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1980/11/12 第93回国会 参議院 参議院会議録情報 第093回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第2号
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1980/11/12 第93回国会 参議院

参議院会議録情報 第093回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第2号

#1
第093回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第2号
昭和五十五年十一月十二日(水曜日)
   午後一時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月十一日
    辞任         補欠選任
     山中 郁子君     近藤 忠孝君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鳩山威一郎君
    理 事
                中西 一郎君
                松浦  功君
                小野  明君
                多田 省吾君
    委 員
                小澤 太郎君
                金丸 三郎君
                田中 正巳君
                中村 禎二君
                秦野  章君
                降矢 敬義君
                円山 雅也君
                片山 甚市君
                宮之原貞光君
                大川 清幸君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    石破 二朗君
   政府委員
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       法務省刑事局刑
       事課長      井嶋 一友君
       中小企業庁小規
       模企業部小規模
       企業政策課長   内村 俊一君
       自治省税務局市
       町村税課長    浅野大三郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○政治資金規正法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鳩山威一郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十一日、山中郁子君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鳩山威一郎君) 政治資金規正法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。石破自治大臣。
#4
○国務大臣(石破二朗君) ただいま議題となりました政治資金規正法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と内容の概略を御説明申し上げます。
 この法律案は、昨年九月に行われた航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言を受けて、政治家個人に係る政治資金の明朗化を図るため、その政治資金を取り扱うべき政治団体の届け出、収支の公開等に関する制度を新たに設けようとするものであります。
 次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
 第一は、目的及び基本理念等についてであります。
 まず、公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、その政治活動の公明と公正の確保に関する事項を政治資金規正法の目的に加えることとし、また、基本理念等といたしまして、公職の候補者は、その政治資金をその他の資金と明確に区別するとともに、選挙運動に関するものを除き、その政治資金を政治団体に取り扱わせることとするよう努めなければならない旨を明らかにすることといたしました。
 第二は、今回新たに設けます制度の具体的内容についてであります。
 まず、制度の対象となるべき者の範囲は、衆議院議員、参議院議員、都道府県の議会の議員もしくは長または指定都市の議会の議員もしくは長の職にある者並びにこれらの職の候補者及び候補者となろうとする者とすることとし、これらの「特定公職の候補者」は、もっぱらその者を推薦しまたは支持することを本来の目的とする政治団体のうちから、その者の政治資金を取り扱うべき政治団体を指定することができることといたしました。また、これらの「指定団体」については、その届け出及び公表について所要の措置を講ずることといたしております。
 次に、特定公職の候補者が指定団体に寄付する政治資金の取り扱いについてであります。
 特定公職の候補者がみずからは政治活動に関する寄付を受け取らず、政治団体が直接これを受け入れる場合は、現行制度の手続によることとなりますが、特定公職の候補者が政治活動に関する寄付を受領した場合においても、みずからこれを管理することなく、当該寄付の内訳を付して指定団体に寄付するときは、これを受け取った指定団体において、所要の事項を当該団体の収支報告書に記載して報告をすれば足りることとし、個人としての収支報告は要しないことといたしました。
 なお、この場合については、現行の寄付に関する量的制限を適用しないことといたしております。
 次に、特定公職の候補者がみずから管理する政治資金の取り扱いについてであります。
 特定公職の候補者が指定団体として指定すべき政治団体を有しない等の事情により、その者が受けた政治活動に関する寄付の全部または一部について、これを指定団体に寄付することなくみずから管理する場合においては、その者から、直接、個人としての収支報告を求めることとし、毎年十二月三十一日現在で収支に関する所要の事項を記載した報告書を、翌年の三月末日までに、国会議員に係る公職の候補者にあっては自治大臣、その他の者にあっては都道府県の選挙管理委員会に提出しなければならないことといたしました。また、これを受けた自治大臣または都道府県の選挙管理委員会は、これを公開することといたしております。
 指定団体を通じて報告される場合及び特定公職の候補者が直接報告する場合を含め、報告の対象となるべき収入及び支出の範囲は、政治活動に関する寄付及びこれによりされた支出とし、自己資金等の寄付以外の収入あるいは寄付のうち金銭等によらないものについては、この際、報告の対象としないことといたしました。また、選挙運動に関するものについては、すでに公職選挙法に基づく収支報告の制度がありますので、それによることといたしております。なお、政党及び指定団体からの寄付については、これを受けた個人としては、改めて収支を報告する必要がないことといたしております。
 次に、指定団体及び特定公職の候補者の収支報告書に記載すべき事項についてでありますが、収入については、現行の政治団体に関する取り扱いと同様に、その総額のほか、特定公職の候補者に対する同一の者からの年間百万円を超える寄付についてのみ寄付者の氏名等の報告を求めることとし、支出については、現行の政治団体に関する取り扱いを含め、若干簡素化を図ることといたしております。
 最後に、この法律の施行期日は、昭和五十六年四月一日といたしております。
 以上がこの法律案の要旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(鳩山威一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○片山甚市君 まず、八月十五日に鈴木総理が記者の皆さんと御懇談をされたとき、談たまたま全国区制について御発言をされております。その内容は御承知と思いますが、「参議院全国区制の問題も何とかならないかというのは国民的世論として定着してきていると思う。今度の通常国会を目途にぜひ法案を提出できるよう準備を進めたい。選挙制度はスポーツのルールのようなものだから、自民党だけで一方的に有利なルールをつくることはフェアでない。各党で十分スリ合わせをして法案の成立を図りたいと思う」と述べられておりますが、御承知のように自民党は小委員会を設けておられますし、新聞発表等でございますけれども、その間、自治省として総理大臣の発言に基づいてどのような進展をされておるのか。各党間におけるすり合わせなどという形で議論がどう進んでおるのかについて、まず御説明を求めたいと思います。
#7
○国務大臣(石破二朗君) 総理大臣直接、自由民主党の選挙関係の責任者をお呼びになりまして、ただいま片山議員が仰せになりましたような参議院の全国区制について、まず党内の意見の集約を図ってほしいという御指示があったと承知いたしております。事は、お話のございましたとおり、国会のルールづくりにも関する問題でありますので、自治省はあえてこれに関与しないで今日に至っております。
#8
○片山甚市君 自治省が関与してないということはわかりましたが、鈴木総理は御承知のように首相でもあります。この人の発言というものは、やはりわれわれ国民を代表する立場からのことであり、特に各党とのすり合わせをと言われておる関係から、自由民主党としてどうまとまっておるのかということについて石破大臣からお聞かせを願えないとすれば、これ以上問うことはできませんけれども、当然政党はその政府に対してその連絡をして、事情はこうであるという説明があってしかるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
#9
○国務大臣(石破二朗君) 自由民主党内にいろいろの段階の選挙制度の研究組織と申しますか団体がございますが、現在のところ参議院の自由民主党の中の全国区の選挙制度の調査のための特別委員会で御議論になっておる段階でございます。そのように承知いたしております。あるいは事務当局は御連絡をいただいておるかもしれませんけれども、私自身はまだお話を直接承っておりません。
#10
○片山甚市君 私は全国区選出議員でありますが、ことしの冬までの間にやはり全国区制度のあり方をきちんと決めなければ、選挙運動というか地盤の関係からいいまして、大変肉体的にも精神的にも候補者になる方はめんどうなことになろうと思うんです。特に、政権党である自民党の中で意見が一致しないために小田原評議をした結果何も出ないのなら、いまから鈴木総理大臣はシャッポを脱いで、もうできませんと言ってほしい。そういうことは先ほどから言いますように各党よく相談をしてやりたい、一方的に自民党だけでいいことはできないと言われておりますから、そういうことをこの機会を通じて総理大臣に出てもらっておりませんから石破大臣からお伝え願いたい、こう思います。
 次のことでございますが、同じように、そのときに総理大臣は、選挙制度の改革のうち選挙公営をもう少し進めていきたい、選挙の公営化を進めていきたいと、こうおっしゃっておりましたが、大臣のお手元では、これからの選挙制度の改正に伴って、自治省として選挙公営の問題、公営化の拡大についてはどういうような手順になっておりましょうか。
#11
○政府委員(大林勝臣君) 参議院全国区制の問題、あるいは個々の選挙運動の問題のほかに選挙公営の問題が今後の取り扱い上の大きな問題になるであろうということは私どもも自覚をしております。現在、片山委員も十分御承知のように現行制度のもとにおける公営自体が相当の種類にわたっております。大体先進諸外国に比しても比較にならないほどの種類をやっておるわけでありまして、今後公営を拡大する方向で考える場合に、どういう範囲のものにどういうかっこうで行うかという問題を模索するのが当面の問題であろうかと思います。
 ただ、こういった問題については、各党からもそれぞれ御意見がすでに出ておるようでありまして、私どももそれを念頭に置きながら検討をしておるわけでありますが、同時に、限られた選挙運動期間における非常に多種類の公営を行うということになりますと、選挙執行機関の事務能力との関係もありますので、どういう性格のどういう種類の公営というものを中心にするかについては、そういった選挙管理機関の意見をも聴取して今後検討する必要があろうということを考えております。現在、選挙管理機関にもその考え方をこちらに出すように意見を聴取しておるところでありまして、今後さらに各党におきます公営の取り扱い方についていろいろ御議論を賜れば、さらに参考にさせていただければありがたいと思います。
#12
○片山甚市君 そこで、総理はまた続けて言われていますが、「選挙公害の問題も市民に迷惑がかからぬよう、もう少し節度がなくてはならない」ということで、選挙運動についての若干のコメントをされておるんですが、自治省から見て、総理が言われる選挙公害というのはどういうものを指したと理解をされておりますか。
#13
○政府委員(大林勝臣君) 総理のおっしゃいます選挙公害の恐らく一番大きなポイントは、これは最近の選挙を通じますいわゆる騒音公害という言葉で言われておる問題であろうと思います。選挙を通じまして政党の機関紙の宣伝車と称する自動車が相当数横行いたしまして、これが大変騒音の原因になっておるということが従来から指摘をされておるわけでありまして、こういう問題につきましては、すでに総理の御発言だけでなく、昨年来、各党においてもそういう問題についての御認識、御意見というものが出ております。私どもそれを踏まえまして検討をしておるところでございます。そのほか看板の乱立の問題あるいは文書頒布に関する問題、いろいろ世間のひんしゅくを買っておるような問題も指摘されておりますので、こういった問題もあわせて今後の研究課題と考えております。
#14
○片山甚市君 総理のことはこのくらいにしますが、特にポスター類については、大阪の地方区で自民党の候補者が町じゅうに自分の顔を出した名前を出したのを張りめぐらしました。これはいまときめく総務長官になられておるようです。そういうのが大体見本だと思って選挙部長は考えてくれたら結構です。率先垂範、自民党がやっておりますから、そのつもりでお考え願わないと、私は大阪の人間ですから非常に困ると思うんです。昭和五十年に、御承知のように公明党も共産党も反対する選挙制度の改正のときに、われわれはこのようなことが起こらぬようにやっておかなければならないと一番議論をした。そのときにも自民党、社会党、民社党で御承知のように共同提案になって、その一番中心であるところの自民党からポスターがそういうようにやられるということになれば何を決めてもだめだと思います。所見を述べて、御議論を聞きません、私も非常に残念だと思う、こういうように申し上げます。
 次の問題で、富士見産婦人科病院の理事長である北野早苗氏が政治献金をしておられますが、そのことについて自治省としてはどのように承知されておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
#15
○政府委員(大林勝臣君) 北野献金問題が報道機関によって相当報道されました時点から、私どもも十分興味を持ちまして、果たして従来の収支報告書においてそういうものが届けられておったかどうかという問題について調査いたしたわけでありますけれども、従来の収支報告書の調査に限ります段階におきましては、北野個人あるいは北野関係の会社、病院等からの献金をしたという事実の収支報告書の記載は見当たりません。その後この問題につきましては、御承知のように私どもといたしましては収支報告書の表面上あるいは形式的な審査権というものしか与えられていない立場にございますので、一体具体的な事実がどうであるかということにつきましては私どもとしては事態を見守っておるわけでありまして、今後、北野問題が事実としてどういう問題に発展するかを注目しておるところであります。
#16
○片山甚市君 そういたしますと、たとえば十月九日の読売新聞等に出されておるところの「「北野献金」責任の取り方」という題で、本社の追及によればということで齋藤邦吉を初め名前が出ておるようなことについては、自治省としては書面審査であるからわからない、わからないことはもう責任がない、こういうことで理解をしてよろしゅうございますか。
#17
○政府委員(大林勝臣君) 書面審査上の調査にとどまる立場であると理解しております。
#18
○片山甚市君 今回も、なおそのようなことが起こっても書面審査で済ませるような自治省でありたいと思うことで改正案を出されましたか。
#19
○政府委員(大林勝臣君) この種事件が起こりますたびに、いわゆる自治省という行政庁の役割りの問題がいろいろ御質問の対象になるわけでありますけれども、私ども、この政治資金の公表につきましての行政庁のあり方というのは、従来から政治資金というもの自体、政党、政治団体がその責任を自覚して、要するに収支を世間、つまり国民に対して公表する、つまり行政庁に対して公表するのではなくて、国民に対して公表するための媒介者としての地位というふうに理解をしております。
 その収支報告書が形式的に計算が間違っておるかどうかという点についてはもちろんチェックをいたしますけれども、それ以上にその実態あるいは事実にまで一歩立ち入って行政庁がそれを調査をするということにつきましては、やはり政党、政治団体に対する行政権の介入という問題が出てまいりますので、あくまで行政庁の立場といたしましては現在のような形式的な審査権にとどまるべきものと今後とも考えております。
#20
○片山甚市君 自治省の言い分はわかりましたが、それでは、齋藤厚生大臣は、北野献金を追及されると、返金をされた上でおやめになりましたけれども、それはどういうことでしょうか。
#21
○国務大臣(石破二朗君) 報道によりますと、齋藤邦吉氏は、幾らかの金を受け取った、しかし、後になって気がついてみると、おもしろくない金であったからそれを返金したというふうに報道されておりますけれども、先ほども選挙部長がお答えいたしましたと同じ趣旨でございますけれども、私の方としてはこれを責任を持って事実を調査するというわけにまいりませんので、はっきりしません。ただ、総理大臣にやっぱり道義的に責任を感ずるということで辞職願をお出しになったということは、事実として承知いたしております。
#22
○片山甚市君 これは、政治資金規正法との関係がございまして、個人として百五十万円以上もらうならばいけないことになっておるんですが、齋藤さんは幾らもらったかわからないということで御答弁になりますか。
#23
○政府委員(大林勝臣君) もちろん、政治資金規正法の上では、特定の団体なりあるいは特定の個人から政治献金を受け入れる場合には、政党、政治団体から受け入れる場合を除きまして、年間百五十万円という厳しい制限が設けられておるわけでありまして、そういう関連でいろいろ報道されておるわけでありますけれども、報道の内容というのもいろいろまちまちのようでございます。北野個人が献金をしたのか、あるいは北野個人の関係する政治団体が献金をしたというような事実を報道しておる新聞もございます。要するに、そういった事実関係の問題というふうに私ども割り切っております。
