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1980/11/07 第93回国会 参議院 参議院会議録情報 第093回国会 決算委員会 第4号
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1980/11/07 第93回国会 参議院

参議院会議録情報 第093回国会 決算委員会 第4号

#1
第093回国会 決算委員会 第4号
昭和五十五年十一月七日(金曜日)
   午後一時三十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十九日
    辞任         補欠選任
     近藤 忠孝君     安武 洋子君
 十一月六日
    辞任         補欠選任
     安武 洋子君     沓脱タケ子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野田  哲君
    理事
                井上  孝君
                高橋 圭三君
                降矢 敬雄君
                小山 一平君
                峯山 昭範君
    委 員
                伊江 朝雄君
                石本  茂君
               大河原太一郎君
                河本嘉久蔵君
                坂元 親男君
                塚田十一郎君
                内藤  健君
                福田 宏一君
                穐山  篤君
                佐藤 三吾君
                寺田 熊雄君
               目黒今朝次郎君
                鶴岡  洋君
                沓脱タケ子君
                柄谷 道一君
                三治 重信君
                森田 重郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  園田  直君
       国 務 大 臣
      (環境庁長官)   鯨岡 兵輔君
   政府委員
      警察庁刑事局保
      安部長       谷口 守正君
      環境庁長官官房
      長         北村 和男君
      環境庁企画調整
      局長        藤森 昭一君
      環境庁企画調整
      局環境保健部長   七野  護君
      環境庁大気保全
      局長        三浦 大助君
      法務大臣官房審
      議官        水原 敏博君
      大蔵省主計局次
      長         矢崎 新二君
      厚生政務次官    大石 千八君
      厚生大臣官房審
      議官        吉原 健二君
      厚生省公衆衛生
      局長        大谷 藤郎君
      厚生省環境衛生
      局長        榊  孝悌君
      厚生省医務局長   田中 明夫君
      厚生省社会局長   山下 眞臣君
      厚生省児童家庭
      局長        金田 一郎君
      厚生省保険局長   大和田 潔君
   事務局側
      常任委員会専門
      員         丸山 利雄君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第二課長    漆間 英治君
       国税庁調査査察
       部査察課長    岡本 吉司君
       厚生大臣官房企
       画室長      長門 保明君
       会計検査院事務
       総局第一局長   佐藤 雅信君
       会計検査院事務
       総局第四局審議
       官        大谷 一郎君
   参考人
       医療金融公庫総
       裁        北川 力夫君
       環境衛生金融公
       庫理事長     加藤 威二君
       日本道路公団理
       事        持田 三郎君
       公害防止事業団
       理事       宮城 恭一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和五
 十二年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十二年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十二
 年度政府関係機関決算書(第八十七回国会内閣
 提出)(継続案件)
○昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第八十七回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第八十七回国会内閣提出)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野田哲君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日六日、安武洋子君が委員を辞任され、その補欠として沓脱タケ子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(野田哲君) 次に、昭和五十二年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、厚生省、環境庁、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(野田哲君) この際、お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(野田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(野田哲君) 質疑通告のない北川医療金融公庫総裁及び加藤環境衛生金融公庫理事長は退席していただいて結構です。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○寺田熊雄君 環境庁長官にお尋ねをいたします。
 環境庁のいま抱えていらっしゃる課題で、最も重要なものは環境影響評価法案をどうするかという問題であろうと思います。この問題は、昭和四十七年の六月六日に閣議了解がありましてから、すでに八年以上の年月を経ておるわけであります。この問題は、一言で言いますと、主として財界の反対がこの法制化を妨げていると私どもは見ております。したがって、この問題を国民的な観点で処理できるかどうかということが、自民党・政府の財界支配に屈するか、それとも国民的な基盤に立って行政を行い得るかという点の分かれ道にあると私どもは見ております。すでに政府でも、五十五年二月十五日、大平総理が予算委員会で、九十一国会に提出する方向で最善の努力をするということを言っておられる。五十五年五月二日にはすでに発表せられましたこの法案が政府部内でまとまっております。鈴木総理はことしの九月十八日の全国知事会で、法制化に引き続き努力するということを言っておられる。この国会における参議院の本会議でも同趣旨の答弁をしていらっしゃる。
 そういうふうに、すでに政府部内の意思統一ができ、すべての事務的な処理も終わった段階で、いまだにこの問題がはっきりしないというのはどういうわけか、環境庁長官が一体どういう決意を持って、この難問に当たらんとしておられるのか、この二点について、明快な御答弁をお願いしたいと思います。
#8
○国務大臣(鯨岡兵輔君) お答えいたします。
 まず、環境庁長官として私がこのアセスメント法についてどういう決意でいるか、これは後の方の御質問のようでしたが、これから先にお答えいたします。
 私は、できればこの臨時国会にも国会の方へ出して御審議をいただきたいぐらいのつもりでおりました。けれども、それは諸般の事情で、後から申し上げますが、できませんでしたので、来たるべき通常国会には、ぜひ国会で御審議をいただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
 そこで、どうしてこういうふうにおくれているんだろうかと、こういうことですが、お話のように、財界に屈しているとか、国民の立場に立たないとかという、そういう問題ではないと私は思っております。と申しますのは、これは私の口から申し上げるのもどうかと思いますが、先生ただいま御指摘のような経過でございますことは事実でありますが、自由民主党の中で、まだこのことについて心配をなさっておられる方があります。それはいまお話しのように長い間かかっていながら、政府の合意ができたのだってことしの初めなんですから、いろいろ仕事をやろうとする人は、これができることによって、仕事がおくれるのではないか、それがまた景気に影響したりするのではないかという心配をするのは、私は当然のことだろうと思います。それで、そういう御心配の方と、私どもの方でいろいろ話し合った結果、やっと合意ができましたのはことしの初めでございます。しかしながら、まだその点について釈然としない、まだ大変心配があるのではないかと思っておられる方がおられるわけです。ですから、もうすでに御承知と思いますが、自由民主党の政務調査会長あずかりになって、たとえば商工部会、たとえば環境部会の一部でも、もう少し考えてみょうではないかというようなことで御審議を党内でいただいているというようなことでございまして、それ以外の財界に屈してとか、そういうことではありません。もちろん財界の方にも、経済界の方にも心配する向きがありますから、そういう向きには私出向いて行って、どういうことを心配なさいますかというようなことで話を詰めていきたいと、こう私は考えているわけでありまして、きょう、私は見ませんでしたが、お昼のニュースなんかでも、環境庁長官は経済界の方々と積極的にこの問題について話し合いましょうと、こういうことを言っているというようなことをテレビで放送してくださったそうですから、そんなことで、せっかく努力しておりますから、どうぞひとつ御了解をいただきたいと思います。
#9
○委員長(野田哲君) 速記とめて。
   〔速記中止〕
#10
○委員長(野田哲君) 速記を起こして。
#11
○寺田熊雄君 厚生大臣にお尋ねをいたしますが、御承知のように、最近非常に憲法論議がやかましいわけであります。これを国政の非常に重要な課題として見る人もおりますし、余り国民生活に影響がないと、観念的な問題だというふうに見る人もないではありません。しかし、私どもとしましては、この問題は日本の平和を守る上できわめて大切な問題だと見ております。その上、無制限な軍備の拡充などというものが、国民生活に与える悪影響というものははかり知れない。教育も、社会保障も、強大な軍備の前にはまた大きな犠牲をこうむらざるを得ない。そういうことから、この問題は単に平和の問題ばかりではなくして、国民生活を守る上で、大変大きな直接的な影響を持つ課題であるというふうに私どもは見ております。したがって、この問題には私どもかなり執着を示すわけであります。この際、厚生大臣にあえて現行憲法についてのお考えをただすゆえんのものは、あなたが昨年の一月に、国連総会にいらっしゃって、大変世界的に高い評価を受けました平和演説をなさったわけであります。その行かれる前に、参議院の本会議において、「私は、平和に徹することを国是とするわが国の憲法の精神は、人類の先覚者として誇り得るものであると自負する一人であります。この誇り高き憲法の精神にのっとり、世界の平和と繁栄がなければわが国の平和の繁栄もないとの認識に立って、」云々という演説をなさっていらっしゃる。この世界に誇り得る憲法、誇り高き憲法の精神という、憲法に対する大変あなたの高い評価、私どもは感銘を受けつつあなたの演説を承ったわけであります。そのあなたの御認識は、比較的右寄りに傾きつつあるこの日本の国情の中でも、いまだにお変わりないのか、流されてその精神を失っていらっしゃるのか、その点を私どもはお尋ねしたく思いまして、きょう質問する次第でありますが、大臣の憲法に対する見方、信念、そういうものをお伺いいたします。
#12
○国務大臣(園田直君) お答えをする前に、おくれましたことを深くおわびを申し上げます。
 御指摘の点は、いささかも変わっておりませんだけではなくて、こういう世界情勢、日本の置かれた立場から言えば、ますますそういう信念でやっていかなきゃならぬときであると、ますます考え方を深く、かたくいたしております。
#13
○寺田熊雄君 いまだにこの日本憲法はきわめて誇り高いりっぱな憲法だというあなたの御信念には、いささかもお変わりないと承ってよろしいですか。
#14
○国務大臣(園田直君) そのとおりでございます。
#15
○寺田熊雄君 この富士見病院の事件は、私どもに大変いろいろな教訓を与えました事件であります。まず、私は厚生省の御所管に関連いたしまして、前回のこの決算委員会で大臣の御所見を承りまして、すでに大臣もこの問題で厚生省の責任を痛感していらっしゃる、大いに反省をしておるというお言葉でございました。これはまことに結構でありますが、日本の精神神経医学界の問題、この問題がやはり私は富士見病院事件と同様に、きわめて大きないま問題になってきておるのではないかと思います。と申しますのは、新宿のあのバス放火事件、あの事件以来奥野法務大臣が、精神障害者の犯罪がきわめて多いと、ことに殺人、放火という重罪の事件については、精神障害者の占める割合いがきわめて多いという、そういう観点から、保安処分の必要性を強調していられるわけであります。なるほどそういう見方もないではないでありましょう。確かにこの精神障害者、その統計のとり方は私ども異議はありますけれども、そういう考え方も成立しないではない。ことに最近の事件で、八月二十八日に起きました屋根上の殺人、バットで隣人を殺害し、二人にさらに傷害を与えた。この事件をその後東京地検の方では、これは、精神分裂病による犯行であるとして、不起訴処分にしたというふうに報ぜられております。これは厚生省としましては、こういう精神分裂病など精神障害者の犯罪について、これをいままでフォローして、そうして、どういうふうにしたらこれを根絶し得るかという、そういう作業を現にやっていらっしゃるのかどうか、この点をまずお伺いしたいんですが。
#16
○政府委員(大谷藤郎君) 厚生省におきましては、精神衛生法によりまして、自傷他害のおそれある精神障害者につきましては、これを強制入院させる、またこれが寛解いたしましたときには、地域社会に戻すように、社会復帰施設あるいは精神衛生センター、その他社会復帰関係の諸施設でこれをケアする、また保健所に精神衛生相談員も配置いたしておりまして、その後の治療あるいはケア等につきまして、フォローをいたしておるわけでございます。私どもとしては、できる限りこういった医療保護、あるいは社会復帰につきまして、十分手当てをいたしまして、そういった観点から、そういった犯罪性の問題が起こるということを極力防止するようにいたしたいというふうに考えているわけでございます。
#17
○寺田熊雄君 まずそのお考え自体は結構なのですが、この屋根上の殺人というものが、精神分裂病で四十年から四十七年にかけて三度入院をしておる、その後も通院を繰り返していたことがわかったという報道でありますが、この人は精神衛生法二十九条の該当症状の者と診断された人ですか、どうなんです。
#18
○政府委員(大谷藤郎君) この屋根上の殺人につきましては、私詳しいことは承知いたしておりませんので、何とも申し上げられないのでございますが、一般に精神分裂病の症状につきましては、若干急性の状況のときもあれば、非常に寛解しておるというふうな状況もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、十分な通院治療、あるいはその他いろいろなセラピーをやっておりますれば、そういったことは十分防ぎ得るのではないかというふうに考えるわけでございます。問題は、私その細かいことにつきましては、実はよく承知しておらないのでございますけれども、そういった治療を受けておられたかどうか、その点について、私どもとしては、そういった問題がないように、今後とも十分なフォローをしていかなければならないのではないかというふうに思う次第でございます。
#19
○寺田熊雄君 私がお尋ねしたのは、そういう抽象論じゃないんですよね。だからあなたに、こういう事件があった場合に、あなた方はそういう事件の犯人、まあ精神障害者かもしれぬが、それをフォローして、いままでどういう治療経歴を持つか、再びこういうような凶悪な犯罪を犯す蓋然性を持つか、そういう点をちゃんとフォローしておるかとお尋ねしたんです。こんなにあなた世間で耳目を引いた事件でも、担当の局長がフォローしたかどうかわからないというふうなことでは、あなた方は責任を果たしたことになりませんよ。私はそれを求めている。こんなに人を殺したような精神障害者に対しては、あなた方はちゃんと省でリストを持たなきゃいかぬ。そういう人はわずかもう五千人かそこらのものでしょう。それをリストを持って、そして、それはどうしたらいいかということを下部に指導なさらなければ、あなた方の責任は果たせないはずです。どう思います。
#20
○政府委員(大谷藤郎君) 自傷他害のおそれある精神障害者が措置入院いたしまして、これが退院いたしました場合には、保健所の方に通報がございまして、精神衛生相談員がそれについてフォローをすると、こういうことになっているわけでございます。しかし、年間退院患者は相当多数に上っておりまして、またその病状についても一様ではございませんが、ただこの場合、フォローと申しましても、人権との問題が精神障害の場合には非常に深く絡み合っているわけでございまして、これを単に犯罪者と同じように、単に精神障害であるというだけで、これを絶えず監視するとか、そういったふうなことはできない。やはり、これは医療という観点から行わなければならないものでございますから、先生御指摘のように、まことにあの事件については私ども遺憾に存じますけれども、この点については、やはり精神衛生という視点からやっていかなければならない。その点非常にむずかしい点があるかというふうに考えるわけでございます。
#21
○寺田熊雄君 私は、あなたのおっしゃるように、犯罪者として常時監視せよなんてことを言っているわけじゃない。ただ、その人の人権ももちろん大切だけれども、その人の人権を侵害しないようにして、その人が第三者に危害を与えないようにする手だてを講じなさいと言っている。だから、こういう世間の耳目を聳動させるような事件が起きたときには、あなた方所管のお役人は、どうしてそういう犯罪がなされたか、犯罪かどうかわからないが、そういうことが起きたのか、その人はかってどういう治療の経過をたどっておるのか、どうしたらいいのかというぐらいの考慮を払っていただきたい。過去においてそんなことは私にはわかりませんというふうなことじゃ責任は果たせない。少なくともやっぱし調査はすること、重要な障害者に対しては、あなた方がそのリストを持てなければ、各県にリストを持つように御指導をなさるとか、そうして県を通じて御指導をなさるなら、それでもまたよろしいですね。何もしないで人権、人権なんて言っとんたんじゃ、あなた方の責任は果たせませんよ。これは大臣どうお考えですか。
#22
○国務大臣(園田直君) いま事務当局からお答えをいたしましたが、私は残念ながら、いま御指摘の点は盲点であって、野放しとまではいかなくとも、これについてはほとんど手が回ってないというのが真相だと存じます。たとえばいろんな突発事件がある、大抵精神病患者、しかもその精神病患者を調べてみると、何回かそういう事件を起こしている要注意人物である、それが事件を起こしても、所管の局長がよくは存じませんと言うところにこれが出ておると思います。したがいまして、この点は非常に大事なことでございます。先般奥野法務大臣がこのような精神病患者を保安処分にするという発言がございました。そこで私はそのときはにわかに賛成しがたいと、こういう発言をしたわけでありますが、勘違いをいたしまして、かつて戦前にあった予防拘禁みたいなものを法務省が考えられておっては困るということで、にわかに賛成しがたいと言ったわけでありますけれども、確かに人権その他はありますが、そういう精神病患者というのは、気をつけておればよくわかるはずでありまして、何も尾行するとか、あるいはどうとかということではなくて、これに対しては絶えず法務省と厚生省が連絡をとりながら、危ない者は入院をしてもらうとか、あるいはほかの方法を講ずるとか、こういうことをしなければ、精神病患者のための恐るべき事件が起こって、結果は精神病患者であるから不起訴と、こういうことになっては、社会の安寧秩序を保っていくのに大変なことでありますから、いまの御注意は十分承って勉強したいと考えます。
#23
○寺田熊雄君 私は担当の局長、課長などが弁明をなさるだけでなくして、こういう喫緊の国民的課題に対して、どう対処したらいいのかということをやっぱり考えて手を打つと、それがあなた方の御職責ですよということを申し上げ、大臣から非常に前向きの御答弁をいただきましたので、あえてこれ以上深追いはいたしませんけれども、ただ私どもは保安処分には、大臣、必ずしも賛成しがたい立場であります。いま大臣のお言葉ですと、かつて保安処分に賛同しがたいと申したのは、まだ認識が不足であったからで、こういう問題については慎重に考えたいという、賛成の方に方向転換したかのごときトーンを見るのでありますけれども、それじゃ、大臣はそういう精神障害者に対しては、厚生大臣として治療を重点とした措置を講ずるというのではなくして、何かあれでございますか、拘禁を主としたような保安処分的な考え方に左祖なさるわけでしょうか、その点いかがでしょうか。
#24
○国務大臣(園田直君) 予防拘禁的なものは反対でございます。しかしながら、いま御指摘がありましたように、いろいろな犯罪が起こるし、本人の無意識のうちに犯罪が起こるわけでありますから、よくそういう者は名簿をつくるなり、あるいは特別な戸籍みたいな詳細なものを持っておって、それが各県、厚生省、保健所等持っておる、必要によっては治安当局にもこれをやると、そしてお互いに連絡をとりながら、危ない者は入院させるとか、あるいは治療を求めるとか、こういうふうにやるべきだという考え方でございます。
#25
○寺田熊雄君 いまの大臣の御発言で、こういう非常に精神障害者で危害を与えるおそれがある人、あるいはかつてそういう行為をした人については、そういう人のリストをつくって、そして適切な措置をとると、入院を必要とする者であれば入院をさせるというような御答弁であります。これは確かに私どもが御要請申上げた線に沿うのでありますが、これは大変私どもとしては結構だと思います。
 ただ、ちょっと大臣くどいようなことで恐縮なんですけれども、端的にそれじゃ、いま刑法草案で表面に出ております保安処分ですね、これについてはどういう御見解をお持ちかという、こういうお尋ねをしたいと思うんですが、正面からお答えいただけますか。
#26
○国務大臣(園田直君) 保安処分については、私が先ほどから懸念を申し上げましたが、そういう懸念がないように治安当局、厚生省その他が十分連絡をとって、そしてこの治安拘禁とか、予防拘禁とかいう弊にならぬようにやるべきだと考えております。
#27
○寺田熊雄君 さて、その精神障害者に対する私どもの手だてにつきまして真っ先に考えますのは、やはり国としては各県に精神病院を設置することを義務づけております。ところが、いまだにこの設置の義務を果たしていない県が八つあります。その中には、埼玉県、千葉県というような、比較的財政力が高い県もあるわけです。これは一体、なぜ財政力がそう貧弱でない県でありながら、義務を果たしていないのだろうかと考えますと、答弁といいますか、弁明としては、いや、それは民間の病院が完備しておるから必要がないんですよという答弁があるいは返るかもしれません。しかし、民間の病院よりも、国・公立の病院の方が国民の信頼感というものははるかに高いわけであります。そして富士見病院に限りません、すべての精神病院も同様で、いまの出来高払い制の弊害からして、やはり大変なお薬を盛る、検査づけにするというようなことで、いろんな弊害もあります。そういうことを考えますと、もうちょっと厚生省におかれて、各県がこの精神病の問題に関して、前向きの姿勢をとるように御指導願えないものだろうかと、それが一点。
 もう一つは、精神科の医者が非常にいま払底をしております。これは患者数が三十万人と言われておる、それに対して精神科の医師というものがきわめて少数であるようであります。精神科の医者の養成などについて、もうちょっと御配慮願えないものか、いかがでしょうか。
#28
○政府委員(大谷藤郎君) 現在精神科医療機関に従事している医師は、昭和五十五年六月末現在で一万二千四百三十一人でございます。また、そのうち精神衛生鑑定医の資格を持っている医師が四千二百七十七人でございます。これは毎年少しずつ増加をしているわけでございますが、これは医療全体の問題でございますけれども、何科の医師を増加するというふうなことは、なかなか諸般の事情からむずかしい状況にございますが、厚生省としましては、国立精神衛生研究所、あるいは国立療養所久里浜病院、あるいは日本精神病院協会等で研修を実施いたしておりまして、できる限り増加を図るというふうにいたしている次第でございます。
#29
○寺田熊雄君 いま、精神科医の養成の問題は局長お答えになりましたが、精神衛生法上義務づけられている各県の病院設置の問題、これはお答えなかったね。だから、これは一緒にお願いするけれども、あなた方としては、精神科の医者というものが全体としてどのぐらいあればいまの困難な精神病の治療に十分に対応できるというふうに見ていらっしゃるんですか。まず、そのあなた方の見方、それをお伺いしようと思います。
#30
○政府委員(大谷藤郎君) 精神科の医者が何名必要であるかということは、これは非常にむずかしい問題でございます。現在、精神病院の数からだけでいけば、ある程度の推計は成り立つわけでございますけれども、今後の精神衛生の方向といたしましては、予防を行う精神衛生センター、あるいは社会適応を行うための社会復帰施設等で働く精神科の医師等も多数にいるわけでございます。しかしこの問題は、精神科医師だけの養成というのは大変むずかしい問題でございまして、医学部では一般にプライマリーケア全体をやる教育というふうなことをやっておりまして、その枠内で、精神科の問題を考えていかなければならないということでございまして、これは従来とも年々、先ほども申し上げましたように増加しているわけでございまして、何名が適当かということにつきましては、ちょっと私どもとしても、そこのところは非常にむずかしいように思うわけでございます。
#31
○寺田熊雄君 これは私どもとしましては、やはりあなた方の方がこういう治療面を担当なさるわけですから、いまの精神病者が全国で一体何人おるんだと、入院患者は何人だ、この程度まではあなた方把握していらっしゃる。それでは、この治療面というものを遺憾なく遂行するには、精神科の医者が何人必要だと、だからこれを養成するにはどうしたらいいんだという、そこまでやっぱり踏み込んで、一定の計画を持ち、その計画を実行していくだけのやはり義務がありますよ。何人あったらいいかわかりません、むずかしい問題ですと言うのは、ちょっとやっぱしあなた方の神聖な御職務を遺憾なくお果たしになるゆえんではないと思いますよ。これはやっぱり大臣、あなた方の部下の方々がそこまで踏み込んで、一体どうしたら日本の精神病者の治療ができるか、それには医者が何人要るんだと、いま足りないから、どうしたら、何年間に養成するのだというような、そういう具体的な抱負、それから方針というようなものを持つように御指導願えませんか。ただ、もうやみくもに走って行ったのでは何にもならないと思いますよ。
#32
○国務大臣(園田直君) いろいろ困難あるとは存じますけれども、地方の自治体、県衛生部、厚生省が一体となればできないことはないはずでございます。したがいまして、そういう方針で、緻密に、基礎から積み上げていくように事務当局にお願いをするつもりでおります。
#33
○寺田熊雄君 時間がだんだん迫ってきて、全部の問題ができませんので、これは飛ばしていかざるを得ないわけですが、これは厚生大臣も新聞でお読みになったでしょうが、環衛法の改正が昨年の通常国会で、五十四年に国会を通過したわけですが、そのときに、この環衛法の改正を強く働きかけました全日本美容業環境衛生同業組合連合会、全美環連。これがまあ自民党のお歴々に対して政治献金をした。ところが、その政治献金を受けられた方々がその旨を受けて、環衛法の改正の提案者になっておられる。そのことによって、業界の別個の団体から、これは贈収賄罪があるということで東京地検に告発がなされておるというのであります。そこで、これはわれわれ政治家としては、国会に法案が提出される、あるいは現に提出せられておる、その法案の成立を希望し、その法案の成立によって利益を受ける団体が、その国会の会期中に政治家に政治献金する、その政治献金を受けた政治家がその法案の提案者となって法案を提出すると。こういうことは、大臣、これは健全な国民常識から見ましてこれはおかしいじゃないか。これはもう明らかに贈収賄罪だと見るのはむしろ自然ではないでしょうか。私は、現にいま国会にかかっている法案に関連して、その法案から利益を受ける団体から政治献金などは、政治家は断じて受け取るべきでないと考えておりますが、政治倫理の立場から大臣はどうお考えになるですか。
#34
○国務大臣(園田直君) いまのお話は私も新聞報道で知っております。この法律案の改正は、環境衛生関係十七業種の振興に資するために、委員長提案で五党賛成ということでできた法律案だと聞いております。真相はどうかわかりませんけれども、しかし、政治家の心構えとしては、先生のおっしゃったのが正しいんじゃないかと、こう思います。
#35
○寺田熊雄君 そこで、法務省にお伺いをいたしますが、いま私が申し上げた、つまり法案はいま現にかかっておる、あるいは上程されつつある。その法案に関係する、その法案の改正を推進しようとするその団体が、政治家に、国会議員に政治献金する、政治献金を受けた政治家は、その法案の提案者となって国会にその法案を出す。これでは、この政治献金は政治家のその職務に法案の提出権、審議権そのものに関係があると、その職務に関係のあるお金だと、こう見るのが当然じゃないでしょうか。
#36
○政府委員(水原敏博君) 委員も御指摘のとおり、この事件は、本年十月二十三日付で、都内の美容師、理容師等十四名から、安森全美連会長外六名に対する贈収賄事件として東京地検に告発がなされております。東京地検ではこれを受理いたしまして、現在検討中のまさに生々しい事件でございます。この問題に関しまして、一般論としてであれ、ただいま委員の御質問は、まさにこれについてお答えすることは、本来独自の捜査をなすべき検察に対して捜査の方向づけを法務当局が与えるようなことになりかねない、そのように思いますので、答弁はお許しいただきたい、このように思います。
#37
○寺田熊雄君 いや、私は、いま東京地検が告発を受けておるからどうのこうのという具体的な生生しい関連においてお尋ねをしたんじゃないんです。一般論として、法的な問題として、いま現に審議中あるいは審議せられんとしている段階において、その法案の提出を希望しておる団体から政治献金が贈られる。贈られた政治家がやはり提案者となって法案を提出するということになると、これは法理論的に見ても、その政治献金というのは職務に関連があると判断せざるを得ないではないかと、これは法理論としてお尋ねしておるわけです。
#38
○政府委員(水原敏博君) 純粋の法理論ということに相なりますれば、刑法百九十七条、百九十八条の構成要件に該当する限り犯罪が成立すると、贈収賄罪が成立するということは申し上げることができようと思います。したがって、その公務員がその職務の対価として金品等を収受するなどの事実がありますなれば、これは犯罪が成立するということになろうかと思いますが、いま委員の御指摘の事実は、一般論であるとは申せ、まさに係属いたしております事件そのものと内容を一にするものでございますので、ここで私がいま御指摘の事実についてお答えをすることは、これは本来独立であるべき検察の方向づけを法務当局がするということになりましょうし、また、これから捜査をやるかどうか現在検討中のことでございますし、関係者たくさんおりましょう、その関係者に対しても、私どもの考え方を事前にお教えするということに相なりましょうから、この点は何とぞ一般論ということであっても、答弁はお許しいただきたいと思います。
#39
○寺田熊雄君 まああなたのお立場を私どもが余り侵害してもこれはいけない。
 そこで、どうなんでしょうね、私の言っていることがきわめて不合理だと思いますか、もっともだと思いますか、それはどうだろう。
#40
○政府委員(水原敏博君) それについてお答えをいたしますと、即法務当局のお答えということになってしまいますので、この点もひとつ立場を御理解いただきまして、この程度でお許しいただきたいと思います。
#41
○寺田熊雄君 それじゃ、余り無理を言うのもなんだから、この程度にしておきます。
 次は、富士見病院のことで関連するからあなたにお伺いするけどね、北野理事長が昨晩保釈になったようだけれども、これは浦和地検の検事正も記者会見をして言っておられるけれども、北野が保釈になったということ、これはたくさんの方々が告訴していること、つまり傷害罪、その捜査、それから国民が非常な関心を持っている、政治家に対する献金が果たして犯罪を構成するかと、その問題の捜査、この二つの犯罪の捜査に障害を与えるものであるのかどうか、その点いかがでしょう。
#42
○政府委員(水原敏博君) この点はまだ検察当局といたしまして、委員の御質問の傷害事件、それから政治家に関連する一連の事件、これは受理をしたという報告に接しておりません。検事正談話にありましたのは、新聞で私承知いたしておりますけれども、浦和地検からそういう談話を発表したという報告にも接しておりませんので、現在の段階で、私の立場から、法務省の立場から、御質問の傷害、それから一連の政治家の関連事件の捜査に支障があるかどうかはお答えできないということで御了解いただきたいと思います。
#43
○寺田熊雄君 これはいまはこの告訴、告発を受けたのは警察側ですね。北野保釈ということが、いまあなた方が受理しておられる傷害罪の捜査、それから同じようにあなた方が重大な関心を持って捜査しておられるいわゆる贈収賄罪の問題の捜査、これに障害を与えますか、それとも与えませんか、その点いかがでしょう。
#44
○政府委員(谷口守正君) 先生御案内のとおり、傷害罪の告訴につきましては、二回にわたってこの富士見病院で手術を受けられた患者の方々から出されたわけでございます。これを埼玉県警察の方で受理いたしまして、現在鋭意捜査中でございます。まだその結論が出ていないと、その捜査途上であるということでございます。
 なお、本件事件捜査に関連いたしまして、いろいろ事実を確認しなきゃならないというのが残されておるわけでございます。そういう埼玉県警察の現在の置かれた立場から申し上げますと、昨晩の北野早苗の保釈につきましては、裁判所の方で慎重に御検討をされて、その請求を認められたということで、私どもとしてはこれを受けとめなければなりませんけれども、率直に申し上げまして、諸般の捜査について全く影響がないとは申されないと、こう思います。
 ただ、私どもといたしましては、残された捜査の方法いろいろあるわけでございますので、全力を尽くして捜査を進めてまいりたいと、こう思っておる次第でございます。
#45
○寺田熊雄君 これは医師が正当な業務行為としておなかを切ったのか、それとも切る必要がないのに切っちゃって内臓を摘出したのか、この問題をやっぱり決定するかぎになるのは、摘出する必要性が医学的にあったかどうかということになりますと、本当に手術を必要とする病根がその臓器にあったかどうかということになると、どうしても鑑定になりますね、これは専門家の。その鑑定の材料としてはカルテもありましょう、それから臓器もありましょう、あるいはビデオを撮っているんならビデオもありましょう、そういうものを材料に、いま鑑定を委嘱しておるという段階なんでしょう。大体複数の鑑定人ですか、どうでしょう。
#46
○政府委員(谷口守正君) 傷害罪の告訴を受けましての捜査、いろいろな方法があろうかと思いますけれども、先生御指摘のように、その成否を判断する意味で重要な要素にまずなるのがやはり鑑定の関係だろうと、こう思います。現在複数の専門家の方々にお願いいたしまして鑑定を続けてもらっておると、こういう段階でございます。その結論が出るのは何とも申し上げられませんけれども、若干時間がかかるんではないかと、こう思うわけでございます。
#47
○寺田熊雄君 ちょっといまの部長の最後のところ聞こえなかったんですが、いつごろまでにその鑑定の結果があなた方に得られるというんですか。
#48
○政府委員(谷口守正君) この鑑定は、専門的な立場からもちろんなされるものでございますが、きわめてその医学上というんですか、非常に技術的にもいろいろな角度から検討していただくということでございますので、その鑑定結果を得られるのはかなり時間を要するのではないかと私どもは思っておるわけでございますけれども、やはり事件捜査というのは申すまでもなく、迅速、的確に行わなきゃならぬということでございますので、鑑定人の方々に対しましては、できるだけ早目に出していただきたいということをお願いしているところでございます。
#49
○寺田熊雄君 この問題に関連をいたしまして、私は医師法の規定をずっと見ますと、医師にあらざる者が医師の職務を行ったという医師法違反が、この医師法の罰則の体系の中では最高に重いのですが、その最高に重い法定刑にしてなおかつ懲役二年以下、罰金二万円以下という法定刑であります。これはあれだけのたくさんの方々を悲嘆のどん底に陥れた、重大な法益を侵害した、そういう重大な結果をもたらす犯罪の法定刑としては軽きに失するのではないかと私どもは考える。この点は大臣としてはどういうふうにお考えでしょうか。
#50
○国務大臣(園田直君) いまの御質問は、ただいま取り調べを受けて保釈を受けたところでありますが、われわれの常識とは大分離れておりまして、非常にむずかしい問題であります。私は、これに対しては、この結果を見守りつつ、私の持っている行政処分の最大限の処分をする準備をしているところでございます。
#51
○寺田熊雄君 これは所管の局長はどういうふうにお考えですか。
#52
○政府委員(田中明夫君) 現在の医師法によります罰則は、他の専門的な職種の身分法の罰則との均衡から見まして、そう均衡を失しているとはわれわれは考えておらないわけでございますが、先生御指摘のような、こういうような事件に遭遇いたしまして、大臣も申されましたように、今後の事件の成り行きを見ながら、十分検討いたしたいと思っております。
#53
○寺田熊雄君 これは法務省としてはどうお考えですか。
#54
○政府委員(水原敏博君) 御所管が厚生省の御所管の法律でございますので、法務省の立場からはこれが重い、軽いということを申し上げるのはどうかという気がいたします。御所管の庁からこれについての御検討、御相談がございましたならば、法務省といたしましてはその御協議、御相談には十分応じたいと、このように考えております。
#55
○寺田熊雄君 これは警察庁はどういうふうにお考えになりますか。
#56
○政府委員(谷口守正君) 法務省と全く同じ所見でございます。
#57
○寺田熊雄君 結局大臣、戻り戻ってあなたの方へまた来ましたが、つまり国民はあんな悪しことをして二年かという、健全な国民感情といいますか、そういうものからいいますとそうなりますわね。私ども見ましたら、弁護士法違反についてもやはり懲役二年以下、罰金が五万円以下になっていますがね。たしかそのほかの税理士法でありますか、大体懲役二年以下、罰金五万円以下だと思いますが、罰金がちょっと医師だけが軽くなっているのはどういうわけかわからぬけれども、しかし医師の場合は、弁護士が事件を扱うとか、税理士が事件を扱うとかというよりは、直接肉体を割きますからね。これは私はちょっとほかのものより重大に考えないといけないと思いますよ。ですから、あなたのところへまた戻ってきましたので、これは大臣、やっぱり健全な国民感情や、犯罪の結果などを慎重に勘案なさいまして検討してください。あなたの方からやっぱり御発議なさいませんと、法務省も警察庁も動かないようですから、検討していただけますか。
#58
○国務大臣(園田直君) 国民感情もよく承知しておりまするし、またどう考えてみましても、最初から計画的な犯罪であるとは私も判断いたすものの、そういう傷害罪その他が成立するかどうかということは非常にむずかしい問題で、われわれにはわかりかねます。ただ私としては、許されたる範囲で、最大限の処分をするということを考えておる以外には方法はございません。
#59
○寺田熊雄君 大臣しつこいようですが、いま北野の処罰をどうするかということも一つの問題ですが、法定刑として再検討の余地はないかということをお尋ねしているわけです。
#60
○国務大臣(園田直君) いまの、現行規定は御承知のとおりであります。しかしながら、人間の生命を預かり、体を直接いじるということについてから考えると、必ずしもいまの許された制度の中の罪というのは軽いんじゃないかという気はいたします。そこで、そういうことは十分警察、法務省とも相談して今後検討したいと考えます。
#61
○寺田熊雄君 いまの医療費の問題が、これは国民的なやはり課題の一つであります。そしていままでは薬づけの医療ということで、いまの薬づけの医療を何とかしないと、医療費の高騰が毎年毎年これは大変なことになるぞということを、識者が指摘をしているわけであります。ところが最近は、この薬づけ医療にかわりまして、ポスト薬と。何かと言うとこれは検査である。これが富士見病院にいかんなくあらわれたわけでありますが、やたらに必要がない検査をして医療費をかせぐと。これはまあいまの出来高払い制の当然の帰結でありますが、そこでこの医療費の高騰を防ぐためには不必要な検査を防がなきゃいかぬ。検査をまた必然的に招来するのは、富士見病院がMEという機械を導入して表看板にしたように、無制限な機械の乱売、乱用を何とかして抑制しなきゃいかぬ、こう思います。
 そこで、この出来高払い制についてメスを入れるお気持ちがあるのか、そしてこの乱検査を何とかしてその弊害を食いとめる方策というものを立てていらっしゃるのか、その辺のところはいかがでしょう。
#62
○政府委員(大和田潔君) 検査の割合といいますか、総医療費に占めます検査料の比率というものは、確かに先生おっしゃいますように上がりつつございます。たとえば、昭和五十年では八%であったのが、五十四年には一〇%を超えたということで、検査の総医療費に占める割合というものはふえておるわけでございます。
 これはそのうちの一つの原因といたしましては、いまおっしゃいました高額医療機器、MEといったようなものがあるわけでございますが、実はこれ自体が、ME機器というのは、最近におきます医学、科学技術の進歩といったようなものによりまして開発されてきた、そういったような検査機器が実は病気の診断を非常に短期間にかつ正確にしてきている、これはやはり疾病に対する治療の方法としては、基礎的な非常に大事なことであるということでございまして、そういったようなことがやはり検査をふやしていくことになるわけでございまして、これにつきましてはいい面というものもあるわけでございます。ただし、いまおっしゃいましたように、不必要な検査というものはこれは困る、やはりこういった検査は診療上必要であると認められた場合にこれは行ってもらわんと、ただいまおっしゃいましたような傾向というものが出てまいりまして非常に困ることになる。こういうことにつきまして、実は私ども十分認識しておりまして、富士見病院のようなことが起こりまして非常に残念でございますけれども、私どもといたしましては、必要以上の検査が行われないように、これにつきましては十分保険医療機関を指導するという姿勢にあるわけでございます。
 もう一つの御質問でございますけれども、これはどうも出来高払いといったものがこれをプッシュしているんじゃないかというような御質問でございます。この出来高払いにつきましては、実は昭和十八年以来とられた制度でございまして、もうわが国におきまして、これはかなり定着した制度である、これはやはりいい面もございます。これにつきましては、医者の努力というものが十分これに反映されるといういい面もあるし、また一方先ほどお話のような弊害もある。こういったようなことにつきまして、私ども十分検討しなきゃならぬのでございますが、この出来高払い制度というものはやはり定着しておりますので、これを基本的に変えるといったようなことではなく、むしろ現行方式のもとにありまして、保険医療の適正化が図られるよう、あるいは医療費の効率的な使用が行われますような、そういったような方向で十分検討をし、いろいろな対策を講じていきたいと、このように考えているわけでございます。
#63
○寺田熊雄君 出来高払い制を廃止して他の方式に変えると、これは大変革命的なことでなかなかむずかしいでしょうけれども、よく言われますように、出来高払い制ですと、これは人間の利己心からして、必然に乱検査、またお薬の乱用ということが生ぜざるを得ない。だから、あなた方が出来高払い制をやめるわけには相ならぬというのであれば、いまあなたのおっしゃったように、どうしたらその弊害を改めることができるかという、何かやっぱり具体的な方策をお立てになって、それを推進していただかないと、われわれのように、余りお医者さんにかからない者にそういう不必要な負担がかかって、いたずらに悪しき医療関係者だけを富ましめるという社会的な不公正が生ずる。
 そこで、この出来高払い制の弊害を食いとめる方策として、あなた方がやはり過去にお立てになった、たとえばどうも乱用されそうな検査なんというものは検査料を思い切って下げちゃう。それによって、利己心の刺激を少なくするというようなこともあるようですね。ですから、あらゆる有効な方策を勇敢にお立てになってやっていただきたい。私も毎月「日医ニュース」というのを見ておるけれども、何かあなた方が一定の改革案を推進しようとすると、官僚亡国であるとか、赤色官僚であるとか言って、理屈にならない理屈をこねてあなた方を攻撃して、改革を食いとめようとする悪しき勢力がある。これは大臣、あなたがかつて医師会長の会合にお出になって、医師会長をおたたえになったことがあることも私ども承知しております。個人としてはどういう御親交を結ばれようとも、そういう公的な社会的な団体があらぬことを言い立てて、厚生省の官僚が一生懸命にいまの医療の弊害を是正しようとするその努力に水をかけ、めちゃめちゃにしようとする、そういう悪しき勢力に対しては、やっぱり大臣、あなたは勇敢に立ち向かっていただかなければいけないと思いますよ。いかがでしょう。
#64
○国務大臣(園田直君) 御意見のとおりでございますから、御意見のとおりに正しい道を歩く決意でございます。
#65
○穐山篤君 最初に、外国製の医療機器の購入について伺いますが、過去の実績を見てみますと、おおむね昭和五十一年、五十二年度、急激に外国製の医療機器が購入をされたやに拝見をするわけですが、これは特別の事情があったんでしょうか。その点からお伺いします。
#66
○政府委員(田中明夫君) 先生御指摘の年度のころ、日本におきまして非常に外貨が余りまして、その有効適切な使い道の一つとして、国民の医療に必要な医療機器を購入するということで、先生御指摘のようなことが起きたというふうに了解しております。
#67
○穐山篤君 そこで、昭和五十二年度の会計検査院の指摘に基づいて改善措置がされたわけで、その点はよくわかります。公立病院あるいは私立病院は、以前から高額な性能のよい外国製の機器を入れているわけですが、文部省なんかは一定の基準といいますか、仕様書に基づいて、国内であろうが国外であろうが、購入についての基準があったわけですね。たまたま厚生省にはそれらしきものがなかったので、ある意味では合点がいくわけであります。そこで、これからの、検査院から指摘をされて基準ができたわけですが、その基準ができた以降の医療機器の購入については、それに基づいて行われていると思いますが、最近国立病院で購入したものについてはどんなものがどこの病院であったんでしょうか。概況だけで結構です。
#68
○政府委員(田中明夫君) まことに申しわけございませんが、御質問の最近の購入の医療機器について、ちょっと資料を手元に持っておりませんのでお答えいたしかねます。
#69
○穐山篤君 それでは検査院の方にお伺いしますが、五十三年の十月に新しい基準を厚生省がつくって以来、若干の検査もされていると思いますが、その実績はいかがですか。
#70
○説明員(大谷一郎君) 五十二年度の検査報告に、外国製の輸入器械の購入についての処置要求をいたそうとしましたところ、厚生省で是正をいたしましたので処置済みということで、検査報告に掲記したわけでございますが、その後の本院の国立病院等に対する検査の際に、その事務処理について注意して検査をいたしておるところでございますが、国立病院等におきましては、制定した基準に基づいて、適正に処理していると認められるところでございます。
#71
○穐山篤君 それで、今後そういうことがないようにしていただきたいという意味で、あえて指摘をしておきたいわけですが、ざっくばらんに申し上げますと、日本の市場は外国にとりましていい市場になっているわけですね。資料をいろいろ調べてみましても、専門的な代理店がおりまして、国・公立はもちろん、私立病院に対しましても、相当の売り込みをしている。それから片方では、日本のメーカーも最近では優秀な器械を開発をしているわけです。当然競争状態にあるわけですが、そのために国内のメーカーであろうが、あるいは外国の総代理店であろうが、売り込み競争のために不正なことが起きないようにしていただかなければならないというふうに思うわけです。これは十分に監視をひとつお願いをしたいというふうに思います。
 それからもう一つは、いまも申し上げましたように、国内産の開発の優秀な精密な器械もあるわけでありますので、国内の製品と外国の製品どちらを購入するかについても、十分慎重に対応をしていただきたい。そういうふうに本問題については御注文申し上げておきますが、確認をしておきたいと思うんです。
#72
○政府委員(田中明夫君) 先生御指摘の線に沿いまして、関係の部局とも連絡をとりながら、正しい購入がなされるように努力してまいりたいと存じます。
#73
○穐山篤君 次に、ことしの春の予算委員会におきまして、わが党の栗原委員から有料老人ホームの倒産の問題に関連をしまして、厚生大臣に質問を行いました。その当時野呂厚生大臣の答弁としましては、これは個人の有料老人ホームであるので、制度的に言うならば、単に地方公共団体に対する届け出で済んでいる。しかし、倒産をして、中に入っておりますお年寄りが、結局はその犠牲になるわけですから、現在の制度にこだわらず、まあ福祉国家としての着実な政策を打ち立てるべきではないか、そうしなければ、今後そういう問題が二度三度再発いたしましても、救済の余地はないし、また有料老人ホームに対します信頼度も失われてくる、こういう指摘をして、厚生大臣が検討を約束をしたわけです。
 これは、全国のそれぞれの人は、この厚生大臣の答弁が今後どういうふうに生かされて、政策の上で、あるいは施策の上で確立をされるかということを注目をしているわけです。それも長い時間かけて悠長に検討するというよりも、できれば、とりあえずどういう方法があるだろうかとか、あるいは恒久的にはどうするんだということを刮目をしているわけです。その見地から、その後の厚生省の検討なり、対応の姿勢についてお伺いをしておきます。
#74
○政府委員(山下眞臣君) この春、向陽会サンメディックが倒産をいたしましたことは御指摘のとおりでございまして、春の予算委員会でも御指摘をいただいたわけでございまして、それを受けまして、ことしの四月から私ども、学識経験者及び地方公共団体の、そういった行政に携わっておられます関係者にお集りをいただきまして、懇談会を組織をいたしまして、春から現在検討いたしておるところでございます。
 御承知のとおりに、現在の老人福祉法におきまして、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、これにつきましては、国も応分の助成をいたし、援助もいたしますと同時に、規制もきつくいたすというたてまえになっておるわけでございますが、有料老人ホームにつきましては、いわば契約によって入居をされるところでございまして、できるだけ民間の創意工夫を生かして、その発展を図るというような考え方に立っておりますもんですから、現在の老人福祉法は、御指摘のとおり、届け出と一定の指導というところにとどまっておるわけでございます。そういった現行法の考え方にも十分の根拠があるわけでございまして、それと、こういった事件の防止ということとの兼ね合いというのがなかなか単純、簡単というわけにもまいりませんものですから、現在衆知を集めて努力をいたしておるというところでございます。
 そういった自由な発展というものと、利用される方の消費者保護的な見地の規制という面との兼ね合いの問題を、現在詰めていただいているという状況でございます。
#75
○穐山篤君 そこで、一般的には私もその姿勢、態度については十分評価をしますし、了解もするわけですが、どういう分野を実は研究をしているんだと、あるいは、どういう分野は隘路があると、そのためにどういう相談事をしているのか、ある程度抽象的でなくて大きな項目でひとつお示しが願えれば一番いいと思うんですが、いかがですか。
#76
○政府委員(山下眞臣君) 最初に、現状の勉強から始めておるわけでございますが、老人の住居と申しますか、あるいは施設と申しますか、そういうものに非常にバラエティーがあるわけでございます。
 有料老人ホームと申しましても、一定の施設をつくりまして、そこに十人以上の方を収容して、お世話を申し上げるという形のものを現在有料老人ホームと、こう申し上げているわけでございますが、それにごく近接をいたします姿といたしましては、何と申しますか、いわゆる老人マンションと申しますか、単に私どもがマンションを借りますのと同じような形で、お年寄りの方が中心的にお借りになるというような老人マンションという形態もございますし、あるいは、もう主として老人の方のためにつくったアパートなり、マンションであるけれども、分譲してしまう、本人の所有権に属せしめる、それで一定のサービスはそこで行われると、実態としては有料老人ホームに非常に近似はいたしておりますけれども、それはもう個人の所有権に属する住宅というような形態等もあるわけでございます。片一方の方といたしましては、先ほど申しましたように、低所得者に対する軽費でありますとか、あるいは介護を要します方の養護、特養というような、公的な施設という、非常に広い範囲の老人の居住形態というものがあるものですから、その実情の分析、把握というようなことから始めたわけでございます。
 あとまた、有料老人ホームの現状というものにつきまして、今後一体その供給と需要の関係はどういう姿を描いていくのだろうか。それから、利用者の方がホームを選択される場合に、どういう選択の志向があるのだろうかとか、あるいはそれを経営いたします経営の主体にも、非常に社会福祉法人、財団法人というようなものから、あるいは公的団体、あるいは株式会社というような形態のものまで多様でございます。そういったもの。それから有料老人ホーム的なものの入居の際の費用の徴収の仕方や、一遍に一時金をいただいて、あとはずっとごめんどうを見ますというやつでありますとか、入るときは少額でいいけれども、月月高くいただきますとか、いろいろな形態があるわけでございます。そういったものの分析、それから今後の有料老人ホームの課題といたしましては、利用者の方にまず何よりも質の保証ということをどういう形でやってやったらいいのであろうか、それから、お年寄りの方が入居されます場合、契約をされるわけでございますが、その契約の内容というものは、いかなる点を明確にして留意すべきであろうかというようなこと等から始めまして、勉強いたしているわけでございます。今後こういったものについて、なかなか比較的には所得の高い方々がお入りになるものが多うございますので、助成ということは非常に問題があるかと思うのでございますが、あるいは財政投融資等の面におけるそういった援助方策、あるいはただいま先生御指摘になりましたその規制のあり方、規制と申しましても、ただ届け出をきちっと励行されるというだけでは、向陽会サンメディックの事態を見ましても、たとえ届け出をいたしましたとしても、その経営者の方が何と申しますか、百五十人入る予定のところが、二十人しか入らなかったために破産したという事後的な状態というものは、なかなか届け出だけでは規制できないんじゃないか。そうなると、どういう有効な方法があるのだろうか、あるいは自主的に有料老人ホームというようなものを経営される方々の団体のようなものをつくりまして、そういったもので、何といいますか、一定の信用力を付与するというような行き方等もあるのじゃないか等々の問題につきまして、現在勉強いたしているわけでございます。
 非常にとりとめなく申し上げましたが、そういったことでございます。
#77
○穐山篤君 初めてのことでありますし、現状認識から始まるわけですから、多少時間のかかるのはやむを得ないと思いますが、冒頭私が申し上げましたように、相当世間からは注目をされているわけです。まだ期限を切っていつまでに検討が終わって、それを受けて行政なり、政策の上にのせるかという時間的なところまでは計画はされていないんですか、いるんですか。
#78
○政府委員(山下眞臣君) 現在懇談会の先生方には非常に鋭意御努力願っておりまして、少なくとも、月一回のペースでは御議論を願っているわけでございますが、実質的には四月から始めたわけでございますが、どうしても一年間ぐらいは検討に時間を要するだろうというふうに現在の見込みでは考えております。
 なお、私どもといたしましては、できるだけ先生方に早くしかるべき考えをまとめていただくように努力をさしていただきたいと存じます。
#79
○穐山篤君 十分にひとつ促進をいただきたいと思うんです。
 その次に、社会福祉施設に関します諸問題についてお伺いをしますが、最近、社会福祉法人あるいはそれらの施設の一部におきまして、年寄りを収容したという言い方は適切ではありませんけれども、残したまま強制的に競売に付されたというふうな事件もありましたですね。これは非常に驚く事件であると同時に、社会福祉法人というのはああいうものかと、その基盤が非常に弱いという、従来の信頼感を崩したという意味でも特徴的ではないかと思うんですが、こういう事態を厚生省の皆さんとしてはどういうふうに認識をされているのか、まずその点からお願いをします。
#80
○政府委員(山下眞臣君) 御指摘のとおり、社会福祉事業を行います社会福祉法人、その仕事はきわめて公共性の高い内容の仕事でございます。そういったものにつきまして、一部に不祥事案が生じておるということにつきましては、非常に社会福祉事業全体に対しますところの国民の信頼を損なうというようなことになりかねませんので、かつまたその事情によりましては、施設を利用しておられる弱い方々と申しますか、お世話を申し上げておる方々に対しましても、影響の生ずることもなきにしもあらずということでございまして、私どもといたしましては、まことに遺憾と申しますか、こういう事態がないように精いっぱいの努力をしなきゃならぬというふうに感じておる次第でございます。
#81
○穐山篤君 そこで具体的に、たとえば万年青福祉会であるとか、浴風会であるとか、あるいは厚真福祉会とか、それから後ほど細かく指摘をしたいと思うわけですが、保育所の問題とか、これらを通して不祥事件なり、倒産というものを分析して、特徴点はどこにあって、問題点はどこにあるのか、類型で結構ですから、その点明らかにしてもらいたい。
#82
○政府委員(山下眞臣君) 御指摘ございましたように、最近の事案といたしまして、一つは、理事長が理事会の議決も経ないで独裁的と申しますか、専断的に借金をいたし、それの担保に施設を自分だけで供するというようなことをやって、競売というような事態を招くというようなことでございますとか、あるいは建設の際に、あるべからざることでございますけれども、二重契約をいたしまして、リベートというようなことでまあ寄付金に見せかけるというようなことをいたしましたり、あるいは入居者のお年寄りの方からお預かりしておるお金を着服したりというようなこと等の事例が生じておるわけでございます。何か一つをもってこれが原因ということで決めつけるというのは、非常にバラエティがございますので困難かと思うのでございますが、やはり中心になりますのは、その経営に当たられ、かつまた仕事に従事されます役員、職員の方々の資質と申しますか、熱意と理解と申しますか、そういったものがまず第一に根本になければならぬと思うわけでございます。それと同時に、やはり施設を始めますに当たりましても、また、その後におきまして経営をいたしますに当たりましても、やはりきちんとした資金計画、事業計画、それの適正な執行という判断力と能力をもあわせ持っていただかなければならぬのじゃないだろうかということを痛感をいたす次第でございます。
#83
○穐山篤君 不祥事故の内容から考えてみまして、まず最初に許可を受けるに必要ないろいろな手続があるわけですが、それについて十分なチェックを行う、慎重な検証を行うという態度がありませんと、こういう問題は今後も起きるということは十分に考えられるわけですね。それから二つ目は、どうしても理事長とか、幹部という経営陣の経営の姿勢、あるいはその方が過去どういう社会的な事業、あるいは実績を持っているかという検証も十分に行わなければなりませんし、その後の施設の経営の健全化についてどれほど知恵を出しているか、あるいは努力をしているかということについてのチェックが不十分でありますと、当然こういう問題が起きるわけですね。中に一部職員で金をごまかして逃げたというのもあるわけですが、総じて言うならば、最初の設立の段階、途中におきます検証、あるいは指導、監督、これが国及び地方公共団体を含めて、十分に行われていなかったところに、こういう目こぼしみたいな事件が最近急速に起きているわけですね。それと同時に指摘をしておかなければなりませんのは、過剰な設備投資をしたり、身分不相応な経営の拡張、あるいはそのために手形乱発というふうなことが起きるわけですけれども、どちらかといいますと経営に十分な目先のきかない経営者も中にはある、あるいは故意にしたものもあるわけですけれども、それらを総合的に考えてみますと、やはり厚生省なり、あるいは地方公共団体の責任も相当感じてもらわなければならぬと思うんです。
 そこでお伺いするわけですが、過日これらの問題が続発をしている現状にかんがみて、厚生省は特別な指導要綱といいますか、そういうものを出されているわけですが、これの重点ですね、あるいはまあ当面、特に地方公共団体を通して目を配らなければならないというものはどこに比重が置かれているのか、その点、お伺いします。
#84
○政府委員(山下眞臣君) まさしく先生の御指摘のとおりに、始めるに当たりましての事前チェック、それから経営に当たりましての関係者の姿勢、その後の努力というものを不断に持続させていかなきゃならぬというのは御指摘のとおりだと思っているわけでございます。従来から社会福祉法人の認可基準等は基本的な事項は示してきておったわけでございますが、近時、非常に社会福祉法人、社会福祉施設増加をいたしてきております。それに伴いまして、御指摘のような事例が散見されましたことに伴いまして、実は昨年におきましても、監査指導要綱というものをつくりまして地方にお示しを申し上げ、かつまた認可基準につきましても一部さらに詳細なものを追加をいたしまして、昨年お示しをしたということでございますが、ことしに入りましてもなお生じてきたということで、先月大臣の御指示もございまして、社会局並びに児童家庭局共同でプロジェクトチームをつくりまして、最近の事案を一つずつ検討いたしまして、留意すべき事項ということを決めまして、先月六日に各都道府県知事にお願いを申し上げたわけでございます。
 その内容といたしましては、どれか一つというだけではございませんが、まず第一線の機関でございます都道府県のこういった施設に対します指導監査体制、これを従来にも増してしっかりお願いしたい、少なくとも年一回は監査に当たるようなことでお願いしたい、それから、また現在非常に一つの課だけで済まないで、たとえば老人の施設と障害者の施設と子供の施設というのを持っている、あるいはその方が別に病院も経営しておられるというような事例等がございますと、関係部課が集まりまして、一つの有機的な連絡を持ってこれを指導監査していくというような仕組み等、そういった指導監査体制の強化というようなことが一つございます。
 それから内容的には、ただいままさに先生から御指摘がございましたようなことでございますが、施設の整備に当たりましては、その当初計画で資金計画、あるいは寄付金をもとにいたします場合にはその寄付金の確実性、そういった事前チェックというものを十分確かなものにしてもらいたい。あるいは仮にも二重契約やリベートというようなことがあってはなりませんので、工事の中途段階あるいは終了段階における詳細な実情報告の聴取というようなこと等も心がけていただきたい。あるいは後ほど保育所のお話お出になるようでございますが、証憑書類等の水増し等があるような場合、そういうおそれがある場合には、場合によっては取引先まで行って当たってみるというようなこと等、留意事項、気づきましたことを整理をいたしまして、一段とこの指導監査に万全を期すようにという趣旨で、先月の通知を発簡いたした次第でございます。
#85
○穐山篤君 そこで成人関係の施設にいたしましても、児童関係の施設にいたしましても、相当まとめてみると数は多いわけですよね、万単位になるわけです。私は細かい数字は記憶はしておりませんけれども、多分一万数千ヵ所ということになるだろうというふうに思うわけですね。厚生省としては、しかるべき指導監督強化の社会局長の通達が出ていて、一女全くごもっともで、反対すべきところは全くないですね。この通牒は従来になく、一つ一つ不正の例を挙げているわけですが、こんなことは珍しいと思いますけれども、それほど関心を持って取り扱っている、対応しているというのはよくわかるわけですけれども、さて実際の出先であります地方公共団体、市町村の立場に立ってみますと、これは結構だけれども、年に一回綿密に施設の監査、法人の監査、あるいはその他のいろんな指導と検証というものが十分できるかどうかというのに不安を持っているわけですよ。それは場合によりましては、年次計画なり、数次計画でやるという方法もあるだろうというふうには思いますが、私も関係しております地方の県庁なり、市役所の担当者に聞いてみますと、書かれていることは全くそのとおりだけれども、われわれのところにはそういう体制がないと、その点を十分に考えてもらわなければ困るというのが率直な出先の意見なわけですね。出先も、そういうふうにただできないと言うだけではなく、知恵も少し出し合ったらどうかというふうに私どもも提言をしておりますけれども、地方の公共団体の意見は総じて体制上の問題に難があるというふうに指摘をしているわけです。その点についての本省の考え方、あるいは指導のあり方について、どういうふうに現実的にやられるのか、考え方をお伺いしたいと思うんです。
#86
○政府委員(山下眞臣君) 御指摘のような問題あろうかと思うわけでございます。たとえば昭和五十四年度の監査の実績を調べてみますると、私ども中央におきましても、社会局の監査指導課、児童家庭局の児童福祉監査指導室共同いたしまして、全国的に抽出して監査に出かけておるわけでございますが、各都道府県におきます監査状況というのを、五十四年度の調べで見てみますと、大体一年に一回は行っておると、監査をしておるという県が十九県程度でございす。二年程度に一回というものが十二県程度、それから三年というのが七県程度というような感じでございます。現在社会福祉法人約九千程度あるわけでございます。保育所が一番多いわけでございますが、それを必ず毎年一回というのは非常に困難だということはあるかもしれませんが、県によりましては相当の努力をいたしまして、実施をいたしておるわけでございます。監査関係の指導職員、監査職員の府県別状況を見ましても、ややばらつきがございます。専任と兼任という程度の差もございます。私どもといたしましては、基本的には、この職員の人件費はもう地方交付税の算定になっているわけでございますが、都道府県当局におかれましても、事の重要性にかんがみまして、こういった点に力を入れていただきたいというふうに思うわけでございます。
 なお厚生省といたしましては、こういった施設監査、法人監査の重要性にかんがみまして、五十四年以来厚生省の委託費で社会事業研修センターにおきまして、都道府県の指導監督職員の研修ということを実施をいたしてきておるわけでございます。今年度におきましては、特に経理事務につきましての研修というようなことを実施をいたしておる次第でございます。
#87
○穐山篤君 わりあいに施設監査の方は、行きなれている人ならば、ほぼ監査業務というのは可能なんですよね。ところが、経営上の監査ということになりますと、単に見ただけではどうにもならぬわけですね。理事長に話を聞くなり、あるいは職員に話を聞くなり、あるいは中におりますそれぞれの方々の御意見を聞くなり、場合によりますと貸借対照表を含めて、財政的な、経理的な帳簿もひっくり返さなきゃならぬ。そういうことになりますと、やはり出先におきます体制というのは、非常に私は困難な向きがあると思う。しかし、それを困難だ困難だというふうに言っていただけでは、防止にはならぬと思いますので、特にあとほうり出されますのは、その中におりますそれぞれの老人なり、あるいは患者なり、何なりというものが負担を負うわけです。そういう意味で非常に私は問題がある。そこで具体的なことについて指摘をしておきたいと思うんです。
 これは東京都の例でありますが、例のテマリ保育所というのですか、保育園というのですか、ここの事件がありますね。ここは昨年の夏に東京都から厳しく譴責を受けまして、御案内のとおり不正事故に対します改善命令が出たわけです。理事長の交代を一つのチャンスにしながら、健全な経営をするために、不正な過去のものについてはそこで清算をする、そういう約束で、ざっくばらんに言えば更生を誓ったわけですね。ところが、率直に申し上げまして、改善命令に違反をするばかりでなくして、全然その改善命令を実行する意思もない。なおかつ去年からことしにかけまして、輪をかけたように意図的に新しい不正な事件を惹起しているわけですね。ですから先ほどのお話で、十分に監査いたしますという話は、一般論としてはわかりますけれども、こういう事件に出っくわしてみますと、さて問題だというふうに思うわけです。
 時間がございませんのでまとめてお伺いしますが、設立から去年の夏まで、便宜的に第一回目の不正な流用と、こういうふうに言っておきたいと思いますが、国の損害はどのくらいで、地方公共団体の損害がどのくらいなのか。それからいまも申し上げましたように、去年改善命令が東京都から出ましたけれども、なぜ改善命令に沿って実行しなかったのか。それから、今回が第三回目になるわけですが、輪をかけて本当に悪質な不正行為が行われたわけですが、これを経費別、会計別に見てどの程度か。四番目に、全くこの事件といいますのは悪質この上もないことで、こんな例があってはならないと思いますが、これも東京都の命令で、七千万円近い金を早急に返還しろという返還命令が出ているわけです。これにどういうふうに長谷川栄美子理事長が対応するかわかりませんけれども、園児や職員がその返還資金の負担を負わされたり、あるいは父兄がその犠牲になるということは、これは筋違いの話になるわけです。そういうことを逐次追っていきますと、最終的にどういう問題が出てくるかといいますと、許可の取り消しという問題が理屈の上からは出てくる。それから停止という問題が出てくる。制限という問題が出てくる。そうしますと、中の園児あるいは職員のこれからの生活、あるいは児童の教育といいますか、福祉というもののこれからの展望というものが非常に問題になるわけです。これについて、もうこの辺できちっとしたけじめをつけませんと、これは禍根を残すと思うんです。私は厳しい態度だけが能ではないということを十分に承知をしますけれども、今回のこの事件というのは、夫婦そろって相当悪知恵を働かしたやり方なんですね。これは絶対に許されないことだと思うんですが、時間の都合がありますので、以上まとめて御質問をいたします。
#88
○政府委員(金田一郎君) ただいま御指摘の社会福祉法人やまと福祉会でございますが、簡単に申し上げますと、この福祉会が設置経営いたしますテマリ保育園、それからテマリ第二保育園といいますものは、それぞれ昭和四十九年、昭和五十二年に設立されたものでございます。
 この建設に際しまして、テマリ保育園の土地購入資金として五千七百万円、テマリ第二保育園の建築資金といたしまして千三百万円、合計七千万円の銀行借り入れを行ったわけでございますが、この償還財源を捻出するため、架空の水道工事、それから措置費の不正支出、この内訳といたしましては、二重帳簿による給与分及び物品費の不正支出、給食費の切り詰め等、こういったことを行いまして、その累積の不正支出額は六千六百八十五万円に達しておりますことが東京都の監査の結果明らかになったわけでございます。
 改善指示等につきましては、ただいま先生からお話あったとおりでございますが、過去の不正支出額のうち国と都の費用はどういうようになっているかというようなことをまずおっしゃったわけでございますが、たとえば、前回東京都が指摘いたしております不適正額三千八百五十二万円でございますが、このうちおよそ国庫負担相当額は四割程度と推定されます。なお、不適正額につきましては東京都にさらに精密に調査すべく指示いたしておるところでございます。もうちょっと詳しく具体的に申し上げますと、収入につきましてはそれぞれ分類いたしまして入ってまいりますが、支出につきましては一括して出ておりますので、したがいまして、十分都の方で調査いたしませんと、正確なことは判明しないんではないかと思います。
 なお、今後の措置でございますが、東京都の方から正式に私どもの方へ連絡が入ったものではございませんけれども、私も新聞等で見ますと、理事長の方で自分の家、土地を売って返済したいとか、あるいは返済が終われば責任者として身の振り方を考えるというようなことを言っております。なお、正確な都からの報告が入りましたならば、また御報告申し上げたいと思うわけでございます。
#89
○穐山篤君 そこで、先ほど私が指摘をしましたのは、厚生大臣の認可になるわけですね。認可でできたこのやまと福祉会テマリ保育園になっているわけですね。最終的には国に責任があるわけです。それは東京都――地方公共団体としての対応の措置もありますが、考えられますことは、先ほど私が申し上げましたように、これからいきますと再建の方策ができればいいわけですけれども、再建できない場合には、許可の取り消しが行われる、あるいはその業務の停止をすると、あるいははその業務の一部制限を行うということになる。それを園児なり職員に、あるいは父兄に犠牲を負わしてはならないと思うんですね。金銭的な分野でもそうだし、せっかく希望を持って入っている子供さん方が路頭に迷うということよりも、次を捜すこともまたまた地域的にいえば困難な場所なんですね。そういう問題についての対応がいまのお話の中では全然出ていないんですが、まだそこまでは東京都との間に十分な検討が進んでいないと、こういうことになるんでしょうか。
#90
○政府委員(金田一郎君) なお、先ほどの続きといたしまして、ちょっと東京都との関係を申し上げますと、東京都の方といたしまして私の方へ報告をいたしておりますのは、不正支出金につきましては、これを精査いたしました上で、それぞれ帰属すべき会計へ返還せしめるとともに、理事長と関係者の進退を含めた責任を明確にさせるということも東京都は言っております。
 なお、私どもといたしましては、今回の東京都の勧告による改善状況の推移を見まして、東京都に対し必要な指示等を行う方針でございます。
 ただ、ただいま先生おっしゃいましたような、最悪の場合施設が閉鎖云々と言われましたが、そういった事態は絶対にないように、私どもは十分指導してまいりたいと存じております。
#91
○穐山篤君 その閉鎖が起きるような事態はこれは好ましいわけではありませんから、その点は責任を持っていただきたいと思うんです。
 さて、国の財産管理の立場から言いますと、仮にそれが四割であろうが、何割であろうが、多額のお金が不正使用をされた、流用をされた、そのことに尽きるわけですね。こういうことがあってはなりませんし、それから責任の所在も明確にするということは言われましたけれども、国の立場から言うと業務上横領に遭ったという、あるいは形式的に言えば文書の違反があった、いろんなことが、ケースが考えられるわけですが、国が原告になって告発をするというふうな考え方はございませんか。
#92
○政府委員(金田一郎君) 法律上はこの指導監督権につきましては、国または地方公共団体の長と、厚生大臣または都道府県知事ということになっておりますので、第一次的には東京都におきましてこういった措置をとるということになっているわけでございます。
#93
○穐山篤君 本件につきましてはしっかりひとつ始末をつけてもらいたいというふうに思います。
 なお、病院の倒産その他についてお伺いする予定でしたが、時間がありませんので後日に譲りたいと思います。
 最後に、新聞にも先日大々的に出ましたが、岡山県下の長島架橋の問題について、厚生大臣は関係者に努力を約束をされたわけですが、大臣がいまおりませんが、この点は答弁がいただけますか。
#94
○政府委員(田中明夫君) 長島架橋の問題につきましては、これは長島のらい療養所の患者さんの長年の希望でございますし、また同時に地域の住民の便宜にもなることでございますので、厚生省といたしましては、何とかそれを実現いたしたいということで、従来から公共事業によりまして、その実現を図るべく、地元あるいは施設等といろいろ協議を重ねてまいってきておるわけでございますが、残念ながらまだ最終的な合意に達しておりません。主として公共事業の経費を地元と負担していくというような点につきまして、話し合いが難航しているのが実情でございます。大臣が去る十月二十八日の参議院の社会労働委員会において申し上げましたとおり、また社会労働委員会において決議がなされたわけでございますので、私どもといたしましては、一層この橋の実現に努力してまいりたいというふうに思っているわけでございますが、具体的には今月じゅうにも担当の課長を現地に派遣いたしまして、地元での合意を促進し、地元の合意を得つつ、この架橋の実現に努力してまいりたいと思っております。
#95
○穐山篤君 地元の合意と同時に、建設省なり、大蔵省なり、中央省庁の意見の一致ということも非常に大切でありますので、この社労委員会の決議に基づいて、年内予算の編成があるわけですから、これに向けてひとつ全力投球をしていただきたい。
 大臣がおれば決意の表明をいただくところですが、事情がわかりましたので、以上質問を終わります。
#96
○石本茂君 まず初めに、保育に関しましてお尋ねをしたいと思いますが、保育行政につきましては年々経費の増加を図られて、認可保育所の増加と、そして保育事業内容の充実化に努力されておりますことについてはい敬意を表しておる者の一人でございますが、今日ちまたの声としまして、非常に保育所が足りないという声が非常に大きいわけでございますが、現在ただいまといいましても、最も近い時期の調査ということになりますが、認可されております保育所の数と、この認可保育所の収容定員と申しますか、認可許可人員と申しますか、あわせて保育を要する乳幼児の数をちょっとお伺いしたいと思います。
#97
○政府委員(金田一郎君) まず保育所の現状でございますが、保育所の総数は全国で二万二千三カ所、これはことしの六月一日現在でございます。うち、公立が一万三千三百五、民間が八千六百九十八でございます。それから定員は、全国で二百十三万二千四百六十三人、公立が百三十二万七百七十一人、民間が八十一万一千六百九十二人でございます。
 なお、保育所の保育需要の状況でございますが、昭和五十一年に保育需要実態調査というのを行ったわけでございますが、これによりますと、当時の要保育率は一八・六%――要保育率といいますのは、学校へ入る前の児童のうちで、保育を要する児童の比率でございます。要保育児童数は二百二十六万六千人と推計されております。しかしその後・出生数が低下傾向にございますが、他方において婦人の就労の増加等によりまして、要保育率が上昇いたしてはおりますけれども、要保育児童数そのものは、それほど大幅な伸びにはならないものと見込んでおります。このような要保育児童数の推移を考慮いたしますと、保育所の整備は全国的なレベルではかなりの充足がなされているわけでございますけれども、今後は地域的偏在の是正等の要素を考慮いたしまして、緊急に必要なところを中心に効果的に保育所の整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#98
○石本茂君 いま申されましたように、要保育児童が上回っておりますので、そういうことを含めてだと思うんですが、無認可保育所が非常にふえてきておるわけでございます。この無認可保育所のあり方でございますが、児童福祉法の第二条を見ておりますと、「国又び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」ものであるということになっております。この無認可保育所は国の措置、体制とは外れておりますので、これは地方公共団体が何らかの形でこれを措置しているものでございますかどうかということと、それからいま局長申されましたように、この無認可保育所をできるだけ認可保育所にかえていく条件でございますね、現在ただいまですと、認可保育所の収容定員が三十名以上とかということになっておりますが、これの定員をたとえば二十名以上というようなものに変えることが好ましくないということの理由をも含めてお尋ねしたいと思いますが。
#99
○政府委員(金田一郎君) 保育に欠ける児童の保育につきましては、保育所で行うことを原則といたしておりまして、いわゆる無認可保育施設につきましては、保育所の整備を推進することによりまして、その解消を図るように努力しているわけでございます。
 また他方、これらの施設に対しましては、認可保育所としての要件を具備することができるように、個々の実情に応じまして指導援助を行っておりますが、ただいま先生二十名というようなことをおっしゃったわけでございますが、すでに小規模保育所制度というのがございまして、ここでは例外的には二十名以上でも適用できるように、積極的に図っておりますので、こういった制度をいろいろ活用いたしまして、無認可保育所の解消に努力しているところでございます。
#100
○石本茂君 できるだけやはり、国の責任あるいは地方公共団体の責任ということになりますが、親権者とともに児童を守るというたてまえで、この増強方をお願いしたいと思います。
 最近非常に報道関係をにぎわしております問題に、ベビーホテルのことが出ております。このベビーホテルは十年ほど前から耳にしていたことでございますが、これは結局母親のいろんな考え方もありますけれども、婦人の職場が非常に多様化したと申しますか、昼間ほとんどの保育所は朝八時から午後五時とか六時までがたてまえでございますけれども、夜間の業務、ただ単にサービス業務だけではございませんが、夜間の業務に従事する女性の職場が非常に拡大したわけでございます。そうなりますと、夜間の保育がどうしても必要になってくると思うんです。こうしたことを含めまして、今後ますますこれは多様化していくと思うのでございますが、現在認可保育所がたてまえとしております昼間の保育条件から、夜間の保育に、どういいますか、変換という意味じゃございませんが、夜間保育をも加味するというようなことについての御見解はどういうものでございましょうか。これは関連でございます。
#101
○政府委員(金田一郎君) 現在認可保育所におきます夜間保育は一部行われているというふうに私ども聞いているところでございますが、その数はごく少数だということでございまして、実態は必ずしも全部把握いたしているところではございません。
 保育時間につきましては、地域における保護者の労働時間、通勤時間等から見まして、原則としている八時間の保育時間の延長は必要といたしましても、夜間まで及ぶような保育は、どうしても乳幼児への影響、あるいは従事職員の勤務体制等から見まして、その実施は現状では大変困難だということでございます。一応現在の事情だけ申し上げておきたいと思います。
#102
○石本茂君 子供の養育の問題、育成の問題は、ただ事務的にこういうたえまえがありますからということだけでは解決できないように思いますので、今後心して、働く母親の立場、その子供の立場などを十分に勘案していただいて、保育行政の今後のあり方というものを、精いっぱい私は御検討いただきたいということをこの機会に希望します。
 ベビーホテルは保育所ではございません。これはもうおわかりいただいているところでございまして、夜間の宿泊を伴うものとか、あるいはまた短時間の単位で一時預かりを行うということがたてまえでございますから、保育所ではございませんが、この施設並びに運営面を見たり聞いたりしてきたわけでございますが、非常に整った環境で、そして管理も世話が行き届いたところもありますし、今回問題になりましたように、営業が目的なのか何かわかりませんが、人間の子供を育成する、あれは預かる場所だろうかと思うようなところが非常にたくさん出てきたわけでございますが、こういうものについて、どういうふうに考えていらっしゃいますか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#103
○政府委員(金田一郎君) ただいま先生の方からベビーホテルのこと等について御指摘があったわけでございますが、御指摘のとおり、婦人の就労も非常に多様化いたしておりますし、就業時間もさまざまでございます。こういったことがいわばいわゆるベビーホテルを増加させている背景ではないかと考えております。このような婦人の就労形態のすべてに対応しようとすることは、私どもといたしましては困難であると考えておりますし、また夜間に及ぶような保育は乳幼児の健全育成の観点から見ましても問題があると考えております。しかし、このような夜間に及ぶ保育に対する需要が根強く存在していることもまた事実でございますので、需要の内容等十分把握して、真に必要なものにつきましては、何らかの対応策を検討する必要があると考えておるところでございます。
#104
○石本茂君 こんなこと言っている間にもそういうものがふえていく可能性があるわけでございまして、これは就労している母親だけではございませんで、自分が旅行したいとかというような自己中心の考えからも、こういうものが出てきていると私は思うわけでございますが、現在、旅館業とか、ホテル業とか、人を泊めるところ、それから食事を供給するところなどは全部届け出をして、営業権を持たなければできないようになっていると思うんです。それなのに、この幼い子供、自分では自分の意思を表明することもできない子供を預かるわけですから、当然環境の整備、それから衛生の完全性というものが確保されなければならないと私は思うんです。この児童福祉法の第一条、第二条を読みましてもそう思うわけでございますが、これはどんなものでしょう。三人ぐらいまでの子供なら個人としてお預かりすることもできると思うんですが、四人以上預かるような施設につきましては、早急に何らかの認・許可といいますか、これは確立してもらいたいと思います。
 それで、なお、この業を営んでいる一部の声かもわかりませんが、私の知る限りの数社の業者によりますと、そういう営業権を与えてほしい、自分たちは正々堂々と仕事を続けていきたいから、ぜひ認・許可制にしてほしいというような声もあるのでございますが、いかがでございましょうか。
#105
○政府委員(金田一郎君) ただいま先生御指摘のように、ベビーホテルにつきましては、何ら法的な規制は現在行われておりません。したがいまして、その実態につきましても必ずしも明らかではないわけでございますが、事故防止等の安全面、また衛生面、保育内容の面で問題のあるものが多いというように聞いております。したがいまして、児童福祉の観点から何らかの規制を行うことも検討しなければならないと思っているわけでございますが、子供を預かります預かり方には、たとえば親戚に預けるとか、近所の人とか、あるいは数人預かるというものから、ホテルで時間単位で預かるものなど、いろいろの形がございまして、規制の方法につきましては、相当の検討を要するのではないかと思っております。
 また、一方におきまして、現在ございます保育所、あるいは乳児院等で受け入れ体制を整備するということによりまして、いわゆるベビーホテルに対する需要にもある程度応ずることができるのではないかと思っております。これらのことを総合的に検討いたしまして、この規制の問題について、今後いろいろ考えてまいりたいと思っているわけでございます。
#106
○石本茂君 これはやっぱり早急に結論を出していただきませんと、幾らベビーホテルは必要ないものだと仮に言ってみましても、現在ただいまの社会の層の中では絶対必要なものなんですね。その辺をもう御検討されていると思っておりますが、早く結論を出していただいて、安心して預けられるように、また預かることができるような体制づくりを私はしてほしいと思っております。
 なお、このことについて、せっかく政務次官お出ましでございますので、いまちまたを騒がしている問題でございますので、政務次官はどのようにお考えでございますか、ちょっと聞いておきたいと思います。
#107
○政府委員(大石千八君) 私は動物を預かる施設というのが、これも十年くらい前かもしれませんが、ペットですね。それを知ったとき非常に驚いたという、世の中そこまで進んだのか、私の意識がおくれていたのかもしれませんが、私の記憶では、動物を預かる施設ができたというのを聞いたときに、世の中の進みぐあいの早さに驚いたという記憶がございますが、最近ではベビーホテルというのができて、非常に多忙な母親が子供さんをまだ乳児の段階で預けるというようなことが非常に多い、しかも、その中では施設等に問題のあるものが多いということを、いろいろ問題が起きる危険があるということを聞きまして、ますます世の中の進展と、社会の非常な忙しさということに対して、複雑な気持ちを持っているところでございます。
 しかしながら、いま児童家庭局長が述べましたように、一方ではやはり必要に応じてこういう施設をやるんだ、社会に貢献しながら、しかも自分の営業というものができるんだという強い主張をしておる、またそれを利用しようとする人たちがおることも事実でございます。そういう意味からいいますと、なかなか非常にそういう営業権というものに関しましても、職業の自由ということに関しましても、慎重に調べて、問題のあるというその本質をやはり見きわめた上で、安全にいま石本先生言われましたように、預けるというような方途をやっぱり積極的にやっていかなければならないと思います。じかも迅速にやらなければならない。全く先生のおっしゃるとおりでございますが、厚生省としてもそういうつもりでいまやっているところでありますし、微妙な法的な問題にも触れるおそれもある問題でありますので、そういう点はなお一層認識を深めまして、迅速に、しかも行き届いた調査をして、その結論に基づいてやっていかなければならないと、そう思う反面、またやはり自分の子供を預けるという、これは人任せのものでないわけでありますから、母親としてもその辺の自覚をやっぱり持つということも、他人任せでない、自己の責任においてやっぱり母親自身もそういうことに対して大丈夫かどうかということを、ただ預けるというんでなくて、そのぐらいの責任はやっぱり個人として持っていかなければ、なかなか自己を逃避するということで、自分が犠牲にならないという保証はどこにもないということを自覚をしながらやはりやってほしい。これは決していまの行政が手に負えないから、自分で責任持ってやりなさいという意味とはまた違いますけれども、一面においてはそういうこともやっぱりやっていただかないと、万全はあり得ないのではないかというふうにも期待をするような次第でございます。
#108
○石本茂君 どうもありがとうございました。そういうおつもりで、ぜひ厚生行政の中の重要なこういう子供の健全育成ということが叫ばれておるわけでございますから、母親教育ももちろん必要でございますが、早急に御検討の結論を出していただきたいととを、この席をかりましてお願いしておきたいと思います。
 次は、医療に関することでございますが、先ほど来富士見病院などの問題も出ておりますけど、医療法あるいは医師法などが完全に守られておれば、こういう問題は出てこなかったんじゃないかと思う反面、医療というのは、個々の医師の経験とか、知恵とか、知識とか、社会経験とか、いろんなものが背景になって行われておるわけでございまして、これをそれがいいんだ、これが悪いんだという、だれもがそれはできないと思うわけでございます。私は老人医療の問題についてお伺いしたいと思うんですが、年寄りはほとんど皆病気を持っておりますし、しかも長期、慢性の疾患が多いわけでございまして、病院に入りまして、緊急医療のベッドをふさいでいるというのが現在だと方々で言われておるわけでございます。でございますから、治療が固定化したとか、あるいは病気そのものは大体大方よくなってきているんだと、あとは療養生活といいますか、治療を含めての問題になりますけど、治療そのものよりも、療養生活に重点がかかってきている。それで、家族に連れに来なさいと言ってもなかなか連れに来ない。退院しなさいと言っても退院なかなかしたくない。これは心の問題だけじゃなくて、やっぱり不安感があるんだと思うんです、連れて帰る者にしても、家に帰る年寄りにしましても。そういうことで、私も知っております幾つかの病院、老人が約八割ぐらい入っておられます病院等について、調べたわけじゃございません、聞いてみたわけでございますが、そうしますと、たとえば五百人収容しておられますところでは百人以上、二百人近い御老人は、お医者様の毎日診察を受ける必要もないんじゃないか、あとは療養生活といいますか、看護を主体とする療養機関があれば、そこに行った方がいいんじゃないかと思うというような声も聞くわけでございます。反面、御承知のように、医療経済物すごく逼迫しておりますし、医療費に投じます財政の額も、目を見張るような額になってきておりますので、私は厳しい規制を持っております入院患者何人に対して医師一人置けとか、何だとかかんだとかという厳しい条件ではなくて、安心して療養生活が営めるような、入院費よりももりと低い療養費で加療できる機関があってもいいんじゃないかとしみじみ思うわけでございますが、いかがでございましょう、局長さんのお考えをお伺いします。
#109
○政府委員(田中明夫君) 先生がいまお話しいただきましたのは、外国等で普及しておる国もあるようですが、ナーシングホームあるいは別な名前で呼ばれておるところもあるようですが、まあ入院治療を必要とするほどの病人ではないけれど、やはり何らかのケアを必要とするというような方方のための収容施設という御提案であろうと考えるわけでございますが、現在の日本の制度におきましては、病院というまさに入院治療を必要とする人を入院させ、治療を行うという施設と、それから特別養護老人ホームということで、まあ入院治療は必要としないが、ある程度のケアを必要とするというような人を収容する施設があるわけですが、恐らく先生のお考えは、その中間ぐらいの施設をお考えになっているのではないかとも考えられるわけでございます。われわれ現在はその二つの施設――病院と特別養護老人ホームをうまく結びつけて運用していくことによって、かなりの成果が上がっているんではないかというふうにも思っておりますが、先生の御提案の新しい施設につきまして、現行の制度では、なかなかむずかしい問題もあろうかと存じますけれど、新しい高齢化社会を迎えるに当たりまして、厚生省内におきまして、いろいろな観点から現在十分研究しておるところでございます。
#110
○石本茂君 いま局長申されましたように、病院を出て、そして何らかのまだ措置が必要な人は、特別養護老人ホームに入居するということで事が足りているんじゃないかという御発言でございましたが、この特別養護老人ホームというのは全国に一体幾つございますでしょうか。そして、このホームに入居できる定員といいますか、人員はどれくらいでございましょうか。
#111
○政府委員(吉原健二君) 特別養護老人ホームの数は、五十四年十月現在でございますけれども、全国で九百三でございます。収容定員は七万一千四百八十一人ということになっております。
#112
○石本茂君 この定員は充足されていますか、満杯でございましょうか、まだあいておりますでしょうか。
#113
○政府委員(吉原健二君) 現在、満杯の状態でございます。
#114
○石本茂君 そうしますと、今後、社会局としましては、この特別養護老人ホームの建設に重点を置いていかれる予定でございましょうか。
#115
○政府委員(吉原健二君) 特別養護老人ホームは、在宅の寝たきり老人を収容してお世話をする施設でございますけれども、先ほど申し上げましたような収容定員ではまだまだ御希望の方を入れることができないという状態にあるわけでございまして、現在、厚生省といたしましては、この特別養護老人ホームの計画的な整備というものを、今後とも進めていかなければならないというふうに思っております。
#116
○石本茂君 今後、増強されるんだということを期待しておりますが、これは福祉の対策でございますので、私が要望しておりますのは、医療保険の体制の中で、中間的なものをお考えいただきたいということを、老齢化社会を迎えてますます老人が多くなってまいりますし、医療機関、入院ベッドを持っておりますところは、もう老人がほとんどのベッドを占有しているという現状でございますので、これはぜひお考えいただきたい。さっき考えていくということでございますので、このことを期待したいと思います。
 そこで、在宅患者、これは老人も多うございますが、老人じゃない人もおられますが、この在宅患者の全部じゃございませんが、やはり専門的な看護というものの知識といいますか、現実の問題として、必要な場面があろうかと思うんです。いま日本じゅうあちこち見ておりますと、病院に入院していまして退院したその後の状況調査というようなことを含めて、指導のためにその病院が自分の病院の看護婦などを出向させて指導しているものがございます。これは指導料というものが取れているんでございましょうか、お伺いします。
#117
○政府委員(大和田潔君) 特に指導料という制度はございません。
#118
○石本茂君 そうすると、これは無料でサービスをしているということだと思うんでございますが、現在、保健所の保健婦、市町村保健婦なども訪問指導していると思うんですが、私は、今後ますますこの老人医療を含めまして、こういうことが大きく必要性が出てくるんじゃないかと思うんですが、当局のお考えいかがでございましょうか。
#119
○政府委員(田中明夫君) 御指摘の点につきましては、先生も申されましたように、現在では保健所、あるいは市町村の保健婦による看護の指導を、在宅の老人その他の患者に対して行っておるわけでございます。
 御提案のように、看護婦による訪問看護を一般に制度化するということにつきましては、先生も御案内のとおり、病院等医療機関における看護婦が必ずしも十分でないというような現状、それから現在の医療の制度等との関連もございますので、これにつきましても今後の老人保健対策の一環として、慎重に検討いたしてまいりたいと思っております。
#120
○石本茂君 ありがとうございました。
 次に、付添看護のことについてお伺いしたいんですが、これは従来から問題になっていることでございまして、基準看護実施病院に入院しました人で、そして肢体といいますか、手足が不自由な人がたくさんおるわけでございますが、病院の看護力だけでは、必要な看護はいたしますけれども、四六時そばに付き添って看護するということは、これは不可能でございます。仮に特三類ができて一対一の看護ができたとしても、交代制勤務をしておりますから、これは絶対に不可能でございますが、付添看護を雇いますと、たとえば老人の場合、七十歳以上ですと、医療費はただでございますが、看護料が月十数万円もかかるという現実があっちこっちにあることを聞いておりますし、見てもおるわけでございますが、このことについて、大変これは勝手な物の言い方ではございますが、基準看護実施病院でありましょうとも、そういうふうに四六時というわけにいきませんが、身の回りの世話のために、看護といいましても専門性のものじゃございませんけれども、必要とすると認めたもの、これは医師とそれからお世話する看護婦と両方の立場で認めたものについて、収容患者の何%でもいいんですが、保険医療費の中で見るというようなことは、これはできないもんでございましょうか、お伺いします。
#121
○政府委員(大和田潔君) この付添看護問題、これは非常に重要な問題でございます。私ども例の保険外負担ということで付添看護の問題、それから差額ベッドの問題等重視いたしまして、従来からも重点的に施策を講じておるところでございますが、いま先生の御質問の基準看護病院に入院したと、なおかつ付添看護婦をつける、これはまあ一つの例だろうと思いますけれども、そういったような基準看護病院に入院した場合に、さらに手厚い看護をする場合に何か考えられないだろうか、こういう御質問だろうと思います。これにつきましては、基準看護病院というのは、先生も重重御承知のとおり、これはもう患者の病状に応じて、それぞれ病院が責任を持って看護をするという、こういうたてまえでございます。したがいまして、そこに入りました患者が、患者の負担で付添看護婦を雇う、それを基準看護病院でないと同じように償還までするというのはこれはむずかしい。結局、問題は、基準看護病院に入院いたしました患者、それの看護を病院が責任持てるように、病院の体制をどう厚くしていくかという問題であろうかと思います。これにつきましては、前回の診療報酬の改定におきましても、例の看護料かなり手厚い引き上げを行っておりますし、二類看護に特別加算を設けるといったような、これが先生いまおっしゃいました方途の一つだろうと思います。こういったことで、診療報酬の改定に際しまして、何かいい知恵があれば、それらを病院に対する手厚い、何と申しますか、診療報酬のアップというものを考えながら、いま先生のおっしゃいましたようなことにつきまして、改善をできるような、そういうことで私どもも検討し、努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。今後ともそれは努力を続けていきたい、かように考えております。
#122
○石本茂君 大変御配慮いただいておりますことを喜んでおりますが、ぜひこの問題はやはり患者の負担といいますか、非常に看護料金が大きいものですから、大きくしばしば社会の問題になっておりますので、今後さらに御検討いただいて、できるだけ負担が軽くて済むような方向に向かって、実現していきますことをお願いしておきたいと思います。
 次は、これは出産後の新生児の指導対策でございますが、母子保健法の第十一条でございますと、新生児の訪問指導ということが定義されておりますが、現在それはどうなっておるのかということなんです。といいますのは、これはごく最近でございましたが、私の知っている人ですが、娘さんがお産をしまして、そして病院は四日か五日目にはもう退院しなければならなかった、非常に忙しい病院でございますから。その後家庭に戻りましたけれども、沐浴も十分にできないし、非常に困ったと、何かいい方法がないかと思って近所の人に聞いてみたら、元助産婦だった方が近くに住んでいらして、その人の手を借りて何とかかっこうがついたと、これは一体どうなっているもんでしょうかというような意見を私に聞かれまして、私も、さてこれは地方では保健所を通して、保健所から開業助産婦さんにそういう手続がなされているはずだなと思ったんですが、都会地ではどうなっておりますのか、行き届いていないんだろうと思うんですが、このことについてちょっと御意見を承ります。
#123
○政府委員(金田一郎君) ただいま御質問の、新生児の訪問指導につきましては、先生も御承知のように、助産婦または保健婦により、保健所を中心として現に行われているわけでございます。しかし、都市部の場合におきましては、新生児の数が多いということ、また出産場所と住居とが必ずしも同一地域でないというようなことがありまして、対象の把握が困難なこともあろうと考えられますので、私どもといたしましては、母親学級等の集団指導を活用することなどをあわせまして、新生児の養育に必要な指導を充実してまいりたいと考えております。
 なお、たとえば東京都のある区でございますが、第一子につきましては全部訪問指導をさせる、第二子以降につきましては、育児上必要と認められる場合に行うというような、こういった分類にしておるところもあるわけでございます。
#124
○石本茂君 これはぜひ充実していただきたいと思いますね。やっぱり生まれたばっかりの赤ちゃん抱えた家庭、特に核家族が多うございますので、安心して退院して、そして新生児の世話ができる指導といいますか、実際の世話といいますか、これは行き届きますように特段の配慮をお願いしておきたいと思います。
 それから次は、これは文部省に言うことかもわかりませんけれども、いま医学校がどんどんふえて、医学生がずっとふえてきた。ところが解剖ですねへ死体解剖をするわけですが、この検体がものすごく足りないということでございます。なぜ私はこういうことを聞くかといいますと、厚生省が死体解剖保存法という法律を持っておられまして、そして死体解剖は、この法律によって集められた死体を今日医学校では解剖してきているわけなんでございます。非常に足りないものですから、反面、一方いろいろな団体がありまして、この団体が登録制度、生きている人に死にましたら遺体を解剖検体にするという登録運動をやっております。これは国民運動として非常に幅広く展開しておるんですが、いざ登録した人が亡くなりますと、遺族がそれを承知しないということで非常に困っておるわけですが、これを何とか登録制を法制化してもらえないかということを、昨年の十一月に厚生省にも陳情が行っているはずでございます。
 これは文部省に聞くことかもわかりませんが、現在の法律を持っておられます厚生省にまずお聞きしたいと思うんですが、どんなふうにしたらいいんでしょうか。これ御見解を承りたいと思います。
#125
○政府委員(田中明夫君) 医学教育に必要不可欠の死体を確保するということは、非常に重要なことでございまして、現在篤志団体等が一生懸命この仕事をやっていただいているわけでございますし、また学術会議がこのことにつきまして、勧告をされているところでございます。われわれ厚生省といたしましても、学術会議の勧告をいただいた後、文部省と数回このことについて話し合っているわけでございまして、医学教育の充実という目的でございますので、文部省の仕事かと存じますが、厚生省といたしましても、必要に応じて文部省に協力して、促進してまいりたいというふうに思っております。
#126
○石本茂君 どうかひとつ文部省とも十分御相談くださいまして、一日も早く何らかの措置をお願いしたいと思います。
 それから、時間がもうなくなりましたが、さっき寺田議員も聞いていらっしゃいました精神障害者対策のことでお伺いをしたかったわけでございますが、時間がなくなりましたのでまた後日改めてお伺いしたいと思います。
 本当にありがとうございました。
#127
○峯山昭範君 きょうは、私はいわゆる低周波公害の問題について質問さしていただきたいと思います。
 特に最近――最近でもないんですけれども、もうすでに十数年たっているわけでございますけれども、低周波公害の問題が大きな問題となってきております。特に、聞こえない騒音と言われるいわゆる低周波振動によって住民が種々の被害をこうむる。現実の問題として、皆さん御存じのとおり日本じゅう高速道路がもう走り回っておりまして、その高速道路の周辺には、その健康被害というのが至るところで起きている、そういう実情にあるわけであります。しかしながら、実際問題としては、その因果関係がはっきりしないとか、あるいは国の環境基準が決められていない、そういうふうなことを理由にいたしまして、その対策が遅々として進んでいないというのが実情であります。当委員会におきましても、あるいは参議院の公害対策特別委員会におきましても、この問題につきましては何回か取り上げられております。私も過去の昭和四十九年、昭和五十三年等の会議録も全部読ませていただきましたけれども、政府の答弁は全く同じ答弁なんですね。対策が進んでいるような感じの答弁は一つもないわけであります。
 そこで、ことしの夏でございますけれども、前前から何回か私も陳情も受けておりましたし、実は日ごろから問題になっております奈良県の香芝町の西名阪道路のいわゆる低周波公害――超低周波公害と地元では言っておりますが、皆さんのいろんな意見やまた議会の皆さんからの意見、あるいは奈良県の調査によるデータ等含めまして、地元へ行っていろんな意見を聞いてまいりました。実際問題として、これをどういうふうにして取り上げ、あるいはどういうふうにしてこれを、何とか一日も早くこの被害者の皆さんを救済するにはどうしたらいいかということをずいぶん考えました。
 そこでまず、やはり委員会でそれぞれただすのも当然必要でありますけれども、やはり文書によってきちっとただした方がいいんじゃないかと思いまして、先般私は、高速自動車道にかかわる低周波空気振動公害の対策樹立等に関する質問というのを出さしていただいたわけであります。ところが、その答弁等につきましてきょうはこれから質問さしていただくわけでございますが、まず初めにこの超低周波公害という、この超低周波公害に対する大臣の認識ですね、これはどういうふうな認識を持っておられるのか。当然私は、その被害の実情というのもある程度聞いていらっしゃると思いますし、これは奈良県だけではなくて、至るところでもうすでに出てきておりますので、大臣の御認識をまず初めにお伺いをしておきたいと思います。
#128
○国務大臣(鯨岡兵輔君) この問題は、正直言いまして私は大臣に就任して初めて聞いたんです。それで、一体どういうものか初めよくわかりませんでした。しかしながら、だんだんといろいろ話を聞いてくるに及んで、このことの実態といいますか、そのこと自体についてはやや承知するようになったわけであります。しかしながら、学問的には私にはいまでもよくわかりません。ただ、卑近なことを申し上げてまことに恐縮ですが、大きなつり鐘をごーんと鳴らすと、特別大きい音ではないけれども、おなかの中へずーんと響くような感じ、あるいは大きな太鼓を鳴らすとおなかの中へ響くような感じ、あれが言うならば一つのあらわれであると。あるいは新幹線なんか、「こだま」なんかで行って、途中でとまって「ひかり」が追い越すときがありますが、あのときにぶっとくるあの感じ、あれもそうだというようなことを聞いて、なるほどそんなものかなあと、こういうふうに思ったわけでありますが、私どもの役所といたしましては、いまのお話にもありましたように、五十一年ごろから真剣にこのことには実は取り組んでいるわけであります。そして、これは幾ら私の役所だけで考えてもわかりませんから、そこで日本環境協会、あるいは小林理学研究所というのが財団法人であるんですが、これがこの方面のなかなかの権威である。それから財団法人で交通医学研究財団というのがあります。そういうところに研究を依頼をいたしまして、いまもっぱらその実態をつかみ、それによって受ける被害というものがどういうものであるか、また、これに対して基準等を騒音やなんかのように決めるとすれば、どういうふうに決めたらいいものなのか、もっぱら検討をいたしておるわけであります。一度決めますと、これはなかなか容易なことではありませんし、どう決めたらいいのかもよほど研究してからでないとできませんものですから、大変遅くなって申しわけのないような感じもいたします。
 それから、いまのお話の質問書に対する答弁などもまことに御不満であろうと思います。それはよくわかっておりますけれども、いまのところは鋭意やってその程度であることを御了承いただきたい、こう思っているわけであります。
#129
○峯山昭範君 大臣、大臣もすでに私が不満であろうということはもう察知していらっしゃるわけですけれども、実際問題としてここに私の質問と答弁があるわけですけれども、とにかく政府の答弁というのは何でこんなに不親切なものかというふうなことを、私は質問でもう詳細に、大臣がいまおっしゃったように、環境庁といたしましても五十一年度から相当予算をかけて、それぞれ取り組んでいらっしゃるようであります。しかしながら、この答弁書を見る限り、これは全く不親切としか言いようのない、そして一体五十一年から現在までもう四、五年たつわけですけれども、一体何をしていたのかというふうな感じしか受け取れないような答弁になっているわけです。私はいま大臣の答弁を聞いておりまして、この答弁書の中に流れているいわゆる基本的な考え方というのが、大臣のいまおっしゃった考え方とは大分違うような感じがするわけです。少なくとも公害対策基本法の第一条のその目的や、あるいは第十条二項の当然お役所としてこの健康被害の皆さんを救済しなければならないという基本的な考え方、そういうような基準を早急に決めて、ばっちりした対策を講じなければならないという考え方からすれば、大分後退しているような感じがするわけであります。そういうふうな意味で、私はもう一遍この答弁書を貫く基調というのは、大臣のこの考え方と全く一致しているのかどうか、この点を一遍それはお伺いしておいて、その上で詳細に質問してまいりたいと思います。
#130
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 答弁書に書いてありますことは全く私の考えと一致しているのであります。ただ、御理解をいただきたいことは、役所でございますから、そして私は政党育ちのいわば俗に言う野人でございます。表現の仕方が多少違うと思う。役所というものは、もう先生御承知のとおり、間違いのないことを言わなきゃならぬ。そしてもし言い出したことはあれは間違いでございましたというようなことは、絶対ないわけではないでしょうけれども、そういうことがあったんでは大混乱を起こします。そこでどうしても慎重にならざるを得ない。別に私の発言が慎重でないというわけでない、慎重にお答えしているつもりですが、そこに多少のニュアンスがあることを御承知おきいただきたいと思うんです。文章に流れているところがそっけなくて、まことに不親切のようにお読み取りでございましたら、まことに恐縮でございますが、私の答弁をしている考えと、その文章の中の内容とは、考え方において何らの違いのないことを御了承いただきたいと、こう思います。
#131
○峯山昭範君 答弁の字数と、質問の字数とは質問の字数の方が多いんです。何も字の数がどうのこうのというわけじゃありませんけれどもね。私はこの質問でも、健康影響について、一番、たとえば、低周波空気振動の健康影響についてはいつからどのような調査を実施しているか。その結果、現在までにどのような点が解明されているのか。また、未解明の点はどういう点か。それから二番目に、一の調査の結果に基づき、次の諸点について明らかにされたい。一つ、生理的・心理的悪影響によりどのような症状を惹起するものであるのか。二番目に、どの程度の低周波空気振動のレベルでどのような健康影響が生じるのか。三番目に、未解明な点について今後どのような内容の調査を進めるのか。また、いつごろその解明はできる見通しを持っているのかということで、一つずつ番号を打ちまして、そしてきちっと一つずつこう聞いているわけです。ところがいまの全部で三項目、全体で五つの質問に対してずうっと流しで書いてある。「環境庁においては、昭和五十一年度から低周波空気振動について、呼吸波形等の生理的影響を中心とする調査研究を行っているが、現段階においては、医学的に生理的影響、健康影響等を明らかにする結果は得られておらず、更に知見の集積を図るべく、今後とも、各方面の協力を得て各種の調査研究を行う必要があると考えている。」これで終わり。
 要するにいつからどのような調査をしているのか、こう聞いているわけですから、さっき大臣が言いましたように、たとえば厚生省の予算では、どういう予算をつけて、それでどういう調査をしているのか、明快にこれはやっぱり答えてもらいたい。といいますのは、何で私こんなことを言いますかというと、大臣ね、私質問書の中に書きませんでしたけれども、すでに五十三年の十一月七日の公害対策特別委員会の質問に対しまして、こういう答弁があるわけです。すでに環境庁の内部の研究費を使いまして、昭和五十一年度から五十二年度にかけまして、代表的な問題地区十地区の実態を把握しておりますと、おたくの方の答弁です、こういうふうに答弁があるわけです。この問題は大臣でなくて結構ですが、代表的な地区十地区というのはどことどこを研究していらっしゃるのか。そして、研究実態調査というのは、直接環境庁がしていらっしゃるのか、あるいはどことどこに委託して研究していらっしゃるのか、ここら辺のところぐらいは、委員会でわざわざ聞かなくても、こういうことは大臣、そんなに狂う問題じゃないわけでしょう。ですから、やっぱり答弁書できちっと答弁していただきたいと私は思うんです。これは大臣でなくて結構ですが、いまの問題だけでも一遍具体的におっしゃっていただきたいと思うんです。
#132
○政府委員(三浦大助君) ただいまの御質問は、五十一年度から私ども研究に着手しておりまして、五十一年度に苦情が発生している地区での実測、それからアンケート調査をやったことがございます。これにつきましては、各自治体からの苦情報告をもとにして、低周波がかなりのレベルで発生して、なおかつ訴えが比較的顕著な地域を、発生源の種類に留意しながら十カ所選んだと、こういうことでございまして、これにつきましては、道路については三地域、それから圧縮機については二地域、あとロータリーキルンとか、キューポラとか、溶鉱炉、転炉、新幹線トンネル、こういう発生源がございまして、それぞれ一地域を選定して、実測調査とアンケート調査を行ったということで、一地区十九人、十地区で百九十人対象に調査を実施してございます。
 この調査はこれからの研究を進める上で基礎資料を得るための調査でございまして、結果につきましては、強さと苦情の発現率の相関、こういうものを見たわけでございますけれども、なかなかこれ相関が得られなかったということで、本当に今後の目安をつけるための調査でございました。それで具体的な場所につきましては、ちょっとここに資料がございませんので、また後ほど先生の方に御報告さしていただきたいと思います。
#133
○峯山昭範君 私はいまの局長の答弁を聞いておりますと、何となくいいかげんな調査をしているような感じがするんですがね。そうじゃなくて、やっぱりあなた方答弁しているわけですよ、きちっとね。しかも国の予算を使って、研究費を使いましてと言うているわけです、おたくの方で。ですから、その十地区についても、よけいなことというよりも、私は代表的な十地区というのはどことどこかと聞いているわけです。そして、それは直接調査したのか、委託して調査したのかと、こう聞いているわけです。的確に一つ一つ答弁していただかないといけないと私は思うんです。これは十地区についてはいま資料がなければ結構です。ですから、これからいろいろ具体的に一つずつやっていきますけれども、的確に御答弁をいただきたい。そうでないと、これは対策が進みませんし、答弁書の中身も明確にすることができませんので、そこら辺のところはやっぱりきちっとお答えをいただきたいと思います。
 そこで、まず健康に対する影響ですね、これはいままで皆さん方ずいぶん調査をしていらっしゃるわけでございますが、現実の問題として、この低周波、超低周波と言ってもいいわけですが、要するに、現実に健康に被害がある、あるいは影響があるということについては、もうきちっとしているわけですか。
#134
○政府委員(三浦大助君) 結論から申し上げますと、健康に影響があるという因果関係はまだ出ておりません。
#135
○峯山昭範君 因果関係は出ていなくても、実際問題としてそういう被害の実情というのは、至るところで出ているわけでしょう。因果関係を言っているんじゃないんです。実際問題として、そういうふうな被害の地域が幾つか出て、そういうふうな超低周波によるいわゆる健康に対する影響ですね、これはあるということはもうわかっているわけですね。
#136
○政府委員(三浦大助君) そういう地域で頭痛とか、あるいは胸の圧迫感とか、そういった不定愁訴のようなものが見られるということは私ども聞いております。
#137
○峯山昭範君 局長、私ども聞いておりますと言うけれども、あなた方一体四十九年、五十年ごろ、もう四、五年たつわけでしょう。五十三年に委員会でこういう問題が取り上げられて、そのときに十地区調査もしているわけです。そして、その実態調査をして、まだいまだにそんなことを言っているようじゃどうしようもないと私は思うんですよ。局長、基本法の十条の二項を見てみなさい。どう考えたってお役所に責任があるわけですよ。「政府は、公害を防止するため、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭について、前項に準じて必要な措置を講ずるように努めなければならない。」という政府の責任がうたわれているわけですからね。これは要するにいまだに、因果関係はまた非常にこれはいろいろ医学的、疫学的いろんなあれがあるわけですから、それはむずかしいでしょう。そういうことは別にいたしましても、いわゆる健康に影響があるかどうかということぐらいの調査は、もういっぱいあるでしょう。実は私の手元にも、これは奈良県の香芝町で実施した影響調査というのが手元にあるわけです。これによりましても、これいろいろあるんですけれども、具体的な詳細は申し上げられませんが、やっぱり一番多いのは頭痛とか、頭が重たいというやつですね。これが一番です。二番目に眠れない。三番目が肩のこり、痛み。四番目がいらいらする。五番目が体がだるい。そして六番目が感冒様の症状。七番目が考えごとの妨害。八番目が耳なり、動悸、目まい、鼻血、こういうふうに続いているわけです。こういうふうな実情があるということは、こういうような健康に影響があるということは、これは認めるわけにはいかぬのですか、局長の方では。そういうことはまだ確定はしていないわけですか。
   〔委員長退席、理事小山一平君着席〕
#138
○政府委員(三浦大助君) そういうことがあるということは私ども地元からも、県の方からも伺っておるわけでございます。ただ私どもの調査の結果、そういう低周波の強さと苦情の発生率のなかなか相関がなかったものですから、いま実験的にそれを調査しているというのが現状でございます。
#139
○峯山昭範君 それは局長遅いね。早くやってもらいたい、もっと早く。そうでないと、県やそういうようなところがやっている調査が二年も三年もかかるというんじゃ私はどうしようもない。なんで環境庁にこんなことやんや言うかというと、お隣に座っている道路公団の皆さんも、環境庁が基準決めてないからわれわれ責任ないんだという考え方なんです。そういうあれが何回も何回も出てきているんです。いま環境基準がないんだからどうしようもないやという感じなんです。それでは困るから、現実に被害の皆さんは出ているわけです。大臣が先ほど低周波というのはこういうふうなものらしいということを経験、あるいはお聞きした範囲の中でおっしゃっていただきましたけれども、現実の問題として、たとえば新幹線がすれ違うときのような圧迫感というようなもの、これが日常もしあったとすれば、これはもう夜も眠れなかったり、耳鳴りがしたりするのは当然だと私は思うんですよ。
   〔理事小山一平君退席、委員長着席〕
そういう被害をこうむっている人たちは一日一日待ってくれないわけですから、そこら辺のところはいろんな調査とか、苦情とかそういうようなものはいっぱいあるといっても、やっぱり環境庁自身がそのことについてもっとお金をどかんとつぎ込んで調査すりゃいいんです。そこら辺のところはもっとスピードを上げて調査して、そしてその基準を定めることに全力を挙げないといけない、私そう思うんです。どうなんですかね。
#140
○政府委員(三浦大助君) 私どもとしては、かなり急いで調査をしているつもりでございまして、できれば本当に法規制でもしたいと、こういう気持ちでいまやっておるわけでございますが、いかんせん非常にむずかしい問題でございまして、やはりそれには、基準をつくる上には、ある程度の科学的な知見の集積がございませんと、なかなかむずかしゅうございますので、そういう方向でいま鋭意検討をしておるということでございます。
#141
○峯山昭範君 これはちょっと質問の仕方を変えます。
 それではもう少し具体的に、いままでの研究の成果、これ一遍ちょっとお伺いしておきたいと思います。
 いままで環境庁としてはどういうふうなテーマの研究をしていらっしゃるか、この問題について。そして、たとえば昭和五十一年から予算をどういうふうにつぎ込んでいらっしゃるか、そして、その内容、あるいはその研究の成果というのが、どういうふうなデータとしてあらわれてきているか、これどうですか。
#142
○政府委員(三浦大助君) いままで、五十一年度から一応五十七年までを目標に私ども研究計画を立てておるわけでございますが、その間五十一年度から五十五年度までは、今年度までですが、約五千八百万を使って研究を続けておるわけでございます。
 研究の中身といたしましては、人体に及ぼす影響、これにつきましてはまだ感覚閾値すらわかっておらなかったこともございまして、感覚閾値、生理的な影響、睡眠に対する影響とか、あるいは動物実験もやっております。動物に及ぼす影響、それから家屋に及ぼす影響もやっております。それからフィールド調査、それから評価の測定方法もまだ確立しておらぬわけでございまして、これにつきましてもこれから検討に入るところでございます。
 そうは申しましても、なおいろんな問題が現に起こっておるわけでございます。したがいまして、これにつきましては、たとえば発生源である産業機械、圧縮機とか、ポンプ、送風機、あるいは焼却炉、こういうものに対しまして、発生のメカニズムと防止対策、それからディーゼルエンジンに対する発生のメカニズムと防止対策、個々の機械につきまして防止対策の調査もいたしまして、できるものからは、これはできた順にどんどん地方に防止対策を指導していこうということで、その点も研究費をとってやっておるわけでございますが、五十一年度は六百十万、それから五十二年度は六百八十万、それから五十三年度は九百九十万、それから五十四年度が二千万、五十五年度は千五百万ということで合わせて五千七百八十万円をいままで投じてやってきておったわけでございます。
#143
○峯山昭範君 それだけの研究費をつぎ込んでやっておりながら、この私の答弁書にはたったこういう答弁です。何のためにそれだけお金をつぎ込んで研究しているのかわからないんじゃないですか。こんな血も涙もないような、全く何にもわかっておりません、こう言うておるわけや。実際これだけお金をつぎ込んでやって、しかも、私は五十一年から五十七年度までといいますと、ことしは五十五年度ですから、この五十一年から五十七年というのも、これはそれ自体も私長いと思うんですよ。実際それまでの研究は進んでなかったという点はありましょうけれども、私はもっと早くやるべきだ、もうこれは当然私は局長も御存じのとおり、こういうふうな影響を受ける人というのは、特に体の弱い人、病気の人、そういう人たちが特に影響を受けるというのは、これはもういろんな調査の中からも出ているわけでしょう。死んじゃいますよ、みんな、これ本当に。ですから私はそういうふうな意味ではもっと早く、もう因果関係があるんだというようなところまでほぼ来ているわけですから、当然それにのっとって、環境庁も本格的にこの指導に乗り出す、特にこれは日本道路公団というのは、国の準機関なんですから、そういうような意味では、私はぜひ早急にそういうふうな方向で進まないといけないんじゃないか、そう思っているわけです。幾つかもっとたくさんこれ質問したいと思っておりましたけれども、非常に時間がたつのが早いんで、きょうは一つ一つ細かく詰めておきたいと思っておりましたので、幾つか質問をしておきたいと思います。
 そこで、研究の成果につきましては、いま御答弁ございましたから、これは後で検討してみたいと思います。そしてその資料等についても後でいただきたいと思います。
 それで、次に周波数レベルと健康に対する影響の関係ですね、いわゆる振動レベルと健康に対する影響との関係について、これは現在まで何にもわかっていないんですか。ある程度、大体こういうことじゃないかというふうなところまではわかっているんですか。これはどうなんです。
#144
○政府委員(三浦大助君) これは非常にむずかしい研究でございまして、どのレベルで、どの程度の影響があるかということは、いまのところまだはっきりわかっておりません。たとえば先生、これは全く言いわけになりますが、よく苦情で眠気を妨げられるという苦情がございます、一例を申し上げますが。ところがこの人方の脳波をはかってみますと、アルファ波が減少して、ベータ波が増加する、これはまことに専門的な用語で恐縮ですけれども、この脳波というのはむしろ逆の場合の脳波なんです。そういうふうに非常に苦情と検査結果とがなかなか合わない。これはやっている専門の先生方がむずかしいなと言っているような研究でございますので、ひとつその点御理解をいただきたいと思いますが、いままでのところ、まずどの程度の強さの低周波が来たら、人間はどの程度で感ずるかという閾値はほぼわかってまいりました。それから全く新しい研究でございますから、どういう検査をすれば低周波の影響がつかめるかという指標から探さなきゃいかぬわけです。いままでのところ、呼吸とか呼吸波形、こういうものはどうやら少し変化するなという程度まではわかっております。しかし、それはあくまで正常範囲でございます。
 そういうことで、私どもかなり一生懸命やっているつもりなんですけれども、もう学者の先生方自体がこれはむずかしい研究だということでございますので、ひとつぜひ御理解をいただきたいと思います。
#145
○峯山昭範君 いや私は、さらに先ほどの局長の答弁聞いておりまして、要するに測定の方法すらわかんないなんということになると、調査のしようもないということですね、そんなんじゃ実際問題としては困るわけです。一体測定の方法もわかんないじゃ、調査に行ったって、どういうふうに調べたらいいかわからないわけですからね、それは余りにも遅過ぎるんじゃないか、これはもう実際問題として、この問題が苦情として出て来だしたのが昭和四十八、四十九、五十年ごろですね、それからもう四、五年もたっているわけです。そういうふうな意味では、もっともっと私は積極的に具体的な計画を立てないといけないんじゃないか。
 そこで、次に今後の研究計画、これは少なくとも先ほど局長は五十一年から五十七年という七年を目標にとおっしゃいましたが、これはやっぱりただ五十七年を目標にというだけではなくて、いままでの研究結果としては、こういうことがわかった、これから後どういうふうな計画でいけばいいか、そのスケジュール等を含めて、一遍御答弁いただきたいと思います。
#146
○政府委員(三浦大助君) いままで生理的な影響、睡眠影響、動物に及ぼす影響などやってまいりましたが、一応生理的な範囲でとにかく何か指標を見つけていこうということでやってまいりまして、一つ研究結果が出るたびに検討会を開きまして、先生方にいろいろ御議論願っておるわけでございますが、五十四年、五年というのは、いろいろ心電図とか、臨床検査中心にやっておるわけでございます。あと私ども五十六年、七年というのは、一応いまの計画でございますが、これはまだ予算要求をこれからする段階でございますので、はっきりまだ申し上げるわけにまいりませんが、住民の反応調査、こういうものもひとつやってみたい、それでそういう臨床検査の結果とひとつ合わせていきたい、こういうことで五十六年、七年は計画をしておるわけでございます。
#147
○峯山昭範君 それではどんどん質問を進めてまいりたいと思います。
 その研究の目標ですけれども、当然研究の目標というのは、これはもう環境庁としても、環境基準の設定というのがやっぱり最終的な目標であろうと私は思います。当然そうでなきゃいかぬと思いますし、ただ、調査のための調査とか、研究のための研究というわけにはいかないと思うんですね。そういうふうな意味で、当然私は環境基準なり、あるいは規制基準なりをがっちり目標にしていろんな測定やら、研究調査が行われているんだろうと私は思うんですが、そのとおりであるかどうかということと、それからもう一つは、この基準設定のめどですね、これは私は新聞の報道によると、五十七年度をめどにしているというふうな報道が一部あるわけですが、これはこのとおりであるのかどうか、どうですか。
#148
○政府委員(三浦大助君) 現在振動規制法では、いわゆる地面振動を想定して振動規制がつくられておりまして、こういう空気振動につきましてはまだ法規制がないわけでございまして、こういう問題が起こりましてからも何回か先生おっしゃるように、国会でもこの問題が取り上げられまして、私どもそういう法規制をするという方向でいま急がなきゃいかぬじゃないかということでやっておるわけでございまして、一応五十七年までめどということでやっております。おりますが、先ほど申し上げましたように、やはり基準をつくるとなりますと、相当な因果関係とか、科学的な知見がないとなかなかむずかしゅうございますので、私ども急ぐつもりでございますが、いまここで何年にできるというめどはちょっとまだ申し上げるわけにまいりません。
#149
○峯山昭範君 それでは被害者の皆さんも、いつになったら救われるかわからへん、そういうことになるわけですけれども、そんなことを被害者の皆さんにわれわれ行って、いや、環境庁ときょう話をしたけれども、いつ救われるかわかりまへんでなんていうことは、とってもそんなことを言えるようなあれじゃないですよね、実際問題として。早急にやっぱりこれは決意を新たにして、とにかく環境基準を設定し、あるいはこの健康被害、公害健康被害補償法ですか、こういうふうな法律の適用もちゃんとできるように、やっぱりそこら辺の認定作業もちゃんとできるようにしていかなければいけないと私は思うんですね、そういうふうなあれでないといかぬと思うんです。
 それで、大臣ね、いま局長非常に慎重に物をおっしゃっているわけです。実際問題としてこの問題は訴訟にもなりましたので、これは非常に慎重になっていらっしゃるんだろうと私は思いますけれども、私の手元にあります私が調べたあれによりましても、実際問題として研究はもう相当進んでいると、そう思うんです。それで私の手元にある資料、これは環境庁の昭和五十三年度の環境庁委託業務結果報告書、昭和五十三年度低周波空気振動等実態調査、交通医学研究財団、先ほど大臣がおっしゃった分でございますが、こういうふうな中身を読みましても、ほぼもう研究され尽くしていると、その原因についてもある程度結論が出つつあると、そういうふうな感じがするわけです。そういうふうな意味では、局長、やっぱりいつまでも基準を設定することはできないというんではなくて、やっぱり一つの目標というのは、いつごろまでにはやりたいというふうな大まかな目標なり、何なりがないといけないんじゃないかと思うんですが、どうですか。
#150
○政府委員(三浦大助君) 申しわけありませんが、私ども五十七年まで一応とにかく調査を続けようということで当初計画いたしました。それで、それを終わったら、じゃ基準できるのかとときどき国会でいろいろ御質問ございます。ございますが、非常にむずかしい問題でございまして、いまちょっと私ここで無責任な答弁をするわけにはまいりません。なるべく私どもは一刻も早くやりたいと、こういう気持ちはひとつおくみ取りいただきたいと思いますが、じゃそれまでほうっておくのかと、こういうお話でしたけれども、私どもそれじゃいけませんので、五十三年度から、そういう低周波振動の発生する施設に対しまして、どんな施設がどんなふうに発生するんだ、その防止対策をどうすればいいんだということをいま一つ一つやっております。それにつきまして、解決したものから、一つ一つ防止対策を地方にいろいろお願いしていこうということでいまやっておりますので、ひとつ御理解いただきたいと思います。
#151
○峯山昭範君 逆に、そうすると防止対策をやっているということは、防止対策はそれぞれわかっているということですか。そうですね。ということは、逆に言いますと、私の手元に新聞やいろんな資料等ずいぶん集まっておりますけれども、日本騒音制御工学会というのがあるんですね、ここの中野さんという副会長さんのいろんなあれを見てみますと、新聞の記事ですけれども、これ読んでみますと、もう低周波公害の発生原因と防止技術というのは、ほぼ研究され尽くしていると、そう書いてありますね。それで問題は、その防止技術の運用が問題なのであると。たとえば、ここにも書いてございますけれども、超低周波のいわゆる音が出ていると、そしてそれを消すための技術というのは、こういうふうな、たとえば消音器をつければいいというあれがもう研究の結果はっきりしている。ところが、問題はこの消音器をつける場所がない、費用がない、そういうふうな問題に、防止技術の問題ではなくて、それに関連する問題が大きな問題になっていると、こういうふうにこの人は書いておられます。
 そういうふうに見てまいりますと、案外もう先ほど話ございましたように、五千八百万という予算をつぎ込んで研究をしていらっしゃるわけですから、それなりの結果は出てきているんであろうと私は思うんですね。そういうふうな意味でも、当然私はこの環境基準というのは、いつまでということは言えないということではありますけれども、やっぱり早急に設定していただきたいと思うんですが、もう一回どうでしょうか。
#152
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 先生の御心配、段々承りましてよくわかります。ただ、局長が答えておりますように、事科学的な問題でありますし、一遍これ役所として、こういうものであって、こういう数値でありますからというようなことを発表をいたしますれば、なかなかあれは間違っていましたということは言えないものであることも御了承いただけることだと思います。しかしながら、多額の税金を使い、大ぜいの方に御研究を願ってややいいところまで話が進んでおりますから、せっかく御注意によって努力して、なるべく速やかに因果関係を究明したいと、こういうふうに考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
#153
○峯山昭範君 大臣からそういう答弁ございましたので、その点についてはもうそれ以上は言いません。いずれにしても、早急にこの環境基準の設定を目指してがんばっていただきたいと思います。
 そこで、さらに幾つかの問題をお伺いしておきたいと思います。
 答弁書の中に、環境基準の設定の問題点にもなるんですけれども、「振動は、地盤の状況等によってその影響が大きく異なるなど複雑な要素が多く、現時点において、振動に係る環境基準を設定することは困難である。」と、こういうふうに書いてありますけれども、この「振動」というのは地盤振動のことですね。
#154
○政府委員(三浦大助君) 振動につきましては、地盤振動につきましても、振動全体といたしまして、環境基準はいまの公害対策基本法ではつくらないということになっております。
#155
○峯山昭範君 「「振動」には、地盤を媒体とする振動に加え、空気を媒体とする振動も含まれるものと考える」、こういうふうになっております。そうしますと、環境基準を設定する場合には、空気振動については少なくとも地盤振動のような地盤の状況の要素はなくてもいいわけですね、実際問題としては。
 そこで、空気振動というのは、この間、この問題が裁判になりまして、裁判になった日の朝、見ていただいたかもわかりませんが、提訴されました日の朝だったと私思いますけれども、いわゆる低周波公害というのはこんなもんやというやつをテレビでやっておりました。ですから、空気振動というもののいわゆる環境基準の設定は、いわゆる地盤振動というものの設定よりも私はかえってやさしいんじゃないかというふうな気もしたわけです。そこら辺のところはやっぱり非常にむずかしいものなんですか。
#156
○国務大臣(鯨岡兵輔君) これはまだ本当にわからない。あのテレビ私も見ましたけれども、地面が揺れるんだったらこれは私はわりあいにわかりやすいと思います。それから、空気の振動というても音で出てくれば、これまたわかりやすいと思いますが、あのときに私のような素人にはどうしもわからないのは、こちらに発生源があって、こちらで聞いている場合に、途中に壁があっても、これはこの壁を突き抜けるんだということをあれ言っていましたね。どういうわけで空気の振動が壁を突き抜けるんだろうか、そういうのがわかりませんので、そういう点もいいかげんにしておいたんでは基準できませんから、せっかく専門家に研究を依頼しているところでございます。
#157
○峯山昭範君 いま大臣がおっしゃいましたように、私も初めてあのテレビを見まして、確かに壁があっても、要するに超低周波でやると壁なんか関係なしにこっちへ伝わってきているわけですよね。あれ見ていると、実際問題としてこの超低周波というのはあるんだなというのはよくわかるわけですよ。そして、そういうようなところから、逆に言いますとやっぱり被害もあるんじゃないかというのが現実にわかるわけです。だから、そういうふうな意味で、この被害者の皆さんを救済するために、ぜひともこの問題については早急に取り組んでいただきたい。そして、もし予算が足りないとすれば、大臣もがんばっていただいて、ぜひ早急にこの環境基準なり、何なりを設定するために取り組んでいただきたいということを、再度大臣に要請をしておきたいと思います。
#158
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 非常な熱意を持って、引き続いて努力をいたします。
#159
○峯山昭範君 そこで、これはもう一つ、今度は当然こういうふうなのは被害現実に出てきておりますので、環境基準を設定するまでの人たちですね、これ何とかならないかと思うんです。現実の問題として、いわゆる公害健康被害補償法というのがあるわけですけれども、私はただ単に民事訴訟とか、そういうふうないわゆる訴訟をやらなくても、やっぱり国としては、そういうふうな被害を受けている皆さんに対しては、敏速、公正な被害救済ができるように取り計らうというのが、やっぱり公害健康被害補償法の立法の精神じゃないかと思うんですけれども、ここら辺のところは、答弁書によると、とてもそんなことはできないということでありますけれども、何とかここら辺のところはならないものか。あるいはその基準が設定されるまでに、ある程度暫定的に何とかするとか、これは実際に被害を受けていらっしゃる皆さんのことを考えると、何とかしてあげたいというふうな気持ちでいっぱいなんですけれども、そこら辺のところについては、環境庁といたしましては、こういう問題についてはどういうふうにお考えなのか、あるいは検討したことはないのか、そこら辺のところ、どうでしょうか。
#160
○国務大臣(鯨岡兵輔君) やはりこれに対して補償金といいますか、そういうお金を出すということになれば、そのお金はいままでの考え方から言えば、原因者負担になることは先生御承知のとおりであります。そうすれば、どこからそのお金をどのくらい出させたらいいかという問題が出てきます。そうなってまいりますと、今度はやはりそのことと、その病気との因果関係が、少なくともいまよりはもっと明らかになってまいらなければなりません。そういう因果関係が明らかになってまいりますれば、今度はお医者様、科学者にお願いをして、この人はこういう訴えをしますが、どうもこのことが原因らしい、こういう因果関係が明らかになっておりますので、その物差しで認定をしていただきたい、ということをお願いをしなければなりません。そして、その専門家から、確かにそのとおりだということになりますれば、そのお金がいくということになるんですが、局長が先ほどから申し上げておりますように、それは現在頭が痛かったり、眠れなかったり、困っている人から見れば、まことに冷たい、何ということかと思うでしょうけれども、やはり何らかの因果関係がそこにわかってまいりませんと、物差しができませんから、そこで困るわけであります。鋭意そのことについて検討していきたい、こういうふうに申し上げているわけであります。
#161
○峯山昭範君 大臣のおっしゃるとおりだと私は思うんです。そこで、これは大臣おっしゃるように原因者負担です、確かに。ですから、そういう点からいきますと、先ほど局長は超低周波が出ているのは、私の手元にも資料あるわけですけれども、送風機とか、圧縮機とか、真空ポンプ、ディーゼル機関、あるいは各種の炉とかボイラー、ダムの放流、橋、トンネル、こんなもの全部あるんだそうですね、それぞれ。しかし、これはそれぞれ対策もあり、具体的なあれもあるわけですから、一番やっぱり大きな問題になっておりますのは高速道路なんですよ。そして、被害者も一番多いのがこの高速道路なんですよね。そういうふうに見てまいりますと、原因者というのはこれは大体国ですわ。国と言ったらおかしいが、特殊法人ですから、要するに大体わかりているわけです。そこで、大臣おっしゃるように、因果関係が明確にならないから、そこのところが問題になって、道路公団もいわゆる負担とか、いろんな問題、たとえばお見舞いとか、いろんな問題についても、なかなか話し合いが進展しないということになってしまうわけです。そういうふうな意味では、もう少し、きょうは道路公団の方からもお見えになっていらっしゃいますので、そこら辺のことも含めて、これはまず環境庁の方にお伺いしたいんですが、実際問題として原因者負担、それで特に話をずっとしぼりまして、超低周波の中身をしぼりまして、高速道路にしぼりますと、これはもう道路公団になるわけですけれども、そこら辺の話し合いをもう少し因果関係が明確になるまで待って、それまではやらなくていいという判断ではないと私思うのです。実際問題としてこういうふうに起きているわけですからね。ここら辺のことについては環境庁としてはどういうふうに判断をしていらっしゃるのですかね。
#162
○政府委員(三浦大助君) 具体例で申し上げますが、たとえば先生最初にお話ししておりました香芝の問題でございますがいどう見ても高架橋のところにいろいろ問題があるようだ、こういうことでございまして、私ども、これは道路公団の方で管轄しておりますので、道路公団の方とも何回かいろいろお話し合いはしております。その結果、道路公団の方でもいろいろ修理したり研究したりしてやっていただいておるわけでございまして、こういう環境基準がまだございませんが、現実に発生源があるようなところは、その都度その発生源のところといろいろお話し合いをしながら、なるべくひとつ直して、住民の方に迷惑のかからぬようにということでお話し合いを進めておるのが現状でございます。
#163
○峯山昭範君 公団の方きょうせっかくお見えになっていただいておりますので、現在日本の高速道路の中で現在こういうふうな超低周波公害というふうな問題が大体何カ所ぐらい起きているのかというのが一つ。それからもう一つは、公団も私の手元にあります資料によりますと、いろんな対策をあれこれ講じていらっしゃるということは聞いておりますんですが、この高架橋の補修工事をやって、初めどのぐらいだったのが、現在振動レベルどのくらいになったのか、そういうデータは公団としてお持ちだと思うのですが、そこら辺のところは大体わかっておられますか。
#164
○参考人(持田三郎君) 高速道路の中でいま先生がおっしゃいました低周波の問題がございますのは、中央道の葛野川橋と申しまして山梨県でございますが、その一カ所、それから同じく中央道の長野県の阿知村のところで阿知川橋の下に人家がございまして、そこでもやはり低周波の問題が起こっております。それで、その両橋につきましては、発生源対策ということと、また人家の、皆さん方の家の低周波による公害の対策と申しますか、そういった二つの対策をやってございます。両方とも同じような対策をやっておりますが、まず橋梁につきましては、いろいろ剛性を持たせようとかいうようなことでやっております。それから、橋梁の下の家屋の建具が非常に振動するというようなことで、それも振動しないような方策をやっておりまして、もうすでに三年になりますけれども、ある程度そういった公害がなくなっているというふうになっております。
 それから、第二点の、いま問題になっております香芝高架の低周波公害でございますが、これにつきましては、五十一年から道路公団としましては毎年、ことしもそうでございますが、五十一、五十二、五十三、五十四年と引き続き発生源対策に主力を置いていままで作業をやってきております。一例を申し上げますと、これは五十一年度からでございますが、舗装の表面が不陸が起きますと、やはり振動が多くなるというようなことで、不陸の修正あるいは打ちかえ、こういったものを五十一年から毎年やってきてございます。それから、低周波の発生源がはっきりつかめないというようなことで、いろいろ暗中模索いたしましたけれども、まず橋梁のジョイント部から非常に大きな音が出るというようなことで、この区間につきましては、数カ所遮蔽箱を設置してございます。これは五十二年度でございます。
 それから、従来のジョイントがフィンガージョイントというようなジョイントでございますが、これもやはり経年変化でいろいろ衝撃が出ておりますので、このジョイントも改良いたしまして、これは五十三、五十四両年度で実施してございます。
 そのほか、先ほど申しました各家屋の建具の振動と申しますか、ビビリ現象に対して対応しようということで、昨年一件でございますけれども、試験的にアルミのサッシを使いまして、そういった低周波によるであろうビビリをとめるというようなことをやってきております。
 ただいま申しましたいろいろな発生源対策をやった結果、確かに騒音につきましては、いま手元に資料ございませんが、ある程度下がっております。また、舗装の不陸整正、あるいはジョイントの改良によって発生する音圧が幾らか下がっております。細かい資料はございませんが、やった結果は、十分とは申しませんけれども、効果は上がっているというふうに考えております。
#165
○峯山昭範君 もう時間参りましたので、最後になりますけれども、特にこの最後の答弁のところの「低周波空気振動の人体への影響の科学的解明がなされておらず、規制基準等も存在しない現段階では、公団においては高架橋及び家屋の補修以外の対策を講ずる考えはない」と、こういうふうな何となく木で鼻をくくったような答弁になっているわけですけれども、これは長官、最後ですけれども、実際問題として今日の公害の裁判のいろいろ実例もあるわけですけれども、公害発生といわゆる被害者の関係ですね、この証明に際しましては、厳密ないわゆる病理学的な解明までは要求していない、そういうように私は認識しているわけです。それで、疫学的な概念性の証明で足りると、こういうふうに私は聞いているわけです。
 それで、実際問題として行政上の規制基準がない場合でも、民事上近隣住民に一定以上の迷惑を及ぼした場合には違法として評価される余地があると、こういうふうに聞いているわけですけれども、公団自身も現地の実情、あるいはそれぞれ対策を講じていらっしゃる実情、そういうようなところはある程度そういうような低周波公害があるということを認識して、いろんな対策に奔走していらっしゃるのだろうと私は思うのですね。そういうようなことであるとすれば、やはりただ橋の構造の改善というだけではなくて、交通の規制とか、あるいは医療の補償とか、そういうような問題についても、やはりもう少し本格的な話し合いなり、あるいは対策に踏み切ってもいいのじゃないかなという気がするわけです。そういうような点も含めまして、環境庁といたしましても、先ほどから問題になっておりますこの環境基準の制定等も含めまして、大臣の所信をお伺いして、私の質問は終わりにしたいと思います。
#166
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 交通を規制して少し緩和しようというようなことを公団の方でお考えになるということは、直接には私どもの方からとやかく言うべき問題ではない、それからどういうわけでそういうことが起こるのだろうかということを公団の方で御研究の上、いまお話しのようにサッシをかえてみたり、試験的にやってみるということも、せっかくひとつやっていただきたいというだけで、どうこうわれわれの方で言うべき立場にない、こう思うのですが、ただ健康をそれによって損なっていると言われている方々に補償を出すという段になりますれば、先ほどから申し上げておりますように、私どもの方が責任を持ってやはり一つの物差しをつくらないと認定ができませんから、そこでまことに遅くなって申しわけありませんけれども、事きわめて重大でございますので、その物差しづくりに専念させていただきたい、こうお答えをいたします。
#167
○森田重郎君 同僚委員の御承諾をちょうだいいたしまして、質問の順序をちょっと先にさせていただきました。どうもありがとうございます。
 私は原発立地の問題、もちろん石炭火力等の問題をも含めまして、いうなれば環境保全の問題と、そういったある意味では通産行政の所管に属しましょうか、そういった観点から、あえて大臣に二、三の御質問をさせていただきたいと、こう思うわけでございます。
 政府・自民党さんの代替エネルギーに対する考え方は、私たちの承知する限りにおきましては、代替エネルギーのエースとして、原子力発電、原子力の問題、同時にまた石炭火力の問題というようなことで承知をいたしておりますけれども、環境庁長官のお立場といたしまして、この辺はどういうふうにお考えになられましょうか。
#168
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 経済はますます発展していかなければ国民は不幸だと思います。経済を発展させるためにはエネルギーが必要であることは言うまでもありません。そのエネルギーを油に大きく頼ってきたわが国ですが、油にそう頼っていることは、いろいろな面で考えなければならぬということになって、油に頼ることを少なくしようということになれば、油にかわるエネルギーを求めなきゃならぬ。それが先生言われているように原子力という考えもありましょうし、また石炭の見直しというようなことにもなるかと思います。現に、わが国だけでなしに、原子力の発電を一生懸命やっているところは方々にありますし、石炭のことについても一生懸命やっています。おくれをとらないように鋭意やらなきゃならぬことだと、それは思います。
#169
○森田重郎君 その辺の長官のお考えは大体わかるのでございますけれども、これは前回の決算委員会でしたか、あるいは私エネルギー対策特別委員会の方にも所属をいたしておりますが、そちらでございましたか、同じような質問を重ねて繰り返した記憶があるのでございますけれども、少なくともエネルギーそのものはクリーンでなくちゃならぬ。これはお互いに国民の結局合意を得なければならぬ大変大事な問題であろうとは思いますけれども、少なくともマイナス効果が全くゼロであるという大前提に立って、あらゆる問題を討議していくというようなところに若干私なりに異論がないわけでもないわけです。
 代替エネルギーと申せば、いま申し上げた原子力もございましょうし、石炭火力あるいは言われておりますLNG、海水の温度差発電であるとか、地熱の問題であるとかございましょうけれども、当面われわれが課題として大きく取り上げていくというふうな問題が、やはり私自身は原子力であり、そしてまた石炭火力というふうな感じを大変強くしておるわけでございますが、そういった観点から、たまたま今回アメリカの、御承知の大統領選にレーガン候補がカーター大統領に圧勝をしたというような中で、レーガン候補の経済政策の具体的な問題を幾つか取り上げてみますと、ちょうど五つぐらいに要約されておると思うんですね。
 まず第一の問題が、これは連邦支出の拡大を抑制する、言うなればチープガバメントと申しましょうか、われわれで言う行革問題でもございましょうか、そういう問題につながる連邦支出の拡大抑制、これが第一点。それから第二点は、減税の問題を取り上げておるようでございますね。特に個人所得の減税、これが第二点、それから第三点なんですけれども、これは経済拡大を阻害している環境、健康、安全に関する連邦規則の行き過ぎを改めるために、この規制を洗い直すというふうなことが第三点で取り上げられております。四番目は、これは金融の安定の問題でございましょうか。それから五番目を見ますと、これはエネルギー開発と国際競争力の強化、こういうようなことが実はうたわれておるようでございます。カーター大統領がエネルギーの節約を唱えた。一方ではレーガン候補は、これは開発の強力な推進というふうな考え方の中で、国の活力を生かしていくと、こういう方針のようでございますが、この辺につきまして、率直な長官としての御感想でもあれば承りたい、かように思います。
#170
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 項目別には私も新聞で読みましたが、それは項目の問題でありまして、内容について深くまだ考える余裕もありませんし、おいおいレーガンさんのやり方はわかってくるだろうと思います。そして、当然あるいはいままでのカーターさんのやり方とは大きく変わってくるだろうと思いますが、私どもの方の役所が関係している問題についてだけ申し上げますれば、私はいつも思っているんですが、アメリカは大きい国です。日本の何倍ってある大きい国です。しかも人口は日本の二倍しかありません。アメリカは一番大きなかせぎといいますか、GNPを生産していることは御承知のとおりですが、あんなに大きい国でございますが、日本の約二倍ですか、それは。日本は、逆に言えば、こんなに小さな国で、カリフォルニア州一州と同じぐらいだと言っている中で、アメリカの半分の生産をしているわけです。しかも、日本は三十七万平方キロという小さい中で、約七割は先生御承知のとおり山地でありまして、三割しか人間が住んだり、農耕したり、工場をつくったりするところはないわけであります。幸いにして海に囲まれておりますから、それだけいい点もありますけれども、よほど注意しないと、経済の発展ということにだけ目を注いでいけば、最終の目標の国民の幸せといいますか、国民生活の安定ということがよほど注意していかないと阻害される、しかも、その方に注意していれば、それじゃ経済は発展しないでもいいのかというと、私はこれをとるかあれをとるかという問題じゃないと思っております。両方とらなきやならぬところにむずかしさがある、こういうふうに考えておりますので、レーガンさんの項目だけを見て、うらやましいなあというぐらいのことで、特段の考えはありません。
#171
○森田重郎君 わかりました。
 この問題を長官とここで討議いたしますと、もう時間もございませんが、アメリカは国が広いというような考え方の中で、遠隔立地というような考え方。これに対して、IEA等で日本をも含めて欧州各国がそういう考え方に立てば、かえって、その安全基準と申しましょうか、そういう意味の技術的な開発がおくれるというようなことで、いろいろと討議もあったようでございますが、そういう問題は別といたしまして、大臣のお考えも大体わかりましたので、ちょっと視点を変えまして、これは私もよくわからないんですが、昨日のサンケイ新聞の夕刊を実は見ておりましたら、「途上国に原発援助も」と、こう題しまして、何か政府方針のようなものが載っておったようでございますが、内容は、五十六年度に発展途上国対策協議会、こういうものを発足させるというふうな記事がちょっと目にとまったんでございますが、大臣、これにつきまして何か、御存じの範囲で結構でございますが、お伺いをしたいと思います。
#172
○国務大臣(鯨岡兵輔君) まことに申しわけありませんが、その点については私存じておりません。
#173
○森田重郎君 これは新聞報道だけなんでございますが、所管省庁は当然、各省庁もあるいはまた原子力関係者もこういった関係者の一員として加わるというふうな意味もあったものですから、あえてお伺いをいたしたわけでございます。
 それでは、最後に環境アセスメント法案につきまして、これは冒頭寺田委員の方からも御質問があったようでございます。私も大臣の御答弁を伺っておったわけでございますが、何かもうちょっと詰めたところで御答弁をちょうだいできればというふうに感じまして、御質問をさせていただくわけでございますけれども。先ほどの大臣の御答弁の中では、もろもろの事情があるというようなお話で、そのもろもろの事情というものは、これは財界の圧力というような必ずしも問題だけじゃない、自民党の党内事情として、いろいろと問題があるというようなことで、幾つかの例を挙げるような形で御答弁があった、こう記憶しておるわけでございますけれども、現在、どうなんでございましょうか、これは商工部会であるとか、環境部会等で、現実にどのような形で詰めておられるのか、あるいはその詰めの段階、過程、見通し、その辺につきましてちょっとお伺いしたい、かように思います。
#174
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 先ほどもちょっと申し上げたと記憶しておりますが、御承知のとおり政府案は決まっておるわけであります。ですから、すぐにでも国会で御審議をいただく用意は政府の方としてはあるんですが、自由民主党の方では、この案は政調会長預かりになっておりまして、それで、環境部会はもちろん、それから商工部会等にも、いろいろ御心配なさる向きがあるわけです。そこで、そこらへ私どもがお呼び出しをいただいて、いろいろ詰めるということがあろうかと思うんですが、いまのところ、どういうことになっているのかという御質問でございますが、どうも、来週あたりお呼び出しがあるようなことも聞いておりますけれども、よくその点のところはわかっておりません。いま部会の中ではきっと大分お詰めになっておられるんじゃないかと、こういうふうに考えます。
#175
○森田重郎君 それでは、私のこの質問の詰めの最後としまして、どうでございましょうか、臨時国会は非常にむずかしい、次期通常国会にはぜひともこれを提出したいというような御答弁もあったように承知いたしておりますが、長官のお考えとしまして、いかがでしょうか、その辺のお見通しを率直にひとつお聞かせ願いたいと思います。
#176
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 先ほどの御質問の中にもありましたが、亡くなられた大平前総理は、しばしばにわたって早くこれを国会で御審議いただきたいと、こういうことを言っておりました。現鈴木総理大臣もそういうふうに言っておりますし、地方の動きも早くつくってもらいたいと、こういうことでございます。私は、申し上げましたように、政府の案もできておりますので、なるべく早く与党などにも御了解をいただいて、国会に出して、先生方の御審議をいただき、権威あるルールをつくりたいと、こう考えております。
#177
○柄谷道一君 私は、本日来年度の予算編成と関連いたしまして、その取り扱いが問題になっております児童手当につきまして、考え方をただしたいと思います。
 昨年十二月二十八日大蔵、厚生両大臣、官房長官及び自民党の幹事長、総務会長、政調会長のいわゆる六者覚書があるということを私は知りまして驚きました。このような覚書を結ぶこと自体きわめて異例のことでございますし、私は見方によってはこれは議会の軽視につながるのではなかろうかと思います。財政再建という見地からするならば、現在わが国の政治が直面いたしております課題としては、行財政の改革がございます。行政経費の節減問題がございます。また公共事業のあり方、さらには国鉄、米、健保といった三K問題の解決など、財政課題として対処しなければならぬ課題は山積をいたしておるわけでございます。にもかかわらず、この六者覚書によりますと、児童手当制度、老人保健医療制度、社会保障施策の所得制限など、福祉の問題についてのみ触れられております。これでは私はこの六者覚書というものは福祉のねらい打ちではないかとすら思うわけでございますが、これに対するまず大蔵省の明確なお考えをお伺いいたしたい。
#178
○政府委員(矢崎新二君) ただいまの昨年末の六者覚書の問題でございますが、これは社会保障制度の全般にわたる問題についての見直しというような問題意識から出たものであるというふうに承知をいたしておるわけでございます。どういうことかと申し上げますと、社会保障の分野について、いろいろ今後の問題を考えてみますと、御承知のように、今後高齢化社会がますます近くなってくるという状況にあるわけでございまして、一方年金制度等につきましても、現行の給付水準を維持していくだけでも、老齢人口の増加とか、あるいは制度の成熟化の進展といったようなことに伴いまして、必然的に給付の水準も、給付の額もふえていくわけでございますし、またそれに伴う費用負担が大幅に増大をしていくということが、今後予想されるというような事態になっておるわけでございます。そういったような観点から言いますと、やはり将来の世代に対する費用負担の問題等も考慮しなければいけないことでございますし、社会保障全般にわたりまして、制度の見直しを行い、給付の適正化、重点化を図る。それからまた負担の公平化も図っていくということがどうしても必要になっていくのではないかというような基本的な認識を私どもも持っておるわけでございます。そういったような観点から、御指摘の覚書はつくられたものでございまして、児童手当の問題でございますとか、あるいは老人保健医療制度の問題でございますとか、社会保障施策の所得制限全般の問題でございますとか、そういったようなものを見直していくということが、緊急の課題ではないかと、こういう認識に立って政府与党間の関係者で確認をしたものだというふうに承っておるわけでございまして、福祉のねらい打ちといったような趣旨に出るものではないように理解をしておる次第でございます。
#179
○柄谷道一君 それではさらにお伺いをいたしますが、いま御答弁になりましたように、大蔵省が高齢化社会への移行に伴っての社会保障費用の増大に備えるということであるとするならば、なぜ児童手当制度がこの覚書のトップに置かれているかということでございます。私は、現在三人以上の子供を育てているいわゆる多子家庭というのは逐年減少いたしております。もし児童手当制度を現行のまま維持したとしても、その費用負担が今後減少をしていくことは明らかであろうと、こう思うのでございます。あえて私はこの覚書の冒頭に児童手当制度を取り入れたということは、五十六年度における児童手当制度の廃止ないしは大幅な削減というものを大蔵省が考えているのではなかろうなこのように推測せざるを得ないわけでございますけれども、その意図について御説明いただきたい。
#180
○政府委員(矢崎新二君) この覚書の順番についてはどういうことかという御指摘でございますが、この順番ということは特に大きな問題ではなくて、この覚書の中に問題として取り上げられたのはなぜかということを私としては御説明をしたいと思うわけでございまして、この児童手当制度もやはり広い社会保障制度の中の一環をなすものでございまして、この問題につきましては、かねてから各方面からいろんな問題が指摘をされておるわけでございます。
 その一つは、児童の養育についての考え方との関連の問題でございまして、わが国におきましては、ヨーロッパ諸国に比べまして、親子の家庭における結びつきが強くて、広く社会的に負担をするというヨーロッパ諸国のような考え方はかなりなじみにくいような面がございます。
 それから、また、賃金との関係を見ましても、日本の賃金体系はヨーロッパ諸国と異なりまして、家族手当を含む年功序列型となっておるわけでございまして、生活給としての色彩が濃いわけでございますが、そういったような特性もあります。
 それからまた、他の児童福祉施策等との関連につきましても、保育所その他のいろんな児童福祉施策があるわけでございまして、それらの中で必ずしも優先度がそれほど高いのかどうかというような御指摘の向きもございますし、費用負担のあり方、所得制限のあり方といったような問題についても、いろんな指摘がかねてからございます。そういったようなことを踏まえて、昨年の覚書の中では、問題の一つとして取り上げられたものであるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
#181
○柄谷道一君 いまおっしゃいました児童養育についての考え方、賃金体系との関連、福祉の優先度、また費用負担や所得制限等の問題につきましては、私は異なる見解を持っておりますが、これは今後の質問の中で逐一指摘をしてまいりたいと思います。
 ただ、私がいままでの答弁を聞きまして、率直に感じましたことは、財政再建というそろばん勘定しか大蔵省は眼中にないのではないか。私は将来に備えて、この施策を仮にも誤るということになりますと、重大な禍根というものを将来に残す結果になるということを指摘せざるを得ないわけでございます。私は覚書を拝見いたしまして、この児童手当制度の持ついろいろの意味について、私なりに真剣に勉強してみました。しかし、最近の状況には幾つかの大きな変化があるのではないかと、こう私は思えるのでございます。
 そこで、大臣がいらっしゃいませんので、政務次官にお伺いいたしたいと思うのでございますが、私はその第一の変化は人口問題であろうと思います。最近の人口動向というのはきわめて憂慮する実態になってきつつあると、私はそう考えるのでございます。最近の出生数の減少傾向に対して、どのような基本的な認識をお持ちであるのかお伺いをいたします。
#182
○政府委員(大石千八君) 具体的な数字等につきましては、また当局の方から説明をさせますが、最近の統計によりまして、確かに人口の出生率の減少というものが当初の予想よりも著しくと言っていいか、かなり上回っているということに関しては、統計上そのようなことになっておりますので、このことを無視して、厚生行政あるいは人口問題を考えていくわけにいかないという点では柄谷先生おっしゃるとおりだと思います。ただし、出生率の低下といいますのは、欧米先進国等も共通の問題であり、傾向であり、また日本におきましてもそういうような先進国としてのそういう傾向と、ある意味では要因が似ているのではないかという感じもするわけでございます。しかしながら、この人口の動向というものは、一時的にのみ判断するという性質のものではありませんし、さらに今後の動向を見ていきませんと、日本の人口の将来というものが必ずしも正確に見通せるわけではないと思いますので、そういう意味では今後なお一層人口の出生率の低下等を含める動向というものを見きわめていかなければならないと思うわけであります。ただ、その間に人口の低下に伴いまして、老齢化社会が著しく進んでくるというような問題には、一層早く直面しなければならないということも十分考えられますので、そういう点に関しましては、確かに老齢化社会に対して備えるという体制を早くとっていく必要があろうと、こういうふうに考えるわけであります。そのような状況の中で、厚生省といたしましては、新たな高齢化社会に対しての対策を講じていくために、全力を挙げていく覚悟でございます。
#183
○柄谷道一君 私は厚生省統計情報部が出しております人口動態統計、さらに人口問題研究所が出しております人口問題研究、これを拝見いたしまして私なりに分析をしてみました。その中で、合計特殊出生率――すなわち一人の女子が一生の間に生むと推定される平均児童数でございますけれども、昭和四十年から昭和四十八年までの間は、おおむね二・一四から二・一六の間を推移しておりましたが、昭和四十九年に静止人口が維持されるといわれております二・一を割りまして二・〇五となっております。その後、急速にまたこれが低下をいたしまして、五十三年には一・七九、五十四年には一・七七まで低下いたしております。これは政府の統計でありますから間違いがないと私は思うんでございます。私がある読みました書物によりますと、ある学者は、もし仮に一・七九で今後推移したとすれば、八百年後には十五歳未満の人口はコンマ以下、つまりゼロになる、そこで日本民族は事実上消滅するのではないかと、こういう指摘が行われております。フランスの大統領のこれは有名な言葉でございますけれども、人口の再生産ができない社会は死に至る社会である。このような現象がいまわが国にも顕著にあらわれつつある。しかも、いま次官は将来の推移はなかなかわからぬと言われたんでございますけれども、人口問題研究所では今後の出生率等につきましてもその推定を行っておられるわけでございます。
 そこで、私は厚生省にお伺いしたいんでございますけれども、長期的にわが国の適正人口を維持していく、そのためにはどれぐらいの合計特殊出生率が望ましいとお考えになっておるのか、お伺いいたします。
#184
○説明員(長門保明君) お答え申し上げます。
 人口学的に見まして、これが一定の入口の規模を維持し推移していくという、いわば静止人口の形に持っていくためには、望ましい数値といたしまして、先生御指摘の合計特殊出生率で申しますならば、二・一が望ましい数値と、それから生まれました子供のうち女性だけにこれを限りまして、この女性が成長いたしまして妊娠可能な年齢を過ぎるまで生き残る、その可能性を見込みまして計算いたしました純再生産率で申しますならば、その一・〇というふうな状態が続くならば、人口規模が一定水準を維持できるであろうと、こういうふうに考えられております。
#185
○柄谷道一君 そこで、いま言われました合計特殊出生率がすでに御指摘された二・一を大きく割っておる、これはもう現実ですね。
 一方諸外国を見ますと、フランスでは一・八四、西ドイツでは一・三九、スウェーデンでは一・五九、イギリスにおいては一・七〇、そのように出生率が低下したために、いまこの児童手当の問題ということが、それぞれの各国において非常に大きな政治課題となっておると私は承知いたしております。それらの諸国における、時間の都合がありますので詳しいことは一応別として、この児童手当制度に対する施策について、いわゆるその潮流といいますか、方向というものについて、厚生省が把握しておられる状況をお知らせいただきたい。
#186
○政府委員(金田一郎君) 西欧先進諸国の児童手当に関する最近の動きを簡単に御説明申し上げたいと思います。
 まずイギリスでございますが、イギリスにおきましては、一九七七年から七九年にかけまして、税制の児童に関する扶養控除が段階的に廃止され、児童手当に統合されたわけでございます。この結果、支給対象児童につきましては、それまで十六歳未満の第二子以降であったものが、十六歳未満の全児童に拡大され、手当額も年々増額されております。一九七九年における手当額は月額四ポンド、ことしの四月一日で換算いたしまして八千六百九十二円でございます。それから次に西ドイツにおきましては、一九七五年に税制の児童扶養控除が廃止され、児童手当に統合されました。この結果、支給対象児童につきましては、それまで十八歳未満の第二子以降であったものが、十八歳未満の全児童に拡大されました。手当額につきましては、その後においても、第三子以降の児童について重点的に改善されてまいっておりまして、一九七九年における手当月額は、第一子五十マルク、月額で六千四百二十一円、第二子八十マルク、一万二百七十三円、第三子以降二百マルク、二万五千六百八十二円となっております。なお一九八〇年からは児童手当をそのままにしたままで、児童扶養控除、これは六百マルクまでの、これは年額にいたしまして七万七千円でございますが、その実額による所得控除というのが設けられました。これはわが国の税で言います医療費控除のような実額控除でございますが、この結果、税の面とあわせて児童養育家庭に対する援助がさらに強化されたわけでございます。次にフランスにおける児童手当は、第二子以降の支給でございます。ここだけは第二子でございますが、その額は基準賃金に対する一定割合で定められております。基準賃金は逐次引き上げられてきておりまして、また基準賃金に対する率も、一九七九年七月に引き上げられております。一九七九年七月における手当月額は第二子について基準賃金の二三%、一万二千百八十三円、第三子四一%、二万一千七百十九円、第四子三七%、一万九千六百円、第五子以降三五%、一万八千五百四十円、いずれも月額でございます。
 最後に、スウェーデンにおきましては、一九八〇年におきまして、十六歳未満の全児童に対して、月額二百三十三・三クローネ、月額一万三千百六十五円の児童手当が支給されております。手当額につきましては、物価上昇等を考慮して逐次改善が図られております。
#187
○柄谷道一君 いま次官お聞きのとおりでございます。
 私は、諸外国においても、いわゆる将来静止人口を維持すると、そのために必要な児童手当制度が拡充されているというのが世界の大勢であろうと思います。いま日本もまた同じような人口問題に直面しておるわけでございまして、私は、単なる財政的配慮ということのみではなくて、こうした人口政策と児童手当のあり方というものが、もっと日本民族の将来のために重視されるべきではなかろうかと、こう思うのでございます。いかがでございます。
#188
○政府委員(大石千八君) これは大変日本の将来の問題、日本民族の問題であり、また日本国家の問題でございますから、深い研究が必要であろうと思います。ただ、私思いますのは、いま話の出ました欧米先進国と、日本の状況が同じように考えられるかどうかということも検討材料に加えなければならないと思います。つまり、日本の適正人口はどのぐらいであるかというようなこと、そのこと自体も恐らくこれからの日本の人口問題を考えていく場合に考慮に入れなければならないのではないか。一時的な人口の減少とか、増加という物の見方に加えて、日本の将来という大事なことを考える場合には、人口問題はその辺までも考慮に入れながら、行政を進めていかなければならないものだということを考えますときに、ただ単にヨーロッパ諸国がそういう制度をやっておるので、日本も同じような状況の中で考えてよろしいかどうかということも、一つの検討課題だというふうには私は考えるわけでございます。しかし、大事なことは、生まれた児童を大事にするということに関しては、どこの国にも負けない、人後に落ちない、そういうりっぱな行政をやっていかなければならないということになろうと思いますので、そういう点に関しましては厚生省といたしましても中央児童福祉審議会ですか、まあ諮問にございましたように、すべての児童を大事にしていくというような方向で、これから積極的に児童に対する援助といいますか、行政を行っていくという心構えはしっかりできているつもりでございます。
#189
○柄谷道一君 時間がありませんので、この問題で押し問答は私避けたいと思いますがね、将来展望としても、静止人口を維持できる二・一の水準に回復することは、現状のままではあるまいというのがもう定説なんですよ。だから、私はその点を配慮して、日本民族の将来のために、単なる一時的――私は一時的というのは財政的配慮が一時的だと思うんですね。もっと長期の展望に立つ人口政策との関連における児童手当への認識というものが、やっぱり行政の当局というものにもっとないと、私は将来のためにほんとに取り返しのつかない禍根を残すんではないか、このことを真剣に憂えます。このことは意見として申し上げておきたいと思います。
 それから第二に、主計局次長の御答弁を聞いておりますと、アメリカやヨーロッパ諸国と違って、親と子の結びつきが強いから云々と、こういう趣旨の答弁があったわけでございますけれども、私は、そうだから社会的に負担するという考え方は日本人にはなじまないとするのであれば、仮に親子の結びつきが強い場合は、年金についても社会的配慮が必要でないという意見に結びついていくおそれがあると、こう思うのでございます。
 厚生省がこの前発表しております「高齢化社会の到来とこれからの社会保障」というパンフレットを見ますと、年金の支給開始年齢や、支給水準を維持しようとすれば、厚生年金料率は昭和七十五年には千分の二百、八十五年には千分の三百を超えると、これは厚生省の推定でございます。私は、その是非をいま言おうとしているんではございません。もしそうだとすれば、そのような重い負担を次の世代の子供たちにわれわれは課していくということになってくるんですね。それだけの負担を将来負うべき子供に対して、またその子供を持っている家庭に対して、年金負担と養育費負担が重なり、家計に大きく圧迫を加えるということは、この世代間の負担の公正な分担という立場から見ても、これは大きな私は問題を残すことになるのではないか。また、五十四年に総理府が行った婦人に関する世論調査、もうきょうは時間がありませんので、その内容は言いませんけれども、昭和五十四年と昭和四十七年とを対比して、その意識の変化が出ております。これを見ると、急速に最近子供離れといいますか、自分たち夫婦の生活をより重視するという傾向が顕著にあらわれ、親子の結びつきが後退傾向を示しておる、それがまた出生率低下の原因にもつながっている、こういうことが総理府のこの統計の中に明確にあらわれてきておるわけでございます。私はこれも第二の大きな変化であろうと、こう認識するのでございますが、簡潔で結構ですから、次官の認識をお伺いしたい。
#190
○政府委員(大石千八君) 柄谷先生おっしゃるとおりだと思います。そういう意味では全く同感でございます。
#191
○柄谷道一君 第三の変化は、私は賃金の変化でございます。きょう労働省呼んでおりませんので、大臣がおられれば国務大臣として質問したいと思っておったんですけれども、政務次官にこのことをお伺いするのはちょっと酷ではなかろうかと、こう思いますので、これは意見の指摘だけにとどめておきたいと思います。
 昭和五十四年労働省が賃金制度調査を実施しておりますけれども、それを昭和四十五年に行った労働省の調査と、この五十四年の調査を対比いたしますと、いわゆる仕事給体系をとる会社、これが二八%から四五%に上昇いたしております。一方、年齢、勤続、学歴、扶養家族というような属人的要素で決められるいわゆる属人給的体系をとる会社が一八%から九%に減少いたしております。また総合給――この両者を総合してとっておるという体系のところが五三%から四六%に低下しておる。特にこれを千人以上の企業で見ますと、仕事給体系をとっている会社が実に五六%を五十四年度占めている。このような統計が出てきておるわけでございます。これからわが国の労働者はますますこれ中高年齢化してまいります。中高年齢化すればするほど、属人給的要因が仕事給的要因というものに変化していくというのは、これは必然であろうと、こう思います。しかも、家族手当を見ますと、子供一人目千八百六円、二人目千五百六十六円、三人目千四百七十三円、四人目千四百五十一円にしかすぎません。受給者の半分を占めておる自営業者に家族手当制度がないのはこれはもう当然でございます。こうしますと、私は、こうした賃金体系の大きな変化、このことに目をつぶって、日本の賃金体系が依然として属人給的賃金体系である、こう認識されるのは、私は十年前の認識ではないか、こう思うのでございます。私も長い労働組合の経験を持っておりますけれども、それが大勢です。おくれておるのは官公庁だけですよ、民間はそのようにどんどん進んでるんですよ。こうした変化と児童手当制度の関連というものも、長期を展望した私は厚生当局の姿勢というものがあって当然である、これは指摘だけにしておきます。
 私はそのようにいままで人口動態、扶養意識、賃金をめぐる流れというこの三つの変化を指摘してまいりました。私は、財政当局が言っているように、単に現象面だけをとらえ、財政的な観点からこの給付と負担の合理化を図るという施策が、そうした総合的視野を持たないまま強行されるということになりますと、これは大きな過失を犯すと言っても私は過言ではないと思います。この点について篤と御配慮を願っておきたい。
 そこで、もう一つ私はここで指摘したいのは、サラリーマン、いわゆる勤労者の児童手当については費用の七〇%が事業主負担でございます。実質拠出制と言ってもいいという状態にあるわけでございますけれども、六人世帯四百九十七万円という所得制限が、昭和五十二年以降その額が据え置かれたままでございますから、この落ちこぼれがどんどんどんどん出てきておるわけですね。一体五十二年度据え置いてからどれぐらいの落ちこぼれが出ておりますか。
#192
○政府委員(金田一郎君) 昭和五十二年度以来所得制限額が据え置かれますことによりまして、支給率が維持された場合と比較しまして、五十三年度から五十五年度の三カ年で、被用者関係の支給児童数は約十万人減少していると推定されます。
#193
○柄谷道一君 私、さきに指摘しましたように、家族手当の現況はたかだか千数百円でございます。児童手当は五千円でございます。いま十万を超える人がこの数年間に実質的な賃金カットを受けた、こういうわけですね。
 そこで、これは税制とも関連するんですけれども、クロヨン税制、トーゴーサン税制、こう言われております。勤労者というのは一〇〇%所得が把握されているんですよ。非被用者の場合はその所得の把握が必ずしも完全と言われておりません。
 そこで、私は厚生省から現在の所得分布の資料をもらいまして、私なりにひとつ計算をしてみました。仮に市町村民税所得割り非課税基準、これ六人世帯二百二十六万二千円であると私は承知しておりますから、その程度まで仮に所得制限を落としてきた、強化してきたという場合に、現在児童手当を支給されている者が、どの程度落ちこぼれるかとやってみましたら、非被用者の方は三分の一が落ちこぼれます。したがって、支給者は、大体六六%ぐらいいま支給されている者は引き続いて支給される、こういう形になるんですけれども、被用者の方は所得が正確に把握されておりますために、上の方の分布が多いんですね。同じような所得制限にしても、私の計算では半分カットされる、半分といいますか、わずか二二、三%の者しか支給されないようになってしまう、このような数値があらわれてきておるわけです。厚生省、その私の推定、間違いないでしょうね。
#194
○政府委員(金田一郎君) ただいま柄谷先生が言われました所得制限を市町村民税所得割非課税世帯層まで強化いたしました場合におきましては、受給者につきましては、サラリーマン層と自営業者とをそれぞれ分けて見ますと、次のようになるわけでございます。
 まず、全児童としましては、昭和五十五年二月末現在における支給対象児童二百七十六万人のうち、約百八十五万人が支給されなくなるものと推定されます。その内訳でございますが、被用者分につきましては、百十八万人の支給対象児童のうち、約百万人が支給されなくなるということでございます。それから、非被用者分、自営業者につきましては、百三十二万人の支給対象児童のうち、約六十万人が支給されなくなる、約半数でございます。公務員等につきましては、二十六万人の支給対象児童のうち、ほぼ全員が支給されなくなるということでございます。
#195
○柄谷道一君 いま私の推定おおむね間違いがないというお答えがあったのでございますけれども、被用者と非被用者の間にあるいわゆる不公正、不適正な税制というものをそのままにして、画一的な所得制限の強化を行えば、被用者の方はきわめて甚大な影響を受ける。しかも、甚大な影響を受けるその被用者の費用負担は、さきに申し上げましたように七〇%が事業主の負担、拠出によって賄われている制度である。こういうことを考えますと、一層現在の矛盾を拡大するという結果につながっていくのではないか。しかも、それは実質的な賃金カットということにつながっていくわけでございまして、私は、こうした措置を政府が仮にもとるとすれば、わが党といたしましては、これは断じて許すことができない問題であろうと思います。
 時間がございませんので余り深くを申し上げられなかったわけでございますけれども、九月十日中央児童福祉審議会は、一年半二十四回の研究を行いました結果、厚生大臣に対しまして長期的展望を含めて一つの提言を行っております。多くを言うまでもなく、義務教育終了前の第一子から所得制限なしで支給しなさい、そして扶養控除との調整によって合理的なものにしていきなさいというのが一言で言えばこの提言の内容であろうと思うんです。私は、いままで指摘いたしました幾つかの問題点の中から考えて、この提言といいますか、意見具申というものは、まことに長期展望に立つ一つの卓見ではないかと、こう評価するものでございます。高齢化社会の到来を迎えまして、年金等将来の社会的不安が増大することは避けられません。いまから将来の社会の担い手である児童に社会的配慮を加えるということは、私は、現在生きているわれわれが果たさなければならない重要な責務であろうとすら思うのでございます。養育費用の一部を社会的に負担することによって、児童世代、就業世代、老齢世代の間の連帯のきずなをつくる、さらに扶養調整を行うことによって、税の応能負担という原則をより前進さしていく。この提言に向かって、私は、厚生省としましては、さきに確かに六者覚書がございます。この覚書というものの壁に向かって正論を押し通すということはきわめてむずかしい問題ではあろうと思いますけれども、私は、それを担当するのが厚生省であり、大臣であろうと思います。
 きょう、大臣がいらっしゃらなかったことは本当に残念なんでございますけれども、この私の率直な質問を通じて申し述べました提言を、大臣によくお伝えいただきまして、がんばってもらいたい。そのことに対する政務次官としての所信をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
#196
○政府委員(大石千八君) まことに役不足で申しわけございませんでしたが、ただいまの柄谷先生の提言、全く私も同感でございます。
 そういう意味に関しましては、児童扶養控除等との調整をも含めて、第一子から児童手当を支給するということの中央児童福祉審議会の答申というものはまことに当を得たものであるというふうに私も認識をしておりますし、大臣初め、厚生省全体といたしましても、そのような認識であろうと思います。
 そういう意味におきましては、ぜひ柄谷先生おっしゃいましたような、そのような目的で、私どもは財政的な問題ということ、それから、大蔵省がいろいろ考えておられる税制上の問題等、私どものそのような要求をそのまま勘案していただくということに関して、いろいろむずかしい問題もそこにあるかもしれませんが、厚生省といたしましては、そのような決意でいけるものと、大臣もそう考えておられるものと、私は認識をしております。
#197
○沓脱タケ子君 それでは、限られた時間でございますので、端的にお伺いをしていきたいと思います。
 環境庁決算に関連をして、公害防止事業団についてお尋ねをしたいんです。
 具体的には、事業団法第六条にある工場移転用地の造成・譲渡事業のうち、東大阪市内で事業団が約二十億六千万円をかけて第一次、第二次に造成をして譲渡をしたというこの東大阪市作業工具工業団地、この譲渡及び運営、管理の問題についてお聞きをいたしたいと思います。
 公害防止事業団法の第一条によりますと、事業団の目的は「公害の防止に必要な業務を行ない、もって生活環境の維持改善及び産業の健全な発展に資すること」ということが明記されています。東大阪市作業工具工業団体の業務、特に工場移転用地の譲渡後、その管理運営などは、これは本来の目的に沿うようにうまく運営されているかどうか、まず最初に事業団からお伺いをしたい。
#198
○参考人(宮城恭一君) この協同組合から償還金の返済などは滞りなく行われておりますんでございますが、協同組合は、当事業団と取り交わしました契約条項に違反し、所定の手続をしないで、一部施設利用者の入れかえとか、所有権の移転等を行っているという問題がございます。
#199
○沓脱タケ子君 事業団法や、いわゆる業務方法書とか、契約書その他に規定されている事業団の権限、こういう権限などに照らして、適切な運営、管理がやられていたとは言えない問題点というのが非常にたくさんあると思います。きょうは限られた時間でございますから、細かくは触れられないのが非常に残念なんですが、この東大阪市の工業団地というのは、いわゆる二十億六千万円のお金をかけて、昭和五十年九月に第一次分、五十二年の五月に第二次分の六万一千平米の造成をやって譲渡した工場移転用地でございます。当初事業団が造成譲渡をしたときの協同組合というのは二十社でございますね。それが今日では二十九社になっておる。そして、その間五十七社が出入りをして、当初からおります企業はわずかに五社だけであるという状況になっております。その現在おります二十九社について見ますと、事業団が承認をしているのが十八社、いわゆるもぐりと言われる未承認が十一社、こういう状況になっておるわけでございます。
 この二十九社について見てみますと、一つずつ申し上げると非常にリアルなんですが、時間がございませんので、どういうことが起こっているかということを若干整理をして申し上げますと、当初の事業目的では、移転対象企業というのは、東大阪市内の事業所ということにされていたにもかかわらず、東大阪市以外の三企業が入居しているということ。それから、もう一つは、契約書に違反をして、事業団に組合員となるための資格審査を受けずに、もぐりで入居しているというのが十一企業。それから、三つ目は、契約では、公害防止事業団に割賦金返済を完了していない間は、工場移転用地というのは質権、抵当権などの権利設定、所有権の移転というようなことはできない、あらかじめ事業団の了承を受けなければならないということになっているのに、無断で抵当権の設定をしたり、あるいは抵当流れで第三者の金融機関に取られているというのが十二企業。それから四番目には、契約では割賦金確定契約から三年以内に工場移転をしなければならないというのに、五年以上たっているけれども、現在なお移転をしていないという企業が二つ。それから五番目には、契約では工場移転後の跡地で、再び公害を発生しないように利用しなければならない。当然なんですね。ところが従来どおり公害を発生して操業して、その団地には第二工場的なものを設置しているという企業が一つ。それから大阪市内のスイコー株式会社というんですけれども、これも入っておるんですが、これ全く替え玉の企業を使って、つくられた公害データを作成しているんですが、このスイコー株式会社に至っては実におもしろい。公害企業じゃないんですよ。大阪市内で営業している香水、においも公害のうちですか、全くナンセンスみたいな香水の会社が、これは当然入れないから、コーヨー印刷という会社を替え玉に使って、そこで公害が出ているというデータをつくって、このスイコーという会社が入っている。もう一つ言っておきますと、いまおります鹿児島金属製作所というのは、大体許可をするときには市外の大東市というところにある山口技研工業というのに許可を与えている。ところがいつの間にやらこれ入れかわって、鹿児島金属製作所がすりかわって入っている。あるいはこういうところですから、本来新規事業は入れない、にもかかわらず新規事業も入っている。述べ立てていきますと、ちょっと時間がないので、必要とあればまた後でお知らせをいたしますが、そういうことになっているわけでございます。こういうこれらの事実については事業団つかんでいますか。
#200
○参考人(宮城恭一君) われわれの調査いたしました範囲で承知している部分と、それからまだ承知していない部分もございます。しかし、われわれも調査いたしておりますが、先生がおっしゃられるようなもとになった事実は、われわれの調査の上では若干そごする点もございますけれども、そういうことはあると考えております。
#201
○沓脱タケ子君 それで、事業団は最近になって知ったとか、あるいは大分違うとか、いろいろ御意見あるんですけれども、私はこれは事業団は知り得る立場にあったと思うんですよ。だって、たとえばさっき申し上げたスイコーという大阪市の香水の会社、そんなものを入れるのにちゃんとあなたの方は償還金額が償還きちんとされるかどうか信用調査なんかやっている。やらなんだら許可できないんですよ。やったら香水の会社やというのはわかっているんです。ところが、これ承認されている。あるいはさっきも言いましたけれども、大東市の山口技研という会社ですね。大東市ですから東大阪と違うんですよ。市外の山口技研という会社も承認をされているんだけれども、いつの間にやらすりかわって鹿児島金属というふうなことになっているわけでしょう。こんなことがやられていて、事業団がわからないということはあり得ないと私は思うんですよ。幾つか例を出せばたくさんあります。なぜ一つ一つの段階でチェックができなかったのか、これは私ども非常に不思議だと思うんですよ。その点はどうなんですか。
#202
○参考人(宮城恭一君) その点まことにわれわれとしても反省しておりまして、遺憾と思っておるところでございます。
#203
○沓脱タケ子君 それで、いま遺憾だと言われたのだけれども、こういう調査とか、許可とか、承認というふうなもの、こういうことを通じてチェックをしていくことが非常にずさんだったと思えるんです。私ども全貌ほとんどつかんでますから。こういうずさんなやり方と結びつきまして、現地では私文書偽造、背任横領、脱税容疑などで刑事事件が発生している。たとえば組合誘致ですね。協同組合の組合誘致を、いわゆる土地転がしをやって、転売の差益金が横領された。五、六億にもなるというんでしょう。あるいは脱退をした組合員に対する返済金の一部が横領されている疑いがある。約七千万円です、私どもの調査では。あるいはその他固定資産税を組合員から集めたけれども、それも行方不明やというのも二千三百万。あるいは組合員名義で福徳相互銀行から三千万借りた金もどこへ行ったかわからぬと、こういうことが起こっているんですよ。事業団がもっときちんとチェックしておけば、こういうことは起こらなかったかもわからぬ。それに絡んでこういうことが起こってきている。この問題につきましては、国税庁は脱税容疑で、そして警察庁は告訴に基づいて背任、私文書偽造の容疑で五月以降強制捜査を行っていると聞いておりますが、警察庁いかがですか。
#204
○説明員(漆間英治君) 御質問の件では、本年の五月二十一日に、東大阪の作業工具工業団地協同組合の代表理事から、大阪府警の捜査二課に対しまして、同組合の元専務理事を被告訴人とする私文書偽造、背任の容疑の告訴がございまして、捜査二課ではこれを受理いたしております。引き続きまして九月二十九日に関係個所を捜索いたしまして、現在押収資料の分析、検討、それから関係者からの事情聴取、そういう作業を行っております。
#205
○沓脱タケ子君 国税庁はどうですか。
#206
○説明員(岡本吉司君) ただいま先生御指摘の東大阪作業工具工業団地共同組合関係につきまして、大阪国税局が法人税法違反の容疑で査察調査をしております。
#207
○沓脱タケ子君 国税庁も強制捜査に入ったんじゃなかったの。
#208
○説明員(岡本吉司君) 言葉が足りませんでしたけれども、査察調査と申しますのが強制捜査でございます。
#209
○沓脱タケ子君 そうしますと、警察もこの九月二十九日には強制捜査やっているんですね。
#210
○説明員(漆間英治君) 先ほどもお答え申し上げましたように、九月二十九日に関係個所を捜索いたしました。
#211
○沓脱タケ子君 ちょっと細かく言いたいんだけれども、時間がないから先へ進みますけれども、こういうことが起こっておりますからね、事業団の事業の運営管理と絡んでこういうふうに国税庁も踏み込まなきゃならぬ、警察も強制捜査しなきゃならぬという事態が起こっておる。だから現地ではどうなっておるかというと、東大阪市では大問題ですよ、実際には。市民の疑惑が集中しておる。ですから、現地の東大阪の市議会では、地方自治法の百条調査権を打ち立てて、特別調査委員会をつくって事態の解明と、市民の疑惑を解くための調査に乗り出してきているわけです。こういう事態なんです。
 そこで検査院にお聞きをしたいんですが、いま申し上げたような事態なんですけれども、こういう事態を御存じになりまして会計検査院はどうお考えになりますか。
#212
○説明員(佐藤雅信君) お答えいたします。
 ただいま御指摘のような事態でありますれば、譲渡契約の変更というような、そういう所定の手続がとられていないということになりまして、これは債権管理上適切でないというふうに思います。
 本院といたしましては、御承知のように昨年、譲渡の際における債権保全措置につきまして、事業団に対しまして処置要求を出しております。こういったことで、債権保全には私ども重大な関心を持って検査をいたしておるわけでございます。したがいまして、御指摘のこういった事態に対しましては、まず事業団の今後の処理方針というものを十分私ども聴取いたしまして、先生の御指摘の事情もございますので、現地調査につきましては、あるいは国税とか、警察の捜査がございますので、制約があるかもしれませんけれども、できるだけ早い機会に現地に参りまして調査をしまして、債権保全状況を十分検討したいというふうに考えております。
#213
○沓脱タケ子君 最後に環境庁長官にお聞きをしたいんですが、これは長官の監督権限の範囲内の事業団における始末がこういう状態になっているんですね。本件について、まずこんな事態が起こっているということを御存じになって、どうお感じになるか。こういう事態でございますから、事実関係の調査あるいは原因、責任の所在、これは明確に環境庁としても御調査をなさって、対処をなさる必要があると思うんですけれども、御見解を伺いたいと思います。
#214
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 御質問にだけお答えいたしたいと思いますが、どういうふうに思うかというまず第一番の御質問、私は前に一議員として公害防止事業団といろいろのことで話し合ったことがあるんですが、公害防止事業団は国民の税金を使っているだけに非常に一生懸命緻密にやっているんですがね。今度のようなことは、やっぱり悪いやつが世の中にいますから、とんでもないことだなというふうにまず考えます。
 それから責任の所在の問題については、当然、これはお金は返ってきているんですよ、お金は返ってきているんですが、お金の問題じゃなしに、こういう善意の先生方の御審議をいただいて公害防止事業団をつくったんですから、それを利用して金もうけするやつがいるということなんで、実質上の損害はないんですけれども、そういうことをやられたんではたまりませんから、これは当然環境庁の責任です。これは私が管轄しているところですから、公害防止事業団にもそういう者のいることについては糾明して、とるべき処置をとらせなきゃならぬ。それは、幸いしてと言ってはおかしいですが、警察の方も、国税庁の方も、やっていてくださるわけですから、その事態の糾明を見ながら、私の方も私の方として調べていきたい。それには地方自治体などにも御協力いただかなきゃならぬことがありますので、せっかくひとつ御協力をいただいて、糾明していきたいと、こう考えております。
#215
○沓脱タケ子君 長官から非常に明確に御答弁をいただきましたので、ぜひ明確に対処していただきたいと思います。というのは、申し上げたように、現地では議会を挙げての大問題になり、市民が集中して、疑惑に焦点が当たっているという段階でございますので、やはり環境庁の権威を取り戻すためにも、これは明確な対処をしていただくということが最も望まれていると思いますので、ぜひお願いを申し上げたいということを要望いたしまして終らせていただきます。ありがとうございました。
#216
○委員長(野田哲君) 他に発言がないようですから、厚生省、環境庁、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算についてはこの程度といたします。
 次回の委員会は十一月十二日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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