くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第093回国会 社会労働委員会 第4号
昭和五十五年十月三十日(木曜日)
   午後一時四十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十八日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     前島英三郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山 甚市君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                高杉 廸忠君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                斎藤 十朗君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                福島 茂夫君
                村上 正邦君
                安恒 良一君
                渡部 通子君
                沓脱タケ子君
                柄谷 道一君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
   政府委員
       大蔵大臣官房審
       議官       吉田 正輝君
       労働大臣官房審
       議官       倉橋 義定君
       労働省労政局長  細野  正君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 久子君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       労働省職業訓練
       局長       岩田 照良君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       労働省労働基準
       局労災管理課長  小田切博文君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  望月 三郎君
       労働省労働基準
       局安全衛生部労
       働衛生課長    林部  弘君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部長  寺園 成章君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  野見山眞之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (中高年齢者の雇用問題に関する件)
 (定年制の延長問題に関する件)
 (労働時間短縮問題及び週休二日制の実施に関
 する件)
 (実質賃金の目減り対策に関する件)
 (冷夏に伴う出稼ぎ労働者の増加対策に関する
 件)
 (労働者の災害防止及び補償に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十八日、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として前島英三郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(片山甚市君) 労働問題に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○安恒良一君 私は労働省と大蔵省の二つの省に対しまして、特にきょうは主として労働省でありますが、前回の一般質問のときに同僚の高杉委員から、中高年の雇用促進問題についていろいろ質問がされましたが、率直に申し上げて時間が十分でなかったので、十分な議論ができなかったと、こういうふうに連絡も受けましたので、私若干同僚の高杉委員とダブるところもあるかと思いますが、本年度から以降一九八〇年代、それから一九九〇年代は非常に中高年問題は重要な問題だと、こう思いますので、それらの点について御質問をしたいと、こう思います。
 まず、一九八〇年代は世間一般では不確実だとか、不透明の時代と言われています。また、世界的に見ましてもエネルギー不足の問題、人口急増の問題、経済成長率の低下の問題、それから物価問題等それぞれ困難な諸問題に各国は直面をしていると思います。わが国においても、これらの問題は共通の非常に困難な問題だと思いますが、特にわが国におきましては、七〇年代のいわゆる前半の高度経済成長政策から、後半に至りまして減速経済、そして現在は低経済成長と、こういうことが進行いたしておりますし、見えざる革命と私たちは呼んでいるのでありますが、世界的に例のない急速な人口の高齢化が進んでおるのであります。そして、この人口の急速な高齢化がもたらします諸問題に対して、少なくとも一九八〇年代、一九九〇年代等を展望しながら総合的、先導的な対策が私は必要だと思います。それを樹立しなきゃいかぬと思う。そして直ちにその対策に基づいて、緊急的な課題からその解決に向かっていかなきゃならぬと私は思うものであります。
 恐らく、見えざる革命というこの問題に対する現状認識については、労働大臣と私の間にも食い違いがないと思います。そこで私は、労働大臣に対しまして、急速な高齢化社会を迎えておりますこの見えざる革命に対して、労働大臣としては総合的、先導的な対応策を何をお持ちなのであるか、またどういうふうに実施をこれからされていこうとするのか、このことについてまず冒頭に大臣の所見を承りたいと思う。
#5
○国務大臣(藤尾正行君) 非常に広範なかつ次元の高いお問い合わせでございますが、安恒委員御承知のとおりでございまして、最近の世界的に見られます高齢化の傾向といいまするものは、一方におきまして医学、医術が進歩をし、同時に経済的な繁栄といいまするものに裏づけられました生活環境が非常にいい方向に変わってきておる、こういう全般的なことで、それぞれの世界の方々の寿命が非常に延びてきたということが、一方においてあろうと思います。同時に、その裏返しといたしましては、そういった環境にあるがゆえにということでありますか、あるいはそういった環境にもかかわらずと申し上げました方がよろしいのでございますか、その辺のところは非常にむずかしいところでございますけれども、出生率が全般的に先進諸国におきましては低下する傾向にございます。したがいまして、その両方が同時に相作用をいたしまして、急速な社会の高齢化ということが進んでおる、かように私どもは判断をいたしておるわけでございます。したがいまして、これが対策といたしましては、一方におきましてその環境変化にできるだけついていく、あるいは環境変化に先んじて、その環境変化を中に取り入れましたような先行的な政策といいまするものを打ち出していく、こういう努力が必要であろう、かように考えますし、あわせてその裏返しでございます出生率の低下の問題につきましては、なかなか簡単ではございませんけれども、出生率をある程度維持いたしまして、高齢化の方々の社会福祉を支えていけるような経済的、社会的な力を持っていただきたい、そのような両面の政策が必要であろうと、かように考えます。
 しかしながら、高齢化をいたしてまいります方々に対しましてのいろいろな措置は、いままでもそれは相当おくれておりまするけれども、それぞれの面において対応的な手を打っていくということは考えられておるわけでございますが、出生率が低下をしておるという方向につきましての施策といいまするものが、なかなか見るべきものもまだございませんし、出生率を上げていただけるような社会環境の造成ということが必要であるということはわかりまするけれども、具体的にそれをどうするかということになってまいりますと、これはなかなか広範ないろいろな施策が複合をしていく必要がある、かように考えますので、いままでのような縦割りの行政の能力、組織をもってだけいたしましたのでは対応し切れない。したがいまして、各省がこれに連携をして当たりますとか、あるいは総理大臣みずからが全般的な立場におきまして、その対応措置を講じていただくとかというような施策が必要ではないか、かように判断をいたしておるわけでございます。
#6
○安恒良一君 大臣、お願いしますが、私の質問のポイントをお聞き願って、まあ大臣国務大臣ですから、内閣総理大臣やら厚生大臣を代弁したような御答弁も結構ですが、私がお聞きしましたのは、たしか大臣がおっしゃったように、出生率の問題等も非常に大切なことなんですが、それは主として私から言わせると、厚生省を中心とする施策を、いまあなたが言われましたように、各省の協力によって――私がいま大臣にお聞きしましたことは、世界でも例を見ないような人口の高齢化が進んでおります、それに対して労働省として、大臣の分野はいま国務大臣で労働省なんですから、労働省としての総合的な先導的な対策は何でしょうかということを聞いたわけでございますから、どうかこれから第二問以降もそういうふうに問題点を、大臣の所管分野であります主として労働省の問題を指摘をしてお聞きしますので、お答えをひとつぜひお願いをしたい。第一問、結構です、もう抽象的な御答弁でございましたから。
 そこで、第二問に関しまして、まず入ります前に、少し現状認識をしておかなきゃならぬと思いますが、いわゆる総人口の中で十五歳以上の人々を生産人口と、わかりやすく言うとそういうことで呼んでいます。でありますから、生産人口の中で、今度は四十五歳以上の人口が占める割合、それから五十五歳以上が占める割合、こういう点についてまず認識を統一をしておきたいと思うんでありますが、昭和五十年、六十年、七十年、というのは、私も二十年間ぐらいのことで論争を少ししたいと思いますから、そういう点について比率がわかっておれば知らしていただきたい。
 それからお断りをしておきますが、労働省は非常にたくさんの大変有効な統計資料をつくられています。その中で私は、私の手元には、きょう論争するために雇用管理調査、一番新しい最近の雇用管理調査、それから賃金構造基本統計調査、それから退職金制度調査、それから定年到達者調査、それからおととい発表されました高齢者雇用状況調査、これは全部私は入手をしております。そして一応目を通さしていただいていますから、このことは承知をいたしているという上で、細かい説明は要りません、これについては。私の質問に対してだけその点はお答えを願う。
 以上のような、皆さんが出されていますりっぱな調査は十分拝見させていただきました上で御質問をいたしておりますから、そこで、まずいま申し上げた人口の見通しの問題について、昭和五十年、六十年、七十年、いわゆる生産人口に占める四十五歳以上、五十五歳以上の割合についてちょっと聞かしてみてください。
#7
○政府委員(関英夫君) 私ただいま手元に持っております数字でお答え申し上げたいと思いますが、昭和五十年、手元にあります数字といたしましては、五十から五十四歳層の人口は五百七十八万、六十年に七百九十三万、七十年に八百八十四万という数になります。それから五十五から五十九歳層……
#8
○安恒良一君 私お聞きしているのは、四十五歳以上の十五歳から六十五歳までの生産人口の中に占める割合、それから五十五歳以上がどういう割合になっているか、と。実数はいいです。割合が何%になっているか。それによって論争していきたいと、こう思っていますが。
#9
○説明員(野見山眞之君) ただいま十五歳以上とお話がございましたが、人口中に占める四十五歳以上及び五十五歳以上人口で御説明させていただきたいと思いますが、五十五年につきますと四十五歳以上が三〇・四%、六十年が三三・〇%、六十五年が三五・九%、昭和七十年三九・二%、それから人口中、五十五歳以上人口では、五十五年が一七・四%、六十年一九・八%、六十五年二二・三%、七十年二四・三%となっております。
#10
○安恒良一君 それじゃ、私の方から言いますと、これは厚生省の統計資料の中で、五十五歳以上の人口と、それから四十五歳以上を言いますと、大臣、これは論争するために数字だけちょっと申し上げておきますが、四十五歳以上は三六・六%、昭和五十年です。六十年で見ますと四二・八%、七十年では四九・一%、約半分近くが四十五歳以上になる。それから、五十五歳定年問題を議論しますから、五十五歳のところで見てみますと、五十五歳以上が五十年が二一%、六十年が二五・七%、それから七十年が三〇・四%になる。これは厚生省の統計資料ですから間違いない。そういう前提の上に立ちましてこれからまず御質問を展開をしていきたいと思うわけであります。
 いまも申し上げましたように、急速に人口の高齢化が進み、特にいわゆる中高年齢と言われる四十五歳以上、それから一応日本の場合の定年の一つの基準になっています五十五歳以上、これがこんなにふえていくわけであります。そこで、この問題をどう解決をするかということでありますが、これにつきましてもいろんな問題点や政策がすでに提言をされております。でありますが、私は、その中で共通的な基本認識になっているのは、たとえば石油危機下で、四十歳からの労働力を排除する、そして減量経営がとられました。また、職場におきましては、最近窓際族という言葉が流行語の一つになっています。等々、私は、中高年齢者の排除の論理ではなくして、その活用のための雇用、生活保障を図ることが労働対策、福祉対策上必要ではないかというふうに考えますし、また日本経済の活力を維持していくためにも、そして八〇年代から九〇年代における日本経済の成長率を高める意味からも、私は、このいわゆる中高年齢と言われている方々の活力を十分に経済に反映をさせていく必要があると、こういうふうに思いますが、労働行政としては、このような認識に立って進められるというふうに理解をしていいのでしょうか。そのことについてお考えを聞かせてください。
#11
○国務大臣(藤尾正行君) 御認識のとおりだと思います。
#12
○安恒良一君 それでは……
#13
○委員長(片山甚市君) 安恒君、ちょっと。恐れ入りますが、必ず委員長の許可を得てから発言を願います。
#14
○安恒良一君 はい。それでは、認識がそこの点は一致をいたしましたので、中身について少し触れていきたいと思いますが、私は、まず、定年延長問題の諸対策についてお聞かせを願いたいと思うのであります。
 具体的にこちら側から聞いてまいりますが、まず労働白書、これも五十四年度の労働経済の分析をいただいております。私はこれを労働白書と、こう呼んでいるんですが、この分析の中でいま私が申し上げておりますところの中高年齢者のいわゆる雇用状況が改善をされているのかどうか。どうも、私がこの労働白書を見ますと、五十四年の完全失業者は百十七万、二・一%、こういうことである。ところが、この国会でいつも問題にいたしておりますところの、これは後から触れてまいりますが、大企業の高齢者の雇用達成率のおくれであるとか、定年延長のおくれであるとか等々、いわゆる男子高年齢者層の改善がおくれている、こういうふうな指摘がこれを読ましていただくとされておりますが、これは主としてどこに原因があるのでしょうか。いわゆる全体の雇用状況は改善をされている、ところが、男子の高齢者層の改善がおくれている、こういうことがこの労働経済の分析の中に細かく紹介されておりますが、その中の主たる原因はどういうところにあるのでしょうか。そのことをお聞かせ願いたい。
#15
○政府委員(関英夫君) 先生御承知のとおり、わが国の雇用慣行といいますものが、大企業を中心に、終身雇用といいますか、新規学校卒業者を採用いたしまして企業内で教育訓練をしながら、年功序列的な賃金、雇用慣行のもとに定年まで雇用していく、こういう慣行が大企業を中心に広く行われております。したがいまして、石油危機等の経済状態の折に、とかく人件費コストの高い中高年齢者にしわ寄せが行きがちであり、一たん中高年齢者が離職いたしますと、そのような雇用慣行のもとでは求人が非常に少なく、再就職がむずかしい。その上、まだまだ定年年齢も五十五歳定年が四割弱でございますが、四割を切りましたけれども残っておる、こういうようなことが高齢者の雇用を特にむずかしくしている大きな原因であろうかと考えております。
#16
○安恒良一君 御承知のように、八十七国会では中高年齢問題が集中審議がされまして、私どもも社労委員会や予算委員会の中でその論議に参画をした者の一人でありますが、そこで私どもは、今日の現状の中から定年延長の法制化について、当時の大臣や政府に迫ったのであります。ところが大臣や労働行政当局は、行政指導の強化を中心にやっていきたい、それから労使協議中心でやることが適当ではないか、そして六十年までに六十歳定年の実質的な実現に努める、こういうことを当時答えられたわけであります。
 そこで、そのほかに具体的にやりたいということで当時お答えになったのは、またこちらから先に申し上げますと、高齢者雇用率の達成指導強化、それから定年延長奨励金の拡大、民間の雇用対策への助成の強化、こういうことが言われました。なるほど、その後、たとえば一部民間の中で、鉄鋼であるとか、私鉄であるとか繊維であるとか、こういうところが定年延長が昭和六十年を目標に労使で合意をされておるのが現状でありますが、ことしの六月、私がここに手元に持っておりますところの労働省が発表されました「雇用管理調査結果概要」、私は、ことしの六月労働省が発表されましたこれをずっと分析さしてもらいますと、六十歳以上定年が三九・七%、六十歳定年は三六・五%に達した。そして五十五歳の三九・五を初めて上回ったと、ことしの調査で。そして近い将来、だから六十歳定年制が過半数に達するんだと、こういうふうに分析がされていますが、私は、この中で少し注目をして見なけりゃならぬ点は、次のような点に問題があると思うんでありますが、御認識を聞きたいんですが、まず第一に、新しく定年制を設けた企業が五%あるということですね、新しく。これは、五十三年の調査では七七・三が五十五年調査では八二・二%にこれは実はなっておるわけです。それから、なるほど五十五歳定年が昭和四十三年の六三・二%から今回は三九・五%に減ってきていることは事実であります。ところが、この十年間、この調査を見せていただきますとわかるんでありますが、主として定年を延長してきたのは中小企業なんであります。中小企業が定年を延長、ですから、比率だけで見るとかなり六十歳定年へというふうに近づきつつあるようでありますが、これは主として中小企業でありまして、千人以上の大企業ではなお五十五歳定年が約四〇%あります、千人以上の大企業では。それから、六十歳未満の定年制になると七〇%になっています。でありますから、私は、大企業が定年延長を阻害をしていると思うんでありますが、これに対してどのような対策をお持ちなのかということですね。いま申し上げたように、なるほどこの調査の結果で見ると、六十歳定年の方が五十五歳定年よりも率でわずかに上回ったと、しかし、一番肝心の大企業の方はその方向にこれはまだ行ってないわけでありますから、皆さん方は、このような大企業の定年が非常に延びるのがおくれている、こういう点について具体的にどのような施策をもってやろうとするのか、その点についてお聞かせを願いたいと思います。
#17
○政府委員(関英夫君) 企業規模の大きい企業の定年制が低かったという点につきましては、先生御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、一つには業種別に見まして特に定年延長のおくれているような企業の代表的な、したがって規模の大きい企業、そういったものにつきまして、労使のお集まりをいただいて、定年延長についての阻害要因をお互いに話し合って、定年延長を推進していくような業種別の労使会議を開催する、あるいはまた、個別企業に対しましては、高齢者の雇用率が定年の低いところでは未達成でございます。そこで、未達成企業のうち特に企業規模の大きいところで雇用率の非常に悪いところ、そういうところを中心に雇用率達成指導をいたしておるわけでございますが、その場合に、定年延長ということを最重点に個別企業に対して指導をしていく、そういうような両面からの指導で企業規模の大きいところの定年延長の行政指導に努めているところでございます。
#18
○安恒良一君 これは私から、後から具体的な提言をしたいと思いますが、いまお聞きをしましたような状況の中で、本当に六十年までに、いま申し上げたように五十五歳定年が四〇%もある、それから六十歳未満がまだ七〇%あるんですからね。この定年延長が、私はいまあなたが言われたようなことだけで実は実現できるとは思いません。本当に責任を持って、いまあなたがおっしゃったようなことで六十年までに六十歳定年制を大変おくれている大企業にできるというふうにお思いなのでしょうか、その点について重ねてお聞きしておきます。
#19
○政府委員(関英夫君) 確かに、従来企業規模の大きいところの定年制というものは非常に低い年齢のものが多いわけでございますが、昨年秋の鉄鋼あるいは私鉄、そういったところの定年延長を契機といたしまして、企業規模の大きいところにおきまして、定年延長の機運が非常に進んでまいりました。また、最近では私ども都市銀行労使に集まっていただいて、そういった定年延長問題を論議いたしたわけでございますが、そういった都市銀行関係でも来年四月には六十歳定年を実現するというところが出てまいりました。銀行等の企業に対します影響力、あるいは鉄鋼、私鉄といった労使関係におきまして非常に主導力の強い産業におきます定年延長、そういったものが進んでまいりまして、最近では六十歳定年というのは私は社会のコンセンサスを得つつある、大きな時の流れになってきていると思いますので、先ほど申しましたような行政指導をさらに強めまして、六十年までに六十歳定年の一般化を何としても確立するようにいたしたいというふうに考えております。
#20
○安恒良一君 そこで言葉巧みに一般化と、こう言われました。私がいまあなたと論争しているところは、一番おくれている大企業ですね、これがやはり進むことが全体が大きく進むことになるわけですから、そのことをお聞きをしているわけです。それは後でまた論争しましょう、少し。
 そこで次の調査でありますが、これまたことしの四月二十四日に皆さんの方で「定年到達者調査結果の概要」ですね、これが出されまして、この中でもいろいろ、本表の方はこういうりっぱな表で、いろんな分析を基準局の方でされております。私は、そこでこれを少し中身を分析をしてみましたら、次のような問題点がこの中から指摘ができると思うのであります。
 まず第一の問題は、定年退職者のうちで、働きたい、就業希望が八四・三%になっている。それから特に五十五歳から五十七歳では九〇%以上が定年後に働きたいと、こういうふうにこれは分析をされております。それから働かないと生活が困る、こういう方々が五十五歳から五十七歳で約六〇%になっています。そしてさらに今後就職希望、仕事をしたいと、いつまでしたいのかと、こういうことの調査でありますが、六十一歳から六十五歳までがいわゆる五〇・八%、六十六歳から七十歳でもいわゆる二八・一%、こういうふうに仕事をしたい、こういう希望がこの調査の中では出ているわけであります。でありますから、大臣御認識をいただきたいのは、定年退職後いわゆる働かないと生活に困ると、こういう人がこんなに高いんだと、また、働きたいんだと、こういう希望者がかなり高年齢までおるということが労働省の定年到達者調査の結果、ことしの四月発表されました調査の結果でこのことが明らかになっているわけであります。このことの認識は、皆さんのお書きになったことの分析ですからもう間違いがないと、こう思います。
 そこで、以上のような状況の中から、私は定年延長を本当に六十歳六十年までに実現するために、いま少し積極的な施策を考えなければいけないんじゃないか。ただ単に行政指導、労使の話し合いと、こういうことだけでは私はいけないのではないかということをお聞きをしたいわけでありますが、それはなぜかというと、御承知のように労働省が六十歳定年制を実現をすると、こう言って六十歳の方向に移行しなきゃならぬと、そういう方針を打ち出されたのは昭和四十八年なんです。四十八年に五十五歳定年を六十歳に延長する方針を閣議で決定されました。それから第三次雇用対策基本計画、これは四十八年から五十二年に六十歳定年の一般化をする。いまさっきあなたが使った、一般化をすると、こういう方針を打ち出した。ところが実際は実現しませんでした。そこで、さらにこれを六十年まであなたたちは延期せざるを得なかったのであります。
 そこで、私はこういう実情から見てくると、なるほどいま私鉄とか鉄鋼とか繊維、こういうところで労使協議の中から六十歳定年の問題が進んでおりますが、私は以上のような経過から見ますと、定年延長のおくれている企業の実施促進のためにも、その法制化の方針を、この際政府が明確に打ち出す、ある一定の段階になるとやはり六十歳定年制を実施する、法律によってでも実施すると。そういう方針を明確にする必要があるんじゃないか。でないとなかなか、いま担当局長は何とか六十年になったらなるでありましょうと言いますが、昭和四十八年に打ち出されて今日までの進捗状況、特に大企業等のおくれている進捗状況から言うとそういう問題がありますが、この点はどうなんでしょうか。
 それから第二の問題として、私は高齢者の雇用率を高めていくための一つの問題として、高齢者の解雇が、いま局長も言われたように、石油ショックになりますと減量経営ということで中高年齢を集中的に首を切る、そして減量経営をして乗り切る。また、乗り切ったことは事実ですね。第一次石油ショック、第二次石油ショック等も中高年齢層が抜き打ちに首を切られていく。やはり、こういうものを私たちは防止をするための規制措置が必要ではないだろうか。すでにわが社会党は九十一国会に具体的な議員立法という形で、雇用対策法の一部を改正する法律案、これを提出をいたしましたが、残念ながら十分な議論もすることなく成立をいたしませんでした。しかし、私は不適当な大量解雇を規制をする、こういうことについてやはり雇用対策法の一部を改正する、そういうことも積極的に行政としてせざるを得ないのではないだろうかと、こういうふうにこの点は思うのでありますし、それから、その次の問題として、六十歳定年の実現と言っていますが、すでに人口の高齢化はそれを乗り越えて、しかも六十五歳まで働きたい、こういう方が圧倒的に多いわけであります。また、働かなければ生活ができない、こういう方も高年齢者に多いわけでありますから、そういたしますと、もうこの時点になりますと政策の先取りといいますか、明確にそのことを打ち出す意味からいっても、かなり前から、四十八年から打ち出しておってもまだ六十歳定年が達成をしないような現状でありますから、まず私がいま言ったような六十歳定年制の実現とあわせて、六十五歳まで雇用の保障を制度化する、こういうことももう考えるべき時期に来ているんじゃないだろうか。
 たとえば、ことしの一月ですか、アメリカにおきまして七十歳までの解雇制限と雇用の保障、こういう法律ができたことは大臣御承知のとおりだと思いますね。でありますから、それと同時に、法律、法律と言いますと大臣はそれはなるべく自主的とおっしゃいますから、そこのところはまた後で大臣の御見解を聞くのでありますが、私はまず昭和七十年までには、六十年じゃありませんよ、七十年までには六十五歳定年制を一般化する、こういう方針をもう打ち出すべき時期に来ているんじゃないか。いまあなたたちは昭和六十年までに六十歳定年を実現すると言われていますが、そのことはそのことで結構なんです。それがために、私はいろんな政策を提起しているんですが、それと同時に、これだけ急速に人口が老齢化していくときには、昭和七十年代、この十年についての展望をやはり明らかにして、七十年代には今度は六十五歳までの定年制の実現に行政としても努力するんだ、だから労使でも努力してもらいたいとか、そういうことももう早々と打ち出さないと、なかなか定年制を延ばすということは年数がかかるわけですから、そういう点についてどういうふうにお考えになっているのか。こういう点について、まず皆さんのお考えを聞かしてください。
#21
○政府委員(関英夫君) 三点ほど御質問ございました。
 まず、定年制について法制化の方針を政府は打ち出すべきではないかという点でございますが、先生その前にもお述べになりましたとおり、雇用国会等を通じましてこの問題はずいぶんと議論になりました。結論だけを申し上げますと、与野党間の話し合いで立法化問題については審議会で検討せよということがございまして、実は、現在総理府に置かれております雇用審議会におきまして、定年延長の実効ある方策について、立法化問題を含めて御諮問申し上げ、雇用審議会において鋭意検討が続けられておるところでございますので、私ども、その結論をまってこの問題については対処したいと考えております。
 それから第二番目に、解雇規制の問題について法制化すべきではないかという御質問でございますが、御指摘の提案は、大量の解雇につきまして、行政機関において適切であるかどうかを判定して、不適切な場合には事業主に必要な勧告を行うような、そういった趣旨の法案が出されたわけでございますが、経営上の理由で大量の解雇が必要であるかどうか、行政機関において判断するということも非常に困難でございますし、またわが国では、使用者の恣意的な解雇というのは、法律なり判例の積み重ねによりまして行うことが非常に困難な実情にございます。そういう意味におきまして、私どもとしては現在の雇対法に基づきます安定機関への届け出、それに基づく職業紹介、職業指導の機能の発揮、そういったことで対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
 第三点の、六十歳以上六十五歳までの定年延長の問題でございますが、現在、政府といたしましては、六十年六十歳定年一般化ということと同時に、第四次雇用対策基本計画におきまして、昭和六十年を過ぎますと六十歳代前半層の増加が非常に急激になる。したがって、計画期間中、つまりいまからその対策も講ずべきであるというふうにいたしておりまして、ただ、六十歳を超えてまいりますと人により職業能力、体力等にいろいろ差が出てまいって、六十歳前と同じような一律な指導には無理があるので、もちろん定年延長できるところはする、あるいは再雇用、勤務延長が可能な人はする。それから、もはやフルタイムの労働が困難な人にはもう少し臨時的な仕事のあっせんもする、いろいろな多様な対策をいまから準備していくべきであるということを決めておりまして、そういった考え方に基づきまして、六十歳以上層の対策に一部努めているところでございますが、今後、さらにそちらに重点を置いていく必要があろうかと考えております。
#22
○安恒良一君 私は、いまの答弁の中で二点だけ指摘して、今度は大臣に御見解を伺おうと思うんですが、雇用審議会で、現在定年延長の法制化を含む答申をもらいたいということで審議中のことは知っています。ただ政府は、御承知のように二、三年をめどにと、こういうことになっていますね、当時の議論で。
 ところが、大臣にお聞きをしたいのは、私もまあ国会議員になる前にずいぶん審議会いろいろやらしていただいているんですが、やはり審議会というものを隠れみのにしてはいけないと思うんです。ですから、いまさっき情勢認識が一致をしたように、いわゆる一九八〇年から一九九〇年にかけて中高年齢者が急速にふえることは事実ですからね。いまさっき率をお互いに読み合わせをして、それは間違いないとこうなった。そうしますと、まあ二、三年をめどになんという悠長なことを私は言っておる時期じゃないでしょうと、こう言っているわけです。だからひとつ大臣、やはり一応審議会にかけられておりますが、私は一刻も早く審議会の責任ある答申を早急に労働大臣に出してもらいたい、そしてそれを出さして、それに基づいた早急な対策が必要じゃないだろうか。私も与野党の話し合いの中で雇用審議会ということは十分承知していますが、どうも、二、三年をめどにということを当時労働省は言われていますから、まあ二、三年をめどといったら、これは五十四年の六月、去年の国会ですからね。それから何年かまたたっていくわけですから、そういうところは、審議会の審議状況はどうなっているでしょうか。それから、具体的にいつごろ答申をもらえることになっているでしょうか。私が大臣にお聞きしたいことは、いまの前のことは事務的ですから事務的に答えてもらえばいいんですが、少しやはり急いでもらう必要があるんじゃないだろうかと、こういうふうに思います。
 それから第三点目の問題についても、これも私は非常に矛盾をしておると思いますが、まあ労働省としては反対したとおっしゃるかもわかりませんが、おととい厚生年金法の改正をこの国会で上げまして、政府は六十五歳延長を強く出されておったのでありますが、与野党の修正によって消えたわけです、六十五歳というのは。これは政府原案は厚生年金の支給開始年齢を六十歳から六十五歳にしたいということでお持ちになって、野党側の強い反発の中でついに消え去ったわけです、訓示規定も消え去った。私は非常に結構なことだと思うんです。しかし、そういうふうに将来いわゆる年金の支給開始年齢を下げるなら、それと雇用が見合わなければだめなんです。それならば、そのことについて先取り的にまず雇用をそこまで持っていく、そして定年といわゆる年金支給開始年齢をドッキングさせる、こういう配慮がないとだめだと私は思います。
 そこで、私が申し上げたことは、まあ一遍ここのところ大臣お考え願いたいんですが、六十五歳の雇用保障制度をやはり実現させるためにも、積極的に、いきなり法制化せいと言っているんじゃないんですよ。政府がそのような方針を打ち出す必要があるじゃないか。それを打ち出しても五年や十年すぐかかるんですから。一方、人口の高齢化というのは待ってくれないんです、これは。これから十年、二十年先を展望すると、ものすごい勢いで五十五歳以上がふえてくるわけでしょう、さっきのように。ですから、そのことについて積極的に、もう六十年、六十歳定年の実現その一本やりじゃなくして、その次の十年を展望して六十五歳定年制の一般化へ向けての、あらゆる諸施策について方針を打ち出されるべきところに来ているんじゃないでしょうかと、こういうことを聞いているわけです。
 政策的なことですから、後の二つについては大臣のお考えを聞かしてください。
#23
○国務大臣(藤尾正行君) まことに私はお説のとおりだと思います。ただ、ここのところは安恒委員もお考えをいただきたいわけでございますけれども、私ども審議会に御委嘱を申し上げます際は、これを隠れみのにしようなどという、そういう意識はないのでございまして、審議会にお願いをする以上は審議会を重んずるということはやらなければならぬと思います。御指摘のとおり、昨年この問題につきましては審議会にお願いをいたしてございますし、そのときの時間のとり方が少なくとも二、三年うちにはということでございますから、いまの時点になって考えればあと一両年、こういうことと同じであろうと思います。そういう考え方の中に、御指摘のとおり急速な高齢化が進んでおるという環境変化があるわけでございますから、私どもは御諮問をいたしますと同時に、仮に法制化をしろというような御勧告があります際に、その法の中に含まれるべき法の精神といいまするものは、事前に私どもがこれを具体化、体系化をさしていただいて、少しもこれは矛盾するところないわけでございますから、そういったものを十二分に体しまして、ただいまの行政の中におきましてもそれを進め、その目的を達成いたしまするように努力をするのは当然でございます。でございますから、ただいま局長からも申し上げましたとおり、六十年までには六十歳の定年制を一般化する、全部できればやってほしい、こういうことをお願いをしておるわけでございますけれども、それは六十年まで待たなければやってはいけないのかというようなことではないわけでございまして、ただいま五十五年でございますけれども、それができまするならば五十六年の一年のうちにできなくても、少なくとも五十七年度中にはそれができまするようにという精神に基づいて行政を展開いたすわけでございます。
 でございますから、仰せのとおり六十歳の定年を一般化する行政指導をやっておりますると同時に、並行いたしまして六十歳で終わりということではございませんので、六十歳を超えられて六十二、三歳におなりになられましても、そういった方々のためにお働きの機会を確保できるような、そういう施策を同時に進めて悪いはずはありません。でございますから、当然そういったことは六十歳の定年の一般化行政を推進しておる過程におきまして、できるだけ早い機会にそれが達成できるような努力を並行してやらしていただく。当然のことでございますから、この点はひとつどうぞ政府の施策をごらんをいただいて、御案内のとおり、こういった施策の成果といいまするものは、初めのうちはのろのろしておりましても、このような非常に急速な事態の転換ということの認識といいまするものは、どこにおきましても十二分に御認識をちょうだいできる、そういう情勢でございますから、私は必ずしもむずかしい問題ではない、かように考えておりますし、ぜひともさようにさしていただきたいということで大臣として努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
#24
○政府委員(関英夫君) 雇用審議会の審議状況についてお尋ねがございました。
 昨年六月に諮問いたしましてから、昨年あるいはことしの初めまで総会段階で議論が行われまして、定年延長をめぐる現状あるいは定年延長に当たっての問題点の分析というようなことをいたしまして、その後専門の部会を設けまして、部会におきましては労使からのヒヤリングをことし続けてまいりました。鉄鋼、私鉄、化学、電力、銀行、そして中小企業、それぞれの労使の代表からヒヤリングをやってまいりまして、六回ほどのヒヤリングをいたしました。で、いまそのヒヤリングをした結果に基づいて、中間的な部会の報告をまとめるべく議論をいたしているところでございます。第一回の議論はすでに済みまして、あと一回か二回の議論をして中間的な報告を総会にいたすことになっております。その後につきましては、総会でその中間報告をどう扱うか、その後の日程をどうするかというようなことを審議することになろうかと考えております。
 それからなお、厚生年金との問題がございました。私ども基本的な考え方といたしまして、老齢年金の支給開始年齢と雇用とはリンクすることが望ましいというふうに考えております。ただ、六十歳を過ぎてまいりますと、先ほども申し上げましたように、一律の雇用対策では必ずしも十分にいかぬ面もございます。そういう意味で、雇用対策としても多様な対策を考えていかなければならないし、先生御指摘のように、いまから六十歳前半層の雇用対策を強化していくことは非常に重要なことだと考えております。
#25
○安恒良一君 私は大臣に一つ聞いたんですが、まず、いま答えられたことについて少しあれしたいと思いますが、ぜひ雇用審議会では、情勢がこんなふうに非常にどんどん急速に高齢化の度合いが進んでおりますから、これは要望ですが、雇用審議会の審議のスピードをひとつ上げてもらいたいと思います。これは私の要望です。
 それから第二番目の問題は、六十歳を過ぎると一律にと、こう言われていますが、率直に言って欧米先進諸国におきますと、大体六十五歳定年、まあ日本のような定年じゃありませんけれども、リタイアといいますね、そして六十五歳になっているわけです。だから問題にならないわけ、六十五歳支給開始年齢。しかも今度アメリカが七十歳定年制をやったときにアメリカのいわゆる学者が、いまあなたがおっしゃったように、高年齢になると労働能力がどう落ちるかということについても、いわゆる産業老年学の研究の結果、暦年年齢にかかわりなく職務遂行能力を基準とした機能年齢を重視をして、アメリカはことしの一月に七十歳ということを決めているわけですよね。ですから、何か六十歳と六十五歳を比較して六十歳までは一般にいけるけれども、六十五歳になるとかなり稼働能力、労働能力が落ちるような認識をお持ちだったら、問題があると私は思うんです。アメリカが七十歳やるときには、やはりかなり科学的な分析をしながらあの法律をつくっておりますからね。ただ、日本人とアメリカ人の体力の差というのはあるかもわかりませんけれども、私はその点についてちょっと局長の認識というものは、そこのところをきちっとしておかないと、今後いわゆる労働行政をやる場合に誤りを犯されるのではないか。
 もちろん私たちも厚生年金のときに議論をしましたように、高熱職場であるとか、それから高速度トラックとか鉄道の運転であるとか、そういう職能別、企業別に見て六十五歳までどうかという、例外あります、これは。それはそれでまた方法を考えればいいわけですから。しかし一般的に見ますと、私は、日本の平均寿命がすでに男子で七十三歳、女性で七十九歳まで延びていまして、私は六十五歳までの働く能力というのは、特殊の業種、もしくは著しく健康を阻害をされている方を除くとあると思うんです。そういう観点から私がさっきからしつっこく言っていることは、労働行政というのは先取りをして、やはり今度は六十年までに六十歳実現、七十年代になったら六十五歳定年の一般化をやるんだぞと、このことをやっぱり早目に打ち出して、そして労使協議にゆだねるものはゆだねるし、法制化の方に進むものは進むという準備をされる必要があるんじゃないか。
 なぜかというと、私はどうもあなたたちはなかなかこのりっぱな調査や統計を、まあ私、労働省でどれだけ調査や統計があるか調べてみたらこれだけ調査があるんですね、大変に統計や調査をされていると思うんです。これは毎年のもあれば、それから年次別ですね、それで私がきょう読み上げたような調査というのは、調査として私はりっぱだと思うんですよ。しかし、調査した結果をあなたたちは政策に生かさなければ意味ないんですね。政策を立案する前に調査が必要です。ですから、調査そのものは否定しません。また調査された結果を、私も手元に取り寄せていろいろ読まさしていただき、勉強さしていただいた。しかし、調査をせっかくしたならば、その調査の結果がやはり政策に生きてこないと、調査の効果も半減をすると思いますね。調査の効果も半減をする。そういう意味から言いますと、私はどうしてもいま言ったいわゆるもう七十年、昭和六十年まででなくて七十年代を展望した先取り政策というものをやはり打ち出されるときにきているんでしょうと。もう昭和五十五年ですからね、六十年まであともう五年しかない。もう五年しかないですからね。もうぼつぼつ今度は七十年代の展望を、あなたたちが中高年齢層に対する展望をお持ちになって、労働省としてやはりその政策を国民に問う、労使に問うものは問うと、こういうものがあっていいんじゃないでしょうかということを聞いている。その点はどうですか。
#26
○政府委員(関英夫君) 六十歳を過ぎました場合の労働能力、職業能力というものについては、いろいろな研究もございますし、いろいろな見方がございますが、先ほど来申し上げておりますような雇用審議会におきますヒヤリングにおきましても、五十五から六十の定年延長の場合におきましても、職種、職場によりましては非常に引き続きの就労が困難である。したがって、社内での配置転換等が必要だというようなお話もございます。で、六十ぐらいまでだったら何とかそれを実現し得るけれども、それ以上になるとなかなか無理だというようなお話もございます。しかし、先生御指摘のように、六十から六十五歳層が昭和六十年を過ぎますと非常にふえてまいる、もう御指摘のとおりでございます。で、一律の定年延長というのは、そういう意味でいま直ちには私無理があるという感じを持っておりますけれども、定年延長ができるところはもとより定年延長を進める指導を強めねばなりませんし、再雇用、勤務延長その他臨時的な雇用対策までも含めて、あらゆる雇用対策をやりながら、六十歳前半層の雇用確保にいまから力を入れていく、その必要性の御指摘はまことにごもっともでございますし、私どももさらに力を入れていきたいと思います。たとえば、雇用関係の各種給付金の見直し等においても、六十歳前半層に重点を置いたものに今後変えていく必要があろうかということでただいま見直しも行っているところでございます。
#27
○安恒良一君 これは私、もう時間がありませんから次に移らなければいけませんので要望しておきますが、大臣、昭和六十年になりますと六十歳から六十四歳の方が五百三十五万何人ですね、昭和七十年になりますと七百二十九万人にもなります、七百二十九万人ですからね。それだけの人が六十歳から六十四歳にあるわけですから、この点は早目に早目に対策をお立てにならないとなかなか私は間に合わないと思うんです。率直なことを言って。こんなスピードでふえていくわけですから。ですから、これより以上もう私は次に移らなければなりませんのであれしませんが、そこで、私はひとつ労働省としても検討してもらいたいし、感想も聞かしてもらいたいんですが、これまた前々国会において定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案を社会党、公明党、共産党、それから民社党など野党がこぞって提案をしたことは御承知だと思います。この点についても、国会で審議がないまま終わってしまったのですが、野党四党が共同して出しましたこの法律に関してどのような御感想をお持ちでありますか。また、どのようにこういうものを今後あなたたちはされようとするんですか。そのことについて聞かしてください。
#28
○政府委員(関英夫君) 九十一国会に四党の共同提案がありましたことは御指摘のとおりでございまして、非常にこれも重要な問題ではございますが、先生御承知のようなわが国の終身的な雇用慣行のもとで、賃金、退職金あるいは人事管理、そういったものが定年制と結びついてできておる、そういうことでございますから、一定年齢以下の定年を禁ずるようなこういった法律は、どうしても、そういった年功的な、あるいは終身雇用慣行のもとにおけるいろいろな賃金、退職金慣行あるいは人事管理慣行、こういったものの見直しなしには実施できない面があろうかと思います。そういう意味で、雇用、賃金慣行の見直しが行われないまま定年延長や年齢による雇用差別を禁止するということについては非常に問題が多いんではないかと思いますが、しかし、こういった問題を含めまして、ともあれ現在、先ほど来御指摘ございますように、雇用審議会において定年延長の実効ある方策を立法化問題を含めて検討中でございますので、私どもとしては雇用審議会の答申を踏まえて対処していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#29
○安恒良一君 私どもはこの提案の理由を野党の皆さんと相談をして明らかにしておるんでありますが、いわゆるこの点についてはぜひひとつ大臣、野党からの提案だということでなくて、与党を含めて十分御相談をお願いをしておきたいと思うんでありますが、それは、御承知のように、本格的な高齢化社会の到達を迎えて、中高年齢者の雇用増大が最大の社会問題となっている。そこで、人生五十年という時代に五十五歳という定年制がつくられたわけですから、歴史的に見てもこれは明らかだ、だからもうこんなものは時代錯誤もはなはだしいんだ、そこで、もはや単なる行政指導だけでは不十分である、こういうことがすでに実証されているから、この際は定年を法律によって当面は六十歳まで、将来は六十五歳まで延長することが必要ではないか、こういう意味で野党側がこの法律を提起をしたわけなんですから、ここのところは十分にひとつ政府・自民党との間にも御協議くださって、これらの問題に真剣に取り組んでもらいたい。それはなぜかというと、私はここに日経連の労働問題研究委員会の報告書を持っています。この中で日経連としての労働時間の短縮や定年制の延長に向けての考えがありますね。要約しますと、中高年齢層のいわゆるわが国の経済のバイタリティーを維持していくためには、高齢化する労働力を活用しなきゃならぬと、ここまでは同じなんです。ところが、それから先がいけません。しかし、人を雇うのはおれたちなんだから、法律によって決めることなんかけしからぬと、こう言う、わかりやすく言いますとね。この表現を全部読み上げる時間がありませんから、わかりやすく言うとそんなこと書いてあるんですよ。
 それじゃ、まず私はこういう経営者の認識を改めてもらわなきゃいかぬと思うんですね。いわゆる雇うのはおれたちなんだからおれたちがやるというんで、おれたちが本当にやるとおっしゃるならば、もうすでに五十五年ですから、大企業の六十歳定年制を本当に実現しておかなきゃならぬのですが、大企業ほど悪いわけですからね、大企業ほど悪いわけですから。ですから、一方においてやっぱりこういう認識があるわけですから、そこで私は強く希望しておきたいことは、行政による指導も必要でありますが、ぼつぼついわゆる六十歳定年制についての法制化を真剣に政府みずからがお考えになるときに来たんではないでしょうか。さらに七十年代に向けて、六十五歳に向けての定年を延ばしていくことについて、これは一遍に法制化とはいきませんでしょうが、そのような政府の行政指導の方向を、世の中に明らかにされる時代に来たのではないでしょうか、こういうことを私は強く要望をいたしまして、この点については終わりにしたいと思いますが、大臣どうですか、いまの二点について。
#30
○国務大臣(藤尾正行君) お説のようなことは、その日経連の御報告の中にも、基本認識といたしまして同じ認識をお持ちであるはずでございます。そういったことがいま安恒委員御指摘のとおり、急速に進んでおるという御認識はどの企業におかれましても私はお持ちをいただいておる、かように信じます。したがいまして、確かに安恒委員の御指摘のとおり、今日までの雇用の達成という一つの傾向の中で、大企業がおくれておるということは事実のようでございますけれども、ここ一両年のうちに六十歳定年に向かって私は急速にそれは進展するであろうということを信じておりますし、それに対して私どもも働きかけをなお続けていくという努力は怠るものではございません。したがいまして、どうか法制化ということは、法制化いたしませんでもこれはできるというように私どもが考えておりますということの上に立ってお考えをいただきたいわけでございまして、法制化しないで済むものならしないでやっていく方がよろしいと、私はさように思います。
 それから、いまの雇用制度との関連があるわけでございますが、欧米諸国におきましては、御案内のとおり景気、不景気というものに対しましてレイオフ制度というものを活用をされまして、この際には若い方々から切っていっておられるわけでございます。そういった制度が私どもの日本の国の慣習とはなじんでおりませんものでございますから、私どもの場合には終身雇用ということが制度化されておりまして、そういう制度のもとに雇用の関係が一切考えられておるという実情でございますから、私どもといたしましては、そういう慣行との整合性をやはりこれはあらゆる場合に考えていきたい、かように考えるわけでございまして、御趣旨のほどは十二分に私どもにもわかりますし、御趣旨を体して私どもの行政を進めますから、どうかあと一両年のうち、ひとつ御結論はお待ちをいただけぬものだろうかというように私は考えます。
#31
○安恒良一君 まあ大臣のお気持ちのほどはわかりましたし、これは一両年待てばすぐ結果が出ることなんですからね。大企業が本当にあなた方がおっしゃったようになることかどうか、これはもう一、二年ですぐわかることですから。私はやっぱりあなたたちがよほど意欲的にやらないと、私はこの言葉を引用しますと、雇用――人を雇うか雇わないかの問題だ。あくまでも経営権の一環なのであり、国家権力によって強制すべきものではない。したがって、一部の者が言うがごとく国家の法律によって六十定年を強制するがごときは論外と言わねばならない、とここまで言い切っているわけですよ、日経連の労働問題研究委員会が。私は法律でつくってもらいたくないという気持ちならまだかわいいんですがね、論外と言わなきゃならぬというと、この一部の論外者というのは野党全部を指しておると思いますけれども、これは野党四党が出しておるんですから。そういう認識では、せっかく大臣がその気になってもなかなか進まぬと思いますが、これももう時間がありませんから、お手並拝見といいますか、あなたがおっしゃったように本当に一、二年になって六十歳になればいいんですが、なってないときには今度は大臣はなかなか一年以上続きませんから、おかわりになるかもわかりませんけれども、お役人さんは労働省やめぬ限り皆さんおいでになるんですから、そのときになって頭を下げなくていいようにひとつぜひお願いをしておきたいと思いますよ、ここは。
 そこで次にまいります。次は、二十七日に発表されましたところの高齢者雇用状況について質問を展開していきたいと思うのでありますが、昭和五十一年に中高年法の一部改正がありまして、いわゆる事業主は常用労働者の六%以上、高齢者五十五歳以上を雇用する努力の義務規定が設けられました。これが高齢者の雇用保障のための軸となっておりますし、また定年延長を推進する役割りになっているということも私は評価をしております。
 そこで、まずお聞きをしたいのですが、この六%というのはどういう根拠で、どういう根拠というよりも、どういう数字をもとにおつくりになったのか、ちょっと余り時間をとらなくて結構ですから。私の手元にも高齢者雇用率設定についてという一枚紙のメモはいただいていますが、ちょっと簡単に説明してくれませんか。六%というのはどういうふうにして、法律根拠はわかってますから、法律根拠じゃなくて、算出の仕方についてちょっと。
#32
○政府委員(関英夫君) これを設定いたしましたときには昭和五十年の雇用者数全体、そのうちの高年齢者の雇用者数をもとにいたしまして、そして五十五年というのを一応の目標時点にいたしまして、五十五年の雇用者数全体がどうなるか、そのうち高齢者はどのくらい雇用者としてなるだろうかという見込みを出しまして、そして、その間に増加する高齢雇用者数を現在、雇用率以上のものはそのままで、雇用率未達成のところが順次雇用率を高めていく、そういうことによって需給の均衡ができる、そのパーセンテージを求めていった、そうしたら六%になったと、こういうことでございます。
#33
○安恒良一君 コンピューターに入れられていろいろ計算された当時の法定雇用率は六・二%というふうに私がいただいた資料ではなっているわけですから、これは〇・二%切り捨てられたのだと思いますが、これはどういう理由なのか、それとも四捨五入をされるのでしょうか。これが一つと、それからこれは五年間の五十年から五十五年までの増加率を見通してやられているわけですね。そうしますと、ことしはもう五十五年になりますが、次は六十年を目標にいたしまして、新雇用率を設定をされるのでしょうか、この計算がいま言われたように五十年から五十五年をとっておられますから、そこのところを新雇用率を設定されるのでありましょうか。ちょっと答えてみてください。
#34
○政府委員(関英夫君) まず六・二と六%との関係でございますが、この算出自体が見込みといいますか、五年間の見込みに基づいて推計で行われておりますので、法定雇用率を決めます場合には、小数点以下を省いてつくったというのが実際だろうと考えております。
 それから五十五年までを積算根拠にしているから変えるかという次の問題でございますが、五十五年までの増加率を見まして、低い企業から順次雇っていただくということを考えて六%というものを決めましたけれども、現実は先生御承知のとおり、全体では六%を超えましたけれども、まだ未達成企業が五割を超えている現在でございますので、法律の目的である六%未満のところの雇用率を達成に持っていく指導に、なお当分努力すべきではなかろうかと、そういうふうに考えて行政指導を展開してまいりたいと思っております。
#35
○安恒良一君 いや、私が聞いているのは〇・二%切り捨てた、だから、それが計算の結果六%になったときは四捨五入するんでしょうかと聞いている。いまあなたは見込みでやったから小数点以下は切り捨てるとこうおっしゃった。たまたま今回〇・二%なんですがね、小数点以下が〇・六とか七とか出る場合があるんですよ。そのときはどうするんですかとこう聞いている。
#36
○政府委員(関英夫君) 中央職業安定審議会に諮りましてあれしたのを決めたわけでございますが、余り小数点以下の細かいことをやってみてもしようがなかろうということで、この場合には切り捨てになったわけでございますが、特段、四捨五入とかどうするとかという細かいところまで決まっているわけではございませんで、その都度、審議会の御意見を聞いて決めていくことになろうかと思います。
#37
○安恒良一君 そこで二十七日に発表されました高齢者雇用状況の表、私はこれに基づいて少し質問をしたいんです。
 まず、いわゆる昨年まで雇用率が五・八だったのがことしは全体で六・二、やっと全体で六%を超えたのでありますが、まず、いまあなたも認められましたように、未達成企業の比率がまだ五一・八%あるわけですね。それからこれまた特に千人以上の大企業では七七・五%が未達成なんですよね。本当を言うとこういうものこそ、大企業ほど私は雇う気になれば雇えると思うんですがね、やっぱり経済基盤からいっても、中小企業よりも。ところがどうも大企業ほど達成率が非常に悪いのでありますが、これをもうすでに五年間見通しをしてやられたのに半分しか達成できなかったですね、全体で見ましても。全体で見ましても半分しか達成できない。ましてや大企業においては七七・五%達成をしていない。ですからこれを、雇用率の達成計画をどういうふうにして達成していこうとするのか、何らか私はここで施策を持たないと行政指導、行政指導とこう言っておられただけで、本当はあなたたちは五年先を展望してやられたことなんですから、五年先を展望してやられたことが五年間たって半分しか達成できない、大企業では七七・五%も達成できない、こういう点について、雇用率を達成させるための具体策をお持ちでしたら聞かしてください。
#38
○政府委員(関英夫君) 確かに大企業の達成率は、御指摘のとおり非常におくれておるわけでございますが、その原因といたしまして、やはり大企業は中途採用が非常に少ない、新規学卒を採用するという形で雇用を確保することが可能であり、そして従来、五十五歳定年というものが大勢を占めていたと。そこにこの雇用率が達成されない最大の原因があろうかと思います。従前、この法律におきましては、中高年齢者全体について雇用率を決めるようなことをいたしておりましたが、高齢者の雇用率ということに法律改正をいたしたわけでございます。そうなりますと、五十五歳の定年制をしいておれば、高齢者の雇用率はゼロということになってしまうわけでございまして、何としても大企業の雇用率を高めていくためには、まず定年制を延長することが第一だろうと思います。そこで未達成企業で、大企業で特に達成率の悪いところを中心に雇用計画、達成計画を作成をしていただいておりますが、その達成に当たってはまず定年延長を第一に、個別の企業を指導していくということを最重点にいたしておるところでございます。
#39
○安恒良一君 まあ今度は、こっちにくると定年延長と、こうくるわけですね。定年延長の話をするとなかなかむずかしいで、話があっち行ったりこっち行ったりしているんですが、そこで私は、なるほど定年延長も一つの雇用率達成の重要なかなめであることは否定をいたしません。それだけではもう不十分ではないんじゃないでしょうか。
 たとえば、いまあなたたちは計画をつくらして、その計画に基づいてやらしていると、こう言っていますが、私は、たとえば努力義務ですね、いまは。努力義務ですから、これはやはり障害者と同じような義務規定化をするということを、もう考えなきゃいけないんじゃないか。努力義務じゃなくて義務規定。いわゆる障害者の場合にはいまのは義務規定になっていますから、そういうこととか、それから、それとうらはらの問題になりますが、たとえば納付金制度の導入の問題であるとか、そういうような問題を考えないとなかなか――特に私はちょっと大臣にお聞きをしたいんですが、産業別高齢者雇用状況の中で未達成のひどいのが、ワーストツーといいますか、二つあるんですが、金融・保険・不動産七七・一%なんですね。卸売・小売業七一・五なんです、これは。しかし、私は仕事の性格からいって、これまた高齢者を、他の産業に比べて雇いやすい産業だと思うんです、産業の状態としまして。そこで、これ新聞の切り抜きですが、労働大臣がいわゆる都市銀行の労使のトップに定年の延長とか、身体障害者の雇用促進とか、それから高齢者の雇用促進についていろいろお話し合いをされたと、こういうふうに御努力されたと、こう書いてありますが、まず大臣、都市銀行のトップクラスと高齢者の雇用促進、特に少なくとも雇用率が未達成が七七・一なんていうのは全く私はけしからぬと思いますが、こういうことの改正について大臣はどんな話をし、どんなお約束を都市銀行からお取りつけになったんでしょうか。これは一生懸命やっているということはわかりますが、これだけでは中身がわかりませんので、あなたが要請したと書いてあるんですが、要請を受けて都市銀行側は、いわゆるどういうことをあなたにお約束をしたんでしょうか。お聞かせを願えれば幸いだと思います。
#40
○国務大臣(藤尾正行君) その記事のとおりだと思いますけれども、あなたのいま御指摘のとおり、私も私の立場といたしまして、あらゆる企業に影響力を持っておられます都市銀行が、私どもの行政を進めております中高年齢者の採用において、あるいは障害者の特段と採用において、非常におくれておられるということはまことに遺憾千万であるということをまず申し上げまして、そういった傾向について、御改善を早急にいただきたいものだということをお話しをいたしました。これは労使ともども御出席でございましたので、お持ち帰りをいただいて御相談をいただいたことだと思いまするけれども、御出席をいただきました中で三菱、富士、住友の三行におかれましては、もうすでに私が申し上げました直後、労使間の御協議をいただいて、私どもの申し出を十二分に御勘案をされまして、六十歳の定年制を実行いたしたいということと同時に、身体障害の方々の雇用率を引き上げていくということについても、私どもの指導を十二分に体して努力をするということを天下に発表をされたわけでございます。
 でございますから、この三行がすでにそのような場におきまして、直ちに反応をされたということは、いま安恒委員御指摘のとおり、むしろ非常にしにくいということをいままで言っておりましたそういった銀行等々の金融機関におきまして、それができるということになったわけでございますから、銀行間のそれぞれの競合の問題等々もございましょうけれども、これら三行が先駆けておやりになったということは、私は近い将来におきまして、全金融機関がこれにならわれる一つの証左であろう、かように考えており、同時に他の諸行に対しましても、こういった三金融機関の後に引き続かれまして、同様あるいはそれ以上の措置をとっていただきたいということをお願いをいたしておるわけであります。銀行は御案内のとおり、非常に取引の関係でそれぞれかなり大きな影響力をその金融傘下の各企業に持っておられます。でございますから、この三行が率先をせられ、やがて都市銀行がこれにならわれるという一つの傾向は、こういった私どもの行政目的が非常にしやすい方向に非常に大きく前進したものではないかというように評価をさしていただいておるわけでございます。
#41
○安恒良一君 あとの質問に答えていただかぬと。大臣じゃなくて。
#42
○国務大臣(藤尾正行君) まことに恐縮でございますが、あとのもう一問は何でございましたでしょうか。
#43
○安恒良一君 いや、大臣にお聞きをしたのはそのとおりで、事務当局、しっかり人の言うことを聞いておかないとだめじゃないの。
 私が聞いたのは、いわゆる義務規定化ですね。いま努力規定になっているが、努力規定を義務規定化にする必要がもうあるんじゃないだろうかとか、もしくはそのうらはらの問題として納付金制度の導入をやる必要があるんじゃないだろうかと、このことを聞いて、そしてあと大臣が都市銀行と会われたという記事を示して、そのときはどうなんだったでしょうかと、こういう質問をしたつもりなんですが、どうしましたか。
#44
○政府委員(関英夫君) 大変失礼申し上げました。
 高齢者の雇用率を義務化する、あるいはそれに達しない場合に納付金等を納めるという法制をとったらどうかということでございますが、繰り返しになりますけれども、高齢者の雇用、あるいは定年延長、あるいは雇用率といった問題は、わが国の終身雇用あるいは年功的な賃金、退職金の慣行と密接に結びついております。で、人事管理なり、賃金、退職金なり、そういったものについて法律で決めるというわけにはこれはいきませんで、これは労使間で重要な話し合いの事項になっております。そういうものとの関連なしに、こういったことだけを法律で強制するということには問題があろうかというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、私どもとしては行政指導の強化により、雇用率の達成に努めていきたいと考えているところでございます。
#45
○安恒良一君 行政指導の強化によってできればいいんですが、五十年から五十五年を目標とされて、計算根拠とされてやられた実施状況が、未達成が全体で五一・八%ですね、大企業では七七・五%と、こういう現実なんですよね。だから、終身雇用からくるいろいろ賃金のあり方や定年制のあり方の問題、そういう問題について問題がないとは言ってないんです。そういうものを、私は法律で退職金をこうしろとか賃金をこうしろ、そんなばかなことを言っているわけじゃない。それは労使で話し合いをすればできることなんですね。ですから、それがあるからといってあなたたちは五年間たっても大企業の場合には未達成率は七七・五%ですから、達成した方がわずか二三%しかないわけですから、大企業の場合ですよ。そういう実情の中において、私はこれより以上論争すると時間がかかりますから、私は行政指導の強化、これはもちろんのことです。それから納付金制度の導入問題、さらに義務規定化、こういうことについてぜひひとつ検討願いたい。でないと、単なる行政指導の強化だけでは、なかなかいま言った、あなたたちが五十年から五十五年を展望しながらつくられたものの達成率の現状からはむずかしい。
 それからいま一つ、私はぜひこれもお聞きをしておかなきゃならぬですが、六%の雇用率の算出根拠を私は聞きました。そういう中で、これ人口構造がどう変わっていくかということをちょっと見ますと、五十五歳から六十五歳までの人口が昭和六十年には一三・九%になる――生産人口に占める割合ですよ。それから六十五年には一六・六%になります。さらに七十年ではふえるわけですね。これはいまさき私が厚生省の統計資料をもって皆さんに説明しました。これは間違いないことだと思う。そうしますと、いま六%を算出する算出根拠をあなたたちは説明されました、五十年から五十五年を展望して、こういう数値を使ってやったと。こういうことになりますと、これも私は、一つは六%をできるだけ早期達成させるためのいろんな施策をやらなきゃならぬと思いますが、それと同時に、これまた先を見てやっておかないといけませんので、私は、この雇用率の拡大について、やはり人口構造がこれだけ変わっていく以上は、雇用率の拡大といいますか、たとえば一つの例を挙げるならば、いま六%というのを一〇%とか一一%とかいうふうに目標を高めていって政策を打ち出していかないと、人口の老齢化、特に五十五歳から六十五歳以上が、いま申し上げたようにどっとこの十年、二十年でふえるわけですからね。そうしますと、私はどうしても雇用率をさらに引き上げる、こういうことについてももう検討し、積極的に対応していかないと、またこれも労働行政というのはおくれをとる、こういうふうに思いますが、この点について、いま言ったように非常にそこの五十五歳から六十五歳のところの労働人口がどんどんふえるんですから、それに対応するために、どうしようとされますか。
#46
○政府委員(関英夫君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、現在の法定雇用率六%の場合において、まだ未達成企業が全体として五割をちょっと超えている、そういう状況でございます。したがいまして、現在は私は未達成企業が雇用率を達成するように最大限の努力を払うことが第一に必要なことだろうというふうに考えますので、現時点において六%を見直すということは、なお時期的に早いのではなかろうか、こういうふうに思っております。
#47
○安恒良一君 それじゃ六%を達成ができ上がるのはいつでしょうか。いつをあなたたちは目標とされていますか。六%雇用率の達成を何年に置いておられますか。それから、次の雇用率をいわゆる高めるための検討はいつごろするつもりですか、まずそのことについてお答え願いたい。
#48
○政府委員(関英夫君) 現在、未達成企業のうち、大企業で特に達成率の悪いところに五年の計画で達成するような計画をつくらせて、それの実行を行政指導しているところでございます。これは五十三年度に出させたところ、あるいは五十四年度に出させたところ、それぞれに五年で達成する計画を出さしております。そういう意味で、全体がいつということをいまの時点で申し上げることは非常にむずかしゅうございますが、個別企業の指導としてはそういうふうにしているということでございます。
 それから、いつこういう法定雇用率の改定を考えるかという問題につきましては、やはり多くの企業でこの現在の法定雇用率が達成されるという状態が来て、その時点で考えるのが適当ではなかろうかと思っております。
#49
○安恒良一君 全く後ろ向きですね。あなたたちは、やはり人口の高齢化がいわゆる五十五歳から六十五歳以上が、私は統計を五年ごとに言ったんですが、これだけ高まってきているときに、そういうものは考えの要素に入らないのですか。とにかく企業が達成せにゃしようがない、企業が達成したらその時点で考えると。それで労働省の役人勤まりますね。まず企業が達成せにゃしようがない、達成したらその時点で次は雇用率。それでは、大臣どうなんでしょうか。私は企業を達成させられる労働力、これは必要ですよ。しかしそれと同時に、人口構造の老齢化というものはどうしてもやっぱり行政の要素に入れてもらわないと、いまの局長の答弁見ると本当に悲しくなりますね。こんなことじゃ労働行政は一つも進まないと思いますが、この点はいかがでしょうか。
 それから、少なくとも五十四年から五カ年計画で大企業に命じたということですが、それはあなたたちは、その計画が年次ごとにきちっきちっといっているように点検をしていますか。たとえば、五十三年に命じた会社があって、それからもう二年たっていますが、二年間のうちにどこまで前進をしたか、こういうことについて一つ一つ点検をされていますか。説明すると長くなるならば、点検をしているなら点検している、こういうふうになっているという資料を後で私に下さい。あなたたちの命令に対して、どの企業はこういうふうに五カ年計画出してきた、それは私も見ています。たとえば五百三十二社に五カ年計画達成計画を出さしたということが、じゃその五百三十二社が五カ年計画の一年目はここまでいきました、二年目はこういうふうにいっています、こういう点検をしているならば、点検をした結果についてひとつ資料をいただきたいものだと思います。
#50
○政府委員(関英夫君) 雇用率達成計画につきましては、公共職業安定所に提出を命じ、そして安定所でその実行を行政指導している、こういうことでございまして、一年目、二年目ごとの報告を本省まで私どもまだとっておりません。そういうのが現状でございます。
#51
○国務大臣(藤尾正行君) ただいま局長からいろいろ申し上げておりますけれども、これは役人でございますから間違いがあってはならぬ、こういうことで一生懸命に忠実に自分の職務を果たしたいという意思で申し上げておるわけでございまして、私は政治家でございますから立場が違っておりまして、こういう非常に着実な方向で行政は進んでおりますけれども、私どもが目標を置くところはこれは安恒委員と御同様でございまして、事態の移り変わりというものを察知をいたしまして、前向きの前進的な方向に目標を置いて、さらにそれが進んでいけるようにということを並行をして考えさせるということが当然私どもの任務でございますから、この点は、行政を十二分に監督をし指導をいたしまして、御趣旨のような方向に行くように努力をいたさせます。
#52
○安恒良一君 大臣からそういう前向きの答弁がありましたから、そのことは結構ですが、ぜひ、やはり労働行政というのは大変流動的な世の中を先取りをして一歩一歩政策を立ててもらいたい。
 そこで、局長にお願いし約束してもらいたいんですが、高齢者雇用率に達しない大企業の五カ年計画が一年目どうなっているかというのは、出先まであるが本省に集めていない、それはいけません、そういうことじゃ。あなたたちは一生懸命行政指導するすると言いながら、国会で私どもがそれを求めたときにそれすらわからない。それは出先は知っている、本省は知らぬ、これじゃ困ります。ぜひ、高齢者雇用率に達しない大企業が出しました五カ年計画の中身はある程度わかると思いますが、それが具体的にどういうふうに実行されているのか、出先は知っているということでありますから、早急に出先を督励をして、その実情をひとつ一覧表なら一覧表にして御報告を願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#53
○政府委員(関英夫君) 公共職業安定所から実施状況についての報告を求めまして、取りまとめて御報告申し上げたいと思います。
#54
○安恒良一君 それじゃ、実施状況を早急に取りまとめてしていただきたいと思います。
 そこで、時間がだんだんなくなってまいりましたから、私は三時四十七分までだということでありますので、次は時間短縮問題についてひとつお聞きをしたいと思います。
 労働省それから大蔵省前へ出てきてください。大蔵省だれが来ていますか――私は時間短縮問題というのは、これは高齢者の雇用問題にとって、雇用拡大にとっても非常に重要だと思うんであります。それと同時に、今日御承知のように国際的な日本経済に対する摩擦がありますね。たとえば自動車産業であるとか鉄鋼産業であるとか、そういうような問題等から考えましても、いわゆる時間短縮問題は私たちにとって重要な問題だと思うんでありますが、まず実情を正確に把握しておきたいと思いますから、一番新しい統計でいわゆる日本の製造業者の年間労働時間、一人当たりの労働時間、アメリカ、西ドイツ、どうなっておりますか、ひとつちょっと労働省側から説明してください。
#55
○説明員(寺園成章君) 労働時間の国際比較につきましての御質問でございますが、同じベースで調査したものがございませんので、その数字自体で正確に比較し得るかどうか、いろいろ問題があろうかと思います。できるだけベースをそろえるようにいたしまして試算をいたしてみますと、週当たりの労働時間につきましては、これは生産労働者の男女計の推計値になるわけでございますが、一九七八年で日本が四十一・一時間、アメリカは三十七・二時間、西ドイツは三十六・二時間でございます。またイギリス、フランスと比較をいたしまと、これまたベースが変わりますので別な数字が出てまいるわけでございますが、日本は四十三・一時間……
#56
○安恒良一君 時間がないから聞かぬこと言わぬでいい、私はイギリスやフランスは聞いてないんですよ。私が端的に聞いたのは年間の労働時間一人当たり平均、日本とアメリカと西ドイツはどうなっていますかと、聞いたことだけ答えてください。イギリスやフランスのこと聞いてませんし、週なんか聞いておりませんからそれだけのことを端的に答えてください、もう残りの時間がありませんからあれしていただきたい。
#57
○説明員(寺園成章君) 先ほど申し上げましたような国際比較における数字の整合性の問題はございますが、現在持っております数字は、アメリカ年間千九百三十四時間、イギリス千九百五十七時間、フランス千七百九十九時間、西ドイツ千七百二十八時間、日本では二千百四十六時間ということでございます。
#58
○安恒良一君 そういたしますと、日本の二千百四十六時間、アメリカよりも約二百時間、西ドイツよりも約四百時間日本の方が製造工業の場合長い、こういうことにこれはなるわけです。こういうところは私はやっぱり国際競争という場面において一つの大きい国際戦争の、経済戦争の――戦争という言葉はよくないんでありますが、競争の中で問題に私はなるところだと思うんです。どうしても私は、これに基づいて週休二日制の問題について問題を考えていかなきゃならぬと思いますが、まあこれだけ時間が長い理由は、一つは完全週休二日制が欧米諸国のように定着していない、わが国では普及率が非常に低いんで全体の産業で二四%、いま一つは年次有給休暇の付与日数が欧米では二十日を上回っているがわが国は十三・一、しかもその消化日数はわずかに九・五日、こういうこと等が主要な原因だというふうに昭和五十四年のこの労働経済の分析の中に指摘をされてありますが、その事実はそれでいいわけですね。
#59
○説明員(寺園成章君) 欧米諸国に比べまして、わが国の実労働時間が長い大きな理由は、ただいま先生がおっしゃったようなことであろうというふうに思っております。
#60
○安恒良一君 そこで、以上のような分析はこれにも書いてあるわけですから当たっておると思うんでありますが、じゃどうすればいいかということについて、具体的なことについてお聞きをしたいんですが、これは政策的なことでありますから大臣にお聞きをしたいと思いますが、まず試行を繰り返しています公務員の週休二日制を本格的に実施する必要があるんじゃないでしょうか、これが一つ。
 それから第二番目、これは大蔵省にもお聞きしますが、いわゆる金融機関ですね、これの完全週休二日制をやる、それがためには銀行法をまず改正しなきゃならない、この問題ももうずっと前から銀行法の改正で何回となく本委員会や関係委員会で議論されています。もちろんその場合には、私たちは郵便局とか農協とか、こういう関連金融機関がございますから、そういうものを含めて週休二日制はやっぱり完全実施をする、これはなぜ私はこのことを聞くかというと、大臣、やはり週休二日制を完全にするためには俗に言うお役所と金融機関が二日制になりますと、民間の方は、会社開いておっても実際仕事がしにくいという部面が出てくるわけです。この二つが週休二日制になれば、私はこの週休二日制の完全定着というのはかなり速いスピードで民間全体に及ぼすことができると思いますね。でありますから、そういう点について積極的に週休二日制を実施をするための方策について、私はもう思い切って政府が、まず公務員の週休二日制を完全実施させる、それから大蔵省、労働省一致して銀行法の改正や関連金融機関の週休完全二日制を実施する、そのことによって、おくれている週休二日制が全体的に定着をしていく、そして労働時間が短縮をされて国際的な非難も――私は日本の自動車産業であるとか鉄鋼産業であるというのは労働時間だけのせいではないと思います、品質がきわめていいということ、労働者の質がきわめて高いということもありますが、こういうところで国際競争でけちをつけられるのはよくないと思うんですね。時間が長過ぎるなどということでけちをつけられることはよくないと思いますから、私はやっぱり直さなきゃいかぬと思いますが、そこのところ二つの点について、大臣並びに大蔵省の見解をお聞きをしたいと思います。
#61
○国務大臣(藤尾正行君) 御指摘のように、いま欧米各国で、私どもの高い生産性といいまするものに対しまして、御批判があるということは十二分に承知をいたしております。確かに仰せのとおり公務員と金融機関、これが早急に週休二日制をやれという御趣旨は十二分によくわかります。御案内のとおりでございまして、人事院勧告というものがございまして、今日それがもう試行の段階を越えて、だんだん一般化しようとしておるわけでございますが、一月のうちに週休二日を一回やってみたがどうなるかとかいうようなことを、いまようやく通り越して踏み出そうという時期でございまして、この問題につきましても、人事院が今後どのように考えられましてその御勧告をお進めになられるか、また私ども政府におきましても、あるいは国会におかれましても、そのような勧告、試行といいまするものを踏まえてどのようにやっておいでになられるかということについて、一歩進んだお考えの方向に行くであろうということを私どもは期待をいたすわけでございます。
 ただ金融機関の場合は、これは大蔵当局からお話があると思いまするけれども、御指摘のとおりでございまして、都市銀行だけが先行をいたしまして週休二日に踏み切れというようなことを言いましても、御案内のとおり、ただいま預金獲得におきましても、郵政省の郵便貯金との間に預金獲得競争が行われまして、下手をすると郵便局の方が非常に成績がよろしいというようなことが現在あって、これが政治問題化しようというような時期でございますから、この問題につきましては周到に他の金融機関、農協とかあるいは信用組合とか、あるいは郵便貯金とかというようなものとの間の関連を十二分に整合させた上で、実施に進むなら進むということでなければならぬ、さように考えるわけでございます。
#62
○政府委員(吉田正輝君) 先生御指摘の金融機関の週休二日制の問題は、先生が御指摘のとおり、二つ問題があると思います。一つは法的面、もう一つは実施面と思います。
 法律面でございますけれども、ただいま銀行法改正を準備中でございまして、次期通常国会に銀行法改正をお願いするということになりますが、その改正法の一環として、週休二日に関しての法的な整備を図りたいというふうに考えております。ただいまの銀行法におきましては、土曜日を含めて休日、日曜日以外は開業するようにということになっておりますが、この関係の法律を改めまして週休二日制を受け入れる法的整備を行うということでございます。これは法的面でございます。
 第二の実施面につきましては、先生とそれから労働大臣が御指摘のとおり、農協あるいは郵便局とこれは歩調をそろえなければならないという点がございます。銀行は御承知のとおり公共サービスを提供するという役目が強いわけでございますけれども、利用者、預金者あるいは中小企業の利用者等の中ではやはり銀行、金融機関だけが土曜日休んでしまうというのはいかがかというような声もございますので、国民的なコンセンサスを得られるように、いろいろと御理解を得られるような努力を今後積み重ねていくことが必要かと、それには相当の準備期間も要るかなというような気もしておりますけれども、ただいまそういうようなことで法的面、実施面を進めておるようなことでございます。
#63
○安恒良一君 もう時間がありませんから最後に私は意見を言い、大臣に善処してもらいたいと思いますが、七月十九日に「週休二日制を考える会」、大河内元東大総長会長ですが、そこから提言が出ておりまして、「低成長下でも生産性の向上が見込まれる現在、週休二日制の実現は可能である。」こういう見解を立てられております。そしてそれが実現するためには、官公庁、金融機関を含めて実施に踏み切る段階に来ているじゃないか、これは中小企業のことも言われましたけれども、私は何回も言いましたように官公庁がまずやる、金融機関がやるということが民間企業をやっぱり踏み切らせることになると、こういう提言もあるわけでありますから、どうもいまの大臣の御答弁聞いておりましたら、人事院があるからということで、そこのところを答弁になると何か労働大臣じゃないような、あなたは政治家と言われているんですから、政治家であると同時に労働大臣ですから、もう試行を繰り返してきたんですから、少なくとも労働大臣としては、この際、週休二日制を本格的に政府・役所についてはやると、またやらせるように努力したいと、それと同時に今度は銀行法が改正されるわけですね。そうすると、それによって法律的な準備はできたわけですから、強い行政指導として銀行やいわゆる郵便局や農協やら、そういう関連金融機関をやはり週休二日にさせる。そのことが日本における週休二日制のいわゆる定着になるし、非常に長時間労働と国際的な非難をされていることを回避し、まだいろいろ時間短縮にはいろいろな方策をやらなければならぬと思いますが、とりあえず私は、労働白書でも分析をしているように、日本の長時間労働の原因は二つあるのだと、大きいのは。一つは完全週休二日制が定着していないんだ。一つは年次有給休暇が諸外国に比べて少ないし、消化率が悪いのだと、こういうことが指摘されていますから、この二つをやっぱり当面直す必要があろうと思います。そういう意味で、どうか大臣少しここのところはかなり意欲的に、官公庁の週休二日制と金融機関の週休二日制の実現に向けてぜひ御努力をお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、大臣の答弁を聞いて終わりにしたいと思います。
#64
○国務大臣(藤尾正行君) 御趣旨の内容は十二分に私も了解をいたしておるつもりでございます。御趣旨に従いまして、できるだけの努力はいたします。
#65
○小平芳平君 初めに、最近実質賃金の低下が言われております。で、労働省としては賃金も上がった、物価も上がったとか、あるいは物価も上がったし賃金も上がったということでは余り意味がないのであって、実質賃金を向上させる。そして労働者の生活内容が充実していく。そういうところに目標を置いておやりになっていらっしゃると思いますが、この最近の実質賃金の低下についてどうお考えになるか伺いたい。
#66
○国務大臣(藤尾正行君) まことに申しわけのないことでございまするけれども、本年に入りまして二月以降非常に消費者物価が、私どもがお約束をいたしておりました六・四%といいまするものを超えまして、大体八%、七月を除きまして八%水準に達しております。まことに遺憾千万なことでございますけれども、これはもう十二分に御承知のことでございまするが、主といたしまして油の値段の高騰に伴います卸売物価の推移といいまするものが、じわじわと消費者物価に及んでまいったということが一点。
 もう一つは、まことに残念千万でございまするけれども、気象変化といいまするものが非常に厳しゅうございまして、特段と生鮮食料品、なかんずく野菜が高騰を続けておりまして、今日のような事態を来したわけでございます。しかしながら、非常にありがたいことに、台風シーズンに入りましてから台風が上陸をするというようなことが避けられたというようなこともございまして、九月になりましてからの生鮮食料品物価の推移といいまするものは、非常に、私どもが考えておりましたよりも安定的な方向にまいっております。
 現在の数値で申し上げますと、指数で言いまして、昨年比大体四〇から七、八〇というところに落ちついておりますから、これに、さらに御賢明にも野党の皆様方の御決定をいただきました予算編成当時の五百億円と申します物価調整費といいまするものを十二分に活用をさしていただければ、これから先の生鮮食料品その他の必需物資の安定ということには私はかなり効いてくるであろう、かように考えますし、昨年の暮れ以降の生鮮食料品の暴騰というような事態から考えましたならば、六・四%の達成ということは、努力いかんによりまして私はできるであろうという期待を抱いておるわけでございます。でございますから、年度内をひとつ通じてごらんをいただきましたときには、大きくは私どもの目標を達成ができなかったということに、あるいは相なるかもしれませんけれども、まあ平均して考えてみまして、実質賃金といいまするものの推移を、大体私どもがめどに置いておりましたところに落ちつけるということは達成できるのではないかというような感じでいま推移を見ておるわけでございます。
#67
○小平芳平君 消費者物価の上昇率については、目標の辺に落ちつくという期待ですね、私もそれを期待するわけでありますが、特に雇用情勢は、一時のような求職難が去って、ある程度雇用情勢は最悪状態を脱したというふうに言われておりますが、物価の安定、この方がむしろ警戒すべき状態にあるんじゃないか、特に、いま大臣が挙げられたほかに公共料金の値上げ、これが大きいと思うんですね。特に、ことしの春の電気、ガスの値上げみたいなものが非常に大きく響いております。実質賃金が低下するばかりか、わずかながらの貯蓄も減価する、あるいは長期生活設計が困難になる、そういう意味で、非常に働く者にとっては深刻な問題であるということが言えると思います。
 それから、間接的には、インフレになりますといろんな影響が出てきます。そこで、何にも増して物価の安定に努めていただきたい。とともに、労働大臣としては給与関係閣僚会議の有力なメンバーでもいらっしゃるわけですので、前回の委員会で、公共企業体の仲裁裁定の処理がありましたが、なおかつ、人事院勧告の実施などもまだできていないわけであります。これは、いま実質賃金が低下したというのは八月までの統計を見て言っているわけでありますが、仲裁裁定といい、人事院勧告といい、この仲裁裁定や人事院勧告を早期実施を要求している方々は、とにかく春の値上げで潤っていないわけですね、まだ。ですから、春の値上げで潤っている方々も含めた統計の上で実質賃金が低下したといって問題にしているわけですが、そういう意味でも、給与関係閣僚会議においてただ担当大臣が総務長官であるというようなこと以外に、労働者を守る意味から御奮闘願いたいと思いますが、いかがです。
#68
○国務大臣(藤尾正行君) 新聞等で御承知のとおりでございまして、一昨日給与担当閣僚会議の議を経まして、人事院勧告は御勧告のとおり一般職におかれましてはこれを完全実施をするという方針を決めさしていただきました。
 ただその際に、大蔵当局が御案内のとおりの財政事情等々もございますので、この勧告の実施ということと関連をいたします退職金規定の変更でございますとかあるいは定年制度の導入でありますとかという、いま内閣委員会に御提出をさしていただいておりますその法律とのひとつ絡みで、両々相まってやらしてくれないかということを非常に強くお望みでございました。そういったこともございますので、人事院勧告の完全実施ということを前提といたしまして、それにつきまして他の二法案といいまするものを並行して進めていただきまするように努力をするということで、これを決めさしていただいたわけでございます。私の立場は御指示のとおりでございまして、何といいましても、日本の経済の安定といいまするものを達成をさしていただくことが私どもの目標でございますから、そのためには、働かれる方々のお立場といいまするものが安定をしていくということが何にも増して大事でございます。でございますから、あらゆる機会を通じましてこのことは強くお訴えをし、そうして、曲がりなりにも私は私の所信を貫いてきたというようなつもりでございます。
#69
○小平芳平君 次に、冷夏の関係で、出かせぎ労働者が急激にふえるという見通しにあるんじゃないかと思います。実質賃金の低下どころか、もう食べることの心配に精いっぱいというような状況にあります。特に、本当から言うと、出かせぎ労働者あるいは季節労働者といって遠くまで働きにいかなくても、その場で職があることが一番望ましいわけであります。かといって、近所で職があっても求人はごくわずか、あるいは待遇がきわめて低いというようなところから、やむなく遠隔地まで働きにいかなくちゃならない。こういう面の労働省の対策について伺いたい。
#70
○政府委員(関英夫君) 御指摘のとおり、ことしの冷夏の影響を受けまして農作物の被害が非常に深刻な地域におきましては、これに伴って出かせぎ労働者がふえるのではないかというふうに予想されているところでございます。ただ、現在までのところは、公共職業安定所の紹介あるいは巡回しての相談、そういったところへ出頭します方々の数は例年に比してまだ少ないような状態になっております。これは稲の取り入れといいますか、刈り取り、そういうものが全部終わって、あるいは農業共済によります共済金の問題が片づいてから出ようとしているのではなかろうかと、そういう意味で十一月中旬ごろになって出てくるのではなかろうかというようなふうにも言われております。で、いまのところ私どもその実態をできるだけ早期に把握するように、都道府県に向けて指令いたしておりますけれども、関係市町村等の協力も得ながら、実態把握に努めているところでございますが、まだまだふえるであろうというような予測程度でございまして、現実の数はつかめておりません。
 私どもとしてこれからとるべき対策でございますが、まず第一に、新しく出かせぎに出られる方がふえるんじゃなかろうか。従来からずっと出かせぎに出ておられる方々は、それなりに出かせぎというものに経験を積んでおられる、そういう方々に対する対策ももちろん重要でございますけれども、新しく出られる方々、未経験の方々はとかくいろんなトラブルに巻き込まれやすい、安全上の問題もあろうかということで、新規に出られる方々を中心に、特に、正当なルートで、できるなら一人でなくグループで就労していただくようなお世話をできるだけするとか、あるいは事前の健康診断、それから安全講習、そういうものをできるだけやる。それから、安定所に来るのをお待ちしているだけでなくて、できるだけ巡回相談を徹底すると、こういうような形で、新しく出られる方々もできる限り正常な形で安全な就労ができるようにすることに努めることといたしております。
 それから、新しく出られる方々には、現在の農村の実情からいたしますと、わりあいに年とった方が多いのではなかろうかということを心配いたしております。で、受け入れ地の方の求人を把握するに当たりましてはできる限り条件緩和をして、高齢者の求人も確保するようにということを指示いたしているところでございます。最近、傾向的には出かせぎは、先生御承知のように減りつつあります。それに対して求人数は、安定所を通じますものを見てまいりますと二、三倍ございますので、求人自体の数としては余り問題はないのじゃなかろうかと思いますが、求人の内容をできるだけ条件緩和を図るようなことに、これからも努力していきたいということで、すでにいろいろな指示を都道府県及び労働基準局に対していたしておるところでございます。
#71
○国務大臣(藤尾正行君) ただいま安定局長から申し上げたことで大方のところはお答えができておると思いますけれども、御案内のとおり、政府におきましては特段と、先生御指摘のとおり、できるだけ近いところで就業の機会をつくろうではないかということで、特段と公共事業中一番近いところというような東北地区の林道事業でございますとかいうようなものを中心にいたしまして、新規の公共事業を展開をいたしておるわけでございますけれども、本当にいまのところは、不思議とそのような求人をいたしましても、御応募が逆に非常に少なくなっておる、どのようなことなのでございますか、その辺のところをよく究明してみなければなりませんけれども、いまのところはそのような傾向でございまして、公共事業等々もなかなか見込みどおりというわけにはまいらぬというのがいまの姿のようでございます。
#72
○小平芳平君 安定局長もう十分御承知のように、出かせぎの方は正規のルート、これは正規のルートという表現でしたか、何回も繰り返されましたが、なかなかそこを通さないですね、通らないですね、縁故みたいな形で就職なさる方が多かった、従来とも多かったわけでありますし、それから、今度のようにお米がとれない、そうするとはっきり収入がない、そうすると何らかの収入を得なくては生活が成り立たない。そこで、どこかで収入を得る道を工夫していかなくてはならないということでまだ迷っていらっしゃる方が多いんじゃないかと思います。まあ正規のルートを――正規って何が正規かわからないですが、そういう安定所の窓口を通らないということについてもいろいろな原因があるわけです。いろいろな理由があると思いますが、そういう点も含めて、改めるべきところは改めてやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
#73
○政府委員(関英夫君) 必ずしも安定所が利用しやすいところに存在するというわけでもございませんで、特に農村地域、山林地域になりますと安定所もないわけでございます。そういう意味で、私どもの方の努力も必要でございますし、しかしそれにも限りがあるとすれば、安定所の紹介だけが唯一のルートというわけにはまいらぬ面もございます。そこで一つは、関係市町村との連携を密にする、関係市町村が関与する形での就労経路というものも指導しているところでございまして、先ほど申し上げました巡回相談というような形で、安定所ができるだけ出向いていくということできめ細かにやると同時に、市町村に連絡をして、市町村が把握している形で就労していただくというようなことにも努めているところでございます。市町村に対します私どもの補助事業といたしまして、地域相談員というようなもの、あるいは出かせぎ労働者相談員というようなものを配置していただく、そしてその相談のもとに就労していただく、あるいは留守家族との連絡というようなものを、そういう相談員の活動によって密にしていただくというような努力もいたしているところでございます。いずれにいたしましても、特に今回新たに出かせぎされる方に対する対策というものにこれから重点を置いて取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
#74
○小平芳平君 次に、労災について質問いたしますが、労災についてまずこの当委員会でかつて何回も問題提起した昭和電工塩尻工場と昭和電工大町工場におけるじん肺の管理区分別の認定患者数、そういうことについてわかっておりましたらお答え願いたい。
#75
○政府委員(倉橋義定君) 御指摘のありました昭和電工大町工場と塩尻工場の労働者につきまして、現在じん肺によりまして労災保険給付を受けている者は大町工場につきまして五名、塩尻工場におきまして三名でございます。
#76
○小平芳平君 管理区分別の人数はわかりませんか。
#77
○説明員(林部弘君) じん肺につきましては、管理区分が四の者について労災保険の認定が行われるわけでございますから、管理区分で言えば、認定された者は全部管理四ということになるわけでございます。時点は、五十四年末の時点でようございますか――昨年の十二月三十一日の大町工場、塩尻工場のじん肺検診の実施結果からいたしますと、大町工場が八百六十六人につきましてじん肺検診を行っておりまして、管理区分一の者が六百五十九人、管理区分二の者が二百一人、それから管理区分の三はイとロに分かれておりまして、管理三のイの者が五人、ロの者が一人、管理四の者は該当ございません。それから塩尻工場の方は全体で六百人でございまして、管理区分一の者が四百七十四人、二の者が百二十五人、それから管理三のイの者が一人、それから管理三のロと管理四は該当なしと、これが昨年の十二月三十一日に行った結果を集計いたしましてこちらに、監督署の方に報告した数字でございます。
#78
○小平芳平君 全体として非常に多いと思われますか、このくらいなら普通だと思いますか。――それじゃまた分析は後でしてください。とにかく、地元では大問題になったわけですね。これだけの管理区分が一とか二とかいう方は問題じゃないというふうに言われるかもしれませんけれども、地元では非常に問題になったことは、そのときの時点で問題提起をしたわけですが、そのときの部長さんや課長さんはよくわかっていたわけですが。
 それでは次に、労災事件の発生件数は減る傾向にあるかふえる傾向にあるか、それはいかがでしょうか。
#79
○説明員(望月三郎君) 最近におきます労働災害の発生状況でございますが、昭和五十一年から昭和五十三年にかけまして、毎年増加をしたわけでございますが、昨年の昭和五十四年に非常によくなりまして、対前年比で若干の減少をしたわけでございます。中身をちょっと申し上げますと、昭和五十四年におきます休業四日以上の死傷者数は三十四万七百三十一人でございまして、対前年で見てみますと、八千九十五人の減少、それから死亡者につきましては三千七十七人でございまして、前年に比べまして二百四十九人の減少を示したわけでございます。しかしながら、今年に入りまして休業四日以上の死傷者数が、これは途中でございますが、七月末でございますが、対前年で二%の増と、それから死亡者数で申し上げますと、これは九月十日現在でございますが、対前年同期に比較しまして一・二%の増ということでございまして、私ども非常にこの傾向を憂慮しておる次第でございます。
#80
○小平芳平君 いつもここで問題にいたしますことは、技術革新の結果労災が減る、災害が減るということは望ましい姿でありますね。機械がふえてかえって災害がふえて、それで被災者もふえるということじゃ残念なんですね。技術革新の結果減らなくちゃならないはずの災害、あるいは不況で操業短縮した場合に、やはり減るはずですね。そういう常識に反してふえるのはなぜかということですね。結局、労災に対する観点が薄れてそういう結果が起きたんじゃないかということ以外に考えられますか。
#81
○説明員(望月三郎君) 先生おっしゃるように災害の防止というのは、技術の面とそれからやっぱり人間の心の持ち方の二つの面から、両々相まって災害を防止しなけりゃならぬと思うわけでございます。そういう意味でわが国の安全水準も、昭和三十六年、高度成長の一番はしりのころが一番多かったんですが、その後高度成長が相当続いたわけですが、その中で、ほうっておけば恐らく災害も相当ふえたんだろうと思うんですが、関係者の努力で非常に、大きな目で見ますと見違えるほど安全水準が上がりまして、死亡者も半減いたしましたし、死傷者数も相当の低下をしたわけでございますが、ただ昭和五十一年に至りましてそれがややとまりまして、横ばいないし増加ぎみという傾向に移りまして、五十四年は非常に先ほど申し上げましたように減ったわけでございますが、ことしに入ってまたやや増加ぎみということでございまして、これはやはり私どもといたしましても、機械設備の面では相当整備がされてきたと思うんでございますが、やはりここへ来てやや心の問題が非常に不十分ではないかというように感じておりますので、やはりここでもう一度朝の現場にかかる前において、まず安全についての注意を各労働者に徹底させるというところから始めて、毎日毎日の労働が、とにかく心の面からも設備とともに安全であるようにということをぜひとも徹底さしたいということで、先生おっしゃるとおりでございますので、近く全国に対しまして、その点についての徹底した通達を流すとともに、建設業界初め、災害の多い業界に対しまして労働省の方から要請をいたしまして、要請の文書を出しまして、この徹底を期したい。特に年末等、それから年度末が非常に例年災害がふえる傾向にございますので、これに目がけて今後とも努力をしていきたいと、こう思っております。
#82
○小平芳平君 いまおっしゃる心の問題かと思いますが、総体的には、第三次産業などがふえますと率は減るわけですね。ですから、総体的に技術革新の結果機械化が進む、そうして第二次産業から第三次産業に労働者が移動していった場合、全体としては率が減るのが当然だと思います。
 ところが、最近の大きな災害として川崎市で、港の中で油送船の排水作業中の酸欠死亡事故三名というふうに、酸欠のために死亡するというような事故は、これは防げたはずと思いますね、いろんな条件が重なったでしょうけれども。あるいは足立区の街路灯清掃中のゴンドラが落ちて二人死亡したというような場合ですね、あるいはガス爆発、あるいはトンネル工事現場の生き埋め、あるいは架橋工事中の落下事故というような場合は、こういう事故は、必ずしも技術革新した今日において初めて起きる事故じゃないですね。ですから、特に原始的な作業において、機械化する前の作業においてこういう事故が起きるというのは、注意すれば防げたんじゃないか。特に、出かせぎ中の方が不幸にして亡くなったというようなニュースがよくあるわけですが、こういう点はぜひとも防ぐように努力願いたいと思うんです。
#83
○説明員(望月三郎君) いま先生おっしゃるような、まことに災害防止の見地からすればもう非常に自明な事故でございます。どうやって防ぐかということがもうはっきりわかっている事故でございまして、昔からあるいわゆる在来型の事故でございます。これらにつきまして、私どもも非常に在来型の事故が減らないという点に着目をいたしまして、やはりこれは自明なことだから、かえってマンネリになっているんじゃないかという気もいたしますし、そういう意味で、酸欠につきましては一週間ほど前に、ちょっとときどき起きておりますんで、まず危険な場所だという認識をさせるために、たとえばマンホールのふたの裏に酸欠度というように赤いペンキで書かせるとか、そういう具体的な、ここは危険なんだという認識をすれば、そうすればすぐ、はあこれは検知器で測らなきゃならぬというような注意を喚起できますので、できるだけそういう形の強力な行政指導をしろということを全国に通達をしたばかりでございます。
 それから、その他の事故につきましても、おっしゃるような非常に在来型の事故でございますので、これはやはり日ごろの安全教育ということをさらに徹底しなきゃなりませんし、それから出かせぎにつきましても、やはりことし――いまはまだ余り出てきてないようでございますが、これから十一月中旬以降に出てくると思いますので、初めての方も多いかと思いますので、これらの安全につきましてやはり安全教育を徹底さして、事故のないようにということで、強く監督指導を強めていきたいと、こう思っております。
#84
○国務大臣(藤尾正行君) まことにお恥ずかしいことでございまして申しわけがない、かように思っております。
 そこで、いま安衛部長から申し上げましたようなことでございますけれども、特にこういった事故の半数は建設業というようなところが多いわけでございますから、こういった業種に対しましては、再度非常に厳しい警告措置をとりたい、かように考えておりますし、それでもなおかつ、トンネルの中の爆発事故等々というような、技術的に防ぎ得るミスを犯したというようなことになりますと、そういった建設会社というようなものには相当厳しいこれは措置をとらなければならぬ、さように考えます。したがいまして、あらかじめ、そういうことを起こしたら必ずそういうことになりますよということをよく理解させるように通達をいたしまして、厳しく監督をいたさせるように注意を払うつもりでございます。まことに申しわけございません。
#85
○小平芳平君 次に、公共事業をずっと抑えてきたんですが、ここへ来て公共事業を拡大するという方針のようでありますが、したがって、いま大臣から御発言がありましたのでもうお答えがなくて結構ですが、公共事業、土木事業に伴うそういう災害が起きないように、特に年末にかけて急激に、そんなに急激にいくかどうかわかりませんけれども、公共事業が拡大していく過程でまた災害がふえるということがないように期待したいと思います。
 それから、次に、今回の労災法の改正で年金スライドの発動要件として六%というものがありますね、一〇%が六%になるということ。これは年金スライドとして、ほかの年金のスライドとは全く違うやり方なんですが、これはどうしても何かの理由があってこうなるんでしょうか。
#86
○政府委員(倉橋義定君) 労災保険制度につきましては、スライド制につきましては、事故前におきます賃金を標準といたしまして、民間の賃金が一〇%以上変動した場合に年金額もそれに対応してスライドするということにいたしております。他方、たとえば厚生年金等のスライドにおきましては、物価が何%動いた、今年の場合には現行五%でございますが、五%以上変動した場合に厚生年金を引き上げまたは引き下げるという形になっております。
 なぜ労災保険制度におきまして賃金を標準とするかということにつきましては、やはり労災補償保険制度が、そもそも災害によりまして労働者の稼得を喪失したことに伴う損失の補てんでございますから、そのもとは賃金によるべきであるということから、労災保険制度につきまして一般の賃金をスライドにしているわけでございます。
 なぜ六%にしたかということでございますが、従来一〇%以上の変動に対応していたわけでございますが、先生御承知のように最近の民間賃金の変動状況等が、必ずしも過去の高度成長期におきます賃金の上昇のような急速に行われないという状況を考慮いたしまして、これを引き下げるべく対応を考えたわけでございます。なぜ六%にしたかと申しますと、現在年金の廃疾等級間の給付水準の平均格差が一二・九%ございます。したがいまして、たとえば一〇%まで賃金が上がらなければ、年金を上げないということになりますと、たとえば後で同じような障害を受けた場合に、後で障害を受けた者と前に受けた者とが、その受ける年金の給付額において非常にアンバラが出てくるというようなことから、現在の平均格差の一二・九%のおおむね半分程度にスライド率を引き下げることによりまして、前後におきまして罹災した者の不均衡を是正するというようなことから、六%を選んだわけでございます。
#87
○小平芳平君 そうしますと、五%でいいんじゃないですか。アンバランスが起きるという意味では、十二万六千円ですか、そういう格差がある、ですから、六%でなくちゃならないという理由にならないような気がしますがね。一〇%上がるということはちょっと考えられないですね、いまの情勢では。ですから、六%にするという提案なんですが、五%でも理由は立つというような気がしませんか。
#88
○政府委員(倉橋義定君) 五%というような御意見もあることは十分承知しております。しかしながら、先ほど申しましたように、私どもは賃金スライドを前提としている関係で、やはり厚生年金の物価スライドとその趣旨が違いますんで、その理由といたしましては、先ほど言いました等級間格差の是正にその理由を求めるのが一番合理的ではないかと思いまして六%にしたわけでございます。
#89
○小平芳平君 それから、一番問題になった民事損害賠償との調整ですね、これを簡単に説明してください。
#90
○政府委員(倉橋義定君) 今回新たに規定いたしました民事賠償との調整につきましては、大きく分けまして二つの方法があるわけでございます。従来の判例によりますと、労災保険給付がなされていた場合におきまして民事賠償請求があった場合の判決につきましては、そもそも労災年金が将来にわたって支給されるということを前提といたしまして、したがいまして民事判決ではいわゆる上積み部分とか、労災で補償されない慰謝料、物損等のみを損害賠償として判決していたわけでございますが、五十二年の十一月の最高裁の判決におきまして、労働者が一時金として損害賠償を全額求めた場合につきましては、将来支払われる年金が出ることを前提としては民事賠償額は控除する必要がないと、したがいまして民事賠償額としては、将来の逸失利益を含めまして民事賠償の判決をするようになったわけでございます。そういうことから、将来の労災保険年金部分と民事判決部分に重複する損失の補てんの問題が生じたわけでございまして、私どもそれを調整するための規定を入れているわけでございます。
 まず第一の調整といたしましては、民事判決におきまして、すでに裁判中に支払われていく年金及び今後支払われる年金のうち、前払い一時金ないしは失権差額金に相当いたします定額部分につきましては、民事賠償部分から除くというようなことが第一点でございます。
 第二点は、労災保険制度の方から年金を調整することでございますが、それにつきましては、将来の逸失利益につきまして民事賠償がなされた場合につきましては、その相当給付である部分につきまして労災保険年金の支給を調整するということでございます。
 以上の二点によりまして、最高裁判決以降、同一の損害部分につきまして二重に補てんされた部分につきましての合理的調整を行おうとするものでございます。
#91
○小平芳平君 ずっともう長い時間かけて、私の質問時間もありませんし、そんなにむずかしいことはこの次にまた十分時間をとって審議なさると思いますから、私はもっと簡単なことを伺うわけですが、まず第一に、労災は損害賠償なのか、それとも生活保障なのか、そういう点はどうですか。
#92
○政府委員(倉橋義定君) 先生御承知のように、労災補償につきましては、労働基準法に基づきまして使用者に災害補償義務を命じておりまして、その使用者の災害補償義務を公の保険制度によりまして補償をするというものでございます。したがいまして、一義的な意味合いといたしましては、無過失賠償責任に基づく損害賠償の性格を有するものと理解しております。
#93
○小平芳平君 無過失賠償責任に基づく損害賠償であるとともに、いろんな意味を持っているわけですね、現実には。それで、いろんな意味を持っていると解していいですか。
#94
○政府委員(倉橋義定君) 労働者の稼得能力を補てんするということから、結果におきましては労働者のまたは遺族の生活の保障をするという機能を持っていることは、そのとおりでございます。
#95
○小平芳平君 それで、最高裁判決によって提案をしているというふうに説明されましたけれども、最高裁判決では過去に支給された分を調整するということははっきりいたしますがね、それが、将来支給されるであろう労災給付を調整すると、調整するのが当然であるというような表現がないですね、表現が。ですから労働省の説明だと、実際問題二重払いになるから調整するんだという説明をされますが、しかも、それが最高裁判決によってやっているんだと言われますが、最高裁判決はそこまで言ってないと思いますが、いかがですか。
#96
○政府委員(倉橋義定君) 最高裁判決の表現、内容につきましては、先生御指摘のとおりでございます。特に将来支払われる年金部分について調整する云々については触れておりませんが、ただ最高裁の判決は民事賠償請求に関してのみ必要な部分だけを判決したわけでございまして、労災保険の支給の有無につきましては、直接請求の原因、内容とは異なるわけでございまして、判決の内容から外したものと私も理解しておりまして、なお、これに関与した最高裁の調査官の論文記述によりますと、やはり本来そういう二重給付、補てんというものは不合理であるというような論文も拝見さしていただいております。
#97
○小平芳平君 その調査官の論文は判決と同じ力を持ちますか。
#98
○政府委員(倉橋義定君) これは裁判の判決とは全然関係はございません。最高裁の判決は、最高裁の判決としては意味はございますが、調査官のは一つの論文、個人としての意見の表明と理解しております。
#99
○小平芳平君 そういう説明を聞きますとね、当然のようにほかにも規定があるからとか、最高裁判決を受けてこうするんだということが成り立たないじゃないですか。
#100
○政府委員(倉橋義定君) まず、ほかの法律に関係規定があると申しましたのは、国家公務員または地方公務員の災害補償につきまして、民事賠償とそれぞれの法律に基づく給付との調整規定があるという点に触れているわけでございますが、最高裁判決に基づきまして調整規定が、最高裁判決が調整を認めているんだということにつきましては、私どもそのような言い方をしておりません。最高裁判決で認めておりますのは、少なくとも既支給部分については控除をするということでございます。さらに将来部分について一時金として請求する以上控除できないと、労災保険の年金部分を控除できないということでございまして、そういうような最高裁の判決の内容に従いまして、制度的な不合理を生じたために、法的措置を講じなけりゃならないというような説明をいたしているわけでございます。
#101
○説明員(小田切博文君) ただいまの点につきまして、若干補足的に説明さしていただきたいと思いますが、先生も御指摘のように五十二年の十月の最高裁の小法廷の判決でございますが、これでは労災保険の方からの既支払い分につきましては、それを前提にいたしまして、使用者に賠償責任がある場合の使用者の負担すべき賠償額から減ずるというような判決内容になっているわけでございますが、そういう判決内容になっております前提といたしましては、労災保険の保険給付と民事損害賠償との同質性ないしは相補性、相補うような性質があるということが前提になって、そういうような判決内容になっているわけでございます。
 ただいま審議官が御説明申し上げましたように、民事損害賠償がなされた後の、その後労災保険給付をどうするかという問題が問題になるわけでございますが、民事賠償がなされた後の将来の労災保険の給付をどうするかという点につきましては、争われた事案でございませんから、最高裁の判決は触れてないわけでございますが、いま申し上げましたように、既支払い分につきまして同質性、相補性があるという前提に立って、既支払い分についてはそれを前提にして賠償の方で控除するという判決内容になっているということからいたしますと、将来の労災保険給付と、すでになされた民事損害賠償との間にやはり同質性、相補性があるという考えに立っていいんではないかというふうに私ども考えているわけでございます。
#102
○小平芳平君 この次の機会に、またもっと詳しくやるとはっきりするかもしれませんが、どうも私にはよくわからない。それは、既支給分は調整されるということね、これははっきりいたしておりますが、ところが将来、年金給付が一時的に停止されますから、そうするとたとえば身体に障害が生じたために家屋を改修する、そういうような方が一時的に家屋改修にお金がかかる、ところが年金は停止される、生活ができなくなる、そういうことになるんじゃないですか。
#103
○政府委員(倉橋義定君) 個々のケースにつきましてはいろいろ御事情があるかと思いますが、一般論から申しますと、最高裁判決が出る前の一般的な民事訴訟の通常の判決におきましては、本人が損害額の全額につきまして請求した場合におきましても、労災保険給付の部分を控除して判決して、その範囲内の一時金としての賠償額を認定されたわけでございますが、私ども今後の調整に当たりましては、いわゆる失権差額金、前払い一時金相当部分を含めまして、従来の一時金よりも労災保険の方でも前払い一時金の確保ができるような形で、本人の一時的な需要と申しますか、本人が民事賠償を請求するならば労災保険におきましても一時金の請求がある程度できるようにしたわけでございます。ただ、年金制度でございますから、やはり将来にわたって年金として支給することができるだけいいわけでございますが、一時的な需要を本人が希望する場合につきましては、民事賠償の方に先行させて支給するという制度を設けたわけでございます。そういうことで、本人の御選択によりまして、将来の逸失利益分の相当部分を一時金で取るのか、また将来の生活につきましては年金を留保して、その上積み部分だけを請求されるかということは、民事賠償請求を行う方のお立場によって決していただきたいと思うわけでございます。
#104
○委員長(片山甚市君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト