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1980/11/13 第93回国会 参議院 参議院会議録情報 第093回国会 建設委員会 第5号
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1980/11/13 第93回国会 参議院

参議院会議録情報 第093回国会 建設委員会 第5号

#1
第093回国会 建設委員会 第5号
昭和五十五年十一月十三日(木曜日)
   午後一時三十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月十二日
    辞任         補欠選任
     坂倉 藤吾君     赤桐  操君
     江田 五月君     森田 重郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         宮之原貞光君
    理 事
                坂野 重信君
                堀内 俊夫君
                増田  盛君
               茜ケ久保重光君
    委 員
                井上  孝君
                植木 光教君
                遠藤  要君
                園田 清充君
                谷川 寛三君
                中村 禎二君
                増岡 康治君
                赤桐  操君
                二宮 文造君
                原田  立君
                三木 忠雄君
                上田耕一郎君
                栗林 卓司君
                森田 重郎君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  原 健三郎君
   政府委員
       国土庁長官官房
       長        谷村 昭一君
       国土庁土地局長  山岡 一男君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
       建設省計画局長  宮繁  護君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        森  一衛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農住組合法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(宮之原貞光君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、坂倉藤吾君及び江田五月君が委員を辞任され、その補欠として赤桐操君及び森田重郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(宮之原貞光君) 農住組合法案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。――別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(宮之原貞光君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#5
○茜ケ久保重光君 私は、日本社会党を代表して、農住組合法案に対し反対の意を表するものであります。最近の住宅、宅地問題は、特に大都市圏を中心に深刻さの度合いを一段と強めております。すなわち、住宅、宅地の価格の上昇は著しく、政府の地価公示においてさえも東京圏の宅地は年間一八・三%と勤労者の所得の伸びをはるかに上回る暴騰を示しておりますが、これに対し、政府による有効な手だてが講じられていないため、都市勤労者にとって住宅の取得はまさに高ねの花と化しているのであります。
 われわれは、かかる状況に対し、国土利用計画法の積極的な運用や良質、低廉な公共賃貸住宅の大量供給を要求してきましたが、政府はこれらに対し消極的な姿勢に終始し、一方、景気対策と称して公庫融資や民間金融ローンの拡大による持ち家政策を促進してきたのであります。
 しかし、こうした結果は、地価の上昇を助長しただけでなく、都市環境の悪化やローン返済事故の増加などを引き起こし、住宅問題の根本的な解決にはつながっていないのであります。
 このような中で、宅地の供給促進措置として本案が提案されておりますが、本案の内容は、都市のあるべき姿を明確に示し得ないまま、都市の農地をつぶして農民に不動産経営を奨励しようとするものであります。本来、政府が責任を持って供給すべき住宅を個人の自助努力と民間賃貸住宅に責任を転嫁する従来の政府の住宅政策の延長であって、住宅難に苦しむ勤労者の期待にこたえるものとはなり得ないものであります。
 われわれ日本社会党は、都市において緑とオープンスペースを確保し、生鮮野菜の供給地として都市農業を積極的に位置づけるべきだと考えていますが、本案においては営農地区の位置づけも当面の営農を認めるにすぎず、営農を継続する意思を有する農民にとってきわめて不安定で、将来の生活設計も立てられないことにもなりかねません。
 また、政府は、本法といわゆる宅地並み課税との直接の関連はないと言ってはおりますが、対象地域も三大都市圏に限っており、将来、本制度の営農地区かあるいは宅地並み課税かの選択を迫られる危惧を払拭できません。
 組合の地区は、一団の土地として二ヘクタール以上とされておりますが、市街化農地のどの程度がこの規模以上でまとまっているか実態の把握もされておらず、宅地の供給見通しも、政府が希望的に見て十年間で四千ヘクタール程度と勤労者の期待に遠く、かえってデベロッパーの介入による価格の上昇すら予想されるのであります。
 以上、反対の理由を簡単に申し述べましたが、住宅、宅地問題への取り組みには地価の抑制が第一に必要であり、地価の安定なくして供給の増加はあり得ません。第二には、自治体の財政力の強化が不可欠であります。第三は、宅地開発に際して、開発者ひいては入居者負担において整備が行われている関連公共施設の整備に対する助成の格段の充実が求められるのであります。これらの措置と相まって良質、低廉な公共賃貸住宅の十分な供給が住宅、宅地問題の抜本的解決の前提であることを強調し、反対の討論を終わります。
