くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第093回国会 運輸委員会 第6号
昭和五十五年十一月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         黒柳  明君
    理 事
                伊江 朝雄君
                山崎 竜男君
               目黒今朝次郎君
                桑名 義治君
    委 員
                江島  淳君
                大木  浩君
                梶原  清君
                木村 睦男君
                高平 公友君
                内藤  健君
                安田 隆明君
                山本 富雄君
                青木 薪次君
                瀬谷 英行君
                広田 幸一君
                小笠原貞子君
                柳澤 錬造君
                田  英夫君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  塩川正十郎君
   政府委員
       運輸大臣官房総
       務審議官     石月 昭二君
       運輸省鉄道監督
       局長       山地  進君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村上  登君
   説明員
       文部省大学局学
       生課長      菴谷 利夫君
       日本国有鉄道総
       裁        高木 文雄君
       日本国有鉄道常
       務理事      吉武 秀夫君
       日本国有鉄道常
       務理事      加賀山朝雄君
       日本国有鉄道常
       務理事      吉井  浩君
       日本国有鉄道常
       務理事      繩田 國武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案(第九
 十二回国会内閣提出、第九十三回国会衆議院送
 付)
○派遣委員の報告に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(黒柳明君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(黒柳明君) この際、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。
 当委員会は、本案審査に資するため、去る八日及び九日、委員派遣を行い、仙台市及び福岡市においていわゆる地方公聴会を開会して現地における意見を聴取し、その後、現地の実情を調査してまいりました。
 つきましては、各班からそれぞれ委員長の手元に報告書が提出されておりますが、口頭報告は省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(黒柳明君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(黒柳明君) これより本案の質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○小笠原貞子君 前回私は、運輸省の画一的な基準がいかに地域の実情を無視したものであるか、これは昨日の中央公聴会でも指摘されたところです。こういう画一的な基準で行われるならば、地域の開発、社会経済、そして住民の足、教育一般に与える影響というものは非常に重大な影響が出てくるということはそれぞれお聞きになって明らかになったと思います。
 私は、最初に運輸省案にある貨物の対策についてお伺いしたいと思います。運輸省案の基準に基づきますと、五十四年の実績で四千トン以上を基準にした場合、北海道の中でどの路線がこの基準を上回る、つまり残る路線はどこどこなのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
#7
○説明員(加賀山朝雄君) 四千人という、一日一キロ当たり四千人という数字を単年度でとるかあるいは数年度でとるかという問題がございます。それはまだ決まっておりませんので、一応五十四年度の実績で申し上げますと、四千人以上の線というのは三線でございます。函館線、室蘭線並びに千歳線の三線でございます。
#8
○小笠原貞子君 四千トン以上を基準にした場合、貨物でございますよ。
#9
○説明員(加賀山朝雄君) ちょっと済みません。――ただいま申し上げました三線と夕張線、四線でございます。
#10
○小笠原貞子君 それでは具体的にお伺いいたします。夕張、幌内、歌志内の各線の石炭の輸送、単にその線区だけの輸送ではなくて、これにつながっている室蘭本線、根室本線と結んで輸送経路をつくっております。夕張、幌内、歌志内が廃止になった場合、幹線である室蘭、根室の各線の輸送量にも影響が出てくるということになると思うんです。その点、どういうふうにお考えになりますか。
#11
○説明員(加賀山朝雄君) 全体の輸送量といたしまして、確かに夕張あるいは幌内、歌志内がそれぞれ函館本線あるいは室蘭本線に入ってきて、苫小牧あるいは手宮等へ行っている輸送があるわけでございます。したがいまして、当然それらの輸送量は本線の輸送量としてもなくなれば落ちてくるという形になってまいります。
#12
○小笠原貞子君 その前に、先ほど夕張線とおっしゃいましたけれども、五十四年度夕張線の貨物の輸送は、これは四千トン以上になってるんですか。調べますと三千七百六十三トンという数字で出ております。
#13
○説明員(加賀山朝雄君) 夕張線の貨物を営業しておりますのは終点までではございませんで、その手前の夕張炭鉱のところまででございますので、そこまでのキロで割りますと四千トンを若干上回る数字になる、こういうことでございます。
#14
○小笠原貞子君 そのほかに残る線ありますか。それだけですね。
#15
○説明員(加賀山朝雄君) 貨物といたしましては、四千トンを超えるのはそれだけでございます。
#16
○小笠原貞子君 それでは、道内国鉄の全貨物輸送量に占める石炭の割合はどうなっておりますか。五十四年度で結構です。
#17
○説明員(吉武秀夫君) 石炭の道内輸送量に占める割合は三六%でございます。――失礼しました。国鉄輸送量の三六%でございます。
#18
○小笠原貞子君 三六%を占めております。きのうも公述人言われましたけれども、道内輸送量の最も大きい石炭について、いま言いました夕張、歌志内、幌内、この三線から運び出されている総トン数と、その輸送量の道内石炭輸送全体に占める割合、三線についての割合、幾らになりますか。五十四年度だけでいいです。
#19
○説明員(吉武秀夫君) 歌志内と幌内と夕張で約三百万トンでございます。したがいまして、石炭の五十四年度の数字が五百五十四万トンでございますから六割弱というところになると思います。
#20
○小笠原貞子君 それじゃ、今度は留萌本線を使って留萌駅に到着する石炭、これはどれくらいの量になっていますか。
#21
○説明員(吉武秀夫君) 五十四年度で八十二万トンでございます。
#22
○小笠原貞子君 いま数字をお挙げになりましたけれども、北海道で非常に大きなウエートを占める物資として石炭の問題があって、その総輸送量の五〇%、五五%を占めているわけです。対象路線を使ってこれらは輸送されておりますが、これは貨物営業にも非常に私は重大な影響を与えることは必至だというふうに見ざるを得ないと思うんですけれども、国鉄はこのような路線も廃止対象にしていくおつもりでいらっしゃいますか。
#23
○説明員(加賀山朝雄君) まだどの線が具体的に対象であるかというのは、最終的に政令決定を待たなければ決まらないわけでございます。ただ、今回のローカル線対象というものは旅客の輸送というものを中心として考えているわけでございまして、それに付帯いたしまして、ごく一部の線において貨物の輸送がある程度の量を持っているという線がございます。これらの線におきます貨物輸送のやり方につきましては、別途まあ自動車転換等の可能性も十分に検討いたすことにしておりますが、さらに自動車輸送等に問題があれば第三セクターあるいは専用線その他いろいろな方法も含めて検討してまいるという考え方でおります。
#24
○小笠原貞子君 いろいろな方法で、国鉄としては大した影響はないというふうにお考えになるわけですね。
#25
○説明員(加賀山朝雄君) 必要な輸送はいろいろな方法によりまして確保していくという考え方で貨物対策はやってまいりたい。それで、貨物全体の、いわゆる貨物の全国的な経営改善計画の中でいろいろな貨物対策は考えてまいりたいというふうに考えております。
#26
○小笠原貞子君 じゃあ、今度石油の輸送についてお伺いしたいと思います。
 石炭、石油というのは北海道においては非常に大きなウエートを占めるものでございますが、釧路港に陸揚げされた石油、これ釧網本線を使って北見、網走、オホーツク沿線に行くわけですけれども、この輸送量はどれくらいになっていますか。
#27
○説明員(吉武秀夫君) 釧路港から釧網本線に行きます石油につきましては、五十四年度で二十四万八千トンでございます。
#28
○小笠原貞子君 それでは留萌港に今度逆に陸揚げされた石油で、留萌本線を使って旭川とか、それから深川とか道北地方への輸送量、それはどうなっていますか。
#29
○説明員(吉武秀夫君) 十一万二千トンであります。
#30
○小笠原貞子君 十一万二千ですね。これで見ますと、これトータルいたしますと、全体では二百八十何万トンになりますかね、ちょっと足してみますと。これ一三%以上を超えるというような数字になると思うんです。これについても、道内の輸送量全体の半分以上というものが石炭と石油が占めているという結果が明らかになったと思うわけです。いろいろの方法で影響はないと、こうおっしゃいます。この点については後で明らかにしていきたいと思いますけれども、私といたしましては影響がないということは言えないと思うんです。やっぱり、これだけの線だけで考えたらそういう結果になるかもしれないけれども、それが幹線にもつながっていくし、後でいろいろ問題を出しますが、影響がないと言い切れることについては私は承服しかねます。なぜ承服しかねるかというのは後で申し上げますけれども、こういう結果が出てくるのは、画一的な基準というものがいかに実態を無視したものかということが明らかになってくると思うわけです。そのことを私ははっきり申し上げて、今度具体的に伺っていきたいと思います。
 旅客ではなくて貨物だけを運んでいる営業線について、運輸省案は一日四千トンを当てはめて廃止の対象にするんですか。それとも、今回の法案が旅客を対象としているのですから、それは対象の外に外すというふうにお考えになるのですか。
#31
○政府委員(山地進君) いまの御質問は、貨物営業のみを行っている線のこの基準の取り扱いについての御質問であったように思います。
 まず、この法律におきまして幹線網というのは、私どもの閣議了解の考え方の中で、都市間と大都市圏と、それから大量定形輸送ということでこの重点化ということを考えておりますので、それを受けまして、幹線網という考え方の中には貨物幹線という考え方で四千トンということをまず考えたわけでございます。この限りにおきましては貨物というものをこの法案でも一応取り入れてはおるわけでございます。
 ところで、この法律の特定地方交通線あるいは地方交通線ということにいろいろと規定を設けておりますのは、旅客の従来の地方交通線の取り扱いが非常に問題が多岐にわたりむずかしかったということに着目いたしまして、地方協議会で対象にいたします特定地方交通線というのはバスに転換できるかどうかという観点でまず決めておりますので、この場合には貨物ということについてはまずは念頭に置かないということでございます。これはなぜかと申しますと、貨物の従来の集約といいますか、合理化ということにつきましては、旅客に比べて格段と実施が進んできたと。これは国鉄の自主的な努力によりまして効果を上げつつあり、かつ今後ともそれができるということで、貨物の合理化の一環として貨物営業の重点化ということが可能だという判断でございます。したがいまして、この法律の基準の決め方の中には貨物を考えておりませんので、したがって、貨物営業につきましては地方交通線であるかどうかということについては一応除外して考えるということでございます。
#32
○小笠原貞子君 一応除外して廃止の対象にはしてないということでございます。
 それでは具体的にお伺いしたいと思います。富山県の新湊線の輸送量はどれくらいになっていますか。何キロありますか。
#33
○説明員(加賀山朝雄君) 新湊線は営業キロで三・六キロでございまして、年間に約百七十六万トンキロの貨物を扱っております。一日一キロ当たりの輸送トン数が約千三百トンということでございます。
#34
○小笠原貞子君 それでは、北海道の廃止対象になります釧網本線のキロ数、そして貨物量、これは幾らになっておりますか。
#35
○説明員(加賀山朝雄君) 釧網本線の営業キロは百六十六・二キロでございまして、貨物の輸送量が年間約一億二百万トンキロ、一日平均といたしまして約手六百七十トンぐらいというところでございます。
#36
○小笠原貞子君 新湊線の輸送量は百七十六万二千トン、釧網本線の輸送貨物量は正確に言うと一億百八十二万二千トンキロになるわけです。どれくらい差がありますか。何倍くらいになってますか。
#37
○説明員(加賀山朝雄君) ただいまのはトンキロで申し上げましたので距離が入ってまいります。したがいまして、量的に見ますと、先ほどの通過の量でお考えいただきますと約千三百トンと千六百トンぐらいという形でございます。
#38
○小笠原貞子君 量でいきましょう。片一方の新湊線は百七十六万トンちょっと運んでいるわけですね。そして釧網線、これは一億。けたが違うんです。百万台ではなくて、千万台ではなくて一億。一億百八十二万二千トンキロという大量の貨物を運んでいる。これはまさに六十倍という膨大な量を運んでいる釧網線。その釧網線が廃止対象になる。そしてわずかに一・七%しか占めない全くけた違いの百七十六万トンキロの新湊線は残る。これはちょっと私は矛盾だなと思うんですけれども、大臣いかがお考えになりますか。大臣いま聞いていらして、百七十六万トンキロの方が残って、約一億二百万トンキロ、これが切られる。大変なアンバランスですね。これお聞きになって、大臣御所見いかがですか。
#39
○国務大臣(塩川正十郎君) おっしゃる運輸の一つの計算の単位として見ましたら、トンキロという計数を使っておるのでございまして計数から見ましたらおっしゃるように感じます。が、しかし、このことと実際の貨物の扱っておるウエートといいましょうか、これはそれぞれの地域の事情とかいろんな問題があるのでございまして、その点については先生は触れておられないんで、ただトンキロの比較から言いましたら、おっしゃるとおり六十倍の違いがあるということは私たちも認識いたします。
#40
○小笠原貞子君 私も専門的にいろいろな計算ではこうなりますよというようなことでなく、実際生活をして、そしてその貨物に頼っている立場から考えれば、わずか一・七%しか運んでない線が残って、そしてその六十倍も運んでいる線が切られるというのは、これは専門的な数字でどうだこうだという問題じゃなくて、だれが考えてもおかしな結果だと、おかしいよと、非常に影響があるということについてはお認めいただけると思うんですよ。
 そこで、新湊線というものを使っております荷主、大きな荷主はどこで、どれくらい使っていますか。
#41
○説明員(吉武秀夫君) 新湊線の主な荷主は、発送で日本重化学、燐化学、それから日本鋼管等でございます。それから到着の方ではやはり日本重化学、日本鋼管、荻生倉庫、それから燐化学、そういうようなところでございます。
#42
○小笠原貞子君 いろいろの荷主がございますけれども、やっぱりその中で大きなウエートを占めているという荷主は、先ほどおっしゃいました日本重化学工業、そして日本鋼管というのが最大の荷主になっておりますね。そうすると、やっぱりいっでも言われるんだけれども、そういう大きな大手のそういうところは残されていくんだなというのと結果的には符合するわけです。それはもうこの数字見ましてね、ほかの荷主さんいろいろあるけれども、大きな荷主というのはここなんですよ、日本重化学と日本鋼管ということなんです。だから、さっき言ったように、量的にも六十倍もあるところがぶった切られて、一・七%のこういう大きな会社の輸送をしているところは残されるというのは現実だから、だからこういう現実はやっぱり画一的な基準から出てきているというふうに私は言わざるを得ないと思うわけです。御反論があればあれですけれども、これは事実だから私は事実を申し上げて、それでその次に移らせていただきたいと思うんです。
 で、まさに実態を無視した、昨日の公聴会でも反対の立場の方々おっしゃった、実態を無視したローカル線の切り捨てで、これらの貨物が、さっきおっしゃいましたね、どうしてもトラック輸送というようなことになっていくと思うんですけれども、これがトラックに移された場合、交通公害、交通事故、いろいろと誘発する困った問題が起こってくる。そしていま国民的な課題となっている省エネルギーという対策ともまさに逆行していくのではないか、こう言わざるを得ない。
 それで、先ほども挙げました留萌本線です、日本海側。で、この石炭は赤平から留萌本線を経由して留萌駅に到着いたします。年間八十二万トンとさっきおっしゃいましたね、八十二万トンございます。石油の方は逆に今度は留萌港に揚がりまして、留萌本線を使って旭川中心にして年間十一万トン発送しているわけです。そうしますと、石炭と石油だけで年間九十数万トン、一日当たりに計算いたしますと約二千六百トンです。との石炭と石油がこの留萌本線を使うわけです。そうすると、十トン積みトラックで換算すると二百六十台分という膨大なトラック、二百六十台というのが必要になってまいります。これは計算ですから、事実。じゃ現在そしたら留萌−旭川間どうなっているかと。私も留萌も何回も行きましたし、そして事実、留萌の駅でいろいろと資料もいただき調査してまいりました。留萌−旭川間は一車線、国道二百三十三号線があるだけで、現在の交通量だけで時間的な交通渋滞というのは大変なことになるわけなんです。しかもこの国道が、大臣いらしたことないかもしれないけれども、留萌の町の真ん中をこの国道が走っているわけですね。そうすると、交通渋滞に加えて振動、騒音、いろいろな苦情が出ているということを御認識、頭に入れていただきたいと思います。
 それからまた、夕張線、この夕張線も北海道ですから、非常に具体的に調査して新聞にも報道されておりました。私もこの新聞の報道――よく、いや新聞にそう書かれているけれどもなんておっしゃるけれども、私はこの報道が事実かどうか調べました。間違っていませんでした。夕張線に例をとると、三菱南大夕張、真谷地、夕張新炭鉱を沿線に持つ同線の石炭輸送量は一日一万五千二百トン、これを十トン積みダンプに積みかえると七百五十台になる。片道は空荷の往復ですから、千五百台のダンプが沿線道路を走ることになります。一日八時間運転として計算いたしますと、三十八秒に一台の割合でトラックが走らなければならない、こういう事実も頭に置いていただきたいと思います。
 それから歌志内線、これも前に陳情書が参りまして、そして一昨々日ですか、歌志内の市長さんもお見えになって、いろいろと具体的にお話を伺いました。この陳情書によりますと、いろいろ書いてありますけれども、本市は山間、山合いの狭いところに位置し、幹線道路としては幅員五・五メートルの道道砂川−赤平線一本のみであり、現在の交通量は一日五千七百台で、国鉄廃止による貨物輸送の余地はありません、こうおっしゃっていました。まさに歌志内というのは山合いでして、川が流れておりまして、そして国鉄がありまして、その町は非常に細長い狭い町なんです。ここに空知炭礦という炭鉱がございます。もうこれ以上、一日五千七百台で国鉄廃止による貨物輸送の余地はありません、はっきりおっしゃっている。私はそのとおりだと思うんです。で、こうなりますと、これでもできないと言っているのに、これが貨物輸送になると、御存じないと思うんだけれども、あそこのところに一体どんな影響を与えるかというのは、私は地元で行っているからよくわかるんです。その事情をわからなければわかっていただきたいと、私はそう思うんです。
 そして、これだけでは済まない。今度あの砂川火力四号炉が増設されるわけですね。そうしますと、ここで石炭また入れなきゃならない。そうすると、約二倍以上の伸びが見込まれるわけです。年間いま二十五万五千トンの輸送なんですけれども、この砂川火力四号炉増設によって来年は四十四万トン運ばなきゃならない。約倍になるんですね。そうすると、これいまでも大変なのにこれが倍になったら一体どういうことになるんだと、私は全道各地がこういう深刻な問題を抱えているからこそ非常に一生懸命陳情されていると思うんです。で、もしもこの四十四万トンにふえます、来年から倍になります、これトラックで輸送とさっきおっしゃいました。トラック輸送にすれば国鉄運賃と比べてどれぐらいのコスト高になるというふうにお思いになっていらっしゃいますか。
#43
○説明員(加賀山朝雄君) 具体的にトラックの運賃というものはかなり実勢運賃でやっておりまして、現実に調査をいたしまして、現在歌志内の炭の七割はトラック輸送でございまして、鉄道に載っておるのは三割でございます。実際に比較いたしましてもトラック運賃の方が安いケースもかなり出ておりまして、現在、御指摘のような輸送がどういうコストになるかということは、ちょっと私どもとしても想像いたしかねるところでございます。
#44
○小笠原貞子君 まず一番初め、私が言っているのは国鉄で運んでいる貨物量で言っているんですよ。トラックで行っている貨物量言ってない、さっきから、留萌線にしても何も。だから大部分はトラックで輸送してますなんというごまかしはだめです、それは。私は国鉄で運ばれている数字でずっと言っているんですから、そこちゃんと押さえておいてください。
 それから、心配ありませんよと、貨物でやります、第三セクターでやります、いろいろおっしゃいました。しかし、もう御承知のように、第三セクター持つという自治体は、そんなことはできないよという問題であるし、貨物輸送で送れますよとおっしゃるんだけれども、まことに無責任だと思うんですわ。それは送れるかもしれない。だけれども一体どれくらいのコスト高になって、そして石炭がどれくらい上がることになるか。そしてそれを使う住民や、そして今度いろいろな影響というものを全く考えていない。私は、自動車にかえられますよと言いながら、それくらいの問題も考えないで簡単に、いや第三セクターだ、自動車だなんて言うところに問題があるんです。私はこの調査に行ったときに、その空知炭礦の会社から直接いろいろ資料をいただいてきました。そしてその会社で出された資料によりますと、トン当たり二百六十五円高になります。二百六十五円トン当たり高くつく、トラックにいたしますと。去年の二十五万トン、これで六千六百二十五万円がプラスされて高くなっております。そして、さっき言った火力発電所がふえて四十四万トンになったら一体幾らになるか。実にトラックの輸送によって一億一千六百六十万円というコスト高になるんです。あなたの方はまだそこまで調べていませんとおっしゃるから、私が調べて会社で聞いてきた実勢を申しました。そういう点についてもきょうのところはおわかりにならないで、無責任にトラックがあるよなんというような発言でなくて、この点についてきちっと、どれくらいになるかということを押さえていただきたいと思うんです。
 それで、この会社としてのまたいろいろ要望を伺った。そのいろいろ要望を伺ったときに、会社としてこう言っているんです。燃料高、そして省エネルギーの立場から可能な限り国鉄利用にしたいんだと。確かにある部分はトラックで運んでますよ。しかし、やっぱり国鉄に載せて運びたいんだというふうに会社としても切実に考えていらっしゃる。そこで、このように大量の貨物、これがトラックに移された場合、私はいま北海道の具体的な線で申し上げましたが、これが移された場合、交通事故が多発するという心配もこれは当然だと思うんです。そして国鉄と道路ということで安全性という問題がここで出てきますね。それからエネルギーの消費率ね、これはエネルギー問題というのは本当に深刻ですよね。このエネルギー問題についてもやっぱり私らは考えなきゃならない。国鉄のそろばんで赤字が減ったよなんという簡単なものではない。そうすると、この安全性の問題、国鉄と道路との。この安全性の問題と、それからエネルギー消費効率の比較、国鉄さんでお調べになっていらっしゃると思うんです。具体的にどういうふうに考えていらっしゃるか御説明いただきたいと思います。
#45
○説明員(加賀山朝雄君) エネルギー問題でございますが、確かにマクロ的に鉄道と自動車、特に貨物につきまして比較をいたしますと、トラックに比べますと鉄道の方が省エネであるということは私どもの方も資料としていろいろ発表をしております。しかしながら、これは非常に国鉄の輸送の大多数がかなり大量定形的に送られた輸送を主体としているという形でございまして、個々の輸送を比較してまいりますと、必ずしもそのエネルギー論というものは、鉄道がすべてにわたって有利であると必ずしも言い切れないと考えております。バスの場合におきましても輸送密度が少なければむしろトラック、バスの方が鉄道よりも有利であるという実証も得ております。また、ローカル線等で大きな機関車が少ない両数を引いている場合、これは明らかにむしろバスよりも鉄道の方が不利であるというようなケースもございます。
 さらに、鉄道の場合は単に運行エネルギーだけで比較いたすことは問題でございまして、たとえば分岐駅とか操車場におきましていろいろ入れかえをするとか、あるいは貨物の駅におきまして駅内で入れかえをするとかいうようなエネルギーも加味して考えなきゃならぬわけでございますが、これはいろいろなケース・バイ・ケースでございますし、特に鉄道の場合は、大多数が末端においてトラックの輸送、小運送というものを必要といたしますから、そのトータルエネルギーから見ていかなければならないという考え方がございまして、やはりこれはケース・バイ・ケースでいろいろ考えていかなきゃならない。しかし、かなりまとまった輸送の場合は鉄道の方がエネルギー的には効率がいいということは言えると思います。
#46
○小笠原貞子君 いろいろなケース・バイ・ケースというのがあるのはわかりますよ。だけど私が言ったのは、非常に大きな大量の貨物の問題を言っているんですわ。小さい小荷物を言っているんじゃない。そして、おたくの方でいま御説明になった資料はこれだと思うんです。五十五年五月日本国有鉄道「経営の現状と改善方向」の中で「輸送機関別エネルギー消費効率」というのがございます。ここで貨物輸送においては「トラックは十倍で鉄道のエネルギー効率は優れている。」と、これはおたくが出されたんだから否定はできないですね。国鉄がエネルギーでは非常にすぐれている。おたくもおっしゃるし、国民全体もこれはよく承知していることだと思います。
 今度、安全性の問題、さっき安全性の問題をちょっとおっしゃらなかったように思いましたけれども、おたくで出されたんだからおたくの資料で言います。ここにも「輸送機関の安定性比較」「道路との比較」「客貨の区別がつかないところから単位輸送量・一億人トンキロ当りの全死者数を安全性の指標とした。」と、こういうことになっているわけですけれども、安全性指数で言いますと、全道路では死者数が三千十一人ということでしょう。これは三千十一人でしょう、ここに印刷されているこの数字。国鉄の場合には一人になりません。〇・一一八人です。こういう数字が出ているんです。これは間違っていますか。そうしたら指数の問題、これちょっと説明してください。
#47
○説明員(加賀山朝雄君) 三千じゃなくて、三・〇一一でございます。
#48
○小笠原貞子君 そうすると、三人。
#49
○説明員(加賀山朝雄君) はい、一億人トンキロ当たり三人強。
#50
○小笠原貞子君 そうしたら三人、そうしたらその次の……。
#51
○説明員(加賀山朝雄君) 国鉄の場合が〇・一。
#52
○小笠原貞子君 ゼロコンマ、コンマになっていますね。こっちの方はコンマでなくて……。
#53
○説明員(加賀山朝雄君) コンマの点が落ちております。
#54
○小笠原貞子君 落ちていますね。
#55
○説明員(加賀山朝雄君) 下の指数でごらんいただきますと、一対二五という形になっております。
#56
○小笠原貞子君 こんな落ちるようなのだめよ。あなた、国鉄が出した資料でしょう。私もきのう見てておかしいなあと思って見たんですわ。
#57
○説明員(加賀山朝雄君) ちょっと気がつきませんで、私の手元にはその点が入ったものだけ持っておりますので、どうもまことに申しわけございません。
#58
○小笠原貞子君 そうしても、全道路は三人。それから国鉄の場合そんなに死にませんわね。もう一人にも当たらないよと。それはそういう訂正をなすったからそういたしましょう。どっちにしても結論でここで言いたいことは、国鉄の方が安全だということがおたくの資料で確実になるわけでございます。
 それでは次にお伺いしたいと思います。トラックよりも国鉄貨物の方がすぐれているといろいろなことから私は申し上げましたが、今度また具体的にお伺いしたいんですが、先ほど例に挙げました釧網本線の年間貨物輸送量、これをトラックで輸送する場合のトラックの必要台数についてお伺いしたいと思います。
#59
○説明員(加賀山朝雄君) いわゆる輸送のパターンによりまして、また輸送の内容あるいは区間によりまして必要の台数というのは大変算出がむずかしいわけでございます。一応全輸送キロを一つの十一トントラックなら十一トントラックで運べばどうかということを考えますと、大体二百台ぐらいと思っておりますが、若干やはりそれに帰り荷が空車であるとかというようなことを考えますと、二百台か三百台近い形の数字ではないかという推定を一応いたしております。
#60
○小笠原貞子君 二百台から三百台のトラック。トラック一台幾らくらいするんですか。
#61
○説明員(加賀山朝雄君) 私もトラックの値段、定かに知りませんが、七、八百万円ぐらいのところじゃないかと考えておりますが。
#62
○小笠原貞子君 私もよく知らないものでね、一番安いので何ぼだと、普通何ぼだと聞きましたら、一番安いので六百万だというのを聞きましたから、私はオーバーなことを言ってやるつもりないから、最低の六百万円ということで計算したんです。大体おたくの方で調べていただきましたら二百から三百とおっしゃいました。具体的にお調べをおたくの方からいただいたの二百九台になると、トラックが。そうすると、二百九台のトラック、これ最低六百万としまして、これ二百九台掛けなきゃならないですよね。そうすると、それが十二億五千四百万円かかるんですわ、そのトラックというの。そうしますと、いやトラックの会社、これ全部トラック輸送だというのでどんどんもうかるかもしれないですよね。つまり、これがいま問題になるモータリゼーションになっていって、そしてまた国鉄さんのところも――循環ですよね。この十二億五千四百万円というこの線だけで見ても、トラックで大きな投資をしなければならないということになるわけですよね。私は、時間なくなるから言いませんけれども、もうあくまで大臣、そして国鉄総裁も聞いていただきたいんだけれども、とにかく国鉄だけの計算でやって十二億五千万のこの釧網線だけで二百九台も要るんだよと、それでそんなにかかるんだよというのも頭にない、そのことをまた私は言わざるを得ない。
 で、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、政府のローカル線廃止計画と、これはさっきもおっしゃいましたように旅客と貨物を別なものとしておっしゃっている、今度の法案ね。そして、その貨物対策というのは全く出されていない、欠落しているんですよ。そうすると、国鉄の計画なのに大事な貨物を全く無視して改善計画だのヘチマだのなんというのないと思うんですよね。片一方貨物の対策というのは全く落としたままで、そしてこういう法律が出されているということは、私はまさに非常に無謀な、初めから私言っているんですよ、もうこれほんと欠陥法案だわ、考えてみると。国鉄再建なんて言いながら、時間なくなるから言いません。この貨物営業にも大きな影響を与えるものと、またここで言わなければならないと。まさにこういう安全性、エネルギー性、そして新たにこの大変な投資をしなければならないこの問題、これは日本全体から考えてもらわなければならない。同時にそれがどこにかかってくるんだ、国民の側にかかってきたら大変だ。こういう貨物も欠落していると、こういう問題考えないとね、こんな法律なんです、これ。大臣、それについてどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
#63
○国務大臣(塩川正十郎君) 貨物につきましては、道路事情が改善されるに伴いまして、その輸送の主体がだんだんとトラックに移行しつつあることは現在の状況でございます。このことはやはりそれなりの理由がある。つまり経済的合理性があってそういうふうに移行していったんだと思うのでありますが、しかし、国鉄の中におきます貨物対策というのは、これは荷主との応対によってやっぱり重要な影響を受けてまいります。したがって、貨物はもう十数年前から実は国鉄自身がその合理化を図ろうとしまして努力してまいりまして、駅の集約化なり、あるいは荷主との長期的な取り決めというものをいたしまして、そういうところを重点に置いて運行もするということもやってまいりましたし、またダイヤの改正に際しましては、できるだけ荷物を優先して確保したいという配慮もしてまいりました。それでもなおかつ今日、いわば雑種類の貨物、そして少数で非定形の貨物というのはだんだんとトラックに移行していくという傾向にございます。したがって、今後のこの国鉄の再建の中で貨物というのは、やはりどうしても荷主あるいはその地域の経済活動との関係で決めていかなければならぬと思うております。
 一方、旅客の方でございますけれども、これはやはり何といたしましても国鉄の収入の大宗でございますので、今度の合理化は、どうしてもやっぱりその大宗を占める旅客に焦点をしぼって合理化対策というものを考えてきたということでございまして、貨物につきましてはすでに合理化は進みつつある。で、今後旅客の合理化を進めていくという観点に立ってこの法案の提出に踏み切った次第です。
#64
○小笠原貞子君 いまの御答弁、すんなり私は受けることはできない。これについていろいろまた問題がありますので、この問題は後に保留しておきます、いまの大臣の発言については。
 時間もございませんので、今度は六十年度までの国鉄の運賃の収入計画と試算というものが出されて、当然この再建計画というものが出るわけでございますけれども、この六十年度の試算ということでお伺いするんです。
 六十年までに国鉄の健全経営の基盤を確立する。これは五十四年末の閣議了解、そのために六十年の試算というものを国鉄さんがお出しになりました。この国鉄さんのお出しになりました資料を見ました。非常に簡単な資料ですよね、もうこんな簡単なんですよ、すごく簡単です。この中で、私は、きょう時間がないので収入の分についてお伺いしたいんです。
 収入は、六十年度には三兆八千六百億の収入を上げる。五十四年は二兆六千二百四億円で、六十年までに三兆八千六百億収入を上げる。わかりました。それを、その中身ね、たとえば旅客で、そして貨物で、自動車で。旅客の中にも幹線があり、地方ローカル線がある、そんな細かいことは言いませんが、ここで出てきた三兆八千六百億という数字はもうお出しになったんだから、お出しになるときにいろいろとそこに根拠があってこの数字になったと思います。これの中身をお伺いしたいと思います。そしてその中身をお聞きすると同時に、毎年どれくらいの値上げを予想されているのか。
#65
○説明員(加賀山朝雄君) いわゆる六十年の経営目標をつくるということでいろんな形の勉強をいたしまして、ただ、いろいろその期間中にどういう形で物事が進んでいくかということにつきましては、昨年の段階におきましてはまだ十分に煮詰め切っていなかった段階で一つの経営目標の設定と。ただ、われわれとして経営改善構想をやっていくという考え方を述べる段階で、内部的にも一つの目標値というものを設定したいという形でこの作業を行ったわけでございます。したがいまして、毎年の計画をコンクリートに固めた形でやっておりません。したがいまして、現在先生からのお話がございますように、これを客貨別とか幹線、地方交通線別とかいうふうなことを区分してやっているわけではございませんで、非常にマクロ的に五十四年度の予算をベースにいたしまして六十年度の数値を予測したわけでございます。その段階で、一応私どもといたしましては運賃改定のない姿で一応の客貨等の見積もりをいたしまして、それに対しまして、そのトータルの収入に対しまして五十四年度から六十年度まで平均物価上昇率程度、当時の政府計画におきます五・四%が毎年実収として確保できるような形の収入にしたいという形でこの目標値を設定したわけでございます。
#66
○小笠原貞子君 私も毎年出せと言ってないの。そしてミクロ的に細かく出せなんて、そんな無理なこと言ってない。いろいろな変動もあるだろうし、これからどういうふうな線が基準になってどうなるかわからない。わかっているんですよ。だけどマクロ的な数字として検討なさった、このマクロ的というその中身の、細かいんじゃないですよ、貨物で何ぼだ、旅客で何ぼだ――雑収入だけ出てますよね、あと出てないんですよ。マクロ的な中でお考えになって、毎年とは言いません、六十年までにマクロ的にお考えになったマクロ的な中身、言ってください。
#67
○説明員(加賀山朝雄君) 先ほど申し上げましたように、客貨、自動車グロスの数字をいわゆる運賃改定なしの数字で想定をいたしまして、それに六年分のアップのものを収入として得られるという形の想定をしたわけです。したがいまして、その実収を得ます段階のいろいろなやり方というものは旅客にウエートを――運賃改定のやり方というものは旅客のウエートが高いのか、貨物のウエートが高いのか、あるいはそれに対するいろいろな料金との関係どうであるかというようなことによりましてその辺が変わってまいりますので、したがって、一応六十年度においてマクロ的なトータルとしてはございますが、中身としてはお示しするものを持っていないということを申し上げたわけでございます。
#68
○小笠原貞子君 ものすごくインチキよね。マクロ的なものは出したけれども、その中身については出せない。いや、私これこの間から何度も言ってるんだわ、出してくださいと。経営の改善といったらやっぱりこの金額、問題になってくるんですよ。だから、家庭考えても奥さんも苦労している、そしてお父さんがんばってよと、そしたらお父さんがよしがんばる、毎月十万円かせぐよなんと言って、奥さん、ああそうおなんて言ってられないでしょう。お父さん十万円かせぐのならどうやってかせぐの、私はそれに手伝うのにはどうしたらいいか。こういう協力があってこそ収入というの出てくるんですよ。
 いまおっしゃったように、これはもう本当に言えませんと、この努力目標ここまでやりたいという数字しかお出しにならないで、それで審議してくれ、これは無責任ですよ。こんなものの中身が、私は毎年なんて無理なこと言ってない、細かいこと出せと言ってない、マクロ的な、トータル的な三兆八千六百億お出しになったそのマクロ的、トータル的なものでいいから、少なくとも幹線、地方線、自動車線――雑収入だけわかっています。これ出してもらわなかったら、委員長審議できません。こんな最終的にもこれだけになるよなんて、そんな簡単なことで私は国会議員として、国民が一生懸命にいまこの問題考えている、この中身も出せないようでは財政再建どう審議していいかわからない。委員長諮ってください。
#69
○説明員(高木文雄君) 昨年の基本構想案では五十四年の運賃水準を一といたしまして年率で一・〇五四という上昇率で計算しておるわけでございます。それをもっと詳しく出せということでございますけれども、たとえば運賃で申しますと、旅客の運賃の上げ幅をどんなふうに考えていくか、貨物の運賃の上げ幅をどんなふうで考えることが可能であるかということを考えますと、旅客で申しますとやはり飛行機の運賃水準がどうなるであろうか、あるいはまたバス、私鉄の運賃水準がどうなるであろうかという、もうすでに相当な競争関係にございますので、それを十分見込んだ上でやりませんと、ノミナルに上げましてもお客さんがどんどん減ってしまうということになりますから、その条件を見なければならないわけでございます。また、貨物につきましても海上輸送の運賃あるいはトラックの運賃実勢というものを見ながらやりませんといけませんので、六十年までの毎年度の途中なりあるいはその割り振りなりということまではいまの段階では私どもとしてはとても決めかねるわけでございます。
 それで、現に五十五年度、この基本構想案は五十四年の夏につくりましたが、この四月から上げさせていただきましたときにも率は旅客についてはその五・四まで上げなかったわけでございまして、四・七五でございますか、それくらいしか上げなかったわけでございます。それは飛行機なり何なりは何年かに一遍の改定でございますし、私鉄も二年置きでございますし、いろんなそれらを横にらみにしますと、やはり少し今年度の場合には慎重でなければなるまいかということで、長期見通しの立て方としては五・四で見ましたけれども、ことしはそれよりこの春は低目に抑えました。そうして来年はいま予算で御要求いたしておりますのは、名目では約一割、九・九という前提で要求いたしております。したがいまして、そのときそのときの事情で変わらざるを得ない。
 そこで、マクロと申しますのは、私どもこういう経営情勢でございますので、競争的には非常にまずいんですけれども、やはり経営収支の改善のために相当上げざるを得ない、しかし、限界はやはり消費者物価上昇程度というものが限界ではないか、それを超えて上げたんではまずかろうということで一・〇五四ということで出しておるわけでございまして……
#70
○小笠原貞子君 わかりました。時間がありませんから、簡単にしてください。
#71
○説明員(高木文雄君) 現実には隠しているのではないんでありまして、ちょっとそういう作業は無理だということでわかっていただきたいと思います。
#72
○小笠原貞子君 いろいろこういう条件がある、こういう条件がある、無理なんだ、はっきりできないんだとおっしゃりながら、三兆八千六百億というのははっきり出ているんですよ。もう時間がないからこれも私また後に保留します。実際いろいろな条件あるのはわかります。わかるけれども、六十年までに三兆八千六百億という数字をお出しになったんだから、お出しになった以上はこれの基礎があるはずだというのが私の問題なんです。だからもう時間ないんです。だから私はこの問題またこの次に保留します。これでは納得できない、きちっと出していただきたい。後でお諮りいただきたいと思います。
#73
○説明員(高木文雄君) 五十四年度の数字に五・四をずっと掛けていっていただきますと、その三兆幾らになるんです。そういう意味で計算はあるんです。ただ、その五・四を旅客はどうだ、貨物はどうだ、荷物はどうだというところがないということでございます。
#74
○小笠原貞子君 それは出るんですよ。いまおっしゃったように五・四掛けて。
#75
○説明員(高木文雄君) 順番に掛けて……。
#76
○小笠原貞子君 はい、そうそう。それじゃ、お出しになればいいと、そこを言っているんです。時間ないから、これまたこの次にしますよ。もうこの間から一生懸命言っているんだけれども、なかなかうんと言わないんだわ。インチキな、わからないものを出してこれで審議しろなんて、国会無視ですよ、本当に。それじゃ、済みません、次に移りますよ。これ、後でまたやりますから。
 今度、輸送量の伸び、これは収益を上げるために、当然輸送量の伸びを考えていらっしゃるわけですけれども、これを見ますと、六十年までに輸送旅客量は、プラス九十億人キロになりますね、五十四年のに比べまして。そして、この九十億人キロ増加すると、これはどうやって増加するというふうにお考えになりますか。そして具体的な数値及びそれの増収というのはどれくらい見込まれるか。済みません、簡単にね。もう時間が――後でまた大事なのがあるんですから。
#77
○説明員(加賀山朝雄君) 輸送量の想定につきましては、今回私どもとしましては、一つは、過去の再建計画におきまして、輸送量を高く見たためにいろいろ失敗をしてきたということがございまして、なるべくかた目に見るということを前提にいたしまして、その関係で、幹線系の旅客は微増をしていくと、それから地方ローカル線あるいは貨物は大体横ばいであるという考え方のもとにやったわけです。その前提といたしまして、一応、政府の新経済社会七カ年計画の中に、国内総輸送量が出ておりまして、その中に鉄道――これは私鉄も含めますが、鉄道輸送量の大体見込みが出ております。これよりも若干かた目な数字という形でこれを考えたわけでございまして、今後の営業努力等も含めまして、年率一%強ぐらいの輸送増を見込んだという形で、この数字を算出したわけでございます。
#78
○小笠原貞子君 非常に不親切なんですよね。やっぱり本当に審議しようと思うから、私はしつこいようだけれども細かいこと言っているんですよ。こんな大きなところで、目標こうやって努力します、これで審議したって、具体的な審議にならない。だから私は、これについても、もうああだこうだというのはわかりました。だから、幹線でどれだけ伸ばすのか、地方線でどれだけ伸ばすのかということを具体的に聞きたい。だけど、いまなかなか出せない。これも私はまた後に保留します。本当にこれがきちっと出ないで、答弁もごまかしの答弁ですよ。いや、ごまかしって言っちゃ悪いけれどもね。わからないと言うんだもの。
 わからない、出せません、出せませんで、どうして私審議できますか。
 そこでね、私は国鉄、そして運輸省、本当に怠慢だと思いますよ。いま同じにかかってますよ、郵便値上げ。これ、郵政省の方は、それはいろんな事情あるかもしれないけれども、出してるんです。年度別、そして事項別。五十五年から六十五年まで、予算でどうだ、そして改定率は、こうこうこういうふうにしていったら六十五年にどうなるんだと。そして今度値上げの方は、第一種で値上げして、第二種の葉書で値上げして、第三種の値上げしたら、大体五十五年から、六十五年ですね、向こうは。六十五年までにどうなりますかという数字をちゃんと出しているんですよ、資料で、要求したときに。郵政省はちゃんと出しているんです。出るはずなんです。最終的な数字、おたく出したんだから。これも出さない。第一種っていえば幹線ですよ、鉄道で言えば。第二種葉書、地方交通線ですよ。第三種っていったら自動車ですよ。郵政省はちゃんと出している。それで当然だと思う。そんなものも出さないで、財政計画審議してくださいなんてとんでもないですよ。だから私は、再度、この問題についても後で理事会でお諮りいただいて、内容を、私の要求資料として出していただきたい。そのことだけ委員長に頼んでおきます。
#79
○説明員(高木文雄君) 郵政省がどういう資料をお出しになっているか、私拝見しておりませんけれども、非常にうらやましいと思います。というのは、独占企業でございます。私の方は、もはや競争企業でございます。したがいまして、非常に他の条件――飛行機、飛行場がどう整備されていくのか、道路がどういうテンポで整備されていくのかということによって、なかなか思うようにならないわけでございまして、その点だけ御理解をいただきたいと思います。
#80
○小笠原貞子君 いいですね、後で。
#81
○委員長(黒柳明君) はい。
#82
○小笠原貞子君 いや、御理解しているから、協力したいから、きちっと出しなさいって言っているんですからね。私、意地悪して言っているんじゃないということだけはっきりさせてください。
 それで、旅客の輸送量を六十年まで九十億人キロ伸ばして営業収入をふやすというんですけれども、われわれこれができるかどうか、ちょっと不安なんですよね。
 そこでお伺いしますが、五十年度以降、毎年のように値上がりしてきました。それで出していただきたいのは、五十年から五十四年までの輸送量の推移、これ数字で簡単にお答えいただきたいと思います。
#83
○説明員(吉武秀夫君) 旅客輸送人キロでいきますと、五十年が二千百五十九億人キロでございます。それから五十一年が二千百十三億人キロ、五十二年が二千一億人キロ、五十三年が千九百六十三億人キロ、五十四年が千九百五十一億人キロです。
#84
○小笠原貞子君 そうしますと、実績でいいますと年々下がってきていますね。五十年から五十四年、いまの数字でわかりました。これ大体一〇%減ってきてますわ、毎年。これが客離れによって減ってきているということは当然のことだと思うのです。そうしますと、いままででも毎年輸送量は一〇%減っているとおっしゃったように……
#85
○説明員(高木文雄君) 一%じゃないですか。一〇でなくて一%。
#86
○小笠原貞子君 一〇ですよ。一〇%減っているのですよ。だから私、これは五年間で一〇%減ってきている。この上にまた今度、五・四%の値上げと、地方ローカル線はそれにまた五割ぶっかけるというようなことになりますと、そうすると、客離れの原因というのはもうメジロ押しに出てくるのですよ。ふえるどころか減るのではないかと、伸ばすのは結構なんだけれども。その辺について、一生懸命今度やろうとなさっている幹線の輸送量、これの伸びはどうですか、伸びているか減っているか。五十年、五十四年、比べてください。
#87
○説明員(吉武秀夫君) 幹線で申し上げますと、二千四十九億人キロから五十四年が千八百六十億人キロであります。それから地方交通線が百十億人キロから九十一億人キロであります。
#88
○小笠原貞子君 この幹線を見てもやっぱり同じ傾向ですね。比べますと、これ減ってきています。もう時間がないから、それじゃその辺で、一〇%ぐらい減ってきているということを確認して次に移ります。
 地方交通線の特別運賃というのは、これがまた五割増しになってかかってくるわけですけれども、先ほど国鉄総裁おっしゃいました、大体数年で五割アップと答弁されていらっしゃいますけれども、これははっきり何年、どれくらいというふうにおっしゃいますか。
#89
○説明員(高木文雄君) この特別運賃というのは、考え方としては、地方交通線非常に赤字だから、補助金もいただくが、運賃も上げさせていただきたいということでございますけれども、現実にはいろいろ問題が山のようにありまして、なかなかむずかしいわけでございます。現段階では、そういう作業をいま一生懸命やっていますが、なかなかいろんな問題があるということで悪戦苦闘しておるところでございまして、先般、それで大ざっぱに言ってどのくらいのことを考えているかと言われますので、現在の中小私鉄の運賃は、私どもの運賃の約倍を超えておりますけれども、とてもそうはいかないので、六十年度までの時点を考えて五割ぐらいかなあという、五〇%ぐらいかなあということを申し上げたわけでございまして、まだそこまでの段階で年割りというようなところまでは作業が煮詰まっておりません。
#90
○小笠原貞子君 そうしますと、いまのところ大体五割増しと、こういうふうにおっしゃいました。いま私問題にしますのは、地方交通線特別運賃の問題で伺っているわけですけれども、これ毎年五・四%ずっというのが上がる、その上に六十年には五割増しとなると、現在に比べて負担はどうなりますか。どれくらいの倍率になってきますか。
#91
○説明員(加賀山朝雄君) 毎年の五・四%上げます段階におきまして、旅客の方の上げ方がどのぐらいかということは、先ほど来申し上げているとおりでございますが、五・四%がまいりまして、さらに特別運賃を五割増すと、大体二倍弱というところになろうと思います。
#92
○小笠原貞子君 それは実収ベースの収入ですね。そうしたら、名目ではどうなりますか。
#93
○説明員(加賀山朝雄君) 実収と名目の差というのは、これは運賃のつくり方によって大変変わってまいりますし、その辺で名目と実収との差というものがどの程度あるかということは運賃の値上げの仕方自体にかかりますので、正確なことはちょっと申し上げかねるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、二倍弱と申し上げましたわけでございますが、それが二倍をちょっと超えるぐらいのところ、全体から見れば五%から一〇%ぐらいのあれになるのではないかという感じでございます。
#94
○小笠原貞子君 その実収と名目、五十五年度の実績では、実収というのは名目の何%になっていますか。
#95
○説明員(吉武秀夫君) 名目を十といたしますと、実収は八ぐらいのところでございます。
#96
○小笠原貞子君 実収は八割なんですよ。そうしますと、これだけの収入を上げようとすると、実収で計算したら二割入ってこないでしょう。だから、やっぱり名目で上げていかなければ実収をそれだけ上げることはできないわけです。だから、ここのところでいま二倍くらいと、こうおっしゃいましたよね。だから、五・四%の実収を見て、名目を幾らにするかと。八割しかないとおっしゃるんだから、名目にしたらどれくらいに上げなければなりませんか。これは簡単な計算です。おっしゃってください。
#97
○説明員(吉武秀夫君) 仮に五十五年度の数値を使っていまの計算をいたしますと、先ほどの二倍弱と言ったのが一・九五倍で、いまの十の名目に対して実収が八ということで仮に計算しますと、二・〇九ぐらいのところでその差が〇・一四でございますか、それぐらいになります。
#98
○小笠原貞子君 実収で五・四%上げたいと、これが八割にしか当たりませんよと。そうすると、実収を上げるためには五・四は八に当たるわけですよね、実収というのは。そうすると、計算しますと、いま計算機持ってこられたけど私計算しているんですよ。そうすると、六・八%ということに――国鉄総裁はわかってますよね、六・八%上げなきゃならないんです。六・八%上げなければ実収入ってこない。そうすると、地方交通線というのは大変なものなんです。六・八%の値上げ。
 そこで、たとえば政府としては、新経済社会発展七カ年計画で、六十年まで五%程度の上昇率というふうに見込まれているわけです。それと比べますと、この国鉄地方交通線六・八%になるというのは、これはその上昇率から比べますと、八倍ですよ。二二〇%になります。これはきのうも一生懸命計算して、そっちとも計算したら合っている。こんな異常な値上げですよ。こんな異常な値上げを当然と思われるのですか。政府でさえも毎年新経済七カ年計画で五%程度と言っているその上昇見込み率に比べたら八倍になります。後でちゃんとそうしたら計算資料出しますから。これは非常に大変な値上げ率ですよ。だから、私はいろいろわからないとか何とかおっしゃったけれども、もっと慎重に再検討される、もっと具体的な問題をお出しになって、そして私たちも具体的に一緒に考えたいと思うんですよ。だから、具体的に一緒に考えるための資料も出していただいて、そしてこんな大変な値上げにしないで済むように国民の生活を守っていただきたいのです。だから、私はこんな値上げ当然だと言い切るのかどうか。私はこれはこんな法律出されたら、実施されたら大変なことになる。一言、それでもしようがないと大臣おっしゃいますか。もうあと時間がないんです、一言。
#99
○説明員(吉武秀夫君) 数字の問題でございますけれども、六・八とおっしゃったそれで計算いたしまして二・〇九倍、私が申し上げた数字で、ちょっと八倍というのは私わかりかねるわけです。
#100
○小笠原貞子君 あなた、聞いてないんだもの、私言ったの。
#101
○国務大臣(塩川正十郎君) 小笠原先生なかなか理論的におっしゃっておられて、そのおっしゃる理論のとおり実はなかなかいかないところにわれわれも――理論的におっしゃるけれども、これは私たちも理論としてはよくわかるのですけれども、なかなかそういう理論どおりは実際は、現実はいかない。それはただ独占企業としての計画だけでやっていけるものじゃございませんので、その前提はひとつ御理解いただきたい。そして、運賃は、これはもうわれわれも極力抑えてまいります。それはもう仰せのとおり努力もいたしておるのでございまして、しかしながら、よく考えていただきますと、賃金は上がる、そしてエネルギー代は上がる。これを全部国鉄でしょっていけといったってこれとてもやっていけるものじゃない。そうするとやっぱり必要最小限だけは値上げを認めてもらわざるを得ない。だから必要最小限度にとどめます。
 それから、特別運賃でございますけれども、何も地方に対して過大な特別運賃を課そうなんてわれわれ思うておらないのです。しかしながら、地方のコストというのは幹線とは質的に違うところがあるのです。そのことを考えますならば、地方交通線についてはやっぱり幹線と違う負担をしていただきたいということであって、それがかえって旅客の客離れを誘導するようなそういう運賃にはわれわれはいたさない。でございますから、運賃をいま国鉄で試算として、こうしておるならばということで出しておりますけれども、これらは与件の変更に伴ってやっぱり当然政治的にも、実情、経済的にも考えていくべきものだと思いますので、そうおっしゃる、理屈どおりこうなるからこれでどうですかとおっしゃることはまだ将来の予測としてはわれわれとしては答弁しにくいというところであります。
#102
○小笠原貞子君 大臣、私もこのとおりやれと言っているのじゃないんですよ。これじゃひどいと言って、いろいろな事情わかりますよ。六十年までにどういう変化が、さっき言ったけれども、それがわかっているんだけれども、おたくの方でわからないから、こういうふうな試算ですとおっしゃるから、私もおたくでわからない試算でやらなきゃならないでしょう。そうでしょう。おたくでわかるようなのを出してくださればこんながたがたしなくて済むのだけれども、わからないようなあいまいな試算で出してこられるから、こっちもそのあいまいな試算でやらなきゃならないからこういうことになるんですよということを私の立場ではっきりさしてくださいよ。また後で大臣やりましょうね、ゆっくり。
 最後に、時間ありません。通学定期の問題、国鉄に伺いたいと思います。大体通学定期の割引率を年々下げたいと。お伺いするところによると、なるべく早く負担を軽くするためにと、大体三%くらいは下げたいというようなことが書かれているし、また御発言の端々でうかがわれたわけでございますが、三%ずつ割引率を下げますと六十年にはこれまた通学定期はどれくらいの負担になりますか。幹線の場合、地方交通線の場合、お示しいただきたいと思います。
#103
○説明員(吉武秀夫君) 三%ずつ是正したと仮定して計算いたしますと、幹線系で二・一六倍、地方交通線の方で三・二四倍でございます。それで、それを先ほどの計算で乖離率というものを加味してさっきの二・〇九倍と申し上げたそれと同じような計算をいたしますと、幹線系で二・三一倍、地方交通線は三・四六倍でございます。
#104
○小笠原貞子君 これも大変なものですね。この間私申し上げましたし、きのうも公述人もおっしゃってましたけれども、やっぱりそれこそさっきと同じ論理になるんだけれども、足はバスでかえられますよと言われるけれども、バスについては高くなっていく、この間言ったとおりですよ。それで国鉄に本当にもう頼っている通学定期を見ても、いまおっしゃったように幹線で二・三一倍になる、倍以上になる。そしてまた、地方交通線の場合にはこれまた三・四六倍、私の方の計算とちょっと違うんですが、これはちょっとだからいいことにしましょう。これは実収ベースですか、名目ベースで見ているんですか。
#105
○説明員(吉武秀夫君) 最初に申し上げましたのが実収ベースで、いま先生が数字を挙げられたのが名目ベースです。
#106
○小笠原貞子君 はい、わかりました。こうなりますと、ここでもまた大変な負担になりますよ。実収ベースではなくて名目でいったら、地方交通線の場合には三・四六倍にも通学に負担しなければならない。数で三・四六倍と簡単に言われるけれども、私はいま教育にかかる費用で主婦たちがどんなに悩んでいるかということもよくわかります。
 そこで文部省来ていらっしゃいますか。――文部省いま聞いたらおたくに直接関係あるんですよ。通学定期が三・四六だから丸く言えば三・五倍になるというふうなこういう問題について、文部省そこまでこの国鉄法案というものによって影響があるということをお考えになったことがありますか。そして、もしもこうなったら一体どうしたらいいんだというふうな対策をお持ちでしょうか。簡単に、私、時間ありませんので。
#107
○説明員(菴谷利夫君) 国鉄の通学定期につきましては利用者側、文部省は利用者側の立場を考えますが、そういう意味でいきますとできるだけ現行の率を維持していきたい、こういう希望はもちろん申すまでもないわけでございます。そして同時に、特に最近国鉄の方の財政が非常に逼迫している、こういう状況を見ますと、全くそのままでということを最後の最後まで言えるかどうか、それも大変むずかしい点でございます。
 そこで、ではどういう対策があるかと文教側で考えます場合に、現行では大学生、高校生に対しては日本育英会の奨学事業がございます。これは成績と家庭の経済事情、こういうものを加味いたします。負担能力の問題。そのほかに都道府県、市町村でも奨学事業を独自にやっておられるのがかなりあります。現在のところそういったものをいろいろ活用して、その地方交通線の事情に応じてやるということが考えられる状況でございます。
#108
○小笠原貞子君 文部省ね、帰ったら大臣に言ってください。育英会で何とかしてもらうんだとか、全くもう人頼みですよね。もっと文部省としてこの問題、具体的にもっと真剣に考えろということをしっかり言ってくださいね。
