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1980/11/12 第93回国会 参議院 参議院会議録情報 第093回国会 安全保障及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 第4号
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1980/11/12 第93回国会 参議院

参議院会議録情報 第093回国会 安全保障及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 第4号

#1
第093回国会 安全保障及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 第4号
昭和五十五年十一月十二日(水曜日)
   午後二時一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         原 文兵衛君
    理 事
                衛藤征士郎君
                堀江 正夫君
                瀬谷 英行君
                中野  明君
                立木  洋君
                柳澤 錬造君
    委 員
                板垣  正君
                植木 光教君
                大鷹 淑子君
                源田  実君
                志村 愛子君
                戸塚 進也君
                夏目 忠雄君
                大木 正吾君
                寺田 熊雄君
                矢田部 理君
                藤原 房雄君
                秦   豊君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       外 務 大 臣  伊東 正義君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   石川  周君
       国防会議事務局
       長        伊藤 圭一君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁参事官   石崎  昭君
       防衛庁参事官   多田 欣二君
       防衛庁参事官   番匠 敦彦君
       防衛庁長官官房
       長        夏目 晴雄君
       防衛庁長官官房
       防衛審議官    西廣 整輝君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛庁人事教育
       局長       佐々 淳行君
       防衛庁衛生局長  本田  正君
       防衛庁経理局長  吉野  實君
       防衛庁装備局長  和田  裕君
       防衛施設庁長官  渡邊 伊助君
       外務大臣官房調
       査企画部長    秋山 光路君
       外務省アジア局
       長        木内 昭胤君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       賀陽 治憲君
       通商産業省通商
       政策局長     藤原 一郎君
       通商産業省貿易
       局長       古田 徳昌君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国の安全保障に関する諸問題並びに沖繩及び北
 方問題に関する調査
 (防衛計画大綱に関する件)
 (防衛費に関する件)
 (国防の基本方針に関する件)
 (総理の北方領土視察に関する件)
 (近隣諸国の潜在的脅威問題に関する件)
 (沖繩における米軍の事故に関する件)
 (憲法改正問題に関する件)
 (日米安全保障条約改正に関する件)
 (アジアの安全保障に関する件)
 (総理の東南アジア訪問に関する件)
 (日米首脳会談に関する件)
 (総合安全保障会議に関する件)
 (国連総会の招致に関する件)
 (イラン石油化学の継続に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(原文兵衛君) ただいまから安全保障及び沖繩・北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 国の安全保障に関する諸問題並びに沖繩及び北方問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○堀江正夫君 総理、きょうはお忙しいところを御出席いただきまして大変ありがとうございます。
 私は、先陣を承りまして二、三の点につきまして総理のお考えを承らせていただきたい、このように存ずる次第であります。
 その第一は、二、三日前でございますが、防衛庁の原事務次官が部外での講演で、「防衛計画の大綱」とGNP比一%の問題とは必ずしも関係ないので、この一%の問題は閣議で決定すればあの枠というのはどうにでもなるんだ、こういうようなお話があったということを聞いたわけであります。私も全く事務次官の考え方には同意をするわけでございます。と申しますのは、防衛計画を国防会議、閣議で決められた、その後一週間ぐらいして当面の防衛費の枠のめどについて話をして決められたといういきさつがございますし、しかも、「当面」というのは、当時におきまして向こう数年先、こういうことを見通して言われたということが当時の国会のいろいろな議論の中でもはっきりしておるわけであります。
 ところが、これに基づきまして防衛庁が中業見積もりをいろいろと具体的に計画をしてみると、五十九年末GNPの一%でいろいろと計画した結果は、とても防衛計画大綱の線にはまだ達成しない。しかも、私は全般状況から、「防衛計画の大綱」の見直しということが本当は必要になっていると思いますけれども、仮にこれをまずやるといたしましても、防衛庁としては五六中業の作業に来年初めからかからなければいけないということになりますと、五十八年から六十二年までの計画でありますから、GNPの一%の枠というものがそのままかぶさっていますと防衛庁としては計画のしようもないだろう、また、その枠内でやったのでは、いつまでたっても「防衛計画の大綱」の水準までは達しない、こういう事情もあろうと思います。そういうことから、近い将来にこの一%の枠というものは外されてしかるべきである、こう思うわけでございまして、総理のこの点に対するお考えを承らせていただきたいわけでございます。
#4
○国務大臣(鈴木善幸君) 防衛庁の原事務次官の発言のことを私は新聞等で承知をしておる程度でございまして、ここに直接の上官がいらっしゃいますから、まず防衛庁長官から原発言について所見を述べさせていただきます。
#5
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のございました原事務次官の発言は、五十一年の十一月五日に決定せられました防衛予算の金額につきまして毎年度のGNPの一%を超えない程度をめどとして行うという閣議決定並びに国防会議の決定の際の経緯、背景を単に明らかにしたものでありまして、GNP比一%を変えるべきだという趣旨を述べたものではないというふうに承知している次第でございます。
 また、防衛庁といたしましては、しばしば申し上げておりますとおり、「防衛計画の大綱」を変える考えは現在持っておりません。その枠内において防衛力の水準を可及的速やかに達成する必要があると考えておりまして、五十六年度の概算要求を行うに当たりましても、GNPの一%を超えないことをめどとして行うことにいたしているわけでございまして、この閣議決定を現在変える考えは持っておらないわけでございます。
#6
○堀江正夫君 そうしますと、まあ、基本的な問題になるわけですね。と申しますのは、防衛計画大綱を決めたときの基本的な考え方なり、国際情勢と大きく変わってきた。いまのお考えでございますと、お聞きいたしますけれども、それでは防衛計画大綱の水準に達するのはいつというお見通しでございますか、一%以内でずっとやった場合に。こんなことで本当にいいとはどうも私には思えないのでございますけれども、いかがでございますか。
#7
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。
 「防衛計画の大綱」をいつ達成できるかというお尋ねでございますが、先生よく御承知のとおり、大綱そのものにおきましては期限は明らかにしておらないわけでございます。私どもはこの大綱の水準を可及的速やかに達成したいということで努力しているわけでございます。そしてまた、現在進めております五三中業は、先生よく御存じのとおり、五十五年度から五十九年度までの見積もりでございまして、これが実現いたしましても大綱の水準にまだ届かないということにつきましても、しばしば申し上げておるところでございます。
 先ほど先生のお触れになりました五六中業は明年度の問題でございますので、これから間に合うように検討いたしたいということでございますので、御意見につきましては、まだ具体的な見通し等を申し上げかねる段階でございます。
#8
○堀江正夫君 そうしますと、五六中業作業にかかられる前にはこの一%の枠の問題は当然お考えになる、検討されるというふうに理解してよろしゅうございますですね。
#9
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。
 先の問題でございますので、大変お答えしにくい問題でございます。また、この一%を超えないという閣議決定そのものは毎年度の予算の問題でございまして、GNP自身が予算編成と関連して、毎年度予算編成の際に決定される問題でございますので、その辺との兼ね合いもございますので、いまの段階でどうこう申し上げることはきわめて困難ではないかと思うわけでございます。いずれにいたしましても、五十六年度の概算要求に当たりましては一%を超えないという閣議決定を変える考えは持っておりません。
#10
○堀江正夫君 五十六年度の概算要求に当たっては一%を超えないのだという大変含みのある御返事をいただきました。そこで、私は、この問題はそのように了承しまして、次の問題に入らせていただこうと思います。
 二番目は、三十二年の五月二十日に国防会議、そして閣議の決定をされました「国防の基本方針」につきまして総理のお考えを承ろう、こう思うわけでございます。
 今日まで日本の防衛体制の整備はこの基本方針にのっとってやってきたと思いますが、この基本方針の中で、大意はこれでいいと思いますけれども、やはり若干の点につきましてはいまや検討する必要があるのじゃないか、このように私は思うわけでございます。と申しますのは、三十二年といいますと岸内閣のときでございまして、戦後の混乱と貧困の中からどうやら抜け出して経済的な発展へとその歩を歩み出したところでございます。それから、まだ今後の経済発展がどうなるかといったような問題については、めども立っておらなかった。国民生活も非常にまだまだ低く貧しかった時期でございます。また、この時期はアメリカの軍事力が圧倒的でございまして、日本はこのアメリカの軍事力によって十分にカバーされておった状況にあると思います。
 ところが、二十三年を経ました今日はずいぶんと国の内外の情勢が変わってきておるわけでございます。言うまでもございませんが、国民生活、経済力というものは大変な発展を遂げました。一方、圧倒的なアメリカの軍事力の優位というものが人によりましてはすでに失われたとも言われておる状況でございます。特に日本の社会的地位というものが非常に高くなってきた。こういうような状況下におきまして、四項目ございますけれども、ここで「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。」という項目、もちろん、いままでも世界の情勢というものを勘案をしてやってきたことは間違いないと思いますけれども、この文章で見る限りにおきましては、国力国情といったようなことでございまして、世界情勢に対する考え方というものは、少なくも文面では一つも出ておらないわけであります。この「国防の基本方針」の中に世界情勢の推移というものをやはりはっきりと取り入れる必要があるのじゃないかということが一つでございます。
 もう一つは、当時の状況でございますから、防衛力を民生の安定しない状況下において漸進的に整備するというのは当然であったと思いますが、今日の状況で言いますと、「漸進的に整備する。」、この「漸進的」という言葉も実情には合わないのじゃないか、こう思うわけであります。
 この二点につきましてお考えをお聞きさしていただきたい、このように思います。
#11
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま基本方針についてお尋ねがございました。国防会議で当時決定をいたしました国防についての基本方針、この四項目は今日においても私は堅持さるべきものである、このように考えておるわけでございます。堀江さんからただいま、国際情勢等についてその後相当大きな変化が見られるのではないか、こういう点を十分考慮しながら防衛政策というものを考えるべきではないか、こういう御趣旨の御発言があったわけでございます。
 現在の米ソを中心とするところの東西関係、これは国際政治情勢、軍事情勢、確かに時代の変遷によりまして変化はあるわけでございますけれども、米ソを中心とする国際情勢なり軍事情勢という枠組みについては基本的な大きな変化はない、このように私は考えておるのでございます。もとより、ソ連がこの数年間、近年特に軍事力の増強に力を入れてきております。また、極東におきましてもいろいろな面で軍事力の増強ということが客観的に見られるわけでございます。北方四島に対する軍事施設の構築、そういう問題もあるわけでございますけれども、しかし基本的に米ソはともに相対的な核戦争、人類の破滅につながるような、そういう対決というものは避けなければならない、こういう点につきましては、米ソともに最高指導者もそういう方針には変わりはない、このように私は見ておるわけでございます。
 したがいまして、わが国に対する外部からの侵略というような差し迫った状況には私はないと判断をいたしておるわけでございます。したがいまして、この基本方針の線に沿いまして、わが国としては、自分の国は自分で守るんだという基本的な考えを、信念を持ちながら着実に自衛力の整備、憲法で許されるところの必要最小限度の自衛力の整備ということを着実にやってまいる。質的な、効率的なそういう防衛力の整備ということに今後も着実に努力をしてまいる。それは具体的には現在ございますところの「防衛計画の大綱」、これをできるだけ早くその水準に持っていく、こういうことに努力をしたい、こう思っております。
#12
○堀江正夫君 以下実は逐条いろいろお尋ねをしたいわけでありますが、私の持ち時間はあと十二分しかございません。そこで割愛せざるを得ないわけでありますが、この四項目の中の第二項に、「民生を安定し、愛国心を高揚し、」と、こういうことが書いてございます。民生安定は今日まで二十三年の間にずいぶんと向上したと思いますが、愛国心の高揚の問題につきましては、私は、まだ大変に不十分だと、こう思っておるわけでございます。御認識は余り違わないんだろうと思いますが、さて、しからばこの「国防の基本方針」に掲げてある愛国心を今後いかなる方法によって高揚を図るように御施策いただくのか。教育の問題もあります。あるいは政治のこの防衛に対する取り組む姿勢、これを国民に範を示すということもあるだろうと思います。いろいろなことがあると思いますが、ひとつお考えを承らせていただければ幸いであります。
#13
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまの点は非常に大事な点であるわけでございます。私は、まず基本的に、わが国の政治が安定をし、そして国民生活が向上し安定をする、そして、憲法が堅持しておりますところの平和主義、民主主義、基本的人権というものが確保される、そういう日本の体制というものを私どもは目標とし、これに向かって努力をしておるところでございます。そうすることによって国民が平和な豊かな、そして民主主義が尊重され、基本的人権も守られておる、こういう国こそ、われわれはこれを愛し、かつ守っていかなければならない、こういうことが基本だと、このように考えておるわけでございます。政府としては、そういう方向で、国民が本当に心の底からわが日本国を守っていこう、愛していこう、こういう機運をつくっていきたい、こう思っております。
#14
○堀江正夫君 そうしますと、さしあたりまして、教育の問題その他で欠けておる面につきまして、今後何らかの前向きの施策を講ぜられるといったようなことにつきましては、いかがでございますか。
#15
○国務大臣(鈴木善幸君) いま申し上げた基本的な考え方に基づきまして国の諸施策を教育を含めまして推し進めてまいらなければならない、こう思っております。
#16
○堀江正夫君 同じ項目に「国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。」ということが書いてございます。これは、民生を安定し愛国心を高揚することがこの「安全を保障するに必要な基盤」なんだと、あるいは防衛というような意味にもとれないでもないと思いますけれども、ここに並行して三つ書いてございます。そうなりますと、ここで言う国家の安全保障をするに必要な施策というのは、直接の脅威に対して国が具体的にどんな施策をしていくかということになると思うわけであります。
 自民党も今度の同時選挙で防衛政策につきましていろいろ公約をしておることは御承知のとおりでございます。その中には国防会議の問題もございますし、それから有事法令の問題もございます。市民防護の体制の整備の問題もございます。それから、国の機密を防止するといったような問題も具体的に提言をされておるわけであります。今後はこの問題は政府も与党も一体になってやはり考えていかなければならない問題だと思いますが、その中で、従来から言われております市民防護の体制につきまして、福田総理のとき以来、窓口が総理府に決められたような決められていないような、どうもはっきりしないわけであります。これはもうどうしても窓口を総理府なら総理府に決めていただきまして、そして来年度からある程度の施策を具体的に調査活動その他でもってやっていく必要が緊急にあるのじゃないか。また、このような世界の情勢でございますから、いま地方自治体等で盛り上がっておりますところの機密保護のための法律の問題、こういったような問題につきましても、党の方ではもう一応法律の要綱まで政務調査会で決めておることは御承知のとおりでございまして、やはり推進をしていくことが大変大切じゃないか、こう思うわけであります。それにつきまして総理のお考えを承らせていただきたい、こう思います。
#17
○国務大臣(鈴木善幸君) いま市民防衛のお話がございました。さらに有事に対しての法制の整備のお話がございました。いずれもわが国の防衛という立場から非常に大事な問題でございます。国民の生命、財産を守る、急迫不正の事態に対応する万全の体制を整えるべきだ、こういう御指摘でございまして、非常に大事に私も考えております。自由民主党においても御研究を願っておるわけでありますが、政府におきましても防衛庁を中心にいろいろ勉強もさしていただいております。党と十分連携をとりながら今後こういう問題をだんだん具体化に向かって努力をしていきたい、こう思っております。
#18
○堀江正夫君 時間上もうこれが最後になると思います。
 そこで、第四項目でございますが、「米国との安全保障体制を基調としてこれに対処をする。」、これは侵略に対抗する基本方針でございます。こういうことを掲げております。これが三十二年にできました当時の日米の軍事力、防衛力というものにつきましては、もう当時の状況は御承知のとおりでございます。もちろん、アメリカの補完する力がなければ日本の防衛は全うすることはできないと思いますが、そのアメリカの力が実質的に西太平洋で薄くなっておる。そうなりますと、そういったような問題を正しくお互いに話し合い、受けとめ合って、やはり日本の担当する分野はこれだということを確定をした上で防衛力の整備というものを考えなきゃいけないんじゃないか。このことが本当の意味の日米安全保障体制を基調とするということにつながるんだろうと思います。
 そこで総理は、海上交通の自隊掩護の問題につきまして、公海もそれは可能なんだ、しかし、その能力がないんだ、こういうお話でございました。まさに現状はそうだと思います。しかし、現実的にアメリカの力がそういうふうになっている。日本もなかなかできないけれども、その辺はよく話し合った上で、やはり少なくともある程度のことは自分でできるんだ、自分でやらなきゃいけないといったようなことが必要じゃないかと思います。力がないからやらないんだ、それじゃその穴はどうするんだということになるわけでございますので、その辺はどのように今後お進めいただくのか、これをお聞きしたいわけです。
 ついでといっては大変悪いんですが、先ほど実は北方領土関係の皆さんの陳情がございまして、新内閣になって総理府総務長官、そして外務大臣の現地視察をいただいた、総理にもぜひ北方領土の御視察を早期に御実現願いたいという陳情があったわけでございます。私も、いまの状況から言いますと、大変お忙しいわけでございますけれども、ぜひそのようなことが実現することが望ましいことだと、こう思うわけであります。
 つけ加えのような質問でございますが、その二つの点につきまして最後にお尋ねをして私の質問を終わらせていただきます。
#19
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の平和と安全を確保いたしますためには、世界の平和と安定ということがその前提でなければならないわけでございます。世界の平和と安定なくしてわが国の平和と安全はあり得ない、このように私は基本的に考えております。そういう観点からいたしまして、軍事的な防衛的な側面のほかに、世界の平和と安定と繁栄を図るために日本がどのような国際的な役割りをなし得るのであるかどうか、何をなさなければならないか、こういうことも考えていかなければいけない。
 わが国が軍事大国にはならない、こういう国民的な合意、そして現在の憲法のもとで専守防衛に徹する、非核三原則を国是とする、シビリアンコントロール、国民のコンセンサスを得ながら防衛の問題と取り組んでいく、こういう立場にあるわけでございますから、私どもは、やはりわが国はあくまでこの専守防衛に徹する、近隣諸国に脅威を与えるようなそういう立場にはならない、こういう一つの方針というものをとっておるわけでございます。
 私どもは、そういう観点からいたしまして、今後外交あるいは経済協力、資源・エネルギーあるいは食糧、文化協力、そういうような面で世界の平和と安定に寄与していく責任ある国際社会の一.員としての役割りを果たしていかなければいけない、このように私は考えるものでございます。
 さて、日米のこの関係、安全保障、日米安保体制によってわが国は国の安全を図っておる。この限定的な、限られた侵略に対しては日本が独力でこれを排除する、こういうことをいたしますが、それを超えた大きな侵略に対してはアメリカの力をかりる、安保条約によって保障されたところのアメリカの来援、支援を期待する、こういうことでございますから、私どもは、日米安全保障条約に基づくところのこの防衛体制というものが円滑に有効に機能するように、そういう体制だけは日本自体としても整えていかなければならない。そういう点について、現在の「防衛計画の大綱」、これはぜひ財政その他の問題等総合的に勘案しながら着実にこれを進めていかなければいけない、このように考えておるわけでございます。
#20
○堀江正夫君 北方領土の御視察について。
#21
○国務大臣(鈴木善幸君) 北方四島の問題でございますが、北方四島の早期返還というのは、これは民族の悲願でもあり、また日本政府の不動の方針であり、たゆまない努力を今日までしてきた点でございます。私は、今後北方四島の一括返還ということをあくまで堅持しながら粘り強く日ソの間の話し合いによってこれを実現するために努力をしたい、こう考えております。
 現内閣におきましては、総務長官も外務大臣も現地の実情を視察もし、つぶさに御意見等も伺いました。私も日ソ漁業交渉等で北方四島の問題については一番はだでもってこの問題と取り組んできた人間でございます。重大な関心を持っておるわけでございます。政治日程その他を十分勘案しながらこの現地の要望にもこたえたい、このように考えておるわけでございます。
#22
○瀬谷英行君 最初にお伺いしたいことは、堀江委員からもお話がありましたが、「防衛計画の大綱」とかかわりなく一%以上とすることも可能であるという次官の発言の問題です。これは防衛庁長官の方からその真意はこうであるという意味の御答弁がございましたけれども、私が直接ラジオで聞いた範囲では、防衛計画大綱とかかわりなくGNP一%以上とすることが防衛予算としては可能であるということを次官が発言をしたということでこれがニュースになったわけであります。したがって、防衛庁長官が言われたこととは多少違うような気がするのでありますが、これはどうなんでしょうか。防衛次官が勝手に防衛計画とかかわりなく一%以上防衛予算を組んでも構わないといったような含みを持たせるようなことをみだりに発言をしてよろしいものかどうか、少し調子に乗り過ぎているのじゃないか、一言で言えばそういう気がするんです。その点、総理は報告をお受けになっているのかどうか、この問題に対して何ら処置をする必要がないというふうにお考えになっているのかどうか、その点を冒頭お伺いしたいと思います。
#23
○国務大臣(鈴木善幸君) 原防衛事務次官の発言というものにつきましては、先ほど大村防衛庁長官からお話があったわけでございますが、原君の発言というのは、GNP一%の決定がなされた経緯等を述べたものであって、GNPの一%を超えても差し支えないんだ、そうしたいというようなことを言っておるとは私は承知をしておりません。また、一事務次官がそういうことを決定できる筋合いのものでもない。これは国防会議にも諮らなければならないし、閣議にも諮らなければならないわけでございます。そういうことを決定できるのは不肖私自身だけでございますから御安心をいただきたいと思います。
#24
○瀬谷英行君 総理大臣が言われることと報道機関によって報道された内容は違うんですよね。私はまだ耳が遠くありませんから間違いはないと思うんですけれども、「防衛計画の大綱」とかかわりなくGNP一%以上とすることも可能であるという言い方は、将来一%以上になることがあり得る、あるいはこの新聞記事の報道でもそういうことを示唆していると言われているんですよ。そうすると、そういう思わせぶりなことを次官が勝手に発言をしていいものかどうか。新聞なりラジオなりがニュースにしたのは、総理大臣の言明のとおりであったならばニュースにならないんですよ。総理大臣の言明とはちょっとニュアンスが違うからニュースになったんだと、私はこう理解をするんですよ。一体そんなことが許されていいのかどうか。いま総理が言われたとおりならば、その種の思わせぶりなことを発言をする次官に対して厳重に注意をしなきゃならぬ。シビリアンコントロールということを言われるならば、そのことが大切ではないかというふうに思うんですが、その点はどうでしょうか。
#25
○国務大臣(鈴木善幸君) 私も報道されましたところの新聞の記事を丹念に実は読んでおるわけでございますけれども、どうも原君の言っておりますのは、当時の国防会議で決めましたもの、その経緯について申し述べておるということでございまして、原君がGNPの一%を超えて差し支えないのだ、そうしたいというふうなことを申し述べておるとは私は見ておりません。鈴木内閣におきましては、GNPの一%以内、この方針は堅持してまいる考えでございます。
 なお、シビリアンコントロールにつきましては、最高は何といっても国権の最高機関である国会であるわけでございます。国会で予算の御承認を得なければ何にもできないことでございますから、私は、シビリアンコントロールというものは、これは確固不動のものだ、こういう認識に立っております。
#26
○瀬谷英行君 総理大臣が言明をして、原次官の発言の真意はこうであるということを注釈を加えなければいけないということ自体が問題だと思うんですよね。これは報道機関を通じて内外に伝えられた内容はどういうものかというと、一%以上とすることも可能である、将来そういうことも大丈夫だということを示唆している、そういうことを書かれておるわけです。だから、いや実際はそうじゃないということを国会の場面で言われると、総理大臣が原次官の発言について、はらはらしながら弁解をしなきゃならぬということになるわけです。こういうことではいかぬと思うんです。やはり誤解を与えないようなことを言わなきゃならない。この発言自体は含みがあるからこそニュースになったわけです。総理大臣の言うとおりでございますというなら、どだいニュースにならないのです。だから、そういう点はやはりあのシビリアンコントロールをあくまでも確立をするということであるならば、この種の発言をした者に対しても厳しく注意をする必要があると私は思うんです。あれは誤解である、真意はこうであると総理大臣がこういう席で注釈をしなきゃならぬということは問題じゃないですか。
#27
○国務大臣(鈴木善幸君) 瀬谷さんからせっかくお尋ねがございましたので、原君のその発言なるものについて私から申し上げたということでございますが、直接監督する立場にありまするのは防衛庁長官でございまして、私が防衛庁長官を頭越しにあれこれ申し上げることはいかがかと、こう思っております。防衛庁長官が、先ほどそこで堀江さんの御質問が同様ございましたので、私は自分からは差し控えまして、大村長官から答弁をさしたということでございますが、その点は御了承いただきたいと思います。
#28
○瀬谷英行君 総理が一生懸命に弁明をされるけれども、第一、堀江さんの質問自体、あの原次官の言明に私は賛成だと、こう言っているんですよ、そうでしょう。つまり一%以上とすることも可能である(「常識だ」と呼ぶ者あり)いま常識だと言っているんですよ。そうすると、つまり、これはそのように受け取られているということは間違いないでしょう、その点はどうなんですか。何と総理が弁明しようとも、実際の真意は防衛庁内局の考え方を具体的に反映しているというふうにとられているじゃないですか、そうじゃありませんか。防衛庁長官、答えてください。
#29
○国務大臣(大村襄治君) 瀬谷先生のお尋ねに対しましてお答え申し上げます。
 私も、報道を見まして、本人を呼んで発言の真意を確かめたわけでございます。そうしましたところ、原次官が申される点は、「防衛計画の大綱」が決定になりましたのが昭和五十一年の十月の末でございまして、そうしてこのGNP一%を超えない、めどとするという決定が行われましたのは月を越しているわけでございます。その間に一週間か十日程度の開きがある、それがどういうわけかという当時の背景を説明いたしました。大綱というのはかなり長期を予定した計画だと、それから防衛費のあり方を決める閣議決定の方は、どちらかと言いますと、短期を念頭に置いたわけでございまして、その決定自身、「当面」というような言葉を織り込んでいるわけでございます。そういった関係で、GNPを念頭に置きながら一%という限度を決めたものだと、こういう背景説明をし、そうしてまた、当時においては大体六%程度の経済成長が続くということも念頭に置いて、それならば、当面一%という枠で、平たい言葉で言えば、限度ではなかろうか、こういうあれで、両者が別の日に決まった経緯があるということを申し上げたのであると、この点は私は速記録等におきましても確かめておるわけでございます。それをお聞きになりました報道機関の報道、これはもちろん言論は自由でございますので、どういうふうに報道されたか、それは報道でございますので、私といたしましては、じかに聴取いたしまして、その点は直ちに防衛計画を変えなくともGNP一%の方は変えられるとか、そういう点を決して申しておるわけではございませんでして、やはり一%というものはむしろできる限り守っていかなきゃならぬということを申しているように私は聞き取ったわけでございます。その点の受け取り方は、もちろん聞かれる方の御自由でございますので、その点までとやかく申し上げるつもりはございませんが、私が本人から聴取した実際の結論はそうでございましたので、その旨総理大臣にも御報告申し上げたと、こういうことでございます。
 なおまた、先ほど堀江先生の御質問に対しまして、次の中業はどうかというお話がございまして、私は一般論として、そのときになってみないとGNPのあれがないからわからないと申し上げたわけでございますが、次の中業は五十六年に策定いたしますが、実施になるのは五十八年度以降でございますので、まだ相当先の問題でございます。そういったような趣旨で総理に御報告申し上げたという経緯を私から瀬谷先生に御報告させていただきたいと存ずる次第でございます。
#30
○瀬谷英行君 防衛庁長官が長々と弁解をしなければならない、長々と弁解されても内容がよくわからない。こういうことじゃいかぬですよ、こういうことはイエスかノーかなんだから。いまのお話を聞くと、これは報道機関が間違ったんだ、マスコミが誤解されるような表現を勝手に使ったんだ、こういうふうに聞き取れます。真意を本人を呼んで聞いてみた。本人を呼んで聞いてみたら、こうこうしかじかかくかくであった、決してそういうわけじゃないんだというふうに聞き取れますよ、あなたが言ったんです。ずいぶんそこのところだってあいまいですよ。そうじゃない、こうだというふうにはっきりしているんじゃないんですよ、ごちゃごちゃと弁解をしただけなんです。こういう弁解の背景とは何かというと、やはり報道機関が報道されているような内容のことを言ったとしか理解をされないから、私はこれは危険であるというように思うんです。
 いま総理は、シビリアンコントロールを確立しなければならぬ、こういうふうにはっきりおっしゃいました。それはそれで結構です。それならば、防衛庁の内局の者がいいかげんなことを、ラッパを吹かれちゃ迷惑なんですよ。部隊で吹くラッパとは違うんだ、これは。次官の吹くこういう勝手なラッパは誤解を招く、さらにシビリアンコントロールそのものに対しても危惧の念を抱かせるんです。これは厳に注意していただきたいと思うんです。
 それから、さらに総理にお伺いしたいと思うのでありますけれども、あくまでもシビリアンコントロールを確立する、それでなければいかぬと、そのとおりだと思うんです。そのとおりでないとわれわれは安心できないんです。軍が独走するということがどんな結果をもたらすかということをわれわれは過去の歴史において知らないわけじゃない。戦前、統帥権というのは天皇にあったはずです。そして天皇が陸海軍を統帥することになっていたわけです。だから天皇の意向とかかわりなく軍が独走するということはないはずだった。ないはずだったけれども、太平洋戦争は天皇の思いつきで始められたというふうにはわれわれは理解しておりません。やっぱりあれは軍部がああいう計画をして、シナ事変から太平洋戦争へと飛び込んでいったというふうに理解をするのが歴史の正しい理解ではないかと思う。ああいうことになってはいけないと思うから、われわれはシビリアンコントロールというものを確立したいということを特に強調をしているわけでありますけれども、それならば、いま総理のお答えの中にもございましたけれども、近隣諸国に脅威を与えない、こういうことでなきゃいかぬと、こういうふうに言われました。そうすると、近隣諸国を仮想敵国としてわれわれが防衛計画を練り演習を行うということはやはり穏やかならざることになるんではないかと思われるのでありますけれども、仮想敵国といったようなものは想定していないんだというふうに理解をしてよろしいのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#31
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、国際情勢というものは冷静に客観的に分析する必要があると、こう心得ておりますが、それと、敵意を特って近隣諸国に対応するとか仮想敵国を想定するとかいうようなことはあってはならないし、そういうことは毛頭考えておりません。
#32
○瀬谷英行君 それならば、アメリカから防衛費の増額を要請されてそれに簡単にこたえるというようなことは独立国としてはやるべきではないと私は思うんです。これは一国民の常識として。ところが、果たして一体これから先どういうことになるのか。大統領はレーガンにかわりました。レーガンにかわることによって一体日本に対する防衛予算の要請というものはどうなるのかということが懸念をされているという意味の新聞記事も見ましたけれども、日本政府としても、新しい大統領がまだどんな構想を持っているかよくわからないとは思いますけれども、大統領がだれになろうが、日本はやっぱり独立国なんですから、独立国は独立国としてみずから予算を決めるというのはたてまえなんだし、他国からとやかく言われる筋合いのものではないというふうに考えるのでありますけれども、大統領選挙の結果と防衛費の増額の問題等についての総理の所見をお伺いしたいと思います。
#33
○国務大臣(鈴木善幸君) レーガンさんが大統領に御当選になりましたが、明春一月二十日レーガン政権は正式に発足するわけでございます。私どもは、まだ発足もしておりませんし、また重要な閣僚等スタッフも決まっていないということで、レーガン政権の今後とられるであろう内外政策ということをいまあれこれ予想するということは差し控えた方がいいのではないか、このように考えております。
 しかしながら、わが国は日米安全保障条約ということをわが国の防衛の基盤にいたしておりますことは御承知のところでございます。したがいまして、限られたところの外部からの侵略に対しては独力で対処するようにしなければならぬわけでありますが、それを超えたところの大きな侵略に対しては、条約に基づきましてアメリカの救援を求めなければいけない。そういう立場にありますところのアメリカがカーター政権からレーガン政権にかわろうとかわるまいと、私は、日本の防衛努力というものに対してアメリカが関心を持つことは自然のことである、こう思っております。
 しかしながら、日本がどういう防衛努力を今後やるかということにつきましては、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、われわれは平和憲法を堅持しておる、また軍事大国にはならない、非核三原則というものを国是としておる、専守防衛に徹する、近隣諸国に対して脅威を与えるようなものであってはいけない、こういう基本的な枠組みの中で防衛という問題を考えておるわけでございますから、他国から憲法に反するような要求が仮にありましても、それはとうてい応ずるわけにはいかない。私どもは、本来日本の防衛というものは日本国が決める問題である、このように考えておりますから、いま瀬谷さんがおっしゃったような立場、そういうものはあくまで堅持してまいる考えでございます。
#34
○瀬谷英行君 さきにやはり朝鮮民主主義人民共和国――北朝鮮について潜在的脅威という発言があって取り消しがあったという話を私ども聞いておりますけれども、みだりに近隣の諸国に対してこれを潜在的脅威というふうにきめつけることはまことに穏やかではないというふうに思うんです。したがって、果たして潜在的脅威というふうに近隣諸国を具体的に認めるのかどうか、認めるに足るだけの理由があるのか、動向があるのかというようなこともわれわれとしては考えなきゃならぬと思う。もし本当に脅威があるというふうに考えるならば、それに対応する措置ということも必要になってくるだろうと思う。しかし、その脅威というものはないんだということになれば、とりたててそれに対応するという措置も必要がなくなってくるわけです。
 そこで具体的に御質問申し上げたいと思うのですけれども、十日の衆議院の安全保障特別委員会でも、その潜在的脅威については総理の方は特にそういうことはお認めになっていないように聞いておりますけれども、その点一体どういうものかお伺いしたいと思うんです。
#35
○国務大臣(鈴木善幸君) 朝鮮半島の平和と安全の問題はアジアの平和と安全に大きな影響を持つ問題でございますから、朝鮮半島における政治あるいは軍事的、いろいろな情勢のことにつきましては、われわれも常に関心を寄せておるところでございます。
 しかし、私は、朝鮮半島におきましては南北が話し合いによってこれが統一の方向に向かうことが望ましい、また、わが国としてもそういう環境条件をつくることにできるだけの協力をしていかなければならない、このように考えております。軍事的に何個師団ふえたとか、そういうような現象でもってこの問題を云々するということは適当でない、このように考えておりますし、また、わが国としては北朝鮮――朝鮮民主主義人民共和国との間には国交はございません。正常化されておりませんが、しかし貿易の面でありますとか、あるいは文化の交流の面でありますとか、あるいは人事的交流であるとか、こういう問題をケース・バイ・ケースで積み重ねながら朝鮮半島の平和にも寄与していきたい、このように考えておるわけでございます。したがいまして、私は、北朝鮮の最近の軍事動向というものがわが国にとって潜在的脅威であるとか、そういうようなぐあいには考えていないわけでございます。
#36
○瀬谷英行君 私は北朝鮮だけ聞いたわけじゃないんですけれども、先ほどの御答弁の中にも、差し迫った状態にはないという意味の御答弁がございましたから、そのことは朝鮮だけではなくて、朝鮮を差し引きますと、あと残るのはソビエトになるんですよ。イラン、イラクというわけにはいかないと思うんです。近隣ではソビエトしかないでしょう。ソビエトについて、やはり差し迫った状態にない、あるいは具体的に言うと、潜在的脅威というふうには認識していないというふうに理解をされておるのかどうか、その点もお伺いしたいと思う。
#37
○国務大臣(鈴木善幸君) この軍事情勢なり防衛の問題を考えます場合には、冷静かつ客観的に諸情勢を検討分析する必要があると思います。近年におけるソ連の引き続いての軍事力の増強、極東に対しても、御承知のように、「ミンスク」であるとかバックファイアであるとか、あるいはSS20であるとか、いろいろな軍備の増強等もなされておりますし、北方四島に対する軍事施設も構築をされておる、これは客観的な事実である、こう私は思います。しかし、それが日本に対して侵略の意図を内包しておるとは私は見ておりませんし、われわれはそういう客観的な情勢を見かつ分析をしておりましても、ソ連との間に敵意を持って、あるいは仮想敵国と想定しておる、そういうことは毛頭考えておりません。あくまでアジアの平和と安全のために、近隣のこの超大国であるソ連との間にはできるだけ本当の真の相互理解に基づく友好関係の発展をこいねがっていきたい、そういう方向に努力をしていきたい、こう思っております。
#38
○瀬谷英行君 総理の発言はきわめて穏やかな言い方でもって、問題として追及するようなことはちっともないんですよ。だけれども、じゃ防衛庁長官のあいさつはどうかというと、そういうふうな穏やかなことを言っておられないんです。この間防衛庁長官の発言がありましたけれども、具体的に言いますと、ベトナムの海空軍基地をソビエトが使っておるとか、あるいはそうなるとインド洋へのソ連艦隊の脅威が出てくるとか、有事におけるわが国海上交通路の安全に影響を及ぼす可能性があるとか、「極東ソ連軍の増強と行動の活発化はわが国の安全に対する潜在的脅威の増大と受けとめざるを得ないものであります。」こう書いてあるんです。
 さらに、防衛白書と言われる「日本の防衛」、これを開いてみますと、仮想敵国はないというふうに言いながら、もうことごとくソビエト軍が仮想敵国になっているんです、だれが読んだって。「ミンスク」の写真もあります。さらに津軽海峡をソビエトの貨物船が通っている写真まで、これも脅威の一つの証拠みたいに載っているんですね。「ミンスク」なんていうのは、アメリカの「ミッドウェー」クラスの航空母艦に比べれば半分しかない。これは航空母艦というよりも、むしろヘリコプター搭載巡洋艦といった方がいいんじゃないかと思うんです。こんなものの一隻が防衛力の増強の証拠になるのかどうか、私ははなはだ疑問に思うんでありますけれども、このような防衛白書の動向と総理の発言との間には食い違いがあるような気がするんですね。これは明らかにもう意識的に、もっとも防衛予算が欲しくて特にその脅威を誇張したいのかもしれませんけれども、そういう意図があってのことというふうに理解をしてもいいのかもしれないけれども、総理の真意というものがいまお話にあるようだったならば、少なくとも防衛庁がこの白書の中でこのように明らかにソビエトを仮想敵国視するような、こういう教育というものは相当考えなきゃならないんじゃないかという気がいたしますけれども、その点は総理としてどのようにお考えになりますか。
#39
○国務大臣(大村襄治君) 瀬谷先生から私の委員会におけるあいさつ並びに本年の防衛白書の記載の仕方についていろいろ御指摘があったわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど総理大臣のお述べになりました客観的事実をできるだけ公正な資料に基づいて記載したつもりでございます。また、これに対応する米側の努力の事実につきましても相当なページ数を割いているという点もごらんおき願えればおわかりいただけるのではなかろうかと思うわけでございます。
 しかしながら、防衛問題はひとり軍事的な面だけではございません。「国防の基本方針」におきましても、平和のための外交努力、民生安定、そしてみずからの手によるみずからの防衛、最後に日米安保条約の堅持、四項目が指摘されているわけでございますので、総理大臣がお述べになりました基本的な考えに従いまして私どもは今後臨んでまいりたいと考えておる次第でございます。
#40
○瀬谷英行君 まあ防衛庁長官の発言には大変に弁明的な発言が多いので、具体的に追及しようと思えば材料はたくさんあるんですけれども、きょうは総理に対する質問ですし、総理の発言で結構であります。時間の関係もございますからきょうのところはこれで私の質問を終わります。
#41
○中野明君 総理にお尋ねをしますが、最初に、先ほど来、原次官の発言が問題になっております。この防衛論議に関しましては、政府の統一見解、こういうような考え方を越えて、どうも事務当局あるいは官僚といいますか、その方面からそれを越えるような発言が出て非常に私ども心配をするわけですが、この原次官の発言にしましても、これは何か質問を受けたから答弁をされたというのじゃなしに、当初から意図的に講演をなさっている。そういうことがマスコミにも非常に敏感に報じられたのではないかというふうに私どもは受けとらざるを得ぬわけですが、こういう点について、総理はなぜこの時期にそういう発言があったというふうに御認識をされているんですか。
#42
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど瀬谷さんにもお答えを私からも申し上げましたし、また大村長官からも申し上げたようなことでございまして、御心配になるような内容のものとは私は受けとめておりません。
#43
○中野明君 総理はたびたびそうおっしゃっているわけですが、しかし、この時期にわざとそういう発言を次官がする、こういうところにいろいろ物議を醸す理由があるわけでして、その点は明確に、先ほど瀬谷委員からも御指摘がありましたように、誤解を与えるような発言は慎むようにやはり注意をされる必要があるのじゃないだろうか、このように私は思います。
 それで、「防御計画の大綱」については見直す考えはないということを申されております。ところが、先日の当委員会に参考人としておいでをいただきました元統幕議長さんも、自分の所見としておっしゃっておりましたが、この「防衛計画のの大綱」を見直す時期はもう失したぐらいだ、当然見直さなきゃならぬということを確信を持って意見を述べられました。恐らくユニホームの皆さん方は同じような考え方をお持ちになっているのじゃないだろうかと私は想像するわけなんですが、総理はその認識――制服の皆さんが、いま私が申し上げたように、もう「防衛計画の大綱」は見直す時期を失したぐらい遅いんだ、こういう考え方を持っておられると私は感じるわけなんですが、総理はどういうふうに受けとめておられますか。
#44
○国務大臣(鈴木善幸君) 専門家の間にいろいろ.御意見があることも承知をいたしております。また、それを私どもがどうこう言うわけにもまいりませんが、しかし、中野さんも御承知のように、まだ防衛計画の水準にわが国の防衛努力というものが到達いたしておりません。五六中業をこれから防衛庁はつくるわけでございますけれども、それにしても「防衛計画の大綱」をその五六中業で達成できるかどうか、これも疑問なような状況下にございます。
 そして、一方におきましてわが国の財政事情、本当に私はいま五十六年度の財政再建ということに苦心惨たんをしておるわけでありますが、そういう中で、制服のOBの方がおっしゃったようなことは、なかなか望むべくもないという厳しい財政状況でございます。また国民的なコンセンサスを得ながら防衛努力というものは進めていかなければいけない、こういうことを総合的に判断をいたしまして、私はいま「防衛計画の大綱」を変えるという考えは毛頭持っておりません。
#45
○中野明君 私が申し上げたいのは、やはり現場におられる方々がどういう意見を持っているかということを正しく把握していただく、これは大事なことだと思うんです。ただ、現場の人の言うとおりするかしないかは、これは先ほど来問題になっておりますように、だからシビリアンコントロールが必要だ、こういうことでありまして、現場の人がどう考えておろうとおれは知らぬのだということでは困るものですから、あえて申し上げておるわけであります。
 そうしますと、大綱の変更はないということになりますと、今度は予算の面でということになって、先ほど来一%云々ということが大きな論議になってきておるわけですが、これも重ねてお尋ねをしますが、ちょっと私どもも心配をするのは、ことしも別枠で概算要求が出て、恐らくそのとおりになる可能性が強いと見なければならぬのですが、そのようにしてまいりますと、後年度へ後年度へとやはり負担が重なっていって、来年あたり、また再来年あたりGNPの一%を超えるんじゃないだろうか、そういう懸念すら出てくるんですが、この点はいかがでございましょうか。
#46
○国務大臣(鈴木善幸君) 五十六年度の予算編成の過程の中で、いろいろな債務負担行為でありますとか、あるいは恩給であるとか社会保障費であるとかいう面の当然増であるとかというようなことから、必ずしも七・五%伸びというぐあいに一律にはいかない面がございます。しかし、私は、五十六年度予算編成に当たりましては、社会保障であろうと防衛費であろうと、聖域を設ける考えはございません。それほど私は厳しい状況の中で財政再建をやらなければならない、こう考えておるわけでございます。
 さて、そういうような方針のもとにこの防衛予算にも取り組んでまいります。財政再建は五十六年度一年でできるものではない、相当私は努力を積み重ねていく必要があると考えておりますので、国民の皆さんにもがまんを願い、御不自由をかけるような面もあるわけでございますから、そういうようなことを考えますと、全体としてやはり国民の皆さんからも納得できる予算でなければならない、こう考えますので、中野さんが御心配になるようなことはいたしませんから、どうか御理解を願いたいと思います。
#47
○中野明君 では問題を変えて御質問しますが、現在の憲法下においても一般論から言って核兵器というものは持てるんだという核兵器の保有の可能性を残した御判断が出ているようなんですが、そういうことが出てくると、マスコミも報じておりますように、日本が将来核武装をするのじゃないか、こういうような拡大した解釈といいますか、一番核を持ちたがっている国の一つだと、こういうようなことでアメリカの研究所が報告書を出しているというような報道もなされているわけなんですが、こういう点、恐らく総理自身は核兵器を持つというようなお考えは毛頭ないと、このように私は理解をしておりますが、しかし、そういう解釈が出てくるということで、やはりまた世界じゅうの人たちによけいな憶測と誤解というものを生んでいるのじゃないだろうか、こういう気がするんですが、その点総理の見解をお聞きしたいのです。
#48
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、こういう問題を論議する場合に、法制上の問題と政策上の問題、判断を明確にしておく必要がある、こう思います。わが国の憲法においては自衛のための実力を持つことは許されておる、外部からの侵略に対して必要最小限度の自衛力を持つ、こういうことは国民の今日もうコンセンサスに私はなっておる、こう思います。
 そういう中で必要最小限度の実力、防衛力という中には核兵器というものを禁止するというようなことは含まれておらないわけでございます。しかしながら、政策といたしましてわが国は非核三原則を堅持しておる。それから原子力基本法というものも国会の御決定によりまして持っております。核兵器不拡散の条約にも加盟をしておる。こういうようなことでございまして、われわれは政策として今後もいかなる核兵器も持つ考えは持っておりません。
#49
○中野明君 それでは、軍事大国ということについてお尋ねしますが、当委員会でも先日も議論があったようでございますが、総理がみずから何回か御発言にもなっておりますし、前の福田総理もそういう発言を外国に行ってなさったことも承知しております。この軍事大国というのは、一体どういう基準で、どういう国のことを軍事大国と、このように総理はお考えになっているんですか。
#50
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の憲法におきまして、自衛のための必要最小限度の実力を持つ、防衛力を持つということを憲法上許されておるわけでありますが、その必要最小限度の実力、防衛力、これを超えるもの、私は、これが軍事大国への道である、このように考えておるわけでございます。よその国のことをあれこれ私は申し上げませんが、わが国としては、あくまでこの必要最小限度の防衛力、これを持って、そして限定的な侵略に対しては実力でもって、独力でもってこれを排除できる、それを超える侵略に対しては日米安保体制でこれを補完する、こういう基本的な防衛政策を持っておるわけでございますから、その立場を堅持していきたい、こう思っております。
#51
○中野明君 この必要最小限度というところで問題になるわけなんですが、そうしますと、先ほど来申しておられるように、「防衛計画の大綱」、あれが必要最小限度と、このように理解してよろしいですか。
#52
○国務大臣(鈴木善幸君) 私どもは、現在防衛力の整備に当たりましては、この「防衛計画の大綱」というものを目標といたしまして努力をしておるわけでございます。それから先のことはいま全然考えておりません。
#53
○中野明君 いや、総理が必要最小限度と、このようにおっしゃっておるものですから、必要最小限度ということをどこかで決めないと軍事大国になる歯どめをかけることができぬじゃないだろうか、このように私ども心配するわけです。ですから、現時点ではこれが必要最小限度なんだということがやはり示されてなければ、最初にお話しになったその軍事大国ということが判断のしょうがなくなってくるわけなんですが、もう一度その辺。
#54
○国務大臣(鈴木善幸君) それを兵器の数だとか飛行機の数量だとか、そういうような数字でもってどうと言うことはなかなかむずかしい問題だろう、こう思います。
   〔委員長退席、理事堀江正夫君着席〕
しかし、先ほど来、私は、わが国の防衛に対する基本的な方針として、平和憲法の枠内でなければいけない、それから非核三原則を堅持しておる、専守防衛に徹する、近隣諸国に脅威を与えるようなものであってはいけない、シビリアンコントロール、これはもう厳重なシビリアンコントロールという規制の中で防衛というものは進められる、これだけの枠というものががっちりはまっておる以上は、中野さんが御心配になるように、飛行機が何機ふえたからそれは軍事大国への道であるとか、そういうものではない、こう思っております。
#55
○中野明君 軍事大国にならないということをたびたび言明になっているものですから、それで私、必要最小限度とこのようにおっしゃる以上どこかに線を引いてなければ歯どめのかけようがないんじゃないだろうか、こう思うものですからお尋ねをしておるわけです。
 時間がありませんので、最後に沖繩の問題でちょっとお尋ねをしたいんですが、十月二十九日に沖繩のキャンプ・ハンセンの中部訓練場で演習に端を発して火災が起こっております。まる四日間燃え続けて、あの地方は沖繩にとっては一番関心の高い水源地の涵養林、あるいはまた民有林も巻き込んだようでございますが、この点について、防衛庁――施設庁ですか、簡単に状況を報告していただきたいのです。
#56
○政府委員(渡邊伊助君) 先生御質問のキャンプ・ハンセンにおける山火事の問題でございますが、簡単に概要を申し上げますと、昭和五十五年十月二十九日の十六時三十分ごろ出火をいたしまして、十一月一日十六時二十分ごろ鎮火をいたしました。この原因は、十月の二十九日、キャンプ・ハンセンにおきます対戦車砲の射撃あるいは機関銃の射撃によるものというふうに思われます。
 火災は当初着弾区域から発生をいたしまして、不発弾等がございますので若干監視を続けておりましたが、火が着弾区域外に広がる勢いになりましたので、米軍のヘリコプターが出まして空から水を散布して消火に当たりました。また、地上では兵員約六十名が放水器、シャベル等を使用して消火活動を行い、かつ、施設区域の周辺地域に広がらないように消防車を待機させておりました。その間、私どもといたしましては、現地あるいは中央におきまして米軍にそれぞれ消火活動に万全を期するように申し入れをいたしたわけでございます。十月三十一日夜になっても鎮火の様子が見られませんで、沖繩県知事からの要請もございまして、施設区域外への延焼を防止するために自衛隊のヘリを出動いたしまして消火剤の散布をいたしました。日米共同して消火をいたしました結果、先ほど申しましたように、十一月一日の十六時二十分ごろ鎮火をいたしたという経過をたどっております。
#57
○中野明君 総理、いまお聞きのとおりでございますが、沖繩県におきまして米軍の基地、また米軍による事故が非常に多いんです。
   〔理事堀江正夫君退席、委員長着席〕
特に最近、いま御報告がありましたとおり、しかも消火に手間取ったというのも、何か不発弾が演習中ですからごろごろしている、そういうことでなかなか危険も伴って消火に手間取ったということもあるようです。
 沖繩は、総理も御承知かと思いますが、基地の中に沖繩があると言われておるほど非常に基地が多いわけです。そのために地域の住民が大変不自由を感ずるとともに迷惑もこうむっておるわけです。先ほど総理がおっしゃっておりましたように、民主主義と基本的人権、これが守られるようなりっぱな国になるためにという御意見もありましたが、その基本的人権すら脅かされているような事態も間々出てくるわけですが、いままでに起こった事故を見てみましても、航空機が墜落したとか、ああいうような事故がもう四十四件ですか、先日も民間の那覇空港へ不時着してきて一時滑走路が閉鎖されたとか、あるいは爆弾の落下の事故が十八件とか、その他油をたれ流しにして汚染をしたというのが四十七件とか、いろいろ合わせますと百六十五件の事故が発生しておるわけです。
 こういう点について、きょうは総理がせっかく安保の特別委員会へお出ましになったわけですから、この沖繩の基地、これが事故が後を絶たない、事故のたびに申し入れをされているやに聞いておりますけれども、非常に迫力がないというのか、私の想像では、何かしら、事故が沖繩に集中しているということ、それは基地の数の関係もありましょうけれども、米軍が占領しておった当時、その考えがいまだにずうっと尾を引いているのじゃないだろうか、そういうところからやはり事故が発生しているのじゃないかという心配すらするわけなんです。今後こういう点について、総理として、やはり地域の住民の皆さん方の不信というものが、いざといったときにはこれは大変な影響力も持ってまいります。そういう点について、総理として、今回の事故をまず契機にして、どういうふうにこれから、米軍にも基地を提供していることはしているわけなんですが、事故を防ぐために、あるいは事故に遭われた方々に対して納得のいくような処置もしていただかなきゃなりませんが、御所見をお聞かせください。
#58
○国務大臣(鈴木善幸君) 米軍による事故がしばしば起こっておるわけでございます。特に沖繩県におきましてはその事故が今日まで相当件数発生をいたしております。まことに遺憾なことでございます。私は政府の各機関を督励いたしまして、沖繩県民の皆さんが納得がいけるような補償の措置も講じさせておりますし、また今後再発防止につきましても十二分に配慮して事故の再発を起こさないように米軍当局に要求もいたしておるところでございます。
 米軍に提供したところの基地、施設の円滑な運用ということにつきましても、何といっても地元の地域住民の理解と協力がなければそれができないことでございますから、米軍当局におきましても沖繩県民が納得するような措置を講じてもらいたい、こういう趣旨で強く申し入れをしておる、こういうことでございます。
#59
○中野明君 沖繩は、総理も御承知のように、大東亜戦争で日本ではただ一ヵ所戦場になった場所です。それだけに沖繩の県民の皆さん方の軍隊に対する不信というものも根強く私ども感じるわけです。そういうことをいろいろ考えますと、いま総理の御答弁がございましたので、これ以上答弁を要求いたしませんが、万全の措置をとって住民の人たちが理解と納得ができるように最大限努力をしていただかないと相ならない、こういう考えでおります。今後ともの御努力をお願い申し上げたいと思います。
 終わります。
#60
○立木洋君 総理、日米安保セミナーの問題に関連してちょっとお尋ねしたいんですが、ことしの八月に行われました安保セミナー、これは国会でも問題になりましたから総理も御承知だろうと思うんです。ところが、来年の三月にワシントンで第二回の安保セミナーが予定されているわけであります。これに関連して、御承知のあのウィリアム・ミッデンドーフという元海軍長官から自民党の安全保障調査会の方に提案が来ておるということが新聞で報道されております。この元海軍長官というのは、ニクソン、フォード時代の海軍長官をされた人で、御承知のように、今日のレーガン、当選された大統領になる人物の防衛、外交、経済等々の政策のメンバーの一人だと、側近の一人だというふうに言われている人です。
 この提案の内容を見てみますと、これは十項目からにわたっているようでありますけれども、日米安保条約の改定の問題を議題としたい、さらには憲法の改正にかかわる問題にも言及するような内容をも含めた議論をしたいという重要な問題提起があるわけです。それからさらには、ただ単なる民間での意見交換ではなくして、両政府の当局者をも交えた討論を行いたい、こういう提案をしてきているわけですが、私はきわめて重要な点ではないかと思うんです。これは自民党の総裁でもあられる総理の方から、これに対してどのようなお考えを持っておられるのか、またどのように対処をなさるおつもりか、それをお伺いしたい。
#61
○国務大臣(鈴木善幸君) いま立木さんがお話しになったようなこと、こういうことを私も耳にいたしております。
 しかし、どういうメンバーでどういう内容の研究討論をやろうとするのか、そういうことはまだつまびらかにいたしておりません。しかし、いま立木さんが御指摘になりましたように、わが国の憲法の改正というようなことにかかわるような問題であるとすれば、これは私は大変迷惑な話だと、こう思っております。日本国は日本国民がこの憲法等についてどうするかということは国民的なコンセンサスを得て初めてなされるものでありまして、他からあれこれ注文をつけられたりする筋合いのものでは毛頭ございません。私は、鈴木内閣においては現行憲法は堅持する、これを改定をするというようなことは毛頭考えていないということをしばしばこの国会を通じまして内外に明らかにいたしておるところでございます。と同時に、憲法改正というような問題は慎重の上にも慎重にしなければならない。いま国民の間に憲法をかくかく改正すべしというコンセンサスができておるとは私は認めていない。そういう中で憲法問題を提起するというような、発議するというようなことは、これはやるべきでない、このようなことも申し上げておるようなことでございます。私は、一部の方々がどこでそういう憲法問題に対する論議をいたしましても、政府の方針にはいささかの影響も変更もございませんから御安心をいただきたいと思います。
#62
○立木洋君 アメリカの方も、そういう提案をしてきている限りにおいては、鈴木総理の方から、そういうお考えですから、ああ、さようですかといって私は簡単に引っ込めないだろうと思うんです。いろいろ繰り返しそういう要請がなされてくる。憲法改正の問題についてそういう議論がなされることは迷惑だという趣旨のことを言われましたが、日米安保条約の改定の問題については、いまの御答弁の中でお触れにならなかった。だから、その問題もあわせて、今後引き続いてアメリカからそういう要請が来た場合には、やはりそういうことは迷惑である、われわれとしては、内閣としてはそういう立場をとっていないんだという立場を堅持なさるおつもりかどうか、重ねてお伺いします。
#63
○国務大臣(鈴木善幸君) 日米安全保障条約の改定ということをいま立木さんからお話がございましたが、いま私は日米安保条約を改正する考えを持っておりません。しかも、立木さんがいま言っておられることは、憲法を改正しなければできないような内容を含んでおるように、私御質問の真意がそこにあるように受け取ったのでありますが、そういうようなことも含めまして私は日米安保条約を改正する考えは持っておりません。
#64
○立木洋君 先ほど来議論になりましたように、総理はいままでたびたび日米安保条約は改定しないということをおっしゃいました。また憲法に関しても改正する考えは持っていないということもお述べになった。あるいは軍事大国にはならない等々のことが常に繰り返しお話があるわけですね。そして、私はこういう立場を堅持するのだから御安心いただきたいということを私も何回も聞きました。
 ところが、いまの実際の状況を見てみますと、先ほどの原事務次官のお話じゃありませんけれども、周りはどうかというんです。第一にアメリカの側から出されてくる内容というのは大変なものですよ。あのアメリカの駐日大使、御承知のように、日本における軍備の増強の問題、あるいは米軍との共同作戦を実施する上で何が障害になっておるか、憲法の第九条だとはっきり言っているんです。日本国民の中にある反軍国的な感情である、あるいは非核三原則である、武器輸出三原則である、こういうものが障害になっている、はっきり言っているんですね。そうして軍備を増強するようにという形に再々アメリカ側からも出されてきているわけです。それだけではないんです、問題は。アメリカ側からそういう問題が出されてきているだけではなくして、外務省の中でも先般問題になった丹波メモというメモがあります。これは御承知のように、日米安保条約のいわゆる改定を示唆するかのような内容になっている。これはそういうものではございませんと言った外務大臣の発言は、私は衆議院の議事録で読んでおりますけれども、しかし読んでみると示唆している内容になっている。さらには先ほど来の原事務次官の問題についても長々と御説明しなければならないような状況です、一%以上できる可能性があるかのような問題。
 総理は、やらない、やらない、こういう立場は堅持しますと言われますけれども、実際には周りで起こっておる事態というのについては、私は冷厳な事実として総理にお考えいただきたいと思うんです。ある新聞なんかによりますと、こういうふうなことを総理が言っておりながら周りはそうなっていないのは、総理の統制力、指導力がないからではないかというふうに新聞に書いてあるのもありますよ。私はさようとは思わないんです。そうではなくて、総理はそうおっしゃりながら、実際にはそういう憲法改正やあるいは軍備の増強、日米安保条約の改定等々の世論づくりをするかのような事態が実際には進行しているのではないかということを大変私は危惧しているわけです。
 ですから、最後の質問ですが、総理が日米安保条約を改定しない、憲法改正しない、そうして同時に軍事大国にはならないし、そういうふうなことをやらないと言われるならば、これをどのように具体的に今後実際の中でお示しになるのか。また、そういうことを近く繰り返しアメリカから言ってこられる前に、鈴木内閣の姿勢としてはかくかくしかじかであるということを明確にアメリカの方にお述べになるおつもりがおありになるかどうか、そのことを最後に総理にお尊ねして私の質問を終わります。
#65
○国務大臣(鈴木善幸君) マンスフィールド駐日大使のことにつきましては、伊東外務大臣がしばしば大使にはお目にかかっておりますから、私よりも大使の真意を承知しておると思いますので、外務大臣から後ほど答弁をお願いをしたい、こう思っております。
 先ほど来、憲法の問題、日米安保条約の問題、こういう問題につきまして私の考え方は明確にいたしております。国会を通じて申し上げておるのでありますから、これは国民の皆さんもよく承知をされておると思います。また、こういう情報社会でございますから、アメリカ当局、政府当局においても、日本の総理がどういう考えを持っているかということはよく承知しているものと私は心得ておるわけでございます。総理はそう言うけれども、周りがあれこれ言っているのだということでございますが、それぞれの御意見があろうかと思いますけれども、そういう周囲の意見のとおりになった場合に鈴木総理には指導力がなかったと、こうおっしゃっていただいて結構ですが、そういうことはございませんから御心配なく。
#66
○国務大臣(伊東正義君) マンスフィールドさんの名前が出まして、立木先生からいろいろ憲法改正の問題とか話が出ましたが、丹波君の名前が出たりしたのでございますが、私は何回もマンスフィールドさんに会いますけれども、一回も憲法改正なんという話は出たことはございません。アメリカへ行ってブラウン長官に会ったときにも、日本の憲法を改正してとか安保条約を改定してという話は一回も出たことはございませんから、どうぞ先生方も誤解のないようにしていただきたいと思うわけでございます。
#67
○柳澤錬造君 鈴木総理にお聞きをしてまいりますが、私は余りむずかしいことを聞きませんので、率直にお答えをいただきたいと思うんです。
 第一は、アジアの安全保障について総理はどうお考えになっていますか。もうインドシナがどうなっているかは、これはおわかりのとおり。それから、すぐお隣の朝鮮半島も必ずしも平和ではないわけであります。まあ、日本の国はアジアの中にあるんですから、そういう点から考えましてアジアの安全保障ということは大変重要な問題を含んでいますので、総理がその辺をどうお考えか、まずその御見解をお聞きしたいんです。
#68
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように、インドシナ半島にもいろいろむずかしい問題があるわけでございます。ベトナムの問題、インドシナの難民の問題、さらに朝鮮半島もいまだ南北統一に至っていない、いろいろ問題がございます。また、米中ソ、この三大国の複雑な動き、そういうものもございましょう。アジアの情勢は必ずしも平たんではないということを御指摘のように私も受けとめております。しかし、日本はそのアジアにおいて重要な立場をとっておる国でございます。アジアの平和と安定こそ日本の安全と独立にかかわる問題でございますので、私どもは全力を挙げてこのアジアの平和と安定確保のためにあらゆる努力を続けてまいる、こういう考えでございます。
#69
○柳澤錬造君 いまの中身の方が本当を言えばもうちょっと聞きたかったんです。
 次に、総理が東南アジアを御訪問されるということをお聞きしたのですけれども、まずその点については私は総理に敬意を表したいと思うんです。従来どうも日本の総理大臣というのは、総理になるとまず飛んで行くのがアメリカの大統領のところ。あのころから私は、総理になったら少なくてもアジアの国を回って、それでアジアの国々の首脳が何を考えているかというものをつかんで、それからアメリカの大統領にお会いになったらいいじゃないか、それが少なくても日本の国の総理としての役割りではないかということをよく考えたり言ってきたんですが、そういう点で今度は鈴木総理が総理になられて、まず最初に東南アジアをお回りになられるということは非常にいいことだと思うので、私は敬意を表したいと思うんです。
 そこで、いまアジアの安全保障ということが日本にとっても大事だと言われるわけですから、アジア全体の安全保障のためにもいろいろその役割りを果たされると思うんですが、行かれるについてどういうお考えで訪問なさるか、その辺のお考えをお聞きしたい。
#70
○国務大臣(鈴木善幸君) 鈴木内閣が発足をいたしましてから、御指摘のように、まず隣組であるところの東南アジア、ASEAN諸国との友好親善関係、緊密な関係を確かなものにしておく必要がある、こういうような考え方で早速伊東外務大臣が関係各国を歴訪いたしました。また、田中通産大臣もそれぞれの国を訪問したわけでございます。私も一月、ASEAN五ヵ国を訪問いたしまして、それらの国の首脳とひざを突き合わせて会談をし、相互の理解を一層深めたい、また日本も今日まで経済協力なり技術援助なり長年にわたって努力をしてまいりましたが、それらのASEANの国々がどのように発展をし、どういう状況にあるのか、実情も目の当たりに見てきたい、また、それぞれの国の国民のわが国に対する考え方というようなこともはだでもって感じ取ってきたい、こういうことが今後のわが国のアジア政策、アジアの中で日本がどういう役割りを果たし得るのか、果たしていかなければならないかという外交の指針にもなろうかと、こう考えておりますので、そういう心組みでまいりたい、こう思っております。
#71
○柳澤錬造君 次にお聞きをしてまいりたいのは、日本の安全保障にとって大事な国はやはりアメリカだと思うのです。日米関係をどういうふうにして維持をしていくのか、特に日米安保条約を結んでいる相手の国なんですから。そういう点に立ちまして、総理も一度はアメリカの大統領のところへも行かれると思うのです、日米会談に。アメリカの大統領が今度はレーガンさんになりまして、西ドイツのシュミットさんはもう年内にすぐ飛んでいくというんですね、正式に大統領になる前に。そしてレーガンと十分に話をすると言っているんだけれども、そういう点に立ちましたときに、鈴木総理はアメリカの新しい大統領といつ会談をなさるお考えがあるか、その点をお聞きしたいのです。
#72
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほどもお答えを申し上げたと思いますが、来春一月二十日から正式にレーガン政権が発足するわけでございますから、レーガン政権が発足をいたしましてから、政府間のいろいろの話し合いを通じまして、相互の都合のいい時期を選んで私も訪米をしたい、このように考えておりますが、いま具体的にいつごろということも考えておりませんし、また向こうの御都合も伺っていないという状況でございます。今後外務大臣もアメリカを訪問するという予定もございますので、いろいろな接触を通じましてだんだん固めていきたい、こう思っております。
#73
○秦豊君 総理、何分十分間ですから、アンダンテじゃなくてアレグロぐらいで御協力を願いたいと思うんです。
 最初に、例の総理構想の総合安全保障構想、その前段とも言うべき関係閣僚会議、これはそろそろ、臨時国会は何日延長かわからぬが、臨時国会が終わる、来月から予算編成は今度はピークを迎える。その前あたり、たとえば十二月初旬から中旬にかけて開催をされて昨今の防衛論議を束ねる、総理らしいガバナビリティを発揮される場にぜひしていただきたいと思うんですけれども、どうでしょう。
#74
○国務大臣(鈴木善幸君) そのように考えておりまして、十一月上旬ころ何とかそれを早目に開催をしたい、そして、総合安全保障政策をそういう視点に立ちましていろいろな政策を整合性を持って進めるようにしたいものだ、こう考えております。
#75
○秦豊君 議題は、まだ煮詰まっておりませんか。
#76
○国務大臣(鈴木善幸君) これは外交、それから経済協力、技術援助、さらに資源・エネルギー、食糧の問題、いろいろな問題がございます。それらの政策を総合安全保障という視点に立って整合性を持って進める、そういう考えでございます。
#77
○秦豊君 いま伊東外相が横に座っていらっしゃいます。外務省は例のベトナムに対する援助、有償百億円、無償四十億円、これは五十四年度実施の当初予定をベトナム軍によるカンボジア侵攻を理由として凍結中であります。私はこの方針は正しい方針だと思っている。ところが、日越友好議員連盟というのは御高承だと思いますが、櫻内自民党幹事長が会長です。その友好議員連盟を中心にして凍結解除の働きかけが早くも始まりつつあるという感触を私は持っていて懸念をしております。凍結は解除すべきではない、撤兵が前提だという私見ですが、総理はどう考えていらっしゃいますか。
#78
○国務大臣(鈴木善幸君) 凍結した原因がまだ変わっておりません。状況が変わっていない、このように見ておりますから、私はこの問題は慎重に対処していく考えでございます。
#79
○秦豊君 凍結を維持されると受けとめてよろしいですね。
#80
○国務大臣(鈴木善幸君) 状況が大きく改善されない限りは、これは続けていくということでございます。
#81
○秦豊君 では、あくまで撤兵が大前提ですね。
#82
○国務大臣(鈴木善幸君) これはASEANの諸国、関係の国々、友好国等が納得できるような解決が見出されなければいけない、こう思っております。
#83
○秦豊君 去る五十三年、古くて恐縮ですけれども、五十三年三月十六日の当院予算委員会で、当時福田総理ですが、私は日本の国家意思が必ずしも対外的に理解されにくい、それは国としての意思のアナウンスが足りないんだという観点で、その一つとして「たとえば、総理ね、次の国連軍縮総会を東京か広島に招致するというふうな発想はどうでしょうね。」と、福田総理はそれに対して、「それは一つのおもしろい着想でございますね。これは私も十分頭に置きまして、これから国際社会に対処をする際に思い出したい、このように存じます。」、こういう答弁で一応終わっております。
 衆議院の安保特で鈴木総理は、たしか横路君だと思いますが、核軍縮の問題についても並々ならぬ関心と正しい理解を表明されている。大変私は結構だと思う。そういうことの延長線上で非核日本の国家意思を対外的に宣明をされ、鈴木平和外交、伊東平和外交の意思を対外的に宣明される絶好の場として、八二年の国連総会をぜひ広島ないし東京にというかっての秦提案について、これを唐突とかなんとかいうふうな受けとめ方ではなくて、かちっと受けとめた答弁をしていただけませんか。
#84
○国務大臣(鈴木善幸君) この国連の場、これは非常に大事なところだと思います。そして、今回日本は安保理事国にもなったわけでございまして、世界の平和と安全のために国連を権威あるものとしてこれを活用していきたい、このように考えております。特に八二年軍縮特別総会、これを私どもは重視いたしております。先般、伊東外務大臣は国連で軍縮の問題に触れて演説をいたしましたが、この八二年の総会、これを本当に効果の上がるように成果あるものにしたいということで、それに備えていろいろ日本としても準備を進めておるところでございます。特に包括的な核実験の禁止条約の問題でありますとか、あるいは核軍縮の問題でありますとか、そういう問題に日本はやはり一番その提唱するにふさわしい国でございますから、そういう面に努力をしたい。
 ただ、それを招致ということはなかなか――国連もニューヨークにおきまして各国の事務局その他、たくさんの人員を抱えてやっておるわけでございますから、実際問題としては、おもしろい着想ではありますけれども、むずかしいのではないか、こう思います。
#85
○秦豊君 それはいまはこういう答弁しかないでしょうね、総理。無理だと思いますが、しかし名古屋オリンピックの招致よりははるかに二十一世紀につながる高い見識の場だと思いますが、ぜひ御検討を願いたい、聞き捨てにしないでいただきたいと要望しておきます。
 先を急ぎますが、イラン石化の問題はナショナルプロジェクトとして位置づけられておりますし、安全保障、エネルギー、中東石油外交、中東外交全般、広範な広がりがある。いま確かに大きな転換点です。ピンチです。しかも円借款の合計は三百四十二億円に達する。だから、全部いま完全撤退をすれば四千億円の焦げつき、損害というふうな概算もある。情報も乱れ飛んでいるし、停戦になっていないから、いま即断はできないにしても、ナショナルプロジェクトなんだから、いま国民的関心の中で鈴木政権が誤りなき対応をしなければならぬ時期だと、正念場だと私は思うんです。どういう選択を考えられつつあるのか。これがイラン石化についての一つ。
 それから、二階堂さんの総理特使、アメリカ派遣もよろしいけれども、あながち否定はしないけれども、中近東、まさにイラン石化の問題についてこそ特使級の人材を派遣して、この際、日本政府としてナショプロにふさわしいような情報を収集する、現状を把握する、イラン側と接触を深める、そして対策を練る、こうすべき時期ではないかと思いますが、いかがですか、総理。
#86
○国務大臣(鈴木善幸君) イラン石化プロジェクトの問題でございますが、これはイラン側におきましても、なおこれを継続したいという熱意があるということも私ども承知をいたしております。また一方におきまして、爆撃その他戦禍もこうむっておるようでございます。どういう程度の一体被害を受けておるのか、それを継続するにどういう対策が講ぜられなければならないのか、いろいろ検討しなければならない問題もございます。しかし、現時点におきましては、日本政府としては、これはナショナルプロジェクトでございますから、これを継続をしたいという方針には変わりございません。
#87
○秦豊君 特使ないし調査のための派遣は、いかがなりますか。
#88
○国務大臣(鈴木善幸君) それから、伊東外務大臣がヨーロッパへ参りました際に、エジプト等には寄ることになっておりますが、イランに対しましては、いま戦争が継続中である、こういう状況でございますので、その推移を見ながら、特派大使級の者になりますか、あるいはそれに次ぐような事務当局の粒の大きいところになりますかわかりませんが、ぜひ十分な調査もしたい、こう思っております。
#89
○秦豊君 派遣されますね。
#90
○国務大臣(鈴木善幸君) ええ。
#91
○秦豊君 あとわずかに時間が残っているようでありまして、非常に小さな問題のようで、かえって広がりのある問題を一つだけ最後に伺います。
 これは、たとえば元制服組あるいは現制服組を含めて根強い要望ですけれども、日本の防衛体制全体のシステム化、つまり早期警戒体制の充実という観点に立って、独自の偵察衛星の配備と打ち上げということがわりと真剣に考えられているようでありますけれども、総理は、こういう発想自体を過剰だとお考えですか、あるいは許容し得る範囲に入るなというふうにお考えでしょうか。最後にこの具体的な問題を伺って終わりましょう。
#92
○国務大臣(鈴木善幸君) 衛星の打ち上げ、衛星の問題は平和利用ということに日本はなっておるわけでございます。秦さんの御発想は、P3Cのような偵察機等よりはもっと上から見た方が専守防衛という見地からも……
#93
○秦豊君 私じゃないのですよ。
#94
○国務大臣(鈴木善幸君) そうですか。――効果的なのではないかというようなお考えのもとに御質問があるように私推察したのでありますが、わが国におきましてはすべて平和利用ということに限定をしておりますし、政府もそのように考えております。また、これを打ち上げるというようなことにつきまして、技術的あるいは財源の面その他いろいろむずかしい問題もございますので、いまそういうことを政府としては考えておりません。
#95
○秦豊君 終わります。
#96
○委員長(原文兵衛君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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