#6
○増田盛君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました農住組合法案に対しまして賛成の討論をいたすものであります。
 本法律案は、大都市地域において、住宅地及び住宅の供給を促進し、あわせて市街化区域内農地の所有者等の経済的、社会的地位の向上を図るため、これらの者が協同して、当面、営農の継続を図りつつ農地を円滑かつ速やかに住宅地等へ転換するための事業を行う農住組合を設立することができることとし、その組織、事業内容等について所要の規定を整備しようとするものであります。
 御承知のごとく、最近の地価動向を見ますと、大都市地域の住宅地を中心として上昇が続いております。その原因の一つとして住宅地の供給不足が指摘されており、特に、宅地需要の根強い三大都市圏におきましては、宅地供給の促進を図ることが当面の土地政策の緊急な課題となっております。
 このため、各般の宅地供給策が推進されているところでありますが、現在、三大都市圏の市街化区域内には、約九万五千ヘクタールの農地があり、今後の主要な宅地供給源として期待されております。しかしながら、これら農地については引き続き営農の継続を希望する農家も多数あり、その宅地化は十分に進んでいない現状にありますので、本制度が速やかに実施に移されますことは、現に政府において進められております宅地需給長期計画の策定と総合的な土地政策の推進と相まって、宅地供給の促進につながり、あわせて地価安定に寄与する現実的かつ有効適切な施策であると思われます。
 また、本法を実施し、その成果を期するためには、政府、地方公共団体の積極的施策と努力はもとより、関係農民の創意工夫が特に重視されなければならないことは言うまでもありませんが、この際、あわせて民間供給能力の積極的活用にも十分配慮されますよう期待するものであります。
 以上申し述べました理由により、私は本法律案につきまして賛成するものであります。
#7
○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま提案されております農住組合法案に対して反対の討論を行います。
 大都市圏における住宅、土地問題をこれほどまでに深刻にした主な原因は、自民党政府による国民不在、大企業本位の住宅、土地政策の結果にほかなりません。高度成長時代からの産業と人口の大都市集中と無秩序な乱開発を放任、助長した責任、大企業、大地主の投機的利益を保障する一方、世界一とも言うべき地価高騰を招いた責任、公共賃貸住宅の建設をなおざりにして勤労国民に過重な負担を負わせる持ち家主義、民間自力建設中心の住宅政策を押しつけた責任はきわめて重大と言わねばなりません。
 反対の第一の理由は、政府が本来緊急に行うべきは総合的土地対策の実施であるからであります。三大都市圏における企業の販売用保有土地一万二千ヘクタール、区画整理の未市街化宅地二万四千ヘクタール、さらには米軍、自衛隊基地など必要量の五年分にも相当するこれらの土地を活用する対策を初め、投機的土地取引の規制や遊休地に対する税制の強化などによる地価抑制策などこそ、早急に行うべきものであります。ところが、今回政府がとった措置は、都市農地の吐き出しだけをねらったものにすぎません。
 第二の理由は、農住組合が行う事業は、宅地造成から住宅の建設、賃貸住宅の管理、経営及び本来の農業にまで及んでいますが、農家にとってこうした一人三役はとうていできるものではなく、メリットも少なく、結局のところ、資金力と技術力を持っている民間デベロッパーの進出を招き、営利追求の対象にされてしまう危険が強いということであります。
 第三の反対理由は、三大都市圏の市街化区域内農地所有者の大部分、たとえば東京圏の九七%の農民は、長期にわたって農業の継続を熱望しているからであります。さらに、三大都市圏農地は緑のオープンスペースとして、また遊水機能や防災機能を果たす広場として、さらに生鮮野菜の有力な供給基地として都市住民の生活にとって積極的な役割りを果たしているからであります。
 ところが政府は、昭和五十七年度宅地並み課税の強化を再三強調することによって、農地の全面的宅地転用という基本方針を態度表明いたしました。このことは、農住組合への誘導策を示唆したものになっていますが、仮に当面営農を続けても、それも十年以内には宅地化していく方針に固執していることであり、これでは将来の都市のあり方からいっても、断じて容認できないことは明らかです。
 日本共産党は、土地の投機的買い占めや銀行の土地融資の規制を初め、地価の高騰を抑えて地価の安定を図る緊急措置を行い、国民の生活用地確保のため、国公有地の拡大や民間宅地開発の指導の強化など、強力な土地対策をとることを強く要求するとともに、都市圏の農地の果たす役割りを正しく評価し、営農の意欲を持っている農民を、税金の面からやむなく農地を手放させるような宅地並み課税にも反対することを表明いたします。
 以上の理由によって、本法案に反対するものであります。
#8
○原田立君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました農住組合法案に対しまして、次の理由により賛成の意を表明するものであります。
 第一は、本法の適正かつ円滑な運用により乱開発の防止と計画的整備が促進されることであります。
 昭和三十年代に始まった大都市地域を中心としたスプロール化は依然として進展しており、ことに最近ではミニ開発が活発に行われ、生活関連公共施設も不十分な劣悪な居住環境が各地に見受けられ、防災対策と相まって大きな社会問題となっております。かかるときに、本法に基づく土地区画整理事業の実施により新市街地が計画的に整備され、良好な居住水準が確保されることは望ましいことであります。
 第二は、本法が積極的に運用されることにより、三大都市圏の住宅、宅地事業の緩和に貢献することが挙げられます。
 建設省の住宅需要実態調査によると、全世帯の三八・九%が依然として住宅困窮を訴えており、中でも三大都市圏の住宅事情は深刻であります。また、新市街地における宅地供給量は、昭和四十七年の一万四千五百ヘクタールをピークに、昭和五十三年には八千六百ヘクタールと毎年減少の傾向をたどっています。こういう状況の中で、本法の積極的な運用が図られれば良好な宅地や住宅の供給促進につながることが期待されるのであります。
 第三は、都市近郊における農業者の生活の安定と営農の継続が図られることであります。
 大都市地域の農業者は、急激に都市化の進む中で、農地や農業用水の汚染の問題、宅地並み課税の問題、さらには転業の問題など、さまざまな難問を抱えており、農業経営や生活の長期安定見通しが全く立たないのが現状であります。そのような状況のもと、本法では土地改良事業を行うことにより、良好な農業基盤を確保して営農の継続を図りつつ、必要に応じて賃貸住宅の経営等を行い、生活の安定と営農の継続を図ることが可能となってくることであります。
 以上が本法案に賛成する理由でありますが、本法に関連して若干の要望を述べさせていただきます。
 第一は、強力な地価抑制策の確立についてであります。
 三大都市圏の住宅地の地価上昇は、昭和五十五年一月の地価公示によると、対前年度比一六・三%と高いものとなっています。この土地価格の抑制こそ内政の大きな課題と言えます。政府は、国土利用計画法十二条の規制区域の指定について、投機がないとして消極的な見解をとっておりますが、現状は昭和四十八、九年の地価狂乱にも匹敵するものがあります。政府は、規制区域の指定を初め実効ある地価規制を図るとともに、規制区域の指定要件を弾力的に運用できるよう法改正を含めて見直しを行うべきであります。また、本委員会におきましても、小委員会等を設置して十分な論議が図られますことを要望するものであります。
 第二は、宅地並み課税の問題についてであります。
 わが党はかねてより、住宅事情の深刻な三大都市圏の市街化区域内農地に限って選択的宅地並み課税を導入すべきことを提唱しています。これは宅地並み課税を全く行わないかわりに一定期間農地のままにしておくことを義務づけ、宅地転用を禁止するか、あるいは農地の宅地転用も譲渡先も制限しないかわりに宅地並み課税を完全実施する、この二つの方式のいずれかを農業者に選択してもらうことであります。この柔軟性のある制度を、現行特例措置が終了する昭和五十六年度末までに確立されますよう要望いたします。
 第三は、土地区画整理事業施行地区内の土地についての建築義務づけを図ることであります。
 法案質疑の中でも明らかにされたように、首都圏で昭和四十九年現在、一万八千ヘクタールが市街化されずに残っており、今日ではかなりの休眠宅地が残っているものと予想されます。そこで、この有効利用を図るため、区画整理事業組合に対する行政指導の強化、市街化義務づけについての検討を強く要望いたします。
 最後に、今回の農住組合関係予算として各種既存の補助、融資等を中心に来年度予算に要求が出されておりますが、大幅な予算確保により農住組合の実効が上がるよう切望するとともに、農地等を組合に譲渡した場合の特別控除等の税制面の配慮をお願いして討論を終わります。
#9
○委員長(宮之原貞光君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(宮之原貞光君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 農住組合法案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#11
○委員長(宮之原貞光君) 多数と認めます。よって、本法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、坂野君から発言を求められておりますので、これを許します。坂野君。
#12
○坂野重信君 私は、ただいま可決されました農住組合法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党…国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び新政クラブの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    農住組合法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては次の事項に留意し、適切な措置を講ずべきである。
 一、大都市圏における勤労者の住宅難を解消するため、良質低廉な公共賃貸住宅の供給、地価抑制対策を強力に推進すること。
 二、国、地方公共団体は、農住組合の健全かつ民主的な運営が行われるよう、かつ必要に応じ民間供給能力を活用する際には、弊害がおこらないよう適切な指導、助言に努めるとともに、組合が譲渡する住宅建設用地については、できる限り公的住宅用地として活用されるよう配慮すること。
 三、国、地方公共団体は、本法の事業にともなう関連公共公益施設の整備及び低利資金の融資に十分配慮して、適正な家賃、価格の形成に努めること。
 四、農住組合の営農地区の設定に当たっては、都市の緑と空間の保持及び生鮮な食品等の供給に配慮して、適切な指導をすること。
 五、本法といわゆる宅地並み課税とは直接の関連を有するものではないことについて誤解を与えないよう十分留意すること。右決議する。
 以上のとおりでございます。
#13
○委員長(宮之原貞光君) ただいま坂野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#14
○委員長(宮之原貞光君) 全会一致と認めます。よって、坂野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、原国土庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。原国土庁長官。
#15
○国務大臣(原健三郎君) 本法案につき、本委員会におかれては熱心な御審議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。
 審議中における委員各位の御高見につきましては、今後、その趣旨を生かすよう努めるとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分体して努力する所存でございます。
 ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。
#16
○委員長(宮之原貞光君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(宮之原貞光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 これにて散会いたします。
   午後二時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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