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1949/02/11 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第3号
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1949/02/11 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第3号

#1
第007回国会 予算委員会 第3号
昭和二十五年二月十一日(土曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十五年度一般会計予算(内閣
 送付)
○昭和二十五年度特別会計予算(内閣
 送付)
○昭和二十五年度政府関係機関予算(
 内閣送付)
  ―――――――――――――
   午前十時五十八分開会
#2
○委員長(山田佐一君) それでは只今から会議を開きます。
 先ず人事院より給與ベースの改訂につきまする勧告につきまして説明を求めます。淺井人事院総裁は病気のために出席できませんので、山下人事官が見えておりますから、山下君から説明を承わります。
#3
○政府委員(山下興家君) 先般人事院から御承知のように給與ベースの改訂を勧告いたしました。それに対しまして政府からいわゆる給與白書といつたようなものが出まして、そうして人事院は黙つておるのかというような御質問が方々から出まするからして、それで先ず最初に人事院の立場ということについて一応御了解を願つて置きたいと思います。
 それは私共が給與ベースを勧告いたします場合には、全然政治問題に関係しない、政治に関與しない、本当の独立の立場において正しい数字を国民の前に披瀝するということが、私共の任務だと心得ておるのであります。それで若しも前のように大蔵省内に給與局といつたようなものがありまして、そこで給與のベースを如何にすべきかというようなことが決まるものでありますと、それは予算の関係はどうかということを先ず考慮しなくちやならんのであります。そうすると、例えば七千八百円とまあ計算は出たけれども、そうはとても出せんから、七千五百円くらいに上げて置けという命令が来るかも知れない、そうするとその七千五百円になるんだという理窟らしい理窟を出しまして、そうしてそれを公表する以外にないのであります。ところがそれでは国民が何を信じてよいのか分らない。それでは困りますから人事院というような独立機関がありまして、それが予算にどう盛られようともそれは関係ない、併し給與のベースはかくあるべきものだということを、全く政治問題から離れまして、純技術の上に立つて、正しいと思う数字を国会に勧告するというのが人事院の任務に実はなつておるのであります。無論そういいましても、例えば今のような戰後の非常に窮迫した状態の下で理想的な給與はかくあるべしといつたところでそれは通用しないのであります。それで我我の基準といたしますところは、本当を言えば給與というものは働きに対する報酬であるのだということが建前でありますけれども、今の状態ではそうも言つておられない、先ず食うために幾らで食つて行けるかどうかということが最初に考えなきやならんことになるのである。そうすれば多少そこは給與から離れますが、併し食つて行くにはどうか、食つて行けるという意味はどこにあるかといいますと、国民の平均の生活水準を公務員が守れるかどうかということであります。それで実はこの前に六千三百七円を出しましたときには、あれは消費カロリーが千八百五十カロリーということになつておつたのであります。ところが昨年の七月の国民全体の生活水準を上げる。即ちそれは厚生省でお調べになりまして国民全体の生活水準は千八百九十四カロリーにするということに発表されたのであります。これは輸入の畳とかいろいろなことを勘案いたしまして、日本の生活水準はかくあるべきものだということをお決めになつたのであります。それでありますから給與の水準もやはり同じように千八百九十四カロリーを、国民の平均の生活を公務員がなし得るためにはどうしても給與の改訂をしなくちやならないということに相成なつたのであります。それで今度の改訂の七千八百七十七円と申しますのは、そのカロリーが今申しましたように千八百九十四カロリーということを基礎としておるわけであります。それによりまして、この青年男子独身者の生計が如何にあるべきかということを計算をいたしまして、それがこの前の六千三百七円の場合には二千四百七十円でありましたが、それが今度は三千六百六円ということに変つておるのであります。後は民間給與はどういうことになつておりますかというと、これは労働省で発表されます毎月勤労統計というのがあります。その毎月勤労統計よりも少し下廻つておるという状態を続ける、即ち給與は民間給與よりも少し下廻つておるということを標準としておるわけであります。そうして計算したものが七千八百七十七円に相成りましたからして、この七千八百七十七円というものを勧告したのでありますが、どうも我々が計算いたしますときには、かくあるべしという予定の数字を入れますと、どうも客観性がなくなり、信頼度が薄くなります虞れがあるからして、私共の出します数字は必ず或る官庁で発表せられました数字を基礎とするということを原則としておる次第であります。それでこの前の六千三百七円を出しますときにも、あれは十二月からの実行でありましたが、基礎数字というものは七月に取つておつた。七月ということは、それを計算しますときの、政府が発表されます一番新らしい数字によるという原則に立つておるのであります。今度の七千八百七十七円の計算を始めましたときの一番新らしい基礎数字はどこにあつたかというと、昨年の七月にあつたのであります。これだけ始終実行が遅れておるのであります。ところがこの間の政府でお出しになりました白書を見ますと、六千三百七円の基礎数字はどこから取つたのにしても、実行したのが、昨年の三月から実行したじやないか、その実行をした昨年の三月からのを考えればいいという立場で、あの白書ができ上つておるのであります。併し私共は今申上げましたように確実の基礎数字を取つておるものでありますから、どうしても遅れるのであります。遅れた間の一昨年の七月から昨年の三月までの間の物価の上り工合は全然考えに入れないということは理窟が立たないのであります。最も昨年の三月といいますけれども、本当は一昨年の十二月であつたということは御承知の通りでありまして、公開の審理の場合にもはつきりと十二月一日から六千三百七円が実行せられたということは立証せられておるのであります。併しそういうことは私共は別に申上げたくないので、それが実行されたのがいつでありましても、それは政府の予算関係のことでありますから、これは別問題でありまして、六千三百七円を変えるとなりますと、その六千三百七円を拵えた基礎数字がどこにあつたかということが問題になるのであります。それは一昨年の七月でありましたというこであります。こういつたことを実はなんか白書みたいなもので人事院が出すべきかどうかということが問題になるのであります。実はこの間も七千三百七円の算出基礎について細かな資料をこういうふうにお出ししたのでありますが、これではまだ足りないものだからいろいろなものを拵えたのであります。ところがそれが新聞社によりまして、人事院は給與白書を出すのだという噂が実は立つたのでありまして、非常に迷惑しておつたのでありますが、そのうちに政府がいわゆる給與白書というものをお出しになつた。そうして人事院の出した数字は間違つておる、例えば今申しましたように七千八百七十円は六千三百七円の基礎数字を取つたときまで帰るということは間違つておるのだ、去年それを実行した三月頃であるべきだというようなことをお出しになつたのでありまして、これは誠に困る、そういうことになると国民を迷わすことになりはしないか、我々が出します数字は、これを百パーセント国民の信頼を得るということが必要であるのに、若しもこの際そういうことを白書として出しますと、いわゆる白書戰といつたようなことにとられる虞れがありまして、人事院は政争の渦中に入つたというような印象を與えますと、これは人事院の存立した意義をなくすることでありまして、国民は政府の中に二つの派がある、それのどちらを一体信じていいか分らんということになりますと、これは由々しいことでありますから、それで実は今のような書類を出そうとしておつたのを中止いたしました。ということは、今のように人事院が政争の渦中に入らないようにするためにわざわざそれを止めたのでありますが、こういう席でいろいろな御質問がありますときに、我々が答えますことについてはこれは我々の自由であり、又そうすることが義務であると考えておりますから、怪しいところは幾らでも御質問下さいますというと、お答えするわけであります。とにかく繰返して申しますが、我々の一番心配していることは、人事院が政争の渦中に入つてはいけない、ここで止めなくちやいけないということであります。そうすると、ただそれは勧告のしつ放しじやないか、無責任じやないかというお叱りを受ける虞れがありますが、併しそのことは我々は若しも予算を考えますというと、先刻申しましたように予算が通り易いようにするために、例えば七千五百円と言わなければならない。七千八百七十七円という代りに、まあ七千五百円にして置けば、通り易いだろうという政策が、そこに入りますと、国民を欺くことになりますから、我々の方としては数字はかくかくのものでありますと、こういうことを国会に申上げ、それであとは国会で適当にこれをお取上げ下さいまして、如何にしてこれを実現するかということは、一々国会にお願いする以外にないのであります。御承知の通り公務員は新憲法下におきましては国民に対する公僕であつて、国民に対してできるだけのサービスをしておるのであります。国民に対してストライキをすることもできませんし、団体交渉をすることも禁止されております。併し若しも、万一にもそれをいいことにして、公務員のみの犠牲において何ものかをしようということがありますと、これを由々しいことでありまして、恐らく国民全体はそういうことを欲していないだろうと思います。それですからできるだけ一つ公平にお考え下さいまして、そうして公務員の生活水準を、国民の水準よりも上げて下さいというわけでもない、下げて下さいということも困る、同じレベルにおいて扱つて頂きますと、非常に有難いと思うのであります。それでいわゆる実質賃金が、そんなに違つていないじやないかということを言われる方がありますが、実質賃金ばかりを言つておりますと、御承知のように戰後国民の生活水準はどんどん上つておるのであります。その上つておるのに拘わらず、実質賃金が公務員だけは上らないでもいいじやないか、下らなければいいじやないかということは、これは公務員の犠牲において何かをするということでありまして、これは面白くないのであります。それで、ずつと研究をして行きますと、民間給與による実質賃金、それは労働省からお出しになります、民間給與の推移がありますが、それの一番近い基礎数字は、つい先だつて発表になりましたんでありますが、昨年の十一月であります、その十一月を、六千三百七円の基礎数字を取りまして、一昨年の七月と比べて見ますと、民間の給與は三九%上つておるのであります。ところが公務員はどうなつておるかと申しますと、六・九%しか上つておらない、即ちただ七%しか上つておらないのでありまして、民間給與は四割ぐらいにも上つておるのに、公務員はどこまでも据置かれまして、約七%しか上つておらないということであります。そういたしますと、民間給與と比べてえらい差ができて来ます。名目賃金を申上げましても、昨年の十月の、今の勤労統計、毎月勤労統計を労働省から出されます、それと、今の六千三百七円とを比べて見ますと、公務員の給與の四割一分、四一%上つておるのであります。それで、我々が今度七千八百七十七円にしたいということは、これは二割八分しか上らないのであります。それで、民間給與が四割上つておるのに、公務員の給料を二割五分上げるということによつて、民間の給與が吊上げられるだろうということは、我々は想像できないのであります。現にこの前六千三百七円を上げました当時は、インフレーシヨンの真最上でありました、あのときには非常に心配したのであります。それは三千七百円から六千三百七円に六割六分も上つたのでありまして、あれが民間給與に多少でも影響しやしないか、或いは又物価に多少でも影響しやしないかということを非常に心配しておつたのであります。ところが現在それを顧みて、細かく数字から計算して見ますというと、民間給與には何らの影響がなかつた、それから又物価に対しても何らの影響がなかつたことがはつきりするのであります。尚私共が心配になりましたから、これを数字の上でずつと計算して見ました、それによりますと民間給與は仮に上りますと、それの製造する価格や何かが高くなることがあります。併し公務員ですと、購買力は増しますが、併し製品には直接影響しておらんのであります。仮に非常にインフレのときであつて、そうして六千三百七円が七千八百七十七円になつて、一人当り千五百七十円上つた、そのお金全体が最も悪い状態で購買力に全部使われたといたしまして、何ら貯蓄もしない、全部購買力に使われた、こういうふうにまあ仮定いたしまして、それから予算も、それだけ殖える金を全部予算で増加した、こういうふうに仮定いたします、それで計算して見ますというと、購買力の増し方が国家公務員たけの場合には〇・六%購買力が増すわけであります。で、購買力の増し方と品物の値段が同じ比率で上るとしますというと、〇・六%になります。併し国家公務員の給與が上りますと当然地方公務員の給與も上る、鉄道の給與も上りましよう、それからして專売公社の給與も上るものとこう仮定いたしまして、やはり一人前千五百七十円増額されたものと仮定いたしますと、購買力の増加は一・八%になるのであります。で、これはインフレ対策を何らしなかつた、やりつ放しだ、それだけ日銀券も発行した、こういうような最悪の場合を仮定いたしましても、一・八%以上には物価に影響がしないということが私共の計算では出ておるのであります。で、先刻申しましたように、実際それじやどうだつたかというと、この前のように、六千三百七円のように六割六分も上げたとき、それが又インフレーシヨンの最中であつても何ら影響がなかつたということは実証されておるのでありますから、これは給與と賃金と物価の悪循環ということは考え得られないことは私共の計算では出ております。大体そういうことによりまして、私の御説明を終りたいと思いますが、これから幾らでも御質問に応じてお答えいたしたいと思います。
#4
○木下源吾君 今人事官の御説明を聞いて一つ二つお尋ねしたいと思うのですが、只今のような御説明は、私共人事院その他においてしばしば聞いておるのです。問題は人事院は予算には関係がない、併し只今の説明では日本の経済全般に亘つていろいろ考えられておるようであります。その点から考えますと日本の経済は政府の財政金融政策とは別個としては考えられないと思う。そこでちよつとお尋ねしたいのは、人事院でこのベースを決定する場合においては、いわゆるドツジ・ライン、このドツジ・ラインというものとの関係において日本の財政経済、従つて金融政策、そういうものを検討した上で只今の結論が出たのかどうか、この点を一つお尋ねしたいと思います。
#5
○政府委員(山下興家君) 只今のお尋ねでありますが、先刻申上げましたように給與ベースというものは、国民全体の生活程度が、或る程度上りますと、これが本体に帰りたい、即ち言い換えれば、扶養手当とか或いは地域給とかああいつた変な給與のものから取去りまして、本当の給與の本体に帰りたいけれどもまだそこまで行つておらないのであります。そういうことからいろいろ考え合せまして、そうして生活それ自身は国民の全体の生活水準と合せる、合致さすのだというこの原則の下に立つたから、それで国民の、国家の経済というものを全般的に見て考えなくちやならんということを申上げたのでありまして、それが予算にどう組入れられるかということまで我々が関與いたしますと、これは政治に関與することになつて越権であろうと実は思うのであります。それでその点は国会で十分御審議下さいまして、基礎の数字はかくのごときものだ、即ち公務員だけを犠牲にした政策はあり得ないだろうと我々は思うのでありますけれども、公務員は犠牲にしないで国民全体と同じように扱つて貰いたいという要求はできるだろうと思うのであります。そうするとその基礎数字を御覧になつて、それを国民と共に御審議下さいまして、さてそれならば国家全体の経済から考えてこれを実現さすのにはどうしたらよかろうかということは、国会のお力に待つ以外にはないのでありまして、即ち国民全体の意思によつて動くということ以外にはないのであります。それでお願いするゆえんはそこにあるのであります。
#6
○木下源吾君 どうもまだ釈然としません。と申しますのは、今日の国家公務員の法律の改正以前において……マ書簡によつてこれは改正したのであります。で、マ書簡によれば、公務員のいろいろの行動の制限を一方に加えて、一方にはこれを保護する義務を謳つておるのであります。それでその結果といたしましてできたのは、公務員法の改正と公企労法であります。そこで公企労法はどういう順序でできておるかと言えば、一方において人事院の勧告、国家公務員のこれらの保護手段に代えるに調整、調停或いは仲裁裁定、こういうように言つておるのであります。代えるにこれこれをやる。そこでこの公企労法では、つまり財政上資金上のことまでもいろいろ仲裁委員会においてこれを検討する、又国家財政も検討して、仲裁委員会がそういう、つまり手続の上においてこの機関が設けられて、そうして裁定を下す、こういうことになつておる。この裁定は法の示す通り当然双方がこれに服従しなければならない、こうなつておるのであります。この見地から見ますというと、人事院のその仕事は、今の勧告をするというこの内容は、今のような国家財政、又国民経済、その他の予算上のことにまで検討すべきが私は当然だと思う。これは公務員法と公企労法がマ書簡によつて公務員の保護手段、そういうように言われておるのであります。單に今人事院が勧告するということを公務員法に謳つておるからと言うと、いろいろやはり予算上、資金上であるとか、財政上のことはおれは知らんのである、こう言うことは立法の精神から私共は非常に無責任だと、かように考える。この点について一体人事院は勧告というものを如何に考えておるか。ただ單に実体に現われた法律の條文ならば問題じやない、この実体は各條文を貫いて、そうしてその立法の精神というもので嚴然としておるのであります。而も立法の精神はマ書簡によつて明らかになつておる。それから見ますというと、私は勧告と一方の公企労法のいわゆるこれらの保護手段、手続というものは、勧告の中にもつと強くこれが本質的に盛つておらなければならん、こういう点において、私は予算上、資金上国の財政上ということに対してどういうような一体考えを持つてやつたか、勧告は單に字義の通り労働者が要求する資料を提供したかのごとき考えでおるのかどうか、これをもう少し私は究明したい、かように考えております。
#7
○政府委員(山下興家君) 私共が国家の財政に余りに関與いたしますと、それが予算に組めるとか組めないとか、そういうことになると、どうも人事院としての権威、即ち中立性を失う虞れが多分にあると思うのであります。但しこれだけのことは我々は言えると思うのです。国民に対して忠誠を盡しておる公務員でありますから、国民は公務員を犠牲にして、即ち国民全体の生活水準以下に釘付けをして、そうして何ものかをしようということは、私は国民は考えておらんと思う。それですから我々の申上げることは、国民の平均水準の生活は少くもやらして頂きたい、そうして又民間給與を上廻ることは決してしません。併しそれよりも多少下でもついて行きたいのだ、公務員はそれについて行きたい、これだけのことは私は国民に対して訴え得ると思うのであります。それでありますから国民を代表しておられます国会に対してそれを訴えまして、そうしてこれができるだけのことを実現さすように努力をする、これは努力をするのは予算措置の上から言つて、ただ給與ばかりじやない、国民全体のことを考えて、お決めになるのでしようから、これでも我慢をしろ、こう言われれば我慢をしなければならない、国民から命令せられれば仕方がないのでありますけれども、併し国民はそうではなかろう、できるだけのことを公務員の利益のために図つてやるという意思だろう、こう思いますものですから、これをお願いするのでありまして、それでそれ以上に我々が進みますと、却つて政争の渦中に入るということになる虞れがあつて、我々の折角出します数字が何ものかこの裏にあるのじやないか、政府と何か一脈あるのじやないか、或いは組合と何か話合いがあるのじやないか、そういうような疑いをかけられますことは、これは人事院の中立性を失うゆえんだろうと思います。それでそこの限界をはつきりと人事院は踏みしめて行きたい、決して政治に関與しない、如何なる場合にも政治に関與しないということでないと、これは人事院の存在の価値を疑われることになる、そう思います。
#8
○木下源吾君 只今人事院の言われるようであるならば、物価と賃金の悪循環というようなことの弁明をすることは余計なことだと思う。そういう必要はないと思う。或いは公務員の給與を上げたからといつて民間給與を上げることはない、そういうことを言う必要はないと思う。そういうことをおつしやるから、勿論そういうことをおつしやらなければならないし、同時にもつと突き進んで政府の財政のこと等もやはり考慮に入れていろいろやらなければならない。入れたとするならば、ドツジ・ラインとどういう関係があるかということは検討したかということを聽いておるのであります。勿論我々は国会の職責は十分承知しておる。又人事院のおやりになつたことも分つておる。ただ勧告を誤解があるであろうからといつて狭い範囲に局限しては私はいけないのではないか、公企労法のいわゆる公務員保護の手段、手続というものは、公企労法ではこうなつている、公務員の方はもつと比重が重いのである、それが勧告ということで打切られているのであるが、この勧告はもつともつと公企労法の保護の手段よりも重いのであるからして、内容まで充実しておらなければならん。それは或る程度において政治という面まで突入するかも分りません。こういうことを私は言つているので、この限界についてお聽きしているので、これが若し山下人事官だけで御答弁が不十分であるならば、これは人事官でいろいろ御協議の上に御答弁を願つてもよろしいのであります。これ以上は人事官にお聽きしても満足な答弁を得られんと考えますから、そういうように一つ要望して置きますから、是非これを一つはつきり答弁頂きたい。
#9
○委員長(山田佐一君) 承知いたしました。
#10
○田村文吉君 実質的の問題についてお伺いいたしたいのでありますが、今の七千八百七十七円が標準ということを一般に申しているのですか、その内容を簡單に一つ御説明を頂きたいと思います。基準とはどういうことを言うのですか、そういうことについて……。
#11
○政府委員(山下興家君) 基準と申しますと、その中には俸給と扶養手当、勤務地手当、特殊勤務手当、これだけが含まれているのであります。それで七千八百七十七円の中に俸給が六千四百三十四円ありまして、扶養手当が八百五十四円、勤務地手当が五百五十円、特殊勤務手当が三十七円、端数はちよつとありますが、そういうものから構成せられているのでありまして、これは全体の公務員、即ち八十九万人の総平均が出ているのであります。
#12
○田村文吉君 只今の御答弁ですが、時間外等のものは入つていないということになるわけですが、民間の給與をお採りになりましたときに、労働統計に出ておりますものは、大体実收入を見て参りますと思うのでありますが、それは基準外は除けてあるということがはつきりしておりますか。
#13
○政府委員(山下興家君) これは超勤手当、超過勤務手当だけは入つておりません。それはなぜかと言いますと、これは非常に忙しくて超過勤務をした者にのみ拂うお金でありまして、これは大蔵省が始終握つておつて、そうしてその実績によつて支給して行くのでありますから、予定することができないのでありまして、その超過勤務手当だけはなくしてあります。これは先日政府から御発表になりましたのによるというと、約五百円程度ということになつておりますが、これは人事院内の調査、私共の中の仕事は大体まあ平均の公務員の仕事と考えておりますが、それによりますと二百七十円にしかなつておらないのであります。尤も仕事によつて非常に違いがありましようから、これは何とも今ここで私の方の申上げるのが正しいとも申上げられないし、或いは五百円が正しいのかも知れません。そういうことになる。但し毎月勤労統計と私共が今始終比較しているのでありますが、毎月勤労統計というのは、御承知のように三十人以上の企業の平均賃金であります。で、三十人からこれが段々と大きくなれば、企業が大きくなればなる程給與ベースは高くなる。非常に高くなつて違つております。確か五百……どうなつておりましたか今ちよつと数字を持つておりませんが、非常に違つていて、企業が大きくなればなる程大変に違つております。それで、それをひつくるめての民間の給與のあれでありますから、これは公務員とすれば非常に大きな企業に相当するものと思います。それで、その民間給與の小さなところまでも含めたものに比較するということが、少し低過ぎるということは考えられるのでありますが、民間給與が高過ぎるという、比較する民間給與が高過ぎるという結果には相成らんと思います。民間給與の中には、超過勤務も無論入つております。
#14
○田村文吉君 御比較をなさる材料として、その場合には官庁の場合も超過勤務手当を入れたもので、両方で決まるということで比較ということになるのでありますが、民間の方は時間外のものを入れたもの、官庁の方は入れないものと、比較してこの線が引いてあつて……第何表ですか、ありますのでどういうわけかということで、お伺いいたします。
#15
○政府委員(山下興家君) これは超過勤務は十分調べましてお答えしたいと思いますが、それで先刻申上げましたように、非常に違いますから、非常に勤務状態によつてとても違うのでありますから、それですから人事院の仕事は、大体が平均であろうと思いまして、これで二百七十円くらいだということを申上げたに過ぎないのでありまして、暫く研究いたしまして、それがはつきり出ましたら書面でお答え申上げます。
#16
○田村文吉君 それでははつきり申上げますが、第五十九頁の二十一表に官民給與比較図表というのがあります。今度の新給與ベースは民間のものに対してこういう線に従つて殆んど並行線として少し下廻つて行つておる。この用いられた初めの材料の民間給與というものは、今の時間外のものが入つておるし、この線の方は時間外が入つておらんということでありますと、比較が甚だおかしな比較になりますので、この点お伺いいたしたのであります。
#17
○政府委員(山下興家君) 何頁ですか。
#18
○田村文吉君 五十九頁の二十一表です。後でお調べ下さつて御答弁を頂きたいと思います。
#19
○政府委員(山下興家君) この問題は何でございます。先刻申しましたように一番下の数字ですね、下の数字はこれは生活の方から出しました。それから後のずつとカーブは、これは上り工合を民間給與と同じような上り工合にしようというので出したのでありまして、それが必ずしも合すという意味ではないのです。そうして殊にこれはこれを決めました時分には民間給與といつてもただ簡單に民間給與にはいろいろな種類がありますから、これを入れることはできないのでありまして、これを深く我々の方で研究いたしまして、約四千の職員をとりまして、それは公務員と同じような仕事の種類のものをずつと拾つて行きまして、それの收入を合せましてそうしてそれによつてこれを、カーブを引いて行つたわけでございます。
#20
○田村文吉君 その点は後で又はつきりとお伺いすることにしまして結構でございます。私共どうもはつきりしないのは、七千八百七十七円というのは今の時間外を除いた官庁吏の平均給與という意味でとつてよろしいのでありますか。そうでない特殊の或る家族構成がこれこれでこの人達が七千八百七十七円でなければならんという、こういう意味でありましようか。この点がどうもはつきりしません。
#21
○政府委員(山下興家君) それは家族数も違いますし、いろいろあるのですが、全部を平均いたしまして、実際の状態を全部平均いたしましてこういうふうになると、こういうことなんであります。仮定ではないのでございまして、それですから水準が例えば七千八百七十七円になるからといつて決めるものではなくて、一つ一つの積上げた結果がこういう数字ができ上るという、七千八百七十七円は結果であつて、これによつて割振るという意味ではないのであります。
#22
○田村文吉君 そこで私は少し合点の行かないのは、なぜ最低のものはカロリー計算までなして、三千六百六円の独身者の計算を出しておる。あとは民間の比例によつてこの線を繋いで行く、こういう繋き方は民間が大体こうだろうからこういうカーブで繋いで行く、こういう二元的な方法でやつていらつしやることが、もう人事院をお始めになつてこれまでに来たのでありますから、もう少しこれを一元的にし得るような、合理的な考えでお決めになつて勧告をなさるようなことはないのですか。
#23
○政府委員(山下興家君) 只今の御質問は全くその通りでございますが、ただ我々の考えておりますのは、この生活水準を見て行くときには、それは独身であるということが先ず大切だと思うのです。それで十八、九の成年男子で中労働の人というのを捉えまして、それによつて給與を、どれだけのカロリーとか何とかということをすつかりそれで決めて行きます。但しそれから上はいろいろな家族構成だとか何だとか随分沢山ありますが、そうして又それの中にはやはり位置によつての考え方も多少入つて来る筈なんです。それで民間はどういうふうになつておるかということを先ず曲線、カーブを出しまして、そうしてそれから上は民間の給與に習おうという、この今おつしやつたような二元的なのは、この基礎として考えておりますとことは、国民と同じ、カロリーの攝取量は国民と同じであるということが一つと、それから民間の給與と余り縣離れないものだということが一つと、この二つの原則の下に立つて給與を決めておるものですから、どつちか一つによるということは……民間の給與はどうでもいい、こちらはこうだということはいたさないのであります。但し民間の給與と言いましても、今申しましたように、民間にはいろいろな人があるからそれをひつくるめてはいけないから、それで一つずつ仕事の似寄つたものを選びまして、民間の給與の曲線を引いて少くもこういう状態であるべきだということに決めたのであります。
#24
○田村文吉君 そういたしますと、尚伺いますが、今度の給與ベースの改訂を勧告なされた御趣旨は、官吏と雖も国民である限りにおいては国民と同じ程度の生活水準を維持すべきであるということが骨子であつて、生活上の破綻を来たしておる現状において生活費を直さなければならんという考え方は別にお持ちでないのでありますか。そこで二元的だと申上げることについて私は伺うのであります。その点ははつきりとどちらかを一体、今度は給與ベースは、さつきの御説明だというと、官吏も人である限りにおいて一般人と同じ給與ベースでなければならん、こういうような意味で上るのだ、こういうふうに伺つたのでありますが、その点如何でしようか。
#25
○政府委員(山下興家君) 只今のお話の通りでございまして、我々は戰後国民の生活は段々上つておるのに公務員だけどこまでも釘付けにするということはあるまい。少くも国民と同じ程度において戰後の生活が回復して行く、それは国民として許して貰らう。公務員に対して許して貰う。これだれの程度ならば財政がどうあろうとも、少くも考えて貰える限度だろう。国民としてそれだれのことは考えて頂ける筈のものだろうという立場に立つておるのでございます。
#26
○田村文吉君 その生活程度の向上は何パーセントぐらいを……。さつきのお話の八%というのはその意味ですか。
#27
○政府委員(山下興家君) 私の前に申しましたのは、カロリーが一千八百五十カロリーというのを基礎にしたものが六千三百七円でありまして、そうして国民全体が輸入食糧その他をずつと勘定して、昨年の七月に厚生省でお決めになつたのが一千八百九十四カロリーであるからして、その平均のカロリーは攝取し得られるだろうという仮定の下に立つたわけであります。
#28
○田村文吉君 そういたしますと、何でしようか。生計費と、これでなくちや食えないという問題ですね、これはその中に考えられてあるのですか。それはもう十分よろしいだろう。ただ幾らか国民と一緒に程度を上げなくちやならんという考え方が主なんで、その人が食べられないとか、食べられるとかいうことについての何かあれはあるのですか。
#29
○政府委員(山下興家君) 私共は食べられるか、食べられないかというぎりぎりのところへ公務員を置くという気持は更にないのでありまして、戰後生活程度が上れば国民と共に上るということでいいので、それを基準として考えておる次第でございます。
#30
○田村文吉君 三千六百六円という数字ですね、これは独身者の場合に中等学校出た程度で三千六百六円あれば生活は維持し得るということだけから、現在はそれよりは幾らか高いのですが、生計費の今の食える食えないという問題には触れてはならないということと了承してよろしいですか。
#31
○政府委員(山下興家君) さようでございます。それで下つたら死ぬるというような最低生活ということは考えておりません。国民と同じ、国民の平均水準ということによつておるわけであります。
#32
○田村文吉君 尚もう一つ私伺いたいのですが、今度の大蔵省で出される税制の上から考えますというと、独身者は可なり辛くて、家族の一人二人ある人の方が割合に税金も軽くなる、こういうことがありますのに、官庁でもどこでも家族手当をやつておる。税が大分その点について前よりは強くなるように考えておりますが、人事院ではその点は御考慮になりましたか、お考えになりませんでしたのですか。
#33
○政府委員(山下興家君) 成年男子の三千六百六円を勘定いたしますときには無論手取りでありまして、手取りを勘定に入れますから、その数字の中にはシヤウプ勧告案によります税も皆入つておる。あの税制改正によることになつております。そうして又扶養手当というのは、これは当り前から言えば上るべき筈なのに、我々としては扶養手当というものは給與の面から考えると正しくないのだ。あれはできるだけ早く止めたいのだという気持があるものでありますから、今度もこの前と同じように六百円と、その次には四百円というようにそれは据置いたのでありまして、無論税がどう影響をするかということは数字がございますから、又あとから提出いたします。
#34
○田村文吉君 恩給が毎年まあ五十四億円ばかり、今年も五十億ばかり出ておるようでありますが、恩給というものは給與ベースの場合には全然お考えになつたことはないように拝見しますが、お考えになる必要はないものとお考えになつているのでございますか。
#35
○政府委員(山下興家君) 今は恩給とそれから共済組合の掛金、そういうものも皆勘定に入れてあります。税金とそれから共済組合の掛金だとか、そういうものが全部入つて三千六百六円というもので出ているのであります。
#36
○田村文吉君 いや、恩給、年金、そういうものが收入に将来なるべきものでありますから、そういうものはよく下世話申しますけれども、お役人さんは恩給があるからいいのだ、少しぐらい安くても恩給で我慢せよ。民間の方には恩給というものがないのだから、退職金を余計貰うということを考える、給與も少しよくなければならん、こういうような意見が民間によく出るのであります。恩給が官吏にあるということは民間から見ると非常に羨ましいことであります。今日は非常に僅かでありましてお話になりませんけれども、それにいたしましてもそういうものはいわゆる官公吏の特権と、こういうふうに一般にはまあ下世話に考えている。そういうものは官吏の給與を御決定なさる場合に御考慮にお入れになつておりますかどうかということをお伺いいたします。
#37
○政府委員(山下興家君) それはいろいろ考えに入れてあります。今のように恩給制度とかその外福利施設にいたしましても、いろいろな点で民間より多少はいいだろうということのために、カーブも平均のカープよりはずつと下廻つているわけであります。今のように例えば直ぐ勘定をしてはまずいのでありますけれども、先刻申しましたように、今の公務員とそれからして毎月勤労統計の比較、それが昨年の十月に四割一分であつた。尤も七月のときは別でありますけれども、段々上りまして、四割一分、それを二割五分増すのだというような考えから御覧になりましても、すべて価格が少しずつ下廻つている。それはまあ公務員の給與の変化によつて民間給與に影響を来してもまずいということもありますが、併し同時に又民間よりも多少いろいろな点で、まあ今の恩給とか何とかいういろいろな点がありますからこれは上廻るべきものをちよつと下廻らせるべきだ、こういうふうに考えております。
#38
○堀越儀郎君 一つ二つ簡單なことをお伺いしたいのでありますけれども、民間給與との比較を今度新らしいベースでしておられるようでありますが、その場合に單に労働省の発表の数字のみを基礎に置かれたようなお話に伺つたのでありますが、実際の民間の企業体の実態というものに触れてはお考えになつておらない。例えば公務員であれば月々きちんと決まつた給料の支拂を受けるのでありますが、民間企業体では現在政府はデイス・インフレと言つておりますけれども、現実はデフレ傾向になつている現在、民間工業を見ると、現在賃金の後拂い、或いは分割拂い、酷いところでは現物給與ということが見られる。そういう点にまで実際に触れて考えておられるかどうか。人事院の勧告されたものを政府が採用しないような場合に、一般の輿論がどちらを支持するか。人事院の勧告に非常に強い支持が案外得られないのは、その原因がどこにあるのかというようなことをどうお考えになつておるか。單に各官庁で発表された或いは報告の統計などを基礎にして勧告しておられるだれであつて、例えば田村委員の言われたような公務員には恩給というようなことがある、或いは又俸給の少いというような場合には出張の名において相当の補充をしておられるという実態もある。そういうことも民間の方では案外知つておるのであります。又半面において民間給與と比較されてはいるけれども、民間給與の方では不拂いのことがあつたり、現物給與があつたり非常に困つた生計状態も釀していることまでもお考えになつて、本当の腹から当然公務員はこうなければならないのだという強い力が人事院の方にないのじやないか。そのために勧告はされるけれども、政府が採用しないとそれきりになり、而も輿論の支持を受けられないというのは、そこまでの親切な勧告がないのじやないかというふうに考えられるのですが、そういう点はどうお考えになりますか。
#39
○政府委員(山下興家君) 遅配欠配をどう考えるかということは、実は非常に困難なことでありまして、数字にはちよつと上がりにくいのであります。但し先刻申しましたように現在四割も違つておるのに、それをそのまま釘付けするということは到底考えられないのでありまして、二割五分しか上げておらない。そういう遅配欠配は勘定に入れませんけれども、併し勘定に入れられても、無論余程下廻つていると思います。但し困ることは、これは外国の例なんかで見ますと、人事院が発表したその数字を政府が間違つていると言つて打ち壊わすようなことはないと思うのでありますが、それは日本ではその数字が間違つておるのだというようなことで、それが又非常に本当に間違つているなら我々は大責任でありますからして、どこまでもこれを訂正しなくちやならんのでありますが、到底想像もできないような理論を以て、人事院の計算は間違つているのだと言われると、これはどうも私達大いに考えなくちやならんことだと思つております。
#40
○堀越儀郎君 私は数字の間違つているということを申上げているのではないので、人事院の勧告がただお役目柄、職掌柄やられるというようなだけの印象しか受けられないのです。政府が採用しないときに、もつと輿論の支持を受けて強く押されるべきが当然だと思いますが、案外に支持を受けられないのは、親切心が足りないのではないか。数字が間違つておるかどうかということは、そんなことを我々は考えているのではないので、田村委員の言われたことも無論そうであります。又国家財政のことも考えないと言われますが、これは人事院の勧告によつて止むを得ないかも知れませんが、ドツジ・ラインのことも考慮されているかどうか。例えば物価において、三千七百円から六千三百円に上げたとき、影響がなかつたと言われるが、あのときはドツジ・ラインによつて締めつけられて物価が下る傾向になつていて、三千七百円に据置かれたらもつと下つたかも知れない。それを考えられないで、單に物価には何らの影響もなかつた。現在七千八百七十七円に上げても僅かに六%である。その他の企業体に及ぼしても一割八分の購買力である。これは最悪の場合で、全部が購買力に廻されてもそうです。これはあなたのお考えからすると、蓄積するなどという余裕のある筈はない。そうするとどこに物価に影響が大してないという根拠があるか。以前のときにはインフレの最中であるが、何らの影響がなかつたというその独断的な根拠が私は怪しいものじやないかと思う。それを根拠にして今度の一割八分は大したことはないということは、我々としては受取り難いと思うのであります。そういう点まで考えられないから、人事院の勧告というものは單なる勧告に終りはしないかという、我々は非常に懸念を持つのであります。本当に公務員の生活を改善しなければならないという熱意があり親切心があり誠意があるならば、もつとそこまでお考えになるべきものじやないかと私は思うのであります。そういう点、人事官としてどんなふうにお考えになつておりますか。何故国民の支持を受けられないかということをどう反省しておられるかということについて……。
#41
○政府委員(山下興家君) 国民の支持を受けられないということになると、誠に相済まんのでありますが、併し人事院というものは割合に新らしいものでありますから、人事院から発表をいたします数字は、少くともこれは何らの政治的意図がないのだということくらいは、みんなが理解して呉れる筈だと思うのであります。併し政府自体が、人事院の出したのは間違つてるのだと言つて白書を出されるくらい、人事院の存在をはつきりと認識しておられないのでありますから、それで人事院が申しました数字は、本当に今まで政府から発表した数字とは違う、信頼がおけるものだというような観念が国民全体に行き渡つていないのじやないかということを私は心配しておるのでありまして、何らの意図がない、もう本当に誰がこれを操作しましても同じ答えが出るというために、一つも推定の数字を使つておらない。政府によつて発表せられた、大丈夫だという数字のみを使つてやつておるのでありますから、これは何とかして国民全体がこれを認識して頂くようにしたい、そう思う次第でございます。
#42
○小川友三君 山下人事官に伺いますが、人事院では政治的意思はないと言うが、政治的に大きな動搖を来しておる。人事院の発表というのは、八千三百万のものを基本として調査はしていない。ほんのちよつぴりとした調査をしておるから、それが吉田内閣には受入れられない。いわゆる案山子的存在である。大きな国費を使つて調査したところが、吉田内閣に取入れられないというていたらくは、人事官として調査の範囲が、何万人を基準にして調査したかということを先ずお示し願いまして、それからお伺いしたいと思います。何万人の生活基準において国家公務員の調査をしたか。農村から通つておるところの国家公務員と、甲乙丙の地域別に分けた場合の調査の状態及び家族の生活の状況、それらを詳細に只今御発表願いまして、その発表によりまして、少々でありますけれども、案山子的存在である人事院の人事官の山下君に質問を続行いたしたいと思います。
#43
○政府委員(山下興家君) これは民間給與との対比にいたしますと、先刻申上げましたように、四千職について細かく調べました。それからして実際にどれだけ給與を公務員が受けておるかという調査は、これはこの間実は政府からも何か御発表がありましたが、私共の方といたしましては、拔き検査ではなく、全部の八十九万、一人々々について当つて見ました結果によりますと、昨年の九月の十五日現在でございます。これは最近の調査でございますが、それによりますと国家公務員一般職の八十九万人に対しまして全国は六千三百二十一円であります、即ち僅かに六千三百七円から十四円くらいしか違つておらない現状であります。それから特地が七千二百九十円、甲地が六千五百五十二円、乙地が六千四円、丙地が五千五百五十七円、そういつたような数字が出ております。まだもう少し詳しくありますからして御希望ならば表にしてお目にかけます。
#44
○小川友三君 国家公務員は役百八十万人おります。百万人を落つことしちやつて、僅かその半分だけを人事院が調べておるから、政府ではそんな人事院の勧告はなかなか容れられない現状であると思います。国家公務員というのは百八十数万人であつて、あなたの方だけはその半分だけ、はしただけを調べておるのですね。百万人だけを落つことして半分を調べておられるから、政府ではそうした不完全な調査に対しては…、結論が行つていないかと思いますが、(「違う違うそれは」と呼ぶ者あり)とにかく人事院が大きな組織を持つていらつしやいますのですから、人事化の報告が自他共に認めるというような報告を是非して貰わなければ、国家公務員の生活の安定というものは期し難いのでありまして、全体の状態というものをはつきりと把握して頂くということが生活の基本をなすものでありますからして、この点につきまして国家公務員全体の調査を最近しておりますかどうか、その御報告を願いたいと思います。
#45
○政府委員(山下興家君) 今の小川さんのお話でありますが、私が申しましたのは全部を調査したのであります。今国家公務員の一般職が八十九万人でございます。もう少しはしたを申上げてもよろしいのでありますが、大体八十九万人であります。それを全部調べました結果がこうであります。決して拔き検査をしたのではありません。
#46
○小川友三君 それでは人事院の勧告は全部を調べたというならば、政府を動かし得る基礎を持つていらつしやる筈でありますが、人事院の勧告が政治的には何ら考えていないで、そして政治的な大きな動きを展開しておるという状態でございますか。山下人事官は人事院を代表せられまして、この問題が真劍に真実であるとしたならば政府を動かし得ると、いわゆる国会の同意をかち得られると私は思いますけれども、それに対するところの所見をお伺いをします。
#47
○政府委員(山下興家君) 実は私共の出します数字は本当にもう我々のできるだけのことをやつておりまして、これは十分信用して頂けると思いますし、又国家の、国民の代表であります国会といたしましても十分これを御検討願いまして、何とかして公務員の、いろいろな自由をとられております公務員に対して十分に御考慮を願つて、そして御同情を下さらないと、これは大変困る状態に立至ると思うのであります。
#48
○小川友三君 それは今山下人事官は国家財政がどうであろうとも、国家財政というものがどうあろうとも、そのいわゆる賃金ベースというものは正しいのだということをおつしやいましたが、国家財政というものが中心に初めてここに支出があるというのは健全であると思いますのですが、国家財政がどうであつても構わないという意味でございますが。その点を一つと、それから今の給與でも死ぬことはない、最低生活はできるのだと、こう人事官はおつしやいましたが、死ぬことはない。勿論幾らあれば足りるか知りませんが、併し国家公務員が仕事を、国民の公僕としてやり得る額であるかどうかということを中心としまして御答弁願いたいのであります。
#49
○政府委員(山下興家君) 我々が公務員の給與がかくあるべし、それは国家財政が何であつてもこれを実行しなくちやならんと言つて、そうして進むのは、これは政治問題に関與するゆえんでありますから、それは我々はしたくない。それは国家全体としてお考えになつて、それでいろいろな角度から御覧になつて、そうして成る程これはよかろう、そうすべきだ、こうお考えになれば国会で十分お取上げ下さつて、御研究になると思うのであります。それですけれども、我々の申上げますのは、少くとも国民一般の生活水準を保たすということは、これは国民に対するサービスをしておるのでありますから、そのサービスに対して即ち納税者がお金を公務員に出す、それが即ち給與である。我々の給與という考えを新憲法下に全部切替えまして、これは国民から貰うサービス料だ、こう考えておるのであります。それで公務員は全力を盡してこの国民のために盡しておるのだから、まさかに国民はそれを無視して、それでストライキをやらんから、何しないから、踏みつけてもいいと考える人は一人もなかろうと実は思うのでありますが、それで結局ドツジ案にしろ、何にしろ、皆結構なことで、それで財政のバランスが取れた経済も誠に結構なものであります。但しそういういろいろな政策でも公務員を犠牲にしてそれが行われるということなら、どうもそれは正しい政治ではないのじやないかという感じがいたしますのであります。
#50
○油井賢太郎君 この際人事官にお伺いいたしたいことは、私共もこの前の六千三百七円ベースというものは公務員に対して果して妥当な給與であるかどうかということを疑いを持つておる一員であります。そういう点について或る程度これを改正しなくてはならない立場じやないかと思うのでありますが、この際人事院がお出しになつた七千八百七十七円のベースについても、篤と検討いたしたいとは思つております。併しながら政府においては六千三百七円のベースのままで以てよろしいというふうな考えの下に、現在予算を組んでおるような状態になつております。その際先程人事官がお話のように、政府の案が、政府の考え方が間違つておるというふうなお話もあるのでありますが、それに対してどういう点が違つておるかということをこの際国民に明白にして、あなた方がお作りになつた七千八百七十七円の理論の正確であるということを明白にすることが一番肝腎だと思うのであります。そういう点においては政府で以て固持されるところの六千三百七円ベースに対して、あなた方が作られたベースのいわゆる白書と申しますか、その資料は貰つたのでありますが、それに対する政府のいわゆる給與ベースの白書に対する反駁書、これを至急お出し願いたいと思うのでありますが、一番大きな部分だけでもいいですが、今日御発表願える点があつたら、どういう点が違うか、大掴みだけでもいいから御発表願いたいと思います。
#51
○政府委員(山下興家君) 白書として出したくないということは先刻大分詳しく申上げたのでありますが、そういう形でなしに、問答なら幾らでも申上げたいのであります。それに対しまして今の問題で、一番私共が心外に思う点は、私共が計算をいたしますときには、誰がやつても同じ結果が得られるということが必要な條件でありますから、どうしても将来を推測することができない、将来を推測すると、推測することによつて違う結果が出ます。併しすでに発表せられた数字には、これは間違いがないのでありますから、それで過去において発表せられた数字のみによつて判断をするということを先ず我々は考えておる。そうしますとどうしても七月の基礎のものを、今日本当に実行するのには、六千三百七円のように十二月にこれを実行するということになるわけです。これは止むを得ないと思うのであります。ところが政府の方は十二月にやつたじやないか、又政府はもう一方翌年三月にやつたじやないか、三月からの物価の変動を見ればそれでいいじやないか、即ちそれまでの間は全部物価の上り下りは考えに入れなくてもいいじやないかという議論が中心になつておるように思えるんです。若しもそれであるならば、折角我々が正当な数字を出そうと思う苦心があべこべになりまして、やはり推定数字を使わなくちやいけないということになる。若しもその推定数字を使わないということになれば、計算の基礎であつた、例えば六千三百七円の場合であれば、仮に十二月から行いましても、計算の基礎が七月であつたから七月まで遡及して、七月からその六千三百七円は拂うべき筈だと思う。これは私は当然の理由であつて誰が考えても疑いがないことだと思う。そういうことをどうも白書として世の中に出されるということ自体が甚だ私は心外に思う。
#52
○油井賢太郎君 その今のお話はよく分るのですが、要するに政府側で白書として出した、その白書に対して、数字的に明白にあなた方の考えを、こういう点はこう違うんだという点をもう一遍反撥して貰いたい。そうでないと、今国民は、政府側では現在のままでもいいというし、その方が国民の負担するところの税金に及ぼす面が大きいのだというふうな議論も、或いは尤ものように聞える点もあるのでありますが、併し我々はあなた方の明白な回答が得られるならば、やはりそれを支持したいという点も出ておるのでございます。従つて国民全般もその点をこの際明瞭にして貰いたいというふうになつて参ると思うのです。それを理論だけでなしに数字を挙げて御発表願いたいと、こういうふうなのが我々の要求であります。若し今直ちにここで御発表願いないならば、明日でも明後日でもよろしいのですから、委員長の下まで一つその数字を挙げたものを御提出願いたい。こういう御要求をして置きます。
#53
○政府委員(山下興家君) 只今のお話御尤もでありまして、私共もそういうふうにしたいことは山々であります。全部資料を持つておりまして、実は出したくてしようがないんでありますが、この前申しましたように、若しもそれをやると白書戰になるのじやないかと思う。そうすると人事院が政治に関與するじやないかということは、これは我々の非常に痛いところであります。それですからこういうところで、どれだけでも資料を出せと言われればそれは出しますし、それから御疑問があれば幾らでも問答いたします。それですから白書の恰好でなしに国会を通して世の中に発表して頂いても結構なんであります。それに対しまして、御承知の通り実は参議院の人事委員会で木下委員からいろいろな御質問がありまして、そしてその問答の概要を書いて出せというお話であつたのでございます。それで実はそれを拵えました。それで実は人事委員会にこういうことがありましたということを御発表しようと思うたのでありますけれども、若しも御希望ならここへも配付してもよろしうございます。
#54
○油井賢太郎君 委員長、それは予算委員会として、当然委員長から御要求になつて我々に配付になつて下さい。
#55
○委員長(山田佐一君) 資料の提出に……。
#56
○木村禧八郎君 簡單にお伺いしたいのですが、一つは人事院の物価の見通しに関する御見解ですね、最近物価庁の発表したところによりますと、人事院勧告のある給與ベースの引上を行なつても、生産増加その他において二十五年度においては一割物価が下るという発表があるという最近の安本の発表です。そうしますとこれまでいわゆる賃金と物価との悪循環論、これは情勢がはつきり変つて来てしまつて、インフレ時代においては成る程悪循環しましたけれども、その後ドツジ・ライン、或いは生産の増加等において、賃金物価との作用ははつきり変つて来ている。而も安本の物価局からはつきりと、人事院勧告を実施しても物価は二十五年度において一割下る、こういうあれがある。それで人事院としては絶えず公務員の給與生活の問題を考える場合において、物価の推移、こういうものは非常な重大な関心を持たれていると思う。それで、先ず物価の問題、それから実質賃金の問題、政府は今後物価が下るんだ、税金が下るんだ、それで実質賃金は上るんだから、給與ベースは変えなくてもよい。そういうことを言つている。それで私は物価の推移について、政府の御見解を聽きいのですが、人事院の御見解を先ずお伺いしたい。
#57
○政府委員(山下興家君) そういう数字を、我々が推測することができますと誠に都合がよいのでございますが、私共がとりました根本原則は、推定は使わない、推定数字は使わないで、過去に確実にあつた数字のみを使う。そうすれば誰がこれを計算して見ても同じ結果が得られるという立場に立つておりますから、どうもそういう推測を如何に確実でありましても使うわけに行かないのでございます。但し、それが実際に下りましたから、そのときに給與も下げて、上つたら上げる、そういう過去のことのみによつて上り下りをして行くという立場に実は立つているのであります。
#58
○木村禧八郎君 政府の考え方と人事院の考え方との間に差異ができるのは、一番根本の数字の算定方式ですね、それから算定方式、これに非常な相違があるということが非常に疑問だと思う。それで政府も同じ統計を使い、人事院も同じ統計を使えば、そんなに違いが出て来る筈がないと思う。例えば政府では最近C・P・I等を今までのフイツシヤー式からいわゆるラスパイルス式に変えて来て、何故人事院はそういう統計について……、而も政府は最近では御承知でもありましようが、シヤロン氏が来ましてパーシエ式に変えて行く、こういうような方向にある。そこで最近は統計を使つて物価が上つたとか下つたとか、実質賃金が上つたとか下つたとか言つておりますが、統計それ自体に非常に問題があると思う。その一つ捉えてもどうでもなるのですな、品目を変えてみたり、或いは算定基準を変えてみたりすれば……。そこで人事院は政府の統計に対してどういうお考えか。それから今後そういう給與ベースを算定するときの基礎の統計ですな、これは政府と一致させれば違つた給論が出る筈がない。又政府が人事院の統計に基いてやれば違つた結論が出る筈がない。別な数字を使い、別な算定方式方法をやつている、ここに数字的から言つて分れて来るところがあると思う。この算定の方法、基準とか、統計の問題についてどういうふうにお考えですか。
#59
○政府委員(山下興家君) 只今のお話につきましては誠にその通りでございまして、今おつしやいましたように前はフイツシヤー法を使つておりましたが、近頃ライパイルスに変りまして、その通り私共もやつておりまして、ちつとも変つておらないのであります。ただ変つたところはどこかというと、我々は六千三百七円の基礎数字は一昨年の七月であるということを明記してあり、又それによつておるのに、政府はいや昨年の三月だと言われるから、それは大変な違いが起つて来るのでありまして、政府の数字の違いと、我々の数字の違いはその基準の取り方にあるのでございます。これから先も無論政府の定められますそういう統計の基礎によつていたします。
#60
○木村禧八郎君 そこではつきりしましたが、そこを人事院は何故お衝きにならないかということです。その算定基準によつて、基準年度によつて非常に違うわけです。ですから最近日本の統計全体について、非常に最近変化が起ろうとしておるのですが、それで例えばパーシエ式にやれば、パーシエ式を採用すれば割合に最近の変動が分る。フイツシヤー式にやれば過去の基準年度からずつとやりまして、過去との比較が出て来る。そこで政策的に成るべく賃金を上げないようにするには基準年度をパーシエ式によつて非常に近く取つてやれば、それは都合のいいのが出て来ます。であるから数字に非常に政治的な操作があると思うのです。その点をやはり僕は統計の理論的にこれははつきり証明し得ると思うのです。パーシエ式を採用すればこうなるのだ、フイツシヤー式ならこうだ、それからラスパイルスならこうなるのだというふうに統計的に私は具体的に批判しても批判はできると思うのですが、そういう御用意はないのでございますか。
#61
○政府委員(山下興家君) その基準と申しますのは、そういう基準であれば、例えばフイツシヤー法とか、ラスパイルス式とか、パーシエ式とか、そういう方法であれば政府と同じ歩調をとつております。何ら違つておらない。ただ違つたのはどこが違いであるかというと、政府はいや三月から、六千三百七円をやつたのは三月じやないか。三月からの物価はこうなつておる。いやそうではない。六千三百七円は一昨年の七月が基準であるから、それからやらなければいけないというのでありまして、統計の基準の差ではないのであります。
#62
○木村禧八郎君 最後に簡單に伺います。併し人事院としては統計に基いて結論は出すわけですね。ですから統計をどう扱うかということが非常に重要だと思います。無論政府もそうなんです。その統計の操作の仕方によつて賃金が上つたり上らなかつたりすのるですから、非常に重要だと思うのです。今山下人事官のお話を伺いますと、政府の統計をそのまま使うというお話でありますが、私は政府の統計自体について相当御検討にならなければ駄目だと思う。非常に問題があると思う。それは最近C・P・Iを改正しましたが、これにつて人事院としても一つの見解を持つべきだと思います。ラスパイルスがいいのか、パーシエがいいのか、フイツシヤーがいいのか、人事院はこの統計についても一つの見解を持たなければいけないのじやないか。例えば今度改正します。C・P・Iですが、これまでの形はラスパイルスであつて、実質はパーシエなんです。非常に妙な統計ができ上る。これは何故こういう統計を作るかといえば、我々から見ればそういうふうな統計操作によつて賃金が上らないように指数を出して来ようとしておる。これは実際に証明せられると思う。ですから政府のそういう統計自体、例えば毎月勤労統計なんかも信頼できません。これは御承知の通りだと思います。毎月勤労統計は長期に亘つてこそ初めて平均が出て来るのです。毎月勤労統計なんかあんな不平均なものを報告したりしなかつたり、家計調査やC・P・Iの調査などとも又違つて、あんな不確実なものを元にして実質賃金が上つたとか上らなかつたとか、或いは最近の勤労統計についても操作品目を外して見たり入れて見たり、統計自体が非常に今は問題になつております。ですから人事院も、その統計の扱い方が公務員その他の勤労者に重大な影響が及んで来るのですから、政府のやつておる統計自体についても人事院として見識を持つて一つ御検討されるべき必要があると思います。これについての御意見を伺いたいと思います。
#63
○政府委員(山下興家君) 只今の御意見誠に結構でございますが、ただ私共といたしましては、それはそういう尺度でありますから、例えばインチ尺を使うか。メートル尺を使うかといつたような尺度でありまして、尺度までも人事院が独自の尺度を作りますと、却つてそれは疑われる虞れがありますから、政府がそういう意図があつて尺度を変えられたかどうか存じませんが、とにかく政府の決められましたその尺度によつて私共が計算いたしまして、而もこういうふうな状態がある、非常に公務員に対して不利な状態にあるのだということを申上げた次第でございます。尚研究といたしましては、十分これから先それを研究いたすつもりでございます。
#64
○木村禧八郎君 これは今人事院としては尺度であるから、政府と違つた尺度を用いるといけないというお話ですが、人事院としてはやはり統計についてはしよつちゆう御研究にならなければ駄目だと思います。政府の統計が、殊にこういう非常に政治的ないろいろな対立が出て来ますと、統計自体が非常に政治的な統計で出て来ると思います。ですから人事院はしよつちゆう御研究になつて、公正な立場からそういう統計を絶えずお作りになり、研究して、政府に対して何も別の統計を作らなくてもいいのです。絶えず政府に対して、政府の統計はこういうところが変じやないか、ああいうところが変じやないか、これは内閣統計局においてもやるべきだと思いますが、人事院は殊に統計が一般公務員の生活に重大な影響がありますから、絶えず政府の統計についてはこれは監視し、或いは間違つていたら、実は今の最近の一番科学的な統計法としてはこれがいいのじやないか、そういうふうに折衝し、そうして政府の統計をよくするように、それが又公務員の生活を擁護する遂になると思いますが、これは要望になりますから、そういうところは今後とも十分御研究になり、政府に対して間違つたところは直すように努力されたいと思います。
#65
○委員長(山田佐一君) お諮りいたしますが、各委員の御質問と何を承つておりまして、御満足の得られる答弁が得られなかつたと拜察いたしますから、どうか今度人事院総裁の出席を願つて尚この問題をもう一応御検討を願いたいと思うのでございます。
#66
○木下源吾君 私は総裁が来てお話になつても、今までの例によりますとこの域を脱しないと思います。私は劈頭にお聞きしたことは勧告の意味についてでありますが、今皆さんがお聞きになつておる通り、又私もお聞きしておつてよく分りました。人事院は国会の決めた法律に従つて、具体的に言えば公務員法の二十八條によつて、それに準拠して、而も科学的に、そうして又公務員の民主的なこの時代における人格を尊重して民主的にやつて来ておる。内閣においては今いろいろありますが、然るに政府はそのことを否定するように、一方は昨年七月基準という方に従つてやつておる。一方は三月でやつておる、そうして三月から食えるようになつているのだ、一口に言えば実質賃金が上つている。食えるのだ。この考え方が根本的に私は違つておると思う。政府の考え方は食えればいいんだ、公務員は……、従つて封建的な給與というものは奴隷の扱いで行こうとしておるのである。この食違いがですね、当然私は人事官を呼んで幾ら聞いて見たところが、勿論統計その他の数字の上においては検討する要があろうとしてもです、私は解消しないと思う。このことについて少くとも山下人事官の限りにおいても、私が今申上げるように、人事官の態度は科学的であり、民主的であり、法律に従つておる合法的であるのであるが、政府は非合法だ。法律に従わないのである。そうして公務員は食えればいいという状態に置いておけばいいのである。こういうような、これは現実の状態です。このことを人事官として認めるか。そういうように我々は考えてよろしいか。これを一つお聞きして置きたいと思います。
#67
○政府委員(山下興家君) 私共が最も心痛しておりますのは今のお話そのままでございます。それで先刻も申しましたように、公務員はストライキの権力も何もすつかり取上げられておる。そうしてひとえに公務員は新らしい考え方から、国民に対してサービスをしておるということでありますから、何とかしてこれを救う途が必要であろうと痛切に感じます。それで我々もできるだけの調査をし、研究をして、間違いのない資料をこれから先でも御要求になれば幾らでも出しますから、どうかこれを以て日本の公務員のために一つ御盡力下さることをお願いいたします。
#68
○委員長(山田佐一君) お諮りいたしますが、午後もいたしますか。どういたしますか。
   〔「今日はもういいです」と呼ぶ者あり〕
#69
○委員長(山田佐一君) それでは本日はこの程度で散会いたします。
   午後零時四十四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 佐一君
   理事
           田村 文吉君
           堀越 儀郎君
           木村禧八郎君
           岩男 仁藏君
   委員
           岩崎正三郎君
           木下 源吾君
           羽生 三七君
           森下 政一君
           中川 幸平君
           西川甚五郎君
           小杉 繁安君
           高橋  啓君
           藤森 眞治君
           油井賢太郎君
           赤木 正雄君
           飯田精太郎君
           西郷吉之助君
           伊達源一郎君
           藤野 繁雄君
           松村眞一郎君
           小川 友三君
 政府委員
   人  事  官 山下 興家君
   人事院事務官
   (給與局長)  瀧本 忠男君
   人事院事務官
   (監理局長)  大野 數男君
   大蔵事務官
   (主計局長)  河野 一之君
ソース: 国立国会図書館
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