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1980/11/27 第93回国会 参議院 参議院会議録情報 第093回国会 社会労働委員会 第10号
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1980/11/27 第93回国会 参議院

参議院会議録情報 第093回国会 社会労働委員会 第10号

#1
第093回国会 社会労働委員会 第10号
昭和五十五年十一月二十七日(木曜日)
   午後一時四十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十六日
    辞任         補欠選任
     対馬 孝且君     村田 秀三君
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任
     関口 恵造君     高木 正明君
     福島 茂夫君     田沢 智治君
     丸茂 重貞君     福田 宏一君
     村田 秀三君     対馬 孝且君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山 甚市君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                高杉 廸忠君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                斎藤 十朗君
                高木 正明君
                田沢 智治君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                福田 宏一君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                対馬 孝且君
                安恒 良一君
                渡部 通子君
                沓脱タケ子君
                柄谷 道一君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
   衆議院議員
       社会労働委員長  山下 徳夫君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  園田  直君
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
   政府委員
       国税庁直税部長  小幡 俊介君
       厚生政務次官   大石 千八君
       厚生大臣官房長  吉村  仁君
       厚生大臣官房審
       議官       幸田 正孝君
       厚生大臣官房審
       議官       吉原 健二君
       厚生省公衆衛生
       局長       大谷 藤郎君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       厚生省薬務局長  山崎  圭君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       社会保険庁医療
       保険部長     吉江 恵昭君
       労働省労働基準
       局長       吉本  実君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       労働省職業訓練
       局長       岩田 照良君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       岡崎  洋君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の
 一部を改正する法律案(衆議院提出)
○身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案
 (衆議院提出)
○国民健康保険組合療養給付費補助金の増率等に
 関する請願(第二号外五三件)
○個室付浴場業(トルコぶろ)をなくすため公衆
 浴場法の一部改正に関する請願(第一三号外一
 九件)
○医療保険制度と建設国民健康保険組合改善に関
 する請願(第一四号外二四四件)
○保育所の建設と施設運営の改善等に関する請願
 (第一六号外六九件)
○国鉄の仲裁裁定即時完全実施に関する請願(第
 六四号外七一件)
○指圧師法制定に関する請願(第七五号外二件)
○高齢者の福祉充実に関する請願(第一〇七号)
○栄養士法一部改正に関する請願(第一四七号外
 二六件)
○国立腎センター設立に関する請願(第一四八号
 外九件)
○生活保護世帯に対する電気・ガスの料金改定に
 伴う生活保護基準引上げに関する請願(第二一
 七号外四件)
○生活保護世帯の在宅患者加算の適用認定基準の
 撤回等に関する請願(第二一八号外四件)
○こどもの国協会の廃止反対等に関する請願(第
 二一九号外六件)
○原子爆弾被爆者等の援護法早期制定に関する請
 願(第二三二号外三〇件)
○厚生年金法の改悪反対等に関する請願(第二三
 九号外一四件)
○厚生年金法改悪反対等に関する請願(第二四〇
 号外一〇一件)
○中国残留元日本人孤児の里帰りに関する請願
 (第二六八号)
○難聴幼児対策確立に関する請願(第三三九号)
○未帰還帰国者特別援護措置に関する請願(第三
 九三号外五〇件)
○原子爆弾被爆者等の援護法制定に関する請願
 (第五〇三号外二件)
○学童保育の制度化等に関する請願(第五九〇号
 外二六件)
○労働基準法改悪反対、男女差別の撤廃等に関す
 る請願(第六〇二号外二六件)
○健康保険法の改悪反対等に関する請願(第六六
 九号外二五件)
○療術の制度化促進に関する請願(第七三四号外
 二〇件)
○療術の制度化阻止に関する請願(第七三五号外
 九件)
○社会保険診療報酬改定促進に関する請願(第七
 九三号)
○戦時災害援護法制定等に関する請願(第八〇四
 号)
○こどもの国協会の廃止、民営化反対等に関する
 請願(第八二四号外七件)
○婦人差別撤廃のため雇用における男女平等法制
 定等に関する請願(第八七八号外二件)
○医療保険制度、老人医療制度の改善に関する請
 願(第九〇二号外二一件)
○医療保険改悪反対等に関する請願(第九〇三号
 外二二件)
○積雪寒冷地冬期雇用促進給付金制度の改善等に
 関する請願(第九一五号外四件)
○積雪寒冷地の季節労働者に対する失業給付の九
 十日支給等に関する請願(第九一六号外四件)
○国民年金制度の改正に関する請願(第一〇二三
 号外一件)
○留守家庭児童対策の充実強化に関する請願(第
 一〇二四号外一件)
○労働行政体制確立に関する請願(第一一二五号
 外六件)
○社会保険診療報酬の引上げに関する請願(第一
 一八二号外一件)
○健康保険による歯科医療充実に関する請願(第
 一一九四号外五件)
○失業対策事業制度の再確立等に関する請願(第
 一二二六号)
○医療従事者の大幅増員・医療改善に関する請願
 (第一二三五号外三件)
○労働基準法改悪阻止等に関する請願(第一四四
 〇号外四件)
○医療保険制度の大改悪反対等に関する請願(第
 一四四一号外三六件)
○医療保険制度大改悪反対等に関する請願(第一
 四四二号外一七件)
○すべての法律、条例中の用語「不具、廃疾」改
 正に関する請願(第一五三二号)
○健康保険法定制緩和反対に関する請願(第一五
 六三号外一件)
○国民健康保険組合の存続強化等に関する請願
 (第一八一七号外五件)
○健康保険改正反対に関する請願(第一八一八
 号)
○健康保険制度改悪反対等に関する請願(第一八
 一九号外一四件)
○健康保険法抜本改正確立に関する請願(第一九
 〇六号)
○医療保険制度等改善に関する請願(第一九六二
 号外二五件)
○健康保険制度、老人医療制度改悪反対等に関す
 る請願(第一九七四号外二七件)
○健保改悪反対に関する請願(第二〇三七号)
○健康保険制度の改悪反対等に関する請願(第二
 二一〇号外一一件)
○社会保険診療報酬の合理的な改定促進に関する
 請願(第二六〇七号外三件)
○医療保険制度の改善に関する請願(第二六一三
 号)
○老人医療費無料制度の存続等に関する請願(第
 二六九五号外一一件)
○原子爆弾被爆者等の被爆者援護法早期制定に関
 する請願(第二八一八号)
○医療保険制度の改悪反対等に関する請願(第二
 八二〇号外一件)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 前回に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○小平芳平君 健康保険法の改正については、同僚委員から、あるいは先輩委員から長時間にわたる質疑がありました。私がいま質問しますのは、細かい問題といいますか、いままで余り取り上げられなかった点を主にして、項目が多数の項目にわたりますが質問したいと思います。
 といいますのは、初め厚生省が改正案を提案した、その後衆議院で長い間審議が続けられている間にいろいろな話が出てきましたし、修正にもなったし、いろいろな経過をたどって当委員会に来たわけでありますが、そうなりますと、果たして改正の結果どうなるかということが問題になるわけであります。特に保険医の方々、実際に患者さんを扱っていかれるお医者さん方が、今度の改正によってどういう影響を受けるのか、そういうことを中心に進めたいと思うわけであります。
 初めに、審議の過程で出てきた問題ですが、歯科診療で保険の給付外になっているものを、保険給付の対象に入れるということが言われてきたわけでありますが、この点について御説明を願いたい。
#4
○政府委員(大和田潔君) 保険外負担の中で歯科診療にかかわるものでございますけれども、新たに保険給付の対象とされるものといたしましては、唇顎口蓋裂患者の歯列矯正であるとか金属床義歯、あるいは小児歯科関連項目、乳歯冠であるとか小児義歯等、そういったようなものを保険給付の対象にするように考えておるわけでございます。なお、これらの内容につきましては診療報酬の改正によりまして実現されるものでございますので、今後中医協で御審議願った上で逐次実施をしてまいりたいと、このように考えておるわけであります。
#5
○小平芳平君 次に、重症者に対する室料特別加算、個室二千円、二人部屋千円というようなことが言われてきましたが、こういう室料加算をすれば差額徴収は絶対ないということになるのかどうか。
#6
○政府委員(大和田潔君) 今回の措置を講じました場合には、当然室料の差額は徴収できないものというふうに考えておるわけでございます。
#7
○小平芳平君 次に、重症者に対する看護特別加算四千円を予定しているというのですが、これでは付添料の実際かかる額にはほど遠いではないか、また、そういうことでやっていくならば、病院が重症者を敬遠するような結果にならないか。いかがでしょう。
#8
○政府委員(大和田潔君) 御案内のように、この措置は通常の基準看護加算、それにプラスいたしまして、特別加算をいたしまして診療報酬を病院に払っていくということでございまして、それは病院に対しまして相当の改善であるというふうに考えるわけでございます。つまり、通常の基準加算プラスアルファという形でこれを払っていく。したがいまして、病院といたしましてもかなりのプラスになるわけでありまして、そういう措置を新たに講じたにもかかわらず付き添いを求めるというようなことがありますれば、これは基準看護の承認を取り消すといったような厳正な態度で臨んでいきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(片山甚市君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、福島茂夫君が委員を辞任され、その補欠として田沢智治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#10
○小平芳平君 したがいまして、室料特別加算、看護特別加算によりまして保険外負担はなくなるということでよろしいですか。
#11
○政府委員(大和田潔君) これらの措置によりまして、きわめて効果的な策がとり得るというふうに私は考えております。
#12
○小平芳平君 ちょっと理解しかねるのですが、効果的な措置ということはどういうことですか。
#13
○政府委員(大和田潔君) これらの措置によりまして、差額ベッドあるいは付添看護といったようなものが、従来のような保険外負担という形ではなくなるというふうに考えておるわけでございます。
#14
○小平芳平君 次に、支払基金で再審査規定がなかった。今回は新しく再審査を申し出るといいますか、再審査ができることになるというんですが、どういう形で進められますか。
#15
○政府委員(大和田潔君) 具体的な方法といたしましては、再審査というものはこれは特に別の審査委員会というわけではございませんで、当初の審査を行いました審査委員会が、この再審査を行っていくということになるわけでございますが、審査委員会のまず査定に当たりましては、審査委員会の査定に対する異議の申し出と、これに対しましては、これは診療担当者とそれから保険者と両方から異議の申し立てというものは認めていくということでございますし、審査委員会が再審査上必要があると認めますときは、再審査を申し出た者に対しまして出頭及び説明を求めることができるというようなことで、具体的には再審査を進めていくというふうに考えておるわけでございます。そのための法的な規定というものが今回設けられることになったということでございます。
#16
○小平芳平君 最初に審査した同じ人が、再審査をまた受け付けるわけですね。余り効果がないんじゃないですか。
#17
○政府委員(大和田潔君) 実は、その法的な根拠というものはないわけでございますが、現在におきましても、こういったいわゆる一遍審査をいたしました、査定をいたしましたそれに対する再審査という、事実行為としての再審査の道は開かれておるわけでございまして、現段階におきましても、かなりの件数がこれによりまして申し出を行っておるし、また容認をされておるというような件数があるわけでございます。それに対する法的な根拠というものが与えられたわけでございますので、さらに再審査制度というものは進められ得るというふうに考えておるわけであります。
#18
○小平芳平君 次に、指定拒否理由の法定化、特に「著シク不適当」ということはどう解釈されますか。
#19
○政府委員(大和田潔君) 保険医療機関等の指定拒否事由というものに「著シク不適当」という規定が入れられることになるわけでございますが、この具体的内容はどういうものであるかという御質問でございます。
 これは具体的には、指定を取り消されました医療機関の開設者が別の医療機関として指定申請をしてきたときというような場合。あるいは保険医療機関の指定取り消しをたびたび受けたというとき。それから監査後、保険医療機関の指定の取り消しが行われるまでの間に医療機関が廃止をしてしまうと、あるいは保険医療機関の指定を辞退してしまうということですね、その後しばらくいたしまして同一の開設者がその医療機関を指定申請してきたときというような場合。そういったような場合がこの「著シク不適当」というものに当たるものと考えております。
#20
○小平芳平君 次に、保険医の登録。二重の手続であったのが一回で済むようになったと、それはそのとおり単純に受け取ってよろしいのかどうか。
#21
○政府委員(大和田潔君) 全くそのとおりでございます。事務手続の簡素化を図るというためでございます。つまり、個人開業医あるいは個人薬局につきましては、保険医または保険薬剤師の登録がありますれば、重ねて保険医療機関あるいは保険薬局の指定手続をとるというのは、どうも必要はないんではなかろうかと。御承知のように現行制度におきましては保険医の登録、それから保険医療機関の指定という、こういう仕組みになっておるわけでございますが、これをそれぞれにとるという行為をとりますことは、どうしてもやはり手続上煩瑣ではないかということで、今回、保険医または保険薬剤師の登録がありますれば、重ねて機関の指定手続をするということはしないということによりまして、当然その保険医療機関等の指定があったものとみなすということにすることによりまして、事務手続の簡素化を図るという趣旨でこの規定が設けられたわけでございます。
#22
○小平芳平君 これは法律改正には関係ないんですが、お医者さんが不足だということで、そのために起きるいろいろな問題点が指摘されてきたのですが、医師国家試験の合格者は四十六年に比べて五十五年は倍になっておりますね。ちょうど倍になっている。医師もそうだし、歯科医師もそうですが、そうなりますと二つの問題があるわけですが、質問したいですが、一つはお医者さんが不足するという事態はいつごろ解消できるのか。いつごろがめどになり得るのか。
 それから次には、医師ができ過ぎて、要するに過当競争を余儀なくされるような事態になりはしないかどうか、その点はいかがでしょうか。
#23
○政府委員(田中明夫君) 現在、医師あるいは歯科医師の国家試験合格者は先生御指摘のとおり、十年前に比べまして約倍というような数になっておるわけでございます。
 現在の医師の数を推計いたしますと、約十六万四千人ということで、人口十万対にいたしまして百四十人ということでございます。この数字はヨーロッパの諸国等と比べますと、デンマークその他ではすでに二百に近くなっておるんで、それに比べますとまだ少ないということも言えるわけでございます。また、地域によります偏在と申しますか、都市にはわりにお医者さんが人口対の率が高く、郡部、ことに僻地等は非常に人口対の率が低いというような問題、あるいは耳鼻科とか眼科とかいわゆる小科といいますか、そういうような診療科を標榜するお医者さんは特に郡部ではなかなか得にくいというような問題もございまして、私どもといたしましては、まだお医者さんが十分に行き渡ってきているという段階にはまいっておらないという判断をいたしております。
 いまのような状態で医者の数がふえてまいりますと、昭和七十五年、すなわち二十年後に人口十万対二百五ということで、二百を超えまして、先ほど申しましたヨーロッパのデンマーク等と同じになるわけでございます。その時代になりましても、やはり市部、郡部の差その他、先ほども申しましたような診療科による差といいますか、小っちゃい診療科ではお医者さんが少ないというような問題も残ろうかと思いますが、そのようなことのないように努力いたしてまいるつもりでございます。
 ただ、医者が余るという状態をどういう状態のときに言うかということでございますが、先ほど申しましたようなヨーロッパの国では、一部の地区でそのような過剰的な現象があらわれているというようなことも聞いておりますので、日本がそれらの国の医者の数と同じになる二十年後を考えながら、そういう過剰というようなことがないように文部省等とも相談しながら、対策を立ててまいりたいというふうに考えております。
#24
○小平芳平君 昭和七十五年ですか、二十年あるわけですね。その間、現在のようなペースで医師がどんどん輩出していって、それで過剰な現象は起きないということが言えますか。
#25
○政府委員(田中明夫君) 先ほどちょっと申し上げましたように、医師の数が非常に多い諸外国におきまして、ある地域ではそういうような問題が起きているというふうなことを聞いておりますので、わが国におきましても、ある地域に限って見れば、医師が過剰ぎみになるというような事態が、あるいはその前に起きることも考えられますが、そこら辺のことも含めまして、今後対策を立ててまいりたいというふうに考えております。
#26
○小平芳平君 厚生大臣、お医者さんの人数が少なくても困るし、かと言って余り過剰になっても困るというような現象ですね。そういう点をどう考えますか。
#27
○国務大臣(園田直君) 現在のところは、数だけの問題ではなくて、これが各地域に適正に配置されているかどうか。都市に集中して僻地に少ないと、こういう点。それからもう一つは、数の問題もさることながら、お医者さんの一人一人の質が重点になってきているときであると考えておりますけれども、将来、何年か後には御指摘のようなこともあり得るわけでありますから、この医療の適正及び長期、中期の展望に基づいてそういう見通しを立てる必要があると考えているところであります。
#28
○小平芳平君 いま大臣がおっしゃった質の問題として、きょうの新聞では国立熱海病院がでたらめの診断書を書いて服役を逃れさせたというようなことが報道されておりますが、事実はいかがでしょう。
#29
○政府委員(田中明夫君) 私ども、けさの新聞報道で先生御指摘のことを知りまして、早速厚生省の担当官を現地に派遣いたしまして、現在調査中でございます。
#30
○国務大臣(園田直君) 御指摘の点は、私もこういう事態に、また国立病院でこういう事件が、いまじゃありませんが過去においてあったことが発覚したと新聞に書かれたということは非常に残念でたまりません。この熱海病院は、その前にも資格を持たない職員が仕事をやったということで問題になった場所であります。係官を直ちに派遣をして事実を調査しておりますが、これが新聞に書かれたとおり事実であるならば、これに対しては厳重な処分をもって臨むつもりであります。
#31
○小平芳平君 国立病院は、国立病院の果たすべき役割りとか、あるいは国立病院に対する国民の期待とか、この委員会でもるる述べられたことでありますし、それから、病院のそうした不祥事件は、所沢の問題といい、再三問題にされてきたそのやさきですね。あるいはこの健保改正が審議されているやさきにこういうことが報道されるということは、大臣がおっしゃるように全く遺憾なことだと思います。まあ調べてみなければわからないことでしょうが、事実、大体の考えはどうなんでしょう。ただ医務局長は調べに行かしたと言いますが、全く根も葉もないことが報道されていたとは考えられないでしょう。
#32
○政府委員(田中明夫君) 私どもも、根も葉もないことだというふうには考えないからこそ、担当官を派遣いたしまして、事実の究明に当たりたいというふうに考えておるわけでございます。
#33
○小平芳平君 では次に、付加給付は改正案は承認を受けなければ実施できないことにしたんですが、それが現行どおりとなったんですが、この辺はいかがでしょうか。
#34
○政府委員(大和田潔君) 健康保険組合の付加給付でございますが、これは政府原案では、給付平等という観点から検討を要するということで、ただいま先生おっしゃったような仕組みにいたしておったわけでありますけれども、修正案によりますると、現行どおりということになるわけでありまして、これは私どもといたしましては今後、先ほど申しました給付の平等という観点から、検討を要すると考えておりますけれども、現行法のもとにおきまして、当該組合の事業運営上妥当かどうか、つまり財政上妥当かどうかといったようなことを含めまして、従来どおりの方針でこれは当面指導をしていくというふうに考えておるわけでございます。
#35
○小平芳平君 別に影響ないということですね。
 それから、未払いの一部負担金を保険者が徴収するという点でありますが、一部負担金を払えない、まあ払わない方の、医療機関が払ってもらうことができないものを、果たして保険者が簡単にこう取れるかどうか。どうでしょう。
#36
○政府委員(大和田潔君) 実はこの同じ規定が、国民健康保険法には従来から入っておるわけでございます。したがいまして、やはり健康保険におきましては受領責任は保険医療機関が負っているわけでございますけれども、保険医療機関が善良な管理者としての注意義務を果たしましても受領できないときは、やはりこれは保険医療機関にかわりまして保険者が徴収するということは必要ではなかろうか。すでに国民健康保険にはそういう仕組みになっておるわけでありますので、そういうことで今回この規定を入れたわけでございます。ただ、先生おっしゃいますように、保険医療機関が徴収できないものを保険者が徴収すること自体なかなかむずかしいんではないかという、こういう御質問でございます。確かにそういったような面がないとは言えないと思いますが、これにつきましては、やはりトラブルが起きないようなことで指導をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#37
○小平芳平君 一番いま最後におっしゃったトラブルが起きないように、この一部負担金を払わないという、払わないというか払えないからですね、そういう人に対して法律どおり保険者がとって払いなさいと言った場合、中小企業ですから、人間関係もあることだし、その辺はやはり気をつけてやってもらいたいと思うんですね。
#38
○政府委員(大和田潔君) 御質問のとおり、お説のとおり、これは気をつけて取り計らっていきたいというふうに考えておるわけであります。
#39
○小平芳平君 それから健康保険組合同士の健康保険組合間の財政調整についてですが、この財政調整はどういうふうにやられるか。
#40
○政府委員(大和田潔君) 今回、健康保険組合間の財政調整の規定が入ることになるわけでありまして、その具体的な方法につきましては政令で定めるということになっておるわけでございます。これは具体的には、各健康保険組合は一定の基準によりまして健保連に対しまして拠出金を拠出すると。健保連はさらに一定の基準によりまして、各健保組合に対して交付金を交付すると。この具体的な内容につきましては、拠出金の拠出率とか交付金の交付の方法等の具体的な点につきましては政令で定めることにいたしておるわけでございますが、現在、実は健保連におきまして自主的に財政窮迫組合助成事業というようなこともやっておるわけであります。これはやはり財政調整的な機能を持たせるような形で自主的にやっておると、そういったような例もございますので、そういったような具体例などを参酌しながら決めるということになろうかと思います。これまた健保連の意見等を十分に聞きまして、これは決めていくということになろうかと思うわけでございます。
#41
○小平芳平君 現に健保連でやっておりますことを法律としてやっていく場合、健保連の意向を聞くことになろうかと思いますというんじゃなくて、健保連の意見もはっきり聞いて定めなくちゃならない。どういう範囲でやるかということが一番気になるところですがね。
#42
○政府委員(大和田潔君) お説のとおりにいたしたいと思います。
#43
○小平芳平君 それから累積赤字の償還は、これは後からまた高杉理事の質問にも出てくると思いますが、六年で解消するということですか。
#44
○政府委員(吉江恵昭君) 六年間と申しますか、昭和六十年度までに解消する、したがって六年間ということに相なります。
#45
○小平芳平君 要するに、医療保険は皆さんが赤字になるという予想を立てても黒字になったこともあるわけですね、つい最近の事例でも。そんなにはっきりと立てられないわけでしょう。つまり昭和六十年までに累積赤字を解消するということをどうしてもやり遂げるわけですか。
#46
○政府委員(吉江恵昭君) お答えいたします。
 昭和六十年までに返すというのは法令で決まっておりますので、さように取り計らいたいと思いますが、ただ先生おっしゃいますように、保険財政の状態は毎年毎年違うわけですし、あるいは予想に比べてまた差異が生ずるということも考えられるわけでございます。償還の方法につきましては、均等料率による償還あるいは元利均等の定額償還、いろいろございます。いずれにいたしましても、私どもは昭和六十年までに返すということを前提にしつつ、財政状態を見て、必要とあれば保険料率の手直しも含めて調整をしながら返してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#47
○小平芳平君 その保険料率の調整ですね、従来の論議は保険料率を引き上げることがあり得るということを答弁していたし、また質問もしておりましたが、下げることもあり得るわけですね。
#48
○政府委員(吉江恵昭君) お説のとおりでございます。事累積赤字の償還に関してだけ申し上げましても、保険料率おおむね千分の一程度になろうかと思いますが、下げることもあり得ます。
#49
○小平芳平君 それから薬価調査ですね、薬価調査は、これはずいぶん論議された点であるし、またこれからも論議される点でありますが、きょうの一部新聞には薬価調査の結果が明らかになって、一八%も安く出たというふうに報道されておりますが、これはどうなんですか。
#50
○政府委員(大和田潔君) これは再々御答弁いたしておりますように、まだ第六次経時変動調査につきましては結論が出ておりません。またこの第六次経時変動調査の取りまとめが終わりました段階におきましても、薬価算定の補正作業というものがかなりの期間かかるわけでありますし、その後におきましても、薬価基準収載全品目につきまして影響率というものを算定しなければならぬ、その影響率の算定までにはまだかなり時間がかかるわけでありまして、私どもといたしましては、本日の新聞等承知しておりますけれども、そういった数字は出ていない段階でございますので、どうも私どもといたしましてはこの数字につきましては全く知らないというのが現段階でございます。
#51
○小平芳平君 数字については知らなくても、厚生大臣の答弁によりますと、今度は調査の権限が法定されるわけですね。それで、もともと診療報酬改定と薬価の改定は別問題だというふうに大臣は絶えず答弁しておられるわけです。そうなりますと、今度は法定された権限として薬価調査をやるんですから、ますます薬価基準の引き下げなり、それは大臣の権限としてできるんだということですか。
 それから、はっきり聞けば、当面の薬価基準の引き下げは年度内でもやると、ただし診療報酬改定は年度を越えてから新年度にやるというようなことになるわけですか。
#52
○政府委員(山崎圭君) 私から前段のお尋ねの部分についてお答え申し上げたいと思いますが、おっしゃるように、薬価調査につきまして新たに厚生大臣の調査権が法制化されるわけでございまして、そういうことになりますれば、従来のお願いして調査をするという関係から、法的権限の裏打ち、裏づけを持った調査となりますので、薬価調査それ自身はより厳正な調査が円滑に施行できると、かように考えておるわけでございます。
 薬価調査についてだけお答え申し上げまして、あとは関係局に答弁を……。
#53
○政府委員(大和田潔君) 全く事務的に申しましても、先ほども申しましたように、補正作業がかなりかかります。これは第六次経時変動調査の結果がまとめられました段階で、薬価算定の補正作業を行うことになるわけでございますけれども、先ほど申しましたようにかなりの期間が実はかかってくるわけでございます。この作業には、バルク品目につきまして薬価補正作業を行う、非バルク品目について指数処理による薬価の補正作業を行うといったようなことで、かなりの時間がかかるわけでありまして、その後一万五千品目に及びます全品目につきまして薬価算定結果の再検討を行いまして、影響率を出す。その後、新薬価基準品目の官報原稿、これも大変膨大な原稿に実はなるわけであります。一万五千品目ですから大変膨大な原稿作成になりますし、印刷等につきましてもかかってくるということで、事務的に見ましてもかなり時間がかかってくるということでございますので、いつ薬価基準の改定を行うかということにつきましては、なかなか申し上げるのがむずかしいというのが実情でございます。
#54
○国務大臣(園田直君) 薬価の改定については、物価その他の適正なる医療費のあるところを考えても、一日も早くやりたいと、こういうことで、でき得れば年度内にもやりたいというのが大臣の意向であります。事務当局もそれに従って努力をしているところでございます。
 かつまた、下げ幅はまだはっきり申し上げられませんが、過去の例に比べるとかなり大幅なものであるということだけで、数字はまだ出ておりませんので、新聞に書かれた数字はわれわれの関係するところではございませんと、こういうことでございます。
#55
○小平芳平君 それで、厚生大臣に伺いますが、そういう御答弁はよく了解いたします。要するに、一日も早くやるべきだと、年度内にも可能な限りやるべきだと。それは診療報酬改定とは連動しないでやるということになるのですかという、そこを聞きたいわけです。
#56
○国務大臣(園田直君) 連動はいたすべきものではないと考えております。連動はいたしません。
#57
○小平芳平君 そうしますと、薬価基準の改定は年度内にも実施して、診療報酬改定はまだ機が熟してないから、年度が変わってからということになるわけですね。
#58
○国務大臣(園田直君) 私が答弁した言葉は、いまおっしゃいましたとおりの言葉で、年度内に医療改定やるつもりはございませんと、こういうことを言っております。
#59
○小平芳平君 年度内に何を改定する――診療報酬の方ですか。薬価は年度内にやりますと。それから診療報酬の方は年度が変わってからやりますと……。
#60
○国務大臣(園田直君) 変わってからやりますということ、意味は同じかもわかりませんが、年度内にはいたしませんと、診療費の改定は。薬価の方はできるだけ年度内にもやりたい、こういうふうに答弁をいたしております。
#61
○小平芳平君 保険局長、むずかしい、むずかしいって言っておりましても、大臣のそういう御意向を受けて、薬価基準の改定は早くやらなければならないし、結果が出れば当然やらなければならないし、大事な問題ですから、ただ時間がかかる、時間がかかるじゃ済まされないでしょう。
#62
○政府委員(大和田潔君) 事務的な作業につきましては、大臣の御意向もございますし、できるだけ急いで進めてまいりたいと思っております。
#63
○小平芳平君 海外に在住している被保険者に、新たに保険給付及び保険料徴収を行うということになるんですが、これはどういうふうにやりますか。
#64
○政府委員(吉江恵昭君) お答えいたします。
 海外療養費の支給につきましては、いわゆる通常の療養費と同じように御本人の申請に基づいて支給するということに相なるわけですが、ある程度長期にわたって外国に在住される被保険者などにつきましては、御本人が直接申請されるということは困難な場合も考えられるわけでございます。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
 しかしながら、その事業所自体は必ず日本国内にあるわけでございますから、当該事業所を経由して申請する方法などを、いまこれから考えまして、被保険者の御便宜になるようにやってまいりたいと、かように考えております。
 なお、療養費の申請には、療養に要した費用の額について証拠書類、これを添付してもらうということに相なるわけでございまして、海外療養費についても同様でございます。それで、診療の内容などが明らかになるような一定の様式、これもこれから考えますが、様式を定め、それを使用してもらうというような方策を講ずる考えでおります。
#65
○小平芳平君 要するに療養費払いですね。療養費払いで給付をするということで、外国におりますのにどうやって給付をするかと思うんですね。それでいいですか。
#66
○政府委員(吉江恵昭君) さようでございます。
#67
○小平芳平君 それから次に、従来法律事項であったものが政令事項に移されました。それは分娩費、埋葬料、そのほか幾つありますか。
#68
○政府委員(大和田潔君) 給付の面では、分娩費、埋葬料と、それから性格の違うものでは、たとえば標準報酬の上限の改定でございますね、そういったようなものがあるわけでございます。
#69
○小平芳平君 給付の政令事項の分娩費十万円、埋葬料五万円が、分娩費十二万円、埋葬料七万円に引き上げようという改正案のわけですね――改正案じゃなくて、そういう政府が改正段階では予算を組んでいたわけですね。
#70
○政府委員(大和田潔君) そのとおりでございます。五十五年度予算では、いま先生おっしゃいましたような額を組んでおるわけであります。
#71
○小平芳平君 それで気になるのは、従来は法律事項で審議していたのが政令事項になって、もっと簡単にその引き上げが可能になるのか。従来は法律改正を待たなければならなかったわけですが、それが法律改正を待つまでもなく簡単に引き上げる、簡単にというわけじゃないけれども、引き上げが可能なのか、あるいはどういう場合にこの十二万円、七万円が引き上げられるのか、何か基本的な考え方はお持ちでしょうか。
#72
○政府委員(大和田潔君) 具体的にこうなった場合にこうという、そういう基準というものはつくっていないわけでございますが、この分娩費等の現金給付の額を、法律から政令にしたということは実情に即した、従来も法律に規定してあったわけでありますが、やはり引き上げてきたわけでありますが、一層実情に即した弾力的な引き上げが行えるようにするという、こういうような趣旨でございますので、そういう趣旨に基づいて運用をしていきたい、このように思っております。
#73
○小平芳平君 ですから従来よりも、法律事項よりも政令でもって引き上げることが可能なんだというわけでありますから、どういう場合に改定していきますか、基本的な考えとしましてですね。
#74
○政府委員(大和田潔君) 基本的な考えといたしましては、やはり分娩費の額というのは実際に行われております費用、国立病院等で行われております額というものを基準にいたしまして決めるということでございますが、これはやはり物価等の上昇によりましてこれは上がってくるというような性格のものでございます。そういったような上昇に応じまして、上昇を考慮いたしまして、これは従来とも分娩費の額等を決めてまいった、これは法律上の規定のときもそうであったわけでありますが、それを政令で決めることによりましてより弾力的に反映できるような、そういうシステムにしていきたいと、こういうことでございます。
#75
○小平芳平君 まだそういうような細かい点でたくさん疑問点があるわけですが、時間が来ますので、終わりたいと思いますが、この場合、たとえば入院が八割給付になる、保険局長がこれは給付改善ですというふうに答弁しておられた家族入院八割ですが、
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
しかし一方には一部負担があるわけです。高額療養費の負担があるわけですから、家族は入院した場合三万九千円以下で退院してくれば効果があるんですが、入院して三万九千円以上の支払いをする場合には効果がないわけでしょう。
#76
○政府委員(大和田潔君) 入院の場合に自己負担が従来は三割あったと、それが八割給付になりますために二割になる、こういうようなことになるわけでございます。
 そこで、たとえば十三万円という総医療費が、入院の医療費が十三万円かかったというような人の場合を見ますと、それの三割の自己負担は三万九千円、ちょうどその高額医療費ぎりぎりのところでございます。片や、今回八割給付になりますと、その方の自己負担は二万六千円、十三万掛ける二〇%、これは二万六千円ということになるわけでありまして、その場合は全く三分の二に自己負担が減る、こういうことになるわけでございます。だから、十五万円の場合を見ましても、たとえば十五万円入院の費用がかかった、その場合に三割の自己負担でございますと四万五千円の自己負担になる。ただ、四万五千円ですと、三万九千円という高額医療費の頭打ちがありますので、その十五万円の医療費がかかった入院の場合でも本人の負担は三万九千円になる。
 今度はどうなるかといいますと、二割の負担、八割給付ですから二割の負担でございますので、十五万の医療費の場合は三万円の自己負担になる。そういたしますと、やはり三万九千円と三万円の差の九千円というのは自己負担の軽減になる、こういうことが言えるわけでございまして、やはり高額医療費にかかるまでの間というものにつきましては、当初申しました三対二というような軽減ではないにしても、幾らかの軽減になっているということは、幾ばくかの軽減になってそれぞれの額に応じまして軽減になっておるということは言えるんではないかと思います。
#77
○小平芳平君 三万九千円が引き下げられれば軽減になることがはっきりしてきますがね。三万九千円がそのままで、いまのような場合はいろんな場合があるわけですけれども、本人が負担する限度額は三万九千円なわけでしょう。ですから、本人負担が仮に三万円でいいということになれば確かに病院へ払う金額は少なくて済むんですが、そうなりませんか。
#78
○政府委員(大和田潔君) それは高額医療費の額三万九千円を三万円にすることによる確かに相対的な、制度的な軽減があるわけでありますが、いまの私の例で申しましたように、七割給付を八割給付にする、つまり三割負担を二割負担にするということによりまして、先ほどの例のような負担の軽減というものは出てまいることは事実でございます。
#79
○小平芳平君 あと高杉理事が総括して質問しますので、私はダブるような点を省いて質問しましたが、細かい点がまだ非常にたくさんあります。
 いずれにしてもきわめてささやかな給付改善であるということ一それに対して負担が大きいということを指摘して、質問を終わります。
#80
○高杉廸忠君 先般、私は目に余る乱診乱療事件について、一般調査の本委員会において具体例を挙げながら厚生大臣の御見解をただすとともに、今後の対策についてお尋ねをいたしました。今日、これらの事件の解決、解明こそ健康保険法の審議に先行をして、あるいはその前提として解明されなければならないものであると思います。そういう立場から質問をしてまいりたいと思います。
 先日の本委員会における私の質問に対して厚生大臣は、医療法による病院への立入検査には限界があるので、厚生省、大蔵省、特に国税庁、警察庁と合同の調査機関を設け、医療機関の違法行為を徹底的に追及をすると答弁をされました。去る十一月十八日、閣議で三省庁の連絡会議を設置されましたが、その目的はどういうところにあるのか。また、具体的に何をどのように実施していくお考えなのか、この際明らかにしていただきたいと存じます。
 特定をした具体的事件を調査対象としているのか、まずあわせ伺います。
#81
○国務大臣(園田直君) 医療機関で近時戦標すべきいろいろな事件が起こって国民の信頼を失い、疑惑を持たれていることはまことに遺憾でありまして、いかなる方法を講じてもこの信頼を回復することが急務であるということが第一に私の考えであります。
 第二番目には、医療に従事するお医者さん、医療機関、これは法律改正や制度の改正をもって手足を縛るというのではなくて、できるだけ医療に従事する人々の良心と自制心、いわゆるモラルによって国民の信頼を回復してもらいたいというのが私の願いでありますけれども、近ごろのように当初から計画的に脱法行為を考え、営利を目的としてやられたという事件がときどき出てくるわけでありまして、こういう計画的にせられた脱法行為に対しては現在の医療法、制度だけではなかなかこれの取り締まりは困難でございます。
 そこで、こういう特別なものに対して、普遍的なことではない、特別な、計画的に悪らつな行為をやる。しかも法律をよく研究しておって、絶対に法律には引っかからぬと、こう言わぬばかりの行為に対しては、警察、大蔵省、厚生省、三者が協議会を開いて、一体になってこれを究明をし、その事実解明を行い、これに対する厳正な処分を行うことがやむを得ざる状態だと考えております。したがいまして、特定の目標を持っているわけではありませんが、本心を言えば、こういうものは発動しなくて済むような事態があれば幸いだと思っております。発動しても一つぐらいで終わるようにという願いで私は考えておりまするので、今国会が終了と同時に三省の協議を行い、特に大事なことでありますから、場合によっては、これに前後して、三省の大臣が直接協議をして、目に余る脱法行為を公然と行い、悪らつな行為をやっていささかの反省もない者に対しては、これを発動すべきであると考えておるところでございます。
#82
○高杉廸忠君 大臣からお答えがありましたが、私はいまお答えがありましたこれらの対応、政府の姿勢、またさらに医療一一〇番とも言うべき医療相談窓口の設置等などは画期的なことである。従来の医療行政で見られなかったところでありまして、それなりに評価いたしたいとは思っております。
 そこでさらに伺いますが、不正事件の監視、摘発を行うのは当然として、果たしてそれだけで十分であると言えるだろうか。現在、医療にまつわる事件というものは、単に医療費をめぐる金だけの問題としてとらえ切れないと思っております。もっと広く患者の人権問題とも含めまして考えるべき時期であると思いますが、こういう点についてはどのようにお考えになりますか。大臣の御所見を伺います。
#83
○国務大臣(園田直君) 私も、ただいまの御意見のとおりに考えているわけでありまして、それに従ってどのようにやるか、具体的な方策を逐次固めつつあるところでございます。
#84
○高杉廸忠君 いま、大臣から前段でお答えいただきましたこの連絡会議でありますが、どういう段階まで存続をさせるお考えがあるのか。今後、恒久的な情報交換の場として考えていくつもりはおありなんだろうか。具体的にはどういうようなお考えを持っておられますか。
#85
○国務大臣(園田直君) ただいまこれと裏表で各県、将来は町まで広げていきたいと思います。医療相談の窓口、これは逐次いい方へかじを修正しながら、暫定から恒久的なものに持っていきたいと考えております。
 いま申し上げました三者の協議会は、でき得れば暫定的で終わることを私は願っておるわけでありますが、一に今後の推移によると考えます。
#86
○高杉廸忠君 先日の委員会で私は一医療機関の問題例の一つとして、最大の医療法人十全会の問題を取り上げてまいりました。しかし、そのときには時間も十分なく、また、その際要求いたしました資料においても、必ずしもその全貌を明らかにすることはできませんでした。
 そこで、まず十全会の最近の株式投機の実態、経緯、銘柄別にまず明らかにしていただきたい、このように思います。
#87
○国務大臣(園田直君) 本日の新聞で高杉先生のお名前も出て、この十全会の姿がだんだん浮き彫りにされてきておりますが、実は正直に申し上げますと、私も就任直後、必ずしも正しい医療法人の運営のあり方ではないと考えまして、事務当局を通じて、京都の当局を通じてそれぞれ行政指導をやってきたところでありますけれども、なかなか実態がつかめない。しかも当事者も反省の色は私には感じられない。そこで、ずっと今日まで二ヵ月余り私はいろいろ情報を収集し、注目をし、具体策を検討してきておるところでございます。
#88
○高杉廸忠君 大臣じゃなくても結構でありますから、いま私が申し上げました十全会の最近の株式投機の実態、経緯、それから銘柄別、ひとつ事務当局の方で結構でありますから、この際、明らかにしていただきたい。
#89
○説明員(岡崎洋君) 御質問の点でございますけれども、十全会のグループがいつ、どのような株を買い、あるいはいつ売ったかということにつきまして完全に把握しておるわけではございませんけれども、この数年間のものといたしまして私どもが聞き及んでおりますものを申し上げますと、京都銀行株式、實酒造株式、高島屋株式、朝日麦酒株式等があるというふうに承知しております。ただ、このうち、京都銀行株式及び實酒造株式につきましては、すでに手放しておるというふうに思われております。
#90
○高杉廸忠君 それじゃ、その評価額、こういうのはどうなりますか。
#91
○説明員(岡崎洋君) ただいま手元にあると思われます高島屋株式と朝日麦酒株式につきまして申し上げますと、保有の株式数は、おおよそ高島屋のものが二千百万株程度、朝日麦酒株式が六千六百八十八万株程度というふうに東京証券取引所の調べではなっておりまして、これに一番最近時点の時価を掛けてみまして機械的に評価額を出してみますと、高島屋株式で約八十億円、朝日麦酒株式で約二百七十億円という計算ができます。
#92
○高杉廸忠君 いまお答えいただきましたように、朝日麦酒の例をとりますと、十月二十二日現在で六千六百八十万株の株式を十全会グループが買い占めていることが明らかになりましたし、この株は発行済み株式総額の三〇・五%、こういうふうになっていることも私どもの調査でつかんでおります。この株式投機資金の出どころについて、私はこれは大臣に伺いたいんですけれども、大臣が御無理ならば当局で結構でありますから、その出どころについて、今日までどういうような取り組みをされて解明をされたのか。この点をひとつ最初に確認をいたしたいと思います。
#93
○政府委員(田中明夫君) 非常に多額の株を十全会グループが現在も保有しているということでございますが、私ども厚生省といたしましては、医療法人十全会並びに医療法人十全会精神科京都双岡病院につきましては、医療法に基づきまして調査をいたしておるわけでございますが、先生御指摘の非常に多量の朝日麦酒等の株につきましては、この医療法人関係では現在所有しておらないようでございまして、残念ながら私どもの調査の及ぶところではないわけでございます。
#94
○高杉廸忠君 先ほども評価額でお答えいただいたように、朝日麦酒でも二百七十億円、高島屋でも八十億円という大変なお金が明らかにされたわけでありますね。現在、十全会グループが動かしている株式投機への資金量の総額、大変な額になると思うんですけれども、それは一体どういうようにいままでのお取り組みの中からつかんでおられるのか、把握しておられるのか、この際はっきりお答えをいただきたい。
#95
○政府委員(田中明夫君) 先ほどお答え申しましたように、私どもといたしましては、医療法人十全会並びに医療法人十全会精神科京都双岡病院につきまして、實酒造並びに京都銀行の株を有し、それを投機的な操作をしていたということを、医療法上好ましくないということで、京都府を通じましてその所有する株を五十四年の一月及び四月に全部売却させたところでございます。したがいまして、医療法人関係につきましては、現在、先ほど申しましたような株を多量に持っているということはないわけでございます。なお、この實酒造、京都銀行の株を売却いたしまして、名義書きかえに際しまして、資金の移動についてはまだ現在のところ把握いたしておりませんが、当時の株の価格あるいは処分の株数から考えまして、實酒造につきましては十六億円、京都銀行については約二十一億円の額に上るというふうに考えられます。
#96
○高杉廸忠君 かなりの多額な金が動いているということはわかるわけですね。だから、これからやっぱり全貌をつかんで、資金総額というのは、やはり基本になるわけですから、この総額ぐらいはやっぱりはっきりつかむ、この姿勢をひとつ貫いていただきたい、これは要望であります。お願いをしておきます。
 それで、一部にはいまお話もありましたように医療法違反に絡んで名義書きかえが行われているわけですね。行政指導でそれがなされたとも聞いているわけなんです。なぜ行政指導をされたのか、その内訳はどういうように具体的になっているのか、また名義書きかえに際して、資金の動き、こういうものはどういうようにとらえているのか、以上の、きわめて具体的な点でありますから、一つ一つについてここではっきりお答えをいただきたいと思います。
#97
○政府委員(田中明夫君) 医療法人が同一銘柄の株式を多量に取得いたしまして、いわゆる買い占めというような疑惑を持たれるような行為を行うということは好ましくないという観点から、医療法人の監督官庁である京都府が医療法人十全会及び医療法人十全会精神科京都双岡病院を指導いたしまして、その所有する實酒造及び京都銀行の株式を先ほども申し上げましたように五十四年一月及び四月に全株売却をさせたわけでございます。その株数は實酒造が両医療法人合わせまして六百七十万株、京都銀行が六百四十万株弱ということでございます。で、これだけの数の株を処分することによりまして医療法人が取得いたしました金額は、先ほど申し上げましたように實酒造につきましては十六億円、京都銀行につきましては二十一億円と推定いたしておるわけでございます。
#98
○高杉廸忠君 先般の委員会で、医療法人が営利を目的として継続的に行う株式の売買とか買い占めは業務範囲の逸脱で医療法第四十二条違反であり、またそのグループで行うのも脱法行為であると、厚生大臣は私の質問に対してこう答弁をされております。その脱法行為というのは法律違反とどう関連をし、またどういう違いなり効果というものがあるのか、大臣どうでしょう、先日お答えをいただきましたから。
#99
○政府委員(田中明夫君) 医療法人の資金が当該法人の正当な支払い項目として財務諸表上処理されておりますけれども、その処理が虚偽の記載であると、したがって正当な支払い項目に記載された資金が流用されて関連会社の名義の株の買い占めが行われているというような事実が明らかになった場合には、医療法第四十二条に抵触するというふうに考えております。
#100
○高杉廸忠君 それは法律違反でしょう。脱法行為というのはどうなんですか。
#101
○政府委員(田中明夫君) したがいまして、いまのような事実がありますれば医療法第四十二条違反ということになるわけでございます。
#102
○高杉廸忠君 ここで法律違反と脱法行為の論争をしても時間をとるだけでありますから先に進めますが、いまの、名義を書きかえれば医療法第四十二条の違反は解消する、こういうようになるわけですね。現在違反事実が存在しなければ、それで事は足りるということになるわけですが、違反の事実行為は、じゃ一体脱法行為ということで、次に私は確認をしたいというのは、そういう違反の事実行為というのが出た場合はどういうふうになりますか。
#103
○政府委員(田中明夫君) 先ほど申しましたように、財務諸表上一応正当というようなふうに処理されておりましても、それが虚偽であって実際には正当な支払い項目に記載された資金が流用されて、関連グループに流れているというようなことが明らかになった場合には、医療法の第四十二条違反ということになるわけでございまして、そういうような事実が明らかになりました場合には指導をして正させる、あるいは医療法に基づく処分をするということになると思います。
#104
○高杉廸忠君 ことしに入ってから、十全会グループが朝日麦酒の買い占めをしていることが私どもの調査で明らかになっています。ちなみに、大臣聞いていてください、一月に九十二万株、二月に六十三万株、ずっと毎月五、六十万株ずつことしに入ってからもあるわけなんですね。ことしになってこれをトータルをいたしますと九百二十四万株十全会グループが新たに買っているんですね。そういうことは、おたくの方で解明といいますかつかんでおられるかどうか。
#105
○政府委員(田中明夫君) 先ほど来申し上げておりますように、私ども衛生部局が把握できます事実は、医療法人のいろいろやっていることでございまして、医療法人以外の関連の会社がやっておりますことにつきましては、調査をする権限はございませんので、残念ながら把握しておりません。
#106
○高杉廸忠君 それは医療法人であればできるわけですね。だから医療法人十全会の資金が流用されているとすれば、それは医療法に明らかに違反をする。そういう医療法人の流用資金、まあ恐らく考えられるのはかなりあると見られる。なぜなら株なり先ほどから話が出ている問題も多額な金で買い占められているということが、私どもは想像の域を脱しないと言えばそれでありますが、各マスコミでも明らかにされているわけであります。そういう法律違反だと、こういうことが明らかになる、そういう場合の処置ですね、これはどういうふうに考えられますか。
#107
○政府委員(田中明夫君) 先生がただいま御指摘になったように、医療法人が虚偽の財務上の処理をして関連の会社に資金を流し、そこの会社で株の買い占めが行われているということになりますれば、医療法違反ということになるわけでございまして、なかなかそういう財務関係のやりくりがうまいようで、現在のところ、その朝日麦酒その他の株を取得する金につきまして、医療法人との関連がまだ解明されておりませんが、現在鋭意捜査中でございます。
#108
○高杉廸忠君 いま申し上げているその十全会のグループの中心というのは、何といっても医療法人であります十全会と十全会精神科京都双岡病院の二つの医療法人であります。
 そこで伺いますが、それぞれの最近の年次別利益の金額はどのようになっているのか明らかにしていただきたいと存じます。
#109
○政府委員(田中明夫君) 最近五年間の税引き前の当期利益を申し上げますと、医療法人十全会につきましては、昭和五十年度八億八千六百万円、五十一年度十億六千百万円、五十二年度十一億三千三百万円、五十三年度二十億三百万円、五十四年度八億七千二百万円となっております。また医療法人十全会精神科京都双岡病院につきましては、五十年度八億一千八百万円、五十一年度十四億六千三百万円、五十二年度十八億二千八百万円、五十三年度二十七億一千六百万円、五十四年度二十億四百万円というような数字になっております。
#110
○高杉廸忠君 局長ね、いまの金額で五十年からずっと見て何か感じられませんか。五十三年にはこれは二十億でしょう。五十四年には八億ですね。ずっといままでのを見てみると特徴的に五十三年は大変なこう金額になっているんですが、どう感じられますか。
#111
○政府委員(田中明夫君) 御指摘のとおり五十三年度は他の年度に比べまして、
#112
○高杉廸忠君 倍です。
#113
○政府委員(田中明夫君) 十全会の場合には倍、双岡病院の場合にもかなり多額の利益を上げておるわけでございまして、何か医業以外の収入があったのではないかということを考えさせられる数字であろうかと存じております。
#114
○高杉廸忠君 決算報告について、一部報道によりますと、使途の不明金が数十億円あるとも言われています。それらの解明ですね、これは国税庁の方になろうと思いますけれども、どういうように進んでおられるのかまず一つ。
 これらのその虚偽の決算報告は、医療法人としての決算報告の提出義務に違反することになり、また同様の決算が税務当局にも出されているとすれば、これは法人税法違反となるのではないか、こういうふうに考えますけれども、いかがですか。
#115
○政府委員(田中明夫君) ちょっとその前に私の方から。医療法人の決算につきまして、現在京都府に指示いたしまして、私どもの方でもいろいろと調査を開始しておるところでございますが、その詳細につきましては、今後京都府が調査する上で支障を来すことになりますので、残念ながら答弁を控えさせていただきたいと存じます。
 なお、決算報告につきまして虚偽であるかどうかの事実につきましては、現在のところまだ把握しておりませんけれども、仮に虚偽の決算報告が行われたといたしますならば、当然正当な決算を届け出ることを義務づけております医療法第五十一条に違反するものと考えております。
#116
○政府委員(小幡俊介君) 十全会グループ並びに関係の法人につきましては、私どもといたしましては五十四年の二月から六月にかけまして相当深度のある調査を行いまして、適正な課税処理を了しているところでございます。その課税処理の中の一つ一つの具体的な項目につきます内容につきましては、御答弁申し上げることを差し控えさせていただきたいというふうに思う次第でございます。
 それから、虚偽の決算報告についてのお話でございますが、会社の決算、それが虚偽であるかどうかという問題と、もう一つ私どもの立場でいきますと、法人税の申告が、法人税法に照らして適正に行われているかどうかという、こういう問題二つあるわけでございますが、国税庁の立場でいきますと、会社そのものの決算が虚偽であるかどうかということはしばらく置きまして、法人税の申告が法人税法に照らして適正になされているかどうかということが、私どもの問題になるわけでございます。法人税の申告が場合によりますれば法人税法違反の問題というふうにもなるわけでございますが、それは個々のケースごとの状況によって決まってくるということになろうかと思うわけでございます。
#117
○高杉廸忠君 大臣、いまお聞きのように、これだけの事件を、私にすればまだまだほんの調査の入り口にかかっていると思うんです。具体的な事実の一つ一つについては何ら解明をされていない。
 私は、そこで大臣にこれからの御決意を伺うわけでありますが、先ほどいわゆる三者構成の連絡会議、これはまさに有効に機能すると思うんです。ぜひ三者共同してその解明に私は全力で当たっていただきたい、こう思いますが、大臣いかがでしょう。
#118
○国務大臣(園田直君) 私も当初から、各個ばらばらでやっていることはなかなかなまぬるくて脱法行為を容易にすると、逃げ道を与えるようなものだと考えておりましたので、このような例のない三省協議会を設置したわけであります。したがいまして、この協議会が機能を発揮しますよう、全力を挙げてそれぞれ事実の解明から入っていきたいと考えております。
#119
○高杉廸忠君 次に、別な観点から資金の動きを見ていきたいと思っているわけですけれども、十全会並びにこのグループの不動産売買に伴う資金の流れというものを把握しておられるかどうか、いかがですか。
#120
○政府委員(田中明夫君) 医療法人十全会及び医療法人十全会精神科京都双岡病院の会計に帰属いたします不動産の売買に伴う資金の流れにつきましては、現在、京都府を通じまして調査を命じておるところでございまして、まだその結果を得ておりません。
#121
○高杉廸忠君 少し対応が私は遅いと思うんですね。先日も私は本委員会で指摘をしたわけであります。これは、資金が株式投機に向かおうが不動産投機に向かおうが資金の役割りという機能としては同じなんです。株式投機と同様に、私は追跡しなければおかしいとこう思っているんです。私は、もし十全会あるいは十全会から出た資金が、本来の目的以外、不動産投機に向けられ売買をして利益を上げているとしたら、これも医療法違反になると思いますけれども、どうでしょう。
#122
○政府委員(田中明夫君) 御指摘のように、医療法人の資金によって不動産の投機が行われている場合には、株式の買い占めの場合と同様、医療法第四十二条違反となるというふうに考えております。
#123
○高杉廸忠君 京都府の方へ命じられたと言うけれども、不動産売買に伴う資金の流れ、それから取得の実態、金額が明らかにされなければならない。そうでしょう。こういうことこそ厚生省一省ではやり切れない、だから三省共同して解明すべき問題である、こういうように思うんですね。だから全貌を、国民の前に明らかにし得ることを私は厚生大臣に、国民にはっきりわかるように示していただきたい、こういうふうにお約束をいただきたいと思いますが、どうでしょう。
#124
○国務大臣(園田直君) 事実解明の上は、そういう方針でやっていきたいと考えております。
#125
○高杉廸忠君 いま申し上げましたような莫大な資金量を一医療法人あるいはそれを中心とするグループが動かせること自体、私ははなはだ不思議なことなんだと思っているんです。また、戦標すべきことでもあると思います。大臣、どういうようにお考えになりますか。これ全貌を、いままでのお話、お答えをお聞きになっていると思いますけれども、どう感じられますか。
#126
○国務大臣(園田直君) 私が当初、初めから計画的に脱法行為を考え、営利を考えやったこのような恐るべき事件はと申し上げたつもりでありますが、それはいま高杉委員がおっしゃったと同様の考え方を私も持っているわけでありまして、いやしくも国民の健康と生命を守るべき医療機関が、その国民と生命を守るという美名のもとに、計画的にいろいろな考えを行い、計画的に脱法行為を行うということは、これは非常にそのこと自体が恐ろしいことであります。この医療機関が莫大な資金を動かして、二十以上になんなんとするグループ、系列会社をつくって、そしてそれを巧みにこう回しながら事実を塗りつぶしていくということについては、これを黙って見ておるようでは法治国家と言えない、私はこのように考えます。
#127
○高杉廸忠君 次に、十全会における医療の実態について私は順次伺っていきたいと思うんですけれども、この医療機関については一方で治療、医療内容についても多くの疑問が提起をされているわけです。現在公訴中でありますが、去る九月大阪高裁の二審判決は、十全会の精神科病院における治療について、注射づけ、薬づけ、違法拘束、こういうことを認めて、大量の注射が健康保険の点数かせぎで、病院に不当な利益を得させるものである、こういうように裁判所は言っているわけなんですが、こういう実態を、行政はいままでどのように把握をし、今日までどういうような対応をされてきたのか。この実態を聞くたびに私は不思議に思うんですが、どういうような対応をされてきたのか、お聞かせをいただきたいと思うんです。
#128
○政府委員(大和田潔君) 実は私ども十月の三十日、三十一日と指導に伺ったわけでありますが、実は実態につきましては十分な把握ができないままにおるわけでございます。ごく最近の医療の実態、たとえばごく最近の医療費というものを見ましても、それはほかの病院とは、それほど多い医療費を使っておるわけではないというようなことしかわかりません。そういったことで、今後とも必要に応じまして指導、調査をいたしたいと思うわけでございますが、現段階におきまするところの医療の実態につきましては、まだ把握が不十分であるという段階でございます。
#129
○高杉廸忠君 まあ実態もつかんでないというようなのは私はきわめて遺憾なんです。第二審でも示されているように、違法の疑いがある治療がなされてきたが、患者への影響は必ずしも明らかにされてないこと、その実態もつかんでないということは、私はきわめて遺憾であります。数の上でもですね、患者の実態はある程度明らかにされましたけれども、その中で死亡者の数並びに実態が把握されていない。なぜつかめないんですか。私が把握をしている四十九年までの死亡率を見ますと、岡山県下の全精神病院と比較をしますと、その三倍にもなる驚くべき極端な結果になっているんです。こういう実態であります。どうなんですか。
#130
○政府委員(田中明夫君) 厚生省の正式の統計といたしましては、残念ながら十全会病院の患者の死亡率というのは明らかになっておりませんが、われわれが聞いておりますところでも、この病院の患者の死亡率というのは非常に高いというふうに聞いておるわけでございまして、またこの病院の患者は、非常に高齢者が多いということでございますので、そういう面でも、先生がいま言われたような普通の精神病院の数倍になるというようなことは考えられるわけでございます。ただ残念ながら、この病院のように高齢者を非常に多数収容している精神病院というのは、ほかには余り見当たらないものでございますので、そういう厳密な意味での比較ということはわれわれとしてはできないというようなわけでございます。
#131
○高杉廸忠君 五十年以降の死亡者数だけでもやっぱり示してもらいたいと思うんですね。
 それから、死亡者数と同時に、私は退院者数というのがもうかなりいるわけですから、その中からやはり自殺をされた方もかなりいるように感じられるんですよ。そういう数字との関連で、五十年以降の死亡の数ぐらいは私はつかんでもらいたいと思うんですね。資料を後日で結構ですから出していただきたい。お約束してください。
#132
○政府委員(田中明夫君) 京都府とも協力いたしまして、先生の御要望に沿うように、できるだけの努力をいたしたいと思います。
#133
○高杉廸忠君 それじゃお願いをいたしておきます。
 私の手元に十一月十五日付で病院の方から書面をいただいております。それにはこういうように記されているわけでありますから、ちょっと読んでみます。
  九月の高裁判決で十全会は負けましたが、赤木理事長は平気で、むしろ平素よりきげんがよいくらいです。医師は、「こんな治療が悪いのはわかり切っている。しかし、やめるわけにはいかない。」と言っており、点滴注射はいままでよりふえています。赤木理事長から、毎日二千名、日曜も祝日も入浴させるよう特別命令が出ています。これは水治機能訓練料をかせぐためです。このために、いやがる人も、酸素ベッドに入っている人も、無理やりに引っ張り出され、一列行列でふろおけの前に並ばされています。この仕事をさせられている精神病患者の人はへとへとになって自殺しました。自殺はしょっちゅうです。ベッド拘束は相変わらずで、動き回る人はすぐ縛られます。赤木理事長は、動ける人は退院させよと言っており、「まだ退院させていないのか。」とどなっています。
こういうように私のところへ手紙で来ております。この水治料という水づけ一分間一人五十点、三分間マッサージ料が八十点という話が伝えられております。こういう実態、これは把握をされておりますか。また、こういう行為が医療として点数請求というものができるのかどうか、私はちょっと不思議に思うわけでありますが、この点を明らかにしていただきたいと思います。
#134
○政府委員(大和田潔君) 御指摘のような実態につきましては私ども正確には把握しておりませんが、一般的に申しまして一分間一人五十点という、そのお話でございますけれども、そういった治療目的を達しない程度の短時間の治療というものは保険の請求を行うことは認められないというふうに考えておるわけであります。現在、診療報酬といたしましては、水中機能訓練、これは医師の直接の指導、監督のもとに行うことを条件にいたしまして一日につき五十点、それからマッサージにつきましては五ヵ所まで、一ヵ所につき十二点、これが算定されるということになっておるわけでございます。
#135
○高杉廸忠君 じゃ、いままでそういう請求が出て、どういうふうにされましたか、いままで請求されて。これは中身について一日に五十点と言われるのですけれども、私のところに訴えてくるのは水につけられるわけですね、水治料、これは一分間で五十点だというのは一人ですね。こういうようなことで請求が現実にいままでもあったわけでしょう、現実に請求がいままでも。請求の中身については何にも、何といいますか、監査といいますか、分析はしていない、こういうことなのですか。
#136
○政府委員(大和田潔君) どうも申しわけないんでありますけれども、結論はそうでございますが、やはり請求が十全会病院からの診療報酬請求、これは支払基金に参るわけでありますが、その支払基金の審査の状況につきましては、いまのところ、まだ実は把握しておりませんので、先生の御質問につきまして十分なお答えができないわけでございますが、審査の過程において異常の点が認められたかどうかということにつきましては、早急に調査をいたしたいというふうに考えております。
#137
○高杉廸忠君 これもお願いでありますが、後日で結構であります。調査をされた結果をひとつ資料で御報告をいただきたい。お願いをしておきます。
 それから精神病の入院患者一人当たり月平均医療費全国平均でどの程度となっているのか、これが一つ。
 また、十全会系統の三病院の患者の精神科医療費はどの程度になっているのか。これをひとつ示していただきたいと思うんです。
#138
○政府委員(大和田潔君) これは政管健保の通常の外来の精神病患者に対する健康保険の点数、これは一日当たり甲表で三百七十四・七点、乙表で三百六十一・七点というふうになっておるわけでございます。
#139
○高杉廸忠君 十全会は。
#140
○政府委員(大和田潔君) 十全会につきましては、ちょっといま把握をしておらないわけであります。
#141
○高杉廸忠君 これもひとつ資料で。私はやっぱり三病院の患者の医療費程度は出ると思うんですよね。だから、ひとつ資料で後でいただきたいと思うのです。お願いしておきます。
 それならば、現在の十全会系三病院の常勤の医師の数、それから看護婦の数、それに対する必要数、これはベッドとの関係であります。充足率、これはどの程度になっているのか。また調査方法等はどういうように行っているのか、三病院同時に行ったことがあるのかどうか、これもあわせて伺っておきます。
#142
○政府委員(田中明夫君) 十全会系の三病院に対しましては、厚生省の指示に基づきまして今月の十七日から二十日にかけて京都府が医師あるいは看護婦等の配置状況を中心に立ち入り検査を行ったところでございます。この調査の方法は、医師、看護婦全員につきまして免許証の提示を求めて有資格者であることの確認を行うと同時に、これらの者の勤務の状況について、タイムレコードにより把握する等、調査の厳正を期したところでございます。残念ながら調査員の数に制限がございまして、三病院同時に行うということはできませんでございました。
 この調査の結果によりますと、三病院の医師数、看護婦数並びにその必要数、充足状況は、東山高原サナトリウムにつきましては医師の必要数が三十八人のところ、実際に配置されている数が三十二人ということで、六名不足、充足率が八四%。京都双岡病院は必要数が四十七名のところ、実際に配置されている数が四十四名、三名不足、充足率が九四%。ピネル病院だけが必要数十四名のところ十六名配置されておりまして、二名超過ということで、充足率が一一四%ということになっております。また看護婦につきましては、東山高原サナトリウムは必要数二百二十名のところ、実際に配置されている数が百八十二名、三十八名の不足、充足率が八三%。京都双岡病院につきましては必要数三百九名のところ、実際に配置されております数は二百四十四名ということで、六十五名の不足、充足率七九%。またピネル病院につきましても必要数八十六名のところ、実際に配置されております数は六十七名ということで、十九名の不足、充足率は七八%というふうになっております。
 前回の医療監視、すなわち昨年の十二月からことしの一月にかけて行いました医療監視につきましては、三病院合計の医師数は十二名余裕があったわけでございますが、先ほども申しましたような今回の厳正な調査によりまして七名不足しているということがわかりましたし、また看護婦数につきましては前回は十七名不足ということでございましたが、今回の調査によりまして百二十二名の大幅な不足ということが判明いたしました。
#143
○高杉廸忠君 充足率についてもまあ八〇%前後になってますね。監視についていまお話がありましたが、昨年まあ監視をされたと。私が本委員会で先日質問しましてから、監視というのはいつ行ったんでしょうか、それひとつ伺っておきたいと思います。
 先般、質問のときに入院患者数が病院床を上回っているというのを指摘いたしましたね。厚生省からいただいた資料ではそれが改善されたことになっているんですね。したがって、その監視の実態について私のところへ来ました直訴状を後でまたこれも御披露をしたいと思うんですが、まずいまの監視とその経過について、ちょっと教えていただきたいと思うんです。
#144
○政府委員(田中明夫君) 先ほど申しましたように、京都府に指示いたしまして、今月の十七日から二十日にかけましてやったわけでございます。具体的には、双岡病院及びピネル病院につきましては十七、十八の両日、東山高原サナトリウムにつきましては一千日に医療監視を行いまして、先ほど申し上げましたような医療関係の従事者の数を把握いたしたわけでございます。
 なお、病床の利用率につきましては、今回の調査によりますと、東山高原サナトリウムでは九九・六%、京都双岡病院では一〇八・五%、ピネル病院では九九・二%ということになっておりまして、先日先生に御報告いたしました数字に比較いたしまして、いずれも改善されておるわけでございますが、また実際にことしの一月の後、病棟の新設等もあったわけでございますけれど、伝えられているような、何か医療監視に行きますと患者を隠すというようなことが事実だといたしますと、この調査では実態が把握できなかったということもあろうかと思います。
#145
○高杉廸忠君 いま局長が言われたように、私のところの手紙にはこういうふうに書いてあるのですよ。これもちょっと読んでみますと
  十月に監査がありましたが、その前から院内は大騒ぎです。空きベッドができだし、ベッドは屋上に運んで隠されました。その一方で、平素は全然使っていないデラックスな部屋にベッドが運び込まれました。職員は他の病院からも駆り出されました。監査が済んだ途端にベッドがまた運び込まれ、部屋は患者でいっぱいになっています。こんな監査では役に立ちません。
 こういうふうに私に訴えているわけです。残念ですが、私はこれが実態だろうと思います。こういう監視をしても、こういうことの事実の実態がつかめない。これは非常に残念なんですが、今後の監視、こういうものはどういうふうに進められますか、この際きちっとしてお答えをいただきたいと思うのです。
#146
○政府委員(田中明夫君) 先ほど従業者の数につきましては、先生に御報告いたしましたような調査方法によりまして、従来の医療監視ではわからなかったような従業者の不足という実態が判明したわけでございまして、患者につきましては、残念ながらそういうような有効な手段がとれなかったおそれもあるわけでございまして、この病院の場合、やはりわれわれがといいますか、京都府とわれわれがいろいろ相談いたしまして、どういうような有効な方法をとって事実をつかんでいくかということにつきまして、今後綿密なる計画を立ててやってまいりたいと思いますが、実際にどうやるかということはちょっと現在のところまだ案が立っておりませんし、またそれを公表いたしますと、それの対策を講ぜられるというようなこともございますので、できる限りの努力をいたしまして真相を究明してまいりたいというふうに思っております。
#147
○高杉廸忠君 大臣、お聞きのように、従来の監視、調査というのは全く機能してこなかったと思って、私はつくづく残念に思うのです。実効のない調査や監査、指導が今日までの私は行政の対応ではなかったのか、こういうふうに感じられるのです。
 そこで、いま私も読み上げましたとおりに、このことは昭和四十年代の初めからのうわさでもあるし、巷間伝えられているような実態が言われていたんですね。なぜ今日まで行政の手で解明ができなかったのか。そういううわさなりマスコミを通じていままでもかなり騒がれておりました。一体いままでどうして対応、改善がなされなかったか非常に残念だ、それは。その点は大臣、どういうようにお感じになりますか。いままでの御答弁を聞いても、対応としては監視をやってきたけれど、実態すらつかめない。こういうようなことが今日までの行政の対応だったのですね、非常に残念なんです。どうですか大臣。
#148
○国務大臣(園田直君) 一般の医療機関に対する指導、監査という問題から考えましても、これでいいかどうか疑問を持つわけでありますが、特にいま御質問の問題は、これは相当前から評判になっているところでございます。私が就任してからすぐ、これを具体的に指示したところであります。それがなお、いまのようなことでやってもわからないと、こうなると、いままでどおりにやっておったんではだめだと、こういうことになりますので、急襲的に監査をやるか、あるいは移動的な監査班をつくるか、現行制度の中でももっとやるべきことはあるんじゃないかと、こう思うわけでありますが、具体的に一つ一つを解明をして、これに対する対応策を講じてまいります。
#149
○高杉廸忠君 大臣ね、私は、具体的にここでひとつ問題を提起いたしたいと思うんです。現行の医療法第六十三条では、都道府県知事の医療法人に対する権限としては、まあ法人の業務または会計の状況に関する報告徴収権のみしか認められておりません。このようなことでは十全会の資金の流れを徹底的に解明することは困難であると思えるんです。私は、この際医療法を改正をして、都道府県知事に医療法人に対する立入調査権及び関係書類の押収権を与えるなど、思い切って監督権限の強化を図るべきであると考えますが、大臣、この際御決意はありませんか。
#150
○国務大臣(園田直君) 医療法人に対する監督権限の強化、これは先ほどから申し上げますとおり、できるならば私は各医療機関、医師の良心に従ってやりたいと思うものでありますけれども、今日のようにモラルがなくなり各所に事件が起これば、この監督権を強化をし、医療法を改正するなどもまじめに検討しなければやむを得ない状態になってきたと考えます。
#151
○高杉廸忠君 ぜひ、私がいま提起をいたしました医療法改正についても、ひとつ前向きに決断をいただきたいと思います。大臣、決断をいただきたいと思いますが、再度いかがでしょう。
#152
○国務大臣(園田直君) 御意見は十分拝承しまして、具体的に検討をいたします。
#153
○高杉廸忠君 さらに続けさしていただきますけれども、何ゆえに、いままで申し上げましたような異常な医療がなされてきた、それにもかかわらず診療報酬の請求が審査段階でチェックをされずに無事に通ってきたといいましょうか、そういうことに対しての問題点と、従来の行政の対応が、十全会における治療の不当を私は隠蔽してきたところにあるのではないかと、こういうふうに思うんですけれども、いかがですか。
#154
○政府委員(大和田潔君) 基金におきましてこれがチェックできなかったという御指摘であります。これにつきましては、実は支払基金におきまする医療費のチェックというのはなかなかむずかしいんでありますが、しかし、むずかしいからできないということではどうも通らないと。私どもといたしましては支払基金の審査体制の充実、そういったものを通じまして、御趣旨のような線で前向きに努力をしていきたいというふうに考えるわけでございます。
#155
○高杉廸忠君 このまあ隠蔽を可能にしてきたことに、考えられることは、患者に対する面会、通信の自由等、精神衛生法第三十八条による「行動の制限」の名のもとにこれらを奪ってきたことにも、まあ私は起因しているのではないかと、こう思うんです。その権利を具体的に具体化するための措置等をこの際とるべきではないかと、こういうふうに考えますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
#156
○政府委員(大谷藤郎君) 精神衛生法の三十八条では、精神障害治療の特殊性にかんがみまして、入院患者につきまして、「医療又は保護に欠くことのできない限度」におきまして行動制限を加えるということを認めているわけでございます。しかし、その行動制限の具体的なあり方というものは、患者の病状によりまして精神医療という観点から、医師によって個別的に判断が下されるべきものであると考えております。しかし先生御指摘の、たとえば通信の自由の問題につきましては、これは憲法で信書の検閲を禁じているという趣旨にかんがみまして、従来とも厚生省ではこれは「行動の制限」に当たらないという見解をとっておりまして、そういう指導をいたしているところでございます。
 また面会につきましては、これも個別の医師の判断によるものではございますけれども、限られた場面に限ってこれは認められるべきものであって、一般的には軽率にこれを行うべきものではないというふうに考えておりまして、厚生省といたしましては、研修会あるいは鑑定医の協議会等の機会を通じまして、できる限りこの「行動の制限」を加えることについて慎重に取り扱うよう指導しているところでございます。
#157
○高杉廸忠君 過去のカルテとレセプトの突き合わせだとか、高額請求の内容の解明など、今後私は実施をしていく必要があると考えるのですけれども、そういうことについてはどうお考えになりますか。
#158
○政府委員(大和田潔君) 先ほど御指摘いただきましたように、現在までのところ十分な突き合わせ等は行えない状況でございますが、今後必要に応じまして、十全会系の三病院につきまして個別指導を実施することにいたしたいと思いますし、その際は、御指摘の点につきましても十分配慮いたしましてやってまいりたいと、このように考えております。
#159
○高杉廸忠君 まあ従来のその保険審査体制のもとでは、必ずしも十分な対応がなされてきていない、これはお答えをいただいたとおりでありますけれども、したがって、今後より強力な体制が必要であると、こういうふうに思います。
 そこで、大臣直轄のもとに移動Gメンとも言うべき遊軍を持ちながら、臨機応変な対応ができるようにすべきだと私は考えるのですけれども、こういう考え方についてはどうでしょう。
#160
○国務大臣(園田直君) 機に適し、時宜に適してあるいは移動し、あるいは急襲的に目標を選んでやることが必要になってきたと考えております。
#161
○高杉廸忠君 ぜひそういうこともあわせ、積極的なお取り組みをいただきたい、これもお願いをいたしておきます。
 さらに進めさしていただきますが、十全会系の病院、これは精神衛生法による「指定病院」、これを返上したということを聞いておりますけれども、この返上した経緯ですね。またそのことによって、精神衛生法上の適用上の何らかの相違があるのかどうか、この点ですね。
 それから、指定病院ではないことによる行政上の立ち入りの調査、監視などが実施しがたくなると、こういうふうに考えられるんですけれども、この関連との問題についていかがですか。
#162
○政府委員(大谷藤郎君) 十全会三病院のうち、京都双岡病院につきましては四十九年十二月十六日、それから東山高原サナトリウム及びピネル病院につきましては昭和五十年の一月三十一日に指定病院の指定が解除をされております。その理由は、各病院から指定を返上するという意向を示しまして、精神衛生法第五条では、設置者の同意がない場合は指定をいたさないということになっておりまして、それによりまして指定を解除したものでございます。
 先生御指摘の指定病院と非指定病院についてどう違うか。指定病院と申しますのは、自傷、他害のおそれのある精神障害者を都道府県知事の権限によりまして強制入院させる病院でございまして、非指定病院は、それをやらない病院というわけでございます。したがいまして、措置入院に伴います諸権限というもので、指定病院と非指定病院の違いがあるわけでございますけれども、入院の場合には指定病院と非指定病院の差がございますけれども、退院につきましても当然両方とも精神病院の管理者がいたすわけでございますが、これにつきましての精神衛生鑑定医の審査につきましては、非指定病院につきましても、同意入院患者につきましてはこれを実施することができるとされております。
#163
○高杉廸忠君 いままで私は指摘をしてきたように、違法の疑いのある医療の実態、人権じゅうりんが現在も行われている、こういうふうに思っているんです。この実態を明らかにして解明していくことこそ現在必要なことだ、こういうふうに思うんです。
 私の手元に先ほど読み上げました手紙、直訴状のほかここにも用意いたしましたけれども、たくさんの厚生大臣あてのものがあります。後で厚生大臣にお渡しをいたしますから、十分ひとつ読んでいただきたい。非常な訴えでありますが、この十全会をめぐる問題というのは一つの例にすぎないと思うんです。このような実態が解消され、解明されてこそ初めて健康保険でも新たな負担増をお願いできるというものではないだろうか、こういうふうに思うんです。大臣いかがですか。
#164
○国務大臣(園田直君) お手紙後で詳細拝見をして、事実解明の手がかりと有力な参考にしたいと考えております。いろいろまたその後のことについても、御意見のとおりに検討してまいるつもりでございます。
#165
○高杉廸忠君 続けてわが国の精神医療の施策の転換等についてお尋ねをしていきたいと思うんですが、いままで議論をしてまいりましたことは、何も十全会だけの問題としてとらえるものではないんです。わが国医療行政として、特に精神科医療行政と精神衛生法のおくれ、貧困を示したものである、こういうふうに思うんです。
 こういう点からさらに私は若干の問題として本委員会でただしていきたいと思うんですけれども、現在精神科の病床数はどの程度になっておりますか。また、二十年前の昭和三十五年当時はどの程度ありましたか、ベッド数ですね、まず伺っておきます。
#166
○政府委員(大谷藤郎君) 昭和五十四年末で三十万八百十八床の精神病床がございます。二十年前の三十五年当時では九万五千六十七床、約三倍の増加をいたしております。
#167
○高杉廸忠君 いま示されましたように、昭和三十五年当時の九万ですね、今日の約三十万床、三倍にも増加している、三倍以上ですね。増加した原因というのはどこにあると考えられるんですか。
#168
○政府委員(大谷藤郎君) これは患者の治療が行き渡ってまいりましたことと、いわゆる社会保障によります公費負担を初め、社会保障の費用が充実してまいりまして入院ができやすくなった、こういうふうな両方との要因からベッド数が増加したというふうに考えております。
#169
○高杉廸忠君 ヨーロッパ先進諸国、アメリカ等の人口当たり病床数、これはどの程度になっておりますか。
#170
○政府委員(大谷藤郎君) ヨーロッパでも国によって多少違いますが、たとえばデンマークが人口一万人対病床数が二十一・一、オランダが十九・二でございますが、フィンランドは五十二・三、スウェーデンでは四十・五、先生御指摘のアメリカでは若干少のうございまして、十二・八、こういうふうになっているわけでございます。
#171
○高杉廸忠君 私は昭和三十五年当時の病床数が今日の諸外国の病床数、こういうふうに思われるんです。わが国の今日の病床数は二十年前の欧米の姿ではないだろうか、こういうふうに考えられるんです。二十年前から諸外国は精神医療について入院治療に対し深い反省に立って病床数の半減政策がとられてきたと、こういうふうに思われるんですが、この点はどのようにお考えになっていますか。
#172
○政府委員(大谷藤郎君) 先生御指摘のように、欧米におきましてはできる限り地域精神衛生対策をもって精神衛生をやっていこうということで、入院患者を減らして、デーケアその他の社会復帰の諸施設を地域で完備していくことによって、精神衛生を普及していこうという姿勢に立っております。
#173
○高杉廸忠君 わが国では、高度成長の過程で都市化の波、核家族化の傾向、これらの人を地域社会が受け入れていくことを困難にさせてきた、こういうふうに考えられる、こういった現象も、私は高度成長過程がもたらしたひずみの一つではないだろうか、こういうふうに思うんです。この点はどういうふうにお考えになっていますか。
#174
○政府委員(大谷藤郎君) 精神障害の範囲につきましては、異常と正常が画然と分かれるものではありませんで、その間に長い移行の部分があるわけでございますが、地域社会が、できる限り精神障害者を受けとめていくという姿勢は、従来学者からも、これはむしろ都市化の社会よりはいわゆる古い農村的な社会の方が精神障害者を受け入れやすいということが言われております。
 しかし、この問題につきましては、これは欧米ともわが国と同じように非常に困難に直面しているわけでございまして、こういった都市化の中でも、できる限り地域社会に精神障害者を適応させるという政策をもって進んでいかなければならないというふうに考えているわけでございます。
#175
○高杉廸忠君 わが国においても、精神科医療のおくれを取り戻すべく大転換を図らなければならないときにきているのではないか、こういうふうに思うんです。そのためには、医療面では通院による医療保障の確保、それから訪問看護体制の充実が前提の条件として必要であると思うんです。また生活の面では、共同住宅の確保、所得保障のための雇用に対する配慮等がどうしても必要でありますが、この医療面、生活面でどのように施策を進めていこうとされているのか、明らかにしていただきたい、こう思うんです。
#176
○政府委員(大谷藤郎君) 精神障害者の将来対策については、全く先生御指摘のとおりでございまして、昭和四十年に精神衛生法を改正いたしまして、保健所に初めて地域における精神衛生相談を実施する精神衛生相談員を設置し、地域社会における精神衛生センター的な役割りを担わそうということで発足いたしました。その後、そういった精神衛生相談員あるいは保健所の医師等による訪問体制というものも順次充実しようとして努力してきたところでございます。
 また最近では、社会復帰の施設といたしまして、精神病院だけではなく、精神障害回復者社会復帰施設等のいわゆる社会適応を促進する施設を設置いたしまして、これの普及を図っていこうとしているわけでございます。
 また今年度では、いわゆる精神障害者をできる限り地域社会に復帰させるという目的で、職親制度というものを検討いたそうということで、検討の委員会を設置いたしまして、関係者の方々から意見をいただいているわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、そういった方向については明らかでございますけれども、何分いろいろな事情でその発展が若干スムーズに進んでおりませんことはまことに残念なことでございますが、私どもとしては、来年の国際障害者年もにらみまして、できる限りこれの充実に努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#177
○高杉廸忠君 現在、通常、外来の患者に対する健康保険による点数、これはどの程度になっておりますか、再診料とか調剤技術基本料とか、こう幾つかあると思うんですけれども、点数ですね。
#178
○政府委員(大和田潔君) 外来の、これは一日当たり平均、ちょっと先ほども御答弁いたしましたが、一日当たりは、甲表で三百七十四・七点、三百七十五点でございますね、乙表で三百六十一・七点、三百六十二点でございます。これが一日当たりの平均点数と、こういうことでございます。
#179
○高杉廸忠君 精神科のカウンセリングそれから慢性疾患指導料、これは三十分から一時間、これは必要だと思うんですが、この点数というのはどうなんですか。
#180
○政府委員(大和田潔君) 精神科通院カウンセリング、これが百十点、それから精神療法、これが六十点、標準型精神分析療法百二十点、それから精神病特殊療法、これは発熱とか衝撃療法、これは一日につき三十点ということでございます。それから精神科デーケア、これが百点、こういうぐあいになっております。
#181
○高杉廸忠君 局長、いま言われました各点数を聞いていますと、この点数ではとても外来での医業というのは成り立っていかないように思うんですね。少なくとも現在の二倍ないし三倍程度は必要ではないだろうかと、こういうふうに思うんですが、現在の点数は妥当だと思っておられるのか、どういうふうにこれをお考えになっておるのかお聞かせをいただきたいと思います。
#182
○政府委員(大和田潔君) 実は、個々の診療行為の点数につきましては、今後、診療報酬改定の際に、中医協の御審議を踏まえて検討をしていくべきものと思うわけでございますが、御承知のとおり、診療報酬点数につきましては、病院経営、これが成り立っていくように、そういうような観点から診療報酬が決められている観点が多いわけでございますが、それを見ますと、実はこれは先生のおっしゃることに対して必ずしもその方向のお答えになるかどうかわかりませんが、確かに精神病院につきましては、入院が非常に多いと、外来が非常に少ないわけでございますが、この外来収入の割合が医業収入に比しまして七・三%低くなっておるわけでありますが、実は精神病院の収支状況は非常によろしいわけでございます。これは五十一年の医療経済実態調査の結果によりますと、精神病院の収支状況は一般病院、結核病院と比較いたしまして、かなり良好というような状態になっておるわけでございます。それは先ほど申しましたように、外来収入の割合が低いという、入院が非常に多いというようなことで精神病院のあれは成り立っておる、医療機関の採算が成り立っておるということによるものとも思いますけれども、精神病院につきまする点数につきましては、まあ妥当、適正なところをいっておると、あとは先ほどのように、個々の診療行為の点数につきましては、外来につきましてどういう点数にするかということにつきましては、診療報酬改定の際に中医協の御意見を十分踏まえながら対処していくというようなことを考えてまいりたいと、かように思っておるわけであります。
#183
○高杉廸忠君 まあ、これは外来の点でやっぱり十分な配慮をする必要があると思うんです。それから同時に、その入院患者を減少させるためには、通院の医療機関を整備していくことがどうしても必要でありますね。そのためには、総合病院に精神神経科を必置することがどうしても必要だろうと、こう考えるんですが、そういった指導を今後なされる用意があるのかどうか、この際伺っておきます。
#184
○政府委員(大谷藤郎君) 精神障害者の通院医療機関の整備を図るということは確かに重要なことでございまして、今後とも関係の審議会に御意見を伺いまして、できる限りそういった方向で検討してまいりたいと思います。
#185
○高杉廸忠君 まあ、いずれにしましても、わが国においては、生活面、医療面の両面にわたって従来の施策をやっぱり大転換する、そういう時期ではないだろうか。精神科病床の半減政策とも言うべき施策をやはり大胆に進めていくべきだと私は思うんです。大臣お聞きになっていたでしょうから、その点はいかが御所見を持っておられるのか。今後の精神衛生行政の課題として、私はぜひともこの際そういう方向を進めていくべきだと考えます。いかがですか。
#186
○国務大臣(園田直君) 医療行政でいろいろ問題が起こっておりますが、その行政の中でもやはりそれぞれの科目で、たとえば産科は分娩費と異常分娩費との差額等が一つの問題になっておりますが、特に精神衛生は非常にむずかしく、また問題が複雑であると考えております。日本では病院がほとんど民間経営が主でありますけれども、相手に重い、軽いの差はありますけれども、収容される患者は判断力の低い方であります。そういう方々の日々の食事費、入院費、こういうものから上前をはねておるんじゃないかなどという地域の評判もありまするし、それから治療についてもいろいろ問題があるわけであります。やはり精神衛生対策は地域の精神衛生対策が重点になり、社会復帰、地域の人々、そうして病院の治療。病院の治療はやはり何といっても営利と全く無関係に、こういう方々のお世話をできる国立または公立が一番適当であると考えますが、急激にはそれもできませんので、いまおっしゃいました総合病院あるいは国立、公立の病院に精神科を設けるなどという思い切った変革をいたさなければ、精神病院病棟に対するいろいろな事件は後を絶たないのではないか。いまは十全会の問題でありますが、これ以外にもやっぱりそういう問題が多数あるのではないかと非常に心配をし、落ちついた気持ちになれないわけでありまして、いまおっしゃったような方向に切りかえていく時期に来たと思っております。
#187
○高杉廸忠君 ぜひ、大臣がそういう御決意で進まれることを望んでおきます。
 それと同時にわが国の、これは当局で結構でありますが、精神科の病院というのは民間依存で、先進諸外国とはまさに国公立対私立の割合が逆になっているんですね。で、そういう際におけるそれならば国立、公立病院の役割りというのはどういうように位置づけていくのか、こういうこともちょっとあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
#188
○政府委員(大谷藤郎君) 国公立医療機関におきます精神科は、精神医療の分野の中で取り扱い困難あるいは先駆的、不採算といった分野についての精神医療を行うということが私どもの考えている役割りでございます。すでに現在たとえば武蔵におきます神経センターでありますとか、あるいは久里浜におけるアルコール中毒センター、あるいは静岡におきますてんかんセンターと、こういった特殊な分野で精神科医療を先駆的に行うという考え方で取り組んでおりますが、今後ともそのような方向で努力してまいりたいと思う次第でございます。
#189
○高杉廸忠君 大臣、重ねてですね、まあ大体本件についてはだんだん終わりに近づいてきておりますので、大臣が就任早々医療機関の総点検を指示されまして国立医療機関の充足をしていく、こういうような御決意もありますし、それから、定員についてもできるだけ増員を図りながらというようなことも含め、また精神の前向きなそういうような取り組みについてのお話がありました。したがって、そういうようなことを含めまして、国立医療機関の充足を含めて、まあ総定員法の枠外に置くとか、そういう充足についての何か工夫をしてみる必要があるだろうと、こういうふうに思うんですが、大臣いかがでしょうか。
#190
○国務大臣(園田直君) 御質問の趣旨と少し変わると思いますが、私は、国立病院、公立病院の使命がだんだんはっきり現実から浮き彫りにされてきたと、こう考えております。いままでは国立、公立の病院と一般病院は同じような性格であったのが、今後は、一般病院ではなかなか片のつかない慢性、長期の病気、あるいは一般病院ではやれないいろいろな高級機械を要するもの、あるいはプロジェクトチームをつくって治療するもの、こういうものが国立、公立であって、一般の病院、一般の個人開業のお医者さんの扱うことを国立や公立が余り扱うべきではない、非常に大まかな区別でありますが、そういう方向で国立、公立の位置づけをやっていかなきゃならぬ、こう思います。
 定員については、私自身が非常に問題を感じておるところでありまして、国会が終わればすぐ予算折衝に当たるわけでありますが、その重点の中に、いまおっしゃいました厚生省の抱えておる定員の矛盾、これをどう少しでも解決していくかという検討をきのう命じたところでございます。
#191
○高杉廸忠君 精神関係について最後に大臣にお答えをいただくようにお願いをし、質問をいたしたいと思うんですけれども、精神障害者対策と保安処分についてであります。
 奥野法務大臣の発言を機に、刑法改正に保安処分を絡ませて、精神障害者対策を治安維持とか社会防衛の見地からのみ律しようとした動きが出ております。これこそまさに時代に逆行するものであります。そもそも精神障害者の問題というものはすぐれて医療、福祉の問題であると私は理解をいたしております。厚生大臣の立場からこの問題に対する御見解を承り、このことによってこの問題に関する質問をこの程度にとどめたい、このように思います。
#192
○国務大臣(園田直君) 多発する犯罪、ごく最近は新宿のバスの焼き討ち事件など恐るべき事件が起こっております。こういう事件について厚生省としては、今後とも精神衛生法の趣旨にのっとり、精神障害者に対応する医療と保護及び適正な社会復帰に重点を置いた政策の充実に努めていく所存でありますけれども、一方また、刑法改正の問題として現在論議されておりまする保安処分というものは、間違えますと、かつての予備拘束であるとか、あるいは一定のことに対する拘禁ということに使われるおそれもあることであります。しかしながら、一方また、犯罪のおそれのある精神病患者を野放しにしておくことは大変でありますから、そういう両方の意味から、精神障害者の再犯防止という点に重点を置いて、そして障害者の適正な医療の確保、解決すべき点等考えながら、関係省とよく緊密に連絡をしていきたいと考えております。
#193
○高杉廸忠君 私は、この際、健康保険法の改正案に対する質疑を続行さしていただきたいと思います。
 私は、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、これらを代表いたしまして、本法案に対する確認の意味を含めまして、さらに各党の、あるいはまた、本委員会における審議に際して各委員からの要望も踏まえまして、確認の意味を含めて御質問をしてまいりたい一このように思っております。
 まず第一に、各委員から本法審議に際して要望もあり、指摘もありました富士見産婦人科病院あるいはまた本日私が指摘をいたしました十全会、これらの問題について完全に解明すべきである、このように考えております。大臣いかがですか。
#194
○国務大臣(園田直君) 両方の事件はきわめて当面の重大な事件であり、かつまた各委員からそれぞれ的確な御意見や有力なる御参考意見も承っておりますから、厚生省としては最善の努力をしてこの解明をいたします。
#195
○高杉廸忠君 次に、保健所運営費補助金の交付税回しについての厚生省の見解、いかがですか。
#196
○国務大臣(園田直君) 保健所の運営費補助金の交付税回しについては、現行の補助制度が長い期間定着しておる現状を踏まえ、今後の保健所のあり方ともあわせ慎重に検討する必要がありますが、厚生省としては現状を維持したいと考えております。
#197
○高杉廸忠君 次に、結核公費負担医療の存続について確認をいたします。
#198
○国務大臣(園田直君) 結核は下火になったと申しながら、手を緩めるとまた燃え盛るおそれのあることは御承知のとおりであります。したがいまして、いまなお最大の伝染病でありますので、厚生省としては結核の公費負担医療制度は引き続き存続させる必要があると考え、そのようにいたします。
#199
○高杉廸忠君 次に、リハビリテーションの強化について伺います。確認をいたしたいと思います。
 PT、OTの各種評価を点数化し、両療法の併用を認める、全体として一・五倍から二倍の水準に診療報酬点数を引き上げる、このことについて確認をいたしたいと思います。
#200
○政府委員(大和田潔君) 身体障害運動療法及び身体障害者作業療法につきましては、御指摘の趣旨を踏まえまして各種評価等を含め、学会等の御意見も伺いまして、中医協で御審議の上、その点数についてできる限り配慮をいたしたいと思います。また、身体障害運動療法と身体障害者作業療法の併用の問題につきましては、併用によりその効果が十分期待されるものにつきましては、併用を認めていきたいと存じます。
#201
○高杉廸忠君 リハビリテーションの強化を図るため、計画的にOT、PTを養成し、その増員を図るべきである、このように思いますが、いかがですか。
#202
○政府委員(田中明夫君) OT、PTの養成につきましては、御指摘のとおり努力してまいりたいと存じております。
#203
○高杉廸忠君 OT、PTの養成に当たっては、質の向上を重視して行うべきであると考えますが、いかがですか。
#204
○政府委員(田中明夫君) OT、PTの質の向上につきましては、その方向で努力してまいりたいと存じております。
#205
○高杉廸忠君 STの身分法を確立すべきである、またその質の向上を図るべきであると思いますが、確認をいたします。
#206
○政府委員(田中明夫君) STの身分法の制定につきましては、前向きに検討いたしたいと存じております。
 また、STの養成に当たりましては、質の向上を重視してまいりたいと存じております。
#207
○高杉廸忠君 次に、国立病院等の総定員法についてであります。国立病院・国立療養所、年金業務を扱う職員は総定員法の枠外とすべきであると考えますが、確認をいたします。
#208
○国務大臣(園田直君) 総定員法の枠外とすることはなかなか困難ではありますが、これらの職員の増員には最善の努力をしてまいりたいと考えます。
#209
○高杉廸忠君 次に、退職者継続医療制度について確認をいたしたいと思います。
 数年来の検討事項であります退職者継続医療制度は、次の通常国会に老人保健医療制度の創設とあわせて提案をすべきであると考えますが、確認をいたします。
#210
○国務大臣(園田直君) 退職者医療の問題についてはまだ結論を得るに至っておりませんが、数年来の検討事項でありますので、早急に検討を終え、成案を得るようにいたします。
#211
○高杉廸忠君 次に、五人未満事業所の適用について確認をいたします。
 五人未満事業所に対して健康保険を全面的に適用すべきではないか、こう思いますが、確認をいたします。
#212
○国務大臣(園田直君) 五人未満の事業所に対する全面適用については、法改正を必要といたしますが、実施に向けて準備に着手することといたします。
#213
○高杉廸忠君 次に、保健婦の増員について確認をいたします。
 保健所及び市町村の保健婦について、年次計画を策定をして飛躍的に増員すべきではないかと、このように考えますが、確認をいたします。
#214
○国務大臣(園田直君) 保健婦の増員については、従来から努力しているところでありますが、今後とも年次的に保健需要の増大に対応できるよう一層努力いたします。
#215
○高杉廸忠君 次に、健保組合間の財政調整等について確認をいたします。
 健保組合間の財政調整について、財源を拠出する被保険者、事業主が中心になって健保連が所要の調整をして行うべきであると思うがどうか。政令で定めるからといって政府が一方的に指示したり強制したりすべきではない。
 また、健保組合の設立を差しとめることは違法の疑いがあり、速やかに認可を行うべきである。確認をいたします。
#216
○国務大臣(園田直君) 健保組合間の財政調整については、被保険者及び事業主が拠出する財源を原資とするものであることに留意をし、健保組合の自主性を損なうことのないように十分配慮するとともに、政令を定めるに当たっては実施主体である健保連などと十分協議を行うことといたします。
 健保組合の設立について差しとめることは、お説のとおりでありますから、認可すべきものは速やかに認可したいと存じます。
#217
○高杉廸忠君 次に、船員保険の国庫補助を定率化していない理由について確認をいたします。
 船員保険における国庫負担については、定額十五億円としていて定率化としていない。その理由、それは何か。
#218
○政府委員(大和田潔君) 従来、船員保険の疾病部門の財政状況は、政管健保等に比べまして低い保険料水準で健全な運営が行われておりましたため、国庫補助につきましても政管健保等とは違った扱いがなされてきたものでございます。
#219
○高杉廸忠君 次に、船員保険の国庫補助の定率化について確認をいたします。
 日雇健康保険、国民健康保険等についても相当な国庫負担が行われていることにかんがみ、船員保険の国庫補助についても定率化として、少なくとも給付費の一五%とすべきであると考えるが、いかがですか。
#220
○政府委員(大和田潔君) 船員保険の疾病部門の財政状況、保険料水準等は必ずしも日雇健保等と同様な事情にはないこと。船員保険におきましては、職務上、職務外の傷病に対し給付が行われていること。さらに現下の国家財政がきわめて窮迫していることから見まして、定率国庫補助の導入はむずかしい問題でございますが、船員保険制度につきましては、今後全般にわたる基本的な見直しを行い、その際費用負担のあり方につきましても十分検討してまいりたいと考えております。
#221
○高杉廸忠君 船員保険の抜本改正について確認をいたします。
 船員保険法については、総合保険とされていますが、抜本的改正を行うべき時期が来ているのではないかと思うが、いかがですか。
#222
○政府委員(大和田潔君) 船員保険につきましては、船員に対する総合保険として、現実に重要な役割りを果たしておりますが、種々の面で問題を抱えておりまして、抜本的改正が必要と考えられるので、今後、社会保険審議会等の御意見も聞きながら十分検討してまいりたいと存じます。
#223
○高杉廸忠君 次に、医療費の引き上げの歯どめの措置について確認をいたします。
 次の医療費改定はいつ行うのか、医療費改定は賃金上昇率の範囲内に限るよう抑制すべきであると考えますが、いかがですか。
#224
○国務大臣(園田直君) 健康保険法が改正されても、五十六年三月までは医療費改定を行う予定はございません。
 今後の医療費の改定は、医業経営の実態を踏まえ、賃金上昇率の範囲内にとどめるよう、その適正化には最大限の努力を払います。
#225
○高杉廸忠君 次に、薬価基準の改定について確認をいたします。
 薬価基準の改定を医療費改定と関連させずに行うべきである。また、年一回薬価調査を実施をして、これにより薬価基準の改定を行うべきであると思いますが、いかがですか。
#226
○国務大臣(園田直君) いずれもごもっともでございますので、その方向で実施したいと存じます。
#227
○高杉廸忠君 次に、老人保健医療における支払い方式の適正化について確認をいたします。
 乱診乱療を防止するためにも、負担にたえかねるような医療費の増高を抑制するためにも、老人保健医療においては支払い方式を変えるべきではないか。特に老人の特性にかんがみ、登録人頭払い方式、総額請負方式等、何かよい方法はないか検討してもらいたい、このように考えますが、いかがですか。
#228
○国務大臣(園田直君) 出来高払いの基本を崩すことは困難でありますが、老人の特性にかんがみ、何かよい方法がないか検討してみます。
 なお、診療報酬支払い方式について、登録人頭払い、あるいは国民医療費の一定率を限度とする総額請負方式などよく研究してみたいと存じます。
#229
○高杉廸忠君 高額医療機器の規制について確認をいたします。
 高額医療機器を許可制とすべきである。許可制ができないとすれば、登録させて、利用状況を報告させることができないのか。また共同地域利用を推進すべきであると考えます。いかがですか。
#230
○国務大臣(園田直君) 許可制はなかなか困難でありますが、高額医療機器の設置については基準を設けて登録を行わせ、その利用状況を行政的に把握しながら、共同利用の推進を積極的に進めてまいりたいと存じます。
#231
○高杉廸忠君 次に、検査点数の適正化について確認をいたします。
 政府は、所要の予算措置を講じ、毎年委託検査料金の実態調査を実施をして、それにより検査点数を適正化すべきであると考えますが、確認をいたします。
#232
○国務大臣(園田直君) 今国会での臨検法の改正をまって、御趣旨に沿って委託検査料金の実態を調査し、その適正化を図りたいと存じます。
#233
○高杉廸忠君 次に、医療費を知る権利の確立について確認をいたします。
 医療機関の窓口で医療費を通知する制度を設け、義務づけすべきであると考えますが、いかがですか。
#234
○国務大臣(園田直君) 医療機関の窓口で医療費を通知する制度を設けることは困難でありますが、よく研究してみたいと存じます。当面は、保険者による医療費の通知運動の拡充と、患者の求めに応じ医療機関が領収証を発行するよう行政指導を強めてまいります。
#235
○高杉廸忠君 次に、統計的審査方法の確立について確認をいたします。
 支払基金で審査するレセプトは膨大であります。手作業では十分な審査ができない。明年度からコンピューターを導入し、かつ適正要員の確保を図ることによって、平均点数を超えるものなどについて重点審査を実施すべきである。確認をいたします。
#236
○国務大臣(園田直君) 今日の審査にはコンピューターの導入が当然必要でございます。コンピューターシステムの採用及び適正要員の確保を図ることによって重点審査ができるよう十分検討し、可及的速やかに実施することとしたいと存じます。
#237
○高杉廸忠君 次に、差額室料の解消について確認をいたします。
 差額室料はどうするのか。三人室以上は直ちに、二人室は三年を目途に解消すべきである。確認をいたします。
#238
○国務大臣(園田直君) 三人室以上は三年を目途に解消いたし、特に三人室以上の差額病床の比率の高い私立大学病院については文部省と連携をとりつつ解消を図ります。
#239
○高杉廸忠君 次に、付添看護における患者負担の解消について確認をいたします。
 付添看護における患者負担の解消は診療報酬面からの誘導で実効を期待できないので、さらに重度重症者いわゆる担送患者については常時一人看護職員が付き添うことができるよう基準看護を改正することとし、中医協に諮り適正な看護を実施していただきたいと考えますが、いかがですか。
#240
○国務大臣(園田直君) 付添看護の問題は、診療報酬の上で基準看護料に加え特別加算を設けることとし中医協に諮り実施したいと存じます。さらに、なおかつ付き添いを求めるなどの行為があった場合はその病院の基準看護の承認を取り消すことといたします。
#241
○高杉廸忠君 次に、正常分娩の現物給付化について確認をいたします。
 先進諸外国においては分娩給付は現物給付とされております。わが国においても、正常分娩について現物給付化すべきであると考えますが、いかがですか。
#242
○国務大臣(園田直君) 正常分娩の現物給付化は受け入れ体制の問題もあり、実際上なかなか困難でありますが、分娩の額が政令で定められるようになりますので、通例の分娩に要する費用が極力カバーされるよう弾力的に増額を図ってまいります。なお御意見の趣旨を体して検討してまいります。
#243
○高杉廸忠君 次に、保険医の資格要件の明確化について確認をいたします。
 保険医について登録前の研修、三年ないし五年に一回の再研修などを資格要件とするようにすべきであると考えます。確認をいたします。
#244
○国務大臣(園田直君) 資質の向上のため、保険医の登録に当たってはもちろん登録後においても指導の強化を図るほか、医師としての卒後研修の制度化について検討いたします。
#245
○高杉廸忠君 次に、特定治療方法の専門医によるチェックについて確認をいたします。
 まず第一に、人工透析については愛知方式を参考にしてチェック体制の整備を図るべきである。いかがですか。
 第二に、人体に甚大な影響を与えるおそれのある治療や、長期にわたって高度医療を継続しなければならない治療等については、専門医による委員会を設け、その意見を聞いた上でこれを行うようにすべきである。
 第三に、診療報酬体系の検討に当たり、技術料と材料費の分離を図るべきではないかと考えますが、いかがですか。
#246
○国務大臣(園田直君) 第一に、人工透析のチェック方式については、愛知方式を参考にしながら検討し、可及的速やかに普及を図ってまいりたいと存じます。
 第二に、治療の面において手術を行うに当たっては一刻を争うこともありますので、全面的に事前のチェックシステムを採用することは困難ではありますが、不必要な手術などが行われないよう諸外国の例も参考にしながら検討してまいります。
 人工透析の技術料と材料費の分離については、御指摘の線に沿い対処してまいりたいと存じます。
#247
○高杉廸忠君 次に、医療機関の適正配置について確認をいたします。医療資源の有効利用のために医療機関を適正配置せねばならず、そのための法改正が必要である。特に保健医療機関については、地域の配置計画に沿うよう許可制とすべきである、いかがですか。
#248
○国務大臣(園田直君) 国が医療資源に関する重要な指標についてガイドラインを示し、都道府県がそのガイドラインに従って関係者のコンセンサスを得て地域医療計画を策定し、都道府県は、この計画に沿って医療機関の指導を行うべきであると考えております。この趣旨に沿って医療法の改正を検討いたします。
 なお、保健医療機関についても地域医療計画の推進に伴って適正配置が図られるよう努めたいと存じます。
#249
○高杉廸忠君 次に、休日、夜間、救急、僻地の医療確保について確認をいたします。
 まず第一に、休日、夜間診療及び救急医療の確保のためには、国立及び公的病院――特殊専門病院を除いて、これが救急病院として機能できるよう計画的に整備すべきであると考えますが、いかがですか。
 第二に、僻地診療は国公立病院の中から担当病院を選定し、僻地への医療従事者派遣等を行うとともに、診療報酬において僻地加算を新設すべきである。
 第三に、救急、僻地医療を確保するために国は率先してその範を示すべきであり、そのための増員については総定員法にこだわることなく措置すべきであると考えますが、いかがですか。
#250
○国務大臣(園田直君) 第一に、救急医療体制の整備を図るため五十二年度を初年度とする五ヵ年計画を策定し、その推進を図っているところであります。本年度の実態調査の結果を待って、第二次の計画においては、御指摘のとおり特殊専門病院を除く国公立病院を救急医療体制に組み入れるよう強力に指導したいと存じます。
 第二に、僻地医療対策については、国公立病院が僻地中核病院としての役割りを果たすように指導するとともに、これら事業に要する国の助成についても充実を図ってまいりたいと存じます。
 三番目に、国立病院・療養所における所要の増員については努力してまいりたいと存じます。
#251
○高杉廸忠君 最後に、本法案の基本的問題であります国庫補助の連動制について確認をいたします。
 国庫補助の連動制については、現下の国家財政の状況から見て困難であるとしても、将来国の財政事情に変動が生じた場合は、直ちに連動すべきである。具体的には特例公債の発行が解消をする昭和五十九年度には、その保険料率に伴って直ちに連動するものとし、たとえば保険料率が千分の八十五の場合においては、現行制度によれば二〇・四%になるので、二〇%までは直ちに連動させるべきであると考えるが、どうか。
#252
○国務大臣(園田直君) 国庫補助については、現在の国家財政の状況から見て、連動制の継続は困難であると申し上げているところであり、いまから言えることではありませんが、特例公債の発行が解消する状況が来れば、その際改めて連動制をとるべきであると私は考えております。
#253
○高杉廸忠君 ただいまの大臣の答弁は、去る十一月二十五日の答弁の趣旨と同様だと解釈してよろしいか。
#254
○国務大臣(園田直君) 結構でございます。
#255
○高杉廸忠君 以上で確認を終わります。
#256
○委員長(片山甚市君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
#257
○委員長(片山甚市君) 異議がございますので、暫時休憩をし、理事会を開催させていただきます。
   午後四時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後五時八分開会
#258
○委員長(片山甚市君) それでは、これより委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、関口恵造君及び丸茂重貞君が委員を辞任され、その補欠として高木正明君、福田宏一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#259
○委員長(片山甚市君) 休憩前に、質疑終局することに異議がございましたので、理事会において協議いたしました結果、質疑を終局することで各会派とも了承いたしましたので、質疑は終局したものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#260
○対馬孝且君 私は、日本社会党を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案について、わが党は反対であります。主な理由について述べたいと思います。
 委員各位も御承知のとおり、私ども日本社会党は本案の参議院審議に際して、国庫負担の保険料率との連動を当分の間停止するというならば、せめてその間、保険料率については、他の社会保険と同様に法定制とすべきことなど、十五項目にわたる重点的な主張を展開しました。そして、本委員会での質疑を通じ、これらに加えてたとえば、退職者の任意継続給付と老人医療費制度との接続、保健所の再生と保健婦増員のための年次計画の策定、リハビリテーション担当者の養成と確保、健康保険の五人未満事業所への全面適用、船員保険の国庫補助の定率化などについても、強く求めて今日に至ったわけであります。
 その結果、政府側の譲歩に前進が見られたのは、たとえば薬価基準と医療費改定の分離実施、高額医療機器の登録制採用、医療費支払いの統計的審査方法の確立、特殊専門病院を除くすべての国公立病院の救急機能の計画的整備、五人未満事業所の全面適用への準備着手などであります。
 これらについてある程度の評価をすることができるのでありますが、最も肝心の保険料率と国庫負担との連動が当分の間停止されたまま、労使の保険料率が大臣告示によって引き上げられるという大改悪はそのまま残っているのであります。そればかりでなく、差額ベッドや付き添い負担の解消についても、また妊娠、出産に関する給付の現物給付化についても、政府は国民の切実な期待にこたえようとしていないのであります。
 たとえば差額室料対策として政府は、三人以上の部屋についてのみ三年がかりで差額徴収をなくす指導をしており、問題の多い私立大学附属病院については、文部省と協力をして段階的に差額徴収の解消を図るとしております。しかしながら、従来の経過から見ましてその実効は疑わしく、個室のほかは差額室料の徴収を禁止する旨の法的根拠を明確にする必要があり、特に三人以上の部屋においては即時実施し、二人室においては三年以内に完全実施すべきではないでしょうか。
 また、付添看護問題について政府は、診療報酬の点数面から誘導しようとしているが、これまたその実効を期待できるものではありません。重度重症の患者について常時一人看護職員が付き添うことを要件として基準看護を承諾することとし、将来は、医療法に基づく看護職員の配置基準を改正をし、病院病床の一割に、常時一対一の職員配置を行うようにすべきであると考えます。
 さらに正常分娩を現物給付の対象とすることについては、なぜこれができないのかについてきわめて不明確、不明朗であり、もし関係医師の反発が強いためだというなら、彼らが反発する根拠を行政としても明らかにしなければなりません。
 そもそも、いま緊急に迫られている改革の課題は第一に、低成長下にもかかわらず依然一〇%以上の伸び率で膨張する国民医療費に歯どめをかけること、言いかえれば営利医療の本質にメスを入れることであり、第二に、医師及び医療機関の配置と運営の適正化を図ること、言いかえますと、自由開業医制度に公的、民主的なコントロールを強めることであり、第三K保険加入者及び患者の負担を軽減するとともに給付条件の格差をなくし、負担の公平化を図ること、以上三点だと私は思うのであります。
 ところが本案は、出るを制さないまま、労使及び患者の拠出に頼って入るを図るというものであって、言いかえれば今年度十二兆円を超えると言われるように果てしなく伸び続ける医療費の財源を、保険加入者の負担で用意させるものと言わなければなりません。
 以上、私どもが本案に反対する理由を申し述べ、私の反対討論を終わります。
#261
○佐々木満君 私は自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、健康保険法等の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものでございます。
 医療保険制度を取り巻く諸情勢は、御承知のように人口構成の高齢化、医療の高度化等による医療費の伸びが、経済の安定成長への移行に伴い所得の伸びを上回るというきわめて厳しい情勢となっております。
 また、最近の医療をめぐる諸問題によりまして、国民の医療に対する信頼感が損なわれる事態が生じておりますことは、まことに残念なことでございます。このような情勢を考えますときに、医療保険制度について所要の改正を加えますとともに、国民の医療に対する信頼感を速やかに回復することが強く求められておると思います。
 本改正案は、衆議院におきまして、わが党の提案によって政府原案に修正が加えられたのでございますが、まず給付の改善につきましては、何と申しましても第一に家族療養費について入院の場合の給付割合が七割から八割に引き上げられたことが挙げられます。家族療養費につきましては、昭和十八年に法定給付とされ、五割給付とされて以来実に三十年を経た昭和四十八年に現行の七割に引き上げられたのでございますが、その後わずか七年にして今般の改善を見たのであります。家族療養費の充実を求める国民の要望が高まっておる中でまことに喜ばしい進歩であると考えるものでございます。
 第二に、高額療養費の患者負担の限度額が低所得者につきまして引き下げられることが予定されていることは、高額療養費について低所得者の負担を軽減するという考え方を初めて導入するという画期的なものでございまして、高く評価さるべきものと存じます。
 第三に、分娩費等の現金給付について実情に即して改定できますよう政令をもって定めることとされ、その改善が予定されていることはきわめて適切な措置であると存じます。
 第四に、被保険者が海外にあります場合においても保険給付を行うこととされましたことは、国際交流が盛んとなり、海外勤務者もふえておる現状にかんがみ、まことに時宜を得たものと存じます。
 標準報酬、保険料についてでございますが、まず、標準報酬等級表の上限を政令をもって改定できることとされましたことは、賃金水準の変動に応じて被保険者の負担の実質的な公平を図る上できわめて適切な措置であると考えるものであります。
 また、政管健保の保険料率を千分の九十一までの範囲内で弾力的に改定できることとされておりますことは、政管健保の健全な運営を確保するものでございますし、さらに、千二百九十億円に上る累積赤字を六年間で償還することとされておりますことは、無理のない負担によって政管健保の財政の健全化を図るものであって、いずれも政管健保の給付と負担の均衡に大きく貢献するものと存じます。
 このほか、健康保険組合間において財政調整を実施することとされておりますが、保険者間の格差の解消のための財政調整が叫ばれて久しい今日、その法制化を見ましたことは、画期的なことであると考えております。
 以上述べましたように、今回の改正の実現によりまして、給付の改善や政管健保の健全な運営の確保など多くの面で大きな前進が見られるところでございます。また、これとあわせまして、いわゆる周辺問題の解決にもかなり前進が図られることも特記すべきことでございます。
 すなわち、増高する医療費を国民が納得した形で負担するためには、医療費の適正かつ効率的な使用が強く求められているところでございますが、本改正案における薬価調査や指導、監査に関する規定の整備は、本委員会でも政府がたびたび表明してこられた薬価、検査問題に対する積極的な取り組みと相まちまして、医療費の適正化に大きく貢献するものであり、このことは、ひいては国民の医療に対する信頼の回復に資するものと存じます。
 さらに、差額ベッド、付添看護等のいわゆる保険外負担の問題につきましては、その改善について国民からきわめて強い要望があるところでございますが、これらの問題につきましても、政府から積極的にその改善を図る旨の強い決意が表明され、この面における患者の医療費負担の軽減について著しい前進が期待できることになったことは、本改正にあわせまして銘記すべき事柄だと存じます。
 このように、本改正によりまして医療保険制度の基本でございます健康保険の健全な運営が図られ、さらにいわゆる周辺問題の改善が進むことは、現在検討されております老人保健医療制度の整備を初めとした、医療保険制度に山積する諸問題の解決のための基礎づくりに役立つものと確信いたしております。さらには、老齢化社会を迎えますます困難さを加える厚生行政の礎となるという意味でぜひとも必要なものと考え、わが党としては強く賛意を表するものでございます。
 最後に、国民医療の確保向上のためには、関係者の理解と協力が不可欠でございます。その趣旨に沿って関係者が一致協力してこれに当たられますことを強く切望いたしまして、私の賛成討論を終わります。
#262
○小平芳平君 私は、ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、公明党・国民会議を代表して、反対の討論を行うものであります。
 第一の反対の理由は、基本的な問題であります。すなわち衆議院より送付されました本案は、さきの通常国会における四党間の合意事項を踏みにじり、財政収支のしわ寄せを被保険者にかぶせるものであり、私たちは財政対策の域を出ない法律改正を行う前に、医療費のむだの排除、医療をめぐる多くの不祥事を解決、解消していくことこそが、国民の期待を果たしていくことであると思うからであります。
 第二に、改正の具体的内容に触れますと、従来政管健保について保険料率引き上げと連動していました国庫負担を凍結する一方、保険料率の上限を千分の八十から千分の九十一と大きく引き上げ、さらに初診時、入院時の一部負担を引き上げようとしている点であります。さらに今回の改正は、過去の累積赤字についても短期間に今後の負担増をもって償還しようとしている点であります。これらの負担増を体質的、構造的弱さを持つ政管健保加入者に強いることは断じて納得できません。
 第三に、国民皆保険のもとで、多くの国民が不合理を感じている差額ベッド料、付添看護料などの解消の保障がないことであります。医療保険の目的は、疾病に際し家計の負担を心配しないで医療を受け得ることにあったはずであります。この矛盾の解消こそ法律改正に先行すべき課題であります。
 第四に、一部病院で見られる不正請求、薬づけ、検査づけ等の乱診乱療事件に関連してであります。これらの絶滅こそ緊急に解決を迫られる行政の最重要課題であります。国民の医療に対する不信、不安、不満が充満しております。国民の医療に対する信頼を十分回復した上で、初めて適正な負担に納得が得られるのであり、現段階での本案のごとき負担増には反対であります。
 以上、私は反対の理由を端的に申し上げ、反対討論といたします。
#263
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、健康保険法等改正案に反対の討論を行います。
 私が反対する第一の理由は、本改正案が患者及び勤労者に大幅な負担増を押しつけ、赤字解消の財政対策でしかないからであります。
 本案は、分娩費など現金給付の改善をも含めた給付改善分はわずか百九十七億にすぎないのに対し、保険料は現行千分の八十を上限千分の九十一、当面千分の八十五に引き上げるというもので、これによる国民の負担増は千四百五十億円、実に給付改善分の七・四倍もの負担増であります。
 また、初診時一部負担金六百円から八百円への引き上げは受診抑制につながり、特に低所得者から医療の基本である初期診療の機会を奪う危険があり、入院時一部負担の増額とあわせて、その打撃は大きいと言わざるを得ません。船員保険にも、これまでなかった入院時一部負担金制度を導入するほか、保険料も現行上限千分の六十五を一挙に千分の九十一にまで引き上げるなど、制度の大改悪となり、断じて認めるわけにはまいりません。
 その二つ目は、国庫負担の据え置きと累積赤字解消についてであります。
 中小企業労働者で構成される政管健保は、もともと財政的に脆弱であります。低賃金で保険料収入は低く、しかも受診率は高いのであります。だからこそ国庫負担が制度化されていたにもかかわらず、本改正案ではその据え置きを図るとしております。これは国の責任の放棄であり、勤労者への責任転嫁でしかないではありませんか。その上、昭和四十九年度から五十四年度までの累積赤字約千三百億円を保険料の引き上げによって解消することにしたのは、健康保険制度始まって以来の大改悪であり、絶対に許せません。
 以上が直接本法案にかかわる反対の理由であります。
 私はこのほか、保険財政に重大な影響を及ぼしている薬価の高値安定の仕組みを、抗がん剤、抗生物質などを例示して具体的に指摘してまいりました。薬価を一〇%下げただけで五十五年度保険財政は八百億円も支出減になり、黒字になるのであります。実際の製造原価をもとにすれば、現在二〇%以上の引き下げはいますぐにでも十分可能であります。このような大製薬企業の高値安定ぶりを放置して、あまつさえ物価高、増税、低賃金などに苦しむ勤労者への負担増で財政対策をとるということは、国民から見て絶対に納得できることではありません。
 薬の高値安定を助長してきた厚生省の行政上の怠慢が、薬づけなど医療のゆがみを生み出した元凶であります。医療のひずみを正すためにも薬価を引き下げ、技術料を適正に評価した診療報酬体系に改正する必要がどうしてもあります。
 わが党は、本改正案の審議を深めるために参考人招致、公聴会、薬価問題集中審議の開催などを要求してまいりましたが、これが全く無視され、また多くの究明されるべき課題を残したまま採決強行に至ったことはきわめて遺憾であります。
 このことを強く指摘をいたしまして、私の反対討論を終わります。
#264
○柄谷道一君 私は民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
 わが国の医療保険が昭和三十六年に皆保険体制が達成されて以来、その後約二十年の経過の中で医療制度全般にわたる矛盾、不備が拡大し、医療保険の行き詰まりが顕著になってきていることは、いまさら多くの指摘を要しないところであります。
 これは、政府が今日まで医療保険の財政対策にのみ目を奪われて、公的審議会のたび重なる答申や提言及び当委員会の附帯決議を軽視し、その前提条件をなす関連諸分野、諸制度の整備を怠ってきたことに由来するものであります。すなわち疾病の予防、治療、リハビリテーションを包括する健康管理体制の樹立、医の倫理の確立と医療供給体制の総合的かつ体系的整備、検査と医薬制度の改善、技術を重視した診療報酬体系の改革、監査と審査制度の充実、公費負担医療の統一的基準による再編成等の抜本的改革を断行することなく、今日の医療の荒廃と保険財政の窮迫を招いた責任はきわめて重大であり、私は強くその怠慢を追及するものであります。
 このような情勢にあるにもかかわらず、政府は何らの反省を加えることなく時を過ごし、さきに給付率を一挙に五%も引き下げ、しかも一方では、薬剤の患者負担を五割にするといった財政対策を中心とした改正案を提示し、継続審議や廃案を余儀なくさせ、今日に至ったことについて、政府はその不明を深く国民に陳謝すべきであります。
 しかしながら、今回の法改正に際しては、第九十一国会における自社公民四党間の合意を踏まえ、家族の入院時における療養費の給付率を一割引き上げ、全体の給付率を八三%から八八・四%に上積みし、薬剤と歯科材料費の患者負担を撤回し、さらに保険あって保険なしと悪評の高かった差額ベッド、付添看護、歯科等の保険外負担の総額二千億円に及ぶ解消等々について修正の合意が成立したことは画期的なことと評価します。
 さらに、医の倫理の確立、医療に関する監督と審査の強化、検査と薬剤の適正化、診療報酬の適正化、分娩費の改善、石炭産業等財政窮迫健保に対する助成等多くの項目について審議を通じ、前向きの確認が得られたこともあわせて評価するものであります。これを単なる言葉だけの答弁に終わらせることなく、それについて徹底した措置がとられ、完全に実施されるよう強く求めるものであり、それこそ国民が真に求める医療制度の改正であることを強調したいのであります。
 しかしながら、今回の改正法案で国庫補助の連動制が政府の財政難という理由のもとに合意が成立せず、当分の間補助率が凍結する結果となることについては、きわめて遺憾というほかはありません。
 申すまでもなく、国庫負担は保険財政を支える二本の柱の一つであり、社会保険審議会も四十六年十月八日の医療保険制度の根本的改正についての答申で、今日医療保険制度が大きな財政危機に陥った原因の一つは国の必要な財政援助の不足にあったことは指摘してきたところであり、特に負担能力の低い政管健保については、国民健康保険における国庫負担率を十分配慮の上、適正な定率国庫負担がなされるべきであると提言しており、政府の財政的配慮は財政圧迫の原因の排除、すなわち総合的な医療効率化対策の策定と、その実施体制を速やかに整えることにこそ力が注がれるべきであり、安易に被保険者と保険者の負担により保険財政の再建を図ろうとする政府の姿勢を容認することはとうていできません。累積赤字を保険料により解消しようとする姿勢についても同様であります。
 最後に、医療保険制度の今後の抜本的改正は、本人と家族の医療給付の統合、すなわち同一給付の実現を目指すべきであり、これを実現させるための施策が、計画的かつ速やかに推進されるよう強く要求して私の討論を終わります。
#265
○委員長(片山甚市君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#266
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認めます。
 委員長から一言申し上げます。
 この委員会では理事会において一円満に十分に民主的手続をとり、本委員会では、各委員に対して可能な限り御発言の機会を与えてきまして、強行的な日程を組んだ覚えはございませんから、趣旨弁明をいたしまして後日に備えるものであります。
 それではこれより採決に入ります。
 健康保険法等の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#267
○委員長(片山甚市君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
 この際、高杉君から発言を求められておりますので、これを許します。高杉君。
#268
○高杉廸忠君 ただいま可決されました健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新政クラブ共同提案による附帯決議案を提出をいたします。
 案文を朗読いたします。
    健康保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、その実現に努めるべきである。
 一、医療保険制度について、制度間格差の是正、本人家族の給付水準の格差是正等制度の抜本的改善を計画的に実施すること。
 二、老人保健医療制度の昭和五十六年度創設を期するとともに、退職者医療並びに国民健康保険の給付水準等そのあり方について検討を進めること。
 三、差額ベッド、付添看護婦等の保険外負担については、早急に解消するため、所要財源の確保と行政指導の一層の徹底を図ること。
 四、薬価調査の結果に基づき薬価基準を早急に改定するとともに、実勢価格を正確に反映できるよう薬価調査の方法、薬価基準の算定方式等を改善すること。
 五、健康保険法に基づく行政権限による保険医療機関に対する指導、監査の徹底、社会保険診療報酬支払基金の審査の改善充実等医療費の適正化を図るための方策について検討し、速やかに所要の措置を講ずること。
 六、薬剤問題の解決に資するため、薬剤使用の適正化、窓口負担の問題等について検討を加えること。
 七、技術を中心とした合理的な診療報酬体系の確立に努めること。
 八、政府管掌健康保険の運営について必要な人員及び予算を確保し、行政努力に一層配慮すること。また、健康保険組合について、その財政調整の実施に当たつては、組合の自主性が失われることのないよう配慮すること。
 九、医療に対する国民の信頼を回復するよう医療関係者の資質の向上を図るとともに、医療機関に対する医療法による医療監視等の徹底を期すること。
 十、医療資源の有効利用を図るため、医師、医療施設の地域的偏在を是正する措置を講ずるほか、救急医療の拡充、地域医療対策の充実、看護婦等の医療従事者の養成と待遇改善等により、医療供給体制の整備を図ること。
 十一、国民の健康を守り福祉の向上を図るため、疾病の予防、治療からリハビリテーションまで一貫した健康管理体制を確立すること。
    特にリハビリテーションに従事する各種療法士について長期的展望に立つた養成確保、処遇改善に努めること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#269
○委員長(片山甚市君) ただいま高杉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#270
○委員長(片山甚市君) 多数と認めます。よって、高杉君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、園田厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。園田厚生大臣。
#271
○国務大臣(園田直君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#272
○委員長(片山甚市君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#273
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#274
○委員長(片山甚市君) 次に、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。――別に御発言もなければ、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もなければ、これより採決に入ります。
 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#275
○委員長(片山甚市君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#276
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#277
○委員長(片山甚市君) 次に、身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、提出者衆議院社会労働委員長山下徳夫君から趣旨説明を聴取いたします。山下君。
#278
○衆議院議員(山下徳夫君) ただいま議題となりました身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 最近の雇用失業情勢は、着実な景気の回復を反映して、やや明るい兆しを見せてはおりますが、心身障害者の雇用状況については依然として厳しいものがあります。昭和五十一年に身体障害者雇用促進法が改正され、これを契機に身体障害者の雇用に対する理解は相当の深まりを見せてきておりますが、なお、法定雇用率を達成していない企業の割合が約半数を占めている現状にあります。
 また最近においては、障害の重度化、多様化の傾向の中で、重度障害者を中心とする雇用対策の一層の推進が急務となってきております。
 身体障害者特に重度障害者の雇用を促進し、安定させるためには、まず、その職業能力を開発し、向上させることが何よりも大切であり、また、就職後も障害の種類や程度に応じた行き届いた雇用管理が必要であります。特に明年は国際障害者年であることからも、かかる重度障害者を中心とする対策の充実、強化と、身体障害者の雇用についての国民一般の理解を高めるための啓発活動の強化が、当面の緊急かつ重要な課題となっております。
 このような課題に対処するため、本案を作成し、提出した次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 身体障害者雇用納付金制度に基づく助成金の拡充を図ることとし、第一は、重度障害者等の通勤を容易にすること等の適正な雇用管理のための措置を行う事業主に対する助成金を設けることといたしております。
 第二は、身体障害者の能力を開発し、向上させるための教育訓練を行う事業主、学校法人、社会福祉法人等に対する助成金を設けることといたしております。また、身体障害者がその教育訓練を受講することを容易にするための措置についても助成することといたしております。
 第三は、身体障害者の雇用について、事業主及び国民一般の理解を高めるための啓発の事業に対する助成金を設けることといたしております。
 その他助成の目的が有効に達せられるよう、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 なお、この法律は、公布の日から施行することといたしております。
 以上が、本案の提案理由及び内容でありますす。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#279
○委員長(片山甚市君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#280
○高杉廸忠君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合さらに新政クラブ、各党会派を代表いたしまして、質疑、要望等を含め、確認の意味で御質問申し上げてまいりたいと存じます。
 まず第一に、心身障害者対策の積極的推進については、当委員会を初め関係各委員会等において繰り返し要望してきているところであります。
 ことに今国会においては、両院の社会労働委員会での集中審議などを通じ、各党から熱心な質疑、要望が行われたが、身体障害者雇用促進法の一部改正案が可決されようとするこの段階において、改めて各党の質疑を踏まえて、政府の積極的な心身障害者対策についてただそうとするものであります。
 その第一は、政府は「完全参加と平等」をテーマとする国際障害者年を迎えるに当たり、心身障害者対策の拡充とその積極的な推進を図り、国際障害者年の諸目的の達成のための国際的、国内的な責務を果たす必要がある。この観点からすれば、今回の身障者雇用促進法の改正案の内容は、部分的かつ当面の措置と言わざるを得ない。
 そこで、改めて確認的に質問をするわけでありますが、障害者問題に関する全国民への啓発活動を初め、保健医療、福祉、教育、雇用、生活環境などの障害者対策を、総合的かつ効果的に推進すべきである。この際、各省庁を横断する心身障害者対策の一貫した総合的体制とその積極的推進について、具体的方針を承りたいと存じます。
 第二に、また、これらの心身障害者対策については、できるものから少なくとも次期通常国会において具体的改善策を提示し、積極的にその実現を図って、いくべきではないか。
 第三に、さらに、国際障害者年を契機として策定する長期行動計画は、来年中に策定することになっているが、計画目標にとどまらず、その実現のための方途、段取り及び時期を明確に打ち出すべきではないか。
 以上について労働大臣の御所見を承ります。
#281
○国務大臣(藤尾正行君) わが国といたしましては、総理府に設置されている中央心身障害者対策協議会から国際障害者年の事業についての提言を受けまして本年八月十九日、国際障害者年事業の推進方針を、国際障害者年推進本部において決定をいたした次第であります。
 この推進方針におきましては、障害者問題に関する全国民の認識を深めるための啓発活動、保健医療、福祉、教育、雇用、生活環境等の障害者対策及び国際協力の施策について積極的に取り組むとともに、関係行政機関相互の連携を一層密にして総合的かつ効果的な推進を図ることといたしております。
 また、国際障害者年を契機として策定をいたします国内長期行動計画につきましては、中央心身障害者対策協議会に設置された国際障害者年特別委員会において間もなく検討を開始することになっております。この委員会の意見具申をもとに、国際障害者年の末までに、本計画は策定されることとなっておりますが、今日までの御論議を十二分に反映させることは当然であろうと思います。
#282
○高杉廸忠君 第二に、身体障害者の雇用率は、現在、なお未達成の状況にあります。この雇用率達成に向けて強力な行政指導が当然行われるべきであり、特に雇い入れ計画作成命令は、千百十六社に出しているのに対して、その適正実施の勧告は百十三社にすぎない。もっと適正実施の勧告を出すなり、三年計画を短縮するなり、その達成指導を実効あるものにすべきではないか。また、政府関係機関である特殊法人について率先して身体障害者を雇用する立場にあり、その達成指導を強化すべきではないかと考えますが、確認をいたします。
#283
○政府委員(関英夫君) 身体障害者雇用率の達成指導に当たっては、雇い入れ計画の作成命令、適正実施勧告の積極的活用、計画提出企業に対する年次ごとのチェックなどを通じ、その都度その強力な推進に努める所存であります。特に雇用の進んでいない業種に対して重点的に指導を行うなど、雇用率達成の実現に取り組む所存であります。
 政府関係機関である特殊法人については、民間企業に対し率先垂範すべき立場にあり、民間企業よりも早く雇用率を達成するのは当然のことであります。このため雇い入れ計画の作成命令、同計画の適正実施の勧告のほか、個別に人事担当責任者に対して指導を行うとともに、監督官庁に対し強力な指導を行うよう要請するなど、雇用率の達成に向けて一層の指導強化を図ってまいります。
#284
○高杉廸忠君 次に、現行雇用率については、その設定後四年を経過し、その間身体障害者が増加している。現行雇用率及び納付金、報奨金等の額の引き上げ並びに制度のあり方、あるいは精神薄弱者に対する雇用率の設定等について早急に検討を行うべきものと思うが、この点はいかがです。
#285
○政府委員(関英夫君) まず、現在の雇用率の達成を実現することが当面の目標であり、これに向けて最大限の努力をする考えであります。これに当たりましては、心身障害者の職域拡大が必要不可欠であることから、適職の開発、適職マニュアルの作成、配付などにより、事業主に対する職域拡大指導を、さらに労働災害の絶滅、予防医学の充実等により障害の発生を極力なくすることが重要であり、その研究対策などもあわせて一層強力に進めてまいる所存であります。
 御指摘の現行雇用率並びに納付金及び報奨金の額については、身体障害者雇用審議会において検討を願うこととしております。
 精神薄弱者に対する雇用率の設定等の問題については、身体障害者雇用審議会が、長期的視点に立った心身障害者雇用対策を検討する際の検討課題として御審議願う考えであります。
#286
○高杉廸忠君 次に、確認をいたします。
 今回、当委員会において納付金制度に基づく助成金の拡充について立法措置を講ずることとしておりますが、今後とも雇用環境の一層の整備を図り、心身障害者の雇用機会の増大を図る措置として、引き続き助成金制度の拡充を図る必要があると考えられる。特に、重度障害者の雇用管理助成金を存続すべきである。最低限、助成額を下げても助成期間を延長すべきだと思うが、どうか。
 また、助成措置後のフォローアップを強化すべきではないか。確認をいたします。
#287
○政府委員(関英夫君) 助成金制度につきましては、重度障害者の雇用の促進と安定に重点的に活用するという観点に立って必要に応じ見直しを行い、その充実を図ってまいる所存であります。
 次に、重度障害者等雇用管理助成金につきましては、現在、身体障害者雇用審議会で御審議を願っているところでありますが、同審議会に対しまして御意見の趣旨を十分にお伝えする考えであります。
 また、助成措置後のフォローアップについては、現在身体障害者雇用促進協会が実施しておりますが、今後ともそれを強化するとともに、公共職業安定機関においてもこれを実施することを検討いたしたいと考えております。
#288
○高杉廸忠君 次に、最低賃金法には「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」については、使用者は都道府県労働基準局長の許可を受けて最低賃金法の適用を除外できる規定がある。このため心身障害者の賃金は、その労働能力の評価のいかんによってはきわめて不安定なものとなり得るし、ひいては、心身障害者なるが故に最低賃金以下の賃金になり、一方事業主は助成金の支給が受けられるということにもなり得る。
 この際、労働大臣の心身障害者の賃金に対する基本的な考えを伺いたいと思います。
#289
○国務大臣(藤尾正行君) 最低賃金法はすべての労働者に適用されることが原則であり、したがって、著しく労働能力の低い心身障害者についての適用除外は、実態を十分調査の上、より慎重に行うことといたします。
#290
○高杉廸忠君 次に、障害者の雇用機会を拡大するためには、その基盤的な条件として、公共職業安定所等の職業紹介体制を飛躍的に強化すべきである。その必要職員増等についての労働大臣の見解を伺いたい。
#291
○国務大臣(藤尾正行君) 心身障害者の職業紹介体制の強化につきましては、心身障害者重点公共職業安定所の指定、身体障害者職業相談員の創設、心身障害者担当就職促進指導官の増員等に努める所存でございます。
#292
○高杉廸忠君 次に、確認をいたします。
 心身障害者の職業選択に当たっては、その職業能力を的確に把握することが必要である。したがって、心身障害者職業センターを全国的に設置し、専門職員を養成して、職業能力の判定、的確な職業評価の体制を整備することが必要と考えられる。また、重度障害者を含めた心身障害者の職能的諸条件を配慮した適職の研究開発、作業用機械器具、用具開発、改善を今後とも積極的に推進する必要がある。これについてどのように考えているかを伺いたい。
#293
○政府委員(関英夫君) 心身障害者職業センターの、職業評価機能の抜本的強化及び専門職員の養成を図る所存でございます。
 さらに、重度障害者を含めた心身障害者のための適職の開発、作業用機械器具の開発、改良につきましては、今後ともその重要性にかんがみ、積極的に推進する所存でございます。
#294
○高杉廸忠君 次に、確認をいたします。
 身体障害者の重度化、高齢化が進んでいる今日において、医学的リハビリテーションから職業リハビリテーションへの円滑な移行を図り、社会復帰を促進することは重要な課題となっております。今後、医療から社会復帰までの一貫した総合リハビリテーション施設の設置について積極的推進を図るべきと考えるが、労働大臣の所見を伺います。
#295
○国務大臣(藤尾正行君) 医療から社会復帰までの一貫した総合的リハビリテーションシステムの確立は、社会福祉医療行政を含め、国全体として検討されるべきものでありますが、今後は労災被災者を含めて医学的リハビリテーションと身体障害者に対する職業訓練との有機的一体的な推進に努め、身体障害者の円滑な社会復帰に資してまいる所存でございます。
#296
○高杉廸忠君 次に、確認をいたします。
 障害者に対し、こういう指導をし、こういう訓練をしたら、もっと上のランクの就職をし、もっと働きがいのある職場に就職できるということがあるはずであります。その意味からも、すでにある身体障害者職業訓練校の拡充、整備が重要な課題となっております。訓練職種及び訓練形態の多様化を含めて、今後、その総見直しと抜本的な改善策を講ずるべきであると考えるが、この点についてはどうか。ことに重度障害者、精神薄弱者に対する職業訓練の積極的な改善策をこの際聞きたいと存じます。
#297
○政府委員(岩田照良君) 障害者に対する職業訓練のあり方につきましては、身体障害者に対する能力開発の諸施設が総合的に効果を発揮できるように、種々の問題について検討を行っているところであります。
 その場合、都道府県によりましては、関係施設の状況が十分でない場合もありますので、できれば一般の職業訓練校について、一校程度は重度障害者や精神薄弱者を含め障害者を重点的に受け入れる方向で検討を行っているところであります。
 また最近では、重度障害者や精神薄弱者を主たる対象とする訓練施設を設けるなど、重度障害者、精神薄弱者に配慮いたしました訓練の実施に努めておりますが、御指摘の訓練職種、訓練の形態、こういったものの多様化を含め、今後とも各都道府県とも十分協議いたしまして、重度障害者、精神薄弱者に重点を置いた身体障害者職業訓練校の運営に努めてまいる所存でございます。
#298
○高杉廸忠君 最後の確認質問でありますが、身体障害者雇用審議会は、身体障害者の雇用促進に関する重要事項について調査、審議するものであるから、その運営は公正で民主的なものでなければならないことは言うまでもありません。
 そこで国際障害者年を迎えるに当たって、この審議会においては積極的に障害者関係団体や進路担当教諭などからも意見を聴取し、雇用促進の具体的対策を立てていくことが必要であると思うが、その考えがあるかどうか明らかにしていただき、私の確認の質問を終わりたいと思います。
#299
○政府委員(関英夫君) 身体障害者雇用審議会を運営していく上で、広く意見を聴取することは重要であるところから、御指摘の点について身体障害者雇用審議会にお伝えする考えでございます。
#300
○委員長(片山甚市君) 他に御発言もなければ、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もなければ、これより採決に入ります。
 身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#301
○委員長(片山甚市君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#302
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#303
○委員長(片山甚市君) 次に、請願の審査を行います。
 第二号国民健康保険組合療養給付費補助金の増率等に関する請願外千九十九件を議題といたします。
 本委員会に付記されております千百件の請願につきましては、理事会において協議の結果、第二号国民健康保険組合療養給付費補助金の増率等に関する請願外二百四十三件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第一三号個室付浴場業をなくすため公衆浴場法の一部改正に関する請願外八百五十五件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#304
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#305
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#306
○委員長(片山甚市君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、これら二件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#307
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#308
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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