くにさくロゴ
1980/11/25 第93回国会 参議院 参議院会議録情報 第093回国会 社会労働委員会 第9号
姉妹サイト
 
1980/11/25 第93回国会 参議院

参議院会議録情報 第093回国会 社会労働委員会 第9号

#1
第093回国会 社会労働委員会 第9号
昭和五十五年十一月二十五日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十一日
    辞任         補欠選任
     対馬 孝且君     村田 秀三君
 十一月二十二日
    辞任         補欠選任
     村田 秀三君     対馬 孝且君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山 甚市君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                高杉 廸忠君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                斎藤 十朗君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                福島 茂夫君
                丸茂 重貞君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                対馬 孝且君
                安恒 良一君
                渡部 通子君
                沓脱タケ子君
                柄谷 道一君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
       厚 生 大 臣  園田  直君
   政府委員
       大蔵省主計局次
       長        矢崎 新二君
       厚生政務次官   大石 千八君
       厚生大臣官房審
       議官       幸田 正孝君
       厚生大臣官房審
       議官       吉原 健二君
       厚生省公衆衛生
       局長       大谷 藤郎君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       厚生省薬務局長  山崎  圭君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       社会保険庁医療
       保険部長     吉江 恵昭君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       文部省大学局審
       議官       阿部 充夫君
       文部省大学局教
       職員養成課長   澤田 道也君
       文部省大学局医
       学教育課長    川村 恒明君
       文部省体育局学
       校保健課長    長谷川善一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 前回に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○佐々木満君 健康保険法の改正につきまして、先般来同僚の各委員からそれぞれのお立場に立っての御質問があったわけでありますが、私も私の立場に立って意見を申し上げながら若干の御質問を申し上げたいというふうに思います。
 戦後三十数年たったわけでありますが、日本社会は、御承知のとおりいろいろの面で進歩発展を遂げてきたというふうに私は思います。もちろんその間には好ましくない現象も幾つかあったわけでありますが、全体として考えてみますと、日本社会は大変な進歩発展だというふうに申してよろしいと思います。私は、こうした戦後社会の発展の中で何が一番よくなったかということを考えてみますと、やっぱり日本人の平均寿命が驚くほど伸びたということだと思います。世界で一番の長生きのできる国民になった、世界一の長寿の民族になったと、これが私は戦後社会の最大の成果だというふうに思っております。
 こういう大きな成果を上げました原因は、私はいろいろあると思います。医学の進歩あるいは医術の進歩、公衆衛生サービスの向上あるいは一般的な生活水準の向上、その他いろいろあると思いますけれども、私はその中で医療保険制度が果たしてきました役割りというものも大変大きかったというふうに思います。
 で、医療保険制度につきましてはこれまでもいろいろな問題が指摘をされておりますし、また今日におきましても、改善すべき点も少なくございません。しかし、この制度が半世紀にわたりまして果たしてまいりました役割りというものを、私どもは正しくこれを評価すべきだというふうに思います。
 さらに私の見るところでは、世界の先進国をずっと見渡してみましても、日本ほど容易に医療が受けられる国、お医者さんあるいは病院等へ行きやすい国、そういう国は私はないのではないかというふうにも思ったりいたしております。こういうふうにしまして医療保険制度、これは国民医療の確保の上で中心的な役割りを果たしてきましたし、これからも果たしていかなければならない、こういうふうに考えるのであります。
 しかし、これまでもたくさんの皆さんから指摘されておりますとおり、医療保険をめぐります情勢は大変厳しいものがございます。経済の低成長の中で国民医療をどのようにして確保していくか。これは今日、日本だけでなくって先進国共通の課題でもある、これが対策について各国ともいろいろ苦慮しておる。最近、こうした問題について国際機関でいろいろ検討が行われておるというふうにも聞いておるわけでありますが、こういう世界的な情勢に加えまして、わが国におきましては急速な老齢化の現象あるいは若年層の相対的な減少、こういう特異な事情もあるわけでありますし、こういうふうに考えてみますと、わが国の医療保険の将来というものは大変厳しい、こういうふうに思います。以上のような基本的な認識に立ちまして、私から以下若干の点について厚生省のお考えをお尋ねを申し上げたいというふうに思います。
 まず第一にお尋ねしたいわけでありますが、医療保険制度の抜本改正の方向についてであります。最近はこの抜本改正という言葉が余り聞かれなくなっておるようでありますが、まあしかし医療保険の現状、それから日本の将来、こういうものを展望いたしまする際には、抜本改正が絶対必要だという点につきましては、大方の認識は一致をしておるというふうに私は思います。
 厚生省では、最近この老人保健医療制度につきまして試案を発表された。そしてこれからいろいろ検討が深められようというふうな情勢になっておりますが、そうしたものも含めまして、将来の日本の医療保険制度というものをどのような姿のものにしたいというふうにお考えなのか、医療保険の将来の姿としてどういうものを構想しておられるか、これらの点につきまして、まず大臣から御所信をお伺いいたしたいと思います。
#4
○国務大臣(園田直君) 御意見ごもっともと思いながら承ったところであります。
 今回の健康保険法一部改正の御審議をお願いいたしますると、ここで医療保険制度の基本である健康保険の健全な運営が確保されることになりますので、それを基礎にしてただいま検討中であり、近く、その結論が出るでありましょう老人医療制度についての第一歩を踏み出し、その結果に基づいて保険制度の改革を図るという方向でやっていくつもりでございます。
 保険制度の抜本改革は、これは前から言われているところでありますが、なかなか具体的に進まなかったわけでありますが、事今日に至りますると、ここで保険医療制度の抜本改正をやらなければ、現在のままではなかなかやっていけない状態に来たと判断をしておるわけでありますので、各位の御意見を承りながら、大体そういう順序で抜本改正やっていきたいと考えております。
#5
○佐々木満君 いま大臣から御所信をお伺いいたしたのでありますが、私はこの医療保険制度の抜本改正というのは、これは急がなけりゃならない緊急の課題だというふうに思います。これは年金制度についても私は同じような考えを持っておるわけでありますが、こういう医療保険、年金制度の抜本改正というのは、高齢化社会というものが本格化をしてからでは私は遅いというふうに思っておるわけであります。現状のままで高齢化社会が本格化をしてまいりますと、私はこの医療保険の問題、年金問題等につきまして、日本社会は大混乱を起こしかねないというふうに思うわけでありまして、この高齢化社会の入口に入ったこの段階でやっぱり将来の揺るぎない制度をつくっておかないと、私は大変な時代が来るというふうに思うのでありまして、ひとつこの抜本改正につきまして今後とも検討を重ねていただきまして、これからの日本の将来について揺るぎのない制度をつくって、そうして高齢化社会を迎えていくようにしていただきたいと、こういうふうに考えております。
 そこで次にお尋ねを申し上げたいわけでありますが、いまも若干大臣お触れいただきましたけれども、この医療保険制度の将来への構想の中で、今回の健保法の案というのはどういう位置づけにあるのか、政府案というのは、将来展望の中でどのような位置づけにあるのか、これが一点。
 それから衆議院で修正されてきておりますこの修正の中身というのは、将来への抜本改正の展望の中でどのようなものとしてこれを厚生省は受けとめられるのか、この二点について重ねて大臣の御所見をお伺いをいたします。
#6
○国務大臣(園田直君) 政府としては、御意見のとおりに抜本改正は早急にやらなければならぬ、これをやらなければ大変なことになる、と同時に現行から混乱を起こさずにどのように円滑に移行していくかということも、これまた劣らざるほど重要な問題であると考えております。社会、特に経済情勢の変化に対応した医療保険制度の基盤の整備を図るために、まず制度の基本である健康保険について、給付の平等、負担の公平などを目指した改正案を出したわけでありますが、御承知のごとく一部は衆議院で修正をされたわけであります。その修正後の改正案は、家族の入院給付が七割から八割に引き上げられること。分娩費等の現金給付の改善が予定されておること。政府管掌健康保険の健全な運営が図られること。など多くの前進が見られておると考えております。また薬価調査の規定が新設されたことなどは、医療費の適正化に役立つほか、法改正とあわせて保険外負担問題の改善を強力に推進することとしており、この面での患者の負担の軽減が図られると存じております。さらに法改正によって、健康保険の制度的安定によって、老人保健医療制度その他厚生行政が抱える諸懸案の解決に資することにしていかなければならぬと考えております。
#7
○佐々木満君 次に、最近福祉全般についての見直しということが各方面から言われております。この福祉の見直しというふうに言われますと、直ちに福祉後退というふうにとられるきらいがあるわけでありますが、私は必ずしもそういうふうには考えておりません。福祉というのは本当に必要な人に対しては手厚くやらなけりゃならない、しかし、いろいろな施策のおかげで生活が向上してきたそういう方たちには、福祉の分野から御遠慮願って、そうして本当に困った人の方へその財源を向けると、こういう形での見直しというのはこれは絶対に必要だ、そういう意味で、福祉の見直しというのは毎年毎年常時私は行われるべきだと、こういうふうに考えております。
 しかし、その中で財政の面から特に強調されております政管健保、この政管健保は、財政の健全化の一つの大きな重荷だと、こういうふうに言われておるわけでありますが、私はこの医療保険制度の将来を考えるに当たりまして、財政の面が非常に大事だ、財政的な基盤が大事だと、したがってこれを等閑視してはならないというふうに思いますが、しかし、財政問題というものを余り強調し過ぎますと、またこの日本の将来を誤ることになりかねない、そういう感じもいたしております。で、医療保険制度というのは、とにかくこれからの日本社会にあって、国民に医療を正しく保障するというのが原点でありますから、この原点を忘れてはいけないというふうに思うのでありますが、財政と医療保険制度の関係、福祉見直しとこの医療保険制度の関係、こうした問題について大臣はどのようにお考えなのか、御所見をお伺い申し上げたいと思います。
#8
○国務大臣(園田直君) 福祉あるいは医療行政等で、やはり先立つものは資金でありますから、財政と関係があることは当然であります。しかしながら、いまおっしゃいましたとおりに、財政の見地からこのようなものを切り捨てるとかあるいは省略するとかという筋合いのものではなくて、財政がつらければつらいほど、その中でむだは省くが、必要なものは何とかしてやりくりをすると、これが財政と医療行政、社会福祉との関係であって、こういう国家財政のつらいときにこそ社会福祉、医療行政、厚生施設等は間違いのないように――その間違いのないようにということは、結局むだなお金は使わないが、本当に困った人にはどのような場合でも国の力あるいは制度の手が守っておると、こういうことが基本であると考えております。そういう意味におきましても、医療保険制度が今日大きな役割りを果たしておりますので、その意味において、医療保険制度の改革は医師と患者の信頼関係を確立し、薬剤問題の解決など、医療全般の改革に寄与できるものでなければならぬと考えております。
#9
○佐々木満君 次に、これは毎回、今回もそうでありますが、この医療保険制度の議論がなされます場合に、薬の問題、それから検査、まあ注射、そういうことが問題になるのでありますが、私は、薬剤の問題あるいは検査の問題、これはもっと深刻に考えなきゃならない問題だと思っております。しかも薬づけだとか検査づけ、こういう言葉が最近流行語みたいに使われております。マスコミの中でもしょっちゅうそういう言葉が使われる。私はそういう言葉を毎日聞いておりますと、国民の一人といたしまして、われわれ日本人はとにかく薬の山に取り囲まれているんじゃないか、あるいは検査動物のように検査をやられているんじゃないか、まあそういうような気持ちになってしまうわけであります。
 私から申し上げる必要ございませんが、もともと医療というのは、お医者さんと患者さんの内面的な信頼感がなければ成り立たないわけであります。つまり薬につきましても、正しい投薬が行われているんだと、量的にも質的にも薬は正しくわれわれの体に対して投薬されているんだと、こういう信頼感、この信頼感がなければ私は医療というのは成り立たないと思います。あるいは検査についても同様でございまして、正しく検査が行われているんだと、むだな検査はないんだと、こういう信頼感がなければ私は医療というものは成り立たない、こういうふうに思うのであります。
 そこで、私は御所見をお伺いしたいわけでございますけれども、まあ最近いろいろな不祥事件を起こした、そういう特殊な例は別といたしまして、今日、日本におきましていわゆる薬づけ医療、いわゆる検査づけ医療というものが一般的に行われておるというふうに厚生省はお考えなのか。私は、もし一般的に行われているということであれば、これは早急に是正をすべきだ、これは当然のことであります。しかし、特別な場合は別としまして、一般的には正しい投薬、正しい注射、正しい検査が行われているのだ、日本の医療は一般的に正しく行われているのだというふうに厚生省がお考えだとすれば、私はそのことをやつぱり国民に向かってはっきり言明をして安心感を与えるべきだと、こういうふうに思います。
 薬の問題、検査の問題は、とかく保険財政という観点から議論されておりますが、私はそれよりももっと以前に、医療の本質の議論がやっぱり必要だというふうに思うわけであります。保険財政の面からもこの点は必要だと思いますけれども、それよりも根本的にこれは医療の基本問題であります。医療が正しく行われているかどうか、これはもう患者とお医者さんの信頼関係にかかわる根本的な問題だというふうに私は思うわけであります。その辺のことについて現状、特殊な例は別でありますが、一般的に日本の医療は正しく行われているというふうにお考えなのかどうか、この点について、これは大臣からひとつ御所信をお伺いいたしたいと思います。
#10
○国務大臣(園田直君) 私は、近ごろ薬づけ、検査づけの批判が非常に目立ち、一部の不祥事件を起こして国民の信頼に疑惑を持たれておりますけれども、一般の医療、一般のお医者さんはまじめに投薬をし、まじめに検査をやり、まじめに患者の健康と生命を守っておられるということに確信を持っておる次第でございます。
#11
○佐々木満君 次に、先般からの医療機関をめぐりますいろいろな不祥事件に関連をいたしまして、これを早急に是正をして信頼感を回復しなきゃならない、これは当然のことでございますが、その医療に対する信頼感の回復の問題としまして基本的な問題は、医の倫理の確立だと、こういうことが言われております。私もそのとおりだというふうに思うわけでありますが、しかし考えてみますと、私は素人だからそうかもしれませんが、医の倫理の確立が必要だということはわかりますけれども、よく考えてみると、この医の倫理の中身というのは、一体何なのだろうかというふうに私は思います。で、お医者さんというのは人命を預かる大変大事なお仕事でございますけれども、しかし、人命を預かる職業というのはほかにもある。いや、それよりも人命を尊重するということは、これはすべての人間の倫理であるはずであります。そういう中にあって、医の倫理というのは一体何なのか、人命を預かるほかの職業の人たちの倫理観とどこが違うんだろうか。あるいは医の倫理というのはどこで勉強するんだろうか、どこで身につけるんだろうか。大学の教育の中で行われるのか、あるいは卒後研修の中で身につけていくものなのか。これは文部省の所管にもなるわけでありますが、文部省の方は結構でありますけれども、田中医務局長さんは大変倫理観にあふれたお医者さんでもいらっしゃるわけでありますが、この医の倫理というのは中身は何なのか、どこでこれは身につけるのか、その辺のところについてひとつお教えをいただきたいと思います。
#12
○政府委員(田中明夫君) 非常に重要な問題であると考えておりますが、先生も御指摘あったように、一般に生命の尊重ということにつきましては、これは人の道でございまして、医師は生命現象に携わる職業人として、そういう一般的な生命の尊重という倫理につきましては、一般の人と同様、あるいは一段高くその倫理を身につけることが要求されておるわけでございます。しかし、特に医の倫理という言葉を使って表現されております内容は、われわれ医療の関係者の中ではギリシャの医学者でありますヒポクラテスの誓いというのが、古今東西を問わず、医師のあるべき姿であるというふうにされておるわけでございます。
 この誓いの内容は、簡潔に申し上げますと、まず第一番目に、医師たる者は患者の利益となる治療を実施すべきである。しかも全力を尽くして医療に当たるべきであるということと、それから医療を行うに当たりましては、患者の性別あるいは社会的身分によって差別をしないということ。さらに第三点といたしましては患者の秘密を守るというような内容を主たる内容にしておるわけでございまして、これが医の倫理の具体的内容を述べたものというふうに考えられておるわけでございます。
 それでは、このような医の倫理をどのような場におきまして身につけていくかということにつきましては、一般的な生命の尊重ということは、これは当然一般の人と同様に家庭、学校あるいは社会の教育の中で身につけていかれるわけでございますが、医師として医の倫理というものは、これは医学教育の過程におきまして、また卒後の研修の場におきまして体得されるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。したがいまして、講義だけではなくて、特に実地の臨床研修というような場におきまして、よい指導医のもとにおきまして個人あるいは少数の修練中の医者が患者さんを、先ほど申しましたヒポクラテスの誓いにもありますように、ベストを尽くして患者さんの治療に当たる。また性別あるいは社会的な身分によってその医療の内容に差をつけないというようなことを、こういう実地の臨床の研修の過程におきまして体得していくというようなものではないかというふうに考えております。
#13
○佐々木満君 次に、いま基本的な問題として、医の倫理のお話をいただいたわけでありますが、こういう最近の不祥事をなくするためには当然保険サイドからの対応ということも必要になってくるわけでありますが、そこでお伺いをいたしますか、これは保険局長さんにお伺いいたしますけれども、今回の改正案の中で保険医療機関の指定の問題に関連をいたしまして、保険医療機関として著しく不適当と認められるときは指定を拒むことができるという規定が入っておるわけでありますが、この規定を設けられました趣旨、それから著しく不適当と認められる場合というのは具体的にどういう場合を指すのか、その辺のことについてお伺いをいたします。
#14
○政府委員(大和田潔君) この著しく不適当と認められる場合というのを具体的に申し上げますと、まず指定を取り消された医療機関の開設者が別の医療機関として指定申請をしてきたときというような場合、あるいは保険医療機関の指定取り消しをたびたび受けたときというような場合、あるいは監査後、保険医療機関の指定の取り消しが行われるまでの間に医療機関を廃止をするとか、あるいは保険医療機関の指定を辞退するというような場合、辞退いたしましてその後しばらくして、同一の開設者がその医療機関を指定申請してきたといったような場合が想定されるわけでございます。
 そこで、こういう条文が挿入された趣旨というのは、ただいま申しましたような具体的なケースがこのような場合でございますので、それから想定されると思いますけれども、こういったようないわば悪徳な保険医の方が容易に再指定なり指定なりを受けられるというようなことのないようにいたしたいということで、具体的にいま申し上げましたような事実がございました場合には、指定を拒むというようなことができる条文が規定されたわけだと思います。
#15
○佐々木満君 まあ私は大変結構な規定だと思っているわけでありますが、昔から、私ども子供のころからそうでありますが、お医者さんという方はもう神様だというふうに思ってきておるわけでありまして、それだけに先生というふうにお呼びをしてきておるわけでありますが、このごろは先生と呼ばれる人たちもいろいろありますけれども、お医者さんも必ずしも神様ではない。大部分はもうりっぱな神様でいらっしゃいますけれども、中にはやっぱり不心得な者もないことはないと、こういうことでありまして、私は、大事なことはやっぱりけじめをはっきりつけるということだというふうに思います。そういう意味合いから、こういう規定を挿入されるということは大変意味のあることだというふうに思うわけでありますが、しかし考えてみますと、お医者さんの立場に立ってみますと、これはまた大変大事な、重要な規定になるわけであります。これが正しく運用されなきゃならないことは、これは当然なことでありまして、拒否をされたそういう方々についても、十分弁明の機会を与えていただくなり適当な方法が当然とられるべきだというふうに思います。健康保険法の中にも弁明の機会を与える、その規定はもちろんございます。あるいは行政不服審査法、これもございまして、その機会は十分保障されているとは思いますけれども、まあひとつもののけじめはきっちりつけなきゃなりませんけれども、そういうお医者さん方のお話も十分聞いていただいて、この規定が正しく運用されますようにお願いを申し上げたいと思います。
 次に、これは政府にお尋ねするのもどうかと思うわけでありますけれども、衆議院の修正の中で医療機関の指導、監査のことに関連をいたしまして、関係団体の指定する者を立ち会わせることができると、こういう規定が入っておるわけでございますが、この衆議院の修正の中身について厚生省はどのようにこれを受けとめておられるのか。もしこのとおり修正がなされ、成立をいたしました場合には、厚生省はどのような団体に対して立ち会いを求められるのか、その辺のところについてお伺いをいたしたいと思います。
#16
○政府委員(大和田潔君) 保険医療機関あるいは保険医に対します指導、監査は適正な保険診療を確保する上できわめて重要であることは申し上げるまでもないわけでありまして、従来から厳正に実施しておるところでございますが、今回の修正によりまして、指導、監査のより円滑な実施が図られるものと考えられるわけでございます。
 ただいま御質問の関係団体ということでございますが、関係団体といたしましては、具体的には日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、都道府県医師会、都道府県歯科医師会、都道府県薬剤師会、こう考えておるわけでございまして、これらと十分連絡をとりながら適正な、厳正な運営を行うように、一層の徹底を図ってまいりたいと、かように考えるわけでございます。
#17
○佐々木満君 次に、これは先般、同僚の委員からも御質問があったようでありますが、私からもひとつ公衆衛生局長さんにお尋ねをしておきたいと思いますが、私は今日の日本、あるいはこれからの日本を考えました場合に、一番必要なことは日常の健康管理、健康教育、これが基本的に大事なことだというふうに思います。自分の健康というのは自分が守るんだと、こういう国民の心がけ、その心がけに対して行政が的確にこたえるこういう態勢、両々相まって健康というものが守られ増進されていくと、こういうふうに思います。
 私は田舎の人間でありますが、健康ということにつきまして、私はやっぱり時代の移り変わりに従って考え方というのは変わってくる、健康観と申しますか、こういうものも時代の推移につれて変わってくると、こういうふうに私は思っております。昔、私どもの田舎で健康な人というのはどういう人のことを言ったかと申しますと、生まれてから死ぬまでお医者さんにかからない、こういう人を健康人だというふうに言ったわけであります。しかし、これからの複雑な社会の中における健康人というのは、私はそういう人のことは言わないというふうに思います。新しい時代の健康人というのは、お医者さんにかからない人のことではなくて、自分の健康について定期的に専門家とよく相談をする人、この人が私はこれからの時代の本当の健康人だと、こういうふうに思っております。
 私の郷里の県では、そういう考え方に立ちまして、この十年来県民の皆健診運動というのをやっております。これは毎年少なくとも一回か二回、がんとか心臓とか脳溢血とか、これにかかわる健康診断というものをすべての県民が受ける皆健診。そして、自分の健康について定期的に専門家と相談しよう、こういう運動であります。私は、こういうのがこれからの新しい時代の健康人をつくるためには絶対に必要だと、こういうふうに思っております。健康管理、健康教育、こういうことにつきまして、政府はもっともっと力を入れるべきだと、こういうふうに思うのですが、公衆衛生局長の御所見をひとつお聞かせを願いたいと思います。
#18
○政府委員(大谷藤郎君) 先生御指摘のように、健康管理、健康教育は現代の健康を守る上で一番重要なことであるというふうに思います。厚生省では、五十三年度から国民健康づくり計画運動ということで、三本柱でこの運動を進めておりますが、その第一の柱が先生いまおっしゃいました生涯を通じました健康管理のシステムを用意する。第二の柱がそのための基盤整備を行う。第三番目が何といっても健康知識、正しい健康教育というのが重要である。こういうふうなことで健康教育というものを第三の柱といたしまして、全国的にその運動を進めているところでございます。したがいまして、先生御指摘のように、これからの健康を守る上では健康管理面、健康教育面ということに最重点を置いて実施していかなければならないというふうに考えているわけでございます。
 なお、秋田県の県民皆健診運動につきましては、私どもも十分承知いたしておりまして、大変その運動の成果に期待しているわけでございます。
#19
○佐々木満君 私が健康教育なり健康管理が大事だというふうに申し上げておりますのは、そういうことをやれば病人が少なくなる、医療費の節減になる、こういう観点から申し上げているのではございません。健康教育、健康管理、こういうことが徹底すれば結果的に医療費が節減されると、医療保険財政の改善につながる、これは事実でございますけれども、しかし私が申し上げておるのは、そういうことよりも、もっと根本的な意味でお願いを申し上げておるわけであります。これから高齢化社会が伸展する。厚生省の調査によりますと、六十五歳以上の人が現在一千万人おる、十年後には千四百万になる、二十年後には千九百万になる、そして四十年後には二千六百万になるだろうと、全人口の二〇%近くが老人が占めると、こうなるわけであります。その老人たちが体が弱くって病院に浸りきりになっておるような社会になるとすれば、私は日本の国は活力を失ってしまうと、こう思います。したがって、国民の五分の一を占める老人というものが元気であるかどうかと、こういうことによって私は日本の将来が決まると、こういうふうに申しても過言ではないと思います。日本の国を活力のある国にするためには、老人たちをやっぱり健康な活力のある老人にしていかなきゃならない。年はとっても元気だと、社会のために働いているんだと、こういう老人をつくっていかないと、これからの日本の国づくりとしては私はこれはまずいというふうに思うわけでありまして、そういう意味で保険財政とか医療費の問題とか、そういう次元ではなくて、日本の将来の国づくりという観点からこの健康管理、健康教育、こういうものをひとつ大いにこれからもがんばっていただきたいというふうにお願いを申し上げておきます。
 医務局長さんに、もう一つこの際お伺いしておきたいわけでありますが、地域の住民が安心して医療が受けられる、そういうようにするためには、私はやっぱり地域医療計画というものが絶対に必要だと、こういうふうに思います。医療の関係者の皆さんが知恵を出し合ってそれぞれの地域に即した、特性に応じた地域医療計画をそれぞれの地域が持つと、こういうことが必要だと思います。で、いまいろいろ問題になっております高額医療機械の整備の問題にしろ、あるいは言われております乱診乱療の問題にしろ、私はしっかりした地域医療計画があって、その計画の中で関係者がみんなで相談をして進めていく、そういう体制ができればこういう問題も解決できる、こういうふうに思います。そういう意味で、厚生省でもこの地域医療計画というものをつくるように指導をしておられると聞いておりますし、私も大変りっぱな地域医療計画があって地域医療がうまくいっているというところも幾つか知っておりますが、これらの現状はどうなっているか、あるいはこれからどうこの地域医療計画の作成を進められるか、その辺のことについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#20
○政府委員(田中明夫君) 先生御指摘のとおり、国民の医療を確保し、また向上させていくというためには、それぞれの地域におきまして地域の医療計画を策定いたしまして、その計画に基づいて地域の医療供給体制の整備を図るということがきわめて重要であるというふうに考えております。
 現在までに御案内のように、救急医療あるいは僻地医療というようなものにつきましては、この線に沿いまして都道府県あるいは市町村等が関係の諸団体とも連携をとりながら、それぞれの地域の救急医療体制の整備あるいは僻地医療の確保というようなことをやってきておりまして、かなりの成果を上げておると考えております。
 で、包括的な地域医療計画の策定につきましては、まだ残された問題もございまして、先生御指摘の高額医療機器の有効な利用といいますか、重複投資あるいは過剰投資というようなことをなるべく避けまして、医療資源を効率的に活用をするというような問題も含めまして、地域の医療計画の策定委員会というような中におきまして包括的な地域医療計画を策定し、国民の医療をさらに向上させてまいりたいというふうに考えております。
#21
○佐々木満君 最後に大臣にお尋ねを――お尋ねというよりもお願いを申し上げておきたいと思いますが、私は今日の医療あるいはこれからの医療を考えます場合に大変大事なことは、医療についての関係者と申しますか関係団体、この関係団体が本当に一致協力をしてこれに取り組む、こういうことがこれからの医療を考えます場合に一番大事なことだというふうに思います。私は田舎におりまして医療の現場、その現場に多少かかわり合いを持っているわけでありますが、医療の第一線におきましては、関係者の皆さんが本当に協力をして仕事を進めておるわけであります。お医者さんはもちろんでありますが、看護婦さんも、あるいは保健婦さんも、あるいは経営者、あるいは労働組合の皆さんも、そしてもちろん行政当局もそれぞれの立場に立って、そしてそれぞれの立場に応じまして役割りを分担をして、一致協力をして現場の医療というものが行われておるわけであります。そういう協力関係がなければ、現場の医療というのはスムーズにはとうてい行われ得ないわけであります。ところが、私どもはこうやって東京に来て、中央におって、国会の中におりますと、医療関係者、関係団体の対立抗争というのが余りにも私は目につき過ぎるわけであります。
 今日、医療に対する不信感というのが言われております。それは、医療機関の不正行為だとかいろいろなことがございまして、これが信頼感を大きく失わせておることは間違いございませんけれども、しかし問題は私はこれだけではないと思います。医療関係者の間の対立抗争、お互いの間の不信感、不毛の議論、私はこういうものが国民、特に患者に対してはかり知れない不信感、不安感というものを与えておる、こういうふうに思います。診療側、支払い側その他関係団体それぞれ立場があることは私も十分承知をいたしておりますが、しかし、それぞれの立場に立ちながらも国民医療を守り進めるんだという、そういう立場に立っての建設的な議論、そういうものを行うことによって、立場を越えて医療の現場というものを頭に置いてお互いに協力をしていただく、これが絶対に必要だというふうに思います。私はそこにこそ医療に対する国民の信頼感、安心感というのが生まれてくる、こういうふうに思うわけであります。行政当局も含めましたこの関係者の協力関係、これが得られるように大臣も大変御苦労で、また御努力いただいておりますけれども、今後一層この点について御努力をいただきたいと、日本の医療を守り育てるためにこれが根本だというふうに思いますので、大臣にその点をよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わりますが、御所見をひとつお聞かせを願いたいと思います。
#22
○国務大臣(園田直君) 医療行政で、医療に従事する人と国民をつなぐことは大事でありますが、その大前提は、いまおっしゃいましたような医療担当関係者の団体、個人、こういう人々が力を合わして一つの目的のために努力をしてもらうことはきわめて大事であります。その中心は厚生省であると考えます。関係団体その他いろいろありますが、しさいに反省をすると、過去において厚生省がやはりまず第一に反省すべき点もあると思います。たとえば、国立・地方病院、公立病院、開業医、こういうものの責任と義務の限界は明瞭でありまして、これを厚生省がうまく義務づけ、指導していけば、この三者は一体になるわけであります。かつまた利害の対立する関係団体でありましても、この対立を使って行政を進めていこうなどという考え方が仮にあったとするならば、これは非常に間違いでありまして、過去にそういう点がなかったとは私は言い切れぬと思います。十分その点を厚生省がまず反省をし、厚生省が中心になって、いま言われた医療関係団体が一体となって国民の健康推進に努力するよう、今後具体的に検討してまいる所存でございます。
#23
○対馬孝且君 四時間、これから質問するわけでありますが、時間の途中で大蔵大臣の関係もあるようでありますので、問題の点をひとつ整理する意味で、いままで同僚議員から多くの問題が出されております。できるだけ重複を避けまして、同僚議員の問題解明になっていない問題点、あるいは多少重複もあろうかと思いますが、その点にしぼってまずお伺いをしたいと思います。
 まず最初に、薬価問題の改定につきまして、あり方につきまして私はお伺いをしたいと思います。
 この二日間論議になっておりますが、私は何といっても、いまも出ましたが、薬づけの基本的な改革がいまなおなされていない、ここに問題の本質があるんじゃないか。それは今日の医療のゆがみ、端的にあらわれておりますように、薬づけ医療は出来高払い制の矛盾が放置される中で、薬価基準の設定、それから実務と著しくかけ離れているという実態につきましては、この間の同僚の安恒議員にもお答えを願っておりますから、これは触れません。
 そこで、私はあえてここで申し上げたいのは、今日のこういった薬問題をめぐる不明朗な取引行為あるいは薬づけによるいわゆる癒着の関係あるいは患者に与える不信感、こういう問題等をどういうふうに解消することができるか、この道をいま探ることが一番政府としては大事なことではないか、こう思うわけです。それはいま薬価業界が一つのシェアを持って公立、国立あるいは民間病院との取引行為を行っているんでありますが、この際、政府はいままでの反省の上に立ってこういうことを考えてみたらどうだと、というのは、私は配給公社制度というものを、たとえば薬価のこの間の資料に出ておりますが、抗生物質から始まって十項目の薬効分類主要メーカーのあれが上がっておりますが、これは薬剤会社と医者との関係、これが一番大きな問題として指摘をされておりますから、私はこの際、むしろ主要薬剤を国が買い上げをして一定の公社の中に薬を科学的に設定をして、それを公立、国立あるいは民間の制度におろしていくという、こういういわゆるシステムを考えてみる必要があるんではないか、この段階に来ているんではないかと、こう思うんですが、この点どういうふうにお考えになっているか、お伺いをしたいと思います。
#24
○政府委員(山崎圭君) 先生御提案のような薬剤の配給公社制度をつくったらどうかという御提案でございますが、先生御案内のように医薬品の医療機関あるいは薬局への供給という問題につきましては、欧米諸国も同様でございますが、わが国におきましては、従来から自由経済というようなものをたてまえにいたしまして、私企業であります卸の業者によって行われてまいったところでございまして、こういう供給体制それ自身が直接的な原因となって、薬をめぐる今日の問題が生じていると必ずしも言えないのではないかという考え方を私どもは持っているわけでございまして、薬の現在いろいろ言われております問題につきましては、さまざまな御議論ちょうだいしておりますが、その問題を解決するためには、たとえば薬サイドでいいますれば、一つは医薬分業の推進とか、あるいは薬価調査の厳正な実施でございますとか、あるいは薬価算定方式の改善でございますとか、流通の合理化というようなこともその一つの大きなテーマであろうと存じますが、そういう施策を実施していく必要があるのではないか、そういう施策の強化、充実によりまして、わが国の医療なりあるいは薬剤使用の適正化といいますか、そういうものを推進していくことが必要であると、かような考え方を持っておるわけでございます。
#25
○対馬孝且君 いまの答弁は医薬分業をやることが望ましいということを言っておるし、調査もしなきゃならぬ、基準を定めるということも結構なことだけれども、医薬分業には実態はなってないんじゃないですか。なぜ私、こういう提案をするかということを申し上げますと、それじゃお伺いいたしますが、いままで厚生省が薬にまつわるいわゆる汚職事件というのが幾つか上がっていますね。これ時間がありませんので余りくどくど申し上げませんが、私がいま手にしておるだけでも三件ほどあります。これは何も古いことではありません。五十四年三月二十八日、「厚生省、黒い金にたかる 現金三百万円」、これは国立大蔵病院と国立東京第二病院の医薬品の納入をめぐる汚職事件の問題があります。それからこれは「薬務局をとりまく「薬マフィア」たち」という厚生省の問題をめぐって田原総一朗が指摘しております問題等もございます。挙げればたくさん最近の例があるんでありますが、なぜこういうことが、こういう薬にまつわる汚職ができ上がっているのか、これは私は構造的要因があると思うんです。単に現象面だとは私は考えておりません。こういう構造的要因について、この実態をそれじゃ厚生省は否定されるんですか。私は、こういう事件があったということについてまだ挙げればたくさんありますけれども、とりあえず時間の関係もありますから――この事実は客観的にお認めになるでしょう。そうだとするならば、こういう問題をどう改革をするかということについて、それじゃ厚生省側としてはどういうお考えを持っているか、この事実をまず認めた上に立って、どういう改革をすべきものなのかということについていまありました。それでは本質的な解決になっていないという点で私は前段の公社制度というものを検討をしてみる必要があるんじゃないか、こういうことを言っているわけでありまして、この点まず第一点として確認したいと思います。
#26
○政府委員(田中明夫君) 厚生省の国立病院、先生いま御指摘の東京第二病院と大蔵病院におきまして薬の購入に関連いたしまして不正な行為がございまして、これは現在検察当局から起訴をされております。
 われわれといたしましては、関係の職員につきましてすでに厳重な処分を行ったところでございます。従来からときどきこういうような不祥事件がございまして、まことに遺憾なことと思っておりますが、今後ともそういうことのないように、その際厳重に全国の国立病院・療養所に対して通知いたしましたし、今後ともそういう不祥な事件がないように努力してまいりたいというふうに思っております。
#27
○対馬孝且君 いま医務局長が謙虚にこの事実を認めましたから、時間の関係で私は省略しているんでありますが、まだたくさんありますよ、これは四十二年からさかのぼりますと。ただ、私はもう起訴になっただけでもこういう事実があるということを私は指摘しているんです。これは私は氷山の一角だと思うんですよ。ただ、私は、あなたが謙虚にそういうことを認めて、これから反省して、省内における、局内における幹部の戒めもしたいという、また指導するということですからあえて私は申し上げませんが、このほかにまだ相当な事件が上っております。これはもっと悪質な例がある、これは単に薬だけではない。医療機器をめぐる厚生省との癒着、あるいは汚職事件の疑いのある問題がある、これだって明らかにしなければならぬと思っておりますが、時間の関係がありますから、事実をお認めになったのでこれ以上はもう私は申し上げません。
 そこで私はお伺いしたいことがあります。
 これは厚生省に私要求しまして資料提出いただきましたら、これは薬効分類主要メーカーのコーナーの中に、抗生物質、ビタミン、ホルモン剤から始まってこれは十項目の項目が挙がっております。これ主なるメーカー会社を、私はシェアをどういうメーカーがあるかということをずっと資料提出を求めました、一昨日。そこで厚生省から出してきたことで間違いないと思うんでありますが、抗生物質の場合であれば塩野義製薬、武田薬品、藤沢薬品、明治製菓、山之内製薬、それからビタミン剤でいきますと、これは三共、第一製薬、武田薬品、エーザイ、それからホルモン剤でいきますと、三共、塩野義、帝国臓器、それから日本シェーリング、それから内用解熱鎮痛鎮静剤、これは第一製薬、三共、あるいは日本メルク万有、精神科薬剤でいきますと、これも同じく武田薬品、大日本製薬、それから循環器官用薬でいきますと、これもまた武田薬品や田辺製薬、三共、これずっと挙げていきますと時間があれですから――いずれにしてもここにある薬効分類別の主なる大企業の薬のメーカーというのはほとんどこういう会社が上っておりますね、これ間違いございませんか、これまず確認したいと思います。
#28
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。
 先生に御提出いたしました資料の中身については間違いございません。
#29
○対馬孝且君 間違いないとするならば、私はここでお伺いしたいんですが、なぜ薬の問題がこういうふうにいままで依然として、同僚の安恒委員も質問しまして、大臣は今日の薬価問題に対して基本的にメスを入れてこの際改革をすべきであるという提案がこの前ございました。しかし、このことについては、薬価引き下げという段階でまず調査を、いま徹底的に第六次調査を行っています、その上に立って結論を早期に出したいということは、これは一つの前進として評価をするんですが、私が言いたいのは、それじゃ、いまお認めになりましたから申し上げますが、いままでの厚生省の役人がほとんど私がいま挙げた武田薬品、それから第一製薬、あるいは中外製薬と、この薬効分類に該当している大メーカー、このほとんどに厚生官僚が天下りしていますよ。天下り官僚がほとんど副社長もしくは取締役、これは事実でなければ否定してもらって結構ですが、具体的に申し上げます。
 かつての梅本厚生事務次官、これ現在、武田薬品の副社長であります。それから、岡、これは当時の薬務局製薬第一課長、いま第一製薬の取締役。松下薬務局長、ミドリ十字の副社長。坂元貞一郎厚生事務次官、中外製薬の副社長。こういうふうに実はこれなっておりますが、この事実は認めますか。
#30
○政府委員(山崎圭君) 仰せのとおりでございます。
#31
○対馬孝且君 そこで、私がこれ言ってるんじゃないんです。これは率直に来ておりますのは、消費者団体、それから医療一一〇番の婦人の方々が、これがあたかもまた偶然にも問題になっておりまして、大臣もいろいろ努力をされていま解決に当たっておりますが、スモンとの関係も出てくるわけです、この薬品メーカーというのが。あえて言うならば、非常に誠意のない、いわゆる悪質だという、スモン患者からも憤りを持っての怒りであります。医療一一〇番でも必ずこの問題が出てきます。
 こういう問題について、なぜこういう提案をしているかということについて私が申し上げているのは、それは単なる戒め、あるいはこれから内部における訓示、あるいは指導、こういうものも結構でしょう。しかし、この際私は、そういう構造的な点にやっぱり一つは問題がある。何から何まで自由主義競争の中で全部やれと言っているんじゃないんだ。私は少なくともいま挙げた薬効分類主要メーカーのこのぐらいの抗生物質、重要な項からこういう幾つかの国が定めた、薬価基準で定める主要な薬種分類というものは、これは私はある程度配給公社的な性格の中で国がきちっと仕上げていく、そこでむしろ国立やあるいは公立やあるいは民間サイドに一定のものをおろしていくという、こういう制度でないために今日の矛盾を生んでいると思いますよ。率直にあなたがお認めになったから。これと私は無関係ではないとは思う、これはっきり申し上げて。これは素人が考えたってわかることだと思う。だから結果的には厚生省が、私はこういうことを言いたくないんだが、私に言ってくれというから言うんだけれども、やっぱり結果的には大メーカーと癒着をして、それで現にエコノミストの九月三十日号にこれが出ていますね。これは岐阜薬科大学の名誉教授である吉田甚吉さんがこう言っています。これ私が言っているんじゃないんだ。これうそだったら否定してもらっていいんだけれども、こう言っているんですよ。吉田先生の言葉を借りますなら、欧米では「死亡診断書に署名する手で、誤れば人を殺すことのある調剤をさせてはならない」、署名する場合、いわゆる医者に薬の調剤をさせてはならないという倫理が確立している、こういうことです。したがって、医薬分業は当然必要である。また、医者が薬でもうけることは恥だという考え方が欧米の先生方には強い、医師には強いと。ところが、「日本では治療代口薬代の観念が昔から強くあり、医師は薬でもうけることを恥とは考えていないのであろう。」と、これは私が言っているんではない。これはうそだと思ったらエコノミストの九月三十日号に、岐阜薬科大学のしかも名誉教授の吉田先生が明確に指摘していますよ。あなたは先ほど、医薬分業はしなきゃならぬと言葉では言っていますけれども、実態は、現に名誉教授でさえきちっと指摘しているじゃないですか。そういう点からいけば、私はもう一つ提案があるんだが、配給公社と同時に、今日の審議会のあり方ということが非常にこれ検討する必要があるんじゃないか。これはどういうことかと申し上げますと、ここが問題です。現在も製薬企業の有する医薬品に関する情報、国に提出する義務、承認した医薬品の審査内容が公表されていない、これは事実ですね。これを国民の監視のもとに置くためには、資料の情報公開、これはこの前から申していますから、そういう努力をすると言っていますから……。それで副作用の情報、資料の公開を義務づける必要がある。そういう意味では、私は法定の手続に関する規定があっていいんじゃないか、これが一つです。
 それからもう一つは、審議会の構成問題。製薬企業の関係を排除するために兼職をやめさせる規定を置くべきである。製薬会社の兼務でしょう。製薬会社を兼務した審議会の委員なんというのは、こんなの、どろぼうと警察を一緒にしたようなものですよ、私に言わせれば。こんな仕組みを変えないで、そんな審議会をやってみたって、そんなものは何の審議会かと。どろぼうと警察と一緒にしたようなものを入れて、これがあなた正当な審議会だと言えるか。私はずばり庶民の声を言うんだが。したがって、公益代表者もこの際参加をさせるべきだと私は思うわけです。だから、いま申し上げたいことは、審議会の内容そのものをこの際検討をしてみる必要があるのではないか、こういうことも含めて、ひとつお聞かせを願いたいと思います。大臣にひとつ。
#32
○国務大臣(園田直君) 御意見を承りましたが、いま医療機関、それから薬局等に薬の供給が私企業から成っておる卸問屋でやられておる。そこに過当競争が起こり、そこに自然と厚生省の役人が天下りになると。すべての問題はこういうところから来ているじゃないかと、こういう御指摘で、その御指摘をそうではありませんと言う資料はございません。しかし、だから配給公社という御提案でありますが、配給公社が果たしてなじむかどうか、これはなかなかの問題であります。しかしながら、配給公社にするかしないかは別として、いま御指摘の問題は、どうやってこれを排除していくか、これは確かに大事なところであります。したがいまして、いまの配給公社の問題も含め、審議会の機構その他等も含めて、御意見を踏まえて十分検討し、勉強をいたします。
#33
○対馬孝且君 いま大臣から率直に、この事態を踏まえて、私がいま指摘をした事実を踏まえてということですが、配給公社が私はすべてだと言っているわけじゃないんです。審議会のあり方を含めて、いま十分に検討し、これから対処していきたいという答えですから。大臣、これを確認するようであれですが、ぜひひとつこの審議会のあり方と、それから薬の流通機構におけるメスを、どう改革をしていくかと、この意味で私は言っているわけですから、これはぜひ大臣はこの際、薬の不明朗な、しかも不正が起きている今日の時点で、ひとつ腹構えを決めて対処していくと、こういうふうに理解していいですか。
#34
○国務大臣(園田直君) 御意見を踏まえて検討いたします。
#35
○政府委員(山崎圭君) 一点だけ補足させていただきたいのでございますが、中央薬事審議会の構成員につきましては、ほとんどが大学の先生とか、国立病院なり、あるいは国立の試験研究機関の先生でございまして、製薬企業の人が直接選任されるということはございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
#36
○対馬孝且君 薬務局長はそう言ったって、これは審議会の中にかつてのあれも入っているじゃないですか、そんなことを言ったって。私は名簿を持っていますよ。そんなことを言ったってだめだよ。
 いずれにしましても、いま大臣にお答え願ったから、時間の関係もあるから、いま大蔵大臣が来るようですから、先に急ぐようですからあれですが、いずれにしましても、大臣がそういう誠意を持ってこれからひとつ対処していく、検討するということですから、ぜひ、これは腹構えを決めて、薬の問題だけは勇断をふるって、実力ある大臣ですからひとつ答えを出してもらいたい、このことを強く申し上げます。
 それから次に、医療制度問題の抜本改正について、先ほど佐々木理事からもお話がございましたが、私は、次の点についてこれから入っていきたいと思います。
 まず最初に、医療費の増高傾向についてどういう認識をしているかということについて、まずひとつお伺いをしなければなりません。それは、御存じのとおり、昭和四十五年度二兆五千億円、五十年度は六兆五千億円、それから今年度は十一兆四千億に迫るということが推定をされているわけでありますが、この医療費の増高に対する有効な対策、今日の医療を考えるについて避けて通れない問題となっていると思うが、最近の医療費の傾向について大臣はどのように御認識をされているか、これをお伺いしたいと思います。
#37
○政府委員(大和田潔君) どうも、先生おっしゃいますように、国民医療費の動向というのは、やはり人口の増加、あるいは人口構造の老齢化、あるいは疾病構造の変化、医療の高度化というようなことで、かなりのピッチで医療費の増高が見られておるわけでございます。どうも、この傾向は今後も続くのではないかというふうに考えられるわけでございます。たとえば、昭和四十五年から四十八年あたりの国民医療費の対前年度伸び、あるいはそれ以後の伸びを見ましても、二けた台もかなり高いところに行っておるというふうなことで、これからもこういう傾向は続くのではなかろうか。一方、やはりどうも、国民経済の方は余り急速な成長、高度成長というものは期待できないというような時期に相なってきたというところに、ひとつ大きな問題があろうかと思いますが、いずれにせよ、先生のおっしゃいましたように、この医療費につきましては、どうも医療費の増加傾向、先ほど申しましたようなことで増加傾向というものが出てまいっております。これからも続くのではないだろうかというふうに認識されるわけでございます。
#38
