くにさくロゴ
1980/11/19 第93回国会 参議院 参議院会議録情報 第093回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号
姉妹サイト
 
1980/11/19 第93回国会 参議院

参議院会議録情報 第093回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号

#1
第093回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号
昭和五十五年十一月十九日(水曜日)
   午後一時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月十三日
    辞任         補欠選任
     近藤 忠孝君     山中 郁子君
 十一月十九日
    辞任         補欠選任
     大川 清幸君     藤原 房雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鳩山威一郎君
    理 事
                中西 一郎君
                松浦  功君
                小野  明君
                多田 省吾君
    委 員
                小澤 太郎君
                金丸 三郎君
                田中 正巳君
                名尾 良孝君
                中村 禎二君
                秦野  章君
                降矢 敬義君
                片山 甚市君
                福間 知之君
                宮之原貞光君
                藤原 房雄君
                山中 郁子君
                栗林 卓司君
   国務大臣
        自 治 大 臣
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        会委員長)   石破 二朗君
   政府委員
        警察庁刑事局長 中平 和水君
        自治省行政局選
        挙部長     大林 勝臣君
   事務局側
        常任委員会専門
        員       高池 忠和君
   説明員
        法務省刑事局刑
        事課長     井嶋 一友君
        国税庁直税部所
        得税課長    冨尾 一郎君
        自治省税務局市
        町村税課長   浅野大三郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○政治資金規正法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鳩山威一郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十三日、近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として山中郁子君が選任されました。
 また、本日、大川清幸君が委員を辞任され、その補欠として藤原房雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鳩山威一郎君) 政治資金規正法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○宮之原貞光君 この提案理由を拝見いたしますと、「航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言を受けて、政治家個人に係る政治資金の明朗化を図るため」に出した云々と、きわめて大上段に振り上げたところの提案理由の説明なんですが、そこでお聞きしたいのは、この協議会の提言というものはこれだけのものなのかどうか、まずそこをお聞きしたい。
#5
○国務大臣(石破二朗君) 宮之原委員も御承知のとおり、昨年の九月五日、航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会が提言をいたしています。その中で、大きく分けまして、第一番目には「政治の浄化のための対策」、さらに第二といたしまして「企業倫理の確保のための対策」、第三といたしまして「行政の公正確保のための対策」、第四といたしまして「制裁法規等の整備強化」、こう四つの項目を挙げまして航空機疑惑問題等の再発防止のための実効ある対策を政府に求めておると、かように考えております。
#6
○宮之原貞光君 そういたしますと、ここに提案をされておるところの改正案は、第一の「政治の浄化のための対策」の第二項のみでございますね。第一項、第三項、第四項、ほかの項はほとんどこれには顔を出してないのです。これで果たして協議会の提言に基づいてというようなかっこうで言う値打ちのあるところの改正案なのかどうかと、私は端的に申し上げて疑問に思うぐらいなんです。これが言われておるところの鈴木内閣のこの問題に対するところの姿勢なのかとも疑いたくなるのですが、それでほかの提言の問題はどうされるつもりですか。
#7
○国務大臣(石破二朗君) 御指摘になりましたとおり、今回御審議をお願い申し上げておりますのは、再発防止のための協議会の御提言のごく一部でございまして、政治浄化のためのすべての方策というわけではもちろんございません。
 そこで、ほかにどういうことを考えておるのかというお尋ねでございますけれども、このほかに、御承知のとおり昭和五十年の政治資金規正法の大改正の際に附則第八条というものを設けまして、昭和五十六年一月一日、つまり施行後満五年たったら政治資金規正法の全面的な見直しをせよと、こういうことになっておりますので、政府におきましても政治資金規制の根本的あり方についての検討をする予定にいたしております。成案を得次第御審議をお願い申し上げたいと、かように考えております。さらに、選挙そのものに伴いますあれこれの弊害と申しますか、いろいろの問題点があると思いますけれども、それらにつきましては、選挙のあり方の根本にも触れますし、議会制度の根本にも触れます問題でありますので、できますならば、国会、各党各会派におかれましてしかるべき結論に至っていただくようにお願いを申し上げておるところであります。さらに、一部ではありません、大部分のあるいは御意見かもしれませんけれども、参議院の全国区制というものをこの際検討したらどうかというような議論が自由民主党内には強うございます。目下、自由民主党内におかれまして参議院全国区制度のあり方について御検討になっておるやに承知いたしております。
 なお、政治資金の五年後見直しの規定による検討に当たりましては、党営選挙というものの是非等につきましても、自分といたしましては検討いたしたいものと、かように考えております。
#8
○宮之原貞光君 私がお聞きいたしておりますのは、この協議会の提案になるところの四つの項目がございますね。いわゆる「政治の浄化のための対策」云々とたくさん書いてございます。あるいは企業倫理の確保の問題、行政の公正確保の問題、制裁法規の整備強化という問題が項目的に出ておる、ここのところを今後どうされるのですかとお聞きしておるのです。これがあろうとなかろうと附則八条の問題は当然政府としてやらなければならぬことなんですが、これは後ほどお尋ねします。この中には全国区云々という問題もこれはないんです。私が端的にお聞きしておるのは、このことについて他の項目はどうされるおつもりなんですかと。しかも、提案理由を見ますと、「提言を受けて」というふうにきわめて大上段に振りかぶっている。しかし中身はというとほんのちょっぴりしかない。恐らく私は今後次々出されるのじゃないだろうかと思うからこういう大上段に振りかぶったところの提案があると思うのです。そこのところをお聞きしたいのです。
#9
○国務大臣(石破二朗君) 必ずしもこの提言の条章に従って整理して、その項目ごとに御審議を煩わすことになるとは思いません、あれこれ組み合わせになるかもしれませんし。けれども、大体この提言の趣旨はごもっともなことばかりでございますので、これのどれとどれとを一緒にとかいうことは申し上げかねますけれども、ここに提言されておりますことは順を追って政府において検討し、あるいは国会に御審議をお願いして実現するように努力してまいりたいと思います。
 たとえば、第四に「制裁法規等の整備強化」というのがあります。その一、「賄賂罪につき、刑の加重と公訴時効期間の延長を行うとともに」という提言がありますけれども、これなどはもう確かに措置されておるものと、かように考えておりまするし、必ずしもこの条章に従ってというわけにはまいらぬかもしれませんけれども、しかるべき方法でそれぞれ措置することになると思います。
#10
○宮之原貞光君 御病気の大臣に対して余り質問をするのは少し戦意も鈍るわけでございますけれども、しかし、やはりこれは大事な問題ですから、肉体的には大変でございましょうけれども、ひとつまたいろいろ御教示をいただきたいと思うのです。
 今後次々に出されるということですから、一応ここのところはここでおきますが、ただ、それにいたしましても、ここに出されておるものはこの提言の第一のうちの第二項の半分ですね。いわゆる「政治家の私人としての経済と政治活動に必要な経費とを明確に区別し、政治資金の明朗化を図るため」云々と、こう出ておるのですが、少なくとも私は、「政治の浄化のための対策」なら、ここらあたりはやっぱりまとめて出してもらいたいのです、「提言を受けて」と言うならですよ。
 たとえば、私はなぜそう申し上げるかというと、第三項に政治家の資産の公開等倫理規範の確立云々という問題がまたあるのです、大臣。これは本来から見ますれば、この提案をされているところの問題と政治家の資産公開のいろいろな段取りの問題、ここのところがセットで出されてこそ初めて皆さんが提言されているところの政治の浄化を図るための対策と言えるのじゃないでしょうか。この間の質疑を聞いておっても、わが同僚委員の質問に対しましても、きわめてこの法案がざる法案であるということはもう明白になっている。しかしながら、その政治家の倫理観に頼るということだけではこれはできないのですから、最低限の政治資金の公開あるいは政治家のいろいろな資産の公開、こういうものと一体的に出されてこそ私はここに皆さんが提言されておるところの最小限度のこともできると思うのです。ここのところは全然検討されなかったのですかどうですか。また、大臣としてはこのことはどうお考えになりますか。
#11
○国務大臣(石破二朗君) 宮之原委員の御指摘になりました第一の「政治の浄化のための対策」、その三の中の「主要な外国で既に実施されている」云々という政治家の資産公開制度の確立の問題でありますけれども、御承知のとおりこれはもう大変な政治家の倫理に関する問題でございますので、政府でこういうことを法律によって規制するのは実はいかがかと考えた次第でありまするし、なお提言を拝見いたしますると、「国会において」と、こういうことをまず冒頭にお書きになっておるのも、政府がそういう制度をつくるよりか、むしろ国会においてこういうための措置をおとりになることを期待しておるのではなかろうか、その方が適当ではなかろうかと私も考えておる次第であります。
#12
○宮之原貞光君 国会においてというのはちょっと詭弁じゃないでしょうか。それは、この問題は大変な問題だから国会の皆さん方で議論してくれと……
#13
○国務大臣(石破二朗君) 書いてある。
#14
○宮之原貞光君 いやいや、書いてはあるけれども、それは議院でやりなさいということじゃないのですよ、必ずしも。少なくとも政府が今後の政治姿勢をやっぱりきちんとさせようというなら、たとえば今度の政治資金規正法の目的の第一条からしてそうじゃありませんか、明確にやはりこの政治資金規正法によって政治家の姿勢を正すのだと。こういう大前提からしても、いまの問題は、それは政府ではできません、国会の皆さんで議論してくださいというのは、まさにこれは責任回避だと思います。こういうようなかっこうでいまの政府がやるから、この提言になりましたところの例の松野さんの五億円という問題はいまだにもやもやとされておるじゃありませんか。国民のだれ一人があの問題はすっきりなったと、あるいは今度の提案によってすっきりすると思う者がおりますか。
 言われておるように、入りはある程度これでいいでしょう、肝心かなめの出は全然わからない、野放しだというこの法案、この最大のものはやはり政治家の姿勢を正すところの問題で倫理観の問題だ。それをこの間の答弁から判断いたしますと、大臣初め事務当局は、みんなそれは政治家の個人に任せますと、こう逃げておるようなこの姿勢、こういうことから、鈴木内閣はこの政治資金規正法の問題について、本当に国民の期待にこたえて政治の浄化を図るのだというあれが見えるでしょうか。しかも、この五億円の問題にいたしましても、この法案によって一つも解明はおぼつかない。それを質問いたしますと、それは国会がというのはちょっとひど過ぎるじゃありませんか。ぼくはその点もう一回大臣にお聞きしたい。どうぞ大臣、座ったままで結構でございますから。
#15
○委員長(鳩山威一郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#16
○委員長(鳩山威一郎君) 速記を起こしてください。
#17
○国務大臣(石破二朗君) 宮之原委員の御提言、御意見、ごもっともとは思いますけれども、法律で一挙にそこまでいくのがいいのかどうか。私どもとしましては、やっぱり政治家のみずからの倫理に期待した方が適当ではなかろうかと、かように考えております。
 なお、松野議員の五億円云々の問題でありますけれども、事実を承知いたしておりませんので何とも申し上げかねますが、五億円受け取られたことが仮に事実といたしますれば、今回御審議を願っております法律が成立しておりますれば、何らかの方法で松野議員はその五億円を届け出なければならないことになりますので、今後あのような問題が同じように起こる可能性が残されておるとは私は考えておりません。
#18
○宮之原貞光君 後からおいおい質問いたしますけれども、どんなにたくさんな金でも、たくさん政治団体をつくってそこに小分けに分ける、あるいは出したところの政治団体から議員個人が引き出せば後はどう使ってもいいようなかっこうになっているでしょう。言うなれば出の部分が全然不明確なんですよ、この改正法案自体も。それだけに、一番根本の政治家の政治姿勢を正すとなれば、この資産公開という問題はきわめて重要な要素だと思いますよ。総理大臣が新しくなられる場合には御自分のものを出されますけれども、それはそれで結構ですけれども、国民の期待しているのはそれだけではとまりませんよ。政治というものが本当にきれいだと、金の問題についても、こうなったときこそ国民の国政に対するところの信頼感というものがつくのじゃないでしょうか。それを松野さんの問題にいたしましても、これができればすべてやれるのだと、こう言ったって、それは法案を少しでも知っておる者は、そうですかと言って納得しませんよ。そのことだけは申し上げておきます、時間がございませんから続けますが。
 次に、選挙部長にお聞きしたいのですが、この間の委員会の質疑を聞いておって非常に痛感しておるところでございますけれども、いわゆる行政局、自治省の政治資金の問題にかかわるところの任務というのは、法三十一条の書類審査云々ということだけの権限だということをしきりにこの間は強弁しておられたわけでございますが、果たしてこれで十分だろうかどうだろうかという問題は依然としてつきまとうところの問題なんですよ。このことと、先ほど申し上げましたところの提言の第三の「行政の公正確保のための対策」という問題と関連いたしまして、事務当局としてこの問題についてどう対応しようということを議論されたことがあるのですか、検討中なのかどうか、そこらあたりお聞かせ願いたいと思います。
#19
○政府委員(大林勝臣君) 政治資金規正法三十一条の政治団体に対する行政庁の監督上の措置と提言の行政監察その他との関連についてのお尋ねでありますけれども、まず政治団体に対する行政庁の監督権というものをどの雲度に立法上考えるかという問題は、これは何も今日に始まったわけではございません。長い間の議論の歴史がございます。日本だけでなくて世界先進諸国におきましても、こういった政党、政治団体に対する行政庁の監督権をどの程度まで認めるべきかというのは、一つの哲学という段階にまで言われるほど議論されたところであります。現在の段階におきましては、政党あるいは政治団体を立法の対象とします場合に当然に起こってまいります行政庁の監督権というのは、やはり政党、政治団体というのは、非常に先進民主主義諸国におきましては本来的に自由奔放なものであって、そういった自由奔放であること自体民主国家の将来のためには欠くべからざることである。そういう考え方のもとにおいて行政庁の監督権というものをさらに深入りさせていわゆる実質監督権というものを与えた場合に、政党、政治団体に対してどういう影響を与えるかという問題というのは、諸外国における長い歴史に基づいて現在の形式審査権にとどめることが一番適当であろうというのが一つの政治的な確信にまでなってきておるわけであります。
 もちろん、この協議会の提言の中に「行政の公正確保のための対策」というのがございますが、これはそういう見地とは別個の問題として、いわゆる一般の行政事務についていろいろな問題がその都度起こっておることを反省しながら行政庁の内部における行政監察というものの機能を強化しよう。つまり、第三の「行政の公正確保のための対策」というものの中には、いわゆる政党あるいは政治団体を対象としてその公正確保のための行政庁の監察機能を強化するという要素というものは入っていないというふうに私どもは理解しておるところであります。
#20
○宮之原貞光君 それは、論理的には民主政治のあり方から見て自由奔放というのはわかりますよ。それがないから問題が起きておるのでしょう。実際の政治家のモラルの立場から見て守られておらないからこういう提言がなされたのでしょう。前のロッキード問題あるいはグラマン問題、そういうものの派生からこういうものができて、それとのかかわりの中でこの行政の問題についての提言があったのじゃないですか。あなたの説明によれば、それは事務当局の監査の機能だけやれ、こう書いてあると。少なくとも現行法は去年出たところの以前の問題とこの中身は変わっておらぬはずなんです、政治資金規正法にしてもあるいは公職選挙法にしても。それを前提に置いてこういうものが出されておるのでしょう。そうすると、行政当局の考え方としては、政治資金規正法なりあるいは公職選挙法の問題については一指も触れないでいい、これとは別のことなんだと、この提言はそう理解されておるんですか。それならば、それ以外のことで政治家の倫理、姿勢を正すところの問題、政界浄化の問題の中でどういう問題がありますか、選挙関係以外の中で。
#21
○政府委員(大林勝臣君) この提言の考え方は、あくまで政治の浄化のための対策としまして選挙制度、政治資金制度あるいは資産公開制度、こういうものに触れておりますけれども、その根本の精神というのは、やはり選挙については現在のような個人本位の選挙をすべからく政党本位の選挙に移行させる、あるいはいろいろな問題が起こっております選挙運動のあり方についても反省をする、さらには政治家個人の政治資金の報告制度なり資産公開制度というものを手広く反省すべきである、こういうことであることには間違いないわけでありますが、こういった問題を処理する場合に、行政庁のいわゆる政治家あるいは政党、政治団体に対する監督権を強化するという方法によってこれを達成しろという思想には立っていないわけであります。
