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#1
第093回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
昭和五十五年十月十七日(金曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月八日
    辞任         補欠選任
     村田 秀三君     対馬 孝且君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 淳夫君
    理 事
                後藤 正夫君
                林  寛子君
                八百板 正君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩上 二郎君
                長田 裕二君
                片山 正英君
                上條 勝久君
                源田  実君
                鍋島 直紹君
                吉田 正雄君
                佐藤 昭夫君
                小西 博行君
                山田  勇君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中川 一郎君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        高平 公友君
       科学技術庁長官
       官房長      下邨 昭三君
       科学技術庁計画
       局長       園山 重道君
       科学技術庁原子
       力局長      石渡 鷹雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    赤羽 信久君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        児玉 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       防衛庁装備局開
       発計画官     筒井 良三君
       外務省国際連合
       局原子力課長   金子 熊夫君
   参考人
       日本原子力船開
       発事業団理事長  野村 一彦君
       日本原子力船開
       発事業団専務理
       事        倉本 昌昭君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (原子力安全行政に関する件)
 (放射性廃棄物の海洋投棄に関する件)
 (新エネルギーの研究開発に関する件)
 (原子力船「むつ」問題に関する件)
 (技術開発推進体制に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(太田淳夫君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 中川科学技術庁長官から発言を求められておりますので、この際これを許します。科学技術庁長官。
#3
○国務大臣(中川一郎君) 第九十三回国会に当たり、科学技術庁長官といたしまして、科学技術振興対策特別委員会の皆様方に一言ごあいさつ申し上げます。
 申し上げるまでもなく、科学技術は経済社会発展の原動力であり、国民生活向上の基礎であります。特に、石油資源を初めとする物的な資源に乏しく、狭い国土に多数の国民が生活しているわが国が、この厳しい制約を乗り越え、将来にわたり経済の安定成長と国民生活の向上を図り、二十一世紀への発展の礎を築いていくためには、国民の英知と創造性の所産である科学技術を積極的に振興することが不可欠の課題であります。私は、このような見地から、長期的かつ総合的視野に立って科学技術の振興に全力を尽くす決意であります。
 以下、今後の科学技術の振興を図るに際しての基本的な考え方を申し述べたいと存じます。
 まず第一は、研究開発資金の確保であります。わが国の研究開発投資は、総額では米国、ソ連に次いで世界第三位であるものの、米国の約三分の一、ソ連の約半分にしか達しておらず、また、対国民所得比については、二・一五%であり、米国、西独等と比較すると必ずしも十分ではありません。さらに、これまでのわが国の研究開発は、民間の研究活動に多くを依存してきており、現在でも政府の研究開発投資の比率は、欧米先進国の約五割に対し、わが国は三割弱と非常に劣っている現状にあります。今後の安定経済成長下においては、民間の研究開発投資も従来ほどの伸びは期待できず、政府の研究開発投資の拡大が強く要請されているところであります。このため、国の財政事情の非常に厳しい折ではありますが、今後とも政府の研究開発資金の確保のため、一層努力してまいりたいと存じます。
 第二は、自主技術開発の強化であります。わが国は、今日までに外国の技術を積極的に吸収、そしゃくすることにより、欧米先進国に比肩し得る技術水準を有するに至りましたが、今後、わが国が真の技術先進国として世界に貢献していくためには、自主技術の開発を強力に進めることが不可欠であります。今後とも、科学技術の各分野にわたって、自主技術の育成に努力を傾注していく所存であります。
 第三は、官・学・民の連携であります。わが国が科学技術立国を目指すためには産業界、大学及び政府それぞれの頭脳、技術、活力等を結集し、緊密な協力のもとに技術開発を進めていくことが必要であります。私としては、官・学・民の連携方策の充実強化に努め、新しい時代に対応したより柔軟で効率的な研究開発を促進してまいりたいと考えております。
 第四は、国際協力の推進であります。国際協力は、各国の施設、資金、人材等を効率的に活用し得るとともに、国際的な友好関係にも大いに寄与できるものであり、今後とも米国とのエネルギー分野の科学技術協力を初め、先進諸国及び開発途上国との協力など国際協力の充実に努めてまいる所存であります。
 以上、科学技術振興に当たっての基本的な私の考え方を述べさせていただきましたが、この方針に従って、今後石油代替エネルギーの中核である原子力の開発、先導的、基盤的分野としての宇宙開発、海洋開発、航空技術開発、ライフサイエンスの振興、科学技術に対する国民の理解を増進するための国際科学技術博覧会の開催などの諸施策を強力に推進してまいりたいと考えております。
 なお、本国会におきましては、日本原子力船開発事業団を、原子力船「むつ」の開発に加え、新たに舶用原子炉を中心とする原子力船の開発に必要な研究をもあわせ行う機関に改組するとともに、昭和五十九年度末までに他の原子力関係機関と統合することなどを内容とする日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案につき、御審議いただくことといたしておりますのでよろしくお願い申し上げます。
 私は、科学技術行政の衝に当たる者といたしまして、その使命の重大さを厳粛に受けとめ、微力ながら全力を尽くす覚悟でありますので、委員各位の深い御理解と、絶大なる御支援をお願い申し上げる次第であります。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(太田淳夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、日本原子力船開発事業団理事長野村一彦君及び同事業団専務理事倉本昌昭君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(太田淳夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(太田淳夫君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○吉田正雄君 私は、最近国際的な問題にまで発展をいたしております低レベル放射性廃棄物の海洋投棄問題について、関係省庁の見解をお尋ねいたします。
 昨日の商工委員会におきましても、午前、午後にわたりまして、通産当局の見解をお尋ねしたところであります。午後の答弁では、太平洋諸国が日本の低レベル放射性廃棄物の投棄にあくまでも反対であるという立場を堅持するならば、投棄はやらないという趣旨の答弁がなされたわけです。私は、これは今日日本が置かれた国際的な関係から考えまして良識ある当然の判断だろうというふうに思うわけです。しかし、国内の状況を見ますと、商業用原子炉の許可官庁であります通産省と、研究用原子炉の許可官庁であります科学技術庁、さらには外務省等関係省庁の間においで、必ずしも意見が統一をされていないというふうに思いますし、また、法的な権限等をめぐりましても混乱があるのではないかというふうに思っております。
 そのことの一つの例は、過去行われました日本近海における低レベル放射性廃棄物の試験投棄と称するものをめぐって、きわめてずさんな原子力行政というものが露呈をされておりますし、さらには、今日まで行政当局が声を大にして叫んでまいりました安全行政そのものが、実はほとんど実施をされておらなかったという実態も明らかになっておるわけです。そういう点で、私は、単なる技術的な細かなそういう問題ではなくて、いまや国際的問題にまで発展をいたしました低レベル放射性廃棄物の海洋投棄について、これから逐次御質問あるいは御見解をお尋ねいたしたいと思うわけです。
 まず、最初に外務省当局にお尋ねをいたします。海洋投棄に関して今日まで接触した国と、その国の態度。
 第二点、外国代表で外務省を訪問した人たちと、その人たちの申し入れの内容、あるいは関係各国の行政機関や議会等で決議をしたものがあるならば、その内容の概略。
 第三点、外務省として、現状において太平洋諸国の投棄に対する態度をどのように把握をしておるのか。また、外交上どのような措置が望ましいと考えておるのか。日本としてどのように対応することが今後の日本の国際的な関係上最も望ましいと考えておるのか。これを外務省の立場としてお尋ねをいたします。
#8
○説明員(金子熊夫君) 外務省の原子力課長の金子でございますが、お答えいたします。
 第一点につきましては、私どもが外務省で正式に外交ルートを通じて接触いたしました国としては、米国、豪州、ニュージーランド、パプア・ニューギニア等がございます。そのほかに御案内のように、問題海域の近くにございますグアムとか北マリアナ連邦、パラオ等、これは正確に申しますと、まだ独立国ではございませんけれども、関係諸国といたしまして、これらの地域、島々に対しましても、たとえば在京のアメリカ大使館でございますとか、ワシントンの米国政府を通じまして、直接間接に接触を図っております。
 それから従来わが国と外務省を通じて正式に接触ありました国々あるいは地域の本件投棄計画に対する反応でございますけれども、これはかなり時間によって変わっておりますけれども、ことしの春から夏にかけましての反応というものは主として事実関係を紹介するものが多かったのでございますが、最近に至りまして次第に事実紹介あるいは懸念の表明というところから、本件計画に対する反対、これを中止してほしいという申し入れ、抗議等に変わってきております。
 具体的に、たとえば申し上げますと、これは後ほど科学技術庁当局から御説明があると思いますけれども、八月の十五日にグアムのアガナで当該地域の行政府の代表者が約九名集まりまして会議をいたしました。その席で科学技術庁の当局の方々が説明されたわけでありますけれども、その後、八月の十五日に採択いたしました決議によりますと、その当該個所を読ましていただきますと、このような海洋投棄につきましては、「かかる処分技術が実際に、完全に安全であることが相当の期間にわたって実証されるまで、かつ、すべての海洋資源が太平洋での核廃棄物の投棄により生起される災害から保護されることを確保するまで、日本政府が核廃棄物を国際的な太平洋海域で投棄する計画を停止するよう要求することを決議する。」という決議を行っております。
 このほかにもいろいろございまして、こういった決議あるいは請願書の類は、その都度日本政府にいろいろな形で送付されてまいっております。
 それから御質問の第二点、現在までに外国の代表で外務省に正式にどのような申し入れがあったかということでございますが、これは吉田先生御自身が引率をなされまして私どもの方の外務省に来られたのが八月の十一日でございますが、パラオ、マーシャル諸島、グアム、ハワイ等の代表者六名がたまたま日本で開かれました被爆三十五周年原水爆禁止大会に参加を兼ねまして来日された機会に私どもの方に見えまして、その際に原水禁大会で採択されました「放射性廃棄物の海洋投棄に反対する決議」、それからこれらの関係の地域の請願書と申しますか、「核廃棄物のない太平洋のための請願書」という題名の請願書を私どもの方に手渡されたわけでございます。
 いま少し具体的に申し上げますと、原水禁大会の反対決議の方は「日本政府、科学技術庁が計画している放射性廃棄物の海洋投棄計画を、直ちに中止するよう強く要求します。」という趣旨のものでございます。それから請願書の方は、核廃棄物の投棄や貯蔵の場として太平洋を使用することのないよう要請するというものでございます。
 御質問の第三点、外務省としてこういった現状をどのように認識しているか、あるいはどのような措置が望ましいと考えておるかという御質問でございますが、ただいま御説明申し上げましたとおり、問題の海域の周辺と申しますと多種多様な国がございまして、近くの、いま申し上げた国からさらに南太平洋諸国、豪州、ニュージーランドまで入るわけでございますけれども、これらの国々の反応は必ずしも一様ではございませんで、先ほど御紹介いたしましたのは比較的その海域に近い国でございますので、態度も非常に強い厳しいものでございますけれども、その他の国々の場合にはそれぞれの反応があるわけでございまして、こういったものを私どもとしてはいま少し時間をかけて慎重に考えたいと思っておるわけでございますけれども、ただ、外務省といたしまして基本的に考えておりますことは、本件投棄計画は、やはりあくまでも関係諸国等の十分な理解を得た上で実施すべきものであるということでございまして、でありまするからこそ、まず本件計画の具体的な内容を科学的、技術的な見地から時間をかけてできる限りわかりやすく御説明して、先方の御理解を得るために最大限の努力をすべきであるというふうに考えておりまして、したがいまして当省といたしましても、これまで科学技術庁当局によります当該地域への説明チームの派遣等に際しましては、外交ルートその他を通じまして側面から種々協力を行ってきている次第でございまして、今後とも必要に底じて同様の協力は行っていきたいと考えておるわけでございます。
 以上でございます。
#9
○吉田正雄君 同様の質問を、科学枝術庁としてどのように把握をしているのかというのをお尋ねもいたしたいのですが、これはこれからのまた質疑の中でもいろいろ出てくるかもわかりませんし、ほぼ外務省の答弁で尽くされておるのではないかと思いますので、もし特に補足的な状況があれば御説明をいただきますが、そうでなければ次に進みたいと思うんです。
 これは科学技術庁に対する質問です。海洋投棄実施の意思の決定はだれがやるのかということなんです。具体的に申し上げますと、第九十一通常国会で成立をいたしました原子炉等規制法の改正点の要旨というものを一言でまず述べていただきたいと思うんです。
#10
○政府委員(赤羽信久君) 海洋投棄のために行われました規制法の改正の要点でございますが、これは廃棄物その他の投棄による海洋汚染の防止に関する条約、いわゆるロンドン条約でございますが、この実施に必要なところを改正したものでございます。従来も海洋投棄につきましては原子炉等規制法におきまして規制を行っておりますし、条件を示してございます。ただし、この場合は投棄をする者を限定しておりませんでした。今度の改正におきましては原子力事業者だけに限定をする。そして、しかもその者が捨てる場合には政府の確認を受けてしなければいけない、そういう形に改正したのが主要点でございます。
#11
○吉田正雄君 聞いておってもちょっとわからないんですが、私の方から確認をいたしますから、よかったらそうだと返事をしてください。
 「核原料物質、核燃料物質又はこれらによって汚染された物は、次の各号の一に該当する場合のほか、海洋投棄をしてはならない。」ということで、どういう場合がじゃ海洋投棄できるのかというと、それは、その廃棄に関する措置が「技術上の基準に従って保安のために必要な措置を講じなければならない。」、その保安上の必要な措置というものについて総理府令で定めてある規定というものに十分合致をしておるのかどうか、総理府令の定めるところによって内閣総理大臣の確認を受けなければならないということで、規制法第五十八条の二の手続を定めたものなんですね。一言で言うならば、いま言った先般の法改正による海洋投棄の制限というのは、あくまでも保安上の必要措置というものを講じなければならないと、それは総理府令に定めてありますよと、したがって海洋投棄をする場合には、その総理府令の定めた基準に従っておるのかどうかということを、また総理府令の定めに従って総理大臣の許可を得なければならないと、確認を受けなければならないというのが法改正の趣旨なんですね、手続を定めたんです。これが海洋投棄実施に関する先般の法改正の主要な点であるわけです。これは間違いないでしょう。
#12
○政府委員(赤羽信久君) そのとおりでございます。
#13
○吉田正雄君 そういたしますと、先般の法改正の趣旨というのは、あくまでも海洋投棄をしたい場合は総理大臣の確認を受けなさいと、こういうことなんですよ。するかしないかということは、何もこの法律では定めてないわけです。むしろロンドン条約の精神からするならば海洋汚染を防止するというのが大きな目的でありますし、いわんや高レベル廃棄物については一切禁止をしているわけですね。ただ、低レベル廃棄物については一定の基準に基づき、手続に基づいて、それは国際的な監視のもとである程度認めましょう、これはロンドン条約です。それに従って、国内法では総理大臣の確認を受けなさい、これが趣旨なんですね。しかし、するかしないかということは、これはまた別問題なんです。そこに一つ私は混乱があるんじゃないかと思うんです。したがって、いいですか、私がお尋ねをしたいのは次の質問です。
 原子力発電所から出る放射性廃棄物の処理、処分に関して、その内容というのはどういうことなのかということなんです。もうちょっとはっきり言いますと、廃棄に関して、施設内に廃棄をするか、あるいは処分ですね、まあ保管をするか、あるいは施設外に処理、処分するかの判断というのはだれがするのかということなんですよ。これはだれがするんです。
#14
○政府委員(児玉勝臣君) ただいま御質問ございました原子力発電所の低レベル廃棄物の処分につきましての権限は通産省にございます。それは、許可処分のときに低レベル廃棄物をどうするかということを申請書の中に書かしてございますが、その中の最終段におきまして、そういうただいま先生おっしゃいましたような固体廃棄物は、敷地内に所要の遮蔽設計を行った固体廃棄物貯蔵庫を設けて保管する。なお海洋投棄など最終処分を行う場合には、関係官庁の承認を受けるということになっております。したがいまして、サイト内から外へ出すという場合には、関係官庁の承認を受けるということでございますので、この関係官庁というのはとりもなおさず通産省であるということでございます。
#15
○吉田正雄君 そこのところをもうちょっと厳密に言ってもらいたいと思うんですよ。第二十三条では、第二十三条というのは原子炉の設置の許可に関する条文ですけれども、第二十三条では「原子炉を設置しようとする者は、次の各号に掲げる原子炉の区分に応じ、政令で定めるところにより、」主務大臣「の許可を受けなければならない。」、こうなって各号というものがずっと八号まで並べてあるわけです。その中で、その主務大臣というのは実用発電炉、つまり商業用発電所については通産大臣になっておりますから、それはいまのお答えのとおりなんです。そこの第二項のところで「前項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を主務大臣に提出しなければならない。」となって、七号では「燃料として使用する核燃料物質の種類及びその年間予定使用量」、それから八号で「使用済燃料の処分の方法」ということが書いてあるわけですね。したがって、年間の使用量、さらには出てくる廃棄物の処理、処分の方法というものが明記をしてある。それを見た上で通産大臣が許可をするわけなんですね。そういうことでしょう。これは間違いないわけですね。
#16
○政府委員(児玉勝臣君) そのとおりでございます。
#17
○吉田正雄君 そういたしますと、今日までの商業用原子炉、九電力の二十一基の原子力発電所の許可申請書の中に、海洋投棄をするということが書かれておるところがありますか。
#18
○政府委員(児玉勝臣君) 二十一基全部についてちょっと記憶ございませんけれども、最近の許可の内容におきましては海洋投棄をすると明記したものはございません。
#19
○吉田正雄君 よく調べてないと言っても許可をしたんでしょう、二十一基について。許可をしたものについて全部調べてないからよくわからぬということはどういうことですか、これははっきりしているでしょう。いままで海洋投棄の処分方法で申請したものがあるかないかということははっきりしているじゃないですか。ありますか。
#20
○政府委員(児玉勝臣君) ございません。
#21
○吉田正雄君 そういたしますと、年間の核燃料使用量というものがわかるわけです。それからその発電所の設備利用率と耐用年数というものもおおよその計算をされているわけです。つまり、その原子力発電所の今後の計画的な運営というものがずっと出てくるわけですね。これは単なる使用量であるとか、処分の方法だけでなくて、原子炉の運営全般についての経済的な面やその他から計画がずっとここの八号まで書いてあるわけです。したがって、出てくる使用済み燃料の量というものがその発電所の寿命が終わるまで、つまり耐用年数が終わるまでにどれだけの廃棄物が出てくるのかということの計算に基づいて処分方法というものが決定をされて、許可申請書の中に書かれるわけですよ。したがって、現在の二十一基の商業用原子力発電所の原子炉から出る使用済み廃棄物の処置については、陸上の処分、保管、管理でもって十分だという申請のもとに許可をされたものなんです。海洋投棄なんていうのは全然予定してないんですよ。それはいまおっしゃるとおり認められたから、それでいいんですね。
 そこで、問題はそのように許可をしておるのに、今日海洋投棄の問題が科学技術庁サイドからやんやん言われ出した一体その意図というのが何なのかということなんですね。そこで、もう一回通産省にお尋ねをしておきますが、私が後段で言った科技庁の意図というのは別にして、私がいままで言ったことは間違いないでしょう。
#22
○政府委員(児玉勝臣君) 間違いございません。
#23
○吉田正雄君 そういたしますと海洋投棄の必要性はいまのところ全然ないわけなんです。また、海洋投棄の必要性があるといったら、今日までの許可がきわめてずさんであった、陸上で処分できなかった、保管できないという、それを承知の上で、あるいは知らずして許可をしたということになるんですが、いま言ったとおり、そうでないと、私の言っているのが正しいということですから、それはそれでいいと思うんですけれども、そこで私がお尋ねをしたいのは、いま言ったように、その許可権は通産大臣にあるわけです。何ら問題がないんですね。ところが、周囲からやあやあと口を出す人間が出てきたということなんですけれども、陸上処分を今度は海洋投棄せよというふうに電力会社の申請を変えさせるように仕向けることのできる法的な規制というものがあるのかどうか、これをお尋ねします。
#24
○政府委員(児玉勝臣君) 法令上特にそういう変えさせる方法というのはございません。これは申請者の全くの発意によって行われるということになろうかと思います。
#25
○吉田正雄君 まさに申請者、つまり電力会社の申請を総理府令に定めるところの保安上の基準に合ったかどうかという判断で許可をするということなんで、これが二十三条のずっと法の趣旨ですね。したがって、海洋投棄せよというふうに方針を変えるという根拠はどこにもない。あくまでもそれは申請者の申請が現行法上定められた基準に合致をしておるかどうかという、それに基づいて最終的に許可をするということであるわけですから、そういう点で次に私はひとつ今度は科技庁長官にお尋ねをいたします。
 長官、お聞きのとおり、今日までの原子力発電所から出る低レベル放射性廃棄物の保管については、今日まで陸上の処分、保管でやってきたんです。また、そういう申請であり、それで十分だと、陸上で十分できるということできたわけですね。ところが、今度原子力委員会の方から海洋投棄というふうな声が上がってきたということなんですが、それは科技庁長官としては海洋投棄をする必要性というものがどこから要請をされたのか、どういう点からそういう声が上がってきたのかということについてお尋ねいたします。
#26
○国務大臣(中川一郎君) まあ専門的なことは原子力安全局長からまた説明させますが、私の承知しておる限りでは、陸上に保管して倉庫に入れておくとだんだんいっぱいになってくると、長期的に見れば倉庫に入れておくことよりは、むしろ国際的にも海洋投棄という道があるのであるから、国際的な基準に照らし合わせてその道を選んだ方が、むしろ先の見通しとしてはいいのではないか、こういう観点から国際基準に従っていま投げる場所について試験をしてみようということでであって、試験に成功すればその道を選ぶことの方が長期的によかろう、こういう判断でいま諸外国との会議を持ったり、あるいは原子力委員会で安全性について研究をしてもらって、一千万分の一とか一万分の一の基準以下のもので安全でもあるし、投げる場所については国際上の基準からしていま言われているところがよかろうしと、こういうことで長期的な構想からいろいろと検討していると、こういうことでございます。
#27
○吉田正雄君 安全でもあるしというところは、これは後ほどのひとつ質疑の中でやっていけばいいと思うんですが、最初の出だしがはっきりしないんですよ。
 余りいい言葉じゃないんですが、他人の選挙を気に病むとかお隣の夫婦げんかを気にするようなということがありますけれども、いまの通産省との質疑でもおわかりのように、各電力会社は陸上の保管でやれますといって申請をして、そして許可されているんですよ。海洋投棄なんというのは全然考えてない。あくまでも陸上で保管できますと、処理、処分はできますという申請でもって許可をされているんですね。だから、いやそれはよくないから海へ投棄せいというふうな発想はどこから出てきたのかということを聞いているんです。
#28
○政府委員(赤羽信久君) 海洋処分あるいは陸地での処分、それにつきましての基準あるいは国際的な環境が熟しておりません時代に、電力業者は発電所内に保管、廃棄をするという申請しかできなかったわけでございます。しかし、その底流には、長期的に考えますと、最終的な処分を考えなければならないということは前から議論されておりまして、その環境がだんだん熟してきたのを踏まえまして、昭和五十一年の十月に原子力委員会が「放射性廃棄物対策について」という決定を行いました。そこで高レベルも扱っておりますが、低レベルにつきましては陸地処分、海洋処分を検討する。海洋処分については、まず試験投棄を行い、次いでそれを確認をした上で本投棄を行うという方針が示されております。一方では、例のロンドン条約が発効いたしまして、国際的にコンセンサスが得られ、技術基準もIAEA等で定められまして、十分に安全性のとれる方法が確認できたという段階になりましたので、まず試験投棄に入ろうという計画を立てている次第でございます。
 それで、最終的にだれが投棄を始めていいと決めるかということにつきましては、規制法で最終のいわゆる確認、主務大臣の確認というのは内閣総理大臣が行うという形になっております。そのための条件としましては、諸基準はすでに定められております。最後に残っておりますのが投棄海域の告示、これだけがまだ残っておりまして、これにつきまして、現在、内外の関係者に実情を御説明して御理解をいただいて後に廃棄告示をしようという段階にあるわけでございます。
#29
○吉田正雄君 私の質問にちっとも答えていませんよ、それは。環境の変化だとかいろんなことをおっしゃっておりますし、国際的にもそういう機が熟してきたとか、条件が熟してきたとかいろんなことをおっしゃっておりますけれども、すでに約二十数年前から海洋投棄が一部の国で実施をされた。しかし、今日、多くの国ではまた中止しているわけですね、その後。これは皆さん方が出された資料によっても明らかですね。科学技術庁が監修をして原子力環境整備センターというものから出されたものや、それから直接科学技術庁から出された資料によっても明記をしてありますように、一九六七年からいろんな海洋投棄というものが行われてきております。しかし、フランス、西ドイツ、イタリア、スウェーデンというまさに原発国家では現在全部中止をしておりますね。一九七一年からというものは全部中止をしておりますよ。現在やっているというのはイギリス、オランダ、ベルギー、スイスという原子力国家としてはきわめて小さな国なんです。わずかですよ、海洋投棄をやっているのは。社会主義国家では全然やっておりません。アメリカも現在もう中止をしておるという状況ですからね。国際的な環境とか条件がそろってきたなんというのはとんでもない話であって、国際的な環境というのはむしろみんな中止の方向に向かっておるし、実施をしているところはわずかなんですよ。私はそんなことを聞いているんじゃないんです。そうではなくて、とにかく現在まで陸上で十分保管できますといって申請をして許可をしてきたというんですね。それを何で原子力委員会がわきからそれはどうもおかしいから海上に投棄をしなさいなんというちょっかいを出す必要があるのかということを私は聞いているんです。そのちょっかいの根拠は何かということを聞いているんですよ。私は、大臣によく聞いていただきたいと思いますのは、率直に言って大臣は今日まで余り原子力行政にはタッチされてこなかったと思うんですよ。私は、大臣というのは国家的な大所高所に立った政治的判断をするのが大臣だと思っているんです。その辺の官僚は机の上でもって文書を書いて、そして実際に試験投棄をやって、その後ちっとも追跡調査もしていない。文書の上であるいはコンピューターでもって安全だ安全だと書いているだけの話なんだ。そんなものを聞かされて、そうかなんと言ったらこれはもう大臣としては失格だろうと思いますし、私はより以上に問題の本質というものを大臣は把握をし、そして国際的な、まさに国際化時代ですよ、そういう点で私はこれからの日本の生きていく道というのが、いかに国際的な配慮というものがなければ生きていけないかというのは、これはもうエネルギー問題、食糧問題、るる述べられておるとおりなんでして、そういう点で私は大臣はまさに大所高所に立った立場から政治的な判断をすべきだと思うんですよ。
 そこで、いま五十一年の原子力委員会の方針が決定されましたと言ったって、これは何にも法的に根拠があるわけでもないですよ。単に原子力委員会ではそうしたいということを言った、決めたというだけの話であって、あなたのおっしゃるとおりです。低レベル放射性廃棄物については、処分方法として海洋処分と陸上処分をあわせ行うと、このため事前に安全評価し、試験的処分を実施することとするというのは、それはもう原子力委員会がただそう言ったというだけの話であって、法的根拠に基づいて海洋投棄をしなければならぬなんというのは、さっきからの質疑の中でもおわかりのようにどこにも書いてない。しかも、その必要性がないということで今日まで許可をしてきたんですよ。だから私がお聞きをしているのは、それがだめだと、陸上処分がだめですというどこか明確な根拠がありますか、それがあったら聞かしてくださいと言ってるんですよ。それからの論議なんですよ、果たして安全なのか安全でないかということは。
#30
○国務大臣(中川一郎君) 私も専門家じゃないし、吉田委員ほど詳しくはないのですが、核燃料サイクルという一環の中にウラン鉱から廃棄処分までというのはこれは流れなんですね。いまのところは倉庫の中に保管しておくというのは仮の保管であって、いつまでも倉庫の中に保管しておいてふん詰まりになっていいというものは原子力行政じゃないと思うんです。これは世界じゅうが海洋であるか陸上であるかの処分について国が責任を持って明確にしておるわけです。フランスその他の国が海洋投棄で何にも支障がなくて、反対があったからやめたわけじゃない。私の聞いておるところではあそこは国家権力もあるし、国民の理解もあるから陸上投棄の道の方が安いから変わっただけのことであって、海洋投棄が危ないからということでやめたわけじゃないというのであって、せっかちでもって人のことをやっているような御指摘ではありますが、私は、原子力行政をあずかる者として、やはり濃縮から始まって高速増殖炉から、あるいは使用済み燃料の再処理から、最終的にはハイレベル、ローレベルの廃棄物もきちんと海洋投棄なり陸上投棄なりに道をつけてあげる、これが原子力行政をあずかる者の責任だと思ってやっているんです。政治家としてもいつまでも仮の倉庫に預かっておきなさいということは、私のとるべき道ではないと、こう思ってやっておるわけでございます。
#31
○吉田正雄君 大臣はちょっと混同されている面があると思うんです。低レベル廃棄物の保管をどうするかということと、使用済み核燃料を再処理するいわゆる核燃料サイクルというのは全然別の問題なんですよ。そういう点で、私は大臣に御進講申し上げている周囲の皆さんが、いま言った低レベル廃棄物の海洋投棄というのが核燃料サイクルの一環だというふうな、そういうもし説明をされておるとしたら、私は大臣の判断を誤らせるこれはとんでもない説明だと思うんですよ。これは大臣、核燃料サイクルというのは全然違うんですよ。使用済み核燃料という中には、燃え残りのウランもあります、それからプルトニウムという新しい――これは長崎型の原爆ですが、ウラン238、燃えない燃料のウラン238が中性子を一個もらって今度は核燃料になるプルトニウム239、同時に長崎型原爆の材料です。こういうものができてくる、核燃料の中に、燃えてきますとね。同時に死の灰というものがそこにはたまるわけです、変化をしていくわけですね、死の灰に。そういうことで、それを処理をして燃え残りのウランとプルトニウムというものを取り出す。それから残ったまさに高レベルの死の灰、これは余り分量は大きくないんです、いまここで問題になっている低レベル廃棄物とは違いまして、そんなに莫大な量にはならないんですよ。ですから、いまおっしゃった核燃料サイクルの中での使用済み核燃料の処理ということと、いま言った低レベル廃棄物を海洋投棄をするということとは、核燃料サイクルというところとは直接関係のないことなんですね。ですからそういう点でまず混同があるということと、それから経済性をおっしゃいました、また。経済性だったら、フランスは経済性から言うと陸地に置いた方が安い、そのとおりなんですよ。わざわざ海に持っていってまで捨てる必要はないんです。原子力発電所で出たものはそこの場に置けば、これほど経済的なことはないんです。だから経済性から言ったならば、海洋投棄は金がかかります。そのまま原子力サイトに置いた方が一番安いということなんです。これも私は科技庁当局が、大臣に対する説明で何を説明しておったのかと言いたいんです。それからもう一つ安全性、もうこの二つから言っても、わざわざ海へ持っていく必要はないんですよ。一番のネックは何だったのか、海洋投棄処分の話が出てきた原因は何かといいますと、陸上にためておったら、どんどんどんどんふえていって、原子力施設の中では保管し切れなくなるんじゃないかという心配があったものですから、大臣は笑っておいでになりますが、まあその点だろうと思う。狭くなって置き場所がないと、まあ俗に言うトイレなきマンションになっちゃって、ふん詰まりになっちゃって、どうしようもなくて、おなかがパンクしたんじゃこれは大変だということで、どこか安全であるならば海の中に捨てようということで、こういうことで出てきたのが実は海洋投棄なんでして、サイクルとは関係ない。経済性から言ったら、そのままの方が一番安い。
 ところが大臣、じゃいま言ったとおりふん詰まりになるのかどうかということなんですが、私はだから先ほど来多分大臣もそこのところを思っておいでになるんじゃないかと思ったものですから、通産当局に繰り返し質問をし、また私は電力会社の幹部にも聞き、科学者にも聞いたんですけれども、原子力発電所の敷地というのは非常に広大でございますと、今日大体百万キロワット級ですというと、新潟県の柏崎などもそうですが、四百万平米というとてつもない大きなところなんです。だからあそこの原子力発電所が三十年ぐらい動いてみたって、そこから出てくるドラムかんなんというのは、あの敷地の中に十分保管できるんですよ、はっきり言って。それをわざわざ危険な海まで金をかけて持っていく必要はないわけです。そういたしますと、ふん詰まりという心配は、大臣ないんです。これは電力会社の皆さんもおっしゃっているんですよ。いやその心配ありませんと、こうおっしゃっている。そうすると、大臣のおっしゃるどうも敷地が狭くてそこで保管し切れなくなるという話も、これは終わりになる。だからいま認可されているんですよ。心配ありませんといって認可された。それでもう理由がなくなったわけだ。そうすると、私が当初からお尋ねをいたしております海洋投棄をしなければならないという理由がないんですよ。だからどうしてもそこがわからない。安全性の問題は後で論議やります。余り安全性論議大臣とやっても、大臣も専門家でないとおっしゃるとおり、私だって専門家じゃありませんよ。しかし、安全性の問題論議でやることにしまして、それは投棄をするという場合に備えての安全性の確立なんでして、投棄の必要性があるかどうかという一番基本的な判断をどうするかという点でいったときに、その必要性がいまのところないんですね。この点大臣は、私はいままで周囲の説明で来られたと思うんですよ。ところが、大臣のおっしゃっているのは、ちっとも当たらないんですよ。だから私は、周囲が大臣に何を御進講申し上げておったのかと、こういうことで国家百年の大計を誤ってはならぬと思うんです。そういう点で、まだ大臣ありますか、何か理由は。
#32
○国務大臣(中川一郎君) 核燃料サイクルの定義について御説明いただきましたが、狭義の核燃料サイクルは御指摘のとおりかもしれませんが、私はやはり原子力行政をあずかる者として、ウラン鉱石からトイレと言われる部分まできちっとやって、初めて原子力行政は一貫したサイクルができ上がったと、こういう認識で、これの始末をしない核燃料サイクルは完璧なサイクルとは言えない、こういう気持ちで申し上げておるわけです。その点は意見の違うところでして、社会で言う、学問的に言う、あるいは国際的に一貫している核燃料サイクルの定義とは違いますけれど、やはり廃棄物をローレベル、ハイレベルともに処置してこそサイクルができ上がったと、私はそう見ておるわけです。
 それから、何もよけいなことをしなくても倉庫に積んでおけばやれるではないかという議論もないわけじゃないと思います。思いますが、それでは私は原子力行政をあずかる者として責任を果たせない、世界じゅうの国々が海洋投棄なりあるいは陸上投棄なりそれぞれ始末をしているのに、日本だけが始末できないからいつまでも倉庫の中に保管しておきなさい、敷地たくさんあるんだからそれでいいというような無責任なことは、私は責任者としてとるべきではないという気持ちでございますから、おせっかいと言われようが、この問題について努力をしなきゃならぬと思っていまやっておるわけです。
 そこで、海上投棄と陸上投棄がどっちがいいか。それは陸上投棄の方が安くていいことには違いないが、フランスがやっているから日本ができるかというと、日本は国情も違いますし、国民感情も違う。やはり本当の安全性からいうなら、海洋投棄の方がわが国にとっては、少々金はかかるけれども、その方の選択がよろしいという判断のもとにやっているのであって、フランスが陸上でやっているから、じゃ日本も陸上でやれ、そのほかの国々もやれと言って、それじゃ私どもが責任を持って陸上についてどこの場所ということになったら、これまた社会党の皆様を初めとして、陸上に投げたら安全性がどうのこうのということで、また非常な国際的な反発よりはまた数倍の反発があるであろうことも想像されるわけでありまして、安い陸上投棄をやれと、われわれも協力してやるから、世界もやっていることじゃないかというのであれば、率直にひとつ耳を傾けてその道も選んでみたいとは思いますが、海洋投棄だめだ、陸上へ持ってきたらまたなおだめだと言われるのでは、やはり原子力行政をあずかる者としては国際的にやっておる、大西洋諸国ではなべて問題もなくて、ただ高いというだけでやめたという経緯もあるならば、やはり太平洋諸国にも粘り強く努力をして、しかもいろいろ誤解を受けている点もあります、日本に投げないで向こうへ投げるのはけしからぬ。一口で言えばそうだけれども、ロンドン条約その他の規制から言うならば、一番いいところは海の深さとかあるいは海底の動きとか、そういうところから言って一番いいところ、しかも何も西マリアナの方に近いんじゃない、まだむしろ日本に近い中間的な地域を選定して努力することには、政治的にもそう間違っていないと思いますので、御理解いただきたいと存じます。
#33
○吉田正雄君 私はいまの大臣のお話を聞いていまして、これは非常にむしろ危険だと思いましたのは、イデオロギー的な危険じゃないんです。非常に混同されているんです。さっき言われたように、廃棄物の処理、処分が広義の意味で核燃料サイクルという中に含めれば含まれないことはないでしょう。しかし、わかりのいい例ですから、先ほど来トイレという話が出ていますから、どうも上の話でなくて下の話で恐縮なんですけれども、これはしかし、汚いという点については最高に汚いものなんですから、トイレどころの騒ぎじゃないんですよね、直接人命ですから。汚い話ですから、トイレにたとえてもまだたとえ切れない汚さを持っているわけです。大臣はそれじゃ水洗便所と昔ながらの一体便所というのは、どちらが危険だというふうにお考えになっていますか。
#34
○国務大臣(中川一郎君) やはりいろんなことはあっても水洗便所にしたいなというのが世界共通した考え方じゃないかと思うんですね。
 これもトイレになぞらえて私も失礼かと思いますが、うちの中へ一時貯蔵しておくということは、これは昔の原始的トイレではなかろうか。この間も福島ですかへ行って、トイレと言われるものの汚物にほおずりしてきましたが、それほど汚いものではありませんが、いずれにしても汚いものと言われているものをいつまでも原子力発電所の中に保管し、しかも、それを敷地の大部分に埋めて、もう廃棄物の中に原子力発電所が埋まっているようなことをしておいて政府が何にもしないでいたとしたら、これは国民の皆さんからもおしかりをこうむるだろうし、ましてや国際的に大笑いに笑われるであろう、こう思います。やはり水洗便所なり何なり国際的にやっておる文化的な方向に進みたいと、こう思ってやっておるわけです。
#35
○吉田正雄君 大臣、保管というものとそれから処分というのとそれから投棄というもの、これは厳密に言うと皆違うんですよ。厳密に言ったら違うんです。そこで、いま陸上で保管をされておるものは一応の処分、処理というものが行われて保管をされているわけですね。いいですか。だから陸上でいま保管をしておるものと海洋投棄をするものとの間に本質的にどれだけの差があるかということなんですね。これはどうですか、事務当局。
#36
○政府委員(赤羽信久君) 現在全国で約二十六万本のドラムかんが保管されております。ただし、それはセメントで固めた形になっているものもございますけれども、まだ最終の処理をしてないで、生の廃棄物のままドラムかんに詰めているものがかなりございます。そういう意味で処分の形が決まりましたら、それに沿った処理を今後行っていくというものがかなりあるわけでございます。
#37
○吉田正雄君 核種からしたりキュリー数からしたら、焼いて容積を縮めて、そしてコンクリートなりドラムかんに詰めてという場合と、陸上に置いた場合の放射能としての危険性はどうですか。
#38
○政府委員(赤羽信久君) 焼きまして灰にして固化するということで、放射能の濃度が高まるわけでございますが、現在の日本で扱っております廃棄物について調べてみますと、これは実際差がかなりございますが、灰にして海洋投棄の基準にたえるコンクリート固化をした場合でも、一ドラムかん当たりせいぜい百ミリキュリー前後にしかなり得ない。要するに、廃棄物の濃度が薄いものが多うございます。そしてまた、それを投棄の対象にしようと考えておるわけでございます。
#39
○吉田正雄君 いまの説明じゃわからないですよ。じゃ、陸上に保管しておったものが多くて海洋投棄するときは少なくなっているなら、その処理の過程で出てきたものはどこへ行くんです。陸上の方が多い、海洋投棄の方が少なくなる、薄くなって少なくなったものを海洋投棄すると言う。じゃ、処理の段階でそれが消えてなくなるわけですか。どこへ行くんですか、それは。
#40
○政府委員(赤羽信久君) 現在、生で保管されているものは、たとえばプラスチックのフィルムとか、あるいは繊維、紙、そういったものがかなりございます。これらは焼却いたしまして、灰にした上でコンクリート固化をする。その方が完全な、強度の強いコンクリート固化体になるわけでございます。分量も非常に減ってまいるようでございます。
#41
○吉田正雄君 私が先ほど来質問しているのは、単なる分量じゃないんですよ。放射能が陸上の場合には多くて海洋投棄の場合には少なくなるかと言っているんですよ。そんなことはないでしょうと言うんだ。だから、途中で処分、処理をされた途中で、そこでもってある程度とるというんなら別ですよ、除去をする。だって、除去をしたら除去したものをまたどうするかという話になるんでして、だから総体としては変わりがないじゃないか。焼いて縮めれば容積としては縮まりますよ。だけど放射能としての全体の量としては変わりがないじゃないかということを言っているんですよ。それは間違いないでしょう。
#42
○政府委員(赤羽信久君) 放射能の量は変わりございません。
#43
○吉田正雄君 そうでしょう。ですから、単に縮めたから安全になるとかということじゃないと言うんですよ。放射能の量は変わりがない、それは。いいですか。そこで大臣、こういう限られた時間ですとすれ違いに終わることが多い。用語一つとってもそうなんですが、用語に対する定義を同じくしておきませんと、大臣の認識と私の認識が違う認識のもとで同じ言葉を使って論議をしていますと違ってくるんですよ。こういう委員会の前には、事務当局からしょっちゅう話を聞かされると思うのですよ、大臣は。われわれとの話というのはこの委員会の場で、限られたわずかな時間の中でしかやっていないんです。ですから、どうしても事務当局の一方的な説明、われわれに言わせれば一方的な説明ですよ。これはもう先ほど来の話を聞いておっても――私は大臣に科学者になれなんか言っているんじゃないですよ。私自身がそんなに専門家でも何でもないですからね。しかし、どうもお話を聞いておるといろんなものがごっちゃになって理解をされている感じがしてならないと言っているんです。そういう点で申し上げているんです。そこで私は余り大臣と科学的な論議やなんかここでやったって、これはかみ合いません。かみ合わないというよりも、とんちんかんな話になると思うんですね。
 そこでもう一回お聞きをしたいのは、陸上投棄でいいと言って許可をしてきたんですよ。それでいいと言っているんですよ。いいですか。それを、いや、それはだめだからこうしなさいという権限は原子力委員会や科技庁長官にはありませんよということを私は言っているんです。法的にないと言うんですよ、それは。現行法上ないと言っている。その点は間違いないでしょう。
#44
○国務大臣(中川一郎君) 第一義的には事業者にいまの廃棄物の処理の責任はあるわけです。しかし、先ほど御議論のあったように、倉庫の中に保管しておくということは、昔のトイレで言うならば、敷地の中にトイレばかりいっぱい並べて埋まっているようなことで、生活していけないことはないけれども、核サイクルの中へ入る、入らぬの議論は別としても、原子力行政の流れとしてわが国ではいま軽水炉だけなんです。それ以外のことについては、濃縮から廃棄物まで、世界がやっている文化的なことをやっておらないものですから、そういう道も講じてやるのが国家行政としての責任があるから、その道を開いて、そして廃棄物の中に埋まるような原子力発電所ではないような道を講じてやろうと思って、国が責任を持って世界の例を見、世界の基準に従い、世界の一人前のやり方にやっていこうと思ってやっているので、決しておせっかいに、いいと言っているものをやっているものでもないし、また発電所の廃棄物の責任は国にあるからやっているんだというわけでもない。原子力行政としてあるべき姿というものを求めて汗を流してやっていくんですから、どうぞひとつ御理解ください。
#45
○吉田正雄君 じゃ、事務当局に聞きますが、現在の陸上の処分、保管では危険ですか。
#46
○政府委員(赤羽信久君) 現在保管しておりますのは非常にしっかりした建物の中にドラムかんに詰めて保管しておりますので、そのものが直ちに危険ということはございません。しかし、これは保管廃棄と申しますか、管理をしながら貯蔵している状態でございます。長期的に見ますと、やはり人間社会の中に置くのは最終的なサイクルの完成ではございませんので、人間社会から隔離するのをもって処分と考えているわけでございます。そしてその方法として国際的にも陸上処分あるいは海洋投棄、人間に対してはね返ってこないところへ最終的に隔離するというのを処分と考えておるわけでございます。
#47
○吉田正雄君 安全とはということについては、原子力の本質的な危険性というのはこれは放射能なんですよ。したがって、放射能というものを人間や人間を取り巻く生態系からいかに隔離し、しかもそれを完全にわれわれが管理し得るかどうかということなんですよ。隔離をしました、隔離をしたけれどもそれがまた暴れ出してしまって生態系を破壊するとか、再びまた人間のところへ戻ってきたんではこれは安全にはならぬわけですね。安全確保にならないんですよ。ですから、私は安全性確立という場合には、いま言ったように人間とそれを取り巻く生態系からできたら完全に隔離をすると同時にこれを完全に管理しなきゃならぬ、ほうりっ放しじゃだめなんです。投棄じゃだめなんですよ。いいですか。その点はどうなんですか、皆さんの安全性は。私が言っていることは間違いですか。
#48
○政府委員(赤羽信久君) 御指摘のように、人間社会に必ず戻ってこないということが重要な条件かと思われます。それにつきましては、後から手を打つというばかりではなくて、むしろ事前に戻ってこないということを実証的にあるいは理論的にしっかり確認した上で隔離するというのが必要かと思われます。
#49
○吉田正雄君 陸上の処分管理が安全か、海洋・深海の投棄が安全かという結論はいま出ておりますか。
#50
○政府委員(赤羽信久君) これはいずれも安全というのがわれわれの結論でございます。しかし、その安全の程度を比較してではなくて、現在の発電所の中での保管といいますのは、発電所の性質から考えましても時間的に有限でございます。そうでない最終的な隔離をするという方法として海洋処分あるいは陸地処分というのを考えておるわけでございます。
#51
○吉田正雄君 そうすると、いまの基本的な考え方というのは安全性の問題じゃなくて量の問題じゃないですか、いまの考え方を聞いていますと。そうでしょう。まだ海洋投棄の完全な安全性なんて確認されておりませんよ。科学技術庁や原子力安全委員会は確認したことありますか。これは後ほど聞きますけれども、そんな実験投棄なんか何にもやってないじゃないですか。追跡調査も何にもやっていませんよ、今日まで。安全性なんか確認されていませんよ、まだ。現にアメリカの実態を見なさいよ、あれだけの海洋汚染がいま出てきて大騒ぎになっているでしょう。投棄をするときには安全だと言って投棄をしたんですよ。安全だと言って、政府までが安全だと言って投棄をしてこれだけの海洋汚染をやっているじゃないですか。これはアメリカの環境保護庁、EPAの出した資料に基づいて学者が分析して、はっきりとこれだけの海洋汚染があると、新聞にも一時報道された。ここに論文ありますよ。ありますけれども、二十六万倍であるとか、魚については八千五百倍という物すごい汚染が行われておって、その魚を食べたら大変ですよ。いまそこまで進行している、事態が。今後もますます深刻に事態は進行するであろうと言って指摘をされておるわけですよね。安全性の確認どころか海洋投棄がきわめて危険であったということが最近暴露されているわけですよ。まだ安全性なんて確認するほどの実験や追跡調査なんかやっておりませんよ。だからこれから皆さんは試験投棄をして安全性を確認をしようといういま段階なんです。そういう段階でしょう、皆さん方の考え方は。この点間違いないでしょう。
#52
○政府委員(赤羽信久君) アメリカの件につきましては環境保護庁もデータを出しておりますが、まだ詳しいことはわかりません。またどうしてああいう廃棄形態になったのか、これは昔のことでございます、わかりません。しかし、現在国際機関によって決められました基準は過去の経験、いろいろ踏まえた上でこれなら絶対大丈夫という基準が出されたわけでございます。そしてそれをわが国の原子力安全委員会もかなり安全係数をたくさんとって評価した上で絶対に安全であるという結論を出しているわけでございます。ただし、一つの条件としまして試験投棄をやってみて、その安全評価をひっくり返すような新事実が見つかったらこれは考え直さなければいかぬ。それがないことを確認した上で再度原子力安全委員会の了解を得て本投棄に踏み切る、現在そういう方針が出されているわけでございまして、いまやろうとしている基準、方式は絶対安全なものと確信を持っているわけでございます。
#53
○吉田正雄君 いまの発言はきわめて重要ですよ。絶対安全だという確認が行われておるとあなた言いましたね。だれが絶対安全だなんという確認をやりましたか。確認をしている機関を言ってください。絶対安全だなんて確認をした機関があったら言ってください。どこです。
#54
○政府委員(赤羽信久君) 確認と申しましたか、安全評価でございます。安全評価としては十分な安全係数をとった上でなおかつ大丈夫と言っておるわけでございます。
#55
○吉田正雄君 その安全係数そのものについていろんな異論があるわけでしょう。評価は一定しておりません。それはあなたたちが一方的にそう言っているだけだ。絶対なんてことはあり得ないですよ、科学の分野で。あなたは絶対という言葉を何回も使っておいでになる。これはもう全然問題にならない。絶対安全だなんという評価は下されましたか。