○対馬孝且君 これは、医療保険政策研究会で次のようなことを発表しておりますが、保険局長、これはどういうふうに理解しますか。これは健保連も主張していますが、医療費のむだの排除等があるが、医療費の伸びを分析し、その中から医療費の伸びそのものを適正に抑制する施策を提示したものは残念ながらいまだない、こういうことを断定して、医療保険政策研究会の意見の中に、これは健保連も言っていると同時に、同じ意見を出しております。この点あたりをきちっとやっぱり踏まえなければならない。先ほども指摘をしました薬づけ、検査づけの問題を含めて、医療構造の問題、こういう問題を含めてやっぱり見直してみるという段階に来ているのではないか、そこがやはり基本ではないのか。あなたが言うのは、それは一つの現象であるだろうけれども、私は、この点は重大なポイントである。なぜそういうことを言うかといいますと、四十五年度は、これは総額にして二兆四千九百六十二億、パーセンテージにして四・一〇、五十年度はここにありますように六兆四千七百七十九億、パーセンテージにして五・二二、五十三年度までしか出ていませんが、これは十兆四十二億円、これは伸び率にして六・〇三%、このような異常な伸びになっているわけです。あなた方はすぐそういう言い方をするんでありますが、私は、根本はこの医療の抜本改正を今日的に、この医療の増高傾向というものを基本的に見直してみるということがここに一つあるんだということを指摘したいんですが、この点、どういうふうにお考えになっていますか。
#39
○政府委員(大和田潔君) 医療費の動向の分析の問題かと思いますが、一つは、実は医療費の動向につきまして、自然増というものがかなり見られる。で、医療費の改定というものがその上にあるわけでありますが、自然増自体がかなり見られるんではないかというような分析があるわけでありまして、私どもも自然増を分析をいたしますと、どうもたとえば自然増でも、政管健保本人の場合を見ましても、五十四年度は五・七、五十三年度も四・二と、五十二年度は八・三と。家族の場合も、五十四年度が八・五、五十三年度七・〇、五十二年度八・九というようなことで自然増が見られる。国保もやはりそれを上回っての自然増が見られているといったようなことがあるわけであります。
 この分析をどうやるのかという問題がございまして、実は、私どもこの分析につきましていろいろと検討をしておるわけでございますが、なかなかつかめないわけでありますが、医療費の自然増の分析を、一人当たり診療日数が伸びているのだろうか、それとも一日当たりの金額というものが伸びているのであろうかというようなこと。つまり、前段は受診率、非常に、患者がお医者さんのところへ行く受診率が伸びているのだろうか、あるいはそうじゃなくて、一日当たり金額の方が伸びているのだろうかというような分析をしてみますと、やはり、その受診率を含めました一人当たり診療日数の伸びというのは、それほどこれは伸びていない、伸びていないというよりも、横ばいないしは、たとえば政管健保の本人の場合はむしろちょっと下減ぎみなところがあります。家族の場合は大体横ばいと。国民健康保険の場合は微増といいますか、多少伸びておりますけれども、本当に微増であるというようなことが言えるわけでございますが、一方、一日当たり金額の方はかなり伸びておると。一日当たり金額は、五十四年度七・五%、政管健保の本人であります。家族の場合は八・〇、国保の場合は八・八というふうに伸びてきておるわけでありまして、数年間の伸びを見ましても大体その程度の伸びというものは自然増で見られるわけであります。
 そういったことからいたしますと、どうもやはり一日当たりの金額というものの伸びが、医療費の増高というものにつながってくるのではないだろうかということがわかるわけでありまして、まあこの一日当たり伸びというのがどういったようなものに原因するかという、いろいろあるわけでございますが、これに対しまするやはり原因といたしましては、先ほども触れましたように、やはり年齢構造の変化であるとか、疾病構造の変化、あるいは医学、薬学の進歩による医療の高度化というようなことが挙げられるわけでございますが、いずれにいたしましても、さらに私どもはこういった自然増というものに対しまして分析を行いまして、適確な医療費の適正化対策、適確な措置をとっていかなきゃならないというふうに私ども考えておるわけでございます。
#40
○対馬孝且君 いまあなたの答弁聞いておっても、まだ原因に対するこれが医療増高の最大の原因だということが確信を持った答えになっていませんね。
 私は、今日の医療費の増大要因というのは、もちろん医学、薬学の進歩もあるでしょう。あるいは医療支出の、いまあなたが言うた一人当たりの増高傾向もこれは数字ですから否定はしません。問題は何かと言えば、私は、半面これは薬づけ、検査づけに代表される医療費のむだ遣い、乱診乱療というものをやっぱり指摘せざるを得ません。したがって、この国民医療に望ましい発展のためには、ここにありますように、医療費の増大、赤字原因の究明というものが徹底的になされて、その基本に立って、これからの健康保険法の改正、あるいは医療の抜本改正はどうあるべきなのかと、これがやっぱり基本になって改革がされなければならない、こういう本質に立つべきではないかと、私はこう思うわけです。この点どうですか。
#41
○政府委員(大和田潔君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、やはりこれらの数値等から見ますと、医療費に対して薬の占める割合が多いということ、これはもう確かにそのとおりであります。それから検査の占める割合、これが年々ふえてきております。最近ではパーセンテージ、医療費の医療行為の中で点数の占める割合が一〇%に達したというようなことでございます。
 まあ、そういう事情があるわけでありまして、それをそれじゃどうやるかという問題、対策の問題でございますけれども、やはり私どもといたしまして、薬につきましては実勢価格と薬価基準と、この間の乖離というものがある。これをやはり埋めていかなければならないという問題があるわけでございます。
 それから検査づけにつきましては、まあいろいろと論議があるわけでありますが、いずれにいたしましても、そういった対策を進めていかにゃなりませんし、また、不正請求あるいは不当請求といったような場合には、これに対して厳正な態度で臨まなきゃいかぬ。つまり、指導、監査の問題であります。そういったようなことも進めていくことによりまして、総合的に医療費の適正化対策、医療費の効率的な使用といったものを進めていかにゃならないというふうに私ども考えておるわけでございまして、それ以外に医療費通知というものも進めていかにゃならぬ。いろいろな私ども知恵を出しながら、これらの医療費適正化対策を進めていかにゃならぬということはおっしゃるとおりでございます。
#42
○対馬孝且君 私の指摘をそのまま認めましたから、あえて重複する必要はありませんけれども、これもエコノミストの九月三十日号に出していますが、これ、こういう結果になっていますね。これは、仮に全医療点数を一〇〇%として割合を見てみますと、「薬剤費の二九・三%をトップに、入院費一五・九%、診察費一五・六%、検査費一一・二%、注射費一一・一%となっており、薬剤費と注射費で四〇・四%を占める。また、健保財政の赤字要因として注目される老人医療(被扶養者分)をみると、薬剤費(二八・九%)と注射費(一六・五%)」ですから、これだけで四五・四%を占めてるわけです。これをもっても、あなたがいま認めましたから、私はあえてその確認の意味で言うんだが、これだけの薬づけ、薬だけとってもこれだけあるんですよ。これ、私が言ってるんじゃない、エコノミストの九月三十日号にこういう発表をしている。だから、こういう問題から言って、私が言いたいのは、そういうものがはっきり解明されないうちに健康保険の改正あるいは医療法の抜本改正というものに取り組むとするならば、その赤字の原因、医療費の増高原因というものをはっきり確認をして、その基本を土台にして改革というものはなされるべきものではないかと、まああなたが実態をお認めになっているから、私は何も言うわけではありませんが、そういう基本に立つべきではないかということについてどうですか。ひとつ大臣から、今後の問題としてお聞かせ願いたいと思うんです。
#43
○国務大臣(園田直君) 医療費の増大、赤字の増大、これの原因がどこにあるのか。これを検討を急ぐことは御指摘のとおりであり、全力を挙げてこの解明をしたいと考えております。
#44
○対馬孝且君 いま大臣が、指摘されたとおりだということで、これを解明して、これから対処してまいりたいと、こういうことでありますが、しかし、本来ならば私は、今回の改正案の前に国民の前に明らかにして、その基本に立ってやっぱり私は解明をさるべき問題だと、こう思うんです。それがどうも、改正の方が先になっちゃって、根本の原因解明がこれは全然されないままに、ただ財政的な現象面からだけ初診料が何ぼ、あるいは保険料率が何ぼと、こう出てくるところが国民が疑惑を持つ最大の要因になってるわけです。この点ひとつ大臣、私は、あなたが、そういうことで取り組むのが基本的なやっぱり姿勢であると、こういうことを言ってますから、これからそういう意味でひとつこれ、取り組んでもらいたいと、このことを申し上げます。
 そこで、保険局長もいま認めておりますから、もうあえて言うこともないんだが、私は、まあここでやっぱり言っておかなきゃならぬというのは、超高額な請求の一例がこの健保連で出されていますね。これはどういうことかといいますと、高額請求分の患者一人一月当たり五百万以上の請求の調査の一例として、一件当たり最高点数、これ大阪府の国立医療機関の場合に、下腿静脈血栓症等の三十日間入院した患者が五十三歳の方で九百四万円という実は医療費を払っている。このうち注射が九四・七%を占め、また一カ月間に九百八回の注射を受けたという実例が指摘をされております。この事実はお認めになりますか。
#45
○政府委員(大和田潔君) 事実はございます。おっしゃいますように、国立循環器センターにおきましてそういう事実があったことは承知いたしております。
#46
○対馬孝且君 いま事実はお認めになりますということですから……。
 それでは、私が素人で考えてみても、いま言ったようなことがどうも釈然としないということになりますね。どうしてこんな九百なんて、ちょっとまるで気が遠くなるような数字、私に出せと言ったって、これ出しようがない、率直に言って。しかし、問題はこういう異常なまでになってしまっているということは、それは医師として生命を守るという立場から善意でおやりになったと言えばそれまでのことなんだが、それはそういう精神に立ちたいと思うんだが、ところが立てないんだね、実態をよく聞くと。私も聞いてみましたけれども……。この点からいくと、私はいま一番やっぱり何が問題かと言えば、やっぱり保険給付率それから負担の関係等議論しても、結果的にやっぱりこの基本が解明されなければ、ざるに水を盛るようなものと論断をせざるを得なくなってしまうんではないかと、こういう懸念をするわけです。
 私はやっぱりこういうことが一体どういうことなんだと、これは善意で言うと、いや医者は何とか生命を保つためにと、こういう答弁になるでしょうけれども、しかし、そうではないという事実がむしろあるわけだ。私もこれはいとこが医者ですからね、この間北海道へ帰って二、三病院実際に実情当たってきました。こんなこと言いたくないけれどね。いまのあれからいくとそうせざるを得ないやっぱり医療の制度になっているとこう言うんだ。これは率直に申し上げますよ、私は。たとえば札幌の例を一例申し上げますけれどね、もういまホテル化だ、病院はもうホテルですよ。もうだんだん、どんどんホテル化して、そしてもう高層あるいは富士見病院に見られるようなああいう例と同じように新しい物、そして施設は完備をされ、ホテル化していっている。こういうそれを、七年間で償還するというわけでしょう、銀行から借りれば。七年間で償還をするとしたらそうせざるを得ないと言うんだよ、これ本音を言わしてもらうと。これは全部とは私は言いませんよ、私の当たったところでは良心的に――まあ私のいとこは、ちゃちな病院ですけれどもね、札幌でやっていますが、三十床ぐらいですからちゃちなんですけれども。そうでなくて、そういう大型、いわゆるもっと言うと、これはもう医療でなくて、人の生命を守るということでなくて、まさに商業化してしまっているという医療制度、こういう問題について、私はやっぱり根本的ないま見直しをしてみる必要があるのではないか、このように考えるのですが、この点どうですか、どういうふうに受けとめていますか。
#47
○政府委員(大和田潔君) いま先生の御指摘になりましたのは、非常に実はむずかしい問題でございます。これも九百四万円というこれを使いましたのは国立循環器センターでございまして、そこで問題は、この診療の当不当という問題でございます。先生も御指摘になりましたように、これはもうやっぱり人の生死という、こういうようなことになる。人の生死。そういった場合に、もうやはり医師としてできるだけの医療を行うことによって人の疾病に対して治療を行いたいという、そういう気持ちが実はあろうかと思いますので、そういった場合には患者に対する医療というものが、一概に不当であるというふうに決めつけるのがなかなかむずかしい、こういう問題が実はあるわけでございます。確かに高い医療でございますけれども、そういうような場合にやはり必要かなと。したがいまして、総点数とか注射の全点数に占める割合から直ちにこれは不当だというふうに言うわけにはいかないわけでございますが、診療内容のやはり問題、これはここまでやらなくてもいいじゃないかという診療内容がある。これは言うならば濃厚診療というふうに言えるかと思いますけれども、やはりこういう患者にここまでやらぬでもいいじゃないか、通常の医療でいいじゃないかといったような場合があるわけでありまして、そういったようなものを判断するには、現状では指導、監査という方法による以外にないわけでありまして、今後ともそういうことで本当に不当な医療というもの、余りにも濃厚な医療といったようなものが行われているようなケースは、もちろん私どもといたしましては積極的に指導、監査を充実いたしましてこれを是正していくということは当然のことであろうと思います。
#48
○対馬孝且君 先ほど大阪府の実態をあなたは率直に認めましたから……。私が言っているのは、やっぱりその指導、監査ということももちろんそれは必要でしょう。しかし、私がなぜこういうことを指摘をせざるを得ないかということで、いま、後からまた改革問題で私は申し上げたいと思っていますから重複を避けますが、一例を挙げれば、私が言ったようにこれは過剰なやっぱり医療投資、それから過剰な医療の基準というものに対して、何らの、これは指導、監査という言葉はある、言葉はあるが実態が伴ってないんだ、はっきり申し上げて。だから私はそういう意味で大阪府の実態だって、こんな九百八回も注射を、先ほど指摘したようにこれだけの注射をあなた打たなきゃならぬというようなことは、どなたが考えたって、これは――私もいとこに聞いてみましたよ。そうしたら、そんなことは考えられないと言うんですよ、考えられないと。あなたはいま肯定したようなことを言うけれどね。医者としても、これは医者でももちろん個人差はあるでしょう。しかし、私のいとこだって医者なんだけれども、そういうことは考えられないと言うんですよ。
 なぜ考えられないかといったら、やっぱり結論はそこにいくんですよ。結局それは本当に生命を守るということも考えて、それは善意だったかもしらぬが、やっぱりそういう総合的な、いま私が言ったように高層ビルみたいになってホテル化しちゃって、そこに過大な設備投資をする、高度な医療機器を入れる。もうこれは医療行政ということよりも、いわゆる医療ではなくてもはや商業化してしまっている、商業行政になってしまっている。商業、商売なんだということが先行しているところに基本的なやっぱり問題があるんだということを私は受けとめないと、これはやっている本人は善意でそれはやっているかもしらぬよ。しかし、制度上結局銀行に七カ年で償還しなきゃならないとするならば、心の中では善意だと思ったって、やっぱりかせぎまくる以外にないでしょう、何ぼうまいこと言ったって、それは。金は返さなきゃならないんだから。やっぱりそこらあたりにぼくは指導、監査って言葉では言っているが、それじゃ指導、監査がどこまで行われているのか、この点ひとつもうちょっと明確にしてくださいよ、それじゃ。
#49
○政府委員(大和田潔君) 不正請求の場合は、指導、監査、これはわりあいに技術的に簡単でございますが、いまのような濃厚診療、不当な診療の場合はなかなか技術的に困難な面がございます。しかしながら、こういった濃厚な不当診療を放置するというわけにはいかないと、ただいま先生御指摘のような問題がございますので、昨年、五十四年の一月に不当な診療につきましても指導、監査を行っていく、こういう通達を出しまして、不当な診療につきましての監査体制というものをとってまいったわけでございます。しかしながら、これにつきましては医学的な問題が絡みますので、なかなかむずかしい問題でございますけれども、これは逐次この不当な診療に対する監査というものを進めていくという体制を、いまとっておるところでございます。
#50
○対馬孝且君 そこで、私は前回もちょっと同僚委員が触れていますけれども、私は指導、監査だけで現在の医療体系の問題は解消されると思いません。これは私もずっとお医者さんに聞いてみた結果なんですからね。私はやっぱりこれは根本原因は、この前も同僚委員からも若干出ましたけれども、やっぱり出来高払い制度の矛盾に起因している、出来高払い制度というそのこと自体が基本の問題であるというとらえ方をしないと、やっぱり厚生省はただ指導、監査指導、監査とだけ、強めれば問題は解消すると思ったら、これは本質的な解消になっていかないんじゃないか。たとえば都道府県の一件当たりの同一疾病の給付について、この前も出ましたいわゆる西高東低、入院日数が世界で一番長いということが前回の健保法審議の際にも指摘されていますが、ここで根本的な原因にやっぱりメスを入れる、ここらあたりが一番基本ではないか、私はこう考えるわけです。だから、出来高払い制度というものを、これをいま日本の医療体系上、これはこの前大臣も、これはひとつ徹底的に洗い直してみて、これからどういうふうにしていくかということは検討するということであったが、いずれにしましても、この問題が基本であるということを私は、厚生省は見直す時期に来ているんじゃないか。この点についてひとつ、むしろ大臣からお答えを願いたい、こう思っておるわけです。
#51
○国務大臣(園田直君) いまの御意見と事務当局の答弁のやりとりを聞いておりまして、このようなことに対して厚生省は、専門的な事項については立ち入る権限がない、指導、監査にまつ以外にないということできているわけでありますが、しかしまた、その指導、監査による以外はないというのは、患者を診なければわからない、患者を診断したお医者さんでなければわからぬと、こういう専門的なことは別でありますが、ちょっと医学の知識のある人が見れば、そういう非常識なことはあり得ないということまで、専門的な内容に立ち入ってはならぬという一言で押し切られてきたところに、今日いろいろな問題が起こっておるような気がいたします。そこで、この点についてはもう少しお医者さんや医療に従事する方や、いろいろな審議会とも相談をして勉強をする必要が間違いなしにある、ただ専門的なことは口を入れられません、こういうことでは、いまのままの状態が続くんじゃないか、こう心配をいたしております。
 かつまた、出来高払いでありますが、出来高払いの制度ができてから十八年、定着をしたと。したがって、これはなかなか受給者の数やあるいは給付率の相違などから見れば簡単にはいきませんということで、これは相当長い間厚生省、同じ答弁で続いてきているようで、私もその答弁を教わりました。しかしこれは、正直に考えまして、それならば皆さん方のおしかりを退けてこの出来高払いを守っていけば、あと何年それが続くのか、私はやっぱり何かこう行き詰まるような気がいたします。この出来高払いについては、健保の改正の案についての条件とかそういうことではなくて、真剣に考えるならば、いまの出来高払いを急に切りかえることも不可能でありましょうけれども、これに一部ほかの方法を導入するとか、あるいは老人医療の際に何か考えるとか、混乱なしに出来高払いから適切なところへ持っていく一つの窓口ぐらいは考えなきゃならぬ時期に来ているんじゃないか、私もそのように考えますので、よく勉強してみたいと思います。
#52
○対馬孝且君 いま大臣から、いままで答弁なかったことをかなり――十八年間、いままでは定着をしてきた、これを何とかひとつ継続さしてもらいたいという答弁でございましたけれども、いま大臣のお答えを聞きますと、この際これだけはやっぱり、もうマンネリ化しているというよりも、この古い制度だけに定着していればいいという段階ではないと私は思う。決して私は政府側を責めるとか厚生省を責めるとかという意味で言っているんじゃないんです。私はこれから、先ほども同僚の佐々木委員からも言ったように、高齢化社会を迎えて大変な事態になってくる、こういう医療体制というものを、こういう機会にやっぱり抜本的に見直してみる必要があるんだと、これは後から申し上げますけれども、諸外国ではやっぱり出来高払い方式というものを改めて、一応その国の諸事情ももちろんあると思いますが、もう出来高払い制度から脱皮をしていっている傾向が実は出てきている。そういう意味で、医療制度の改革の時期に、この問題についてはひとつ十分に研究、検討してみたいという大臣の積極的な姿勢を私は評価をいたします。
 いま一度確認の意味で申し上げますが、ぜひこれはひとつ次の改革の時点で、この出来高払い制度の改革を審議会なりあるいは答申を出してみる、あるいは論議の話題に上させるということはどうですか。これはひとつ大臣として検討してみてもらえませんか。
#53
○国務大臣(園田直君) これは御想像のとおり大変なことだと思います。しかし大変なことではあるが、このままでいけばいつかは行き詰まる、こういう両面を考えて厚生省自体が真剣に勉強すべきことだと考えております。
#54
○対馬孝且君 まあ私は、いまそういう答弁ですから、ひとつぜひ私のあれとしては審議会あたりで、この改革は一挙にできるとは思いません、思いませんから、この際ひとつやっぱり審議会あたりを通してそれは発議をした方がいいんではないか、こういう考え方に立たないと、もうただ十八年間定着したんだから定着したんだからと言ったって、定着したことが、いままで私が挙げた薬の問題にしたって、検査づけの問題にしたって、あるいは医療の構造の問題にしたって、幾つか挙げましたが、そういう問題が挙がってくるわけですから、このことをひとつ積極的に踏まえて取り組んでもらいたい、こう思います。
 それじゃ大蔵大臣が来たようですから、質問者とかわります。
#55
○委員長(片山甚市君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#56
○委員長(片山甚市君) 速記を起こして。
#57
○安恒良一君 大蔵大臣に来ていただきましたから、許されました時間の範囲内で、国庫補助連動問題に限定をして大蔵大臣に質問をします。
 四十八年に保険料率に弾力条項が導入されました。それと同時に定率の国庫補助制度が設けられた。それまでは、実を言うと政府管掌健康保険は定額の補助であったわけであります。そこで、四十八年、それができるときの議論でありますが、政府管掌健康保険は体質的にも財政基盤が、保険料収入それから給付の両面で非常に脆弱である。これはなぜかというと、民間の中小零細企業の労働組合でつくっている。そこで、社会保障的な立場から政府が一定の財源を負担をするのが当然である、こういうことで実は四十八年の改正のときに、それまでの赤字をたな上げをして、そしてそれまでは定額補助、年間二百二十五億であったのを、まず定率に切りかえると同時に弾力条項がそこで設定をされましたので、いわゆる保険料率については弾力条項を設け、保険料を一%上げるごとに給付については国は〇・八%積み上げる、こういうことになったのでありますが、そのいきさつについては大蔵大臣は御承知でしょうか。
#58
○国務大臣(渡辺美智雄君) 委細は承知しておりませんが、そのようないきさつがあったとも聞い
 ております。
#59
○安恒良一君 なお、当時この問題の提案説明に当たられておりましたのは齋藤厚生大臣、そして齋藤厚生大臣は次のようなことを国会の中で、私ここに議事録を持っておりますが、同僚委員の質問に対しまして答えられているのであります。いわゆる、なぜ弾力条項を設定をしたのか、こういうことに対しまして齋藤厚生大臣は、これはいわゆる三者三泣きである、いわゆる政府管掌健康保険というのは零細企業であるので、これから保険料率を上げるときには労使にもひとつ泣いてもらう、しかしながら国もそれに応じて財政支出をしていく、こういうことで最終的に参議院修正で一%について〇・八ということが実は決まったわけなんです。これは当時の議事録をここで私が見ますと、今後保険料の増額の際には三者三泣き、すなわち一%という保険料はどのくらいかというと、当時だと百十億ですから、労使が五十五億、その五十五億を負担していただいたときに国は大体四十億ぐらいの負担を出しましょうということで、制度的に非常に画期的なものである、このように私は考えている。こう厚生大臣が答弁をされて、いわゆる連動条項ができたのであります。この点についても御承知でしょうか。
#60
○国務大臣(渡辺美智雄君) 議事録にそうあるんでしょうから、それはそのとおりだと思います。
#61
○安恒良一君 議事録にあるでしょうからと言われましたが、このとおりです。これはしかも自民党の議員の御質問にお答えになっているわけです。でありますから、その精神からまいりまして、今回弾力条項だけは存置をする。現在の健康保険料は千分の八十でありますが、千分の九十一まで上げる余地を残す、こういうことですね。それに対して今回は、いわゆる弾力条項については国家財政の観点から当分の間は一六・四%とし、将来給付内容の変更または国の財政事情の変動の場合に検討するものとすると、こういうことになっている。そうしますと、これは三者三泣きというのがいつの間にやら二者だけ泣いて政府は泣かないということになりますが、そういう点について大蔵大臣はどうお考えでしょうか。
#62
○国務大臣(渡辺美智雄君) 政府が泣くという言葉がどうかわかりませんが、泣くにも泣けなくなるほど財政が厳しくなってしまったということも事実でございます。
#63
○安恒良一君 そうしますと、そこで私は、きょうわざわざお見えになったことについて、厚生大臣にはすでに提案をいたしまして、厚生大臣ぜひ大蔵大臣と御相談を願いたいということで提案をしていることがありますのは、いまあなたがおっしゃったように、三者三泣きという言葉は齋藤厚生大臣がお使いになったのですからそれを引用したわけでありますが、財政上政府が持てなくなったと、こうおっしゃるわけですね。そういたしますと、今回保険料率を一%上げますと二百九十億の財政支出になります。いわゆる保険者、被保険者は持ち出しになります。それから、いま言った〇・八は幾らになるかというと、これは二百三十億要るわけであります。そこで私は厚生大臣にお聞きしたのでありますが、この法案が通過したときに現在の千分の八十が幾らになるかということをお聞きしました。大体法案自体で八十四ないし五だろう。それから六年間で赤字負債を抱えているためにあと一%要ると、こう言われたわけです。そこでラウンドナンバーにいたしまして八十五というふうに保険料率が上がるといたします。そうしますと、保険者、被保険者は二百九十億の五倍、国がお持ちになるのは二百三十億の五倍でありますから年間に千百五十億あればこれはいままでどおり三者三泣きになるわけです。年間に千百五十億。しかも私は、民間の大企業の健康保険組合や共済のことを言っているわけじゃない。千人以下の中小零細企業の労働者に、社会保障的にも国が持つのが当然だ。しかも、画期的だということを四十八年に同じ自民党の内閣の大臣がお答えになっているのに、今回財政的に見るならば年間とりあえず千百五十億国が財政支出すれば三者三泣きになるんでありますが、この点について大蔵大臣としてどのようにお考えですか。
#64
○国務大臣(渡辺美智雄君) 四十八年当時は御承知のとおり高度経済成長の熟欄期の最後というような時代でございます。現在は、それから非常に大不況になって、それをかばうために国は莫大な国債を発行して現在までやってまいりましたが、すでにこれ以上国債を年々増発することは、日本経済の根幹を脅かすような問題になりかねないというような観点から、ともかく来年度は二兆円も国債を減額をして健全財政の方向に向かわなければならない、こういうような時代を迎えたわけでございます。したがいまして、その当時としてはそういうようなことが言えたと存じますが、それから七年たった現在、世界に例のない、日本のようにともかく医療保険制度に対して十数%というような国庫補助をしている国は私は寡聞にして知りません。ドイツにおいてもフランスにおいてもアメリカにおいても、国家が医療制度に大幅に補助をしているという国はないと思います。したがって、日本といたしましても、財政が許すならばそれはいまの考え方もりっぱな考え方だと存じますが、現在、諸般の事情また世界の状況等に勘案をいたしまして、当分の間国庫補助率を上げることができないというような点から、このようなことになったわけでございます。
#65
○安恒良一君 高度経済成長政策が低経済成長になって、大変被害を受けているのは国だけではないわけです。労働者も受けているわけです。そういう中で今回、依然として労働者については少なくとも千分の八十を九十一まで上げ得るという、政府としてはフリーハンド。私はこのことについて非常に反対しているのは、いままでは保険料率を上げるときには国の持ち出しもありましたから安易に保険料率を上げられなかったと思うのでありますが、今度は政府は持ち出しがないとすると、医療費の自然増がありますとどんどん保険料率が上がっていくのじゃないか、こういう歯どめがかけられなくなるのじゃないか、こういう点が一つ。
 それから、最後に大臣に一つ問題を提起して御相談を願いたいのは、そこまで大臣おっしゃるならば、三者三泣きは画期的なことと言われたんですから、とりあえず今回の政府管掌健康保険の保険料率の改正は、八十五なら八十五もしくは八十六で固定をする、そして本当ならそれは連動しなければならぬけれどもそこだけはひとつ泣いてくれと。そして今度八十五からまた上げるときには法律改正事項として国会で相談しようじゃないか、こういう提起があっていいんじゃないですか。三者三泣きで、国家は財政赤字だからもうここは勘弁してくれとおっしゃっているわけですから、それならばせめて八十五とか八十六をここで審議して、それに必要な法を決めておって、保険料率の上限だけ政府が弾力条項で上げられるということをやめるということを、どうして御検討にならないのでしょうか。その点については、私はこの前園田厚生大臣に、ぜひ大蔵大臣と御相談をしていただいた上で御返事をいただきたい、こういうことを言っておりますから、どうかひとつその点の扱いについては、大蔵大臣、一遍厚生大臣とどう扱うのかということについて御相談をお願いをしたいと思いますが、どうでしょうか。
#66
○国務大臣(渡辺美智雄君) 園田大臣からの相談もございましたが、御要求のようなことはきわめて困難だというように申し上げたわけであります。先生のおっしゃるのは、政府の助成というものがあれば、それが出せなければ保険料率も動かせないからブレーキになるじゃないかと。それはしかしながら、千分の八十から九十一と一・一%の中での話ですね。一・二%の中での話であって、大幅な保険料値上げというような話では実はない。微調整といいますか、一%の話です。そこで私どもとしては、医療は保険制度でございますのでやはり上げる方ばかり上げるということじゃなくて、まず出る方についても徹底的なメスを入れていただいて、そしてともかく、全部の医療が健全に必ずしも行われているかどうか非常に疑問のあるところでもございますから、医療の出費についてもひとつ厳正に公平な、むだのないやり方をやっていただきたいということを、厚生当局にはお願いをしておるところでございます。
#67
○安恒良一君 あなたの微調整というところがもう全然財政担当、大蔵大臣として……。というのは、もう一遍申し上げますと、千分の八十が千分の九十一になりますと約三千億保険者と被保険者は保険料をよけい納めるわけなんです。三千億ですよ。そうして保険料率を一%上げると二百九十億なんです。それから国が持ち出すやつ〇・八は二百三十億なんですね。三千億も持ち出すことになるわけなんです。そのときに、国はもう財政上赤字だから持ち出せないとこうおっしゃるんだったら、三千億も持ち出さずして、現在の千分の八十が当面必要な金が千分の八十五とか六ということを厚生省が計算して言っているわけですから、そこで法律を決めて、それから先持ち出すときには、改めて国会に御相談をされたらどうですかと、こう言っている。そこだけはフリーハンドで持っておこうということじゃ、全くいわゆるこれをつくったときの精神から言ってもこれはつじつまが合わないことじゃないでしょうか。また、諸外国の例を言われましたけれども、これはあなたもこの方面いろいろ本書かれていますけれども、諸外国では全くむだ遣いができないような、医療のシステムがもう全然違うわけです。たとえば現物給付出来高払い制度なんかやっている国はないんですよ。総額請負方式とか人頭払いとか、そういうことをきちっとやっているわけですね。それなのに、あなたはそこのところをネグレクトして、日本のように一六・四も持っているところはないなんという、ちょっとあなたがお書きになった本とは、大分やはり大蔵大臣になると違うことを言われておるような気がしますけれども、そういう中で、私がいま言っていることについて真剣に考えてほしいのは、どうしても財政上の負担で当面は出せないというなら、そのことについて五%や六%はやむを得ないでしょう。しかしそこで頭打ちをして、後八十五ないし八十六を変えるときにはまた国会に法律改正として御相談をされたらどうですかと、こういうことを言っているんですが、どうですか。重ねて聞きます。
#68
○国務大臣(渡辺美智雄君) たとえば千分の八十から九十一にするのは弾力条項だと、こう申しましても、やはり被保険者に迷惑の、迷惑と言っちゃなんですが、負担のよけいかかる話でありますから、これは安易に、弾力条項をいただいておるからといって厚生当局が安易にそれを上げる、金が足らぬからすぐ上げるというような姿勢はそれは絶対にとらないと私は思います。それと同時に、やはりドイツも日本も出来高払いであることは間違いないんです。ただ、総枠を確かに医師会と保険組合との間で決めているということも事実でございます。したがって、いろいろそういうところを勉強しながら、やはりその出費がよけいにならないように、それはいろいろ創意工夫をしていくということは必要だろうと、かように考えております。
 なお、私いま知事会議をやっておりますものですから、これにて申しわけありませんが、御無礼をさせてもらいます。
#69
○安恒良一君 大臣が退席されましたから、あと残っておられますからね、私は私の時間の範囲内でそこをちょっとお聞きをしたいんですが、いまどうしても私は医療費の総額の歯どめの問題は、出来高払いであっても、いわゆる総額請負方式とか人頭払いと、現物給付出来高払いでは非常にこれは違ってくるわけです。そのことを大蔵省の官僚と論争しようと思いません、これはあなた専門じゃないんだから。
 そこで、私がお聞きしていることは、いわゆるじゃなぜ千分の八十五なり六いま要るやつに固定をしないのかと、これはなぜ大蔵省に執拗に聞くのかというと、このところは厚生省の考え方を大蔵が頑強に否定をして連動条項を打ち切ったと、こう言われているわけですね。たとえば一つの例を挙げましょう。いわゆる四党合意というところで自民党の国対委員長を交えて四月の二十五日のときの、連動条項について、私たちが国対委員長からわが党が聞いたときは、最初は全部連動すると、こういうことが自民党と話がついたと、こういうことです。そこで、私たちは千分の九十一になると、連動すれば政府負担は約二十六になるよと、こういうことを言ったわけです。その後第二段階で返ってきたものは、いや千分の二十を超えると非常に大変だから、とりあえず千分の二十までは連動する。それから先は〇・四ずつの連動と、こういうことで国対委員長会談の中で話が済んだと、こういうことを聞いておる。ところが、連休が明けてみたら自民党の医系議員を初めとする物すごい党内造反があってこれが流れ、加えて六月の総選挙で衆参で自民党が安定多数を得た。そうすると一挙に今度は連動は全然なしと、こういうふうに変わっている。その連動は全然なしと変わっているところの元凶はどこかというと、それは大蔵であると、こういうようにわれわれは聞いていますから、重ねて私は三者三泣き非常にりっぱな画期的な制度だと自民党の大臣みずからが提案をしているのを、高度経済成長から低成長になったからということで、なぜ国民いわゆる保険者と被保険者だけを泣かせるんですか、政府はなぜ支出をしないんですか、そのことについてお聞きをして終わりたいと思います。
#70
○政府委員(矢崎新二君) 先ほども大蔵大臣からお答え申し上げたところでございますけれども、現下の財政状況というものはきわめて急迫をいたしております。これ以上の国庫補助率の引き上げというものには耐え得ない状況に至っているわけでございまして、また、その医療保険制度というものは、先ほどもお話が出ましたように、やはり各国の状況を見ましても原則的には保険料で賄っていくということが基本的な考え方ではなかろうかということも考えておるわけでございまして、そういったようなことを総合判断いたしまして、私どもは国庫補助についてこれ以上の連動を続けるということはできないと、こういう判断をいたした次第でございます。
#71
○委員長(片山甚市君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五分開会
#72
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#73
○対馬孝且君 先ほど申し上げた出来高払い制度に対する大臣の所信はわかりましたが、だめ押しの意味で申し上げておりますから、その点もう一回、答弁を聞かずに大蔵大臣に入ったものですから、その点ひとつ再確認の意味で。
#74
○国務大臣(園田直君) 現在の出来高払いのためのいろいろな弊害、あるいは各種の意見が出てきております。これは十八年間も定着しておって、これを変えるとなると大変な作業で、混乱もあるわけでありますが、しかし、このまま続けてこの保険財政がいけるかどうかということもまたこれ反面大きな問題であります。したがいまして、どのように混乱なしに、どのように各位の意見を入れながら逐次一つの方向に移っていくか、こういう重大な時期に来ていると思いますので、御意見を踏まえて、よく厚生省は検討をいたします。
#75
○対馬孝且君 そこで、いま大臣がそういう答えをいたしておりますから、私は事務当局にひとつ確認の意味ではっきりしておきたいんですが、これはこの前の一九七七年三月、厚生省が出来高払い方式に対する点数制度の問題点として指摘された事項が七項目ございます。これをひとつ確認していいかということ。私は大臣がそういう答弁しているから、第一点は、患者が多くないと医業が成り立たない、これが一つ。二つ目は、医薬品を大量に投与しないと点数が増加しない。より高価な医薬品を投与しないと点数がふえない。反復施療が多い医師の方が名医よりも点数がふえる。それから施設の良否の差は点数に反映されない。診療時間の長短に応じた点数が認められない。それから病名をたくさん列挙しないと点数が増加しない。こういう点が現在の出来高払い制度の問題点として実は挙げられているわけです。この点をひとつ確認できますか。
#76
○政府委員(大和田潔君) いろいろいま先生がおっしゃいました点が問題点として指摘をされておるわけでございます。これにつきまして、しからばどういうふうに考えるかという問題であろうかと思うわけでございます。したがいまして、逐次いま先生おっしゃいました点につきまして、どう考えるんだということにつきましてお答えをさしていただきたいと思います。
 患者が多くないと医業が成り立たないという指摘があるじゃないか。これに対してどう考えるのだということでございます。これは、先般中医協が実施いたしました医業経営実態調査の結果を見ましても、病院、診療所とも専門職種に相応のこれは医業収入を上げていることが示されたわけであります。したがいまして、患者が多ければ確かに医業収入が増加するのは事実でございますけれども、僻地とか離島のような特別な地域を除きまして、一般には医業経営が成り立たないというような例はまれではないかと、つまり患者が多くないと医業が成り立たないと、こういうようなことでございますけれども、一般には医業経営が成り立たないというような例はまれではないかというふうに考えるわけでございます。
 それから、医薬品を多量に投与しないと点数が増加しないというような御指摘でございます。確かに現状では、医薬品を多量に投与すれば点数が増加するということは事実でございます。ただしかし、それかといって、妥当適切にこの投薬は行うべきものと、これはもう当然の話でございます。こういうようなことで、これは医薬品を多量に投与するということはやはりここにあるように、いろいろ点数を上げるために医薬品を多量に投与するということは、先ほどのお話の中で上げるとすれば、これはもちろん好ましくないということでございまして、これは今後とも医療機関に対する指導を強化してまいりたいと、こういうことでございます。
 それから、より高価な医薬品を投与しないと点数が増加しないというこういう指摘。これは確かに高価な医薬品を投与すれば点数は増加するということは事実でございます。しかし、これも御案内のように投薬というのは個々の患者の症状に応じて妥当、適切に行われるべきであることはもう言うを待たないわけでありまして、点数を上げるだけのための目的で、より高価な医薬品を投与するということはもちろんこれは好ましくないと、こういうことが言えるわけでございます。
 それから、反復施療が多い医者の方が名医よりも点数が増加するという、こういう指摘であります。これまたやっぱり、反復施療すれば点数が増加するというのはそのとおりでございますけれども、病気によりましては当然のことながら、反復施療が必要なものもあるわけであります、当然のことながらそういうものもあると。また反復施療が多いからといって、一概に名医ではないというわけにもいかないという問題がある。しかし、患者の診察に当たって十分にやはり問診を行う、あるいは症状に応じた妥当、適切な検査を実施する、重点的な治療を行うべきであることはもちろんこれは当然のことでございます。これからそういう方針で、そのような方針で従来からも行ってきたわけでありますが、今後とも保険医療機関を指導するということは言うを待たないところであります。
 それから、施設の良否の差は点数表に反映されないということでございます。施設の良否の判断を何によって行うかということにつきましては問題がございますけれども、たとえば入院の室料につきましては、新しい部屋と古い部屋との間に点数表で差をつけていない、その限りにおいては御指摘のとおりではないかというふうに思われますが、しかしながら、たとえば設備の面を見ますと、特殊疾患収容施設管理料あるいは特定集中治療室管理加算等につきましては、やはり施設基準に適合しているものにつきましては、それに応じた点数を加算をしておるというようなこともございまして、その面では点数表の上で考慮しておるということが言えるわけであります。施設の良否に応じてきめ細かく点数表に反映させるというのは実は望ましいことでございますけれども、なかなかこれは評価がむずかしい、直接診療内容に影響するもの以外のものにつきましては、点数表に反映させることはなかなかむずかしいというような問題がございます。
 それから、診療時間の長短に応じた点数が認められないという、こういう御指摘があるわけでございますが、これに対しては初診料とか、再診料といったようなものに時間制を導入することは合理的ではあると思いますが、なかなかこれはむずかしい問題でございます。一体時間をどのようにして区分して開始時間とか、終了時間を逐次区分して記載するかというのはなかなかむずかしい問題でございます。ただ、往診料等につきましては、所要時間を勘案して点数を設定をしているところでございますので、若干は診療時間の長短に応じた点数というものを認めるところでありますけれども、全般的には確かになかなか認められていない。
 それから最後でございますけれども、病名をたくさん列挙しないと点数が増加しない。こういう御指摘でございます。この点につきましては、点数を増加させるために医学常識を越えた検査や投薬を行うと、それを正当化するために病名を列挙するといったようなことは全く不当な診療でございます。そういったようなことのないように、これは従来とも注意をしてまいったわけでありますけれども、これからもそういうことのないように医療機関に対する指導を強化するということにいたしたいと思うわけでございます。病名というのは医者の診療結果に基づいてカルテやレセプトに記載さるべきそういう性格のものでございますので、これから今後ともそれは注意して指導していかにゃならぬというふうに考えております。
#77
○対馬孝且君 いま私は七点具体的に挙げました。あなたはいまこのことについては肯定するもの、あるいは改革をするもの、それから指導を強めるものと分けて、三点ぐらいに要約して答弁を願ったわけですが、やっぱり答弁をされていること自体も私はやっぱり抽象的でないかと、このことにどう答えていくのか。私が指摘する前に一九七七年三月厚生省が出来高払い方式における点数制の問題点としてこれ指摘されたわけですから、その問題点としていまあなたお答え願ったけれども、そのことがなされていないから、先ほども私は大臣に詰め寄ったのは、もはや出来高払い制度というのは、今日の段階ではいわゆる医療の本質を改善することにはならないと、後から申し上げますが、現にイタリアでは一九七八年国民保健サービス法に基づいて、これまでの出来高払い方式から住民の登録人頭払い方式と大転換を図っているわけです。
 したがって、問題は私は事務当局に問題があると思っているんですよ。大臣は先ほど言っているように、出来高払い制度がいつまで、十八年間やってきたからここでひとつというのじゃなくて、やっぱり従来のしきたりから、ここにいま壁にぶち当たっている、富士見病院に見られるような氷山の一角が、ああいう実態を契機に、あるいは高齢化社会を迎えて、この際出来高払い方式というのは見直して、積極的にひとつ検討していきたいと、こう大臣の答弁があるから、私はいまここでとまっているんだけれども、問題はこういう実態があるにかかわらず、しかもイタリアの場合でもほかの国でもやっているにもかかわらず、なぜ日本の場合はこだわるのかというのは、私は厚生官僚にあるというんだ、私の言いたいことは。厚生官僚自身がやる気がないから、今日の出来高払い方式が、たとえばイタリアのように人頭払い方式に転換を踏み切っていけない。
 あえてもっと言うなら、これは朝日ジャーナルの最近の「富士見病院」という課題にも出てきていますけれども、言うならばこれは日本医師会の相当なやっぱり圧力がある。日本医師会に対するやはり厚生省の非常な気の使い方、あるいは日本医師会に対するそういう配慮が今日の出来高払い方式を踏み切っていけない一つの要因であるということも、これまた朝日ジャーナルで現実に指摘しているじゃないですか、これ。私が言っているんじゃないんだ、これは現にあなた、ここに出ているじゃないですか。週刊誌にも出ているし、両方で言っていますよ、これは。これは荻原先生がこれを指摘している、このことをはっきり。そういう意味で私は言いたいことは、むしろ厚生官僚が、あなた方がこの際これ踏み切らなければ、日本の医療制度というのはもはやこれは決定的な、やっぱり命を守る、人民の生命を守ることよりも金もうけが優先だというこのシステムをどういま革命的に変えていくか。それが氷山の一角に上がったのが富士見病院であり、これから高齢化社会を迎える重大な転機に向かって、厚生官僚として踏み切っていく重大な岐路にいま来ているのじゃないのかと、その決意がないから、先ほど七点の問題を一つ一つ具体的に私は挙げたんだ。だから大臣はそのことについては、姿勢を正してそのことはひとつ積極的に取り組んでいきたいと、こういう姿勢だから私はそれを了としているんだが、その点はどうなんですか。
#78
○政府委員(大和田潔君) 先ほどの大臣の御答弁もありましたように、私ども十分研究をいたしてまいりたいと思いますが、実はこれは現行の出来高払い方式につきましては、十八年間定着しておったということ以外に、たとえば欠陥としてよく指摘される点は、先ほど来指摘されておりますが、各診療行為の頻度が高くなるというおそれがある、あるいはそれ以外に審査に手数を要するとか、そういったような欠陥が指摘されておるわけでございますが、一方やはりこの出来高払い方式の長所といたしましては、診療行為の質及び量が医師の収入に反映されるために、高度の医療が迅速に普及し、国民に提供されやすいといったような高度医療の普及といったような面のプラスの要素もあるわけでございまして、なかなかこれは一長一短というようなことが指摘をされておるわけでございます。これらのことを勘案しながら、やはり私ども前向きの検討、研究をいたしてまいりたいと思うわけでございますが、なかなかやはり定着したそういう支払い制度につきまして、これを変えていくことは、先ほど大臣も申し上げましたとおりに、容易なことではないという点もひとつ、どうぞ御理解を願いたいと思うわけでございます。
#79
○対馬孝且君 いま保険局長がそういう言い方をしていますが、やっぱり大臣のような姿勢に頭があなた自身はまだ切りかわってないよ、はっきり言って。
 それでは、ぼくは、弘前大学の医学部附属病院の品川教授の、産婦人科の教授でありますが、これはこういう倫理を、特に産婦人科の今度の富士見病院に見られるような医療の腐敗、退廃、倫理の欠如、こういう問題に加えて、こういうことを言っているじゃないですか。七点のことを言っていますよ。一つは、医師は、患者の衣服を脱がさせ、裸体をすみずみまで見る。ときには内視鏡検査、性器、泌尿器に関する諸検査等を行う。これは、まさに人命を扱う立場に立って重大な、やっぱり医師の倫理、モラルというものが重大であるということを説いておるわけである、第一点では。
 第二の問題では、患者の腹を切り割き、ときにはぶすりと針を刺す。まさに傷害罪そのものである。
 第三、患者の臓器を取り出し、血液や脳脊髄液などの体液を吸い取る。このようなことをやってのける人物がいれば、小説ではまさに吸血鬼と呼ばれるであろう。
 その四、超音波、放射線、毒性のある物質である薬、使い方によっては身体に致命的なダメージを与えるものを他人に与える結果になる。
 第五、神の摂理、法理に逆らい、受胎調節、人工妊娠中絶、去勢術、人工造膣術を行う。
 その六、死体を切り刻む。
 その七、実験台にする。
 こういうことを言っているんですよ。こういう、いまの富士見病院の体験として、こういうことはこれから最も医療行政改革に伴う一つの医療倫理の見直し、医療改革の視点、こういう問題が重大だと言っているときに、いまあなたは十八年間やってきたことが一気に変えられないと、いまだに十八年間、十八年間ばかりしゃべっている。十八年間に拘泥しておって切りかえることができるか。問題はそうではなくて、こういうことが指摘されるいまの状態というのは、一体、原点は何なんだと。やっぱり人命を大事にするという医療制度そのものに今日の事態がなっていないというところに問題がある。こういうふうに、見識者、学者が言っている。そういう問題についてあなた方は耳を傾けようとしない姿勢が私は問題と言っているんだ。いま聞くと、相変わらず十八年間で、そう一挙にはいかない、それだけの話であって、やっぱり変えるという、大臣のように変えていくという姿勢は、私は厚生官僚にかかっていると思うんだ、この問題については。そういう意味でもう一回お聞きしたい。どうですか、その点。
#80
○政府委員(大和田潔君) 医の倫理の確立につきましては、もう当然申すまでもないことだと思います。
 それから、医師と患者の信頼関係というものを確立する、そういった医療がきわめて大事であることは申すまでもないことでございます。それはもう当然のことでございますが、問題は、支払い制度という問題をどうするかという問題でありまして、これは医の倫理、それから医師と患者の信頼関係、その上に立ってさらにどういう支払い制度をつくっていったらいいか。先ほど来先生がおっしゃいましたように、現行の支払い制度に対するいろいろな御指摘というものは十分承っておるわけでございますけれども、やはり先ほど来申し上げておりますのは、ほかの、たとえば登録人頭割あるいは総額請負といったような制度と現在の出来高払いと比較いたしますと、どうしてもそこに一長一短という問題があるわけでございまして、その一長一短をどういうふうに克服するか、あるいは現行制度のもとにおいても、それをどのように是正していくかというような問題を検討していかなきゃならないというふうに私お答えをいたしておるわけであります。
#81
○対馬孝且君 いや、一長一短、そんなことは先ほどあなたが同じことを言っているだけの話じゃないですか。私が言っているのは、一長一短という頭の切りかえがいま大事なときに来ているんだと、壁にぶつかっているんだと、現実にいまこの状態が。出来高払い制度十八年間の。やってきた十八年間の結果がいま壁にぶつかっているんだ。それが富士見病院が氷山の一角でしょう、これが。正直に申し上げて。こういう問題について、他国の場合については人頭払い方式あるいは委託方式というものが採用されている。そういう問題をこの際取り入れるという姿勢に立たなきゃだめだと言っているんだ、ぼくの言っているのは。それを一長一短があるから……。何だかわかったようなわからないような、また時間をかけて、二年後になったら、またこの場を、検討します、検討しますでごまかして、最後は、二年もたったけれどもまた同じだったと。二年前も同じことを言っているんですよ、あなた方は。会議録を読んだら。五十三年も同じことを言っておりますよ、同じことを。そういう姿勢ではだめだ。そういう姿勢だから富士見病院のような問題があらわれるんだよ、ぼくに言わせると。だから、この際思い切って、大臣が答弁されているから私はいいんだが、大臣のような姿勢に厚生官僚が頭の切りかえをしなければだめだとぼくは言うんだ。ここが大事なところなんだよ、ぼくが言いたいのは。大臣はそのときそのときで変わるんだから、はっきり言って。大臣は終生園田厚生大臣がやっているわけじゃないんだから。やがては総理大臣になるかも知らぬし、それはわからない、これは。それは別にして、厚生官僚がその姿勢を正さなければだめだと、こう言っているんですよ。そんなごまかすような答弁をしたらだめだ。
#82
○政府委員(大和田潔君) 大臣の答弁の御趣旨を踏まえて、私ども研究さしていただきたいと思います。
#83
○対馬孝且君 そういうふうにしゃべればいいんだよ、最初から。それを何だか、ああでもないこうでもない、とにかく長所もある、短所もあるようなことを言うから官僚だというんだよ。わかっていないというんだぼくに言わせれば。
 じゃ、次の問題に行きます。前回、医療費の改定で慢性疾患指導料が新設されましたね。慢性疾患指導料が新設されました。しかし、出来高払い制度のもとでこれがどれだけ効果が上がっているのかということは疑わしいと、こういう疑問が私のところに出されてきています。何ら指導もしないままに医師の請求額だけふえるといった傾向があるのではないか。この実態をどういうふうにつかんでいますか。
#84
○政府委員(大和田潔君) ちょっと、ただいまの御質問につきましての的確な資料をいま持ち合わせておりませんので、できるだけ早く取り寄せましてお答えいたします。
#85
○対馬孝且君 何を言っているんです。ないのか、そこに。それじゃ、後でちゃんと明快な答弁をしなさい。
 次に、この前同僚議員の安恒委員からも出ましたけれども、高額医療機器に対する規制の問題で、共同利用ということが再三同僚委員から出ています。この施設を共同利用をするということの方向は厚生省も出していますけれども、問題はこの共同利用だけで本質的な問題が解決するのかということです。私、現に調べてきました。これは札幌の例を挙げますが、病院名は言いませんが、それは、ただ共同利用しただけでこの問題の解決にはなりません。問題は、やっぱり一億もするああいうコンピューターシステム、超音波機器を使って、とにかく人間が入れば、私も入ってきたけれども、全部断面図で出てくる。これは言われた限りはいいものだということになる、当然、これは。しかも、これは諸外国に比べると、あなた方の資料によるとアメリカ、西ドイツ、イギリス、フランス、スウェーデン、イタリア、日本こういうずっと台数が出ておりますけれども、話にならないでしょう、これは、この台数でいくと。日本の場合は八百四十台、一九八〇年代に八百四十台でしょう。ほかのイギリスでは五十六台、西ドイツが二百十台、フランスが三十八台、スウェーデンが十六台、イタリアが四十六台、一九七八年に日本が四百五十四台、ことし、八〇年代は八百四十台、こういう保有台数になっているわけだ。こういう状況の中で、ただ共同利用さえすれば問題は解決つくというものではない。私は、そういう意味では、やっぱり、これは少なくとも最低限、認可基準というものをきちっと設ける必要がある。これにやはりどうして踏み切れないのかということが、私はどうも不可思議でならないんで、いままず答弁を聞いてから、次のことを、実態論を私は申し上げます。
#86
○政府委員(田中明夫君) 高額医療機器の適正配置につきましては、われわれ、先生いま御指摘のとおり、各地域におきまして医療計画を立て、必要な高額医療機器の台数等を決めまして、適切な医療機関に配置していくというのを、行政当局あるいは医療機関等と一緒になって適正配置を図っていきたいと、それで、その配置された医療機関の高額医療機器を、地域の医療機関が共同利用をしてやっていきたいというような考え方を持っておるわけでございますが、それではなかなか実効が上がらないという御指摘でございますが、これを法律でもって許可制をとるということは、現行の憲法との関連におきましてわれわれはむずかしいというふうに解釈しておるわけでございます。
#87
○対馬孝且君 憲法上どうしてむずかしいんですか。
 具体的にそれじゃ申し上げますが、医療機器を、単なるレントゲンを買うとか何とかという問題なら別ですよ。私は実際に、これは名前は言えませんが、北海道の道立病院の最高の権威者である教授にもお会いしました。少なくともこういうME、いわゆるコンピューターあるいは超音波システムによる機械を入れるとした場合は、やっぱり基準があってしかるべきだと言うんですよ。これがこれからどんどん、富士見病院で見られるように、民間でどんどんこういうことをやっていったら、これはますます歯どめがかからないと。ただ、共同利用すればいいということも一つの方法ですよ。これはもちろん一つの前進だとしておくが、それだけでは決め手にならないというんだ、ぼくの言っているのは。現実にこれは医者が言ってるんですよ。これ、無責任なことを言ってるんじゃないんですよ、あなたも医者だけれども、現実に公立病院の医者が言っているんだ。このようなことを、ただ共同利用ということは一つの一案で、前進だと。しかし、やっぱり何かの認可をする基準というものをつくっていかなければ、あるいはガイドラインでもいいわ、そういうものをつくらなければ、これからはどうにもならなくなってしまう。どうにもならないとはどういうことかと言うと、一面では人為的に、どうしても出来高払いだから、さっき言ったように。やっぱり点数かせぎにかかる。一方では、この機械を入れた限り、富士見病院と同じように、償却はいま七年だというんです、これ。七年間のうちで返さなきゃならぬ。そうすると、かせぎまくらなきゃならぬということになってしまう。そうすると、これはもう患者の意思のいかんにかかわらず、これは医者に言われたら弱いですよ、私初め、これは。そうすると、やっぱり結果的には、どんどんどんどん民間サイドにも全部高額機械が入ってしまう、そうなった場合に大変な事態になりますよということを言っているんですよ。それは学術的にも問題が一つある。それから、患者に対する一つの問題もでき上がる。それと、もう一つは何かといえば、結果的にはやっぱり医療制度に最後のしわ寄せが来る、こういう三点の問題があるということをある教授が言ってます。これは私、名前は伏せます。
 だから、そういう意味で、私が言っているのは、ガイドラインぐらいやっぱり設けて、きちっとした方がいいんではないかと。この姿勢でどうして厚生省は取り組むことができないんだろうと。悪く解釈すると、何か高額機械メーカーに、一生懸命厚生省は応援をしてやって、さっきも言ったけれども、これ名前挙げてもいいんだけれども、いま高額機械を売るセールスマンというのは、最高の収入だそうですよ、札幌で例を言うと。これ一台売ったら一年間これはボーナスに相当なプラスになるし、一年のかせぎは勝負あったりということになる。こういうことに何か一生懸命厚生省が、官僚が応援しているような姿勢というのは、そう疑われてもしょうがないじゃないですか、こんなこと言ったって、私の言いたいのは。だから、見識者がそう言っている限り、やっぱりガイドラインならガイドラインというものをこの際設けると、それぐらいの積極姿勢をきちっとやっぱり持つべきですよ。いかがですか、この点。大臣からでもいいですよ。
#88
○政府委員(田中明夫君) 先ほど私は都道府県、あるいはその下の市町村と申しますか、医療圏における問題を御説明いたしたわけでございますが、この地域医療計画をつくるに当たりまして、高額の医療資源等につきましてどの程度の数を配置したらいいかと、あるいは先生御指摘のようにそれを扱う人の問題等につきまして、厚生省といたしましても専門家の意見を聞きながら、ガイドラインというようなものをつくりまして、それに基づいて都道府県等で実際の地域計画を策定しやすいように努力してまいりたいと思っております。
#89
○対馬孝且君 いまあなたからそういうことでガイドラインを、基準を示すという一歩前進した提案もされていますが、しかしわれわれとしては、あくまでもやっぱりこれは憲法上の問題だとあなたおっしゃるが、やっぱり本質的にこれは、ただ届け出制で購入できるというシステムのものではなしに、こういうものはやっぱり認可制にして改めていくという考え方は、基本的に私は考えています。しかし、いまあなたの答弁は、まあ私が主張した、当面の問題としてガイドラインを考えるということですから、その点については一つの前進だと思いますから、この点についてひとつ大臣からそれじゃ、そのいまのガイドラインを、基準を設けていくと、こういう考え方についてはお変わりございませんか。
#90
○国務大臣(園田直君) いま局長が答えたとおりでありまして、すでにその方針で検討を命じております。
#91
○対馬孝且君 それじゃそういうことでひとつ、積極的にガイドラインの早期策定をして行政指導に当たってもらいたいと、このことを申し上げます。
 それでは、先ほどのあれはどうですか。
#92
○政府委員(大和田潔君) 慢性疾患指導料の経緯でございます。経緯につきましては、昭和三十三年以来取り入れられておるわけでございまして、慢性疾患を主病とする者に対しまして栄養、安静、運動、その他療養上必要な指導をした場合にこれが加算される、この対象になるというようなことになっておるわけでございます。
#93
○対馬孝且君 いや、なると言ってるが、その対象にならないからいま私が言っているんだよ。そういう実態が数々あるわけだ。だから、私が言いたいのは、総点数の中で慢性疾患の指導料の点数は一体今日の状態でも、そういう扱いがされていないという実態が非常に多く実は出てきている。この点について、そのとおりになっていないから私は質問を申し上げているんであって、なぜそうならないのかと、そういう扱いになっていないのかという点について、これから積極的に行政指導するならするとか、あるいはそういう対処するならするとかということ、あるいは保険局長通達を出すなら出すとか、そういうひとつ対処をしてもらいたいと、こう思っている。ないと言うんだ、これは現実来ているんだ、ぼくのところへ。
#94
○政府委員(大和田潔君) よく実態を把握させていただきたいと思います。その上で、必要な指導をする必要があればやるということで、実態を把握さしていただきたい。
#95
○対馬孝且君 これは、あればじゃなくて、あるんですよ。まず厚生省自体が実態をつかんでいないということもぼくは問題だと思うんだけれども、とにかく実態をつかんでひとつ、あればじゃなくて、あるんだから、そのことについてはひとつ必要があれば局長通達も出すというぐらいの構えで対処してください。いいですか。
#96
○政府委員(大和田潔君) よくわかりました。
#97
○対馬孝且君 それでは次に、医師所得の適正規模の問題につきましてちょっとひとつお伺いします。
 諸外国のお医者さんの所得の現状というのは私なりにつかんでおりますが、医療費の増高は当然医師の所得の増大に結びつくと考えられます。
 なぜこれを言うかと申しますと、後から申し上げますが、平均的な常用労働者と比較した場合、もちろん高いということは、特殊技術水準、特殊学校というところを出て一定の資格を取るわけですから、それなりに私は了とします。ただ、問題は余りにも諸外国との実態の違いがある。この認識をどういうふうに厚生省はされているかということをまずお伺いします。
#98
○政府委員(大和田潔君) 諸外国との格差でございますね。常用労働者賃金との格差が諸外国どうなっているかという資料はいま手持ちでございませんが、いま先生おっしゃっておられますように、わが国におきます常用労働者賃金とお医者さんの年間所得の差というのは実はかなりございます。先般の、五十一年度の医療経済実態調査によりますれば、その差が約八倍ということになっておるわけでありまして、かなり差があるということは御指摘のとおりと思います。
#99
○対馬孝且君 これは諸外国の場合は、国によって違いがありますけれども、常用労働者の二・五倍というのが大体いまの水準になっていると、このように私の資料に、平均でありますが出ています。
 そこで、いまあなたがお認めになっているから申し上げますが、昭和五十一年度の医療経済実態調査の集計からしますと、開業医の年間所得は千九百四十二万円、常用労働者の賃金が二百四十三万円、あなたが認めましたように約八倍であります。これは戦前の水準を言うと、これは私の指摘が誤りだったら指摘してもらって結構だが、戦前の水準は都市勤労者世帯の四倍程度だった。戦後は八倍になっている。この実態はどうですか。これは間違いですか。お認めになりますか。
#100
○政府委員(大和田潔君) 戦前の、四倍程度とあるのも、これは京都市の調査から学者が指摘しておるとおりでありまして、先生のおっしゃるとおりではないかと思っております。
#101
○対馬孝且君 そこで私は、医者が高いということについては先ほど言ったように、私もいとこが医者やっておりますからそれはわかるんですけれども、問題はここだと思うんですよ。この前、医師優遇税制の問題で、政府は一応三ランクに分けて改革をいたしました。しかし、結果的にはいまなお常用労働者から見ればあなたがお認めになったように八倍の格差がある。
 問題は、八倍の格差という問題が何を生んでいるかということであります。どういう状態を生んでいるかということを私は言いたい。北海道の場合でも――私の大先輩の田中元厚生大臣いますけれども、去年のあなた、北海道の高額所得者の番付ごらんなさい。一番から十位までの間に開業医の医者が六人入っていますよ、これは。六人いますよ、北海道で。北海道所得番付の一番から十番目の間に開業医が六人入っている。こういう状態がなぜこれはでき上がるかという問題だ。この点、私は先ほど言ったように富士見病院の例をイコールだと私は言わぬけれども、やっぱりそういう高額な、北海道の場合でも開業医がこれだけの位置を占めている。それなりの仕事をしているんだから結構だと思うんでありますが、逆にそれがやっぱり患者の乱診乱療にはね返ってきている。こういう問題も見逃してはならない事実である。
 こういうことについて三段階に直したとは言ったって、私は直っていないと、こう見ているんです。むしろこの際、これからの財政再建の問題として、これは別な機会でやりますけれども、厚生省の立場から判断して、この医師の、今日的の常用労働者と医者の水準というものの判断をどのようにあるべきだとお考えになっていますか。この点ちょっとお伺いします。
#102
○政府委員(大和田潔君) 実は、この点はお答えは非常にむずかしいところでございます。
 お医者さんとなるには、やはり先ほども御指摘ありましたように必要な訓練期間がかなり長いと。それから多額の教育費を必要とするといったようなことでございまして、また、人の命を扱っているというようなことなどもございまして、いろいろとお医者さんの所得につきましては、かなり高いということにつきまして、したがって、それがどうも高過ぎるんではないか、これはあるいはその逆ではないかといったようないろいろな議論はあろうかと思いますけれども、私といたしまして、どうもその適否について一概に判断できる性格のものではないというふうに考えておるわけでございます。
#103
○対馬孝且君 しかし、あなたが言ったように、戦前は四倍で戦後は八倍だと。それじゃ戦前と戦後でどうして違わなきゃならぬのか。大学、大学と言うけれど、二年間多いだけでしょう。そういう問題について本来的に理屈にならないんじゃないですか、そんなもの。だからどの水準がいまの医療なのか。なぜこういうことを言うかというと、片っ方で保険料率を引き上げ、片っ方で被保険者に犠牲を強いるわけでしょう、これからこの保険法の改正に従って。それはプラスになるものもあるけれども、これはこれから申し上げますけれども。いずれにしましても、そういう問題を提起している時点であるから私はもう一回医者のあるべき姿、医者の収入水準というものを厚生省の立場からながめた場合に、どうあるべきものなのかということがあっていいんじゃないか、こう思うんですが、この点いかがですか。
#104
○政府委員(大和田潔君) どうも繰り返しになって恐縮でございますけれども、やっぱり所得の水準の何と申しますか、これが妥当だと、高過ぎるというのはなかなかどうも私どもとしては申し上げられない、実際何かあって申し上げられないというんではなくて、やはりそれは非常に申し上げることがむずかしいということを申し上げざるを得ないわけでございまして、ひとつ御了解いただきたいと思います。
#105
○対馬孝且君 さっきから言っているように、今回健康保険法を改正するんだから、改正する場合に、先ほども言ったでしょう、医師と患者との信頼関係をどう持つかということが一番大事だと。医の倫理からいってもそれが大事だとこうおっしゃるならば、当然、健康保険法で抜本改正をされるこの時点で、医師の収入というものは、医師のあるべき待遇というものはどうあるべきなのかということを、当然厚生省が見直してしかるべきだと私は思うんですよ、これは。このことが提案されなかったら何も私言わないんだ。いま健康保険法というものが改正されて、片っ方では料率を引き上げる。こういう問題が出ているだけに、被保険者に犠牲を強いる問題もあるだけに、この時点でやっぱり医療の倫理の関係を含めて、医者と信頼関係というものはどうあるかということも含めて、その一要素は当然、常用労働者と医師の収入というものがこのぐらいであってしかるべきじゃないか。目安としてこのぐらい、あえてもっと端的に言うなら、戦前の水準ぐらいがほぼ適当だと思うとかと、このぐらいはあったっていいんじゃないですか。どんなものですか、これ。
#106
○政府委員(大和田潔君) どうもお答えにならぬで恐縮でございますけれども、なかなかむずかしいということでございます。
#107
○対馬孝且君 大臣、これはどう思いますか、むずかしいむずかしいではこれは話にならぬので。戦前は四倍で戦後は八倍だと、こう言うんだが、いま言ったように、こういう契機に一回ひとつ検討してみる。あなたも官房長官おやりになって財政再建に苦労された一人でもあるんだから、こういう問題のときに、特に世論もまた医師優遇税制、不公平税制の一番やり玉に上がったのが医者の優遇税制問題ですよ。七二%頭から天引きする、免除する、免税がある。これは問題だと。こういうことになったわけですから、ここらあたりはやっぱり厚生省の立場でどのようにお考えになっているか、こういうことを私は聞きたいんです。
#108
○国務大臣(園田直君) 医師の所得が適正であるかどうかということについて、なかなか技術的なことであって、生命と健康を預かることであるから適正な評価はしにくい。残念ながらこういうことでは通用せぬとは私も思います。
 やはりひとつの、内閣全般の物価、経済問題をやっておる中枢部と相談をして、厚生省だけが切り離れておって、お医者さんだけのことはこれはもう聖域であるから、値段はつけられぬなどといういままでの態度はかえって、やはり企画庁その他と相談をして、早く適正な所得というものを形づくる必要があると考えておりますが、いまここで、どれぐらいのものだということを言えないのはまことに残念でありますが、早急に勉強いたします。
#109
○対馬孝且君 この問題はね、私はこういう問題が出されたときでなければ、健康保険法改正あるいは老人医療制度の創設あるいはこの医療法の抜本改正という時期でなければこういうものがなかなか検討はしにくいと思うんですよ。ただ、私はもちろんそれは横並びの関係、いまの人事院勧告を含むいろいろな見方もあるだろうけれども、しかし、少なくともやっぱりこの時点で厚生省としても関係の省とも話し合ってひとつあるべき姿というものを将来的に目指していくと、このことだけは大臣いまもお答えありましたからひとつ積極的に取り組んでもらいたいと。よろしゅうございますか。
#110
○国務大臣(園田直君) これは国民の側からも政府の側からも、また治療するお医者さんの側からも、いまのようなあいまいなことで点数が決まることは遺憾であるという声をよく聞くわけでありますから、ひとつ体系立った医師の適正な所得というものを勉強して、早く概念をつくる必要があると考えております。
#111
○対馬孝且君 わかりました。
 それでは次の問題に移ります。医療のこれからの問題としまして、適正配置と医療法の改正問題についてちょっとひとつお伺いをしたいと思います。
 まず、医療の理想は言うまでもなくだれもがいつでもどこでも必要なかつ適正な医療が受けられると、これが基本的なわれわれが考えている、また国民が願っていることでもあろうと思います。この観点からいたしますなれば、今日の医療法の不備を指摘をせざるを得ません。そこで私は、この医療法によれば診療所の開設は知事への届け出が要件とされているわけでありますが、先ほどもちょっと触れましたけれども、病院についての施設の構造、人員の配置、こういう条件がやっぱり満たされていれば認可は与えなければならないという規定が適正配置の観点から私は必要ではないかと、こういう考え方を持っているわけです。そこで私は、まずこの医療資源の有効活用を図るために、法改正を含めて適正配置ということを見直す時点に来ているんではないかと、このように考えますが、この点ひとつどういうふうにお考えになっていますか。
#112
○政府委員(田中明夫君) 先ほど高額医療機器の適正配置の際にも申し上げましたとおり、われわれといたしましては、医療機関そのものを法律でもってその配置を規制する、あるいは高額医療機器の配置につきまして許可制で、これも法律で規制するということは困難であるというふうに考えておるわけでございまして、それでは医療機関そのものあるいは高額医療機械等の適正配置につきましてはどうするかということにつきましては、先ほど申しました地域の医療計画を策定いたしまして、その計画に基づきまして行政当局あるいは関係者のコンセンサスを得て、医療機関が適正に配置されるよう強力に行政指導をしてまいりたいと思っております。また、この点につきましても、必要があれば厚生省といたしまして専門家の御意見も承って、適切なガイドラインというものをつくってまいりたいと思っております。
#113
○対馬孝且君 先ほど、私は高額医療機器の問題に限定して申し上げたわけですが、ここで言っている意味は、先ほどもちょっと触れましたが、病院のやっぱりベッド数ね、それから一つは何といっても先ほど言った高額機械の配置、それからリハビリ、特殊部門の機構のあり方、こういうものがこれからの病院の場合は一番問題になっていくわけですよ。先ほど私も札幌の例を挙げましたけれども、本当にこれはもう大型化して、とにかく新しいもの新しいもの、そうして先ほど言ったホテル式、こういうものに全部行ってしまっているわけだ。そして大型化大型化大型化、それが全部やっぱり薬づけ、検査づけに回って、最後は被保険者にツケが回る、国民にツケが回る、あるいは国民を犠牲にしている、こういう結果をやっぱり一面では生んでいるわけですからね。私が言いたいのは、いま言った単に高度の医療機器だけの問題ではなくて、いわゆるそのベッド数あるいはリハビリ、特殊部門、こういう全体を含めての医療施設の規模、それから医療施設の体制というもののある程度私は基準というものをやっぱりつくってしかるべきじゃないかと。そうしないと、これはもういまあれですよ、これは後から僻地問題を申し上げますけれども、確かに百万都市札幌の場合は、それはもうホテル式にどんどん十億、八億を超える病院がいまでき上がっていますよ。しかし、こういうことでいいのかという問題があるわけだ。それはやっぱり結果的には最後にいくと、これはわれわれが、私から初め新しい病院、それは施設、設備のいいところへということになるわけですから、そういうものではなしに、やっぱり一定のあるべき日本の病院の姿というものは、どの点がベッド数としては限界なのか。これはあるいはリハビリ、特殊部門としてはどの点が一つの基準になるべきものか、あるいは高度機械としてはどの点が基準になるべきものか、こういう総合的に病院の一つの基準というものを設けなければ、これからの医療問題を守っていく、まあ富士見病院は氷山の一角だと私は申し上げているんだが、そういう意味では正常なあるいは国民が求める、いつどこでも安心して治療を受けられるという医療の基本の原点にこれを見直していくことにならないんではないかと、この視点で私は申し上げているわけでありまして、このことを率直にまた確認の意味で申し上げますが、これを含めてひとつ基準をつくると、ガイドラインをつくると、こういうことでよろしゅうございますか。
#114
○政府委員(田中明夫君) 結論から申し上げますと、そのように考えております。ただ、先生いま御指摘の高額医療機器あるいは病床というような問題等、また御指摘の特殊医療、リハビリ等の医療につきましては、片一方はむしろ少し多過ぎる傾向があるんじゃないかということと、片一方は非常に立ちおくれているんじゃないかというような傾向も見られているわけでございまして、それら両方を含めまして、足りないものにつきましては充実していくというような方向で検討をしてまいりたいと思っております。
#115
○対馬孝且君 それじゃ、この問題についてはひとつしっかりそういう問題を一回規格をきちっと抽象論じゃなくて、病院規模としてはベッド数ではこのぐらいである、あるいは高額機械の基準はこうである、それから特殊部門における基準はこうであるというものを早急に委員会にひとつ提起をして、あるいは審議会にお諮りするなり問題の発議をして、提出をしてもらいたいということでよろしゅうございますか。
#116
○政府委員(田中明夫君) 先生ただいま御提案の線に沿いまして、われわれとして最大限の努力をいたしたいと思っております。
#117
○対馬孝且君 それでは次に、医療法の規定によりまして医療機関の整備に関する重要事項を調査審議するために、各知事のもとに医療機関整備審議会というのが設けられております。実質的には公的病院の増転床、整備を抑制する機能としてしかいまの現状ではないのではないかと。私はこれはもう北海道の実情を踏まえて申し上げているわけでありますが、私はかねてより公的病院の病床規制の廃止を主張しておりました。現在の抑制策の撤廃を求める立場から、現在の審議会のあり方に不満を持っております。これは後で内容があれば、ここにありますから私は申し上げたいと思うんでありますが、医療機関の整備に関する重要事項には当然でありますが、地域偏在の是正策、適正配置のための配慮も含まれるべきであると考えますが、本審議会の現状のあり方について厚生省の認識をひとつまず冒頭お伺いしたいと思います。
#118
○政府委員(田中明夫君) 都道府県の医療機関整備審議会は、知事の諮問に応じまして医療機関の整備に関する重点事項を調査、審議する。そのほか都道府県知事が公的医療機関の病院開設等について不許可処分をしようとする場合や、医療法人の設立認可、あるいは処分等をするに当たって意見を述べることとされております。現状におきましては、先生御指摘のように、主として公的医療機関の開設の許可並びに医療法人の認可についての審議をしておるわけでございます。
 で、この医療機関整備審議会におきまして、先ほど御提言のありました地域医療計画の策定等を審議していくかどうかということにつきましては、われわれも前向きに検討をしてまいりたいと思います。この機関においてそのことの審議をするのが適当かどうか、あるいは、と申しますのは、別の機関の方がよいかどうかという点を含めまして前向きに検討してまいりたいというふうに思っております。
#119
○対馬孝且君 まああなたはいま実態論は率直に認めたわけですが、これは条例によって都道府県でつくることになっていますわね、審議会は。北海道の場合見ますと、これは内科、歯科を含めて医師、薬剤師、これは十名、それから支払い側の方と、それから被保険者の代表を含めて六名、こういう構成になっていますね、これ。実際かなめの患者と称する階層が入ってないんですよね、患者側と称される一般論としての、実際問題として。こういうやり方はぼくはちょっとやっぱり問題があるんじゃないかと思うんですよ。何か医者が優先という、こういう考え方で、一部学識経験者若干名入っていますが、ほぼもうほとんどが医師側の方が圧倒的に多いという、こういう医療機関整備審議会というものであれば、これは何のために何の審議会なのか。少なくとも医療機関整備審議会と言われる限りは、これからのやっぱり医療の改革、どうしたら地域偏在になっていかないかと。後から申し上げますが、僻地問題あるいは適正配置というものがそういう考え方でやっぱり行われるべきものではないのか。そうすると、審議会の中にそういう方々が入っていないで審議が行われている。これでは私はやっぱり医療機関整備審議会というものは、実際意味をなしてないんじゃないかと、私に言わせれば。こういうことを指摘したいんですが、この点について、改革する意思がございませんか。
#120
○政府委員(田中明夫君) 北海道の医療機関整備審議会の構成につきましては、私つまびらかにしておりませんが、審議会の性格上、一般的に申しまして当然医療機関の関係者あるいは学識関係者というのが相当数入ってくるだろうと思います。ただ、それと同時に地域の代表者というようなものも入ってきていいのではないかというようにも考えられますので、その点について検討させていただきたいと思います。
#121
○対馬孝且君 具体的に申し上げます。北海道の場合は全道労働者が三十万人いる全道労協の代表も入っていない。同盟組織であります五万の代表も入っていない。それから婦人組織が約十三万の組織でありますが、これも入っていません。そういう意味で、やっぱり患者と称されるこういう方方が本当に入って医療の改革ということがされなければ、ただ医者が中心になって行われる審議会というものであれば、本当の医師と患者との間の信頼関係、いま問題になっている医療の倫理というものは回復されていかない、こういうふうに私は考えますので、この点を含めてこれからひとつ改革に取り組んでもらいたい、こういうように考えます。これは大臣にひとつお伺いします。
#122
○国務大臣(園田直君) 先ほどから医療の適正配置のお話があったわけでありますが、憲法の規定から言っても、いついかなる場合でも、どこにおってもどういう人でも、平等な健康と生命の保障がされていることが憲法の精神であります。したがいまして、法的措置が困難であるなしにかかわらず、僻地あるいは広地域の医療を含む全般の配置体制、ガイドラインをつくり、それを中心にして地域の実施庁がそれぞれの体制を守っていくべきであります。それについて厚生省は全力を挙げてこれを推進し、あるいは確立をすることが必要であると考えております。
#123
○対馬孝且君 それじゃ、そういう改革に積極的に大臣これから取り組んで、ひとつ審議会のあり方を含めて改革をしてもらいたい。よろしゅうございますね。
#124
○国務大臣(園田直君) はい。
#125
○対馬孝且君 それでは、次の問題にひとつ入りたいと思います。
 これは諸外国の適正配置をこの機会にちょっと聞いておきたいのでありますが、諸外国の適正配置策を見ますと、わが国とちょっと違っておりまして、医師不足地域ではイギリスの場合は診療報酬の加算制度を採用している。それから過剰地域での保険医の指定制限、これは西ドイツでやっています。あるいは保健地図の作成、これはフランスの場合に誘導策として実行されています。こういう面についてひとつ、概略この内容をお知りであったら、もちろんつかんでいると思いますが、この点をまず適正配置の基本的な考え方として、諸外国はこのように私は行われているとこう認識しているんですが、この点どうですか。
#126
○政府委員(田中明夫君) 私どもも詳細の点にわたって必ずしも的確に把握しているかどうか若干心配しておりますけれど、一応われわれがいろいろな文献等を通じまして知り得たことについて御説明申し上げたいと思います。
 まずイギリスでございますが、これは、御案内のとおり、一九四六年から国民保健医療サービス方式に基づきまして、国民保健医療サービス体制の整備を図っておるわけでございます。しかしながら、医師及び医療施設の偏在というのは、イギリスでもなお大きな問題となっているようでございまして、予算の配分に当たって、医療施設の少ないところには多く配分するということをしているようでございますし、また家庭医あるいは一般医というものにつきまして、医師の不足地域での開業につきましては、診療報酬の面で配慮をしているということがあるように理解しております。
 また、西ドイツにつきましては、これは先ほど来話に出ておりますように、保険医協会が家庭医の医療については政府との間で請負ということをやっておるわけでございまして、その保険医協会が、開業をするお医者さんの場合に、すでに過剰の地域というようなところにおきましては、需給計画を策定いたしまして、開業の許可を与えないというようなこともやっておるようでございます。また、西ドイツにおきましては、一九七二年に病院財政改革法というのを制定いたしまして、公的資金の導入によりまして病院のネットワークを整備し、また病院の財政の安定化を進めておると承知いたしております。
 フランスにつきましては、先生御指摘のとおり、一九七〇年に公的の病院事業を中心といたしまして、医療体制の整備を目的として病院改革法が制定されております。フランスの場合はほとんどが公的の病院でございますので、したがってフランスの病院の大部分はこの病院改革法の規制を受けておるわけでございます。この法律によりますと、医療施設の設立あるいは拡張、高額の医療機器の設置については認可制度がとられるということになっておるようでございます。厚生大臣は、この認可の基礎といたしまして、関係の委員会の意見を徴しまして各保健地区並びに保健地域において必要な病床数、高度医療機器の配置数に関する保健地図が作成されております。
 その他、イタリアにおきましては、先ほども指摘されましたように、一九七八年に従来の健康保険法にかえまして国民保健サービス法が制定され、七九年一月から施行されたということでございまして、これの施行に伴いましてイギリスと同様の国民保健サービスが行われることになったわけでございまして、当然いろいろな点におきましてイギリスと同じような施策が採用されるということになると考えております。
 また、スウェーデンでございますが、これは御案内のとおり医療がほとんど公営化されておりまして、病院のほとんど全部が地方自治体立であるという背景があるわけでございますが、一九七〇年の法律に基づきまして、全国を二十六の医療区に分けまして、各医療区ごとに公営の病院によります階層的ピラミッドといいますか、システムが形成されているわけでございます。
 また、アメリカにおきましても、一九七四年に保健計画法が制定されまして、医療体制を計画的に整備することを目的として、連邦資金を受けようとする病院は必要証明というのを委員会からもらわなければならないというふうな制度になっております。
#127
○対馬孝且君 ただ、私が要約したように、いろいろあなた各国のことを言ったけれども、結論を言えばやっぱりイギリスの加算制度、あるいは過剰地域での保険医の指定制限、あるいは保健地図の作成といったような特徴が、これは特徴点として認められるでしょう。こういうことは否定しないでしょう。それであれば、そこで私は日本の場合、保険医療機関の指定は、一定の地域的配置の計画のもとに保険医の地域別診療別定員制、特にこれから申し上げますが、休日、夜間医療への義務的参加、こういうものをやっぱり求めるべきだと考えますが、この点どういうふうに考えますか。
#128
○政府委員(大和田潔君) 保険医の配置の問題でございますけれども、実は保険医は、現在の保険医制度におきましては保険医療は地域医療のほとんどをカバーをしておる、こういうような状態でございます。したがいまして、御指摘の問題につきましても地域医療の確保をするという、そういう見地から地域医療計画の問題として考えるというようなことでいくべきではないかというふうに考えておるわけであります。
#129
○対馬孝且君 そんなことは当然のことであって、いまでさえやっていることをあなた言っているだけの話であって、そんなもの聞かなくてもこっちはわかっているんだよ。むしろ、これからのことを具体的に聞くんだけれども、言わなきゃならないんだけれども、問題は不採算問題のそのことによって、それが行われていないわけだ。休日医療にしたって、救急医療の問題にしたって。問題は不採算になっているというために、そのことがずいぶん厚生省はやっている、やっていると言っているが、実際には行われていないでしょう、はっきり申し上げて。これからいま具体的に一つ一つ申し上げますから。
 私は、今日の民間医療では賄い切れない不採算地区、特に救急、がん、小児等の特殊診療部門について、基本的には国公立が負担すべきものだ、分担すべきものだと思っているわけです。ところが実際には不採算のために、そのことが健全な発展として現在行われていない。これはやっぱり政策的な、そういう意味では助成策がないためにこういう政策が行われていない、このように私は認識せざるを得ないわけです。この点についてはどうですか。
#130
○政府委員(田中明夫君) 民間医療機関では負担し切れないような特殊、高度の医療、がんであるとか、小児の医療であるとか、また不採算の、地区的に見て僻地等、不採算医療を担当しているような自治体の病院、公的病院につきましては、特殊診療部門の運営費補助金というのを設けまして、その経営基盤の確保に努めているわけでございます。すなわち一日の平均入院患者数が百人未満、外来患者数が百五十人未満の不採算地区の病院、あるいは救急告示を受けて救急医療の中心的な役割りを果たしているような病院、あるいは先ほども申しましたような、がんあるいは未熟児等の小児医療を行っている病院について、一定の補助をしておるわけでございます。ただ、この条件等が厳しくて、なかなかそれでは補助の対象になならないというような医療機関も見受けられますので、来年度におきましては、不採算地区の病院の要件を緩和するとか、あるいは医学的リハビリテーションの施設を有する病院についても助成の対象に加えるよう予算的な確保を図ってまいりたいと思っておるわけでございます。
#131
○対馬孝且君 来年度からと、これはこれから申し上げますけれども、一番問題は何かといえば、やっぱり僻地の医師確保ということが非常にいま問題になっているわけだ。これが来年度から来年度からと言うが、これはあなた、昭和三十一年からスタートしているわけでしょう。問題は、これは率直に申し上げるけれども、昭和五十五年度から僻地中核病院構想というのを出したわけだ、あなたの方で。そこで広域市町村単位で僻地中核病院が整備され、ここに並列して僻地医療センターというものを、無医地区に対する巡回診療、僻地診療所への医師派遣事業、こういうものが実施をされてきた。僻地保健指導所の整備というものも行われてきているわけだけれども、実際それなりの成果が上がっていないというのが率直な実態なんですよ。
 その点、これから私は申し上げたいんでありますが、たとえば国立、公立病院の中から僻地担当病院を選定し、ここに僻地中核病院などへ医師を派遣をすると。その場合問題になるのは何かといえば、医師の問題なんだよ。私ははっきりここで申し上げますが、これはこの前、五十三年、参議院予算委員会で、当時炭鉱災害が、異常災害が発生をして、御案内のとおり幌内炭鉱でもってあのときは十五名の犠牲を出しました。この災害を契機に、北海道に炭鉱国立総合病院をつくってはどうかということが提起をされて、そのときに石炭特別会計、通産省立地公害局で調査費というものをとりあえずつけようではないかということで、当時のあなたの前の佐分利医務局長が私に答弁をしておりますが、その点でまず調査費の段階で十分にひとつ誠意をもって前向きに、実現のために努力をしたい、こういうことだったんです。実際もう三年になる。ところが、いまだにこの問題が具体化されないのは一体何かと。これは行政管理庁来てますか。――総定員法に従って結果的には定数がしばられて、とてもそれはできませんと、こういう問題になってきたわけだ。それはおかしいじゃないかということになったが、あなたの前任者は、そういう問題が絡んで非常に実は困っていると。これは医者の問題とも絡むから、ぼくは言うんです。したがって、ここらあたりを厚生省の立場としてはむしろ医師確保という問題を最優先にして、――後から保健所の問題、自治体病院の問題申し上げますがね、定数確保問題というものは重要なやっぱり課題になってきている、この点についてまず医師の確保と、あわせて厚生省の考え方を聞いておきたいと思うんですが、どうですか。
#132
○政府委員(田中明夫君) 僻地等の医師の確保というのは、長いこと非常に大きな問題になっているところでございますが、なかなかすっきりとした解決ができない困難な問題であるというふうに考えております。ただ、最近、僻地中核病院等に自治医科大学を出たお医者さん等が派遣される、あるいは本年から実施しております自治体病院協議会における医師のあっせん事業というようなものがある程度効果を上げておりまして、まあ全面的な解決にはまだほど遠いと思いますが、次第に僻地の医療機関にもお医者さんが行ってくださるというような機運はできてきていると存じております。
 ただ、先生の御指摘は恐らく国立病院のことではないかと思いますが、国立病院で僻地の中核的な医療機関となっているところの定員につきましては、御指摘のとおり総定員法で枠をはめられておるわけでございますが、具体的な例については、私申しわけございませんが、つまびらかにいたしませんが、国立病院の職員のうち医師につきましては、看護婦等と比較いたしますとわりに、まあ看護婦ほど人員が足りないというような、全体通して見ますと人員が足りないということではございませんので、具体的な御指摘の例についてはさらに検討をいたしたいと思います。
#133
○対馬孝且君 いや、私はそう支障を来していないというあなたの言い方はね、これは事実認識を誤っているんじゃないですか、実際言い切れますか、それを。僻地の医療が実際不足していないということ言い切れますか、断言できますか、ここで。具体的に申し上げますが、それじゃ。
#134
○政府委員(田中明夫君) いまお答え申しましたように、僻地の病院につきましては一般的にまだ医師が不足しているという大きな問題を解決するに至っておりません。国立病院全般といたしますと、医師はわりに他の職種、看護婦等に比べまして人員の不足がそれほど激しくないという事情がございます。
#135
○対馬孝且君 私の言っているのは、あなたがお認めになっているように、国立、公立の病院の定数は、それは札幌あたりでは北大医学部にしたって一定の定数はありますよ。しかし、問題はそれじゃ宗谷管内、根室管内どうなるのかね、あなた。後で具体的にぼくは数字を挙げますが、ただ私は医師の別枠として、僻地の場合については医師の別枠を確保すべきではないかと、このことを言っているんだよ。このことがはっきりされなければ、僻地対策やっています、やっていますとあなた言ったって、これは確保されてないではないか、医者が。具体的に言いますけれども、いまあなたの答弁聞いたから具体的にぼくは申し上げますけれども、僻地に全然確保されていませんよ、現実の問題として。ただ、総定員法の問題で、私は行政管理庁にこの前来てもらった、予算委員会に。それから佐分利局長にも申し上げた。その場合は、これは別枠として派遣すべきものである、別枠として確保すべきものだと。この姿勢が厚生省で立たなければ、これは総定員法、総定員法と言ったって、医師の問題なんだから、命の問題なんだから。これだけは私は最優先に、この問題については別枠として僻地の医師については確保すると、この基本をはっきり厚生省としては持つべきではないか。こう思って、忘れもしない五十三年三月の予算委員会で私はやっていますよ。この点どうなんですか。
#136
○政府委員(田中明夫君) 僻地の病院の医師の確保につきましては、国立だけではなく非常にむずかしい問題でございまして、長い間この問題については僻地の病院は困離を抱えてやってきているわけでございます。国立につきましても同様に、なかなか僻地の病院には来手がないという問題があるわけでございますが、私どもといたしましては僻地の病院の一般的な問題といたしまして、何とかして医師を確保するように努力いたしたいというふうに思います。
#137
○対馬孝且君 確保したいと思いますという言葉だけでなくてね、僻地の問題というのは、私はなぜ医者が来ないかということについて、あなたどういう認識をしているか知らぬけれどもね、これは一つは、これから申し上げますけれども、私は僻地診療に対して、いわゆる僻地加算というものがないということですよ。僻地加算制度がないから医者が来ないんだよ。それから、もう一つは医者としての研究する場所がないということでしょう、言い分は。私は、現実に一昨年社会労働委員長をやって、全国七カ所の病院見て来たんだから。僻地病院の問題については言うことは決まっているんです。何とか加算制度をつくってくれませんかと。これは一昨年、徳島でも、高知県でも、青森でも函館でも同じことを言われました、現実の問題として。そういう問題についてどういうふうに考えているんだと。そこに行かなければ問題は解決しないでしょう。
 それから、総定員法、総定員法と言うが、まず厚生省として、僻地の医師確保については総定員法の問題ではなしに、これはやっぱり僻地の医師として確保されるものであるという基本をしっかり打ち立てるべきだと思う。この二点が問題だと私は言っているんですよ、どうですかこの点。
#138
○政府委員(田中明夫君) 僻地の医師を確保するということは、先生も御指摘になられたように非常にむずかしい問題でございまして、自分の研究の問題、あるいは子供の教育の問題、いろいろ困難な問題があるわけでございまして、従来から厚生省がやっておりました僻地に診療所をつくるというようなやり方はなかなか医者が定着してくれないという困難にぶつかりまして、先生も御存じのとおり、むしろ本当の僻地から少し離れてはおりますけれども、僻地中核病院というようなところに人的あるいは物的の整備をしまして、そこのお医者さんを僻地に派遣するというような方策にここ数年来重点を変えてきておるわけでございますが、それによってかなりの効果も上げておるわけでございます。
 僻地加算をするかどうかということについては、保険局長の方で答弁することであろうかと思いますので、私は、まあ確かに僻地のお医者さんを確保するというのはむずかしい問題でございますけれども、まあ僻地中核病院の充実その他によって、徐々にではありますけれども、僻地医療に携わるお医者さんを確保してきておるという実態を御報告申し上げたいと思います。
#139
○政府委員(大和田潔君) 僻地加算と、保険のサイドで僻地加算を設けたらどうかという、こういう御意見でございますが、実はその僻地加算を設けますと、たとえば家族の場合三割負担ということになった場合には、家族の負担がほかの地区よりも多くなると、こういう問題がございます、僻地加算を設けると。あるいはまた、その僻地とほかの地域との間で診療報酬の地域差というものを設けるということで決して好ましいことではなく、そういう意味では非常に特別加算を設けることは、保険サイドでそういうものを設けることは困難である、やはり先ほど来医務局長も申しておりますような、いわゆる僻地医療対策というものを充実させることによりまして対処をしていくべきではないかというふうに考えておるわけであります。
#140
○対馬孝且君 これ間違ってもらっちゃ困りますよあなた、私の言っているのは国がやれということを言っているんだよ、ぼくの言っているのは。そんな被保険者に負担させるなんてとんでもない話なんだ、ぼくの言っているのは。間違ってもらっちゃ困るんです。私が言っているのは何と言っているかというと、現在の診療報酬の一律方式を部分的に改めてそれは国として、僻地であるための、僻地という特殊の地域、僻地という特殊の問題点としてこれはやってもらいたいと。これはどこの県立病院行っても全部これ要請ですよ、これは。間違ってもらっちゃ困りますよ、保険局長。そんな家族に三割の負担かけるなんて、何言っているんです。
#141
○政府委員(大和田潔君) 保険サイドで診療報酬の加算を設けるということになりますと、どうしてもいまのようなことになる。したがいまして、従来からとっております、いま医務局長が申しておりますいわゆる僻地対策ということになりました場合には、その保険ではないサイドで僻地対策が行われるということになるわけであります。
 私どもの方は、保険で行いますればいま申しましたような家族の場合には三割負担の対象になるということで家族の負担になると、こう申しておるわけであります。
#142
○対馬孝且君 あのね、質問に答えてくださいよ。ずいぶんやったようなふりして、こんな資料出ているから、ぼくは言いたくないんだけれども、第一次、第二次、第三次、これずっと五十五年から六十年まで全部出ていますよ、五十三年の十月現在。これ無医地区の問題からずっと第四次と、三十一年度から始まったあれ全部こんなもの読んでいますよ。そんなこと言っているんじゃないんですよ、私の言っているのは。問題は、僻地に対していまなお医師が不足し、そしてこれが無医地区の患者自体が命の問題として、いま一命を取りとめることができなかった問題があるんですよ。
 これは具体的に申し上げますけれども、これは別海地区というところがあるんです。あなた方行ったことがないからわからぬだろうが、根室からちょっと約二十キロばかり離れたところに別海というところがある、これ酪農村だ。その酪農村で一命失ったんですよ。そういう問題があるから私は言っているんですよ。だから医師の問題として、私は加算制度を設けなければ、なかなか医師の確保は困難だというその町村自体の訴え、道の訴えあるいは県の訴え、こういう問題をぼくは大事にしていく必要があると言うんです。そのことをまず満たさずして、ただ保険だから、いや家族に三割負担かかるんだと。私の言っているのは、国として特別扱いとしてこれを見るべきではないかと、そのことを言っているんですよ、それは。間違ってもらっちゃ困るよ、あなたそんなこと。
#143
○政府委員(田中明夫君) 僻地対策の一環といたしまして、まあ医師の確保につきましては、すでに長いこと奨学資金制度をしいておりますし、また昨年からは自治体病院協議会に依頼いたしましてあっせん事業等をやっていただき、その助成をしているわけでございます。で、僻地の医療機関がなかなか採算がとれないということで、まあお医者さんもなかなか定着しにくいということにつきましては、先ほど申し上げましたが、不採算地区の医療機関に対する経営費の補助ということで対応をしておるところでございます。
#144
○対馬孝且君 これ大臣ね、ずうっと地方を回られて、こういう話聞きませんか、実際問題として。私も一昨年ずうっと回って、去年も回って、どこの県立へ行ったって、どこの道、県へ行ったってこの問題必ず要望されるんですよ。それがなかったら……僻地対策の根幹はこれだと言うんだ。そういう意味で私は申し上げているのであって、医師の確保の問題と同時に、このことがされなければ僻地対策の根幹をなさないということ、ぼくの言っているのは。その点がどうも答弁が答えてないんだよ。大臣どうですか、この点について。やりとりしてわかるでしょう、これ。あなた。現地へ行ってないからわからないんだ。
#145
○国務大臣(園田直君) ちょっと待ってください。
#146
○政府委員(田中明夫君) 僻地の医療機関の助成といいますか、運営の補助あるいは僻地中核病院の拡充ということで、従来から僻地医療対策をやっておるわけでございますが、今後ともさらにそういうような施策を強化してまいり、僻地医療を確保すべく努力をいたしたいと思います。
#147
○国務大臣(園田直君) 僻地の問題ではいろいろ問題があるわけでありまして、手当ての問題もあるし、それからお医者さん自体が、僻地に行くと新しい機械や新しい勉強ができない、それから家族の教育、こういう問題いろいろあるわけでありますが、やはり一番大きな問題は、僻地診療のための定員の確保ということは、これは非常な大きな問題で、これをどうやるか、歴代厚生大臣が非常に頭を悩ましたところでありますが、定員外でこれをやれという意見もあるわけでありますが、実は厚生省では定員外定員と申しますか、病院に看護婦さんから従業員の数多くの定員外の定員を持っているわけでありまして、これに対する待遇等も、これはなかなか猶予を許さない程度のものであります。こういう問題を含めて、これをもう一遍勉強してみないと、ここで具体的に御満足のいく返事はなかなかできにくいと思いますけれども、そういう問題をくるめて、しかも僻地と申しましても、北海道あるいは沖繩、九州、それぞれ環境も違っておりますので、そういうことも加味してよく検討したいと存じます。
#148
○対馬孝且君 じゃ、これは大臣ね、私は何も厚生省をいじめようとか、痛めつけようとかで言っているんじゃないんですよ。あのね、一昨年も、これ同僚の佐々木理事さんもおいでになりますし、一緒に行かれましたけれどもね。どこへ行っても言われるのは、僻地対策の最重点にしてもらいたいと。それは第一次、第二次、第三次と、こうありますな。で、第三次の問題というのは、国でやらなければこれはできないわけです、公的病院でなければ、大臣御承知のとおり。そこで、その中で医師確保の問題は、一つは総定員法の問題があるけれども、それは僻地優先ということで医師を確保してもらいたい、これが一つ。それは行政管理庁来ていますから後から私申し上げますから。それから、厚生省としてはその姿勢をまずとってもらいたい、別枠という考え方でとってもらいたいということが一つなんです。
 それから、二つ目は、この加算制度というのは何も保険方式のことを言っているんじゃないんですよ、私が言っているのは。いわゆる僻地という特別地対策として、国がこれを手だてをすべきものであると、これがどこの県立、道立へ行っても必ず県の知事なり副知事からも実は私も要請を受けて深刻な問題になっていますと、このことについてひとつ積極的に検討して手だてをしてもらいたい、こう言っているわけなんですよ。何も私はあなた方をしかってみたってしょうがないんだから。問題は、こういう県民のいま僻地に住んでいる方々で命を失った人もいる、こういう深刻な問題だけに私はそれをひとつぜひやってもらいたい、こういうことを大臣に言ってるわけです。そこのところひとつ間違いないように答弁してもらいたいと思うんですよ。
#149
○国務大臣(園田直君) いまの国が考えるべき加算の問題、それから定員を何とかして確保する問題、よく問題点がはっきりしましたから、その点について検討いたします。
#150
○対馬孝且君 そういうことでひとつ積極的にこのことを実現するために早期に結論を出してもらいたいと思います。
 それでは次の問題に入りたいと思います。
