くにさくロゴ
1980/10/13 第93回国会 参議院 参議院会議録情報 第093回国会 予算委員会 第1号
姉妹サイト
 
1980/10/13 第93回国会 参議院

参議院会議録情報 第093回国会 予算委員会 第1号

#1
第093回国会 予算委員会 第1号
昭和五十五年十月十三日(月曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
  委員氏名
    委員長         木村 睦男君
    理 事         亀井 久興君
    理 事         古賀雷四郎君
    理 事         平井 卓志君
    理 事         宮田  輝君
    理 事         赤桐  操君
    理 事         和田 静夫君
    理 事         渋谷 邦彦君
    理 事         沓脱タケ子君
    理 事         柳澤 錬造君
                井上  裕君
                岩動 道行君
                板垣  正君
                岩上 二郎君
                熊谷  弘君
                藏内 修治君
                源田  実君
                下条進一郎君
                鈴木 省吾君
                田代由紀男君
                竹内  潔君
                谷川 寛三君
                玉置 和郎君
                土屋 義彦君
                名尾 良孝君
                林  寛子君
                堀江 正夫君
                増岡 康治君
                八木 一郎君
                山崎 竜男君
                青木 薪次君
                勝又 武一君
                志苫  裕君
                竹田 四郎君
                対馬 孝且君
                村沢  牧君
                安恒 良一君
                大川 清幸君
                桑名 義治君
                田代富士男君
                中野  明君
                上田耕一郎君
                田渕 哲也君
                前島英三郎君
                青島 幸男君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月八日
    辞任         補欠選任
     源田  実君     植木 光教君
     大川 清幸君     塩出 啓典君
 十月十一日
    辞任         補欠選任
     田渕 哲也君     小西 博行君
 十月十三日
    辞任         補欠選任
     植木 光教君     源田  実君
     八木 一郎君     関口 恵造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         木村 睦男君
    理 事
                亀井 久興君
                古賀雷四郎君
                平井 卓志君
                宮田  輝君
                赤桐  操君
                和田 静夫君
                渋谷 邦彦君
                沓脱タケ子君
                柳澤 錬造君
    委 員
                井上  裕君
                岩動 道行君
                板垣  正君
                岩上 二郎君
                植木 光教君
                熊谷  弘君
                藏内 修治君
                源田  実君
                下条進一郎君
                鈴木 省吾君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                竹内  潔君
                谷川 寛三君
                玉置 和郎君
                土屋 義彦君
                名尾 良孝君
                林  寛子君
                堀江 正夫君
                増岡 康治君
                八木 一郎君
                山崎 竜男君
                青木 薪次君
                勝又 武一君
                志苫  裕君
                竹田 四郎君
                対馬 孝且君
                村沢  牧君
                安恒 良一君
                塩出 啓典君
                桑名 義治君
                田代富士男君
                中野  明君
                上田耕一郎君
                小西 博行君
                前島英三郎君
                青島 幸男君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
       外 務 大 臣  伊東 正義君
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
       厚 生 大 臣  園田  直君
       農林水産大臣   亀岡 高夫君
       通商産業大臣   田中 六助君
       運 輸 大 臣  塩川正十郎君
       郵 政 大 臣  山内 一郎君
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
       建 設 大 臣  斉藤滋与史君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    石破 二朗君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官))      中山 太郎君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (国土庁長官)  原 健三郎君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       河本 敏夫君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中川 一郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  鯨岡 兵輔君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   石川  周君
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       内閣法制局第一
       部長       味村  治君
       総理府人事局長  亀谷れい次君
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       警察庁刑事局保
       安部長      谷口 守正君
       警察庁警備局長  鈴木 貞敏君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       行政管理庁行政
       監察局長     中  庄二君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁参事官   石崎  昭君
       防衛庁長官官房
       長        夏目 晴雄君
       防衛庁長官官房
       防衛審議官    西廣 整輝君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛庁人事教育
       局長       佐々 淳行君
       防衛庁経理局長  吉野  實君
       防衛庁装備局長  和田  裕君
       経済企画庁調整
       局長       井川  博君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
       経済企画庁総合
       計画局長     白井 和徳君
       経済企画庁調査
       局長       田中誠一郎君
       科学技術庁計画
       局長       園山 重道君
       科学技術庁原子
       力局長      石渡 鷹雄君
       科学技術庁原子
       力安全局次長   後藤  宏君
       環境庁企画調整
       局長       藤森 昭一君
       沖繩開発庁総務
       局長       美野輪俊三君
       国土庁長官官房
       長        谷村 昭一君
       国土庁長官官房
       審議官      柴田 啓次君
       国土庁土地局長  山岡 一男君
       国土庁大都市圏
       整備局長     伊藤 晴朗君
       法務省入国管理
       局長       小杉 照夫君
       外務大臣官房長  柳谷 謙介君
       外務大臣官房調
       査企画部長    秋山 光路君
       外務省アジア局
       長        木内 昭胤君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省中南米局
       長        大鷹  正君
       外務省欧亜局長  武藤 利昭君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    村田 良平君
       外務省経済局長  深田  宏君
       外務省経済協力
       局長       梁井 新一君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵省主計局長  松下 康雄君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  渡辺 喜一君
       大蔵省銀行局長  米里  恕君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省学術国際
       局長       松浦泰次郎君
       文化庁次長    別府  哲君
       厚生大臣官房長  吉村  仁君
       厚生大臣官房審
       議官       吉原 健二君
       厚生省公衆衛生
       局長       大谷 藤郎君
       厚生省環境衛生
       局長       榊  孝悌君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       厚生省薬務局長  山崎  圭君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       厚生省児童家庭
       局長       金田 一郎君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       厚生省年金局長  松田  正君
       社会保険庁年金
       保険部長     新津 博典君
       農林水産大臣官
       房長       渡邊 五郎君
       農林水産大臣官
       房審議官     矢崎 市朗君
       農林水産省経済
       局長       松浦  昭君
       農林水産省構造
       改善局長     杉山 克己君
       農林水産省食品
       流通局長     森実 孝郎君
       農林水産技術会
       議事務局長    川嶋 良一君
       食糧庁長官    松本 作衞君
       通商産業省基礎
       産業局長     小松 国男君
       工業技術院長   石坂 誠一君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        児玉 勝臣君
       資源エネルギー
       庁石油部長    志賀  学君
       中小企業庁長官  児玉 清隆君
       運輸省港湾局長  吉村 眞事君
       運輸省鉄道監督
       局長       山地  進君
       運輸省自動車局
       長        飯島  篤君
       運輸省航空局長  松本  操君
       気象庁長官    増澤讓太郎君
       郵政大臣官房長  奥田 量三君
       郵政省貯金局長  鴨 光一郎君
       労働大臣官房長  谷口 隆志君
       労働省労政局長  細野  正君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
       建設省都市局長  升本 達夫君
       建設省道路局長  渡辺 修自君
       建設省住宅局長  豊蔵  一君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
       自治省財政局長  土屋 佳照君
       消防庁長官    近藤 隆之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   参考人
       日本銀行総裁   前川 春雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○調査承認要求に関する件
○予算の執行状況に関する調査
○参考人の出席要求に関する件
○派遣委員の報告に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(木村睦男君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、予算の執行状況に関する調査を行うこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(木村睦男君) 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。
 まず、理事会における協議決定事項について御報告いたします。
 質疑を行うのは、本日及びあすの二日間とすること、質疑時間総計は二百八十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党・自由国民会議及び日本社会党それぞれ八十七分、公明党・国民会議四十八分、日本共産党及び民社党・国民連合それぞれ十九分、新政クラブ及び第二院クラブそれぞれ十分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。
 右、理事会決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(木村睦男君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 予算の執行状況に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、出席時刻等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(木村睦男君) それでは、これより質疑を行います。和田静夫君。
#10
○和田静夫君 前川日銀総裁の時間の都合もありますから、通告の順序を若干変えまして、冒頭、経済、財政問題の根幹について少し総理にお尋ねをいたしたいと思うんです。
 さきの衆議院予算委員会の論議、さらに私もきょう憲法問題、あるいは外交、防衛問題を後ほど続けることになりますが、まあ非常に危険な状態というものがあらわれている。それに対して鈴木総理が明確なかじ取りの方針を示されない、それが混乱をたくさん生んでいると思うので、経済、財政、国民生活についても私は同じことを述べることができると実は考えています。もちろん、単にこれが鈴木内閣に始まったことでないことは理解をしているつもりですが、根はその意味では非常に深い。
 政府は、経済運営の方向というものを私は見失っているんじゃないだろうかと。たとえば、この経済白書をさかのぼって読んでみますと、「五十三年度の日本経済は、おそらく経済史上重要な節目と目されるにちがいない。」という書き出しでずっと始まっている。われわれは、新しい経済の転換点に入ったことをかなりあっけらかんと宣言をしていたなと、こう見る。ところが、その後第二次石油危機に遭遇すると、経済の危機を克服した体質が本物かどうかの試練を切り抜けてきたと思われるものの、試練が終わったわけではないと、こういうふうに言うわけですね。私は、昨年とことしの白書の分析に整合性があるのかということについて実は非常に考えさせられた。端的に言って分析は揺れ動いている、それだけ経済運営の見通しが立たないということだと思うんです。しかし、国民とすれば、ことしもすでに十月の中旬でありまして、そろそろ来年の景気の姿というものを概観的に知りたいところです。また、中長期的には石油事情を含めて日本経済の姿というものを知らなきゃならぬと思っているところです。政府からさまざまなデータなり情報が出されているわけでありますけれども、経済閣僚の所信表明がなかったものですから、その辺のところが明確になっていない。よって、ここで大づかみの見通しをまず総理に伺いたい。
#11
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、わが国の経済運営、これは比較的順調に進められておると、このように考えておるわけでございます。第二次の石油ショックに対しまして、世界経済は大変な打撃と混乱を受けました。世界的なインフレの高進あるいは経済成長の鈍化、深刻な失業の問題、そういうような中で、わが国は国民の民間経済というものをできるだけこれを自由濶達に伸ばしていく。そして、できるだけこれに統制を加えたり、制限を加えたり、そういうようなことを避けた。民間経済の活力によりまして、この第二次石油危機というものを乗り越えることに努力をしてまいったものでございます。また、労働組合、労働者の諸君もこの深刻な事態というものを認識をされまして、そして労使の間に話し合いによって協調を見出し、春闘等におきましてもきわめて適切な春闘相場、賃金というものをお決めいただいた。こういうような民間活力を十分に生かす、そして政府がこれを助長していく、こういう体制によりまして、今日の日本の経済は比較的順調に私は回復をしておるものであると、こう見ております。
 たとえば、経済成長の面におきましても、日本と西独、特に日本は経済成長でも高い水準で推移をいたしております。また、物価の問題につきましても、アメリカやイタリアその他が十数%あるいは二〇%という中で、わが国の消費者物価は一けた台に推移をしている。西独とともに私はその点においても評価されてしかるべきものだと、こう思っております。失業の面におきましても雇用率の面におきましても、御承知のように二%前後というようなことでございまして、私は総体的に見まして、これは官民の努力、協力によった成果である、こういうぐあいに評価をいたしております。
 しかし、なかなか世界の経済情勢、これを取り巻く情勢というのは厳しい、こういうことでございますから、楽観は許さない。今後の経済運営につきましては慎重の上にも慎重に、物価と景気の動向というものを両方慎重に見きわめながら機動的、弾力的にこれに対処していきたい、こういう考えを持っております。
#12
○和田静夫君 国内の財、税制問題などの具体的な問題については後ほどわが党の赤桐理事から論議を続けますから、私はその基礎になるもの二、三についてちょっと触れておきたいんですが、その第一は経済外的要因が強いんですが、石油事情です。
 イラン・イラク戦争は、報道によりますと、戦争が終了しても、両国の産油施設が破壊をされているから一、二年は生産できないのではないかというような見通しが述べられております。そうすると、九日に衆議院予算委員会で通産大臣は、イラン・イラク分の供給ストップが続くとして、日本の石油備蓄を取り崩して使っていけば二年は大丈夫だと、こういうふうに答えていらっしゃいますね。まさにぎりぎりのところです。他国や他地域からの供給増の見通しを含めてどういうふうになるのか。
#13
○国務大臣(田中六助君) お答えいたします。
 御承知のように、イランは七月じゅうにもうすでに着荷は一滴もないわけでございます。イラクの方は九月の二十三日にストップしておりまして、イラクからホルムズ海峡を通りましてやってくる油は約三十九万バレル・パー・デーでございます。これは依存率がちょうど八%ないし九%、まあ平均八・五%と私どもは見ておるわけでございますが、そうなりますと全体の備蓄量が、これももうすでに委員御承知のように百十一日分ございます。したがって、一〇〇%――これがまあ全輸入量といたしまして、依存率が八ないし九でございますから、分母を八、九にとりまして、分子を一〇〇といたしますと、一日の取り崩しが十二、三日分になりまして、結局それが三十日間取り崩せばまあ一年分ということになって、これはもちろんホルムズ海峡が無事に通過できるという前提でございます。このために私ども政府はもちろんでございますが、IEA並びに関係諸国と連絡をとりつつ、そういうことのないように、またイラン、イラクの方もそういうことはないと、そういうことはしないということをいまのところ言っておりますので、私どもはそのように一生懸命努力をしているわけでございます。
 また、中近東だけに依存しておりますとそういうことになりますので、いままでもそうでございましたけれども、中南米、まあ主としてメキシコでございますけれども、それからインドネシア、中国、そういうところに分散して輸入量を獲得しておりました。これをますます拡大すべく外交折衝もしておりますし、私どもも外国に出かけておりますし、また今後ともそういう方針で分散をしていこうということでやっております。
 国内態勢といたしましても、国民の皆様にできるだけ省エネルギーということをやっていただかなければなりませんし、そういう意味で昨年五%の節約をお願いしておりましたけれども、これはみごとにやってのけております。今回はIEAなどの指示もございまして、私どもは七%の節約を標榜しておりますけれども、これもいまのところ順調にいきまして、九%節約ができるんじゃないかという予測を立てておるわけでございます。そのほか、いまの灯油の備蓄と申しますかストックでございますけれども、そろそろ盛りに入るわけでございますけれども、これも本当は九月の末に目標といたしまして六百五十万キロリットルのストックを私ども考えておりましたけれども、これもすでに八月末で六百八十万キロリットル。これは前年同期比の一二二%でございます。これをすでに備蓄しておりますし、全体の燃料油の販売量を見ておりますと、八千百六十万キロリットル、これも前年度の九〇・四%、そういうことでございますので、かなり節減できておるというような状態で、国内も心配が要りません。先ほど申しましたように、そういう態勢をとっておりますし、現実に非常に国民の皆様が冷静でございますし、政府もそういう方針をあくまで堅持しようということになっております。幸いに、またそれに加えますと、国際的にもIEA諸国、これは二十一カ国でございますけれども、これもつい最近の総会で、あるいは理事会で、自分たちが平均百四十日分の備蓄を持っておりますので、これをうまく相互に、いよいよになったらコントロールして調整しようじゃないかということ。それから、これも委員御承知だと思いますけれども、スポットものが一バレル三十七ドルぐらいしておりますけれども、そういうものの高値買いはよそうということの意見も一致しておりまして、私どもも国内の各石油会社に対しましてスポットの高値買いはよしなさいと、IEAの会議でこういうことになっておるからというようなことをエネルギー庁長官の通達で出しております。
 いずれにしても、内外の調整といいますか、万全を期しておりますし、願わくはホルムズ海峡が閉鎖されないということを考えておるわけでございますけれども、現実にはそういう内外の態勢をとっております。
#14
○和田静夫君 次に、新経済社会七カ年計画、いま見直しの作業が進められているということですが、どうもこの見直しについて鈴木内閣の中では対立があったと聞きます。大蔵省が財政難を理由にして、公共投資を削るべきであるという主張をされました。それに河本経企庁長官は、算定後一年足らずで改定するのでは政府の信用がなくなる、こういうふうに述べていらっしゃる。今後のこの経済運営の中で、公共投資をどう位置づけるのか。経企庁長官。
#15
○国務大臣(河本敏夫君) 新七カ年計画は、昨年の八月に正式に決定をいたしましたが、これは毎年フォローアップをすることになっております。ことしの一月にもフォローアップをいたしましたが、来年の一月にもフォローアップをするために、現在経済審議会でいろいろ検討していただいております。十二月には大体の方向が出てこようかと思っておりますので、それを見た上で判断をしたいと、こう思っております。
#16
○和田静夫君 大蔵大臣は……。
#17
○国務大臣(渡辺美智雄君) 基本的にはただいま河本大臣から御説明のあったとおりであって、私どもといたしましてもフォローアップの結果を待って判断をしたいと、こう思っております。
#18
○和田静夫君 次に景気についてですが、ことしの四月−六月期からの景気の下降について、消費不況だと、そういう説明がなされております。家計の収入と支出の名目と実質の乖離で説明をして、物価が安定すれば消費者は必ず買いに出てくるはずだ、そうなれば景気は好転する、そういう見通しにつながるようでありますが、経企庁の本年度、来年度の見通しはどうなんですか。
#19
○国務大臣(河本敏夫君) ことしの上半期の経済運営の中心は、景気の方はまず心配はない。物価が非常に心配だから物価優先の対策を進めましょうということで、この夏まで進めてまいりました。ところが、夏ごろになりまして、経済指標、いろんな点で景気にかげりが出てまいりましたので、これではことしの経済成長目標の達成がおぼつかなくなる危険がございますので、若干の景気対策をやりましょうということで、先月九日に八項目にわたる総合経済対策を決定したことは御案内のとおりでございます。しかしながら、いろんな経済政策を進めます場合に、消費者物価が安定をしておりませんと、どんな経済政策も成功いたしませんので、一方で景気に十分の配慮ももちろん払いますけれども、やはり経済政策の中心は消費者物価の安定である、こういう認識の上に立ちまして、特に消費者物価安定のための六項目を具体的に進めることにいたしまして、物価、景気、双方に十分な配慮を払いながらことしの下半期の経済運営を進めていこうと、こういうことを決定した次第でございます。
#20
○和田静夫君 見通しはどうなんですか。
#21
○国務大臣(河本敏夫君) ことしの経済成長見通しは、御案内のように実質四・八%と、まあこういう目標を設定をしておりますが、新七カ年計画の平均の成長目標は五・五%でございます。しかし、この五・五%成長というのも年によってフォローアップをしながら実情に合ったように変えていきますので、ことしは第二次石油危機の悪い影響が出てくるであろうということで、やや低目に設定をいたしました。そこで、まあ四・八%という目標が出たわけでございますが、上半期の動向はややそれを下回っておると、こういう感じでございます。
 そこで、先ほど申し上げました九月の総合経済対策によりまして下半期にはある程度経済の活力を回復をしたい、それによりまして年度間を通じて四・八%という経済成長目標を実現するために、いまいろんな工夫と努力をしておるというのが現状でございます。
 来年のことにつきましては、この十二月にいろんな動きを見ながら総合的に判断をいたしておりますが、経済企画庁といたしましては、新七カ年計画、この一月にフォローアップをしたばかりでございますから、何とかこの新七カ年計画の平均の目標が達成できるようないろんな工夫をしていきたい。しかしながら、十二月に実情に合わせまして決めますので、そのとおり実現できますかどうかはわかりませんが、いまのところは来年の経済成長目標を平均の五・五%、これを一応目標といたしまして来年の経済運営をしたいと、まあこういうことで、いまいろいろ工夫と努力をしているというのが現状でございます。
#22
○和田静夫君 そこで、まあ物価の安定ですが、日銀、慎重に物価の安定に配慮をされてきたことは私たちも理解をいたしていますけれども、石油の価格の高騰の影響やら地価の急騰ですね、こういうようなもので不安の材料も非常に多い。他方、マネーサプライは低位に推移しておりますから、金融界といいますか、金融面から公定歩合の引き下げ、再引き下げですね、こういうものを実施をすべきだという声も非常に強くなっている。ここ半年から一年ぐらいの物価、金融の見通しですね。それと、公定歩合の再引き下げなどの取り扱いの問題、どういうふうにお考えになっていますか。
#23
○参考人(前川春雄君) 物価につきましては、御案内のとおり、卸売物価につきまして本年年初来かなり急激な上昇をいたしたわけでございます。その後、海外商品市況が落ちついてくるとか、円高であるとか、あるいは国内の方も経済活動が鈍化するということもございまして、卸売物価につきましては五月以来かなり落ちついた状態になってきておるわけでございます。ただこの先、先ほどからお話のございますように、海外の状況必ずしも安定しておりません。また、内外の情勢非常に不安定でございまするので、円相馬についても必ずしもここで安定したというわけにもまいらない。国内の商品市況、ただいまは落ちついておりまするけれども、国内の在庫調整が一段落いたしました後ではまたどういうふうな動きをするかわからないということでございまして、卸売物価につきましても私ども今後とも慎重に推移を注目してまいらなければならないというふうに考えております。
 消費者物価につきましては、卸売物価からの波及がまだ完全に終わっておらないわけでございます。この点につきましては、消費者物価の動向が、先ほど来お話がございまするように、経済の活動、経済安定あるいは景気の上昇にとって欠くべからざるものがあるということでございまするので、私どもも消費者物価の安定については十分これからも配慮をしてまいらなければいけないというふうに考えておるわけでございます。ただ、一時に比べますると、消費者物価の動向もかなり落ちついてきておるわけでございまするので、この安定傾向を定着させていくことが必要であろうというふうに思っております。
 金融政策につきましては、そういうふうな物価上昇、物価の状況に対応いたしまして、従来慎重に、かなり引き締め態度を続けてきたわけでございます。御案内のように、ことしの二月、三月かなりの物価上昇がございましたので、それに対しまして公定歩合の大幅引き上げをするということをしたわけでございまするが、その後、ただいま申し上げましたようにやや物価状況につきましても落ちつき傾向が見られてきたということから、三月にとりました非常に強度の引き締め姿勢をそのまま必ずしも続けないでもいいということで、八月に公定歩合を若干引き下げたわけでございます。これは必ずしも景気を刺激することを目的としたということよりも、強い引き締め姿勢をそのまま続けることが必ずしも必要――そこまでしないでもいいということから調整的にしたわけでございます。私どもそういう金融政策の一つの目標といたしまして、マネーサプライの動向を注目しておるわけでございます。マネーサプライにつきましては、昨年来私どもが大体予想いたしましたような推移をたどりまして、毎四半期ごとに落ちつき傾向をたどっておるわけでございます。ただ、計数につきましては、若干何と申しますか、金利、金融資産の間の移動がございまするので、私どもが対象といたしておりましたM2プラスCDの数字だけでは必ずしも判断できないということはございまするけれども、全体といたしましてマネーサプライは落ちつく傾向をたどっておるというふうに思っております。私どもの金融政策につきましては、物価、景気並びに為替相場等各般の状態を総合的に判断いたしまして運営してまいりたいと思っておりまするが、金融政策は、一つの特徴といたしまして機動性ということがございまするので、その状況に対応いたしまして十分機動的に対処してまいりたいと思いますが、いまの物価の情勢等あるいは為替、先ほど来申し上げました状態から申しまして今後とも十分慎重に対処してまいりたいと思います。
 公定歩合につきましては、現在のところ全くまだ白紙でおります。
#24
○委員長(木村睦男君) 前川参考人には御多忙中のところ御出席をいただき、ありがとうございました。御退席くださって結構です。
#25
○和田静夫君 消費不況の別の表現でもあると言っていいと私は思っているんですが、実質賃金が八月は四十九年の狂乱物価以来、しかもことし二月以来、七月を除いてずっと低下し続けるという異常状態、低い賃上げが物価上昇で裏切られる、こういうような形で物価上昇で裏切られるという形になれば、これはもう政府の責任を持って対処すべきものです。総理、労働大臣、いかがですか。
#26
○国務大臣(鈴木善幸君) 消費者物価の上昇によりまして実質賃金が食い込まれる、低下をするということは、これは極力避けなければならないと、このように考えております。したがいまして、先般の経済対策閣僚会議におきまして第三・四半期以降の経済運営の方針を決めました際におきまして、特に私から発言をいたしまして、政府全体としてこの消費者物価の安定そして労使の春闘等における協調関係、この信頼にこたえなければならない、全力を挙げようではないかと、こういうことを各閣僚にも指示をし、努力をしておるところでございます。
#27
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。
 御案内のとおり、実質賃金が、消費者物価の連続八%台の推移を続けておりますために非常に落ちてきておる。非常に心配にたえません。したがいまして、総理大臣の命令にもより、また私どもからもお願いをいたしまして、内閣を挙げて六・四%の目標といいまするものを達成をいたしますために全力を尽くしていただくことになっております。
#28
○和田静夫君 昨日のNHKの国会討論会を聞いていまして、宮澤さん、国債二兆円減のためには既存税制の中で増税になっていると言っているんですが、私はこれはごまかしだと実は思った。所得税の増税というのはすでに私は行われていると言ってよい。制度的にはともかく、実質的には大幅増税になっている。国税庁によりますと、民間企業に勤めるサラリーマン、OLの平均年収というのは二百七十九万円、対前年七・二%アップ、税金は一六・五%もふえている。一人平均十五万五千円という形。これはまさに姿なき増税であると言って過言ではないわけですよ。原因は、言うまでもない、物価調整減税が行われていないということです。その結果、所得税の負担率は四・八%と過去最高になっているわけですね。問題の一つは、課税最低限ですよ。課税最低限は、いろいろの考え方があって一概には言えないでしょうけれども、いずれにしても五十二年以来据え置かれている。これで一体いいのだろうか。そして財政危機ということが据え置くことの十分な理由と言えるのだろうか。これは強い疑問を持たざるを得ません。まず、今日の課税最低限の計算の根拠にある基準生計費を明らかにして、五十二年以来据え置いたことによって課税最低限の基準生活がどういう形で低下したか、それにもかかわらず据え置いている、またいこうとしている。こういうことの理由を――これは大蔵大臣ですか。
#29
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、日本の所得税の課税最低限については、年々それを引き上げることに努力をしてまいりました。したがいまして、フランスを除いて、大体先進諸国の中では日本は課税最低限は一番高い方の部類に属しておるわけです。たとえば、具体的に申し上げますと、三百万円で子供二人のサラリーマン家庭というのは、大体六万円、六万円ちょっとです。地方税を入れても約十二万弱。スウェーデンの八十数万円とか、いろんなドイツとかあるいはアメリカ、イギリス等から比べてもはるかに租税の負担率は低い。こういうようなことから、現在の厳しい財政事情の中で課税最低限をさらに引き上げるということは非常に困難な状態になっております。
#30
○和田静夫君 ちょっとこれは答弁になっていないですがね。理由、根拠ですな、言ってみれば、要するに。
#31
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはいま言ったように、日本の課税最低限は先進諸国の中と比べても遜色がない、非常に厳しい財政事情の中でありますから、それは引き上げたい気持ちはあっても、とても引き上げられる状態ではございません。ですから、もうかなり引き上げてあります。その間において据え置きになっておるから、インフレといいますか、物価高が進んで実質的には下がっているじゃないかと、それはまあそういう議論があって当然なんです。それは下がっていることも事実でしょう、物価の上がった分だけは。しかし、それでもなおかつ諸外国と比べて高い状態にございます。これはまあ御承知のとおり、世界じゅうが、もう国も国民も非産油国は非常な急激な石油の値上がりによって生活水準が落ちてきている、これも事実なわけであります。結局、富が一方に偏っちゃったということが最大の原因でありますから、そこからスタートはしておるわけでありまして、これは何とも避けがたい状態になっておるわけであります。したがって、その理由というのは何だと言われましても、実際は引き上げない理由というのは、何回も言うように、先進諸国と比べて遜色のない程度になっているんだから、これ以上上げたくともなかなか財政に余裕がございません。それだけの理由であります。
#32
○和田静夫君 下がっていることを認めているわけですから、私の理屈をお認めになっているから、あとは大蔵委員会で少し詰めます。
 そこで、大蔵省は国民に耐乏生活をそういう形で要求をするわけだ。増税を一方ではもっぱら主張する。その説明の仕方は、きわめて不適当だと言わざるを得ません。大蔵省がこの八月に配付した「財政再建を考える」という資料を見てみますと、まあ時間がありませんから見出しだけですが、「素顔の財政ピンチ」というテーマのもとに一ページから四ページ、「さし迫った課題」のテーマで五ページから七ページ、「再建へのぎりぎりの選択」のテーマで八ページ、「追いつきません自然増収」のテーマで九ページですね、「支出をへらす再建策」のテーマで十から十二ページ、「収入をふやす再建策」のテーマで十三ページから十七ページ。これを見ると、たとえば年金給付水準は世界一となっている図が書いてある。まるでこれは切り下げなきゃならぬと、こういうことですよ。実際「大幅な支出の削減によって財政を再建するには、公共サービス水準の低下が避けられません。」と書いてある。他方、税金の収入については、「法人税は、ほぼ諸外国なみ。」である。「所得税の負担率は、諸外国に比べるとかなり低くなっています。」と説明している。また間接税は、「ヨーロッパ諸国の半分以下の水準」。一般消費税か何か知らないけれども、増税の余地を示唆した、そういうパンフレットで結論を締めくくっているんですよ。国際比較をするにしろ、税負担を考えるにしろ、国民の生活はどうかということからすべては発想すべきです。ところが、財政当局から見た財政の都合が優先していて、これはまるで財政当局エゴイズムであると言ってよい。財政の主人は国民である。そういうことを抜きにして国際比較をやったりいろいろしているわけですね。こういう姿勢というのは私は許せないと思うんですけれども、もっと言えば、財政当局大変傲慢だと、そういう感じを持ちますが、一体こんなパンフレットを何部つくってどこへ配ったのか、だれの責任でどういう判断でこういう文書ができ上がったのか、明らかにしてください。
#33
○国務大臣(渡辺美智雄君) 「財政再建を考える」というパンフレットは、約三万三千部を印刷をして大部分が配付済みでございます。国会議員、マスコミ関係、各省庁、大学、それから財政金融懇談会等の説明資料、あるいは個人や各種団体等で要求があった場合に差し上げておって、あと百九十部ぐらい残っておりますが、これについては、非常に財政関係というのはむずかし過ぎてわからない、そういうわかりやすいパンフレットは大変いい、だからもっとつくってくれというような要望もございますので、目下考慮をしておるところでございます。
#34
○和田静夫君 国会議員のすべてに配られているわけでもないし、どうも財政問題を論議するようなところにだけ説明をするというような手法であったようですが……。
 次に、土地、住宅の問題について十分議論をしたいのですが、時間がありません。別の機会に譲るんですが、それは、住宅ローンは九ポイントも消費性向を引き下げる、家計の重圧にそういう意味でなっているわけであります。そういう意味では配慮すべき問題でありますが、この住宅ローンの金利についてだけ触れるんですけれども、マイホームを手に入れたけれども、ローンの返済ができずに一家心中が起こる、いろいろ記事があります。そこで、住宅ローンの改善、税金上の考慮というのはぜひ検討しなきゃならぬ問題だと思うんですが、大蔵大臣いかがですか。
#35
○国務大臣(渡辺美智雄君) 住宅ローンの問題につきましては、これは五十三年度の税制改正等についても取得控除等を新たに対象に加えております。金利の問題についても、非常に厳しい財政事情の中でもできるだけ配慮をしてきておるわけでありまして、いま、さらにそれを有利にするということはちょっと考えられない状態でございます。
#36
○和田静夫君 そう言われますけれども、ローンの金利、現在多くの金融機関で元利均等払いという、借りる者に不利なアドオン方式の変形が用いられているわけですよ。一つは、通常銀行では年利で表示しているようですが、実際は月利計算が行われている。そういう結果どうなっているかというと、年利で八・八八%と言っているが、現実には、これを十二で割って十二乗をしてみると、つまり九・二五〇%、これが正しい。表面金利と実質金利という言い方がありますけれども、この場合は素人の普通のサラリーマンなどが対象なんですから、表示の仕方がごまかしだと言わなきゃならぬですよ。これはあなた専門家ですが、どうです。
#37
○国務大臣(渡辺美智雄君) 技術的な問題でございますから、事務当局から説明をさせます。
#38
○政府委員(松下康雄君) 担当の事務当局の者が参っておりませんが、ただいまの御議論を、内容を申し伝えまして、検討をいたして別途申し上げます。
#39
○和田静夫君 それはだめだ。ぼくはちゃんとレクチュアして説明してあるんだから。通告してないんならそれはそうなるけれども。――表示の仕方がごまかしだから、大蔵大臣、やっぱりこういうごまかしは直させるぐらいの答弁しなきゃいかぬですね、細かいことは抜きにして。