 で、もうこの国鉄に関しましては片や運輸省だ、そして通学になれば文部省出てきますよね。今度障害者割引になれば厚生省が出てきますよ。そしてまた国鉄の立場、独占企業でありませんといろいろむずかしい立場になっている。それぞれ皆さん大変だ大変だという立場でみんな分散しているんですよ。でも、人間は右手が文部省で左手が厚生省で足が自治省でなんてわけじゃないですよ、私たちは受ける方は一人の人間なんですから。そうなるとやっぱりそこで政府――だから私は初めに言ったんですよね。塩川正十郎運輸大臣の前に国務大臣と書かれているんだもの。そうすると、やっぱり国務大臣としての立場で、私は、いろいろばらばらの政府の行政の縦割りがあるけれども、受けるわれわれにとったら人間私一人なんだから、だから国務大臣塩川正十郎大臣、しっかりがんばってもらいたい。そして本当に、いやもう俗な言葉で言えば、私は最後に言いたいのはもっとまじめにやれということですよ。まじめにやれというのは、われわれに対してもっとまじめに、資料要求したら出せませんと、出せなければなぜ出せませんか、こうこうこういうわけで出せませんと、そういうのをきちっと出すとか、そうするとまた話は詰まっていくんですよ。だから、出せません、出せません、いろいろの事情というようなことで大事な時間をつぶさなければならない。やっぱりここは国会ですよね。国民の負託を受けてこの大事な法案を審議しているんですわ。これによってどれだけの人たちが影響を受けるか、日本経済、国鉄はどうにかなったとしても、エネルギーの問題からまた新たな設備投資、日本全体の経済から見ればこれは非常に大きな影響力があるということなんですよ。
 そうすると、私は最後に、都市間交通とかいろいろ企業努力もいたしまして客離れもしません、そのように努力します、そして三兆八千六百億の収入を上げますと。努力は買います。しかし、努力では出てこないですよね。やっぱりそこに具体的にどういうところを中心にしてどういうふうにするかということがあってこの裏づけというものが保証されると思うんですよね。そういう意味で私はこの法案というのは非常にずさんなものだと、初めに言ったように骨格となるべき問題、これが政令になりますよね。ここ一つの問題。そしてその政令として閣僚意見まとまっているかといったら閣僚の意見はまとまっていませんと、おおむね了解です、運輸省案ですと、こういう根本的なところからこの法案が審議するに値するだけの、おたくの方も考え方もまとまっていない、出される資料というものも十分でない。だから、私はこの法律というものはこれはもういまここで通すと後大変なことになる、私は最後にそれを申し上げたいと思います。大臣、そして総裁、最後に御意見があれば、お二人で一分ですから三十秒ずつお答えいただきたいと思います。
#109
○説明員(高木文雄君) まあ将来のことをたくさん含んでおりますので、いろいろの確たる数字を立てられない、そのために資料をお出しできないという点はまことに残念でございます。
 それから、この問題が非常に国民生活に影響が大きいということは十分承知をいたしておりますので、毎年毎年の実施に当たりましては慎重な上にも慎重に取り扱ってまいりたいと、そういう腹構えでおります。
#110
○国務大臣(塩川正十郎君) 国会の審議を踏んまえまして、われわれも政令をつくりますときには十分にその御意向に沿うようにいたしたいと思うております。しかし何といたしましても、いま国鉄に対しまして国が年間一兆円からの補助金を、助成金を出さなければ運営できないという状況、これは何としても脱却せざるを得ませんので、その一つの策として、これは私は国民の皆さん方に犠牲を強いるということもわかってはおりますけれども、国鉄の現状を救済する一つの手段として、やはりこれを断行せざるを得ないというところに国並びに国鉄の大きい悩みがあるんだということもひとつ御理解していただいて、御協力を賜りたいと思うのです。
#111
○小笠原貞子君 協力できるようにしてください。
#112
○委員長(黒柳明君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午前十一時三十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十三分開会
#113
○委員長(黒柳明君) ただいまより運輸委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#114
○柳澤錬造君 最初に御質問してまいりたいのは、過日の本会議でもって私が国鉄再建法案で御質問いたしましたんですが、本会議の方も大分時間が過ぎておりましたので、大臣、御答弁を大変簡素化してしまいまして若干落ちておるところもございました。したがって、きょうはもう一度その辺を改めてお聞きをいたしましてお答えをいただきたいと思いますし、また国鉄総裁もきょうはおいでになっておりますので、あわせて大臣ともども総裁の方からも御返事を賜りたいと思います。
 まず、第一に申し上げたいのは、第一に明らかにしていただきたいのは、四年前、それまでの損失二兆五千四百四億円のたな上げを決め、昭和五十二年十二月の九日、国鉄運賃法定制緩和法が成立し、それに続いて政府は十二月二十九日、国鉄再建の基本方針を閣議了解として決めました。その中で、国鉄経営から安易な姿勢を排除し、抜本的な経営刷新と職場規律を確立して責任ある経営体制を確立する。また、労使関係は速やかに正常化して国鉄再建に取り組む体制を確立するとして、昭和五十五年度以降健全経営にすることを目標としたはずです。政府並びに国鉄当局はこの三年間国鉄再建のためにいかなる努力をしたのでしょうか。本年の国鉄監査委員会の報告書でも、これが再建の最後のチャンスであり、国鉄の労使は国民の国鉄という共通の使命感に立てとまで指摘されております。この三年間の実績を国民の前に明らかにしていただきたい。以上です。
#115
○説明員(高木文雄君) ただいまお示しがございました五十二年の十二月の二十九日、この閣議了解で述べられておりますことは、責任ある経営体制の確立ということが一点。それから、労使関係の正常化ということが二番目でございますが、この二つにつきましては、たとえば再建につきまして労使交渉というような形ではございませんが、労使が一つのテーブルについて再建について話し合う場というようなものをつくりまして、最初は必ずしもしっくりいかなかったのでございますが、最近では労使間でお互いに話が通ずるというような形になってまいりました。まだ不十分ではございますけれども、たとえば本年の十月一日からのダイヤ改正を例にとりますと、約八千人ないし九千人の要員が減るということで、組合側といいますか、従業員側としてはかなり抵抗感の強い問題でございましたけれども、まずまずおかげさまで平穏裏にその仕事の切りかえもできたわけでございますが、これは一例でございますけれども、当時の五十二年の十二月の状態から比べますれば労使の間で話ができることになりつつある。決して満点ではありません。もともと余り好ましくない現状でございましたんですから、それから多少とも改善するといたしましても、満点ではございませんけれども方向としては取り組みが進んできておる。たとえば、職場規律といったような問題についてはまだまだ問題は残っております。残っておりますが、流れとしては私はこのときに要請されました方向に行っているものというふうに考えております。
 それから、その次に具体的に国鉄再建のための施策といたしまして、一つは収支の悪化の防止、それから健全経営の回復、さらにはわれわれの経営努力、国の行政上の援助、そういうことが述べられておるわけでございますけれども、これらにつきましては、実は五十年をピークといたしましてお客さんが減っております。貨物につきましては四十五年からお客さんが減っておったわけでございますが、旅客はそれでもなお横ばいか多少お客がふえるということであったんですが、最近はお客さんが減っております。そういうことからいたしまして、なかなか収支の改善がうまくいっておりません。ここでは「これにより国鉄の収支が少なくとも現在以上に悪化することを防止する。」と、こう言われておるわけでございますが、特に最近、本年度につきましては燃料費の増加その他の事情がありまして、なかなか収支がうまく改善しないということで、努力しているつもりでございますけれども、まだ十分ここで指示されたことが具体的にうまくいっているとは言えない状態でございます。
 それから、ただしこの中で「国鉄は、不採算部門について計画的な経営改善の措置を講ずるほか、業務運営全般について更に一層の効率化を推進し、」ということが指示されておりますけれども、この点につきましては、五三・一〇のタイヤ改正なり五五・一〇のダイヤ改正なりにあらわれておりますように、不採算部門、いまのは貨物が主体でございますが、不採算部門の改善には努力をするという方向で来ております。
 そこで、ここに「退職者の後補充はこれを極力抑制する。」ということに指示されておりますが、予算定員におきまして、五十三年で五千人、それから五十四年で四千五百ということで減らしてきておりますし、それから五十五年中に作業いたしまして、五十六年度予算定員で一万一千人減らすことにいたしておりますけれども、これは現在、たまたま退職者が非常に多いのでその後補充を抑制してやっているわけでございます。ただ、この面におきましては、しばしば民間の方々から補充ゼロでやれないかというような御指摘もあるわけでございますけれども、これはなかなか現場が全国に散らばっており、職種がいろいろありますので、そこまではできません。したがって、この後補充を抑制するということについては私どもは私どもなりに一生懸命やっているつもりでございますけれども、これを評価していただけるかどうかにつきましては、いろいろ御意見のあるところであろうかと思っております。
 最後に、「国鉄再建の目標」ということで「五十三年度及び五十四年度中に所要の対策を確立し、」ということがございますが、このために昨年七月にいわゆる再建基本構想案というのを取りまとめて御提出いたしたわけでございまして、この基本構想案というのはこの五十二年の十二月二十九日の閣議了解の最後の段落の「国鉄再建の目標」ということによって、これに基づいてつくったものでございますし、その同じ項目の中に「国鉄財政の収支均衡の回復は、昭和五十年代に達成することを目標とする。」という文言がございますが、これにつきましては、いろいろやりましたけれども、どうもうまくいきませんで、御存じのように、基本構想案では五十年代から一年だけずれますけれども、六十年度に経営基盤の確立をするという形でまとめさせていただいたわけでございまして、私どもがこの基本方針に従ってどの程度やってきたかということについては、まだほかにもいろいろございますけれども、主要なところは以上の点でございまして、全部が全部ここに示されたことを果たし得たというわけではございませんが、そういう線に沿ってやっておるということを御報告申し上げられるかと思っております。
#116
○国務大臣(塩川正十郎君) 冒頭に、参議院の本会議におきまして私の答弁が簡略に過ぎたこと、これはおわびいたしますが、大部分私も総理が答えたことと重複いたしてはいかぬと思いまして、つい簡素化いたしまして恐縮に存じます。
 先ほど国鉄総裁が言っておりますように、五十二年の国鉄再建の基本方針が決められまして以降、この三年間、国鉄は国鉄なりの努力はしてまいったと思うておりまして、その事実につきましては、先ほど総裁から説明いたしたとおりでございますが、しかしいかんせんその効果はそれほどあらわれてきておらなかったということ、それはやはり経営の計数から見ましてそうなってきております。
 だからといって、これは国鉄が努力しなかったからかというと、そうではないと私は思うのでございまして、あらゆる面で努力はいたしましたけれども、しかし、経済情勢なり社会の客観情勢というものは、この間におきまして国鉄に決して有利には展開しなかった、たとえば燃料問題、エネルギー一つ自ましても、引き続く高騰がございました。その間に燃料費は約三倍以上になっておることでございましたし、そこへさらには道路、空港、こういうもの等が加味いたしました。特に長距離輸送におきましては大型航空機の導入等によりまして長距離の旅客というものが激減してまいりましたし、また、貨物につきましては、モータリゼーションによりまして大量の貨物がトラックに移行するというふうな事態が起こってまいりました。したがって、計数で見ましたら、私は所期の目的は達せられなかった、これは私も率直に認めるんですけれども、しかし、五十四年度決算を私は拝見いたしましたときに、営業純損失におきまして若干例年よりはいい兆しが出てまいりました。その点は今後における一つの希望をつなげる点だと思うておるのでございます。
 以上、成果ということでございましたら、以上のようなことでございます。
#117
○柳澤錬造君 次に、今回の再建法案についてでありますが、わずか四年前身軽にしてくれればと言って膨大な赤字をたな上げにしたばかりですのに、今回はそれを上回る二兆七千八百三十四億円をさらにたな上げするというのはどういうことでしょうか。加えて地方ローカル線四千キロを廃止するというのです。そこにはエネルギー政策との関連もなければ、住民の足のことも考えない線引きです。それ以上に、この法案はみずからの犠牲を払わずして相次ぐ運賃値上げの上に国民の税金を使い、国民の足を犠牲にしての再建案であり、住民無視もはなはだしく、断じて認めることはできません。
 国鉄といっても輸送シェアが昭和三十五年には旅客の五一%、貨物の三八・六%を運んでいたのですが、昨年度は旅客が二五・一%、貨物に至ってはわずか九・六%を占めているにすぎません。いまや日本国有鉄道としての存在価値は失われているのです。そのことに気がつかず惰性で経営を担当してきて今日の事態を招いたことを謙虚に反省し、その責任を明確にせずしてどうして再建ができるのでしょうか。しかも今回の地方ローカル線の廃止によって減る赤字はせいぜい八百億ぐらいであり、本年の赤字予想八千九百億から見れば一割にも満たないものです。確かにかつては地方ローカル線が赤字の原因となっていましたが、いまでは国鉄の赤字麻痺症は全線に蔓延してしまい、赤字の七割以上は幹線からであります。したがって、国鉄再建のかぎは単なるお金の問題ではなく、国鉄企業体の姿勢の問題であり、再建を可能とする前提条件を整備することであります。それをせずして何回再建案を決めてもそれは同じことです。ちょうどそれは基礎工事をしないでビルディングを建設するようなものなんです。この点についての明確な御答弁をお願いいたします。
#118
○説明員(高木文雄君) 今回の再建法は、その前提としては昨年私どもが作成をいたしまして運輸大臣に御提出申し上げました再建構想の案というものがたたき台といいますか、基礎になっていると思いますので、私の方からその点を申し上げてみたいと思います。
 私どもといたしましては、この再建構想案の中心になるのは、やはり従来言われておりましたような財政再建ということではなくて経営再建ということではないかと、つまり健全経営をどうやってそういう礎をつくるかということではないかというふうに考えております。その基本は、私どもといたしましては、第一次、第二次のオイルショックを通じまして民間の方々が非常に御苦労なさって日本の企業体の体質を強められたその故知にならうといいますか、教訓を一つの題材とさしていただきまして、やはり国鉄といたしましても減量経営ということに徹しなければいけないということを基本に置いて再建構想案をつくったつもりでございます。現在おります四十二万人の職員でやっております仕事を三十五万人で同規模の仕事をやっていこうと、そこに全部を集中して取り組んでいこうというのはそのような考え方でございます。
 ただいま、地方交通線の点はたかだか千億前後の問題ではないかというふうにおっしゃるわけでございますが、それは決して幹線について何もしないで技手しておると、手をこまねいているというわけではないわけでございまして、御存じのように幹線部分と考えております一万二千キロの経営について考えますと、大体いわゆる営業係数、収支係数が一三二とか三とかということでございますから、これにつきましては二割、人件費だけじゃなくて、他の面も含めて二割経費を落とすということをいたしますれば、まずまず収支が償ってくるという考え方でございます。
 これに対して、地方交通線につきましては、収支係数が四〇〇を超えるというような状態でございますので、とてもわれわれの力だけではできないということで地域住民に大変御迷惑をおかけし、また財政側にも、財政を通じて納税者の方々に御迷惑をおかけいたしますけれども、この部分については運賃の特別運賃と、それから補助金と、そうして極端なお客さんの少ない線についてはバスヘの転換ということで考えておるわけでございまして、もちろん幹線は何も影響がないということではなくて、幹線についてもどうしても二割人が減るということになりますと、何らかの意味においてサービスダウンも伴うわけでございまして、私どもとしましては、決してその地方交通線だけをいわば目のかたきにしたというような形ではないつもりでございまして、幹線についても相応に私どもも努力をいたしますし、また、ある意味では利用者の方々にも多少の御迷惑をかぶっていただくという前提でおるわけでございます。
 なお、先ほど冒頭に再度たな上げを求めておるのはどういう意味か、四年前に一遍たな上げしてやったじゃないかということでございましたが、これはまことにお恥ずかしいわけですが、年々八千億からの赤字が出ておりまして、先ほど大臣がちょっとお触れになりましたように、五十四年には多少改善の兆しを見ましたけれども、なかなか牛歩の歩みのごとく改善のスピードがおくれているわけでございまして、これを六十年までに何とか特別なものを除いて収支均衡に持っていきたいと考えておりますが、やはり一挙にはなかなかうまくいかないわけでございまして、この債務のたな上げをまたお願いすることは大変気が重いのでございますけれども、事情をよく御了察を賜りたいと思う次第でございます。
#119
○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほどおおよその答弁は国鉄総裁からいたしたのでございますか、なお重複するところを避けまして私から申し上げますと、再度のたな上げというのは、これはいかがなことかというお話でございますが、これは、よって来るところは五十二年十二月の閣議了解事項としての国鉄の再建基本方針の中にうたってあるわけでございます。
 さて、その基本方針でございますけれども、これは八十二国会におきます国会の運輸委員会の審議をまとめたものとして、国鉄再建の基本方向というのが決められておるのでございまして、再度のたな上げということは、間接的な、春秋の筆法をもって申しますならば、実は国会の審議の中から出てきておったということでございまして、私たちも再たな上げということは、これは決していいことではないと思うんでございますが、そういう御意見があったことと、国鉄の現在の再建をするについての、まあ根本的な負担となっております固定債務、投資債務というようなものを再度たな上げせざるを得なくなってきたと、こういうことでございますので、これは御理解いただきたいと思うのでございます。
 それともう一つ、ローカル線の処置についてでございますが、確かに五十二年のあの国鉄再建の基本方針のときに、私はやはり制度的な改正を同時に発足すべきであったと思うておったのでございますが、それがやはりおくれてきておるように思うのであります。今回この御審議をお願いしておりますいわゆる国鉄再建法案は、先ほどお話ございました債務のたな上げと、それから国鉄がこれから再建していくについての鉄道の特性を生かしていく道を開いてやろうと、こういうことと、それを受けて国鉄が本当に燃えるがごとき情熱を持って再建に取りかかる、それのための改善計画を出せ、そしてこれを実行しろ、この三本柱になっておるわけでございまして、再たな上げをいたすと同時に、もう一度国鉄を鉄道の本性を生かしたものに戻したい。
 そういたしますと、地方の特定地方交通線あるいは地方交通線というのは、先ほども説明しておりますように、幹線と違って国鉄の経営努力だけでは何とも救いがたいものである。しかも、そういう特定地方交通線の沿線地域におきましては、あらゆる交通機関の対応が以前とは違いまして相当とられつつある。すなわち、その主体となりますのは、モータリゼーションによる交通機関の整備というものも進みつつある。そうであるとするならば、この際、そのあとの残余の経営はいかにあれ、一応特定地方交通線等については国鉄の経営の責任というものは免除してもらえぬだろうかと、こういう趣旨でこの法案を提出しておるのでございます。
 したがって、住民無視ではないかという御質問でございますが、私たちは住民無視をして無理やりにこの特定交通線をまくし上げてしまうというのではなくして、これを何とかして地域の責任において、地域交通の一環として活用していただくことをこいねがっておることでございますし、もしそれができない場合においては、国鉄において独自の、たとえばバスによる代替輸送、そういうものを講じていこうと。ですから、その地域におきます足の確保についてはわれわれは責任持って確保いたします。が、しかし、こういう地域においては国鉄の責任は免除してもらいたい、こういうことがこの法案の趣旨でございます。
#120
○柳澤錬造君 じゃ第三点ですが、いま申し上げました、その前提条件とは何かと言えば、次の諸点を実行して国鉄の体質改善をすることです。
 その一つが、労使関係の正常化。国鉄経営者は、この再建合理化案を労働組合とどれだけ協議をしたのでしょうか。当事者である国鉄労使の合意ができていないものを国会で議決だけしてもどれほどの価値があるのでしょうか。今日の国鉄の現状は倒産寸前であり、その認識があるならば、仮に労働組合にスト権があっても、そのスト権に封をしてまず再建に取り組むのが正常な労働組合のとるべき道であると思うのです。それが依然として国労、動労による違法ストが行われており、それに対して経営者は黙認してとめようともしません。それどころか違法スト反対、列車を動かそうと国民の足を守る努力をしている鉄道労働組合の正常な行為までとめているのです。これでも経営者と言えるのでしょうか。労働組合は経営者の鏡と言われますが、全くそのとおりであって、このような無責任ムードになれた労使関係のままで国鉄の再建などできるものではありません。本気で国鉄再建を決意するならば、本気になって労使関係の正常化を決意し、それを最優先課題として取り組むべきです。
 二つ目が、生産性向上運動の実施。世界の先進国では、生産性の向上なくして生活の向上はあり得ないとの認識に立てばこそ、アメリカであれ、ソ連であれ、また日本の多くの企業でも生産性の向上に努めています。しかるに、倒産寸前の国鉄が生産性同上に取り組まず、国の助成と運賃値上げにだけ求めているのです。その結果、新宿−八王子間の運賃が、私鉄は二百十円でありますのに、国鉄は何と二倍以上の四百四十円です。したがって、国鉄離れとは国鉄自身がさせているものなのです。いまこそ国鉄は総裁以下全職員が一致団結して生産性向上を推進して再建への決意の姿を国民の前に示すべきです。それから三つ目が、実力本位の人事。国鉄職員の人事を見ていますと、本社採用、地方採用、局採用と区分されており、その区分がそのまま職員の一生のコースを決めています。国鉄入社後の人事は、あくまでも入社後の各人の働きを実力本位で正当に評価して昇給、昇格をさせるべきであり、それでこそ全職員が希望を持って働き、勤労意欲も高まるものであって、それが近代的経営の理念なんです。
 それから、四つ目が信賞必罰の徹底。信賞必罰のきちんとしてない企業は、職場の秩序も乱れています。ましてや懲戒解雇した者を再雇用するようなルーズな管理体制がとられたり、暴力行為があっても、管理者は上司に報告もしなければ処罰もしない。これでは職場は無法地帯です。まず管理者は、みずからの姿勢を正し、管理職の任務に徹し、信賞必罰を明確にすることです。
 五つ目に、企業体意識の確立。国鉄経営者の態度には何らの危機意識もなく、あるのは親方日の丸意識だけです。国鉄といえども企業体であり、特権組織ではありません。毎年一兆円近い巨額の赤字を出しても、だれも責任を問われないようなことをしているならば、国民の方で国鉄の存在理由に再検討を求めることでしょう。いまこそ企業体意識を自覚して責任体制を確立し、国民に信頼される国鉄としての運営をすることです。
 最後に、いままでも国鉄の中にあって日夜一生懸命勤務に励んでいる良識ある国鉄職員に対して、心からの敬意と感謝を表明し、質問を終わります。
 以上がこの間の質問の内容でございますので、大臣が向こうに行っておりますので、先に総裁の方から御答弁いただきます。
#121
○説明員(高木文雄君) 非常に重要なポイントについて御指摘でございます。
 まず一つは、労使関係の正常化ということで、私どもの再建、合理化についての案を労働組合との間でどれだけ協議をしているかということの御指摘がございました。で、これにつきましては、昨年の七月に再建構想案というのを取りまとめました後で、各労働組合との間に、交渉ということではなくて話し合いの場を持っております。それに対して現在の各労働組合の姿勢は、いわば全然この土俵に上るわけにいかないといいますか、問題にならないといいますか、そういうことではないわけでございまして、とにかくひとつ話を聞きましょうと、われわれはいまの段階で賛成というわけにはいかないが、とにかく話を聞きましょうということになって今日まで来ております。
 そこで、いま組合から求められておりますのは、七万四千人少ない数で仕事をするんだというが、それは具体的に一体どの職場でどういうふうにしてそれを進めようとするのかということを、逆にいま問いただされておるわけでございますけれども、先般来他の委員の御質問に御答弁申し上げておりますように、いまそれを私ども経営側といたしましても微細に詰めているところでございまして、この法律の通していただきました後、この何条かに規定してございますように、経営改善計画を立てまして運輸大臣のところに御提出するまでの間、その細目を詰めました上で、この経営改善計画を立てますにつきましては、やはり労使の間で十分その点を詰めた議論をしていただきたいというふうにしてまいるというつもりでございます。その意味で、労使関係の正常化のうち、経営再建計画との関連につきましてはそのような取り進めをいたしたいと思っております。
 その次に、ストの問題でございますけれども、まあ私どもの過去の歴史と申しますか、そういうものを前提といたしました範囲内においてでありまして、はなはだそういう意味では申しわけないんでありますが、その範囲内におきましては、ごく最近いろいろの努力をして説得といいますか、教育といいますか、そういうことを通じてお示しのような考え方でいくべきである、倒産寸前であるという認識があるならば、まずストはやめて取り組まなければいかぬではないかということはまさにお示しのとおりでございまして、私どもも極力といいますか、機会あるごとにそういう説得をいまいたし、教育をいたし、反面、しかし逆に従来とは違いまして、私どもの経営実態について、組合あるいは職員諸君にまず理解をしてもらうというところを通じて、えらい距離が離れたところで物事が進むのでなしに、一つの土俵で話し合いをするということを通じるならば、過去においてありましたようないたずらな違法ストというようなことは避けられるんではないかと思ってそういう方法でやっております。
 それから、一部のストをしないという組合のせっかくの努力に対して経営側が逆にそれをバックアップしないといいますか、十分そういう姿勢をとらないで、いわばむしろ規律が乱れておるという御指摘がございました。これは私もそういう事態が過去においてあったことを承知をいたしております。ただ、この点につきましては、いささか弁解になりますけれども、仮に一時間に十五本とか、たとえば四分ヘッドとか三分ヘッドで走っております通勤電車の一部が動いた場合に、ラジオとかテレビを通じて何かストがあるという話だがまあ行ってみようということで駅にお見えになったお客様が、ごく少ないフリークエンシー運行の車両に乗られるということになりますと、群集心理によるいろんなトラブルがありますので、非常に混雑をいたします通勤時間帯等につきましては、やはりある程度の本数の列車、電車が動かないとかえっていろいろトラブルが起きるというようなことから、一方の組合がどうしても動かそうという、体を張ってでも動かそうという動きに対して、むしろ経営側がかえってそれは危険だからということでそれをやめたという例がございます。
 こうした問題については、なかなか私も現場のむずかしいところだと思いますが、しかし、それが御指摘のようにせっかく正常な行為をとっておるのに対してかえって当局側がそれをじゃましておるというのはおかしいじゃないかというふうに映るわけでございますので、そうした点については今後とも、いま申し上げたような事情ではございますが、なおいろいろ工夫をすることによって対処してまいりたいというふうに思います。
 その次に、生産性向上なくして生活の向上はあり得ないと。これはどの国でも同じじゃないかということをおっしゃっておりますが、これは、実は私どもも生産性の向上が現在の鉄道経営の、国鉄経営の現状に照らしてまことに重要な基本的な問題だという認識を持っております。ただ、この生産性向上という言葉につきましては、過去において不手際がありました関係で、普通の方が生産性向上という言葉からお受けになる意味と違う意味で受け取られる向きが私どもの内部にございますので、その生産性向上という言葉の使い方についてはかなり神経質になっております関係で、一部の方々からは、国鉄が当局側も生産性向上に対して熱心でないというような御批判をいただいておりますが、決してそんなことはないわけでございまして、いまの四十二万人を三十五万人でやりましょうということ自体、これは生産性向上が大事であればこそそういうことを考えているわけでございますので、その点は私どもも生産性向上のために全職員一致してやらなければならない、それを国民の前に示すべきだという御趣旨に全く同じ気持ちでやっておりますことを御報告さしていただきたいと存じます。
 それから、次は人事のことでございますが、人事にはいろいろ問題があると言われておりますし、私も一部そう感じております。国鉄入社後の人事はあくまでも入社後の各人の働きを実力本位で正当に評価して取り扱うべきだという御主張はまさにそのとおりであると思っております。現在におきましても、いわゆる本社採用、地方採用でない局採用の諸君につきましても特別なコースを設けまして、三年間にわたりまして中央鉄道学園に来て勉強してもらうと。毎年採用人数は大体三百人ぐらいでございます。そして三年間教育をいたしまして、大体大学卒業者と同じぐらいの知識なり技能なり識見なりを持てるような教育の場は設けてございます。
 この制度は大変古い制度でございまして、大正の終わりと申しましょうか、昭和の初めと申しましょうか、そうした時代から続いておりますが、そうした過程を経ました中で各鉄道管理局の部長を務めましたり、あるいはごく少数ではございますが管理局長になりましたりという者も生まれてきておるわけでございます。この制度を万全に活用をしていきたい。そして最近は一般の職員といいますか、局採用の職員につきましてもこのコースを望む者が非常に多く、非常に高い競争率でいままいってきております。しかし、それだけで十分だと言うわけにはいきませんし、それから、つまり人事考課、人事評価といったようなものが十分に次の人事に反映しているかどうかという点については、率直に申しまして私どももまだ現状に満足している状態ではないわけでございますので、御督励に従いまして私も取り組んでまいりたいというふうに思います。
 四番目に、信賞必罰の徹底でございますが、これはまさにおっしゃるとおりでございます。この点につきましても率直に申しましてまだ十分だとは思っておりません。ただ、その中でお触れになりました、解雇した者を再雇用したルーズな管理体制はけしからぬというお言葉がございましたが、これは私ども否定をいたしません。過去において一遍解雇をいたしました者を、まあ反省が明らかであるというようなこともあって再採用した事例がございます。ですから、こういうことをやっているのはいかぬじゃないかという御指摘については、確かにそういう事実があるということは認めるわけでございますけれども、これはごく例外中の例外でもございますし、またそのようなことはここ一、二年は少なくともやっていない、またやる必要もない時代になっておるわけでございます。その点だけはちょっと釈明をさしていただきたいと思います。
 管理職はみずからの姿勢を正し、管理職の任務に徹し、信賞必罰を明確にせよということはまさに御指摘のとおりでございまして、心してまいりたいと思います。
 五番目に、企業体意識の確立。この点も、どうもこのような倒産寸前のというか、倒産同様の状態であるのに企業意識が十分でない、責任体制が確立してないというふうに国民は見ておるよという御指摘でございますけれども、私どもは私どもなりにいろいろな場を通じまして国鉄の経営の現状を職員の一人一人に、何といいますか説明をし、わかってもらうようにすると同時に、たとえば、しばしば御指摘のありますフロントサービスがよくなくてお客様に対する応対が悪いとか、言葉遣いが悪いとかいうこともよく言われるわけでございますので、それは、こういうやはり一種の商売でございますから、サービス業でございますから、基本の責任体制なり信頼される勤務の姿勢というものと並んで表へあらわれます言葉遣いにつきましても、そうしたことについてもよく注意をするようにいまいろいろ心配りをいたしております。どうもしかし、なかなかそれが及びませんことにつきましてはまことに申しわけないと存じますが、御趣旨の線で取り組んでまいりたいと存じます。
 なお、先ほどお答え申しました、三年間教育をして大学と同様の資格を与える教育をしているということを申しましたときに、毎年三百人と申しましたが、これは私の記憶違いでございまして、毎年二百人、そういう者を採用しておるということでございます。
#122
○柳澤錬造君 まだ大臣向こうにいるから……。
 先ほどの生産性向上のところで、総裁は現行の四十二万を三十五万にするのも生産性向上なんです、というお答えがあったわけなんです。これはそのとおりだと思うんです。ただ、私が総裁にお願いをしたいことは、確かに過去にいろいろ問題のあったこと、これは私も承知をしておるわけなんです。しかし、それこそいま総裁が懲戒解雇した者の再雇用云々、昔は確かにありました、否定はいたしませんと言っているんだけれども、生産性向上の問題でいろいろ問題が起きたというのは、それよりかまだ古いわけなんですね。あの懲戒解雇云々のことはもうそろそろ時効が来るんだから免除にしてくださいと言われるならば、生産性向上をめぐっていろいろ国鉄内部に問題が起きたことはそれ以上に過去のことであって、もう免除されてよろしいはずなんだし、それで四十二万を三十五万にすること、それが生産性向上でなくてそうしなければ再建できないんですということを、総裁が先頭になって全職員に言うところに意義があるんです。結果がこうなりますんですよということではなくてね。そういうことを総裁が直接全職員に向かって言われるところに、一つの私は再建ができるかできないかのかぎがあるんですという、そういう点で御理解もいただきたいし、そういう意味でどうお考えになるかお答えをいただきたい。
#123
○説明員(高木文雄君) 御存じのように、企業は絶えず世の中の移り変わりに応じて能率を上げる、生産を上げていくということをいたさなければならないわけでございますし、それが日本の経済の活力になっていることは言うまでもないことでございまして、その点、生産性向上運動ということを過去においていたしましたときに、多少本来のそういう意味の生産性向上から逸脱した干渉があったということから、この生産性向上という言葉について特殊な意味を持つようになってしまったわけで、そのことはまことに残念でございました。それからの立ち直りに大変時間がかかって、そのことが国鉄の経営の悪化にもつながったということをまことに残念に存じております。
 現在は、当局側といいますか、管理者側も生産性向上の重要なことは十分わかってくれていると思いますし、組合の方も本来の生産性向上について何も異論があるわけではないわけでございます。ただ、あのときの思い出というものはどうしても何となく残っておるようでございまして、現場管理者の姿勢に何となく欠くるものがある。たとえば、規律をきちっとやっていくということについて、取り組むことについての意気込みといいますか勢いといいますか、そういう点について欠くるものがある。何となく管理者層が自信を喪失したということがあるわけでございまして、これは私どもも折を見て、機会を見て繰り返し繰り返しそういう指導はいたしますけれども、またいたしておりますけれども、なかなかその足腰が立ち直ってこないということもまた事実なんでございます。
 そこで、この足腰、現場第一線の管理者諸君の足腰を強くするということがいま一番大事なことでございまして、職員グループ全体といたしましてもそのことの理解はついておりますけれども、やはり残念ながら一部の職場におきまして、まだそこまでいっていないといいますか、一種のサボタージュといいますか、怠惰な姿勢が見えた場合にこれをぴしっと、間違いは間違いだと、正すべきことは正すという姿勢がとられてない職場があるという実態は、これはまさに第一線の管理者諸君の足腰がきちんとしてないということなんでございまして、これをいかにしてそういう職場を、少なくとも、全部なくなすというのはなかなか容易でないけれども、少しでもなくなるように、また問題の程度もだんだんと常識的といいますか、非常識なことが行われないように、全力を挙げて指導してまいりたいと考えております。
#124
○国務大臣(塩川正十郎君) どのような企業であれ、生産性の向上というのはこれは不断の努力でございまして、それは体制のいかんにかかわらず、社会主義体制であろうが自由主義体制であろうが生産性の向上、すなわちそれはその企業体に従事する人だけではなくして、国民的にもこれは必要なことでございまして、生産性を引き上げていくということは、これは不断の努力であるべきだろうと思っておりまして、特別にこれがための対策ということではなくて不断に行うべきだと思っております。
 国鉄の今度の再建にいたしましても、三十五万人体制をとって、そして収益を上げていくということ、このこと自体が実はそれにかなうことでございますしいたしますので、今後の努力はすべてそういう体質の改善、すなわち生産性を向上していくこと、そういうことと私は理論的に一致しておるものであり、これを推進すべきだと、こう思うております。
 それから、人事管理の問題が、これは実は私も重要な問題だと思うておるのであります。この人事管理は、これは一つはその適応性というものをどうして引き出すかということと、それからやはり勤務状態そのものを厳正にやっていくということ、このことをやはり再建対策の中の一環として考えていかなきゃならぬことは当然でございますし、現在、国鉄の私は再建で、先ほど申し上げました一致協力して燃ゆるような情熱を持ってやってもらいたいということの中にこの人事の適正な管理、そしてその能力を十分発揮さしていくということ、これは当然のこととして行わなければならないと思います。そういうことと、私は信賞必罰ということとは、これは同次元で考えるべき問題だと思うておりますし、もちろん当然労使一体となってそういう観念を具体的な日常活動の中で私は消化してもらいたいと、こう思うておるのでございます。
 また、最近よく言われておりますが、私たちにも陳情が参りますが、たとえば貨車、貨物で運びたいと思うても貨車の配置が思うようにいかないというようなことをよく聞きます。こういうことがやはりダイヤの編成等いろいろな組み合わせでそうなることもあるだろうとは思うのでございますが、そこにやはり国鉄も一つの営業を持っておるんだという感じを強く持つ。そのことは、私はやっぱり企業意識と言いましょうか、やっぱり企業体としての活動をしていく上において必要なんでございまして、そういう配慮というものがやはり民間企業に比べては現在劣っておるように私は思います。そういうことをこの再建の途上におきまして改めて全職員が、やはりそういう営業的な感覚というものを強く持っていく、そのことをわれわれは要望しておるのでございます。
 そういうことをやるにいたしましても、何としてもやっぱり労使の正常化ということがこれは根底でございます。先ほど国鉄総裁が申しましたように、最近の五五・一〇の改正等に見られますがごとく、いまや労使一体となって国鉄の再建を図ろうという兆しが出てきておるときでございますので、私はこの雰囲気を国鉄自身も、またわれわれ自身もこれを大事にはぐくみ育てていって、そしてりっぱな職場として国鉄が体質を改善してくれることを願っておることでございますし、これはまた国民の多くの期待がそこにかかってきておる。そういうことを思いますと、われわれもやはり責任を果たしていかなきゃならぬのについても、労使が同じ考え方を持って再建への考え方を固めていく、これがやっぱり正常化への根本的な道ではないかと、こう思っております。
#125
○柳澤錬造君 特に総裁に要望しておきますが、いま総裁は、現場の管理者が取り組む意気込みに欠けるものがあるんで、第一線管理者の足腰を強くするようにこれからも指導してまいりますという御答弁があったんです。私は、現場の管理者がそうなってしまうのも、国鉄総裁以下むしろ幹部の皆さん方がそういう意気込みに欠けるものがあるから下がそうなっちゃうんですということを言いたいんです。それをさっきも言っているわけなんです。だから、むしろ本当に生産性向上がよろしいんだ、それなくしては再建ができないんだ、いま大臣もおっしゃられたように、それはその国の体制が社会主義体制であろうが資本主義体制だろうが同じなんです。ソ連ですらやっているわけなんです。ですから、そういう点でまず総裁が先頭になって、幹部の常務理事の皆さん方がそういう意気込みになってこそ初めて末端がそういう気持ちになるんですという、そういうことを特に要望申し上げておきたいと思うんです。
 次にお聞きをしておきたいことは、毎年、幹線、地方線に分けまして、各線区別の経営成績が発表されるわけです。収人が幾ら、それから経費が幾ら、損益幾ら、収支係数はというふうに。この計算というものをどいうふうにされているんですか、その基礎を知りたいんです。特に本社経費というものをどういうふうに扱っているのか、どういうふうな割り振りを各線区に分担させているのかという、その辺を明らかにしていただきたいと思うんです。
#126
○説明員(高木文雄君) 私も、実は非常に細かいところまではわかっておりません面もありますので、足りない部分は補足させますが、大筋を申し上げますと、線区別収支計算というのは、収入経費をまず線区の実績に基づいて極力個別的に把握すると、そういう材料を集めます。そうやりますと、大体総収入、総経費の八五%ぐらいまでは個別個別に計算できます。しかし残り一五%ぐらいは、いわゆる共通経費と、必ずしも線区にぴったりはまり込まれないものが残ります。その一五%ぐらいのものにつきましては、いろいろの各項目ごとに配分基準をつくりまして、それによって線区別の割り振りをいたしておるということでございます。その場合に、本社経費の配分の方法でございますが、これにつきましては、まず鉄道管理局の管理部門、運転とかあるいは保守とか営業とかの、線区に張りついていない管理局で仕事をしている諸君の経費を、これを線区別の数字から出てきたものによって案分配分いたしまして、そういたしますとAの線区に管理局の経費の何%が割り振られるというふうになりますので、線区別の割り振り率というものが出てまいりますから、その管理局の分を割り振ったその率、その率をやはり本社経費にも掛けまして、本社経費の割り振りも管理局経費の割り振りと同じ率で線区別に割り振ると、こういう形をとっております。
 もし必要があれば、なお詳しく説明をさせます。
#127
○柳澤錬造君 もうちょっとわかる説明をしてください。
#128
○説明員(縄田國武君) いま総裁がお答えいたしましたとおりでございますが、区分経理の計算方法は、先生御存じのとおりまず収入がございます。この収入は乗車券とか貨物の収入通知書とか、そういうものがございますが、これに書いてございます運賃を発駅から着駅まで、これを線区ごとの輸送キロの割合で配分いたしまして積み上げて収入を計算しております。
 それから経費につきましては、いま総裁申しましたように、御承知のとおり保守の経費とか列車の運転経費とかいろいろございますが、御質問の本社の経費は、鉄道管理局の、重複いたしますが、あるいは総務とか経理とか営業部門、それから施設、電気というような各部門がございますが、まず総務及び経理の各部門の経費は、線区別の職員の数の比率で計算して、線区別に計算、配分いたしております。それから、運転部門は線区別の列車の列車キロ、それから営業部門は駅、車掌区、営業費と言っておりますが、これで区分しております。それから、施設、電気はいわゆる換算車両キロで計算して配分しております。これをいま総裁申し上げましたように、各鉄道管理局の管理部門をそれぞれ線区別に配分いたしまして、その比率で本社の経費も配分、計算しておると、そういう計算方法をとっております。
#129
○柳澤錬造君 総裁ね、これ時間の限られた中でこれ以上続けていっても無理なんで、改めて私詳しくお聞きをして、またそれなりの考え方も述べたいと思いますが、いま聞いている範囲ではその辺の扱いが、やっぱり一つの各線区に、この線は収支係数が一三〇だとか、これは八百幾らになったとかと、はじき出している根拠がいささか少しあやふやだと思うんですね。たとえば、いま一つの総務、経理のあれは線区別の職員数に比例してしまうとか。だから、そうしてくると、こっちの線は仮に百本走っているわ、こっちは地方ローカル線で五本しか走っていないわというふうな関係、もちろんそれは百本走ればそれだけの職員が多いわけだけれども、その列車の走る割合に職員がいるわけじゃないんだから、だから、そうなってくると地方ローカル線がああいうふうに大きな赤字になってくるの、いま聞いていて私無理ないなと思います。これはまた別のときに一度細かく聞かしていただくことにします。
 次にお聞きしたいのは、いろいろと事故による損失というものがどのぐらいあるんでしょうか。件数と金額で示していただきたいし、それから具体的な一つの事例でお聞きしたいのは、この間の十一月の二日、新幹線が架線事故を起こして約五時間ストップしたわけなんです。あれで、あの十一月の二日の五時間ストップしたあれで国鉄としての損害はどのぐらい受けたんですか。そして、この損害というものは国鉄の経理上からはどういうふうに処置されておるんでしょう。
#130
○説明員(縄田國武君) 私どもの方の運転事故で、いまお話しのとおり車両や線路に被害が発生いたしますが、これらの経費は、日ごろ担当しておりますその現場の経費として処理いたしております。ただ、現場では日常の検査業務とか、あるいはふだん材料とか部品を常に持っておりまして随時取りかえたりする作業と、こういう事故の場合の作業と、それに応じていろいろ修復作業をやっているわけでございますが、これらの混在しております発生原因別には実は区分して把握していないのが現状でございます。ただ、第三者によります損害をこうむりました場合は、非常に時間と手間暇をかけまして、損害賠償を請求する必要上特に損失額を摘出する場合もございますが、通常の場合はいたしておりません。
 それから、去る二日の新幹線の事故でございますが、いま申し上げましたようなことで特に事故に伴います損失額は把握しておりませんが、払い戻しは約三億二千万円ございました。
 で、御質問の、じゃどういうふうにしておるんだということでございますが、いま申し上げましたように、通常の経費の処理でいたしておりまして、全体の経費の中に含めてその経費を処置しておるというのが現状でございます。
#131
○柳澤錬造君 日常のいろいろなにしたのは、みんな現場の管理局の中でといって、そのどんぶり勘定の中に入っちゃうというと、どうなんですか、大ざっぱに言って年間のこういうものの損失というのは相当な金額になると思うんだけれども、それでいままた二兆七千億たな上げをするわけだけれども、ああいう繰越欠損の中にもそれが入って、そうしてたな上げをしてもらっているというふうに判断してよろしいですか。
#132
○説明員(縄田國武君) たな上げをお願いしておりますのは、御承知のとおり長期の債務で資金運用部の資金が主でございますが、いま御質問のその中に損害によるものが入っておるかどうか、ちょっとお答えしにくいんでございますが、それと、事故によります年間のおおよその金額はちょっと手元にございませんので、大変申しわけありませんが、お許しいただきたいと思います。
#133
○説明員(高木文雄君) ちょっと補足させていただきます。
 先般の新幹線で小田原付近で架線が切れたと、これを修復するのにどうするかということになりますと、担当保線区の者が出動してまいりまして、そして材料を、その保線区にあります、ふだんから用意してございます新しい架線を担ぎ出して持っていって取りかえると、こういうかっこうになるわけですから、その場合に、事故があったためにたとえば臨時出動みたいなことになりますから、その職員については人件費がよけいかかる。事故なかりせばということと比較しますればそれだけ一種の超過勤務といいますか、時間外勤務といいますか、そういうかっこうで処理されますから、それは事故がない場合に比べれば経費がかかったことは間違いないわけでございますが、しかし、それだからといって、その現場が与えられております年間の超過勤務手当なり何なりにしましても大体の枠というものがございますから、その中で、ある日超過勤務をするか、別の日に超過勤務をするかというようなかっこうになりますから、恐らくそれは、そのことによって、たとえば管理局なり本社なりに向かって現場から特別請求があればその金額が把握されることになると思いますが、
   〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕
大体のいわば割り当て予算額の中で処理されるということになれば、その分は把握をいたしてないというかっこうになりましょうし、それから、いまの架線の材料費等にいたしましても、それは架線は絶えず保守現場に置いてございますから、それの補充が多少多くなるとか早くなるとかということを通じて消化されていくわけでございますので、私もお尋ねがございますということからにわか勉強いたしましたんですけれども、そういう数字は把握していないようでございます。
 ただ、水害とか災害ということで土砂崩れが起こって、そして非常に長い期間かかり、現に今日ただいまでも山陰線の一部でもう二週間余り土砂崩れのためにとまっておりますが、そういうものを復旧するときには何億というオーダーの金がかかってまいりますので、その場合には、当然現場の土木関係の事務所からなりあるいは管理局なりを通じまして本社に何億の復旧費がかかりますということになりますので、そうした億というような単位になってまいりますと、特別予算配賦みたいなかっこうになりますから金額は本社でも把握をしておるようでございますけれども、事故としては大変大きな事故でございますが、架線を何百メートルか直すという場合の経費は、オーダーとして数百万円の単位のものでございますために経常経費の中で処理されているというかっこうでございます。
 そこで、それが今度は損にどうつながってくるかと言えば、やはり事故がなければ、わずかなものであるとは申せ本当はそれを直すための経費は要らないはずでございますので、それは全体の毎年の経費の中の一部のどこかにそれが入り込んでいるというかっこうになるかと思います。したがって、年間八千億ものすごい赤字があるよという中には、そういうものもたまってきてしまっているという実態でございましょう。
#134
○柳澤錬造君 総裁の御答弁で、私言いたいのもそこなんです。私なんか民間の出ですから、国鉄のような大きな企業でなくても、言うならば設計のミスから起きた――設計がミスしたからそのままつくってしまってだめにしてしまう、それは設計ミス。それから今度は、旋盤なら旋盤機械で加工しておって削り過ぎてだめにした、これは加工不良でだめ。今度は、削っていったら途中から素材の材質が悪くて使いものにならなかった、これは素材のミスだといって、そういうものを細かく分類をして、それで年間に設計ミスでどれだけの損が出た、何十億、加工のミスでどのくらい出た、素材のミスでといってちゃんと出てくるわけです。そうすると、その設計のミスから年間にこれだけの赤字が出たんだということになるならば、その設計部門がいささかずさんじゃなかったかといって、その点をもっとシビアにしてきちんとしていけばこれだけの赤字が減るではないかという形がやられるわけですね。
 ですから私は、国鉄が昔のように十分利益が出されて、そしてゆとりのある経営をしておるときならばそんなこと心配ないんであって、これだけの赤字を出してこれだけ国から助成を受けて、それこそ言うならば年間一兆五千億のお金が足りなくてやりくりするわけなんですから、そういうことであるならば少なくてもそういう点ももうちょっと、そのどんぶり勘定の中でみんなひっくるめての経費で使っちゃった、それがいまのように八千億の赤の中に入っていって繰越欠損でたまっていって、こんなに赤がたまりました、これはたな上げしてください、そう言って税金の方に転嫁させないで、みずからその辺のことについても、それはゼロにするったって容易なことではないんだけれども、まあいまわれわれがやっているのでそういうむだなロスがどのくらい出ているかということぐらいはつかまれて、それで少しでもそういうものを減らす、そして赤字を減らすという努力をなさらなくちゃいけないのじゃないかと思って私お聞きをしたわけなんです。
 次に聞いていきたいのは、今度は、ストライキによる損失というものがどのくらいになっているんですか。それで、これの計算方法もどういう計算方法をとっておられるのか、どういう始末をしているかお聞きをしていきます。
#135
○説明員(吉井浩君) お尋ねのストライキによる、私ども減収額という言い方をいたしておるわけでございますが、といいますことは、損害額ということになりますと、その減収いたしました額とストライキとの因果関係はどうかと、たとえば、国鉄の場合ストライキがあるということで先に貨物を送られた、あるいはそのときに旅行されなかった方が後に旅行されるというふうなこともございまして、そのようなことで非常に公的に申しますと細かな作業を要しますので、私どもいたしております計算によりますと、前年の平均、その年間平均と、それから当該年度、ストライキが行われました当該年度のそれまでの平均の収入額というものを比較をいたします。まあ例といたしまして仮に六月の末にストライキがあったといたしましょう。その年の六月までの収入と前年の四月から六月までの収入を比較いたしまして、たとえばことしの方が一割去年よりも少なかったというふうにいたしますと、その一割を当該ストライキが行われた対応する前年の日にちの収入に掛けましてそれが得べかりし収入であると、こういう計算をいたします。実際にストライキが行われましても何がしの収入はございます。ということで、その差額をもってストによる減収額という計算をいたしておるわけでございます。
 ただ、その減収額が幾らかと、五十五年、この四月の春闘でございます。一日弱のストライキでございました、このときの減収額が三十二億というふうに計算をいたしております。それから昨年は三十五億でございました。以下さかのぼりまして過去五年をとりますと、ただいまの三十二億、三十五億を含めまして六百七億というのが五十一年以降ことしまでの五年間における減収額という計算をいたしております。
#136
○柳澤錬造君 総裁、これも総裁がお聞きになっておったってそんなずさんなことをしておったんかというふうに思われるんですけれども、私大臣の方にお聞きするんですが、さっきは事故のことで聞いた。で、いまストライキのことで聞いたんだけれども、どちらも国鉄の収入を減らす要因になっているんだけれど、私が言いたいのは、そういう労使関係の問題だから、違法ストの問題は別として、何というんですか、そういうストライキがあったことによってのその扱いというものが、いまのようなずさんなルーズな処置をしておってそれで果たして許されるのかどうだろうか。もう少しきちんとそういうことをして、そして本来ならば、やっぱり労使関係を正常にしてそんなことなんか起きないようにしなくちゃいけないんだけど、あなた方の頭の中に現実にそういうストライキならストライキによって国鉄がどれだけ損失したんだということがないわけでしょう。だから、その辺の点について監督官庁、運輸大臣としてその辺の御見解をお聞きします。
#137
○説明員(高木文雄君) 実は私から現実にどういう処理をしているかを申し上げますが、いま担当常務から御説明いたしましたのが収入減収額でございます。損失としては収入減収額から経費減少額を差し引いたものが損害額になるかと思います。この損害額につきまして、ストが行われたのであれば、その行為者に負担を求めるべきではないかということでございます。それは筋論としてはそのとおりだと思います。しかし、過去におきましては、いろんな経緯もございましたですけれども、そういうものについて逐一請求する、賠償を求めるということはいたしておらなかったわけでございます。なぜいたしておらなかったかといいますと、非常に計算についていろいろな考え方があり得ると、先送りとか、あるいは後送りとかいろいろな、ストの前後には逆に収入かふえてまいりますものですから、旅行を一日早くしたり遅くしたりなさったりする関係でストの前後には逆に収入かふえてまいりますので、それをどう見たらいいのかというような問題がありましたこともあって請求をしてなかったわけでございます。
 そこで、昭和五十年の例のスト権ストの場合に、これは大変期間が長かったわけでございますし、したがって、期間が長いがゆえに後送りとか先送りとかいっても、そういうことがなかなかできにくい状態ですから、収入の減少額の把握もかなり正確にできるということもありましたし、何しろあれだけ大きな御迷惑を皆さんにおかけをし、国鉄としても金額的にも大きな損がございましたので、このときに初めて実はそれを算定をいたしまして組合に請求をいたしました。そして、組合がその支払いを拒否しておりますので、御存じのように、損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提出していま争っておるところでございます。そのときの分につきましてだけ請求をいたしたわけでございまして、その余の事案につきましては請求をいたしておりません。
 何もそのときに限らず、ほかの時期についても請求すべきではないかという御意見が寄せられておるわけでございまして、私どもも確かにそういう面もありますということは考えておりますが、現実にいま起こっております五十年のストライキに関連いたします損害訴訟で非常に多くの争点について双方弁護士を立てていま争っておるところでございますので、いい悪いについて御批判はございましょうけれども私どもはこの一番金額も大きくお騒がせをいたしました時期について賠償請求し、訴訟で争うという形をとっておるわけでございまして、いまいわばその形式を今後いかにいたすべきやにつきましては、まずこの一つの事例を固めてから考えたいということで、その余のものについては賠償請求をしていないというのが現状でございます。
#138
○国務大臣(塩川正十郎君) ストの対応につきましては、その都度その責任者を何らかの形で処分をいたしておること、これは現実にやっております。それと同時に、その損害に対しての請求でございますが、先ほど国鉄総裁が申しましたような五十年のスト権ストの際に起こりましたスト、これを一つのケースとして訴訟を続けておるところでございまして、これの判決をわれわれは待って、さらにこの対応を考えたいと思っております。
#139
○柳澤錬造君 今回のこの再建法案をめぐっては、高木総裁どうなんですか、そういう、先ほど組合とも去年からいろいろお話し合いをずっとやってきて、まだ納得してもらったわけではないけれども、話し合いが進んでいますという御答弁をいただいたんですが、この再建法案をめぐっては労働組合の方が反対だ、ストライキだと、そういうことになる気配はないんですか。
#140
○説明員(高木文雄君) いや、決してそういうふうに楽観はできないわけでございまして、やはり三十五万人体制ということになりますれば、何がしかの意味において、いわゆる俗に言う首を切るとか、血が出るとかということはないわけではございますけれども、
   〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕
しかし、それによりまして勤務条件の変更がいろいろ起こります。たとえば、いま勤めております場所からもう少し遠いところまで通わなければならないとか、長年なれてまいりました仕事をやめて、今度はほかの仕事をしなきゃならないというふうな形で勤務条件が変わってまいります。さらにまた、現実問題としては、先ほど生産性を上げるんだと申しました。そういう効果があるということは、裏から申しますと、労働密度が上がってくるということがございます。そういうことを通じて三十五万人体制を実施するということであれば、労働条件がいろいろと変わってまいりますから、全体として賛成とか反対とかということのほかに、個別の労働条件問題が各現場現場、極論しますと個人個人について起こってくるわけでございますので、それは労働者としては権利を主張するというか、自分らの地位の保全を図るというか、そういう動きがとられてくることは考えられます。ただ、それが現在は、そのような事態がありましても、ストを実施するということは法律上許されていないわけでございますので、事情のいかんはあれ、それは違法ということになってまいる、わけでございます。
 そこで、われわれとしては過去においてそういう紛争が起こったよって来るゆえんをよく考え直しまして、慎重の上にも慎重に、丹念の上にも丹念を重ねて、組合との間でも、あるいは一人一人の問題につきましても話し合いを十分尽くすことによって、何とか一人一人の職員に納得をしてもらった上でそうした改変をいたすということを通じて、何とかそういう違法な行為なしに乗り切っていかねばならぬと考えておりますけれども、まあいろいろな問題がありまして、組合には組合の考え方もありましょうし、また組合の考え方とは別に職員一人一人にいろいろな考え方があるわけでございますから、軽々にここで私が胸をたたいてストなしでやりますというところまではとても申し上げられるわけではない状態でございまして、それをそう持っていくのにこれから苦心し腐心をいたし、説得をいたし、教育をいたしということでやってまいらなければならぬというふうに考えております。
#141
○柳澤錬造君 総裁、先ほども言いましたように、私が心配するのは、これは本会議のときも申し上げたんですけれども、労使の間である程度の合意を得ていればいいんだけれども、労使の間で合意の得てないようなものをここへ持ってきて、国会でもって議決をして、それがどれだけの価値があり効果があるんですかと言っているのもそこなんです。細かいこと、私もそれは外から見ているんだからわからないけれども、どちらかというと皆さん方はこの国会で議決をして、法案としてこう決まったんだからといって今度は労働組合の説得に当たるから、組合としては何だと言って私は反発するという者も出てくると思う。やっぱり国鉄自身がこれをやらなくちゃいけないんだと、もっと言うならば、この法案がなくたっていろいろなことがやれるわけでしょう。この法案の中でどうしてもやっておかなきゃならないのは、あの二兆七千億のたな上げだけですよ。あとの問題については、なけりゃできないという筋合いのものじゃないわけだから、国鉄の皆さん方がおやりになろうと思えば。だから、そのことがどちらかというと、こういう法案をつくって再建法案だといってやって、そうして今度はもう法律もこう決まったんだからといって労働組合に向かっておまえたちも協力をしてくれ、何をしてくれと言うから、そこで起こらぬでもいい私はトラブルが起きるようになりますと言っているんです。
 ですから、そういう点でいま総裁も言われたんですが、本当にその話し合いをして慎重の上にも慎重を期してと言われるんですから、やってほしいと思うんです。せっかくここでもって再建に向かっているさなかなんですから、そんな違法ストなんか起きないように、起こさぬでくれ、起きたらそれはもうただじゃ済まないんだぞと言って、そうして皆さん方が本当に、それこそもう心を尽くして組合との間で話をするという、その誠意を披瀝することが、やっぱり組合の諸君だって、そこまで言うならばということになるんだと思うんですけれども、その辺の御決意はどうなんですか。
#142
○説明員(高木文雄君) まさにおっしゃるとおりでございます。
 そこで、この法律におきましても、決して法律の文言の上で、三十五万人で経営をいたしますということは法律の文言にはあらわれてないわけでございまして、法律の文言では、私どもが経営改善計画を立てて、そしてそれを運輸大臣に御提出をする、その経営改善計画の中に要員の数ということが出ておるわけでございまして、その要員の数をどう決めるかということは、私どもは労使の間で話をいたしまして、最後までぴしっとは決まらないかもしれませんけれども、ほどほど合意を得たところで私どもは経営改善計画をつくりまして、そして、そのほどほどに合意を得た改善計画の中の要員の数ということを前提として、政府の方に、運輸大臣の方に経営改善計画を出すわけでございます。
 この法律をごらんになりますと、先般来三十五万人ということを強調いたしておりますが、その数そのものは法律には書いてないというのはそういう事情からでございまして、これからの取り組みといたしましては、お示しのように労使で事情をよく話をし、要するに労働者としてどこまでやっていけるかと、がまんしてがんばっていくかということの話し合いをいたしました上で、それを経営改善計画の中に示すという形式をとっておるのはそういう事情でございます。
 そこで、まあ幸いにして法律を通していただきますならば、そうしたことにつきましても精力的にこれから話し合いを続けていかなければならぬ、そして、何とか合意に達しなければならぬと。そして、おっしゃるようにストというようなことにならぬようにしなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
#143
○柳澤錬造君 それはもう、ぜひ努力していただくことで。
 次に、この十月三十日の福島民報という新聞に出ておりまして、いろいろお聞きをしていきたいんですが、福島保線区において九月中旬以降レール更換作業でトラブルが起きている、もうもちろん御存じだと思うんです。で、原因はレール更換のときレールをつり上げる山越機を扱う人員を仙台鉄道管理局と国労仙台地本の間では、標準として山越機一台につき二人の配置というふうに決められた。ところが、福島保線区のみ区長と分会長との間で一台二・五人という確認書を交わしておる。保線区長にこのような協定をといいますか、確認書というか、そういうものを結ぶ権限があるのかどうだろうか。国鉄当局はこれをお聞きになってどういう指示をされたんですかということをまずお聞きをしていきたいんです。
#144
○説明員(吉井浩君) ただいま御質問のように、福島保線区におきましてまことに遺憾な事態が発生しておるわけでございますが、これはまず本社、本部の間で新しい保線の体系ということで中央の話し合いをいたしました。それを受けて仙台の管理局と、対応いたします仙台の各組合の地本との間で、作業標準といたしまして、この機械につきましては一機を二人で扱うということを取り決めたわけでございます。それに対しまして、いま御指摘のように、福島保線区が、ことしの三月と聞いておりますが、保線区長限りでこれと違う確認を結んだということでございまして、これは現場において、私どもも現場協議とか職場委員会というものを持っておりますけれども、これはあくまでも各地本の定めの枠内で行うことでございまして、そのような権限を区長に与えてはおりません。
 そこで、仙台の管理局といたしましては、実はこれまた大変にお恥ずかしい話でございますが、保線区といたしましては、この内容を局に対してもひた隠しにいたしておりました。ということで、局がたまたまこれを発見いたしましたのは九月でございました。そこで、局といたしましては、直ちにこのような取り決めは無効であるということを通告いたしまして、作業は当然、局、地本の段階で取り決めましたように、本来の基準に基づいてやるべきであるということを指示をいたしたわけでございます。これに対しまして、当初この形での作業に対して命令に応じないという事態が発生をいたしました。またこれにつきましては、さらに業務命令を重ねまして、十一月の七日以降、これはすべて業務命令に従いまして、本来あるべき作業の標準に従いまして作業が行われておるという報告を受けております。
 以上でございます。
#145
○柳澤錬造君 そうすると、この仙台なり小牛田ですか、郡山なりほかの保線区は全部一台二人ということでもう決まっているんですから、その福島保線区だけが二・五人という確認を交わした。やみ協定ということになりますね。
 それで、私はこの辺が、これは総裁も報告を受けていると思うけれども、やっぱりいまの国鉄のその実態をよくあらわしていると思うんです。幹部の方は再建再建と一生懸命そう言っているんだけれども、職場の方には少しもそういうことが徹底していない。こういう要求に安易に応じるような保線区長がいるということが、こういう結果を招いていろいろと無用な混乱まで起こすわけです。まじめにほかが決まったとおり、一台二人だとやっているところの保線区のその組合の人たちも、今度は何だということになっちゃうわけでしょう。ですから、その辺の点がきちんとしていかなきゃいけないし、それで、こんなことでもってレール更換がおくれて、また事故でも起きたといったらこれ大変なことになると思うんです。
 それで、この損失というようなものが、まだそれは計算なんかしているところまでいっていないと思うんだけれども、だれが負担するんですか。結局これも、先ほどのなにと同じように赤字欠損の中に積み上げられてきて、そのつけは最後は国民に回ってくるということにしてしまうんですか。その辺はどうお考えでしょうか。
#146
○説明員(吉井浩君) まず、このトラブルによりまして線路更換の状況がどうなったかということからお答えをいたしますが、実はこのトラブルの期間におきまして福島保線区は四回の作業をやったわけでございます。その中の第一回目につきましては、予定しました人数が出てこないということで、予定の数量に対しまして実際の更換が下回った、こういう結果になったわけでございます。ただ、福島保線区は実は組合別に申しますと、この協定を、やみ協定を結びましたのは国労の分会長が結んだわけでございますが、鉄労が約三分の二という数字でございまして、したがいまして、この十月以降の作業につきましても作業予定員の三分の二以上の要員は確保ができた、それからもう一つ局の方でも、そのような事態に相なりましたので臨時雇用員を一部手当てをいたしました。これによって更換作業はスムーズに行いましたということでございます。ただいま若干の初日のおくれがございますが、これにつきましては、先ほど御報告いたしました十一月七日に正常な状態に達しましたので、それ以降速やかに回復するということでございます。
 それから、この臨時雇用員を使いました金額は、要するにこれなかりせば不要であったという金額でございますが、これにつきましては、一方不参の職員に対しましては当然賃金カットをいたしておりますので、その間の差いかんということでございます。この額につきましては、自今の能率の向上ということで労使双方で対処をしてまいるようにという指導をいたしたいと存じます。
#147
○柳澤錬造君 福島保線区のこういう事件なんというようなものも氷山の一角のようなものだと思うんです。中央がいろいろお決めになっても、それが末端まで浸透しないでもって、いまのようにところどころぽこぽこっといろいろなことが行われている。それで、いまもお話しのように、局も知らなかったというわけです。局の責任があるのかないのか、あるいは悪いのは保線区長だけだったというふうに判断なさるのか、それは皆さん方にお任せしますけれども、私たちがいろいろ国鉄の問題をあちらこちらへ行って、一番そういうことについて聞かされるいわゆる悪慣行、そういう悪い慣行というものを、一般の市民とか国民が見ておって、やはりよく私たちにも言うわけなんです。勤務時間中にふろに入っているとか、あるいは所定外に休憩時間を与えているとか、それでポカ休みをしたら、今度はそいつのかわりに管理者がその勤務についているとか、国鉄というのはどういうところなんですかと言って。そんなことを言ったって私は関係外だからそんなの答弁できませんよと言って答えるんだけれども、そういう面を通じて国鉄というものに対する国民の見方というか、不信感というものが非常に――そんなことをやっておって、それで赤字になりゃ運賃値上げだとか、いや国の助成をとか言っているけれども、少しあれじゃないですか。どこだかで私が言われたときには、柳澤さん、国鉄の職員というのは一日二時間か三時間しか働かないって、それは本当ですかというような、こういう質問まで出てくるんです。ですから、そういうふうないわゆる悪慣行、悪い慣習のようなものというものが、過去にあったけれどももうありませんという、そういう答弁ができるのか、それとも、いまでもあります、どの程度にあってそれをどうしようとしているのかということのその辺の見解を聞きたいんです。
#148
○説明員(高木文雄君) 非常に申しわけございませんが、また、こういうところでそういう答弁をするのは非常に不謹慎のようでもございますけれども、実は悪慣行はあります。その悪慣行の問題をまずどうしたらいいかということでございますが、その悪慣行はどこでどういう事態になっているかということがなかなかつかみ切れていないわけでございます。悪慣行があることを承知しながらそれを放置しているということではないわけでございますけれども、悪慣行が、どうもあそこの職場は何かうまくいってないなということはわかっておりながら、その原因はどこかといった場合に、局から出かけていっていろいろ調べてみたら、果たせるかな悪慣行があったという事例がまだまだございます。
 そこで、いま一番大事なことは、その悪慣行があった場合に――あった場合といって、悪慣行があることを見つけ出すことがまず先決でありまして、悪慣行を見つけましたならばそれを是正をする。是正をするためには、相当何か現場にそういう悪慣行が生まれるに至る事情がございますので、その事情を除去する。たとえばその事情除去の中では、やはり現場のそうした責任者の中に規律がきちっとしていないといいますか、気が弱いといいますか、交渉でいわばなすべからざる協定を結んだ、確認をしたというような例がございますので、一番大事なことは、やはりそうした悪慣行がある地域につきましての現場管理者あるいは助役、そういった人たちを素質のいい人にこれを取りかえるというところから始めていかなければならぬわけでございまして、いまやっておりますのは、もうすでにこれ四、五年続けてやってきておりますが、本社は全国で十カ所ぐらいの現場につきまして、どうも能率がよくないという現場につきまして、本社直轄で管理をいたすといいますか、常時人を派遣しまして立て直しを図るというような場所を、モデル的にやる場所を何カ所かつくっております。それから、管理局は管理局の力で、それにならった形でそういう現場をつくっております。そういうことを通じて極端な悪慣行の場所をだんだんとつぶしていくということが必要であろうかと思います。
 悪慣行の職場がありまして、そこで正当なる労働が行われていないということになりますと、すぐ今度は隣の職場にまた悪い癖が伝播するというか、波及するというか、そういうことがありますので、国民の皆さんからそういう御批判が起こる前に、実は職場の中でも、どうも隣が余りちゃんとやってないなと、われわれは一生懸命やっているのにということで、ちゃんとやっている方の職場の人間が今度はばかばかしいというような気分になっちゃうと何ともならぬものですから、そういうことが耳に入りましたならばその悪いところから順番に直していくと、そしてかなり実は長い前――本件はたまたまこの三月に結ばれた確認でございますけれども、もう少し長い間続いている悪慣行もございますので、そうしたものを直していくということを、一般的な治療法をしてもなかなかうまくいきませんので、個別的な診断をし、個別的な指導をして直していくということに力を注いでおります。
 私どもの見方は甘いかもしれませんけれども、現場からの報告によりますと、そういったやり方がだんだんと効果をあらわしてまいりまして、悪慣行是正についての取り組みについて次第次第に、先ほど私が使いました言葉の足腰が次第次第に強い方に向いておるというふうに報告は受けております。しかし、とてもここでいまそういう現象はもうなくなりましたという御報告を申し上げられる段階までは来ていないわけでございます。
#149
○柳澤錬造君 いまの総裁の御答弁で私も納得いたしますし、そういうふうにぜひやっていただきたいと思うんです。最後に言われたように、やっぱり隣でもって正常にまじめにきちんとやっているところがばかばかしくなってしまうんですから、そういうような悪慣行はなくするようにしていただきたい。
 それから次に、時間もだんだん過ぎてきちゃいましたんですが、私は、国鉄が今日のようなこういう事態を招いたということ、これは何も国鉄だけの責任じゃないと思うんです。前にも申し上げたこともあるんですけれども、これは政府にも責任があるし、この国会にも責任があること。この昭和四十四年に国鉄再建法が最初のができてからちょうど十二年になるんだけれども、運輸大臣がいまの塩川大臣が十四人目になるんですね。ね大臣、だから、いま大臣一生懸命になって本気になっていると思うんだけれども、この間も本会議でもって、大蔵大臣をわしがいつまでやっているかわかるかいといって、ああいう答弁をするくらいで、これだけの大きなことを何かやろうということになると、そんな半年や一年で解決がつくわけじゃないので、それが十二年間に大臣が十四人もということじゃ、私は運輸省の方だって、鉄監局長もそれは担当だからいま一生懸命おやりになっているかと思うんだけれども、果たして腰が入っているかどうか。
 今回のこの国鉄再建もこれが最後のチャンスだということがよく言われるわけです。そういうことを私も耳にするんです。だけれども、それを本気で考えている人が果たして何人いるのか。もし本気で考えているならば、あの通常国会でこの国鉄法案があんな始末に私はならなかったと思うんですよ。ああいう始末にしたというところに、もうすでに関係者がその辺のところが本気で取り組んでなかった結果だと思うんです。それで、運輸省にしても、私は国鉄当局にもお願いしたんだけれども、それこそ巨額な税金を使ってやっているんですから、その辺のやはり姿勢を正して、ともすれば従来のように国が助成するのがあたりまえだというようなそういう態度をおとりになるんじゃなくて、やっぱり国がといっても結局それは税金なんですから、これだけの税金を使わしてもらっているんだといってやっぱりもう少し感謝というか、そういう気持ちになって、そしてやっぱり国民が利用していただくのに気持ちよく喜んで利用していただけるような国鉄にしなくちゃいけないじゃないか。
 それからまた大事な点は、国鉄の中で働いている人たちが、もっともっと気持ちよく働けるそういう国鉄にすることだと思うんです。だから、その辺のところがどういうものか、いままでのところを見ておってそれだけの気魄というものが私は感じられないし、それでそれについての見解もお聞きをしたいんですけれども、具体的なことでお聞きをするんだけれども、これは総裁の方にお聞きしますが、三年前のあの法定制緩和法案、あのときに、地方公聴会で、あのときもちょうど福岡へ行ったんです。そうしたら公述人で来ておった長崎県の農業協同組合長がこういうことを述べておった。京浜地方へのミカン輸送を、トラックならば三日で行くのに貨車は四日もかかる。しかも荷が傷んで客先がきらう。昔は一〇〇%貨車輸送だったのが昨年は二一・四%になってしまった。一〇〇%貨車輸送にすれば、三百万ケースを送るのでその運賃だけでも四億七千百万円が国鉄に入るではないんですか。その努力をしないで、赤字になれば運賃値上げと国の助成だけに求めておる、それでよろしいんですかという意見が述べられたんです。
 私も聞いておりまして非常に感銘を受けましたし、だから、あの法案の本会議での賛成討論のときも、この協同組合長のそういう御意見というものを取り入れてこういうものにこたえなければと言ったんだけれども、きょうここでお聞きをしたいのは、あれから三年たったんだけれども、この協同組合長が言われたようなことに対して国鉄がこたえるようなことの改善をなさったのかどうか。
#150
○説明員(高木文雄君) 九州地区から東京に向けて送られますミカン輸送、それの総出荷量と鉄道で運んでおります量との比率をまず最初に申し上げます。五十年が六三%、五十一年が下がりまして五四%、五十二年はほとんど運んでおりません。これがちょうど柳澤委員が向こうでお聞き及びになって本会議で御指摘になったときでございます。その後、この御指摘もありましたし、われわれとしてもその当時から貨物輸送についての企業努力をいたしまして、五十三年は五三%まで戻りました。昨年五十四年は六六%まで戻ってまいりました。
 これはどういうことかといいますと、一つは五十一年十一月に非常に運賃が大幅に値上がりましてトラックとの競争が弱まったということの結果として五十二年にはほとんど実績なしという時代にまでなったわけでございますが、その後荷主さんと御相談をいたしまして、トラックの方の状況をつぶさに伺いました。運賃について、いわゆる営業割引をいたしてでもこれは私の方にいただいた方が、たとえ運賃を多少割り引きましてもいただいた方がうちとしては商売だということで、営業割引を当時実施をいたしました結果、五十三年から少し戻ってきたわけでございます。
 さらにそのときに、向こうを出ましてからこっちへ着くまで四日かかりますので、その間においてどうしても荷傷みというようなことが出るということから、いろいろ両方で相談をして工夫をいたしました。いままでは車扱いと申しまして普通の屋根のかぶっている貨車で送っておったわけでございますが、これを車扱いで送るとどうしても四日かかる、というのは途中で貨物ヤードでつないだり切り離したりしまして真っすぐに来ないものですから、そこで運送方法を変えたそうでございまして、それはどうするかというと、コンテナ詰めにいたしまして、そしてコンテナ基地があるところまではトラックで運んでいただく、そこで集中的にコンテナヤードでコンテナで積めば早く運べるということになりまして、五十三年からそういうコンテナに切りかえることによりまして四日売りが三日売りになったということでありますので、運賃が高いとか安いとかいうことよりも、そういうサービスがよくなれば荷傷みも減るからということで、荷主さんにも喜んでいただきまして大いに国鉄を御利用いただけるようになったようでございます。
 それで五十四年はそういうミカン専門のコンテナ専用列車を九州から東京へ向けて毎日一本ずつ走らしたわけでございますが、荷主さんに喜んでいただいてもっと国鉄を利用するからということになりまして、現在ただいまこの冬はコンテナ専用列車を昨年の一本から二本にふやすことができました。これによって、まあ荷主さんにも喜んでいただけますし、われわれとしてもそれだけ営業の、まあいま貨物が減っておりますので、営業を広げることができる。これで、二年前でございますか三年前でございますか、先生におしかりを受けた、御指摘を受けたことについていささかながらおこたえができたということでございますが、こういう姿勢を各現場の諸君がとってくれて、荷主さんとよく相談をしながら荷主さんの要請に合うような輸送を広げていくことがいま一番大事なときだというふうに考えております。
#151
○説明員(吉武秀夫君) 済みません、ちょっと補足して。先ほど総裁が五十二年はほとんどゼロになったというふうにお答えしましたが、ちょっとこれは出荷量が五十二年がはっきりしないものですから抜けておりましたが、鉄道輸送量としては十一万一千トンでありまして、事実五十年から比べれば約半減ということは確かで、ここが底になっておることは確かであります。しかし、ゼロではなくてこれから徐々にいまのような施策によって上がっていっておるということでちょっと数字の訂正をさしていただきます。
#152
○柳澤錬造君 大変いいことを聞きましたんで、そういうことを――木材だってそうだと思うんです。結局あの輸入材なんか貨車で運べば傷むといってきらわれてどんどん下がってくる。それでとうとう荷が減ってしまいましたじゃなくて、そういうふうにやっていただければまた荷物もふえると思いますので、ぜひともそういうふうに進めていただきたいと思います。
 次に、これも三年前のことで国鉄総裁にお聞きをするんだけれども、三年前のときにこの運輸委員会で、私が高木総裁に対して地方ローカル線について御提言を申し上げたわけです。そのとき申し上げたのは、地方ローカル線を全部チェックしてください。それでチェックをする方法としては、第一としては営業成績が赤であろうが黒であろうが、かなりのお客が乗って利用されている線、これは当然走らせなくちゃいけないことだし、それから二つ目には他に足のないところです。ここはもう北海道なんか行くとあるんですから、収支係数が八〇〇だろうが一〇〇〇だろうがこれはもう走らせなければいけないし、こういうところの赤こそ、これはもう一〇〇%国に補助させるべきだし、走らせなければいけないし、それから三つ目には、他に足があって余り利用されていない、しかも相当な赤字を出している線、こういうところは無理して走らせることないんだから、どちらかといえば廃止の方向をやったらいいじゃないですか。
 だから、たくさんあるけれども、この三つの区分でぜひともチェックをしていただきたいというお願いというか、提言もしたはずなんですけれども、どうもおやりになったような気配がないと思います。たしか私は、ちょうど一年たったときに、この委員会でもってその点について総裁にただしたならば、そのときの総裁の御答弁というのはやってないということ。なぜおやりにならなかったんだろうか。そういうチェックをしておってやっていただけたならば、何も今回のような、こういう地方ローカル線ぶった切りのような再建案を出さなくても済んだはずじゃないんですか。その辺のところについてお聞きをしたい。
#153
○説明員(高木文雄君) 地方ローカル線の中で、余りお客様の少ないところはレールを外さしていただくということは、十年前ぐらいからやっておったわけでございますが、いろんな事情があってほとんど成果が上がりませんでした。私、参りまして大体四年半ぐらいでございますが、私が担当するようになりましてからは、旅客に関する限りはほとんど実績ゼロでございます。そこで、私といたしましては、一つは基本的にレールを外すと言ったんではだめなんで、輸送手段として何がいいか、レールよりもバスの方がいいのではないかという場合に限るべきではないかということが一つと、それから住民の方々とゆっくり御相談をする仕組みをつくる必要があるのではないかということと、それからもう一つは、国鉄だけではまことに申しわけございませんけれども何ともなりませんので、政府の各機関、道路御担当のところとか、あるいは地方財政事情に通暁しておられるとか、そういうもろもろの御担当のところと御一緒に御相談するという形でないとどうもならぬということで、そういう三つの観点から運輸政策審議会にお願いをいたしました。運輸政策審議会でもほぼその線に沿った御答申があったわけでございます。それが骨格になって今回の法案になっていると考えております。
 なお、ただいま御指摘の、三つに区分してということにつきましては、従来どちらかといいますと、いわゆる収支係数、赤字の大きさといったようなものに着眼して、どの線をやめる方に入れるべきかということが基準の思想の中にかなりあったわけでございますが、今回はそうでなくいたしましたことは、全部が全部とは申しませんけれども、相当程度柳澤委員の御指摘になった考え方も織り込まれておるということは言えるのではないか。ということは、バス転換ができないというところは現在は考えないということで、四千人とか二千人とかという数字が出てきたわけでございますし、代替道路のことも考えておるわけでございますので、決して全部が全部御納得いただけるというわけにはとてもまいらぬかもしれませんけれども、ある程度には先生が当時御指摘になりましたことに沿っておるというふうに考えておるわけでございまして、決して先生の御意見を度外視している、無視しているというつもりはないつもりでございますけれども、まだおしかりの点がございますれば、どうぞ御指摘を賜りたいと思います。
#154
○柳澤錬造君 いや、総裁、私が言ったから、何も聞かなかったからけしからぬなんて言ってるんじゃなくて、なぜそういうチェックをしていただかなかったんですかと言っている理由は、よく聞いてくださいよ。今回のこの法案の出し方、これは今度は運輸省の方もよく一緒に聞いておいていただかなければいかぬけれども、私に言わせれば、この法案というのは、本当に国民のことを考えていない、いかにも冷たいものだなあと、あの地方交通線等選定基準案、この間お出しになったんだけれども、あれがこの法案の柱にもなるのだけれども、特定地方交通線四千人未満を廃止をするんですと、それが基本でしょう。ただし次の条件に当てはまる線は除くといって、ラッシュ時に一時間千人以上のものだとか、並行して道路がないところ、豪雪でもって道が十日もとまってしまうようなところは除きますと言っている。
 私は、こういう一つの基準案のつくり方というのは、これからこういう新しい線を敷こうというときならば、新しい線を敷くについてどういう条件でもってそこに敷くか敷かないかを判断しようかというときに、こういうふうな一つの目安というか、ものをもってきて、さあじゃここへ線を引っ張るか引っ張らないかという論議の一つの物差しになると思うんです。いま現実に全国で二万何千キロ走っているわけなんですよね、汽車走らしているわけであって、それでそれがいま再建のためにここで何とかしなくちゃいけないのだということになったんですから、そうしたならば、言うならば次の条件のところは廃止をいたしますということだと思うんです。原則的には全部走らせます、いま走らしているんだから。ただし、この条件にひっかかるところについては廃止をいたします。
 それで、それをもっと言うならば、これはもうずっとこの委員会の最初から議論の種になっているとおり、この線はこういう条件ですから残すんです、この線はこういう条件ですからこれはやめさして、そしてバス転換をさしていただくんですという、きちんとそういうふうなものを出さにゃいかぬわけです。もう各委員が全部質問のたんびに出てくる。そうすると、いやそれは決まっていないんです、この法案ができ上がってからその作業に入るんですという。作業に入るんですといったって、新聞なんかで全部バス転換の線はどこなんだといって、こうやってみんな書いているわけです。運輸省なり国鉄からこういうもののデータ出さなければ新聞が書くわけないですよ。ですから、その辺のところがもう少し、国民の足としていままで利用されてきたんですから、そういう住民のことを考えてやっぱりやってほしいと思うんです。
 それは総裁、きのうも中央公聴会で、九州の方から、明治何年からか、ここへ敷いてくれ、敷いてくれとやって、五年前にやっと開通したというんじゃないですか、五年前にやっと開通して喜んでいたら、今度それが廃止だというんですよ。どういうことですか。私もきのう公述人の御意見を聞いていて全くそうだと思うんです。五年前といったら、もう昭和四十四年から国鉄は再建の作業に入っていたわけですからね、再建途上にあったんです。だから再建途上にあったそのときに、そこについてどうするかということの判断をしなくちゃいけなかったんです。長いことその地元の要求にこたえて、長い年数かかったけれども、やっと期待にこたえて線を敷いてそこの住民を喜ばせて、喜ばしたらわずか五年でもって取っ払います。そんなむだな投資がありますか。だから、その辺のところが、今度のこの法案のやり方というものは、非常に私から言わしたら冷たいと言いたいのはそこにあるんです。住民のことを少しも考えてないやり方だと言うんです。その点についてどうですか。
#155
○政府委員(山地進君) どうもおしかりを受けて申しわけございません。
 今回の法案出すについて、そういったもろもろの事情というものを私どももよく承知の上でこう
 いうことをお諮りしているわけでございますが、まず、いま先生の御指摘になりました、新聞に各線が出ている、これは運輸省があるいは国鉄がそういうことを出したんだろうというお話でございますが、私ども一回もそういった線名については、個々の具体的な線については何らよその方にお諮りしたことはございません。それはなぜかと申しますと、やはり八千人、四千人という基準が、片っ方で私どもは説明は御説明しているわけでございますので、先ほど先生の御指摘になりました経営分析の各線別の経営、あれには輸送の人数というのは出ております。キロも出ておりますので、それを単純に御計算いただくとこの線が当たるんではないかということが出てまいるかとも思うので、それに基づきましてつくって新聞の方に出たんだろうと、かように考えているわけでございます。
 それじゃ個々の線の名前は全然頭にないのかと申しますと、私ども、もちろん個々の線が具体的に並行道路があるかどうかと、これは詳細に調べなければ、あるいは政令決まらなければ具体的に決まらないわけでございますけれども、あらましそういった並行道路があるなし、あるいはラッシュ時がどうだというような線については具体的にもちろん承知しておるわけでございまして、そういったことを踏まえまして、今回の基準というものを考えたということでございます。
 それからもう一つ、AB線で、つくった線が数年にしてまたローカル線として、特定地方交通線として扱われるということでございますが、その点につきましては、これは私どもの今回の御提案の中に第三セクターとして何とか残すということをお考えいただくのが資源の利用について一つの方法ではないだろうか。もちろんこの考え方というのが、資源のみの点から申し上げてないという――国鉄の再建、あるいは地方の効率的な輸送体系という中でそれをお考えいただければ、それは一つの方法であろうかと、かように考えているわけでございまして、いまのように御批判をよく私どもとしても、各地からの陳情の方々からも伺っているわけでございますけれども、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
#156
○柳澤錬造君 御理解を賜りたいと言ったってそんなもの無理だ。それでさっきから聞いて、これはもう時間がないからやめたけれども、私はこの各線区別の収支係数のこの経営成績というのは信用しませんわ。今度は後でもって来てもらって、私がなにして、そして時間があったら私が今度は計算し直してあげてもいい。全く違った数が出るんですよ。そして、それを単純に、問題は八千人のところに線を引いていて、それで今度は四千人、とりあえずは二千人というんじゃ、そういう線の引き方が果たしてよろしいのかどうなのかと聞いている。だから二、三の点で具体的な線で聞くんだけれども、静岡県の清水港線八・三キロ、大臣ちゃんと聞いていてくださいよ。バスが二百二十往復しているわけだ、すでに。そこにこれは一日一往復しているだけなんです。それで六億六千万の赤字を出している。何で走らしたんですか。
#157
○説明員(加賀山朝雄君) 清水港線、これはむしろ臨海鉄道のような鉄道であったわけでございます。主としてこれは貨物のための線でございましたが、この線路に並行いたしまして非常にりっぱな道路があることは私も実際に通っておりまして承知をいたしております。ただこれは朝の通勤通学時間に対しまして、道路の事情等で通勤通学用の列車をこういう形で残してあるというところでございまして、旅客列車が朝片道一本、夕方一本というような列車運行をしているのもそのためでございます。
#158
○柳澤錬造君 そんなこと言って答弁したと思っているの。時間ばかり過ぎてしまうから言うんだけれども、この間行って見てきたんだけれども、九州の上山田線、これは二十五・九キロ、一日二十三往復している。だから乗客も清水港線から見れば四倍から乗っているわけね。確かに赤字は十億三千万、これは今度廃止の対象になるんだけれども、しかし清水港線から見るならば赤字は少ないわけです。絶対額で言うならば多いんだけれども、絶対額で見るならばこれはもう冒頭にも言っているように、このローカル線のあれを全部なにしても八百億かせいぜい九百億なんです。絶対額で考えるならば、このローカル線こんなものなにしなくて、大部分それはもう住民の要望あれば全部走らせますと、しようがないからといってやったって、どこか幹線のところの少しのところをやったり、それからさっき私が言ったような、そういう事故とかなんとかのそういうルーズな経営管理をやっていたところをきちっとすればそのぐらいのものはすぐ出てきてしまうわけです。しかし、この上山田線のように一日二十三往復も走ってなにしている。清水港線は切符買って乗るお客は一日五十九人ですよ、あそこは。それをいままでずっとそれだけの赤字を出しながら走らせていたわけでしょう、一日一往復。それから見て何でこの上山田線をでは廃止しなくちゃいけないんですか、これだけ利用されておるのに。
#159
○説明員(加賀山朝雄君) 先般来運輸省の方からも御答弁ございますように、まだ特定地方交通線の選定の基準の政令というのは決まっていないわけでございますので、具体的線区についてどの線がその廃止の候補になるかということは、現在の段階ではまだ申し上げられる段階ではございません。ただ、上山田線の輸送、確かに列車は二十三往復とおっしゃいますが、上下二十三本でございまして十一往復半、つまり上り十二本、下り十一本という運行をいたしております。ここはかつては御承知のとおり大変大きな炭鉱がございまして、上山田市の人口もかつては四万以上あったというようなところでございまして、現在輸送密度で見ますと、清水港線と上山田線を比較いたしますと、大体五十四年度におきましては上山田が約九百五十人、清水港が七百五十人ということで、輸送密度といたしましては若干上山田が多いというような状況にございます。
#160
○柳澤錬造君 そうやって聞けば、まだ廃止をするその中には入っていませんとか決めていませんとか、いささか誠意がなさ過ぎると思うんですよ。これはもうずっとさっきも言っているとおり、この委員会の最初の日から各委員から指摘されていることだけれども、ただそうなってくると、いままでに委員も言ったように、この選定基準案でもってどの線をどうするかというものをはっきり出してきて、それからでなければ審議ができないと言うのもあたりまえじゃないですか。それで、ここでもって審議をやめると言ったらどうします。あんたらひきょうだと思うんだよ、私に言わせたら。頭の中にあるわけでしょう。あの線を外す、どこの線を外す、どこはこの条件になにするからなんだといって、頭の中にきちんとありながら、そうやって聞けば――それなら私なんか、時間も限られているからあれだけれども、一つ、二つ実際に自分が行って見てきたから言っているだけなんですよ。そんなもの北海道なんか、それは小笠原先生が盛んに言っただろうと思うけれども、私だって北海道へ行って見てきたって、それは本当言ってかわりに足のないところなんかどうするんですか。だったら、いやそこはかわりの足がないんだからちゃんと残しますとはっきり言ってやればいいじゃないですか。
 皆さん方が選定基準といって、何ですか、こういう――私は鉄監局長をどなりつけてなにしたけれども、おとといのときに正式にここへ出したんだけれども、こういう漠とした文章だけのものを出して、それでおまえこれで判断せいといってこの委員会へ投げ出されているんですよ。こんな失礼千万なことありますか、あなた。だからさっきも言うとおり、こういうものは、ここに新しい線を敷くというときに、こういう条件に合致するならばそれは敷きますし、それに合致をしなければそれは敷けませんという物差しに使われるときにはいいと言うんです。現実に全国を列車が走って、ちゃんと線が敷かれているんだから。だったら、いまここでもって再建のためにある程度縮小しなければならぬといったら、走らせるのが原則、これとこれの条件に当たったところは申しわけないけれども外さしていただきます、そのかわりそこはかわりにこういう措置をいたしますといって、その名前を挙げて、それでそこの住民の皆さん方にだけ御理解をいただく努力をこれからいたしますという、それが誠意のあるまじめな、私に言わしたら国民のことを考えた提案の仕方ですよ。日本国じゅう全部いま不安にしているわけでしょう。みんな、おれのところ外されるとか、外されぬとか。そういう状態でもって、いま全国の各市町村でも、困ると言っちゃ決議をしてわれわれのところへ持ってくるんだけれども、そういう不安な状態にして、それでこうやってここでもって委員会で取り上げていけば、いやまだそれは決まっておりませんですって、そんなあなた不見識な、失礼千万な、いささか国民をなめていませんか。
 それはその辺にして、じゃ今度は、これも実際に行ってこの間私は見てきたところだから聞くんだけれども、九州の篠栗線の桂川、それと上山田線の臼井の間、わずか三キロだよね。この三キロのところに線を敷いてつないでやれば、あの筑豊地区の方からずっと博多へ出ていくのが非常に便利になるし、みんな能率がよくなる。何でそんなことぐらいこたえられないんですか。
 それから大臣ね、もう一つ。その上山田線の豊前川崎というところから油須原線の油須原というところ、これは十キロ。ところが、十キロあるんだけれども、ここはもう線路が、ちゃんと路床ができてて完了しているんだというんです、五年前に。そのまま中断しているというんです。これも敷いてくれればどれだけ便利になるか。しかも大臣、地元では鉄道建設債券でそのために五億円もお金を出しているんです。債券を買うだけじゃなくてその利子補給もやってました。その利子補給のお金が幾らと言ったら二百五十七万も出したというんですよ。利子補給までさしているんですよ、地元に。十キロあるけれどももうちゃんと路床はできている。だから、片方でもって、いろいろもう再建するためには苦しいんです、ここのところはと言うならば、少なくてもここでそういうところへつないでやることによってずっとそこの、何というんですか、博多へ出ていろいろ交通が便利になるし、そうするとまた汽車にいままで乗らなかった者も利用するようになるので、そういうことをどうしてお聞きになってあげようという気持ちがないんです、どうですか。
#161
○説明員(加賀山朝雄君) ただいま御指摘の篠栗線と上山田線の臼井を結ぶ線という問題は、かなり前から地元では話が出ております。ただ、これは鉄道敷設法にも載ってない線でございまして、そういう意味では具体的な新線計画という形にはなっていない線でございます。篠栗線が開通いたしましたのがいまから約十年ぐらい前だと思いますが、これがいわゆる福岡市と、それから筑豊地帯を結ぶきわめて非常にいいルートになったということでお客もかなりふえてきております。主体の流れといいますものが、むしろ上山田地区というよりも飯塚なりあるいは田川なり直方なりといういわゆる筑豊の中心の方に向かって大きな流れがあるわけでございます。したがいまして、列車計画も、博多から飯塚なりあるいは直方なりそちらの方向へむしろ主体的なお客の流動がございますので、私どもといたしましては、今日までも、またこれからも恐らく人口がかなり多い地帯でございますので、列車の運行形態といたしましては、そういう筑豊と篠栗との流れというものをまず中心にして、どういうふうに流していくかという考え方が中心になっているわけでございまして、またそうしなければならないと思っております。
 そういう意味におきまして、桂川と臼井をつなぎますと、確かに上山田の地域の方々の便利にはなると思いますけれども、この地帯は非常にお客さまの利用も多く見込めない地域でございますので、まずやはり大きな流れのところへ主体的に考えていきたいという中で、さらにこの地域のいろいろな計画を現在検討をしているところでございます。
#162
○政府委員(山地進君) 油須原線のAB線の部分についてお答えをいたします。
 先ほど、新線ができて五年目で特定地方交通線に該当して外すようになるのはいかがなものかという御指摘がございました。私ども今回の法案をつくりますときに、いろいろ御批判はございますわけでございますが、私どもとしては、在来線の輸送密度の低いものについて、四千人以下については特定地方交通線としてこれをバスにかえるなりあるいは第三セクターにかえると、こう申し上げておるわけでございますので、今後つくるものについても、でき上がった姿が四千人以下であるという場合には、片方で在来線が第三セクターあるいはバスにかわるということでございますれば、新しくつくるものについても同じことにならなければおかしいのではないだろうか、かように考えまして、今回の法案の中で、第三セクターでつくる場合には工事を従来の方式で継続をいたしますと、こういうふうな形にまとめてあるわけでございます。そこで、現在はその法案が通っていない段階でございますので、形式的には従来の鉄建公団法で建設をできるわけでございますけれども、つくった結果が第三セクターでなければ運営できないというものについては、第三セクターでお引き受けいただくということが確実である場合にのみ工事を継続する方が国民のお金を使う道ではないだろうかと、かように考えて全線にわたりまして工事をとめているわけでございます。したがいまして、今後その油須原線等につきまして、これを生かしていきたいという場合には、第三セクターでお引き受けいただくということが判明いたしました段階で私どもとしては工事を再開するということで処置していきたいと、かように考えているわけです。
 それからもう一つ、この建設に当たって債券を引き受け、かつその利子補給をしているという点でございます。鉄建公団の債券につきましては、これは消化をいたしていただいているわけでございますけれども、この消化に当たりましては各方面に御協力をいただいてきているわけで、それぞれの線の関係の金融機関にもお引き受けいただくということがやはり妥当であったと考えているわけでございます。ただ、恐らくいろいろの金融事情の中で、そういった地方の地元の金融機関がお引き受けいただくに当たりましては、何らかの利子補給というような形があり得たと思うわけでございますが、その利子補給のことにつきましては、先生の御指摘がございましたが、私どもとしてはその点については余り深く知らないことでございます。
#163
○柳澤錬造君 本当に、私は別に九州と利害関係何もあるわけじゃないけれども、この間行って、債券も昭和四十年度からですよ、利子補給もどっちも。昭和四十年度から五十年度までそういうことをやって、そうして地元の人たちに期待を持たせて、それでずっとやってきたわけでしょう。それでいまここへ来て、そういうやり方が、私に言わしたら本当に血も涙もないやり方だと、よくあんたらそんな薄情なようなことをやれるわな、本当に。確かにそうやって通して走ったって、じゃいま採算に乗るかというと乗らないのはわかって、いままでなにしているところだって乗らないんで、日本全国でもう十本ないんだから、収支係数一〇〇以下というのは。採算に乗らぬことはわかっているけれども、やっぱりそういうところの住民の期待にどうこたえるかといったならば、そこのところにもう少し温かい思いやりというか、心のあるものを考えて、あるところは何としてもだめでやめなきゃいかぬ、あるところはこれは赤字が少し大きく出るかわからぬけれども、いろいろ地元のそういうものにという、私はそれが政治の本当のあり方だと思うんですよ、こんな線を引っ張って四千人だとか八千人だとか線を引いてなにしてしまうなんていうことでなくて。
 それで、時間もだんだんもうなくなってきたんで、それで私が特に国鉄の幹部の皆さんや、それから運輸省の幹部の皆さん方に申し上げたいんだけれども、皆さん方が再建の熱意がどこまでおありなんですかということなんです。私にはその気魄が感じられないんです。三年前のあのときも申し上げたんだけれども、台風が来たときに、皆さん方は計算機を持って外へ飛び出して、いま風速何メートルだ、じゃこの雨戸の厚みが何ミリだからそれに耐えられるか耐えられないかと、そんな計算をしているんですか。だれだって台風が来て自分の家がぶっ倒れるかどうかといったら、飛び出していってずぶぬれになったってそこのところへ板をぶち当てて、そうしてその台風でもって家が飛ばないようにするというのがだれもがやることじゃないんですか。いまの国鉄は、私はそれと同じことをやらなくちゃいけないときだと思うんですよ、へ理屈を並べてどうだこうだと言っているときじゃなくって。
 ただ、そういう中でも私は国鉄の中で中堅の層の人たちというものが、この国鉄を再建しなくちゃといって真剣になって取り組んでいるということも知っている。だから、そういう人たちには私は本当に敬意も表するし、りっぱだと思うし、むしろ総裁以下幹部の皆さん方が、そういう意欲を持ってやっておる人たちが一生懸命に仕事のやれるようにあなたたちはしてやることだと思うんですよ、上に立っているんだから。その辺のところが私は欠けると言っちゃいかぬけれども、私たちがなるほど総裁以下皆さん方そうまで本気になってやっているか、それじゃいろいろなこともあったけれどもこの法案に賛成してやろうかという気持ちになれるような、そういうものの一つの気魄というものを見せてほしいと思う。それが感じられないということが、いろいろきょう言っていることもそうなんです。
 だから、もちろん政府ももっといろいろやってやらなきゃいけない。それから国会もいろいろなことがあったことも反省しなくちゃいけない。しかし、何といっても国鉄、それからその監督官庁の運輸省というものがこの国鉄をどうするか、国民の期待にこたえる上についてできるだけのことはこたえて応じていく。しかし、どうしてもこのところはといって、やっぱり聞いていただかなきゃいかぬところは聞いていただくということにしなくちゃいけないことです。だから、そういう点でもって私は、国鉄と言うんだから、やはり国民の皆さん方が本当に喜んで利用のしていただけるような国鉄になることだし、その国鉄で働いている人たちが本当に気持ちよく働けるような、そうしておれは国鉄マンだと言ってみんながプライドを持って働けるような、そういう国鉄にしてあげることじゃないんですか。そういう気持ちを皆さん方がお持ちならば、何もこんな膨大な借金なんかに私はならせなかったと思う。
 で、これは私の個人的な意見だけれども、申し上げてお聞きをいただきたいんです。政府が何でもっと国鉄に出資をしてあげないんですか。いまの国鉄の状態から見れば、私だったら資本金二兆五千億ぐらいにしたらいいと思う。しかも、政府は昭和四十八年には一兆五千億出資を決めたわけなんです、あのときに。一兆五千億を出資をするというのを決めたのも三千七百八十億出資しただけ。後、昭和五十年かなんかその辺でもって打ち切っちゃっている。で、現在も資本金というものは、だから四千五百六十億のままなんです。いまの国鉄の実力からいったら少なくとも二兆五千億ぐらいにしたって私はおかしくないと思うし、二兆五千億の資本金にするということになるならば、政府はまだあと二兆四百四十億のお金を出してよかったんですよ。
 それから、次には地方交通線の交付金です。大臣、これもよく聞いておいてほしい。昭和五十一年から五十五年までに交付金として出したのが二千七百四十五億しかないんですよ。で、大体いまのところはごく大ざっぱに言って地方交通線というのは収入が約一千億、支出がさっきの計算でいって四千億で、差し引き三千億の赤だといって、それで昨年で言えば七百幾らが交付金で出ているわけだ。これも少なくても大臣ね、いま塩川大臣に言ってもそれは無理なことだけれども、あの昭和四十六年に償却前赤字になったときに、その数年前から言われた構造的欠損はということをあの時点でもってそこまで思いをめぐらして、それでこの地方交通線についてどうするかということをお考えになっておったならばかなり私は条件が変わってきておると思う。それで私なりに言わしてもらえば、だからその昭和四十六年から五十年まで少なくてもあのころでも七百億ずつ政府が交付金で出しておったらそれで三千五百億、で、五十一年から五十五年まではもう二千億です、これは、いまのローカル線の実態からいくならば。そうすると、この五年間に二千億ずつ出しておったとするならば一兆円で、合計その後いままで交付金で出してきたのを差し引いても一兆七百五十五億というものをもっと出しててよかった。そうすると、この出資と地方交通線の交付金と両方で政府は三兆一千百九十五億のお金を出しててよかったはずですよ、借金の金利負担なんてそんなけちなことやらないで。
 それから国鉄の方もこれはお聞きをいただきたいのは、これは前にも私は言ったことがあるんだけれども、あの減価償却です。何でやめないんですか。償却前赤字の企業体が減価償却して何の意味があるんですか。計算がそうなってますからというのはいつかの総裁の答弁だけれども、減価償却のところでもって毎年そうやって赤字のところをやっていって、償却率は確かに上がっているかわからぬけれども、現実に片方でそれだけの借金つくっているだけなんです。借金をつくってその借金は金利を払わなくちゃいけない。なるほどその金利は政府が持つことになったからそれは国鉄としては痛くなかったかわからぬけれども、しかし少なくとも私が計算してみれば、この昭和四十六年に償却前赤字になったときから五十五年までの減価償却やったのは二兆九千五十一億償却しているんですよ。これだけ借金つくっただけなんだ。
 そうすると、政府が三兆一千百九十五億本来なら出しててよかったお金、国鉄も赤字だから償却前赤字のところでもって償却したってしようがないから、これは黒字になるまでしばらく中止をしておくという形でもって中断をしておけば、いま言ったような二兆九千五十一億というものをしないで済んだ。そうすれば両方合計すれば六兆二百四十六億円なんです。前回と今回でたな上げをしてくださいといってお願いしたのが五兆三千二百三十八億あるんだから、あのたな上げなんか何もしてくださいって言って頼まなくてもよかったことだし、それで六兆からの金がそういう形になってれば、大ざっぱに言ったって四千数百億の金利をそれでもって払わぬで済むわけですよ。それはいま確かに国鉄はそれだけの金利を、ほとんどこれはもう政府に肩がわりをしてやらしているんだから国鉄には痛手はないけれども、政府も一生懸命になってそんな金利の負担なんてしないで、その分を資本金なら資本金、ローカル線の交付金なら交付金できちんと出して、そして本当の救済のことを考えてあげなかったんですか。そうしたら現在膨大なその借金もしないで済むことだし、何もたな上げなんてこんなことやらなくて済むことだし、それでこれからもまだそういう形でやっていたならば、いま言ったように、年間四千数百億の金利というものは払わぬで済むわけなんですから。
 どうしてそういうことをやって、そうして国鉄というものがもっと健全な形で運営できるように、そして国鉄の総裁以下幹部の皆さん方にも当事者能力を持って思う存分皆さん方ざっとやりなさいよと言ってやらせるようなことをしなかったんですかと。これは特に政府側を代表して大臣からお答えいただきたいし、また高木総裁の方も、国鉄の側としてのお考えも聞きたいです。
#164
○国務大臣(塩川正十郎君) 昭和四十六年の再建のときに確かにこの地方交通線の問題がございました。で、私はいま先生の質問を聞きながらその当時を振り返っておったんでございますが、その当時はまだ先生は国会議員においでになる前でございましたが、まあくしき縁と申しましょうか、私は昭和四十七年に自由民主党にその当時籍を、いまでもそうでございますが、自由民主党でこの交通線の対策をするための特別委員会もつくったことがございました。しかしながら、いろんな案を国鉄と現在と同じような考え方に立ってつくりましたけれども、その当時の世論はとうてい地方交通線の整理というものを受け入れるような世論ではございませんでした。で、これまあほぼ十年……
#165
○柳澤錬造君 整理しろなんて言っているんじゃないんです。
#166
○国務大臣(塩川正十郎君) いやいや同じ考えです、同じ考えですから聞いてください。同じことを言っておりながら、その当時は全然受け入れられるような形勢ではございませんでした。しかし、今日国鉄がこういう状態になって、破局的状態になって初めて自治体も、それから国鉄自身も、国会も、全部がこれやっぱり審議の対象にしようというところまでなってきた。私はこの十年の歳月の間、確かにおっしゃるようにむだはあった。むだはあったけれども、その当時ではこれは議題とならないような問題でございました。でございますから、いまこれを早急にその対策をとってその時間のおくれを取り返すことにこそ私は意義があるように思うのであります。
 それから、確かにこの金利負担が重なってまいりまして、今日多額の金利のために赤字がふくらんでおるようなことがございます。で、それがために今度の法案で五兆五百九十九億円という債務をたな上げすると、これが実はこの再建法案の中の一つの大きい柱にもなっております。この再建法案は三つの柱、その中の大きい柱にもなっておる。まあ私たちも確かにおくれは自覚いたしておりますが、いまからでも遅くない、まあ私はあと鉄道の特性を生かした国鉄に生まれ返していくならば必ずよみがえってくるもの、そしてまた、これが将来にわたって国の基幹的交通機関として活躍して貴重なものになってくるということを私は感じております。
#167
○説明員(高木文雄君) いまお示しがございましたように、昭和四十四年、四十六年、四十八年といった時期には、先生よく御承知のとおり、私も大蔵省におりました。当時いろいろ、直接担当はいたしておりませんでしたけれども、大変この議論が活発に議論されておったことは承知をいたしております。いま私も立場は変わりましたけれども、いま御指摘のように、何でもう少し早い時期にしかるべき措置をとらなかったのかということにつきましては、私もいまこの立場で深く反省をする面があるわけでございますが、やはりその当時と今日と比べますと、大変もろもろの条件が変わっておるわけでございまして、いま大臣も申されましたが、いまの段階ではやはりいまの時点において最大のことをお願いをして取り組む以外にないんではないかと、過去において適切であったかどうかということについては、私どももあるいは私個人として反省すべき点はいろいろあると思いますが、現時点では、今後の問題としてお取り組みをいただきますようお願いするほかないんではないかと思っております。
 それから、一点だけちょっと先生が誤解をしておられるんじゃないかと思う点がありますので申し上げておきますけれども、減価償却見合いでは借入金はいたしておりませんのでございまして、減価償却というのは帳簿上やっているだけでございまして、そして損益計算上それが出てくるわけでございまして、減価償却をやっているがゆえにそれに見合う借り入れをして、その利子負担がいまあるということはございません。これはその点だけは減価償却をやるやらぬによって私の方の損益に影響があるものではないと、この前も申し上げましたが、そのことだけはひとつ御理解をいただきたいと存じます。
#168
○柳澤錬造君 もう時間がないので、大臣ね、話を聞きながら四十六年当時のことを思い起こしたと言ったんだけれども、いまの大臣の答弁というのは私の話をいかに聞いてなかったかということです。聞いてたらそういう答弁は出てこない。
 で、問題は、私がいま言っていたことは、もっと前に、このままいったらどういうことになっちゃうんだといって、そういうことに思いをめぐらして取り組んでおりてくれたならば、政府の場合でも、それから国鉄の場合もそうだけれども、ここへきて何も五兆幾らの借金をつくってたな上げだのとやらないで済んだはずでしょうというんです。ですから、そういう点で、もう時間もないのでこれで終わりますので、どうかお願いをしたいことは、いろいろここでもって私が申し上げたこと、特に、言うならば、国鉄自体も体質改善をしなくちゃいけない、それから政府自体もいままでやるべきことをやらなかったことを、安易に、ただ借金の金利負担をやってあげますとか何とかということでなくて、もっときちんとして国鉄が企業体として成り立つようなことをやはり政府としてやらなきゃいかぬし、その辺のところを十分に反省をして、そしてこれが一つの、確かにおくれたことは事実だけれども、ここでもって過ち転じて福となすじゃないけれども、本気になって取り組んで再建のできるように、そして私たちがいろいろ注文つけたことの、それはこの法案の中で改めて手直しをしていただいて進めていただきたいことを要望して終わります。
#169
○田英夫君 私は全く素人でありますから、大臣も国鉄の問題については自民党の中ですでに長い間取り組んでおられますし、委員の皆さんも専門家ばかりでありますから、大変私も勉強さしていただきました。私事でありますが、私も国鉄の給料で子供のときから大きくなったという人間でありますから、国鉄がこれ大変な時期にあるというときに当然大きな関心があるわけでありますが、素人として専門家の皆さんの観点とはいささか外れてしまうかもしれませんけれども、むしろ一人のあたりまえの国民として、いわば庶民としてざっくばらんに伺いますので、わかりやすくお答えをいただきたいと思います。
 総裁、大変変な例を申し上げるんですけれども、われわれ庶民の間で国鉄銭湯論というのがあるんですが、銭湯というのはおふろ屋さんなんですね。つまりいまの国鉄はおふろ屋さんみたいなものだと、こういうことです。といいますのは、ガスが発達し、各家庭でふろを持つようになったものですから、銭湯がだんだんさびれちゃって、都会ではつぶれる銭湯が多かったわけですね。東京でももういま銭湯というのは大変減っているわけであります。しかし、銭湯のおやじさんとしては、だからといって親代々やってきたふろ屋さんをやめるというわけに簡単にいかないから、そこでおふろ代の値上げというのがずっと続いてきた。つぶれる前に一時期このことが一つの社会問題にもなりまして、現在でも実はそうであります。しかし、そのふろ代の値上げじゃやはり庶民の皆さんも困るから、これにはいろいろ抵抗が起こる。どんどん値上げしていけば、やがて自分でもふろを持とうということになって、ますます銭湯はさびれる。ここでしようがないから、それじゃ、普通のふろ代は値上げできないから、女の人が髪洗うときは、洗髪料を取ろうという知恵が出てくる。それでもだめだから、男の人が髪洗うのも代金をいただこうというような知恵が出て、ずっと銭湯は非常に苦しい経営をしてきたという、これが国鉄銭湯論の意味なんですね。
 ところが私は、まさに素人として今度の国鉄再建法案というのを拝見しますと、その状況というのはまさに銭湯論ですよ。いろいろ御苦労になってきたことはよくわかるんですよ。いろいろモータリゼーションだ何だということの中で、鉄道が、これは日本だけのことじゃありませんから銭湯の状況になるのはよくわかるし、いろいろ御苦労をされた。ところが、今度の法案を拝見しますと、洗髪料を取ってみたけれども、やっぱりだめだと。それじゃ、燃料をとにかく節約するためにも、お湯をやたらに使われないようにしようじゃないかと、ふろ屋じゃ頭洗わないでくださいと、頭を洗うお湯はもうぶった切りますと、こういう感じがするんですね。しかしいまでも、要するに、何だかんだ言ったって、やっぱり自宅にふろがない人が特に地方の都市などへ行けば多い。やっぱりふろ屋さんは必需品なんですよ。生活になくてはならない。自分のうちにふろのない人にとってみれば、洗髪のお湯は使っちゃいけませんと言われたら、これは頭はどこで洗うんですかという話になるわけでしょう。
 そういう、まあ柳澤委員は冷たいと言われた。私も本当にそういう発想だと思いますよ、国鉄銭湯論で言えばね。本当にそういう発想でしかない。もっと人間にとってふろというものは一体どういうものなんだろうかというところから考えて、場合によっては、温泉というのはあれだけ栄えているんですから、そういう問題まで含めて考えるという、これはたとえ話ですけれども、そういう知恵の出し方、これが必要じゃないか、これが私の印象なんです。冒頭に申し上げておきます。
 そこで、質問に入りますけれども、大体やり方が間違っているんじゃないか。まず手続として、私は過去のいきさつは、文書の上で、いろんな資料の上で読ましていただきました。国鉄や運輸省の皆さんから、本当に詰め込まれるように資料をいただきまして、拝読をして、いま知識としてやや知っている程度でありますから、もうはだで知っておられる各委員や皆さん方には大変申しわけありませんけれども、しかし、その私の詰め込んだ知識によっても、いままでの経過の中で、本当に国鉄を使う庶民、この人たちに対して一体いま国鉄がこんな再建案を出さなければならないということがどこまで理解されているか。簡単に言ってしまえばPRと言えるかもしれませんよ。庶民にとって国鉄がそこまで来ているという、ふろ屋のことはわかっても、国鉄はここまで来ているということは、私はわかってないと思う。どうして、国鉄、そして運輸省は、まず、いわばホワイトペーパー、国鉄に関するホワイトペーパー、白書というようなものを重ねて年次的に出していって、いまおっしゃった四十四年ごろから大体ずっとそういう話が出てきて、四十七年に塩川小委員長がいろいろおやりになったというようないきさつも聞いておりますけれども、そういう段階から今日に至るまで、もっと、どうしてこのことを周知してこられなかったのか。
 これはしかし過去のことですから、私は言うには言っても、もういまさらどうしようもありません。国鉄から出てくるのは、せいぜい、伊江さんがおられませんけれども、伊江さんがおやりになったと言われているディスカバージャパンとか、まことにそれは結構で、いいことですよ。しかし、自分自身の健康状態についてのPRというものが庶民の皆さんに行き渡っていなかった。そこでいきなり今度は、あなたの足をぶった切りますよと、こういう話が出てくるから、関係される地方の皆さんは怒るのがあたりまえ、驚くのがあたりまえですね。いい悪い別にして、これが人間の感情というものだと思います。そこで、なぜ今回のこの法案をお出しになるに当たって、まず、この基本になるお考えを国民の皆さんの前に出して、あからさまに議論をするという、国会はもちろんですよ、そういう姿勢をおとりにならなかったのかということをお尋ねしたいと思います。
#170
○国務大臣(塩川正十郎君) 最初に田先生に一つお願いいたしたいのでございますが、確かに銭湯論、これは私、興味あるたとえだと思うて聞いておりました。そこで、その銭湯論の中で、髪を洗うお湯を節約をさす、こういうお話がございましたが、そういうこともございましょう。私らそういう過程になってきたと思うのですが、また一方から考え方を変えていただきますと、いままで裕福な銭湯であったので、一般の人が洗う真水のお湯もあれば、特定の人の使う明礬湯というのもあったし、あわ温泉もあったし、それから何といいますか、硫黄湯温泉もあったし、いろいろな温泉を持っておった。一人か二人しか入らない明礬温泉なんかもちゃんといままでは維持できたけれども、今度はそういういろんな温泉を切らしていただいて、本当に使いやすい温泉だけにさしてもらいたいと、こういうことでもあるんだということも考え方を変えてひとつ見ていただきたいと思うのです。
 そこで、えらい蛇足で失礼いたしましたが、今度のこの法案を出すに際しまして、おっしゃるように、確かに国民に訴えていくという姿勢は私は足らなかったと思うております。どうしてもやはり国鉄というのがそこに、私はいまでもそう思うのですけれども、まあ親方日の丸的な、国がめんどうを見ていくんだというような考え方が、やっぱり関係者、これは私らもそうだったと思います。そういう気持ちがございました。そうして今日、こういう事態になって、これはどうにもならぬということで、突然こういうかっこうで出てきたということになっておりますけれども、しかし、いわば国会なり政府の中の議論は長いこと続けてきておった。それがちっとも国民に訴えていかなかった。そこに私はいま確かに反省すべきものがあると、これは私も率直に認めます。私も最近いろんな陳情を受けますが、それならもっと早う何で言うてくれなかったのだと、こういうことがどこへ行っても出てくる、これは仰せのとおりでございまして、それは私たちも反省すると同時に、だからこそ、いまからでもそれをわかりやすく理解していただくように、まず努めていきたい、こう思うております。
#171
○田英夫君 まあ政治をおやりになっている立場から当然そうだろうと思うのですね。これは大変失礼ですが、やはりいまの国鉄の皆さんも、鉄道省というお役所出身のこの体質というのがあるのかどうかわかりませんが、そういうものが私なんかには感ぜられますね。
 ですから、どうしてもそこのところが庶民というものに対する気持ちになってこないところをひとつ、これはいまから言っても仕方がないのですが、たとえば東北新幹線の問題で仙台、特に盛岡あたりの人たちと話してみると、もう一日も早くつくってほしいと、これはもうあらゆる階層、あらゆる方々がそのことを熱望しておられる。ところが、東京のあの北区の皆さんの反対運動というのが起こっている。そうすると、あれは市民のエゴじゃないか、いわゆる市民運動のエゴじゃないかという言い方をされる方がありますよ。それは遠くの方からすれば、利害からいってそういうふうに映るかもしれない。しかし、私は国鉄の皆さんが、もっとあからさまに初めから、こういうところにこういう線を敷くんですよということで、住民の皆さんとはだを接する形で理解を求める、そういう態度があれば、もっと早くお互いの理解ができたんじゃないだろうか。これは一事が万事でありますから申し上げておきますけれども。
 次の問題、こういうことですね、たとえば十九世紀はまさに鉄道が大いに伸びた時代である。しかし、二十世紀は、それが花咲いて散って自動車が伸びてきた時代だと。二十一世紀は一体どうなるのかという、これは交通全般の問題についてこういうふうに言われている。そのとおりだと思います。これは交通の問題に限らずあらゆる問題が、いまそういう大きな転換期に来ている。それは一つには石油という問題に関連をして大きな転換が来ているんで、政治全般、経済全般というものが、日本を含め、あるいはむしろ日本がその最も大きな、何といいますか、モデルになって転換をしていかなければならないということだと思いますが、その意味からまた今度の再建法案というものを見てみますと、一体鉄道の花盛りから、いまこれから先二十一世紀、今後にかけて交通全般というのは、一体どうなっていくんだろうか。日本というこういう細長い島の場合は特にどうなるんだろうか。これもいただいた資料で、イギリスだ、フランスだ、西ドイツだと、もとはこんな網の目のようになった鉄道がこれだけ網が粗くなりましたよと。これはもうそのとおりだと思いますよ。
 しかし、そうしたヨーロッパ各国も、それぞれの将来へ向かっての青写真を持ちながらそういう計画を進めてこられた。一体今度の再建法案を見る限り、私の不勉強かもしれませんが、いわゆる総合交通政策の一環としての鉄道というのは、将来どういうふうに政府もあるいは国鉄もお考えになっていて、だから、いまこの荒療治、あえて荒療治と言いますが、荒療治をしてもこれを乗り切らなくちゃいけないんだと言うのか、全体として一体どういうことを考えておられるのかということがさっぱりわからない。この総合交通政策というのはどうですかと、ここで私がいま伺ってみても、これは大臣は五分なり三分なりお答えになることは容易でありましょうけれども、それをいまここで伺ったところで、私は実は実際に役に立つといいますか、二人の仲は役に立っても日本の政治という意味から役に立つと思えませんので、そういう意味では伺いません。
 したがって、そのことを頭に置きながらお答えいただきたいんでありますけれども、私はそういう意味で、当然発想の転換がいまみんな必要になってきているんだということから、大変とっぴな質問でありますけれども、歩行者天国というものを、大臣の印象でいいですよ、個人的な印象でいいですが、運輸大臣という肩書きを持つ塩川さんが、どういうふうにお感じになっているか伺いたいと思います。
#172
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、歩行者天国、あれは日曜日一日ぐらいみんな静かにしたらどうだろうという感じを持っています。そういう意味で、自然にああいうものができたらいいのになと、わざとこんなものつくらなきゃいかぬのかなという感じで私は見ておるんですけれども。
#173
○田英夫君 大変率直なお気持ちを聞いたんで。
 実は歩行者天国というのは、私の知る限りでは、年度は忘れましたけれども、もうかれこれ二十年近く前に、いま衆議院の議員になっておられます社会党の五十嵐広三さんが旭川の市長のときに、昔の駅から旭川連隊へ向けての旭川のメーンストリートですね、商店街、これを全く車をとめて、買い物公園という名前で町のメーンストリートをとめてしまわれたわけですね。これは当時としては大変なことだったと思います。昔はまさに旭川の駅ですよ、国鉄の旭川駅をおりると、どうんと真っすぐ商店街、繁華街があって、その先に、当時の日本の、しかも旭川の象徴であった旭川連隊というものがあって、そこへ向かって突き抜けていた道路だと。これを車通さなくするという発想は、実は、いま塩川さんがおっしゃったようなこともあったかもしれませんが、そうじゃなくて、メーンストリートの交通をとめちゃったという、そういう中から出てきた。自動車がいよいよ旭川でも主要な交通手段となっていたときに、庶民のバスも含めてこれをとめたという発想は大変なことだ。しかし、これが海を越えて、ニューヨークの当時のリンゼー市長が聞いて、ニューヨークで取り入れたのが二番目で、いまや日本の中では各地で歩行者天国というものが常識化をしてきている。
 私の意見を先に言わしていただくと、私は、単なる憩いの場所ということを越えて、いまやモータリゼーションが進み、同時に自動車公害というものが進んでくる。都会の中の交通の問題ということが運輸大臣の頭の中には相当大きなウエートを占めていかなくちゃいかぬこういうときに、私は頭を切りかえていただきたいと思いますよ。これはやはり国鉄再建法案と私は非常に大きなかかわりがあると思うのです。つまり、自動車というものの限界を交通政策の中で人為的に策定していかなきゃいけない、トラックは特に含めて。そういう感じがいたします。ですから、全く国鉄と関係のないようなことを伺いますけれども、外国では常識化しておりますが、大都市における昼間のある一定以上の重量を持ったトラックを規制すると、こういうやり方について運輸大臣はどういうふうにお考えですか。
#174
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、トラック、特に大型のトラック、もっぱら産業のためのトラックというようなものはできるだけ都市の周辺部を通過するように、たとえば湾岸道路の整備であるとか、あるいは環八、環七、こういう道路の整備、あるいは現在ではもっと外側を通らなきゃならぬかもわかりませんが、都心に余りこういう車を誘導しないようにすべきが本当ではないかと思いますし、私ら自身といたしましても、そういうことをいま機会あるたびごとに訴えておるということですが……。
#175
○田英夫君 これはもう運輸大臣のお立場ですからね、いま、そういうことを将来われわれの子孫に向けてどういう方向に持っていったらいいかということを考える最高の責任者なんですよね。そのお答えとしてはまことに私は不満であります。
 しかし、たとえば私は、ここ数年尾瀬というところに取りつかれて、夏も冬も、冬はスキーにですが、行っております。この尾瀬の自然というものを見るとまことにみごとなものです。何千年の間にでき上がった、あの草花を咲かしている湿原というものは、数千年の自然の中でできてきたことですね。これをいま、あそこから水を取ろう、東京の水資源として使おうという案がいまだにある。
 一方で、いまから十数年前に、関係都県の間、そうして建設省が、あるいは運輸省もその意味では関係がなかったとは言わせませんけれども、東京から新潟へ向けて尾瀬を貫通する道路をつくろうということが現実になって、ついにそれがつくられたんですね。つくられたんですよ。尾瀬に行ってごらんになるとおわかりになりますが、ふもとまでできている。沼田の駅から車で三、四十分でしょうか、そこまで非常にりっぱな自動車道路がどうんとできて、途中までは舗装までできているものが、山のふもとですとんと切れています。これは私は、現地に、逆に上から行って、その山の美しいところを見ておりてきて、そこに自動車道路がぷつっと切れているところを見て感動をしました。これをとめた人は一体だれか、日本の政治家としては、いま申しわけありませんが、塩川運輸大臣のお答えは、私はまことに不満だと申し上げたけれども、これがそれまでにどのくらいのお金がこの道路建設のために投じられたか、その金をかけた道路をあえてとめてしまった大臣がいるんですね。これはあのところへ銅像を建ててもいいぐらいじゃないでしょうか、これからの日本の将来のことを考えたときには。そういう自民党の大臣がおられるんですね、環境庁長官ですけれども。
 私は、ですから、総合交通政策というものは、これからはまた鉄道の時代ですとか、自動車はこの程度にこういうふうにしますという運輸省の専門家の皆さんの計算とか、国鉄の専門家の皆さんの計算とかいうことの中でできてくるんだと思わないんですよ。もっと高度の、これから生きていく人間としての発想の転換を持った人が中心になって考え出していって、それを裏づけるものが国鉄や運輸省やその他の専門家の皆さんの知恵であると、こういうことを申し上げたいわけです。感想でいいですが、いかがですか、大臣。
#176
○国務大臣(塩川正十郎君) これは総合交通政策だけで片づくものではないと思いますし、しかし、総合交通政策の中で取り入れて、考えて解決の道を見出すとすることで私は一つの方法として地域対策というのがどうしても必要だと思うんです。いままで言われておる交通政策というのは、交通機関の配置と役割りを生かすこと、これに重点を置いておった。最近におきます総合交通政策というのはいわば地域のあり方、産業のあり方に関係してきておる。
 先ほどまあ私はちょっと申し上げましたトラックの問題一つにいたしましても、やはり工業というものは再編成してコンビナート化していくというのはこれ当然だ。私は石油コンビナートとあの発想がやっぱり産業の新しい時代のあり方だと。といって、それではそのとおりすぐにいまの既存の工業、たとえば鉄鋼なりあるいは繊維、あるいは肥料、そういうものができるかと言ったら、なかなかそこへは行きにくいけれども、いまやそういう地域のあり方、産業のあり方、構造を変えていかなきゃいかぬと思います。と同時に、私たちいまお願いしております特定地方交通線、この地域におきましても、過疎対策をどうするんだという根本の考え方なくしてこれいかに議論してみましても、やはりしょせん生きておる人間をどうするんだという問題につながってくる。しかし、先ほどおっしゃったように自然を保護し、あるいはまた人間の環境というものを守って快適な生活をするというならば、やっぱり人間はどういうところへ住むのかというこの根本からやっぱり議論が始まってこなければ、ただ単に鉄道切るなという議論だけでは本当はおさまらない、私はそう思うんです。
#177
○田英夫君 いま私もそのことをお聞きしようと思っていたわけですが、次の問題は地域の問題ですね。地域の問題というのは国鉄、運輸省で解決できない。むしろ、私はわれわれが声を大にして最近言っているいわゆる地方の時代という考え方に立てば、それぞれの地域で地方自治体、県あるいは市町村というところ、その町の中の交通というのは当然その町の住民が決めるべきものだという考え方から、運輸省が机の上で考えた、この地域はこういうふうであるべきだ、ここのところへ道路を通すべきだ、道路を通すとなるとこれは残念ながら建設省なんですけれども、そういう考え方じゃなくて、この県の交通は鉄道、私鉄、バス、自動車、その他含めてこれはそこの地域の人たちが決めるんだ、その大きな地域と地域とをまたがる中を貫いていくのが国鉄であったり飛行機であったり、高速道路であったりするという、そういうだんごの玉は、それぞれの地域で立案からやるべきだ、そのところにくしを通すくしの役目は中央の官庁がおやりになっていただく、こういうことの中で本当の意味の日本の交通政策というものが生まれてくるんじゃないか、このことを次に申し上げたいわけですよ。
 ところが、いまちょっと触れましたけれども、残念ながら日本の官庁機構というものは、運輸省というものが交通の行政については握っているということになっている。なっているんだけれども、大臣や山地さんに悪いけれども、じゃ道路という、いま一方の雄でしょう、自動車通す。その道路をつくる権限というのは一体運輸省はその設置法上どこまであるかと、道路をつくるのは一体どういうことになるんだ。これは外国の例でいえば、交通行政にまつわるお役所というのはみんな一つになっている、その部分は。建設省にまつわって、また地域のいろんな政治の力が加わって、実は本来あるべきことから相当曲がって道路がついてしまうとか、優先順位が変わってしまうとかいうことが起こっているのが現実ですわ。
 これはもうむしろ行政改革にも関連をして大問題なんですけれども、余り抽象的な話ばかりしていてもいけませんから、これまた大変素人の庶民的な御質問で申しわけありませんけれども、こういう質問をするのは本当に失礼かもしれませんが、国鉄国鉄と言っておりますけれども、これは日本国有鉄道というのが正式の名前ですわね。それで、私もいただいた運輸六法というのを一生懸命引いてみますと、日本国有鉄道法というところの第一条に何と書いてあるか。「国が」とまず書いてありますよね。ところが、私にはこの第一条を書いた方は非常に日本語のよくできる方か、非常に日本語が下手な方か、どっちかであると思いますが、わからないんです。全然わからない、これは。「国が国有鉄道事業特別会計をもつて経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、」とかあって、最後に「ここに日本国有鉄道を設立する。」と。私の文章の理解によると、国が日本国有鉄道を設立するというふうに読めるんですが、これどなたか詳しい方、教えてくれませんか。
#178
○政府委員(山地進君) この読み方といたしましては、国が経営しているというふうに、この「国」という主語は「経営している」にかかってくるようにいま考えております。それから「ここに日本国有鉄道を設立する。」というところは、国が設立するということではなくて、この法案によって設立されると、こういうふうに考えております。
#179
○田英夫君 本当に庶民にわかるように法律というのは書いていただきたいと思うんですけれども、第二条によりますと、二条の一番最後に「商事会社ではない。」と書いてあるんですね。これはもちろん意味はわかりますよ。意味わかりますけれども、要するにこれは日本国有鉄道という名前を庶民が見れば、国が経営している鉄道だと読む方があたりまえじゃないでしょうか、国鉄総裁どうですか、いま仕事をやっておられてそういう意識はありませんか。
#180
○説明員(高木文雄君) 率直に申し上げまして、この法律ができました経緯から申しましてこういう文章になっておるんだと存じます。たまたまこの法律ができましたときにどういう経緯であったかということをいささか承知しておりますので、私は余りこの日本語を十分読む能力がないといいますか、そういう特殊経緯を知っておりますので、特別な感情を持っておるわけでございますけれども、要するにこれは、現在は公社というのはどういうものだということについて日本の皆さんの間にある程度根づいておるわけでございますけれども、当時は公社というものがはっきりしておりません。アメリカのTVAから出てきた考え方をそのまま持ってくるというようなところから出てきた表現ではないか、そういう歴史的意味を持った表現ではないか。したがって、この商事会社ではないとかいうことにつきましても、実は文言のとおりというよりは、そういう歴史的経緯の中で私は読んでおりますのですけれども、つまり何といいますか、片方で公益法人だと、こう言いながら、片方で商事会社ではないということは、つまり官といいますか公といいますか、というものと、民といいますか商といいますか、そういうものとの中間的なものだよということを言っている意味ではないかというふうに私はいつも読んでおるわけでございます。
#181
○田英夫君 確かに戦前の、あるいはもっとさかのぼれば、日本で初めて鉄道ができたときのいきさつからずっと読んでみました、資料を。大変おもしろい名前がついていて、民部・大蔵省鉄道掛というところから始まりまして、途中から逓信省ということの中に鉄道局が入ったといういきさつを読んでおりましたら、案の定やはり先人は、先輩は今日の国鉄という、公社というものが存在をするに至るそのもとになるような悩みを当時持ったわけですね。これが明治三十年八月、逓信省の中に外局として鉄道作業局を置いたということが記されていました。つまり、当時すでに民営鉄道が、いわゆるいまの私鉄がかなりできてきたということの中でそれを監督するという行政的な業務をつかさどる鉄道局が、同時にみずから営業をする、つまり、いまの国鉄という鉄道を営業をするということを同時に同じ局がやるのはおかしいではないかという意見が出てと。これは古い文章ですから非常に古風な文章で書いてありますが、そこで内局として鉄道局、そして外局として鉄道作業局、こう分けて、その作業局の方はまさにいまの国鉄の営業の仕事をやったということが記されておりました。私は知らなかったんでありますが、なるほどここから国鉄、現在の公社である国鉄というものの考え方が生まれてきたというふうに理解をしたんであります。
 そこで、先ほども柳澤委員が専門的な御経験の中から言われたので、私のようなのが取り上げるとこの問題は非常にそっぽになるかもしれませんけれども、一体国鉄というものが独立採算制でいまのような形で公社でございますということと、庶民が日本国有鉄道という文字のイメージから受けるそのことと、実際にはどうしたらいいのかというのが今後に向けての運輸行政の中で大問題だと思うんですね。さっき柳澤さんは、もう本当にもっとこういうふうに助成したらよかったじゃないかということも言われましたけれども、そのもとになるお考えというのはいまどういうふうにお感じになっているのか、つまり、庶民に向かっておっしゃるという気持ちで言っていただきたいと思います。
#182
○国務大臣(塩川正十郎君) 率直に申しまして、公共性は非常に強いがやはり独立採算ということを離れては経営ができない、私はそう思うております。それは各国とも同じような制度をとっておりまして、やはり大変な赤字を抱えておる。そうすると、赤字が大きくなってきたらやはり独立採算制を強調する。で、余裕があるときには公共性を優先さす。兼ね合いの問題であって、どちらに決定すべきだということはいたしかねるものだろうと思うております。
#183
○田英夫君 長い御経験の中から当然そういうお気持ちが出てくるんだろうと、実は私も素人なりに感じたわけですね。といいますのは、確かに国民の足でありますから、日本国有鉄道的な、公共的な、そうしたものがなけりゃならない。しかし、同時に国鉄という営業をしなければならないということからするならば、まるまる親方日の丸そのものであって、むしろ予算の中で動いていくんだみたいな、極端なことを言えばそういうことになってしまっては、これはまた締まりのないことになるのはあたりまえでありまして、いま大臣の言われたのが現実でありましょうけれども、つまり、商事的でいいのか公共的でいいのかという、さっきの第二条の商事会社ではないというのは別の意味だそうでありますが、総裁のおっしゃるには。しかし、私はやはり商事会社ではないけれども商事的な考え方、こういうものをもっと持たなけりゃいけないんじゃないか、ここのところが非常に問題だと思うんですよ。
 だから、大変失礼な言い方をさしていただくならば、人間を風体、印象で仕分けすることは最も悪いんでありますけれども、しかし現実の問題としてみれば、この人はお役人だなあと、この人は商事会社の人だなあと、この人はひょっとすると国会議員かな――これは余りない方がいいんですけれども、一つのスタイルがない方がいいんですけれども、そういう仕分けができるとすれば、やはり国鉄の皆さんを拝見すれば、どう見ても商事会社の人ではないというふうに庶民は感ずるわけですよ。
 そういう意味で、たとえば国民が税金的な形で負担している、金額にしますと、さっきおっしゃったたな上げの分、すでにたな上げになっている分ですよ。これからこの法案でたな上げにするんじゃなくて、すでにたな上げになっている過去の分。そういうものを国民の税金という形で計算すると、大体一人四万円ぐらいになるという話を聞きました。そして、国民が一人当たり年間に国鉄を利用するときに払う運賃というのが二万幾らになるというふうに聞きました。これは当たっているでしょうか、そういう数字を私に教えてくれた人がいるんでありますが、すでに現在でもその数字が正しいとするならば、国民は国鉄に対してそのくらいの負担をしてしまっている、こういうふうに言えるのではないかと思うんで、そういうことからすれば、この国鉄の問題というのは大変なことなんです。もっと営業的な気持ちを持っていただきたい。しかし、営業的な気持ちを強調するから今度はローカル線は切るんですよと、こうおっしゃる。ここに矛盾が出てきて、もう皆さんが声を大にして指摘をされたわけですね。
 私は一つ、こんな素人の思いつきで恐縮でありますけれども、いろいろな資料を拝見をしている中で、こういうことを書いてあるのがあります。イギリスの例ですけれども、イギリスの国鉄はその経営する事業を五つのカテゴリーに分けて、そのカテゴリーというのは、たとえば都市間の旅客輸送とか、大都市圏の旅客輸送とか、そういう形、あるいはローカルの旅客輸送、それから貨物輸送、これは全体ですわな。そういうふうに五つのカテゴリーに分けて、そして経営の成績を年度ごとに出している、こういうやり方の中で、そのカテゴリーごとにその結果によって次の対策を出していく、こういうことをやっているということをここに書いてあるわけですね。これはお聞きになっていると思いますが、そういうやり方から考えると、これから御質問をするのは、日本の国鉄の場合に、そういう経営の収支の結果をお出しになるのは、どういう、たとえば新幹線、在来線、貨物、こういうふうにはお出しになっているんですか。
#184
○説明員(加賀山朝雄君) 国鉄の正式な財務諸表というのは一本でございますが、一応その附属的な資料といたしまして、一つは幹線系線区と地方交通線系線区という区分経理を、数グループの経理を発表しております。それから、さらにこれを分けまして、新幹線の数字は別途出しております。それからさらに、これはかなり作業が手間取りますので、一年おくれで客貨別の数字を出しております。
#185
○説明員(高木文雄君) ちょっと補足します。現在、区分経理という言葉を使っておりますが、区分経理をいたしておりますけれども、それはいま申しましたように幹線と地方線と、それから旅客と貨物に区分するということはやっております。これは十年以上ぐらい前から私の方の最高の機関の一つである諮問委員会等の御意見がありまして、経理を明らかにすべきだということで、そうやりなさいと言われてやるようになったわけでございますが、しかし、それは経営をやるときにそれを十分意識してやっているかどうかというと、まだ実はそこまでいってないわけでございまして、決算の結果をそういうふうに区分して見るという癖が、やっと十年ぐらい前からついてきたということでありまして、たとえば年度の初めからそういうふうに区分をして経営をやっていくというような意識というものは、余りまだ持ってないわけでございます。
 そこで、基本的にはどうも私もよくわからないんですけれども、百年間日本じゅう一本でやりますということでありまして、たとえば支店を設けて事業部制をつくって、それで地域ごとに支店長に任せて経営するというような形のこともやっておりませんし、それからもともと、たとえばいまそういう経理になっておりますと申し上げておりますけれども、たとえば年間一兆円の投資をいたしておりますが、東北新幹線には幾ら使っております、在来線には幾ら使っておりますというような区分はいたしておりますけれども、その在来線をまた、たとえば貨物と旅客に分けるとか、あるいは地方交通線と幹線に分けて、そして年度の初めから、あるいは予算上そういう区分を設けて統制するとか管理をするとか、そういう概念はございません。
 そういう意味では、イギリスのことは私よく存じませんが、イギリスではそういうことでやっているという意味は、私の方が多少区分経理をしてやっていることとは意味が違って、決算的でなしに、初めから経営的にそういう区分の面を持ってやっているんじゃないかと思われますので、私詳しく存じませんけれども、そういう点はどうもほかの国でもそういうことをやり始めておりますので、われわれも経営的にもそういう面を持って見るべきではないのかしらと、何かそういう手法を取り入れる方法はないのかしらということを時折思い出しては考えておるというのが現状でございます。
#186
○田英夫君 素人の私が教えてあげますよというのはまことに逆でありますけれども、こういうやり方ができないものでしょうか。いまのイギリスの例から考えますと、なぜイギリスが分けているのか、私なりに考えてみると、要するに、先ほど申し上げた商事的な考え方と公共的な考え方というものが、どうしても国鉄の性格上、これは日本に限らず国有鉄道、国鉄的な経営である限りつきまとってくると。だから、さっきの冒頭の例で言えば、同じふろ屋でも、これは町営のふろ屋みたいなそういう公営的な要素がありますから、この二つのいわば矛盾するものをどういうふうに分けてというか、調整して考えたらいいかということにもっと頭をしぼっていただきたい。そこのところがいま高木総裁のお答えからしても、やはりあいまいである。鉄道の先進国がやっているにもかかわらず、日本の国鉄がやってないということは、やっぱりお役所的というか、親方日の丸的な体質だなと思わざるを得ないんですね。
 それで、こういうことじゃないんでしょうか。たとえば、いまのこの分け方自体、大変素人的でありますけれども、たとえば新幹線というものは私の知る限り、やはりこれはある程度収益が上がるものだと、これはいいんだと、こういうことのようでありますね。また現に東北新幹線や上越新幹線は、やがて十年後にはこうなるというようなお答えもこの委員会でもここのところ出てきていると。新幹線というのはやはり一つのカテゴリーでしょうね。在来線と比べれば、これはもう明らかに違うでしょう。したがって、在来線とは区別して新幹線という一つがある。もう一つは幹線ですね。既存の東海道線のような幹線のお客さんですわね、お客さん。新幹線もお客さんですから、これもお客さんです。幹線旅客。それから、全体を通じての貨物ですね、これは新幹線はありませんから、結局、在来線の貨物ですね。それはローカルを含めて全体の貨物、こういう三つに分けまして、この三つは私の知る限りの知識で言えば商事的要素でやっていけると、こういう区分けができるんじゃないでしょうか。
 これに対して、いわゆるローカルの旅客ですね。これは今度の政令でどうだこうだと問題になっているこの再建法案の一つの大きな問題点になっているところでありますけれども、このローカルの旅客と、もう一つは東京や大阪のような大都市圏の輸送ですね、いわゆる国電。こういうこの二つについては公共的な要素を強く考えなければいけないんじゃないか。もう一回申し上げれば、新幹線と幹線旅客と貨物は商事的に考えていいんじゃないだろうか。ローカル旅客と大都市圏交通輸送というものは公共的な要素を強く考えなければいけないんじゃないだろうか。そういうこの二つの区分けができて、五つのカテゴリーに分けて収支決算、経営を考えていけば、これからの整理が非常にやりやすいといいますか、明快にできるんじゃないだろうか。そして私どものような素人にその二つに分けての数字もお示しくださり、またこれからの計画というような形で示してくださればよりわかりやすいんじゃないだろうか、こういう気がするんでありますが、いかがですか。
#187
○説明員(高木文雄君) 実は日本の会計の中で特別会計と一般会計に分けるということは非常に古くから行われております。ところが、特別会計といえども、何といいますか、官庁会計的でございまして、いわば大福帳みたいなことになっておるわけでございます。そこで、いまたくさんあります特別会計の立て方では大変、どの特別会計も、何といいますか、特別会計にはしてありますけれども、今度特別会計の中の立て方は勘定を余りきちっと区分けをしてやっていくということにはなってないわけでございまして、昭和三十年の終わりごろでございましたか、四十年に入ってからでございましたか、現在の食糧管理特別会計を米勘定とか麦勘定とかとその当時初めて区分けをいたして、そして少しずつ明らかにしたことに携わったことがございます。この国鉄の会計は、公社になります前の鉄道特別会計の伝統的な性格をそのまま引き継いで余り進歩してないというのが実態でありまして、やっと十年ぐらい前から決算面だけについて線区別とか、あるいは旅客とかも区分するというようなことをやるようにいたしたわけでございますが、おっしゃるとおり、本来大分利用者負担で何とか賄っていくべきものと、それから納税者負担を持ってこなければならない、つまり公共性を持っている部分、採算的に合わない、商事的なものでないという部分とをもう少し明快にしなければならぬのではないかという気持ちは私は実は持っておるわけなんでございますが、そうしたことにつきましても、一体国鉄は何をいたすべきやということが必ずしもはっきりしてなかったわけでございまして、ここ数年の過程におきまして、都市間の交通と、それから大都市圏の交通と、それからもう一つは、貨物につきましては大量定形輸送というようなことをやりなさいよということが、ここでのいろいろな法案審議の過程を通じての御意見の中に、ここ数年の間にだんだん出てまいりました。また、それを受けて、しばしば先ほど来御引用いただきました何回かの閣議了解というような文書の中でも、そういう言葉がだんだんちらつくようになってきたわけでございまして、いま御指摘のように、そういう方向を進めるということにだんだん性格がはっきりしてまいりましたので、たとえば勘定を区分するとか、そういう方法を通じてこの利用者、国民の皆様にわかりやすいような会計システムに近づけていくべきではないかという点については、ただいま御指摘のことについては、私も非常に強い共感を覚えるという感じでおります。
#188
○田英夫君 全く素人の考えですから専門家にそれをもっといい方向にしていただきたいんですけれども、使う、乗る側の立場からすれば、あるいはこうやって国民の立場からこの法案をどうするかということを考えると、やっぱりもう少し明快にその区別などがわかるようにしておいていただかないと、理解できないといいますか、その意味でも、重ねていままでの国民の皆さん、利用者に対する理解のための説明が足りなかったと、まあこの際出直して、一回この法案を引っ込めてPRをなさり、案を練り直して、こういうあれの立て方もつくり直しておやりになった方がいいだろうと、こう申し上げざるを得ないんでありますが、もう一つここで、先ほどは事故の場合の損害のどういうふうになっているかとかいろいろなお話もありましたけれども、大変残念なことでありますが、ただでさえ困難な苦しい国鉄の経営の中で、国鉄の内部の人から水が漏れているようなことがあっちゃならぬのでありまして、ひとつこういう文書を見せられましたのでこの機会に申し上げておきます。
 これは人権の問題もありますから当事者の名前は伏せておきますが、私には全く専門的でわからない文章なんで、短いからそのまま読みます。ある個人がいわば始末書として書いた内部での文書の一部なんですね。ですから、私はこの人を追及しようとか、国鉄全体だらしがないぞと言おうということじゃなくて、こういうことがやはり幹部の皆さんの間で見過ごされていてはいかぬと思いますので、この機会に申し上げるという程度でおとりいただきたいと思います。
 私は、ということでしょうけれども、この人物は「出札業務におけるマル職割引証と座無効券の取扱方について、私出札の後方勤務中万分比を上げるためマル職割引証や座無効券の取扱で浮き金を作りこれを充当した事は何回かあります。勿論この様な事は出札担当者として許されるべきものではない事は充分承知致しておりますが、従来からのしきたりでそのまゝ」、ここがちょっと問題ですけれども「従来からのしきたりでそのまゝ現在まで継続しておりました。その間昨年一〇月後方勤務を後輩の〇〇君に引継いだ時もなんらの矛盾を感ずる事無く引継いでしまった事は、先輩職員としては誠に申し訳なく感じて居ります。又五月二五日に〇〇営管総括が」と書いてありますが、要するに偉い人ですね、「座無効の取扱で四千円の浮金を作り翌五月二六日にその旨〇〇君より話をされましたけれど、たとえ総括であろう共注意出来ずそのまゝ黙認したことは出札責任者として深く反省して居ります。」、こういう要するに内部の始末書ですね。こういういま読んだ中で、言葉の上で第一わからないことがたくさんあります。そのことも入れてお答えいただきたいと思います。
#189
○説明員(吉井浩君) 私も完全に理解いたしかねる点も若干ございますが、いま万分比とおっしゃいましたのは、出札で一々切符を売りますが、そのときにもちろん個人の悪意でなくても、たとえばお客さんから十分な金をいただかずに切符を売ってしまったとか、あるいはつり銭を間違えたとかそういうことがございます。かつてはそれを全部個人弁納ということにいたしておりました。その後いろいろ経緯はございましたが、ある範囲までの間違いは、多額の金銭の出納を忙しい時間にいたしますのでこれはやむを得ないというふうに認めますが、その誤りが非常に大きいという場合には、やはりその駅、その出札の責任である。出札として、これはグループの恐らく責任になろうと思いますけれども、おまえ非常に成績が悪いということを、実は営業関係では万分比というものを、この駅における金銭取り扱いの一つの指標というふうに見ておるわけでございます。ちょっと私も、しかと情勢を把握いたしかねるのでございますが、ただいま先生お読み上げになりました中から申しますと、どうもその駅は比較的その万分比という形での不足金が多いと、そこで、それをそのまま出すことをはばかりまして、マル職というのはこれは職員の家族に対する割引でございまして、この扱いは最も厳正にしなきゃいかぬということで、私ども非常に特にこの点に関しては注意をして現場を指導しておるわけでありますが、これによりますと半額になりますので、その半額として売ったというのと満額との差を恐らく収入に立てる。ですから、恐らくそれはいま先生お読み上げになりましたのを伺いながら、個人がその金を着服したということでなしに、その出札としての不足金が出たのを何とか埋めるためにそういういわゆる浮き金というものを立てたのではなかろうかというふうに思うわけでございまして、出札の扱いでございますので、もしその金銭が個人なりあるいはその収入管理の立場にある者の私用に供せられたということになりますと、これは始末書で済む問題ではございません。特に私どもそういう出札の金銭に関しては、そういう非違に対しては厳密な処分をこれまでもとってまいったわけでございますが、恐らく先生おっしゃいましたその文章によりますと、そういう間違いを何とかカバーするために、またそういうよからぬ手段を使ったということではないかというふうに推測をいたします。
#190
○田英夫君 いま申し上げたように、このことをどうのということではないんでありますけれども、やはりもう一つ私は国民の一人として心配しますのは、今度のような形で国鉄再建法案が出てくる。地方で実際に直接お困りになる国民の皆さんの怒りといいますか不満、これはひとつ当然重要な問題として考えなければいけませんが、もう一つは、やはり国鉄の中の皆さんがいろんな意味で仕事に対する熱意というようなことで、先ほど大臣は非常にいい言葉で、燃えるようなという意味のことを言われましたけれども、そういう意識を失ってしまうと、いまのは金にまつわる問題でありますけれども、これも重要でありますが、さらに人命を預かるお仕事でありますから、その点からもやはりこうした法案一つの出し方といいますか、そういうものもまことに重要、重大だと思いますので、いま唐突でありますけれども申し上げたわけです。
 あと、その次の問題は、いわゆる地方交通線の問題、これは専門的に皆さんからいろいろな御指摘がありました。私は、むしろ一国民とすれば、最大の不満は、繰り返して皆さんもおっしゃっていた、まだ手のうちが明かされていない政令で実際にはその自分のところの線が切られてしまうという、そういうことだと思わざるを得ないんですね、やはり。これは、私は普通の法律と政令という関係、これは立法府と行政府の宿命のようなもので、われわれ立法府の立場からすれば、あるいは国民の立場ということを背景にして言えば、できるだけ詳しく広い範囲にわたって法律で規定をしていただきたいと考えるわけでありますが、行政府の立場からすれば、これはもうやはりできるだけ任せていただきたい、こういうふうにお考えになるのがある意味では当然なんだろうと思うんです。しかし、今回のこの問題は私はいささか性格が違う。ですから、御答弁を伺っていると、政令というものはという御答弁が繰り返されているんでありますけれども、実は私はこの問題は違う、こう言わざるを得ないんですね。このことは余り繰り返しても仕方がありませんが、やはりどうして、全国にまたがって大変ですけれども、実情も勘案しということまで含めてこれこれの線はやはり対象になりますよということが出せないのか、ここがどうしても私も理解ができないんですね。しかも、この運輸省案という形で私どもに提示をされたものを読んでみますと、それが機械的に当てはめられた場合には大変なことになる。一方で、当然、最後の方にあるところで、何というんでしょうか除外例のような、こういうところは考えますというのがある。そうすると、それが政治の力でぐっとふくらまされるんじゃないかという危惧を逆に庶民は持つわけです。二重の不安を持たしてしまう状況にあるんじゃないか。当該対象地域になるであろう住民の皆さんは、そういう意味で疑心暗鬼といいますか心配をされる、これは自分たちの足が奪われるかどうかということでありますからあたりまえであります。
 同時に、いろいろこの委員会でも問題になりました与党の責任者の皆さんの御発言など、あるいは間接的にですが、私の聞いている限りでは、議員さんたちの地元での発言という形の中では、その除外例的な部分が拡大するのではないかという憶測も生まれている。まさに対象地域の皆さんと一般庶民のそういう疑心暗鬼と、二重の疑惑をいま生んでしまっているのが現実と言わざるを得ないのですね。これはやはり通常の政令ならば、行政府と立法府の間のそうした姿勢の違い、立場の違いというもので済まされますけれども、これはそれでは済まされない問題だ。ここのところをひとつ従来のいきさつにとらわれずに運輸大臣もお考えをいただけないんだろうか。政令という名前にとらわれてしまうと、政令はと、こう言いたくなるであろうことはよくわかるのでありますけれども、実際の現実を見たときには、いま申し上げたような二重の不安、疑心暗鬼を生んでしまっていますから、仮にこの法案が通って法律になった、施行された、さあ政令をつくりますという段階になってしまったときには大きな混乱が各地で起こってくるというおそれを、むしろいまつくっているんじゃないか、いかがでしょうか。
#191
○国務大臣(塩川正十郎君) 二つの考え方がございまして、一つはこれを全部法律に対象路線を書き上げて法律として出すということがございますが、しかし、これはその法律が施行いたしますまでの間にやはりいろんな変化が起こってくることでございまして、そこで基準ということで出した。そうしますと、その基準はこれは厳格にやっぱり私は守るべきだと思うております。しかしながら、おっしゃるように基準を守り切れないところが実際の問題としては出てまいります。そこがいま疑惑を呼んでおるんだと、こういうお尋ねでございます。
 そこで、この基準を、これは私たちも政令をつくる場合に動かすことはできないと思うておりますし、この基準はあくまでも格守したい。しかしこの法律を政令をつくって実施する場合になってまいりますと、これは運輸省、国鉄だけではできないわけですから、各省庁と必ずすり合わせしなければなりません。その場合に政府として責任を持つ政令ということになってまいりますと、この文言の解釈一つにいたしましても大変なんです。でございますからいままで政令がまとまらなかったんですが、法が成立したときにその文言等も含めて政府の意思を統一いたしたい。で、おっしゃるような私は疑念が出てくる、この疑念に対して国民をどう納得さすのかということ、これは私は重要な問題だと思うんですが、ついてはこの閣僚協議会等において各省庁の一致した、つまり政府の合意をつくる過程はできるだけ公開して、こういう経過でこういうぐあいに政令が決まってきますということを申し上げることが、私はそれを理解していただくのに少しでも役立つんではないかなと、こう思うております。
#192
○田英夫君 いま閣僚協議会とおっしゃいましたが、関係閣僚の会議だろうと思いますが、それはいまのところどういう大臣で構成をされるおつもりですか。
#193
○国務大臣(塩川正十郎君) これは、私一存ではまいりませんが、私がいま想定しておりますこれの関係省庁と申しましたら、まず運輸省、それから大蔵省、自治省、それから建設省、国土庁、それから北海道開発庁、それから文部省、通産省、農水省、そういうところではないかと思うんですが、あとまあこれは私一存でまいりませんで、官房長官から内閣閣僚に諮る問題だろうと思うておりますが。
#194
○田英夫君 まあ私は大臣に実は同情したいんですけれども、いま基本的に私は政令をいままだお出しにならないということに対して非常な不満があるわけですが、にもかかわらず同情したいのは、さあこの法案は通ったとしても、政令がおつくりになれますかということをいままた言わざるを得ないんですね。過去の例でも、これはもう塩川さん御自身がいろいろ御経験になっていることで申し上げる必要ないけれども、あれは数字がありましたね。四十四年度以降八十三線二千六百キロをバスにかえると、こういったら、四十七年度までの間に十一線区で百二十一キロができたにとどまったと、廃止したにとどまったというこの過去の例ですね。これは運輸省からですか、国鉄からいただいたこの資料にも「地元の強い反対により、」と書いてあります。それは事実だからそう書いてあるんでしょうけれども、この状態というものが、先ほど大臣はずいぶん変わってきたとおっしゃったけれども、私は、自分の足を奪われるかどうかということになってくると、国鉄の経営状態が非常に危機的になっているということよりも、それは知っていても自分の毎日の足が奪われて、しかも高校生が学校へ通うのにバスに乗っていかにゃいかぬ、それをバス代にしたら大変なお金に今度はなるんだと、まあいろいろ特別の配慮があるということのようでありますけれども、それにしてもいろいろな不安がある。代替交通機関のないところといったら本当にこれはそんな国鉄の経営どころの騒ぎじゃないですからね。そういうことからすればちっとも変わっていないと考える方がいいんじゃないでしょうか。
 ですから、そういう地元の皆さんのお気持ちを反映して、さらに今度の案で言えば、地方自治体の方はこれは直接にいろいろ問題をかぶってくることになってくるということからすると、いま自治省の名前もお挙げになった、文部省も関係してくるでしょうね。こういうところで、いやわかっていますからひとつやりましょうとお役所自体もなかなかおっしゃれる状況じゃないんじゃないでしょうか。それは政府の一体のお立場ですから、大臣が集まればひとつ協力しましょうということかもしれませんけれども、しかし、それぞれの大臣の責任がありますからね。政令まとまるんでしょうか。
#195
○国務大臣(塩川正十郎君) これは、御承知のように法案提出いたしましたときに、すでに内閣で原則論として合意しておる。でございますから、これは政令としても内閣の責任でまとめざるを得ないんで、これは私たちがもう死にもの狂いでそれこそまとめていかなきゃならぬと思うんですが、先生さっきおっしゃった四十四年当時、四十六年から正式にこの地方閑散線、発足したんですが、その当時から事情は変わっていないというお話でございます。まあ概観的に見たら私は確かに変わっていないようでございます。それでまた地元の要望というものも、希望というものも変わっておりません。しかし、私は微妙なところで変化が来ておるように一つは思うておるんです。それは、一つはいままで四十年代でございましたら国の財政もしっかりしておりましたから、そんなことを言ったって国鉄には結局国、金出しよるでえということで一つの甘さがあったということ、これ一つございます。
 それから、その当時に見ますと、バス路線の伸びというものが現在と比べまして非常に変わってきております。これは道路が変わっただけじゃなくして、バス路線が非常にふえてきております。で、逆に言いまして、過疎地帯は整理されてきておりまして過疎バスは収拾されてきておる、こういうこと。そこで、私たちは政令をつくる段階でこれと並行してやはり地域の交通ということ、そして地域のいわゆる過疎対策ということ、それから民生対策、最近は健康保険につきましても各県が音頭をとりまして、相当移動診療というのを、これは相当数、四十五、六年当時からふえてきておりますし、そういう総合政策をやっぱりとるということが、この政令を決めるときと同時的にやはりそれを決めていかなければ政令のまとまりはなかなかむずかしいのではないかと思うたりするのでございまして、そういうことを並行して考えていきたいと思っております。
#196
○田英夫君 その政令の問題というのは依然としてやはりわからないんですが、もう一つ先に進めまして、ここにまさに法律施行後の手続という資料をいただいている。これをずっと拝見しますと、知事が登場するところがあるんですね。まず法律、しかも政令もここで出てきたことになっていますが、そうすると五段階目ぐらいのところで、特定地方交通線が選定をされたというところで知事の意見が出せるようになっているんですね。で、ずっとまたこの進む場合を想定いたしますと、それからどんどんどんどん決まっていっちゃって、それでいよいよ「第一回会議」、「第二回会議」などというのがあって、ずうっと終わりの方で「適宜、学識経験者の意見を聞く。」というところで、「地域交通関係の学者・評論家、関係地方鉄道業者、関係バス事業者、沿線学校長など」、こう書いてありますけれども、この知事の意見というのは具体的にもう少し御説明いただけませんか。どういう形で出してくるのか、どういう段階で。
#197
○国務大臣(塩川正十郎君) まず最初の、特定地方交通線を選定いたしまして、国鉄が選定いたしますね、そしてそれを関係知事に通知いたします。で、ここで私が、つまり運輸大臣が意見を知事から聞くというのはこういうことではないかと思っておるんです。これは国会でも私答弁しておるのでございますが、知事のその実情を訴える、あるいは政治的配慮を請うとかいうような、それは聞けないと思うんです。けれども、国鉄のいわば認定というのですか、選定した基準による、たとえば今度いま一番問題になります二千人区でございますね、二千人区、これはどうも国鉄の数字はインチキだ、間違っておる、もう一回厳正にこれを一回調べてもらいたいと。最近、つまりつい四、五カ月前に学校が建って、それがために思い切りうんと乗客がふえておる、国鉄の資料は五十四年度の資料だ、こういう食い違いがあると。なきにしもあらずだと思うんです。それと、ことし一月の調査、たとえばの話、一月の調査によると何人キロだ、しかしことしの二月からこういう工場ができてこれをやっとるじゃないか、操業しておるじゃないかという、こういう意見もあろうと思います。そういうようなものがありました場合、私はやっぱり大臣というのはそこは聞くべきではないかと、こう思うんです。ですから、そういう科学的に客観性のある問題についてやっぱり意見を聴取する必要があろうと、こういうことでございます。
 それからもう一つ、学識経験者の意見をいろいろ聞いて、そうしてまたずっとすぐ協議が調わないというところで、そこで知事の意見を聞く段階があります。これは要するに、代替交通も不満だと、これじゃとてもじゃない住民の足は確保されない、したがってしかじかの方法を講じられたいと、こういう意見がつけてきた場合、その場合は私はその足の確保についてなお慎重に考えるべきだと、そういう意味にとるべきだと、こう思うておりまして、そうでなければ、運輸審議会にかけても、もうたとえ運輸審議会であっても大臣としては許可できないぞと。いわゆる足の確保の面についての意見、これは真剣に聞かなければいけない。前のは真剣じゃないという意味じゃないですよ。ないですが、性質は私は違ってくるんじゃないかと思うております。
#198
○田英夫君 知事に二段階ある、そして、言葉じりをとらえるわけではありません、この資料の文字づらをとらえるわけじゃありませんけれども、これをずうっと、どこを拝見しても、地域の住民というものが全然登場してこないんですね。これは一体知事の意見の中に反映されるとお考えなのか、あるいは、ここにずらずらと並べたのは一つの例であって、学校長とか学者、評論家とか書いてありますが、一ページの右の方にこう書いてありますね、そのところに地域住民というのが入るのか。いまの社会情勢を私の感覚で考えれば、学者さんもいいですし、評論家もいいですけれども、いま地域の住民の皆さんこそ実に多くの意見をお持ちであり、その人たちがじかに関係する方方なんですから。その人たちの意見というのはついぞ最後までないんですね。これはどういうふうに考えたらいいんですか。
#199
○国務大臣(塩川正十郎君) これは不特定住民という意味になってくると思うんですが、そういう方々の意見ということではなくして、市町村長とか、あるいはまた市町村長が指定する特定の人、こういう人、いわゆる地方自治体をもってその地元の意見ということにかえさしてもらいたい。これは、いままで、いろいろな手続等によりまして、住民との意見の交換とか、あるいは住民の意見を聞くということをやってまいりましたが、しかしながら、結局、そういう過去の経験を言いましたら、最後の住民の意思としての決定権を持っておるのはやっぱり地方自治体だ。もちろん、市町村長といえども単独で行動できません。必ず市町村議会に諮ってでないと市町村長としての意見は出してこれないだろうと思いますし、いたしますので、そういう扱いをいたしております。
 そこで、この意見を実は二回聞くことになりまして、協議会を組織しまして第一回やるときそこに入ってもらう。そのメンバーに入ってもらって、そこで一回聞く。それから、先ほど先生おっしゃった第二回目から幹事会を開いて随時聞く。このときには相当幅広く、たとえば学校長とか鉄道関係、バスの関係者、こういう者に聞くとなっております。この意見を聞くというのは、あくまでもその地域における公的な立場におる方の意見ということにしぼっておるということでございまして、不特定の多数の中から選ばれた住民の意見というのは、いずれかの団体にその方は属しておるというたてまえをとっておりますので、この法案においてはそれは扱っておらないということなんです。
#200
○田英夫君 まさにそこなんですね、私の感覚で言うと、問題は。それがきょう私が冒頭から申し上げている庶民感覚と違うところなんですよ。おふろ屋さんの感覚と違うところなんですよ。だから、発想の転換が必要だとも申し上げたんですね。私はいまいろんなところでいろんな人に会ってくる、そして、政治にかかわっているその立場からすると全く違うということです。失礼ながら労働組合にも属していない、だから労働組合を背景にした御意見だけじゃだめなんですね。同時に、まあ率直に申し上げて、自民党の皆さんの選挙を一生懸命に応援なさるようなそういう組織、それは全国にまたがっているのもあれば地方の組織もあるでしょう、そういう従来の組織というものにも入っておられない方が多いんですね。それが多いですよ、むしろ。非常に多いということですよ。いわゆる私どもはそれを市民と呼んでいるわけですよ。非組織市民と呼んでいるんですよ。そういう人たちの意見は一体どこで出てくるんですかということを言っている。
#201
○国務大臣(塩川正十郎君) それは協議会がそういう方々の意見を聞かれる、これは私は当然あってしかるべきだ、こう思うております。ですから、それもだめなんだと、そういうことは言ってないんです。しかし、協議会とか、あるいは幹事会で意見をまとめていただくメンバーはそういう方で構成する、その方の意見でやっぱり判断をいたしたいと。しかし、その委員の方々あるいはその協議会なり幹事会が一般の方の意見を聞く、これは大いに結構なことだと思いますし、また当然そういうことはいずれの協議会においてでも行われるんではないかと、こう思います。
#202
○田英夫君 ですから、これは資料の欠落というふうに好意的に考えさしていただきたいんです、資料の中の。というのは、ここが本当にお役所式なんですよ、この資料のつくり方がね。それなら、ここに協議会のメンバーというのが書いてあります。この中で積極的にこの国鉄再建法に協力をして、こういうこの線について廃止を進めようと、こういうお立場の方というのは、この中でいくと運輸省陸運局長、あと国鉄の鉄道管理局長、あとは必ずしもそうじゃないんですね、ここに出てくる協議会の場合。この協議会の中自体、真っ二つとは言いませんよ、一致した空気ではないわけでしょうね。しかもそこに並んでいる方は、何とか局長とかいう、つまりお役所の皆さんが集まってその地域の方向について決めるんだというこの考え方、この協議会という考え方自体がすでにお役所式なんです、私の感覚から言えば。いま塩川さんは、大臣はそこに地域の住民を呼んで話を聞いてもいいんですという程度のお答えなんですね。私どもの発想からすれば、当然この協議会に地域の人たちの意見がじかに入ってくるようなものが構成の上ですでにできてなくちゃいかぬ。こういうその感覚の違いが非常に気になるんですよ。
 重ねてひとつこの地域住民の意見というのはどの段階でどういうふうに具体的に入ってくるのか。そこのところ実はずばり申し上げて余りお考えになってなかったんじゃないですか。だから、ここで話を聞いてもいいんですよという程度のお答えしか返ってこないように思うんですよ。
#203
○政府委員(山地進君) この協議会の使命がまず問題になろうかと思うんでございますけれども、この第九条に書いてございますように、「特定地方交通線を廃止する場合に必要となる輸送の確保に関し必要な協議」と、こういうことで、この協議会の構成はこの輸送の確保に関するそれぞれの権限を持っている人たちが集まって、そういった、どういう確保をしたらいいのかということを協議するということでございまして、先ほど大臣が申し上げましたとおり、住民の方々の御意見はもちろんいろいろな場所でも聞きますでしょうし、それから協議会自体でもお聞きになることは一向に構わないのでございますけれども、その輸送に関する措置自体につきましては、そういった権限事務を持っている方々が集まって協議をするということで構成してあるわけでございます。
#204
○田英夫君 時間がありませんから……。
 いまの局長のお答えはそれなりにこの段階ではわかるのでありますが、結局そういう段階を経て、最後の方まで次のこの資料でページをめくっていっても、具体的にどこで住民の皆さんの意見を聞くんですかということが、この資料で言えば字の上には入っていない。呼んで聞くという程度になっているというところに問題があるということをやはり申し上げざるを得ない。
 ですから、先ほど申し上げましたけれども、東北新幹線の東京の北区の住民の皆さんのああいう反対運動が根強くなっちゃうと、もっと初期の段階で住民の皆さんの話を聞いておけば違ったんじゃないかと申し上げましたけれども、今度もまたそのことを繰り返すおそれがあるということをまたむしろ私は忠告を申し上げたいんですね。それで、人間ですからね、やはり自分たちの意見を、その中にだってそれぞれ違った意見がおありでしょうけれども、まず住民の皆さんの中でいろいろな意見が違うのを話し合ってみる、その中から一つに、あるいは一つか二つかという形に集約をしてくるということ自体、やはり住民の皆さんの中で起こってくるような、そういうことを皆さんの方から促進をしてあげると。そこで、その一つなり二つになった意見をじっくり聞く場をお持ちになると、持つということをどうしても経ないと、一挙にこれが反対というのぼりになって打ち上げられる、これが心情というものじゃないでしょうか。庶民の気持ちというのはそういうものじゃないだろうか。そこのところをもっと御勘案にならぬといけないんじゃないかと思います。
 実は、きょうはこの会期の最後の委員会でありますから私は最後の質問者ということで、このままの状態で、いま皆さんの御質問なりお答えを伺っている限りで、やはり私はこの国鉄再建法案というのはきわめて準備不十分であるし、庶民の心情を理解していないし、また、特に関係するであろう住民の皆さんのお気持ちを考えていないと、立場を考えていないというふうに思わざるを得ないのでありまして、このままなら、審議が十分できておりませんし、まだまだ私自身も納得できないことがたくさんあると、皆さんもそう言っておられるという状況の中で、どうやらこの国会では一回お取り下げをいただくということの方が、日本の将来のために、あるいは国鉄の将来のためになるんだろうと、なるのではないかと、こう思わざるを得ないということを申し上げて私の質問を終わります。
#205
○委員長(黒柳明君) 速記をとめて。
   〔午後五時五十二分速記中止〕
   〔午後六時二十一分速記開始〕
#206
○委員長(黒柳明君) 速記を起こしてください。
 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日、理事会に社会党の目黒今朝次郎君から修正案が提示されましたが、これを委員長預かりとし、提案の時期等については別途提示いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時二十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト