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#1
第093回国会 社会労働委員会 第1号
昭和五十五年十月二十一日(火曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
 委員氏名
    委員長         片山 甚市君
    理 事         遠藤 政夫君
    理 事         佐々木 満君
    理 事         高杉 廸忠君
    理 事         小平 芳平君
                石本  茂君
                斎藤 十朗君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                福島 茂夫君
                丸茂 重貞君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                安恒 良一君
                山崎  昇君
                渡部 通子君
                沓脱タケ子君
                柄谷 道一君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二日
    辞任         補欠選任
     山崎  昇君     村田 秀三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山 甚市君
    理 事         遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                高杉 廸忠君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                斎藤 十朗君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                丸茂 重貞君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                安恒 良一君
                村田 秀三君
                渡部 通子君
                沓脱タケ子君
                柄谷 道一君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
   衆議院議員
       社会労働委員長  山下 徳夫君
       修正案提出者   今井  勇君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  園田  直君
   政府委員
       警察庁刑事局保
       安部長      谷口 守正君
       大蔵省主計局次
       長        矢崎 新二君
       厚生省公衆衛生
       局長       大谷 藤郎君
       厚生省環境衛生
       局長       榊  孝悌君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       厚生省薬務局長  山崎  圭君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       厚生省児童家庭
       局長       金田 一郎君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       厚生省年金局長  松田  正君
       社会保険庁年金
       保険部長     新津 博典君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       内閣審議官    花輪 隆昭君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○調査承認要求に関する件
○社会保障制度等に関する調査
 (芙蓉会富士見病院事件等に関する件)
 (スモン病の和解促進に関する件)
 (十全会病院の運営等に関する件)
 (国立医療機関の定員問題に関する件)
 (ハンセン氏病問題に関する件)
 (児童手当に関する件)
 (薬価基準の改定に関する件)
 (生活保護の級地是正に関する件)
 (社会保険診療報酬の支払基金制度改革に関す
 る件)
 (国際障害者年事業の推進に関する件)
 (身体障害者対策に関する件)
○こどもの国協会の解散及び事業の承継に関する
 法律案(内閣提出)
○厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○優生保護法の一部を改正する法律案(衆議院提
 出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査を行うこととし、これら二件の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(片山甚市君) この際、園田厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。園田厚生大臣。
#6
○国務大臣(園田直君) このたび齋藤厚生大臣の後を受け、厚生大臣に就任いたしました園田直でございます。
 国民生活全般に深くかかわり合いの多い厚生行政を急遽担当することとなり、責任の重大さを痛感いたしております。
 社会労働委員会の御審議に先立ち、就任のごあいさつを兼ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。
 厚生行政にとって一番大切なことは人間の生命と幸福を守り育てるための活力ある社会の建設を目指して温かい血の通った行政を推進していくことであると考えております。
 昨今、国民の健康と生命を守る重要な責務を有する医療機関において、医療に関する国民の信頼を著しく損なう行為が見られたことは、この意味においてまことに遺憾であり、不祥事を起こした医療機関に対しては厳正な態度で臨む所存でありますが、あわせて今後このような事件が二度と起こらないよう医療機関に対する指導監督を強化するとともに、国民の医療に対する信頼を回復すべく医療に関する諸問題について広範な角度から検討を進める所存でございます。
 今日わが国は、諸外国にも例を見ない早さで高齢化社会を迎えつつありますが、こうした社会情勢に即応した新しい厚生行政の路線を敷くことが最も重要な課題であり、とりわけ今日のように、財政状況を初め周囲の環境が厳しくなればなるほど、力を合わせて厚生行政の真価を発揮していかなければならないと存じます。
 当面、さきの通常国会において種々御審議を煩わした健保、年金両法案について改めて御審議を願うこととしておりますので、速やかに改正が実現されますようお願いする次第であります。
 また、懸案の老人保健医療制度につきましては、すべての国民が健やかな老後を迎えることができ、しかも、これに要する費用をすべての国民が公平に負担するという制度を確立することが重要であります。
 この問題につきましては、現在社会保障制度審議会に諮問し、御審議をお願いしておるところでありますが、厚生省においても先般老人保健医療対策本部の第一次試案を公表したところであり、今後関係方面の意見を聞きながら、できるだけ早く厚生省としての成案を得たいと考えております。
 このほか、厚生行政は、生涯を通じる国民健康づくり対策の推進、国際障害者年を来年に控えて、心身障害者等社会的、経済的に不利な条件を抱えた者の社会参加の促進、次代を担う児童の健全育成、医薬品等の安全性の確保など国民生活に密接な課題が山積しており、これらに積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 私は、委員各位の御鞭撻を得ながら専心努力し、国民福祉の着実な前進を図ってまいる所存であります。
 何とぞ、絶大なる御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
#7
○委員長(片山甚市君) 次に、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○安恒良一君 私は、芙蓉会富士見病院事件とスモン問題、この二つについて大臣以下関係局長に質疑をしたい思います。
 まず、芙蓉会富士見病院事件でありますが、これは高価な最新式医療機械、器具をふんだんに備えまして、そしてスマートな病院とデラックスな附属施設とで患者を引きつける、そういう近代病院の中で起こった、私はまさに医療犯罪だと思います。
 私たち社会党は、十月の四日に芙蓉会富士見病院による被害者の方々八名、うち子宮または卵巣の摘出もしくは子宮、卵巣全摘出を受けた方が六名ありますが、協力を得まして実態調査を行いました。その調査を中心に、再度私はこのような事件が起こらないように、さらに重要なことは、医師及び医療に対する国民の信頼を回復をしなきゃならぬと思います。そういう意味で、以下のことについてまず質問をしたいと思うのであります。
 第一点は、すでに昭和四十年代の後半、これは所沢医師会等々の間で、さらに五十年代に入りまして利用者住民の間で当病院の乱診乱療ぶりが話題となりまして、さらに具体的に五十三年の秋には市当局に対する被害者からの通報があった、これは事実であります。ところが、それにもかかわらずに医療監視制度が実効を上げることができずして、結果として警察の捜査、こういうことになり、十月一日に理事長北野早苗が医師法違反で起訴という事態を招いていますが、これはどこに原因があるかということをひとつ明らかにしてほしいんです。なぜ、こういうふうになるまでこの事態が未然に防げなかったのか。いわゆるわが国の医療監視制度にどこか欠陥はありはしないか、こういうふうに思うのでありますが、ひとつこのことについてのお考えを聞かしてください。
#9
○国務大臣(園田直君) 御指摘の点は、まことに遺憾至極に存ずるところであります。今回のような事件が起こりました後ではありますが、就任以来、書類あるいはその他の報告を受けてしさいに考えてみますると、何かあったたびごとに保健所または県等、決められた監査、指導はやっておるようではございますけれども、その監査、指導が決まりきった一つの監査、指導になっておって、たとえば看護婦二名不足であったからこれを注意をした、この定員は充足されたとか、あるいはある場所にブラシが一本足りなかったとかという形式上の監査はやっておりますが、いまからで遅いわけではありますけれども、もう一歩突き進んで真剣に、国民の健康を守るという点から、生命を守るという点から疑惑を持って真剣に突っ込んでいったら、何かもう少し早くわかったのではないかと、まず厚生省自体の反省をやっておるところであります。
 なおまた、次には医療制度その他の見直しもこの際に必要であると思いますが、私は医療制度の根本というのはやはり医療に従事する方、医療機関の良心と自己の規制心によってやることが最高であって、医療行為そのものをいろんな法律その他で縛ることは次善の策であると考えております。したがいまして、全国の医療機関その他について医療倫理の高揚、あるいはこういうことが二度とはないように、どのようにやればよいか、暫定的なことも考えて省内に検討委員会をつくってやっているところでございます。
#10
○安恒良一君 大臣のお考え、一つは監査、指導が形式的であったから、これからは突っ込んだものをやりたいと、こういうことです。これはおいおい中身を聞いていこうと思います。
 それから、医療制度の見直しは医の倫理だと、こういうことでありますから、そこで、私はもう少しちょっと中身を具体的に聞いていきますが、まず市と保健所と県のとった態度について、所沢の市民相談室にこの病院の苦情が舞い込み始めたのは五十年のころからだと言われていますが、例は、五十三年の秋三件、暮れに二件、苦情の数にしますと四、五件ということでありますが、一つの病院で別々の患者から、これだけの訴えが集中するということは私はきわめて異例だと思います。ですから、そういうものがあればすぐにでも調査をしなきゃならないはずですが、市はどのような対処をしたのでしょうか。また、市は所沢保健所に通告したと言ってますが、所沢保健所はどのような対処をしたのでしょうか、それを聞かしてください。
#11
○政府委員(田中明夫君) 五十三年の九月から五十四年の一月にかけまして、市の方からの照会も含めまして所沢保健所に富士見病院の患者五人の苦情が通報されております。その内容は、ほかの医療機関との診断の食い違いというようなものも入っておるわけでございます。所沢の保健所におきましては、防衛医大の見解を求めましたが、明確な検討を得ることはできませんでした。
 また、無資格の北野理事長が診察行為をしているというようなうわさもありましたので、北野理事長を呼んで事情を聴取するとともに、厳重に注意したところでございますが、残念ながら、さらに突っ込んだ真相の究明には至らなかったわけでございます。
#12
○安恒良一君 私どもが調べましたところでは、市は、いわゆる市民相談室というのがあるんですが、これは単に聞きおくと。それから、市は病院に対する指導権がない、こういうことで所沢保健所に行ったと。ところが、所沢保健所の方も、いわゆる電話連絡で受けたということで――当時の所沢保健所長はだれですか。
 それから、本当に真剣にそういうことについて調査をしたり、突っ込んだ指導をしたのですか。指導を受ければこんな事態に私はならなかったと思うんですね、こんな事態に。
 たとえば、北野がでたらめな診療をやっているというのは一回や二回じゃないんですよ。そういううわさがうんと飛んでいるわけですね、もうすでに五十三年には。それから、すでに五十三年には警察当局が動き出しているということも、もうわさになっているわけですから、当然私は、保健所長の耳にそんなことは入らぬはずがない。にもかかわらず、当時の保健所長は、本当に真剣にそういうことの防止のために動いたんですか。そこのところ聞かしてください。そのときの保健所長はだれで、いまどこにいますか、その人は。
#13
○政府委員(田中明夫君) 当時の保健所長は、現在も所沢の保健所長をしている小島医師でございます。
 先ほどお答え申し上げましたように、患者からの訴えあるいはいろいろな風評をもとにいたしまして、保健所といたしましては防衛医大の見解を求めたり、あるいは北野理事長を呼んで問いただし、厳重な注意を与えたところでございますが、残念ながら、真相の究明には至らなかりたわけでございます。
#14
○安恒良一君 それじゃ、観点を変えて。
 北野を呼んで注意したと言うんだけれど、結局同じことをやっているじゃないですか、同じことをその後もですね。大臣、いまお聞きのようなことですからね。あなたが指導、監査をやると言っても、第一線の保健所長が呼んで注意したと。しかし、その後もずっと続けられておったわけですから、どこにやっぱり問題があるんでしょうか、そういうところの問題は。保健所長は呼んで注意したと言っている。呼んで注意したって直っていないわけです。呼んで注意して直っておれば、こんな事件には発展をしなかったんですが、その点は、私はやはり本当に第一線の保健所長が体張ってでも、そういう、非道な医師まがい行為ですね、これは後からどんどん聞いていきますが、どうも院長以下ほかの五名の医師も、何と言うんですか、共謀といいますか、そういう点がありはしないかと思いますが、後から聞いていきますけれど、そういうことについて防ぎ得ないというところに、制度的にも欠陥があるんじゃないでしょうか。どうなんでしょうか。
#15
○国務大臣(園田直君) 制度的にもこれは検討を、見直しする必要があると思いますが、現行制度の中でももう一歩熱意を持って責任を感じておったら、事態は少し変わったのじゃないかと反省をしているところでございます。
#16
○安恒良一君 県の衛生部はどういう対処をしておったのですか、県の衛生部は。いわゆるいま言ったようなことは、ただ単に市にとどまらず、県の衛生部にも私は伝わっていると思いますが、県の衛生部はどういう態度をとったのでしょうか。またどういう指導をしたのでしょうか。
#17
○政府委員(田中明夫君) 五十三年から五十四年の患者からの苦情等に対する処理は所沢保健所――これは県の機関でございますが、ここにおいて処理されておりまして、県の、本庁の衛生部の方にはこの問題は特に取り上げられていなかったというふうに了解しております。
#18
○安恒良一君 大臣、お聞きのとおりで、いま言ったような問題が所沢だけで処理をされて県に伝わっていない。ましてや、県に伝わっていないから、厚生省の方もわからなかった。こういうことで、担当局長以下が責任逃れをするんだろうと思いますけれども、私たち聞いていなかったということで。しかし、まさにこんなだれが考えても、もう人道的に見ても、鬼畜に等しいような行為が行われたということが、一保健所だけにとどまっておったというところに、まず私は問題がある。これは時間がありませんから、これで。
 そこで次は、警察お見えになっていると思いますから、警察に聞きたいのでありますが、まず埼玉県警の場合も五十三年の秋、当時北野がでたらめな診療をやっているといううわさがかなり広がって埼玉県警の内偵捜査が始まった。どうもそのことは一般マスコミも知っておったようでありまして、報道各社も捜査の進展を注意深く見守っていた。そして強制捜査は時間の問題だと、こういうふうに当時マスコミは見ておったというのでありますが、県警保安課の内偵捜査が、なぜ五十四年春ごろストップしたのか。その理由は何か。それから、そのときにどこまで捜査をされ、どういうことがわかったのか。こういうことについて、これは、現在捜査が進んでいることとは違うわけですから、当時のことについて詳細にひとつ明らかにしてください。
 現在の捜査事件については、後でまた聞きます。
#19
○政府委員(谷口守正君) 埼玉県警察におきましては、一昨年の暮れごろでございますけれども、富士見産婦人科病院の乱診ぶりに関する風評を聞き込んだわけでございます。ただ、この情報というのもどうも富士見病院の診療ぶりがおかしいじゃないかというようなこととか、あるい治療とか手術の性格からだと思いますけれども、被害者の方が名前をはっきり言われないというようなこともございまして、いわゆる具体的な情報をキャッチするに至らなかったわけでございます。ただ、問題が問題でございますので、早速埼玉県警察におきましては、所沢警察署とそれから県警本部の保安課が中心になりまして、内偵捜査を開始したところでございます。
 ただ、先生も御案内のとおり、この事案そのものが病院内部におけるいわば密室内の事案である。また、医療というきわめて専門的、技術的な分野に関する問題である。さらには、実質的な病院経営者でございます理事長北野早苗の犯罪である。また、先ほどちょっと触れましたけれども、なかなか被害者の方も被害申告につきましては、若干ちゅうちょする向きがあるというようなことなどもございまして、なかなか犯罪事実というか、事実関係を見きわめるのに苦労したところでございます。さらに、事実関係が一応こうではないかという見通しがついた段階におきましても、これらの行為が具体的にどのような犯罪であるか、どのような法規違反になるかといったいわば事実判断、法的な検討というものにも相当苦労があったわけでございます。そういうようないろいろな理由に基づきまして、結果的には内偵を開始してから検挙――去る九月十日でございますけれども、北野早苗を逮捕するまでには相当時間がかかったということでございます。しかしながら、埼玉県警察におきましては、この事案の性格にかんがみ内偵を粘り強くやった結果、今回の事件も検挙し、現在も強力に捜査を進めておるということでございます。
#20
○安恒良一君 保安部長、ずっといままでの継続で説明されたが、私たちが現地に行って現地でいろいろお聞きをした限りでは、一応五十四年の春ごろ内偵を警察がストップをしていると。そこで現地の私ども社会党の調査団から言うと、なぜストップしたのかというのは、いまあなたが言われたような病院という密室、それから医療法との関係のむずかしさ、そういうのがあることは私も専門でわかりますが、どうもたとえば別の銃刀剣法違反事件が発生して保安課がそれにかかりっきりだったとか、さらに証拠を集めるために必要があったなどということを当時の捜査の幹部がそういうことを言っているということを私たち現地に行って聞いたのですが、いまあなたの言い方は、もう五十三年の秋からずっと一生懸命内偵をして、やっと今度いわゆる検挙に至ったんだと、こう言われておりますが、そこは県議会等とか市議会等における発言と食い違いありませんか。
#21
○政府委員(谷口守正君) 埼玉県警察におきましては、一昨年の暮れから内偵を続け、そして去る九月十日逮捕に至り、現在捜査しているということでございます。もちろん改めて申し上げるまでもございませんけれども、捜査というのは法の定める手続に従いまして事案の真相を究明するということでございます。したがって、その性格上、事実関係の把握といった点ににつきましていろいろな困難性があるわけでございます。そこで捜査のペースが若干まちまちになる、いわば山あり谷ありというようなこともあるわけでございますけれども、埼玉県警察におきましては、先ほど来から申し上げておりますように、事実関係の把握、きわめて困難なものがあったわけでございまして、先ほどの厚生省からも説明がございましたように、保健所でさえもなかなか把握できないという問題もあったわけでございますけれども、埼玉県警察においては、そういった点につきましていろいろな角度から捜査をし、ようやく逮捕状を得るだけの資料を得、そして強制捜査に踏み切ったというようなこともございます。さらに法律的な問題につきましてもいろいろ先生御指摘のようにむずかしい問題があったわけでございます。
 そういうようなことで、捜査が一本調子にはいかなかったかと思いますけれども、いずれにいたしましてもこの事案を、やはり事実関係が判明してきた段階において刑事責任を追及しなければというようなことで、今回の逮捕ということになったことを御了承いただきたいと思います。
#22
○安恒良一君 あのね、なかなか了承するわけにはいかないんだよ。というのは、事医療は非常にむずかしいことわかりますが、普通の捜査と違って、医療の場合にはやはり人間の生命、健康にも関係する重要な問題ですから、もうすでにそういうことが昭和五十年代から流布され、五十三年には具体的駆け込み訴え等があり、そういう中であなたたちは捜査を始めたわけですよね。そうすれば、医療のむずかしさはわかりますが、具体的にそういう問題については、やはりたとえば警察として地元の医師会とか、それからいろいろな病院とか、国立病院もあれば防衛医大病院もあります。保健所とか県のいわゆる衛生部であるとか、やはりそういうところの協力をある程度得ないと、なかなか私は捜査は進まぬと思うんですね。警察だけでは、事案が事案ですから。私はそういう積極的な努力をその段階で、最近これだけになったらやられたと思いますが、五十三年のその捜査を開始されたときにされたんだろうかどうだろうか。また、そういう相談を、厚生省や県や保健所は受けたんだろうかどうだろうか。まあ捜査の秘密ということはありましても、やはり医者の分野というのは警察だけじゃわからぬわけですから、そういう点について行われたんだろうか。
 さらに私は、もう少しこういうものについて早目に迅速に突っ込んでやっておられたら、こんなにたくさんの被害者を出さなくて済んだのではないかと、こういうふうに思う。警察がもう少しこういう問題について迅速に捜査を進めていけば、その当時五十三年から五十四年、ことしは五十五年ですからね、秋ですから、もうまる二年かかってますからね、この問題捜査始めて。ですから、もう少し迅速にやれば、こういう被害者も少なくて済んだろうと思いますが、その点はどうですか。
 それから、続いて警察関係のやつこの際聞いておきますが、いわゆる、いろいろありましたが、結果的に芙蓉会富士見産婦人科病院の無資格診療事件ということで、浦和地検川越支部が北野早苗を医師法違反で起訴しましたね。さらに、同地検支部では北野を傷害、詐欺、横領、贈収賄等の容疑で追及していると、こういうことが報道されています。また私どもも事実調査をした結果、そういうおそれが多分にあると思うんでありますが、そういうものについていわゆる捜査の現状はどこまで進展をしていますか。ただし捜査上秘密で言えないことは結構ですが、言える範囲でどこまで進展をしているのか。これが一つ。
 それから、このいろいろの一連の関係を調査すれば調査するほど、いわゆるこの北野の違反行為は、北野千賀子外四人の医師を含めた病院ぐるみの私は幇助罪が成立をするというふうに実は思うのでありますが、現在、北野に対するそういう捜査が進んでおるようでありますが、北野千賀子を含めた五人の医師の責任追及について警察当局はどのように考え、どのようにされているんですか。そのことについてお聞かせください。
#23
○政府委員(谷口守正君) まず第一点は、この捜査の過程において、事案の性格からして、お医者さんとかいろいろな専門の方に相談すべきではなかっただろうかといった点でございますけれども、この点につきましては、保健所はもとよりでございますけれども、いろいろな病院とかその他専門家の方の意見を聞きまして、内偵を進めてきたところでございます。
 それから第二点は、もっと迅速にやればよかったではないかという御指摘でございます。もとより、捜査というのはその端緒を得てから迅速に的確にやらなけりゃならぬということは当然でございますけれども、先生御案内のとおり、刑事責任を追及するにはやはり一定のルール、法の定めた手続というものがあるわけでございまして、やはり厳しい法の枠内においていろいろな捜査を遂げ、そして措置をとるということでございまして、おのずからそこにはむずかしさがある、時間がかかる場合もあるということでございます。この点御了承をいただきたいと、こう思うわけでございます。
 第三点は、これからの捜査はどうなんだと、その前に捜査の現状はどうだということでございますが、先生も御指摘になられましたように、北野早苗につきましては十月の一日に医師法違反ということで起訴になったわけでございますけれども、この起訴に係る事実といたしましては、三十人の方々についての問題をとらえておるわけでございますけれども御案内のとおり、逮捕されるや警察署だとか保健所に対しまして現在までに約千四百人の方々から被害申告がなされておるわけでありまして、われわれとしても事件検挙の反響ということについて改めて認識し直した次第でございますけれども、それはともかくといたしまして、そういった方々からさらに捜査を進めて、言葉をかえて言いますと、事情を聴取し、さらに北野についてその事実があったかないかということを確定するという捜査が残されておるわけでございます。さらに九月の二十九日と十月の十四日、二回にわたりましてこの病院で手術を受けられた合計三十二人の方々と思いますけれども、北野とそれから五医師、六人に対しまして傷害罪の告訴が埼玉県警察の方に出されたわけでございます。埼玉県警察としましては、この告訴を受けまして傷害という告訴事実、これがあるかどうか見きわめるべく早速告訴をせられた患者の方々、さらには病院関係者その他の人からいろいろ事情聴取するという捜査を始めておるわけでございます。また、この病院につきましては数回にわたりまして捜索を実施したところでございますけれども、その結果、多数の資料を押収しております。この中では、当然のことながら専門家の方の鑑定を要するものがございますので、そういった点についてはすでにお願いしておるところでございます。そういったことで医師法、さらには告訴を受けての傷害罪の捜査を、現在強力に進めておるということでございます。
 それから、この捜査の過程におきましていろいな事実関係が明らかになるわけでございますけれども、その中で、何らかの状罪の新たな容疑が出てくるというようなことがありましたら、それに対しましては適切に対処してまいりたいと、こう思っている次第でございます。
#24
○安恒良一君 私が聞いているのは、北野に対するそういうのがあるというんですが、どうも北野一人でやれることじゃないというふうに、私たちは素人であってもずっと一連のことを見るとわかるんですが、警察としては医師法違反という容疑で、北野千賀子以下四人の医者を調べられているんですか、捜査されているんですかどうか、こういうことを聞いているんです、最後、三番目には。もしくはその意思があるんですか、ないんですか。
#25
○政府委員(谷口守正君) 埼玉県警察におきましては、ただいま申し上げましたように、当面、北野早苗に対する医師法違反及び告訴を受けて傷害罪の関係の捜査をしておるということでございまして、その捜査についてはいろいろなやり方があろうかと思います。具体的には現在行われている捜査、今後の捜査の方針に関するものでございますので差し控えさしていただきたいとこう思いますけれども、埼玉県警察といたしましては、患者の方々はもとよりでございますけれども、国民皆さんがこの事件に関する警察の捜査に期待しておるわけです。その期待に十分こたえて強力な捜査をしているということで御了承いただきたいと思います。
#26
○安恒良一君 わかりました。あなたの限界ではそこだと思います。
 私から強く要望しておきますが、北野千賀子院長以下四人の医者についても、私はどうも医師法違反の事実がありはしないかという大変疑いを持っています。ですから、ぜひそこらについても国民の要望にこたえるような強力な捜査をしていただくこと、これは私の希望として申し上げておきたいと思います。
 そこで今度は大臣、もう一遍返ってくるのですが、いま言ったように四十三年から内偵が進んでいるときに、しばしば保健所とか最寄りの病院とか医師会の協力を警察としては求めながらやったということですから。またこの事件が起きたときに武見さんが記者会見を九月三十日にされて、こういうことを言っておられるんですね。四、五年前から地元医師会は富士見婦人科病院でとんでもない診療が行われていることを知り、保健所に資料を提供したと、それなのに保健所は動かなかった、医師会には捜査権がないんだと、こういう武見さんの談話ですよ、これは。が出ているんですがどうも私は、医務局長は、保健所長はやったと言っているけれども、この武見さんの談話、それからいわゆるいま警察が約二年間にわたって内偵捜査を進める段階で、しばしば保健所の意見等も聞いているわけですね。ですから私はどうも大臣、保健所長の対応の仕方、さらに県の保健部の対応の仕方には重大な手落ちがあったんではないかというふうに、ますますいまの警察とのやりとり等でそういう感じを持っておりますが、そこはどうなんでしょうか。
#27
○国務大臣(園田直君) 対応の処置が敏速でなかったという点は私もそう考えますが、武見医師会長からじかに私が聞いた話によると、地元の医師会もこれに対していろいろ手を打とうとしたが諸般の情勢でできなかった、それから現在の警察署長、保健所長は、今度これを摘発するについては相当な決意を持ってやったと、こういう話を聞いておるわけであります。
#28
○安恒良一君 いずれこれは後から総括的にわれわれ自体がこれ調査もう一遍しなきゃならぬ、場合によれば国会に来てもらわなければいかぬと思いますわ、所長を含めてね。でないと……。そういう点がありますからいまのところのやりとりはこれぐらいにしておきましょう。
 ですから私は、たとえばいまあなたに武見さんは打つ手がなかったと、こう言われたと言うんですけれども、私どもが聞くところによると、たとえば近隣の病院としては防衛医大、国立埼玉病院、また医師会も今回の事件が発生まで全く北野のことを知らなかっただろうかと思うと、私は知っておったと思うんです。そして具体的に所沢医師会にも被害者からの訴えが出ているわけですね。訴えが出ているから武見さんは保健所に通告した、こう言っているんだから。ところが保健所が動かなかったと、こう武見さんは、これは公式の記者会見でそう言っておられるわけですからね。あなたに私的な話じゃないんだから。公式の記者会見でそう言っておるわけです。そうしますと、私はどうも医療関係者の間でかばい合いというものが、同業者のミスをあばくのはいけない、お医者同士で波風立てたくない、こういう一種のかばい合いといいますか、古い医の体質がこの事件を私は肥大をさせたのではないかというふうに思うんです。
 こういうような問題点について、私はいわゆる医の倫理という点から言いましても、たとえば私どもの調査の中では防衛医大なんかも余りにも被害が持ち込まれるから、若い医者の中でこれは一遍告発しなきゃならぬじゃないかという動き等もあったけれども、それも立ち消えになっている。それからこの前NHKが取材をしておって、個々の医者のやつを私ずっと見ていましたら、あったんだけれどもなかなか言いづらいですよというのがかなり、夜八時から一時間NHKが特集していました。私はつぶさにそれを見ておったんですが、そういう点があるんですが、この点はどうなんですか。
#29
○国務大臣(園田直君) いま御発言の点は、今後十分そういうことも参考にしながら対応していきたいと考えます。
#30
○安恒良一君 そこで次に、時間がだんだんなくなりましたから簡潔に答えてもらいたいと思いますが、こういう事態の中においてまあ病院はかなりいま国民から批判をされて、いわゆる開いておっても事実上お客はないようでありますが、私は、直ちに同病院に対しまして医療法第二十九条によるたとえば閉鎖の命令とか医療法人の認可の取り消しとか、こういうことを私はやる必要があるんじゃないか、そして二度とこういうような医療犯罪が起こらないような総合的施策をやる必要があると思いますが、まず、この医療法二十九条による――中身はよくわかっていますから、このような措置、それからまた医師法七条、四条三項等による犯罪を犯した場合には医師の免許の取り消しとかもしくは期間を定めて医業の停止を命ずるとか、こういうようなことを厚生大臣がされてしかるべきではないかと、こういうふうに思います。ただし、医師の免許取り消しの場合には医道審議会にかけなきゃなりませんから、そういう手続関係は全部承知の上で、大臣としてそこらの問題について、あんな悪いことをしたところが依然としてそのまま開業されているというところに――お断りしておきますが、いやそれは捜査をやっているから捜査の結果を待ってと、すぐ官僚答弁になるんですが、私は普通の犯罪とは違うと思うんですね、医療行為なんですから。ですからこの場合には相当、捜査は捜査、また医療行政は行政としてやれるところがあると思う。たとえば医師の免許取り消しまでは一遍にいかないにしても、とりあえず同病院に対する閉鎖命令、しばらくおまえたちはやめておけという閉鎖命令等、こういうこと等は私は、大臣がそのお気持ちを持ち――もちろんこれは医療法二十九条による都道府県知事がやることになっていますから、都道府県知事とお話し合いをされたらやれるんじゃないか。そういうことをきちっと示すことによって国民はなるほどと、そういう悪いことをやった医療機関には直ちにそういうことがされるんだなということで医療に信頼感が戻ると思いますが、私は、医療法二十九条なり医師法第七条なりその他関連法規の中でとりあえずやれることについてやって、やはり信賞必罰ということを国民に厚生大臣としてお示しになる必要があると思いますが、そこの点はどうでしょうか。法律的なことは全部承知しておりますから。
#31
○国務大臣(園田直君) この病院に対する厳正な処分は、国民の信頼を回復するためにも、他の医療機関が反省をするためにもきわめて大事であると考えております。現在埼玉県当局に対しては、捜査当局の協力を得ながら独自に事実関係の解明に努め、北野理事長の犯罪行為に対する医師の関与等の事実が判明した段階で、いま言われた関連諸法規に従い、厳正な処分を行うつもりでおります。
#32
○安恒良一君 私は、警察にもお願いしておかなきゃなりませんが、証拠書類をかなり警察が全部お持ちになっていると。しかし、県なら県が、県知事がそういうことを決意をする場合には書類が要るわけですね。いままでだったら、証拠書類警察が押収しますとなかなかそういうのを見せないと。捜査中ということになって、どうも警察の捜査結論を待つまでは県なら県が手を入れ切らないということが起こり得ますが、事この事案については私は、厚生大臣それではいけないと思うんですね。ですから警察は警察でどんどん捜査を進められる、しかし、厚生行政は厚生行政として、たとえば証拠書類が押収されておっても、それは警察と話し合う中において見ながら迅速に、私は、県知事は医療法に基づいてやるものはやると。さらに厚生大臣は医師法に基づいてやる必要がある場合にはやっぱり迅速にこれをやっていただいて、国民の信頼を回復するということにしていただかなきゃいかぬと思いますので、その点について一段とひとつ知事の方に督促をお願いをしておきたい。また警察の方には、そういう知事なり厚生大臣が判断をするに必要な資料を、証拠書類として押収されている場合も、事医療に関することですから、これはひとつやっていただかないと、往々にしてこの種の事件になりますと、私たちちょっと勉強会この前もあって、厚生省の若い課長さんなんか来てもらったときは、いま捜査中でございまして、捜査の結論を待ってと、こういう話がありましたから、それは私はよくないと思いますので、その点よろしくひとつ大臣お含みおきをお願いをしておきたいと思います。
 そこで、次のことにまいります。じゃあ、こういうものを防止をするためにどうすればいいかということが一番重要なことであります。
 大臣は、医務局長を頂点として国民の信頼を回復するための検討委員会などというものを設けられて、いろいろなことを検討されていることを新聞で承知いたしておりますが、私はその中の三つの問題について今後の防止策を含めてお聞きをしたいと思います。
 まず一つ、今度の事件の原因はていまわが国の医療制度のひずみとして起こっています、いわゆる俗に言われています検査づけというところに問題が一つ発生をしていますね、検査づけという。ここの場合もいわゆる北野が御承知のようなMEの機械を、高額なME機械を買い込んで、そうして起こった事件であります。そこで私はCTスキャナー、それから超音波断層装置、検査用自動分析装置、がん治療用のべータトロン、リニアックなどの――最高まあ大体一台数億円すると言われて、もしくは数千万するという高額医療機械がここ数年間目立って増加をしているのでありますが、こういうものは全国にどのくらいあるのか。それからここ五年くらいでどのようにこれはふえているのか。わが国の生産台数、それから輸入をされているのもあると思いますが、どういう分布になっているのか、その点を、すでに事前に資料を要求しておりましたから、その資料をいただいて御説明を、これもう見ればわかりますから、簡単にお願いします。時間がありませんから、中身は結構ですから。
#33
○政府委員(田中明夫君) ただいま御指摘の高額のME機器につきましては、厚生省といたしまして、五十三年十月末現在で調査しておりまして、その当時CTは四百五十四台、それからリニアックは百四十九台、ベータトロンは五十二台、それから生化学自動分析装置は六百四十三台というふうに把握しております。その後CTにつきましては非常な勢いで数がふえておりまして、五十五年一月現在民間の調査によりますと、八百四十台に達しているというふうに報告されております。
#34
○安恒良一君 そこでまあCTスキャナーというのが八百四十台に達していると言われていますが、私は問題は、これはわかりやすい言葉で言うと、ネコに小判という話がございまして、いわゆるCTスキャナーを備えた病院、診療所の場合に、――まあ診療所では余りないと思いますけれども、放射線専門医師、それから脳外科など、それに対応できる医療のスタッフ、施設、こういうものが備わった病院にしなきゃいかぬと思うのですね。ところがこれはイギリスで開発をされて、たしかいまイギリスや西ドイツ等に比べても――せいぜいまあ二百台だと言われていますね。イギリス、西ドイツ。わが国はいま局長の答弁で八百台超えています。四倍もあるわけですね。こういうことについて、本当にいわゆるCTスキャナーを十分に駆使して近代医療ができるような脳外科の専門医、それからいわゆる放射線の専門医というのがそんなに存在をしているんだろうかどうだろうか。私はどうしてもこの問題について、医療機器の適正配置の規制の方向を打ち出さなきゃならぬと思いますが、この点についてどういうふうにしようとされているのかということについてお聞かせを願います。
#35
○国務大臣(園田直君) いまの問題非常に大きな問題でありまして、安恒委員は私より詳しいので詳しくは申し上げませんが、薬事法と医療法によって、買うのは医療機関の判断、使うのは医師の判断ということになっておりまして、その上に通産省ではME産業などと言ってこれの推進をやるということで、全く野放しということであります。こういう高額の機器が、医療に対する貢献はわかりますけれども、一面またそれ以上に、それによって宣伝をし、そして営利を図り、その高額の機器に投資した金を回収するために不必要にこれを使う、こういうことが今日の大きな原因にもなっていると思いますので、事務当局では、これの規制をすることは困難であるとは言っておりますが、私は野放しすることはとうてい許されないので、購入についても、これの配置についても、たとえばどこに置くか別として、共同購入とか、あるいは国立の病院等に配置をしてこれをオープンにするとか、何らか方法を検討しなければならぬと考えております。
#36
○安恒良一君 私は、現在は医療が私営体制でがっちりしているからなかなかむずかしいとか、そんなことを言う人もありますが、私はやはり少なくとも人口の分布なり、医療機関の分布なり、そういうものの中で適正配置をどうしても考えなきゃいかぬ。それがためには私はやっぱり許可制という問題を考えざるを得ないんじゃないか。いまのように各病院が自由に買い込めるという制度でいきますと、どうしてもどんどんふえます。そうすると大臣がおっしゃったように、たとえばCTスキャナー一回の検査料は一万二千円ですから、どうしてもCTスキャナー買えば一日に十人や十五人はそれを使わないと減価償却できないと、こういうことになっちゃうわけですから。ですからこれは、私はどうしてもこういう問題についてはもう適正配置について、許可制についてひとつ直ちに検討をしていただきたいということを申し上げておきます。
 ここでこれに関連してちょっと申し上げますが、機械じゃありませんが、衆議院の社労委員会の中で人工透析問題について、他党の菅君が人工透析の乱用防止を厚生大臣に聞いて、人工透析を開始をした後、ある一定の度合いがたったところでいわゆる再チェックということで、厚生大臣は前向きの提案であるからこれをひとつ十分に検討したいと、こう言われています。私は、もうすでに前から再チェックじゃなくして、人工透析の場合、これもいまものすごくふえていますから、私は一つの医療機関だけで人工透析をやるという、決定するというところに問題がありはしないか。複数の医療機関ですね、病院の場合にはお医者一人で診るわけじゃないから、複数の医療機関でどうしても人工透析が必要だという判断がされたときに人工透析を始めるということにしないと、私は人工透析の乱用防止ということはできないと思います。ですから、この点についてもぜひひとつ厚生大臣としては菅議員が提案をしていますところの、途中でチェックをするということに、さらに前向きに、最初透析を開始するときに複数の医療機関のチェックに基づいて人工透析を始める、まあ人工透析の中身の重要性その他についてはもう時間がありませんから申し上げませんが、ひとついま申し上げたME機器等のいわゆる配置について許可制にするということの検討と、人工透析をやる場合には最初から複数の医療機関の診断に基づいてやると、こういうことについて大臣のお考え方を再度この点お聞きして、この点はそれで終わりにしたいと思いますが、どうですか。
#37
○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおり、人工透析者の患者は漸次ふえております。しかもその弊害もだんだん出てきておりまするから、ただいまの御提案の趣旨に従って検討をしたいと思います。
#38
○安恒良一君 そこで次に私は、再発防止にいろいろ問題点を私どもはすでに大臣のお手元に文書で提出をいたしまして今月いっぱいに御回答をいただくことになっていますから、これを全部やる時間がありませんが、その中の重要なことについて大臣のお考えを聞きたいと思いますが、この医療内部の相互監視システムですね。今回の場合もこれがこんなに告発が遅れ、大被害をもたらしたのは、いわゆる富士見病院単独ですべて患者を診察をし、判断をしたところにあるんでありますが、私はアメリカ、イギリス、ドイツ等において医療内部の相互監視システムというのがかなりきちっとしていると思いますが、わが国の場合には残念ながら医療内部の相互監視システムというのがきちっとしておりませんので、こういうところについて、時間がありませんのでごく特徴的に、いま申し上げたような国の医療内部の相互監視システムについて、さらに日本はどうしようとするのか。いま私は医療内部の相互監視システムというのは皆無に日本の場合は等しいと思いますが、これをどうしようとするのか、その点について考えを聞かしてください。
#39
○政府委員(田中明夫君) 諸外国の資料については私どもも余り詳しい資料を持っておりませんが、アメリカの場合におきましては、病院が基本的に御案内のとおりオープンシステムをとっておるわけでございまして、したがいまして、個々の開業医が自分の患者の手術を行う場合には、契約いたしましたオープン病院に連れていきまして、その病院のスタッフの協力によって手術を行うという経過をとるわけでございまして、その間におきまして手術の要否、あるいは手術の内容について他の医師からチェックを受けるという結果になているというふうに承知しております。その他英国あるいはドイツにおきましてはこういうようなシステムにはなっていないようでございます。ただ、ドイツにおきましては、日本と同じように診療報酬請求の審査が保険協会の審査委員会において行われる場合に、請求金額の審査とあわせまして、事後的ではありますけれど、診療内容のチェックが行われているというようなことも聞いております。
 わが国におきましては、先生御指摘のとおり、大部分の病院はオープンシステムではないわけでございまして、ただ最近できて、かなりの勢いでふえております医師会病院においてはアメリカの病院と同じようなチェックは行われていると思いますが、ほかの病院ではそのようなチェックが行われていないということでございます。大部分の病院につきまして何か適当なチェックシステムがしかれるかどうかという点につきまして、大臣の命によりまして設けました検討委員会において今後十分に検討してまいりたいと思っております。
#40
○安恒良一君 私はぜひこの点は検討をしてもらいたいと思いますが、アメリカの場合オープンシステムになっていることは事実でありますが、このオープンシステムというところに重点があるのじゃなくて、アメリカの場合では一人でも外来を診察する場合には複数の医者が診察をするということが大原則になっているようであります、アメリカの場合は。私はやはりこういう点について、わが国の場合もいまの支払基金では、西ドイツでは請求のときに審査していると言いますが、日本の支払基金の審査ではとてもそんなことはできませんね。できておればこれも早くわかったはずなんです。これだけほかの病院に比べて子宮の全摘や卵巣の全摘が非常に多いんですから、相当支払基金でチェックできたはずなのが支払基金ではチェックできていないわけですから。そうすると大臣、これは何らかの医療内部の相互監視システムについて、ぜひ考えていただかなければ、この種のものは防止ができないと思う、この点をひとつ考えていただく。
 それから第二番目の問題は、私はやっぱり医者の生涯教育問題にも問題がある。というのは、現代の医学は三カ年間で一回転すると言われるほど急速な進歩を遂げています。でありますから、お医者さんというのは生涯にわたって厳しい研修の継続をする、でなけりゃ患者にとってはたまったものではありませんし、お医者さんにとっても私は大変なこと。ところが、日本の場合は生涯にわたるところの研修制度というのが、制度的にきちっとしているのかといったら、残念ながらこれもありませんね、残念ながらないんですよ。しかし、私はこれは本当にいけないことだと思う。少なくとも諸外国の事例等を――これも時間がありませんから細かく挙げて議論する必要はないんですが、大臣私は、当然お医者さん自身はそういう研修を受け、教育を受けたいという意欲はあるだろうと思うんですね、人間の生命と健康……。しかし、日本の場合には制度的にもそこがきちっとされていないんです、生涯教育の制度が。そういう点について、ひとつ十分な検討をしていただいて、きょうは中身に入る時間がありませんけれども、その二つの点についてどのようにお考えですか。いま申し上げたところのいわゆる医療内部の相互監視システム、それからお医者さんの生涯教育制度の確立の問題についてどのようなお考えをお持ちですか。
#41
○国務大臣(園田直君) 僻地診療などが、なかなか若い医者が行こうとしないのは、一つの原因は、いまおっしゃった日進月歩の医学におくれるという点が非常に大きな原因になっております。患者のためにも、お医者さんのためにも生涯教育はきわめて大事でありますから、この点はまじめに研究して、これに対する対策を講じたいと思います。
 なお、相互のチェック、これは昔はまじめなお医者さんは、自分が診断した重要な病気はもう一つの病院に診てもらってこいというようなことがあったわけでありまして、この考え方が私は医の倫理の基本理念だと思います。そういう意味におきまして、いま安恒委員のおっしゃいましたようなものをどう制度化していくか、早急に勉強をいたします。
#42
○安恒良一君 ぜひ、チームが設けられているそうですから――ところが、チームは医務局長を中心のチームではとても以上のようなことは消化し得ないと思いますから、せっかくつくられたようでありますが、事務次官なら事務次官、もしくは大臣直轄のオール厚生省挙げた、私は再発防止のための諸制度の検討をぜひしていただきたいということ。まあいずれにいたしましても、きょうは時間がありませんから、生涯教育制度のあり方の問題なり、相互監視システムのあり方の問題等については、改めてまた日にちをとって私の考え方も申し上げ、突っ込んだ、あなたたち自身がいまの段階ではこういう制度にすればいいとか、こうしたいというお気持ちがまだいま言えないようでありますから、これらは次回にあれをしたいと思います。
 そこで次は、スモン問題について入っていきたいと思います。
 御承知のように、スモン問題については昨年の九月十五日、時の橋本厚生大臣との間に問題の解決のための確認書ができました。そして、そのときには、年内に全体を解決をすると、こういうことを目標にして、努力をいたしまして、まあそれからすでに厚生大臣もう四人目になります。もちろんこの間、スモン患者の皆さん方の問題が九・一五の確認書を中心にしながら、その後各裁判所における和解の中で漸次進んできていることは私も承知をいたしています。しかし、当面一番いま問題になっているのは、俗に言われる投薬証明のない方の扱いです。
   〔委員長退席、理事高杉廸忠君着席〕
 で、この問題についても、私は橋本厚生大臣、野呂厚生大臣との間にこの問題についてやりとりをして、どの厚生大臣も、投薬証明のない方においても、スモン病というふうに鑑定が下れば、これは平等に速やかに解決をすると、こういうお約束を各大臣からいただいていますし、総理からも予算委員会の中で――お亡くなりになりましたが大平総理からもお約束をいただいています。ところが、現実に投薬証明のない人の問題がいまだ未解決に残ってるところにスモン問題の全面解決を大きく阻んでいることになります。
 そこで、大臣もすでに御就任以来、製薬メーカーの社長とこの問題の解決のために御努力されていることも承知をいたしています。また、あしたはいわゆるスモン患者の三つのグループの団体の代表、さらに弁護士さんの代表と大臣みずからがこの問題のために話し合いをしていただくと、こういうことについても予定されてることも十分承知をいたしています。
 そういう中で私はお聞きしたいのは、私はもうこの問題についてもお答えが出ていると思います。それは、本年三月七日、東京地裁の民事三十四部の所見及び裁定ですね、これを私は即時全面的に国と製薬メーカーが受諾をしてやることだと思いますし、さらに御承知のように、本年六月の二十一日に札幌高裁が同様な事例につきまして製薬三社に対して勧告をいたしています。だから、私はこの二つのことにおいてすでに投薬証明のない方で、スモン患者と認定された人の扱いというのはもう明らかになったと思います。
 そこで私は、これを速やかに国と製薬三社が――まあ国は受諾されるだろうと思いますから、製薬三社がこれを受諾をして早急に解決すべきだと思いますし、私は少なくとも、まあ大臣は衆議院その他の議論の中で、まあできれば十月一ぱいというような前向きの御答弁もあったようでありますが、私は少なくとも本臨時国会ですね、まあ十一月の十七日までと一応会期予定されていますが――中にこれらの問題の解決をぜひ大臣のお力によってしていただきたいと思いますし、また、製薬三社を説得をしていただきたいと思いますが、これらの問題点についての大臣の考え方をお聞かせを願いたい。
   〔理事高杉廸忠君退席、委員長着席〕
#43
○国務大臣(園田直君) 経過はもう詳しく知っておられまするし、また内々にも報告でありますから省略をいたしますが、裁判所の勧告は国は受諾をいたしております。あと残された道は三社がこれを受諾することだけであります。この三社に対して強力に受諾するよう要請をしているところでありまして、一日も早くこれが解決できるよう全幅の努力をいたします。
#44
○安恒良一君 まあ大臣が強く要請されているというのは聞いていますが、衆議院におけるやりとりの中でちょっとお聞きしますと、どうしても裁判所のこういうものを受諾をしない場合には大臣として行政和解もあり得ると、もう行政和解をさせるぞと、こういって強い勧告をされたように聞いていますが、そこらの大臣のお気持ちについて考え方を聞かしてください。
#45
○国務大臣(園田直君) 衆議院においてそういう趣旨の発言をいたしましたが、現職大臣の発言としてはどうも注意が足りなかった発言だと反省をしているわけであります。三社に裁判所の勧告を受諾させるために私が強く要請した過程で言ったことでありまして、大臣としては、裁判所の和解が困難でありますから、行政和解になればなかなかこれは困難だ、残されたただ一つの道は裁判所の勧告を三社が受諾することだと、こういうことに考えているわけでありまして、私のいまの発言はいささか現職大臣としては不謹慎な発言であったと反省しているとことろでございます。
#46
○安恒良一君 いや、反省する必要ないですよ。私が言っているのは、まず、少なくとも製薬三社に対して二つの勧告、裁定を受諾をさせるように大臣は強力にやってもらいたい。で、どうしてもそれで受諾しないということになったら、何か方法考えにゃいけませんから、私はむしろあなたのその、そういう衆議院における勇気ある発言を支持している立場で聞いているんですから、そんなすぐ簡単に反省する必要は私はないと思います。
 しかし、まあ気持ちの問題としてどうでしょうか大臣、私はいま申し上げたように、ぜひこの臨時国会中に片づけると。この点はどうですか。
#47
○国務大臣(園田直君) ぜひそのようにしたいと努力しております。
 ただいまの発言も、三社に対して言うべき発言であって、委員会で言うべき発言ではなかったと、こういうことでございます。
#48
○安恒良一君 そこで、その次に大臣にお願いがあるんですが、実はスモン患者の皆さんも、第一から第三グループまでも、余りにもかたくなな製薬三社の態度に非常な心から憤りがあります。また、これを支援をしている支援団体も非常にかたくなな製薬三社に対する憤りを持っています。そういうことのあらわれとしまして、今月の二十九、三十、三十一日、製薬メーカーの本社がありますところの大阪において、いわゆる国民的なアピールや、さらに代表を少数にしぼって製薬メーカーのトップレベルと――必ずしも社長とは限定しませんが、トップレベルと、いよいよ大詰めにきておりますから、投薬証明のない方の扱いが大臣の強力な行政的な指導のもとに大詰めにきておりますから、直接製薬メーカーと話をしたい、こういう強い希望が持たれています。
 そこで大臣、ぜひひとつ、三日の行動の中で、三十日の日に一時から五時まで、人員は大臣交渉と同じ十五名程度にしぼって、きちっとした場所で製薬三社の代表と直接話し合いたいという強い希望を持っていますから、その点について大臣、ひとつぜひそれが実現できるようにあっせんの労をとっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#49
○国務大臣(園田直君) 御要望の趣旨は十分理解できますので、その旨三社に伝えます。
#50
○安恒良一君 まあぜひひとつ、それが実現が――でないといつもの製薬メーカーのやり方というのは、話し合いを拒否をしてシャッターをおろすと。シャッターをおろせば結果的にその本社の周りに患者の方が三日も四日もたたずむと。そういうことになると、またこれは非人道的な問題だと、こういうことになりますから、私は患者団体、弁護士さんの方にも交渉は整然とひとつやってほしいということをお願いしておきましたし、またそのようにやりたいと、こういう強い希望も持たれています。それから製薬メーカーの関係の労働組合の方にも私の方からもお願いをしておきましたから、どうかこれが実現ができるようなお骨折りを一段とお願いをしたいし、それと同時に、そのような場合には、前回も重要な局面には薬務局長、中野さんですか、みずからが大阪に行かれました。今回の場合も薬務局長みずからがそのような時点には大阪に行って問題の前進のために努力をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#51
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。
 そのような事態につきましては、いろいろな状況があろうかと思いますが、御趣旨の点を十分わきまえたいと存じます。
#52
○安恒良一君 以上をもって終わります。
#53
○高杉廸忠君 大臣は、先ほど本委員会において就任のごあいさつの際、医療、福祉、年金などの多くの問題を抱えている今日、その向上と充実のために推進する姿勢を述べられました。人間の生命と幸福を守る活力ある行政と、温かい血の通った行政推進のためのごあいさつを聞きまして、私はまことに力強く感じたところであります。特に、社会保障については造詣の深い園田厚生大臣に期待を寄せる一人として、当面する行政一般のうちで、私は主として医療、福祉関係について、また国立医療機関の定員など、さらにハンセン氏病関係について質問をいたしたい、このように考えております。
 まず、今回の富士見病院の事件、先ほど安恒委員も指摘されましたように、従来の医療問題の中で、国民の不信を買っているその多くは医療費の不正請求の事件であった。しかし、日を追うごとに明らかになってきていますように、医と算術どころか、健康な人間を食い物にするところまできてしまっているところに特徴がある、こういうふうに思います。医療の荒廃ここにきわまれりとしか言いようがありません。医療に対する国民の不安、不満をかき立てている医業の金権体質の現状について、監督官庁の責任、大変重大であると思います。何としても行政の監督が不備、不十分で、一部には病院に人命を預かっているという緊張感もないのが実態ではないでしょうか。
 この際、医の倫理確立に対して大臣として今後どのように取り組まれていくお考えですか、明らかにしていただきたい、このように存じます。大臣の所見をまず伺います。
#54
○国務大臣(園田直君) 医の倫理確立のためには、ありとあらゆる手段を尽くして努力をする覚悟でありますが、とりあえず厚生省内にこれに対する検討委員会をつくっております。この検討委員会で特別飛躍的な意見が出るかどうかは別でありますが、当面は私は、委員会で出される各位の意見で、これは適当である、これは大いに参考にすべきである、こういう点を一々具体的に示して、これを実行する手段をつくれ、こういうふうにやりながらやって、そしてこれが将来長期的なものに通するようにしたいと考えておりますが、簡単に、具体的に申し上げますと――富士見病院は私は残念ながら氷山の一角ではないかと非常に心配をしておるものであります。
 第一に、不正の摘発について、現在の厚生省の持っている権限というのは、なかなか踏み込むべきところに踏み込めない、こういうことがありまするし、また、その制度をよく知った人は計画的に脱法行為をやっているおそれがある。そこで、安恒委員の質問の中にもちょっとその御意見がありましたが、私は、まず当面、厚生省の持っている権限、警察の持っている権限、それから税の徴収をして脱税等の不正を摘発する大蔵省の権限、この三者がもっと一体となって不正を摘発するようなものを臨時につくったらどうか、こう考えております。
 それから次には、これは各委員から出された意見でありますが、やはり患者の不服、それからいままでになされた病院の非人道的な、医療の基本に反するような問題、こういう問題かいっぱい――この前一一〇番やられたら殺到してきた。こういう事実から見ても、こういう、名前は何とつけるかわかりませんが、不服申し立て、これを処理する機関を各県を主体としてつくる。場所によってはそれを移動してその不服を受けるようなものをつくる。それをまとめて、本省でこれを総まとめで制度その他を見直す、あるいは長期の計画をつくる一つの基本とする。大体こういうようなことを考えて、具体的に、しかもこれをやるについては、若干の行き過ぎがあってもこういう事態にはぴしっとやりたい、こう考えております。
#55
○高杉廸忠君 倫理の確立については、ぜひひとつ大臣の、期待をしている一人でありますからお願いをいたしたいと思います。
 そこで、時間が大変制約をされておりまして、大臣が衆議院の本会議に出られるようでありますから、御協力をする意味で端的に伺ってまいりますから要点でお答えをいただきたい、このように思っております。
 まず、医療法の四十二条で医療法人の業務範囲を定めております。医療法人の株式の投機的売買というのはこの規定に抵触するかどうか、この点を伺いたいと思っております。
#56
○国務大臣(園田直君) 抵触いたします。
 ただ、残念なことには、その医療機関自体でやらずに、その医療機関中心にして関連会社をつくってそのグループでやっているという、脱法行為があることは御承知のとおりであります。
#57
○高杉廸忠君 大臣も御存じだろうと思いますけれども、わが国最大の医療法人であります十全会ですね、京都にあります、株式売買の実態について数年前より新聞紙上でその買い占めがしばしば話題になっているわけでありますが、直接の所管は京都府、こういうことになろうかと思いますが、京都府の方から情報や連絡、こういうことを得ておりますか。
 それから、またこれに基づいて的確な御指示、こういうことが今日までなされてきましたかどうか、この点を伺いたいと思います。
#58
○政府委員(田中明夫君) 十全会の株の売買につきましては、医療法人として適切な業務であるとは考えられませんので、昭和五十三年ごろ京都銀行及び寶酒造の株式を保有し、投機的な操作を行っているというような情報に基づきまして、京都府に対してこの株の売却を命じまして、そのように処理されたというふうに聞いておるわけでございます。その後、最近新聞紙上等で、朝日麦酒等の株のまた投機的な売買をやっているというような情報がございましたので、京都府の方に問い合わせましたが、これにつきましては、どうも医療法人十全会自身は関与をしていないようでございまして、残念ながら衛生部としては把握できませんという状態でございます。
#59
○高杉廸忠君 私の把握している情報では、十全会グループとしてその傘下に二十社あるそうでありますね。その名義で、朝日麦酒、寶酒造、いまお話がありましたように、さらに京都銀行等の株を買い占めている、二十億円を超える利ざやというものをかせいでいるそうであります。いまのお話しのように、医療法人名義でなされているものはその中でどのぐらいあったかどうかというのははっきりいたしてないようでありますが、関連会社といっても医療法人十全会の経営する、これは東山高原サナトリウム、それから双岡病院、ピネル病院等に対する食料品の供給だとか、衛生材料サービス、理容サービス等を行う関連子会社、これは明らかでありますし、その中心に立つのはあくまでも医療法人十全会であろうと、こういうふうに思います。
 そこで、先ほども確認をし、大臣からは医療法四十二条に抵触するんではないかというようなことも言われましたし、私は脱法行為のような感じがするわけでありますが、この点はどうでしょうか。
#60
○国務大臣(園田直君) 私も御指摘のとおりに判断をいたしております。
#61
○高杉廸忠君 私は、なぜこんなことをただしますかと言いますと、医療の経営が最近の風潮として特に金権体質を濃厚にしていることを大変憂えるからであります。所沢の富士見病院もまたしかりでありますし、この十全会の運営いたします病院の経営の実態も金権体質を有するということでは同一ではないだろうかと、こういうふうに思っております。
 そこで伺いますが、十全会経営病院の三つの許可病院ですね、そのベッド数と患者数、これはどういうふうになっておりますか。私は残念ながらちょっと資料が古い、五十年現在の資料しかありませんので、現在ベッド数と患者数、どういうふうになっているか、三つの病院ですね、お願いをしたいと思う。
#62
○政府委員(田中明夫君) 医療法人十全会が経営しております三つの病院のうち、東山高原サナトリウムはこれは五十四年十二月二十一日でございますが、病床数千八十九床となっておりまして、入院の患者数が千二百四人ということで、病床利用率は一一一%となっております。次の京都双岡病院につきましては、五十四年十二月十四日現在で調査をしておりますが、許可の病床数は千五百六十一床、それに対しまして入院患者数が千七百十三人ということで、病床利用率は一一〇%になっております。最後のピネル病院につきましては、五十五年の一月十六日現在で調べておりますが、許可の病床数が四百八十四床、これに対しまして入院患者数が四百八十九人ということで、病床利用率は一〇一%ということになっております。
#63
○高杉廸忠君 いま利用率を言われましたが、ベッド数よりはるかに入院患者が多いわけですね。ベッド数より患者が多いということはどういうふうにお考えになっていますか。
#64
○政府委員(田中明夫君) 医療法上、病院の開設の許可あるいはその後の増設等の場合には、病床何床ということで建物の広さその他等を勘案いたしまして、適当な病床を許可しているわけでございますが、その病床数を上回る入院患者があるということは、県の衛生部の許可に反しまして、さらに多くのベッドを持ち込んで患者を入れているということになると思います。
#65
○高杉廸忠君 ベッド数より入院患者がたくさんいるというのは、常識的に考えれば緊急の場合の全く摩擦的な現象で、しかも、それは短期間に解消されるべきものだと思うわけなんですね。精神病院で私はベッドを持ち込んでいるというのはそうであるとは思わないんですが、洋式ベッドではないんじゃないですか。畳の部屋が多いことで、そこで、しかも長期にわたってそういうような状態であるというのは私は異常ではないだろうかと、こういうふうに思っているわけなんです。今日まで、具体的にどういうような指導、監査をなさってきたか、伺いたいと思うんですが、どういうふうにされましたか。
#66
○政府委員(田中明夫君) この医療法人十全会関係の病院につきましては、私どもは畳の部屋ということはないように聞いております。しかし、いずれにいたしましても許可病床数を超える入院患者を入れているということは、非常に不適当でございますし、特に御指摘のように患者さんは精神病患者、あるいは結核病患者あるいはその他の老人の慢性病患者ということでございまして、先生の御指摘のように急に一時的な伝染病患者がたくさん入ったというような事態とは違うわけでございまして、京都府といたしましては、毎年一回医療監視を実施した際に、病室の定員過剰につきましてその都度指摘をし、厳重に注意をしておるところでございまして、幸いに逐年若干改善を見ておりますけれども、まだまだ許可病床数を超えた入院患者を入れているわけでございますので、今後とも厳重な指導を行ってまいりたいと思っております。
#67
○高杉廸忠君 いまの指導、監査等々についてのお話がありましたが、ベッド数に対して入院患者が多いということは、当然その対応する職員にも無理が強いられるわけですね。あるいは患者に対してどうしても手抜きの看護が行われるということになるんではないだろうかと、こう思うんです。そういう実態については行政の方でどういうふうに認識をされておりますか。
#68
○政府委員(田中明夫君) 御指摘の点に関しましては、五十四年十二月から五十五年一月にかけて行われました医療監視の際にも、三病院においてそれぞれ看護婦の数が不足しているということを指摘しておるわけでございます。医療法上、医師、看護婦については実際の入院患者数及び外来の患者数に基づきまして必要な人員を算定しておりますので、ベッド数に基づいての算定ではないわけでございますが、一般にこういうような状態は危険な傾向を生じるとも考えられますので、今後ともその超過の入院の問題とあわせまして厳重に指導、監督してまいりたいと思っております。
#69
○国務大臣(園田直君) 一言つけ加えますが、収容人員の超過は違法であります。これがかつまた長期化することは大した違法でありますが、残念ながら事務当局の答弁を聞けば、これを指摘し、京都府の衛生部を通じて指導、監督を徹底するようにし逐次改善していくと。こういうことでないと、再び富士見病院のような事態が起きないとは限らぬわけであります。残念ながら罰則がありません。そこで、警察と大蔵省と私と三者一体になって、そういう脱法行為を平気でやるところは徹底的に取り締まろうと、こういう決意をしておるわけでございます。
#70
○高杉廸忠君 大臣から再三力強い御答弁をいただいております。しかし、まだ私は現実の実態について、なおかつこれからの要請も含めて申し上げたいと思いますから、引き続き御質問申し上げますけれども、そういった局長からの御答弁がありましたが、患者と看護体制のアンバランスが、私は具体的にはベッドの拘束だとか、あるいは大量に注射をするとか、睡眠療法等の過度の利用ということにつながってきているんではないだろうか。これは十全会の事件については御承知だろうと思いますが、私は内容としてはそういう積み重ねがそういう事件に出ているんではないだろうかと、こういうふうに思うんですが、その点はどうでしょう。
#71
○政府委員(大谷藤郎君) ベッド拘束でありますとか持続睡眠療法等の患者に行動制限を加えるということにつきましては、精神衛生法の規定によりまして認められているところではございますが、これは医療または保護という観点から厳重に考えられて行われるべきものでございまして、こういったことが先生御指摘のような事実につながらないように厳重な指導をしてまいらなければならないというふうに考えるわけでございます。
#72
○高杉廸忠君 局長も御存じだろうと思うんですが、去る九月の二十六日に大阪高裁で、具体的事例でありますけれども、ベッド拘束は「本人の意に反した専断的治療行為であり、違法」、こういうふうに判断をされておりますね。かつ、この具体的な事件でありますけれども、「十全会を告発する会」、この名誉棄損を認めた一審判決が大阪高裁では取り消されているわけでありますね。この判決後も従前にも増して大量の注射や縛りつけをしていることが院内の職員の人から私に訴えてきているわけであります。これが現実なんですね。で、効果的医療監視がなされていない。私はどうもそういうふうに、大臣はこれからの姿勢を述べられましたが、いままで効果的な医療監視というものが十分されていればこういうことはないと、私はこう思っておるんですけれども、そういうことについては従来どういうようなことで対処をされましたか。
#73
○政府委員(田中明夫君) 医療監視につきましては、医療法によりまして、監視すべき事項、病院の設備が適切であるか、あるいは医療関係者の数が確保されているか、あるいは診療録等の書類が的確に記入されているかどうかというような点を監視するということになっておりまして、診療内容につきましては法律では監視すべき事項の中に入っていないわけでございます。したがいまして、われわれ医療監視を行いまして、この十全会の傘下の病院につきましても、先ほど来申し上げておりますように、患者がよけいに入っている、あるいは看護婦等の数が足りないということにつきましてはその都度厳重に忠告し改善を図っておるわけでございますが、医療の内容につきましてはなかなか踏み込んで調査ができないというのが現状でございます。
#74
○高杉廸忠君 いままで私が申し上げましたような実態であるわけですね。で、グループとして最初申し上げましたとおりに株式投資をやっているわけですね。先ほど大臣から、倫理確立については大蔵を含めて今後確立をするというような方向をお示しになりました。その株の投機で、売買の利益というのは税務上の申告をしない、申告漏れというこういう事実が明らかにされているわけですけれども、時間の関係でこの問題だけに終始するわけにいきませんから、この実態把握もいままでお聞きしたところによりますと大変不十分でありますから、後日で結構でありますから、十全会グループについてはさらに調査をしていただいて、文書でひとつ御報告を願いたいと、こういうふうに思っているわけです。たとえば病院ごとにさっきお示しになりましたベッド数、入院患者数、それからお医者さんの数、常勤とか非常勤の別、看護婦さんの数、それから行政としては今日までいろいろ御指示をいただいたと思うんですけれども、その具体的な御指示をした内容、そして調査でどの点を把握されたというような具体的な医療法なり株式売買の実態、こういう点を後日で結構でありますから、文書でひとつ御報告をいただくようお願いをしたいと思いますが、どうでしょう。
#75
○政府委員(田中明夫君) 医療法人十全会の法人自体及びその傘下にあります病院につきまして、御指摘のような点につきましてはできる限り資料を整えまして御報告いたしたいと思います。ただ、関連の二十にわたる会社につきましてはわれわれ調査権がございませんので、わかった範囲においては御報告申し上げますけれども、責任を持って御報告するというわけには残念ながらまいりません。
#76
○高杉廸忠君 先ほど私がお願いした分も含めて、できるだけひとつ御報告をいただきたいとお願いしておきます。
 時間の関係で、次に私は大臣にお聞きをしたいと思うんですが、国立医療機関の定員問題等についてお聞きをしたいと、こういうふうに思っております。
 まず大臣にお聞きをするわけでありますが、国立病院・国立療養所問題懇談会というのが二度にわたって大臣に提言をしている。これを御存じだろうと思いますけれども、この提言について大臣はどういうように思っておられますか。まず大臣からお答えをいただきたいと思います。
#77
○国務大臣(園田直君) 御指摘の懇談会からの提言――国立医療機関の内容の充実、臨床研究の充実、これはなかなか進んでおりませんが、重点事項の一つにして、加うるに定員配置の改善、こういうこと等も重点事項として努力してまいりたいと考えております。
#78
○高杉廸忠君 私は、いまわが国の医療が救いがたい荒廃の中にあります。その原因の一つにはわが国における国立公立病院の比重の非常に低いところ、その低さであろうと考えているわけなんです。大臣はこの改善のためにいまお答えいただきましたように、早急に改善をしていくという姿勢を述べられました。そのためにはこれまた多くの問題がありますが、私はさしあたり次の二点というものを、この際大臣に強く要望を申し上げたいと思っておるんです。
 そのうちの第一は、国立病院、療養所における増員を妨げているのは国家公務員総定員法ではないだろうかと、こう思うんです。そこで、その総定員法から除外をしてはどうか。また当面定員削減の対象の枠外にすることであると、こういうふうに私は思いますが、大臣いかがでございましょう。所見を伺います。
#79
○国務大臣(園田直君) 国立病院、療養所の増員は逐次努力はしておりますが、その増員よりも医学の進歩あるいは社会環境の変化の定員を必要とする需要と増員とがうんとかけ離れておって、年々定員が不足を来すようなことになっております。それからしてこれが総定員法の枠に縛られてどうにもならぬということは御指摘のとおりでありますから、これを枠外にするか何かいい方法をやるか、検討すべきであると考えております。
#80
○高杉廸忠君 この問題につきましては大臣ね、昭和五十三年の三月三日の衆議院の予算委員会において当時の小澤厚生大臣がこう言っておるわけです。私は、病院、療養所みたいな場所、現場サービスあるいは年金業務をやるようなところは外して――というのはこれは総定員法ですね。「外してもらった方がいいのじゃないか」と述べられているわけです。
 また私は、五十三年三月二十二日の本院予算委員会において、この問題に対する質問をいたしましたところが、当時の荒舩行政管理庁長官からはこういうふうにお答えをいただいているんです。行政管理庁は人員を整理するところだけではない、大いに足らないところは増員を図ると、こう言われたわけであります。ことしに入っては二月の二十二日の衆議院予算委員会で橋本元厚生大臣が、厚生本省の定員削減に伴う激務、これは厚生省の方々でありますが、三人の方が亡くなったというようなことも含めまして、激務について触れられているわけであります。その後一般病院の百ベッド当たり職員数、開設者別で国立病院七〇・四に対して国立大学病院が一五三・九、公的病院平均でも一一〇・二、こういうような具体的な数字を実態を挙げて、そして削減問題についても配慮をされている国立療養所、国立病院と言われているその分野の定員がこういうような実態にあると、こういうようなことを力説をされたわけです。私の手元にも五十三年度の資料が比較されているのがありますが、国立病院、療養所、先ほど申し上げましたとおりに依然として低い水準にありますけれども、大臣これはどういうようにお考えになりますか。
#81
○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりであると考えておりますが、現実はなかなか厳しい環境にあることだけは申し上げておきます。
#82
○高杉廸忠君 ぜひひとつ大臣、前向きの姿勢でいま御要望申し上げました点の実現に御努力をいただきたい、お願いを申し上げるところであります。
 第二の点でありますが、大臣も御承知のように、賃金職員という定員見合い賃金職員というのが六千五百五十名にも達している今日なんですね。それで最近、大臣のところに任用中断についての上申書、こういうのが出ていて大臣も御存じだろうと思うんですけれども、これは国立病院の医療の増員問題、賃金職員の問題というのは十分御承知だろうと思いますけれども、この任用の中断と言われて実態としてはこういう施設長から、大変大ぜいの施設長から大臣の手元に来ている、これについてはどういうふうにお考えになりますか、これ。
#83
○政府委員(田中明夫君) 大臣申されましたように、非常に国立病院、療養所の定員が不足しているというために、先生御指摘のいわゆる定員見合い賃金職員が多数に達しております。この扱いに関しまして、実は昭和三十六年の閣議決定によりまして一日雇用中断の取り扱いをして引き続いて再雇用はしてはならぬというようにわれわれ指示されておるわけでございまして、この決定をわれわれとしては守る必要があるわけでございます。
#84
○高杉廸忠君 大臣、六千名を超える大臣の部下ですね、これが三月三十一日から四月一日にかけて全国で一斉にこの人たちが退職するんですよ。それで一日置いて次の日に、同じ人が任用をされるわけですね。そういう非常に私はこのような不自然なことを大臣どういうふうに思われますか。同じ人が一年間ずっと働いて、三月三十一日になったら退職をして、翌日の四月一日にはまた任用される、同じことなんですね。非常に不自然じゃないかと私は思うんですよ、大臣どうでしょう。
#85
○国務大臣(園田直君) 臨時に働いておる人の立場から言えば不自然なところもあると思いますが、この問題は御承知の共済組合加入の問題と関連をしておりまして、ただいまこの訴訟は八月五日賃金職が原告、厚生大臣が被告として係争中でございます。かつまた、この問題は私のところだけではなくて各省全般にかかわる問題でございまするから、なかなか簡単に御返事はできないところでございます。
#86
○高杉廸忠君 私は細かな点を指摘していきたいと思っておりますが、残念ながら時間が十分ありませんから要点だけを申し上げますと、この賃金職員の厚生省の方から出している手引きの中にも定員内賃金職員というのは一般の職員と業務については何も変わってないと、こういうふうに認めているわけなんですね。しかもいま申し上げたとおりに、同じ業務をやっている看護婦さんの中にも公務員である人とそうでない、まあ言いかえれば日雇いのような形ですね、しかも通年雇用ではなくて一年間のうちに一日だけ雇用が中断をして――そういうことをわざわざしているんですよね。これは非常に不自然でもあるし、大臣からはいま共済組合の係争中と言われましたが、私はだから国立病院、療養所等々における総定員法から枠組みを外して、やっぱり国民の信頼、そういうものを回復する国立医療機関としての使命を果たすべきではないだろうかと、こういうふうに思っているわけなんです。大臣に重ねて念を押しますけれども、いま申し上げました二つの点、私はこの際強くお願いをしておきたいと思うんですが、どうでしょう。
#87
○国務大臣(園田直君) 施設長から大臣に参りました上申書にもいまおっしゃったようなことがよく書いてあるわけでありまして、医療というものはお互いが力を合わせなきゃできない、その医療に従事する職員が差別があることは耐えがたい、こういう趣旨のことが来ております。そういう点は十分理解できまして、御発言は十分拝承いたします。
#88
○高杉廸忠君 時間の関係で、次にハンセン氏病患者さんたちの問題について特に大臣に伺いたいと思いますけれども、大臣は新聞、雑誌などを拝見いたしますと、ハンセン氏病患者さん方の長年にわたって望んでおられた長島と本土の間に橋をかけられることを約束された、こうあります。人間復活の橋をかける――園田厚生大臣の私は快挙ではないだろうかと、こういうふうに敬意を表するところであります。橋をかけることを決断された大臣の御心境なりその経緯についてお聞かせをまずいただきたいと思います。
#89
○国務大臣(園田直君) この問題は、公共事業でありまして建設省の所管ではありますけれども、十何年間言い続けられてきたことであります。そこで、私が地元の負担それから国の負担、国の負担の方は私が責任を持って建設省に御相談をするから、地元の方は求めてもらいたいと、こう言っておりますが、地元の方にも厚生省から私の使いとして近く派遣をして話を求めたいと考えております。
 その理由は、この島における患者、職員が非常災害の場合の生命を守るための橋は必要でありますが、もっと私が大きく考えることは、明治以来、この患者はどこかへ隔離をして世間と立ち切ってやるべきもう別個の人間であるという、こういう間違った考え方でまいりましたが、その後治療も進みまするし、ある程度治った人は伝染性もないわけで、自由に社会に出入りをすると、こういうことを世間一般の人に理解してもらうための私は一番大きな問題であると、こう考えたから積極的にこの話に乗ったわけでございます。
#90
○高杉廸忠君 大臣からお話を聞きましたように、まさに人間復活の橋であると、こういうふうに思います。私どももささやかでありますが、その架橋については推進の一助を担いたいと、こういうふうに思います。
 そこで、具体的に関連をして、これから時間のある限りお聞きをしたいと思っておりますけれども、御承知のとおりに来年は国連の国際障害者年でもあります。私は、この中で国連がその背景として世界のハンセン氏病患者さんのことを考慮に入れていること、また行動計画中に障害者が十分に社会に参加をする自由というものを制限する差別的な行動及び制限、そのものに関する調査を開始をいたしまして、かつ、その状況に対する所要のあらゆる措置をとること、これはまあ教育であるとか雇用であるとか、そういう差別解消のための法律の見直しと、こういうふうになるんだろうと思っておりますし、いま大臣からのお答えにもありましたように、隔離的居住施設、こういうものの廃止の推進、そういうものも含めているというふうに思います。先ほどお答えいただきましたように、大臣は長島架橋に決断をされたことについては、やはり差別を解消する橋であると、こういうふうに思う、私はそういうふうに受けとめているわけであります。
 具体的には、いま申し上げました国際障害者年に向けての法律の見直し、同時に具体的に提起をいたしますと、いまらいの患者さんたちにはらいの医療刑務所というのがあるわけでありますね。医療刑務所については、私は先ほど大臣が、人間復活であり差別のない、あるいはまた隔離、そういうものをしない、こういう姿勢を述べられましたから、当然これは廃止をされるべきではないだろうかと、こういうふうに思いますけれども、この医療刑務所についてはいかがでございましょう。
#91
○政府委員(大谷藤郎君) ハンセン氏病につきましては医療が進歩いたしまして、感染性の弱い疾病ということでございますけれども、しかし、それにいたしましてもハンセン氏病に関する専門の医療を勉強された医師がおられる近くがよいのではないかということで、医療刑務所というものがらい療養所に近接いたしまして設立されていると聞いておりますけれども、この問題につきましては、法務省が医療刑務所として所管しているものでございまして、私どもとしてはこれについて特に、そのものについて申し上げるべき意見は持っておりません。
#92
○高杉廸忠君 局長ね、局長はもうあらゆる機会にハンセン氏病を正しく理解しましょうということでPRしていますね、もう心配ないんですと、そういうことをやっておられるわけですね。ですから、そういうことになれば、何もらいの患者さんだからといって特別扱いすることはどうなんでしょう、私は必要ないんじゃないだろうかというような点が一つ。それから大臣が、差別のない隔離のない人間復活だと、こういうふうに姿勢を述べられて、私は力強く感じているわけでありますし、局長の方ももう少し前向きでひとつ検討いただきたいと、こういうふうに思っているんです。その点どうでしょう。私は管轄が法務省であることは承知しております。それで、現に菊池恵楓園にあることも知っておりますし、その管轄が小倉の医療刑務所の支所としてあることも知っております。しかし、現実は受刑の方が二人、それでしかも職員が十人、こういうような現実なわけですね。ですから、そういうことも、私はせっかく大臣が前向きに取り組んでおられるなら、やはり鈴木内閣の閣僚ではあるし、法務大臣ともそういう点は十分御相談できるはずだと、こういうふうに思っているわけです。大臣どうでしょう。
#93
○国務大臣(園田直君) 療養所に隣接した特別の刑務所で服役をする人もさることながら、これを目で見ておる療養所の人々の心情を考えますと、このようなものは決して適切なものではないと考えます。法務大臣ともよく相談をして、逐次一般の刑務所の中で治療をやるものがあればやるというようにしていただければありがたいと存じ、法務大臣とも相談をいたします。
#94
○高杉廸忠君 ぜひ来年は障害者年でもありますから、これへ向けてのひとつ実現をお願いをするところであります。
 それから、具体的に大臣にこれやっぱり知っていただく意味で私は念を押す、そういう意味からも御質問するんですけれども、らい予防法の十五条、これは「外出の制限」、こういう条項があります。それから十六条には「秩序の維持」と、こういうふうなところでかなり細かい――たとえば「秩序の維持」の十六条の二項第二号には「謹慎させる」、そしてしかも三項では所長の指示によって「所長が指定した室で静居しなければならない。」、全くこれ、先ほど大臣から前向きの御答弁をお聞きしますと、現実は全く隔離であるとか差別であるとか、そういうことが法律上もまだ現存をしているわけでありますが、この十五条、十六条について私は削除あるいは撤廃すべきものではないだろうかと、こういうふうに思いますが、どうでしょう。
#95
○政府委員(大谷藤郎君) らい療養所におきましては、長期にわたりまして入所をされております患者さんが共同生活を営んでおられる、また伝染性でもあるというふうなことでございまして、規律に違反した者を療養所から退所させる措置をとるということができませんものでございますから、秩序維持のために規定されているという点がございますが、しかしこの運用につきましては、現在の医学の進歩、社会的な問題等も勘案いたしまして十分な配慮を行って運用をされているというふうに考えているわけでございます。
 また、外出禁止の条項につきましても同じような考えでございまして、現在人権尊重のたてまえからその運用につきましては、十分慎重にやられているというふうに理解しているわけでございます。
#96
○高杉廸忠君 運用の面でそうやられているというのが実態であれば、やはり差別なりあるいは隔離なり、そういう法文として残しておくこと、これは最初申し上げましたとおりに、国際障害者年に向けて国内法を見直そう、こういう時期でもありますから、再検討いただいて整備をしていただく必要がある、こういうふうに私は要望しておきます。
 それから六条、十一条について、これまた国民の最も基本的な権利であるお医者さん、医療機関、これを選択する自由というのがあるわけですけれども、これまた現実にはハンセン氏の患者さん方にはそういう選択の自由、これが現実にはないわけですね。
 で、私はたとえば東京の全生園の患者さんたちが、あるいは退所をされた患者さんたちが医療センターであるとかがんセンター、そういう公共病院などを私は利用できるようにしたら、先ほど大臣が言われるように、本当の人間復活になるんではないだろうかと、こういうふうに思うんですが、そういうやはり六条、十一条、国民の基本的な権利、こういうことについてはどうでしょう。
#97
○政府委員(大谷藤郎君) 先生御指摘のような点、私どもも考えているところでございますが、現実の問題として一般の医療機関を利用するという問題につきましては、これは時間をかけて逐次実施していきたいという考え方でやっております。現に一部の医療機関においては、そういったことをやっていただいているわけでございますが、この問題についても、今後ともその方向で進めてまいらなければならないものと考えております。
 ただ問題は、医療費の問題でございますとか、若干むずかしい点もございますけれども、それにつきましては、できる限り対応してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#98
○高杉廸忠君 いま幾つかの提言もいたしました、大臣。ぜひひとつ障害者年も迎えることでありますから、その実現に向けて一層の御助力をいただきたいと、こうお願いをしておきます。
 で、きょうは時間の関係で十分な意を尽くしての質疑もできませんでしたけれども、私はこの際、特に委員長、本委員会にもお願いをいたしたいと思いますが、長島との架橋については、できれば本委員会で促進の決議ができるような意思表示もしていただければ幸いである、こういうふうに思いますので、委員長ひとつよろしくお取り計らいいただければありがたいと、このように思っております。
 同時にまた、いままで私は大臣を初め、医療荒廃から国民の信頼をかち取るために、何としても行政における期待がされている今日であり、倫理の確立についても、そうした意味においても、また障害者年を迎えるこういう点についても、まさしく国民の大きな期待がかけられていると思います。
 そこで、先ほど安恒委員からも指摘されましたように、富士見病院についてはできるだけ委員会でも調査をするなり、参考人を呼んでいただくような委員会をぜひ開催をしていただきたい、これまたお願いであります。
 それからさらにつけ加えまして、国際障害者年に向けて障害者の方々の差別をするようなあらゆる国内法というものを、もう一度ひとつ見直していただいて、まさしく人間復活、これが発揮できるように厚生大臣の一層の御尽力を賜りたい、御要望申し上げまして、大臣がこれから衆議院に行かれるようでありますから、御協力する意味でお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 最後に大臣から、さらに一層の力強い御所見をひとつ承りたい、このように思います。
#99
○国務大臣(園田直君) 数々の御提言ありがとうございました。これは十分、聞き流しにしないで深く受けとめましてその方向に向かって努力をいたします。
 ありがとうございました。
#100
○委員長(片山甚市君) 委員長から一言申し上げます。
 ただいま高杉君からの提案につきましては、理事会で十分に意を尽くしまして皆さんにお諮りをしたいと思いますので、御了解を賜りたいと思います。
#101
○高杉廸忠君 終わります。
#102
○委員長(片山甚市君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十三分開会
#103
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#104
○小平芳平君 初めに児童手当について伺いたいですが、けさほどの厚生大臣のごあいさつの中にも児童手当は入っておりませんでしたが、児童手当は御承知のように六者覚書というものがあって非常に社会保障制度の中でもねらわれているんじゃないかと、福祉切り捨ての、切り詰めの最初にねらわれているんじゃないかというふうに危惧の念を抱いていらしゃる方が多いわけであります。大臣のごあいさつの中に入っておりませんでしたが、どういうお考えでしょうか。
#105
○国務大臣(園田直君) 現在の環境で、社会福祉その他に対する環境は必ずしも楽観すべき状態ではございません。しかしながら、その中でも児童手当は当面の問題ばかりでなく国家百年の大計でありますからこれはもう当然のことである、これは社会福祉は大事ではありますが、児童手当はその中でも特別の問題である、こう考えておりますので、あいさつの中では児童手当の問題は当然だと思って申し上げなかったわけであります。
#106
○小平芳平君 大臣の他の委員会の御答弁も伺っておりますので、大臣が積極的に取り組んでいただくことを期待しております。またそのように取り組んでいただいておるというふうに認識しております。
 それでこの六者覚書ですが、「児童手当制度については、」「基本的見直しを進め、」云々となっておりますし、「老人保健医療制度については、」「関係審議会に諮問する。」というふうになっております。で、このことは児童手当制度は中央児童福祉審議会の意見書がすでに出ましたが、その中央児童福祉審議会で審議中であるために老人医療とは別の表現になっているというふうに理解してよろしいんですか。
#107
○国務大臣(園田直君) 六者覚書私も非常に関心を持ってしさいに点検をいたしました。私は当時これに入っておりませんが、この文章はこれから社会福祉について大変であるから見直そうということでありますけれども、特にこの児童手当はヨーロッパと違って――ヨーロッパは数十年かかって高齢化社会になったわけでありますが、日本は三十年近くで急速に高齢化社会になるわけであります。しかも、これに対してよほどわれわれが綿密な手を打ちましても、そういう人口構造的に危険な状態はうまくいっても二十年から二十五年、下手をするとこれがずっと続くおそれがある、これは非常に大変なことでありますから、児童手当及び児童に対する対策は、審議会の答申はこれに対してこれを見通して抜本的な改革をやれと、こういうことでありますからそういう意味で見直し、検討をやれというふうに私は受け取っております。
#108
○政府委員(金田一郎君) ただいま大臣がおっしゃいました御趣旨に沿いまして、私どもいろいろ検討いたしておるところでございます。
#109
○小平芳平君 いや、私が尋ねた趣旨は、「基本的見直しを進め」ということは、これは私たちが入った覚書じゃないですからこんなこと論議するのがおかしいんですが、「基本的見直しを進め」ということは、児童福祉審議会の意見書が出ましたので、その基本的見直しのための意見というものは出そろったんじゃないかということを尋ねたいわけです。要するに、老人医療の方は社会保障制度審議会でいま審議中でありますから、しかし児童手当の方は意見書が出たから、あとは政府が態度を決めればいいんだという段階でしょうかということです。
#110
○国務大臣(園田直君) 私もそのように解釈いたしております。
#111
○小平芳平君 大蔵省もそういうように解釈なさっておられますか。
#112
○政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。
 現行の児童手当制度につきましては、その意義でありますとか給付と負担のあり方、あるいは社会保障施策全体の中での優先度の問題といったようないろいろな面で検討すべき点があるように思っておるわけでございまして、そこで制度のあり方につきまして、政府部内で基本的な見直しを進めようというふうに私どもは考えておるわけでございます。中央児童福祉審議会の答申につきましては、児童手当制度の長期的な姿についての一つの考え方を示したものではあろうかと思いますけれども、まあ御意見が発表されました後の各界の受けとめ方などを拝見いたしてみましても、いま言ったようないろいろ検討すべき問題が多いという御指摘もあるように思っておるわけでございます。私どもといたしましても、そういったようないろんな各方面の御意見も踏まえまして、五十六年度予算編成の過程でいろいろと検討をさせていただきたいと、こう思っておる次第でございます。
#113
○小平芳平君 現行制度ですね、現行制度をそのままいきましても、所得制限が五十二年以来据え置かれているために、六人家族で四百九十七万という所得制限がそのまま据え置かれているために、該当人員は減りつつあるわけですね、給料が上がります、所得が上がりますから。ですから、ただですら該当人員が減りつつあるのに、そういう現状において中央児童福祉審議会の意見書は、少なくとも現行制度を廃止とか大幅に縮小しろというふうには受け取っておりませんが、大蔵省もそういうふうに受け取られますか。
#114
○政府委員(矢崎新二君) 先ほどもお答え申し上げましたように、中央児童福祉審議会の御意見は、児童手当制度の長期的な姿についての一つの考え方を示したものであろうかと思うわけでございますが、私どもいろいろ考えてみまして、この児童手当制度につきましては、いろいろ問題が各方面から指摘をされているわけでございます。たとえば、児童の養育についての考え方がヨーロッパの場合とわが国の場合ではかなりな違いがある。ヨーロッパ諸国に比べまして、親子の家庭における結びつきが強いというような点から、広く社会的に負担するというヨーロッパ諸国のような考え方は日本の場合はなかなかとりにくいのではないかというような問題とか、それからまた賃金の関係では、わが国の場合はヨーロッパ諸国と違いまして家族手当を含む年功序列型になっておるわけでございまして、生活給としての色彩を有しておるといったような違いもあるようでございますし、また、そのほか健全育成という見地からは児童福祉施策であるとか、あるいは教育施策であるとか、いろんな施策が総合的にその支えになるものではないであろうかといったようなこと、あるいは費用負担のあり方、所得制限のあり方、いろいろ問題はあろうかと思っているわけでございまして、私どもとしてはそういったような問題点を全体として十分に検討をしていきたいと、こう思っておるわけでございます。
#115
○小平芳平君 いや、そういう御指摘のような問題点があることは承知しておりますが、私が尋ねていることは、こうした労働力人口が減少する、国力、民族の活力が衰微していく、そういうことになりますと、日本の将来はどうなるかということなんです。ですから、厚生大臣がおっしゃったように、児童福祉というものは将来のために考えなくちゃならないことなんだということです。そういう点で、大蔵省としていまの制度、いまのままでも減りつつある、少なくともそれを、いまの制度を前提にして考えた場合に、全然廃止するとか、あるいは大幅に削ってしまうとか、そういうことは意見書にも出ておりませんし、そういうことになるんですか、ならないんですか。
#116
○政府委員(矢崎新二君) わが国の将来の問題として考えてみました場合、私どもが非常に頭を痛めておりますのは、今後の社会保障制度の姿がどうなっていくであろうかということがまず一番大きな枠組みとして問題になるわけでございます。御承知のように、医療、年金を初め、いろんな諸給付があるわけでありますが、これを現行水準に据え置いたといたしましても、人口の高齢化であるとか、制度の成熟化によりまして費用負担が大幅に増大していくということが確実に見込まれるわけでございます。そういうようなことになりますと、将来の世代に現在よりもさらに多くの負担をかける。つまり、われわれの子供たちの世代にそういった負担を求めなきゃいけないというような仕組みにすでになっておるわけでございます。したがって、そういう将来の世代の負担というものが、世代間の公平という見地から過大なものにならないということのためには、やはり社会保障制度全般についての見直しをしていく必要があるのではないかというふうに思っておるわけでございまして、児童手当制度もそういう広い社会保障制度の一環といたしまして、やはり制度の見直しの対象にはせざるを得ないのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#117
○小平芳平君 どうも、同じことを繰り返していても時間が過ぎてしまいますから。こういう覚書というような例がないわけですよ。前例のない覚書を交わして、そうしてねらい撃ちするということは、どうも納得できませんが、いかがですか。
#118
○政府委員(矢崎新二君) これは、ねらい撃ちにするとかいうようなことではございませんで、やはり先ほども申し上げましたように、社会保障の今後の長期的な見通しということを考えてみました場合、給付と負担のバランスの問題というのがわが国の将来にとりまして非常に大きな問題であるということは、これは否定できない事実かと思います。そういったような問題意識がありまして、御指摘のような覚書が作成されたのではないだろうかというふうに私は考えておる次第でございます。
#119
○小平吉平君 その児童手当は将来のためだということをよく大蔵省も考えておいてください。
 それからスモンの問題につきまして、先ほど大臣からお話がございましたが、いまの問題点は投薬証明のない方、この問題が、大臣も他の委員会でその一点がいまの問題点だというふうに御答弁なさっておられました。それで、私も緊急の最重要の課題であるというふうに思います。大臣としまして、先ほど会社の方へお伝えしましょうということをおっしゃったわけですが、それは三十日に大阪で集会が持たれる、この三十日の大阪の集会に製薬会社の責任のある社長さんに出席してお話し合いをするように、大臣から特に取り計らっていただきたいということを申し上げたいわけです。先ほど会社の方へお伝えしましょうということでしたが、昨年の確認書のときも社長さんがいなくて、代表権のない人が出てこられますから、いざというときになると、社長がおりませんから、代表権が自分にはありませんからと言って逃げられちゃうわけですね。逃げるという言葉がどうかしりませんが、とにかく、社長さんは一度も出たことがないわけです。ですから、三十日と言えば、大臣の御発言でも今月いっぱいに解決しましょうというふうな御発言から見ますと、ぎりぎりの段階ですから、三十日には社長さんがみずから出て話し合いをするような、そういうことをお取り計らい願いたいということですが、いかがでしょうか。
#120
○国務大臣(園田直君) 御発言の趣旨は十分理解いたしましたし、詳細にわかりましたから、その点も含めて会社側にお伝えをいたします。
#121
○小平芳平君 大臣の積極的な姿勢に感謝いたしますが、厚生省の当局にお尋ねしたいことは、投薬証明のない方の該当者は何人くらいいらっしゃるか、そしてなぜ会社側が、これほど国会でも論議されて、これほどニュースでも報道されておりながら、なぜ会社がいまだにこの勧告を受け付けないかということをお尋ねしたい、その二点について。
#122
○政府委員(山崎圭君) まず第一点の、投薬証明書のない患者の数の問題でございますが、現在提訴患者、患者の数にいたしまして五千六百七十九名でございまして、そのうち四千百二十一名の方々と和解が終了しております。したがいまして、和解が済んでいない未和解者が千五百五十八名ということに相なります。私どもなりにいろいろと状況を聞きただしておるわけでありますが、このうちの大多数は、提訴患者の方々の提訴の状況もだんだんにふえているというような事情もありまして、提訴されてからまだ時間が、日が余りたっていないと、こういうような理由によりまして鑑定手続がまだ終わっていない、したがいまして和解手続に至っていないという方々でございます。
 そういう方々を除きまして私どもはキノホルムスモンであることが立証されましても、なお服用キノホルム剤の特定が不十分であると、こういうことで会社側が和解を留保している事例というものは、約全国的に見まして現在三百例くらいではないかと推測しております。この中で、さらに東京地方裁判所の言っておりますように、投薬証明書のないという、こういう患者がさらにどのくらいいるかということにつきまして、これはまあ東京地方裁判所の所見においても述べられておりますように、投薬証明書のない患者というのは、裁判所が必要と認める立証を尽くしましてもなお服用キノホルム剤の剤名を特定するに至らなかった者をいうと、こういうふうにはっきり言っておりますように、裁判所における証拠調べの結果明らかになる数でございますので、はっきりした数はそういう立証手続を待ってはっきりするわけでございますが、私どもの推測では、ただいま申しました和解留保事例約三百のうち、一割から一割ちょっと超えた三十例から四十例ぐらいではないかと、こういうふうに推定しているわけでございます。
 それから、第二点のお尋ねの、会社側がなぜ、これほど東京地方裁判所で考え方が示され、さらにまた札幌高等裁判所では勧告という形で出ておるにもかかわらずこれを渋っておるのかと、こういう問題でございますが、これはまあ会社側の言い分でございますから、何といいますか、確実に会社側がそれであるとはっきり言ったものではなかなかないわけでございまするが、一つには、確かに東京地方裁判所なり札幌高等裁判所の考え方は明白に出ておりますが、同時に地方裁判所の段階におきましては、たとえばキノホルム剤の剤名がはっきりしない者については会社側に対する請求が棄却されまして、国だけがいわば敗訴したと、こういう事例も片方にございまして、いわば司法部の見解が必ずしも一致したところにないのではないかと、こういうような考え方も一部にあるやに考えておるわけでございます。まあそれだけではないのかもしれませんが、そういう点は十分推察するに足りると、こういうことでございます。
#123
○小平芳平君 さしあたり会社が勧告に従いますということを言って取り組んでも、そう大ぜいの数ではないわけですね、いま局長の説明だと。にもかかわらず渋っている意味がわからないわけですね。とにかく、全然関係のない企業に、おたくは製薬会社だからといって救済に入りなさいと言っても無理でしょうけれども、キノホルム剤を製造したところは限られているわけですから、また裁判所にも判断をはっきり示しているわけですから。ですから、大臣、もう一度ですね、厚生省へは社長さんが来るわけでしょう、厚生大臣がお呼びになると。厚生省には来ながら、その辺が理解できない、そういう製薬会社の態度が理解できない。そういう態度をとっていらっしゃるならば、ますますもって被害者団体の前に出て、もし理由があるなら述べてもらいたいし、また、さしたる理由がないならば早く解決をしてほしいと、こう思いますがね、いかがですか。
#124
○国務大臣(園田直君) そのように努力をいたします。
#125
○小平芳平君 それから、鑑定がおくれていはしないかということ、それで、鑑定に出しましても結論がなかなか出ない人もあり得るわけですが、その辺の事情はどうなっておりますか。また、一部に、その鑑定が引き延ばし作戦に遭っているというようなこともうわさされますが、いかがですか。
#126
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。
 先ほども申しましたように、現在提訴患者が五千六百七十九名でございますが、そのうち鑑定が終わっておりますのが四千三百四十二名でございます。で、その残りの千三百余名が未鑑定者ということになるわけでございますが、ただ、この中で若干の人は、昔の時代に鑑定がなくてといいますか、地方裁判所段階でいわゆるいまの鑑定団による鑑定がなくて判決を受けられまして、高等裁判所に係属している方々もあります。で、そういう方々を除きますと、正確に言いますと未鑑定者が千百二十四名ということに相なっております。それで、まあこのうち過半数の人は、先ほども申しましたが、提訴してからの時日の経過がまだ日が余りたっていない、あるいは、その鑑定の事情等の理由によりまして、裁判所からまだ鑑定人団に対しましてその鑑定資料が送付されていない、まだ裁判所でいろいろ調査をしていると、こういう段階の方々が過半数ではないかと思います。で、その余の方々は、その鑑定団でいろいろ議論をされまして、鑑定をするに当たりまして十分な資料が整っていないといいますか、こういう部分の資料を欲しいといって鑑定人団から裁判所に対しまして追加資料の提出といいますか、それを求めている事例が多い、こういうふうに聞いておるわけでございます。そういうことで、いままでずっとこの鑑定人団の御作業を拝見しておりますと、まあまあ、私どもはそれなりに順調に推移しているのではないかと思っておりますが、追加資料等の提出が早く行われますならば、一層この鑑定の進捗は図られる、こういうふうに期待しておるわけでございます。
 一方、最後に御指摘の、時間かせぎといいますか、何か引き延ばしのようなためにいろいろ会社側が言っているんじゃないかという趣旨のお尋ねがありましたが、確かに、製薬会社が各地の裁判所に対しまして鑑定資料の送付の際に、いろいろ裁判所としても十分に資料を整備した上で鑑定人団に送付してくれというような趣旨の上申書を出していることは聞いております。ただ、これはあくまで、この鑑定の問題は裁判所が医学的な事項、専門的な事項につきまして、つまりスモンであるかどうかという判断を下す際に専門家に対しまして意見を求める、こういう性質のものだと思っておりますし、そのとおりだと思うのでありますが、そういう、つまり個々具体的な事例につきまして裁判所が御判断をし、そして鑑定を委託する、こういうことであろうと思っております。そういう意味では、裁判所が、仮にいろいろと会社側からの意見上申があったといたしましても、公正に判断して決定されていく、こういうことだろうと思っております。
#127
○小平芳平君 次に、恒久対策としまして、はり、きゅう、マッサージの無料化、これなどは五十五年度予算はほとんど余ってしまうんじゃないか、実際問題、八百円という額の少ないことやいろんな事情があって、ほとんど使われないで済んでしまうではないかというふうに言われておりますが、いかがですか。
#128
○政府委員(山崎圭君) 使い残しがあるんじゃないかというお尋ねでございますが、結局いろいろ御意見のあるところは、このはり、きゅうの施術師につきましては、たとえばいま御指摘のように単価が八百円というような安い単価ではないか、あるいは請求手続等にもいろいろ繁雑な面もあるんじゃないかというような声もございます。そういう面でいろいろと知恵をしぼってまいりましたが、はり、きゅう、マッサージの治療研究事業と言っておりますが、この単価は施術師団体と打ち合わせをいたしまして、この単価で引き受けていただく、こういう了解を得た上で実施を図ったものでございまして、そういうことで実施がいっている、こういうふうに考えておるわけでございます。また一方、請求手続の面につきましても、できるだけ不必要な負担を関係者にかけないように、施術者についても患者さんについてももちろんでございますが、できるだけ簡便な方法をとるように工夫をしてまいりましたが、今後ともそういう方向でさらに努力を重ねてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#129
○小平芳平君 まだほかにも質問したいことがあるんですが、大臣、いまのはり、きゅう、マッサージに見られるように、せっかく国が予算を組んで恒久対策の一環として実施することになっているわけですが、しかし、どこに隘路があるか、また実態が必ずしも厚生省は現段階で明確になったとも言い切れないでしょうけれども、生かされてないんですね。そういうことはまことに残念であると思うんです。ですから、制度が隘路があればそれを打開するように、また今後の見通し、来年度予算においても、はり、きゅう、マッサージの問題、あるいは介護手当の問題、こういうことが差し迫っての問題としてなってきますが、どういうふうにお考えでしょう。
#130
○国務大臣(園田直君) スモン患者の今後の福祉の推進については御指摘のとおりでありまして、患者の実態に即して円滑にこれが実施されるよう対策を講じたいと考えております。
#131
○小平芳平君 少なくとも五十五年度の施策が切り下がることがないようにお願いしたいと思うんですが、いかがですか。
#132
○国務大臣(園田直君) そのとおりにやるつもりでおります。
#133
○小平芳平君 次に、富士見病院について質問いたします。
 これも、けさほど来ずいぶん質問がありましたので、ダブってはお尋ねしませんが、まず警察庁にお尋ねしますが、病院に摘出した臓器が保管されていたと思うんですが、その臓器は、けさの新聞では臓器は警察が全部押収したからないというふうに出ているし、また警察としては臓器は全部押収したわけですか。要するに、どこかへ隠してしまったとか、そういうことは考えられないですか。
#134
○政府委員(谷口守正君) 富士見病院につきましては、数回にわたりまして捜索をしたわけでございますけれども、その結果、関係資料多数を押収しております。で、捜索押収の事由としまして、医師法違反容疑ということでございまして、本件捜査に関連いたします証拠品、その中には臓器も含まれるわけでございますけれども、必要のあるものにつきましては押収しておるということでございます。
#135
○小平芳平君 したがいまして、証拠隠滅のために臓器をどこか埋めてしまったというようなうわさもあるんですが、そういうことは考えられないと理解してよろしいですか。
#136
○政府委員(谷口守正君) 第一回の押収捜索は九月十日、理事長北野早苗の逮捕と同時に行ったものでございまして、そのようなことは私どもは聞いておりません。
#137
○小平芳平君 それから、これは警察にお尋ねするか、あるいは厚生省にお尋ねすべきことかと思いますが、超音波検査というのは、それ自体が診療行為になるのかならないのか、それはいかがでしょう。
#138
○政府委員(田中明夫君) 診療行為になると思います。
#139
○小平芳平君 超音波検査それ自体が診療行為になりますと、北野千賀子院長の話としまして、現在、特に資格は必要ないと、超音波装置は。特に資格は必要ない。診療行為にならないみたいに言っているんですが、いかがですか。
#140
○政府委員(田中明夫君) 超音波診断装置を用いての検査というのは、現在、医師みずからあるいは臨床検査技師が医師の指示のもとに行うということになっておりまして、それ以外の者が行った場合には当然法律違反になると考えられます。
#141
○小平芳平君 そうすると、北野早苗氏は資格がないのに全く長年にわたって数多くの違反を犯していたわけですね。
#142
○政府委員(田中明夫君) そのとおりでございます。
 なお、先ほど私医師の指示のもとに臨床検査技師と申しましたが、看護婦も医師の指示のもとには操作することが許されております。
#143
○小平芳平君 それから同じように院長の話ですが、うちの診断結果を他の病院が否定したという例ですね。それはそういう例は幾つもあるように新聞には報道されているんですが、うちの診断結果を他の病院が否定したという場合には、解剖しなければわからないんだというふうに話しておりますが、そうなると、警察庁の方では、こういうふうに富士見病院で診断を受けた、しかしそれはこっちの方では間違っているというふうに言った場合に、その臓器は警察で押収していっているとしますね。と、それは解剖しなければわからないんだということに対する返事もできるようになっておりますですね。警察としまして臓器を押収したと。そうすると今度はその臓器を解剖して、とにかくほかの機関で臓器をあれこれしなくては診断が間違っていたとは言えないと言っているわけです。ですから、それに十分答えられるような体制になっておりますか。
#144
○政府委員(谷口守正君) 本件捜査、御案内のとおり医師法違反ということでやっておるわけでございますけれども、それとともに、二回にわたる傷害罪の告訴を受けまして、現在その関係の捜査も急いでおるところでございます。傷害罪の告訴事実を見きわめるという意味におきまして、摘出しました臓器、これが非常に重要な意味を持ってくるわけでございまして、この関係につきましては、やはり専門家の御協力をいただかなければならぬということでございまして、鑑定の方の手配をすでに行っておるということでございます。
#145
○小平芳平君 先ほどの御答弁で、北野早苗の医師法違反はこれははっきりしたと。ところが傷害罪が成り立つかどうか、いまお話のですね。それはまだわからないというふうにおっしゃっておられましたが、あるいは院長初めお医者さんの違反についてもまだはっきりしないというふうにおっしゃっていたように伺いましたが、そうなんでしょうか。
#146
○政府委員(谷口守正君) 傷害罪の告訴を受けまして、現在捜査をしておるということでございます。で、具体的に申し上げますと、二回にわたりましての告訴でございますけれども、合計三十二名の患者の方々――手術を受けられた方々でございますけれども、北野早苗と五医師、六名が共謀の上手術を行って、そして傷害を与えたという告訴内容でございます。それにつきまして、当面告訴をされたこれら三十二名の方々につきまして事情をお聞きしている、その他の所要の捜査を開始しているということでございます。
#147
○小平芳平君 どうももう少しその辺が、はっきりしているんじゃないかというように印象として受けるわけです。傷害罪でも、非常に健康な人がいろんな説明を聞かされて手術を受けてしまうというようなことはいかにも常識に反するわけです。それで、そういう人が何十人というふうに言われていることは、傷害罪がいかにもはっきりしているじゃないかというふうな印象を受けますが、いかがですか。
#148
○政府委員(谷口守正君) 本件事案につきましては改めて申し上げるまでもないと思うんでございますけれども、資格のない者が医業行為をしたということは、医師法違反の中でもやはり人の生命、健康に直接かかわる事犯である、悪質な事犯であるということでございます。それを受けまして、埼玉県警察では事実関係を究明し、刑事責任ある場合には厳しく追及してまいりたいと、こう思っておるわけでございますけれども、その医師法違反捜査の過程におきまして傷害罪の告訴がなされたわけでございますけれども、その関係につきましても、埼玉県警察は強力に捜査を展開するということでございます。
#149
○小平芳平君 それから厚生大臣、免許取り消しその他の行政処分についても、いかにもはっきりしていることが長年放置されてきたんだなということを印象として強く受けるわけですが、それでまたそういう行政処分の結論も早く決まらないのかなということを思うんですが、いかがですか。
#150
○国務大臣(園田直君) 関係法に従って許されたる範囲で、厳正なる処分をなるべく速やかにやるよう、県の方にも指導してやっているところでございます。
#151
○小平芳平君 被害者の方から伺ってみますと、卵巣を全部摘出された人が後遺症に悩んでいるということ、そういうことは私はお医者さんでないからわかりませんが、したがって、全部摘出するということはめったにないことなんだというふうに聞きましたが、いかがですか。
#152
○政府委員(田中明夫君) 病気の種類によりましては、やむを得ず卵巣も全摘という適応があるわけでございますけれど、卵巣を全摘いたしますと、ホルモンが出なくなってそのための障害ということが当然考えられるわけでございますので、一般の医学的常識といたしましては、取らないで済むならなるべく残すというのが普通のあり方ではないかと思っております。
#153
○小平芳平君 それが大変な後遺症に大ぜいの人が悩んでいらっしゃるわけですね。
 それから厚生大臣が医療一一〇番ということをお話しなさったんですが、これは人員とか予算の関係があるわけですね。あるいは保健所がそういうことに対応できるかという問題があるわけですね。その辺はいかがでしょうか。
#154
○国務大臣(園田直君) これは私の知恵ではなくて、委員各位から授かった知恵でありますが、きわめて適切であり早急にやらなきゃならぬと、こう思いますので、とりあえず暫定的なものとして各県、本省にそういう機関を設けて、そしてそれをやっているうちにさらに修正をするとか、あるいは予算、制度の問題の方に変えていきたいと考えております。
#155
○小平芳平君 この保健所ですが、人口十万人に一カ所設けるというふうになっている。しかし、この所沢の場合は管内の人口が五十万を超えているというのですね。そういう点保健所というのは何でも屋になっているんですが、いかにも対応がしかねる状況にあるんじゃないんですか。
#156
○政府委員(田中明夫君) 保健所法が制定された当時、大体人口十万に一カ所というような数で始まったわけでございますが、その後地域的に過疎地域となるところがある反面、非常に人口が急増している地域もございまして、所沢の場合は後者に当たるわけでございます。ただ、保健所法の制定当時と若干交通の便等いろいろ違ってきておりますので、必ずしも地域によりましては人口十万以下でなければ行政が円滑にいかないということはないと思いますが、非常に膨大な人口を抱えて所沢保健所は非常に努力されているのではないかというふうに思っております。
#157
○小平芸平君 非常に努力して……。その対策はありませんか。
#158
○政府委員(田中明夫君) 実は保健所の所管は公衆衛生局長でございますけれど、まあ私から便宜上答えさせていただきますが、そういう点をいろいろ考慮いたしまして、従来から公衆衛生局におきましては新しい保健所のあり方というような点を審議会等で御討議いただいておるわけでございますので、今後新しい社会情勢に対応できる保健所について、公衆衛生局といたしましていろいろ対策を立ててまいることと存じておるわけでございます。
#159
○小平芳平君 保健所は公衆衛生局の所管ですが、かといって、病院の問題も保健所がやらなくちゃならないわけでしょう。そういう意味で何らかの打つ手がないかどうか。
 それから、レセプト点検で戻されるものがあるわけです。その点検の結果戻されるものの中に、単純な事務局的なミスのほかに医療上の疑問があるということもふえてきているわけです。その点はいかがですか。
#160
○政府委員(大和田潔君) 先生の御質問でございますが、これは昭和五十五年二月の診療分に係る支払い基金の調査、これに基づいて御質問されておられることと思いますが、この調査自体は実は診療報酬明細書の記載不備が一つと、それから診療内容に関する記載の不備というものが一つということで調査をしておるわけでございます。
 これにつきましては、たとえば診療内容に関する記載不備という問題につきましては、診療内容が不適当であるからこれを返戻した、あるいは査定したといったようなものではなく、たとえば診療内容で具体的な例は適当かどうかわかりませんが、慢性胃炎に対して腸のレントゲン検査をしたといったような場合には、どういうわけだろうか、これは胃のレントゲンの間違いではなかろうか、あるいは、にもかかわらず腸のレントゲンを撮ったのかといったような疑問がありまして、そういうようなものにつきまして返戻をしておるというような、これがおっしゃるように件数としてはふえてきていることは事実でございます。
#161
○小平芳平君 時間が参りましたので終わりますが、厚生大臣、何としても不審に思うことは監視体制ですね、いわゆる監視体制。それで先ほど大蔵省等と共同で力を合わせてそういうものを防ごうというお話がございましたが、あるいはそのプロジェクトチームを組んだというふうにおっしゃっておられましたが、いまからというふうに思うのですね。これだけのことが起きて気がつかなかったという事態、それで同じことが行われているんじゃないかというおそれ、多かれ少なかれこういうことはあるんだと、ほかの病院にもあるんだというようなことを言う人もあるし、そうして見るときわめて重大な問題だと思うんですが、監視体制について伺いたい。
#162
○国務大臣(園田直君) 確かにいまさら手おくれだという感じもいたしますけれども、かといって、ほうっておけばこの事態はますますふえてくるわけでありますから、一つの方法は不正の摘出、一つの方法は監視体制、一つの方法はいろんな制度の見直しと、この三つに分けてやりたいと考えているところでありますが、この監視体制も書類による監査などは四億から五億枚の書類を一枚について一秒ぐらいで見ているような状態で、これでは正直言ってとても正確な監査などはできないわけでありますから、十分お知恵を拝借しながら、そして考えておっても間に合いませんから、やってみて、やってみると保健所などの手薄なことなども出てくると思いますが、出てきた場合にはそれを補てんしながらまず当面の対策をやりたいと考えております。
#163
○渡部通子君 医療の問題が今日これほど大きな関心を呼んだことはないと思うんでありますが、厚生大臣のいろいろな発言を伺っておりますと、非常に真剣に、そして前向きに今回の医療行政の矛盾や不正をただしていこうという積極的な姿勢がおありのようで、私たちはそれに期待するところが非常に大きいわけでございます。いまも監視体制とかあるいは不正に厳しく臨む、ここういう御趣旨でございました。私はそこまでまいりませんでも、不正とまではいかなくても現在の制度の矛盾などが温存されているだけでもかなりのむだとか、それが不正につながっている場合が多い。やってできないことではない医療行政すら放置されている点が多いという、そういう意味の代表として薬価の問題について一点お伺いをしたいと思っております。
 一部の診療機関等において診療報酬は出来高払い制度であると、これを利用して薬の出し過ぎあるいは過剰な検査、こういったものが横行しているということは、事実もう世の中では薬づけとか検査づけとかという言葉が定着していることから見てもよくおわかりのとおりだと思います。この薬剤の過剰投与とか、あるいは検査の行き過ぎ、こういう点について、大臣がその実態をどのように判断をしておられるか、あるいは是正に対してどういう御決意をお持ちか、これについてまずお伺います。
#164
○国務大臣(園田直君) 薬価改定ではしばしば国会で御注意を承っておるように私は聞いております。ただいま第六次の経時変動調査を実施をしておって、これはもっと早くまとまるべきところでありましたけれども、諸般の事情でおくれておりまして申しわけなく存じております。したがいまして、この結果を踏まえて薬価改定作業を行うことになりますので、急いでこの作業を進めていきたいと考えております。その薬価改定から、またいろいろ問題が出てくるものであると考えております。
#165
○渡部通子君 いま第六次の薬価調査を行っているということでございますが、これの本調査が行われたのが五十三年の七月でございます。本調査をやって現在まで二年三カ月が過ぎているわけでございますね。その間に第六次の今度は六回目の変動調査を行っているということでございますが、この前第五次をやっていらっしゃるときに、私は国会で質問をしております。そのときの御答弁では、最終の経時変動調査を行ったのは五十四年十月から十一月にかけてであり、そのデータを含め集計ではなく改定についての作業を実施している段階だと、こういうお話なんです。第五次のときに、すでにもう最終のこれは集計ではなくて、改定について作業をやっているのだと、第五次が終わるのを待ってくれと、こういう御答弁でございました。それが今回第六時をやっているというのはどういうわけですか。
#166
○政府委員(大和田潔君) おっしゃいますように、第五次の経時変動調査、五十四年の十月から十一月に行ったわけだございますが、その後若干時間がたちまして最近の物価等の社会経済情勢の変動、こういう動向にかんがみまして、やはり市場価格をさらに適正に把握しなきゃならぬという判断がございまして、現在の第六次の経時変動調査を実施するということに相なったわけでございまして、現在それを取りまとめ中でございます。
#167
○渡部通子君 第一次、第二次、第三次、四次、五次、六次とやってきますと、実勢価格と薬価の基準との差額は、乖離は大きくなるばかりですが、いかがなんですか。
#168
○政府委員(大和田潔君) まだ第五次につきましても具体的な個々の薬価の算定まで入っておりませんで、実態調査、算定作業の前段階で第六次ということに入ってまいっておりますので、具体的にそれぞれの薬価の額が乖離しておるかどうかにつきましては、実はまだここで御報告できないわけでございます。
#169
○渡部通子君 どうにもその辺私は納得がいかないわけです。これは薬価改定をやらないために、何度も何度も調査を重ねているとしか思えないわけですね。と申しますのも、本来ならば本調査をやった段階ですでに改定が行われていいはずです。その後時間がたったからと言って経時の調査をなさる、そのうちぐずぐずしてまだまとまりませんと言っているうちに第二次を、また物価が変わってきたからと言っておやりになる。そういうのを永遠に続けて、一体いつになったらやるのかと、いままで一番長くかかったときが昭和五十三年のときでございますけれども、この改定のときに理由として、銘柄別収載方式に改めたからという理由がありまして十九カ月です。今日はもう二十七カ月でございます。こういうことを見ておりますと、何と厚生行政というのはむだを放置しておくんだろう。これほどの制度の矛盾を放置しておいて、そして今回プロジェクトチームをお組みになったというけれども、国民に対しては申し開きのしようもないんではないかと私は思います。
 これちょっと物価対策、財政対策からも一言申し上げておきますけれども、この薬価基準が改定されないがゆえに、どれほどの薬剤費の軽減がおくれているかということですね。私は、これは物価の委員会で物価対策の面から発言をした覚えもございます。今回の薬価改定が仮に一〇%引き下げ、こういうことになれば年間三千九百二十億円、月にいたしまして三百二十六億、これだけ薬剤費が省けるわけです。まして一五%引き下げ云々されておりますから、一五%引き下げられるとなれば年間五千八百八十億円、月にして約五百億、毎月毎月三百億から五百億のよけいな薬剤費が出ていると、こういうことを思っただけでももったいないなあという気がするわけでございますね。これは本当に矛盾がそのまま温存をされている。これにちょっと手を入れるだけでもかなりの物価対策、財政対策から助かるのではないかと判断せざるを得ません。その辺の御所見いかがですか、御感想いかがですか。
#170
○政府委員(大和田潔君) 先生のおっしゃるとおりでございますので、私ども第六次のこの経時変動調査の結果が出次第改定作業にかかりたいと、かように思っております。
#171
○渡部通子君 それでは、第六次の経時変動調査はいつごろ集計がまとまるのか、その見通し。それから品目数や概況など、もしおわかりでしたら御説明ください。
#172
○政府委員(大和田潔君) いつ完了するかということにつきましては、実はいま具体的に御報告いたすまでに至っておりません。と申しますのは、具体的な薬価調査が行われました後で、御承知のようにバルク品目につきましてはそれぞれ基準包装とか九〇バルクラインを確認いたしまして補正の作業を行う、あるいは非バルク品目につきましては指数決定を行う等の、現在二千ばかりのバルク品目、それから一万五千ばかりの薬価基準収載の薬品がございまして、これは全部というわけではございませんけれども、ただいま申しましたような作業というものがございますので、かなりの期間がかかります。したがいまして、いまいつ終わってということにつきましては、ちょっと現段階におきましては申し上げられる段階ではないわけでございます。
#173
○渡部通子君 かなりのということでございますけれども、言ってみれば第五次の変動調査の結果で改定を行ってちっとも構わないわけですよね。それをまだ第六次までをやってその結果がいつ出るかわからないというのは、結局は何とか先へ延ばしたいという、こういう言いかえだと思うんですけれどもね、ネックになっているのは何ですか。
#174
○政府委員(大和田潔君) 繰り返し申し上げますが、現在、第六次の経時変動調査の実施中の段階でございますので、これを実施いたしますには先ほど申しましたような各品目の補正等、こういうかなりやっかいな作業がございます。これを済ますにはかなりの時間がかかると、こういうことでございます。
#175
○渡部通子君 あくまでも第六次が作業中であるからできないといういま御答弁でございますけれども、それならば本調査の結果でも、第五次の結果でも一向に差し支えはないわけです、何度も申しますけれども。だからほかにお困りの点がたくさんおありでしょうと聞いているわけです。
#176
○政府委員(大和田潔君) 実は社会、経済情勢の変動というものをとらえながら実は数次の経時変動調査を行ってまいりまして、その過程におきましては、やはりその経時変動調査の結果というものを見なければということでまいったわけでございますが、先ほど申しましたように、今回、第五次が終了いたしました段階でも社会情勢の変動というものをとらえまして、もう一度やらなければ正確な数値が出ないということで第六次にかかったと、こういうようなことでございます。
#177
○渡部通子君 大臣に伺います。
 大臣、これ新聞の「園田厚相に聞く」というところのインタビューの記事でございますけれども、「診療報酬引き上げ、薬価改定について。」というインタビューに対して、「まだ、その機熟せず。」と、こういうお返事をなさっていらっしゃるようでございますが、どういう条件がそろいますとその機が熟するのか、あるいはここは診療報酬引き上げと薬価改定というのはセットで質問になっておりますが、その辺のことをお話しいただきたいと思います。
#178
○国務大臣(園田直君) 渡部委員の薬価基準改定調査に対する御質問はまことにごもっともでございまして、厚生省、はっきり覚えておりませんが、前の国会で遅くとも四月中にはこの取りまとめをいたしますという答弁をしているように私は記録で拝見をいたしております。したがいまして、いまなおこれができていないということはまことに残念なことでありまして、私の能力としては、渡部委員が納得されるような答弁は残念ながらできる能力がございません。ただ急いで御趣旨に従って作業を早く取りまとめ、改定にかかるようにいたしますと、こういうこと以外には答弁はできません。
 なおまた、薬価の基準改定と医療改定について、私がきわめて不明確なインタビューをしておりますが、これは当面のいろんな予算その他の情勢で薬価基準改定、それから引き続いて医療改定ということを考えますと、いま私がこれを発言して問題にしない方が、これを進めていく上にいいんじゃないかと、こういう政治的な配慮から、ずるい考え方でありますがきわめて不明確にしておるわけでございます。
#179
○渡部通子君 そういうふうに政治的に言えないんだと言われてしまえばそれまででございますが、この薬価基準改定の時期と、それから診療報酬の改定という問題は連動して考えなければならないものですか。
#180
○国務大臣(園田直君) 連動するかどうかわかりませんが、これをやろうとすると、実際的にはやっぱり関係が出てくると存じます。
#181
○渡部通子君 そのおっしゃらんとするところはよくわかりますけれども、厚生省がそんな配慮をしてもしなくても、もうすでに医師会の方では訴訟を起こしても医療報酬を上げると、このくらい強い態度でいるわけです。ですから、そんなに御遠慮なさらなくても、そこはたて分けてこの薬価に対する矛盾は矛盾で正すと。また、それは別系統で、診療報酬という問題は私たちもいまの診療報酬体系が決していいとは思っておりません。結局は薬でかせがなきゃならない医療のあり方というものは一番まずいわけでございますから、診療報酬は診療報酬で検討すると、薬価の矛盾はできるところから正すと、そういう毅然たる姿勢があってしかるべきだと思いますが、いかがでございますか。
#182
○国務大臣(園田直君) 第六次の調査がおくれておりますのは、私の政治的配慮からおくれているわけではございませんので、早急に急いでおります。特にまた、薬価基準の改定は消費者物価に影響するという御意見も全くそのとおりでございますから、急いで努力をいたします。
#183
○渡部通子君 これ以上の御答弁は出ないようでございますから、この辺でとめますけれども、私は本当にこの薬に対するいまの国民の不信というか、それから医療のあり方の矛盾というものは、もうこれは大変なものだと思います。そんなむずかしいことは言わなくても、薬でもうけているというこのあり方に対して、これほどやりやすい行政として手を入れなけりゃならないことが、二年たっても二年三カ月を経過しても手がつけられないという、こういうところにいま国民の医療行政に対する一つの不信というものが如実にあらわれていると思うし、私はこれほどの怠慢というものが許されていいだろうかと、素朴にそう思わざるを得ないわけです。この改定一つできないような厚生省の実力であったならば、いまのこの複雑な医療行政にどこから一体メスを入れることができるんだろうかと。こういう手のつけられるところからでも周辺を整理していくべきだと私はいま申し上げましたけれども、それに対して診療報酬がすぐに火を吹くからという、そういう本音の御心配があることはよくわかっております。しかしながら、それはそれとしてやると。だけれども、これほど怠慢行政が言われている薬価に対しては、それなりに急ぐと、こういう姿勢をあくまでもはっきりしていただきたい。本委員会においていつという答弁はもう幾ら言っても出そうもありませんから言いませんけれども、そこに私は医療に対する国民の不信が集まる一点があるんだと、これだけを強く申し上げさせていただきたいし、第六次を、この結果をまたなきゃ何もできないということではなくして、本調査がすでにきちっともうできてあるわけですから、それに対して第六次がまた第七次に延びる可能性というものがいまの御答弁からは出てくる危険性ずいぶんあるわけですよ。そういった点で、どうか大臣の積極的な姿勢は買いますから、なるべく早くこれについては国民の納得いくような結論を出していただきたい、重ねて御要望を申し上げたいと思います。
#184
○国務大臣(園田直君) もっともなおしかりでございますが、第六次がさらに延びるようなことは、それは絶対にいたしません。御趣旨を奉じてなるべく早く改定ができるよう作業を進めてまいります。
#185
○沓脱タケ子君 限られた時間でございますので、前置きなしに端的にお伺いをしていきたいと思います。
 同僚委員からもすでにお話がございましたが、スモンの問題でございます。スモンが世界に類例を見ない薬害であり、患者さんばかりではなくて家族にも肉体的、精神的、経済的に与えた長期にわたる打撃というのはきわめて大きいのは、もう周知のことでございます。チバ、武田、田辺の製薬三社がいまだに投薬証明のない患者さんの救済――救済とも言えないですよね、最低の義務すら拒否しておるということについては、私も本当に腹の底から怒りを感じるようなことでございます。こういう態度というのは、少なくとも加害者のとるべき態度だと思わないわけです。こういう事態が続くということになれば、これは国会にも三社の社長さんたちにもおいでをいただかなければならないということにもなるんではないかと思うんです。すでに午前中から同僚委員のお話もございましたが、すでに昨年の九月十五日の確認書で確認をされて、年内に解決をするということになっていたのが、すでに一年以上になってきております。何とかして今国会中に勧告を受諾させるように、やはり全力を挙げていただきたいと思うわけです。御答弁はそれなりにお伺いはしておりますけれども、重ねて御要望申し上げたいと思う。
 特に二十二日、あすですね。あす、すべての患者団体の代表の方々が統一して大臣にお目にかかれるということになっておりまして、患者さんの団体の方々、大変大きく期待を持っておられます。どうか大臣にお願いをしたいんですが、こういう患者さんたちの本当に骨身を削るような長期にわたる運動と闘いの結果やっとここまできた、最後のところだというところへきているわけでございますから、要望をよく聞いていただいてぜひ実現のために御努力をいただきたい。
 午前中にもお話が出ておりましたけれども、私も少なくとも今国会中には必ず解決をしていただきたいということを強く要請をしたいんですが、大臣の御決意を重ねてお伺いをしておきたいと思います。
#186
○国務大臣(園田直君) 三社との交渉の経過は御承知でございますから省略をいたします。
 ただいまの御意見のように、強い姿勢と決意をもって三社が裁判所の勧告を受諾するように、なお二十二日には患者の方ともお会いいたしますから、御説のごとくよく要望も聞き、その立場も承りまして、少なくとも今国会中には三社がこれを受諾するというところまではこぎつけたいと努力をいたします。
#187
○沓脱タケ子君 大変心強いお答えをいただいておりますので、引き続き、先ほども出ましたが、三十日にすべてのスモン患者の方々が一緒になって製薬三社のトップ交渉をやりたいということで申し入れをされておりますが、私は加害者の立場にお立ちになるなら、部分的にいろいろ御意見があろうとも、これは当然加害責任を持つ三社の社長が患者さんにお会いになるという誠意を示すぐらいのことはあたりまえだと思うんです。ところが、いままでなかなかそれが実現できない。私どももたびたび大阪でございますので、参加をしておりますけれども、実に冷たい態度です。見ちゃおれないですよ。ですから、いよいよ最後の大詰めですし、これは大臣からもぜひ力を尽くしていただいて、最後の段階なんだから、どうしてもやっぱりきちんとお会いになって加害者の立場としての誠意を示すようにということを強く要請し、必ず実現ができるように労をとっていただきたいことをお願いをしたいわけですが、いかがでしょう。
#188
○国務大臣(園田直君) 各委員からの具体的な強い御要望でございますから、患者の側に立って会社にこの意を伝えます。
#189
○沓脱タケ子君 それじゃ、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、生活保護の級地の是正の問題についてお伺いをしたいんですが、これはいつも問題になるんですが、生活保護の級地の是正問題というのが、特に低いところでは常に問題になっております。すでに検討中であるということをお聞きをいたしておりますが、たとえば私どものおります大阪では貝塚だとか泉佐野市だとか泉南市だとか田尻町だとか河内長野市あるいは富田林市、羽曳野市、柏原市など二級地なんですが、こういうところ、たとえば貝塚のようなところは一級地の岸和田と比べてもこれは生活費その他生活状況から言いまして、むしろ貝塚の方が高いというデータなども出ているわけでございます。そういう人口の実態、生活実態から是正をどうしても要求するのは当然だと思われますが、厚生省はことしの三月の本委員会では秋ごろに是正をなさるというお話でございましたが、いつからこれは指定変えをなさるのかちょっとお伺いをしておきたいと思います。
#190
○政府委員(山下眞臣君) 御承知のとおりに、生活保護につきましては五十年度から三カ年計画で四級地解消ということをいたしたわけでございます。おおむねそのほかにも二、三年に一回程度で級地の指定変えをいたしてきております。この春申し上げましたとおり、現在鋭意検討いたしております。三千三百の市町村から資料をいただきまして、その作業ももうほぼ大詰めに近づいてきておりますので、できるだけ早くということで、できれば年内にも実施ができるように努力をいたしたいと、かようなことでございます。
#191
○沓脱タケ子君 年内に実施ができるということとして承ってよろしゅうございますか。
#192
○政府委員(山下眞臣君) そのようなつもりで努力をさしていただいております。
#193
○沓脱タケ子君 ぜひ実現をさせていただきたいということを重ねてお願いをしておきます。
 次に、障害者対策の問題ですが、これは非常に障害者対策の問題というのは課題が多うございますし、きょう限られた時間で私できないと思っているわけです。これは先ほども同僚委員からも御提言があったようでございますが、国際障害者年に向けまして本委員会でも十分論議を必要とすると思いますので、そういう適切な時期をつくっていただきたいということを、あらかじめ委員長にもお願いを申し上げておきたいと思います。
 きょうは前後の事情がありますので、一問だけお伺いをしておきたいんですが、これは昨日も衆議院でお話が出たようでございますが、重ねてこれは確認をしておきたいのでお尋ねをしたい。
 というのは、いわゆる法律用語の中に非常にぐあいの悪い、不快用語というふうに新聞では報道されておりましたが、不具疾廃者などという用語がいまだに残っております。で、この法律というのは十一もありますし、施行令、政令等を含めまして八つですか、それから地方条例がそれに基づいてあるというふうなことのようです。しかも、それだけではなくて、これは厚生省関係の法律の中でもずいぶん見たらひどいですね。医師法なんかでも欠格条項では「未成年者、禁治産者、準禁治産者、つんぼ、おし又は盲の者」という表現がこれはずらっとありますね。で、新しいところは改正をしているわけですから、こういう点は障害者年でなくてもこれは当然改善しなければならないわけですけれども、少なくとも障害者年を迎えるに当たって全法律を見直して、そして国際障害者年特別委員会にお諮りいただいて、このような不快あるいは差別的用語というのは、法律から一掃するような措置をぜひおとりいただきたいということを強くお願いをしたいと思いますが、大臣一言お願いをいたします。
#194
○国務大臣(園田直君) 不適当な用語、不快な印象を与える用語、これが各省全般の法律にあるわけでありますが、特に私の厚生省の中の省令にその点が多いわけでございます。これは当然変更すべきことでありますので、できれば内閣全般としてまとめて、これは用語の変更であり、各党にも御異存のないところでありますから手続は簡単でありますから、早急にまとめてやるべきだ、もしそれができなければ厚生省だけでもと考えておりましたら、これは総理から、内閣としてこれをまとめてやろうと、こういうことになりましたので、どこでやるか、多分総理府だと思いますけれども、ただいま御発言のとおりに仕事を進めていくようになっております。
#195
○沓脱タケ子君 それでは、ぜひそれは実現方を早期にお願いをしたいということを申し上げておきます。
 次に、富士見病院の問題でございますが、富士見病院事件というのは、全く反人道的、反社会的、まさにショッキングな事件でございます。しかも、その訴えたというんですか、保健所に訴えて出た被害者の方が千人以上に及ぶというんですね。そのうちの九百六十九人がME機器で検査を受けている。七百二十六人が手術室に送られている。しかも、正常な子宮や卵巣まで摘出をしたという今回の事件というのは、恐らく世界にも類例を見ないまさに人道上許すことのできないような事件だと思うのでございます。したがって、私ども考えますのは、当然のこととして、この富士見病院に対しましては厳正な態度をとるということは当然のことだと思いますし、すでに同僚委員からも御意見が出され、また衆議院でもわが党の浦井委員等からいろいろと具体的に申し上げております。そのことを私ここで繰り返そうとは思っておりません。
 確かに理事長の北野早苗という人の逮捕だけにとどまってはならない。当然北野千賀子院長ですか、院長を初め五人の医師の犯罪行為の調査、これはもうあたりまえのことだと思うのです。そうして、病院の閉鎖あるいは医師の資格の取り消し等、調査の上でこれは当然やらなければならない、これはもうできるだけ厳しく追及をするべきだという立場でございますし、このことはすでに衆議院でも述べられておるとおりです。同時に、再発防止のために、これは大臣もお認めをいただいてやっていただける運びになっていると思いますが、各県での苦情処理委員会――名前はどうなるかしりませんが、そういったものをつくって国民の医療に対する苦情を受けていくという問題、同時にまたME機器の適正配置等々、これらの問題については、これはすでに論議がなされておりますし、わが党の同僚議員も衆議院でもすでに提起をしておりますので、これは私繰り返すつもりはございません。しかし、今日この医師、医療機関と国民との間の信頼を取り戻すということが、何よりも大事だと思うわけでございます。そういう中で、富士見病院問題が出まして以後、医師のモラルの向上あるいは医療団体、医師団体等の自浄能力の強化等々をみずから自発的に訴えを挙げてきておりますし、私はこのことを実現をさせていくということが非常に大事だと思うんですが、しかし、今日の深刻なまでになっております医療危機、この医療危機の進む中で、医師や医療団体だけがそう考えても本当にうまくいくんだろうかという点がやはり一つ心配になります。
 といいますのは、きょう時間がありませんから端的にお伺いをしていきたいと思うんですが、たとえばこういうことがあるんですね、病院が倒産するというような出来事があります。以前には病院の倒産などというものは聞いたことがありません。ところが、最近急増しております。昭和五十二年度には九件、負債が十八億円です。五十三年度は十八件、五十二億円。五十四年度は二十四件で負債が七十二億円。五十五年度は九月末現在でもう昨年の二十四件を上回るというほど倒産件数が出てきているわけです。これはやはり医療の世界という点では異常な事態だと思うわけです。やはり、こういう異常な事態というのはなぜ起こってきているかという点に深くメスを入れるということなしには、これは本当に目先だけの手当てでは国民の信頼を取り戻し、医療を本当に国民の手に取り戻していくということができないのではないかという点が非常に大きな課題だと思うわけです。
 たとえば、どんどん倒産が出てきているという背景というのを考えてみますと、たとえばわが国の歴史的な医療制度というものがあろうと思うわけです。わが国の医療というのは、民間医療機関が中心になって発展をしてきたというのが、御承知のとおり日本の医療制度の特徴でございます。したがって、勢い官公立病院が少なくて、民間医療機関が非常に多いという結果が出ているわけです。ですから、そういうことになってきている状況を見ますと、たとえば日本では、開業してうまくいくとまずベッドを持って有床診療所にする。さらに、それでやっていけると思うと病院にしていくというふうに発展をさしてきている。これが大体わが国における個人病院のパターンなんですね、これは。そういう中で、今日十兆を超すと言われている膨大な医療費に対して、やはり大資本からの攻勢というのは、いろんな形でかかってきています。
 その一つは、薬づけというふうに言われておりますことに代表されます製薬資本ですね。製薬企業が十兆円を超す医療費に対して、黙って指をくわえているはずはないわけです。ですから、製薬関係では三兆円を超すという生産を上げ、御承知のように各業界と比べましても、経常利益等はずば抜けて高い。ずっと続いているという状況になってきておりますが、そういう結果が国民の中では薬づけなどと言われるような状況を生んできているわけですね。最近、特に顕著になってきておりますのは、もう一つの医療産業が、やっぱり国民医療というのを一つの重要な市場としてねらいを定めてきているという点があると思うわけです。
 その一つは、問題になっておりますMEを中心といたします医療機器産業ですね。それからもう一つは、最近顕著になってきておりますことは、銀行資本などの直接参加による、こういう直接参加型の大病院の建設ですね。こういう結果が、ごく大ざっぱに見てみましても個人病院に対してはどういうふうな影響を及ぼしてくるかといいますと、片方ではME機器による重装備をやらなければ競争に勝てない。だから装備をせざるを得ない、上手に売り込んでもくると。こういう関係があるわけです。片や大資本、特に銀行資本などの直接参加する大病院に競争を吹っかけられるという形になるわけですから、そういう両方の挾撃の中で生き延びていくためにというか、生き残るための競争というのが医療機関の中で猛烈に起こっているわけです。これはもう私ども十年前にはちょっと考えられなかったことですが、昨今急激にそういう事態が起こってきています。そういう結果が、やはり医療の原点であります医は仁術といわれるこの理念を吹き飛ばして、やっぱり利潤追求、経営中心主義的なところに走らざるを得ない、生き残るためにはやらざるを得ないというところまで追い込まれてきているという状況が出てきています。生き残れない、競争に負けた分はばたばたと倒産をしてきている。だから、かつては聞きもしなかった病院の倒産というのがどんどんふえてきている、こういう状況でございます。
 したがって、この富士見病院事件が、先ほど大臣、氷山の一角だと思うとおっしゃっておられましたけれども、そういう氷山の一角としての御心配を本当に払拭をしていこうと思うならば、背景にこういう状況があるんだという御認識をお持ちかどうか。ここにメスを入れなければ、本当に国民の信頼の得られるような医療機関というのは確立できないのではないかという点を非常に憂えているわけでございますが、その点、大臣、そういった背景が流れとしてあるんだというふうな御認識をお持ちになるかどうか、その点どうですか。
#196
○国務大臣(園田直君) ただいまの御意見は、さすがに沓脱委員はお医者さんでございまして、非常に的確に私に把握することができました。ただいまの御意見によって根本的な問題がはっきり認識することができました。
#197
○沓脱タケ子君 私はここにそういう流れ、傾向というんですか、日本の現在の社会情勢、そういうことと無関係には起こっていないということに、この認識にお立ちをいただいて、ここにメスを入れる必要があると思うのです。
 先ほど同僚議員から薬価基準の問題等の御指摘もありましたけれども、私どももこの点についてはこの辺だってもっとはっきり、こういう立場でメスをお入れになるべきだと思うんです。原価をやはり明らかにしていく。そうすればあんな薬のさやかせぎを医者にさせるような医療体系は検討すればいいんですから、原価を明らかにして、必要なマージンをちゃんと乗せるということにすれば、こんなに国会でもう、やいやい言われても煮え切らない回答しかできないようなことは解決できると思うのです。そこにやっぱりメスを入れていくということが同質の問題だと思うわけでございます。
 私は、そういった点で国民との信頼を回復していくためにはどうしても医療政策、医療行政に国民が参加をするということを、ひとつ考えなきゃならぬと思うんですね。同僚議員の御質問の中で大臣がおっしゃっておられたように、恐らく富士見病院というのは氷山の一角だから、だから何とかして厚生省あるいは警察、あるいは大蔵省の持てる権限を十分に発揮してやっていきたいというお話、あるいは苦情処理委員会をつくっていきたいというふうなお話がございました。私は、さしあたりその点は、富士見病院の追及に当たってそのことを進められることは非常に大事だと思うんです。同時に、医療というのはすぐれて専門的、技術的な分野でございまして、関係者だけの協議では国民の皆さん方は少しも安心できないという関係にあろうと思うわけです。で、苦情処理委員会といえども、これは苦情があってから持ち出すという段階でございまして、もうその医療機関に信頼が十分持ち切れないという国民の状況に対応する状況にはならないと思うわけですね。
 そういう点で、国民が医療機関を信頼し、医療機関との相互信頼が確立できるような状況というものをどうしてもつくらなきゃならないし、そのことが医師やあるいは医療団体の、いわゆる自浄能力を何とかして発揮したい、相互チェックもやっていこうと、いろいろと心を悩まし、矛盾に悩まされているという医療関係者に大いに力を発揮させていく道につながりはしないか、これは援助する道になりはしないかと思うわけです。そういう点で、私は、苦情処理委員会は恒常的に当然設置をしていただくというのはありがたいことだと思うんです。同時に、厚生省の中で検討委員会をお持ちになって御検討いただいていると言いますので、少なくとも、医療の分野について国民が参加のできるという原則を確立をすることが大事ではないかと思うんです。
 というのは、どういうことかと言いますと、たとえば、府県なりあるいは市町村なりに、医師、医療機関はもちろんのこと、歯科医師団体も薬剤師関係の団体も、あるいは看護婦さんや保健婦団体も、医療関係のすべての団体の皆さん方を網羅し、同時に住民の代表、住民団体の代表あるいは労働組合の代表等も参画をして、そして、当然保健所等がお入りになって、今日の荒廃した医療を国民の手に安心して取り戻せる医療に改善をさせていくということを、お互いの努力と信頼関係でディスカッションをしながら発展をさしていくという立場で、たとえば、そういった住民参加を原則とする医療対策委員会のようなものをぜひつくっていただいて、国民の皆さん方が医療機関について、みずからの知識と、みずからの見解で信頼関係を確認できるようなところを、機関をぜひつくる必要があるんではないかと考えるわけであります。
 そういう点で、私は厚生省の中につくっておられる検討委員会でぜひ御検討の対象にお取り上げをいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
#198
○国務大臣(園田直君) まず最初の富士見病院関連で、病院、それから逮捕されておる北野医師、これに至る処分は許される範囲で最大限の厳正な処分をしてやる決意に変わりはございません。
 二番目の問題でありますが、いま当面こういうことでありますから、とりあえず、ただいまやるべきことは不正の摘発、監視、監査、こういうことを強化することだと思っておりますが、しかし、医療行政の最後の目的は、失礼でございますが、独断かもわかりませんが、医療についてはお医者さんや医療機関が主人公ではなくて、地域住民が主人公である、国民が主人公であるという基本を確立することが、医療行政の最大の問題であると考えております。したがいまして委員各位のお知恵を拝借して、とりあえず検討委員会に、具体的に各県に苦情処理機関みたいなものをつくって、そしてこれを厚生省の中で受けとめる機関をつくれ、具体的に仕事を始めるように命じておりますが、これは恒久的なものではなくて、期限は切れませんが暫定的なものとして私はやりたい。そしてやっているうちに悪いところは直し、さらに充足をし、将来は苦情処理機関ではなくて、いまおっしゃった地域住民が医療に参加できるようなものにつくり変えていきたい、こう思っているところでございます。
#199
○沓脱タケ子君 いま国民が主人公の国民医療、医療体制というものを考えていただくということなので、御信頼申し上げておりますから、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
 私は細かいことをいろいろお聞きをしたいと思っていたんですが、余り時間がありませんので、ひとつだけお聞きをしたいと思うのですが、ちょっと不思議でならぬなと思うのは、たとえば、富士見病院五十六床でしょう。その中で昭和五十三年に五百五十例、五十四年に六百二例が分娩、出産の関係の手術以外に婦人科だけの手術が、それだけ開腹手術があったということ、私どもの常識から言うと、これはもうちょっと考えられない数なんですね。医者が五人、院長含めてですか、一般の産婦人科病院だったら分娩手術を含めて大体年間三十例から五十例くらいですよ、普通の病院なら。国立医療センターという新宿のあそこの例を聞いてみますと、ここの産婦人科はお医者さんが九人ないし十人と言うのです。ベッド数四十八床というのだから、ほぼ一緒ですが、お産の帝王切開、いわゆるお産のときの手術を除いて、こういう帝王切開とか子宮外妊娠の手術を除いて、全く婦人科的な手術の数を考えると一週間に四例ないし五例だと言う。一週間に四例ないし五例と言いますと、一年に二百例、三百例以内ですね、二百例余り。こんなにばかに多い、ちょっとだれが考えても驚くばかりの数ですが、これが保健診療の請求明細書というのが毎回毎回出されているわけですから、ちょっと多いんじゃないかというのをすぐお気づきになってしかるべきだと思うんですが、チェックできなかったんですかね、ちょっと不思議なんです。
#200
○政府委員(大和田潔君) 実は支払基金におきましては、おっしゃいましたように、レセプトによりまして審査をするわけでございますが、まず一つは、レセプトにおいてこの病気ではこの手術はおかしいというはっきりしたことでありますればチェックできるわけでございます。ところがなかなか支払基金からの報告によりますと、やはりこの病気であればこの手術はやむを得ないといったようなレセプトが出てきておったというようなことでございます。
 それからもう一つはちょっといまおっしゃいました例数が確認できないんですが、最近の八月のレセプトなどを見ますと、ほかの医療機関と比べましてそれほどの多い手術が行われているという、そういう例はないというようなことで、基金からの報告によりますとチェックが、そういう意味で不当な中身の診療であったというチェックができなかったというような報告が来ておるわけでございます。
#201
○沓脱タケ子君 いや一枚一枚は筋が通っていても、それは一年に五百も六百例も手術例が出てくるということになったらやっぱりおかしいじゃないかという疑いが、だれでも起こるんじゃなかったろうか。結果的にわからなかったわけだけれども、報道によりますと、不正請求の疑いもあるということで立ち入り調査などをなさっておられるようですが、これは当然不正請求になれば保険者に金額は返金させるんでしょうね、返還を。同時にその場合に、こんな異常な例で一部負担で払っている人もあるでしょう、キャッシュで。これも一緒に払わせますか。
#202
○政府委員(大和田潔君) ただいま先生おっしゃいましたように、一部負担を取っております、そういうことがはっきりした場合、不正請求であるということがはっきりいたしました場合には、その患者に対しましても不当に徴収した一部負担ということになるわけでございますので、これは返還するように措置をいたす所存でございます。
#203
○沓脱タケ子君 それから、この富士見病院問題というのは、政治献金絡みなんですが、特に医療の倫理の確立と言われていると同時に、政治倫理の確立も大変大事なんです。端的に申し上げますが、園田厚生大臣御就任のときにも非常にはっきりおっしゃっておられるんですが、実は、日本医師連盟から園田大臣の御関係になる政治団体への寄付というのが、五十一年には晃山会三百万、それから第三政経研究会三百万、計六百万ですが、五十二年が晃山会三百万、それから五十四年が弥生会が三百万というように、日本医師連盟から献金をお受けになっておるようでございますが、これは総理が予算委員会でもお述べになっておられましたけれども、大臣も自分の所管団体や法人からの政治献金を受けるのは自粛しなければいかぬとおっしゃっておられましたが、園田大臣はどうなさいます、これは。
#204
○国務大臣(園田直君) いま言われました日本医師連盟からの献金は、数字は覚えておりませんが事実であると思います。力むわけではありませんが、私は、この際でありますから、まず私に対する国民の方から疑惑を持たれることはとうてい行政は進めてまいれません。したがいまして、そういう意味で私の所管内からの献金は一切丁重にあいさつをして、就任と同時にお断りをすでにしたところでございます。
#205
○沓脱タケ子君 その辺は隗より始めよと言われるんですから、ぜひその点は厳守していただきたいと思います。
 最後に、たくさん申し上げて大変なんですが、公衆浴場問題についてお聞きをしたいんですね。
 国民の保健衛生の維持向上のために非常に重視しなきゃならないというのは公衆浴場でございます。ところがこのごろ転廃業が大変続いておりますね。数日前の新聞でも、東京の中央区の「入舟湯」という百年も続いたという銭湯が物価高でついに廃業をした、廃業を惜しんで長年のお客さんがお別れパーティーを開いてくれたなんというのが新聞の記事に出ておりました。大臣御承知かと思いますが。それで、時間が少ないので端的にお聞きをしたいんですが、この公衆浴場組合から税制改正と、それから資金融資の条件改善に関する要望が出されていると思いますが、厚生省といたしまして、来年度はこの問題に対してどのように対処しようとしていらっしゃるのか。主なところだけでよろしゅうございますので、簡潔にお願いをしたいと思います。
#206
○政府委員(榊孝悌君) お答えいたします。
 お示しのように、公衆浴場の経営が非常に悪くなってきているということで、従来から厚生省としては環境衛生金融公庫によります融資制度の充実を図りまして、施設の近代化とか、そういう営業コストの低減ということでいろいろ努力をいたしておるわけでございます。
 今後の問題でございますけれども、五十六年度の予算要求というものに当たりましても、いま申し上げました環境衛生金融公庫によります融資の改善、貸付限度額の引き上げ、それからさらに、今年研究をしておりますが、ソーラーシステムについての、そういうものの設置についての特例措置というふうなものも要求しておるところでございます。そういった形で、できるだけ公衆浴場の経営の安定化というふうなものに努めていきたいと、こういうふうに思っております。
#207
○沓脱タケ子君 それでおふろ屋さんに聞きますとね、こう言うんですよ。五千万、八千万といって貸していただいても、利息が高いからとてもじゃないけれども将来展望が十分持てない。これ、借りても展望を持って返していくめどというものが持てない、何とか利息を補助してもらえないかというような御意見というのが強うございますね。大阪では関連施設についての制度融資という制度がございますが、そこでは四%の利率を超した部分は利子補給しているんですね。地方自治体でもそれくらい苦労しているんだから、政府の方でもぜひこれはひとつこういうことを考えてもらえないだろうかというふうな意見。
 あるいはもう一つは、おふろ屋さんというのが建物の所有者とそれから営業者とが別々に、いわゆる貸しぶろを借りて営業しているという、こういう形態というのがあるんですね。その場合に、融資の対象は建物の関係の方にはできないことになっているんですね。営業している方にしか出せないことになっているらしいですけれども、実際に貸し借りをしている間ではどうなっているかというと、建物の所有者と経営者の間の契約は、十万円以下の修理については経営者がやると、それ以上の分については建物の所有者がやるというふうな契約に基づいてやっていることが多いんだけれども、大修理になってお金が所有者に借りられないということになってくると、もうしようがないから、結局廃業に追い込まれると。こういう問題があるのでこれらの点は考えられないだろうかということでございますが、そういう点は何とかできないもんだろうかという点が一つ。
 もう時間がありませんのでまとめて言いますがね、もう一つは、廃業の原因というのはもう厚生省所管ですからよく御承知だと思いますけれども、その一つは自家ぶろの普及ですよね。これはまあある意味ではは、生活水準の向上も含めていい側面もあるかと思うんですが、もう一つの大きな要因といいますのは、重油の値上がりのコストアップなんです。たまたま私大阪の資料を見せてもらってびっくりしたんですけれども、去年とことしとの比較で、これは大阪の浴場組合連合会の重油の共同購入事業実施の販売価格なんですが、昨年、五十四年三月三十一日には一キロリットル当たりが二万七千三百円、それがことしの四月十日、五十五年四月十日には七万三千五百円二倍半。二倍半を超すんですね、この共同購入に入っていない人は八万五千円超しているというんですね。だから、二倍半から三倍になっている。これが一番、重油等のコストアップが一番大きな問題なんだけれども、こう言うんですよ、おふろ屋さんの人たち。これ何とかならぬだろうかと。石油会社の皆さんが大変お困りになっているというんならやむを得ないけれども、ずいぶん出光さんのように七十二倍も経営利益を上げておられるというふうなことであるのに、片方では二倍半も三倍も上げられて、それじゃあふろ代がどれだけ上がったかといったら十円か十五円ですからね。ふろ代どんどん上げたらお客は減るわけだから。そういう状況なんで、何とかしてこの重油の量的にもまたコストの上でも、安定供給を政府として考えてもらえないだろうかというのが、非常に切なる要求のようでございます。
 こういった点について、いま三点申し上げましたが、お答えをいただいて私は終わりたいと思います。
#208
○政府委員(榊孝悌君) ただいまのお尋ねでございますが、まず第一点の問題でございますが、これは貸付利率の問題でございます。この環衛公庫によります貸付利率につきましては、御承知のとおり、公衆浴場については特に他の業種に比べますと一応有利な条件をつくっておるわけでございます。それから、さらに償還期限につきましても一般の業種につきましては十年でございますが、公衆浴場につきましては二十年、そういうことで私どもとしてはこれは環境衛生営業の中いろいろな各種の営業があるわけでございますが、そういった中でできるだけの実は努力は払っておるつもりでございます。しかし、この公衆浴場の問題解決のために、さらにそういった貸し付け条件についてはできるだけの努力は払っていきたい、こういうふうに思っております。各都道府県あるいは市町村等でいろいろとこういった助成策を講じておることも承知いたしております。それは、それぞれやはり地域住民の保健衛生の維持のために必要な施設ということでいろいろお考えいただいておると思うわけですが、私どもとしてもいろいろそういった意味での努力は払っていきたいとこういうふうに思っております。
 それから次に貸しぶろの問題でございますが、これは実は現在法律上いろいろ問題がございまして、いま私どもとしてもこの辺やはり何かいい方法はないだろうかということで検討をしておる段階でございます。
 それから第三点の燃料の問題でございますが、これはやはり年々燃料の高騰といったことで、これが経営の上で非常に大きな問題要素になっておるわけでございまして、お話ございましたような安定供給の問題につきましても、関係省庁に対して私どもの方からも要請をしておるところでございます。
 それから、さらにお話の中にありましたような共同重油施設といいますか、そういったものによって相当やはりコストの上では一般の価格よりは安く供給できるということもございますので、この辺も環境衛生金融公庫の融資対象という形で、少しでも安い燃料が供給できるようにというふうなことも考えております。
 それから、さらに先ほども申しあげたんですが、ソーラーシステムを何か導入できないかということで五十五年度予算で調査研究をいたしておる段階でございますが、この成果を見まして、公衆浴場にどういうものが適当かどうかというふうなことで、将来はこの融資措置についても実現していきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#209
○柄谷道一君 埼玉県所沢市の富士見産婦人科病院のでたらめ診療、医療行為は医療以前の犯罪行為であり人道上の問題であると思います。しかし、この問題につきましてはすでに多くの委員が取り上げてきたところでございますので、私はあえてその重複は本日は避けたいと思います。そしてその徹底的追及と再発防止のために、本委員会で大臣の示されました積極的な姿勢を評価いたしますとともに、実効ある施策が一日も早く確立されることを強く希望いたしておきたいとこう思います。
 過日、厚生省は調査をいたしまして、昨年度だけで史上最高の十億三千八百万円もの医療費の架空請求や水増し請求があり返還を求めたと、このように驚くべき事実が公表されております。これは私は富士見病院の度を超えた診療というものが医療界の例外的現象ではなくて、医療界に広くそして深く巣くっているという事実の一端を示すものではないかと思います。また同じく厚生省が昨年六月に政管健保のレセプトを対象に調査をいたしておりますが、対前年比平均伸び一・五%と対比いたしまして検査量は一八・六%増、投薬量は六・六%増となっていると公表されております。これは検査づけ、薬づけの傾向が強まっており、この中には過剰検査や過剰投薬が相当あるのではないかということを推定させるものであろうと思います。多くの委員から指摘されておりますように、私は医療は本来、医師に対する患者の信頼感の上に成り立つものである。そして医師はその信頼にこたえる責務がある。双方の信頼関係により成り立つものであろうと思うのでございます。富士見病院の事件はその信頼性を根底から覆したものでございますけれども、医療費の不当請求や過剰検査、過剰投薬もまた同類ではないか、こう思います。悪貨は良貨を駆逐する、こういうことわざがございますけれども、こうした事態を放置すれば私は良医の医療行為、請求事務にまで悪影響を及ぼし、これが医療界全体の崩壊にすらつながっていくおそれがあるのではないか。そしていわれのない医療行為とその請求は、現在十兆円を超える医療費の増高となって不当に国民の負担を増大させることは明らかであろうと思います。こうした問題に対する大臣のまず基本的な御見解をお伺いいたしたいと思います。
#210
○国務大臣(園田直君) 架空請求、水増し請求等の不正請求の防止及び是正、これを図るため従来からも監査、指導等やってきたところでありますが、今度の事件にかんがみ、特にこれを厳正にしていくよう一層の努力をする所存でございます。かつまた、いま私にしばしば全国のまじめなお医者さんから手紙が来ておりますが、そのお医者さんからの手紙は、自分たちまじめな医師の立場を守るためにもこういうものをどんどん正していってくれ、こういう非常にありがたいお手紙をいただいておるところでございます。
#211
○柄谷道一君 私は、いま大臣がおっしゃいましたように医療を正常化し、正当な医療費と適正な国民負担を確保するためには、もちろん医師自身の手でその浄化を行い、医の倫理を確立することが前提であろうと思います。しかし、これとあわして医療のシステムと医療行政を適正かつ厳正にするということが必要なことは、多言を要しないと思うのでございます。すでにたびたび社会保障制度審議会、社会保険審議会はこの医療保険をめぐる前提条件について数多くの提言、答申を行っております。医療教育体制の問題、医療供給体制の整備の問題、診療報酬体系の是正問題、現実に即した医薬分業の推進問題、さらに進んで医と検査の分業など制度的な改革が急がれなければならない。私は、公的審議会の答申というものが出ながら今日まで率直に言って、失礼かもしれませんが、保険財政対策にのみ追われ、これに終始してきたということは、私は政府の怠慢ではないかとすら思うのでございます。これらの問題につきましては、健康保険法の改正法案も審議される時期でございますので、私はその際改めて徹底的に御質問をいたしたい。
 本日は医療費請求に関する行政指導と監査体制、診療報酬の審査体制の強化に重点を置いて御質問をいたしたいと思います。多くを語るまでもなく、私は医療に関する指導、監査、審査体制はより一層改善し、強化すべきである、これが国民大方の声であり、今日的世論であろうと思うんでございますが、大臣いかがでございますか。
#212
○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりでありまして、適正な健康診療を確保するためには保険医療機関に対する指導、監査はきわめて重要であります。その厳正な実施についてさきに事務次官通達をもって各県知事に通達したところでありますが、なお早い時期に各県の衛生担当、保健所等を集めて、大臣みずからいろいろ懇談をして指導、監査の強化を図りたい。なお、御指摘のその体制の強化についても十分検討し、努力をする所存でございます。
#213
○柄谷道一君 医療専門官ですね。定員百七名に対し、現在七十六人しかいないと報道されております。私は、いま大臣がおっしゃったわけでございますけれども、この医療の不正に対する厳正な取り締まりの行政姿勢に積極性を欠いていたという、これは一例ではないかと思います。大臣の今後の医療専門官の充実に関する御所見をお伺いいたしたい。
#214
○国務大臣(園田直君) これはしばしば指摘されているところでありますし、当事者のわれわれ自体が一番痛切に感じているところであります。この地方、中央における専門官の充実、体制の強化、こういうことには、厳しい状況ではありますが、全力を挙げて努力をする所存でございます。
#215
○柄谷道一君 それとあわして審査体制でございます。大臣御承知のように、支払基金は昭和二十三年九月一日支払基金法によって創設されております。今日では国保を除く全健保と公費医療の審査支払い業務を担当して、請求支払い事務の一元化、審査を通じての診療報酬の適正化、診療報酬支払いの安定化の役割りを果たしておることは御承知のとおりでございます。特に、支払基金は他の特殊法人と異なりまして、その労働組合の主力となっておりますのは支払基金労働組合でございまして、全職員の九八%を占めております。その支払基金労組が責任組合として公的使命達成のために今日まで努力を続けておるわけでございます。大臣は、この支払基金の現状をどのように評価されていらっしゃいますか。
#216
○国務大臣(園田直君) 支払基金について御努力は平素から感謝しているところでございます。この審査について、医療保険制度における重要性から言えばこれが一番大事でございますので、この充実を図らなければならぬと考えておりますが、具体的なことについては局長から答弁をいたします。
#217
○政府委員(大和田潔君) ただいま大臣の答弁のとおりでございますが、私どもも審査の充実ということにつきましては非常に力を入れてまいりたいと思います。特に審査委員の充実ということをいたしまして審査委員を増員する中でも専任審査委員について増員を図ってまいり、審査の充実を図ってまいりたいと。さらに支払基金におきまする業務につきましてもそれを充実いたしまして、たとえば医療機関ごとの診療傾向の把握をすることができるような、そういう体制をつくるといったようなこと、あるいは審査委員、職員等の研修を充実するということで審査の重視を図っていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#218
○柄谷道一君 その具体的内容は追って御質問いたします。
 そこで大臣ですね、今日行政改革の一環として特殊法人の一部整理統合が検討の俎上に上っております。大臣は、審査業務は今後ますます充実をしなければならぬと、こういま御答弁になりました。私は、現在の支払基金は他の特殊法人と異なる幾つかの面を持っていると思うのでございます。
 その一つは、各種医療保険とともに公費医療にまで取り扱い業務が拡大をし、取り扱い件数、そして診療報酬の額も歴年増加を続けておる、これが一つの現実でございます。
 第二には、他の特殊法人は政府から相当多額の交付金、補助金、資本金等の援助を受けておりますけれども、支払基金は設立当初の基本金として政府は四十万円の拠出を行っているのみで、事業運営は保険者負担により賄われております。そして予算の執行は会計検査院の対象となっておりません。
 第三は、支払基金に類似する特殊法人は他に存在いたしておりません。そして他の特殊法人を見ますと、そのトップマネージメントは大体管理、監督者が全職員の四〇%前後あるというところが多いのでございますが、支払基金の場合、常勤役員はわずか三名、管理、監督者も全職員の一〇%程度である。このように一概に特殊法人という位置づけをされておりますけれども、非常に異なっている面があり、かつ今後ますますその充実が要望されておる。私はこういう現実を見ますと、当然この支払基金というのは、俗に言う特殊法人の整理統合の対象の外にあるべきものであり、むしろ特殊法人という位置づけをしておるそのこと事態に問題があるのではないか、こう思うのでございますが、いかがでございますか。
#219
○国務大臣(園田直君) 支払基金については御指摘のとおりでありまして、今日社会保険診療報酬の適切な審査、支払いを行うことを通じて、医療保険制度の円滑な運営のためにきわめて重要であって、行革整理の対象になるべきものではないと私も考えております。
#220
○柄谷道一君 そこで、その支払基金制度については昭和四十六年九月十三日社会保障制度審議会は医療保険制度の改革に関する答申の中で、「支払基金における審査制度の位置づけ及び審査の仕方、」、「事務費単価決定についての基準の確立」、「事務費に対する国庫負担、政府出資の導入等について」専門委員会を設置して検討する必要がある旨の答申を行っております。また四十六年十月八日、社会保険審議会も支払基金について、その組織、機能、運営の全般にわたり検討を行い、支払基金法等の改正その他所要の措置を速やかに行う必要がある。これまた全会一致で答申を行っております。
 さらに、厚生省は支払基金に指示いたしまして、その指示に基き四者構成の特別委員会が基金内に設けられ、あらゆる問題を検討した結果、四十九年十月十八日厚生大臣に対し「社会保険診療報酬支払基金の組織及び業務運営に関する改善について(要望)」、これを提出しております。このような経過にありながら、厚生省は五十一年六月五日に基金法の一部改正は実施をしたものの、その抜本的制度問題については何ら触れられることなく今日に推移しておるわけでございます。
 大臣、局長がいまお述べになりましたように、今後ますます審査業務の適正化、充実というものが必要な今日、私は基金法の抜本改正というものは急がれなければならない大きな課題であろう、こう思うのでございますが、いかがですか。
#221
○政府委員(大和田潔君) 先生おっしゃいますように、各審議会並びに診療報酬支払基金の方から具体的な改善項目並びに要望等が出ております。それに基づきまして、私どもも支払基金との間で打合会を数回開いておりまして、その結果、先生先ほどおっしゃいましたように五十一年六月に基金法の改正、これによりまして審査委員定数を実情に合わせるというようなことであるとか、あるいは公費負担医療関係の業務の引き受けについての法的な根拠というものを、支払基金法で設置いたしたわけでございます。それ以外に審査委員の増員であるとか、その他の項目につきまして前向きに取り組んでおるわけでございますが、先生おっしゃいますように、まだそのほかにいろいろな具体的な改善をしなけりゃならない事項がございますので、今後とも引き続きまして支払基金との打ち合わせを行いまして、前向きに検討してまいりたいと、かように存じております。
#222
○柄谷道一君 私は当時社保審の委員でもあり、この答申をつくった一人、参加した一人でもありますけれども、当時この両公的審議会が大臣に具申したのは、小手先の改正をやればいいという趣旨じゃないんですね、これ。抜本的にこの際見詰めてみなさいという答申でございます。
 それから十年近く日時が経過いたしておるわけです。これは大臣、局長、御承知のように、支払基金が発足した当時はその法的性格というものは、政府管掌を初め各保険者の審査、支払いの機能をその委託のもとに代行するという、いわば保険者の共同事務処理機構というものがこの立法の精神であったと私は理解するのでございます。ところが、時代は変わりまして昭和三十年後半から国民皆保険の施策が急速に進められました。公費医療を中心とする医療保障の諸施策が実施されて、その審査、支払い業務をすべて基金の業務とされてきたわけでございます。私は、現在の基金の性格は、国及びすべての地方公共団体の行政事務の一部を処理する機構というものに、その性格を本質的に変えているのではないかとすら思うのでございます。しかも、審査、支払い業務は国の厳しい諸法令、諸施策の規則のもとに置かれております。実態的には国の業務そのものの性格にきわめて近い、いわば公共機関的性格を持っていると言っても私は過言でない。この前、厚生省が発表になりましたあのレセプト点検も全部支払基金から資料出ているわけでしょう。厚生業務の一部も代行しているわけですよ。そうだとすれば私は、基金をいわゆる公社的立場として認知をして、保険者に対して業務委託及び所要経費の費用の納入を義務づける、そういう立場でその位置づけそのものにメスを入れ、改革をすべきではないかと、こう思うのでございます。いかがですか。
#223
○政府委員(大和田潔君) なかなかその点につきましてはいろいろ意見が実はあるところでございまして、先生のような御意見はもちろん傾聴すべき御意見でございますけれども、保険者に対しまして診療報酬の審査支払いを支払基金に委託するよう義務づけるという、こういう形の制度改正になってくるわけでございます。現在は御承知のように委託は任意である。しかし、保険者の任意であるというたてまえでありながら、国鉄を除きまして被用者につきまして実質的には全部委託が行われておる。保険者が、本来保険者の有するところの審査権限というものをこれは健康保険法上有しておるわけでございます。これを支払基金に委託するという、そういう制度的なたてまえ、これ自体は私はそのようなたてまえでもって円滑にこれは推移しておるんではないかという、こういう考えをしておるわけでございまして、そうなってまいりますと、いまのような前提、先ほど来お話ございましたような問題はあろうかと思いますけれども、いまのようなたてまえで進んでいくことが、円滑に進む一つのやり方ではなかろうかというふうに思うわけでございまして、政府機関といいますか、公社、公団というものに変えていくことによって必ずしもいまよりも順調にいくかどうかという問題の検討はやはり必要である。私どもは、現在のたてまえでもって順調にいかせていくのがいいんではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#224
○柄谷道一君 いま局長の御答弁に何か私の意見が一部の意見であるかのような御答弁であったんでございますけれども、一度両審議会の議論いたしました審査の議事録一遍御熟読いただきたいと思うんですよ。それは明らかに性格が大きく異なってきたんだから、その発足当時の制度そのものをもう一度洗い直して、その位置づけというものを明確にせよというところから議論が発し、そしていま富士見病院のこの乱診、乱療問題を契機として、また違った視点からの強化が望まれている。私はそういう視点に立ちますと、これは、これだけやっておったんじゃ時間が過ぎてしまいますから議論は追ってまた別の機会にいたしたいと思いますけれども、ただ、現行のこのシステムをそのまま踏襲して、運用上改善を加えていくことがよりベターだというただいまの局長の答弁にはとうてい承服いたしかねるわけでございます。これは追って時間をかけてひとつ、委員会でなくてもいいんですから議論し合いましょう。
 私は具体的にそれじゃお伺いします。
 まず、審査運営の強化の問題でございます。これが必要なことは大臣も原則的に同意されました。しかし私は、現在の審査というものが一カ月を単位としております。しかも書面審査を基準といたしております。しかも一カ月ごとの作業日程の関係もありまして、審査日数と時間はおのずから制限されております。一方、診療報酬の明細は医学、医術の進歩に伴いまして複雑、多様化し、逐年取り扱い件数は増加いたしておるわけでございます。したがって、このような審査体制の現状下で幾ら職員が死にもの狂いになってがんばっても、富士見病院のごとき傾向を事前に把握することすらむずかしいという審査の現状である、こう私は思うのでございます。そこで、この問題についていろいろ改革すべき要点があろうと思うんです。時間の関係で六つばかりずらずらと言ってみます。
 一つは、審査委員会の委員の選任基準をより明確にする必要があるということでございます。去年まで医療担当者代表として出ておった委員が、翌年は今度は学術経験者として同じ人がただ資格を変えて出てきておる、こういうことも散見されます。適正な審査を行うために、この審査委員の選任基準がいかにあるべきか、もっと明確にすべきだろう。
 第二には、いま申し上げましたような審査の実態でございますから、私はこの支払基金が医療機関の診療傾向を把握するための統計的資料とその活用を行い得る、そして高額明細書やまたは傾向的に非常に、さきの委員も指摘されましたけれども、常識的に見ていかがかと思うものの動向を把握して重点審査を図るという道を開くこと。
 第三には、私調べましたら、審査に関する諸法令、これだけあるんですね。膨大なものです。これをやはり短時間に処理しようと思えば、さらに合理的に簡素化し、重点的なものに改めていく必要がある。
 第四には、審査委員会が行う処置について幹事長の権限を強化いたしまして、医療担当者の出頭及び説明を求めるときは都道府県知事にかえて幹事長の承認を必要とする。幹事長みずからがこれらの出頭を求め得る体制に切りかえていく必要があろう。さらに、現在の基金法には職員の義務は明確にされておりますけれども、その権限というものは一行も見当たりません。私は、審査委員会に対して職員の助言、医療機関等に対する指導ということもこの法令上明らかにすべきではないか。
 さらに第六番目としては、審査委員の増員と適正な処遇の確立という問題があろうと思うのでございます。
 このような一連のただ現行の審査制度に満足することなく、根本的に洗い直してその審査のあり方を確立をするということが私は出来高払い制度の現状下において、より確実かつ適正な審査を行うことにつながっていくんではないか、こう思うんです。一項一項は時間がございませんから、そういう問題を真剣に前向きに検討していこうというひとつ大臣の姿勢をお示しいただきたいと思います。
#225
○国務大臣(園田直君) 先ほどからの御意見で、支払基金が特殊法人であるのはその印象、性格から不適当な時期に来ておる。義務づけし、これを何か公社的なものに変えたらどうだと、こういう御意見でありますが、これは公社に変えるということは大変なことでありますので、これは慎重にやっていきたいと思っております。
 なお、現行制度でいくならこういう点に注意したらどうかという数々の御注意がありました。これについては事務当局からお答えをいたさせます。
#226
○政府委員(大和田潔君) これを全部お答え申しますと時間がかかりますので、適宜お答えを申し上げますが、先ほど先生おっしゃいましたような統計資料の整備、医療機関の傾向的動向の把握ということはきわめて重要なことであるし、これにつきましては、私どももその方向でやってまいりたい。傾向的な把握というものを行うことによりまして、審査の充実を図るという方向でやってまいりたいと思います。
 それから、審査委員の増員につきましては、先ほども申しましたように、これにつきましては十分私どもも積極的に審査委員の増員を図っていくということをいたしたい。ただ、事務職員につきましては、この権限は特に法制化する必要はないんではなかろうかと、事務職員につきましては。これは、審査の補助、協力ということにつきましては、十分事務職員の方々にやっていただいておるわけでございますから、特に権限の法制化については、私どもは必ずしも必要ではないというふうに考えるわけでございます。
 それから、幹事長の権限でございますが、これはやはり審査委員会において医師の呼び出しというようなことになろうかと思いますけれども、その場合には、やはり幹事長の権限というよりも、知事――現在やっておるような知事にその介在をさせると。知事の許可を受けて医師の呼び出しといったようなことを行わせるのがいいんではなかろうか。ただ、幹事長とそれから審査委員と、この両者は十分に協力体制をしくように私どもは指導をしておりますし、またその意味で、審査会におきましては幹事長がそこへ出席して、意思の疎通を図るという形で運営の円滑化を図ってまいりたいと、このように思っておるわけでございます。
#227
○柄谷道一君 これもまあ議論しておれば時間がかかりますけれども、その医療機関、高額医療の動向的な統計整備をやって把握をするというんですね。それをやるのは職員ですよね。審査の方々というのは大体お医者さん中心でございますよ。だから私は、職員がそういう統計把握をし、日常業務をやっておるわけですから、この項目について、こうこうこういう重点審査をお願いしたいとか、すべきではないか、そういう助言を、職員がみずから管掌する中から感じたことを、審査委員に対して補助をし助言をする、これは当然私はあってしかるべきことであるし、それがなければ、ただぽんと書類が膨大に積まれて出されて、審査委員会だけで、実務に当たっている人の意見も助言も受けないで適正な審査ができるはずは私はないと、こう思うんです。そこらは余りかたくなになられないで、ひとつ私は提言をしておるわけですから、そのことに対してはより前向きに姿勢を示してもらいたいと思うんですね。
#228
○政府委員(大和田潔君) いま先生のおっしゃっておられます助言、提言、これはもう当然やっていただくということで、いま現在でもやっていただいておるはずでございます。
#229
○柄谷道一君 現在やっているんだから、法律にうたったって一向構わぬことでしょう、これは。まあ次へ進めましょう。
 次は、財務運営についてもいろいろ問題があるんですね。大臣御承知だと思いますけれども、これ、風吹けばおけ屋もうかるなんですよ。政府は四十万しか出してないんでしょう。民間が六十万です。いま基本金百万円です。そして請求件数に変動があったときは、この厚生大臣の許可を得てこれを調整しろ。いまの膨大な扱っている量から見て、百万円の基本金でその調整が図れるわけではないと思うんですね。結局、病人がふえ、請求件数がふえなければ基金の運営すらできないという事態が出てくるわけです。ことしの冬は寒いなと、かぜ引きがふえるんではないかと、そんなことを期待しなければならぬこの財務運営のシステムというものは、私は根本的に大きく間違っていると思うんです。とすれば、この基本金を大幅にふやすとか、もしそれができなければ、私は、保険者負担の基本金をふやす、もしくは変動準備積立金制度、そして一年間一定の予算の単価でやりますね、余剰金が出ますね、それを翌年度単価で調整するというんではなくて、やはり基金業務の安定的運用のためにそれを準備金として積み立てて万が一に備える、そして、ことしは病人が少なかったなと、請求件数が少なかったなと、そういうことを本当に心から喜べるような私は財務運営の方式というものに変えていく必要があるんじゃないか。いかがです。
#230
○政府委員(大和田潔君) 現在、先生おっしゃいますように、診療報酬件数を基準にいたしまして手数料を決めておるわけでございますが、先生おっしゃっておられますように、安定的な財政運営という見地からいたしまして、何か件数だけ、件数をベースにした手数料だけでなくて、若干その安定的な運営が図れるような方途を講ずべきであるということにつきまして、十分私どもも理解をしておるわけでございまして、その点は先生のおっしゃるような方向で努力をしてまいりたいと、かように思っております。
#231
○柄谷道一君 まあ時間がありませんので、その他、組織、機構の問題につきましても、いま常勤役員三人ですよ。全部厚生省から、まあ天下りという言葉、私は余り好きじゃないんですけれども、全部厚生省からおりられた方がその三名を占めているわけですね。基金で多年努力して識見をみがいても理事にはなれない。非常勤では四者構成になっていますけれども、保険者の代表も理事にはなれない。私はそういう、やはり常勤役員体制というものについてもメスを入れる必要がある。さらに、都道府県の中では広域な地域もあるわけですから、現在の基金法の中では一県一事務所ということですけれども、地域によっては、従たる事務所を設けなければならぬ地域もあるであろう。まあこれは、他の特殊法人ないしその他の公法人は、大体現在の理事会的なものは諮問機関なんですね。常勤役員の体制があって、そして多くの参加を求めるという意味であるんですけれども、基金の場合は非常に特殊に、常勤は三人で、後は四者構成の非常勤理事をもって構成する、これが果たして適切かどうかという意見もございます。
 で、大臣、私は時間の関係で本当に問題点の指摘にだけとどまったわけでございますけれども、多くのまだ問題点が残っておるわけですね。冒頭大臣は、審査業務の充実強化は必要であると、こう述べられました。とすれば、その視点に立って、また両審議会の答申にこたえるという意味でも、この法改正、抜本改正に対してより積極的に取り組んでいきたいという前向きの姿勢は、少なくても大臣からこの席上明らかに願いたいと。その内容をどうするかは、私だけの意見ではいけませんから、いろんな識者の御意見を聞いて、その法改正内容をひとつ組み立てていく、これはもう当然でございますけれども、姿勢としていかがですか。
#232
○国務大臣(園田直君) いま、数々の御提言があったわけでありますが、じっと承っておると、きわめて適切な提言も非常に多かったわけであります。さらに事務当局から先生のところにお伺いして、具体的にいろいろ教えを受け、現行制度の中においてもできるものは、これを早目に取り上げて実施をする、なお、その現行制度の中の改革は抜本改革への足がかりとして、前向きに努力をしてまいりたいと存じます。
#233
○柄谷道一君 許された時間があと三分しかございませんので、通告はしておりませんでしたけれども、意見の形で私は最後に児童手当制度について一言申し上げて、質問を終りたいと思います。
 児童手当制度につきましては、昭和五十四年十二月二十八日、自民党の、いわゆる六者覚書で検討することとされております。しかし、この児童手当の所得制限は、昭和五十二年からその金額がいらわれておりません。そのために今日までに十三万人もの受給者が対象外に外れております。ただでさえこのような状況下にある上に、さらに所得制限を強化するということになりますと、ますます脱落者がふえるという結果になります。しかも、クロヨン税制、トーゴーサン税制と言われておりますように、勤労者と、商工業者の所得の把握はまだ十分に行われていないわけですから、同一金額で所得制限を強化するということになりますと、明らかに勤労者に不利な結果になることは避けられません。同時に、サラリーマン受給者の多くが事業主が七割も拠出をしておるわけでございます。私の計算では、仮に児童手当の非受給者になりますと実質的には五千円の賃金カットということになるというふうに計算をいたしておるわけでございます。
 私は、こうした問題を安易に、ただ財政上の理由だけということで、税制の現実や経営者負担の現実や賃金に及ぼす影響というものを度外視して進めることについては大きな異論を持つものでございます。
 この問題につきましては重要な問題でございますので、私は改めて本委員会もしくは決算委員会で十分に資料を挙げて御質問をいたしたいと考えておりますけれども、大臣として十分にこの実態を御承知おき願いたい。このことを特に申し上げておきたいと思います。
#234
○国務大臣(園田直君) 衆議院の委員会でも発言をいたしましたが、所得制限を強化することが勤労者の実質賃金のカットであるということは私も同様の意見を持っております。
 六者覚書がありますが、先ほど小平委員の御質問にお答えしたとおり、私は、あれは将来、児童の育成というきわめて国家百年のために大事なことであるから、これには抜本的な改革を加えようと。これは審議会の答申も出ております。一挙にこれができないにしても、その改革の足がかりとして現行制度を維持し、足りないところを充実すべきだと、こう考えておることにいささかの変わりもございません。幸い、衆議院の委員会で、これは存続するということをはっきり総理が言っておるわけでありますから、その存続を前提としてどのようにこれを充足していくか。苦しい国家財政の中でどのように適切にやっていくようにやるか。今後の問題であると考えておりますが、少なくとも所得制限の強化などは断じてやるべきではない、こう考えております。
#235
○柄谷道一君 時間が参りましたので終わります。
#236
○前島英三郎君 私が最後でございますので、もうしばらくおつき合いをいただきたいと思います。
 国際障害者年に対する取り組みにつきましては、本部長は総理大臣、厚生大臣並びに総理府総務長官が副本部長ということでございまして、基本姿勢は予算委員会でお伺いしたわけなんですが、ひとつ、総理府内に担当室ができまして半年、国際障害者年を迎えるまであと七十日と、非常に時間も迫っているわけなんですけれども、この半年間を振り返って、主な経過とそれからただいまの状況、さらに担当室として今後のひとつ抱負など、心構えなどを伺いたいと思っております。
#237
○国務大臣(園田直君) 来年度来る年を迎えて、御承知のごとく総理府にこれに対する推進の検討会をつくり、各特別部会をつくって出すべきことを検討しているわけでありますが、個々の問題はもう御承知でありますから申し上げませんけれども、要は、「完全参加と平等」と、こういう一語に尽きると存じます。その中で、こういう行事というか、障害者の年だということで単に標語やお祭りに終わらぬように、具体的にそれぞれ別個に特別部会で検討しているところでございます。
 なお、私が一番重点を置いておりますのは、特別部会の中で、これを単年度に終わらずして、長期的にどのように身体障害者が完全に社会に参加し、ハンディキャップをみんなの力で埋め合わして平等に社会づくりに参加するかという長期の計画をする部会に、特に重点を置いているわけであります。なおまた、先般言われましたようにさらに大事なことは、失礼ではありますがこういう障害者ができないような環境の整備をすることも非常に大事なところであります。
 なお、私まだ総務長官とは相談しておりませんが、ぜひお願いしたいと思っていることは、いまの推進検討会を、これを一年度のものにしないで、やはり、障害者の問題は私の所管でありますけれども、これの対策は単に厚生大臣だけでできることではなくて、文部、運輸、一切の各省に関係すること広いわけでありますから、この総理府に設けた推進検討会はこれを契機に恒久的なものとして、心身障害者のための対応策を講ずる総合的な役割りを果たすというふうに、これをつないでいきたいと考えておるところでございます。
#238
○説明員(花輪隆昭君) ただいま厚生大臣から具体的なお答えがあったわけでございますが、総理府といたしましても今後各省庁とさらに御協力をいただきまして、また特に、中央心身協を預かっております厚生省と私ども一体となりまして今後さらに努力をしてまいりたい、かように存じております。
#239
○前島英三郎君 五十七年の三月で担当室は消滅というようなことが伝えられていたわけでありますが、いま厚生大臣の方から非常に――これは国連でも十年計画、長期計画ということを策定すべきだ、こういう提案もあるということで、単年度で終わらせることなく、継続してこの担当室を一つの窓口として、関係省庁と心身障害者の施策を進めるという大変力強いお言葉をいただきましたので、実は私もこの担当室がつくられるときのかかわり合いを持つ一人としまして、大変喜んでいるところでございます。
 そこで、また厚生大臣にお伺いするんですが、政府は国際障害者年事業の推進方針を中央心身協の提言に即しまして八月十九日付で決定をしているわけなんですが、障害者対策についてはもう解決されるべき問題が山積しているわけなんです。そこで特に、対策室ができたからといって厚生行政がそっぽを向かれては困るわけで、むしろアンテナは、厚生省に厳然と心身障害児者対策では大きなアンテナはそびえ立ってもらわなけりゃならないわけなんですが、厚生行政としてどのような課題が残されているか、認識しておるかという点をお伺いしたいと思います。
#240
○国務大臣(園田直君) この対策に総合的なものができたから厚生省は手を緩めるな、こういうことでありますが、厚生省が推進力になって、しかもこの対策は経済、文化全般にわたって問題があるわけでありますから、そういう意味で厚生省が推進力になって、こういう総合的な検討会ができたということに勇気づけられて努力をさらに続けていきたいと考えております。
 いろいろありますけれども、具体的に申し上げますと、第一は生活安定のための諸施策の推進、二番目には障害者の働く場の確保及び生きがいある生活の場の充実、三番目には生活環境の整備、四番目には障害の種類、程度に応じた適切な福祉施策の充実、五番目には障害の早期発見、早期治療の推進六番目には障害の除去、軽減のためのリハビリテーションの充実などから今後取り組むべき課題がたくさんあると考えておりますが、障害者問題の解決の前提となるものは、一般の市民の障害者に対する正しい理解と協力、ただ善意の見物人であってはならぬと、こういうことが一番大事だと考えておりますので、この正しい理解と協力のための啓発活動、啓蒙活動等も重視してまいりたいと思います。これで足りない点があればお教えを受けて、さらに追加をして検討いたします。
#241
○前島英三郎君 そういう意味で、不快な言葉が法令、政令、あるいは条例の中に出てきておる、そういうものを見直す、点検をするという一つの啓蒙活動のこれも一端だろうと思うんですが、私はこれは単なる、ただそういう言葉を削除するだけであってはならないと思うんですね。実はその言葉の裏づけされている部分で非常に障害者が社会参加を阻むもろもろの規制があるわけでありますから、そういうせっかく総点検するならその辺までやはり見直す、参加を妨げている条項を見直すというところまでやっぱり踏み込んでもらいたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
#242
○国務大臣(園田直君) 言葉は心から出るものでありまして、心をかえることによって言葉をかえる、これが順番であることは御指摘のとおりであります。
 なおまた、身体障害者の方と一般の方とのハンディキャップをどうやって埋めていくか、こういうことがわれわれの仕事であるにもかかわらず、各種の法律その他については身体障害者の方々と一般の人との差別があるわけであります。特に私の所管する医療法の関係では、はり、きゅう、あんまは別でありますが、一般の医療に従事する方の資格というものを物の言えない方、目の見えない方というものは制限をしてある、こういう点もあるわけでありますから、これは慎重に検討していきたいと考えております。
#243
○前島英三郎君 笑い話ですけれども、辞典に実は障害者という言葉がある。障害者というのは体の不自由な人、不具者、かたわ者とも言う、こう書いてあるんですね。うちの子供が見まして、二つ車があるのにかたわというのはお父さんおかしいねと、笑い話で笑った経緯もあるわけでありますが、そういう意味ではいろんな歴史的な形の中で差別されている不愉快な表現というものも大変多いわけです。それに伴ってまた著しく社会参加を妨げられているというケースがありますんで、そういう言葉の除去だけではない、心の差別の除去までひとつ厚生大臣にがんばっていただきたいということをお願いしたいと思うんです。
 それと中央心身協の提言の中で、先ほど厚生大臣がおっしゃった中に、「心身障害児及び精神薄弱者対策」における「早期発見」という部分がちょっと気になるところでございますけれども、「早期発見」とはいかなる内容を指すのか、お伺いしたいと思います。
#244
○政府委員(金田一郎君) 心身障害につきましては早期に発見し、その態様に応じて早期療育を行うことによりましてかなり症状を軽減することができますので、厚生省といたしましては、従来から新生児に対する先天性代謝異常検査、あるいは市町村が行っております一歳六カ月健診、保健所が行っております三歳児健診等を実施いたしているところでございます。
#245
○前島英三郎君 実は胎児までも優生保護に照らしてというような踏み込んだ形になる危惧が実は先般の週刊誌にも新聞にも、これは渡部さんという学者さんが、そういう子供を産むのは罪悪であると。したがって、そういう子供はけしからぬというような、大変何といいますか、ショッキングな発言をしている。さらにまた国際障害者年の中で推進されている早期発見というのと絡み合っている部分を感じまして、非常に危惧を覚えるわけでございますが、その辺はこの報道に対してどうお感じになっていらっしゃるでしょうかね。ちょっとお伺いできればと思いますけれども。
#246
○政府委員(金田一郎君) 実は、私ども児童家庭局におきましては、優生保護法のうち、家族計画を担当いたしておりまして、人工妊娠中絶、優生手術等が公衆衛生局でございますが、ただいま公衆衛生局長おりませんので、私から一応お答え申し上げたいと思います。
 先生ただいまおっしゃいました渡部さんの意見でございますが、私も新聞を先ほど拝見しただけでございますが、もし劣悪遺伝子を持つ者が子を産むなといったようなことでございますと、遺伝学的にも問題がございます。また障害者の人権を無視するというようなことにもなりますので、私どもといたしましては賛成しがたいと考えているところでございます。
#247
○前島英三郎君 早期発見の問題は大変深いものがあると思いますので、これは日を改めてまたお伺いしたいと思うんですが、時間が大変限られておりますので、そこで提言の中で、「生活安定のための諸施策の推進」とあるのは、中央心身協の提言に至る論議の経過を踏まえれば、当然障害福祉年金、福祉手当の増額等を指すものと理解するわけなんですけれども、厚生省としてはこれはどのように実現する一つの方策があるか、お考えを持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
#248
○政府委員(山下眞臣君) 「生活安定のための諸施策の推進」というのは、お話しのとおり御指摘の部分も含めまして、障害者のためのいわば自立助長の政策一般を指すものだと考えておるわけでございます。私どもといたしましては、国民生活あるいは社会経済の諸情勢の変化を踏まえまして国際障害者年特別委員会、こういったものを初めいま現在、身体障害者福祉審議会等の審議も鋭意行っております。こういった御意見もいただきながら、こういった施策の前進に努力をいたしたいと考えております。
#249
○前島英三郎君 それから重度身体障害者の介護事業の充実強化についてはどのような方策を考えておられますか。
#250
○政府委員(山下眞臣君) 二つ大きく分けまして、まず在宅の障害者の方の福祉政策といたしましては、もう先生よく御承知のとおりに福祉手当の支給、この改善には引き続き努力をさしていただきたい。あと家庭奉仕員あるいは介護人の派遣事業というものの充実、それからいわゆるショートステーというふうに申しておりますが、緊急保護事業の拡充、それから補装具でありますとか、日常生活用具といったものの給付というふうな各種の施策をいたしておりますので、その充実に努力さしていただきたいと思っております。
 なお、在宅で生活が不可能というような方につきましては、最近大変ふえてきておりますが、身体障害者療護施設といったものの整備、その内容の充実といったようなことについても努力をいたしてまいりたいと考えております。
#251
○前島英三郎君 そういう意味では、介護ができなくなれば療護施設へというのはやっぱり非常に悲しいことなんですね。私は施設は要らない、むしろいままでの施設傾向からやっぱり人間として地域の中で住む、そういうまた人間の社会こそノーマルな社会ではないか、いわゆるノーマライゼーション、こういうことを訴えているところですけれども、なかなか介護につきましてもそれぞれの都道府県単位では違いますが、老人介護の一つの延長制度みたいなところもありますし、あるいは本当に二十四時間介護が必要という人たちが、大変重度障害者の中にも多くなっている。そういう中で、平均週大体二回、一日二時間程度というような形になって、文句言うなら施設へ入れというような形であってはならないと思うんですね。だから、そういう意味では二十四時間介護というところまでは踏み込まなくても、せめて八時間、あるいはもっと地域の中で住めるような介護事業というものをやはり検討してほしい、そう思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
#252
○政府委員(山下眞臣君) もう世界的な傾向といたしまして、先生御指摘のとおり、ともに生きると申しますか、地域の中で一般の健常者と同じような生活ができるのを目標にしていくということは、もう私どももそのとおりだと思いますので、そういった方向で努力をさしていただきたいと存じます。
#253
○前島英三郎君 厚生大臣も、そういう意味ではやはり施設収容主義から在宅へというお気持ちが、これがすなわち「完全参加と平等」だと思うんですが、この辺はひとつ積極的に取り組んでいただけるでしょうか。
#254
○国務大臣(園田直君) 御意見のとおりであります。私は、身体障害者の方は学校なども特殊学校ではなくてなるべく一般の学校に入って、小さいときから自立の精神を持ち、また子供が小さいときから助け合うんだということを訓練すべきであって、特別な隔離政策はよくない、こう考えておりますので、重症患者についてもなるべく在宅治療がいい、このように努力をいたします。
#255
○前島英三郎君 そこで、ことしの二月に身体障害者の実態調査が行われました。数字はそれぞれ報道されたとおりでありますけれども。この調査の結果、十年ぶりということでございますが、どのような問題点をつかみ、また何を学びとったか、それからまた、この結果を今後どう施策に反映していくか。単なる調査のための調査であってはこれは困るわけでありますし、当時も盛んに社会局の方でも、次なる一つの発展的なステップのための調査なんだということは力説しておられたので、その結果についての問題点、何を学び、その結果これからどうそのニーズにこたえていくか、伺いたいと思います。
#256
○政府委員(山下眞臣君) 数字をもう細かく申し上げますと時間がかかりますのでポイントだけ申し上げさしていただきますが、まず一つは、十年ぶりの調査でございましたが、やはり障害者の増加と申しますか、総数がふえてきておるというのが第一の特徴でございます。第二番目は、やはり一級から一応六級までの身体障害者福祉法の等級で調査しているわけでございますが、一級、二級というような重度のところの方が割合が多くなってきておるというのが第二の特徴かと思います。それから第三の特徴といたしましては、やはり障害者の方につきましても一般と同様、高齢化ということが大変進展をしてきておるというふうに理解をいたしております。それから、特に先ほどお話がございました重度の障害者の方につきましては介護ということについての御要望、必要性というものが大変高まってきておる。それから、やはりこれももう先生の御指摘のとおりでございますが、家庭や地域で生活したい、そういう障害者の希望というのが大変強いということを実感いたしております。また、障害の原因でございますとか種類でございますとか、こういったのが大変多様化し複雑化してきておるというようなこと。
 これは数字を省略して特徴だけ申し上げさせていただいたわけでございますが、こういった事情を踏まえまして、数的な問題は各種の予算の基礎になるものでございますから、現時その実態調査をもとにしましてふやすべきものはふやしていくという努力をいたしますと同時に、施策の大きな方向といたしましては、御指摘ございましたように在宅対策の充実という方向を指向しなきゃならぬ。それから同時に、高齢障害者の問題というのをやはりこれからは意識をしまして、従来以上に考えていかなきゃならない。それから重度障害者の介護の問題、その充実。それから、いろんな意味で障害の態様が多様化し複雑化しておりますから、非常にニーズが多様化してきておりますので、そういう意味ではきめ細かな対応というのもこれは考えていかなきゃならぬ。そういったことを基本的な考え方に持っておるわけでございます。簡単でございますが。
#257
○前島英三郎君 そういう意味では、障害者対策は私は最大公約数であってはならないので、最小公倍数だというような気持ちさえ最近するんですね。それはもういろんな障害者がいて、いろんなそれぞれの、同じ一級でも同じ二級でも全く十人十色というケースなんです。それが一つの基準をぱっと線引きされて、最大公約数で、この辺でいいだろうというようなものじゃないと思うんですね。だからやっぱりその最小公倍数的福祉策ということを最近思うようになってきたわけですけれども、その実態調査の結果でも、障害者の就業率というのは昭和四十五年の四四・一%から今回は三二・三%と大きく落ち込んでいる。いま局長おっしゃったように、これは障害者の重度化と高齢化、いわゆる老齢化の傾向だということをお感じになっているようですが、私は必ずしもそうとばかりは言えないと思うんですね。で、こうした実態というのは障害者の所得保障対策の重要性を裏打ちしているのではないか。働きたくても働けない、自立したくてもいろんな意味での制約が社会には厳存している、こういう形の中でのいわゆる所得保障対策の重要性ということを大変訴えている障害者団体も実は多いわけなんですけれども、各いろんな障害者団体から厚生省に対して、そういう所得保障、あるいは経済保障とでも言いましょうか、そういう問題に対してどのような要望が出されておりますでしょうか。
#258
○政府委員(山下眞臣君) 非常に多数ございますが、ポイントだけ申し上げますと、主なものといたしましては、年金制度の改善につきまして、障害福祉年金の増額、それから、生まれながらの障害者に対しまして現在拠出制の障害年金の道がございませんが、その制度の検討、それから福祉手当につきましては、やはりその額の増額、生活保護につきましても、その基準の引き上げ等の諸問題が大体所得保障関係では中心的な御要望になっていると思っております。
#259
○前島英三郎君 いわゆる所得保障というのは、障害福祉年金がある、まあこれもこれだけではとうてい生活はできない、なら生活保護ということとの絡みの中で出されておりますし、重度の人たちはそこにまたすがる部分が多いんですが、そもそも生活保護というのはこれは一過性のものですから、なかなかそういう意味では非常に物ごい的な感覚にならざるを街ない。そこで、自分が好んで障害を負って社会に出てきているわけじゃないんだし、さらにまた、その障害が重いからといって社会の中では全く自立の道を閉ざされているこの人たちにとっては、やはり私は所得保障というものを、生活保護と合体した何らかの形の、拠出したくてもできないそういう人たちに対する一つの経済保障というものを考えるべきだと思うし検討すべきだと思うんですが、きのう、きょうと実は「全国青い芝の会」が厚生省に訴え続けておりまして、百人を超える重い脳性麻痺の人が全国から集まっているわけですが、この全国から集まっている百人は健全者の数でいきますと恐らく私は十万人以上というような大変な動員だし、それだけまた追い詰められている現状というものに、ただなじまないとか、あるいはまた検討さえもできないというような姿勢は、ぼくは大変問題があると思うんですけれども、その辺の所得保障という点から今後厚生省が検討するかどうか、そういう姿勢を持つかどうか伺いたいと思うんですが。もし問題点があるとしたらおっしゃっていただきたいと思います。
#260
○政府委員(山下眞臣君) 障害者の方の生活安定、所得保障という問題、これは年金制度、生活保護制度というものが中心になってきておるわけですが、当然、大臣のお話にもございましたように就労の場、働く場の確保、あるいは家庭や地域での各種条件の整備ということと並行いたしまして、こういった制度の充実も考えていかなきゃならぬと思っております。先生御指摘のような、年金制度からも、かつまた生活保護制度からもある意味で独立して、切り離して、新たな一つの制度を包括的に実施するということの御意見でございます。大変貴重な、大変失礼でございますが傾聴に値する御意見の一つだと私は考えるわけでございますけれども、ただ、事はやはり社会保障制度の仕組みの基本にもかかわってくるというような問題でございまして、なかなか簡単に解決するのはむずかしい要素も多々あると思うのでございます。社会局といたしましては、勉強はいたしたいと考えております。
#261
○前島英三郎君 各種公的年金が充実をしておりますし、またそうした人たちに、加入している一般労働者が、勤労者が障害者になった場合には相当額の所得保障給付というのが受けられるわけですね。ところが、拠出したくてもできない。しかも非常に生活保護との連動でどうしても親すがり福祉の中で、たとえば生活を余儀なくされている、生き急ぎをしている、生かされているという、こういう現実があるわけですね。障害福祉年金の受給者のほとんどは二十歳未満で障害児者となった人であり、さらにまた、そのうち相当数の人々が脳性麻痺の人たちなんですね。これらの人々は拠出制の年金に加入する機会もない、いまおっしゃったとおりですね。それから自立するといってもなかなか自立できない。一つの拠出的なものに加入しても六十五歳まではそういう水準の中で低い障害年金しか受給はできない。老後の設計はといっても、六十五歳まではとうてい生きられないというような非常にむずかしい問題もあるし、苦しい立場があるわけですから、私はそういういろいろな兼ね合いあるいは拠出制の年金に対しての兼ね合いというものもあるかもしれないけれども、そういう意味で、私は何らかの形の一つの経済保障的なものを、生活保護とは切り離して、やはりやるべきではないか。しかも特別児童手当と二十過ぎたそうした人たちの福祉年金手当が全く同額で、それじゃおれたちは餓鬼かというような言葉も聞かれるわけですね。
 そういう兼ね合いを考えていきますと、本当に大人ですから、やっぱりそういう意味で社会の中で自立したいという意欲があるならば、そうした人たちに対する思いやりのある施策というものがいまこそ望まれるときだと思うんですが、厚生大臣いかがでございましょうかね。こういう本当に重度な人たちが年金にすがらなければ、生活保護というものにすがらなければ世帯分離もできないし、自立もできないし、非常に取り残されている人たちがいるわけなんですね。それに対する新たな一つの所得保障制度、あるいは経済保障というようなものを厚生省としても考えていただきたいと思うんですが。
#262
○国務大臣(園田直君) これは親の立場からいっても、ただいまのお言葉は非常に痛切な御意見だと思います。かつまた、身体障害者で一つの落ち込みがありまして、子供から大人になった場合に、そこに施設や制度の庇護の空間があるのではなかろうかと私は心配をしております。そういうもろもろの意味を含めて御指摘の点はよく勉強することにいたします。
#263
○前島英三郎君 そこで、生活保護の在宅患者加算の認定でちょっと問題があるんですが、本年四月一日付で判断指針を厚生省で出しましたですな、これは厚生省社会局保護課長さんが各都道府県指定都市民生主管部へ出された「在宅患者加算の認定にあたっての参考とされたい。」ということで。実は医学的診断の必要上血液検査するのはやむを得ないとしましても、生活保護を打ち切るかどうかということで、実はこれがちょっと使われているんです。そういう、また声が寄せられているんですね。マスコミでも報じられましたけれども。それによって在宅患者加算が打ち切られた例などがどのくらいあるものか、これが四月一日に出されまして。どれくらいあるんですか。
#264
○政府委員(山下眞臣君) ただいまの通知、在宅患者加算――結核患者を沿革的には中心にして行われてきておったわけでございますが、三カ月以上の入院を要するような重度な方につきまして、必要な場合には加算をつけるということでございましたが、これが実は地域、お医者さんによりまして非常にばらばらでございましたものですから、一つの指針を示すということで御指摘のような通知を発しまして、この四月から実施をいたしてきているわけでございますが、まだ実施をいたしました後の状況を、統計的に数字で現在把握をしておるという状態になっておりませんので、数字は現在のところちょっと申し上げかねる状態でございます。
#265
○前島英三郎君 ですから、現実には実は血液検査をしまして、何だかしらないけれども、血液検査をしろというから血液検査をした、その結果を待っていたら、血液検査の結果、あなたは生活保護の患者加算は外れますということで本人びっくりした、こういうケースが現実にあるんですね。この通達の中で「在宅患者加算の認定更新は、少なくとも三カ月をこえない期間ごとにその要否を判断すること。」、ですから、いろんな形で三カ月ごとに血液検査をされて、はい、あなたは血液を診た結果それはもう加算に値する、いや、加算は打ちどめだというふうなことになったら、これは富士見病院の問題もさることながら、ここまでそうした形で医療が介入してきたら、これは正直言ってやっぱり問題点も多いだろう、こう思うんですね、いかがですか、それは。
#266
○政府委員(山下眞臣君) 患者の方で相当長い期間の医療を受けておられる、そういう場合におきましては、通常の検査の中で血液検査を受けておられるデータがあれば、それも参考にしなさいということでございますが、この在宅患者加算の要否を決めるのに血液検査をしてもらいたい、血液をとっていただきたいということは、私どもは全く考えておらぬわけでございまして、この中におきましても、総合的な医師の判断で在宅患者加算が必要であるというふうな場合には、血液検査がなくても、当然加算をつけて差し支えないわけでございまして、この在宅患者加算の要否の判定のためにのみ血液をとって判定をするというふうなことは、毛頭私どもの考えるところではございませんでございます。
#267
○前島英三郎君 そういう例が実はあることを、ひとつ局長さん御承知おきいただきたいと思うんです。
#268
○政府委員(山下眞臣君) 私が申し上げました趣旨に従いましてその範囲を逸脱して、何といいますか、やはり福祉に携わる者でございますから、そういう気持ちでやることのないように十分注意もし、指導もいたしてまいりたいと思っております。
#269
○前島英三郎君 時間がありませんので、きょうは富士見病院事件のいろんな意見のやりとりがございましたんですが、医療が患者を障害者にする、これはしかも故意にしてしまっているという例だと思うんですね。この事件はまた富士見病院だけ悪者にすればすむ問題ではまたないと思うんです。それを許してしまった全体の状況が大変問題だと思うんですけれども、どうでしょうね、医療法人の理事長の資格要件というのはどのようになっているんでしょうか。
#270
○政府委員(田中明夫君) 医療法上、医療法人の理事長の資格要件というのは特に定められてはおりませんけれども、当然その地位、職務にふさわしい人格識見の持ち主であることが望ましいということは申すまでもないと思います。
#271
○前島英三郎君 その理事長の資格要件はそういうことですが、私は医療というのは人命に非常に結びつくだけに、この富士見病院の事件をきっかけに、たとえば医師の免許のない者は理事長になる資格がないぐらいのぼくは大なたをふるうべきだと思うんです。現実いわゆる北野早苗のような、そういう理事長というのは医療法人の中でどのくらいいるもんですか。
#272
○政府委員(田中明夫君) これは全国的な調査ではございませんが、私どもが九県について調査いたしましたところ、全体の約九割は医師が理事長になっております。残りの一割が非医師ということでございます。
#273
○前島英三郎君 そういう意味では一割という数字ですと、これも大変なもので、富士見病院がまさに氷山の一角という気がするわけですが、そういう意味で、どうしても理事長は経営という株式会社の社長的な立場で事を運ぶようになってしまいますんで、ああいう形、検査づけ、しかも人道を無視した乱診乱療ということにつながっていくだろうと思うんですね。その辺はどうなんでしょうね。これやっぱり理事長の資格という問題ではそこまで踏み込むことはなかなかむずかしい面があるでしょうか、大臣。
#274
○国務大臣(園田直君) 私、素人でございますが、この事件を聞いた瞬間に北野早苗がお医者さんであったらこのようなひどいことはできたかどうかということを第一に考えました。病院の認可についてはこの点は十分考えて将来認可すべきものだとひそかに考えております。
 なお、この際おくれましたけれども、先ほど局長から答えました障害児の早期発見という言葉で、誤解があったらいけませんのではっきりしておきますが、早期発見とは、生まれた後の子供をなるべく早く検診をして障害の個所を早く発見し、治療したいという意味でありまして、お母さんのおなかの中にあるときからこれが発見されて、おなかの中で治療するように医療技術が進めば別でありますが、胎児にチェックをして、そして障害児は産まないとか中絶するとか、こういうことは私は絶対反対であります。障害者に対する問題は慈悲や哀れみでもなくて、重度の心身障害児であるといえども、この世に生まれたからには完全なる人権を持っておる。その人権はいかなる場合でもわれわれは守るべきであると、こういうわけで、胎児のときにチェックをしてこれを中絶するとか、あるいは障害児を産まなくてもいいとかと、こういう意見には反対であることをはっきりしておきます。
#275
○前島英三郎君 そういう意味では、いよいよ来年は国際障害者年ということで、これをきっかけに障害者も人間として社会の中で参加させていただき、そしてまたなるべく自立をするような道づくりをしていただき、それには一年度というような単年度の総理府の担当室であってはならない。そこは厚生大臣がこの担当室をさらに対策室のようにひとつ育て上げていただきまして、しかも担当室はまだにわか産声を上げたばかりでありますから、厚生大臣副本部長でありますけれども、大きなアンテナのてっぺんに立っていただくようなお気持ちでひとつ来年の国際障害者年を実りのあるものにしていただきたいことを重ねて最後にお願いいたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
#276
○委員長(片山甚市君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#277
○委員長(片山甚市君) 次に、こどもの国協会の解散及び事業の承継に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。園田厚生大臣。
#278
○国務大臣(園田直君) ただいま議題となりましたこどもの国協会の解散及び事業の承継に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 こどもの国は、皇太子殿下御成婚記念事業の一つとして、東京都と神奈川県にまたがる九十九万平方メートルの規模を有する児童の健全育成のための総合的な施設であります。昭和四十一年十一月に特殊法人こどもの国協会を設立し、これに土地などの国有財産を出資して事業の運営に当たらせてまいりましたが、このたび特殊法人の整理合理化を図るため、こどもの国協会を廃止し、事業の運営を民間の公益的な法人に行わせることといたしました。
 以下、この法律案の内容について、その要旨を御説明申し上げます。
 第一に、特殊法人こどもの国協会は、この法律の施行のときにおいて解散することとしております。
 第二に、協会が経営するこどもの国の事業は、厚生大臣が指定する社会福祉法人が引き継ぐこととし、このため、協会が現に有する土地などは、一たん国に帰属させた上当該社会福祉法人に無償貸し付けできることとしております。
 また、土地などの所有権以外の協会の一切の権利義務は、当該社会福祉法人に承継させることとしております。
 第三に、こどもの国の事業を引き継ぐ社会福祉法人について、事業の種類の制限、土地などの無償貸し付けに伴う厚生大臣の監督権限及び貸し付けを受けた土地などを指定用途以外に使用した場合の貸付契約の解除など所要の規定を設けることとしております。
 第四に、この法律は、公布の日から一年を超えない範囲内において放令で定める日から施行することとしております。ただし、厚生大臣は、公布の日以後は、こどもの国の事業を引き継ぐ社会福祉法人を指定することができることとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#279
○委員長(片山甚市君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する事後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#280
○委員長(片山甚市君) 次に、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。園田厚生大臣。
#281
○国務大臣(園田直君) ただいま議題となりました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要な御説明申し上げます。
 わが国は、諸外国に例を見ない急激な速度で高齢化社会に移行しつつあり、老後の生活の支えとなる年金制度に対する国民の関心と期待は、年金受給者の急速な増加と相まって、かつてない高まりを示しております。昭和五十一年度には、厚生年金及び国民年金を中心に財政再計算の実施とあわせて給付水準の引き上げなどの制度改善が行われたところでありますが、その後における社会経済情勢の変動に対応し、これらの制度について所要の改善を行う必要が生じております。
 このような趣旨にかんがみ、厚生年金、国民年金等について、財政再計算を一年繰り上げて昭和五十五年度に実施し、年金水準の引き上げ、遺族年金及び母子年金その他の給付の改善を行うほか、福祉年金の額の引き上げなどを行うことにより、年金制度の実質的な改善充実を図るとともに、児童扶養手当、特別児童扶養手当及び福祉手当についても額の引き上げを図ることを内容とする厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を本年二月、第九十一回国会に提出し、御審議を煩わしたのでございますが、成立を見るに至りませんでした。
 しかしながら、年金制度の改正に対する国民の要望にはきわめて強いものがあることから、ここに再度この法律案を提案し、御審議を願うことといたした次第であります。
 以下、改正案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、厚生年金保険法の一部改正について申し上げます。
 第一に、年金額の引き上げにつきましては、本年六月から新たに老齢年金を受ける者の標準的な年金額を月額約十三万六千円に引き上げることとし、定額部分について単価の引き上げ、報酬比例部分について過去の標準報酬の再評価を行うこととしております。また、加給年金額につきましては、単身世帯よりも夫婦世帯に手厚い改善を図る観点から、配偶者の加給年金額を月額六千円から一万五千円に引き上げるなど大幅な改善を図ることとしております。そのほか、障害年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げることとしております。
 第二に、在職老齢年金について、受給者の実態を勘案し、本年六月から六十歳以上六十五歳未満の在職者に支給される老齢年金の支給対象を標準報酬月額十五万円までの者に拡大するなどの改善を図ることとしております。
 第三に、遺族年金につきましては、受給者の生活実態等を勘案し、年金による生活保障の必要性が高いと思われる有子の寡婦及び高齢の寡婦に重点を置いた改善を図ることとし、寡婦加算額を本年八月から子供二人以上の寡婦の場合月額七千円から一万七千五百円に引き上げるなど大幅な改善を図ることとしております。
 一方、遺族の範囲につきましては、年齢等を勘案して見直すこととし、子のない四十歳未満の妻につきましては、年金の支給対象としないこととしております。
 第四に、標準報酬につきましては、最近における賃金の実態に即して、本年十月から、四万五千円から四十一万円の三十五等級に改めることとしております。
 第五に、保険料率につきましては、給付改善及び将来の受給者の増加に対応して、長期的に財政の健全性を確保する観点から段階的に引き上げる必要がありますが、今回の引き上げ幅につきましては、千分の十八にとどめることとし、本年十月から引き上げることとしております。なお、女子につきましては、本年十月から千分の十九引き上げるとともに、昭和五十六年以後毎年六月から千分の一ずつ引き上げ、保険料率の男女差の解消を図ることとしております。
 次に、船員保険法の一部改正についてでありますが、おおむね厚生年金保険の改正に準じた改正を行うこととしております。
 次に、国民年金法の一部改正について申し上げます。
 拠出制国民年金につきましては、まず年金額の引き上げを図ることとし、本年七月から二十五年加入の場合の年金額を月額四万二千円とし、現実に支給されている十年年金の額を月額二万六千五百五十円に、五年年金の額を月額二万千六百円に、それぞれ引き上げることとしております。そのほか、障害年金の最低保障額及び母子年金等の額を引き上げることとしております。
 第二に、母子年金及び準母子年金について、本年八月から母子加算及び準母子加算制度を創設し、夫などの死亡により他制度の遺族年金の支給を受けることができない者には、月額一万五千円を母子年金等の額に加算することとしております。
 第三に、保険料の額につきましては、財政の健全性を確保する見地から、昭和五十六年四月より月額四千五百円に改定することとし、以後段階的に引き上げることとしております。
 福祉年金につきましては、十年年金の引き上げ率を勘案して、老齢福祉年金の額を月額二万円から二万千五百円に引き上げるなど所要の改善を行うこととしております。
 次に、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部改正について申し上げます。
 児童扶養手当及び特別児童扶養手当の額につきましては、福祉年金に準じて、本年八月から児童扶養手当の額を児童一人の場合月額二万八千円に引き上げるなど所要の改善を図るとともに、福祉手当につきましても引き上げを行うこととしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、衆議院において厚生年金及び船員保険の年金について、遺族年金の支給範囲、保険料率及び老齢年金の受給資格年齢に関する訓示規定に関し、また国民年金などについて老齢福祉年金、児童扶養手当などの額に関し、それぞれ修正が行われたところであります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#282
○委員長(片山甚市君) 次に、本案につきましては衆議院において修正議決されておりますので、この際、本案の衆議院における修正部分について修正案提出者衆議院議員今井勇君から説明を聴取いたします。今井君。
#283
○衆議院議員(今井勇君) 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、厚生年金保険法に関しては、第一に、十八歳未満の子または一級もしくは二級の廃疾の状態にある子を有しない四十歳未満の妻(一級または二級の廃疾の状態にある妻を除く。)については、遺族年金を支給しないこととする改正規定を削除すること。
 第二に、保険料率をそれぞれ千分の三引き下げること。
 第三に、老齢年金の受給資格年齢については、この法律の施行後に初めて行われる財政再計算の時期に、所要の改定措置が講ぜられるべきのものとする改正規定を削除すること。
 船員保険法に関しては、厚生年金保険法に準じた修正を行うこと。
 国民年金法に関しては、第一に、老齢福祉年金の額を二十五万八千円から二十七万円に引き上げること。
 第二に、障害福祉年金の額を一級障害について三十八万七千六百円から四十万五千六百円に、二級障害について二十五万八千円から二十七万円に、それぞれ引き上げること。
 第三に、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額を三十三万六千円から三十五万千六百円に引き上げること。
 第四に、五年年金の額は昭和五十五年八月分から二十五万九千二百円から二十七万千二百円に引き上げること。
 児童扶養手当法に関しては、児童扶養手当の額を児童一人の場合月額二万八千円から二万九千三百円に、児童二人の場合月額三万三千円から三万四千三百円に、それぞれ引き上げること。
 特別児童扶養手当等の支給に関する法律に関しては、第一に、特別児童扶養手当の額を障害児一人につき月額二万千五百円から二万二千五百円に、重度障害児一人につき月額三万二千三百円から三万三千八百円に、それぞれ引き上げること。
 第二に、福祉手当の額を月額八千七百五十円から九千二百五十円に引き上げること。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#284
○委員長(片山甚市君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#285
○委員長(片山甚市君) 次に、優生保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、提出者衆議院社会労働委員長山下徳夫君から趣旨説明を聴取いたします。山下君。
#286
○衆議院議員(山下徳夫君) ただいま議題となりました優生保護法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 本案は、都道府県知事の指定を受けて受胎調節の実地指導を行う者が、受胎調節のために必要な医薬品を販売することができる期間を、昭和六十年七月三十一日まで延長しようとするものであります。
 以上が本案の提案理由及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#287
○委員長(片山甚市君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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