#40
○国務大臣(渡辺美智雄君) 内容は私も詳しくわからぬわけですが、和田議員のおっしゃるような、表示の仕方と実態が違うというならばそれはどういうのか一遍調べて、誤解を与えないように工夫をしたいと思います。
#41
○和田静夫君 直させるということですか。
#42
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、表示の仕方というのは、慣例もありましょうし、一般に通用しないような表示の仕方をしてもまたわからぬわけですから、いままでの世間で行われている表示の仕方に直さしたいと、そう思っています。
#43
○和田静夫君 もう一つは、元利均等返済を採用している金融機関が多いわけですよ。これだと、買い入れ後数年で買いかえたりして一括返済をしようとしますと、それまでの間に金利ばかり返済して、肝心の借金、元本はほとんど返済していないということになるわけなんです。つまり、リスクはもっぱら借りている側、利用者側が負っている。それだけではなくて、実際の返済額も大幅に損するんですよ。仮に一千万円を二十年借りるとして、元利均等返済は元金均等返済よりも二十年で二百四十八万円も損しているのですよ。住宅ローンについて、利用者をごまかすこういう金利表示をやめさせる、返済方式を改善させる、そういう指導をすべきだと思いますが、いかがですか。
#44
○国務大臣(渡辺美智雄君) 国のやっていることですから、別にごまかしてどうこうという考えを持ってやっているんじゃなくて、やはり一般のいままでの普通の表示方法をとっておる、しかし、見方によると和田議員の言うような見方もそれはあるのかもしれませんが、いままでのそういうやり方をしておるんだ、そういう方法を採用しているというだけのことじゃないかと、こう考えます。
#45
○和田静夫君 それはだめだ、答弁になっていない。銀行局長はどうしたの。
#46
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは二つあると思うのですね。だけれどもいままでは現行のやり方をやってきておる。どっちがいいか、きわめて専門的なことですから、ここで私だけが先走って結論を出してしまうというのもいかがなものかと思うので、十分に検討をさしていただきます。
#47
○和田静夫君 じゃあ、専門家いないから、一遍意思統一して休憩後にでももう一遍答弁してもらいましょう。委員長そういう取り扱いでいいですか。よろしいですか。
 次に、地価公示ですが、地価公示は公正な地価形成のために設けられたものだと思うのです。地価上昇率が計算上のトリックによってゆがめられる。こういうような形で不当に上昇率が抑えられている。これは私は許せないと思うのですが、たとえば「エコノミスト」の九月二十三日号、十四ページですが、「調査地点数は一六一四地点あるが、変更・新規追加地点である三五〇地点を除外した一二六四地点について、それぞれの対前年比変動率を計算し、それらを合計して一二六四で除して出した。だが、今年の変更・新規追加地点も、来年は継続地点に編入され、変動率算定の対象となる。だから、今年の変更・新規追加地点の価格水準を上げておいても、今年の変動率の計算に影響がないばかりか、来年の計算では変動率を低く抑える要因にすることができるわけだ。」、こういう方法がとられるのは、国土庁長官、なぜですか。
#48
○国務大臣(原健三郎君) お答え申し上げます。
 地価の公示の標準地というのは、独立機関である土地鑑定委員会が選定しておるものでございます。それで、最近この新規の標準地の増設を機会に平年度より多い標準地の鑑定変えを行っています。でございますが、先生のおっしゃるように、特別の意図に基づくようなことをやっておるとは私は報告を受けておりませんが、詳細、細かいことについては政府委員から答弁させます。
#49
○政府委員(山岡一男君) いま先生お示しの「エコノミスト」の指摘の要点は、地価公示による地価変動率を低く抑えるために、調査に当たって意図的に調査地点の変更を行っておるのではないか、変更地点での価格水準を上げておきながら、変更、新規追加地点はその年の計算に入れないという操作をする、その結果、価格水準を上げながら上昇率を低く抑える、というふうなものでございました。
 私も「エコノミスト」を拝見いたしましたが、先生御案内のとおり、地価公示の性格につきましてはいま大臣も申しましたけれども、国会の御承認をいただきました学識経験者の中から長官が任命いたします土地鑑定委員会の専管の仕事になっております。さらに鑑定評価を行います鑑定士も国家試験を合格いたしました不動産鑑定士の方々が、自己の責任によってやっておられるということでございまして、行政の介入の余地はないものというふうに私ども思っております。
 しかし、従来も選定変えというのは毎年五%ないし六%行われておりました。その中身といたしましては、標準地が分割されたような場合、それから隣接地に合併された場合、それから用途地域が変更になった場合、そういうふうな標準地やその他の属する地域には関係ない場合でも、他の標準地の変更に伴って押せ押せで変更する場合等でございました。ちょうど五十四年に至りまして、五十四年に全国の中でも特に三大圏等は大変な問題がございましたので、住宅地を中心に九百地点増設いたしております。それまでは一平方キロに一地点ということでございましたが、これを一平方キロ二地点というふうにいたしました。その周辺は一平方キロに一・三地点というふうに数をふやしております。そういう新規追加というふうなこともございましたし、さらに、ちょうど十年たっておりますので、そういう意味の見直しをしっかりしろという不動産鑑定委員会でもお話がございました。そういうものを前提といたしまして、選定変えを平年度よりも相当多い一四%五十四年には行っております。五十五年も引き続きそういうふうな方針で見直しをしておるというのは事実でございます。しかし、いま申し上げましたように、やはり新規地点等によりまして押せ押せでいろいろと訂正する場合もあるということでございまして、もちろん低いと申しますか、低位の水準に変更したものもあるわけでございます。しかし、全体といたしますと、従来の地価公示の地点数が中位もしくは中位以下にあったというものが多かったことは事実でございまして、結果としては上位のものが多いことは事実でございますけれども、見直しの方法といたしましては、低位に移行するものも含めてやっておるわけでございます。
 以上のような実情でございまして、決して意図的なものではないと私ども思っておりますので、御了承いただきたいと思います。
 なお、今後についてもそういう誤解を受けることのないよう十分に連絡してまいりたいと思っております。
#50
○和田静夫君 意図的なものでないと言われますが、そうすると、引き続いて十五ページ、どうなるんですかな、これ。「東京都全域の平均では一〇ポイント近い上昇率の差が出てくるのである。仮にこの両者の差(九・四四ポイント)を地価公示の上昇率に単純に加えたとすれば、二七%強となり、民間の調査による上昇率と極めて接近してくる。」、こうなるわけでしょう。この現実は否めないわけですよ。不正確な、不当な、低過ぎる地価公示、こういう不当表示というのは国土庁長官、改めるべきだ。
#51
○政府委員(山岡一男君) これも先生御案内のとおり、地価公示はいわゆるマル公ではないわけでございます。したがいまして、地価公示の公示の中身といたしまして、実はパーセントその他につきましては、便宜上用いておるものでございまして、地価公示の発表の内容では実はないわけでございます。しかしながら、いま先生おっしゃいましたように、新しい地点は前年度がないから一応は外しております。しかし前年度分を仮に逆に推定できたとしたら、そう余り違った数字ではないだろうと私ども思います。地点が変更いたしましても、あくまである地点を基準にいたしまして、それとの均衡を守るという意味で地価公示は脈絡がとられておりますので、そういう意味では、新規地点につきましてそういうふうないま書いてあったような計算ではなくて、むしろ当該変更した地点の前年度の地価を推定いたしまして、逆算をしてそういうものをやってみれば、そう余り大差はないんじゃないか。実はやっておりませんが、そういう気がいたします。したがいまして、そこに書いてございますように、前の地点と変更した地点とを直ちに、マル公ではございませんので、比較するのは計算上無理でございます。
#52
○和田静夫君 ともあれ、国民の実感とはもうかけ離れたものになっていることだけは明確なんですからね。そこのところは十分に国土庁長官、再検討をしてもらいたいと思う。
 次に、児童手当ですが、最近国の財政難を理由に、児童手当制度の廃止、縮小論が一部喧伝されています。これは、驚いたんですが、私はちょっとこれ飛行機の中でぱっと見ただけですがね、大蔵省主計局総務課長、「試案を出した審議会の委員さんがたが、専門分野しか見えず、「初めに児童手当ありき」だからこういうことになる。」と、週刊新潮の九月二十五日の冒頭の記事で述べている。これは中央児童福祉審議会の委員を誹謗する発言だが、厚生大臣、いかがですか。
#53
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 いま御発言の審議会は各所から出られております。民間からも出られておりまするし、大蔵省のOBも出ておられる結論でありますから、きわめて妥当な結論であると私は考えております。
#54
○和田静夫君 したがって、大蔵大臣、主計局総務課長のこの中央児童福祉審議会委員の誹謗発言、これについてどういう責任をとらせますか。いま読み上げたとおりです。
#55
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は週刊誌読んでないのでよくわかりません。わかりませんが、事実を調べまして、適正に対処します。
#56
○和田静夫君 これは事務当局おわかりになっていますか。
#57
○政府委員(松下康雄君) その記事は私も読んだことがございますけれども、どういう状態のもとで、どういう実際の発言が行われたものがこういう表現になったかというあたりはつまびらかでございませんので、私からこの記事の内容についての所見を申し上げることは差し控えさしていただきたいと存じます。――申し上げましたように、これは自分でたとえば文章にして掲載をしたものではございませんで、対談の中で記事をおつくりになったものでございますから、事情は必ずしもはっきりいたしておりませんけれども、私といたしましては、大蔵省の事務当局が公的な審議会についてこれを誹謗するというようなことはあってはならないし、またそういうことでは実際はなかったのではないかというふうに存じておるところでございます。
#58
○和田静夫君 十分に注意をやっぱり喚起をすべきであります。少なくとも権威あるものとしてあなた方が審議会をおつくりになっているんですからね。私はこの児童手当制度がわが国で初めて実施された武蔵野市の市民でありまして、そういう意味では制度創設の史的背景というのを熟知している一人だと思っているんです。政界や労働団体、経営者団体等の広範囲にわたる長期間をかけた国民的な論議が行われて、種々の経緯を経て児童手当は創設された。昨今の経済事情のみを理由に突如として制度の廃止、縮小を言い出すことは、これは時代逆行もはなはだしいと言わなきゃなりません。来るべき高齢化社会を支える児童の健全育成というものを、これは厚生大臣口を開けば言っていらっしゃるとおり大変重要、それから総理大臣も衆議院でそうお答えになった。その意味で私は、児童手当制度の拡大を図るべきという審議会の結論ですね、これは尊重すべきだと思うんですが、厚生大臣所見は。
#59
○国務大臣(園田直君) 児童手当制度は本会議でもしばしば答弁いたしましたとおり、第一は、高齢化社会に対応する世代の信頼、連携が第一。第二番目は、将来の改革の足がかりにすべきものである。第三は、いかなる場合においても社会経済状態がきつくなればなるほど子供の未来というものはこれは大事であります。四番目には、これを縮小いたしますると、サラリーマンの実質賃金の低下につながっていく、こういう点で私はこれは維持、重視をすべきものと考えております。
#60
○和田静夫君 いまかなり明確な答弁があったんですがね、私は衆議院の論議を聞いておって、一体この児童手当制度というのは拠出制度を伴いながら行われているものだという認識が政府側にあるのだろうかということを思ったんです。たとえば、企業の児童に対する家族手当平均支給月額を調べて見るとわずか千数百円なんですね、それにすぎない。三割の企業においては家族手当が支給されていない。これらは第三子からとはいえ、児童手当の果たす役割りを一面で考えているからだろうと思う。それから、みずからが七割も拠出を事業主がしているということが前提にあるからだと思う。拠出制度に所得制限を設けるというのはこれすでにおかしいんですね、おかしい。手当を受給中の百万人を超えるサラリーマン階層にとっては、これをぶった切るということは、まさに月額五千円あるいは六千五百円の賃下げ、こういう形になるわけです。よって、この児童手当というものは、いま答弁がありましたが、所得制限そのものを含んでやっぱり見直されるとしても継続を前提として見直されるべきものであると、こういうふうに考えますが、いかがですか。
#61
○国務大臣(園田直君) 児童手当の所得制限についての御質問はきわめて私にとってはつらい質問でありまして、五十二年以来据え置きをされていることは御承知のとおりであります。審議会の検討等も結論を得てこれに対する検討をしたいと考えております。
#62
○和田静夫君 厚生年金や健康保険でも所得制限が許されるということになっていきますからね、下手な取り扱いをしますと。その辺のことを十分に考えて、いま言われたように処理をする。総理よろしいですか。あなたは総務会長として六者の署名をうっかりされているわけですからね。
#63
○国務大臣(鈴木善幸君) 五十五年度予算編成の際におきまして、党三役と大蔵大臣、厚生大臣、関係者六者の間で――官房長官も入りましたが、六者の間であのような合意をいたしたことは事実でございます。その中にいまの所見制限の問題があったわけでございます。社会経済情勢が大きく変わりつつある段階におきまして、こういう制度についても基本的に見直しをすべきではないか、特に所得の高い方についてはできるだけ御協力を願う意味で所得制限をし、そして恵まれない方にそれだけのものを配慮をするというような考え方、こういうようなことであのような合意書というものができたわけでございます。うっかりやったわけではございません。そういうようなことで、私はこの基本的な考え方は変える必要はないのではないかと、こう思っております。
#64
○和田静夫君 児童手当の所得制限については、ここ数年来重大な福祉の切り捨てがすでに進行していますから、これは時間をかけて論議をしなければあれですが、わが党として時間をかけて論議をしていきます。
 ただ、あのときに署名をされた野呂厚生大臣は、すでに本年二月二日の衆議院予算委員会で「小さく産んで大きく育てる方向に向かって、この問題については検討を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。」と答弁している。それから、竹下大蔵大臣は「水準を落とすことなくどういうふうに工夫していくか、こういうことでございますので、後退をせしめようとかいうような基本的な考え方はございません。」、いずれも弾力的に変わってきているわけであります。
 私たちは、厚生大臣経験者でも総理はあったわけですから、児童手当制度の廃止あるいは大幅削減を強化しようとされるはずはない、そういうふうに思いますが、そのことはそれでいいんですね。
#65
○国務大臣(鈴木善幸君) 児童手当の問題につきましては、存続をするという基本的な考え方は変わっておりません。存続する中で合理的に改善を加えていこう、改革していこう、こう考えております。
#66
○和田静夫君 外交防衛問題に入りますが、「軍事バランスの観点からみて米及び西側諸国は全体としてソ連及び東側諸国と比べ劣勢にあるとは言えず、むしろ依然優位に立っていると言える。しかし大きなトレンドとしては両者の差はちぢまりつつある。かかる状況に対し米国は国防報告等において自ら一層の国防努力を強調するとともに、広くわが国を含む同盟国の協力を呼びかけている。特に、ソ連のアフガニスタン侵攻後の中東をめぐる情勢の緊迫化は、この米国の呼びかけを一層現実性あるものとしている。NATO諸国とともにわが国としても広くグローバルな観点から自衛力の増強を図る必要が」ある。これは外務省内の勉強会、安全保障政策企画委員会の第一ラウンドのまとめということになっている。
 グローバルな観点から自衛力の増強を図る、このような観点こそ、世界の軍拡競争とそこから生ずる緊張関係にわれわれを引きずり込むものである。われわれはそういうことを非常に危惧をする。すなわち「近年の東西関係はグローバルパワーを目指すソ連の挑戦とこれを受けて立つ米国、西側諸国によるグローバルな対応という形で推移している。」、これは三ページにある。こういう認識のもとで外交青書なり防衛白書が指摘するソ連の脅威に対抗しようとすれば、私は必然的に日本は西側陣営のグローバルパワーの一翼を担うということになるのではないか。グローバルパワーの一翼としての任務分担の追求は、いずれ専守防衛という原則を放棄させるまでに至るのではないだろうか。この二律背反が今日頭をもたげつつあると思うんです。まさにこの二律背反のために自民党内に日米安保を双務化しようとする主張が出たり、論壇では核を保有すべしという主張など、勇ましい意見が沸き起こる。防衛力増強キャンペーンという形でそういうものがずっと出ているわけですが、グローバルパワーの一翼として自衛隊を位置づけようとする米国の圧力、あるいは国内の強い主張を総理はどういうふうに認識していますか。
#67
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま和田さんから国際情勢、特に国際的な軍事情勢につきまして認識を示されました。その御指摘の中にもありましたが、アメリカの相対的な力というものが低下をしてきておる、しかし西側陣営の全体としての軍事力、これは私は十分バランスを保持するに足るものがある、このようなぐあいに認識をいたしておるわけでございます。私は、今後もこの西側陣営がソ連の軍事力の引き続いての増強に対して総体的な軍事バランスを確保するということ、これが戦争の抑止力、世界の平和の安定のために必要である、このような認識を持っております。
 ただ、その中におきまして、トータルパワーの中に日本はどういう役割りを持つのかと、こういうお話もございました。西側陣営に日本はあるわけではございますけれども、日本がなし得ることと、また、なし得ないこととございます。また、日本の防衛力ということにつきましては、平和憲法、また専守防衛、軍事大国にはならない、シビリアンコントロール、いろんな制約、節度というものを持っておるわけでございまして、私どもは、外部からの不当な侵略等に対しましては、日本がみずから自分の力でこれを守るという気概、またそういう防衛努力ということをしなければなりませんが、これを外に向かって、諸外国に脅威を与えたり、軍事大国になったり、あるいは核武装をしたり、そういうようなことはいたしませんし、できることではない、このように考えておるわけでございます。
#68
○和田静夫君 私、ちょっともう一言あれですが、グローバルパワーとしてのソ連の脅威に、今日の議論のようにより自立的な対抗を目指す、そういうことになっていくと必然的に集団防衛を志向せざるを得なくなる、そういうことになるんじゃないかと思うんですが、その点は。
#69
○国務大臣(鈴木善幸君) 日本は憲法上からいたしましても集団防衛ということで、わが国が、外部からの侵略があった場合以外に、同盟国等が侵略を受けたということでそれに対して日本が軍事力を行使をする、そういうことは憲法上できないことに相なっております。
#70
○志苫裕君 関連。
 ただいま和田質問に対する総理の答弁がありましたが、にもかかわらず、最近の憲法改正論はわが国の軍事化路線とストレートにつながっておりまして、ひたすらその雰囲気づくりをねらっておる。しかし、それには現在の国際関係の認識が深くかかわっているように思うんでありますが、そこでもう少し深く、この際、国際情勢と日本の安全保障のあり方について総理の基本的な認識を伺っておきたいと思うんです。
 まず第一に、総理は、現代世界の国際関係を冷戦時代の再現と見るのかどうかということであります。
 言うまでもありませんが、国際関係はデタントのもとで総体的には安定した状態で推移をしましたけれども、最近は新たな対立と協調、ナショナリズムと相互依存がそれぞれ交錯するような不安定なものとなっています。総理は、これを五〇年代型の冷戦構造への逆行と見るのか、あるいは一九三〇年代型の対立抗争の再現と見るか、それとも米ソ二極構造の崩れた新しい協調、協力、相互依存、連帯といった国際秩序の形成と見るか、まずこの点についての基本的な認識を伺いたい。
#71
○国務大臣(鈴木善幸君) ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入あるいは極東に対するところのソ連軍の増強あるいは北方四島に対する軍事施設の増強と、いろんなソ連の動きというものがあるわけでございます。特にアフガニスタンに対するところのソ連軍の軍事介入ということが、米ソを中心とするところの世界的な軍事バランスあるいはデタントというものに対して大きな影響を与えておることは事実である。デタントが一時大変後退をした感じ、冷却をした感じ、これは否めないところであったと思うんでございます。
 しかし、一方におきまして、独ソ首脳会談というものも行われております。そして、中距離核ミサイルの問題についての交渉、そういうものもやろうということにも相なっております。
 私は、そういう意味で一時このデタント政策というものは冷却をしたということは認めますけれども、このデタント構造というものがもう全く終えんを告げた、このようには見ておらないのでございます。
#72
○志苫裕君 きょうは私、関連ですから論争はできませんが、なるほど米ソ両国がそれぞれイラン、アフガンに介入を試みておりますけれども、これはやっぱりいままでの世界の二極構造というものにとらわれ過ぎた試みだと思うんです。この結果はどうなったかというと、かえって緊張を高めて、しかし国際的にはみずからの政治的地位を落としただけに終わっておるという状況から見て、この機会にやっぱりわれわれが考えるべきなのは、国際関係の多様化という問題について、二極構造の崩壊というものについて考えていかなければならぬのではないか、このように考えますが、その点はいかがですか。
#73
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘もございましたが、国際間における相互依存関係というものが非常に強まってきております。政治的にも経済的にもいろんな分野にわたりまして国際関係というのは非常に複雑多岐にわたっておる、相互依存の関係も存在する、こういうようなことでございますから、従来のような米ソ二極構造ということがすべてを支配をするということにはならない。しかし、やはり米ソの二大勢力というものが何といっても中心になり、これにそれぞれ各国の立場なりあるいは従来からのいろんな主張、経過という問題も絡んでおるわけでございます。
 私どもは、このような流動する複雑な国際情勢というものの中におきまして、十分その動向というものを見きわめながら、わが国の国益というものを中心にして今後の日本の外交、経済政策等を進めてまいりたい、こう考えます。
#74
○志苫裕君 日米安保あるいは安保体制というのは、東西対立という二極構造のもとで形成されたことは言うまでもありません。現代の世界が、いまも若干答弁で触れられましたが、とにかく新しい秩序形成に向かっておる、こういう見方をすれば、当然に安保体制、安全保障のあり方を問い直さなきゃならぬという問題になります。財政難にもめげずに執拗に軍備増強論をとるものは、やはり冷戦時代の冷戦構造、そして対ソ脅威論、したがって安保も軍備も強化しなきゃならぬ、こういう発想に立つんでありますけれども、これは根本的に誤っておるのではないかというふうに考えます。
 核戦争時代の軍備、防衛の有効性、現実性等の問題はいずれ論ずるとしましても、国際関係がこのように多様化しておる時代の国益やあるいは国際関係への日本の寄与という問題については、単なる日米関係、二極構造というものを超えた高い次元で考えなきゃならぬのじゃないか、こう考えますが、総理の認識はいかがですか。
#75
○国務大臣(鈴木善幸君) 日本の安全保障ということを考えました場合に、やはりその基本は日米安保体制の堅持ということにあることは変わりがございません。歴代の内閣がその方針を踏襲し、私もこれは間違っていない、この方針を堅持してまいる考えでございます。
 ただ、日本としてはこれだけの経済力を持ったわけでございます。経済大国として世界の平和と安定、そして繁栄のためにわが国としてどういうことをなし得るのか、こういうことを責任ある国際社会の一員として考え、かつ努力をしていかなければならないと、このように考えておるわけでございます。私どもは日米安保体制を堅持して国の安全を確保すると同時に、世界の平和ということが保持されて初めて日本の平和と繁栄というものは確保されるという観点から、日本の国際的な責任ある立場というものを考えながら日本のなし得ることにつきましては平和寄与のために最善を尽くしていきたい、こう考えています。
#76
○委員長(木村睦男君) 志苫君の関連質疑は終わりました。
#77
○和田静夫君 最近、経済安全保障が強く主張される、いろいろなことがありますが、その中で自衛隊の守備範囲を拡大しようとする意見が目立ち始めている。一つは、海上輸送路の確保でありますが、これは日本は単独ではできるはずもない。仮に分担し、共同して防衛するとなると、紛争を生じたときに必然的に集団防衛行動をとることになるんじゃないだろうか。かつ日本の防衛範囲外での紛争に巻き込まれる可能性は否定できない、観念的にいろいろなことを言われても。つまり、截然と単独か集団か区別できない、総理、そう思いませんか。
#78
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほども和田さんにお答えいたしましたように、わが国としては憲法上の制約もございます。そういうような立場を堅持しながら、アジアの平和、安定、ひいては世界の平和に寄与していきたい、こう考えています。
#79
○和田静夫君 海外在留邦人の救出に非武装の自衛隊輸送機を派遣できるように自衛隊法の改正を検討したい、こういうふうに防衛庁の最高首脳がコメントしたそうであります。そうなると、自衛隊の活動の地域的な範囲は全世界に及ぶということになるでしょう。自衛隊は外国から見れば世界でも有数な軍隊であります。それが民間機が行けない紛争地域に行った場合に、当事国に、そして特に自衛隊機に遭遇した当事国第一線部隊機にどういう反応を引き起こすんだろう、これは予測できないのではないだろうか、銃撃を受けたり、強制着陸をさせられたり、どういう事態を引き起こすか私は予断ができないと、こう思うんですね。
 そこで、四十五年三月三日に佐藤総理は、自衛隊が出かけるということは、そこで戦争に巻き込まれる危険も多分にある。したがって、二十九年六月二日に参議院で決議が出されたこの決議の趣旨から海外出動はできないし、自衛隊法上もできない。一つは本院の決議、二つ目は現実的に紛争に巻き込まれるおそれからしてできないし、やってはならない。そうした点を憲法上考慮しますと、自衛隊法改正というのは非常に疑義がある、反対である。総理はいかがですか。
#80
○国務大臣(鈴木善幸君) 自衛隊法の改正につきましては、まだ私何にも聞いておりません。
#81
○和田静夫君 これはどうなっているんですか、防衛庁。
#82
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 現在、防衛庁といたしましては、在外邦人救出のための自衛隊法の改正を検討しているということはございません。
#83
○和田静夫君 ないということに断言をされればもうそれまでですが、そこでIJPCについてでありますが、これは非常に気になる。今日、きょうにも邦人関係者はすべてテヘランに集結をするという状況にもあるようですね。私はいまこそ日本外交の真価、力量が問われるときだと思うんですがね。外務大臣、どういうふうに処理されているんですか。
#84
○国務大臣(伊東正義君) イラン、イラクの紛争につきまして在留邦人の保護の問題でございますが、人命尊重を第一にするということで、イランのあの石化事業に従事している人もひとまずテヘランに全部集結するという措置をとったようなわけでございます。
#85
○和田静夫君 その後の処理は。集結されたものをどうするんですか。
#86
○国務大臣(伊東正義君) これは今後の推移に待つわけでございますし、約七百名の関係従業員がいるわけでございますから、その人たちの希望もありましょうし、今後の戦局の推移もございますので、いましばらく推移を見ている、そうして、もしも国外に出るというようなときには、トルコのルートを通るか、ソ連のカスピ海のルートを通るか、関係国には協力方をいま要請をしているということで、人名尊重を第一にこの問題を考えていくということでやっております。
#87
○和田静夫君 その要請の返答などの期限というのはいつごろまでですか。
#88
○国務大臣(伊東正義君) 関係国からは一般的な問題として協力をするという返事をもらっております。
#89
○和田静夫君 防衛庁はいま有事立法の研究をしているということでありますが、これはどの程度進んでいますか。有事に際し自衛隊がその任務を有効かつ円滑に遂行するために関連ある法令について研究をしている――白書の百五十二ページですね。検討をしている法令を全部挙げてください。
#90
○国務大臣(大村襄治君) 防衛庁といたしましては、有事に関係する法令の検討を、防衛庁に関係のある法令を中心として現在検討を進めておりますが、まだ検討の結果につきましては私のところまで上がっておらないという状況でございます。関係法令につきましては政府委員から答弁さしていただきます。
#91
○政府委員(夏目晴雄君) 防衛庁におきます有事法制の研究につきましては、自衛隊が有事の際、すなわち自衛隊法第七十六条による防衛出動下令下において自衛隊がいかに円滑、有効に任務を遂行し得るかということにつきましての法制上の諸問題について検討をしているということでございまして、現在、現行法の解釈を中心に立法当時の関係者の意見を聞き、あるいは外国法制を調べながら勉強を進めている段階でございますが、何分にも非常に範囲も広範でございますし、事柄の性格上慎重に進めなきゃならないというふうなことから、いま大臣が御答弁申し上げたとおり、まだ御報告するような段階になっていないというのが実情でございます。
#92
○和田静夫君 総理はどこまで把握されているんですか。
#93
○国務大臣(鈴木善幸君) まだ防衛庁長官から報告を受けておりません。
#94
○和田静夫君 自衛隊法を初めとしてその他の法令には及んでいないわけですか。
#95
○政府委員(夏目晴雄君) 一般的に検討の範囲としましては、まず分類いたしますと、防衛庁関係の法令、すなわち自衛隊法あるいは防衛庁職員給与法、そういったものが含まれると思いますし、それから、それ以外としては防衛庁以外の省庁の所管にかかるもの、これはいろいろな法律があると思います。それから、各省の範囲として確定していないもの、たとえば住民の避難とか誘導に関するものは必ずしもはっきりしていない、そういうふうな三つに分けられると思いますが、私どもとしましては、防衛庁関係、自衛隊の法律そのものについての検討から始めたいということで事務的な勉強をしている状況でございます。
#96
○和田静夫君 そうすると、やっぱり自衛隊法の検討はされているということになるんですな。
#97
○政府委員(夏目晴雄君) そのとおりでございます。たとえば自衛隊法百三条というのがございますが、これに基づく政令が定められておりません。こういった政令に何を盛り込むべきかというようなことについての検討をしているという状況でございます。
#98
○和田静夫君 それは卵にたとえるとどういう段階ですか。
#99
○政府委員(夏目晴雄君) かつて、昭和五十三年の当委員会におきまして、先生からの御質問に対して、当時の金丸長官が卵の卵の卵の状況であるというふうな御返答を申し上げたことは記憶にございますが、いまその卵が非常にふ化が進んでいるというような状況ではございません。
#100
○和田静夫君 ございますですか、ございませんですか。――ございませんですね。
 総理、これは実は、金丸防衛庁長官と私はこの場所で、この法令の研究については卵の卵の卵の段階でも委員会の材料として提供いたしますと、そして、論議を深めながら持ち返ってまた論議と、こういうような答弁に、明確に政府と私との約束になっているんですよ。したがって、検討を加えられているのならば、この委員会には当然、ちゃんとどの法令がどうだという答弁をされてしかるべきなんです。総理、指示してください。
#101
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 検討はいたしておりますが、まだ私のところまで上がっておりませんので、早く上がるように督励いたしまして、上がってまいりましたら適当な段階で御報告するように努力いたしたいと考えております。
#102
○和田静夫君 それではとにかく、余り大臣が全然知らぬ――ある意味ではシビリアンコントロールが行き届かないという形でもって法令の検討や準備が進められるということは非常に不満でありまして、そこのところが気になるから、元防衛庁長官と私の約束ができているわけですから、そこのところを踏まえて、大村さんしっかりやってください。
 そこで、有事立法に関連して問題になった奇襲対処についても、法的側面を含めて慎重に検討しているということですが、これはどの程度進んでいるんですか。
#103
○国務大臣(大村襄治君) 先に政府委員にお答えさせます。
#104
○政府委員(塩田章君) お答えいたします。
 先ほどお答えしました有事法制と一緒にいわゆる防衛、奇襲対処の問題につきましてもいま研究をいたしておる段階でございます。まだ特段御報告申し上げる段階まで至っておりません。
#105
○和田静夫君 憲法論議に移りますが、まず、法制局長官、憲法前文をちょっと読んでください。
#106
○政府委員(角田禮次郎君) 前文を読み上げます。大変長いものですから、少し早口に申し上げます。
  日本国民は、正当に選挙された国会における
 代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫
 のために、諸国民との協和による成果と、わが
 国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保
 し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起る
 ことのないやうにすることを決意し、ここに主
 権が国民に存することを宣言し、この憲法を確
 定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託に
 よるものであつて、その権威は国民に由来し、
 その権力は国民の代表者がこれを行使し、その
 福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍
 の原理であり、この憲法は、かかる原理に基く
 ものである。われらは、これに反する一切の憲
 法、法令及び詔勅を排除する。
  日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互
 の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するの
 であつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に
 信頼して、われらの安全と生存を保持しようと
 決意した。われらは、平和を維持し、専制と
 隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しよう
 と努めてみる国際社会において、名誉ある地位
 を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民
 が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のう
 ちに生存する権利を有することを確認する。
  われらは、いづれの国家も、自国のことのみ
 に専念して他国を無視してはならないのであつ
 て、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、
 この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、
 他国と対等関係に立たうとする各国の責務であ
 ると信ずる。
  日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげ
 てこの崇高な理想と目的を達成することを誓
 ふ。
 以上であります。
#107
○和田静夫君 総理、これ、いま日本国憲法の前文です。国会議員として、この崇高な理想と目的を達成するために最善を尽くすことこそが国民より負託されているのだと私は信ずる。
 総理の認識、そうして今日その方向にあるかどうか、いかがですか。
#108
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、現行憲法のいま前文で読まれたような非常に崇高な精神、これはあくまで堅持さるべきものであり、鈴木内閣としてはそういう姿勢で憲法を誠実に遵守してまいる、このようにいたしております。
#109
○和田静夫君 この前文を日本の憲法にふさわしい「簡潔で、格調の高い文章・表現」に改めるべきだという意見があるんです。
 総理、この点はどういうふうにお考えになりますか。
#110
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、現行憲法の中身につきましてあれこれ申し上げることは差し控えたい、こう思っております。
#111
○和田静夫君 法務大臣、どうですか。
#112
○国務大臣(奥野誠亮君) 総理が内閣を代表して御発言になっておりますので、総理の御発言に私は何ら異議を持っておりません。
#113
○和田静夫君 「力強い文章」、「荘重・典雅な文章」、「国民がつねに愛唱しうる文章」、「一読して国民の心の琴線に響く文章」、前文をこういうふうに改めるべきだという意見があるわけです。
 文部大臣、学校教育のあなたは行政責任者ですから、客観的なこのことについての基準をちょっと教えてください。
#114
○国務大臣(田中龍夫君) りっぱな憲法の前文の基礎になりますものは、やはり国民の国を思うその真情の私は吐露であろうと、かように存ずる次第でございます。
#115
○和田静夫君 答弁になっていませんけれども、法制局長官、これ、まじめにひとつ、こういう判断の客観的な基準というものはありますかね。
#116
○政府委員(角田禮次郎君) ちょっと、こういう判断という、おっしゃる意味が私にはわかりかねますが……。
#117
○和田静夫君 客観的な判断、基準。「力強い」とか、「荘重・典雅」だとか、「愛唱しうる」とか、「琴線に響く」とか……。
#118
○政府委員(角田禮次郎君) 私にはどうもよくわかりません。
#119
○和田静夫君 やっぱり、これ、主観的な好ききらいの次元でもって国民、国家の運命にかかわる憲法の改正を云々する、こういうことでしか私はないんだろう。これは憲法調査会のいわゆるあれですからね、この文言というのは。
 総理としては好ききらいの次元の改憲論にくみすべきではない、これははっきりしていますね。
#120
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、今国会におきまして、本会議においてもまた委員会の場におきましても、鈴木内閣としては現行憲法を尊重し、擁護し、これを堅持してまいるということを申し上げております。
 ただ、憲法九十六条にも明らかにされておりますように、憲法につきましていろんな意見あるいは論議をするというようなことは、これは憲法上認められておることでございます。そういうことを私は明らかにいたしておりますが、ただ、鈴木内閣におきましては憲法は改正しないということをはっきり国民の皆さんにお約束をし、言明をいたしておりますから、鈴木内閣の閣僚は、いやしくも誤解を受けるような言動はこれはひとつ慎重にしてもらいたい、受けないようにしてもらいたい。こういうことを申し上げておるわけでございます。
#121
○和田静夫君 先ほども触れましたが、私が読み上げた「力強い」とか「荘重・典雅」だとか、いろいろな文章というのは、こういう改憲論というのは、実は岸内閣時代に私たち社会党の反対を押し切って設置された内閣の憲法調査会、そこでほとんどの発言者、改憲論者が主張しておることなんです。私は、改憲論者の主張がきわめて扇情的な仕方、あるいは表現で行われていることを許しがたい危険なものだと深く憂慮をしている。押しつけ憲法論もそのたぐいなんですがね。
 総理に伺っておきますが、日本国憲法は押しつけられたものとお考えなんですか。
#122
○国務大臣(鈴木善幸君) 現行憲法が制定されました経緯というものは御承知のとおりでございます。しかし私は、そういう制定の経緯があったからといって、これを押しつけ憲法であるとか押しつけられたものであるとか、そういうようなことは一遍も言ったことがございませんし、言う考えは持っておりません。
#123
○和田静夫君 行管庁長官、現閣僚の中でただ一人憲法調査会の委員であったようでありますが、中曽根さんはどういうふうにお考えですか。
#124
○国務大臣(中曽根康弘君) 憲法に関しましては、鈴木総理と同じでございます。
#125
○和田静夫君 法制局長官に伺いますが、内閣が設置した憲法調査会でも、社会党が拒否した結果、改憲論者ばかりが多かったわけだ。それでも押しつけ憲法だったというようなことは明らかになったわけではない。反対に、学識経験者の委員からずっと読みましたが、押しつけ憲法とは言えないという有力な反論、論証が行われていますね。いずれにしろ、内閣の設置した調査会において押しつけ憲法であるということは結論されていない、これはいいわけですね、それで。
#126
○政府委員(角田禮次郎君) 憲法調査会は、その発足の当初の時期から、将来調査審議を終了して結論、報告書を出すに当たっては、多数決によって一定の結論を決めるということはしない、そして、すべての委員の意見をそのまま論拠を付して国民の前に明らかにする、そういう基本方針をとられたものと承知しております。したがいまして、いま御指摘の押しつけ憲法というようなことをめぐっていろいろな議論が行われたことは事実でございますけれども、調査会として押しつけ憲法であるというふうに決めたということはないと思います。
#127
○和田静夫君 憲法調査会報告以後も、あるいは最近の芦田日記、おもしろく読みましたけれども、芦田日記を含めて、押しつけ憲法論は憲法学界においては成り立っていない、破綻した説であります。しかし、政界だけがそういうことにはなっていないような、自主憲法制定国民会議に、「現憲法は、米国占領軍より唐突にわずか一週間でつくられた前代未聞のものだ。条文は、治安、教育、政治、福祉など、あらゆる面で破綻を来している。この諸悪の根源である現憲法は一日も早く改めるべきだ、そういう精神で改正運動を呼びかけてきた。」、こういうのが元総理の岸信介氏のメッセージ。総理はこの考え方に賛同しますか。
#128
○国務大臣(鈴木善幸君) 憲法に対する鈴木内閣の基本的な立場、方針、これはしばしば申し上げておるところでございます。したがって、いまお話がありましたようなことにつきまして論評を加えるつもりはございません。
#129