 これは今度は通産に聞きますが、絶対安全だという評価下されていますか、いま海洋投棄に関して。通産省なりに調べたあれで言ってみなさいよ。
#56
○政府委員(児玉勝臣君) 海洋投棄の試験投棄の問題につきましてはいま科学技術庁の方で鋭意御検討いただいておるわけでございまして、その成果を実は期待しているわけでございます。
#57
○吉田正雄君 これは答弁できないですよ。科技庁がそう言って答弁しているのに、いや違いますなんと言って通産答弁できない、もうあなたが答弁しちゃったものだから。
 大臣、そんな評価は出ていませんよ。大体放射能にはこれで大丈夫、安全というものはないんです。この点についても大臣もうちょっと私は勉強をしていただきたいと思うんですけれども、放射能に俗に言う目安基準とか線量当量とかいういろんなものがありますよ。ありますけれども、だから安全だという数字ではないんですよ。そこを勘違いしてもらっちゃ困る。国際放射線防護委員会で考えている考え方と日本の科技庁、安全委員会が考えている放射線に対する考え方というのは基本的に違っているんですよ。国際放射線防護委員会が定めている基準というのはいいと言っているんじゃないですよ。これを超えるべきじゃないし、幾らあれしてもこれが最高限度なんであって、これは下げなきゃだめなんだと言っているんです。ところが、原子力安全委員会はここまで浴びても大丈夫という、そういう考え方なんですよ。全然根底から考え方が違っているわけね。だからいま言ったように、これが絶対安全だなんという、そういう表現になって出てくるんですよ。私は大臣、この問題についてはもうちょっと時間を設けて委員会でなくてもやろうじゃないですか。これは大臣と篤とひざ突き合わしてやらぬと大変ですよ。これだけ国際的な大きな問題になっておるわけですから。
 そこで、もうちょっと法的に言います。確認をしておきますけれども、あくまでも第一次的な判断は事業者が陸上処分を――陸上処分が危険だとなれば別問題ですよ。ところが、いまの答弁のごとく陸上だから危険で、海洋投棄だから安全だなんという、こんなばかな話ないんですよ。処理、処分の技術というのは同じなんですから、陸上に処分する場合も、海洋処分する場合も。放射能を封じ込める技術というのは同じなんです。だから、海洋に投棄しても大丈夫なものは陸上投棄でも大丈夫なのはあたりまえの話ですね。ただ陸上と海上には差があるから、そこで安全性が問題になるんですけれども、いずれにしても現在の陸上処分が安全であるということは間違いないですね。そうでしょう。いま総理府令に定める安全基準に従って処理、処分、保管が行われているわけですよ、これは間違いないでしょう、どうなんです。
#58
○政府委員(赤羽信久君) 安全性という点では全く現在の保管でも問題ございません。しかし、いわゆる処分ではないわけでございます。
#59
○吉田正雄君 そこで大臣、大事なのは、安全だと言うんですよ、いま陸上でも。私はそこでもちょっと議論ありますけれども、まあ安全だとして、問題は何かというと、結局量の問題が入ってくるんですよ、量の問題なんですね。陸上でも安全だと言っているわけでしょう。何でだから海へ持っていくか。経済性から言ったって、金がかかるのを何で海へ持っていく必要があるのかと、いや、だんだんふくらんできてパンクしそうだから海へ持っていこうと、大臣の先ほど来の論議を聞いていますと、どうもそういうふうな感じなんですよ、一言で言いますと。ところが、陸上においても安全でありますし、原子力発電所が動く限りにおいて、耐用年数が三十年なら三十年と見て陸上で処分、保管をしておいても大丈夫ですと、もちろん一定の処理はやるわけですからね。大丈夫ですということで電力会社が申請をし、通産大臣がそれについて調べて、確認をして許可をしていると、こういうことですから、さっきから言うようにまさにおせっかいに安全だと言うのに、いや安全でないから海へ持っていくということはおっしゃらない。量が詰まっている、パンクしそうだから持っていくと言われるんだけれども、これも大丈夫ですと言っているのに、何で持っていくと言っているんですか。いや、海の方が安全だという論理にはならぬですよ、同じ技術でやっているわけですから。ハイレベルでは陸上処分、低レベルでは半々でやりましょうと、こういう言い方なんですよ。これまた半々というのもおかしい。半々という言い方はどうも量からいうと、陸上ではもう保管し切れなくなるから、海洋投棄をしようという趣旨なんですね、どう考えても。大臣の答弁を聞いておってもそうなんです。そうすると、量だけの問題で海洋投棄をすることが果たして今後の原子力の平和的利用や有効な利用というものを考えたときに、それに合致をするのかどうなのかということとあわせて、いま言った絶対ということは科学の世界にはあり得ないんです。絶対という言葉は絶対使っちゃいかぬと言われる。
 そういうことで、いま南太平洋諸国の皆さんが、それほど安全だと日本の皆さんがおっしゃるなら、何で東京湾に埋めないかと言っているのは、これはもっともな話なんですよ。深いところへ沈めるほど管理が不可能になります。それから壊れる量も皆さんの実験でも約七百気圧という大変な圧力を受けるわけですよ、あのドラムかんが。これはどっちが壊れるかといったら、陸上の方がよほど安全ですよ。雨風なんという比じゃないですよ、七百気圧という圧力は。それからしても、海洋投棄よりも陸上処分の方が安全であることは間違いないんです。それ以上に、一たん投棄をしたら完全に人間の手からの管理は離れますね。六千メートル、七千メートルの海から回収するなんということは不可能ですよ。そういう点で安全委員会が言っておる安全だというのはちっとも安全でない。それから、現にアメリカの例見てくださいと言うんですよ、これ論より証拠ですよ。投棄のときには安全だと言って捨てた。ところが、今日海洋汚染がきわめて深刻だというのはアメリカ政府も認めているんです。だから、そういう点で私はこの海洋投棄については原子力委員会が一定の方針出したと言ったって、これは法的な規制力も何にもないですよ。規制力ないんで、その点についてはもう一回、余り世界じゅうの非難を受けないように、いつまでもやるやるというふうなことを言ってないで、もう一回原子力委員会としての方針を再検討されたらどうか。
 それから、各省庁間の連絡が私は必ずしも十分じゃないと思うんです。外務省だってやっぱり各国の情勢というものは十分に見きわめていきたいし、やはり十分な理解というものが得られなければということをおっしゃっているわけですね。きのうの通産当局の答弁でも、各国があくまでも反対だと言ったら投棄はできませんと言っているわけですよ。だから、そういう点で私は時間がありませんから、三点ですが、原子力委員会の方針をもう一回再検討されたらいかがですかということ。
 それから、第二点については各省庁間で今後十分ひとつ連絡をし、協議をしてばらばら行政にならないことということが第二点です。
 それから、第三点としてはこれだけ国際的ないまや批判でなくて非難ですよ。まあオーストラリアとかニュージーランド等は別でしょうけれども、いわゆるミクロネシアであるとか、北マリアナ連邦であるとか、あるいはグアム島とか、テニアンとか、そういう地域の人たちは大臣も新聞報道でもごらんになっておると思うんですけれども、もし日本政府が海洋投棄を強行するならば日本漁船の締め出し、さらにはテニアン島では日本戦没者の墓までを撤去すると、海の中へほうり投げちゃえということと、それから遺骨収集団は絶対受け入れないということまで言っているわけです、責任者が。それから、北マリアナ連邦の議会の決議も、これは後ほど外務省から資料としていただくことになってますが、絶対反対という決議をして、もし日本政府が海洋投棄をやるならば二百海里漁業の問題で漁業交渉には応じない。つまり、締め出しちゃうんだということを言っているわけです。
 そういう点で、私はいままでの大臣の答弁を聞く限りにおいては海洋投棄を実施をしなければならない納得できる理由、また必要性というものはどうしても見出せない。そういう点で、とりわけ第三点のこれだけ直接影響を受ける太平洋諸島を含んだ諸国の人たちがあくまでも反対だという場合に、原子力委員会として投棄を強行する権限ないんですけれども、投棄すると言ってみたって電力会社はまだ投棄の申請出してきませんから、ただ考えとして聞いているんですよ。投棄をあくまでもされようということなのかどうなのか、この三点をまずお聞かせ願いたいと思います。
#60
○国務大臣(中川一郎君) これは南太平洋地域の国々の大方の了解を得ないで投げようとしてもそれはできないという点については、これは科学技術庁としても無理することはできません。したがって、この点について各省間に意見の違いがあるということはないということをはっきり申し上げておきます。
 それから、海洋投棄がいいのか悪いのか、陸上投棄がいいのか悪いのかについて御議論ありましたが、これは吉田委員学のあるところではございますけれども、われわれとしては世界じゅうの学者、国内の学者等の意見を集約して、かなり世界各国は陸上投棄はしておるけれども、わが国の地形あるいは気象条件その他からいくならば海洋投棄の方がより安全である。吉田委員のように、安全なものなら抱いて寝たっていいじゃないかと、そこら辺にぶん投げておいたっていいじゃないかという議論も議論の一つだとは思いますが、やはりわれわれとしてはより安全であるという道を選ばなきゃならないということからすれば、国際的に見てわが国の地形、気象、その他の条件、あるいは人口密度の高いこと、いろんなことを考えるならば、より安全なのが海洋投棄である、こういう結論に達したものですから、そういう道を選んでおるわけでございます。
 そこで、第一点の原子力委員会で再検討するかということですが、いつも議論はいたしますが、これを白紙に返してもう一回やり直すということはいたしません。いたしかねます。やはり粘り強くいまの道を進んでいきつつ、勉強は十分いたしてまいりますが、改めて白紙に返すことはいたさないつもりでございます。
 二番目の各省ばらばらの問題は先ほど申し上げましたとおりで、ばらばらにはいたしません。
 第三番目の国際的批判でございますけれども、これも確かにいろんな意見ありますが、むしろ日本の国内において団体の人を呼んできて、そしてあおったと言ったら悪いけれど、いろいろとそういうふうに運動された向きもないわけでもありません。やはりもっと正確な資料、判断に基づいて御批判をいただくように、われわれとしては粘り強く科学的資料、そして置かれた立場等を真っ正直に説明をして、理解を得られるように最善の努力をしたいということでございます。努力をして、どうしても理解が得られないというときにはまた判断は変えなけりゃならぬかもしれませんが、いまのところはまだまだ説明も不十分でございますから、それぞれの技術者あるいは外務省ルート、あらゆる面の御協力をいただいて、理解が得られるよう努力をして、原子力行政の廃棄問題についての全きを期したいと、こう思っております。
#61
○吉田正雄君 もうちょっとだけこの問題念を押して聞いておきたいんです。
 大臣の海洋投棄はより安全だというのは、より不安全、危険であることはこれ間違いないですよ。その点は、もし事務当局が海洋投棄の方が陸上よりもより安全だという説明をしておったら、これは誤りですよ。より安全ということはあり得ない。その点は後ほどまた事務当局から聞いていただきたいと思うんです。
 もう一点、私が一番心配をしております第三点の、各国に理解を求めてもどうしても理解が得られない、あくまでも反対だというときに強行投棄をすべきではないと、やるべきではないというふうに思うんですが、これはやってみなきゃわからぬということはわかります。やってももしだめだという、理解が得られないという結論が出た場合はどうされますか。この点もうちょっとはっきりしておいていただきたいと思うんですよ。あくまでも理解を得るんだ、理解を得るんだと言ったって、理解が得られない場合だってあるわけですから、得られない場合にはどうされるのか。
#62
○国務大臣(中川一郎君) 国際的な公海でもありますから、われわれにも言い分はありますけれども、やはり説得し理解をいただくことが第一義であって、いまの段階で得られなくても、強行するということはもう断じて言えることではありませんで、理解の上にやっていくということであります。また、話し合いが得られないなら絶対やらないんだという、そこにウエートを置くと、話し合いもなかなかむずかしくなってまいりますから、仮定のことじゃなくて、理解を得られた上で投棄をするという程度が一番いいところじゃないかと思うので、余りそこのところを、理解が得られないから強行するんだ、理解を得られなけりゃあっさりやめますということでも……、これは交渉事ですから。しかし、われわれとしては理解を得た上で投棄をするという基本方針であって、得られないときにも強行するという考え方は持っておりません。
#63
○吉田正雄君 それじゃもう一つだけ。
 電力会社に対しては、海洋投棄をしなさいというふうに勧告をされるのですか。
#64
○国務大臣(中川一郎君) 私も専門的なことはわかりませんが、国際的な理解が得られて環境づくりができたら、こういう道ができましたということになり、やりなさいということではなくて、電力会社が自主的に海洋投棄の申請をしてくる、こういう道になるのじゃないかと思いますが、事務的に違っていれば補足していただきます。
#65
○政府委員(赤羽信久君) 法的には先ほど申し上げましたように、まだ試験投棄ではありますけれども、投棄海域を告示するということで手順はできるわけでございます。後は、今度内閣総理大臣の確認を行う前提といたしまして、事業者からの申請に基づきまして内閣総理大臣の確認が必要なわけでございますが、その段階での確認のための法的以外の諸条件の一つに、そういった問題が全部整ったときにできるということであると思います。
#66
○吉田正雄君 また話がおかしくなってきた。先ほどの総理大臣の確認を受けてというのは、事業者が捨てたいということで確認を求めたときに安全基準、総理府令に定める保安上の安全基準に合致をしておるのかどうかを確認をするということなんですよ。それで確認が得られたら投棄ができるということなんであって、私がいま言っているのはそれ以前の問題で、電力会社が、いや陸上保管で十分ですと、陸上の処理処分で十分ですと言ってやっているのに、今後もそのつもりが仮にあるとするときには原子力委員会はそういう点では権限がありませんよ。さっきの五十一年の十月の原子力委員会の方針というのは、これは法的規制力を持っているわけじゃないでしょう、まずそこから確認します。原子力委員会のこの方針というのは、法的な拘束力とか規制力を持っておりますか。
#67
○政府委員(赤羽信久君) 積極的な規制力を持っているわけではございませんが、法律にありますように、政府は原子力安全委員会の方針を十分に尊重して、その施策を行わなければいけないという立場にございます。
#68
○吉田正雄君 何を言っているのですか、あなた。ごっちゃにしちゃいけませんよ。政府は原子力委員会の意見を尊重して、そして法令にそういうものを定めていくということは当然ですよ。法令に定める場合には原子力委員会、安全委員会の意見を十分尊重しなければならない、定める場合にはですよ。それは、もちろん法令に根拠を持たなきゃだめなんです。原子力安全委員会のこれは、試験投棄をやるための方針として出されているのであって、これは法的拘束力も何もないですよ、いまのところ。だから、五十一年十月の原子力委員会のこの方針と称するものに法的拘束力がありますか、規制力がありますかと聞いているのですよ。あるわけないじゃないですか。
#69
○政府委員(赤羽信久君) 形式上安全委員会の決定が法的拘束力を持つということはございません。
#70
○吉田正雄君 形式的にも実質的にもあるわけないじゃないですか。これは原子力委員会の決定であって、まだ正式に政府の方針としては決定しておりませんよ。これはさっきから言っているように、まだ各省庁みんなばらばらなんです。たとえば、きのうの通産当局は各国があくまでも反対したら投棄はできませんと、やれませんと言っているのだ。できるわけないですよ、あくまでも反対したら。
#71
○国務大臣(中川一郎君) ぼくも同じことを言っていますので、誤解のないように。
#72
○吉田正雄君 そうでしょう。だからあくまでも反対したらできない。しかも、この原子力委員会の方針というのは政府の方針じゃないんですよ、まだ。いわんや法的な措置には何らこれは取り入れられていないわけです。それをあなたは尊重してやらなきゃならぬみたいなことを言いますけど、形式的にも実質的にも、この原子力委員会の基本方針というのは何ら拘束力はないわけですよ。政府の方針にもなっていない。そのことをいま確認したんですよ。これは間違いないでしょう。
#73
○政府委員(赤羽信久君) 政府の最終的な方針を決定するために、まだ実験も続けておりますが、各種の努力、説得を行っておる段階でございます。
#74
○吉田正雄君 そういうことで大臣、事務当局も勘違いして、何か原子力委員会がこういうことでやろうじゃないかというふうなことを決めたら、すぐそれが政府の方針、総理大臣の何か方針みたような勘違いをされておるんです。いま最初の答弁、そうでしょう。こういうことから大きな誤りというものが出てくるということなんです。
 そこで、非常に重大な問題ですけれども、大臣がそこで正式答弁かどうか、いや私も通産当局と同じで反対しているのをやるなんて言っていませんよなんてひとり言みたいなことおっしゃいましたが、そういうことで私も理解をいたします。
#75
○国務大臣(中川一郎君) 結構です。
#76
○吉田正雄君 そこで、安全性の問題については、私の方からもさっき大臣に、このように正式な委員会の場でなくても時間をとっていただいてということを申し上げまして、大臣うなずいておりましたが、私どもの方としても、また今後の原子力行政あるいは安全行政に誤りがないためにも、われわれの方でも得られた資料、また大臣の判断に必要だと思う資料というものは出してまいりたいと思いますから、これひとつ十分ごらんおき願いたいと思うんです。
 残された時間、あと幾らもありませんが、実は労働者被曝の問題と、それから大臣が就任直後に、何か八〇年代は日本も自前の核武装やらなきゃいけないみたような発言をされたとかされないとかいうことがちょっと報道されましたから、よもやそんなことはあるまいと、日本政府の方針は終始一貫してきておったということで、大臣がまさか日本は核武装するんだとか何とかということを言われるわけはないというふうに思っていたんですが、うわさであってもちらりとそういうふうなものを聞いたものですから、そこでお聞きをいたしますが、日本の非核三原則の方針がきちんとありますし、それから原子力基本法では平和利用に限りということが明示をされておりますし、さらに日本は核不拡散条約を批准をしてこれに加盟をいたしているわけですね。そういたしますと、憲法第九十八条によって国際条約を遵守する義務というものを日本政府は負っているわけです。ですから、第九十八条の面から憲法的に見ますと、やはり核武装というものはできないということは、これははっきりしているわけですね。第九条をめぐる論議はいろいろありますけれども、いま言うNPT、核不拡散条約との関係でまいりますと、憲法九十八条は国際条約を批准したならばこれを遵守する義務を負うというふうに明示をされているわけですね。その面から見ても、日本は核武装できない。ですから、私は非核三原則と、それから原子力の平和利用に限りという面と、それから憲法第九十八条という、この三点から、日本というものは今後も核武装はできないというふうに、またすべきではないと、こういうふうに思っておりますが、この点はいかがですか。
#77
○国務大臣(中川一郎君) 私も基本的にはそのとおりでございまして、非核三原則ですか、持たず、つくらず、持ち込まず、これも政府の統一見解でもありますし、また核不拡散条約に入っておるということも厳粛なる事実ですし、それから原子力は平和利用に限るということになっておることも事実でございます。したがって、核武装するなどということは毛頭考えていません。
 ただ、記者会見のときに、もうそれはいつまでもかと言うから、三十年、四十年たって国際情勢でも変わればどうなってくるか、先々のことはわかりませんが、とにかくそういう方針でございます、こう言ったのが、国際情勢が変われば先々までは責任持てませんけれども、というところがちょっと消えて、何か私が核武装論者であるように伝わっておったとしたら誤解である。核武装については、憲法の問題もありましたが、九十九条で憲法を守らなきゃいけない。憲法に基づく法律ができたら、法律は公務員が守らにゃいかぬのですから、憲法違反になりますから、そういう意味では憲法遵守というところに入るのかどうかわかりませんが、憲法の精神からいってもいま言った核武装は行わないということには変わりございません。
#78
○吉田正雄君 それを聞いて安心いたしました。幾らタカ派というふうなうわさがあっても、よもや大臣がそこまでタカ派ぶりを発揮されるわけはないと、奥野法相以上に改憲論者かなあなんて思ったんですが、いまの答弁聞いて安心いたしました。
 そこで、労働者被曝の問題、時間がありませんので、労働省からもせっかく来ていただいたんですが、お許しをいただいて次回に持ち越したいと思うんです。
 残されたわずかの時間、実は大臣、さっきの答弁でも間違って受けとめられるような答弁を事務当局がやる、あるいはそういう指導をやるから原子力行政に混乱が起きるわけですけれども、
   〔委員長退席、理事後藤正夫君着席〕
もう一つ、私はこれは大臣には初めて申し上げると思いますが、いままで歴代大臣には、委員の皆さんの中にも大臣経験者がおいでになりますけれども、資料の提出については少なくとも記者クラブの皆さん並みの待遇を何で関係委員にできないのかということで、いや、それはやりますと、こういうことになってきたんです。
 それから、当然公的に配る資料については黙っておっても、一々あれするんでなくてきちんと配ったらどうですか。その趣旨に沿って措置をいたしますと、こういうことできたんですけれども、なかなかそれが守られておらない。それから、資料請求をして、出しますと言った資料がなかなか早く届かない。
 それから、これから言うのが一番問題なんですけれども、いまの海洋投棄に絡んで、この前四月の委員会で資料提出が約束をされたんです。ずいぶん催促をいたしまして、出てきたのが九月の初めなんですよ。いいですか、九月の初め。その資料はどういう資料かといいますと、先ほども少し申し上げました例のアイソトープ協会の実施した海洋投棄に関する資料なんです。「日本放射性同位元素協会による海洋投棄について」という、これが俗に言う試験投棄、試験投棄と言われておったやつなんですね。この資料を出しますということで四月に約束したんです。ところが、出てきたのが九月の初めです。何回も催促したんです。ところが、出します出しますと言っておくれておったわけです。で、まあ出てきた。出てきたのはよろしいんですが、九月三十日に読売新聞で、この海洋投棄が館山沖と言われておったのに、実は相模湾と駿河湾にも投棄をされておりましたと。それによって海底の泥土が汚染をされておるという結果が出たじゃないかというふうな報道が大きく出たんですよ。報道が出たら途端に、これは三十日の報道です、読売。早速翌日ですよ、「提出資料の訂正について」という文書が来たんです。ところが、これは訂正の内容じゃないんですよ、はっきり言いまして。なぜ訂正の内容でないかというと、実は私どもの方でもこの九月の初めにいただいた資料を見まして、場所が明確に書いてなかったんです。ただ十五回投棄をしましたと、その結果がこうですということで、投棄場所が書いてなかった。この投棄場所の調査を私どもの方でやったんです。そうしたら、どうも相模湾と駿河湾が臭いということが私どもの方の調査でもだんだんわかってきたんです。わかってきたところ、読売が三十日にどんと大きく出しまして、途端に科学技術庁から前に提出した資料の一部訂正ですといって今度は正直に、実は相模湾と駿河湾に放射性廃棄物を投棄いたしましたと、こういう資料を改めて出してきたんですよ。私どものいろんな調査によりますと、実はわからなかったんじゃないんですよ、わかっておったんです。わかっておったのにあえて当初の資料では場所を隠して出してきた。ところが、相模湾と駿河湾の十四番目、十五番目という場所の放射能が非常に高いんですね。
   〔理事後藤正夫君退席、委員長着席〕
高いものですから私どもの方でもこれはおかしいということで、十五回同じ場所で投棄をして、何で十四回目と十五回目だけが高いのかということで、これはおかしいんじゃないかということでいろいろ調査をやり出したんです。やり出してどうも臭いということになってきたんですが、実は当局は承知をしておってこれを隠してきたんですよ。歴代の科技庁長官、原子力委員長を兼ねておりますけれども、原子力行政に秘密があってはなりませんと、小さな事故であっても故障であっても公表して、そして原因を明らかにし、どういう措置をとったかということも明らかにする。そのことの方がより国民に安心感、安全感あるいは信頼感を与えるものなんだとわれわれも主張し、歴代の長官もそういうふうに答えておいでになったんです。ところが、これだけじゃなくてほかにもいろいろあるんですが、いまこれにしぼって言いますと、必ずしもそうでなかった、ひた隠しにしておったということが実はわかったわけですよ。これは私は、きわめて遺憾だと思うんですね。この点について大臣どうお思いになりますか。これは知らなかったじゃないんですよ、わかっておったんですから。わかっておってあえてそういうことをやったんです。
#79
○国務大臣(中川一郎君) 私の承知しておるところでは、新聞に出まして再度調べてみたところ、投げた事実が明らかになったということであって、知っておったものを隠しておったとは思いませんが、そのいきさつはひとつ局長の方から。私が当時聞いたのはそういうことです。
 なお、そのことによる影響で大変な汚染をされているようなことがありましたので、その後調査の結果、アイソトープ協会から投げたものではなくて、別の原因であるということで被害がそれほどなかったと、言われているほどの被害はなかったということで安心はいたしましたものの、言われるように資料について隠したり隠蔽したりしてごまかすというようなことは、安全性、信用を得ることが一番大事ですからいたさないということは基本に置いて、どうしてそこは資料訂正になったのか、局長の方から答弁させます。
#80
○吉田正雄君 大臣の最初のわからなかったとね、これは違うんですよ。皆さんから出された訂正資料という中にどう書いてあるかというと、「第一回の投棄については総理府科学技術行政協議会事務局職員が立ち合った。」と、この時分はまだ科技庁はできていませんからね。しかし総理府なんですよ、政府ですよ、いいですか。「第二回以降の投棄作業の際には科学技術庁職員が立ち合った。」、ちゃんと立ち会ってやっているんですよ。わからなかったなんということで済む問題じゃないですよ。わからぬじゃない、ちゃんとわかっている。わかっておって、いま言ったように大臣にもわかりませんでしたなんという報告をやっているから問題なんですよ。大臣までつんぼさじきに置くなんてそんなばかな話がありますか。これはもうはっきりしている。提出された資料で職員がちゃんと立ち会っているんじゃないですか。わからなかったではないです。そもそもそういうぐあいにうそをつく、このことが今日の原子力行政を誤らし、信頼できなくしている最大の原因なんですよ。だからもうこれ以上は言いません。大臣、皆さんからいただいた資料にそれはちゃんと書いてある。訂正資料の中にちゃんと「立ち合った」と書いてあるんですよ。わからなかったではないんです。もう事務当局、あんたに聞いたってしようがない、はっきりいただいた資料にそう書いてあるんだから。大臣は知らぬと言うし、わからなかったと言うし、いただいた資料にはちゃんと立ち会っているなんということ書いてある。まあそういうことなんです。いいですか、大臣。
#81
○国務大臣(中川一郎君) せっかくではありますけれども、議論する場ですから、御指摘は御指摘としてまともに受けますけれども、やはりこちらの言い分も聞いて、その上で国民に判断していただくようにしていただきたいと思います。
#82
○政府委員(赤羽信久君) まず御指摘の資料の提出がおくれたこと……
#83
○吉田正雄君 簡潔に言ってください。もうちょっと言うことがありますから。
#84
○政府委員(赤羽信久君) それから次の隠したかどうかということですが、過去の国会でも房総沖あるいは館山沖という御返事を申し上げておりまして、われわれもうっかりしていたというのが正直に申して実情でございます。
 そこで、指摘されてすぐ過去を調べてみましたら、はっきりしたことがわかりまして、詳しく御報告申し上げました。うっかりしたために正確な御報告をできなかったという点はわれわれの不行き届きの点でございますので、これはおわびいたしたいと思います。
#85
○国務大臣(中川一郎君) 隠してはいないと……
#86
○政府委員(赤羽信久君) 隠したわけではございません。
#87
○吉田正雄君 大臣、うっかり行政、これはますます信頼できなくなりました。
 第一回目にいただいた資料の中にはちゃんと、その後いただいた資料でも投棄場所が書いてあるのですよ、いいですか。うっかりではないのです。一番高い相模湾と駿河湾、ここから投棄をした、第一回目と第二回目に相模湾と駿河湾にやったんですよ。ここの放射能が非常に高いのですね。だから投棄場所は全部書いてある。それを相模湾、駿河湾と言ったら、漁協から何から大騒ぎになるということで、あえて館山沖というぐあいにして、うっかりじゃないですよ、場所ははっきりわかっているのですから。いまうっかりというふうに言われたけれども、うっかりと言われたらなおさら大変です。これだけの放射性廃棄物の海洋投棄をやって、追跡調査もすると称しておって、いままでもやってきておって、うっかりで済む問題じゃないのですよ。そういううっかりという言い方でまた言いくるめようなんていったって、これはだめですよ。そういうことで大臣、まあこれ以上言わなくてもわかりますが、これが今日の日本の原子力行政の実態なんです。国民信頼しませんよ、こんなことやっていたんじゃ。
 そこで、最後に項目だけ述べますが、これについてきのう事務当局にも言ってあります。きょうここで答弁聞くことになっていたんですが、時間がありませんから、以下の点について質問をいたしますので、文書で正確に答えていただきたいと思います。そうでないと、国会法に基づく内閣総理大臣あての文書質問という形になりますが、それでやってもよろしゅうございますし、そうでなくて、いまここで読み上げますから、それについて皆さんの方で文書で正確に答えるということになれば国会法の手続は踏みません。大臣どういたしますか。
#88
○国務大臣(中川一郎君) 結構です。どうぞ。
#89
○吉田正雄君 そうですか。それじゃ、以下の質問について、文書で正確な回答を早急に求めます。
  低レベル放射性廃棄物の海洋投棄をめぐっ
 て、最近、かつての日本放射性同位元素協会に
 よる相模湾、駿河湾への投棄、韓国の鬱陵島付
 近における投棄など、重大な問題が報道されて
 おります。これらの事実関係について、必ずし
 も詳しく明らかにされていない事実にかんが
 み、以下の質問に答えられたい。
 一、日本放射性同位元素協会によってこれまで
  に行われた放射性廃棄物の海洋投棄につい
  て、以下の点に可能な限り正確に、具体的に
  答えられたい。
 (1) 各回の投棄の年月日
 (2) 右の投棄地点の位置
 (3) 各回ごとの投棄容器の形態と材質
 (4) 各回に投棄された核種の種類と量
 (5) 各回の投棄の目的
 二、右の各投棄物について、左の点に答えられ
  たい。
 (1) 容器の破損、放射能の漏出の有無について
  追跡調査をした事実があるか。あればその調
  査の結果得られた知見を明らかにされたい。
  追跡調査をやらなかったとするならば、その
  やらなかった理由。
 (2) また、投棄地点付近の海域において、海底
  泥や底生生物などの放射能調査をした事実が
  あるか、あればその結果得られた知見を明ら
  かにされたい。
 (3) 科学技術庁は、十月十三日に「相模湾の汚
  染は、核実験の結果によるものである」とする
  見解を発表しているが、相模湾中央部より採
  取された海底泥に認められた比較的高濃度の
  コバルト60などが核実験の結果のみであると
  する科学的根拠は何か、詳細に答えられたい。
 (4) 右記(1)、(2)の調査の事実がない場合、今後調
  査を継続的に行うことが、海洋環境の安全上
  の考慮からも、また北太平洋への低レベル放
  射性廃棄物の試験投棄計画の安全評価の上か
  らも、きわめて重要と考えられる。この点に
  ついての政府の見解を聞きたい。またもし調
  査の計画があるとすれば、その調査方法、調
  査スケジュールについて具体的に答えられた
  い。
 三、右の放射性同位元素協会以外にも、わが国
  の公私の機関、企業等が過去において海洋投
  棄をした事実があったか。あったとすれば、
  その投棄地点、投棄量など具体的に答えられ
  たい。
 四、最近、新聞報道された韓国の日本海域にお
  ける放射性廃棄物の海洋投棄について、詳し
  い事実関係を調査して回答されたい。
 五、右の日本、韓国以外にも、日本近海海域に
  おいて、いずれかの国によって放射性廃棄物
  が投棄された事実があるか。あるとすれば、
  その事実関係について明らかにされたい。
 六、現在の諸情勢にかんがみ、政府は……
 これは先ほど回答いただきましたから、よろしいですね。六番目に予定しておりましたのは、「政府は、来年に予定される北太平洋での試験投棄計画を延期すべきと考えるがどうか、政府の見解を具体的に聞きたい。」ということですが、これは先ほど来質問の中で明らかになっておりますから、この六点目の質問はきのうも事務当局には言ってありますが、この六点はいまの質疑の中で明らかになりましたから、やめます。
 これはいつごろまでに回答いただけますか。これまた日時を聞いておきませんと、また二カ月、三カ月、半年たってから、まだまだなんという話になりかねませんからね。これはいつごろまでに回答いただけます。
#90
○政府委員(赤羽信久君) 二週間ばかり御猶予をいただけましたら、御回答いたします。
#91
○吉田正雄君 もうあと持ち時間が五分しかありません。労働者被曝の問題に入りますと、これまたきわめて大きな、しかもきわめて深刻な問題でありますから、中途半端に終わりますので、きょうはこの程度で質問は終わらせていただきますが、いずれにしてもいまの質問に対しては、木で鼻をくくったような抽象的な答弁でなくて、国民が読んでわかるように精密に、しかも余りむずかしい用語を使わないで、明確に答えていただきたいことをつけ加えておきます。
 以上で質問終わります。
#92
○委員長(太田淳夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#93
○委員長(太田淳夫君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#94
○塩出啓典君 まず最初に、午前中の委員会の冒頭で、長官より今後の科学技術行政のあり方について何項目かの所信の御発表があったわけでありますが、その件に関連して、二、三お尋ねをしたいと思います。
 長官は、まず第一に、研究開発資金の確保をしていかなければいけない。特に、わが国は、前々から指摘されておりますように研究費というものは民間依存が非常に多い。そういう点も挙げて研究開発資金の確保の必要性を言われたわけで、私たちとしてもそういう点には全く同感であります。いま来年度の予算編成の途上でありますけれども、非常に厳しい財政の中で、防衛費は別枠だと言う。防衛費も大事だけれども、むしろ科学技術は、資源のない、エネルギーのないわれわれ日本民族が生き残るためにはそれ以上に大事ではないか。しかし、現実は非常に厳しいわけであります。そういう点、長官の意図するところは理解できるわけでありますが、現実的にはどう対応していくのか、このあたりの姿勢を承っておきたいと思います。
#95
○国務大臣(中川一郎君) 先ほどごあいさつの中で申し上げましたように、その第一項目として、科学技術の振興、わけても国費の投入の促進を図らなければ二十一世紀の科学技術について責任を持つようになれないということを痛感するものでございます。
 そこで、実は、きょう閣議が終わりました後、科学技術閣僚会議の第一回を持った次第でございます。メンバーは、総理府総務長官、文部大臣、経済企画庁長官、通産大臣、大蔵大臣、それに私と入りまして、今後先導的なプロジェクトを中心にして予算の配分をしてもらって大いに進めようと、また研究開発について調整すべき点があったら効率的な研究がやれるような体制もやろう、こういうようなことになりまして、よかったなと思っておるわけでございますが、そういった関係閣僚会議等の力も結集いたしまして、非常に予算の厳しいときだけに、けさも議論が出ましたが、科学技術というようなものは予算が厳しいからといって中細りになるようなことでは困る性格のものであるということで、厳しい予算ではありますけれども、大切な使い方と効率的な使い方はもちろんでございますが、さらに前向きのこともやっていくようにいたしたい。微力ではありますが、そういった道を通じてがんばりたいと思いますが、やはり国会の皆様方、わけても委員会の皆様方の御協力、御理解、御支援もぜひ必要でございますので、この上とも御支援を賜りますようにお願い申し上げる次第でございます。
#96
○塩出啓典君 私たちも、こういう問題については党派を超えて、微力ではありますが、がんばっていかなければならないと思っております。
 そこで、いま長官は効率的な使い方と言う。予算の額がふえることも大事ですけれども、現実の問題として、現在ある予算を、限られた予算をどういうように使っていくか。やりたいことはたくさんある、そういう中で最も重要な、これは短期的に、中期的に、長期的に、いろいろな立場から検討していかなければいけないわけでありますが、そういう予算の効率的な使用というものが非常に大事じゃないかと思います。大蔵省も前々から予算編成においてはいわゆる対前年度何%という増分主義ではなしにゼロベース予算をやっていかなければいけない、そういうようなことも言われてきておるわけでありますが、科学研究費についてもやはり常にそういう点が絶えず検討されて、ただ、前年度これだけついたから増分主義でことしはこれだけだという、何か一つの既得権のようになってはいけないんじゃないか。こういう意味から、科学技術庁というのは国全体の研究費の調整をするというそういう役目もあるわけで、そういう意味で研究費の調整あるいは効率的な配分、こういうことが非常に大事になってくるんじゃないか。しかし、一方、いろいろな研究というのはだんだん各部門に分かれて、それぞれの部門の専門家はわかるけれどもほかの人はわからない、われわれ素人から見ればさっぱりわからない、そういう問題もあると思うんですね。しかし、そういう問題があっても、より予算の配分、効率的な使用というものを考えていかなければいけないと思うんですが、そういう点で長官としてはどう考えておるのか、これをお伺いしたいと思います。
#97
○国務大臣(中川一郎君) いろいろと研究開発をしてまいらなければなりませんが、いま一番火がついておるのは、何といってもエネルギー問題、代替エネルギーを開発してまいりませんと、中東のあの情勢を見ておりますと、これは火のついた問題になってくるのじゃないかと。そういう意味では、原子力開発なり石炭液化の問題なりというのがやはり核融合が成功するまでの間はつなぎのエネルギーとして国際的にももう定着してきておりますので、この点を大いに促進してまいらなければならないというふうに思います。もちろん、宇宙開発、海洋開発あるいはライフサイエンス等の問題もありますが、これらも国際的におくれておりますから、これらの促進を図ると同時に、特にエネルギー問題については力を入れていたしていきたい。
 もう一つは、効率的な使用という意味で、先ほども申し上げましたが、官学民、すなわち大学等の研究あるいは役所の研究、民間等の研究、これらの力を出し合う、そして一点集中、効率的な研究を進めていくことが必要ではないかということから、来年度予算では、ちょっとむずかしい名前なんですが、新しい流動的な研究システムによって創造研究をやっていこう、こういうことを来年度予算の目玉にもしていきたい、こういう姿勢で効率的な研究、重点的な研究をやっていきたい、こう思っている次第でございます。
#98
○塩出啓典君 いま長官からの官学民の連携ですね、これは確かにばらばらでやっておるよりも連携をとってやっていくということが非常に望ましい。しかし、現実にはわれわれも科学技術庁に、いろんなほかの省の予算はどうなんだと、その調整はどうなのかと、そういうように聞きますと、大体通産省とか農林省とか、そのあたりの研究の状況というものはある程度科学技術庁はつかんでいるわけでありますが、ところが大学の研究についてはこれは余り科学技術庁もタッチしていない。余りこれにタッチすると大学の自治に反すると、こういうことを心配されて、そういう慣例になっておるんじゃないかと思うんですが、そういう点、確かに大学の自治もありますけれども、自治を尊重しながら、もっと横の連携をとって調整していくということはできるわけで、そういう意味でもうちょっと大学の研究との連携を密にすべきじゃないか。そういう点が長官の言われた官学民の連携じゃないかと思うんですが、そういう点は具体的に一歩進めていくというそういうお考えであるのかどうか、その点を確認しておきたいと思うんです。
#99
○国務大臣(中川一郎君) 先ほど申し上げました科学技術関係閣僚会議で、大学の研究が何といいますか、お山の大将のようにそれぞれ趣味で特別の領域を持ってやっているところに問題があるのじゃないかという指摘もありましたし、ただいまも御指摘がありましたように、大学の研究にはそれなりの自治といいますか、いい点もあるんだろうとは思いますが、やはり知恵を出し合う、立てこもらない姿勢というものをこれからは打ち出していくべきではないかと、こう思っております。
#100
○塩出啓典君 いま長官は、エネルギーが非常に大事であると、こういうことは国民のコンセンサスがある問題じゃないかと思います。いま石油にかわるべきエネルギーは何か、それは原子力発電あるいは石炭あるいはLNG、この三つが三本の柱とも言われておるわけで、私たちもそのように思います。しかし、原子力にいたしましても、安全性の問題とか立地の問題、あるいはウランの確保の問題とか低レベル放射能の人体への影響、あるいは午前中問題になった廃棄物の処理の問題、また石炭にしても安全性あるいは炭坑における事故の問題もありますし公害立地の問題がある。こういうようにそれぞれいろいろ問題はあるわけで、そういう中で、われわれは前へ進めていくためには、これからはこれでいいんだというような一つのものは余りないんじゃないか。もっと研究というものも多様化して、やっぱり原子力だけでもいかぬし、また、余りまとまったたくさんの電力でなくても、わずかのエネルギーでもできるだけ使えるものは開発をしていく、こういう姿勢が私は必要じゃないかと、こう思うんですが、その点はどうですか。
#101
○国務大臣(中川一郎君) 石油がむずかしい時代を迎えますと、代替エネルギー、もちろん省エネルギーの問題もありますが、代替エネルギーについて世界各国が頭を痛め、研究に力を入れておるところでございますが、いろいろありますが、太陽熱とか風力とか水力とか地熱とかありますが、量的な問題あるいはコストの問題等からいくと、やはりいまお話のあった原子力、石炭、LNGだろうと思うのです。中でも原子力が量的な問題それからコストの問題からいって一番国民経済的に見ていいということはもう明らかなようでございます。ただ、原子力の場合は、いま御指摘のように、安全性の問題、あるいはまだ研究開発が十分でないという問題、あるいは核不拡散との関連で国際的ないろいろな話し合いをしなければならぬ。まあ研究開発の中に入るか入らないか、いまの海洋投棄に見られるように、廃棄物の処理問題等多くの問題点はありますが、世界各国がすでにこれらの問題を克服してやっている以上、八〇年代、国民の経済生活を安全なものにしていくというのには、やっぱり原子力を中心にしてやっていかなければならないのではないか。沖繩もすべて火力に頼っておるというところから、二度の値上げで沖繩経済がおかしくなるのではないかというぐらい大変な事態を迎えております。ことしの春の電気料金改定に当たりましても、原子力発電をやったところは非常に値上げが少なくて済む。いまコスト面でいうと、火力あるいは石炭その他のものに比べて約半分でできるのではないか。こういうことを考えるときに、石炭あるいはLNGその他の風力、サンシャイン、いろいろありますが、総合的にやらなければいかぬが、私はやっぱり原子力というものにもっともっと期待をかけていくことをやらなければいかぬと思うわけです。
 参考までですが、私、フランスに参りまして、フランスでは現在すでに電力の二〇%を原子力に切りかえておる、あと十年たったら七十数%に切りかえる、原子力が七十数%のウエートを占めるようになる、それに水力を加えれば石油はもう要りませんと、これぐらい前向きにやっているのを見て本当にうらやましいなという感じがいたしました、また逆に日本が大変だなと。まあ言い過ぎかもしれませんが、フランスでは国民の協力もありますし、国会方面でも、共産党までが原子力の推進派であるというような姿も見まして、日本の皆さんもどうかひとつこの問題については御協力いただいて、私たちもしっかりがんばりますが、国全体、国会全体がエネルギー問題について本当に真剣な見通しのもとに御協力いただければと、こう思っている次第でございます。
#102
○塩出啓典君 非常に長官は原子力に多くを期待されておるわけで、私もそれは一概に間違っているとは思わないんですが、ただ、原子力発電を推進しても、これは言うなれば発電でございますので、日本のエネルギーの二割前後でございますか、その発電のエネルギーにかわるものであって、それは原子力発電ですべて解決できるものではない。そういう点から見て、前々からわが国の科学技術庁の予算というのは余りにも原子力に偏重しているのじゃないか。確かに今年度の予算も、特会を含めますとたしか原子力関係が七割に近いことで、そういう点でわれわれも原子力の研究の必要性を認めるにやぶさかではないんでありますが、ちょっと偏り過ぎておるんじゃないかな、そういう気がするんですけれども、その点は長官はどう考えていますか。
#103
○国務大臣(中川一郎君) 御承知のように、原子力の開発研究の実施部門を科学技術庁が持っておると。そのほかの石炭とかサンシャイン等はあれは通産省がやっておるわけで、手分けをしております関係上、科学技術庁では原子力の方に大きな予算を取られている形になっておることは事実でございます。そのほか大きなものとしては宇宙開発がそれに続くわけですが、宇宙開発も進めなければいかぬのですけれども、いまさしあたってやっぱり火のつくようなのは原子力ではなかろうか。しかし、宇宙開発、その他海洋開発、ライフサイエンス等、わが庁が担当しておりますそれらのものもきわめて大事ですから、おくれないようには努力してはまいりますが、まあ通産省との分担の関係、実施部門を持っておるというところから、そういう形になるのはやむを得ないことではないかと存じます。
#104
○塩出啓典君 これは長官に私お願いしておきたいわけでありますが、特に自主技術の開発ということも先ほど言われたわけでありまして、この間佐賀大学で温度差発電――海の表面と下との温度の差を利用する温度差発電、これは工業技術院の予算で研究が進められて、植原先生が中心になって、先般五十キロワットの発電に成功しておりますね。行ってみますと、かなり各国から大使とか外務大臣クラスのがいろいろ来て、そしてこの技術をアメリカの方がどんどん実用化して、アメリカではもうハワイ沖で五十キロワットを完成し、一千キロワットの洋上実験を進めておる。これは十万キロワットぐらいの発電所をつくると大体単価は十三円ぐらいであると、こういうことで非常にこれはすぐれた研究である。ぜひこれは伸ばしていかなければならない、そのように感じたわけであります。ところが、文部省とかあるいは工業技術院等からもいろいろ研究費が出るわけですけれども、電気代がないということで、聞いてみると、その先生は大体八割は金集めに奔走しておる、こういうことを話しておりました。やっぱり大学の研究者が、その責任者が時間の八割を金集めに奔走しなければならないという、まあこういうことを聞いて、私もこういうことではいけないなということを感じたわけで、これは一つの例として私はお話ししたわけでありますが、これは工業技術院の方の助成でやっている研究ではありますが、やはり自主技術のそういう育成ということは、やっぱりあちこちにいろんな技術の芽というものを常に科学技術庁というものが目を光らして、そうしてすぐれた芽があればどんどん育てていくと、こういう姿勢がないといけないんじゃないか。そういう意味で私は、特に自主技術を育てていくためにはそういうような点に気を配って、余り既成概念というか、去年予算を取れたからことしはふやしていくと、こういうことではなしに、常にそういうより客観的な立場で新しい技術を見つけていこうという姿勢でぜひ科学技術庁としても取り組んでもらいたい、こういうことを強く要望をいたしたいと思います。その点は長官として異論はないと思うんですが、どうでしょうか。
#105
○国務大臣(中川一郎君) エネルギー問題がやかましくなりましてからずいぶんといろんな新しい提案がありまして、各方面、大学あるいは役所の試験機関等で言われております。こういったものももちろん大事ですから、目をそらしちゃいけませんで、細心の注意を払いながら多面的な開発をやっていかなければいけないとは思います。思いますが、だからといって余りにもあっちこっちに手を出し過ぎちゃって、一番大事なところも中途半端になることも気をつけなければいかぬところでありまして、ねらったものはきちっとやっていく努力と、それからいろんな新しい提案もありますから、それらに目を配りながらやっていくと、こういう両面の姿勢が必要じゃないかと思っております。
#106
○塩出啓典君 最後に、これは原子力局長の御答弁で結構でありますが、私がたしか予算委員会の分科会等においていわゆる溶融塩炉の問題を取り上げたことがあるわけですが、これは先般衆議院の科学技術委員会においても参考人を呼んで、日本原子力研究所の古川先生を呼んでお話もあり、また参議院のエネルギー委員会においても多少問題になっておるように聞いておるわけですが、この溶融塩炉のことについては詳しくは申しませんけれども、科学技術庁として、昭和五十五年度はいわゆる核融合の一環として溶融塩の研究に七百万円の研究費がついておる。それ以外には全然研究費もついてないわけですけれども、私はこの溶融塩というものはいろんなそういうすぐれた点もあるわけで、もっと客観的に科学技術庁としても、本当にこれが研究をする必要があるものであるのか、その必要はないものであるのか、こういう選択というのは非常に五年、十年先の日本の将来に大きな影響を与えるわけで、もうちょっとこれは慎重に、私はこれをいまやれというんじゃないんですけれども、科学技術庁として果たしてここでこれを見くびっていいものであるのかどうか、もっとこれを検討すべきではないかと思うわけでありますが、来年度の予算においてもそういう点の要求はなされていないようで、科学技術庁としては全く溶融塩炉路線には関心がないと、こういうような感じがしてならないわけでありますが、その点についての見解はどうですか。
#107
○政府委員(石渡鷹雄君) 先生御指摘のように、去る三月二十一日と三月二十九日の二度にわたりまして、溶融塩炉についての見解ないしは日本における調査の状況等を御質問いただきましてお答え申し上げた次第でございます。現在、今年度におきましては、先生御指摘のように、原研に七百万円の予算をもちまして、核融合研究の一環という位置づけになりますが、溶融塩の物性的研究をやっているということは事実でございます。この研究は来年度も継続してまいりたいと思っております。
 なお、来年度要求につきましては、融体材料利用調査費という名目のもとに新しい項目といたしまして三百万円の予算を計上してございます。この使い方につきましては、まだ確定的なものではございませんけれども、できれば、これは原研の予算でございますから、恐らく原研主体になると思いますが、この一部をもって溶融塩炉の位置づけといったものの検討にも使用いたしたいと、かよう考えているわけでございます。
 それから、当庁といたしまして溶融塩炉の位置づけをどのように判断していくのかということでございますが、これは予算ベースを離れまして、まず常時関心を持って世界の動向を把握しておくべきであるということは、これは従来とも変わらない姿勢であると考えております。
 なお、急いでということではないと思うのでございますが、その位置づけについて、とりあえず何らかの形で関係者と申しますか、関心のある方、あるいは批判的な方もいらっしゃるかと思いますけれども、そういう方の御意見を組織的に拝聴するということを考えてみたい。これは申し上げましたように予算と離れた話でできるわけでございますので、そういうことを計画してみたいということで、いま検討をしているところでございます。
#108
○塩出啓典君 ひとつその点よろしくお願いいたします。
 次に、放射性廃棄物の問題についてお尋ねをいたします。
 原子力発電所の推進、原子力の平和利用の上で、ネックの一つが廃棄物の処理ではないかと思うわけでありますが、九月三十日の読売新聞、これは長官もごらんだと思うのですが、こういう非常にショッキングな「放射性廃棄物 やはり海底汚染」と。内容を読んでみますと、相模湾、駿河湾での投棄の事実をひた隠しにしてきたと、こういう記事が載っておるわけであります。これは午前中の安全局長の答弁では、うっかりしておったということなんですけれども、これは昭和四十六年三月十九日の科学技術特別委員会でわが党の矢追委員が質問をしたときにも、十五回、二百リットルのドラムかん千六百本、館山沖の四十キロメートルのところに捨てたという、そういうことをはっきり言っておるわけですけれども、これはうっかりしてたというようなことでは、なかなか国民としても納得できない問題じゃないかと思うんですね。こういう重要な問題がうっかりというようなことはあり得ないことで、だから科学技術庁としても一回、二回が相模湾あるいは駿河湾に捨てたということはちゃんと掌握しておったわけで、余りあっちこっち捨てたということを言うといろいろ漁民の方もうるさいからまあ館山沖にしておこうと、こういうような姿勢であったんじゃないかなと、このように私は推測するわけですが、その点はどうですか。
#109
○政府委員(赤羽信久君) うっかりと申し上げまして、短い言葉で恐縮でございました。実情を申し上げますと、確かに矢追先生の御質問に対しまして、当時房総沖に十五回廃棄という申し上げ方をしておることは確かでございます。われわれもそういう房総沖、あるいは館山沖という言い方をそのまま踏襲してまいりまして、同じような繰り返しをしておった、その点、いささか配慮が足りなかったということを申し上げるつもりでございました。まあ昔のことでございまして、もう減衰して非常に量も減っておるということや何かで、もう問題にする点がないという意識もあって、房総沖だけという表現で科学技術庁の中でも扱われてきたのかもしれません。その配慮の大変足りない点については遺憾に存じます。
#110
○塩出啓典君 じゃこれは、十五回の投棄というのは、試験投棄なんでしょう。これは確かにそう答えておるんですよ、矢追さんの質問に対してもね、この投棄は試験段階として、試験として許可したと。試験のために投棄したわけなんでしょう、これは。
#111
○政府委員(赤羽信久君) 当時まだ、アイソトープから出ます、アイソトープの取り扱いに際しまして生じた廃棄物程度でございまして、分量も少ない、濃度も薄いものですから、まずこれによって試験投棄をやってみるという考えであったと思われます。
#112
○塩出啓典君 だから、まあ試験というのは、海の中に捨てて、そしてその後どういうように変化するかということを関心を持ってこそ試験であって、ただ船の上から落としたら沈んだと、それで試験が終わるという、そういうものじゃぼくはないと思うんですね。そういう意味で、当然捨てたならばその後に関心を持たなければ試験投棄の意味がないわけですね。そういう意味で私は全くこの投棄に対する姿勢、これは捨てたのは科学技術庁が捨てたわけではありませんけれども、実際捨てたのは放射性同位元素協会が中心になって捨てたわけですが、科学技術庁が許可し、その立ち会いのもとにやったわけですから、全くこの投棄に対する科学技術庁の姿勢は、今日の時点から考えて非常によろしくなかったと、私はそのように思うわけですが、その点は認めますか。
#113
○政府委員(赤羽信久君) ただ捨てるということでございますが、やはりしっかりした固化体をつくり、そうしてそれを取り扱って船に載せ、現地で捨てる、捨てた場所の測定をする、すべて一連のシステムを含めて試験投棄と考えておりまして、そういう投棄をするに当たっての技術の確認をするという意味の試験もあったわけでございます。当時から評価といたしまして、きれいな固化体にしてある。特にこの場合は、ドラムかんの内側をまずコンクリートで内張りしまして、その中にモルタルにした廃棄物を入れるという形で、丁寧な密閉をしてございますので漏れ出すという危険性は感じていない、そのために、そのドラムかんあるいはそのすぐ近くのモニタリングまではしていなかったわけでございます。ただし、一般的な日本周辺の放射能調査は継続的にやっておりまして、すぐ近くではございませんが、その海域におきます放射能調査では何ら異常が発見されていないということでございます。
#114
○塩出啓典君 だから、放射能の調査にしても海の中へどぼっと捨てたと。その捨てた位置からたとえば五百メートル、一キロとか、あるいはその海水の汚染の調査、あるいはそこの底の土の調査、そういうのをやったのならまだ話はわかるんですよ。広い大海のどこかに捨てた、その位置はどこかわからない。そしてまた、別な船が行って駿河湾も広いわけであり、そこの中からぽっととって、放射能の影響がなかった、だからこれは大丈夫だと言うのは、ちょっと私たち素人が考えても、試験投棄にしてはちょっとお粗末なんじゃないか。しかも、その当時も放射線障害防止法施行規則によって水深二千メートル以下あるいは比重一・二、それ以外に中の物が壊れないとか、外に放射性物質が溶出しないとか、そういうような項目もあったわけで、そういう点がどうなるかということも、やっぱり調査をやってないという点はどういうことなんですか。全然やっていないわけでしょう。
#115
○政府委員(赤羽信久君) 直接の調査はいたしておりません。と申しますのは、ただいま御指摘のような、たとえば壊れにくいということがございますが、これは容器型ですと壊れる壊れないの問題がございますので、一体固化体、要するに中に空隙を一切残さない形にして捨てるという指示といいますか、指導を行ってきたわけでありますし、それから、溶出しないことに対しましては、ドラムかんが壊れてもすぐ海水に放射能が接触しないように、まず外側はコンクリートで固め、中の方に放射性物質を固めたモルタルを注入するという方法を講じたわけでございます。それによって十分と考えていたと思われます。
#116
○塩出啓典君 それは海の底に行って調べたわけじゃなしに、陸上において頭の中で考えているわけで、だから、そういうのを間違いないと思っても、やっぱり確認をしていくのがさらに信頼性を増すわけですから、技術的に二千メートルの深さまで――まあきのう新しい船、あれは二千メートルもぐれるそうですけれども、それでも二千メートル以下であれば行けないかもしれませんけれども、何らかの方法で、たとえば、ひもでもつけておいて十年たって揚げてみるとか、いろんなそういう、せっかく試験投棄したんですから、その追跡調査をもうちょっと詳細にやるのが私は普通じゃないかと思うんですけどね。だから、それは前の、もう昭和四十何年のことですから、一番最初に捨てたのはもっと前でありますけれども、いまの時点から考えて、私は、ちょっとずさんではなかったかということをもう少し素直に認めた方がいいんじゃないですか。
#117
○政府委員(赤羽信久君) いわゆる安全性に影響があるほどのことはないという確信でやったわけでございますけれども、御指摘のように現実のデータをとってみるのが科学的な態度かと思われます。
 相模湾、駿河湾のは非常に量が少ない、特に減衰いたしまして、現在では非常にわずかになっておりますので、これは別といたしまして、まとめて捨てました房総沖について、海上保安庁等の協力を得て、御指摘のような形の海水または海底土の調査をする方向で現在打ち合わせを行っております。
 それからさらに、南方への海洋投棄は十分な事前事後のモニタリング体制を前提に計画しております。
#118
○塩出啓典君 だから科学技術庁としていろいろ今回の低レベル放射性物質を捨てるに当たって、これが海底に着いたときにすぐ壊れて全部の放射性物質が外に出ても人体には影響ないんだと、こういう厳しい条件のもとで評価をしているということは私は伺っておるし、そこまでやることは非常にいいと思うんですけれども、だから落ちたものは壊れてもいいんだと、やっぱり壊れるよりは壊れぬ方がいいわけですから、だからやっぱりどういう条件のもとでは壊れないかということを、安全性の許容の範囲内であってもより少なくするという意味で、私はぜひこれから始まる新しい試験においても追跡調査というものをやって、そのデータがあってこそ初めて漁民の方々あるいは国民の方々あるいは太平洋諸国の方々も私は納得するんじゃないかと思うんですね。そうしますと、今度の新しいロンドン条約に基づく投棄を始めるとした場合に、どういう追跡調査を考えておりますか。
#119
○政府委員(赤羽信久君) 各国を含めまして昔の投棄と一つ今回の投棄が違いますのは、船の位置決めが非常に航海衛星等が上がっておりまして、船の位置決めがかなり精度よくできるようになりました。捨てた場所がわかる、あるいは何かの標識をつけるという方法も工夫されております。そういうことでございますので、まず試験投棄をします際には、場所をきっちり決めましてそのとき及び後に、たとえばでございますが、テレビカメラでドラムかんの状況を調べるということも計画しております。もちろん、海水、海底土の調査、これは正確な位置のものを綿密にできると思います。さらに海底生物、これはサンプリングがむずかしゅうございますが、できるだけのことをやる方針でおります。
#120
○塩出啓典君 それから館山沖の廃棄の場合に、ドラムかんを使ったと聞いているわけですが、ある一部の報道ではアルミかんも使われたんじゃないか、こういう記録はございませんでしょうか。
#121
○政府委員(赤羽信久君) 現在たどれます記録には載っておりませんでございますが、先ほど申し上げましたようにドラムかんといいますか、そういう容器の耐圧性を一切期待しない一体固化体の形でございますので、材料のいかんにはそれほど左右されないかと思われます。
#122
○塩出啓典君 今回、これからやろうとしているものもすべてドラムかんですね。私たちはドラムかんよりはステンレスのかんとかあるいは海水に耐食性のあるそういう合金でつくるとか、その方がよりベターではないか、そういう気もするわけですが、その点はどうなんですか。
#123
○政府委員(赤羽信久君) 安全評価が全部着底と同時にぶちまけてもという評価でございます。それだから何でも壊れていいということにならないということは御指摘のとおりでございますが、ドラムかんが腐食するまでには十年前後かかるのではないかという実験データもございます。それでその中にありますものが一体固化物ですので、特に量の多いコバルト等はコンクリートから海水に流れ出にくいという性質も加えまして、ドラムかんが腐食することにそれほど安全上の問題がないという評価で考えております。
#124
○塩出啓典君 ということは、ドラムかんは腐っても問題はその内側で、コンクリートがあるじゃないかと、そのコンクリートの方がより重要だからいいと、こう理解していいわけですね。
#125
○政府委員(赤羽信久君) 基本的にそういう観点でございます。
#126
○塩出啓典君 それで、今回これからやろうとしております計画、これは太平洋諸国の反対、漁民の皆さんの話し合い、その他いろんな点でまだ決定したわけではありませんけれども、この計画の中で、人体に及ぼす影響、それについて試験投棄の場合あるいは本格投棄ですね、本格的に投棄すると。それでも自然放射能の一万分の一の影響しかないという、こういうことを報告書に書いているんですけれども、自然放射能の一万分の一しか影響がないということになりますと、試験投棄の場合はたしか一千万分の一であるという、こういうことであれば、これは全く問題はないと言わざるを得ないわけですが、それにしてもちょっと影響がなさ過ぎるような、もうちょっとあってもいいんじゃないかなと思うんですけど、これはそんなものですか。どういう根拠で計算をしてこうなるのか。
#127
○政府委員(赤羽信久君) 安全評価をいたしました前提としまして、試験投棄のときは五百キュリー、それから本格投棄のときは毎年十万キュリー、現実にはすぐはこれほどの廃棄物はございませんけれども、一応こういう仮定をいたしまして、これが着底と同時に全部海水中に溶け出したと。その場合に、水に水平方向、垂直方向に拡散する係数を設定いたします。それから、一部生物による濃縮食物連鎖のモデルをつくりまして、この影響を加える、そういったことを全部総合いたしまして、極端な場合にどれだけ被曝するかというのを計算いたしましたら、本格投棄の場合には一年間に百分の一ミリレム、すなわち約一万分の一になるわけでございますが、そういう評価が出たわけでございます。
#128
○塩出啓典君 まあこの問題は私もよくわかりませんので、また別な機会にいろいろ説明をしていただきたいと思います。もう時間もございません。次に進みます。
 そこで、米国が一九四六年から七二年に、やっぱり放射性廃棄物を投棄をした。これは五十カ所以上で八万五千本。米エネルギー省は二カ所投棄しておったと言うけれども、今回情報公開法による資料によると、それはうそで八十カ所であったと。それから、かなり海底の汚染、魚類の汚染、そういうものが、午前中も吉田委員からお話がありましたように、海底のどろの汚染が平常の二十六万倍、魚類が最高八千五百倍、平均五十九倍、こういう記事を見て私も非常に驚いたわけでありますが、米国のエネルギー省というのは、はっきりとそういう二カ所というような正しくないことを言っておるわけで、これはやっぱりうっかりというわけにはいかぬのじゃないかと思うんですけれども、こういう事態については科学技術庁としてはどのように評価しているのか、この点どうでしょうか。
#129
○政府委員(赤羽信久君) アメリカの投棄につきましては、まだ詳細わからない面もいろいろございまして、最終的なことを申し上げる段階にはないかと思いますが、大ざっぱに言えますことは、ただいま御指摘のように八万本か九万本ですか、そしてキュリー数も九万キュリーとか九万五千キュリーと言われておりまして一本一キュリー、それもかなり変動があって、中には濃いものがあったとか、あるいはプルトニウムの生のものが入っていたとかというようなことも言われておりまして、特に注目しなければいけませんのは、ドラムかんに特別な保護をしないで捨てた、あるいは保護をしたにしても中側をコンクリートで巻いただけで、その中は中空であったというようなこともかなり言われております。そうしますと圧力に耐えずに壊れてしまう。あるいはドラムかんの腐食とともにばらばらになって中身がすぐ生の形でさらけ出されてしまうと、そういうおそれがあるわけでございまして、まだ国際的な基準も高まってないときにかなり荒っぽい投棄をしたんではないかという想像がされます。したがいまして、これを今回われわれのやりますことの直接の参考としては余り使えないんでありますけれども、そういったことをすべて総合しまして国際原子力機関の基準ができてきて、世界的に信頼できるものと言われるようになった一過程の出来事という意味でとらえまして、われわれとしては新しい国際基準に従ってしっかりやっていきたいというのが目下の状況でございます。
#130
○塩出啓典君 わが国の場合は、ドラムかんが海底に到着してすぐ全部粉々に割れて中の物が全部出ても、自然放射能の一万分の一だと。日本の国も大体アメリカと非常に連携をとってやってきているわけで、ところがアメリカでは実に二十六万倍ということで、余りにも差がひど過ぎます。開き過ぎて、ちょっと理解に苦しむわけですが、わが国の場合はいわゆる低レベル放射能の物を捨てるわけですが、これはどうなんですか。低レベルじゃなしに高レベルを捨てたんですか、やっぱり。
#131
○政府委員(赤羽信久君) 一本一本についてどうなっているのかがわかりませんので、中に高レベルのものがあったかどうかわかりませんが、現在の国際基準から言って、平均的にはやはり低レベルに属すと思います。ただ、何万倍ということをよく言われておりますのを調べますと、ドラムかんのすぐそばで非常に濃度が高い。逆に申しますとドラムかんの内容物が底へこぼれたものそのものをはかったのではないかという感じがいたします。その証拠にちょっと離れますとバックグラウンド程度になってしまう。要するに水に溶けないような放射性物質が海底で全部外へ放り出されて、そのものがそのままある。そしてそのものをそのままサンプリングしてはかったその結果ではないかなという一つの想像が成り立つかと思います。
#132
○塩出啓典君 ひとつこれも日本の新聞に大きく出まして、しかも、特に魚の中に八千五百倍もあるということは、これは魚は人間食うわけですから、これは非常に見逃せない事実じゃないかと思います。そういう意味で、私たち新聞記事で見るのは、最初は東大の自主講座でいろいろ情報が発表されて、政府の方の調査が非常に遅い。こういう点は早急にひとつ調べて、また正確な報道を速やかに流していただきたい。このことを要望いたします。
 それから韓国がまた捨てたと、これは中国新聞ですけれども、これもまた一面のトップに、「低レベル放射性廃棄物 韓国、日本海に投棄」という、こういう新聞がまたぱっと出るわけですね。そのたびにわれわれはショックを受けるわけですけれども、これはどうなんですか。あと調べてみると、出どころもはっきりしないような、また外務省を通して韓国にそういう鬱陵島の近くに十年間にわたって低レベルの放射性廃棄物が投棄された事実があるのかどうか、その点はどうなんでしょうか、簡単に。
#133
○政府委員(赤羽信久君) 恐れ入ります、先ほどのアメリカの件でございますけれども、やはりアメリカの環境庁が、すぐそばは別として一般に少し離れた場所ではすべてフォールアウトによるバックグラウンド程度のものしかないということを言っております。それから、魚に対する汚染は必ずしも統計的にたえるデータがあるわけではございません。これも、汚染範囲が小さければそういう強い汚染をする魚ができるチャンスというものはまた非常に少ないわけでございますから、そういうことから考えてみても、一般的に魚が強い汚染をされていたということはちょっと考えにくいというふうに現在考えておるところでございます。
 それから韓国の問題につきましては、早速、報道がありましたので、外交ルートを通じまして関係者に直接当たってもらいました。特に報道におきまして、その発言者とされました李さんという原子力委員にお会いして調べましたところ、現在のところまだ韓国では発電所が動き出したばかりですし、アイソトープの活動も小さいので、捨てなければならぬようなものは生じていない。それから、約十年ぐらい前に鬱陵島のそばに小規模の投棄実験を行ったことはありますが、それ以来やったことはありませんという報告を受けております。
#134
○塩出啓典君 これは大臣にお願いをしたいわけでありますが、一つは、韓国はロンドン条約に加盟してないわけですね。私は、やはり国際的な学者の検討によってできたロンドン条約にはぜひ韓国も入ってこの条約に沿ってやるように、外務省を通すなりして努力をしていただきたい、何らかの機会に。
 それともう一つは、今後台湾、韓国が原子力発電所を建設し、さらにはフィリピンにおいてもそういう予定があるやに聞いておるわけでありますが、そういう国々の当然廃棄物の処理の問題出てくると思うんですが、海洋投棄の問題についてもやはり連携をとって、お互いに東南アジアの海を守っていこうという立場から、そういう連携も私は必要ではないか、このように思うわけでありますが、その点はどうでしょうか。
#135
○国務大臣(中川一郎君) まず最初に、韓国側に対してロンドン条約に入ったらどうかという御指摘ですが、私たち聞いておりますところでは、まだ海洋投棄計画を持っておらないようでして、海洋投棄計画を持つようなことになれば、国際ルールに従ってやるべしという気持ちは何らかの方法で伝えて、わが国への影響もないような配慮もしたいものだ、こう思っております。
 また、台湾、フィリピンに対しても連携をとっていくようにということでしたが、現在御指摘の国々では海洋投棄があるとは思われない。先ほどの韓国と同じでして、もしそれらの国々で生じた場合には連携をとっていくことは意義深いことでございますから、連絡とっていくようにいたしたいと思っております。現段階においては海洋投棄でやるという動きにはまだなっていないという状況でございます。
#136
○塩出啓典君 次に、「むつ」の問題について、最初に科学技術庁にお尋ねいたしますが、「むつ」の四者協定後二年半に「むつ」を撤去するという、そういう協定であったわけでありますが、全く新しい母港は見つからない、またむつへ帰らざるを得ない、いろいろ問題が起きているわけでありますが、この母港探し等の努力は今日までまじめにしてきたのかどうか、こういうのを疑う声もあるわけですが、その点はどうなんでしょうか。
#137
○政府委員(石渡鷹雄君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、四者協定の定係港撤去のお約束があるわけでございまして、その履行のために、四者協定締結後から新定係港を探すという検討が開始されたわけでございます。すなわち、昭和五十年、翌年になりますが、一月に、科技庁、運輸省及び原船事業団で新定係港推進本部、本部長といたしまして科学技術政務次官が就任されたわけでございます。そういう組織をつくりまして、それを中心といたしまして新定係港の選定作業を進めてきたという経緯がございます。同本部では、全国数十カ所の候補地点について調査を進めまして、その結果といたしまして第一候補地及び複数の予備候補地を選定したという経緯がございます。第一候補地に内定いたしました長崎県下の一地点につきましては、現地調査及び関係者への打診を行っている過程で地元の県知事さんからの申し入れもあり、これを白紙還元するという一幕があったわけでございます。昭和五十年の五月の時点でございました。
 その後、新定係港の選定に先立って、まず遮蔽に欠陥がございます「むつ」の遮蔽改修及び総点検を行って、その後で新定係港を選定するという方が選定の実現性が高いのではないかという判断がございまして、このことを原子力船関係閣僚懇談会において協議されました結果、まず修理港を選定すべきであるという結論が出されたわけでございます。そこで一時期、方針の変換があったという点を申し上げたいと存じます。この修理港につきましては、長崎県の佐世保港にお願いするということになりまして、交渉を重ねた結果、昭和五十三年七月に佐世保港に受け入れていただくということになったという経過がございます。
 このように修理港問題が解決を見ましたので、新定係港選定作業を再開するという運びになりまして、昭和五十三年の八月に原船事業団が今度は主体になりまして新定係港の選定方針を決め、そしてこの方針に基づきまして、先ほど数十カ所と申し上げましたが、過去に候補となりました候補地を含めまして全国の数十カ所の地点についてさらに調査を進めまして、最終的には五カ所が候補地点になり得るという段階にまで至ったわけでございます。その後もこの五地点につきまして鋭意検討を進めてきたわけでございますが、それぞれの地点につきまして何らかの難点があるというのが実情でございまして、自然条件、社会的条件等を総合的に考慮すると、現時点では「むつ」の母港として適地であるとの判断は下せなかったというのが今日までの母港の選定の経緯でございます。
 先生ただいま御指摘の大湊港につきましては、冒頭申し上げました四者協定のお約束はあるわけでございますけれども、もともと原子力船の母港としてすぐれた条件をも備えております。したがいまして、もし地元の御了解が得られるものであれば大湊港をもう一度「むつ」の母港として使わせていただくことが一番よいのではないかという判断に至りまして、去る八月、中川国務大臣から青森側の関係者に検討をお願いしたというのが今日までの経過でございます。
#138
○塩出啓典君 この問題につきましては、日本原子力船事業団法の審議のときにまたいろいろとお尋ねしたいと思いますが、原子力船事業団にこの際お尋ねをしておきたいわけでありますが、一つは、いわゆる世界の原子力船についての動向がどうであるのか。数年前に比べて、われわれの感じる範囲ではややそういう原子力船時代の到来が先に延びたような感じがしておるわけでありますが、そういう点がどうであるのか。
 それともう一点は、特に最近むつ市において予備の燃料棒二本を原船事業団が隠しておったというような、そういうニュースを拝見したわけですけれども、この真相はどうであるのか。
 それといわゆる廃液管理、知らぬ間になくなっていたと。これが非常に問題になって、非常に地元の人たちの原子力行政不信を盛り立てているような感じがするわけでありますが、この三点について御答弁をお願いします。
#139
○参考人(野村一彦君) お答えいたします。
 まず、御質問の第一点の世界における原子力船の研究開発の動向でございますけれども、先生御案内のように、ソビエト、アメリカ及び西独におきましては原子力商船の開発を現にやってまいったわけでございます。
 御案内のとおり、アメリカにおきましてはサバンナ号を建造し、これを運航いたしまして、そして世界の数十カ所に寄港をして実験航海をやりました。大体現在はその使命を終えましたためにガルベストンですか、ここに係留いたしておりまして、すでに解役となっております。この間原子力商船としての技術的なデータというものはかなりの蓄積が行われておるように承知いたしております。
 西独におきましてはオット・ハーン、やはりこれも特殊法人の団体をつくりまして、そしてオット・ハーンを建造し、これを運航いたしましてやはり世界のいろんな港、数十カ所に寄港して約十年以上になりますか、いろいろの実験航海の結果のデータを蓄積しまして、これも昨年大体の使命を終えたということで、現在はハンブルクに係留をして、そしてたしかもう炉は陸上に揚げておるという状態でございます。
 ソ連におきましてはレーニン号とかアルクチカ号とかという、これは厳密に言いますと原子力商船と言えますかどうか、砕氷船ということでございまして、四隻の砕氷船を現在動かしておられるようでございます。しかし、レーニン号は一説によりますと現在は動いていないというような説もございましてはっきりいたしませんが、現在三隻動いているようでございまして、これは砕氷船として北極海方面において運航されておるようでございます。
 そういう状況でございますが、先ほど来大臣等が申されましたように、エネルギーの危機の時代を迎えまして、一般商船の原子力を推進力とする船の必要ということは、これはもう当然考えられるわけでございますので、原子力委員会の御方針に基づきまして、私どもも日本における原子力の開発を鋭意進めてまいりたいという方針のもとにやっておるわけでございます。その際、昨年の暮れでございましたか、原子力委員会におかれまして、いままでございました原子力の平和利用長期計画、これの一部改定を行われまして、また、それに先立って下の専門部会におきましても、あるいは原子力産業会議の中の原子力船懇談会等におきましてもいろいろ勉強の会合が持たれたわけでございますが、その結果、現実に原子力商船の実用化というものは残念ながら世界の趨勢として少し当初の見込みより遠のいた。二十一世紀ぐらいになれば実用化ということが望めるんではなかろうかという観測が出されて、そういう利用計画が発表されたわけでございます。しかしながら、この原子力船の研究開発ということには、相当の何といいますか日時を費やしていろいろのデータを集めて慎重にやらなければなりませんので、私どもも現在その新しい原子力委員会の方針に従いまして鋭意勉強していきつつあるということでございます。それが第一点でございます。
 それから第二点の予備燃料体の問題でございますが、これはこういうことでございます。私どものむつ市にありますむつ事業所に予備燃料体が二体保管されておるということについての報道でございますが、これは四十九年の四月に四者協定、これは先ほど原子力局長が言及された四者協定でございますが、その四者協定が締結された以後現在に至るまで地元に公表をしなかったというような報道がなされたわけでございますが、私どもといたしましては多少正確でない点があるんではなかろうかというふうに考えております。
 実情は、昭和四十七年に原子力船に核燃料を装荷いたしますときに、三十二体とプラス三体、つまり全部で三十四体の核燃料をむつ事業所に運びまして、その中で三十二体を船に装荷をし、あとの二体を予備としてむつ事業所の認められた保管の場所に保管をしておったわけでございます。そしてそのことにつきましては、私どもといたしましては、毎年発行しております事業団の年報ということにもその予備燃料二体がむつの事業所に保管してあるということは記載をいたしまして、そして県や市等にもその年報はお配りをしておったわけでございます。したがいまして、県や市もこのことを当然御存じであったわけでございます。
 なお、四十九年の十月十四日に、あの事故が起こりました以後、その定係港周辺地域等の環境の保全及び住民の安全確保等に関する協定、これは県と市と漁連と私ども事業団と四者がこのいわゆる環境保全協定を結んだわけでございますが、その中におきましてもこの原子力予備燃料というものについての規定も設けてございまして、これが保管されているということはその関係者がみんな知った上でこの環境保全協定を結んだということでございます。したがいまして、私どもはこれをしかるべく規定された場所に保管をしておったということで、そういう事実を隠したというふうなことはございませんので、その点については誤解を解いていただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。
 それからもう一つは、その廃液の管理の問題でございますが、この点についてお答えいたしますと、「むつ」が原子炉に燃料を装荷いたしましたのは、いま申し上げましたように四十七年の九月でございます。そして出力上昇試験のために本船がむつの港を出ましたのが四十九年の八月でございますが、その間に船の中のいわゆる管理区域という区域で発生いたしました廃液をむつの事業所にあります付帯陸上施設に陸揚げをいたしまして、さらにそのほかに付帯陸上施設の中で発生をした廃液及び廃棄物処理等において使用した水道の水、そういうもの合わせて約六百トンでございますが、これを湾内に放出したということは事実でございます。
 ただ、これらの放出しました液は、いずれも許容限度を十分下回ることを確認をして放出をしたということでございまして、これが環境や人体に悪影響を及ぼすというものではないという点でそういう処置をしたわけでございますが、事柄の性質上非常に問題の多い時期のことでございますので、私どもこれについてはもっと慎重を期すべきであったかということで、国への当時の御報告を途中でやらなかったというような事態もございまして、大変御迷惑をおかけしたということでございまして、その点につきましては御当局より先般きついお戒めの言葉をいただきまして、私ども非常に反省をしている、こういうことでございます。
#140
○塩出啓典君 これは通産省に一言だけお尋ねしたいんですが、原子力産業会議が発電所の立地問題に初期の段階から国がタッチする責任体制を整備すべきではないか、あるいは水産業の補償問題のあり方、一遍にお金を渡すのではなしに、漁業組合にプールをして漁業振興のために使うことができるような税制の改正等、そういうことを提案しておるわけでございますが、通産省としてはこの産業会議の提案、私は非常にいろいろ検討すべきすぐれた提案でないかと思うんでありますが、それを検討する用意があるのか、全然玄関払いなのか、そのことだけお伺いしておきます。
#141
○政府委員(児玉勝臣君) 原子力産業会議のただいま先生おっしゃいました提言につきましては、これは原子力発電所の立地難の現状を踏まえまして、地方公共団体の関係者、それから水産関係者等の参加を得て検討を取りまとめたものというふうに聞いております。内容につきましては、今後政府といたしまして立地問題を進めていく上で非常に参考になります貴重な資料として活用さしていただきたいと、こう考えております。
#142
○委員長(太田淳夫君) 野村参考人、倉本参考人には御多用中本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございました。
 これより佐藤昭夫君の質疑に入ります。
#143
○佐藤昭夫君 本日は中川さんが長官に就任されて初めての委員会であります。若干長官の基本姿勢についてお尋ねをいたしたいと思いますが、午前の吉田委員の質問の中でも応答があったわけでありますが、就任直後の記者会見において、将来国際情勢の変化があればという前提つきではありますが、核武装をするということもあるかもしれないという発言をなさってずいぶん波紋を呼んだ。この点で先ほどの御答弁で科学技術庁長官としては非核三原則、原子力基本法、核拡散防止条約、これを堅持をして今後対処をしていくというふうに明言をされましたけれども、この点を私としては再確認をいたしたいというふうに思います。と同時に、先ほどの長官の御答弁の中にあった新聞記者に問われたのでつい言ったということですけれども、仮にそうであるにしてもやはり原子力基本法の最も忠実な執行者であるべき長官としての不用意な、慎重さを欠く発言ではなかったかというふうに思うんです。そういう点で原子力基本法、非核三原則、これを今後とも堅持をしていくということを再度明確にしていただきたいことと、今後発言については十分慎重に対処するということをひとつお約束を願いたいと思うんですが、どうですか。
#144
○国務大臣(中川一郎君) 就任のときの記者会見の非核三原則についての考え方は先ほど吉田委員に申し上げたとおりでございます。先々の話ですから、三十年先、四十年先になって国際情勢が変われば別としてということを言っただけであって、それが三十年先、四十年先が消えちゃって先になったら核を持つんだみたいな報道ですか、受け取られ方をしたということは私にとっては心外なところでございます。あくまでも現段階は原子力は平和利用であるし、非核三原則はありますし、核拡散防止条約に入っております条約、法律、決め事、そういう制約の中で忠実にそれを守っていきたい、こう思っております。不注意な発言と言われて、これからやらないようにと言われると、政治家ですから将来のことはと聞かれたら、将来のことはわからぬぐらいのことを言ったのがけしからぬといえばけしからぬですが、せっかく温かい気持ちでおっしゃったと思いますから、御注意として受けとめておきます。
#145
○佐藤昭夫君 八月にいわゆる防衛白書が出た。その八十六ページに、少し長い文章ではありますが、要約すれば、防衛力を支え、防衛力を真に発揮するためには科学技術の分野においても国防上の配慮を加えることが必要だという意味の記述が出てまいるわけでありますが、こうした記述は昭和五十一年来入っているものではありますが、まず防衛庁にお尋ねをいたしますが、本年度の白書についてこういう記述が登場した、そこへ至る間防衛庁と科技庁との間で何か具体的な協議があったのか、この点はどうですか。
#146
○説明員(筒井良三君) 当然、白書の作成に当たりましては関係省庁と十分に調整を行っているところでございます。御指摘の部分の表現でございますけれども、先生おっしゃられましたように、五十一年度防衛白書以来毎年おおむね同様の記述を行っているところでございますけれども、これは一般的なことを考えての表現でございまして、今年度の作成に当たりましても、科学技術庁の事務当局に御照会を申し上げまして、異存のない旨の御回答を得た次第でございます。
#147
○佐藤昭夫君 そうしますと、一般的表現をしたということであって、本年度すなわち昭和五十五年度科学技術分野でこういう検討をやってもらいたいということを防衛庁側として具体的な期待を持っている、具体的な課題についてということではないということですか。
#148
○説明員(筒井良三君) 先生おっしゃいますように、具体的な計画という問題では全くございません。
#149
○佐藤昭夫君 しからば、逆に科技庁長官にお尋ねいたしますけれども、この白書というのはいうまでもなく閣議でも確認了解をして、正式に発表されていく文書でありますけれども、そういう意味で防衛白書にこういう記述がある、このことに基づいて科学技術庁といいますか、科学技術庁長官として科学技術行政の何らかの分野に国防上の配慮を加えていく、そういう検討をやろうという意思があるのかないのか、この点はどうですか。
#150
○国務大臣(中川一郎君) いま防衛庁から答弁のあったとおり、科学技術の向上は間接的に、全般的な意味においてですよ、科学技術全般的な向上……
#151
○佐藤昭夫君 一般的という意味で。
#152
○国務大臣(中川一郎君) 一般的な向上が国防に間接的に役立つと、こういったことであって、科学技術の面をもって何か国防上の問題の研究をやろうというような特定のことを考えていることは毛頭ございません。
#153
○佐藤昭夫君 しからば、防衛庁側も科学技術庁の側もどちらも白書にはこういう表現が出てくるけれども、昭和五十五年度具体的に何かある特定の国防上の検討、研究をやっていこうということは何にも考えてないということであれば、私は国民に不安を与えるようなこういう記述は、白書に載せるということは適切ではない、削除をされてはどうかというふうに思うんです。実は昭和五十三年十月十三日、当委員会においても当時の白書をめぐって私同じような意見を述べて、しからばこういう表現というのはアクセサリーのようなものですかと聞いたら、まあそうですねというような話だったんですけれども、そんなようなことであれば、国民に不安を与えるような、疑問を呼び起こすようなこういう表現というのは削除したらどうですか、防衛庁。
#154
○説明員(筒井良三君) ことしの国防白書の前書きにも書いてございますように、この白書はこういった防衛上の問題を考える上で「一つの材料を提供しようとするものであり、今後広く各界各層の国民がわが国の防衛のあり方を考え、あらゆる機会をとらえて活発な議論をかわし、それらを通じて防衛問題についての国民的コンセンサスの形成に一歩を進めることを期待するものであります。」とございますように、この問題はやはり大切な問題であるということで、私どもとしましても、仮にそれが一般的なことであろうが、依然として重要であるという考え方に変わりがありませんし、ここに書いてある記述も「検討すべき問題となっている。」というぐあいに申し上げられると思っております。
#155
○佐藤昭夫君 しかし、この白書というものは、五十五年度白書と銘打って出ているわけですから、これは長期方針ではありませんね。長期的防衛をめぐる情勢分析と防衛の方針ということではないですね。五十五年度方針ですね、そうですね。
 ということであれば、五十五年度の白書にこういう記述が出るということは、これはふさわしくない。削除するという決断をされぬようでありますけれども、強くその点を申し上げて、参考に長官の意見はどうですか。削った方がいいんじゃないですか、こういう誤解を与える表現は。
#156
○国務大臣(中川一郎君) いま申したとおり、一般的に科学技術全般を指しているんであって、特定のことをやろうとしておりません。
 それからもう一つは、そういう言い方をすると、何か科学技術だけ一つ書いているように誤解されると困りますが、いろいろなものの中の一つ、道路から通信から教育に至る……
#157
○佐藤昭夫君 書いてないところもありますね。
#158
○国務大臣(中川一郎君) 広い分野についての記述であって、これだけ特別とったわけではないんでしょう。
#159
○説明員(筒井良三君) そうです。
#160
○国務大臣(中川一郎君) それを共産党の人は何か科学技術だけ一つ書いてあるように言われて、国民に不安を与えないようにひとつ私の方から逆にお願い申し上げておきます。
#161
○佐藤昭夫君 長官がそういう言い方をされますと、すべての省庁を列記しているわけじゃありませんね、ごらんのとおり。ないわけでしょう。やはり特定の省庁に関係ある分野を列記をして出しておるということで、私どもとしては一定の注意を向けざるを得ないということであるわけです。ぜひこういう表現というのは一遍再検討するということでお考えを願いたいと思うんです。
 もう一つお尋ねをしておきますが、来年度の予算編成に当たって防衛費の別枠扱いの問題がその不当性、危険性について代表質問や予算委員会の中でもいろいろ議論をされてきたところでありますけれども、これも八月の九日北海道で中川長官の記者会見で、防衛費別枠やむを得ないという、それを支持する発言をなさっている新聞報道があるのです。いや、そんなこと事実と違うと言うんだったら違うということではっきりしていただいたらいいわけですけれども、長官としてはこの防衛費別枠扱いを支持をされるのか。そして、昨今の議論の中にわが国は現在GNP対比防衛費約〇・九%というふうに言われておりますが、これをNATO並みに三%ないし五%にもっとふやしていこうという一部の論調がありますが、こういう方向も賛同をなさるのか、ちょっと念のために聞いておきます。
#162
○国務大臣(中川一郎君) 御承知のように、予算閣議におきまして五十六年度の予算を要求する段階において閣議了解事項というものが七月二十九日にございます。そのときに表現は「国際条約の実施に伴い必要とされる」云々とこうなっております。これが防衛予算であるということでございまして、これは他の予算とは変わった形で要求するということになっております。したがいまして、私は、釧路であれどこであれ防衛予算、表現は別にしましても、別の要求試案を持つことは当然であるというか、必要なことであるということはどこでもいたしておりますし、私はそのように閣議で了解している以上それが悪いなんということは閣議の不一致にもなりますし、私の政治信条にも合っておりますから隠しも逃げもいたしません。そのとおり思っております。
#163
○佐藤昭夫君 後段でお尋ねをしておるNATO並みに持っていくというその方向についてはどうですか。
#164
○国務大臣(中川一郎君) その点につきましては私はNATOがどの程度どうなっているかも残念ながらよく知りませんし、NATO並みという気持ちは持っておりませんし、また、そういった発言をしたこともございません。
#165
○佐藤昭夫君 念のために長官に申し上げておきたいと思うわけですけれども、さっきも言いましたように、現在日本の防衛費はGNP対比約〇・九%、これは日本の防衛費の算定に当たっては軍人恩給費等を含んでおりませんから、ですから、NATO並みのGNP対比を同じような内容でしますと大体約一・五%になるということは、これは大蔵省の発表でも言っているわけですね。片やアメリカ、NATO諸国というのは核兵器を持っている。日本は非核三原則で持っていないということで、核兵器の分を除いてその他軍事費、防衛費この関係で対比をしますと、日本はもうかなり高い防衛費の水準に来ているんだというこうした点で、これを単純にGNP比率NATO並みへとこういうところへ行き着く先は核兵器を日本は持たざるを得ない、こういう方向へいくという判断ができると思う。
 冒頭、長官として明言をされましたけれども、非核三原則、原子力基本法堅持、こういう立場からとりわけ防衛費の増額の問題については、科学技術庁長官としてはよく見識を持って閣議の場でも対処をしていただきたいということを強く要望をして次の質問へ移っていきたい。
 「むつ」の問題でお尋ねをいたしますが、いわゆる四者協定、四十九年十月における「むつ」の問題の四者協定でありますが、このときの総務会長が現総理大臣の鈴木善幸氏であった。この鈴木善幸氏が青森に出かけて四十九年十月四者協定を結んだわけでありますけれども、その四者協定の中で昭和五十二年四月までに大湊の母港を撤去をするということを明確に文書で協定をしているわけであります。しかし、今日六年が過ぎてもこの約束は履行をされていないままになっている。
   〔委員長退席、理事後藤正夫君着席〕
こうした点でたまたま科技庁長官に中川さんが就任をなさったわけでありますけれども、この四者協定は、その政治責任は政府としては消えていないわけでありますし、協定が全く履行をされていないこの問題についてどう考えられるか、その政治責任をどういうふうに考えられるのか、まずお尋ねします。
#166
○政府委員(石渡鷹雄君) まず経過を御説明申し上げます。
 先生御指摘のように……
#167
○佐藤昭夫君 経過はもういいです。大体わかってます。
#168
○政府委員(石渡鷹雄君) まあ最近の経過を御説明申し上げます。
 四者協定の履行につきましては、四者協定のうち新しい定係港の決定と現定係港の撤去の二項目が今日に至るも完全には履行されていないという点につきましては、まことに遺憾であるというふうに思っているわけでございます。このことにつきましては、去る八月以来、本協定の地元側当事者でございます青森県知事、むつ市長また青森県漁連会長の三者に対しまして中川大臣から直接お話し申し上げ、遺憾の意を表してきたところでございまして、これらの地元三者の方々もいろいろ御意見もお持ちのこととは思いますが、大臣の意のあるところは御理解いただけたこととわれわれ考えているところでございます。
 なお、四者協定を今後どのように取り扱っていくかにつきましては、本協定の当事者それぞれにお考えがあると思いますので、できれば今後できるだけこれらの方々の四者で御相談する機会を持っていただきたいと考えているところでございます。
#169
○国務大臣(中川一郎君) 四十九年に、当時の鈴木総務会長が政府の代表として三者の方々といわゆる四者で話し合って四者協定ができたことは事実でございます。かくて四者協定については守られた面もございます。しかし、新定係港の決定と母港の撤去ということについて守られなかったことはこれは事実でございまして、いま原子力局長が言いましたように、ほかの港を探したい、撤去したいということではあったのでありますが、なかなか現段階で適当な母港が見当たらないという段階におきまして、なお「むつ」が来年の十月には佐世保を出なければならないという約束事もあります。これを守るためにもどこか定係港を探さなければならぬというところから、先般、知事、市長、さらに漁業関係団体の責任者に対して、四者協定の実施ができなかったことについてはまことに遺憾である、申しわけない、深くおわび申し上げる、ついてはということで新定係港としてむつをもう一回考えていただけないかということをお願いし、それに基づく四者協定の後始末についてはどうするか、早い機会に話し合おうということになっておりまして、守られなかったことは遺憾である、申しわけないという気持ちでおります。四者の方々もその点については今後どうなっていきますか、いまのところまだ確たる返事はありませんが、私の気持ちは理解してくれている、四者協定の守られなかった面については。再母港について理解してくれたというわけではありませんが、この点は理解していただけておるのではないかとこう思っておりますが、今後話し合いをしてまいりたいと存じます。
#170
○佐藤昭夫君 先日、わが党の青森県委員会として県会議員、むつの市会議員ともども私も同行いたしまして、長官に申し入れに参ったわけですけれども、その際長官としては、大湊を再母港化するという問題については、四者の合意がない限り強行するということはしないというふうにその席でおっしゃっておったわけですけれども、この長官の基本的立場、これは当委員会としても公式に確認をしてよろしいでしょうか。
#171
○政府委員(石渡鷹雄君) 委員長。
#172
○佐藤昭夫君 長官に。
#173
○政府委員(石渡鷹雄君) 事実関係を申し上げます。
 確かに去る十月八日に佐藤先生を初め青森県議及びむつ市議の方々がお見えになりまして再母港化要請の今後の進め方についての御議論がございました。席上、瀬崎議員より四者協定の履行については国会で歴代大臣が再三答弁している、政府と国会の関係から政府がこの問題を軽々に考えて強引に事を進めるというようなことはないと思うが、大臣においては十分国会の審議を踏まえて事に当たられるようお願いしたいという御発言がございました。
 それに対しまして中川大臣は、私としてはこれまでもお話をしているとおり、四者の合意がない限り本件を強行するような考えはないと答弁をしておられます。
#174
○国務大臣(中川一郎君) 事実関係はそのとおりですし、私も当委員会を通じて強制的に強引に強行してやるようなことは考えておりませんことを明らかにいたします。
#175
○佐藤昭夫君 そこで、もう御存じと思いますけれども、いま青森では「むつ」の再母港化案といいますか、これに県漁連を中心にして大変な反対運動が巻き起こっている現状だと思うんです。先日も県下の全漁業関係団体を大きく結集をして「むつ」問題対策会議というものを結成もし、漁連としても今回の再母港化には絶対反対、そういう態度を確認をしているわけですけれども、その反対理由は大きく言って二つあると思うんですね。
 一つは、四者協定という明確な政府との間の約束があるんじゃないかということ、しかもその四者協定の当事者の一人であった鈴木善幸氏内閣のもとでこれがほごにされるという、これほど人をばかにした話はないというのが一つ。
 それからもう一つは、修理未完了の現段階で、しかも後からも触れますけれども、多分に手抜き改修の恐れがある、安全性の保障の非常に不確かな「むつ」の再母港化、こうなった場合に一体むつ湾の漁業の将来はどうなるのかということで、むつ湾というのは御存じのように湾口が非常に狭くてふところが深い港湾なんです。ですから、外海との水の交換がきわめて緩慢であるから、一たび事故が起こって汚染が発生をすれば、あとその水が浄化をされるについては大変な時間がかかるということから、今日まで営々として築いてきた、日本一だとも言われるホタテ漁場の将来の死活にかかわる問題として漁民が大きく反対に立ち上がっておるということだと思うんです。
 先ほどの塩出議員の御質問に局長の答弁では、新たな段階として五つほど候補地が決められてきたけれども、どこもほかは難点があり、大湊がかつて母港であったためにいろんな諸施設があるというので、ここが一番いいと判断しましたということで、政府側や事業団にとってはそれは都合がいいかもしれない。
   〔理事後藤正夫君退席、委員長着席〕
しかし、むつの人たちにとっては、よそ以上にわれらのところへまた「むつ」を持ってこられたら困るという特別の事情があるということははっきりしていますね、四者協定があると。
 それから、むつの現地の人たちの言い分としては、単なる海じゃございませんよと、そういう地形的にも特別の湾だと、ホタテ漁場を営々として育ててきた、こういう切なる意見があるわけです。
 そういう意味で、一つはこの選定に当たって、そういうことを十分勘案に入れたのか――選定と言いましてもまだ決めているわけじゃないから案の段階ですけれども、という問題が一つと、それからこの段階では、とにかく四者協定の当事者の一人である漁連が絶対反対だというふうに言っているんですから、四者協定完全履行できなかったことについては申しわけなく思っていると、責任を感じていると言うなら、本当に責任を果たす道は、申しわけないということの申しわけなさを態度で示す道は、大湊を再母港化するというこの案は一たん白紙に戻すということが、最もいま政治家というか政府としてとるべき態度ではないかというふうに思いますが、どうですか。後の方長官答えてください。
#176
○国務大臣(中川一郎君) 御承知のように、守った点はとにかく「むつ」が母港から出たということ、あるいはまた施設も一部撤去したという守った面もありますが、基本的なことは守られていないということでございますが、この基本的なことを仮に守るとすれば、たとえばもう定係港をやめましたというようなことをやればもう「むつ」を廃船にするというふうに、新しい港が決まらないうちにあそこは定係港ではないという形になると廃船をしなきゃならぬという大変なところにいくものですから、それは簡単に言うけど、そう簡単にはいかない。やはりわれわれとしては、政府や事業団のためにやるんじゃなくて、日本国民のためにやはり原子力船というものを開発し、研究しておこうと、国家的目的から言って何とか新定係港を探したいということになれば、四者協定にはまことに違反するんだが、ぜひお願いしたいという以外、いまの段階ではないわけでございます。
 それから、四者協定の問題が一番大きな柱である、二つの柱の一つだという御指摘がありましたが、私どもが直接漁業団体の代表の方ともお話をしたのでありますが、四者協定は遺憾であるという点は向こうも指摘しておりますが、四者協定があるからそれを何でもかんでも守れということよりは、むしろ後段の湾であること、そしてホタテガイが唯一の大事な生活の糧であること、どうかひとつ湾でない、ホタテのない、他の水域でやっていただけないかと、これが向こうの主たる切なる意向でございました。私どもとしては今度の船は湾であれ、あるいはホタテであれ、絶対事故を起こすようなものでないのだと、安全性については信用していただきたいと、こう申し上げたんでございますが、安全性についてだめだとは言いませんと、言いませんが、先ほどもあったように、より安全なホタテ漁業等のないところでやっていただくように、長官ひとつ政治力を発揮してもらいたいと、こういうことで別れております。私としては、何とかもう一回考えてくれと、また私も現場に伺って第一線の皆さんの声も聞き、第一線の皆さんに謝りもし、私の真意も申し上げたいと、こう言っておったんですが、いまはその時期ではないと、いま来てもらっても困りますということですから、その時期を待っておるという段階でございます。
#177
○政府委員(石渡鷹雄君) 順序が逆になりましたが、陸奥湾が内湾であって海水の交換性が悪いという点、またそういうこととあわせて、養殖漁業の存在をどのように配慮したかという御指摘でございます。
 まず、陸奥湾が内湾でありますために外海に比較しまして海水の交換性が悪い、よくないということは御指摘のとおりと考えております。しかしながら、大湊港の定係港施設から湾内に放出される可能性のある液体廃棄物といったものは、十分厳重な処理と、そして十分な監視のもとに危険のないことを確認の上で所外に排出されるというので、一般安全審査によって安全上何ら問題がないということになっているわけでございます。
 一般論といたしましては、原子力施設の立地を考える場合に、施設から放出されます排水の希釈度がよい地点の方が、そうでない地点より比較してより好ましいということは言えるかと存じますが、大湊港が内湾に面しているからといって、原子力船の母港として直ちに適切ではないというふうになるというふうには考えていないわけでございます。逆に内湾であるがゆえにあるいは潮流あるいは波の問題といった海象面では船舶にとって非常に好ましい条件も多く備えておるということでございまして、先ほども申し上げましたように大湊港が「むつ」の母港として現時点では最適であるというふうに考えられると判断した理由といたしましては、これらの自然条件に合わせまして、社会的条件等を総合的に考慮した結果、そのように判断したというふうに御理解を賜りたいと存じます。
#178
○佐藤昭夫君 この安全性は保障されることになっていますというふうに言ったって信用しないですね。何しろ出力一・四%という低い出力上昇試験というこの段階で事故を引き起こした、いわばすねに傷を持つ船なんですし、現在修理は完了していない。いわんや安全委員会の安全審査がパスしたわけじゃない。こういう状況で安全性絶対大丈夫ですから、むつの皆さん安心してくださいと言ったって、それは何ぼ人がよくっても安全性よくわかりましたということにはなりっこないと思うんですよ。
 それで前段の質問で長官お答えになりましたが、四者の合意がない限り強行をするということはしないという基本態度でいくわけですし、片一方四者協定の四者のうちの一人が県漁連だと、この県漁連としては強い反対を再確認をしていま運動に立ち上がっている。しかし、そのうちに何とか折れるだろうという態度じゃないと思うんですよ。そういう状況で、しかし何とか大湊に頼みたいんだ、頼みたいんだとこういうことでやっていくというのは、これは政府としても決して賢明な策ではないと思う。しかも、国民の信頼を得て原子力行政を進めていくという点では四者協定というものを破るわけですから、政治的に間違った態度だと、賢明でもないし、誤った態度だということで、ともかくいまの大湊へ持っていこうという案を一遍白紙に戻しなさいというのを私は言いたいわけであります。重ねて長官どうでしょう。
#179
○国務大臣(中川一郎君) 「むつ」は昭和四十二年以来いろんな経緯をたどっております。四者協定が守られないこと等々いろいろありますが、そしてまた賢明でない、得策でないという御指摘もありましたが、いろいろの経緯の上に積み重なって今後生き抜いていく道は、やはりむつに、大湊にもう一度お願いする以外道はございませんので、私としてはせっかくの御指摘ではあり、御批判はいただきましたが、何とか地元の理解を得られるように誠心誠意安全性の問題等々粘り強く交渉を進めて、何とか「むつ」が将来の原子力船の開発船として成功するように、これを願っている国民もまたあるわけでございまして、国民全部がいま御指摘のような意見ばかりではないと思います。そういう意味で粘り強くやることを、ひとつもう少し見守っていただきたいと思います。
#180
○佐藤昭夫君 もう何回言っても答えは同じかと思いますので、今後また議論をする機会がありましょうと思いますので、この点についてはもうやめますけれども、言うなら大湊を決め球にしてもうこれ以外にないんだというかっこうで、いまこの問題を持っていっているわけですけれども、それこそ長官がさっき言われた「むつ」は行く場所がない洋上に浮かぶ船というか、洋上に浮かぶ物体にすぎなくなるという結果を、政府みずからの手でつくり出すことになるということを重ねて申しておきますし、よく考えていただくように、検討していただくように重ねて主張をしておきます。
 もう一点「むつ」に関係して質問をしておきますが、現在佐世保でいわゆる修理をやっているわけですけれども、この修理に関しての五者協定というのがある。この履行もまた刻々迫ってくるわけでありますけれども、来年の十月ですね、これ十月までに完了する見通しはありますか。
#181
○政府委員(石渡鷹雄君) 入港後約三年という規定がございますので残るところ約一年ということになります。工事の進捗状況でございますが、原船事業団の最近の説明によれば、遮蔽改修工事の着工がおくれたというために事業団としては工程等の工夫によりまして約束期限内に工事が完了するように最大限の努力を払っているところであり、現在までのところ工事は順調に進んでいるという報告を受けております。ただ、非常に大事なことでございますので、当庁といたしましても事業団と一体となって工事の期限内完了に向けて最大限の努力をする所存でいるところでございます。
#182
○佐藤昭夫君 いろいろいきさつはあったわけでありますけれども、三年予定の修理期間を一年半ほどに短縮をしたという形で来年の十月が期限と、こうなってきておるわけですけれども、こういうことから手抜き改修になるんじゃないかという不安を私どもとしても強く持っているわけです。
 ちょっと角度を変えて聞きますけれども、スリーマイル事故のあの教訓に立って、いわゆる原子力船「むつ」のECCSの何らかの改善をやろうという方針になっているんでしょうね、お尋ねしますけれども。
#183
○政府委員(石渡鷹雄君) ECCS関係につきましてはポンプの強化をするということが計画されております。
#184
○佐藤昭夫君 そうしますと、実はきょうお昼いただいた資料でありますけれども、「原子力船「むつ」遮蔽改修の主要工事」ということで、来年の十月に完了するということで船体部十四項目、原子炉部十項目、こういう項目、こういうスケジュールで改修完了の予定ですということでいただいておるんですけれども、これを見ますと、いま私が申し上げましたECCSの改善については入っていないんですよ。
 実は長崎新聞の十月の九日付だったと思いますが、これに原船事業団の、さっき参考人でいらっしゃったんですが、野村理事長が十月の八日の会議ですが、自民党の原子力船対策特別委員会、東京で開かれた正副委員長会議、その席上で野村原船事業団理事長が原子力船「むつ」の改修工事はこれこれの経過でちょっとおくれてきたと。で、「来年十月の約束期限内の工事終了には若干の懸念がある」ということで、その中身にかかわって、ECCSの関係補修約二十項目、これが新たに必要になった――これは当然必要でしょう、スリーマイル事故のあの教訓をくみ取るという意味で。ということで、これに載ってないことも必要になってきているんだということを発言をされている。一つはきょう、どういう項目で、どういうスケジュールでこれからやっていくのか、資料を一遍私が欲しいと言ったら、出てくるこれにはECCSが入っていないという、これが一つの問題です。そしてECCSの改修をやるということになれば、当然十月までにやるということは無理になってくるんじゃないか。それを来年の十月までにやるということであれば、どこかで手を抜くということが起こりやしないかという一つの例としていま私は問題を提起をしておるわけです。
#185
○政府委員(石渡鷹雄君) きょう昼ごろお届けいたしました線表は、遮蔽改修の主要工事の線表でございまして、ECCSの強化と申しますか、ポンプ能力の強化の項目は別の総点検に伴います作業になるわけでございます。そして工事といたしましては、この遮蔽改修の期間内に適宜織り込んでやるということになっている次第でございます。
 次に、手抜きという御表現でございましたが、私どもは二度の失敗は許されませんので、そういうことが絶対にあってはならないと考えております。
#186
○佐藤昭夫君 答弁に窮していまのような答弁をなさっているけれども、何かちょっと苦しそうな答弁でしょう。そういうことであれば、これは遮蔽改修の部分だけでと言うんですけれども、私は遮蔽改修部分の工事計画表を出してくれと言ったわけじゃない。改修計画表を出してくださいということで言ったのだから、一遍全貌を出してください。
#187
○政府委員(石渡鷹雄君) これに追加いたしまして、総点検関係の工事項目並びにその線表を提出いたします。
 それから先ほどTMI関連でのECCS関係の工事はポンプのアップと申し上げましたが、それもいたしますけれども、直接のECCS関係の工事は信号の追加が中心となるものでございます。訂正させていただきます。
#188
○佐藤昭夫君 いずれにしましても、野村理事長は約二十項目というふうに新聞報道によれば発言をされているわけでありますから、ひとつそういう全貌をきちっと提出をしていただいた上で、重ねて私は手抜き改修になるおそれありという問題について、引き続き今後の委員会の中でただしていきたいというふうに思います。
 それではもう余り時間がございませんが、防災対策の問題、原子力安全委員会のもとでの原子力発電所等周辺防災対策専門部会、ここが六月にこういう冊子になっていますが、一年三カ月かけて、今年六月に「原子力発電所等周辺の防災対策について」という文書を発表されたわけでありますが、アメリカと比較しても、人口密度が高く国土の狭いわが国で、世界にも例を見ない集中立地があるという、そういうわが国の状況のもとで、どうやってこの防災対策を樹立していくかということは、いろいろ困難性もあるということは一般的に理解はできるわけでありますけれども、今回出されたこれについては非常に重大な盲点といいますか、弱点といいますか、それがあるんじゃないかということを随時指摘をしていきたいと思うのですけれども、まずこの報告書に基づいて、科学技術庁なり通産省、それぞれすでに行政措置としてどういう措置をとってきたか、またこれからとろうとするかということをそれぞれにお尋ねをします。
#189
○政府委員(赤羽信久君) 本年の六月三十日に、御指摘のように原子力安全委員長から内閣総理大臣へ報告書が報告されました。その後七月十日、総理大臣からこの旨を各省庁の大臣、それから中央防災会議の会長に送付しております。したがいまして、関係行政機関ではこの報告書の趣旨を尊重して、防災業務計画の見直し、それから各種マニュアルの作成、そういった原子力防災に必要な措置を現在進めておるところでございます。また地方の各県に対しましても、中央防災会議会長から正式にこの報告書が送付されております。各県ではこれを受けまして、この報告書で示されました指針に沿っていわゆる地域防災計画の充実整備を現在進めているところでございます。
 科学技術庁といたしましては、科学技術庁の防災業務計画を見直しいたしておりますし、また地方に対するモデル地域防災計画の作成を進めておりまして、今後とも各機関と十分に連携をとりながら、各県の行う地域防災計画の見直し作業への助言、指導を行っていくということでございます。また、報告書で別途指摘されております緊急助言組織の運営体制の確立、それからもう一つ、原子力防災に必要な施設、機器の整備、そういうことが指定されておりますが、これは予算措置も含めまして現在すでに着手しております。大体五十六年度で一応の完成を見る予定で進めております。
#190
○政府委員(児玉勝臣君) 通産省といたしましては、先ほど安全局長からお話がありましたように、中央防災会議の決定に基づきまして各電力会社に対してこの指針を尊重してその実施を図るようにという通達を出しております。それからまた、地方公共団体が行っております防災計画の見直しについて、またその必要な助言、指導ということも行っております。また、原子力発電所での事故が発生した場合の迅速な情報の伝達網の整備ということで、五十五年度予算におきまして資源エネルギー庁と各サイト、それから資源エネルギー庁と県、県と市町村の間のいわゆる連絡網の整備につきまして近く着手するという段取りになっております。そういうことで、まずその情報の伝達網の整備ということを実際に完備したいというふうに考えております。また、その後と申しますか、通産省におきましても防災業務計画をすでに改正しておりまして、原子力発電所事故対策本部が直ちに設置されるようになりましたし、その本部において行う業務の内容についても定めまして、そういう事故に行政上もすぐに対応できるようにしておるわけでございます。
#191
○佐藤昭夫君 いま御説明があった具体的な内容についてはまた今後ただしていきますが、ちょっと時間の関係で次の質問に進みます。
 この防災対策のいわば最大の特徴は防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲ということで、人口分布とか行政区画とか地形とか等々、そういう地域的特性に応じて一定の幅を置いておりますけれども、二キロの幅を置いておりますけれども、八キロないし十キロの範囲が防災対策を重点的に行うべき地域だというふうに、目安という表現使っておりますけれども、いわばそのことは逆に言えば、もう十キロ以上離れたどころは防災対策は考えなくてもよろしいということを示しておると思うんです。
 ところで、アメリカのNRCのスリーマイル島事故特別調査報告、ロゴビン報告というのが八〇年の一月に出されているわけですけれども、この報告によりますと、防災対策上、新しい原発立地地点は人口中心地から少なくとも十マイル、すなわち十六キロ以上離すべきであるというふうに指摘をしている。そうすると、大ざっぱに言って倍の違いがあるわけですね。ロゴビン報告によれば、防災対策を講ずべきところは少なくとも十マイル、十六キロ、ここをとらなくちゃいかぬと。ところが、わが国の場合には八ないし十キロだと。こういうふうにした一体根拠はどういうことか。
 それから、時間ございませんのでついでに聞いておきますけれども、同じくこのロゴビン報告で既設の炉について、人口密集地から十六キロ以上離れていない場合、事故軽減システムの追加ないしその原発の運転がきわめて重要と大統領が認める以外は停止すべきであるというふうに提起をしているわけです。これたとえば島根原発の例でいきますと、県庁所在地松江市というのは八キロしか離れていない。そうなると、この島根原発は出力低減措置をとるのが適当だというのがロゴビン報告の考え方でありますし、いわんやあの島根でまた二号炉をつくるという話さえ出ているということですけれども、それはアメリカがすべて一〇〇%正しいということではない、よく吟味をしなくちゃいかぬと思うんですけれども、しかし余りにも日本の考え方とアメリカの考え方との食い違いが出ている。こういう問題については、実は本日吹田安全委員長に来ていただいて、やっぱり安全委員会としてこれをおまとめになったんだから安全委員長からもお聞きをしたかったんですけれども、きょうどうしても所用があるということですので、かわって事務局からの答弁を求めます。
#192
○政府委員(赤羽信久君) まず、重点地域を八ないし十キロメートルとした根拠でございますが、防災専門部会におきます議論を見ますと、二つの条件を考えております。一つは、非常にめったにないような大量の放射性物質の放出があった場合、そしてその放出物がこれもまためったに起こらないような一方的な厳しい拡散条件にあった場合、たとえば気候等でございますが、その場合でも八ないし十キロ、これは場所によって若干違いますが、それより外側の地点の被曝線量は、退避等の特別な防護対策を必要とする指標の最下限値、ここでは全身一レムをとっておりますが、それより十分小さくなる。したがって、八ないし十キロメートルの半径内における重点的な防災対策を充実しておけば十分であるという考えが示されております。
 一方、アメリカの十マイルという報告につきましては、これはロゴビン報告自身も指摘しているわけでございますが、必ずしも技術的根拠から出したものではなくて、アメリカでの現状を含めまして実行可能な範囲という数字を出したというふうに聞いております。また、NRCにタスクフォースができてこの原案をつくったわけでございますが、そこでも、これはアメリカについてのことであって諸外国に適用可能と考えていないということも言っておるようでございます。わが国独自の判断で八ないし十キロメートルで十分であると考えたわけでございます。ただし、それより外側については何にもしないのかと申しますと、これはむしろ自然災害を含めまして一般的な防災計画が準備されておりますので、どうしても必要な場合、非常にわずかなことかと思いますが、どうしても必要な場合はそれを動員すれば十分に事が足りる。時間的余裕もあることでございますので、十分な時間がございますので、一般の防災計画、対策で十分に事足りるという後ろ盾があるということでございます。
#193
○佐藤昭夫君 アメリカのロゴビン報告などは、アメリカの地理的特性に応じて出されたものだと言うのですけれども、地理的特性といえば日本の場合はアメリカよりも原発周辺地域というのは人口密度高いでしょう。アメリカの方が高いですか、日本の方が人口密度高い。だからアメリカより考え方を厳しくこそすれ緩めていいというような、そういう結論が出てくるはずがない。私いまの答弁はどうしても納得できないんです。
 もう一つの例、今度のこれでいきますと、いわゆる飲食物の摂取制限等の対策を要する範囲ですね。水飲んだらいかぬ、生野菜食ったらいかぬという範囲ですけれども、これは事故が起こって放射性物質がずっと拡散する、その拡散に時間的余裕があることや、それから冷蔵庫にしまっておるとかなんとか、代替の飲食物の供給措置、こういう対応をしていくことも可能であることを理由に挙げて、そういう飲食物の摂取制限をしなくちゃならぬ範囲については何も目安は示さないわけです、今回のこれは。ところが、これもアメリカの例ですけれども、これを扱っているアメリカのNRCあるいは環境保護庁EPA、ここが出した緊急時計画地帯、EPZという指針があるわけです。これでいきますと、そういう食物摂取制限地域、これは半径八十キロだというふうに示しているわけですね。半径八十キロといいますと、たとえば私京都ですから、京都の例でいきますと、福井原発銀座といわれるごどくばあっと原発が集中をしておる、あすこで事故が起こる。そうすると、大体もう京都市が全域八十キロの範囲にすぽっと入る。もう大阪、兵庫、福井にもかかる、水がめ琵琶湖もすぽっと入るという、こういうところが危険ですよということで、アメリカの場合には具体的な提起をしているわけですけれども、今度のこれは範囲が広い狭いのことでなくて、具体的な数値的目安も示してないということは、これは大問題じゃないか。こんなずさんな防災対策というものは断じてあり得ないということを重ねて強調しておきまして、やっぱり責任者は安全委員長ですので、次回、安全委員長に来てもらって、事務局の答弁では責任が持てないということになろうと思いますので、次回、安全委員長に聞くということで、本日私終わります。
#194
○吉田正雄君 ただいま佐藤委員の「むつ」の改修計画についての資料請求のやりとりを聞いておりまして、私は本当に不愉快に思ったんですよ。不愉快というのも午前中大臣にも資料問題では申し上げておったとおりなんですけれども、私は「むつ」改修計画についての計画表なり日程表なりというものについて、政府委員室に正式に出してくれという要求をやって持ってきたんです。ところが、きわめてずさんな日程表であり計画表であったものですから、こんなものじゃ役に立たないということで、もう少し詳細に、それから全計画がわかるような資料を提出してもらいたいと言いました。ところが、いまの答弁を聞いておってもわかりますように、いや遮蔽工事と思っておりましたから総点検は別ですなんて、改修工事というのは総点検をやって初めて改修計画、工事日程というのが出てくるわけでしょう。改修工事と言われて総点検が入っておりませんでしたから、そこの部分は除きましてECCSは入っていませんなんて、こんなばかな話はありませんよ。そして相変わらず持ってきてない。持ってきてなくて、佐藤委員のところにもきわめて不完全なものがきょう出されたということなんで、私は毎回というよりも何回になりますか、この委員会で資料提出の問題について指摘をしてきたことは三回、四回にとどまらないですよ。そのたびに大臣も答弁をし、事務当局もそのとおりやりますと言いながら資料提出が半年後になってみたり、いいかげんなものを出してみたり、新聞に報道されれば翌日あわてて今度は訂正と称して持ってきたり、全くずさんですよ。こんなことで一体原子力行政どうするんですか。委員会に対する責任を負っておるんですかね、審議できませんよ、こんなばかなことをやっているんだったら。審議をやってもらいたいということであったならば、ちゃんと資料は出し、それに基づく審議をやらなければいけないじゃないですか。何をやっているんです、一体。大臣、全く問題にならぬですよ、これは。これで何を審議するんですか。いずれ原子力船、この事業団問題の法案が出てくるでしょう。こんなずさんなやり方や、秘密にして資料も出さないで何を審議するんです。審議ができるんですかね、これは。そういうことで法案の問題は別として資料の取り扱いについては、こんなずさんないいかげんな、あるいは委員会軽視の態度というのは許せないですよ。そういう点で私は個人的なというよりも、国会として審議をするんですから、委員に出す資料についてはやっぱり全員に配付すべきだと思うんです。そういう点でいま私が言ったことも含め、あるいは午前中に請求をした資料、これ、出すと言っているんですが、私は何も個人的に出してくれと言っているんじゃないんです。国会審議に必要だから出してくれと言っているのであって、そういう点で今後の資料請求については委員長の方でしかるべき取り扱いをひとつやっていただきたいと思いますし、それから歴代、確認をいたしておりますから、決まりきったこういう資料、たとえばいまの報告書等ですね、これは記者クラブにも全部配られる。関係方面には配られる。国会議員に対しては、この関係委員に資料請求しなかったらくれないでしょう。こんなばかな話ないということで前から何回も言っている。ちっとも改まってない、約束しながら。そういうことでこれは委員長、きちっとここでもって確認をしていただいて、やってくださいよ。大臣、けしからぬですよ、本当に。
#195
○国務大臣(中川一郎君) 御指摘いただきましてまことに恐縮に存じますが、実はこの工程表は普通の工事とは違いまして、ああいう窮屈な中で修理をするわけですから、なかなか見通しは立ちにくい。ある程度やってみないとどういう工程であるか、普通の道路とか何かならば過去の経験から言って工程というものは生まれやすいということではあったのですが、先ほど御指摘のあった原子力事業団を含めた自民党の原子力船対策委員会ですか、そのときにひょっとしたら期限がおくれるかもしれないぞということが地元に伝わって、地元としてそれでは困るという申し入れがあって、概略でもいいから、少々違うことがあってもいいからつくってくれというので、きのうきょうのうちにつくった資料でございます。
#196
○委員長(太田淳夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#197
○委員長(太田淳夫君) 速記を始めてください。
 委員長としてお願いしますけれども、午前中から資料要求については佐藤君あるいは吉田君からございましたが、要求のあった資料についてはきちんと提出できますでしょうか。その点ちょっと確認します。
#198
○政府委員(赤羽信久君) 吉田先生からございました質問に関する資料は、先ほど申し上げましたように、二週間程度の間で提出いたします。
#199
○政府委員(石渡鷹雄君) 資料は提出いたします。
#200
○委員長(太田淳夫君) それでは、両君から資料要求のありました点につきましては委員会の要求資料として委員長の手元に提出をしていただくようにお願いいたします。理事会の承認を得た上で委員各位に配付したいと思いますので、その点よろしくお願いします。
#201
○小西博行君 民社党・国民連合を代表いたしまして、二、三の点について御質問申し上げたいと思います。
 これは長官にお願いしたいと思うんですが、実は私自身が長い間特に経営の技術指導ということを今日までやってまいりました関係で、特にその面について、まず大変常識的なことでございますけれども御質問申し上げたいと思います。
 特に戦後の経済、日本は大変大きな発展をなし遂げてきたわけであります。これは一九五〇年、六〇年、七〇年というふうな大変な勢いで、世界にも余り類を見ないほどの発展をなし遂げてまいりました。そこで、私はその発展の理由として、本当にごく常識で結構でございますが、長官のお答えをいただきたいと思うのです。日本経済の発展の理由をいろいろお願いしたいと思います。
#202
○国務大臣(中川町郎君) 御指摘のように、日本はあの敗戦で失った経済をここまで建て直してきたということは、世界が驚いておるところでございます。その理由といえば、まず第一番目には日本人が勤勉であったということも一つでありましょうし、また自由主義経済体制を堅持してきたということも一つでありましょうし、あるいは港湾に恵まれて資源を輸入しやすいということも一つであったでございましょう。貿易立国としては非常に恵まれた地理的条件にあったということだと思います。それに加えて、やはりわが国の研究陣、あるいは外国の研究を吸収、そしゃくして技術が世界に冠たるものであった。こういうことの積み重ねが今日の驚異的な発展をした理由の主なものだろうと、こう見ております。
#203
○小西博行君 私も大体同じような考え方でございますけれども、特に最後におっしゃいました外国技術という問題が実は大きな要素ではないだろうか。これはキャッチアップというような言葉でよく述べられているわけでありますけれども、そういう意味で、これから先の特に技術開発、こういう問題が実は大きな要素になってくるのではないか。科学技術の問題につきましては、日本的な大きな課題、たとえば先ほど皆さん方がおっしゃっておられましたような原子力の問題、あるいはもっと広く言いますとエネルギーの問題、あるいは海洋開発というような非常に大きな問題でとらえる場合もございますでしょうし、実際産業から申しますと、現実にそれぞれの企業がいままでになかったようなすばらしい技術の開発というものを何かの形でやっていかなくてはならないというふうに私は考えるわけであります。そういった意味では、どうやらいろんな資料を調べさしていただきますと、だんだん技術導入に対する費用といいますか、わが国が払う費用がだんだん減少している。この辺にはいろんな理由があろうというふうに考えるわけでありますが、その辺の理由をひとつ聞かしていただきたいと思います。
#204
○政府委員(園山重道君) お答えいたします。
 先生御指摘のように、いわゆる技術導入と技術輸出の比率あるいは研究開発費全体と技術導入費の比率ということは、大分改善と申しますか、技術導入の分が少なくなってきておるということは先生御指摘のとおりでございます。その理由でございますけれども、やはり第一番目には、戦後荒廃した時代、全く産業の基盤、科学技術の基盤が破壊されました当時に比べまして、やはり実力がついてきたということが、やはり何よりも一番の原因であろうかと思っております。そのほか、これを現象的に申し上げますと、やはりいろいろな分野の中でよく言われますように、今日貿易摩擦を起こしておりますような自動車でありますとか、電気製品でございますとか、鉄鋼もそうでございますけれども、そういう分野におきましては、もういわゆるトップランナーの位置に日本もついてきたということでございます。したがいまして、諸外国からもう技術を導入するという時代ではなくて、やはりみずからつくり出していかなければならないという時代になってきておる。一方、世界的に、よく言われますが、最近は新しい技術革新というのが停滞しておるという世界的な情勢もございます。そのようなことで、いわゆる技術導入、技術を導入しこれを加工いたしまして高度な製品をつくって輸出してドルをかせぐという時代がどうやら終わりを告げておりまして、これからますますみずからの技術をつくっていかなければならない、こういう時代に入ってきておると、このような認識を持っております。
#205
○小西博行君 そして、特に、産業をいろんな形で分析をしてみますと、二次製品と一般によく言われます、二次加工でございます、物をつくる、製品をつくるという産業が大変いま伸び悩んでいるわけであります。確かに全体的に見てみますと、三次産業といいますか、流通といいますか、物を売るというか、そういう部分が大変いま盛んになっているわけでありますが、どうしてもこれから先は、外国の安い、安いというよりはむしろ高くなるわけではございますけれども、外国の資源を導入して、そしてそれに技術開発を加えて付加価値の高いものという、そういう方向を模索していかないと、特に雇用創出という問題を考えましても大変私はむずかしくなってくるのではないか、そのように実は考えているわけであります。そういった意味では、今回の長官の所信表明の中にございましたように、特に一番に研究開発資金の確保という問題がございまして、大変これに私も関心を持ったわけであります。特にこの研究開発費を見てみますと、米国、ソ連、日本というふうに、大体三番目の投資金額になっているわけであります。まあ金額にしましたらアメリカの三分の一ということがこのデータで出ているわけでありますけれども、特にこの辺で中心的に、技術開発の中で、先ほどの話を聞きますと原子力ということが大変重点的になっておる、そしてそれが資金的にも予算的にも一番大きなウエートを占めている、こういうことを認識するわけでありますけれども、そのほかにも私はたくさんの必要な技術があるのではないか。その辺をあわせて、この資金の有効な活用というんでしょうか、この辺をちょっとお伺いしたいと思います。
#206
○政府委員(園山重道君) 御指摘のように、研究資金につきましてアメリカ、ソ連に次ぎまして、これは五十三年度の統計の数字でございますけれども、約三兆五千七百億円という規模になっておるわけでございます。で、ただいま御指摘のこれの有効な活用の仕方、どういう分野という御指摘でございますけれども、私ども、やはり日本の特質と申しますか、これまで経済成長を遂げて驚異的な戦後の復興をしてきたということの原因の一つに、やはりあらゆる分野で非常な努力をしてきたということがあるかと思うわけでございます。したがいまして、よくどの分野に重点指向するかというお話がございまして、これからまさに先ほど申し上げましたような技術を導入して、ただそれを改良していけばもうかるという時代でなくなってまいりますので、これからその重点指向というのは非常に重要な時期になってきておるかと思います。ただ、やはり御指摘のように資源のない日本でございますし、今後やはり二十一世紀に向かいまして科学技術で生きていかなければならないという日本でございますので、どういう分野に重点を指向するかということは非常に重大な問題でございまして、やはりプライオリティーをつくっていくというような問題につきましては、やはり国内の非常な調査研究に基づくコンセンサスをもとにして決めていかなければならない、こう考えておるわけでございます。
 ただ、そういういわゆる縦割りの分野の問題は別といたしまして、先ほど申し上げましたようなこれから自分で技術をつくっていかなければならないということを考えますと、御指摘のような当面の問題としてのエネルギー対策ということは非常に重大な問題でございますけれども、そのほかにこの先の将来を考えました場合には、やはり基礎分野に対する投資、基礎研究というものをいかに充実していくかという意味での投資というのもこれからますます重要になってくるんじゃないか、このような考えを持っておる次第でございます。
#207
○小西博行君 そこでちょっとお聞きしたいんですが、私も実は経営工学という分野で大学でいろいろ指導をやっておりまして、企業でもそうでございましたけれども、実際に技術投資というんでしょうか、この金額の流れる方向というのは当然大学という分野、これは文部省関係になると思いますけれども、大学で当然基礎的な研究ということで使っていただくという分野もあると思います。それから特に優秀な企業といいますか、そういう企業の中での研究開発という分野も決して見逃すわけにはいかないと思うのです。そういった意味で考えますと科学技術庁という本来の機能というんでしょうか、組織がこうなっている、あるいはこの分担はだれがやっているとかいうことじゃなくて、本当に科学技術庁が日本の科学技術のすべてについてコントロールしやすい状態というのは、現実がそうであると言ったらおしまいでありますけれども、実際の組織的なコントロールの仕方といいますか、大学に対しては非常にやりにくい。これは文部省管轄でやってしまうから余り具体的に先生の研究課題まで突っ込めない。実は本当にほしいのは、こういうテーマでぜひやっていただきたいというのが実はいま求められている一番大事な問題ではないかと思いますので、その辺の所見をひとつ聞かしていただきたいと思います。
#208
○政府委員(園山重道君) 御指摘のようにこれからの基礎研究と申しますか、新しい科学技術の種をつくり出していくというためには、やはり大学、民間、国立の試験研究機関、これが共同研究を進めていくというような問題と、さらにはいわゆる組織にとらわれない優秀な研究者というものの集まりを考えていくというようなことが必要かと思っております。
 ただいま御指摘の体制の問題でございますけれども、御指摘のように科学技術庁はその設置法におきまして大学に関することは除かれておるわけでございます。それからまた、民間に対しましては、もちろん官のいわゆる一つの範囲、責任、限界というものもございます。ただ、こういった今後のことを考えますと、まさに官学民と申しますか、これの協力体制というのはどうしても必要でございます。現在私どもが事務局をいたしております科学技術会議というのがございますが、この科学技術会議では大学の問題も含めまして全体の科学技術の問題について基本的な政策を考えるという場になっております。したがいまして、そういう場を通じまして、まさに御指摘のようなこれからの日本の科学技術はどうあるべきか、その中における官学民の役割り、あるいはその連携はどうあるべきかという内容的な詰めを大いにやっていただかなければならぬかと思っております。これを実際の行政施策の上に出していくという場合にはいろいろ制約もございますし、この辺につきましてはまたこれからいろいろ考えていかなければならないことかと思いますけれども、まずは、そういった科学技術会議等の場を使いまして今後の科学技術振興のために官学民どうあるべきかということを真剣に考えて詰めていくということが第一かと考えておりまして、私ども鋭意その辺の研究をいたしておるところでございます。
#209
○小西博行君 先ほどの予算の問題でございますけれども、白書でいろいろ調べさしていただきますと、かなり政府の科学技術の研究投資というのが、民間といわゆる国からの費用というものが国によってずいぶん違うということを確認さしていただいたわけですけれども、その辺の数字を具体的にひとつ教えていただきたいと思います。
#210
○政府委員(園山重道君) 国全体の研究開発費に対します政府の負担割合という御質問かと思いますけれども、日本の場合には五十三年度で申しますと政府の負担が二八%、したがいまして、民間が七二%ということでございます。先ほど申し上げました五十三年度三兆五千七百億でございますので、このときの政府の負担というのは二八%でございますから約一兆円弱、九千九百億程度になっておるわけでございます。これに対しましてアメリカは政府の負担が五〇・四%、したがいまして民間が四九・六%。イギリスの場合は政府が五一・七%、民間が四八・三%。西ドイツが四一・三%が政府の負担、民間が五八・七%。フランスの場合は政府が五二・七%、民間が四七・三%。これはそれぞれ統計の年度が若干違っておりまして、日本とアメリカは五十三年度でございますが、イギリスは五十年度の数字、西ドイツ、フランスは五十二年度の数字、そういう負担割合になっておるところでございます。
#211
○小西博行君 これは米国の場合に五一%というのは軍のいろんな研究費というのも同時に入っているんでございましょう。
#212
○政府委員(園山重道君) 入っております。これはいわゆる軍用研究、国防用研究と申しますか、これを含んでおりまして、国防費を除きますと若干各国減ります。日本の場合には国防研究費というのは非常に少のうございますから、先ほどの二八%が二七・五%ぐらいになるわけでございます。そのほかの国で申しますと、アメリカの場合はたしか三十数%でございまして、ヨーロッパの国で先ほど五〇%と申し上げましたのが大体四〇%前後ということになりますが、いずれもやはり国防研究費関係を除きましての日本の政府負担割合よりは一〇%以上高い、こういう関係になっております。
#213
○小西博行君 実は私はこのように考えるわけでありますが、ここに出てきている数字というのは、たとえばアメリカの場合の実質的な数字というふうにはちょっと理解しがたいわけであります。と申しますのは、アメリカの場合には御承知のように、たとえば人工衛星の打ち上げ、あるいは月ロケットといいますか、そういう非常に大きなプロジェクトを組んでやられましたですね。そういう中にすばらしい技術といいましょうか、こういうものが一般の民間にどんどん流れていくという非常にうらやましいような一つ形があるわけであります。したがいまして、この軍の問題はおきましても、たとえば原子力という問題、先ほどから審議されておりますけれども、そういう問題につきましても恐らくいまの予算外に大変大きな技術がそこにつくられるような要因があるのではないだろうか。何も人間そのものについてアメリカ人よりも日本人が劣っている、アイデアがないというような問題じゃなくて、かえってそういう非常に計画性を持って、しかも予算をちゃんと組んでやられているんではないかなと、その辺のところはいかがでございましょうか。
#214
○政府委員(園山重道君) 確かに先生御指摘のように、たとえば宇宙開発で申しますとアメリカのアポロ計画というのが非常な波及効果をあらゆる産業技術分野にもたらしたということがよく言われるわけでございまして、一つのスケールメリットと申しますか、大きなプロジェクトを遂行するという場合に、それに関連いたしまして派生してくるいろいろな技術問題というものを解決していくということが、ほかの分野に波及していくということは確かであろうかと思います。したがいまして、そういう巨大な計画というものが進むということは、その分野だけでなくて、科学技術全般にわたっていい効果をもたらすということは確かであろうかと思っております。
 ただ、よくこれも言われることでございますが、しからば、その巨大な計画で波及効果をねらうのと、その波及効果を必要とする分野にそれなりの予算を投ずることと、どちらが効果的かというような議論もございますので、一概に巨大なものをやることが一番いいということは言えないかと思いますけれども、アメリカあたりでそういう大きな計画というものが科学技術全般にわたって非常な効果をもたらしておるということは確かであろうかと思います。
#215
○小西博行君 それで、特に私は、創造性というのでしょうか、創造性をとにかく高めて、樹立して、すばらしい技術を日本でつくっていく必要が大変大きなこれからの要因になってくるのではないかという問題がございます。そこで、特にそういう意味のアイデアというんでしょうか、これはまあ私もいま文教委員もやっておるわけでありますけれども、どうもそういう行動性といいますか、それが日本人には、本質的にはあるんだろうと思いますけれども、いろいろな条件の中でずいぶん消えているんじゃないだろうか。
 そういう意味で、いま特許という制度がございます。これを調べてみますと、年間にずいぶんたくさん出ているわけでございます。大体十七万件前後の特許がいま日本では出ておりますね。これはアメリカだとかソビエト、西ドイツに比べましてずいぶん件数が多いわけであります。そういった意味で、この特許関係、一般の市民といいましょうか、そういう方々のアイデアということ、同時に、その方は、一流企業といいますか、非常にりっぱな会社へ勤めていらっしゃる方もあるでしょうし、あるいは省庁へお勤めの方もいらっしゃるでしょうけれども、そういうようなものをもう少し発展的に生かせるような、たとえば、それを少し金を出してやってプラントで実験をやらすとかいう、あるいはもっと具体的に大きなものに転換していくとかいうような、そういう意味で、いま特許の審議というのは非常に時間もかかりますし、本人がやる気になりながら、現実にはそれがストップされている部分というのは大変たくさんあるだろうと思うんです。そういう意味の部分についてはどういうふうにお考えでございましょうか。
#216
○政府委員(園山重道君) 特許制度そのものにつきましてはこれは通産省御所管でやっておられますので、私、その制度上の問題ここで申し上げる立場にございませんけれども、最初に御指摘のございました創造性という観点から見てまいります場合に、確かに特許の出願数というのは、日本は非常に図抜けてほかの国より多いということは御指摘のとおりでございます。
 ただ、創造性に関しましてよく言われておりますことは、やはり先刻これは先生御承知のことと思いますけれども、日本は非常に改良技術――技術を改良していくということは非常に得意である。したがいまして、これが戦後の、先ほども申し上げました、外国から技術を導入してこれを非常に高信頼性の製品に仕上げていくという過程で非常な力を発揮したということでございます。
 ただ、今日創造性ということが各方面で非常に言われております。私どももある方法をいま研究中でございますけれども、その場合の創造性ということで言われております点は二つあるかと思っております。
 一つは、まさに何と申しますか、全く革新的な新しい技術、科学技術の芽を出していくというような創造性でございます。御承知のような原子力のそもそもの発明でありますとか、あるいはコンピューターでありますとか、トランジスタでありますとか、そういう世の中の様相に非常な変革をもたらすような新しい技術をつくり出していく。俗に言えばノーベル賞受賞者で物理化学関係というのはそういう人たちでありますが、ノーベル賞受賞者が日本は非常に少ないというような指摘がある面で行われております。確かにそういう意味で、これは御承知のような西欧的な科学技術を取り入れてまだ一世紀余りという日本でございますから、そういう中で西欧諸国と比較するということは一つの無理があるのかもしれませんけれども、そういう全く革新的な新しいブレークスルーをもたらすような技術の種をつくっていく創造性というのがどうも一つ足りないんじゃないか。
 それからもう一つは、具体的に先ほどから申し上げておりますような企業が戦後外国からその種を持ってきておったのが種がなくなってきた。中進国あるいは開発途上国、さらには先進国からも追いかけられる立場になる、そうすると、これはまさに産業技術の種というものをみずからつくり出していかなけりゃならない。非常に革新的なものから改良的なものを三段階ないしは四段階に分けて論じておられる方々おられますけれども、そういう意味で比較的改良をしていくというようなこと、恐らく特許の十何万件の中に相当そういう分野が多いんではないか。もっと本質的な新しいものをつくり出していくという創造性を、何とかこれを改良しなければいかぬのじゃないか。その辺がこれはどういう方策をとればいいのかということは非常にむずかしい問題でございまして、もちろん先生御指摘のように、教育の問題も絡んでまいりましょうし、その辺をこれは今後の日本の科学技術の一つの重大な問題であるということで、私どもいろいろ先生方の御意見承ったり等いたしまして、何とか模索をしておるところでございます。
#217
○小西博行君 科学技術庁の方でこういう創造的な科学技術の振興の方策といいましょうか、お考えがあるのではないかというふうに聞いたことがございますが、具体的にこれは通産省でも考えておられるというんですけれども、多分同質のものじゃないかと思うんですけれども、具体的にちょっとお話しいただきたいと思います。
#218
○政府委員(園山重道君) 現在科学技術庁で予算要求等もいたしておりますけれども、これは先ほどから申し上げましたように、一番高いレベルの創造性、非常な技術革新をもたらすような種をつくり出していくということを目指しておるわけでございまして、そのためにはやはり先ほど官学民の連携ということを申し上げましたけれども、既存の機関、研究所、大学等が協力する、協同するということではどうもなかなかむずかしいのではなかろうか。やっぱりそういう段階になりますと、どうしてもこれは優秀な、そういう意味で創造性の非常に高い研究者の人たちというものを組織を越えてお集まりいただきまして、そこで一つのグループを編成していく。そこで高度な創造性を発揮できるような一つの雰囲気のもとに共同研究をしていただくというような制度が必要ではないだろうかということでございまして、したがいまして、こういうものをやりますのに何か新しい研究所をつくるというようなことではございません。科学技術庁傘下にございます新技術開発事業団というのに一つの役割りを果たしてもらいますけれども、いわゆるどこか決まった研究所をつくってそこに集まるということではなくて、その核となるようなすぐれた指導者のもとに各方面からのすぐれた研究者にお集まりいただいて、そのグループとしてのきわめて先端的な基礎的な研究を進めていただく、そのための新技術開発事業団で事務的なお世話並びに経費というもののお世話をするというような制度をいま考えているところでございます。
#219
○小西博行君 実はそういう新しい分野でいろいろ模索していくわけでございますけれども、私は科学技術という非常に広い分野で考えてみますと、単に予算という問題だけではなくて、実はライフサイエンスというような非常に原子力とはかけ離れたような分野、あるいは現在の時点では大変むだではないかというような問題が、これは実は十年、二十年先には非常に大きな効果をなしていくという分野があるだけに、しかも科学技術庁の中でもいろんな専門の方がいらっしゃるのではないか、もちろんそれは一般産業でもそうであります。そういう意味で、ここで審議は特にいまエネルギーという問題でどうしても原子力中心にならざるを得ないわけでありますけれども、特にそういう非常に予算も少ない、人数も少ない、組織も非常に少ないという分野においても、科学技術庁の方でそういう分野をぜひとも長官、やっていただきたい。ある企業ではかえってむだなものといいますか、本当にいま役に立たないものは何かというようなことで研究テーマとして盛んにやっておられるということを実は聞いたことがございます。本田自動車なんか見てみますと、恐らく単車の設計その他というような、あるいは材質の問題ということになりますと二十五、六歳が大体リーダーシップをとってやられているというふうに聞いたこともございます。
 したがいまして、どうやら年功序列的な雰囲気といいますか、そういうものじゃなくて、本当にこれから先日本の科学技術発展のためにこういう人間をつくらなきゃいかぬという、これは教育の問題でもございますけれども、そういった意味では科学技術庁の内部においてもそういう問題がたくさんあるのではないか。したがいまして、私はいろんな分野について非常に細かい分野であってもそれが将来のために大変重要である、このようにも考えているわけですから、ひとつよろしく御検討していただきたいと思います。
 大変時間が少ないわけでありまして、きょうは特に一般質問ということで、実は議員になりまして初めての質問でございますし、いろんな分野でかえって教えていただきたいというふうに考えるわけです。
 エネルギーの問題というのが先ほどからいろいろ挙げられているというふうに私は考えるわけであります。これから恐らく日本の産業を発展させるためには、当然エネルギーという問題は避けて通れないような大きな問題になるというふうに私も考えるわけであります。したがいまして、ここで言われております原子力の問題というのは次の機会にするといたしまして、いまサンシャイン計画とかその他いっぱいございますね。そういう問題について計画をびしっと立てられていまやっておられますけれども、あの計画どおりに大体いま進行しているのかどうかということをあらましで結構でございますが、御説明願いたいと思うのです。
#220
○政府委員(園山重道君) 御指摘のように、エネルギー研究開発につきましては、科学技術会議の議を経まして内閣総理大臣が定めるエネルギー研究開発基本計画というのをつくっております。この中では、原子力も含めましてその他全体のエネルギーの研究開発につきまして、特にプロジェクト化して推進すべきものというのを二十八のプロジェクトをまとめまして進めております。そのほかの問題につきましては、基礎研究段階というようなものがあるわけでございます。プロジェクト化いたしておりますものの中で具体的に計画どおり進捗しておるかという御質問でございますけれども、これはやはりいろいろございます。と申しますのは、ただいま御質疑がありますような原子力の問題等につきましては、非常に焦眉の急の問題といたしまして具体的な計画が相当細かくできてそのとおり進んでおる、若干おくれもございましょうけれども。しかし、将来を見渡しました自然エネルギー問題でありますとか、そういう問題につきましては将来に備えるという意味で、この計画におきましても具体的に何年度に何をするということではなくて、たとえば一九九〇年代を目標とするとかいう包括的な表現にいたしておりますので、この計画に照らして一々そのとおり進んでいるかということはなかなか申し上げにくいわけでございます。
 なお、この計画はやはり毎年見直すことにいたしております。その時点での進捗状況その他によりまして大きく狂いが出てまいりますれば、これを見直すという形にしておるわけでございます。
#221
○小西博行君 特にその中で原子力発電という問題が一番実は大きな問題になっているのじゃないかと思うわけですが、この資料で見てみますと長期エネルギー需給暫定見通しというのが実はございますですね、そのところで昭和六十年度の原子力発電の規模を大体三千万キロワットアワーという方向に持っていくという具体的な計画を立てられて、そして推移しているわけでございますけれども、いろいろこれ考えてみましてもどうしても三千万まではいかないという実は現情があるのではないかと思うんですが、その辺のことについてちょっと御答弁願いたいと思います。
#222
○政府委員(石渡鷹雄君) 確かに長期エネルギー需給暫定見通しにおきましては、昭和六十年度に原子力として三千万キロワットを計価しているわけでございますが、現実の五年先でございますので、もうすでに計画ができているあるいはもう着工しているという段階のものでなければならないわけでございます。そういうものをずっと積み上げてみますと、現実には二千八百万キロワットぐらいというのが正確な姿になるかと存じます。
#223
○小西博行君 私ども産業の中にいる人間から見ますと、大変不思議なような感じが実はするわけであります。計画というのはあくまでも実行可能な計画というふうに実は考えるわけであります。そういう面でいきますと、それだけに原子力発電というのは地域のいろいろコンセンサスその他、予算もございますでしょうし、そういうむずかしい問題があるから、これが当初計画を立てられなかったということでございましょうか。
#224
○政府委員(石渡鷹雄君) 確かに昨年の八月の総合エネルギー調査会のタイトルは需給暫定見通しとなっておりまして、計画とは書き得ないという事情があったと思います。その一つが原子力であるわけでございますが、その他の項目につきましても努力目標と申し上げた方が正確かと理解しております。
#225
○小西博行君 確かに午前中の審議の中にもたくさん出てまいりましたように、大変危険な部分があるんだ、安全という面で大変危険な部分があるんだというお話で実はございました。どうなんでしょうか。私自身はとにかくこういう資源のない国であるし、日本はどうしても工業立国としてこれからどんどん発展していかなくてはならない、それしか財政確立の道はないというふうに私は考えているわけでありますけれども、そういった意味でいまのたとえば原子力発電という問題を一つとらえても、いろんな問題がたくさん出ていると思うんです。一番障害になっているような部分を二、三点ちょっとお聞きしたいんですけれども、よろしく。
#226
○政府委員(石渡鷹雄君) 最大の問題は原子力発電所の立地の取得が非常にむずかしいというのが現実の障害になっているわけでございます。
 その理由は何かということでございますが、やはりそこに原子力の安全性に対する全幅の信頼が得られていないという、先生先ほど危険な部分とおっしゃいましたが、安全性に対する全幅的な信頼が得られていないということであろうかと思います。
 さらに、なぜそれでは信頼が得られない部分があるのかというふうに突き詰めてまいりますと、やはりそこには今日までの原子力開発の過程で小さなトラブルでありましても、やはりそれが何かより大きな危険に結びつくのではないかという心配が必ずしも払拭し切れていないということ、それからさらに根底にはやはり日本国民と原子力エネルギーとの出会いといったものが非常に不幸な状態から始まったということに起因する心理的な要因といったものが大きく影響しているかと思うわけでございます。したがいまして、これは私どもといたしましては安全性の確立ということをまず基本に――いろいろ広報活動もやるべきであるという強い御意見もございます。それもやらせていただきますが、やはり基本はそういう安全な操業を積み上げて、はだで危険なものではないのだということを知っていただくというのが基本であろうというふうには考えておりますが、そういうことも踏まえまして、今日の原子力発電というものは御心配要らないんですということを、ぜひ国民の皆様にわかっていただくということが基本になろうかと考えております。
#227
○小西博行君 私はその中で特に広島の場合は原子力発電即原爆というか、広島も長崎もそうでございましょうけども、一般の市民というのはそういう部分が多分に実はあるわけなんでございます。そうではないんだというようないろんなPRも科学技術庁の方からしていただいて、大丈夫なのかなと思っているところへ例の「むつ」の問題とかということで、あるいは今度はまたアメリカで海洋投棄している問題が大きく報道されて、これは大変危険なんだというような形になっているわけであります。そういう意味で、どうもいろいろ技術的には世界的に一体どうなのって聞きますと、大体の学者なんかも、日本もかなりのいい線まで来ているんだと、技術的にはもうそうおくれてはいないんだと発言する先生もいらっしゃるわけでありますけど、現実そういうふうに絶対に安全だということがまだいま確証されてないということが、実は大変原子力関係をおくらしている大きな要因になっているんじゃないか。特に私は「むつ」がああいう状態になって大変船舶関係、舶用エンジンという問題でも恐らく相当おくれてしまうんではないか、そのように考えるわけでありますけども、安全という問題ですね、これは再チェックに再チェックを重ねるという方法もございましょうし、何かそこにいままでの、大学でも何でも結構でございますが、そういう研究を特にやっておられるようなところがございましたらぜひお答え願いたいんです。
#228
○政府委員(石渡鷹雄君) 原子力発電の安全性の研究、これは大きく分けまして二つの分野になるわけでございますが、一つは工学的な原子力発電炉というものが安全なのだと、またいろいろな考えられる心配の起こり得る事故に対してはこういうふうに技術的に対応すれば大丈夫なんだということを立証していくものを工学的安全研究と言っておりまして、主として日本原子力研究所、一応原研と申しておりますが、原研を主体に研究を進めているところでございます。
 それからもう一つの分野といたしましていわゆる放射線と生体、直接的には人体でございますが、人体に対して放射線がどういう影響を与えるのか、特にきわめて微量の放射線に対して生体がどういう影響を受けるのかという分野の研究がまた一つ必要と考えておりまして、この研究につきましては、やはり当庁所管の放射線医学総合研究所というところで研究をしているわけでございます。もちろん大学あるいは関係機関の御協力を得ながら進めているということは当然でございます。
#229
○小西博行君 私はとにかく安全という問題の予算化はいままで現実にやられているわけでございますけれども、特にこれは重点的にやっていただきたい。ある資料で見てみますと、この安全についてもずいぶんアメリカあるいはドイツあたりと比べて大変予算的に少ないんだということを聞いたことがございますけれども、実際の予算はどうでございますか。
#230
○政府委員(石渡鷹雄君) ただいま申し上げました二つの分野の安全研究で大体年間三百億円程度でございます。これは昨年、ことし、来年と大体そのレベルで資金を投入しているわけでございます。
 それから最近日本の安全性研究、特に工学的安全性研究につきましては世界的に非常に注目を浴びておりまして、非常にレベルが高くなってきているという意味でございます。そういう意味で、米国あるいは欧州の諸国からぜひ日本と共同研究をやりたいという申し込みが相次いでおりまして、相当のレベルに達しているというふうに御理解いただいて結構かと存じます。
#231
○小西博行君 私はそういう意味で少し安心したわけでありますけれども、大体年間三百億円ぐらいあれば、いまの陣容、これは人件費がかなりの大きなウエートを占めるのだと思うのでありますけれども、十分研究を進めることができるというふうに理解していいわけですね。
#232
○政府委員(石渡鷹雄君) はい。
#233
○小西博行君 結構でございます。
 さて、この原子力の問題というのは、いま私がちょっと質問させていただきましたように、特に安全という問題の方がかえっていま一番大きな問題になっているのじゃないだろうか。技術的にはかなりいい線まで来ているということも実は確認しているわけであります。したがいまして、私は何とかして科学技術庁が中心になっていただいて、一日も早く原子力発電が安全に進行できるように、そのことがやっぱり一般民間にとりましても大変コスト的にも助かりますし、やっていただきたいというふうに考えるわけであります。
 大変時間がぎりぎりになりましたんですけれども、初めての質問でございまして、次回からいろいろな面でまた教えていただきたいというふうに考えます。
 これで質問を終わります。
#234
○委員長(太田淳夫君) 本調査に関する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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