#24
○片山甚市君 自治省が政府・与党を弁護することはよくわかります、身内ですから。国民としてはそうではありませんから。選挙部長なり石破大臣などという方から言えば、なぜ内閣の一員である厚生大臣がやめなければならぬのか、こういうことについて痛烈に自己批判がないことはよくわかりました。厚顔無恥という言葉が昔ありましたが、近ごろはあるのかどうかわかりませんが、そういう人々に国民が日本の政治を任しておることは非常に残念だと思います。と申しますのは、齋藤さんの場合も、政治家個人について幾つもの後援会をつくって、それで百万円以下にすれば寄付者の名前を明文化しなくてもいいというのを悪用しておるのではないかとわれわれは思っておるわけです。そういうことで、書面審査しかできないので、政治資金規正法がありましても何があっても、大体悪いことをした者が得だという法律であることだけは確認しておきたい。
 そこで、齋藤厚生大臣は、大臣室で就任祝いとして五百万円もらったことを本人も認めており、返したとか返すとか言っておりましたが、それもわかりませんか。
#25
○政府委員(大林勝臣君) その事実も、私どもとしては事実であるかどうかということはわかりません。
#26
○片山甚市君 大体、医療機関を監督する厚生省の最高責任者が、事もあろうに、同郷だということであっても大臣に就任したということで五百万円もらったと認めておるようでありますが、そういうことについては私たちは納得できないと思う。
 そこで、なぜこれだけ時間を費やしたかというと、先日、総理が衆議院の公職選挙法特別委員会で、企業献金は悪と言えない、個人献金についても同じであると、こういう意味で企業献金を次善のものというような言い方をしておるのでありますが、これは後からも質問いたしますけど、昭和五十年、政治資金規正法を改正するときに、時の三木総理は、企業献金をできるだけこの機会になくして個人献金に切りかえていくようにすることが企業による支配の政治から脱却する道であると、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、いまや鈴木内閣になりましたなら、それは三木さんの寝言であって、あのときとは時代が変わったと、こういうように理解しておいてよろしゅうございましょうか、石破大臣からお答え願います。
#27
○国務大臣(石破二朗君) 昭和五十年、三木内閣当時に政治資金規正法の大きな改正が行われまして、政治家あるいは政治団体に対する献金に厳しい枠がはめられた次第でありますけれども、御承知のとおり、あの当時はロッキード事件等が発生しましていわば異常な事態であったように思います。三木内閣総理大臣が、何とかして近い将来に、政治献金というものに依存しないで、あるいは個人の献金なりあるいは党費で党の運営資金を賄うようにしたいとおっしゃったことは事実でありますし、よく承知いたしております。もちろんこれを三木さんの寝言と、そう言うつもりは毛頭ありません。総理大臣におかれましてもそういうお気持ちは毛頭ないと思いますけれども、企業といえども一個の社会に存在する人格を持った存在である以上は、はやり政治的の行動も許されるものと、一概に企業の献金を悪と片づけるわけにはいかないということを申されたものと承知いたしております。
#28
○片山甚市君 昔から量は質を変えると言うように、政治献金も額が大きくなりますと圧力、プレッシャーが大きくなるということで、企業献金については意見があるところじゃなかろうかと、こう思っております、私は。石破さんとえらい考えが違うんですが、政治資金規正法を改正するときには河野議長の一票の差で決まったような時代で、それも十二時三分か二分ぐらい前であります。もう駆け込みもいいところです。私はそのようなときに立ち会った一人として、いわゆる百五十万円以上個人として寄付をもらったらいけないということになっておるにもかかわらず、もらっても、これが書面上分割されておればわからないで済ませるということになっておることについてはわかりました。
 これは、警察当局がどう調べるのかということになると非常にむずかしいので、知能犯がやれば政治資金法を幾ら変えてみても脱法行為はあると理解して選挙部長よろしいですね。幾らうまいこと決めてみても、知恵を出せばどんなことをしてでも、ゆすり、たかりではございませんけれども、どこからでも金は取ってくるし、それから法に書いてあっても取れるようになっておると、こりいうように理解してよろしゅうございますか。
#29
○国務大臣(石破二朗君) 選挙に金がかかること、片山委員もよく御承知と思います。もちろんこれは片山委員が法外な政治活動資金をお使いになっておるとかあるいは選挙資金をお使いになっておるという意味では毛頭ありませんで、参議院全国区の方、あるいは参議院のあれは地方区だったかと思いますけれども、印刷物に御自身の体験として発表されたところを拝見いたしましても膨大な金を必要としておるようであります。そこで、幾ら法律の目を細かくしても悪賢いやつは法を免れるという認識かというような意味の御質問がありましたが、やはり選挙というものに金がどうしてもかかる、しかもそれを個人で調達しなければならぬということになりますと、お互い選挙をします以上は、どうしても人間であります以上は、何とかして必要な金は調達しようと苦労するのはこれは人情のやむを得ぬところであるまいか、少なくとも私は余り上等な人間でありませんからそういう感じがいたします。
 そこで、こういうのを防ぎますためには、やはり選挙に金がかからないようにする。その方法の一つとしましては、これも御議論のあるところでありましょうけれども、党で責任を持って選挙を行うというようなことにしますれば、個人がそう性質のよくない金に手を出さなくても済むのじゃないか。党が責任を持ってやる、あるいは場合によれば税金で補助してやるということにして、なおかつ個人がたちのよくない金に手を出すという場合には、これはもう言語道断でありますから、しかるべき措置を講じていくようにするという方法がいいのじゃなかろうかと私は考えています。どうしても金が要るという選挙のやり方をそのままにしておいて、金を使うな、また選挙のためのそういう金を無理して集めるなというところに若干やはり無理がいくのではなかろうかと考えております。
#30
○片山甚市君 先ほど冒頭に、選挙の公営化について首相が努力をしたい旨であるかどうかと言うと、それについては、まだこれだけのことがありましても自治省としては検討を加えていない、各党の方で検討してもらうことだと、こうおっしゃっておる。
 もう一つは、先ほどから言いますように、新聞報道でありまして、私は警察官でありませんからわかりませんが、富士見産婦人科病院の献金額、表に出たのが三千四百六十五万円と言われておりまして、たとえば齋藤邦吉氏には千五百万円、澁谷直藏氏には二千百万円等のような形で、これは大きいのは新自由クラブの山口敏夫氏、こういうことで返しておるんです、もらったのを。先ほどから言いますように、知りません知りませんと言うけれども、返すということはもらったということですから。そういうことについて、私は警察当局ではございませんけれども、報告に偽りがあるのかないのかということは書面上確かめる権利があるように思うけれども、こういうようなことが起こりましても、この書面に間違いありませんかということを尋ねていただきましたか、どうでしょう。この事件を通じて、この政治家の人たちにいままで出したものには間違いありませんねと確かめていただきましたか、選管。
#31
○政府委員(大林勝臣君) もちろん、事件が報道されまして、今後の収支報告書の扱いにつきまして団体の会計責任者にいろいろお話はしてございます。団体の方でもいろいろ過去の状況を調べた上で、またその扱いについては御相談にお見えになるということにはなっておりますけれども、現在の段階ではまだその扱いについてはお申し出はございません。
#32
○片山甚市君 先ほどから繰り返して申しわけないんですが、個人献金としては百五十万円を超えてはならぬということについては決めてあるけれども、それをいわゆるもらったといって罰せられることにはならないんですね。
#33
○政府委員(大林勝臣君) 百五十万円を超えて政治献金をする、あるいは受け取ったということになりますと、それについては政治資金規正法上の罰則はございます。
#34
○片山甚市君 わかりました。それは実情がつかめないし、しかもそれをやるのは捜査当局であるから自治省は関係がないと、これを聞くのは捜査当局に聞くべきことだという答弁になろうと思いますからこれ以上聞きませんが、捜査当局も自治省も皆ぐるで、皆かばっておるというふうにしかとれません。いわゆる政治家というのはぬれぎぬを着せられても政治生命がだめになる。これだけ言われたら、そうであるのかないのかはっきりするのが清潔な政治家のあり方だと思います。薄汚いドブネズミのような政治家がおりますとまじめな者も汚れますので大変迷惑しておるとお伝え願いたい、この議場をかりましてね。非常に残念です。
 私たちは、石破大臣が言われるように、お金が要るようになっていることについてわかっておるから選挙の公営化について訴えました、どうかということを。そのときそのとき答えてもだめなんですよ。私は一貫したことをやってきておりまして、議員になってからずっと公職選挙法特別委員会を離れたことがないんです。そのときの思いつきでないんですから、これからもひとつ十分に勉強していただいて、自治省がしてはならぬことまでしてくれとは言いませんが、われわれが今回政治資金規正法の改正をしようというときに、いわゆる罰則規定のないようなものをつくってみても、いまのように罰則規定があっても現認されない、司直の手が入らなければどうでもいいというような者がおるとするならば、おると言いませんよ、いま確定すると非常に失礼になりますから。そういうことでまず遺憾だというだけ言っておきます。
 さて、自治省の管轄下にある選挙管理委員会というのはどんな仕事をするのか、選挙部長からお伺いをしたい。
#35
○政府委員(大林勝臣君) 地方の選挙管理委員会の主な仕事としましては、公職選挙法に基づきましていわゆる選挙の管理、執行、これが一番大きな仕事でありますけれども、いわゆる常時におきましては、できるだけ有権者に対する政治への関心を強めるためにあらゆる面で啓発の仕事をやっております。
#36
○片山甚市君 本年の九月二十八日の宮崎日報によりますと、鹿児島市選挙管理委員会が、山下速夫委員長でございますが、二十六日、同市内の鹿児島県産業会館で、九州電力鹿児島支店次長を講師に「エネルギー問題と原子力について」と題した一般市民向けの勉強会を開かれました。そこで問題になりましたのは、選挙管理委員長の山下速夫さんは、選管の任務は有権者の選挙に対する意識を向上していくことだ、原子力問題が選管のテーマになじむのかは疑問だ、特定企業の講師を選んだことにも驚いている、事務当局から詳しく事情を聞きたいと思うと、こう言われておるんですが、これをやっておられる方は選挙管理委員会の事務局長の山下三郎さんでございます。その人は、エネルギー問題がいま最も重要なテーマだと思い、県内で原発の専門家を探したが、九州電力にしか適当な人がいなかった、企業の人間を講師にしたのは軽率だったかもしれない、他意はないと、こうおっしゃっておるんですが、いまおっしゃるように、有権者の政治関心を高めるとおっしゃいました。
 確かに、原子力発電については国民の政治的関心が高いところであります。九州の川内で原子力発電所をつくるかつくらないかという非常に渦中にありながら、しかもその推進役は九州電力である、国の政策はそうであるということで、この選挙管理委員会がこのようなことをやっていることについては御承知と思います。私はどちらがいいかと言うのではありません。今日的に言えば、選挙管理委員会は政治的に中立でなければならぬと思いますが、そうでなくて、やはり政府の御用機関として選挙を管理すべきでありましょうか、政府の政策によって選挙管理をするのでありましょうか、お聞きいたします。大臣だろうと選挙部長であろうとどちらでもよろしいから答えてください。
#37
○政府委員(大林勝臣君) 選挙管理機関は、もちろん政治的な中立の立場で選挙を執行し、啓発事務にも従事することは当然であります。
#38
○片山甚市君 それでは、いまの状態で、こういうようないわゆる県内に二つの問題がある、こういうときに選挙管理委員会が市民の豊かな政治常識を高めるためということでやられることについて適当と考えられていますか。
#39
○政府委員(大林勝臣君) それぞれの地区におきまして、どういう問題が一番それぞれの地区の政治的関心が大きいかという選択の問題は一つあろうかと思いますが、エネルギー問題が一番関心が多いということからこれを一つの政治教育のテーマにしたのだろうと思います。私どももいまおっしゃいました講習会についての具体的な事実については詳しくは承知しておりませんが、ただ、そういう講習会を行い、そういうエネルギー問題を一つの政治問題として選択をしたということ自体は、やはりその地区においてはそれなりの御判断があったのだろうと思います。
 ただ、御指摘のような、どういう講師を呼ぶのが一番政治的に公平な立場から望ましいかという判断は、これは別の問題としてあろうかと思います。そのときに選挙管理委員会としてどういう判断でそういう講師を選んだのかということについてまで承知はいたしておりませんが、いろいろな立場の意見を政治教育の一環としてお聞きになるということは、これは当然あり得べきものであろうと思います。ただ、場合によって、事実関係が一方に偏るというようなおそれがあるような場合には、これは当然避けなければいけないわけでありまして、そういう意味で、選挙管理委員会としても十分にそういった講師の選択というものについては注意すべきものだとは考えます。
#40
○片山甚市君 御承知のように、川内に原発をつくることで議論があり、これについて反対同盟も結成されておるところです。その会の代表は永井小八郎さんという人ですが、そういうことで、私たちとしては、この問題がいまおっしゃるように原子力発電を推進するという政治的な関心だから反対ということもやっていただけるんですね。まさか原子力発電に賛成の者だけ呼ぶのじゃなくて、政治的中立でありますから、反対の人も今度は呼んでやりたいということにならなければならぬと思いますが、いかがですか。要求されたら拒否されるべき筋合いでない。それでなければ、いまあなたが言ったように、その地域で選択されるということについての中立性が失われるわけです。反対と賛成があるときにはどうすべきかは明らかでありますが、どうでしょう。
#41
○政府委員(大林勝臣君) いろいろな政治的な問題については、それぞれの立場から反対な立場もあり、賛成の立場もあろうかと思います。いろいろな立場の人の意見を聞くのがまた公平かと思います。
#42
○片山甚市君 選挙管理委員会がこういう問題を取り扱うことについては、自治省としては各選挙管理委員会の判断に任す、その結果どうなろうとも関係ない、こういうことですか。
#43
○政府委員(大林勝臣君) もちろん、その地区においてどういう政治的なテーマを選ぶかという問題につきましては、地元の選挙管理委員会が一番承知をする立場にあるわけでありまして、その一つ一つについて私どもがそれがいいとか悪いとかいうことをあらかじめ申し上げること自体がおかしいことであろうと思います。選挙管理委員会は、それぞれの機関として、独立した判断で公正中立にやっていくことを願っておるのみであります。
#44
○片山甚市君 地元で大いにそういうようなことで現実生臭い問題もやることはそのときの選挙管理委員会というところの仕事だということはわかりました。私、初めて選挙部長の本質を見抜きましたけれども、なるほど世の中も変わりましたな。よろしいです。
 私、本当のことを聞いておるだけのことで、選挙管理委員会というものは、選挙の管理業務をやり、そうして棄権をせずに、たくさんの人の意見を聞いて間違いない投票をしてもらう、判断してもらうのであって、現実政治の対応の中で国を挙げて半分に割れるような問題を取り上げていただけるものとは思わない。原子力発電というものはそう簡単なものでないのであります。御承知のように、南太平洋の諸国では、日本の核廃棄物を投棄することについて反対をし、大統領初め盛んにやっていますね。日本の国の中で廃棄物が捨てられずに、よその国まで行って捨てようというのが、このど根性の日本人がジャップと言われる、さげすまれる理由であります。
 私たちは原子力発電についていい悪いを言っておるのじゃないんですよ。こういうようなことはまだ合意を得ておらない。権力としては推し進めています。エネルギーが足らないということは大変でありますが、そういう意味で選挙部長が率先して進めていることはわかりました。私はこういうことについては中立であってほしいと言ったんです。しかし中立でなくて、そういうふうに言われておりますから、答弁を求めても御自分のポストを守るためにはまた適当なお答えをしましようから、私は非常に残念だということだけ言っておきます。お答え願っても、自分の立場を守るためにしか発言しないのでしょうから必要ありません。
 そこで言っておきますが、お金をもらったら返せばそれで免責になるというようになっておるようでありますが、そういう理解をしてよろしいのでしょうか。政治資金も悪いところからもらって見つかったら返せば済むということになりますね。それは大臣どうでしょうか。
#45
○国務大臣(石破二朗君) それは初めから一切もらわなかった者と、もらってから悪かったと気がついて返した者と、これはもう明らかに両者違いがあると思います。
#46
○片山甚市君 政治家というのは、御承知のように、単に刑事的な責任でなくて、人格的な問題でそういうことについての責任をとることが求められておるにかかわらず、政治家ほど意地汚くそういうことをしているのではないかと国民に思われているときでありますから、私たちはもらったら返せばいいということにはならないと、こう思います。
 それで、澁谷直藏代議士は元自治大臣であり国家公安委員長だったと聞いています。そうすると、これもまた先ほどから選挙部長は知りません存じませんと言っておるようですが、お金をもらっておるというのが大体一千万円か二千万円だと報道されておるのですが、それを全部いわゆる小分けにして百万円以下にする、そういうことで名前を伏せておるように聞いておるのですが、澁谷さんの政治資金の問題については、そのようなことはございませんか。
#47
○政府委員(大林勝臣君) 献金の仕方、その受け取り方がどうであったかこうであったかということ、いろいろ類型があるのだろうと思いますけれども、具体的な事件につきましてどういう献金がどういう方法で行われたかというのはこれ事実関係そのものでありまして、そういう事実関係に立ち入って調査する権限がないということを先ほど来申し上げておるわけであります。
#48
○片山甚市君 わかりました。わからぬ人に聞くことは時間だけとって非常に失礼でありますから言いませんが、北野事件というのは、どの党派とも――民社党はもらっておりませんから失礼になるのですが、もう全部関係しておりますから、特定の人に対して、特定の政党にだけいっておるのじゃないです。一番大きいのは先ほど来の自治大臣あるいは齋藤大臣、こういうような方が一番大きくクローズアップされて、同郷の士であって信用できたとこう言っておる。