#22
○宮之原貞光君 それなら、中身はこれはどういうことを言っているのだと聞いておるのだ。たとえばどういうふうにするのか、この中身は。それを答弁しないで座ったって意味ないじゃないですか。
#23
○政府委員(大林勝臣君) つまり、この提言の第三の「行政の公正確保のための対策」というのは、いわゆる一般的な行政管理なり行政監察制度というものが現在あるわけでありますが、そういうものについて、許認可事務の整理なりあるいは合理化というところまで手を広げて、行政庁内部における監察あるいは一般の民間の許認可事務について適正に行われておるかどうかというような監察機能の充実強化を図るべしと、こういうふうな内容になっておると承知しております。したがいまして、第三の「行政の公正確保のための対策」につきましては、一般的には行政管理庁が中心となりましてそれぞれ関係各省庁で現在検討中と伺っております。
#24
○宮之原貞光君 全くこれは詭弁ですね。だってあなた、この提言の前提は、政治の対策の基本は政治の浄化にあり、そのためにこうこうしなさいと書いてあるのですよ。言うならば、やっぱり政治家のいろいろな問題とかかわりがあるのですよ。それを行政管理庁がやっておるところの行政整理とかあるいは行政の簡素化の問題ですと、あなたはこれをすりかえておるでしょう。大臣、これはだれが考えてもそう思いますか。行政の簡素化の問題ですか、この提言というのは。少なくともやはり政治の浄化にかかわるところのいろいろな政治家の姿勢を正すところの問題、あるいはそれとかかわるところのいろいろな政治資金の問題、公職選挙法の問題、あるいは選挙制度のあり方の問題、そういう問題にかかわるところの問題がみんなあるのですよ、この中に。そういうところの文脈から見ても、当然それと関連するところの行政の問題を指摘したと考えるのが常識でしょう。そうじゃございませんか。それをいまの選挙部長のように、いや全然ありません、これは一般の行政管理庁でやっておるところの問題ですと、こんな答弁で引き下がれますか、あなた。なめるにもほどがありますよ、これは。
#25
○国務大臣(石破二朗君) 御指摘になりましたとおり、この提言は、政治家の倫理の問題、選挙制度の問題あるいは政党のあり方の問題あるいは行政全部のあり方の問題、そのほか制裁法規の整備強化の問題等各方面にわたりますあらゆる改善措置を講じて、そうして政界の浄化を図り、国民の皆さんから信頼を受けるような政治が行われるようにせよというのが提言の趣旨でありまして、私が先ほどの御質問にお答えいたしましたのは、その中のごく一部の政治家個人が受け取った金の行方を届け出制度を新たにつくることによって明確化するということ。さらに御指摘になりました、また選挙部長も答えましたのは、行政の公正確保のための対策でありまして、これは政治家とは直接関係がなく、行政管理庁が中心になって政府の行政機構等の許認可事務の整理等を実施しておるということを申し上げておるわけです。全部総合してワンセットになるわけであります。全部まとめて御審議を願うのがあるいは御便利かとも思いますけれども、何さま広い範囲にわたっておりますし、所管省庁も分かれております。あるいは国会みずからで御発議願いたいというようなものもありますし、一部ずつを御審議願っておりますので十分な御理解が得られないのじゃないかと思いますけれども、その辺御配意いただきまして御審議願えれば大変幸せに存ずるところであります。
#26
○宮之原貞光君 私が申し上げておるのは、これはなるほどこの公選法や政治資金規正法だけの問題に限るとは言っていません。しかしながら、この提言自体が、問題の発端の経緯から見て、前後の文脈から見てもはっきりしているでしょう。これは自治省の選挙関係所管のものが全然行政関係の問題にないと言うのですか、それなら。そうは断言できないでしょう。
 たとえば、ここの一は政治浄化のもの、企業倫理の問題とは言いながら、これはやはり政治資金に絡むところの企業倫理の問題ですよ、御承知のように。あるいはたとえば四番の制裁法規の強化という問題もこれは一般的な制裁強化じゃないです。いわゆる収賄の問題あるいは時効の問題というのはきわめて選挙にかかるところの問題です。けれども、第三だけは別ですと、こう言えますかと言うのです。先ほどの選挙部長の答弁は全くそうですよ、これはみんな外ですと。そういうことはないと思うのです、ぼくは。たとえば、今度の法案には間に合いませんけれども、これはやはりかかわるところの問題については鋭意検討中と言ったのはそれでわかります。けれども、いまの答弁は何ですか。これは行政管理庁の仕事でございますから選挙関係を扱うところの自治省としては知らぬ問題でございますと、こう言えますか。おかしいじゃありませんか。そう言っているのです。それは違いますか。
 私は、当然この中のすべてがそちら様の責任だと言いませんけれども、やはりいままでの行政管理、選挙事務、いろいろなものだけで一体十全かどうか。この監査機構やいろいろな問題から見て十全だと思いません、私どもは。それだけに皆さんも、結論を得なければ結論を得ないで、今後検討していくならしていくと。それをすべてのものはみんな行政管理庁の責任でございますと、こう言ったってこれは世の中に聞こえませんよ。そのことを私は聞いているのです。
#27
○国務大臣(石破二朗君) あるいは選挙部長がお答え申し上げたのは舌足らずであったかもしれませんが、御指摘のとおり、この第三の「行政の公正確保のための対策」という提言がなされておりますゆえんのものは、こういう方法を講じて政界の浄化を図れという趣旨によるものと思います。したがいまして、選挙部長が申し上げましたとおり、行政の簡素化とかあるいは許認可事務の整理等は行政管理庁が主管庁となって実施すべきものではありますけれども、提言されました趣旨が政界の浄化を図るためという大前提がついております以上は、選挙に関係しまする自治省としまして、当然そういう見地からそれ相応の提言もし、そういう見地から協議に応じておる次第であります。全く無関心で放置しておるわけではありません。御了承を賜りたいと思います。
#28
○宮之原貞光君 たとえば、この第二項の行政指導の権限の根拠の問題、「手続及び責任の所在を更に明確にすること」云々というようなことも、これは当然かかわってくるところの問題なんですからね。ぼくは、いま大臣が関係するところの問題については関係各庁と鋭意いろいろな協議をする中でやはり前向きの措置を図りたいという御発言のようですから、それはそれで了承しますが、やはりここは十分考えていただかなければ、いや選挙は本来は自由奔放のものでございます、行政当局は本当は何もしなければいいのですと、こういう物の考え方で――今日の日本の現実の国政あるいは政治家のあり方という問題が問題になっているだけにいろいろと次々提言をされてきておるのでしょう。そこのところをやはり考えていただいて、もっと真剣に私はやっていただきたいのです。だから、それは与党の中で合意が得られなかった、済みませんでしたとあっさり言うならそれでもいいですよ、言葉だけ取りそろえてみたってこれは私は始まらぬと思うのです。
 そこで、具体的にお尋ねしますけれども、この間も同僚議員から質問が出ておりましたところの福岡区の麻生代議士の問題です。五十三年、五十四年の収支報告を怠ったという問題です。私の記憶に間違いなければ、この間選挙部長は、何回も指導させた、告示させた、けれども解散届を今度は向こうが出してきたと、いわゆる故意であるかどうかということは今後の課題ですという趣旨の発言をされておる。あるいはまた、十月十八日の朝日新聞の記事は、選管の担当者としては再三再四文書もしくは電話で要請したけれどもない。それによって今度は出てきたものは何かというと解散届を出してきたというのが事実なんでしょう、この間の答弁の経緯からいたして。しかし、解散届を出してきたのはことしになってからですか、どうですか選挙部長、まずそこから聞きたい。
#29
○政府委員(大林勝臣君) 解散届が出てまいりましたのは十一月一日付でございます。
#30
○宮之原貞光君 ことしのですね。
#31
○政府委員(大林勝臣君) はい。
#32
○宮之原貞光君 そういたしますと、この政治団体ですかは去年の秋の総選挙とことしの六月の総選挙はやはり活動したわけですね、そういうことになりますね。
#33
○政府委員(大林勝臣君) 福岡の選管の方では、ことしの総選挙においてはこの団体は活動してないと承知しておるという報告を受けております。
#34
○宮之原貞光君 それはどういう中身ですか、してないというのは、してなくてことしの解散届が出てきたというのは。どういう団体がじゃ代議士の選挙活動の中心になったのですか。
#35
○政府委員(大林勝臣君) 麻生代議士の後援会はいろいろございますようでありまして、解散の対象となりました後援会は、そのうちで麻生太郎後援会「麻生太郎と二十一世紀の会」という特定の後援会というふうに承っておりまして、この団体はことしの一月一日から十月三十一日までの収支報告書を報告してまいると同時に、十一月一日付で解散届を出してきておるわけでありまして、その報告書の内容は収入支出とも最終の日付は三月三十一日と、こういう報告になっておるわけであります。
#36
○宮之原貞光君 少なくとも去年の十月の選挙のときに活動したことは事実ですね、そう思いませんか。
#37
○政府委員(大林勝臣君) 昨年の総選挙においてこの後援会がどういう活動をしておったかということまでは承知いたしておりませんが、ことしの三月三十一日付で収支報告が出ておるということは、昨年は活動しておったと推定されます。
#38
○宮之原貞光君 そういたしますと、五十四年度の収支報告、五十三年度の収支報告を怠った、それを再三云々というようなことから見ればどういうことになりますか。自治省としてはもうそれはあずかり知らぬことになるのですか、それともこれは警察庁の仕事になるのですか。片一方は何回言っても届け出はしない、実際は動いておった、けど、そこまでは自治省としては指導監督の権限はないのだ、こういうことになるのですか。
#39
○政府委員(大林勝臣君) 政治資金規正法の上では、御案内のように二年間続けて収支報告を出してこない場合には、これは届け出のなかった団体というような制裁措置を設けておるわけでありますけれども、つまりその間収支報告を提出しないままに活動しておるということ自体が実は法律の上では禁止されておるわけでありますけれども、その間現実の問題としてどういうような活動をしておったかいなかったかという事実確認というところまでは選挙管理機関としてはとうてい対応できないというわけでありまして、そこまで法律が選挙管理機関に責務を負わせておるものとは私どもは現在考えていないわけであります。
 もちろん、昨年収支報告の提出をしないままに現実に政治活動をしておったであろうということは、その後出てまいりました収支報告の内容から相当の金額が書いてありますので活動しておったであろうと、こういう推定をするにすぎないわけであります。
#40
○宮之原貞光君 どうなんですか、そういう推定しかできないようなかっこうで一体行政の公正というのは期せられるでしょうか。本当はやっぱりある程度調べてみて勧告するなり手直しをさせる、おまえのところはおかしいぞと、こう言うぐらいの私はやっぱり指導性というのが指導監督機関にあってしかるべきだと思います。これさえもやはり自由奔放のものでなければならないというお考えなんですか。いかがでしょう大臣、これは。
#41
○国務大臣(石破二朗君) 選挙部長がしばしば申し上げましたとおり、行政権が立法権に介入関与することはなるべく差し控えるべきだという考え方のもとに政治資金の届け出等の制度があるいは御指摘のとおり不十分な結果に陥っておるのではないかと思います。けれども、私どもといたしましては、法律が命じますとおり、行政権が立法権の実体にまで立ち入ってあれこれ関与することは遠慮すべきであって、やっぱりそれは立法府それ自体、つまり国会議員各位の良識に、倫理におまちする、必要やむを得ぬものだけ立法措置によって行政権が介入する、こういうことにとどめたらいかがかと、かように考えておる次第であります。
#42
○宮之原貞光君 それで、警察庁にお聞きしますが、いまのような中身なんですが、警察庁としてもこれは全然タッチできない問題なんですか、それともこの問題についてはどう対処してこられましたか。
#43
○政府委員(中平和水君) ただいま御指摘の具体的な問題につきましては私どもも新聞報道を通じて初めて承知した、こういうのが事実でございます。この種の問題につきましては、いわゆる実体的な規定は別として、形式的な手続規定等につきましてはそれぞれの所管の行政庁なりそれぞれがあるわけでございますから、まずそういう手続を通じてある程度行政目的が果たされているかどうか、行政目的が果たされない場合にやはりこれは司法権の発動があるのが基本である、こういうふうに理解をいたしまして、現在この問題につきましても、県の選挙管理委員会等の行政措置等を踏まえながら警察として措置すべき事実があるとすれば適正な措置をしてまいらなければならぬ、こういうふうに理解しておるわけであります。
#44
○宮之原貞光君 いまお聞き及びのように、行政の方はもうお手上げだと言うんですよ。その前活動しておったかどうかもわからぬと。しかし、二回にわたって、五十三年と五十四年にわたって出されないことは事実なんで、それを勧告までしておる。けれども、それをほおかぶりで最低限去年の選挙はやっておるんですよ、ここで。けれども、それ以上はタッチできませんと言うのです。あなたは行政のあれを見て云々とこう言うけれども、行政はこれが法の限界ですと言うのです。それなれば一体政治資金規正法に違反するのかどうか、それをいろいろ検討されて調査をされるというのがあなた方の仕事じゃないのですか。まさかこれは天皇家の外戚だから云々で手心を加えたことはないと思いますがね。それもいまのお話ではだんだん日がたっていくところの問題、あれだけ騒がれたところの問題、一体それならあれですか、だれか特定の人が告訴か告発しなければ皆さん動かぬということなんですか、この問題は。どう解釈されますか。
#45
○政府委員(中平和水君) ただいま私が答えたとおりでございまして、この件も私ども承知するところによりますと、当該議員個人だけでなくて、相当数の団体がまず届け出がなかったということは県の選管の告示等でもこれは明らかになっているわけでございます。そういう実態にもございますので、これは司法権が少なくとも発動するには、それなりのやはり一種のけじめといいますか、行政自体がある程度きちんと行われておって、その中ではみ出すものがある、つまり注意とかいろいろなことをなさってもなおかつなかなかその行政の指導に従わない、こういうような場合にこれはやはり私どもはまず最終的な担保として乗り出していく。行政法規というのはおよそそういう基本的な姿勢で警察は臨んでおるわけでございます。警察が前面に出てこの種のものを全部かぶってしまう、こういう姿勢は従来からとっておりませんし、今後もそういうつもりはございません。もっとも、行政法規の中でも直ちに実体的な規定に触れる場合につきましては、これは当然私どもの方は出てまいるわけでございますが、少なくとも形式的、手続的規定についてはやはりそういう姿勢で臨むのが筋ではなかろうか、こういうふうに思っております。
#46
○宮之原貞光君 基本的な姿勢というのはそれで結構です。何も警察が前面に出なさいと言っているのじゃない。しかしながら、いまの問題、具体的な問題としてこの間も問題になりきょうも私が聞いている。再三再四文書でやり合った、それで選管として、中央の自治省としてはこれに対してこういう処置をしましたと。しかし、ほおかぶりできたんだ。それで、ぬけぬけと今度の十一月一日付では解散届を出している。前はそれでやったのかというと、少なくとも昨年の選挙はやっておるということは事実だけれども、あなたのいまの答弁は、行政でこれ以上けじめをつけるということになると、どういうけじめをつけたらおたくは初めて動き出すんですか、この問題は。行政としてはもうこれ以上出せませんというのが先ほどの答弁なんですよ。それ以上何を求められるのですか、行政がやらなければならぬことは。それをちょっとはっきりしてもらいたい。どうだったら調査に乗り出しましょうと、こう言うのか。調査もしない、新聞では見ました、こういうことでしょう。でも、実際は選挙であの簡単な文書図画の違反でさえも目を光らせて見る者が、政治資金の一番根本であるところのそういう問題については行政のけじめをつけてもらいたいと、こう逃げられるのはどうも腑に落ちません。どういうけじめをつけたらいいのですか、これ以上に。
#47
○政府委員(中平和水君) 私ども承知している範囲では、何か福岡の選管ではそれなりのやはり指導を継続してされているような受けとめ方をしておるわけでございますが、私どもといたしましてもやはり事実関係の調査については何もやっておらぬわけではございません。事実関係の調査についてはある程度実態の把握には努めておるわけでございますが、基本的な姿勢として先ほど申し上げましたように、要するに当該行政の指導を含めた措置を見守りながら警察として対処すべきであれば対処する、そういう姿勢でいるわけでございます。
#48
○宮之原貞光君 くどいようですけれども、やっておるんだよ、これは。それで、先ほどの選挙部長の説明では、これが精いっぱいですと言うのです。いわゆる県の選管もやりました、私の方も告示をさせた、こう言うのですよ、届け出なさいという告示を。そういうものをやって、それ以上にもう行政のけじめはできないと言うのだ。私は、あるのじゃないかと思って、先ほど来この提言の中の行政の公正を期するという問題は現行法でいいのですかと、もっと検討する余地はありませんかと言うと、けんもほろろの答弁。ここまでくればそれ以上のことはあなた方の領域になってくるのですから、積極的な調査なら調査をするということぐらいはやはりきちんと答えてしかるべきじゃないでしょうか。これは新聞で承知をしておりますという程度でとめられるでしょうか、後からもその点聞きますけれども。それとも、現地から何か告発とか告訴があってから動き出すんですか、皆さんは。その点もう一回聞かしてもらいたい。
#49
○政府委員(中平和水君) 私は、承知したというのは、新聞で警察は承知したということでございまして、承知しただけで何もしておらぬとはこれは答弁申し上げてございません。
#50
○宮之原貞光君 それなら、調査中なら調査中と言いなさいよ。
#51
○政府委員(中平和水君) だから、先ほど申し上げましたように、事実関係については警察は警察なりの関心を持って一応事実関係の把握には努めておるわけでございます。しかしながら、これを私どもが警察権発動の対象にするかどうかにつきましては、ただいま申し上げましたように、当該指導監督に当たるべき選挙管理委員会等の対応、それから現在までの実態、事実関係を踏まえた事柄の内容、そういうようなことを踏まえまして措置すべき事実があれば措置する、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
#52
○宮之原貞光君 これは委員の皆さんにも聞いてごらんなさいよ。これぐらい責任のなすり合い、逃げはありませんじゃないですか。行政当局はもうこれ以上はやりませんと言うし、皆さんはしかるべきものがまたこなければ云々と、こう言われる。だからして、これは一つの例ですけれども、大手を振って、その一番盲点と申しますか、そこを走っていくんですよ。こういうものはそのままにしておいて、いかに政治家の倫理観にまちます、こう言われてもできっこない、日本の政治が浄化されないところに問題があるのですからね。きわめて私は両方の答弁は不満だということだけ意思表示しておきます。
