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1980/11/26 第93回国会 参議院 参議院会議録情報 第093回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号
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1980/11/26 第93回国会 参議院

参議院会議録情報 第093回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号

#1
第093回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号
昭和五十五年十一月二十六日(水曜日)
   午後一時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十日
    辞任         補欠選任
     藤原 房雄君     大川 清幸君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鳩山威一郎君
    理 事
                中西 一郎君
                松浦  功君
                小野  明君
                多田 省吾君
    委 員
                小澤 太郎君
                金丸 三郎君
                田中 正巳君
                名尾 良孝君
                中村 禎二君
                秦野  章君
                降矢 敬義君
                円山 雅也君
                福間 知之君
                宮之原貞光君
                大川 清幸君
                山中 郁子君
                栗林 卓司君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       自 治 大 臣  石破 二朗君
   政府委員
       自治政務次官   北川 石松君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       法務省刑事局刑
       事課長      井嶋 一友君
       国税庁直税部所
       得税課長     冨尾 一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○政治資金規正法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○継続調査要求に関する件
○閉会中の委員派遣に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鳩山威一郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十日、藤原房雄君が委員を辞任され、その補欠として大川清幸君が選任されました。
#3
○委員長(鳩山威一郎君) 政治資金規正法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○宮之原貞光君 本改正法案は、先般来のいろいろな質疑の中からもうかがえますことは、非常にざる法案的な要素が多いということがうかがえるのでございます。またそのことを裏書きするかのように、去る十二日の毎日新聞でございましたか、「政治資金の規制なんて本質的にはできっこない。結局は、政治家の倫理観に期待するだけ。その意味じゃあ確かにザル法ですな。」という自治省幹部という形の紹介の記事が載っておるのでございます。まあその新聞の真偽のほどはわかりませんけれども、当局自体、そういう自嘲的なことが記事にあらわれてくるということ自体、私はそのことを裏書きするのじゃないだろうかと思うのでございます。しかし、具体的にそれらの問題について本当にそうなのかどうか、もう一回私はそれぞれお聞きしてみたいと思うのです。
 その一つは、法第二十四条の罰則には、この改定をされたところの十九条の七でいわゆる保有金についての報告を怠った場合の適用規定が見受けられないようでございますが、この問題についてはいわゆる罰則規定はないのだというふうに理解してよろしゅうございましょうか。
#5
○政府委員(大林勝臣君) 罰則は設けておりません。
#6
○宮之原貞光君 そういたしますと、この保有金は罰則もない。同時に、税制上の問題はどうなっておりますか、そういう何か制約の規定でも何かあるのですか。
#7
○政府委員(大林勝臣君) この法律の実効性をできるだけ法律の上で担保をいたしますためには、罰則あるいは税制上の措置ということがまず考えられたわけであります。罰則につきましては、実はまず出発点でございます政治活動の金と私的な金とを明確に区別するというところが一つの問題でありまして、いろいろそれを考えてみたわけでありますけれども、公的な金と私的な金を一つ一つについてわかるように、つまり判断できるように基準をつくるということも結局立法技術上むずかしい。そういうことであるとすれば、公的資金と私的資金を区別して公的資金を報告していただくようにするわけでありますけれども、その区別自体は、結局は個々人それぞれの政治家によって活動範囲はまた異なるでありましょう。そういう区分けは結局は個々の政治家の倫理観の判断によらざるを得ないというところから出発せざるを得なかったものでありますので、そういった具体的な区分けが非常に法律の上で明確にできないということを前提としながら、一つ一つの報告について罰則を予定するということは、むしろ構成要件が明確でないものについて罰則をかけることにもなるでございましょうし、当面は政治家の倫理観にお任せするとして、将来の問題としての検討事項として残しておこうという結論に実はなった次第でございます。
 それでは罰則は当面無理だといたしまして、税の面で何かいい方法はないであろうかということもいろいろ考えました。内部的には、たとえば報告が出ていない、つまり報告をされていない保有金というものがあったということになりますれば、そういうものはもう無条件に雑所得というようなみなし方をするということも一つの考え方として出ておったわけでありますが、そういう方向が一体現在の税制の体系の上でとれるであろうかどうであろうか、いろいろ国税庁当局、大蔵省当局とも折衝を重ねたわけでありますけれども、やはり税の取り扱いの面におきましては、まあ実質課税の原則と申すのでありましょうか、そういった形式的な問題というよりも、実際にその保有金というのが政治活動に使われたかあるいは使われなかったかによって区別して取り扱わざるを得ないというようなことでございます。つまり、政治資金規正法上の税法上何とかならぬかという考え方と、それから税制の立場におきます税のあり方という問題が交錯をして一致点に至らなかったために、税につきましても従来どおり、もちろん報告の有無にかかわらず、実際にその政治活動に使われたか使われなかったかということを基準として課税をするという意味におきまして、税制上の取り扱いにおいても従来の取り扱いと変更がないという結論になったわけであります。
#8
○宮之原貞光君 十九条八の規定ですね、特定公職の候補者が自分の指定団体に寄付した場合、これはその政治家の個人からの報告は不要となっておるようですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
#9
○政府委員(大林勝臣君) 指定団体に入れて指定団体の手で報告をされますものにつきましては、報告は個人から改めて要しない、こういう仕組みにいたしております。つまり、指定団体を個々の政治家の金庫と考えていただきまして、その金庫であるべき政治団体から個々の政治家にかわって報告をしていただくというシステムでございます。
#10
○宮之原貞光君 その者の保有金から指定団体への寄付というのは、量的な制限がございますかございませんか。
#11
○政府委員(大林勝臣君) 指定団体に寄付することにつきまして、現行制度では個々の政治家が御自分の後援会に寄付される場合におきましても年間百五十万円という制限がございます。これをそのままにしておきますれば、個々の政治家に入った年間政治資金はすべて指定団体に入れていただきたいという法律の考え方からそれてまいりますので、現行制度を改めましてその部分だけ、つまり指定団体に対して個々の政治家が寄付する場合におきましては百五十万制限というものを取っ払っております。
#12
○宮之原貞光君 いま二、三尋ねてみましたけれども、どれも締まりがないのですね。いわゆる罰則もない、あるいはまた保有金からの寄付の場合の報告の義務もない、あるいは寄付の量的な制限もない、税制上の規制もない。これは私が冒頭に紹介申し上げたところの自治省の幹部自体がそうだと認めておるということをまさに私は裏書きしておることだと思うのですよ。一体こういうことで政治の浄化、政治資金をきれいな形にして国民に納得のいくようにガラス張りでやるのだと、こういうものの実効性が果たして上がるでしょうか。どうもその点が私は疑点というか納得ができないのです。議事録を拝見いたしますと、あるいはまたいまの選挙部長の答弁を聞いてみても、政治家個人の倫理観に基づいてすべてを律するというやり方ですね。先般の委員会の選挙部長の言葉をかりれば自由奔放、こういうような物の考え方が国民世論の政治資金のガラス張りあるいは浄化という課題にこたえるところのものだろうか。この疑問は私一人じゃないのじゃないでしょうか。恐らくほとんどの国民が一体どういうことかと、こう疑いたくなりますよ。政治家個人の倫理観に基づくというなら、大臣も経験されたところのある、たとえば先般来から指摘をいたしておりますところの澁谷さんの問題、齋藤さんのこういう問題が出てくるでしょうか。これでは困るから最低限度守るべきものは明らかにしてもらいたいというのが政治資金に対するところの国民の素朴な声じゃないでしょうか。それがいま一つずつお尋ねいたしますと、選挙部長の答弁のように何ら最後の締めくくりはないのです。しかも驚くべきことは、その保有金の問題その他の問題にしても、政治家個人に政治活動の分野と経済上の問題とを仕分けさせるということで税制上の対応策もない。いまの選挙部長の答弁を聞いてみますと、非常に技術的に困難であったということでありますけれども、新聞はやっぱり正直に伝えていますよ。事務当局自体がそういう何らかの形で規制をしたいと思っておったのだけれども与党の関係者と相談をしたらそれはだめだといってけられて、ついにそこもなくなったと、こう報道しておるのですよ。私は真偽のほどは何もここであえてはっきりしてくれとは申しませんけれども、せめてそういう問題だけでも、そういうふうに仕分けできないような場合あるいはきちんとできない場合は雑所得なら雑所得として、税制上の規制は加えますよと、こういうものがやはりあっていいのじゃないでしょうか。それさえもないというのですから。これは今後の問題として検討するという意味ですか。それともいまのこの新聞の伝えるところによると、与党の皆さんの合意が得られないからこれはできないということなんでしょうか。これを事務当局が言うように、政治家個人の倫理観にまつといったって百年河清を待つところのものじゃないでしょうか。それはどう思いますか。もう一回答弁してください。
#13
○政府委員(大林勝臣君) 確かに問題としましては、罰則の問題、税制上の問題というのが今後の問題として残されておるわけであります。ただ、この法案を急遽審議いたただきます際に私どもが考えましたのは、できればそういった実効性のある措置というものが考えられればそれはそれに過ぎたことはない。ただ法律的にあるいは税の体系上それが現段階ではむずかしいということでございますれば、それにいたしましても個人の政治資金の報告制度というのはわが国の歴史始まって以来、実は全くなかった制度であります。選挙運動の収支報告につきましては従来からあったわけでありますが、常時ふだんの政治資金の報告につきましての個人からの報告というのは今回が実は初めてという制度でございます。
 と同時に、そもそも政治資金の報告ということ自体が、従来政治団体の報告について考えておりました一つの考え方、つまり政治資金の公表というのはあくまでも世間に対してこれを報告する、つまり政治資金の内容を世間に公表して国民の批判を受ける、こういうところに一番の目標があるわけでありまして、実際問題としてもしも報告がなかったとか、あるいは世間の疑惑を招くようなそういった事実がわかったというような段階になりますと、結局世間が許しておかない。いろいろな事件が起こりますたびに報道機関によっていろいろ報道をされる。その報道をされること自体が政治家にとっては大変な痛み、あるいは罰則以上の痛みに実はなってきておるわけであります。そういう意味で、世間の評価、批判、そういうものがこの法律の一番の制裁ということになるのであろう。そういった考え方が従来の政治資金規正法のまた考え方でもございました。そういう意味もございまして、一番最初、わが国歴史始まって以来の制度でございますから、当面はこういう制度でも相当の効果があるのではないであろうかと、こういう考え方に落ちついた次第であります。
#14
○宮之原貞光君 わが国政治上初めてのことだと大分自画自賛いたしておるのですが、あなた方事務当局自体がざる法だと言うようなものが自画自賛に値しますか。
 もう一つお尋ねしますけれども、政治献金を今度は逆に一たん自分の指定団体に入れた、いろいろなところから。けれども、そこから今度は寄付の形で引き出した場合は、どのように使ったかという報告はしないでもいいのでしょう。これはそうなっていますか。その点どうですか。
#15
○政府委員(大林勝臣君) そのとおりであります。
#16
○宮之原貞光君 そのとおりだということですから、言うならこの間から指摘をしておるように、入りのところは若干明らかになってきた、出は全然わからないのです。あなたの言葉をとらえるわけじゃないですけれども、どういうものに使いました、また寄付を受けたものはこう使いましたと世間に明らかにしないで一体国民の批判を受けるところのチャンスはありますか。あなたのさっきの答弁では、世間の批判を受ける、国民に公表してそれによって政治家の次へのあれが決まっていくのだと、きわめてりっぱなものだと言わぬばかりの話なんですけれども、出るところのもの、私はこういうものに使いました、言われるところのこの指定団体の方からこういう金を受け取りました、これはこういうふうに使いましたと、こういうものがない限り世間にその政治家がどういう金に使ったかわかりますか。なるほど選挙のときのいろいろなものとかそれはわかるでしょう。肝心かなめのところは公表させないでおいて、それは国民に公表することによって批判を自動的に受けるのでありますとあなたは答弁しているのだが、本当にできると思いますか。
#17
○政府委員(大林勝臣君) 報告の範囲につきましていろいろ検討をしたわけでありますが、この法案の最初の考え方が、御承知のような最近のいろいろな航空機疑惑というような問題から出発したところから考えまして、とにかく政治家について世間の疑惑が集まっておる、そういう疑惑をなくする一つの方法として個人政治資金の報告制度というものを考えてまいったわけであります。
 そこで、まず政党であるとか、あるいは御自分の一番の信頼関係に立つべき後援会の中での指定団体、そういうものを通じて報告をしていただくのでありますけれども、またそういった団体というのは個々の政治家と一番の信頼関係に立っておる団体に違いないわけでありまして、そういった団体からいただく政治資金について改めて報告をしていただくこともないであろう、むしろそういった団体から私的に使うようなことは恐らく起こってこないであろう、そういうものをもし御自分の一番信頼をされている団体から受けた金を私的に使うというようなことになれば、そもそもその指定団体からの信頼関係というものはもう壊れてしまいまして、むしろ個々の政治家の政治生命そのものの問題になってくるであろう、そこはひとつ個々の政治家の先生方をやっぱり御信用申し上げようと、こういう思想から考えられたものであります。
#18
○宮之原貞光君 自分が寄付を受けた、この金はこう使いましたということが世の中にはっきりしてこそその政治家のまともな政治活動かどうかというのがわかるのでしょう、これは。そこのところは政治家の良心に云々と。
 私はずっとこの間からのやりとりを聞いて感じておるのは、言うならばこの法律はきわめて政治家の性善説ですね、法律が性善説に立っておったら何も法律は要らぬのですよ、世の中は、みんな人間はりっぱなものだ、一人前だということになれば。ほかの者は、これもやってはいけない、これもやったらこうですよと、国民全体にいろいろなものがある。事政治家に対してはその性善説を適用せよというのだから。しかし、残念ながらその政治家が一番世の中の批判を受けておるのですよ。ロッキード事件、グラマン事件から、あるいはつい最近の埼玉の献金問題まで。こういうようなものをやっておいて、これで政治家の姿勢を正しましたなんといってもこれは聞こえっこないですよ。それならば、提案説明にあるところの政治資金とその他の資金、たとえばそれは経済活動の資金もあるでしょう、そういうものを明確に区別できますか。そのためにこれをあなたの方はつくったと言うのでしょう、趣旨は。けれども、肝心かなめの指定団体から受け取ったところの金の使い道は報告する義務はないというのだから。それは自分が都合が悪かったら報告しませんよ。事ほどさように今度の出されたところの問題が、総理が所信表明で演説をされた、それだから何とかしてその顔を立てようというきわめてどろなわ式の、かっこうだけつけたところのものだと言われても仕方ないじゃありませんか。
 選挙部長、いろいろな政党の、後ろのいろいろなものは考えないで、あなたが実際当事者として、本当に政治家というのはあなたが期待するようにきちんと今後はこういうことで政治資金の問題について後ろ指を指されないようなことになると、こう断言できますか。どうですか、それを答えてください。
#19
○政府委員(大林勝臣君) 結局、政治団体あるいは政治資金に関する法律を私どもいろいろ考え、検討いたします場合には、いみじくも仰せになりましたような性善の立場に立って考えることが多いわけでありますが、やはり私どもの立場から考えましても、政治団体あるいは政治家の活動というものすべて何か疑惑のかたまりであるというようなことを前提として考えるということにつきましては大変ちゅうちょするわけでありまして、やはり日本の政治を背負う政治家あるいは政治団体の活動というものについては、できるだけ政治団体なり政治家の自覚のもとに公明正大にやっていただく、そして片っ方国民の批判でその都度姿勢を正していただく。政治団体なり政治家の側の責任と国民の批判と、この両方が相まってうまく運営されるのが民主政治の発達のためには一番いいのではないか。そういった政治団体あるいは政治家の責任と国民の批判というものが従来も、それから今回の法律においてもそうでありますけれども、政治資金規正法自体の目的でありまた基本理念と、このように理解をしておるわけであります。
#20
○宮之原貞光君 ぼくはもう政治家はみんな疑惑のかたまりだとまでは思いたくない、これは自己冒涜ですからね。しかし、残念ながら私どもの仲間におったということだけは事実でしょう。しかも、時の政権を握って政治家としては一番終局の目的だと言われておるところの大臣、総理というのが堂々とそれを犯しておるのですからね。われわれ平じゃありませんよ。この問題についてそれだけ影響力が大きいのですよ。それだけに、国民の批判とおっしゃいますけれども、国民の批判ができるような条件に置くというのならまだ話はわかりますよ。たとえば、指定団体にやったものが、それから受けたところの寄付ぐらいはみんな私はこれに使いましたと明らかにすれば一もし私的に使ったというのなら国民の批判が起こりましすう。しかし国民の批判が起こされないようにしておいて、あなたが国民の批判、国民の批判と、こう答弁されたって、ああそうですかと理解できる人はおりませんよ。
 関連してお聞きしましょう。この寄付禁止の問題でございますが、本日の新聞は、与党・自民党の政審、総務会で何か金のかかる選挙運動の事実、事情、これを金のかからないような選挙にするのだと、こういう立場から公選法改正の問題でいろいろ議論をした。その中で、寄付禁止の問題と関連するところの問題で、候補者個人の寄付は全面禁止をし罰則を拡大するという事務局の案、条項と、選挙区内の者に対する後援会の寄付は政党、候補者個人などに対する場合を除いて全面的に禁止し、後援会の集会、行事での金銭や物品の供与も禁止すると、こういう一つの案を全面的に、それは都合が悪いということで削除することにしたわけです。そして、こういう削除をしたものを今度の通常国会に出すという新聞報道がどの新聞からもなされておる。一様に取り上げられておる。これは恐らく新聞の間違いじゃないだろうと思うのです。そうすると、これから受けるところの印象は、やっぱり与党の皆さんは金権政治でなきゃぐあいが悪い、寄付金の問題について禁止するのもぐあいが悪いということでさては条項を削除したのかなと、こう勘ぐりたくなります。
 そこで、選挙部長にお尋ねしますが、これは政党のことですから答えられませんとおっしゃるかもしれませんが、実際公職選挙法やいろいろ選挙の問題を扱っておるところのあなたの立場から見ればどうなんですか、選挙部長としての感想をちょっと聞かせてください。
#21
○政府委員(大林勝臣君) 感想というのはまことにおこがましいわけでありますけれども、従来のいきさつをちょっと御説明申し上げます。
 確かに選挙に金がかかる。そこで、政治資金規正法を昭和五十年に改正をするという段取りになったわけでありますけれども、あわせて政治資金規正法の上でできるだけ金銭面を明らかにすると同時に、やはり選挙に何とか金のかからぬようにするための一番手っ取り早い方法というのは要するに個々の政治家の寄付であると。要するに選挙期間中の活動だけでなしに、常時ふだんの政治活動においていろいろな義理人情、社会的なしがらみ、そういった問題もございますのでいろいろ金が出る、その金が出ることをひとつ全面的に禁止してほしい、こういうお話が政治資金規正法の改正をいたします際に各党の方から出てまいったわけであります。たまたま選挙制度審議会におきましてそういった議論が行われたわけでありますけれども、むしろその段階におきましては、なるほど個々の政治家について寄付を全面的に禁止をするということはまことに金のかからぬ原因でもある。それからもう一つは、大変聞こえのいい話である。しかしながら、選挙法上あるいは政治資金規正法上の寄付という概念というのが非常に広いわけでありまして、およそ債務の履行みたいなものでない、金銭、財産あるいはその他のいろいろな利益を供与することを寄付というふうに非常に広く押さえている、それをもう全面的に禁止するということで果たして一体政治家の方が社会生活が維持できるのであろうか、こういうまあまじめな質問が当時の学識経験者を中心に出たわけであります。それに対しましては、それはいろいろ場合によっては困ることはあるだろう、香典を出さぬといかぬあるいは結婚式のお祝いを出さぬといかぬというような状況にある場合にもそれはだめだということになりますから、なかなか社会生、活上困ることはあるかもしれないけれども、それはやはり各党がそれぞれ党内で戒め合ってこれを実行するということであればそれはそれでいいのだから、ぜひとも寄付の全面禁止をやってほしい、こういう御意見が非常に強く出たわけであります。
 そこで、特別委員の方々がそこまでおっしゃるのであれば、ひとつ答申にそれを盛り込みましょうということで審議会の答申ということになったわけでありますが、さて立法の段階におきましては、全面的に本則で寄付を禁止するといたしましても、これについて、しからばすべてに罰則をつけるかというような話になってきたわけであります。確かに寄付は全面的に禁止するものの、やはり寄付の中でそれぞれやはり可罰的な違法性があるものもあればないものもあるだろう、そういうものを全部ひっくるめて全面的に罰則の対象にするということは、むしろ罰則理論上とうていそれはむずかしい。そこで、なるほど本則で寄付は全面禁止いたしましたけれども、罰則におきましては、いわゆる可罰的違法性があるものと申しますか、つまり選挙に関する寄付と認められるもの、あるいは通常社交の程度を超えて多額の寄付をするというものは選挙に関する寄付とみなしてこれは罰則の対象にする、しかしながら、それ以外のものは当面は罰則は見合わそうということに実はなったわけであります。
 その段階におきましては、これは寄付が全面禁止になるのだからということで非常にPRも行き届いたわけでありますけれども、罰則が実は違法性のあるものだけに限定をされておるということがだんだんわかってきた、そこでまたまたあちこちで寄付のはやりが生じてきた、これはまた大変だと、そこでやはりこれは……
#22
○宮之原貞光君 簡単に言ってください、時間がありませんからね。感想を聞くだけだから。
#23
○政府委員(大林勝臣君) やはり全面的に罰則をかけるべしと、こういう議論が再発したわけであります。
 そういう経緯だけ申し上げておきます。
#24
○宮之原貞光君 感想が聞かれないで非常に残念でした。経緯だけはお聞きしておきましょう。
 与党みずからがこういう姿勢ですからね。だから、この問題についての大体のその政権党の姿勢というのは、私はもう端的にうかがえると思うのですよ。
 時間もありませんのではしょって聞きますが、次は政治団体のあり方の問題で、法文上はなるほど政治団体の規定をされておるわけでございますが、先般来この問題についていろいろ私聞いてきました。たとえば福岡二区の麻生代議士の政治団体の問題もそうでありますけれども、資格を失っても改めて新政治団体を届け出さえすればそれができる、あるいは意図的に報告を怠っておってやいやい言われると解散をすればそれで事済む、あるいは政治団体を個人が幾つつくってもよろしい、上限がない、こういうような政治団体のあり方というものも、これもやはりいたし方のないことだということで、いつまでたってもこの問題について検討を加えるという意図はないのかどうか、その問題。
 もう一つは、北野献金にかかわりますところのいわゆる齋藤、澁谷問題にいたしましても、この政治団体のあり方と関連をいたしますれば、数をたくさんつくるから、結局百万円未満のものをあっちこっちずうっと入れていけば、言うならば、この処理方法として小分けしていけば何らこの問題について明らかにする必要もない、こういうまあ政治団体の隠れみのが今日やはり問題があるわけなんですけれども、現行法は結局政治団体の報告を、形式が整っておるかどうかということを見るだけが自治省の仕事です、あるいは各府県の選管の仕事ですということなんだけれども、一体これでいいのかどうか。むしろこうじゃなくして、最近情報公開という問題が出ておりますけれども、やはり政治家の政治資金の問題についてもこの情報公開をしていくという方法をむしろ思い切ってやるべきじゃないでしょうか。これを公開することによって、選挙部長が先ほど来言っておるように、金銭の収支に関するところの問題点を洗いざらい出すことによって国民がそれを批判してその政治家の品定めをすることができるというのは結構なことなんですけれども、どうもいまのこの政治団体のあり方というのは、先ほど来指摘いたしましたように、たくさんの隠れみの、逃げ道をつくっておいて、国民の批判を受ける云々と、こう言ってみたって私は始まらぬと思うのです。この政治団体のあり方というものはこれでいいのかどうか、検討を加えるところの余地が相当あると私は思うのですが、その点について選挙部長としてはどうお考えですか。
#25
○政府委員(大林勝臣君) まあ、政治団体をたくさんつくれば百五十万制限は余り意味がないではないかとか、政治団体の設立であれあるいは数の問題について政治資金規正法をめぐっていろいろ御議論があることは十分承知をしておるわけでありますが、確かに一つの資金の限度というものを設けましても、受け入れざらと申しますか、そういった政治団体というものがたくさんできればそういった批判の対象になろうかと思います。ただ、特定の政治家に関係をする政治団体の数を制限するかどうかというような方向で物を考えますと、やはり結社の自由の問題とかいろいろむずかしい問題に逢着をするわけであります。アメリカでもいろいろこの政治団体の数が多過ぎるので同じような議論が出ておるわけでありますけれども、なかなか法制的に政治団体の数を何らかの方法で限定をするということも立法上はむずかしい。結局は、いろいろまた批判をされるわけでありますけれども、世間の批判というものが最後の盾ということになるのではないだろうか。まあ今後の一つの大きな検討課題であるとは思いますけれども、法律上は非常にむずかしい問題であろうと思っております。
#26
○多田省吾君 いま宮之原先生から御質問があったことと同じ問題でございますが、いわゆる特定公職の候補者が第一号団体、第二号団体として後援団体を、中には百五十も持っている方がいるそうでございますが、そのように何十何百という後援団体を持っている方がいるわけです。それに分散されてしまうと政治資金の実態というものがなかなか把握困難になる。そうすると、私はその上にこの指定団体は幾つでもよろしいというのは非常におかしいと思うのです。政治家個人への政治献金の実態を明らかにするのならば、指定政治団体は一つに特定した方がいいと私は思うのです。この前からの選挙部長の御答弁のように、政治家にはそれぞれ活動をする分野があるのだというような御答弁ならば、たとえばそれでは一号団体については指定団体一つ、二号団体についても指定団体は一つと、このように指定団体は一つないしは一号団体に一つ、二号団体に一つと、二つに限る、こういう方法がなぜとれないのか、その辺のひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
#27
○政府委員(大林勝臣君) 指定団体の数の問題でありますけれども、政治家個々の立場を考えてみました場合に、たとえば全国的な分野で活動される政治家におかれましては、政治団体というのは東京でもやはり政治の拠点として活動される場合の団体というのもございましょうし、あるいは地元での活動の拠点として団体をお使いになることもございましょう。それはまたそれぞれの政治家の種類によって違ってまいるでありましよう。たとえば全国区の先生などにおきましては、衆議院あるいは地方区の先生方とはまた事情の違う政治活動なり政治団体の活動というものがあるのであろうと思います。そういうふうな個々の政治家の先生方の政治活動の実態が、それぞれの政治家の種類によって恐らく違っておるであろうと考えましたために、特に指定団体の数をそれぞれ限定しなかったわけであります。ただ、実際問題として、団体を指定された場合には、その指定団体の名前というのを選挙管理機関の方へ届け出ていただく、こういうことになっておりまして、県に届け出られたものは私どもの方に参りますし、また私どもの方に参った指定団体につきましては、その地元の県の方にも連絡する、こういうふうになっておりまして、一元的に把握することはできるようにしておるわけであります。
#28
○多田省吾君 私はまだわからないのです。たとえば全国区の方がとおっしゃいますけれども、それでは全国区の方は二号団体、全国的な後援団体一つに指定すればそれは大体済むことでございましょうし、地元活動であればその方の主な地元の後援団体を一つ指定団体にすれば、第一号団体一つという指定でも私は十分政治活動は行えると思いますし、一号団体一つ、二号団体一つ、二つまでは指定団体を設けることができる、こういう規定で何ら私は政治家の政治活動に差し支えることはないと思いますが、どうですか。
#29
○政府委員(大林勝臣君) そのあたりの問題は、団体あるいは個々の先生方の政治活動の拠点の実態ということになってくると思います。先ほど申し上げましたような、恐らくはそれぞれの先生において非常に活動の実態が違うということを前提といたしまして、特に数を制限していないわけでありますけれども、最初の制度でございますから、今後の経緯というものを見ながら、さらに将来いろいろ御意見を承りながら検討してまいりたい問題というふうに考えております。
#30
○多田省吾君 それから、現行の政治資金規正法では、たとえば政治団体から政治家が支出を受けた場合は、一万円以上のものに限ってはその支出を受けた者の氏名、住所、職業並びに当該支出の目的、金額、年月日を届け出る、報告する義務があったわけです、今度はそれが五万円になるそうですが。ところが、この改正案が通りますと、候補者が指定団体の政治団体にたとえば五十万円なら五十万円届け出る。そうしますと、その五十万円の分だけはその政治団体から受け取った場合に報告の必要がない、それ以上の金額をこの指定団体から別に受け取った場合は、この第十二条の二の項目で別に報告する必要があるのですか。
#31
○政府委員(大林勝臣君) 大変恐縮でございますが、ちょっと御質問の趣旨がわかりませんので、もう一度お願いいたします。
#32
○多田省吾君 いままでの現行法では、第十二条の二によって、政治団体が支出に当たっては、政治家に支出する場合も、その支出を受けた者の氏名、住所及び職業並びに当該支出の目的、金額、年月日、これを報告する必要がありましたね。今度はこの改正案が通りますと、これがもし指定団体にされた場合、五十万円をその政治家が指定団体に入れた。その五十万円をまたさらに政治家が支出を受ける場合は、支出の目的とかそういう報告は必要ないでしょう。ところが、その五十万円のみならず、またさらに新たに二十万円をその指定団体、政治団体から受け取った場合、その二十万円については細かい支出等の報告をする必要があるのでしょうか。
#33
○政府委員(大林勝臣君) 政治家が指定団体に入れましたものを指定団体から受け取る場合であろうと、それから財源がまた全く別のものを指定団体から政治家に渡すものであろうが、およそ五万円以上の支出については、指定団体の支出欄に、どの政治家にいつ、どれだけの金額が渡ったという報告はするようになります。
#34
○多田省吾君 その五十万円についてもその目的、それは明示するわけですか。
#35
○政府委員(大林勝臣君) 明示することになります。
#36
○多田省吾君 その明示したとおりに政治目的に使われないで私経済に使われた場合は、部長は先ほどからそれは政治家の倫理観に任せるのだ、こういうことになりますが、私はその場合にやっぱり税制上の問題が起こってくると思うのです。
 国税庁の所得税課関係の方いらっしゃいますか。――その場合、政治団体あるいは指定団体から目的をはっきりさせて支出を受けたお金が私経済にはっきり使われたという場合は、これは税制上どうなるのですか。
#37
○説明員(冨尾一郎君) 政治資金に関しましては、公職選挙法に規定する手続を踏むことにより非課税とされるものでない限りは、私どもこれを他のどの所得にも該当しない雑所得という形で取り扱いをさしていただいております。いまお話がありましたように、指定団体から政治家が個人として政治資金をお受け取りになった場合には、いま先生がおっしゃったように、いろいろな目的その他がつけられているかどうかということは課税上直接に顧慮される要件ではなくて、私どもとしてはこれは一律に雑所得に係る収入金額という形で取り扱うことにしております。その資金が政治活動に関して支出をされたということでございますと、雑所得に係る所得金額の計算を行う上においてこれを収入金額から控除いたします。したがって、その際に残り、つまり収入金額から政治活動にかかる支出を差し引いた残りがもしございましたらそれは雑所得の金額ということになりますので、これについては他の所得と合算をして課税をする、こういう仕組みになるわけでございます。
#38
○多田省吾君 その辺は政治家の申告によるのでしょうから、ざる法と言われるようにその辺が非常に明確でないわけです。
 次に、第十九条の三の金銭以外の政令で定める財産上の利益というのは、一体具体的にどういうものを指すわけですか。
#39
○政府委員(大林勝臣君) これは政令で決めることにいたしておりますけれども、現在考えておりますのは、金銭及び金銭に相当するもの、つまり有価証券というものを金銭のほかに含めよう。あとそれ以外のものということになりますと動産とか不動産ということになろうかと思いますので、そういったものにつきましては、果たしていわゆる政治献金ということで押さえる方がいいのであるか、あるいは将来の問題として国会でもいろいろ御検討いただく資産の公開という問題として押さえた方がいいのかという問題を検討いたしたのでありますけれども、やはり金銭あるいは有価証券といったもの、これが恐らく政治献金の中心であろう、それ以外のものにつきましてはやはりこの際資産的なものとして考える方が適策であろうということで、金銭あるいは有価証券というものを政令上の規定にいたそうと、こう考えておるわけであります。
#40
○多田省吾君 それでは、この十九条の三の「金銭その他政令で定める財産上の利益」というものは有価証券だけを政令で決める、こういうことですか。
#41
○政府委員(大林勝臣君) 現在の段階ではその程度を考えております。
#42
○多田省吾君 それから、政治資金規正法とちょっと離れますけれども、前回大臣にもちょっとお尋ねしたのでございますけれども、私は金のかからない選挙というものは自由な活動、すなわち戸別訪問の解禁、こういったものを行えば金のかからない選挙に通ずるものである、このように思います。
 それで、昭和四十三年の三月八日ごろ、自民党も自治省も、戸別訪問の解禁について具体案を策定したことがあると聞いております。またさらに、石破自治大臣は非常に消極的でございますが、前大臣なんかも戸別訪問の自由化を制限つきで検討したいというような答弁もなさっていたように思います。将来わが国で戸別訪問を自由化する、全面自由化ということもあるでしょうし、また制限つき自由化ですか、人数とかあるいは時間を決めて一部自由化するということもあり得るでしょう。それで、これをやって自治省としてはどういう点が一体好ましくないという問題になるのですか。
#43
○政府委員(大林勝臣君) 戸別訪問の問題はそれ自体選挙運動の問題でありますので、役所としてどうであるかこうであるかという御意見を申し上げるのもおこがましいと存じますけれども、私どもは従来から、できるだけ選挙運動は自由であるべきだという気持ちではおります。ただ、それぞれの選挙運動についていろいろ問題はあろうと思いますが、中でも戸別訪問の問題が、これはもう大正十四年以来禁止されながら今日まで来ておる。今日まで来ておりながら、やはり戸別訪問の自由化の声は依然として強いということも十分承知しておるわけでありますけれども、それぞれいろいろ検討の段階で、これはもう多田先生の方がはるかにお詳しいわけでありまして、審議会が行われますたびにこの問題が出てくる。現在のように全面禁止するよりは、ある程度数とあるいは時間を限って何か一部的な解除ができないかということが長年の間検討されてきたわけであります。ただ、現在の選挙の実情から考えました場合に、非常に激しい選挙をやっております際に、たとえそういった人数制限であるとかあるいは時間制限というものを設けましても、やはり当選を得るためには戸別訪問が一番有力な手段と考えられますだけに、相当やはり動員が行われるに違いない。そういう動員が行われた際の有権者の迷惑というものもやはりこの際あわせて考える必要があるのではないかという御意見もまた一方で非常に強いわけであります。こういう問題については、実戦を戦っておられます各党の先生方の御意見というものがやはり主になってまいろうかと思います。
#44
○多田省吾君 これはもっと自治大臣にお聞きすべき問題だと思いますので、この辺でとどめておきます。
 もう一つは、前回もお聞きしました衆参両院における定数是正の件でございますが、定数の格差是正の根拠というものは五年ごとに行われる国勢調査にあるわけでございます。
   〔委員長退席、理事中西一郎君着席〕
それで、国民が簡単に見ることができる自治省発行の「自治便覧」には、昭和四十六年版までは選挙区別の人口数が発表されていたわけでございますが、四十七年からどういうわけか現在まで選挙区別の人口数は発表されておりません。自治省はこの選挙区別の人口数の公表ということをどのように考えておりますか、やはり国民として簡単に見ることができるのは、また信頼して見ることのできるのはこの自治省発行の「自治便覧」だと思いますが、どうしてこれが四十七年度版から消えているのか、その辺の御答弁を願います。
#45
○政府委員(大林勝臣君) 御質問がございましたのでちょっと調べてみたわけでありますけれども、なぜその当時から抜けて今日まで至っておるのか、どうもつまびらかでございません。その時点における何か特別な予算面とかあるいはその他の問題があったのかもしれませんけれども、どうもはっきりしたことはわかりません。確かにそういった定数是正の問題はいろいろ大きな一つの社会問題になっておりますし、また十二月には恐らく概数が発表されるであろうという時期でもございますので、担当部局の方に私どもの方からもその間の事情を十分に調べていただきまして、できるものなら載せてもらうように申しておきたいと思います。
#46
○山中郁子君 今回の法案は昨年九月の航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言、これを受けて起案したということは提案理由でも説明されておりますし、航空機疑惑と言えば田中元総理の五億円の授受問題、それから松野頼三元防衛庁長官の同じく五億円の問題が特筆されますけれども、これらの事件が国会でも大きく取り上げられているさなかにも最近明るみになった政治家への裏金づくりがあります。これはフジタ工業事件ですけれども、このフジタ工業事件の現在の公判状況をひとつ法務省から御説明を初めにいただきたいと思います。
#47
○説明員(井嶋一友君) お答え申し上げます。
 いわゆるフジタ工業事件でございますが、これは同社東京支店の幹部職員五名が詐欺と業務上横領で起訴された事件でございまして、すでに三名につきましては東京地裁におきまして有罪判決が確定いたしております。それから、残り二名、一名は同支店の工事部長でございました岡敏晴、それからやはり同支店の環八幹線作業所長をやっておりました隣浩一郎、この二名に対する詐欺事件が現在東京地裁に係属しております。
 それから、関連いたしまして、下請業者でございました株式会社河野商事、社長が河野利夫と申しますが、この会社に対します法人税法違反及び河野利夫に対する詐欺の共犯事件、この事件につきましても、先ほど申しました岡及び隣浩一郎とともに東京地裁において現在審理が係属中であるということでございます。
#48
○山中郁子君 この捜査段階でも公判の中でも大分不可解な問題が提起されていると私は認識をしております。それで、いまお話がありました河野商事の河野利夫被告の公判、これは十月二十一日に東京地裁で行われましたけれども、弁護側による被告人質問に対してこの河野被告が、新聞報道によれば、藤田正明参議院議員の元秘書に二千四百万円の政界工作資金を渡したことについて、国税局による査察が及ばないよう政治家に働きかけていたことはフジタ工業の幹部も御存じだと供述をしています。で、金が流れたと思われるという玉置和郎、佐藤文生両議員らの名前も取り調べ検事に言ったけれども、検事は政治家に関与することになるのはまずいと言って調書には書いてくれなかったと、こういう事実を明らかにしていると伝えられていますけれども、法務省はこの問題を承知しておられるかどうか、お尋ねをいたします。
#49
○説明員(井嶋一友君) 御指摘の十月二十一日の公判廷におきまして、被告人河野利夫が弁護人側の尋問に答えまして、いま御指摘のような供述をしたという事実は承知をいたしておりますが、これは要するに提出済みの河野利夫に対する検察官調書の証明力を争う手順といたしまして、弁護人側が主尋問をいたしました尋問に対して被告人が答えをしたという関係の問答の中に出てまいった事実でございます。
#50
○山中郁子君 いろいろ伝えられているのですけれども、このフジタ工業の裏金づくりの手口というのは、法廷で明らかになったものだけを拾っても、架空の工事をやったことにしてその代金相当を裏金として吸い上げるというやり方。そして、これらがどういうものに使われているかといいますと、弁護人の質問に対してこれも明らかにしているのですけれども、同社が工事関係の情報を政、財、官界からとったりするのに必要な対策の資金としての裏金づくりが必要だったということで、フジタ工業を助けていた政治家として二人の衆議院議員、二人の参議院議員の名前を挙げて、また同社幹部から言われて元首相の後援会に百万円の寄付をしたとも述べているわけです。これは田中元総理の越山会に百万円の寄付をしたということです。
 今回の政治資金規正法の改正もさることながら、政府が口を開けば政治資金の明朗化、政治倫理の確立ということを言われておりますけれども、国民にとって最も明朗化してもらいたいものは、そういう点での政治倫理の確立をしてもらいたいものは、事政治資金に関して言うならば、まさにこうした種類の疑惑、これらの問題を明らかにしたい。先ほどからの議論もありましたけれども、国民の批判の対象にする、そういうことこそが実質的にも必要なことであるし、またこの立法の趣旨でもあると私は思っておりますけれども、たとえばいま私が提起いたしました、具体的にフジタ工業の裏金という形で公判廷でも提起をされている、こうした政治資金が、献金が今回の改正も含めて政治資金規正法によって明らかにできるのかどうか、その辺のことについて自治省の見解をお伺いいたします。
#51
○政府委員(大林勝臣君) 今回の改正は政治家の政治資金の明朗化ということで立案をされておるわけでありますが、いま御質問のございました政治資金づくりの、要するに財源をつくるための操作、そういった疑惑の金、つまり政治資金がどこからどういう経路でというのは、これは今回の政治家個人の収支報告に載ってまいるわけでありますけれども、それがどういうかっこうでつくられたかというようなところまでを政治資金規正法でこれを追及するということは非常にむずかしいと思います。いまお話の事件に関する問題といたしましては、恐らくはそういった裏金づくり自体の問題として、あるいは刑法の問題なりあるいは税法の問題なりという関係になってくるのであろうと思いますけれども、それはそれとして、やはりそれぞれの法律で抑えていただく。政治資金規正法の上ではこれはいい金であるかあるいは悪い金であるかという区別というものはなかなかできないわけでありまして、およそ政治家個人に入った政治資金については、指定団体制度を通じて公表するという以外には、ちょっと政治資金規正法の面ではおっしゃるような規制というのはむずかしかろうと思います。
#52
○山中郁子君 政治資金規正法だけでない、いろいろな点にかかわることは事実です、それから入りも出も。そういうことを含めて私が総合的に申し上げていますのは、明朗化を図るという大義名分で、まさにこうしたことに国民の批判とまた疑惑が生まれているわけですから、そこにやはり真正面にこたえる。その他いろいろ、ざるではないかという問題、この前も私も申し上げましたし、また数多く指摘されていますけれども、まさにどこをどういう批判や疑惑にこたえるためにこうした手だてをしなきゃいけないのか、そこのところの焦点がはっきり合っていない、そういう問題点、重要な一つとして私は指摘をしたわけでございますけれども、それらの点が明らかにならない。それらの点こそが明らかにしなければいけない重要なかなめだということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 次に、政治資金規正法に基づく政治団体の届け出義務、これについてお伺いをいたします。
 政治団体は本法の第六条一項の規定によって所定の事項を都道府県の選挙管理委員会または自治大臣に届けなければならないということになっております。この届け出がなされた後でなければ政治活動のためにどんな理由をもってしても寄付を受けたりまた支出をすることはできないはずだと思いますけれども、この点は御確認をいただきたいと思います。
#53
○政府委員(大林勝臣君) 政治資金規正法第八条におきまして仰せのような規定がございます。
#54
○山中郁子君 また、政治団体が支部を持つとき、その本部と支部はそれぞれ一つの政治団体とみなして届け出をしなければならないというふうになっていると思いますが、この点もそのとおり間違いないでしょうか。
#55
○政府委員(大林勝臣君) そのとおりでございます。
#56
○山中郁子君 ところで、そういう前提に立ちましてお伺いをするのですけれども、鈴木総理の政治団体である政経懇談会、これの五十三年と五十二年の収支報告書を見ますと、収入は二年間で計一億六千八百四十万円です。そして支出が八千百四十万円になっています。この支出の約半分を占める三千九百六十五万円が支部交付として岩手政経懇談会に支出をされています。しかしこの団体は届け出がされておりません。ですから、岩手県の公報にもその収支報告は当然のことながら記載をされていません。これは私どもも調べてまいりました。届け出がされていない団体が寄付を受けたことは、政治資金規正法、いま確認をいただきました第八条に明らかに違反すると思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
#57
○政府委員(大林勝臣君) 届け出をしていない政治団体が政治活動のための収入、支出ができないということは第八条に書いてあるとおりであります。
 先ほど御指摘になりました団体につきまして、私どもも何ヵ月ほど前でございましたか、ある種の報道でそういう事実を知りまして、早速その団体の関係者あるいは岩手県の選挙管理委員会を通じまして、岩手における支部と称する団体の関係者に事情をきょう聴取したわけでありますけれども、その関係者の話を総合いたしますと、岩手におきますその団体というのは政経懇談会のいわゆる支部と称するものではなくて、地元における後援グループの集まり、つまり団体というほどのものでは実はないのだ、そういうことで届け出をしていかなかったというふうに聞いておるわけであります。
 それで、政経懇談会の関係者の方では、ついそういう団体を支部だと思って支部交付金とした、こういう事務上の誤りを認めておるところでありまして、おそらくその事務処理につきまして今後いろいろ手続が行われるのであろうと考えております。
#58
○山中郁子君 では、これは虚偽の報告をしたということになるわけですね。
#59
○政府委員(大林勝臣君) 報告の誤りにつきまして、そこに故意が認められる、故意にそういう経理をしたということであれば、それは虚偽ということになります。
#60
○山中郁子君 支部でないとしても、やっぱり届け出がなければできないわけでしょう。
#61
○政府委員(大林勝臣君) 支部でないといたしましても、それが現地でおよそ政治団体という社会的な活動を営んでおります限りは届け出が必要でございます。
#62
○山中郁子君 では支部であるかないかということは別として、支部でないことははっきりしているのだけれども、支部として届け出をしたのですよね。だけれども、それが故意か故意でないかは別として、違っていたとしても届け出がないところに交付をしたということになりますね。
#63
○政府委員(大林勝臣君) それが政治団体という社会的な存在でございますれば、届け出がないところに交付したということになります。
#64
○山中郁子君 それは明らかにこの政治資金規正法に違反するわけでしょう。私、後ほどまた総理にもお尋ねいたしますけれども、自治省としてその辺はどのような見解をお持ちになっているのですか。
#65
○政府委員(大林勝臣君) したがって、その岩手における団体というものが政治団体であるかどうかという事実の問題になってくると存じます。関係者のお話を伺っております段階におきましては、これは後援グループの単なる集まりであって、およそ政治団体としての活動というものをやっておる団体ではないのだ、要するに、団体という名前はつけておるようでありますけれども、およそ実体としては団体の実体を欠くものだと、こういうお話を聞いております。
#66
○山中郁子君 そうしたら、そういうところに三千九百六十五万円ものお金を交付することがあり得るのですか。
#67
○政府委員(大林勝臣君) いろいろそういった支援グループの集まりというお話でございますので、そういうところにそれぞれの政治活動資金が流れるということは、これはまたあり得ることであろうと思います。
#68
○山中郁子君 後ほどまたこれは明らかにしますけれども、それではあなた方がさっきからずっとおっしゃっているこの政治資金規正法本法自体の問題でありますけれども、改正問題のですね。こういう莫大なお金が届け出もなく、そしてまた、それも違反をされて交付されている、そういうことも全部結局は認めるということですね。こういう事態をあなた方自治省としては、それで間違っていないのだ、正すべきものではないのだということで全部お認めになるのですね。この経過、それだけはっきりさしておいてください。
#69
○政府委員(大林勝臣君) 政経懇談会から仰せのような金が流れたということは政治懇談会の方から報告をされて、それは収支報告書の上で明らかでございます。そのうちの約半分の金額がまた地元に流れたということもまた明らかであります。問題は、その地元に流れた相手先が政治団体であったのか、あるいは支援するグループであったのかという事実の問題になろうかと思います。
#70
○山中郁子君 まずはっきりしているのは、支部に交付したとされているということなんですよ。だったらどうしてそこのところを、間違いで違反だということを認めてしかるべき見解を出さないのですか。
 私はもう時間がないからいいですから、次官がせっかくお見えになっているからちょっと見解を聞かせてください。政務次官でいらっしゃいましょう。
#71
○政府委員(大林勝臣君) そういうことでございますので、私ども岩手の選管を通じまして、支部として流れておるという報道がされておる、そうであれば支部としてのやっぱり設立が要るのではないか、こういうお話を申し上げましたところ、それに対しましては、いや実は支部というものではないのだ、およそ政治団体という体をなすものでもないのだと、こういうお返事であったわけであります。
#72
○政府委員(北川石松君) 山中委員から、次官の考えはどうだということでございますが、ただいま選挙部長がるる申し述べましたような状況であると判断をいたしておるところでございます。私もまた政治をやる一人でございますが、選挙というのは大変複雑なものを擁しておると思いまして、その中で今回一つ一つ規制をし、そして理解を求めるような改正に進んだらという希望を持っていろいろな選挙資金規制をやっていこう、このように考えている次第でございます。よろしくお願いいたします。
#73
○山中郁子君 後で総理に聞きます。
#74
○栗林卓司君 私は、この公職選挙特別委員会は初めてでございまして、ほかの委員会ですと大体事務当局に伺いますと話はほとんど足りるのですけれども、どうもこの委員会ばかりは事務当局に伺ったものなんだろうかどうなんだろうか戸惑いながら伺うような始末に相なりまして、事務当局としての御見解がどの辺まで出せるのか、一遍確認したいということでお尋ねをしたいのです。
 かねて懸案になっております参議院地方区の定数問題でございますけれども、この点についての事務当局の現状に対する判断はどうなっておりますか。
#75
○政府委員(大林勝臣君) 地方区の定数是正についての御論議も長いわけでありまして、私どもは長い間地方区の定数是正の問題をいろいろ検討してまいりました。いろいろ各方面の御意見も聞きながら、あるいは審議会においての主題としていただきながら検討してまいったわけでありますけれども、この地方区の定数是正についての考え方というものをどう考えるか、それが当然に衆議院の定数是正との関連においてどう考えるかという話になってまいるわけでありますけれども、まあ参議院につきましてこの地方区のあり方というのは必ずしも法律の上でははっきりいたしません。衆議院の場合のように、五年ごとに国勢調査で是正するのを例とする、こういうような明文の規定もございません。恐らくは立法当時の沿革から考えました場合には、かなりのウエートでいわゆる地域代表、県代表、こういう考え方がまず一つとられたであろう。同時に、しからば人口要素が全くないかということになりますと、それはやはり人口要素も加味して配分をされたであろう。要するに半数改選という前提に立ってつくられておりますので、いかに人口の少ないところでも二人は必要であるということになりますと、要するに衆議院の定数格差と同じような考え方で、最高と最低を比べてその倍率が幾らであるかということは余り意味がなくて、むしろ地域代表ということをあわせ考えました場合には、やはり衆議院とは違った考え方が必要なのではないだろうか。ただ、衆議院と違った考え方をするにいたしましても、人口要素を無視するはずがございません。従来の各県の人口数から考えました場合には、御承知のようにいわゆる逆転現象というものがかなりございます。少なくともこの逆転現象というものは是正さるべきではないかという方向で実は検討をしてまいったわけでございます。この数年来各党におきましても、少なくとも逆転現象は是正すべしと、こういう御方向でいろいろ御協議をされてきたわけでありますが、何さまいわゆる選挙の土俵ということもございまして、現在まで実現をしていないというのが現状でございます。
#76
○栗林卓司君 そこで、いまお話しの、逆転現象ですけれども、そこに問題があるということはよくわかっております。数年来いろいろと各党の云々という御説明なんですけれども、各党の協議がまとまらないと事務当局としては何にもできないということなんだろうか。逆転現象がおかしいというのだったら、現状はこうであります、したがってこれは至急是正する必要がありますという資料なら資料をつくって、むしろ国会の議論を引っ張っていくような役割りをお果たしになるのか。
 そこで事務当局の位置づけなんですが、逆転現象についてはいまさら私が申し上げるまでもない。判決でも、たとえば五十四年六月の東京高裁判決で、これはもう正しいとはいかにも言いがたい、ただし、これは国会の裁量事項であるし、検討が進んでいるので言及を避けるとは言っておりますけれども、さすがにもう弁護の余地がないと言わぬばかりに書いてある。この問題について事務当局としては具体的にどうされる御予定なんですか。
#77
○政府委員(大林勝臣君) すでにもう十月一日現在の国勢調査が実施されておるところでもありますし、十二月の末には恐らくその概数が発表されるであろうと考えております。その時点におきましては、衆議院はもちろんのこと、地方区の定数格差についても再び新しい数字が出てまいろうかと思います。そういったむしろ新しい資料に基づきまして、私どもとしましても各県のいわゆる逆転関係というものは資料的には十分準備をしておくつもりでございます。
 ただ、しからば、いわゆるこの逆転現象をどう是正するかという問題になりました場合に、一体従来の衆議院の定数是正の経緯から考えまして、増加だけ考えるのか、あるいは減員と増員を考えるのか、つまり総定数をどうするかという問題にやはり帰着するわけでありまして、衆議院の総定数との比較考量において考えられるのでありましょうけれども、戦後一定の定数というものが維持されてきた歴史を振り返りながら、定数是正の問題、つまり逆転現象の解消の問題と地方区の総定数をどうするかという問題、これが非常に重要なかかわりを持っておるものでございます。その総定数をまずどう考えるかという問題につきまして国会の御判断をいただきたいという気持ちでございます。
#78
○栗林卓司君 十二月に新しい国勢調査の数字が出るというお話なんですけれども、それは十二月を待たなくても従来から逆転現象というのは目立って出てきたわけですね。
 そこで、総定数をふやすのか減らすのか、その点については国会の御判断をいただきたい、こうなっているのですけれども、そのままの事情でこれまで来たわけですね。だから私が伺いたいのは、事務当局にこうやってお尋ねをしても時間のむだなんだろうか、むしろ各党間でどうしようかという話にこれを切りかえてしまった方がよほど意味があるんだろうかという気持ちも実はしておるのです。そうは言いながら事務当局としますとやっぱりそれなりの見識と判断があってしかるべきだと思いますしね。
 だから希望を含めて言いますと、もっと踏み込んだ資料をつくるなり啓蒙するなり何かをしていかないと、もとは選挙といいますと各党の利害が非常に先鋭に絡み込むわけですから。一番いいのは、ある原則が決まって、だれが何と言おうともうそういう国勢調査の結果が出たのだ、したがってこうだとなれば一番いいわけですが、その規定が全くない。せめてその規定だけでも法律に織り込んでおこうかという御努力も、表にあらわれたところでは結局何にもなかったということでございますね。
 逆転がどうかというと、たとえば神奈川県の場合、定数は四人でありますけれども、それよりも人口の少ない北海道で八人、愛知県で六人、兵庫県で六人、福岡県で六人。埼玉県、これも定数四人ですけれども、それよりもさらに人口が少ない福岡県で六人。あるいは三重県は定員は二名、それよりも人口の少ない福島、岡山、群馬、鹿児島、熊本、栃木、ここはそれぞれ四名でこれも逆転――以下となっております。これもいろいろな理由のつけ方がありまして、そうは言ってもいまの人口配置がおかしいのだ、定住圏構想もあり、これからはわからぬという御議論もあるいはあろうかと思うのです。そこで三全総を見てみますと、三全総の基礎数字では各地方ともやっぱり同じように伸びているのです。そこで、二〇〇〇年の人口配置がどうだろうか。国土庁の資料をもとにしながら試算をしますと、結果というのはほとんど現在の姿に近い。このままいきますと、この地方区問題というのは一切決着がつかないまま逆転が広がっていくのだろうか。
 そこでお尋ねしたいのは、事務当局としますと、十二月に数字が出るとして、出た場合にはただ資料を出すとかなんとかいうことじゃなくて、少なくとも、事務当局の権威においてこうである、たとえば定数はふやすのはおかしいとか、あるいはふやしてよろしい云々とかいうことをはっきりと出していく、つくっていく、そういう覚悟はおありなんですか。
#79
○政府委員(大林勝臣君) もちろんそういった資料は直ちに準備をし、各党の御協議に間に合うようにその都度いたしたいと思うのでありますけれども、その前提となります地方区の総定数をどう考えるかという問題につきまして、私ども事務当局がまず一つの案をつくるということにつきましては、大変これは重荷と感じております。
 参議院、つまり諸外国におきましては上院に相当するわけでありますけれども、要するに地方区、つまり衆議院との非常な差異を持っておる地方区について、総定数はできれば私どもの気持ちとしましては現定数を余り動かさないという過去の歴史は尊重してまいりたいという感じを強く持っております。強く持っておりますが、そういう場合に、いかにその逆転現象の資料を整えて一つの検討材料として提供を申し上げましても、実際問題として、果たして減るところにつきましては一体どうであろうかという心配がまたあるわけでありまして、やはり事務当局としまして地方区の総定数はこうあるべしという前提で物を申し上げるということにつきましては大変ちゅうちょする状況でございます。
#80
○栗林卓司君 政務次官にお尋ねしますけれども、事務当局としますといま御答弁があったように大変ちゅうちょをする。またそうだと私は思います。しかし政務次官になりますと、これは政治家でございますから、そこでこの問題について、十月の国勢調査の結果を見なくても本当はわかっているのだけれども、それもだんだん出てくるという状況を踏まえながら、どうしていかれますか。その御意見を伺いたいと思います。
#81
○政府委員(北川石松君) ただいま御指摘の定数是正の問題でございますが、私は大阪でございまして、大阪が六人でございます。前々から、人口が多いのだから定数をふやせという地元の意見もあります。そういう点は、みずからまた選挙を受ける一人として皆さんの御希望に沿いたいと思う気持ちもいっぱいございますけれども、ただいま選挙部長が答えましたように、一つのことをさわるというと大変なことでございますし、各党間の合意を得るというのも大変な問題である。というて、それでちゅうちょしておったらいま御指摘のように何もできないということになると思うのでございますが、私は、真実と真理の上に立った一つの案というものはやはり事務当局では持たなくてはならないのじゃないか。その中へ各党の皆さんの御要望というものを生かしていくように、前向きで物は検討しなくてはいかぬという考えは持っております。
#82
○栗林卓司君 調べてみますと、そもそも最初に公選法第四条で参議院地方区の定数を決めたときの考え方を当時の国会答弁あるいは趣旨説明から伺いますと、総数は百五十とする。当時まだ二名加わっておりませんでした。定数の最低限の割り当ては各選挙区について二名とする、これは三年ごと裏表ですから。自余については各都道府県における人口案分でいって、しかも数は偶数にする。やっぱりこれが参議院地方区の定数の分け方だと思うのです。衆議院のように、どっちかというと国民代表的性格のものは後ではっきりと人口案分で決められますし、したがって、過去においては違憲であるという判断もわりに出てきた。ところが参議院の場合には地域代表の性格があり、しかも頭から百五十、いま二ですが、総枠が決まって、しかも最低が二名だと。こうなりますと、それは選挙区によって一人当選させるための票数が大きく分かれましてもあながちおかしいとは言えない。おかしいとは言えないけれども、とにかく各選挙区について最低二名をまずとってしまって、自余については各都道府県の人口案分だというこの部分が逆転しているというのは、これは確かに裁判所も言いますように、これはとてもじゃないけれどもほうっちゃおけないということだと思います。
 いま次官のお話は、事務当局は事務当局としての見解を持つべきである――私もそう思いますし、それで事務当局としては大変ちゅうちょいたしますと、それもそうかもしれない。だけど、こんな勇気のないことで――選挙とか政治資金というのは民主政治を支えている根本ですよ。それがこんなかっこうで過ぎていくのは果たしていいことなのか。しかもそれを自治省が主管庁としてやっていると言えるのだろうか。十二月に数字が出るとして、それを踏まえての御答弁がばかにありましたから、こちらも踏まえて言いますと、十二月に出ましたら、それはどんなことを言われようと大胆に、しかも地方区の総数はふやさないで、だれだってふやしていいなんて思いませんよ。そこの中でどうしたらいいか。これはもうはっきりと案を出していただきたい。ことしの参議院選挙なんかは、東京、神奈川は全国区で堂々当選できる数ですよ、落選したのが。これはとてもじゃないけど私はほうっておけないと思います。
 意見だけ申し上げて終わります。
#83
○理事(中西一郎君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#84
○理事(中西一郎君) 速記を起こしてください。
 五分休憩いたします。
   午後三時休憩
     ―――――・―――――
   午後三時九分開会
   〔理事中西一郎君退席、委員長着席〕
#85
○委員長(鳩山威一郎君) ただいまから委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、政治資金規正法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#86
○宮之原貞光君 大臣はまだ体が思わしくないようでございますが、あえて質問をさせていただきたいと思います。
 昨日でしたか、読売新聞が各都道府県単位の政治団体の政治資金の収入を十一月二十四日現在四十四都府県で七百四十二億七千六百十七万と報道をいたしておるわけでありますが、この点は自治省の集計がどうなっておるかお聞きもいたしたいわけですけれども、時間の関係でその新聞記事を根拠に置きながらやりたいと思いますが、このことと九月十日付官報で公表されました七九年の政治資金収支報告を合わせて未集計の四県分までを推定してみますと、実に昨年政治資金の収入として報告されているのが一千八百億円に上るということになるわけでございますが、これは本日もいろいろ議論をしましたけれども、政治資金規正法の問題等から言えば、実際の選挙に使われた面は氷山の一角で、裏金のことも考え合わせますとまさに政治が企業化しておるのではないかという実感がするわけでございますが、この問題に対しますところの大臣の所感をひとつお聞かせを願いたいと思います。
#87
○国務大臣(石破二朗君) 昨年一年間の政治資金届け出額全国総合計幾らになっておりますか、私も詳細を承知いたしておりませんけれども、ただいまお挙げになりました数字につきまして、とっさのことでございますので、多いとも少ないともちょっと申し上げかねると思います。
#88
○宮之原貞光君 大臣の、政治は金が要るのだという論理からすればあるいは少ないとおっしゃりたいかもしれませんけれども、私どもから見れば莫大な金がかかるものだなあと、こう思われてならないわけでございます。
 御承知のように、昨年は衆議院選挙と統一選挙があったわけでございますが、そこで続いてお尋ねしますが、特に七九年の自治省で集計されましたところの報告書を見ますと、総額で九百六十六億、これは史上最高と報道されております。いわゆる四十九年の金権選挙と言われたものを上回るものだと言われておるわけでありますが、中でも与党・自民党は前年比で二八・六%増の百四十三億、これは五十年の法開始前を上回る額のようでございます。そのほかにいわゆる自民党の五大派閥だけでも前年比六三・八%増の三十五億円という形で報道をされておるわけでございます。
 なお、各政党の主たる収入源を見ますと、収入源は党費献金、機関紙販売というのがそれぞれ主体になっておるようでございます。献金に一番多く頼っているところの党が、自民党が七一・九%、民社党が五四・六%、新自由クラブが三一・九%。党費に依存が社会党の三一・四%が一番高い。機関紙販売を主とするところの事業収入に依存が高いのが、公明党の八四・二%、共産党の九二・三%という数字が出ておるのです。
 こういう状況を概括しまして、大臣はどういうふうな所感をお持ちでしょうか。
#89
○国務大臣(石破二朗君) 昨年の届け出政治資金の額が多い、特に自由民主党が多い点についての御指摘がありましたが、どうも実態を実は正確に把握することが自分としては困難な面があるわけであります。政治資金規正法が改正されます前、事実をよく知りませんけれども、正確に届け出られておったのかどうかというような点についても疑問なきを得ません。政治資金規正法が強化されましたゆえんのものも、表に出ない政治資金が余りにも多いというところでああいう政治資金規正法というものが改正されたのではなかろうかと思います。としまするならば、改正前と改正後を比べて、さてどっちが多いか、どっちがどういうことをにわかに判断もしかねると思いまするし、さらにはなはだ残念なことでありますけれども、まだ今回御審議願っておりますような法律も制定されない段階であります昨年のが果たしてこのとおりなのかどうか、これもどうもちょっとにわかに断定しがたい。
 さらに御質問の第二点の、政治資金を献金、寄付に仰ぐのと、党費に多く依存するのと、あるいは機関紙等の販売収入によるのと、一体どれをいいと判断するかというお尋ねでありますけれども、これも非常に私はむずかしい問題だと思います。あえて申しますならば、いろいろの事業等をなさいまして所要の政治資金を得るというのも結構なことではありますけれども、その政治資金を入手されますために払われます努力、エネルギーというものはこれは大変なものがあろうと思います。よけいな心配だと言っておしかりを受けるかもしれませんけれども、一般国民としましては、それだけ政治資金獲得のために事業経営等に御努力願うよりか、私どもが所要の金を立てかえましょう、皆さんは政治家でございますから全エネルギーを政治活動にお使いください、その方がよござんすという国民もあるいはあるかもしれぬと、これは皮肉でも何でもありませんし、そう思うわけでありまするし、また、献金でありますけれども、個人といい企業といい、ただいま申しましたのとちょうどうらはらになる同じ問題でありますけれども、皆さんはひとつ政治活動を一生懸命やってください、必要な金は私どもが何とかして工面しますからというような意味の寄付金ならば、あえてこれを悪と言うわけにはまいるまいと思います。また党費、これが本当は一番の本筋だと私は思います。しかし、政治信条等においてはある党を心から愛し、その党が政権を獲得することを心から望むけれども、遺憾ながら自分の所得では党費を納める能力がないというようなのも相当私はあろうと思います。党員の中には党費の納入にも非常に御苦労なさっておる向きもなきにしもあらずだろうと思います。そういうことが、たっとい金ではありますけれども、余りそれに依存する度合いの高いのがいいとも一概に言いかねる。
 要するにあれこれありますけれども、問題は節度を守って行き過ぎたことのないようにすることが私は一番必要ではなかろうかと考えております。
#90
○宮之原貞光君 大臣、大分慎重な御答弁のようでございますが、なかなか結構だと思うのです。
 それで大臣、さらにこれを見ますと、自民党への企業献金というのは、これは全く復活しておるという状況で見ておるのですよ。もとへ返っておる、五十年前後と同様に。これが浮き上がっておるのですよ。たとえば年間二千万以上の政治献金をしたものを調べてみますと、業種団体は鉄綱など三団体それぞれ一億円を筆頭に二十団体で十二億四千六百三十六万円。業種別で見ますと、銀行の二十二行で約十二億、建設関係の企業で約二十一社で六億、電気通信の八社で約四億、鉄綱、金属の六社で約三億七千万、生命保険損保の八社等で約三億円。商社六社で二億五千万円、自動車関係の八社で二億五千万円というのが自民党への献金として公表されておるのです。また国民協会ですね、自民党の外郭団体みたいなドル箱でありますが、これへの献金が六大企業集団から出たものが、いわゆる第一勧業グループと言われているところの四十五社で六億五千万、富士銀行グループで五億五千万、三和銀行グループの三十九社で五億円、三菱グループの二十八社で四億八千万、三井グループの二十三社で三億円、住友グループの二十一社で三億、それぞれ約でございますが、入っておるのです。これはやはり企業財界との太いパイプが自民党の中にある。しかもこれを見ますと、政治献金の企業献金を云々という議論をされて縮小の方向にすべきだと言った五年前に、端的に申し上げますれば完全に復活をしておるところの要素があるのです。これを大臣、どういうふうに理解されますか。いま申し上げたところの数字はもう新聞に出ておることでございますからね、これは間違いございません。
#91
○国務大臣(石破二朗君) 昨年の自由民主党に対する政治献金の額が政治資金規正法改正直前の状態にも増してふえておるのをどう思うか、こういう御質問と思いますけれども、この当時の五年後見直しに関する附則に示されておりますのとは、どうも方角がちょっと違うように判断いたしております。
#92
○宮之原貞光君 これは結局、あの法律をつくって縮小する方向にいこうじゃないかということを出しながらも、依然としてやはり企業献金の方はあの中でさえもこのように復活しておるということを私は端的に示していると思いますよ。それはいま大臣が御答弁なされたようなことですね、傾向としては。
 そこで、私、本改正法案に関しますところの衆議院の議事録を拝見いたしてみますと、自民党の小泉純一郎代議士や塩崎潤代議士の発言は、まだこれでも少ない、企業献金の総枠の規制を緩和すべきだという見直し論だと読まざるを得ないのです、あの意見は。また大臣の御答弁も、何かそれを肯定されるような印象を受けざるを得ない。また、そういうこと等を裏書きするかのように、八月二十八日の日経の夕刊に報道されたところの櫻内幹事長の談話、選挙のある年とない年の枠が同一であることは不合理だ、五年前当時とは物価も上昇しているのに枠の据え置きはおかしい、法改正を行うべきであるという発言をされておる。
 こういう発言、あるいは衆議院におけるところの発言、あるいは実際の状況等を見ますと、企業献金はすでに復活という感じを与えるのですけれども、それでも足りない、もっともっとこの問題については枠の制限を広げるべきだというのが与党の皆さんらの意見のように受け取られてしようがない。また、大臣の前回での本委員会におきますところの附則八条に関する御答弁も、そのことを頭に入れておられるからああいう御答弁を最初になされたのじゃないだろうかとも思いますけれども、もう企業献金の問題についてはあれだけ世論の広がりがあった。と言って、その後このことが非常に狭まっているならいざ知らず、むしろ広がっているという方向の中にあるときに、依然としてこういう与党の皆さんの方向を大臣はあくまでも促進しなければならぬというふうにはよもやお考えにならないと思うのですけれども、そういうところのいろいろな御意向等を見まして、行政府の国務大臣としてはどういうふうにお考えになりますか、この問題を担当するところの自治大臣として。
#93
○国務大臣(石破二朗君) 何とかして金をかけないで政治活動なり選挙運動はしなければならない。これはお互い政治に関係する者に課せられました使命であると考えてよかろうと思います。特に個人があれこれ政治活動なり政治運動に必要な莫大な金を使って、そのために無理算段して金を集めることは極力慎まなければならないと思いますけれども、宮之原委員も選挙の責任者をされて十分御経験なさっておると思いますけれども、本当のいい意味におきましての政治活動、特に選挙して多数の有権者の共鳴を得ようとしまするならばもう非常な苦労が要る、これはお認めになろうと思います。ただ、それにどうして金を使わずに済ますかというところが問題でありますが、やっぱりどうしても金というものは必要であると私は思います。大小の差はいろいろありましょう。しかしながら、どうしても金というものは要る。そうするならば、個人があれこれ苦労して余り筋のよくないような金に手を出さぬでも済むような、できるだけ選挙なり政治活動というものを党を中心にやるような方向に改めたらどうであろうかと、私はさように考えるものであります。
#94
○宮之原貞光君 原則的な物の考え方には全く同感なんです。私も二年にわたるところの選挙の責任者をやりながら、特に私の党は貧乏党でございますから、腐心をしたことは事実でございます。頭が痛うございます。それだけに公営選挙をいかにして拡大をするかということは緊急にやってもらわなければならない問題だと思いますし、出るところの費用を最小限度に抑えるということは大事ですけれども、さらばといって、いわゆる五年前に決定をされたところの附則第八条のこの見直しの規定の方向だけは守らなきゃいかぬと思っております。いわゆる言われたところの企業献金というものをできるだけ少なくして――私は皆無であるべきだとまでは申しません。それはまた最小限度のものは要るでしょう。しかしながら、やはりそれをおろして個人献金あるいは国民大衆のカンパに頼っていくという方向性こそ国民が政治により関心を持つところの課題としてきわめて大事じゃないだろうかと思っておるのです。
 それで、私が先ほど来お尋ねしておるのは、先ほど申し上げたところの附則第八条の方向とは逆の方向ですでに復活をし、それでも足りない足りないという意見が与党の関係者の皆さんから出ておる。与党の幹事長もそれを裏書きするようなことを言われておる。そういうことを考えますと、まさか自民党の四百二十三億円の借金の支払いのために企業献金をふやせということじゃないだろうと思うのですよ。まさかそんなことではないと思いますけれども、しかしながら、決められたところの方向とは逆の方向に行っておるということは私はやっぱり好ましいことではないと思うだけに、いわゆる自治大臣のこの問題の取り組みの方向というのがこれでいいのだろうかどうだろうか。その点はやはり大臣としてむしろ与党の皆さんにも姿勢を正さしてもいいのじゃないだろうか、物の考え方でですよ、とさえ思うのでございます。したがって、そこらあたりの御所感をお聞きしたいと、こう申し上げておるのです。
#95
○国務大臣(石破二朗君) お答えいたします。
 御指摘のこの附則第八条でありますけれども、くどくどしく申し上げるまでもなく、宮之原委員も十分御承知と思いますけれども、なかなかこれは含蓄の多い表現になっておる面もなきにしもあらず、私は五十年以前よりかむしろ今日の自由民主党の政治資金のあれは八条と何だか逆の方向に行っておるような感じがするという意味のお答えをいたしましたが、実は正確にそこを逆の方向に行っておるのだと断定しなかったわけなんです。といいますのは、この八条がなかなか含蓄のあることを書いておるのでありまして、読みます。第八条「この法律の施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途及び会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、更に検討を加えるものとする。」と、こう書いてあるわけです。御承知のとおりであります。そこを読んでみますと、「政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途」と、「方途」の次が一体どこにくっつくのか、「方途」を「更に検討を加えるものとする。」と、こう読むのですか、ちょっとむずかしゅうございますけれども、方途を講ずると、こう考えていいだろうと思うのです、ちょっと文脈はおかしいのですけれども。それは言っておるのですが、さてそれじゃ、「会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、更に検討を加える」と、こうきておるのでありまして、これを減らす方向に検討するとは明言してないわけなんです。ただ、当時この法案が御審議になりました際に政府であれこれ答弁なさっておる筋がありましょう。それを読んでみますと、当時の責任者は企業献金というものはなるべくやめるのだという方向で御答弁になっておるように自分は承知いたしておりますけれども、この法律そのものはどうもそれほど明確に歯切れのいいことを言っていないことは事実であります。
 これはまあそうといたしまして、もう一つの問題点は、こういう附則の第八条なるものをなぜ設けたかという点についてであります。法律起草者が五年後あるいは十年後を明確に見通すだけの自信があったとしまするならば、五年後においてはこうこうこうするのだ、十年後においてはこうするのだということを明示しておったろうと思うのです。当時の法案作成者がそれだけの自信を持っておったならば、五年後に見直しを検討するなんという自信のない書き方はしなかったろうと思うのです。想像であります。といいますことは、この法律について必ずしも十分の自信がない、八条それ自体もその法律の一部であると、したがって、これは質問者の発言を受けた答えでありますけれども、あるいは試行錯誤ということで衆議院の質問者はおっしゃっておりましたが、あるいはそういう点があったかもしれません。この附則第八条そのものも試行錯誤の中の一つであったかもしれません。
 そこで、五年間の過去の実績を振り返ってみますと、私は企業献金即悪、個人献金即善と言い切るだけの自信もありませんし、特にこの法律大改正後五年、わが自由民主党内において盛んに行われておりますいわゆるだれだれ君を励ます会の実態でありますけれども、いわゆるKDD事件に関連してでありますか、ある役所の関係者がその励ます会の会員券を売りさばくのを手伝ったというようなことが報ぜられましたが、ひとりあの事件だけで済む問題か。あるいはもっとほかにもああいう事態が起こっておるかもしれません。さらに業界等のうわさを聞きますと、自由民主党けしからぬじゃないか、忙しい者に二遍三遍、会費二万円とか五万円とか言って券を売りつけてきて、金だけならまだ出すけれども、顔を出さぬとまた文句を言う、けしからぬというような声も私はしばしば耳にしております。
 そういうことを考えてみますると、個人献金も必ずしも歓迎すべき面ばかりではない。結局、何とかして金のかからない選挙、特に政治家個人があれこれ金に苦労せぬでも済むような政治のあり方、選挙のあり方というところに手をつけていかなければ根本的な政界の浄化、国民の皆さんの信頼を取り戻すということは困難ではなかろうかという趣旨のことを答弁したわけであります。
#96
○宮之原貞光君 まあ、法律も通ってしまうとそれぞれまた行政府というのは自分の都合のいいように解釈するものだ、こう思われてしようがないのですよ。いま大臣のお話ではこの条文はきわめて含蓄があるというのですけれども、これはもうはっきりしておると思うのですよ。それはいろいろな討議の過程の中での表現ですからね、御承知のように。企業献金を厳禁すべきだという野党側の要求に対していろいろな当時の委員会でも三木総理は、企業は即悪だとは私は思わない、しかしながら、やはり禁止するところの方向に持っていかなきゃならないということだけは明確になっておるのです。それならばここでなぜやらぬかという中から、五年間の状況を見ながらその方向のときにきちんとしましょう、こういう経過がずっと委員会の中にはあるのですよ。しかも、これは当時の議事録でございますけれども、五十年五月三十日です。これは衆議院ですが、三木総理はその委員会でこういう答弁をされておりますよ、五月三十日。「五年後に自民党はみずから辞退をする、法律によってこれを禁止するからどうというのじゃないのです。法律のいかんにかかわらずみずから辞退をするというのが党議であります。したがって、私はそれを申し上げておるわけで、五年後にはいわゆる企業献金ばかりでなしに、この選挙資金の規制を実施してみていろいろな弊害」云々、こういうような答弁をされておるわけなんです。これはまさに当時の三木さんの物の考え方というもの、確かにそれは企業献金は悪だと言ってないのです。しかしながら、これを減らすところの方向に行きたい、しかし、一気にそこまでやれないので五年間の実施状況を見てそのような方向でさらに検討を進めてまいりたいということで、常識的な当時のこの問題の経緯を、恐らく大臣もやっぱり議員として参加されておられただけに、ぼくは御記憶だと思いますが、こういうことだったんですよ。それだけに、私は、いま大臣が御答弁なされたように、自信がなくてやったのじゃない、試行錯誤云々というようなことは、これはもういまごろになってこう言われたってそれはためにするところの弁にしかすぎない、こう言わざるを得ないのですよ。それだけにやはり私どもとしてはその方向性というのを是認しながら、さてそれではどうすればいいかとか、さらに確かに大臣の指摘されたところの企業献金の問題にしてもいろいろな抜け穴がありますね、個人献金の問題にいたしましても。この寄付金の制限のないパーティー方式というのが、御答弁のように、はやる。これもある一定の限度があってしかるべきだと思うのです、常識的なものがあって。同時にまた、この大企業の総額規制があるために子会社から献金をさせてやっておるんですよ、実際面として。あるいはそればかりではございません。寄付金の制限のない政治連盟をまたたくさんつくらしておりましょう、いろいろ工夫して。たとえば鉄綱関係の政治連盟とか、何関係の業界でその政治団体というのがあります。そういうようなところからの献金の問題、こういうようなものが、くぐった形で、実質はやっぱり企業献金というものの根が絶えない。しかも、それが度を過ぎたところの方向があるというこの現実を私どもやはりきちんと踏まえて対応する必要があるのじゃないかと思いますよ。
 だからこそ私は深い一つの提言だなと思って読んだのが、たとえば九月十一日の朝日の社説は、来年の見直しの時期にという形で、第一は、「将来の全廃に向けて企業献金を段階的に縮小するため、個人献金、党費中心の党運営を促す措置をとる」べきであるとか、「政治家の個人収支と資産を年一回公表し、カネの流れを見えるように」すべきだという社説を出しておったことを読んだことがあります。あるいは、これは日本経済新聞の社説でございますけれども、これとても政治団体の届け出規定を改めて、「公開により政治と金の関係を規制する」べきだとか、あるいは企業団体の献金、いわゆる政治団体の献金ですね、これを野放しでなくて上限を少なくとも設けるべきだ等々、あの政治資金の公開が九月十日にあったときに、追いかけるようにしてそれぞれこういう問題について提言をしておるわけなんですね。私は、やはりこういう問題等は謙虚に政治に携わる者としては受けとめて、これらの問題についてどうこたえていくかという方向性というものがあってしかるべきじゃないかと思う。それを逆に企業献金の枠をもっともっとふやせふやせということではまさに私は時代逆行じゃないだろうか、こう思っているだけに、大臣の先ほどの問題に対するところの御所見をお伺いしたのですけれども、私はやはりこの二つの社説を読みながらも、お互いの心構えとしては少なくともそういう方向で努力をすべきでないかと思うのですね。なるほど後に障害があるということは私もよく理解できます。しかし、その方向性だけは見失ってならないのじゃないでしょうか。この点いかがなものでしょうか。
#97
○国務大臣(石破二朗君) お答えいたします。
 御承知のとおり、法律を解釈するに当たりまして、法律の条文を正確に読むことが必要なことはもちろんでありますけれども、やっぱり立法者の意見あるいは立法当時の意見等も法律の解釈に当たっては重要な参考の資料になるものとよく承知いたしておりまするし、当時の総理大臣があれこれ御発言になりましたこと、詳細は知りませんが、大体意図されておりましたところは承知いたしておるつもりであります。そういう点からしますると、お話のとおり企業献金はもう五年後にはやめるのだという趣旨の発言を総理大臣がされておりましたから、宮之原委員御指摘のとおり、この条文もそういう方向で解釈すべきものであろうと思います。それはそう思いますけれども、しかしながら五年間の法律実施の経験に徴しまするに、個人献金でも余りだちのよくない個人献金もありますし、比較的害の少ないと言われておりますだれそれ君を励ます会というのにつきましても、いろいろ批例も多うございます。個人献金を一概に強化するという方向でいくのが実情に合うものと言えるかどうか、検討の必要があるのではなかろうかと思います。
 実はその点につきまして、自分では各党の皆さんの御了解が得られますならば、第八条の考え方にあるいは反するかもしれませんけれども、選挙制度そのものの見直しから始めて政治資金規正法の改正というものに本式に取り組んだらどうかと思いますということをこの前申し上げたのでありますけれども、言葉が穏当を欠きましたがために宮之原委員の御叱責をいただき、補足訂正の発言をしてお許しいただいたような筋にもなっておりますし、当委員会におかれましては、後刻、内閣総理大臣の出席をお求めになった上で政府としての最終的な意見を御聴取になるやに承知いたしておりますので、それに譲ることにさせていただきたいと思いますが、あえてもう一遍申し上げますならば、どうしても金が要るということになるならば、皆さんの御了解がいただけるのならば、この八条そのものについてもある程度の幅を持たして政府としても検討をさしていただけますまいかと存ずる次第であります。穏当を欠く点がございますれば訂正さしていただきます。
#98
○宮之原貞光君 大臣の前段の話はまことに私どもも同感なんです。ただ後から、思いますけれどもといってまたこういろいろ言われておるところあたりが大分またひっかかってくるのです。端的に申し上げて、個人献金のいまのあり方はすべて上等な個人献金だとは思いません、確かに。これはやっぱり手直しをしてもらわなきゃならぬ個人献金のあり方もあると思う。さらばといってこれは企業献金を助長すべきだという論理にはならぬでしょう。少なくとも個人献金で、大臣の言葉をかりて言うなら、たちのよくない個人献金は、これは改めるところの方向は、やっぱりいろいろなものをすることなら恐らくどの党もやぶさかではないと思う。だからといって、いま申し上げたように企業献金はそれならば助長しましょうという論理にはならないということだけはこれははっきり申し上げておきたい。
 たとえば先ほどもちょっと披露いたしましたけれども、いわゆる政治連盟をつくらせて企業間で、そして上限のないものでぽんとそこへ金をぶち込んでやるというこの企業献金のあり方というのが一体いいのかどうかということも、これはやっぱり大きな問題だと言わざるを得ないのです。したがって、やはりそれらの問題についてはとやかく申しませんけれども、やはりこの方向性を認める中で弾力的に私どもはやっていただくということについては、これは何も目に角を立てて言う必要はございません。ただ、そこのところが逆行するような形になりますと問題があるということだけはここで私は指摘しておきたいと思うのです。
 それで時間もありませんので、問題を次の点についてお聞きいたしたいと思いますが、選挙区制の問題ですが、これはまた古証文を出すわけじゃございませんけれども、五年前の三木さんは、衆参の本会議でも、参議院の地方区の定数是正というものはやります、次の選挙に間に合うように努力いたしますとしょっちゅう答えられておるのです。きょうは大臣がお見えにならない前に栗林さんからもいろいろ意見があったわけでございますけれども、やはりこの問題はそのまま放置さるべきところの問題じゃないと思いますし、その点大臣としてはどうお考えになっておるのか。
 時間がありませんからはしょって申し上げますが、同時に……
#99
○国務大臣(石破二朗君) 参議院ですか、衆議院ですか。
#100
○宮之原貞光君 参議院地方区です。
 それから全国区の問題です。鈴木総理の金のかからない選挙を実現をしたいという積極的な発言の中からこの問題は非常にクローズアップされてきておるわけでございます。ただ新聞報道は、与党の皆さんは、特に参議院段階におきまして拘束名簿式比例代表制を導入したい、しかし、それも地方区、全国区の二票制より一票制の方がいいのだ、地方区一本に入れてそれを全国区もその比率でやりたいというようなものが多数を占めておるということが報道されておるのです。私は、少なくともこの一票制という問題については非常に疑義があります。一体、地方区に入れたのを全国区までその中でやらなきゃならないのかどうか、ちょっとこれは常識的に考えれば、与党の皆さんの中にはこの方式だったら便利でいいのだ、各党も損をしない、こういう説もありますけれども、これはだれが考えてみても野党の少数党はきわめて不利な方式であることは間違いないのです。みんな好むと好まざるとにかかわらず、地方区は出さざるを得ないわけですから、これが定数一とか二というところで時の与党が圧倒的に有利になるということははっきりしていますよ。ここに、よくマスコミで言われているところのていのいい参議院の小選挙区制じゃないかと言われているところのゆえんがあるわけでございますがね。こういう問題について大臣はどうお考えになられるのか、ちょっとお聞かせ願いたいのです。
#101
○国務大臣(石破二朗君) 地方区の問題さらに全国区の選挙制度の問題 いずれも参議院制度の基本に関する重要な事項であります。これがいやしくも一党一派に利益になるというような方向で規定されるべきものでないということはもう当然のことと存じます。政府といたしましては参議院の基本に関しまする俗にルールづくりの問題でもありますので、政府であれこれ申しますよりか、各党各会派におかれまして十分御審議をいただき、多数の国民が納得されますような結論が一日も早く出ますことを心から期待するものであります。
 以上で本当はもうやめておけばいいのですけれども、よけいなことを一言つけ加えさしていただきたいと思いますが、新聞紙で拝見しておるだけで中身はよく知りませんから間違っておりましたらお許しいただきたいと思いますが、何だかいまやらぬと次の選挙には間に合わぬというような議論がよく新聞紙等で見られますけれども、これはなるほどいまやらぬと次の選挙には間に合わぬかもしれませんが、必ず次の選挙からやらにゃいかぬものかどうか。あるいは五年後、八年後に実施するというような猶予期間を置いて実施するというようなことも含めて御検討いただくのも一つの方向ではあるまいかと、この間衆議院の選挙区制の改正について宮之原委員と堀さんがそういう趣旨のことをおっしゃっておりましたが、私も全くその御意見には同感であります。なるほど次の選挙には間に合わぬ、これは事実だろうと思います。必ず次の選挙に間に合うのが一番いいんだけれども、間に合わなければそれじゃやめたと、また三年たってまたやるかと、これもいかがかと思いますので蛇足でありますけれども申し上げます。
#102
○宮之原貞光君 時間がありませんので、次の一問にとどめたいと思います。
 大臣の言われたよけいなことをお聞きいたしますけれども、大臣、私は七月二十日のNHKの政治座談会におけるところの大臣の発言をよくお聞きしたのですよ。大臣は、衆議院の選挙制度は小選挙区にして政党運営の選挙であるべきだ、こう主張されましたね。その理由として、今日の中選挙区制でよいと考える人はだれもいないと、ばかにこう言い切っておられたのです。それで、いまの制度のままでは政治資金規制も政界も浄化も困難であるとも言われておる。また政党による選挙にすることで派閥の解消なども期待できる、非常にこう礼賛論をぶたれておったのですがね。これはあれでございますか、先ほどの答弁によりますと選挙区、いろいろな問題は一つのルールづくりだから慎重にせにゃいかぬと、やはり政府の当事者としてきわめて控えたところの発言でおられたわけです。しかし、衆議院の場合にはばかに威勢よくぶっておられるのですが、これはよけいなおまけとして言われたのですか、それともそういうふうに考えておられるのですか。もし大臣がそういうふうにお考えになってやられておるとするならば、参議院の方は、これだけ地方区の定数問題も問題になっておるのに、何だ、それはルールづくりですからと逃げておって、衆議院の小選挙区は断固やらなきゃならない、こう述べられるというのは、どうもぼくらからすれば解せないし、しかもあなたも参議院に議席を置くところの大臣ですから、参議院のことに一番関心を持ってもらわなきゃならないのに、いかがだろうかと、こう思っておりますので、そこのところだけ聞かしていただきたいと思います。
#103
○国務大臣(石破二朗君) ただいま御引用になりましたNHKの座談会におきまする私の発言でありますけれども、お話にもございましたとおり、まさに大臣就任直後のことでありまして、世の中のことがよくわからなかった当時の話であります。ただその前の、第何次になりますか、選挙制度審議会の最終の、答申ではありませんけれども、大体の御意向が、現在の中選挙区制よりか――正確に覚えてないのですが、要するに党営選挙に移行すべきであるというようなことが大勢だったように思うのです。そうしますると、人によって意見が分かれるところのようでありますけれども、その次はやっぱり党営選挙ということになりますれば、一選挙区定数一人というのでないと党営選挙というものはなかなかむずかしいのじゃなかろうかと私は思ったわけでありまして、いまの選挙区割りがいいと思っておるような人は一人もおらぬでしょうというようなことを当時あるいは申したかもしれませんが、これは大間違いでありました。全部確かめるなんてとてもできた話じゃないことを、そんな大きなことを申しましたのは私の失言でありましたので、この場所をかりても当を得ませんけれども、改めて訂正させていただきますが、大勢はやっぱり党営選挙でなきゃいかぬ、そういう御意見だったように思ったのです。それで、即断しまして、小選挙区というようなことを口走ったわけでありますが、その後、総理大臣からもいろいろ御注意いただきました。おまえ、ああいうことを言うけれども、言うべくしてなかなか簡単にそういうものはできるものじゃないのだ、だからして、一つでもできることからやろうじゃないか、おまえそういうつもりで努力せい、しかも政府みずからやるべき事項と党の方でやっていただく事項と、その辺はよく振り分けをしてやるようにと。今度の臨時国会では、政治資金規正法の一部改正、前内閣において提案された案もあるのだから、あれだけでもひとつ政府として提案して通過に努力するようにと。もう一つ、問題の参議院の全国区の方は、ひとつこれはまず自民党で御検討いただき、ある程度固まれば、各会派の御意向等も十分拝聴する機会を持って、成案を得てもらうようにしようと。さらにもう一つの問題は、言葉は悪うございますけれども、いわゆる選挙公害の防止の問題について、これも急ぐのだが、こっちもどうも政府で発案するのはどうか、できればこれも党の方でひとつ発案し、議員立法の形式をとってもらうようにしたらどうだというような御指示をいただきまして、その後態度を改めたわけであります。
 衆議院の小選挙区制につきましては、短時間に申しますと誤解を受けますので、これを全然放棄したつもりもありませんけれども、少なくとも自治大臣在任中は自分の個人的な発言は慎むことにさせていただきたいと思います。
#104
○多田省吾君 私の大臣に対する質問時間は十分でございますので、ひとつ簡明にお答えいただきたいと思います。
 第一点は、今度の改正案につきまして、いわゆる抜け穴の多いざる法である、その一つとして罰則がない、こういうことが言われております。第二十四条、第二十五条の改正によって、いわゆる候補者が個人への献金を受け取って指定団体に入れた場合は、その指定団体の役職員が二十四条、二十五条によって罰則を受けるという条項があるのに、いわゆる候補者が一たん自分が受け取ったのに指定団体に入れた場合は、全然その候補者自体には罰則がないという点。それから、候補者が保有金を報告しなかった場合もやはり全然罰則がないという、非常にこれは候補者に都合のいいざる法ではないか、このように言われておるわけです。私は、やはりここでは、本法案に、その候補者個人についても二十四条並びに二十五条に該当する罰則をつけるべきではないか、このように思いますが、大臣のお考えをひとつ簡明にお答えいただきたいと思います。
#105
○国務大臣(石破二朗君) 個人として献金を受けた場合に届け出なかった場合には罰を科すべきではないか、あるいは保有金として処理した場合に報告しなかったときは罰を科すべきではないか――御意見だと思いますけれども、政府委員もすでに御答弁申し上げたかと思いますが、政治家個人が寄付金を受け取った。さて、それが政治献金なのか、どっちなのかという判断がなかなかむずかしい場合もございましょうし、やっぱりそこまであれこれ法律で罰則までつけてこれを強制するのはどうであろうか、その辺は政治家個人の倫理の問題として御処置願う、間違っても罰則等でこれを強制すべきものではなかろうと、かように考えた次第であります。御意見はいろいろあろうかと思います。
#106
○多田省吾君 この辺が非常におかしいので、政治団体あるいは指定団体の役職員は候補者の誤算によってもこの罰則を受けるような可能性があるのに、候補者自体が全然罰則がないというのは、どこまでもこれは不公平だと思うのです。
 それから次に、疑惑を解消するために、いままで以上に、たとえば請負関係にある者の政治資金、寄付は禁止するとか、少なくとも国務大臣、政務次官は在職中、所管事項に関係のある企業、個人からの政治献金は受けるべきじゃなくて、法の面からも規正法上明確に規定するとか、こういう規定が必要ではないかと思うのです。これは、このたびの現職の厚生大臣が、いわゆる北野個人から献金を受け取ったことに絡んで辞職をするというような事件も起こっているわけですよ。ですから、私はその疑惑を解消するため、不正をなくするために法規制もすべきではないかと思いますが、今回の改正案、また、次の改正案に盛り込むお考えは大臣ございませんか。
#107
○国務大臣(石破二朗君) 今後十分検討するようにという御指摘でありますから、検討さしていただきたいと思いますが、請負業者の寄付に関しましては、御承知のとおり、選挙に関する寄付と単なる政治資金と両方あるわけでありまして、選挙に関する寄付は公職選挙法で禁止されておるところでありますので、御承知願いたいと思いまするし、さらに大臣在任中等は関係しまする企業等から献金を受けないようにというような御指摘でありますが、十分検討さしていただきたいと思います。
#108
○多田省吾君 それから、現在の政治資金規正法のいわゆる官報、公報等に対する公表面が非常に私は不十分だと思います。ですから実態が不明でございます。特に、氏名に職業を付記しないので関係がわからない。また、支出面でも寄付・交付金を一括処理しているため実態がわからない。これはもう少し職業を付記するとか、あるいは寄付・交付金を分けるとか、そういうことにすべきだと思いますし、また今度の改正案におきましても公表形式をどのように変えるのかわかりませんが、たとえば寄付者の氏名で候補者の通知分の支出とか、寄付・交付金のうちで候補者還元分とか、そういった具体的にわかりやすい公表の仕方にすべきだと思いますが、この二点はどうですか。
#109
○政府委員(大林勝臣君) かなり事務的な面に入りますので私からお答えいたしますが、先ほど来多田先生の方からおっしゃっておりました点、いろいろ公表のやり方あるいはその内容、そういう問題につきましても今回の個人報告の問題の事後処理もございますし、従来の政治団体の公表の仕方と兼ねましてどういう方法が一番わかりやすいかを今後検討してまいるつもりでございます。
#110
○多田省吾君 先ほど、いわゆる政治資金規正法の附則八条の個人献金強化検討措置につきまして、大臣が試行錯誤発言から今回は含蓄が多い発言までなさって、非常に後退の御発言だと思います。これは結局、大臣が来年の政治資金規正法改正のときに、自民党内から言われているところの企業献金の枠緩和というような方向に迎合しようというような発言をいまからなさっているのではないかと思います。私は、もう子供さんが見てもこの附則第八条というのははっきりしていると思うのです。「政治資金の個人による拠出を一層強化するため」というのは、もう非常にわかりやすい見直しだと思うのです。これは選挙部長もこの前、これは第五次選挙制度審議会の答申に基づくものでということはおっしゃった。この答申は、はっきりもう五年後には企業献金を禁止して個人献金に移行すべきだという答申なんですよ。その方向でつくられたこの前の改正ではありませんか。そうして、この前私たちも本委員会で論議しましたけれども、三木総理だって、いま議長をやっておられる当時の福田自治大臣だって、はっきりとこの点は言い切っておりますよ。そんな含蓄が多いとか試行錯誤なんてどこからも出てくるはずはありません。これは大事な問題ですから、次の改正のときにはあくまでもひとつこの附則八条にのっとった正確な見直しをすべきである。すなわち企業献金を禁止し、そして個人献金を一層強化する方向でやるべきである、私はこのように思いますが、簡明で結構ですから、もう一回御答弁を願いたい。
#111
○国務大臣(石破二朗君) 先ほども宮之原委員にお答え申し上げましたとおり、法律を解釈するに当たりましては、法律の条文を正確に読むことも必要でありますけれども、立法当時の関係者の意向等も法律解釈の重要な参考資料になることは当然と思います。しかしながら、私は何も第八条を曲解するつもりはありませんけれども、御指摘になりましたとおり、「個人による拠出を一層強化するための方途」ということは、これはもう明瞭に書いてあるのです。「方途」をどうするかということになりますと、ちょっとごじゃごじゃとするのです。「検討を加える」にかかるのだろうと思うのです。これを強化すると言い切っていない、その点がはっきりしませんけれども、まあ方向は一応出ておる。しかしながら企業の献金については「会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、更に検討を加えるものとする。」と書いてありまして、これだけ言いますとどっちの方角とも方角は書いていないわけなんです。ただ、個人の献金を強化するということが一方に書いてありますから、まあ個人と企業というものは反対のものだと、反対の概念だと言えば、これは制限するという方向に検討すべきものだろうとは思いますけれども、御指摘になるほどそう明確に規定はしていないと私は申さざるを得ないと思います。
#112
○多田省吾君 それは私は詭弁だと思います。方途を講ずると大臣がさっきおっしゃったとおりだと思うのですよ。これは検討を加えるのです、その方向で。それで、第五次選挙制度審議会の答申やあるいは五年前の総理や自治大臣の御答弁にもあるように、企業献金を禁止する方向で、それから個人献金を強化する方向であるということは、これははっきりしていると私は思う。
 まあ、それは時間がたちますので、もう一点だけお尋ねしておきたいと思いますが、先ほど大臣は全国区制につきまして、何も今度の選挙からということじゃなくて、五年後あるいは八年後の選挙からやればいいという方法もあり得るのじゃないかというような御答弁をなさったわけでございますが、私もやはり、もう来年の通常国会でこれをまとめて次の選挙で全国区制を改正すべきであるというような拙速主義は非常によくないと思うのです。やっぱり与党が一致するまで議論を尽くして、本当に国民も納得するような方向でやはりこの全国区の区制改正問題は論議していくべき問題だと思いますし、拙速主義はとるべきではないと思います。ですから、大臣のお考えは、たとえば来年に決まらなければ再来年まで論議しても、また次の選挙もだめならば昭和六十一年の参議院選から区制を改めるべきであるというような、そういうお考えでございますか。
#113
○国務大臣(石破二朗君) 私が申し上げましたのは、参議院の制度の改革が一日も早く実現することを心から願うものでありますから、俗に世の中には急ぐ場合には回り道をせいと、急がば回れという言葉もあります。現に何遍も申し上げておることでありますけれども、衆議院の小選挙区制について、第一次鳩山内閣だったと思いますけれども、御提案になったと思います。
#114
○多田省吾君 小選挙区制の話は結構ですから……。
#115
○国務大臣(石破二朗君) あのときに、十年後とかいう期限をつけて、適用時期を十年後に適用するのだということをもし附則にでも書いてあったとすれば、時の人は、何だ、十年後のことを書くとは気の長い話じゃないかといって笑ったろうと思うのです。しかしながら、いまになってみますと、そういうのが通っておれば、今日あれこれ衆議院の選挙区制度などについて議論せずに済んだのじゃないか。そういう意味で、できればそれはこの次の選挙から参議院の全国区制も改めてはほしいけれども、しかしながら万一間に合わぬ場合には、あるいは適用の時期を延ばされても一日も早く成案を得ていただきたいということを申したのであります。
#116
○大川清幸君 先ほど宮之原委員からも指摘をされておりましたが、先日発表されました読売新聞の各地方府県の選管から発表されたもので、また未集計のものが三県ほどあるそうでございますが、政治献金そのものがトータルとして大型化していること、それからその中身でも、企業献金がやはり大部分を占めて大型化している傾向は先ほどのやりとりの中で明確になったと思いますので、この辺の質問は避けますが、この報道の中で見ますと、北海道で五十四年一年間だけで一万五千五百八十一団体、それから石川県では前年比で七百九十団体ふえています。しかも、石川県の場合、百万円以下の小口献金が集中的に行われている。何か政治献金の規制の上に出てこないような形で献金が行われたというような傾向も明確に出ているようでございますし、また山梨県下では四百八十団体のうち、実に半数が収支の報告を怠っている。また、宮城県あるいは東京、愛知ではそれぞれ六〇%、七〇%の収支報告である。福岡県なんかでは、全体で七〇%ではありますが、この中で八十七団体が二年間無報告、いわゆる資格を失うような、報告を怠っているということでございます。これは先般新聞でも報道された麻生先生なんかもこの八十七団体の中に入っているのじゃないかと思いますが、こういうような、新聞報道ではありますが、所管の当局である自治省あるいは選挙管理委員会にも状況としてはほぼ入ってきているのだろうと思いますが、こうした傾向についてどのようにお考えになりますか。まず、その実情に対する御判断からお伺いをいたします。
#117
○委員長(鳩山威一郎君) 答弁は簡単にお願いします。
#118
○政府委員(大林勝臣君) 政治団体の収支報告をいたします際に、私ども所管をしております団体あるいは県の選管が所管をいたしております団体、これはたくさんございますが、一番苦労をいたしますのが、いつまでたっても報告をしていただけない団体というのがその都度ございます。何回も何回も電話で督促をいたしてもなおかつしていただけない。そういうのが二年間続けばそれはもう政治団体ではないと、こういう制裁措置を講じておるところでありまして、大変私どもこれを残念に思っておりますが、要は政治団体の認識と私どもの督促の努力にかかってくるものであろうと思います。
#119
○大川清幸君 大臣はどのようにこれを御判断なさいますか。
#120
○国務大臣(石破二朗君) 別に選挙部長と違った意見を持っておるわけではございませんので、御了承いただきたいと思います。
#121
○大川清幸君 さてそこで、こういうような実態は当局でも困ったものだということでございますが、今回政治資金規正法の改正が提案されておるのですが、こうしたような傾向については、やはり今回の改正案でも歯どめがきかない、先日来委員会でやりとりがあったとおりでございます。指定団体が個数を制限されるわけではないし、そういうようなことから考えますと、今回も私は歯どめがきかないと思うのですが、幾らか効果が上がるとお考えでございますか。
#122
○政府委員(大林勝臣君) 政治団体の報告義務自体が今回の改正法案によってどうなるかということにつきましては、直接の関係はございません。むしろ私どもの立場なりあるいは選管のいままでの実情から、この政治団体で要するに未報告の団体がふえておるということを認識をいたしまして、今後の見直しの際に、これに対する処置をさらに何とか強化する方向がないかということで考えてまいりたいと思います。
#123
○大川清幸君 その辺は強化の方向で考えていただきたいと思います。
 そこで、先ほど附則の八条の問題でやりとりがありました。大臣、この集計の中身でも、宮之原委員からも御指摘があったとおりで、やはり企業献金等が大型化の傾向を示していることは明確でございます。確かに企業献金並びに個人献金が、それぞれが悪であるか善であるかという評価をすることについては全く別の問題であって、そう頭から決めつける必要はないと私も思いますけれども、大臣も先般の当委員会でも御答弁になったときに、個人でそんなに金は持ってきはしませんとおっしゃいました。そのとおりだと思うのです。企業の方は大型化しているということについては、いろいろの受けざらの方の指定団体等も個数に制限がないので、トータルにすれば多額の政治献金を行うのはやはり企業ですよ。金額が巨額であるということがいろいろ利権に絡んだり職務権限にかかわる危険性があるので、附則の第八条はやはり企業献金については縮小の方向で検討せよというのが本来の趣旨であろうと思いますが、もう一遍御答弁を願います。
#124
○国務大臣(石破二朗君) あるいは大川委員の御指摘のとおりかもしれません。しかしながら、選挙が現在のようなままなら、どうしても個人個人が何とかして当選したいということであれこれ苦労して金を集めるのではなかろうか、かように考える次第であります。
 なお、当委員会におきまして御審議いただきます際に、お答え申し上げよう申し上げようと思いながらどうしても忘れておりました重要なことがございますので、直接の御質問ではございませんがお答え申し上げたいと思いますが、政治活動なり選挙に金がかかると私は申しますけれども、たとえば政治家があれこれ相談しますのに料理屋等をずいぶん使って、それの支払いもあるいは政治資金として処理されておるのではなかろうかと思うのでありますけれども、私は今日政治活動に料理屋等を使う必要は毛頭ない、かように思います。そういうことに政治資金を使うべきものでないということをこの際申し上げて御理解を賜りたいと思います。
#125
○大川清幸君 それで、ただいまも指摘したとおり、報告のない団体が各県下でかなりの数に達しておりますので、現行法でいうと不申告団体はこういうマスコミその他私どもが調査をしないと表にあらわれてこないでしょう、形の上では。どうですか。
#126
○政府委員(大林勝臣君) 申告のない団体の実体については、現在の段階では把握できません。
#127
○大川清幸君 そこで、先ほど厳しい方向で検討するということがあったのですが、毎年の収支報告を各地方公共団体の選管あるいは自治省の所管で行う場合に、不申告団体を公表するというような考えはありませんか。
#128
○政府委員(大林勝臣君) 政治団体の義務違反につきましての一つの制裁措置として、罰則のほかにそういった公表措置をとってはどうかという御意見は前々からございます。ただ、そういった未報告団体について一つ一つこれを拾い上げてその実体の有無まで調べて公表することにつきましては、かなり事務的な問題もございますから、一つの今後の検討課題として残しておるところでございます。
#129
○大川清幸君 時間がなくなりましたが、大臣はかねて、今委員会でもそうですが、小選挙区制等の御発言があったので、小選挙区制そのものには私もちょっと異論があるわけですが、新しい選挙制度等についても十年後を目指して考えてもいいじゃないかということは、前回の委員会の席上でも御答弁がありましたので、したがって当面選挙の明朗化その他を図る上では現行法の中でやる以外にないと思いますので、たとえば法定選挙費用というのは世間でも余り信用していない。専門家の間でも形式的なものじゃないかというような評価、御批判をなさる方もあるくらいです。
 そこで、選挙を明朗化するために法定選挙費用そのものの決め方についても洗い直しが必要かと思いますが、少なくとも法定選挙費用の中で選挙が励行されるように、公費負担の選挙を拡大するとか現行の買収選挙の罰則を強化するとか連座制の強化をする、こういうようなことについては至急やった方がいいと思いますが、いかがですか。
#130
○国務大臣(石破二朗君) 御指摘になりました事項全部を含んでおるかどうか正確には理解しておりませんけれども、たとえば連座制の強化等につきましては自由民主党においてすでに成案を得、国会の御審議をいただく段階に至っておるのではなかろうかと考えております。
#131
○山中郁子君 大臣は答弁でしばしば金のかからない選挙とかあるいはそれとの関連で党営選挙ということを強調されております。前回の質疑で、私の金のかかる選挙の実際というのは大型買収選挙違反問題など、これがまず第一に重要な問題として考えられなければいけないじゃないかという指摘に対して釈明に立たれて、選挙に金がかかるのではなくて政治活動に金がかかると、こういう趣旨の答弁をされました。この辺の真意をお聞かせいただきたいのですけれども、あわせて、いわゆる政治活動の中には派閥活動や後援会活動が含まれていると理解していいのかどうか、大臣の御見解の中に。それをお聞かせいただきたいと思います。
#132
○国務大臣(石破二朗君) 後段の問題でありますけれども、間違っておりましたら部長から正確に訂正していただきますけれども、政治活動に含まれておるというふうに理解いたしております。
 なお、選挙そのものよりも常時行います政治活動に金がかかるのであろうと申し上げたのはそのとおりであります。選挙の法定選挙費用というものでありますが、御承知のとおり、そのあれをはみ出すほどそう使わないものなんです。買収などきょうやるのは本当にあれはもう何百分の一ではなかろうか、少なくとも国会級の選挙におきましては。まれなケースではないかと私は思います。
#133
○山中郁子君 これは九月十日に発表された昨年一年間の政治資金収支報告によるわけですけれども、自民党五大派閥の収入合計が三十五億三千四百万円、昨年より六四%近くふえている。まあ新聞などでは派閥の花盛りだとか消えたと思ったらすぐつくネオンだとか、いままで何回も何回もそう言われてきたことがまたぞろ言われているわけです。五十二年に各派一斉に解散宣言をして、今度は五十四年の政治資金収支報告ではどの派閥もみんな完全に復活している。実際問題として、たとえばお盆には派閥から草取り代だ、暮れにはおもち代だ、そんなような実態もいろいろ伝えられているわけですけれども、そしてまた、派閥の末端組織や国会議員後援会などで、そこで地元ではお祭りだとか盆踊りだとか忘年会、旅行会、こういうことでお金をばらまいている、こういう実態がいろいろな面で伝えられるわけですけれども、この辺どう考えていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと同時に、総裁選や総裁予備選がまさに派閥の激しい戦いの場となって金権物量選挙、すさまじいお金が動いているという実態についてのお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
 きょうは大変時間が限られていますので、できるだけ簡潔にお願いしたいと思います。
#134
○国務大臣(石破二朗君) 派閥というものについての考え方いかんでありますが、そもそも派閥とは何か、政策集団と派閥とどう違うかというような点、あれこれむずかしい分類の仕方がありますので一概に申せませんけれども、人間が大ぜい集まりますと、同じような考えを持った者がどうしてもグループをつくるということはどうも避けがたい現象ではなかろうかと思います。これはひとりわが国に限りませんで、洋の東西を問わず、具体的な名前は申し上げませんけれども、国によっては大派閥闘争をやっておるような国もあるやに伝えられますし、慎まなければいかぬこととは思いますが、これは人間のやむを得ぬさがではなかろうかと思います。
#135
○山中郁子君 派閥是認の御答弁なんですけれども、五十五年六月二十六日自民党の党基本問題運営等に関する調査会の「派閥解消に関する答申」というものがあります。そしてここで、自民党ですけれども、「わが党の体質改善、就中、派閥解消は、永年にわたってその実現のための努力が積み重ねられてきたが、残念乍ら見るべき成果をあげ得なかったのみならず、逆に、昨年来の派閥抗争の醜態を天下にさらし、世論の強い糾弾を浴びるに至った。」、「われわれは、昨年来の派閥抗争を深刻に反省し、再びかかる愚を繰り返さないことを誓い、その反省と誓いの上に立って、派閥は名実共に解散し、党の再生をめざして具体的行動を起すこととする。」と、こういうふうに答申で出ているわけですね。
 それで、マスコミなんかでもとにかく派閥はまたつくネオンということを言われていて、あなた自身もいまそれを是認するというようにおっしゃっているけれども、国民の批判にこたえるためには自民党自身がこういう形で断固として反省してやらなければいかぬ、こう調査会で答申をされているわけです。まさに外向きの、国民に対する自民党の決意ですとかという考え方とうらはらに、そういうことはしようがない、人間のさがであるみたいな、そういうことでは、派閥にかかわるお金、政治資金の明朗化の責を果たすべき自治大臣の所見としては受け取りかねるものなんですけれども、こうした自民党自身の答申の趣旨にも照らして大臣の御見解を伺いたいと思います。
#136
○国務大臣(石破二朗君) せっかくの御質問でありますけれども、私は参議院議員でありまして、いわゆる派閥には所属していないような表言を新聞等ではいただいておりまするし、この派閥の問題はいろいろ御議論もあろうと思いますけれども、結局は賢明な全国の有権者が賢明な判断を下すであろう、かように考えております。それをまつ以外には、ここで私があれこれ弁明しましてもとうてい御納得をいただくわけにはまいるまいと思います。
#137
○山中郁子君 結局派閥活動関連なんですけれども、同一選挙区に複数の候補を立てる政党は政党本位の選挙というのができないということで、先ほど来議論もありました小選挙区制がらみ、そして党営選挙、金のかからない選挙、こういう系譜になってくるわけですね。
 そこで私お伺いしたいのですけれども、仮に一人区、二人区なら党営選挙ができるのか、そんなことはないでしょう。小選挙区制をおっしゃって、党営選挙、金のかからない選挙、こういう一連の系譜でおっしゃっているけれども、一人区、二人区ならば党営選挙ができるのかと言えば、そんなことはないと思います。一九七四年、この前の大臣自身お認めになっていらした参議院の徳島地方区の定員一人区の選挙で、後藤田さんと久次米さんとものすごい派閥による抗争を繰り広げて大買収事件を起こしたわけでしょう。だから、結局いわゆる同一選挙区に複数の候補を立てる政党は政党本位の選挙というのはできない、こういう趣旨のことも具体的に答弁されていらっしゃる。つまり同士打ちのない選挙にしなければならぬ、こうおっしゃっているけれども、そんなことは実際問題としてできないということはこの徳島地方区のことが実に厳然とした事実として証明しているのじゃないですか。
#138
○国務大臣(石破二朗君) 昭和四十九年の徳島地方区の選挙でありますが、あれは自由民主党と無所属の選挙ではなかったかと承知いたしております。
#139
○山中郁子君 実際の話を申し上げているので、そんないいかげんなことを伺っているのじゃないのです。私が申し上げますのは、そういう保守同士の壮絶な同士打ちです。金権のるつぼです。そして、当選してくれば自民党に入るわけです。そういうものは結局金権腐敗体質の派閥活動を温存していて党営選挙を主張されても、そんなことができっこないということは、この徳島地方区の問題だけじゃありませんけれども、幾らでもあるのです。どういうふうに言いわけされ弁明されようとしても、現行制度で、私どももそうですけれども、ちゃんと党営選挙をやっています。政党として末端まで組織を確立して近代化する、そういう党の体質をつくることなくして、どのようにその制度を変えたところで党営選挙は実現しないのじゃないですか。
#140
○国務大臣(石破二朗君) 政党の体質そのものが左右する点も多かろうと思います。
#141
○山中郁子君 自民党発行の「選挙制度の基礎知識」というパンフレットがあります。この中で「小選挙区制」、つまり「各種選挙制度およびその利害得失」というところで小選挙区制について、「現在の中選挙区制で、最も大きな弊害とされている点は、この同士討ちである。社会党以下は候補者も少ないから、この点、比較的らくであるが、数の多い自民党にこの弊害が最もいちじるしく、各候補者も弱りきっている。この同士討ちがまた個人の経費を大きくする原因ともなっている。しかしこの同士討ちは党内の事情である。その党内事情の同士討ちをなくすために小選挙区制にしようというのでは、党利党略のそしりはまぬかれない。」こういうことも自民党の「選挙制度の基礎知識」という中にお書きになっていらっしゃるわけです。私は本質はやはりそういうところにあると思います。
 それで、先ほど来お話もありまして、テレビ放送はちょっと間違ったとおっしゃっていましたけれども、それは中身自身は間違ったのじゃなくて、言うべきではないときに言ったという御趣旨のように伺いましたけれども、いずれにしても同士打ちは党内の事情です。そして、その党内事情の同士打ちをなくすために小選挙区にしよう、党営選挙で金のかからない選挙だと、そういうことはまさに党利党略以外の何物でもないと言わざるを得ないと思いますけれども、御所見を伺います。
#142
○国務大臣(石破二朗君) その冊子は私承知しておりませんけれども、自由民主党といえども天下の公党であります。しかも政権を担当しておる政党であります。その政党が健全に育ちますことは国益に関することであると思います。単に一政党の問題だといって国会等でこれを見逃すわけにはまいらないと思います。
#143
○山中郁子君 いえ私が申し上げているのは、自民党がこういうふうにここにちゃんとお書きになっているように、結局同士打ちをなくしたい、同士打ちをなくすためには小選挙区制でなければならぬ、金がかかる。あなたがおっしゃるのは結局そういうつながりになっているということなんです。そうじゃないのですか。
#144
○国務大臣(石破二朗君) 政党の体質いかんにもかかわりますけれども、自由民主党の場合、同一選挙区に複数の候補者を立てて争いますと、なかなか党営選挙の実は上げにくいのではなかろうかと、かように考えております。
#145
○委員長(鳩山威一郎君) 最後にお願いします。
#146
○山中郁子君 そのことが党営選挙の問題ではないのです。何回も申し上げているように、あなた自身も十月二十九日の衆議院の与党質問に答えられたものですけれども、物には順序がある、実現困難なものをあえて大きな声で言うのは最終目的のために有利かどうか、こういうことを言っていらっしゃるのね。見え見えなんですよ、おっしゃっていることは。いまもう時間がなくて触れられませんけれども、つまり参議院の全国区制の問題だとか、それから選挙制度、公選法の改悪の問題だとかいろいろおっしゃるけれども、いずれにしても物には順序があるから大きな声で言うのは最終目的のために有利かどうかというのは小選挙区制のことを言っていらっしゃるわけでしょう。そういうことがまさに党利党略に基づくものであって、党営選挙をやろうと思えばいまの制度のもとだって体質を改善し党の近代化を図ることによってできる。幾ら小選挙区制にしたって、この派閥の現実、自由民主党の現実のもとでいえば、徳島地方区その他の例で幾つも挙がるように、そういうことは解消できないのだ、そこのところを私は申し上げているわけです。そのことを改めて強く主張いたします。
#147
○国務大臣(石破二朗君) 党の体質いかんにもよりますけれども、私どもの自由民主党なりあるいはこれと大筋において体質を同じくされますような政党におかれましては、やっぱり同一選挙区に同じ自分の党から二名以上の候補者を立てて党営選挙をおやりになるということはなかなかむずかしいのではなかろうかと考えております。
#148
○山中郁子君 この政治資金規正法で数多く議論をされてまいりましたように、自治大臣が、そしてまた鈴木内閣がおっしゃるいわゆる政治資金の明朗化、それから政治倫理の確立、そういうことを真に実現していこうとするならば、前回私も指摘をいたしました金のかかる選挙というのは、あなたはごく例外だとおっしゃるけれども、実際問題として例外でないということは国民みんながよく知っています。それはたまたま事件として大きく報道され、そしてまた逮捕されたり起訴されたり、そういうことは全部が全部そこにひっかからないという、そういういろいろな盲点があって、しかしとにかく不明朗なお金がたくさん流れて、そしてそれによって自由民主党の前近代的な体質のもとでの選挙が行われ政治活動が行われているということは派閥の実態を見ても明らかだということを私は重ねて主張をいたしまして質問を終わります。
#149
○栗林卓司君 私は戸別訪問の問題について大臣の御所見を伺いたいと思います。
 御承知のように欧米諸国で戸別訪問を禁止いたしておる国はございません。かねて戸別訪問を自由にしたらどうかという議論があるわけですが、この問題についてまず大臣がどうお考えになっているのか御所見を承ります。
#150
○国務大臣(石破二朗君) 戸別訪問のみならず、御承知のとおり、ヨーロッパ各国は政治資金等はほとんど法的制限を加えないで自由にやっております。そういう国でありますから戸別訪問も当然制限の対象にはしないのだろうと思います。アメリカはどういうわけでありますか、いつごろからかわかりませんけれども政治資金の問題は非常にやかましい制限をつけることになっております。でありますから、アメリカの考えはよくわかりませんけれども、ヨーロッパ各国は政治活動、選挙活動をできるだけ自由にしようというところにこの戸別訪問を野放しにしておる理由があるのではなかろうかと思っております。
#151
○栗林卓司君 いや私がお尋ねをしたのは、その諸外国の例と比べながら、なぜ日本でこれまで戸別訪問が禁止をされてきたのかということについての大臣の御所見を承りたい。
#152
○国務大臣(石破二朗君) 戸別訪問を初めて禁止しましたのはもうずいぶん昔のことでありまして、直接の経験はありませんけれども、当時この法律に関係しました方の言によりますと、戸別訪問は、君お互いあれをやったならばとても体がもたぬ、それでもう自分らが何とかしてやめるようにしようじゃないかという自分らの発案でああいう制度をつくったのだと、これは直に聞いた話であります。恐らくそういうことが戸別訪問禁止の大きな理由だったのではかろうかと思います。
#153
○栗林卓司君 海外では戸別訪問は市民が活用できる最も簡単でしかも有効な選挙活動の手段だと、こう判断されて自由に行われているわけですが、日本の場合は、昔を振り返りますと、戸別訪問ということになると実は買収、供応の一つのきっかけになる、あるいは市民の人たちの迷惑もさることであるなどという理由を立てて実は禁止をしてきたわけです。たとえばことしの選挙でも、私が候補者じゃありませんが、自分でやりながらつくづく考えたのですけれども、候補者と有権者の関係、これをどういったぐあいに保っていったらいいのだろうか。いま実は手段がないのです。党の機関紙を配るか、議員が議員便りを出すか、それとも一般の新聞が書いてくれるか、テレビが撮ってくれるか。地方選挙になりますととてもテレビは関係ない。一般の新聞はというと、それほど全部の政党の議員につき合ってくれるわけじゃない。じゃ議員便りと政党機関紙、これが大臣がしょっちゅうおっしゃいますように金がかかってきたのです。金がかかる選挙というのは、政治活動を含めて言いますと私も実は痛感しています。きょう郵便料金の値上げがまた通りましたけれども、あれでまた費用がかさんでくる。直接費用でかかるんですよ。それと片方では買収、供応問題があります。あるけれども主としては直接費用でかかるようになってきた。そこで、有権者と候補者の関係をできれば生き生きとつないでいきたいわけですね、選挙というのはそれ自体啓蒙活動でもあるわけですから。そうしてまいりますと、それを十分に刊行物でやるためにはこれはべらぼうな金がかかる。といって戸別訪問は禁止だ。残る道は何だといいますと街宣車を持ってきましてそこでしゃべるしかない。いま東京近郊でそれぞれどうなっているかといいますと、たとえば神奈川ですけれども、ことしの統一地方選挙の最中に建築中の団地が、たとえて言いますと、たくさんありますけれども、神奈川県ですと藤沢の周辺に西部団地が約四千五百戸、それから住宅公団の善行団地が二千二百四十四戸などと非常に多いわけです。すると、こういうところに候補者がどうやって接点を持っていったらいいのか。これは昔は関係なかったんですよ。どっちかというと戸別訪問というのはある意味では買収のきっかけになるような議論が多かった。最近は有権者が非常に動いていまして新しいところに住みついてくる。そうしたときに戸別訪問は禁止、刊行物を配ってということになるとそれ自体が金がかかり過ぎる選挙になる。とどのつまりは選挙公害と言われながら街宣車を引っぱり出していって大きな声でがなり立てるしかない。
 きょうの新聞で拝見しますと、自民党の方が公職選挙法の改正案をお出しになったようです。中身についてお伺いしませんけれども、そこで何が書いてあるかというと、こういった状況の中で万やむを得ずやっております街宣車について、長時間同じ場所ではいかぬ、政党などの機関紙、宣伝カー、拡声機使用を制限する。今度これも制限してきますと大切な候補者と有権者の関係、これがみずみずしく生き生きと保っていけるのかどうか。そう考えていきますと、大臣が言われる金のかからない選挙にしたい、これは政治活動を含めてでしょう。そのためには実は戸別訪問の自由化ということに大胆に取り組まない限り、金を惜しんでいるうちに一番必要な有権者と候補者の関係がだんだん疎遠になる。これはむしろ逆行じゃないか。これは総理も含めてでありますけれども、金のかからない選挙ということを本当におっしゃるのならば、三十年前といまとは状況も違うわけですから、戸別訪問の自由化にやっぱり踏み切るべきじゃないか。しかも戸別訪問というのは、判例で言いますと二軒以上連続して訪問したら戸別訪問だ。これを禁止されては選挙にならないですよ、そういうことでお尋ねをしているわけです。
#154
○国務大臣(石破二朗君) もちろん意見の分かれるところでありまして、私の意見を栗林委員に押しつけるがごとき考えは毛頭ありませんが、これは時間がかかるかもしれませんけれども、恥を申し上げて御参考に供します。
 昭和三十三年に私は初めて鳥取県知事選挙をやりました。法律などをよく知らぬものでありますが、告示よりかはずいぶん、四、五ヵ月前だったと思いますから、当時でも法律にはかからなかったと思いますが、大体一日二百軒戸別訪問しました。まだ五十でした。金はなるほどかかりません。ですけれども、一日に二百軒歩いたら五十とはいいながら大変な重労働です。とてもいまああいう選挙をやれと言われてもできません。
 私はどうでもいいのですけれども、団地のお話がただいまありました。私も団地に住んだことがあります。団地の前で演説したからあの人に投票してあげようじゃないかといった経験を持っております。ところが、四階に住んでおって、あれは三階までしか来なかった、あれには入れないというようなことも同時に起こり得るわけです。そうしますると、候補者は、とてもじゃないが、それは当然かもしれませんけれども、何よりかにより体力にすぐれた者でないとこれはもう選挙はできないことになりはせぬかと思います。さらに一般の家庭でありますけれども、これはおそらく時刻制限はあるのでしょうけれども、いま禁止されておっても戸別訪問をやりがちでありますが、時間の制限など正確に守るかどうか。受ける方は、さあ病人がある夜だ、夜ベルを押す、出なきゃいかぬ、あれに出てこれに出ぬというわけにはいかぬというようなことがあります。
 私の経験など押しつけるつもりは毛頭ありません、意見の分かれるところでありますが、慎重に御審議いただいたらどうかと思います。
#155
○栗林卓司君 いまお話の、それじゃとっても身がもたないというのは、候補者御自身が戸別訪問する場合はまたそれはそれで考える余地があると思います。ただ問題は、いまはいわば支援者、運動員、これが全面的に禁止になっているわけです。実際にはその禁止が守られているかというと――しゃくし定規にやったら選挙にならぬのですよ。私一番思いますのは、選挙というのはお祭りであっていいと思うのです。四年に一遍自分たちの代表を選んで政治をやっていこうじゃないか、こういうことですから、いい意味のお祭りであっていいし、そういった明るさがなきゃいかぬ。現実はどうかというと、その明るさを奪っているものは何かというと、こそこそと戸別訪問する。その運動員の戸別訪問、これをいまのように禁止しておくというのは、選挙を暗くするだけじゃなくて、しかも候補者の身がわりとして運動員なら運動員がそのうちを訪問してお互いに意見交換をする、この場所もつくれない、それやこれやで、候補者がどうするかという話は一応置いておきまして、実際には選挙というのは相当膨大な運動員が動いて努力をするわけですから、その人たちが戸別訪問の禁止ということで、ちっとも悪いことをしていないのに、いかにも後ろめたい気持ちで選挙期間中なぜ過ごさなければいけないかという点について、改めてお伺いします。
#156
○国務大臣(石破二朗君) お話のとおりだろうと思うのです。ただ、支援者がやってくれればいいようなものですけれども、あの候補者は本人が来た、あの候補者は奥さんが来たぞ、あれは何か運動員だけ来たぞということになりますと、心臓に悪くても四階まで走って上がらなければ済まぬのじゃなかろうか。しばしば申し上げますけれども、理屈は当然戸別訪問は自由にすべきだろうと私も思います。しかしながら、いまの日本の国情から考えまして、これは十分慎重に検討の必要があるのではなかろうか、かように思います。
#157
○栗林卓司君 この質問で終わりにします。
 大臣はどうしても御自分の御体験があるものですからやっぱり候補者がと、こうなってしまうのだけれども、そうではなくて、候補者は置いておきます。ただ、運動員の人たち、イギリスでは有給、要するに金をもらって戸別訪問することは禁止をされております。日本でも有給でやっていいということになるとこれはいろいろ弊害が出ると思います。また戸別訪問する場合には、政党がやる場合には政党の身分証明書をちゃんと持っていきなさいという制限も当然つくと思います。それぞれの議論は当然ついてはまいりますけれども、基本的に戸別訪問は自由だし、しかも支援者の人たち、運動員がやっている手弁当の活動を頭からそれはいかぬというのは、候補者の問題ではなくて、選挙そのものを明るくして、しかも候補者と有権者の関係をみずみずしく保つためにはどうしても積極的に取り組まざるを得ないのではないか。重ねてお尋ねします。
#158
○国務大臣(石破二朗君) これは偶然の機会でありましたけれども、栗林委員御所属の政党を熱心に支持する運転手のタクシーに乗り合わせました。そうしましたならば、自分らは選挙に当たっては民社党のためにただで運動に参加します、こう言っておりました。大変感心したわけでありますが、党によりましていろいろの事情もあろうかと思います、栗林委員の御所属の党のようにいくところもありますれば、手弁当で足立てるというのはなかなか困難だから、金は出すからそれでひとつしかるべき運動員を雇ってやってくれ、これも私は通る意見だろうと思うのです。でございますから、理屈は先ほど来申し上げましたとおり、戸別訪問は本来自由であるべきだ、しかしながら、日本の現状から考えて、これはよほど慎重におやりになる必要があるのではなかろうか、かように思う次第であります。
#159
○降矢敬義君 私は、総理にお尋ねをいたしたいと思います。
 第一番目には、今国会の所信表明の中で、「政治倫理の確立を図るためには、公正で金のかからない選挙制度の実現が急務である」と述べておられますが、どのような対策をお考えでしょうか。私は、特に次の二点についてお答えを願いたいと思います。
 一つは、参議院の全国区制度につきまして、わが党はいま拘束比例の名簿式についていろいろ検討を進めておることは総理も御案内のとおりでありますが、政府として、今後全国区の改正問題にどういうふうに取り組んでいかれるおつもりでございましょうか。
 それから第二点は、近く五十五年の国勢調査の結果が公表されると思いますが、この結果を踏まえて、これまでいろいろ御議論がありました衆参両院の選挙区の定数是正問題について、どのようなお考えで取り組まれるつもりでございましょうか。
#160
○国務大臣(鈴木善幸君) 政界の浄化と刷新を図る、これは民主政治を守る原点である、このように私は考えておるわけでございます。とかく政治資金がかかり過ぎる、特に選挙の場合に多額の資金を要する、こういうことがいろいろ政界に国民の指弾を受けるような問題がそこから出てくるという問題もございますので、私は、金のかからない選挙制度を確立したい、また選挙運動のあり方についても見直しをする必要があるのではないか、このように考えておるわけでございます。
 金のかからない選挙制度、それは一言で申し上げますれば、個人本位の選挙制度から政党本位の選挙制度というようなことが一つの方向であろう、こう思うわけでございます。私はそういう意味で、今後選挙制度につきましてもまた選挙運動のあり方につきましても、できるだけそのような考え方に立って見直しをしてもらいたい。またさらに、選挙の公営の拡大、こういうこともまた考える必要がある、一つの課題であろう。さらにまた、政党法というようなものについても、各国の法令あるいはその実績、そういう点等につきましても検討をしてみる必要があるのではないか、そういうようないろいろな角度から、金のかからない選挙、そういうものをひとつ研究していくべきではないか、このように思うわけでございます。
 それから、参議院の全国区の問題につきましては、これは余りにも金がかかり過ぎるということが一つ。それからまた、一部の人は別といたしまして、一般に有権者である国民がひとしくその候補者について、人物なり識見なり主張なりというものをよく吟味することがなかなか困難である。そういうような点等もございまして、現在の全国区制度というものを改善しなければいかぬ、改めなければいかぬというのが世論として相当高まっておるように私思うわけでございます。ただ、全国区制度をどういう内容のものにするか、こういう具体的な問題につきましては、政党により、また議員さん方個々にいろいろな御意見があろうかと思うわけでございます。
 私は常に選挙制度等について申し上げておるのでありますが、選挙制度、選挙運動のあり方というような問題は、これはスポーツのルールのようなものであって、一方の政党だけに有利である、そういうことでは選挙制度として適当でないのではないか、私はこのように考えておるわけでございます。十分各党各会派において、また議員さん方の論議を尽くされて、そうして大多数の方がこの辺なら納得がいけるという共通の土俵をそこに見出して、そして選挙法の改正、選挙運動のあり方というものをお決めいただくことがいいのではないか、このように考えておるわけでございます。
 また第三点の、国勢調査の結果が近く発表されるわけでございますが、そういう点について、それを基礎にして今後の選挙のあり方というものをどうするかということは、また十分今後その結果を見た上で研究さしていただきたい、こう思っております。
#161
○降矢敬義君 時間がありませんので、あと二問だけ簡単にお尋ねいたしたいと思います。
 今回の政治資金規正法の改正につきましては、罰則がないとかあるいは抜け穴だらけだとか、いろいろな批判があります。当委員会でもいろいろ御批判がありました。しかし、私はこれは一歩前進だと評価しておりますが、総理は今回の改正についてどういうふうな見方、評価をされているか。
 それから第二点は、当委員会でしばしば議論になりましたが、附則第八条にいわゆる見直しの規定がございます。見直しの方向についてどのようにお考えになり、また通常国会までに成案を得て出すお考えがあるのかどうか。
 この二点をお聞きして私の質問を終わります。
#162
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回の政治資金規正法は、前大平内閣時代に成案を得まして国会に御提案を申し上げております。不幸にして解散等のために審議未了に相なったものでございますが、個人に対する政治献金、その報告の義務化、手続等を明確にいたしまして政治資金の明朗化を図ろうと、こういう趣旨の法案でございまして、御指摘のとおり一歩前進である、私はこのように評価をいたしておるわけでありまして、ぜひこの際皆さんの御理解、御賛同を得て成立をしていただきたい、このように思うわけでございます。
 なお、附則八条でございましたか、政治資金規正法の見直しの条項があるわけでございます。私はその条項の中にうたわれております個人献金の方向というような面につきましては、必ずしも個人献金でなければいけない、このようには考えておりません。最近は個人献金の場合におきましてもその報告義務なりその実施が十分にいっていないという点等もありまして、必ずしも個人献金が明朗であるというぐあいにはいかない。また、企業献金といいましても、これは憲法上も企業の人格というものを認めており、政治的活動等が、政治的表現もできるということに相なっておりますので、私は、個人献金につきましても企業献金につきましても、どうあるべきかというようなことを検討をする必要がある、このように考えておるわけでございます。
 なお、実施されましてから五年間の経過と実績、そういう点を十分踏まえまして慎重に政治資金規正法の改正というものに取り組んでいきたい、こう思っております。
#163
○小野明君 私は、いまも御質問がありました政治資金規正法改正案、本案でありますが、この法案に対する実効性の問題、実際に効き目があるかどうかという問題であります。いま総理はこれは一歩前進であると、こういう評価をなさいました。そしてまた、この九十三国会の施政方針演説でも「政治資金の明朗化を図る法案」と、こういうふうに言われておるわけであります。しかしながら、この改正案の実効性、実際にそれでは明朗化に対する効き目があるかどうかという点について、一歩前進と評価をされておる総理は私は少しおかしいのじゃないか。実際には世上にこれはざる法である、あるいはまた罰則規定がない、こういうことから見まして、まことにこれは私から言わしめれば羊頭を掲げて狗肉を売る案である、こう言わざるを得ないわけであります。しかるに総理は一歩前進とあえて評価をなさる、この根拠は一体いかなるものでしょうか。
#164
○国務大臣(鈴木善幸君) 政治資金規正法上、届け出指定団体、こういう団体をつくりまして、政治資金の受け入れまた支出、そういう点をそれぞれ報告をする、こういうことが一般的に行われてきておるわけでございます。しかるに、一方におきまして、個人に対してなされた献金、寄付、こういうものについての報告義務というものが明確になっていない、そういう点を今回の法改正によりまして個人の場合におきましても団体の場合と同じように報告の義務を明らかにし、手続を規定し、そして政治資金の出と入りを明らかにする、こういうことは私は政治資金の明朗化を図る見地からいたしまして一歩前進である、このように評価をいたしておるわけでございます。罰則がない、しり抜けではないか、こういう御指摘もあろうかと思うのでありますが、私は、政治に携わる者の良識、良心というものを信頼いたしました場合に、この法律によって相当の前進が期待できる、このように考えておるわけであります。
#165
○小野明君 現在の政治資金規正法でも、あるいはこの改正案によりましても、ロッキード事件以来政治に対する国民の不信というものはぬぐい得ない。特に中途半端な今回の改正案ではまさに罰則がない、ざるである、こういうことではまさに総理の言われるような実効性、効果は期待し得ないと私は断言をしてはばからない、こう思っておるわけです。
 それから次の問題でありますが、いま総理は五年前に成立をいたしました政治資金規正法附則八条について必ずしも個人献金の方向と考えていないと、とんでもないことをおっしゃったわけです。この附則八条はお読みになればおわかりになりますように、明らかに政治資金の個人による拠出を一層強化する、こういうことが中心になっていることなんです。それを、先ほども石破自治大臣も、この文言あるいは論理解釈をねじ曲げて、そうではないのだとあえて論弁、強弁を繰り返した。総理もまたそれと同じようないま御答弁でございます。この附則八条の問題は三木総理が参議院本会議で五十年六月九日にはっきり答弁をされておるのですが、「政党が余りにも企業の献金を当てにして甘え過ぎてはいけない、こういうことから私はこれに対して規正を行おうということにした」、「五年後にこの選挙法全般について見直しをやるつもりでございまして、その中に企業献金の問題をどうするかも含まれる。しかし、自民党はそのいかんにかかわらず、党の経常費に対しては企業献金を辞退するという党議の決定を行っておる」、こういう本会議答弁。党の経常費については企業献金を受けない、党議決定である。これは内閣継続の原則があると思うのでありますが、この三木内閣の原則、そしてそれは明確に附則八条にうたわれておる。これについて総理は鈴木内閣においては法規制あるいは三木総理の答弁というものを否定するのだ、こうおっしゃるのでしょうか。
#166
○国務大臣(鈴木善幸君) 八条に一つの希望的な方向として個人献金に今後は移行するのが望ましい、こういうニュアンスのことが述べられておりますことは私も承知をいたしております。しかし、これはこの次の、五年後の見直しの際には全部個人献金にするのだというような意味合いのものではないと私は受けとめておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、個人あるいは法人といえども政治活動をし、またこれに参加できるということは憲法上も認められておるところでございます。最近に至りまして具体的な事例等でも示されておりますように、個人献金必ずしもこれが全面的な一〇〇%のものではない、私はこういうぐあいにも考えておりますし、また、われわれは現実の政治をやっておる立場からいたしまして、現在の各政党におきましてはいろいろ党の財政の依存度というものがあるわけでございます。自由民主党もいまのような個人献金への移行という方向を見詰めまして努力をいたしました。三百万の党員を獲得して、そして党員多数による党費によって党の財政を確立しよう、まあこういう努力もしてきたわけでございますけれども、現在の状況におきましてはそういうものだけでは党の財政はやっていけない。私は、よその政党のことについてはよく存じませんが、いろいろの態様があろうかと思うわけでございます。したがって、いまお話のように、個人献金でなければいけない、こういうことでは今日の政党政治というものの運営が円滑にいかないであろう、このように考えておるわけであります。三木前総理の理想の姿としての発言、これは私も敬意を表しておるものでございますけれども、現実の面からいってなかなかさようにはまいらないということを申し上げておるわけでございます。
#167
○小野明君 しかし総理、附則八条には個人献金強化の方向で検討する、こういう規定があるのですよ。そうすると、総理はこの法律を否定なさるのですね。最近自民党内には、個人献金重視の方向というものは無視して寄付の総量規制を緩和せよとか、あるいは選挙のときにはまた別枠にというような、むしろ企業献金を奨励するような議論が自民党内にありますことを私も新聞で知っております。そうすると、総理は、個人献金を強化する、そういう方向でいけというこの法律を無視して、自民党内の意見――企業献金の増大、選挙のときは別枠だ、こういう方向でこの政治資金規正法を考えていく、こういうことですか。これでは明朗化は絶対図られぬじゃありませんか。
#168
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は個人献金の方向というものを否定しておるわけではございません。それに反対しておるわけではございません。そういう方向というものも一つの方向としてわれわれは努力もしてきた。しかし、企業献金といえども私は悪とは考えていない。現状においてはこれを両様検討して、いかにして政治資金が明朗に確保され、政党政治というものが運用されていくか、こういう観点に立って検討すべきものだ。もう初めから企業献金は悪だ、個人献金でなければならない、そういうぐあいには私は第八条というものはそう制約はしていない、こういう見解を申し述べておるわけでございます。
 なお、自民党の一部に、企業献金の枠を広げたらどうかとか選挙の際にはどうとかいうような意見があること等については、これは各人それぞれ多様な意見というものがあるであろう、こう思います。しかし、最終的には党としては十分論議を尽くしまして党としての一つの方向を出していきたい、このように考えておるわけでございます。
#169
○小野明君 どうも納得できません。
 それから、附則八条の規定に基づいて、総理も御承知のように来年一月一日で政治資金の見直しを行うようになっております。この改正案もざるでありますが、政治資金規正法全体も、それは富士見病院の事件を見ましてもあるいは松野事件を見ても、本法自体も非常に問題がございます。でありますから、これらを見直し、その改正案を検討する時期になっていると思うのです、その時期が迫っておるわけです。その改正案についてはいつの国会に提案をなさるおつもりでしょうか、次期通常国会に提案をなさるおつもりはないのでしょうか。
#170
○国務大臣(鈴木善幸君) 五ヵ年間の経過並びに実績等を十分検討いたしまして、政治資金規正法のあるべき姿というものを今度の改正の際にはしっかりとやらなければいけない、このように考えておるわけでございます。それだけに政治資金規正法のあり方についてはいろいろの議論がございますわけでありますから、十分論議を尽くして慎重にその成案を得るようにということを自治大臣にもお願いをしておりますし、自治省もせっかく努力をしておるという段階でございまして、まだいつという明確な時期を私に示していただける段階に来ていないようでございます。できるだけ早い機会に成案が得られることを期待をいたしておるわけでございます。
#171
○小野明君 そうすると、次期通常国会ということではないということに相なるわけですが、もちろん附則八条に従いまして検討はなさるわけですね。そうですね。その際、現行政治資金規正法にもいろいろ抜け穴がたくさんございます。抜本的な見直し案になると、このように見てよろしゅうございますか。
#172
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来申し上げておりますように、現在の政治資金規正法の実績なり経過なりそういう点を十分検討する必要があるということを申し上げておるわけであります。どこに欠陥があり、どこに足らざるところがあり、どこをどうすべきかという全体として見直しをやる必要がある、検討する必要がある、そういう姿勢で取り組んでまいるつもりでございます。
#173
○大川清幸君 先ほどから御論議が行われておりますが、私からも重ねてお伺いをいたします。
 今国会に提案をされました政治資金規正法の一部を改正する法案に、総理は何をねらい何を期待されておりますか、まずお答え願います。
#174
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回の政治資金規正法案、これは当面個人に対する寄付あるいは献金、こういうものの報告の義務を明確にいたしまして政治資金の明朗化に資しようと、こうするものであります。
#175
○大川清幸君 そこで、当委員会でも二回にわたってこの法案をめぐって論議が行われたわけでございますが、総理もすでに御承知だと思いますけれども、本法案に規定されているたとえば指定団体、これの個数制限はございません。百万円の金額の制限等も一応規制はされておりますけれども、ここでも話題になりました、たとえば齋藤さんの例なんかで言えば、分散をして表向きあらわれないというようなことにもなりましょうし、個人の使途については、これは戻し金なんかについてはノーチェックであるとか、それから個数制限がないだけでなく、指定団体以外に現行法で認められている後援会ないしは政治団体についても金を扱うことができますし、また政治家個人の保有金として個人が管理する金もあるわけでございますので、せっかく改正案をお出しになっても、いままで国民の側から見て政治資金についての不明朗性、不透明性についていろいろ批判があるわけですが、その辺が何ら機能しないと言っても過言ではないと思います。その点についてはどのようにお考えでございますか。
#176
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま大川さんからいろいろ政治資金規正法の問題点について御指摘がございました。私も政治資金規正法につきましてはいろいろな面におきまして疑問点があり、あるいは改善を要する点があろうかと、こう思っておりますが、これらは附則第八条によりますところの全面的な見直しの際におきまして検討さるべき課題である、このように考えておるわけでございます。
 当面は、先ほど申し上げましたように、個人に対する献金の扱いにつきまして、いろいろ世論の面から、早くその明朗化を図るべしとの世論もございまして、それにこたえて大平内閣におきまして成案を得たものでございます。私は、根本的改革については、今後政府として十分取り組んでまいる所存でございますが、当面、この個人に対する政治資金の明朗化、これを図ることも一歩前進である、こういう考えのもとに提案をいたし七おるところでございます。
#177
○大川清幸君 いろいろ不備があったり問題があることも総理はお認めになったわけですし、今後それも前向きで検討したいというようなお答えのように伺いましたが、たとえば本法案でやはりかぎになるといいますか、ポイントになるいわゆる指定団体、このことで私この委員会で論議をしたのですが、先ほど申し上げたとおり、個数制限がないことについてはいろいろやはり今後政治資金にかかわる黒い霧問題が起こる可能性というのは十分残っているわけでございます。この法案の不備な点はこの問題だけではありませんけれども、指定団体をいわゆる政治家が扱う政治資金の金庫と見なして、そこを通すということでチェックしようというお考えのようですが、先ほどから申し上げているとおり、個数制限がないことや、個人が保有金として管理できること、あるいは既存の後援会等を通して資金の操作ができること、こういうことを考えますと、やはり金庫として明朗化するならそこを通すべきなんですから、そうすれば全部やはり入りだけは明確になるわけですから、この個数制限等について将来補足をなさるおつもりはあるのですか、ないのですか。
#178
○国務大臣(鈴木善幸君) 有力な改正意見というぐあいに承っておきまして、今後の検討の参考にいたしたい、こう思っております。
#179
○大川清幸君 先ほどから御論議がありました附則第八条でございますが、石破大臣からも御答弁があったりして、いろいろ聞いていれば疑問がだんだん起こってくるわけでございますが、地方の選管から一部、まだ全部発表になっておりませんが、二、三日前の新聞報道によりますと、やはり政治資金全体でも自治省所管分と地方の選管所管分を合わせても、トータルで大型化している傾向がございますし、この中でとりわけ個人献金についてはそう従来よりふえていないけれども、企業献金型の方が多くなっていること、とりわけ石川県については少額で分散をして表向きに論議にならないような形をとっていること、巧妙ないろいろな形があらわれておるわけでございます。
 そういう点から考えまして、個人献金が余りふえないということは、個人でかなりまとまった金を出すことについてはやはりいろいろ生活にもかかわることですし、税法上の問題もあって大きい金が集まることは困難であろうと思います。従来いろいろ政治の上で問題になることについて、やはり巨額であることがそれなりに威力を発揮するのであり、いままでもいろいろな問題が起こり国民からも疑いを受けておるわけでありますので、あの八条の条文そのものについては、個人による献金の拠出を一層強化するという文言ですが、これが一つの側面だというふうな御表現を先ほどなさっているのですが、これをお決めになった昭和五十年の段階ではやはり個人献金を強化する方向というのが柱であったように思うのですが、この辺に対する総理の評価はいかがでございますか。
#180
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来るる御答弁を申し上げておるところでございますが、わが党におきましても個人献金の方向ということで努力をしておりますことは人後に落ちないところでございます。党員が百万、二百万、三百万、こういうぐあいに現在でも約百二、三十万の党員諸君が党費を納めております。これが党の財政に大きく寄与しておる、こういうことでございまして、その努力は今後も続けてまいる所存でございます。
 しかし、一方において、企業献金は悪である、これはもう直ちにやむべきだという議論には必ずしも私はくみさない、現実性がない、このように考えておるわけでございまして、政治資金規正法を考えます場合は、各政党の党財政の現実ということもやはり考えながら徐々に改革、改善を進めていくのが現実的である、妥当である、このように考えておるわけでございます。
#181
○大川清幸君 時間がないからまた……。
 せっかく総理がお見えになったので、通告はしてありませんが、一言だけちょっとお伺いしておきます、これは選挙法と関係ありませんけれども。
 お昼のニュース等で金大中氏の裁判等に対する韓国側の何か返事があったようですけれども、その辺についてはどのような状況でございますか。一言だけ伺って質問を終わります。
#182
○国務大臣(鈴木善幸君) これは韓国の新聞の報道でございまして、私と崔大使との会談というものを承知しておるかどうか私は存じません。したがって、その新聞の報道というものをあれこれ私がコメントをするということは避けたいと思います。
 さらにまた、私はこれ以上両国の世論といいますか、それを刺激し混乱をさせたくない、鎮静化の方向へ持っていきたいという念願も持っておりますので、この際せっかくの御質問でございますけれども、この問題につきましては発言を慎しみたい、こう思っております。
#183
○山中郁子君 総理の御出席の機会に私は二つの点についてお尋ねをしたいと思います。
 今回の政治資金規正法の改正が、何回も指摘をされておりますように、また私も申し上げてまいりましたけれども、いかにもざる法である、鈴木内閣が政治倫理の確立をスローガンに政治資金の明朗化ということをうたっておられるということではあるけれども、それとは実際ほど遠いものであるということは多く論じられてきたところです。私はこうした政治資金の明朗化、また政治倫理の確立という上で選挙に関して申し上げるならば、まず莫大なお金を使って、そして悪質な買収事件を引き起こす、そういう体質自体にメスを入れなければならないということを強調してまいりました。当委員会におきましても、千葉一区の泰道派の選挙違反について、これが大きな業界ぐるみ、また元警察関係者が含まれた悪質な大型買収事犯であるということを明らかにしてきましたけれども、これがすでに開かれております公判では、私設秘書グループの当事者なども罪状認否でそれらの事実を認めているということが明らかになっています。そういういま、自民党の総裁として、この泰道氏を自民党に迎えられた鈴木総理の責任に照らして、ひとつぜひ反省の弁をお伺いしたいというところですけれども、いかがでしょうか。
#184
○国務大臣(鈴木善幸君) 泰道衆議院議員派の選挙違反の問題、これは現在いろいろ裁判で審理されておる問題でございますので、私はクロとかシロとかいうことを前提にしてあれこれ申し上げる立場にないわけでございます。しかし先ほど来申し上げておりますように、選挙に金がかかる、こういうことが根本の問題でございまして、私どもは今後いかにしてこの選挙風土、金のかかる状態というものを、改めるかどうかということに最善を尽くさなければならない、このように考えておるわけでございます。
#185
○山中郁子君 地元の有権者の方たちで結成されている泰道議員の辞職を実現し金権腐敗選挙をなくす会というところから総裁あてに、泰道氏に辞職を要請するようにという要求書が届いていると思います、総裁は御承知になっていると思いますけれども。また別に市民団体からも、先ほどの冒頭陳述に基づいて千葉地検へ告発も出ております。私は総理が自民党総裁としてもこれらの有権者の当然の要請に対して、泰道氏の自民党からの除名、あるいは国会議員の辞職勧告などということによっておこたえになる御用意がおありかどうか、お伺いをしたいと思います。
#186
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほども申し上げましたように、ただいま裁判でシロ、クロがただされておる段階でございますので、私は静かにその結果を見守りたい、こう思っております。
#187
○山中郁子君 総理の総裁としてのその態度がまさにおっしゃるところの政治倫理の確立、そして政治資金の明朗化を含めるそれらの公約の試金石になるものだということを私は指摘をしておきたいと思います。
 次に、もう一つの点につきましてお伺いをしますが、先ほども自治省にこの委員会でお尋ねをしたのですが、総理の政治団体、政経懇談会は岩手県選管に届け出がされていない岩手政経懇談会に五十二年と五十三年の二年間だけで三千九百六十五万円の金を支出しています。これは五十一年も加えれば約五千万円に上るという多額なお金です。自治省では、これは届け出がされていない団体であるということをお認めになりました。そして明らかに政治資金規正法八条に違反するものであると、その一般論としては、八条解釈としては。しかし、これは誤って、間違って届け出をしていないのではなくて、政治団体ではない、単に支援者のグループなんだからいいのだというかのような御答弁がございました。私はこの点について、まず総理がどのように認識をしていらっしゃるか、お伺いをいたします。
#188
○国務大臣(鈴木善幸君) そういう金額の資金が出し入れをされたということを私はここで否定するものではございません。ただ私は、いまおっしゃったようなことは事務処理上の手続上の問題であって、この金の出入りというものを隠蔽して陰でごそごそ何かをやろう、そういうような性質のものではない。したがいまして、自治省等の指導を受けて事務処理に当たる者が速やかに是正をするようにということを私申しておるわけでございます。
#189
○山中郁子君 ところが、先ほどの自治省の御答弁ですと、それは政治団体ではない、そういうものではない、単なる支援グループだからそれとして届け出るというつもりもない、それだったらこの規正法にかからないから、そこには仮に三千万が四千万であろうと、お金が流れてもそれは差し支えないのだ、こういう御解釈だったのです。
 では鈴木総理のお考え方としては、岩手の政経懇談会を政治団体として届け出るようにする、法にのっとって疑いのないようにするという措置はとらなければならないとお考えになっていらっしゃるわけですか。
#190
○国務大臣(鈴木善幸君) これは事務処理上の問題でございますから、これは当局の御指導を受けながら是正すべきものは是正をする、こういう考えでございます。
#191
○山中郁子君 だから、その当局が、その当事者がそれを政治団体として登録を、届け出をするつもりがないことなのだからそれでいいのだ、こうおっしゃっているのです。鈴木総理はそれを容認されてこのまま放置なさるということですか。
#192
○政府委員(大林勝臣君) 先ほどお答え申し上げましたように、政経懇談会及び岩手政経懇談会両方につきまして私ども及び岩手の選挙管理委員会が関係者の方に照会をいたしましたところ、岩手政経懇談会の方は、いわゆる政治団体、つまり支部としての政治団体という実体はないのであって、むしろ政経懇談会の支出の面が支部支出金となっておること自体が誤解に基づくものである、こういう連絡を受けておるところでございます。
#193
○山中郁子君 だからはっきりしてほしいのは、総理もはっきりしてほしいのですけれども、一つは支部交付となっている、だけど、それは支部ではないのです。支部ではないのだけれども三千数百万円のお金を出しているのですね。これがまず誤り。二年にわたってそういうことが行われていたのです。これは八条違反ですよね、これはもちろん罰則もついている条項です。
 もう一つは、いま鈴木総理のお話を聞くならば、当局の指導を受けて是正すべきことは是正するというふうに考えているとおっしゃるけれども、その岩手政経懇談会というのは政治団体としていままで届け出ていなかったけれども、これは間違っていたから届け出ますというような態度をとっていらっしゃらない。つまり、自治省ではそういう指導をしていらっしゃらないのです。自治省のお話によれば、岩手政経懇談会というのはそのまま温存されていく、そしてそういう団体は届け出をしていない団体なんだから、そこへ幾らお金が行ってもそれは政治資金規正法とは関係ないということで、何千万円のお金が動こうと、仮に億のお金が動こうと、そういうものが関係なく野放しにされるということをお認めになっているのです。総理としてそういうことがあっていいものだとはよもやお考えになっていらっしゃらないと思いますけれども、お考えを聞かせてください。
#194
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、もし山中さんのような疑惑が生ずる心配がある、そういう点は未然に払拭しておくべきだ、こういう御意見、傾聴に値すると思いますのでよく研究をさせます。
#195
○山中郁子君 総理自身がかけ声をかけて政治倫理の確立、政治資金の明朗化とおっしゃって、そして多くのあれを指摘されながら、なおかつこれには一歩前進だというふうに強弁していらっしゃるわけでしょう。その総理が御自分の政治団体にまつわるこうした莫大なお金の不明朗な経過が実際にあるということ、そしてまだいまのお話だとそれらの問題がきちんと解決されていないわけで、私はそこの点がまさにこの政治資金規正法の本当の政治資金の明朗化ということの中身のあるものとして鈴木内閣が提出し得ていない、その本質があると言わざるを得ないと思います。指摘を申し上げまして質問を終わります。
#196
○栗林卓司君 総理にお尋ねします。
 今回の政治資金規正法改正案には罰則の規定がございません。それで実効が果たして確保できるだろうかという議論が再三ございました。
 お尋ねするのですけれども、総理は、特定公職の候補者、その良識を信ずるといいますか良識に期待すると、こういうお答えでございますけれども、その良識がいわば当然存在するように考えて立法するというのは、立法態度として正しいのでしょうか。特定公職の候補者ですから良識があってもらいたいと私も思います。しかし、立法手続として、当然その良識は存在するのだという前提を立てて法律をおつくりになる立法態度というのは正しいのでしょうか。
#197
○国務大臣(鈴木善幸君) そもそも政治活動には多かれ少なかれ金がかかります。そして政治家は国家公共のために献身をしておる。そういう政治家に対して物質的な援助、協力をしてやろう、こういうことが前提であろうと、こう思うわけでございます。したがって、そういうことから、罰則を強化して、そして一々政治献金なり寄付なりその支出なり、そういうものを罰則のもとに厳しく規制をする、こういうことはいかがだろうか、出発の際においてこういうことであったろうと思うわけでございます。
 しかし、先ほど来申し上げますように、五年間実施をいたしましたところの実績、経過等に十分今後検討を加えまして、根本的見直しの際におきましては、罰則等の問題については一つの課題として研究さしていただきたい、こう思います。
#198
○栗林卓司君 重ねてお尋ねしますけれども、いまの政治資金規正法では罰則の条項が第六章にありまして、どれをとってもいいのですけれども、仮に二十三条をとりますと、「政治団体が第八条の規定に違反して寄附を受け又は支出をしたときは、当該政治団体の役職員又は構成員として当該違反行為をした者は、五年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。」、当然のことながらこういう罰則規定があるわけです。団体役員もしくは職員、これは良識はちょっと信用しがたい、しかし特定公職の候補者の良識は信用するのだと。これは改正案が通りますと、ここに入るわけです。いかにも均衡を失した法律になりはしませんか。
#199
○国務大臣(鈴木善幸君) いままで個人に対する献金の届け出義務あるいは届け出の手続等々につきましては、これが十分行われていなかった。そこに政治資金の明朗化を図る面から問題がある。一方において、それが政治資金として使われない場合には、これは当然雑所得として課税の対象になる、こういうような面もございまして、政治資金としての届け出がなければ雑所得としての課税対象と、こういう面もあるわけでございますが、いままでの個人献金をとにかくはっきり届け出をさせる、これを明朗に報告をさせる、こういうようなことからいたしまして私は一歩前進であると、このように考えておるわけでございます。
#200
○栗林卓司君 いや、お尋ねしているのは、果たして明朗に届け出をされるかどうか、法の実効性の担保の問題なんです。また公職選挙法の罰則の規定を見ますと、たとえば二百二十一条で「買収及び利害誘導罪」とありまして、この対象には候補者もなっております。したがって、こう見ていきますと、今回の改正案についてだけは良識を信用するのだと言っていましても、まことに座りが悪い。五年の経過を待ってというお話でありますけれども、至急全体を見直しながらこの法律の有効性をどう担保していくのか、御検討いただきたいと思います。
 次に、参議院地方区の定数の問題でお尋ねしたいのですけれども、総理は、選挙制度というのはいわばルールである、こうおっしゃるのですが、まあルールというよりもいわば民主政治を支えている根幹の部分だと思います。
 そこで、これもルールでしょうかということで、まず御所見を承りたいと思うのですが、地方区の場合は、当初、戦後法律ができましたとき、定数を決めたときにどう決めたのかということを伺いましたら、あるいは趣旨説明を求めましたら、こういったことでした。総数を百五十とします、各選挙区についてまず二議席をあてがいます、最低二です、残余の部分については人口案分で割り振って、しかも偶数にする、まあこれはだれが考えてもそうだろうと思うのですが、こういう定数の割り振り方もそれも実はルールであると私は思うのですが、この点についてはどうお考えになりますか。
#201
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、一つの基準であろうかと、こう思います。
#202
○栗林卓司君 この基準なんですが、十二月に国勢調査の新しい数字が出ますのでそれを踏まえてというのが事務当局の答弁でありますが、実は五年前の数字ではっきりと逆転現象、ふぐあいが出ております。逆転現象というのはどういったことかといいますと、御承知とは思いますけれども、数が少ない府県で定数が多い、これは何とか直さなければいけないということが裁判所の判例等でも言われながら、実は五年前に当参議院でも各党額を集めながら真剣に議論をしたことがございました。そのときに自民党の方が――参議院でありますけれども、当時四党に対してどう御回答になったかといいますと、「我が党としては諸般の状勢判断の上に立って総定数の範囲内での定数是正方策等を検討し出来るだけ早い機会にその結論を出したいとしているところである。」、これが昭和五十年六月十三日。以来この問題がさっぱり片をつかないで今日まで参りました。先ほど事務当局に伺いましたら、事務当局とすると、ここまで踏み込んで作業をすることにはいささかためらいがある――そうかもしれません。といって、自民党の方は五十年六月にこの回答をしたままでありまして、参議院地方区の定数配分の確かに一つの基準であるといま言われた。それは基準として生かされないまま今日に来ております。
 そこでお尋ねしたいのは、参議院の定数の是正について積極的に取り組むお気持ちがおありかどうか、御所見を伺います。
#203
○国務大臣(鈴木善幸君) 近く国勢調査の結果も出るわけでございます。裁判所の判例その他も参考にし、また各党各会派の御意見等も十分伺いながらこの問題は検討さしていただきたい、こう思います。
#204
○野末陳平君 時間の関係で一問だけさせてもらいます。
 私は政治団体がもらう政治献金に対して課税をするという提案をしたいと思うのです。いまの改正法はいささかの前進があると評価しておりますが、しかし政治浄化のためには政治資金規正法とは別の角度から政治献金というものを見直すべきではないか、そういう観点があると、そう思っているのです。いまの政治献金はまあ報告の義務はあるといっても、その内容というのは非常にあいまいでありまして、しかも使い方というのはかなりずさんな点もあるわけですね。それから政治団体にしても、さっきの委員会でも出ましたけれども、一人の政治家が幾つも持てたりあるいは簡単につくれたりあるいは実態は、政治活動をするというよりも金集めの機関になっているという面も当然あるわけですね。その辺に国民がいろいろな疑惑を持つわけですから、報告の義務といってもさして重みがない、そういうふうに考えるのです。こういう野放しの現状で果たして政治資金規正法をいろいろな点から見直し、そして改正を重ねても、どうも国民の目には政治献金そのものがうさん臭いという感じはいつまでも残るのではないか、そう考えますので、今度は政治資金規正法とは別の角度、つまり課税という面から考えてみたのです。
 そこで、いま問われているのは何かと言えば、当然政治家のいわばふところですか、政治献金の使い方、公私混合の面も含めまして、そういう点に不信と疑惑が集まっているわけですね。ですから、政治そのものが疑われている。この現状はやはり国民がある程度納得するような形で政治献金をわれわれが受け取り、使わなきゃならない。そこで、この政治献金の明朗化あるいは公開化というような点は当然なお一層進めていかなきゃならないのですが、同時に大切なのは、なぜ政治献金が非課税扱いで政治の金が一種の聖域になっているのかという点をもう一度われわれ政治家が反省してみなきゃいけない。いろいろ考えまして、やはりこの面に国民が割り切れない思いをしているに違いない。ですから、なぜ非課税なのか。確かにこれは税法上の理屈はいろいろありまして、政治家側の論理としては説明はつくのですが、世間にはとうてい通用しないと私は判断しているわけなんです。
 いっそのこと政治団体が集める政治献金、つまりこれは収入ですね、これに対して一律に課税をするという方向を考えたらどうだろう。個人の場合じゃありません、あくまで団体が扱う政治献金です。現実問題としては非常にむずかしいのですね。とっぴな提案と思われるかもしれませんけれども、現行の税法ではとうてい網にかからないわけです。政治団体といえども収益事業をやっているわけじゃありませんので、法人税の扱いというのはとうてい無理でありますので、どんな税金がいいかという場合に、現行法ではとうていいい案もないし無理があってできないのです。ですから、これはもう新しい税目になってもやむを得ないので、どんな税金かといえば、政治団体が集めた献金を収入として、その金を集める能力に対して、ここには負担力はあるわけですから、ここに着目して、個別の事情は一切問わないで、額に応じた一定の率で課税していく。これは税金というよりも一種の社会還元のような形になりますけれども、政治活動で社会に還元していくのか、税に似たようなもので還元していくのかはともかくとしまして、いずれにしてもそういう金を取ってその後を政治活動に使うのは自由である、これは政治家の良心にも任せるし、政治資金規正法の範囲に入っていく、こういうようなことが規正法の見直しと同時に必要になっているのではないか、それをしない限りは幾ら見直しを重ねても、政治献金そのものの何か後ろ暗さというか、そんなものは消えないであろうと、そう考えているのです一
 総理に御意見を伺いたいのですが、いかがでしょうか。われわれが自分のふところに対して課税というか、新しい税目を考えていくわけですから、国民に迷惑をかけるわけでもないし、しかもこういう新税、あるいは増税であればこれは国民の方も大歓迎だと思うので、やるべきかどうか、われわれがそういう気持ちを持つかどうかにかかっているので、団体がもらう政治献金に対してこれを課税の対象にする、つまり政治団体も新しい形の納税義務者にする、こういう方向の検討を総理が当局に指示する、あるいは議員立法の形でもいいのですが、政党が考えてみる、こういうことを提案してみたいのですが、それに対して総理の御意見を伺って質問を終わります。
#205
○国務大臣(鈴木善幸君) 野末さんから大変勉強になる御提案、御発言があったわけでございますが、本来政治献金なり政治家に対する寄付というのは、政治家の方々が国家社会のために献身をされている、働いておられる、それに対して財政的な面から支援、協力をしてやろう、こういうことが出発だと、こう思うわけでございます。
 ただ問題は、そのような善意の上に立って支援、協力で得たお金を私生活に使うとか、別の方向に使うとかいうことになりますと、これは本来の政治献金の趣旨に反することに相なるわけでございます。私はそういう面こそ正されなければならない、こう思うわけでございまして、今後の政治献金、寄付等に対して課税をするということよりも、一遍政治献金がなされたものの使い方、使い道について、これが政治目的以外に使われるというようなことについて、これを正す、規制をするということが本来のあるべき姿ではないだろうか、このように私は認識をいたしておるわけでございますが、いままではどっちかというと入る方の、どこから一体そういうお金が入ったか、献金があったかということについては非常にやかましいのでありますが、それがどういうぐあいに使われたか、使われておるのかという面については確かに庶民の疑惑なりを受けるような面がいままであったのではないか、このように思うわけでございます。しかし、総体的に、政治にこうして夜遅くまで携わっていらっしゃる方々は、政治に金がかかるということで、不当な金を、不要の金を集めてそれを浪費しておるとは私は考えておりません。みんなが政治活動をするために本当に苦労をして、世間からは変な金を集めているのじゃないかと、こう見られながらも、しかし政治に対しては現実に金が要るということでみんなが御苦労をされておるというのが現実の姿ではないだろうかと、こう私は思うわけでございます。そういう意味で、政治家、政治家の生活、政治資金のあり方ということにつきまして国民の皆さんにもよく御理解を願うことが必要ではないだろうかと、こう思っておるわけでございます。
#206
○委員長(鳩山威一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#207
○委員長(鳩山威一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#208
○小野明君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております政治資金規正法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 今日、政治に課せられた最大の責務は、政治資金を明朗化し、政治倫理の確立を早急に図ることにあります。政治に対する国民の信頼を回復し、議会制民主政治の健全な発展を期するためには、まず清潔な政治を確立することが焦眉の急務と言わなければなりません。
 ここ数年続いたロッキード・グラマン事件や、大平内閣における松野事件など自民党の金権体質は後を絶たず、最近では、政治倫理の確立を強調される鈴木内閣においてすら齋藤前厚生大臣らに対する富士見産婦人科病院の北野献金問題など政治資金にかかわる腐敗には目を覆うものがあり、ますます国民の疑惑を深めております。
 そして何よりも今回の事件で明るみに出たことは医療の荒廃もさることながら、政治家個人のモラルの欠除、金銭感覚の麻痺、そして驚くべき多額の金がやみからやみへと流れている事実であります。政治家と金の問題については、従来から国民の厳しい批判を受けており、これにこたえるためには、政治資金の質と量を合理的に規制し、資金の流れをガラス張りにし、その収支を明朗なものにして国民の前に明らかにする仕組みが必要であります。政治資金規正法は、まさにそうした方向に沿って抜本改正が行われるべきであり、そのことこそが、いま強く望まれているところであります。
 しかるに、今回提案されております改正案は、わが党がかねてより主張している、政治腐敗の温床となる企業献金の禁止や、寄付についての量的規制を強化し、個人献金の年額二千万円の上限の大幅引き下げを図ること、さらに収支報告のうち、年間百万円以上の寄付者の氏名報告の金額を大幅に引き下げること、あるいは政治家の資産公開制度などの重要事項について全く触れられず、わずかに政治家個人の政治資金の収支について届け出制を新設しているにすぎず、しかも訓示規定であって強制力がないなど国民の期待していたものにはほど遠く、とうてい政治浄化に資するものとは言えません。これが反対理由の第一であります。
 第二は、指定団体の届け出や報告等により、政治献金の「入り」の部分は若干明らかにされるといたしましても、依然として「出」の方が不透明なままにされていることであります。政治献金を一たん政治家の指定団体に入れた後、再びこれを寄付の形で引き出し、どのように使っても報告義務が課されないなど改正案の仕組みそのものがしり抜けになっている点であります。
 第三は、罰則の規定が設けられていないことであります。
 政治家個人が従来どおり政治献金をみずから管理し報告しなくても、また、指定団体への献金の報告を怠っても法的制裁措置がなく、さらに報告書の内容を検証する手段もなく、ただひたすら政治家の倫理観にまつという改正案では政治不信の回復は容易に得られるとは思われません。
 第四は、現行制度の欠陥部分が少しも改善されていないことであります。
 齋藤前厚生大臣らは多額の政治献金を報告義務のない百万円以下に分割し、複数の政治団体に計上して明細の報告を免れる方法を講じています。今日、そのことが政治不信の原因となっているのに、改正案では、この点についての改善措置が全くなく、一連の政治献金事件に対する反省が見られないのであります。
 第五は、本委員会の論議の中でも明らかなように、法附則第八条の見直し規定に対する政府見解の無責任さであります。
 政治献金は、基本的な方向として企業献金から個人献金へ強化していくということが五年前の法改正の趣旨であったにもかかわらず、総理並びに石破自治大臣からは企業献金を奨励するかのごとき発言も見られ、また、五年が経過する今日においても、見直しのための検討内容や、次期通常国会への法案提出の見通しさえも明らかにされず、いわんや寄付の総量規制を緩和する動きすら見られるなど自民党の金権体質は一向に改められず、政治浄化にはほど遠いものとなっていると言わざるを得ません。
 政府は速やかに本案を撤回し、以上述べた重要課題を解決するに足る、真に国民の要求にこたえ得る改正案を提案されるよう強く要望し、本案に対する反対の討論を終わります。
#209
○降矢敬義君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となっております政治資金規正法の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行います。
 本法律案は、昨年九月に行われました航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言を受けて、政治家個人に係る政治資金の明朗化を図るため、その政治資金を取り扱うべき政治団体の届け出、収支の公開等に関する制度を新たに設けようとするものであります。
 民主政治は政党、政治家に対する国民の信頼を基礎に、民意を十分吸収し、政策に反映することによってその成果が期待されるものであります。政治家が政治活動を行うに当たって、いやしくも金銭的に疑義を持たれるようなことがあっては、国民の信頼を失うことは当然であります。政治資金の浄化は真に政治の根幹にかかわる問題であると言っても過言ではありません。これまで政治家個人の政治資金の収支については何ら報告する制度がなく、そのために政治資金にまつわる問題がしばしば論議を醸してきました。このような状況に対処して本法律案は、政治家の私人としての経費と政治活動に必要な経費を区別し、政治活動に関する寄付については、指定団体を通じて、あるいは政治家みずからがその収支報告書を提出することにより政治資金の流れを明朗なものとし、もって国民の政治資金に対する疑惑を排除の方向に導こうとするものであります。
 私は、本改正案は時宜に適したものであり、政治倫理の確立の上からも現段階においては大きく一歩前進するものとして評価するものであります。もとより私はこれをもって万全なものと考えるものではありません。政治を浄化し、常に政治に対する国民の信頼を確保していくためには、政治資金規正法を含め選挙制度全般にわたって絶えず見直す必要があり、将来に向かってさらに検討されることを政府に強く要望し、私の賛成討論を終わります。
#210
○多田省吾君 私は、公明党・国民会議を代表して、政治資金規正法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行うものであります。
 わが党はすでに本年六月に政治資金規正法改正案要綱を発表し、企業献金の禁止、また政治家個人への政治献金に対する収支報告義務の新設、現行法の改善等を述べております。しかし、このたびの改正案は、政治家個人への献金に緩やかな収支の届け出、報告、公開制を設けたとしておりますが、残念ながら本改正案は抜け穴だらけのざる法であり、この改正で政治資金がガラス張りになり、明朗になることは不可能であり、反対せざるを得ません。
 以下、具体的に反対の理由を申し上げます。
 第一に、改正案では、献金を一たん自分の指定団体に入れ、その団体から献金を受けて使った場合、その金の使途については明細の報告義務がありません。つまり、献金を私経済に使っても全くチェックできない欠陥があります。このため、献金を政治活動以外に使用した場合は課税対象どなるにもかかわらず、自主的な申告がない限り課税も免れることができる姿になっております。このような欠陥を是正しない限り収支の透明化はでき得ません。
 第二に、政治家が数多くの政治団体を持っており、指定団体に多くの政治団体を指定すれば、同一者からの献金額が年間百万円を超えても、分散して百万円以下にすれば報告義務を免れるということになり、現行法の盲点をそのまま引き継いでいることであります。
 第三に、政治家が従来どおり政治資金を個人で保管するいわゆる保有金の収支を報告しなかったとしても、罰則規定がないということであります。単なる政治倫理の問題として処理されるだけであります。
 第四に、根本的な問題であり、また今後の重要な課題でもありますが、ロッキード事件、日商岩井事件、KDD事件など、企業献金に絡むさまざまな疑惑が表面化しているにもかかわらず、世論の強い要請である企業献金の禁止に全く手がつけられていないことであります。
 以上、四点にわたり反対の理由を申し上げましたが、多くの問題を未解決のまま、抜本的改正にはほど遠い罰則なしの抜け穴だらけのざる法改正案は、政治家の倫理確立、綱紀粛正を掲げて登場した鈴木内閣が国民の期待にこたえられない政府であるということを証明するものとしか言いようがありません。このような骨抜きの改正案では国民の政治不信を回復することはますます困難であることを指摘いたします。
 なお、去る五十一年の改正、施行されたときに定められた附則第八条で、企業献金から個人献金への移行を主眼として五年後の見直しを定めておりますが、見直しの時期は目前に迫っており、政府は前向きの法案を速やかに提出すべきことを要求して、反対の討論といたします。
#211
○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、政治資金規正法改正案に対し、反対の討論を行うものであります。
 一連の航空機疑獄やKDD事件、税政連による法案買収事件など汚職腐敗事件の根源が、まさに企業や業者団体などからの政治献金容認にあることは今日国民周知の事実であります。
 ところが、今回の改正案には、企業、労組などの団体献金には一切手を触れず、その結果これを引き続き容認するものになっております。この点にわが党が本法案に反対する第一の理由があります。
 政治家個人の受けた献金の公開について言うならば、賄賂性の濃い企業など団体献金を禁止し、寄付は個人に限るとして初めて実効が期待されるものであります。
 反対の第二の理由は、改正法案に重大な欠陥があるからであります。
 その一つは、政治家が受けた献金を意図的に百万円以下に細分化すれば、寄付者の氏名、住所が明らかにならず、献金総額のみの報告で済まされ、資金の公開の実は果たされません。
 二つ目の欠陥は、受けた献金を指定団体に一たん入れた後政治家が寄付を受けた形で支出すれば使途の報告義務が全く要らないという点であります。また、物品による寄付も法改正の対象外としており、同法本体との整合性に欠けるものであります。
 第三の欠陥は、今回の改正部分には罰則がなく、何ら実効性が保障されない全くのざる法そのものであるという点にあります。
 最後に、私は、本法案審議を通じても明らかになったように、政府・自民党が、金のかからない選挙実現を口にしながら、前回の宇野派、今回の泰道派に代表される大規模な買収や派閥金権選挙などの、金がかかる選挙の実態に目を覆っている事実を強く指摘せざるを得ません。こうしたみずからの前近代的体質にほおかむりして、一連の選挙法改悪をたくらむがごとき行為はまさに本末転倒、言語道断であります。
 いまこそ、この金権腐敗体質にメスを入れることによって清潔な政治実現の第一歩を進めるべきであることを重ねて主張して、反対討論を終わります。
#212
○栗林卓司君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました政治資金規正法の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。
 この法律案は、政治家の私の経済と政治活動に必要な経費とを明確に区別するために、政治資金は原則として政治団体において受け入れるべきものとし、政治家が受けた政治資金も直ちに政治団体に寄付すべきものとする改正案であります。
 従来、政治家個人が受けた政治資金については収支報告の義務がなく、したがって、その実態が明らかにされないまま推移してまいりました。この状況に比げれば、本改正案は一歩も二歩も前進した内容をはらんでいると思います。
 しかし、最大の問題点は、実効の確保であります。
 わが国の選挙風土を概観した場合、残念ながら、民主政治は国民による政治であり、したがって運動員も、政治資金も、さらには候補者も、自分たち国民が負担していこうという認識が十分とは言いがたい状況にあります。与えるよりも与えられることを是とし、その資金の出所、性格を問わず、ただ恩恵を喜ぶ風潮もなしとしません。
 こうした現実を直視した上で、公明正大な政治資金の管理をどのように進めるか、そこに本改正案の最大の眼目がなければなりません。
 しかし、この肝心な点で本改正案は何の罰則もなく、また何の恩典もなく、ただひたすら政治家の良識に期待するのみであります。もちろん、政治家の良識は期待されなければなりません。しかし、その良識が存在することを当然の前提として立法を行うことは間違いであります。仮に良識を欠いた政治家が存在した場合、政治資金規正法はその法の枠内で誤った行為を正すことが可能でなければなりません。しかし、せっかくよい改正の方向に向かいながら、実効を担保する道を欠いた本改正案は、まさにざる法と言わなければなりません。
 今後の政治資金の改正作業を通じて修正、是正されることを要望し、反対の討論といたします。
#213
○委員長(鳩山威一郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#214
○委員長(鳩山威一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 政治資金規正法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#215
○委員長(鳩山威一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#216
○委員長(鳩山威一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#217
○委員長(鳩山威一郎君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 公職選挙法改正に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#218
○委員長(鳩山威一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#219
○委員長(鳩山威一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#220
○委員長(鳩山威一郎君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#221
○委員長(鳩山威一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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