 こういうことでありますから、それはお互いにかばい合っておることだからこれが明らかにならない。もしそうでなければ、他の党のように議員をやめたりやめさしたり、本人もやめたり、いろいろなことしておるのでしょうけれども、私たちとしては、やめてもらったら済むとか言っておるのじゃなくて、こういうことが再び起こらないような政治資金規正法のつくり方ですね、これが今度提案される問題だと。ロッキードの問題だからああいうものになったというのじゃなくて、ロッキード以後にこれが起こっておるのですから、そういう点では選挙法の改正に伴う諸問題として理解をしてもらいたい。
 大臣、先ほどから言いますように、澁谷さんや齋藤さんの問題は、大体国会議員または大臣クラスの人はこのようなことは普通なんですか。百万、二百万、五百万円ぐらいは、そんなものをもらうのは普通なんでしょうか。大臣になっておるからおわかりでしょう。大臣になればお祝いに五百万円ぐらいもらうのは普通の状態でしょうか。石破さんもらいましたでしょうか、こういうふうに聞きたい、非常に失礼ですが。
#49
○国務大臣(石破二朗君) 申し上げようと思えば幾らでも申し上げる自信はありますけれども、どうしても申し上げなければいかぬということになりますれば申し上げます。もらっておりません。
 ただ、先ほど来お答え申し上げておりますとおり、齋藤邦吉氏あるいは澁谷直藏氏御両人が北野何がしなる者から金を受け取ったのか受け取ってないのか、あえて私は事実関係を知りませんので断定いたしかねますけれども、それは先ほど来申し上げましたとおり、選挙というものが金がかかる、しかもこれは個人が苦労に苦労を重ねて調達しておるという現在の選挙のあり方をこのままにしておいて、そして政治資金規正法だけで政界の浄化を図ろうといってもなかなか私は困難な問題ではなかろうか、かように考えております。
#50
○片山甚市君 石破大臣がもらったなどと言っておるのじゃないんです。大臣になればだれでももらえるんですかと、こう言ったのでありまして、決して石破さんがもらったなどと言っておるのではありません、誤解がないように。私、そんなに人を疑ってかかっておるのじゃないんです。だれでももらえるものでないのをもらっておるので不思議だと思っておるのである、私は。大臣になったからといってひょっと小切手で五百万円くれる、そんなことはないだろうと。こういうことで、特殊なケースか普通のケースかと、百万円ぐらいだったらだめだと言っておるとか新聞に書いてありますから。大臣はそうでないと。何も大臣のもらった話を聞こうとしたんじゃなくて、大臣になればだれももらえるのかという質問をした。私たちは今後かかることがないようにしたいということから言ったことでありまして、個人の名誉を傷つけたい、あるいは個人をぼろくそに言ってみたいというつもりでありません。政治資金規正法を改正するに当たりましては、かかることができるだけ起こらないような、政治家の倫理とともに制度も相まってつくらなければならぬだろう、こういう立場です。
 さて、実は理美容業界から内紛ということで政治献金の問題が出されておりますから、法務省にお伺いするのですが、これはどのような内容でしょうか。
#51
○説明員(井嶋一友君) お尋ねの事件と申しますのは、全日本美容業環境衛生同業組合連合会、これを略称いたしまして全美環連というふうに呼んでおりますが、全美環連が昭和五十四年の三月に成立いたしました環境衛生法の一部改正案の審議に絡んで国会議員に金員を献金して贈賄をしたという、贈収賄の事件ということで去る十月二十三日に東京地検に告発がなされまして、現在、東京地検でその告発に基づきまして事実の存否を捜査しておるという事件がございます。
#52
○片山甚市君 私は、社労の理事でありまして、その法案を成立させることで議員立法になりましたからやりましたけれども、私のところに一つも来ないんですが、どんなものだろうと不思議でたまらぬわけです。私が歳費を公開しておるから来なかったのか、それとも社会党だから来なかったのかわかりませんが、私が申し上げるのは、政治献金といわゆる賄賂というようなものについて具体的にどこで線を引かれるのかです。政治献金だと認める場合と賄賂と認める場合とは、法務省としてどういうように判断をされていますか。
#53
○説明員(井嶋一友君) ただいまのお尋ねは、いま御説明いたしました全美環連の事件とは無関係ということで、一般的な抽象論ということでお尋ねをいただいたというふうに理解をいたしましてお答えいたしますが、御承知のとおり、賄賂と申しますのは、あくまで刑法上の犯罪の一つの類型でございまして、公務員の職務行為の対価として、いわば不法な利益をやりとりするというところにこの賄賂性があるというふうに言われておるわけでございます。
 他方、政治献金と申しますのは、私どもはその中身はつまびらかにしてはおりませんけれども、むしろ一般的な政治活動の後援であるとかあるいはその支援であるとか、その他いろいろな趣旨におきまして行われる一つの寄付行為であるというふうに考えておるわけでございまして、賄賂と申しますものと政治献金というものは本質的にまず違うものであるというふうに理解をいたしております。
#54
○片山甚市君 その賄賂の問題が出るときに、昭和五十三年の十月に、自民党、社会党、公明党、民社党、新自由クラブの五党による共同提案が出されて、五十四年の三月末に成立した、こういうふうに書かれておるわけです。そういうことで、名前の出た人の個人の問題じゃなくて、これはこれから起訴あるいは裁判、いろいろなことをやられるでしょうが、私たちとしてはこういうようなことが起こらないためにどうしたらいいのか。これが一番大きな問題ですが、大臣の方で、このことについての御所見はございませんか。
 私から申しますと、このような賄賂の事件が起こりましたのですが、告訴されておるわけです。こういうような事件が起こらないためにはどのような対策をすれば起こらないでしょうか。これは御承知のように理美容関係の業者間の内部の対立関係がありましょう。それからこれによって不利益をこうむる側がこの法律を通されたために迷惑した、この法律をつくったのは特定の業者を助けるためにやった、こうなっておるんですが、国会では大変むずかしいことですが、大臣から見てどうでしょう。
#55
○国務大臣(石破二朗君) 金銭の授受があったということ、それが賄賂に当たるのか政治献金に当たるのか、その辺のことを含めまして検察当局では事実の捜査をやっておるところと、かように考えておりますが、これはやっぱり検察当局の御判断に、あるいは司法権の御判断に任せる以外にはないのではなかろうかと、かように考えております。
#56
○片山甚市君 私が取り上げたのは、この法案を取り扱った社会労働委員会の理事として、議員立法の関係がありますから、片一方の方はこうやって金をもらったということで罰せられるんだが、法律をつくった者は関係ないのだろうかと、われわれも共犯でないかといって心配をするほどちょっと考えるところです。私はもらっていませんから調べられてもいいんですけれども、議員立法をするたびにこういうことが起こるとすれば、どこからか議員立法をしたいというときにはよほど気をつけて精査してからしないと大変だなと思うところです、議員の落とし穴みたいなことがありますから。これは司直の手できちんとされることですからこれ以上問いませんけれども、政治資金規正法を改正する場合に当たりましては、特にそのあたりを考えてみたいと思う立場です。
 何回もお聞きして非常に失礼ですが、政治資金規正法が今回改正されるに当たりまして、個人に対する献金については届け出義務を怠った場合、罰則はあるのでしょうか。
#57
○政府委員(大林勝臣君) 罰則は設けておりません。
#58
○片山甚市君 十月の十八日、これは朝日新聞かと思いますが、この夕刊でこのようなことが書かれておるわけです。吉田茂元首相の孫の麻生太郎代議士の後援会が収支報告を二年間やらなかった、こういうことです。この新聞によると、これは選挙部長はどういうふうにおっしゃるか、福岡県選管は「再三、後援会の収支報告を出すよう電話、文書で督促した。違反すれば五年以下の禁錮または三十万円以下の罰金、という罰則があることを説明した文書も同封した。それでも音さたなしで、極めて悪質。自治省と対応策を相談する」と言っておりますが、少なくとも総理大臣を務め、あのような有名な吉田茂さんの孫だと称する人が、いわゆる代議士としては新米だと言うかわかりませんけれども、収支報告を忘れるというような後援会や後援活動ということについてはこれが大体自民党の常識ではないだろうか、大体自民党というのはこういうものをするのばかりが集まっておるのじゃないかと思うんですが、そんなことはございませんでしょうか。
#59
○国務大臣(石破二朗君) 内閣総理大臣の孫に当たる者ばかりおるわけじゃありません。当委員会の委員長のごときはこれはまれに見るお家柄の方でございまして、私どもと麻生太郎氏などと比較のしようもないものであります。自由民主党が一体こういうものだろうかというお話でございますけれども、さようなことは決してございませんので御了承を賜りたいと思います。
#60
○片山甚市君 大臣がそうおっしゃっておるのですからこれ以上は言いませんけれども、やはり私たちとしては、収支報告が書面審査であるということだけにとどまっておる、それすらしないで済ませるというようなことは今後やはりないようにしてもらいたい。
 これは、督促をしたがだめだということになりますが、何かそういうことについて、督促をしてだめだったらどういう手続をとられましたか。今度は選挙部長に、県から自治省に相談したというけれども、相談の結果どうなりましたか、厳正にやられたはずです。
#61
○政府委員(大林勝臣君) いろいろ地元の選管に事情を聞いたわけでありますが、この五十三年分あるいは五十四年分、両年分にわたりまして報告が出ないことについて再三督促をしたようでありますが、結局報告に接しなかった。制度上は、御案内のように二年続けて収支報告が出てこないということになりますれば、その団体は届け出をしておる政治団体とはみなさない。こういうシステムになっておりますので、その旨の告示をいたしたと聞いております。
#62
○片山甚市君 自治省としては、警察当局ではございませんですから、そういう程度しかできないと思いますけれども、速やかにこのような事態が改善されていわゆる収支報告が出せるようにしてもらいたい。その中で、その事態についてどんな報告をしたのかお知らせ願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
#63
○政府委員(大林勝臣君) 報告でございますか。
#64
○片山甚市君 結果報告です。
#65
○政府委員(大林勝臣君) それで、結局二年間報告をしておらないということでございますので、これは届け出のない政治団体とみなすという条文によりまして、その旨の告示をいたしたわけでありますが、その後、同団体から解散届を出してきておるようであります。
 その解散届の内容でございますが、これは解散します場合には解散の時点における収支を報告をしろということになっております。そこで、五十五年分の一月一日から収入総額が一千百四万七千六円、それから支出総額が一千百四万七千六円、同額になっておりますが、その収入、支出とも最終の日付を三月三十一日ということにして報告がされております。
#66
○片山甚市君 それさえすればいわゆる法律違反にならなくて罰則規定の適用を免れることになる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#67
○政府委員(大林勝臣君) 過去二年間における報告をしてないという問題が、要するに故意によって報告をしてないということが立証されれば、当然これは罰則の対象になるわけであります。
#68
○片山甚市君 選挙部長は終始かわいい自民党のために熱心に御苦労さんです。
 こう書いてあるのです。「再三、後援会の収支報告を出すよう電話、文書で督促した。」というんです。ですから、そんなことは特に先ほど申しますように自治省と対応したというんですから明らかでないでしょうか。何も調べなくても、それまでの間に督促して解散するまでのは明らかなんですから、これはちゃんとすべきじゃないですか。
#69
○政府委員(大林勝臣君) そのちゃんとすべきだという趣旨で、私どもに与えられた権限の範囲内で届け出をしてない政治団体とみなすという旨の告示をしたわけでありまして、そういう告示をいたしました以降におきましては活動ができないということに法律上の効果としてなるわけであります。あと、罰則がどうのこうのという問題につきましては、これは結局は取り締まり機関の問題と承知をいたしております。
#70
○片山甚市君 わかりました。司法当局が、警察当局が動かなければ何をしても大体いいということになったと理解をしておきます。勝手なものです。
 そこで、北野からの献金を被害者同盟、特別対策本部などに返還または寄付することは、公職の候補者がその選挙区内に一切の寄付をしてはならないと昭和五十年に決めた公選法に違反をすると思いますが、どうでしょうか。
#71
○政府委員(大林勝臣君) 五十年以来、候補者たる者は選挙区内の者に一切寄付をしてはいけないということになっておりますが、それはしたがって公職の候補者個人として寄付をした場合の問題でありますが、御質問の寄付の事実関係につきましては、政治団体の方から寄付をしたというような報道もございます。したがいまして、政治団体が寄付をしたということであれば公職選挙法上の問題とはならないし、公職の候補者個人が寄付をしたということになれば、これは寄付の禁止に該当するということになります。
#72
○片山甚市君 これは、自治省は調べる意思がないでしょうけれども、山口敏夫新自由クラブ幹事長は六百五十万円、被害者同盟に返済したのは百五十万円だけということで、責任のとり方としては再発防止に努力するということで書かれております。そして本橋俊男さん、県会議員の自民党の方ですが、これは何も書いてなくて、三十万円しかもらっていませんが、返したことになっておるわけです。
 そこで、そういうことでこれらの問題については、自治省としては、やはり司直の手でやるべきである、そういうことを言われましても、いわゆる被害者同盟やあるいは特別対策本部に手渡すようなテレビ放送がありましたね、そのとき謝ったり、私、見ましたけれども、山口さんが出て。ですから、そういうことにはなりませんか。まあテレビに出て、いいかっこうをして、正義の味方みたいな顔をして金を返しておったようですが、もらった金はここでは六百五十万円です。正当にもらったものは返さないで、不正な分だけ返したような言い方もありましたけれども――不正だというのは正しくなくて、不適当だと。そういうことで、これらは公職選挙法では、いかなる場合でも選挙区内におる有権者に対して寄付をしてはならぬということから言えば、代替物をつくれば、政治団体を介すればできると。寄付をしたければ、たとえば片山議員が――私、全国区ですから、日本国じゅうだめなんですから、したければ、片山甚市が持っておる政治団体から寄付したことにすればよろしゅうございますか。
#73
○政府委員(大林勝臣君) 現在の選挙法では、あくまで候補者が個人として寄付することを禁止しておるわけでありまして、政党、政治団体、そういった後援会を含めまして政党、政治団体の寄付につきましては、御承知のように選挙前一定期間を除きましては特別な禁止規定がないわけであります。先ほど来、こういう形にすれば、したらというお話でございますが、そういう問題というのは、これは法律についてのどれだけの遵法精神かという問題にかかってくるのであろうと思います。
#74
○片山甚市君 実は、「自治省は九日「代議士など公職にある者が選挙区内での一切の寄付行為を禁止した公職選挙法違反の疑いがある」との見解を明らかにした」と書いてありましたから、明らかであれば、ちゃんとそういう取り締まるところでこれは調べてもらいたいというのが普通ではなかろうかと思いますが、それはどうしました。
#75
○政府委員(大林勝臣君) そういういろいろ事実関係が報道されるような問題につきましては、私どもが取り締まり当局に一々申し上げるまでもなく、取り締まり当局としてはそれなりの処理をされるべきものであろうと思います。
#76
○片山甚市君 よくわかりました。取り締まり当局のことばかり聞いていて済みませんでした、非常に気にさわることを言って。まあそれぞれ立場が違うんですから自分の立場を守ればよろしいですけれども、国民は政治家を、これは自治省分野、ここは法務省分野、ここは運輸省分野、ここは郵政分野などというように言わないで、どの分野であろうと、日本国じゅうの政治にかかわっている問題については、清潔な政治を、政治の倫理をと言われておるから倫理の問題を聞きましたら、倫理は司直の手で裁く以外にはない、いいか悪いかということは言えないということがわかりましたから、そういうのが選挙制度を預かっておる自治省の立場、こういうように理解をしたいのですが、もう一度くどいけれども部長の方から所信を述べてもらいたい。
#77
○政府委員(大林勝臣君) 先ほど来の御質問、要するに政党あるいは政治資金団体、後援会、すべての政治団体を含めまして、政治献金にかかわる問題について、立法政策の問題もありましょうけれども、およそ所管の行政庁がどこまで足を踏み入れるかという考え方の問題であろうと思います。
 なるほど、所管の行政庁が一つの事件が起こりました場合にそれなりの決着をつけるということは、まことにかっこうはいいことであろうと思いますが、私どもとしましては、やはり政党なり政治団体というものは民主制度を支える根幹のものでありまして非常に自由奔放なものであるべきだと考えております。そういうケースにつきまして、行政庁が一々形式審査の範囲を逸脱いたしまして一歩でも二歩でも踏み込んでこれに介入するというようなことになりますれば、かえって将来の日本の健全な民主政治の発展を阻害するもとになるであろうというのが年来の考え方でありまして、いろいろ御不満はありましょうけれども、こういった思想というものは今後とも堅持すべきものと考えております。
#78
○片山甚市君 自治省の担当者の心組みはよくわかりました。私たちもいま言われたことをよくかみしめて、書類報告が間違わないようにすれば大体うまくいくようになるというようにとらないように、政治の倫理を確立することに一層努力したいと私は考えます。先ほどから反対語を使っておるのでありまして、政治倫理を確立するということを言うならば、こういうようなことについては明らかにみずから名のり出て、裸になってもらい、それで政治家がお互いに尊敬し合えるようにしたいと思うつもりで言いました。
 そこで、今度の問題でございますが、報告義務の対象者は国会議員、知事、都道府県の議員、政令都市の市長とその議員で、これらの公職の候補者になろうとする者とされておりますが、しかし、現実にはこれらの公職の候補者の選挙運動は金のかからない選挙実現のための公営選挙が相当行き届いておりますが、市町村長や市町村議会議員については必ずしもそのようになっておりません。富士見産婦人科病院の政治献金にも見られるように、市長や市議会議員の政治資金の収支の明確化を図るためにも、それらを今回の対象にしたらどうか。報告義務の対象でなくて、これは公営選挙をする対象にしたらどうかという意見があるのですが、それについて御所見を賜りたいと思います。
#79
○政府委員(大林勝臣君) 選挙公営、非常に歴史が長いものでありまして、古くは大正十四年以来金のかからない選挙ということを願って、主として国会議員の選挙を中心に拡大をされてきた歴史が一つございます。戦後いろいろ国会の中で御議論願いまして、国会の選挙にとどまらず、国会選挙と同等と考えられるような知事選挙についてまで、あらゆる面で公営を実施いたしておるわけでありますが、県会議員なりあるいは市町村の段階の選挙におきましては、一部任意制公営というものも実施はしておりますが、国並みの公営というところまで踏み切っておりません。
 これにつきましては、いろいろ御意見のあるところであろうと思いますが、国の選挙あるいは知事選挙というものと、その他の選挙につきましては、区域の広狭の問題もございます。それから費用、つまり法定費用における差というものもございまして、あるいは公営を行います場合に、地方の選挙になりますと非常に候補者数が多いということもございまして、なかなか技術的にむずかしいという面もございます。そういったものを総合的に勘案をした結果、現在の段階では国会の選挙と知事選挙について特に義務制で非常に広範な公営が行われておるわけでありまして、いろいろ地方の選挙につきましても国会並みに公営を拡大してほしいというようなお声もあるようであります。私どもとしましても、いろいろの選挙の種類の相関関係というものを考えながら研究をいたしてまいりたいと思います。
#80
○片山甚市君 全国でありますから非常にむずかしい問題を抱えておると考えますが、せっかく先ほどからお話があるように、国政もそうでありますが、全体的にお金をかけなくて公平な選挙が明朗にできるような地盤づくり、そのためには少しお金が要っても、ほかで怪しい金を動かさないために、政治が尊敬をかち得るようにしてもらいたい。これはそれだけでできるのでありませんが、ひとついま部長がおっしゃったことについては御努力を賜りたいと思います。
 次に、改正案は、政治家個人への政治献金は、現行法で収支公開が義務づけられている政治団体を指定して扱うようにしておりますが、政治団体を経由しないで政治家が個人で献金を扱う場合には、新たにその収支報告を義務づけております。問題は、この報告義務を怠った場合の罰則や税制面からの規制措置がないことで、これは先ほどのお話のとおりであります。税制面での実効性を確保するため、政府・自民党内で、政治家個人に残った政治献金は雑所得とみなし、所得税の課税対象とする案が検討され、前国会の委員会の質疑でも、後藤田自治大臣はそのような考えに賛意を示す発言もございました。結局、自民党内の調整がつかなかったのか、今度の改正案から見送られておりますが、要は政治家の倫理の問題として片づけておりますけれども、それでは今回の改正の最大の眼目である政治資金の明朗化が図れるかどうかについて疑問があります。
 そこでお伺いするのですが、後藤田自治大臣はこれを検討しようということであったんですが、今回このことが盛り込まれなかったですね、自治省として。内容についての御答弁を賜りたいと思います。
#81
○政府委員(大林勝臣君) 今回の制度につきまして実効性を担保するために考えられましたのが、罰則の問題をどうするかという問題、それから税制上の問題をどう連結させるかという問題の二点であったのであります。
 罰則につきましては、いろいろの御批判がございますが、現在の政治団体の場合でございますと、これはもう団体の収支そのものがすべて一〇〇%政治資金であるということはだれの目にも明らかでありますし、現行法でもそれを前提として規制を加えておるわけでありますが、今回初めて改正案に盛り込んでおります政治家の個人個人の政治献金という話になりますと、一人の生身の人間、つまり公的な部分、私的な部分がまざり合った政治家の政治献金でありますだけに、具体の献金というものがどの範囲まで政治献金であり、それからどこからこれは私的な資金であるかという区分けの問題を解決しないことには罰則の構成要件も立てようがないわけであります。
 ところで、私ども立法技術上何が政治献金であるかという具体的な基準をいろいろ模索してみたのでありますけれども、何さまいわゆる政治活動というものの概念自体が非常に望洋としておりまして、どれが政治活動であってどれが政治活動でないということもなかなかはっきりいたしません。したがって、それに関する献金というものの区分けというものを、具体的に法律で個々の基準を設けましてはっきり区分けするということも立法技術上は不可能であります。したがいまして、この法律の前提としましては、個人のいろいろな献金の中で、およそ政治献金とそうでない献金につきましては、やはりこれは政治家御自身の倫理の問題として、御自身ではっきりと区分けをしていただかざるを得ないのではないかというところから出発をし、御自身で区分けをしていただいた政治献金については指定団体制度を御利用していただくのを本則とする、こういうかっこうにしたわけでありまして、もともとの出発が政治献金とそうでない献金についての区分けの問題を政治家自身の倫理の問題としてとらえざるを得なかったものでありますから、そういうものについてまでいきなり罰則の対象とするということは立法政策上いかがであろうかという非常な疑問を持ったわけであります。
 したがいまして、罰則はこの際見送るということにせざるを得なかったわけでありますが、同時に、先ほど来御質問になっております税との問題、要するにこういった報告制度をつくったからには、報告しなかったというケースについては当然に税制上これを雑所得とみなすというようなことがもしできれば非常に効率的ではなかろうかという強い考え方が、私どもだけではなしにいろいろな方面にございました。相当の日数を使いまして税務当局とも協議いたしたわけでありますけれども、税には税の哲学と申しますか、理屈というものがあるようでありまして、いわゆる実質課税の原則からいきまして、やはりこういった形式的な報告があるかないかというだけで税の取り扱いを決めるべきではなくて、税はやはり実際に政治活動にその資金が使われたかどうかという事実に基づいて課税をするのが税の体系である、こういうことでございます。私どもの希望と税の取り扱いというものが、そういう意味で調整ができませんでしたために、今回の改正につきまして税制についての関連も盛り込んでいくまでに至らなかったわけであります。
#82
○片山甚市君 前後の模様がよくわかりました。ただ、先ほど言いましたように、後藤田自治大臣がそういう発言をされておって今度出ておりませんので、念を押して聞いたところです。何しろわれわれの政治倫理というものを問われておる政治資金規正法だと思うと身の引き締まる思いがしますが、石破大臣が言うように、お金が要る選挙じゃないか、つらいじゃないか、こういうことについてはわかりますが、国民はそこのところをやはりよく見ておるというように思って、しっかりこの法案については御審議を賜りたいと思います。
 指定団体の届け出、報告等により政治献金の入りの部分は若干なりとも明らかにされていますけれども、依然として出の方に不透明の部分が残ると思います。出の不透明は、政治献金を一たん政治家の指定団体に入れた後、そこから寄付の形で引き出し、これをどのように使っても報告義務が課されていないなど、改正案の仕組みそのものがしり抜けになっておると思います。この点の規制をどうするのか。言葉で言えば逆流防止装置をどうしてつけなかったのかということについて御説明を賜りたいと思います。
#83
○政府委員(大林勝臣君) 今度の改正案の基本は、やはり政治家個々人が受けられた政治献金をそのまま個人としてお持ちになっておるということ自体にいろいろ疑惑が集まるというところから出発をしておるところでありまして、できればそれぞれの先生方がお持ちの政治団体、これは第三者の政治団体でありますし、会計責任者という経理の専門家もございます。現実の経理の取り扱いにおきましても、すでに現在の段階でも大多数の先生方のお話をお伺いしますと、実際に政治献金を受ければそういった御自分の信頼する団体にお入れになるというのが常態であろうと私どもも承っておりますので、そういった第三者である後援団体にその経理をやってもらって、その後援団体の手を通じて報告をするということが一番望ましい姿ではなかろうかということで指定団体制度を基本にいたしたわけでありますけれども、事柄の出発点が、そういった疑惑を受ける政治献金というものの取り扱いをどう法律上チェックするかというところから出発しておりますので、いろいろな政治献金の中でも、政党であるとかあるいは御自分の一番の信頼関係に立っておる後援会、そういうところから受ける献金そのものにつきましては、これをもう個々の政治家が私ごとにお使いになるということはあり得ないのではないだろうか。もしそういうことにいたしましたことがわかりますれば、もうすでにその政治家自身の政治生命の問題にひっかかってくるのであろうと。こういうことでありまして、そこら辺は個々の政治家の倫理観というものを御信頼申し上げるべきではなかろうかということで、ただいまのような改正にいたしておるわけであります。
#84
○片山甚市君 部長の方は余りもめないように官僚としては一番無難な御答弁をしていただいておるんですが、先ほど石破大臣が言うように、われわれは生き身ではないか、生きておる、苦しいと、こういうお話があって、そうめったやたらに言われても、選挙の公営等がうまくいかないと、金が要れば苦しまぎれに何とかやるから大変だぞと、こういうようにおっしゃっておりますから、それは部長と大臣との違いだと思います。苦しみをうんとされた石破大臣はそういうように本音を吐かれるし、行政の方から言うと、取り締まり法規を間違ったらいけませんからやっぱりちゃんとした筋道を言われる、お二人とも間違ってはいないですけれども。
 実は、せんだって総理大臣が政治資金について、総量緩和について反対をすると言っておられますが、今回のいわゆる政治資金規制の総量緩和についての首相の考え方はどういうように盛り込まれましたか。
#85
○国務大臣(石破二朗君) 御承知のとおり、政治資金規正法の五十年改正の附則第八条によりますると、昭和五十六年一月一日、つまり法律施行後満五年たちますればこれを見直すことになっております。その際には、各方面の御意見等を承り、五年間という経験の上に立って総合的に政治資金のあり方、もちろん額なり何なり一切合財含めまして再検討しようというのが法律の趣旨でもあり、鈴木総理大臣の考えであろうと思います。現在、資金枠を拡大するとかいう声がありますこと、総理大臣の耳にも入っておることとは思いますけれども、総理大臣あるいは自治大臣といたしまして、そういうことを具体的にあれこれ考えておるわけではありません。
#86
○片山甚市君 巷間、私のところへ来るのは、おまえさんは五十年にああいう政治資金規正法についての審議をするときに立ち会った人間だが、あのときの百万円といまの百万円と同じと思うか、そういう意味でも見直してもらわないと困るんだぞと、こういう話があって、総量の緩和の問題もありますが、そういうことは自民党の中ではないと理解してよろしいですか。
#87
○国務大臣(石破二朗君) そういう御意見をお持ちの方が多数あるということも承知いたしております。
#88
○片山甚市君 今回のいわゆる個人献金の問題については、百万円以内の人については名前を出さなくてもよろしいという現行の個人献金、それをもう少し百万円を割るようなことにすることはできませんか。
#89
○政府委員(大林勝臣君) 今回の改正は、とりあえず先般来の航空機疑惑問題等に端を発します個人献金の収支報告ということに集中して制度の立案をいたしたものでありまして、御質問の百万円を超えるものについてのみ寄付者の名前が出る、それがどうであるとかこうであるとかいう御意見は前々からございますが、こういった問題、つまり基本問題は一応五年後の見直しの問題と考えまして、とりあえず個人の収支報告の道だけをつくったものであります。御意見の問題というのは今後の課題と考えております。
#90
○片山甚市君 実は、個人献金あるいは企業献金についての善悪の総理のお話がございましたけれども、やはり政治家に対して個人献金をするということについて非常に抵抗もありますが、日本の国民の考え方を変えてもらうために、政党、政治家に献金することができるという、代表を自分が選べるというようなことに誇りを持つような運動をして、やはり金額は少なくてもいいから、自分の名前を出しても献金したいという運動を、むしろ選挙管理委員会といいますか選挙の浄化運動などでした方がいいんじゃないか。いま、現状については百万円について額を下げる意思はない、そういうことはできないと言っておられるようでありますが、名前を出して、それを先ほど言ったように多くの人に閲覧をさせる、そしてだれがどのような人に献金をしておるかということがわかることの方が非常に政治的に意義があるのではなかろうか。先ほどからお伺いしたところによると、いわゆる個人の名前で非常に失礼をいたしましたけれども、齋藤さんあるいは澁谷さんの名前が出たりしましたけれども、なぜこれが問題があるかというと、どこからどうお金が出たのか入ったのかということがわからないところに問題があり、そして石破大臣も言うようにお金が要ることも明らかだ。
 こういうことでありますから、もう一度お聞きしますけれども、やはり個人献金をされる場合には名前を出していただくし、企業献金の場合にも同じように名前を出していただくことが、何のために出したかということが明らかになっていいのではないかと思うんですが、それはいかがでしょう。
#91
○政府委員(大林勝臣君) 確かに、理屈の上ではそのとおりでありまして、政治資金というのはできるだけ公明正大にその出所を明らかにするというのが理想でございます。ただ、やはり現実の問題といたしまして、個々の有権者が献金をいたします場合に、政治献金ということになりますと、やっぱりほかの社会的な献金、福祉関係の献金であるとか文化関係の献金、いろいろございますけれども、そういうものと非常に違うところは、政治献金については特に寄付者側が匿名制を希望するという一つの特色を持っております。これは何も日本人だけではございません、世界各国共通の感情でございます。ヨーロッパ諸国におきましてもいろいろ各党が個人献金の収集に長年の間努力を積み重ねておりますけれども、結局そこに一番大きなネックがあるためになかなか献金が集まらないというのもまた事実でありますし、そういった現実の国民感情というものも片方十分に踏まえて考えざるを得ないと思っております。それが一体百万円がいいのか幾らがいいのかというものはまた別の判断であろうと思いますけれども、個人献金の問題につきましては、常にそういった有権者側の匿名制というものも片方十分考慮に入れて考えざるを得ないと、こういうふうに思います。
#92
○片山甚市君 お話を聞きまして、大体政治資金規正法については私の先輩の議員が後日系統的にお聞きすると思いますから、これで政治資金に関することはやめまして、次の問題について若干触れてみたいと思います。
 先ほどから選挙公営の問題についてお話をしてきましたけれども、今日の選挙運動のはがきの問題、あるいは選挙事務所の使用料の問題、選挙運動のビラの問題等について、現状を拡大するような考え方で検討してみる用意はございませんか。
#93
○政府委員(大林勝臣君) 冒頭で御質問がございましたような選挙公営の拡大の内容の問題でありますけれども、選挙公営というものには、御案内のように、管理の公営というものと、それから費用補助的な公営というものと、二つに分けられるのであろうと思います。従来、長年の間やってまいりましたのが、どちらかと申しますと管理上の公営、まあ選挙公報であろうがポスター掲示場であろうが、そういったものは管理上の公営と心得ております。昭和五十年に至りまして初めて、ビラ、はがき、自動車、つまり個々の候補者の実際に選挙にお使いになる手段につきまして、一定の限度以内で国が費用負担をするという費用公営、費用負担の公営というものを始めたわけであります。
 ただ、この問題につきましてはいろいろ技術的な問題が随伴をしておりまして、やはりそういった個々の選挙運動手段に対する費用負担を考える場合にも、その費用の支給の方法、相手方、こういう問題がまた関連して大きな問題になるわけであります。まあいろいろたくさんの候補者の方もおられますために、やはり候補者御自身にそういった費用を支給をするというのはいろいろまた問題が多かろうと。したがいまして、やはりポスターであれば印刷業者、ビラであっても印刷業者、自動車であればその自動車会社であるとか借りた相手方、こういうところからの請求書を一々とっていただいて、非常に手続が複雑なのでありますけれども、費用負担の公正を図っておるところであります。今後どういう部門がそういった管理の公営であるとか費用負担の公営として望ましいものであり、また技術上も公正に確保し得るかということについて、現在私ども研究課題としていろいろ勉強をしておるところでありまして、具体的に御意見をその都度賜れば幸いであると思います。
#94
○片山甚市君 そこで、選挙運動の中で戸別訪問については、これは原則的な自由といいますか、これを認めるような形にして、買収とか被買収の問題については従来と違ってうんと罪を重くして、それができない、罪を重くすれば解決するという意味じゃありませんけれども、戸別訪問については今後選挙運動でどういうようなお考えでしょうか。
#95
○国務大臣(石破二朗君) 戸別訪問につきましては、すでに最高裁の判決も出ておりまして憲法上の疑義は一応解決したと、かように考えまするが、さてそこで、憲法とは離れて、戸別訪問に関する規制を緩めたらどうかという御意見もいろいろあるようでありますけれども、これは非常に慎重に検討する必要があろうと思います。
 お互い、選挙します者、体力の限界もあります。選挙にどうしても勝たなければならぬということになりますと、特に私は年から言いましても余り自信がありませんが、お互い大変な問題になろうと思いまするし、さらにまた、その間に御指摘のありました別のものがつきまとう、つきまといやすいということになれば、これはいよいよ大問題であります。さらにまた、戸別訪問を受ける側に立ってみますと、あれこれの物品販売あるいは預金、保険、その他の勧誘をお互い受けることが多いのでありますけれども、これはまあある程度は義理を欠きましても断りやすいのでありますが、さて候補者御自身なりその運動員の方に御訪問いただくということになると、義理もあります、これは。あの方にはお入りいただきながらこの方にはお断りするというわけにもまいりますまいし、これは大変な問題になりはしないかと思います。現在、戸別訪問は禁止されておりますが、実際問題として戸別訪問をやってつかまる例もたくさんあります。あるいは法を免れておるのもあるかもしれません。現在このぐらいで適当にやっているのじゃないかという気がするのでありますが、慎重にこれは検討する必要があると思います。
#96
○片山甚市君 身につまされるような話でありまして、実はこれ以外にやはり選挙違反に関してはせんだってからいろいろありますが、連座制の強化ということで、同居をしている身内の者についてはもう少しきちんとすべきではないかと思いますが、具体例を言いますとまたお答えにくいと思いますが、いまのままじゃなくて、もう少しきちんとすべきではないかと思うんですが、部長、どうでしょうか。
#97
○政府委員(大林勝臣君) 連座の強化につきましても、政治浄化の一環ということで、今後選挙法を改正する際には当然避けて通れない部門であろうと思います。ただ問題は、おっしゃいましたように連座にもいろいろございまして、いわゆる本来の連座と申しますのは、御案内のように総括主宰者であるとか出納責任者であるといったいわゆる運動員の総括的な地位にある運動員が買収をした場合には連座の対象となるというのが本則であります。それからもう一つの種類としましては、先ほどおっしゃいました親族連座というたてまえがとられております。それぞれについていろいろ御意見を伺いながら検討してまいったのでありますけれども、やはり本来の選挙運動員を対象とする連座というものにつきましてはなかなか、それでは一体何人ぐらいの運動員が買収で刑事事件になった場合に連座とするのかという人数の確定、あるいはその人数のいかんによりましては、あるいはかえって、いわゆるおとり作戦というような汚い手段が使われる可能性もないでもないというような御議論もたくさんあったようであります。
 したがいまして、当面は親族連座につきまして、現行制度は同居の親族につきまして候補者と意思を通じて買収が行われたという場合には連座の対象としておるわけでありますけれども、やはり同居をしておる限りにおきましては、候補者と意思を通じてないというのもなかなか世間が納得しない問題であろう、こう考えまして、今後、親族連座につきましては、同居の親族については候補者と意思を通じなくとも買収が行われた場合には連座の対象とする。もし同居していない親族につきましては、これはやっぱり意思の連絡というものがないと、候補者の人格の問題にも関係してまいりましょうから、同居していない親族につきましては、意思を通じて買収が行われた場合に限って連座の対象とするというような方向で親族連座の強化を考えてまいりたいと考えております。
#98
○片山甚市君 最後に、冒頭に総理の全国区のお話を聞きましたから、今度は地方区のことについてお聞きしたいんですが、せんだって国勢調査がありました。有権者の状態も間もなくコンピューターによって明らかになってまいろうと思いますが、私たちが把握するところによると、いつも例に出るところの鳥取県と最高のところとでは五対一ぐらいの差になるじゃないか、こういうようなお話がございまして、一票の重みの問題がございました。
 私たちとしては、野党が一致して十八名増の提案をしたことがかつてございました。ここに本日おいでの中西委員などが中心となって会を進めていただいたんでありますが、この機会に、国勢調査の結果を見て、地方区の定数についてもう一度一票の重みの問題を議論するように御検討願えるのか。全国区の問題は一つの具体案で出されていますけれども、地方区の問題がかすんでおるようでありますから、この問題を避けて通れない問題としてお聞きして終わりたいと思います。御答弁を賜りたいと思います。
#99
○政府委員(大林勝臣君) 地方区の定数是正の問題につきましても、これは長年の懸案の問題でございます。いままでの経緯、あるいは国会の中における御努力につきましては、数年前片山委員が中心になっていろいろ御検討をされてきたわけでありますが、さすがにやはり参議院の地方区の問題ということになりますと、参議院の地方区のあり方の問題というものにどうしても関係してまいるわけであります。どうしてもいかに人口が少ないところでも最初から二名は配当せざるを得ないという非常に地域代表的な性格を持っておることから、やはり最高と最低というものの格差だけを頭に置いて考えるのはいかがであろうというような御意見も多かったと思います。
 ただ、現状で少なくとも逆転関係を生じておるところにつきましては、やっぱり最小限度の是正が必要ではないかというところにつきましては、各党大体お考え方が一致してまいったのではないかと私ども推測をしておったわけでありますが、さて具体的な解決方法ということになりますと、さすがに定数問題でありますから、総定数をどうするかという根本問題から決めてかからざるを得ない羽目になるわけでありまして、やはり総理も言っておられますように、この定数問題というのは、まさに選挙の土俵そのものの問題として各党でやっぱり議論を煮詰めていただかないことにはなかなか実現しない問題であろうと私どもも考えます。今後とも事務的にいろいろ私どもも御協力のできることは十分いたすつもりでございますが、各党間の御議論を詰めていただければ幸せに存ずる次第であります。
#100
○片山甚市君 終わります。
#101
○大川清幸君 私は、先ほど提案理由説明のありました政治資金規正法の一部を改正する法律案を中心に質問を進めたいと思いますが、時間があればその他の一般的な問題についても二、三触れたいと思います。
 初めにお伺いをいたしますが、今回提案をされましたこの改正案で、いわゆる政治資金にかかわる航空機疑惑等一連の不祥事件が続発をしたわけでありますが、このような不祥事件の再発が防止できるとお考えですか、大臣の御所見を伺います。
#102
○国務大臣(石破二朗君) ああいう事件の発生を何とか防止したい、その一助にとも思いまして今回の改正案を提案いたした次第であります。
#103
○大川清幸君 何とか防止したいという期待を持って御提出になったんでしょうが、いろいろ衆議院の委員会でも論議をされて、極端に言えばざる法だなんていう批判も出るほどいろいろ問題がありまして、まず初めにお伺いをいたしますが、政治資金とその他の資金との明確な区別、条文にもそういうふうに出ておりますが、これの判断はもっぱらいわゆる特定の公職の候補者、平たい言葉で言えば政治家個人の判断に任せる形になっております。いわば一種の精神規定でありまして、従来のような不祥事件発生の素地というものはこの条文の規定だけではまるまる残っている感じがする。何とか再発防止をしたいという期待の大臣のお言葉があったんですけれども、どうもそれはしり抜けになるような感じがいたしますけれども、少なくとも、先ほどからの論議にもありましたが、政治資金とその他の資金の区別にかかわる大枠あるいはミニマムの枠といいますか、何らかのよりどころがないことには、これは問題の解決にはならぬと私は思うんです。
 先ほどから論議がありましたけれども、政治家の倫理の問題ですが、それがもともと問題で法改正をしようとか、あるいは後ほど御質問しますが、総量規制の問題等も昭和五十年に出たわけです。そこの一番つぼのところを何も規制しないでこの法案をお出しになった真意というものが私はわからない。そういう点、その点で何らかの基準といいますか、そういうものをなぜ設けなかったのか。技術的にむずかしいというようなことをおっしゃっておりましたが、これはやはりむずかしくても何か必要だったんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
#104
○政府委員(大林勝臣君) 事柄の出発点が公私の区別ということでございますから、まずその公私の区別をどうするかという、基準をどう考えるかというのが一番の問題に実はなったわけであります。ただ、いろいろ考えてみましても、政治献金であるかどうかの具体的な基準ということになりますと、そもそも政治献金とは何であるかという話になってくるわけでありまして、ひいては政治活動とは一体何であるかということになります。御案内のように、現在公職選挙法で選挙運動の規制をいろいろ設けておりますけれども、選挙運動と政治活動の限界いかんという問題が常に問題となる以上に、やはり私的な問題と公的な問題の区別というのは大きな問題であろうと思います。しかも、生身の人間、両面を持っておる人間、しかも個々の政治家によって、またその地位によって政治活動の範囲というものは人それぞれ違うであろうと思います。これを一律に何か具体的な基準をつくるというのも、結局はもう立法技術上不可能に属するということでございまして、非常に努力はいたしたわけでありますけれども、やはり事柄の本質は、個々の政治家の方々の倫理判断にお任せせざるを得ないという結果になったわけであります。
#105
○大川清幸君 そこで、今回提案された法案の中で、政治資金を取り扱う政治団体を政治家が指定することになっています。この指定団体設置の目的と、この団体の性格といいますか、概念といいますか、それをどういうふうにとらえられて、これは提案なさったんですか。
#106
○政府委員(大林勝臣君) まず、個人の収支を明確化する手段といたしましては、やはり個人が個人として経理をし、報告をされるよりは、まず個人に入ってまいりました政治献金を第三者である政治団体を通じて報告をしていただく方がより客観的であろうと考えられた点が一点。その政治団体をどうするかということにつきましては、やはり現実の政治の上でほとんどの政治家の方々が後援会というものをお持ちでございます。やはり後援会というのがその支持する政治家との政治的な信頼関係という意味では最たるものであろうと。そうであれば、その一番信頼できる第三者である後援会、それを指定していただきまして、そこを通じて報告をしていただくということがきわめて望ましいし、しかも政治団体の収支報告制度を長年やっております現行制度にも一番乗っかりやすい方法ではないだろうかと、こう考えた次第でございます。
#107
○大川清幸君 そうすると、ただいまの御説明ですと、なかなかチェックのしにくい政治資金の流れについて、指定団体をつくって、そこを通すことによってチェックをしようと、こういうお考えで指定団体の規定を設けられたと解釈してよろしいですか。
#108
○政府委員(大林勝臣君) そのとおりであります。
#109
○大川清幸君 そうしますと、この法案全体の中で幾つか問題が出てきます。それは、現行の法律の中でも、この指定団体以外のいわゆるその政治家にかかわる政治団体、これは併存しておりますね。しかも、政治資金と判断をしたものを指定団体に納入するほか、政治家個人が保有金として運営できる部分もありますね。そうすると、この指定団体を通ったものについてはなるほど流れがある程度チェックできる。それも後で百万円その他のことでは欠陥が出てきます。いまおっしゃったような目的には十分機能しない指定団体の性格になると思いますが、いかがですか。
#110
○政府委員(大林勝臣君) 指定団体以外にも関係する政治団体というのがたくさんあることは承知をいたしております。そういう場合には、結局は、もし指定団体以外の政治団体に寄付をされたということになります場合には、その指定団体でない政治団体ですね、指定団体以外の政治団体に寄付されたということになれば、その団体の収入面でどなたから寄付されたということは、これは現行制度でわかるわけでありますし、また、そういう指定団体以外の政治団体から候補者の方へたとえば還流するというようなこともございましょうけれども、これはやはりその限りにおいては保有金として個々人から御報告をいただくというスタイルにしておるわけであります。したがいまして、指定団体というものを後援会に限ったから候補者の政治献金というものの内容が明らかにならないではないかとは私ども考えておりません。できるだけ政治団体のうちのつまり指定団体、指定団体に全部入れていただくということを理想といたしておるわけでありますけれども、ただ、政治団体をお持ちでない政治家というのもございましょう。そういう方に無理に政治団体をつくってくださいというのもいかがであろうかということで、保有金制度というものを別途残しておるわけであります。
#111
○大川清幸君 ところで、この指定団体自体に対するいろいろな規制は、このことだけでは余り明らかじゃないんですが、指定団体の個数については何ら制限はないわけですね。
#112
○政府委員(大林勝臣君) 指定団体の数については制限はいたしておりません。
#113
○大川清幸君 そうしますと、先ほどの片山先輩との間の論議でも問題になりましたが、たとえば年間百万円を超えるものについては収支の報告あるいは大臣なり地方所管の選管等が公表するというような規制はありますけれども、技術的にこれを数個の指定団体等に分散をする等のことが行われるとすれば、献金の実態、政治資金の実態は全く国民の前に明らかにされない可能性があると思われますが、その点はいかがですか。
#114
○政府委員(大林勝臣君) 指定団体の数を必ずしも一つに限らなかったのは、現実の政治団体のあり方から考えまして、またその支持する政治家との関係から考えまして、東京に後援会をお持ちであると同時に地元にも後援会をお持ちという先生が相当おられると思います。東京では東京での政治活動あるいは地元では地元における政治活動が必要であるからこそそういう政治団体が生まれておるのであろうと思いますし、また個々の政治家によってどちらを重点にするかということもそれぞれ違っておると思います。したがいまして、そういったいろいろな政治活動の態様から特に指定団体の数を限らなかったわけでありますけれども、要するに指定団体として指定をしていただければ、その指定された政治団体というのは届け出をされた直後に別途公表をいたしますから、この先生についての指定団体はこれとこれということはわかるような仕組みになっておるわけであります。
#115
○大川清幸君 この指定団体でもう一つお伺いをいたしておきたいのは、たとえば都道府県選管の所管である一号団体ですね、こういうようなものは当然存在する形になり得るだろうと思うんです。この場合には政治資金の収支の決算の報告を所管の選管なりあるいは自治省に出すとそれは公表されるわけですが、公表の場所なり時間的なラグというか、場が違いますので、その辺は国民の側から見ると大変わかりにくいんですが、この辺のところはいかがですか、どうなりますか。
#116
○政府委員(大林勝臣君) 指定団体が指定をされて、政治家個人の手にかわって報告をするというシステムになっておるわけでありますけれども、その際の報告の相手方は、現在の政治団体を所管する所管庁に報告をするような仕組みにいたしたわけであります。と申しますのは、現在の政治団体の報告の届け出先そのものが、その政治団体の支持する候補者の身分、たとえば国会議員であるとかどうであるかとかいう身分によって決めておるのではございませんで、その政治団体の活動範囲、つまり二県以上にまたがる政治団体であれば自治大臣、一つの県内の活動を主とする政治団体であれば県と、こういう活動範囲によって決めておりますので、今回の個人の収支報告につきましても、現行制度の政治団体の届け出先そのものを利用するということにいたしたわけであります。
#117
○大川清幸君 この指定団体に入れた金が仮に、政治家のこれは倫理の問題にもなるんですが、政治資金とその他の資金、これを区別せずに指定団体に寄付をする、入れてしまう、後で還流、戻して、その政治家自身が引き出して自分の活動に使う。この場合、先ほども論議になりましたが、この引き出した金については使った明細の報告等がなくてもよいことになっていますので、これがまた一つしり抜けの重大問題でもあるわけですが、この中にただいま言ったように雑所得とみなされるものまでぶち込んでこの指定団体を通して使うということになると、本来課税対象になるべき金も課税追及ができなくなるという心配があるわけですけれども、こういう操作についても、全く政治家とその指定団体の良識なり何なりに任せてしまうのでどうしようもないということですか、どうなんですか。
#118
○政府委員(大林勝臣君) 税の取り扱いにつきましては、要するに指定団体に入れようが入れまいが、とにかく政治家に入った資金というものが何に使われたかということで判断をする、こういうことのようであります。したがいまして、指定団体に一たん入れまして、指定団体からさらに受けました金をたとえば私的な資金に使ったということになれば、当然その私的な資金に使った額については雑所得として課税の対象となりましょうし、もちろん全部政治活動に使ったということでございますればそれは課税の対象とならない、税の取り扱いは特に今回の改正とは直接関係ございません。従来どおりでございます。
#119
○大川清幸君 だから、ただいまの説明でも、理論的におっしゃることはわかるんですけれども、事実行為として、これは雑所得等もごっちゃにされて、たまたま指定団体なるものがあるために課税の追及ができないというようなことになりますと、この改正案の目的である公明にして公正な選挙の運営、あるいは政治活動の運営に役立てたいということで、先ほど自治大臣もこの効果が上がるように念願しておるということで、明確に効果が上がりますというお答えはなかったわけですが、ただいまのような説明を聞いても、事実関係を考えてみると、国民の側から見ますと、ずいぶんいいかげんな法律だなということになる。やはりチェックができないで、しり抜けというこれはそしりを免れないのではないか、こういうふうに思います。
 そこで、政治家個人がその指定団体に寄付した以外の金、あるいは後援会を持たない政治家の管理している金について、いわゆる保有金については、収支報告ですとか、あるいは百万円を超える分についての報告事項ですとか、あるいはその支出については一件五万円以上についての幾つかの規定、あるいは大臣ないしは所管の選管に対する報告の義務づけ、あるいは選管や自治大臣の公開等の定めは一応整っておりますけれども、先ほど来論議になっておりましたように、その政治家個人がこの指定団体から戻し金として引き出して使った金の報告についても、理論的には課税対象になるようなものは、それは私経済で使えばなるのだといういまお話があったんだが、それはチェックのしようがないわけです、報告を怠ってもこれは罰則がないんですから。先ほどから罰則が設けられなかったいきさつ、御苦心の御説明も聞いたんですけれども、やはりこの法律が全く政界浄化というか、政治活動の公明と公正の確保を担保する機能というものを失う重大な原因はこの罰則規定がないことだ、こう思います。
 先ほど来お話がありますように、富士見病院その他のああした刑事事件にでもなれば、それは刑法上の規定によって罰せられたりというようなことになるんですが、政治活動そのものを明朗化するためにわざわざお設けになる法律のことでございますので、刑法上の規定とは別に何らかのやはり規定というものを、まあ罰則とまではいかないまでも設けておく必要があったんだろうと思う。そういう点を何かやはり考えてこれに加えておかなければ政治活動の明朗化の担保には全くならない、これは法律がしり抜けというか腰抜けと評されてもやむを得ないと思うんですが、この点いかがですか。その罰則を設けなかった理由をもう一回御説明願いたいし、効果の点についても自信がないだろうと思いますが、重ねて御答弁願います。
#120
○国務大臣(石破二朗君) 大川委員御指摘のとおりの御批判があるいはあるかと思いますけれども、お互いこれでも選良と言われる地位にある者であります。本来ならばお互い法律等をもって強制しなくても、本来は国民の皆さんの御期待にこたえられるような生活態度を守るであろう、政治活動をするであろう、またそうするのがお互いの任務ではなかろうかと私は思います。現に、政治資金の規制につきましても、ヨーロッパ各国とアメリカとは違っております。ヨーロッパ各国はほとんど制限を設けておりません。しかしながら、その結果、ヨーロッパの議会制度とアメリカの議会制度とを比べてどっちがいいかは必ずしも一概に言えないと思います。でございますから、あれこれ今回の法改正につきましても御批判はありましょう。けれども、本来はこういう法律がなくても、俗に選良とまで言っていただけるお互いであります、お互いの良識をもって、法律がなくても間違わぬ、信頼を得るような行動をするであろう、すべきものであると、こういう前提に立っておるものでありますから、なかなか個人の金、政治資金と分けにくいような、それを一歩間違えたら直ちに罰則というようなことまではどうしても踏み込めないと、踏み込むべきでなかろうと考えた次第であります。
#121
○大川清幸君 それは、大臣もおっしゃるように、私もまあ政治家としてはまだ後輩でもありますが、また政治家全体の倫理等が信用できないとは言ってないんです。ただしかし、国民の皆さんから政治そのものの不信を買うような不祥事件が連続して起こりまして、しかも一国の総理大臣とか大臣経験者の中から起こっていることがこれは致命傷だと思うんです。
 そういう点で考えますと、ただいま大臣が御答弁なさっていることはわかるのですが、しかし、大部分の良識をもって政治活動をやっている人まで多大な迷惑をこうむるんですから、今回わざわざ法案を改定してまでお出しになるのですから、何らかのやっぱり歯どめみたいなものをつくっておいた方が国民の方も納得するのではないかと思うので、私は罰則規定のないこと、出せないことについてもう一回経緯を説明してくれと言いましたが、何も罰則そのものではなくても、先ほど申し上げたとおり、その事実行為についてわかったならば選管なりあるいは大臣なりが世間にその政治家個人の名前を公表するとか、そういうこととは限りませんが、何かの罰則に準ずるような規定みたいなものを設ける考えはないんですか。
#122
○政府委員(大林勝臣君) 確かに、政治資金という問題に対する立法のあり方に関連するわけでありますが、現在政治団体につきましては御案内のようにいろいろ罰則を設けております。設けておりますが、なかなか事柄の性質上、罰則の適用が非常にむずかしいというのもまた御承知のとおりであります。結局は、こういう問題というのは、一番の痛みというのは罰則という問題でなしに世論の批判、要するに報道機関がいろいろ批判をされる、こういったものがそれぞれの個々の政治団体なり政治家にとっては一番の痛みであろうと思います。政治資金規制の問題については、結局、昔からそういうものを実効の担保というふうに考えて運用してまいったわけでありますが、いろいろ罰則、税その他の問題でも、なおかつもう少し実効的な方法が考えられないかという御意見は、これは十分尊重してまいりたいと思います。いろいろな方法を今後考えぬといかぬかとも思いますけれども、これもやはり基本的な問題の一つと私ども心得ております。
#123
○大川清幸君 本当にその辺について、いま何とか工夫するなり努力をしてみるということですが、これは本気で取り組んで、何かうまい方法があればやってもらうように要望いたしておきます。
 そこで、政治資金の明朗化という観点から言いますと、いわゆる政治家の役職といいますか、職務権限といいますか、こういうものにかかわりがあると思われる関係の民間の団体あるいは法人、個人の寄付については、やはり何らかの制限規定みたいなものが必要だと思うんです。先ほど自治大臣の選良としてのお話がありましたが、あの点から言うとこれも要らないという御答弁になるかもしれませんが、先ほど来たびたびお話が出ました富士見病院の北野献金事件、もう繰り返しませんが、厚生大臣であった齋藤氏、千九百万円ということも報道されています。元自治大臣、国家公安委員長であった澁谷氏についても二千万円何がしとかいろいろ報道されました。澁谷氏の場合は法の抜け穴を巧みに利用した形になっておるようでございますが、こういうようなことが今後も起こらないという保証はないのです、この新しい政治資金規正法を施行したところで。したがって、先ほど罰則ないしはそれに準ずるような規定ということについても明確な御答弁がない、まあ努力をするということだったんですが、せめてこの政治家の役職、職掌にかかわる部分については、何らかの制限規定をお設けになる考えはありませんか。
#124
○政府委員(大林勝臣君) 往々にして、いろいろ事件が起こりますたびに、その政治家の職務権限とのかかわりという問題が一つの大きな問題になるのも常であります。そういう趣旨からおっしゃっておるのであろうと思いますが、まさに職務権限の範囲という問題自体が非常にむずかしい問題でありまして、刑法上の贈収賄罪一つを取り上げて考えてみましても、その職務権限との関連ということがポイントになるほどの非常に大きな問題であると同時に、非常に範囲が明確にしがたい性格を持っております。したがいまして、一概に職務権限に関係があるという一事をもってすべての関係の政治献金を禁止するというところまで踏み込むことについては、いかがかと存じております。
#125
○大川清幸君 むずかしいことはわかりますけれども、刑法上いろいろ事件が起こればそれで追及をされて、その方の職務権限を利用したかどうかということについての実証ができれば刑を受けるということになるんでしょう。職務権限、技術上いろいろ法律論からも突き詰めるのがむずかしいというふうに思うのですが、国民の常識から見て、厚生大臣が監督指導しなければならない病院、その他病院関係の団体、こういうような方からはもらわないように、慎むような規定ぐらいは私はぜひ欲しいと思う。
 世間がどう考えているかということについて、ちょっとここでお話ししますと、十一月九日、読売新聞だと思いますが、「日医の巨額な政治献金と、選挙協力をめぐるある種のブラフ(選挙前に武見会長が議員を日医への「協力度」によって支援のランク付けをする)に一喜一憂する議員たちのいることはよく知られている。所沢の富士見産婦人科病院の理事長、北野早苗が行っていた一連の政界工作は、いわば、「アメとムチ」を巧みに使った日医方式のミニ版」だと。これは医療不正天国といいますか、最近ずっと摘発をされました診療報酬の不正請求の実態の解説記事として出ておる。これは読売新聞の報道ですが、一般国民の見方もこういう見方をしている方が多いというふうに思われるわけでございますので、先ほどの政治資金とその他の資金の区別の判定も政治家個人に任せることにしたんですが、せめてその政治家個人の判断として、やはりこれだけの職務権限にかかわる危険性のあるものについては慎しむぐらいの精神規定は、これは入れられないんですか。
#126
○政府委員(大林勝臣君) いろいろ御意見はあるところであろうと思いますが、結局、そういった政治家の地位とそれから政治資金の取り扱いという問題は、やはり現行法で定めておりますような補助金をもらっておるような団体であるとか、出資金をもらっておる団体であるとか、利子補給をもらっておるとか、赤字であるとか、こういう非常に具体的、客観的な基準が明確なものにつきましては規定がし得る問題であろうと思いますけれども、非常に漠然とした前提を置きまして政治献金の取り扱いを決めることにつきましては、私ども相当の疑問を持つ次第であります。
#127
○大川清幸君 次に、現行法の附則八条、先ほども論議になっておりました。これは御承知のとおりほぼ五年たちまして、五十六年一月一日の時限が迫っております。これらの趣旨にのっとって見直しの作業等についてはどの程度進んでおられるのですか。
#128
○政府委員(大林勝臣君) 五年後の見直しというのが今後の一番大きな課題になろうと存じておりますが、過去四回収支報告も済ましてまいりましたところでありますし、過去四回の収支報告の内容を現在分析しておるところであります。そういった過去の実績を踏まえまして、今後政治資金というものが基本的にどうあるべきかという問題に取り組むわけでありますけれども、いろいろ資料は集めながらも、ただ、基本的なあり方の問題ということになりますと、結局、先ほど来大臣もお答え申し上げておりますように、選挙制度の問題というものとどうしても連関して考えざるを得ないと思います。現在のような個人本位の選挙制度だからこそ個人に金がかかり過ぎるのだ、だから現在のような個人に金がかかり過ぎるという現実をそのままにしておいて、単に資金面だけで物を考えるというのは果たしていかがなものであろうか。やはり先進諸外国で行っておりますような、政党が責任を持って選挙をやる、政治を行うというようなかっこうにいたした上で、それとの関連で政治資金のあるべき姿というものを考えるのがこれまた本筋であろうと思います。
 従来、いろいろ政治資金の問題について、選挙制度審議会でも検討され、答申をされてきたところでありますけれども、審議会におきましても、基本的な哲学といたしましては選挙制度の問題が基本の問題である、ただ、現在の世の中の実態を考えれば手をこまねくわけにはいかないということで、昭和五十年の改正になったような答申を出しておるわけでありまして、できるだけ速やかに選挙制度の政党本位への移行を考えるべきだというのが、また片方非常に大きな宿題になっております。両制度の関連を考えながら検討をする必要があるわけでありまして、各党各派それぞれの御意見をちょうだいしながら総合的に検討する必要があろうと思います。
#129
○大川清幸君 そうすると、ただいまのお答えですと、各党各派との相談も必要だということは、これは総理大臣もおっしゃっているので、当局もそうした努力、その方向で作業を進めようということだと思うんですけれども、そうしますと、この五十六年一月一日の時限はもう来年ですからすぐ参るわけですが、いまおっしゃったような選挙法あるいは政党法その他の絡みで作業を進めていくについては、この議決を受けた五十六年一月一日の時限よりもかなりおくれるということですか。事務レベルではどのような目標を立てていらっしゃるのですか。
#130
○政府委員(大林勝臣君) 附則八条は、五年を経過した時点において、それまでの経緯を勘案して基本的な問題、全般的な見直しを検討すると、こう書いてあるわけでありまして、その規定そのまま私ども理解をいたしまして、過去四年間の収支報告書の分析をいまやっておるわけでありまして、来年から検討を始めると、こういうことであります。その検討の仕方について先ほどお答えしたところでありまして、確かに事柄というのはそう簡単に結論がまとまるような性質の事柄であるとは考えておりません。
#131
○大川清幸君 そこで、作業はこれから、準備はなさっておるということだそうで、入り口があくのは来年の一月一日、そこから努力をしようということだと、これは何年かかるかちょっと興味深い話でお聞きしておきたいですね。どうなんですか、大体、事務の目標を立てておやりになるような構想なり何なりお持ちじゃないんですか、事務局は。
#132
○国務大臣(石破二朗君) 事務当局の見通しいかんという御要請でありますけれども、問題は事務じゃないと思うのです。事務ではない。事務は、これはもう極端なことを言えば一カ月もあれば十分できます。そうじゃないんで、選挙制度そのものを改正しなければ、本当は政治資金だけを規制してみても政界の浄化を図るわけにもいかず、国民の議会制度に対する信頼もなかなか回復することはできまい、選挙制度をどうするかという問題であります。選挙部長が申しましたとおり、私ども現在のところはできるだけ党営選挙という方向に持っていって、そうして個人が金をそう無理して集めなくても済むようにするという方向でやっていけば、各会派のお話し合いがつけば、私はそうむずかしい問題ではないと思います。
 世間ではよく何か大会派だけに、大政党だけに有利な選挙制度を考えやせぬかというような御指摘もありますけれども、少なくとも、私個人になりますけれども、そうだてや酔狂で議員を務めておるつもりはありません。一自由民主党のために私は務めておるつもりはありません。各国会議員、各会派の方も恐らくすべてそうだろうと思います。民意が本当に政治に反映するようにと、そうして国家、民族のためにということで議員の皆さんもお働きだろうと、私以上にそういう信念に燃えてお働きだろうと思います。そうとしまするならば、一党一派の利害等にこだわって本気で活動など私はできるはずはないと思う。そういうことでありますので、事務は私はそうむずかしいことは、時間かからぬと思います。お互いが本当に腹を割ってお話し合いしますれば、お互い日本人であります、問題の解決にそう時間がかかるはずはないと確信いたします。
#133
○大川清幸君 大変御確信のある大臣の御答弁なんですが、選挙法その他定数の問題や全国区のいろいろな問題でも、自民党さんの中にもいろいろ御意見の違いがおありになると仄聞をいたしております。各会派との相談も、それは選挙の明朗化、政治活動の明朗化についてはだれも効果を上げたいと思っておりますが、そうした技術的な問題や利害関係ではなかなかむずかしいので、大臣のおっしゃるようなふうにうまく運ぶかどうか私は心配をいたします。
 ところで、いまの御答弁の中で党営選挙にしたらいいのではないかというような御発言がありました。これは自治大臣個人のお考えですか、自民党さんのお考えですか、政府のまとまった見解ですか、どうでしょう。
#134
○国務大臣(石破二朗君) 政府の選挙制度審議会の答申とは申せないかもしれませんけれども、中間的な報告によりましても、党営選挙の方向に順次移行するのが是であるというような結論になったように承知いたしておりまするし、自民党、内閣、これで意思統一がもちろんできておるわけではありませんけれども、何とかして党営選挙の方向に持っていきたいという気持ちは、確かめてはおりませんけれども、大体方向としては恐らく間違いないどころではないかと思います。
 なお、私がこういうことを申し上げますのは、先日、衆議院の公職選挙の調査特別委員会におきまして、社会党所属の委員の方から、選挙制度を根本的に改めて十年後にこれを適用するということになれば、法律の根本的改正、党営選挙的な方向に向かっての改正はあながちそうむずかしいことではないと思うというような御意見の御開陳がありました。実は私も以前から、この前の選挙のときから申しておったのでありますけれども、どうしても党営選挙に持っていきたいと。いまはそういう考えを持っておりませんけれども、あえて選挙当時のことを申し上げますれば、それには現在のような衆議院中選挙区制のもとにおいて党営選挙というものは事実上不可能に近い、だから小選挙区制に改めて党営選挙をやれば、個人でそうお金を集めなくても済む、政界はおのずから浄化されるであろうと言ったのであります。
 その際に私が申しましたのは、実はこの衆議院の小選挙区制の問題は、第一次鳩山内閣だったと思いますけれども、昭和三十年、三十一年ごろでありましたか、たしかあのころ検討されたように記憶しておりますが、あれからもうすでに二十四、五年たっておる。仮にあのときに、二十年先にこの法律を適用するというようなことになさっておりましたらば、世間の常識には反したかもしれませんけれども、その当時の議員の方々あるいは御賛成が多かったのじゃないかと思うのです。でありますから、いまでも、議論ばかりしておるよりか、十年先にこの法律は適用するのだというのでもいいと思いますから、そういうことをして選挙制度そのものを改めていく、それに伴って政治資金規正法も本来のあり方に戻すというのがいいのじゃないかと思います。
#135
○大川清幸君 この論議をしていると果てしがないから……。
 それで、個人献金への移行のことについても先ほどちょっと論議がありましたが、私も念のため聞いておきたいと思うわけです。仮に、黒い政治資金といいますか、そういうような性格のものでないとしても、巨額な金額はそれなりに影響力と圧力とを伴うということは世間の常識であります。先ほどの職務権限のところでもお聞きをいたしたのですが、五十年にせっかく設けた総量規制もこれは外されてしまうというようなこと。それから政府見解としては、昭和五十年の五月ですか、これは三木内閣のときですか、企業も政治活動の自由があるし、企業の献金もできるのだというような一応の統一見解。それから自治大臣御自身の衆議院の委員会等での御答弁でも、企業献金悪ならず。これは企業献金そのものを頭から、のっけから悪だという論議はちょっと乱暴だと思うんですけれども、巨額な献金が流れたためにいろいろな動きがあって、この政治資金規正法の改正もずいぶん抜け穴があるけれども早目に出さざるを得なかったといういきさつもあるのだろうと思うんです。そういう点から考えまして、やはり百五十万円の上限を設けたことも、それらの背景を踏まえての決定だったと思うわけであります。
 したがって、こういうような政府の統一見解や自治大臣御自身の御発言を伺っておりますと、附則八条の趣旨と大変矛盾するように受け取られるので、これは穏当を欠く発言といいますか、各党との話し合いでこれからやっていただけばよいことであって、このような意味での御発言は、ちょっと私としては納得がいかないというか、そういう感じで受け取っておるんですが、この企業献金と個人献金についての御見解を伺っておきたいと思います。
#136
○国務大臣(石破二朗君) 附則第八条によりまする政治資金のあり方、根本的な見直しはもちろん各党各会派の御意見を十分拝聴し、五年間の実績の上に立った適切な改正をしなければならぬと考えておりまするし、さらに先ほど申し上げましたとおり、政治資金を明朗化しますためには、どうしても選挙制度そのものを再検討、根本的な検討を加えなければいかぬということがその前提になるわけでありますけれども、企業献金と個人献金との価値判断の問題でありますが、私個人でどうこうということを考えてもおりませんし、またできるわけもございませんので、自分としては、他の会派はよく知りませんけれども、たとえば私の所属します自由民主党の議員の多くの方々が、有志の御好意によってでありましょう、何々君を励ます会というようなのがずいぶん開かれております。KDD事件に関連してでありますか、郵政省に若干の問題があったやに承知いたしておりまするけれども、果たしてあれが郵政省だけで済めば大変幸いだと思いまするし、また経済界等の皆さんにおかれましても、あれに出てこれに出ぬというわけにもまいらぬ、その金額は別としても毎晩のように顔を出さなければいかぬ、これはどうかというような御批判もあります。個人献金だけということになりますと、大変な別のエネルギーも必要なことになる。十分検討させていただきたいと考えております。
#137
○大川清幸君 時間がなくなってきましたので、二点だけ一般的なことでお伺いをしておきたいと思います。
 選挙そのものが、民意の公正な反映をされるようなルールで運営されることが一番いいのでございまして、先ほども論議がありましたが、たとえば衆議院では千葉四区と兵庫五区の比較では一票の差が一対三・九六とか、あるいは参議院地方区では議員一人当たりの有権者数が最も多い神奈川県と最も少ない鳥取県の格差は一対五・三七、こういうようなことになっております。国勢調査も終わりました、いずれデータが上がってくると思いますし、これはいろいろ法律の規定もあることでございますが、全国区の作業等も論議になっておるところでございますが、現行法の上で言うと、こうした格差是正はできるだけ早い時期に行うべきだと思いますが、これはどのように考えておりますか。
#138
○政府委員(大林勝臣君) 衆議院の問題であれ、参議院の地方区の問題であれ、定数是正というのが長い間の宿題になっておるわけであります。特に、ことしは国勢調査の年でありますし、その概数が発表されますれば再び定数是正論議というのが各方面でウエートを持ってくると存じております。
 ただ、従来いろいろ定数是正問題に取り組んでまいりました経緯から申しましても、やはり衆議院では総定数の問題というのをどう考えるか。これまではなかなか減員がむずかしいから増員一点ばりでそれぞれの是正をしてまいったわけでありますけれども、すでに五百十一名になって、さらにこれ以上増員するということについて一体国民感情がどう反応してくるであろうかという問題。さらには、現在、衆議院の選挙区定数というのは大正十四年以来三人から五人といういわゆる中選挙区をとっておりますために、定数是正に伴って選挙区の境界の変更ということが当面の具体的な問題になってくるわけであります。そういった問題になりますと、非常にやっぱり右党各派それぞれ直接に大きな利害関係を持ってくる問題でありますし、また参議院の問題にいたしましても、先ほど来の御質問でお答え申し上げましたように、これまた衆議院と違って非常に地域代表的な色彩を強く持っておる、それだけにまた総定数をどうするかという問題もございます。やはりこの問題は、政党間のルールの中でも一番大きな敏感な性格を持つルールの問題としてやはり根気強く各党間の御協議をお願いしないと、実際問題としてはなかなか実現はしないと存じます。もちろん事務的には私ども、国勢調査の概数が発表されますれば、またその数字によっていろいろな資料はいろいろ検討してみたいと考えております。
#139
○大川清幸君 もう一点。
 先般ダブル選挙が行われました。これは事実行為として総理大臣に衆議院の解散権がありますので問題はないわけですが、御承知のとおり参議院は、国民の意思の継続性、こういうようなことから半数改選の形をとっておるわけでありまして、衆議院選挙の方は、その時点でのいろいろな政治的な動向、問題等を国民の皆さんに判断をしていただくというようなことで、その都度解散が行われる。今回たまたま時期が重なったということかもしれませんが、こういう二院制の性格の上から考えますと、ああしたダブル選挙の実施については、議会の成り立ちから考えて余り好ましいことではないように思われますが、大臣の御所見はいかがですか。
#140
○国務大臣(石破二朗君) いろいろ御意見もあるところであろうと思いますけれども、この夏行われましたいわゆるダブル選挙は、何分にも内閣不信任案が成立したわけでありまして、内閣としては辞職するか解散するかという二者択一を迫られたわけです。恐らくその当時の総理大臣とされては、理屈はいろいろあるかもしれないけれども、それはともかくとして、この際総選挙により民意を問うた方がよかろうと御判断になったものと考えております。
#141
○近藤忠孝君 先ほど来の議論で、選挙に金がかかるということで、大臣も、個人が苦労に苦労を重ねて金を集める、こう答弁されたんです。私は問題は二つあると思うんです。第一は、金が何にかかるのか、すなわちだれがどのような使い方をするのか、これらの買収の問題が第一点です。それから第二点は、苦労をするかどうか別問題としまして、もらってはならないところから金を集めているのじゃないか、こういう問題がある。これが私は二重三重の意味での政治腐敗の問題だと思うんです。
 そこで、具体的な問題をお聞きしますが、ことし六月の衆参同時選挙の選挙違反の取り締まり状況、その罪種別検挙数などについて答弁いただきたいと思います。
#142
○政府委員(中平和水君) 今回の衆議院並びに参議院の同時選挙における違反取り締まりの状況についてお尋ねでございますので、その概要を御説明申し上げたいと思います。選挙期日後九十日現在の集計をもとにして申し上げたいと思います。
 まず、衆議院議員総選挙について申し上げますと、検挙状況は総数で五千九件八千三百七十三名になっております。罪種別内訳は、買収が四千三百五十九件七千二十九名、自由妨害が四十件四十四名、戸別訪問が二百二十八件四百十六名、文書違反が三百五十六件八百五十五名、その他が二十六件二十九名になっております。警告の状況を申し上げますと、総数で九千七百七十六件でございます。
 次に、参議院議員の通常選挙について申し上げますと、検挙状況は総数で千九百四十六件三千三百五十五名となっております。罪種別内訳は、買収一千百件二千十五名、自由妨害が九十四件九十五名、戸別訪問が二百十一件四百七名、文書違反が四百九十五件八百一名、その他四十六件四十五名でございまして、警告の状況を申し上げますと、総数で二万九千百八十五件、こういうことになっている次第でございます。
#143
○近藤忠孝君 私は、特にその中で検挙された者について見てみたいと思うんですが、衆議院の場合で見てみますと、検挙件数の中で買収事犯の占める件数、今回が八七%、これは昨年の十月の選挙の場合には九〇%強でありました。それから検挙人員、前の見たのは検挙件数ですが、検挙人員は六月の場合が八四%、そして昨年の前回が九〇%、いずれも衆議院の場合ですが、大体そういう数字と見てよろしいんでしょうか。
#144
○政府委員(中平和水君) おおむね御指摘のような数字でございます。
#145
○近藤忠孝君 そこで、今回の衆議院の場合で結構なんですが、買収事犯の党派別の集計、これをお示しいただきたいと思います。
#146
○政府委員(中平和水君) 党派別の違反状況についてお尋ねでございますが、私どもといたしましては政党別の違反の統計は集計いたしておりませんので、お答えを申し上げかねる次第でございます。
#147
○近藤忠孝君 これはいままでもしたことがないのでしょうか。それとも特定の党派から圧力がかかってしなかったのか、どうでしょう。
#148
○政府委員(中平和水君) 警察の選挙違反の取り締まりにおける基本的な態度は、かねてからやはり不偏不党、厳正公平の立場で選挙違反の摘発に当たる立場をとっておるわけでございます。したがいまして、そういう立場からは党派別の違反の状況というのはとる必要もないと、こういう立場でとっておりません。
 なお、詳細に申し上げますと、したがいまして、そうした姿勢は末端まで統一させるために、外勤の警察官あるいは捜査員等が検挙いたしましたときに、その統計のデータになる検挙原票というのがございますが、その検挙原票にも党派別等につきましてはチェックの項目は置いてない、こういうことでございまして、つまり末端の捜査員に至るまでそういう姿勢で取り締まりをするようにという徹底を図る趣旨からとっていない次第でございます。
#149
○近藤忠孝君 大臣、いまの問題ですが、特に買収犯、一番選挙違反の中で悪質な買収犯について、数字は発表になったんですが、党派別の件数は発表しない、捜査もしないと言うんですね。しかし私は、本当に政治をきれいにしていく場合に、何に使ったのか、だれがどういうところに金を使ったのか、その場合に一番悪質な買収にどの党派が一番使ったのかということは、これから政治を正す上で一番大事なことだと思うんです。いままではそういう立場で調べていないという警察庁の方のお答えですけれども、大臣として、その辺は大いに踏み込んでこれからお調べになる、こういうお気持ちはないでしょうか。
#150
○国務大臣(石破二朗君) 自治大臣として踏み込んで調べるつもりはありませんけれども、いろいろ選挙違反、形式形態は異なっておりますけれども、買収が一番質が悪い、かように理解いたしております。
#151
○近藤忠孝君 質が悪いのは当然ですが、大臣としてはどの党にそれが一番多いと御理解いたしますか。
#152
○国務大臣(石破二朗君) やっぱりそれは所属議員の一番多い党がどうしても多い、かように思います。
#153
○近藤忠孝君 立候補者は余り変わってないんですね。ですから、やっぱりそれは比率から見ましても、いまの御答弁でもたまたま当選してきた所属議員の数がとおっしゃったけれども、いまの答弁をずっと論理的に申しますと、おっしゃった結論は明らかだろうとこう思うんです。
 そこで、具体的な事例ですが、今年の総選挙で一番問題になったのは千葉の泰道派と愛知の内田派であります。特に、私は内田派の関係でお聞きをしたいんですが、これについての捜査結果について警察庁からお答えいただきたいと思います。
#154
○政府委員(中平和水君) 愛知県の四区から立候補し、落選しました内田康宏氏にかかわる違反だと思いますが、この違反につきましては投票直後から検挙に着手をいたしました。内田候補の実父で当時岡崎の市長をいたしておりました内田喜久氏が中心になって、岡崎市の市議会議員及びその周辺の選挙区の首長、議員、こういう者を重点的に買収をした事犯でございまして、愛知県警としましては、総検挙人員百二十八名に上る買収事件の違反検挙を処理している次第でございます。
#155
○近藤忠孝君 新聞報道を総合いたしますと、大体、億に近い額が買収工作費に当てられた、こう指摘されています。そこで、特に私は内田派の場合に特徴があると思いますのは、買収を含む選挙資金は、いま言われた候補者の実父である内田前市長が九年間、市の公共事業に関係ある土木建築、電気、水道など、こういう業界から集めたということ、その集めた額は三億とも五億とも伝えられておるわけであります。しかも、重大なことは、公共事業の入札をえさにした賄賂、これは贈収賄事件がもう発覚しておるようですが、大変問題だと思うんです。そこで、この贈収賄事件の方がどうなっているか、これについての捜査結果を御報告いただきたいと思います。
#156
○政府委員(中平和水君) 本年の八月二十日、公職選挙法の違反で起訴勾留中の内田当時の岡崎市長を収賄で再逮捕いたすとともに、岡崎市内の建設業者合計六名を贈賄側として検挙いたしまして、賄賂額の合計は三千九十万円を立証いたしまして検察庁の方に送致しておる次第でございます。
#157
○近藤忠孝君 これも新聞の報ずるところでありますが、これについて岡崎市内の土建業者の一人がこう証言しておるんです。「私ら指名業者は、これまでもいろんな形で市長から金を吸い上げられた。マスコミは出す側も悪い、というが、私ら好んで献金しているわけではない。逆らうとあとがこわい。指名からはずされるんですよ」、こういうことを言っておるんですが、捜査の中でこういう状況などはお調べになったんですか。
#158
○政府委員(中平和水君) そういう新聞記事に指摘されているようなことを関係者が言ったかどうかという詳細な報告は私どもは受けておちない次第でございます。ただ、かなり長期にわたる市政を通じて相当なやはり関係者に対する影響力を行使したという状況は、捜査の過程から出てまいっております。
#159
○近藤忠孝君 これは単に事案として訴訟を維持するかどうかという問題だけではなくて、実質ですね、いわば情状なども考える上に大変大事なことになると思いますので、ひとつこの辺も引き続いて捜査をしてほしいと思います。
 そこで、問題は愛知の事例だけではないということを私は指摘したいのです。これは週刊文春の八月七日号、全国的に有名になった大分二区の事件です。西村自民党副総裁が落選してしまったということに対してでありますが、田原氏について、西村派の池田さんという県会議員がこうしゃべっておるのです。「これほど露骨な土建屋選挙は例がない。角栄サンだってビックリですよ。糸山英太郎や千葉の宇野亨は、ただようけ使っただけ。それも借金した自分のカネでしょう。ところがこっちは、あえていえば構造汚職じゃないか。九地建」、これは九州の地建でしょう。「九地建OBという立場を利用して、業者から「カネ、人、クルマ」の三位一体で吸い上げる。吸い上げたカネは前回で七億、こりやマチガイない。」というのです。「今回は八億とも十億ともいわれます。期間が短すぎて、さすがの田原も使いきれず、二、三億は余ったとの噂ですナ。とにかく単価(一票当り)が三千円とベラ棒なんだ。」と、めちゃくちゃじゃないかということを同じ自民党の県会議員が触れておるんです。ここで業者の側から見てみますと、この記事にこう書いています。「建設省の仕事というのは、どこが受注するか前もって分るものなんです。説明会に出席すると、所長や副所長から示唆される。「天の声」というんです。県や市の仕事では、世に非難される「談合」というのがありますが、これは談合以前です。」と。こうして見てみますと、国民の税金を使う過程で大変なことが行われておるし、まさに私が先ほど指摘したとおり、要するにもらってはならないところから金を吸い上げておるということが実態だと思うのです。
 自治大臣に伺いますけれども、こんなことが実際あっていいのかどうか。また、これを阻止するための方策として、本当に政治をきれいにする、そういう立場からのお考えがあればお聞きしたいと思うんです。
#160
○国務大臣(石破二朗君) 御指摘になりましたその代議士の方、まさかそう反対派の県会議員がお、っしゃったほどのことをしてもおるまいし、私はできはすまいと。私もかつて役人をしたことがありますけれども、なかなかそう簡単に出してくれれば楽なんですけれども出してくれはしません。ただ、わが国の警察は御承知のとおり世界でも最も有能な警察であります。悪いことをしたやつは必ずつかまる。でございますから、他に絶無とは申し上げかねますけれども、悪いことをすれば必ず警察はつかまえておるというふうに御理解いただきますれば、そうみんながみんな悪いことをしておるのではないというふうに御理解がいただけるだろうと思います。
#161
○近藤忠孝君 大臣はちょっと認識が甘いようだと思うのです。さすがの西村さんが落ちたほどの激しい選挙で、相当金も使ったということは明らかですが、実はこれは調べてみますと、この池田県会議員の発言、これはゆゆしき事態です。そうでしょう。うそであれば当然告訴もしくは告発されるはずです。私が調べた範囲では告発も告訴もされておりません。それどころか、この記事自身が、この週刊文春が大分では買い占められてしまったんです。だから、現に大分の共産党の組織でさえこれは入手できなかったんです。そういう事態です。そういうような現実だということで、それを前提にしましてお考えをお聞きしたいと思います。
#162
○国務大臣(石破二朗君) お答えいたしますが、事実に反するならば告訴でもしたらいいじゃないかというお尋ねでありますけれども、お挙げになりました六億とか八億とかいう数字どおりじゃないと。ただし、わずかではあるけれども、仮に余り精神のよくない金を集めているという事実があるとしまするならば、さてそれじゃ告訴するのがいいのか、それとも黙っておればというふうに考えるか、その御当人の御判断だろうと思います。
 さらにまた、掲載された週刊誌を買い占めたという事態でありますけれども、事実はよく知りませんがやっぱり選挙というものは有権者の目が一番こわい、事実であろうとなかろうとです。とにかくそういう記事が有権者の皆さんの目の前に突きつけられるというよりか、やっぱり次の選挙などを考えますれば、あるいは買い占めてという気にならぬものでもなかろうと私は思います。
#163
○近藤忠孝君 私、大臣に指摘したいのは、弁護人じゃないんですから、むしろこれはそういうものを取り締まっていく側のやっぱり最高の責任者ですから、甘く見るんじゃなくて、もう少し厳しく見ていただきたいと思います。一つはやはり愛知の内田派の事件がありますし、すでにこれは贈収賄として刑事事件となっておるようですし、またこういう例もあるんですね。
 ですから、私がここで指摘したいのは、一つはこういう悪質な事例、要するに汚い金を使って、そして買収するんですから、特に大型買収事件につきましては、先ほどから問題になっておる連座制の強化、要するに適用範囲の拡大、そして実効の上がるものに法改正をして当然だと思うんです。
 それからもう一つは、裁判が長引くということで、それに対する措置が必要と思います。
 それからもう一つここで具体的に指摘したいのは、悪質選挙犯罪人の公民権停止期間、これをいまの倍の十年ぐらいに延ばして、少しそういう点で厳しくしたらどうかと、こういうことを提案いたしますけれども、お考えいかがでしょう。
#164
○政府委員(大林勝臣君) 連座制の強化の問題につきましては、先ほど来の御意見がございますように、各党とも大体御意見がそっちの方向へ進んでおると理解しております。
 第二の問題といたしまして、裁判の促進の問題であります。要するに、罰則を強化いたしましょうが、何をいたしましょうが、とにかく裁判の問題でありますから、その裁判の期間が長くかかるということで結局は実効性が担保されないというのがまた現実の問題だとわれわれも認識しております。それだけに、今回の政治浄化の一環といたしまして、いろいろ裁判の促進問題が各方面で議論をされ、検討をされてきたわけであります。
 ただ、現行法におきましても、選挙法でおよそ候補者の当選あるいは身分に関するような刑事事件の裁判については、これはもう百日以内でやれと、こういう訓示規定を設けておるわけでありますけれども、またそれなりに裁判所もいろいろ努力をされてきたと承知しております。ただ、ほかの刑事事件と違いまして、選挙違反事件と申しますのは近藤委員も十分御承知のように非常に関係者も多いということもありまして、なかなか開廷の期日の促進というのが訴訟指揮上非常にむずかしいという特殊な問題を抱えておるようであります。
 しからば、制度的に現在の三審制度をもう一審減らして二審制度にしたらどうか、こういう有力なお考えもあったわけでありますが、それでは第一審を高裁にして最高裁までと、こういうことが現実に訴訟技術上可能であるかどうであるか、あるいはその他、それで果たして人権問題というものがうまくいくのであろうかと、いろいろな角度から研究をされてきたわけでありますけれども、そういった人権問題なり訴訟技術上の問題というのを、いきなり制度的に審級を短縮することによって解決することもなかなかむずかしいようでありまして、現在のところなかなかまだ結論が出ない段階であります。
 もちろん、関連する問題といたしまして、最後に御指摘になりました公民権停止の強化についても、従来からいろいろ努力をし、その都度強化がされてきたところであります。古くは明治以来、罰則と相まっての能力刑としまして公民権停止はずっと法律に盛り込まれてきておるわけでありますが、現在は御承知のように五年、さらに累犯買収については十年と、こういう刑になっております。これをさらに五年を十年にするかどうかという問題、もちろん一つの御意見としては傾聴すべきものがあろうかと思いますけれども、ただ、罰則全体との関連という問題もございますので、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。
#165
○近藤忠孝君 私は、いま、もらってはならないところからもらった例を挙げたのですが、これはもっともっと構造的なものだと思います。
 これは、ことし八月十四日、十五日の朝日新聞の「補助金と政権党」という特集がずっとあります。これによりますと、無担保無保証人の融資制度、これが実は政権党すなわち自民党の党勢拡大のために使われているんじゃないか、こういう趣旨の指摘がされておるんです。この中に出ていますが、大蔵省自身は、無担保無保証人制度というのは金融常識から見てもこれは外れていると言うのに対して、日商側は、それくらい民商――民商というのは民主商工会ですね、民商対策の費用と考えたら安いものだという発言をして、そして実際この商工会議所などが、その職員がその線での活動に大いに力を尽くしている、また効果も上げている、こういう見過ごしがたい指摘があるんですが、一体こういうことがあっていいのかどうか。国の資金がそういう特定政党のための党勢拡大や選挙活動のために使われるようなことがあってもいいのかどうか、いかがでしょうか。
#166
○国務大臣(石破二朗君) 事実を承知いたしておりませんので、詳細は選挙部長からお答えいたしますけれども、いやしくも公金が一党一派のために使用されるなどということは、あってはならないことと考えております。
#167
○近藤忠孝君 通産省にお伺いしたいのは、この補助金の実際の額ですが、小規模事業指導費補助金、これが幾らで、その内容はどうなっておるか。
#168
○説明員(内村俊一君) お答え申し上げます。
 商工会または商工会議所が行っております小規模事業者の経営または技術の改善発達のための事業の充実を図る、こういうための補助事業でございますが、これは小規模事業指導費補助金という名前で交付されております。
 この点につきまして、中身を御説明申し上げますと、昭和五十五年度におきまして小規模事業指導費補助金は三百十一億でございます。これは商工会と商工会議所、あるいは商工会の県の連合会、それから全国商工会連合会、そういったところを含んでおります。中身でございますが、経営改善普及事業を担当しております経営指導員を設置する費用でございます。それから広域指導センター、それから専門指導センターと申しまして専門的な事項の指導をするところがございますが、その設置の費用、それから小規模事業者の若手後継者等の育成強化事業、そういった事業に対しましても補助を出しております。そのほか、商工会、商工会議所の指導施設に対する補助も行っております。
 補助金交付の方式でございますけれども、都道府県が商工会、商工会議所に補助をいたします場合に、国が都道府県に対して補助を行うわけでございます。なお、全国商工会連合会または日本商工会議所につきましては国が直接補助を出しております。
#169
○近藤忠孝君 そうしますと、経営改善普及事業に必要な経費ということになるので、そのためのたとえば経営指導員とかその補助員、その人件費は結局全額国や自治体が補助をする、そういうことになりますね。
#170
○説明員(内村俊一君) 県が二分の一、国が二分の一を結局負担しているということになっておりますが、形の上では県の補助金でございます。
#171
○近藤忠孝君 それからもう一点伺いますが、商工会の組織等に関する法律の第六条第三項によりますと、「商工会は、これを特定の政党のために利用してはならない。」、こういう規定がありますが、まさにそのとおりだろうとこう思うんです。
 それからもう一つ、商工会などこういう団体は政治活動に関する寄付をしてはならないと思うんですが、これはむしろ自治省の方にお聞きしたいのですが、その法的根拠は何でしょう。
#172
○政府委員(大林勝臣君) 政治資金規正法上は、国あるいは地方団体から補助金、利子補給金その他の給付金を受けておる団体は、政治活動に関する寄付をしてはならないということになっております。国から補助金を受けておる団体は、国会議員、要するに国のレベルの政治家あるいはその団体、それから地方から補助金を受けておる団体は、その地方のレベルの候補者あるいは団体に対する政治献金が禁止されておるところであります。
#173
○近藤忠孝君 政治資金規正法の二十六条の二によりますと、その罰則は「三年以下の禁錮又は二十万円以下の罰金」となっております。だから、これらの団体が結局特定選挙の候補者に献金をすれば、これは違反になるということは明白だと思うんです。
 ここでお示ししたい資料があるのです。(資料を手渡す)これは「兵庫県公報」で「選挙管理委員会告示」、前回の選挙結果のある自民党の議員さんの報告書です。その四枚目によりますと、四つの商工会から献金を得ておるんです。これは明らかな違法だと思いますが、いかがでしょう。
#174
○政府委員(大林勝臣君) この収支報告書に載っております商工会が、その地方の補助金というものを受け入れております場合には、補助金の交付決定以降一年間は政治活動に関する寄付ができないことになっております。そこら辺の補助金の受け入れ状況というものが私どもわかりませんから、この段階でお答えは差し控えたいと思います。
#175
○近藤忠孝君 この選挙の時期には、これは夏の段階でもそうですが、商工会というのは全部やはり補助金を受けておったんでしょう。それはもう公知の事実じゃないでしょうか。
#176
○政府委員(大林勝臣君) 補助金のルートというものが私どもよくわかりませんが、この地方の商工会は恐らく地方の補助金という補助金になっておるのじゃないかと思います。要するに、地方が補助金を出す場合に、先ほどお答えがありましたような、国が補助金を出す、こういうスタイル、つまりあくまでも補助金自体としては国の補助金ではない。しからば、仮にこういった商工会が補助金を受けておりましても、国の補助金でない、地方の補助金だということでございますれば、要するに国のレベルの政治活動についての寄付というものは禁止されていないわけであります。つまり、国から補助金をもらっておる団体というのは、国のレベルの政治家と団体への寄付が禁止されておる、地方から補助金をもらっておる団体というのは、その地方のレベルにおける政治家及び団体に対する寄付が禁止されておるという仕組みになっておるわけでございます。
#177
○近藤忠孝君 何かヒットかと思ったらこれはファウルになったような感じのものなんですが、しかし大臣、いまの話を聞きまして、同じ商工会でも国会議員にはいいけれども地方議員にはいかぬというようなことはおかしいと思うのですね。それはそうでしょう。要するに、これは国民の税金、一つは地方の財政にしましても、要するにそれは国民全体の税金です。先ほど大臣が言われたことは、やっぱり全体のものを特定のために使っちゃいかぬという趣旨からいくと、こういう抜け穴があったのでは――私は抜け穴かどうかこれも調べなければいかぬと思うのですけれども、抜け穴があったのではおかしいと思うのです。そういうものをやめていく。要するに、金を受け取ってはならないところから受け取っちゃいかぬという趣旨を私はもっともっと全面的にこれは広げていくべきだ、こう思うんですが、お答えいかがでしょう。
#178
○国務大臣(石破二朗君) 法律的な正確な御答弁は選挙部長が後ほど申し上げるかと思いますけれども、選挙部長がただいま御答弁申し上げましたとおり、この政治献金は国会議員の関係の団体に対する寄付金だと思うのであります。申し上げるまでもありませんけれども、国会議員はオールマイティーじゃないわけでありまして、地方自治体の金の使い方等についてあれこれの権限は持たないわけでございます。したがいまして、地方自治体から補助金の交付を受けております団体が国会議員なりあるいはそれを後援する政治団体に寄付するということは、抜け道ではないと私は考えております。
#179
○近藤忠孝君 時間がないので結構です。
#180
○栗林卓司君 ただいま提案されております政治資金規正法の一部を改正する法律案の中身についての質疑はしばらくおくとしまして、課税上の取り扱いについてしぼりながら一、二、お尋ねをしたいと思います。
 この改正案を見ますと、特定公職の候補者に対して、一つは政治資金をその他の資金と明確に区別すること、そしてその手段として、その政治資金を指定団体、まあ指定政治団体ですが、指定団体に取り扱わせるよう努めることということが目的になっておるわけですが、そこで、その特定公職の候補者が政治活動に関する寄付を受領した場合、課税上の取り扱いとしてこれはどういう所得になりますか、まずお伺いします。
#181
○説明員(浅野大三郎君) お答え申し上げます。
 これは、国税の所得税においてどういう所得になるのかという問題になろうかと思います。私、実は住民税、地方税の方を担当しておる者でございますけれども、課税計算につきましては所得税の所得計算をそのまま使っておりますので、そういう意味で私の口からお答えさせていただきたいと思いますが、政治家に対する政治資金に係る寄付、これは雑所得になるであろうと考えております。
#182
○栗林卓司君 そのとおりでありまして、地方税法の三十二条を見ますと、肝心な場所だけ読み抜きますと、「所得割の課税標準は、前年の所得について算定した総所得金額」とするとありまして、その次では、「前項の総所得金額」は「所得税法第二十二条第二項又は第三項の総所得金額」とする、こうあります。所得税法二十二条を見ますと、「総所得金額は、」「次に掲げる金額の合計額」とするとありまして、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得、そして雑所得となっておりまして、雑所得というのは雑と書いてありますけれども、これは雑だからどうでもいいということではなくて、上記のものに含まれないという意味での雑所得である。おっしゃるとおりだと思います。
 そこで、所得税法の三十五条、「雑所得」の欄を見ると、「雑所得の金額は、その年中の雑所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。」と、こうあります。そこで、この「必要経費を控除した金額」という条項ですが、この必要経費には、たとえばただいまの特定公職の候補者が政治活動に関する寄付を受領した場合、どういうものが必要経費となるのでございましょうか。
#183
○説明員(浅野大三郎君) これは、先ほども申し上げましたように、国税において、所得税においてどういうものを必要経費と見るか、それをそのまま住民税の場合も用いておるわけでございますので、国税の方で大体どういうものを経費として、あるいは費用と申しますか、見ておるかということについて申し上げさせていただきたいと思いますが、たとえば政治活動のために使用した事務所の賃借料その他の事務所の費用、それからもっぱら政治活動のために使用した通信費、旅費、国会報告、政見発表などのための費用、その他いろいろございますけれども、たとえばそういうようなものがあるわけでございます。
#184
○栗林卓司君 たとえば、私が民社党県連合会に寄付をしたという場合に、これは必要経費になりますか。
#185
○説明員(浅野大三郎君) これにつきましては、たとえばこういうふうに考えられておるわけでございますが、ある個人が政治資金を受けた、それを直ちに政党へ交付したというような場合につきましては、実質的にその資金が帰属した者の収入にする、初めに受けた者ではなくて実質的に帰属した者の収入にする、こういう取り扱いになって、おるようでございます。
#186
○栗林卓司君 実際に起こる場合は、私が政治献金を受領しまして、私の会計に入れて、しばらくしてたとえば百万なら百万を県連合会の方に寄付する、あるいは二百万ばかり私個人の政治団体に寄付をするという形に物事は動いていくのだろうと思います。直ちにというかトンネルみたいに、それを受け取って運んだだけというのは、これはちょっと例がないので外してください。要するに、私の会計に入れて、私が政治団体あるいは県連、県連だって政治団体ですけれども、そこに寄付をした場合には、それは所得税法三十五条に言う必要経費に入るのでしょうか。
#187
○説明員(浅野大三郎君) これにつきましては、政党の政治活動の費用を賄うために経常的に負担する本部・支部費、そういうようなものも、これは費用であるというふうに見ておるようでございます。
#188
○栗林卓司君 先ほど地方税法を読み抜きましたけれども、基本的に総所得金額の認定というのは所得税法に従っているわけですね。それで、私がそういった政治団体に献金をする、それから県連の場合でもそうですよ、それが実際にどう使われるかということは皆目わからないわけですから、それについては必要経費とは見ないという見方を大蔵はとっているんです。これ、御確認いただきたいのですけれども、私は間違っていることを言っている覚えはありません。先ほども確認したばかりです。
 それで、その場合に、所得税法の面では、その政治団体に対する寄付金は必要経費と認めないんだといったって、現実にそいつはあるじゃないかという部分は、所得税法はどこで調整しているのでしょうか。その辺の不都合というのは、所得税法上はどこで調整しているとお考えになりますか。
#189
○説明員(浅野大三郎君) その点でございますけれども、繰り返し申し上げるようでございますが、実は住民税の課税をいたします場合には、その所得計算につきましては、所得税の関係で計算されたものをそのまま用いるわけでございます。率直に申し上げまして、地方団体自体も、国税の方で所得が認定されましたものにつきましては、それを細かく追及するというようなこともないわけでございます。そういう意味で、国税で一体どうやるかということにつきましては私もちょっと申しかねるのでございますが、そういうことで御容赦いただきたいと思います。
#190
○栗林卓司君 では、申し上げますけれども、いまの場合は寄付金控除で扱っているんです。所得税法上は、ただいま私が申し上げましたような寄付金については、それは三十五条の必要経費とは認めないで、それはそれで所得金額を計算しながら、別途寄付金控除という形で扱っている。
 大臣、ここからが質問なんです。聞いてください。もう一遍繰り返しますと、地方税と所得税とありまして、いま問題にしているのは地方税のうちの所得割住民税です。これは、所得金額の認定というのは所得税の課税対象額に合わしているんです。合わしているんですが、所得税の方ではいろいろな控除項目が別にあるんです。地方税ではないんです。
 問題になりますのは、私が政治団体に寄付をする――いいですか、この法律というのは政治団体に寄付しなさいよと言っているわけです。寄付をしますと、所得税法上は寄付金控除の対象になるんです。地方税法上はならないんです。そうしますと、この法律いただきまして、わかりました、じゃ自分の政治団体に寄付しましょうと。幾ら寄付しようと何だろうと地方税はかかってくるんです、いまの仕組みでは。この問題を実は私はお尋ねしたいんです。実は各議員が音を上げちゃっているんですよ。各県に行きますと、県税事務所では、だめですと言って絶対認めてくれない。それはそうですよ、だって法律がそうなっているんだもの。したがって、いやこれはあそこに行く百万なんだと幾ら言ったって、一遍あなたのところを経由しているんですからだめです、雑所得に認定しますと。雑所得の必要経費というのは、先ほどおっしゃったようにいろいろあるんですが、ここの中にはそういう政治団体に対する寄付金は入ってない。その辺の問題を所得税法はどう処理しているかというと、一遍税額を計算した後で寄付金控除をしている、わかりますね。地方税には寄付金控除という項目がないものだから、そのまま課税になる。
 そうしますと、この法律は、特定公職の候補者が政治資金をその他の資金と明確に区別することを求めている。その政治資金を指定団体に取り扱わせるよう努力させると。何ぼ努力したって地方税を払うのはぼくですよ。だから従来は、従来でも問題があったんです、これは。あったんだけれども、まあ泣き寝入りしていたわけですよ、情けないことに国会議員がね。だけれども、この法律が出てきてみると、これは幾ら何でもたまらないじゃないかという議論が出てきたものですから、本題に入る前に一度この点について伺っておきたい。
#191
○説明員(浅野大三郎君) 政治資金についてどういう扱いをすべきかということについては、私の口から申し上げることは適当でございませんかと思いますが、一応寄付金控除そのものについてだけ事実の説明をさしていただきたいと存じますが、御指摘のように所得税には特定寄付金の控除という制度がございますが、住民税にはおよそそういう控除がございません。たとえば国、地方公共団体に寄付したような場合に、所得税の場合は寄付金控除を受けられますけれども、住民税の場合はそういう制度を設けておりません。これは御承知かと思いますが、地方税の場合はそれぞれの地方公共団体ごとにその住民に課税をする。ただ、寄付をする相手先というのは、その人が住んでいる地方公共団体とは限らないわけでございまして、たとえば東京都で成功した人が九州の方の郷里の村に寄付をする、そういうような場合もあるわけでございまして、そういうふうなことがございまして、住民税の性格上やはりこの寄付金控除というのは適当じゃないということで、住民税にはそういう制度を設けておらないということでございます。その点だけ御説明をさせていただきたいと思います。
#192
○栗林卓司君 それはそうなんですよ。ですから、寄付金控額がないからおかしいと言っているのじゃないんです。ところが、政治資金というのは、一遍私が受け取りますと、仮住まいをするわけですね。仮住まいをしてそれぞれの用途に向かって出ていくわけですよ、簡単に言うと。今度仮住まいのところを少しきれいにしようじゃないかという御提案でしょう。だったら、仮住まいのところの仮の雑所得まで含めて課税というのは、幾ら何でもそれは理屈に合わないじゃないかという議論は、常識論としても法律論としても私は正しい気がするんです。といって、じゃそれを所得税に直せというのは、これはむしろ別でありますから、所得税の方は寄付金控除という項目がありまして、特定寄付金というのは本来そういう性格の寄付金控除じゃないんだけど、これをみなして、政治家が政治団体に行う寄付金を特定寄付金とみなすことによってこの問題は逃げている。したがって、現実には障害は起こってない。
 ただ問題は、地方税ではそういう仕組みの工夫がなかったものだから、特にこの法案が出てくるといかにも困るという問題を指摘しながら、これはやっぱり来年の四月一日から施行というのだったら何か考えるべきですよ。先ほどお答えになったように、直ちに向こうに行くのならいいというけど、それは常識的に言って一遍は本人の口座を通ります。通っちゃったら課税当局は直ちにとは認めない。ここのところは、せっかくこの制度を生かしていこうというのなら、この制度を使って政治団体にどんどん寄付した方が地方税も安くなるし、そうしない方が困るぞよという方が生きるんではないか。初めて聞かれたような顔をされているので、ここでお答え無理かもしれませんけど、問題点の所在はおわかりになったと思うんです。どうされるのかだけ伺っておきたいと思います。
#193
○国務大臣(石破二朗君) とっさの御質問でありまして、私自身十分の御答弁ができませんのはもちろん、担当の政府委員もきょうは参っておりません。お話を伺います限り、検討しなければならない、検討の余地があるように思いますので、税法の問題として処理した方がいいかと思いますが、施行期日までの間に何とか理屈の通りますように善処いたしたいと思います。
#194
○栗林卓司君 これはわが党で、衆議院ですけど、この法案の内容を議論した際に三分の二ぐらいがこの話になりましてね、衆議院は一応可決していま本院に来ているのですが、そこで私は冒頭にお伺いしている。いろいろ聞いていきますと、寄付金は雑所得の必要経費に認めていないんだと。あれは別なんだという理屈は必ずしも自治省の方には伝わっていない気がしますし、大蔵の方に聞きますと、それは寄付金控除という項目があるものだから、全然困らないで整理をしているということがあるようです。至急実態をお調べいただきまして、私が申し上げている問題点を確認されましたら、解消する方向で作業を急いでいただきたいと思います。
 以上で終わります。
#195
○委員長(鳩山威一郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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