 関連してお聞きいたしますが、との間もちょっと質問がありましたところの全美環連ですか、この政治献金にかかわりますところの告発問題は、現況はどうなっておるんですか、それをお聞かせ願いたい。
#53
○説明員(井嶋一友君) いわゆる金美環連の法案審査に絡む政治献金をもって贈収賄に当たるかという趣旨の告発事件につきましては、本年十月二十三日に東京地検に告発が提出されておりまして、節下捜査を継続しておるというところでございます。
#54
○宮之原貞光君 その告発を受けて現在調査を進めておるということですか。
#55
○説明員(井嶋一友君) 具体的な捜査の中身につきましては、この席での御答弁は御容赦を願いたいと思いますが、捜査を進めておる、こういうことでございます。
#56
○宮之原貞光君 大体いつごろぐらいをめどに結論が出せるとの予定ですか。それもちょっと答えられませんか。しかし、けじめをつけて、どこかでかはっきりしておかなければいかぬですね、うやむやでは困ります。そこらあたりの考え方を聞かしてください。
#57
○説明員(井嶋一友君) もちろん、捜査をいたしました以上結論を出すということでやっておるわけでございまして、御指摘のような形で終結するわけではございません。ただ、いつごろ終結するかという見通しということになりますと、私どもではここでお答えするものは持っておりません。
#58
○宮之原貞光君 例の税政連の献金問題で告発されたところの五人の政治家は賄賂性の認識がなく容疑不十分ということで不起訴処分、献金側の三人は賄賂性の度合いが弱いということで起訴猶予処分というかっこうで決着がついたと新聞紙上からは了解しておるのですが、まさか先ほどのものもそういうかっこうに落ちつく先はなるのじゃないんでしょうね、これもやってみなければわかりませんでしょうけれども。ただ、やっぱりそういう予感がしてならないのです、えてしてこの種のものは。
 そこで、お聞きいたしますが、政治献金と賄賂性というのですか、賄賂というものとの関連と申しますかこのけじめと申しますか、どこにその線があるのですか。ちょっとそこらあたりをお聞かせ願いたいと思うのです。
#59
○説明員(井嶋一友君) ただいまの御質問の事件を離れてという御趣旨であると了解いたしまして一般論として申すわけでございますけれども、贈収賄といいますか賄賂というのは、御案内のとおり公務員の職務行為の対価としてつまり不法な利益、不法な報酬をやりとりするということになるわけでございますから、賄賂というのはそういった性質を持つ金品、あるいは財産的価値と申しましょうか、そういったものを指すのだというふうに考えるわけでございまして、これはあくまで刑法上の概念でございます。他方、政治献金と申しますのは、もちろん私どもの所管ではございませんのでその性質はよくわかりませんけれども、要するに特定の政治家の政治活動を支援するための寄付であるというふうに考えるわけでございまして、本来別々のものであるというふうにもちろん言えるわけでございます。
 ただしかし、この税政連の事件でも判断をいたしましたし、ただいま委員の御指摘もございましたが、要するに政治献金にかこつけてやはりいまのような賄賂性を持つ金品を授受することがあり得るということをこの税政連の事件では認めたということにもなろうかと思うのでありまして、その辺は要するに当事者の意思の問題、認識の問題といったものと絡みまして正否が決まってくるということでございますから、物事の性質は別のものでございますけれども、それを一緒にして行う場合があり得るであろうというような問題であろうと思います。
#60
○宮之原貞光君 まあいいです。とにかくそれがいろいろな政治家の問題に絡むところの一番の岐路のようでございますからいろいろなケースもあると思いますが、今度国民の立場から見ますと、その辺の考え方がきわめてあいまいな形でよく決着がつけられるものだから、ますますわれわれ政治家に対するところの不信感が出てくるということもあるものですから、したがって、やはりこの問題について処理される立場にあられるところの皆さんには厳正に、なるほど国民からもうんわかったと、こう言えるような形でひとつこれらの問題について処理をしていただきたいと思うのです。
 いま一つ関連をしてお聞きしたいのですが、去る五日の衆議院の同委員会で警察庁の中平刑事局長は、例の北野事件の問題で、何か見る限りでは調査中だという答弁をしておられるのですね。御承知のように、澁谷代議士は九月十八日国鉄の郡山駅でも記者の質問に対して具体的な答弁をしておる、それでいろいろなことを言っておる。そしてまた、献金の処理の仕方も見ますと、新聞報道を見る限りでは、もらった五百万円ですか、百五十万円に、三回に分けて同じ人から政治献金を受けたようなかっこうに報告がされておると報じられておるのでありますが、こういうような形で処理をされていく、あるいはまた同代議士のいや私はもらいました、こうしましたと、こういうものとの関連の中から、調査中であると言うのですが、それからもうすでに二十日前後過ぎておるわけですけれども、どのような調査の進展があるか、話せる程度にちょっと答えていただきたいのです。
#61
○政府委員(中平和水君) お尋ねの問題につきましては、去る五日でございますか同委員会で、北野の献金の中に犯罪として捜査すべき事実があるかどうかということについて鋭意調査を進めていると、こういう答弁をいたしたわけでございますが、これまでに一部を除きましておおむね事実関係の解明は終わっておるわけでございます。この結果、これに関連いたしまして、一部法律に触れる事実もあるようでございますので、これらにつきましては所要の捜査を遂げまして、最終的な詰めを行いまして、それほど遠くない時期にひとつ結論を出したい、こういうふうに考えております。
#62
○宮之原貞光君 私がこの新聞記事を見る限りでも、これは法律上どうだろうかと思える点を感ずるのですけれども、いま刑事局長がその点をはっきりされながら早急に結論を出されるということですから、それ以上はここでは聞きません。
 ただ、大臣、いまのこの問題にしてもあるいは齋藤前厚生大臣の問題にしてもきわめて不明朗なんですよ、政治家としての姿勢から申しますと。齋藤さん自身、本人は昨年の九月の五百万円献金を認めておる、わかったからね。それで、それを四つの団体にみんな分けてやられておる。恐らくこういうような形でいくとすれば、それは自治省から見れば、五百万円のうち齋藤個人が百五十万円を受け取り、あと残りは三百五十万円をまた百五十万円ずつ分けてやられたから政治資金規正法上は問題はない、こう言われるかもしれませんが、いずれにしても非常に国民に現職の大臣ともあろう者が何だという、政治家みんなが金銭的な感覚が麻痺しておるのじゃないか、こう指摘されるぐらいの状況を生んでおるのです。これは何も今度だけじゃない、遠くはロッキード事件から、あるいは松野事件から。
 こういう一連の政治家のあり方というものを見てみますと、やっぱり大臣が答弁されるように、あくまでもこれは政治家の倫理観の問題だから政治家の姿勢にまちますと、こういうことで本当に国民の期待するところの政治の浄化ということができるのでしょうか、どうでしょうか。私は少なくともある程度はこの出の部分も法律の中でやっぱり確かなものにしておく必要があると思うのですけれども、それはあくまでも大臣がいままで答弁されておるように、そこは政治家の常識に任せますというかっこうになるのですか。これだったら百年河清を待つというかっこうになると私は思います。一歩踏み込んで次のいわゆる見直しの時期にでもこういう問題について検討されるという用意はございませんか。いかがでしょうか。
#63
○国務大臣(石破二朗君) 私が先ほど来お答え申し上げましたのは、挙げて政治資金の問題を政治家の倫理に任せますと申し上げたわけではありませんで、これ以上は政治家の方の倫理に、良識におまちする以外にはないと思いますと言うにとどまっておる次第でありまして、その点は御了承を賜りたいと思います。
 齋藤代議士あるいは澁谷代議士についてのいろいろの御質問がございました。事実関係が必ずしも明確になっていないことはもちろん報道等を通じまして若干は承知いたしておりますけれども、法的に責任のある調査を実施する権限を私の方は持っておりませんし、また国家公安委員長といたしましても正確にまだ事実を把握いたしておりませんので何ともあの事件を申し上げることはできませんけれども、かねて私が考えておりますことを率直に申し上げてみまするならば、選挙をやります者、宮之原委員も選挙はすでにずいぶん御経験になっておるとは思いますが、宮之原委員は特に清潔で合法的な選挙しかおやりになっていないことを十分承知いたしておりますけれども、選挙をやるにいたしましてもその他の政治活動をやるにいたしましてもずいぶんの金が必要であります。金も必要でありますし、また多数の労力も必要といたすのは事実であります。政治家が政治活動をし選挙をするに当たってたくさんの金が必要だと、しかもそれを個人で調達しなければならぬということになりますと、どうしても選挙には勝ちたい、背に腹はかえられぬという俗語もありますけれども、そういう次第で、あるいは余り性質のよくないあいまいな金かもしれぬ、怪しいかもしれぬというのに手を出しかねないというのが、お互い、少なくとも私の持っておる弱点であります。
 したがいまして、選挙に絡む、政治に絡む資金を明朗化し、国民の皆さんの政治に対する信頼を取り戻しますためには、どうしても選挙に金のかからないような制度を仕組む、特にどうしても金がかかるという以上は個人で調達せぬでも済むような方法を考える、つまり党営選挙、何とかして党営選挙に一歩でも近づけてまいる必要があるのではなかろうか。単に政治資金だけを規制しようとしましても、どうしてもそれは極言しまするならば本末転倒であって所期の効果を上げることは困難ではなかろうか、私はかように考えております。
 したがいまして、政治資金の根本的な見直しをするに当たりましては、なるほど八条には一定の方向づけがしてあります。したがいまして、政府が一方的に独断でもって勝手な判断をするわけにはまいりませんけれども、御理解をいただけますならば、八条に規定してあります方向づけにかかわらず、それよりかもう一歩前にさかのぼって、選挙のあり方を含めて政治資金全体のあり方についての根本的な検討をさしていただきたい、かように考えております。
#64
○宮之原貞光君 政治のあり方の根本を検討される、それは結構です。結構ですけれども、最低やはり必要なものはしなければなりません。根本的なものをやるといってすべてのものをそれに逃げ込ましたのじゃこれは意味がございません。私が先ほど来言っておるのは、なるほど今度の法改正でも入りの部分は大分よくなってきておるのですが、出の部分はすべて野放しじゃありませんか。そうじゃないとおっしゃっても、自分がもらう保有金のところはやっぱり制限があるけれども、自分が指定団体としてやったところから受け取る金の問題については、それをどう使ったかということにあれはないわけでしょう、罰則も何もない。そういうようなところあたりが、もっと入りの部分を少しでもよくしようとするならば、出の部分も並行してやはり明らかにさせるようなことをやってもいいじゃありませんか。だけど、残念ながらこの法案はそこのところはほとんどしり抜けになっておるのです。ここがやっぱりマスコミの皆さんからざる法案だと言われるゆえんじゃないでしょうか。また、ここのところが政治家の政治姿勢の問題と関連するからいろいろな問題がやっぱり残されていくのじゃないでしょうか。
 したがって、私は、やはりこの問題を最低限の問題として、これは大臣、高潔な石破大臣がおられるときに思い切って勇断を持ってやられるぐらいの検討はしていただきたいと思いますよ。それを大臣から御答弁いただいたように選挙のあり方の根本問題の中でと、一環としてと言ったって、とてもじゃないですけれども一年や二年で結論は出ませんからね。だから、私は、できるものから一つでも二つでも、大体常識で見て入りをある程度規制するなら出の方もやっぱりわかるようにしてもらいたいのですよ。でなければ、これは後を絶ちませんよということを言っているのです。
 それで、もう一つお尋ねしますが、これはまず法務省にお尋ねしたいと思いますが、千葉一区の泰道代議士の問題ですね。これは新聞報道によりますと、何か検察側は冒陳で、職員宅で本人も同席して買収工作の謀議をしたとか、秋の総選挙でも約一千七百万円の買収金を配布したとか、さらに今回の買収資金として同代議士の父親の率いている泰道関連企業グループのうちの一社、東洋テルミーが中心になって集めてきた現金約四千六百万円が支払われた云々と、こういうふうに述べられておると報道されておるのですが、ここらあたりの事情と申しますか中身で、ある程度ここで答弁されることが許されるなら若干詳しくお聞かせいただきたいと思います。
#65
○説明員(井嶋一友君) 御指摘のありました泰派の選挙違反の公判は、現在千葉地方裁判所において進行しておるわけでございますが、ただいま御指摘のありました事柄は公判の過程におきまして検察官がいわゆる冒頭陳述で述べた事柄に関連することであると思われます。冒頭陳述と申しますのは、御案内かと思いますけれども、検察官がまず証拠、いわゆる立証活動に入ります前に証拠によって証明する事実ということで整理をいたしまして裁判所に提示をし、それに従って順次立証していくというようないわゆるそういう性質のものでございまして、したがいまして、冒頭陳述におきまして述べましたことを次回以後の公判において立証していくという性質のものでございます。
 そこで、冒頭陳述におきまして、新聞にも一部報道されましたような泰道議員の直接の関与をうかがわせるような事項につきまして陳述がなされたということはそのとおりでございます。しかしながら、結局冒頭に申しましたように、冒頭陳述の性質はそういったものでございますので、今後公判の過程におきましてそういったものが順次裁判所において立証されていくということになるわけでございます。現在はこの程度にとどめておきたいと思います。
#66
○宮之原貞光君 そこで、お尋ねしたいのですが、どこに尋ねたらいいのですか、冒陳にありますところの東洋テルミーで集められた金は政治資金規正法に沿って届けられておるでしょうか、どうでしょうか。
#67
○説明員(井嶋一友君) 私どもの方ではこの事実は手元には把握しておりません。
#68
○宮之原貞光君 これはまた自治省は調べるあれはないのですか、どうなんですか。
#69
○政府委員(大林勝臣君) 御質問の献金につきまして、政治団体が献金を受けたものでございますれば選挙管理委員会の方へ報告がされておるはずであると承知しますが、個人として受けられたものであれば、個人の選挙資金として受け入れたものについては選挙運動の収支報告、もし政治資金として受け入れられたものでございますれば、個人の報告制度というのが従来はなかったわけでございますので、そのあたりの問題であろうと思います。
#70
○宮之原貞光君 これだけ世間を騒がしておるところの問題ですが、その指導官庁のこれは指導ですね、監督というと語弊があるそうですから。自治省は全然このことについて、いま答弁されたところのどちらかを調べられたことはないのですか、そこはどうなんですか。
#71
○政府委員(大林勝臣君) 従来、献金の問題が関係の政治団体からの収支報告に載っておるかどうか、現在のところまだ調べておりません。
#72
○宮之原貞光君 怠慢と言うとまた怒られるんですか、これは。常識的に考えればあれだけ世間を騒がした問題ですから、これはこうなっていますぐらいの答えがあってしかるべきじゃないかと思うのですが、それもわからぬというのじゃ、一体自治省の指導というのはどういうことかと私は言いたくなる。しかし、それでも法律上は一点の疑義もありません、一つも言うことはありませんと、こう言うのだから、これは自治省自体、全くどういうことかということを疑いたくなるのです。
 私はそれを調べてみたんですよ。これはことしの六月二十二日執行の衆議院選挙におけるところの候補者側からの収支報告ですけれども、ここの中には全然ないのです。いわゆる第一回分ですけれども、千葉選管に五月二十日から六月二十一日までの間、千二百六十九万三千八円というかっこうに届けられておりますけれども、残念ながらここのどこを見てもその冒陳に述べられておるところの東洋テルミーのものはないのです。これもまたどうにもどきないということですからこれ以上は聞きませんけれども、たとえば五十四年度末の泰道氏の政治団体の政治資金規正法に基づくところの報告書を見てみた。二つの政治団体にあるのですね。泰道三八後援会、収入総額二千三百九十六万七千百三十六円、泰道政治経済研究所、収入総額は一千四百万円とある。これをいろいろ見てみますと、東洋テルミーというのがその中にはあります。それぞれ百五十万円ずつにこうかっこよく皆分けられておることは事実なんです。しかしながら、今度問題になったところの冒陳に述べられておるような問題は、全然裏づけられるようなものはないのです。そういたしますと、現実に政治資金規正法というこういうものは単なるごろ合わせのものでしかない、もっともっと裏金とかなんかというものをこうやっておるのだと。こういうようなことがたまたまやはり刑事事件としていま大きな問題になってきておるということを端的にあらわしていると言わなければならない。それにしても、やはりこれ以上のことはもう政治家の倫理に任すべきだという、やらなければならぬということになるのでしょうか。
 これは大臣、ここはやはり政治家個人の倫理ですか。こういうことになっても政治資金規正法ではどうにも――これを何とか前向きの一つでもそういうものをチェックできるような形にしようという意欲はおありじゃないのですか。今度の法案かちは出てまいりませんけれども、今後の問題としてどうなんですか。
#73
○国務大臣(石破二朗君) 御承知のとおり、私はまことに不敏な者でありまして、大きなことを言う資格は毛頭ありませんけれども、お互い国会議員となるにつきましては、まあ宮之原委員のごとき御識見もあり、御手腕もある方は別でありますけれども、ずいぶんお互い苦労して、やっとそれでも当選したものと考えております。何のためにこんな苦労するか、それは若干の歳費はいただきますけれども、まさか歳費を目当てに参議院議員になったという方はおるまいと思います。若干の名誉はあります。けれども、それを目的におやりになった方はあるまいと思います。結局、国家、民族のために何ぼかでも役立てばと思って選挙をやり、当選して今日に至っていらっしゃる方が大部分だろうと思います。
 そうとしまするならば、現在の政治に対する国民の信頼というものがこのままでいいというようなことをお考えの方は私は一人もいらっしゃらぬだろうと思います。ところが、それじゃ政治に対する国民の信頼を回復する、あるいは維持する、つなぎとめるというのにはどうしたらいいか。いろいろ方法はあろうと思います。政治家であります以上は、第一番目にはやっぱり自分の一身を顧みず、国家、民族あるいは人類のために尽くすというのが、これが政治家の第一の倫理だろうとは思いますけれども、しかしながら、金銭に関すること等で国民の批判を受けるようなことがあっては、これはもう政治家たる資格はなかろうと思います。そういうことで、あれこれ考えにゃならぬ点はたくさんありますけれども、少なくとも金の問題等で国民の批判を受け、あるいは疑惑を持たれるというようなことがあってはもう政治家たる資格は私はないと思います。
 そこで、そういうことのないようにする方法でありますけれども、先ほども申し上げました、選挙をやる、なかなか選挙というものは大変なものだ、国民の多くの皆さん御存じないほど選挙をやるには苦労が要ります。金もたくさん要ります。政治活動をやるにはたくさんの金が要ります。しかし、それを個人が手に入れようとするところに問題がありはしないかと、私はこう考えます。どうしても党営選挙を実現すると、そして個人がそうおかしな金にあくせく苦労して手を出さぬでも済むような制度をつくると、これが私は第一歩であろうと思います。そういう根本的な方法を講じないで、極言しますれば、本末の末の方だけ幾らやかましく言っても、私はしょせん目的を達成することはできまいと思います。
 御承知のとおり、現在、政治資金の規制方法、各国いろいろあります。総じて、ヨーロッパ各国は政治資金の規制はほとんどありません。御承知のとおりであります。アメリカは細大漏らさず規制しておるようであります。現に、現行政治資金規正法は、占領当時、占領軍がアメリカの制度を、あるいはそのままと言っていいような形で移入したものだそうでありますけれども、アメリカの民主政治とヨーロッパ諸国の民主政治がどちらがうまくいっておるかと、あながちアメリカの方が政治資金の規制方法が厳しいから民主政治がうまくいっておるとも私は言いかねるのじゃなかろうかと思います。その辺も考えまして、政治資金規正法の根本的な見直しの際には、八条に示しております方向づけはありますけれども、あの方向づけにこだわらないで、根本的な見直しをさせていただいたらどうかと、かように考えます。そうしますと、先ほど申し上げましたところ、宮之原委員には、そういう根本的な選挙制度見直しなどをしておったら何年先に実現するやらわからぬと、こういうお話がございました。ごもっともであります。
 しかしながら、宮之原委員も御承知と思いますけれども、衆議院の公職選挙法の調査特別委員会所属の社会党の堀昌雄さんおっしゃっておりました。選挙制度を根本的に改正する必要があると。総理大臣、鈴木さん、あなたはこれをおやりになる勇気はありませんかと、ぜひおやりくださいとおっしゃっておりました。それは、いますぐ、あしたから効力を発生するというような選挙制度の改正ということになると、なかなか議員が皆承知すまいと。しかしながら、十年先にこれは適用するんだという改正なら、あるいはいまおる議員と余り直接の関係がないから案外すんなりいくからしれませんよと、こういうことを言っておられました。くしくも、示し合わせたわけじゃありませんけれども、私はこの前の六月の選挙におきまして、二十年後に適用するということでもいいから衆議院の小選挙区制度をやった方がいいと選挙民に訴えました。といいますのは、鳩山第一次内閣でたしか衆議院の小選挙区制度を、どこまでいきましたか実現に努力されました。あれからもう二十年以上たっておるのです。だから、二十年後にこの法律は適用すると言ってもあながちそう非常識なものじゃないと、こう思います。
 したがいまして、なるほどそう簡単にはいきませんが、この法律は十年後に、社会党の衆議院議員がおっしゃるんですから、十年後に適用すると、でもいいからとおっしゃる。私は全く賛成、同感でありますから、そういう意味で選挙制度の根本的なあり方について、政府としても、これはもう基本的なものですから各党各会派が一致されなければだめです、実現不可能でありますけれども、何とか自分としてもできるだけの努力をしてみたいと、かように考えております。
#74
○宮之原貞光君 だから、選挙制度のあり方の根本的な見直しの検討というのは結構ですよと言っておるのです。しかしながら、一、二年でそういうものは結論は出ませんよと。けれども、そういう大事な問題は大事な問題で皆さんに投げかけて議論させてもそれは結構です。結構ですけれども、だからといって漸次解決をして改善していくというものが伴わなければ意味がないでしょう、これは。
 だから、たとえば公営選挙の問題についてもあるいは党営選挙の問題にしても、それは物の考え方を出して、たとえばこういう特別委員会で重要な問題だから議論をしようというなら結構です。しかしながら、きょうあすの選挙に間に合うかというと間に合わない問題があるのです。だから問題は、やっぱり基本的な問題と緊急に手立てをしなければならない二つの問題が重なって一緒になってこそこれは解決するのじゃないですか、大臣。どうですか。ちょっと聞いてくださいよ、あなたは二人で話しておられますがね。
 その基本的な問題は私は否定しませんと言うのですよ、それは結構ですと。けれども、それはきょうあすで結論が出ない問題ですと、たとえば党営選挙のあり方にしても。しかしながら、それはそれで議論しましょうと。同時にまた、現在あるものを少しでもよくして国民の期待にこたえていくということは大事なことなんですよ。それは否定はされない。それだけに、そういう立場からこれも出されたのでしょうけれども、入りだけ少し改善をして出の問題は一つもなしておらないという問題、先ほど私はずっと具体的な事例を挙げましたけれども、こういう問題がまだまだいつまでも尾を引くというかっこうでは果たしてどうでしょうか、これで国民の期待にこたえるところの政治家の姿勢を正すということができましょうかと、こう申し上げておる。
 たとえば、選挙に金がかかる、それは事実ですよ。それならば、大臣の金がかかる金がかかるという論法から言うならば、たとえば政治資金の百五十万円というのは少ないから五百万円ぐらいにしてもう少し大幅にしていこうじゃないか、そのかわりここはこういうふうに取り締まるんだと、これも一つの物の考え方だと思うのです。そういうことについて何ら具体的なものなくして、ただ政治は金がかかる金がかかるだけでは、これは通らぬのじゃないでしょうか。もし余りにも現実離れしておるというならばこれを改めればいいのであって、それならばそういう提言をしてくださいよ、勇敢に。それもなくしてただ抽象的に金がかかる、あなたは清潔ですがと皮肉たっぷりにあなたは言うみたいだけれども、これは金がかかるというのは共通の問題だ、けれども、あたかもこれ以外のことをあなた方もやっておるのじゃないですかと言わぬばかりの話なので、私はそういうことではいつまでたってもよくならないと言うのです。おわかりでしょうか。
#75
○国務大臣(石破二朗君) 今回御審議願っております改正案は、御指摘のとおりいろいろ御批判の余地はありましょうけれども、現在のところ政界浄化のための一歩前進措置であると、かように考えまして提案申し上げておる次第でありまするし、さらに選挙の公営あるいは選挙に伴いますいろいろの弊害の除去等に関しましては、これは各会派におかれまして国会みずからの御発議として、あるいは今国会中においても成案を得られました上御審議を願うのではなかろうかと、かように期待いたしておるところであります。
 なお、入りの方だけはっきりして出の方が一向はっきりしてないという御指摘でありますが、なるほどはっきりしない部門が残っております。と申しますのは、もう申し上げるまでもありませんけれども、個人が献金を受けます、指定団体に寄付します、その指定団体から個人がまた金を受け取ります、それを使った場合にはっきりしないじゃないか、こういう意味だろうと思いますが、その点につきましては現在も明確化されていない部門でありまして、それと同じ取り扱いになる、こういうだけのことでありますので、少なくとも個人が受け取って指定団体に寄付するという場合に明確になる。寄付しない場合でそれを直に選挙に使った場合には、これも選挙資金として報告の義務がありますから明確になる。さらに、個人が最終的に政治活動として使いました場合にも、その使途は明確に届け出ることになっておりますので現行法よりか前進した措置である、かように御理解いただきたいと思います。
#76
○宮之原貞光君 また、ぼつぼつ具体的な問題でお尋ねしますが、警察庁と法務省は結構でございます。
 もう一つは、先ほどもちょいちょい大臣が答弁をされましたけれども、附則八条の問題の関連ですけれども、これは次の通常国会にはまた附則八条に基づいたものの法改正を出してこられる、こういうことになるわけですね、これはもう来年の一月一日でちょうど五年が来るわけですから。だから、まず素朴な疑問を持つのは、もうあと四、五十日すればちょうど五年になるわけですね、法が施行されてから。そのときにも出されると思いますけれども、出されるのに、またこれだけは抜き出してこう提案をされておる。どっちみち通常国会の冒頭に付されるのだったら一緒でもいいのじゃないだろうかと思うのですけれども、そこはお家の事情もあるでしょうけれども、次はこの附則八条な基づいたものを通常国会には出してこられるということはこれは言明できますね、どうなんですか。
#77
○国務大臣(石破二朗君) 一日も早くと思いますけれども、過去何回かこういうことを繰り返しまして、しかもその政治家にまつわる金銭についての疑惑、国民が十分納得を得られておらぬと思うのです。+分の理解を得るためにはやっぱり相当の期間もいただき、努力もしなければならぬのじゃなかろうかと考えます。したがいまして、次期通常国会に必ず出しますということが明言いたしかねますので御了承を賜りたいと思います。
#78
○宮之原貞光君 そうすると、附則八条の解釈はどういうかっこうになりますか、場合によってはただ検討を加えますということだけで終わるのですか。検討を加えるということは、この五年前に成立したこれに検討を加えて、もうこの五年後には改正するものは改正して出しますということじゃないかと私は理解しておるんですが、いまの大臣の答弁を聞きますと、これから議論をするんだということのようですが、そうすると次の通常国会には出ない可能性が強い。したがって、とりあえずこれを出したんだと、一応これで勘弁してくれというふうにも受け取れるのですが、そこはどうなんですか、これは解釈の問題ですが。また、「ものとする。」というところにアクセントを置いて自治省としては考えておるのですか。これは選挙部長の方が確かでしょう、聞きますが。
#79
○国務大臣(石破二朗君) 今回御審議を願っております法案は附則第八条とは関係ありません。はっきり関係ありません。したがいまして、八条に時間がかかるから一時逃れにこれを出したのじゃないかという御指摘は事実に反すると申し上げざるを得ません。しかしながら、じんぜんとして日を延ばす意味は毛頭ありませんけれども、第八条による政治資金規正法のあり方につきましては相当根本にさかのぼって検討させていただきたいと思いますので若干の日時を要する、あらかじめ御了承を賜りたいと思います。
#80
○宮之原貞光君 八条の問題は、これはきわめて明確じゃございませんか。「政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途及び会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、」と、これは明確なんで、根本的な問題とはどうも理解できませんが、五年前あれだけ大騒ぎをして、いろいろな中で当時の三木さんは、私はここに議事録を持ってきておりますけれども、明確に答えておられるのですよ、五年後はその方向でやりますと。どうも大臣の答弁、先ほどもそうだったけれども、あれはもう一応のあれとして、もっと根本的なものをやるのだやるのだというふうに言っておられますけれども、根本の問題をやられるということは否定しませんよ、それは。けれども、少なくとも第八条に掲げておるところの問題は最低限の問題ですよ。これも議論してみなければわからぬと、こうおっしゃるのですか。どうもそこらあたりの大臣の真意というのがわかりませんが、どうなんですか、そこは。これは選挙部長、事務当局としてはどういうことなんですか、この条文から言って。
#81
○政府委員(大林勝臣君) 附則八条には「施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し」、こういう問題について「更に検討を加えるものとする。」というひとつの努力目標を掲げておることは事実でございます。したがいまして、この五年間の施行状況というものを勘案して、将来どういう方向に持っていくかということを検討するということを書いておるわけであります。
 第八条の基礎になりましたのは、昭和四十二年の第五次選挙制度審議会の答申でございます。その答申には、おおむね五年を目途として政党が組織化する、あるいは近代化する、その努力を行うことによってこういった理想の状況に持っていくべきである、こういう旨の答申があったわけでありまして、これが附則第八条として具体化されておるとわれわれは理解しております。
 根本の精神というのは当時におきましてもいろいろ議論されたわけでありまして、問題は政治資金の問題というよりはむしろ現在選挙に非常に金がかかる、金がかかるから世間の疑惑が起こるような問題が起こるのであって、要するに政治資金のもとは選挙の制度にあるのだ、しかしながら、選挙の制度について早急に結論を得るということも困難であるから当面こういった政治資金の改正をいたそう、したがって、五年間にむしろ政党、政治団体が努力をすべきだ、組織化すべきだ、近代化すべきだ、その近代化し組織化する努力を積み重ねた暁においてそれに相応する政治資金のあり方をさらに考えろ、こういう趣旨と私ども理解しております。
#82
○宮之原貞光君 端的に聞きますが、ここには明確に政治資金の個人による拠出を一層強化しなさいと書いてある。方向性は決まっておるんだよ。ところが、どうもいまのやつは、先ほどの大臣の答弁じゃないが、事務当局さえも幅を広げて、そういうものを含めてすべての選挙制度のあり方云々と、こういうような形のぼかし方ですがね。
 それで、衆議院の議事録を見てみますと逆ですよ、自民党の皆さんの質問なり大臣の答弁も。あたかも企業献金の枠を今度は逆に広げるような印象を与えるような答弁ですよ。これは大臣の答弁にしてもここで示されておるものとは全く逆なんだ、方向性というのが。それは、私は先ほどから基本的なあり方の問題について議論されるのも結構です、やりましょうと言っている。しかしながら、最低限の問題は、ここに書いてありますように、政治資金の個人によるところの拠出というのを強化しようという考え方が明確に出ておるのだ、これは。少なくともそういう方向のものでなければならぬということは明確でしょう。裏を返せば企業献金の問題は縮小させていくということですよ。絶無とまでは出ていない。それは当時の三木総理大臣の答弁を見ても出ていない。
 しかしながら、三木さんも言っていますよ、これは。自民党自身が五年後には党の経常費においては企業献金を辞退するという決定を行っています、言うならば自民党の党議なんですと、したがって企業献金がふえるというようなことはありません、こう言っているのです。こういう五年後の見直しというのは明確なんです、方向性が。どうも大臣の思惑、あるいは今度の選挙で圧勝したと称されるところの自民党の皆さん方の議事録を見ると、逆の方の質問をして、誘導質問を一生懸命やっておる。ぼくはこれは大変な問題だと。これぐらい法文の中に明確になっておるものを、いまの選挙部長の答弁を聞いてみても全然これに触れられていない。
 もう一回、端的に聞きますけれども、この条項の政治資金の個人による拠出を一層強化するというこのことは間違いございませんね。そういうことでやるんですね、選挙部長。
#83
○国務大臣(石破二朗君) 先ほど宮之原委員に御答弁申し上げたつもりでありますので、もう一回、第八条につきましての私の考え方を繰り返して申し上げます。
 第八条には政治資金の見直しの方向が示されておりますけれども、もちろんこれは私一存でいくことではありませんで、各会派の、各党の御了解ももちろん必要でありますけれども、必ずしもこの八条に示された方向にこだわらないで選挙資金のあり方について根本的の検討を、再検討をさしていただきたい、かように考えておる次第であります。
#84
○宮之原貞光君 そうすると、この法律はどう解釈するんですか。こだわらないで検討しなさいと書いてあるんですか。
#85
○国務大臣(石破二朗君) 法律には読んで字のごとく、このとおりやりなさいと書いてありますけれども、五年前の法律であります。五年前の法律、十年前の法律、十一年前、二十年前の法律――それは法律を無視することはできません。法律を無視することはできませんし、法律を無視しようなんということを毛頭考えてはおりません。したがいまして、先ほどお断り申し上げましたとおり、私一存でどうこうしようというつもりは毛頭ありませんが、皆さんの御理解をいただくことができますならば、この方向にこだわらずに再検討をさしていただきたい。必ず皆さんの御理解がいただけますならばというまくら言葉をつけて申し上げておるつもりであります。これを無視するつもりは毛頭ありません。
#86
○宮之原貞光君 大臣ね、大臣にお尋ねしますが、法律が五年前つくられたから、十年前つくられたから、これは事情が違うという解釈が行政府の責任者にはできますか。そういう解釈をしていいのですか、ちょっと聞きますけれども、死んでおるなら別ですよ、法律は生きておるんですよ。だから、これは一年前に決めたところの法律だからこれは守ろう、十年前だから守らぬでもいいと、これが大臣の発言ですよ、いまの。きわめて重大ですよ、これは。本当にそうお思いになっておるのですか、あなたは。行政府の責任者ですよ、あなたは。一政治家じゃありませんよ。奥野発言以上の問題ですよ、これは。
 ぼくはもう理事会要求するね。委員長、理事会を要求する。こんな質問続けられませんよ。所管大臣が法律は五年前につくられたからできないと言うんだからね。こんなことができますか。
#87
○国務大臣(石破二朗君) 現行法を無視するつもりも毛頭ありませんし、現行法に違反して行政を行っていいということなど毛頭考えておりません。
#88
○宮之原貞光君 あなた、さっき言ったじゃないか。
#89
○国務大臣(石破二朗君) 毛頭考えておりませんし、申した記憶もありません。しかしながら、行政府といえども現に生きております法律を改正する改正法案の提案権は持っておるつもりであります。
#90
○宮之原貞光君 これは明らかじゃありませんか。次に見直すときにはこういう方向でやりなさいというのが法律ですよ、これが。五年前できたから事情が違うからと言うんだったら、一体行政府の行政大臣としての責任はどこにあるかと言いたいですよ。
 たとえば、あなたの発言が、この方向は認めます、しかしながら、これだけじゃなくていろいろな広範な問題についても一緒に検討したいと言うのならそれなりにわかりますけれども、あなたのさっきの発言は何ですか、五年前で事情が違うからという話でしょう。これは議事録を調べてきちんとしてもらいたい。これ以上私は審議できません。休憩だ、これは。そんな物の言い方がありますか、あなた方。それでもあなた方はそれでいいと言うの。だから、私はそういう動議を出しますよ。これ以上続けられません。議事録を調べてきちんとしてやってくださいよ。
#91
○委員長(鳩山威一郎君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#92
○委員長(鳩山威一郎君) 速記を起こしてください。
 暫時休憩いたします。
   午後三時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時三十二分開会
#93
○委員長(鳩山威一郎君) ただいまから委員会を再開いたします。
 この際、石破自治大臣から発言を求められておるので、これを許します。石破自治大臣。
#94
○国務大臣(石破二朗君) 五年前云々の答弁に関し誤解を招くような表現であったことは遺憾でございます。私の申し上げた趣旨は、五年前につくられた法律だから守らなくてもよいと申し上げたものではなく、五年間の施行状況を踏まえて広く検討したい旨を申し上げたものであります。もちろん、検討の方向としては、法律には個人献金を「一層強化するための方途及び会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、更に検討を加える」旨が明示されていることは十分承知しております。
#95
○委員長(鳩山威一郎君) 引き続き質疑を行います。
#96
○宮之原貞光君 大臣も病床から出てこられたのでお疲れでしょうからああいうかっこうになったと思いますが、あくまでも行政府の責任でございますから、法律の上に沿いながらひとつ今後いろいろ御検討いただきたいと思いますが、実はまだそれに関連したところの問題等もこれありますが、これは次回に譲らせていただきたいと思います。