○和田静夫君 まあ、ことさらにすれ違いの答弁をされていて、それで済むというものじゃ実はないんです。押しつけ憲法論は政界の表面から姿を消していますが、その亜流は横行している。法務大臣は、占領軍の指示に基づいてつくられた憲法という言い方をされたわけです。そのことは、言いかえますと日本国憲法は自律的につくられた憲法ではない、したがって自主憲法をつくろうという、そういう理屈になるんですが、総理、そういうことでしょうか。
#130
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほどもお答えをいたしましたように、現行憲法が制定をされたという当時の経緯、これは客観的に見た場合はそういうことだと思いますが、しかし私は、日本の国会においてこれは決定をしたことでございます。
#131
○和田静夫君 私は、そういうことであるという認識自体が大変大きな問題だと思っているんです。そういうことではないわけですよね。したがって、私は自主憲法という言い方にトリックを感ずるんですよ。それは、本日の議論においていままで私が述べましたが、日本及び日本人の戦後とは一体何であったのかという疑問なんですね。戦後三十五年、憲法施行三十三年を経た今日、日本という国の基本を定める最高法規について、押しつけられた、占領下につくられた憲法であるということを短い一時期を除けばずっと政権与党であった自由民主党とその前身の政党が主張し続ける。このことは、私は日本の平和と民主主義が憲法においてうたわれながら実態において裏切られるという背離に陥っているという感じがする。一体日本国憲法の原点とは何だったのか、日本の戦後とは、日本の民主主義政治体制とは何だったのか、それを問わざるを得ないわけです。私は、それは日本の敗戦という大きな犠牲と厳粛な事実の上に国際的な責務を負ったということ、その表現であり、誓いが前文以下補則を除いた九十九カ条の憲法だったと考えるわけです。このことについては、総理は同じくお考えになりますね。
#132
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、現行憲法に述べられております九十九条にわたる条項、これを尊重し擁護していくと、こういう考え方に立っております。
#133
○和田静夫君 法務大臣はいかがですか。
#134
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、総理が内閣を代表して御発言になっているわけでございますから、その御発言に何ら異議は持っておりません。
#135
○和田静夫君 それでは、占領軍の指示とはどういうウエートが法務大臣あったんでしょう。
#136
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、占領軍の指示に基づいて制定されたものであると、こう理解していますと答えました。そのとおりに今日も理解しているわけでございます。たびたび総理が御答弁になっておりますように、また先ほど法制局長官に前文の朗読を求められました、その中にもございますように、政府は国民の代表という言葉を使っているわけであります。私も、法務委員会でお尋ねをいただきましたときにも、自主憲法に対しまして政府が何らかの動きをするということは適当ではないと、こう答えたわけでございまして、それはまだ国民の間に合意が生まれてまいっておりませんときに政府が特別な動きをしますことは国民の中に混乱を起こす。それはやはり政府としては避けていかなければならない、こういう考え方でございまして、また、先般衆議院の予算委員会におきましても、国会が政党と政府の間の質疑応答に終始している。政府は政府としての立場があるわけだから、やはり国会において国としても論議を深めてもらいたい。そうなりますと、政党と政党との間で論議を深めていく工夫が何かないものだろうかなということを常日ごろ私は心から念願いたしておるものでございます。
#137
○和田静夫君 論議を深めようとすれば、いまのような形でどなたも論議には乗ってこないわけでありまして、その点どうしましょう。
#138
○国務大臣(奥野誠亮君) いま申し上げたわけでございますけれども、憲法は、政府は国民の代表という言葉を使っておるわけでございます。そうしますと、国民の間に合意が生まれていませんのに何らかの動きをすることは混乱を起こすことになるじゃないだろうか、そこはやはり政府としては深く考えていかなければならないところじゃないだろうかと、こう思っておるわけでございます。同時にまた、鈴木内閣の政治路線、これはどのような政治路線を選択するかは私は自由なことだと思います。その政治路線におきまして、総理は、鈴木内閣においては憲法改正は全く考えないと、こういう厳しい姿勢をとっておられるわけでございますから、その鈴木内閣の閣僚はその方針に従っていかなければならない、こう私は考えておるわけでございます。しかし、国会は国の運命を背負っておるところでございますから、私は、あらゆることについて論議を深める、そういうことも大事なことじゃないかなと、こう思っておるわけでございまして、そういう論議を深める方法としては、政党対政党での論議なら私はもっと活発に行うことが可能じゃないだろうかなという私なりの希望を申し上げたわけであります。
#139
○和田静夫君 鈴木内閣は、内閣総理大臣に代表されて、遵守をしていこうというそういうつもりであるから、法務大臣としては大変不満であるけれどもそれには従っていきますという発言ですね、いまのやつは。
#140
○国務大臣(奥野誠亮君) 改憲論議は私は国務大臣も自由だと思います。これは憲法論であります。しかし、政治姿勢としては、内閣がどういう政治路線を歩むか、その内閣の閣僚は、私は内閣が選んだ政治路線を忠実に守っていかなければならないと、こう考えておるわけであります。
#141
○和田静夫君 私は、遵守義務との関係において、閣僚が改憲論議が勝手にできますなんていう論理は、法制局長官成り立ちますか、こんなの。
#142
○政府委員(角田禮次郎君) まず、憲法解釈の問題と政治姿勢の問題を区別して考える必要があろうかと思いますが、憲法九十九条におきましては、御承知のように公務員の尊重擁護義務というものが決められているわけであります。したがいまして、閣僚ももとより憲法の尊重擁護義務があるわけでございます。
 しかしながら、憲法は一方において九十六条におきまして改正手続というものを決めております。そのことからも明らかなように、憲法を憲法に定める改正手続によって改正することを論議することの自由は何人も持っていると思います。その意味におきまして、閣僚もまた、憲法解釈論としては、憲法改正についていろいろ検討し、あるいは意見を発表するということは自由であると、このように考えておりますし、この政府の見解は何回もこの国会の場において申し上げたところでございます。
#143
○和田静夫君 そこの部分はどっちみち後ほど少し突っ込んだ論議を九十九条の論議と一緒にやります。
 そこで、前段で確かめておきたいのは、占領軍の指示の権力の源泉は米国を中心とする連合国の権力である、その法的な源泉はポツダム宣言と降伏文書にある、これはだれも否定できない、また、していない。占領軍の指示というのは、そうした国際関係、敗戦の事実、そして法理論的理解というものを一切抜きにして、いわゆる無視して、この一つの断片的な事柄だけを取り出して、ことさらに押しつけられた憲法であると印象づけようとする。断片的な一つの事柄でもって全体を言えないことは、これはもう当然でしょう。このことは法務大臣、お認めになりますね。
#144
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、占領軍の指示に基づいて制定されたものであると心得ておりますと、過去の事実をそのとおり申し上げたわけでございまして、押しつけられた憲法であるというような発言もいたしておりませんし、私はそういう見解をとるべきものではない、こうも考えておるわけでございます。しかし、同時に、過去の事実をできる限り客観的に国民に理解してもらう、これは大事なことじゃないかなと、こう思うわけでございまして、そういう気持ちにおいては野党の皆様たちが情報公開法の制定を迫られると同じような気持ちをそういう意味合いにおいては持っているものでございます。
#145
○委員長(木村睦男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#146
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、質疑を行います。和田静夫君。
#147
○和田静夫君 総理は、九日の衆議院の予算委員会で、自民党の政綱がつくられた段階では、占領下でつくられたものであり、日本国憲法を自律的に改正しなければならないという考えがあったが、今日では現行憲法のすばらしい点は定着し評価されている、現行憲法を自主的に改正すればいいということではない、こういうふうにして憲法は定着しているというふうに明確に答弁をされました。
 一方、奥野法務大臣の国会答弁はこれを全く否定をしていまして、改憲発言の発端となった八月二十七日の法務委員会の議事録を読み直してみましたら、「いまの憲法は占領軍の指示に基づいて制定されたものだ、私はこう心得ております。そしてまた当時は、国会はございましたけれども、委員会に提案をいたします場合にも、委員会で採決をいたします場合にも、事前に占領軍の承認が得られなければできなかったのであります。自主的な活動はできなかったのであります。」云々、「こういうものでございますから、国民の間から、自分たちでひとつ憲法をつくろうじゃないか、同じものであってもいいから、自分たちで自由な論議をしてつくろうじゃないかという気持ちが出てくることは望ましい、私はこういう感じは持っております。国民合意の中から、自主的に憲法をひとつつくり直してみようじゃないか、こういう感じが出てくるといたしますならば、それは好ましいという考え方を私は持っております。」、この発言は、私は総理の発言とは明らかに矛盾をしている。総理の発言をよしとすれば法務大臣の発言を否定しなければならない。法務大臣の発言をよしとすれば総理の発言を否定するほかはない。憲法についてこのような閣内の不統一は容認をできないのは当然であります。衆議院でも、総理の陳謝が奥野法務大臣の主権発言だけにあるのか、一連の改憲発言の全体を指すのか、ここが不明確であり、国民の間に釈然としない空気がずっと漂っています。ここではっきりしてください。
#148
○国務大臣(鈴木善幸君) 憲法の問題につきましては、しばしば私が明確に申し上げておりますように、鈴木内閣においては憲法を改正するというようなことは毛頭考えておらない、また、奥野法務大臣を含めまして閣僚は全員私の方針に賛成であるということも明確に申し上げておるところでございます。したがいまして、鈴木内閣の方針に奥野法務大臣も十分こたえておるものと、このように心得ております。
#149
○和田静夫君 答弁になっていないんですがね。
 そうすると、法務大臣の十月九日の衆議院予算委員会の釈明発言で、午前の主権などに関する発言が適切を欠いた点があり遺憾に存ずると述べているところでありますから、当然「占領軍の指示」云々というやつもここでは取り消された、そういうことですか。「占領下」ではありませんよ、「占領軍の指示」云々。
#150
○国務大臣(鈴木善幸君) 九日の奥野法務大臣の発言に関連をいたしまして衆議院の予算委員会が紛糾をし、中断をいたしました。それを収拾をし、審議を軌道に乗せるために予算委員会の各党の理事の各位が十分お話し合いをされまして、そしてあのような収拾案をまとめられたわけでございます。私はこの衆議院予算委員会の理事の諸君の御苦労というものを十分評価をいたしておりまして、あのような発言をいたしたわけでございます。
#151
○和田静夫君 委員長、答弁になっていないです。
 取り消されたということですね、それじゃ。法務大臣の答弁全部は取り消されたと。――質問どおりに答えてくださいよ。
#152
○委員長(木村睦男君) 和田委員に申し上げますけれども、総理の答弁がいまあったわけですから、それに対して御質問を願います。
#153
○和田静夫君 「占領軍の指示」云々も取り消されたということですね。
#154
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、この収拾に当たりまして各党の理事の皆さんがいろいろお話し合いをされた、その結果そのような収拾をいたしたわけでございます。
 さらに、その後におきまして、いろいろまた奥野法務大臣の発言等をめぐりまして再度確認をしようと、こういうことに相なりまして、これに対しましては私から、一昨日の奥野法務大臣の発言等に関連して各党間のお話し合い、収拾というものに対して十分私はその御労苦というものを評価もいたしております。鈴木内閣においては、あくまで憲法を尊重し、擁護し、これを遵守し、誠実にやってまいるというようなことを改めて再確認の意味で申し上げたと、こういう経過になっております。
#155
○和田静夫君 衆議院の理事会のいろいろの努力が問題になっていますから、それじゃここで参議院も理事会開かせてもらいまして、答弁が明確じゃありませんから、一応協議をしてもらいましょう。
#156
○委員長(木村睦男君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#157
○委員長(木村睦男君) 速記をつけて。
 先ほどの和田君の質疑を、もう一度和田君から質疑をやってください。
#158
○和田静夫君 時間は。
#159
○委員長(木村睦男君) これは質問時間の計算には入れません。
#160
○和田静夫君 私が申し上げたのは、法務大臣が十月九日の衆議院予算委員会で釈明発言をされて、それをもとにして総理の釈明発言との違いというのがいろいろ問題になっているのは私も傍聴していましたから知っているわけです。
 そこで、取り消された部分の前段にあった、午前の主権等に関する発言が適切を欠いていた点があり、遺憾に存じます、というのが法務大臣の答弁であったわけですね。その等という中には、明確に「占領軍の指示に基づいて」云々という部分が私は含まれていると思う。これは含まれなければおかしい。いわゆる占領下でつくられたという意味じゃありませんよ。「占領軍の指示に基づいて」云々ということを明確に法務大臣は言っているわけですから。そこの部分は取り消されたと理解をしてよいか。その部分が取り消されたということならば、いわゆる夏以降一連の法務大臣答弁というものは取り消されたということになってくるんだが、そういうふうに理解をしてよいかという質問に対する答弁をお願いしたいわけです。
#161
○国務大臣(宮澤喜一君) 夏以降一連云々につきましては、先ほど総理が御答弁をされましたが、主権云々につきまして私からお答えを申し上げます、と申しますのは、この件につきましては衆議院の予算委員会におきましても私がお答えを申し上げておりますので。要すれば総理に後ほどそれを確認をしていただきたいと思います。
 奥野法務大臣が衆議院の予算委員会におかれまして、占領後平和回復時まで、昭和二十七年でございますが、わが国に主権あるいは施政権がなかった云々という発言をされまして、それに対しまして私から政府の見解として次のように申し上げました。終戦後平和回復までの間のわが国の状態は、わが国の主権の上に連合国最高司令官の権力が存在をしており、したがって、主権の属性であるべき最高性が失われておった、そういう状態である、こういうふうに政府は考えておりますと、さように申し上げました。それとの関連で、「占領軍の指示」云々でございますが、この点については、政府は、占領軍の強い影響下にあったということは事実であると、こういうふうに認識しております。
#162
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま官房長官からお答えをしたとおり私も確認をいたします。
#163
○和田静夫君 あのときの事態というのは、占領下にあってすべての問題について占領軍の強い影響下にあったという客観的な情勢というものを私は否定をしようとは思っていない。ただし、私はこれから自主憲法という問題についての論議に入るに当たって、占領軍の指示に基づいてつくられたところの憲法、こういう発言ですから、そこのところは明確に取り消されるかどうかということが、総理、ポイントなんですよ。
#164
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまもお答えをいたしましたように、占領軍の強い影響のもとにというぐあいに私どもは客観的に見ておるわけでございます。
#165
○和田静夫君 法務大臣、違うよね、法務大臣の認識。
#166
○国務大臣(奥野誠亮君) 別にいまの官房長官あるいは総理の御発言に異議は持っておりません。
#167
○和田静夫君 それじゃ法務大臣、明確にしますが、「占領軍の指示に基づいて」というところは法務大臣としてもそうお思いにならぬと、こういうことになりますね。
#168
○国務大臣(奥野誠亮君) 私なりにその表現を、そのとおりに理解しておるわけであります。
#169
○和田静夫君 そうするとやっぱり違うんですよ。「占領軍の指示に基づいて」というふうに理解をしていると、こう言われるんですからね。法務大臣の場合はそれを取り消されない限りにおいてはそういうことですよ。
#170
○国務大臣(奥野誠亮君) 言葉の使い方はいろいろあろうかと思います。私は先ほどの総理、官房長官の表現に何ら異議はありませんと、こう申し上げておるわけでございます。
#171
○和田静夫君 そうしましたら、もう一言でいいんですよ、言ってみれば「占領軍の指示」云々ということは取り消されたと。よろしいですか。
#172
○国務大臣(奥野誠亮君) 表現の自由は憲法が保障しているわけでございますから、私は、いま総理、官房長官がおっしゃいましたことに何ら異議はないと、こう申し上げておるわけございますので、そういう意味でぜひ御理解をいただきたいと思います。
#173
○和田静夫君 国会議員の質問を否定するようなこんな答弁許せませんよ、それは。冗談じゃないよ、あなた、取り消したか取り消されないかということを聞いているのに。余分な答えを求めているわけじゃない。憲法六十三条の答弁義務というのはどういうことなのか。
#174
○国務大臣(奥野誠亮君) 総理、官房長官が発言されました、それに何ら異議を持っていない、その意味のもとにおける私のいろいろな表現であると、こう御理解いただきたいと思います。
#175
○和田静夫君 それで、私はいまの答弁を含んで、「占領軍の指示に基づいて」云々という部分は取り消された、そういうふうに理解をする。そういうふうに官房長官、理解をしてよろしいですか。
#176
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府の見解、先ほど申し上げたとおりでございます。
#177
○和田静夫君 いいですか、奥野法務大臣は国会の場で、日本国憲法は自主的につくられた憲法ではなかったからひとつつくり直してみよう、こういうふうに述べられているわけです。憲法は国民に定着していない、国民に受け入れられていない、そういうふうに発言をされてきたわけですよ。こういう人が法務行政の最高責任者として存在をしているわけですよ。憲法を認めない人を憲法の行政上の番人といってよい立場に置いておいてよいのか。これはもうだれしも明確に答えが出ると思うのです。検察や刑務所や出入国など国民の秩序と人権にかかわる行政の最高責任者、それは法務大臣でしょう。認めるわけにいかぬじゃないですか。そうして、一連の答弁は、どう言われようとも、過去から一連の答弁については否定をされないわけなんですから、ここのところは総理、明確にされなければならぬ。私は、奥野法務大臣の罷免が当然要求をされてしかるべきだと思うから私は要求をいたしますよ。どうです。
#178
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほども私は明快にその点についてはお答えをしたわけでございます。鈴木内閣においては、憲法を遵守していく、憲法を尊重し擁護していくと、この鈴木内閣の方針には奥野法務大臣も全面的に賛成をしておる。したがって、内閣にはこの問題につきまして不統一はございません。
#179
○和田静夫君 そこで、不統一はございませんとあなたが言われてみたところで、客観的には不統一が存在をしていることはもう間違いないですよ。「占領軍の指示に基づいて」つくられた憲法、ここのところが明確に否定をされない以上においては、すなわちそれは押しつけ憲法という論理の変形論なんですね。いわゆる憲法に対する露骨な不信と侮べつと公然たる挑戦というものが現職の閣僚の口によって明らかにされてきたわけです。総理が憲法改正否定、こういう鈴木内閣の方針を述べられて、いま無理やり法務大臣もこれに異議はないのだとこう言うけれども、残るのは白々しさだけですよ。
 この際、憲法問題で衆議院予算委員会で答弁の機会もなかった自主憲法制定議員同盟加盟の全閣僚――青嵐会の三人の皆さんは答弁の機会がありましたから除いて、どうです、この機会に、奥野さんの発言をされてきたことに対する理解度と、みずからの日本国憲法論、これをお答え願います。
 何か五十歳代の閣僚の皆さんは衆議院でかなり答弁されていたから、それじゃ年齢順にいきましょう。原健三郎さん、田中龍夫さん、石破二朗さん、私の質問に答えてください。
#180
○国務大臣(原健三郎君) 鈴木内閣の閣僚として、総理大臣の発言どおり同様の意見を持っております。
#181
○国務大臣(田中龍夫君) 同様でございます。
#182
○国務大臣(石破二朗君) お答えいたします。
 両大臣と同様の意見を持っております。
#183
○和田静夫君 私は、日本国憲法成立過程についての見解を求めているわけですよ。これは答えられていないんで、同様でありますと言われたってわからぬわけでありまして、したがって、これは憲法六十三条によってあなた方は答弁の義務を持っているんだから、憲法六十三条を否定するようなそんな閣僚の姿勢は許せません。冗談じゃない。出席閣僚はちゃんと答弁をすることを義務づけているじゃないか。その憲法六十三条さえあなた方は否定してかかるつもりか。委員長、やっぱり休憩してちゃんとしっかり答弁の仕方をやりましょう。だめですよ、こんなの。これはでたらめですよ。
#184
○委員長(木村睦男君) 和田委員に申し上げます。
 いま、和田委員から指名された大臣からそれぞれ答弁がございましたので、まだそれ以外に答弁が必要な大臣があれば御発言をいただきたいと思います。
#185
○和田静夫君 いまの三人の諸君が私の質問に答えていませんから答えになりません。憲法六十三条との関係において、あんなものは答えじゃない。そこのところをはっきりしてください。委員長、指示してくださいよ。
 委員長ね、基本になっているところは、やはり占領軍の指示に基づいてでき上がった憲法云々というところを、総理の答弁との兼ね合いにおいて、明確にその文言は法務大臣としては否定をされたと、こういうふうに、取り消されたと理解していいんですね。
#186
○国務大臣(奥野誠亮君) 人それぞれに表現の自由を許していただきたいと思いますが、私がいま申し上げましたように、総理大臣、官房長官の発言、何ら異議を持っていないわけでございます。その意義のもとにおける私の発言と、こう御理解いただきたいとお願いをしているわけでございます。
#187
○和田静夫君 これは明確に違うんです、私が言っているように。占領下にあったという客観的な事実関係と、直接的に占領軍の指示に基づいてでき上がった憲法と、違うんです。したがって、ここのところは、答弁の統一を求めるためにここで休憩してもらって、これは非常に重要なところですから、理事会で意思統一しましょう。こういうことを続けておったらどうにもならぬです。
#188
○委員長(木村睦男君) 速記をとめて。
   〔午後一時四十七分速記中止〕
   〔午後二時三分速記開始〕
#189
○委員長(木村睦男君) 速記を始めてください。
 総理から再答弁をいたします。鈴木内閣総理大臣。
#190
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来申し上げますように、占領軍の影響下にあったという客観的事実、私どもはそう受けとめておりますが、最終的には現行憲法は国会におきまして、帝国議会におきましてこれが議決、承認されたものでございます。
#191
○和田静夫君 それだから、私は、総理が経過について述べられて、日本国憲法が国会の議を経ながらでき上がった、したがって日本国民を代表するところの国会の論議を経てつくり上げられたものであるから必然的にこれは自主的につくったところの憲法である、私たちはこういうふうに理解している。そこのところが非常に違ってきているのでありまして、そこのところが違ってきているというのは、総理と私が違うという意味ではなくて、奥野法務大臣はそこの部分を言っているのは認められなくているわけでしょう。ここのところは認められているわけですか。
#192
○国務大臣(奥野誠亮君) いま総理大臣が御発言になったことは、私も全くそのとおりだと思っております。
#193
○和田静夫君 それだから、一連の発言というのはここにおいて取り消されて、鈴木総理に代表されるところの鈴木内閣の憲法論になったと、こう理解をして総理よろしいですか。
#194
○国務大臣(鈴木善幸君) 憲法問題につきましては、先ほど来申し上げておるとおりでございます。
#195
○和田静夫君 すなわち、日本の国会において議決、承認をされたところの、言ってみれば国民の世論形成その他も十分考えられたそういう日本国憲法である。私たちはそれを自主的な憲法であると理解をして、その理解、確認の上に立ってもう少し討論を煮詰めますが、ポツダム宣言等降伏文書の法的性格についての解釈を争うことを私は余り有効、有益な議論であるとは考えていないのです。それは国会の場でやることよりも学界で十分に煮詰めるということが必要であるというふうに考えているからです。
 そして、憲法学界でありますが、憲法学界では大西洋憲章の第三条の、すべての国民がそのもとに生活しようとする政治形態を選択する権利を尊重するという条文を引いて、現行憲法を無効とする説もありましたし、また、ハーグ陸戦法規慣例に関する条約四十三条「国ノ権力カ事実上占領者ノ手二移リタル上ハ占領者ハ絶対的ノ支障ナキ限占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ回復確保スル為施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ尽スヘシ」との定めを引いて、現行憲法を国際法上違法とするそういう説もすべて憲法学界では全く退けられております。閣僚の皆さん、そして法務大臣もこのことは十分御存じであります。特に法務大臣は、自治省の生活を通じて、事務次官などの地方自治法の論議やその他のときに、基底にあるところの憲法というものをそういうふうに理解しながら私たちにずいぶん訓示をされてきた立場でもあったわけでありますから、ここのところを否定されるとは私は思わぬ。否定されますか、それとも。
#196
○国務大臣(奥野誠亮君) いまお話がございましたように、現行憲法が有効であるとか無効であるとかいう論議のあることは承知しております。しかし、私たちはこの日本国憲法を守っていろんな施策を進めてきておるわけでございますから、当然無効などという考え方は抱いておりません。
#197
○和田静夫君 すなわち、このポツダム宣言受諾と降伏文書の調印というのは、日本にとっての義務となったわけです、あのとき。その時点で神権主義が否定をされて国民主権主義が成立した、そういうふうに述べた故宮澤俊義教授のいわゆる八月革命説ともいうべき法理論的解釈が憲法学界では通説として確固たる地位を占めるに至っているわけです。
 こういうような憲法学界の動向を全く無視して、たとえば押しつけ憲法だ、占領軍の指示だ、断片的な経験や論拠でもって、議論というよりは一方的な主張をして改憲論を振りかざすというのは、私は公正な議論ではないと思うのですよ。やはり憲法学界という理論の場の成果を踏まえて、その土台の上に立って政治的な主張を行うべきである、これは私は常識だと思うのです。占領軍の指示による憲法であるとか、日本の主権がなかったとか、あるいは米軍の施政権下にあったことにより日本の発言権がなかった、弱かった、制約されていたなどなどの表現でもって、日本国憲法がわが国自身がつくったものではないというような表現をする、表現に変えている、こういうことはもう断片的な事柄でもって日本国憲法を全体的ないし部分的に否定しようとするものでしょう。しかも、閣僚の立場にある者が、国の基本にかかわる、しかも国民の間にデリケートな反応を呼ぶこういう重大な問題について、議論は自由だということを口実にしながら、不正確な誤解を呼ぶ言い方をする、こういう表現というものは私は避けるべきだと思うが、総理よろしいですか。
#198
○国務大臣(鈴木善幸君) その点につきましてもるる私から申し上げておりますように、国務大臣は憲法九十九条によりまして、これを尊重し擁護する立場にございます。そういう立場にございますから、九十六条でいろいろ憲法に対する考え方、研究、議論、これは認められてはおりますけれども、閣僚としてはいやしくも誤解を受けることのないようその言動については慎重でありたいということを私強く求めておるわけでございます。
#199
○和田静夫君 憲法への忠誠ということは、実はこの委員会に佐藤教授を参考人としてお招きしたんですが、ちょうど何かきょうから公法学会が名古屋で開かれていまして、全部憲法学者は都合が悪くて不幸にして出席ができない状態でありますので、佐藤教授の言葉を引用すれば、「内心において憲法に対して不信と不満とさらには侮蔑の念をもちながら、単に形式的に憲法の規定に忠実であるかのように行動しているのであるとすれば、それは憲法への忠誠ではない」。そういう憲法学界の多数説が述べられているわけです。「すなわち、問題は個々の規定を形式的に尊重するということにあるのではない。憲法尊重義務が要求するものは」「憲法の精神そのものへの忠誠と誠実である」、こういうことなんですね。
 ところが、宮澤さんのきのうのNHKを聞いていますと、奥野さんは不満だと、不満だけれども鈴木内閣の方針に従うために、その不満を押し殺して協力してもらっているんだということを述べられているわけです。新聞の談話にも出ていますね。こうなってみると、法務大臣はすでにこの忠誠心というものには欠けているということ、そのことは鈴木内閣としてはおわかりになって鈴木内閣を運営されている、憲法に対して、こういうことですか、総理。
#200
○国務大臣(宮澤喜一君) 本来、憲法についての議論は自由であるべきでございましょうが、閣僚として発言をする場合には、鈴木内閣の方針に誤解を与えないようにしてもらわなければ困る、それが一点でございます。個人として御発言をなさいます場合には、閣僚の発言ではございませんけれどもやはりいろいろな誤解を与えやすい、したがって御発言は慎重に願いたいということを申し上げておるのでございまして、そういう意味では個人としていろいろな御意見をお持ちになっておられるかもしれない、しかし誤解を与えるようなことは避けるべきだと、こう申し上げておるのでございます。
 なお、私が不満だという言葉を使いましたかどうか、ちょっと定かでございません。いろいろお考えはあるかもしれないがという程度のことは申したかもしれません。
#201
○和田静夫君 私はことさらに混乱させようと思ってやっているんじゃない。まじめに憲法の論議をやろうと思ってやっているんです。宮澤さんは明確に不満と言われました。私は不満という言葉をなぜよく頭の中に刻み込んだかといえば、先ほど申しましたように不信と不満、そういうものが閣僚の心の中に内在をしている、そういう形では憲法への忠誠心というものは否定をされるんだといういわゆる有権的憲法学説が存在をするからです。このことはもう明確なんですね。したがって、不満と言ったか言わないかということに疑問を出されるのなら、ここで昨日の発言並びにあなたの談話、それを精査し直してもう一遍やり直しましょう。それならちょっと休憩してください。ここを否定されたんじゃたまらない。
#202
○国務大臣(宮澤喜一君) 少なくとも私がその部分で申しましたことは、あのような衆議院の予算委員会における処理の仕方、そういう結果についていろいろお考えはあろうと、そういう意味であって、憲法そのものについての不満とかなんとかいうことではないことは明らかでございます。
#203
○国務大臣(奥野誠亮君) 憲法論議が起こりました経過を振り返っていただきますと私は御理解いただけるのじゃないかと思うんです。八月の末、法務委員会で稲葉さんから自主憲法についてのお尋ねをいただいたんです。お尋ねがなければ私は答えなかったんです。お尋ねいただいたから私の考えを率直に述べたんです。率直に述べましたら、すぐ法務大臣罷免という声が上がったんです。
 その際の私の政治家としていかにあるべきかという判断、二つございました。一つは、国会は自由な論議をなされるべきところ、論議に反対であればやっぱり反論で論議を重ね合いながら、国会がむしろ避けて空疎なものになってしまうことはやはり穏当でないな、これが一つの気持ちでございました。もう一つは、憲法、特に九条に触れたことが私は罷免という言葉にはね返ってきたんじゃないかなと私なりに考えました。やっぱり国の運命を背負っている国会だから憲法についても自由な論議を繰り返しながら将来を誤らないようにしなければならないんじゃないか、国会論議の中にタブーを設けてはならない。この二つでございまして、私はこれまでも憲法をこう改正しろというような式の私の主張はしておりません。また、憲法をべつ視するような気持ちはさらさらございません。ちょっといまお話を聞いておりますと、私の経過をじっと振り返っていただきますと、私の申し上げてまいりましたのは、国会を空疎なものにしてはならない、論議に反対であれば論議をもってこたえる、そういう国会にしていかなければならないということと、国の運命を背負っている国会だから、一つの問題についてタブー視してその論議がその国会では行われないようなことは避けていかなければならない、この二点だけでございまして、その後の私の発言について振り返っていただきましても、憲法をないがしろにするような意見は一つも言っておりません。
#204
○和田静夫君 そういうふうに法務大臣が言われるのなら――私は法務大臣とは間接的な接触も通じながら非常に長いあれですから、客観的に法務大臣を役人のときから十分に、あるときは自治法その他の問題では解釈その他をめぐって敬意を表するところは表しながらずっと見てきた。あなたの性格からいきまして、そう言われるのならば、九条に対して意見がある、それじゃ九条に対してどういう意見があるのか申し述べなさい、こう衆議院で論議がありましたよ。そのときには押し黙ってしまわれたわけですが、ここでそれじゃもう一遍九条に対する意見を述べられたらどうですか。
#205
○国務大臣(奥野誠亮君) 憲法論と政治姿勢の問題、二つ分けて考えていきたいと思うわけでございます。憲法論としては、私は、国務大臣、自由に改憲論をやって何ら差し支えないと、こう思っておるわけであります。政治姿勢の問題としては、内閣がどういう政治路線を選択するか、その政治路線の選択に当たって、鈴木内閣は憲法改正は全く考えない、こういう政治路線を選択されているわけでございまして、私は鈴木内閣の閣僚でございますので、私の言葉が何かそういう政治路線に対して反対のことを考えているというような印象を国民に与えることは避けなければならない。したがって、今日この時点において私が憲法改正への具体的内容を自分の意見として申し上げる、これは鈴木内閣の閣僚である以上は政治姿勢として避けていかなければならないことじゃないだろうかと、こう考えておるわけでございまして、この点はぜひ御理解をいただいておきたいと思います。
#206
○和田静夫君 私は、おこがましい言い方をすれば、あなたの見識を知る者の一人として、いまのような状態というのは見逃すことができない。私の助言が糸口になってあなたがそれじゃ辞任をいたしましょうということがやりやすいんなら、私が先ほど来述べていることを助言と受け取ってこの際鈴木内閣からやっぱり閣僚としての立場をおやめになった方がいい、そして自由に論議に参加をする、こういう形が私は一番いいと思うんですが、心境どうなんですか。
#207
○国務大臣(奥野誠亮君) 八月の末、法務委員会で稲葉さんからお尋ねをいただきました。その際に、政府としてどうかというお尋ねもございました。私は、政府としては自主憲法などの動きに対して何らかの動きを加えていくというようなことはすべきではない、適当でないと思います、こう答えておるわけでございます。鈴木内閣は、改憲論議は成熟していない、こうおっしゃっているわけであります。さらに、憲法の基本原理、非常にりっぱなものだと、こうもおっしゃっているわけでございます。私もやはり自主憲法制定の議論はありますけれども国民多数の意見として合意に達しているわけではございませんので、この際に内閣がそのような方向への動きに拍車をかける、これは慎んでいかなければならないことじゃないかと、全く総理と同じその面においては考え方を抱いているものでございます。
#208
○和田静夫君 奥野さん、そう言われてもね、総理が私の憲法発言の全体を不適切だと言うのなら閣僚として不適格ということになる、こういうふうにいま述べられていますよね、あなたは。で、憲法改正を否定する鈴木内閣の閣僚としてはそういう意味では不適格なんですよ、やっぱり。これは当然なんです。なぜならば、法相にも不満はあろうが何しろ政治的解決なのでと、こういうふうに宮澤さん言われたんですよ。文章にありますもの、これ。官房長官がそういうふうに述べているほどであるから、法相の不満はもう明らかなんです。国の基本法、憲法論議で政治的解決や解釈がまかり通るということはこれは許されませんよ。いろいろ言われていますがね、法律的には、あるいは政治家としては。私はやっぱりこの機会にさっぱりするべきだと思うんですよ。さっぱりされるつもりはありませんか、鈴木内閣総理大臣として。
#209
○国務大臣(宮澤喜一君) もう一言申し述べさせていただきますが、私が奥野法務大臣が不満あるいはいろいろな御意見をお持ちかと言うのはこのたびの決着についてであって、憲法そのものについて不満を持っていらっしゃると申したことは私は絶対ございません。
#210
○和田静夫君 端的に言いますが、一般論として、閣僚はジキル博士とハイドということは許されませんよ。憲法を前にして面従腹背ということは許されませんよ。公人としてと私人としての考え方がかけ離れ背反していれば、それは国民から見て納得しがたいのは当然ですよ。しかも、個々の小さな政策、レベルの問題ではありません。国政の基本原理がそうであれば、それは閣僚として適格であるとは思われない。総理、これはそうでしょう。
#211
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はしばしば申し上げておりますように、憲法第九十九条と九十六条の関係、これは法的にはきわめて明らかにされておるところでございます。また、閣僚は憲法を尊重し擁護するという立場でございますから、いやしくもこの点について疑惑を持たれるような、誤解を受けるような、そういう言動は慎むべきであるということも全閣僚に申し上げておるところでございます。奥野法務大臣は憲法はこれを尊重し擁護するということもはっきり申しておりますし、また、私の方針、これに全面的に賛同もいたしております。したがいまして、私は奥野法務大臣の罷免云々というようなことは当たらないと、こう思っております。
#212
○和田静夫君 私は公私の差というのは、これはまじめに考えて公人として誠実が尽くせるものである。単に公私の使い分けや国会答弁や官僚操縦といいますかね、そういう技術を持っていればよいというものではないと思うんです。さればこそフランスの一七九一年憲法というのが、「憲法制定国民議会は、憲法の存立を立法部、国王および裁判官の誠実に委ねる」、そういうふうに規定したんですよ。法務大臣、あなたは日本国憲法の存立に誠実であったでしょうか。みだりに自主憲法の制定をうたい改憲を標榜しなかったか、誠実であったのか、これこそ誠実な回答をひとつ一遍下さい。
#213
○国務大臣(奥野誠亮君) 憲法を尊重、擁護する精神、これと改憲論議をするということとは私は両立する問題だと思うんです。改憲論議をするから尊重、擁護の義務に、精神に欠けていると、これはそう受け取ってはいけないんじゃないかなと、こう考えているものでございます。
#214
○和田静夫君 私はそこを実は問題にしているのであって、法制局長官、この佐藤功さんの「日本国憲法の課題」百八十一ページなんですがね、「「改正が認められているのだから改正論を述べることは当然に自由だ」と主張された。この主張の論理は一般論としては誤まりではない。しかし、憲法尊重義務と改正の自由との正しい関係は、改正は自由である、しかし改正されるまではあくまでその現行の憲法が尊重されなければならない、という関係として理解されるべきであろう。改正論が自由であるということを理由として改正されるまでの憲法の尊重義務を免れることはできない。」、これは法制局長官、このままお認めになりますか。
#215
○国務大臣(鈴木善幸君) 九十九条の尊重、擁護の義務という問題でありますが、これは奥野法務大臣も明確にそのことを認めておりますが、ここにございますところの「擁護」というのは、憲法の諸規定、それに基づく法令、そういうものを守っていく、それに反しようとする者からこれを守っていくというのが「擁護」である、このように私は理解をしております。奥野法務大臣は役人時代からこの憲法の規定に沿いまして憲法の各条章を誠実に守ってきたし、守ることにつきまして努力をしてきたということを私は十分評価もいたしております。
#216
○政府委員(角田禮次郎君) お読み上げになりましたところは全然異論はございません。
#217
○和田静夫君 総理の答弁の部分についてはちょっとだけ申し上げておきますが、いわゆる日本の公務員が憲法九十九条に基づいて誓約をして、署名捺印をして、そして仕事に従事しているんですから、その立場にあった限りにおいて忠実であったかもしれませんけれども、いまそこから外れてみて、振り返り見て忠実であるということには必ずしも奥野さんの場合なるかならないかは、一連の発言で考えてみると大変疑問であるということだけは申し上げておかなきゃなりません。したがって、過去においてそうであったということをゆめゆめ否定をしようなどということを言っているわけじゃない。ただ、国会議員や閣僚の憲法尊重義務というのは積極的に、かつ不断に果たされなきゃならない、こういうことなんですね。法的な責任に限られないわけですよ。そこに閣僚、国会議員の政治的責任があるわけですよ。これはもう明確ですよ。政治の世界というのは、反面閣僚や国会議員に憲法を無視し破壊をするような機会と可能性を往々にして与えますから、その意味で、憲法九十九条の尊重義務というのは公務員のうち特に国会議員、閣僚に対して厳しいんですよ。強く要求されているんですよ。そうでしょう、総理。
#218
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のとおりだと思います。奥野法務大臣はそのとおりにやっておると、こう私は考えております。
#219
○和田静夫君 もう一遍だけ「国会討論」に返らしてもらいますが、奥野さんはその限りにおいてという前提で総理発言を認める発言と答弁をされたんです。で、いまそこを深く突っ込もうと思わないんですが、それに対して、政治決着を云々しても建設的な意味がない――政治決着を云々しても建設的な意味がないという官房長官発言はこれは何を意味しているんですか。私は政治決着というようなものの全貌が国民の前にきょうの論議を通じて明らかになることによってお互いの姿勢が明らかになる、これほど憲法に対して建設的な意味を持っているものはないと思います。伏せておいて何で建設的な意味がないんですか。
#220
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど総理大臣から答弁されましたように、衆議院の予算委員会の各党の間において収拾について非常な努力をされ、それを踏まえまして総理大臣が答弁をされたわけでございます。したがいまして、その答弁の内容についてその当時のいきさつにさかのぼってああだこうだという御議論がその御指摘のテレビ討論でございましたので、もう一遍それを御議論になりましてもこれは経緯を踏んまえてのことでございますから余り意味はないのではないか、こう申し上げました。
#221
○和田静夫君 私はさっきから断続的にいろいろあった理事の集まりのときでも言ったんですが、これは衆議院と参議院はそれぞれ独立しているわけでありまして、衆議院の中におけるところのやりとりというようなものは、私たちは十分熟知することも義務として持っていますし、そのことを知らなければならない立場にもあります。国民もまた十分にそれを知らなきゃならぬ。したがって、そういう何かやみ的な印象を与えるような印象でもって糊塗してしまうというようなことは、これは許されないと思うんですが、先ほども引用いたしましたが、総理は自民党の政綱がつくられた段階では、占領下でつくられたものであり、日本国憲法を自主的に改正しなければならないという考えがあったが、今日では現行憲法のすばらしい点は定着し評価されている、現行憲法を自主的に改正すればいいということではないと述べられて、自主という言葉を取り外して考えておられるわけであります。この発言は私は正当な表現であると思っております。自主憲法と言うときの自主という言葉は、実は私は正確な論拠を欠いている。かつ、先ほど読みました岸元総理の自主憲法制定国民会議議長へのメッセージや、そのほかめかけ論であるとか欠陥論やら、いたずらに扇情的な一連の発言を生む源にこれがなっているわけですね。私は、総理は自主憲法という言葉を使うべきではない。また、自主憲法制定を標榜する団体にかかわるべきではない。日本国憲法のもとに選出された総理として著しく不適当であると、その点は考えなきゃならぬ。その言葉を使わない。そういう言葉を使っている、名称をつけている団体から少なくともあなたは脱会をすべきである。いかがです。
#222
○国務大臣(鈴木善幸君) 和田さんは、わが自由民主党の議員諸君が多数加盟しておりますところの議員同盟、このことに私も参加をしておる、このことについての御指摘であり御意見であると、こう思いますが、私はこの団体は憲法を研究し議論をし調査をする、そういう団体でございまして、自由民主党におきましてはまだ憲法調査会におきましていろいろ研究段階でございまして、憲法をこう改正するという結論はまだ出ておりません。したがいまして、この議員で構成しておりますところの議員同盟におきましても、具体的にこの点をこう改正するんだという運動等を展開しておる段階ではない。私は従来からずうっとこの団体に加盟をいたしておるわけでありますが、これに出席をいたしまして意見を述べたり積極的にこれを推進したりというようなことは従来もやっておりませんし、今後もやるつもりもございません。
#223
○和田静夫君 脱会はされないわけですか。
#224
○国務大臣(鈴木善幸君) まあよく考えてみましょう。(笑声)
#225
○和田静夫君 私はそのよく考えてみましょうという言葉を真剣にまじめに受け取っておきます。それは衆議院の論議を聞いていて、稲葉議員の質問に、私の憲法に対する信念は変わりませんと、こう述べられておる。しかし、そう言われたところで、総理として変わらないのか、あるいは自主憲法改正のための議員同盟の一員として変わらないのかということは、これは国民にとってその言葉だけをとらえた場合わからぬわけですから、私は当然この内閣を主宰するところの総理としてお変わりにならぬと、こうとらえる。とらえる限りにおいては一方矛盾する、それとは反対の方向に動いておるところの同盟には総理である立場において脱会されるのは当然だ、こう思うんです。どうです。
#226
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど和田さんは私の憲法に対する信念、姿勢、これは評価するにやぶさかでない、こういうことをはっきり言っていただきました。大変私意を強うしたわけでございます。
 そういうことで、今日までの憲法に対する国会の論議を通じまして、国民はだれ一人鈴木総理大臣が憲法に対して国民に疑義を与えるようなこと、そういうことはないと私は確信をいたしております。そういう信念で進みますから、あの団体に加盟するしないという問題は、せっかくの和田さんのアドバイスでございますから私もよく研究してみます。
#227
○委員長(木村睦男君) 午前中の和田静夫君の大蔵大臣に対する質疑に関連して、この際大蔵省米里銀行局長から発言を求められておりますので、これを許します。米里銀行局長。
#228
○政府委員(米里恕君) 午前中の和田先生の住宅ローン金利に対する御質問についてお答えいたします。
 和田先生の御質問の御趣旨は、現在民間住宅ローンは八・八八%の金利であるとこう言われておるが、これを十二で割ると〇・七四%になる。しかしこれは、その〇・七四%というのを実質金利を見る上では複利計算をすべきであって、これを複利計算で一年転がしますと九・二五%になる。実質は九・二五%であるから八・八八%という表示は不適当ではないか、こういう御趣旨であったかと思います。
 で、現在の民間住宅ローンの契約でございますが、これは毎月残存元本――これは毎月元本を返済していきますので元本は減少いたしますが、毎月その残存元本に対して〇・七四%の利払いをすると、こういう契約になっております。月決めというような契約でございます。で、八・八八%と申しますのは、先生御指摘のとおり〇・七四%を単純に十二倍したという数字でございます。先生がおっしゃっておられますように、年初の一番初めの初回分の利払い〇・七四%というものを年間複利計算いたしますと九・二五%になるというのは御指摘のとおりでございます。
 どういう表示方法が適当かという問題でございますが、毎月元本が減少いたしております。また利払いも毎月行われております。この辺で、年の複利計算と実質金利と申しますと、利払いの方も毎月幾ら返したかという分で区々に計算しなければならないというような問題がございまして、あわせまして、ボーナスから幾ら払うかということが区々である。借入日あるいは毎月の返済日というのも区々でございます。まあそういったことで、いずれにせよこの計算というのは、単利でも複利でも年率計算は非常に複雑なものでございます。現在、慣行上こういった複雑区々のものを単純にわかりやすくするために月決めの十二倍という表示のやり方をしているわけでございます。これは他の金利についてもほぼ同様の考え方で表示いたしております。ただ、和田先生御指摘のような問題点もございますので、今後こういった金利の年利についての表示方法については引き続き十分慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
#229
○委員長(木村睦男君) これにて和田静夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#230
○委員長(木村睦男君) 次の質疑者は植木光教君であります。植木光教君。
#231
○植木光教君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして御質問を申し上げます。
 まず、自由民主党の総裁であり、わが国の総理大臣であられます鈴木善幸氏の人間像につきまして、鈴木善幸総理その人からお伺いをいたしたいと存じます。
 総理が誕生せられるということが伝えられますや、国内はもとよりでございますけれども、全世界全地球にわたりまして「ゼンコー・フー」、鈴木さんというのはどういう人であろうかという質問が出てまいりまして、私も各地で尋ねられましたし、またこの間東西ヨーロッパを回ってまいりました節に聞かれたことは事実でございます。
 そこで、ここに「鈴木善幸その素顔――生い立ちと政治の道――」という本がございます。この中ではいろいろなことが書いてございますけれども、鈴木総理は、明治四十四年一月十一日に岩手県の山田町で善五郎・ヒサ御夫妻の長男としてお生まれになった。そして、尋常高等小学校、水産学校、さらに農林省の水産講習所をお出になりまして、十年には社会に出られて、さらに昭和二十二年、国会に選出をせられまして、幾多の政務や党務におつきになったということが書かれております。そして、七月十七日には内閣総理大臣になられたのでございます。大変すばらしい御経歴でございます。
 鈴木総理には御令息に俊一という方がおられまして、この本の中に、こういうことを言っておられます。「父に厳しくしかられた記憶はまずありません。しかる以前にこういう例もあるんだという教えが先に立つ。」――これは、総理の、長い豊かな人生経験と、温和で誠実な人柄をよく表現していると思います。さらに、父は、「夜遅くまで新聞記者と話し合い、帰ったあと一人でウドンやインスタントラーメンを食べている姿をよくみかけたものです。」――大変御苦労さまでございました。さらに、「庶民的な感覚、行動が現在の父鈴木のすべての面でプラスになっているような気がします」――こういうことを言っておられるのでございます。
 これで、総理の人間像と申しますか、お人柄は非常に鮮やかになってまいりました。と申しますのは、誠実さと庶民的な人間性でございます。国民はこれに大変魅力を感じておりまして、大きな期待をかけているのでございます。総理の御感想をお聞きいたしたいと存じます。
#232
○国務大臣(鈴木善幸君) 大変むずかしい答弁になりますが、私は、政治家であろうが、また、お勤めの方であろうが、あるいは御商売をなさっておる方であろうが、やはり人間社会においては、誠心誠意人に対し、またその真心をもっておつき合いをしていく、相手の考えというものにも十分耳を傾けて、そしてそこに共通点を見出しながら人生をやっていく、進めていく、私はこういう信念で今日までやってきただけでございます。私がそういう意味合いから和の政治を提唱し、これはよく自由民主党向けのものであるということをおっしゃるんでありますけれども、そうではございません。国会におきましても私は、そうでなければいけない、国会は争いの場であってはいけない、話し合いの場でなければならないというのも、そういう考え方に基づくものでございます。今後もそういう姿勢で、政治は国民のものである、国民とともに政治をやっていく、こういう姿勢でやってまいる所存でございます。
#233
○植木光教君 総理は先日の所信表明演説におきまして、「さきの衆議院及び参議院の同時選挙において、自由民主党は、国民の信頼と期待のもとに、国会で安定多数を得ることができました。」とお述べになりました。事実、あの選挙におきましては、単独政権か連合政権か、あるいは自由民主主義体制かそれを修正し変革をする体制かというような選択に迫られました国民が、賢明にも自由民主党を選ばれたということはまことに御同慶にたえないところでありますが、国民は自由民主党に対しまして、誤りのない政治の運営をやってほしいという大きな期待を込めてこの選挙に臨まれたことは事実であると存じます。わが党に対して必ずしも全幅の信頼を寄せて投票をされたとは断言できないと思うのでございます。この期待を裏切らないで、真に信頼される自由民主党、信頼される自由民主党内閣をつくり上げていかなければならない。そのためには政治倫理の確立を図り、むずかしい国際情勢の中にありまして、国民の心を心とした、いま総理もおっしゃいました、政治の運営に全力投球をしていかなければならない、国民の期待にこたえることができますように御決意をお伺いいたしたいのであります。
#234
○国務大臣(鈴木善幸君) 植木先生のただいまの御発言、全く同感でございます。私も、今回自由民主党が衆議院、参議院ともに安定多数を与えていただいたわけでありますけれども、これにはいろいろ国民の方々としても条件があり、希望がある。特に私は、自由民主党は政治姿勢を正さなければいけない、多数を与えたからといって多数におごってはいけない、こういう戒めが含まれておると、こう思っております。絶えず自由民主党の党員――私はもとよりでありますが、自戒自省をいたしまして、この国民の期待にこたえ、そして八〇年代以降の日本の政治を担当するに足る国民政党として、国民の信頼のもとにやっていくような体制づくり、そういう心構えが必要であると、こう考えております。
#235
○植木光教君 そこで、鈴木総理はこれから何を実行していかれるかということになります。総理はやはり所信表明演説の中で、「私は、志半ばにして亡くなられた故大平総理大臣の遺志を受け継ぎ、さらにこれを発展させていく」というふうにおっしゃいました。では、故大平総理の御遺志とは一体何であるかということでございます。御承知の高名な政治学者でございます香山健一教授が、「人間大平正芳の政治哲学」という非常に感動的な文章を書いておられます。この文章の中で、カーター大統領の「私の知る限り最も心温かな人間の一人であった」というような言葉を引用しながらこういうことを書いておる。「大平さんは最も人間らしい政治家であり、日本の政治文化の伝統が生み出した最も日本的な指導者であった。いずれはわかるときが来るであろうが、大平時代は、実はある新しい時代の始まりであった。財政再建と小さな政府への転換、日本の国際的役割りの明確化、田園都市構想や文化の時代、地方の時代の幕あけなどは、二十一世紀へ続く次の時代をすでに描いていたことを明確に示している。しかし、それは遺言のような形で次代の仕事に残されたのである」、少し長くなりましたが、こういうことを書いておられるのでございます。総理の、大平総理の御遺志というのはこれを指すのでございますか、これを発展させていくというふうに私は受け取ってよろしゅうございますか、鈴木総理御自身の時代認識と、日本と日本国民が目指すべき道標についてどのような指導理念を持っておられるか、これも含めましてお伺いをいたしたいと存じます。
#236
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、故大平総理とは三十年来の盟友であり、同志でありました。政治行動もともにしてまいったものでございます。したがいまして、大平前総理がどのような政治理念、またどういう政策、またどういう将来に対する展望とそれに対する対応、そういうことを考えておったかということはよく承知をいたしておるわけでございます。いま、香山健一さんの文章を通じまして御披露がございましたが、全くそのとおりでございます。特に私は、その中で具体的に述べておりますところの財政再建の問題あるいは小さな政府の建設あるいは資源エネルギーの問題あるいは高齢化社会に対する対応、田園都市構想とか地方の時代とか、いろいろ述べておるのでありますが、この財政再建にしてもあるいは行政改革にしてもあるいは資源エネルギーの問題にしても、私は当面の政治課題というだけでなしに、日本の将来、民族の将来のためにぜひこれをなし遂げなければならない、これが将来への日本の基盤づくりである、こういうぐあいに私は評価をいたしておるものでございます。そのためにこそ、私どもは鈴木内閣におきましても重要な政策課題としてこれを取り上げ、これと取り組んでまいる、こう言っておるわけでございます。
 なお、私の情勢認識、またこれに対するどういう取り組み方をするかということについてあわせてお尋ねがございましたが、私は、豊かさを追求する時代から安定成長のもとにその成果を等しく国民分かち合う、そういう時代になってきておる、国民が自分の能力を十分に発揮し、そして努力をしてまいります場合におきましては、その努力に正当に報われるような社会でなければならないとも考えておるわけでございます。また、そういう中におきまして、身障者でありますとかいろんなハンディをしょった方々がおるわけでございますから、そういう方々に対しましては温かいやはり配慮をする必要がある。そういう日本的な福祉社会の建設、こういうことを私は目標にして、今後努力をしてまいる所存でございます。
#237
○植木光教君 内閣は、発足をいたしまして最初に、総合安全保障会議の設立ということを唱えられました。これはその後国防会議は残置をする、しかし新しい協議会のような機関を設けまして、そこでいろいろ問題を討議しよう、こういうことになっておりますが、いかなる問題をどういう機関で協議せられるのか、現在の状況をお知らせいただきたいと存じます。
#238
○国務大臣(鈴木善幸君) いまわが国が置かれておりますところの国際政治情勢、経済情勢、そういう中におきまして日本の安全と平和と繁栄を図ってまいりますためには、単に防衛的な側面だけで日本の安全と平和を確保することはむずかしい、このように考えております。そのためには平和外交を強力に展開する必要がございます。また、石油初めエネルギーの安全確保の問題あるいは食糧の問題、さらに発展途上国等に対する経済協力等を通じて地域的な貧困、失業あるいは社会的不安、そういう問題等が起こらないように、そういう面についても努力をする必要があると思います。こういう政策を総合的に私は展開していくことが日本の安全保障の面から必要である、このように考えておるわけでございます。
 これらの政策はいままでも各省庁におきましてそれぞれ進めてきたわけでございますけれども、これを総合的な観点から整合性を持って、国の安全保障という角度で整合性を持って進めていくという必要がある、このように私は考えておるわけでございます。そういう意味で現在の国防会議というものは従前のとおり存置をし、運用等をよりよくしていかなければなりませんが、と同時に、いま申し上げたような政策の整合性を持った展開というような観点から総合安全保障の閣僚会議とかそういうようなものを私は頭の中で描いておるわけでございますが、いませっかく具体的な案について検討をさしておる段階でございます。
#239
○植木光教君 閣僚会議をおつくりになるということでありましたならば、できるだけ早くこれに取り組んでくださいますようにお願いをいたしておきます。
 外交問題につきましては、いろいろな問題ございますが、時間が十分でございませんので、当面の問題二点だけお聞きをいたしておきます。
 外務大臣、一つは、バルチック艦隊のナヒモフ艦の財宝帰属問題でございますが、これにつきましてソ連が権利を確認するという申し入れをしてきた。七十五年間何も言わないでいて、いまごろになって言ってきた。国民は大変これについて釈然といたしておりません。外務大臣も釈然としないと、この間土曜日の予算委員会でお答えになっておりました。これを釈然とさせますためにできるだけ早く結論を外務省で出していただきたい。ナヒモフであるかも確認されていないというようなことも外務大臣おっしゃっておりましたが、どういうふうにして確認をせられるつもりでありますか。これは捜索をしている民間会社が確認すれば自分たちも確認するんだというふうにお考えになっているのか、これに対して一体結論はいつどのような形で出すのか、もう出ているのか、お聞きをいたしたいと存じます。
#240
○国務大臣(伊東正義君) お答えします。
 ナヒモフ号の引き揚げの問題でございますが、いま先生おっしゃいましたように、まだ引き揚げをやっております会社もこれがナヒモフだという確認はとれてないということを私どもに報告してきております。それを証明するものは何も揚がっておらぬということを報告をしてきておるわけでございますが、これを政府として確認するかどうかという問題につきましては、これは政府が確認する必要があるというふうな結論が検討をして出た場合には、各省協議しまして、どうしたら確認できるかということについて検討したいと思っておりますが、いまはそういう段階でございます。そうしてソ連の大使館から、七十五年もたったいま軍艦の管轄権は自分の国にあるんだというようなことの申し入れがあったということはまことに唐突であり、釈然としないということは先生おっしゃったとおりで、私もそういう感じを持っているわけでございます。
 これの所属につきましてどういう結論を出すかということでございますが、これはいろんな条約の問題、先例の問題あるいはバルチック艦隊のあの日本海の海戦のときの資料等、まあできるだけあらゆる資料を調査しまして国民の感情と背馳するようなことでない常識的な結論を私は早急に出すべきだと思いまして、下の方にいま命じて早く結論を出すようにということをやっておりますが、何日までとかその期限はまだわかりませんが、なるべく早く出すという努力をいたします。
#241
○植木光教君 これは国民感情がどういうところにあるか、国民意識がどういうところにあるかということは十分おわかりでありますから、その点よろしくお願いいたします。
 もう一点は、アルジェリアで起こっております大地震でございますけれども、すでに二万人以上の死者が出ている。負傷者は数万人であるということで、各国が救援活動に出ておりますけれども、
   〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
これは直下型で、いつ日本にこのような地震が起こらないとも限らない。各国は大変な勢いでいま医薬品などの援助に当たっているわけでありますが、政府の動きはない、日本国の動きはない。これでは私はやはり日本の国際的な位置にかんがみまして十分ではないと思うのであります。これについて、明日閣議もあるようでございますから、その際にでもこの救援活動について日本国の措置をどのようにしていくかということをお決めいただいて、直ちに行動を開始していただきたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
#242
○国務大臣(伊東正義君) アルジェリアの地震の御質問でございますが、エルアスナムというところで直下型の地震があって、まあ五千人から二万人ぐらいの間の死者じゃないかということを言われておるわけでございます。邦人は六十六名在留したのでございますが、積水化学の四名の人が行方不明で、一名遺体で見つかったというのがいままでの現状でございます。それで十一日に総理と私の名前ですぐに見舞いの電報を向こうのアルジェリア政府に出しますとともに、昨日は実は日赤ともいろいろ打ち合わせを外務省としていたしました。また、昨日アルジェリアの在京大使館から医療資材、器具、お医者さん、看護婦等を派遣してもらいたいという要請があったわけでございますので、きのうからきょうにかけて御相談をしまして、三億円の緊急援助をするということを大蔵省と外務省できょう話をつけましたので、あしたの閣議に諮ってすぐに行動に移しますが、日赤とはきのうから相談をしております。チャーターの飛行機が飛ばせるかどうかということで、きょう実は日本航空と相談しているということでございますので、これが決まり次第一日も早く行動に移すということをやるつもりでございます。
#243
○植木光教君 防衛庁長官にお聞きをいたします。
 今日厳しい国際環境の中にありまして国防の問題が重要であるということは言うまでもございませんが、この一つの大きな柱であります自衛隊に対しまして国民の八六%が必要性を認めるということを回答した世論調査が、有力なものがございます。御承知のとおりでございます。この自衛隊が精強でなければ、わが国の独立も平和も安全も守れないわけでございます。
 そこで、まず装備の問題でございますが、一昨日の土曜日、衆議院の予算委員会におきまして、民社党から国産の短SAM――短距離地対空誘導弾についていろいろな欠陥が挙げられまして、国費のむだ遣いである、ここ数年で三千億円ものむだ金を費やすのかという指摘がございました。防衛庁はそんなむだ遣いをしようとしておられるのでありますか、ここで明らかにしておいていただきたいと思います。
#244
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。
 結論から申し上げますと、そのようなむだ遣いは絶対に考えておりません。
 御指摘の国産短距離地対空誘導弾、いわゆる短SAMについてでございますが、これは多目標対象の――多数の目標にきわめて短時間に到達できる、また対電子妨害能力においてもすぐれております。また国産品でありますため、今後長期にわたる維持、補給の面からも有利な条件を備えたものでございます。ただ、衆議院の委員会で御指摘のありました点につきましては、まずテストの結果は、相当な悪天候下でも、たとえば雲の中でも命中したという試験の結果が出ておりますので、御心配はない点でございます。
 また白い煙を出すのだから発見しやすいという点もございましたが、相当な時間がかかりますので、相手が急に回避運動をいたしたとしましてもですね、白い煙を出すということ自体が重大な支障になるとは考えられません。
 また、敵味方の識別ができないのではないかという御指摘もございましたが、距離が比較の対象のローランドに比べますると約二倍もありますので、十分識別ができる、さように考えておるわけでございます。
 また値段の点につきましても、ローランドに比べ特に高くはない、いまのところせいぜい一割程度、将来量産もきくことでございますので、この点も重大な支障にはならないと考えております。
 また射場の点につきましても、詳細な検討を行っておりますので、必要な時期に訓練場を整備することができる。
 以上の理由で私どもはこれを採択することを決定したのでございまして、絶対にむだ遣いでないということを申し上げておきたいと思うのであります。
#245
○植木光教君 精強な自衛隊は装備だけではございませんで、それを駆使する自衛隊員が良質かつ訓練度が高くなければならない、これは言うまでもございません。しかし、聞くところによりますと、陸上自衛隊の充足率は第一線の中隊レベルで六〇%程度である、こういうことを聞いております。このようなことでは余りにもお寒い限りでございまして、平時の訓練にも支障を来すのではないかと思うのであります。この点についてお伺いしたい。
 もう一つ、自衛隊は精強でなければならないということを申し上げましたが、この五十六年度の概算要求におきまして幾分かの努力は払われておりますけれども、それでも隊舎、体育館、宿舎など隊員の生活環境整備に要する経費は軒並み対前年度を大きく下回っているという実情でございます。こういうことで優秀な隊員が集まるのかどうか、この点についてもお伺いをいたしたいと存じます。
#246
○国務大臣(大村襄治君) お答えを申し上げます。
 まず自衛隊の隊員の充足率についてのお尋ねでございますが、確かに御指摘のとおり、自衛隊が精強でありますためには、装備の改善と同時に精強な隊員の充足率を向上させることが重要でございます。いろいろな事情もございまして、陸上自衛隊の平均充足率八六%という現状は決して私満足できるものではないと考えておるわけでございます。
   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
そこで今後ともこの充足率を全体として向上することにつきまして努めてまいりたいと考えているわけでございます。五十六年度の概算要求におきましてもこの点に配意いたしまして、若干の引き上げができるように予算措置をお願い申し上げている点でございます。
 また、装備の改善等のために隊舎等の隊員の福利施設が圧迫されているのではないかというお尋ねの点でございますが、五十六年度の概算要求におきましては質の向上を図るということを重点で進めておりまして、装備の改善でございますとか、訓練用の油の確保でございますとか、そういった点に重点を置いておりますので、隊舎あるいは体育館等が前年度に比べて若干伸びが少なくなっているという点はまことに遺憾でございます。しかしながら、隊員の衛生施設あるいは離職者の指導、対策等につきましてはかなり力を注いでおるわけでございまして、御指摘の点につきましても、今後一層きめ細かい対策を講じてまいりたいと考えている次第でございます。
#247
○植木光教君 最近の経済の問題でございますけれども、かげりが目立ってきたのではないかというふうな印象を持っております。民間消費は伸び悩んでおりますし、住宅投資は低迷している、輸出も大変厳しい。また設備投資でございますけれども、中小企業の設備投資意欲は落ちている。政府が物価と景気の両にらみの政策をとっておられるということは評価をしておりますけれども、早いテンポで景気が鈍化していくのじゃないかというおそれもあるのでございます。経企庁長官に本年度下期の成長経路あるいは実質成長率四・八%は確保できるのかどうか、その点についてお伺いいたします。
#248
○国務大臣(河本敏夫君) 景気の現状につきましては、先ほどお述べになりましたとおりでございまして、九月の初めにことしの下半期における経済の活力を回復したい、こういうことで一連の対策を進めることにいたしました。この一連の対策は内容的には現行予算の枠組みの中でやりくりしたものですからそう強力なものではございません。しかしながら、景気の方はまだかげりが出始めたという現状でございますから、この程度の内容でも十分効果があると期待をいたしております。
 十一月の末ごろにはまた再びいろいろな経済指標が集まりますので、その時点でどの程度の効果が出ておるかということにつきましてもよく相談をしたいと、こう思っております。そして、ことしの下半期、経済の活力を拡大いたしまして年度間四・八%という経済成長はぜひ達成したい、こう思っております。そして来年の経済運営につないでいく、こういう考え方で経済対策を進めていくつもりでございます。
#249
○植木光教君 御努力をお願いいたします。
 通産大臣、中小企業についてでございますが、本日の発表によりますと、九月の倒産件数は千六百件を超えたということでございます。中小企業がわが国経済で非常に大きな役割りを果たしているということはもう言うまでもございません。いろいろな試練もございましたけれども、その都度それを克服しながらわが国経済発展のために努力を続けてきてくれたのが中小企業でございました。
 そこで、まず年末に向かいまして中小企業金融などが逼迫をするということも予想されるのでありますが、大丈夫でございますか、お伺いいたします。
#250
○国務大臣(田中六助君) お答えいたします。
 確かに植木委員御指摘のように、九月の倒産が千六百四件だったと思います。私も非常に頭を痛めておるわけでございまして、ことしの五月からずっと千五百件、あるいは千三百件、千五百件、千四百件、九月が千六百四件ということで、その上冷夏、冷たい夏というようなこともございまして、中小企業の受けておるダメージは大きなものがございます。一応政府は物価とそれから景気の両にらみということでまいっておりますけれども、物価の方ももちろん少しも安心はいきませんが、私は景気のかげりがだんだん深みに入っているのじゃないかという懸念を持っております。したがって、中小企業対策でございますが、政府関連の三機関――中小企業金融公庫、商工中金、国民金融公庫と三つ、政府の三機関でございますが、これを昨年実績比の二六%アップの一兆六千五百億というものを一応考えております。またこれは毎年年末はそういう対策をとるわけでございますけれども、年末も昨年に劣らないような対策は一応考えております。
#251
○植木光教君 中小企業に関連をいたしまして通産大臣にお伺いいたします。
 都市の若年層が最近地方都市や農村にUターン現象を起こしている、御承知のとおりでございます。地方の時代ということは先ほど総理からもお答えがございましたが、地域経済というものはそれぞれ活発でなければならないと思います。この場合、従来のように重化学工業を地方に誘致するというようなことはもう大変なことでございますから、それぞれの地域経済の中核となっている中小企業を育成していくこと、振興していくことが大事であると思います。具体的に申しましたならば、伝統産業を初めといたしまして、地場産業を育成するということが大変大事だと思うのでございます。これの振興策についてお伺いをいたしたい。
 また、この地場産業を振興いたしますためには、それぞれ地域は特性を持っているわけでございますから、その特殊性、自主性というものを尊重するという意味で地方公共団体とも連絡をとる、また地元の人々の意見も聞く、こういうことでなければならないと存じます。御所感及び御決意をお願いいたします。
#252
○国務大臣(田中六助君) お答え申し上げます。
 地場産業の育成ということでございますが、もちろん一九八〇年代に臨みまして地域経済の振興というものは至上命題でございます、お説のように。したがって、京都の場合などもそうでしょうが、伝統工芸品の産業の振興というようなことは当然考えておかなければなりませんし、伝統工芸品の産業振興につきましても後継者の育成あるいは情報の収集とかいうように根本的な問題の解決をしなければならないところが多うございますし、その他、産地中小企業対策とかいろいろ私どもも地場産業の育成には頭を向けておるわけでございます。
 しからば、具体的に地場産業の育成にはどういうものを考えておるかということでございますけれども、前々から地場産業については一応考えておりますけれども、私ども目下考えておる地場産業対策といたしましては、地場産業ビジョンの作成というところで補助金を考えております。これは金額にして約二億五千万円程度でございましょうが、これは一県当たり一千百万円ぐらいになるかとも思います。それから地場産業振興補助金と申しますか、そういう制度を新しく設け、また金利は七・三%から八・三%ぐらいで二千万円を限度として貸し付けるというような地場産業対策というものも十分考えておりますし、植木委員御指摘のように、こういうことを実行する場合は県知事あるいは市町村長、そういうような地方の首長あるいは地方議会、そういうものと十分連絡をとってその地方にマッチした対策を具体化していきたいというふうに考えております。
#253
○植木光教君 経済企画庁長官にお伺いいたしますが、最近、大変経常収支、国際収支が赤字になってきた、これは年率で百五十億ドルになるのではないかというような見通しがございます。貿易立国を旨としている日本でございますから輸出をしなければならないわけでございますが、この輸出も大変いまむずかしい国際環境がある、経済摩擦もある、そういうような状況の中で一体この百五十億ドルという大きな経常収支の赤字が出るという見通し、この収支を一体どういうふうに改善をしていかれるか、経済企画庁長官の御意見をお伺いいたします。
#254
○国務大臣(河本敏夫君) 新年度になりまして、四月から七月までの経常収支の動きを見ておりますと、年率に直しまして約百七十億ドル近い赤字になります。そこで私どもも大変心配をしておりましたが、八月以降だんだんと改善をされまして、最近では相当減る方向に進んでおります。ことしの初めには五十五年度の経常収支の赤字は九十一億ドルぐらいと想定をしておりましたが、おおむねその前後でおさまるのではないか、比較的いい方向にいっておると考えております。もう少し動きを見きわめまして、経常収支の赤字が減るような方向にいろいろ工夫をしてみたいと考えております。
#255
○植木光教君 物価の問題でございますが、原油価格、ここ一年半ぐらいで約二・五倍になりました。しかしながら、官民挙げての努力によりまして、いわば世界的に申しますと、物価情勢としては非常に落ちついている方で、優等生の方であるということは喜びにたえません。しかし、やはり消費者物価は前年比上昇率で見ますとだんだん高くなってきておる。六・四%に抑え込むことができるかどうか、この点についてお伺いをいたします。
#256
○国務大臣(河本敏夫君) 消費者物価のことしの目標は六・四%でございますが、四月以降おおむね八%台で推移をしております。七月は七%台になりましたが、大体八%でずっと続いておりまして、私どもも大変心配をしておりますが、幸いに最近異常気象による生鮮食料品の値上がりもある程度鎮静をしてまいりました。これからはだんだんと下がる方向に行くのではないかと考えておりますが、先月の五日、景気対策を決めます際に、物価対策が一番大事である、物価対策は単なる物価対策ではなく、このこと自身がまた景気対策にもなるんだと、こういう判断のもとに六項目にわたる消費者物価対策というものを決めたのでございます。現在は、この六項目の対策を強力に進めていきたいということで関係各省との間で十分連絡をとりましていま進めておるところでございます。六・四%という目標をぜひ達成をするためにあらゆる工夫と努力を今後とも続けてまいりたいと考えております。
#257
○植木光教君 実質賃金が低下をしてきたということで大変大きな社会的な問題になりつつあるわけでございますが、労使関係は政治あるいは経済、社会の動向に大きな役割りを果たすわけでございます、影響を及ぼすわけでございます。
 労働運動を最近見てみますと、雇用問題の重視であるとか、賃金闘争における実質賃金の確保、さらにまた、国民世論への慎重な配慮などきわめて現実的になってきておりますし、労使間でよく話し合いをしようという機運が出てきているということは心から敬意を表するものでございます。けさほども御決意をお述べになりましたが、労働大臣、この実質賃金をさらに確保していこうという問題について、これは労働大臣だけでできるわけではございません、政府全体の課題でありますが、労働組合の主管大臣としてお伺いをいたしたいと存じます。
#258
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。
 けさほども申し上げましたとおりでございまして、お説のとおり、ただいままた経済企画庁長官が申し上げましたとおり、非常に私どもはこの実質賃金の低下、こういった傾向に歯どめをかけなきゃならぬ、そうして、どんなことをいたしましても消費者物価を六・四%に抑えまして、今日の良好な労使の関係を来しておりますそういうお互いの認識、こういったものを統一をさせていかなければならぬ、かような立場で、総理大臣を中心にいたしまして、特段に経済企画庁長官のお骨折りをちょうだいいたしまして、私どもの願い、どんなことをいたしましても達成をいたしたい、かようなつもりで努力をいたしておるところであります。
#259
○植木光教君 厚生大臣にお願いをいたします。
 働く婦人が最近非常に多くなってまいりました。これに関連をいたしまして、いま非常に大きな社会問題が起きているのでございます。それは無認可保育施設のうちベビーホテルと呼ばれるものでございます。もちろん国は、地方自治体やあるいは民間団体とともに、年々保育行政の充実を図られてきているのでございますけれども、このベビーホテルと呼ばれるものには何らの法的な規制もございませんし、行政的な措置も行われていません。これは約十年前から全国に設置せられまして、二千カ所以上あるのではないかというふうに言われているのでございます。中には金もうけ主義の保育企業があらわれてまいりまして、各地で乳児や幼児が死亡事故を起こす、その他の事故も起こすというようなことが出ております。まことに憂慮にたえないのでございます。厚生大臣にひとつ注意を喚起を申し上げまして、その実態を早く掌握をしていただきたい、そして積極的にこの問題にお取り組みをいただきたいということをお願いしたいのであります。
#260
○国務大臣(園田直君) 正規の保育所で十分対応できない乳幼児、それから夜間保育、こういうものが問題でありますが、これはなかなか非常にむずかしい問題を含んでおります。第一は、乳幼児は短時間のうちに健康が急変をする。第二番目には、学者の中には乳幼児を夜間あるいは一時母親から離すことは子供の成長上おもしろくないなどという意見もございます。しかしながら、一方には御指摘のとおりに、働く人や、あるいは旅行やその他の関係で乳幼児やあるいは小さい子供を預けていくということで需要がふえているわけであります。
 そこで、一方には対応はしなきゃならぬ、一方にはどんどんふえている、そういうわけで無認可のいわゆるベビーホテルというのがたくさん出ておりまして、推定では二千三百ぐらいになっておるんじゃないかと言われております。施設もきわめて危険でありまして、また、それを取り扱う人は無資格の方であります。無認可でありますから規制の方法もない。しかし、一方ではふえる。これは大変なことでありますから、いまおっしゃいましたとおり、直ちに実態調査をして、これに対する対応の処置をやれということを指示しておるところでございます。
#261
○植木光教君 農林大臣にお伺いをいたします。
 冷害等の異常気象によります農作物の被害は非常に大きい。大変困っておられる被災農家が早く立ち上がらなければならない、立ち上がれるようにしていただきたい。これはもう多くの人々から指摘をせられ、大臣も決意を述べられているところでございますから、早急に手を打ってくださるようにお願いをいたしまして、まず第一番目に、食糧政策の基本についてお伺いをいたしたいと存じます。
 食糧というものはこれはもう生活上欠くべからざるものでありますし、代替物でかえるというわけにはいかない基礎的な物資でございます。これを安定的に供給をしていくというのが農林水産省の重要な任務であるということは申し上げるまでもございません。しかしながら、現在でもわが国の食糧の自給率は全体で七三%、穀物は食用と飼料用を加えると三四%、米はともかくといたしまして、食用小麦は六%、豆類は九%で、そのうち大豆はわずかに五%しか自給をしていないという状況でございます。農産物の国際需給というものも将来不安定になってくるということも考えられますので、一体この農産物の食糧の長期需給見通しというものを農水省ではどのように考えておられるか。十年後のもので結構でございますからお示しをいただいて、国民に安心をさしていただきたいと思うのでございます。
#262
○国務大臣(亀岡高夫君) お答えいたします。
 冷害による被災農家はいま非常に苦労をいたしておるわけでございまして、御指摘のとおり、この対策には万全を期して、五十一年度に行いましたよりも――五十一年度はたしか天災融資法、激甚災に基づく、あるいは自作農等の閣議決定は十一月の二十六日、公布が二十九日ということになっておりますが、今回はそれよりも早く、公布は十一月の十日から十五日くらいの間にやるように、いま全力を挙げて処置をいたしております。そのほか種もみの問題でありますとか、飯米の問題等々、二十数項目の党の方からの要請もございます。その点につきましては、事務当局として、全力を挙げて実施の速やかなることを期待をいたしておるわけであります。特に、この農業共済資金は収穫皆無の農家にとってはもうのどから手が出るほど急ぎの資金でございますので、これはもう概算払いということで、災害の認定のでき次第支払いをするようにすでに通達を出しておるところでございます。十一月いっぱいで、被災農家が本当に落ち着いて、とにかく来年の再生産をやる意欲を持ってもらえるようにできるものと確信を持ってやっておる次第でございます。
 食糧の問題についての御指摘でございますが、いま仰せのとおりでございます。国内産の食糧、輸入食糧、特に輸入食糧につきましては、安定的なやはり協定というものがございませんと、飼料等あるいは小麦等、大豆等、トウモロコシ等、非常に多量な二千万トン以上の輸入をいたしておるわけでございますので、これの安定輸入ということについては最善を尽くしておる次第でございます。
 御承知のように、国内食糧につきましても、米は一一一%の自給率を持っておりますが、果物、それから野菜等についてもその大部分を国内で賄っておる。畜産関係の牛乳等についても、肉類等につきましても、八〇%以上の自給力を持っておるわけでございますが、残念ながら、小麦とか大麦、裸麦、さらには大豆等につきましては、これはもう本当に一〇%以内の自給率しか持っておらない、こういう事情でありますので、何といっても米は一一一%の自給力は持っておりますけれども、そのほかは非常に自給力が低い、ここに非常に問題があるわけでございます。この点は、米の生産調整を一方で強力に推進をしながら、そのかわり国内で生産する小麦、特にめん類等に充当する小麦は全部国内産で賄うようにしよう、十年後は少なくともそこまで持っていこう、それから豆類等につきましても、納豆とか豆腐とか、そういうものの食用にする大豆は少なくとも十年後には国内で六割程度を自給するように持っていこう、こういうふうにいたしております一方、えさ関係におきましても、穀物――トウモロコシとか、あるいは麦類でありますとか、えさ関係の面につきましては、これはなかなか穀物として国内で生産することはむずかしゅうございます。しかし、えさ米等の試験研究等を行いまして、また粗飼料の増産ということにも全力を挙げて飼料の自給力を上げていきたいと考えております。少なくとも今日の自給力よりも下がらない――上げることはもう非常にむずかしゅうございます。しかし、国会でそういう点も踏まえて自給力を強化しろという御決議もいただき、しかも将来の農政進展のために、いままで非常に隘路でありました規模拡大、経営面積の拡大ということが法律的に非常に困難であったところを国会で処置をしていただきましたので、そういう面に対しても来年度から積極的な政策を展開をいたしまして、生産性の向上というものと同時に、自給力を強化していくという農政を強力に展開していきたい。それがためには、どうしても一つ踏み越えなければならない、やっぱり六百五十万トンの過剰米、これが将来の農政推進に非常に大きな一つの足かせのような形をとっておりますので、この点についても慎重に党の方と連絡をとって処置をしてまいりたいと考えております。
#263
○植木光教君 農林水産大臣、米の消費が減退をしておりますが、これはいつまで続くというふうに考えておられますか。
 それからもう一つ、今後日本人の食生活、いろいろ変わってくると思うのでございますが、いまの日本人の食生活は、欧米人も大変いいということでまねをし始めているような状況でございますが、将来栄養的に考えてみて、いまのような日本の食生活というものは少し変化をしても大丈夫であるかどうかという点についてお聞きいたします。
#264
○国務大臣(亀岡高夫君) 米の減退はいつごろ停止するかという御趣旨でありますが、十年後にはまだ減退の方向をとめることが非常にむずかしいような情勢である。と申しますのは、終戦後食糧が非常に困難な時代に、やはり米を食うといろんな面に障害を来すというような、誤った学説等もはびこりまして、学校給食等はすべて粉食という形で三十年間奨励をしてきたわけであります。したがって、その影響が最近とみに出てきておるわけでありますから、やはりこれからも学校給食面等は米によってやっていこうという、文部省の方も大分形を変えていただいておりますので、やっぱり根気強く――日本で一番よく生産される、農村地帯ではもうこれ以上の生産に適した作目はないわけでありますから、一番日本の風土に適しておりますお米を主食として、やはり二千年以上もこれで日本文化をつくってきたわけでありますから、そういう方向に強力に指導していきますとともに、米を中心にした日本の食構造というものが最近アメリカあたりで非常に見直されておるわけであります。大体二千五百カロリーになっておりまして、脂肪と炭水化物とたん白質、これが非常に調和よく摂取されておるということで、まあアメリカあたりは脂肪が非常に多く摂取されておりますので、アメリカ的な食構造というものは、これはもう見直さなければいけないということで、御指摘のように、日本のいわゆる米を中心にした食メニューと申しますか、こういうものに大変興味を示してきておるということでございますので、この点は、私は、最近、日本の平均寿命等もぐっと延びてきておりますのもそういう点からであろう、こういうわけでございますので、御心配は要らない、こういうことでございます。
#265
○植木光教君 大蔵大臣、大蔵省が九日に発表せられました、いわゆるゼロリスト、来年度の歳出の伸びがゼロになった場合にはどんな問題が起こるかと、これが発表せられますや、与党といわず野党といわず、大変批判、非難が巻き起こってまいりました。国民の中からもいろいろ不安の声が出てきております。しかし、よく考えてみますと、これは大蔵省が来年度こういうふうな予算編成をいたしますというのでもなければ、政府が来年度にはこうなりますということを言っておられるわけではございません。言いかえましたならば、もし伸び率がゼロであるならばどうなるかという、いわば単なる一つの資料にすぎないと思うのであります。それが非常にみんなに不安を呼び起こしてしまった。私は、こういう批判や非難を行いましても、一片の資料が相手でございますから、これで財政再建ができるとは思っておりません。財政再建というのがいま非常に大切なときでありますから、私はこの資料をむしろ冷静に判読をして、与党も野党も政府にこのような予算を組ませないためには一体どうすればよいか、また国民は、今後もお年寄りや心身障害者などに対する福祉や、あるいは子供たちに対する文教政策などで、どういうふうに後退をさせずに前進をさせればよいかということを考える資料にすればよろしいというふうに私は思うのでございます。国民にとっては国の財政というものは自分のふところなんでありますから、特にそういうふうに思います。私は、ここで建設的にこの資料を土台にして大いに論議をすべきだと、こういうふうに思います。大蔵大臣、いかがでございますか。
#266
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大体御趣旨のようなことでございますが、この資料は、財政審議会から要望があって、仮に四兆円程度の自然増収が出た場合においても、それは国債減額に二兆円まずとりますから、あと二兆円しか残らぬじゃないか。そうすると、二兆円のうち、国債の利払いが一兆五千億ふえますから、それを引くと五千億しか残らぬじゃないか。しかし、税金が四兆円もふえれば当然地方交付税が出るわけですから、そうすると、もう全然なくなってしまう。したがって、そうなった場合はどうなんだと。それは一般歳出はことしと全く同じですと。ですから何らかしなければなりません。全く同じな場合はどういうふうな問題点が出てくるか、わかりやすく例示的に出してみてはどうかということなので書いたもので、他意はないんです。みんな大騒ぎしておりますが、これは騒ぐことは何もないんであって、要するに予算はつけないんじゃないんですから、予算はことしと同じだけつけますよ。ことしと同じだけつけても、それじゃどうなのかというと、来年はベースアップはできないんですかと。同じ予算ですからベースアップできませんね。それから、生活保護はそれじゃ物価修正でスライドできないんですかと。同じ予算ですからそれはできませんねというようなことなどをわかりやすく実は書いたものであって、大蔵省の方針でもなければ何でもないんです。
 なるほど、そういうことならば、予算が同じでもそれだけ騒ぎになるとすれば、予算を切れというのですから、切られたらもっと騒ぎになりますね、切らなくてもそれだけ騒ぎがあるんですから。ですから、どこをそれじゃ切ったらいいのか。それから、それはどうしても切ってもとても切り足りないという場合には、どういうふうな方法でどうしても切れないところを穴埋めしていくか。大いにこれは皆さんからも、大蔵省が独断専行いたしまして問題を起こしても困るわけですから、皆さんからもお知恵を拝借して、これからめりはりの効いたいい予算をつくっていきたいと、そういう考えでございます。
#267
○植木光教君 エネルギー問題、特に原子力問題についてお伺いいたします。
 国の安全保障にとりましても、あるいは経済の発展、国民生活の安定にとりましても、エネルギー問題は重要であり、とりわけ原子力開発についてはきわめて重要なものであるというふうに私は認識をいたしております。石油代替エネルギーの開発ということもいろいろ努力をしていかなければなりませんけれども、早急に大規模な開発ができるというものではありませんから、やはり何といっても当面、原子力と石炭の開発と導入である、特に原子力の開発であるというふうに思うんであります。通産大臣、この推進強化策についてお尋ねをいたします。
#268
○国務大臣(田中六助君) お答えいたします。
 植木委員御指摘のように、エネルギー対策、これまた頭の痛い問題で、いま日本は石油の依存率が七〇%あるいは七三%というふうに言われております。これをいずれにしても十年後に石油依存率を五〇にしようという大きな計画を持っております。したがって、手っ取り早くするにはどうかということをいろいろ考えまして、御指摘のように原子力発電所、それから石油代替エネルギーということで、石炭なども頭に置いておりますけれども、まず第一にエネルギーの安定確保ということが第一眼目、それから省エネルギー、それから第三番目に石油代替エネルギーということで、この三本柱を、十年後五〇%に石油依存率を落とすということでこの三大目標を掲げておるわけでございますが、御指摘の原子力発電所は現在二十一基ございます。計画中のものがそのほか七基、これはすでに着工している分もございます。それから、着工準備中と申しますか、それが七基ございます。したがって、全部で三十五基は予定されておりますけれども、これとてもなかなか日本の特殊性、広島、長崎というような問題もありまして、原子力アレルギーと申しますか、そういうことでなかなか遅々として進んでいないのが現状でございます。したがって、この安全性というものをまず第一に頭に置きまして、安全研究、安全の施設、試験、そういうものについては毎年毎年資金を導入いたしまして研究開発をして、いかに安全であるかということを、原子力発電所そのもの、原子力発電そのものに試験、テストをやって、安全性の訓練、研究を続けると同時に、原子力発電所の立地、そういう部門に対する補償といいますか、いままで助成の交付金を出しておりましたけれども、これをさらに多くしようということを考えているわけでございまして、具体的には立地の方面に、原子力発電所立地市町村そのものと隣接市町村、そういうものに対して交付金をたくさん出そうということを考えております。いま電源促進税と申しますか、そういうものがちょうど三十銭ございます。これを、多様化勘定とそれから交付金勘定二つございますが、交付金の方をさらに四銭上げまして、現在八銭五厘を四銭プラスして立地の個別の市町村に出すと同時に、そこに来る企業にも出そうと、そういうふうにいろいろ原子力発電所設置についての万全の措置も講じようというのが現状でございます。
#269
○植木光教君 科学技術庁長官、原子力発電についていまお話がありましたけれども、自由主義国家と言わず、共産主義国家と言わず、社会主義国家と言わず、世界的に多くの運転をしている原子力発電所でございます。この実績を見ると、今日まで周辺の人々だとか、環境が汚染されて障害を与えたというような例は余り聞いたことはございません。そこで、どういうふうにして安全性を確保していくか。この安全性について、不安を与えないようにしていただきたいので、この点についての御見解をお伺いをいたしたいことと、もう一つは、発電所から出る低レベルの放射性廃棄物の海洋処分についていろいろ問題になっているところでございます。国民の間や太平洋諸地域におきましてもこの不安があるわけでございますけれども、試験的な海洋処分を早くやらなければならないという命題もあるわけであり、この二点についてお答えをいただきたいと存じます。
#270
○国務大臣(中川一郎君) 原子力発電の必要なことについて御指摘があり、また通産大臣からも答弁がありましたが、私も科学技術庁に入りまして、いかに原子力発電が大事だか、国際環境が非常に厳しくなっておりますだけに、五年先、十年先のことを考えると、日本は非常に心配である。私、フランスに参りまして驚いたのは、現在すでに二〇%が原子力発電である。そして十年後には七三%まで原子力発電に切りかえる、こういうことでいろんな研究開発、いわゆる核燃料サイクルの問題、あるいは廃棄物の問題、あるいは安全性の問題について日本とは全然違った、非常にうまく進んでいるのを見て、日本を振り返って暗たんたるものだなあという感じがいたしました。そこで、安全性について、フランス国民の皆さんが、立地についてそんなに反発ないかと言ったら、この国では幸いにしてありません。実は共産党も社会党も積極的に御協力いただいておりますということを聞きまして、まあ、わが国では原子爆弾の洗礼を食っておりますからいたし方はないとしても、ぜひとも国民に安全性について理解をいただいて、一朝有事に備えて、これからの国際環境に備えて、代替エネルギーについてはしっかりやっていかなきゃならない。わけても原子力はもう世界的に定着しておりますので何としても進めたい。それに当たっては原子力の安全性が一番大事でございます。これにつきましては、原子炉等の法規、安全に関する法規がございます。これに基づいて十分な審査を、念には念を入れての審査をするだけじゃなくて、原子力委員会を二つに分けまして、原子力安全委員会というのをつくって、民間レベルの人にも入っていただいて十分な審査をする。すなわちダブルチェックをして、万々が一にも安全を損なわないようにしていく。特にスリーマイルアイランドの事故がございましたので、あそこの経験を生かして改むるべきはさらに改める、こういうこともやりまして、安全については国民の皆さんの理解が得られるように、われわれ努力もするし、また国民の皆さんにも理解していただくようにぜひともお願いしたいものだと、こういうようなことでやっていきたいと思います。
 次に、海洋投棄の問題が、いわゆるローレベルの廃棄物の処理で国民の皆さんにいろいろと批判をいただいております。まあ新聞その他では、何か日本でできたものをよその国へ行って投げてくるんじゃないか、自分のところでやるなら自分のところでやったらいいだろうという意見もございますが、実はこの低レベルの廃棄物処理の問題は、わが国だけじゃなくて、これまた世界じゅうの問題でございまして、国際的な機関がそれぞれございます。いわゆるロンドン条約に基づいて国際原子力機関――IAEA、この前私行ってきたところでございますが――が定めた安全基準、あるいはOECDに原子力機関というのがございます。ここは監視機構をやっておりまして、そういった国際的なルールに従ってわが国も実施したい。ロンドン条約には加盟することの国会承認をいただいておりまして、十一月中には発効の予定でありますし、OECDの原子力機関による監視機構にも近々入っていく。こういうようなことで、国際的なルールに従いながら、一方昭和四十七年から海洋投棄について調査を進めた結果、原子力安全委員会も安全であると、こういうことから、海洋投棄を試験的にやろうと、こういうことでいまとり進めておるところでございます。それにはやはり水産業界の御理解あるいは国際的な理解が必要でございますので、資料の提供あるいは状況の説明等を粘り強くやりまして、この低レベル廃棄物の処理をしていきたいと、こう思っております。ぜひとも御理解のほどをお願い申し上げます。
#271
○植木光教君 文部大臣に一つだけお伺いをいたしますが、人口が高齢化してまいりましたし、また高学歴化してまいりましたし、自由時間が多くなってまいりました。早く申しますと、生涯教育の必要性というものが非常に求められているわけでございます。たとえば、十年来調査研究、検討がなされてきました懸案の放送大学でございますけれども、これが設立されましたならば、社会人や家庭婦人あるいは高等学校卒業者などにとって大変重要な役割りを果たすと思うのでございます。この必要性をどういうふうに考えておられるか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#272
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 だたいま御質問のございました生涯教育の問題は、今日の日本の当面いたします最も重大な問題であろうと。御案内のとおりに、学校教育の整備充実という問題とあわせまして、さらに家庭教育あるいはまた社会教育、そういう面におきまして、この生涯教育の中におきましても、特に大学というものの最も高度の、あるいはラジオ、テレビを活用いたしまして、そうしてこの生涯教育にさらに一層の光彩を添えるためには、どうしても放送大学というものの早期の実現をいたしたい。御案内のとおりに、皆様方の大変な御協力によりまして、放送大学の構想というものは、すでに十年近くも経過いたしておるのでありますが、この放送大学が実現することによりまして、今日の高等教育を受けました高卒の、さらに正規の大学といたしましての資格も与えることができ、あるいはまた家庭の婦人やら高年層、あるいは生きがいといったような老人の方々に対しましても教養をお与えすることができ、文化的な面から申しましても、この放送大学の早期の実現こそが、当面いたしました私は最も重要な施策であろう、生涯教育の上から申しまして、ぜひ皆様方の一層の御協力を仰ぎたいと、かように考える次第でございます。
#273
○植木光教君 行政改革についてお伺いをいたします。
 政府が戦後最大の行政改革に取り組んでおりますときに、公務員の人員整理が実施できないのは、去る昭和四十四年の参議院内閣委員会における総定員法の附帯決議に、「公務員の出血整理、本人の意に反する配置転換を行なわないこと。」とあるので、これに拘束をされているんだということが伝えられております。しかし私は、この決議では、残酷な首切りだとか無理やりの配置転換はいけないと言っているのであって、行政需要に見合って人員整理を行うということはやはり必要であり、国民も期待をしているのではないか。それがなければ国民の理解は得られないというふうに思うのでございますが、長官の御所見を伺います。
#274
○国務大臣(中曽根康弘君) あの当時の政府の国会答弁等を見ますと、出血を伴う行政整理は行いませんとか、あるいは本人の意思に反する強制配転は行いませんとか大臣が答弁しておりまして、それから佐藤総理大臣も似たような答弁を実はなすっております。やはり国会の答弁は尊重しなければなりませんのでこういうことになっておるのであると。あの決議が存する限りはそれを遵守するのがやはり正しい態度であろうと。もしそういう政策を変える場合には、やはりあの決議をどういうふうに処理するか、国会内部でひとつお決めいただくことが適当であろうと、こう考えております。
#275
○植木光教君 この点については私どもも与野党で大いに論議をいたしたいと存じます。
 次に、総務長官にお伺いいたしますが、いま公務員は、中央地方を合わして四百五十万人でございます。それぞれみんな職責を十分に果たしてはおられますけれども、しかしそうでない人もある。まじめな公務員の労苦には十分に報いなければならないと思うのでございますけれども、公務員諸制度というものは国民の信頼と協力を得なければならない、明朗なものでなければならないと思うのでございます。しかしながら、民間に働く人には定年制があるが公務員にはない、退職手当は民間よりも約一〇%高い、また、悪平等に陥っておりまして、勤務成績に応ずる人事運用が実現されていない、こういうようなことでございます。総務長官は、公務員の立場に立つときは立つ、しかし正すべきは正すという姿勢でなければならないと思いますが、いかがでございますか。
#276
○国務大臣(中山太郎君) 植木委員のお尋ねにお答え申し上げます。
 御指摘のように、国家公務員が、三公社を除いて百十九万、地方公務員が三百十九万人おられるわけでありますが、昨年の人事院勧告を尊重する際に話が出まして、民間のいわゆる退職金と公務員の退職金と比べてみると、民間より公務員の方が高い、こういうことで、今年退職手当の一割削減ということを法案の改正をもって国会で御審議を願うということで、国会に法案を提出さしていただいているようなところでございます。
 また、定年制の問題につきましては、大企業、中小企業を初めほとんど定年制をすでに民間ではやっております。こういうことで、今回、昭和六十年をめどに六十歳の公務員に対しては定年制を施行したいということで法案の提出をいたしまして、御審議をいただくようなことになっておりますので、ひとつ一日も速やかに法案の成立をさしていただくようにお願いを申し上げる次第でございます。
 なお、公務員の方々が真剣に働いていただくということが政府、公共企業体においても非常に大切なことであり、その基本をなすものは労使の信頼関係であると私は考えております。民間から見れば、役人仕事とか親方日の丸というような言葉もよく聞かれます。私どもは、公務員の方々に対して綱紀を厳正に維持していただくということは、これは国家公務員法の九十六条に規定してあるとおりでございます。私どもとしては、その一面、人事院勧告の完全実施ということがここ数年来の政府の姿勢でございますが、目下、今回人事院からいただいた勧告につきましても、これの実施については、御案内のように財政事情は非常に厳しい中で、やはり国家公務員あるいは地方公務員の生活の内容を安定さすためには、ぜひとも完全実施の方向に向かいたいということで、財政当局と鋭意折衝中でございますので、その点御理解をいただきたいと思います。
#277
○植木光教君 憲法問題でございますけれども、先日、ある新聞に一人の主婦のコメントが載っておりました。「時代の流れに伴い、憲法も完全無欠なものではありません。野党は追及ばかりしていますが、改正する点が全然ないと思っているのでしょうか。野党でも改正の余地があると考えるなら、追及ばかりではなく、国民が論議し、よりよい憲法に改める方向を考えてもよいのではないでしょうか。」、こういうものでございます。同じような趣旨の文章が投書の形で幾つか新聞に掲載をされております。
 ここに一つの御披露したい資料がございます。これは昭和二十一年に衆議院で行われました憲法議会の討論の議事録でございますけれども、この議事録の中で共産党の野坂参三議員は、「原案全体ニ対シテ反対ノ意見ヲ述ベタイト」存じますということで、ずっと現在の憲法制定のときに反対をしておられる討論がございます。
 いろいろ書いてございますけれども、一つ二つ申し上げますと、「参議院ハ我が国民主主義化ノ妨害物デアルト云フコトが出来ル、此ノヤウナ有害無益ナ時代錯誤ノ代物ヲ憲法カラ一掃スルコトデアル、」こういうことを言っていらっしゃる。その後、この参議院には当の野坂参三議員が議席を持たれたのであります。現に共産党の委員長も副委員長も参議院に議席を持っておられるというようなことです。それから、重大なことは、憲法第二章は、これは御存じの戦争放棄でございます。第九条が二章に一条あるだけでございます。「当憲法第二章ハ、我が国ノ自衛権ヲ拠棄シテ民族ノ独立ヲ危クスル危険ガアル、」と、これを反対理由にしておられるのでございます。いろいろありますけれども、最後の討論のときにこう言っていらっしゃる。「ソレ故ニ我々ハ当憲法が可決サレタ後ニ於テモ、将来当憲法ノ修正ニ付テ努力スルノ権利ヲ保留シテ、」反対討論といたしますと、こう言っておられるのであります。共産党はこういうふうに現在の憲法に反対をし、修正をするという権利を留保されたまま今日に至っておられる。
 その証拠に、日本共産党の現在の綱領におきましてこういうものがございます。これは戦後のことでございますが、「一連の「民主的」措置がとられたが、アメリカ帝国主義者はこれをかれらの対日支配に必要な範囲にかぎり、民主主義革命を流産させようとした。現行憲法は、このような状況のもとでつくられたものであり」、こういうことを言っていられる。先ほどから論議せられている、いわゆる占領軍が指示したのかしないのか、圧力があったのかないのか、そういうことについて、共産党はそういうものがあったんだというふうに暗にここで示されているわけでございます。それから内容でございますけれども、「一面では平和的民主的諸条項をもっているが、他面では」「反動的なものをのこしている。」、現在の綱領にこういうことを言っているわけです。反動的なものを残しておればこれは修正しなければならぬということになります。しかも、将来の問題でございますけれども、これは、「民族民主統一戦線政府は革命の政府となり、」と、こういうことが書いてありまして、そして、「君主制を廃止し、反動的国家機構を根本的に変革して人民共和国をつくり、」と、こういうことをうたっておられるのでございます。これは当然憲法改正ということにつながっていってしまう。憲法を変える、改正といいますか改悪といいますか、そういう方向につながっていくというのがこれは共産党の姿勢でございます。
 それから、社会党でございますけれども、日本社会党は、実はこの現行日本国憲法が制定をせられました議会において修正案を出しておられるのであります。私は手元にありますけれども、もう長くなりますので申し上げませんけれども、この修正案を提案をいたしまして、それが否決せられて、そして結局原案に賛成をせられたわけでございますけれども、そういう、いまの憲法ではいけない、やはりこういうふうに修正しようということを姿勢で示された。これは事実として歴史的に残っているわけでございます。
 それから、昭和二十九年の一月二十三日に、日本社会党の綱領でございますが、この発表されました綱領の中にいろいろ社会主義革命のことが書いてございまして、憲法に関するものといたしまして、「中央議会では安定した絶対多数の上に立って、社会主義の原則に従って憲法を改正し、基本的な産業の国有化または、公有化を確立し、行政司法の諸機関や教育、新聞、出版、放送などの諸機構を社会主義の方向に適応させる」と、こう書いていらっしゃる。これは憲法を変えるということでございます。これは、当時左派社会党と右派社会党に分かれておりまして、左派社会党が出したものだとおっしゃるかもしれませんが、現在の社会党というのは左派社会党が主軸になって、右派社会党は民社党に入られたわけでありますから、無縁だとは私は申せないと思うのでございます。
 そこで、鈴木内閣は、憲法三原則を堅持し、憲法を遵守し、現行憲法は改正いたしませんと、こういう明確な姿勢を出しておられる。それはそれで結構でございますが、現在のこの憲法には全く問題がないのかどうかということは、そうではないと思うんでございます。これについて活発な論議が国民の中や国会の場でもっと行われなければならない。そういう自由がなければならないのであります。特に国会は最も言論の自由が保障せられた場でなければならない。ところが、憲法に関する限り、最も言論の自由が窮屈な場になってしまっている、議論することさえタブーになっているというのでは、これは私は重大だと思うのであります。憲法九十六条に改正規定がある。二十一条では言論の自由を保障している。こういう規定がなぜこの国会で生かされないのであるか。私は、憲法論議と言論の自由の保障についての関係について総理にお聞きをいたしたい。
 また、これはわれわれの問題でございますが、国会の場で、与野党間で活発な議論を交わしていきたいと思うのでありますが、御所見をお伺いいたします。
#278
○国務大臣(鈴木善幸君) 憲法に対する所見を求められたわけでありますが、憲法を尊重し擁護する第九十九条の規定と、憲法の問題についていろいろ研究をし、論議をし、議論を闘わす――憲法九十六条にも改定についての手続等が明記されておるわけでございます。そういうことで、私はこのことは決して尊重義務と矛盾するものではない、このように考えるものでございます。私は一貫してそのことは明確に申し上げておるところでございまして、ただ、私の内閣においては憲法は改正いたしません。こういう方針を明確にいたしておりますので、この内閣における閣僚の諸君は、この意見を述べられる場合におきましても、誤解を招かないように慎重にやってほしい。こういうことを申し上げておるのでございます。
#279
○植木光教君 いずれにいたしましても、言論の自由というものは最大限に保障していかなければなりませんし、されなければならないということを強調しておきたいと存じます。
 最後に、先ほど総理は、心の豊かさということもお話しになりましたが、私は、文化の時代でありますので、文化というものを国政の基本に置く、この文化というものを、伝統的な文化は愛護し、またみずから新しい文化を創造する喜びを国民が持っていく、そのために国は努力をすべきであると思いますが、いかがでございますか。
#280
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国は美しい風土に恵まれております。そして古来から伝統的な固有の文化を持っておるわけでございます。私は、所信表明でも申し上げましたように、物質的な豊かさというものを追求するだけでなしに、心の豊かさというものを求めて国民はおるわけでございますから、そういう意味で、いま申し上げた伝統的な日本の文化というものを大事にしていかなければならない、またこれを発展をさしていかなければならない、こう考えます。そのためには、世界各国との文化的な交流も活発にしなければならぬと思いますし、また、日本の京都等にありますような文化的な遺産というようなものも大事に保存をしていかなければならないと、こう思います。学術、芸術、スポーツ、そういうようなものも盛んにいたしまして、国民生活が精神的な面におきましても本当に豊かな香り高い文化生活ができるようにと、こういう方向で今後の国政の運営に当たりましても努力をしてまいりたい、こう思っております。
#281
○植木光教君 和の政治というのは大変結構でございますので、これからもその精神でやっていただきたいと存じますが、和して同ぜずという言葉もございます。どうか道理を通した和の政治をやっていただきたい。無理が通れば道理が引っ込むというようなことでは大変でございますので、総理の強いリーダーシップを心からお願いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
#282
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、民主政治というのはそのプロセス、手続というものが非常に大事だと。繰り返して申し上げますが、民主政治というのはその手続とプロセスが非常に大事だと。一つの物事を決する場合には、十分論議を尽くし話し合いをされて、そしてできるだけそこにコンセンサスを求めるということが必要だと、こう思います。国会運営の場におきましても同様のことだと思います。しかし、国家、国民のためにこのことは重要である、そして大多数の方々がそういう方向を目指しておる、そういう方向に議論が集約をされておるという、そういう場合におきましては、私は、リーダーシップを発揮して、決断すべき場合におきましてはこれを毅然としてやってまいる、こういう考えであります。
#283
○植木光教君 ありがとうございました。
#284
○委員長(木村睦男君) 以上で植木光教君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#285
○委員長(木村睦男君) 次に、渋谷邦彦君の質疑を行います。渋谷邦彦君。
#286
○渋谷邦彦君 初めに、政府の政治姿勢について確認をさせていただきながら若干触れさせていただきたいと思います。何せ大変限られた時間でございますので、あれもこれもという議論を展開するには限度がございます。
 最初に、やはりいままでずっと当委員会でも午前中以来問題になってまいりました憲法問題、いま多くをお尋ねしようとは思いません。また、急速に燃え上がった、言うなれば活火山みたいな形をなしたこの憲法問題、ひとしきり休火山の状態に向かったのかなと、しかしまたこれがいつ火を噴くかわからない。それは将来の議論といたしまして、ただ、確認をもう一度させていただきたいことがあるわけでございます。
 先ほど来から鈴木総理の一貫したこの憲法に対する御主張というものは痛いほどわかりました。これは衆議院でも同じような繰り返しでございます。それ以上のことをお伺いしようとしても出ないであろうというふうに感じられるわけでありますが、自民党の政綱を見せていただきますと、明確に総理も述べられておりますように、平和あるいは民主主義、人権の擁護と、この基本的な理念については尊重すると、尊重しつつ堅持しながら自主的な憲法の改正の方向へ向けて取り組みたいと、こういう要綱がございまして、これは総理の答弁とうらはらをなすものであろうというふうに感じられるわけでございます。もちろん最終的には国民の選択にまつ以外にはないわけでございます。それはともかくとして、そういうような環境づくりというものが、恐らく、あるいは自民党がリーダーシップをとるかどうかわかりません、私は。ただ、国民が戸惑いを生じない、正確な判断を持つという、そういうやはり議論の展開というものが望ましいと思うんですね。これは、国民にとっても幸いなことだと私は思うんです。
 そこで、しきりに改正論議というものが今日まで言われてきました。消しても消しても、鈴木内閣は絶対いたしません、それもわかります。ただ、自民党の内部においても盛んに改憲の議論というものが行われている。こういったところで、やはり矛盾といいますか、そこに底流しているものは一体何であろうか。やはり、いまの植木さんのお話じゃありませんけれども、欠陥があるから、その欠陥を是正するために。短絡的な判断かもしれませんけれども、そういう見方が出てくる。じゃ、欠陥とは一体何だということになりますと、いままでのやはりいろんな議論の焦点をしぼってまいりますと、憲法第九条に帰着するのではないだろうか。そうしますと、総理の言われる平和主義というものは一体何なのか。あるいは、この憲法改正を図りたいというその主眼点が九条に置かれているとするならば、もし仮にその改正を図ったときの平和というものは一体どういうことを描かれるのか。やはりこういったことが明確にされていきませんと、私ども将来の判断の参考といたしまして戸惑うことになりはしまいか。その点の総理としてのお考え方を明らかにしていただきたい、こう思います。
#287
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように、わが自由民主党の立党の政綱におきましては、憲法問題につきましては、平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、この基本原理を堅持しながら憲法の改正の問題に取り組んでいくのだ、こういう趣旨のことを述べておるわけでございます。
 そういう党の綱領に基づきまして、党内には憲法調査会というものが設置されております。この憲法調査会におきまして、長年にわたって調査と検討を進めておるところでございますが、具体的にこの点をこう改正をすべし、ここはこうだというような結論はいまだ煮詰まっておりません。私は、今後も党の憲法調査会におきまして十分あらゆる角度から検討していただきたい、こういうぐあいに考えておるわけでありまして、したがいまして、私は、鈴木内閣においては憲法は改正をしないということでございますので、いまここで調査会で議論をされておること、そういうことを申し上げることは差し控えたいと、こう思っております。
#288
○渋谷邦彦君 それ以上のことは確認できないと私思うんです。ただ、一方においては、先ほども、議員同盟にいろんな方々がお入りになって大変積極的にお取り組みになっていらっしゃる。そうしたことを考えますと、やはり何かその背景というものが当然そこに浮き彫りにされてくるであろう。昨今言われておりますように、アメリカの威信低下という問題もございましょう、あるいはソビエトの脅威論というものが台頭してまいっております。そうすると、そういったことを想定いたしますと、当然のことながら、日本の防衛というものはこれでいいのかという考え方が出てくることも、これは一つの成り行きではないだろうか。そういったところに、現在の憲法ではとても自分たちが考えておるような方向に取り組めない、果たしてこれで自主防衛ができるのか、そういったやはり――あるいは飛躍しているかもしれませんけれども、どうしてもそう考えざるを得ないということが一つ言えます。
 また一方においては、総理が強調されております人権の擁護、いわゆる権利を守ることについては非常によく見られているけれども、義務の履行というものについては明らかにされていない。やっぱりこういう点も整備すべきじゃないか等々、いろんなそういう問題点がある。
 ただし、われわれがなぜそういうことを申し上げなければならぬのかと申しますと、先ほど来もちらちらと触れられておりますように、確かに現在の平和憲法というものはいろんな経過をたどってきたでしょう。先ほどもいろんな経過の中でいろんな議論がここで起こったわけであります。けれども、やはり国民になじみもし、そしてまた定着もしてきている。それは総理御自身がおっしゃっている。したがって、こうした定着した平和憲法というものをやはり鈴木内閣は守っていくということよりも、それが一つの国民の世論としてむしろ尊重し、擁護していく、こういう方向にお取り組みになることの方が大事じゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#289
○国務大臣(鈴木善幸君) わが党の内閣が長期にわたって政権を担当しておるわけでございますが、私の前の大平内閣におきましても、その前の福田内閣におきましても、三木内閣におきましても、佐藤内閣におきましても、ずうっとこの現行憲法を擁護する、党には立党の綱領はあるけれども、現行憲法をあくまで擁護していく、尊重していく、こういうことで日本の政治をその上に立って運営をしてきておるわけでございます。将来、もう後代のことまで私どもは予見はできないわけでございますけれども、私は国民の中で、現在の憲法というものがこれを改正すべきだという世論、これが大勢になっているとは見ておらないわけでございます。そういうようなことから、鈴木内閣におきましては現行憲法はあくまで堅持していくというたてまえで、はっきりとそのことを国民の皆さんに明らかにいたしておるところでございます。
#290
○渋谷邦彦君 将来と申しましても、近い将来、遠い将来ということがあるだろうと思いますが、先ほど来からずうっと印象深く私の気持ちの中に入り込んできておりますのは、鈴木内閣はと、この点大変強調されていらっしゃる。まあ、それはそうでしょう。将来はわからぬぞというみたいな、意地悪く申し上げればそういうような響きにも聞こえる。
 それともう一つは、やはりこれもこれからも問題になるだろうと思いますが、総理・総裁あるいは閣僚・政治家一個人、こういう使い分け方というものが果たしてなされていいのかどうなのか、この辺も大変問題になることであり、将来またそういったことで火がつかないとも限らない。そういった点で総理は、しきりに特に閣僚については、その言々句々については慎重を期しなさいと、そういったことが一貫して述べられているわけでございますけれども、法律論においては、確かに九十六条であるとか九十九条という問題がありましょう。けれども、やはり将来ともにわたってそうした誤解を招いたり、そして国民に混乱を与えるというようなことは大変好ましくないことは言うまでもございません。この辺をもう一回私は総理の意のあるところを確認しておきたい、そう思います。
 第九条については、衆議院で私どもの正木政審会長も触れておったようでありますけれども、必ずしも総理としては、明確にその点について、やはり憲法調査会の方にお任せし、その結論が出ないために私としては言う立場でない、このように理解をしていいのかどうなのか。
#291
○国務大臣(鈴木善幸君) 渋谷さんがいろいろ憲法の問題について国民に誤解を与えるようなことがあってはいけないと、やはり現行憲法というものを尊重する、擁護するという鈴木内閣の方針というものはそのとおりに国民にはっきり理解をされなければいけない、こういう御助言、これは私はそのとおりありがたく受けとめておるわけでございます。
 なお、憲法の内容につきましての個々の具体的な、この点はこう改正したらどうかとか、そういう意見があるとかいうようなことにつきましては、私は現行憲法は堅持していくという立場からいたしまして、そういう内容に触れて論議を私がここで申し上げることは差し控えたい、こう思っています。
#292
○渋谷邦彦君 次に、総理が所信表明でも明確にお示しになりましたように、政治倫理の確立、これはもう前内閣時代からの継承された一つの考え方であろうと、こう思います。その中で一番骨格をなしますものが、私どもの受けとめ方では現在の政治資金規正法、これを改めるべきである、また参議院の全国区制度を含めたその制度上の欠陥についてもこれを正すべきであろうというような趣旨のことを申されておられるわけですね。けさ新聞を拝見しますと、竹下さんが政治資金規正法について、できればこの臨時国会でも提案をして成立を見たいと、そういう大変性急な考え方を述べられていることを拝見いたしました。ただ、その中身については明らかにされておりません。私どもが常々申し上げておりますように、この政治資金にかかわるまことに暗い話が後を絶たない。こういったことで、いま、むしろ企業献金の枠を広げた方がいいのではないか、あるいは個人献金というものについてはいかがなものであろうかということがなかなか政府・与党としてはお決めにならない。こういったことはやはりガラス張りになさろうとするならば明快にすべきでありましょうし、言わずもがな、常識としてもその収支については当然のこと国民に明らかにすべきであろう。これが一点。
 それから参議院の全国区制度についてもしばしば問題がございます。拘束名簿式の問題、比例代表導入の上で拘束名簿式はいかがなものであろうか。しかし、いろんな欠点があるわけですね。もちろん選挙制度そのものについて、これが最高の理想であるというものはなかなか出にくいと私は思うのです。ただ、今日までずっと戦後長いことやはりなれ親しんできたこの選挙制度というものを急激に変えることはいかがなものであろうかという問題も残されている。その一方において、参議院だけにその考え方をしぼった場合、むしろ地方区の定員是正の方を先行させるべき問題があるのではないだろうか等々、こうした選挙制度全般に対する問題、あるいは選挙の公営化、あるいは現在の選挙運動の方法について、ビラ公害だとかいろんな問題が起こっております。それだけお金がかかるわけです。そういった点についてもある程度の成案というものをやはり個々に求める必要があるのではないかという点、これは総合していまワンパッケージとしてお尋ねをいたしますので、それを統括的にお答えをいただければありがたいと思います。
#293
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま御指摘になりました政治資金規正の問題、選挙法、選挙制度の改正の問題、いずれもわが国の民主政治を守っていく、発展をさしていく、そういう意味で非常に重要な問題だと、こう心得ております。
 政治資金規正法につきましては、当面個人に対する献金の報告その他、十分にこれが行われていない面がある、また、報告その他の内容等から見て十分にその内容が明らかでない、こういうような御意見、御指摘がございまして、前内閣の当時、個人に対する政治資金の問題、これをまず最初にやろうということで、成案を得まして前国会に提案をいたしたわけでございますが、解散のためにこれは成立を見ておりません。私は当面この政治資金規正法、これをこの国会に提案をいたしまして御審議をお願いしたいと思います。
 その他の、五年後に根本的な見直しをするという問題がございます。そういう点につきましてはいろいろの御意見のあることを私承知をいたしております。企業献金は悪である、これはやめるべきだ、個人献金一本にすべきだと。しかし、最近また個人献金についてもいろいろの問題がある、いろんな意見があるわけでございます。私はそういう点を、選挙制度の問題と相関連する面もございますから、十分ひとつ慎重に検討をしていかなければならない。しかし、まとまっておりますところの個人に対する政治資金規制の問題は、これは今国会に提案をして早期成立をお願いをしたいと、こう考えておるわけでございます。
 なお、選挙法、選挙制度の問題につきましては、これはすでに各党におきましても、参議院の全国区制の問題もございますし、各党において御検討がそれぞれ進められておるやに承っておるわけでございます。
 自由民主党におきましても、竹下君を中心としまして調査会を設置をし、そこでいろんな案を検討いたしております。私は、この選挙法の改正、選挙制度のあり方、金のかからない選挙あるいは公営をどこまで拡大できるのか。そういうようないろいろな問題がございます。そして、この問題はいわばスポーツのルールのようなもので、一方の政党に有利であるからこれをあくまでやるんだということでなしに、やはり各党が案を持ち寄り、話し合いをして、そしてそこに共通の土俵、ルールを確立をしていただきたい。これは自由民主党の総裁として、国会の場でこういう点を各党の御意見をひとつ出し合って論議をし集約をしていただきたい、成案を得ていただきたい、こういうことをこいねがっておるものでございます。
#294
○渋谷邦彦君 言われるとおり、この選挙制度は民主主義の根幹にかかわる問題です。
 いま総理が言われたことを一つの約束事として私は理解をしておきますので、そういう方向に向けて、金のかからないという、やはりそこに腐敗政治を生む根源があるわけでございますから、その点を私は確認をしておきます。
 次に、財政再建については大変大蔵当局も苦慮しているようでございます。ゼロリストなんかについてもあれやこれやまた弁解もしなきゃならぬという、あるいは国債の二兆円減に伴うそうしたようなあり方もいま進められている。そういったいろんな枠組みの中で、そしてまた総理の所信表明にまつまでもなく、社会福祉といえども聖域ではない。こういう一連のことを考えますと、一番国民としてストレートに恐れることは、社会福祉が切り捨てられていくのではないかという心配が出てきます。ある程度それは交通整理しなきゃならぬ面もございましょう。それを私は否定もいたしません。けれども、いまこうした大変厳しい経済環境の中で福祉切り捨てみたいな方向へ向かうならば、もっとより国民生活というものが圧迫を受けるであろう。そういう点にはね返ってくるわけですね。
 先ほど答弁を伺っておりまして、特に心身障害者に対しては心の通うそういう対応をしていきたい、もっともだと私は思います。したがいまして、こうした福祉切り捨ての方向へ向かわないような、そういう取り組み方をぜひ推進をしていきたいと思いますが、私はまず総理の決意を伺っておきたいと思います。
#295
○国務大臣(鈴木善幸君) よく最近マスコミ等において、福祉切り捨てをやるのではないかと、いろいろ論議が行われておるわけでありますが、私は先ほど渋谷さんからもお話がありましたように、非常に厳しい財政事情の中でこれを再建をしていくというためには、あらゆる事項について、やはり厳しい、歳出歳入両面にわたりまして見直しをする必要がある、そこに聖域というものがあるわけではない。このようなことを申し上げておるのでありますが、この福祉の問題につきましても、やはり所得の高い方々が、非常に恵まれない方々と同じように福祉だからといって平等な扱いを受けなければならないのかどうか。そういう点については、これは国民の皆さんの御理解がいただける点でもあろうかと思うのであります。そういう点等も総合的に見直しまして、福祉というその弱い立場にある人、ハンディをしょった人たち、そういう人たちが決していまの温かい福祉という政策理念から外されないようにやってまいることが必要である、こう考えておるわけであります。
#296
○渋谷邦彦君 いまおっしゃられた最後のくだりでありますけれども、恵まれない人にと。ところが、そういう方々に対しても必ずしも十分でない問題がたくさんございますね。いま心身障害者の問題も出ました。また難病対策についても果たして十分なのかという問題があります。もう聞いてみると、それは残酷そのものですね。こうした社会の底辺にどのような手だてを講じても解決の糸口すら見出せないという、そういう谷間で呻吟している人たちが決して少なしとしない、こういう実態については厚生省はどのように掌握されてますか。いわゆる日の当たらない恵まれない人というその範囲の中には難病、心身障害者が入ると。必ずしも満足のいく状況でないということを私申し上げているわけですから、それに立って御説明いただければいいと思います。どういう状況なんですか。
#297
○国務大臣(園田直君) いま総理からお答えになったとおりでありますけれども、社会福祉、難病、身体障害者、こういう問題は社会経済の環境が変わってくるわけであります。そこで、変わってくれば変わってくるほど重要になってくるのがいま御指摘の中心にした社会福祉問題であります。そこで、私はむだなものはもちろんこれは省かなきゃならぬが、今後高齢化社会に向かって変わっていく、それに対する足がかりをつくる意味においても、なお社会福祉、難病対策、身体障害者の問題では研究、調査、対策等について充実をしなきゃならぬ点も多々ある、このように解釈をいたしております。
#298
○渋谷邦彦君 いま概論として園田さんおっしゃったんだろうと思います。実際、実態的にその中身というものを厚生省の方々はよく存じておられると思いますが、それはもうとにかく何とかしなきゃならぬという、そういう状況になりますよ。
 時間の関係もありますので、私一々こういうことを読み上げていると時間が経過しますが、あえて私申し上げます。
 こういう例があるんです。この方は男性四十二歳、千葉県在住、生活保護世帯、発病時自営業。この方の病気は筋萎縮性側索硬化症という病気です。頭とそれから神経をやられるやつですね。寝たきりで言語障害、四肢障害も進行中。自営業を始める時点では借金が残っており、身内からの援助は望めない。福祉事務所、保健所ともこうしたありさまを知りながら治らない病気だからといって具体策を講じなかった。そして県では、特定疾患ではあるが、生活保護世帯なので担当は民生局保護課である。それでまた、国立病院の担当医師は、患者の現状は末期的状態にあり、大変手がかかるが治療法がなく死を待つだけであるから家族のそばがよい。国立病院は長期にわたり治る見込みのない患者は預かれない。看護婦の手が足りなく満足な看護ができず、手のかかる患者は入院させると看護婦から突き上げられる。差額ベッド料が払え、付き添いをつけることができるなら他の病院を紹介することができる。これが一例。
 それから、次は膠原病。寡婦三十八歳、東京都在住、生活保護世帯。十年前に夫を交通事故で失う。小学三年生の男の子と生活。十人ぐらいの会社の寮母として住み込みで働いていたんですね。発病後六年、その間入院歴四回、病気を隠して寮母として勤めていた。病状が悪化し、とりあえず仕事をやめ、二人の住める家を探すことにした。病気で働けず子供がいるという理由でなかなか家が見つからなかった。やむなく知人の紹介で一部屋を借りて生活保護を受ける。一年後病状悪化、救急車で入院。子供は施設に入所。半年後病状は快方に向かったが退院することはできない。なぜかというと再び住宅問題が持ち上がった。生活保護法では、半年以上入院になると住宅費は打ち切り。主治医と話し、一たん退院という名目で二日間の外泊。これが親子の最後の別れのきっかけになります。最後の対面。そしてまた緊急入院をする。こういう方々が恐らく日本全国に少なしといたしません。しかも治療費がかかる、介護手当がかかる。実際入院した場合に一体どのぐらい費用がかかるか。しかも、いま四十三種類、難病については示されておりますね。それで指定を受けているのが二十一種類です。指定を受けない人を含めた場合に大変な数に上ると思うんです。その場合にこういう例もあります。
 それから、実際にむしろお金も必要だけれども、介護をしてくれる人がいないんだと、もう二十四時間で一時間でも二時間でも休める時間が欲しい、こういう痛烈な声がある。総理、そうしたいま申し上げたようなお話をお聞きになっていかがでございますか。感想を交えておっしゃってください。緊急を要しますよ。
#299
○国務大臣(鈴木善幸君) 私も厚生大臣を大分前でございましたけれども、二カ年間担当をいたしておりました。いまお話しのようなお気の毒な方方に対して何とかしたいという気持ちでこれからの政治の運営を進めてまいりたい、こう思っております。
#300
○渋谷邦彦君 厚生大臣いかがですか。
#301
○国務大臣(園田直君) 難病対策については、御指摘のとおりに四十三の研究班と二十一の疾患を指定してやっております。膠原病は御承知のごとく六つの病気を総称して膠原病と言っておりますが、その中のリューマチ熱を除いて他の五つの疾病は研究班の研究に入っているわけであります。この原因の究明、治療方法の解明及び自己負担を軽減すべく努力をしておりますが、さらに疾病の指定その他は拡充していきたいと考えております。
 身体障害者についても、明年は御承知のとおり身体障害者年でありますから、この点から考えましても、そういう落ちこぼれがないようにさらに見直し、拡充をすべきものは拡充したい、こう考えております。
#302
○渋谷邦彦君 やはりこういった問題が根本的に解消されない限り福祉国家としての姿であるということは言えないであろうと、大変矛盾を感ずるわけです。もちろん国の財源には限りがありますし、一つ一つこうした問題に取り組んでいく場合には多大のまた財政措置を要するであろうというふうに思います。しかし、実際にその底辺で苦しんでいる人の実態というものは身体障害者を含めそれは悲惨なものであります。いつ自分の身に降りかかってくるかわからない。その保証は何もないわけですよ。なってしまってから大変であります。お金のゆとりのある方はそれでもいいかもしれない。ほとんどはゆとりがありません。かかったら最後であります。死を待つ以外にはない。こういう状態に置くことは何とも残酷な問題であります。
 この問題取り上げただけでも私の持ち時間全部吹っ飛んじゃうわけでございますので、余りこれ以上突っ込めません。残余の問題についてはまた当該委員会で申し上げる場合もあろうかと思います。
 あと二つ聞きます、厚生大臣に。
 それはスモンの問題ですね。投薬証明書のない問題について、いわゆる東京地裁、札幌高裁から和解のあっせんが出たわけであります。ただし製薬会社の方がオーケーを出さないものですから、なかなかこの決着がいまだしということで、残されたスモン病患者の方が一刻も早くこの解決に向けて取り組んでもらいたい。それが一点。
 それから、これは質問通告してなかったんですけれども、この間厚生大臣、本会議におきまして私どもの田代委員に対して、大変気強い答弁をされた、母子保健法の改正についてはやりますと。ただしそれいつやるかをお聞きしなかったんです。大体いつごろからお始めになるか。
 この二つ、お答えいただきたいと思います。
#303
○国務大臣(園田直君) スモン病問題の解決は、ただいま御指摘の点ただ一つ残っているわけであります。九月三十日に前大臣から三社に対して、裁判所の東京、札幌を含む勧告に対して同意をするように要請が行われておりまして、その返答が、九月三十日受けましたが、私いまだその返答は満足すべきものではありませんので、さらに強く、これに賛意を表し、和解の方向に向かって努力するよう要請をして、その返答を求めているところでありますが、なお一層努力をして、なるべく早くこれは解決したいと考えております。
 それから二番目は……
#304
○渋谷邦彦君 大変恐縮ですが、見込みについてもちょっとお触れになっていただきたい。
#305
○国務大臣(園田直君) 見込みは私、できれば今月中にこれは解決したいと考えておるところでございます。
 それから、二番目はちょっと聞き漏らしました。
#306
○渋谷邦彦君 母子保健法の改正。
#307
○国務大臣(園田直君) 母子保健法の改正はいま、御承知のとおりに、各方面に意見を聞いておるところでございますが、これに伴ってこれは早急に手をつけたいと考えております。
#308
○渋谷邦彦君 次に、財投の使い残し問題。これは大蔵大臣に聞かなければなりません。これは実態どうなってますか。
#309
○国務大臣(渡辺美智雄君) 財投の使い残しの数字については事務局から説明させます。
#310
○渋谷邦彦君 数字結構ですから、なぜこういう状態になったかということを説明してくれませんか。
#311
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、財投融資は政府の機関あるいは輸銀とかあるいは地方自治団体等に財投資金は流れていくわけです。しかし、景気の状況等によって必ずしも必要でないというような問題が起きます。五十三年から五十四年にかけては好景気時代だったわけでありますが、その資金が非常に足りないということで、財投を見込んでおったところが、金融が緩んだ、金利が下がったというようなこと等もあって一つは使い残しができた。
 それから財投は、やはりそういう場合も考えて繰り越しというようなものを認めておりますから、地方自治体等では四月、五月に財投資金が必要だというような場合が往々にしてございます。したがって、それを見込んでありますから、当然三月末には四月、五月に使うんですから、余る。余るために繰り越しをするというようなこともあります。また、輸銀等の場合は、相手国が急に大きなプロジェクトについてちょっと足踏みするとかいうような例がございます。中国の場合などは一番いい適例なんでありますが、そのために輸銀に割り当てられた財投資金がかなり余るというようなこと、こういうようなことが大体大きな原因でございます。
#312
○渋谷邦彦君 その原因はある程度理解できるんですけれども、それが一年とか二年という短期間ならまだ納得、それがずっと三年来続いてきている。しかも、いま御説明があったように、輸銀を初め特殊法人のそういう機構の中で使い残しだとか何かが非常に目立つ。それは需要がずっと減ってきたからそういう状態になったのか、やはり第二の予算と言われているこの財投についてはもっと的確な判断に立ってこれに取り組む必要があるのではないか。いかがですか。
#313
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは物の考え方なんですが、地方自治体等では四月、五月に財投資金を借りたいというのがあるわけですよ。最初からそれは組めばいいのかもしれませんが、前からずっと押せ押せで来ているもんですから、恒例的に四月、五月分のものが余る。それで、去年のやつで使って、今年のやつまた来年、そういうようなことになっておるわけです。それがどこかで直せばいいのかどうか、いろいろ技術的な問題もございますが、ちょっと見たところはいつもいつも繰り越しになっているじゃないかというような御批判にもなるわけでありますので、一遍検討してみたいと思います。
#314
○渋谷邦彦君 渡辺さん、十分もうコンピューターみたいな頭を持っていらっしゃる方ですから、全部おわかりになっていらっしゃると思う。さっきの輸銀の問題ばかりではなくて、日本住宅公団あるいは道路公団、そういったところがずっと並んでいるわけですね。それは仕事が全くないのか、ないとするならば、ここで基本的に考え方を変えた対応というものをする必要があるんじゃないか。
#315
○国務大臣(渡辺美智雄君) 景気を刺激して、ひとつ財投資金や政府資金で公共事業を多くやろうというような長い時代が一遍続いた。そのためにそれが使い切れなかったというようなことも、私はなきにしもあらずだろうと、そう思っております。しかしながら、渋谷委員の御指摘につきましては、真剣にひとつよく反省をして検討をして、どうしてもそういう制度で余るようにしなければならないのか、使い切れるようなことがいいのかも含めて。
 それからもう一つは、いままでと違って公共事業でどんどんやれという時代でありませんからね、これからは。これからは、したがってその分はそんなに財投資金が余るほどつけるというようなことはないと、こう見ております。
#316
○渋谷邦彦君 財投の資金で国債を引き受けさせるというような考え方はありますか。
#317
○国務大臣(渡辺美智雄君) 国債につきましては、御承知のように、資金運用部でいろんな特別会計のものを一カ所に集めて引き受けることがございます。したがって、運用部の資金で引き受けておるというのが実情であります。
#318
○渋谷邦彦君 次に、大変細切れになっていやなんでありますけれども、行政改革。これは中曽根さんが長官になられてから、その考え方の一端を答弁を通じて伺っているわけでございますが、いま相当強力に取り組んでいるやに見えるが、ただ、総理が所信表明で、これは原敬さんの言葉を引用されまして言っておられましたね。八十数年前、原敬、時の首相が行政改革の必要性というものを訴えた。自来、今日まで長きにわたるわけです。なかなか言うべくして行われない。その点について長官としては、十分その成算ありという方向に立ってお取り組みになれますか。
#319
○国務大臣(中曽根康弘君) 総理が原敬の言葉の「枝葉繁茂し根幹蟠錯せる」ごとしと、こうおっしゃったのは、やはりよほど日本の行政体系に問題がある、原敬以来直らない病根があると、そういうことを見られておっしゃったんだろうと思います。私たちも同感のところがございまして、歴代の内閣が努力してきたところでございますが、これはもう歴代内閣営々として今後も続けてやらなきゃならぬ問題であり、そのとき受け持った内閣がベストを尽くしてそのときの責任を全うしてやらなければならぬ筋の問題であると、そう思っております。
 それで五十五年行革、いわゆる大平行革と言われますものでは、わりあいに機構の問題に手をつけまして、公社公団の統合であるとか、あるいは地方ブロック機関の統合であるとか、そういうことをやってまいりました。いま八つの重大法案が臨時国会に提案されておりまして、まずこれを成立させるということがわれわれの目前の急務でございます。それと同時に、どこか大事な点が抜けていないかと考えましたのは仕事減らしということでございまして、やはり人間がいるのは仕事があるからだ、仕事をなくさなければどうしても人間が寄りついてくる。そういう意味で法律をこの際間引く、許認可を間引く、あるいは地方の公共団体についても御協力を願って、定員の抑制を強く自治省を通じて要請する。あるいは特殊法人につきましても、出資金やあるいは剰余金について見直してもらって減量をやる、そういうようなところにまず重点を入れてやる。それと同時に、行政の本質である国民に対するサービスを徹底する。それから、現時点の行管の当局の責任といたしまして、非常にむずかしいいろんな問題が出てまいりましたので、八〇年代を通じて日本の政府というものはどういう形におさまったらいいのか、中央と地方の関係とかあるいは官業と民業の関係とか、そういうような展望も含めた行政のビジョンを権威ある機関によってつくっていただいて、それによって次の時代の用意をする、こういう考えに立ってともかく全力を傾注してやる考えでございます。
#320
○渋谷邦彦君 総理も述べられておりました官業から民業へ、あるいはいま長官がおっしゃったこの仕事減らし。この官業から民業はなるほどかっこうよく響くんですよね。それがもう具体的にできれば大変これは効果が大きいんではないだろうか。何か具体的なそういう選択の方法がもうでき上がっているんでしょうか、ビジョンというものが。それが一点。
 ついでにもう一つ聞いておきます。ただ、その反面に、これをいま財政難の折に伺うことはいかがなものであろうかというふうに思うんでありますが、一方においては仕事がふえるところがあるんですね。この間、長官みずから触れられておりましたように、たとえば二百海里問題をめぐって海上保安庁の取締官だとかあるいは航空取締官だとか、あるいは国立病院の看護婦さんだとか、いろいろふやさなきゃならぬ部門もある、こういう問題がある。あるいは各省間においても、鈴木総理がしきりに平和外交の強力な推進と、こうおっしゃっておる。しかし、その機能を果たすためには現状ではまことに寒心にたえない、これはもう伊東さんが外務大臣に就任早々そのことをある対談で述べられておる。吉田内閣以来のこれは病弊である、いまのように多角化してきた、こういう世界情勢を処理していくためには大変だと思うんです。急にふやせなんということはできるものじゃございません。そういう問題を踏まえながら、どういったバランスのとれたそういう行政改革ができるのかということがやっぱり大きなぼくは問題じゃないかと思うんです。ここに外務大臣を経験された方、現職の大臣を含めて三人いらっしゃる。前にも、大平さんが御存命のころに私尋ねた。外務大臣そして行管庁長官、それから最後に総理に尋ねた。しかし、そのときの答弁は残念ながらこうするという明確な方向というものは示されなかった。さて、その問題を含めてまず中曽根長官から、その所信のほどを伺っておきたい。
#321
○国務大臣(中曽根康弘君) 過去十三年間、総定員法がつくられまして定員が凍結されましてから十三万六千人自然減耗で減らしました。これは最新の資料でございます。ところが、渋谷委員御指摘のように、その間において、国立学校で増が二万四千百八十四人、それから病院、治療所で七千二百五十四人、それから航空行政で二千四百六人、それから登記事務で千三百三十八人、外交関係で七百三十四人、これだけで三万五千九百十六人補充しておるわけです。それで、そのほかのところで四万四千余減らしまして、結局八千八百七十一、十三年間約九千人減らしたわけでございます。今後もこういう方向で自然減耗をできるだけつくって、そして補充しない、そういう方針を厳に守っていくつもりでございます。大体四・二%で五年間で三万七千人減らしていこうと、こういう計画でございます。
 しかし、いま御指摘の外務省やら、それから国立の医科大学が各地にできてまいります。こういうものはどうしても認めてあげなきゃなりません。したがって、できるだけ減らすが、しかし必要不可欠のものは、これはやはり国政を進める上に認めざるを得ません。その中に外交関係というものもまた重視すべき面があると思っています。昨年は約七百七十人ばかり減らしたので、本年度、五十五年度は七百七十人ばかり減らした中で、外務関係だけでは八十人実はふやしております。これはやはり前内閣がよほど注意してやったのであると思いますが、今回外務省からどういう御要求が出ますか、よく目をみはりまして、不必要なところは減らしてもらう、あるいは配転をしていただく。どうしてもやむを得ないというものは、これは検討をしなければならぬであろう。しかし、外交関係に力を入れなければならぬ時代であるということはよく承知しております。
#322
○渋谷邦彦君 官業から民業への目標は何かございますか。
#323
○国務大臣(中曽根康弘君) 官業から民業への仕事は中央及び地方において、これは部分的にはみんなやっております。たとえば清掃事業であるとかあるいはコンピューターを使うとか、そういうようなことは大体民間に任しております。しかし、大きい問題が手がつかずにあるわけであります。たとえば専売の問題であるとか国鉄の問題であるとか、あるいは農林省の検査事務であるとか、そういう大きい問題がまだ実は手がつけておりません。これらの問題は、やはり相当権威ある機関でしっかりとした考えに立った決め方をしていただきたい、そう思いまして、これは第二臨調の大きな課題にもなるのではないか、そう考えております。
#324
○渋谷邦彦君 次に、エネルギーの問題についてお尋ねをしたいと思います。
 十月一日から新エネルギー開発機構、これが発足したはずですね。これは通産省の所管ではないのかな。これはまた新しい特殊法人ができ上がったわけですけれども、その機能的な働きというものはどこに重点を置かれていますか。
#325
○国務大臣(田中六助君) お答えいたします。
 新エネルギー開発機構は御指摘のように十月一日から発足いたしまして、この機構の母体となる法律はすでに通っておりまして、この機構の機能そのものはサンシャイン計画、つまり原子力発電を除きまして、石炭の液化、ガス化、それから太陽熱、地熱、そういうものの技術開発、そういうものが中心の機構でございます。
#326
○渋谷邦彦君 じゃ、従来各省間でやっておりました研究機関というものはここに集約されると見てよろしいんですか。それはそれで別にやるわけですか。
#327
○国務大臣(田中六助君) 非常に幅広くなっておりまして、御承知のようなエネルギー事情でございますので、行政機構改革のこのさなかにこの機構を設けたというのはそれだけに意味のあることでございまして、非常に幅広く、つまり石炭のガス化、液化、これはある程度固定しておりますけれども、地熱あるいは太陽熱というのは非常に幅の広い種類を持っておりまして、これをいままでやっておりました各省にまたがっておるものを一つに引き受けるかということは、必ずしもそうは言っておりませず、いままでの各省にあるのはあるわけでございますけれども、新しく次世代と申しますか、一九九〇年代を望んで、八〇年代はもちろんでございますけれども、新しいエネルギーの発足というものが十分加味されておりまして、しかもこれは緊急時に間に合うような、官僚機構に乗っておったものが必ずしもそうであるとは言えませんけれども、民間の活力、そういうものを十分加味しようということで、この機構の長は日立製作所の綿森さんがこの理事長になっておりまして、民間の機能、活力を十分発揮しようという意図を持っております。
#328
○渋谷邦彦君 これはことしの初めの予算委員会でも私お伺いをしたことがあるんですけれども、どうもいろんなふうにばらばらになっている方がいいのか、一元化することの方が成果を上げるときにはかえって不便なのか。実際科学技術庁にもそういう研究機関がある、通産省にももちろんある、あるいは農林省にもある、文部省にもある。そういったものをみんな分散しちゃっているわけですね。筑波学園都市なんかに行きますとよくわかります。みんなばらばらになっています。それで、今度新しくまた新エネルギー開発機構というものができた。さあ、どこで一体コントロールしながら、いま即時に間に合うような対応というものができるようにこうしたものがこれから運用されていくんだと、こうおっしゃっていますけれども、一元化しない方がいいのか、いままでのような状態のままで運営していった方がかえって効果が上がるのか、その辺はどういうふうにわれわれは理解したらよろしいんでございますか。
#329
○国務大臣(田中六助君) いろいろな民間の研究機関あるいは政府の研究機関あるいは政府がこれを援助、補助するというような形をとってきておりますけれども、やはり両方の機能と申しますか、そういうものがこの新エネルギー開発機構に盛り込まれておりまして、先ほどから指摘しておりますように、過去のエネルギー、つまり代替エネルギー、これは主として私どもの頭にあるのは、何度もこの場でも皆様にお答えしておりますように、つまり脱石油、石油代替エネルギーということに頭がございまして、次の時代を望む技術革新、そういうものに焦点がある機構でございまして、いままであるものとこの機構をどういうふうに調整するかというお尋ねでございますけれども、いままである機能はそのままにしておきまして、徐々に、新時代になっていきますとこの新機構が能力あるいは更生機能を発揮していくんじゃないかというふうに考えております。
#330
○渋谷邦彦君 いずれにしても、いま触れられましたように、石油の代替エネルギーということが焦点になるわけであります。これからも省エネルギーというものは進むでありましょう。大変に乏しい資源の中でいろいろ知恵をしぼってその開発に取り組んでいかなきゃならぬ、これは言うまでもありません。ただし、ここでいま挙げられた太陽熱であるとか、地熱であるとか、波力ですか、全然これは実用化まではもう絶望に近いという、コストから考えてみた場合に、そういう分析をなす人がおります。果たしてこういったものが実用化へ踏み切れるのだろうか。石炭の液化にいたしましても、先般予算委員会のメンバーで北毎道へ視察に参りました。実際それに携わっている方々から伺ってみますと、とてもなかなか代替エネルギーというまでは踏み切れない、そういうようなお話も伺いました。この辺はどういうふうに考えて将来、そう短期、中期といっても、せっぱ詰まってすぐこれを役立てるんだ、実用化といっても、それはなかなか無理が伴うでありましょう。これは通産大臣としては、絶対見込みがあるんだ、企業化もできるんだ、実用化には間違いないんだという前提にもちろん立っての開発研究だろうと思います。その点いかがですか。
#331
○国務大臣(田中六助君) 非常にむずかしい答えになるわけでございますけれども、新しいエネルギーというものを常に開拓しておかなければどうにもなりませず、特にわが国は御承知のように現在エネルギーの七三%を海外の石油に依存しておりまして、現在非常に不安な気持ちでおるわけでございますけれども、将来石炭液化、ガス化、これは非常に日本も石炭が出ておりました関係上、かなり進んでおるわけでございますけれども、地熱、太陽熱となりますと、御指摘のように将来性について疑問を持つ学者もおります。しかし、現在全世界の各国とも、石油にかわるものは何かということで地熱、太陽熱あるいは水素あるいはバイオマス、そういうような研究を、先進国はもちろんでございますけれども、発展途上国も非常に熱を入れておりまして、わが国はむしろバイオマス関係あるいは水素関係は遅いぐらいで、やっと昨年度、それから今年度ぐらいに手をつけるようなことでありまして、当面の石炭の液化、ガス化、あるいは原子力発電所、そういうものに焦点を合わしておる癖があるような気がしまして、将来一九九〇年代あるいは二〇〇〇年代を望みまして、いまから遅くても、あるいは短期的な効果をねらうんではなくて、長期的な効果をねらって準備をしておかなくちゃいけない点もありますので、御指摘のように即効性のあること、あるいは将来必ずしもそれがこうなるというようなことは言えなくても、一応大きな研究課題としてあるいは私どもが調査し、あるいは融資し、研究しておかなくてはいけないエネルギー対策の大きな一つではないかというふうに考えております。
#332
○渋谷邦彦君 いろんな可能性を考えて取り組んでいただかなければならぬ、当然そう思います。私ども素人にとってはなかなかそれがどういうふうに推移して、それが実効を上げることができるかということはなかなか判断に苦しむ場合がありますけれども、これも私が先般取り上げた問題としていまもお触れになりましたバイオマスの開発でございますね。これはもう実際にブラジルやあるいはアメリカにおいて開発が進み、現実的にはもう実用化されておる。それがもう車に燃料として使われておる。こういう実態御存じだろうと思いますけれども、確かにおくれたんですよね、バイオマスにしても、水素の開発研究にいたしましても。それで一方においては代替エネルギーを何とかしなければならぬと、こう言われながらも、知恵のある日本人が大変おかしなことであったなあという感じがするんですが、これは科学技術庁が中心になってやっていただいていますか、バイオマスの関係については。
#333
○国務大臣(中川一郎君) バイオマス研究についての必要性は御指摘のとおりであり、政府といたしましても昭和五十五年度において六億四千四百万円。これは科学技術庁、通産省、農林省、それぞれ兼ねてやっております。科学技術庁では一億九千万円を計上いたしまして太陽光エネルギーの特定研究、あるいはエネルギー植物のフィージビリティーに関する研究等をやっておりますが、まだ基礎的なものであり、特にアメリカやブラジルでやっておりますのはアルコール転化ですね、でん粉を中心にしまして。ところがわが国でも考えられることではありますが、何分にも土地がない、先ほどの穀物の自給率が悪いのと同じように原料をつくるところに非常に問題点がある。この辺のことも配慮しながら、世界におくれないように研究だけは進めていきたいと、こう思っております。
#334
○渋谷邦彦君 まあ、ある企業体ではもうすでに沖繩あたりでいまおっしゃったことに関連するいま独自の開発を進めているというようなことを考えますと、沖繩なんか産業開発の上で最も絶好の場所じゃないかと思いますけれども、やっぱり視点をそういうところにもっと広げてお取り組みになる必要があると私は思うのですけれども、いかがでございましょうか。狭い狭いと、それは狭いとばかり言っていたんではいつまでたったってこれはらちが明かない、解決はできない、こう思うんですがね。
#335
○国務大臣(中川一郎君) 沖繩あたりでは甘蔗糖ですか、甘蔗、イモが……
#336
○渋谷邦彦君 アオサンゴ樹もあります、アオサンゴ。
#337
○国務大臣(中川一郎君) アオサンゴ等もあります。
 イモの方については、なかなか値段の上で沖繩ではむずかしいのですが。いまの何ですか、アオサンゴですか、こういったものについては豊富でもありましょうし、これからひとつ研究さしてみたいと思います。
#338
○渋谷邦彦君 次に地震対策。細切れで本当に恐縮でありますけれども、現状の地震対策でいいかどうか、まず所管大臣から説明してください。
#339
○国務大臣(塩川正十郎君) 現在、気象庁等におきまして地震予知対策につきまして従前に増しましたいろいろな対策を講じておるのでございますが、特に東海地方におきまして予想されております大地震に対しましては、法の制定等もございまして、その趣旨にのっとり鋭意整備いたしておるところでございます。
 なお、そのほか関東直下型地震等もいろいろと研究されておる段階でございまして、これに対する予知体制等につき学界等も協力いたし進めておるところでございます。
#340
○渋谷邦彦君 たとえばこの間あれは震度四でございましたか、マグニチュード六・何かの東京を中心としてあった地震。ああいったものがさらに大きいやつが来ないとは限りませんね。アルジェリアみたいな直下型が来て二万人ぐらい死ぬようなことにならないとは限らない。ところが消防庁とあるいはいまおっしゃられたようなその問題点、いろいろな見解がそれぞれ分かれているみたいに私理解しておるんです。たとえば予知の問題、予知の問題を下手に出すとかえってパニック状態起こすんじゃないかという問題。それから避難場所。いろいろな問題が東京を例にしてみた場合だって大変これはもう死ぬを待つ以外にないんじゃないか。たとえば一番最長距離で何キロあるか御存じでしょう、恐らく。自分の家から避難場所まで最長距離は六キロです。老人子供どうしますか、こういった問題。それから消防体制は十分なのかどうなのか、こういう問題もある。
 それから特に東京にとっては――これは大規模地震対策特別措置法が五十三年六月に制定された。この中には静岡、神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知の六県、百七十市町村が入っているわけです。東京は抜けているんですよ。東京都からもこれ要請ある。鯨岡さんなんかこれは東京に非常に詳しいお方ですから、本当は十分その辺の関係というものは御存じだろうと思いますが、こういった一体不備の点をどうするのか。この間も地震があったでしょう。デパートで何が売れたかというと懐中電灯、乾パン、これが平均の日よりも十倍以上売れたという。だから庶民としては命を守るために一生懸命取り組もうとしている。ただし、それに対応できる、政府のいまの措置でいかがなものであろうか。こういう問題が必ず起きます、東海地域に。斉藤さんもおられますので、実感としておわかりになっておられると私思うんです。総理、その辺はこう総合してみますと、まだ不備が相当あると思うんですよ。最高責任者として――いつ何どき起こるかわからない、いま起こるかもしれない、あしたにも起こるかもしれない、十分な矛盾のない対応をぜひ立ててもらいたいと思う。やっぱり基本的な考え方は――そっちより答弁なさいますか。どうぞ。
#341
○国務大臣(塩川正十郎君) 仰せのとおり、地震の情報等につきましてはまさに不安を助長しパニック状態になる、これが実は一番心配でございまして、仰せのとおりでございます。
 そこで、役所の仕事といたしましても、そして責任の分野ということも、その点は明確にしなければならぬということでございまして、現在、法によりまして、その予知と対策の限界を一応責任を明確にいたしております。
 それを少し説明さしていただきますと、異常現象の発見、そしてその発見に基づきまして地震予知判定会の招集をする。そして招集をいたしまして、判定会でこれが何らかの決定がありました場合に、その地震予知情報というものを総理大臣に報告をする。そこまでが気象庁といたしまして担当いたしております。そして総理大臣がその報告を受けましたことを受けて閣議を開き、そして警戒宣言をされる。そしてその後におきましてはこれが国土庁を中心といたし、各省庁におきますそれぞれの地震防災計画に基づきます対応策を講じていくと、こういう順序になっておるのでございます。
 そこで、いま一番御心配されておりますことは、パニック状態になって防災計画どおり行動がとられないのではないかということが一番心配されておると思うのでございまして、それにつきましてはそれぞれの各省庁ごとにおきまして国が定めます防災計画を鋭意具体化し、煮詰めておる段階でございまして、それぞれの省庁では、それは担当した分につきましてはこれが計画も実施されつつあるところでございます。
 ついででございましてえらい申しわけございませんが、その一例を申しますと、たとえば国鉄につきましてもそれぞれの駅の避難場所が指定されてまいりましたし、たとえば東京都におきましては区とあるいは所轄の警察署と協議いたしまして、各駅ごとにおける避難場所というものを設定いたした段階でございます。それからまた地震が起こるということの濃厚になった場合に運転系統をどうするか、あるいは地震が発生したときの運転系統並びに電源措置についてどうするかということは、それぞれ国鉄の業務計画に基づきましてこれを防災計画とあわせて指示してあるところでございまして、それぞれ努力いたしておるところでございます。
#342
○渋谷邦彦君 この間、地元の愛知県の大府というところで火災がありまして十九時間燃え続けた。それが当局の方にも報告のなかった薬品に引火した、こういうことになっています。関東大震災あたりの古いその貴重な経験から考えましても、火災の原因は薬品によるものが多い、これが非常にいま野方図な状態に保管されているということが指摘されております。こういった問題、それから消火体制というものは十分なのかどうなのか。それから、自分の家から六キロあるいは、大体平均三キロだそうです。ところが歩いているときはどうするのか、いろんなそういう問題があると思います。いま時間がありませんから、あれもこれも申し上げていることはできません。
 そういったことを総括的にいま政府としては、いまも御答弁がございましたけれども、必ずしもそれで国民が安心して避難をし、また火災が起きないだろうという安心感が持てるかどうか、いろんなことがあり得るわけです。たとえばブロックべいの問題もありましょう。東京の区内でも九六%ブロックべいというところがあるんです。そういったところどうしますか、それが一つ。まとめて答弁してください。
 それから、さっき私申し上げました地震防火対策強化地域に東京がなぜ入ってないのか、これから入る予定があるのか、これ答弁してください。
#343
○国務大臣(塩川正十郎君) まず、一番心配しておられます危険物の問題、これは私たちも非常に実は心配いたしております。この前大府でございました例に一例がございますように。したがいまして、いま倉庫の関係は私たち運輸省で所管いたしておるのでございますが、各種倉庫の実態調査は十分に把握をいたしておるつもりでございますが、なお危険物あるいは劇毒薬の保管等につきましては、各省庁間の連絡を十分とっていかなきゃならぬのでございます。たとえば危険物につきましては消防庁との関係になってまいりますし、劇毒物につきましては厚生省、そのように、建設省、建築基準の関係もございますし、あるいは通産省の関係もございますしいたしますので、そういうところと各倉庫業者との関係、この三者の関係をいま密接にいたしております。
 仰せのとおり、十分にはまだ行き届いておらないので、私たちも気がかりな点はございますけれども、しかしこれは全国にわたりまして、その準備をとりつつあるのでございまして、その重点を目下指定区域に置きましてほぼ完成しておる予定でございます。
#344
○渋谷邦彦君 消防関係はどうなっていますかね。
#345
○国務大臣(石破二朗君) 消防に関係する分についてだけお答えいたします。
 渋谷委員よく御承知と思いますけれども、危険物につきましては、これを消防で法律上把握する仕掛けに相なっております。実際問題としてそのとおりいっておるかどうか問題はあると思いますけれども、一応筋は通っております。
 御指摘のその他の劇毒物、これにつきましては消防法上これを常時確認するという体制に法体系がいまできておりません。大府の事故もありましたので、これを一定量以上などを保管する場合だけでも消防でこれを把握しておかなきゃいかぬじゃなかろうかと考え、目下検討中であります。ただ、これを法律でやりますかどうか今後検討いたしたいと思っております。
#346
○渋谷邦彦君 東京都の問題はどなたが答弁してくれるんですか、強化地域は。なぜ指定……
#347
○国務大臣(原健三郎君) 東京都についてはいまそれを強化地域に入れるか入れないかいろいろ研究いたしておりまして、両論がございまして、まだ早いという意見もあるのでありますが、鋭意調査研究を進めております。そして、できれば御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
#348
○渋谷邦彦君 総理、お聞きのとおりです。調査研究、これからの検討――間に合いますか、災害対策といたしまして。いまそれぞれの欠陥、わずかな時間の間に、御答弁もありました。けれども、特に過密地帯のこの東京だとか、もう一挙にやられますよ。こういったことを総合的に総理としてどういうふうに御指示をなさって、そういうことを未然に防げるような御指示をなさって督励されるか、決意を。
#349
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来いろいろ御指摘があり、当局からそれぞれ答弁をいたしたところでありますが、地震の予知体制の整備、さらに警報の発令、それに伴う避難場所あるいは経路、それへの誘導の問題、それから、そういう地震災害が発生いたしました場合の消火活動、救助活動、いろいろの面で総合的な準備の体制が整わなければならないということは御指摘のとおりでございます。まだ不十分な点もございますけれども、私どもはいろんな場合を想定をいたしまして、政府の各機関を督励をし、総合的な対策案というものを早急に確立をしてまいりたいと、こう考えております。
#350
○渋谷邦彦君 時間もありませんので、要望を交えて締めくくりにしたいと思うのでありますが、この間も宇都宮方面であった、その前には宮城沖地震があった、さまざま最近もう群発状態じゃないか。特に東海地域なんかわれわれいるところでございますからなおのことです。この点については、ただ調査研究だけでは待てない、もっと基本的に取り組まなきゃならぬ問題がある。人が集まれば車も集まります。こういったことをまず土台に、災害対策全般にわたってお取り組みになる必要があるのではないだろうか、それをぜひ強力に推進していただきたいことを申し述べ、きょうは外交、防衛については残念ながら時間が参りました。しあさってまた外務委員会がございますので、そのときに譲りたいと思います。
 以上で私の質問は終わります。(拍手)
#351
○委員長(木村睦男君) 以上で渋谷邦彦君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#352
○委員長(木村睦男君) 次に、赤桐操君の質疑を行います。赤桐操君。
#353
○赤桐操君 まず最初に、私は以下質問に入りまする前に、鈴木総理に対しまして基本的な姿勢について伺いたいと思っております。
 高度経済成長時代を終わり、七〇年代に締めくくりがつけられました。いよいよ八〇年代の新しい時代への政治の方向が形づくられる段階に入ったわけでありますが、この時代はわが国の高齢化への急速なる移行を初めといたしまして、政治的にも経済的にも社会的にもその仕組み全体に大きな転換の時期が来ているように思うのであります。総理の所信表明の中にもございましたけれども、こうした中で内政全体にわたっていろいろとこれからお伺いをしなきゃなりませんが、この中における行政、財政あるいはまた産業、金融関係全体、特に政策金融、こうしたものをめぐりましての総理のお考えを承りたいと思います。
#354
○国務大臣(鈴木善幸君) 七〇年代はわが国が高度の経済成長を遂げた段階でございます。しかし、後半に至りまして第一次、第二次の石油ショックを受けまして、これは日本だけではございませんが、世界の経済、政治の上に大きな影響をもたらしたわけでございます。わが国はこれに対応いたしましてどうにかこの難局を乗り越えることができた、こう思います。その対応におきましては、各国に比べて民間の方々、国民の方々の賢明な対応によりましてこれを乗り切ることができたと、こう考えております。
 八〇年代に入るわけでありますが、これからの日本の経済は、私は、いままでのような高度経済成長を期待することは困難である。私どもはいままで築いてまいりましたところの経済水準、国民生活というものを守りまして、そして安定成長のもとにおけるこの成果というものを国民各層に分かち合って、そしてこれからの日本の社会というものを安定的に運営していかなければならない。特に御指摘がありましたところの急速に到来した高齢化社会、この問題は今後の日本の将来の命運にもかかわるような大きな問題でございます。こういう問題につきましても中長期の展望に立ちまして、経済運営はもとより、財政あるいは行政各般の施策を総合的に進めてまいりたい、こう思っております。
#355
○赤桐操君 いまの御答弁に基づきまして、私どもは八〇年代に対しましては少なくとも安定した平和な時代、それは各般にわたった福祉型への大きな転換を意味するものであろうと、こういうように考えまするし、また期待するのでありまするが、そういうように理解をしてよろしゅうございますか。
#356
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のとおりでございます。
#357
○赤桐操君 まず景気の現状につきまして輸出、設備投資あるいは財政、特に公共投資を中心とし、さらにまた個人消費等に分けて御説明をいただきたいと思います。経済企画庁長官の御説明をいただきたいと思います。
#358
○国務大臣(河本敏夫君) 景気の動向につきましては、最近若干のかげりが出てまいりました。たとえば国民消費、これも伸びてはおりますけれども、予定ほどは伸びておりません。住宅投資、これも相当計画よりは落ち込んでおります。ただ、最近は輸出が好調でございます。それから、民間の設備投資も非常に順調に伸びております。そういうことで明るい面とやや暗い面と両方ございますが、
   〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
大勢としては、私はいい方向に行っておると思うのです。ただ、輸出の面につきましては、アメリカ、ヨーロッパの経済が余りよくはございませんので、将来とも現在のような状態で伸び続けるかどうか、やや問題点がございますが、日本産業の国際競争力が非常に強いということを考えますと、外国の景気が悪くてもそんなに落ち込まないのではないかと、こういう感じがいたします。自動車などには問題はございますけれども、これは全体の貿易から見ますと、そう大きな数字ではございません。
 それから、民間の設備投資につきましては、やはり現在の金利水準では来年以降若干問題が出てくるのではないかと、こういう感じがいたします。現に、中小企業の設備投資につきましては、現在の高い金利水準ではなかなかできないということで、計画の変更等が出ております。
 そういうことでございますので、いろんな面を十分注意をしながら、先月五日総合対策を決めましたが、その総合対策が確実に実行されますように、政府を挙げて努力をしてまいる所存でございます。
#359
○赤桐操君 御答弁によりまするというと、いろいろの各般にわたった現象は、大勢としてはよいけれども、個人消費の面においてはかなり停滞ぎみであると、こういうお答えのように存じます。
 個人消費の停滞ということになってまいりまするということ、これは回復をさせるということについてどのようにすればよろしいか、こうした問題が次に問われてくると思うのであります。これについては私は二つの方法があると思います。実質的な収入の増大を図るということ、あるいはまた二つ目には物価の抑制を図るということ、そういうことで実際の消費活動を増大せしむるという以外にはないと思いますが、特にこの中で本年の賃金要求の結果につきましては大体全国平均で六%台で妥結が見られております。しかし物価の状況はこれを大きく上回ってきておるわけでありまして、特にこの数カ月間は上がりっ放しにきておると、こういう状態ではないかと思います。政府見通し六・四%、こういうことで今日まで主張されてきたようでありますが、これとの関連におけるところの物価政策をお聞かせいただきたいと思います。
#360
○国務大臣(河本敏夫君) いまわが国経済の一番の問題点は、御指摘のございましたここ数カ月間実質所得が落ち込んでおる、こういうところにあろうかと思います。要するに消費者物価が計画よりもやや高目に推移をしておる、ここに最大の問題点がございます。
 そこで、先月総合対策を立てましたが、その総合対策におきましても物価対策を最重点項目として取り上げております。六項目にわたる物価対策を強力にやろうと、こういうことを決定したわけでございますが、最近になりまして異常気象もようやくおさまりまして、季節商品がやや安定の方向にいっておりますので、今月の後半以降はある程度安定の方向にいくのではないかと、こう思います。ただ、年度間を通じて六・四%という目標を達成するためには、下半期に平均四・六%という数字を実現しなければなりませんので、これにはやはりよほど強力な対策が必要だ、また工夫が必要だ、ほっといたのではなかなかこれは達成はむずかしいと、こういう感じがいたします。
#361
○赤桐操君 いまの御答弁にもありましたし、九月五日の経済閣僚会議におけるところの結論にもあったようでありますが、六・四%でことしいっぱい、年度末まで貫くということになりまするというと、これはいまもお話がありましたが、まず現状より消費者物価が上がってはならないということが最低の必要要件であろうし、そしていま長官からもお話がありましたが、まさに四%台程度まで落としていかなければ無理であろうと私もそう思います。しかしいまの状態を見まするというと、生鮮魚介類、これは相当いま値上がりが激しくなっておりまするし、十月の半ば以降は若干安定に向かうだろうというお話もございますが、逆に公共料金等については大幅に大きく値上がりを始める状況にもございます。こういった状態の中で考えてみまするというと、私どもの手元での試算で考えまするというと、とうてい六・四の範囲内にはおさまらないのではないだろうか。恐らく七%前後、場合によっては八%近くまでこれからいくのではなかろうか、こういうように実は実感的に受けとめておるわけでございますが、この点についてはいかがですか。
#362
○国務大臣(河本敏夫君) ただいまのところ大体十月末から十一月へかけまして何とか七%台に持っていきたいと、こう思っております。そして十一月から十二月へかけまして六%台と、こういう目標でいろいろ対策を立てておりまして、さらに一月以降は大幅に引き下げていかなければならぬ。そうしませんと四・六%になりませんので、これには先ほど申し上げましたようによほど強力な工夫と対策が必要だ。ただしそれは必ずしも実現は不可能ではない、やり方いかんでは実現できると、私はこのように考えております。
#363
○理事(古賀雷四郎君) 関連質疑を許します。青木薪次君。
#364
○青木薪次君 私はここで公共交通の問題について総理に質問いたしたいと思うんです。
 わが国の公共交通はいま非常に厳しい試練の関頭に立っていると思うのであります。ある意味では存立の危機さえいま生まれているというように考えております。国民の生活に根差したところの公共交通というものは、都市にあってもあるいはまた地方にあっても、高度成長のときも低成長のときも、常に国民のそばにあって、産業、経済、住民福祉に寄与してきたと思うのであります。それは国鉄という形をとろうが、私鉄という形をとろうが、公営交通というような立場をとろうが、それは全く御案内のとおりであります。したがって、その面では、鉄道輸送や道路輸送、航空機による輸送や海上輸送、それらの面から考えてみて、すべての面においてその交通機関の持っている特性をどういうように生かすかという点は、これはきわめて重要な問題です。たとえば港湾をつくる。そのほかに荷物を積み込むには船着き場から遠くの方へ荷物をかついで持っていくなんという例がたくさんあるのであります。
 しかも、私は先日も北海道へ行ってきたわけでありますけれども、たとえば東京からずっと国鉄輸送だけで北海道の果てに行くという点について若干問題がある。この辺は航空機の関係も考えていく必要がある。たとえば東京から大阪という関係、この面においては航空機の輸送というよりも新幹線なんか活用したらどうだろうというような点、いろいろの点がこの交通の持っている特性の問題としてあるのであります。
 ところが、今日モータリゼーションの進行する中で、公共交通がいま申し上げましたように自動車に追われて危殆に瀕している、こういう状態です。したがって、この面からどうしてもやはり――資源の問題やエネルギー問題というやつがいま非常に重要なときに来ているわけでございます。いま赤桐議員の指摘のように物価問題もこれもきわめて重大であると思います。したがって、このときにいま、今回も交通問題についてローカル線廃止の関係から五千キロ近くを廃止してしまうという考え方があるのでありまするけれども、この点について総理、ひとつ地方公営交通といいますか、そういった意味で公共交通を確保するに対しての――総理は運輸委員会、常任委員会に出ないのでありますから、ここでひとつ聞いておきたいと思うのでありますが、いかがですか。
#365
○国務大臣(鈴木善幸君) いまるるお話がございましたように、近年におけるすばらしいモータリゼーション時代の到来、これがわが国の輸送体系に大きな変革をもたらしておるということは御指摘のとおりであると思います。私はそういう意味で日本はいま総合的な交通体系というものを再検討する必要がある、再構築をする時代に入ってきておると、こう私は思うわけでございます。そういう際におきまして、いろいろ輸送機関の特性というものをそれぞれ生かしていかなければならない。たとえば鉄道の場合におきましては、これは何といっても大都市の旅客あるいは都市間の旅客の輸送、これは大量輸送でございますから、そういう面で大きな特徴を持っておる、私はこう思います。また、大量の定形貨物の輸送、こういう面でも鉄道は大きな特性を持っておる、私はこう思います。また日本はこういう海に囲まれた国でございますから、海上輸送ということがこれも非常に大事だと、私はこう思っております。いろいろそういう面を総合的に組み込んで、
   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
そして総合的な交通輸送体系というものを図る必要がある。
 そこで、最後にお尋ねがございましたところの地方ローカル線の問題……
#366
○青木薪次君 宮古線なんかは……。
#367
○国務大臣(鈴木善幸君) これがあるわけでありますが、私は、地方の住民の方々がいままで鉄道になじんでこられて、これが地方の生活なり経済なりに大きな柱になっておるということも私よく承知をいたしております。私の地元について、三陸沿岸について御指摘がわざわざございましたが、私は、しかしいま申し上げたように、国鉄というものがこの経費、財政の縮減の見地からいたしましても、また合理化という面からいたしましても、どうしてもこのままでやっていけるわけがないと、こう考えまして、三陸沿岸鉄道等につきましては、第三セクターとしてこれを運営するということについて知事並びに関係市町村に協議方をお話をしまして、いまコンサルタント等を通じまして第三セクターによる運営ということに取り組んでおると、こういうことでございます。
#368
○青木薪次君 私は四、五日前の八日、九日に実は北海道ローカル線の調査に行きました。釧路−網走間を走っている釧網線の調査をしたのであります。全長百六十六・二キロあって、百円もうけるために四百五十九円払うという営業係数四五九です。中川大臣の立て看板が大分あちらこちらに立っておりました。この中で皆さんに、私は早朝から車に乗り込んで、一体どうお考えになりますか、廃止されたらどうしますかと言ったら、廃止なんということは考えません、もし廃止されるということになったら大病院をひとつ建ててもらいたい。それから高校生も釧路へ通っているけれども、大体最低三万円全部下宿するためにかかるから、これもひとつ考えてもらわなきゃいかぬ、われわれの生活は破壊されてしまう。あなたは車を持っておりますかと言ったら、車は持っているけれども、それでその高校生やあるいはまた所用で行く人たちを送り迎えなんかとてもできません、食っていかなきゃなりませんということでありまして、これは私どもは保守とか革新は関係ありません、とにかく私どもは必死になってこれを守りますと、こういう話であったのであります。生活路線ということがまさに定着しているということだと思うのでありますが、赤字が出るというだけでこれを廃止の対象にするという点についてはなかなか困難がある、無理があるということを私は考えてまいりました。
 もちろん赤字問題だってそれは大変なことです。しかしその辺について運輸大臣はどうお考えになっておられるか御所見を伺いたいと思います。
#369
○国務大臣(塩川正十郎君) 地方交通線の考え方につきまして総理から総論的なお話がございました。つきましては、現在御審議願っております国鉄再建法案の中にその扱い等につきまして掲載されておるのでございますが、私は、仰せのとおり、こういう生活路線でもあり、また地域開発路線であるものを、ただ赤字であるからということのみでこれを廃止するということはなかなかむずかしいだろうと思います。が、しかしながら、国民経済の観点に立ち、あるいは将来のエネルギー節減という観点に立って、どの交通機関を選ぶのが有効であるかということ及びその地方には地方に合った交通体制をとっていただくのがいい。私は地方陸上公共交通の整備、この考え方はいまこそ必要なんではないかと思うております。でございますから、ただ単に国鉄の線を引き揚げるとかなんとかいう問題ではなくして、地方の交通のあり方の一環の中で国鉄の整備を進めていきたいと、こう思うておるものであります。
 でございますから、よく言われますように、地方交通線、対象となっております八十数線一遍にその鉄道を引き揚げてしまうというものではなくして、代替機関にかえるべきものはかえる。あるいはそのまま鉄道の状態において運営するが、しかしそれは地方と国との責任においてやっていくとか、いろんな方法はあろうと思うのであります。全部それが国鉄の責任で国鉄におんぶしてそれを経営するということではなくして、地方に合った実情を踏んまえてやってもらいたい。そこに先ほど申しました地方陸上公共交通の整備という考え方を導入いたしまして整理をやっていきたい、話し合いを進めていきたいと、私はこう思うておるのでございます。
#370
○青木薪次君 関連質問を終わります。
#371
○委員長(木村睦男君) 青木君の関連質疑は終わりました。
#372
○赤桐操君 企画庁長官の御説明では、来年の三月いっぱいまでに六・四の維持をしたいと、こういうことでございましたが、私の手元で最近四年間の九月から三月までのちょうどこの六カ月間の平均の指数をいろいろと検討してみたわけでありますが、どの月を見ましてもこれは前月比よりも大変大きく出ている期間でございます。したがって、とても私はそういう甘い状態で年内あるいは年が明けた三カ月間が過ぎるとは考えられない、こういうふうに実は考えるわけでございますが、このことについてはすでにいろいろと基本的な方針等も出しておられるわけでありますが、一体物価対策、物価対策と言われるけれども、具体的に何をどういうようにして、十月ないし十一、十二月はこの程度にまで持っていく方針である、来年の一月、二月、三月は物価状況はこういうふうに移ると思うのでこれに対してこういう対策をとってこのように四%台で抑えていきたい、あわせて年間を通じて六・四に抑える決意だ、こういう具体的なものが出ないということはないと私は考えるんです。この点につきまして、企画庁長官を初めといたしまして、関係大臣、通産大臣を含めまして所見を承りたいと思います。
#373
○国務大臣(河本敏夫君) いま政府が考えております対策は、とりあえずは先月決めました六項目を強力にかつきめ細かくやっていこうと、こういう考え方でございます。
#374
○赤桐操君 六項目を具体的にお示し願いたいと思いますが。
#375
○政府委員(藤井直樹君) 六項目の内容でございますが、第一には、私どもの基本的な物価対策、個別物資対策としては基本的なものでございますが、需要に応じて供給を確保するということを頭に置きまして個別の物資につきまして調査、監視をしていく、そしてその調査、監視の過程で不当な価格引き上げがあれば、それを是正していくということが第一にございます。
 現在その関係では五十二品目につきまして、全国各都道府県におきまして、モニターにもお願いをして調査、監視をしているところでございます。もちろん中央省庁におきましては、全体の物資の価格についての動き、需給についての動きをフォローいたしておりまして、従来でございますと、たとえば非鉄金属が上がりました場合には備蓄を放出する、木材でありますと合板の備蓄の放出をする、さらに原材料に問題があります場合には、その原材料の供給について指導をするというようなことをいたしております。
 全般的にはそういう考え方でございますが、特に今回は公共事業の施行を従来より緩和いたしますので、建設資材につきまして全国的に監視を強化するということを取り上げております。さらに、現在需要の停滞ということもありまして減産をしている物資がございますが、そういうものにつきましても、その減産が行き過ぎまして需給の逼迫を招くことのないようにということで、これも今回の対策で特に取り上げております。
 そして、石油製品につきましては、わりに需給も落ちついておりますので、価格もここのところ安定しておりますが、しかしこれから需要期を迎えますので、灯油、LPG等につきましての監視を強める。これは昨年もそういう事態で非常に需給の逼迫が懸念されたわけでございますけれども、供給の確保を図ると同時に末端における価格監視を行いまして、それに対応してきたわけでございますが、本年も同じような考え方でやりたいと思っております。
 それから、最近の野菜価格が冷夏等によりまして上がってまいりましたけれども、これに対しましては、緊急に出荷をする、促進をするということが特に大都市におきます価格の安定に寄与いたしますので、これにつきましてはトマトそれからキュウリ、キャベツにつきましての緊急出荷対策を実施いたしたところでございます。さらに、本年につきましてはかなり異常気象の状況が続いておりますので、秋冬野菜につきましても事前に準備をしておこうということで、ただいまのところキャベツにつきまして予備苗を用意するとか、さらに沖繩、鹿児島等で栽培をいたしましてこちらの方で被害が起きた場合にそれを緊急的に輸送をして放出をする、さらにはタマネギ、バレイショ等の保管のきくものについては保管をして、不足したときに放出をするというようなこともあわせて予算措置を講じております。
 そういうようなことでございまして、全般的にはただいま卸売物価からの消費財の影響というものが七月以降顕著に鈍化しております。こういう顕著になってまいりました鈍化の傾向を定着させることによりまして、商品価格については漸次落ちつかせて、そして前年同月比の上昇率も低下をしていくというように私どもとしては想定しておりますのと、それから季節商品は何分、昨年後半急騰いたしまして、ことしはいまのようなことで野菜等を中心として対策をとることによりまして低下を図っていくということでやってまいりますれば、前年同月比の方も季節商品で低下を見ていくというふうに考えておりますので、総体として前年同月比が十月以降下がっていくということを考えておりまして、そのための対策を講じていこうということにしている状況でございます。
#376
○赤桐操君 通産大臣の御説明ありませんか。御所見を伺いたいんですね。
#377
○国務大臣(田中六助君) お答えいたします。
 建設資材並びに基礎資材の値上がりを私どももウォッチしておりまして、そういうことのないように十分監視をしておりますが、いまのところいままでの設備投資がフルに稼働してない部門ばかりでございまして、そこに達するまでにもちろん至りませんし、資材の値上がり傾向は見られません。
#378
○赤桐操君 いろいろ伺いましたけれども、今日までのいろんな数年間の経過を見まして同じようなことを私たちも伺ってまいりましたが、なかなかこれが実現をしなかったというのが実態だったと思います。今回は、先ほど申し上げましたとおり、勤労者の賃金を上回る今日の物価の状態でございまして、私は政府にも大変大きな責任があると考えるのでありますが、六・四%が達成できなかった場合においてはこれは大変な問題になると思いますが、総理はどのようなお考えをお持ちになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#379
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来経企庁長官、通産大臣等々から、物価の値上がり抑制については全力を挙げる、具体的な政府の方針に基づきまして御説明を申し上げたところでございます。御指摘のようになかなか、外的な要因、内的な状況からいたしまして非常に厳しいものであることは私も認めております。しかし、いま申し上げたように、全力を挙げてひとつやってまいりたい。特に、私は先般の閣議決定の際におきまして全閣僚諸君に申し上げておるわけでありますけれども、ことしの春闘等においても、労使間における健全な協力関係、そういうようなことで春闘相場もなされたことであり、私はこれを目減りをさせないようにやることが政府としても大きな責任と考えておる、そういうことで、ひとつ物価対策には全力を挙げようということを私からも特に指示をいたしたところでございます。
#380
○赤桐操君 次に、財政収支の今後の見通しについて伺いたいと思います。
 鈴木内閣の主要な政策の柱といたしまして財政再建がそのまず中心的なものである、こういうように私ども伺ってまいりましたが、そして、特にこの中では、目標は二兆円の国債発行の減額をしたいと、こういうように伺ってまいりましたが、大筋はこのように理解してよろしいかどうか、伺いたいと思います。
#381
○国務大臣(渡辺美智雄君) そのようで結構であります。
#382
○赤桐操君 五十六年度予算で国債発行額が二兆円の減と、こういうことに一応目標を立てて進めておられるようでありますが、五十八年度で赤字国債の発行を脱出したい、こういうように政府の従来からの財政再建の目標がなされておりますが、これとの関連の中で実はどのような程度までこの効果が上げられるものであるか、時期が早まるのかどうなのか、成果はどういうように上がってくるのか、こうした見通しについて伺いたいと思います。
#383
○国務大臣(渡辺美智雄君) 政府といたしましては五十九年までに赤字国債から脱却したい。ことしは七兆五千億円赤字国債を持っておるわけですから、そうしますと、やはり来年度二兆円程度を目標に減額をしていくという心構えがなくちゃならない、そういう気持ちでやっていかなきゃならぬ、こう思っております。
#384
○赤桐操君 前国会におきましても、増税なしの財政再建の問題が決議をされておりまするし、さらにまたその上に立った二兆円の減額、こうしたものについては、これはかなりいろいろのことを将来に考えなきゃならぬと思うわけでありますが、いま五十九年で赤字国債を脱却したい、こういう大蔵大臣の御説明でございますが、二兆円の減額を含めた五十八年、五十九年までの財政収支の見通しについて改めてひとつ御提案をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#385
○国務大臣(渡辺美智雄君) 財政収支の見通しにつきましては、ことしの予算委員会、当初予算の予算委員会で一応の財政試算というものをお示しをしておるわけでございます。
#386
○赤桐操君 その数字では、これは私は二兆円の減額の上に立った見通しということにはならないと思いますので、五十六年度の予算編成に当たってはそれを前提としなきゃなりませんので、改めてひとつ計算をして御提出をいただきたい、このことをお願いしたいと思います。
#387
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実は五十六年度の予算を決めるに当たりましては、五十六年の経済見通しというものがある程度つかめませんとこれははっきりしないわけであります。
 先ほどもお話があったように、現在、経済企画庁においては七カ年計画のフォローアップをやっておるということでございますので、まだはっきりした数字が出てこない。だんだんそれが詰まってまいりますれば経済企画庁ともよく相談をして、それでそれらについての予算を固めていくと、こういうことになるわけであります。
#388
○赤桐操君 いずれにいたしましても、五十六年度予算の審議というのは二兆円減額が前提とされているようでございまするし、したがってこれがどのように将来に影響を与えていくものであるか、こういうようなものをやはり展望する中で審議をしなければならないと思いますので、この点はひとつ重ねて大蔵大臣に要望をいたしておきたいと思います。
 次に、当面する予算編成の問題を中心として伺ってまいりたいと思いますが、五十六年度予算については緊縮と増税の二つの型でやってまいりたい、こういうように伺っておりますが、まずこの緊縮の面でございまするけれども、一体予算規模の伸びをどの程度にするのか、対前年度何%ぐらいの増加にしていくのか、全貌の御説明をいただきたいと思います。
#389
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実はそれも決まってないわけであります。ただ、ある程度要求、概算要求というものをしなければなりませんから、その概算要求をするに当たって、各省ばらばらで、五%増で要求するところもあれば、二〇%の要求をするところもあればということでも困るというような点から、一応サマーレビューの結果をもって大体七・五%以下と、下は三・七五ですか、そこまではしてもよろしいと、こういうような一応の概算要求の目安を示したということであって、これからそれをどういうふうに詰めていくか、これは経済の見通し、税収の見通し、それからどれくらい既定経費が切れるか、そういうものを総合的に判断をして、これから決めていくわけでございます。
#390
○赤桐操君 五十六年度の予算で大蔵省が経費節減の対象としている主要な諸目標があると思うんでありますが、私どもは新聞等で知る程度でございまするけれども、その主な項目について、何と何を節減をしていくんだと、こういうことがおわかりになりましたら御説明願いたいと思います。
#391
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは最終的には与党、政府の中でも予算の基本方針、編成の方針というようなものを決めていかなきゃなりません。で、そういうふうな具体的なものはまだ決まってないんです。いずれにいたしましても、効果のないような補助金とか、あるいは目的を果たしたような補助金とか、それからもっと工夫して合理化できるようなことで経費の節減ができるじゃないかとか、いろいろ行政改革とも絡んでともかく既定経費の抜本的な見直し、洗い直しをやっていこうということであります。
#392
○赤桐操君 新聞等によって承知する限りでございますが、ことしはかなり福祉関係の予算にしわ寄せが出るんじゃないか、こういうことが大分報道をされるし、また関係の多くの階層から憂慮をされておるところでございますが、以下一つ一つ伺ってまいりたいと思いますけれども、社会保障給付の所得制限の強化をやるかやらないか、このことをひとつ厚生、大蔵両大臣から伺いたいと思います。
#393
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは社会保障費といえどもやっぱり私は聖域ではないと思うんですね。社会保障の中には医療費とかいろんなものももちろんございます。早い話がこの間の病院の、富士見病院ですか、ああいうようなものを放置しておいてただ医療費が足りないみたいなことばかり言われてもこれも困るわけですから、それはやはり指導、監査というものをかなり徹底的にやってもらわぬと、何といっても国の補助金だけでも、医療費関係では三兆六千億円もあるわけですから、そういう大きなものがやはり社会保障だから中身は、要求だけはみんな出すんだということにはなかなかいかない。しかし、先ほど厚生大臣から話があったような難病や何かで非常に困っているというようなもの等については、やはりめりはりのきいたことも考えなきゃならぬでしょう。いずれにいたしましても、社会保障費といえども聖域ではございません、やはり限られた予算の中でありますから、有効に、本当に真に恵まれない者が真に助けられるというようなことを頭に置いて、むだのないようにやっていかなきゃならぬと、こういうふうに考えておるわけです。
#394
○国務大臣(園田直君) 全般的に社会福祉保障制度というわけにまいりませんけれども、その中には所得制限を引き下げなきゃならぬものもあるし、あるいはまた制限を存置しなきゃならぬものもあるし、大蔵大臣が言われたとおり、本当に困った者が救われ、裕福な人がむだな手当を受けないように十分検討していきたいと考えております。
#395
○赤桐操君 次に、老齢福祉年金あるいは障害福祉年金、母子福祉年金、こうしたものにつきましては、いわゆる社会的なハンディを背負って生きていかなければならぬ立場の人たちでありますが、こういう方々への給付制限についてはいかがですか。
#396
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一つ一つ、個別個別の項目についてどれをどうするかということは決まっておりませんが、先ほど私が申し上げたような観点から予算の査定は進めてまいりたいと思っております。
#397
○赤桐操君 児童手当の問題については先ほども御答弁をいただいておりますから、これは省略をいたしますが、老人医療費の取り扱い等について、特に一部自己負担の制度の導入をいたしたい、こういう動きがしばしば出てきておりまするけれども、厚生大臣、いかがでございますか。
#398
○国務大臣(園田直君) ただいま懇談会、審議会等に諮問をしておりまするので、その検討結果を待って検討したいと考えております。
#399
○赤桐操君 大蔵大臣の御所見も伺いたい。
#400
○国務大臣(渡辺美智雄君) 老人の医療費というのは、やはり老人がふえればふえるというのが、これは必然的にそうなっておるわけであります。しかし、財源に限りがあることでございますから、限りのある財源の中で何を優先するかという問題が当然出てくるのであって、ゼロリストで言うように全部一律というわけにはなかなかいかないのであります。しかしながら、ことしと同じ一般歳出の額であるならば、それだけでは、かなりその中で、何といいますか、差しかえをやっていかなきゃならない。したがって、老人医療費と申しましても、本当に裕福な人もあるでしょうし、それから本当に困った人もあるでしょうし、いろいろあるわけであって、それらについてどういうふうに限られた財源をつけていくか、真に恵まれない人を見るのにはどういうふうにやった方がいいかということなどは今後決めていく問題でございます。
#401
○赤桐操君 各大臣の御答弁をいただきましたが、どうも福祉の後退が懸念される状態にあるように思いますが、これが杞憂であれば結構だと思いますが、総理は、思いやりの政治、恵まれない人々の不平不満を解消することに目を向け、足らざるを憂えるよりも等しからざるを憂える政治を打ち立てたい、こういうことをまず冒頭の記者会見で述べられたと思いますが、そういう基本姿勢の中で明年度の予算、これからの予算編成に臨まれるわけでありますが、福祉後退という事実、あるいはまたそうした批判が仮にもひとつ出るようなことがないだろうと私は信ずるのでありますが、総理のお考えはいかがですか。
#402
○国務大臣(鈴木善幸君) 私が恵まれない方々に対しては十分な配慮をするということを申し上げておるわけでありますが、ただいま大蔵大臣からも、財政は非常に厳しいけれども、本当にお気の毒な方、恵まれない方等に対しては、福祉の諸施策については十分配慮せざるを得ないであろう、またそういう方向で私も指導し運営してまいりたいと、こう考えております。
#403
○赤桐操君 福祉といえども聖域ではないと、こういう御答弁が出ているんでありますが、これに引きかえまして、社会保障関係がこういうぐあいにどうも圧縮の心配がある、しかし総理は非常に熱意を示されておるわけでありますが、ぜひそれを私も信じたいと思いますが、そういう濃厚な色彩が一面にある、そういう状況の中で、これとは対照的に防衛費についてはすでに聖域化の危険が感ぜられるようになってきているように思います。すでに概算要求等では、一般予算の七・九%に対しまして九・七%の増額要求を認めていると、こういう状況に置かれているようでありまするし、またこのことは大蔵省がすでに出しておりまする各種いろいろな資料にも出ておりまするけれども、防衛費の先取り決定や他の経費に比べて大幅に伸ばすことはすべきでない、あるいはまた、GNP一%確保にこだわるべきでない、こういった各種資料が出されておるわけでありますが、こうしたものとの関連から見ると納得できませんが、この点はいかがでございますか。
#404
○国務大臣(渡辺美智雄君) あなたのいまおっしゃったのは恐らく「歳出百科」に書いてある文章を引用されたものだと思います。あの「歳出百科」に書いてあることについては、これは財政当局としての考え方を書いたものであります。
#405
○赤桐操君 そうすると、先取りをまあ私たちは認めたことになりはしないかと、こう言っていま指摘をしているわけでありますが、大蔵大臣はそういうお考えはないと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#406
○国務大臣(渡辺美智雄君) 防衛の問題は国家の安全保障の基本に関する問題でございます。どういうような形にするかということは、最終的にはこれは高度の政治判断の問題でございますが、われわれといたしましては、防衛予算といえどもやはり聖域ではないわけでありますから、真に必要なものはつけますが、それ以外のものは厳正に査定をしなければならないと、こう考えております。
#407
○赤桐操君 ことしに入ってから、わが国に対する防衛力の増強の問題については米国からしばしば要請されてきているところであろうと思います。しかもこれは異常だと言っても過言ではないと思うのでありますが、場合によっては内政干渉ではないかとまで実は感ずるような場面もあったように思います。実際問題として九・七%の増額についても不満を示したりいろいろ出ておったわけでございますが、私どもは、こうした日米間の状態の中で、政府は米国が要請する中期業務見積もりの一年繰り上げ、こうしたものを、国庫債務負担行為あるいは継続費、こうした制度を使って何とか実行しようという意図を持っておられるのではなかろうかと実は感じているわけであります。この点についてはいかがでございますか。
#408
○国務大臣(渡辺美智雄君) 業務見積もりの問題につきましては、これは防衛庁の予算要求の内部の資料としてつくられたものであります。われわれは決してそれが防衛費の先取りということを目標にしてつくられたものであるとは思っておりません。
#409
○赤桐操君 しかし、現実にはアメリカに対するこういった措置を今後とりながら一つの対策とするし、また国内に向けては、これは中期業務見積もりはいまお話しのような性格のものであるので、これはそういうものではないと、こういう説明で終わっておるようでありますが、両方に顔が立つような物の言い方というものは、ある意味におきまして国民の皆さん方を欺瞞することになるように思いますが、この点はいかがですか。
#410
○国務大臣(伊東正義君) 私、この前アメリカへ行きまして、ブラウン国防長官に会ったり、マスキー国務長官にお会いしたのでございますが、向こうの期待はいま先生がおっしゃったように、いろいろペルシャ湾における追加防衛責任の問題でございますとか、そういう例を挙げて、日本もひとつ防衛について顕著な、着実な防衛費がふえる努力をしてもらいたい、あるいは中期業務見積もりの繰り上げの計画をひとつ実行してもらいたいとかいうような期待表明があったことは、これは事実でございます。ありましたが、前の大平総理も真剣に努力をするということ以外は具体的には言っておりませんし、私に対しましても、九・七が少ないとか、幾らにすべきだとかいうような数字的なことは一切なかったのでございます。
 私は常に、防衛というのは日本が自主的にまず専守防衛ということで考えるべき問題なんだと。これは財政の問題もあり、国民的なコンセンサスを得なければできない問題でもあるから、自主的な判断に立って着実に防衛費をふやしていくというのは、日本の立場においてそれは考えるということを言いましたが、先生がおっしゃったように、一年繰り上げるとか、数字的にどうとかいうことは一切向こうには言ってないのでございます。
#411
○赤桐操君 次に、防衛予算の内容を見てまいりまするというと、各費目の明細まで見ましても、どうも各年度で購入する航空機はどういうものであるか、武器はどうなのか、弾薬はどういうものであるか、種類、数量、こうしたものについては全然実は示されておらないわけであります。さらにまた、単価ももちろんこれは出ていない。こういった状態の中で防衛予算の審議をするということは事実上私はできないと思うのでありますが、この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
#412
○国務大臣(渡辺美智雄君) 予算書が非常に見づらいというような御批判は受けておるわけであります。各項目とのバランスという問題もありまして、防衛関係だけをうんと細かく書いて、ほかのところはもううんと大ざっぱでいいというわけにもなかなかいかない。それから短日月の間に予算書をつくらなきゃならないと、そういうような問題もあります。しかしながら、附属の書類等においては航空機等の台数とか、あるいはいろんな機種ごと、品目ごとの数量等は示してあるのであります。
 なお、それらの予算書の印刷の仕方ということについては事務当局から説明をいたさせます。
#413
○政府委員(松下康雄君) 予算書におきます武器、車両等購入費は、御指摘のように一項目が一つの数字で表示してございますが、防衛庁予算の場合におきましては、武器、車両等の購入はそのほとんどが継続費でございますとか、あるいは債務負担行為を使いまして何年かにわたって債務を負担して購入するものがほとんどでございます。で、それらの継続費あるいは債務負担行為につきましては、私ども財政法二十八条の予算参考書の中にそれぞれの明細をお示しをいたしまして、それをごらんいただきますならば相当詳細に内容がおわかりいただけるような工夫をいたしているところでございます。
#414
○赤桐操君 いずれにいたしましても、やはり国会で私たちがそういう事実をよくわかるようにしてもらわないと、これは私はやはりいけないと思うのです。それで、シビリアンコントロール等なかなかやかましく言われてきておりますが、まずその事実をよく国民の皆さんに知っていただく、国会で予算等についても十分これはわかると、こういう状態の中からそれは私は確立されていくと思うのです。わからない状態が続けていかれる中から、実はこの期待が裏切られていくと思うのでありまして、予算面からひとつぜひこれは実現をすべきだと思いますので、このことをひとつ注文を申し上げたいと思います。
 次に、増税の問題について伺いたいと思うのでありますが、五十六年度の予算関係では、選択的な増税とかいろいろ言われておりまするけれども、しょせんは私は納税者の立場にすれば、結局ふところから出るわけでございまして、負担増であることには変わりございません。いまもくろんでおられるところの概要についてひとつ伺っておきたいと思います。
#415
○国務大臣(渡辺美智雄君) 特別にもくろんではいないんです。ただ、ゼロリストというのがいろいろな波紋を呼んだわけでありますが、あれにつきましては、まあともかくいろんな根拠の数字等について正確さを欠くわけでありますけれども、仮に四兆円程度の自然増収が出るというような場合であっても、それは二兆円の国債減額と一兆五千億円の国債費、つまり利払いの増額と地方交付税で全部なくなりますから、その程度の要するに税金の増収では一般歳出の伸びはゼロです、つまりことしと同じです。そうなりますというと、先ほども申し上げましたように、それじゃ公務員のベースアップはできないのかねとか、あるいは老齢福祉年金はせっかく五十五年度の途中で改定したが、また少し下がるのかねとか、生活保護の物価スライドはできないのかねとか、年金も物価スライド条項があるけど、これもできなくなるのかねとか、いろいろ問題が出ます。
 そこで、それを他の経費で切るといっても、どこまで一体切っていけるか、それで待遇改善等ができるのかというようなことはこれから詰めるわけでありますが、なかなかこれは容易なものじゃない。で、ゼロゼロというのですから、一つもくれないのじゃなくて、ことしと同じ予算額だけは出しますよと。それでもあの騒ぎがあるわけですから、さらに切り込むという話になりますと、今度は切られる方は、本当になくなっちゃうわけですから、これは。まあ、それによって生活している人もあるでしょうし、いろいろ恩恵受けてる人もあるかもしらぬ。どこまでを必要と見て、どこまでを必要と認めないかという大問題が出てくるわけです。
 しかし、これはあえて、先ほど言ったように厳しい財政事情のもとですから、もう効果が薄いとかあるいは目的を果たしたようなものは、補助金等でもばたばたこれは切らなきゃならぬと、そう思っております。しかし大変なことだと。どこまで切れるか、切っても恐らくは足りないんじゃないかということになれば、どっちを優先するのか。まあ、足踏み状態を優先するならそれでいいじゃないかという議論も一つあります。それからもう一つは、いや、それはとても気の毒だから、みんなで少しずつ出し合っても、それはもう老人の福祉年金ぐらいは幾らか見てやったらいいじゃないかという話になれば、どこでどういうふうな形で出し合うのか、それはこれからの相談でございまして、やはり高福祉をやろうとすれば高負担ということはもう避けられない状態、どこの国でも世界じゅうそうですから。だから、どちらを選択するかということは、今後皆さんの意見を聞いて、最終的に予算編成までに決めていきたいと、そう考えております。したがって、どの程度の増税を考えていると言われましても、現在それを御返事できる状態にはございません。
#416
○赤桐操君 いまの御説明は、結論的にはどの程度の増税かということについては説明できないということでありますが、お話の経過からすればかなりの増税をしなければ追っつかないと、こういう御意見のように私は伺いました。
 しかし、率直に申し上げますが、五十四年十二月二十一日の衆参両院の本会議の決定は、財政再建決議については少なくとも増税によらないということをたてまえとしている。しかも税負担の公平の確保、既存税制の見直し等を含めた決定であったと思います。したがいまして、増税をしなくても別に方法はあるのではないか、こういう実は問題も含まれての決定であったように思いますが、この点はどのようにお考えになっていますか。
#417
○国務大臣(渡辺美智雄君) もちろん鈴木総理からも国会で答弁がありましたように、新型の、大型のいわゆる一般消費税というようなものは、そういうような増税は五十六年度で考えておりませんというお話があったわけです。基本税制の見直しについては、当然にその不公平の是正というようなものやあるいは脱税とかなんとか、そういうものがあればそういうものも摘発しなきゃならぬし、それから時間は少しかかりますが、皆さんからも不公平税制の一つとして言われておった利子、配当の分離課税というようなものも総合課税への移行という準備を着々進めておるわけであります。しかしながら、現在いろいろ税制が、税金があるわけでありますが、その中での増収という問題についてまで一切それはやりませんということはお約束はしていないわけでございます。それをやらないということになれば、先ほど言ったように、恐らく四兆円ぐらいの増収があってもそれはとても来年度の一般の政策経費というもの、あるいは義務的というか自然増、当然増というか、そういうようなものにはおこたえできませんと、それはないものはないわけですから、ですから、それはどういうふうにしていくかはこれからの御相談でございますということを申し上げているわけです。
#418
○赤桐操君 先ほどわが党の和田委員からもお話がございましたが、多くの勤労者、国民大衆は姿なき増税によって今日まで来ている。しかもそれはかなり厳しい状態にあるということが言われてまいっております。事実、これはもう朝日新聞等の中でも論じられておりましたけれども、実際私は、いまの姿なき増税と称するものは大変大きな社会問題であると考えております。
 これは総理も御存じになっていらっしゃると思いまするけれども、仮に年間二百五十万の収入を持つ勤労者、この人の税負担の状態でございますが、これは五%の賃金アップでまいりまするというと、二〇・六%対前年比上がることになっております。これが五百万円の年間収入を得ている者の場合でまいりまするというと、それよりはるかに少なくなりまして一二・四%の増になると、こういうことでございます。八%くらいになりますというと、二百五十万の者は二九・九、約三〇%、これが五百万円の場合におきましては一六・九という状態であります。こういう実は大変大きな不公平な状態がこの税体系全体の中に置かれております。これは一つの例でありますが、こういう大変大きな矛盾を持っている実はいまの税制度でありまして、そこに私たちは不公平税制の是正というものを大前提として要求いたしておるわけでありますが、こうした状態等を考えてみまするときに、少なくともこれからの税対策の中では、私はやはりこうした今日の上下のアンバランスや姿なき増税、賃金の上昇によって自然にこれはもう上げられていく、こういう状態の中で暮らしている人たちに対する対策というものは、少なくとも今回とらなきゃならないと思うのでありますが、そういう点についてのお考えはいかがですか。
#419
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御指摘のように課税最低限を数年引き上げておりませんから、その意味においては物価の上昇分というものが増税に影響しているじゃないかと、これは私はおっしゃるとおりだと思うんです、それは。しかしながら、だからといって、現在の状態で調整減税をやれるような財政状態にはない、これも事実なんです。昭和四十九年と昭和五十年とを比べてみると、たとえば租税及び印紙収入というものは昭和四十九年十五兆あったんです、十五兆四千億。ところが、その次の年は十三兆五千億ですから、一兆九千億へこんじゃったわけです、税収そのものが。しかし、その一兆九千億円も税収が減った中で、しかも生活水準も落とさないように、福祉も少しずつでも伸ばしていこう、文教の方も予算をよけいつけていこうというような、ベースアップもしていこうということになりますと、結局金がないということで、そこで初めて昭和五十年に二兆三千億の赤字公債を発行した。それから赤字公債が続くわけでありますが、これは言うならば、公債というものは私は発行したときにすでにもう増税を約束したと同じだと思うんですね。もう公債は払わなくてもいいというんなら話は別ですけれども、十年間で払うということになってまいりますと、当然公債を発行したときには、だれかがそれは返済をするということですから、どこかで税金で返す、税金以外には返す方法はないわけですから、ですからそこに問題がある。したがって、われわれとしてはいろいろな経費の節減その他のことをやりながら、昭和六十年からはこの赤字国債の返済時期に重なってくる。返済時期までにまた赤字公債を発行するということは、借金を返すためにまた借金をするということと全く同じということになって、いわゆるまあ民間で言えばサラリーマン金融ですか、そういうようなことになってしまう。それは国家の財政にとっても非常に大変な問題だということのために、財政再建はしなけりゃならぬということになっておるわけです。
 そこで、われわれとしても不公正税制というものはこれは直していかなきゃならぬ。どこに一体不公正税制があるのかということで、問題はそこなんです。だから、そう不公正税制税制言いますが、そんな莫大な不公正税制というものは、私は存在していないと思うんですね。よく特別措置法だけが不公正税制だと、こう言われますが、約九千八百億円ございますけれども、その大部分というものはもう個人の特例措置なんですよ。法人だけだと一千九百億円しかなくて、そのほとんど大部分は、中小企業の対策費と公害対策とか、そういうものに使われておるということでありますから、なかなか、一口に不公正と言いますけれども、どこにそういう莫大な不公正があるのか、それらについては……(「税法そのものにあるじゃないか」と呼ぶ者あり)だから、税法のどこにそういうものがあるのか、いろいろと皆さんからも御意見を聞いて、正すべきところがあれば正していく必要があると、そう思っておりますが、そう莫大なものは私はないと思っております。
#420
○赤桐操君 いろいろお話がありますが、要するに、やっぱり私は応能の原則と申しますか、取るべきところから税を取ってきていないというその積み重ねが今日に及んでいると思うんです。したがって、社会党はすでに具体的な提案もいたしておるわけでございますが、そうしたものを含めてこれからはひとつ検討をしていかなければならない時期に来ているんじゃないかと、こういうように思います。何といっても、いまのお話でまいりまするというと、所得減税はできませんよ、また物価調整減税等についてもやりません、こういう御答弁でございますが、勤労者に対してはこれはもう徹底的に取る、取りやすいところとして大衆課税を求めていく、こういう一語に尽きるのではないかと考えます。したがって、ますますその方式でいくならば不公平税制が拡大されていくだろうというように考えるわけでありまして、この点については、きょうは時間がありませんので、後刻時間を改めてひとつ論争いたしたいと、こういうように考えます。
 次に、中期の税制の問題についていろいろと取りざたされておりまするのでは、売上税であるとか取引高税であるとか、こうした一般消費税にかわるところの実質的な新税の設定等々も実は取りざたされておるわけでございますが、これは国会決議でもって一般消費税のようなこういうものをやらないということを決定してきておるわけでありまして、いわばそれにかわる、名前を変えた措置であろうと思うのでありますが、こうしたことは私は一種の欺瞞でありまして、これは避けなければならないことであろうと思います。特にまた、新税の設定ということについては、前回の総選挙の際におきましても、昨年、いろいろ一般消費税の問題で国民の皆さん方からかなりの痛烈な批判が出たはずであります。そこで、大平内閣はこれに対して、一遍打ち出そうとしたけれどもこれは引っ込めたという経緯があるわけでありまして、少なくとも鈴木内閣はこの新税の設定をめぐっては世論に問うていないわけでありまするから、鈴木内閣の時代においては少なくともこれは避けなければならない立場に置かれているのではないか。もしそうしたものを強行するとするならば、国政レベルの選挙で民意を問うて、しかる後に行うべきものではないか。政策の基本にかかわる問題であろう、こう私は考えますが、総理のお考えはいかがでございましょうか。
#421
○国務大臣(鈴木善幸君) 五十六年度予算編成に当たっての税収、増収を図るという面につきましては、現行の基本的な税制の枠組みの中で考えていく、こういうことを私、申し上げておるところでありますが、五十七年夏予算以降の中長期の問題につきましては、まだいろいろその検討すべき中身、または経済その他の展望というものははっきりいたしておりません。特に、最近のように国際的な石油事情その他、あるいは為替レートの問題、非常に変動要因の多い状況下でございますから、中長期の展望ということを的確につかまえて、とらえて、それに対してどうするということをいまここで申し上げる段階ではございません。
#422
○赤桐操君 次に、行政改革の問題に移りたいと思います。中曽根長官に伺いたいと思います。
 国の行政改革というものは、本来、中期ないし長期のきちっとしたビジョンというものが国民の合意の中で定められて行うべきものであろうと考えます。長官は、長官の理念なりあるいはまた哲学なりをお持ちになっているだろうと思いますが、まず最初にその基本的なものを伺いたいと思います。
#423
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政というものは、やはり国民に奉仕すべき本質を持っておりますと同時に、その奉仕する手段なり機構なりというものは国民に満足のいくような形で行われる、この二点が大事だろうと思います。したがいまして、奉仕の、サービスの内容、質を高める、誠心誠意、国民が満足のいくようなサービスを一生懸命やっていただくということと同時に、そのサービスの手段である機構や人員を簡素合理化して行っていただく、そういう点に特に注意してまいるべきであろうと思います。
 それから、行政をどういうふうに体系的に行うかということは、時代によってまた違うだろうと思います。日本のように発展途上国から先進国になった国と、あるいはフランスやアメリカみたいに成熟した国がいまおくれつつあるという状況、国々によってみんな違うと思います。日本の場合は、高度成長を経まして、やや肥大化した場面がいま眼前に展開されております。したがいまして、これをいかに切り詰めて合理化して縮減していくかというのがわれわれの一面の課題であると同時に、しかし日本固有の社会的な病因を持っておる、病原を持っておる部分が各所にあるわけでございます。そういう原因があるから結果が出てくるのでありまして、そういうような日本固有の体質に対してどういう適切な手を打っていくかということも、われわれの国土との関係あるいは民族性との関係において考えていかなければならぬところがあると思います。そういうきめの細かい配慮をしながら、しかも断固とした決意で実行していく、こういう考えでまいりたいと思います。
#424
○赤桐操君 本委員会が開かれまする前に、私どもはそれぞれ地方の実態につきまして調査に行ってまいりました。
 私は岡山から広島の方へ行ってまいりましたが、この中で強く感じましたことは、やはりそれぞれの自治体が、今日の中央集権化され、肥大化したところの行政のあり方を大きくやはり転換をすべき時期にきておるのではないか。そして地方への分権化と予算の配算というものを当然裏づけた、そういう新しい地方の時代を望んでいるということを痛切に感じたわけでありますが、この点については長官はどのようにお考えになられますか。
#425
○国務大臣(中曽根康弘君) 憲法にも、「地方自治の本旨」という言葉がございまして、地方公共団体の立場というものが厳然と書かれておるわけでございます。
 いまの日本の状態全般から見ると、地方に対して重点を置いて、地方自治あるいは地方の自立主義ということを尊重していく段階にきていると、そう思います。
#426
○赤桐操君 重ねて伺いたいと思いますが、長官はそうした地方の問題についてかねてからお考えのようではありますが、最近における永野日商会頭とのお話の中で道州制の導入についての要請を受けている。これを第二臨調にそれではひとつかけようと、こういうお約束をなさったように伺っておりますが、この問題は、長官の常々主張されてきたお考え等々伺わなきゃなりませんが、いずれにいたしましても、これを実現するということになりまするというと憲法とのかかわり合いが出てくると思いますが、この点については長官はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#427
○国務大臣(中曽根康弘君) 道州制の問題は、たしか昭和三十二年の審議会の答申で一種の道州制に近い答申案が出されたと記憶しております。それから第一臨調の際にも道州制のことが議論されました。
 今回は、確かに永野日商会頭にお会いした際に、あの方の持論でございますそうですが、道州制も取り上げてみてもらったらどうか、そういう御趣旨の発言がございました。検討いたしましょうと。第二臨調におけるテーマは第二臨調の委員の皆さんが自律的にお取り上げ願うことでございますので、われわれがいまここで取り上げるとか取り上げないということは申し上げることはできないのでございますが、そういう御示唆につきましては考慮いたしたいと思いますと、そうお答えしたのでございます。
#428
○赤桐操君 いずれにいたしましても、昭和三十二年当時の経過につきましては、もうすでに本来御破算になっていると私たちは理解をいたしております。したがって、新しくこの問題がこの時点において提起をされ始まったように実は受けとめているわけでございまして、大変私はその中には危険な要素、むしろ逆行する要素が含まれてきているのではなかろうか、こういうように実は考えるわけでありまして、この点私の考え方として申し上げておきたいと思います。
 次に、補助金の整理でありますが、これについては大変、いろいろ朝日新聞等でもかなり厳しく批判が出ているようでございますが、私は、やはりこの補助金問題をめぐる今日の経過につきましては、大変疑義を持つ一人であります。少なくとも国庫補助金の合理化あるいはまた改善策等については、長年にわたって論議をされてきたところでございまして、こうしたものについては私はいまのままであるということは許されないと思いますが、この点についての所見はいかがでございますか。
#429
○国務大臣(渡辺美智雄君) 補助金は十四兆近く、――十三兆八千幾らかあるわけですが、これはややもするというと、一遍補助金がつくとそれが既得権化してしまって、なかなか整理をするのに反対されるということが往々にしてあります。したがって、この見直しはこれは根本的にやっていかなきゃならぬ。ただ、この際知っていただきたいことは、補助金の八割に相当するものが法律によって大体補助率とか補助額とかそういうものが決められておる。したがって、大蔵省だけでばさばさ整理しろと言われましても、これは実際はなかなかできない。それからまた、その八割の補助金の中の三分の二ぐらいのものが大体社会保障及び文教関係であります。そういうような点で、非常にこれはいろんな問題を実は含んでおるわけであります。いずれにいたしましても、補助金の整理ということにつきましては真剣に考えておりますから、いずれ御相談をしなければならぬことであろうと、そう思います。
#430
○赤桐操君 時間がありませんので結論だけ申し上げたいと思いますが、補助金の整理目標というものをきちっと決めていただきまして、目標年次まで年々計画を立てていただきまして、私どもにも理解のいくようにお示しをいただきたいと思います。このことを要請しておきたいと思います。
 次に、時間の関係がありますので簡単に最後に財投並びに資金運用部資金の関係について一、二伺っておきたいと思います。
 財投計画総額の実行状況は、先ほどのお話の中にもございましたけれども、かなりの実行額の残が出ておるようでございます。しかもこれは大変、単年度だけ簡単に出たというものではなくて、逐年出てきておる。そういう状況であるにもかかわらず、残の多く出た同じところからさらにまた高額な要求が出ている、全体では二三・六%の増額が要求として出てきている。こういうことを伺っておるわけでありますが、これは一体どういうように蔵相はお考えになっていらっしゃるか伺いたいと思います。
#431
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほども御質問がありましたから簡潔に申し上げますが、財投資金は政府の関係機関あるいは地方公共団体等にしむけられておるわけでございます。したがって、いろいろな事業計画等があってやるわけですが、それが景気の状況あるいは金利の状況等によってそごを来すことがございます。それからもう一つは、これも先ほど言ったように、地方公共団体等では四月、五月に財投を借りたいというのがかなり実はあって、それをもう恒例的に前の年に組み込んでおく、そういうようなことのために恒例的に余っている、繰り越しになっているというような面もございます。そのことがいいかどうかはまた別な問題であります。それから、輸銀等の場合はいろいろな開発プロジェクト等の援助等に使われるわけでありますが、それらは相手国の事情によって、その一番端的な例が、中国なんかは非常に大きく余ってしまったということでありますが、相手の政策変更によってそれが予定したほど使えなくなるというようなこともございます。したがって、いままで、財投の繰り越しや不用額が多く出たということは事実であります。今後それを全然出さなくするということは私は不可能に近いのじゃないかと思いますが、いままでと同じようなことに問題は少しあるのじゃないかという気もするので、よく検討をしてみたいと考えます。
#432
○赤桐操君 若干私は見解を異にしておりますので論争いたしたいと思いますが、時間がありませんので結論をひとつ申し上げたいと思いますが、資金運用部資金、これはこれからも大きく増大をしていくであろうと思います。さらにまた財投についても、これから新しい役割りが期待されていると思います。しかし依然として、私はこの財投の運営あるいはまた非常に膨大化してきているところの資金運用部資金の運営の問題、こうしたものは高度経済成長時代以来のそのままの軌跡をたどってきているように思います。したがいまして、新しい時代の中で新しいニーズが出ているわけでありまするから、そういうものに基づいて、私は、少なくとも転換を図るべき時期が到来しているように思います。
 したがいまして、このことを申し上げ、特に私は、ひとつ最終的にお願いしたいと思いますることは、本年三月におけるところのわが党の寺田議員の質問にも如実に出ておりましたが、運営全体について、やはりこれは新しく、私は国会全体が責任を負わなきゃならぬ時期に来ているように思うのであります。したがいまして、これらの計画なりあるいはまた運用なり、こうしたものにつきましては、少なくとも予算委員会におけるところの審議、あるいは決算についての厳正なる取り扱い、こうしたものはもう一歩改めた形でつくり上げられるべきであろうと。また各機関の事業内容につきましても、きわめてこれは重大な内容を持つものと考えております。したがいまして、同様に、これは国会において明らかにされて、私どもが責任を負ってこれに対するきちっとした、明確なる運営にしていかなきゃならないであろうと、こう考えるのでありますが、大蔵大臣のお考えはいかがでございますか。
#433
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御示唆に富んだ内容もございますので、ひとつよく検討さしていただきます。
#434
○委員長(木村睦男君) 時間が参りました。
#435
○赤桐操君 それじゃ結構です。
#436
○委員長(木村睦男君) 以上で赤桐君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#437
○委員長(木村睦男君) 次に、中野明君の質疑を行います。中野明君。
#438
○中野明君 大変時間が遅くなっておりますが、与えられた時間、御質問をしたいと思います。
 まず最初に、農業問題から入りたいと思いますが、鈴木内閣は総合安全保障、これの推進ということについて非常に力を入れておられます。当然この総合安全保障ということになりますと、その中の重大な一つの柱として食糧、これの自給、これは当然あると思います。その点でぜひこの際明確にしておいていただきたいんですが、先ほども議論がございましたが、改めて現在の総合自給率、穀物のみと、それからオリジナルカロリーで一体どうなっているか、そして農林水産大臣にお尋ねしますが、一体自給率の向上をどこまで持っていこうとなさっているのか、目標を示していただきたい。
#439
○国務大臣(亀岡高夫君) 総合自給率は五十三年度現在で七三%であります。主要農産物について申し上げますと米は一一一%、また野菜が九七%、果実が七八%、肉類が八〇%、鶏卵が九七%、牛乳・乳製品が八九%と、生鮮食料農産物については大部分を国内生産で賄っております。しかし、先ほど申し上げましたとおり、麦類、豆類については小麦が六%、大麦・裸麦が一四%、大豆五%となっておるわけでございます。
 そこで農林水産省といたしましては、現在農政審議会に十年後の自給率をどう持っていくべきかということを諮問をいたしておるわけでございますが、米と野菜は完全自給をしよう。果物と畜産物は八・九割の自給率まで持っていこう。牛肉は少なくとも七割まで保持していこう。大豆、小麦は、これはもうできるだけ自給率を高める努力をしていこうと、生産調製等もやっておりますので、その転作作物として奨励をいたしておるわけでありますが、少なくとも十年後には日本めん用の全部、めん類、それから大豆につきましては豆腐あるいは納豆、みそ等の食用品の六割を自給していこう、牧草等の飼料作物については六割強の増にしていこう、飼料穀物、トウモロコシ、マイロ等につきましては、豚や鶏等中家畜が相当増加を予想されますので、これは現在よりも若干輸入増というふうに十年後に見込んでおるわけでございます。
 そこで、この飼料関係につきましては、先ほどもちょっと触れましたが、えさ米を相当奨励したらいいじゃないかという声が出ておりますが、しかし、これはまだまだ自信を持って奨励する段階までの試験研究の良品種が、固定化された品種が造成されておりません。現在国の各試験場におきまして全力を挙げてこのえさ米の試験研究、品種固定化に努力をいたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、食糧の問題につきましては大変重要な問題でございますので、国内の自給力を向上しなければいかぬという国会の決議もありまするし、さらにさきの通常国会で成立させていただきました農用地利用増進法等の規模拡大のための基本法的措置も講じていただいておりますので、そういう措置を十分活用いたしまして、国内の自給力の低下を防止してまいろうと、こういうことでございます。
#440
○中野明君 大臣として、いま御答弁に漏れましたが、オリジナルカロリーが現在幾らで、そして幾らに持っていこうとなさっているのか、もう一度。
#441
○国務大臣(亀岡高夫君) 大体二千五百カロリーをめどとして需給の動向を見越していくと、こういう基本的な考え方をとっております。
#442
○中野明君 そこで、冷害の問題に入りたいと思いますが、戦後最大となりました今年の農作物の冷害の被害でございます。
 これにつきましては、先ほど来も質疑がございましたが、非常にこれからのわが国の農業を背負って立ってくれるいわゆる専業農家あるいは一種兼業農家の被害の影響が大きゅうございます。それでこの救農対策、これが非常に大切なんでございますが、この九月十五日現在で五千六百七十九億の被害と、こう農林省は発表しておりますが、最終的に大体幾らぐらいと想定をなさっておるのですか。
#443
○国務大臣(亀岡高夫君) 最終的な被害額につきましては、十月六日現在もう一度統計情報部を通じまして被害額の集計を急がしております。大体二十四、五日ごろ明らかになると思っております。非常に戦後最大の冷害ということでございますので、国会で定めていただいております法律による対策というものに万遺漏なきを期すると同時に、ただいま御指摘のありました救農事業、救農土木事業を適切に各厳しい冷害地に配分をいたしまして、そうして冷害被災農家が来年の収獲時期まで再生産に全力を挙げて安心して取り組むことのできるようにしていきたいということで、目下全力を挙げておる次第でございます。
#444
○中野明君 それで大臣、現在五千六百七十九億なんですが、これを上回ると、このように予想しておられますか。
#445
○国務大臣(亀岡高夫君) 一週間ほど天候が回復いたしまして、この分ならと考えておりましたが、また台風等も心配されるわけでございますから、恐らく今回の冷害、台風等による被害額はもっとふえるであろうというふうに予測をいたしております。
#446
○中野明君 そこで一番農家の皆さん方が気にしておるのは、やはり天災融資法なり激甚地の指定、これを早くしてほしいと、こういうことなんですが、大体いつごろこれをなさる予定ですか。
#447
○国務大臣(亀岡高夫君) 五十一年には十一月の二十九日に天災融資法、激甚災の政令公布をやったわけでありますが、ことしは遅くとも十一月の十日から十五日ころに公布をできるように事務的に急がせておる次第でございます。
#448
○中野明君 それで特に留意をしていただきたいのは、私どももこれは冷害だということで現地へ調査に行ったわけですが、非常にひどい例は、青森県なんかに参りますと、四十九年にも少し冷害でやられている地域があります。そして五十一年、そして今回です。ですからもう前の借財がかなり残っている。その上にことしは収獲ゼロ、そして先にもう前渡し金でもらっている。共済をもらってもそれを返さにゃいかぬ。そうすると来年のいわゆる作付資金もない、こういう現状が至るところにあるわけです。非常に農家の皆さん方が営農意欲をなくしているというような感じも持ちますので、どうか共済金その他の支払い、これを早くしてもらうということも一つの方法でございますが、今回の共済金の支払いは、五十一年の例もございますので、大体見当つけておられると思いますが、幾らぐらい見通しを持っておられますか。
#449
○国務大臣(亀岡高夫君) 五十一年度は千四百億ほどの共済金を支払ったわけでございます。今回は、いまそれぞれ各共済団体で被害高の調査をやっておるわけでございますが、五十一年度よりも相当上回るのではないかという感じで対処いたしておる次第でございます。
#450
○中野明君 ざっと私ども単純計算をしますと、大方二千億ぐらいになるんじゃないかと、このように思っておりますが、一日も早く農家の手元にそういう資金が届くようにまずお願いをしたいということと、それからそれでも被害額にはとうてい及びません。減収分はやはり自分でかせいで借金を返していく以外ないんですが、先ほど申された土木事業について、五十一年の教訓を生かして、どうしても土木事業では最近は人手が非常に少ない、そういうことで造林事業に力を入れてくれというような要望が非常に強いわけですが、この点について、五十一年のときの教訓を生かしてどうお考えになっているんですか。
#451
○国務大臣(亀岡高夫君) 御指摘のとおりでございまして、今回は五十五年度の比較的人件費の度合いの多い小規模の農林水産省関係の公共事業を激甚地帯に優先的に予算を行使をしてまいるということで二百四十億の割りつけをいまさせておるところでございます。と同時に、林野庁に対しまして、国有林の中で造林関係の下刈りでありますとか、枝おろしでありますとか、間伐でありますとか、そういう仕事を激甚地に配分するように、これはもうすでに各営林局を通じまして作業を進めさしていただいておるわけでございます。
 なお、非補助事業として農林漁業金融公庫の小造林でありますとか、小土地改良でありますとか、三分五厘の非補助事業を積極的に展開をして、雇用の場を多くするという措置もとっておるわけでございます。なお、自治省にこれは強くお願いをいたしまして、小規模事業に対する起債を市町村、県等に許可をしてもらいまして、これを後で交付税等で処理をしていただくということを自治省に強くお願いをしておると。これらの施策と相まちまして、被災農家の皆さん方が本当に来年の再生産に支障のないというところまで十分処置をしてまいりたいと考えております。
#452
○中野明君 総理ね、先ほど来申し上げておりますように、戦後最大の被害になりました。鈴木内閣としての農林行政の姿勢を示す非常に大事な救農対策じゃないかと思います。いま大臣の御答弁聞きましたが、五十一年に大体準じてというようなお考えが底流にあるようですけれども、四十九年にもやられて、五十一年にやられて、そして今回でしょう。それで五十一年並みではとうていこれは救農にならぬのじゃないかと心配をしております。そういう面で、この問題の最後に、総理から救農対策について強力に、五十一年以上に何とか手を打っていきたい、こういうことについての決意をお願いしたいと思います。
#453
○国務大臣(鈴木善幸君) 中野さん御指摘のように、今回の冷夏による農業災害、これは五十一年度以上にきわめて深刻でございます、また広範である、こう考えております。したがいまして、政府としては、五十一年度の対策、それを参考にいたしますが、できるだけ行き届いた、政府としてできる限りの救済措置を講じたい、全力を尽くしたい。こう思っております。
#454
○中野明君 では次に、老人問題に移ります。
 老人医療の問題でございますが、特に本日は過疎地の地方自治体、これが最大の問題としております国保会計、これについてお尋ねをしたいわけですが、園田厚生大臣にとりましては前厚生大臣のとき以来、この老人医療というのは非常にゆかりの深い問題でありますが、この国保における老人医療の現状というのを大臣はどう認識しておられますか。
#455
○国務大臣(園田直君) 国保において老人医療の問題が国保の財政に対して非常な深刻な影響を与え、特に自治体その他これによって非常な財政圧迫を受けている。これは非常に深刻なことで、早急にこれに対処しなきゃならぬ。なおまた、老人医療の問題もこれに関連をして高齢化が進んでくるわけでありますから、これについて改正をしなきゃならぬと考えております。
#456
○中野明君 ただいまお話のとおり、この老人医療を含めまして、国保は特に老人が多く比率を占めております。そういう関係で、このまま老人医療制度を新たに設立をしないと、国保制度の崩壊につながるんじゃないかと私たちは心配をしております。
 特に私が住んでおります高知県の例をとってみますと、こういうことになっております。ちょうど十年後のわが国の現状を指し示しているんじゃないだろうか。この六十五歳以上の国保加入者が大体一一・四%、それで医療費は五一・一二%を占めております。こういう現状です、これが県全体ですが。ですから、全国では八・九%に現在なっておりますので、推計をしますと十一年後の日本の姿、こういうことになると思います。
 その県の中で極端な例を見ますと、北川村というところがありますが、これは八百九十一人中老人が百五十三で一七・一七%で医療費の七七・七九%を食ってしまっております。もっとひどいのになりますと、本川村というところでは二〇・四%の老人で医療費の全体の九七・一八、もうほとんど老人医療でおしまいであります。こういう状態ではこれはどうすることもできませんので、何とか厚生省は、やっと国会の附帯決議もありまして諮問をされたようでございますが、これいつごろ諮問を受けて、そしてこの医療制度をいつつくり上げられるか、その大臣の見通しをお聞かせいただきたい。
#457
○国務大臣(園田直君) 御承知のとおりに、三月に制度審議会に諮問をし、同時に、厚生省の対策本部では第一次試案を出したところでございます。そこで、この制度審議会でも厚生省が出しました第一次試案も参考にしながら審議を早急に進められておるところでありますが、いま仰せられましたような状態は、今後急速に全国にそういう深刻な状態になっていくわけでありますから、負担の均衡、それから診療偏重から保健サービス一貫と、こういう趣旨でなるべく早くこれの改正に手をつけたいと考えております。
 なおまた、これについては公明党の方からも案が出ておりますが、この案は厚生省が出しました第一次試案と同じ方向の案でありますから、改正の際には十分参考にして改正をしたいと考えております。
#458
○中野明君 いま私が実情を申し上げましたように、これはひとり高知県だけではありません。大体過疎地へ行くとこういう似たり寄ったりの現状であろうかと思いますので、そういつまでもいつまでもこのままで放置するというわけにはまいらない性質のものだろうと思いますので、いま大臣から御答弁をいただきましたが、これは急を要すると、このように私は思います。ですから、可能な限り早く諮問をして、受けて成案をつくっていただきたい、このことを重ねて要望したいと思います。
#459
○国務大臣(園田直君) 仰せのとおり、私も深刻に受けとめておりますので、改正するに当たっては、関係方面の調整、諸準備、いろいろ困難はありますけれども、緊急を要する問題でありますから、できるだけ早く、できれば五十六年度中に何とかしたいと努力をいたします。
#460
○中野明君 では、次の問題に入りたいと思います。
 けさほど来経企庁長官も物価のことについて、非常にこの物価問題ということは重要であるということで、五百億の物価対策に使うお金も何とか有効に使って六・四%に持っていきたい、この方の非常に努力をしておられるわけですが、公共料金の値上げというのが、これが非常に物価に影響を与えます。
 そこで、私はきょうここで沖繩県におきます電気料金の値上げの問題、これは非常に沖繩県では大問題になっております。恐らくこれが本土であったとしたらそれこそもう国会じゅう大騒ぎになっているんじゃないかというような現状であります。要するに、本年の二月に平均四二・四%の値上げをして、その上に今回九月二十七日に一九・一八の値上げの認可があった。一年間に二回値上げをしているわけです。通産省はこれをお認めになったわけでございますが、通産大臣にお尋ねするのですが、このお認めになった理由をお聞きしたいと思います。
#461
○国務大臣(田中六助君) お答えいたします。
 二回の値上げをどうしたのかということでございますが、御承知のように、第一回目、第二回目とも原油価格の値上がりが非常に大幅で、たとえば一バレル二十ドルぐらいのときが最初、その次はもう三十ドルを超しているというようなことでございまして、原価主義からいきますと当然問題になるわけでございまして、問題の底流にあるのは、やはりどうしても一〇〇%電力の燃料を油に依存しておるということと、それから島が四十二ございまして離島、そういうところの非常に立地が悪条件の中にあるわけでございまして、御承知のように二回電気料金を値上げいたしましたけれども、累積赤字は二百十三億程度になっておりまして、しかし、私ども、昨年の暮れに閣議で来年の末に民間に移管するということになっておりますので、そういうことを含めて、まず今回の、採算ということから二回の電気料金を上げたわけでございます。
#462
○中野明君 いまほとんど全部が油でということなんですが、日本の国全体としてもやはりそういう現況下にあります。沖繩だけがなぜこうなっているかという根本的な問題の解決がなくして値上げだけで解決しようとしても、とうていこれは不可能じゃないだろうか。
 ちょっと申し上げてみますと、標準家庭で一回目の値上げで大体二万三千円、そして今回二回目で一万五千九百九十円、一年間に計三万八千九百九十円というのが一般家庭の負担増であります。これは大変なものだと思います。それに加えて産業それから開発、こういう方面に大変な影響を及ぼすと思うのですが、私はここで沖繩開発庁長官にお尋ねをしたいのですが、この値上げのことにつきましては開発庁長官もずいぶんお骨を折られたようにもお伺いしておりますが、非常にこれ大変な問題が残っております。第二次振興計画、これにも影響が出るんじゃないかと私も心配をしておりますが、開発庁長官として、この問題について御所見をお聞かせいただきたいと思います。
#463
○国務大臣(中山太郎君) 中野委員にお答えを申し上げたいと思います。
 御案内のように、沖繩の産業構造というものが本土とはずいぶん変わっております。一次産業が七・一%、二次産業が二〇・八%、あとの七二%が第三次産業となっておるわけでございます。
 一次産業は農林水産業でございますが、御案内のようにパイナップルとサトウキビ、あとは冬場の本土に送る野菜、それから花卉、これが主なもの。水産業といたしましてはウナギの養殖、それからモズク、それからクルマエビの栽培というものがやっと緒についたところ。二次産業が本土に比べてなぜ低いかというと、いわゆる第一次沖繩振興開発計画の中で本土から公共投資をずいぶんいたしております。それによって建設業がやや伸びておる。そのほかの産業は育ちにくい。第三次産業は御案内のように観光が主でございまして、年間大体百八十万人の本土からの来訪者が平均一人当たり十万円の消費をしておる。こういうことで沖繩経済は商業ベースで成り立つことが非常に困難な状態。あとは軍基地からのいわゆる収入で、軍用地料が三百億、それからサービス提供費が三百億、基地労働者の収入が三百億、こういうふうないわゆる収入構成に実はなっております。こういう中で一〇〇%石油依存の沖繩電力というものが二回にわたって値上げをする。
 そこで、私は沖繩開発庁長官としてまず通商産業大臣にお願いをしたことは、第一次産業開発計画がいま終わろうとしている段階でこれからの沖繩をどうするかということは政府としては重大な問題であるというふうに実は申し上げて、電気事業法による原価主義で石油の値上げに応じて電気料金を上げていった場合には沖繩の産業というものは崩壊することは間違いないと、こういうふうに私は見通しを申し上げたわけでございます。そこで、今回の値上げ申請の三七%を通産大臣にお願いをして一九%に抑えていただく、これは総理、官房長官もずいぶん御心配をいただいたわけでございますが。これからはいわゆる石油火力から石炭火力、御案内のように日本の本土は石油依存度が四六・九%になっております、九電力は。原子力が一二%、水力が二二%でございますから。沖繩のように一〇〇%石油専焼火力でいきますと、原価主義をとっていくと大変なことになる。民間に移管された場合に原価主義をとらざるを得ない。こういう問題が、実はこれから一年間に結論を出す時期が近づいてくる。こういうときに当たって、いわゆる五十年、五十二年に民間移行ということが閣議決定されておる、昨年の十二月にも閣議決定されておりますけれども。
 問題は、その後に起こった石油ショックで石油の需給関係、国際価格というものは大変動を来したわけでございますから、いわゆる民間移行に関しては、政府としてはもう一度再考することが必要ではないかとも私は沖繩開発庁長官として考えているのでございまして、この点についてはこれからさらに通商産業大臣とも十分相談をさしていただきながら、いかにして沖繩の産業を振興させていくか、これがやはり一番大きな問題であろうかと思いますが、大変御理解をいただいた通商産業省は、そのわれわれとの間の話し合いで、いわゆる今後一年間は値上げは一切やらない、今後にわたっても特段の変化のない限り値上げは引き続き行わないことが好ましいのではないか。また、この石炭火力への転換を石川三号炉、四号炉から進めていくということがやはり通産省としても必要であるということをお考えいただいて、漸次脱石油の形に持っていく。それで、沖繩県民の方々にもお話をいたしておりますが。どのような第一次エネルギーのいわゆる種類をとるか。石油から石炭あるいはLNGあるいは原子力といろいろ発電コストがありますけれども、あくまでも安いエネルギーを確保していただき御使用いただくということになれば、それはやはり沖繩県民の御理解がこれからきわめて必要であろうと考えておるような次第でございまして、沖繩知事に対しましてもあるいは県会に対しましても、安価なエネルギーの確保については知事部局においてもあるいは議会においても十分検討していただいてその結論を政府に出していただきたい、それに対して政府としてはできるだけの御協力を申し上げたいということをただいま話をしておる最中でございます。
#464
○中野明君 いまお話もありましたが、今回三七・七%を一九・一八に圧縮をしたと、こういうことでありますが、いずれにしても、原価主義をとる限りこれは毎年大幅な値上げをしなければ沖繩電力は採算がとれない、こういう現状であります。しかし、離島が多いという特殊の事情もありますし、ことしの値上げを見ますと、結局通算したら七一%の値上げになっておりますから、これはもう県民の生活に与える影響、産業に与える影響というのはいまもお話があったとおりで大変な問題であろうと思いますので、これはひとり沖繩開発庁だけで解決できる問題ではありません。どうか総理、この点につきまして今後これをどうするのか、このままで原価主義をとる限りどうしようもないということで、長期にわたっていまいわゆる石油を火力あるいは水力というふうな話も出ておりますが、石炭に移行するとかいろいろお話が出ておりますが、その間、民営移行もちょっと問題があるんじゃないかという気もいたしますし、何とか原価主義をとらないで、沖繩の問題はこれは本土と別個にものを考える、こういうような考え方は持てないものだろうか、その点総理の御所見はいかがですか。
#465
○国務大臣(鈴木善幸君) 沖繩県の電力の供給体制の問題、本当にむずかしい頭の痛い問題でございます。政府としては、昨年十二月の閣議決定の方針を踏まえますと同時に、沖繩県民の意向を十分尊重しながらいま検討を進めておるところでございます。
 電力料金の安定化の問題につきましては、やはり何といっても基本的には脱石油化ということを進めるほかはないわけでございまして、その間においてどうするかという問題は、せっかく関係当局で検討させることにいたします。
#466
○中野明君 それじゃ、最後に外務大臣にちょっとお尋ねをしておきます。
 これは外務大臣があらゆるところで、外交については相手方に誤解があればよくないので誤解は極力解くように努力する、それが外交だとよくおっしゃっておりますが、最近中東方面でオーマンという国がありますね。あそこに井戸を掘る約束をなさったんですか。
#467
○国務大臣(伊東正義君) いまの御質問の点は、厚生大臣の園田大臣がことしの二月ですね、政府の特使として向こうへ厚生大臣になられる前に行かれましたときに、オーマンで水の問題の要請があったそうでございます。あそこは年間雨量が百ミリぐらいのわずかなところで、非常に灌漑用の水でむずかしい問題でございますが、要請があって、お帰りになってから話がありましたので、国際協力事業団で一回四月に、これは水だけじゃなくて漁業とか鉱物資源みんなの調査団が一回出た。その後、六月に水だけの調査団が一回出ております。また十一月にも行こうと。なかなかむずかしい問題で、来年もまたもう一回調査をしないと現実に工事にかかるには危ないじゃないか、こう言われておるのでございますが、目下そのちゃんとした工事にかかる前に調査をしようということで、いま向こうの政府とも連絡しながらやっているというのが現状でございます。約束したことはやっぱり守っていくということは、これはもう大切なことでございますから、外交の国際協力、経済援助ということでもそれはそのとおりの方針でやるつもりでございます。
#468
○中野明君 私、最近ちょっと本を読んでおったらそういうことが書いてありましたのでね。これは非常に誤解をしているようです。何か、在日アラブ特派員が語る、ということで、アラブでは油より水が大切なんだということを強調する余りだろうと私は思いますが、私らの国に二年ほど前に園田外務大臣が見えて、王様と話をしてお水の約束をしたらしい、ところが一向どうもならぬ、もう二年もたっていると。まさか園田さんがうそを言ったわけじゃないだろうけれども、うそを言ったのだという声も出始めている、こういうことを向こうの偉い人が言っているというようなことを書いたり、あるいは特使がそのときは特使じゃなかったらしいと。しかし日本に帰ってきてこれこれこういうことがあったという報告書を書いて総理に渡す。政府のマネージメントをやっている人たちがそれを読んで、ああこういう問題があるのだなということでそれはおしまいになった、多分そうだろうと、こういうようなことを書いておるわけです。これは非常に私、誤解をしているんじゃないかと思う。間違いがあるんじゃないか。ところが、最近イラン、イラクの戦争を初め、油の問題で非常に中東に関心があって、聞いてみますと、この本かなり売れているらしいです。だから、園田さんの名前もストレートで出てきておりますので、そういう点について誤解のないように、ここではっきりしておいていただきたい。
#469
○国務大臣(園田直君) 私の名前が出ましたのでお答えをいたしますが、二年前ではなくて、約束をしたのはことしの三月でございます。書いた人が誤解をしているので、オーマンの方では誤解はしてなくて、その後逐次折衝もあるし、仕事は進んでおるわけでございます。
#470
○中野明君 かなりこの本が流布されておりますので、そういう点何かの機会に明快にしておかれた方がいいんじゃないだろうか。非常に不信を持っている、向こうの王様と話をしたとか、かなり上層部の人がそういうことを言っているということを本人が書いているものですから、その点特に要望しておきます。
 じゃ、以上で終わります。
#471
○委員長(木村睦男君) 以上で中野明君の質疑は終了いたしました。
 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 総理大臣並びに各閣僚は御退席くださって結構です。
    ―――――――――――――
#472
○委員長(木村睦男君) 次に、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。
 前国会閉会中、当委員会が行いました予算の執行状況に関する実情調査のための中国地方及び北海道への委員派遣について各班からそれぞれ報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#473
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 明日は午前九時から委員会を開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト