くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第093回国会 社会労働委員会 第2号
昭和五十五年十月二十三日(木曜日)
   午前十時三十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山 甚市君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                高杉 廸忠君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                村田 秀三君
                安恒 良一君
                渡部 通子君
                沓脱タケ子君
                柄谷 道一君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
   政府委員
       労働大臣官房長  谷口 隆志君
       労働大臣官房審
       議官       倉橋 義定君
       労働省労政局長  細野  正君
       労働省労働基準
       局長       吉本  実君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 久子君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       労働省職業訓練
       局長       岩田 照良君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       内閣官房内閣審
       議官       花輪 隆昭君
       警察庁交通局交
       通指導課長    矢部 昭治君
       警察庁警備局警
       備課長      岡村  健君
       厚生省社会局更
       生課長      板山 賢治君
       運輸省自動車局
       業務部旅客課長  寺嶋  潔君
       運輸省自動車局
       業務部貨物課長  浅井 俊明君
       郵政省郵務局切
       手室長      安藤 博之君
       労働省労政局労
       働法規課長    中村  正君
       労働省職業安定
       局業務指導課長  若林 之矩君
       建設省道路局高
       速国道課長    鈴木 道雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (身体障害者の雇用促進対策に関する件)
 (婦人労働者の雇用及び労働条件の改善に関す
 る件)
 (高年齢者の雇用と生活安定に関する件)
 (労働時間短縮及び週休二日制の早期実現に関
 する件)
 (国際障害者年の記念事業に関する件)
 (女子学卒者、婦人パートタイマー及び寡婦の
 雇用、就業状況等に関する件)
 (大阪市の葦原運輸機工株式会社における不当
 労働行為に関する件)
 (貨物自動車運転者等の労働条件に関する件)
 (重度障害者の就業対策等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 労働問題に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○安恒良一君 私は労働問題一般について、実は三つのテーマで質問をしたいと思いましたが、いま理事の皆さん方からの時間の関係がございますので、その中の一つは障害者の雇用問題、それから第二番目には女子労働者の雇用促進の問題、この二つのテーマにしぼってお聞きをしたいと思います。
 まず第一に、国際連合は御承知のように「完全参加と平等」をテーマといたしまして、一九八一年を国際障害者年とすることを決定しました。私は、社会参加の基本は労働参加、すなわち働く意思のある者すべての障害者に対し、就労の機会と雇用の場を具体的に保障することが重要だと思います。
 そこで現状認識でありますが、二つの資料がございます。一つは厚生省が発表いたしました第六回身体障害者実態調査、それからいま一つはこれまた労働省が発表されましたところの身体障害者の雇用状況について、この二つの資料がございますが、これは私すでに手元に入手いたしておりますからこの説明は細かく要りません。
 そこで、まず大臣に質問する前提に当たって現状認識だけを一致させておきたいと思うのでありますが、まず全国の十八歳以上の身体障害者数は百九十七万七千人、人口比で見ますと二・四%と推計されます。第二にその就業状況でありますが、身体障害者のうち就業者数は六十三万八千人、この就業率は三二・三%。不就業者は百三十二万人。ただしこれは全体の数でありますから、十八歳から六十四歳までのいわゆる稼働年齢層で見ますと就業率は四六・七%であり、これに対する一般の就業率は六九・九%であるということで、非常に就業率が低いということ、それから十八歳から六十四歳までの稼働年齢者は百十五万人であると、それからいま一つの認識といたしまして、身体障害者の程度別、いわゆる一ないし二級の重い障害を有する身体障害者の実数は六十四万八千人である、この認識については間間違いありませんか。
#4
○政府委員(関英夫君) 本年二月十五日現在で、厚生省のお調べになりました身体障害者の実態調査の結果は、ただいま先生お話のありましたとおりでございます。
#5
○安恒良一君 厚生省だけじゃないんでしょう。あなたたちが十月二十一日に身体障害者の雇用状況についても発表されていますね。その二つの中から数字を分析したんですが、それはそれでいいでしょうか。
#6
○政府委員(関英夫君) そのとおりでございます。
#7
○安恒良一君 以上、大臣、現状認識は考え方が厚生省の資料と労働省御発表の資料で一致をしたと思います。
 そこで私はまずお聞きをしたいのでありますが、労働省が十月二十一日に発表をいたしました身体障害者雇用状況を見られて、まず大臣はどのような点をこの点についてお感じでございましょうか。まず大臣の基本的これに対する御認識、お考えをひとつ聞かしてください。これは大臣からお聞きいたします。
#8
○国務大臣(藤尾正行君) お答えを申し上げます。国連が来年を国際障害者年というようにお決めをいただいたわけでございますけれども、このこと自体が示しておりまするように、国際的に見まして障害者の方々のお仕事に対しまする参加、あるいは社会に対しまする貢献、こういったことが進んでいないということは非常に際立っておる、そこで、このようなことではいけないんだということで、国際的にもここに国際障害者年といいまするものをお決めいただいて、世界的にこういった障害者の方々に、社会的に特段と働きたいという方に対しまして十二分な労働参加の機会を与えるようにという大運動になってきたのである、私はさように考えておるわけでございます。その世界的な傾向がそのようでございますけれども、特段とまたわが国を顧みてみましたときに、先生が御指摘になられましたとおり、そのパーセンテージから申し上げましても、この障害者の方々の平均社会参加と申しますか、労働参加という機会が、わが国におきましておくれがちである、おくれておるということは私どもはこれを率直に認めていかなければならない、かように考えるのでございまして、私どもこの際、大いにひとつ、みずからを顧みてしっかりこの問題の前進を図っていかなければならぬ、かように考えております。
#9
○安恒良一君 大臣の御認識は承りました。私は労働省が十二月二十一日に発表しました身体障害者の雇用状況を見ますと、民間企業も官公庁も、この中には公団、事業団等の一定の特殊法人も含んでおりますが、まだまだ身体障害者の雇用の道は非常に険しい。特に、結果的に見ますと官公庁、企業ともいわゆるこの身体障害者雇用促進法に設定している雇用率が横ばいであるという点を非常に懸念をするものであります。
 そこで、以下少し実態に照らしながら大臣のお考え方をお聞きをしていきたいと思いますが、まずこれを分析をしてみますと、大企業になるほど雇用率が低い。たとえば千人以上の企業では一・五の法定雇用率に対してわずか〇・九%という実態ですね。それから法定雇用率に達してない大企業の割合は全体の四八・四%です。ですから大企業ほど達成率が悪い。わかりやすく言いますと、千人以上の企業では約八二%が法律を守ってない、こういうふうに思います。ですから、それについてその原因と対策をひとつお聞かせを願いたい。
 続いていま一つは、これを産業別に見ますと、金融、保険、不動産業の未達成率が七三・五%、卸売、小売業、同七〇・二%、電気、ガス、水道、同六三・九%などが目立ちます。私は、金融産業、保険産業等は比較的身体障害者を雇用しやすい産業だと思います、労働省の種別に見ましても。たとえば一つの例を挙げますと化学産業も悪いのでありますが、化学産業などは危険性が伴いますから、なかなか。ところが、一番身体障害者を雇用しやすいこのような産業が達成率が悪いということが目立ちます、この労働省の発表で。その原因と対策について、まずお伺いをしたいと思います。
#10
○政府委員(関英夫君) 御指摘のとおり大企業ほど達成率が悪いわけでございますが、その要因を考えてみますと、一つは、中小企業におきましては新規学卒を採用するということもございますが、中途採用ということも可能でございまして、そういう努力により、雇用率を高めていくということができるわけでございますが、大企業にありましては新規学卒者を雇用して終身雇用でいくということで、中途採用が非常に少ないわけでございます。したがいまして、一年に一遍だけ新規学卒者を相手に採用活動をするというだけでございますので、どうしても新たに身体障害者を雇用する機会が少ないということが言えるかと思います。それから、大企業におきましてはそういう採用状況でございますので、また、元数である労働者数も多いために、雇用率を達成するために雇用しなければならない障害者の数も非常に大きいわけでございますが、それを急速に一遍に達成するということが非常にむずかしいということが言えると思います。今回の調査でも、新規雇用におきましては、大企業は従来に比べますと確かにたくさん雇っているという結果は出ておりますが、もともと非常に雇用率が低かったものですから、新規雇用者は昔に比べれば多くなったけれども、まだ雇用率が全体として〇・九%程度だと、こういう状態にまだ足踏みしているということが言えるかと思います。
 それから中小企業では、やはり小回りがきくといいますか、人に仕事を合わせるというような工夫もとりやすいわけでございますが、大企業におきましては、その企業規模から見まして、どうも仕事の方に人を合わせる傾向が強い。その底には、いままで一部の大企業では、やはり身体障害者の雇用に関する理解が不足しておったということが言えるかと思いますが、そういう点は、最近大分改善されてきているのではなかろうか。そういう意味で、新規雇用者数は大企業においては非常にふえているということが言えるかと思います。
 また、産業別に見まして金融関係の業種などでは、身体障害者の雇用をもっと進められる職種でないかということは先生御指摘のとおりだと思います。確かに金融関係におきましては、お客さんに対する商売であるからというようなことで、余り理由にならない理由でいままで身体障害者の雇用に不熱心であったわけでございますが、そういう点は最近ずいぶん認識も改まりまして、金融関係でも新規雇用にはずいぶん熱心になってきたということが言えるかと思います。
#11
○安恒良一君 局長の分析は、まあ私から言うと全く平面的といいますか、私が聞いたのはその原因と対策を聞いたんですよね。たとえばいまあなたが言われたこと、私はまあ余り理由にならぬと思うんですが、問題は私は、大企業の努力が本当に足らないと思うんです。また、ここに挙げましたような三つの産業も努力が足らないと思う。いまあなたが言われたようなことは努力をやれば克服できることなんですよね、克服できることなんです。私から言わせると、たとえば大企業が〇・〇四ポイントよくなっているだけですからね。〇・〇四ですよ、〇・四じゃないんだ、〇・〇四ポイントよくなっているだけですから、全く横ばいと見て同じなんです。ですから私は、大企業やいま申し上げたような金融、保険、不動産、卸売、電気、ガス、こういうのは努力が足らないと思うんです。
 そこで、私がいまお聞きしましたのは、あなたはいまその原因を挙げられたわけですよね。じゃそういう状況の中で、どんな具体的な対策を持つのか。特に来年は国際障害者年で、しかも国連が言っていることは、参加と平等と言っているわけですね。参加と平等の一番基本は労働参加なんですよ、これは。ですから、その具体的な対策をお持ちですかということを私はいまお聞きしていますから、そのいま言われる大企業が非常に熱意がない、これに対してどういうふうに、特に国際障害者年に当たって雇用拡大をされようとしているのか、その対策について聞かしてください。
#12
○政府委員(関英夫君) 身障者の雇用を促進するための対策の第一といたしましては、雇用率未達成の大企業、特に雇用率の悪いところにつきまして、達成のための計画を作成していただく、そして、その計画に沿って身障者の雇用を進めていくように公共職業安定機関が個別企業を指導していく、これがまず第一でございます。
 そのほかに、やはり第一線機関だけでなく労働省といたしましても、そういう問題の業種の労使にお集まりをいただいて、身体障害者の雇用を進めていくためにどうしたらいいのか、どういうところに阻害要因があるのか、私どもがお手伝いすべきことがどういうことがあるかというような懇談の場を持つ、そういうようなことを通じて進めていく。
 それからもう一つには、私どものいろいろな助成措置がございます。そういうものの活用を通じて、大企業への雇用を促進しようということで努力しているところでございます。
#13
○安恒良一君 この点についても、対策としていま言われたことはまあ従来から言われておりまして、国際障害者年になって特別のことでありませんから、それを私の方から提起をしていきましょう、こういうことをしたらどうだと。あなたの方でお気づきでないようですから。
 そこで大臣、ひとつこれは特に大臣にお聞き願って、大臣のお考えを聞かしてもらいたいんですが、特殊法人というのは何らかの形において政府の影響下にあるわけですね。ところが特殊法人の雇用率は一・三四%、前年が一・二八で、改善はわずか〇・〇六であります。法定の一・八%から大きくかけ離れています。しかも、この特殊法人の雇用促進については本委員会でしばしば関係大臣に追及しまして、これはあなたたちのいわば指導監督下にある――何も労働大臣とは言いませんよ、政府の指導監督下にあるからこれだけはできるだろうと言ったら、そのときは、わかりました、特殊法人については善処しますと、こういうことをしばしばこの委員会で、私だけではありません、いろんな委員から衆参で追及されている。ところが、これを見ますと一・八に対して一・三四と。これは特殊法人がなぜそれだけ、大臣がしばしば社労委員会や予算委員会で善処を言明されておるにもかかわらずにできないんでしょうか、その理由と対策。そして労働大臣にはここでお約束してもらいたい、来年は国際障害者年ですから、必ず特殊法人については、法定雇用率の達成をひとつお約束してもらいたいと思う。来年は国際障害者年ですからね、これは本当に労働大臣や、きょうは総理府からも来ていただいていると思いますが、総理府のいわゆる障害者年推進本部等がその気になってやる。というのは、御承知のように、今度の本部長は総理、副本部長は厚生大臣と総理府長官と、こういうことになっていますから、ぜひこの点についてひとつ労働大臣としてのお約束、それから総理府からお見えになっていると思いますから、総理府の方としてもひとつ最低限、これは労働大臣だけではあれだと思いますから、総理府としても最低限特殊法人については法定雇用率を来年は達成させると、国際障害者年の大きな目玉としてさせると、こういうことについての労働大臣のお約束をひとつぜひお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
#14
○国務大臣(藤尾正行君) 仰せのとおりでございまして、政府の影響下にあります特殊法人等々におきまして、その目標達成率がきわめておくれておるということは、御指摘のとおり、その努力が全く足りないということに私はほかならないと思います。御指摘のとおりだと思います。したがいまして、そういったことを私が認めます以上は、それを達成をいたしますために最大限の努力を払うのはあたりまえのことでございますから、私は閣議等々にも申し上げまして、また各省の影響下にあります特殊法人に、直接その責任者から連絡をしてもらいまして、その目標値を達成させるように全力を払ってまいります。
#15
○政府委員(関英夫君) ただいまの大臣の御趣旨を体しまして、私どもさらに努力をいたしたいと思いますが、具体的に前国会以後とりました対策について、この機会にちょっと御報告さしていただきたいと思いますが……
#16
○安恒良一君 簡単に。
#17
○政府委員(関英夫君) 一つは特殊法人の人事担当役員及び監督官庁を集めまして私から、ことしの五月雇用率達成を要請いたしました。また、この九月には政務次官会議におきまして申し合わせをいたしまして、特殊法人につきましても各省庁が達成をするように努力していくという申し合わせをいたしました。
 以上だけ御報告申し上げます。
#18
○説明員(花輪隆昭君) 国際障害者年のテーマ「完全参加と平等」でございますが、そのほかの五大目的といたしまして、やはり雇用の機会の確保ということを国連といたしましてもうたっておるわけでございます。ただいま労働省から御答弁があったわけでございますが、総理府といたしましても、十分労働省と連絡を保ちまして努力をしてまいりたいと、かように存じております。
#19
○安恒良一君 大臣から前向きの御意見がございましたが、大臣ここのところはきちっと覚えておいていただきたいと思いますが、政府の監督下にある特殊法人が雇用率を達成しなくて、民間企業だけを責めても進むはずがないんですよ。これをあなたたちが本気になって、総理大臣以下関係大臣がやる気になれば、簡単に私はできることだと思いますね、率直に言って。それがこんなに毎年国会で追及されておきながら乖離があるという状態で、何が国際障害者年かと私は言いたいわけです。ですから、どうぞひとつ、きょうは総理府長官ほかの関係でお見えになっておりませんが、総理府長官、労働大臣御協力くださって来年の委員会のときにまたこんなことを私どもが追及しなくていいように、必ずひとつやっていただきたいということを強く要望をしておきます。
 そこで、法定雇用率の問題についてちょっと質問をしたいと思いますが、身体障害者法定雇用率の算出の根拠をひとつ聞かしてもらいたい。どういう根拠になって……、というのは民間が一・五、特殊法人が一・八、官公庁非現業が一・九、現業が一・八と、こういうふうに雇用率が決まっています。この雇用率はどういう算出の根拠でこういうふうに民間が一・五になり、特殊法人が一・八になったか。実は私ここの法律を「労働総覧」に基づいて全部読んでみましたが、具体的な算出の根拠というのが細かく書いてありません。そこでこの算出の根拠について、こうこうこういう計数を使ってこのようになるから民間が一・五になるのだと、特殊法人が一・八になるのだという、その算出の根拠についてひとつ御説明願いたいと思います。
#20
○政府委員(関英夫君) 身体障害者雇用促進法の十四条によりまして、民間の雇用率につきましては、失業者を含む労働者の総数から除外率制度によって除外される労働者数を引いた残りの数に対します身体障害者である労働者、これはもちろん失業者を含む総数の割合、それが何%であるかということを基準として設定するということになっております。
 そこで昭和五十年当時におきます民間の常用労働者数二千六百六十六万に失業者数を足しまして、一方労働省の調べによります常用雇用身体障害者数二十六万と、それからそれのうち重度障害者は二倍に勘定いたしますから、それよりふえるわけでございますが、それと休職中の身体障害者の数、これも重度障害者を二倍にして計算いたしましてその率を見ましたところおおむね一・五%ということで一・五%を設定したものでございます。なお、従来それまでが一・三%でございました。それとの関係から見ても、この程度がよかろうと。そしてその民間を決めました上で、従来、民間よりも官公庁とか特殊法人というのは率先垂範すべきだということで率を高めておりましたので、その率の差を一・五に加えまして官公庁等の雇用率を定めたものでございます。
#21
○安恒良一君 そこで私は、この法定雇用率の引き上げについてお伺いしたいんですが、まず身体障害者雇用促進法の十四条の第二項で、身体障害者雇用率は「少なくとも五年ごとに、当該割合の推移を勘案して政令で定める。」と、こういうふうに書いてありますね。これが五十一年ですから、来年は五十六年ですから、まる五年にならぬと言われると思いますが、しかし私は国際障害者年ですから……。それはなぜかというと、厚生省の調査によりますと、十八歳以上の身体障害者は、前回――昭和四十五年十月の調査で百三十一万四千人ですね、人口比一・八%です。ところがことしの調査――ことしといってもこれは去年の実績でありますが、これは百九十七万七千人、人口比で見ますと二・四%と推計がされます、厚生省調査によって。そうしますと、これはすでに身体障害者の十八歳以上の方々が五〇・五%ふえていると、こういうふうに厚生省の実態調査では分析をいたしています。ですから、私はこの現状に対しまして法定雇用率の引き上げを行うことが必要であると思いますが、大臣のお考えいかがでしょうか。また大臣ひとつこれについて、これまた国際障害者年にちなんで法定雇用率自体を引き上げると、こういうことについてのお約束がいただけないものでしょうか。この点について二つの、一つは法律、一つは政府調査における五〇%も十八歳以上の身体障害者がふえていると、こういう現状に立って法定雇用率の引き上げについて大臣のお考え方をお聞かせ願いたい。
#22
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。
 ただいま非常に厳しい御注文があったわけでございますが、私ども、御指摘のとおり、五年ごとにその目標を精査をして、そうして改定をしてということを規定をいたしております。そうしてそのために、私ども審議会等々に御諮問を申し上げまして、どのようにすべきかということについて御意見をちょうだいをすることにいたしておるわけでございますけれども、御案内のとおり、先ほど安恒さん御指摘のとおりでございまして、五十一年に設定をいたしました目標値が、残念ながらいまだに完遂をされておらぬ。まことに怠けほうだい怠けておったと言っておしかりをちょうだいすれば、お言葉をお返しするすべはないわけでございますけれども、事実、残念ながらそのようなことでございますので、当面、私どもといたしましては、来年までまだ一年あるわけでございますから、その一年間をかけまして、最大限の努力をいたしまして、その目標値を達成させるように、ありとあらゆる方法を駆使いたしまして努力をしていかなければならぬ。そこに全力をまず挙げていきたい、かように考えておるわけでございます。
 そうして第二番目に、それが達成されそうだという見通しに立てまするならば、さらに安恒さん御指摘のとおり、まことに残念千万なことでございまするけれども、心身の障害者の方々がふえておる、そのふえておる実態といいまするものをよく認識をさせていただいて、それに対する措置を考えていかなければならぬと思います。
 したがいまして、とりあえず、そのふえておられる障害者の方々に対しまする対策を、それではどのように具体的に進めていったならば、第二段階目に進み得るかということを事務的に十二分に詰めさせる必要があろうと思います。したがいまして、事務的な措置はただいまからでもすぐにそれに対応すべき準備を進めさせますけれども、私どもも政治責任といたしましては、まずもって、五十一年度に与えられました数値を完全に達成することに全力を置かしていただいて、そしてそれが達成された後に、事務的に積み上げられました次の目標に向かって進んでまいるという方が私どもの責任を果たす上でよかろう、かように考えますので、そのようにさせていただけないものだろうかと考えております。
#23
○安恒良一君 そういう物事の進め方もあると思いますが、それじゃ、後でちょっと角度を変えまして、これは局長に質問いたしますが、法定雇用率、日本はわかっています。西ドイツ、イギリス、フランス、どういうふうになっていましょうか。法定雇用率を簡単に言ってみてください。
#24
○政府委員(関英夫君) 西ドイツは雇用率六%でございます。イギリス三%。オランダが二%。こういう状況でございます。
#25
○安恒良一君 フランスはどうなっていますか。フランス。
#26
○政府委員(関英夫君) いま手元に資料がございません。
#27
○安恒良一君 これを正確にするために、大臣、西ドイツは十六人以上の企業で六%以上ですね。イギリスでは二十人以上の企業で三%以上ですね。それからフランスの場合は、十人以上の企業で三%。ただし、戦争犠牲者の特別割り当てがありますから、これを含めますと一〇%なんですよ。ですと、十人に一人障害者を雇わなきゃならぬ。これがフランスの現状なんです。ですから、これから見ますと、日本の民間のいわゆる一・五というのは、国際的に見ても非常に低いんですよ。それと同時に、いま言ったように「少なくとも五年ごと」と書いてあるわけですからね。五年間たってやれと書いてない、法律も。「少なくとも五年ごと」、しかも厚生省の実態調査の中から言いますと、昭和四十五年と昨年とでは、五〇%も障害者がふえている。こういう現実をお考えになると、まずその一・五を達成して、それからなどという悠長なことを言っているときではないのじゃないですか。その意味から言いますと、私は少なくとも大臣に、ぜひこのことは関係審議会があるなら直ちにその現実に照らして諮問をして、私は雇用率も上げる、こういうことがなければ、これまた国際障害者年というわけにはいきません。それで大臣の前向きの答弁がなければやむを得ませんから、この次総理に私は予算委員会でこのことを聞こうと思うのですが、まあ何といったって雇用率の所管大臣は労働大臣なんですから、いまや三つの、国際的な比較、わが国における障害者の急増ですね、法律の「少なくとも五年ごと」と、この三つの観点から、再度大臣に御答弁をしていただければと思います。
#28
○国務大臣(藤尾正行君) 御指摘、まことに私はそのとおりにいたしたいと思います。
 しかしながら先ほども申し上げましたとおり、私ども政治の衝に当たっております者が、うそを申し上げるというようなことになりますと、これはえらいことになりますから、私どもは、申し上げましたことはきちっとやらしていただきますから、まずもって着実に私どもの目標を達成さしていただいて、その上におきまして、同時に並行いたしまして事務的にその準備を進めさせますから、それを横ににらみながら、次の段階に一歩移行さしていただきたいということをお願いをいたしておるわけでございます。
#29
○安恒良一君 それでは、そこのところこれ以上お願いしても大臣なかなかあれですから、並行的に事務的にとおっしゃいましたから、ぜひひとつ、これは関係審議会等に早急にいまの現状を諮問していただいて、どうすればいいかということをぜひやっていただきたいということのお約束をお願いして次に入っていきたいと思います。
 そこでまず、次の問題について質問をしますが、いまわが国におきましては、この法定雇用率を守らなかった場合に、いわゆる雇用促進法に基づきまして三万円のお金、一人三万円拠出しなければならぬことになっていますね。まず私は、この三万円というのは、どういう計算で一人三万円というふうに決められたか、この積算根拠についてもひとつ聞かしてください。三万円はどういう根拠があるのでしょうか。
#30
○政府委員(関英夫君) 身体障害者雇用促進法の二十七条二項でございますが、身体障害者を一人雇用した場合に、通常必要とされる特別の費用の額の平均額を基準として定めるということで、当時そういう計算をいたしまして、審議会に諮って決めたというふうに私承知をいたしております。
#31
○安恒良一君 ではこれは、いまさっきの雇用率の算定図式と、それから三万円の算定についての資料を後で下さい。いまの御説明だけでは、はっきりわかりかねますから。