 きょうはこれで終わります。
#97
○多田省吾君 私は、まず初めに、石破自治大臣に政治資金規正法の一部を改正する法律案及び選挙法、政治資金規正法の基本的な問題でお尋ねしたいと思います。
 先ほどから、また衆議院におきましてもたびたび言われていることでございますが、今度の改正案の内容は、もちろん政治の浄化を目指して、政治家個人に対してなされた個人献金に対しても収入支出の届け出あるいは公開を義務づけるということでございますけれども、やはり非常に抜け穴が多いざる法であるという批判が強いわけでございます。ましてや罰則もないということで、これは相当問題があろうかと思います。衆議院の方で通った法律案でございますけれども、やはり参議院の審議におきましては、そういった強い批判にこたえまして、せっかくつくられた法律案でございますから、抜け穴を封じ、またざる法でない、罰則をつけたような法案にすべきではないか、私はこのように思います。それどころか、やはりこれはもとの政治資金規正法がもともとざる法なんだという意見もございます。それに対して今度の改正案では、第十二条の政治団体の支出について一万円以上のものに限っては提出義務がある、こういうふうにあったものを今度は五万円以上のものについては報告するというように大分これは後退しているわけです。ですから、私は、それを含めて、やはり国民の強いそういう批判にこたえて抜け穴を封じ、またざる法でない、収支も厳しくするし、支出もはっきりと報告するようにする、そしてまた罰則もつける、そのようにすべきであると、このように思いますが、大臣はどう考えられますか。
#98
○政府委員(大林勝臣君) 今回の法律を検討します前提としましては、まさに多田委員のおっしゃるように、提言では「政治家の私人としての経済と政治活動に必要な経費とを明確に区別し、」という前提がございますので、生身の一個人の経済の中で公的な経済と私的な経済とを分ける法律の何か具体的な基準ができないものかといろいろ勉強をしたわけであります。ただ、この公的な資金と私的な資金との区分けという問題を何か法律の上で具体的な基準をつくって、これは公的なものでありこれは私的なものであるという具体的な基準をつくるということはまことに立法技術的にむずかしゅうございまして、もともとは結局政治活動に関する献金というところに帰ってまいりますので、一体政治活動とは何であるかというようなまた話になってまいるわけであります。したがいまして、結局は立法上具体的な基準を設けて公的な経済と私的な経済を区分けするということは非常にむずかしい。したがって、この段階はそれぞれの政治家個々人の常識によって御判断いただかざるを得ないのではないかという問題が一つあったわけであります。
 同時に、そういった非常に構成要件が不明確な、つまり政治資金として報告すべきものはまず第一番に個人御本人として区分けをしていただくという前提に立つ場合に一々罰則を設けるということはいかがなものであろうかと、やはり支出がもともとは政治家の倫理観という問題に出発するものであれば当面は罰則というものは控えた方がよろしかろうと、こういう結論になりまして罰則をつけてないわけでございます。
 第二点の、入りは明らかになるけれども出はわからぬではないか、これは当然のまた御疑念であろうと思います。ただ、この問題の発端から申し上げますと、非常にいろいろな社会を騒がすような事件が起きましたことを反省しまして、まず疑惑を生ずる資金の届け出についてどう対処すべきかというところから出発をいたしましたために、およそ政党であるとかあるいは御自分の指定団体とされますべき後援会の中の特別の信頼関係のあるような後援会から政治家個々人がお受けになるような金銭につきましては、それを家を建てるとかその他の私的な面にお使いになるということ自体もう初めからそういうことは考えられないであろう、その面はやはり政治家個々人を御信頼申し上げる以外にないではないかという意味で、政党あるいは指定団体の方からお受けになった資金については、改めて届け出を必要としないというかっこうにしたわけであります。
 もちろん、支出につきましてはこれは別の観点がございました。従来、一万円以上の支出につきまして一々明記すべしと、こうなっておったわけでありますが、それぞれの政治団体の会計事務を考えましても、相当の物価上昇をしております現在、一万円以上のものについて個々別々に明記するというのも大変であろう、こういう意味から五万円というふうな引き上げをすると同時に、さらに支出手続の面につきまして一々支出先の代表者の氏名というようなことをいままで義務づけておったわけでありますけれども、大体相手の会社であるとかあるいは店であるとか、そういう名前がわかればいいのであって、改めてまたその店の主人がどういう名前であるかということまで要求するのは大変繁雑であろうという御意見もたくさんあったものでありますから、支出限度額五万円以上のものについて報告をしていただくように直しますとともに、さらに支出先の代表者、つまり社長その他の代表者の氏名までの報告は要求をしない、こういう簡素化を図った次第でございます。
#99
○多田省吾君 本法案についての質疑は後で詳しくやりたいと思いますが、選挙制度問題で若干お尋ねしておきます。
 私は、選挙制度というものは国民の意思が正確に選挙に反映する、すなわち、たとえば得票率と議席率は一致する、得票に応じた議席が正しく反映される、それが当然だと思うのです。それがまた一番大事だと思うのです。しかし、わが国の選挙制度を見ますと、そうではなしに、民意の尊重というよりもむしろ政局の安定というものに重きを置きまして、たとえば四十数%の国会選挙における得票でも、第一党は五十数%あるいは六〇%近くの議席を占め得るというような選挙制度になっているのではないか、このように思うのです。その理由は、やっぱり衆議院では、国民の要求というものが多重多層化している現在、政党も数え方によっては七つとも八つとも九つとも十とも言えるような姿がございます。それに対して三人区というのが非常に多いとか、あるいは現在もなおかつ定数の不均衡がはなはだしくて、一対四近くの不均衡が存在するわけです。今度の国勢調査の結果、十二月初めには概数が発表されると思いますけれども、私はそれによれば一対四を超えるようなアンバランスが示されるのではないかと懸念するわけでございます。
 また、参議院地方区にありましても、御存じのように神奈川県と鳥取県の間の定数のアンバランスというものは、昭和五十年十月一日の国勢調査結果の人口によりましても一対五・五というようなアンバランスがすでに存在しておりますし、昨年十月の総理府統計局の人口調査によれば、これは概数でしょうけれども、やはり一対五・七八というようなアンバランスが存在しておりますし、恐らくこれも十二月に今回の国勢調査の概数が発表されれば一対六近くまでアンバランスが広がるのではないかと、このように思われます。そういうような姿がありますし、そのほか参議院地方区では御存じのように一人区が四十七都道府県のうち二十六を占めるような圧倒的な多い姿である。こういう姿から、多党化の現在においてそういう小選挙区が存在するということで、あるいは定数の不均衡がはなはだしいということで、私は民意が正確に選挙に反映してない、政治に反映してない、国政に反映してないということが言えるのじゃないか、このように思うのです。
 ですから、私は、まず第一に選挙というものは民意の尊重、すなわち国民の意思が正確に選挙、政治に反映するという姿がなければならない、このように思うわけです。私はアメリカでもイギリスでもヨーロッパ諸国でも議会制民主主義を尊重している国々の選挙というものは大体民意の尊重というものが成り立っていると思うのです。ところが、わが国だけは衆議院選挙においても参議院選挙においてもそれがないということは非常に残念であると思います。その上に 先ほどからお聞きしますと、前回のこの委員会の御答弁でも、また本日の大臣の御答弁でも、盛んに衆議院においては小選挙区制が望ましいということを大臣はおっしゃっております。いまの日本の多党化している現状において、この多党化もやはり国民の要求というものが非常に多重多層化しているからこそ多党化したのだ、このように私は考えておりますが、それを今度は選挙制度で二大政党対立に持っていこうというような考えがあるとすれば、それは私は本末転倒である、このように思うわけです。
 私は、アメリカとかイギリスが小選挙区制を採用しているというのは、もともとアングロサクソン民族というのはどんな選挙区にしようとも二大政党が対立するような性格があると思うのです。ところが、その他の国々では、ヨーロッパの国々は大臣も御承知のようにほとんど大選挙区制です、特に第一院においては。ですから、日本にいまの現状において小選挙区制を持ってくるということは、死票も多くなるし、民意が正確に政治、選挙に反映しなくなるし、私はこれはやるべきではない、このように思うのです。
 それはそれとしまして、いま参議院全国区の選挙制度、選挙区制というものが問題になっております。しかし、総理大臣も常々この選挙区制、選挙制度というものは野球のルールのようなものである、あるいは相撲で言えば土俵のようなものである、ですから各党がしっかり検討してもらいたいということをおっしゃっているわけでございまして、私は余り拙速的に与野党の一致も見ないで選挙制度を早急に変えるということには反対です。相当のやはり話し合いをしなければならぬ、そして与野党一致したものをつくるべきである、このように思います。
 それから定数の不均衡につきましても、衆議院はもとより参議院地方区においても、やはり今度の十二月の国勢調査の概数発表と同時に、私は、これも国民の基本的権利の問題であり、投票価値の平等化ということは国民の権利にとって最も大事な問題でございますから、これも早急に検討すべきである、このように思います。
 それで、お尋ねしますけれども、前に、鈴木総理が誕生したころ、総理は、第八次選挙制度審議会を発足させてもいいというような発言が記者会見等でありましたけれども、どうも最近はおっしゃらなくなったようでございます。第七次選挙制度審議会が二年にわたって討議したのですが、あのときは衆議院の解散等もありまして、衆議院の特別委員は全然いないというときに答申ができなくて中間報告というものを昭和四十七年の十二月二十日に出したわけです。ところが、そのときもやはり参議院の選挙制度につきましては第一委員会の小委員会というものを設けまして、それで地方区の定数是正あるいは全国区の制度というものを検討したわけでございますが、地方区の定数是正においては、東京、神奈川、大阪、それから岐阜と宮城県、この五つを二名ずつ増加を図る、十名増というようなこと、それからそのときに第一委員会の小委員会では、参議院の全国区制度につきましても、少なくともいま自民党が審議されているような拘束名簿式比例代表制というものはその場には全然持ち上がっていないわけです。そしてそれも、ここに報告内容を私も持っておりますけれども、「第一委員会は、参議院議員の選挙制度について右のとおり小委員会から報告を受けたが、時間的制約もあって、その内容について全く実質的審議を行なうに至らなかった。」と、こういうようなことで、第一委員会でもまた総会でも一遍も審議されてないわけです。ですから、こういった状況にかんがみまして、私は、むしろ衆参の定数是正あるいは全国区制度というようなものに対して第八次選挙制度審議会をつくってもいいのじゃないかと、このような考えも持っているわけです。大臣はどう思われますか。
#100
○国務大臣(石破二朗君) 多田委員には、長年選挙制度審議会特別委員として御参加になり、御経験も豊富でありますので、私ごとき者が御答弁申し上げますのもいかがかと思いますけれども、就任直後におきまして事務当局に経過を聞いてみますと、選挙制度については、第七次選挙制度審議会、なるほど結論は正式の答申というがごときものは御提出になっていないけれども、およそ論議すべき点は論議されておると思う、この上は政府なり各党派、各会派の皆さんが本当に本気で選挙制度の改正をやろうというようなお気持ちにおなりになるのがむしろ先決ではなかろうかと思いますというような報告を受けましたので、今日のところ第八次選挙制度審議会を設ける意思は持っておりませんけれども、これもお話のとおり土俵づくりの問題であり野球のルールのごとき問題でありますので、各方面の御意向を十分拝聴した上で政府としての態度を決定いたしたいと、かように考えております。
#101
○多田省吾君 第八次選挙制度審議会については、いま石破大臣は設ける必要はない、こうおっしゃっております。しかし、その前提となる、第七次選挙制度審議会で答申こそ出なかったけれども論議はほんとど尽くされたと事務当局から説明があったと言われておりますが、大体私はそれは誤りである、このように思います。そして、その中間的報告の内容でも、審議するに至らなかったとか実質的審議は全くなかったとか強調されているように、やはり特に全国区制の拘束、非拘束の問題、私も何回もこの点に対して質問を関係者にしたけれども全然答弁がないとか、私は審議が尽くされたとは絶対言えないと思います。それから地方区の定数是正についても論議を尽くしてこの十名増案ができたとも私は思っておりません、残念ながら。それを論議が尽くされたとするのは、私は事務当局の説明というものがちょっと物足りないと思うのです。
 それはそれとしまして、鈴木総理と石破大臣は第八次選挙制度審議会について話し合ったことはあるのですか。総理も一遍は口に出したけれども、ちょっと発足はできないなと、このように思っておられるのですか。その辺の感触をお伺いしたい。
#102
○国務大臣(石破二朗君) 総理大臣から第八次選挙制度審議会の設置について直接御意見を伺った記憶はありませんけれども、総理大臣の意向とされては、政界の浄化はこれは一日を争う緊急の課題である、政界の浄化を図るためにはいろいろ方法はあろうけれども、やっぱり金のかからない選挙を実施することが必要である、伝えられるところによると、参議院の全国区制度というものはずいぶん金がかかるものと聞いておる、これからでも手をつけるわけにはいくまいか、もとよりこれは土俵づくりの問題であるので政府でどうこうと言うわけにはまいらぬけれども、ひとつこれは各党各会派で取り急ぎ御審議を願いたいものだという趣旨のことを自由民主党の竹下選挙制度調査会長にお伝えになったというふうに承知いたしております。
#103
○多田省吾君 私は、基本的に、選挙に金がかかるのは大きな選挙区制だから金がかかる、こういう考え方には反対なのでございます。先ほどから問題になっておりますように、衆議院の選挙におきましても、たとえば五万票ないし十万票で当選するような地域であっても、昨年十月の総選挙において千葉二区に示されたように、二億円あるいは二億五千万円の買収で取り調べを受けている方もございますし、また最近は都道府県あるいは市町村議員の選挙でも、新聞報道なんかによりますと、いろいろ聞くところによりますと、わずか百五十票、二百票で当選するような地域でも、何千万円お金を使ったとか、山を売ったとか、たんぼを売ったとか、そういう話を私も至るところで聞くわけです。それから戦前の内務省の調査でも、石破大臣も御存じのように、衆議院の大選挙区制あるいは小選挙区制でどちらが金がかかるかと調査したところが、小選挙区制の方がむしろ金がかかるという結果が出たとか、そういう調査結果もあらわれたわけです。
 むしろ、選挙制度そのものではなくて、選挙の運動方法とかあるいはこういう政治資金規制とか、あるいは買収等によって当選した人は選挙裁判によって迅速にその議席を失うとか、たとえばイギリスの政治腐敗防止法のあの徹底したやり方ですね。買収選挙で当選した人は選挙裁判によって一カ月あるいは十数日のうちに判定が下って議席を失うというふうな姿があるわけでございまして、そういうやり方によってこそ私は初めて金のかからない選挙ができるのではないか、このように思います。いま自民党の方々が全国区制において拘束名簿式比例代表制を検討なさっているということを聞いておりますけれども、よしんば、もしそういうものができたとしても、政党がそれではお金を使わないのかと言えば、いまのやり方よりももっとお金がかかるようなおそれも多分にあるわけです。ですから、選挙制度さえいじれば金がかからなくなるという安易な考え方じゃなくて、やはり選挙の運動方法とか、あるいはそういった政治腐敗防止法の徹底とか、選挙裁判の迅速化とか、あるいはこの政治資金規正法による規制とか、そういったものによってこそ初めて金のかからない選挙ができるのではないかと私は考えております。
 それで、一点お尋ねしたいのは、昭和五十一年の最高裁の定数不均衡の違憲判決がございました。あるいは昭和四十七年の衆議院選挙における違憲判決がございますけれども、やはり今度の国勢調査の結果、十二月に概数発表になれば、選挙法では大体人口をもとにしておりますから、あの当時の状況と同じような定数不均衡が相当生ずるのではないか、あるいは参議院地方区におきましても一対六近くのアンバランスが生ずるのではないかと、このように思われます。そうすれば、衆議院のみならず参議院地方区においても、前にこの委員会で吉國元法制局長官も、あの昭和五十一年の最高裁の違憲判決というものは決して衆議院にとどまらず参議院地方区にも当てはまるのだと、こういう答弁をしているわけです。ですから、度を越えたこういう不均衡というものは私は違憲の疑いが非常に濃厚であると、このように思います。国民の権利の問題ですから私はこの参議院地方区の定数是正あるいは衆議院の定数是正こそ真剣にやるべきではないか、また政府としても、事務当局としても検討すべきではないか、このように思います。
 大臣は、各党の御論議にお任せするようなこういう答弁を繰り返しておられますけれども、最高裁の判決を見ましても、やはり国会が早くこの問題を真剣に検討して決着をつけるべきだというような趣旨の判決もあるわけでございますから、私は、各党のそれは話し合いも大事でありますけれども、自治大臣として、政府として、また事務当局として、これは真剣に考えなければならない問題ではないかと、このように思いますが、どうですか。
#104
○国務大臣(石破二朗君) 選挙区ごとの定数是正の問題でありますけれども、御承知のとおり衆議院につきましては法律の規定もありますし、最高裁判所の判例もありますし、これを実施した経験もあります。したがいまして、ことしの国勢調査の結果が判明いたしますれば、前例に従ってしかるべき措置を講じなければならないものと考えております。
 参議院でありますけれども、法律の明記もございませんし、最高裁判所の判例もありません。お示しのとおり衆議院の定数についての最高裁の判例、参議院もこれを参考にすべきものとは思いますけれども、まあどんぴしゃりと参議院についての最高裁の判例も出たわけでもありません。その上に前例もないことでありまするし、これは当然総数の問題とも不可分の関係にあると存じますので、これこそ慎重に検討してまいるべき問題でおろそかにするつもりは毛頭ありませんけれども、慎重に検討しなければならないと、かように考えております。
#105
○多田省吾君 私は、その大臣の姿勢というものはまことに不満でございます。
 最高裁の例を見ましても、昭和三十七年の参議院通常選挙の結果で判決が一つございました。このときの訴えは棄却されましたけれども、やはり度を越えたようなアンバランスは直さなければならないという趣旨の判決でございましたし、昭和四十六年の参議院通常選挙の結果でもやはり一応棄却されておりますが、昭和五十一年の衆議院選挙におけるやはり違憲判決というものは、当時の吉國法制局長官もはっきりとこれは参議院地方区にも通ずる問題だということをおっしゃってるし、また大臣もいま、これは参考にすべきだということをはっきりおっしゃっているわけです。一対六に及ぶようなアンバランスをそのまま通していいとは私は絶対思いません。
 ですから、第六次選挙制度審議会あるいは第七次選挙制度審議会でもやはりこの問題は相当検討されたわけです。答申ではなくても、その中間報告の中には、第七次選挙制度審議会における小委員会の案というものは十人増です。それから第六次におきましては六人増でしたか、一応そのような報告の内容も盛り込まれているわけですよ。私はどう考えても、やはり国民の基本的権利、また投票価値の平等化という観点から絶対これはなおざりにできない問題だと思います。やっぱり自治大臣こそこの問題に対しては積極的に検討すべきだと、このように私はどこまでも思いますけど、もう一回御答弁願います。
#106
○国務大臣(石破二朗君) 結論は、慎重に検討させていただきたいと重ねて申し上げるわけでありますけれども、御承知のとおり、また御指摘にもなりましたとおり、参議院地方区で有権者数の一番少ないところと多いところと一対六ぐらいな比率になっておりますが、この一の方をゼロにはこれはもちろんできない。〇・五にするのも、どうもちょっと参議院のいわゆる意思の継続性というようなものからいって〇・五にするわけにもいくまい、一は必要ではなかろうかということになりますと、それをもとにしていきますと、それの六倍あるもの――もとより明文はありませんが、参議院はある程度地域の代表という意味も持っておりますので〇・五はおかしい。一方それじゃ必ず六にしなければならぬかと、そうでもないような気もいたしまするし、そういう問題は慎重な検討を要するというゆえんであります。
 なお、御質問の中にはございませんでしたけれども、一対六の問題のほかに、もう一つ御承知のとおりAという県とBという県、この間の数を入れかえた方がむしろ公平だというようなのもあります。至極当然でこれはあたりまえじゃないかと言えばそれまででありますけれども、まことに申し上げにくいのですが、具体的にさてそれじゃ自分がそこから選出されておるという議員の方にとってみますると、これは大変な問題である。特に、その地区の有権者――議員あるいは候補者はがまんするといたしましても、有権者の方が、きょうまでは自分たちはこれだけの代表が送れたのにあしたからはできなくなる、減るということになると、これはがまんしてくれるだろうかというような問題もありまするし、十分検討させていただきたい。各会派の御意見等も十分拝聴しなければならぬと、かように考えております。
#107
○多田省吾君 大臣は、衆議院の方は法律にもあることですから十二月の概数発表の結果では検討さるべきだというような御答弁でありましたが、参議院地方区の方はちょっと消極的なように思いますし、いま大臣おっしゃったように、定数不均衡一対六という問題のほかに、非常に大きな問題で逆転現象というものも大変多くあるわけです。これも当然直さなければならないと思います。すでにこれは数年前に野党案とか自民党案とか第二院クラブ案とかいろいろ具体案も出ていることでございますから、ひとつ大臣の方でも積極的にこれは取り組んでいただきたい、国民の権利の問題として取り組んでいただきたい、このように強く要望するわけでございます。
 それで、次に戸別訪問の自由化という問題で、私ども前から自由化すべきであると主張しております。一遍に全部自由化ということにもしできないのならば、若干の制限を設けて、人数とか時間とかいろいろな制限を設けてでも漸進的に段階的でもいいからやはり戸別訪問の自由化はやるべきじゃないか、こう私たちは主張しております。地裁の判決でも、これを違憲とするものあるいは合憲とするものいろいろまちまちでございます。最高裁の判決はまだ出ていないと思いますけれども、私は、それにかかわりなく、戸別訪問の自由化というものは日本だけがこれは禁止している問題でございますし、自由化の方向に向かって前向きに検討すべき問題だと、このように思いますし、またこの次はやはり連座制の強化等も、後藤田自治大臣のときも必ずやりますというような御答弁をこの委員会でなさっておりますから、これもやるべきである、このように思いますが、ひとつ簡明にお答え願いたいと思います。
#108
○国務大臣(石破二朗君) 戸別訪問の問題でありますけれども、理屈から言いますと当然自由化すべき問題だろうと思います。しかしながら、現在のわが国の状況に照らしてみて果たして妥当かどうかということになりますと、必ずしもこれを自由化した方が適当という結論には至りかねますので御了承いただきたいと思います。
#109
○多田省吾君 時間もなくなりますので、本法案につきまして若干質問したいと思います。
 先ほど自治大臣は、宮之原委員の御質問に再答弁なさって、政治資金規正法の附則第八条のいわゆる施行後五年、来年の一月一日、「新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途」というものを原則として「政治資金のあり方について、更に検討を加えるものとする。」と、これを尊重していくというようなお話がございましたけれども、衆議院の公選法特別委員会等では、この附則第八条は試行錯誤的な要素があったのではないかとかいろいろ後退したような御答弁があったわけでございます。この点でひとつ大臣の御真意というものをはっきりともう一回おっしゃっていただきたい。
#110
○国務大臣(石破二朗君) 先ほどの宮之原委員の御質問につきましていろいろ御答弁申し上げましたが、不十分な点がございまして、後で正確に書き物にいたしました上、これを朗読いたしまして私の真意を申し述べましたので、この点は御了承を願ったものといたしまして、さてそれじゃ衆議院の委員会においてあれこれ答弁したのと違いはしないかと、こういう御趣旨の御質問であったと思いますが、衆議院の公職選挙法改正特別委員会におきましての答弁、若干別のことをお答え申し上げたように記憶いたしております。
 委員の御質問のなさいます方角がちょっと別の角度から御質問になった等の関係もございまして、私の答弁の方角がちょっと違ったかと思いますけれども、昭和五十年の政治資金規正法の大改正に当たりまして附則の第八条というものがあえてつけられたゆえんのものは、あの当時の当局者が、改正するに当たって必ずしも十分の自信を持って改正をなされなかったのではないか、十分の自信を持って改正案が提案されておるのならばああいう附則第八条というものはつけられなかったのではあるまいかと、こう申し上げたわけであります。質問者は、試行錯誤的な意味もあって云々というような意味の言葉が質問者の方からございました。それを受けての答弁でありますけれども、改正そのものがあるいは試行錯誤的な、かもしれぬというような心配があってああいう八条がつけられたのではあるまいかと思うと。ついては、第八条になるほどその改正の方向というものは示されておるけれども、あるいはこれも――あるいはですよ、あるいはこれも試行錯誤ではあるまいか、試行錯誤の一部ではあるまいかという趣旨の御答弁を申し上げたことは事実であります。
 しかしながら、先ほど宮之原委員にお答え申し上げましたとおり、法律の定めておりますところは十分承知いたしておりますので善処いたす決心であります。
#111
○多田省吾君 私もくどくは申しませんが、宮之原委員に再答弁なさった趣旨で前向きに検討していただきたい、強く要望するわけでございます。
 それで、法案の中身に入りますけれども、改正案の二条三項によりますと、個人の政治資金は「その他の資金と明確に区別する」とうたっておりますけれども、その区別の明確な実効を確保する措置というものはとられるものかどうか、ひとつ選挙部長にお答えいただきたいと思います。
#112
○政府委員(大林勝臣君) これは、先ほどもちょっとお答え申し上げたわけでありますけれども、まず個人の経済の私的な部分と公的な部分を明確に区別することを法律の上で何か基準を明確にすることができないか、この点に一番苦労したわけであります。ただ、いろいろ考えていきましても、政治献金というのはやっぱり政治活動に関する献金でありますから、政治活動の範囲というものが明確にならなければ政治献金の具体的な基準もつくり得ない。ところが、社会のいろいろな運動の態様を見ておりましても、これが一体政治活動であるか、あるいは経済活動であるか、労働活動であるか、いろいろな分野の活動が入りまじっておるわけであります。
 それに応じまして、政治家の大成を願って恐らくは献金されるのが政治献金であろうと思いますが、個々の具体的な献金の一つ一つについて、これが政治献金であるかないかということの具体的な法律の基準を設けるということはとてもこれは立法技術の上でむずかしい。やはりいろいろな生活をされておられます政治家個々人、これは政治家個々人のそれぞれ置かれました立場によっても恐らく違うのであろうと思います。非常に活動範囲の広い方もございますれば必ずしもそうでないお方もおられようと思います。結局、そういう範囲の具体的な局限の問題は法律で具体的な基準を設けるということはむずかしいものでありますから、まあ出発の一番の大きな問題ではありますけれども、やはり個々の政治家御自身で個々の政治献金についての部類分け、つまり経済の中の公的部分と私的な部分の部類分けはやはり個々人御自身の良識と倫理観で部類分けをしていかざるを得ないのではないかという結論に達しましたので、この法律の上では、公的資金と私的資金はまず御本人御自身でお分けいただいて、政治献金であるとお考えになるものにつきましては、できるだけひとつ指定団体という会計の専門家もおられます第三者である団体の方へ届けていただく、こういうかっこうにすることこそ御自身で献金をじっと持っておられることに伴う世間の疑惑というのが消える一番のいい方策ではないかと、こういう結論になった次第であります。したがいまして、やはり公的な金であるか私的な金であるかの区分けの問題は、先ほども申し上げましたように政治家御自身にお願いする以外にないと思っておるわけであります。
#113
○多田省吾君 細かい問題ですが、第二条のところに、初めは二項ですが、「政党その他の政治団体」というのを「政治団体及び公職の候補者」というふうに直したわけですが、政党を取った理由は何ですか。
#114
○政府委員(大林勝臣君) 今回の改正で新しく政治資金規正法の中に、従来は政治団体だけを取り扱っておった、こういうかっこうをとっておりましたところへ、政治家個人の収支報告というものを取り入れますために、まずこの法律の「目的」あるいは「基本理念」についても政治家個人、つまり「公職の候補者」という表現をとっておりますけれども、そういう個人を目的なり理念の中に組み込まざるを得ないであろうと。そこで、従来は「政党その他の政治団体は」と書いてあったわけでありますけれども、この範囲といたしましては、政党というのも政治団体の一環である、つまり非常に広い概念としての政治団体の一環であるわけでありますので、改めて「政党その他の政治団体」という並べ方をする必要はないであろう、こういう全くの事務的な立法技術的な問題で「政治団体」というふうに統一したわけでございます。
#115
○多田省吾君 罰則の第二十四条に、前からもございますけれども、政治団体の「役職員又は構成員」というものは、いわゆる代表または会計責任者あるいは会計責任者の職務代行者という意味ですか。それとも、新法、新しい改正において、政治家もこの「役職員又は構成員」となるわけですか、たとえば指定団体にした場合。
#116
○政府委員(大林勝臣君) 今回の法律につきましては、先ほど来お答え申し上げておりますように、要するに罰則はつけておりません。したがいまして、従来の罰則の二十四条でございますか、その条文の中にいろいろ構成要件が書いてございますけれども、こういった面におきまして今回の改正との関連というものはございません。
#117
○多田省吾君 しかし、今度の第二十四条には「第十九条の四の規定に違反して第九条第一項の会計帳簿に記載すべき事項」云々、それから第二十五条の中に「第十九条の五の規定に違反して第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書若しくはこれらに併せて提出すべき書面に」この記載をしなかった、あるいは虚偽の記入をした場合はという罰則がありますけれども、やっぱり第十九条というものがこの中に含まれている以上は、いわゆる政治団体の方の役職員、構成員として「当該違反行為をした者」の中に含まれますから、入りの方は関係あるのじゃないですか。
#118
○政府委員(大林勝臣君) 今回の改正に伴いまして罰則の方を手直しいたしましたのは、今回の改正の基本というものが、個人の政治家に集まります政治献金を指定団体の方へ入れていただいて、指定団体の経理の一環として報告をしていただくということになりますために、指定団体の会計責任者の方でせっかく政治家個人から入ってまいりました政治献金の届け出についてこの法律の違反があってはいけないという意味で、改めて従来の団体に関する罰則について今回の指定団体制度を設けましたことに伴う整理をいたしたわけでありまして、つまり政治家個人から受けた団体の経理あるいは報告におきまして、その受けた指定団体の責任者、これが義務違反をしたことにつきましては、従来の団体の経理義務違反と同じレベルのものでございますので整理をいたしたわけでございます。
#119
○多田省吾君 そうすると、第十九条というものが加わった意味は、たとえば政治家個人が指定の政治団体に百万円入れたと、二百万円、百五十万円入れたと――百五十万円にしておきましょう。ところが、この政治団体の方のいわゆる代表会計責任者、会計責任者の職務代行者と言われるような役職員、そういう人たちが間違ったり、あるいはわざと書き込まなかったり、あるいは虚偽の記入をした、こういう場合はやはりあれですか、この役職員にいわゆる罰則が適用されるわけでしょう。
#120
○政府委員(大林勝臣君) そのとおりであります。
#121
○多田省吾君 しかし、この出した方の政治家個人には何の罰則もないということですね。
#122
○政府委員(大林勝臣君) そのとおりであります。
#123
○多田省吾君 それからいわゆる保有金につきましては、これはもっとひどいですね。たとえば百万円を数人からもらった、そしてまた五万円以下の支出を何種類となくやったと、そういう場合は全然報告の必要もないし、また当然罰則もないと、こういうことになりますね。
#124
○政府委員(大林勝臣君) 保有金と申しますのは、政治献金のうちで指定団体にお渡しにならなかったもの、つまり御自分で経理されるべきものというふうに把握をいたしておりまして、要するに指定団体の方にお入れにならなかったもので、しかもなおかつ政治献金であるものについては、それを保有しておられる個々人、個々の政治家から報告をいただくことになっております。ただ、報告をいただく際に、従来のシステムにおきましては百万円を超える金額についてのみ寄付者の氏名を書くというルールになっておりますので、そのルールにつきましてのいろいろ御意見は従来からあるわけでありますが、これは根本問題ということで将来の検討課題とは考えておりますけれども、百万円を基準といたしまして名前の出るもの名前の出ないものという従来のルールは、保有金についてもそのままとりあえず適用しようということでございます。
#125
○多田省吾君 ですから、私はそれを承知の上で質問しているわけですよ。百万円以下だったら何十人からいただき、それから何種類も五万円以下の支出をしても何ら報告する必要はないということでしょう。
#126
○政府委員(大林勝臣君) 百万円未満のものについてはどこからどれだけいただこうとも、総額としての報告義務はございますけれども、個々の献金者の氏名は上がってまいりません。
#127
○多田省吾君 総額としての報告の必要性というのは、どこの条項にあるんですか。
#128
○政府委員(大林勝臣君) 第十九条の七で、「特定公職の候補者は、毎年十二月三十一日現在で、その年における保有金に係る収入及び保有金によりされた支出について、その総額及び」云々という条文を書いてございますが、ここで保有金の総額なりその内訳について報告をいただくようにいたしておるわけであります。
#129
○多田省吾君 百万円以下のものがほとんど全部である場合は個々のものは全然必要ない、ただ、自分の指定する政治団体に入れない保有金の場合に限っては、総額だけこれは自治大臣に報告する必要があると、こういうことですか。
#130
○政府委員(大林勝臣君) そのとおりであります。
#131
○多田省吾君 政治団体の場合も各都道府県の選管に報告するいわゆる第一号団体という政治団体があるわけですね。それに入れれば、どうも自治省と関係ありませんから、関係ないというよりも自治省に届けるのではありませんから、いわゆる官報等には全然出ない、ところが個人で保有金を総額報告する場合は自治大臣にやりますから官報に出る、こういうようにちょっとレベルは変わってくるわけですね、報告する。ですから、私は国会議員であるならば全部やはり自治省に報告するというようにしたらいいんじゃないかなと思うのですが、これはどうでしょうか。
#132
○政府委員(大林勝臣君) もちろんそういうお考え方もあり得ると思います。現在の改正法の仕組みは、個人から御報告をいただく場合には従来の報告のあて先のルールが全くございません。ございませんので、国会の先生方から報告をいただくというものにつきましては自治大臣の方へ御報告をいただく、それからそれ以外の政治家の方々、たとえば県会の方々であれば県の選管の方へ御報告をいただくと、こういうふうにいたしておるわけでありますが、今回の法律の基本理念というものが、まずできるだけ指定団体を御利用いただく。理想といたしましては、やはり個々人で御経理をいただいて個々人が報告をしていただくということ自体どちらかというと余り世間の信用がないことになるのではないだろうか、むしろ第三者である指定団体というものを十分御活用いただきまして、そういう指定団体を通じて報告していただくことを原則というふうに考えておるわけであります。
 そこで、従来の指定団体、指定団体と申しますのは、従来の個々の政治家の後援会のうちで特に政治家が御信頼されるであろう特定の後援会を選んでいただきまして、これを指定団体というふうに位置づけていただいて、その指定団体を通じて報告をしていただく、こういうシステムをとったわけであります。翻って、従来の政治団体の報告先というのは、それぞれの政治団体の活動範囲によって区分けをいたしておりまして、全国的な活動団体あるいは二都道府県以上の区域にわたる活動団体におきましてはこれは自治大臣に、一県の範囲内で活動をされておる政治団体については都道府県の選挙管理委員会、こういうふうな報告のあて先の区分けにいたしておるわけでありまして、結局そういった政治団体の報告の一環として御報告をしていただくという方針をとりましたために、報告先については、従来の政治団体の報告先とルールづけられたルールをそのまま適用しておるわけであります。
#133
○多田省吾君 先ほどの第十九条の個人の保有金に関しては、全額を報告しなくてはいけないというのは、これは第一項にあるんですか、そういうところはもっと正確に読んでください。
#134
○政府委員(大林勝臣君) 第十九条の七の第一項でありまして、「特定公職の候補者は、毎年十二月三十一日現在で、その年における保有金に係る収入及び保有金によりされた支出について、その総額及び自治省令で定める項目別の金額並びに次に掲げる事項を記載した報告書を」報告していただくと、こういうことになっておるわけであります。
#135
○多田省吾君 そのほかいろいろまだ細かい問題はありますけれども、結局、この個人の保有金を報告する場合においても、罰則がないということで、忘れてしまったというようなことで報告しなかった場合は全然もう不問に付される。しかも税金の方も、雑収入として、政治資金として全部使ってしまった、こういうことを言えば全部それは税金がかからない。こういうことで、国民から見れば非常にこれはざる法だなと、このように思われるのはこれは当然だと思うのです。
 それからまた、指定の政治団体に入れた場合でも、先ほどから何回も言われているように、百万円以下の場合は、入れただけの総額が全部載っかるだけでございまして、またそれを引き出せば、どんな支出になろうとももう全然報告の必要がない、罰則もない。こういうことでは全くのこれは抜け穴だらけのざる法で、しかも罰則もないということで、全然これは報告、公開という趣旨に合わないのではないかと、このように言われるのは私は当然だと思うのです。ですから、この政治資金規正法の本法の方も大分これは抜け穴だらけでございますけれども、その上に輪をかけて今度の場合は抜け穴を強調しているような面があります。ですから、私たちはどうしても、これはせっかくつくった以上はやはりざる法ではない、しかも罰則をつけた本当に政治浄化に役立つものにしなければならない、このように強く感ずるわけでございます。
 また、残余の質問は次の機会にしたいと思います。
 以上で終わります。
#136
○山中郁子君 政治資金規正法につきましては、わが党はかねてから主張してきたところでありますし、本法案につきましても、衆議院において、事実上の賄賂とも言うべき、そして賄賂の温床ともなる企業や団体献金の野放しという問題を初めとして、今回の政治家個人への献金もいわゆる指定団体をトンネルとして結局は支出明細を出さなくてもよいことになるなど、その他たくさんの問題がありますけれども、そういう点を指摘いたしまして、全くのざる法であるということを申し上げてきたところです。これらの問題については本委員会においても多くの面から指摘されてきたところです。
 きょうは、大臣の御健康の関係もありましょうし、大変限られた時間しかいただいておりませんので、この法案につきましての一つの問題について具体的に明らかにしていただきたいと思っております。
 今回の法案では、「政治活動に関する寄附」というこの「寄附」の概念について、報告の対象が「金銭等」となっていて、いわゆる物品が外れているという問題についてはどういう理由なのか。それらについては大変解せないところが多くあるわけですけれども、まずその点について伺います。
#137
○政府委員(大林勝臣君) 政治資金規正法の上では、「寄附」の概念を非常に広くとっておることは御承知のとおりであります。同法の第四条によりますと、「「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」、つまり、金銭、物品はもちろんのこと、その他財産上の利益という非常に広い範囲でこれをとらえておるわけでありますが、今回、政治的な疑惑を避けるという意味で、改めて政治家個人から御報告をいただく場合に、いわゆる政治献金というものを中心として立案いたしたわけであります。
 もちろん、政治献金というものもなかなか広い範囲に及ぼうと思いますけれども、やはり一番世間でわかりやすい政治献金と申しますと、金銭であるとかあるいは有価証券であるとか、およそ金銭的なものというのが中核になろうかと思います。金銭以外の動産であるとかあるいは不動産という問題ももちろん立案時にいろいろ研究はしてみたわけでありますけれども、動産とか不動産という問題につきましては、果たしてこれは政治献金という範囲で押さえることに適当なものであろうかどうか、むしろそういった物というものは政治献金という問題よりは政治家個々人の一つの資産という範囲に入ってくる場面が非常に多いのではないであろうか。もちろん、将来の課題といたしまして国会の方にもお願いをせぬといかぬわけでありますが、政治家個々人の資産公開という問題が一つの宿題になっておるわけであります。そういういわゆる動産であるとか不動産という非常に資産的な色彩を強く持っているものにつきましては、やはり資産公開の対象として考えた方がいいのではないかという結論に達したわけであります。
#138
○山中郁子君 いま選挙部長も言われたとおり、本法においての寄付の概念は明確になっているわけです。これは政治資金規正法の改正なわけで、政治資金規正法そのものになるわけですね。それで、「改正 政治資金規正法解説 自治省選挙部編」というものの中にいろいろ丁寧に解説もしてあるのですけれども、「寄附は、金銭で行われるのが通例であろうが、金銭以外の物品その他の財産上の利益の形態での寄附があった場合には、これを時価に見積って、その金額を記載し、あわせて物品その他の財産上の利益の形態・数量・見積方法などを備考欄に記入しておく必要がある。」というところまで選挙部では解説をしていらっしゃるわけです。「改正 政治資金規正法解説」という本でございます、申し上げるまでもないと思います。
 それで、私は、法律的に言っても整合性が失われるわけで、その点は、いまおっしゃったことが論拠になるならば、政治資金規正法それ自体もそういうことの例外ではないというふうに言わざるを得ないと思うのです。これはどうしても理解に苦しむところだし、理解しがたいところなんですけれども、その整合性の欠落、それから政治資金規正法でこのように明確になっている、つまり政治資金の明朗化という意味では寄付という概念をそのようにとらえているわけですから、それを今回の場合に大きく幅をいまおっしゃったような理由で、強いて言うなら理由にならない理由だと思いますけれども、そういう意味で幅を狭くするということについての問題点は何ら解決しないと思いますけれども、その点はいかがでしょう。
#139
○政府委員(大林勝臣君) 従来、政治資金規正法で寄付を、金銭であろうが物品であろうが、その他たとえば労力の無償供与であろうが、およそ財産上の利益として押さえておりますのは、従来の政治資金規正法の対象としておりましたのはいわゆる政治団体を押さえておったわけであります。政治団体として考えますと、政治団体の収支というものの中におよそ私的な収支というものはまずないであろう、政治団体は一〇〇%政治資金を扱う団体であろうということを前提としておりますために、政治団体を対象とする限りはあらゆる種類の財産上の利益というものをやはり寄付として押さえる必要があるであろう、こう今日までなってきておるわけであります。
 ところが、先ほど来申し上げておりますように、生身の政治家個人の問題になりますと、これはやはり政治的な面もあれば私的な面もあるであろう。したがいまして、そういった私的な面と公的な面の区別は政治家個人にお願いするとしましても、その寄付の範囲を金銭あるいは金銭に相当する有価証券等、そういうものであればいわゆる世間で政治献金として通用するものであろうと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、その他の物的なものにつきましては果たしてそれを政治献金と言うのかどうか。それは政治献金である場合もありましょうけれども、ほとんどの場合は余り政治献金というような対象でとらえられていないのではないだろうか、むしろその政治家個人の資産としてとらえられておるのが一般世間の観念ではないだろうか。そうでございますれば、やはり政治家個人の資産公開という問題の一面といたしましてそういった動産、不動産というものをとらえた方が法律の上でははっきりするであろう、こういう趣旨でございます。
#140
○山中郁子君 そもそもが、個人に対して入るお金についての問題がさまざまな点で出たから、松野さんの五億円の問題も含めて出たから、あなた方はそういうことについて一歩前進させるのだということでこの改正案を出していらっしゃるわけですね。そのことがどうであるかの評価は別として、私ども意見を持っておりますけれども、そういうことならば当然のことであって、団体だろうと個人であろうとそういうことがあり得るということについては何ら変わらないわけですよ。団体の場合に入ればそれは政治資金として使われるし、個人になればそれは使われるはずがないということはあり得ないわけであって、そこに私はざる法ということがずいぶん指摘されておりますけれども、そのざる法ということの背景にあります本当の意味での献金の明朗化、政治資金の明朗化ということに徹してないというということがこの具体的な一つの問題をとっても言えると思いますので、この点についてはひとつ大臣の見解を伺って次の問題に進みたいと思いますけれども、大臣の御見解を伺います。
#141
○国務大臣(石破二朗君) お答えいたしますけれども、選挙部長から法律的な正確を期してのお答えを申し上げました次第でありまして、私といたしましても選挙部長と全く同意見でありますので、御了承を賜りたいと思います。
#142
○山中郁子君 まあ大臣の今度健康条件のよろしいときにさらに引き続き見解を伺います。
 それで、鈴木総理を初めとして政府・自民党首脳が機会あるごとに金のかからない選挙ということを盛んにおっしゃっているのですけれども、それで先ほど来論議のありました参議院全国区制や選挙運動規制などについても言及されています。しかし、私どもがここで本当にはっきりさせたいのは、選挙に金をかけるという実態は一体どう具体的なものとしてあらわれているのかということをはっきりしてほしいと思います、現実の問題として。
 先ほどもちょっと宮之原委員も触れておられましたけれども、千葉一区の泰道派のあの大がかりな買収、この問題についてはいま大きな問題になっているわけです。そういうことが私はまず第一の主要な問題の一つだということを言わざるを得ません。それで、連日報道されておりますけれども、たとえば十一月十二日、十一月十三日、こういうことで初公判の報道がされています。「泰道議員宅で買収工作謀議」が行われた、「泰道代議士が買収指示」をしたなどの大見出しつきで報道されているわけです。この大型買収事件である泰道派の捜査結果について、警察庁からまず簡潔に説明をいただきたいと思います。
#143
○政府委員(中平和水君) 千葉県の警察におきましては、ことしの六月、捜査員がお尋ねの泰道議員派の選挙運動員による物品供与事犯の情報の探知を得まして、これをもとにして捜査に着手いたしました。やがてエスエス製薬及び東都信用組合の役職員等による買収事件等、泰道氏が関連する会社等を選挙母体にいたしました大がかりな違反が判明し、検挙をした次第でございます。
 警察の検挙しました人員は百九十名、逮捕者五十三名、買収の基本額は千二百五十五万円、これを千葉地方検察庁に送致して一応警察の捜査は終わっております。
#144
○山中郁子君 同じく、同派のこの事件の訴訟状況について、法務省から報告をいただきたいと思います。
#145
○説明員(井嶋一友君) 検察庁では、警察から送致されました被疑者及び検察庁で立件いたしました被疑者、合わせまして四百五十一名につきまして捜査を行いまして、うち七十五名につきまして買収事犯として公判請求をいたしました。百七十七名につきまして買収事件で略式請求をいたしまして、残り百九十九名につきまして不起訴処分といたしております。
 起訴されました七十五名につきましては、昨日現在ですでに五十八名の第一審の裁判が終了いたしておりまして、現在残り十七名が千葉地方裁判所において一審係属中でございます。それから略式請求いたしました百七十七名につきましては、大部分の者は命令が出ておりまして、ほとんど確定をいたしております。
#146
○山中郁子君 こういう買収事犯というのは本当に常識を超えるようなことがいろいろ行われているのですけれども、私どももこれらの問題についていろいろ調査をしたところによりますと、たとえば具体的に申し上げますけれども、これはこの一区の高根台団地のある主婦の方が言っておられるのですが、何月何日に泰道さんが来るんで津田沼駅に行ってもらえないかと、行ってくれれば二千円上げるというふうに言ってくるとか、これは私は本当に論外だと思うのですけれども、船橋の金杉小学校に通っている子供たち、これは具体的に母親の訴えがあるからわかるのですけれども、そんなのはやたらやっているわけなんですけれども、学校の門のところで運動員がジュースを配って――このジュースというのは、後でわかったら、先ほどちょっとお話がありましたエスエス製薬関係のドリンク剤らしかったんですけれども、そういうものを配って、泰道三八氏の名刺を子供に渡して、そしてその運動をするということさえ行われておりました。私は本当に論外だと思っておりますけれども、こういうような実態について警察庁は把握をされておりますか。
#147
○政府委員(中平和水君) お尋ねの小学生に何かドリンク剤を飲ませ候補者の写真入りの名刺を配った、こういうことのようでございますが、私どもの違反摘発した中には御指摘の事実は含まれていないというふうに考えております。ただ、何か候補者の写真入りの名刺につきましては、泰道氏の選挙事務所の捜索の際に若干の写真入りの名刺等は押収はしている事実はございます。
#148
○山中郁子君 津田沼の現ナマの配付は。
#149
○政府委員(中平和水君) 津田沼の現ナマの配付というのも、検挙の事実の中には含まれていないように思われます。
#150
○山中郁子君 こういうのはほかにいっぱいあるんです、私も千葉の一区の状況を具体的に知っていますけれども。問題にしたいのは、ここでいま申し上げますけれども、これは泰道さんの前回の選挙のときなんですけれども、泰道三八君を励ます会ということでこういうものを出しているのです。そして、発起人として名前がずらっと並んでいて、その中に元警察庁長官高橋幹夫、元中部管区警察局長藤沢三郎、元四国管区警察局長、元富山県警察本部長、元千葉県公安委員・委員長、それから元高等検察庁検事長、こういう人たちがみんな名前を連ねているのです。一体これはどういうことかということなんですけれども、そこでちょっと具体的にお尋ねしますけれども、藤沢三郎氏、元中部管区警察局長、この方は千葉県警本部長だったこともおありになると伺っておりますけれども、その在任期間はいつからいつまでだったのかお調べいただいていると思うので教えてください。
#151
○政府委員(中平和水君) 藤沢氏が千葉県警察本部長として在任いたしました期間は、昭和四十年の三月二十六日から四十二年の七月二十日まででございます。
#152
○山中郁子君 これも御承知のところだと思いますけれども、泰道三八氏の実父でいらっしゃる泰道照山氏が千葉県の公安委員長を務めておられました。これはいつからいつまでですか。
#153
○政府委員(中平和水君) 泰道照山氏は、昭和四十年の十二月二十五日から昭和四十二年の十二月二十四日の間千葉県公安委員をいたしました。また、その間、四十一年の七月十四日から四十二年の七月十三日までの間は同委員長として在任をいたしております。
#154
○山中郁子君 全く照合しますね、時期的に。片や公安委員長、そして片や県警察本部長ということでね。その人が泰道三八氏の励ます集いにだあっと名前を連ねているわけです。これはその後の新聞報道その他でもいろいろ報道されておりますけれども、結局藤沢三郎さんという方は在任当時公安委員長であった泰道照山氏と時期的に一緒だったわけでしょう。そして、その後藤沢さんは、候補者自身が理事長で泰道派の買収選挙の資金源ともなったと言われている東都信用組合の顧問になって、そして現在に至っている。現在も理事であり、顧問であるわけですよ。これらのことは新聞でもいろいろと報道されているところですけれども、捜査当局に顔のきくこういう人物、事実そうしたところの出身者である人々を陣営内に配置して、そうして大型買収事件の背景をつくってきているということは、私は大変ゆゆしい問題だと思っておりますが、警察庁はこうした背景その他については承知をされているのかどうか伺います。
#155
○政府委員(中平和水君) 藤沢三郎氏が、昭和五十二年からでございますか、東都信用組合の理事をしていることはこれは事実でございます。この東都信用組合が先ほど話しましたように泰道氏の経営する企業グループの一員であり、今回の選挙で重要な役割りを果たしたこともこれまた事実でございます。しかしながら、警察といたしましてはそういうことに関係なく、厳正公平、不偏不党の立場でこの事件の処理に当たっておりまして、千葉県警としては五月二十七日に捜査本部を置きまして、九月三日まで鋭意捜査を遂げまして、そして泰道派の大がかりな違反を摘発しているわけでございます。したがって、この間に仮にそうした方が在職しておったとしても、私どもは全くそういうことに関係なしに厳正公平、不偏不党の立場でこの事件の処理をしている、こういうことで御理解を賜りたいと思います。
#156
○山中郁子君 そういうことではなかなか理解できない背景があるから申し上げているので、あなた方も目を通していらっしゃると思いますけれども、たとえばこれらの問題について、本当に国民の怒りなんですけれども、これは九月五日の読売の記事の中にも書かれているのですが、「泰道派には、千葉県警本部長、署長などをつとめた警察OBが介在しており、同派は「県警が買収事件に本腰を入れないだろう」とタカをくくっていた節もあった。」と。「捕まった運動員の中にも「OBがいるから大丈夫だと思った」と供述する者がいた」。また、藤沢さん自身インタビューに答えてだと思いますが、新聞の報道では藤沢さんの言葉として、「運動員は選挙に慣れていない。悪質違反はないと思うが、形式犯があったら注意してほしいといって歩いただけで、むしろ当然のこと。」と、警察への圧力ということで言われて批判もされたことに対してこういう言い方をしている。実際に警察を歩いているんですね。
 私は、あなたのいまおっしゃったことを、一応そういうことであなた方が言っていらっしゃるとしても、実際に警察がこういうかみ方をしている、警察のOBがここの場合ではかみ方をして、そしてもう一つ言うなら、警察が利用されているといういまの買収事犯の背景というものをあなた方はやっぱりもっと深刻に受けとめて、そしてそれらの問題についての姿勢を国民の前にもっと明らかにしないと、こういう問題はそもそも取り締まる方が違反に手をかすことになるわけですから、そこのところはちょっとはっきりしてほしいと思いますけれども。
#157
○政府委員(中平和水君) 繰り返しになりますが、先輩がそうしたところにそれぞれ第二の人生を求めて就職されていることについて現役のわれわれがとかく言う立場ではぜございません。しかしながら、われわれといたしましては、選挙違反の取り締まりにつきましては厳正公平、不偏不党の立場であくまでも違反については十分な取り締まりを行う、そうした事実をもってやはり国民の信頼を得ていく、こういうことになろうかと思います。今回の冒頭陳述に触れられておりますように、泰道氏自身が事件の買収に若干の形で関知しておる面があるわけでございますが、そうした面につきましても警察は厳正公平な捜査を通じて明らかにしておるわけでございます。したがって、この事件につきましては、繰り返しになりますが、いささかの手心を加えたという事実もございません。
#158
○山中郁子君 前回の委員会でわが党の近藤議員が触れましたけれども、御承知の愛知の内田派の違反ですね。この問題もこれは自治体ぐるみということで報道もされておりますけれども、大規模なやはり買収事犯です。そして、こういうことの中にこそ選挙に金をかけるという実態の本質があるということを私は改めてやはり指摘をしなければならないし、とりわけ現内閣鈴木総理がその施政方針の中でもいろいろ言っているけれども、政治の浄化と厳正な官庁綱紀の確保に努力するとか、それから政治倫理の確立を図るためにと、そういうことを言われていることは直ちにこういう問題についての姿勢を問われることになると思いますので、とりわけ自治大臣に課せられた任務は重いと思っております。
 泰道派の地元では、すでに御存じのように、泰道議員の辞職を実現し金権腐敗選挙をなくす会などという市民団体も生まれて、それらの人々も含めて、議員をみずからやめるべきことを要求しているというそういう事態になっていますので、私は実際問題として、公判の冒陳でも彼ら関係者が罪状認否で、実際に買収工作の中で現金の運び屋となった私設秘書グループの筆頭格だった松本成雄被告が、起訴事実のすべてをそのとおりだというふうに認めているわけですね、すでに。
 そういう事態があるということで、いま自治大臣が繰り返し金のかからない選挙だとか政治倫理の確立だとかそういうことを言ったって、その問題に対する政府・自民党のそうした姿勢というものが国民に問われているのだということについて、改めて私は自治大臣の所見を伺いたいと思っております。
#159
○国務大臣(石破二朗君) 初めにちょっと釈明させていただきたいと思いますが、自治大臣に就任いたしまして以来私は、選挙に金がかかる、金のかからない選挙を実現しなければならないとしばしば申しておりますが、ちょっとこれはこの際釈明させていただきたいと思いますのは、選挙そのものに金がそうかかるわけではございませんで、平常の政治活動にたくさん金を必要とする、まあ選挙をやる者はどうしても金がかかるものだというぐらいなつもりで言葉を正確に使い分けていなかった場合が多うございますので、その点は御了承いただきたいと思います。
 しかしながら、いずれにしましても政治家が選挙であろうと政治活動であろうと多額の金を使うということは慎まなければならないことと思います。ただ、お互い生身の人間が選挙するわけであります。選挙しようとしますれば、当選しようとしますれば、あらゆる方法を講じあらゆる手段を尽くして何とかして有権者の理解と支持を得なければならぬ、最大の努力をすると思います。そうしてこそ初めて当選可能ということになるだろうと思います。
 その際に、その選挙資金の調達を候補者本人の責任にする、選挙活動を候補者本人の責任のみにするということになりますと、どうしても候補者本人が性質の余りよくない金に手を出す危険がある、それはいけないからひとつ所属の政党が、選挙に金が要るんならこれはもうしようがないと、要るものはどうしても要るんだという以上は、個人でなしに政党が必要な資金を調達し、また必要な選挙活動等を本人にかわって実行する、いわゆる党営選挙でありますけれども、そういう方向に何とか持っていって国民の皆さんの御理解を得るようにしたらどうかと私は考えております。くどうございますけれども、要るものはどうしても要るんだと、これだけ要りましたと公明正大に国民の皆さんに報告して、そして国民の審判を仰ぐようにする、これ以外にはないのじゃないかと考えております。
#160
○山中郁子君 私は、そういうことのまず第一にやらなければいけないことは、また、なくさなければいけないことは、こういう汚い買収事件です、そういうことをいま指摘しました。それで、いま大臣がおっしゃったことについての議論はまた後に譲ります。
 先ほども指摘したのですけれども、警察庁はそういうふうにお答えしているけれども、実際問題として国会議員の大型買収選挙やいわゆる黒い霧問題、こういうものには必ずと言っていいほど警察のOBがちらちら見え隠れしているんですよ、さっきも泰道さんのあれも申し上げましたけれども。記憶に新しいものでも、これは四十九年の七月だったと思いますが、参議院の徳島地方区選挙ですね。これでいわゆる大買収が行われて、これが元警察庁長官で後の国家公安委員長になった後藤田派の問題でした。それからその後ごく最近の例でも、澁谷元国家公安委員長が富士見病院からの献金があるということで大きな問題になっております。
 それで、いまもあなたがおっしゃった、警察は上から下まで公正中立で徹底しているとおっしゃっているけれども、警察OBだけにとどまらないで、これは山梨県の甲西町の問題ですけれども、現職の巡査部長が昨年の四月の地方選挙で町長の買収事件に関連して逮捕されたということも報道されているのです。これは捜査に当たっていた小笠原署の斉藤保巡査部長です。こういう問題がありますけれども、ちょっと簡単に法務省からこの事件の捜査結果を報告していただきたいと思います。現職の巡査部長です。
#161
○説明員(井嶋一友君) 御質問の甲西町長の選挙に絡みます斉藤保巡査部長の事件と申しますのは、昭和五十四年の四月に行われました町長選挙に関係しまして、買収事件の捜査を担当しておりました巡査部長が犯人隠避あるいは情報を漏らしたということで地方公務員法違反といった形で嫌疑を受けた事件でございます。
 この事件につきましては、昭和五十四年の七月十二日にこのもともとの買収事件を捜査しておりました甲府地方検察庁におきましてこの斉藤巡査部長の事件を確知いたしましたので、同年七月十二日に斉藤保巡査を犯人隠避及び地方公務員法違反により逮捕いたしまして逮捕勾留の上取り調べをしまして、同年の八月十七日に証憑湮滅罪、犯人隠避罪及び地方公務員法違反罪で略式請求で起訴をいたしまして、同月三十日に裁判所から罰金十万円の略式命令が出まして、同命令は現在確定をいたしております。
#162
○山中郁子君 私は、こういうように、あなた方がこういうところでどんなふうに上から下まで公正中立で徹底しているとおっしゃったって、実際に時の政府や権力にはきわめて警察がおもねった行動をとりながら、そして反面では民主勢力に対して尾行や張り込みなどのそういう違法な干渉妨害、そうしたものを行って威圧をしているという事態というのは、警察の不公正な行動を指摘して余りあるものがあると思います、事実の問題として。私どもはこれはかねてから一貫して警察に対しては申し上げてまいりましたけれども、いま具体的に私は警察が見え隠れするということで幾つかの事例を限られたことしか申し上げられませんでしたけれども申し上げました。あなたは上から下まで公正だなんということだけ言っているのじゃなくて、本当の問題として、公正な選挙に対する国民の期待にこたえるべき姿勢を持って仕事をしなければならぬということを私は重ねて申し上げておきます。
 それで、自治大臣に一つだけ最後にもう一度ちょっと。別なことはまたこの次議論しますから。
 こういう金のかからない選挙、きれいな選挙とかいうふうにおっしゃるけれども、要するにこういう大型買収事犯、そうしたものこそなくさなければ、幾ら口で金のかからない選挙というふうに言ってもそれはだめなんだということを、まず第一にそこのところを重要な問題の一つとして政府が押さえる、自治大臣が押さえるという姿勢なしには私は問題は進まないと思っております。それで、そのことについて、こういう買収事件、汚い選挙、こういうものを、そういうふうにちゃんと理解をされていなければならないと思いますけれども、金のかからない選挙、清潔な政治ということをおっしゃる前提として、このことを簡単に伺っておきたいわけです。
 現在もうすでに自民党を初めとして選挙中の政策宣伝の封殺をねらう公選法改悪の動きも出ているということでいろいろ報道もされています。また、この委員会においても大臣自身、また衆議院では鈴木総理大臣も、審議されている政治資金規正法と並行して、車の両輪として金のかからない選挙制度、選挙運動の規制を考えなければならないということを発言していらっしゃる。私は、やはりこうした動きの背景には、自民党がさきの選挙で安定多数を得たことを絶好の機会として、小選挙区制の導入だとか、あるいは安保の再改定だとか、憲法改悪だとか、そうしたものを推し進めようという野望があるということを指摘せざるを得ないのです。そして、この危険で腹黒い意図を隠して、いわゆるカバーするものとして、金のかからない選挙ということでそうした路線を進めることについての重要な点ということできょうは指摘をするわけですけれども、そういうことではなくて、政治資金規正法の改正も含めて本当の真意をあなた方が達成するのだとすれば、企業ぐるみや団体ぐるみなどのそういう選挙にこそきちんとメスを入れて、そして進めていかなければならない。そういうものが本当の意味での金のかかる選挙に本質的なメスを入れることになるのだということを重ねて強く主張いたしまして、先ほど伺いましたことについて大臣の答弁を簡潔に求めることにいたしまして、私の質問を終わります。
#163
○国務大臣(石破二朗君) 金のかからない選挙ということについての考え方でありますけれども……
#164
○山中郁子君 買収事件についてです。
#165
○国務大臣(石破二朗君) 私がしばしば選挙には金がかかるものだということを申しておりますのは、平素の日常の政治活動に金がかかるという意味を含めてでありますので御了解いただきたいと思いまするし、なお泰道何がし派の選挙違反のごとき、これはまさに論外と心得ております。
 なお、警察の経験者等が関係しておる場合には取り締まりの手が鈍ることがあるのではないかという御指摘がございましたけれども、御承知のとおり、かつて警察庁長官を経験したことのある方が大選挙違反を犯した実例もありまするし、さらに検察庁の相当高い地位にいらっしゃった方で大選挙違反でつかまった例もあります。決してわが警察が人によって取り締まりを左右するというようなことはございませんので、この点も御了承いただきたいと思います。
 なお、選挙についてのあれこれの、俗に選挙公害という言葉が使われておるようであります、正確でない言葉のようですけれども。取り締まりについてでありますけれども、何とかしてあれを取り締まってくれという声はずいぶん高いものがあります。承知いたしておりますけれども、事柄が事柄でもございますので、国会の御発意によって各会派十分お話し合いの上しかるべき成案を得てくださいますれば大変幸せと考えておる次第であります。
#166
○山中郁子君 それじゃ最後にもう一つ。
 いま選挙公害というふうにおっしゃったけれども、そういうことがまさに基本的な権利である言論、政策宣伝――選挙のですね、もうそれがなければあり得ないという、そのこと自体が存在し得ないという、その封殺のたくらみなんだということを私は主張いたしました。改めて申し上げます。
#167
○委員長(鳩山威一郎君) 山中委員、委員長に発言を求めて御発言を願います。
#168
○山中郁子君 いま求めたんですけど……。
#169
○栗林卓司君 私は、前回、特定公職の候補者が指定団体に寄付した場合の課税上の取り扱いをお尋ねいたしました。その後調べてみますと、私の方にも誤解があったようでありまして、また御答弁される側にも誤解に基づくと思われる部分があったものですから、整理してもう一遍お尋ねをしまして、きょうはそれだけにして残余の質問は次回に送りたいと思います。
 大蔵省にお尋ねをしたいのですが、政治家の――この政治家と言っている意味は特定公職の候補者という意味ですけれども、指定団体に対して行う寄付に対して所得の計算上の取り扱いはどうなっておりますか。
#170
○説明員(冨尾一郎君) 政治家が個人として政党や後援会などの政治団体に寄付をいたしました場合には、その寄付が政治活動に関してなされたものという場合には、従来から政治資金に係る雑所得の計算上これを収入金額から控除する費用として扱ってきております。
 なお、政治資金に係る雑所得から控除する収入がない、それから控除できないという場合がありました際には、この寄付が政治資金規正法に従って定められた手続によっている場合、また、自己の後援会に対する寄付など寄付者に特別の利益が及ぶものでないというような場合には寄付金控除の対象になることになっております。
#171
○栗林卓司君 そうしますと、繰り返しますと、この法律で言っている指定団体、それから指定団体以外に政党あるいは後援会等に対する政治活動上の寄付金に対しては、雑所得の計算上必要経費として考えておりますと、従来もそうでありますと、こう理解してよろしいですか。
#172
○説明員(冨尾一郎君) そのとおりでございます。
#173
○栗林卓司君 そこで、なぜ誤解したのかということでお尋ねをするんですが、「政治家の収入と所得の計算」という大蔵省でつくられた説明資料がございますけれども、そこの中で「必要経費」として例示してあるものを読み上げてみます。「専ら政治活動のために使用した秘書、事務所職員の給料、手当」、ロとして「専ら政治活動のために使用した事務所の賃借料」、ハが「専ら政治活動のために使用した通信費、旅費」、ニが「国会報告、政見発表などの費用」、ホが「専ら政治活動のために支出した委託調査費、図書費、会議費」、へが「政党の政治活動費用を賄うために経常的に負担する本部費、支部費」、トが「政治活動に関する交際費、接待費」。これだけが例示してありまして、これだけ細かく書いてありながら実はいまの寄付が全然書いてない。この点については、まあ聞かれて答えるとなれば落としたということになりますということでしょう。
#174
○説明員(冨尾一郎君) お尋ねの説明の文書でございますが、これは国税庁で作成いたしました政治資金に係る雑所得の計算の仕組みを説明した資料でございます。
 いま先生御指摘のように、この中に寄付金の例示は含まれておりません。このように寄付金を従来書いておりませんでしたのは、実は先ほどもちょっと御説明したわけですが、寄付一般がそのまま必要経費になるわけではないし、また引き切れなかったりいろいろな場合に、寄付金控除の対象になる場合があったりならなかったりということでいろいろむずかしい問題がございますので、説明が複雑になるというところからなかなか簡単に書けなかったのでこれを書いてなかったという理由と、もう一つは、従来余り寄付金に関しまして政治家の方からの私どもに対する御照会がなかったということで、私どもこの例示を挙げなかったわけでございます。
 しかしながら、今回政治資金規正法の改正が御検討されておられますし、指定団体の寄付ということが正面から取り上げられるというようなことにもなっておるなどの状況を考えまして、私どもとしてもこれから寄付の取り扱いにつきましてきちんとした説明をする必要があるというふうに考えておりますので、今後パンフレットなり説明文をつくる場合には寄付も含めてきちんと例示をさせていただきたい、かように考えております。
#175
○栗林卓司君 そのときに一緒に見直していただきたいと思いますのは、二枚目のところで「収入」ということが書いてあるんですが、そこの注として1、2、3とありまして、3のところです。こう書いてあるのです。「個人、法人、政党、後援団体などから政治資金を受けた場合に、それを直ちに他の議員、政党などへ交付したときは、最初にその資金を受けた者の収入金額にはならず、実質的にその資金が帰属した者の収入金額となります。」と。これを単純にさらっと読みますと、直ちに資金が動いた場合には、いわば所得の計算上対象にならないけれども、暫時滞留するとそれは問題なんだと読めてしまうわけです。これはいまお話しのように、たとえば指定団体に対する寄付金等でありますと当然必要経費として見るわけですから、直ちにか滞留しているかという区別は全く要らない。したがって、この文章も誤解のないように直していただきたいと思います。
#176
○説明員(冨尾一郎君) ただいま御指摘のパンフレットも、毎年確定申告の前に私どもが国会議員の皆さんに配付しております政治資金に係る雑所得の計算の仕組みの説明の文章でございます。確かに、お尋ねの「収入」に関する(注)3につきましてはいろいろな読み方があろうかと思いますが、私どもとしては、この(注)3は、所得税法の基本的な考え方でございます実質的な所得の帰属者に着目をして課税処理をする、こういうことをいわば念のために説明した部分でございます。しかし、先生御指摘のとおり、この説明文、必ずしも明確にすらっと御理解いただけるような表現には実はなっていないと私ども考えておりますので、次回以降このようなことのないように、今後は御理解いただきやすいような表現に改めていきたいと、かように考えております。
#177
○栗林卓司君 そこで、整理のためにひとつ伺いたいのですけれども、雑所得の必要経費として寄付金が扱われる場合と、それから所得税の計算上寄付金控除として扱われる場合と二つありますけれども、そうすると指定団体に対する寄付金あるいは政党、後援会に対する寄付金が、ある場合には雑所得の必要経費になる、ある場合には寄付金控除になる、いわばそれは申告側の選択で決められるのだということで理解してよろしいですか。
#178
○説明員(冨尾一郎君) 寄付金につきまして、これが政治活動に関して行われた場合には、すべて政治資金に係る雑所得の計算上収入から差し引かれる費用というふうに計算をしていただいて結構でございます。ただ、どうしても政治資金に係る雑所得の収入が少なくてかつ寄付金が多いというように、収入自体から寄付金を引き切れないような場合あるいは何らかの理由で引けないというような場合に、これを所得税法上の寄付金控除の対象として控除するという道も別途あると、かようなわけでございます。ただし、この寄付金控除を受けられる場合には一定の条件がございまして、一つは、政治資金規正法に定めます手続に従って届け出等をしていただいたものということがまず第一でございますし、二番目には、寄付の相手先が自己の後援会でございますとか、寄付をされる方と特別な利害関係に立ち、寄付をすることが相対的に自分の特定な利益になってはね返る、このようなものでないこと。こういう二つの条件のもとに所得税法上の寄付金控除が認められるということでございます。
#179
○栗林卓司君 わかりやすく理解するとしますと、たとえば歳費だけで全部活動をやっているという場合には、当然雑所得の必要経費として計算のしようがないという場合にはこれは寄付金控除になる、こういうことだと思います。
 そこで、以上で伺いたい点は全部終わりまして、あと一点がお願い、一点が質問なんですが、非常にこれが混乱するんです。国税当局、ひいては地方税の課税当局を含めまして、いま私が伺っていることを周知徹底するようにこれはぜひお願いしたいと思います。
 それからもう一つは、いろいろな誤解、混乱があってそれぞれの申告がなされてきたわけですから、雑所得の必要経費にできるのに実はしてこなかったと、徴税当局からもそれはだめだと言われたというケースもあるわけですから、その場合申告の誤りとして是正を要求できると思いますが、それは国税と地方税でそれぞれどうなっておりますか。
#180
○説明員(冨尾一郎君) いま先生御指摘のように、従来私どもが国会議員の先生などに確定申告に関しまして御説明した際の文書の中に寄付金の問題について必ずしも明確でない点がございましたので、この点については今後御案内いたします際に、おわかりいただきやすいような形で、もう一度きちんとしたものにして御案内申し上げるようにさせていただきたいと思います。
 なお、ちょっと私、先ほど説明を落としましたが、寄付金控除につきましては、一般的な制約としてその他の特定寄付金と合わせまして所得金額の二五%以内という限定がございますので、これにつきましてつけ加えさせていただきます。
 それから先生御指摘のように、歳費だけで活動されていわゆる政治献金的なものは全く受け取らない先生が寄付をされた場合には、これは寄付金控除の当然対象になるわけでございます。
 それからうっかりして寄付金控除ができるのに申告をしなかったという場合のやり方でございますが、これにつきましては、所得税の場合を申し上げますと、更正の請求の手続をとることができることになっております。申告側に誤りがございました場合には、法定申告期限から一年以内でございますと税務署長に対しまして更正の請求をしていただければ過大に納税された税額は還付される、このような仕組みになっております。
#181
○説明員(浅野大三郎君) 地方税関係について申し上げますが、御案内のように所得の計算については住民税につきましてもこれは所得税の計算の例によります。そこで、通常の場合は所得税の方で更正がなされれば、それに基づいて住民税の方も賦課決定をやり直す、そういう形になろうかと思います。
#182
○栗林卓司君 いまの御説明結構なんですが、法定申告期限から一年とございました。法定申告期限というのは具体的にどういうことでしょうか。
#183
○説明員(冨尾一郎君) 所得税の場合には、確定申告期限でございます三月十五日でございます。
#184
○委員長(鳩山威一郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト