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1980/11/11 第93回国会 参議院 参議院会議録情報 第093回国会 商工委員会 第3号
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1980/11/11 第93回国会 参議院

参議院会議録情報 第093回国会 商工委員会 第3号

#1
第093回国会 商工委員会 第3号
昭和五十五年十一月十一日(火曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十四日
    辞任         補欠選任
     長谷川 信君     松尾 官平君
 十月二十九日
    辞任         補欠選任
     大木  浩君     江藤  智君
 十一月六日
    辞任         補欠選任
     吉田 正雄君     戸叶  武君
 十一月七日
    辞任         補欠選任
     戸叶  武君     吉田 正雄君
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長          金丸 三郎君
   理 事
                土屋 義彦君
                前田 勲男君
                吉田 正雄君
                市川 正一君
   委 員
                岩本 政光君
                上田  稔君
                川原新次郎君
                楠  正俊君
                斎藤栄三郎君
                松尾 官平君
                森山 眞弓君
                阿具根 登君
                小柳  勇君
                対馬 孝且君
                田代富士男君
                馬場  富君
                井上  計君
                森田 重郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   田中 六助君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房広報室長兼内
       閣官房内閣広報
       室長       小野左千夫君
       公正取引委員会
       事務局取引部長  劒持 浩裕君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  妹尾  明君
       北海道開発庁総
       務監理官     大西 昭一君
       通商産業大臣官
       房審議官     神谷 和男君
       通商産業省立地
       公害局長     松村 克之君
       通商産業省機械
       情報産業局長   栗原 昭平君
       通商産業省生活
       産業局長     若杉 和夫君
       工業技術院長   石坂 誠一君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
       資源エネルギー
       庁石油部長    志賀  学君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    福川 伸次君
       特許庁総務部長  谷口 光夫君
       中小企業庁長官  児玉 清隆君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       国土庁長官官房
       参事官      井出誠一郎君
       大蔵省主計局主
       計官       日吉  章君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部業
       務課地方交通線
       対策室長     金子 史生君
       労務省労働基準
       局監督課長    岡部 晃三君
       会計検査院事務
       総局第四局上席
       調査官      土居 徳寿君
       日本国有鉄道地
       方交通線対策室
       長        岩崎 雄一君
   参考人
       地域振興整備公
       団副総裁     中橋敬次郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (代替エネルギーの開発に関する件)
 (自動車の輸出摩擦に関する件)
 (産炭地対策と国鉄地方線廃止問題に関する件)
 (灯油の価格及び流通に関する件)
 (工業再配置に関する件)
 (新聞の拡張販売に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(金丸三郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十月二十四日、長谷川信君が委員を辞任され、その補欠として松尾官平君が、また十月二十九日、大木浩君が委員を辞任され、その補欠として江藤智君が、それぞれ委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(金丸三郎君) 次に、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 吉田正雄君が一時委員を異動したことに伴い、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に吉田正雄君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(金丸三郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 産業貿易及び経済計画等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として、地域振興整備公団副総裁中橋敬次郎君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(金丸三郎君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○吉田正雄君 最初に、新エネルギーの研究開発促進と、それから新年度一体どういうふうに予算上の措置を講ずるのか、お尋ねをいたします。
 御承知のように、イラン・イラク全面戦争が始まる前までの世界の石油需給状況というのは、比較的緩やかな傾向を保っておったわけですけれども、イラン・イラク戦争によってまた石油情勢というものは前途非常に厳しいものがあると思うんです。
 そこで、現在政府では今後のエネルギー供給計画について作成中であるということを、先回の委員会答弁で承っておるわけです。特に私は長期的な観点から日本のエネルギー事情というものを考えた場合、これ食糧と同じくできるだけ自給率を向上させるということが重要であると考えます。
 そこで、通産省におかれましても、従来新エネルギーの研究開発に積極的に取り組んでおいでになっている点については敬意を表する次第ですけれども、今後のエネルギー供給計画の中に占める新エネルギーの比重と申しますか、あるいは従来のエネルギー長期見通し、この前のエネ庁長官の言によりますと、あれは政府のものではないんだと、その点はわかっておりますが、そこで、政府のこれから立てられるエネルギー供給目標の中では、この新エネルギーというものを従来のエネルギー需給部会の長期暫定見通し以上に私は重視をする必要があるんではないかというふうに考えております。そういう点で、まず基本的に新エネルギーなりあるいは廃熱利用エネルギーに対する通産当局の考え方をお聞きをいたします。
#9
○政府委員(石坂誠一君) 御案内のとおり、工業技術院におきましては、新エネルギーの技術開発を昭和四十九年からスタートしたわけでございまして、これはサンシャイン計画と名づけておるわけでございますが、太陽、地熱、石炭液化、それから水素、この四本を柱として研究開発をしてまいったわけでございます。しかし、近年におきますエネルギーの情勢が非常に緊迫化したということをとらえまして、五十五年度からそのうちで特に早期に実用化が可能で、しかもまとまった量のエネルギーの供給ができるだろうと考えられます石炭液化と、それから地熱エネルギー、それから太陽エネルギー等に重点を置きまして、この技術の開発を加速的に推進することといたしておるわけでございます。そして昭和六十五年には、わが国の全エネルギーの約五%を供給できるようにこれを目標といたしまして新技術の開発を鋭意行いたいと思っておるわけでございます。
 また、こういった仕事を促進するために、御承知のとおりこの実施の中核体といたしまして新エネルギー総合開発機構を本年の十月一日に発足させましたことは御案内のとおりでございます。
 こういったことで、今後とも新エネルギー技術開発の加速的推進を図るために鋭意努力してまいる所存でございますが、さしあたりましてサンシャイン関係だけで申し上げますと、来年度の予算はことしの三〇%ぐらい増しを要求していきたいというように考えております。
 後段に廃熱のお話が入りましたんですが、私どもの廃熱に関しましては、ムーンライトと申します省エネルギー対策の研究開発の中で取り上げておるわけでございます。御案内のとおり調査をいたしますと、工場で有効でなく捨てられている熱というのが五割ぐらいもあるということでございまして、これを高温のガスだとか、あるいは製品の持ち出す熱だとか、あるいは冷却水に持ち出される熱だとかをいろいろ分類いたしまして、それぞれを回収する技術をいままで研究開発を進めてまいりました。おかげさまでたとえばコークスの持ち出す顕熱等につきましては、非常にうまく回収できる技術ができてまいったわけでございます。こんなような関係では、たとえばムーンライト計画におきまして、本年度十億余の予算をちょうだいしておるわけでございます。
 私どもの説明、ちょっと一部でございますので、もしあれでしたら資源エネルギー庁の長官の方からもう少し広いお話を申し上げたいと思います。
#10
○吉田正雄君 本年度の通産省の例のローカルエネルギー関係のところを見ますと、いろいろな分野で、大きく言って自然エネルギーあるいは廃熱利用エネルギーというふうに分けられておって、これを全体として地域で総合的に組み合わせていくということで予算も組まれておるようなんですが、この五十五年度ローカルエネルギー関連予算と関連して事業がどういうふうに発展をしているのか。予算との裏づけで、まず最初に本年度の分について御説明を願いたいと思います。
#11
○政府委員(森山信吾君) ローカルエネルギーについての御質問でございますが、まず、ローカルエネルギーという概念が生まれてまいりましたのは五十五年度予算からでございまして、もちろんそのローカルエネルギーの中に入ると思われる個々の項目につきましては、五十四年度までも予算計上はなされたわけでございますが、これをローカルエネルギー的なとらまえ方をしだしたのがいま申し上げましたように五十五年度から、こういうことでございます。
 そこで、五十五年度予算の中にローカルエネルギー予算ございますけれども、五十四年度はただいま申し上げましたように、たとえば太陽光発電あるいは太陽熱発電、地熱開発等につきましての予算がそれぞれ計上されたわけでございます。その個々の項目につきましては時間の関係で省略いたしますけれども、まず五十五年度にローカルエネルギーについていかなる予算がついておるかということを総括的に申し上げますと、一億八千万の予算がローカルエネルギーという名前で計上されておるわけでございまして、これは各都道府県の中におきますローカルエネルギーの賦存量あるいは開発可能性を調査するための調査費ということで計上されたわけでございます。現実には二十三の都道府県に対しまして交付の決定を行ったわけでございまして、大体各県におきましては七百四十万円程度の予算の交付を受けるわけでございまして、これをベースにいたしまして各県それぞれが、先ほど申し上げましたローカルエネルギーの賦存量並びに開発可能性の調査に入るということでございます。これがいわゆるローカルエネルギーという名の予算でございますけれども、ただ、ローカルエネルギーとして位置づけられます個々のアイテムにつきましては、たとえばソーラーでございますとかあるいは中小水力の開発でございますとか地熱等がございます。
 それらにつきましては、五十五年度、まずソーラーにつきましては公的施設用のソーラーシステム設置事業費補助金が三十億円ついておりまして、この三十億円のうち約二十五億円につきましては、十一月四日から八日までの間に第一次の交付決定をいたしまして、決定済みでございます。残りにつきましては年内に決定をする予定でございます。
 それから二番目のソーラーシステム普及促進融資基金造成費補助金につきましては、予算額二十二億をすでに九月下旬に全額交付を決定いたしております。
 それから水力につきましては、中小水力発電開発費補助金、これが十五億五千七百万円ございますが、現在、交付規程を制定中でございまして、十一月中には同規程の告示を行いました上で年内に交付決定の見込みでございます。
 それから地熱につきましては、地熱発電所調査井掘削費等補助金二十三億九千八百万円予算がございますが、現在、交付決定の準備中でございまして、十一月中には交付決定の見込みでございます。
 最後に、地熱開発促進調査費補助金二十五億九千七百万円計上いたしておりますが、現在、開発の地点を選定中でございまして、地点を選定後遅滞なく交付を行いたい、かように考えておる次第でございます。
#12
○吉田正雄君 いま、五十五年度の事業計画、それから内容についてお聞きをしたんですけれども、私率直に申し上げまして、まだこの程度の規模では本格的に腰の入った事業だというふうには思えないんですね。
 政府の代替エネルギーの中心的な二本の柱というのは、御承知のように石炭その他のエネルギーと原子力、こういうふうになっておるわけですけれども、新エネルギー開発機構が発足をした最大の理由というのは、やはり、いま説明のあった新エネルギーの開発をより積極的に行おうという趣旨だと思うんですね。その趣旨からいたしますと、この程度の規模の新エネルギー開発で、果たして将来の日本のエネルギーというものを考えた場合に十分であるかどうかということになると、はなはだ私は不十分だというふうに思うわけです。予算からしても、原子力に対するものと比較をいたしますときわめて少額ではないかという感じがするわけです。新エネルギー機構全体の予算を考えた場合には、従来の石炭公団等を全部引き受けてやっているわけですから、そういう点では相当な額になっておりますが、新エネルギーそのものを見ますと、決して十分な予算とは言いがたい。これだけエネルギー問題というものが論議をされながら、具体的な予算の裏づけになるときわめて少ないんではないかというふうに思っておるわけです。
 そこで、五十六年度のローカルエネルギーの開発利用促進ではどういうことを計画をされておるのか、また予算としてはどれくらい必要だというふうに考えておいでになるのかということをお聞かせ願いたいと思いますし、それと関連をして、新エネルギー開発機構の役割りというものは法上も明示をされてまいったわけですけれども、この新エネルギー開発機構の整備拡充も私は必要ではないかと思うんです。発足早々でもうまた整備拡充というのは、ちょっと早急過ぎるんじゃないかというふうにお考えになるかもわかりませんけれども、もともと新エネルギー機構というものは発足当初からあれでは不十分ではないかというふうに私ども考えておったわけです。そういう点で来年度のローカルエネルギーの事業内容と、考えておいでになる予算、それと新エネルギー機構の将来の整備拡充が必要ではないかという点についての考えをお聞かせ願いたいと思います。
#13
○政府委員(森山信吾君) ただいま吉田先生から御質問のございました新エネルギーにつきまして、先ほど私がお答えを申し上げましたのは、いわゆるローカルエネルギーの分野につきましての予算をお答えしたわけでございます。新エネルギーという考え方とローカルエネルギーという言葉が必ずしも現在統一されていないと思うわけでございますが、いま先生の御質問をお伺いしておりましてひょっと感じましたことは、私どもがローカルエネルギーと申しておりますのは再生可能なエネルギーということでございまして、いわゆる新エネルギーの中に入れておりますたとえば石炭液化、あるいはタールサンド、オイルサンド等々のものはローカルエネルギーには入っていないということでございまして……
#14
○吉田正雄君 それはいいです、それは私も考えておりますから、入れておりません。
#15
○政府委員(森山信吾君) したがいまして、予算の規模を比較されますと大変困るわけでございまして、ローカルエネルギーの分が少ないから新エネルギー開発機構の予算が少ないというふうに言われますと、大変私どもも残念な気がいたしますので、その点まずお断りしておきたいと思います。
 そこで、新エネルギー総合開発機構の予算でございますが、五十五年度予算額は御高承のとおり、いわゆる新しく開発しますエネルギーの分といたしましては百七十六億円の予算が計上されておりますけれども、それに対しまして五十六年度の要求は六百五十三億円と、こういう要求をいたしておりまして、相当大幅な伸びを要求をしておるということでございます。
#16
○吉田正雄君 私の質問のやり方がちょっとまずかったかもわかりませんが、長官もまたちょっと私の質問を勘違いしておいでになるんじゃないかと思いますのは、私はローカルエネルギーの中に石炭の液化、ガス化等は全然考えておらないわけです。そうではなくて、私の言っている新エネルギーといいますのは、それを除いたいわゆる循環再生可能な自然エネルギーというものを中心に考えておるわけです。したがって、新機構の予算が少ないんじゃないかと言ったのも、その分野に関する予算というものが少ないんじゃないかという点で、私は新エネルギー機構の発足の趣旨からして石炭の液化、ガス化というものも大きな分野でありますけれども、そうではなくてローカルエネルギーと言われている中に含まれる自然エネルギー、こういうものが今後やっぱり大きな柱になってこなきゃいけないんじゃないかという点でいま御説明を申し上げたわけです。したがって、五十六年度のローカルエネルギー関連事業の内容と予算をどのように考えておいでになるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
#17
○政府委員(森山信吾君) 新エネルギー総合開発機構で行う事業のうちのローカルエネルギー部門が少ないんではないかという御指摘でございまして、私どももそういうような気持ちでございます。したがいまして、発足当初はともかくといたしまして、来年度以降この部分の大幅増加を期待したいということでございまして、先ほど申し上げました百七十六億に対します来年度の予算要求六百五十三億、その中身を御説明申し上げますと、地熱エネルギーの技術開発、ことしが八十六億円でございますが、これを百六億円の予算を要求しておるわけでございます。それから太陽エネルギーの技術開発につきまして今年度は十三億の予算でございますが、これを六十二億円に大幅に引き上げたいという要求をいたしております。それから、その他の技術開発といたしまして風力発電あるいは水素製造プラントあるいは電力貯蔵システム等につきまして三億円の予算を十八億円に伸ばしたいと、こういう要求をしておる次第でございます。
#18
○吉田正雄君 まだ最終的な政府のエネルギー供給計画というのが決まっておらない。この前の委員会では大体十一月末から十二月の初めころまでに策定をしたいというふうなお話だったと思うんですけれども、この供給計画の中ではいま質問をいたしております自然エネルギー、こういうものについて数的に明らかにされていくのかどうなのか、当然明らかにされなけりゃ全体の数字というものが出てこないわけなんですが、現状でもしおわかりならば聞かしていただきたいと思うんですね。たとえば先ほど来話の出ております太陽エネルギー、地熱あるいは中小水力、風力、波力、まあ海洋エネルギー、あるいは廃熱の有効エネルギー、こういうものを将来エネルギー全体に占める割合をどの程度にまで高めていくというふうにお考えになっておるのか、おおよその数字がもし現状でわかっておるならお聞かせ願いたいと思います。
#19
○政府委員(森山信吾君) 代替エネルギーの供給目標につきましては、前回の当委員会でもお答えした次第でございますけれども、もう少しはっきりいまの段階で申し上げますと、十一月中あるいは十二月早々にも閣議決定をしたいという気持ちは変わっておりません。ただそういう状況になりますと、恐らく長期需給暫定見通しの数字とほとんど変わりはないんじゃないかということになりますので、いま吉田先生の御質問の新エネルギーのシェアをどの程度に見込んでおるかという御質問に対しましては、長期需給暫定見通しとほぼ変わりありません。新エネルギーの部分は大体一〇%でございますと、こういうお答えをせざるを得ないわけでございます。と申しますのは、長期需給暫定見通しのフレームワークになりました点、たとえば経済成長でございますとか、あるいは輸入石油の上限の問題、これはまだ変わっておりませんので、いまの段階でフレームワークを変更せずに供給目標をつくるということになりますと、どうしても長期需給暫定見通しと同じような結果にならざるを得ないということでございまして、一〇%と申します新エネルギーの部門、これは御指摘のとおり水力、地熱、太陽エネルギーあるいは私どもが言っております石炭液化等の新エネルギー、それを全体をひっくるめまして約一割というようなことを現在は考えておると、こういう次第でございます。
#20
○吉田正雄君 新エネルギーの問題についてはまだ長期計画というか、長期目標が出ておらない段階ですから、これ以上論議をやってもそれ以上また明確な答弁は出てこないのじゃないかと思いますが、私は大臣もお見えになりましたから要望いたしておきたいと思いますのは、とにかくエネルギー情勢というのは長期的な展望を考えますと、これは何もイラン・イラクの戦争だけではなくて、OPECの長期戦略というものも先般発表されておりますが、それを見ても今後のエネルギー需給関係というものは決して緩やかにならない。ますます厳しいものになっていくんじゃないか。そういう点では国内における新しい油田の開発等あるいは石炭の有効利用の拡大等含めまして、自給率をどの程度高めるかということは非常に私は重大な課題だと思うんですね。その中でもとりわけ環境を破壊しないこの自然の再生可能なエネルギーというものを、積極的に開発をしていく必要があるだろうと思いますし、通産省でもその必要性というものを認識をされまして、本年度からとりわけローカルエネルギーシステムというふうなことで積極的に取り組みを開始をされておるのですが、最後になるとやはりこの金の問題ということになってくるので、今日の財政事情、財政再建という中ではなかなか予算上の制約を受けるということはそれなりに理解できますけれども、しかし、長期的な観点から見ますというと、私は積極的な自然エネルギーの開発というものは財政的な見地から見ても決してマイナスにはならないのじゃないか。むしろ石油代金を減らしていくという観点から見ても、非常に有効な投資ではないかというふうに思っておりますので、できるだけひとつこのローカルエネルギーといいますか、新エネルギーの開発に積極的にひとつ予算面でも力を入れていただきたいということを要望いたしておきます。
 そこで、大臣がお見えになりましたので、大臣にひとつお尋ねをいたしたいと思うんです。御承知のように、アメリカ時間できのうですが、十一月十日ですけれども、懸案になっておりました例の日本車を中心とする規制提訴の問題で、アメリカの国際貿易委員会が裁定を下したわけですけれども、三対二でシロという裁定が下されたということはけさの新聞、テレビで報道をされております。そこでお尋ねをいたしたいと思うんですが、まず最初にアメリカ経済の不況というものが私は根底にあって、さらにはアメリカの自動車業界の体質と申しますか、構造的な欠陥というものがあった。それは何かと言うと、大型車中心でやってきて小型車にはほとんど力を入れてこなかったということや、それから多くの欠陥車というものを抱えておるというふうなことが、私はアメリカ自動車業界の今日の状況をもたらした最大の理由ではないかというふうに思っておるんですけれども、アメリカ側ではそういうふうに受け取らないで、とにかく日本の輸入車によって業界が圧迫をされたと、そして雇用関係も悪化をしたというふうな言い方をして提訴になったのではないかというふうに思っているんですけれども、この点は日本側としてはアメリカ自動車業界の今日の状況というものをもたらした最大の理由というものを、どのように分析をされておるのか。それから提訴の理由に対する日本側の反論と言ったらいいんですか、主張と言ったらいいんですか、それがどういうものであったのかということをまずお聞かせ願いたいと思うんです。
#21
○政府委員(栗原昭平君) このアメリカの自動車業界の現況、この不況の状態をどう見るかということでございますが、先生ただいま御指摘になりましたように、私どもといたしましても第一点はやはりイラン革命を契機としますオイルショック、このはね返りによりましてガソリン価格が非常に高騰するという背景のもとにおきまして、アメリカの消費者の需要というものが燃費のいい小型車、日本車にシフトしてきたという点が第一点挙げられようかと思います。
 一方、そういった状況に対しまして、アメリカの自動車メーカーはやはり大型車中心でございまして、小型車に対する対応がおくれておったということが反面言えようかというふうに考えております。
 第二点は、やはりいまもお話にございましたアメリカ国内におきますリセッション、景気の後退ということが原因であろうかというふうに思っております。このために米国内でも高金利政策というものをとらざるを得なくなりまして、自動車販売に対しましても非常にいろいろ問題が出てきたということは御高承のとおりでございまして、そういった中でアメリカ国内の自動車需要というものが全体的に落ち込んできた、この二つの点がアメリカの現在の自動車業界の苦境の原因であるというふうに考えておるわけでございまして、フォードなりUAWなりのITCに対します提訴に対しまして、日本側の反論もこの二つの点を中心になされたものというふうに考えております。
#22
○吉田正雄君 日本でもたとえば先般の委員会で大島つむぎの韓国からの輸入の問題をめぐって、いろいろ論議が行われたんですけれども、私は貿易問題とか経済問題というのは、相互の主張とか実情というものを正しく相互が認識し合うという中から、正しい解決が出てくるんじゃないかと思うんですね。一方的に遠慮があったり、一方的に押しまくるということでは正しい解決にならないと思うんですね。
 そこで、お尋ねをしておきたいと思うんですが、アメリカにおける日本小型車のシェアが一体どれくらいなのか。それから、この前私ども中南米ずっと回って見てきたんですけれども、中南米では日本の小型車というのはほとんどない。フォルクスワーゲンとか、あるいはフォード等のアメリカ車が圧倒的であって、トヨタ、日産なんていう自動車はブラジルなどあの辺に行った場合には何台も見かけなかったというのが実情なんですね。そういうことで、日本車、日本車というけれども、ヨーロッパや中南米等、アメリカを除いてはそんなに大した影響はないんじゃないかというふうに思ってるんですが、そういう点で小型車のシェアが世界的にどうなっているのかお聞かせ願いたいと思います。
#23
○政府委員(栗原昭平君) 米国内におきます乗用車の販売のシェアでございますが、七七年におきましては一二・五%、七八年では一二%、七九年におきましては多少上がりまして一六・六%、ことしに入りまして一月から九月までが二一・九%でございます。十月は速報でございますが一六・七と、若干シェアが下がっておるという状況でございます。それから、世界全体におきますわが国の乗用車の販売シェアでございますが、七七年が一一・一%、七八年が一〇・〇八%、七九年が一三%、こういった状況に相なっております。
#24
○吉田正雄君 そこで、提訴された後の方がシェアから見るというとむしろ増加をしているということはこれ言えるわけですね、率直に言って。いまの数字を聞きますと、提訴された後の方がかえって何かふえているような気もするんですが、提訴後の通産省の業界に対する自主規制の指導のあり方と、それから業界の自主規制要望に対する対応の仕方はどんなであったか、これまずお聞かせ願いたい。
#25
○政府委員(栗原昭平君) UAWのITCに対する提訴が行われましたのは六月でございます。それ以降私どもとしましては、業界におきましてこういった米国内のいろいろな自動車産業の実情を踏まえまして、各社の判断によりましてそれぞれ自粛をしてほしいということを申してきたわけでございます。御承知のように、自動車の輸出というのは船積みの計画、生産の計画、いろいろございまして、簡単に期先のところの数字を変えるわけにはなかなかまいらないという状況がございますので、実際に数字的に目に見えて自粛の効果が出てまいりましたのは九月、十月に入ってからでございますが、特に十月につきましては先ほどのように米国内の販売シェアも下がっております。輸出の数字自体も九月、十月、月を追って下がってきておるという状況でございます。
#26
○吉田正雄君 シロと出たといっても、私はこれからのこの自動車問題というのは決して簡単な状況にはならないだろう。特に議会における保護貿易主義者のむしろ立法措置による日本輸入車の規制というふうな動きも、逆に今度の裁決によって強まる公算だってあるんじゃないかというふうに思うんです。そういう点で私は、今度はレーガン新政権に受け継がれるという大きな政治情勢の変化もありますけれども、日本政府として今度の裁決については一定の予測をされておったのかどうかということと、情報を的確につかんで情報どおりであったというふうな結果なのか。それから、いま申し上げました逆にこのことがアメリカ議会における規制立法への動きに連動する危険性があるのかないのか、そういう見通しについてはどのようにお考えになっているのかお聞かせ願いたいと思います。
#27
○政府委員(栗原昭平君) ITCは御承知のように行政府から独立しました委員会でございまして、そういった意味におきまして裁判所に近いような性格の機関でございますので、私どもいろいろ情報についてはできるだけとるように努力はしておりますけれども、最終的な結果につきましてはなかなか事前に予測は困難でございまして、そういった意味においてはシロ、クロ両様についての対応というものを常に考えてまいったというのが従来の状況でございます。
 シロになった場合に、これからのアメリカ国内の動きがどうなるかという意味のお尋ねでございますけれども、いろいろな見方があろうかと思います。特に米国の議会におきまして、業界なり組合なりの意向を代表したような議会内の勢力というものが、いろいろな決議なりあるいは輸入制限的な立法の動きに出るということは、これはまあある程度予測できるわけでございます。この問題につきましては、私どもとしましても、今回シロという結果が出ましたこの判定にはかかわりなく、日本の業界におきましても従来に引き続きまして慎重な輸出というものをやっていく必要があるだろうというふうに考えておりまして、業界も同様な考え方であろうというふうに存じておりますので、そういった輸出態度をとりながら、できるだけ米国内での動きというものが政治問題化しないような、そういった対応をしてまいりたいというふうに考えております。
#28
○吉田正雄君 日米政府間市場秩序維持協定、OMAですね、この締結の可能性というのは、あれですか、いま両政府間では何かそういう話は出ておるんですかどうですか。
#29
○政府委員(栗原昭平君) このOMAでございますが、このOMA協定というのはITCの判定の結果がクロになった場合におきまして、米国の大統領がITCの勧告を受けて、関税であるとか、そのほかいろいろな手段の一つといたしまして、OMA協定という方途を選ぶということができるという規定になっておるわけでございます。したがいまして、今回シロということに相なりますと、米国の通商法に基づきますOMA協定という問題はなくなるというふうに考えておりまして、そういった意味におきまして、現在そういう話は全くないということでございます。
#30
○吉田正雄君 クロになった場合、このOMAを結ぶんだということなんですが、シロと出た場合でもこの立法規制というものを避けるという立場で、両政府間で自主的にこういう協定を結んでいこうということは考えられるんじゃないですか。
#31
○政府委員(栗原昭平君) 従来カーター政権の考え方といたしまして、政府間でそういうただいまお話しのような二国間での協定というものを、こういったITCの結論、クロということがない場合に行うというようなことは、これは大統領の権限としてどうもできないんではないかというような考え方を従来とってまいったわけでございます。もちろん米国内には、いやできるんだという議論も一部にはありますけれども、従来カーター政権としてはそれはできないんだということで言ってまいってきたわけでございまして、そういった意味におきまして、いろいろな解釈が今後どうなるかわかりませんけれども、とりあえずの問題といたしましては、御指摘のような政府間で協定、輸出の自主規制というような協定の話が先方からあるということは、当面私どもとしては考えにくいんではないかというふうに考えております。
#32
○吉田正雄君 そうすると、日本政府としては、協定を結ぶいまのところ考えはない、それからカーター政権も、アスキュー代表が従来言っておったように、ITCの結論が出るまではそういう考え方はないというふうなことを言ってきたということが報道されておるんですけれども、しかし今度シロと出たからといって、決して前途はそんなに楽観できる状況じゃないだろうというふうに、私はそう思っておるんです。
 そこで、仮にOMAの締結ということは、日本政府としては考えないとしても、私は自主規制については、やはりそれなりに維持をしていく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、向こう、アメリカ側の今回の提訴では、七六年水準ということで提訴しておったと思うんですが、自主規制の線は、今後どの水準で考えておいでになるんですか。
#33
○政府委員(栗原昭平君) 従来も日本の業界といたしましては慎重な輸出ということで、ここ数カ月対応してまいったわけでございますが、その考え方と申しますのは、ある一定の水準を頭に置いて、そしてそれに向かって自主規制をするということではございませんので、やはり業界各社それぞれが米国内の市場を判断しながら自粛をするという形で行ってきたわけでございます。お互いにある一定の水準を頭に置いて、話し合いで自主規制をするということは、米国独禁法の問題とも絡みますし、そういったことは行わないという立場で自粛を各社の判断において行ってきたということでございまして、私どもとしましては今後とも引き続きそういった形において、慎重な輸出が行われることを期待しておるという立場でございます。したがいまして、水準等につきまして、現在どういうことになろうかということは、これは各社のそれぞれの自粛の見通しの問題でございまして、いまのところ申し上げられる段階ではないということでございます。
#34
○吉田正雄君 今度の採決が三対二というふうなことで、ベデル、それからムーア両委員、これは共和党の推薦の委員であるわけですが、この方たちがクロということだったと思うんですね。そういたしますと、今度はいよいよ共和党政権になるわけでして、従来のカーター政権とは私はやはり大きく状況というのが違うことも想定をした対策というものを講ずることが必要ではないかというふうに思うんですね。
 立場を変えて考えてみますと、日本の場合でもいまちっちゃな問題ですけれども、繊維問題では非常に国内の業者は苦心をしているわけですね。消費者の立場とそれから生産者の立場というのは利害が相反するということがありますから、アメリカの消費者の立場では安い日本車という考え方が通ると思うんですが、メーカーの立場ではそうはなかなかいかないということで、今回の提訴にもなったと思うんですね。いま、日本の場合を考えても、繊維なんかでは輸入規制をもっと強めろという要求が非常に強く生産者から出ているということは、皆さんも御承知のとおりなんですね。同じく、私は今回のITCの結論が仮にシロと出たにせよ、出たことによってますます刺激をされて、法的規制という動きが私は強まることを非常に心配をするんです。そういう点で私はそれなりの日本側の自粛というものがある程度行われないと、ITCの結論以後の日本の行動というのはよりひどいじゃないかというふうなことになって、法的規制に拍車がかかるということを一番心配しているのですね。そういう点で私はやはり各メーカー、自動車会社の自主規制に任せるということだけではどうも心配でならないので、自由主義経済と言いながらも、それが野放図になったりあるいは相手方に大打撃を与えるということになりますと、これまた、自由主義経済といってもおのずからそこには制限があると思うのですね。そういう点で、全くあれですか、野放しとはおっしゃらないのですがね、各メーカーの自主規制そのままオンリーでおいでになるんですか。
#35
○政府委員(栗原昭平君) ここ数カ月の業界の自粛と申しますか、慎重な輸出の一応の見通しでございますけれども、たとえばことしの十月から十二月までの第四・四半期の業界としての輸出見通しの合計というものを集計してみますと、昨年よりはむしろ多少減るという数字に相なっているわけでございまして、業界自体としての自粛の結果というものもかなり慎重な対応といった形になっておるというふうに考えております。したがいまして、こういった形で業界が慎重な対応をしていただきますれば、今後につきましても、米国に対しまして、いろいろな意味で先生御指摘のようないろいろな動きに対します一つの有力なる対応手段になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#36
○吉田正雄君 時間ないので、また局長にお願いしたいのは、裁定の内容というのはいまのところ私ども新聞、テレビの報道しかわかっておりませんから、裁定文ですね、これは入り次第資料としていただきたいのですが、これよろしゅうございますか。
#37
○政府委員(栗原昭平君) 承知いたしました。お届けさしていただきます。
#38
○吉田正雄君 それから、時間もありませんので、最後に一点だけ。これは大臣に直接お尋ねをいたしますが、これは全く問題違います。
 例のIJPC――イラン日本石油化学の問題をめぐって連日のように新聞でも取り上げられておりますけれども、今度日本人職員がほとんど引き揚げてまいったということで、この事業再開に踏み切るのか、あるいは重大な損害が出ておるし、イラン・イラク戦争の今後の見通しについても定かでないと、ますます被害が拡大をしてくるのではないかというふうなこともあって、国家プロジェクトにまで格上げをされたけれども、しかし、この国家プロジェクトとしての事業継続が困難ではないか、この辺で思い切り見通しをつけて撤退をすべきではないかというふうな意見も業界の中にないわけじゃないということも聞いておるわけですね。このまま継続すればますます深みにはまり込む、どろ沼にはまり込んでいくのだという、表現はちょっとあれですけれども、にっちもさっちもならないそういう状況に陥るということで、国が一定の融資なり投資をしてきただけに、これはますます国に対するかかわりもこれから大きくなっていくわけですね。そういう点で、いますぐここでやめるとか継続するということは言いがたいと思うのですが、そういう重大な判断というのを国としては大体いつごろまでにされるんですかね、これ。
#39
○国務大臣(田中六助君) IJPCの問題でございますけれども、いまイラン・イラクは紛争が続いておりますが、幸いにIJPCにかかわっておりました日本の従業員は一応全部引き揚げております。したがって、人命に損傷のあることはないわけでございまして、この点は一安心しているわけでございます。問題は、今後IJPCそのものがどういうふうになっていくかということでございますけれども、これは三井側とイランの方と十分話し合う、それから損傷のぐあいの調査も必要でしょうし、そういうデータを待って両者がいつ再開するかという話し合いをするでしょう。その結果を待って、私どももいずれにしても御相談があると思いますので、そういうときに対処していきたいというふうに考えております。
#40
○吉田正雄君 時間がありませんので、細かいことをいろいろお聞きしたい点もあるのですけれども、いま大臣の答弁、なかなか苦悩の答弁だと思うのですね。外交上の問題としてのイランと日本との今後の友好関係あるいは石油の確保という観点と、私企業である三井物産、三井グループを中心とする今度の事業というものとの関連を考えた場合、私企業には一定の限界があるわけですし、これをそれでは国が全面的に肩がわりをしてやるということにもならない。それだけに私は国側あるいは企業側の苦悩も非常に深いと思うのですが、しかし私は、判断をずるずると引き延ばすことがかえって事態を悪化する方向にいくということも考えられると思うのですね。そこで、私は被害の現状というものをやっぱり正しく分析していく必要があると思うのですね。被害状況も、前に委員会で報告された後も被害というものがますますふえてきておるようですし、さらにこの戦闘が継続されていくことによって被害がふえこそすれ減ることはないと思うのですね。そういう点で、戦争そのものの状況がどうかという見きわめはこれはむずかしいと思いますが、被害状況やそれから多額の融資による金利等というものを考えますというと、採算がとれるかとれないかという純商業的な観点、こういう面からも判断できる要素というものが私は出てくるのじゃないかと思うのですね。そういうことで、国が一たん肩入れをした以上何が何でもというふうなことでなくて、やはり決断すべき時期には決断をすべきだろうと思いますし、仮に事業を継続するということになるならば、私はすでに私企業の限界、力量を超えていると思うのですね。そういう点では国家財政というものを相当つぎ込む決意がなければ、あるいは逆に言うならば、日本政府がかわってやるというぐらいの決意がなければ、とても事業継続はできないと思うのですね。そういう点で、いまここで決断ということはなかなか答弁はできないということはわかっておるのですけれども、そういう点でできるだけ私はやはり早急にこの問題についての決断というものを行うべきではないかというふうに考えますので、もう一回大臣のそれに対する考え方を聞かしてもらいたいと思います。
#41
○国務大臣(田中六助君) 先ほども申し上げましたように、被害の実情というようなものの調査もIJPCでやるでしょうし、そういうものを勘案して、いろんなその他の諸要素もございましょうし、そういうことを判断してIJPCで決めるべきでございまして、私どももその際に、国家の資金も出しておりますので、十分御相談申し上げて判断並びに決断、そういうものを決めたいと思います。
#42
○吉田正雄君 これ以上申し上げてもなかなかそれ以上の答弁は出ないと思いますが、できるだけ慎重に、しかし決断の時期を誤ることのないように要望して、私の質問を終わります。
#43
○対馬孝且君 きょうは、大臣、東南アジアにエネルギー外交においでになってそれなりの問題点なり成果があると思うのですが、それは別の機会にひとつ質問することにいたしまして、大臣のまず東南アジアのエネルギー外交については一応敬意を表しておきます。
 何といってもいま緊急な課題としまして、北海道の地域経済、産業の観点から、国鉄再建法の問題に絡んでいまや重大な事態を迎えているという観点から質問を申し上げたいと思っております。
 まず、きょう開発庁の方にひとつ基本的な考え方をお伺いするわけでありますが、実は十一月八日に安倍政調会長が北海道に参りまして、同僚の議員の落達された方の激励に参ったようでありますが、そのときに実は記者会見をしているわけです。その記者会見によりますと、こう言ってますね。国鉄地方赤字線問題については、基本は貫かねばならないが、地域の実情を無視するわけにはいかないので、党としても今後注文をつけていきたい、いわゆる政治判断をしなければならない、こういう意味の発言を実は記者会見で行われておるわけです。この点について、北海道開発庁の立場で、それからまた、きょう運輸省来ていると思いますが、運輸省の立場でどのようにこれを受けとめられているのか、その考え方をまず冒頭にお伺いをしたいと思います。
#44
○政府委員(大西昭一君) 新聞報道は私どもも拝見はいたしておりますが、何分にもどういう状況で具体的にどういうことをされたのかということをつまびらかにいたしませんのでございますけれども、後ほど先生からお尋ねがあるかと思いますが、北海道開発庁といたしましては、今後十分北海道の開発の進展に支障を来さないというふうなことで、国鉄地方線問題に対処してまいりたいというふうに考えております。
#45
○説明員(金子史生君) 御説明いたします。
 廃止の対象となります特定地方交通線の選定基準につきましては、御承知のように政令で定めることになっておりまして、今後国会における審議を踏まえまして、関係各省とも十分協議いたしまして、その上公正妥当な基準を詰めてまいりたいと、こういうふうに考えております。運輸省といたしましては、特定地方交通線の選定基準につきましては、単に輸送量の大小ということのみではなく、たとえばラッシュ時における輸送需要の実態とかあるいは代替道路があるかないかとか、あるいは積雪等による道路の閉鎖といったような観点も考慮していきたいというふうに考えております。
#46
○対馬孝且君 いま開発庁並びに運輸省の考え方は一応わかりました。
 問題は、開発庁にちょっとお伺いしますが、十一月二日付の北海道新聞に道開発庁としては二十四線区を存続をすべきであると、こういう考え方に立ちまして、「首脳」と、こう言っていますから、まあだれが言ったかは別にしまして、開発庁の全体の意向があるなしにかかわらず、具体的なことは別にして、基本的な考え方として次のように言ってますね。一つの問題は、本道交通体系のかなめである国鉄ネットワークをまず維持すること、これが第一番です。第二は、地域の生活、政治、経済、文化などの中心である支庁所在地との連絡路線を確保する一第三に、地域開発、産業活動に必要な路線の確保が骨子となって、二十四線区の存続というものがこれから運輸省と協議をひとつ積極的に進めていきたいと、こういう報道が実はされているわけであります。私は具体的なことは別にして、この考え方については、まず開発庁として、当然、私も開発審議委員をやっているわけでありますが、長官自身もこの考え方は否定されないと思いますが、具体的な何線ということは別にして、いま言った三点の国鉄再建に臨むに際しての北海道の主管官庁である開発庁の立場で、どういうふうにこれをひとつ受けとめているかということをお伺いします。
#47
○政府委員(大西昭一君) 先般先生が御指摘の十一月二日の新聞報道、私どもも拝見いたしました。しかし、当庁といたしましては、新聞報道にありますような具体的な検討までまだ進めておりません。したがいまして、開発庁案という形で新聞に報道されましたけれども、実態につきましては、いまお話ししましたように、あそこまでいくような具体的検討をまだ進めておりませんので、新聞報道につきましては私どもの考えを述べるのは差し控えさしていただきますが、いずれにしましても、地元発行の新聞でございますので、北海道内の意見をかなりいろいろ取材されて出たものと思いますので、あのような今後の北海道の鉄道網についての考え方をも含めまして、北海道並びに関係の市町村等地元の意見を十分聞きながら、この問題に適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
#48
○対馬孝且君 開発庁からまだ具体的には出してないということでありますが、いま私が申し上げたこの三点の基本的な考え方はどうなんですか。これを否定されるわけですか。
#49
○政府委員(大西昭一君) 三点の御指摘も、確かにそういう観点もあろうかと思います。そのほかに配慮すべき観点もあるかもしれませんで、それらにつきましては、ただいま新聞報道されました三つの考え方等も含めまして、今後十分検討さしていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
#50
○対馬孝且君 いま総理府の開発庁の担当者の方から、いまそういう考え方で対処していきたいと、こう言っているわけですが、そこで運輸省にお伺いしたいんですが、いまは開発計画の立場で、この間も私も原長官にお会いしていますが、この考え方を含めてやっぱり積極的にひとつ運輸省に体当たりしたいと、こう私、池端代議士と二人で会見したときにもこれは言っているわけです。この考え方に立ってこれからひとつ運輸省としてこの問題に臨んでいくと、いわゆるこの三つの基本的な柱を考えて、基本に据えてひとつ対処をすると、こういう考え方はどういうふうに御判断していますか。
#51
○説明員(金子史生君) 私ども運輸省といたしましては、事務レベルと申しますか担当官レベルでは北海道開発庁といろいろ内々の御相談はいたしております。ただ、北海道開発庁としての正式な御意見は承ってはおりません現段階におきまして、北海道開発庁の意見という形で新聞報道されております事柄について、運輸省として何らかの見解を述べるということは差し控えさしていただきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#52
○対馬孝且君 あなた、質問の要所をちゃんとつかまにゃだめだよ。私がいま言っていることは、こういう三点の考え方について運輸省はどう受けとめているのかと聞いているのであって、開発庁が言っていることをどうだこうだと言っているんじゃないんですから。私がいま申し上げたこの三点の考え方、国鉄のネットワークを維持するということ、地域の生活、政治、経済、文化の中心である支庁所在地の連絡路線を確保すること、地域開発、産業活動の必要な路線を確保すること、こういう基本的なこれからの考え方についてどう運輸省は受けとめているんだと、こう聞いているんだから、開発庁はどうだということを聞いているんじゃない。
#53
○説明員(金子史生君) 今後政令の選定基準につきましては、関係各省と十分協議いたすことになっておりますので、そういう点も含めましていろいろ検討いたしてまいりたいと、かように考えております。
#54
○対馬孝且君 これ運輸省に言っておきますが、毎日われわれの方へ北海道から市町村が陳情に来るんだよ。これは毎日のように。この間も延べ百八十人ばかり来ていますけれども、あなた、運輸省の言っていることは全くペテンじゃないか、ぼくに言わせると。全部市町村長が来て陳情をすると、いや、政令でちゃんとあなた方のことを考えているんだから、とにかくこの法案を通してくれればいいんだと、こう言って頭をなでているわけだ。だから、素朴に受けとめると、おれの弟の村が、おれの町に直結する赤字ローカル線は残るんだと、こう言って帰っているんだよ。ところが実態は、現実に政令政令とこう言えば、政令で本当にこれが必要だというんであれば、どうして本法にこれを載せることができないのか、ここらあたりが私は問題だと言うんだよ。一番問題です、これは。この間のは全部の市町村長の、これは党派を越えて来ているんだよ。何も社会党とかいう党派ばかり言っているんじゃない、ぼくが言っているのは。市町村のもろもろの村長、首長が全部上がってきて運輸省に陳情したら、とにかくこの法案だけ通してもらえば後は政令であなたのところの路線は残しますからと。具体的に言いますか。言ってもいいんだよ、ぼくは。こういう言い方に対して、政令政令と言うんだが、政令で残せるんであれば一体どうして法律にうたうことができないのかと。こういうごまかしのことはやっぱりやるべきでないよ、少なくとも。その点はっきり答えてくださいよ。
#55
○説明員(金子史生君) 運輸省といたしましての選定基準を作成するに当たりましての基本的な考え方につきましては、衆議院並びに参議院の運輸委員会におきまして、選定基準に対する運輸省の基本的な考え方というものの御説明を機会あるごとにいたしております。ただ、これはあくまでも運輸省としての考え方でございますので、この点につきましては、先ほど御説明いたしましたように、関係各省とも十分協議してこれから政府としての案をつくってまいりたい、かように考えております。
#56
○対馬孝且君 関係各省で協議するというのはこれは当然なことなんだが、いま私の聞いているのは、そういう運輸省に、あなた、はっきり申し上げますよ。これは先月の十月末の日曜日に穂別で、赤字路線廃止総決起反対大会をやっているわけだ。このときに、運輸政務次官が出ていって、いや、断固日高線のこの路線については守りますよ、御安心をと、皆さん御心配なく、ひとつ私に任してくださいと、こう言って現地で一発麗々しくぶっておいて、こっちへ来たら、ほとんど赤字線を廃止すると、こう言うんだよ。こんな運輸省の姿勢ってあるかよ、あなた。さっきの話、私は具体的に言いますよ。穂別の町長が現実に言っているんですよ。行ったら、いや、心配なく、あなたの方は残しますから、とにかくこの法案だけまず通してください、後は政令でちゃんとあなたの方は残すことになっていますからと。行く陳情者の方々には全部この手でやっているんだよ。こういう汚い、まさに住民をだまくらかすようなこういう運輸省の姿勢というのはぼくはけしからぬと思うよ、はっきり申し上げて。だから、そういうことでなくて、まず本当にこれが残さなきゃならないというんであれば、法令事項として残すべきだよ。そんな、いまの健康保険の取り扱いみたいなごまかしの政令事項に、最後には法律事項になったけれども、そういうやり方はぼくはやめるべきだと言うんだよ。これあなたがこれから協議するということだから。
 それからぼくは次にお伺いしたいことは、開発庁にちょっとお伺いするんだが、北海道の新北海道開発計画には重点の柱が、私も開発審議委員だからこういうのを申し上げますが、一つは農業、漁業それから石炭、林業、これが新北海道開発計画の柱になっている。この柱を守るためには、いま対象になっている赤字路線を廃止されたのでは新北海道開発計画はまさに壊滅に等しい状態になるんだ。こういうふうに私は受けとめているわけです。この点について開発庁としてどういうふうにお考えになっているのか、長官は、そのことについてはあなたと全く同感でありますと、こう原長官は言うんだが、その点についてもう一回確認の意味でちょっと申し上げたいんですが、どういうようにお考えになっているんですか。
#57
○政府委員(大西昭一君) 百年この方北海道の開発の推進にとって、鉄道が北海道の開発の推進に果たしてきた役割りというものは大変大きかったと考えております。そういう北海道の基幹的交通体系の一環としての鉄道の北海道開発に果たしてきた役割りの重要性にかんがみまして、今後とも総合交通体系の観点から北海道の開発の推進に支障を来さないというふうな方向で、根幹を守ってまいりたいというふうに考えております。
#58
○対馬孝且君 開発庁の姿勢としてはいま言ったとおりであります、お聞きのとおり。運輸省どうなんですか。ただ十分協議していきたいということになると、いまあなた方が提案している線でいくと、三十六線区のうち二十七線区を切り捨てるというわけだから。私も本会議で申し上げたけれども、人間で言うならば末端の細胞を切り捨てて動脈と静脈でどうして生きていくかということと同じであって、これはばんばんそういうものを切り捨てちゃって、そして十分協議します協議しますって、政令で協議します協議します、協議するということは一体残すということなのか。そういういま言った、開発庁が言っているように北海道の四大柱と言われる農業、漁業、石炭、林業、そういうものを中心にして北海道開発計画が立てられているんだが、その基本に立っていくというのであれば、いまあなた方が提案している廃止路線というのはこれは全滅なんです、全部。全部農産物から漁業から石炭、壊滅的になりますよ。具体的にぼくは数字を挙げて申し上げますけれども、どうですか、それ。
#59
○説明員(金子史生君) 今回御提案申し上げている国鉄の地方交通線対策につきましては、単に国鉄の財政再建という観点からのみではなく、効率的な地域の交通体系の形成ということを図るという観点からも推進しなければならないというふうに考えておりまして、しかしながら、こういった地方交通線対策を進めるに当たりましては、何と申しましても地域住民の理解というものが不可欠でございますので、その足の確保ということが前提でなければならないというふうに考えておりまして、そういった事項に十分配慮して地方交通線対策を進めてまいる考え方でございます。
#60
○対馬孝且君 本会議でも総理は私に対しては、住民の納得のいくコンセンサスを得るという精神で、ひとつ住民の足を確保してこれからいきたいと、こういう基本方針を示しているんだが、しかし、現実にやっていることは軽視だよ、これ。思いやりの政治じゃなくて、思い上がりで切り捨てるということだから、はっきり申し上げて。具体的にぼくはお伺いしたいんだけれども、いまこういう問題が起きているんだ。これは私が出した資料ではないんだ。日本石炭協会北海道支部が試算して出したものです。
   〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕
運輸省が言うとおり廃止路線になっている線でいきますとどういうことになるか、一例を申し上げますと、いま全体では四五%国鉄貨物輸送にゆだねています、石炭全体の輸送量の四五%。五五%はトラックになるだろうとしています。なぜトラックになるかということは、これは間違ってもらっては困る、これは好きでトラックに業界がしているんじゃないんだ。これはダイヤ改正によって貨車の回りがないから、やむを得ずしてこのトラックに切りかえざるを得ない、こういう現象なんです。だんだんトラックの数をふやしている、トン数をふやしていっているんですから、結果的には何もトラックにかえることはないんだが、結局ダイヤ改正に伴って貨車の回りがないから、やむにやまれずトラックに切りかえざるを得なかったというのがいままでの過程なんだ。それをいまなお四五・四%の実は国鉄貨物輸送をしているわけです。そこで、もしあなた方の提案と、運輸省の言うとおり廃止をされたとしたらどうなるのか。具体的に僕は挙げますよ。夕張線の場合でトラックの台数がどういうふうになるかという計算になりますと、十トン車でもって七百十四台一日石炭を輸送しなければならなくなります。夕張の場合で七百十四台。留萌線は芦別、空知線の一部がありますが、これは炭鉱の一部が輸送していますが、三百十五台、十トン車のトラックが必要だと、切りかえなければならぬ、トラックに。それから幌内線の場合は百九十二台。歌志内線の場合は百二十五台。こうなりますとどういうことになるかといったら、いまみたいに北海道は日本一交通災害の汚名を着ているわけだ。その中で夕張線の場合でいうと約三十八秒で一台ずつ走らなきゃならないということになる。いまでさえ過密だっていうときに、三十八秒でトラックで石炭輸送して、数珠つなぎで走らなけりゃ輸送できないんだ、これ。留萌線の場合で言ったって一・五二分で、大体約一分半で一台ずつ走らせていかなければならない。幌内線の場合だって一・三二分でトラック輸送しなければならない、走らせなければ目的地に着かないんだ。歌志内線の場合とったとしても二分ですよ。いまでさえ過密ダイヤというトラック輸送の交通渋滞災害で北海道は日本一になっているときに、一分か二分の間にこれだけのトラックの台数を数珠つなぎで走らせて一体どうなるんだ、こういう実態論を一体運輸省はどういうふうに考えているのかという問題だ。しかも、幌内線の場合を例に――余り時間がないから詳しく申し上げることは避けますけれども、幌内の場合はもしこれからやったとしたら、道道まで出る間に拡張工事――あなた方現地へ行っているかどうか知らぬが、僕は現地へ行っているから、拡張工事するために十三億かかるんだよ、そうでしょう。トラックこれだけで一・三二分刻みでトラックを走らせるわけですから、道路が拡張しなかったらこれは大変なことになる。拡張工事に道庁が認めているように十三億必要なんだ。苫小牧に上がって、港から今度揚げる場合の受け入れ施設が三億必要だというわけだ。トラックは買わなきゃならぬ、今度はそういう設備はしなけりゃならぬと、こうなったらいまでさえ通産大臣に大変迷惑かけている北炭振興の問題いま生きるか死ぬかということで多大の、これからも国にお願いしなければならぬわけだが、そういう状況のときに、言葉では石炭見直しということを言いながら、片っ方では切り捨てていくというこういうことをやっていったんじゃこれはどうにもならぬです。この点まず運輸省どういうふうに受けとめているんですか。
#61
○説明員(金子史生君) 貨物輸送につきましては大量定形貨物輸送が行われている路線、これにつきましては地方交通線としては選定しないという考え方でございますので、転換の対象となります特定地方交通線の貨物輸送量につきましては、鉄道特性を発揮し得ない程度の量である。そこで基本的にはトラック輸送に転換することは可能だというふうに考えております。先ほど先生御指摘の道路との関係でございますけれども、特定地方交通線の選定基準は政令で定められることになりますけれども、運輸省といたしましてはバス代替道路が未整備な場合は除外するということを考えておりますので、代替輸送道路が整備されていない場合には廃止対象とはしないということにいたしております。
   〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕
#62
○対馬孝且君 その道路整備ができない場合は対象にしないということは、残すということ。
#63
○説明員(金子史生君) そういうことでございます。
#64
○対馬孝且君 そうすると、これは夕張、留萌、幌内、歌志内残るとしていいの、それなら全く結構な話だから。(笑声)それはもう法律ではっきりうたってください。
#65
○説明員(金子史生君) 基本的には代替道路の認定基準そのものにつきましては、今後建設省と詰めてまいるということになりますので、具体的にどの路線が代替道路が整備されている、整備されていないということをいまの段階で申し上げるわけにはいきませんけれども、基本的な考え方といたしましては鉄道と道路の代替機能があるかどうか、機能的に代替ということが言えるかどうかという観点から。それからもう一つは、基本的には特定地方交通線はバスに転換することが適当な路線でありますので、バスを走らせるのにたとえば法令上適しているか適していないか、そういうよような観点から定めてまいりたい、かように考えております。
#66
○対馬孝且君 それじゃはっきりひとつここで確認しますがね、幌内の場合であっても歌志内の場合であっても、これあんた山に行かれたかどうか知らぬけれども、山の場合は全部だめだよ、これ。代替ききませんよ、はっきり申し上げて。これははっきり申し上げておきますよ。そういう代替がきかない道路についてはその線は残すと、こういうふうに確認していいね。
#67
○説明員(金子史生君) 繰り返すようでございますけれども、代替道路認定基準につきましては、今後建設省あるいは警察庁、そういった関係各省と十分詰めてまいりたい、かように考えております。
#68
○対馬孝且君 そんなことはいいんであって、基本的な態度を聞いているんだから、基本的にあんたが言ったことは、代替がきかないということの場合は、これは関係各地方庁とも協議してこれは残すという考え方だとこう言うから、それはそれで確認していいかとぼくは聞いているんだよ。何も今後のことを言っているんじゃない。
#69
○説明員(金子史生君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、認定の基準につきましては、先ほど申し上げました機能的に代替性を有しているか、あるいはバスの通行が法令上可能かどうか、こういった観点から具体的に定めるということになろうかと思っております。
#70
○対馬孝且君 そこでね、もうちょっとなお具体的にあんたに認識しておいてもらいたいんだけれどもね、どうも運輸省つかんでないようだからぼくは申し上げるんだけれども、こういう結果であるんですよ。これは輸送量だけの問題じゃないんだ。これは非常に、トン当たりの価格がどれだけ違うかということを、あんた方どういうふうに調べたか知らぬけれども、私にこれおととい行って現地で全部調べ上げてきたんだけれども、まあ時間がないから個々のことを申し上べるわけにはいかない。
 一例を申し上げると、空知炭鉱の場合、貨物輸送からトラックにかえた場合にトン当たり何ぼになるかといったら、二百六十五円トン当たり高くなるんです。二百六十五円。これは留萌と苫小牧に一応行った場合、これを平均化した場合に二百六十五円。具体的に申し上げますよ、ぼくは。それから三井砂川の例で申し上げますか。三井砂川の例で言うと、三井砂川の山元から江別火力発電所まで行ったとしたらどうなるか。それから苫小牧に行った場合はどうなるかというのをいまここで私申し上げますよ。これ江別まで行った場合でも百二十六円高いんですよ、トン当たり。江別まで輸送したとして貨物をトラックに切りかえた場合に。それから苫小牧に行った場合に何ぼになるかという計算になると、これは四百九円高くなる、トン当たり。これはトラックの場合が二千百十六円、貨車の場合は千七百九十七円。あんた方それはもうこれごまかすことができないんだから。それから留萌に行った場合にどうなるか。千八百四十円、トラックが。貨車が千五百十七円。東室蘭の場合どうなるか。二千七百五十八円、トラックが。貨車の場合が二千二百五十二円。こうなるわけだ。そうすると、苫小牧の場合で四百九円。留萌の場合で三百三十三円。東室蘭の場合は五百六円になるんです。これだけの価格がトン当たり単価アップに積み重ねていったら、山をつぶせということだ、これは。だから私本会議で言っているんだ。町ぐるみ壊滅をする。歌志内の場合は空知炭鉱が壊滅をしたら歌志内の町は全滅するんですよ、これは。これは大西さんと長官よくわかっていると思うがね。現実の問題としてこれは壊滅ですよ、歌志内は。夕張だって同じですよ。これは幌内だって。そういう実態をずっときちっと私言っているのは、私がごまかしだったらこれは反論してもらえばいいんだ。これは現実に全部、日本石炭協会が全部試算した表をこれは私は持ってきているんだから、いま言ったことは。価格の面でこれだけのあんた単価がトン当たりしわ寄せになるといったら大変なことだよ。こういう状態を、現実には片っ方では石炭政策を見直して守ろうという、いま通産行政でやってもらっているんです。片っ方ではこれはあんた経営していて、逆に石炭産業ぶつつぶすようなことを盛んに片っ方ではやると。こういう矛盾したことをやるというのは全く北海道の産業を壊滅をさせるということですよ、これ。そういう結果になるでしょう、私が言ったとおり。その点どういうふうに受けとめているか、もう一回ひとつ。
#71
○説明員(岩崎雄一君) 国鉄でございますが、先生も多分御承知かと思いますが、苫小牧に北電の浜厚真火力発電所というのができますが、一号機が恐らく今月あたりから稼働するんじゃないかと思うんですが、これは半分の約四十万トンは幌内の炭を使うことになっておるわけであります。ところがこの炭鉱は全く鉄道依存型になっておりません。理由はいろいろあるわけでございますけれども、先生のお手元の資料と私の入手した資料と違うかもしれませんが、トラックの方がトン当たり輸送費が割り安になっておる、そういうようなことが原因ではないかというように考えておりますが、トラック運賃、これは実勢で見ますと、これはトラックは個々の輸送区間の実態に応じて異なる運賃を現実には適用されておるということで、具体的に鉄道運賃と正確に比較するというのはなかなかむずかしいわけですけれども、鉄道運賃の場合はレール運賃だけじゃなくて諸掛かりがいろいろあるものでございますから、北海道の石炭輸送のような場合でもトラックが割り安になっておる例というものも現実には存在するというように聞いております。現在全体で四五%というお話でございましたが、歌志内の場合は現在国鉄のシェアが二十数%ということになっておりますし、幌内は六〇%ぐらいということでありますが、線区によって個々に対応が違っておるというのが実情でございます。
#72
○対馬孝且君 問題はダイヤが回ってこないから、こっちが出したくっても出せないという実態だということを国鉄が認識しなきゃだめだよ、あなた方が。勝手にダイヤをつくっておいて、そしてあんた安いなんて、どこが安いんだ。これ、あんた協会の、後であんたにもやるけれども、北海道石炭協会支部の資料だよこれ、出ているのは、これは。何でと言うんなら具体的に言うから、それじゃあんたがそれだけ言うんだったら。私は具体的に持っているから言うと、たとえばトラックの場合どういうことがあるかということについて、あんた知ってないんだよ、実態を。実態認識を知らな過ぎるわ、あんた。トラックで行った場合は、まず現地から出発をしてトラック運賃をこれね、運転手二人二交代で行かなけりゃいけないんだ。人件費問題を全部これ絡んで、それから油の換算、それからもう一つは今度は積みおろしの作業の軽重、諸掛かり、それからもう一つは今度は現地へ行った場合の諸掛かり、こういうものを全部これプールしてずっと出しているんでしょう。そういう計算をあんた方はどう受けているのかしらぬけれども、そういう結果でトータル出ているのが空知の場合で二百六十五円と、いまさっき言った留萌と苫東との関係を平均した場合に二百六十五円高い。三井砂川の場合は私がいま言ったとおり現実にこれ全部出してきているんだから。そういう問題をやっぱり踏まえて考えてもらわぬと、何かまるで石炭を出さない方が悪いようなことを言うけれどもね、ダイヤが来ないから、貨車が来ないから出さないというだけの話であって、ダイヤを回してそのとおり貨車が来るんだったら、どんどん一〇〇%あんた貨車に依存しますと現地ではそう言ってるんですよ。いま四苦八苦で苦しくて、それでなくても石炭産業が見直しだ見直しだと言葉で言ったって、何も見直されていないんだから。そういう認識を踏まえてぼくは対処してもらいたいと、こう言っているんだよ、どうです。
#73
○説明員(金子史生君) 国鉄は、先生御承知のように従来貨物の集約化ということで、貨物駅の統廃合をやっております。その進め方といたしましては、たとえばトラック輸送に転換する場合運賃負担が増加する、荷主の運賃負担が増加するというような場合には、一定の補償を行うという措置を講じておりまして、今回の地方交通線対策によりまして、そういった事態が発生した場合には、従来と同様の方式によって荷主の負担増につき補償措置を講ずるということで摩擦の解消に努めてまいりたいと、かように考えております。
#74
○対馬孝且君 それはいずれにしても、私はいま具体的に例を金額まで出して、具体的な実態をいま挙げたわけですから、あなたが言っている補償するとこう言ったって、これは将来ともずっと補助金みたいに、バス路線のように全部将来とも補償するというわけじゃないでしょう、はっきり申し上げて。言葉で言うならば、この間も私も塩川運輸大臣と会っているけれども、第三セクターといったって、そんなものはあんた五年と限られているんだから、そんなもの決まっているじゃないですか。それから先のことが問題なんだ。そんなこと言ったって。第三セクターといったって、歌志内の場合は一割八分だよ、いま地方自治が。どうやって金出せるんだよ。出せと言ったって市長がもう金の出しようがないと言っているんだ、現実に市長が来て。そういう実態なんだから、私が言っているのは、そういう実態を踏まえて、さっきあなたが答弁したように、そういう代替がきかないというのであれば、その場合はやっぱり関係省庁と協議をして、あなたは残すというやっぱり原則に立っていると、こう言うんだから、そういう基本を踏まえてひとつ処理をしてもらいたいと、こういうことで私は申し上げておるわけですよ。そういうことでいいですか。
#75
○説明員(金子史生君) 先生御指摘のとおり、確かに一定の期間でございます。従来国鉄は、貨物の集約化を進める場合には地方公共団体とよく話し合いまして、十分地元の理解と御同意を得て進めておるわけでございまして、補償期間措置が切れた後の問題につきましては、地元の御理解を得て御協力願うということになっております。
#76
○対馬孝且君 だからいま言ったように、御協力を願うと言ったって出す財源がないんだよ。いま、あなたは知らぬだろうけれども、産炭地振興法というのが期限切れになって、きのう産炭地振興法についての答申がされているわけだ。この中で大蔵省は現に言っているじゃないですか、あんた。産炭地域といえどもこういう地方では今国会で打ち切ると、こういうあなた新聞が出ているじゃないですか。しかし、これは通産大臣にもがんばってもらって、少なくとも現行法をそのままひとつ単純に十年間延長してもらいたいと、本会議で答弁をいただいておりますから。そういうときに、将来あなた五年後を見て、五年も先にまたこれは十分話してと言ったって、出す財源が産炭地にはないというんだ。問題は。いまは炭鉱債でさえ問題になっているんですよ。何とか炭鉱債というものをつくってくれと、こう言っているんだ、いま市町村自治体は、産炭地の自治体は。私は出身だからよくわかるんだよ。けさもあんた夕張市長来ているんだ。こういう実態を踏まえて、私の言いたいことは、そのときに協議するとかなんとかという前に、やっぱりこういう線を、あなたが先ほどお答え願ったように、基本的にやっぱり代替がきかないと、あるいはこういう産業が壊滅的な状態になるという場合は、やっぱりこういう線については残していくと、こういうやっぱり基本的態度でこれから臨んでもらいたい、こう申し上げているわけですよ、私は。どうですか、それもう一回ひとつ答弁してください。
#77
○説明員(金子史生君) 基本的な考え方といたしましては、まあくどいようでございますけれども、国鉄の地方文通線対策は、基本的には産業構造の変革とか、過疎化現象とか、モータリゼーションとか、そういった現象によりまして輸送需要が非常に減ってきて鉄道特性が発揮できないというようなものになったような路線にかかわる対策でございますので、そのうちでも特に輸送需要の少ないところにつきまして転換を図っていただくという趣旨でございますので、その点につきまして何とぞ御理解と御協力いただきたいというふうに考えております。
#78
○対馬孝且君 それはまあこれ以上あれだけれども、先ほど私が申し上げた、あなたも答弁しているから、そういう代替がきかない、それから産業が壊滅的な状態になる、こういう原則を踏まえてあなたに申し上げているんだから、それに立ってひとつ関係省庁と協議をしてもらいたい、このことをひとつはっきり申し上げておきます。よろしゅうございますね、それだけは。もう一回ひとつ、大事なところだからきちっとしてください。
#79
○説明員(金子史生君) 代替道路があるかないかというような認定基準につきまして、今後関係省庁と十分詰めまして、また地域の開発計画その他の有無、そういったことを十分考えまして政令の基準というものの作成に当たりたいと考えております。
#80
○対馬孝且君 そこで、開発庁にちょっと確認の意味で申し上げるんですが、原長官はこの間は私にも、そういう産業の壊滅的な状態が地域社会に与える影響というものを踏まえて、ひとつ運輸省とはもう徹底的に私もひとつ北海道道民のためにやるつもりだと、こういう決意を言われているのでありますが、その点どうですか、関発庁としては。いまはっきり運輸省の考え方も明快になったようでありますから、基本的な考え方がはっきりなったようでありますから、そういう点でこれからひとつ運輸省との間に先ほどの精神を踏まえてひとつ対処してもらいたいと、こういう考え方についてはどうですか。
#81
○政府委員(大西昭一君) 確かに原長官に先生お会いいただいたときに、北海道の開発の推進に支障を来さないようにひとつ開発庁としては対処してまいりたいというお答えを申し上げておりますが、先生のお気持ちと若干あるいはずれがあるかもしれませんが、片方、政府としては国鉄再建法案を提案いたしておりますので、政府部内として、徹底的に運輸省というお言葉がございましたが、その辺は十分協議を尽くして調整を図ってまいりたいというふうな気持ちでおります。
#82
○対馬孝且君 それで通産大臣にそれじゃ最後に一つこの問題で。
 いま私のやりとりをお聞きになったとおりでありまして、運輸省と開発庁のやりとりもお聞きのとおりでありますが、特に北海道の重要産業の一つである石炭産業について、言うまでもなくもうベテランの通産大臣でありますから多くは申し上げません。こういう観点から通産大臣としてもひとつぜひ運輸省に対して、この北海道の石炭産業のローカル線産業貨物輸送廃止に伴う問題について、運輸省との関係でひとつ十分に対処してもらいたいと、こう思いますが、いかがでしょう。
#83
○国務大臣(田中六助君) 産炭地という地域を十分勘案して、ローカル線の問題はその地域にふさわしい対処の仕方をしていかなければならないというふうに考えております。
#84
○対馬孝且君 いま通産大臣からそういうことで対処していただくということになりましたから、その点で、ひとつこの問題については一応そういう方針で、運輸省もそれから開発庁もひとつより積極的にこの問題を取り組んでもらいたい、このことをひとつ北海道開発の立場から特段に要望しておきます。この問題についてはこれで終わりたいと思います。
 それから次に、実は灯油の円高差益の問題でちょっと長官に、時間がなくなっちゃったものでまことにあれなんですけれども、短い時間しかありませんから、ひとつ二、三だけちょっとお伺いしておきます。
 実はこの間、第十九回全国消費者大会が開かれまして、これもぜひ国会でひとつはっきり解明をするというよりも、ぜひそうしてもらいたいという私のところへ要望が、陳情が来ているものですから申し上げるのでありますが、日石の円高差益が御案内のとおり相当額に上ったというのは、もういまさら時間もありませんから多くは申し上げません。七百五十億の経常利益のうち税引きしたとしても三百六十億のあれを上げている、前年同期からいけば十一倍という利益が上がっていると。これは日石だけでなくて、三菱の場合でも三百数十億の利益を上げている、こういうふうに言われているわけでありますが、これをやっぱり消費者大会でも深刻に受けとめているのは、ぜひひとつ消費者の手に、この値下げ指導をぜひひとつやってもらいたいと。まあ額はここで申し上げませんが、元売に対してひとつ値下げ指導を積極的にやってもらいたい、こういう強い消費者団体の、私のところへこの間約六十人ばかり来まして代表して陳情していったわけですが、この点ひとつ長官としてどうお考えになっているかということ。
 それから、この間共同購入で石油部長からお話がございました。共同購入はこれは当時の増田エネルギー庁長官時代から通産省の行政指導ということで、また生活の知恵として、これをやればやっぱり共同購入した場合についてはリッター四円から五円下がるんです。現実北海道は四円から五円実は下がっています。共同購入で安く買っています。だから共同購入というものは非常に、これは通産省の一つの奨励でもあるし、また消費者の生活の知恵でもあるということからやっているわけですが、ところがどうも最近、これはこの間は石油部長は元売各社に対して、私の要望にこたえて、ぜひ共同購入を促進されるようにこれから元売り業界にぜひ要望申し上げたい、こういう話でございました。その後現地から上がってくるのはどうも逆に、共同購入の促進方を通産省側に求めたはずなのに、どうも共同購入については応じてくれない、こういう状況が逆に出てきている、こういう問題が出てきておりますので、これまずこの二点についてちょっとお伺いをしたいと存じます。
#85
○政府委員(森山信吾君) まず第一点のいわゆる円高差益還元の問題についてお答えを申し上げたいと存じます。
 石油製品の価格につきましては、現在私どもは市場メカニズムによって価格が決められるという政策をとっておるわけでございまして、そこで具体的に、たとえばガソリン、たとえば灯油の価格を幾ら幾らにするというような指示あるいは行政指導はやってないわけでございまして、ただその気持ちの背景にはできるだけ製品を潤沢に供給するということを前提にして市場のメカニズムに任せる、こういう政策をとっておるわけでございますし、現に灯油につきましては御案内のとおり、九月末で七百十万キロリッターの在庫を積み上げたわけでございまして、石油供給計画よりは大分多く在庫を積み上げたわけでございます。そういう状態で価格メカニズムが働くということになりますと、どうしても消費者にとってはプラスになるような方向になっておるという期待を持っておるわけでございます。
 そこで、いま御指摘の石油会社がいわゆる円高差益があってそれを値下げの方に使うべきではないかという御意見は、一つの御意見として私どもよく理解できるわけでございますけれども、一方円高差益はことしの上期に発生したわけでございまして、下期はもう大体円高になるテンポがスローになってきておりますから、上期ほどの円高差益は期待できないということもございます。そこで、その上期に発生しました円高差益をいまここで消費者に還元する方がいいのか、あるいは現在の価格というものをできるだけ長く据え置くという方向にいくのがいいのか、これは一概に前者の方がいいというふうには言い切れない点があるんではないか、こういう気持ちを持っております。
 したがいまして、私どもは冒頭に申し上げましたように、価格は国の指示で決めるような方策はとっておりませんけれども、できるだけ長くこの需要期中にも価格は据え置かれるような判断を企業にしてもらいたいという期待を持っておるということでございまして、対馬先生の御質問には私どもがそういう気持ちを持っておることを御答弁申し上げたいと思う次第でございます。
 それから、第二点の共同購入の点につきましては、もう全く私どもは共同購入が望ましいという気持ちを持っておりまして、そういう行政指導もやっておりますし、現地におきましてそういう反対の情勢になっておるということになれば大変残念なことでございまして、共同購入につきまして消費者と石油販売業者が相互信頼をベースに話し合ってもらいたい、こういう気持ちを通産省として強く持っておるということをお答え申し上げたいと存じます。
#86
○対馬孝且君 いま長官からお答えをいただきました。その点ではあれですが、ただ割り切れない気持ちは消費者の声として率直に、というのは、日石の例を言うと系列特約店の経営に対して七月から九月のガソリン一キロリットル当たりに対して二千円の特別協力金を交付した、こうなっているでしょう。こういうやり方がやっぱり非常に不明朗だというわけだ。ただ、そういう特約店なりそういうところに出すのであれば、逆にむしろ消費者に何ぼでも、三円でも三円でも下げてあげましたよというやり方の方がかえって消費者が好感持てるわけだ。ところが、どうも特約店との間だけに、もっと消費者がうがって言うことは、日石という系列支配を強めるためにこの金を出しているんだ、いわゆる寡占化の体制強化のためにこの特別協力金というものをメーカー側が出しているんだ、こういう印象より残っていないんですよ。そういう金があるんであれば、やっぱりむしろ消費者に対して何円でも安く売っていただくようにするのが、本当に国民の理解ある業界だということになるんじゃないのか、あるいは通産省の指導もそうなるんじゃないのか。なぜかといえば、この前、東京高裁の判決を見ても四十八年から四十九年やみカルテル行為があった、ああいう異常なぼろいもうけをしたということが判決でも有罪であるということが出ているだけに、この消費者側の気持ちはやっぱりその点にあるということを、きょうは時間もありませんから、これもひとつ今後の課題として十分にひとつ受けとめて検討してもらいたい。
 それから二番目の共同購入については、いま長官からございましたから、その点でぜひひとつ再びバックアップをしていただいて、それなりの行政指導をいただいてひとつ成果を挙げてもらいたい、こう思っています。
 きょう時間長くなってしまいますから、この点をお答え願います。
#87
○政府委員(森山信吾君) 第一点の日石の件は、実は実態を申し上げますと、全く逆の現象でございまして、すでに日石の販売店が消費者に対してかなり還元をした意味で安売りをしたわけでございますけれども、それに対する補てんというような意味でございますから、今度の二千円の措置はいわゆる引き下げのための配慮ということでは全くないわけでございまして、その辺の実態を少し明らかにしておく必要があるんじゃないかと思います。
 それから第二点につきましては、もう御指摘のとおりでございまして、そういうふうに配慮いたしたいと思います。
#88
○対馬孝且君 いま長官からありましたから、いずれにしましても問題は私もいつも言っていることですが、円高差益が出たときは灯油あるいは石油製品はなかなか下がらない、差損になった場合にはすぐ上げる、これが率直な庶民感情なんですよ。そこらあたりがやっぱりこれからひとつ受けとめてもらって、確かにいままでの実態を見ると差損になったときにはすっと必ず上げるわけだ、差益のときにはなかなか値下げになっていかないというのは、これはもう全く偽らざる庶民の声ですよ、これは消費者の声ですよ。そういうことについてやっぱり本当に耳を傾けていただいて、これからの石油製品の値下げ指導にできるだけひとつ、特に需要地である、ドラムかん年間十二本も使用しなきゃならぬという北海道、東北、北陸の大量消費地帯を中心に何とかひとつ考えてもらいたい、このことを要望申し上げまして私の質問は終わります。
#89
○委員長(金丸三郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十五分開会
#90
○委員長(金丸三郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#91
○田代富士男君 私は、きょうは二点についてお尋ねをしたいと思います。
 第一点は、工業立地対策の問題でございます。
 第二点は、雑誌フォトの「新製品ガイド」の問題についてでございます。
 最初に、工業立地対策の問題でございますけれども、ゆとりある地域社会をつくるためには、地方産業の基盤を確かなものにして、雇用の場を確保することが必要不可欠な要件ではないかと思います。そのため行政のバックアップが必要であることは言うまでもございません。
 そこで、故大平総理は、政治理念といたしまして田園都市構想を掲げられまして、その具体的推進に関しましては、国が地方における雇用機会の創出に資するための産業の地方分散を推進すると、このように述べられておりますけれども、大平総理の路線を継承されました鈴木内閣といたしましては、当然この政策を継承し、さらに発展されると思いますけれども、最初に通産大臣からその御見解を承りたいと思います。
#92
○国務大臣(田中六助君) いま田代議員御指摘のように、大平総理は、田園都市国家構想というものを掲げまして、入り口に立っただけで挫折したわけでございまして、鈴木内閣はこの田園都市国家構想を推進していくという基本方針を立てております。
 この田園都市構想は私も第一次大平内閣の官房長官をやっておりまして、一緒に故大平総理とともども七回ぐらいこの構想の会議に出ておりましたけれども、大平総理の考えは、都市に田園の豊かさを、田園に都市の活力をというつもりで、産業基盤の整備というものを根底において考えておったわけでございまして、雇用の拡大、工場の地方の分散、地方の時代、そういうものを頭に描いてこの田園都市国家構想を進めておりまして、私どももこれを継承して鈴木内閣は推進していこうという方針でございます。
#93
○田代富士男君 ただいまも大臣が申されましたとおりに、都市に田園の豊かさ、田園に都市の活力を与えて産業基盤の政治をやっていきたいという、そういう路線を継承していただくということでございます。そのように受けとめていきたいと思いますが、まず最初に五十二年の十一月、第三次全国総合開発、三全総でございますが、これは定住構想推進の一環といたしまして、工業再配置の地域別目標を定められておりますけれども、それを見ますと、工場出荷額の五十年から六十年の伸び率では、東京、大阪など大都市圏を一・九倍弱、全国平均の一・九六倍より抑制をいたしまして、半面北海道、東北、九州などの遠隔地では二・五倍強と、地方圏における工業開発を促進することを目標にしておりますけれども、
   〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕
ちょうどことしは、御承知のとおりに中間年でありますし、この工場出荷額の伸び率は各地どのくらいになっておるか、それをどのように掌握していらっしゃるのか、これをお答えいただきたいと思います。
 工業統計としての資料はありますけれども、このまとめられた段階では二年ほどの数字のずれが出ているというやに承っておりますし、これでは対応はむずかしいと思いますし、ダイナミックな動態の把握ができないものであろうかと懸念されておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
#94
○政府委員(松村克之君) お答えいたします。
 いま先生御指摘のとおり、工業再配置計画は昭和五十二年の七月に策定されたわけでございます。策定いたしましたときに、昭和四十九年を基準年といたしまして、目標年として昭和六十年をとっているわけでございます。したがいまして、御指摘のようにことしがちょうどその中間年に当たるわけでございます。この計画では全国のブロック別の工業出荷額あるいは誘導地域での新増設シェア等につきまして、工業統計ベースで目標を定めているわけでございますが、御承知のとおり工業統計はその結果が出ますまでに二年かかるということがございまして、現在、昭和五十五年でございますけれども、現在の段階におきましては正確には昭和五十三年時点までしかその数字が出ていないわけでございます。しかし、最近の動向につきましても、私どもの方でやっております工場の立地動向調査、これは五十五年の上期まで利用が可能でございます。また、生産指数統計、これは五十五年の、本年の五月時点まで利用が可能になっておるわけでございますが、これらの先行統計を用いまして適宜最近の状態について把握するように努力しているわけでございます。それで最近の状況でございますけれども、最近のシェアの動向を工業統計表及びいま申し上げました幾つかの補足的な統計からの推計で申し上げますと、たとえば関東臨海地域につきましては、昭和四十五年のシェアが二九・六でございますが、これが五十三年には二六・六というふうになっております。五十四年もほぼ同様の推計になっております。また、近畿臨海地域について申しますと、昭和四十五年で一九・一%のシェアがございましたものが、五十三年では一五・七%というふうに落ちているわけでございます。五十四年についてもほぼ同様の状況でございます。これを大ざっぱに見ますと、いわゆる首都圏、それから大阪地区及び名古屋地区、この三つの都市圏におきますシェアが若干ダウンいたしまして、その分が一般的に言いますと全国の誘導地域に移っているわけでございますけれども、やはり昨今の、特に五十一年、五十二年、五十三年といいますところは、設備投資の若干の落ち込みということを反映いたしまして、必ずしも十分の工業再配置の実績を上げるまでには至っていないというのが現在でございます。
#95
○田代富士男君 じゃあ次に、企業の工場新増設の統計調査をどのように実施していらっしゃるのか。また、再配置計画におきましてその前提ともなります企業の設備投資の動態を敏速に把握しなければ、通産省といたしまして行政指導をされるけれども、その計画の実行はむずかしいのではないかと思いますが、この点に対するお考えはいかがでございましょうか。
#96
○政府委員(松村克之君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、トータルとしての統計は種々あるわけでございますけれども、そのほかに企業の新増設に対する実態調査といたしましては、御存じの工場立地法に基づきまして工場立地の動向調査を行っているわけでございます。この調査によりまして製造業者等の土地の新規取得の動向を年二回定期的に把握をいたしております。また、それとともに、一定規模以上の工場の新設等の場合に、やはりこれも工場立地法によりまして、工事着工の九十日前までに届け出を提出さしているわけでございます。これらの資料によりまして逐次工事の着工ベースでの動向把握をいたしているわけでございます。
#97
○田代富士男君 工業用地についてちょっとお尋ねしたいと思いますが、この工業用地については、トータルで見ますと六十年に二十二万ヘクタール程度が見込まれておりまして、五十年末までに使用されると見込まれる分を除きまして、六十年までに六万ヘクタール増加すると推定されておりますが、このうち工業団地について、準備のための用地を含めてまた今後新たに四万ヘクタールの工業団地を使用可能な状態に持っていく必要があるとしてありますが、この工業団地は御承知のとおりに工業用地を先行的、計画的に供給をするため果たす役割りは非常に大きいわけでございますが、この工業団地の利用、売却状況を通産省で調査されておりますけれども、それを調べてみますと、五十四年九月末現在で全国六万九千四百二十五ヘクタールのうち八千二百六十七ヘクタールの未売却を抱えております。これに現在造成中また未分譲分二万四千八百二十八ヘクタールを加えますと、全国で約五割弱の工業団地が利用されていないという実情であります。これは通産省で調査されて掌握されていることでございますが、地域的に見ますと、北海道、東北の売却済みは三割程度と、遠隔地に売れ残りが目立っておりまして、工業再配置の一層の推進のためにもこの売れ残りをどう対処をしていくかということが大きな問題ではないかと思いますが、こういう問題に対してどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
#98
○政府委員(松村克之君) 団地調査の結果によりますと、いま先生が御指摘になりましたように、全国におきまして工業団地の未売却面積というものが相当量にあるわけでございますが、この理由といたしましては、いろいろ景気のスローダウンでございますとか、あるいはそれに伴う企業の新規立地あるいは設備投資意欲の減退といったようなものがいろいろあるわけでございます。しかしながら、やはり、これらの工業団地の造成の担当をいたしておりますのは地方自治体あるいはこれに類した公共的な団体でございます。したがいまして、これらの団地を今後なるべく早期に分譲していくということは非常に重要な問題でございますが、この問題につきましては、もちろんそれぞれの事業主体によります分譲努力ということが基本でございますけれども、通産省といたしましてもこれらの工業団地への企業立地を促進するというために努力をいたしているわけでございます。
 そのわれわれがとっております施策について概略を御説明いたしますと、御存じのとおり、工業再配置促進費の補助金、また工業団地造成利子補給金というものを出しているわけでございますが、これをさらに拡充強化していきたいというふうに考えております。また第二番目には、日本開発銀行等による基幹工業特別融資というものを行っているわけでございますが、この制度についてもさらにこれを強化していきたい。また第三番目には、各産業界の実際の専門家、実際企業に携わっておられる専門家から成る工業開発指導員という制度を持っておりまして、この指導員を適宜それらの地域に派遣いたしまして、地方自治体あるいは関連のところに対してこれを指導していくといったような政策もとっているわけでございます。また、私どものところにございます立地情報室、これを中心といたしまして、全国各地にございます団地のPR、あるいは企業からの照会、相談への対応といったようなことも特に中小企業を中心といたしまして強化いたしているわけでございます。また、最近の企業立地の動向を見ますと、石油危機の後、停滞いたしておりました立地動向も、最近ではやはり若干景気動向が上向いてきたということに対応いたしまして、五十四年及び五十五年の上半期と相当上昇の機運が出ているわけでございます。
 通産省といたしましては、今後引き続いて工業団地への企業立地を促進するために、工業の地方分散投資促進税制といった新しい制度の創設を初めといたしまして、施策の拡充強化に努めてまいる所存でございます。
#99
○田代富士男君 ただいまいろいろお答えいただきましたが、早期分譲に努力していくことが基本であるけれども、企業の設備投資意欲の問題があるというそういうお答えでございますが、運輸省が実施しております昭和五十五年一月末現在の工業移転動向調査の結果によりますと、八〇年度以降の企業の移転――以降というのは将来は移転することもあり得るけれども、当面移転の考えはないとするもの、及び移転の考えは全くないとするもの、そういう企業が七割から八割強あります。この五年間というものはこの意向に変化はありません。さらに移転予定先のアンケートに対しまして、三大都市部及び外周地域を選ぶ比率が非常に高くて、遠隔地を選ぶ比率はきわめて低いわけなんです。そういう立場から通産省の分析でも、近距離移転の傾向は依然として強まっていると結論を出していらっしゃるわけでございますが、この企業の動向に対しまして再配置計画を推進するに当たって大きな障害となっているんじゃないかと思いますけれども、再度通産省はいかなる対策を、いまも申されたけれども、この意欲の問題に対する対策ですが、どのように図られようとされるんでしょうか。
#100
○政府委員(松村克之君) 私どものところで工場移転の動向調査と申しますものを年に一回やっておるわけでございますが、この調査によりますと、いま先生御指摘がございましたように、当面移転意向がないという企業が全体の八割強を占めているわけでございます。しかし、この八割強の中で三割程度の企業は将来移転することもあり得るということを一応表明しているわけでございまして、それ以外の移転意向の強い約一割程度の企業と合わせまして、全体としてこれら都市部に存在します企業の約四割ぐらいが何らかの移転の必要性を認識しているわけでございます。今後とも、したがいまして、大都市圏からの工場移転はやはり続いていくものであろうというふうに考えるわけでございます。
 しかし、また一方では御指摘がございましたような経済の低成長下というものを背景といたしまして、今後工場移転がそれほど伸びないという点も懸念されるわけでございますが、この点について私どもの方で調査いたしました、いま申し上げました調査の中で、移転を行う際の問題点という調査項目があるわけでございますが、これによって問題点を見てみますと、移転資金の借入金利あるいは新工場の設備償却が負担となっているという回答がございましたのが約五割でございます。また、現工場の従業員がついてこないという回答が三割、輸送費、通信費等の運転費用が負担となるというものが二三%程度というふうに出ているわけでございます。こういった移転資金の借り入れあるいは新工場の設備償却の負担減といったようなことについては、現在の工業再配置政策の中でも取り入れられているわけでございますが、さらにこれらの施策を強化していきたいと思います。
 同時に、いまの減量経営と申しますか、景気がどちらかといえば低成長でございまして、企業が減量経営に非常に努力しているといったような状況のもとでは、やはり遠隔地への立地ということについてその遠隔地立地によるコスト上昇というものについて、企業は非常に敏感になっているわけでございます。したがいまして、こういった点のコストをできる限り、コストといいますか、デメリットを少なくしていくといった方向につきまして、さらに今後とも工業再配置政策を強力に実施していきたい、かように考えている次第でございます。
#101
○田代富士男君 ただいまも工場の移転というのは伸び悩み傾向にある、そういうお話をされましたが、工業再配置計画は昭和六十年において移転促進地域の工業用地面積を、四十九年に比べまして三割程度減少させるという目標を立てていらっしゃいますけれども、現在四十九年当時と比べてどの程度減少しているのか、通産省といたしまして計画の進みぐあい、あわせて明確にこういう点を掌握しておかなくちゃならないと思いますが、この点はどうでございましょうか。
#102
○政府委員(松村克之君) お答えいたします。
 いま先生からお話ございましたように、工業再配置計画におきましては大都市の過密の解消、さらに工業の地方分散という点から、昭和六十年におきます移転促進地域の工場敷地面積を四十九年当時に比べまして約三割減少させるということを一つの目標にいたしているわけでございます。この目標の達成状況につきまして工業統計調査に基づきまして移転促進地域の中心をなしております東京二十三区、大阪市、名古屋市、この三都市の工場敷地面積の推移を検討してみますと、東京におきましては四十九年の工場敷地面積千九百三十三ヘクタールが、昭和五十三年には千四百二十二ヘクタールと二六%程度の減少を示しております。また、大阪でも一三・六%の減少、名古屋でも一六%の減少、合計いたしまして約一九%の減少を示しているわけでございます。
 これら三つの都市が移転促進地域の全体をカバーしているわけではございませんが、一つの推定として考えますと、これまでのところ実績といたしましては目標が六十年に三割ということでございますので、目標のラインに向かってほぼ満足すべき状態で進んでいるのではなかろうかというふうに考えております。
#103
○田代富士男君 続いていまさきも御答弁の中にありましたけれども、政府は再配置促進法によりまして移転促進地域から誘導地域への工場の移転を促進するために、関連施設への補助金の交付などの対策を講じていられますけれども、思うようにこれが進捗してないようであります。これは御承知のとおりだと思います。たとえば促進費補助金の最近五年間の実施状況を見てみますと、予算現額に対しまして四十九年六五%、五十年五七・三%、五十一年六二・三%、五十二年五三・三%、五十三年四七%、以上のように膨大な比率の繰り越し、不用の名目の使い残しがあるわけなんですが、このような不適正とも言える、予算の使用がなされなかった原因は何であるのか、お答えいただきたいと思います。
#104
○政府委員(松村克之君) 工業再配置の補助金につきまして、御指摘がありましたように、昭和五十一年度、五十二年度に相当多額の不用額を計上したわけでございますが、これは当時の景気の急速な冷え込みということから企業の立地が大幅に落ち込んだということが大きいわけでございますが、また一方では、このプロジェクトに伴います用地の手当ておくれといったような技術的な問題がございまして、これによる実施時期のおくれといったことも一つの理由であろうかと思います。
 ただ、最近における動向を見ますと、一つには制度が充実してきたということ、またこの制度についての、何と申しますか、各地方自治体にこの制度の状況が、よく情報が伝わってきたといったようなこともございますし、また最近の工業の地方移転が若干でも促進されているといったようなこともございまして、不用額は最近減少しているわけでございます。五十三年度、五十四年度には相当減少しております。五十五年度については、これは私どもの考えでは不用額を発生させないという見込みでもございますし、またその方向で努力をいたしておるところでございます。
#105
○田代富士男君 大都市から人口及び産業の地方分散と地域の開発、発展を図るために設立されました地域振興整備公団が工業再配置のために行っている工場移転融資についてお尋ねをしてみたいと思います。
 最近の事業規模に対する融資の実績を見ますと、これまた年々低下をしております。特に、五十一年度は三五・一%、五十二年度は三二・七%と三〇%台の執行率になっております。しかも、年々事業規模も縮小されまして、五十年度五百六十億、五十一年度六百十六億、五十二年度四百二十五億、五十三年度三百三十億、五十四年度は二百三十億で、対前年度比四〇%もの減少になっておりますが、これは融資実績が年々三割前後の落ち込みを反映したためであるけれども、このような実情をどのようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
#106
○政府委員(松村克之君) 先ほどは工業再配置の補助金についてお答えしたわけでございますが、地域振興整備公団が実施いたしております移転融資につきましても、その実行状況はいま先生から御指摘があったとおりでございます。
 この不用額が生じた原因でございますが、ただいま工業再配置補助金について申し上げましたような理由がやはり大きいかと思います。企業を取り巻いているこういった経済環境の影響が主であろうかと思いますが、またそのほかに、過去におきます予算の不用が発生した要因の一つといたしましては、金融市場が比較的緩和期にあったために移転に必要な資金の自己調達が可能であったということもその一つの理由であろうかと思います。しかし、やはり繰り返して申しますと、その最大の要因は、民間の設備投資が停滞して移転の実際の件数自体が減少したということであろうかと思います。また、最近の融資動向についてこれを見ますと、融資の実額といたしましては、昭和五十三年度をボトムに増加の傾向を示しているわけでございます。また、予算額に対する不用額の比率も大幅に低下いたしておりまして、五十五年度におきましては、これも予算のほぼ全額を使用するという見込みでございますし、またその方向で努力をいたしておるところでございます。
#107
○田代富士男君 いま私申し上げましたことに対しまして、そういう数字的なことはいろいろな理由があってそういう結果を招いたけれども、五十三年度からは執行状況は増加の傾向を示していると、そういうようなお答えでございますけれども、幾ら最近移転の傾向が上向いてきているといいましても、過去に予算の効率的な使用がなされなかったという事実には変わりはないと思います。これははっきりしておきたいと思います。これは通産省が予算を組む段階で企業の動向、いま申されたとおりに金融市場が厳しくないために自己調達があった等いろいろなことがございましょうけれども、そういう経済情勢などで見通しの甘さもあったのではないかと思いますけれども、この点はどのように受けとめていらっしゃいますか。
#108
○政府委員(松村克之君) 一つには、私どもといたしましては、これらの工業再配置の補助金でございますとか、あるいは地振公団の移転融資といったようなものにつきましては、この制度自身が非常に重要な政策目的を持っているというところから、その使用に当たって不足を来さないようにという点もわれわれ考えるわけでございますけれども、それにいたしましても多額の不用を立てるということは好ましくございませんので、今後は、いま御指摘がございましたように、将来の経済の見通しあるいはこれらの工場移転の需要の発生というものについて、さらに正確な推計をつくるべく努力をいたしたいと、かように考えております。
#109
○田代富士男君 次に、工業再配置促進に重要な役割りを果たしております地域振興整備公団に関して、予算執行の面からちょっとお尋ねをしてみたいと思います。
 財政投融資計画による地振公団の実行状況を見てみますと、五十年度三七・七%、五十一年度二九・四%、五十二年度四二・五%、五十三年度一八・七%という実績は計画の四割にも満たない、こういう実績が挙がっております。さらに、不用とされた額は五十年度百九十八億円、五十一年度百五十億円、五十二年度三百三十二億円、五十三年度では何と全体の六〇%にも当てはまります三百八十九億円にも上っているのでございます。御承知のとおりに財政投融資の資金というのは、国民のささやかな貯金やあるいは保険料などを利用するこの計画が、このようなずさんな使われ方をするということは、われわれ看過するわけにはまいりません。この責任をどうお考えになっていらっしゃるのか。また、これを総合的に監督されます監督官庁にもこのことをお尋ねしたいと思いますが、どうでしょうか。
#110
○説明員(井出誠一郎君) 地域振興公団に対します資金運用部資金の借入状況が、五十年度から五十三年度にかけまして非常に実績が予算より下回っておるという点につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。地域振興整備公団は、先生御案内のとおり、地方都市の開発整備事業、工業再配置事業、産炭地域振興事業という三つの事業を推進、実施しておるわけでございますが、これを大別しますと土地の造成、それから融資というふうに分かれるわけでございます。過去数年にわたりましてこのように多くの繰り越し、不用を立てたその原因といたしましては、中核工業団地の造成及び地方都市の整備につきましては、地方公共団体からの要請を待ちまして事業に着手するという段取りになっているわけでございますが、地方公共団体から内々の相談を受けまして計画をだんだん固めていく段階におきまして、地域振興公団としましては要請があったら直ちに円滑にこれに適応していくように予算的な措置も講じておるわけでございますが、それが一方、地方公共団体側の事情によりまして議会等の同意がおくれているというようなことから、要請がおくれるということがまたしばしばあったわけでございます。これが予算の不用ないし繰り越しという原因の一つになっているわけでございます。
 それから二番目といたしましては、土地を造成するのに関しまして、関連公共設備の整備につきましては、地方公共団体におきましてもある程度の負担をいたすわけでございますが、これについての地域振興整備公団との調整に時間を費やしておって結論が出ないという場合も、しばしば見受けられるわけでございます。それからまた、一たん事業に着手いたしまして土地の買収を始めると、しかしその後一部の地権者の賛同が得られないまま事業実施全体が滞ってしまうと、そういうような状況もいままで見られたわけでございます。
 また、融資事業につきましては、先ほど来御説明のございましたように、五十年度来の経済情勢の沈滞から、企業における設備投資意欲というのが減退しておりますし、また金融事情も緩和しておりまして、逆に現在借りておるのを繰り上げ償還するというような場合も見られまして、それが公団の資金の使用計画の大幅な未達を生じせしめるという原因になっているわけでございます。
 こういう事態にかんがみまして、公団におきましても各年度、次年度の事業計画を厳しく積算いたしまして、実行可能な、可能性の大きいものにしぼっていくというふうに努力いたしてきたわけでございまして、こういう方向で国土庁及び関係省庁とも公団を指導してまいったわけでございます。
 最近の情勢を見ますると、五十四年度におきましては、五十三年度までは大幅な不用額を計上しておりましたが、五十四年度には不用額がほとんどゼロという状況になっておりまして、繰り越しもかなり五十三年度から減少いたしておるという状況になっているわけでございます。私どもといたしましては、今後とも国土政策の一端を担います地域振興公団の事業の円滑、適切な運営ということを確保するために、関係省庁とも協力して適切な指導をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
#111
○田代富士男君 ただいまも私指摘をいたしました、この予算の不用等の実態、これらのことにつきまして、会計検査院の方お見えでしたら御見解をお聞きしたいと思います。
#112
○説明員(土居徳寿君) お答えいたします。
 地振公団の過去数年間におきます予算執行におきまして、多額の繰越額ないし不用額が生じておりますことは、先生御指摘のとおりでございまして、予算の執行としては適切な状況とは言えないものと考えております。
 このような事態が生じました原因につきましては、ただいま当局から御説明がございましたように、事業の態様に応じましていろいろとあるわけでございますが、私どもといたしましては基本的には事業計画が事業執行の実態に適合しない事態であったにもかかわらず、このような事態を十分反映させないで事業計画ないしは予算等を策定してまいったことによるものであると考えております。
 ただ、私どもといたしましては、このような事態についてすでに当局に対しまして御見解をただし、注意を喚起したところでございまして、これにつきましてもただいま当局から御説明がございましたように、地振公団におきましては、最近事業計画等につきまして事態の是正に努めている状況でございます。
 まあ、事態は以上のような状況でございますので、今後とも私どもといたしましては、こうした事態について十分留意して適正な執行がされますようにその推移を見守ってまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
 以上でございます。
#113
○田代富士男君 会計検査院の方退席されて結構でございます。
 続いて、工業団地をつくるに当たっての土地、市場、流通コストなどを勘案した選定基準はあるのかどうか、御説明をお願いしたいと思います。
#114
○政府委員(松村克之君) 工業団地一般につきましては、先ほど申し上げましたように、当該地区の地方自治体等が事業主体となっている場合がほとんどでございますが、これらの工業団地の造成に当たりましては、当該地区の環境保全に留意しながら、土地の形状でございますとかあるいは地質、土質、用水等の一般的な立地条件を検討し、また地域の開発計画との整合性あるいは工場進出の見通し、労働力の確保の可能性等の社会経済条件を勘案して選定されているというふうに考えるわけでございます。
 また、いわゆる中核工業団地の造成に当たりましては、これは地域振興整備公団が行うわけでございますけれども、いま申し上げましたような条件についての検討を加えるほかに、やはり中核工業団地の場合には当該団地がその地域における経済開発の中核となるというところからいたしましても、その規模でございますとか波及効果等につきましても検討し、地元地方自治体等の協力の度合い等も勘案いたしまして、中核工業団地としてふさわしいものを選定するということにいたしているわけでございます。
#115
○田代富士男君 次に、地域公団が開発を進めております、ただいまもお話が出てまいりました中核工業団地の現状についてお尋ねをしたいと思いますが、全国十二地区のうち、公募をしている分ですでに契約済みとなっているのはどのくらいあるのか。また、いままで造成にかけた事業費は総額幾らぐらいになるのか。また、公団に対して借入金利の二〇%相当分を利子補給等しているようでありますが、どのくらいになるのか、いま契約がとれなければ負担は年々増加していくわけでございますが、どう考えているのか、見通しをお聞きしたいと思います。
 それと、売れ残りの状況を見ますと、通産省の工業団地の選定基準そのものに見通しの甘さがあったのではないかと思いますけれども、これらのことをあわせてお答えいただきたいと思います。
#116
○参考人(中橋敬次郎君) 地域振興整備公団が造成をいたしております十二中核工業団地のうちで、現在分譲を開始いたしましたのは五団地でございます。そのうちの三つはちょうど二年ほど前、昭和五十三年から売り出しを始めておりまして、その分譲面積は約二百四十六ヘクタールでございます。その中でも、すでに分譲いたしましたものの約三分の二を売ったもの、あるいは分譲いたしておりますものの約半分を売りましたものというようなものがございまして、この二年間で売りましたもののその三団地の分譲率は、平均いたしまして約四一%になっております。さらに昭和五十四年に一団地、それから昭和五十五年に一団地売り出しを開始いたしております。現在、合計で先ほどの三団地を含めまして約三百四ヘクタール分譲いたしておりまして、すでに売れましたものがそのうちの約百三ヘクタール、平均いたしまして三四%になっております。
 それから、第二の御質問のことでございますが、これまでの中核工業団地の造成にかけました総事業費としまして、造成直接費は約五百三十一億円でございます。そのほか間接事務費約五十三億円、それから利子、債券発行諸費約百四十四億円を投じております。
 それから、第三の御質問の中核工業団地につきましての公団に対します利子補給でございますけれども、昭和四十七年度から四十九年度までは利子補給の機能を果たすために産投の出資ということが行われておりましたけれども、昭和五十年度以降はこれを御指摘のような利子補給制度に変えております。昭和五十年度から五十四年度までのその利子補給額の総計は約十三億円余りとなっております。
 それから第四に、先ほどいろいろ分譲につきましての御指摘がございました。私どもも工業団地を立地いたしますにつきましては、立地公害局長からのお話しのような全国的な視野あるいはまたその地域におきますところの発展というようなものを勘案しながら、分譲を、中核工業団地の立地をいたしておるわけでございますし、造成につきましてはできるだけ早期にこれを造成をし、またできるだけ早く分譲をいたすというふうにいろいろと努力をいたしておる次第でございます。
#117
○田代富士男君 一連の御答弁をいただくような現状でございますから、大蔵省といたしましては、中核工業団地造成事業につきましては五十六年度は新規事業を認めない方針と言われておりますけれども、大蔵省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#118
○説明員(日吉章君) お答え申し上げます。
 五十六年度におきます地域振興整備公団の中核工業用団地造成事業につきましては、新規に三地点を採択したいとの御要求を受けておりますけれども、これにつきましては、現在関係各省及び公団から要求の御説明を受けておりまして、査定作業を行っているという最中でございます。したがいまして、残念ながら確定的なことを申し上げることができる段階には至っておりません。ただ、申し上げられますことは、地域振興整備公団には、ただいまもいろいろ御議論いただいておりますことでおわかりのように、なお造成中ないしは分譲中の中核団地が相当程度にございまして、これらの分譲がおくれますとそれだけ国及び公団の負担が増大するというだけではありませんで、さらにはこれが分譲価格にもはね返るというようなことになりまして、ますます分譲されにくくなるというふうなことでもございますので、まずこれらの分譲促進を図ることが緊急の課題ではないかと、かように考えております。したがいまして、五十六年度の新規地点採択の御要求につきましては、これらの既採択地の分譲の進捗状況あるいは新規御要求あります当該地点への企業立地の具体的な見込みがどうであるかと、さらには現在の厳しい財政状況等をも総合的に勘案しまして、厳しい態度で臨まざるを得ないのではないかと、かように考えております。
#119
○田代富士男君 ただいまの大蔵省の考え方につきまして、通産省はどのように対応されるわけでございましょうか。
#120
○政府委員(松村克之君) ただいま財政御当局の方から中核団地の五十六年度要求についてのお考えが表明されたわけでございますけれども、私どもといたしましては、工業再配置政策の推進ということはこれは非常に重要な国の政策でございまして、そのために地域振興整備公団の中核工業団地を採択し、これを造成していくということは今後とも強力に進めていきたいと、これは工業再配置政策の推進上必要不可欠な事業ではないかというふうに考えているわけでございます。ただ、私どもといたしましても、最近の財政事情については十分存じているところでございますし、御指摘のありました団地コストの軽減化あるいは完成した団地についての分譲努力といったようなことについては、当然のことでございますが、われわれとしても努力し、また地域公団に対してもその努力を促してまいりたいと、かように考えております。
#121
○田代富士男君 次に質問を移したいと思いますが、公団の工場移転融資を受けた企業の跡地の利用状況について、どのように利用され、またどういう状況にあるのか十分に掌握されていらっしゃるのかお尋ねしたいと思いますし、単に移転の促進を図るだけでなくして、跡地利用について明確なる方向性を持たなければ、移転の促進は骨抜きになってしまうと思いますが、考えを聞かせていただきたいと思います。
#122
○参考人(中橋敬次郎君) いま御指摘の制度は昭和四十七年の十月から始まっております。それで、自来本年の九月までに実施をいたしました工場移転融資によりまして、約四百三十一ヘクタールの工場跡地が生じました。その中で跡地の利用目的が決まっておりますのが約三百八十四ヘクタールでございます。この三百八十四ヘクタールの中で約七〇%の二百六十二ヘクタールといいますのが、たとえば住宅公団でありますとか、地方公共団体でありますとか、地方の公社でありますとか、あるいはまた空港周辺整備機構でありますとか、そういった公的な機関の利用に充てることになっております。それから、残りの百二十二ヘクタールにつきましても、民間の住宅用地になったりあるいはまた事務所、研究所等の利用に充てられるということになっております。
 その目的につきましての考え方でございますが、これは当然工場を移転します目的というのは、その工場が当該地にありましたときの環境というものを改善をいたすということが第一でございますし、またその跡地の利用におきましても、十分土地利用目的にかないまして、その当該地域の環境をよりよくしながら発展に寄与するという方向に利用させたいと思っております。
#123
○田代富士男君 ただいまの問題に関連いたしまして、親企業の移転によりまして小規模また下請企業の受ける影響は大きなものがあります。これは御承知のとおりだと思いますが、地方分散の促進が弱小下請の切り捨てにつながるようになってはならないと思いますが、これら関連企業の保護をいかにやっていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
#124
○参考人(中橋敬次郎君) 工場移転融資に際しまして、御指摘のようにその移転をいたします企業と関連を非常に強く持っておりますところの下請企業が、その取引上どういうような影響を受けるかということにつきましても、十分われわれも関心を持っております。特に、その下請企業が実際に親企業の工場移転に同行いたしますような場合には、それに要しますところの移転費用を下請対策費というような項目のもとに移転融資の対象の中に含めております。あるいはまたその移転に伴いまして、下請企業の移動に伴いましていろいろ新しい場所におきまして新しい仕事を行うということについて、たとえば免許を取得するについて何らかの打開策がないかというような場合には、公団の方でも側面からこれを援助するというようなことで、十分配意をいたしておるつもりでございます。
#125
○田代富士男君 再配置促進といい工業立地の地方分散といいましても、企業にとりましては取引の問題あるいは市場の将来性、または輸送コスト、公害等さまざま調査分析しなくちゃならないそういう大きな負担があるわけでございますが、独自に調査機関等を持っている大企業はまあまあそれはおくといたしましても、中小企業においてはこのような調査は十分にできません。移転は大きなかけになってしまいます。このような二の足を踏まざるを得ない原因はここらあたりにもあるのではないかと思います。そういう意味から通産省は再配置促進、地方分散のため情報提供などの行為をサービスをいかに行っているのか。またそのようなサービスの積極的な周知の努力が現在足りないのではないか、十分な活躍をされるべきではないかと思いますが、ここらあたりの問題はいかがでしょうか。
#126
○政府委員(松村克之君) 御指摘ありましたように、工場の再配置と申しましても、中小企業におきましてはいまお話がございましたようないろいろ立地情報の提供といったようなソフト面の対策と、あるいはサービスというものが必要なわけでございます。
   〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕
このような点につきまして私どもが現在行っております対策を具体的に御説明いたしますと、第一には、先ほどもちょっと申し上げましたが、工業開発の指導員という制度がございまして、この指導員は通産大臣が任命することになっておりますが、企業の第一流の専門家の方々にこれをお願いしているわけでございますが、こういった専門家の指導員を地方に派遣いたしまして、地方公共団体の企業誘致の方向あるいは企業の進出に当たってのいろんなソフト的なノーハウといったようなものについて指導する、あるいは助言するという制度があるわけでございます。
 第二番目には、私ども通産省の本省及び各通産局に立地情報室というものを置いておりまして、ここで工場立地に関する相談を受け付けているわけでございます。また、この立地情報室にございますコンピューターシステムによりまして、相談のあった企業等に対しまして希望に応じた工業適地に関する情報の提供をいたしております立地情報システムというシステムがあるわけでございます。またそれ以外にも日本立地センターでございますとか、あるいは農村地域工業導入促進センター等の関係団体による現在視察会を開催するとか、あるいは立地情報を作成普及するといったようなことを行っておりまして、これらについては中小企業を含む多くの企業から広範に利用されているわけでございます。この立地情報室の利用状況についてちょっと申しますと、昭和五十三年に千二百二十九件、五十四年は千三百六十三件、これだけの利用がなされておりまして、この大半が企業による立地情報の入手、特に中小企業のあれが多いわけでございます。私どもといたしましては今後ともこれらの措置を充実していきたいというふうに考えておりまして、特に中小企業への情報サービスという観点からはきめ細かい対策を推進してまいりたいと考えております。
#127
○田代富士男君 工業立地対策の問題に対してるる質問をしてまいりましたが、この問題の最後にお尋ねしたいと思いますが、再配置計画はベースとなる経済成長を六%プラスマイナス〇・三ポイントで想定しているわけでありますけれども、現在までの経済認識からするならばやや高目に見積もっているわけであります。また、ただいまも私がるる指摘してまいりましたように、企業の動向の把握に時間的なずれがある、工業用地がなかなか売れない、企業の移転動向ももう一歩という状況にありましては、工場過密の解消、地域経済の振興、地方の雇用機会の創出のための計画の促進というものが最初の目標とされたその理念というものが達成されないという懸念があります。そこで、再配置計画も、いまさきも申しましたとおりに折り返し点を過ぎようとしていることしでございますから、実態に即した対策を考えるべきではないかと思いますが、最後に大臣の総合的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#128
○国務大臣(田中六助君) 現状においては私ども経済成長率を変える考えはございませんし、また変えることもないと思いますし、新経済社会七カ年計画の五・五%とこの工業再配置の五・七、六・三%にかけての成長率がほとんど同率でございますので、このままでいいんじゃないかというふうに考えております。
#129
○田代富士男君 じゃ第二の質問に移ります。
 第二の質問は、雑誌「フォト」に掲載されてあります「新製品ガイド」の問題でございます。社団法人時事画報社発行の「フォト」五十五年十一月一日号、ここにございますこの「フォト」でございますが、これに掲載されてあります広告欄「新製品ガイド」の内容について、まず社団法人時事画報社の業務について、また政府はこの「フォト」を予算によって買い上げておりますけれども、その目的とここ数年の買い上げ実績等、及び「フォト」の配付先などについて御説明を求めます。
#130
○政府委員(小野左千夫君) お答えいたします。
 社団法人時事画報社は、グラフ誌などによりまして国民の皆さんに正しい政治、経済、社会知識を普及させることを目的として、昭和三十六年の三月に設立された公益法人でございまして、先生ただいまお示しのグラフ誌の「フォト」その他印刷物の刊行を主な事業といたしております。政府としましては、このグラフ誌「フォト」が政府の施策を写真によりましてわかりやすく知らせる広報誌であるという点に着目いたしまして、この雑誌の買い上げ配布を行ってきております。昭和五十一年度以降におきます一号当たりの買い上げ部数でございますが、昭和五十一年度は八万部、五十二年度が九万二千部、五十三年度が九万部、五十四年度が九万五千部、そして五十五年度が十万部でございます。予算額は、五十一年度が三億六千万円、五十二年度が五億一千万円、五十三年度が五億五千万円、五十四年度が五億六千万円、そして五十五年度が六億一千万円でございます。この「フォト」の主な配布先でございますが、大学、高校、図書館、公民館等の教育文化施設、地方公共団体及び医療機関など多数の方々が利用される施設でございます。
#131
○田代富士男君 ただいま御説明していただいたとおり、この「フォト」の雑誌はほとんど予算によって買い上げられております。またこれは、総理大臣の認可によってなされたところだと、こういう定款にも載っておりますが、そういう立場からお尋ねをいたしますが、五十五年十一月一日号の四十五ページ、ここでございます。これはもうお持ちだと思いますが、広告欄の「新製品ガイド」には四種類の商品に関しまして実用新案二件、意匠登録一件、あたかも特許にかかわるものと思わせるもの二件、通産省認定一件が記されております。
 まず、極細の万年筆の「テクニエース」の「実用新案」、数字は「八六二〇四四」。次に「ハンディチェックライター」の「実用新案一三九三二」及び「意匠登録四一九二六」となっておりますが、これらの番号にかかわる登録はされているのか、まず特許庁の方からお答えをいただきたいと思います。
#132
○政府委員(谷口光夫君) お答えいたします。
 ただいま御指摘のございました商品に関しまして表示がございます実用新案と意匠登録の番号でございますが、この番号に基づきまして調査をいたしましたところ、これらの番号にかかわる権利はすでにいずれも消滅をいたしたものでございます。
#133
○田代富士男君 いま申し上げたものは、すでに消滅をしているということでございますね。聞き及ぶところによりますれば、いま申し上げた数字というものは、あったとしても大正時代か昭和前期ぐらいの数字であるというようなことも承りましたけれども、消滅をしている、利用してはならぬということで、これは明確になったわけでございます。
 次にお尋ねしたいのは、「スティックライト」については「日本・米国特許出願済」と広告文に書かれておりますけれども、調査時間がかかる米国はともかく、わが国の特許についてこの事実関係はどうなっているのか、特許庁の調査結果を御説明いただきたいと思います。
#134
○政府委員(谷口光夫君) ただいま先生御指摘のございました「スティックライト」につきましては、御指摘に基づきまして調査をいたそうと思ったのでございますが、実は特許庁では出願のありましたものにつきましては出願番号というものを付与しておりまして、その番号によって検索をいたしておりますが、この広告にあらわされました文章ないしは図柄だけでは、果たして出願のあったものかどうかということを確認することができません。残念ながらそういう状況でございます。
#135
○田代富士男君 この商品もただいま御答弁のとおりに、出願番号に基づいて調査をした、文章図柄等やったけれども、これはあったかどうかも確認できないと、こういう不明確な点が明確になったわけでございます。
 ところで、次に質問をいたしますが、広告文に特許などの出願番号などを掲載するかどうかというのは、広告主の自由でございますけれども、総理府といたしまして今後このような特許の出願番号を確認するように、時事画報社に指導すべきではないかと思いますし、いま申されるとおりに消滅をしている。そういうものは掲載できませんし、百八十八条には、虚偽表示の禁止ということも規定されておりますけれども、こういうこともあわせましてお答えいただきたいと思います。
#136
○政府委員(小野左千夫君) お答えいたします。
 広告の掲載につきましては誌面の品位を損なうことなく、また事実に反することのないようかねてから要望してきているところでございますが、このような広告が掲載されましたことを大変遺憾に思っております。今後このようなことのないよう重ねて指導し、その徹底を図ってまいりたいと、このように考えております。
#137
○田代富士男君 まあ遺憾の意を表明されましたが、今後こういうことのないために対策を講じていくと申されましたけれども、ただ今後対策だけではなくて、具体的にどういう対策をお考えになっているのか、お願いいたします。
#138
○政府委員(小野左千夫君) 広告といえどもその内容は事実を伝えるものでなければならない、このように考えております。広告の掲載者は、この基本にのっとりまして、広告の内容につきましても的確な検討を加えることが必要でございまして、先生御指摘のように時事画報社に対しましても厳しく指導してまいる、このように考えております。
#139
○田代富士男君 これはたまたま時事画報社の問題でございますけれども、これはいまさつき申しましたとおりに、ことしの予算だけでも、五十五年度だけでも六億一千万円ほどの予算で全部買い上げられておる。政府の予算です。九十何%まで買い上げられておる。こういう雑誌にいま申し上げましたようないかがわしいものを掲載してもよいものでしょうか、どうでしょうか。
#140
○政府委員(小野左千夫君) 先ほども申し上げましたように、広告の内容につきましても、それが事実であるかどうかという点につきまして、広告の掲載者が厳しくこれをチェックしていくように、私どもとしては厳重に指導してまいりたいと、このように考えております。
#141
○田代富士男君 次に、「ガスヘルスター」について、ここにある商品ですけれども、ここには「特許も認可公開」とか、あるいは「通産省認定済」とか、このように書かれてあるわけなんです。これはまあ通産省の方もこれごらんになっていらっしゃると思いますが、ここにいま申し上げたような事実関係が、果たして書かれてあるような事実関係のある商品であるのかどうか、そこらあたりを明確にしていただきたいと思います。
#142
○政府委員(若杉和夫君) この商品につきまして通産省として認定しておる事実は全くございません。
#143
○政府委員(谷口光夫君) ここにございますように、特許について「認可公開されました。」とございますが、特許に関しましては認可公開という制度はございません。出願がございますと出願公開制度がございますし、さらにそれが公告になりますと、公告という制度はございますが、認可公開という制度はございません。
#144
○田代富士男君 いまお答えいただきましたとおりに、この広告文にあります「特許も認可公開」とか「通産省認定済」は明らかに虚偽の文章であるということが明確でございます。つまり六件のうち五件は虚偽である。一件は特許出願済みかどうか確認することすらできない、こういう状況でございます。このことをもって直ちに告発をという、そういうところまでは私考えておりませんけれども、特許法などの関係法では虚偽表示の禁止を定め、違反には罰則等も定められておるわけでございますが、冒頭私が質問で明らかにしていただきましたように、「フォト」の発行部数十一万三千部のうちに九〇%の十万部を買い上げる、そして年間六億もの予算を計上いたしまして、しかも社団法人時事画報社は総理大臣が認可した法人である。こういうようなことに対しまして虚偽広告についてどのように考え、今後どのように指導されていくのかお答えいただきたいと思います。
#145
○政府委員(小野左千夫君) 先ほど来申し上げておりますように、このような広告が掲載されましたことに対しまして大変遺憾に思っておるどころでございます。これからはこのようなことがないように時事画報社に対しましてさらに指導を徹底して、二度とこのような誤りを起こさないように注意してまいりたい、このように考えております。
#146
○田代富士男君 通産大臣、これは所管は総理府であると、総理府の所管ではないかというお考えもあるかと思いますけれども、少なくともここに掲載されてある商品名は通産省にも関係があるものが掲載されているわけなんです、すべて。だから所管が違うと言えばそれまででございますけれども、やはり鈴木内閣の国務大臣の中でも実力のある国務大臣の一人でありますし、こういうことが果たして許されるのか、私はそういう点で、いま時間の関係がありますから問題点だけを指摘してまいりました。
 いまここにありますガスヘルスターにつきましては、これは通産省の関係ですけれども、これ実験してくれということを頼んであります。実験した段階でこれが本当にどうであるのか。四、五年前にはこの器具が問題になったこともあるわけなんです。こういうことが掲載されているんです。これはこの問題で終わりません、私は。今後も進めてまいるわけなんです。とりあえず一つの問題を問題として取り上げたわけなんですけれども、いま質疑応答を通じましたこの問題に対しまして、総理府としてはこれは遺憾の意を表されておりますけれども、通産大臣、国務大臣としていかがです。最後にお願いいたします。
#147
○国務大臣(田中六助君) きわめて遺憾なことだと思っております。
#148
○田代富士男君 結構です。
#149
○委員長(金丸三郎君) それでは次に市川君の御質問を願います。
#150
○市川正一君 私は、最近暴力事件まで引き起こし、あるいは裁判ざたにもなるなど、大きな社会問題になっておりますいわゆる新聞の拡販問題について質問いたします。
 社会常識を超えて異常とまでさえ言えるさまざまな新聞の拡販競争の結果、景品表示法に違反する無代紙の横行、これによって一般販売店の経営が非常に圧迫されているという問題が、去る三月衆議院の予算委員会の分科会でわが党の瀬崎議員もこれを取り上げました。私はそれを踏まえつつさらに新たな幾つかの問題について取り上げたいと思うのであります。
 まず、公正取引委員会に伺います。公取委員会はことしの六月二十三日付で販売店主に対して新聞の取引実態調査を行い、調査票はすでに回収され、現在集計中だと聞いておりますけれども、この調査の目的について簡単にお聞かせ願いたい。
#151
○政府委員(劒持浩裕君) 公正取引委員会が現在行っております新聞販売店を対象といたしました調査は、日刊新聞の取引につきまして押し紙、拡材、無代紙といったものの提供行為等が、全国的にどういうような実態になっているかということを把握いたしまして、これらの不公正取引の是正措置を検討するための基礎資料を収集することを目的として実施しているものでございます。
#152
○市川正一君 それについて後でさらにお伺いしますけれども、これまで公取は新聞業界に対しては昭和四十九年の景品表示法違反での排除命令あるいはやはり拡材問題での厳重警告、こういうふうにたびたび行ってきた経過があります。ところが一向に改善されておりません。今回の全国的な調査でも調査票によりますと、「不公正取引の是正措置を検討する基礎資料とするため」と、いまおっしゃいましたが、その目的が明記されております。したがって、この調査によって依然として景品表示法違反あるいは独禁法違反に該当する実態がもし明らかになるとするならば、当然厳重警告あるいは追加調査などによって違法行為の排除措置をとることになると私は思うのでありますが、公取の見解を重ねて伺います。
#153
○政府委員(劒持浩裕君) ただいま調査をいたしておりますのは、新聞販売店を対象としておりますが、これにつきまして独禁法上または景品表示法上の措置をとりますためには、新聞販売店だけのアンケート調査でございますが、それだけでは不十分かと思いますので、場合によりましては必要に応じまして新聞発行本社からの報告を求めるとか、それからヒアリング調査と申しますか、面接の上での調査を行うというようなことで詳細に正確な実態を把握いたしまして、さらには関係者の意見等も十分聴取いたした上で、必要な改善指導措置をとってまいりたいというふうに考えております。
#154
○市川正一君 いま公取もおっしゃったように、今度の実態調査は私は三つのポイントがあると思う。一つは押し紙、二つは拡材問題、三つは発行本社と販売店の契約問題、これがいずれも新聞販売の正常化を図る上で非常に重要なポイントだと思う。
 そこでまず、押し紙の問題から伺いたいのでありますが、押し紙が独禁法二条九項の「不公正な取引方法」に当たることは、同条項に基づいて公取委員会が昭和三十九年の十月九日告示された「新聞業における特定の不公正な取引方法」において「新聞の発行を業とする者が、新聞の販売を業とする者に対し、その注文部数をこえて、新聞を供給すること。」というふうに明記していることからも明らかであります。さらに、昭和三十九年六月五日付の公取事務局長から新聞協会新聞公正取引協議委員会委員長あての注文部数についての解釈通達では、これも御承知だと思いますけれども、
  「注文部数」とは、新聞販売業者が新聞社に注文する部数であって新聞講読部数(有代)に地区新聞公正取引協議会で定めた予備紙(有代)を加えたものをいう。
  新聞社は、新聞販売業者に対し、その「注文部数」を越えて新聞を供給してはならない。
  新聞販売業者は、新聞社に対し、「注文部数」を越えて注文しないものとする。
 といたしております。つまり、若干の予備紙等を除いては発行本社は有代での新聞購買者数以上に供給してはならない。販売店も注文してはならないということになっております。したがって、これが守られるならば押し紙の問題なんというのは本来あり得ないことであります。ところが、この公取文書にある予備紙等というのは、これは一体どの程度というふうにまずお考えなのか、重ねて伺いたい。
#155
○政府委員(劒持浩裕君) 予備紙等につきましては、地区の新聞公正取引協議会におきまして具体的に決めております。地区によって若干異なるわけでございますが、たとえば東京地区の新聞公正取引協議会で決めておりますところでは、予備紙等という中に三種類ばかりございますが、予約紙というのは月末の二日間限りとか、おどり紙というのは月初めの三日間、予備紙というのは原則的には百部について二部といったような決まりがございます。
#156
○市川正一君 百部に二部ということは二%ということになりますね。二%という数字がいま出されましたけれども、しかし本来言うところの予備紙というのは実際もっと少なくて済むわけです。たとえば、私ここにある有力地方紙の販売店の資料を持っておりますけれども、この販売店の実配数が約六千八百部に対して、予備紙等の欄を見ると二十部ぐらいから三十部ぐらいです。つまり〇・四%程度であります。実際にはこの程度で十分に、たとえば輸送時のあるいは雨天による破損などのヤレ、あるいはまた配達間違いによる補償等々、これで賄えるわけです。ところが、実態は問答無用で大量の押し紙が横行しております。今回の公取全国調査でも、調査票はすでに回収されておるわけでありますが、その傾向を公取は十分つかんでおると思いますが、この押し紙についてどういう趨勢にあるのか、現在の掌握された状況を伺いたいんであります。
#157
○政府委員(劒持浩裕君) 押し紙の実態につきましては、現在調査中の段階でございますので確たることを申し上げられないのでございますけれども、先生御指摘になりました特殊指定が十分遵守されているとは言いがたい状況にあるというふうに思います。
#158
○市川正一君 非常にわかりにくいというか間接的表現だけれども、要するに守られていないと。この調査票は七月に回収されたわけでしょう。もういまは十一月です。ですからまさに七、八、九、十と四カ月たってまだまとまっていないというのでは、率直に言ってこれは怠慢としか私、言いようないと思うんです。そういう状況だからなかなか改善が進まないということも、私あえて率直に指摘しなければならぬ。
 しかし、問題を前へ進めますと、たとえば日本新聞販売協会、俗に日販協と申しますが、この日販協が去る五十二年にも独自の調査を行ったところ、平均して約八・三%、トータルで二百九十万部の押し紙があったということを公表いたしております。こういうことが公表されているんだけれども、公取はまだ何も手を打っておられない。しかも、私の調査ではこの時点よりも押し紙はさらにいわばひどくなってきている、そういう傾向を生んでおります。
 私ここに一つのデータを持ってまいりましたけれども、これは新聞社の名前を言うといろいろその販売店にも迷惑がかかりますから私あえて申しませんけれども、ある全国有力紙、その大阪における事例であります。この文書はことし十月に各販売店にあてられたものですが、「本紙奨励金制度更改及び新設について」と題する文書で、この販売店の場合は十月の実配数は、実の配数は約千部です。ところがこの文書によりますと、「貴店計画数」という欄がございますけれども、十一月、十二月合わせてこれを千部を約千二百にしろと、来年の一月、二月は約千三百にしろ、三月、四月は約千四百にしろというふうに明記されている。この「貴店計画数」というのは実は計画でも何でもないんです。これだけのものが販売店に有無を言わさず送られてくる、そういう数字であります。そうしますと、約三百部、購入部数、実配達部数の二割以上の押し紙になるわけであります。これが全国的な押し紙の実態であります。
 もう一つ、私ここに具体的な書類を持ってまいりましたけれども、これであります。これはある有力な地方紙であります。これは公取の今度の調査の対象にもなっているところであります。ここには、「定価改定による特別拡張依頼の件」と題する発行本社の文書がございますが、やり方は先ほどの有力全国紙とほぼ同じであります。ここでも六千七百部の実配数に対して二百数十部の押し紙をはっきり明記しています。それだけではなしに、この新聞社の場合には本社の担当員が販売店に対して、これは押し紙であると明言しておる。その名前もその日付もはっきりしております。こういった押し紙が新聞業における特定の不公正な取引方法に違反するというふうに私は明白に思うんでありますが、公取委員会としての見解を伺いたいんであります。
#159
○政府委員(劒持浩裕君) 新聞の特殊指定の二項に実は、「新聞の発行を業とする者が、新聞の販売を業とする者に対し、その注文部数をこえて新聞を供給すること。」ということを不公正な取引方法として指定しておるわけでございまして、これは先生御指摘のとおりでございます。ただいま御指摘のような事実がありますといたしますれば、この指定事項に該当し、独禁法第十九条の規定に違反する疑いがあるのではないかというふうに考えられます。
#160
○市川正一君 だとすると、いまおっしゃったようにこれは結論として排除措置をとるということにいわばつながると、こう理解してよろしゅうございますか。
#161
○政府委員(劒持浩裕君) 個別の事案といたしまして、法律に基づきます手続に従いまして処理をいたすことになろうかと思います。
#162
○市川正一君 そうすると、その個別的ケース、私一つ一つは申しませんけれども、いまおっしゃったようなことになると排除措置ということにも法的には相なるわけでありますね。
#163
○政府委員(劒持浩裕君) 具体的な実態を十分こちらでお聞かせいただいた上で判断すべき問題であろうかと思います。
#164
○市川正一君 その判断の一つとして排除措置も含まれるということですね。
#165
○政府委員(劒持浩裕君) 独占禁止法に基づきます措置がとられるということでございます、必要に応じまして。
#166
○市川正一君 わかりました。したがって、当然その独禁法の措置の中に入っているということですね。
 私、次の問題をこれと関連してお伺いしたいんでありますが、こういう押し紙方式ということによってどういう事態が起こっているかという問題であります。
 それは第一に、前回瀬崎議員も指摘いたしましたように、明白に景品表示法に違反する行き過ぎた拡販競争をもたらしております。景品、いわゆる拡材を使った拡販競争については、これはすでに昭和四十八年に公取が九州地区での拡材を使用した拡販競争に対して朝日、毎日、読売、西日本、こういう各発行本社に景品表示法違反で排除命令を出したり、あるいはその後昭和五十一年には各発行本社に対して厳重警告もされております。ところが、その後も一層これがエスカレートする方向に進んでいる。たとえば排除命令を出したこともある九州地区を見ますと、ここに新聞労連が調査した資料がございますが、一々その全国紙の名前は言いません。しかし、たとえばディジタル時計だとか、あるいはまた電気毛布、絵皿時計あるいはこたつかは、トランジスタラジオ、こういうものと加えて無代紙と、すさまじくやっぱり横行しているわけです。念のために伺いますけれども、まずこういうような行為というのは景品表示法に違反すると思うんですが、いかがでしょうか。
#167
○政府委員(劒持浩裕君) 新聞業界の景品の問題につきましては、「新聞業における景品類の提供に関する事項の制限」という景表法三条に基づきます告示が出てございます。それに従いまして景品が制限されるわけでございますが、その中身といたしましては、かなり制限的に規定されておりまして、災害の見舞いとか新聞類似の付録とか、そういったようなものだけに景品は限定されるように規定されております。
#168
○市川正一君 いま私が申しましたたとえばディジタル電気時計とか、あるいは電気毛布だとか、そういうものはどうですか。
#169
○政府委員(劒持浩裕君) この告示に規定いたします景品には該当しない。つまり告示違反になると思います。
#170
○市川正一君 告示違反になる、わかりました。
 そこで、私続けて伺いますが、発行本社によって構成されている日本新聞協会は、五十二年の七月一日に共同宣言を発表しております。その共同宣言の中に、独禁法特殊指定を厳守励行する。また景品表示法違反の不公正な販売方法を根絶する。こういうふうに内外に宣言いたしております。ところが実態を見ますと、全くこれは世間を欺くものという結果になっておるんです。なぜなら、こういう行き過ぎた拡販競争というのは、直接的には販売店やあるいは拡張団と言われるものがやっているのでありますが、そうせざるを得ないようにしているのは実は発行本社による押し紙であります。また、片務契約と言われておる販売店に対する不当な経営支配あるいは拡張活動の押しつけであるからであります。たとえば二〇%を超すような押し紙が来ますと、これも有代でありますから、有料ですから、ですから無代紙として使うだけではなしに拡材をつけてどうしても拡販に走らざるを得ぬのであります。また現にそうさしているのであります。しかも、その拡材はと言うと、私ここに持ってきましたけれども、これはある有力全国紙の場合でありますけれども、その本社内に特別の拡材専門の会社までつくる。そこから拡材のカタログをこのように葉書つきで各販売店に送るんです。そして販売店の成績いかんによってこの拡材費は一〇〇%販売店持ち、場合によっては五分五分にしてやるというような、各販売店をこういう形でコントロールする、そういう支配が現に行われております。
 そして、私ここに各発行本社ごとの、大臣も見てください。拡材の現物を持ってきました。これはある全国有力紙のいわゆるこういう形での拡材であります。これはヘルスメーターと言うんですね。それから先ほど来私言っておりますこれが電気時計です。これがこういう食器であります。そのほかビールとかあるいはしょうゆ、こういうもののギフト券なんですね。使われておる。
 また、これは別の全国紙の拡材です。これは「味の素」とサラダオイルのセットですね。これはシーツ。これはシャンプー。こういうものが続々使われておる。こういう形でいわば拡販競争に追いやられている。
 公取に伺いますが、これが発行本社による景品表示法違反行為であるということは明らかであると思いますが、いかがですか。
#171
○政府委員(劒持浩裕君) 「日刊新聞の発行又は販売を業とする者は、新聞を購読するものに対し、景品類を提供してはならない。ただし、次の各号に掲げるものは、この限りでない。」ということで、災害見舞いとか新聞類似の付録等が決められているわけでございまして、ただいまお示しされましたような物品が新聞の購読の勧誘のために提供されているということでありますると、この告示に違反するおそれがあるというふうに思います。
#172
○市川正一君 おそれがあるというんじゃなしに、違反しているということじゃないんですか。こんなあんた、新聞販売とこのディジタル時計とどんな関係おまんのや。おそれがあるんじゃなく、違反しているんじゃないですか。
#173
○政府委員(劒持浩裕君) それらの物品が新聞の講読の勧誘のために提供されたということになりますと、具体的に調査をいたしてみませんとわかりませんけれども、非常に濃厚に告示に違反するということになろうかと思います。
#174
○市川正一君 濃厚って、あんた、パーフェクトにいっとるがな。
 田中大臣、こういう実態なんですが、こういう姿というのは好ましい正常な姿というふうに通産大臣お考えでしょうか。
#175
○国務大臣(田中六助君) 余り正常な姿とは思いません。
#176
○市川正一君 正常でないばかりか非常にこれはやはり異常な姿であります。
 そこで私引き続いて議論を進めますが、もっと社会的にも異常なといいますか、容認されないようなことが現に行われております。これは別のまた全国紙のケースでありますが、拡材の中にこういう文書が入っているんです。たとえばこういうものの中へ、これがそのコピーでありますけれども、「御苦労さまです。〇〇新聞は〇月〇日で休ましてください。以後配達されても代金はお支払いいたしません。」というのが、こう入っているんです。言いかえれば、自分の競争相手の新聞、これを断らせる文書もこの中に入れて配っている。こういうものは独禁法に違反するのではないでしょうか。
#177
○政府委員(劒持浩裕君) 不公正な取引方法の中に十二ございますけれども、いまお示しの行為そのものがストレートに該当する行為というのはちょっと見当たらないかとも思います。
   〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕
#178
○市川正一君 独禁法の十九条に該当するんじゃないですか。
#179
○政府委員(劒持浩裕君) 十九条の不公正な取引方法につきまして、独禁法の二条九項で規定がございます。その二条九項を受けまして公取の告示が出ておりまして、その告示で不公正な取引方法というのを一から十二まで規定しております。ただいま先生が御指摘になりました、何といいますか、チラシといいますか、中に入っている紙だけではこの不公正な取引方法に該当する、ストレートに該当するところがないのではないかというふうに申し上げたわけでございます。
#180
○市川正一君 これ明白に十九条に違反するというふうに私ども考えます。
 時間がないので進めます、きょうは持ち越しますけれども。
 さらにこういうことも私、拡販の資料として示したいんでありますが、これはある全国紙の拡販団である小堀セールス企業、これは最近週刊誌でも盛んに問題になっておりますけれども、そこの、グループが販売店に引き継いだ引き継ぎ書の現物であります。この中に明白に「有材」と、こうなっている。拡材によってこれはふやしたいわば読者であるということを明記して、そして引き継いでいる。こういうふうなことがいわば横行しておるんであります。
 そこで公取に伺いますが、共同宣言やあるいはその他の態度表明があるにもかかわらずこういう押し紙、拡材による拡販競争がかえって横行しているというのは、なぜそうなるのかという点についてどう見ておられるのか、その点をお伺いしたいんであります。
#181
○政府委員(劒持浩裕君) 公正取引委員会といたしましても、再三にわたりまして排除命令とか警告等の措置を講じまして、それからこれに対応いたしまして業界におきましては販売正常化に関します共同宣言等の措置も講じておるわけでございますが、それにもかかわらず、御指摘のように、販売正常化が実現していないのではないか、販売正常化が実現していないとすれば、どこに具体的な問題があるのか、これがまさに実は私ども公正取引委員会が今回の調査を開始するに至った問題意識でございます。したがいまして、どこに問題があるかという点は調査の過程で十分解明すべき事項と心得ておりまして、調査の進展に応じましてそれらの問題を解明してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#182
○市川正一君 私はそういう立場から先ほど来いろいろの材料を出して、あなた方がやはり早く手を打たなければならないということで問題をここで追及しているわけでありますが、その一助として若干また角度を変えて問題を伺いたいのでありますが、こういう押し紙や拡材による過当な拡販競争というものが販売店の経営者、そしてその家族、さらには販売店に働く労働者に非常に大きな犠牲を強いているということであります。
 公正取引委員会に伺いますが、押し紙がどの程度販売店の経営を圧迫しているか御存じですか。
#183
○政府委員(劒持浩裕君) 押し紙の影響といいますか、販売店に対する影響につきましても調査の中身といたしまして調べておりますので、その分析を待ちたいというふうに考えております。
#184
○市川正一君 私その実情の一端をここで明らかにしたいのでありますが、たとえば押し紙によって結局販売店は自腹を事実上切らされるわけでありますから、販売店の実質マージンは、たとえば二〇%の押し紙があると押し紙のない場合の約四〇%しかならない。いわば半分以下にマージンが減ってしまうんです。そこへ持ってきて拡材の費用でしょう、これですよ、こういうものを押しつけで買わされるわけですよ、押し紙と一緒に。そして無代紙の費用でしょう、これもいわば自分で立てかえなければならない。こうなってきますと、この販売店の経営というのはもう非常な負担であり、危機であります。だからこそ、販売店の転廃業は一年間で大体五%から一〇%という高さで転廃業せざるを得ない。そしてこういった販売店の立場、これを決定的に弱いものにしているのが片務契約と言われる発行本社、たとえば有力全国紙ですよ、これと販売店の契約であります。たとえば私はここに契約書のコピーを持ってきました。いずれも全国紙であります。この契約書によりますと、ある全国新聞の場合は発行本社が目標部数を設定して、販売店がそれを達成できない場合にはいつでも契約が解除できることになっております。また別の全国新聞の場合は、私一々その条項を読みませんけれども、減紙などがあった場合には、発行本社は地域の変更とか販売店の新設、契約の解除ができるということになっているんです。まさに一方的、片務的です。
 公取もこの種の契約書はすでに入手されておると私思うんでありますが、こうした条項はいわゆる優越的地位の乱用に当たるのじゃないですか。
#185
○政府委員(劒持浩裕君) 私ども調査の一環といたしまして、新聞販売店が新聞発行本社と締結いたしております契約につきましても調査しております。先生御指摘のような条項がある場合もあるかと思いますけれども、私どもの基本的な考え方といたしましては、その契約書自体だけで優越的地位の乱用という不公正な取引方法に該当するというのはむずかしいのではないかと。契約書の条項と、それからそのほかの不公正な取引方法に該当する、たとえば押し紙とかそういったようなものとの組み合わせがあった場合に、これは独禁法上の問題として処理の対象になるのではないかというふうに考えております。
#186
○市川正一君 いままでこう言うてきたのは、その押し紙と関連して、皆これ契約が生きてくるわけでしょう。あなた方、例の自動車メーカーのときにやったじゃないですか。これはもう私の方から言うまでもないんだけれども、かつて自動車メーカーとディーラーとの契約のときに、例の押し車の条項があることから、契約内容の改善指導をしたことがあるわけですよ、あなた方は。新聞の場合についても、いま指摘したような一方的な条項、苦しい立場にあり弱い立場にあるこういう販売店の経営者を守るという立場から、改善指導をすべきじゃないですか。車は、これは腐らぬですよ。少々、一年ぐらい置いても。新聞というのは毎日毎日が勝負ですよ。そうでしょう。一日おくれた新聞はその明くる日はもうくず紙同然ですよ。だから、一日一日の勝負で、自動車メーカーよりももっとつらいんですよ。そういうものを救済するような、言いかえれば、この優越的地位を乱用するような問題については、やはりメスを入れる。少なくとも調べるという立場を明確にしていただきたい。
#187
○政府委員(劒持浩裕君) 先生ただいま御指摘のように、自動車業界に対しましては、そういうような契約書の改善等の指導をいたしておりますが、新聞業界に対しましても、実態調査等の上、契約条項等につきまして、独禁法上問題があるというふうに認められますれば、所要の改善措置につきまして必要な指導措置その他をとってまいりたいというふうに考えます。
#188
○市川正一君 ぜひ急いでやっていただきたい。
 次に、新聞販売店に働いている労働者の問題であります。労働省、お見えになっていますか。労働省は、五十三年度、また五十四年度と販売店の労働者の労働条件あるいは労働実態について調査を行っていらっしゃいますが、概括的に、その状況を報告願いたい。
#189
○説明員(岡部晃三君) 新聞販売店につきましては、その企業の零細性でございますとか、あるいは業務の性格、就労者の実態、特に年少者の使用が多いというふうなことから、かねて、労働基準行政の一つの重点として監督をしてきているところでございます。五十三年、五十四年には全国的に一つの、これを共通の目標に掲げまして、監督指導も行ったわけでございますが、ただ、それは全国的に集計するというよりも、各地方局において取りまとめておるわけでございますが、その中で、たとえば一例を挙げますと、大阪労働基準局及び兵庫労働基準局の状況を御報告いたしますというと、たとえば就業規則の作成届け出のないものが八〇・一%。基準法三十六条に基づきますいわゆる三六協定の届け出なしに時間外労働に従事させているものが六七・八%。それから法律で禁止されております女子、年少者に休日労働を行わせているものが一二・一%。年少者の使用に当たりまして、所要の手続を経ていないもの等々がございまして、いろいろ問題のある実態が出ているところでございます。
#190
○市川正一君 確かに、いま労働省からお話があったように、非常なひどい労働条件であります。
 私、たまたま滋賀県の労働基準局の資料をいただきましたんですが、就業規則は、いま大阪、兵庫の方は八〇・一%とおっしゃいましたけれども、滋賀県の場合は八九・二%が就業規則がない。あるいは労働時間では、定めていない、そういう問題のあるものが三九%。休憩時間は自由に利用できない、与えられていないというのが六二・九%。年次有給休暇の制度がないものなど七五%。あるいは割り増し賃金で問題のあるもの九六%。最低賃金を支払っていないもの約三〇%。健康診断を行ったことがないものなど、不完全なもの一〇〇%というのが実態です。およそ考えられないような過酷な労働条件、無権利状態にあります。
 そこで労働省にお聞きしたいのでありますが、第一は、これまでの調査に基づく集計結果を私の方に提出していただきたい。
 第二点は、調査に基づいてこれまでどのような措置を講じ、また今後どう講じられようとしておられるのか、この二点について要望もし、お伺いもいたしたい。
#191
○説明員(岡部晃三君) 入手できますものにつきましてお届けいたしたいと思います。
 それから、どのような措置をとっているかということでございますが、まあこれは、監督実施をいたしまして法令違反がございました場合には、その都度是正をさせているところでございます。それからまた、自主点検等の手法を用いまして、いろいろと新聞販売店みずからに反省を促すということもございますし、たとえば大阪のただいまの事例でございますが、延べ十七回にわたりましていろいろな指導を行っているところでございます。今後とも対象事業所に対しまして、さまざまな監督手法を用いまして、新聞販売店に働く労働者の労働条件の確保、改善に努めてまいりたいと思っております。
   〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕
#192
○市川正一君 とにかく労働省御存じだと思うけれども、毎朝午前二時半ごろに起きて、三時までに販売店に出勤して、チラシをセットして、そうして三時半から四時には、もうバイクや自転車に積み込んで配達する。七時ごろにそれを終えて朝食、朝飯を食うて仮眠する。再び拡張や集金に回って、午後三時からもう夕刊作業を開始、夜はナイター集金と拡張で八時ごろまで走り回っている、こういう連続であります。こういうふうに睡眠時間も十分とれず、また低賃金で、社会保障制度もきわめて不十分、こういう販売店の労働者の実態は、やはり早急に改善の必要が私はあると思う。そのためにも押し紙、過当競争による販売店の経営困難を改善することが不可欠であるということを、私この際、政府にもまた公取にも認識を新たにしていただきたい。言いかえれば、こういう拡販競争による労働強化を改善する大もとはそこにあるというふうに思うのであります。ところが、ある発行本社は、販売店労働者が労働組合をつくると、販売店に圧力をかけ、その販売店の契約を改廃するというふうな形で、それをつぶそうとするケースまで出てきております。その具体的事例を私は幾つも承知いたしておりますが、したがって労働省としては、販売店主に物を言うだけではなしに――それではまことに片手落ちなんです。発行本社自身も値上げのときには、たとえば私はここにそのコピーを持ってきておりますけれども、こう言っておるのです。所長並びに従業員の皆様の生活と販売店経営を正常な姿に戻すための料金改定と言うておるのです。また、これまでの質疑の中でも明らかにいたしましたように、こういう発行本社に対して、労働条件改善のために努力するような、必要な指導や勧告を労働省としてなさることが根本的解決のいわば道を開くと、こう思うのでありますが、いかがでしょう。
#193
○説明員(岡部晃三君) 新聞販売店で働かれる労働者の労働条件の問題につきましては、基本的にはこれを使用する各新聞販売店の責任であろうかと存ずるのでございますが、しかし、新聞販売店の業務と申しますものは、その性格からいいまして、一定の休刊日を除く連日の宅配業務ということでございまして、特殊な社会的要請にこたえるものでなければならないわけでございます。また、規模は小さいということから、これら労働条件の改善につきましては、新聞を発行する新聞社の側の協力、指導というところに負うところも多いというふうに考えるところでございます。このため労働省におきましては、従来から各新聞社に対しまして、あるいはまた、それで構成いたしておりますところの日本新聞協会に対しまして、労働条件確保上の問題点につきましていろいろと働きかけを行ってきているところであります。また、この新聞協会におきましては、その活動の一環といたしまして、販売委員会あるいはその中の販売労務専門部会でございますか、そのようなところでいろいろと自主的な活動も高められておられるところでございますが、なお労働省におきましては、一層日本新聞協会等と連携を深めまして、労働条件の維持、改善に遺憾なきを期するようにやってまいりたいと思っております。
#194
○市川正一君 大元にメスを入れていただきたい、希望します。
 時間がたってまいりましたので、私この際誤解のないように明らかにしておきたいのは、新聞販売の正常化のための幾つかの問題を私取り上げたんでありますが、これは報道の自由あるいは新聞の自由とは別個の問題であります。報道の自由、新聞の自由、これはどんなことがあっても守り抜かなければなりません。これを侵すようなものに対しては、私どもは断じてこれと闘います。しかし、押し紙だとか拡材問題これは各新聞社が加盟してつくっております日本新聞協会自身の販売綱領やあるいは正常化宣言が守られているならば、本来これはあり得ない、起こり得ないことであります。この共同宣言はどう述べているか。「販売正常化の抜本的措置を実施することによって、新聞各社は「自由で責任ある新聞」の社会的使命を達成するため、今後とも紙面の充実に一層の努力を傾ける決意であります。」と、こう述べている。すなわち、この共同宣言にもありますように、報道の自由を確固として守り、そして国民にとって、読者にとって魅力あり有益な紙面をつくり上げる。言うならば紙面の内容で勝負をする、紙面の価値で競争する、そういう社会的商品であり、それが本来のあり方だと私は信ずるのであります。したがって、私は、今日指摘しているような問題を新聞自身が取り上げる。そして本当に、いわば根絶していく、そういう良識と勇気を持っているかどうか。そのことが社会の公器として、まさに先ほどの共同宣言にうたわれている自由で責任ある新聞として国民の信頼を得ることができると思うんであります。
 こういう立場を前提として、新聞も商品であり、その取引は一つの商取引であるということ。したがって、全国紙の発行本社と販売店は、いわば大企業と下請の関係でもあります。押し紙、拡材問題、これは社会正義から見ても不当と言わざるを得ぬのでありますが、大臣、かつて新聞人でもあった田中通産大臣の所見を伺いたいのであります。
#195
○国務大臣(田中六助君) いま御説明の不当な廉売と申しますか、不当な競争、こういうものは一義的には独禁法違反であると私は思います。したがって、こういうことについて、一番世の中の木鐸と申しますか、先端を行かなければいけない新聞販売関係が大いに反省すべきだと思いますし、私としては、もう少し、一番近代化しなければならない新聞販売はより一層そういう点の反省をしていかなければならないというふうに考えます。
#196
○市川正一君 いまの大臣の答弁を踏まえて、私今後問題をさらに究明したいと思いますが、公取の方は、引き続きもう一問ございますので、しばらく……。
 時間が参りましたので、簡潔に進めたいと思うんでありますが、引き続いて私、スーパーがいわゆる客寄せのため牛乳をおとり商品にする不当廉売で苦しめられているところの牛乳販売店の問題、これは本委員会でも私かつて取り上げたんでありますが、問題が一層深刻化しているという状況のもとでお伺いしたいのであります。
 いま、宅配を中心とする専業の牛乳販売店は、朝三時ないしは四時から配達、帰ってくれば集金ということで、いま新聞の配達員と同じように、一日じゅう駆け回っていますけれども、お得意先は減るばかりであります。何とか経営を改善しようということで、菓子やパンや、そういうものも扱った多角経営をやってみても、結局スーパーでの牛乳を目玉商品としていわゆる不当廉売で打撃を受けている。転廃業を余儀なくされております。昭和五十四年の商業統計を見ましても、この三年間で千四百九十店、七・一%も減っているんです。従業員も一人から二人の規模の零細業が六五%を占めております。
 そこで、まず公取にお伺いしたいのでありますが、東京都牛乳商業組合が毎月平均三回、消費者モニターによって、三多摩も含ん都内のスーパーについて牛乳の価格調査を系統的に実施しております。これによりますと、たとえば最近の三カ月とっても、一リットルパックで百八十円以下というのが毎月平均九百件以上、多いときには千二百件にも及んでおります。そのうちの三分の一から四分の一が明治、森永、雪印の大手乳業メーカーないしその系列メーカーのものであります。大手乳業メーカーから系列販売店への卸売価格は、各社とも百八十六円三十八銭という水準にあることは、いわば周知のところでありますが、これは明らかに不当廉売であると言わざるを得ぬのでありますが、公取委員会はこうした実態をつかんでおられるのか、つかんでいるとするならば、どういう対策をとられたのか、まずお伺いしたいと思います。
#197
○政府委員(妹尾明君) スーパー等の量販店が客寄せのために仕入れた商品を、仕入れ原価を下回りまして大々的に販売するということによりまして、周辺の小規模の店が非常にその影響を受けるというようなことになりますと、これは公正な競争を阻害するおそれがある事態ではないかというふうに考えるわけでございます。
 牛乳の問題でございますが、私どものところへ毎日多数のそういった不当廉売であるとの申告が参っておりますが、これらの問題について、特に東京地区の状況について、感触でございますが、私どもが接した情報によりますと、仕入れ価格はまちまちでございまして、それから、出てきております牛乳の銘柄も、どちらかと言いますと、ナショナルブランドの大手のものよりは、農協系とか中小メーカーのものが多いような印象を受けております。それから仕入れ価格との関係でいきますと、百八十円以下のものが直ちに仕入れ原価を下回るとはちょっと、私どもの受けた情報からいたしますと、申し上げかねるような状況でございます。
 ただ、一応特に値段が低いようなものにつきましては、その牛乳を売り出しておりますスーパー等に対しまして、電話等によりまして事情を聞きまして、通常の仕入れ価格を下回っているような場合には、これは独占禁止法で禁止されております不当廉売に該当するおそれがありますということを御注意申し上げて、その廉売をやめてもらっておるという実情でございます。この処理件数は相当の数に上っております。
#198
○市川正一君 何件ぐらいありますか。
#199
○政府委員(妹尾明君) 本年度に入りまして、四月から九月まででございますが、そういう形で処理いたしましたものが全部で四百八十件ございまして、そのうち仕入れ価格を下回っているということで不当廉売の疑いがあったものが約三百五十件ほどございました。
#200
○市川正一君 いまのお答えもそうなんですが、私が前にお伺いしたときも、牛乳の生産過剰という需給関係で価格が下がっている。要するに不当廉売に当たらない式の見解を承ったんでありますが、もしそれが事実だとすれば、仕入れ価格はまちまちだと、これはスーパーに関しておっしゃっていると思うんですが、ところが実態は、系列販売店への卸売価格はちっとも下がってないんですよ。固定しているんですね。とすると、もしそうだとすれば、これは明らかに不当な差別対価と言わざるを得ぬのでありますが、その点はいかがでしょうか。
#201
○政府委員(妹尾明君) 販売する商品につきまして、販売先によりまして、価格が違っておるというだけで直ちに独占禁止法上不公正な取引方法に該当する、不当な差別対価を禁止する規定ございますけれども、とはちょっと申しかねるわけでございます。その価格の差別を設けることにつきまして合理的な理由がなくて、これを継続的といいますか、あるいは政策的に行っておるということによりまして、競争関係にある周辺のスーパー等の場合には、一般の小売店等の営業に非常に大きな影響があるというふうな場合が問題の事態ではなかろうかと思うわけでございます。それで、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、牛乳につきまして私どもが承知しておるところでは、私どもで特に問題として一応事情聴取の対象としたような場合でございますが、これは主として先ほど申し上げましたように、中小メーカー等のものでございまして、大手の製品の場合には、これは小売店を通じてスーパー等に納入されているんではないかというふうに承っておりますけれども、なかなかこの問題は簡単にはちょっと判断いたしかねる事情があるようでございます。
#202
○市川正一君 いずれにしても調査不足です。そういうあいまいな答弁でははなはだ困るんです。ただ、きょうは時間がありませんから、私は、事実は何よりも雄弁なんであって、言いかえれば不当廉売と、しからずんば差別対価という経済理論を私ここで云々するんじゃなしに、事実に基づいてやっぱり明確な解明を求めたいと思うんです。しかし、きょうはその議論をやる余裕がありませんから、火急の具体的問題に限って質問をしたいんですが、大阪では牛乳販売店の人々がみずからスーパーの不当廉売の実態を調べて、公正取引委員会の大阪事務所に申告の活動を進めているんです。その件数は、ことしの五月から九月の五カ月間で二万件以上になっているんです。これに対して公取からは納得できる回答が来ていない、こういうふうに私、報告を受けております。公取委員会はこの申告をきちんと調査されているのかどうか。先ほど東京に関しては四百八十件を扱ったというふうにおっしゃいましたが、どういう状況かということはこの大阪に関してはいかがですか。
#203
○政府委員(妹尾明君) 牛乳の不当廉売の問題につきましては、大阪地区では特に地元の商業組合の方で積極的に取り組んでおられるようでございまして、先生御指摘のように、きわめて膨大な数の申告がまいっております。他方、この問題を取り扱います私どもの関係の職員の数はきわめて限られておりまして、申告をされたもののうち問題のありそうな事案については、この問題だけを私どもやっておるわけではないんでございますけれども、その職務の能力の許す範囲でできる限り処理には努めておりますが、その処理の結果の通知につきまして、残念ながらややその処理がおくれておると、通知がおくれておるというのが実情でございます。
#204
○市川正一君 調査はしてないわ、処理はしとらぬわということになるんですよ。その切実なやはり牛乳販売店の人たちの立場に立ってみなさいな。
 私、ここに一冊のノートを持ってきたんですが、これは後で御紹介したいと思うんですが、私、これを機会に公取が従来のようなやり方、いわば申告を受けたものを、それを一部は調査に出かける、あるいは電話で指導するというようなやり方では結局効果は上がらぬというのが長い経過でしょう。このノートは、大阪に東大阪市というところがあるんですが、そこの牛乳販売店を経営しているある業者の方が、ずっと毎日日記のように書いているものなんですよ。このお方は、十年前と比べるとお得意先が六千本から千本に減っています。配達区域は二倍になったんですよ。ところが、扱っている牛乳は六千本から千本に減っている。従業員も十年前は専業二人、アルバイト五、六人雇っていたのが、いまは本人と奥さんと息子さんと三人だけでやっている。それでもう食っていけない。
 このお方が近所にあるジャスコ、ダイエー、西友、こういうようなスーパーをずうっと毎日毎日足で歩いて、そこのスーパーで牛乳を何ぼで売っているかと、販売価格を毎日調べた結果をここに記入しているんです。このデータを見ると、一定の地域の中で各スーパーが期日をずらして毎日不当廉売を結局連続的に続けているんです。きょうはAというスーパー、あしたはBというスーパー、あさってはCというスーパーという形で、ずうっとその地域でいわばおとり、目玉の牛乳を売っているんです。あなたさっき大手のなには小売を通じてと言ったけれども、これあんたもっと調べなさい。そうじゃないんですよ。大手のやつが入っているんです。それで、これは八月の例を見ますと、ジャスコが七日が森永百八十円、八日が森永百八十円、九日森永百五十円、十日は森永百五十円、十一日森永百七十円というふうに、その地域でずうっと動かしながら、同時に同一スーパーが一月の中で何回か繰り返して不当廉売をやっている、こういう手口がここに非常にリアルに出ているんですよ。
 そこで、私伺いたいんでありますが、こういうふうなやり方でありますので、公取といたされても、たとえば一定期間一定地域を区切って、そして集中的に調査する、必要ならば立入検査もやるというような問題点をやっぱりしぼって調べる、こういうやり方をおとりになるべきじゃないか。その結果に基づいて再発防止の具体的な措置として、独禁法の四十四条二項に基づいて国会に意見を提出するというふうなこともなさるべきじゃないか。幸いいま全国牛乳商業組合連合会がことしの十月から不当廉売の申告活動を全国的に展開しておるわけでありますから、これともいわばタイアップされて進められるならば、私は公取委員会の活動を大きく促進される結果になると思うんでありますが、こうした点について公取委員会の責任ある御見解を承りたいと思うんであります。
#205
○政府委員(妹尾明君) 先ほど申し上げました仕入れ価格を下回っているという疑いがあるような場合には、御注意申し上げているというふうに申し上げたんですが、現実にこれは違反行為として調べるといいますか、認定するにつきましては、これはさらにいろいろむずかしい問題が実はあるわけでございます。それで、ただ私どもこれまでそういう形で処理してまいった状況から言いますと、先ほども申し上げましたけれども、こういった安売りの対象にされておるものは大部分が中小メーカーあるいは農協系のどうも牛乳ではないかというふうな、それから先ほど申し上げました基準といいますか、仕入れ価格を下回っておるようなケースにつきましても、大体スーパーといいましても小規模のものが多いような状況ではないか。先生御指摘のような……
#206
○市川正一君 いや、状況じゃなしに、私が提案をしたような、そういういわば対応をなさるべきじゃないかというその点について、時間がありませんから。
#207
○政府委員(妹尾明君) それから、御注意申し上げて同じ問題の行為を繰り返されるというケースも余り数としては多くないのがどうも私どもの受けておる印象でございます。
 ただ、独禁法上問題がある行為をなさっていらっしゃるということを御注意申し上げて、それを繰り返されるようでございますと、これは私どもといたしましても放置しておくわけにいきませんので、そういうケースがございますれば、場合によりましてはこれは本格的な調査を行うということも検討する必要があろうかと思っております。
#208
○市川正一君 先ほど読み上げた、これは森永のケースを申し上げましたけれども、森永というのはこれは大手の乳業メーカーじゃないですか。だから、そういうことが繰り返されているわけだから、もうここらで腰を踏み切りなさい、ここらで足を踏み出しなさい。時間が参りましたので、またいろいろお話させていただきますけれども、私は公取がやっぱり踏み切るべきだと、腰を踏み切るべきだということを重ねて言いたいわけであります。
 私がこの問題をずっと取り上げたのは、国民にとって健康食品である牛乳が安く安定的に消費者に、国民に供給されることを望むからであります。私がこういう大手乳業メーカーのシェアの拡大のための差別対価やあるいは大スーパーの客寄せのためのおとり商品として牛乳を使うというような、いわゆる不当廉売の問題を問題にするのも、結局大手乳業メーカーやスーパーによるこのような流通問題の混乱を、これをやっぱり正していく。そして、牛乳の正常は流通と価格形成を維持することが、直接毎日毎日宅配という形で地域住民の健康を守る上で積極的役割りを果たしている販売店、零細な販売店を守ることである。そしてまた、それによって牛乳の消費拡大を進めて酪農民の経営も安定させることができる。こういう生産地と消費地との地域経済の発展に寄与すると私思うからであります。
 この点で、通産大臣に最後にお伺いしたいのでありますが、先ほど来のやりとりをお聞きいただいて、零細小売業者の一つでもあるこうした牛乳販売店のいわば苦しい状態を、あるいは切実な要求を受けとめられて、大臣の御所見これをぜひお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#209
○国務大臣(田中六助君) いまの御説明の不当廉売あるいは不当な処理、そういうものはあくまで独禁法の適切な運用によって処理すべきが筋と思いますし、これからも十分ウォッチして、監視して処理しなければならないというふうに思います。
#210
○市川正一君 終わります。
#211
○委員長(金丸三郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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