 僻地対策ではこのように出ています、安恒同僚委員から要求した資料の中に、私も読ませていただきましたが、第五次の整備計画の中で、いわゆる昨今モータリゼーションの伸展、道路事情の改善というもので社会環境の急激な変化により、僻地をめぐる条件も相当数改善をされた、すぐ厚生省はこう言うわけだ。ところがこれもまた知らなさ過ぎるんですよ。これはほかの地域、私もそれなりに歩いていますからね、申し上げたいのでありますが、一般の医療水準は確かに向上しているわけですから、僻地住民のやっぱり要求の問題というのは一体どういうことかと言えば、特に冬期間積雪の場合ね、これいまの国鉄の場合と同じなんだけれども、すぐ国鉄関連でちょくちょく余談になるけれども、吹雪が二、三日あったらとまるんだろうなんていって、吹雪でとまったらすぐバスにかえることができるじゃないかといって、そういうばかげたことを言ってはいかぬといってぼくも認識を改めさしたけれども、そうではないんですよ、これはもうアイスバーンといって、もう降雪地帯は冬期間に入ったらアイスバーンになっちゃって、自家用車も何も動かなくなるんだ、これ。そこがあなた方は住んでないからわからないんだよ、ぼくに言わせりゃ。それを何かこう二、三日猛吹雪があって、猛吹雪がやんだらすぐまた自動車が走るんだろうなんて、運輸省の官僚が認識しているようだけれども、大体そんな感覚だから僻地対策はいつまでたってもできないんです。そんな問題ではないんです、私の言っているのは。何ぼ道路がよくなろうと、環境がよくなろうと、アイスバーンになったらこれは走らないんですよ、もうとにかく。
 こういう問題があるんだということを踏まえて私はやっぱり僻地対策という問題を第五次段階では医療情報システム、これの導入を図って、電送装置を利用した医療情報の提供を積極的に推進していく、こういうことを第五次政策で打ち出していますから、このことについてのひとつ認識を、私が言ったことわかると思うんだが、そういう認識の中で第五次政策のここで示している情報システムの導入、あるいは電送装置の利用という、あるいは医療情報の提供といったものはどういうふうに具体化されていくんだと、このことをひとつお伺いしたいと思います。
#151
○政府委員(田中明夫君) 先生御指摘のとおり、冬期間における僻地は、モータリゼーションが発達した現在でもなかなか接近できないという問題がございますし、また離島等も同じような状態になっておるわけでございます。そういうような地域で医療に従事しているお医者さんに、その僻地の診療所と僻地中核病院との間を電話で結びまして、僻地診療所におけるお医者さんがいろいろ検査等をした場合に、その所見をそのまま僻地中核病院の方に送り、そこで専門のお医者さんが適切な読影をいたしまして診断を下し、さらには適切な治療法等も僻地のお医者さんに指示するというのが一つでございます。
 また、お医者さんもいないような僻地に働いておられます保健婦さんと最寄りの医療機関との間も、同様電話で連絡をとりまして、保健婦さんのいろいろな患者から得ました訴え、情報等を最寄りの診療所のお医者さんが聞きまして、保健婦さんに保健婦さんとしてできる範囲内の医療の補助的な行為について指示をするというようなことを考えておるわけでございます。
#152
○対馬孝且君 これいま聞いたら、一般論的な、やっぱり相変わらずそう前進したとは言えませんな、いまのあれでは。
 たとえば、この間私、奥尻まで行ってきました。奥尻というのは函館の西の方になりますが、あそこは海が荒れるともう一週間も三日も船が通りません。しかし、病気というのは瞬間的に一時間を、あるいは一分を争うという問題になるわけですから、私はそういう意味では、一つの情報システムあるいはそういう問題についてそれなりに理解をしますが、問題はやっぱりそういうことについて、率直に申し上げて、飛行機の問題とかいろいろな問題で対策をぜひしてもらいたい、こういう状況にいまなっているわけでありまして、そういう問題についてそれじゃどういうふうに扱っていくのか。私はヘリコプターならヘリコプターというものもある場合によってはこれが無医地区対策として装備をするとか、そこまでいかなければ、情報だけのあれだけでは、これだけでは機能を果たし得ないと思うんです。そういうことも含めて、私はこれからの第五次対策というのはやっぱり考えてもらいたい、こういう考え方を持っているんですが、いかがなものでございますか。
#153
○政府委員(田中明夫君) 先ほど申しましたような電送装置によりますいろいろな情報の交換あるいは中心的な医療機関から僻地に対する医療に関する指示ということだけでは解決できず、たとえば手術を必要とするというような場合は、僻地ではできないというような問題もあるわけでございますので、先生御指摘のような点につきましては、従来とも海上保安庁その他の協力も得て、必要に応じてはヘリコプター等も飛ばしているわけでございますが、さらにそういうことについて組織的に検討してまいりたいというふうに思っております。
#154
○対馬孝且君 ほかの海上機関に頼るというようなことじゃなしに、私は厚生省として当然これは予算要求をして、そのぐらいの施設あるいは装備の完備、あえて私に言わしてもらうなら自衛艦に魚雷を搭載したり、自衛艦にミサイルを積むくらいなら、むしろそれこそ無医地区にこういうヘリコプターぐらいちゃんと装備さして、いついかなる場合でも僻地あるいは離島、こういう関係の対応ができるくらいのことをやるべきだ、私に言わせれば。そんなことよりもこっち側を優先すべきですよ。
 そういう点を踏まえて、ひとつこれはむしろ第五次の対策のこれからの要求の中で、対策の中で積極的に検討してもらいたい、積極的に進めてもらいたい、むしろ検討というよりも、この点ひとつ大臣にお伺いします。
#155
○政府委員(田中明夫君) 大臣のお許しを得まして私からお答え申し上げますが、先生申されているような点につきまして、積極的に検討いたしたいと思っております。
#156
○対馬孝且君 大臣、いかがですか。
#157
○国務大臣(園田直君) 当然のことでございますから、そのような方向で今後やっていきたいと思います。
#158
○対馬孝且君 それでは、ぜひそういうことで大臣、ひとつ積極的に僻地対策の問題に取り組んでもらいたいと思います。
 ただ、僻地対策の中で一つだけ確認しておきますが、不採算を理由に政策の後退だけは――むしろ政策をもっと第五次ということにこだわらずに、不採算を理由にせずに、救急あるいは僻地対策というものはぜひ積極的に取り組んでもらう、この考え方だけはひとつ確認しておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#159
○政府委員(田中明夫君) 先ほども申し上げましたように、不採算地区の病院の条件等を緩和するように、来年度の予算要求では考えておりますし、その他積極的に進めてまいりたいと思います。
#160
○対馬孝且君 それでは、次に自治体病院の基本認識についてちょっとお伺いします。
 今日の自治体病院は九百六十一を数える現状にあります。五十四年三月三十一日現在、特に三百床以上を占める病院の割合では四分の一を占め、その総体的位置、期待がますます高まってきていると思われますが、今日の営利医療の枠の中では現在の医療制度の矛盾、ゆがみが集中しているので、この自治体病院は懸念がないかということが一番私は心配をするわけであります。それは何かといいますと、やっぱり先ほども言ったように、地域医療の最前線に自治体病院というのはあるわけですから、そういう面で自治体病院の育成強化、育成策についてまず冒頭お伺いをしたいと、こう思います。
#161
○政府委員(田中明夫君) 自治体病院の建設、改良等に対する補助といたしましては、救急医療体制整備計画に基づく救急医療施設の整備、また僻地医療計画に基づく僻地中核病院施設の整備等について、施設の整備の助成措置が講ぜられております。現在の厳しい財政事情のもとでは、公共事業費の予算の制約があることから、これらの特定部門に着目した年次計画に基づきまして、施設整備が優先するということはやむを得ないところであろうと考えております。したがいまして、現段階では一般の自治体病院の建設、改良費に補助対象を拡大するということは残念ながら困難であるというふうに考えております。また、先ほども申しましたように、不採算地区の医療あるいはがん等の特殊、高度な医療の運営について、運営費の助成措置を講ずる必要があるということから、昭和四十九年度から自治体病院に対する特殊診療部門運営費補助金を交付するとともに、年々補助基準の改善を図っているところでございます。
 本年度はさらに補助対象を小児医療部門を有する自治体病院にも拡大いたしました。来年度の予算におきましては、先ほど申しましたように、不採算地区病院の補助要件を緩和するとともに、補助対象を医学的リハビリテーション施設を有する施設にも拡大いたしたいということで財政当局と折衝中でございます。
#162
○対馬孝且君 いま、自治体病院の助成につきましていろいろございました。確かに運営助成金、これ私も表を持っていますから、不採算地区病院、救急医療のA、B、がん施療施設、小児施設、これの特殊部門への運営資金等はございますね、いまあなたが説明したとおり、それはそれなりに認める。これはぜひひとつ増額をぜひともしてもらわなければ、これは先ほど言った自治体病院の何といっても救急僻地医療のやっぱりかなめをなす病院の使命でありますから、それだけじゃありませんが、特に重要対策になっていますから。
 あわせて、これちょっといまあなたのお答えになかった中で、特別地方債の融資措置ということをこれはひとつやっぱり考えてもらわぬと、現状固定だけというだけではこれからの対策として僻地なりあるいは無医地区対策になっていかないんじゃないか。だから私が言いたいのは、いまあなたのお答えの中に出てこなかったんでありますが、やっぱり特別地方債融資の措置は現在あるわけでありますが、この融資枠の拡大ということを、ひとつ運営費と相まって大蔵省に来年度の予算要求に積極的に取り組んでもらいたいと、こういう考え方を持っておりますが、いかがなものでしょうか。
#163
○政府委員(田中明夫君) 御指摘の点につきましては、自治省の所管になっておるところでございますので、私どもの方から先生のお考えを自治省の関係部局によく伝えておきます。
#164
○対馬孝且君 これ大臣ひとつ、いまお聞きになったように、この自治体病院が不採算のためにということだけではないが、やっぱり運営助成金というものは一応つけられた。これは一つのあれだと思うんでありますけれども、いま後ほど申し上げる保健所の問題にしても、定数問題にしても大変なことになっているわけです。だから、そういう意味で私は申し上げたいんでありますが、この特別地方債、これは私は昭和三十六年から五十四年まで資料持っていますが、これは、これだけではやっぱりいまのこの病院の占める、いわゆる保険医療費の増高などから判断してみまして、この特別地方債の支給枠というのはこれでは足りないんではないかと、当然やっぱり運営費と同様に拡大をしてもらいたいと、このことは大臣としてどうですか、取り組んでいただけますか。
#165
○国務大臣(園田直君) よくわかりました。それぞれ関係方面と相談をいたします。
#166
○対馬孝且君 それでは、次に保健所の問題で私は具体的にひとつお伺いをしたいと思います。
 それは、保健予防、公衆衛生それから保健所並びに健康づくりの考え方につきましてこれからお伺いをしたいと思います。
 まず、国民の健康を守るという基本的な姿勢について政府は昭和五十三年度から国民の健康づくり対策と新たな施策を打ち出してまいりました。その基本は、自分の健康は自分で守るという自覚と認識の基本としてという自己責任を強調するものであります。で、健康や生命に対する個人認識を持つことは当然でありますが、今日、個人の自覚の認識のみでは私は生命は守れないと、そういう意味ではこれはすべての責任は個人の責任に帰することであって、国や地方自治体は健康に対する責任を回避していると言わざるを得ません。私は、国民の健康を守るという基本姿勢、国民の自覚、認識、国と自治体が行政責任としての健康を守ることが基本であるという立場に立っていますが、この基本認識について大臣にひとつまずお伺いをしたいと思います。
#167
○政府委員(大谷藤郎君) ちょっと事務的な問題を先に申し上げます。
 五十三年度の国民健康づくり計画におきまして個人の健康は個人で守るということを言っておりますのは、個人の自覚の問題を言っているのでありまして、当然国あるいは都道府県、地方自治体の責任を回避するという意味ではございません。たとえば肝臓の病気を予防するにいたしましても、まず酒を飲まないとか、あるいは暴飲暴食をやらないとかいうことが前提にありませんと、これは単に病院や保健所を整備するというだけでは健康は守れないのでございまして、そういう意味で、この個人の健康を個人で守るということを言っておりますのは、これは国あるいは地方自治体の責任を回避するために申し上げているわけではございませんで、健康を守る基本的な所在のあり方ということを示したものでございまして、当然五十三年度から始まっております国民健康づくり計画におきましては、国あるいは地方自治体におけるそういった自覚に応じました健康管理体制の整備ということを打ち出しているわけでございます。
#168
○対馬孝且君 大臣ね、そうであるならばなぜこれ先に、自己の健康は自分で守るべきであるということが先にどうして出てこなきゃならぬのですか。これは国民の健康づくり対策という新たな施策の方針として出ているわけでしょう。どうして、自分の健康を自分で守るということで先に出てきて、そのあらわれがいま出てきた乱診乱療あるいは薬づけ、検査づけという問題がいまなお解消されないという認識はそこらあたりにやっぱりあるんじゃないかということになるわけでありまして、私は、むしろこれが基本姿勢としては国の自覚、国と自治体がやっぱり行政責任で健康を守っていくということが先に来なけりゃならないんじゃないか。それに立って自己の自覚というものがやっぱりきちっとしなければならないんじゃないか。ところが、どうもこれを見ますと、これ私驚いたのだけれども、本人の自覚だけが強調されちゃって、国とあれの責任というのは、自覚というものは何もない。最終的にちょこっとちょっぴり足したような印象で、そういう認識がやっぱり富士見病院に見られるようなああいう結果を生んだり、あるいは乱診乱療を生んだりすることにつながっていくんだと、こういう後向きの姿勢になっているところに問題があるんじゃないかという気がするんですが、この点大臣どういうふうにお考えになりますか。
#169
○国務大臣(園田直君) 局長が申し上げましたとおりでございまして、やはり国と自治体が推進の責任者であります。今後はそういう言葉遣いにもよく十分注意をして誤解を受けないようにいたします。
#170
○対馬孝且君 誤解を受けないようにしていきたいというが、本音がどうもそこらあたりにあるから、これ出てくるんじゃないかという私は気がするんですがね、大臣はその辺ともかく、厚生官僚としてはできるだけそういうふうにして財源を使わないように使わないようになんて、片っ方では薬の方にはおまけをつけるなんというような、そういうことがどうも本音じゃないかと思うんだけれども、そうでなければそうでないで結構です。素直に受けておきましょう。大臣が言うとおり、ひとつそういう考え方で取り組んでもらいたいと思います。
 それでは、今日の病気を防ぐ保健予防が軽視をされ、地方中心の保健医療となっていないんではないかと、このことを指摘せざるを得ません。それは本来国民の健康と生命を守る保健医療とは、予防にまさる治療なし、予防医学がやっぱり先行しなければならないということが今日の健康を守る基本ではないかと、こう思うわけです。ところが、先ほど来ずいぶん中核センター中核センターと局長は強調しましたが、保健予防の現状、それから公衆衛生行政の中核センターである保健所は現在私の調べでは八百五十五ありますね。しかも、これは無認可の保健所が三つあります。無認可のまだ保健所があるんですよ。こういう実態を一体どういうふうにこれ考えますか。ずいぶん中核医療を整備いたしましたとお答えがあったが、まだ無認可の保健所が三つある。こういう状態でこれが整備されたということが言えますか、これ。この認識をひとつまずお伺いします。
#171
○政府委員(大谷藤郎君) 保健所につきましては、戦後、保健予防の仕事をやるということでやってまいりましたが、五十三年度から、先ほども申し上げましたように、国民健康づくり計画ということで、市町村の方にも市町村保健センターを設置する、こういうことで整備を進めてまいりまして、すでに二百数十カ所整備したところでございます。したがいまして、私どもとしては、従来保健所のみで予防事業をやるという線から、さらに市町村も含めまして全体として全国的に予防事業を拡充強化していくという線を打ち出しているわけでございます。
 そこで、先ほど御指摘の三カ所の無認可保健所の問題でございますけれども、保健所はそういうわけで市町村と連携いたしまして、広地域のあるいは高次元の保健予防事業をつかさどる、こういうふうな形で政策の方針としているところでございまして、無認可の保健所というと名前が非常におかしゅうございますけれども、これは一つは財政上の問題で、認可をするということは即補助金を認めるというふうなことになるわけでございますが、こういった問題も財政上のいろいろ制約ございまして、私どもとしては、従来全然そういった都道府県が設置されました保健所をすべて認可していないというわけではありませんが、財政上あるいは人口、地域の特性というふうなものも勘案いたしまして、まだ三カ所の保健所がそのまま残されているという現状でございまして、認可をしないというわけではございませんです。
#172
○対馬孝且君 私が言っているのは、助成金がつくから認可をしないとあなた本音を言ったがね、問題は戦後ですよ、戦後保健所の役割りというのは、あなたが知っているとおり、結核問題にしたってあるいは食品問題にしたって、それなりに役割りを果たしてきたでしょう。保健所の果たした役割りというのはこれは私は重大な役割りを果たしてきたと思う。そういう意味ではやっぱり予防医学、予防センターとしての役割りは十分私は果たしたと思っているんですよ。そういう中で、どうしてこれ、無認可の保健所ができ上がるか、いまあなたが言いましたけれども、助成金がつくからそれじゃ認可できないと。財政上の問題だけですか。理屈に合わないんじゃないですか、それじゃ。ほかの方は認めて、こっちの三つは認められないと、こういうのはどういうことなんですか、これ。
#173
○政府委員(大谷藤郎君) 先ほども申し上げましたように、財政上のみの理由ではございませんで、地域あるいは人口等地域の特性を考えまして逐次これを認めていくという考え方をとっているわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、五十三年度から市町村における予防事業、保健事業というものを拡充強化していくという考え方で、従来の保健所の役割りというものを専門的あるいは広地域的な性格で、従来より以上に技術的中核として発展させていくという考え方でございまして、そういった意味で総合的に判断いたしましてこれを認可していくという考え方に立っているわけでございます。
#174
○対馬孝且君 いや、それは総合的とか何とか、いろいろなこと言っているけど、あなたの言っているのは財政に尽きるんだよ。そんな言葉を、市町村単位とかいろいろなことを言ったって、なぜそれじゃ三カ所だけどうして認可できないんですか、そんなこと言ったって。八百五十八のうち八百五十五を認可しておって、あとの三つだけが認可できないと、総合的と言ったって保健所としての資格が整っていないのかどうか、そんなことじゃないでしょう、これ。私が言いたいのは、そういうことについては少なくとも保健所たる資格のあるものについては、当然認可をすべきものではないか、このことを言っているのであって、これもひとつ解消のためにやってもらいたい。
 それから時間がないからあれだけれども、だんだん時間が来ましたから、昭和四十三年から五十五年までの間に保健所の職員は三千二百六十二名国の補助定数から削減されているんですよ、どういうわけですか、これ。これとあわせて答弁してくださいよ。
#175
○政府委員(大谷藤郎君) 保健所におきましても、国の定員削減の計画と横並びの措置といたしまして削減を受けているわけでございまして、その数が先生御指摘のように四十三年から五十四年までの間に三千三百六人という数に上っているわけでございます。しかし、その間に私どもといたしましては公害あるいはその他地域の実情に応じた専門職員の増員ということを図っておりまして、それを増減いたしますと千七百三十四名の減員ということになっているわけでございます。
#176
○対馬孝且君 専門員をふやしたと言ったって、専門員は専門的なために必要なものであって、これとごっちゃにしては困りますよ、これ。だから少なくともこういう現状であるということはいまお認めになっているわけだから、したがってこの補助定数というものを、定数を削減すればいいというものではなくて、保健所の機能が充実されないとぼくは言うんだ、このことは、大臣。ここを言いたいんだ、ぼくが言っているのは。その点で厚生省の態度として、私は行管に対しても物を言うが、これはやっぱりそういう姿勢で対処するということをあなた方自身が持たなければ、何でも総定員法総定員法って総定員法を隠れみのにして何か減らしていくんだというようなことじゃ、これは言葉では生命を守るとか命を守るとか救急医療体制の普及、何だとか言っておいて、片方では逆じゃないですか、これ。削っていくことになるじゃないですか。そういう姿勢をどうなんだと私は聞いているんですよ。
#177
○政府委員(大谷藤郎君) 先生御指摘のように、保健所についても国の定員計画の横並びということで削減計画が実施されていることは私どもとしてもまことに残念に思いますが、厚生省といたしましてはそれなりに努力をいたしておりまして、たとえば国の第四次の統一削減率は四・二%ということでございますけれども、医師あるいは保健婦等技術職員につきましては削減率を掛けないというふうなことをお願いいたしまして、事務職員等、これについても、それは削減するのはいかがかという意見もございますけれども、国全体といたしましての定員削減計画の横並びということでありますとすれば、私どもとしてもなかなかそこのところがむずかしいところでございまして、そういった点で技術職員については削減を掛けないということをしていただいておりまして、先ほどから申し上げておりますように、その他の増員等もございまして、三・三%という国全体の削減から見ますと、これを低く抑えているというふうな努力をいたしているわけでございます。
#178
○対馬孝且君 これは時間がありませんから、ひとつこの問題は積極的にまずあなた方自身が、総定員法とかいろいろな国の、まず行管の方針の前に、これだけは絶対やっぱり命と健康を守るということが最優先である、待ったなしであると、こういう姿勢に立つとするならばこれは定数切ることにならないんだ。私はその体制を堅持してもらう。あなたもこれからやると言っているから、そういう姿勢で取り組んでもらいたい。
 それからもう一つは、保健所の拡充強化に対して国の財政投資が主要なかぎとなっていることはいまも指摘したとおりであります。そこで私が申し上げたいのは、保健所の運営補助金を廃止して地方交付金に切りかえるという動きがありましたね。これはあなたもお認めになると思います。そういう意味では、ひとつ保健所の補助金は、保健所法に基づいて国が当然基本財源としてこれは見るべきものであります。そういう意味で私は、これは行政と財政の一体化というのは当然のことなんですから、そういう意味では保健所の運営補助金というものの地方交付税への切りかえというような、そういう性格のものではなくて、むしろ行政面で一体的にやっぱり考えていくという基本に立つとするならば、どうして地方交付税に切りかえなければならないか。このことはひとつ厚生省として責任を持って対処してくださいよ、どうですか。
#179
○政府委員(大谷藤郎君) 先生御指摘のように、昨年度財政当局より保健所運営費については交付税回しはいかがかというふうな提言がございました。これについては時代の要請あるいは地域のニードに応じた考え方でいくべきではないかというふうな御意見であったわけでございますけれども、しかし、現実の問題といたしましては、戦後長らく現行の補助制度が定着いたしまして保健所を強化してきたといういきさつ、また現状のさまざまな諸問題等を勘案いたしまして、厚生省といたしましてはやはりこれは保健所運営費、補助金でいくべきであるというふうなことで、当面私どももそういった考え方を守っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#180
○対馬孝且君 そういうことで、ひとつ補助金を守って最後まで貫いてもらいたいと、このことをぜひ強く申し上げておきます。
 この機会に委員長にもお願いしたいんでありますが、業務委託についての、母子保健、結核予防、寄生虫予防、各種検査などの過去十年間の実態調査の資料、これは後日でよろしゅうございますから、理事会でひとつ御検討願いたいと、このことをまず要望しておきます。
#181
○委員長(片山甚市君) わかりました。
#182
○対馬孝且君 大臣、いまの答弁よろしゅうございますか、先ほどの。
#183
○国務大臣(園田直君) 保健所の問題、それからいま御指摘の問題等含めまして、厚生省としては全力を挙げて御指示どおりに努力をいたします。
#184
○対馬孝且君 それでは次の問題に入ります。
 いままで救急医療、医師確保の問題、それから加算額等の地域事情の問題等申し上げてまいりました。時間も迫ってまいりましたからひとつ重点をしぼりたいと思いますが、特に私は北海道の無医地区の問題をあえてここでぜひ取り上げなければなりません。
 それはどういうことかと申しますと、これはおたくの出した資料でもございますが、全国都道府県の無医地区が、北海道が二百九、広島が九十八、高知県が八十九、鹿児島が七十三、大分県が七十二、千葉県がゼロ、神奈川一、東京二地区、佐賀三地区、大阪が五地区と。北海道二百九というのは全国一であります。これは、もし間違いであれば御指摘願って結構でありますが、こういう実情になっております。
 そこで、北海道の無医地区の二百九という中に、問題なんでありますが、いまなお宗谷管内で、これは医師の問題を一つ例に挙げます。これは道庁の数字でありますから、北海道庁五十四年十二月三十一日現在、宗谷管内では人口十万人当たりの医師の数が四四・一人であります。根室管内で四八・一人、檜山が五二・四人、日高が六〇・四人、網走が六三・五人、留萌が六五・九人、ほとんど道東、道北がまさに医師不足であります。これはあなたが医師不足でないと言うなら、私もばっちりこれ申し上げるけれども、間違いありません、これは道が出した資料ですから。現在の医師不足数というのは、宗谷で四十七人、根室で四十八人、檜山で三十九人、日高で六十二人、網走二百三十四人、留萌で二百五十九人。しかも大事なことは、私は数を言っているんじゃないんだ。しかもあの道東の根室管内、宗谷に内科の医者がいない。これは大問題ですよ。いま脳性疾患あるいは心臓病、これの死亡率が一番高いと言われているわけだ、高血圧症。こういうときに、こういう状態がいまだに放置されているんですよ、これ。私、この間根室に行ってきたんです。こういう認識の中で、いまなおこれは北海道の場合医師が確保されていない。あなたは確保されていると、さっき一部は確保されているけれども一部じゃされていませんと言うから、そのまま私は受けとめますけれども、こういう認識についてはどうですか。まず、確認できますか。
#185
○政府委員(田中明夫君) 北海道につきましては、道全体といたしましては人口当たりの医師の数というのは全国の都道府県の約、真ん中ぐらいというか、平均的なところにあるわけでございますが、先生御指摘のとおり、道東、道北等、地域によりまして非常に医師が不足しているということは了承しております。すなわち、非常に地域的な偏在があるという大きな問題があるわけでございます。この点につきましては、道といたしまして当然地域的な医療計画というものを策定して医科大学を誘致する等、いろいろとお考えになっておられるようですが、厚生省といたしましても、道当局とこの点につきまして十分協議して解決に努力いたしたいというふうに考えております。
#186
○対馬孝且君 そこで、私は次の二点を、時間がありませんから申し上げますが、一つは、これ五十二年の春の予算委員会予三分科会で、同僚の岡田利春、北海道第五区の代議士、それから私も言っておりますが、道東に医科大学をこの際建設をすべきである。そうしなければ道東関係における医師の不足解消は困難である。このことは、これは道も認めているところであります。したがって、この取り組みの姿勢について、ひとつぜひ取り組んでもらいたいということが一つ。
 それからもう一つは、現在厚生省の定義によれば、無医地区の概念として四キロ区域以内に五十人以上居住しなければ、これは医療機関としてみなさない。ここなんですよ、大事なところは。これをやられたら北海道はたまったもんじゃないんだ。これで落とされちゃったらどういうことになるか、これ。四キロ以内五十人という線引きをしたということになれば、北海道はどういうことになるかということについて、私は時間がないからこっちから申し上げますが、百四十四カ所になるんですよ、この該当する個所が、五十人以下というのは。これで何が無医地区の第五次対策で、地域医療を確保しますと、あるいは情報システムを完備しますということになりますか。中核医療センターができたとなりますか。これ私が言っているんじゃないんだよ。道庁の調べです、これ。こういう問題について、しかも四キロ以内五十人以下はもう全部落としてしまうんだと。これではおまえら勝手に死ねと言うことと同じだ、こんなことが許されていいかということですよ。この二つをちょっとお伺いします。
#187
○政府委員(田中明夫君) 僻地診療所の整備等、地域医療対策を有効に実施するため、政策の対象となる地域、いわゆる僻地の住民がある一定数以上いるということを条件とすることは、われわれ僻地医療対策を考える場合に、五十人というところで線を引っ張っておるわけでございますが、
   〔委員長退席、理事高杉迪忠君着席〕
これはあるところで線を引っ張るということは、行政上まことにやむを得ないというふうに考えておりますが、北海道のような場合にはほかの府県と大分事情も違いますし、巡回診療等は引き続き行っていくということはもちろんでございますが、先ほども申しましたように、道の衛生当局とも十分相談いたしまして、北海道に適した対策というのを検討いたしたいと思っております。
#188
○対馬孝且君 それではその四キロ以内の五十人以下ということについては十分に考えると、北海道の実情として。そう理解していいですね。
#189
○政府委員(田中明夫君) 一応全国的な統計をとる場合にはこういう基準でやりますけれども、北海道につきましてはほかの府県と事情も違うので、その点につきまして道の当局と十分相談してやりたいというふうに思っております。
#190
○対馬孝且君 大臣にひとつ、それでは。いまの百四十四カ所、これだけの地域にこの五十人以上、これを当てはめたらこれはもうまさに死ねと言うことと同じですからね。まさに医療手だては、医療はなしと、こういうことになりますので、大臣、この点について先ほどの点も含めてひとつお伺いします。いかがですか。
#191
○国務大臣(園田直君) いま局長から御返答申し上げましたとおり、北海道の特性にかんがみて、局長の申し上げました方針をそのまま遂行することにいたします。
#192
○対馬孝且君 それでは特殊事情を加味して、ひとつぜひやってもらいたいということでよろしゅうございますね。
#193
○国務大臣(園田直君) はい。
#194
○対馬孝且君 はい、わかりました。
 それから、道東の医科大学についてはどうですか。
   〔理事高杉迪忠君退席、委員長着席〕
これからひとつ検討してもらいたいということについて。
#195
○政府委員(田中明夫君) 道東地区の医科大学の設置につきまして、御要望は私どもも受けておりますが、この所管は文部省でございますので、先生の御要望を文部省の方によく伝えておきたいと思います。
#196
○対馬孝且君 文部省だということは知っているよ、この前予算委員会でやっているから。厚生省としてそういう方向でひとつ努力してもらいたいと、こう言っているんだから、その点ひとつ、よろしゅうございますね。
 それでは次に、いま北海道の最大の一つの課題にもなっているんですが、広大な北海道の特に人口の少ない地域、一般診療所は経営的にもむずかしく、病院中心にした医療体制にならざるを得ず、結果としては国立あるいは公的医療機関というのは重要な、北海道の場合、いま申し上げましたようにウエートを占めております。そこで、問題は何かと言いますとね、道当局は道の行政改革の一環としていわゆる寿都、松前、増毛、いままでの道立病院を町立に格下げずるというわけだ。これは私はちょっと筋が通らないし、こういう厚生省の考え方というのは一体どうなのかということ。なぜそれ言うかというと、一昨年私も先ほど言った高知県あるいは青森あるいは徳島などを歩いてきました、函館も。むしろ県立病院の段階では、町立を県立に引き上げるという機運の要望はあったけれども、そういう考え方、実態を聞きますが、青森の場合でも。ところが、これは町立に格下げするというわけだ。しかも、僻地は北海道は、言ったように百四十四カ所、五十人を満たさないものが。これじゃちょっと医療を守るどころでなくて医療を捨てるということになるんじゃないか、これ。この点どういうふうにお考えになりますか。
#197
○政府委員(田中明夫君) 北海道におきましては、一定の基準を設けまして現在あります道立の病院のうち、もっぱら特定の市町村の住民の診療に当たっているところについては、市町村に移管するというような御方針のもとに、現在道立病院の整理を図っているというふうに聞いております。これにつきましては、道の考え方も一つの考え方であろうかとわれわれは考えておりますが、そのために当該市町村の住民の医療が破壊されるといいますか、当該市町村の住民が医療が満足に受けられなくなるというようなことのないように十分指導してまいりたいと思います。
#198
○対馬孝且君 これね、問題はいま医療は、医療の基本というのは、先ほど私がなぜそれを聞いたかというと、冒頭聞いたでしょう、健康を守るのはおのれの責任だけではなくて、国、公的機関がやっぱりまず医療機関を守るということ、それから責任はやっぱりそこにあるという原点を私は言ったわけだ。それはあなたも認めたし大臣もお認めになったわけだ。
 そこで、私は言いたいことは、こういう行政改革というものに医療機関を対象にするということ自体に問題があると私は言いたいんですよ。そうじゃありませんか。これは単なる定数やなんかと違うんですよ。医療機関がもしこれ切り捨てられれば住民のサービスが切り捨てられる。命の保障はない。仮に民間委託になった場合にどうなりますか、これは。当然これは、健康保険の営利目的でありますから、これは市町村の負担増になり、やがては被保険者の負担増につながっていくでしょう。そういう問題については十分話し合うということは結構だが、私の言いたいのはいまでさえ、はっきり申し上げますよ、道立病院でさえ、先ほど言ったようにこの松前、寿都、増毛では医者が来手がないんだ。道立でさえ来ないものが町立へ格下げして来るわけないじゃないですか、端的に申し上げて。また現実に来ないと言っています、これははっきり申し上げて。道立だからいまの場合まだ医師が確保されているんだよ、何人かでも持ち回りでも。そういう問題に対して完全なこれは医療切り捨てですよ、私が言うならば。行政改革の対象にしていること自体が私は間違いである。それからもう一つの問題は、結果的にこれは民間への委託とかなんとかになった場合に、これは当然町民の負担増でしょう。負担だけではなくて私は町民の生命が守られないと言うことだ、私の言いたいことは。その点をやっぱり考えてもらって、むしろ医療を守る。先ほども大臣にも確認したように、私は先ほど言った第三次医療計画の中で出した基本方針というものを問いただしたのはそういう意味で聞いているんであって、そういう点でこの点はひとつ積極的に厚生省は、少なくてもやっぱり道立を基本として、これを守ってもらうという立場で行政指導をしてもらいたいと、この点ひとつ大臣にその努力を、道と話し合ってもらいたい、この点いかがでしょうか。
#199
○国務大臣(園田直君) 町と道が円満に話し合って医療の目的を達成するよう、私からも道に向かって話をいたします。
#200
○対馬孝且君 いま大臣から道に向かってそういう医療行政を守るという、しかも道立で医療サービスを低下せしめないというひとつ基本に立って、道側とぜひ話し合って解決をしてもらいたい、よろしゅうございますね。
#201
○国務大臣(園田直君) はい。
#202
○対馬孝且君 はい、わかりました。
 それでは次の問題に入りたいと思います。
 これはスモンの問題につきまして大臣も最近非常に努力をされまして、私も一昨年社会労働委員長のときに当時の橋本厚生大臣とも話し合いまして、和解の解決策に努力をいたしました。園田大臣になってから努力をされまして、東京地裁の場合は和解案で受け入れを最後まで拒んでおりましたが、去る十一月七日に受諾の意向で解決をするという方向にいったことは、大臣の努力を多としたいと私も考えます。
 そこでもう一つ問題は、ここで申し上げたいのは、東京地裁の和解もさることながら、同時に札幌高裁の和解勧告についてもひとつぜひこれを協議をして、先ほども、私は本当は知っていますよ、その資料要求を拒絶したから、会社の機密に属することだというから私は言わなかったが、現に高級官僚、厚生官僚の、先ほど名前挙げた天下り会社と武田薬品工業とが癒着していますよ。シェアにしても四〇%から七六%ぐらいまである。ただ、資料は拒絶したから私は言わなかっただけであって、現実に武田薬品の場合のシェアというのは、抗生物質の場合でも四〇%から最低でも六〇%ある。こういうあれは完全に私は癒着だと思うんです。ただ、そういうことがひいてはスモンの和解が解決ができないということにつながっていくのではないかというふうにも疑いが持たれるので、この際ひとつ大臣として大変努力をされて、東京は和解勧告はされましたが、札幌高裁についてもこの和解の解決にひとつ努力をしてもらいたい。このことの大臣の見解をお伺いをしたいと、こう思います。
#203
○国務大臣(園田直君) 十一月七日に回答がありましたが、いま御指摘の札幌の方に対する私の満足すべき回答がありませんので、さらに札幌の裁判所の勧告、所見も従うよう強く要請しているところであります。全力を挙げて努力いたすよう近近にも、また三社側を招致して強く要請する所存でございます。
#204
○対馬孝且君 いま大臣からそのようなお言葉をいただきました。いま札幌高裁の和解勧告に対しては、本当にもう患者の皆さんが期待をいたしておりますので、むしろ遅きに失するぐらいだと、こう私は思っておりますが、いま三業者を呼んで解決に努力するという大臣の力強いお言葉ございましたから、ぜひその線で努力をしてもらいたいと、こう思います。
 次に、それじゃ、理学療法士、作業療法士の養成、充実についてお伺いをしたいと思います。
 これはどういうことかということはもう御承知だと思うのでありますが、いま実際全国的に見ましても、予防から治療、リハビリテーションということが、包括医療等の確立は今日の医療の一つの目標にもなっております。そこで、リハビリテーションの担い手である、つまりPT、OTの問題になるわけでありますが、わが国の疾病構造から、かつては国民の主要死因であった結核、肺炎というのが主なる病気の死亡率でありました。しかし、今日の段階では成人病、すなわち脳血管疾患、悪性新生物疾患、いわゆる脳卒中、がん、心臓病というのが主要な要因になっております。しかも四十歳前後の働き盛りの成人が倒れていっているという今日の状況がございます。そこで、社会にとっても家庭にとっても重大な脅威となっています。そのためにはどうしてもリハビリテーションの必要性があります。身障者の存在、老人を考えますときに、ますますその重要性は私は痛感をいたしているところでございます。
 そこで私は、現在の老人ホーム、この間も二、三カ所行ってまいりましたが、実際に理学療法士、作業療法士が非常に不足しているどころか皆無に等しい。確保されない、一名もいない病院が相当ある。こういう事実もこれは私も確認してまいりました。したがって、現在PT、OTの資格を持っている者は三千四百名、PTが二千五百十七名、OTが八百五十七名、これは満たしておりません。これらの医療需要にこたえる状況からまいりまして、諸外国に比べると非常に実はわが国はおくれている、このように指摘をしなければなりません。したがって、西欧諸国に比べますと、わが国の数字は五十一年のもとで人口十万人単位で、PTの場合は一・七人。デンマークの場合は八十人、イギリスは二二・三人、スウェーデンの場合は四八・三人に対してはるかに低い水準にあります。
 したがって、こういうOT、PTの業務独占の制度となっている限り、現実には資格のない者が相当実はあるわけであります。これは私もこの前請願の取り扱いでいろいろ問題になっておりますけれども、こういった現状を踏まえまして、まず一つは養成施設を大幅にふやす、この計画をやっぱり示すことが大事ではないかと、いま。どうも遺憾ながらこの養成技術の計画が厚生省ではまだ示されていない。この実態が、いま現実の先ほど言った成人病と言われる脳卒中、心臓病、こういう問題を中心にしての対応の仕方というのは、むしろ遅いのではないかと、こういう感じを持たざるを得ないのでありますが、この点についてまず冒頭お伺いをいたします。
#205
○政府委員(田中明夫君) 先生御指摘のとおり、わが国が高齢化社会を迎え、疾病構造も、御指摘のように、脳卒中あるいはその他いわゆる老人病が大きなウエートを占めてくるという環境の中におきまして、いわゆるOT、PT、理学療法士、作業療法士の役割りはリハビリテーション等の確保のために非常に重要でございます。ただ、残念ながら、わが国のこのリハビリテーション関係は、わが国の医療界におきましては、もう諸外国に比べ非常なおくれをとっておりまして、これはもう戦前からそういうような状態にあったわけでございますが、最近の先ほど申しましたような疾病構造の変化等を考えるとき、一日も早くこのおくれを取り戻さなければならないということで、厚生省といたしましては、現在、当面の目標を理学療法士PT六千人、作業療法士OT四千人というところに置きまして、昭和六十年の前半にこの目標を達成したいということで、鋭意努力しているところでございます。
 具体的な数字を申し上げますと、養成施設につきまして、理学療法士の養成施設は昭和四十年には四つ、四十五年には八つということでございましたが、五十五年現在二十二にふえております。十年間で三倍近くにふえております。私どもといたしましては、さらにこれを逐年増加させてまいり、五十九年には四十一にしたいということを考えております。現在のさらに倍近くでございます。で、そういうことによりまして先ほど申し上げましたような数、これは大体まあ現在のアメリカに対応するような数というふうに考えておりますが、そこまで持っていきたいということで努力をいたしておるところでございます。
 幸いに、いま養成所の数でも申し上げましたように、現在、非常にこの方面に対する関係者の関心が高まっておりまして、従来、施設につきましてはほとんどが国公立でございましたが、最近は民間の経営する施設もかなりふえてまいりましたので、われわれといたしましては、先ほども申しました計画が予定どおり達成できるというふうに考えております。非常におくれたところから出発いたしましたので、まだ目標達成あるいは諸外国並みにいくにはかなりの年数がかかると思いますが、一日も早く目標を達成し、諸外国に追いつくように努力いたしたいというふうに考えております。
#206
○対馬孝且君 いま局長の方から具体的な計画がありました。私も数字持っていますし、ひとつこれをむしろテンポを繰り上げるということを、そういう計画を短縮をしていくというこの目標をぜひやってもらいたい。
 それからもう一つ、私はこのほかに視能療法士ですね、目の療法士、それからST、言語療法士、これはむしろ先ほどのOT、PTよりももっと厳しい現状にございます。この視能療法士それから言語療法士についても、あわせてひとつこれをぜひ養成計画の中で検討、充実をしてもらいたい、このことはいかがですか。
#207
○政府委員(田中明夫君) 御指摘のように、視能療法士あるいは言語療法士につきましてはPT、OTよりもさらにおくれているような実情でございますので、これらにつきましてもPT、OTと同じようにそういうことをやる人の養成の強化を図って、医療の需要に対応できるように今後十分努力をしてまいりたいというふうに思っております。
#208
○対馬孝且君 そこでこの養成施設をつくる場合に、四年制扱いと二年制にするかという議論がいま行われている。これは厚生省としては一体どのように考えているのか。それから、文部省との話し合いは一体どうなっているのか、この点ちょっと具体的にお伺いしたいと思います。
#209
○政府委員(田中明夫君) 現在、PT、OTにつきましては、高卒後三年以上の養成課程ということになっておるわけでございます。厚生省では、養成力を拡充するため、従来から国立病院あるいは国立療養所に附属養成施設の整備を進めてきたほか、民間の養成施設の整備を促進するため、補助金を交付するなどの施策を進めてきたところでございます。
 なお、文部省におきましては、五十四年度以降国立の医療短期大学に、これは三年制の短大というふうに私は聞いておりますが、ここにPT、OTの養成課程を設置してきておりまして、資質の向上、養成力の拡充の見地から非常に歓迎すべきことであるというふうにわれわれとしても考えております。
 先生御指摘の四年制の問題は、日本学術会議からの御提案の中にあることではないかと思いますが、この点につきましては、文部省とよく協議をしながら対応してまいりたいというふうに存じております。
#210
○対馬孝且君 文部省来ていますか――文部省として、この取り組みを今後どのようにするのかということをひとつはっきりしてもらいたいことと、それからもう一つ大事なことは、身分法が、身分が確定されていないんだ、はっきり申し上げて。特に言語療法士の場合についでは、五十四年七月までは国立言語障害センター二百四十五名養成を終わっていますが、現在国立リハビリテーションの学園では三十名の生徒を募集中であります。ところが身分法がないものですから、身分法の制定がこれからやっぱり重要な一つの問題になってくるんじゃないか、こういうことも含めて、ひとつ文部省としてどういうふうに考えているか、またこれからどう取り組むのか、そのことについて明確にお答えを願います。
#211
○説明員(阿部充夫君) お答え申し上げます。
 PT、OT等の医療技術者の養成、確保あるいは資質の向上という点について、社会的要請が大変強まっているということは先生御指摘のとおりだと承知をいたしております。私どもといたしましても、厚生省との間で緊密な連携をとりながらこの問題に対処してまいったわけでございまして、先ほど厚生省の方からもお答えがございましたように、昭和五十四年度からこれは国立の短期大学で初めて、わが国で初めてのケースでございますけれども、短期大学レベルでPT、OTの養成を取り上げまして、金沢大学の医療技術短期大学にPT関係、OT関係の二学課を設置をいたしたわけでございますが、引き続きまして昭和五十五年度には弘前大学に同様、二学課を設置をいたしておるところでございます。なお、五十六年度以降の問題につきましても現在、北海道大学あるいは神戸大学といったところについての計画を持っておりまして、今後ともそのような方向で厚生省の御方針等も十分伺いながら、文部省としても積極的に対処をしてまいりたい、このような構えでおるわけでございます。
 なお、ただいまの身分法の問題につきましては、これは厚生省の御所管でございますので、厚生省の御方針を承りながら文部省としてもまた的確に対応したい、かように考えておる次第でございます。
#212
○政府委員(田中明夫君) PT、OTあるいは視能訓練士につきましてはすでに身分法があるわけでございますが、言語療法士については現在身分法がございません。これにつきましては関係団体の意見を聴取するなど、現在検討を進めているところでございます。
#213
○対馬孝且君 文部省はいま答弁がございましたから、ひとつ積極的にこれを実現のために、厚生省以上の主管ですから、教育の。その立場でひとつ取り組んでもらいたいと思う。
 それから、言語療法士は検討中だというが、これは先ほど言った視能療法士、これとそれから理学療法士、作業療法士、これは同質のものであって、このことだけが身分がいまだに保障されていないというのは、完全な差別待遇であって、これはやっぱり医務局長、検討をしていますということでなしに、当然これは同一に扱いますということでひとつ取り組んでもらいたいと思いますが、どうですか。
#214
○政府委員(田中明夫君) 先生御指摘のとおりでございますが、実は関係の団体あるいは学会の間で若干意見の食い違いがあっておくれておりまして、最近、大体意見も一致してきたようでございますので、なるべく早く先生御提案のような身分法の確立ということを実現すべく努力してまいります。
#215
○対馬孝且君 それじゃ、そういうことでひとつ積極的に身分の確定を一日も早くしてもらいたいと思います。
 それでは老人保健医療制度について最後にお伺いします。これはまだ触れられていない問題でもありますので申し上げますが、いわゆる被保険者が事業所から退職して、七十歳での老人医療を受けられるまでの十年間の医療保障の問題が、これは実は昭和五十二年、社会保障審議会でもこれは問題を提起されております。ところが、いまだにこれが確定されておりません。たとえば六十歳で定年になった、五十五歳で定年になった。この場合は七十歳までの医療保障というのはいわゆる国民年金保険にそれでは入ればいいじゃないか、答えはそう簡単に言うかもしらぬが、そんなことじゃないと思うんです。私は少なくともこれは七十歳老人医療を受けられるまでの十年間、医療保障を退職者医療として認めるべきではないか。たとえば、これはこれから老人保健制度の問題がどういうふうに出てくるかわからぬけれども、定年退職後については、被保険者として保険料を納めていながら、いざ給付を受けようとするときには国民健康保険法に移ることによって給付が低下するという不合理があります。これは全く私は問題だと思うんであります。そういう意味では、定年退職後も引き続き従来の保険制度への加入を認めるべきだ、これは当然だといわなければなりません、保険料を納めているんですから。もう一つは、被保険者から退職すれば、国民保険の高齢で比較的疾病の多い層が入ってくるわけでありますから、国民健康保険の財政を脅かすということになっていることでありますから、退職者医療について政府は第六十五国会、昭和四十六年二月、健康保険法等の一部を改正する法律案を提出し、健保の被保険者であった期間が通算して十五年以上であり、かつ退職時まで継続して一年以上被保険者であった者は、五十五歳以後退職したとき退職継続給付を五年間特例被保険者として行うことを提案した経過があります。これは否定はなさらないと思います。したがって、昭和四十六年以後は任意継続被保険者について若干の改善は見ましたけれども、財政対策を理由にいたしまして退職者医療については検討されなかったのは、政府の怠慢であると私は言わなければなりません。この点に対しまして反省を促すとともに、現在検討されている老人保健医療制度の創設に当たっては、国民の合意を得るように万全を期してもらいたい。そのためには、これはひとつ退職後の保険の継続扱いを当然してしかるべきであると、このように考えますが、お伺いをいたします。
#216
○政府委員(大和田潔君) 保険の退職者継続医療につきましてはいろいろ御提案のあるところでございまして、これにつきましては老人保健医療制度の検討を待ちまして、私どもといたしましては今後検討していきたいと、かように思っております。
#217
○対馬孝且君 検討すると言うて、そんな……。これは、私が言ったように否定されるんですか。この事実はどうなんですか。四十六年二月、五十五歳で退職した場合の継続給付として、五年間特別被保険者として扱ってきたという提案の経過、何でいまこれは後退しなきゃならないんですかね。
#218
○政府委員(大和田潔君) この退職後の継続給付ということになりますと、その後の、つまり医療保険制度の抜本的な改善の中で、少なくとも老人につきましては何をやる、これにつきまして国民健康保険については何をやる、こういったような被用者保険と国保とのあり方というものをひとつ考えてみなきゃいかぬ。その段階で、いま老人保健医療制度と、すでに厚生省の第一次試案というものを出しておるわけでありますけれども、そういった老人保健医療というものが実施されました段階で、ただいま私が申しましたような被用者保険と国保と、あるいはその他の制度というものの整合性というものが検討されるわけであります。それを私どもは踏まえまして、ただいま先生のおっしゃいましたような制度というものを検討していくということにつきまして、私ども考えておるわけであります。
#219
○対馬孝且君 いや、私が言っているのはね、局長。問題はね、これは検討するということなんだけれども、現実の問題として五年間やった実績があるわけでしょう。これは否定しないでしょう、これは。そうだとすれば、当然いま検討しているということはわかるんだが、検討だけでなくて、こういう四十六年二月に実際に任意継続の問題として扱われたこの実績をどう評価しているのかという問題がやっぱり一つあるから、私はあえてこのことを言ったんだが、これは現実の問題として、四十六年の二月に現実に五年間という実績があるとするならば、いま老人問題とあなたの言っている理由は、これは理屈にならないじゃないですか。何でこれが理屈になるんだ。
#220
○政府委員(大和田潔君) これは実施の例ではございません。そういう立案をいたしまして、結局廃案になった経緯があるわけでございます。この段階では、まだ老人医療保険制度についての御提案というものはないわけでありまして、その後老人保健医療制度というものの提案も行ってまいるわけでありますので、そういったような情勢の変化を見ながら、私どもさらにこの問題の検討をしていきたいと、こういうような意味でございます。
#221
○対馬孝且君 これは時間もないから、いずれにしてもあなた現実の問題として、定年が五十歳から六十歳に延長という問題もいま出ているけれども、問題は、このことによって実際の保険料が受けられないということが問題じゃないですかね。差別待遇の問題にもなるんじゃないですか、一つは。差別をするという結果になるでしょう、これ。当然私は今日の段階で、これはどうも認められないというのはぴんと来ないんだな、ぼくは。あなた、実施されていないと言うけれども、そういう必要性があって提案をした経過というのがあるんだから。その経過が五年であるか十年であるか、私はここで厳しくはしないが、少なくとも五年という提案をした限り、五年間継続していいんじゃないかということを提案してしかるべきでしょう、どうなんですか。
#222
○政府委員(大和田潔君) 先ほども申し上げましたように、この段階ではまだ老人医療保険制度が提案されてない段階でございます。これは差別といいますか、この問題は国民健康保険の被保険者になっているというようなことで、医療保険の適用にはなるわけであります。たまたま退職者の継続医療にはならない。したがいまして、先ほど申しましたように、老人保健医療制度の実施というものをにらみながら検討していくというようなことを、私どもは考えておるわけでございます。
#223
○対馬孝且君 国民健康保険になったらどうなのかということは、こんなものは常識の問題じゃないか、君。私の言っているのは、被保険者であった者が、通算して十五年以上あったら当然継続してしかるべきじゃないか、その辺のことは。どうしてそれができないんだ、それが。あなたすぐ老人問題、老人問題と言うけれども、老人問題はそれだけじゃないだろう。抜本的に政府の考え方の中に、六十歳から六十五歳の厚生年金まで解約するということがことしの春問題になったけれども、こんなことは別問題にして、少なくともこういう問題は、私に言わせれば横並びを考えていったとしてもだね、こういうものは除外されていっている。言うならば、全くこれは犠牲になっているということでしょう、この方々が。これを当然引き上げていくということが、どうしてこれ悪いのかと。
 もう一つ時間もないから、これだけはどうしても言わなければいけない。それは、五人未満事業所の従業員の被用者の保険適用の問題があるのです。これはぜひやってもらいたいという意見ですから。
 これは十一月十七日の厚生省保険局の医療保険制度の改革要綱試案にも出てくるのですが、被用者の保険のところで、被用者でありながら、現在被用者保険の適用を受けていない五人未満事業所及びサービス事業の従業員は、大変な実は苦労しておるわけです。これは一番多いんですよ、いま。たとえば、飲食店だとか、サービス業に携っている五人未満の方々が。それは国民健康保険に入ればいいじゃないかと、これは厚生省の言うことは決まっているんだ。そんな問題じゃないと思う、私は。五人未満の事業所のサービス業に携っている従業員がどうしたらこの保険の適用を受けるかと、こういうことについてむしろ積極的に私は保険水準を引き上げるという、このことがやっぱり大事なことであって、それが全然満たされていない。こういう問題は、これは非常に大きな問題だと思いますよ。現在、私の調べによると、五人未満事業所及び五人以上事業所で非強制適用業種に対する適用されている方は、事業所の総数で二十三万四千、被保険者数で百八万六千人、適用されていないのは百二十八万四千事業所ある。その従業員は三百四十二万五千人いる。こういう実態の、末端の一番底辺の方々のこういう問題について、やっぱり五人未満事業所の、恐らく厚生省は実態調べもしていないだろう、こういうことについては。私は調べがしていないから、これあえて数字をこっちから言ったんだよ。これはどうして任意包括でなければだめなんだというようなことが、一体私にはどうも理解することができないんですよ。この問題もあわせてひとつ答弁してくださいよ。
#224
○政府委員(吉江恵昭君) 五人未満の適用のうち、未適用者の数は先生いまおっしゃった百二十八万四千事業所。それから人員の方は三百四十二万五千人。これは昭和五十年に総理府の事業所統計調査などから推計した数字でございます。
 それから、適用の方は、これもほぼ先生のおっしゃっていることと同じでございますが、私どもの持っている数字はほんの二、三万ずつ違いますが、二十一万一千事業所あるいは百四万九千人適用しておりまして、これは実を言うといま申し上げました百二十八万なり三百四十二万なりから適用した方の数でございます。ただ先生御承知のように、五人未満の零細事業所は非常に消長が激しいわけでございますから、私どもとしては先生おっしゃるように、任意包括適用制度を活用して積極的にやっておるつもりでございます。積極的にやっておるつもりでございまして、たとえば五十一年度から、相手が非常に小さい事業所であるということから、社会保険事務指導員を商店街などの一定地域に配置して、事業所に対するきめ細かい指導を行うなど一生懸命やっておるわけでございますが、繰り返しになりますが、相手の事業所の規模も非常に小さくて不安定であるということで、努力して適用する反面で、またそういうものが発生してくるということはまことに残念でございますが、これは厚生年金保険と私どもと共通の仕事でございますので、もっといい方法がないものか研究してみたいというように考えておるわけでございます。
#225
○対馬孝且君 たとえば、それじゃお伺いするけれども、労働省の場合は、これは労災保険にしたって失業保険にしたって、全部これ保険適用しているじゃないですか。何でこれだけがそれじゃ任意包括でいかなきゃならないんですか。おかしいじゃないですか、これ。このこと自体だっておかしいでしょう。端的な話、わかりやすいこと言って、労働省ができて厚生省がなぜできないんだというんだ、私が言っているのは。そういうところにやっぱり言葉では鈴木内閣は思いやりの政治というが、思いやりじゃない。これは思い上がりで切り捨ての政治じゃないか。こういう末端の本当の弱者と言われる――こういう言葉を使いたくないけれども、本当に満たされていないこういう方方こそ、私は、いまこそ本当に政府がやっぱり手を差し伸べる。われわれ政治の責任としても手を差し伸べるというところが一番いま大事なことなんだよ。これを称して思いやりの政治というんだよ。そんなもの切り捨てておいて、何が思いやりの政治だ、思い上がりの切り捨ての政治じゃないか、私に言わすれば。こういう問題について労働省が現実に、失業保険にしたって労災保険にしたって、いま言ったようにやっているんですよ、これ。どうしてこれできないんですか、そういうことが。
#226
○政府委員(吉江恵昭君) 労災保険と私どもの間には、先生これも御承知だろうと思いますが、制度上の違いがございまして、向こうは申告納付方式であるのに比べまして、私どもは標準報酬月額というものを採用して、これをきっちり記録して年金などに反映させていくとか、それから同こうは年一回の把握でございますが、私どもは毎月毎月把握してそれを記録して、それを単位にいろいろな仕事を進めていくとか、いろいろ差異があるわけでございます。
 それで、私どもがいまのこの制度の抜本的なあり方自身を全く見直すということはともかくといたしまして、現在の適用、現在の一応制度のままで未適用事業所を解消しようとすれば、事業所の数が二倍を超えることになりますし、それから事業所の移動とか従業者の移動が非常に激しくて、事業運営がなかなか困難でございますとか、その他いろいろ問題ございます。それで莫大な予算定員が必要となるということでございます、完璧にやろうとすれば。しかしながら、私どもは先ほどから申し上げておりますとおり、いままでの予算定員ないしは若干のプラスをお願いしまして、一生懸命に現在の制度の中でやろうと思っておりますし、それからいろいろな先ほども申し上げましたように、民間の委員の方なんかもお願いいたしまして、この解消に努めてまいりたいというように考えておるわけでございます。
#227
○対馬孝且君 いや、どうもあなたの答弁聞いていると、やるようでもありまたやらぬでもあるというような、何かわかったようなわからないようなことを言ったって、聞いている人がわからないよ、あなたの言うことは。だから、私の言いたいのは、百歩譲ったとして、失業保険はそれじゃどうなるんだと。労災保険の場合は、仮に等級のランクがあったとしたって、失業保険の場合と同じじゃないか、これやろうとしたら。できないわけないじゃないか。ただ、あなた本音言っているでしょう、いま。財源上の理由だと、こう言って、いま本音言ったじゃないですか。財源上の理由があるかないかということは、もちろんそれは財源はあるでしょう。それを、私が言いたいのは、それはこれからやっぱり厚生省という――厚生省ですよ、間違わないでもらいたい、厚生省としてこういう方々に、問題解決のために積極的にやっぱり取り組んでいくと。そのときに財源がぶつかったら、これは大蔵省と体当たりする以外にないでしょう、そういう私は姿勢をとられるのか。何か後段を聞くとわかったようなことになるけれども、最初は否定して妙な意見にもなるしね。そこらあたりちょっとわかったようなことをきちっと言ってもらわぬと、取り組むなら取り組むように、ひとつこれから努力していきますというならそれで私は了とするんだよ、何も。ところがどうも最初は否定しておって、後から何か取り組んでいくような気持ちもあるような、ないようなことではわからないんだよ、これ。みんながやっぱり聞いている限りは、わかったようなことを言ってもらわないと困る。
#228
○政府委員(吉江恵昭君) どうも、私の表現が適切を欠いておるようで失礼いたしておりますが、私どもは現在の任意包括制度を適用してやっておりますが、これをフルに活用して、積極的にこの問題の解消に取り組んでまいりたいというように考えております。
#229
○対馬孝且君 あのね、任意でやるということについては、何もそんなことをあなたに聞かなくたって、そんなもの現在やっていることじゃないですか。私が言っているのは、これ強制的に加入させるべきであると、このことを言っているんだ、ここを間違わないでもらいたい。任意で促進するということについてはいまでもやっているんだ、そんなもの。だから強制的に加入をしていくべきではないかと、させるべきではないかと、このことを言っているのであって、そこをまずもう一回はっきりしてもらいたい。
 それから先ほど言った老人医療のこの七十歳――退職後の継続問題、この点もひとつ確認の意味で、もう一回聞きますよ。
#230
○政府委員(吉江恵昭君) 強制適用にすべきだということは、私はここで簡単に、するともしないとも結論をちょっと出しかねますので、検討させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#231
○対馬孝且君 退職後の継続。
#232
○政府委員(大和田潔君) これにつきましては、老人保健医療制度の実施を見守りながら、私どもも検討をしてまいるつもりでございます。
#233
○対馬孝且君 まあ時間が参りましたので、ひとつ大臣に、これいま局長段階から答弁ありましたがね、これは一つは退職後の療養継続の問題、保険継続問題、これはまあ老人問題とあわして検討すると。これでは何も答弁じゃないんですよ。これやっぱり誠意がある答弁とは言えないんだよ。だから、老人問題と絡ませるとか、絡ませないという問題ではないと私は言うのですよ、原点は。退職後というのは、退職まで保険はかけているわけですからね。これは任意だってこれは二カ年は最低でもこれがあるわけでしょう、現段階だって。だから私は四十六年二月に提起したときには、五年というものがこれは提起をされていると。だからそういうものを踏まえて、この際老人とかかわりを持たないで、積極的にひとつ取り組んでいきたいと、検討したいと、こういう態度をひとつ堅持してもらいたいということが一点。
 それから二点目は、任意の場合は何もいまさら聞かなくたってそんなこと、やっているんだから、私は強制加入も本当に末端の五人未満の弱者と言われる方々は、それこそ温かい手を差し伸べてやるべきではないか。そういう問題を含めて、ひとつ大臣、思いやりのある政治というのがこの鈴木総理の基本方針であるとするならば、園田大臣も思いやりのあるところでひとつ最後の答弁をお願いしたいと思います。
#234
○国務大臣(園田直君) 定年退職者の問題、かねてから私も非常に気にしているところであります。性別その他年齢等によって区別されるべきでない憲法の保障のもとにおいて、ある年齢がきたからといっておまえは一人前じゃないと、こういう宣告を社会からされて精神的打撃――一番働いた結果が出てくるのが退職した直後からであります。その人が七十歳の老人医療を受けるまではまさに空間というか、すき間がある。これが非常な問題でありますから、そのすき間をどうするか、これは厚生省として、とかく払う方の立場からこれをやれば金額がふえるとかめんどうだとか、そういうことから考えるのは厚生省じゃないわけでありまして、もらう困った人の立場から、どうやれば解決できるか、こういうことから早急に検討をいたさせます。
 五人未満の事業所の問題については、特に私がこれはこの委員会だけでもありませんけれども、どうも労働省と厚生省とを比べた場合に、労働省の方が細かに先手を打って手を打っている、厚生省の方はどうも消極的であると絶えず私自身が言われてきております。そういういまの御発言の中に、労働省の労災保険その他いっているじゃないか、こういう御意見等もありましたので、よく事務当局と相談をして御意見が通るように検討してまいります。
#235
○対馬孝且君 時間が参りましたので、大臣の、官僚ベースで物を考えるんではなくて、やっぱり政治ですから、底辺で一番困っておる方々に一日も早く、ひとつ御期待に沿えるように、いま大臣の力強い前向きの積極的な答弁がございましたから、これを了として私もひとつぜひ日の目を見るように実現方を要望いたしまして私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#236
○安恒良一君 私はすでにこの前、大蔵大臣を含めて四時間やりまして、いま同僚の対馬委員がやられましたことの中で、この際一、二点さらに確認をしておきたいことがある。
 それは、先生の意思を受けて検討いたしますということはもうしばしば同じことを言われているわけです。そこで大臣、実例挙げますからちょっと見てください。
 昭和五十二年の健康保険の大改正のときに、いまの渡辺大蔵大臣が十四項目の約束をされました。皆さんのお手元に資料があります。その十四項目の中で、いま対馬さんが言われました退職者継続給付の検討ということについてはもう挙がっているわけですね。それから三年間もたっているわけです。たっておって、私は皆さんに資料として、私に約束された、国会に約束された十四項目をあなたたちはどう実行したか持ってきなさいと言ってお手元に資料が渡っています。その中にも依然としてこう書いてある。「退職者継続医療給付制度については検討中」と書いてある、検討中。これが私に持ってきた公式のあなたたちの回答ですよ、大臣。こんなことをやっているから対馬さんが……。
 そこで、大臣このことだけはっきり約束してください。老人健康保険制度についてはできれば次期国会に出したいと言われていますね。ですからこれも合わせて出してもらいたいんです。それはなぜかというと、もうあれから三年たっているわけですから、十分検討されているはずですよ。たとえば、私どもは一つの案を持っています。退職をしたらば、退職したとき十年間さかのぼってそこにおったら、そのまま健康保険におったらどうかということなんです。たとえば私が西日本鉄道健康保険組合におりますと、そのままおったらどうだと、そのときの保険料の出し方まで私たちはすでに検討して具体案を社会党は持っています、持っている。すでに発表しています。
 ですから、どうか大臣、まずこういうふうに法律を通したいときに、私たちから迫られると、何とかそこは法律を通したい余りに、検討しますとか、先生の御意見を受けてとしばしば答弁する。これが一番いい例です。ですから、この点はもう官僚に言ってもだめでありますから。幸い老人健康保険制度について、いま政府は議論をされています。そして、これも小沢厚生大臣が遅くとも五十五年一月実施としばしば言い切っておるんですよ、しばしば。それが五十五年はもう過ぎてしまいまして、早くて五十六年に提案されることになりますね、これは。いまそのことで大臣お急ぎだと思う。
 そこで、私は対馬さんの質問に引き続きまして、退職者継続給付については、老人健康保険制度を提案をするときに同時にひとつぜひ提案をしていただきたい。この点どうでしょう。それはなぜかというと、大臣も認められたとおり、いわゆるせっせと健康保険をかけて五十五とか六十になって定年退職する。これから一番健康保険が要るときに、その人は全部市町村経営の国民健康保険に行くんですよ。そうすると、七割給付なんですよ。だから、私ども社会党は一つの案を発表していますが無理なことを言っているわけじゃありませんから、何もそのとおりせよと言っていませんが、少なくとも政府は次に老人健康保険制度を出すときには、少なくとも退職者継続給付についてはこれはもう案を出す、このお約束を、検討するという御答弁だったら渡辺さんがもう三年前にしています、あなたと同じことを。そして、三年間何もやっていません。やっておればこんな書き方で私のところへ出てくるはずがない。あなたたちが何をやったかと言ったら、この厚生省の文章で、「退職者継続医療給付制度については検討中」である、こういう文章を依然として平気で持ってくる。十四項目の約束の何を守ったか。
 ですから、大臣、これはやっぱり私は少なくとも老人健康保険制度というのが新しくできるときにそのつなぎをどうするかということは当然必要なことなんですよ。ですから、少なくとも次期国会に老人健康保険制度の設立について約束に従って御提案くださるならば、そのときには退職者のいわゆる継続給付についても次の国会に提案する、そういう方向で努力する、このことについてこれはもう大臣からお約束をいただきたい、いまの対馬さんの質問に答えて。
#237
○国務大臣(園田直君) いまの問題は早急に御意見のとおりにいたす覚悟でございます。
#238
○安恒良一君 それから、この点も私は対馬さんの意見を聞いておって思ったんですが、五人未満の適用なんというのは、もうコンピューターがこれだけ発達した時代なんですから。それなのに依然として頭が古いんですよ。依然として頭が古くて、五人未満は捕捉が大変だと。労働省では失業保険やっているんですから、だからコンピューターがこれだけ発達した時代だったら、五人未満の事業所の適用はその気になればできる。膨大な人員が要るとか要らぬとか言っていますが、私は、それはいまの人員ではできないでしょう。しかし、コンピューターというものを使ってやっていけば、五人未満の捕捉なりやり方というのはかなり違ってきているんです。しかも、これももう国会で委員会を開くたびに言っています。大臣、附帯決議を見てごらんなさい、十何年続いています、十何年、附帯決議が、五人未満のことについて。
 それで、五人未満の労働者はいまどこにおるかというと、これも国民健康保険におるでしょう、人に雇われておきながら。たまたま五人以上だったらこれは政府管掌におるわけですよ。
 ですから、そういう点についても大臣、対馬さんもずっと詰められましたが、もう私はコンピューターがこれだけ発達しているんですから、やはり早急に、次の国会なら次の国会にはやっぱり法案を出す、こういうふうにしていただかないと、きょうもまたいま言われましたら、よく先生の趣旨を体して、こういうことだけになりましたんでは具体的な解決になりません。
 ですから、この五人未満の適用問題について大臣、いま私が言ったように、そんなにむずかしいことじゃないんですよ。労働省でやれることが厚生省でやれないはずがありません。しかも、コンピューターがこれだけりっぱな、いわゆるコンピューターが発達した時代になりましたから、私はかなり事務処理も非常に的確にやれると思いますが、どうですか。
#239
○国務大臣(園田直君) いまの御意見よくわかりましたが、御承知のごとく、法律改正が必要なわけでありますから、これについては早急に準備をいたします。
#240
○安恒良一君 それじゃ、法律改正が必要でありますが、もうこんなことで委員会開くたびに委員から詰め寄られなくていいように、思い切ってお願いをしたい。
 それから、それと関連してちょっとお聞きしておきたいんですが、いま健康保険組合をつくりたい、こういう新設の動きがあるわけです。そして、ずっとまあ、これは何のあれか知りませんが、武見さんが反対されておったのかどうか知りませんが、健康保険組合の設立をずっと抑えられておりました。そこで、私は野呂厚生大臣のときに健康保険組合の新設についてちゃんとしてやってもらいたいと言ったら、前向きにやりますということになって、それから少し進んだのです。ところが、最近どうもまたせっかく健康保険組合をつくりたいということの届け出がそれぞれの都道府県にあっても、何らかまた抑えられているように聞いておりますから、恐らくそれは園田厚生大臣の本意とされるところじゃないと思いますね。いわゆる健康保険組合をつくるにはちゃんと設置基準がありますから、それに基づいて要求が出てきたときには、これはどんどんやっぱりつくった方がいい。というのは、政府管掌というあんな大きい舞台でやっているところに非能率もあるわけですから、そういう点について、健康保険組合の新設について、ひとつ厚生大臣のお気持ちをお聞きをしておきたいと思います。
#241
○政府委員(大和田潔君) 健康保険組合の設立につきましては、おっしゃるように、しばらくの間認可を見合わせることとしておりましたけれども、設立の希望があるにもかかわらず、長期間認可を差しとめておきますことは違法という問題を惹起しかねないことから、本年の六月及び七月に設立の認可を行ったところでございます。
 今後の取り扱いにつきましては、設立の希望がございます場合につきましては、具体的な申請に基づきまして適格なものにつきましては認可をしてまいりたいと、このように考えております。
#242
○安恒良一君 具体的申請がないやつをやる人もいないでしょう。適格でないのを許可するはずなんかないじゃないですか。何ですか、その答弁は、いまの。取り消しなさい。具体的な申請があったり、適格なやつはなんて、適格でないやつをどうして許可するんですか。なめたことを言ってはいかぬよ。
#243
○政府委員(大和田潔君) 表現が不適切であれば訂正いたしますが、出てまいりましたものでやはり審査をいたしまして、おっしゃるように、適格でないものは出てこないと言われればそのとおりでありますけれども、私どもの審査の方針といたしましては、やはり適格性というものを審査するわけでございまして、そういう場合には認可をしていくという方針でございます。
#244
○安恒良一君 大臣お聞きしますがね、私は適格なものが出てくるとか出てこないと言っているんじゃないんですよ。出てきた以上は、それは一つの審査基準によってされることはあたりまえでしょうと言っているんですよ。それをいわゆる適格なものがあれば許可しますとか、具体的申請があればとか、申請がないのに許可するはずなんかないでしょう、あなた、そうでしょう。健康保険組合つくりたいという申請があって初めてやるわけでしょう、だから、そういう三百代言的な答弁はやめなさいと、こう言っているんだよ。やめたらいいじゃないですか。どうですか。
#245
○国務大臣(園田直君) 設立の希望があるにもかかわらず、長期間これを差しとめておくことは、これは違法の問題が出てくるわけでありますから、御意見のとおり、出てまいりましたら、なるべく早く事務的な審査処理を済ますことにいたします。
#246
○安恒良一君 次に、歯科の唇顎、それから口蓋裂問題についてちょっと質問したいんですが、これは中医協の中で、いまは保険にこれが適用されておりません。そこで、この唇顎口蓋裂を保険に適用しようと、こういうことが中医協の中の議論としてあっておりまして、その方向に進んでいることを私は知っております。ところが、いまは保険適用でありませんから、保険外でやられていますから、被保険者の立場から言いますと、唇顎口蓋裂が保険の適用になることは、これはいいことだと思うんであります。ところが大臣、これはどうも、わかりやすく言うと、くちびるや上あごが裂けている病気でありまして、現在のところは原因が不明であります。そして、どの夫婦からも生まれてくる可能性がありまして、歯並びが極端に悪く、物を食べたり話をするのに大変な苦労を実はしています。私、ここに実物を持ってきているわけですが。こうした子供の矯正治療は大変な困難なケースがありまして、学問的にも治療上研究すべき問題が多くある。専門医もほとんどいません。いま歯科大学関係者の一部数十名が、矯正歯科教育の研究の傍ら従事しています。
 そして口蓋裂は単に矯正治療だけで済まされるのではなくて、口蓋外科、小児歯科、補綴保存など加えまして言語治療までしますと、経過観察に十年を要すると、こういうふうにお医者は言っているわけであります。そして日本歯科医師会は、これは保険で適用する前に公費によるいわゆる難病治療対策としてやってもらいたいと、こういうことを学会の方で発表しているようであります。
 そこで、私は、ぜひお願いしたいことは、やはりこの点については日本歯科医師会なんかとも十分お話をし、さらに中医協の場において話をして、どうすれば一番こういう唇顎それから口蓋裂の人が救えるのかということについてぜひ御検討願いたい。いわゆる保険点数に直ちにした方がいいのか、それともやはり難病対策ということに入れて、難病ということになったら公費で負担してやっていますね。で、どうも直ちに保険点数に入れることだけでこれだけのむずかしい問題が、いま申し上げたように、ある場合には十年かかるというんですね。十年かかるやつを保険点数に直ちに全部することがいいのかどうかということについて、ひとつ十分に慎重な御検討を約束をお願いしたいと思います。これは中医協の場における議論も必要でありましょう。また、厚生省と歯科医師会、学会との話も必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#247
○国務大臣(園田直君) ただいまの御意見は、日本歯科医師会から十一月だと思いますが、私のところへ同様な意見の申し入れがございます。この問題は歯科医師会の個人の開業医がよく処理されることではなくて、特別な施設、特別なプロジェクトチームで処理されなければ、いろいろな問題が起こる非常なむずかしい問題だと私も承知をいたしております。したがいまして、ただいま御意見のように、中医協その他の御意見を承って、これは難病の一つとして指定するように、私は御意見のとおりにいま検討し、準備しているところでございます。
#248
○安恒良一君 それから今度は、大きい問題で残っています連動問題に少し話を進めていきたいと思いますが、すでに大臣との前回のやりとり、それからきょう、大蔵大臣とやりとりしましたから、連動問題について、どうも大蔵大臣のお言葉を聞きますと、国庫補助、連動やることもだめだと、それからいま一つは、それならば千分の八十五なら五で法律化して、そしてそれで当面健康保険財政を運営する、それで赤字が出たときにどうするかという相談をまた改めて法建改正でやったらと、こういう建設的な提案もしたんですが、これもだめだと、こうくるわけですね。それで、あれもだめ、これもだめというと、私たちもじゃこの法案だめと、こう言わざるを得ない方向にこれ行くわけですから。そこで、たとえば厚生大臣は衆議院でこういう議論をされていますね。いわゆる国家財政が立ち直ったときには千分の二十までのことについては考えると、こういうことを一問一答で言われていますね。それで、その国家財政が立ち直ったときというのはいつかということについて、どうも赤字特例公債の発行をやめたときと、こういうふうな議論になっているようですね。そうしますと、それは昭和五十八年なのかどうかと。
 そこまでの議論はもうすでに衆議院で済んでいますから、これから私の提案ですが、昭和五十八年になってたとえば赤字特例公債の発行はやめるようになった、そのときに保険料率がたとえば千分の八十五になっておったとしますね、まあ大体八十五ぐらい要ると思われますから。そういたしますと、いわゆるいまから五%上がるわけですから、そうすると〇・八掛ける五で四%ですね、これはふやすことになります。そうすると、一六・四に四足しますと二〇・四、〇・四だけ超えることになりますね、〇・四だけ。しかし、皆さん方の法律から見ると二〇までと、こう言われていますから、ですからその時点においては二〇までは直ちにひとつ引き上げる、赤字公債は発行しない、それが五十八年からしなくなった、そうなるときに保険料率が千分の八十五だったとしますね。そうすると〇・八に五を掛けますから、そうすると若干二〇をオーバーしますから、あなたたちの法律では二〇までと、こう書いてあるんですから、そうすると二〇までは直ちに千分の八十五の保険で運営しているときには一六・四は二〇になると、こういうことについてどうですか。当然のことですからね。どうですか。
#249
○国務大臣(園田直君) これはいまから言えることではありませんが、理論から言えばそういうことで、しかも、やる場合には政府が勝手にやれるものではなくて、審議会その他の御意見を聞いてやらなきゃならぬ問題だと考えております。
#250
○安恒良一君 そんなところで審議会つきませんよ、連動条項の発動について、審議会。というのは、大臣お聞きくださいよ。いま千分の八十がそのとき千分の八十五になっておったんですね、もうすでに、政府の方は、九十一までありますが、八十五まで使っておったと。そうすると、いま八十から八十五までは連動してないんですから、私は、あなたの衆議院におけるところのやりとりから見ると、赤字公債を発行しなくなったというときには、その時点で五%分の連動があるでしょうと。それは審議会関係ないんですよ。国がその気になればすぐできることです。これは質問するのもおかしいぐらい当然なことですが、そこのところだけははっきりしておかないといけませんから、ちょっとお聞きをしている。それはどうですか。
#251
○国務大臣(園田直君) 私は、衆議院ではその点をそういう時期が来たら検討すべきであると、こういうことは言っておりますが、検討すべきという意味は、当然いまおっしゃいましたように、国家財政上やむを得ず連動制を外しておるわけでありますから、その状況が来ればその際改めてそれをやることは当然だと私は考えております。
#252
○安恒良一君 わかりました。
 そうすると、検討すべきであると衆議院でお答えになったんですが、ここでは、その時期にはきちっと連動させる、こういうふうに承りました。
 次に参りますが、お手元に、これも対馬さんが確認をされた中をさらに深めるためにお聞きするんですが、CTスキャナーの都道府県別の分布表というのをきょう私は資料としてもらったんであります。CTスキャナーの都道府県別。これちょっと見てください。
 これ見ますと、大臣、これはおたくの調査は五十三年しかないんです、五十三年。そこで、私の方で調べましてね、一番新しい五十四年調べてみましたら、山形ゼロのところが三になっています。東京六十一が八十二になっています。愛知の二十七が四十九になっています。それから京都、大阪、兵庫、大阪は七十四になっていまして、この三県で百三十四あります。それから島根が四、福岡の十七が四十二、宮崎が五、ほかにも各県ふえていまして合計七百九十一、これが一番新しい調査であります。これは厚生省お持ちにならぬと言うから私の方で調べました。そういうことになっています。これ見られるとわかるように、大臣、物すごくCTスキャナーが偏在しているじゃないですか。たとえば一つの例を挙げますと、東京の八十二と、いわゆる東京と人口の匹敵すると言えば、京都、大阪、兵庫と全部合わしても――匹敵するのですね。片っ方は百三十四あるわけです。ですから、対馬さんが何回も言われましたように、少なくとも共同利用だけではこういうことは片づかぬわけですよね。ほうっておけば、こういうふうに人口にも地域にも比例しないでどんどんどんどん自分で買っていく、これじゃいけないと思いますね。大臣、少なくとも国民皆保険は対の約束で成り立っているんです。いつでもどこでもよい医療を国民がみんな平等に受けられる、だからこそみんなが何らかの、国民健康保険制度に毎月毎月お金をかけているわけですから、ところがCTスキャナー一つを見ましても、こういう分布になっているわけです。このような分布に。
 そうしますと、これもいわゆる対馬さんの質問に対しまして、趣旨を踏まえてとか、検討するとか、いろいろ言われました。ところが、最終的にガイドラインということで対馬さんの質問に答えられました。私は、そのガイドラインの意味について、ここで大臣しっかり御答弁願いたいと思いますが、高額医療機械に対しては、いまの憲法上あなたたちは許可制は無理だと、こう言われた、許可制は。憲法の規定から言って無理だと、こう言っている。私は必ずしも無理だとは思いませんけれども、しかし、そのことはさておきまして、まず登録制にする、きちっと。そして登録をする際の登録基準というものをこうこうこういう施設でこのようなお医者さんがおるところについてそれを認めていく、登録を認めていく、こういうぐらいのたがをはめないと、大臣、いまあなたのお手元に私が新しい一番最近の資料を差し上げたように、こういうことになっていく、これはCTだけじゃないんです。ME機械が自由開業医制度ということでそれぞれの病院がどんどん買い込んで、地域に偏在をしていったらどうにもならなくなるわけですよ。
 だから、せめて私は、許可制が一番いいと思います。そして許可基準をつくった方がいいと思います。しかし、そこまであなたたちがいまの憲法上で自民党としてはよう踏み切り切らぬと、こうおっしゃるならば、少なくとも登録制にする、そして登録する際の基準を厳しくする。いわゆる許可制と登録制は違いますからね、許可制と登録制は違いますが、どうでしょうか。対馬さんもそういう意味で私は言われたと思う。ガイドラインという言葉を使われましたからね。ガイドラインというのは、ここ詰めておかないと、後でお互いにああでなかった、こうでなかったと言いたくないから、私はあえて対馬さんのガイドラインという言葉をわかりやすく日本語に翻訳いたしまして、いわゆる登録制にする、そして登録する際には登録の基準を明確にする、それと共同利用、この二つがないとME問題は片づかないと思いますが、この点どうでしょうか。
#253
○政府委員(田中明夫君) いま先生の御提案の、登録制にしてその要件を厳しくつけるということは、許可制、認可制につながっていくとも考えられますので、私どもとしましてはやはり要件をきっちり決めて、その要件に適合したところだけに設置を認めるということは、許可制と同じような理由によりまして考えられないというふうに存じているわけでございます。ただ、国がガイドラインをつくりまして、それに基づいて都道府県におきまして、しかるべき委員会におきまして、関係者にも参加していただいて、そのガイドラインを実際に市町村あるいは広域市町村圏において実現していくということを関係者のコンセンサスのもとに行うという道をとりたいと考えております。
#254
○安恒良一君 登録制と許可制は違いますよ、これは、法律的に言って明確に。許可制というのは厚生大臣なりあなたたちが許可権を持つわけですからね。登録制というのは登録をして届け出をするわけですから、これは大臣明確に違います。そこのところをごまかしてはいけません。私はあなたたちが一遍に許可制にいかぬとおっしゃるから、それならば次善の策としてこの際は登録制にしたらどうかと、登録制にした場合にガイドラインの場合でも私は同じだと思いますが、やはり設置基準というものを設けなければいけませんよ。あなたの言うガイドラインは、そう言うと、そういうことは全然ネグレクトしてやるつもりですか。それじゃガイドラインと言えませんよ。だから私は登録基準というものをこの際明示をしくそれに、でなければこういう現象が出てくるでしょう、どうするんですか。地域的に偏在してMEの機械が人口にも比例しないままどんどんどんどんふえていったらどうするんですか、あなたたちは。どうにもならないでしょう。そうならないうちに、一年間でも分布状況がこんなに違っているんですから。
 それからあわせてこの点は私は大臣にやはりお聞きしたいのは、医療機関の問題も、適正配置も対馬さんから言われました。同じことなんです。医療機関の場合でも、いつでもどこでもよい医療が国民平等に受けられるというのに、人口十万人当たりで一番お医者がいまおるのは久留米市です。それから徳島市です。以下ずっと、私は時間がありませんから数字を挙げませんが、非常にいわゆるお医者さんの数が偏在をしているわけでしょう。偏在をしているんです。それを自由開業医システムだからといって、いまのままでいいのかというのを対馬さんが盛んに言われたわけなんですよ。そうしたらあなたたちは検討する、検討する。検討するというのはもう前から言っておるんですよ、そんなことは。私が国会議員になってきて何回同じことを聞いたかな、何回。そのたびに検討するとか前向きにやると、こういう答弁で逃れているわけなんだ。そしてますますお医者の地域偏在は強くなっているわけですよ。だから少なくともお医者さんを地域に偏在をさせないために、少なくとも自由開業医は、私は自由診療はしようがないと言うんですよ。おれは保険を扱わないという人は別ですよ、しかし保険を扱う以上は、何らかの適正配置についての案を持たなきゃだめでしょう、もうここに来たら。
 じゃ医務局長聞きますけれど、今後医者の適正配置をあなたはどうしていくつもりですか。いまの偏在をどうして直すんですか。具体案を聞かしてください。いま非常に偏在がありますね、あなたたち自身が統計で発表されているんですから。人口十万人当たり非常に偏在がある。これをどうして直すんですか、具体的に。いつまでかかるんですか、国民皆保険下において。具体案がないまま、とにかく国会答弁として、こちらが建設的な提案をしてもそのことについては耳を傾けないで、ただ単に検討する検討するということで逃れていいんですか。具体的に医者並びに医療機関の適正配置についてどうするんですか。それともあなたたちは、自由開業医システムなんだから手がつけられぬ、こういうことでそのまま逃げるんですか。現実はそうじゃないですか。国会で言われるたびに歴代医務局長はあなたと同じことを答弁している。議事録読んでみなさい。十年間ぐらい同じことを言っているよ。十年間ぐらい同じことを言っている。保険局長も同じことを言う、医務局長も同じことを言う。これが少しずつでも大臣、前進があればぼくはこんなこと言わないんですよ、前進があれば。
 私が国会議員になって三年、全然前進がありません。同じことを言っています。また、私は国会議員になる前に中医協の委員を十三年やらしてもらいました。社会保険審議会の委員も十年やらしてもらいました。そのときにもやはりこういうことは提案したんです。そしたらいずれも前向きにとかなんとか言って一つもやらない。検討するとか、前向きにという言葉は非常に便利な日本語なんですよ、その場逃れには。しかし、それではもうだめなんですよ。だから、少なくともこうこうこういう方向で前向きに検討するとか、こういう具体案で次までやりたいから御了承くださいと、こういう答弁があってしかるべきだと思いますが、医者並びに医療機関のいま非常な偏在がありますね。偏在があることは事実ですから。これは対馬さんの御質問にずっと答えられている。北海道の実例もたくさん挙げられている。これをあなたはどうして直すんですか。直す方法を具体的に答えてください。
#255
○政府委員(田中明夫君) 医師の偏在、すなわち僻地を代表といたします郡部に少なく都市に多いということは、これはどこの国でも悩んでいる問題でございまして、先ほど対馬先生の御質問にもお答えしましたように、私どもも長年この問題の解決に努力しておりまして、いろいろな手を具体的に打ってきておるわけでございます。まあその問題の全面的な解決というのにはまだほど遠いわけでございますが、年々若干ずつ改善されているというふうに私どもは考えております。
 この問題につきまして、先ほど対馬先生にも御説明申しましたとおり、従来の施策を続行してそういう僻地等の診療所をつくる場合に補助を強化する、あるいはそういうところに行くお医者さんに対して教育の資金面で援助するというようなことを続けていくとともに、最近開始しました僻地中核病院の人的、物的な装備を強化いたしまして、どうしてもお医者さんが行けないようなところにつきましては、そこの僻地中核病院から医師を派遣するというような、従来やっておりますことをさらに強化して続けてまいりたいというふうに考えております。
#256
○国務大臣(園田直君) 私から答えさしていただきます。
 医務局長からいろいろ申し上げたわけでありますが、いま安恒先生から、検討、検討で毎回聞くのはいやだとおっしゃいましたが、検討、検討と言った後始末をする私も決して気持ちいいものではございません。朝から晩まで事務当局の方々に頭を下げてこの問題の解決を願っているわけであります。
 この医療の適正化、あるいは機器の適正化、こういうものは私も、それを法的規制をするとこれが非常な問題になる、憲法違反になるということは私にはまだわからぬわけであります。そこでしかし、やってもらうのは事務当局でありますから、御理解と納得をいただかなければ私も頭ごなしにどなるわけにはいきません。そこで、いまの安恒さんの登録制というのは私はきわめて妥当なんだと、いま局長にもちょっと耳打ちして聞きましたが。そして登録制にしてこれに希望や条件を示す。そして自治体や当事者とパイプをつなぎながらそのように規制していく。そのほかに助成金とかその他のこともあるわけでありますから、それでいけばいまのような野放しよりも効果があるんじゃないか。それでもなお効果がなかったらまた次の段階だと、こういうふうに考えてやりたいと思っております。
#257
○安恒良一君 ME機械やCT問題はいま大臣から登録制についての前向きの回答がありました。
 そこで私は、休日、夜間、僻地について対馬さんからかなり詰められたんですが、私たちは、大臣、こういう具体的提案をしているんですよ。まず、国立及び公的病院はすべて休日、夜間、救急、僻地をやりなさいと言っているんですよ。それがために財政援助もまずしなさいと言うんですよ。これは第一線の開業医から一番出るのは、おれたちはやっているけれども肝心の国立、公立がやってないじゃないかといって言われるんですよ。だから私は、少なくとも国立及び公的な病院が、たとえば特殊な専門病院は除きますね、精神病兜とか結核、そういう特殊なのを除きます。そうでないところが、まず完全におれたちは休日、夜間、救急、僻地をやるんだと。この姿勢をはっきりすることなんだ。ただし、これはかなり不採算医療ですから、いまの診療報酬点数単価だけではうまくいかないんですよ。いかないときには、そういう国立病院であるとか公立病院に対してやはり国家が財政援助をするしかないんですよ。これをまず私たちは一つの提案としておるわけです。そして、それを背景にして私たちの提案は、第一線の開業医が全員交代で休日、夜間、救急、僻地等を助けていく、こういう前向きの提案を私たちはもうしているわけですよ。
 それに対して、ああでもない、こうでもない、検討するの、しないのって、さっきから私は黙って聞いておったら、大概もうあれですね。だから大臣、あなたはやる気があるけれども、どうもいままでの、いまの局長だけじゃないです、歴代局長はほとんど事なかれ主義なんです。自分の局長時代に余り変わったことをやって大けがしたくない。特にこれは日本医師会、歯科医師会という圧力団体がありますから、そこからにらまれるようなことをやったらとっても厚生官僚としては勤まらぬ。こう思うから、ちょっとでも医師会の御賛成をいただけないようなことについては、関係団体の意見が整わない整わないで逃げてきたのが、今日ここに来ているわけです。何もいまの現役の局長を、私は特定の個人を非難しているわけじゃないですよ。これは誤解がないように。大和田さん特定の個人をやっているわけじゃない、医務局長自体をやっておるわけです。そういう、やはり何となく厚生官僚の一貫した流れが、今日までせっかくいいことを与野党から提案があってもやらないで、自分の局長時代だけはうまくやっておけばいいと。だんだんそれで保険庁長官になって次官になって。大体局長というのはこれはもう位人臣をきわめているんですから。どうもそうじゃないと、自分じゃない、自分の部下のことも心配だと、こういって言われていますけれども、私はそういう心配をさせないのが大臣だと思う。いいことはどんどん各局長に大臣がさせる。たとえば、いま私が言ったことは決して無理なことを言っているわけじゃないですね。国立と公立がまずいわゆる夜間、休日、救急、僻地、これを全部担当する。それに必要な金は国家が財政支出をする。第一線の開業医はこれを後方病院として、できれば交代で全員がそういうものに参加をして国民の負託にこたえていく。こういうことは決して無理なことじゃないと思う。
 それからまたきょうも対馬さんが盛んに言われて誤解されておったのは、僻地加算というのは、何も本人が払うやつに加算せいと言っているんじゃないんですよ。やはり僻地の場合には不採算だから、対馬さんが言っておったのは、不採算の部面を国が持てと、こう言っているわけです。こんなことはやろうと思ったらすぐできる。しかも、どこでもいつでも国民はよい医療が平等に受けられるというのが大原則でしょう。それを、僻地におるからといって医療が受けられない。しかし、健康保険料だけは東京に住んでいる人と同じように今度上がるんですよ、健康保険料は。一部負担も今度上がるんですよ。そこのところをぼくは、対馬さんがさつきからかなり時間をかけて言われたと思いますから、大臣、どうかいま申し上げた医療機関の適正配置、それからいわゆる休日、夜間、救急、僻地医療の確保こういうところの問題点についてひとつこの際は、もう本当に決して無理な提起を私たちは申し上げているわけじゃないんです。これはもう何も社会党からだけ言っているわけじゃないんですよ、各党全部このことを言っているわけですから。そういうことでひとつこの際明確にお考えをもう一遍聞かしてください、そこのところ。
#258
○国務大臣(園田直君) 適正配置その他については先ほど申し上げましたから重複を避けます。なお、国立、公立の公的病院がすべて救急に参加すること、あるいは個人のお医者さんが休日、夜間等に参加されることなど、地域が一体になって救急治療に参加するように、御意見のとおりに今後とも努力をしてまいる所存でございます。
#259
○安恒良一君 次は薬価問題ですが、これも私は大臣はかなり、また薬務局長も前向きに答えたつもりですね、いわゆるこの配給公社問題からいろいろな問題を。ところが、同じことがこれ私ここ議事録持ってきておりますがね、五十二年十一月十五日の国会答弁、それから五十二年十一月二十二日の国会答弁で同じことを答えているんですよ。私もそのとき配給公社の問題から収載委員会の問題から全部言ったわけですね。そのときは、やはり渡辺大臣を筆頭に当時は中野薬務局長でありました、同じようなことを、きょう対馬さんに答えたことと同じことを答えているんです。そうしてまたこれまた三年たってしまっているんです。だからどうも私はその、これは議事録読んでもらえば決してうそ言いません、同じようなことで。私は、だかね、大臣少なくとも本当にこういうことを検討するなら検討するというときは、ぼくはこれからはやはりたとえば一年とか二年とかやっぱり期限をはっきりしてもらいたいと思うんです。でないと、何となく言われると、その場は先生の御意見を踏まえまして前向きにとか御意向に沿うようにと、こういって言うんですよ、言っておって、じゃその後はどうか。
 それでひとつお聞きをしたいんですが、私は時間がもう十二分しかありませんから、その当時私はこのことも提起しているんです。この前沓脱さんが言われた新薬価問題でね、新薬の登載のためには、いわゆる薬事審議会じゃありませんよ、薬事審議会は薬効を議論するところですから、いわゆる新しく委員会をおつくりになったらどうだと。新薬の開発されることは非常に結構なことなんだ。しかし、それを幾らで決めるかということを談合でやってはいけない。きょう対馬さんが厚生省の官僚がいろいろな不祥事件であたら前途を失っていった事例を挙げられました。そういうことがないようにするためには、新薬を幾らで薬価基準に登載するかというのは、私流の言葉で言わせていただきますと、いまはいわゆる保険局、薬務局と、それから製薬メーカーの談合で決まっているんですよ。芝浦の牛一匹幾らにするかという取引やっていますよね、あれと同じようなことになりかねないんです。だから私どもはそういうことをやるよりも、この前私はすでに提案したのは、学識経験者、製薬企業、それから国民の代表等々を入れた公正な委員会をつくって、もちろんそこへ政府も入っても結構ですよ、そうすれば原価がわかるわけですね。なかなかいま自由主義社会ですから、私は原価を公開せいと言いたいんですが、製薬企業だけは原価公開できないとおっしゃるんならば、せめてその委員会の中に問題が提起されて、その中でみんなが、いわゆる国民の代表も入っているわけですから、その中でなるほどこの薬を開発するにはこれだけの開発費用が要ったと、何十億何百億という開発の費用が要ったと、だからこの薬価はこれにしたいと、こうすればだれも文句を言わないんですよ。そのことについてもこの前のとき私が提起したら、それを含めて前向きに検討しますとこうなっているんです。ところがきょうもまた、まだ収載委員会のところまで行きませんでした。行きませんでしたが、いわゆる対馬さんから委員会と言われたのはそういう意味なんです。それをわざと薬務局長は薬事審議会の方で言って、薬事審議会には製薬メーカーの代表は入っていませんと、だれも薬事審議会のことなんか言わないんです。薬事審議会というのは薬効をやるところですから、あれは学者だけしか入ってないことは知っていますよ。
 ですから、少なくともこういう新しい薬を開発するときに、どうしても国民の目から見ると高値高値に新薬が収載されておりはせぬか、それじゃ幾ら薬価調査をやって古いやつ下げても、新しい高いやつが出てくれば意味ないじゃないかということで、この前大分御質問があったでしょう。それをやっぱりこの際国民の前にオープンにするのが、やはり大臣のもとにそういうきちっとした審議会をおつくりになることが一番いいんです。これは中医協でもできません、薬事審議会でもできないことなんです、薬価を幾らに収載するかという。これはやはり私ども各党がみんなが言っているように、新しい薬価を決定する民主的ないわゆる政府の審議会をおつくりになる以外にないんですが、その点重ねて聞きますがどうでしょうか。
#260
○政府委員(大和田潔君) これにつきまして、確かに五十二年の本委員会におきまして議論をされたこともよく承知をいたしております。
 現在、先生御承知のように類似薬効比較方式をとっておるわけでございまして、それは薬効、薬理作用、安全性といったようなものが類似しております薬を比較いたしまして新薬の薬価を決めておるわけでございます。現在は、そういったようなものを比較するのに行政当局の専門機関がこれに対応しておる。実はこの問題につきましては、その薬が、つまり新薬が出てきたと、これをどの薬に対応したかということは実は全く外に出していないわけでございます。これはなぜ外に出していないかといいますと、やはりある薬を比較したということになりますと、製薬メーカーのノーハウであるとか営業政策とかそういったものに関連をしてくるわけでございます。そうなりますと、やはりどうしても企業秘密にまでいかざるを得ない。そこで、私ども何とかそういったような事態、企業秘密に触れないでやっていきたいと。一方先生がおっしゃるように、何かこう密室といいますか、その密室でだれも知らぬところでこれをやっているんじゃないかという、そういう疑いも何とか晴らさなきゃならぬというような気持ちが非常に強いわけでございますが、それをどうするかと、どうすれば両方の、言うならばジレンマといいますか、ジレンマを解決できるかということを一生懸命実は考えておるわけでございますけれども、なかなか実はいい知恵が出ませんが、なお一層これにつきましては、何かいい方法がないかということで検討をいたしたいというふうに考えておるわけであります。
#261
○安恒良一君 三年間も考えて、まだそんな答えですか。私に三年前に約束しているんですよ。あなたと同じようなことをその当時中野さんが答弁して、これから一生懸命検討しますと言うんです。三年たって全くまた同じようなことを言っている。あのときは保険局長は八木さんでした、いまの事務次官のね。三年間考えて同じことを。大臣どうですか、三年間かかって少しも前進ある答弁ないんです。三年前も同じやりとり、いまと同じようなことを、ただ答えたのは当時保険局長がいまの次官の八木さんであっただけだ。私から言わせると、やはりそんなに国民から疑惑の目で見られておった場合には、行政というものは国民の疑惑を晴らさなければいけないんです。企業秘密を守りながらやる方法はあると思います。それがために私は審議会ということも言っているわけですから、これはやり方はあるんですよ。国民がみんな、新薬はどうも保険局と製薬メーカーが談合で高値高値に決めておりゃせぬかという疑惑がある。そうでなかったら堂々と、そういう関係審議会をつくって学識経験者等を入れて、関係者を入れてそこで議論すればやれる。それから諸外国においてそういうシステムがいろいろあるんですよ、いろいろなのがあるんですよ。わが国だけ何で大臣、よそのイギリスとかフランスとか、イタリアとかドイツとかで苦労をしていろいろ方法を考えています。私はここで時間がありませんから、一々諸外国の事例を挙げようと思いませんけれども、よその国ではよその国なりの英知を働かせて、国民に疑惑を晴らしているんですよ。何で日本だけがそういうことについて、三年間かかって三年前と同じ答弁を、保険局長は八木さんから大和田さんに変わっていますけれども、聞かなきゃならぬのでしょうか。それじ国会の議論というのはどういうことになるんでしょうか。少なくとも、いやこの点だけはここまで検討しましたと、この点はこういうふうに思いますと、しかしまだ結論出ていませんからしばらく御猶予をと言うならこれはまだわかるんです。三年前と同じ答弁繰り返して、それで大臣どうしてここ逃げ切れるんですか。三年前と全く同じことで、議事録読んでみてください。私はこの二つと、それからその後中野さんとここで薬価問題について、まる一日薬価問題のあり方をずうっとやっておりますからね。これはいわゆるこのバルクラインの問題から、集計方法から調査方法からかなり長時間にかけて、この議事録の後にもまたやっているんですから。薬価問題については本当に詳細にやりました。だからそのときの議事録をよく読まれると、いまあなたがお答えになったと同じようなこと、いろいろその当時の保険局長や薬務局長は答弁をしていますが、どうですか、それは。何かそれ前進がないとだめですよ、前進が。そうでなければ、こことこことここまで検討してこうしましたと、しかしまだ安恒さんこの点が解明に至っておりませんと、こう言うなら、なるほどそれはそうだなと。こういうことだけれども、どうしますか、これは。
#262
○政府委員(大和田潔君) 答弁の繰り返しで申しわけありませんが、先ほど申しましたジレンマという問題をどう解決したらいいかということで、私どもよく前任者からも受け継いでおりますけれども、なかなかそこの解明、そこの技術的なやり方につきましてもう一つふっ切れない、こういうようなことでございますので、これは本当に私ども十分に御趣旨はよくわかるわけでございます。これはもう今後とも私どもといたしまして、一生懸命誠意を持って検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
#263
○安恒良一君 大臣、まああんな答弁しか返ってこないんですが、どうしますか。というのは、少なくともわれわれが委員会で繰り返し繰り返しやっていることは、いろいろな圧力団体があったり、いろいろな意見、それはあると思います。あってもできるだけ行政が正しくいくように、ある場合はバックアップの意味を含めて質問しているんですよ、こういうことは。それから問題の提起もしているんですよ。そういうものを私はやっぱり誠実に受けとめて、やはり薬務行政についても前進をさしてもらいたいと思うんです。それは製薬メーカーから言えばいまの方式が一番便利でしょう、談合で決まるんですから。しかし、それではもうだめだと国民が言っているんですよ。疑惑を持っているんですよ。そのときはそれにかわる次善の方法を考えるしかないんですよ、これは。それが私は政治というものだと思うんですね。ですから、何も全部私どもが主張したことが一〇〇%取り入れられてないと怒っているわけじゃないんですよ。少しも前進がないことを怒っているわけですね、少しも前進がない。その点はどうですか。
#264
○国務大臣(園田直君) 御意見は十分わかりました。私は、当委員会、衆議院でもそうでありますが、委員の各位から責められることを、逃げ延びて歩いて追い詰められて答弁するという方式はとっておりません。御意見承りながら、皆さんの御意見と私の判断をそれに乗っけて、どうやって前進するかということが当委員会だと考えております。
 いまの薬価の問題でありますが、なるべく早くやりたいと思いますが、調査を終わり、整理をして、そして薬価基準の改定収載をやらなきゃならぬことはもう目の前に来ているわけであります。したがいまして、これを検討しますでごまかしてこの収載をやるということは、私のとるべき道ではございません。
 そこで、具体的にはここでお約束はできませんけれども、どのようにして薬価を決めるか、新薬を収載するか。そういうルールであるとか、あるいは比較の方法であるとか、こういうのを医学、薬学その他の専門家の方々の御意見を聞いて、次の薬価の改定、収載にはそれで進めていくということだけはここでお約束をしておきます。
#265
○安恒良一君 それでは、時間がだんだん参りましたから、医療費のむだ排除にこれは二つの約束がありまして、これもいまの議事録を見ていただきますと、西高東低――当時東京と大阪の医療費の格差が余りにもひどいこと、最低の沖繩と最高の大阪の間に医療費の格差が余りに大きいこと、それから支払基金の審査率が最低と最高に余り大きいことを挙げて、当時の厚生大臣、保険局長にその善処方について議論しました。そしたらいろいろ私とのやりとりの中で、最終的にはまだ自分たちも十分検討しておりません、いま専門の審議官を中心にして、ひとつ西高東低の原因については速やかに究明をいたします、こういう約束が当時の議事録にあります。
 そこで、前回の四時間のときに、私は細かくそれを聞く時間がありませんでしたから、あれから三年間、専門的に恐らく皆さん方は西高東低の理由について究明をされたと思いますから、究明をされた中身についてひとつしていただきたいと同時に、具体策をどういうふうにするのか。
 さらに、医療費のむだ排除については、五十三年の二月に診療報酬の引き上げの際に保険局長と中医協一号委員との間に医療費のむだを排除するための具体的な方法については、六カ月を目途として検討し、その結論を得次第、適切な措置を講ずるものとするというこの覚書がございます。その中の一つとしてですね、医療費の地域差、西高東低の問題が一つ大きい問題にありますし、私の手元にありますところの大阪府医師会の「府医ニュース」には、「実った府医の努力、保険診療平均点数ついに全国一に」、こういう大きい見出しで書かれておりまして、まるで医療費高騰競争のようになっていますが、こういう点について、私と当時これらの問題は徹底的にひとつ究明します、こういう約束だったんですから、もう三年間勉強されたと思いますから、どうか西高東低の理由、解明した結果こうこうこういうところに西高東低の理由があるんだ、これが対策はこうするんだと。
 私は当時ですね、当時のいわゆる保険局長やそれから医療保険部長と、年齢の問題から人口の問題からかなり専門的にやりとりしてますから、そんな話をいまさらここで聞く気はありませんよ。それはかなり専門的に西高東低について、全部当時あなたたちは私への答弁がつじつまが合わなくて立ち往生しちゃった。立ち往生しまして、最後はそれならばひとつ一生懸命検討さしていただきますということでそのときは終わりにしていますから、その後今度は立ち往生しないように一生懸命検討されたと思いますから、検討の結果、どういうふうになっているか、それから対策はどうするか、聞かしてください。
#266
○政府委員(大和田潔君) どうもまだ御満足いくような御回答にはならないと思うんでございますが、一応お答えを申し上げますと、やはり西高東低という、そういう実態というものははっきりと出ておるわけであります。政管健保の五十四年度の一件当たり金額の高い県を五県選びますと、京都、大阪、北海道、高知、徳島、逆に低い県は低い順から沖繩、千葉、山形、宮崎、静岡と、こういうふうになっておるわけであります。要するに高い県は近畿あるいは四国といったように、北海道がちょっと別でありますけれども、それから低い県は関東が多いわけであります。
 そこで、この五県を並べて対比をいたします。まずこれはどなたでも想像する点でございますけれども、高齢者の加入が多いかどうかという問題、七十歳以上加入割合が多い、そういう県が高いのかどうか。それから人口千人当たりの病床数といいますか、病床数が多い県は高いのかどうか。少ない県は低いのかどうか。それから医師数、お医者さんの数が多い県は高いのかどうか。少ない県は低いのかどうか。そういったことをまず第一に並べてみたわけでございます。で、これはどうも傾向的に必ずしも、たとえば七十歳以上の加入割合を見ますと、一位の京都あたりは確かに七十歳以上の割合が高うございますけれども、大阪、北海道あたりはむしろ平均よりも下回っておるというようなことになっておる。で、下位の方は沖繩はむしろ七十歳以上加入者は平均よりも高い。しかし、千葉、山形、宮崎、静岡というのは七十歳以上の加入割合は平均よりもかなり低くなっておるというようなことが出ておる。ですから、そういったようなこととか、あるいは人口、病床数につきましても余り関係がない。どうも若干の傾向はあろうかと思うけれども、ぴしゃっとした関係がない。それから、医師数についてもそうでございます。
 それで、もうちょっと御説明したいと思うのは、これでですね、しからば国保の乙表の入院外一日当たり点数というものを実は研究者にお願いいたしまして研究をしたのがあります。それを見ますと、結局京都と宮崎と比較したと。国保の乙表診療所の入院外一日当たり点数。それから大阪と千葉とを比較してみたと。こういったような比較を見ますと、どうもやはり比率で高くなっているのは、京都とたとえば宮崎の場合に比率で医療費の一日当たり点数の高くなっているのは、やはり注射と検査というのが出てきていると。それから大阪対千葉の場合もやっぱり同じような注射と検査というのが高くなってきているといったような結果が出てきておるわけでございます。
 実はもう少しこれを分析をいたしますために、五十五年度でかなり規模の大きな調査をいま実施しつつあるわけでありますけれども、これが出ればこれらの比較の県の数をもう少しふやしまして、もうちょっと的確な判断ができると思いますが、すでにございますところの資料ということで見ましたところ、一件当たり点数の比較、高いところと低いところは、注射と検査というものが高くなっているというようなことが出ておるわけであります。そういったような現状に対しまして、やはり薬なり検査なりに対する対策を立てていかにやならぬというふうに考えておるのが現段階でございます。
#267
○安恒良一君 もう十二分ということですので、時間がありませんが、大臣、お聞きのとおりなんですよ。いまも最後のところ、個々のところちょこっと違っただけで、あとはやっぱり同じことを当時言うたんですよ。それで私と論争になったんです。老人の比率がどうかとかいろんなことで論争になって、だんだんだんだん追い詰められていって当時の医療保険部長は立ち往生して、いわゆる保険局長が、それならば今度は専門審議官で一生懸命分析をして必ずと、こう言って勘弁してやったんですよ、当時。同じことなんですから。だからもうこれより、時間ありませんから大臣ね、やはり私は同じ国の中において西高東低というのが余りはなはだしかったら私はよくないと思う。だから、今度はぜひとも一年なら一年以内にきちっとぼくは分析をして、その結果を国会に報告をしてもらう、このお約束だけしてください。でないと、またこの次のときに、まあそのとき大臣されているか、いまさっきいろいろ言われましたので、大臣さらに総理になられるか何かわかりませんけれども、また次の新しい厚生大臣と同じことをやりとりするのは私いやです。ですから、少なくとも一年なら一年以内には必ずこれを分析をして、その結果を当委員会なら委員会に報告をする、こういうことについてやってもらわないと、三年間同じことを同じように、局長はかわるけれども、しゃべったことの中身もほぼ同じことを答弁をされたんじゃたまりません。どうですか大臣、これは。
#268
○国務大臣(園田直君) よくわかりましたので、御指摘のとおりにいたします。
#269
○渡部通子君 初めに国民総医療費のことについて若干お尋ねをいたします。これもいろいろ議論がなされておりますので、ごく一点にしぼってお尋ねをいたしますが、まず五十五年度の実質医療費は幾らぐらいになると推定していらっしゃいますか。
#270
○政府委員(大和田潔君) 五十五年度の国民医療費の推計でございますが、十一兆九千百億という推計をいたしております。
#271
○渡部通子君 これは対国民所得比についてはいかがでございますか。
#272
○政府委員(大和田潔君) 五十五年度の国民所得は百九十八兆六千億と推計されておりますので、その割合は六・〇〇%、こういうことになっております。
#273
○渡部通子君 推定を十二兆弱と、こう推定をしておられるようでありますが、学者によっては十五兆円ぐらいになるのではないか、こういうことを言う人もいるわけでございます。仮に十五兆とこう考えてみますと、その五十五年度国家予算の三七%、国防予算の約七倍、教育費の三倍、これが日本の国民の総医療費だと、こういうことになるわけでございますね、これはあくまでも推定の話でございますけれども。医療費がだんだんかさんでくるという理由は私もわからないわけではありません。人口構造がだんだん高齢化をいたしておりますし、それから疾病構造も変わっておるし、医学の進歩もありましょうし、制度改正による給付の改善、あるいは診療報酬の改定、ある程度ふえるのはいたし方がないといたしましても、対国民所得比の増大をこのまま放置してよいものかどうか。国見の負担能力から考えまして、厚生省はこの数値がどのくらいなら妥当と考えていらっしゃるか、伺いたい。
#274
○政府委員(大和田潔君) どうも国民の健康を守りますにはやっぱり必要な医療を確保するということは言うまでもございませんが、国民所得のうち、どれぐらいを医療費に割くかというのは実はなかなかむずかしい問題でございます。ときどきのやはり社会経済情勢の変動に応じまして、国民的な合意の上に決するということでございます。一概にどうも、どの程度であるということは非常にむずかしい問題であるわけでございますが、たとえば西ドイツ、フランスといった国におきましては国民所得比が約八%と、日本よりもかなり多いわけでございますが、七十歳以上の人口比が日本よりもこれまたかなり多いということを考えますと、どうも、だからといって日本の方は安心できるわけではないし、かなりシビアな感じではないかというふうに考えております。いずれにいたしましても、何%までがいいかということにつきましては、ちょっとお答えするのが非常にむずかしいということでございます。
#275
○渡部通子君 答えるのがむずかしいというのはよくわかります。しかしながら、十二兆弱と推定をしていらしゃいますけれども、学者によっては十五兆という人もあるし、あるいはこれからは伸びる一方ではないかと。いまの医療の実情を思えば、確かに伸びる一方だとだれもがそう推定をいたしておるわけでございます。仮に十五兆円とこうした場合、日本の人口一億一千六百万人、これで考えてみますと一人当たり約十三万円、四人家族にいたしますと年に五十三万円、これが医療費となってくるわけです。しかも毎年毎年伸びを続ける。伸び率が低下するという予想はだれが考えても考えられない。こういう状況下にありましては、やはりこれを適当なところで抑制をしていくという、こういう大枠の政治判断というものがあってしかるべきだと私は思います。したがって、何%とこうきっちり言えというわけではありませんけれども、五十三年度が六%でした。五十年度は五%でした。いま伺いますとやっぱり今年度も六%台という、こういう予想でございますけれども、この伸び率を放置してよいものかどうか、重ねて伺っておきます。
#276
○政府委員(大和田潔君) 人口の老齢化とか、あるいは医療の高度化、疾病構造の変化ということで、どうしてもこの率は逐次上がっていくのではないかと思いますが、しかし、その上がっていきますスピードというものはできるだけこれは遅いという方がいいことは間違いないわけでありまして、ただいま先生おっしゃられましたように、医療費の効率的な使用という点、医療費の適正化というようなことにつきましては、全力を挙げて取り組んでいかなければならないというふうに考えておるわけであります。
#277
○渡部通子君 そこで医療費抑制、あるいは医療資源の有効配分、これについて適切な対応を考えていらっしゃいますか。
#278
○政府委員(大和田潔君) これは再々お答え申し上げておるわけでございますけれども、適切な指導並びに監査ということで不正請求あるいは不当なそういう医療費の増高につきましては、セーブをしていくという必要があろうかと思いますし、また薬価基準と実勢価格との乖離というものを縮めるという方策も必要でありましょうし、その他、ただいまやっております医療費のお知らせ、通知のやり方、医療費通知ということも必要でありましょうし、こういったようなことを総合的に私ども検討いたしまして、積極的に進めてまいりたい、このように考えておるわけです。
#279
○渡部通子君 医療費増大ということは、先進国共通の悩みだと私も思いますが、西ドイツの疾病保険費用抑制法あるいはフランスの病院改革法、こういったことについて検討をなさったかどうか。また、それをどうお考えであるか、承りたい。
#280
○政府委員(大和田潔君) 西独、フランスの医療費抑制対策、私ども検討をいたしておるわけでございます。これらの先進各国におきましても、人口の老齢化であるとか、医療需要の多様化、あるいは医療の高度化等を背景にいたしまして、やはり年々医療費が伸びてきている、こういったようなこと、あるいは一方、低成長経済下におきまして医療保険等の財政の窮迫から国民の負担が増大する。これを何らかの形でセーブをするというようなことが重要な課題となっておりまして、フランス、西ドイツの両国におきましても、第一は直接的に診療報酬とか、あるいは病院費用等を一定の枠内に抑えるというようなこと、あるいは薬剤負担を含めまして、適正な患者一部負担を課すというような方法、あるいは薬価の上昇を抑えたり、あるいは病院建設、医療機器の設置の規制、あるいは医師数の規制等によりまして間接的に医療費を抑制するというような方法など、いろいろな方法が講じられておるわけでございます。これと比較考量ということでございますが、なかなか日本とは社会的背景とか、あるいは制度の仕組み、沿革といったようなものが異っておりますので、これをそのままわが国の医療保険制度に取り入れるというわけにはいきませんけれども、できるだけこれらの情報を集めまして、わが国の医療保険制度の参考にしていきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
#281
○渡部通子君 もちろん国が違うし、いろいろ成り立ちも違いますから、それをそのまま当てはめろなどということは毛頭言っておりませんけれども、やっぱり悩む先進諸国がそうして一つの抑制を法制化してやっているという、この根幹の発想という点について学んでほしい、こう私は思うわけでございます。
 出来高払い制度のことにつきましては先ほど議論がありましたので、重ねてここでお聞きすることは取りやめますけれども、いわゆる乱診乱療、医療機関側から言えば乱受診ですか、これをもたらしておりますものは保険診療報酬体系に問題がある、これはもうしばしば指摘されているところです。出来高払い制度の改革ということを何としても手をつけなければならないであろうと、現代総合研究集団の提言にもそれがあるわけでございまして、これは重ねてお聞きはいたしませんけれども、先ほど大臣の積極的な御答弁に対して事務当局の渋々御答弁がありましたものですから、私からも重ねてこれについては徹底して進めていただきたいという、これは要望にとどめておきます。
 それで、その保険医療機関あるいは保険医に対する指導、監査、この実情がどうであったかということを少し伺いたいと思います。結果はいかがですか。
#282
○政府委員(大和田潔君) 保険医療機関の指導、監査状況でございますが、保険医療機関と保険医と両方に対する指導、監査をやっておるわけでありますが、五十四年度におきましてはいわゆる集団指導という形の指導、これは保険医療機関に対しましては四万一千三百七十九件、それから保険医に対しましては四万二千四百五十九件、これが集団指導であります。それから個別指導、この個別指導は、たとえばこれは保険医になったというような場合であるとか、あるいはどうもいろいろと問題がありはせぬかというふうに言われる場合とか、いろいろ個別指導にはケースがあるわけでありますけれども、五十四年度では保険医療機関では六千五百件、それから、保険医につきましては七千二百七十三件という個別指導を行っております。
 次に監査でございますが、五十四年度保険医療機関では五十四件監査をしておる。そのうち三十四件を取り消し処分をしておると。それから、保険医に対しましては六十七件監査をしておりまして、そのうち三十七件を取り消し処分にしております。返還の金額は、五十四年度では十億三千七百八十四万円に達しております。以上でございます。
#283
○渡部通子君 その数はですね、私も承知をしているわけです。そういう経緯の中からどういう傾向をつかんでいらっしゃるのか伺いたい。
#284
○政府委員(大和田潔君) 一つは返還金額が、これは特に規模の大きな医療機関を監査いたしましたためか、五十四年度はかなりふえてきておるという傾向がございます。それで、また監査の件数につきましては、保険医療機関につきましては余り急速にふえてはいないんでございますが、若干五十一年度あたりからは少し漸増の傾向を見せておりますが、まだ十分ではありません。保険医につきましては、監査の件数は横ばいというようなことでございます。そういったような傾向でございます。取り消しにつきましても、五十四年度までの件数を見ますとそれほどふえてもいません。横ばいという、そういう状況でございます。
#285
○渡部通子君 十月八日の朝日新聞ですか、トップで大々的に報道されたわけです。「医療費 空前の不正請求」と、昨年度ですがね、「水増し十億円返還」こういうことは国民にとっては大変なショッキングなニュースなんですね。いま監査は横ばいだと、十億円も返還金が出てきたということは大きな不正の医療機関があったからだと、こういう話でありますが、これは監査というものが余り進んでいないと、いわゆる全体的に見て横ばいなんだと、こう私も判断せざるを得ません。
 それで、都道府県で担当する医療専門官、これが少ないということが言われています。定員百七人にもかかわらず三十一人も不足しておると、こう報道されていますが、現在七十六人しか確保できないという理由。また、今後それを増強できるのかどうか、伺いたい。
#286
○政府委員(大和田潔君) この医療専門官は、各都道府県におきます監査の中核的な役割りを果たしておりますし、技能、識見ともに高い人であるということが必要であります。ところが、これらの人々がいま先生おっしゃいましたように、定員百七名に対しまして七十六名といった充足状況でございまして、非常に私ども頭の痛いことでございます。これは何かといいますと、やはり処遇の問題が一番大きい。これらの医療専門官は、たとえば県立病院の院長なり医長なり、あるいはそういったようなクラスの人たちをお願いすることが多いわけでございますけれども、なかなかいまの医療専門官の処遇というものがどうもマッチしない。で、決まりかけても、その程度の処遇であればということで壊れてしまうというような例もあるというようなことで、なかなか充足できないのはいろいろ理由はあろうかと思いますが、一番大きいのは処遇の問題だろうというふうに考えております。
#287
○渡部通子君 処遇の問題だと、それほど理由がはっきりしているのなら、わずかな人数のことですから、この際医療の改革を目指して、処遇の改革をお考えになったらいかがですか。
#288
○政府委員(大和田潔君) この問題につきましては、実は従来から人事院あるいは大蔵省等にいろいろお願いをしておるわけでありまして、逐次その処遇が、いろいろの手当であるとか、そういったような形でもって充足をされてきておるわけでありますが、さらにもっと充足を進めなきゃならぬということで、先生のおっしゃるとおり私どもといたしましては、これは全力を挙げて処遇改善に努力しなきゃいかぬと、このように考えております。
#289
○渡部通子君 これできるんですか、できないんですかね、大臣。
#290
○国務大臣(園田直君) ただいまの増員、待遇の改善については、非常に苦しい財政事情ではありますが、大蔵大臣は非常な理解を示しておるところでございます。
#291
○渡部通子君 それで、厚生省は去年の一月二十五日に知事あての通達を出していらっしゃいますね。診療点数が極端に高いもの。あるいは、診療を漫然と長期間続けているもの。時間外診療、往診、自家診療等が著しく多いもの。腎透析が不適正なもの。こういった具体例を挙げてまで指導、監査を強化しろと、こういう通知を出していらっしゃるようでございます。この中身非常に大事だと思うのですね。しかし、いま人数が足りないということで、これは大臣も積極的に処遇を考えてくれるということでありますから、ぜひ人員を強化して、こういう通知を出したらばそれが実行されるような監査をしていただきたいと思うのです。で、この指導、監査等についての新たなやり方の見直しとか、あるいは三十五年に申し合わせ事項等がございますけれども、それをあわせての見直し、再検討、強化策、こういったことはお考えでございますか。
#292
○政府委員(大和田潔君) 一般論といたしまして、私どもといたしましては指導、監査の充実を図っていきたいということで、医療専門官以外にも、たとえば中央に医療指導監査官というものを五十四年度設置いたしました。二名増員いたしまして、地方には医療事務指導官というものを設置、これを十九名、五十四年度であります。さらに五十五年度におきましてもこれらをふやしてきたということで、監査体制を逐次固めていきつつあるわけでございます。
 で、一つの体制は、さらに先ほど先生おっしゃいましたように、昨年の一月の通達、これは従来はいわゆる不正、架空であるとか水増しという不正診療に対する監査というものが主体であったわけでありますけれども、五十四年の一月の通達は、いわゆる不当、つまり濃厚診療と、医学的にもどうも検査が多過ぎると、余りにも多過ぎるといったような濃厚診療に対する監査を積極的に推進すると、こういう趣旨のものでございまして、監査体制というものと相まって私ども指導、監査の推進を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 なお、日本医師会との申し合わせと、これは日本医師会等との関係でございますけれども、これは指導、監査に立ち会いを行うということでございますが、この立ち会いというのは、私どもは指導、監査の円滑な実施ということのために必要であると。たとえば都道府県の医師会の役員の方に指導の現場に立ち会ってもらうといった場合に、この都道府県の会員の中にはこういうようなことをしている人がいると、監査に立ち会ってもらう場合にはこういうようなことがあるんだということを十分知ってもらうと、あるいはその役員の人に意見を述べてもらうことによって、行政庁としても参考になっていくということで、立ち会い自身は、私ども円滑に指導、監査が行われるというような措置であるというふうに考えておるわけでございますが、そういったようなこともあわせながら、これから指導、監査の積極的な推進を図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
#293
○渡部通子君 そこで、午前中の議論にもちょっと出ましたが、重ねて一点伺っておきたいことがあります。
 今回の改正案の中で、四十三条ノ三の第一項に加わった一項でございますね。保険医療機関あるいは保険薬局の指定の申請があった場合、ここで「保険医療機関又ハ保険薬局トシテ著シク不適当ト認ムルモノ」、この「著シク不適当」という一文でございますけれども、これが拡大解釈をされたりということで、大変にお医者さんたちが心配をいたしております。したがって、これ午前中もちょっと議論に出ましたけれども、重ねて、この「著シク不適当」という、具体的に何を指すか、適用範囲はどうなっているのかをはっきりしておいていただきたいと思います。
#294
○政府委員(大和田潔君) この不適当と認められる場合につきましては、具体的には、指定を取り消された医療機関の開設者が、別の医療機関として指定申請をしてきたときであるとか、保険医療機関の指定取り消しをたびたび受けたとき、あるいは監査後に保険医療機関の指定の取り消しが行われるまでの間に医療機関を廃止し、または保険医療機関の指定を辞退し、その後しばらくして同一の開設者がその医療機関を指定申請してきたときといったような場合が想定されるわけでございます。
#295
○渡部通子君 それで、それに不服とした医師がこれを申し立てができるのかどうか、あるいはそれはもう絶体絶命の命令になってしまうのか、その辺も伺っておきたいと思います。
#296
○政府委員(大和田潔君) その前に、先生おっしゃいました乱用されるおそれがあるのではないかといったようなことにつきまして、一言お答えいたしますと、この点につきましては改正後の四十三条ノ三第三項によりまして、保険医療機関の「指定ヲ拒ムニハ地方社会保険医療協議会ノ議ニ依ルコト」とされておるわけでありまして、行政機関がみだりに指定拒否を行うようなことはあり得ないというふうに考えておるわけでございます。
 そこで指定を拒否する場合、保険医療機関の指定を拒否する場合の弁明の機会はどうなっているかということでございますが、これは健康保険法の第四十三条ノ十五によりまして、都道府県知事は「予メ書面ヲ以テ弁明ヲ為スベキ日時、場所及」指定拒否の理由を通知して、弁明の機会を与えるべきものとされておるわけであります。これが弁明の機会。
 それから不服がある場合でございます。不服がある場合どうかと言いますと、行政上の方法といたしましては、まず行政不服審査法がございます。それの第五条に基づきまして、厚生大臣に対して審査請求を行うことができるということになっております。また司法上の方法といたしましては、行政事件訴訟法がございます。行政事件訴訟法第三条第二項の「処分の取消しの訴え」ということも行うことができるわけでございます。この行政事件訴訟法による「処分の取消しの訴え」は、さきに述べましたように、行政不服審査法によります審査請求の有無にかかわらずこれは行うことができると、こういうような関係としてはこういう関係になって、行政上の不服申し立てにつきましては保障をされていると、こういうようなことが言えるわけであります。
#297
○渡部通子君 いま確認をさせていただきましたので、ぜひその辺は明確にしておいていただきたいと思います。
 まあ本当に不正をやっている医者というのはどんどん摘発してしかるべきでありますが、やっぱり保険医、あるいは保険薬剤師を停止されるということは、もうこれは生命を失ったようなものでございますので、お医者さんにとっては大変深刻な問題でございますので、その辺を一応この際はっきりさせていただきたいと思いました。
 それから、最近薬づけにかわって今度は検査づけ、こういったことがまた新たにクローズアップをされてきているわけでございますが、この実情についてはいまさら私がここで申し上げるまでもございません。もういろいろ議論が尽くされたところでございます。しかし検査がどこまで必要なのか、あるいは過剰検査なのか適正な検査なのか、その辺は受けている患者にとっては全くわからないわけでございます。で、検査の適否をチェックするシステムが必要ではないかと思うのですが、それが一体あるのかないのか、その辺はいかがでございますか。
#298
○政府委員(大和田潔君) 非常にむずかしい問題でございます。先ほども大変高額な医療費というものを使った例が出されたわけでございますが、これが果たして、きわめてむだな医療費だったかどうかと、なかなか判定むずかしいわけでございますが、これにつきましては、先ほども議論になりました昨年一月の通達、これは不当な診療を行ったという場合ですね、検査づけであるとか、余りにも不当な濃厚な診療を行った場合にも監査の対象になるという通達でございます。それはやはり医学的に見て妥当であるかどうかという、かなり精緻な判断というものが要るわけでございますけれども、それらに基づきまして指導、監査を行うということが、いま先生おっしゃいましたことに対する的確な一つの措置ではないだろうかと思うわけでございます。
#299
○渡部通子君 まあ、その監査で適正かどうかというようなことを調べると言っても、これは全くスズメの涙程度の対策にしかならないのではないか。やっぱりこれほど検査づけと言われるほどの検査が行われている傾向というものは、その元栓であるところの報酬体系という出来高払いという、その辺のところに抜本的なメスを加えない限り、これはなかなか監査したからといって氷山の一角をちょっとなでる程度にしか終わらないのではないか、こういう疑念が常に国民にあるわけです。したがって、いまの段階では何らかのチェックをする、あるいは国民にこれが適正な検査であるかないかというようなことを医者が説得をするという、せめてそのくらいの親切はあってしかるべきではないか。そうでなければ患者としては拒否するわけにもいかず、そして過剰な検査を受けざるを得ないという、こういう悲劇がままあることだろうと思うわけです。医者を信頼すればいいんだと、それでは片づけられないシステムというものが、いまの医療の報酬体系の中にあるわけでございますから、これはだんだんの議論になっていきますけれども、検査づけについて一点伺ったわけです。
 それで、いまそのMEとかあるいはCT、大変問題になっているわけです。あるいはオートアナライザーなどの最新機械、これが普及されております。これの適正配置とか登録制とかというのはいままで議論になりましたけれども、こういう高級な機械を操作し、結果についてまあ正しく診断する能力というものが、いまの大学教育の中で一体身につけることができるものかどうか。私はこれにも疑念を抱くわけでございます。で、いまの医学教育、これにおいては人間教育が欠けている、こういうことを指摘する多くの学者もいるわけでございまして、もし人間性に欠陥のある者が高級な機械を動かす、これに結びついた場合にはどういうことになるか、これはもうきわめて重大な問題だろうと思うんです。大学における人間教育、医療機器の操作能力、これは対応しているんでしょうか。
#300
○政府委員(田中明夫君) CT、あるいは超音波装置等いわゆるME、CTにつきまして基本的な知識、あるいは技能の習得というのは大学における医学教育の中で、現在習得されておるわけでございまして、最近の国家試験におきましてもCT
 に関係いたしまして二、三の問題が出ておるというような実態もあるわけでございます。実際にこれを操作し、あるいは検査の結果を読影するという実習の作業につきましては、さらに学校の六年間の教育に加えまして、卒業後の臨床研修という中において一層実地の教育を通じましてそういう読影能力等が高められていくというシステムになっているわけでございます。
#301
○渡部通子君 一応の御答弁として承っておきます。これは文部省とも関連をすることでございますので、後ほどの質問に譲ります。
 もう一点伺っておきますが、国立病院の医療機関の問題です。どうしても国民の公的な医療機関への期待は非常に大きいわけでございます。しかし、医療従事者が不足しているというこの問題がどうしてもネックになっておりまして、初診受け付け患者数、これが制限をされる、早くから行列を組んでいて半分はだめになるといったのは日常茶飯事です。あるいは月に十四回も夜勤をする看護婦も出てくる、こういう国立病院もございます。で、定員外の賃金職員をもってカバーをしているというんですけれども、国民の命にかかわる医療機関の職員体制、これが総定員法の枠、こういうことで十分なサービスになっていない、これはいまの医僚にとって大変大きな問題だと思うんです。先ほども僻地とか救急、夜間、こういう医僚に対してはまず国立から体制を整えるべきではないか、こういう議論があったわけでございますが、国立病院の充実についてどのように考えていらっしゃるか。また、国立の医療機関というものを国民医療全体の中で今後どのように位置づけていこうとなさっていらっしゃるのか伺っておきたい。
#302
○政府委員(田中明夫君) 国立病院・療養所の定員につきましては総定員法というものもございますけれども、医師であるとか看護婦であるとか、そういう直接医療に携わる重要な部分を占めておる職種に関しましては、特別の配慮をいただいているわけでございますけれども、しかしながら、最近の医学、医術の高度化あるいは疾病構造の変化に対応していくには増員をする必要がございまして、年々増員をしていただいているわけですが、必ずしも十分とは言えない面もあるわけでございまして、さらに増員を重点事項として、厚生省としては進めてまいりたいというふうに考えております。
 また、国立病院・療養所のあり方でございますが、国立病院あるいは療養所は、一般の疾病の診断、治療を行うほか、がんであるとかあるいは循環器病等の先駆的な高度医療を行う施設がかなりございますし、また救急医療、僻地医療、あるいは民間医療機関では担当できないような難病であるとか、あるいは採算的に見てなかなかむずかしい脳卒中等のリハビリテーション、こういうような先駆的な高度医療あるいは不採算になりやすいような医療を国の責務として従来積極的に推進しておるところでございます。
 また、これらと並行いたしまして、臨床研究あるいは医療従事者の養成、研修というのも国立病院・療養所の大きな任務と考えておりまして、この点につきましても従来からいろいろと努力を払っておるところでございます。
 今後もそういうようないろいろな機能の充実を図り、全医療機関の軸としてこういうような政策的な医療を推進してまいり、地域医療の中核としての役割りを果たすべく努力いたしたいと考えております。
#303
○渡部通子君 大臣、おっしゃるとおりだと思うんです。したがって、国立医療機関というものをこれからどうしても充実していただかなきゃならないし、それには総定員法という枠というものが非常にネックになっている。しかしながら、これはやはり国全体の問題として、行政改革のこともありましょうけれども、手厚くすべきところにはするという、こういう国務大臣としての御判断の上からこれを強力に推し進めていただく以外にないと私は思うし、それ自体はもう本当に国民の負託にこたえるという点ではいま最も急がれることではないか、こう考えますが、大臣の御決意はいかがでございますか。
#304
○国務大臣(園田直君) 仰せのとおりでありまして、私も全くそのとおりに考えております。
#305
○渡部通子君 次に、医薬分業のことについて伺いたいと思います。
 医薬分業というものが大事であるという認識に厚生省はお立ちになっていると私は思いますけれども、この医薬分業を、どのような青写真を持って推進していこうとしていらっしゃるのか、あるいは分業することが保険財政の赤字解消にプラスになると御判断かどうか伺います。
#306
○政府委員(山崎圭君) 医薬分業それ自身、医薬分業につきましては、私どもは基本的には医師と薬剤師が相互にその職能を発揮し合うといいますか、そして相互にそれを尊重し合う、そしてそれぞれの専門分野におきまして医薬品の安全性の確保を図る、そして結果として国民医療の向上に尽くす、こういう観点からその推進を図ってきたわけでございまして、そして、いままでにおきましても、特に保険サイドにおける院外処方せんの量が引き上げられました五十年でございますが、それ以前の、改定前に比べますと、四十九年当時と五十五年五月の院外処方せんの発行枚数は約八倍にはふえているわけであります。ふえているわけでありまするが、これは推計でありまするけれども、全体の分業実施率は現在のところ六%に満たない、こういうような状況にあるわけであります。
 そこで先生おっしゃるように、これを一体どういう考え方で推進していくのか。目的その他はいま申し上げましたようなことでございまするけれども、一つは基本的にやはり国民の啓発というようなこと、御協力を得なきゃならぬという面がありますのでその点が大事だと思っておりますのと、分業を受け入れる薬剤師といいますか、特に開局薬剤師のあり方の問題、つまり分業の受け入れ体制の整備ということが大変大事なことではないか、そういう意味で、薬剤師の実地の研修でございますとか、あるいはまた調剤センターという、都道府県におきます調剤専門薬局を、都道府県薬剤師会が積極的にこれを設置していく、これを私どもは助成していく、これも一つの大きな意味での分業受け入れ体制の整備の流れに沿うものと考えておりますが、それらの施策を推進しているところでございます。
#307
○渡部通子君 もう一点、答弁漏れています。
#308
○政府委員(吉江恵昭君) お答えいたします。
 政府管掌健康保険についてお答えいたしますが、ただいま薬務局長からも答弁がありましたが、政府管掌健康保険におきましても処方せんの枚数は非常にふえております。たとえば五十一年は六百四十三万五千枚余りでございましたが、昭和五十四年には一千二百万枚と二倍以上にふえておりますが、ただ、いまのやはり答弁の中にありましたように、全体としてはこれは恐らく数%、六%といういま答弁でございましたが、医薬分業の進捗状況はそういうようなことであるということも背景にいたしまして、処方せんの数は増加しておりますが、これによって医療費が低減したというような関連はデータ的には、私どもはどうも残念ながら検証できないという段階でございます。
#309
○渡部通子君 そこで、具体的に伺いたいんですが、医療関係者が自分の処方せんを調剤させるために薬局を経営するということを厚生省はお認めになりますか。
#310
○政府委員(山崎圭君) まあ、巷間といいますか、私どもがいわゆる第二薬局というような言葉で呼んでおるものだろうと思うのでございます。この第二薬局に対するあり方につきましては、私どもは基本的にこう考えているわけであります。つまり、薬局というものにつきましては、薬事法のたてまえから申し上げまして、構造、設備等が一定の基準を満たすものにつきましては許可を与えなければならないわけでございまして、つまり、薬事法は保健衛生上の観点から、薬局における保健衛生のある一定レベルのものが満たされる、こういうことが必要であるということになるわけでありますが、その際、いま先生御指摘のように、お医者さんが設立するようなそういうものについてどうかということになるわけでありますが、私どもは、保健衛生上の見地から、薬事法上許可をしないというわけにはなかなかいかないけれども、ただ本来の薬局のあり方というものは、まず構造的にもあるいは機能的にも、あるいはまた経済的にも医療機関から独立をしたものが望ましい姿であると、こういう見地におきまして、そういう第二薬局におきましては、それらの諸要件を考えますと、必ずしも問題がないと言えない。こういうことで、特に、特定の医療機関からのみ処方せんが出る、それだけを受ける、それ以外の処方せんの調剤を拒否すると、こういうようなことがありましたり、あるいは逆に言えば、患者の調剤薬局の選択の自由を束縛するようなことになりますと、これは医薬分業本来の趣旨を損うことにつながる。こういうことで、そういうことのないように指導をしてまいったところでございます。
#311
○渡部通子君 いわゆる第二薬局の存在というものは余り好ましくないという、こういう御答弁でありますけれども、一体それはどのくらいあるんですか。
#312
○政府委員(山崎圭君) 一言で第二薬局というふうにくくって申し上げましたけれども、いろいろな姿でございまして、また、その成り立ち、経過というようなものもさまざまなものがあるようでございます。たとえば、大学病院の互助会というようなものが設置主体となっているというようなところから、こういう歴史が始まったというような説もあるようでございますし、あるいはまた、診療所のお医者様の奥さんが法人を設立して設置主体となっているというようなことも伺っておりますし、さまざまな態様のものがあるようでございまして、私ども、残念なことでございますが、現在、必ずしも行政的にそういう定義も不明確でございますし、実態を詳細に把握しているということにはなっておりません。
#313
○渡部通子君 その、実態を正確に掌握してないというのは大変私は怠慢ではなかろうかと思うわけですよ。で、いまおっしゃったようにその医療機関が適当な薬剤師さんをちゃんとつくって、そこにだけ処方せんを回すという、そういうあり方はよくないと、こうおっしゃっておきながら、それがどのくらいふえてきているのか、実態がどうなっているのか、これを調査しようとなさらない。それだけではなくして、私具体的なことをここで一つ申し上げますけれども、都内のある開業医の例でございますが、これは文京区のあるお医者さんでございますが、それがやはり御自分の支配下で薬局を開設をしたいと、こういう許可願いに対して薬剤師会が挙げて反対陳情している事実があるわけです。これやはり医師優遇税制改正に対する税制対策、処方せん発行料、薬価差益等の獲得を目的として、御自分の支配のもとに薬局を開設し、保険薬局の指定を得ようとしておる、またその近隣保険薬局及び地域保険薬局に対しては、処方せん発行の意思は全くないと、こういう薬局が申請されたのに対して、ことしの八月十八日にこれが許可されているんですね。こういう事実はどう御説明なさいますか。
#314
○政府委員(山崎圭君) お挙げになりました実例につきましては、私、承知しておりませんので、的確なお答えができるかどうか存じませんけれども、私どもは五十年の一月に薬務局長通知を出しまして、先ほど申し上げましたように、医療機関からの独立ということを強調いたしまして、そういう線に沿って、薬局の開設の許可に際しましてその指導を都道府県知事に出して、こういう線に沿っていわゆる第二薬局についてのあり方につきまして考え方を示しておるところでございます。
#315
○渡部通子君 この許可をしたという私はあえて個人名を挙げません。これは一般論でしたがって尋ねたわけでありまして、厚生省が指導なすったのは五十年でしょう。もうずいぶん前なんです。その後第二薬局と、こう一般にも名前が知れ渡るようにそういう薬局がふえてきているわけですね。そして、なおかつことしになってこういう東京都が許可を与えているなどということはちょっと行政としては考えられない怠慢ではないかと私が申し上げている。
 大臣に伺いますけれども、この医薬分業、医薬分業大変結構なことなんですけれどもね、だから処方せん料が四十九年にアップをされて、医薬分業しなさいよと、こういう厚生省が御指導いただいたことは大変結構だったんです。ところが、それが逆手にとられまして、そして医療機関が同一の支配下に、あるいは自分の敷地内に六坪あれば薬事法上薬局というものが許可されるわけですから、そこで開いて、処方せん料、調剤料あるいは薬価差、そして今度税制が変わりまして、五十四年ですか、税制が変わりまして、大体二千五百万以上とか三千万以上とかって税率が変わってまいりましたらば途端にまたこの薬局がふえ出した。というのは、やはりお医者さんにしてみても大体年収三千万程度というのが日本の医者の半数いると言われているわけですから、それを薬というものを分離して第二薬局に任せてしまえば、大変に税率上も得をするわけです。したがって、この五十四年の税制改革がありましてからここのところ、ばたばたっとふえてきたというような実情もあるわけでございまして、医薬分業いたしました、薬局を分離しましたと言いながら、それが逆にやはり医者の所得隠しというような点で国民の批判を浴びかねない。実は私もこの間主婦の会合で、そういう第二薬局とかと言われている風潮を御存じですかと聞きましたらば、ほとんどの主婦の方が知っていらっしゃるので、なるほどこれは一般的になってきた問題だなと、こう理解せざるを得なかったわけでございます。これは決して特殊な主婦ではございませんで、ごく一般の庶民の奥さん方でございました。そういうわけで、医薬分業というものが逆手にとられて、第二薬局といわゆる称せられるものがふえてきている、こういう現実に対して厚生省は五十年に指導なさったかもしれない、通達は出したかもしらぬ。しかし今回、ことしの夏にすでに東京都から申請のあった、そういう薬局をまた許可をしているという、こういう現実に対して大臣はどうお考えですか。
#316
○国務大臣(園田直君) まことに遺憾なことであって、御指摘のとおり行政の怠慢であります。通達を出すだけが行政府の仕事ではなくて、通達を出したらそれが実施されておるかどうか、さらにその通達を出したことに厚生省自身が忠実にやっているかどうかということはきわめて大事なことであります。第二薬局というのは私も聞いておりますが、問題は医療機関とその薬局が独立しているということが一番大事なことだと考えております。いま御指摘の点は初耳でございますが、後でよく十分聞きまして調査をいたします。
#317
○渡部通子君 それで、保険調剤薬局というものはずっとふえてきているんだと思いますが、それはつかんでいらっしゃるんですか、厚生省。
#318
○政府委員(大和田潔君) 資料をすぐ取り寄せますので、ちょっと……。
#319
○渡部通子君 時間がありませんから私の方から言いますので――ありますか。
#320
○政府委員(大和田潔君) 一般の薬局でございますので、ちょっと違うと思いますので、またすぐ用意いたします。――保険薬局の数は……
#321
○渡部通子君 保険調剤薬局です。
#322
○政府委員(大和田潔君) 保険調剤薬局、これの数は五十四年で二万五千八百三十六、さかのぼりまして五十三年二万四千九百八十八、五十二年二万四千三百二十六、五十一年にさかのぼりまして二万三千七百八十九、こういう数字が手元にあるわけであります。
#323
○渡部通子君 ふえてきているわけです、したがって。処方せん料がアップされて薬局が申請された、こういうケースが多いということは十分考えられることですけれども、この中にいわゆる第二薬局と言われるものも入っているわけですね。それは大まかに、アバウトで見込み、これはおわかりなんですか。
#324
○政府委員(大和田潔君) どうも、アバウトでもちょっとわかりかねるところでございます。
#325
○渡部通子君 したがって実態を調査せよと私は申し上げているわけです。これは、アバウトで六千だという人もあればいろんな意見が出ております。ですから、私自身もわからない。こういうことをきちっと調査をするのが厚生省だと思うんですね。五十年に指導通知を出しているくらいなんですから、したがって厚生省だってこれは余り思わしくない、何とかしなければならぬということはわかっておるはずなんです。その後ふえている、特にこの一年間ふえている、税制改革があってから。こうなると、やはり新しい医薬分業という厚生省の指導が逆手にとられて、とても厚生省の指導対応というものが間に合わないという後追い行政を如実に物語っている問題ではないかと思うんですね。したがって、これを調査するということを私はお約束をいただきたいんです。第二薬局と思われるものができた近辺の薬局聞いていただくとすぐわかります。一つの薬局がふえた、そうすると処方せんが開設保険薬局の認可がおりた途端にばっと来るわけですね。ほかには全然来ないで処方せんがそこにだけやってくるということはみんな知っておりますから、そういった意味で実態調査は必ずしもできないわけではないので、そういった意味で、この辺をきちっと洗い出していただくということは大事なことではないかと思いますが、実態調査のお約束はできますか。
#326
○政府委員(山崎圭君) 先ほど申しましたように、いろいろな定義がはっきりしない点もありまするけれども、先生御指摘のとおり問題とされている事例でございますので、近く何らかの方法でその実態を調査することをお約束したいと思います。
#327
○渡部通子君 そして、それが実態調査ができた場合に、それに対して打つ手はおありなんですか。法的根拠は何かお持ちでございますか。
#328
○政府委員(山崎圭君) この開設許可権は都道府県知事でございまして、薬事法上のあり方といたしましては、第一薬局、第二薬局ということがあるわけではございませんし、保健衛生上それがいいか悪いかという目で薬事法上の規制が働くわけでございますので、それを仮に第二薬局だということであって、そのことだけの理由で保健衛生上問題がないことを、たとえば許可の取り消しというふうに結びつけるのは非常に困難だと思います。ただ、何といいますか、そういう実態関係がお話のように仮にも患者さんの処方せん調剤を拒否するというようなあり方は、これは好ましくないことは明らかでございますので、あくまで指導という形でその是正を求めていく、こういう態度になる、かように考えております。
#329
○渡部通子君 それは私もわかります。薬事法でも健保法でもこれはどうしようもない、いまの法規の上では取り締まれるものではないというのはわかります。しかしながら、これがふえる傾向にある、こうなってみれば、やはり指導基準のようなものを設けざるを得なくなるのではないか、あるいは何らかの法的根拠を持たせるとか規制を講じるとか、こういうことが必要になってくるとは考えられませんか。
#330
○政府委員(山崎圭君) 大変むずかしい御質問でございますが、薬事法の現行法でないからできないということで申し上げているのではなくて、保健衛生上の見地から第二薬局、第一薬局というような形で保健衛生上支障がないものについてそれを規制するということは、なかなか法律をもってもむずかしいのではないかという見解を申し上げたわけでございます。
#331
○渡部通子君 まあ実態をつかんでいないという現状でございますから、それに対して何らかの法的なものをと言っても答弁は出てこないだろうと思います。したがって、その実態をおつかみになった段階で、またこれはひとつ議論にさしていただきたいと思っておりますけれども、ともかくも医薬分業がいいからと言って厚生省が太鼓を鳴らし始めたら、それを逆手にとってまた悪い傾向が出てくるという、こういうイタチごっこを繰り返していたのでは、国民の医療機関に対する不信というものはつのるばかりでございます。私もこの実態を聞いて、本当にまあ世の中には悪い知恵者もいるものだと、こう思わざるを得ないわけでございまして、そういうことに対しては厚生省としてはひとつ厳しい基準を設けて指導する。なぜ私がこれほどやかましく言うかというと、五十年に通達を出しておきながら、その後ふえる一方だという、こういう事態に対して厚生省自体にももう心から私は怠慢を責めたいからそう申し上げているわけでございまして、どうか打つ手はもう少し遅くならないようにお願いをしたいと思います。大臣よろしゅうございましょうか。
#332
○国務大臣(園田直君) よくわかりました。
#333
○渡部通子君 それから、大臣にちょっとついでにお尋ねしますが、医薬分業ということに対しては積極的な推進を図るとお約束をなさったと思いますが、そうでございますね。
#334
○国務大臣(園田直君) そのとおりでございます。
#335
○渡部通子君 それでは事務当局にお尋ねしますが、国民に対する啓蒙、それから薬剤師に対する教育研修、それから調剤センター等の設置、これらが具体的に予算上の裏づけを持って進められているかどうかをお答えをいただきたい。
#336
○政府委員(山崎圭君) お挙げになりました医薬分業推進のための施策のうち、国民の啓蒙問題につきましては、これは日本薬剤師会の協力を得まして、昭和五十年度から毎年ポスター五万枚、パンフレット二十五万枚を作成いたしまして、薬局とか保健所等を通じて広報を行っております。
 また、薬剤師の研修教育に関しましては、五十一年度からでございまするけれども、全国で約四百カ所の総合病院の協力を得まして、五十四年度までに約一万七千名の薬剤師に対しまして調剤技術の実務研修を実施しておりまして、本年度も引き続きこれを行っております。
 なお、調剤センターの整備につきましては、五十四年度から補助を始めたところでございまして、五十四年度におきまして全国九カ所の調剤センターに対しまして補助を行いまして、本年度も引き続き補助を予定しております。
 このほか、医薬品検査センター、これも薬剤師会の設立するものでありますが、それの設置に対する補助につきましても昭和四十六年度以降実施しておりまして、五十四年度までに合計三十カ所に対する補助を行っております。これを各県一カ所まで普及させたいと思っております。
 これらの事業に関します五十五年度の予算は五千八百二十八万円と、かようなことに相なっております。
#337
○渡部通子君 それで、それを推進するために、中央、地方に医薬分業推進懇談会、これを設けるとおっしゃっておりますけれども、これは具体的に進んでいるんでしょうか。
#338
○政府委員(山崎圭君) 医薬分業を進めてまいりますためには、やはり地域地域におきます関係者の間の、つまり診療所のお医者様と、そしてそれを受け入れる開局薬剤師、基本的にはその両者の間のお話し合い、御納得といいますか、御協力といいますか、そういうことが基本的に大変大事だと思っております。そういう積極的な話し合いが行われるという、そういう場を設けると、こういう趣旨で医薬分業推進懇談会というような、たとえばそういうものを推進していったらどうかと、これが先般衆議院において、そういう場を設けるという御答弁を厚生大臣からお答え申し上げたところでございます。
#339
○渡部通子君 そのとおりなんですね。十一月七日の衆議院の議事録を見ますと、厚生大臣御自身が「医薬分業は近年その機運が高まっておりまして、国としても国民に対する啓蒙、薬剤師に対する教育研修、調剤センターの設置に対する補助等の施策を通じて、医薬分業の基盤の整備に努めてまいりましたが、今後これらの施策をより一層促進させるとともに、中央、地方に医薬分業推進懇談会を設けるなどにより」云々と、こういう答弁をなすっていらっしゃるわけですね。これはいまの御答弁のとおりなんですが、ところが十月三十日に埼玉会館で行われた、関東甲信越地区薬務主管課長会議、これにおいて厚生省薬務局の担当者は、この医薬分業について、懸案の医薬分業推進懇談会の設置については予算的に断念したと、基本的には国民意識を変えることで調剤センター設置などで側面的に援助したいと、こういうふうに大変後ろ向きな話をしているわけですが、これは日刊医薬特信十一月五日号に載っております。ほんとですか。
#340
○政府委員(山崎圭君) 推進懇談会の設置についての予算要求を新規要求しないということにつきましては、そのとおりでございます。まことに残念ながら、予算要求の厳しい折から、新規要求は断念したということは事実でありますが、ただ、この性質の費用につきましてはいろいろと知恵を出してやってまいりたいと、こういうふうに思っておりますし、その実現には努力したいと、こういう気持ちにおいては何ら変わりがございません。
#341
○渡部通子君 気持ちが変わらないでできるのかどうかということを伺っておきたいのですがね。予算的に断念したということは、来年度予算がなくなったと、予算はないけれど懇談会は設置するということなのか、それとも再来年予算をとって設置をしたいとおっしゃるのか、その辺の見通しはどうなんですか。
#342
○政府委員(山崎圭君) 仮に予算がなくても、何とかそういう場を設けたいと思っております。仮にそれが、予算を設けることについての支障であれば、またさらにその次に検討してまいりたいと、かように考えております。
#343
○渡部通子君 これ、大臣ですね、この懇談会がどういう性格のものになるか、どういう強力な実体的効果を持つものになるか、これらはこれからの問題になるとは思いますけれども、少なくとも大臣がこれだけ具体的に衆議院の場で発言をなさってそして医薬分業というものがこれほど大事な時期にかかっておりますので、何とか大臣の発言を実現化方へ御努力いただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
#344
○国務大臣(園田直君) まことに恥ずかしい話でございまして、大臣が委員会等でこういう答弁をすることは私の恥辱だと存じますが、私が委員会で答弁したことを省内の課長が予算は断念をしたという発言をしたことは、いま初めて聞いたことでありまして、まことに不本意であります。改めて帰りましたらその詳細を聞いた上で、これが実現するよう私は自分の考えどおりに努力をする所存でございます。
#345
○渡部通子君 次に、薬価についても若干御質問をいたします。
 薬価基準の改定につきましては、私も何度も発言をいたしましたし、当委員会におきましてすでに大臣の答弁が出ていると伺いました。私出たり入ったりしていたものですからちょっと聞き漏らしておりますけれども、薬価基準の改定につきましては、今年度内ないし来年度の初頭においてという御答弁に間違いはございませんですか。
#346
○国務大臣(園田直君) 薬価の改定については、渡部先生は医療行政の基本である点と、特に消費者物価に非常に響く、こういう点から平素から強く主張しておられまして、一日も急げという御主張であると理解をいたしております。そういう意味でなるべく急ぎまして、今月中に諸作業を終わり、来月から算定に入って、でき得れば一日も早く年度内にでも薬価改定を行うよう努力をいたしております。
#347
○渡部通子君 では年度内にできるかできないかということをめどにして私も見守りたいと思うんです。
 それで薬価の問題が出てまいりますと、必ず診療報酬改定という問題が出てまいります。これは別個に考えるべきだと、これも私が常々主張をしお願いをしているところです。確かにいまお医者さんが薬でかせがざるを得ないというような実情がもしあるとするならば、それならば診療報酬というものは別途考えるべきであって、薬価は薬価として正すべきである、これを連動させるべきではないということをいつも申し上げているわけでございますが、この薬価改定が年度内にもできる、こういうことになってまいりますと、今度は診療報酬が必ずまた問題に上がってくると思いますが、十一月十二日の当本会議では、鈴木総理は「当面改定を必要とする状況にない」とこうおっしゃり、また大臣は、十一月十八日当委員会で、診療報酬を五十五年度内に引き上げるつもりはない、こう五十五年度内にという一項が入りました。診療報酬の改定というものはいまどういうプログラムでお考えになっていらっしゃるか、あわせて伺っておきたい。
#348
○国務大臣(園田直君) 薬価の改定と診療報酬の改定は別個にやるべきだという御意見は私も全くそのとおりに考えております。薬価の改定については先ほど申し上げましたとおり、診療報酬の改定はそれぞれの団体から少しいろいろ意見が来ておりますが、まだその機は熟しない、こう見ております。
#349
○渡部通子君 それでこれまで薬価調査をずいぶん本調査以外にも厚生省はおやりになった、六次にわたる経時変動調査が行われてきたわけです。これは私から言わせれば、改定を引き延ばすため以外の何ものでもない、こう申し上げざるを得ないわけですけれども、これだけ調査をなすったんですから、実勢価格は相当大幅に下がっているのではないか、こう思われますが、世間では一五%とかあるいは二〇%とか、少なくも二けたであろうと、こういう予測がされておるわけでございますが、第五次までの調査の概要についてお聞かせをいただきたい。
#350
○政府委員(大和田潔君) どうも大変冷たいお答えになりますけれども、現在第六次を行っておるところでございますので、どうも現段階ではどれだけ乖離があるかということをお答えできるような状態では実はないわけでございます。ただ、先生おっしゃいますように、従来の、これまでの薬価改定の実績に比して大幅のものになるであろうということは言えると思いますけれども、具体的にどれだけだというようなことは、まだちょっと申し上げられる段階ではないわけであります。
#351
○渡部通子君 具体的にどれだけと答えてくれとは私は申し上げてないんです。
 それから、第五次までの概要を伺っておりますので、その第六次の調査中ということはよく承知をいたしております。第五次までを見て、いま、かなり大幅にということでございました。すると、過去一番大幅なときが大体一三か一五%だったと私は記憶をいたしておりますが、それも上回るんですか。
#352
○政府委員(大和田潔君) 過去は一〇ないし一一といったようなものであったと思います。恐らくその辺よりも上回るのではないかと思うわけでございます。まだはっきりした数値はちょっと私ども出ておりませんので申し上げられないわけであります。
#353
○渡部通子君 今度の改定案の四十三条の九の二によりまして、薬価調査については法的権限を持つものとなります。法的権限が付与されることによりまして、薬価調査はこれまでとやり方やその他について変わるものが何かありますか。
#354
○政府委員(山崎圭君) 新たに厚生大臣の調査権が薬価調査についても法制化されたことによりまして、従来は何といいますか、調査対象者に対しまして私どもがお願いする、協力を依頼するという立場でございます。まあ、そのことから法的権限が一応備わった権限のある調査と、こういうことになりますので、より厳正な調査が実施できると、かように考えておるところでございます。
#355
○渡部通子君 いままでの調査が必ずしも実勢価格を反映したものではないということはしばしば指摘をされてきたところです。これはもう当事者自身からも言われていることでございまして、五十三年の五月には日本医薬品卸業連合会総会に出席なすった前の中野薬務局長自身もこれ発言をしていらっしゃいますね。これまで卸には薬価調査に協力を願ってきたけれども、果たして真の実勢価格を記入してきたかどうか、実勢価格と薬価基準がこれほど大きな問題になっている以上、五十三年の薬価調査に関してはもはや真実なき記入は許されないと、こういう注意を前回の調査のときに薬務局長御自身がおっしゃっているくらいです。あるいは月刊薬事、一九七六年のですが、この雑誌で大手の卸の社長が一文を書いておりますけれども、その中でも、薬価基準が下がることが薬剤供給側の地盤沈下と考えて、無意識に建て値、B価の道を選んできたように思えると、まあ、ずっとありますけれども省きますが、まあ、当事者御自身がこうして実際建て値を書かざるを得ない場合もあったというようなことまで発言をしているくらいでございまして、こういう実勢価格が本当に調査に反映されるかどうかという点については、厚生省に私はもう少しきめ細かい薬価調査に対する御注文を申し上げたいと思っているんです。で、法的根拠が付与されたことでこうした実勢価格と違った調査の回答が一体一掃されると考えていらっしゃるのか、たてまえの、実勢価格と違うような回答がもしあった場合に何らかの処置を考えていらっしゃるのか伺います。
#356
○政府委員(山崎圭君) 薬価調査におきまして、何といいますか、虚偽といいますか、事実と異なる報告がされた場合にはどうするかというお尋ねでございますが、私ども、いままでの経過だけを申し上げますと、ただいま御指摘になりました五十三年七月の前の五十三年五月におきましては、確かに御指摘のように前局長はそういうことがあってはいかぬという意味で、真実を書いてほしいという意味でそういう発言をしておるわけでありますが、その五十三年七月の薬価調査におきまして、その直前にいわゆる特別調査というのを初めてやったわけであります。そして、その特別調査の実施に際しまして、虚偽の報告についての警告も発しておりますし、ともに事後の特別調査をその直後にやっております。その後も経時変動調査を長期にわたり実施してまいったわけでありまして、仮に私どもが把握できない虚偽報告というようなものがありましたとしましても、いろいろその後の一連の調査によりまして実勢価格というものは私ども十分に把握できたという自信を持っているといいますか、そういう段階にあるわけであります。今後とも、薬価調査に法的権限が与えられたことでもありますし、まだ成立はしておりませんけれども、そういう御修正もあるわけでありますが、仮に、メーカーが関与しまして自計調査に虚偽の記載をしたというようなことが判明した場合には、その状況を把握した上で厳正な処置につきまして、関係当局ともまた相談してまいりたいと思っております。
#357
○渡部通子君 あんまり甘い自信はお持ちにならないようにしていただきたい。実勢価格に反映したという自信を持っていると――あんまり甘い自信はお持ちにならない方がいいだろうと私は申し上げておきます。
 それで、薬価調査の正確を期すためには、現在の調査の予告制、これにまず問題があると思います。五十三年七月の調査においては六月分の取引を七月に調査をしたんですが、これを予告したのはいつですか。
#358
○政府委員(山崎圭君) 五十三年七月調査の際に六月分が対象になったわけでありまするが、その年の五月十八日にこれは日本医薬品卸業連合会に対しまして薬価調査を実施するよということだけを通告しておりますが、調査客体個々への通知は調査表を六月十二日に都道府県を経由して送付すると、こういう形でいわば予告が行われているわけであります。したがいまして、個別の調査客体には六月十二日ということに相なります。
#359
○渡部通子君 明快に通知すれば直ちにその日のうちに予告はいっているはずですね。正確な調査を行うのであれば事前に六月分を七月に調査すると予告するのでは正しい調査ができないのではないかと思う。で、調査客体である卸あるいは診療機関も急に調査と言われても大変だと思いますので、まず予告は調査月だけを予告し、調査対象月というものは六月か五月かあるいは前年の十二月を調査するかわからないというふうにしておくのが本当の調査ではないかと思うんですね。しかも調査期間も、現在の一週間をもって一カ月分の取引を推計すると、こういうのではなくて、一カ月二カ月にわたって行うべきだと、こう思うんですけれども、その点はどうですか。
#360
○政府委員(山崎圭君) 前段の方のいつ調査をするかという予告は、これはしようがないにしても、何月分の取引を調査の対象にするかと、これについての予告は別にする必要ないじゃないかと、こういう御指摘ではないかと思います。その辺のきめ細かいあり方につきまして、確かに御指摘のような点については非常に考えてみるべきことであろうと、こういうふうにも思っておりますので、また前向きというとしかられるかもしれませんが、積極的にその点は検討させていただきたいと思っております。
 それから一、二カ月、一週間の調査期間を延ばすべきではないかという点でございまするけれども、これ、私どもたとえば卸については全卸を対象にしておりまして、それでしかも調査対象品目が非常に多いと、一万三千という品目数でございますし、そういう意味で、たとえば一カ月間それを事務的に卸に全部転記させるわけでございまするから、そういう意味で調査客体の事務屋というものを考えた場合に、仮に、何といいますか、大変過大な負担をかけることもいかがと、こういうような観点で、非常に取扱量の多いところについて、たとえば一週間に短縮してきたわけでございます。しかし御指摘の点も確かにおっしゃるとおりですが、私どもが、これは一週間を調べれば大体一月のあり方というものがわかるだろうと、こういう前提に立つものでございまするけれども、その辺も御指摘もありますので、その実施期間を延ばし得るかどうか、さらに検討をさせていただきたいと、かように考えております。
#361
○渡部通子君 前段珍しく積極的な御答弁をいただきましたので、それはひとつ実施の方向で考えていただきたいと思うんです。確かに調査月を指定されたんでは、その月に対しての取引の伝票操作などというものは幾らでもできるはずでございまして、この辺に私は一つの隘路があるのではないかと指摘せざるを得ません。
 そこで、二倍の法則というのも、これ薬価調査で実勢価格を反映しない一つのものだと私は思います。二倍の法則をここでくどくど説明することはいたしません、もう重々御承知のはずですから。具体例をもって申し上げますけれども、たとえば一つの薬剤について百錠入り包装を百個販売し一万錠出回った場合。それから、千錠入り包装を百九十個販売して十九万錠出回った場合。これだけ市場に出ていると仮定をいたしますと、この場合の薬価基準算定の基準包装となるのは、百錠入りですか、千錠入りですか。
#362
○政府委員(大和田潔君) 百錠入りでございます。
#363
○渡部通子君 百錠入りが薬価の基準包装となるということですけれども、百錠入りと千錠入りとの包装の違いでは、一錠当たりのコストも百錠入りの方が高くなっているのは当然です。薬価基準の算定においては二倍の法則と、こういうことでございますから、百錠入り百個販売されたものだけをもって九〇%のバルクラインを引く、こういう薬価基準となるとなれば、十九万錠も出回っている千錠入りが百九十箱、百錠入り包装が百箱、一万錠です、わずか。一万錠しか出回ってない高い方のコストが薬価基準、しかも九〇%バルクラインというところで線を引かれる。こうなれば当然薬価というものが高いところに算定されるということになりますね。
#364
○政府委員(大和田潔君) いろいろ確かにそういう矛盾があるわけでございますが、これはもう先生御承知のとおりでございます。これは二倍の法則ということがいろいろ問題をはらみながら、かつまたやはりこういうようなことがいいんではなかろうかという議論もあるわけでありまして、もう御承知のことでありますけれども、医薬品の単価は、もうおっしゃるように通常大包装の方が安い。ところが大包装で価格が決定されました場合は、小包装を購入している小規模の診療所等では購入できない価格ということになるわけでありまして、診療所等におきましては大包装で購入をしても使い残りが多いといったような問題が出てくると、返品もできないので結果的には当初の購入価格よりも割り高になるといったようなこと。あるいは大包装で価格を決定した場合に、メーカーが小包装の供給を好まなくなって、大包装主体の生産が促進されると、薬剤の多様化傾向を助長するといったような懸念も実はあるわけでございますが、先生おっしゃいましたようないろいろ問題ももちろんあるわけであります。その辺は非常に問題があるということで、一応二倍の法則をとっておりますけれども、これは薬価の算定方式問題とあわせまして、やはりこのままでいいというふうに私ども思っておるわけではないわけでありまして、薬価算定方式問題とあわせまして検討していかなきゃならぬというふうに考えておる問題でございます。
#365
○渡部通子君 それはメリットもあればデメリットもあるというのは当然だと思うんです。ただ、デメリットの方が余りにも大きくなってきた。しかも、薬価の実勢価格が反映されないという点に大きく反映をしてきておりますのでね、この点を積極的に改革すべきではないかと私は提案をしているんです。むずかしい問題だから検討する検討するで、先ほどの安恒委員ではありませんけれども、いつまでも放置をいたしておきますとね、ますます医療問題は暗黒大陸になりかねないという、こういう実情でございまして、こんな明確なことぐらいは手直しを少しずつして、少しずつでも薬価を実勢価格に近づけるというところに持っていってほしいと私は思うんですね。
 で、現在では銘柄別収載を行っておりますので、内分の会社の薬剤の価格を維持したいと思えば、予告制で調査対象月がわかっているので、そのときは小包装が薬価基準の包装になるように販売計画を立てることすらできるわけです。それから、事実薬品業界では代納という制度がございまして、千錠入りを注文いたしましても、手錠入りは品切れだと言って百錠入りを十包装持ってくると。そして、伝票も百錠入り十個の包装で仕切ると。その二、三カ月後値引き伝票が起こされる。こういうことが特に薬価調査対象月というのになると多くなっているわけなんです。御存じでしょうけれども、まさか知っているとはおっしゃれないでしょうけれども、これはあたりまえの事実でございます。正確な調査を行うというのならば、現在の二倍の法則は改めるべきだし、また調査月の予告制も改めるべきだ。そして、計算方法も九〇%バルクライン方式をやめて、加重平均方法なり何なりに改めるべきではないかと、私はこう考えますけれど、いかがですか。
#366
○政府委員(大和田潔君) 何もかも、どうも検討検討ということで申しわけないわけでありますけれども、九〇バルク方式につきましても、従来からとっておりました方式でありますし、いまこれのメリットというものもあるわけでありますけれども、やはりデメリットというものもあるし、問題というものは指摘されておるわけであります。デメリットの問題が指摘されておるというようなことでございますので、この薬価の算定方式につきましては、中医協で御審議願うことになっておるわけでございますが、この審議状況等踏まえまして私どもの方も十分検討していきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
#367
○渡部通子君 大臣も衆議院では、これらの問題について中医協で審議願いたいとお答えになっていらしゃいますけれども、改めてですね、予告制の問題、それから二倍の法則の問題、加重平均による算定の問題、こういった具体的な問題を含めて諮問をなさるかどうか、明確にしておいていただきたい。
#368
○国務大臣(園田直君) 衆参両方で各委員から同様の質問が強く出されたわけでありますから、いままでの薬価の算定方式に国民が疑惑を持っておるというような意見もあるわけでありますから、そういう点についても御意見を承って、公平無私にやりたいと思っております。
#369
○渡部通子君 さらにもう少し、これ質問通告はしてありませんけれども、ちょっと御意見をやっぱり薬価の基準の改定に当たりまして反映してほしい点を私申し上げたいと思うんです。
 アメリカのMAC価格ですね、これはアメリカの、日本の薬価基準と同じと考えてよろしいかと思うんですけれども、このアメリカのMAC価格と日本の薬価基準を比較できるものについて比較されたことが厚生省ではございますか。MAC価格。
#370
○政府委員(大和田潔君) これにつきましては、実はまだ私どもは、率直に言いまして、検討はいたしておりません。
#371
○渡部通子君 これ、ぜひ検討していただきたいということを私お願いをしておきます。と申しますのは、MACの価格が決定していて日本の薬価基準と比較できるものは、抗生物質、鎮痛剤、精神安定剤、これが主なものでございますけれども、この抗生物質の価格というものがアメリカの価格と比べますと非常に高いということが特筆できるように思うんです。それで私があるところから入手いたしました価格を試みに二、三例として申し上げておきます。
 これは一九七九年現在の比較でございますので、ドル換算が一ドル二百二十円で換算をしてございますけれども、薬効、成分とも全く同じというアメリカの薬品と日本の薬価基準との比較でございますが、たとえば塩酸テトラサイクリン、これは抗生物質です。二百五十ミリグラムについてMAC価格は五・五円、日本の薬価基準ですと三十一円五十銭から三十四円、大体五・七倍から六・二倍になっているわけです。それからアンピシリン、やはり抗生物質、二百五十ミリグラム、アメリカのMACでは十三・一円、それが日本の薬価基準では八十円から百八円、これは六・一倍から八・二倍です。それからエリスロマイシンステアレート、これやはり抗生物質、二百五十ミリグラム、これはMACが十五・三円、日本の薬価基準が五十四円、四・四倍、あとずっとあるんですけれども、きょうはこの一例だけを申し上げました。こうして抗生物質というものが、薬剤が薬効、成分同じ、グラムも同じ、それでアメリカの価格と日本の薬価基準とこれほど違うということは、一回厚生省としては比較研究をしてもらわなきゃならない問題だと思うんです。
 一方日本でも実勢価格と薬価基準の価格の乖離が大きいものとしては、注射を含めた抗生物質、これが何といったって王者になっているわけです。したがって抗生物質の実勢価格を徹底的に調べる意味において、実勢価格を薬価基準に反映させる意味において、一度アメリカの価格と検討をしていただいて、これも薬価の基準改定に当たっては何とか反映をさせていただきたい、こう思いますがいかがでございますか。
#372
○政府委員(大和田潔君) おっしゃるようにMAC方式なるものにつきましては検討さしていただきたいと思います。ただ、いまちょっと聞きましたところによりますと、メディケア、メディケードの連邦介入の医療でございますので、若干どうもそれに用いる薬でありますので、またアメリカでもそれの対象は十数%というようなこともちょっと聞いておりますので、これをわが国の制度に用いるのはなかなかむずかしい面があろうかと思いますけれども、十分この点につきましては検討さしていただきたいと思います。
#373
○渡部通子君 それから、これもわかったらお答えいただきたいんですが、五十三年二月改定で、それ以降新規収載の薬はどのくらいあるんですか。
#374
○政府委員(大和田潔君) 五十三年の三月十日以降二百六十四品目ございます。
#375
○渡部通子君 これもわかったら答えていただきたいんですが、そのうち今回第六次の経時変動調査で対象になっておりますか。いるかいないかだけで結構です。
#376
○政府委員(大和田潔君) 対象にしております。
#377
○渡部通子君 それで価格はどうなっているか実は伺いたいんですけれどもね。これも実勢価格をなるべく薬価に反映してほしいという細かな注文で私が申し上げているわけですが、やっぱり新しい薬というものはどうしても高い。そうすると、似た薬というものが、ちょっと変えてそれに乗っかってしまうというそういう傾向がどうしてもあるんです。これはもう第一線で実務に携わっている人のすべからく声でございます。したがって新薬に対して、それに似た薬が乗っかってくるおそれがありますので、それをよく監視をしてほしい。ちょっとグラム数を変えるとか、ちょっと成分を変えるとかして新薬として同じ薬価にして、むしろいままでの薬が高くなってしまう、こういう形で薬価にとんでもないはね返りが出てくるわけでございます。こういうことについて厚生省は実態をよく存じていらっしゃるのか、そして今回の薬価改定に当たって、こういう面もきちっと監視をして反映をさせてもらえるのかどうか、これも伺っておきたい。
#378
○政府委員(大和田潔君) この新薬につきましては、先生おっしゃるように適正な価格というものにする本調査の対象となり得ないために、なかなかデータが十分でないので適正な価格ということで変更することはなかなかむずかしいという問題があったわけでありますけれども、今回初めて経時変動調査の際にその実勢価格を調査をしたわけであります。それは、先生御指摘のようなことをできるだけなくしていこうというようなことでそういうような取り扱いをしたわけでございまして、できるだけそういうことで今後とも努力をしていきたいというふうに考えておるわけであります。
#379
○渡部通子君 私本当に一端ですけれども、薬価をめぐる具体的な問題で、ぜひとも実勢価格の反映をという御要望と質問を申し上げたわけでございます。近々薬価基準改定ということが大臣からも発表になっておりますので、何とかこういう問題を反映をさせて、国民の信頼が得られるような薬価基準の改定をぜひ行ってほしい、これを重ねて御要望申し上げておきます。
 文部省においでを願っておりますので、だんだん時間がなくなってまいりましたけれども、若干医学教育についてもお尋ねをしておきたいと思います。
 いままで財政問題というものが大変議論をされておりますけれども、この医学の問題につきましては、もう本当に教育にかかわる部分がきわめて大きい、これはだれしも思いをいたすところでございます。現代の学問は日進月歩でございまして、特に医学の進歩これは激しいと聞いておりますけれども、まず医学教育の目標というものをどのように認識をしていらっしゃるか文部省にお尋ねをいたします。
#380
○説明員(川村恒明君) お答えを申し上げます。
 私どもの方で大学設置審議会というところがございますけれども、そこで医学部設置審査基準要項というものを定めております。ここでその医学部のあり方につきましての議論をしていただいているわけでございますが、そこで一応医学教育の目標ということを定めております。それによりますと、「医学教育は、確固たる倫理観に基づき、医学に関連した社会的使命を有効に遂行し得る人材を養成することを目的とする。」ということが大事項でございます。あと若干詳しくなっておりまして、特に学部レベルの教育では、必要最小限の知識・技術を体得させると同時に、卒後でも適当な指導者のもとでは直接独力で診療を行う程度の実力を付与するとか、若干のことがつけ加わっておりますが、その根幹となるところは、先ほど申し上げましたように、「確固たる倫理観に基づき、医学に関連した社会的使命を有効に遂行し得る人材を養成する」ということでございまして、私どももこの方針で進んでいるわけでございます。
#381
○渡部通子君 現在の大学教育は、それにふさわしいカリキュラムを持っておいででございますか。
#382
○説明員(川村恒明君) 大学教育を実現する一番重要なものは、ただいま先生御指摘のカリキュラムの問題でございます。専門教育四年間の中でのカリキュラムの編成ということが大変重要でございますが、それと同時に、たとえば入学してくる学生の選抜の方法ということも大切でございます。それからその四年間での具体的な教育の方法ということもありましょうし、それから何よりもこれの指導に当たる指導者の増員とか、資質のすぐれた指導者を確保するとか、あるいは施設、設備を確保するというふうないろんな要素が加わってくるわけでございます。
 ただいま御指摘の、それでは医学教育は十分であるかという御指摘でございますけれども、そういう点では、なお現在の現実の大学教育で改善を要する点は多々あるということは私どもも感じているところでございます。
#383
○渡部通子君 改善を要する点が多々あるという、そういうのを聞くと私も心配になるんですけれども、これは突っ込みませんが、その点はひとつ十分に御検討いただきたいと思います。
 現在の医学教育の最初の関門である大学の選抜、これは厳しい学力試験を行っておりますが、そのために受験競争、大体学生は入学のためそれだけに、学問も技巧と手段に没頭して、医師としての使命や、本人が医師に適格であるか否かについての考慮、こういったことを考えているゆとりがないというのが現在の状況ではないかと思うんです。具体的にこのような弊害を除くために、国立の医科大学においてはどんな対策が考えられているのか。とにかく頭がいいというだけでは医者の適格にはならないわけでございまして、その点はいかがですか。
#384
○説明員(川村恒明君) 医学教育を受ける者はやはり医学教育を受けるにふさわしい資質、適性を持っているということがまず第一でございます。先生の御指摘のとおりでございます。国公私立そうでございますけれども、現在入学者の選抜に当たって、単に学力のみでこれを選抜をするということではなく、できるだけ入学試験に、面接でございますとか小論文を取り入れるとか、あるいは調査書を活用する、あるいは逆に大学の方からわが医学部の方に来てもらいたい学生はこういうふうな資質、能力を持っている学生に来てもらいたたいということをあらかじめ入試要項等に書くというふうないろいろな工夫をいたしております。それからもちろん、入学後におきましては医学概論というふうな形で医の倫理に関する科目を開設するというふうな、いろいろな点で工夫をしておるところでございます。
#385
○渡部通子君 これほど医学、医療の荒廃が嘆かれているときでありますので、私はそういういい面の積極面の施策というものを国民の間にもPRをしてもらうし、文部省はその先頭に立って抜本的に今度は医者の倫理というか医者の人間像というか、こういうものについて前面に押し出して文部省としては施策を行うと、こういう点にもう一歩を踏み出すべきではないかと。そうでなければ医療の荒廃のみがいま論じられて、国民としては不安がつのるばかりです。中にはいい考えを持った方、あるいはいい施策をやっていらっしゃるところもたくさんあるわけでございまして、そういった点は私は積極的にもう少し文部省としてもPRにも励んでもらいたいし、そういう面での国民のいわゆる意識の啓発というものについても努めてもらいたいと思うわけです。いまも申し上げたように、高校における学業成績だけがいいと、これでは困るわけでございまして、人間的な欠陥のある人が医者になられるというんでは何とも不安で仕方がないわけです。アメリカの医師の訓練には、医学生同士でお互いに採血の方法を練習する、どんなふうに針を刺せば痛いとか痛くないとか、これを自分で経験していくような訓練をさせるという話も聞きました。こういう臨床医としての期待されるものを多方面にわたって摂取している、こういった点は大いに学ぶべきだとは思いますが、わが国の医学教育でもこういう点で世界に誇れるものがあるのかないのか伺っておきます。
#386
○説明員(川村恒明君) 先生御存じのように、医学教育というものはそれぞれの国の固有の歴史的な条件でございますとか社会的な条件でございますとか、そういうものを背景として現在の、その社会で最も適当な方法はどういう方法であろうかということで努力をしているというふうに存じております。わが国の場合もそういうことでございます。したがいまして、わが国の医学教育で世界に冠たるものは何かということにつきまして、なかなか比較がむずかしいわけでございますので、にわかに申し上げることは困難だと思いますけれども、いま先生がおっしゃいましたように、戦前のドイツ式の医学教育から臨床中心のアメリカ式の医学教育に最近変わっておりまして、特に臨床教育でのスモール・グループ・ティーチングというふうなもの、あるいはベッドサイド・ティーチングを積極的に取り入れるという一方で、しかし、基礎的な医学教育も重視をし、その双方のバランスをとっていくというようなところは、やはりわが国の医学教育の特色の一つになっているんではないかというふうに思っておるわけでございます。
#387
○渡部通子君 近年、プライマリーケアや緊急医療に対する社会的要請が非常に高まっておって、臨床研修においてもこれらの要請を十分配慮することが必要となってきていると思います。これに伴って卒後の研修、これにはローテート方式が必要であると、こう要望されているわけですが、それにもかかわらず大学病院における卒後研修は、臨床研修期間も含めその大部分が高度に専門分化した診療科において、いわゆるストレート方式が行われているのが実情だと思うんです。将来の臨床研修医の増加や医療の需要の動向を考えまして、幅広い臨床研修を実施することが大事になってくると思いますけれども、行政上対策が何か行われていますか。
#388
○説明員(川村恒明君) 臨床研修そのものにつきましては、これは厚生省の御所管でございますけれども、現実には臨床研修の約八割が大学病院で行われておるという実態がございます。先生御指摘のように、臨床研修の充実というのは大変重要な課題でございまして、特にただいま御指摘のローテート方式を幅広く取り入れるという点は、私どもの内部でもそういう議論があるわけでございます。そんなことでございますので、私どもといたしましては本年の七月に「大学病院における臨床研修のあり方について」というガイドラインを取りまとめさしていただきました。これは文部省に置かれております医学視学委員会というところで専門家の御議論によって取りまとめたわけでございまして、私どもはこの臨床研修のあり方についてのガイドラインを各大学にお示しをしたわけでございます。ここではただいま先生御指摘のように、なるべく幅広い研修のカリキュラムを組む、特定の科にだけ集中するのではなくて、関連の科にまたがる総合的なカリキュラムを編成することが必要であるとか、あるいはその部門において救急部門、救急医学というものをできるだけ学ばせるというふうな、そういうふうな幾つかの指針が示されておるわけでございます。私どもは今後のガイドラインに示されました方向に従いまして、研修のカリキュラムの組み方でございますとか、あるいは指導員の充実といった点で努力をしてまいる、各大学にも努力をお願いいたしますし、私どももできる限りの条件の整備に努めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
#389
○渡部通子君 卒前教育と卒後研修と、それから国家試験の間に緊密な連携が行われているんでしょうか。
#390
○説明員(川村恒明君) 御指摘のように、私ども文部省といたしましては、主として卒前の医学教育につきまして、これは教育行政全般の立場から所管をしているわけでございますけれども、御指摘のように医師の養成を考える場合に、卒前、卒後の教育、さらには医師の生涯にわたる教育ということが必要だということでございまして、私どもは日ごろからこの問題につきましては厚生省の方と非常に緊密な連携をとらしていただいておるわけでございます。でございますので、相互の連携のもとで意思養成の一貫性を確保しているというふうに理解しておるところでございます。
#391
○渡部通子君 国によっては卒後教育のためのメディガルセンターがあって、全国の医師を集めて研修中は他の医師がかわりを務めるというシステムがあると聞いています、これはアメリカの例でございますが。卒後教育を受けることをある程度義務づけると同時に、それを受けられる体制をつくることが大事だと思うんですけれども、その準備があるのかどうか。
#392
○政府委員(宙中明夫君) 医師の卒後教育につきましては、まず大学の医学部等の附属病院あるいは臨床研修指定病院におきまして二年間の臨床研修が行われており、これに対して予算上の措置を講じております。この臨床研修の参加卒業生は当初は非常に低かったわけでございますが、現在では八〇%以上、八五%ぐらいの者がこの臨床研修に参加しております。
 さらに、その二年間の臨床研修が終わった後、これは制度上のまだ決まりはございませんですが、たとえば国立のがんセンターあるいは循環器病センターあるいは医療センターというような高度の専門的な医療を行っているところに、予算的にレジデントを収容といいますか、採用いたしまして、これに三年間の教育を施すという予算措置を講じておるところでございます。
 さらに、そういうレジデントが終わった後、あるいは一般の二年間の臨床研修が終わった後の研修につきましては、現在のところ各専門の医学会あるいは医師会の関係専門職能団体等が中心となって、研修あるいは講習を行っておるわけでございます。で、厚生省といたしましてもこれらの研修の場となる臨床研修指定病院、あるいは地域の医師が身近なところで研修ができるように地域医療研修センターというようなものを整備しておるところでございますが、その充実に今後とも努力
 してまいりたいと思っております。
#393
○渡部通子君 まあいろいろやってはいらっしゃるようでございますけれどもね、やっぱりわが国では大学の医局を出てしまうと勉強する機会がなかなかないと、制度的にもつかめないと、こういうことがやっぱり大きな問題だと思うわけです。で、アメリカの例をよく言いますけれども、開業医を続けるのには全米医師会の定めによって三年間で延べ百五十時間のセミナーに参加しなければならないという、こういう制度もあるわけでございまして、これからひとつ臨床医的な、トータルな、人間的な医師の研修というものになお一層の御努力を願いたいと思うわけでございます。
 わが国の医師の養成制度というものは、卒前教育及び大学院は文部省が所管しておりますし、それから国家試験並びに卒後研修は厚生省が担当しておられる。また研修病院については、大学病院は文部省、その他の病院は厚生省、こうゆだねられておるわけでございますね。医学教育は医の倫理に立脚して、生涯教育を前提とするものでございますから、卒前卒後を踏んまえた一貫した方針のもとに教育が行われなければならないと思うんですが、現状のような多元的な行政機構の中においてはいろいろ意思の疎通を欠いたり、無理があったりという点があるのではないかと、こう思われますが、文部省と厚生大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
#394
○国務大臣(園田直君) 確かに御指摘のとおりに医師の教育は縦割りになっておりまして、学校の教育は文部省、それから出られた後の研修その他は厚生省ということでありますが、そのために文部省も非常に理解を示され、私の方も積極的に自分の所管のようにお互いに綿密に連絡をし、あるいは委員の交流等も行っております。今後ともそういう点は特に注意をしながら、共管であるための弊害が出ないようにやっていきたいと思っております。
#395
○説明員(川村恒明君) 私ども文部省といたしましても、ただいま大臣のお答えにありましたとおりのことで、今後とも緊密な連携を保ってまいりたいというふうに思っております。
#396
○渡部通子君 もう一点、時間がなくなってまいりましたが、伺っておきたいと思います。
 国民の健康づくりという点については、厚生省も御努力をなさっているところでございますが、学校教育だけで、いま言いましたような医師の大学の教育、医師養成だけではなくして、国民全体が保健教育というものにもつと関心を持たなきゃならない。これからそういう世の中に向かうと思うわけです。そういうことをたてまえといたしまして、現在小中学校の教師の免許取得、これに学校保健が教職科目の必修としてあるのかないのか、いかがでございますか。
#397
○説明員(澤田道也君) わかりやすいように中学校でちょっと申し上げさしていただきたいと思いますが、中学校の教師の場合に、たとえば数学という教科専門の科目と、それから教師としての教師科目というのがあるわけでございますが、教師の科目というのには、たとえば教育心理とか教育原理というのが必修になっております。そういう意味の保健という専門の先生でなくて、一般に中学校の教師になるのに、すべて保健というものが必修になっているかというお尋ねであれば、実は必ずしもなっておりません。そして、それについて必修にすべきではないかという御提言はよく伺うところでございます。
 そういうことでございますが、実際教職科目につきまして、ある程度中学校の場合でありますと、たとえば十四なら十四単位というものを必修にしておる。そのうち十三というのは幾つかすでに物が決まっておると。そうしますと、あとそのほかに保健というものが非常に重要であると同時に、たとえば進路指導というものも重要である。それから教育実習――先ほどの臨床実習というように言っておりますが、教師としての教育実習も重要である。それを全体の枠をふやしながら、どの程度にまとめていくかということは非常に慎重な検討をいたしますものですから、そのような御提言を直ちに制度として実施するわけにはなかなかまいらない。そういうことで、現在私どもとしましては、国立大学の教員養成学部におきましては、必ず学校保健の科目を開講して、なるべくすベての学生がそれを取るように、また取れるようにということで、まず進めているところでございます。
#398
○渡部通子君 必修になってないということですが、それでは教職員の実態で、保健専任の教師を置いている学校というのはどのくらいあるんですか。
#399
○説明員(長谷川善一君) 学校数で何校が専任を置いている、何校が専任を置いてないという形の調査はいたしておりません。昭和五十二年の文部省で行いました調査、これは三年に一回ずつ教員の実態を調査するわけでございますけれども、保健体育を担任しております数は、――小学校は全教科担任でございますので、中学で三万三千七百一名、高等学校で二万三千六百七十名。これは中程度の規模の学校でいきますと、中学では三名の先生が保健体育を担任している。高等学校では約四名の先生が担任しておる。大体そういう数でございます。
#400
○渡部通子君 すべての機会を通じて保健教育を推進すると、こういうことにたてまえを置きますと、専任の教師はいればそれに越したことはないんですけれども、いなくてもすべての教師が保健に関する一定程度の専門知識を備える態勢、これの方が私は望ましいのではないかと、こう思うわけです。そういう提言をしばしばいただいておるという先ほどの答弁でございますから、どうかそれをもう少し積極的に検討してみていただきたいと、私からもお願いをいたします。とにかく、成人になってから急にジョギングなどといって走り出しても、それはもう幼いころから学校教育あるいは社会教育、家庭教育において、十分な知識が身についているという、こういうことの方が望ましいわけで、そうすれば的確な判断ができて不慮の事故を防げるという、こういうことにもなるわけでございます。
 で、こんな例を聞きましたが、ある大阪の中学校で一人の生徒から、尿検査で何を調べるのかと、聞かれたときに先生が答えられなかったと。これじゃまずいということで、生徒と先生が一緒に勉強して、健康診断の手引きというパンフレットを自主編集したという話であります。まあすばらしい話ですけれども、無知がすばらしい例になったんでは決して好ましいことではないわけでございまして、やはり義務教育段階の先生が、学校の保健活動というものについて十分の知識を持っている、あるいは生徒の健康管理という面について十分アドバイスができるということが一番望ましいわけだと思いますし、それが成人の健康管理にもつながることだと、こう考えますけれども、いかがでございますか。
#401
○説明員(長谷川善一君) 文部省といたしましては、健康に関する教育、これを生涯を通じて行うことが必要であると、こういうぐあいに考えておりまして、特に今回の小学校、中学校、高等学校の教育課程の基準の改善、それにおきましても生涯を通じての健康というような考え方に基づきまして、保健教科の内容というのを、現在はもちろん、将来の生活を健康に暮らしていくために必要な基礎的、基本的な事項を取り扱うというぐあいにいたしておるところでございます。
#402
○渡部通子君 そこで、もう一点伺っておきますけれども、そういう子供の健康管理、健康教育の問題で、学校の校医さんあるいは学校薬剤師さんというものが本当に有名無実的な存在になっておりますし、こういう方々のお力をかりるということ、あるいはいろいろな問題あると思いますけれども、地域の医師会等のお力をかりるとか、そういった点での話し合いなりあるいは進め方というものは考えられませんか。私の地元の方では現にそういった点でうまくいっている都市もあるわけでございまして、実質、体について専門的な知識を持っている人が、子供たちに日常生活の中で保健ということを教えるということは非常に大きな効果を生むわけでございまして、そういった点でのお考えを伺っておきたいと思います。
#403
○説明員(長谷川善一君) 学校現場におきましては、先生御指摘のとおり、学校医、学校歯科医それから学校薬剤師というのを地域の医師、歯科医師、薬剤師の方々にお願いしておりまして、そういう方々の協力を得ましてやっておるわけでございます。たとえば健康診断とか環境衛生等の保健管理に関する進め方、そういうような点でございます。それから、地域の保健所との協力というのもとるようにいたしております。
 ただいま先生御指摘の点でございますけれども、学校保健と地域保健とのもっと緊密な連携ということにつきましては、文部省といたしましてもきわめて重要な課題である、かように考えておる次第でございます。昭和五十五年度から私の方でも新たに全国二カ所に学校保健活動の推進地区というのを実験的に設けさせていただきまして、学校保健活動、地域の医師、薬剤師などの大変お骨折りをいただいておりまして、その中における学校保健、こういうような立場から検討を進めてみたい、こういうように考えておる次第でございます。
#404
○渡部通子君 これで終わりますけれども、前向きの御答弁と受けとめていいんですか、いまいろいろ御説明なすったけれど。
#405
○説明員(長谷川善一君) 前向きと受け取っていただいて結構でございます。
#406
○渡部通子君 終わります。
#407
○沓脱タケ子君 それでは大変限られた時間でございますので、簡潔な御答弁をお願いをいたしたいと思います。
   〔委員長退席、理事高杉迪忠君着席〕
 初めに、本改正案の内容の一つであります船員保険法についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。
 従来は船員保険法には入院時の一部負担というのがございませんでしたけれども、今度の改正案では五百円が新設されることになっておるようでございます。これはそうなんですね。
 それからもう一つは、保険料率も船員保険では現行が千分の六十二でございますけれども、これも上限千分の九十一に変更されるわけですね。
#408
○政府委員(吉江恵昭君) お答えいたします。
 そのとおりでございます。
#409
○沓脱タケ子君 そうしますと、船員保険というのに、従来入院料の一部負担金というのがついてなかった理由ですね。これは船員法及び船員の勤務形態というんですか、雇用形態の特殊性からつけていなかったんではないかと思うんですが、今回、従来は三十円のときも二百円のときにもなかったのが、一挙に五百円の負担にしたという理由は一体何なのかということが一つ。
 それからもう一つは、ちょっと保険料率が千分の六十二から一挙に千分の九十一上限に引き上げるというのはいかにもひどいと思うんですけれども、これは何か特別に理由がございますか。その二つ。
#410
○政府委員(吉江恵昭君) 御指摘のとおり、船員保険ではいままで入院時の一部負担金、これはなかったわけでございまして、先生のもう御質問の中でちょっと触れられておられましたが、初診時の通院の一部負担金は、これは昭和三十二年の改正で入ったわけでございます。それで、そのときになぜ入院したときの一部負担金がなかったかということは、まあ船員の雇用の特殊性、つまり当時の状態、戦後十年でございますが、非常に雇用形態が不安定で、下船即解雇というような形態もかなり見られたというようなことから、入院時一部負担を導入するのはどうかということで導入されておらなかったと。今回は一言に言いますと健保並みということで、大分船員の雇用形態その他も変わってまいりましたし、そもそも政府提案というのは給付の公平、負担の公平というようなことを前提にし、船員保険もこれにならうというずっとたてまえで進んでまいりましたので、そういうような案にし、衆議院修正時においてもその案のままお願いを申し上げて今日に至っておるというのが本当のところでございます。
#411
○沓脱タケ子君 保険料は。
#412
○政府委員(吉江恵昭君) 保険料は、これはもう一言で言いますと政管並みということで整理をさせてもらっております。確かに現在は職務外は千分の六十二ということで非常に低いわけでございますが、これは御承知のように、職務外の一般疾病部門の扶養率が高いことその他もありまして非常に保険財政が苦しゅうございまして、疾病部門だけを取り上げれば。そこら辺の今後の改正というものも考えられますし、それが理由だから九十一にしたというわけじゃございませんが、そこら辺のところをいろいろ今後の基本的な運営の問題を含めて考えてまいりたい、とりあえずは健保並みで九十一をちょうだいしたということでございます。
#413
○沓脱タケ子君 そうすると、両方とも、入院時一部負担もいままでなかったのを五百円にしたことも、あるいは保険料を現行千分の六十二を千分の九十一に大幅な引き上げをするという、この上限を決めるということも全くこれは政管健保と横並びということだけの理由でございますね。――それでは、保険料は現行が千分の六十二でございましたけれども、政府提案の原案は幾らだったんですか。
#414
○政府委員(吉江恵昭君) 政府提案の段階では千分の八十を想定しておりました。これはボーナスも入れた例のやつでございますので、千分の八十を想定しておりました。
#415
○沓脱タケ子君 事前に調べたところでは、千分の六十三でしょう、政府提案の原案は。だから、それが政管健保と一挙に横並びということで、現行が千分の六十二が一挙に千分の九十一に引き上げられるなどということになりますと、これは政管健保と比べて船員保険の改悪というのは実にひどいということになるのど違いますか。だって、入院の一部負担金がいままではゼロだったのを一挙に五百円ずつ取ると、横並びで。そして保険料率は現行が千分の六十二なのにこれを上限千分の九十一と、政管と横並びにする。これは政管健保よりはるかに舶員保険の方が大改悪ということになるんですけれども、大問題ですね。
#416
○政府委員(吉江恵昭君) 原案千分の八十というのはボーナスを含めたあれでございまして、現在の上限は六十五でございますが、六十二でやっております。それで、六十三というのは、これは予算要求上の数字として一応仮定してつくっておったものでございまして、均衡料率そのものを厳密にはじき出してつくったものではございません。私どもは今後、五十四年度までの決算を勘案いたしまして、今度の予算編成時にまた保険料率のあり方については検討してまいりたい、かように考えておるわけです。
#417
○沓脱タケ子君 大分問題があるように思うんだけれども、私きょうは非常に限られた時間なので、これは大臣も御存じなかったんじゃないかと思いますが、政管健保と比べても船員保険だけ特別に大改悪の結果が今度の改正案には出ておるということです。
 時間がありませんので私は次に問題を進めますが、各党各同僚委員からも保険財政の問題を論ずる中で、薬価にメスを入れなければならない、薬価を引き下げるためには、ということでいろいろな角度からの論議が集中して行われてまいりました。
 で、私は前回薬価を下げるためには何といってもまず実勢価格そのものを正確に把握することが第一だということ。第二には、それだけやってもだめだと、新薬の高値安定の仕組み、ここにメスを入れない限りだめだということを前回は主張してまいりました。そして薬づけ、薬のさやかせぎと言われている今日の医療のゆがみをつくり出しているという、この行政上の責任というのは厚生省にもあるということを前回にも指摘をしてきたところでございます。
 で、前回は今後使用量が激増するであろうと思われる抗がん剤の高値安定の仕組みの問題を問題にしてきたわけでございます。たとえばフトラフールカプセルが薬価基準が六百七十九円二十銭、ところが実勢価格は百円だと、この新薬の収載時は実に七百二十九円だということを指摘をして、とこの新薬高値安定の仕組みというものにメスを入れるべきだということを指摘してまいったわけでございます。
 きょうは、薬の主力でございます抗生物質、特に抗生物質の主力で全抗生物質の中の一九%を占めるといわれているセファレキシン剤を取り上げたいと思います。一九%という数字は厚生省の提出資料によるものでございます。で、セファレキシン剤というのは先発時は塩野義のケフレックスカプセル、これは収載が昭和四十五年八月、三百六十七円五十銭でございます。同じく鳥居製薬のセポール、これも収載が四十五年八月で三百六十七円五十銭でございます。それが現在収載価格は二百二十円五十銭になっています。ほかに銘柄別収載が百七十円、百二十円と、三十六社がこれを製造しているというのが現状でございます。この薬の一日当たりの投与というのは、千ミリ投与をいたしますと、二百五十ミリカプセル四錠で千ミリでございますが八百八十二円になるというものでございます。
 そこで、薬価の決め方というのは、前回にもお聞きをいたしましたが、きょうもお話が出ておりましたように、同効同種、同じ効力を持っている同じような種類の薬の価格を参考にして決めるんだということを保険局長からお答えをしていただいたと思いますが、それに間違いありませんね。
#418
○政府委員(大和田潔君) 間違いございません。類似薬効比較方式というものでもって決めておるということでございます。
#419
○沓脱タケ子君 これをセファレキシン剤で見てまいりますと、塩野義のケフレックスカプセル、鳥居のセポールというのは、最初の先発時、収載時、申請書類によると製造原価は幾らになっておりますか。
#420
○政府委員(山崎圭君) ケフレックス、セポールの品目についての製造原価は、企業秘密ということもございますので回答はお許しいただきたいと思います。
#421
○沓脱タケ子君 企業秘密ということで言えないでどんどん高値安定をやってきておるということをこの前も指摘してきたんですけれども。
 それでは私がひとつ原価を申し上げましょう。これはセファレキシン二百五十ミリ、千カプセル分です。業界上位八十社が加盟をしております日本製薬工業協会のメンバーの一社ですが、これも企業秘密ということもありますので私は正確に名前を言わずに仮にA社といたします。この千カプセル分の原価を見てみますと、これは原料費が一万四千六百七十六円。その内訳というのは、原材料代が一万二千円、滑沢剤のお金が二円、カプセル代が千五百円、そのうちの、千カプセルでございますから歩どまり率が九二プロ、その他包装費三百六十一円、労務費三百三十五円、製造経費及び製造管理費四百八十五円で、千カプセル分が一万五千八百五十二円。つまり一カプセルの製造原価というのは十五円八十五銭でございます。この製造原価というのは少なくとも各社ともほとんど変わらないものでございますが、このことは御存じですか。
#422
○政府委員(山崎圭君) 新薬の薬価基準の収載申請に際しまして、私ども薬務局が窓口になっておりますが、その際に製造原価計算書を提出させていることは事実でございます。ただ、いずれも四十五年八月という古い時期でございまして、その当時は知っておりましたが、その後、収載時以後の変化も考えられるということでございまして、現在の製造原価は掌握しておりません。
#423
○沓脱タケ子君 大体現在の収載価格が二百二十円五十銭でしょう。そこでこれ、製造工場の、製薬メーカーの一カプセルが十五円八十五銭ですから、薬九層倍と言いたいけれども、十四倍です、実際。薬九層倍というのとはわけが違うんですね、製薬メーカーでは。しかも、製薬メーカーはそのほかの経費、いわゆる一般管理・販売費――研究開発だとか宣伝、販売費等を含むものですが、この一般経費というのは製造原価を上回ることはまずないと言われている。だって、この一般管理経費、販売経費というのは各社まちまちですよね、実際にいま。製造原価に上乗せをするのはまちまちだけれども、どんなに高くても製造原価を上回ることがないと言われています。その証拠に、病院団体の薬価情報、これは最新情報で、五十五年十一月一日の薬価情報によりますと、鳥居のセポール、これは、先ほど申し上げたように二百五十ミリ一カプセルですが、二百二十円五十銭が七十六円です。それから収載価格が百七十円の東洋が三十八円、万有が三十九円、富山が三十五円五十銭ということで、医療機関に売られている値段でございます。これは御存じですか。
#424
○政府委員(山崎圭君) 個々の品目がどの特定の医療機関に幾らの値段で売られているかということにつきましては、例の薬価調査で把握しているところでございます。ただ、いまの値段で売られているかどうかは確認できません。
#425
○沓脱タケ子君 それで、これで損だったら売らないんですよね。だから、それは十五円八十五銭なんだから三十五円で売っても損しませんね。実際に。二倍以上なんですから。だから製薬メーカーはこれだけコストダウンをして実際には売っているわけですが、これで損をしておらない。こういう実態を政管健保に当てはめてみますとどうなるか。五十五年度薬剤費見込み額というのは約八千億だということを前回伺いましたが、セファレキシンが全薬品の全生産金額に占める割合というのは、厚生省の提出をしていただいた資料によりますと四・一プロだというんですね。もちろん大衆薬などもございますから、これを約四プロと見ますと、セファレキシン二百五十ミリカプセルが大体セファレキシン剤の主力でございますから、八千億の四プロとなりますと三百二十億というのが五十五年度に使う予定になっているわけですね、予算から言いますと。で、これを仮に、さっき言うたように薬九層倍が十四倍にもなっているというて言いましたけれども、一遍に十分の一にするのも何だから仮に半分に下げると一体どうなるか、百六十億円が保険財政から支出が少なくなる、減らすことができる、節約できるのです。これを三分の一に下げますと、だって二百二十円だから、三分の一に下げたって七十円からですよね。三分の一に下げるとこれで浮くお金が二百十三億助かるんです。ここにメスを入れないで、今回の改正案に見られるように、収支を均衡させるのだという理由で保険料の大幅引き上げだけをやるということ、こんなことはだれが考えてもむちゃですよ。国民から見ればそう思うのは当然でしょう。薬が高い高いと言われているのに、何でここへきちんとメス入れてどれだけ落とせるのかと、どれだけ保険財政で浮かされるのかということも明確にされないままで、保険料率の引き上げだけを決めようというふうな改正案というのは、これではなかなか国民は理解しにくいですよ、そうでしょう。いかがです。
#426
○政府委員(大和田潔君) ただいまの御意見は、むしろいまの薬価基準の医薬収載市場価格主義を原価主義、原価計算方式というものに変えれば安くなるのではないかと、こういうような御意見だろうと実は思うわけでございます。私ども類似医薬品比較方式をとっておるわけでありますが、原価計算方式をとるという場合にはやはりいろいろその開発した経費、開発経費というものも各社によって非常に違ってくるでありましょうし、設備費、人件費、品質管理費といったようなこと、これをどうやって算定するか。いろいろやっぱり技術的にむずかしい問題があろうかと思います。類似薬効比較方式に比べてどうだろうか、必ずしも効率的であるということも私ども思えないわけでございまして、そういったような算定方式の違いではないかと思うんです。ただ、この新薬について、それを価格が高いままに実勢価格が反映されないままに推移するということは困る。
 私どもそういったような意味から適正な価格にいたしますために、第六次経時変動調査には新薬を対象にいたしまして、適正価格というものにするようにこれからも努力をするということをいたしたいというふうに考えておるわけでありまして、こういったようなことによりまして適正な価格というものが確保できる、これが期待できるのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
#427
○沓脱タケ子君 これは時間がないからあれだけれども、一般管理販売費の中には開発研究の費用もちゃんと含まれているんですよ。そういうものが含まれて、原価の二倍以上になることはないというのが業界の常識だというて、私、だから言っているじゃない。そんなこと言ったら時間かかるから。しかもこれだけでないんですよ。
   〔理事高杉迪忠君退席、委員長着席〕
たとえば抗生物質でよく使われますペニシリン系のアンピシリンというのがあります。これで見てみますと、これは萬有のペントレックスカプセル、明治のビクシリンカプセルというのが昭和四十年の十一月に二百六円で収載をされた。現在、銘柄別収載でこれが萬有のが百八円、それから明治のが百七円、それから八十円まで三十七品目があるわけです。そこで、アンピシリンの二百五十ミリカプセルが萬有や明治の分が収載をされるときに幾らだったか。幾らで申請されたかということを聞きたいんだけれども、企業秘密で答えられませんとさっき言うたから、もうこれはいいですわ。言えるんだったら言ってもらいます。
 ところが、私どもの調査によりますと、これもある会社です。同様な会社の製造原価を調べてみますと、約十円です。そのほかの経費はどんなに多く見積もってもその製造原価の二倍を上回ることはないというわけですから、十円を上回ることはない、したがって二十円を超えることはないというわけです。その証拠に、これはもう時間がありませんからずっと言いますが、その証拠に病院団体の薬価情報、これも最新情報を見てみますと、こうなっていますよ。明治のビクシリンカプセル百八円の収載が三十二円、それから萬有のペントレックスカプセルが百七円の収載が二十七円、それからアンピシリンカプセル、太田、これが八十円が十六円、それからペンブリテンカプセル、藤沢ですね、これが九十円で収載されているのが二十二円で売られている。これ知らぬのでしょうね、また。このアンピシリンというのは全薬品の生産全額に占める割合、これは厚生省提出の資料によりますと一・一%だというんです。ですから、五十五年度政管健保の薬剤に占める比率からいいますと、八千億の一・一%で約八十八億ですよ。これまた半分にしたって四十四億節約になる。三分の一に値段抑えたとしたら五十八億助かる。で、五十四年度決算から見たら、五十四年度決算二十三億赤字だけなんです。これだけでもう十分大幅な黒字になる。五十五年度の予算の状況を見ますと、予算上では六百五十一億。しかし予備費を入れて四百二十一億の赤字見込みになるわけですけれども、五十五年度を見たって、この二品目だけで赤字は約半分は埋めることができるということが出るわけです。私は前回言うたように、新薬高値安定の仕組みというものを抑えなさいと。一〇%抑えたら八百億が節約できると。二〇%抑えたら千六百億節約できるということを指摘してまいったわけでございます。
 そういう点で、前回そういった指摘に対して、園田厚生大臣から、正直言っていまの薬の決め方、薬価の決め方はお粗末だと、原価をできるだけ正確につかんで、それに適正な利潤や開発費を加えて決定することが望ましい、という旨の御答弁をいただきました。その方式でやるべきだと思います。しかし、一言言いますと、この製造原価というものにまたインチキがある。たとえばさっき問題にいたしましたアンピシリンのあるメーカーの原価表を私持っていますけれども、これを見ますと、さっき言うたように製造原価は十円なんです、約。ところがメーカーからの申請は五十四円。何でこんなことになっているのかと思って調べたら、書類見たら一目瞭然です。原料費の内訳表を見ると、このメーカーは原材料一キロ十五万五千円で計算しているんですが、しかし、この単価は現勢市場価格で二万三千円なんです。だから七倍ふっかけて原材料の値段を掛けている。これは大分古い薬ですから収載時のときにはいまより高かったと見て、その当時の相場から見ても五倍はふっかけている、こういうことなんですね。これはほんの一例ですが、この上に労務費とか製造経費とか、各社勝手に書いているわけですが、なぜこんなことになるか。片方は原価十円なのに申請書類には五十四円と書いている。なんでこんなことになるかというと、局長のお答えになったように、同種同効の薬の値段に合わせるんやということで決めるんだ。このことを製薬メーカー一番よく知っているんです。だから、先に答えを出してこれを逆算するだけの計数整理なんですね。だから百八円に決められている薬は百二十円にぐらいに申請しておく。ちょっと値切られて百八円になる。八十円の薬に並べられると思う人は九十円ぐらいに申請をしておく。これにその数を合わせるというやり方なんです。だから製薬大企業は当然のこととして、御承知のように売り上げ高の経常利益率というのは他の産業に比べて五倍も大もうけしているというのは周知でしょう。いま、ある大メーカーではもうかり過ぎて利益隠しに困っているという話、これは御承知と違いますか。公然と言われていますよ。
 長期にわたってこういうずさんな、全くあきれるばかりの薬価の決め方をしてきた厚生省の行政責任、これ一体どうするんです。こんなことをしていて、赤字が出たから言うて、被保険者や労働者に保険料をどんどん引き上げる。患者さんには一部負担を押しつける。そして国庫負担は抑える、出さない。こんなやり方で国民が納得できますか。これはできないのは当然でしょう。まさに行政の怠慢によって起こっている問題を被保険者や国民や患者に押しつけるという結果じゃありませんか。大臣、いかがです。
#428
○国務大臣(園田直君) 新薬の価格の算定については、しばしば申し上げましたとおり、中医協またはそれぞれの専門家の意見を聞いて算定の方法を決めたいと思います。いまこの保険法の改正で保険料だけ上げて、非常に改悪とおっしゃいましたけれども、しかし給付の改善、保険外負担の解消など、いろいろ利点もあるわけでありまして、保険料が上がったのは現下ではまあやむを得ないと存じております。かつまた、保険料だけではなくて、一日も早くいまの薬価の改定などをいたして、むだなところをどんどん省いていく努力もするわけでございます。
#429
○沓脱タケ子君 それで委員長、前回から引き続いてのお聞きのとおり、厚生省の行政上の怠慢というのが健保の財政収支を悪化さしてきたということが言えるでしょう。薬価の引き下げ問題については、私は各党すべて一致した要求だと思いますし、この点にメスを入れて審議を深めるということがきわめていまの時期には大事だと思うんですね。そういう点でこの点を深めて、保険料だけを大幅に引き上げて国庫負担は据え置くという、国民の納得のできないというやり方を何としてもこれははっきりさせなければならないと思いますので、ぜひ薬価問題に限って参考人等を呼んでいただいて、集中審議を実現していただきたい。そのことを特にお願いを申し上げる次第でございます。
#430
○委員長(片山甚市君) 理事会を後日開きまして、その取り扱いを協議させていただきます。
#431
○沓脱タケ子君 それではもう時間がありませんので、私は最後に、私が二回にわたって論議をいたしました薬価の高値安定の仕組み、これを放置してまいりました厚生省の行政上の怠慢というのが今日の薬づけ、あるいは薬のさやかせぎなどと言われる医療のひずみをつくってきた、助長してきた。わが党が一貫して、この点については薬価を抑えて、医師並びに医療従業員に対する技術評価を正当にやる診療報酬の抜本改正の問題について主張してまいったわけでございますが、きょうは時間がありませんので、この点について本当に国民の医療を正常にし、いま言われている薬づけあるいは検査づけなどと言われているようなひずみ、こういった点を改めて、本当に医師がみずから持っている良心に基づいて、患者さんのために全力を挙げて取り組めるような医療の行政というものを確立するべきだと思うのですが、そういう点でひとつ大臣の最後に御見解を伺いたいと思います。
 そして私は、そのほかたとえば予防の問題あるいはリハビリの問題、国立病院の問題、特に労働者の労働条件等の問題についてお伺いをしたいと思っていましたけれども、きょうは時間がありませんので、この問題は後刻に譲りまして、大臣の御答弁を伺って終わりたいと思います。
#432
○国務大臣(園田直君) 御意見のとおり私も考えておりまするので、そういう基本線で全力を挙げるつもりでおります。
#433
○前島英三郎君 本日のラストバッターでございます。朝から同僚委員の健康保険法の問題に関しましての質疑を伺っておりますと大変勉強になります。かつまた、大変問題点が日本の医療行政の中にはあるんだということを痛切に感じました。それゆえに検討課題も厚生省には大変山積しただろうと思うのでございますが、単なる言葉だけの検討でなく、しっかりとした前向きの検討ということを特にお願いを申し上げておきます。
 さて、先日の委員会でインターフェロンを海外から提供を受け、一部の患者に使用して数百万円という巨額の金を受け取ったと報道されました宝塚市の病院の問題について質問をいたしました。報道された宝塚市の病院の問題についてでありますが、この事件がセンセーショナルに取り上げられているから質問したのではありません。現在、問題になっております医療の荒廃と大変関係がある問題だからこそただしているのであります。前回からそれほどの日数がたっておりませんから調査の及んだ範囲は限られているかもしれませんが、一刻も早く事態が解明されることを期待いたしまして、今回はまずこの問題から質問してまいりたいと思います。
 まず、現時点までの調査の状況を伺いたいと思います。
#434
○政府委員(山崎圭君) 先般もお答え申しましたが、安倉病院におけるインターフェロンの使用につきましては、兵庫県の保健環境部におきまして藤田院長から事情聴取を行いました。なお、詳細について不明な点もございますので、今後とも県において調査を続けることにいたしております。
 現在までに明らかになりました事実から判断いたしまして、御指摘の安倉病院におけるインターフェロンの使用につきましては治験薬に該当しないことは明らかでありまして、そういう意味では薬事法上の規制の対象にはならないということがはっきりしてまいりました。したがいまして、当該医療施設におけるインターフェロンの使用に関する問題というのは医師による医療行為にかかわる問題であると、かように考えておるわけであります。
#435
○前島英三郎君 医療行為にかかわる問題という点でさらに質問してまいりたいと思うんですが、その病院ではインターフェロンを投与した事実は認めているようなんですが、投与の目的は何であったと言っているんでしょうか。
#436
○政府委員(山崎圭君) インターフェロンの治療、研究を目的として使用したと言っているようであります。
#437
○前島英三郎君 そこで、そのインターフェロンの入手先ですけれども、及びその入手量、それに投与した量については明らかになっているんでしょうか。
#438
○政府委員(山崎圭君) インターフェロンの入手先につきましては、藤田院長みずからが昭和五十年八月から五十五年九月までの間七回にわたりまして外国の学会等に出席した際に、フィンランド、スウェーデン、ソ連、スイス、アメリカの研究所あるいは友人から無償で入手して本人自身が持ち帰ったと述べております。
 入手量につきましては、合計で約二億五千八百万単位であると聞いております。また投与量につきましては、これまで二十三名の患者に対しまして院長自身が投与しまして、その投与量は一回当たり百万から三百万単位、投与回数はこれは非常にばらつきがあるようでありますが、一回から五十九回、こういうふうに聞いております。
#439
○前島英三郎君 で、多額の金を取ったという点について回答は得られているんでしょうか。
#440
○政府委員(山崎圭君) 患者からの料金の徴収につきましては、院長自身は否定しておるようであります。
 また、一部報道にはすでに退職しました前事務長が料金を徴収したかどうかという点がありましたが、これについては院長自身はわからないと申し立てておるようであります。
#441
○前島英三郎君 そこで、その投与した患者のカルテにつきまして県が提出を求めたのに拒否されたと伝えられているんですが、これは事実なんでしょうか。また、そのカルテの提出を求めたのはどういう目的だったんでしょうか。
#442
○政府委員(山崎圭君) カルテの調査につきましては、一部については拒否しているようであります。
 それから、どういう目的で私ども、県がカルテの提出を求めたかという点につきましては、インターフェロンの使用の実態を知りたいと、こういうことでございます。
#443
○前島英三郎君 こちらで入手した情報では、この病院が患者にインターフェロンのアンプルを売り渡したケースがあるということなんですね。後に買い戻したということも伝えられているんですが、アンプル一本に通常何万単位ぐらい入っているものなんでしょうか。ちょっと専門的なことでわからない部分がありますが。
#444
○政府委員(山崎圭君) アンプルを患者に売ったという事実は、現在までの調査ではその事実を否定しております。
 それから、通常、アンプルは何単位かということでございますが、国産につきましては三百万単位というふうに承知しております。
#445
○前島英三郎君 そうすると、アンプルを売った例があるということは、なかなかまだわかっていないということなんですね。もしその売ったのが事実であるとすれば、その治療研究という目的は果たせなくなると思うのですが、その辺はどうなんでしょう。
#446
○政府委員(田中明夫君) 薬務局長の見解では、この病院の藤田院長がやっておられたことは、いわゆる治験――治療研究ということにはあてはまらないというような御見解でございますが、いずれにいたしましても、外国の研究所から無償で供与され、また、その供与した研究所においては、治療研究をそのインターフェロンでやってデータ等の供与を求めているというようなふうに伝えられておるわけでございます。で、この医薬品インターフェロンを第三者に交付する、まあアンプルを売るというようなことは、これは臨床研究の範囲外ということになるかと存じます。
#447
○前島英三郎君 そこで、現在の投与量は一人の患者について一カ月おおむね一億単位であるとのこの前答弁をいただいたわけですが、その理由はどうしてか、あるいはわかりやすく説明していただければありがたいと思うのです。
#448
○政府委員(山崎圭君) 基本的にがんに対するインターフェロンの投与量なり投与方法等につきましては、現在のところまだ学問的に確立されているとは言いがたい段階だと思います。
 その根拠はとおっしゃいますと、厚生省でインターフェロンの臨床応用に関する特別研究班というものをつくっておりますが、ここには臨床医なり基礎の医師を含めた研究が開始されておるわけでありますが、ここではフィンランドなりスウェーデン、アメリカなど諸外国での臨床報告を参考にしまして、基本的には一日一回三百万単位というような考え方でございまして、それを一カ月に延ばしますと、仮に連続投与するということになりますれば、これが一カ月分で一億、こういうことでございまして、そういう投与計画に従ってその研究班では投与している、こういうことでございます。
#449
○前島英三郎君 それだけ投与しないと効果があらわれないのか、あるいは効果があるかないかわからないということになるんでしょうかね。この辺はどうなんでしょう。
#450
○政府委員(山崎圭君) がん治療に対しますインターフェロンの月の投与量として一億単位が適当かどうかにつきましては、投与量ががんの種類とか病状などによって異なる。現在、先ほど申しましたような、厚生省の特別研究班においてまさしくその辺を検討しているところでございまして、まさしくそれが研究段階にあるということでございまして、その検討結果を待たなければ効果があるかないかそういうことは申し上げられないと思います。
#451
○前島英三郎君 いずれにいたしましても、億という単位でなければ言葉の上でも非常にその効果という面では疑問もあるような感じがするんです。仮に一カ月一千万単位の投与であったとしたら、治療効果あるいは研究効果があるかどうかというのはどうなんでしょう。一千万ぐらいではどうにもならぬということになるのかどうか。
#452
○政府委員(山崎圭君) 月一千万程度の投与量で適当なのかあるいはそうでないのか、効果があるのかないのか、これはなかなか一概には言えないと思いますが、先ほどの研究班の月一億ということが決定的なものであるとは当然言えないわけでありますが、それから比べますと少ないという印象を素人目にも受けざるを得ない、かように思います。しかし、繰り返すようでございますが、インターフェロンのがんに対する治療につきましては、現在のところ投与量も投与法も確立されていない、まさしくそれが研究対象であり、研究段階である、こういうことでございます。
#453
○前島英三郎君 七百万円支払ったという人に病院側が発行したと言われる領収書に添付した証明書に、約五十日の入院で一千万単位と、こうあるんですね。この病院でのインターフェロンの投与量はきわめて少ないという印象があるんですけれども、先ほど一千万という数字では素人目でもおかしいという御答弁をいただいたわけですが、その辺からの印象というのはどうでしょうか、一千万単位で七百万円、こういう料金を受領しているようなんですけれども。少ないという印象があるかどうか。
#454
○政府委員(山崎圭君) ちょっと何ともお答えしにくいことでございまして、一千万単位が少ないという印象は素人目には持っているということでございます。
#455
○前島英三郎君 その方は、結局そのがんには勝てずお亡くなりになっているわけなんです。金を取ったかどうかは別にいたしましても、この病院のインターフェロンの扱い方はきわめて妥当性を欠いていることが明らかだと思うんですね。
 第一に、研究段階にあるインターフェロンを扱いながら、その記録、効果についての精密な追跡を全くしていないということですね。
 それから第二に、投与量が現在の学術的な常識に比較してきわめて少量であり、本当にインターフェロンかどうかも定かではない部分もある。少量にとどめる学術的根拠も全くないままに、そういう形を継続していたようです。
 第三にアンプルで患者に売り渡したという疑いさえもあるわけなんですね。研究途上にあるものを手放してしまったら研究にならないのは当然のことだとも思うんです。金を取ったかどうか以前の問題として、これらが事実だとすれば医師のとるべき態度として厚生省はどう思うか。今後の問題として伺っておきたいと思います。
#456
○政府委員(田中明夫君) 事実関係についてまだいろいろと不明な点があるようでございますが、もし藤田院長が外国の研究所から治療研究用ということでもらい受けましたインターフェロンを、これは外国の研究所の方がどういうふうな扱い方をしろというような何か指示がもしインターフェロンの治療研究を委託したとすればあったかと思うわけですが、そこら辺のことも不明でございますけれども、いずれにいたしましても、この治療用の医薬品を使う場合には、日本のいわゆる治験用医薬品の場合には無償で行うということが原則になっておりますし、ましてやもし治験用の医薬品を患者にアンプルで渡して、実際にその医療機関が治療、研究用として使わないというようなことがあれば本来の趣旨にも反するわけでございますので、もし金をもらって患者に投与した、あるいはみずからは患者に投与せず、アンプルの形で患者に渡してしまったというようなことが事実だといたしますと、このインターフェロンをもし外国の研究所から治療用の医薬品ということで供与されておるといたしますれば、藤田院長の行為というのははなはだ妥当性を欠いているのではないかというふうに考えられます。
#457
○前島英三郎君 その上に多額の金を取っていたとなりますと、インターフェロンを利用して金もうけをしようとしたと、そういうふうにしか考えられないわけなんですね。つまり治療、研究は口実で、初めから営利を目的とした行為と言わざるを得なくなると思うんです。金を取っていたかどうかについての確認も急がれるわけなんですけれども、架空名義の口座に金を振り込ませたとかあるいは大阪国税局が事情聴取に乗り出したとかとの報道があるんですけれども、これらの問題はなかなか答弁しにくい部面もあるかと思いますが、私はこの事件について率直な感想を述べれば、第一にわらにもすがりたい患者、家族の心情を踏みにじっていると思うんです。私の母親もがんで亡くなりました、父親もがんで亡くなりました。その断末魔の両親の顔を見るにつけましても、こういう形の医者というのが存在するということに大変憤りを持つんです。同時にその背景に一種の薬信仰というべきものがないとは言えないと思います。
 第二に、医師に与えられた研究及び治療に関する自由裁量権を履き違えていると思います。
 第三に、インターフェロンの開発生産及びその臨床研究などに真剣に取り組んでいる人々の名誉を傷つけまして、かつ多大な迷惑を及ぼしたと思います。ひいては医療に対する国民の信頼を裏切ると同時に、多くの良心的な医療関係者も裏切ったと私は感じます。大臣はここまで聞いておられまして、こういういま医療の荒廃、いろんなものが氷山の一角として出ておりますけれども、大変遺憾に思うわけですが、大臣はどう感想をお持ちか、伺いたいと思います。
#458
○国務大臣(園田直君) 医療に従事する大部分の方は、非常にまじめにやっておられるわけでありますが、こういう人がおるために、医療に対する国民の疑惑を招き、信頼を失っていることはまことに遺憾であります。したがいまして、まじめに医療に従事される方々は厚生省として、国としてこれをお守りする義務がありますが、こういう営利のために医道を忘れた人々に対しては、患者を金もうけの対象と考える人に対しては徹底してこれを追及し、あるいは与えられた処分をする必要があるのではないかと考えております。
#459
○前島英三郎君 そういう点では今後の調査の結果を待ちたいと思います。
 さて、前回の質問で私は、患者と医師の信頼関係、医療に対します国民の信頼の回復を図ることが何にも増して大切なことであるとの立場からいろいろお尋ねをいたしました。その問題は、きょうの朝からの委員会でも幾たびか質疑の中に出ております。患者が医師を裁判に訴えるケースも増加しております。患者が医療機関を渡り歩くという形での不信感のあらわれもございます。この渡り歩き、いわゆる医者のはしごにつきましては、診断のクロスチェックという意味もありますけれども、これもまず最初に門をたたいた医者にやはり患者側が不信の念を抱く、そういうところから渡り歩かざるを得ないという、そういうこともあるのではないかというように思います。
 そこで、先般医務局長が、ホームドクターと高度医療を受け持つ医療機関との役割り分担、そのための研修教育のあり方等につきまして将来の課題として考えていきたいという趣旨の答弁をいただきましたけれども、しかし将来という言葉にきょうのいろんな質疑のやりとりの中で私は大変疑問を抱かざるを得ないわけなんですけれども、これはぜひとも実現をしてもらいたいと思うんですが、重ねて医務局長のお気持ちをただしたいと思います。
#460
○政府委員(田中明夫君) 将来と申しますのは、別に遠い将来という意味で私は申し上げたわけではございませんで、現在、富士見産婦人科病院の事件を契機として厚生省内に設けられました国民の医療に対する信頼を回復するための検討委員会におきまして、そういう問題についても現在検討中でございますので、いろいろむずかしい問題もあるかと思いますが、これからすぐ、あるいは現在検討を開始しておるわけでございまして、将来にかけて検討いたすということでございます。
#461
○前島英三郎君 期待をいたします。
 このほか私は、一つには素人の批判や意見に耳を傾ける必要があるということも申し述べました。二つには地域における開かれた医療の確立が必要であり、医師及び医師会が地域医療に貢献するとともに、社会システムとして充実させる必要があるということも申し上げました。そして三つには、医療の荒廃を救うには単に倫理の問題にとどまってはならず、医師が国民の信頼を裏切るような行為に走りやすい制度的な問題点を見直す必要があるということも申し上げました。主にこの三つの点を指摘したわけでございますけれども、きょうもこの問題は数限りなく議論の俎上にのっております。健康保険制度の枠内だけの議論では十分でないと思いますので、この三点につきまして私ももう少し質問をしたいと思います。
 まず、いわゆる素人の批判や意見に耳を傾けることについてなんですが、各種審議会等へのコンシューマーの参加については今後研究検討していただくといたしまして、まず今月二十日からやっておりますいわゆる医療一一〇番、この実施状況についてお伺いをしたいと思います。
#462
○政府委員(田中明夫君) 二十日から始めました医療相談コーナーの実施状況につきましては、現在四十七都道府県のうち、いろいろな事情がありまして、五都道府県がおくれております。これは県によりまして開始される日時は一定しておりませんが、いずれにいたしましても今月の末まで、一番遅いところが来月の初めにはこれらの五つの都道府県も医療相談コーナーを開設するということになっております。
 医療相談コーナーを設けまして、現在までどのような実績を上げたかということにつきましては、私どもといたしましては十日ごとに報告をとるということにしておりますので、まだ相談の内容等については不明でございます。
#463
○前島英三郎君 四十七都道府県の中で、特に実施しないというところが何か兵庫県ということなんですが、これはどういうことで兵庫県は実施しないということでしょうか。
#464
○政府委員(田中明夫君) 新聞等にそういうような記事が出たようでございますけれど、われわれが県の衛生当局から報告を受けましたところによりますと、兵庫県では従来から県民相談所、あるいはさらにデパートの中にこういう医療に関する相談コーナーを設けまして、保健所長等がそこに赴いて県民の方のいろいろ相談に応じておったと、この兵庫県の従来の医療相談の実績を踏まえまして、兵庫県としては従来の実績をさらに充実させていくという観点でこの医療相談の事業をやっていきたいということで、若干厚生省が指示いたしましたスタイルと違うところはあるようでございますが、その内容等につきましては、厚生省が指示しました様式を使い、また厚生省が要求しております報告もするということでございますので、どうも県当局の説明が悪かったのか何か、実態的には兵庫県は、若干従来のいきさつもあって厚生省が指示した方式どおりではございませんが、医療相談事業をやっているというふうに私どもは解釈しております。
#465
○国務大臣(園田直君) 恐れ入りますが、いま局長の言ったのは間違いじゃございませんか、どうも日本語がわれわれに通じない日本語が多いわけでありまして、もっとはっきり申し上げますと、兵庫県はいままでああいう医療相談所みたいなことをやっておったわけであります。そこで、いままでやっておったことと厚生省から話をかけたやつとどうつないでいくか、どうやったらいいかということで兵庫県だけはほかの県と一緒に出発ができなかったと、こういうことで、あと四、五県ありますのは、これは賛成ではあるが準備がおくれたと、こういうので四、五県おくれたわけであります。かつまた、各種の実情がどうなっているか、これはお聞きになるのが当然でありまして、新聞記者の方々さえも、初めて実施した、こういう時勢に実施したのはどういうことかと、こう言って電話をかけて聞くわけであります。われわれ人間の観念からすれば、当の厚生省はどうなっている、どうなっている、どうなっていると聞いて、聞かれたら、よく聞いていただきましたと、こう言えば話が通ずるわけでありますが、報告がありませんからまだわかりませんと、これが厚生省の方々のわれわれと少し違った点でございますので、黙って聞いておりますと私もわかりませんからつい差し出口をいたしましたが、申しわけございません。
#466
○前島英三郎君 まあ関係はないと思いますが、その宝塚の病院もこれ兵庫県での問題ですから、何かちょっと気になりました。
 それと、医療一一〇番ですが、一応の目的を達した後、兵庫県のような形をとるかどうかは別にいたしましても、何らかの形で窓口を残すべきだというふうに思うんです。一時期一つの医療の荒廃、富士見産婦人科病院のああした社会問題、それが起きた。それで厚生省で踏ん切りをつけてそういう一一〇番を設けた。それがばらつきにではあっても何となく四十七都道府県そろいそうだという形で、まあ世論が静まるまで暫定的というような形であっては困るわけでありますので、今後こうした窓口を永久に残していくのか、あるいは一定期間だけでとどめてしまうのか、その辺はいかがでしょうか。
#467
○国務大臣(園田直君) この問題も委員会で言われて、すぐ私がここで答弁をして、同僚の諸君がすぐ実行に移してくれたわけでありまして、日本語はへたでありますが実行はきわめて迅速にやっているわけであります。これは暫定と、こういうことになっております。暫定というのはやってみてやめると、こういう意味ではありません。一時やってみて、そしていろいろ方法を変え、目的を変えてできるだけ恒久的にやりたい、こういう意味でありまして、恒久化するための暫定。
 第一に目的は、こういう時代でありますから、不まじめな、営利を目的としたようなお医者さんたちがこれで反省される機会をつくりたいというのがこのつくった第一のねらいでありますけれども、しかしその第一の目的に達しましたら、これはやはりお医者さんと患者さんとをつなぐ機関になってほしいわけであります。かつまた、県庁所在地にあるだけでは、これは電話というぐらいでなくて、電話では目的達しないわけでありますから、これも委員の方々の御指導があったわけでありますが、暫定の期間が終わったら、逐次準備を整えつつ町村にも窓口を広げていきたい、そういう意味において、恒久的に適切な目的に窓口を開いておくための暫定的と、こういう意味でありまして、私は目的は逐次達しておると、このように判断をして、どういいところを取り入れていくかと、こういう段階だという、予算等も急ではありましたけれども、同僚の諸君が大蔵省の方と相談をして予算もつけてもらったわけでありますから、将来恒久的なことに持っていきたい、こう思っておるわけであります。
#468
○前島英三郎君 そこで恒久的なものになると。またしていくという大臣のお言葉でございましたが、だからこそ窓口だけでなく、内容についての検討チェックについても今回の医療一一〇番の結果を見まして、つまり医療の消費者ですね、コンシューマーの参加についても検討していただきたいと、こう思うわけです。そうしないと一方通行的な苦情処理窓口みたいになってしまうのではないかという心配もあると思うんです。医療に関する国民医療に対するの信頼を回復するための検討委員会の委員長の立場は医務局長でございますから、ひとつ所感を伺いたいと思うんですが。
#469
○政府委員(田中明夫君) この相談コーナーは、現在都道府県の専門のスタッフが参加してチームをつくって対応をしているわけでございますが、これにコンシューマーの代表を入れるということにつきましては、相談の内容が患者さんといいますか、相談に来られた患者さんのプライバシーにも及ぶ問題もございますので、そこら辺も含めまして慎重に検討さしていただきたいと思います。
#470
○前島英三郎君 それでは二番目の問題として、地域医療の充実につきまして、前回は主として医師会に対する指導について問題にしたわけなんですが、十分に納得したわけではございませんけれども、医師会だけを見ていたのでは余りにも一面的かと思いますので、今回は違った角度から幾つか質問してみたいと思います。
 一つは、きょうも安恒委員から指摘がございましたけれども、国公立病院が地域医療に十分貢献しているかどうかという問題でございます。民間の医療機関に対して地域医療に貢献しろといいましても、国公立病院がその先頭に立ち積極的な役割りを果たさなければ、民間はやる気を起こさないと思うのであります。そこで、国公立病院は、地域の医療を担当するほか、医療の普及向上の面で特別な使命を果たすのが目的であると思うんですけれども、特別な使命とはどのようなことを指すのか、伺いたいと思います。
#471
○政府委員(田中明夫君) 国公立病院につきましては、たとえば救急医療であるとか、僻地医療であるとか、あるいはがん、小児の専門的な医療であるとか、また、国公立病院のあるものにつきましては、高度な専門的な医療を担当するというようなことで、高度な専門的な医療を担当するという病院群、また先ほど申しました救急、僻地、特殊診療というような、どちらかといいますと不採算的な医療を担当するという病院群、そういうものがございまして、そういうような意味で、一般の診療だけではなくて政策的な診療を受け持っていくという任務を担っていると思っております。
 また、国公立の病院につきましては、臨床研修の実施、あるいはこれは限られた病院であるかもしれませんが、医学の研究の実施というようなこともその任務の一端として担っておると考えております。
#472
○前島英三郎君 がん対策等におきまして重要な役割りを果たしているのは評価できるわけですが、救急医療あるいは僻地医療という面に対しますと、必ずしもそうではないというような気がいたします。
 まず、その救急医療に対する国立病院の寄与について伺いたいと思うんですが、第二次救急医療体制として地域内の病院群の輪番制というのがございますが、これにどのくらい参加しておるんでしょう。
#473
○政府委員(田中明夫君) 国立病院のうち五十五病院が地域の輪番制の救急医療体制の中に参加いたしております。
#474
○前島英三郎君 今年度までで五十五ということですね。で、全体計画としてはどうなんでしょう。
#475
○政府委員(田中明夫君) この地域の病院群の輪番制救急医療というのは、都道府県が計画を立てまして、それで国公立病院を中心としまして、その他の民間病院にも協力をいただいて実施しておるわけでございまして、各都道府県の今後の地域救急医療の充実に対応いたしまして、現在実は調査中でございますけれども、必要があればさらに対応できる国公立の病院については積極的に参加するように、国立病院については厚生省としてそういうようにいたしたいと思いますし、公立病院につきましてはそのように指導をいたしたいというふうに考えております。
#476
○前島英三郎君 ですから、まだまだそうした意味での、救急医療、僻地医療での参画してない、模範を示していただくべき国公立病院のそういう参加のない数が三十幾つあるわけですね。だからそれはやはり模範となるべきその地域への医療の貢献という面からも、何はともあれ国公立がやっぱり率先して範を示していただきませんとならないというふうな気がするものですから、ひとつ積極的にその辺の改善をお願いをしておきます。
 それから、いろいろな意味で地域医療を考える場合、保健所の活動というものがございます。これは公衆衛生活動がきわめて重要であると思います。食生活、あるいは住まいの問題、そうした改善につきましても、いろんな形で疾病構造を大幅に変えることができた例など、幾つか好事例を聞いております。また、成人病の集団検診なども、疾病の早期発見とか早期治療に大きな役割りを果たしていると思います。このほか公衆衛生活動が疾病の予防に大きな役割りを果たしている事例というのは大変多いと思います。しかし、私たちが知っているのはきわめてよい結果を生んだケースについてのみであるような気がいたします。わが国全体について見た場合、果たしてその地域医療の中における公衆衛生活動というのが役割りを果たしているかという点では、疑問の面もあるわけなんです。
 そこで、医療と公衆衛生行政との相互の協力を期待したいのでございますが、一般に医師が保健所に行きたがらない傾向があると言われております。私は保健所勤務の医師につきまして、その年齢分布の資料をいただいたんですが、それによりますと、全体で五十二・六歳ということでございました。さらに分析してみますと、保健所の医師の七〇%は所長であり、その平均年齢というのが大体五十八歳ぐらいと推定されます。そして所長の約九割は五十歳以上でございました。保健所の所長の高齢化というのがかなりのものと言えると思います。まあ年齢が高いからいけないとは言わないんですけれども、もっと新陳代謝があってよいのではないかと思う面もございます。保健所医師の確保対策について、その辺を伺っておきたいと思うんですが、いかがでございますか。
#477
○政府委員(大谷藤郎君) 予防を行います保健所の業務がますます重要性を加えております折に、保健所活動の中心であるべき医師の確保というのが、先生御指摘のように満足すべき状態ではないということはまことに遺憾なことでございます。厚生省といたしましては、大学医学部の在学生に対しまして、いわゆる公衆衛生修学費金の貸与、あるいは大学の医学部との研究連携というふうなことを予算的にやってまいりまして、できる限りこの保健所勤務の医師を確保するというふうな努力をいたしてきたところでございます。先生御指摘のように、なかなか成果は上がっておらないんでございますけれども、最近数年間には卒業して間もない、医師の数はわずかでございますけれども年々増加の傾向がございまして、新陳代謝の傾向というのは若干でございますけれども認められておるというような状況でございます。
#478
○前島英三郎君 保健所というのはおおむね人口十万人について一カ所設置することになっておりますね。ところが現実には管内の人口が六十万人を超えるところまで出てきているという結果を見ました。こうした人口のアンバランスにどのように対処するのか、厚生省の考え方を聞きたいと思うんです。
#479
○政府委員(大谷藤郎君) 保健所は、戦後新しく設置されたわけでございますが、当初、人口十万人に一カ所ということでスタートいたしたわけでございます。しかし、戦後の人口移動が非常に激しゅうございまして、先生御指摘のように多いところでは確かに数十万人に一カ所というところも出ておりますが、また一方では人口一万人に一カ所というふうなことに、人口移動のアンバランスというふうなことでなっていることは事実でございます。ただその場合に、現実の問題といたしまして私どもとしてはこういったアンバランスを是正していきまして、全国的にバランスのとれた保健所網というものを確立していかなければならないというふうに考えているわけでございますが、現実の問題としましては早急に、直ちにこれを変えるというのは大変むずかしい状況もございます。
 それからもう一つは、昭和五十三年度から保健所だけでなしに市町村に保健センターを設置いたしまして、対人保健サービスの部分につきましては、これを全国的に市町村に保健センター網を設置いたしまして、保健所をさらに補強していくという形をとっております。そういうことで私どもとしては保健所と市町村保健センターの両者を連携いたしまして、全国的な地域保健体制というものを確立していきたいということでございます。
 先ほど御指摘の管内人口のアンバランスの問題につきましては、厚生省としてもできる限り都道府県と協力いたしましてこれを是正していきたいというふうに考えております。
#480
○前島英三郎君 これはきょう質問がなかった点を伺ったわけですが、薬の問題、それから医療機器の問題、あるいはいろいろな厚生行政の中のアンバランスというものは、どれをとりましても正直言って今後検討しなければならない問題というのが私は山積していると思いますね。そういう意味では、ひとつこの際思い切った手術をこの医療行政の中に私はやるべきだというふうに思います。
 さて、三番目の問題に移るわけですが、前回の実は社会医療調査に関して保険局長の答弁につきましてまだちょっと納得がいかない部分がありますから、ちょっと重ねて聞きます。すなわち、一件当たりの診療行為別の点数の動向をもとに、私は薬づけ、検査づけが一層進行しているのではないか、こういうぐあいに指摘したんです。その中で、診察、手術、入院の点数が減少し、これだけだと医師の収入が減少することになる、そこで投薬と検査によってその減少をカバーした結果となっていると、こういうぐあいに言ったんですね。医師が意識しているか否かは別にして、そのような作用が働いているのではないか、こういう趣旨で私はその調査結果から問題点を指摘しました。
 それに対して局長の答弁は、帰ってよく反復しましたら、それは一件当たりであって、医師の全体の収入は総件数の伸びがあるから減るわけではない、したがって薬づけ、検査づけで収入を補うような作用が働くわけがないということだったわけです。それでは一件当たり投薬で二十三・九点、検査で二十二・五点、この増加がなかった場合一件当たりの点数が前年に比べ約二%減少するわけなんですが、患者数の増加率がそれ以下であると現実に収入がマイナスになる、こう思うわけですね。
 そこで、たとえば七月の第二水曜日の患者数が示されておりますが、それによれば一・六%患者数がふえているだけなんです。もっとも、高年齢層の患者の増加率が高いとか、さまざまな要素があるんで一概には言えないといたしましても、この投薬と検査の増加は無視し得ない大きな数字となっていると思うんです。まあ、点数の動向にはいろいろな原因があると思いますけれども、こうだからこうなったというようなはっきりした答えが出せないのはわかりますが、しかし、投薬と検査については顕著な傾向であり、各方面からの問題提起を裏書きしていると思うんです。そういう意味では、もう少し謙虚にこのデータを見るべきではないかという気がするんですが、保険局長の再答弁を求めたいと思うのであります。
#481
○政府委員(大和田潔君) 先生おっしゃるように、投薬と検査、これが伸びておるということは全く間違いない事実でございます。したがいまして、ただ、この投薬と検査というものの伸びというのがどうもやはり、人口の老齢化であるとか、疾病構造の変化とか、高度な医療技術の普及といったものによるのではないかと思いますが、ただこれを、おっしゃいますように、御指摘のように、医療機関が収入をふやすために過剰な投薬とか検査とかいうものが行われているとすれば、これはもう全く好ましくないと思います。それに対しましては、私ども、審査体制の充実であるとか指導、監査の充実ということによりまして対処していかにゃならないと、このように考えるわけでございます。
#482
○前島英三郎君 現実的にはそういう意味での検査づけ、薬づけという世論の声はこれは看過できないという気がするわけなんです。実は私も大変入院の経験がございまして、薬をたくさん飲みました。飲みましたけれども、途中で一向に何か私自身わからないものですから、医者に聞きました。そうしたら、これはもう仕方がないことだ、だから、この中のこの薬とこの薬はお飲みになった方がいいけれども、あとは飲んでも飲まなくてもいい、こういう判断さえいただいたことがあるんです。うちのおばあちゃんも大変よく病院へ、体のぐあいが悪いものですから、行きます。そうしますと、お年寄りはただでもらってきて、もったいないからこれは全部飲む、こう言っているんです。また、あるスモン患者の人の話を聞きましたら、その人は大変、お医者さんに正確に量を、決められた時間に飲んで、かえってそれが災いをしたというようなケースさえもあるんです。あるいは富士見産婦人科病院のああした医療機器による不法な診療行為などもあるわけでありますから、これはもう遺憾と思うというような形ではない大きな社会問題をいま引き起こしていると思うんですけれども、今後そういう意味での取り締まりといいますか、Gメン的な角度でやはりやっていただかなければならないという気がするんですが、局長いかがでございますか。
#483
○政府委員(大和田潔君) この医療の中身ということは大変むずかしい、これはもう再々御答弁申し上げておるわけでございますが、非常にむずかしいと思います。ただ、これも御答弁申し上げておるわけでありますけれども、やはり過剰な投薬、つまり診療内容がどうも濃厚である、いわゆる常識的に見て非常に過剰であるといったような、つまり不当な診療というものが行われます場合には、やはり指導、監査の対象にすると、これは昨年一月の保険局長通達でもってそういうことも流しておるわけでございますが、それはそういう形でチェックをしていくということをしていくことは当然だと思いますし、それに努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
#484
○前島英三郎君 私が言いたいのは、医の荒廃を救うには倫理の問題にとどまってはならず、医師といえども経済原理によって動かされているわけなんですから、その点を含めて制度的にも総合的にも見直していく必要があると思いますし、またそういう一つの時期ではないかというような気がいたします。
 このあたりでひとつ大臣の御所見を伺いたいと思いますが、いかがでございますか。
#485
○国務大臣(園田直君) しばしば各委員の方々に申し上げ前島先生にもこの前も申し上げたとおりでありまして、やはり制度その他も必要でありますが、根本の問題は医の倫理ということにかかるわけでありまして、医の倫理とはむずかしい理屈ではなくて、医業に従事するお医者さんが本当に人間らしい愛情と、人間らしい人柄をもって医療に従事する、そして自分が患者に接する場合には、患者は自分の商売の相手ではなくて、患者に奉仕することに喜びを持つ、こういうお医者さんがふえることを願っておるわけであります。
#486
○前島英三郎君 それでは最後に、高額医療費の問題をちょっと伺っておきたいと思います。
 患者負担の限度額が三万九千円、低所得者については一万五千円とするということでございます、今度の改正案ですね。低所得者の範囲をどのように設定するのか、あるいはまた対象者はどのぐらいになるか、お伺いをしたいと思います。
#487
○政府委員(大和田潔君) この一万五千円ということでございますが、これは衆議院におきます自民、社会、公明、民社四党間で、この一万五千円の低所得者の範囲というのは、市町村民税非課税者とするということで話し合われたと聞いておりますし、政府といたしましてもこの考えに従って実施をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
 具体的には、これは低所得者の把握の方法につきましては、現在のところ市町村長の市町村民税非課税証明をちょうだいいたしましてそれをつけるということで行っていきたい。それで、この対象者は政管健保におきまして約七%というふうに推定をいたしておるところでございます。
#488
○前島英三郎君 市町村民税というのは、個人に課せられる税金なんですけれども、世帯単位でこれは扱うんですか。
#489
○政府委員(大和田潔君) これは被保険者本人の所得、こういうふうに考えるわけです。それが市町村民税の非課税というふうに取り扱っていきます。
#490
○前島英三郎君 もし仮に一世帯で二人が重い病気になった場合、患者負担は世帯で計算するのか、あるいは一人一人で計算をするのか。
#491
○政府委員(大和田潔君) 一人一人で計算をいたします。
#492
○前島英三郎君 わかりました。そういうことで事務的に一方は個人に課せられる税金での世帯単位で扱うというふうなことにも感じられますし、あるいはそれは一人一人計算するというような、これはいろいろ手続的に困難な部分もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、国の健康保険の財政がいろいろなやっぱり医療行政の見直しをせずして負担を国民に求めていくというやり方には大変反発が多いことは事実であります。
 いろいろなきょうの質疑応答を伺うにつけましても、何よりも現在の医療行政に対する検討を早急に解決すべく努力を特に厚生省にお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#493
○委員長(片山甚市君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後八時三十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト