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1980/10/17 第93回国会 参議院 参議院会議録情報 第093回国会 物価等対策特別委員会 第2号
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1980/10/17 第93回国会 参議院

参議院会議録情報 第093回国会 物価等対策特別委員会 第2号

#1
第093回国会 物価等対策特別委員会 第2号
昭和五十五年十月十七日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         丸谷 金保君
    理 事
                斎藤栄三郎君
                藤井 裕久君
                大木 正吾君
                原田  立君
    委 員
                岩本 政光君
                佐々木 満君
                田沢 智治君
                西村 尚治君
                福田 宏一君
                増田  盛君
                森山 眞弓君
                本岡 昭次君
                山田  譲君
                渡部 通子君
                市川 正一君
                木島 則夫君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       河本 敏夫君
   政府委員
       経済企画庁長官
       官房長      禿河 徹映君
       経済企画庁国民
       生活局長     小金 芳弘君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○当面の物価等対策樹立に関する調査
 (物価対策の基本方針に関する件)
 (派遣委員の報告)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(丸谷金保君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題とし、物価対策の基本方針につきまして、河本経済企画庁長官から所信を聴取いたします。河本経済企画庁長官。
#3
○国大臣(河本敏夫君) 当委員会が開催されるに当たりまして、当面する経済情勢と経済運営の基本的方向について所信の一端を申し述べたいと存じます。
 わが国経済は、五十三年末以降の第二次石油危機のため再び試練に見舞われ、特に国際収支や物価の面で大きな影響を受けました。
 これに対し、国民の賢明かつ冷静な対応の結果、これまでのところ第二次石油危機の影響が深刻化する事態を避けることができました。国際的にも良好な成果を上げたとして高い評価を得ております。しかし、石油危機の試練が完全に終わったわけではなく、またイラン・イラク紛争など不透明要因もあり、わが国経済を安定成長路線に定着させるためにはなお一層の努力が必要であります。
 最近のわが国経済の動向を見ますと、物価については、卸売物価は、本年春ごろまで原油など海外の原材料価格の高騰、円安の進行等から大幅な上昇を続け、四月には前年同月比二四%の上昇となりました。その後円高や海外原材料市況の落ちつき等から騰勢が鈍化し、ほぼ峠を越えたものと思われます。
 消費者物価は、卸売物価高騰の影響等から本年二月以降おおむね前年同月比八%台の上昇が続いております。八月、九月には天候不順の影響による野菜価格の高騰などのため高い水準となりましたが、卸売物価からの波及は漸次鈍化しており、基調的には落ちつきの方向にあると判断をしております。
 一方、景気については、昨年から本年の初めにかけて比較的順調な拡大が続いてまいりましたが、このところかげりとも目される状況が見られるに至りました。
 国内需要は、民間設備投資が堅調な増勢を続けているものの、民間最終消費が伸び悩み、民間住宅投資が停滞するなど総じて増勢が鈍化しております。これに伴い、生産、出荷の拡大テンポも次第に緩やかなものとなっております。
 また、企業の収益は好調が続いていると見られますが、今後の動向については慎重な見方がなされております。
 この間、雇用は昨年来の改善傾向を続けている反面、企業倒産は高水準で推移しております。
 輸出は、これまでのところ順調な増加を続けてまいりましたが、欧米の景気は総じて停滞を示しており、わが国の輸出をめぐる環境は必ずしも手放しで楽観しがたい状況となっております。
 以上のような経済の現状を見ますと、今後の経済運営のあり方としては、物価と景気の両方を注意深く見守り、早目早目に的確な対策を講ずることが何よりも肝要であります。
 このような考え方のもとに、政府は、去る九月五日の経済対策閣僚会議で、物価の安定と景気の維持を図ることを基本方針とし、物価対策の推進、公共事業等の円滑な執行、金融政策の機動的運営等八項目の経済対策を決定した次第であります。
 次に、この八項目の経済対策についてその概要を申し述べます。
 初めに物価対策について申し上げます。
 物価の安定はあらゆる経済政策の基本であり、国民生活安定の基礎であります。同時に、物価の安定はひいては国内需要の着実な拡大につながり、経済の安定的成長に資するものであると考えております。
 このような観点から、今般の経済対策では、物価の落ちつき傾向を定着させることを目指し、物価対策に特に重点を置いております。
 このため、通貨供給量を監視しながら、生活関連物資及び国民経済上重要な物資の需給、価格動向の調査、監視を行い、必要に応じ供給の確保を図ってまいります。また野菜等生鮮食料品の安定的供給に努める等各般の物価対策を積極的に進めてまいります。
 次に、公共事業等の執行については、最近の経済情勢を考慮し、地域の実態、現状等に十分配慮しながら、下期においては前年度に比べ相当程度の伸び率を確保することとし、当面第三・四半期の契約目標額を前年比三〇%程度増加させることとしております。
 さらに、住宅建設の促進、民間設備投資の推進、エネルギー対策の推進を図り、中小企業対策に十分な配慮を行うとともに、調和ある対外経済関係の形成に努めることとしております。
 また、金融政策については、今後とも内外の経済動向及び国際通貨情勢を注視しながら機動的に運営することとしております。
 今般の経済対策は、民間部門中心の成長を維持するために必要な環境整備を行おうとするものであり、経済の実態を踏まえ、政府として可能な限りの工夫と努力をしたものであります。
 わが国経済は、民間部門を中心とした旺盛な成長力を持っております。早目早目の環境整備により着実な経済の発展が可能であると信じております。
 今般の経済対策により、わが国経済は下期から再び堅実な拡大傾向を回復し、年度全体として政府見通し程度の実質成長率が確保される見込みであります。
 物価については、天候不順の影響や原油価格の動向等厳しい情勢にありますが、物価対策を引きき続き強力に推進することにより、消費者物価の上昇率が政府見通し程度におさまるよう最大限の努力を傾けてまいる所存であります。
 以上、最近の経済情勢と今後の経済運営の基本的方向について所信の一端を申し述べました。
 今日、石油問題等わが国経済を取り巻く環境には厳しいものがありますが、政府はあらゆる努力を払い、国民各層の期待に十分こたえる政策の展開を図ってまいる決意であります。
 本委員会の皆様方の御理解と御支援を切にお願いを申し上げます。
#4
○委員長(丸谷金保君) ただいまの所信に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(丸谷金保君) 次に、先般本委員会が行いました委員派遣について、派遣委員から報告を聴取いたします。
 まず第一班の報告をお願いします。大木正吾君。
#6
○大木正吾君 第一班につきまして御報告申し上げます。
 第一班は、丸谷委員長、岩本委員、福田委員、森山委員、そして私、大木の五名で構成され、八月二十六日から二十八日までの三日間にわたり北海道へ派遣されました。なお、最終日には対馬委員が現地参加をされました。
 第一班の主な視察個所は、釧路においては釧路ハイミール工場、釧路西港及び市設魚揚場、十勝においては十勝家畜市場、池田町ワイン工場及び北海道農協乳業、さらに札幌におきましては二条市場等でございました。この間、釧路漁業協同組合並びに十勝農業協同組合において、漁業、農業関係者より、農漁業資材価格高騰の影響について実情聴取を行いました。最終日の二十八日には、北海道庁におきまして、北海道の物価情勢全般にわたり堂垣内知事初め関係当局から概況説明を聴取し、さらに消費者団体からも陳情を受けてまいりました。
 以下、物価動向並びに要望事項を簡単に御報告いたします。
 初めに、最近の北海道の物価動向でありますが、北海道の消費者物価は、昨年十一月まではおおむね全国の上昇率を下回って推移しておりましたが、十二月以降は灯油値上げ等の直撃で北海道の物価上昇率が全国水準を追い越し、さらに本年二月には全国に先駆けて北海道電力の電気料改定が行われたこともありまして、六月まで七カ月の連騰で、全国の物価上昇率を上回って推移しております。消費者物価の五十四年度の上昇率を見てまいりますと、全国が四・八%上昇となっているのに対し北海道は五・三%の上昇と〇・五ポイントも上回っており、これは、光熱費の上昇率が全国の一一・七%の上昇に対しまして北海道は実に二三・一%の急騰となっていることから見ても、北海道の物価上昇要因が灯油を初めとする燃料高騰であり、これが道民生活をいかに圧迫しているかが推察できると思うのであります。加えて、北海道における物価の特徴は、家庭用プロパンガス等に見られる北海道販売価格が全国に比べ高いという点でございます。
 こうした北海道の物価情勢に対し、北海道庁を初めとする行政機関側からは、家庭用燃料について価格指導、需給指導を徹底したこと、野菜については出荷促進策を強化したことなどによりほぼ混乱なく推移してきた、今後も物価動向には最重点で配慮していきたい、北海道と全国との価格差の是正については中小企業に対する近代化や構造改善等で流通面の合理化を図り積極的に対処したい旨の説明がありました。
 次に、私たちは、最近の円高、需給緩和により石油価格の値下がりが若干見られるものの、昨年末からの七次にわたる石油元売り価格の急騰で農漁業経営が著しく影響を受けていることに着目し、その実情を聴取してまいりました。
 釧路漁協では、最近魚価の低迷が続いている中で燃油が三〇から四〇%も上がっており、これを取り戻すために魚価の三割以上の引き上げが必要である、これは業界にとって第二の二百海里の出現と同じ打撃であり超党派の救済をお願いしたいとの意見があり、燃油の適正価格の維持と安定供給の確保が強く要望されました。
 また、十勝農協におきましては、農畜産物の価格が横ばいないし下落している中で、燃油が五十年対比二・二倍、肥料価格及び飼料価格などが二〇%上昇、農機具価格が三五から四〇%上昇、特に農機具については為替相場の上昇にもかかわらず国内販売価格は上昇の一途をたどっているなどで、物価上昇が農業経営を著しく圧迫してきているとの意見があり、総合的な農畜産物価格制度の確立や石油の供給価格の安定等が強く求められました。
 私たちはまた消費者団体からも要請を受けました。消費者団体からは、厳しい気候条件下に暮らす北海道民の生活を快適にすることを基本に、ストーブの物品税免税基準の見直し、省エネ住宅融資制度の充実、さらに最も関心の深い灯油、プロパンガス価格の安定策として国民生活安定緊急措置法の発動や安定供給のためのきめ細かな対策などが強く要望されました。
 最後に、北海道知事から、家庭用灯油及びプロパンガスの安定供給の確保と価格抑制、野菜生産出荷安定法に基づく指定消費地域の拡大、水産物輸入体制の確立、公共料金の抑制、地方消費生活センターの整備促進の要望がありましたことを御報告いたします。
 第一班のやや詳細な報告は会議録に譲ることとし、はなはだ簡単でありますが、以上をもちまして私の派遣報告を終わります。
#7
○委員長(丸谷金保君) ありがとうございました。
 次に、第二班の報告をお願いいたします。藤井裕久君。
#8
○藤井裕久君 第二班の調査の結果を御報告申し上げます。
 第二班は、山田委員、渡部委員と私の三名で、本岡、沓脱の両委員が現地参加されました。九月三日から五日までの三日間、兵庫県、大阪府における経済、物価及び消費者行政の実情等を調査してまいりました。
 調査内容の詳細につきましては会議録掲載に譲ることにいたしまして、ごく簡単に要約のみ御報告申し上げさせていただきます。
 まず、兵庫県から申し上げます。
 最近の兵庫県の消費者物価指数は、ことしの一月以降各月とも全国と同じように七、八%前後の上昇となっており、五十四年の各月がおおむね四、五%程度の上昇であったことと対比してみますと相当の高騰である。特にこの八、九月の天候不順の影響による野菜価格の高騰というようなことから物価の先行きが心配されておるというのが現状でございます。
 物価対策としては、生活物資等の価格の動向だとか需給の状況の調査監視、あるいは物価の啓発事業、あるいは生鮮食料品の安定供給対策――野菜を中心としたものでございますが、さらに地価対策等を通じまして物価の安定を図っております。
 なお、物価対策につきましては、県当局から、
 一つは、野菜の価格が国民の消費生活に及ぼす影響が非常に大きいということにかんがみ、高騰時におけるタマネギ等の放出など国の行う野菜価格安定緊急対策事業の拡充を図られたいということ、
 第二番目に、これから灯油を主体とする石油製品の需要期を迎えるに当たって今後の石油製品の安定供給には十分配慮してもらいたいということ、
 第三番目に、石油業界の製品の売り惜しみ、便乗値上げ等の監視、それに公正価格の形成についての行政指導を適切に行ってほしいということなどの要望が強くございました。
 消費者行政につきましては、消費者啓発事業の充実とか、生活文化県民運動の推進とか、あるいは消費者保護対策の強化、省資源・省エネルギー運動の推進というようなことを柱に消費者行政の推進を図っております。
 景気動向についてでありますけれども、県下の景気動向は、鉱工業生産の停滞や鉄鋼だとか繊維業界に減産の動きがあり、さらに地場の一部の特産業界が低迷しているなどの不安材料はありましたけれども、民間設備投資が堅調に推移する見通しでありますし、また個人消費も全国と同じように一部にかげりが見られますものの底がたい動きを示しておりまして、総じて順調に推移しておるというふうな現状でございます。
 次に、大阪府でございますが、大阪の経済の景況については、大阪の経済の特性から、石油危機後の不況時における落ち込みは全国よりもずっと大きくて、その回復のテンポは全国に比べて緩やかで、鉱工業生産が石油危機直後のピーク時の水準を回復したのは実は昨年の五月であるというような状況でございます。その後、本年春ごろまで順調に上昇基調をたどっておるのでありますし、景気も着実に拡大基調を示してきたところでありますが、最近に至り景気拡大のテンポは鈍化しておるという状況にあります。
 物価動向を見ますと、卸売物価は、これもやはり全国あるいは兵庫県と同じように、昨年の高騰から見るとかなり落ちついております。六、七月の前年同月比ではなお相当上昇しておりますものの、前月比では〇・七%、〇・三%とそれぞれ下落しております。
 他方、消費者物価の方は、ことしに入って逐次上昇幅を高めておりまして、卸売物価の鎮静化傾向とは対照的でございます。さらに天候不順による野菜価格の高騰などもあって、消費者物価の安定はやはり大阪でも大きな懸念が持たれております。
 物価の主要施策としましては、生活関連物資対策の推進、あるいは生鮮食料品等の供給確保、価格安定、こういうようなことを柱に物価の安定に努めております。
 最後に、消費者行政につきましては、大阪府は知事を本部長といたしまして消費者行政推進本部会議というものをつくっております。消費者行政及び生活関連物資に係る各部局間の企画調整をそういうところでやっておりまして総合的な施策の推進を図っております。また、府下の主要な消費者団体に対する事業の補助、あるいは消費生活センター業務の拡充などによって府民の消費生活の安定と向上に努めております。
 簡単でございますが、以上で御報告を終わります。
#9
○委員長(丸谷金保君) ありがとうございました。
 ただいま御報告がございました各班から別途詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(丸谷金保君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時二十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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