 当時三万円と決められたのですが、私はいまから考えるとどうも低いのじゃないかという考えを持っておりますから、その点について、まず法定雇用率を守らない三百人以上の企業から一人当たり月三万円納付金取られていますが、昨年度は幾らありましたでしょうか。
 また、これを同じこの法律に基づいて雇用奨励その他三つの、いわゆるまず一つは、雇用促進率を達成した事業主に対する身体障害者雇用調整金の支給、一人当たり月額一万四千円になっています。それから身体障害者を多数雇用する中小企業主に対する奨励金、一人当たり月八千円になっています。それから、身体障害者を雇い入れた事業主に対して助成金という形でこのお金が使われておりますが、その収支はどうなっておるでしょうか。昨年度についてお聞かせをください。
#32
○政府委員(関英夫君) まず初めに、納付金の額の問題でございますけれども、これにつきましても法律上五年ごとに見直すことになっております。そういう意味で先ほどの雇用率とともに、この辺の検討は来年行わなければならないというふうに考えております。
 その次に、五十四年度の納付金の収入及びその支出の関係でございますが、五十四年度納付金収入は百八十一億余でございます。で、支給の方でございますが、雇用調整金の方は十六億五千万円、それから報奨金が七億六千万円、助成金が百七億、業務費等を入れまして支出が百四十四億ということになっております。
#33
○安恒良一君 状況はわかりました。
 そこで、これも法律で「五年ごと」ということですが、やはり大臣ですね、私は五年間を待たずして引き上げる必要があるのではないか。というのは、どうも大企業の場合には、身体障害者の方を雇用するよりも三万円出した方がいい、こういう考えがある。ですから、いま申されたような金額になっています。
 そこで、この点についても、どこの国でも守らない場合の罰則が非常に厳しくなっておりますが、
   〔委員長退席、理事高杉廸忠君着席〕
日本では、納付金を納めればいいというふうな考えがあるんじゃないかと思いますから、少し厳しい例で、フランスとかそれからドイツとか、そういうところでは守らなかった場合にはどういうような金額を徴取しているのか。またどういうような罰則があるのか。そういうEC諸国における実例をひとつ聞かしてみてください。――どうも、そちらがまだ準備が整っていないようですから時間がありませんから、私の方から厳しい例を一、二点紹介しましょう。
 まず、一番厳しい例はフランスですね。最近新しく障害者オリエンテーション法というものができています。しかし、その法律ができる前から障害者を、いまさっきも申し上げましたように十人に一人雇わなきゃならないんでありますが、雇わなかった場合には、最低賃金の三倍が払われていますね、三倍が払われています。また西ドイツの場合も、たしか一人当たり月額百ドイツマルクだったと思いますが、いわゆる課徴金が払われていると。これ等から比べますと、大臣、わが国の場合に三万円というのがもうすでに安いと。そういうものですから、いわゆる三万円だけ納めておけばいいと、こういうことになる。その結果が、いま局長が認められたような数字になっているわけですね。ですから、これもどうしてもやはり国際障害者年にちなんで「五年ごと」ということですが、このことは、金額引き上げは雇用率を上げることとは違って、私は本当に政府がその気になれば関係審議会等に諮問して、三万円はすぐ引き上げられると思いますが、この点、大臣どうでしょうか。諸外国のいろんな例から比べて、わが国の場合には非常に安過ぎる。それが安易にお金で納めればいいというふうに企業が流れておりはしないかという心配を私はするわけですから、三万円の引き上げについて大臣のお考えを聞かしてください。
#34
○国務大臣(藤尾正行君) ただいまの御指摘の問題は、三万円というものが雇用を達成しないということと引きかえに与えられておるものでは私はないと、かように考えるわけで、三万円を支払わなければならぬという不名誉、そういった不名誉の方が企業に与える影響が大きい、私はかように考えます。したがいまして、本当に安恒さんが御指摘のように、金を払えばいいんだというような受けとめ方を企業側においてされておるということでありましたならば、これは私は大変な心得違いであるということでございますから、この点につきましては、厳重にそれを公表するとか何とかというような方法をもちまして、厳しく糾弾する方法は私はあろう、かように考えますし、また、三万円が非常に低いといういまの社会常識でございましたならば、当然これに関連をいたしまして、それでは幾らにするのが妥当であるかということもあわせて、仰せのとおり、審議会等々にも諮問をいたしまして、事務的にこれを進めさせるという方向に行くように指示をいたすつもりでございます。
#35
○安恒良一君 不名誉なことですけれど、昨年度やはり百八十億もあるわけですね、納付金を納めたのが。それから達成率が非常に悪いというこの二つの事例から見ますと、大臣、どうも私は、やはり三万円さえ出しておけばそれで済むんだという、いけないことですが、考えがありはしないかと思いますから、諸外国ではそれを防止するためにやはり納付金というものをかなり大きくしているわけですね。そのことも雇用率を達成させる一つの方法でもありますので、どうか大臣、これも国際障害者年にちなみまして、この三万円の引き上げについて直ちにひとつ関係審議会と、また事務的な検討を始めていただいて実現をしていただくように、このことも強くお願いを申し上げておきます。
 そこで、だんだん時間がなくなってまいりましたから、次に私は、障害者の雇用拡大のための積極的な政策を持つ必要があると思います。というのは、日本の場合には、いわゆる官公庁と民間と分けて雇用率が示されておりますが、たとえば一つの例を挙げますと、症度別ですね、いわゆる中度、重度等の障害者の雇用拡大をどうするのがいいのか。もう一つは障害類別、たとえば、いわゆる目の悪い方、それから聾唖の方等々障害が違います。そういうようなことを私も諸外国の実例を研究しますと、たとえばイタリアの実例であるとかイギリスの実例等いろいろありますが、そういう問題についての、私はぜひ来年の国際年にちなんで、いわゆる法定率の引き上げと同時に、症度別もしくは障害類別に雇用拡大をしていく必要があるというふうに思いますが、そういう点について、大臣並びに事務当局では、どういう点を検討してどうしようとしているのか、ここらについてのお考えを聞かしてください。
#36
○政府委員(関英夫君) 身体障害者の雇用問題につきましては、雇用促進法の改正以来大分企業の理解も進んでまいりまして、軽度、中度の方の雇用はずいぶんと進んでまいりまして、問題は、先生御指摘のように、重度の障害者の問題が一番大きく残された問題でございます。重度障害者につきましては、雇用率あるいは納付金の関係での算定に当たりまして、倍の二人分として計算するような形でやっておりますが、対策といたしましても、特に重度障害者等雇用管理助成金とか、それから重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金、そういうような形で重度障害者に非常に手厚い助成金を支給することといたしておりまして、特に重度障害者等雇用管理助成金につきましては、昨年これによって一万二千人の重度障害者が雇用されるというようなことで成果を上げてきておりますが、職業訓練にいたしましても、職業指導にいたしましても、特に重度の、そして障害の類別のきめ細かな対策がますます必要になろうかと思います。来年度以降さらにそういう点に力を尽くしていきたいと考えております。
#37
○安恒良一君 もうこれも時間がありませんから、細かくやりとりできませんから、私の方から提案をしておきたいと思いますが、ぜひ私は症度別、障害類別に雇用率をやはり決めてもらいたい。たとえば、イタリアにおける聾唖の方とか、イギリスにおきましてはいわゆる障害者でないとできないという仕事、職種をつくっています。たとえば乗客用のエレベーターの運転手ですね、イギリスの場合。それから駐車場の管理人、番人、これは障害者でないとイギリスではもうその仕事につけない。こういうふうにして障害者の雇用拡大を積極的に図っているわけです。ところが日本の場合を言いますと、たとえばはり、きゅう、あんま、マッサージという方について、これは障害者の重要な仕事ですが、健康な人がどんどんその分野に入っていっていますね。まあ職業の選択の自由ということはありますが、どうもそういう点から見ますと、もう少し前向きにいま申し上げたような症度別とか障害類別、それから優先雇用、留保雇用、こういうきめ細かい施策がないと、私はただ単に雇用拡大をせいせいと言ってみてもだめ。ですから、いま局長が言われましたことのほかに、私はそういうことについても前向きに検討してもらいたいと思います。
 特に大臣にこれもお約束願いたいんですが、これも民間では一遍にはなかなか無理でしょうから、官公庁における中度、重度の障害者の雇用拡大についてひとつ官公庁、特殊法人、これだけはまだ政府がやる気になればできるわけですから、たとえばいま一つ申し上げたように、乗客用のエレベーターならエレベーターはもう全部官公庁はするとか、それから駐車場をお持ちのところもあると思いますが、そういうところについては全部その管理人は障害者の方にやってもらうと、こういう角度から私はやるべきだと、こう思いますが、この点についてひとつ御検討願っておきたい。
 それから時間がありませんから、私はこの点もひとつ御検討願って後から感想を聞かしていただきたいんですが、わが国の障害対策の中で諸外国に比べておくれている一つの点は、精神、知恵おくれの障害者が含まれてないということですね、精神それから知恵おくれの。ところが、諸外国における障害者対策を見ますと、すべてこれらの方を含めてやられているということ、これが私は特徴的にわが国のおくれている点の一つだと思う。
 それから第二点目は、いまさっき私が申し上げた法律で定めた雇用率、法定雇用率が諸外国に比べて非常にわが国の場合低い。諸外国は高い。それから、罰則が諸外国の方は厳しい。これは時間がありませんから、全部諸外国の実例を私ここで言うわけにはいきませんが、厳しい、こういう点についてひとつ御検討願いたいこと。
 それからいま局長も言われましたように、重度障害者に対してどうするかということが非常にこれはむずかしい問題でありますが、諸外国の実例を見ますと、これはたとえば保護雇用ですね、日本語に約しますと保護雇用とか庇護雇用などという言葉が使われまして、いわゆる一般雇用の場に受けられない障害者の特別のいわゆる設備、それから環境をつくっていますね。こう言いますと、日本にも福祉工場があると、こうおっしゃると思いますが、日本の福祉工場ではやはり重度障害者も一部働いていますが、そうでない人もたくさん――まあ障害の程度の軽い人もおるわけですから、私はこの際、ヨーロッパ各国におけるところの保護雇用あるいは庇護雇用、こういう問題についてもわが国は真剣に検討してわが国の施策をつくるべきだと思う。というのは、来年度の障害者年に対する皆さん方の予算を全部詳細に検討さしてもらいました。そうしますと、障害者年だからといって特別いま言ったような雇用拡大のために積極的な予算がついているとは私は思われません。手元に資料を持っています。ですから、婦人問題を聞かなきゃなりませんから、もう時間がありませんので、また改めて後半のところは次の機会に譲って深く突っ込んで議論をしたいと思いますが、どうか大臣、以上の点についての御検討をひとつぜひお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。これはもう大臣のお考えだけ聞かしておいてもらえば結構です。
#38
○国務大臣(藤尾正行君) きわめて御示唆に富んだ御意見でございまして、私どももそのような方向に進めますように指導をいたしてまいります。
#39
○安恒良一君 それでは、この雇用問題の一つの大きい問題として、実は婦人の雇用問題があるわけなんですが、時間がもうなくなりまして、せっかく局長来ていただいて残念ですから、結論的なところだけ少しお聞きしたいんですが、二十一日から婦人労働旬間といいますか、始まりまして、ことしの重要方針に昨年に引き続きまして「職場における男女平等をすすめる」と、こういうことになりまして、性による差別の現状から私は当然だと思いますし、また憲法やいわゆる労働基準法にはそのことが明確に書いてありますが、現状はそうでない。これはもう現状をここでまた細かく御説明をお聞きする時間ありません。私の手元にもあります。
   〔理事高杉廸忠君退席、委員長着席〕
しかし、御承知のように私から現状を言いますと、いまや全体の雇用労働者の三分の一が女性であるということですね。それから、八〇年代における産業構造のいわゆる転換の中におきまして、第三次産業の比重が高まっておりますし、ますます女子労働者がわが国の経済発展にとって欠くことのできない重要な役割りを持っているということの現状認識は、お互いに一致できると思うんです。
 ところが御承知のように、ことしの女子労働者の中で当面いま新聞の話題をにぎわしておりますのは、新規大学卒の現状であります。この大学卒の現状に対して、男性はいわばこれは売り手市場、こうなっている。ところが、なかなか女性は、私の調べ、労働省の御発表によりますと、大卒が九万七千人いる。そのうちで就職希望が七万三千人。ところが、九月二十五日では大体四千百人ぐらいじゃないかと、こんなことをちょっと新聞で読みました。大変大卒の方について厳しいのでございますが、そこで、そういう実情の中で具体策として婦人少年局長としては、この女子労働の雇用をどういうふうに進めていこうとされているのか。これ皆さんがお書きになった中を見ますと、たとえばその一つは、大卒女子の狭い門戸がある、それから偏っている女性の職場配置、それから男子と異なる教育訓練の内容、それから限られた女性の昇進の場合とか、まだある定年と退職における男女の差別等々、かなり現状分析は正確にある程度されていると思います。しかし、それに対する具体的な対策についてひとつ、時間がございませんからごく簡単に、局長としてどうすればいいのか。特にことしは問題になっています女子大生の門戸開放をどういうふうにして達成しようとされているのか、お考えを局長からお聞かせください。
#40
○政府委員(高橋久子君) 先生からもお話がございましたように、女子労働者が大変ふえておりまして、わが国の経済社会の中で重要な役割りを果たしておりますにもかかわらず、職場において、まだ男女平等が達成されていないと、特に大学卒の女子の就職難が最近問題になっているところでございます。
 私どもといたしましては、性による差別、女子であることを理由にして差をつけるというようなことがないように、かねてからいろいろと啓発、指導を行っているところでございますが、特に先生が先ほどおっしゃいましたように、この二十一日から婦人労働旬間というのをやっております。この婦人労働旬間の本年のテーマは「職場における男女平等をすすめる」ということでございますが、その三つの柱は「同一労働同一賃金」、それから「男女差別の定年制の解消」、それから「婦人の就業分野の拡大」ということでございまして、特にこの「就業分野の拡大」におきましては、女子であることを理由にして就職試験も受けさせないというようなことをなくするように、というようなことを考えているわけでございまして、全国の婦人少年室がいま一斉にこの婦人労働旬間のキャンペーン活動をやっているところでございます。その過程におきまして、事業主等に対しましてこういった問題についての指導を行っているということでございますが、なお一層対策を進めてまいりたいと考えております。
#41
○安恒良一君 これも大変抽象的であって、私時間があれば少し中身をうんと突っ込んで議論したいと思いますが、まあこれは次回に譲りますが、当面私は次のようなことが必要ではないかと思いますが。すでにILOその他においていわゆる男女平等雇用問題について、私の手元にあります、諸外国においては積極的な、名前は男女平等雇用法とつけているところもあればつけていないところもありますが、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、カナダ、イタリア、それからデンマーク、アイルランド、ベルギー、スウェーデン等々において積極的なILO条約の勧告に従っての男女平等法が出された。
 そこで大臣にお聞きしたいんですが、私どもも議員立法としてしばしばこの男女平等法を提出をしているんでありますが、まだ政府・自民党のいわゆる賛成を得るところになっていませんが、私は、まず基本的にはもうここまできたら、一つは男女平等雇用法、これを政府みずからが、いま関係審議会で御議論されているようでありますが、政府みずからがひとつ早急に提出をする、これが事態の解決に非常に大きく前進するんじゃないか。いわば、局長の御答弁は行政指導に基づく、もしくは啓蒙活動等々によってやろうということなんですね。ところが、そんな悠長なことを言っておられないんです。たとえば、いまの大卒の問題見ても、ほとんどもう門戸が閉ざされているわけですね。ですから、私はもうわが国も男女平等雇用法というものを、積極的に政府がみずから国会にお出しになる時期に来ている、こう思いますが、この点は大臣から御答弁を求めます。
 それから、当面の解決策といたしまして、私は少なくとも女子大生に対する門戸開放の義務づけという、法律改正までいかなくても、そういう指導があってしかるべきじゃないか。たとえば新規学卒の採用に当たりまして、男女別の採用試験を禁止するとか、法改正をしないまでも、男性に限定した募集要項等を国立大学や関係大学の就職部の案内板には掲示させない、こういう指導はこれは法律改正でなくてもできると思うんです。この点はどうなんでしょう。
 それからその次に、一番やはり女子雇用を妨げておりますのは、育児休業及びその後の再雇用制度、ここに問題があると思いますね、率直なことを言って。どうしても女性の場合に結婚される、そして結婚してもずっと今日働かれる。しかし、その過程においてお子さんも生まれますから、長期育児休業の制度化、こういうことについて、日本の場合には御承知のように、残念ながら年功型賃金になっています。それから、社内登用制度になっています。ですから、育児後の就職がどちらかというと新規就職という形になって、全く不利になる。そこでもうやめたと、こういうことになる。そういう点を少なくともきちっとしていけば、根本的には私は法律改正だと思いますが、当面そういうことができるんじゃないか、こういうふうに思いますが、あとの二点については局長の見解、並びにあなたたちはどうされているか。第一点は大臣にひとつ御答弁をお願いをしたいと思います。
#42
○国務大臣(藤尾正行君) 男女の性の別をもちまして、これに差別を加えるというようなことはあってはならぬ、これはいまや国際通念でございまして、私どももそういった方向に進んでいかなければならぬ、かように考えますし、また同時にいまの人口構造と、これから先のわが国の経済社会のあり方等々というようなことを考えてみましても、そこに私は差別をつけて、女子であるがゆえに就業の機会を閉ざしていくというようなことが許されるような方向にはいかない。逆にどうしても開かざるを得ないような方向に行かざるを得ない、かように考えておるわけでございます。
 そこで、いま御指摘の雇用平等法を考えたらどうだという御示唆でございますけれども、私どもこういったことにつきまして、現にいろいろな方々に御相談を申し上げて、その準備を進めておるわけでございますけれども、私をして言わしていただくならば、そんなことはあたりまえのことでございますから、別にそういった特別の法律といいまするものによらないでも、それが達成できるというようなことに持っていくことが一番望ましい方向である、私はそれができると思います。どうかひとつ、さようなことでこれもまた十二分に審議会等々で御研究を願いますけれども、私の所信といたしましては、法律によらずしてやることは、必ずその法の精神を具体化するということに私どもの政治の目標を置かしていただきたい、かようにお願いをしておるわけでございます。
#43
○政府委員(高橋久子君) 先生から御指摘がございました大卒女子の問題でございますが、先ほど申し上げましたようにいろいろと私どもも努力をしておりますが、まだまだその効果が上がるということには至っていない現状は大変残念でございますので、先生からいろいろと御示唆もいただきまして、なおこれが実効が上がるようにするのにはどうすればいいかということを、私どもとしても真剣に検討してまいりたいというふうに考えております。
 それから、もう一点の育児休業の問題でございますが、確かに先生がおっしゃいますように、わが国のような終身雇用の現状の中で、一たん離職をいたしますと再就職をする場合には大変困難で、もとのようないい職業につけないというようなことがございますので、育児休業制度は、婦人労働者の福祉のためにぜひとも普及を図っていきたいと、そして育児のために一たん休職をした人が、現職に戻ってこれるようなことをやっていきたいというふうに考えております。そのためには奨励金制度、助成金制度等を活用いたしまして普及を図っているところでございますが、これにつきましても、なお一段と努力をしてまいりたいと、このように考えております。
#44
○安恒良一君 私は四十分までしか時間がございませんから、そこで大臣最後に言っておきますが、法律によらなくてもできることがいいというのはそれはもうわかり切っているんですから、できてないんですよ、現状。大学卒の女子なんかもう惨たんたるものでしょう。だから、幾ら大臣が道義的に力んで見られても、現状がそうなっていない。だから、先進諸外国は全部男女雇用平等法というのをどんどんつくって規制を課して、きちっとしているわけですからね。そういう意味から言うと、どうか大臣、精神論だけじゃなくて、具体的に現状を厳しく認識されないと、私は本当に女性が生涯的に働きたい、しかし働けない。ふんまんがだんだんだんだんたまってきていると思いますよ。これいつか爆発しますよ、率直なことを言って。そういう認識をして、私はやっぱり男女平等雇用法の設定を、一段とぜひ急いでいただきたいということを一点申し上げておきますし、局長にもどうか、いろいろ私時間があればさらに少し局長と中身を議論したかったのですが、次回に譲ることにいたしまして、いま私が提言をいたしましたようなことについて、ひとつ早急に検討をして、私は法律改正しなくても一つの手段としてできることがまだまだ残されていると思います、率直に言って。そういう中で女性の雇用をうんと推進してもらいたいということを申し上げまして、私の質問は終わりたいと思います。
#45
○高杉廸忠君 私は、労働行政一般のうち、主として高齢者の雇用等に関してお尋ねをいたしたいと、こう思っております。限られた時間での質疑でありますから、簡潔にお答えをいただきたい、このように思います。
 まず、総合的高齢者対策について伺いますが、低成長と同時に進行する世界に類のないわが国の急速な人口高齢化と、そのもたらす諸問題についての総合的対応策の実施状況についてまず伺いたいと思います。
#46
○政府委員(関英夫君) 高齢化に対処する雇用対策というのは、現在の雇用対策の最重要課題だと私ども認識いたしておりまして、経済社会七カ年計画あるいは雇用対策基本計画におきまして、まず第一に、昭和六十年度までに六十歳定年を一般化することを目標として、強力な行政指導を展開することといたしております。それから高齢者雇用率の達成指導を強力に展開して、高齢者の失業を予防し、あるいはまた再就職の促進を図ることといたしております。また、今後昭和六十年度を過ぎますと、六十歳代前半層に高齢化の波が移っていくわけでございます。そこで、いまから企業の実情に応じつつ、六十歳以上への雇用の確保あるいはそれらの年齢層の就業ニーズに応じた短期的、補助的な仕事を提供するような団体の育成、こういうことも手がけて、総合的な対策を講じているところでございます。
#47
○高杉廸忠君 局長からお答えがありましたが、大臣、政府は新経済社会七カ年計画等において、いまお話しのように昭和六十年における高齢者対策の目標と政策を明らかにしておりますけれども、その骨幹とも言うべき高齢者の雇用と、それから生活安定対策のそれならば進捗状況というのはどういうふうになっておりますか。
#48
○政府委員(関英夫君) 定年延長の実態と申しますか、実情を申し上げますと、ことしの一月現在の調査におきまして五十五歳定年は三九・五%まで全体の中で減ってまいりまして、一方六十歳以上定年が少しずつふえてまいりまして、一月一日現在三九・七%というふうに、ようやく五十五歳定年を上回ってまいりましたが、同時に行われた調査で、近く改定予定のものを含めますと、これは二年ぐらいのうちにさらに六十歳定年がふえ、五十五歳定年が減っていくというような見通しになってきております。
#49
○高杉廸忠君 いまのお話のように鉄鋼とか私鉄、繊維など主要産業において定年延長の動きが見られておりますし、昭和六十年に六十歳定年の一般化の目標の達成についてのお話もありましたが、特にそれでは大企業における定年延長の動きはいまのお話のようなんですが、今後の具体的な行政指導、そういうものについてはどうなんですか。内容についてちょっとお尋ねをいたしたいと思います。
#50
○政府委員(関英夫君) 定年延長につきましては、特に大企業の定年延長を最重要課題として進めなければならない。その場合にも、定年延長の取り組みにおくれが見られる業種もございますので、そういった業種につきましては、労使の代表にお集まりいただきまして、定年延長促進のための業種別労使会議というようなものを開催するという形で、先日、都市銀行関係につきましてそういった労使会議を開催して、定年延長を阻害する要因等について話し合い、大臣から強く要請を申し上げたところでございますが、その結果というわけでもございませんが、その後都市銀行三行の定年延長が発表になりまして、その影響力は私非常に強いものがあるんではなかろうかというふうに思っております。
#51
○高杉廸忠君 先ほども申し上げましたとおりに、人口の高齢化と社会経済の変化は、必然的に私は従来の発想や諸制度の根本的な転換というものが必要であると思っております。まず第一に人生七十五年から八十年、大変寿命が長くなってきていますし、そういう意味におけるライフサイクルの観点から、高齢者の原則的な引退といいますか、退職をされる年齢というものを六十五歳、こういうふうにして、六十五歳までの雇用保障というものをもう具体的に、施策としてすべきではないだろうかと、こういうふうに私は考えるわけなんですが、この点についてはいかがですか。
#52
○政府委員(関英夫君) 私ども昨年の夏、閣議決定いたしました雇用対策基本計画におきましても、昭和六十年度までに六十歳定年を一般化するということを決めておりますほか、やがて昭和六十年以降は六十歳代前半層、先生御指摘の六十五歳未満層、六十から六十五歳未満層にその増加の波が移ってくると。したがって、この昭和六十年度までの計画期間中から六十歳代前半層の対策を充実することということを決めておりまして、具体的には企業の実情に応じながら、六十歳以上への定年延長が可能なところは定年延長に努めるし、またそれが困難なところは、再雇用や勤務延長を促進するための奨励措置をとっていく、あるいはまた、常用的な雇用はもはや無理だという方々に対しては、多様な形での就業形態を確保するように努めるというようなことを決めておるところでございまして、こういったところに従いまして、たとえばシルバー人材センターというような補助成度を今年度から実施しているところでございます。そういう形でいろいろな多様な対策を持ちまして、六十五歳未満までの層の労働者の雇用の確保と促進に努力していく考えでございます。
#53
○高杉廸忠君 現状では高齢者の雇用保障について、いまお話しのようなこともありますが、定年の延長を中心に再雇用とか勤務延長の制定が、私は主流になっていると思いますけれども、わが国の終身的な雇用慣行及び労働者の知識だとか経験というものを活用するためには、同一企業内での六十五歳までの定年延長というものを原則的にすべき段階ではないだろうかと、こういうふうに私は考えるんですけれども、この点についてはどうなんでしょう。
#54
○政府委員(関英夫君) いろんな計画で六十歳定年制を六十年度までに一般化すると、こういうことを決めておりますが、六十五歳まで定年を一律延長するかどうかについては、さまざまな意見があるのが実情でございます。六十歳を過ぎてまいりますと、労働者個々人によっては体力なりあるいは職業能力にずいぶんとばらつきといいますか、差が出てまいって、六十五歳までそれ以前と同様に元気で十分職業能力を持って働ける方もいらっしゃいますれば、もはや私はそういう労働は無理ですというような方も出てまいるかと思います。また仕事の内容によりましても、非常に瞬間的に判断をして動作をするようなことが必要とされるような仕事は、年をとるに従いまして、だんだんと無理になってくるというような仕事の面の問題もございます。いずれにしろ、しかし今後の高齢化社会を考えますと、六十歳といわず六十五歳までの何らかの形の仕事の場というものを用意していくことが必要でございましょうし、そのためには応急の対策だけでなく、労働生涯に入ったときから健康管理なりあるいは能力開発なり、あるいは一方で職場の再設計、再開発、こういうようなことをいろいろ積み重ねまして多様な対策を講じて、いろんな形で六十五歳までの仕事の場を確保していくことが必要だろうと考えております。そういう意味で申し上げますと、いま直ちに定年を一律六十五歳ということには非常な困難があろうかと考えております。
#55
○高杉廸忠君 そこで大臣にお尋ねをいたしますけれども、いままで私は申し上げましたが、わが国はいま本格的な高齢社会の到来を迎えて、中高年齢者の雇用確保が最大の社会問題となっていると思っております。いままで申し上げました原則を認めていただくならば、去る九十一国会に私どもが提出をいたしました定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案、こういうものを提出しておりますけれども、この趣旨に沿ってその実現のためにこの際措置を講ずべきではないか、こういうふうに思いますけれども、労働大臣の所見を伺います。
#56
○国務大臣(藤尾正行君) 御趣旨の問題につきましては、私ども労働省といたしまして、雇用の問題にのみこれを限定いたしませんで、もっと広い範囲で対応をしていかなければならぬところまできておるのではないかという気がいたします。たとえば御指摘のとおりの状況でございまするので、年金制度というようなものにいたしましても、ただいまの年金制度といいまするものでは、受給者がどんどんとたくさん増加する傾向にあることはこれは避けられませんし、それに対しまして、その原資をお積み立てになられます若年層の方々が、ただいまの出生率等々の動向を勘案いたしましても、これから将来減少していくんじゃないだろうかというようなおそれすらあるわけでございます。でございまするから、そういったことを考えてみましたときに、全般の私どもの長寿を達成できたという寿命の伸びと、そうして出生率の低下と、そういったものとあわせて、今日経済的発展に伴います私どもの生活環境の変化、そういったことを考えてみますと、十二分に働く能力があって、しかもまだいろいろな制度のおくれによって働くことができなくなるとか、あるいはその年金にいたしましても、年金制度自体の方が無理になって年金支給年齢をおくらせなければならぬとかいうような事態が、私はそう先々の話ではなくて現実化する可能性は十二分にある、かように心配をいたしておるわけでございます。でございまするから、そういった全般的な一つの私どもの環境の変化、こういったものにやっぱり敏速にこれに対応のできる法律、制度あるいは慣習というようなものの柔軟な対応というものが私は必要である、かように考えまするので、仰せのような御提案の御趣旨、そういったものも含めまして、もっと広い範囲で私どもがこれに対応をしていかなければならぬのではないか、かように考えております。
#57
○高杉廸忠君 次に、雇用審議会等についてお尋ねをいたしたいと思うんですけれども、政府は雇用審議会に定年延長の法制化を含む、これは去る五十四年の六月諮問を行っておりますね。その審議の進捗状況についてお聞かせをいただきたいと存じますが、そこで政府は二、三年をめどに答申を希望しながらも、隠れみの的な審議会とならないように、ひとつ責任ある早期答申を求めるべきではないかと、こう思いますけれども、この点について伺います。
#58
○政府委員(関英夫君) 御指摘のとおり昨年六月に雇用審議会に対して、定年延長の実効ある推進策について、立法化問題を含めて意見を問うという形で諮問をいたしたところでございます。これはその前の国会におきます野党のいろいろな御論議を踏まえて、こういった諮問をいたしたわけでございます。雇用審議会におきましては諮問後総会を四回ばかりやりまして、そして定年制の現状なり、定年制に関するいろんな資料の分析、問題点の検討をやりました上で、この問題を定年延長部会を特に設けまして、そこにおろして、そこでは本年の二月から七回にわたりまして開催をいたしまして、鉄鋼、私鉄、化学、電力、銀行あるいは中小企業、こういったところの労使から定年延長の現状なり、阻害要因、問題点、そういったものをヒヤリングを重ねてまいりまして、最近そのヒヤリング結果を検討の上、中間的な報告を取りまとめるための論議に入るところでございまして、二回ないし三回ぐらいの論議で総会に報告が出される、こういう経緯をとっております。
#59
○高杉廸忠君 次に、定年後とそれから賃金との関係についてお尋ねをしますけれども、定年後再雇用、勤務延長となった場合一〇%ないし三〇%も賃金がダウンしてくる、これが現状なわけですね。年功序列型賃金も石油ショック後大きく変化をいたしまして、賃金額のピーク年代層は四十八年の五十四歳から五十五歳であったものが、五十一年には四十九歳から四十五歳へ、五十三年では四十四歳から四十歳へと年齢がずっと低下しておることが、賃金構造基本統計調査によって明らかにされているわけですけれども、そうしますと、これにより年金に影響をしてくることは言うまでもないんですが、年金額が総体的に低下する傾向になりますね。老後保障の唯一の年金について、私は少なくとも現行水準を保障するようなことで、年金というものを確保しなければならないと思いますけれども、先ほど大臣からお答えになりましたが、この点も含めて大臣どうでしょう、御見解を伺いたいと思うんですけれども。
#60
○国務大臣(藤尾正行君) 私も御趣旨のとおりさように思います。でございまするから、この問題につきましては、政府といたしまして全体的に縦割りの各省別の隔壁を取っ払って考えていかなければならぬ、そういう非常に大きな問題である、さように考えております。これをどのようにそれでは運営をし、対策を進めていくべきかということにつきましては、これは事務的にも各省間でいろいろな検討を要しますので、そのようないま方向に進めさしておりますので、どうかいましばらく時間をおかしをいただきたい、かように思います。
#61
○高杉廸忠君 大臣ひとつぜひ、定年後の生活安定については確保いただくようにお願いをしたいと思っております。
 次に、高齢者雇用率制度の充実について伺いますが、まず第一点として、高齢者雇用率制度においては、依然として大企業で八〇・六%が未達成になっていますね。労働省の約束した雇用率達成計画についての私は具体的な行政指導の強化、これを期待をしているわけでありますが、行政指導の強化の内容とこの効果についてはどうなっておりますか。
#62
○政府委員(関英夫君) 御指摘のとおり昨年六月一日現在で、千人以上の企業規模では未達成のところが八〇・六%ということになっております。そういった大企業につきましては、法律の規定に基づきまして公共職業安定機関から、その雇用率を達成するための計画を作成するように命令を出しております。また自主的に提出するところについては、その自主的な計画の提出の指導をいたしまして、現在、命令により計画を作成して提出したところが六百三十九ございます。自主的な提出が百九十七、合計八百三十六の計画が安定機関のもとへ提出されております。で、その計画に従ってこれは五年ぐらいの期間の間に雇用率を達成するという具体的な計画でございますが、その計画に従って雇用率を達成していくように、個別企業に対する指導を安定機関でやっているわけでございますが、その計画を見ますと、定年延長をして、そして雇用率を達成していきますというものが約半数近くございます。それから勤務延長あるいは再雇用という形で雇用率を達成しましょうというのが全体の約八割ございます。これはダブっておりますから、定年延長も一遍にできない場合に再雇用を組み合わせる等々いろんなダブリがございますのでそういう数字になりますが、約八割ございます。で、定年延長を検討して、そして雇用率を達成するというところについては、定年延長の促進を図ることがまず第一でございます。そういうことを重点にしながら個別企業に対する指導を重ねているところでございます。
#63
○高杉廸忠君 第二点目として、現在の六%の雇用率は五十一年の法改正で規制されたものでありますが、生産年齢人口に占める五十五歳から六十五歳人口が昭和六十年に一三・九%、昭和六十五年には一六・六%にまで高まると、こう推定されているわけですね。雇用率を六%から一〇%ないし一一%程度までに高めなければ政策的効果が薄れてしまうのではないかと、こういうふうに私は考えるんですけれども、これはいかがですか。
#64
○政府委員(関英夫君) 雇用率をどういうふうにするかという問題も確かに先生御指摘のようにあるかと思いますが、昨年六月一日現在の調査でもまだ未達成企業の割合が半数ちょっと上回る五三・九%もあるわけでございます。やはりここの達成を法律の規定に従いまして私ども行政指導で達成を図っていく。これをまず重点に考えていきたいというふうに考えておるわけでございまして、その上でさらにこの雇用率をどうするかということを再検討してみたいと思っております。
#65
○高杉廸忠君 第三点として、先ほども身障者の雇用問題で安恒氏も指摘をいたしましたが、こういうようなやはり身障者法の場合と同様に雇用率達成の義務規定化、あるいはまた納付金制度の導入など、そういうことをして、やはり未達成についての達成効果が上がるようなことを具体的にやっぱり措置として必要ではないかと、こういうふうに私は思いますけれども、この点はどうお考えになっておりますか。
#66
○政府委員(関英夫君) 高齢者の雇用率というものが、五十五歳以上ということを高齢者として決めております。そうしますと、わが国でまだ四割近く、四割弱でございますが、五十五歳定年が現実にございます。そしてその定年制というものがわが国の雇用慣行、いわゆる終身雇用慣行、あるいはその柱となります年功序列の賃金体系、あるいは勤続とともにふえていく退職金制度と密接に結びついてできております。先生にこういうことを申し上げるのは大変失礼でございますが、そういった雇用賃金慣行と密接に結びついている定年制を延ばしていかぬとこの雇用率も高まらない、こういうことになるわけでございます。で、そのためには人件費コストの増高の問題、人事配置の問題、健康管理の問題、能力開発の問題、企業におきます雇用管理のあらゆる面につきまして労使で十分話し合っていただきまして、従来の慣行を変えていくということをどうしてもいたしませんと、これが実行がむずかしいわけでございます。そういうことを伴いますだけに、これを強制するということでなく、私どもは行政指導という形で実効を上げていきたいと思っておりますが、先ほども先生御指摘ありましたように、こういう問題をめぐって実効ある方策について、立法化問題を含めて現在雇用審議会で検討しているところでございますので、そういう問題を、私ども雇用審議会の答申を待ってさらに検討したいと思っております。
#67
○高杉廸忠君 ぜひひとつ、達成効果のあるような措置を講じていただきたいと思います。
 次に、解雇規制措置についてお尋ねをいたしたいと思いますが、第一次石油危機以降五十二年までの間に約百万人が雇用調整されましたけれども、特に中高年齢者に集中した実態から、その雇用保障のための規制措置を講ずる必要があると私は考えるのですが、その点についてはどうお考えになっておりますか。
 また私どもは、先ほども申し上げましたが、去る九十一国会に雇用対策法の一部を改正する法律案というものを具体的に提出をいたしております。この趣旨の実現をぜひ図るべきではないか、こういうふうに思いますけれども、これは大臣からひとつお答えをいただきたいと思いますけれども。
#68
○国務大臣(藤尾正行君) ちょっとその前に局長から。
#69
○高杉廸忠君 はい、結構であります。
#70
○政府委員(関英夫君) 御指摘のとおり雇用対策法の一部を改正する法律案という形で四野党共同で提案されたものは、事業主が一カ月以内に三十人以上の解雇を行う場合には、当該解雇の適否を行政機関において判断して、不適切な解雇を行う事業主に対して必要な勧告を行うことができるというような趣旨のものであると承知しておりますが、解雇につきましてはすでに幾多の判例が積み重ねられておりまして、使用者の恣意的な解雇というものは許されないという考え方が、わが国ではすでに定着しているということが言えると思いますし、また経営上の困難を理由とします解雇につきましては、行政機関が、本当にそういう理由があるかどうか判断するということを第三者が判断することが非常に困難でございまして、むしろそれの問題は当該企業の労使の方が十分実情をわきまえておりますので、労使間において十分話し合って判断すべき問題だというふうにも考えられるわけでございまして、第三者機関が十分機能して、そういうことをやり得るかどうか疑問があるのではなかろうかと思っております。
 現在は先生御承知のように、企業で一カ月に三十人以上の雇用変動を行います場合には、事前に公共職業安定所に届け出をさせまして、私ども再就職の援助等について努力することになっておりますので、この規定を活用いたしまして最大限の努力を払ってまいりたいと、事務的には私ども考えておる次第でございます。
#71
○国務大臣(藤尾正行君) 先ほど来申し上げておりますように、私は、法律といいますもので枠を全部はめてしまうということをいたしましても、はまらぬやつはこれはそこから逃げ出してしまうわけでございますから、できるだけそのような無理のないように、法の精神自体を生かすということの方が先でございます。さように考えております。
 そこで、ただいまの御趣旨でございますけれども、これから先の雇用労働関係を推定をいたしましても、漸次若い方々が少なくなっていく、そういう傾向にあるわけでございますから、逆に企業の方は、より優秀なその労働力に来ていただく、招致をするための努力をよりよけい私はしてまいるだろうと思います。そういった際に、私どもが逆にその解雇の方でそれを締めつけるということはどうであろうか。もしそういう事態が現にあるということでありましたならば、それはよほどのことでございまして、この問題につきましては、いま局長から御答弁申し上げましたように、十二分に労使で話し合いをした上で、なかかつそこにどうしても私どもの納得のできぬというものがある場合には、強力な行政的な指導介入をいたさなければならぬことがあり得ると、さようにも私は考えております。
#72
○高杉廸忠君 ぜひ大臣、高齢者の雇用確保という立場からひとつ行政指導をいただきたいと、こういうふうに思っております。
 次に、時間短縮による高齢者雇用の拡大についてお尋ねをいたしたいと思いますけれども、政府は、昭和六十年を目途に、労働時間等の勤務条件を西欧諸国並み水準まで改善することを目標としていますけれども、その実情と今後の見通しについてはどう見ておられますか。
#73
○政府委員(吉本実君) 先生御指摘のように、昨年の雇用対策基本計画で、六十年を目途に西欧先進国並みの水準に努力するというような決定をいたしておるわけでございますが、現在、わが国の実労働時間を欧米先進国と比べますと、製造業生産労働者で見まして週当たり数時間長いという結果が出ております。具体的な比較につきましてもいろいろ問題がございますが、一定の方式に従いますとそういった結果が出ておるわけでございますが、それは主としてやはり、完全週休二日制が西欧諸国ではとられておりますが、わが国の現状では、完全週休二日制につきましては、まだ三十人以上の企業につきましても二割程度であるということ、あるいは、年次有給休暇につきましても、わが国におきましてはその取得日数においてかなりの差がある、こういったようなことで現状になっておるわけでございますので、そういった点を踏まえまして、労働省といたしましては産業別、規模別の問題点、それから従来の行政指導の成果というものも踏まえまして、中央における会議あるいは地方における会議を、さらにこれを実施して、強力な行政指導をとってまいりたい。また現にそういった方向で努力をしている次第でございますが、さらに、昭和六十年度までに推進すべき方策をひとつ明らかにした、いわば推進プログラムといったようなものもこの際策定をして、労使の自主的な努力を促進するとともに、国といたしましてもその目標に向かって環境の整備を図っていく、こういうふうなことで今後の行政指導を強化してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
#74
○高杉廸忠君 労働白書五十五年度版を見ますと、労働時間の短縮は五十年以降停滞をしていて、五十四年には一部の業種で逆に、高度経済成長期のピーク時、これは四十八年ですけれども、これを上回る傾向さえ示していることを指摘しているわけですが、そうしますと、この労働時間短縮の阻害要因、並びに、今後のこういう現状を踏まえて、具体的な施策についてはどういうふうにお考えになっておられるんですか。
#75
○政府委員(吉本実君) 御指摘のとおり、昭和五十年以降、不況の長期化を反映いたしまして、制度的な労働時間の改善が停滞しているところでございます。また、その後の生産回復の過程におきましても、ただいま先生御指摘のように一部業種では所定外労働時間の水準が、四十八年当時のピーク時に比べまして超えるところも見られるということでございます。これは先生御承知のように、石油危機後の厳しい経済情勢のもとにおきまして、企業が減量経営で対処したものと思われるわけでございます。こういったことにつきましては、やはり国際的な配慮ということもありまして、労使間におきましては自主的に所定外労働時間をひとつ抑制していこうと、こういったような問題意識も芽生えていることを承知しているところでございます。
 労働省といたしましては、労働者の福祉の向上、国際協調の確保と、こういったような観点から、労働時間短縮のための行政指導を積極的に推進しているところでございますが、今後とも所定外の労働時間の対策の強化、また週休二日制の普及、促進、こういったものを中心にしながら産業なり企業の実情に応じたきめの細かい対策を実施してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#76
○高杉廸忠君 労働時間短縮問題は、国際経済社会での摩擦の回避とか、省エネ対策問題等のほかに、ワークシェアリングの観点からも私は積極的な推進が要請をされていると、こういうふうに思います。
 そこで、大臣にお尋ねをいたしたいと思うんですけれども、国会提出を約束をしてきました銀行法を速やかに改正をしていただいて、郵便局や農協等の関連機関を含む完全週休二日制というものを実施すべきではないかと、こう考えます。また試行を繰り返してきました公務員の週休二日制、この本格的な実施がおくれているこの現状を見て、労働大臣としてはどのように思っておられるのか、そしてまたこれが実現のためには、どうお取り組みになられるか、お考えをひとつお聞かせをいただきたい、こう思います。
#77
○国務大臣(藤尾正行君) これは先ほど安恒委員からも御指摘をちょうだいをいたしまして恐縮をいたしたわけでございますけれども、この労働時間問題につきましても、まずもって政府としてできるところ、そういうところでまだその理想がなかなか実施できないでおるということでございますから、私は取り組み方が非常におくれておる、怠けておるというように御指摘をちょうだいをいたしましても、お返しをする言葉もないぐらいでございますから、この点は重々考えていかなければならぬわけでございますが、人事院におかれましても、決してこの問題を等閑視しておるというわけではないと思うんでございまして、実は公務員の週休二日制の問題につきましても、ともかくもできるかできないかの試行をいまやっておられるその段階でございますから、そういった結果も勘案せられまして、人事院は人事院といたしましての勧告をさらに進めておいでになられる、さように思いますし、その勧告を受けましたならば政府として当然、これに対応すべき措置を考えていかなければならぬ、さように思います。政府がまだそのような段階にありますから、まことに申しわけのないことでございますけれども、御指摘のような問題がまだ起こっておりまして、そのために不要な国際摩擦というようなものまで起こしかねないというような現状でございますから、私どもは心いたしまして、御指摘のような問題の解決のための取り組みを進めていかなければならぬ、かように考えております。
#78
○高杉廸忠君 ぜひひとつ、大臣に期待をしているわけでありますから、時短の推進にひとつ積極的にお取り組みをいただきたい、このようにお願いをしておきます。
 それから、先ほど安恒委員からも関連してお話がありました。私はこの際週四十時間労働制の早期実現、実施、これを要請をするところでありますし、また過重な所定外労働の規制、こういうものも考えていいと思っておりますし、それから割り増し率の引き上げ、これも当然考えるべきじゃないか、こういうふうに思います。
 それからさらに、年次有給休暇日数の増加とこの完全消化の制度化、こういうものを早急に実現するための措置を講ずる必要があると、こういうふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょう。
#79
○政府委員(吉本実君) 労働時間の短縮につきましては、労働者の福祉の向上、国際協調といったような観点から積極的に行政指導に努めておるところでございます。
 ただいま御指摘のございましたように、週休二日制の普及等によりまして週の所定労働時間の短縮を図っていくということ、また基準法の三十六条の規定によります労使協定、いわゆる三六協定が適正に結ばれるよう指導を強めて、過重な所定外労働時間の短縮を図っていくということ、また夏季の一斉休暇の普及といったようなことを促進をし、年次有給休暇を連続的かつ計画的に取得をする、そういったような慣行をつくり上げていく、こういうようなことを重点にいたしまして行政指導を進めているところでございますし、また、どういうふうにこれを進めていくかというような計画も現在検討をしておるわけでございますが、そういった方向によりまして、今後一層施策を強化してまいりたいというふうに思っております。
#80
○高杉廸忠君 先ほど来、私も幾つかの要請を申し上げましたとおりに、昭和六十年を目途に労働時間等の勤務条件を西欧諸国並み水準にまで改善するといういまの一つの方策についても、ぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたい、このようにまた重ねて御要請を申し上げます。同時にこれらと基本的に関連する労働基準法の改正、さらにILO関係の条約批准のための諸条件の整備、こういうものを急ぐ必要があると、こういうふうに思いますけれども、この際でありますから労働大臣の所見を伺います。
#81
○政府委員(吉本実君) ただいま労働時間の短縮につきましては、行政指導という形でこれを進めている次第でございますが、ただいま御指摘の労働基準法の改正ということの問題でございますが、その点に関しましては、いわゆる労働基準法が罰則を担保にして使用者の最低条件を定めたものということ、また労働時間の現状が企業なり産業によって大変に差がある、そういう実情でございますので、一律にこれを強制していくということにつきましては、やはり中小零細企業にも大きな影響を及ぼしていくということ、またあるいは法的な規制によってということによりますと、国民の利便なりあるいは生活慣習との関連も十分に検討していかなきゃならぬと、こういうようなことなどいろいろな問題がございますので、基準法によってこれを措置するということについては困難であると考える次第でございます。
 それから、ILO条約の批准につきましては、わが国の国際的地位なりあるいは国際的な公正、労働基準の遵守、こういったような観点から労働基準行政といたしましても積極的な態度でこれに臨んでいかなければならぬというふうに考えておりますが、わが国の実情から直ちに対応し得ない部分もございますので、国内環境の整備を進めながら可能なものを批准するように努めてまいりたいというように思っておる次第でございます。
#82
○国務大臣(藤尾正行君) ただいま基準局長から申し上げましたようなこともございますので、そのような情勢もあわせ勘案をしながら、御趣旨の方向に進めるように、ひとつできるだけの努力は重ねてまいるつもりでございます。
#83
○高杉廸忠君 残る時間もわずかでありますから、最後になりますけれども、私はいままで幾つかの提言も含めて申し上げましたとおりに、わが国の急速な人口の高齢化について対応するための総合的諸施策について、ぜひひとつここで高齢者に対する雇用と生活の安定等について、積極的にひとつ推進の御努力をお願いをする次第であります。
 さらに、先ほど安恒委員からも指摘がありましたし、幾つかの提言がありましたとおりに国際障害者年に向けて多くの問題がありますが、障害者対策の基本的課題というのは私は地域や社会や学校、職場においてすべての人々と同じように生活をし、生産をする状況をつくり上げていくことである、こういうふうに思っております。来年の国際障害者年に向けて、諸目標の総合的施策とともに、特に障害者雇用と生活の安定問題についてあわせ私は御要請を申し上げ、その締めくくりとしてこの際労働大臣の所見を承りまして私の質問を終わりたい、このように思います。
#84
○国務大臣(藤尾正行君) まことにそのようなこと申し上げなければならぬほど私どもの対策がおくれておる、申しわけのないことだと思っておりますが、この中高年の方々に対しまする雇用の促進というようなことは、もうすでにおくれておるわけでございますから、そのおくれを取り返す意味におきましても、急速にその対策を打っていかなければならぬ、かように考えております。
 あわせて安恒委員御同様に御指摘になられました身体障害の方々の雇用の問題等々におきましても、本当に御指摘のとおりおくれております部面が非常に多いということを私も痛感をいたしております。でございますから、これから一々御指摘、御叱正をちょうだいしながら、かつ委員会、審議会等々とも御相談をしながら、できるだけその所期の目的が達せられますように、現実にあるそのある姿が、そのままの形で雇用の面においても反映をいたしますように努力をいたしてまいらなければならぬ、それがあたりまえである、かように考えます。
#85
○委員長(片山甚市君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十七分開会
#86
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、労働問題に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#87
○渡部通子君 私は、冒頭に身障者年についてのことを若干御質問申し上げ、あと婦人をめぐる労働問題について質疑をいたしたいと思います。
 来年、いよいよ国際身障者年を迎えることになっておりまして、政府といたしましてもすでにその対策に乗り出しておられますけれども、大体どんなおつもりで、どの程度のことは進めたいと、こういうほぼ見通しというか、ガイドラインというか、そういうのをどこに設定しておられるのか、その大体のおつもりをまず伺っておきたいと思います。これは総理府とそれから特に雇用につきまして労働大臣、それから厚生省お見えになっていらっしゃいますので、その管轄の範囲で結構でございます。お答えいただきたいと思います。
#88
○説明員(花輪隆昭君) 国際児童年に引き続きまして来年、国際障害者年ということになっておるわけでございますが、政府といたしましても、総理大臣を本部長といたしまする推進本部をすでに発足をさせまして、目下、鋭意各省で御検討をいただいておるわけでございます。いずれにいたしましても、児童年とは異なりまして、いわゆるお祭りというふうなことではなくして、障害者年でございます、なかなか根の深い問題もあるわけでございますので、障害者年を契機といたしまして広く国民の間に障害者の問題が浸透をする、そして「完全参加と平等」に向けまして大きく前進をする年にいたしたい、こういうことで努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#89
○政府委員(関英夫君) 労働省関係について申し上げたいと思います。
 国際障害者年推進本部で推進の方針が決定されておりますが、その中で労働省関係につきましては、雇用対策ということで五つの柱が決まっております。それに即しまして来年、積極的に対策強化を図ってまいりたいと思っておりますが、柱ごとに申し上げますと、雇用機会を確保するための対策の積極的推進ということで、雇用率達成指導の強化、心身障害者職業センターの機能の充実による職業能力評価体制の確立、それから重点公共職業安定所を指定して、職業紹介体制を強化する相談員等の制度の新設、重度障害者に対する雇用対策を検討していくこと等を進めていきたいと思っております。
 二番目の柱といたしまして、心身障害者リハビリテーション体制の総合的推進ということでございますが、医療から社会復帰までの総合リハビリテーション施設の設置構想を推進する、身体障害者職業訓練校の拡充、事業主等による能力開発の推進のための助成制度の……
#90
○渡部通子君 それは承知しております。
#91
○政府委員(関英夫君) 新設を進めてまいりたいと思っております。
 あと三、四の柱がございますが、そういった推進本部の決定の柱に即しまして対策を進めてまいりたいと思っております。
#92
○説明員(板山賢治君) 厚生省でございますが、厚生省は身体障害者福祉対策、心身障害児者対策、精神障害者対策、戦傷病者対策あるいはリハビリテーションに対します総合的な施策、こういった柱を中心にいたしまして、国際障害者年におきましては政府の推進方針を受けまして、予算その他必要な対策を積極的に講じていきたい、このようなことで省を挙げて取り組んでおります。
#93
○渡部通子君 一般に身障者と申しますと車いすを利用するお方、あるいは松葉づえに頼っていらっしゃる方、こういうことに結びつけられるわけでございますが、身障者とはそうした目に見える部分の障害者のことを指すのですか。
#94
○説明員(板山賢治君) 身体障害者福祉法では第四条に規定がございまして、別表というものが決められております。この別表というのは、実はいま先生御指摘の視覚障害者あるいは聴覚障害者、平衡機能障害者、肢体不自由者、音声、言語機能障害者、これに心臓機能、腎臓機能、呼吸機能の障害を持つ方々も対象になると。まとめて申し上げますると、肢体不自由、視覚、聴覚、平衡機能、音声、言語といったいわば身体機能の障害の方と、心臓疾患、腎臓疾患、呼吸器疾患等の内部障害者と二つに分けることができるように思います。
#95
○渡部通子君 いま全国に人工肛門をつけている人が二万人いると、こう言われております。それから膠原病などで苦しんでいらっしゃる方がたくさんいらっしゃるんですけれども、こういうお方も死ぬ直前の症状にならないと身障者手帳がいただけない、こういう状況を聞いておりますが、こういう内部障害を持っている人も含めていただけないものだろうか、こう思いますけれども、いかがでございますか。
#96
○説明員(板山賢治君) ただいまの人工肛門造設者というふうないわば難病ないしその周辺におられます障害者の皆さんに対しまして、身体障害者福祉法による手帳対象者にしないかという御意見は前々から問題が出されておるわけでございます。私どももこの障害範囲をどこまでに規定するかということにつきましては、専門的な立場から十分にかつ慎重に検討しなくてはいけないということで、身体障害者福祉審議会というものが置かれておりますが、その中に各界の、医学その他を含めました専門家の先生方にお集まりをいただきまして、御検討をいただいている最中でございます。
#97
○渡部通子君 それは、方向と見通しとしてはどうなんでしょうか。検討中ということですが。
#98
○説明員(板山賢治君) 実は昨年三月に厚生大臣から、今後における身体障害者福祉の総合的な方策のあり方についてというので身体障害者福祉審議会に御諮問を申し上げまして、来年春ぐらいまでにお答えをちょうだいをしたいと思って検討をいたしていただいておるわけですけれども、その中で、この障害範囲の問題あるいは等級の問題というのは一つの基本的な出発点にも当たる重要な問題でございますので、いま御指摘のような障害を持つ方々に対する手帳交付の可否、あり方につきましてただいま検討をしていただいておりますので、そのお答えがどのような形で出てまいりますか、きわめて専門的な立場からの御審議でございますので、ここで見通しを申し上げるわけにはいきませんが、ただもしこの別表を改正いたしまするということになりますると、法律改正の問題にもなりますので、各般の情勢を専門家の御意見をちょうだいをしつつ、さらに検討をさせていただきたいと、このように思っております。
#99
○渡部通子君 そのほかに私がこの委員会で何回も取り上げてまいりました脳下垂体による小人症の問題がございまして、こういう背の低いお方でございますね。このような内部疾患を持っている人たちも身障者手帳というものをいただければ、それがあれば企業では受け入れてもいいと、こういう姿勢を示しているところもあるわけでございます。そういった意味で、障害程度というのがいま難病がこれほど問題になっているときでございますから、この小人症の問題も御検討の中に入っているのかどうか、ぜひ入れていただきたいということ、まあ身障者福祉法を改正して、こういう内部障害者も含むようにということを強く御要望申し上げたいんですけれども、御回答いただきたいと思います。
#100
○説明員(板山賢治君) 御趣旨はよくわかりましたので、この審議会の専門分科会の検討の中で、ただいまの御指摘の問題につきましても検討していただくようにいたしたいと思います。
#101
○渡部通子君 障害者年の問題でもう一点伺いたいのですが、対策の中で郵政省では記念切手をお出しになると承っておりますが。
#102
○説明員(安藤博之君) お答えいたします。
 郵政省としましては、来年の国際障害者年にちなむ郵便切手を発行する予定でありまして、これによりまして国際障害者年の啓蒙活動の一環を担いたいと考えておる次第でございます。
#103
○渡部通子君 大体どのくらいの規模でお出しになって、収益をどう見込んでいらっしゃるのか、それの用途をどう考えていらっしゃるのか、これは総理府と両方からお答えをいただきたいと思います。
#104
○説明員(安藤博之君) お答えいたします。ただいま発行枚数その他につきましてはまだ未定でございますが、例年記念切手として発行している例によりますれば、大体二千六百万枚を発行しております。これに対しまして収入でございますが、ただいまの現行料金でいきますれば一枚五十円というものを発行してはいかがかというように考えております。約十三億円となろうかと存じます。
#105
○説明員(花輪隆昭君) 記念切手の件につきましては、ただいま郵政省からお答えをいただいたとおりでございますが、そのほか総理府といたしましても、来年年度初頭に内閣総理大臣から障害者年の声明の発表というふうなものを予定いたしておりますし、そのほか各種の記念集会等を実施いたしまして、健常人と障害者とがそこで交流を交わす、溶け合う、こういうふうな機会を数多く設定をいたしたいと、こんなふうに計画をいたしております。
#106
○渡部通子君 先ほどお答えが欠落しているんですけれども、収益金の用途、使途についての。
#107
○説明員(安藤博之君) お答えいたします。
 記念切手の発行の収入は、これは一般の郵便切手の収入と同様に、郵政事業特別会計の歳入のうちの切手収入ということになるわけでございます。
#108
○渡部通子君 総理府にも伺いたいんですけれども、それを要するに郵政省の赤字対策にお使いになるのか、それともそれを身障者年のための、身障者のための何か実質的なものにお使いになるのか、それを聞かせてほしい。
#109
○説明員(安藤博之君) お答えいたします。
 一般の業務収入は、これは郵政事業特別会計に入りまして郵政省の経営上の経費として使われるわけでございます。
#110
○渡部通子君 総理府もそれでいいんですか。
#111
○説明員(花輪隆昭君) ただいま郵政省からお答えがございましたとおり、郵政省の中の特別会計の経理として、記念切手全般の経理が行われているようでございますので、これにつきましては、先ほど郵政省からお答えしたとおりになるわけでございます。
#112
○渡部通子君 私、それね、総理府もしっかりしてもらいたいと思うんです。それじゃやっぱり障害者年に便乗して郵政省がもうけさしてもらったということに――まあ郵政省がもうけて悪いとは言いませんけれども、そうやって記念切手を障害者年に準じて出すのならば、少なくもそれを障害者の目的的に使ってもらいたい。これは総理府としてもそのくらいのことは権限持っておやりになってもいいんじゃないか。総理大臣が本部長となっておやりになるんでしょう、いろんな行事を。それならば、そのくらいの権限をお持ちいただいてもいいんじゃないかと思いますけれども、総理府に重ねて見解を伺っておきます。
#113
○説明員(安藤博之君) お答えいたします。
 記念切手の発行はこの国民的関心のある行事のキャンペーンという意味で非常に大きな効果があると存じまして、私どもはただいま記念切手の発行を計画しておる次第でございます。なお、切手の収入を他の用途に使用する、つまりいわゆる寄付でございますね、そういう場合は、切手の発売によって得た収入を他に寄付するというような場合には、法律に基づきまして寄付金つき切手を発行して、その寄付金を寄付するというような方法をとらなければ、ただいまの仕組みでは記念切手の収入即ほかの用途に使用するということにはまいらないわけでございます。
#114
○渡部通子君 まあ法律がこうだからこうだと言ってしまえば、お立場上それ以上の御答弁はできないかと思いますから、もう少し今度は大臣なりにこれはお話ししてみたいと思いますけれども、少なくとも日本国家が初めて障害者年というものを迎えて、国際的にこれを実質的に何か進めようと、そういう温かいお気持ちがおありならば、そのくらいのことは法律がどうであろうとそれを変えていくのが国会であり、または総理府に、本部長である総理大臣の権限下にあるわけでございますから、そのくらいの特例は設けて、温かい施策をしようではないかという、そのくらいのお気持ちがあってもいいんじゃないかと、こう思うわけですね。総理府に重ねて、これに対するお気持ちなり、そういうことをお帰りになって本部長にちゃんと建言をして検討なさるおつもりがあるかどうかだけ伺っておきます。
#115
○説明員(花輪隆昭君) 郵政省の方には記念切手の発行をお願いいたしまして、国際障害者年の啓蒙普及ということの一助をお願いしたわけでございますが、ただいま郵政省の方でも法律等の、あるいは特別会計の経理という現在の制度の御説明をいただいたわけでございますが、御質問の趣旨を受けまして、帰りましてまた十分相談をいたしたいと存じます。
#116
○説明員(安藤博之君) 私どもも持ち帰りまして、ただいまの先生の御意見をよく上司に報告いたしたいと思います。
#117
○渡部通子君 よろしくお願いをいたします。じゃ、お忙しいところありがとうございました。
 それでは、婦人の労働問題に移りますが、本年七月、国連婦人の十年ということの折り返し点ということでございまして、世界会議がコペンハーゲンで行われたわけでございます。同会議におきましてわが国は、婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約に署名をいたしました。大変これは喜ばしいことでございますけれども、署名をいたしましたからには、できるだけ早い時期にという、少なくとも国連婦人の十年が終わる一九八五年までには先進国の名誉にかけましても、国内法の整備を急がなければならないと思うわけでございます。特に婦人労働をめぐる問題というのが非常に大きな課題になっておりますが、その取り組みについて、働く婦人の平等と保護に関する労働関係法規の改正につきまして、まずは大臣の御見解というか御決意を伺っておきたいと思います。
#118
○国務大臣(藤尾正行君) 事専門の域に関する問題も多うございますから、先に政府委員から答弁をさせまして、その後におきまして私が政治的な指示をいたします。
#119
○渡部通子君 いや、そうじゃないんです。それは順次この後具体的にお伺いをいたしますので、まず国内法の労働関係に関する特に法整備に関して、大臣は前向きなのか、それとも現状維持なのか、後ろ向きなのか、そのくらいの決意で結構ですからまずおっしゃってください。
#120
○国務大臣(藤尾正行君) 私は労働大臣でございますので、現状に固執いたしましたり後ろ向きになったりするはずはないわけでございまして、常に前向きでございます。
#121
○渡部通子君 それじゃ具体的に伺ってまいります。まず現状を多少伺いますので、これはひとつ端的にお答えください。
 昭和五十五年十月二十一日の朝日新聞を見ておりましたらば、新卒男子の雇用が上向きになったと言われることしでも四年制大卒の女子は就職難だと、こう報じられています。女子に門戸を開放している企業は全体のどの程度か、業種別、規模別、簡単で結構です、大まかで。
#122
○政府委員(高橋久子君) 労働省がことしの八月に調査を実施しております。その調査によりますと、女子につきまして採用計画を持っている企業は一九・二%でございます。この内訳を産業別に見てみますと、建設業が一九・五。製造業が一五・二。卸売、小売業が四六・〇。金融、保険不動産業が二九・〇。運輸、通信業が一〇・九。電気、ガス、水道業が一五・四。サービス業が二二・六でございます。
 なお、この調査は東証の上場企業についての採用計画でございますが、私どもの方で女子の雇用管理につきまして別途調査をしているものがございます。その調査によりましても、やはり四年制の大卒女子につきまして門戸を開いている企業は約二割というような調査結果を得ております。
#123
○渡部通子君 入社後の教育訓練で男子と同じ扱いをしている企業の割合はいかがですか。
#124
○政府委員(高橋久子君) 先ほど申し上げました女子の雇用管理に関する調査によりますと、教育訓練を実施している企業が六五%ございますが、男女全く同じに受けさせているというものは一九・四%。それから教育訓練は女子に受けさせないというところが一三・二%。そのほかの企業は、女子にも受けさせるけれどもその内容が男子と違っているという企業でございます。
#125
○渡部通子君 昇進制度で、女子に昇進の機会をつくっていない企業の割合はいかがでございますか。
#126
○政府委員(高橋久子君) 同じ調査でございますが、この場合の昇進は、管理職手当や役付手当が支給される役職への昇進ということで調査をいたしましたが、その機会が女子にはないという企業が五二・三%ございます。
#127
○渡部通子君 定年制に男女間の格差を設けている企業の割合はいかがですか。
#128
○政府委員(高橋久子君) 労働省の雇用管理調査によりますと、企業の八割強が定年制を定めておりますが、そのうち男女別に定年制をとっている企業が二二・四%ございます。ただ、この割合は年々減少の傾向にございまして、私どもこの定年制の男女別はなくしていくようにという努力を続けているところでございます。
#129
○渡部通子君 もう一点伺いますが、賃金に関して男子との格差はどうなっておりますか。
#130
○政府委員(高橋久子君) 毎月勤労統計調査によりますと、五十四年の女子の一人平均の月間現金給与総額は十五万八千八百二十五円、男子が二十八万九千五十二円でございますので、男子を一〇〇といたしますと女子は五四・九でございます。
#131
○渡部通子君 ただいま採用と教育訓練、昇進、定年制、賃金、これについて伺ったわけでございますが、大臣お聞きのとおりの状況でございます。国際婦人年以降五年経過しておりますけれども、進んだとはいえいまだに性差別の壁は非常に厚いわけでございます。採用募集の差別は、個人の労働権あるいは基本的人権にかかわる大きな問題だと私は思います。それから教育訓練、昇進、定年制、賃金、こういったことの差別は結果的に年金にはね返ってまいりますから、老後生活にかかわるこれまた大変な問題でございます。これらの差別解消のための具体的な措置を聞きたいわけでございますけれども、労働関係法規の整備で、こうした諸点の改革をどうするおつもりなのか伺いたいと思います。
#132
○政府委員(高橋久子君) いま渡部先生が言われましたように、現実には男女の平等の問題まだまだ十分にはいっていないようでございまして、行政指導を進めておりますけれども、こういったことを法制化すべきではないかと、平等ということを法律でつくるべきではないかというような御指摘がいろいろございます。したがいまして、男女の平等法につきましては、労働基準法研究会からも約二年前にその必要性について御指摘をいただいているところでございますので、ただいま関係審議会において審議を進めております。ただその場合に、平等といいますときに、その平等の具体的内容が明らかになっているということが必要であるというので、昨年の十二月に男女の平等の問題につきまして専門家の方々にお願いをいたしまして、平等の中身につきましていま御審議をいただいているところでございますので、その結果を踏まえましてこの婦人労働法制のあり方について私どもは対処していきたいと、このように考えているところでございます。
#133
○国務大臣(藤尾正行君) ただいま高橋婦人少年局長からお答えを申し上げたわけでございますが、私は、男女の平等というその概念がまだ非常にあいまいなところがある、さように思います。
 たとえばここに高橋局長おられるわけでございますが、同じような局長と、高橋局長が同じ労働省の局長であるということであるのにかかわりませず、高橋局長が御婦人であるからということで特別の何かそこに待遇の違いが出てくるということであれば、これは明確に御指摘のような私は不平等であろう、かように考えます。かようなことがあってはならぬわけでございますから、同じ職場におきます同じ能力を持った方、こういった方々に対しまする不平等は、絶対にこれは許すわけにはまいらぬわけであります。しかしながら、同じような職場におられましても、たとえば銀行にお勤めの方が御婦人の場合に、たとえば役員室の役員室付としておられる、同じような年齢の方々が別の職域におられましてその職場が非常に違っておる、職業の中身が非常に違っておるといいます場合に、これが一体同じ均等な条件で扱われるかどうかということにつきましては、私は若干そこに微妙な差異が出てくるというようなことが現に行われておる。これを全部平均ならしまして全部同じにしろということでありましたならば、これは仰せのとおり、なかなか大変な問題でございまして、いまここで私どもが平等にいたしますと言いましても、すぐにその結果が御期待のようなことになるかどうか、きわめて私はまだまだ時間がかかるのではないかという気がいたします。
#134
○渡部通子君 大臣、そんなこと私申し上げているわけじゃないんです。確かに高橋局長がいらして、御婦人であるがゆえに差別はしとらぬとおっしゃる。それは、官公庁においてはそうかもしれませんよ。だけれど、いまずっと私が最初から具体的に伺ったように、民間企業においては、女であるということだけのゆえで、同じ仕事をしていても賃金に差別がある、同じ仕事をしていても、能力があっても昇進ができない、女であるということだけで補助的作業につけられる、こういう実情がたくさん残っているわけです。それを何とか改革してほしいとおっしゃっている。それは職務内容が役員と役員付であって、それを平等にと、そんなばかげた話を言っているわけではないわけです。個人の能力とそれだけ働きが同じであるのに、男女差というだけで差別があってはいかぬと、これを申し上げているわけでございまして、大変そこは大臣お言葉を返すようでありますが、私は認識がお違いではないかと、こう申し上げざるを得ないわけです。そんなこと決して申し上げているわけではありません。
#135
○国務大臣(藤尾正行君) 御趣旨のようなことでございましたならば、おっしゃるとおりでございまして、そのとおりあらなければならないわけでございます。ところが、御案内のとおり、こういった運動あるいはその考え方につきましても、社会の歴史の中で同じように進んできておるわけではないわけでございまして、非常に残念ながら、ここで私どもが国際婦人年というようなものをつくらなければならなかったということにも見られますように、歴史的にはそのようなことがいままで実現していなかった。その差異がいまだに残っておるということは、私はこれはやむを得なかったことではないか。これから先そのようなことがあってはならぬということでございましたならば、ごもっともそのとおりでございますから、そのようにさせなければならぬ、かように考えます。
#136
○渡部通子君 したがって、これからそういうことがあってはならぬ、そういう意味で法律もそのように整備をしなければならないと思うわけです。そういうことで二年前に、いまもおっしゃいましたように、労基法研究会がいろいろ中身に対しては議論はありますけれども、平等法をつくらねばならぬという、これは労働大臣の諮問機関ですよ、そこが提言をしているわけでございます。一時大変華々しい議論も展開をされました。ですから、先ほど同僚議員の質問に対して、あたりまえだから法律は要らないという大臣の御答弁があった。それに対して私は重ねてその見解を伺っておきたいんですが、あたりまえのことがあたりまえになっていないわけです。先ほど五項目について私伺いました。民間企業における女であるがゆえの差別というものはかなり根強いわけです。長い間の歴史、慣行がそうであったから、残念ながらとおっしゃるけれども、だから、それを変えようじゃないかということで、国際的にいま水準が上がってきているわけですね。日本もそれにそろえて法整備をしなきゃならぬというときに対して、あたりまえのことがあたりまえになっていないんだから、法律を整備してあたりまえにしようではないかという中で、大臣は、立法は要らないと仰せですか、それとも必要を認めますか。
#137
○国務大臣(藤尾正行君) このことにつきましては、先ほど局長が申し上げましたように、委員会でそれらの関連法規との関連におきましていろいろのことをお考えでございますから、その結果、このようにすべきであるという御勧告なりあるいは御注意がございましょうから、そういったものが出ましたならば、それを十二分に検討いたしまして、決して諸外国に比べて、あるいは理想に対しましておくれをとらないように整備をさせていくことにやぶさかではございません。
#138
○渡部通子君 ぜひ積極的に、最初私が伺ったのは、労働大臣は前向きであるという、こういう前提の上で御答弁をいただいておりますので、雇用平等法に関する立法化というものに対しては積極的に取り組んでいただきたいんです。と申しますのも、今度もコペンハーゲンに行きまして、いろんな方たちと話し合いをしてまいりまして、ヨーロッパや先進国におきましても婦人問題が根強く残存しているということは同じでございます。ヨーロッパの先進国と言われる国の労働担当の方々と話し合ってみても、婦人問題が非常にまだおくれていて、各国が努力をしている点については、私は日本の国も世界も同じだなということは感じてきました。しかし、日本の国がおくれているのは法整備なんです。だから、もうそんなのはとっくに御存じのように、アメリカではすでに六〇年代に平等法的なものができておりますし、それからヨーロッパ諸国が進みましたのも、やっぱりECがガイドラインをつくって各国に勧告をしたがゆえに、七〇年代にほとんど整備されているわけでございますね。その法律に現実を合わせるために努力しているというのが実情なんです。
 日本の国にはまだその法律すらないわけです。法律すらないわけですよ。大臣、本当にそこをわかっていただきたいと思うんですね。だから、日本の女性が働く場所において、仕事の場において差別を受けたと。女であるがゆえの差別を受けた。これを裁判に持ち込みましても、それを裁くよるべき法がいまはないわけです、日本の国には。それで、訴訟が判決件数だけ見ても四十五年から五十二年の間に十七件。これはすべて勝訴。勝っておりますけれども、非常に憲法から民法に無理してつなげるというような形をとって、裁判所としては判決を下してくだすっているわけですね。この辺が法的におくれているわけです。いままで労働省の御見解も、実態は伴わないところに法だけをつくってもあれだと、だから、実態を高めていく上において法律をつくるんだという、こういう御見解で来たわけですね。世界じゅうもそれで来たかもしれないけれども、やっぱりそれではだめだということで、ECもガイドラインをつくり、先進諸国もまず法をつくって、そこへ実態を引き上げるようにという努力をしているわけです。これをやっていないのは、先進国では日本だけなんですね。非常にこれはおくれていると思うし、コペンに参加をしました日本のマスコミの女性たちとも帰りにいろいろ話をしました。いままでは実態が先だと思っていたけれども、やっぱり法律をつくってそれを努力目標としなければ、実態は進むものではないと。むしろ逆に後戻りすることすらあると、これが一致した感想なんです。そういう意味で、私は大臣にもっと積極的にこの雇用平等法――各党案も出ているわけでございます。二年前には政府の中ですらこの議論はかなりのところまでいきました。労働省でさえ婦人少年問題審議会や省内の労基法審議会の議を経て法改正に進む段取りを考えるところまでいったわけです。それが何でいまこんな下火になってしまったのか。それを現在の労働大臣として、再び議論の日程にのせていただけるのかどうか、伺いたい。
#139
○国務大臣(藤尾正行君) 私は、下火になっておるという御指摘が当たっておるかどうか知りませんけれども、しかしながら仰せのとおりでございまして、そのようなガイドラインの設定とか、それに近づいていく目標の設定ということは大事なことでございますし、これに、恐らく労働省を挙げて取り組んでおると思いますし、そのための審議会なりあるいは委員会なりといいまするものに対する御諮問も行っておると、さように私は考えておりますから、さらにそれを加速させるという努力はいたします。
#140
○渡部通子君 よろしくお願いをします。
 それで、局長にもう一点伺っておきますが、いま、昨年十二月から審議会に専門家にお諮りをしているということですが、一年近くなりますけれども、それはいつおできになるんですか。
#141
○政府委員(高橋久子君) 昨年の十二月に男女平等問題の専門家会議を設置いたしまして、大体月に一回ぐらいの割合で会合を開きまして、平等の具体的内容について御審議をいただいているところでございます。
 先ほどから、先生からもいろいろとございましたけれども、やはり平等の具体的内容というものをもう少し明確にするということが、男女平等を単なるうたい文句でなく、より着実なものにしていくということで私ども先生方にお願いをしたわけでございますが、大変この問題むずかしゅうございます。男性と女性という質的に違ったものの平等の具体的なあり方ということで、大変先生方もむずかしい問題に取り組んだということで、慎重に検討していこうというような空気でございますけれども、まずいろいろなヒヤリングをいたしましたり、十二月には実地視察をその委員会の方々がおやりいただいております。この実地視察が終わりました段階で、私どもは大体この委員会がどのようなめどで平等の具体的姿について御結論をいただけるのか、十分御相談をしたいというふうに考えているところでございます。
#142
○渡部通子君 その専門家会議とか審議会とかいうのが一つの時間かせぎにならないように、ひとつお願いをしたいと思います。
 で、「婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約」この第二条には、個人、組織または企業による婦人に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとることと、こうございます。そして、婦人に対するすべての差別を禁止する適当な立法、その他の処置、適当な場合には「(制裁を含む)」と、これをとることと、こうございます。大臣、よく銘記していただきたいのです。従来、差別禁止は事業主の努力義務規定にとどまっておりますけれども、この条約批准に備えまして、場合によっては罰則を伴う事業主の義務規定と、こうしなければならないと思います。そうであったならば、現行の差別禁止のための行政指導ということは非常になまぬるいと思いますけれども、いかがでございますか。大臣に伺います。
#143
○国務大臣(藤尾正行君) 一つの差別の撤廃について、罰則を科してでもそういったことをなくするようにしろということでございますけれども、私は罰則を科さなければならぬような日本のそれぞれの企業あるいは組合等々を含めまして、そういう認識でございましたならば、罰則を掲げましてもその罰則の意義といいますものがなかなか効果をあらわさない、さように思うわけでございまして、その水準みずからを上げていく努力、それの方にやはり重点を置いて、罰則を科するというところに重点を置くということは、なるたけしない方がいいのではないかというふうに私は感じております。
#144
○渡部通子君 それはそのとおりですよ。おっしゃることはそのとおりでございますけれども、そこまで考えても男女の雇用の平等の実現のために努力をしてほしいという、これは国際間の取り決めでございますので、それにのっとって行政指導というものを、いまでは手ぬるいのではないか、こう申し上げているわけでございます。大臣、渋々御答弁をいただいているような感じでございますけれども、私たち、この男女平等の問題は、本当になかなか男性に御理解をいただくことはむずかしいわけでございまして、何でもかんでも男と女を平等にしろなどとは夢々申し上げておりませんので、その点だけは誤解のないようにお願いをしたい。男の方にはわからないかもしれないけれども、女にはいまのところ人生の選択権がないみたいなものですね。四年制大学を卒業すれば就職がしにくい。一生働こうと思っても、子供を生んだならば、やむなく引き下がらなければならない。こういう社会の壁に狭められて、女の人生の幅というものは、やっぱり家庭というところに来てしまうわけです。家庭は大事ですからそれで結構なんですけれども、中には能力を伸ばしたい。またそれがりっぱに社会に役立つという人材もたくさんいるわけで、そういう人たちが、家庭でない人生の場を選択できる社会の環境整備をしてもらうということが男女平等ということなんです。それを、ぜひとも間違いのないようにお願いをしたいと思うわけです。蛇足だと思いますけれども、局長に応援するつもりで申し上げました。
 じゃ次に、「婦人労働の実情」、まあそちらで発行していらっしゃるものですが、それを拝見いたしますと、昭和五十四年の女子雇用者は一千三百十万人、全雇用者中に占める割合は三三・八%でございます。それから年齢構成別では、昭和四十年代ごろまでは三十五歳未満が全体の六割以上だったわけですが、五十四年では三十五歳以上が全体の五二・六%と、非常に高齢化しております。既婚者の割合は、四十年に五割弱だったのが、五十四年は六六・九%と、こういう状況でございます。パートタイマーにつきましては、昭和三十五年雇用者中に占める短時間雇用者の割合で女子は八・九%、これが五十四年には一八・四%と急増をいたしました。第三次産業雇用実態調査結果によりますと、女子パートで共働きが七三・四%おります。こういう女子の既婚パートの増加傾向というものは、もうしばしば指摘をされますように、これからも増加をする一方だと思います。
 こういうふうに既婚女子労働が増加してまいりまして、今後も増加の見込みであるとするならば、そのための環境を整備してやらなければならないと思いますが、労働省の第四次雇用対策基本計画には、働く女子の環境整備の一環として、育児負担軽減のための保育所の増設、こう盛り込まれておりますが、その進捗状況を伺っておきたいと思います。
#145
○政府委員(高橋久子君) 保育所の増設につきましては、労働省は企業内保育施設等に融資を行うというような方法によって、保育所の整備を図っているところでございますが、一般的な地域の保育施設の整備は厚生省が所管をしておりますが、私どもは働く婦人の問題を所掌しているという立場から、関係省と連絡を十分とりながら、その整備が図られるようにいろいろと打ち合わせをやっているところでございますが、保育所につきましては、五十四年十月現在に二万一千三百八十一カ所になっておりまして、在籍の児童数百九十七万人ということになっております。今後も既婚婦人の職業生活と家庭生活の調和という観点から、保育施設の整備につきまして十分連絡をとってまいりたいというふうに考えております。
 なお、働く婦人の家庭責任と職業責任の両立という立場から、もう一つ育児休業制をもっと普及させていきたいというふうに考えておりまして、これにつきましては、奨励金を増額するというようなことも努力をいたしておりますので、今後とも引き続き努力を重ねていきたいというふうに考えております。
#146
○渡部通子君 私、九十一国会で女子労働者が単純作業に就業している現実、これについていろんな御質問を申し上げました。専門職につけないという、それが結果的にパートタイマーの増加を招いているという現実から、今日的な職業訓練体制を整備して女子の職業能力を開発すると。そして、女子の労働力というものが安価で低劣なものだと、こういう地位から脱却さしてほしいと、これを強く要望いたしました。当時、藤波労働大臣でございましたけれども、大変元気のいい前向きな御答弁をいただいたのを覚えておりますけれども、これが、今回の予算要求で具体的にどう盛り込まれているのか伺いたいと思います。
#147
○政府委員(岩田照良君) お答えいたします。
 大臣の方からいろいろ御指示をいただきましてやっておりますが、来年度の予算要求の中におきましては、婦人向けの訓練科の新設、これを二つほどやっております。この分が約四千万でございます。それから既設訓練科の婦人向け訓練科への転換、これを五科目考えておりますが、これが約九千万でございます。それから寡婦等に対します職業訓練の拡充のための実施規模を拡充することにいたしまして、これを六百六十九人から千九十五人ということでその規模の拡大を図っておりますが、この分が三億三千六百万近くございまして、合計約七億四千万近い予算の要求をいたしているところでございます。
#148
○渡部通子君 それは画期的にふえたのかどうか、その辺の感覚が知りたいことと、それから、いま本当に子育てを終わった女性たちがどこかに、社会に出たいという要求が非常に強いわけです。街を歩きましても、どんな会合などに参りましても、それで何か方法がないかという声が非常に強いものですから、私この前の九十一国会のときに、女の再就職に対する職業訓練が、給食、家政、販売、それから洋裁、和裁、せいぜいタイプどまりと。これは非常に低劣な、安価な労働力しかなりませんので、育ちませんので、コンピュータープログラマーとか、そういう社会的なステータスもニードも高いという、こういう面を開発してほしいというお願いをいたしましたけれども、そういう科目が具体的に考えられたのか、見込みはどうなのか、その点をあわせて伺います。
#149
○政府委員(岩田照良君) まず、先生がおっしゃいます感覚といいますか、七億四千万の分でございますが、たとえば今年度の予算の場合におきましては、四億四千万の増加になっております、先ほど申し上げましたような項目につきまして。それにつきまして来年度は七億四千万の要求をしているというところでございます。
 それから、先生御指摘の電子計算機のコンピューターの関係とかいうふうな近代的な訓練科目への女子の問題でございますけれども、現在、一般の訓練校におきましては当然男女の差別なく入校を認めておりますし、現在のところでは、一般の訓練校におきましては、養成訓練の場合、約一割が女性でございますし、能開訓練の場合には三分の一は女性でございます。その場合、たとえば電子計算機の例をとってみますと、これはある訓練校でございますが、五十五人入っておりますうち、女子が九名入っているとか、あるいは機械製図科、これも非常に近代的な訓練科目でございますが、そこにおきまして入校者百六十三名のうち三十人が女子であるとか、そのほか建築製図、電子計算機の関係、機械製図、そういったものにおきましても、大体多いところでは五割を女性が占めておるというふうな状況になっておりまして、近代的な産業に属する訓練科目におきましても、かなりの女性が入ってきておりますし、訓練校におきます関係設備、更衣室等その他でございますが、こういったものも整備をされてきておるところでございます。
#150
○渡部通子君 徐々に御努力をいただいていることは評価をいたしますけれども、やっぱり女の寿命がこれほど延びてまいりましたし、労働に対する何か専門的なものを持ちたいという時代の風潮でございますので、ひとつ職業訓練、特に中高年の女性に対する開発という点につきましては、どうかPRも兼ねて、最寄りの安定所へ気楽に聞きに行ったり、そこで、余り遠くないところで訓練が受けられるような方向に、何とかそこを努力して開いていっていただきたい。これは重ねて御要望申し上げておきます。
 それから、婦人に対するあらゆる差別撤廃条約も、国連の婦人に対する差別撤廃宣言という中でも、女性に対する保護と平等ということは両立するということを高らかにうたっています。ちまたには、保護か平等かなどという二者択一のような御意見があったこともありますけれども、明らかに保護と平等というものは両立するということは、国際的に認められている一つの流れであります。母性保護の必要性、社会的責任については言うまでもございません。したがって、勤労婦人福祉法の保護規定は、事業主の努力義務規定になっておりますね。そのために、現実には中小零細企業に働いている御婦人たちはこれを権利として保障されていないわけでございます。義務規定に改める必要があるのではないかと思いますが、いかがでございますか。
#151
○政府委員(高橋久子君) 先生からお話がございました平等と保護の問題でございますけれども、私どもも平等と保護の問題ということでございまして、決して両者は矛盾するものではないというふうに考えておりますが、その場合の保護の範囲のあり方の問題だと思います。本当に必要な保護は、これはやはり平等と矛盾するものではないし、十分にその保護の充実が図られるべきであるというふうに考えておりますが、その場合私どもといたしまして、先生が御指摘になりました勤労婦人福祉法にあるような妊娠、出産にかかる母性の健康管理ということにつきましては、十分にこれを充実していく必要があると存じますが、その点、勤労婦人福祉法におきまして事業主の努力義務として規定しておりますが、それを強行的な法規にするかどうかということにつきましては、その点いろいろと今後検討を要する問題もございますし、いま審議会で婦人労働法制のあり方等を検討していく中で考えていく必要があるかと、このように考えております。
#152
○渡部通子君 それもひとつ、大幅な前進をする方向で進めていただきたいと思うんです。
 それから、パートの問題でございますが、すでにパート労働というものがこれは社会的にも必要、企業側としても大変軽便な労働として必要となっておりますし、また家庭との両立という点で、主婦という多くの人たちの側からも重宝な労働場所として、お互いに必要性が一致するというようなことでどんどんふえているという状況で、これは決して私は悪いことではないし、現実にこれだけパート労働というものがふえてしまった以上はこれに市民権を与えるべきであるという、こういう声がやっぱり大きな主流になってきていると思います。
 パートタイマーの労働条件及び待遇改善、こういったことがいま急務になってきていると思うんでございますが、単独立法を制定するとかあるいは労基法の改正をすべきとか、そういった点のお考えはございませんか。
#153
○政府委員(高橋久子君) パートタイマーにつきましては、先生おっしゃいますように大変数もふえておりますし、需要側の要因もあるということと同時に、働く婦人の側から、家庭生活との両立が容易な雇用形態であるというような面でパートタイム雇用を選択するという面がございます。したがいまして、このパートタイム雇用の条件というものをよくして、このパートタイム雇用というものを、市民権という表現によるのかどうか存じませんけれども、ちゃんとした雇用形態として位置づけるということが必要であるかと存じます。そのため私どもといたしましては、現状ではなかなか問題もいろいろたくさんございますので、労働契約時に、その内容を明確にして労働契約をするとか、あるいは現在の労働関係法規は、パートタイム労働者に対しても適用されるわけでございます。したがって、その適用が十分に法律に守られるように監督指導を行う、そういうことを一層徹底を図っていきたいというふうに考えているところでございます。したがいまして、パートタイムの法規というものを別個につくることがいいのかどうかという点につきましては、私どもといたしましては、現在の現在の法規というものがいまのパートタイムにも適用されるという考え方で、その適用を十分に図っていくということを当面は進めてまいりたいというふうに考えております。
#154
○渡部通子君 そういう御答弁は再三いただいておりますが、現場へ参りますと、やはり雇われる方というのは非常に弱い立場にございまして、その雇用契約を結ぶということすらできないというのが現実で、あしたからいらっしゃい、じゃ、というような形で安易に行く、あしたからもう来なくて結構ですよと言われて急に失職をするというような場合が多いわけです。したがって、私は、むずかしいことでなくても、これ企業者側に雇用の契約だけでも結ぶということを義務づけて指導をしてもらいたいと思うことが一つ。
 それから賃金が時間給四百円台というのは余りにも低過ぎるのではないか。この二点だけでも何とかもう一歩進めていただければと思うわけですが、この点は大臣の御見解はいかがですか。
#155
○国務大臣(藤尾正行君) 私はかねてから、同じ働きに対する価値が、働く形態によって評価が変わってくるなどということはあってはならぬことである、かように申し上げておるわけでございまして、そのために、仰せのとおり家庭の内職でありますとか、あるいはいまのパートタイマーでありますとかというような方々が、いわゆる大企業の大労働組合に守られた方々と比べまして、非常にそのお働きの条件が、比較的に悪い条件にあるという御指摘はよくわかります。そこで、そのようなことのないようにいたしますためには、とりあえず弱い立場に立っておられます方々に、私どもの政治の配慮をできるだけよけい加えさしていただいて、その間の落差がどんどんと縮まっていきますように、あるいはなくなっていきますようにという方向で、ひとつ労働行政を進めてもらいたいということを省内でお願いをいたしておるわけでございます。御指摘のような問題がまだ残っておるということを私も承知をいたしております。でございますから、そういうことができるだけ早い機会になくなりますように、私どもも全力を尽くしてやってまいりますから、いましばらくそれがどのように変わっていくかということを御注視をいただきたい。
#156
○渡部通子君 賃金が非常にパートの場合安いという一つの原因は、やっぱり非課税の限度額というものが七十万で切られてしまうというところにあるわけでございます。これは、大変大蔵省絡みで問題がむずかしいということは承知をいたしておりますけれども、何とか労働省にお骨折りをいただきまして、パートの収入が七十万円になると税金がかけられてしまう、これが大変なネックでございます。だから一カ月働いて六万そこそこ、それ以上働いたら結局は税金が取られてしまうからということで泣く泣く低賃金に甘んじる、これが大変な問題です、いまの婦人労働にとっては。ですからこの非課税の限度額というものを上げる方向に、何度もお尋ねをいたしておりますけれども、御努力をいただけないかどうか、重ねて伺います。
#157
○政府委員(高橋久子君) パートタイマーの賃金が安い原因として、税制の問題があるのではないかということでございますが、税制がパートタイマーだけ特別扱いをするということはむずかしいのではないだろうかというふうに思います。このパートタイムの問題を研究しておられる方々の間にも、新しく学校を出てすぐ入ってきた労働者にも税金はかかってくるのにパートだけ特別というような考え方というものについては、いろいろ議論があるようでございまして、この点はやはり、労働者の所得に対する課税をする場合の最低限度額をどう考えるかという問題であると存じますので、私どもは労働者を行政の対象にしております立場から、労働者の課税につきましては、その課税が低所得の者に税金の負担が大きくならないような努力を今後も続けてまいりたいというふうに考えております。
#158
○渡部通子君 ただいまの質問に対しては、大臣からもぜひ御答弁をいただきたいと思っておりますけれども、最近は労働者の実質賃金がマイナス傾向にある。農家所得なども実質的には大変なマイナスにあるというような状況にあります。政府が六・四%に物価を抑えると、きのうあたりも総理大臣も一生懸命がんばってはいらっしゃるようでございますけれども、それは非常に見通しとしてはむずかしい。そうなってまいりますと、確かに勤労者の所得というものも実質的には大幅に目減っているわけでございます。そうすれば当然調整減税をなどという話も今度は出てくると思います。私は調整減税がいいか悪いか、そんなことは抜きといたしましても、むしろ減税などというよりも、そういういままで非常に非課税の限度額で苦しんでいるような低所得の方たちの、その辺を考慮していただくということの方が、よっぽど勤労者にとってはうれしいし、国の制度のあり方としてもいい方法ではなかろうかと、こう思うわけでございます。そういった点は、確かに税制の根幹にかかわる問題ということですけれども、それも必要ならば検討していただく必要があるわけでございまして、このパートの七十万という問題につきましても、労働大臣、新しいお立場でひとつ御決意なり、その方向に対するお示しなりを聞かせていただきたいと思います。
#159
○国務大臣(藤尾正行君) 私が労働大臣であるからといいまして、税制全般に関する大きな流れを特別に変えるということはなかなか困難でございます。でございますから、私をして言わせていただけば、パートの方であろうと何であろうと、お働きになられる御婦人方もみんな納税をしていただけるような、それだけの所得を実際に取っていただけるような環境をつくっていく、そういうことも一つの大事な問題ではないかというように思いますし、ただいま渡部議員から御指摘がございましたけれども、一方におきまして、その実質所得が下がっていくというようなことであればこれは大変なことになりますから、実質所得をむしろ上げていくように、物価の方を逆に押し下げていくという努力はしていかなければならぬ、かように考えておるわけでございまして、いま御案内のとおり、本年度の場合、二月以降ずっと消費者物価が上昇傾向にございまして、私どもが予期いたしました、私どもの年度内御約束をいたしました六・四%の水準といいまするものを超えてきておる、これは事実でございます。
 しかしながら、ここへまいりまして御案内のとおり、その消費者物価の中でかなり大きな部門を占めます生鮮食料品というようなものにいたしましても、おかげさまで野菜を中心にいたしまして前年度比大体四〇%から七〇%ぐらいまでの間にすでに入ってきております。でございますから、年度内六・四%に抑え込むということが非常にむずかしいという御指摘でございますけれども、むずかしいことは私も承知をいたしておりますが、決して不可能なことではないわけでございまして、私どもは必ずこれを実現をさせたい、またしなければならぬということで、総理大臣を初めといたしましてこの物価対策に取り組んでおるわけでございます。でございますから、どうかこの点も年度内の推移といいまするものを私ども十二分に考えてやっておりますから、御安心を願ってお任せをいただきたい、かように考えるわけでございます。
#160
○渡部通子君 それでは、本当に働く女性の方たちが税金を胸を張って納められるような、そういう労働条件なり職場の確保なり、それにひとつ全力を挙げていただきたいと思うわけでございます。
 それから、寡婦雇用促進法につきましても一言伺っておきたいと思います。と申しますのは、まだパートの非課税限度額が七十万だなどと言っていられる方は、これはまだ御主人がいる方たちでございまして、まだまだ幸せな部類でございます。それよりもっとかわいそうというか、弱い立場にいる女性というものは寡婦でございます。やはり寡婦の方たちが一番望むのは職場が欲しいということでございまして、それが御存じのように子連れであったりだんながいないということで社会的な立場が弱うございますから、やはり採用ということに対して大変に不利でございます。私どもでは早くから寡婦雇用促進法というものをつくりましてお願いをしてまいったわけでございます。四、五年前にはこれが実現するかと思うくらい自民党さんの賛成もいただきまして、そこへこぎつけたこともございました。それがまた今日に至るまで実現をしないわけでございますけれども、雇用平等法からも落ちこぼれ、あるいはパートからも落ちこぼれている。まさに福祉の原点と言われる、突然夫を失った女ですね、しかも子供が小さい、こういう女性の職場の確保というものは、私は本当に福祉の根底になきゃならない問題だと思います。そういう意味において、寡婦雇用促進法に対して前向きにお取り組みになるおつもりがあるかどうか伺っておきたいと思います。
#161
○政府委員(関英夫君) お尋ねは、寡婦の雇用義務というようなものを法律をもって決めるべきではないかと、こういうお話でございまして、国会でも論議がございましたけれども、従来もお答え申し上げておりますが、寡婦につきまして雇用上むずかしいのは、先生御承知のとおりに、その雇用環境といいますか、保育を要する子供さんを抱えていらっしゃる、そういうようなことがありまして、家庭生活上の負担がある、それから従来の型といたしましては、多くは十分な技能をお持ちにならない、家庭に長くいらっしゃって技能というものを持っていらっしゃらないとか、そういう雇用環境が不十分なために雇用の道が非常に狭いわけでございます。そういう現実がございますと、法律で義務づけるということによって雇用が促進するかどうか、非常に問題があろうかと思います。また、立法技術上もいろいろむずかしい問題がございまして、いま直ちにこれを法律上義務づけるということよりも、私どもは雇用を容易にするための環境の整備、そういったものを図るとともに、職業訓練あるいはきめ細かな職業相談、職業指導、そういうものを行いまして、その雇用の促進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#162
○渡部通子君 その御答弁は再三いただいておりますので、お話はよくわかるわけでございますけれども、身障者のあれですね、先ほどからも御質問があったように、この率を決めて義務づけてもなかなか採用が進まないという実情、それを見てもおわかりのように、罰金があったってなかなか採用進まないわけですね。そうしますと、やっぱり法律もなければガイドラインもなければ、何ら規制がないとなると、非常にこれは底辺で泣いている未亡人多いわけでございますね。交通遺児のお母さん等に代表される声にも十分それはあるわけでございます。そういった意味で、環境をつくればいいんだという物の考え方、そこに一つ発想の転換をしていただけないだろうか。法律というものも、法律だけあっても何にもならないという意見もありますけれども、少なくもそれがあればそれを唯一の頼りにして、それを一つの発奮の材料として一人の恵まれない女が立ち上がる、それを盾にしてがんばるということもあるわけでございます。それは弱い立場の人にとってみれば法律は何よりの頼りでございます。そういう激励の意味からも、あるいは身障者の雇用状況に見られる実績を見た上からも、この問題についてもう一歩前向きに出られないものだろうか。大臣、いかがでございましょう。
#163
○国務大臣(藤尾正行君) 仰せの気持ちはよくわかります。したがいまして、これからどのように進めていくべきか、十二分に考えまして、御趣旨ができるだけ生きますように勉強をして、かつ督励をしてまいりたい、かように考えます。
#164
○渡部通子君 時間がございませんので、もう一点伺わせていただきます。
 育児休業制度、この拡大をお願いしておきたいと思いますが、育児休業奨励金の実績はいかがでございますか。
#165
○政府委員(高橋久子君) 育児休業奨励金につきましては、この制度が始まりましてから現在までにこれを支給したところが、約、五十四年度までの実績でございますが、三百件になっております。
#166
○渡部通子君 これについては、先ほど局長の御答弁にも何とかこれの拡大を図りたいというお話もございまして、私も女の働く環境づくりのためにはぜひともこの制度を充実拡大をさせていただきたいと思うわけです。これは自民党の家庭基盤充実構想、この中にも――この家庭基盤充実構想それのみを私は是とはいたしません。これは女を家庭に閉じ込めようという一つの方向が如実にあらわれておりますので、大変批判をしている立場にありますけれども、その中にすら育児休業制度というものは確立すべきだと、こううたわれているわけでございまして、私も前九十一国会で女子のライフサイクルを踏んまえた職場の受け入れ体制の整備を要求しておりましたけれども、その一つである育児休業制度、これは出産、育児というものが社会的責任と思いますので、ぜひがんばってもらいたいんですが、これを阻害している要因というのは何だとお思いでございますか。
#167
○政府委員(高橋久子君) 私ども育児休業の普及を図っておりますが、まだまだこの育児休業制度の普及が不十分でございます。阻害している要因というお尋ねでございますけれども、育児休業ということになりますと、かなり長期間女子労働者が、一年ないし三年というような長期間女子労働者が休業いたしまして、そして、休業後また再び職場に復帰してくるという制度でございますので、その女子労働者が休業している間、別の女子労働者をまた雇わなければならないという代替労働者の雇用の問題と、それからその休んでおりました女子労働者が再び職場に復帰してまいりましたときに、新たに雇っていた代替女子労働者をどうするのか、その労働者を今度は離職させなければならないというような問題が起こりまして、その点が大変、企業によりまして女子労働者が非常に少ないところではローテーションで解決することが困難であるというような現状がございます。そういった非常にむずかしい問題がございますけれども、私どもは勤労婦人の雇用を継続していくという何よりの方法でございますので、事業場の理解を得ながらこれを進めているというところでございます。
#168
○渡部通子君 女子の高学歴化、平均寿命の伸び、それから職場進出の増加、こういう中で男女雇用平等法の確立の要求の高まりというものは、これは私は時代の流れだと思います。本格的な高齢化社会に突入するに当たりまして、女子労働についても長期的な構想を持つべきだと思います。その一つの具体案として、いまも局長がおっしゃったように育児休業制度の普及、これは大変大事なことだと思うわけでございます。そして、女子のライフサイクルを踏まえた効率的な雇用、あるいは中高年の雇用を阻害しているわが国の終身雇用制度、それに基づく年功序列賃金体系、これはもはや見直す時期に来ているのではないか。政府も早急に積極的に検討していただきたいと思うわけでございますが、これに対する大臣の御答弁を承っておきたいと思います。
#169
○国務大臣(藤尾正行君) なかなかむずかしい問題が中に含まれておりますので、私がどうお答えをしたらいいか、非常に迷っておるわけでございますけれども、全体といたしまして、御案内のとおりの人口構造の大きな変化が現に行われておるわけでございます。したがいまして、雇用という問題につきましてもこれを反映せざるを得ません。非常にこれはエゴイスティックな話で、そんなことではいけないわけでございますけれども、雇用という観点から考えましても、これからの若い男子の労働力にのみ頼るというような、従来のこの雇用の形態といいますものがそのまま存続するはずはないわけでございます。でございますから、当然これを補充するものといたしまして、高齢者の方々にも御参上願わなきゃなりませんし、あわせて御婦人の方々にもどんどんと雇用の第一線に躍り出していただかなければやっていけない。非常にエゴイスティックな考え方で申しわけがないわけでございますけれども、そのような環境にございます。
 でございますから、そういった環境の中におきまして、御婦人がそれ相当の御活躍を願うためには、御婦人のみが持っておられますそういった特殊な出産、育児というような環境の変化を考えずしてそれを充足をしようといったって、それはできるものではないわけでございますから、当然それは十二分に考える上にも考えてやっていかなければ、私はこれからの経済のニーズにもこたえられないのではないかという気がいたします。
 でございますから、それに政策的な私どもの立場と、あわせて今後の人道的な私どもの常道尊重というような立場を考えましても、これからはおっしゃられることをおっしゃられる以上に私どもが考えていかないと、それが理想の方向に進んでいかないであろうというような懸念を私は持っております。したがいまして、その点は十二分にこれから考えさしていただくつもりでございます。
#170
○渡部通子君 終わります。
#171
○沓脱タケ子君 それでは、限られた時間でございますので、具体問題から入らしていただきたいと思います。
 葦原運輸機工の労働者に対する不法行為問題についてお伺いをしたいわけでございます。
 昭和五十三年十一月の十五日の朝日新聞にこういう記事が出ています。「最高裁判決 知らん顔悪質会社を告発」ということで、大阪地労委で不当労働行為を続けている悪質会社を告発したという記事でございます。ちょっと読んでみますと、
 不当労働行為の是正命令を無視し、最高裁でも敗訴したのに判決に従おうとしない、として大阪地労委は十四日、大阪市浪速区芦原二丁目、葦原運輸機工会社の労組法違反の内容を大阪地検に通知した。この通知は労働委員会規則によるもので、刑事訴訟法の告発と同じ意味を持ち、大阪地検は、これを受けて捜査を始めることになる。同地労委によると、最高裁判決を守らないことを理由に通知処分にしたのは大阪でははじめてで、全国でも珍しいが、この会社はほかにも三件の事件で最高裁で敗訴しているほか、十四件も係争中の事件を抱えるなどとくに悪質なのでこの処分に踏み切ったという。
 同地労委によると、同社は高速道路やビル建設の資材の運搬や港湾荷役などをしている。という記事でございます。
 そこで労働省にお伺いをしたいんですけれども、こういうふうな最高裁判決に従わなかったとして地方労働委員会から通知処分を受けた、通知処分をしたような事例というのは全国的にたくさんございますか。
#172
○説明員(中村正君) 私どもが調べましたところ、そのような例は非常に少ない。私どもが現在調べた時点ではこれが一件であるということでございます。
#173
○沓脱タケ子君 続けて労働大臣にお聞きをしたいと思います。
 最高裁判決に従わなかったとして地方労働委員会から告発をされるという異例なことが起こっている。この会社の不法ぶりというのはちょっとあきれるほどひどいんですね。昭和四十四年の十一月に運輸一般労働組合の分会葦原運送分会というのを結成したのですが、その途端に猛烈な組合つぶしあるいは不法不当行為というのが大変繰り返された。どの程度に繰り返されたかということを見てみますと、こういうことなんですね。昭和四十六年の一月から昭和五十三年五月までの間――ですから七年余りですね。この七年間に解雇、それから不当労働行為、会社役員の暴行など裁判所の判決と決定、それから地方、中央労働委員会の命令、これが実に三十一件も出ている。その三十一件というのは全部労働者側の勝訴が書いてあります。これは全部紹介するわけにもいかぬので、特徴的なところをちょっと紹介をしてみますと、この中にはこんなのがあるんですよ。労働者に食事を与えよという決定なんです。
  仮処分決定
  主文
 被申請人は申請人に対し従前どおり寮の給食をせよ。
 昭和四七年一二月二一日大阪地方裁判所第一民事部
    裁判官 平井重信
こういう処分を受けている。だから、食事を与えよという決定なんです。
 さらにもう一つ、二つ紹介をしますが、これは最高裁判決ですが、この会社の社長さんというのは左崎充さんとおっしゃる方ですが、この方が最高裁判決を受けておる。これちょっと読んでみますが、判決文です。
  判決
  会社役員  左崎充
 右の者に対する傷害被告事件につき当裁判所は検察官藤原藤一出席のうえ審理を遂げ、次の
 とおり判決する。
   主文
  被告人を罰金五万円に処する。
こういうのを受けております。この左崎さんというのは、申し上げたようにこの会社の社長なんですね。社長が率先をして組合員に暴力をふるったもので、この会社の社長及び会社役員の暴力事犯というのは、大阪地方裁判所が判決したものだけでこのほかに十六件、だからいま申し上げたのを合わせて十七件なんですね。これは一つずつ言うたらきりがないんですが、とにかくひどいですね。いまの五万円の分でもどんなことかと言うと、罪となるべき事実という判決文ですね。
  被告人は、昭和四七年一二月七日午前八時三〇分過ぎころ、大阪市住吉区緑木町二丁目七番地葦原運輸機工株式会社事務室二階の従業員寮六号室前廊下において、おりから同六号室内の点検を申し入れてこれを拒否する同室居住の荒井明範ら三名と小競合をしていた同社取締役田中貞雄ほか三名に加担し同人らと意思相通じたうえ被告人においてなおも入室点検を拒んでいる右荒井に対し同人を突きとばし、左顔面を殴打し、襟をつかんで押えつけ、前記田中において右荒井の腕をつかんで引っ張るなどの暴行を加え、よって同人に左口腔内血腫の傷害を負わせたものである。
 こういうことなんですがね。この残り十六件を読んでみましても大体そういうことなんですね。社長が殴りつけて、力が余って、それをとめに入った組合員の顔面にこぶしが飛んで、そのとめに入った労働者が一週間の負傷を受けるとか、どうも頭殴ったりけったりするらしくて、いま申し上げたのも口腔内血腫でしょう。そのほかの十六件ずっと見てみましても口唇裂傷とか、口腔内裂傷とか、まあ歯があるわけですから、殴られたら中がやわらかいから当然裂傷が起こるわけですが、そういう暴力事犯というのがいっぱいあるわけですね。
 まず最初に、こういう状況というのはちょっと私も驚いたわけですが、こういう会社のやり方はきわめて異常だと思われるんですが、ひとつお聞きをしたいのは、いかがでしょう、正常だと思われますか、こういう状態、まず。
#174
○政府委員(細野正君) 御指摘の事案のうちのかなりのものが、現在裁判所等で係属中のものが多いわけでございまして、したがいまして、個別事案についてとかくの意見を申し上げるのは適当でないというふうに思いますけれども、ただすでに決着を見た事件事案等で、いま御指摘のように暴力事件等が起きているわけでありまして、そういう意味では正常な形ではないというふうに考えられます。
#175
○沓脱タケ子君 確かに正常でないと思うのです。私申し上げた三十一件というのは、これは皆結審しているんですよ。係争中じゃない。こういうことが起こっておるんですから、当然会社は組合員に対して、賃金でも徹底的にそういった不当不法と言えるような差別が行われています。ですから、五十一年二月分の賃金明細を見てみますと、労働組合の組合員と非組合員の支給金額の違いというのがどんなになっているか。非組合員の支給額は二十二万九千五百二十六円です。組合員の支給額は六万五千百七十一円です。ちょっと信じられないですね。ちゃんと毎日出勤してての話ですからね、信じられない。休んでたというなら話は別ですよ。ところが、こういうことのできる仕組みになっているんですね、賃金の体系が。
 まず、賃金の構成要素というのが、基本給とか出勤基本給、あるいは考課給、職能給、時間外手当、通信手当、何々特別手当というふうに。細かいことは聞きませんからね、十三項目あるんですよ、基本給以下。だから非常に複雑なんです。その上に評価がひどいわけですね。幾つか評価要素があって、基本給についても考課給についても職能給についても、大体その考課の仕方というのはゼロから十点という、ゼロから出発するわけですね。だから、定期に昇給とか、あるいは春闘の時期のベースアップとかというんじゃなくて、だれがいつ昇給しているのかわからぬような仕組みになっているようですが、それだけではなしに、その考課の仕方というのはゼロから十点ですからね、それを会社のさじかげんでやるわけですからね。ゼロと査定されたら、たとえば考課表というものが基準が千円なら千円としましょうや、それで一点なら千円ですよね、十点なら一万円になるわけです。ゼロだったらゼロになるわけですよ、考課がゼロにされるとね。それがずうっと積み重なるから、先ほど申し上げたように三分の一以下ですね、片や二十二万九千円、片や六万五千円と、こういうことになるわけですね。
 で、その当時の組合員の考課表を見てみますと、四十八年の十一月−十二月というのは、五人の労働者を見てみますと、考課表が〇・七ですよ、ゼロから十点までの評価でね。で、片方の四十九年六月から十二月まで見ますと、これも〇・九です。その当時に組合員でない人たちというのはどういう評価になっていたかといいますと、非組合員は同じ時期を見てみますと、前段で言うた方が八・八点です。後段は九・一点。だから、先ほど申し上げたような賃金の格差が出てくるわけです。こういう評定方法というようなものが正当かどうか。これは地労委でも不当労働行為だということで勝訴になっておりますが、こういう全く信じられないようなことになっている。
 こういう賃金の評定方法、差別賃金というのが妥当かどうか。これね、おもしろいですよ。もうちょっと具体的に言いますと、たとえば考課給というのは一体何をするんだといって地方労働委員会での審問調書を調べてみますと調べられている。社長さんはこう言っているんですよ。幾つかの要素があるんだけれども、自覚要素という項目があると。自覚要素というのは何で判定をするんだと言ったら、五項目の社訓がございますと社長が言っているわけです。それなら社長、その社訓を言うてくださいと言ったら、記憶がなかったと、社長自身が。後で文書で報告をいたしますと。ところが、その五項目の社訓が賃金の最低の自覚要素として考課給の一つの要素にされている。こういう労働者に対する給与のあり方というのが本当に妥当かどうか、ちょっと御見解だけ、御感想でも結構です、伺っておきます。
#176
○政府委員(細野正君) 先生御存じのように、一般的に賃金体系自体につきましては、かくなければならぬという法的な規制というものがないわけでございまして、したがいまして、賃金体系一般の問題としてこれが妥当かどうかというのにお答えするのは大変むずかしいわけですが、ただこれが、たとえば先ほど先生お話しございましたように、労働組合に対する、あるいは組合員に対する差別行為にこれを利用していたかどうかというようなところが、法律的には問題になるところでございまして、その辺は、先ほど申しましたが裁判所なり労働委員会なりの判断というものに待たざるを得ないんじゃなかろうかと、こう考えるわけであります。
#177
○沓脱タケ子君 いま私申し上げたように、組合員と非組合員の賃金の格差を申し上げている。それはもうはっきりしておるんですよ。だから不当労働行為だと言われている。そういうことがあってよろしいかと、労働省。何を言うてるんですか。労働省がそんなことを認めるようなことでは話にならぬですよ。労働組合員と組合員でない者との格差がこういうふうになっている。明らかに不当労働行為じゃないですか。そんなことが正当ですか。三分の一以下の給与ですよ。
#178
○政府委員(細野正君) その賃金体系の結果として賃金に差が出てきた、その差というものが、組合員であることを理由とする差別であったかどうかというところが法的な問題でございまして、したがって、その結果的に差があること自体だけではこれを論じ得られないわけであります。そういう意味で、そこのところの因果関係というものが、裁判所なりあるいは労働委員会なりの判断に待つと、こういうことになっているわけであります。
#179
○沓脱タケ子君 このケースは、当然もう労働委員会でも明確に不当労働行為だということになり、これは地裁でも勝っているんですね、実際には。で、ちょっと考えてみなさいな。最高裁判決が出ても聞かぬと。それで職場では何かあったら殴ったりけったりして、くちびるが切れたり口の中が切れたりするような暴力事件がしょっちゅう起こると。だってそうでしょう、十七件、起訴されているものだけで十七件あるんだからね、判決が出た分だけで。それで給料は三分の一以下になるようなさじかげんで査定をする。明らかに組合員と非組合員との差別をする。余りにもひどい。御飯も食べさせない、寮の給食もやらぬ。ちょっとこんな前近代的な労務管理というのが、今日の時代にあるんだろうかと思うようなことが現に起こっている。
 こういう事態なんで、昭和四十九年の三月に大阪弁護士会は、会社に対してきわめて異例な勧告をやっているんです。これはもう本当に異例だと思いますよ、こんなものね。ちょっと読みますと、
  勧告
 貴社と全国自動車運輸労働組合大阪合同支部葦原運送分会との間の労働争議について、貴社は数次にわたる裁判所の仮処分決定をもまったく無視し、さらに代表取締役自身並びに職制による右組合員らに対する暴力行為をも頻発させてきている。
 かかる状況は、通常の労働争議の範疇を越えたきわめて異常な事態と考えられ、貴社の右組合に対する態度は、組合員の人権無視、また法律無視も著しいものであり、われわれも人権擁護の立場よりして黙過できない極めて遺憾なものであると考える。
 よって、貴社におかれては、早急に右の如き異常事態を解消させ、そして健全な労使関係を回復されるよう努力されることをここに勧告する。
こういうことで、これは大阪弁護士会、当時の会長辻中一二三さんから葦原運輸機工株式会社の左崎充代表取締役に出されているわけです。
 こういう社会的な指弾を受けても会社は少しも反省することなく、さらに引き続いて五十一年の五月には五名の組合員を解雇してきました。この解雇は当然無効とする仮処分決定が大阪の地裁でなされました。これはことしの三月二十六日に大阪地裁の判決が出ているわけですね。首切り理由なんかも見ましたら、ちょっと異常なんですね。たとえば首切りの理由というのも、毎日事務所の窓ガラスに便せんやら紙に書いて張るんですね、解雇理由を。何と四百種類ぐらい張ったと言う。労働組合の方はそれを写しておる。その理由の中には噴き出しそうなのありますよ。噴き出しそうなのがあるけれども、その噴き出しそうな理由で労働者の首を切られたんではたまったもんじゃないんですがね。たとえばこんなことがある。この四百項目の中の一つです。「事務所内にタバコの吸いがらをわざと捨て、清掃に一時間以上かかる行為があった。」それから、「勤務中の動作が非常に遅く仕事にならない。また、暴力行為に出る時は別人の様にすばやい事から性分ではない。」そういう書き方なんです。それから「解雇の理由はまだ沢山ある。」これも理由なんですよ。解雇の理由はまだたくさんあるというて張りつけて、労働者の首切られたらたまらぬですよ。ところがそんなことをやっている。だから大臣ね、ちょっとこれは全貌を簡単に全部は言えませんけれども、お聞きのとおりなんですよ。信じられないような前近代的な労務管理、しかもまさに無法地帯というんですね。法律に基づいて決定をされても、最高裁判決が出ても、これに従おうとしない。無法地帯です。大臣、まず御感想をひとつお伺いしたいと思います。こういうことがいま大阪でやられている。
#180
○国務大臣(藤尾正行君) お話しのとおりであるということになりますと、きわめて妥当ではない、普通ではちょっと考えられないことであろう、かように考えます。しかも、最高裁の判決というもの等があってそれに従わないなどということは、私どもにはちょっと考えられません。でございますから、そういったことにつきましては、その実態をよく調査をいたしませんと私どもにはちょっと理解ができない、かように思います。
#181
○沓脱タケ子君 そこで、私これ少しもオーバーに言うてないんです。関係書類のとおり申し上げている。そこで大臣も驚かれていると思いますから、一遍事情をよく御調査をいただきたいと思う。そうでありませんと、せっかく労働関係法規がございましても、全く踏みつぶされて無法地帯になっておるわけですから、これは労働省としても黙って見ておるわけにはまいらぬという事態だろうと思うんです。そこで御調査をいただいて、少なくともこういう不正常な無法地帯にも等しいような労使関係というものを改めさせて、正常な関係の確立のために、労働省としては御指導なさる必要があると思う。これはどうです。
#182
○政府委員(細野正君) いま大臣からもお答え申しましたように、実態を私どもつまびらかにいたしておりませんので、この辺につきましては、大阪府ともよく連絡とりまして調査をいたしたい、こういうふうに考えております。
 なお、個別の案件自体は先ほど申しましたけれども、紛争継続中のものについては、これは私どもも、とかくの意見を言うことはできないと思いますけれども、一般論としては労使ができるだけ話し合いで、問題が円満に片づくということが望ましいことは明らかでございますので、そういう意味で、大阪府ともよく連絡とりまして有効な指導の方法があるかどうか。これも先生よく御存じのように、前にも大阪府が指導いたしまして非常に手を焼いた経緯もございまして、なかなか有効な手段というのはむずかしいんですけれども、大阪府とよく相談いたしまして対処してまいりたい、こう考えております。
#183
○沓脱タケ子君 労働省がむずかしい言うてたら話にならぬわけだね。しかし、ひとつ御調査をいただいて、せっかく労働法規をもって行政に当たっておられるその労働法規が、無法地帯にされているというようなことは改めなければ、労働省のメンツも立たぬですよ。その点ははっきりしておきたいと思う。
 そこで、あんまり時間ありませんので、運輸省おいでいただいてますか――ちょっと前へ出てください。
 運輸省にちょっとお聞きしたいんですけれど、これ免許業者でしょう。こんな事業者をそのままにしておいていいですか。私は免許要件を検討しなきゃならないような内容になっていはしないかと思うんですよ。だってあなた社長を先頭に労働者、組合員に暴力をふるって殴ぐったり、傷害罪を受けて罰金まで確定をするというのはね。しかも最高裁判決といえども無視をする。不当労働行為は、幾ら判決があろうが決定があろうが、地労委、中労委の命令があろうが、これは踏みつぶす、本当におたくの免許業者としてこんなのあたりまえやということになりますか。なったらこれはえらいことになる。どうですか。
#184
○説明員(浅井俊明君) 運輸省におきましては、貨物自動車運送事業者に道路運送法上の違反があれば、いままででもその都度事業者に対しまして、同法に基づく行政処分あるいは必要な行政措置をとってきたところでございます。ただいま先生御指摘の会社の労使関係の実情につきましては、今後十分実情を調査いたしまして、運輸省といたしましても適正な輸送サービスの提供、あるいは安全運行の確保を図るという観点から、経営の正常化につきまして労働省初め関係各省と十分密接な連携を保っていきたいというふうに考えております。
#185
○沓脱タケ子君 まあ安全運行の問題もあるんだけれども、とにかくその法律を踏みつぶしてはばからないという人間ね、法治国家でしょう、法治国家のもとで、一定の資格要件をもって免許を与えている業者の代表者が、最高裁の判決も何も踏みつぶしてはばからないというような、こんな無法なやり方をするものについては、やっぱりはっきりせないかぬと思うんですよ。で、私はこの問題はきょうは時間がないので、この問題に限って追及するというやり方をしようとは思いませんけれども、しかし、少なくともこういう状況になっておるというのはあなたもお聞きになっておったでしょう。だから、労働省の方でも有効な手段を検討して、調査の上で正常化のために努力をするとおっしゃっているんだから、私は労働省と運輸省が協力をされて、まあ企業に法治国家らしい指導を貫くべきだと思うんですが、その点はどうですか。
#186
○説明員(浅井俊明君) 実態につきまして十分調査をいたしまして、労働省と密接な連携を保ちながら、この経営の正常化について図っていきたいというふうに考えております。
#187
○沓脱タケ子君 行政が懇切に指導をされて、聞かなければ、そのときはそのときにまた、おたくの場合は商売の、営業の生殺与奪の権利を握っておるわけだから、その点ははっきり覚悟を決めて指導をしてもらいたいと思っておる。
 この機会に言うておきますけれども、こういうクレーン建設業界というんですかね、これ、全国クレーン建設業協会というのをつくっているらしいですが、東京の内宮運輸機工だとかフジタ工業、あるいは京都の宮川運送などという、これは新しい分野のようでございますけれども、この建設業協会というのは、大なり小なりいろいろと問題があるようでございます。時間があれば少し触れたかったんですが時間がありませんから、運輸省に特にお願いをしておきたいんですが、この全国クレーン建設業協会に対しても、こういった立場を踏まえて適切な指導をお願いをしたいと思いますが、いかがですか。
#188
○説明員(浅井俊明君) クレーン建設業協会そのものは私どもの所管の団体ではございませんけれども、運送事業の免許を持っておる者に対しましては、従来からも運送事業者の経営基盤の強化ということは、私どもの自動車行政の基本的な方向としてやってきておるところでございます。個々の事業者に対する指導のみならず、業界団体を通じまして、そういう指導を行っておりますので、今後も実態を調査の上、そういう方向で対処していきたいというふうに考えております。
#189
○沓脱タケ子君 クレーン建設業協会は運輸省直接でないのは私も知っているんですが、そうかといって、建設省の方にも窓口ないんだな、あれ。その中途半端な団体になっている。できて間がないから。そういうことだから、あなたのところは、免許の許認可権を握っているわけだから、運輸省としてきちんと指導の方途をとりなさいということをお願いしているんです。この業界というのは、やっぱりいま私が一例を申し上げたように、不当労働行為や反社会的な労務政策などを通じて非常に前近代的なやり方になっておりますから、少なくとも近代化するように、ひとつお願いをしたい。
 最後に、ちょっと警察庁にお聞きをしたいんですが、まずお聞きをしたいのは、警察官というのは、私服を着ているときに拳銃を携帯できるんですか。できるとすれば、どういう場合ですか。
#190
○説明員(岡村健君) 私服を着ておりますときも拳銃所持できます。拳銃所持いたしますのは、所属長の許可があったときでございます。
#191
○沓脱タケ子君 そうすると署長の指示があった場合には、私服でも拳銃は携帯できると。で、私服のままで拳銃を携帯するときは、どんな方法で携帯することになっているんですか。
#192
○説明員(岡村健君) 通常、胸のこういうところとか、あるいは腰に着装するというような携帯でございます。
#193
○沓脱タケ子君 そのような携帯と言ったってわからぬので、これはおたくの方の取り扱い規範の十四条によると、「私服を着用して拳銃を携帯するときは、目立たないよう適宜の方法で携帯するものとする。」というふうになっていますが、そのとおりですか。
#194
○説明員(岡村健君) 原則としてそのとおりでございます。
#195
○沓脱タケ子君 ちょっとこの写真を見てもらいたい。(写真を示す)この写真をごらんいただいたらわかるのですが、これは明らかに私服なんですが、これ、目立たない適宜の方法で携帯していると言えるかどうか。ちょっとその返事をしてください。
#196
○説明員(岡村健君) 原則的には目立たない方法でということでありますけれども、勤務の態様、そのときの状況によってやむを得ない、目立つようなこともあり得るということでございます。
#197
○沓脱タケ子君 そうすると、あなたのところの規範は例外もあるということになっているんですか。ちょっとあなた、いい加減に言うたらいかぬですよ。「目立たないよう適宜の方法で携帯するものとする。」というのは、規範に書いてあるわけです、例外的なときでもね。そういうふうに明記して、原則的にそうだと、あなた言うた。どんなときにこれが起こったかということをちょっと説明しますわ。そうすると御理解いただける。
 これは、いま私が問題にしている葦原運輸の労働組合の方々が、弁護士さんと一緒に大阪の住吉警察署に交渉に行ったのですよ。そうしたら、弁護士さんに対しては、入り口で突き飛ばしたというようなことが起こって、そこで話し合いが起こった。そのときにぱぁっと出てきて、初めは全くまる腰であった、私服の方がね。労働者が警察の前に――そんなにたくさんじゃないですね、二十人内外おるときに、ぱぁっと、こう出てきた。それでまた入って、今度出てきたら、こんなにして見えるように、西部劇まがいに――西部劇だったら前ですね、この写真によると横っちょに、後ろにつけておる。飛び出てきた。それで労働者に指摘されたら、あわてて飛んで入って、今度また置いて出てきた。こんなこと全く漫画みたいじゃないですか、実際。時には見えてもよろしいみたいなことを言うておるけれども、見えてもいいんだったらあわてて置きにいかぬはずです。指摘されたんで、あわてて署の中に入って置いてきた。初めは手ぶらで出てきた。それでしばらくしたら、今度飛び込んで入っていって、私服が見えるように拳銃をぶら下げて出てきた。それ何やと言うて指摘されたら、また飛び込んで置いて、今度はまる腰で出てきた。そんな、時と次第によっては見えるような携帯の方法があってもよろしいというようなことを言って、町の中で、私服の人が西部劇まがいにこんなもの、拳銃ぶら下げて町の中徘回されたら、一体どないなことになりますか。いい加減なことを言うたら困りますよ。
#198
○説明員(岡村健君) 当日の状況を簡単に御説明いたしますと、土曜日の午後でございます。署内の入り口付近で、庁舎警備の任務を与えられました当直員が勤務しておったわけでございますが、署の玄関前の状況が若干騒がしいということに気がつきまして、緊急にその状況を把握する必要があるということで署外に出たわけでございます。その際、拳銃を外から見えるような形で携帯して署外へ出た。このときの状況でございますが、庁舎警備の観点から署外の状況をいち早く把握しなければならなかったということでございまして、その警察官のとった措置は非難をされるに当たらないと思っています。
#199
○沓脱タケ子君 いち早くやらなければならないということで、これは署長の命令でそうやったのですか。
#200
○説明員(岡村健君) 当該警察官の判断でございます。
#201
○沓脱タケ子君 それで、そのいち早くやらなければならなかったから、うかうか見えるようなかっこうでつけて出てきたと、その警察官の判断ですね。そう言われるけれども、警察はいつでも何でもいち早くやらなければならぬ仕事ばっかりでしょう。だって強盗に入りますね。これから入りますと言うて警察へ予告して入るような強盗、めったにありませんわ。入られたと言うて、一一〇番に電話がかかってきて、飛んでいかなければならぬというのが普通でしょう。そんな、毎度悠長にやっているような仕事と違うでしょう、警察。いつでも緊急に対処しなければならないのに、あわてたから、まる腰で見えるように出てきたとおっしゃるけれども、そういうことは私は、この問題は、特別にここで決着をつけようとは思っていないんですけれども、こういうことまで起こっていると。しかも、労働者が弁護士を連れて交渉に行っている現場でこういうことが起こっているということになりますと、これは労使関係に警察が介入をしているんではないかというふうに見られてもやむを得ないようなことになるわけですよ。そういうことにならないように厳重に対処してもらいたい。そのことを言うために、これ写真見せたんです。わざわざ威嚇しているみたいでしょう。つけぬと出てきてあわてて取りに帰ってつけて、言われたらまた外しに帰ったというようなこと。そういうばかなことはやめさしなさい。
#202
○説明員(岡村健君) 先生、若干誤解あろうかと思いますが、最初まる腰で出てきて、拳銃をつけてまた出てきたということをおっしゃいましたけれども、そういうような状況でございませんで、最初から庁舎警備の任務をもって、拳銃を着装して勤務しておったと。これが出てまいったと、こういうことでございます。
#203
○沓脱タケ子君 時間がありませんので、その事実関係はもうあれこれ言いませんが、事実関係はとにかく、しかし、指摘されたら置きに行ったという事実はあるんですよ。だから、そういうことはともかくといたしまして、労使関係あるいは労働組合運動に介入したと。介入するというふうな印象を持たれるようなやり方、あるいは見えるように通常の携帯のやり方でないやり方で、わざわざ労働者に対して威嚇をするような結果になるような行動というものは、厳に慎ませるという点を明確にしておいていただきたい。
#204
○説明員(岡村健君) 拳銃を置きに行ったというのは、最初の彼の任務でありました庁外の状況を把握しまして、それで、拳銃を携帯している要はないと判断して置きにまいったわけでございまして、そういうような事情があるわけでございます。
#205
○沓脱タケ子君 もう時間超過しましたので、この問題はまた別に明らかにすることにしましょう。
 それじゃ終わります。
#206
○柄谷道一君 本日は、自動車運転者の労働規律などについて御質問をいたしたいと思います。
 ILO総会におきまして、一九三九年に採択されたILO六十七号条約、すなわち路面運送における労働時間及び休息時間の規律に関する条約、これと、一九五四年第五回ILO運輸労働委員会で採択された第五十一号覚書、路面運送における雇用条件に関する覚書、これが下敷きになりまして、昭和四十二年に自動車運転者の労働時間等の改善基準、いわゆる二・九通達が策定されたことは御承知のとおりでございます。自来、この基準が発せられまして以来十二年間経過をいたしたわけでございますけれども、十分の実効を上げるに至りませんでした。労働大臣、その原因は一体どこにあったと理解されていらっしゃいますか。
#207
○政府委員(吉本実君) 自動車運転者の労働条件、なかんずく長時間労働の改善は、過労によります事故の防止の点からも重要な問題でございます。しかしながら、先生御指摘のように、この業界におきましては中小零細企業が多いということ、それに過当競争の状況にもあると、こういうようなことで、経営の近代化なり労働条件の改善というものにつきましては、なかなか困難な面があったというふうに感じているわけでございます。そういう意味におきまして、従来の通達を、この際労使の協力を得まして内容を変えていく、こういうふうにいたした次第でございます。
#208
○柄谷道一君 実効を十二年間経過したけれども上げることができなかったという事実はお認めになりますね。
#209
○政府委員(吉本実君) 私どもといたしましては、労働時間の全般的な推移の中で、この種の業界におきましては長時間労働が続いておるということでございますが、また、業界自身におきましてもその点については改善も見ておりますが、ほかの産業と比較いたしまして、まだまだ改善の余地があるということでございます。
#210
○柄谷道一君 私は事実関係をお伺いしているわけです。
 で、わが国の労働時間の短縮の現状でございますけれども、昭和五十二年、所定内労働時間は月平均百六十二・七時間、所定外労働時間は十二時間、合計百七十四・七時間となっておりまして、これは昭和三十五年の所定内・外合計総労働時間の二百二・七時間と比べますと、月二十八時間大幅に短縮されている。これは一般産業ですね。これに比べて自動車運転者の労働時間の実態は、昭和五十二年において、道路旅客運送事業の月平均総労働時間は百九十六時間、道路貨物運送業は二百五・五時間でございます。全産業と対比すると、月間おおむね二十時間から三十時間長くなっております。しかも、各産業の中では最長のこれは労働時間です。これは統計に明らかにあらわれている事実でございます。これが、十二年間に改善されたといま局長は言われたのですけれども、これが実態なんですね。
 また、運輸省の実態調査報告を見てみましても、月間拘束時間が三百時間を超えるものが事業所の割合で、ハイヤー、タクシー業では二四・二%、路線トラック業では一〇・四%、区域トラック業で四・五%。中には四百時間を超えるものがあるということが運輸省の実態報告で明らかにされております。
 これは大臣に直接お伺いしたいのですけれども、ただ一片の通達によっては、いま運送業界の抱えているもろもろのこの状況から考えれば、労働時間などの労働条件改善というものが至難である、非常にむずかしいということをこれは示すものであると、私はそう読み取るのでございます。大臣の御認識をお伺いいたしたい。
#211
○国務大臣(藤尾正行君) 柄谷委員御指摘のとおり、それは事実でございましょうかな。事実がそうだということでございますならば、まことに恐れ入った話でございますけれども、事実は事実といたしまして、まことに申しわけのない事態であるということを申し上げなければなりません。
#212
○柄谷道一君 そこで労働省は、昨五十四年の十二月二十七日に、このような事態を踏まえまして、一九七九年六月二十七日に第六十五回ILO総会で採択された百五十三号条約、及びこれを補足する百六十一号勧告の内容の方向に沿いまして、労働基準局長名をもって、自動車運転者の労働時間等の改善基準を通達していらっしゃいます。私は、過去のこうした現状を踏まえて考えますならば、むしろILO百五十三号条約を速やかに批准して、そして、たとえば交通労働法の制定など、この条約というものにこたえ得る国内の法的整備というものを行う、そういう措置を講ずべきではないか、こう思うんですが、いかがでございますか。
#213
○政府委員(吉本実君) ただいま御指摘のように、五十四年の十二月二十七日付をもちまして、新しい労働条件の改善基準を示したわけでございます。それの基礎になりますただいまの条約の関係でございますが、しかしながら、この条約自身につきましては、やはり現行の労働基準法との整合性等もありまして、基準については今後慎重に検討していかなければならない。特にこの条約におきます対象範囲の問題とか、そのほか具体的な中身につきましてわが国の独特の労働態様というものとの対比もございまして、なお慎重に検討する必要があろうかと思います。しかしながら、その精神に基づきましてこの通達を流し、これを実施してまいりたいということでございます。
#214
○柄谷道一君 このILO百五十三号条約は、賛成二百七十六、反対五十九、棄権四十三という数字で、圧倒的多数でこれは採択されております。日本政府も賛成の意思を表明されていると私は承知いたしております。にもかかわらず、政府がこの批准に対して前向きの姿勢を示さないというのは、一説には財界や運輸業者の圧力が強いためではないかという批判も出ておるわけでございますけれども、批准をためらわれる理由は一体何でございますか。
#215
○政府委員(吉本実君) ただいまも御説明いたしたところでもございますが、この条約の中に適用対象といたしましして、一人親方とかあるいはいわゆる家族従事者などにつきましても適用対象になっておるというようなこと、それから、わが国の独特の労働態様、たとえば隔日勤務の問題だとか、あるいは休息の分割付与といったような事柄については、条約上どのように解釈されるかというような問題もございますし、現行法のたてまえからいって、これを直ちに批准するという点についてはなお慎重に検討していかなければならないと、こういうふうに思っております。
#216
○柄谷道一君 大臣、いま直ちに批准するということにはいま局長は幾つかの問題がある、こう言われたんです。しかし、日本政府は賛成しているんですね。とすれば、私はやはり労働省としては、前向きの姿勢をとって具体的な批准の条件を整備する、そしてできるだけ早くこの批准を行い得るような体制をつくるというのがこれ筋でしょう。政府は賛成しておって、現状問題だ問題だということで前向きの姿勢を示さないということは、いささか私はいかがかと思うんです。直ちには実施が問題だとすれば、少なくとも大臣として条件を整備し、できるだけ早く批准ができるような体制をつくりたい、このぐらいの前向きの姿勢はぜひ大臣からお示しをいただきたい。
#217
○国務大臣(藤尾正行君) 政府が賛成をいたしております、意思表示をいたしましたILO条約といいまするものが批准をされておらぬということにつきましては、ただいま基準局長が申し上げましたように、幾つかの解決すべき問題がそこにある、そう言っておるわけでありますから、私は詳しいことをまだ勉強いたしておりませんので、その幾つかの条件というのは何かということを突き詰めなきゃわかりませんけれども、しかしながら、そういった条件といいまするものを解決をしていく方向に進めていくのはあたりまえのことでございますから、それを進めさせまして、そして正式に政府が意思表示をいたしました方向に行きますようにこれはいたさせます。
#218
○柄谷道一君 ぜひそのような姿勢で、行政指揮を大臣としてとっていただきたいと、こう思います。
 そこで、略称新二・九通達とか一二・二七通達と言われるものが基準局長名で出されたわけでございますけれども、私はその局長通達というものを実効あるものにするためには当面解決を図っていかねばならぬ幾つかの問題点があると思うんです。これも通達をただ出しただけでこれが実行できるという甘いものじゃないんですね。
 そこで、私はそういう問題について、まずトラック関係で若干お伺いしたいと思うのですが、トラック業者は全国に三万三千あるのです。しかも内容は、従業員三百人以下の中小企業が全体の九九%を占めております。局長が言われましたように、それでなくても過当競争の激しい業界でございます。労働組合の組織率もきわめて低いわけでございます。そういうことを考えますと、方途を誤りますと正直者がばかをみるといいますか、公正競争条件の確立と逆行する結果すら生まれてくるおそれが私はあると思うのです。具体的にこれらの三万三千の業者に対して、その徹底と実施というものを行い得る確信を労働省お持ちなんですか。
#219
○政府委員(吉本実君) 労働省といたしましては、ただいま御指摘になりました新しい改善基準を遵守するために、ことしの四月一日に適用し、十月一日から具体的な内容になっておるわけでございますが、その間は周知徹底を図っていくというような形で進めておるわけでございます。現在、各局署におきまして関係事業場等につきましてパンフレットを特別にこのためにつくりまして、トラック関係では約十万部程度を、労働省の乏しい予算でございますが、そういったものを配布いたしまして周知を図っていく。また各局なり各署単位におきまして、集団指導等も鋭意実施してきたところでございます。さらに今月からは関係の事業場に対しまして全国的な規模での個別指導監督も行っていくというような形で、これが遵守徹底を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。しかし、それにいたしましても私どもだけではなかなかまいりませんので、関係の事業者団体とかあるいは荷主団体等につきましても所要の要請も行ってまいりましたが、さらに関係機関ともよく連絡をとりながら、この新しい改善基準の徹底を期してまいりたいというふうに思っております。
#220
○柄谷道一君 今日まで労働省が努力されてきた事実関係は、私も承知しております。しかし、私の指摘が杞憂であると言い切れるほどの確信はまだないと思うのです。それほど業界の内部は非常に複雑なんですよ。こういう体質であればこそ十二年たってもできなかったんですね。これはよほど腰を据えて指導していかなければ、私は本当に不公正競争というものを激化させる結果になる、こうふうに私は非常に恐れますので、この点はいまの局長の御答弁の今後の推移を私は見詰めたいと思います。また再びこの委員会で、局長の答弁どおりなかなか進んでいないではないかという指摘を私がしないでいいように、これは考えていただきたい。
 そこで、いま局長の答弁の中にもあったんですけれども、トラック業界というのは荷主への隷属性がきわめて強いということはもう十分御承知のとおりでございます。業界独自で新通達を遵守するということはきわめてむずかしい、これがいい悪いは別にして、実態ですね。労働省はこの通達段階で主要荷主団体に対して協力要請を行っておられます。私はその文書も見ております。しかし、ただ一回要請をするだけで旧来の悪習が一挙に解消すると信ずるほど労働省も私は世間知らずではないと、こう思うのです。こうした問題、荷主団体に対しては運輸、通産などの関係官庁とも十分連携をとりまして、私は抜本的な行政指導、たとえば場合によっては罰則やペナルティーを課すというぐらいの強い姿勢というものが必要ではないか、こう思いますけれども、その所信をお伺いいたします。
#221
○政府委員(吉本実君) ただいま先生御指摘のように、この通達の実施に当たりましては、荷主団体等の協力というものが大変重要であるというようなことでございまして、特に荷の計画的な発注だとかあるいは荷役方法の適正化、こういったようなことにつきまして、ただいま御指摘のありましたように、関係の荷主団体に対しましても協力要請を行ったわけでございますが、さらに今後、こういった改善基準の遵守を阻害する主要な要因が荷主側にあるというような事例がございますれば、そういった点についても強力に協力要請をするようにしていきたいというふうに思っております。また関係機関との連携につきましては、これは当然のことでございまして、なお一層その辺の連絡を密にして当たってまいりたいというふうに思います。
#222
○柄谷道一君 大臣、どうぞ運輸業界の実態をもう少し詳しく精査されまして、これは輸送業者ばかりを締めつけましても何ともならぬわけです。やはり荷主団体がその気になる、そして一体となって新通達を守っていこうと、そういう態勢ができないと弱い者いじめにこれはなっちまうという結果になりますから、いま局長答弁がございましたけれども、大臣としても十分のこれは御配意をお願いをしておきたいと、こう思います。
#223
○国務大臣(藤尾正行君) 実は私栃木でございますから、私どもの方にはたくさんのダンプ業者がおるわけでございます。多少のことはわかっておるつもりでございますけれども、御案内のとおりで、非常に、通常の許可を持っていないそういう業者もたくさん入り込んでおりますし、そういったものが入り込んでおるがゆえに、労働条件がいろいろ不適正にされておるというような要素もございます。しかし、御案内のとおり、すでに一定量以上の積載はいけませんというような過積みの一つの規制といいまするものは、これは完全に守られておるとは申しませんけれども、しかしながら、いま現実にはかつてございましたような状況からはかなり改善をされてきておるというように私は承っております。でございますから、あながちむずかしいからということでこれを放置しておくわけにはいきません問題でございますから、特段と、この問題は人命に関する非常に重要な要素を持っておりますので、いま局長はさようなことを言いましたけれども、私ども人命といいまするものを頭に置いて、それを損なわないようにさせるためには、かなり通達なりあるいは指導なりに強力な威力を持たせませんとだめでございますから、その対象が荷主にあるということでございましたならば、それは容易ならぬことでございますから、荷主に厳重に指導いたしまして、必ずその私どもの指令が達成されまするような強力な指導をこれからやらせますから、どうかひとつそのようなおつもりをしていただきたい。
#224
○柄谷道一君 警察庁、来ていらっしゃいますか。私は、通達の基準として道交法第六十六条「過労運転等の禁止」、この過労の判断基準を、通達後配意しているというふうに聞くんでございますけれども、これまで明確な過労の基準というものはないんではないか、こう承知しておるわけです。実態いかがでございますか。
#225
○説明員(矢部昭治君) ただいまの御質問ございましたように、私どもといたしましては、道路交通の安全という立場からいわゆる過労運転の禁止ということで当該の過労に当たる運転者だけではなくて、その背後にあるものについても鋭意捜査をするようにいたしておりますが、この過労の認定につきましては、御承知のとおり、過労と申しますものがこれは個々の運転者にとりましてのいわゆる個別的具体的ないろんな条件、たとえば運転者自身の年齢であるとか健康状態であるとか、何よりもその当日その場所における健康状態、体調であるとか、こういったものに左右されるものでございますので、一律にということにはまいらないわけでございますけれども、しかしながら、そういった要素を、個別要素を見た上で、さらにはいま申し上げました二・九通達等におけるところのいろんな連続運転の状況であるとか、休息時間のとり方の問題であるとか、拘束時間の問題であるとか、こういうこともあわせまして現場で判断をする、こういうようにいたしております。
#226
○柄谷道一君 すると、従来の判断基準に新二・九通達の趣旨も織り込みながら、画一的な基準は置けないにしても、警察としては対応したいと、その場合、従来どおり背後責任追及も場合によっては行うと、こう理解してよろしゅうございますか。
#227
○説明員(矢部昭治君) そのとおりでございます。
#228
○柄谷道一君 建設省に次にお伺いしたいんです。
 これは大臣よく聞いていただきたいんですけれども、全日本トラック協会とわが国の日本にあります幾つかの全労働組合が協力して東名、名神高速道路のサービスエリア、パーキングの利用実態調査というのをこれを行っております。ところが、私これを読みますと、東名、名神高速道路のサービスエリア、パーキングエリアはすでにパンク状態である、これがこの実態調査の結果に如実にあらわれているわけです。すなわち、道路というものはただ走らすものだ、それに対する付帯設備が十分に整備されていない。だから、今回の通達で連続運転時間四時間以内、四時間経過直後に連続した三十分以上の休憩時間を置きなさい、これが通達ですね。ところが、東名走りますね。この通達を守ろうと思ってサービスエリアに行く。もうパンク状態で入れない。高速道路は路上駐車ができません。こういう状態の中で通達を幾ら出されても、運転手にそれを守りたいという気持ちはあっても現実に守り得ない、これが私は実態ではないかと、こう思うんです。この通達を本当に完全に実施しようと思えば、スピードと逆算をいたしますと、一般道路では百五十キロごとに、高速道路では大体三百キロ単位に専用駐車場または休憩と仮眠、食事等が可能な公共休憩所というものを設けなければ、この通達というものが実際には守り得ないということに私はなるのではないかと、こう思うんです。建設省はこの通達との関連で現状どう認識していらっしゃいますか。
#229
○説明員(鈴木道雄君) 高速道路におきます休憩施設といたしましては、駐車場と便所等の設備を備えましたパーキングエリア、これが大体十五キロ間隔、それからそれに給油所と食堂などの施設を加えますサービスエリア、これが五十キロメートル間隔に配置いたしまして利用者の便に供しているところでありますが、最近特に、先生御指摘のように東名、名神高速道路におきまして非常に利用者の交通がふえてきた。特に大都市近郷のただいま申し上げました休憩施設におきましては、飽和状態になっておりますのは私ども十分認識しております。四十八年からとりあえずその施設内の園地や緑地を削ったりしてその升をふやすようにいたしまして、四十八年から昨年の五十四年度までに東名神ですと大体四四%増し、当初四千台ぐらいの駐車に対しまして、六千台ぐらいということをとりあえずやってきております。最近、いろいろそういった問題もございますので、二次改良といたしまして、今度は用地買収をしてやるということで、五十五年には東京に最も近い港北パーキングエリアにつきまして用地買収を行いまして、来年までにふやしていきたい、かように考えております。しかしながら、特に必要なのは大都市周辺で、若干時間調査にも使われておりますので、非常に需要が高いわけでございますが、地域住民、周りの住民の方々から見ますと、騒音とか排水の問題があると、それから用地単価が高いと同時に住宅地になっておりますので、用地買収がむずかしいということもございまして、そう急速にふやすということにはいかないと思いますけれども、建設省といたしましてもその辺の問題の重要さについては十分認識しているつもりでございますので、今後、そういう方向で逐次努力をしていきたいと、かように考えております。
#230
○柄谷道一君 大臣、いまお聞きになりましたような実態なんです。建設省も努力すると言っておられますけれども、なかなかこれが一朝一夕にそういう施設ができ上がるという問題ではない。これにはいろいろ問題があるんです、解決するためには。そういう現状の中でこの新二・九通達を守れと基準局長は通達を出されたわけです。こういう実態というものを十分配慮した私は通達の指導というものがなければ、これは本当に酷なことになってしまうんではないかと思うんです。大臣お忙しいでしょうけれども、私はこの国会が終わったら、一遍東名、名神の深夜路線トラックに乗りまして一遍走ってみたいと思います。文章ではこれわかりますが、本当に新通達というものが守り得るような施設が整備されているのかどうか、これ私も身をもって体験したいと、こう思っていま手配しておるわけですけれども、一遍、大臣忙しければ局長一緒に乗ってくれませんか。
#231
○政府委員(吉本実君) 先生の御趣旨十分体して対処いたします。
#232
○柄谷道一君 付言して、実態調査の中で運転者の具体的要望を聞いておりますけれども、その要望の中に駐車場のスペースが狭い、線引きが悪い、トレーラー等は入れない等駐車場に関する要望が四七・三%、無料休憩所を夜間もオープンしてほしい、仮眠施設を設けてほしいなどいわゆる休憩施設に関するものが一三・二%、合わせて六〇・五%の運転者がこの施設の整備がまだ不十分であるということを訴えておる。こういう事態を十分御認識いただきまして、これは建設省所管ではございますけれども、国務大臣として十分な御配慮をぜひこれはお願いいたしておきたいと思います。
#233
○国務大臣(藤尾正行君) これは柄谷委員御承知のとおりでございまして、高速道路というものが開設をせられましたのはオリンピック以降でございまして、その当時はそれで間に合っていたわけでございます。ところが貨物輸送の事情が変わってまいりまして、鉄道がだんだんだんだんさびれてまいりますと同時に、陸上輸送が非常に大型化かつ高速化されてまいりまして、その当時予想できなかったような事態になってきた、まことに政治の不明でございます。その点は何ともおわびのしようがないわけでございますけれども、あわせて建設省がただいま申し上げましたように用地の買収を図ったりあるいは施設の増設を図ったりということを無理してやっておるわけでございますが、これはやっぱり私は運転者の方にも相当そういった事情を御勘案をいただきまして、必ずしも休むところは東京を出たところでなきゃならぬ理由はないわけでございますから、その先にはもっとすいたところもあるわけでございますから、全般的にならして目的が達成されますようなやはり御努力も願わないと、それは早急に施設を整備をする必要は、当然私は道路の整備者として建設省にその全責任はあると思います。しかしながら、そんなことを言ったって間に合いませんから、その点は御協力を願って、労働省の通達ができるだけ生きますように御協力を願わなければならない。柄谷委員御みずから東名、名神をお走りになろうというお意気込みでございますから、私どもの局長なり課長なりもどんどんと走らせますから、そういった経験に基づかせまして、建設省にも十二分の措置をさせますように閣内でも相談をいたします。
#234
○柄谷道一君 これ大臣、東京周辺ばかりでないんです。大体四時間以上連続走れないわけですから。東京を出まして大体四時間といったら浜松ですよね。そこのサービスエリア入れない、夜、もうパンク状態で。それ以上次のところまで行こうと思ったら四時間以上走らなきゃ行けないわけです。
#235
○国務大臣(藤尾正行君) 手前は。
#236
○柄谷道一君 手前もパンクなんです、これはほとんど。こいつは一遍実際に乗って、通達というものがデスクワークなのか実態を十分に勘案した通達なのか、これは身をもって御体験を願って、適正な運用を私は図っていくべきではないかと、こう思います。
 そこで、貨物自動車運送事業者は、所有車両二十両以下の業者が八一・三%です。従業員三十人以下の業者が八五・二%を占めております。いわゆる中小零細が圧倒的多数を占めているという数字をこれは物語っております。そこで最近、一つには経済成長の鈍化によりまして、輸送需要全体の伸びが鈍化しておる、いわゆる輸送貨物量が低下をしておる、燃料が急上昇しておる、それに加わって今回の新通達でございます。そこで、未組織の中小業者等によりましては、これを賃金にしわ寄せさしてくる、こういう傾向が見え始めております。私は、やはりこの新通達と関連して、適正賃金維持のための行政指導というものが相重なりませんと、これは弱いところにしわ寄せされるという結果を招きかねない。こういう意味から、私はたとえば産業別最低賃金だとか地域業種別の最低賃金の確立等にも前向きに取り組んで、そういう面からの配慮というものをあわせて行っていく、これが必要ではないかと思います、いかがでしょう。
#237
○政府委員(吉本実君) 新しい改善基準の実施に伴いまして、仮に改善基準に定める内容を理由として労働条件を低下させてはならないということは、この新しい改善基準におきましても明文をもって規制しているところでございます。労働省といたしましても、そういったことのないように十分指導してまいりたいと思います。
 また、賃金の適正な支払いの確保につきましては、最低賃金法等に抵触することのないよう指導監督を行ってまいりたいと思います。
 それからなお、産業別の最賃を設けたらどうか、という点でございますが、これは先生御承知のように、各都道府県労働基準局においてそれぞれの実態を踏まえて、労使関係者が最低賃金審議会の意見を聞いてこれを判断すると、こういうことになっておるわけでございますが、現在、中央の最低賃金審議会におきまして、産別最賃の新設の問題も含めまして検討をしておるところでございます。そういった結論を待ちまして具体的に対処したいと、こういうふうに思います。
#238
○柄谷道一君 ハイヤー、タクシー関係につきましては、私これは出所は申し上げかねますけれども、これは東京の業者でございます。協定残業と賃金体系の整備、こういうマニュアルをつくっているわけですが、これは東京においては従来午前八時から翌日午前二時までの十八時間拘束、これは実働十六時間の休憩二時間、こういう勤務の態様が多かったんですね。ところが、この新通達によって二十一時間まで拘束が延長されておる。これを理由といたしまして経営者は時間延長をこれは当然のものとする。しかも、現在の賃金を組みかえて時間当たり賃金をダウンする、こういうマニュアルが出ているんですね。いま局長言われましたけれども、そう甘いもんじゃないですよ、これ。したがって私は、ちょっとこれをお渡しできないのが残念なんでございますけれども、基準局でも一遍そういう実態をよく精査願いたいと思うんですね。通達というものが労働条件のダウンに結びつくということがあったんでは、私は、これは形つくって魂入れずという結果になってしまうだろう。この点は意見として要望いたしておきますから、ぜひ内容を把握願いたい。時間がございませんので、本当はバス関係の問題もお伺いしたいところでございます。
 それから最近、特に白バス、レンタバスという形における違法営業行為が蔓延をいたしております。タクシー業界におきましては、白タクないしは代行運送という形の違法営業行為も蔓延いたしております。これがそれでなくても厳しい、激しい競争にあるこの業界を一層混乱に陥れているということは、もうおわかりのとおりなんですね。この問題を質問するだけでもこれは一時間ぐらいかかりますので、私はこの問題についてはまた改めての機会に、十分に当局との間に質疑を交わしたいと思いますけれども、労働省としても新通達を出された以上、こうした違法営業行為を取り締まるのはこれは運輸省がということになろうと思うんですけれども、労働省としても悪貨が良貨を駆逐するということがないように、ここまで目を注いでいくというのは、当然の行政のあるべき姿勢ではないか。この点を大臣にお伺いし、さらに運輸省に対しまして、トラック業界においては秩序確立のために各陸運局の貨物課に、貨物輸送監理官というものを置いておられます。しかし、バス関係については全くないんですね。私は少なくとも旅客課にも同趣旨の要員を配置するということが、これは一挙に解決できないにしても、これらの問題を解決する一つの出発点ではないだろうか、こう思います。この点を運輸省にお伺いいたしまして私の質問を終わります。
#239
○説明員(寺嶋潔君) お答え申し上げます。
 運輸省といたしましても、ただいま御指摘の白ナンバーのバスあるいはマイクロ・レンタバスというようなものの違法行為について従来より取り締まりに努めてまいったところでございます。ただ、確かになかなかこの実効を上げることがむずかしいわけでございまして、とりわけ先生御指摘のように専門にこの仕事をやる者がおりませんと、なかなか片手間ではむずかしいという状況もございます。そこで運輸省といたしましては、来年度の予算要求に当たりまして、旅客運送につきましても、貨物運送における輸送監理官制度と同様な趣旨で違法行為の取り締まりにもっぱら当たる要員を東京、大阪の陸運局及び同じく東京、大阪の陸運事務所に四名の要求を行っております。もちろん定員増の抑制という厳しい状況にございますのでなかなか容易でないと思いますが、その実現に努力しているところでございます。
#240
○国務大臣(藤尾正行君) 私ども通達を出します以上、それに対して責任を持ってやれという御趣旨はごもっともであろう。責任を持ちましてその通達が生きますように、できるだけの配慮を徹底させます。
#241
○柄谷道一君 終わります。
   〔委員退席、理事高杉廸忠君着席〕
#242
○前島英三郎君 私は、心身障害児者の雇用の問題を中心に、藤尾労働大臣に初めて御質問するわけでありますけれども、日本でも国際障害者年の一つの対応としまして国内委員会が設けられまして、総理大臣が推進本部長、厚生大臣が副本部長、総務長官が同じく副本部長、私はそこに一本足りないということを痛感しているんです。完全参加というのはやはり障害者の自立だと思うんですね。その自立という点で、やはり自立された形の中での障害者が、どうその職場で、自立していく上に平等が果たされていくかということを観点をとらえてみますと、やはり完全参加というのは決してお祭りでの参加ではなくって、私は生きるための参加だと思うんです。そういう意味では労働大臣が副本部長、いや推進本部長ぐらいに、私は「完全参加と平等」という国連のテーマを考えれば、そう思うんでございますけれども、しかし、それはそれといたしまして、ひとつ国際障害者年の大臣のまず決意からお伺いしたいと思うんです。
#243
○国務大臣(藤尾正行君) 先刻安恒委員からも御指摘をちょうだいをいたしたわけでございますけれども、確かに国際障害者年といいますのはお祭りではないわけでございまして、それの取り組みが、本当に働きたいという障害者の方々が、雇用という場に参加ができないというようなことがありましては、いかにほかの面でお祭り騒ぎをいたしましてやりましても、私はそれは魂が入らないということだと思います。
   〔理事高杉廸忠君退席、委員長着席〕
私が副本部長になったとかならぬとか、そんなことはどうだっていいことでございますけれども、私も国務大臣でございますし、労働大臣でございますから、私も、あなたも御承知のとおり非常に心臓の強い男でございますから、やるなといいましても私はやりますから、そういった意味合いにおきましては、国務大臣といたしましての私の見識からいいまして、積極的に御趣旨を体して、その国際障害者年の本旨といいますものがどこにあるかということを徹底させるように私はこれから動いてまいりますし、必ずあなたが御満足いただけるようにやってお目にかけますから、どうかひとつ御信頼いただきたい。
#244
○前島英三郎君 大変意を強くしたところでございますけれども。
 そこで十月二十一日に身体障害者の雇用状況の発表があったわけですが、これをひとつ大臣ごらんになりまして、正直言って横ばいだというふうに思うんですね。この結果、やはり問題点とすれば、きょういろいろな委員から質問がありましたけれども、いま一度お伺いしたいんですが、この結果を大臣はどう受けとめておられるでしょう。
#245
○国務大臣(藤尾正行君) 御指摘、おしかりをちょうだいをいたしましても仕方のない不成績である、かように思います。
#246
○前島英三郎君 特に大企業が雇用状況がよくないということも言えましょうし、あるいは国及び地方公共団体での障害者の雇用率が、若干ではありますけれども低下をしております。これはやっぱり大変問題だと思いますし、一般企業の方では百に対して一・五人雇い入れられない場合には、その納付金という形でのある程度の制裁等までいかなくても、そういう形はなされているんですが、そういう政府機関というのはこれはもう公表もされない、あるいは納付金さえも出すことはないというような形で、やっぱりこのままずるずるべったりではどうにもならないわけでありますので、やはりそういう点では、大変問題だろうと思うんです。その辺ひとつ、局長いかがでございますか。
#247
○政府委員(関英夫君) 身体障害者雇用促進法の上で国、地方公共団体等官公庁につきまして、民間企業よりも高い雇用率を定めておりますのは、やはり民間に対して官公庁が率先垂範せねばならないという考え方に基づくものでございますから、国が納付金を国に納めても仕方のないことでございますので、そういう制度はございませんけれども、それだけに御指摘のとおりに率先してこの率を達成するように努めなければならないと思います。中を見てみますと、国の機関は大体雇用率を達成してまいりまして、残るのは一つだけでございます。都道府県の機関も知事部局は大体達成しておるわけでございまして、問題は教育委員会関係、ここは試験制度でございましてなかなかむずかしい点がございます。市町村は大体達成していると。それから、特に問題がございますのが特殊法人の関係でございます。そこで、特殊法人の関係につきましては、私、未達成のところの人事担当役員及びその監督官庁の方にお集まりいただきまして、来年国際障害者年であるし、特に達成に努力していただきたいということをお願いもいたしました。また先般、政務次官会議におきまして申し合わせをいたしまして、国の機関としては特に重度の身体障害者の雇用を積極的に進める、そのために具体的な研究開発もやっていこう、それと関係の特殊法人及び地方自治体、都道府県への指導を強めようという申し合わせもいたしたところでございますが、さらに、けさほど来の大臣の答弁の御趣旨も踏まえまして、今後指導を強めていきたいと考えております。
#248
○前島英三郎君 そういう意味では、来年は特にまた障害者だけの一つの国際障害者年ではなくて、障害児者を取り巻くそうした環境の中での国民の一人として認識を高めていただき、また理解を求めるという全国民的な運動の中で、特に啓蒙活動ということが大きくうたわれてもいるわけなんですけれども、そういう意味では、特殊法人の中でもたとえばNHK、何百人も恐らく雇用は未達成だと思うんです。来年予算委員会で、ぼくはNHKのテレビの前で言ってやろうかというふうに気持ちは持っているんですけれども、たとえばそういう特殊法人というような非常に政府と関係のある、しかもその啓蒙活動を率先していかなければならないようなところが、非常に姿勢が悪い。これはやっぱり徹底的に業務指導をすべきだというように思うんですが、その辺はいかがですか。
#249
○政府委員(関英夫君) 先ほど申し上げましたように、一回そういうことを私みずからやったわけでございますが、来年を控えて、さらに先生の御趣旨の方向で特殊法人に対する指導を強めていきたいと思います。
#250
○前島英三郎君 特にこれからの問題としまして、恐らく労働省でも大変考えておられると思うんですが、重度の障害者の雇用対策ですね。ぼくは中度、軽度というような形の障害者はある程度雇用の道はできつつあるというふうににらんでいるんですが、非常に重複重度の人、いわゆる厚生省の一級、二級という障害者手帳の認定ですね、そういう形の重度の障害者の雇用という問題が、やはり今後大きな課題になるだろうと思うんですけれども、その辺の対策というものはいかがでございましょうか。
#251
○政府委員(関英夫君) 身体障害者雇用促進法が改正されまして以来、非常におくれておりました大企業においても、身体障害者の雇用に熱心になってまいりましたが、とかく、現在の企業の職場の実態にすぐ合う人を採用するというところにまだとどまっている面がございまして、そういうことになりますと、御指摘のとおりに中度、軽度の方はわりあい求人が多くて就職しやすいという状況が出てまいりました。それも、以前に比べれば一つの進歩かもしれませんが、公共職業安定機関で求職してなかなか就職できないのは、結局重度でありあるいは中高年の身体障害者でございます。そういう意味で、この重度障害者の雇用促進を図ることこそ、これからの身障者雇用対策の最重点だと考えまして、いろいろ考えておるところでございますが、特に最近、昨年度新設いたしました重度身体障害者等雇用管理助成金制度、こういったものによりまして重度障害者の雇用を図っているわけでございますが、おかげさまで一万二千人というような当初私ども想定しました以上に、この助成金が活用されるというようなことがございます。ございますが、まだまだ実はこれからがむずかしいところでございまして、重度障害者につきましては、まず職業能力の評価が非常にむずかしゅうございます。
 正直申しまして私どもの機関でも、必ずしもいままで十分その点がやれたという状態ではございません。これから国際障害者年を控えまして、まず重度障害者の職業能力評価を的確に行って、その職業能力に適した職業紹介をしていく、あるいは事業主の方に、その職業能力に適したような作業環境の整備を図っていただく、それを助成していく、そういうようなことをしませんと雇用に結びつかないと思います。そこをまず第一にやっていきたいと思いますし、職業能力の開発向上ということも中、軽度の場合以上に困難な重要な仕事でございます。その辺にも、必ずしも公共機関だけでなく、民間で非常に先進的にそういうところに努力していただいているところもございます。そういうところのお力もかりながら、そういうことに力を入れていく。あるいは住宅とか通勤とか中、軽度の方以上に雇用環境に困難が伴います。そういうものの解決、そういったような重度雇用対策に来年から力を入れていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
#252
○前島英三郎君 そういう意味では、たとえば私は一種一級なんですね。しかし、私の場合は段差がなく、電車に乗れて、車自分で運転しますが、そういう形でいきますと、非常に一級という立場での厚生省の評価はそれでいいとしましても、労働という、働くという形のいわゆる等級では、私は脳性麻痺者よりもはるかに軽いと思うんですね。しかし、実際厚生省では脳性麻痺者は二級、三級、四級という形をとる。しかし、そのままそれが労働行政の中へ参考として入ってきますと、たとえば私は上半身丈夫ですから、全く手の仕事には何らハンディキャップはないわけですね。ただ移動という面で若干問題点はあります。しかし、脳性麻痺者のように手も足も、あるいは言語もというような形のハンディキャップを持った人たちのやはり労働、雇用におけるぼくは等級のあり方というものも今後検討をして、で、どういう重度障害者の対策がいいのか――前の労働大臣の藤波さんに私は重度障害者の一つの、私は保護雇用という言葉を使うんですけれども、そういう形での提言もしたことがあったんですが、そういう労働という立場でのいわゆる障害者の等級の問題ですな、その辺はどう労働省はとらえていらっしゃいますか。
#253
○政府委員(関英夫君) 確かに御指摘のとおり、脳性麻痺などの障害者の方は、特に就業の場を得ることが困難な面があることは私も承知いたしておりますが、私どもの出先の附属機関であります職業研究所等におきましても、従来から脳性麻痺の障害者の作業遂行上の特徴とか、あるいは動作の特性とか、職業訓練はどうしたらいいかとかいうような研究重ねておりますが、まだまだ不十分でございまして、もっともっと研究開発を重ねていきませんと、どうもその辺のところがはっきりいたしません分野でございます。今後ともにそういう研究開発を進めますとともに、重度障害者の雇用を促進するための研究会も、先生の御指摘もございましてやっておるわけでございますが、そういう場におきましても、単に重度障害者ということで一くくりにするのでなくて、障害の種類なり程度なり、そういうものに応じてどうしていったらいいかという観点も含めて、やっていかなきゃならぬだろうというふうに考えておりますが、今後、ますます研究開発を進めていきたいと考えております。
#254
○前島英三郎君 そこで、重度障害者特別雇用対策研究会というものが発足したということを伺っているわけですが、いまその進行状況というのはどんなぐあいになっていますか。
#255
○政府委員(関英夫君) 重度障害者特別雇用対策研究会というものが置かれましたのがことしの三月でございますが、その後、障害者の雇用対策の現況、それから施設の概要、諸外国の対策、さらに安定所におきます有効求職者の実態、それから授産施設、福祉工場等の実地視察、それから就業に関する実態調査を今後やろうということで、その実態調査の案につきましての検討、こういうことを重ねてきております。
 今後におきましては、いろいろな方面からの意見聴取なり、あるいはこの実態調査結果、そういうものの検討なりをやりまして、問題点を出しまして対策の方向の論議に入っていこうという計画で進めておるところでございます。
#256
○前島英三郎君 まあ特にそうした意味では、脳性麻痺者のように四肢が非常に麻痺している人たちにとっての今後の社会参加、いわゆる完全参加という道は、国連ではこういう一大テーマになってはいますが、なかなかむずかしい問題もあるだろうと思うんです。それと同時に、やはり障害者の職種というのがなかなか非常に狭うございまして、いま所沢の国立センターにございます職業では、何種類ぐらい、いま日本では二万七千種類の仕事があるということを聞くんですけれども、恐らく三十ぐらいのわずかな職種でしかないような気がするんですが、その辺はいかがですか。どういうものがまた多く障害者の人気があるのか、あるいはまたどういう職種の中で職業訓練が行われているのか。
#257
○政府委員(岩田照良君) 所沢にございます国立職業リハビリテーションセンターでの訓練科目でございますが、現在では八系十三の訓練科について行っております。申し上げますと、金属加工系では機械科、それから精密加工系では機械、製図科、それから木材加工系では木工科、化学系では化学分析科、情報系では電子計算機科、それから事務系が多うございまして、これが経理事務科、和文タイプ科、構内電話交換、製版、印刷、それから服装、手芸系でございますが、ここでは縫製科、それから電気系では電子機器科、こういうふうなことになっております。
#258
○前島英三郎君 その中で、特に人気の高い職種といいますとどういうもの。
#259
○政府委員(岩田照良君) まあ人気の高いといいますか、現在一番好まれているといいますか、それはやはり事務系のものが一番好まれているようでございますが、特に電子計算機の関係、電子機器、こういったものにつきましても非常に好評といいますか、それが寄せられているようでございます。
#260
○前島英三郎君 いろいろ職業訓練もなかなか定員がありますし、やはり自分の思う訓練は受けられない。ならばやむを得ない、じゃ、あいているところへ入るかというような形で、どうも自分の好むと好まざるとにかかわらず、職業選択をせざるを得ないという部分があると思うんですね。特に重度障害者の雇用という点においては、職種の多様化が大変望まれるだろうと思うんです。そういう意味ではわずかな数ではなくて、いろいろな形のものがあるわけですから、そういう意味での訓練ということも当然必要になってまいりますし、これにはやはり企業とか、あるいは教育機関とか、福祉施設等を活用して希望する訓練を受けられるように、私は所沢の職業センターは、そういう意味での大きなアンテナだというふうに思っているんですから、ひとつそういう形を今後やっていくべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうね。
#261
○政府委員(岩田照良君) 先生御指摘のとおり、重度身障の方たちにつきまして、この所沢にございます国立リハセンにおきましては、重点的にそれをやっているわけでございますが、そういったところではやはり新しい訓練技法、新しい職種の開発、そういったふうなものを、やはり研究部というのがございますので、その訓練関係をやっております訓練部の方と研究部の方と相互に密接な連携をとりまして、重度身障者に対する職業訓練のために新しい職種の開発、訓練技法の開発、そういったふうなものを研究いたしまして、それを全国にございます身障校等への普及をするということで、非常に中心的なといいますか、今後、重度身障者に対する訓練のあり方について、中心的な機能を果たしていくことを期待しているわけでございます。
#262
○前島英三郎君 しかし、なかなかそういう意味では、養護学校などでのそうした将来、自立へのカリキュラムがないわけですし、自発的に福祉施設の見学をするとか、あるいは工場を走り回るとかという形で、本当は事務系ですと、もう高等部卒業したらそのままぱっと雇用されなければならないんだけれども、そういう意味での何か社会参加も一たん訓練をしなければならないという非常に無理な状態がありまして、これはやはり今後、教育行政の中でも養護学校が昨年義務化されましたので、そういう意味での教育、自立への教育という面を労働省から少しプッシュするような形を期待をしたいと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
#263
○政府委員(岩田照良君) 先生御指摘のとおりでございまして、実は藤尾労働大臣からもその点は強く御指示がございまして、養護学校その他学校教育制度等と、それから訓練校制度、訓練制度といいますか、特に身障者を対象といたします訓練校の問題との関係等々がございますので、文部省ともせんだって協議をいたしましたし、今後とも文部省との間で協議を重ねていって、そういった養護学校その他の関係機関と、訓練機関との間の連絡を密にして十分の協議を進めてまいりたいというふうに考えております。
#264
○前島英三郎君 そういう意味では、なかなか学校というところが障害者だけで教育を受けてしまう。障害児から障害者になる。さあ雇用促進法に照らして、企業では皆さんの雇用を待ってますよと言いましても、なかなか社会との連帯がないわけですから非常にとまどいがある。で、正直言って、企業側も車いすの人には何ができるんだろう、目の不自由な人たちには、はり、きゅう、マッサージのほかに仕事があるのか。聾唖者はどうなんだろう、知恵おくれはというとまどいがある。じゃ、いっそのこと納付金を納めて事を済ませという、ぼくは未理解部分が非常にあるだろうと思うんですね。
 で、園田厚生大臣は、非常に養護学校はやはり統合教育だというようなことを先般おっしゃられましたが、そういう意味での教育の中で自立という問題を考える。さらにもっともっと社会参加として労働行政の中での完全参加を果たすためには、大臣、これはやはりそうしたコミュニケーションの場が子供のうちからできていないと、なかなか達成するにはそういうとまどいがお互いにあるだろうというように思うんですが、今後何か、労使双方のそういう語り合いも労働省で持つというようなこともちらっと伺っているんですが、その辺は大臣はどうお考えになっていらっしゃるでしょうか。
#265
○国務大臣(藤尾正行君) ただいまちょっと訓練局長から御紹介をいたしましたように、私は、大体これは労働省だ、これは厚生省だ、これは文部省だというようなかきねをつくっておるということが間違いだということを申し上げておるわけでございまして、ただいまの養護学校との関係にいたしましても、養護学校と労働省だけが話をするというようなことではだめでございまして、文部省が抱えております各種学校であろうと何であろうと、そこに役立っていくものは全部そこに動員をするというぐらいのかなりの幅をつけていきませんと、なかなか私は御要望に合ったような方向にはまいらぬ、さように思いますし、また、政治、行政といたしましても、ここはもう手が届かない、あっちの方に行っちゃったんだからというようなことをやっておりましたのではこれは企業はなおさらでございましょうから、とうてい私どもが考えておりまするような方向にはまいりません。
 したがいまして、これは国がやっておりまする職業訓練校がどうだとかこうだとかということでなくて、ありとあらゆる動員できるものを全部動員するというぐらいの気組みで、ひとつ非常に広範な場づくりから始めていかなけりゃならぬ、そういう意味合いで各省間の話し合いをいま進めさせておる段階でございます。私は急速に、必ず来年にはこうなるとか再来年にはこうなるということをいま申し上げられないのはまことに残念でございますけれども、しかし、そちらの方向に一歩ずつきわめて着実に進ませておるということだけは申し上げられるだろうと思いますので、まことに恐縮千万でございますけれども、いましばらくごしんぼうを願いたい、かように思います。
#266
○前島英三郎君 まあ生き急ぎをしている人たちの問題でありますから、これは一般の雇用問題とはまた非常に違う部分もあるかと思いますので、その荒武者ぶりを大いにひとつ大臣期待しておりますのでお願いをしたいと思いますが、それにはやはり、雇用の場所は決まったけれども住宅問題が大変だ、雇用は決まったけれどもどうも交通問題が大変だという部分で、いろんな形の障壁がありましてなかなかむずかしいわけなんですけれども、そういう意味では、労働行政の立場から、そういう部分も私は積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 いま職業安定所に雇用を求めている、就職を求めている障害者は、大体何人ぐらいいま待機をしているでしょうか。
#267
○説明員(若林之矩君) 安定所にただいま求職しております有効求職者は、大体二万九千人でございます。
#268
○前島英三郎君 二万九千人は職業安定所の方に登録されている人たちだと思いますけれども、なかなかその中には、重度の人たちあるいは中高年者という人たちが多くて、どうも企業もやっぱり若くて障害が軽くてという部分を求めているだけに、むずかしい問題があるかと思うんですけれども、職業安定所の対応力を強化する必要があるというふうに思うんです。その辺はいかがでしょうか。
#269
○政府委員(関英夫君) ちょっと補足いたしますが、安定所に現在有効求職者として求職登録をしている者が二万九千人でございますが、登録者全数は二十五万五千近くおります。そのうち就業中の者が二十一万三千、それから、いま直ちには病気等で職につけないということで保留中の者が一万一千おりまして、有効求職者として先ほど申し上げました二万九千名がおるわけでございます。安定所といたしましては、有効求職者を職につけることが第一でございますが、就業中の者に対するアフターケアの仕事もございます。そういうことで、現在の人員必ずしも十分ではございませんし、また職員の能力といいますか資質といいますか、こういう問題に対する勉強も必ずしも十分ではございません。やはり現在おる職員がもっと研修をして、この問題について研さんに努めて資質を上げることもこれから努めなきゃならぬと思いますし、また、こういう時期でございまして、定員増ということは定員削減の中でございますので非常に困難でございますので、こういう問題に識見のある方を、職業相談員というような形で委嘱して、安定所の手伝いをしていただくといいますか、親身になって身障者のお世話をしていただく、そういう制度もこれは来年度ぜひ新設したいということで、いま財政当局に要望いたしておるところでございます。
 それから、安定所では非常に多くの方がいらっしゃいますので、必ずしも重度の方の相談に十分応ずるだけの余裕といいますかスペースといいますか、いろんな意味で不十分でございます。そこで、各県に心身障害者の職業センターというものを建設してまいりました。一県に一カ所ずつつくってまいりまして、本年度で全県設置が終わります。ですから、来年からは重度障害者については特にこの心身障害者職業センターの機能を活用いたしまして、そこで十分な職業相談、職業評価を行って、そして安定所と一緒になって就職に努めていくと、こういうことに努めたいと考えております。
#270
○前島英三郎君 それにつけましても、大変重度の人たちにとっての雇用問題は深刻なわけですけれども、向こう三軒で親たちが、何とか生きがい対策をということで、いわゆる共同作業所的なものがいま全国に二百以上もう現実にできているんですが、その助成対象は、これらもう厚生省からもあるいは労働省からも見放されているわけなんですが、私は、これは小さな訓練校だと思うんですね。そういう意味では、労働行政とそれから企業とそれから地域の自治体と、そうした作業所を、やはり今後育てていくというようなことも講ずべきではないかというような気がするんです。たとえば、茨城県にありますのでは、小さな作業所ですが、その町がその作業所の敷地を提供する、建物を建ててあげる、そしてそこに誘致した大きな企業がそこに優先的に仕事を発注するという形で、中間搾取がないものですから非常に一つのものも高く評価されるわけですね。そういう形のものをして、ぼくはそこで必ずこの仕事を与えたことによって準雇用関係みたいなものを結んで、もうカウントしてあげると。カウントしてあげて、むしろそうした作業所を企業が育てるということに、むしろ雇用という面ではカウントしてあげるぐらいの処置を講じていかないと、恐らく雇用促進法でいかに太鼓をたたいても、企業には響かないし笛吹けど踊らずという形で、ぼくはずうっと、むしろ永遠にこの横ばいは続いて、ただ納付金だけがどんどんふえていく、そしてその助成対象を拡大せざるを得ないような流用の仕方になってしまうというように思うんです。
 さっき大臣が、もう厚生省も文部省もないんだということをおっしゃったわけですから、そういう意味では、ここからここは厚生省だから踏み込めないと言うんじゃなくて、そういうその町の中の三人、四人という作業所、こういうものが一つのミニ訓練校なんだというようなやり方で、あるいは雇用率の問題も含めて、あるいはカウントの仕方も含めましてぼくは新しい施策を労働省に打ち出してもらいたいと、こう思うんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
#271
○政府委員(関英夫君) 共同作業所につきましては、私どもその雇用関係が少し幅広に解釈いたしまして認められるというふうなところには、先生も御承知のように、幾つか助成をいたしておるところもございます。しかしながら、いまの身体障害者雇用促進法におきます雇用率制度と、そしてその雇用率未達成のところにおける経済的負担と、それから雇うところの経済的負担を調整する納付金制度のもとにおきましては、やはり自分のところで雇用する、あるいは雇用してないことに対する経済的負担を納付金という形で出して、負担の大きいところを軽減していくという制度のもとでは、雇用関係がないところにまで直ちにそれを出していくというところは、現在の法律ではちょっと無理があろうかと思います。ただ運用上、先ほど申しましたようにできるだけ幅広に考えていきたい。
 それからまた先生御指摘のように、重度障害者につきましては、雇用につき得る者と、それからどうしてもやはり雇用は無理だという方もいらっしゃいます。これが現実だろうと思います。雇用は無理だけれども、しかし何らかの仕事を通じてできるだけ社会活動に参加したいと、そういう方々がお集まりになっていろいろ仕事をしていらっしゃる。その中には、私どもがお手伝いすれば何らかの形で、次第に雇用に結びついていくであろうものもあろうかと思います。そういうこともどうしたらできるのか、そういう意味であれば、現在の制度でも納付金を基礎とする助成の対象として考えられる余地がそこにあるんではなかろうか。そんなことも考えながら、先ほどの重度障害者の特別対策の研究会におきまして今後十分論議をしていただこうと、こういうふうに実は考えておるわけでございます。
#272
○前島英三郎君 そういう意味では、自立をして何らかの形で収入が得られれば、これは一方障害者は物ごいにならなくて、年金上げろ、所得保障をと言う前に、そういう道をつくることで、結局安上がりのぼくは福祉行政への転換が図れるだろうと思うんですが、そういう意味での期待を実は大きくしているところなんです。
 さて、国際アビリンピックが開かれるわけなんですけれども、実は先般バンコクでESCAPがありまして、私も参りましたら大変発展途上国の人たちが日本に対する、アビリンピックに対する期待がいまさら大きいのには驚いたわけなんですけれども、そのやり方というのは、この前の委員会でも指摘したとおりなんですけれども、単なるメダル獲得競争ではない、一つの職業参加という形で、特に発展途上国の人たちがいろんな意味で、この機会に日本の現実を学び取りたいというような熱意を受けてきたわけなんですが、いまその経過と、今後、アビリンピックに対するひとつ心構えを最後にお伺いしまして私の質問を終わりたいと思います。
#273
○政府委員(岩田照良君) 国際アビリンピックのことにつきましては、先生前回のこの委員会でいろいろと御示唆いただきましたので、私ども十分その御趣旨に沿うようにがんばりたいと思っております。
 現在の準備状況ということでございますが、最近のものについて申し上げてみますと、ことしの六月に、従前、準備会でございましたものが、その運営主体といたしまして財団法人国際身体障害者技能競技大会日本組織委員会というものを設立いたしました。それから、六月二十三日から二十七日の間におきましてカナダでRIの国際大会がございまして、そこでいろいろPRを行った。それから、先生御承知のようにことしの八月十九日には国際障害者年推進本部、これは総理を本部長としたものでございます。それが決定したものの中に国際アビリンの大会の開催ということも含まれております。それから、ことしの九月の二十九日にこのアビリンピックに参加する国あるいは団体に対しまして、九十四カ国の百九十八団体に対しまして、いわゆる予備エントリーと言っておりますが、参加できるかどうかということについての照会をいたしました。そしてそれが、十一月末までに返事が来ることになっておりますので、それを受けまして十二月末までには正式な招待状といいますか、正式エントリーを発送するということになっております。なお、この組織委員会には五つの実行委員会というものを設けまして、これは総務、財務、広報、運営、技術、この関係の実行委員会を設けまして、現在鋭意具体的な計画の企画立案を進めているというのが実情でございます。
 また、外国との関係でございますが、特に発展途上国等につきましては、できるだけ参加しやすいように、たとえば旅費につきましてはその半分を負担するとか、そういった面につきましての配慮もやりたいというふうに考えております。
#274
○委員長(片山甚市君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト