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#1
第093回国会 エネルギー対策特別委員会 第2号
昭和五十五年十月十五日(水曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月十四日
    辞任         補欠選任
     大森  昭君     吉田 正雄君
 十月十五日
    辞任         補欠選任
     吉田 正雄君     大森  昭君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         安孫子藤吉君
    理 事
                遠藤 政夫君
                亀井 久興君
                小柳  勇君
                中尾 辰義君
                下田 京子君
                井上  計君
    委 員
                大木  浩君
                川原新次郎君
                熊谷太三郎君
                高橋 圭三君
                竹内  潔君
                福岡日出麿君
                前田 勲男君
                三浦 八水君
                大森  昭君
                川村 清一君
                小山 一平君
                吉田 正雄君
                高木健太郎君
                森田 重郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   田中 六助君
   政府委員
       科学技術庁原子
       力安全局次長   後藤  宏君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       通商産業大臣官
       房審議官     柴田 益男君
       通商産業省通商
       政策局次長    真野  温君
       通商産業省貿易
       局長       古田 徳昌君
       通商産業省立地
       公害局長     松村 克之君
       工業技術院長   石坂 誠一君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
       資源エネルギー
       庁次長      豊永 恵哉君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議  児玉 勝臣君
       官
       資源エネルギー
       庁石油部長    志賀  学君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    福川 伸次君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  石井 賢吾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       外務大臣官房人
       事課長      藤井 宏昭君
       外務大臣官房領
       事移住部外務参  大村 喬一君
       事官
       外務省北米局審
       議官       栗山 尚一君
       外務省中近東ア
       フリカ局外務参  堤  功一君
       事官
       外務省経済協力
       局審議官     後藤 利雄君
       通商産業省通商
       政策局経済協力  田口健次郎君
       部長
       労働省労働基準
       局監督課長    岡部 晃三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○エネルギー対策樹立に関する調査
 (エネルギー行政に関する件)
 (最近の中近東情勢に関する件)
 (派遣委員の報告)
 (エネルギー対策樹立に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(安孫子藤吉君) ただいまからエネルギー対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 昨十四日、大森昭君が委員を辞任され、その補欠として吉田正雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(安孫子藤吉君) エネルギー対策樹立に関する調査を議題といたします。
 この際、田中通商産業大臣から発言を求められておりまするのでこれを許します。田中通商産業大臣。
#4
○国務大臣(田中六助君) ごあいさつを一言申し上げます。
 第九十三回国会におけるエネルギー対策特別委員会の御審議に先立ちまして、エネルギー行政に対する私の所信の一端を申し述べます。
 申すまでもなく、エネルギーは、経済、社会の維持・発展のための最も基本的な要素であります。国内エネルギー資源が乏しい反面、世界有数のエネルギー消費国であるわが国にとって、エネルギー問題への適切な対処は、国の最重要政策課題の一つであります。
 今般のイラン・イラク紛争に見られるような不安定な国際情勢等にかんがみますに、石油を初めとするエネルギーの安定供給の確保は、私の当面する最も重要な職務であると認識いたしております。
 当面するイラン・イラク紛争につきましては、この地域からの石油供給に支障が生じつつありますが、私は、内外石油事情、備蓄水準等を勘案の上、国民各位の冷静な対応が得られれば、当面石油の供給について不安はないと存じます。
 すなわち、世界の石油需給を見ますと、紛争前には一日当たり二百万ないし三百万バレルの供給過剰があったと言われております。また、先のOPEC特別総会後、一部産油国においては、減産の動きもあったやに伝えられましたが、紛争発生後は、このような動きも差し控えられ、むしろ一部の産油国は増産の動きを示しているようであります。他方、先進国の備蓄水準も、国際エネルギー機関、IEA加盟国で百四十日分の備蓄があります。さらに、イラン・イラク紛争に伴う輸出量の減少に対しては、同機関加盟各国は、当面備蓄の取り崩し等で対処し、スポットの高値買いを自粛するよう申し合わせを行いました。わが国も、この申し合わせに即して、石油各社に対し所要の指導を行っているところであります。
 国内の石油需給につきましても、昨年来の石油消費節減対策が着々と成果を上げたこともあり、現在までのところ、本年の石油製品の需要は顕著な減少を示しており、四−八月で対前年同期比九〇・三%となっております。備蓄水準も第一次石油危機直前の六十日、イラン政変直前の九十日を大きく上回り、本年八月末現在で、民間備蓄百四日、政府備蓄七日の計百十一日分に達しております。特に、国民生活に密着する灯油在庫については、八月末で約六百八十万キロリットルと、石油供給計画における九月末の水準を大幅に上回っており、現在のところ需給、価格とも安定しております。
 このような状況を踏まえ通商産業省としては、引き続き紛争の動向を注視するとともに、冬場の需要期に向けて、七%石油消費節減の一層の徹底を図る所存であります。
 次に、今後の中・長期的なエネルギー情勢を展望いたしますと、国際石油情勢の根底には、産油国の資源温存政策の強化や政治的不安定性など楽観を許さない要因が存在しております。IEAその他の予測によっても、中・長期的に国際石油需給が逼迫化の方向に向かうことは避けられないものと見られます。
 エネルギー供給の石油依存度及び海外依存度がともに主要先進国中最も高いわが国としましては、このような中・長期の見通しの上に立って、原子力、石炭等の石油代替エネルギーの開発・導入、省エネルギーの推進等の総合エネルギー政策を政府、民間の総力を結集して強力に展開していくことが肝要であると考えられます。
 まず、石油の安定供給を図るためには、供給源の分散化を図ることが不可決であります。このため、通商産業省としては、産油国との人的交流、経済協力を通じ、中東産油国のみならず、アジア及び中南米諸国などからの石油輸入の確保に努めることといたしております。あわせて、政策原油の確保など原油の多面的な確保に一層の努力を傾注してまいります。また、石油開発は、わが国の石油安定供給の確保に資するとともに、世界有数の石油輸入国であるわが国にとっての国際的責務でもあります。今後は、探鉱投融資等石油公団の一層の活用により、内外での開発を積極的に推進してまいります。さらに、緊急時におけるわが国の経済安全保障を確保する観点から、安全、防災等に留意しつつ、石油備蓄の増強を図ることとしており、石油備蓄法に基づく民間石油企業による九十日備蓄の達成、維持、国家備蓄三千万キロリットル増強計画の速やかな達成に努める所存であります。
 次に、原子力、石炭等石油代替エネルギーの開発・導入の促進であります。石油資源の有限性にかんがみ、わが国経済の将来にわたるたゆまぬ発展を確保するためには、省エネルギーとともに、石油代替エネルギーの開発・導入を加速的に推進し、いわゆる脱石油社会を速やかに実現しなければなりません。さきのベニス・サミットにおいても、この点は先進各国の最優先課題の一つとして共通の認識を得るに至っております。わが国としては、今後十年間に輸入石油への依存度を五〇%に引き下げることを目標として、安全性の確保及び環境保全に留意しつつ、原子力、石炭、LNG、水力、地熱、太陽熱等の石油代替エネルギーの開発・導入を強力に推進してまいります。
 このような代替エネルギー政策の展開を図る上で中軸となる石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律は、皆様方の御協力を得て、先般の通常国会において成立を見ることができました。同法に基づく新エネルギー総合開発機構は、予定どおり十月一日に発足し、海外炭、地熱等の供給確保、石炭液化等の石油代替エネルギー技術開発の中核的推進機関としてその業務を開始いたしました。
 以上に加えまして、石油税の使途拡大及び電源開発促進税の引き上げにより所要の財源も確保された次第であり、通商産業省としては、これらの措置を十分に活用することにより、石油代替エネルギー対策を強力に推進してまいる所存であります。
 また、電源の開発につきましては、原子力、石炭火力を初めとする石油代替電源の積極的な導入の推進を図る所存であります。特に、原子力は今後における電源の中核を担うエネルギー源であり、将来にわたってエネルギーの安定供給の確保を図っていくためには、昭和六十五年度までに原子力発電所を五千キロワット強の規模に拡大するとの目標をぜひとも達成する必要があります。しかしながら、原子力発電所については、その建設、立地が円滑に進まず、計画から運転開始まで十数年の長期を要するという実態にあります。このような状況では、わが国の将来のエネルギー確保は、はなはだおぼつかないものと言わざるを得ません。
 現在、世界の原子力発電設備は、運転中のものだけでも約一億四千万キロワットにも達しております。原子力発電の安全性、有効性については、このような世界の実績が何にも増して雄弁に物語っています。
 私は、原子力発電の促進を図るため、世界の大きな流れを踏まえて、国民各位の一層の御理解と御協力を得るべく、全力を傾注してまいる覚悟であります。
 通商産業省は、原子力を初めとする石油代替電源の開発と立地の推進を図るため、安全性の確保と環境の保全に十分留意するとともに、地元福祉の向上、地域経済の振興のため所要の施策の抜本的強化を図ることとしております。とりわけ原子力発電については、地元住民、地方公共団体などとの間断なき対話を通じて、その円滑な立地に努力を払ってまいる所存であります。
 また、今後、わが国において原子力の本格的な開発、利用を進めていくためには、その基盤の整備を図ることが重要であります。ことに、再処理、ウラン濃縮の事業化の推進など自主的核燃料サイクルの確立は、焦眉の急となっております。また、軽水炉の次の世代を目指し、あるいは軽水炉を補完するものとして、高速増殖炉などの新型動力炉の開発利用の促進を図る必要があります。
 通商産業省としては、これらの政策課題について、関係省庁の力を結集し、総合的な観点に立って施策の推進を図ってまいる所存であります。
 省エネルギーにつきましては、当面の石油消費節減対策とあわせて、工場における省エネルギーやエネルギー消費機器の技術開発などにより、エネルギーの使用の合理化をさらに推進いたします。また、わが国産業構造の省エネルギー化を強力に進めてまいります。
 なお、今後の石炭対策につきましては、中長期的な展望に立って、新石炭時代にふさわしい石炭政策の方針を早急に確立すべく、現在石炭鉱業審議会及び産炭地域振興審議会において、検討をお願いいたしております。
 エネルギー対策は、石油、石炭の探鉱開発、原子力発電等の電源開発、石油代替エネルギーの技術開発などいずれも長期のリードタイムを要する事業であり、常に長期的展望に立って各般の施策を計画的に実施することが肝要と考えます。かかる見地から、現下の厳しい財政事情の中ではありますが、わが国の将来にわたる繁栄を確保するため、エネルギー政策に万遺漏なきを期してまいる所存であります。
 委員各位におかれましても、一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げて、私のごあいさつといたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(安孫子藤吉君) 次に、最近の中近東情勢につきまして、政府から順次報告を聴取いたします。堤外務省中近東アフリカ局外務参事官。
#6
○説明員(堤功一君) 当面のイラン・イラク戦争の現状と見通しについて申し上げます。
 イランとイラク間の紛争は、国境周辺の小競り合いが本年の四月ごろから行われておりましたが、この九月二十二日に至りまして、ジェット戦闘機、戦車等を本格的に投入する規模の大きな戦闘に突入している次第でありますが、戦況は、空軍が両国互いに相手国内の軍事施設、石油関連施設等の攻撃を行う一方、陸上においては、特に南部のイラン側フゼスタン州におきまして、ホラムシャハル、デズフル、アバダン等の都市の攻略戦を中心として行われているわけであります。
 十月の五日から四日間の停戦ということをイラク側が一方的に提案いたしましたが、これはイラン側の受け入れるところとならず、依然陸上戦闘が続いているわけでございますけれども、イラク側の方は特に軍の再編成等を進め、従来包囲をして火砲による砲撃を中心としていた先ほど申し上げましたような都市に対する攻略をこの都市の占領という方向に転じている模様であります。
 これに対しましてイラン側の反攻も熾烈であり、戦線はいわば膠着状態と申してよろしいかと思います。ただし、双方の攻撃の度合いが強くなっておりますので、出ております被害等を見ますと、戦闘状況そのものは一進一退、熾烈の度合いを高めていると申してもよろしいかと思います。
 なお、海上戦闘はほとんど行われておりません。国際航行の要衝であるホルムズ海峡におきます通航も支障は生じていないと理解しております。
 いま申し上げましたように、まあ膠着状態であって、停戦、仲介等に関する動きございますけれども、両国ともその態度に依然として大きな隔たりがございますので、残念ながら近い将来に停戦ないしは調停等が成立する状況にあるとは申せないと思います。ただし、この両国に対しまして第三国からの大規模な軍事的な支援がない状況でありますので、基本的には武器、弾薬、あるいは燃料等の隘路にぶつかると、したがって規模の大きな戦闘はそれほど長いことは続かないだろうという見方が一般的であります。しかしながら、規模は縮小いたしましても、停戦に至らずに、陸上戦闘を中心とした戦闘行為が相当長引くのではないかと、そういうふうに見られております。
 したがいまして、今後の見通し、予断を許さない現状でありますので、私どもも日々刻々の状況の把握に全力を挙げておりますし、また、両国に対して一日も早い平和的解決を呼びかけておりますし、第三国への介入に対する反対も表明しておりますが、現在のところわが国といたしましても、イスラム諸国等を初めとする国際的な調停あるいは平和的努力、支援を表明しておりますけれども、同時に、これらの国際的な努力につきましてわが国として果たすべき役割りがあればこれを見出したいという探求も続けている次第でございます。
#7
○委員長(安孫子藤吉君) 次に、志賀資源エネルギー庁石油部長。
#8
○政府委員(志賀学君) それではお手元に「イラン・イラク紛争の石油情勢に与える影響」という資料をお配りしてございます。この資料に基づきましてこのイラン・イラク紛争の影響につきまして御説明を申し上げます。
 一枚目の御説明に入ります前に、背景なり何なりを御理解いただきますために、二枚目の方からちょっと御説明をさせていただきます。
 まずイランとイラクの石油事情がどうであったかということでございますけれども、最初に一番上に書いてございますように、紛争前におきまして、イランの生産量、これは大体百五十万バレル・パー・デーというふうに言われております。それからイラクが三百五十万バレル・パー・デーの生産というように一般的に言われておりました。
 当時、輸出がどうであったかということでございますけれども、まずイランがここにございますように、六十万バレルから七十万バレル・パー・デーの輸出、それからイラクが三百二十から三百三十万バレルの輸出と、こういう状況であったわけでございます。
 その輸出ルートといたしましては、イランについてはほぼ全量ペルシャ湾経由、ホルムズ海峡を通って出ていった、輸出されておったと、こういう状況でございます。それに対しましてイラクでございますけれども、これは約三分の二がペルシャ湾経由、残り三分の一が、これは地中海にパイプラインが続いておりまして、そのパイプラインを通じて地中海経由で輸出されておったというのが当時の状況であったわけでございます。それに対しまして現状でございますけれども、まずイランにつきましては、イランのペルシャ湾経由の輸出の場合に、カーグ島からの積み出しというのが大宗を占めておるわけでございますけれども、カーグ島からの積み出しというのは停止しております。それから若干ラバン島から積み出しが行われておったわけでございますけれども、ラバン島についても恐らく停止されているであろうというふうに推定されます。それからイラクでございますけれども、イラクにつきましては、これはペルシャ湾経由それから地中海経由ともにとまっておる、不可抗力による積み出し停止通告が来ております。とまっておるというのが現状でございます。
 そこでもう一つ、世界の石油需給状況がどうであったかということでございますけれども、これはその次に書いてございますように、紛争前、大体世界で二百万バレルから三百万バレル・パー・デーぐらい供給過剰、余裕があるというふうに言われておりました。まあこういった供給過剰があるということを背景にいたしまして、さきのOPECの臨時総会におきまして一〇%の減産の申し合わせが行われたとか、いろいろな情報があったわけでございます。
 それからIEAの平均の備蓄水準、これは七月一日現在で百四十日ということでございました。これは世界のやはりアメリカを初めといたします先進国の石油に対する消費が非常に停滞してきておる、落ちついておるというようなことを背景にいたしまして、IEAの平均の備蓄水準というのはいままでになく非常に高い水準にあったわけでございます。
 それから、最近のOPECの動きといたしましては、先ほど申し上げました一〇%の減産をするということにつきまして、これを見合わせようというような動き、あるいはさらには増産するというような気配というものがサウジの増産の情報初め出ておるわけでございます。
 それから日本の状況はどうであったかということでございますけれども、これは、まずイランでございますが、これは御案内のように、四月の二十一日以降イラン側の価格引き上げを端緒といたしまして、話し合いがつかないということで船積みが四月二十一日以降すでに停止しておったわけでございます。したがいまして、今回のイラン・イラクの紛争による日本への影響というのは直接的にはイラクからの輸入がとまっておるということでございまして、イラクからどのくらい輸入しておったかと申しますと、ここに書いてございますように、GGで十四万バレル・パー・デー、DDで二十五万バレル・パー・デー、この程度の契約量があったわけでございます。これをベースにいたしますと、大体日本のイラク依存度は紛争前におきまして八ないし九%という程度の依存度であったわけでございます。
 それから日本の国内の石油需給でございますけれども、これは紛争前、さらに現在もそうでございますけれども、石油需給は緩和状況でございまして、先ほど大臣からも申し上げましたけれども、燃料油の販売量で見ますと、七月九一・七%、八月八二%、前年比そういったかなり落ちついた状況で推移してきている。そういったことを反映いたしまして、灯油については八月末におきまして六百八十万キロリットル、これは供給計画で九月の末で六百五十万キロリットルの灯油の備蓄というものを目標にしておったわけでございますけれども、一月早く、かつ量的にもその目標を上回った形で灯油の在庫が蓄積されておった、こういうのが状況でございます。
 そこで一枚目に戻っていただきまして、以上のような状況を踏まえて考えてまいりますと、まず日本の八月末の備蓄、これが民間備蓄百四日、国家備蓄七日――上から二行目でございます――ございます。合計して百十日というのが最近の備蓄の状況でございます。この真ん中辺に(注)というのがございますけれども、これを過去に比べてみますとどうかということでございますが、石油危機当時、四十八年の十月末でございますけれども、これは当時六十日ぐらいという備蓄水準であったわけでございます。それから五十三年の十月、イランの政変の直前でございますけれども、当時が九十一日程度、このうち国家備蓄は七日ということでございますが、九十一日。それからイランの船積み停止直前、五十五年の三月では九十五日というような状況でございました。したがいまして、この前の幾つかのいわゆる石油危機と申しましょうか、といった当時と比べてみますと、現在の備蓄レベルというのは非常に高いというのが実態でございます。
 そこで、かつ先ほど申し上げたように消費も落ちついておるという状況であるわけでございますが、ここでイラクの依存度というのを仮に約八・五%ということで計算してまいりますと、三十日分の備蓄取り崩しによりまして、イラクからの輸入がとだえても約一年間持つ、六十日分の備蓄取り崩しによりますと約二年間対応可能と、こういうようなことに計算上なってまいります。そういうことからこの備蓄という観点からだけ考えてまいりましても、したがいまして、イラクからの原油の積み出しが相当期間とだえても、日本の当面の石油需給には大きな影響は出ることはないというふうに私どもは判断しているわけでございます。
 ただ、他方やはり消費節約、石油の消費節約努力というのはさらに徹底をしていくということは当然必要になってまいりますし、あるいは代替エネルギー開発の推進というのもさらに強力に行うことは必要であるということは当然であろうかと思います。
 さらに、世界の石油需給でございますけれども、先ほど申し上げましたようにかなり緩和した状況であるわけでございます。ことしの一月、特に四月以降OPEC諸国はかなり減産をしてまいりました。それにもかかわらず、先ほど申し上げましたようにこの紛争の前におきまして大体二百万ないし三百万バレル・パー・デーぐらいの余剰があるというふうに言われておったわけでございますけれども、ここで仮にイラクからの供給が長期間行われないというようなことになりますと、当然他の産油国の増産、これは現にサウジの増産その他があるわけでございますけれども、そういった動きが出てまいります。そういった場合に、減産をすでに行っていただけに、供給余力というのは十分あるというふうに判断をされるわけでございます。で、さきのIEAにおきましても、いま申し上げましたような実態判断と同時に、世界の備蓄レベルが非常に高いというようなことを踏まえまして、冷静に各国が対応すれば十分対処可能という情勢判断をしたわけでございます。その上に立って、さきの十月一日におきまして、IEAにおいてスポットマーケットにおける異常な購入を差し控えると、あるいは備蓄を弾力的に運用すると、そういったことによって、石油需給の安定に努力するというような申し合わせが行われたわけでございます。で、すでに私どもといたしまして、IEAの申し合わせに即して各石油企業に対して指導を行っておるところでございます。
 次に、やや問題になりますのが、ホルムズ海峡の通航がどうかという点でございます。ホルムズ海峡を通ってどのくらい油が輸出されておるかということでございますが、もう一度次のページをちょっと見ていただきますと、一番下の方に、「ホルムス海峡、ペルシャ湾の通航」というところがございます。世界の原油貿易のホルムズ海峡の通過量というのは、ここにございますように、五十四年で千八百万バーレル・パー・デーということでございまして、世界の原油貿易の約六〇%がホルムズ海峡を通過しておるということでございます。で、日本の場合には、五十四年においては三百六十万バーレル・パー・デーということで、日本の原油輸入のうちの七五%、これがホルムズ海峡を通過して日本に入ってくると、こういうことであったわけでございます。最近では約七割というのが状況でございます。したがいまして、ホルムズ海峡の通航に支障が出るということになりますと、大きな影響を世界に与えるわけでございますけれども、ただいまのところホルムズ海峡の通航については特段の支障は生じていないというのが状況でございます。
 ただ、イランがペルシャ湾内において航路指定をやっております。まあその影響が言われておるわけでございますけれども、これについても、通常原油の輸送に使われております二十万ないし三十万トン級のタンカーの場合については、特に通航に支障はないというのが現状でございます。これは、一番最後の三枚目に、「ペルシャ湾東部略図」というのがあります。これをちょっとごらんいただきますと、この右の方にホルムズ海峡がございます。ホルムズ海峡の通航には現在特段の支障はないということでございます。で、ホルムズ海峡を通りましてペルシャ湾の中に入るわけでございますけれども、紛争前におきましては、この真ん中に航路が――往路、復路、これが書いてございます。大トンブ島、小トンブ島をはさみまして往路、復路がございまして、これは紛争前ここを通っていたわけでございます。で、ここをごらんいただきますとおわかりになりますように、水深七十メートルということで非常に深いわけでございます。それに対しまして、最近におきましてはイランが、この下の方にアブムサ島、シリー島というのが書いてございますが、アブムサ島、シリー島の十二海里よりも南の方を通ってほしいと、こういう航路指定をやっております。そうなりますと、アブムサ島の南十二海里の辺になりますと水深が二十五メートル程度ということで、かなり浅くなります。それからシリー島の南の方、これは海底油田がございます。十二海里の線と海底油田の区域との間が非常に狭いということで、この辺に三十万トンを超えるような大きなタンカーの場合にやや支障が出ると、こういうことでございます。ただ、先ほども申し上げましたように原油の輸送の場合に、大宗は二十万ないし三十万トンクラスということでございますので、実態的にはそれほど影響はないというのが現状でございます。ただ、いずれにいたしましても、ホルムズ海峡あるいはペルシア湾の運航というのは非常に重要でございます。現在のところイラン、イラク双方とも石油ルートの安全確保に努める旨表明しているわけでございますけれども、わが国といたしましても、今後ともこの地域の動向について十分注意していくことが必要であるというふうに考えているわけでございます。
 以上でございます。
#9
○委員長(安孫子藤吉君) 次に、田口通商産業省通商政策局経済協力部長。
#10
○説明員(田口健次郎君) お手元に「IJPCプロジェクトの現状について」という資料をお配りしてございますけれども、いわゆるイラン石油化学プロジェクトの現状について御説明さしていただきます。
 御承知のように本事業は、イランのアラビア湾岸バンダルホメイニ、昔バンダルシャープールと申したところでございますが、ここにイランと合弁で未利用の石油随伴ガス等を利用いたしました年産三十万トン規模のエチレンプラント等を建設する事業でございます。革命で一時中断の後、最近では全面的な工事再開を行っておったと、こういう状況でございます。
 資料に入りますけれども、一にイラク軍の戦闘爆撃機によります爆撃及び被害の状況についてでございますけれども、第一回でございますけれども、現地時間の九月二十四日午前十一時半ごろでございますが、イラク軍の戦闘爆撃機二機がこのプラントサイトに飛来いたしまして、爆弾二発を投下、一発はプラント内の燃料用LPG小型球形タンク、これは五百立米という比較的小さいものでございますが、この一基に被害を与え、またその破片によって付近のパイプとかあるいは約三百メートル離れました大きな製品のLPGの貯蔵用のタンクが一部破壊されたということでございます。他の一発は実は不発であったわけでございます。従業員は前日の九月二十三日までは平常どおり作業しておったわけでございますが、被爆のございました二十四日朝から工事を休業するということで、日本人初め工事関係者は全員無事だということは不幸中の幸いだというふうに考えております。
 それから第二回目の爆撃でございますけれども、第一回の爆撃の後、プラントのサイトの中は立入禁止となりまして、一時退避等につきまして検討を進めておったわけでございますけれども、現地時間で九月三十日の午前九時二十分ごろ再び機数不明のイラク軍の戦闘爆撃機が飛来いたしまして、爆弾を三発――実はこれは四発という情報もあるわけでございますが、投下いたしまして、アロマ、いわゆる芳香族のプラントの一部、これは構造物の柱でございますとか、タワーの基礎でございますとかあるいは塔槽類等及び化学品タンク、いわゆるケミカルタンクの中で大型のタンク五基に被害がございました。各タンクに相当大きな穴があいたようでございます。しかしながら、一番中枢部とも申すべきオレフィンプラントにつきましては、爆弾の破片で多少の影響があったようでございますけれども、肝心の炉は無事でございました。
 以上、総じまして一次、二次を通じまして被害は比較的軽微であると、本事業継続に重大な支障を生ずるものではないというふうに関係者は見ておるわけでございます。第二回目の爆撃におきましても、日本人初め工事関係者は全員無事でございました。
 しかるところ、第三回目でございますけれども、現地時間の十月十二日午前九時五十分ごろでございますけれども、機数不明のイラク機が再びサイトに飛来いたしまして、修理工場及び苛性ソーダプラントを中心に八発、これは爆弾かロケットか不明、が撃ち込まれたわけでございます。一部不発であったようでございます。被害等の詳細は実は不明でございます。日本人関係者はすでにキャンプを全員離れておりまして無事でございました。
 それから二枚目の方に「現地日本人関係者の動向」と書いてございます。おわび申し上げますが、実はこれ、昨日印刷に出した時点での情報でございまして、昨晩新しい情報が入りましたので、ひとつ追加訂正さしていただきたいと思うわけでございますが、一応この資料に基づきますと、日本人関係者はグループに分かれまして順次テヘランに向かって退避を実施しておる、すでに全員がこれまで逗留していたキャンプを離れまして、シラズ、イスファハンを経由いたしましてテヘランに向かっている。なお、現地時間十月十二日の夕刻第一陣百名、それから同十三日の夕刻第二陣及び三陣二百九十七名がテヘランに到着したというところまで実は書いてございますけれども、昨晩遅く入りました情報によりますと、現地時間で十月十四日の夕刻、日本人関係者総勢合わせますと七百四十四人でございますけれども、全員がテヘランに到着したと、こういう情報が入りました。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(安孫子藤吉君) 次に、先般、当委員会が行いましたエネルギーに関する諸問題の実情調査のための委員派遣につきまして、各班から派遣委員の御報告を聴取いたします。
 まず、第一班の御報告をお願いいたします。小柳君。
#12
○小柳勇君 第一班について、その概要を御報告申し上げます。
 派遣地は長崎県、佐賀県及び大分県、派遣期間は九月一日から三日までの三日間、派遣委員は中尾理事、井上理事、竹内委員、福岡委員、阿具根委員、森田委員及び私の七名で、安孫子委員長、河本委員及び三浦委員が現地参加されました。
 また、視察先は三菱重工業株式会社長崎研究所、電源開発株式会社松島火力発電所、佐賀大学理工学部海洋熱エネルギー変換実験実習施設、九州電力株式会社の玄海原子力発電所と八丁原発電所及び大分大学工学部エネルギー工学科研究棟であります。
 以下、その概況について申し上げます。
 三菱重工業株式会社長崎研究所は昭和四十九年から石炭液化研究に取り組んでおりますが、五十一年以降は工業技術院のサンシャイン計画の委託研究としてソルボリシス液化法による一日当たり一トンの処理能力を持つ実験プラントを運転中であります。石油情勢の逼迫化の中で石炭が見直されようとしておりますが、その利用の促進を図るためには技術開発の推進が必要であります。特に、石炭液化技術は固体燃料である石炭を流体化して輸送、貯蔵、灰処理等を容易にしようとするものであり、その実用化に大きな期待がかけられております。ソルボリシス液化法は石炭を常圧でアスファルトに溶解して液化するもので、わが国独自で開発された方式であり、同研究所では一トンプラントに続いて四十トンプラントを設計中であります。
 このほか、同所では石炭と石油の混合燃焼研究を初め、石炭の利用技術の開発に関する諸研究に取り組んでおります。
 電源開発株式会社松島火力発電所は、石炭専焼火力発電所として長崎県大瀬戸町の旧松島炭鉱跡地付近に建設中のもので、五十万キロワットの発電機二基という石炭火力としてはわが国最大の規模を有しております。
 営業運転予定は一号機が五十六年一月、二号機が同年七月の予定でありますが、工事は順調に進んでおり、一号機は去る二月二日に火入れをするとともに、七月十八日にはオーストラリア炭を積んだ第一船が入港しております。
 燃料の使用量は年間二百三十万トンを予定しており、輸入炭を中心に国内炭も活用することになっております。同発電所の専用桟橋は六万トン級運搬船の横づけが可能であり、一時間当たり七百トンの処理能力を持つバース・アンローダ四基で荷上げを行うことができます。貯炭場は容量四十三万トン、灰捨て場用地は五十二万平方メートルを確保してあります。
 石炭火力発電所は石油代替エネルギー活用の立場から、従来の石油火力にかわって積極的に立地が推進されるものと考えられますが、その際、公害問題、灰処理等石炭特有の問題について十分な対策が講じられることが必要であります。同発電所は、環境保全については、湿式石灰石膏法による排煙脱硫装置、乾式高温電気集じん機一活性汚泥処理等による排水処理装置を設置しております。また、同発電所の発電電力は中国、四国、九州の各電力会社に供給されることになっております。
 佐賀大学理工学部海洋熱エネルギー変換実験実習施設は、海水の表面と深部との温度差を利用して発電する研究施設で、佐賀県伊万里湾岸に今年三月に完成したものであります。同大学の研究によれば、日本近海では表層水は三十度前後でも水深五百メートルの水温は四ないし七度ぐらいであり、これをわが国の経済水域である沿岸二百海里の範囲の発電量として計算すると、昭和五十年度のわが国の年間エネルギー消費量の約二十四倍に当たる海洋熱エネルギーが存在すると言われます。
 海洋温度差発電は海水の温かい表層水でフロン、アンモニア等の低沸点媒体を気化させ、その気化蒸気でタービンを回して発電するとともに、タービンを出た蒸気を温度の低い深層水で冷却液化させて循環させるというもので、同大学では四十七年から研究に取り組み、五十一年には真水で一ワットの実験を、さらに昨年は島根県沖で洋上実験を行っております。海洋温度差発電は、まだ基礎研究の段階ではありますが、サンシャイン計画の総合研究の対象の一つに取り上げられており、今後の研究開発の成果が期待されるのであります。
 なお、アメリカでも相当進んでおりまして、昨年夏、ハワイで国際的な実験をやったようであります。
 九州電力玄海原子力発電所は佐賀県玄海町にあり、九州地方では現在運転されている唯一の原子力発電所であります。一号機の着工は四十六年三月、営業運転開始は五十年十月で、出力は五十五万九千キロワットであります。また、二号機も同出力で、五十六年三月の営業運転開始を目途に、現在試運転を行っております。なお将来、百十万キロワット級の三号機及び四号機を計画しております。同発電所の原子炉は加圧水型軽水炉で、燃料は三%濃縮二酸化ウラン、燃料装荷量は約四十八トンとなっております。
 原子力発電所の場合、地域住民に対する安全性の確保が最大の課題でありますが、同発電所の環境モニタリング体制としては、構内及び周辺地域にモニタリングステーション一カ所、モニタリングポスト十五カ所、モニタリングポイント四十七カ所等を設置して、環境放射線の変化を測定しております。また、放射性廃棄物の処理については、固体廃棄物は敷地内の貯蔵庫に保管されております。
 九州電力八丁原発電所は阿蘇国立公園の一角に位置する大分県九重町にあり、わが国最大の出力を持つ地熱発電所であります。
 地熱発電は、火山国であるわが国にとって国内資源の有効な利用ができること、燃料を全く使わないエネルギーであること、運転操作が簡単で稼働率が高いことなどの利点が挙げられております。地熱資源は全国で三千万キロワットの推定賦存量があるとされ、今後の開発が期待されておりますが、現在運転中の地熱発電所は全国で六カ所、発電総量は十六万二千キロワットとなっております。
 同発電所の出力は五万五千キロワットで、着工は五十年七月、営業運転開始は五十二年六月であります。同発電所では蒸気と熱水を混合状態のまま輸送し、一カ所で熱水を分離してフラッシャーに送り、二次蒸気を発生させて発電に利用し、熱の有効利用を図っております。また、熱水は還元井を通じて地下に戻しております。地熱発電所は、自然公園区域に立地する場合が多いので、自然環境の保全問題、また深層熱水の場合の砒素等による公害問題等の対策に今後力を入れる必要があります。
 大分大学工学部エネルギー工学科研究棟はサンシャイン計画の一環として、工業技術院の委託で、ソーラーシステム関連企業の共同研究開発に同大学が参画して、五十二年に建設されたものであります。
 大型建築物用冷暖房給湯システムの研究開発のためのわが国最初のソーラービルであり、集熱効率を高めるために、大型平板型集熱器を採用し、二重ガラス窓、断熱材の使用等、省エネルギー化に配慮が払われております。現在、夏季及び冬季の太陽熱と補助熱の使用の割合、太陽依存率、集熱効率等についての実験研究が進められております。
 太陽熱利用は将来の自然エネルギー利用の柱の一つとして大きな期待がかけられており、研究開発の推進と実用化のための体制整備が強く望まれるのであります。
 なお、長崎県知事から松浦火力発電所の建設促進、崎戸町のコールセンターの建設、ローカルエネルギーの開発利用、産炭地域振興対策の推進及び石炭鉱業の安定対策の確立等について、佐賀県知事から原子力発電所の安全対策の拡充、電源立地交付金制度の改善、石炭関係諸法の期限延長、鉱害復旧の促進、集中豪雨災害による危険ボタ山対策の推進及び石炭対策の財源確保等について、また、大分県知事から地熱資源開発促進法の制定、国立地熱技術研究所の設置及び豊肥地域の大規模深部地熱発電所環境保全実証調査の促進等について、それぞれ要望がありました。
 これらの要望事項の詳細等についてはお手元の配布資料によって御承知いただきたいと存じます。また、現地の知事からの要望書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載されるよう委員長にその取り計らいをお願いいたしまして私の報告を終わります。
#13
○委員長(安孫子藤吉君) 次に、第二班の御報告を願います。下田君。
#14
○下田京子君 第二班について、その概要を御報告いたします。
 派遣地は北海道で、派遣期間は八月二十五日から二十七日までの三日間、派遣委員は安孫子委員長、大木委員、前田委員、高木委員及び私の五名であります。なお、地元の対馬孝且議員が、夕張地区の視察に参加されました。
 まず、日程の順序に従って申し上げますと、八月二十五日には札幌通商産業局長から北海道のエネルギー事情等について説明を聴取し、引き続き北海道知事及び札幌市長から要望がありましたので、それぞれ事情を聴取いたしました。その後、地域におけるエネルギー利用の実情を把握するため札幌市厚別清掃工場及び株式会社北海道熱供給公社中央熱供給所を視察いたしました。
 翌二十六日は、夕張地区におきまして、夕張市長及び北炭夕張炭鉱株式会社の労使双方からそれぞれ事情を聴取するとともに、夕張市石炭博物館及び財団法人石炭技術研究所夕張試験場を視察いたしました。
 二十七日には、苫小牧臨海工業地帯において、苫小牧共同発電株式会社石油火力発電所、北海道電力株式会社苫東厚真石炭火力発電所及び北海道石油共同備蓄株式会社北海道事業所を視察いたしました。
 次に、調査の概要を申し上げます。
 まず、エネルギー事情を左右する産業構造の特徴といたしまして、北海道は、全国に比べて第一次及び第三次産業の比重が高く、製造業につきましては、食料品、紙・パルプ、木材・木製品の三業種が全出荷額の過半数を占めております。
 道のエネルギー需要は、石油換算で二千万キロリットルでありますが、石油が七三%と全国の構成比より低く、石炭が二二%と高いというように産炭地としての特徴を反映しております。石炭の需要につきまして、電力、セメント、紙・パルプ等を中心に増加が見込まれています。
 道内の出炭量は、五十四年度で千八十万トンでありまして、全国の出炭量の六〇%でありますが、道内需要の八四%を供給しております。道内の電気事業者の発電出力は、四百二十三万キロワットで、このうち四六%石油火力であります。なお、道内においては、現在、共和・泊原子力発電所の建設が計画されており、また、道内初の地熱発電所の建設準備が森町において進められております。
 次に、石炭関係について、今回視察しました北炭夕張炭鉱株式会社は、北海道炭礦汽船株式会社から五十三年七月に分離独立した炭鉱であります。同炭鉱は、地質構造が複雑であり、深部開発のため地圧が高く、ガス発生が大で、高温現場が多いというように困難な状況にあります。同社では、日量三千八百トン出炭を四千トンにする計画を立て、従業員もこの目標達成に向けて、賃金の一部繰り延べ、特定休日の取りやめ等きわめて厳しい状況のもとで、出炭しておりましたが、その後八月二十七日に抗内で自然発火が生じ、生産が不調となり、前途はますます多難の模様であります。したがいまして、二千万トン体制維持のためにも国として特段の配慮が必要であると存じます。
 財団法人石炭技術研究所夕張試験場は、石炭の有効利用と公害対策を図ることを目的として、通商産業省資源エネルギー庁の委託によって石炭のガス化技術の研究開発を進めております。現在は、日量五トン処理の施設でプロセス開発試験が行われ、また、四十トン処理のパイロットプラントの建設が進められております。なお、十万キロワット級発電所のためには、日量千トン処理の施設が必要でありまして、電源開発株式会社が中心となり、石炭技術研究所が協力してこの方面の調査研究が進められております。
 石炭火力発電所として北海道電力株式会社の苫東厚真発電所を視察いたしました。同発電所は産炭地北海道の特性を生かすために石炭火力発電所として建設されたものでありまして、十月からの営業運転を目指して最後の仕上げにかかっておりました。発電所の出力は、三十五万キロワットで、幌内炭と太平洋炭を合わせて年間八十六万トンを使用するものと見込まれております。同発電所では、六十万キロワットの二号機が計画されておりますが、将来石炭火力発電が拡大したときに、どこまでを道内炭で賄えるかが問題となりましょう。同発電所では、環境対策として高温電気集じん装置を備え、また、灰は土地造成予定地に処分することとしております。石炭火力発電所の経済性は、石油火力に対してすでに優位になってきております。
 なお、同日、視察いたしました苫小牧共同発電株式会社の発電所は石油専焼でありまして、燃料費高騰に苦慮している模様でありました。
 次に、地域エネルギー関係について概要を御報告申し上げます。
 札幌市厚別清掃工場では、日量六百トンのごみを燃却する能力を持っておりまして、焼却したごみの発生熱を利用して発電し、場内電力を賄い、一部は北電に売電しております。また、残余の蒸気で高温水を発生させ、第三セクターの北海道地域暖房株式会社を経由して、周辺団地の各戸に給湯しております。このような施設での余剰電力の売電と利用については、なお検討の要があるように考えられます。
 地域熱供給を行っている株式会社北海道熱供給公社は、大気汚染防止、火災発生防止等の観点から四十三年に第三セクターとして設立されたものであります。同社は、札幌市中心部の事務所、ホテル、病院等に高温高圧水で熱を供給しておりまして、開設以来の熱供給実績は計画に対し九二%の充足率になっております。同社は札幌市光星地区においても千四百戸の住宅と十件の事務所に熱を供給しております。なお、同様な熱供給事業者は全国で三十地点におきまして二万三千戸の住宅と六百件の事務所に熱を供給しております。
 地域熱供給事業は多額の先行投資を必要とするために、その収益性は需要側の計画とその進展状況によって左右されるという弱点を持っておりますが、数%以上の省エネルギー効果を持つと言われております。
 石油の民間備蓄会社である北海道石油共同備蓄株式会社は、石油公団と民間六社との共同出資により五十四年三月に発足したものであります。同社が苫小牧東部において建設中の備蓄基地は南北一・二キロメートル、東西一・七キロメートルで、貯油能力は五百万キロリットルとなります。完成時にはタンクは四十五基になりますが、現在第一期工事として十五基の建設が進められております。オイルインは一部五十七年度に開始され、基地の建設は五十九年度に完成する予定になっております。国家備蓄については全国で三千万キロリットルを備蓄する計画があり、その一環として苫小牧東部に八百万キロリットルの基地を建設することの可能性調査が進められております。
 最後になりましたが、地方公共団体等からの要望がございました。その詳細等についてはお手元の配付資料にて御承知願いたいと存じますが、概要を次に申し上げます。
 北海道知事からは石油代替エネルギーの開発促進、原子力発電所の立地促進、地熱資源の開発促進、石油類の安定供給と価格の抑制、石炭鉱業の長期安定対策の確立及び産炭地域の振興対策の確立について要望がありました。
 札幌市長からの要望は地域集中暖房事業の推進策、ごみ発電の買電価格及び市有施設への利用、下水道事業用電力料金の軽減措置、太陽熱利用普及促進策及び家庭用灯油の需給、価格の安定に関するものでありました。
 夕張市長及び北海道産炭地域振興対策協議会からは産炭地域振興対策、国内炭生産体制の確立、石炭利用技術開発の促進及び海外、国内炭の価格調整に関する要望がありました。
 当委員会といたしましてもこれらの要望に沿うべくできる限り努力する必要があると存じます。
 なお、要望書の本文は本日の会議録の末尾に掲載させていただくよう委員長にその取り計らいをお願いいたします。
 今回の調査に当たりまして御協力を賜りました関係者の方々に感謝の意を表して、報告を終わります。
#15
○委員長(安孫子藤吉君) 以上で派遣委員の報告は終わりました。
 なお、各班の報告中に御要望のございましたとおり、関係当局からの要望書を本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○委員長(安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 それでは、ただいまの派遣報告をも含め、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#17
○小柳勇君 通産大臣にはおいでになってから質問いたしますが、外務省の方に二、三質問をいたします。
 このイラン・イラク戦争が発生した後、外務省として各国に、たとえばイラン、イラクあるいは中東諸国にとられた緊急対応策並びにテレックスも完全でないと思いますが、現状、各出先機関と外務省が連絡されている現状についてまず説明を求めます。
#18
○説明員(堤功一君) 出先の大使館との連絡は、紛争の当初は支障がございましたけれども、その後わりと短期間のうちに回復いたしまして、現在のところ何ら問題はございません。邦人対策につきましては後刻別途お答えいたします。
 外務省といたしましては、何よりもまず早期停戦の実現ということが重要と考えまして、大体二回にわたり両当事国に外交ルートを通じて、両国の首府並びに東京におきまして申し入れを行った次第でございます。最初の申し入れば九月二十四日前後にいたしました。二回目の申し入れは十月の十二日ないし十三日にかけて行った次第であります。いずれの申し入れの後も外務大臣談話の形でその趣旨を一般にいたしまして、かつ、同時に関係の湾岸諸国等にも日本の意図を通報した次第であります。第一回目の申し入れの際は、紛争の早期平和的解決ということに中心を置いたものでございまして、かつ、在留邦人の安全確保ということについてもいたしました。第二回目は、紛争の長期化の様相が濃くなった現状におきまして、それを踏まえて特に湾岸諸国の安全、ホルムズ海峡の安全通航の確保ということも加えて行った次第であります。
#19
○小柳勇君 外務大臣でないので、政府の対応ということはわざと質問してないんですけれども、いま少し具体的に、どこの国にどういうふうなことでという対応、もう少し説明できますか、あなたが知っている範囲内で。
#20
○説明員(堤功一君) イランとイラク両当事国につきましてはテヘラン、バグダッドの二つの首府においてわが方の大使から、また東京におきましては先方の両大使に対しまして中近東アフリカ局長からそれぞれ紛争の平和的解決のため、なるべく早く停戦をして、国連憲章に基づいた平和的な解決を図ってくれという趣旨の申し入れを行った次第であります。同時に、在留邦人の安全ということについて要請いたしました。この中には私も先ほど大体二回と申し上げましたが、これは二回に分けて行った場合もございますので、その中には特にイランにおきますちょうど通産省の方から御報告のあったIJPC計画の多数の在留邦人がおられたことからも、これについては特に二回にわたってイラク側へ申し入れをした次第でございます。今回の十月十二日、十三日の対イラク、イラン申し入れも大体同様の形態でいたしましたか、特にこれは湾岸地域の安全――戦争、戦火が波及しないようにというわが方の懸念ないしは危惧を表明したものでございますので、これにつきましてはわが方の意図を関係の湾岸諸国にも同時に通報した次第でございます。すなわち、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、クウェートにつきましては特にわが方のとった措置について説明をした次第であります。
#21
○小柳勇君 イラン・イラク両国といま日本の外務省の出先機関との電話連絡、テレックスその他完全ですか。
#22
○説明員(堤功一君) ただいまのところ何ら支障はございません。
#23
○小柳勇君 けさの新聞に、イランが東亜建設その他日本の従業員を出国させないと、そういう報道が載っているんですけれども、外務省としてこれ把握してますか。
#24
○説明員(大村喬一君) 東亜建設が実はバンダルアバスから出国をしようといたしましたときに、イラン政府からこれをとめられたということでございますけれども、これは外務省として把握しております。
 実は、その前に一般的な風評が流れまして、イランは技術者をすべて出国させないという一般方針をとったのではないかといううわさが流れまして、その真偽を直ちに在イラン大使がイラン側に確かめたところ、そういうことはないというはっきりした言質をとりました。しかしながら、イラン側といたしましては、現在工事を行っておるイラン側関係者との間に出国につき合意があればよろしいと、そういうことで実は東亜建設のケースも実は相手方と口頭の合意があったようでございますけれども、これは口頭の合意ではなくて、できれば文書による確認があれば出国に特に反対しないということでございました。
#25
○小柳勇君 イラクもイランも日本人がたくさんいますけれども、たとえば出国したい、これは東亜建設のが出ていますけれども、油化の三井系などその他の諸君が、たとえばいまテヘランに七百四十四名帰ったとおっしゃるが、日本に一応帰りたいと言えば出国は可能ですか。
#26
○説明員(大村喬一君) 実はイランに千七百四十名の邦人がおりますけれども、実は一部すでにトルコを通じまして脱出しております。数は実は正確に把握しておりませんけれども、約百名の邦人が脱出しております。
 それからさらに、カスピ海を通りましてソ連のバクーに抜けて脱出するルートがございまして、これにつきましてもすでに二、三の邦人がこのルートを使って出国しておりまして、さらに、今後もこのルートを使って恐らく恒常的に邦人が出国することになるだろうと思われます。
#27
○小柳勇君 出国を希望する人に対しては、出国は認められるようにイランの政府にも強力に要請しなきゃならぬと思いますけれども、まだその点は言ってないんですね。
#28
○説明員(大村喬一君) 先ほど申しましたように、イラン側の立場といたしましては、工事契約相手者であるイラン側との間に了解がつけば出国してもよろしいという方針をとっているようでございますので、かつ、先ほど申し上げました邦人の出国は、いわゆる不要不急と申しますか、婦女子を含めた方々でございまして、技術者といえども相手側のパートナーから合意を得れば出国できるものと、われわれはいま理解しております。
#29
○小柳勇君 これだけ大々的に報道されていますから、外務省としても十分な対策をとってもらいたい。特に連絡が、電話連絡その他十分であるそうですから、心配がないようにしてもらいたいと思います。それだけじゃなくて、日本でこれを見まして相当心配している人もありましょうから、今後の対策を切望いたします。
 それから、直接エネルギーの問題とは関係ないことですけれども、あしたの商工委員会の質問をやめましたから二、三質問しておきたいのですが、一つは油の関係で向こうのイラクの大臣と会ったときに、向こうからの要請ですけれども、たとえば、イラクとの文化交流その他もう少し進めてもらいたいという点。それから、各分野におけるイラク人専門官の大量養成を中心とする経済技術協力など、経済協力は後で通産省に聞きますけれども、外務省関係でもこの文化交流なりあるいは経済技術協力など非常に熱望しておられる。油の増産についてはさっき大臣の報告のように増量して輸入するような可能性は少ないようでありますけれども、今後も何年か何十年か交際しなきゃならぬのでありますから、産油諸国に対する外務省の取り組みとして、いま一歩突っ込んだ協力関係を結んでもらいたいと思います。その点に対する外務省の方針を聞いておきたいのです。
#30
○説明員(堤功一君) 中東産油諸国との文化交流その他の交流につきましては、私どもとしましても非常に重視しておりまして、先方の受け入れにつき要望のある分野、すなわち文化交流等ですと武道等のスポーツが人気がございますが、このような分野を中心として一般的な対日関心を高め相互理解を促進するという観点から武道使節団等を派遣いたしておりますが、また、文化交流と技術協力との中間になるかと思いますけれども、特に工業技術関係の大学院レベルの学生の教育というものに関心があるようでございまして、たとえば日本とイラクとの文化混合委員会におきましても工学部関係の学生を日本に留学させたいという要望が出されております。そのようなものを積極的に進めてまいりたいと思っております。
 中東との経済技術協力一般の方針につきましては、別途、経済協力局からもお答えいたしたいと思います。
#31
○説明員(後藤利雄君) 中近東に対します経済技術協力の一般的な考え方を御報告いたしますと、先生ただいま御指摘のように、中近東地域はいわゆる産油国と非産油国がございますので、私どもの経済技術協力もその国の事情に応じましてきめ細かく行ってまいっておりますし、今後ともそうしたいと思っておりますが、特に産油国につきましては、先生御指摘のように、先方は非常にわが国の技術協力について強い期待を持っておりますことは十分承知しております。したがいまして、そのラインに従いまして従来も研修員の受け入れとかあるいは専門家の派遣につきましてはかなり積極的にやっておりますし、イラクにつきましては、中近東地域の中ではエジプトあるいはイランと並びまして非常に高い数字を記録しております。
 今後ともその件につきましては私ども十分配慮していくべき国と思っておりますけれども、現状におきましてはこのような状態でございますので、たとえば政府派遣の専門家につきましては家族を入れまして十六名おりましたけれども、最近全部日本に一応引き揚げさせておりまして、若干情勢が安定するのを待っている、とこういう状態でございます。
#32
○小柳勇君 情勢の安定より前、戦争の前にせっかく教官として行った方が引き揚げてしまっている、なぜ置かないかという、十名か二十名ですから、そんな者まで。たとえば五人引き揚げて帰りましても莫大な影響を大きく宣伝するわけですね、大臣などが。したがいまして、せっかく日本から行っている人が、もちろん大変な暑いところだから長くはおれぬでしょうけれども、交替でいるぐらいのことは十名か二十名の教官ですからできないことはないではないかと思います。
 いま一つは、外務省全体の問題でしょうけれども、アラビア語ができる人が非常に少ない。実際通訳してもらったけれども、向こうの新聞記者がわからない。後で聞いてみますと、アラビア語は大変むずかしいものですから、わからないということですけれども、日本人一億一千万の中で、アラビア語がわかる人はわずか四十二名ぐらいですよという話。将来まだこれからつき合っていかなきゃならぬのですから、外務省の方針としては、非常にまあむずかしいようですけれども、どういう方針でしょうか、聞いておきたいんです。
#33
○説明員(藤井宏昭君) ただいま先生御指摘のとおり、アラビア語の――いわゆるアラビストでございますが、絶対数がきわめて不足しております。現在、外務省に上級、専門職を含めまして全員で五十四名でございます。その五十四名で現実に中近東地域に駐在しておりますのは全部で二十六名、その他は本省あるいはその他の地域におります。
 ただ、傾向といたしましては、外務省は最初上級職でアラビア語を組織的に研修させましたのは昭和三十四年でございます。すでにそれから大体毎年一人ぐらいずつ上級職をアラビア語研修さしておりますけれども、特に第一次石油危機以降はさらにそれを強化いたしまして、上級職を大体二名、それから専門職も約二名、大体年平均四名ぐらいずつ研修させております。外務省は専門職、上級職合わせまして大体平均年六十名でございますが、そのうちの四名をアラビア語に振り向けているということでございます。これは一見非常に少ないというふうに考えられるかもしれませんが、全体といたしまして五十三カ国語を外務省としては勉強させておる。たとえば、中近東地域につきましても、アラビア語だけではございませんで、トルコ語、ヘブライ語、ペルシャ語ということもございますし、五十三カ国語に振り向ける中での四名というものはかなり大きなウエイトを持っておる。しかしながら、絶対的な数が少ないということは覆うべくもございません。
 なお、その研修の方法でございますけれども、大体一年間本省で研修させまして、その後三年間、たとえば一番多いのはエジプトの大学でございますが、に勉強させております。勉強の仕方もこれは数多くのアラビストがやっておりますけれども、小学校に入りまして小学生と一緒に肩を並べてアラビア語を勉強するということ等、本当に地についたアラビア語を勉強してもらいたいということで研修の仕方についても改善を加えていきたいというふうにしております。
 以上でございます。
#34
○小柳勇君 もう一つ小さい問題ですけれども、約束してきましたから発言いたしますが、リヤドがいま首都でありながら大使館がない。二年すると大使館がジッダからリヤドに移るようですが、日本人学校がないので大変こぼしておられる。向こうに行った人には皆陳情しているようですが、なかなか実現しないようでありますが、どうなっておりましょうか。外務省の計画、これ文部省でしょうけれども、外務省の方でいまどういうふうに取り組んでおられるか聞いておきたいんです。
#35
○説明員(大村喬一君) リヤドにおきましては、来年度ぜひ日本人学校を設立してほしいという要望が現地から実は出されました。しかしながら、ほかにも各地から日本人学校設立の要望は多数寄せられております。いまの財政状況からしますと、たくさんの日本人学校をつくることは非常にむずかしい状況にございますのは先生御承知のとおりだと思います。
 実はリヤド在住の子女数は、現在のところわずか十二名でございます。もちろん日本人学校が設立されますと必然的に単身赴任者が減りまして、子弟の数はふえていくという関係にあることは当然でございますけれども、各地の場合も全く同様な状況でございまして、たまたまリヤドには補習校がございますし、しかもアメリカンスクールがございます。そういうファシリティーがむしろないところをさしあたっては優先したいということで、実は来年度の要求にはリヤドは入っておりません。しかしながら、先生御指摘のとおり、リヤドにはだんだん在留邦人の数がふえてきておりまして、いまやジッダを超す在留邦人数となってきております。したかいまして、私どもといたしましては五十七年度でこれを優先的に考慮したいと、いまのところは考えております。
#36
○小柳勇君 方々から要請がありますから順番のようでありますけれども、外地で苦労しながら皆がんばっておられるんだから、各商社とかあるいは外交官もそうだしね、要求があったら日本人学校を全部つくってやるぐらいの配慮していいと思うんですよ。学校の先生方も二年か三年勉強されるでしょうに。それは予算は若干かかろうけれども、五十七年度と言わないで来年度ひとつ開校するように、もう一回省内で協議してくださいよ。私も一生懸命頼まれてきたから、これ言っておかぬとね。ほんとに笑い事じゃありませんでね。だから、方々であれば方々につくってやればいいですよ、日本人学校を。その方が日本の将来のためになりますよ。日本人がアメリカ学校に行って英語で勉強するなんということはよくないことですよ。ひとつぜひ、わざわざ私きょう委員会で発言するわけだ、速記録に残そうと思って。でなければ電話で連絡する方法もあるだろうけれども。特にひとつお帰りになって相談してください、五十六年度開校する方向で。大使館が二年したらできますからね。それまでにはちゃんとやっぱり日本人学校をつくると――日本人の人たくさんいるんですよ。してください。お願いしておきます。
 外務省、あともう一問ありますけれども、通産大臣お見えになったから、通産省に質問いたします。
 私の質問要項に対してりっぱな報告を出してもらいまして説明を受けました。大きな問題はほとんどこの報告でいただきまして非常に感謝しております。委員会で前の日に質問要項を出してこんなりっぱな資料が出ましたということを感謝しておりまして、将来ともこういうふうにしていただきますと、各委員が全部わかりますからね。したがって、大きな問題の質問は終わったようなものです。あと通産大臣にもう少し具体的な問題を二、三質問しなければなりません。
 一つは、イラン油化がいま問題になっておりまして、実はこれはことし問題になったんじゃなくて、去年ごろからも週刊誌など相当問題になっておりました。それを政府が力を入れて各業界を集めて何とか前向きにやらなきゃならぬということで、前向きに、しかも山下さんが社長になって苦労しておるときに戦争になりました。で、このイラン石化の問題は、イランは継続と、けさの新聞には出ておりますけれども、いままでのいきさつ、それから政府の取り組み、それから業界の取り組みなど、大臣から直接お聞きしておきたいんです。
#37
○国務大臣(田中六助君) いままでのいきさつで的確を欠くところがあるかもしれませんけれども、いずれにいたしましてもイラン革命以後ナショナルプロジェクトに格上げしたわけでございます。その時点ではこういうことが問題になったわけでございます。いままでは三井グループ五社が中心になってイランとの合弁会社をやっておったわけでございますけれども、イラン革命によりまして三井五社だけでは、これはなかなか困難であろうという三井五社のグループの意見、要望もあったのは事実でございますが、いずれにしてもイラン革命政府の方といたしましても、この事業をどうしても続けてほしいと非常に強い要望がございまして、イランの政府の要望もさることながら将来の原油というようなことも、こればかりではございませんけれども、やはり期待としては私どもはそういう判断がどうしても先に立つわけでございまして、そういうこともありまして、これは受け入れようと、政府が乗り出そうということ。それから幸いに百社にわたる協力会社がそれぞれあらわれてきまして、結局日イのナショナルプロジェクトというようなことに踏み切って、その際三井グループに対しましてもいいかげんなことでは済まされないぞということで、これらの会社も決意の表明といいますか、そういう一札をはっきり入れまして、そういうことで海外経済協力基金からの出資ということも決定してナショナルプロジェクトになったわけでございます。
 今回、三回の爆撃がございまして、私どももその爆撃の実態、それから被害の状況、そういうものをつぶさに、現地でももちろんまたいつ空爆があるかわかりませんので、そういう調査、被害の状況をつぶさに調べることができないのかもしれませんけれども、三回にわたる被害の実情、状況というものの詳細な報告はないわけでございます。しかし、そういう報告もさることながら、私どもにとりましては七百四十四名の従事しておる日本の人々の人命というものを第一に考えざるを得ないわけでございまして、この人たちをどうするかということの方がどうしても先に立ちまして、早めに少なくともその工場の建設中の場から逃げるように、あるいは避難するようにということを何度も大使並びにイラン政府に要望をいたしました。最初はシラズというところに避難ということでございましたけれども、それもちょっと近いんじゃないかということで首都テヘランにかわりまして、これもきのうの夜やっと七百四十三名、四陣に分かれましてテヘランに全員無事に着いたわけでございます。それから、先ほど私が聞きましたところによりますと、最後まで残っておりました伊藤建設本部長もバンダルホメイニ、その工場のあるところを離れましてテヘランに着いたそうです。これで七百四十四名全部が、従事しておりました日本の人の全部がテヘランに無事一時避難が完成したわけでございます。この間いろんな交渉をイラン政府とやる、もちろんイラクに対しましてもそのプロジェクトの部分は爆撃しないように、あるいは戦争そのものをやめるように外交ルートを通じてやっておりますし、イラクに対してそういうことをするぐらいですからイラン政府に対しましても人命の問題、それから工場の問題、今後の対策などについても外交ルートを通じていろんな手段を講じておるのが現状でございまして、いま申しましたように人命の方は一応従業員はテヘランに着いておりますし、その後の物の破壊につきましてはどの程度の大きな被害なのかというようなことについての詳細はまだ届いておりませんので、そういう点についての総合判断はできにくい状態だというのが現状でございます。
#38
○小柳勇君 戦争前の対応、山下社長が決まりました後は、余りそういう言葉も聞きませんでしたが、それまで私企業にどうして政府が金を出すかという批判が相当ありましたね。それで、特にイランと日本との関係、そういうものとそれからこの戦争後にもなおこれを継続するとなりますと、日本としてはどういうメリットがあるのか。もちろん会社としてはいろいろ使命感もありましょう、三井グループとしてのメンツもありましょうが、それ以上に日本国民としてこの戦争後破壊されたものを修復して、そしてどういう製品をつくってどう販売するのだという、日本としてのメリットなどももう少しはっきりわかるように、政府としてはもうそれが仕事じゃないかと思う。後はもう会社の方でそれ一切やられるでしょうから、そういうところをもう少しはっきりしませんと、この三井グループ、私企業に政府はなぜそれだけ金を使わなきゃならぬかと。将来についてもそれはそういう問題が起こると思うんです。以前の批判はそういうものが主体でした。その後、その批判については相当消えかかったときに戦争になりましたものですから、これから継続するとすればなおそういう面もいろいろ国民にわかるように、三井グループとしてもあるいは政府としてもやっていかなきゃならぬと思うんですけれども、大臣からもう一つその点を聞いておきましょうか。何でしたら担当官から。
#39
○説明員(田口健次郎君) 御説明申し上げます。
 本プロジェクトは、重要な産油国でございますイランとの大型の経済協力案件でございます。建設期間中にあのイラン革命に遭遇いたしまして、建設工事を中断せざるを得ないという困難な事態に直面したわけでございます。種々の面で従来の関連企業、民間の五社だけでは対応困難な問題も生じたものでございます。一方イラン政府の方は、本件を最優先プロジェクトとしてと、実は六月にもクーヒャ等とも会いましたけれども、イランの方は長いことナショナルプロジェクトでやってきたと、日本の方は去年からナショナルプロジェクトに上げてくれたというような言い方もしておりますけれども、イラン政府は本件を最優先のプロジェクトといたしましてその早期完成を強く要請してきている。わが方の政府といたしましてもこれにこたえて本プロジェクトの完成を通じて、重要な産油国でございますイランとの友好関係の一層の緊密化を図ることが重要というふうに判断いたしまして、従来の五社だけではなしに、産業界の幅広い資本参加を得まして推進体制を強化いたしますとともに、政府といたしましても昨年閣議了解によりまして、海外経済協力基金からの出資等の支援策を講ずることとしたことでございます。その出資に当たりましての基準と申しますか理由と申しますか、こういった諸点を申し上げますと、一つには、相手のイランの経済開発効果が非常に大きいというふうに本件は認められる。
 それから二つには、日本とイランとの関係の、特に長期的な関係の緊密化に寄与すると、特に重要産油国イランとの間の関係の緊密化に寄与すると考えられること。
 それから三つには、わが国から見まして資源確保あるいは産業立地という観点から必要であるというふうに考えられました。
 それから四つには、関連業界の支持協力ということで、数少ない民間私企業というのではなく、百社に上る幅広い関連業界の支持協力が得られる体制が整っておると。
 それから最後に、五番目でございますけれども、冒頭申しましたように、革命等を経由いたしまして、民間企業だけでは事業継続が困難であると、こういったものの理由によりまして、一応政府支援のいわゆるナショナルプロジェクトということで、海外経済協力基金の出資をいたしてきているわけでございます。
#40
○小柳勇君 次の問題は産油国に対するこれからの経済協力の問題で、通産大臣から方針を聞いておきたいのですが、これは向こうの産油国の担当の大臣あるいは日本人会の代表の皆さんも訴えておりますが、いま一歩の経済協力、特に技術協力で、日本の技術がいいからその技術をもう少し輸出してくれということです。さっき外務省に質問しました。たとえばこちらから優秀な技術員が向こうに行って教えるとか、教官として向こうで教えるとか、そういう技術協力。経済協力もそうですけれども、経済協力の面では日本の資材、いろいろそれは電子部品もありましょう。資材が欲しいということ、資材と技術協力をいま一歩強化してもらえないかと、こういうことを切に、これは各国から、日本人会からもそういう訴えもございました。この点についての通産省の方針を聞いておきたいのです。
#41
○政府委員(真野温君) 小柳先生御指摘のとおり、産油国との経済交流、経済協力というその中の一つの重要なポイントがお説のような人材要請、これに対する協力であろうかと思います。わが国としても、従来からこの分野における協力を積極的に推進していくという基本的考え方でございますが、ややいろんな段階がございまして、幾つか段階を分けて考える必要があろうかと思います。
 人材交流そのものにつきましては、現在政府ベースでは国際協力事業団がこれは一元的に実施しておりまして、この分野で相当な実績を上げてきております。また同時に、これは相手側の産業全体の問題でありますから、政府ベースだけではなくて民間ベースでの人材要請協力ということもいたさねばいかぬと思いますので、この点につきましては、従来から民間ベースでは海外技術者研修会、こういうところでまず研修生の受け入れをいたしております。それから海外貿易開発協会というのがございまして、これは向こう側に逆に専門家を派遣する。こちらから出る分と向こうから受け入れる分、こういうかっこうで人材要請についての協力をいたしております。通産省といたしましては、今後ともこの面において質、量ともに充実を図るという必要を考えまして、支援してまいる所存でございます。
 なお、このほかにも人材要請に関連しましては、現地で職業訓練センター、こういうのは相手国の要望がある場合でございまして、現在イラクには職業訓練センターというのをつくっておりまして、これは非常に向こう側もさらに充実拡大を要請している。そういう意味で、現地でのいろいろの施設というものも一つ考えられると思います。
 さらに、幅広い意味では、これは国によって違いますけれども、いわゆる経営、技術両面を含めての技術的な能力、ノーハウを向こうへトランスファーする意味では、合弁というかっこうで出ておる場合には、これは非常に有効でありまして、これは若干の国において、合弁経営を認めておる国においてはそういうかっこうでの今後の技術なり経営のトランスファーということが行われてまいるかと思います。全体としていろいろな段階がございますが、総合して相手側の要請も考え、相手側の必要とする分野について積極的に協力してまいるという基本的な考えでございます。
#42
○小柳勇君 それから備蓄の石油がありますから大丈夫だという報告、けさの報告もそうですけれども、この備蓄の石油でたとえば百日分あると、そいつは安いときの値段で石油を買うているんだから、これを放出すれば今度は値段が上がるときに販売価格の調整ができるではないかという一般論があるわけですよ。たとえばいま三十二ドル、恐らくまた戦争後、増産はしないけれども、値段は上げてくると思いますよ。そういうときに、百十日分あるから、たとえば十日分備蓄を出しまして、値段を調整しましょうと、政府の分だけでも一週間分ありますからね。そういうものができるではないかと、たとえば船で二カ年間も備蓄しているんだから、そういうのを放出して値段をたとえば三十二ドルが三十四ドルになり、四十ドルになったら少しこれでプールして、安いときの油を出すと、そういうことができるんではないかという非常な一般の常識論があるわけですが、そういうことはどうですか。
#43
○政府委員(森山信吾君) 備蓄の問題、非常にいま小柳先生から御指摘のございましたように、いろんな見解が分かれるわけでございまして、実はことしの三月に電気料金の査定をさしていただいたときも、そういう御意見をちょうだいしたわけでございます。ところが、いま先生も御指摘になりましたように、国家備蓄はまさに同じ油を積んでタンカーで遊泳しておるわけでございまして、これは二年間フィックスいたしておりますから、確かに二年前の安い値段で買っているわけでございますけれども、そのほかの民間備蓄につきまして、これは現在百四日分ございます。八月末現在で百四日分ございますが、これは古い価格で、つまり安いときの価格で買ったものがそのままずっと備蓄されておるというんじゃないわけでございまして、これは会社の経理上は備蓄されました油が常に回転をしていきまして、つまり会社の経理方法によって三段階ぐらいの方法もございますけれども、一概に申し上げますと、古い油は数カ月後に必ず回転さしていく、それで新しい油を補給していって、水準として百四日分の水準があるということでございまして、その油が決して安い価格のまま備蓄されているというわけじゃない状況になっておりますので、この点はぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#44
○小柳勇君 理屈じゃなくて、ちょっと問題が残るようですけれどもね。また詳細に数字を持ってきまして、何月ごろには幾らだったですよと、これを放出したら幾らになるということを、これは数字計算すればわかりますけれども、きょうは時間もありませんから一応聞いておきますよ。ただし、納得しておきませんけれどもね。一般にそういう理屈があるんですよ。百日分もあれば、安いときに買うとるんだから、これを放出したら何も三十二ドル、三十四ドルせぬでいいではないかと、本当のこれはぽっと納得できる議論ですね。だから、備蓄が百十日ありますから、戦争あったって二カ月ぐらい心配ありませんと言うならば、ひとつ値段のうんと上がるときは放出しますと、それで値段を抑えますと、それがなぜ言えぬかと、こうぼくは言われるんですよ。いまの長官の答弁ですけれども、数字でもう少し聞きませんとわかりませんが、時間がありませんから、最後の問題、これは特別にエネルギーの問題じゃありませんけれども、私は中東諸国を回りまして方々から、特に日本人会の大企業なり中小企業の皆さんから陳情を受けましたのは、韓国の企業が進出してきましてお手上げの状態なんです。それで入札が安いもんですから、方々の企業がどんどんとられちまう。なぜそんな安いかと聞いたら、韓国はベトナム戦争終わりましたから、兵隊をそのまま労働者として連れていくあるいは青年をもう一年間あの暑いところで、特に四十五度、五十度の炎熱のもとで働きますから、朝から。一年間働けば徴兵免除、それが条件だそうです。徴兵免除するから行けと、したがって、労働者は安い賃金で行きます。だから、安い入札で、日本の大手企業が全部ほとんどお手上げの状態である。これは今後もますますひどいであろうと言われているわけです。こちらの方では、日韓癒着など首脳陣、財界などもいろいろ手を握ってやっておられるが、出先の方では入札ごとに韓国企業かちどんどんやられている。とにかく軍部独裁政権で、青年も全部産業に組み込んでしまっている。それと日本の企業は太刀打ちできない。日本の企業はパキスタンとかインドなどから労働者を雇ってくる。賃金が違うそうですね。したがって、そういうものに対して御存じであろうと思うけれども、みんなに特に国会の場などで申し上げて、日本の企業自体がその事態も知っていただかなきゃならぬ。でないともう日韓、とにかく提携でうまくうまく円満にいっていると思いますと、方々で戦争している。そういう問題について、もちろん日本は自由経済ですから、政府がどうということはできないかもしれない。しかし、そういう情勢は知っておりませんと、こちらの方の日韓契約についてもいろいろ問題にしなきゃならぬのではないかと思うわけです。だから、まあ大臣も御答弁できるかどうかわかりませんけれども、そういう実態見ておりますので、外務省も通産省もそういう実態、これはもっとひどくなると思います。
 もう一つは、日本の自動車が七割から八割走っていますが、みんなダットサンと大きくローマ字で書いてある。あるいはトヨタと書いてある。だから、それでなくともアメリカなど自動車輸出国がかっかしているのに、日本のトヨタです、日本のダットサンですと大きな字で広告して歩いているものですから、もうかっかしているというのが実態のようでありますが、そういうものを日米の自動車交渉の中で、やっぱり腹の中にはあるんじゃないかと。ああいうところに全部日本のトヨタ自動車がいっている。したがって後ろに宣伝せぬでもよかなかろうかと、私そう思いましたよ。だからこれは話題にしておきたいと思うんですけれども、だから自由貿易、国際貿易いろいろ問題がありましょうけれども、小さいところまで気を使っておりませんと、せっかく外務省や通産省が国際貿易で努力されるのが、ちょっと配慮すればいいのに、日本が近い将来に総スカンを食うと、そういうものもちょっと考えたわけです。したがいまして、その二つの点、もし感想でもあれば大臣なり長官から聞いておきたいんです。
#45
○国務大臣(田中六助君) 韓国の人が中近東、サウジアラビアなどで建設、土木、そういうものを中心に活発に働いておるというようなことは聞いております。これがわが国のそういう関係の人々にどの程度響くかというようなことなども実態を十分調査し、それから実態をいつも把握するということに努めなければならないということは考えておりますし、そういう動きはするようにはしております。
 それから、日米経済摩擦などにつきましても、無用に摩擦を起こさなくてもいいじゃないかということでございますが、もちろん私ども貿易の拡大ということが日本経済にとっても世界経済にとっても十分必要でございますので、むだな摩擦を起こして保護貿易主義に走らせるというようなことは国策としてもとるべきではございませんし、そういう観点も十分気をつけて海外協力あるいは海外の活動を進めるようには配慮していかなければならないというふうに思っております。
#46
○小柳勇君 外務省何かありますか。
#47
○説明員(堤功一君) 私どもといたしましても韓国企業の競争力というのには十分気づいておりまして、特に労働者の質というのが高いというのが韓国企業の強みとなっているということも承知しております。大体中近東におきましてはわが在留邦人の十倍以上の韓国人が活躍していると、そのためにわが国の企業に種々の困難があろうかと思います。私どもも常に実情把握に努めるべく努力しておりますけれども、先ほどのお話にもありましたとおり、本質的には自由競争の問題であって、政府としてあるいは行政当局としてなすべきことがあればやらなきゃいかぬと思っておりますけれども、現在のところは問題を注視していると、注意して見守っているというところでございます。
#48
○小柳勇君 質問を終わります。
#49
○中尾辰義君 最初に外務省にお伺いいたします。
 今回のイラン・イラクの紛争につきましては、わが国が大きく依存している中東油田地帯における紛争でありますので、われわれも非常にその成り行きにつきましては重大なる関心を持っておるわけでございます。先ほど現状と見通しみたいなものをお伺いしたんですけれども、これは最初は、新聞情報等によりますと案外短期間で終わるんじゃないかと、こういうような記事も出ておったわけですが、最近はまた、どうも長期化の方向にいくおそれがある、こういうような見通しのようでもありますけれども、この問題非常に歴史的な複雑な背景もございまして判断もむずかしいでしょうけれども、外務省はこれはどういう判断をしておるのか、現時点ですね。これはむずかしいか知れませんが、再度私はお伺いしておきたいと思います。いかがですか。
#50
○説明員(堤功一君) 紛争勃発の当初に余り長い間続かないであろうという見方が行われましたのは、ジェット戦闘機や戦車等を駆使した大規模な戦闘は補給面、後方補給の面で問題があり得るのでそのような大規模な戦闘は続かないのではないかという意味でそういう見方が行われたのであろうと思います。その後、停戦への仲介、調停の動きが出ましたが、それに対する両当事国の反応を見ますと、イラン側の戦意、革命政府のもとで非常に盛んでございまして、ホメイニ以下徹底抗戦を言っておるわけでございます。両当事国の停戦に対する条件に余りにも差がございますので、これは残念なことにすぐ停戦という動きはない。そういたしますと、補給の困難ということから戦争の規模が縮小されるということはありましても、規模縮小のまま戦闘行為自体は長引くのではないか、そういうのが私どものいまの判断でございます。
#51
○中尾辰義君 現時点でイラン、イラク周辺の中東諸国の動きはいかがでしょう。全然ありませんか。一部動いておるような記事も新聞等に出ておりますが、その辺いかがですか。
#52
○説明員(堤功一君) 周辺中東諸国の態度でございますけれども、最もイラクに対して支援、支持を表明しておるアラブの国はヨルダンでございます。しかしながら、私どもは実際に軍事的な支援をヨルダンがする用意があるかということについては、必ずしもそうは見ておりません。これはイラクに対する支援の姿勢を示したという意味合いの方が大きいかと思います。ただし、ヨルダンは自国の領土をイラクに対する補給のために使用させております。そういう意味から、ペルシャ湾経由の物資補給がほとんど不可能となっている現状においては、ヨルダンのアカバ港を経由した物資補給というのがイラクにとって非常に重要となっているという現状がございます。ほかのアラブ諸国でございますが、おおむね心情的には同じアラブの国ということで新聞論調等ではイラク側に比較的好意的なものがございますけれども、政府の声明等を見ますと、非常に慎重に中立の態度、不介入の態度を打ち出しております。これに対しまして、従来イラクとの仲がしっくりしておりませんでしたシリア等はイラン支持の立場を明らかにしておりますが、そのほかアラブの国ではリビアあたりでございまして、イラン支持の国の方が数は少ないと申してよろしいのではないかと思います。
#53
○中尾辰義君 それから、これは通産省かもしれませんが、イラン、イラク両国ともお互いに石油施設を爆撃しておるようですが、石油施設の両国の被害の状態、これわかりましたらお願いします。
#54
○政府委員(志賀学君) 被害の現状と申しますのはなかなか把握しにくい向きがございます。で、私どもいろいろ情報を見た範囲でわかっている範囲で申し上げますと、概して油田そのものについての被害、これは比較的少ないのではないかというのが一般的な見方のようでございます。ただ、バスラあるいはアバダンといった製油施設についての被害、これはかなり大きいというふうに承知しております。それからもう一つ問題になりますのは積み出し施設及びパイプラインの状況でございますけれども、イランのペルシャ湾岸の積み出し施設でございますファオあるいはアマヤ、バクル、そういった積み出し施設についての被害というのはかなり大きいというような情報が多いようでございます。それからイラクのペルシャ湾岸の積み出し施設でございますけれども、これはカーグ島あるいはラバン島ということでございますけれども、これについても、特にカーグ島の方の被害、これはかなりあるというような状況にございます。それからイラクの地中海に向けてのパイプラインでございますけれども、これにつきましてもいろいろ被害が出ておる。ただその修復には比較的時間がかからないのではないかというような情報がございます。
 以上でございます。
#55
○中尾辰義君 それから、イラン石化プロジェクトの被害状況につきましては先ほどお伺いをしたわけでございます。これで、先ほどこの石化事業につきまして今後はどういうふうにやるのか、これはまあ大臣も継続という方向でお伺いしたわけですが、いままでこのイラン石化プロジェクトに民間と政府とどの程度投資をしているのか、また投資をする予定になっておるのか、この点数字をひとつお答え願いたいと思います。
#56
○説明員(田口健次郎君) お答え申し上げます。
 本プロジェクトの所要資金は、現在の計画で申しますと、先ほど申しましたが七千三百億円、これは日本とイランと合わせて七千三百億円でございます。そのうち日本側が四千三百億円を出資あるいは融資の形で負担するという計画になっております。で、日本側負担四千三百億円のうち、きょう現在までにおよそ三千百億円余りの投融資が実施されております。その相当部分が三井物産を中核といたします日本側の民間企業によるものでございます。で、政府からの出資、特に海外経済協力基金からの出資、これは計画では二百億円ということになっておりますが、現在までの出資実行額は、二回行いまして、二回合計いたしまして五十四億円ということでございます。
#57
○中尾辰義君 こういうような多額の投資をして今度かなりやられたわけですが、当然これは変わっていくわけですね、投資額が、継続するのであれば。そうするとどの程度になるのか、その辺がまだはっきりわからぬわけですよね。これはまあお聞きしてもまだわからないと思いますから。
 そこで、例のこのイラン石化に対する被害について輸出保険というようなことが新聞にもちらほら出ておりますが、これについてちょっと参考までにお伺いしておきたいと思います。この事業に関してどのような輸出保険契約が結ばれておるのか、またその種類と保険の金額、これを最初お伺いいたします。
#58
○政府委員(古田徳昌君) このIJPCの事業につきましては主として海外投資保険がかかっているわけでございます。ただ、この保険契約金額につきましては、個別企業と輸出保険当局との間で締結されております私的契約ということになっておりまして、これらの契約の内容なりあるいは保険金額等につきましては、企業の秘密あるいは信用に関することでもございますので、保険運営の慣例としまして従来から公表を差し控えさしていただいているところでございまして、そういう形で御了承も従来からいただいているわけでございます。
#59
○中尾辰義君 それでそれが今度は爆撃されたわけですけれども、相当損害を受けたわけですが、これは保険事故の対象になるのかならぬのか、それと、どういうような状態になった場合に保険事故の対象として認定をするのか、その辺等をひとつお伺いします。
#60
○政府委員(古田徳昌君) 海外投資保険につきましては、民間の損害保険とは異なりまして、戦争等によります物的な損害を直ちにカバーするというものではございません。そういうふうな損害によりまして当該事業の継続が不可能になりまして、さらにその当該事業に対します出資とかあるいは貸付金とかいうものが回収不可能になるというような状態のもとで初めてこの保険によるカバーが行われるわけでございまして、したがいまして、現時点ではIJPCの事業継続につきましては基本方針に変化ございませんので、保険事故を云々するという段階ではないということでございます。
#61
○中尾辰義君 それから、イラン、イラク両国からのわが国の原油輸入につきましては、先ほど資料で大体イラクが八ないし九%のわが国の依存度があると。イランは四月以降とまっておるわけでありますが、これは大体どのくらいあったのか。それから、イラン、イラクのこの紛争、石油の輸出停止によって、わが国の石油業界ではどういう会社が一番影響を受けておるのか。それと、それからこの資料にも書いてありますけれども、「他の産油国による増量の余地は十分あるものと考えられる。」、これは報告ですが、イラン、イラク以外の産油国が石油の増量をすることをはっきり打ち出しておるのかどうか、そういうような動きがあるという程度なのか、その辺ちょっとお伺いします。
#62
○政府委員(志賀学君) まずイランのウエートでございますけれども、イランからの原油輸入、これはイランの政変前、これは日本の輸入の中で一七%ぐらい、これは五十二年度でございますけれども一七%ぐらいございました。その後五十三年に政変があったわけでございますが、それに伴ってイランの生産量が落ちまして、その結果五十四年度におきましては、大体日本の一三%ぐらいということでございました。これがことしに入りまして四月の二十一日以降船積みが先ほど申し上げたように価格問題で折り合わないということで、四月二十一日以降とまっておりますが、その前あたりでございますと大体一〇%ぐらいということでございました。現在そういうことで七月以降イランからの輸入というのは全くとまっているわけでございます。
 それから、イラン、イラクからの輸入がとまることによる影響でございますけれども、これは会社によってかなり差がございます。概して申しますと、民族系の中にやや高いものが数社あるというような状況でございます。いずれにいたしましても、現状の各社とも備蓄は十分に持っておるということでございますので、片やそれから次の御質問のほかの産油国の増産問題なども出てまいりますので、イラク依存度の高い会社につきましては、その辺をにらみながらその会社からの供給というものに支障が生じないようにわれわれとしてはウオッチしながら必要に応じて対応をしてまいりたいというふうに存じております。
 それから、ほかのOPEC諸国の生産の動きでございますけれども、かなり増産の方針を出しておりますのは、私どもの承知している限りではまずサウジ、これははっきりしております。あとUAEあるいはクウェート、こういった国については増産の動きがあるというようなことは聞いておりますけれども、具体的にいつからどのくらいというようなところまでは私ども現在のところ承知しておりません。
 以上でございます。
#63
○中尾辰義君 それでこの報告、「イラン・イラク紛争の石油情勢に与える影響」ですね。この刷り物を見ますると、とにかくこの二つの国の石油輸出はとまっても、八月末にはわが国の備蓄が百十日分程度、内訳は民間備蓄が百四日、国家備蓄七日、これだけありますから、これを取り崩して大丈夫ですと、こういうようなことを書いてあるんですがね。これを私どもが果たしてこのまま全面的に信頼していいのかどうか、その辺も疑問があるわけでして、情勢がどういうふうに変わっていくかもわかりませんし、またそれだけ取り崩しますと、備蓄もだんだんこれは減っていくわけですから、今後ただ備蓄があるから大丈夫だと、これだけのことしか書いてないんですが、今後やっぱりそうは言ってもいろいろと価格等の面においてもいろいろ影響が出てくるだろうし、今後の備蓄の取り崩しとあわせて円滑な需給を図るためにどういうことを考えていらっしゃるのか。
#64
○国務大臣(田中六助君) これは将来を中長期的に見ますと、非常に懸念すべき問題でございまして、私どもは基本的にはエネルギー安全確保ということ、それから省エネルギー、それから代替エネルギーというような三つの柱を立てて、これを早期に実現しなければならないという観点に立っておるわけでございます。いまのところ備蓄が百十一日分あるというようなこともありますけれども、昨年の節約、省エネルギーというような要望を国民の皆様にお願いして五%達成は確実にできまして、本年度は七%節約をお願いしているわけでございますが、これとてもいまのところそれを上回る節約の実現、まあ冷たい夏、寒い夏というようなこともございましたけれども、それも何とかなっております。
 それで、代替エネルギーとか原子力発電所とか、それから将来油を五〇%に十年後下げるんだ、したがってどうなるこうなるというようなこともございますが、現実の問題といたしまして、たとえば灯油に例を引きますと、まあ需要期に入っているわけでございますけれども、四月から八月の前年同期比に見ましても九〇・三%ぐらいしか使ってないんですが、これを現実にいま価格の面で見ますと、六月の灯油、十八リットル入りでございますけれども、これは運搬費を含めましてでございますが千六百六円なんです。それが七月には千六百五円、それから八月になりますと今度は千六百円台から千五百円台になりまして千五百八十四円、それから九月、九月はもうイラン・イラクのこれが非常に影響しているんですが、それでも千五百八十一円と下がっているんですね。それで全体的な燃料油の販売量といいますか、先ほどの九〇・三というのはそれでございますけれども、それもそう下がっているんですね。
 そういうような面を見ても、もちろんだぶついているということがございます。それから国民の皆さんが非常に冷静でこれに対処しておる。私どもも、価格そのものにつきましても市場価格、マーケットオペレーション、そういう需要と供給によって決まるんだという態度の方が第二次オイルショックのときからじっと見ておりますと非常に有効に機能しておりますので、そういう態度を続けておるわけでございます。
 それでその百十一日分を三十日分取り崩したらこうなるああなるということだけではなくて、もちろん中近東に依存しているのが、ホルムズ海峡を通過するのが七〇%から七二%ある。あの海峡が閉鎖されたらそれが響くわけでございますので、もちろんそういうことのないようにあの手この手でイラン、イラクに対しての要請はもちろんでございますけれども、自由主義国家、アメリカ、フランス、その他西ドイツも含めていろんなこともやっておりますし、ソ連に対してもいろんなお願いをしているし、それから中国ですね、中国に対しても、まあ油はなかなか中国に対しては交渉どおりいきませんけれども、それも外交ルートを通じていろんなことをやっておりますし、いまメキシコ展覧会がきょうから東京でオープンになるんですけれども、メキシコから石油公団の総裁が来ております。ゆうべも私は会いましたが、いま十万バレル御承知のように十月から入ってくるようになっておりまして、残りの二十万バレルをどうするかということにつきましても非常に理解ある態度をきのうきょう示していただいております。
 そのようにインドネシアに対してもいろんな動きをしておりますし、中近東だけの依存ということに対しては反省もしておりますし、反省しておるだけじゃなくて、いずれにしてもわが国の経済あるいは民生の安定、国民生活に響きますので、いまの備蓄、それからいまの灯油の例にありますように、価格はむしろ下がっておるというようなことに甘えることなく、いろんな手段を講じていきたいというふうに考えております。
#65
○中尾辰義君 わかりました。
 先ほどにまた話を戻しますが、輸入原油は従来はメジャー経由のものが多かったんですが、最近は商社が現地の石油公社等から直接買い付ける、いわゆる直接取引原油がふえておるわけですが、最近のわが国の原油を、メジャー原油、DD原油、GG原油、スポット原油、こういうように輸入形態別に見ました場合にどういうふうになっているのか、その辺のところをちょっと説明してください。
#66
○政府委員(志賀学君) 先生御案内のように、イランの政変以降、国際的な石油の供給構造というのが非常に変わってまいっております。要するに、メジャーのウエート、比重というのが非常に落ちてきておるというのが実情でございまして、そういった国際的な石油の供給構造の変化、これが日本の輸入構造にも反映しているわけでございます。
 で、イラン政変前の日本の原油輸入の中に占めますメジャーの割合というのは七割を超えておったというのが実情でございますが、その後、逐次メジャーからの供給というのが減ってまいりまして、五十四年度、昨年度にはほぼ五割と低下しております。最近では、この四−六月で申しますと四三%ということで、五割を大幅に割っておるというのが実情でございます。
 それに対しまして、GGあるいはDD――産油国からの直接取引でございますけれども、要するに、メジャーの力が低下し、それと反対に産油国の力が強まったということの反映といたしまして、これは、たとえば五十一年度ごろでございますとGGあるいはDDのウエートというのが一五%ぐらいであったわけでございますけれども、この四−六月になりますと四五%ということで、メジャーの割合を上回っておるというのが状況でございます。
 片やスポットでございますけれども、このスポット原油と申しますのは、産油国からの直接取引の原油あるいはメジャーから供給される原油、この中にスポットが入り込んでいるわけでございますけれども、したがって、その区分がちょっと縦横交錯するわけでございますが、スポットの割合を申しますと、最近では大体一〇%ぐらいということで推移しております。昨年の末、十−十二月ごろ、これは一四%ぐらいということでかなり高くなりました。それから、ことしの一−三月期におきましても一二%ぐらいということで比較的高かったわけでございますけれども、最近は四−六月以降大体一〇%ぐらいで推移しておるというのが状況でございます。
#67
○中尾辰義君 それから備蓄の問題ですがね、これは先ほど、八月末で百十日分あるということですが、これでも諸外国と比べてまだ日本は少ないように思うんですけれども、外国はどの程度になっておるのか。それからわが国の備蓄の目標、これをもう少しふやす意向はないのか。ふやすとすればどういうところに問題点があるのか。その辺ちょっとお伺いしたいと思う。
#68
○政府委員(志賀学君) 諸外国の備蓄の水準でございますけれども、これはIEAで発表しております数字によりますと、先ほども御報告申し上げましたように、ことしの七月一日現在で百四十日ということになっております。国別の数字、これはIEAから発表されておりませんのでよく詳細わかりませんけれども、先進国平均で百四十日程度ということになろうかと思います。それに対しまして日本の場合でございますが、九十日民間備蓄、これを達成すべく従来努力をしてきてまいっておるわけでございますが、それに加えまして、この民間備蓄九十日を超える部分については国家備蓄としてやっていくという方針で従来取り組んでまいっております。
 で、国家備蓄の目標といたしまして三千万キロリットルということで現在計画をいろいろ進めておるわけでございますけれども、この三千万キロリットルと申しますのは、最近の消費水準をベースにいたしますと、大体四十三日分ぐらいということになります。したがいまして、民間備蓄九十日と国家備蓄三千万キロリットルが達成された場合には両方合わせまして百三十三日ぐらいということになりまして、かなり他の先進諸国並みに近づいた水準になるというふうに思っております。
 で、私どもといたしまして、まずこの国家備蓄の三千万キロリットル体制の実現というものに当面最大限の力を注いでまいりたいというふうに思っております。
#69
○中尾辰義君 それから、今度は輸入原油の価格の問題ですが、これも答弁がむずかしいかもしれませんが、最近またサウジアラビアが公示価格一バレル二ドル上げたわけですが、今度の紛争の長期化によってやはり上がると見なきゃならない。そうするとスポット買いというようなものがふえるし、上がっていくんじゃないか。そうした場合に通産省はどういうような見通しを持っておるのか。それと、商社等がスポット買いをする場合にどういうような指導をおやりになるのか、その辺ちょっとお伺いしたい。
#70
○政府委員(森山信吾君) 価格の見通しにつきましては、御指摘のとおり大変むずかしい問題があるわけでございます。ちなみに、先般、沖繩電力の電気料金の値上げの査定をしたわけでございますが、その際に私どもがとりました今後一年間の価格の見通しは三十五ドルで推移すると、こういう見通しを立てたわけでございます。これは八月末現在の価格が大体三十四ドルということでございまして、これは日本に通関された価格が八月末で三十四ドル弱でございまして、今後の情勢を占う大きな要素は二つございまして、産油国がどういう値上げをしてくるかという要素が一つございますし、そのほかにもう一つの要素は為替レート、円のレートがどうなってくるか、これによって変わってくるわけでございます。
 そこで、まず第一の産油国の情勢がどうなるかという点につきましては、先生も御指摘になりましたように、この八月一日からサウジが二ドル上げたわけでございますけれども、そのほかの国々は全然フォローをしておりません。価格の追従値上げをしていないわけでございます。問題は十一月に行われる予定でございますOPECのサミット、これはバグダッドで行われる予定でございますけれども、ここにおきましてさらにもう一段の値上げがあるんではないかという見通しが一部にあったわけでございますが、現在のようなイラン、イラクの紛争の状態では、とてもバグダッドでOPECサミットをやれない状態ではないかということでございまして、私どもも含めまして、恐らくこのOPECサミットは相当長期間延期されるんではないか、こういうことを現在見通しておるわけでございます。
 そうなりますと、その次のOPECのエベントは十二月にインドネシアのバリ島で行われますOPECの総会、これは通常総会でございまして、これ自身が果たして予定どおり行われるかどうかもまだ判然といたしておりませんが、いまのところ仮にOPECサミットが延期になった場合のその次に予定されておりますOPEC会合は十二月ということでございまして、それまではいわゆる公式の価格の値上げはないんではないかというのがいま私どもの見通しでございます。
 そうしますと、第二点の為替レート、円レートがどうなってくるか。まあ幸いにいたしまして、幸いといいますのは輸入サイドから見まして幸いなことには、いま二百十円をちょっと下回ったところで、いわゆる円高で推移しておりますので、輸入物資につきましては大変都合がいいような状況になっています。輸出につきましては若干別の観点があろうかと思いますけれども。したがいまして、この為替レートがいまのような状態でございますと、第一段の問題と絡めましてそう大きな変動はあるまいということで、冒頭に申し上げました三十五ドルが当分続くんではないか、こういう想定を通産省としては持っている、こういうことでございます。
#71
○中尾辰義君 スポット買いの指導。
#72
○政府委員(志賀学君) 国際的な原油事情を最も端的に反映いたしますのがスポット価格でございます。スポット価格の動きについては、ことしに入りまして世界の原油需給が非常に緩んでおったということで非常に弱含みで推移しておったわけでございます。特に八月末から九月にかけましてアラビアン・ライトのスポット価格が大体三十一ドル二十五セント、かなり低いところまで落ち込んだわけでございます。
 その後最近におきましてイラン・イラク紛争の影響もありまして、最近では三十七ドルというような価格もついておるようでございますけれども、これはどちらかというと売り手の方からそういう価格をつける、ただ、それがそういう価格で成約するということは比較的少ないというふうに見ております。いずれにいたしましても先般のIEAでの申し合わせにおきましても各国が冷静に対応すれば、今回の石油の問題というのは対応可能であるという判断をしておりまして、そういう観点から特にスポットマーケットにおきます高値買いを自粛していこうという申し合わせをしておるわけでございます。それを受けて私どもとして各社に対してスポットの高値買いを自粛するように通達をすでに出しておるところでございます。
 いずれにいたしましても、私どもといたしまして日本が国際的な石油の価格を引き上げる原因になるというふうなことで、国際的な批判を受けないように十分に各社を指導してまいりたいというふうに思っております。
#73
○委員長(安孫子藤吉君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。
   午後零時三十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時開会
#74
○委員長(安孫子藤吉君) ただいまからエネルギー対策特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、エネルギー対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#75
○下田京子君 外務省に一点お尋ねしたいんですが、けさほどから御説明、御報告もありましたが、最近のイラン・イラク情勢、非常に心配が多いわけですが、特にエネルギー資源国としてのこの両国の紛争というものは、あの地域だけの安全ということにとどまらず、世界全体の平和あるいはまた各国経済に大きな影響を及ぼすということで私たちも心配しております。けさほど外務省の方の御報告の中に、これら問題については日本政府としては平和的に解決していく、その手だてを何らかの形で考えているという話がございました。これは代表質問、ずっともう各党おやりになっておりますが、鈴木内閣が一貫して、政府は参加する立場にないということは言明されているわけなんですが、一点確認したい点は、アメリカのホルムズ海峡の軍事的なこういう問題等がいろいろ問題になっている中で、いわゆる参加すべき立場にないというだけではなくて、さらにその費用分担に応じない、あるいはまた日本の米軍基地からこうしたホルムズ海峡等への軍事的な介入ということを直接の目的にして米軍の基地使用ということは認めない、こういう立場をはっきりおとりになるのかどうかということを確認したいわけです。
#76
○説明員(栗山尚一君) お答え申し上げます。
 ただいま下田先生御質問のアメリカの構想につきましては、これは、いわばホルムズ海峡あるいはペルシャ湾、アラビア海の船舶の航行の安全というものを確保するという目的で現在アメリカが一部の諸国と話し合っておるというふうに承知しております。いわば共同パトロール構想とでも言うべきものだろうというふうに承知しておりますが、私どもといたしましては、たびたび申し上げておりますように、本構想に対しましてわが国がこれに直接参加するという立場にはないということはたびたび申し上げておるとおりでございまして、アメリカもこの点は十分承知しておると、わが国の基本的な立場を承知しておるというふうに理解しております。
 御質問ありましたわが国にございます米軍基地あるいは施設区域の使用との関連で申し上げますれば、すでに累次いろんな機会に御答弁を申し上げておりますように、安保条約のもとでわが国が提供しております施設区域から米軍が移動していくということは、これは安保条約のもとにおきましては自由に認められておることでございまして、したがいまして、安保条約との関係におきましてはこの点は何ら私どもとしては本質的な問題はないというふうに理解しておるわけでございます。
 費用の分担の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、わが国は本件構想に参加する立場にないということでアメリカ側からも本件につきましては協議を受けておりません。したがいまして、この段階で費用の分担の問題につきまして具体的にこうだああだということを申し上げることは必ずしも適当ではないというふうに存じますので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
#77
○下田京子君 米軍の基地使用問題について、安保条約の関係で移動していくということであって、これはもうどうもならないというお話なんですが、これは別の機会の議論になるかと思うんですけれども、直接こういういま大きな問題になっておりますイラン・イラク紛争に関しての重大なホルムズ海峡の問題について軍事的に入っていくということがはっきり目的的に明らかになっている段階で、それに対して何ら日本政府が物を言えないという点が明らかになれば、これはやっぱり非常に大きな問題であるということは一点指摘しておきたいと思います。
 それから、費用分担の問題ですけれども、これもまた明快ではございませんね。つまり、アメリカからの協議がございませんからいま何も申し上げられませんと、日本の政府じゃありませんか、どうするのかという点で。これまた非常に主権国として問題であるということをきょうは指摘だけにとどめておきたいと思います。
 そして、私はあくまでも口先だけじゃなくって、具体的な行動においてこうした第三国の介入というもの、武力的な解決に出ないで平和的にあくまでも解決されますように、けさほどの外務省の報告に沿って事がなされますように要望したいと思います。
 次に、大臣にお尋ねしたい点なんですけれども、エネルギー問題がいまのイラン・イラクの問題と絡みまして、石油に七割以上依存している国内のいまのエネルギー事情、大変でございます。私がお伺いしたい点は石炭政策の基本でありまして、けさも大臣ごあいさつの中で、石炭政策につきましては中長期的に見ていわゆる新石炭時代に対応した政策はどうあるべきかということでいま石鉱審並びに産炭地域振興審議会等ですか、に諮って検討していただいていると、こういうお話でございました。ただ、これはまだこうした審議会の答申を受けてということになるんでしょうけれども、私がお尋ねしたい点は、この新石炭政策を打ち出してからことしで四年目になるかと思いますが、国内石炭の体制を年間二千万トン維持という体制で出してきたかと思うんですけれども、その二千万トン体制維持の問題がもう早くも打ち出しました一九七六年、その時点で崩れていったと。先ほど私四年と言いましたが、五年になりますか、一九七六年からですから。
 かつて昭和三十五年、一九六〇年ですね、国内炭の生産量は御承知のように五千五百万トンありました。で、新石炭政策を打ち出したその年に二千万トン体制と言いつつ、早くも千八百三十三万トンになった。減少の一途でもって、すでに昨年は千七百七十六万トン、こういう状況になってきているそもそもの原因はどこにあるのかという点をまずお聞きしたいわけです。
#78
○国務大臣(田中六助君) いま御指摘のように、第六次答申で二千万トン体制を言っているわけでございますけれども、現実には千八百万トンあるいは千七百万トンに落ち込んでしまっているわけでございますが、これはあくまでも計画であるわけで、現実に必ずしもそれが合わないいろんな諸条件が起こっておりますし、現実に北炭の事故などもそういうものがありまして、実際の出炭量が二千万トンに数合わせできないのが現実でございますので仕方がない。御承知のように、特に日本の石炭というのは地下数千メートルのところでやることで保安というものも考えなければなりませんし、いろんな諸条件を勘案したときに二千万トンというのは目的あるいは一つのターゲットであって、それが合わない場合もあるんじゃないかというふうに思っております。
#79
○下田京子君 大臣、一方で事故等あって仕方がないことであって、二千万というのは一つの目的であるからと、こういうお話をしつつ、一方で深部開発とか、あるいは保安問題をこれから考えるみたいな話がありましたが、私やっぱり目的としてただ数字的に打ち出すだけじゃなくって、こうした体制がなぜできないかということは、いまやっぱり深く検討してみることが大事ではなかろうかと思うんですね。それで、特にその点で、保安問題というのはやっぱり炭鉱の中で欠かせない重大な基本であると思うわけです。特に、この保安体制について、私はどうあるべきなのかという点でいろいろお伺いしたいわけなんですが、具体的に、私たちもこの前、委員会の派遣調査で行ってまいりましたけれども、北炭夕張新鉱のあの自然発火の問題ですか、あのことを具体的な事例として、以下いろいろお話聞きたいわけなんですが、こういう災害に遭っていろいろと検討された結果、聞けば、十月十一日ですか、午後一時ですね、再開されたという話なんですけれども、再開に当たって、こういう保安問題だとかあるいは災害問題、未然に防ぐという点で、どういう指示、留意事項等をなされたのかという点をまず聞きたいと思います。
#80
○国務大臣(田中六助君) 保安第一ということは、私どもこれをいつも心がけていることでございまして、詳細につきましては、保安の問題でございますので事務当局からお答えさせたいと思います。
#81
○政府委員(松村克之君) 再開に当たりまして、札幌の鉱山保安監督局では、会社側に対して非常に強い指示を行ったわけでございますが、その内容について申し上げますと、特に、自然発火防止に重点を置いたことはもちろんでございますけれども、その他の災害についてもその要因となるものの排除に努めさせ、次の諸点の見直し及び徹底を図らせたわけでございます。
 申し上げますと、第一に、保安管理体制の確立でございます。第二に、自然発火防止対策の確立。第三に坑内火災防止対策の確立。第四に、通気確保対策の確立。第五に、連絡体制の確立。第六に落盤、運搬等を含め、災害減少対策の確立。これらについて、さらに詳細な諸点について指示をいたしたわけでございます。
#82
○下田京子君 いま御説明ありました諸点の指示事項ですね、いわゆる管理体制から自然発火の防止策等々、これはいま何も今回の事故に当たって初めて指示したことではなかろうと思うんですね。そうしますと、こうした指示事項が実際にどのような形で日常、体制としてとられていたのかというのが一つの問題になるかと思うんです。いまいろいろ事故等を含めてその対策等については司法の調査ということになると思うんですけれども、私があえてお伺いしたい問題は、これは言うまでもないと思うんですが、五十一年に出されております石炭鉱山保安懇談会ですか、保安確保の対策についてということで、保安の理念のようなものを書いておりますね。自主保安ということは一つベースになっているけれども、同時に、保安の基本的な考え方というのは、少しでも災害の発生の可能性があると判断された場合には直ちに必要な措置を講ずるという安全第一の考え方、行き方を管理者が率先してとるというふうなことが幾つかにわたって書いてあるわけですね。つまり、保安対策は経営上にもかかわりますけれども、人命にかかわる、あるいは資源をどういうふうに生かすのか殺すのかということにもかかわってくるわけで、重大な基本的な考え方として、これは大事な問題だと思うんですね。そういう点から、実際にあそこの経営がやられていたかどうかという点は、どのように判断されているか。
#83
○政府委員(松村克之君) 夕張新炭鉱につきまして、これまで私どもが行っていた監督指導について概略申し上げますと、夕張新鉱はガスの湧出量が非常に多うございますし、それに伴いまして、坑内条件も悪いということから、自然発火防止対策を初めとする所要の保安確保対策について監督指導を行っているわけでございます。
 具体的に申しますと、監督局の検査体制は、ほかの炭鉱に比べまして、検査期間あるいは検査人員とも配分をふやしまして、巡回検査及び追跡検査を月に二回定期的に実施するという相当綿密な検査を行っているわけでございます。今回の災害の発生個所につきましても、炭層の露出個所がございますためにその改善を指示する等、自然発火防止対策を数度にわたって指示しておるわけでございます。
#84
○下田京子君 いろいろと指示はしていた、指導はしていた、しかし事故は起きた。で、どうなのかということなんですが、これら自然発火について、全く手の打ちようがない。未然に防ぐ手立てがないかというと、これはいろいろ議論があるところですが、研究グループの皆さんのお話なんかを聞けば、それは空気のあれだとか、露出部の対策であるとか、あるいは坑道の広さだとかで手が打てると。ただ問題は、そういったことが経営を度外視してできるかどうか、いつどの手をどうやって打つかということで悩むのだという話も聞いているんですね。しかし、やはりさっきの理念からいけば安全第一で、やっぱり未然に防止するということを考えないで経営というのもないでしょうし、資源の活用もないし、人命尊重もないと思うわけなんです。そういう点から具体的にさらにお尋ねしたいと思うのは、当時災害があったのは、私たち委員会で調査に行きましたのが八月二十六日なんです。後で聞きましたら、何とそのときにはそういうふうな状態だったというのですね。事故のあった前々日ですか、二十五、二十六とそういう徴候があったというのが会社の言い分でしたね。私たちが行ったときには全然そういう話はなかったわけです。戻ってきてあの事故の話を聞いて、あれまあということで皆さん話をしていたんですけれども、労働者側の言い分を私具体的に九月五日に参りまして、お話を伺ったわけです。その後国会にも出向いていただいていろいろ話も聞いたわけなんですが、すでに八月の二十一日から南排気斜坑で自然発火の徴候があったと、こう言っているわけですね。この事実関係がどうかということを私いま議論するつもりはありません。司法調査でいまやられているところだと思うのですが、私は労働者側のこうした言い分も十分聞いて、そうしてさっき言った保安と経営、そして災害を未然に防止するという、これらの立場をどういうふうに今度の事故から教訓としてくみ取るのか、そして今後どう生かしていくのか、これが大変重大な問題ではなかろうかと思うのですね。そうした点を踏まえて、ひとつあの山の問題を含めて、あるいはこれからの国内炭の新たな開発、あるいは活用問題について努力いただきたい。これは大臣から御答弁をいただきたいと思います。
#85
○国務大臣(田中六助君) 御承知のように、石炭はわが国の唯一のエネルギー資源であったのは、長い間の歴史が物語っております。それから石炭の事故というのは、委員も御指摘のように、三日前に行って、三日後にあったのだという、これはまだ長い方でございまして、一分前に点検した後、一分後に爆発が起こったりする場合が非常に過去多かったのです。たとえばガス突出とか、あるいはそのほか炭じんの爆発、いろんなケースがたくさんございますけれども、日本の炭鉱の事故というのは、きわめてそういう部類が多くあるわけで、したがって、これの経営に当たっている者、あるいは監督に当たっている者も、その点は長い間の歴史でございますので、十分考慮に入れていまも対処しておるわけでございます。したがってこれからもそういう点の配慮というものは、監督する者も経営する者も、あるいはそこに働く者も全部考えての炭鉱経営あるいは出炭というものが成り立っておるわけでございまして、これからもそういう点は十分配慮に入れていかなければならないし、自然発火にいたしましても数日前からそういう徴候があったと私も聞いておりますけれども、そういう徴候があればあるほどますますいろんなものを警戒しなければなりませんが、ただ私どもが一番警戒しなければならないのは、なれでございます。炭鉱に入っておる労働者の人もそれをよく知っているんです。経営者も知っております。しかし、その労務者が、労務者と言っては恐縮でございますけれども、炭鉱のそういう坑外に働いておる人ではなくて、坑内におる人は非常に毎日毎日の累積でございますので、最初は気をつけておるかもわかりませんけれども、まあこの程度ならばというようなケースが長い間あるんじゃないかと。昔と違いまして、出炭量に経営者が合わして、さあ掘れ、いま掘れというような体制ではないんです。したがって、坑内における、私はいろんな面でなれというものが一番こわいし、そういうことのないようにますますこれからも気をつけて、少なくとも坑内に入っておる時期は、まあ緊張ばかりはしておれないでしょうけれども、事、事故に対する配慮というものは、十分、監督するために入っている人も、出炭のために入っている人も、気をつけていってほしいというふうに考えております。
#86
○下田京子君 大臣、なれというのは恐ろしいです。しかし、労働者と経営者と、こう並列的におっしゃられたが、むしろやっぱり経営者のなれというのはもっと恐ろしいんじゃないでしょうか。それからさあ掘れやあ掘れではない、そういう昔の経営じゃないというふうなことを言われておりますが、果たしてそうなのかという点で、大臣自身認識を改めてあそこの実情を見ていただきたいと、考えていただきたいと思うわけなんです。つまり、あそこの山の状況、大変なことは御承知だと思うんですけれども、大変高温でございますでしょう。だから、三十度、三十八度もあるようなところに、二リットルもあるようなポリの水筒をがっちり凍らせて、それを持って坑内へ入っていくんですよ。で、解けた水を飲みながら一日十時間、十一時間と労働をやっているわけです。しかも、二年前に比べたら、もう大変な形でもってやられていると、こういう状態なんです。ですから、ここはよく考えていただきたいと思う。
 時間がなくなってますから、端的に労働省にお尋ねしたいんですけれども、いまあそこの労働者の労働条件がどんな状態だか御存じでしょうか。
#87
○説明員(岡部晃三君) 労働条件、いろいろあるわけでございますが、労働時間、賃金がその大宗であろうかと思います。労働時間につきましては、これは全産業平均よりも若干長い程度と記憶しております。賃金につきましては、これは御承知のとおり、この北炭というものの経営問題から発しまして、過去の賃金の不払い問題なども抱えておりまして、なかなかこれは厳しい条件にあるということは承知いたしております。
#88
○下田京子君 余り承知してないみたいな報告なので、もうちょっと詳しく調べていただきたいと思います。私たち委員が行ったときにも賃金はカットされていますし、あるいは特別休暇全部返上ですし、いろいろ大変な状態であります。
 そこで尋ねたい、また具体的な点なんですが、法律に基づいて就業規則を会社側が届け出してなければならないと思うんですが、これはいつの時点で出されてますでしょうか。
#89
○説明員(岡部晃三君) 北炭の夕張新炭鉱の就業規則につきましては、これが四分割されまして、これが設立されました五十三年十月二日に届け出がなされています。その後一度、本年の四月三十日に変更届が出されておりますが、これは退職金関係につきましての変更届でございます。
#90
○下田京子君 お尋ねしたいのは懲戒解雇事由の問題なんですけれども、この懲戒解雇事由のところはいつの時点で出されたのが生きてますでしょう。つまり、出勤基準に満たないときということで、いろいろ以下七項目ぐらい上がっていると思うんですが、その出勤基準に満たないというところで、坑内直接夫の場合には六四%とか、それから坑内間接夫の場合には七五%とか、それからいろいろ基準があるわけなんですが、これらが今度の災害に遭ってさらに非常に厳しくなりまして、一つは基準出勤日に満たない場合には一カ月労働者の方が三千五百円支払えと、会社側に。そういうものを出してきましたし、あるいはまたその基準を非常に引き上げたりしてきているんですね。こういう事実がないかどうかですね。もし調べてあれば、当初出しました就業規則から照らして問題があるということならば指導していただきたいと思います。それが一点です。
 それから、もう時間になっちゃったので、大臣に最後にこれお願いしたい点なんですけれども、経営と保安とそして人、こういう総合的な対応ですね、一体化して考えていただきたいし、その際にあくまでもいま私が要求したいことは、皆さん方関係者の方々から陳情等もあると思うんですが、政務次官等も出かけられて政治的な判断を下さなければならないだろうなんというお話もされているようですが、資金の手当ての問題とか、あるいは労働者の条件をこれ以上切り下げないという問題であるとか、それから何よりもやっぱり山をつぶさないで地域発展のために寄与するとか、こういう点を踏まえていわゆる政治的判断をお願いしたいと、こう思うわけなんです。
#91
○説明員(岡部晃三君) 先生お尋ねの出勤率に関する懲戒規定でございますが、五十四年三月十一日に協定がございまして、出勤率六四%を割る者につきましての懲戒規定、それから本年の九月二十三日付協定によりまして八〇%というふうに改めましたが、このような出勤が定かでない、定まらぬ者につきましての出勤に伴う懲戒規定というものが協定されていることは事実でございます。しかし、これは実は就業規則化されていないという問題がございまして、これにつきましてはこの夕張新炭鉱におきましては労働組合の組織率が職制を除きましてほぼ一〇〇%であるというようなところでございますので、就業規則の適用の範囲というのは限られるわけでございますけれども、しかしながらやはり未組織もございますので、就業規則をちゃんと決めるようにという指導をいたしてまいりたいというふうに考えております。
 なお、そのような協定内容というものがいかがなものかというふうなお尋ねにも発展するかと想像するわけでございますが、これは労使におきましてそのような懲戒の基準、これは団交の対象でございます。労使によりまして十分その内容が詰められるように私どもとしても期待をいたしておきたいと思う次第でございます。
#92
○国務大臣(田中六助君) 私は率直に申し上げまして、北炭というのは長い間の歴史を持っておりますけれども、余り模範生じゃないんです。したがって、労使とも自戒をしなければならない。委員がすでに御指摘のように、数日前から自然発火の徴候はあったと。私は一週間ぐらい前にあったと聞いております。それでもそういう事故があるまでほっておくというような事態が許されるだろうか。もしも人命にあのときに事故があったらどうなっているだろうかということを考えてもらいたいんです、労使ともに。したがって、そういうことがなかったから幸いだったわけでございますけれども、私はそういう観点から閉山することもいいんじゃないかというふうに一応は考えてみましたけれども、保安体制として再開可能だという報告でございますし、いまの日本のエネルギー事情、それから夕張市の町を挙げての要望、いろんなものを考えますときに、保安というものが大丈夫だと、これからは気をつけると、これからの人命に影響ないという判断の報告でございますし、そういう市ぐるみの、それから労使、そういうものの強い要望もございますので、一応それを認めたわけでございますけれども、これから先本当に労使が自助努力、そういうものが本当に確立されなければ、私はまた近い将来同じようなことを繰り返すんじゃないかという気持ちの方がいま先立っているんです。したがって、そういうことのないように労使が自助努力をし、それからいろんな条件を整備するならば、いままでも政府は長い間国民の税金を使って融資しておるわけでございますので、これからもこの政府のいろんな方針というものが確立すればそういうことになるわけでございますので、私はいまのところ、むしろ労使がもう少し緊張して一生懸命確立への方向、それは本当に経営者も、つまり資本家でございましょうか、そういう者と働く人たちがどういうことだということを反省しなくちゃいかぬ時期じゃないかと思って、これは人命に影響がなかったということを都合よく解釈して、私どもは労使がもう少し自助努力というものをしてほしいというふうに考えます。
    ―――――――――――――
#93
○委員長(安孫子藤吉君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。
 本日、吉田正雄君が委員を辞任され、その補欠として大森昭君が選任されました。
    ―――――――――――――
#94
○井上計君 本日の委員会の冒頭に大臣が今後のエネルギー行政についての所信を明確にお述べをいただきました。大いに意を強ういたしておりますが、その中で、電源の開発については原子力、石炭火力を初めとする石油代替電源の積極的な導入の推進を図る。特に、原子力は、今後における電源の中核を担うエネルギー源であり、将来にわたってエネルギーの安定供給の確保を図っていくためには、昭和六十五年度までに原子力発電所を五千万キロワット強の規模に拡大するとの目標をぜひとも達成する必要がある。しかしながら、原子力発電所については、その建設・立地が円滑に進まず、計画から運転開始まで十数年の長期を要するという実態にあり、このような状況では、わが国の将来のエネルギー確保ははなはだおぼつかないものと言わざるを得ない。こういうふうな大臣の所信表明の中に文面がございます。
 そこでお伺いをいたしたいと思いますけれども、原子力発電の現在の進捗状況、それから計画達成の見通し等々について、政府委員からで結構でありますからひとつ御説明を願います。
#95
○国務大臣(田中六助君) いま御指摘のように、私の所信表明の中にも原子力発電所のことについて述べておりますし、私もいまのエネルギー状態をながめまして、石油代替エネルギーという観点から原子力発電所、火力――石炭でございますけれども、その他水力あるいは地熱、太陽熱、そういうものの代替エネルギーについて一番考えなければいけないというふうに思っておりますし、いま井上委員御指摘のように、十年後にどうするかと、つまり油の依存率を五〇%に下げるということから一番浮かぶのは原子力発電所のことでございます。
 と申しますのは、原子力発電所はコストが水力、火力発電所を一〇〇といたしますと五〇の半分で済むわけでございます。それから、いまの現状でございますけれども、ちょうど日本全国で二十一基の原子力発電所がございます。これがちょうど千五百万キロワットでございまして、全電気容量の一二%を占めております。また、いま目標は、御指摘のように、十年後は五千百から五千三百万キロワットに頭を置いておりますけれども、これをちょうど全電気量の、パーセンテージにしますと二二から二三%に十年後持っていきたいわけでございますけれども、いまの二十一基の原子力発電所ではどうにもなりませず、建設中のものが七基ございます。それから建設準備中のものが七基であと十四基で、それを足しましても三十五ですから、そういうふうなことでなかなか目的どおり十年後に石油依存率を半分の五〇%に下げるというようなことができるだろうかというような不安がございますけれども、あくまでそれの達成に努力していかなければならないし、どうしても足らなければほかのところで補わなければいけませんけれども、原子力発電所の現状というのはそういうことでございまして、まあこれのPRとかいろんなことは五十五年度の予算でも五十六年度も考えておりますけれども、現状はそういう状態でございます。
#96
○井上計君 大臣が直接お答えをいただきまして恐縮です。
 そこで、いまお答えの中にありましたけれども、なかなか将来この計画達成のためには困難な問題といいますか、不安も多分にあるようにいま私はそのように聞いておりました。そこで一番問題は大臣のごあいさつにもありますけれども、建設・立地の問題だというふうに思います。
 ところが、きのうですか新聞報道によりますと、高知県の高岡郡窪川町議会というところが、これはもう全国的に異例だというふうに新聞に書かれておりますけれども、電力会社に対して原発立地調査を求めるという請願を町議会で採択をしたという、こういう報道がなされております。まあ方々でみんな反対反対という中で、進んで町議会がこのようなものを採択をしたということについては、これについていろいろとその背景もあろうかと思いますけれども、政府側でこれらの状況等について承知しておられる面がありますれば、ひとつ御説明を願います。
#97
○政府委員(石井賢吾君) 高知県窪川町におきます今回の請願採択でございますが、私ども詳細明らかにしておりませんけれども、町議会の特別委員会におきまして、その請願が採択されたというふうに承知いたしております。もちろん原子力発電、大臣からも申し上げましたように、今後の石油代替エネルギーの最も重要な手段でございまして、これを今後大いに推進していかなくちゃいかぬわけでございますが、一番肝心なことは地元の理解と協力を得て初めてその電源立地が推進できるということから考えますと、非常に意義のあることではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
#98
○井上計君 地元の理解がなければなかなかこういうふうな採択というものはもちろんできないと思います。
 そこで、先ほど読み上げました大臣のごあいさつは次に、現在、世界の原子力発電設備は、運転中のものだけでも約一億四千万キロワットにも達しており、原子力発電の安全性、有効性については、このような世界の実績が何にも増して雄弁に物語っている、こういうふうにお述べになっておられます。私は各地でこの原子力の建設・立地についての反対運動のすべてといっても過言ではなかろうと思いますけれども、とにかく原子力は危険だというふうなことが反対の唯一の最も大きい理由、すべてそういうふうな状況にあると、こう思うんですね。このいまの高知県の窪川町のこの新聞記事を見ますと、この町は有権者が約一万三千七百人、ここで七〇%の賛成署名があったと、こう書いてあります。これについてのやはり原発設置反対連絡会議というのがあって、これは四〇%の署名を集めておると、こうなっていますから、合わせると一一〇%になるわけでありますから、どちらかに二重に署名した人が少なくとも一〇%はあると、こういうことになろうかと思います。
 そこで、時間もありませんし、このことをどうとかいうことは言いませんけれども、私がいままで聞いておりますところでは、全くその実情がわからないので、とにかく危険だ危険だという宣伝のみをうのみに信用して反対だという人が圧倒的に多い。中には別に、原子力結構だというふうに思っておっても、何か反対することの方がかっこういいから反対をしておこうと、こういう人も一部にあるというふうなことも聞いておりますけれども、ぜひひとつ今後ともそれらの問題の解決のためには、もっと積極的に地方自治体と一緒になって、ひとつ大いにその啓蒙をしていただく、危険性がないということについての啓蒙に大いに努めていただきたいというふうに思います。
 私のある知っている人に飛行機は絶対乗らぬという人があるんです。なぜ乗らないか聞いたら、いやあれは落ちるからだと、こういう人も実はあるんですから、一〇〇%の人がなかなか安全性についての理解ということはなされないかもしれませんが、ひとつ大いに御努力をいただきたいと、これはもうお答え結構でありますから、特に要望をしております。
 そこで、その次にサンシャイン計画、地熱あるいは太陽熱、波力、風力、まあいろいろあります。さらにまた、ごみ発電あるいはおがくず発電、いろいろとありますけれども、その中の一つに海洋温度差発電というのが最近特に脚光を浴びておるようでございます。九月の二日でありましたか、安孫子委員長のもとで、私ども委員は佐賀大学の海洋温度差の発電の実験プラントを実は見学してまいりました。大変実は勉強し、また大いに参考になり、また大変大きな期待を実は持ったわけでありますけれども、これについて五十六年度の予算要求は、通産省としてはどれぐらいしておられますか、お伺いいたします。
#99
○政府委員(石坂誠一君) 実は海洋温度差発電につきましては、次第に研究費を増額しておりまして、五十五年度には一億六千六百万円でございますが、これは前年度に比べまして約二倍の額でございます。五十六年度につきましては、二億円以上の額を要求していきたいと思っております。
#100
○井上計君 五十六年度は、いままでから見れば若干ふえるようでありますけれども、もちろんそれは貴重な金でありますし、また特に現在の財政状態の中でそう一挙にということも無理があるかと思いますけれども、佐賀大学の何とかという助教授から聞きました私の理解では――もう皆さんも委員長以下全部そういうふうにお聞きになったと思いますが、いま金をもっと出してくれれば即時実用化される、コストからいっても十分採算のとれる設備ができるというふうなことを実は聞いてきたんですね。私の記憶間違いかもしれませんけれども、たしか一万キロワットを発電するのに、何か船をつくると約六十億円ぐらいでできるんだというふうなことでありました。非常に有望だというふうに感じたのは私一人じゃなかろうと思いますけれども……。大臣どうですかね、いろんな問題がありますけれども、もちろん貴重な国の金を使うわけでありますから、慎重にも慎重でなくてはいけませんけれども、時には石橋をたたいて渡るというよりも、石渡を跳んで渡るぐらいの、思い切って重点的に予算をつけるというふうなことは、これ、考えられませんか。
#101
○国務大臣(田中六助君) 財政再建とかいろいろございますけれども、やはり節約するところはしなければなりませんが、重点的なことについては継続してやるというようなことも、財政再建の時代でも必要な案件だというふうに考えます。
#102
○政府委員(石坂誠一君) 補足してよろしゅうございますか。
 温度差の発電につきましては、これは海洋に賦存するエネルギーでございますから、その量は無限にあるというように考えていいかと思います。ただ、なかなか温度差を大きくとることは非常にむずかしいわけでございまして、せいぜい二十度ぐらいというように私ども想定しているわけでございますね。したがいまして、これを実現させるに当たりましては、まとまった発電量を得ようといたしますと膨大な装置になるわけでございます。ですから、小さい装置で設計したものが非常に大きくなった場合どうなるかというようなことにつきましては、やはり念には念を入れて勉強していかなきゃなりませんし、また海底の数度という非常に冷たい水を海面まで持ち上げるわけでございますから、今度は海面の温度は下がるわけでございますね。そういったことを考えますと、やはり環境にいろんな影響が出るんだろうというようなことも考えなきゃならないわけでございます。ですから、そういった諸般の状況をよく勉強いたしまして、そして最終的に千キロワットの発電のできる装置を開発すべく努力を重ねていきたい、こういうように思っております。
#103
○井上計君 お説のとおり、もちろん慎重にも慎重を期していただかなくちゃいけませんし、また十分なる研究が必要であろうと思います。ただ、私ども素人でありますからよくわかりませんけれども、少なくとも説明を聞いた範囲では、環境汚染等はほとんど心配がない。そうして、特に日本は海洋温度差発電についてはまことに恵まれた立地条件にあるわけでありますから、あのときも説明聞きますと、全国に二百カ所ぐらいですか、そのようなものをつくれば、もう現在の電力エネルギーのすべてがそれで賄えるような、計算上はそのようになると、こういうようなことを聞きました。
 それから、例のいまおっしゃった環境汚染の問題ですけれども、深海から水をくみ上げることによって、深海にあるプランクトンが非常に浮遊が激しくなる。実は思わざる効果だそうですが、その付近、実験プラントのところですが、あの付近には大変魚がふえたと、付近の漁師さんだとか釣りしている人が大変喜んでおる。冗談ですが、そうするといままでのように、漁業補償でなくて、逆に漁業増加何とか受益負担金でも取れるなと言ってわれわれは笑ったぐらいですが、そういうふうな効果もあるというふうなことですから、いろいろなほかのサンシャイン計画とか、それぞれ一長一短があって非常に問題がありますけれども、一番どうも問題が少ないなと、こういう私ども感じを受けたわけですから、どうかひとつ大いに積極的に、それも、慎重も結構ですが、速やかにひとつ進めていただいて、できれば五十六年度予算を、二億円程度なんというふうな小さなことを言わないで、どうですか、思い切ってひとつつけていただくように、いま御答弁要りませんけれども、これは大いに要望しておきます。
 時間がありませんので、ひとつ、これはちょっと質問通告いたしておりませんが、これも私意見として申し上げておきますが、先日民社党の国会調査ということで沖繩に参りました。沖繩のいろいろな各界各層の人といろいろ相談を受け、また懇談をしたんでありますが、いま沖繩の経済界あるいは消費者団体等が一番大きな問題にしておるのは、やはり電力料金の問題なんですね。御承知のように、つい先日、十月七日でしたか、今年度二度目の電力料金の値上げが発表されました。したがって、今年度の値上げ率が七一%強になりますね。したがって、もう消費者物価に与える影響、あるいは各企業、特に中小企業においては、電力料金値上げのためのコストアップからして、非常に経営を圧迫すると、大変実は懸念をしております。同時に、予定されておる来年の例の沖繩の電力会社民間への移行について、民間に移行された場合、果たして今後の電力の、要するに原価基準といいますか、そのようなものから言って、一体どこまで高くなるであろうかと。とするならば、沖繩の経済すべてもうめちゃめちゃだと、こういう懸念を非常に皆さんしておるわけであります。
 沖繩の離島等の条件から言って、沖繩こそ大規模の発電所は全く要らぬわけでありますから、私は、さっき申し上げた海洋温度差発電、これなんかを、千キロかあるいは二千キロ程度の小さなものを沖繩に幾つかつくっていけば、沖繩の電力事情も大変緩和され、効果があるんではなかろうかと、このように感じました。ぜひそれらの点についてもひとつ御検討をいただけばと思いますが、何かお答えがいただければちょっとお答えをちょうだいします。
#104
○国務大臣(田中六助君) 詳細は事務当局に答えさせますが、沖繩の民間移管の問題は、来年の末に実現するということを昨年の暮れに閣議決定をしているわけでございまして、井上委員御指摘のように、二回にわたり電力料金を上げておるわけでございます。一回目が四二・四〇%、二回目はついせんだってでございますが、一九・一八%をやっておるわけでございまして、これがやはり大きな値上げになって、沖繩の人たちも先行き真っ暗なような考えを持っておるのじゃないかという気持ちはいたします。しかし、これも非常に、四十二の島があるわけで、離島ですね。それからもう一つは、一〇〇%これ石油でやっているのです。全然石炭とかその他のことでやっているのじゃなくて、したがって、石油の値上げをもろに受けて、それが原価主義ということで二回の値上げになっておるわけでございますけれども、といって、閣議決定どおり民間移管というようなことが、さあできるのかということの疑問ももちろん持っておりますけれども、一応そういう態勢をとって進めるという方針をいまのところ変えておるわけではございませんけれども、十分そういうのを勘案して、沖繩の人の住民感情、それから現実にそういうメンタルな面ではなくて、物の面で大きな影響を与えると同時に、井上議員御指摘のように、産業あるいは企業誘致、そういうものもできませんので、そういうのを含めまして、これから先十分検討していかなければならない大きな問題ではないかというふうに考えております。
#105
○井上計君 この点については、特にひとつ大臣、沖繩の電力問題を含めて、すべての産業あるいは物価の基準になっておりますので、ぜひひとつ積極的にさらに御検討をお願いをしたい。要望しておきます。
 それからもう一つ、これも私の個人的な考えでありますから、特に御見解、お答えを承る必要ありませんけれども、これまた先月、国会からの派遣で三人の同僚議員とともにブラジルに視察に参りました。重点は、御承知だと思いますが、ブラジルの代替エネルギー、特にアルコールの問題を重点に調査をしてまいりました。ブラジルでは、すでに完全アルコール使用の自動車、これは一部でありますが、あとは二割混入はもうガソリンスタンドで売っておりまして、すべて強制されております。非常に成果も上がっておるようでありますが、サトウキビからアルコールをとる。しかし、広大なあの土地でサトウキビを栽培し、それらのものをやるとすると大いに有望だという感じを受けて、ある意味では大変うらやましいと感じました。日本がブラジルといろんな技術提携あるいは合弁企業たくさんありますが、やはりアルコール事業等についても積極的にひとつ向こうに資金的にも技術的にも参画をする、このようなことを将来のために考えるべきであろうというふうに私個人的に感じてきたんですけれども、お答えは特に必要ございませんけれども、やはりただ単に石油という問題から何にかわるかという問題、その中の一つにそういうふうなことも含めていくべきであろう。あるいはもうお考えかもしれませんが、そのように感じましたので、できればそのことも積極的にお進めをいただきたい。私の希望を申し上げて質問にかえます。
 質問を終わります。
#106
○森田重郎君 日夜、現下喫緊の問題でございますエネルギー問題に終始大変な熱意を持って御検討なさっております通産大臣にいささか敬意を表しつつ、幾つかの質問をさせていただきたい、かように思います。
 実は、ちょうど一時でしたか、休憩時間にNHKのテレビを見ておったのでございますが、たまたまチャンネルをひなりましたらアバダン製油所の油送管がまたまた爆破されたと、もうもうたる黒煙の出ておりますニュースを拝見しておりまして、実は午前中にも大臣の所信表明の中で、短期的な見通しとしてはそうそう心配はない。中長期的な視野、展望に立って今後の石油状況というふうなものを考えると、これは大所高所からいろんな手を打たなくちゃならぬ、こういうような御説明がございましたけれども、実は一面私ども伺うところによりますと、兵器とか弾薬、燃料、そういうようなものが恐らくは近々イラン、イラクにしてもとだえるであろう、そう長持ちはせぬであろうと。そういうような観点からすれば、今回のイラン・イラク戦争というのもそうそう長引きはせぬというような若干見通しを立てておられる面もあるやに午前中の説明を伺っておりまして感じたわけでございますが、一面死の商人とでも申しましょうか、いつどこからとはなしに兵器、弾薬、燃料というふうなものが運び込まれておるというようなことも間々承知いたしておるわけでございますが、そういう考え方の中でけさも各紙にいろいろ報道されておりますが、イラン石化の問題につきまして、実は昨日でしょうか、物産の八尋社長とそれから開発会社の山下社長をお呼びになっていろいろお話をなさったその内容につきまして、ここでひとつ大臣から、新聞等では私ども拝見はしておりますけれども、その辺の事情をちょっとお聞かせいただければ大変ありがたい、かように思うわけであります。
#107
○国務大臣(田中六助君) 三井物産の八尋社長とそれからイラン石油開発会社の山下英明社長、お二人に来ていただきまして、きのうのことでございます。きのうのけさ、けさ新聞に載っておる八尋社長のこの発言はどういうつもりであるかと。その発言の内容は、いまからこのプロジェクトを進めるについては、イランの紛争の成り行きあるいはそういういろんな条件を考えた場合に自信がないようなことが根本になっているわけでございます。私が、なぜ、このことをもう少し本人たちを呼んで聞いておきたいと思ったのは、いま戦争はまだ継続中で、しかもこのプロジェクトは御承知のようにナショナルプロジェクトでございますし、特に私が頭に強く大変だと思ったのは、ちょうどIJPCの従業員七百四十四名の人がバンダルホメイニのその場所を引き揚げ中だったわけでございます、一部はテヘランに着いておりましたけれども。四つのグループに分けて引き揚げを開始――一時避難でございますけれども、開始しておって、それがまだ終了していない時期にこういうことを言ったら、もし、アメリカ大使館の人質事件のことも頭に走ったわけでございますけれども、そういう事態が超こったり何かそれに似たトラブルが起こったら大変だなあということが第一にありました。呼びまして確かめましたら、その不安があるのは事実でございますけれども、やめるというようなことを言っておるわけじゃないと。よく読んでくれというようなことでございますけれども、よく読めば読むほどそういうことを私としては感じられるわけで、いかぬじゃないかということを申し上げたんですけれども、いまこうして私も冷静になって答弁申し上げているので冷静でございますけれども、強く言ったわけでございます。
 と申しますのは、この紛争がありまして御承知のように、三回の爆撃をあのプロジェクトは受けているわけでございます。一回、二回目はまあまあだったんでしょうが、三回目は被害がかなりあると、しかもこれらの被害は詳細なことは調べようがなくて、報告は詳細にはないんです。それで私どもも一日も早く詳細な報告を受けて、どの程度のダメージがあるのかということも受けたいのでございますけれども、いまだにないというのは、これは怠っておるからないのじゃなくて、調べようがないわけです。それが一つ。
 もう一つは、いまさき申しましたように、七百四十四名の人が引き揚げ中であった。昨夜遅く七百四十四名、一名だけ残っておったんですけれども、これは伊藤さんという建設本部長でございますけれども、最後に残っておった人もこれも全部テヘランの方に一時避難、全部七百四十四名は、この会社に関する人々はテヘランまでは進んでおるわけでございます。
 そういうことと、もう一つ重大なことは、イラン政府がバンダルホメイニから避難することさえ最初はなかなか納得しなかったわけです。それをシラズというところに避難させる、それからまた、それではどうも危ないということでテヘランまで延ばしているわけでございまして、そういうことで、イラン政府は、私はそれは、そういうことはないといっても、いままでの過去の交渉からずっときて、不承不承にテヘランへの避難を認めていると見るんです。それで、そういうことがある中に、この会社をどうするああするというような見通しを含めたようなことを、もしもそれが事実言ったとするならば、余りにも不見識だと。それから、政府関係に協力してほしいということを一生懸命やるときは相談事、こういうときには何一つ相談なく一社でやると。これは御承知のように最初は三井グループ五社でございましたけれども、昨年のナショナルプロジェクトに昇格したときに実は百数社が一緒になっているわけでございまして、それからもう一つは、海外協力基金からも出ておりますし、ひいては国民の皆様の資金との関係もある。そういうようなことを含めまして、三井物産の社長ともあろうものがというような気持ちもございまして、呼んで確かめました。
 そうしたところが、その話の内容でございますけれども、私はそういう観点から全部は言葉に出しておりませんけれども、そういう中から幾つかの私の思いをぴしりと言いました。ところが、向こうの方では、もっとも山下社長の方は何にも相談受けていないということを言っておりました。で、三井物産の八尋社長がみずから二回にわたって記者懇談というような形でやった。その内容は新聞に報道されているようなことでございましたし、まあそういう点で本人は、結論といたしましては、自分はいま反省しておる、自分はやめるとかあるいはどうとか言った覚えはないけれども、まあ書き過ぎのところもあるし、それに似たような発言をしたことは軽率であったと、自分はさらさらこのプロジェクトをやめる考えはないというようなことを言っておりました。それが大体話の大まかな内容でございます。
#108
○森田重郎君 大臣が人命尊重の立場から大変適切な御指導の中で、七百四十四名の方々が無事に避難されたということに対しましては、それなりに私どもも大変敬意を表するわけでございますが、一応その問題は別におきまして、いまのお話を伺っております中でちょっと私なりに感じましたことは、もちろんこれは民間主導型の一つの大きなプロジェクトでございますけれども、すでに昨年二百億という資金の出資も決まっておる。その中で何億でございますか、五十四億円でございますか、これがすでに支出をされておるというようなことを考えあわせますと、やはりプロジェクトそのものは、仮にたとえそれが民間主導型であるとは申しましても、政府もそこに金を出しているというような考え方からするなれば、これはむしろ一体になってこの問題に取り組んでいく、解決していくというのがやはりわが国とイランとの将来長い視野、展望に立っての両国間のかけ橋になるような、そういうふうなプロジェクトではなかろうかというふうに私なりに判断、解釈をするわけでございますので、そこであえて大臣に再度お尋ね申し上げたいと思いますことは、やる気持ちがあるのかどうかということをも含めまして、政府自体にそれをやっていく意思があるのかどうかという、その辺の考え方をもう一度お伺いしたい、かように思います。
#109
○国務大臣(田中六助君) 私が八尋社長と山下社長に通産省に来てもらったのも、根本的には、あくまでこれはナショナルプロジェクトでありますし、この仕事を完遂したいと、いまうろちょろすべき問題ではないという判断からでございます。
#110
○森田重郎君 もう一つお伺いしたいのは、これは開発会社の方への出資でございましょうけれども、この二百億の出資、現時点では五十四億でございましょうが、もしこの工事がこういったイ・イ紛争が長引くことによりまして、仮にもし何カ月なり、これは仮定の話でございますけれども、ずっと中断をされていくというふうなことになりますと、恐らくはこの開発会社の方も増資なりあるいはまた借り入れなり、こういうふうな資金的な手当てをしていかなくちゃならぬというふうに、私は企業出身者の一員としてそう思うのでございますが、すでに仮に二百億の話ができているというようなそういった現状、現時点を踏まえまして、そういう場合には政府としてはどんなお考えでいらっしゃるのか、その辺をまた大臣にお答えをいただきたい。
#111
○国務大臣(田中六助君) 御指摘のように、二百億海外協力基金から出ておるわけでございまして、出資しているわけでございまして、その中、いままで使っているのが五十四億でございます。したがって、いまあわててどうとかこうとかいうことは、まだ基金の金さえもずいぶん残っておるわけでございます。それから、これの上乗せのことをおっしゃっておるのかもしれませんけれども、この問題はあくまで戦争という異常事態が起こっておるわけでございまして、これを、これからの相談でございますけれども、日本側がその損害のすべてを負担しなければならないのかどうかというようなことも問題でございますし、この点を含めまして、紛争が治まれば損害の実情それからその他のことをやっていかなければなりませんが、少なくともいまの段階で言えることは、あくまで三井グループ並びに民間の共同出資をしている人々が十分考えて、そしていま申しましたように、戦争という事態でイラン側がどのように対処するかと。と申しますのは、イラン側は従業員がテヘラン、シラズに避難すること自体でもすごく反対して、おってくれと、もう戦争はすぐやむから仕事をしてくれと、もう何度も頼んでおるわけでございまして、その戦争の被害というものについても、やはり将来、後のことでございますけれども、相互にいろいろ交渉はしなければなりませんし、現時点で政府がこれに上乗せするとかいうようなことの問題は私は後じゃないかと思っておりますし、そういう時期になれば相談には乗りますけれども、それに対する結論というようなことはそのときのことで、いまとやかく申し上げにくい段階でございます。
#112
○森田重郎君 大体御趣旨のほどはわかりましたけれども、民間主導型の中でこういうふうな事業を実施しておるというような折に、仮に政変によって工事が一時中断をされた、また九月に二回の空襲爆撃被害を受けた、十月にもというふうなことになりますと、民間の経営者の立場から考えますれば、心情的にはこれはというふうな気持ちになるのもこれはある程度人情の常じゃないかというような感じがしないではないのでございますが、その問題は別としましても、仮にこの二百億なら二百億が全部出資し終わった暁には、あえて大株主とは申しませんけれども、政府自体がある程度の株を持っておやりになるぐらいの気概がおありかどうか、重ねてお伺いしたいと思います。
#113
○国務大臣(田中六助君) すでに御承知のように、七千三百億というトータルの金がございまして、協力基金の出資は二百億、その中五十四億がいま使われておるというようなことすべてを勘案し、先ほどから申し上げております対イランの問題もございますし、そういう点全部終われば、一応そういう再建計画と申しますか、そういうものが当然考えられるわけでございまして、私どももそのときの相談でございましょうが、そのときにある程度十分考えた上での判断をしなければならないというふうには考えております。
#114
○森田重郎君 ありがとうございました。
 次に、ちょっと問題が飛びまして、溶融塩炉の問題につきまして、ちょっとお伺いしたいんでございますが、ごく最近のある経済雑誌を見ておりましたら、原子力の泰斗の西堀栄三郎博士が緊急提言としまして、日本のエネルギー解決のかぎは溶融塩炉だと、スリーマイルの二の舞はもはや許されないというような観点から、小論文と申したらこれは大変失礼かもしれませんが、二、三ページにわたります寄稿でしょうか、投稿でしょうか、これを拝見したわけでございますが、実は、この問題につきまして、私自身もしばらく前でございますが、大変懇意な友人からもう一度この問題を少し勉強しておく必要があるんじゃないかというようなことで小パンフレットを送っていただいたわけでございますが、これは溶融塩炉研究会の方で西堀博士がいろいろとレクチュアをされたパンフレット、これを実はすでに私も細かい技術的な問題あるいは科学的な問題、そういう問題につきましては大変これ不勉強で、また無知でございますけれども、まあ一般常識のような多少勉強でもさせていただければというような感じで読ましていただいておったわけでございますが、この溶融塩炉と軽水炉につきまして、何か大臣お考えがございましたら、もう簡単で結構でございますので、あとは審議官の方なり、また政府委員の方なりにお伺いすれば結構でございますが、ちょっとひとつ。
#115
○国務大臣(田中六助君) 溶融塩炉というもの自体、実は恐縮でございますが、よく認識しておりませんので、事務当局に答えさしていただきます。
#116
○政府委員(児玉勝臣君) 先生ただいま溶融塩炉の件について西堀栄三郎先生の論文を引用されて、溶融塩炉の有用性についてお話がございましたけれども、まさに燃料が液体のために成形加工の必要がないこととか、トリウム資源の利用が可能なこととか、それから熱中性子炉で増殖が可能なこと等、非常に興味の持たれる特徴はたくさんございます。
 しかしながら、まだ補修点検の対策とか、溶融塩の挙動の解明とか、構造材の腐食防止等いろいろまだ実証しなければならない点がたくさんございまして、現在の軽水炉と同等に比べるというわけにはとてもまいりませんけれども、いま申し上げましたような非常な利点がございますし、それからウラン、プルトニウムサイクルの次にはいずれはトリウムサイクルも考えなければなりませんので、その際には溶融塩炉というのは脚光を浴びてくるのではないかと思っております。そういう意味で、いまから十分検討しておくということは非常に有意義なことではないかと、こう考えております。
#117
○森田重郎君 このパンフレットをちょっと拝見いたしますと、時間がございませんので、簡単に大きな項目だけちょっと私申し上げておきたいと思うんです。
 で、できましたら何か資料によりまして御回答できれば大変ありがたいのでございますが、要するに溶融塩炉の特色としては、非常に安全性が高いということが第一点。
 次に、フィッションプロダクツがない、死の灰というものがないということはないんでしょうが、連続処理によってこれが従来の軽水炉に比べて安全性の点からいっても非常によろしいんじゃないかということが第二点。
 それから第三点が、燃料費が非常に低廉であるということを言っております。
 それから第四点としまして、運転コストが低く、発電効率が大変大きいというようなことを第四点の特色として挙げております。
 さらに、この問題が何といいますか、軽水炉に取ってかわられた一番大きな理由として、こういうことを言っておられるんですね。アメリカは現在まで国策的に軽水炉の開発を進めてきたと、この間、巨大な開発投資を行って、これから世界じゅうにこれを売り込もうというような段階に入ってしまったと、したがって、その後に軽水炉推進派が云々して仮にみても、もうすでに現実の原子炉というものは軽水炉でそこまできてしまったんだと、だからここで再開発、再投資というようなことで大きな資金を投入することができない。この辺が溶融塩炉を現在採用、採択し得ない一つの理由じゃなかろうかというようなことが結びになっておるわけでございますが、その辺につきまして、多少勉強の意味をもひとつ踏まえまして、ちょっと御当局の方で何か資料に基づいて御回答いただければ大変ありがたい、かように思うわけでございます。
 終わります。
#118
○政府委員(児玉勝臣君) 早速ただいまの件につきまして、文書をもって御回答したいと思っております。
#119
○委員長(安孫子藤吉君) 他に御発言がなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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