その利益の供与を受けた者はこれを会社に返還する義務を負い、その利益を供与した取締役等は刑罰に処するものとすること、
 第四に、監査役は、取締役が法令または定款に違反する行為をし、またはするおそれがあると認めるときは、取締役会に報告しなければならないものとし、必要があるときは、取締役会の招集を請求することができるものとすること、
 第五に、会社は、新株引受権付社債を発行することができるものとすること、
 第六に、会計監査人の監査を実施する大規模会社の範囲を、資本の額が五億円以上または負債の合計額が二百億円以上のいずれかに該当するものとすること、
 第七に、大規模会社の貸借対照表及び損益計算書については、会計監査人及び監査役の適法とする意見があったときは、株主総会の承認を受けることを要しないものとすること、
 第八に、大規模会社の株主総会における議決権は、書面により行使することができるものとすること、
 第九に、商法の一部改正に伴い、有限会社法の一部について所要の整理を行うものとすること
等であります。
 次に、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について申し上げます。
 本案は、商法等の一部を改正する法律の施行に伴い、非訟事件手続法のほか四十八の関連する法律について、字句の修正、条文の整理等の改正を行うとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。
 委員会においては、商法等の一部改正案については四月二十一日、同法施行に伴う関係法律の整理法案については同月二十八日、提案理由の説明を聴取し、商法等の一部改正案については参考人の意見を聴取するなど、両案に対し慎重審査を行い、去る十三日質疑を終了し、討論に付したところ、両案に対し、日本社会党及び日本共産党から反対の意見が述べられ、次いで、採決を行い、両案は多数をもっていずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、商法等の一部を改正する法律案について、附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(福田一君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(福田一君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 日本学校健康会法案(第九十三回
  国会、内閣提出)
#12
○議長(福田一君) 日程第三、日本学校健康会法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。文教委員長三ツ林弥太郎君。
    ―――――――――――――
 日本学校健康会法案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔三ツ林弥太郎君登壇〕
#13
○三ツ林弥太郎君 ただいま議題となりました日本学校健康会法案について、文教委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、行政機構の合理的再編成を図る観点から、特殊法人の整理合理化を図るため、日本学校給食会及び日本学校安全会を解散することとし、それらの業務を総合的に推進することにより、心身ともに健康な児童、生徒等の育成に資するため、新たに日本学校健康会を設立しようとするものであります。
 その主な内容の第一は、健康会は、児童、生徒等の健康の保持増進を図るため、従来の両法人の業務を継承して、学校安全及び学校給食の普及充実、義務教育諸学校等の管理下における児童、生徒等の災害に関する災害共済給付並びに学校給食用物資の適正円滑な供給等を行うこととするほか、文部大臣の認可を受けて、その目的を達成するため必要な業務を行うことができるものとすること、
 第二は、健康会は、法人とし、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事二人以内を置き、理事長及び監事は、文部大臣が任命すること、
 また、理事長の諮問機関として運営審議会を置くこと、
 第三は、健康会の財務、会計及び文部大臣の監督等について所要の規定を設けるほか、国は、健康会に対し、災害共済給付及び学校給食用物資の供給に要する経費等につき補助することができること、
 第四は、この法律は、公布の日から施行することとし、健康会の設立と日本学校給食会及び日本学校安全会の解散等について所要の規定を設けること
等であります。
 本案は、第九十三回国会に提出され、田中文部大臣より提案理由の説明を聴取し、質疑の後、今国会に継続審査となっていたものであります。
 今国会におきましては、四月二十二日に質疑を行い、五月十一日質疑を終了いたしましたところ、中村喜四郎君外三名から、災害共済給付規定の身体障害に関する用語を適切なものに改めるとともに、本案の施行期日が昭和五十六年度となることに伴い、関連規定について所要の整備を行うこと等を内容とする自由民主党の提案に係る修正案が、また、有島重武君外二名から、健康会の学校給食に係る付随業務の縮小、停止等を内容とする公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブの三党共同提案に係る修正案が、それぞれ提出されました。
 次いで、討論に入り、日本社会党の中西積介君は原案及び両修正案に反対、日本共産党の山原健二郎君は原案に反対の意見を、それぞれ表明されました。
 次いで、採決の結果、有島重武君外二名提出の修正案は少数をもって否決され、中村喜四郎君外三名提出の修正案及び修正部分を除く原案は賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#15
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第四 食糧管理法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
#16
○議長(福田一君) 日程第四、食糧管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長田邉國男君。
    ―――――――――――――
 食糧管理法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔田邉國男君登壇〕
#17
○田邉國男君 ただいま議題となりました内閣提出、食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における食糧管理制度をめぐる諸事情にかんがみ、米穀の管理に関する基本計画等の策定と、これに即した適正かつ円滑な米穀の集荷及び販売を通じて、需給事情の変化に的確に対応し得る米穀の管理制度を確立し、あわせて需給逼迫時における配給の実施につき規定の整備を図ろうとするものであります。
 本案は、去る四月二日に提出され、同月二十三日本会議における政府の趣旨説明及びこれに対する質疑を終えた後、委員会に付託されました。
 委員会におきましては、四月二十八日政府から提案理由の説明を聴取し、以来、五回にわたり熱心な質疑が重ねられ、その間、五月七日には参考人の意見聴取を、また、翌八日には現地視察を行う等、慎重な審査を進め、五月十三日質疑を終局いたしました。
 次いで、討論に入り、自由民主党を代表して逢沢英雄君から賛成の意見が、また、日本社会党を代表して田中恒利君、日本共産党を代表して寺前巖君から、それぞれ反対の旨の意見が述べられました。
 討論終局後、直ちに採決を行いましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、「全量管理を基本とする制度の根幹を堅持し、その運用に万全を期すべきである。」旨の十一項にわたる附帯決議が付されました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(福田一君) 討論の通告があります。これを許します。田中恒利君。
    〔田中恒利君登壇〕
#19
○田中恒利君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました食糧管理法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 食管法は昭和十七年に制定されましたが、以来四十年の長きにわたり、国民生活の根底をなす食糧の安定供給にきわめて大きな役割りを果たしてまいりました。
 食糧問題は、今日、国の内外を問わずきわめて深刻かつ重大であります。世界の食糧供給は人口の増加に対応し切れず、昨年来の世界的な異常気象などによって需給不安を強め、穀物価格の上昇が懸念されています。
 その上、米国の対ソ、対イラン穀物禁輸措置が示すように、食糧は今日、軍事力、エネルギーとともに国際政治における戦略物資としての役割りを果たす時代に入ったと言われております。
 この中にあって、わが国は、さきの食糧自給力向上に関する国会決議にもかかわらず、穀物の自給率は年とともに低下し続け、今日三三%という憂うべき事態に立ち至っています。
 自動車、カラーテレビなど、大企業商品の輸出見返りに百四十億ドルを上回る膨大な食糧輸入が推し進められ、かつて瑞穂の国と言われたわが国は、いまでは世界最大の食糧輸入国になってきたのであります。外国食糧の重圧は、国内の米、畜産物、蚕糸、果実などの過剰問題を深刻化させ、米の強制減反を初め、酪農、ミカンなど、いずれも生産調整と価格抑制が強制されております。
 食管法は、以上の厳しい内外情勢を踏まえて、国民食糧の安定供給を目指して、その機能と体制をいかに強化、確立するかが最大の課題でありますが、政府案はこれにこたえるものとは言えません。
 以下、その内容と課題を指摘しつつ、反対の理由を明らかにいたします。
 その第一は、食管法が戦時立法であり、食糧不足を念頭に制定されただけに、今日の過剰期には法と実態の乖離が著しく、この際、米の過不足いずれにも対応できる法体系に整備するというのが政府の主張であります。
 しかし、その内容をつぶさに検討するとき、そのねらいは、需給均衡に名をかりた米退治農政であり、食管財政負担の軽減にほかならぬことはきわめて明らかであります。政府策定の基本計画は、まさに需要に見合う生産誘導の指針であり、生産調整、つまり減反政策を法的に裏打ちするものであります。
 今日の米過剰は、穀物で二千五百万トン、小麦で五百五十万トンに及ぶ膨大な外国食糧依存の自民党農政がもたらしたものであり、その責任は政府みずからが負わなければなりません。(拍手)
 輸入政策を放置して国内産米の生産規制を推し進めることは、責任を農民に転嫁させ、米を基盤とするわが国の生産構造と主食消費構造の将来に大きな変化と後退を与えるものであり、われわれの容認しがたいところであります。
 第二に、政府は、これまでもしばしば食管制度の根幹はこれを堅持すると言明してまいりました。
 食管の根幹論議は、昭和四十三年以来、生産調整、買い入れ制限をめぐり国会内外において激しく展開されてきましたが、われわれは、政府の全量買い上げ、全量管理、二重米価制度の三つを挙げてきたところであります。
 今回の改正は、配給統制を流通規制に変更し、自主流通米を法制化して政府外への売り渡しを認め、縁故米、贈答米の除外など、これまでの政府管理のシステムを大きく緩めるものであり、部分管理への道に一歩踏み込んだものと強く指摘せざるを得ません。
 第三に、政府案は、米の流通ルートを特定させ、流通業者の地位と責任を明確化するとしていますが、その意図は、配給制度にかわって、米の集荷、卸、小売の各段階において自主的商業活動を促進させることによって、米流通に競争原理の導入を推し進めようとする点であります。
 このことは、政府計画に基づく品質別需給バランスへの行政指導と相まって、米の品質、用途別価格差を拡大させ、産地間、銘柄間の競争を激化させ、やがては巨大商社の米穀市場への進出を認め、零細業者を切り捨て、系列化が進行することは明らかであります。それはまた、生産者と消費者にとって、米価変動など国民生活の混乱を引き起こすことは、大正、昭和初期における米穀史の示すところであります。
 第四に、これらの改正事項は、その運用いかんが法の内容を左右する面がきわめて大きいのでありますが、これまた、ほとんど政省令にゆだねられています。米の流れ、管理の形態、政府米と自主流通米の数量など、改正内容の大半は行政当局の判断にゆだねられるのであります。
 政府は、これまで自由米制度、買い入れ制限など食管法の基本とされる事項を政令によって措置し、食管空洞化の要因をなしたのでありますが、今回また、異常時における配給制度の復活など、鈴木内閣が掲げる総合安保の重要な柱である食糧の異常事態について、その判断、その対応の方策が行政事項として取り扱われることは、事の重要性にかんがみ、立法府の認めがたいところであります。(拍手)
 以上、私は、本法改正が、多年にわたる財界などの食管制度批判を受けて、さらにまた、行財政改革を政治生命とする鈴木内閣が財政対策の一環として取り進めようとするものであり、現行制度の中に持ち込まれる市場競争原理の導入、自主流通米や買い入れ制限の法制化によって、政府関与を減らし、全量管理から部分管理に踏み込む可能性と危険性を強く指摘してまいったのであります。
 もとより、われわれはやみ米の公然化、需給の不均衡、過剰在庫と財政負担の限界など、現行食管制度が抱える困難な課題を避けるものではありません。
 しかしながら、これらの課題は、政府案に見られるごとく、それ自体としての解決は困難であり、貿易問題など、わが国経済の動向と構造に深く結びついているだけに、われわれは食糧政策の基本を日本農業の自主的拡大発展に求め、現行食管制度の機能強化こそ当面の急務であると確信いたします。
 このため、社会党は、総合食糧管理法案を本用会に提案し、米過剰を悪とせず、すぐれたわが国の水田生産力を活用し、えさ米を含む飼料穀物を新たに食管制度の対象に加え、その生産振興を講ずる方途を明らかにし、しかも食管制度の民主的運用を徹底させるため、農民と政府による生産者米価決定方式の確立、穀物管理に関する審議機関の設置、計画備蓄の法制化などによる、わが国食糧の自給率向上を期すことを明らかにしてきたところであります。
 私は、いま全国各地で食糧生産にいそしむ農民の間に広く、深く、しかも厳しく広がりつつある農業への意欲の喪失を何よりも恐れ、食糧を語る国民の声の高まりを期待しつつ、食管法改正反対の討論を終わるものであります。(拍手)
#20
○議長(福田一君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#21
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#22
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#23
○議長(福田一君) 日程第五、都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長稲村利幸君。
    ―――――――――――――
 都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
   〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔稲村利幸君登壇〕
#24
○稲村利幸君 ただいま議題となりました都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、著しく立ちおくれている都市公園の整備を促進すること等により、都市における生活環境の改善、都市災害に対する安全性の確保及び公害の防止を図るとともに、増大するスポーツ、文化活動等の需要に対処するため、現行の都市公園等整備五カ年計画に引き続き、昭和五十六年度を初年度とする第三次都市公園等整備五カ年計画を策定するとともに、都市計画区域外において一定の町村が設置する公園または緑地の整備事業を五カ年計画の対象に加えようとするものであります。
 本案は、参議院先議に係るもので、去る四月十七日同院において原案のとおり可決し、本院に送付されたものでありますが、当委員会においては、四月二十四日建設大臣より提案理由の説明を聴取し、審査を行い、五月十三日質疑を終了、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、「公園・緑地の整備の重要性にかんがみ、五箇年計画の完全達成を期するとともに、地方公共団体の財政負担の軽減に配慮する」等、四項目の附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第六 銀行法案(内閣提出)
 日程第七 中小企業金融制度等の整備改善の
  ための相互銀行法、信用金庫法等の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 日程第八 証券取引法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第九 銀行法の施行に伴う関係法律の整
  備等に関する法律案(内閣提出)
#27
○議長(福田一君) 日程第六、銀行法案、日程第七、中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案、日程第八、証券取引法の一部を改正する法律案、日程第九、銀行法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右四案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長綿貫民輔君。
    ―――――――――――――
 銀行法案及び同報告書
 中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 証券取引法の一部を改正する法律案及び同報告書
 銀行法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔綿貫民輔君登壇〕
#28
○綿貫民輔君 ただいま議題となりました銀行法案外三法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 わが国経済の安定成長への移行に伴う金融構造の変化等、銀行をめぐる経済社会情勢の変化に対応して、銀行の健全経営を確保するとともに、国民経済的、社会的要請に適切にこたえ得るよう銀行制度の整備改善が望まれておりましたが、これを踏まえて、金融制度調査会は、四年間にわたる審議を経た後、昭和五十四年六月に「普通銀行のあり方と銀行制度の改正について」の答申を行い、銀行法を全面的に改正するよう提言がありました。
 金融制度調査会は、その後、中小企業金融の専門機関である相互銀行、信用金庫及び信用協同組合の諸制度並びに労働金庫制度についても審議を行い、昭和五十五年十一月に「中小企業金融専門機関等のあり方と制度の改正について」の答申を行い、適時適切に業務機能等に関する制度を見直すよう提言がありました。
 四法律案は、この両答申に基づき、金融制度の整備改善を図るため提出されたものでありまして、以下、各法律案の概要について申し上げます。
 まず、銀行法案は、昭和二年に制定された現行銀行法の全部を改正することとしており、その主な内容は、
 第一に、目的規定を設け、この法律は、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とするとともに、法律の運用に当たっては、銀行の自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならないことを明らかにしております。
 第二に、銀行は、国債、地方債及び政府保証債の、いわゆる公共債について各種の証券業務を営むことができる旨を規定いたしております。
 第三に、大口信用供与規制に関する規定を設け、銀行の資産運用の安全性の確保と銀行信用の広く適正な配分に資することといたしております。
 第四に、銀行の休日に関する規定を弾力化し、銀行の休日を、今後の経済社会情勢の推移に弾力的に対応できるようにいたしております。
 第五に、銀行の営業年度につきまして、現行の半年決算制を一年決算制に改めることといたしております。第六に、銀行が業務及び財産に関する説明書類を主要な営業所に備え置き、公衆の縦覧に供するというディスクロージャーの規定を設けることといたしております。
 第七に、金融面における急速な国際交流の進展にかんがみ、外国銀行支店等に関する規定を整備することといたしております。
 その他、監督、合併または営業の譲渡等につきまして、それぞれ規定の整備を図ることといたしております。
 次に、中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案の主な内容は、
 第一に、相互銀行法を改正し、相互銀行が担保付社債に関する信託業を行うことができることといたしております。
 第二に、信用金庫法を改正し、信用金庫の会員資格に関する規定を、諸情勢の推移に弾力的に対応することができるようにし、また、信用金庫及び同連合会が外国為替取引を行うことができることとするとともに、業務代理を行っている公庫、公団等の資金の取り扱いを行うことができることといたしております。
 第三に、中小企業等協同組合法を改正し、信用協同組合または同連合会が、内国為替取引の業務を組合員または会員以外の者のためにも行うことができることとするとともに、組合員または会員以外の者に対しても融資等を行うことができることといたしております。
 第四に、協同組合による金融事業に関する法律を改正し、中小企業等協同組合法の改正に伴う所要の規定の整備を行うほか、信用協同組合及び同連合会の行う余裕金の運用方法として農業協同組合等への預金等ができることといたしております。
 第五に、労働金庫法を改正し、労働金庫の会員資格の規定を整備するほか、労働金庫及び同連合会が内国為替取引の業務を行うことができることとするとともに、会員以外の者に対しても融資等を行うことができることといたしております。
 次に、証券取引法の一部を改正する法律案の主な内容は、
 第一に、銀行法案において、銀行の公共債に関する業務について明文の規定が設けられたことにかんがみ、銀行等が、この業務を営もうとするときは、投資者保護の観点から、一定の場合を除き、大蔵大臣の認可を要することといたしております。
 第二に、その認可については、証券会社に関する免許の種類の規定等を準用することとし、また、認可を受けた銀行等について、不公正取引の禁止等所要の規定を準用するほか、報告、検査等につき証券会社と同様の規定を置くことといたしております。
 第三に、外国の譲渡性預金証書及びコマーシャルペーパーの取り扱いを証券会社も行うことができるよう兼業制限に関する規定を改正することといたしております。
 次に、銀行法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、銀行法の全部改正に伴い、所要の規定の整備を図るもので、その主な内容は、第一に、貯蓄銀行法及び銀行法等特例法につきましては、必要な規定が銀行法等に規定されることとなることに伴い、これらの法律を廃止することといたしております。
 第二に、長期信用銀行法等十九法律について、その一部を銀行法の改正内容に準じて改正する等、所要の規定の整備を図ることといたしております。
 第三に、手形法等五法律について、銀行法の改正に関連し、休日について定めている規定について所要の改正を行うことといたしております。
 第四に、長期信用銀行、外国為替銀行及び農林中央金庫の債券発行限度額を引き上げるため、三法律について所要の改正を行うことといたしております。
 以上が四法律案の概要であります。
 四法律案のうち、銀行法案外二法律案につきましては去る四月二十四日に、銀行法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきましては去る五月六日に、渡辺大蔵大臣から、それぞれ提案理由の説明を聴取した後、四法律案を一括議題として質疑に入り、参考人から意見を聴取する等、慎重な審査を行いました。
 審査の過程におきまして、銀行の公共性と社会的責任、銀行経営の健全性の確保、業務運営についての自主的努力とその限界、銀行の証券業務の意義と窓販、ディーリングの認可時期、ディスクロージャー規定の適切な実施、大口信用供与規制の適正な実行、週休二日制早期実施のための体制の整備、金融国際化への対応措置、中小企業金融専門機関の役割りと経営の安定強化、監督行政の充実、金融の分野における官民のあり方等の諸問題について、広範な質疑応答が交わされましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 かくして、一昨十三日質疑を終了し、引き続き四法律案を一括して討論を行った後、各案について順次採決いたしました結果、四法律案は、いずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、銀行法案に対しましては、附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○議長(福田一君) 四案を一括して採決いたします。
 四案の委員長の報告はいずれも可決であります。四案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#30
○議長(福田一君) 起立多数。よって、四案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第十 障害に関する用語の整理のための
  医師法等の一部を改正する法律案(内閣提
  出、参議院送付)
#31
○議長(福田一君) 日程第十、障害に関する用語の整理のための医師法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長山下徳夫君。
    ―――――――――――――
 障害に関する用語の整理のための医師法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔山下徳夫君登壇〕
#32
○山下徳夫君 ただいま議題となりました障害に関する用語の整理のための医師法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、身体障害者の福祉の向上に資するため、医師法等関係法律の中で用いられている「つんぼ、おし、盲の者」という用語を「目が見えない者、耳が聞こえない者、口がきけない者」に改めること等であります。
 本案は、四月十七日参議院から送付され、同日付託となり、昨日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の演説(帰国報告について)に対する質疑
#35
○議長(福田一君) 去る十二日の内閣総理大臣の帰国報告についての演説に対する質疑に入ります。青木正久君。
    〔青木正久君登壇〕
#36
○青木正久君 私は、日米首脳会談につき、自由民主党を代表し、鈴木総理並びに大村防衛庁長官に若干の質問をいたします。
 まず、鈴木総理、伊東外相は、去る五月七日、八日、九日、ワシントンとオタワにおいて米国及びカナダの首脳と会談され、多大の成果を上げられましたことにつき、心から敬意を表するものであります。
 ことしはサンフランシスコ平和条約が署名されてからちょうど三十年目です。来年は、この平和条約が発効し、わが国が国際社会に復帰してから三十周年に当たります。この間、日米友好を軸としたわが国の外交は、今日の経済繁栄と花開き、日本の描いた軌跡の投影は、歩んできた道の正しさを証明しています。三十年という節目を迎え、日米関係に新たな飛躍が期待される、まさにこのとき、新しい日米両首脳による会談が開かれたことは、いままでにない大きな意義があるものと思われます。
 その意義を象徴するかのように、日米共同声明の文書に初めて同盟関係という文字が浮かび上がってきました。そして、この同盟をめぐって論議を呼んでおります。
 日米が同盟関係にあることはかねてから言われてきたことであり、また同盟、アライアンスという言葉は、オックスフォード辞典を調べても、共通の目的に対する結合とあり、必ずしも軍事に密着しているとは思えません。しかしながら、歴史をひもとけば、同盟の語感には絶えず軍事の響きが伴っています。私は、同盟すなわち攻守同盟すなわち憲法違反と短絡させるほど単細胞ではありませんが、今度の共同声明を見ますと、厳しい対ソ認識を声高にうたい上げた上での同盟関係ですので、誤解を生じやすいことは否めません。
 これに関連し、政府部内に意見の変化、不統一があるかのような印象が一部に存在していることも事実ですが、不透明のまま放置するわけにはまいりません。共同声明に初めて同盟関係という言葉を使用したことについては、それなりの理由があろうかと思います。この言葉をあえて取り上げた意図、同盟の内容、特に同盟には安保条約を超えた軍事的意味はないと思うが、どうでしょうか。また双務的意味合いがあると言えるでしょうか。私は共同声明は現状を追認したにすぎないと思いますが、これらの諸点を明確にしていただきたいと存じます。
 来月には、わが国防衛関係につき閣僚レベル並びに事務レベルの協議が予定されています。これらの会議は、同盟を土台とし、その延長線上の会議と思われます。同盟関係の認識について一部に日米両国間に解釈の相違があるように報ぜられていますが、この点いかがでしょうか。
 もう一点。共同声明に出てくる同盟関係という大事な言葉は、レーガン大統領との会談でも実際に用いられたのでしょうか。報道によりますと、会談はソフトで共同声明はハードだとか、共同声明が会談より先に走り出したとか、つまり会談そのものと共同声明のずれにつき、いろいろ言われておりますので、この際はっきりさせていただきたいと存じます。
 第二に、日本の防衛に関し、共同声明には「日米両国間において適切な役割の分担が望ましい」とあり、さらに「日本の領域及び周辺海・空域における防衛力の改善に努力する」とあります。
 日米会談ではソ連の動きが憂慮されました。これは、米ソの軍事バランスの変化が前提だろうと思います。一方、わが国は経済大国を謳歌しております。こうした世界環境の中で、わが国の「適切な役割」とは具体的に一体どんなことでしょうか。
 米国初め西側諸国は日本の努力に期待をしております。これだけの経済発展を背景にした「適切な役割」であり、「防衛力の改善」です。この二つの言葉を凝結させてみると、従来どおりと足踏みするわけにはいかない気がいたします。少なくとも憲法ぎりぎりの線まで堂々と防衛力を増強する心構えを持たなければ、リップサービスに終わってしまいます。
 政府は、これまで軍事的な役割りの分担はないと言い切っています。それならそれに関連し、鈴木総理は、訪米の際、わが国の防衛努力につき、できることとできないことをはっきりさせると言っておられました。そこで、首脳会談では、できないことについていかなることを述べられたでしょうか。また、できることについていかなる御発言をされたでしょうか。それらについての米国の対応もお聞かせ願いたいと存じます。
 また、日本の周辺の海・空域の範囲につき若干の混乱があったようですので、この際、防衛庁長官から明示されんことを望みます。
 さらに越えて、私は、軍事的役割り分担はないにしても、国際社会復帰三十年、日本の国はみずから守るとの信念のもとに、歯切れのよいみずからの行動をとるべきだと信じます。
 政府は、これまで述べてきたわが国周辺の海・空域、航路帯を、役割り分担としてではなく自主的に将来拡大して、総理の言われる庭先とも思えるグアム以西フィリピン以北を防衛範囲の目標として努力する御決意はないかどうか、お伺いいたしたいと思います。
 第三に、共同声明では、ソ連の軍事力増強を初めとし世界各地の動きに対し、日米両首脳は強硬な姿勢を示しました。十分納得のいくところですが、ソ連もまた隣国です。すでにソ連の反応を見てもわかるとおりで、今後対ソ政策の展開に支障が出てくると危惧されます。
 たとえば日本の国民の悲願である北方領土返還も困難の度を増すのではないかと思われますが、これらの点、総理はどうお見通しておられますか。ソ連との窓口はあけておくとつけ加えてはいますが、いわゆる全方位外交は修正されたのでしょうか。
 第四に、共同声明第三項、第四項にあるアジア、中東関係につきお伺いいたします。
 アジアでは、中国、朝鮮半島のほか幾つかの地域につき言及されていますが、対アジア政策全般につき、日米両首脳間でどんな認識の一致が見られたのでしょうか。
 また、石油関連でわが国にとっても重要地域である中近東について、米国の努力が「中近東、なかんずく湾岸地域の安定回復に貢献している」とありますが、米国のいかなる努力が安定回復に役立っているのか、お教えいただきたいと存じます。
 第五に、共同声明中、やや抽象的に過ぎると思われる部分の御説明を賜りたいと存じます。
 その一つは、第九項に「日本政府が世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対する援助を強化してゆく」とあります。この重要な地域とはどこどこで、具体的にどんな援助をお考えになっているのでしょうか。
 もう一つは、第七項にある「西側全体の安全を総合的に図るために、」西側諸国が対応すべき「世界の政治、軍事及び経済上の諸問題」とは何を意味するのでしょうか。また、これらに対し、わが国としてはどのような方策で臨んでいくおつもりか、お伺いいたします。
 第六に、経済問題に関しお尋ねいたします。
 経済問題では、第十項で「日米両国がガット体制に具現された自由かつ開放的な貿易の諸原則の維持と強化に引き続き努力する決意を確認した。」とありますが、この成果は高く評価さるべきものと思います。
 日米経済は自動車問題が片づいたため一段落のかっこうです。が、世界不況の中でさまざまな難関が予見されています。鈴木総理は、訪米を踏まえて、今後日本経済の運営をどう進めていくおつもりか。また、この関連で、共同声明にある日米賢人グループのもろもろの提言をどのように実施していくおつもりか、お示し願いたいと存じます。
 最後に、サミット関係について所信をお伺いいたします。
 鈴木総理は、レーガン大統領、トルドー首相と、この七月にオタワで開かれる先進国首脳会議について意見を交換され、特にトルドー首相との会談はこのことが中心であったと承知しております。
 いわゆるサミット会議は、一九七五年以来六回催され、いずれのときも、世界経済に責任を持つ主要国間の共通分母を求め、これによる政策の調整と協調に効果を上げてきました。鈴木総理は、オタワ・サミットに出席されるに当たり、どんな基本原則で臨まれるのか、この際お示しいただければ幸いに存じます。
 また、サミットは、今度のオタワ・サミットで一巡いたします。今後も続けるべきだと確信いたしますが、総理のお見通しと御希望をお述べいただければと思います。
 きょうは五月十五日でございます。昭和のあけぼのを彩った五・一五事件もさることながら、沖繩が日本に返って、きょうで十年目に当たります。あの困難な状況のもとで断を下した当時のアメリカの善意を想起しつつ、日米首脳会談についての私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#37
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 まず、同盟関係について御説明いたします。
 日米関係を同盟関係と表現することは、一昨年及び昨年五月の大平総理の二度の訪米の際にも行われたところであり、この表現自体は新しいものではございません。
 共同声明の日米両国間の同盟関係の意味は、民主主義及び自由という、両国が共有する価値の上に築かれた総合的な日米間の関係をとらえて表現したもので、日米関係を同盟関係と表現したからといって、それが現在の日米関係の枠組みを変えるような新たな軍事的意味を持つものではありません。(拍手)
 なお、日米双方とも、安保条約の性格をいかなる意味でも変える考えのないことは、累次説明してきておるところでございます。
 なお、以上申し述べた同盟関係という表現の意味するところについては、日米両国間に何ら認識の不一致はありません。
 また、かかる意味における同盟関係という語は、私とレーガン大統領との会談においても用いられ、共同声明と会談内容との間にもずれはありません。
 共同声明の述べている役割り分担の考え方は、従来に比し新しいことを述べたものではありません。わが国が、いわゆる集団的自衛権を行使し得ないことは憲法上明らかであり、極東の平和と安定のための日本の役割りは、日米安保条約の円滑な運用のほか、政治、経済、社会、文化の各分野における積極的平和外交の展開に重点が置かれることとなります。
 わが国の防衛努力に関しましては、「防衛計画の大綱」の水準を速やかに達成すべく今後とも努力する所存であります。首脳会談では、私より、わが国は自主的に、かつその憲法及び基本的防衛政策に従って防衛力の整備の努力を行うものであることを表明し、大統領は、これに理解を示しました。
 次に、わが国周辺の海・空域、航路帯の防衛範囲のお尋ねがありましたが、政府は、「防衛計画の大綱」にのっとり、わが国を防衛するため必要な限度において、わが国及びわが国の周辺海・空域において武力攻撃に対処するための防衛力の整備に努めているところでありまして、今後ともなお一層努力してまいる所存であります。
 次に、対ソ政策についてであります。
 今般の日米共同声明における対ソ認識は、一貫したソ連の軍事力の増大、アフガニスタンへの軍事介入など、動かしがたい客観的事実に対する従来からのわが国の現状認識を改めて示したものにすぎず、ソ連との対決姿勢を求めたものではありません。
 政府としては、従来よりしばしば明らかにしているとおり、ソ連との間で通すべき筋は通しつつも、いたずらに対決を求めることなく、真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することを基本的課題として対処してきており、北方領土問題については、ソ連側に対し、日ソ間にこのような関係を確立するためには、この問題の解決が不可欠であるとの認識を今後ともあらゆる機会に伝え、理解を得る努力を払うとともに、息の長い姿勢で粘り強く対ソ折衝を進めていく所存でございます。
 アジア情勢に関しては、中国、朝鮮半島、ASEAN及びインドシナについて意見交換を行いました。また、アジアの平和と安定が日米双方の関心事であることを確認し、かつ、この関連で、日本及び米国のおのおのが果たしているそれぞれの役割りをお互いに評価するとの点で認識の一致を見たものであります。
 次に、中東問題についてであります。
 湾岸地域の安定は、ソ連のアフガニスタンへの侵攻、域内のイラン、イラク間の武力紛争等により大きな影響を受けておりますが、地域外よりの脅威に対しての米国の確固たる立場及びイラン・イラク紛争拡大後、サウジアラビアに対する早期警戒機の派遣等に見られる紛争不拡大のための努力及び湾岸の自由航行確保のための努力等により、米国は、域内諸国の意見をも踏まえつつ、地域の安定回復のため大きな努力をしております。共同声明の御指摘の部分は、このような認識をあらわしたものであります。
 いずれにせよ、米国が、域内諸国の意向を無視して一方的に武力行使を行い、緊張を高めるようなことはないと理解しております。
 次に、経済協力についてお答えいたします。
 私は、経済協力を通じ開発途上国の経済社会開発を支援し、民生の安定、福祉の向上に貢献することは、これら諸国の政治的、社会的安定をもたらすとともに、広く国際間の緊張を緩和することに貢献することになると考えております。
 今回の共同声明で「世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対して、わが国が援助を強化していく」旨述べられておりますが、具体的にどの地域がこれに該当するかは、わが国がその都度、自主的に判断することになります。現に、わが国がASEAN諸国を重点国として援助を行ってきていること、また近年、タイ、パキスタン、トルコといった紛争周辺国に対する援助を強化してきていることは、まさに、これら諸国を「世界の平和と安定の維持のために重要な地域」と考えているからであります。
 今日、世界の安定にとり基本的な不安定要因を構成しているのは、第一に、ソ連の一貫した軍備増強及びこれを背景とした第三世界への進出等によって東西関係が不安定化していること、第二に、自由主義経済諸国が、低成長、インフレ、失業及びエネルギー問題といった諸困難に直面しており、これをこのまま放置すれば、西側全体の総合力を低下させるおそれのあること、第三に、第三世界諸国の政治的、経済的基盤が依然として脆弱であり、これが国内的混乱や地域的紛争、対立をもたらしていることであると考えております。
 御指摘の共同声明第七項前段の文言は、基本的には、このような国際政治、軍事、経済上の諸問題を念頭に置いたものであります。
 わが国としては、米欧を初めとする自由主義諸国との連帯と協調のもとで、このような世界の諸問題の解決のために、その国力、国情にふさわしい役割りを果たしていく所存であります。
 先般、私が訪米した際、レーガン大統領を初め米側閣僚等との話し合いにおいては、日米経済関係が全体として順調に拡大発展してきていることが確認されました。日米経済関係においては、ややもすると摩擦に注目が集まりますが、個々の経済問題については、これまで同様、信頼と協力の精神に基づき、日米相互に満足のいく早期解決を図り、もって日米経済関係の円滑な発展に努めてまいる所存でございます。
 また、日米経済関係グループ、賢人グループ報告書については、日米経済関係の長期的発展のために有意義な提言を行っており、政府としても、これら提言を十分検討し、可能なものの実施に取り組んでいく所存であります。このような考え方については、私の訪米の際、米側との間で意見の一致を見ております。
 最後に、サミットについてお答えいたします。
 七五年の第一回ランブイエ会合以来六年間、常に世界経済の情勢には厳しいものがあったにもかかわらず、サミットでは首脳間の直接かつ緊密な話し合いを通じて世界経済の展望に対する信認の回復、ひいてはその安定と発展のために大きな貢献をしております。
 わが国はサミットのかかる意義を一貫して高く評価し、その実質的成功のために積極的役割りを果たしてまいりましたが、オタワ・サミットにおいても、南北問題、自由貿易体制の維持強化を初めとする諸問題に真剣に取り組みたいと考えております。
 また、サミットは、沿革的には経済問題の討議を主体とするものでありましたが、何といっても、世界の主要国首脳が一堂に会し、直接に話し合う場としては現在確立された唯一のものであり、経済にとどまらず、その他の共通の関心事項についても首脳間の自由な意見交換を行うことが、今日の流動的な国際情勢に照らし当然かつきわめて有意義なことと考えております。かかるサミットの意義にかんがみ、わが国としては御指摘のとおり、これを今後も引き続き開催していくべきものであり、また、そうなるものと期待をいたしております。
 以上、お答えいたしましたが、残余の件につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣大村襄治君登壇〕
#38
○国務大臣(大村襄治君) 日本周辺の海・空域の範囲についてお尋ねがございましたので、お答え申し上げます。
 政府は、わが国を防衛するために必要な防衛力の整備を図るに当たりまして、わが国の周辺海・空域における防衛力の整備についても努力しているところでございます。
 ところで、お尋ねの周辺空域とは、本来、航空自衛隊が航空侵攻等に対処するために必要な範囲を一般的に指すものでありまして、サイトレーダーの探知距離、要撃戦闘機の行動半径などによりおのずから制約されるものではありますが、一定の空域を具体的に特定して考えているものではございません。
 また、海上自衛隊においては、わが国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度の周辺海域において、海上交通の安全を確保できることを目的として防衛力の整備を行っているところであり、また、この防衛力の中には海上自衛隊の航空機も当然含まれており、かかる観点から、この周辺海域の上空においても、そこにおいて行動する航空機の整備に当たって考慮されているものであります。したがいまして、海・空域の範囲について特に混乱が生じているものとは考えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#39
○議長(福田一君) 下平正一君。
    〔下平正一君登壇〕
#40
○下平正一君 国民はいま、一連の日米会談について深い憂慮の気持ちを抱いております。
 私は、日本社会党を代表して、鈴木総理の日米会談の報告並びに日米共同声明に関して若干の質問を行いますので、国民の不安と疑惑にこたえるよう総理の明確な答弁を求めます。
 鈴木さん、いまあなたの心に去来するものは、恐らく、あのワシトンの華やかなうたげの後の苦渋ではないでしょうか。
 あなたは、アメリカに出発する前に野党党首と会談し、言うべきことは言うし、できることとできないことははっきり主張すると言って、平和憲法の制限、非核三原則の堅持、財政事情と防衛力整備の限界、原潜当て逃げ事件の追及等を、会談に臨む態度として国民の前に明らかにいたしました。
 しかしながら、遺憾でありまするけれども、これらの約束がどこでどうなったのか、少なくとも日米共同声明やプレスクラブでのあなたの演説を見る限り、全くと言っていいくらい生かされておりません。(拍手)
 総理の報告を聞いても、外電の伝えるところによっても、日米両首脳やその随員がけんけんがくがくやり合ったという話は全くありません。双方が談笑のうちに日米の新たな緊密なきずな、すなわち、危険な同盟関係が結ばれたということになったのであります。
 いまにして思えば、表舞台でのはでな演出が特徴に見えた今回の日米会談に向けての外交折衝も、結果的には、裏に何かという不透明な部分を、これまで以上に残してしまったのであります。(拍手)
 肩透かしと思えるほどの米首脳のソフトな対応と、もっぱら事務レベルで詰められてきた共同声明を貫くレーガン戦略ペースとの落差は余りにも大きいと言わなければなりません。
 しかも、共同声明は、あなたが言うべきことを言ったという第二回首脳会談前に、すでに公表されているではありませんか。(拍手)
 事態は、総理の主観や善意を乗り越えて、日米両国の外務官僚の手によって進められ、あなたの意思を十分反映しないまま日米共同声明となり、プレスクラブのあなたの演説となってあらわれたのであります。
 この共同声明は、日本国憲法から見て、越えてはならない一線を乗り越え、ソ連脅威論のレーガン世界戦略の一翼を担いつつ、これまでの片務的な安保条約から双務的な軍事同盟にみずから積極的にのめり込み、経済大国の日本が軍事大国としての日本へ役割り分担することになったと読み取る方がきわめて常識的ではありませんか。(拍手)
 いま、恐らく夕刊にも出るでしょう表面化している総理と外務当局、総理と米高官の見解の相違は、善幸さんの善意と、共同声明の冷厳な底流とのギャップから生じたものではないでしょうか。(拍手)
 総理、改めてお尋ねしますが、あなたは、共同声明に言う日米の同盟関係は、共同声明全文を通して一切軍事的なものは含んでいないと言い切れますか。
 また、あなたは、日米関係には何ら新しい変化はないと再三言明しておりますが、本当に変化はないのですか。明確にしていただきたいのであります。
 日米安保条約は、今日も依然として非対称の片務的なものと解釈してよいのでしょうか。そうならば、中近東に対処する第七艦隊のスイング戦略を北西太平洋において肩がわりしようとする例の三百海里の周辺海域、一千海里のシーレーンの防衛分担の意思表明を、なぜあなたはプレスクラブで行ったのですか。
 この演説と、共同声明第八項の日米の役割り分担と日本の領域及び周辺の海・空域の防衛力改善とは当然に結びついているのであります。アメリカの軍事上の期待に日本が進んでこたえるという姿勢を表明したものであって、日米安保条約の片務性を崩して、実質的な集団防衛体制に向かおうとする流れだと見ることは、当然のことではないでしょうか。(拍手)
 総理、あなたも御存じのように、レーガン政権の新しい対ソ軍事戦略は、すでに本年の三月六日、アメリカの国防予算報告書の中で明らかになっております。それは、顕著で急速な軍備拡張、中東安全保障の重要性、海軍力の増強、同盟国との分担を効率化するとの四点が強調されております。特に、同盟国家の分担の内容として、同盟国の国防費をふやす、新兵器の共同開発、戦術や共同部隊の編成を含めた訓練を一緒にやるという方針が打ち立てられております。
 このレーガン戦略をめぐって、いま、中近東諸国でも西欧各国でも、アメリカの押しつけに反対して拒否する国が出ております。力の優位を大前提とする新冷戦戦略に批判が出るのはあたりまえであります。
 ところが、わが日本は、鈴木総理の訪米によって、このレーガン戦略を基調とする日米共同声明を全項目について同調、合意したのであります。意見を異にする併記の部分は全くありません。レーガン大統領が、日本を最大の同盟国であるとして持ち上げているのはけだし当然であります。
 私は国民とともに、総理が、東南アジア歴訪の成果と、日本とアジアと第三世界の現状と立場を踏まえて、タカ派と言われるレーガン大統領と堂々と渡り合って、世界の平和と緊張緩和のために一歩も退かないことを実は期待をしておりました。しかし、それは完全に裏切られました。厳しい日米外交交渉に臨むあなたの態度に甘さと緩みがあったのではないでしょうか。官僚やテクノクラート任せではなかったのですか。総理の猛省を促すとともに、仮想敵国を明らかにした同盟関係を公然と結ぶ道は、いつか来た道であります。まさに危険な選択であって、その責任を追及せざるを得ません。(拍手)
 鈴木総理、もしあなたが、内外の圧力をはねのけ、共同声明に言う同盟は軍事を含まず、日米の関係には新しい変化はないと信念を持って主張されるならば、私はこれを信じてもよい。そのかわり、それを今後の日米の具体的折衝の中で断固として貫いてもらいたい。早速、六月十日からのハワイにおける事務レベルの協議及びその仕上げである六月二十九日の大村・ワインバーガー会談で、その見解を貫くことです。あなたは、外務省、防衛庁にこれを指示して実行させますか、その決意をお伺いしたい。(拍手)
 しかし、総理、今度ははっきりくぎを刺しておきますよ。あなたがその信念を貫けないときは一体どうしますか。その政治責任たるや、きわめて重大です。そしてまた、長い目で見た日米の友好信頼関係にも亀裂が生ずることを憂えます。総理の確たる答弁を求めます。(拍手)
 次に、原潜当て逃げ事件、自動車自主規制の問題についてお伺いしたい。
 あなたは、原潜問題について、日本国民を代表して米政府に抗議し、その真相報告と速やかな補償を求め、今後絶対にかかる不祥事は起こさないことを確約させ、同時に、非核三原則の国是を米国に改めて確認させることが何よりも大事であったはずです。全くあいまいな米国の中間報告を了承したばかりか、その努力を多とするに至っては一体どうしたことですか。国民の感情を逆なでするものであると言わざるを得ません。(拍手)
 また、自動車の自主規制についても、今回限りであるぐらいの発言があって当然ではないでしょうか。かりそめにも集積回路など他の分野に及ぶ裏取引などはないと信じておりますが、この点について、念のために明らかにされたい。
 次に、日米共同声明で「防衛力の改善並びに在日米軍の財政的負担をさらに軽減するため、なお一層の努力」をするとあなたは約束してきましたが、この勘定書きは一体どうなるのですか。結局は国民にツケが回ってくるのじゃないでしょうか。
 専門家の試算によれば、総理が演説したあの一千海里のシーレーンと海域の防衛を日本が分担するには、五三中業の装備では間に合わず、少なくともその一・五倍ないし二倍の戦力を必要とすると言われております。鈴木総理、それは一体どのくらいかかるのですか、この点を明確にしていただきたいと思います。
 鈴木総理は、行政改革、財政再建に政治生命をかけるとしばしば決意のほどを述べられておりますが、日米会談後の記者会見では、防衛費だけは税の自然増をもって充てるとして、これを特別扱いにし、聖域化しようとしております。そんなことで、インフレと重税にあえいでいる勤労国民が黙っているとでも思っているのですか、あなたは。
 私は、総理が政治生命をかけて行政改革を行うというのであれば、まずもって最小限、歳出の中にいかなる聖域もつくるべきではないと思います。もし、福祉切り詰めによるお金が防衛費の増額に回るようでは、それこそまさに小さな福祉、大きな軍備と言わざるを得ません。(拍手)
 防衛費増額を約束して、その財源措置をどうするのか。GNP一%は、あなた、どうするのですか。総理は、国民の前に具体的に明らかにする義務があると思います。(拍手)
 あなたは、レーガン戦略をひっ提げてのヘイグ米国務長官の中東訪問外交が完全な失敗に終わり、中東諸国の多くが、脅威はソ連よりもイスラエルだと言っていることを知っていますか。
 また、ヨーロッパ諸国の、いまの中近東に対するNATO諸国の共同部隊編成に対する反対の態度に見られるとおり、レーガンの戦略に一〇〇%オーケーを出すようなところは、英国のサッチャーくらいなものであります。
 また、フランスのミッテラン新大統領は、軍事ブロックの解消を目指して軍縮を進めることを公約して、新たに大統領に当選しましたが、このことを知っておりますか。
 私は、あなたに何も皮肉を言っているわけではありません。かつてのパックス・アメリカーナへの郷愁であるレーガンの力の戦略が世界の大勢を占めたり、西側全体の合意に簡単になるような時代ではないのです、いまは。
 総理は、軍事のための戦略ではなくて、平和のための戦略について、平和憲法を護持し、唯一の被爆国である日本の立場に立って、平和と進歩と繁栄のための西欧諸国歴訪の旅をしてもらいたいと私は思います。(拍手)そして、アジアの中の日本は、西側の一員ではなくて、世界の一員としての立場から、すべての国々との相互依存、友好関係を増進し、少なくとも、いままで政府がとってきた全方位外交の原則にまでは立ち返るべきであります。(拍手)
 かつてのダレス外交と軌を一にするソ連脅威論に立つ封じ込め政策は、第二次大戦後三十有余年の歴史が示すように、結局は果てしない軍備拡張競争の悪循環と恐怖の均衡を繰り返すだけであります。やがては、人類の破局を招かずにはおかないと思います。
 総理、これからの世界は単一体制支配を進めるのではなくて、多元体制の中で平和を築く平和共存こそ、人類が求める道理にかなった道であります。
 非武装、非同盟、中立の旗を高く掲げ、アジア・太平洋地域に非核地帯を設置し、軍備管理と軍縮、軍事ブロックの解消、平和の創造を訴え続けるわが日本社会党の立場を、ここに再び明らかにして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#41
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 日米首脳会談において、私はレーガン大統領に対し、わが国の防衛力の整備を進めていくに当たっては、世論の動向、財政状況、他の政策との調整等を考慮しつつ、憲法の枠内で自主的に整備していく旨詳細に述べました。
 また、共同声明第八項においても「日本は、自主的にかつその憲法及び基本的な防衛政策に従って」防衛力の整備を進めていく旨述べております。わが国が堅持する非核三原則は、当然共同声明に言う基本的防衛政策に含まれております。
 共同声明の日米両国間の同盟関係の意味とは、民主主義及び自由という、両国が共有する価値の上に築かれた総合的な日米関係をとらえて表現したものであります。このような総合的な関係の中には、政治、経済、文化等の関係とともに、日米安全保障条約に基づく日米安保関係があることは既定のことでありますが、他方、日米関係を同盟関係と表現したからといって、それが現在の日米関係の枠組みを変えるような新たな軍事的意味を持つものではないことを、この際明確に申し述べておきます。(拍手)
 次に、御指摘にあったナショナル・プレスクラブにおける外国人記者の質問に答えた私の発言は、周辺海域におけるわが国の自衛力の整備目標を述べたまでであって、これまでもしばしば国会の場を通じて国民の前に明らかにしてきたところであり、何ら新しいことを述べたものではありません。
 わが国が、自衛権の行使に必要な防衛力について、その整備に努力してきていることは御承知のとおりでありますが、このことは、何もわが国が集団的自衛権の行使を前提とするような軍事的な役割りを分担するといったことを意味するものでは全くありません。政府としては、わが国が集団的自衛権を行使するような方向で、日米関係の枠組みを変えるといったようなことは全く考えておりません。
 以上、申し述べた考え方は政府部内の一致した考えであり、今後行われる安全保障問題に係る日米間の各種協議が同様の認識のもとで行われることにつき、何の疑いも有しておりません。
 次に、米原潜の衝突事故は、日米双方にとって予想しなかったことで残念でありますが、米側が、レーガン大統領の親書において約束されたとおり中間報告を出したこと、また、事故の責任はすべて米海軍にあることを確認し、補償の問題についても努力していることを私は十分理解しております。今後、米側より、日本国民の納得できるような最終報告が出されることを期待しているところであります。
 今回の訪米の際、半導体については、先方経済閣僚との会談の際、米側より、関税の日米相互引き下げにつき配慮を得たいとの言及がありました。これに対し、私からは、半導体関税の相互前倒し引き下げについては原則的に賛成である旨答えてありますが、半導体の問題を含め、米側との間で何ら裏取引といったものはありません。
 次に、わが国周辺海域の防衛に必要な戦力についてお尋ねがありました。
 私が訪米の際、ナショナル・プレスクラブにおいて述べましたように、わが国は、周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度の海域において、わが国船舶の海上交通の保護ができるように、憲法が許容する自衛権の範囲内で防衛力を整備しているところでありますが、このために要する防衛力の具体的規模、内容については、いま申し上げられる段階ではございません。
 先般の日米首脳会談において、防衛費増を約束したようなことはありません。私は、米側に対して、わが国の防衛政策について、みずからの国はみずから守るという立場で防衛力の整備を図るとともに、日米安保体制の効果的かつ円滑な運用を実施していきたいと考えますが、これに当たっては財政事情などを十分勘案し、総合的に判断する必要がある旨述べた次第であります。
 最近の中東情勢においては、アラブ・イスラエル紛争、ソ連のアフガニスタン侵攻等が不安定要因となっております。特にアラブ・イスラエル紛争は、中東地域にとどまらず、世界の平和と安定にも深くかかわっている問題であり、その解決は中東及び世界の平和と安定の確立のために不可欠であると考えます。
 他方、ヨーロッパ諸国は、おのおのの国の置かれている地理的環境に対応した戦略上の関心を有していますが、基本的には、これら諸国と米国との連携は、NATOにおいてきわめて順調に行われていると承知しております。
 なお、ミッテラン次期フランス大統領下で、軍縮問題を含め、具体的にどのような政策が進められるかについては、新政権の成立を待って今後の見きわめを行いたいと考えております。
 いわゆる全方位外交とは、各国との相互理解を深め、友好協力関係の増進を図っていくことを通じ、わが国の平和と繁栄を図っていくとの基本的考え方を述べたものと理解しており、この意味では、わが国外交方針に何ら変わりはありません。
 しかし、そのことは、具体的な外交政策の推進に当たって、いずれの国とも無原則に仲よくしていくとの八方美人的な外交を意味するものでもありません。すなわち、わが国外交の基盤が、自由と民主主義の理念をともにする米国、西欧諸国を初めとする西側自由主義諸国との連帯と協調にあることは申すまでもなく、わが国としては、かかる基盤の上に立って、世界の平和と安定のためにわが国にふさわしい役割りを積極的に果たしていく考えであります。(拍手)
#42
○議長(福田一君) 石田幸四郎君。
    ―――――――――――――
    〔石田幸四郎君登壇〕
#43
○石田幸四郎君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、鈴木総理の訪米、訪加に関する報告に対し、鈴木総理並びに関係大臣に若干の質問を行うものであります。
 今回の日米首脳会談は、日米新政権にとって初めてのものであり、国際情勢、日米二国間問題、貿易、経済などの諸懸案に対し、どのような話し合いが行われるのか、その結果がきわめて注目されてきたところであります。
 率直に言って、日米両首脳がこれらの諸問題について意見を交換をしたことはそれなりに意義のあるものであり、日米友好関係が大筋で確認されましたことは評価されるところであります。
 しかしながら、日米両国間が民主主義及び自由を共有し、経済、文化の交流に対し緊密な連携を保たなければならない立場を確認しつつも、今回の日米首脳間に交わされた共同声明並びに現地記者会見や帰国後の発言において、国民の十分な納得を得られるものとなっておりません。
 わが国が西側諸国の一員として果たすべき国際的責任が一段と重要になっていることは、私も十分認識いたしておりますが、むしろこのような立場であるゆえに、日米協調の重要性を前提としながらも、共同声明が力による対応のみが強調されており、国際緊張の緩和と平和のために、いかなるアプローチ、いかなる努力をすべきかという視点、すなわち、平和のための戦略が積極的に打ち出されていないことを指摘せざるを得ないのでありますが、総理は、この点についてどうお考えになっているか、まず基本的な問題としてお伺いをしたいのであります。
 次に、具体的な問題として、まず最初に同盟関係の点についてお伺いをいたします。
 共同声明は、第一項で日米関係を同盟と明記しているのでありますが、これはこれまでになかったことであります。初めて同盟関係を共同声明に織り込んだ理由はどういうものか、その意味するものは何か、どういう背景によって織り込むことになったのか、総理の明快な説明を求めたいのであります。
 総理は、軍事的な意味合いを持つものではないことを再三述べているのでありますが、果たしてそんなことを米政府、レーガン大統領も同意しているとはなかなか考えがたいのであります。
 この点について、すでに伊東外務大臣は、軍事的側面も含まれることを明らかにしているのでありますが、これは総理と全く異なる見解であります。こんなに重要かつ基本的な問題について、総理と外相の解釈が異なるようなことがあってよいのかという、きわめて重要な問題として指摘をせざるを得ません。私は、改めて政府に対し、共同声明第一項で言う同盟関係の統一した見解をここに明らかにしていただきたいと思うのであります。
 ただいま各議員の質疑に対し、この同盟関係についての見解を示されたのでございますけれども、これによって、いま国内に起こっている疑念はまだ晴らされていないと思わざるを得ません。防衛力の改善、在日米軍の財政的負担の軽減、あるいはまた適切な役割りの分担などが強調されている点にかんがみて、また同盟という言葉自体、本来攻守同盟的な連想を容易にしてきたことを考え合わせますと、従来と何ら変わらないとの見解はなかなか納得できるものではございません。国民の危惧の念を晴らすために、いま一度御答弁をいただきたいと存じます。(拍手)
 また、私は、同盟関係を織り込んだことによって、シーレーンの確保など新しい防衛分担を伴う結果になり、それがわが国の専守防衛の枠を逸脱したものになるのではないかと思うのでありますが、この点についても明らかにしていただきたいのであります。
 第二には、共同声明の第八項の内容についてお伺いをいたします。
 ここにおいては、対ソ認識の一致、日米関係は同盟関係であることを前提として、わが国の防衛力のあり方が示されており、その具体化が、六月の防衛庁長官の訪米によるワインバーガー国防長官との会談や防衛関係の事務レベル会議にゆだねられております。
 そこで私は、第一に、共同声明に述べられている「極東の平和と安定確保に当たり、わが国の果たす適切な役割の分担」とはどういうことなのか、具体的に説明していただきたい。
 第二に、ここで言う日本の周辺海域、空域とはどの範囲なのか。米側は、かねてよりグアム以西フィリピン以北の北西太平洋の防衛肩がわりを日本に要請していると言われてきたのでありますが、これと同じものであるかどうか。異なるとするならば、どのように異なるのか。
 また第三に、この海域、空域は、本土周辺数百海里、海上交通路一千海里と同じ範囲を意味するものなのか、それぞれ明らかにされたいのであります。
 また総理は、プレスクラブの演説等において、「インド洋、ペルシャ湾へ展開する米第七艦隊の肩がわりとして、日本の庭先であるこの海域を日本が守るのは当然である」と述べられておるのであります。総理の言う日本の庭先の海域はどこを指しているのか。特に米軍を肩がわりして、何を何から守るのか、明らかにしていただきたいのであります。
 アメリカの艦船をも守るのか、もしアメリカのそれまでもというのであれば、当然に集団的自衛権の行使にならざるを得ないと思うのでございますが、この点に対する総理の見解はいかがでございますか。アメリカの艦船ははっきりと防衛の対象となり得ないと言えるのかどうか、明らかにしていただきたいと存じます。
 もし総理の言う周辺数百海里、シーレーン一千海里を日本だけで守るとすれば、どれだけの自衛能力を必要とするのか、これまた大きな問題であります。また、憲法上そんなことが許されるのかどうかについても説明を承りたいと思うのであります。また、一千海里のシーレーンを守ると総理は言うのであれば、何を、どういう手段で、どういう脅威から守るのか、明快に御説明を願いたいのであります。
 監視能力だけでもP3C百機分は必要であると言われております。また、「防衛大綱」の水準達成だけでは足りない、すなわち「防衛大綱」の見直しも必要にならざるを得ないという心配も出てくるわけでございますけれども、どのように考えておられるのか。また、差し迫っております六月の訪米でのわが国の方針は何か、防衛庁長官の所信を承っておきたいと思うのであります。
 次に、防衛力増強の約束は、当然の帰結として財政的な負担を伴うものであります。苦しい財政事情の中で防衛費だけを別枠とすることは、国民の強い反発を招くものであると思うのでありますが、防衛費の増加を約束したとも言える今回の共同声明を、大蔵大臣はどのように受けとめておられるのか、お伺いをいたします。特に、六月の防衛庁長官の訪米と相前後して予算のシーリングが行われると言われているのでありますが、防衛費はゼロベースなのか、あるいは別なのか、明確にお示しをいただきたいのであります。
 わが党は、さきの党首会談におきまして、今回の日米首脳会談に対する幾つかの要望事項を総理に申し上げたのでありますが、共同声明は、わが党の要望が十分に反映されたものとは思われず、きわめて遺憾であります。
 総理は、憲法及び基本的な防衛政策に従うことを共同声明に述べられているのでありますが、なぜ明確に非核三原則、専守防衛、軍事大国にならないことを共同声明に明示しなかったのか。また、GNP一%以内は、この基本原則に含まれるのかどうかも伺っておきたいと存じます。
 さらに、わが国の平和憲法は、わが国外交政策の基本であり、結果的に、米国の防衛力増強の要請にも一つの歯どめとなっていると考えられます。みずからの国をみずからが守るいわゆる専守防衛は、わが国の国際的地位からいってももはや逃避することが許されないと考えますが、それとても当然わが国の平和憲法の枠内であるべきだと考えます。したがって、今後のわが国の防衛に関しても憲法を遵守すべきと思うのでありますが、総理の決意を改めて承りたいのであります。
 また、共同声明にうたわれている「在日米軍の財政的負担をさらに軽減するために、日本側は一層努力する」ことを約束されてきたのでありますが、私は、もはや地位協定をこれ以上拡大解釈することは無理があると思うのでありますが、政府の対応の方針を明らかにしていただきたいと存じます。
 第三に、中東問題について伺います。
 米国の立場を全面的に支持し、協力することを約束しているのでありますが、米国の中東政策が必ずしもアラブ諸国に支持されていないことをどう判断をしているのか。また、この共同声明第四項は、日本の安全がペルシャ湾、中東地域と一体のものを意味するのではないのか。さらには、今後の米国の中東政策、戦略を無条件に支持し、協力し、役割りの分担まで負わされるのではないかという疑問が持たれますが、これらの点についてどうお考えになるのか、明らかにしていただきたいと存じます。
 第四に、経済摩擦についてであります。
 懸案となっていた日米経済摩擦は、首脳会談の直前に、日本の自動車輸出の自主規制ということで一応の決着を見たのであります。共同声明の「自由で開放的な貿易原則」を守るとの文面と自主規制は、どう見ても矛盾するものと考えなければなりません。米側に、今後のことも含めて単なる感謝だけではなく、保護主義への動きに十分な歯どめをすべきではなかったのか。また、カナダ、EC諸国の日本に対する要求をどう予則し、どう対応していこうとするのか、明確にしていただきたいと存じます。
 最後に、原潜問題について伺います。
 去る五日に日本側に示された米側の中間報告は、真相究明というには余りにもほど遠いものがあります。日昇丸乗組員の証言とも食い違いがあり、しかも、昨日発表された海上保安庁の調査結果と照合してみても、矛盾が多く示されているのであります。私といたしましても米側の中間報告ははなはだ遺憾に思っておるところでございますが、総理といたしまして、中間報告をお読みになりいかなる感想を抱かれたのか、伺いたいのであります。
 政府は、今後、真相究明、再発防止、補償問題など、国民の納得を得るためにどのような決意をお持ちか、その決意のほどを明らかにしていただきたいと存じます。
 私は、いま幾つかの質問を申し上げましたが、これらの疑点に対し、総理並びに関係各大臣の率直な、また明快な答弁を期待をいたしまして、代表質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#44
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 今回の首脳会談において、私より、わが国が防衛力を整備するに当たっては、もとより憲法の枠内で、専守防衛等わが国の基本的な防衛政策にのっとり自主的に行う旨を詳細に述べました。この点については米側も十分承知しており、共同声明においても、かかるわが国の政策について大統領が明確に理解を示しているところであります。
 日米関係を同盟関係と表現することは、一昨年及び昨年五月の大平総理の二度の訪米の際にも行われたところであり この表現自体は新しいものではありません。
 共同声明の日米両国間の同盟関係の意味とは、民主主義及び自由という、両国が共有する価値の上に築かれた総合的な日米間の関係をとらえて表現したもので、日米関係を同盟関係と表現したからといって、それが現在の安保関係を含む日米関係の枠組みを変えるような新たな軍事的意味を持つものではありません。
 このような理解については、日本政府部内でも考え方は一致していますし、米側との間に不一致があるとは考えておりません。
 共同声明で述べている役割り分担の考え方は、従来に比し新しいことを述べたものでもございません。わが国が、集団的自衛権を行使し得ないことは憲法上明らかであり、極東の平和と安定のための日本の役割りは、日米安保条約の円滑な運用のほか、政治、経済、社会、文化の各分野における積極的平和外交の展開に重点が置かれておるところでございます。
 庭先とは、私がナショナル・プレスクラブにおいて外国人記者の質問に答え、周辺海域における防衛力の整備目標を述べた際に、右海域が日本に近いところのものであることを比喩的に述べたものであります。
 なお、わが国の周辺海域とは一般的な表現であり、その具体的範囲を云々し得るようなものではありません。政府は、わが国の船舶の海上交通保護について、従来から、わが国周辺数百海里、航路帯を設定する場合はおおむね千海里程度の海域において行うことができることを目標に、海上防衛力の整備を行っていることは、国会でもしばしば申し上げているところであり、御承知のとおりであります。
 政府は、防衛力の整備の実施に当たっては、当面、各年度の防衛関係費が当該年度のGNP一%を超えないことをめどとしてこれを行うという、昭和五十一年十一月の国防会議及び閣議における決定を堅持しており、現在のところ、これを変える考えはございません。
 私は、さきの施政方針演説において「わが国の防衛は、平和憲法のもと、専守防衛に徹し、近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国とならず、さらに、非核三原則を国是とすることをその基本方針」としている旨を述べた次第でありますが、これらの諸点は、私としては、いずれもわが国の基本的な防衛政策と考えており、この点は、首脳会談において私から、時間をかけて詳細かつ明確に申し述べたところであり、そのような内容を含むものとして「基本的な防衛政策」という言葉を共同声明の中に含めたものでございます。
 GNP一%の点については、もとよりこれは閣議決定でありますが、これはすでに述べた基本方針のもとで防衛力の整備を進めていく過程での当面の目途を示したものである点において、右の基本方針とは性格の異なるものでございます。
 米国政府は、米国自動車産業が直面している困難に対処するため、自動車産業再建策を策定し、また米国の産業界や労働界においても真剣な自助努力を行おうとしております。また米国政府は、自由貿易に深くコミットし、保護主義には反対するとの立場を堅持しております。
 わが国としては、米国において米側のこのような自動車産業再建の努力が行われることを前提として、自由貿易体制の維持、日米経済関係の一層の発展という大局的見地に立って、臨時異例の措置として、先般の対米乗用車輸出に係る措置を講じたものであります。したがって、この措置によって、ガット体制に具現される自由かつ開放的な貿易原則の維持強化というわが国の従来よりの方針には、何らの変更もないところであります。
 また、カナダ、EC諸国との貿易問題については、それぞれの国により異なる事情を十分踏まえて、自由貿易の原則の維持を基本として、慎重に対処していく所存でございます。
 米原潜の衝突事故は、日米双方にとって予想しなかったまことに残念な出来事でありますが、米側が、レーガン大統領の親書において約束されたとおり中間報告を出したこと、また、事故の責任はすべて米側にあることを認め、補償の問題についても努力していることを私は十分理解しております。今後、米側より、日本国民の納得できるような最終報告が出されることを期待しているところであります。
 残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#45
○国務大臣(渡辺美智雄君) 逼迫した財政事情のもとで共同声明をどう受けとめておるか。
 これは、総理からいまもお話がございましたように、従来からのわが国の立場を確認したものでありまして、これによってわが国が新たな特別な負担を負うということは考えておりません。
 また、いずれにいたしましても、今後の防衛関係費の規模等につきましては、これは日本が自主的に決定すべき問題でございます。五十七年度の予算編成に当たりましては、防衛費だからといって特別な扱いをすることなく、「防衛計画の大綱」に従って、経済事情、財政事情、こういうものも勘案をいたしまして、他の諸政策との調和を図りながら、防衛力の着実な整備を図っていく考えでございます。
 なお、シーリングにつきまして、とりあえずシーリングの問題で別枠にするのかというお話でございますが、防衛費のシーリング枠の取り扱いはまだ未定でございます。ともかく、他の経費と同様に、まずは厳しい枠で臨む方針でございます。
    〔国務大臣大村襄治君登壇〕
#46
○国務大臣(大村襄治君) 共同声明第八項について幾つかのお尋ねがございましたので、お答えいたします。
 まず、周辺海・空域についてお尋ねがございましたが、政府は、わが国を防衛するために必要な防衛力の整備を図るに当たりまして、わが国の領域及び周辺海・空域における防衛力の整備について努力しているところでございます。
 お尋ねの周辺空域とは、本来、航空自衛隊が航空侵攻等に対処するために必要な範囲を一般的に指すものであります。すなわち、サイトレーダーの探知距離、要撃戦闘機の行動半径などによりおのずから制約されるものではありますが、一定の空域を具体的に特定して考えておるわけではございません。
 また、海上自衛隊においては、わが国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度の周辺海域において、海上交通の安全を確保できることを目的として防衛力の整備を行っているところであります。
 また、この防衛力の中には海上自衛隊の航空機も当然含まれており、かかる観点から、この周辺空域の上空においても、そこにおいて行動する航空機の整備に当たって考慮されているものであります。
 なお、現在、グアム以西フィリピン以北の海域の防衛力について米側から具体的に分担を求められているわけではないので、具体的な地理的範囲ということではなく、政府としては、従来どおり、わが国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度の海域を整備目標として整備を進める考えでございます。
 次に、目標についてお尋ねがございましたが、海上交通保護につきましては、わが国周辺数百海里、航路帯を設定する場合にはおおむね千海里程度の海域において行い得ることを目標として海上自衛力の整備を進めているところであります。
 このような考え方のもとに、わが国の海上保護を行う能力の改善を図るため、今後とも「防衛計画の大綱」に基づき、より一層の防衛努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、シーレーンの関係についてお尋ねがございましたが、海上自衛隊は、有事において、わが国の安全及び国民生活を維持する上で必要な物資等の船舶による海上輸送を確保するため、わが国周辺海域における潜水艦、水上艦艇及び航空機による海上交通破壊に対処することとし、艦艇及び航空機による対潜戦、船舶の保護等の作戦を行うこととしているものでございます。
 次に、海上交通保護と「防衛大綱」の水準との関係についてお尋ねがございましたが、わが国の海上交通保護につきましては、従来から、わが国周辺数百海里、航路帯を設定する場合にはおおむね千海里程度の海域において行うことができることを目標として、海上防衛力の整備を進めてきているところでございます。「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準が達成されれば、そのときの状況によっても異なりますが、このような海上交通保護を行う能力は相当改善されるものと考えております。
 いずれにせよ、政府は、現在「防衛計画の大綱」に従って防衛力の整備に努めているところでありますが、まだ「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準に到達しておらず、したがって、その水準の可及的速やかな達成を図ることが必要であると考えております。いま直ちに「防衛計画の大綱」を改正することは考えておりません。
 最後に、訪米の際の基本方針を示せというお言葉でございました。
 私といたしましては、日米両国の防衛責任者が日米安保条約の円滑な運用に関し、十分意思疎通を図っておくことは重要なことであると考えております。そのため、私の六月末の訪米に際しましては、総理訪米の結果を踏まえまして、国際情勢を含め防衛問題について、わが国の憲法及び基本的な防衛政策にのっとり、米側と率直に話し合いを行い、相互理解を深めたいと考えている次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣伊東正義君登壇〕
#47
○国務大臣(伊東正義君) お答えを申し上げます。
 同盟関係、役割り分担等につきましては、総理より詳細御答弁がありましたので、私は、それ以外の問題について申し上げます。
 一つは、地位協定による在日米軍の駐留費の問題でございますが、政府としましては、今後とも地位協定の枠内において、日米安保体制の根幹をなします在日米軍の駐留が円滑にかつ効果的に行われるように、同協定の適切な解釈、運用を図ってまいるつもりでございます。
 次に、中東の問題でございますが、共同声明に書きましたが、ごらんのとおりでございまして、中東地域の安定の回復と自由世界共通の利益の確保に米国が努力をしているということは、これは確認をしたわけでございます。
 しかし、中東問題全般の政策につきましては、たとえばパレスチナ人の民族自決権の問題等、いろいろまだ意見の違っている問題もあることはそのとおりでございます。
 また、アラブ諸国の国々が米国の中東政策に必ずしも全面的に賛成はしてない、支持してないということも、私はよく承知しているわけでございまして、日本としましては、経済協力でございますとか、外交努力でございますとか、こういうことによって、わが国の力、国情、能力に応じて、この地域の平和と安定のために、包括的な中東和平が達成できるように今後とも努力してまいる所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#48
○議長(福田一君) 和田耕作君。
    〔和田耕作君登壇〕
#49
○和田耕作君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、今回の日米首脳会談に対しての御質問をいたしたいと思います。
    〔議長退席、副議長着席〕
 まず最初に、民社党は、今度の日米首脳会談として流されたいろいろのニュースあるいはまた共同声明に盛られた方向、大体においていい方向だという感じを持って見ておりました。
 本当に残念なことでありますけれども、総理も、不用意な言葉だと思っておりますけれども、軍事的な意味が全くないという発言を内外の記者団の前で繰り返し繰り返し主張した。あのことによりまして、世界の新しい緊張下の状態における日米の首脳会談の成果をかなり大きく傷つけたのではないか、そういうふうに残念に思えてならないのであります。
 総理、あの発言は、その後直されてはおりますけれども、不用意な発言だったのでしょうか、あるいはいまでも本当はそう考えておるのでしょうか、その問題をひとつお答えをいただきたいと思います。
 それを最初の言葉にいたしまして、民社党の御質問をいたしたいと思います。
 戦後三十六年間、日本はアメリカとの協力を基軸にして平和と繁栄を享受して、そしていまや世界の第二位の経済力を持つ、影響力を持った国家に成長したのであります。日本の国際的な地位は大きく変わっております。いままでの世界の平和と安定の受益国のような立場から、今後は積極的に世界の平和と安定に責任を持つような立場に変わっていく、一方のリーダーのような立場にあることは御案内のとおりであります。
 したがって、この段階では、お互いに日本の防衛という問題を、いままでにも増して真剣に考えることが必要であるし、また、世界の安定のための政治、経済の貢献についても考えていかなければならないと思います。この問題を、私どもは駆け引きなしに国民に率直に話をして、その協力を求めていかなければならないと考えております。(拍手)
 世界はいま、アフガニスタンという悲劇的な問題に象徴されるソ連の憂慮すべき行動を中心にして、大きな緊張状態が出てきております。アメリカは、もう、かつての大きな指導力を持った、影響力を持ったアメリカの状態ではありません。またソ連は、強大な軍事力を持って自由と民主主義諸国に挑戦をしておるという状態であることは御案内のとおりでありまして、こういう時期に、新しく発足した日本とアメリカの首脳が会って忌憚なく話をしたということは大変いいことであるし、意義のあることだと民社党は考えております。
 しかし、取り交わされたいろいろの内容については、幾つかの重大な問題を持っておると思います。
 先ほど来、公明党の質問者も言っておりましたけれども、まず日米関係、同盟関係という名であらわされた第一項の問題であります。
 あの声明の中には「日米両国間の同盟関係は、民主主義及び自由という両国が共有する価値の上に築かれていることを認め、両国間の連帯、」ここのところですね、「連帯、友好及び相互信頼を再確認した。」とありますけれども、この連帯という文字が示す日米の同盟関係とは、具体的に何を意味するのか、いままでとどう違うのか。
 日本は、これまで軍事的な従属関係にありました。また現在もあります。しかし経済的には、アメリカに対してかなり優位な立場をとっておりますので、何だか今度のトップ会談は対等であるような、そういうムードが漂っておりました。総理、この同盟関係ということの中に、日米はいままでの従属から離れて対等であるという感覚をあなた自身が持っておられたかどうか、ひとつ、そこらあたりを率直にお聞かせいただきたいと思います。
 また、防衛分担の項でありますけれども、あの数百海里、一千海里という空の防衛の地帯あるいは航路防衛の地帯等についての発言で見ましても、いままでアメリカが日本を守っておってくだすった。しかし、今度の中東緊張で第七艦隊は向こうへ行ってしまって、日本の防衛はお留守になっておる。したがって、日本が当然守らなければならないところを守るというあたりまえのことを言っておると私どもは考えておりますけれども、ここのところで、総理は、今度の声明には軍事的な意味はないんだというようなことをおっしゃる。
 もうこの点については、御案内のように日本の与党、野党を問わず、あるいはまた、アメリカあるいは日本の外務省でも、ちょっとおかしいと言う、そういうような発言をなさっておるわけでありまして、宮澤長官が政府統一見解というものをおととい出したようであります。
 安保条約という問題をちょっと忘れておったのだ、安保条約には当然軍事的な意味はあるけれども、それ以上のものはなかったのだという趣旨の統一見解を出しておるようでありますけれども、こういう問題は、なぜ、総理があの説明をなさるときに、いままで日本としてどうしてもやらなければならぬことをアメリカにやっておってもらったんだ。いまアメリカができないから、防衛力を増強して守っていこうという気持ちを出したのだ。しかし、これは憲法上ぎりぎりの問題があるから注意するのだというふうに言わなかったかということであります。(拍手)もし、こういうふうにおっしゃっておれば、私は、今度のトップ会談は大変な成功をおさめたし、日米の新時代というものも素直に出てきたんじゃないかという感じがしてならないのであります。
 こういう防衛の問題については、いままでもそうです。自民党の政府は、何だかアメリカ向けの言葉と国民向けの言葉を違えたような、何かごまかしがあるような、隠しているような、そういうことは皆さん、もうそろそろ日米の新しい時代においてはやめていこうではないですか。そのことが必要ではないのでしょうか。(拍手)そういうふうに考えられてならないのでありますけれども、そういう問題について、総理の率直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、日米の防衛についての役割り分担の問題であります。
 この問題についても先ほどと同じような問題があります。これこそ防衛の項目について行われた役割り分担でありますから、防衛の軍事的な取り決めそのものであります。こういうものまで否定するような発言でありますので、本当におかしなことになるわけです。こういうふうな問題について、ぜひともひとつ総理自身がお考えを改められて、とにかく新しい、まともな状態をつくっていくことに努力をしてほしいと思っております。
 この問題につきまして、この六月には日米の防衛の責任者がお会いになって、いろいろと方針を決めるようでありますけれども、この基本方針というものがどんなものか、この点は、ひとつぜひともお聞かせいただきたいと思っております。
 そしてまた、数百海里、一千海里という日本の防衛の海・空域の問題については、あれをあのままやれば、私は、たくさんの航空機が必要であり、艦船が必要になり、予算も相当多くかかってくるという感じがするのですけれども、果たして「防衛大綱」でもってやっていけるのか。また、実現をする時期はいつなのか。そういう問題を考えた上でのああいう発言になっておられるのかどうか、その問題についても、総理と防衛庁長官の説明をいただきたいと思います。
 また、これは一番大事なことですけれども、今後の日本の防衛の問題にとって一番大事なことは、いま正面装備と言われる飛行機や艦船をどんどんふやしていく、つまりアメリカからどんどん買っていくというようなことではないと私どもは考えておるのであります。もっと大事なことは、現在二兆四千億という税金を使った予算の防衛庁が、自衛隊を役に立つようなものにするための努力、これを最優先しなければならないのではないかと思います。(拍手)
 弾薬とか輸送、あるいはまた、あの有事立法の問題もそうです。ああいう問題をやれば、すぐ戦前の軍国主義に戻るなどとばかなことを言う人もおりますけれども、そういうものでもないのでありまして、こういう問題については一生懸命に努力をしなければならないと思います。
 また、独立国家としての精神状態を持たなければ、防衛などというものはできるものではありませんので、その点では、教科書の問題を含めた教育の問題等についても、真剣に取り組んでいくことが必要だと考えております。(拍手)
 正面装備の急速に予算を伴うものの拡大は後回しにしても、こういう問題と真剣に取り組むことが必要だと思うけれども、総理あるいは防衛庁長官の御所見をお伺いしたいと思っております。(拍手)
 続きまして、平和戦略の問題であります。
 厳しい国際情勢のもとで、いま申し上げたとおり、日本は自分の国の防衛に一生懸命努力をする、また、アメリカを中心とする自由世界と日本の協力関係を強化していかねばならぬ、これは当然のことだと民社党は考えております。しかし同時に、世界の緊張の緩和についても、これは言うだけではなく積極的な姿勢をとらなければならないと思っております。
 共同声明では、今回ソビエトの一連の動きに対する真剣な憂慮を表明されておりますけれども、この憂慮の表明の仕方を拝見しておりますと、日本の政府、総理もおっしゃっているように、ソビエトの脅威というのは潜在的なものから顕在的なものに変わろうとしているのじゃないか、潜在的な脅威というよりは顕在的な脅威と受け取った方が現状に合っているのじゃないかという感じさえするわけでありますけれども、そうであればあるほど平和的な戦略が必要になってくるわけであります。
 総理、SALTの問題でも、あるいは東西のデタントの問題でも、これは友国のドイツなんかもそれを真剣に考えているようでありますけれども、うんと真剣に考えてみる必要があると私どもは考えております。こういうわけで、ソビエトに対する認識という点について、総理はアメリカのレーガンさんとの話し合いの中で見解が全く一致したのか、あるいは違った点があったのか、その点についてお触れをいただきたいと思います。
 また、ソ連との問題について、やはり日本として避けて通れないのは北方領土の問題であります。この問題は、私は、今度のトップ会談で公式あるいは非公式に当然話し合われたと思うのですけれども、話し合われたかどうか。あるいは、今後、サンフランシスコ条約について大きな役割りを果たしたアメリカの協力を得ることが大事だと思いますけれども、いかがにお考えになっておられるのか、お返事をいただきたいと思います。(拍手)
 また今後、総理は、日程としてヨーロッパ諸国の首脳ともお目にかかり、あるいは世界のサミットにも出るわけでありますけれども、ここらあたりで日本は平和戦略という問題を真剣に考えてみる必要がありはしないかと思います。
 世界の自由諸国の連帯そして協力について、今度の共同声明にもはっきりと出ております。これを考えてみますのに、アメリカとヨーロッパ先進諸国の間は、歴史的にしっかりした話し合いがあります。ときにいろいろと争いもあるようですけれども、精神的にはしっかりした連帯関係がつくられておる。今回日本とアメリカの間にしゃんとした同盟関係ができ上がったということになると、ここらで日本の政府としては、ヨーロッパ諸国との十分な話し合いが必要ではないかと思います。そういう問題について、総理、外務大臣、格別の御配慮をなさっていただくようにお願いを申し上げたいと思いますし、その御決意を承りたいと思います。
 また、アジアの問題について、たとえばインドネシアの問題を見ましても、あるいは中東の問題を見ましても、インドという存在は重要であります。しかし、現在インドということについてはアメリカも中国も全く手詰まり状態で、積極的な働きかけができてないのであります。そういう状態のもとでソビエトとインドの友好ということが、いろいろと国際の平和について、自由諸国の安定について、一つの脅威の要素になっておると思います。この問題、日本は経済的な援助等の有力な武器もありますから、インドの問題についてもぜひとも積極的にお考えをいただきたいと思います。
 以上述べております。おりますけれども、従来の立場と現在の日本の立場は違っております。もっと積極的に世界の平和戦略について真剣に考え、行動するということが、日本に課せられた大きな使命の一つではないかと思います。こういう問題について、最後に総理からの御決意を承りたいと思います。
 はなはだ意を尽くさぬ、また、いろいろ刺激的な言葉を使ったかもわかりませんけれども、御了承を賜りたいと思っております。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#50
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 和田さんにお答えいたします。
 まず、共同声明の中の同盟関係という文言についてでありますが、日米関係は、民主主義、自由という、自由世界の共有する基本的理念に立脚しまして、今日の多難な国際社会において両国が互いに協力して世界の平和のために貢献していく責任を有しております。
 今回の共同声明では、かかる責任を有する両国の特別に緊密な総合的関係を同盟関係と表現した次第であります。また同時に、それは現在の日米関係の枠組みを変えるような新たな軍事的意味を持つものでありません。この点については、私の考え方は一貫いたしております。
 いずれにせよ、わが国としては自主的に、かつ憲法及び基本的な防衛政策に従って防衛力の整備の努力を行う所存でありますが、この努力は、国民の理解を得つつ進めらるべきものと考えております。
 次に、六月に防衛庁長官が訪米をする件についてでありますが、私は、訪米中、レーガン大統領を初め各首脳に対し、憲法、財政事情、国民意識など、わが国が置かれている国情を含めて、わが国の防衛力整備の基本的な考え方を率直かつ詳細に伝え、その理解を得たのであります。防衛庁長官以下、六月の日米間の防衛協議に臨む者は、私の発言内容及び米側とのやりとりを十分理解した上で、私の意図を体して協議に臨んでもらうよう指示いたしております。
 なお、デタントの推進について首脳会談で話し合ったかとのお尋ねでありますが、私より、現下の国際情勢において、平和で安定した国際環境創出のための努力が必要なる旨を訴え、これに対しレーガン大統領は、ソ連の軍備拡張及び第三世界における行動に対しては確固たる決意を持って臨むとしつつも、米国としても平和を望んでおり、このために軍備管理についてもソ連と必要な話し合いをするつもりであるとの基本的な考え方が示されました。
 今般の訪米において、私とレーガン大統領との間で、ソ連の軍事力増強、アフガニスタンへの軍事介入等の第三世界におけるソ連の動きに対し憂慮の念を示すとの認識において意見の一致を見た次第であります。
 なお、政府としては、最近の極東ソ連軍の顕著な増強という客観的事実について、かかるソ連軍の動向を潜在的脅威ととらえてはいますが、いまだ脅威として顕在化しているとは判断していないことは従来から申し上げておるとおりであります。
 わが国の世界平和戦略についての御意見と私の所見を求められました。
 私は、世界が平和であり安定しておるということが、わが国の今後の民族の発展、日本の将来のために一番願わしいことだと考えておるものでございます。国土は狭小であり、資源は乏しく、そして一億一千万の人間がこの国土に今後生き抜いていくわけでございますから、世界が平和であり安定しておること、これが一番望ましいことでございます。
 したがって、わが国としては、外に向かって軍事的には寄与はできませんけれども、しかし、軍事面を除いたところの政治的、経済的分野におきまして世界の平和への貢献、寄与ということは積極的にやっていかなければならない、このように考えるものでございます。
 私は、そういう意味で、自由諸国家、自由陣営の国々との協調、連帯関係を深めつつ、そういう平和戦略を推進してまいりたい、このように考えております。(拍手)
    〔国務大臣伊東正義君登壇〕
#51
○国務大臣(伊東正義君) 和田さんにお答え申し上げます。
 いま北方領土の御質問があったわけでございますが、アメリカは従来から日本の主張を基本的に支持しているということでございまして、今度も、総理と大統領との話では、先方より、日本の基本的立場について従来どおり支持の表明があったわけでございます。
 それから、インドとの問題でございますが、インドがアジアにおける大国であり、主要な発展途上国であり、また、非同盟諸国のリーダーだということは御承知のとおりでございまして、単にアジアだけでなくて世界にも大きな影響力があるということでございます。
 実は私も、外務大臣になりましてから最初の訪問にインドを訪ねたわけでございまして、日本とインドの友好関係、これは本当に二国間だけでなくて、このアジア全部にとりましても非常に大切なことだと私は思っております。
 特にまた最近アメリカとパキスタンの関係が緊密になってくるということに関連して、またインドとパキスタンの問題もございますし、南西アジアの平和、あるいはこれが世界の平和にもつながるわけでございますので、日本、インドの友好関係をますます今後も緊密にしていくということで努力してまいりたいというふうに思っております。(拍手)
    〔国務大臣大村襄治君登壇〕
#52
○国務大臣(大村襄治君) 私に対しましては三点ほどお尋ねがございましたので、逐次お答え申し上げます。
 最初に、日米協議に臨む基本方針についてでございますが、日米両国の防衛責任者は、日米安保条約の円滑な運用に関し十分意思疎通を図っておくことは重要なことでございますので、私の六月末の訪米に際しましては、総理訪米の結果を踏まえ、総理の意図を体して、国際情勢を含め防衛問題について、わが国の憲法及び基本的な防衛政策にのっとりつつ、米側と率直に話し合いを行い、相互理解を深めていきたいと考えております。
 次に、「防衛計画の大綱」と海上交通保護についてのお尋ねにつきお答えいたします。
 わが国の海上交通保護については、従来から、わが国周辺数百海里、航路帯を設定する場合にはおおむね千海里程度の海域において行うことができることを目標として、海上防衛力の整備を進めてきているところであり、今後とも、このような考え方により、より一層の努力をしてまいりたいと考えております。「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準が達成されれば、そのときの状況によっても異なりますが、このような海上交通保護を行う能力は相当改善されるものと考えておる次第でございます。
 次に、防衛力の整備について、量よりも質、防衛の重要性についての教育の方が先決ではないかという趣旨のお尋ねでございましたが、この点につきましては、防衛庁といたしましては、防衛力の整備に当たりましては、量的な面のみならず質的な面にも配慮し、諸外国の技術的水準に対応した装備の保持に努めるとともに、即応性、抗堪性、継戦能力等の向上に努め、近代装備を駆使し得る練度と士気の高い、すきのない防衛力の整備に努めているところであります。
 また、装備の改善のほか、有事法制や防衛の重要性の問題につきまして国民の理解と協力が得られるよう、今後とも一層の努力を傾注してまいりたいと考えている次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#53
○副議長(岡田春夫君) 金子満広君。
    〔金子満広君登壇〕
#54
○金子満広君 私は、日本共産党を代表して、総理の訪米報告について質問をいたします。
 言うまでもないことでありますが、今回の日米首脳会談と日米共同声明の最大の問題点は、何よりもまず、鈴木総理自身が西側の団結を強調し、レーガン政権の超タカ派的な世界戦略への全面的な同調を、日米同盟の名のもとに誓約をしたことであり、その世界戦略の中で日本が新たな責任と役割り分担を引き受けたことであります。
 いまや、この共同声明が日米首脳による軍拡推進、役割り分担声明であることは明瞭であります。これが、わが国の平和と安全を重大な危険にさらし、わが国民に新たな犠牲を負わせるものであることは覆うべくもない事実であります。
 私は、この見地に立って、以下、具体的な問題について総理に質問をいたします。
 まず第一は、日米共同声明についての総理の責任と、いわゆる不満表明の問題についてであります。
 総理が、日米共同声明作成の一方の責任者でありながら、その共同声明を発表した後で不満を述べるなどということは、全く異例のことであります。
 総理、あなたは「共同声明の作り方でいろいろ考えさせられた。ああいうことでいいのだろうか。二回目の首脳会談で言いたいことを言い、会談の半分は私の発言だった。しかし、共同声明は第二回会談前に出来上がっていた。つけ加えたいことがだいぶあったのだが……」と述べたと伝えられていますが、それならば、一体この共同声明はだれの責任でつくられ、発表されたのかということになります。まさに総理自身の責任にかかわる重大な問題ではありませんか。
 そこで、総理、あなたはどの時点で共同声明の最終案に了解を与えたのか。また、不満を漏らしているわけでありますから、何をつけ加えたかったのか、この点も含めて責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二に、共同声明の内容についてであります。
 共同声明第七項で、総理、あなたは「先進民主主義諸国は、西側全体の安全を総合的に図るために、世界の政治、軍事」――軍事ですよ、「及び経済上の諸問題に対して、共通の認識を持ち、整合性のとれた形で対応することが重要である」と述べております。
 総理、西側全体の安全のために、軍事を含めたすべての問題で、いわゆる先進民主主義国が整合性のとれた形で対応するということは、いわゆるソ連の脅威なるものに対してだけでなく、第三世界の民族解放運動や資本主義諸国の革新運動などを国際的挑戦として、日、米、欧が一致して対処するということではありませんか。レーガン政権が日米欧共同防衛構想を求めているときでありますから、この点についても明確に答えていただきたいと思います。
 第三は、軍事分担問題についてであります。
 第七項で、軍事を含めたいわゆる国際的な総合安保構想なるものを、総理が、日本政府の対米積極姿勢のあかしとして打ち出したことを、実はレーガン政権はみごとに逆手にとりました。そして、日本の軍事的分担を具体的に共同声明に盛り込んだのであります。すなわち「両者は、日本の防衛並びに極東の平和及び安定を確保するに当たり、日米両国間において適切な役割の分担が望ましいことを認めた。」という問題であります。
 これは、本来自衛隊が関与することができないととになっている極東の平和と安定を確保するために、自衛隊が米軍と適切な役割りの分担をしていくことを方向づけた初めての規定であり、これこそ新極東条項とも言うべき重大な問題であります。
 総理がいかにこれを否定されても、レーガン政権が西太平洋における自衛隊の役割り分担を要求している今日、この新極東条項によって、自衛隊の軍事力増強と極東における軍事分担を要求してくることは余りにも明らかなことであります。もし総理が、そういうことがないというのであれば、どのような事実をもってこれを否定されるのか、はっきり答えていただきたいと思います。
 同時に、総理は、プレスクラブで「アメリカの第七艦隊がペルシャ湾に出動した留守中、日本の庭先であるこの周辺海域を日本が守るのは当然だ」と述べたのも、この役割り分担を念頭に置いたからではありませんか。
 そこで、ただしたいことの第一点は、第七艦隊が留守となった後の海・空域を守るのが当然だというのであれば、これこそ第七艦隊との軍事分担そのものと考えるが、総理の見解はどうか。
 第二点は、総理が使われたあの庭先とは、日本の防衛区域を指すのか、何を意味するのか、この点も疑問の余地のないよう明確に答えていただきたいと思います。
 第三点は、シーレーンの防衛に当たっては、繰り返し一千海里と政府は説明をしてきましたけれども、この一千海里を半径とした海・空域を日本の防衛の範囲とするのかしないのか。
 第四点は、「日本の周辺海・空域における防衛力の改善について、なお一層の努力」を約束した以上、P3CやF15の繰り上げ達成あるいは追加的購入という問題が起こると思いますが、この点も含め、以上の四点について、総理の明快な答弁を求めるものであります。
 次に、中東条項についてであります。
 総理は、中東湾岸諸国を初め非同盟諸国が、こぞって大国の軍事力の展開に強く反対している中で、みずから求めて、その大国であるアメリカの軍事力の展開を「確固たる努力」として、無条件かつ全面的な支持を表明しました。同時に、総理は、このアメリカの努力によって日本が「裨益」、つまり恩恵を受けていると強調しましたが、これは重大な問題であります。
 周知のように、今年二月、ニューデリーで、中東湾岸諸国を初め九十四カ国、オブザーバーを合わせて百十カ国による非同盟諸国の外相会議が開かれました。この会議は、中東湾岸、インド洋地域における大国のあらゆる形式、形態の軍事活動に重大な関心を表明し、大国の干渉主義への強い反対を再確認をいたしました。ところが、日米共同声明は、この湾岸諸国、非同盟諸国の原則的立場を無視し、敵視するものとなっているのであります。
 総理、あなたは、なぜアメリカの中東に対する軍事介入を含めた行動を無条件に支持したのでありますか。このような姿勢が、わが国と中東諸国との平和友好関係を悪化させることになり、ひいては、わが国が輸入する石油の七〇%以上を非同盟諸国に求めているとき、重大な事態を招くことになると考えますが、その点を総理はどのように考えているのか、お答えをいただきたいと思います。(拍手)
 また、総理は、日本がアメリカの「確固たる努力」で恩恵を受けていると強調しておるわけでありますが、それでは、いうところのその恩恵についてどう対応するのか、どう対処するのか。たとえば、伝えられているところの中東防衛基金構想や、アメリカの中東防衛努力なるものへのいわゆる投資など行うのかどうなのか。私は明確に拒否すべきであると考えますが、総理の考えを承っておきたいと思います。(拍手)
 さらに、この際、共同声明が「日米経済関係グループの報告書を高く評価した。」ことについて伺っておきます。
 いわゆる日米賢人会議が結論づけたもの、それは、わが国の食糧やエネルギーの自給率をさらに低下をさせること、そして対米依存度をさらに高めるものだということではありませんか。このことがわが国の農業とわが国の産業をどういう状態に追い込むのか、この点についても所見を伺っておきたいと思います。(拍手)
 最後に、米原潜の当て逃げ事件と、現在行われている秋田沖の日米共同演習について伺います。
 報道によれば、首脳会談の直前にホワイトハウスの高官は、原潜と車はもう解決済みだとの立場を明らかにしております。こうしたことがなぜ言われるのか。それは総理が、米側に、原潜当て逃げ事件で抗議もせず、むしろ先ほどの答弁にもありまするように、米側の中間報告を評価するなどという態度をとっているからであります。
 アメリカの中間報告なるものが全く虚偽のものであったことは、昨日提出された日本の海上保安庁の事故報告書を見ても、皆さん、明らかではありませんか。総理は、日米首脳会談を前にして、この海上保安庁の報告を知り得る立場にあったはずであります。なぜそれをもって米側の責任を首脳会談で追及しなかったのか。帰ってきてからこれが出たのでは後の祭りと言われても仕方がありません。この点も含めて今後どのように原潜問題を究明していくのか、総理のはっきりとした答えを伺いたいわけであります。(拍手)
 さらに、この際言及しておきたい問題は、アメリカの原潜の当て逃げ事件が少しも解決を見ていない今日、今度は、秋田沖で大規模な日米の対潜共同演習が強行されているということであります。これも、日米共同声明に言う役割り分担の強化にほかなりませんけれども、直ちにこれを中止するよう私は要求いたします。(拍手)
 以上、今回の日米首脳会談と日米共同声明は、安保三十年の歴史の中で一貫して追及されてきた日米安保条約の攻守同盟化に、日本政府が新しく踏み込んだところに重大な問題があることを指摘せざるを得ません。
 私は、この共同声明が、わが国の平和と安全への重大な危機をもたらすであろうことを再度指摘し、日米安保条約を廃棄し、非同盟中立を目指す道こそが、わが国が選択すべき道であるとの確信を表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#55
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 今回の日米首脳会談の評価について、共産党一流の全く偏った見解を述べられましたが、(発言する者あり)大多数の国民は正しく評価をしているものと確信しております。(拍手)
 共同声明についてお話がございましたが、共同声明は、その作成に相当の時間を要するため、両国政府間で事前に十分な協議を行い、随時、私及び外務大臣の指示をも受けつつ、その内容を確定したものでありまして、最終的には私が決裁したものであり、内容的に私に異存があるわけではございません。
 今日、世界の平和と安定にとり基本的な不安定要因を構成しているのは、第一に、ソ連の一貫した軍備増強及びこれを背景とした第三世界への進出等によって東西関係が不安定化していること、第二に、自由主義経済諸国が、低成長、インフレ、失業及びエネルギー問題といった諸困難に直面しており、これをこのまま放置すれば、西側全体の総合力を低下させるおそれのあること、第三に、第三世界諸国の政治的、経済的基盤が依然として脆弱であり、これが国内的混乱や地域的紛争、対立をもたらしていることであると考えられます。共同声明第七項は、かかる情勢のもとで、西側全体がその平和と安定を確保するためには、政治、軍事、経済上の諸問題に対して、共通の認識のもとに、おのおのの国が、その国力と国情にふさわしい対応をし、かつ、おのおのの対応が全体として整合性のとれていることが重要であるとの考えを述べたものであります。
 わが国としては、引き続き米欧諸国を初めとする西側自由主義諸国との連帯と協調のもとで、わが国にふさわしい役割りを積極的に果たしていく所存でありますが、平和憲法のもとで専守防衛を旨としているわが国が果たし得る役割りには、軍事面では制約があり、政治、経済面を中心としたものとなると考えております。
 政府としては、わが国の防衛努力については、わが国自身の自主的な判断に基づき、わが国の財政事情をも考慮し、憲法、専守防衛にのっとり行っていく所存でありますが、今回の共同声明においても、わが国の防衛努力は、わが国が自主的に、かつ憲法及び基本的な防衛政策に従って行うということについて、大統領が明確に理解を示しているところであります。
 次に、私のナショナル・プレスクラブにおける外国人記者の質問に対する答弁においては、御指摘のように、周辺海域におけるわが国の自衛力の整備目標を述べたまでであって、何ら新しいことを述べたものではありません。
 わが国が自衛権の行使に必要な防衛力について、その整備に努力していることは御承知のとおりでありますが、このことは、何もわが国が集団的自衛権の行使を前提とするような軍事的な役割りを分担するといったようなことを意味するようなものでは全くないのであります。
 次に、いわゆる庭先でという表現でありますが、御指摘の防衛区域として具体的にいかなることを観念されているか定かではありませんが、政府が、わが国の海上交通保護について、従来から、わが国周辺数百海里、航路帯を設定する場合はおおむね千海里程度の海域において行うことができることを目標に、海上防衛力の整備を行っていることは御承知のとおりであります。
 私がナショナル・プレスクラブにおいて述べた庭先とは、周辺海域におけるかかる防衛力の整備目標を述べた際に、右海域が日本に近いところのものであることを比喩的に述べたにすぎないのであります。
 わが国の海上交通保護について、政府は、従来から、わが国周辺数百海里、航路帯を設定する場合はおおむね千海里程度の海域において行うことができることを目標に、海上防衛力の整備を行っているところであり、このため、今後とも「防衛計画の大綱」に基づき、海上交通保護のための防衛力の改善になお一層努めてまいりたいと考えております。
 次に、共同声明第八項の「なお一層の努力」という文言についてでありますが、これは、抽象的になお一層努力する旨の意思を述べたものであって、具体的なことを意味するものではありません。
 いずれにしても、とのような努力は、共同声明でも明らかなように、日本が憲法及び基本的な防衛政策に従って自主的に行うものであることは言うまでもございません。
 共同声明第四項は、米国が外からの脅威に対し確固たる姿勢を示し、また、同地域の安定の回復と自由世界共通の利益の確保に大きな努力を払っていることを確認したものであります。
 本年二月の非同盟諸国外相会議において、インド洋地域における大国の軍事プレゼンスの増大に対し懸念が表明されたことは承知しておりますが、米国が、域内諸国の意思を無視して一方的に武力行使を行い、緊張を高めることはないと理解しております。
 いずれにしても、今次共同声明は、非同盟諸国の意向を無視したものではなく、そのことがわが国への原油供給に何らかの影響を与えるとは考えておりません。
 米原潜の衝突事故は、日米双方にとって予想しなかったことであり、残念なことでありますが、米側が、レーガン大統領の私的親書において約束されたとおり中間報告を出されたことなど、米側が誠意を持って努力していることを評価しております。今後は、わが国海上保安庁の調査報告をも参考として、日本国民の納得できるような最終報告が出されることを期待いたしておりますし、私は、直接レーガン大統領にこのことを申し入れております。
 なお、日本側の調査の結果については、十四日、海上保安庁より運輸委員会の各委員の方へ、本件事故についての報告書を提出したところであります。
 最後に、秋田沖での日米対潜共同演習を直ちに中止せよとの御意見でありましたが、今回の日米共同訓練については、戦術技量を向上させていくためには必要な訓練でありますので、その実施に当たっては、安全確保について十分の措置を講じておりますので、計画どおり実施さしたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#56
○副議長(岡田春夫君) 中馬弘毅君。
    〔中馬弘毅君登壇〕
#57
○中馬弘毅君 鈴木総理には、年初のASEAN五カ国訪問に続き、このたびはアメリカ、カナダと積極的に訪問外交を展開されていることの労をねぎらうとともに、国際的友好関係の中でしか生きていけないわが国の立場からして、その外交重視の姿勢を評価するものであります。
 もちろん、訪問すること自体に意義はあるものの、しかし問題は、わが国民の期待を担い、わが国益を踏まえて、それぞれの国とどのような交渉を行ったのか、何を主張し、何を約束したか、親善と信頼関係をどのように深めたかといった中身が重要でありましょう。
 このたびの鈴木総理とレーガン大統領との間の日米共同声明を見る限り、アメリカの国際情勢認識、対ソ強硬路線、経済的立場等に大いなる理解を示し、その方針に全面的に協力することを約束したことが明らかにされていますが、無資源国日本の国際的に置かれた立場を理解し、世界の平和と繁栄に寄与する日本の崇高な国家目標に、アメリカも賛意を表して協力するという点が見当たらないのが残念でございます。
 先ほど来の各議員の質問に対する御答弁を聞いておりましても、日ごろ総理が国会の場でおっしゃっていること、アメリカでの記者会見の発言、レーガン大統領との共同声明の内容、帰国後の御報告や御説明など、それぞれニュアンスが異なり、総理の真意が那辺にあるのか、いまだつかみかねます。
 私どもは、鈴木総理、あなたが、歴代の首相が言うべくしてなし得なかった行財政改革に政治生命をかけるとの御決意に最大限の賛辞を呈し、微力ながらこの点に関しては協力を惜しまぬつもりであります。
 また、現行平和憲法の改正を政綱で掲げている政党の総裁でありながら、勇気を持って、これを守っていくと明言されている点にも敬意を表するものであります。
 さらに、外交、防衛政策についても、タカ派と称される人たちの声が高まる中で、あなたは、いかなる国をも敵視せず、あくまで平和憲法の枠内での自衛力に限定し、軍備拡大よりも、政治、経済、社会、文化の各分野における積極的な平和外交に重点を置くことがわが国の安全保障であると、公式の場で幾度となく発言されております。これも、われわれ新自由クラブの理念と何ら異なるものではありません。
 しかし、いかに強い決意を述べられ、耳ざわりのよい発言をされようとも、その真意が別のものであれば、これは問題であります。
 とのたびのレーガン大統領との日米共同声明なるものの文面から素直に読み取れること、そして、これが今後の日米関係、特にわが国の進路を制約していく重要な国家間の約束でありますが、それは、日米同盟という文字が示すように、軍事的色彩の濃いものであり、総理の年来の発言とは相当開きがあると解せざるを得ません。
 公式声明と公式発言に違いがある。しかも総理は、違いがないとおっしゃる。事務レベルでの解釈も異なる。失礼を顧みずに申し上げれば、総理、あなたは、何かに気がねをしておられるのではないですか。
 日米安保条約に反対の立場の野党に対する気がねですか。それであれば、あなたは絶対多数を擁する与党を持った政権の総理大臣です。もっと堂々と自分の信念を披瀝されるべきでありましょう。それとも、与党内のタカ派と称される方々への配慮ですか。あるいは、あなたの意向を無視して独走する官僚への面当てですか。まさか、軍備増強よりも平和外交でという多くの国民世論に対する気がねではないでしょうね。国民の願いや意向を無視して、レーガン政権の軍拡戦略に唯々諾々として合意したのであれば、そして、そのことを気がねしておられるのであれば、ゆゆしき問題と言わざるを得ません。
 カーター前大統領のように、人権外交を前面に打ち出して世界の平和を願うのか、レーガン大統領のように、対ソ強硬路線を明確にしてバランス・オブ・パワーで世界の平和、安定を図るのか、いずれにせよ鈴木総理の御方針を明確にすべきではないでしょうか。それを是とするか非とするか、その選択は国民がすることであります。
 問題なのは、真意を隠して、言葉や表現だけでその場をつくろおうとするずるい態度であります。わが国で政治の信頼が失われる最大の原因はここにあるのではないでしょうか。
 この際、最後にもう一度、このたびの共同声明に言う「日米同盟」と「日本の防衛並びに極東の平和と安定確保のためのわが国の役割分担」が何を意味し、具体的にはどのようなものを指すのか。官僚の作文ではなくて、レーガン大統領と直接話し合ったあなた御自身の真意を明確に御説明願いたいと思います。
 あわせて、外務大臣からも、首脳会談以前に共同声明をまとめられた事務レベルでの責任者として、交渉経過の上ではどうであったのか、御答弁をお願いいたします。
 続いて、日米共同声明の内容に関して若干のお尋ねをいたします。
 その第一は、レーガン政権はソ連の軍事力増強をはっきり脅威と認識して、その対抗策を西側諸国全体のパワー増強でもってするとして世界戦略を展開しております。一方、総理はこれまで、ソ連の極東軍備増強は日本に対する侵攻の意図が明確でないので、脅威ではなく潜在的脅威だと発言してこられました。今回、レーガン政権の対ソ認識に同調されましたが、さすれば対ソ認識ないし対ソ外交政策に変更があったのか、御見解をお示し願いたい。
 もし従来と変わらないというのであれば、ソ連に誤解を与えないためにも、あなたはソ連とも漁業交渉を通じてルートをお持ちなのですから、早速にソ連を訪問して、わが国の真意をお伝えになる義務があると考えますが、いかがでしょうか。ソ連の極東軍備増強が日本に対するものでないのなら、日本も軍備拡大に走らないから、貴国も軍備を縮小すべしとはっきりおっしゃることが、最も効果的で効率のよい日本の安全保障と思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。(拍手)
 アメリカにしても、対ソ強硬路線を進めながら、国内農業の圧力もあって、対ソ穀物禁輸措置を、日本への協議もなしに解除してしまったではありませんか。このような外交におけるしたたかさを総理も持っていただきたいと願う次第です。
 第二に、共同声明に盛り込まれた日本の領域周辺海・空域の防衛力改善の問題ですが、総理の言明のように、海上交通路千海里の範囲をアメリカに肩がわりして防衛するとなると、警戒体制だけでP3C百機、F15百機体制が必要になると言われております。
 これだけで二兆円という膨大な装備費となる上に、たとえ日本に侵攻の意図を持った核装備の原子力潜水艦を南の海の公海水面で発見したとしても、制度上これを攻撃することもできなければ、また撃沈する装備も持っておりません。発見したと言っているうちに、核ミサイルは東京上空で炸裂してしまっているでありましょう。アメリカのソ連潜水艦配備追跡戦略の肩がわりにはなるとしても、少なくとも日本の防衛には役に立ちません。
 このような、日本の防衛力としては全くむだな装備を、もしアメリカから押しつけられる場合には、防衛庁長官は、来月のワインバーガー長官との協議でも、はっきり拒否されることをお約束なさいますか。
 これに関連しますが、第三に軍縮の問題です。
 日本にとって、その置かれた状況からして、国際平和こそわが民族存立の大前提であります。エネルギー、食糧、工業原料などの資源をほとんど海外に依存している現代の高度産業社会、日本にとって、有事の際の自給自足経済を考えることすら全く非現実なことであります。つまり、自国が戦乱に巻き込まれる場合はもちろんのこと、第三国間の紛争で海外からの資源補給経路に支障が生じた場合でも、わが国経済は大混乱となることは、中東紛争の例で実証済みであります。兵器をそろえても、それを動かすことすらできなくなるのです。
 共同声明でも、わずか四行ですが、軍縮に触れられていることは一応評価しますが、具体的に日本とアメリカでどのような役割りを果たされようとしているのか、そして、それが対ソ軍備拡充路線とどのような整合性を持つことになるのか、総理の御所見を承りたいと思います。
 第四は、エネルギーの問題です。
 原子力の平和利用は、無資源国日本の最重点課題であることは申すまでもありません。しかし、核燃料サイクルを独自に実現しようとすると、再処理段階で、アメリカの核拡散防止政策に絡んで制約を受けてしまうことは御承知のとおりであります。共同声明でこの点に言及された成果は多としますが、東海再処理工場の単なる運転継続の承認を得るだけにとどまらず、非核三原則を持った世界唯一の被爆国日本こそ、平和利用以外に核を悪用する国でないことをアメリカに積極的に理解せしめ、日本をして核平和利用の模範国たらしめる努力が必要ではなかったのでしょうか。
 一方で同盟関係をうたいながら、核の平和利用すら信用してもらえないのが、総理のおっしゃる日米の信頼関係なのですか、総理の御見解と科学技術庁長官の御所見をお伺いいたします。
 また、原子力に関して、総理は、カナダでCANDU炉の導入を約束されたようですが、昭和五十四年八月の原子力委員会での「導入の理由を見出すのは難しい」との結論はどうなったのか。高速増殖炉や新型転換炉の開発に支障はないのか、科学技術庁長官の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
 最後は、自動車輸出規制のあり方についてであります。
 日本の自動車産業は、ついに世界最大の生産量を誇るまでに大きく成長いたしました。これは日本人の勤勉と管理能力、技術開発能力の成果であります。アメリカへの輸出が増大しているのは、アメリカのユーザーがその優秀性と経済性を高く評価しているためでありますが、急激な輸出の増大は、アメリカ自動車産業での失業増加を招き、生産者側からの反発が大きくなるのは当然であります。
 本来、これらの事態を踏まえて、業界が自主的に配慮し対応策を考えるべき問題でありますが、これを、あたかも総理訪米の手みやげとして、かなり強引に数量規制を押しつける形での行政介入が行われたことは、自由経済体制のもとで今後に悪例を残すことになると言わざるを得ません。(拍手)
 自由主義経済のもと、民間の自由競争と自主的問題解決の努力があってこそ民間の活力が十分に発揮されるという、われわれの立場からすると、今回の処置は納得しがたいものがあります。
 アメリカに続く欧州各国で、また、自動車以外の日本の優秀な工業製品の多くが世界市場で大きく競争力を発揮し始めた昨今、各国から、アメリカに対すると同様の政府による規制を申し入れられたら、どのように対処されるおつもりか、総理の御所見を承りたい。
 以上、総理大臣並びに関係大臣の明快な御答弁をお願いいたしますとともに、流動化する国際情勢の中にあって、アメリカとの関係を重視しつつも、わが国が主体性を失うことなく、独自の外交方針でもって世界の平和と繁栄の中核たらんことを切に希求いたしまして、新自由クラブを代表しての質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#58
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 まず、同盟関係についてでありますが、今回の共同声明にある同盟関係とは、先ほども申し上げたとおり、民主主義及び自由という、両国が共有する価値の上に築かれた日米の総合的な関係をとらえて表現したものであります。このような総合的な関係の中には、政治、経済、文化等の関係とともに、日米安全保障条約に基づく日米安保関係があることは事実であります。
 また、共同声明で述べている役割り分担の考え方は、従来に比し何ら新しいことを述べたものではなく、わが国の防衛につき日米安保条約に基づく従来からの役割りがあることは当然として、わが国としては、わが国の軍事力によって極東の平和と安定に直接的に貢献することはできず、また貢献する考えのないことは従来から明らかにしてきておるところでございます。ただ、わが国としては、平和外交的役割りによるほか、日米安保条約を円滑に運用することによって、米軍の極東におけるプレゼンスをより効果的にすることを通じ、極東の平和と安定に貢献する役割りを果たしてまいりたいと考えております。
 今般の日米首脳会談におきましては、ソ連の一貫した軍事力の増大、アフガニスタンへの軍事介入など、動かしがたい客観的事実に対する従来からのわが国の現状認識について、双方で一致したところであります。
 政府としては、ソ連との間で通すべき筋は通しつつも、いたずらに対決を求めることなく、北方領土問題を解決して平和条約を締結し、真の相互理解に基づく安定的な関係を確立するという、従来よりしばしば明らかにしている立場を堅持してまいります。ソ連との対話を進めるに当たっては、その具体的態様については、今後の情勢を慎重に見きわめつつ検討していきたいと考えております。
 次に、軍縮問題についてお答えをいたします。
 政府としては、現下の国際情勢において、平和で安定した国際環境をつくり出すための努力の一環として、軍備管理、軍縮に向けての国際的努力の重要性及びその役割りを十分に認識し、日米首脳会談に臨み、この分野における国際的努力の役割りにつき合意を見た次第であります。
 わが国としては、米国との間に共同して具体的に何をするかということではなく、この分野における日米双方の共通の認識を踏まえ、恒久の平和を希求するわが国独自の立場から、今後とも核軍縮を中心として、真の意味での軍備管理、軍縮に向けての国際的努力の促進に積極的に努力していく所存であります。
 わが国の防衛努力に関しましては、自主的に、かつ憲法及び基本的な防衛政策に従って行っていく旨私より述べ、米側の理解を得たものであり、対ソ軍拡路線に合意したといったことはなく、整合性を欠くことはありません。
 原子力の平和利用についてお尋ねがございました。
 わが国は、非核三原則のもと、原子力の平和利用政策の実現を目指しており、また、エネルギー資源の乏しいわが国にとって、再処理が重要であることは申すまでもありません。
 今回の日米共同声明も、このようなわが国の立場について日米両国首脳が意見の一致を見たことを表明しており、今後とも、このような方針に従って米国と緊密に協議しつつ、再処理等の核燃料サイクル確立の実現を目指していく所存であります。最後に、対米自動車輸出の自主規制問題でありますが、今回の措置は、米国自動車産業という米国経済に非常に大きな比重を占める産業が深刻な不況に陥っており、放置すれば輸入制限立法の成立も懸念され、そうなれば同様な措置が欧州等に波及し、自由貿易主義が重大な危機に陥るおそれがあるという事情を考慮し、米国内で自動車産業再建のための自助努力が行われることを前提に、あくまでも臨時異例の措置として、自由貿易主義を守るために大局的な観点から実施したものであります。
 したがいまして、欧州諸国等に関しましては、右に述べたような状況が存するのかどうか、それらの市場や自動車産業の状況、自助努力などを十分見きわめて、慎重に対応すべきであると考えており、安易に米国に対すると同様な措置をとる考えはございません。また、他の商品につきましても、今回の対米自動車輸出についてとった措置と同じ措置をとる考えはございません。
 以上、お答えをいたしましたが、残余の点は所管大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣伊東正義君登壇〕
#59
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 私には、共同声明をつくった責任者として、日米同盟関係、役割り分担ということをアメリカと話すときに、どういうことがあったかということでございますが、同盟関係並びに役割り分担の意味するものは、もう総理がおっしゃいましたから、私から詳しくお答えすることは避けますが、途中、話し合いが出ましたときは、今後ますます日米関係の連帯、協調ということは重要になる。日米関係というものは今日までの日本の平和、繁栄をもたらした根本でございますので、この関係をますます緊密にしようということで相談をしまして、この同盟関係あるいは役割り分担ということを入れたのでございますが、両方の話し合いの過程におきましては、総理からおっしゃいましたことはまさに共通の認識でございまして、これは両方の考え方が一致したということでございます。(拍手)
    〔国務大臣大村襄治君登壇〕
#60
○国務大臣(大村襄治君) 防衛力整備についてのお尋ねに対しまして、お答えいたします。
 わが国は、みずから適切な規模の防衛力を保有するとともに、米国との安全保障体制によって侵略を未然に防止し、もってわが国の平和と安全を確保することとしているところであります。特に核の脅威に対しては全面的に米国の核抑止力に依存しております。このため、防衛庁は、「防衛計画の大綱」に従い、あくまでもわが国の防衛に必要な防衛力を整備しているところであり、万一侵略が発生するような場合においては、これに対して有効に対処する考えであります。
 もとより、わが国の防衛努力については、わが国自身の自主的な判断に基づき、憲法、専守防衛等の基本的政策にのっとり行っていく所存でありますが、その点につきましては、米側も十分承知しているものと考えております。
 私とワインバーガー長官との協議におきましては、わが国の防衛に関する基本的政策を前提に、日米の意思の疎通、相互理解に努めたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣中川一郎君登壇〕
#61
○国務大臣(中川一郎君) エネルギー資源の乏しいわが国にとって、原子力の開発利用を促進することはきわめて重要であります。このため、核燃料サイクルを自主的に確立していくことが必要であることは御指摘のとおりでございます。
 わが国は、原子力の開発利用に当たっては、原子力基本法に基づき、平和利用に徹し、非核三原則を堅持するとともに、国際的にも核不拡散条約に加盟するなど、原子力の平和利用に徹する姿勢を内外に明らかにしているところであります。
 今回の首脳会談においても、このようなわが国の立場について米側が理解を示し、今回の共同声明となったものと承知いたしております。とりわけ、わが国の核燃料サイクルのかなめである再処理が特に重要であるとする鈴木総理大臣の見解を、レーガン米大統領が支持する旨、共同声明に盛り込まれたことは、きわめて大きな収穫であったと考えております。
 さらに、このような基本的認識を受けて、東海再処理工場の運転継続及び新たな再処理施設の建設等の懸案事項の早急かつ恒久的な解決を図るために、速やかに協議を開始することについて両首脳の間で意見の一致が見られたところであり、わが国としては、今後とも、米側とも積極的に折衝を進め、再処理問題の解決に最大の努力をしてまいりたいと存じます。
 次に、CANDU炉問題でございますが、今般の鈴木総理とトルドー首相との会談において、CANDU炉について、トルドー首相から「CANDU炉についての調査を継続するとの知らせを受け喜んでいる」との発言があっただけで、特段の話し合いが行われたものでないと承知いたしております。
 CANDU炉の導入については、昭和五十四年八月の原子力委員会決定により「CANDU炉を導入することについての積極的な理由を現段階において見出すのは難しい」とされており、現在、この決定を尊重し、対処しているところであります。したがって、既定の計画を変更することなく、高速増殖炉及び新型転換炉の開発を進めていく所存であります。(拍手)
#62
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#63
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十七分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        法 務 大 臣 奥野 誠亮君
        外 務 大 臣 伊東 正義君
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
        文 部 大 臣 田中 龍夫君
        厚 生 大 臣 園田  直君
        農林水産大臣  亀岡 高夫君
        建 設 大 臣 斉藤滋与史君
        国 務 大 臣 大村 襄治君
        国 務 大 臣 中川 一郎君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト