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1980/10/23 第93回国会 参議院 参議院会議録情報 第093回国会 文教委員会 第3号
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1980/10/23 第93回国会 参議院

参議院会議録情報 第093回国会 文教委員会 第3号

#1
第093回国会 文教委員会 第3号
昭和五十五年十月二十三日(木曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬義君
    理 事
                大島 友治君
                世耕 政隆君
                粕谷 照美君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                山東 昭子君
                田沢 智治君
                内藤誉三郎君
                仲川 幸男君
                小野  明君
                勝又 武一君
                本岡 昭次君
                柏原 ヤス君
                高木健太郎君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
   政府委員
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省学術国際
       局長       松浦泰次郎君
       文部省管理局長  吉田 壽雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       総理府青少年対
       策本部参事官   阿部 宏彌君
       公正取引委員会
       事務局審査部第
       一審査長     奥村 栄一君
       警察庁刑事局捜
       査第二課長    漆間 英治君
       警察庁刑事局保
       安部少年課長   古山  剛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (教科書の採択問題等に関する件)
 (教員の研修問題に関する件)
 (教科書無償問題に関する件)
 (青少年の非行化問題に関する件)
 (教育、学術、文化の国際交流問題に関する
 件)
 (愛国心教育に関する件)
 (自衛隊の高校生に対する入隊勧誘問題に関す
 る件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○勝又武一君 最初に、義務教育の教科書の無償制度の堅持につきまして大臣にお伺いいたします。
 貸与制度とか、低所得者層だけ無償にするという考え方が一部あるようでありますが、そういう福祉政策ではなくて、憲法、教育基本法に言う義務教育無償、こういう基本的な教育政策、こういう考え方だと私は思います。
 私も過去三年間、海部、砂田、内藤、谷垣と各それぞれの文部大臣に、この基本の確認をいたしましたし、そのとおりだという回答をいただいてまいりました。文部大臣、この基本に変わりございませんか。
#4
○国務大臣(田中龍夫君) 全くそのとおりでございます。
#5
○勝又武一君 さらに私は、本年三月十四日の参議院予算委員会の総括質問で、大平総理に、「この無償の原則を変えるつもりはございません。」、こういう答弁をいただきました。大平政治を継承されると言われる鈴木内閣にありましても、このことは当然亡き大平総理の基本的な考えを引き継がれていると考えてよろしゅうございますか。
#6
○国務大臣(田中龍夫君) さようでございます。
#7
○勝又武一君 そうしますと、いま大平総理の考えを鈴木総理も継承されるということでありますので、世上いろいろ伝わっておりますことも、私は、少なくとも現段階で鈴木内閣がこの方針を堅持しているというように、いまの大臣の言葉を、文部大臣ではなしに、鈴木内閣が確認をしているというように確認をいたします。
 そこで次に、概算要求を見ますと、この無償の給与の推進につきましては、昨年度の四百八億を、四百七十五億と、約六十七億増で要求されておりますが、この中身ですね、人件費とか紙代の値上がり以外に、何か重要なファクター、要素はございますか。
#8
○政府委員(三角哲生君) 明年度はやはり児童・生徒数がかなり多数増加いたします。その分がその中に盛り込まれております。
#9
○勝又武一君 確かに人件費とか、紙代の値上がり以外にそういう増もあると思いますが、その方は非常に少ないんじゃないか。むしろやはり、人件費なり、紙代の要素が非常に多いというように私は思いますが、約六十七億の増、一一・六%ぐらいに当たるんでしょうか。目標達成のための文部大臣の決意のほどをお伺いをいたします。
#10
○国務大臣(田中龍夫君) 本件につきましては、財政窮迫の折からいろいろと無償給付の問題その他ございます。しかしながら、当省といたしましては、概算要求を責任を持っていたしておるのでありまして、その間におきまするいろいろな大蔵省からの意見等々が論議されておりますけれども、われわれは責任を持って出しました概算要求をあくまでも主張をいたす次第でございます。
#11
○勝又武一君 文部省には教科書の検定基準と検定基準実施細則というのがございますね。
#12
○政府委員(三角哲生君) 義務教育の学校教科書と高等学校の教科書、それぞれについてそういうものがございます。
#13
○勝又武一君 この実施細則には活字の大きさ、文字の書体、インクの色、実に細部にわたって決めておりますが、一番教科書にとって肝心な教科書のページ数、これについて規制をしていないのはどういう理由ですか。
#14
○政府委員(三角哲生君) どこまで積極的に厳密な理由ということが言えるか、私どもちょっとただいまつまびらかでございませんが、やはり教科書は、本来検定教科書の場合には、著作者が、その内容なり、分量なりについてまず考えを持って、そして原案をつくっていただく。それを私どもとしてはお受けして検定の作業を実施するということになりますので、著作者によりまして必ずしも一律であるという必然的理由はないわけでございます。ただ、検定の過程におきまして、それぞれの学校段階あるいは学年段階に応じましてどの程度の分量かということは、そういう著作の作業あるいは検定の経過を通じて決まってくるというのが実質的な分量の決まってくる、何と申しますか、プロセスになるかと存じます。ただ、学習指導要領に定めております内容でございますとか範囲というものと、各学年における児童、生徒の発達段階等にらみ合わせておのずからそんなばらつきはないというようなものにいまはなっていくということが期待されるわけでございますけれども、一律に厳密に何ページというような基準は特段定めないということであろうかというふうに考えるわけでございます。
#15
○勝又武一君 文部省ではきわめて実施細則というのは細部にわたることを決めているけれども、ページ数を決めないという具体的な理由は、著作者の自由を侵害することになる、そういうこと以外には余りないんだというように、いまの局長の答弁でありますので、ここはそのように承っておきます。
 そこで、三月十四日の予算委員会の総括質問で、私は、公正取引委員会の橋口委員長が教科書の体様について、ページ数等細かい点まで教科書業者、出版会社、教科書会社が上限を決めているのは独禁法違反ではないかという私の質問に対して「独禁法上問題がある」と答弁をし、「国の方でお決めになります基準が、業者が自主的に決めるようなことのないように、詳細にわたることが望ましい」と考えるという見解を示されたのでありますが、その点はいかがですか。――公取いかがですか。
#16
○説明員(奥村栄一君) 教科書用図書いわゆる教科書におきましては国が発注、購入をしておられるのでございますので、文部省が発注者として教科書のページ数、装丁等の規格について具体的な基準を定めること、あるいは教科書協会からの照会に対しまして適否の判断をお示しになることは特段の問題はないのではないだろうか。ただ、本件につきまして事情を伺いましたところ、文部省としては購入者として目安の作成に関与しておられるということが判明いたしておりますので、独禁法上は直ちには問題にしがたい、このように考えておるわけでございます。
#17
○勝又武一君 三月十四日のときの橋口公正取引委員会の委員長の言は、少なくとも教科書業界が決めていること、それはむしろ間違いなんで、文部省が細部にわたって決めないと独禁法違反に触れると、こういうような見解を表明されているわけですよ。その点について文部省はいかがですか。
#18
○政府委員(三角哲生君) ただいまの勝又委員の御質疑の中で申されましたような経緯もございまして、私どもとしては公正取引委員会事務局の方とも御相談をいたしましたわけでございますが、そういったこともございまして、これは一つの「小・中学校教科書の体様に関する編集・製作上の「めやす」」ということで、製本様式等のほかに、ただいま御指摘のページ数といったようなものにつきましても、社団法人教科書協会の方で自主的にいろいろと御検討いただきまして、そして一つの自主的な目安――目安という形で案ができまして、その案につきまして私どもの方に御相談をいただいて、それを私どもとしても了解すると申しますか、そういう目安を設けることについて了承をするというような形で、何と申しますか、先ほど御指摘の私どもの方の一つの細則とかそういうことでない形ではございますが、私どももそれにかかわっておるという姿で一つの目安をつくったという経過でございます。
#19
○勝又武一君 恐らく局長お答えになっているのはこの文書でしょう。十月六日に課長名で教科書協会あてに出されたこれのことですね。そうですね。
#20
○政府委員(三角哲生君) 十月六日付の文書でございます。
#21
○勝又武一君 そうすると、これはいままで、十月六日以前にこういう文書を出したことがございますか。
#22
○政府委員(三角哲生君) 以前に、大分前のことになりますが、これと似たような文書を出したことがございます。
#23
○勝又武一君 それはいつですか。
#24
○政府委員(三角哲生君) 私がただいま理解しておるところでは昭和三十三年あるいは昭和四十五年と、こういうことでございます。
#25
○勝又武一君 三十三年と四十五年ですか。
#26
○政府委員(三角哲生君) さようでございます。
#27
○勝又武一君 それは後でいただけますね。
#28
○政府委員(三角哲生君) 承知いたしました。
#29
○勝又武一君 そうしますと、これは公取と両方にお伺いいたしますけれども、三十三年と四十五年に出しておいたのにもかかわらず、本年の三月十四日の予算委員会の総括質問の橋口委員長の見解はどうなるんですか。どういうことですか、これは。全然おかしいじゃないですか。もっと言いますと、三十三年と四十五年に出しておいて、同じ――同じものと聞いているんですよ、私は。違うものなら別ですよ。これと同じ趣旨のものを以前に出したことがあるかどうかと聞いているんです。読みましょうか。事態、こうなれば明らかですよ。社団法人教科書協会会長稲垣房男氏名をもって初等中等教育局長三角哲生殿あての「教科書の体様に関するめやすの設定についてお願い」という文書が十月の二日に出ているわけです。そうでしょう。それに対して、十月の六日に、これどういうことですか、課長名ですよ。教科書管理課長鈴木昌雄とおっしゃるんでしょうか、鈴木何々。課長名。あて名は社団法人教科書協会殿。こんな文書ありますか。片方は会長名でちゃんと局長の名前も載った文書に対して、片方は課長名で教科書協会殿という文書を出される。この文書を読みましょうか。「教科書の体様に関するめやすの設定について」、こういう表題で、「昭和五十五年十月二日付け教協第一七八号でお申し越しのあった標記のことについて、貴協会において、教科書編集製作上のめやすを設けることは差し支えありません。なお、このことは直ちに定価認可基準の改訂を意味するものではないことを念のため申し添えます。」、二、四、五行。これと同じ文書を三十三年と四十五年に出されているんですね、お聞きしているのはそういうことですよ。――いや、出しているか、出してないか、同じ文書かどうか答えてください。
#30
○政府委員(三角哲生君) ただいま私、手元にいま三十三年の文書の写しがあるわけでございますが、これによりますと、この文書は「教科書のページ数限度について」と、こういうことで当時の教科書課長から教科書発行者に対しまして出しておりまして、これは当時、私も詳しい事情をいま急なことで調べておりませんが、検定受け付け制限ページというものがあったようでございまして、それが廃止されたことについて社団法人教科書協会から「ページ数増大の競争が誘発されるようなことが、萬一にもあっては遺憾であるから、従来の検定申請受理種目に規定されているページ数を主とする別表のページ数を限度とすることとし、」云々とございまして、「編集上やむを得ない場合には、右の限度に多少の増加(一〇%以内)を認められるよう」との要望があったわけでございまして、これに対して教科書課長より、「できるだけ制限ページをこえないように」、「この趣旨により別表に従って編集されることを」望むという趣旨の回答をしている、そういうことでございまして、まあ同じというか、ページ数に関してそういう一種の協会に対する了解をし、それを各発行者に伝えたと、そういう文書になってございます。
#31
○勝又武一君 そうしますと、公取にお伺いいたしますが、三月十四日に私がお聞きしたときの状況ではですよ、というのはこれですね。いままで行われていた「教科書発行のしおり」、これに基づいて聞いたんですから、体様について。これで橋口公正取引委員会委員長にお聞きをしたら、この状況は独禁法違反だと。そういうことで調査をしますと、こうなりましたよね。そうして今度は公取が言うには、教科書協会がこういうものを十月二日の文書を出して、文部省が十月六日で課長名のこれを出したから、これは行政が関与したということになるからこの文書を出したので、それだから独禁法違反にはなりませんというさっきのお答えでしたね。そういうことですね。そこはおかしくなるんじゃないですか、そうなると。何のために、これを出したら独禁法違反でなくなって、この文書がなかったら独禁法違反の状態だったんですか。
#32
○説明員(奥村栄一君) 本年の先生御指摘の三月の議事のときには、「教科書発行のしおり」、あれだけを拝見いたしまして、それについて文部省が関与しているということを私どもの方で承知していなかったわけでございます。これを全く教科書協会が独自におつくりになっているんだとすれば問題ではないであろうかという御趣旨でお答えしたのであろうと思います。
 それで、その後私どもの方で事情を伺いましたところ、先ほど来御説明がございましたように、文部省の方で発注者としていろいろ御関与になっているという事情を私どもの方で承知いたしましたので、それで直ちに、何といいますか、独禁法上問題とはしがたいのではないかと、このように申し上げたわけでございます。
#33
○勝又武一君 そうすると、これ一体どうなるんですか。この十月二日と十月六日の、これはどうなるの。十月二日のこれが出て十月六日のこれが出たから関与したと言っているんでしょう。そうじゃなくても関与しているんですか。
#34
○説明員(奥村栄一君) このたび参りました文書とは必ずしも直接の関係はございません。すでに出ておりました文書、古いものでございますし、今度の場合も文部省の方で御関与になっていることが外形的に明らかにした方がいいんではないかと。もし関与しておられるのであればそれの方がいいんではないかということで申し上げて、そういう文書ができているようでございます。
#35
○勝又武一君 「関与」ということをお聞きしたいんですけれども、こういうお伺いの文書が協会から出てきて、この中身後で聞きますけれども、目安の設定についてのお伺いという文書が出て、これについて課長名で差し支えありませんという五行程度の文書が出ると関与したということになるんですか。
#36
○政府委員(三角哲生君) 公正取引委員会の方からもお答えいただくことと存じますが、先ほど勝又委員の御発言ございましたのでちょっと御説明をさせていただきますが、確かに教科書協会からの、何と申しますか、御協議というか、相談の文書は、会長から初等中等局長あてでちょうだいいたしておるわけでございます。で、実質的にそれに対する回答という形で、先ほど御指摘の十月六日付の文書は、私の局の教科書管理課長から、これは「社団法人教科書協会殿」というのは「会長稲垣房男殿」の方がよかったかもしれませんが、出しております。こういう形式は、それは私の名前で出しても同じことでございますが、役所の場合に、たとえば大臣あてに参りました文書について大臣のかわりとして局長が御返事を申し上げるとか、その場合当然大臣の御了承を得た上でいたすわけでございますけれども、そういうやりとりの形式というのは、これは通常あるわけでございまして、そういった形をとった往復文雷になっておりますが、内容的にはこれは当然私も了承しておることでございまして、教科書協会の方もそのように受け取っておりますので、先ほどちょっと形が変ではないかという御趣旨の御発言であったかと存じますので、ちょっとそのところだけを御説明させていただきます。
#37
○勝又武一君 「関与」ということですね、もう一回お聞きしますよ。
 公正取引委員会の委員長は、文部省が細部にわたってまで決めることの方がより望ましいんだと言う。そうじゃないと独禁法違反になるという指摘をされておりますね。今度は「関与」というのはこの程度で「関与」ということになるんでは、そこの委員長の見解と違うんじゃないかな。つまり、私がお聞きしたいのは、文部省が責任を持って指導している、そういうことが「関与」になる、そう思いますけど、それとも違うんですか、「関与」と。
#38
○説明員(奥村栄一君) 文部省の方が指導権を持って詳細にお決めになる、これはもちろん「関与」でございますけれども、協会の方がおつくりになってそれをしさいに点検して適当であるという御判断をお示しになっても、形態は若干異なりますけれども、「関与」であるという意味では同様であるというふうに考えております。
#39
○勝又武一君 この協会の「目安の設定について」というのを見ますと、時間がありませんから一例を挙げますと、たとえば図工で見ますと、図工の授業時間数というのは、小学校は一年生が週三時間、二年生から六年生は週二時間、中学校は一年、二年が週二時間、三年が週一時間、こうでありますけれど、この業会が決めた目安によりますと、小学校では本文が上限二十四ページから下限二十ページ、中学は上限が三十二ページ、下が二十八ページ、こう四ページの差ですけど、なってるわけですね。この授業時間数からいうと逆だと思いますけれども、これはどういうことなんでしょうか。
#40
○政府委員(三角哲生君) それは、中学校の方が多いのはどういうわけかと、こういうことでございましょうか。
#41
○勝又武一君 そうです。
#42
○政府委員(三角哲生君) これは、まあやはり学年が高まりますればいろいろと、時間数は少のうございましても、いたしますことの内容の密度というものが高くなるという、そういったこともあるのではないかと思いますが、いずれにしましても、これは義務教育の教科書の発行者はすべてこの協会に入っておりまして、その中で発行者の方々が十分に御協議になって決めてきたことでございます。
#43
○勝又武一君 私が三月十四日にお聞きしたとき、独禁法違反という見解があったときの「教科書の体様について」という方は、これは小学校は二十四ページ、中学は三十二ページ、こう決まってた。そこで、今度協会がつくったこの目安の設定というのを見ますと、それぞれただ四ページを下へつけただけなんです。幅を持たしただけなんです。実際にはその上限に全部なっちゃっている。そうしますと、先ほど三角局長に私がお伺いした、文部省がなぜページ数の上限を細部にわたって決めないのかとお聞きしたときに、著作者の自由を侵害をする、著作者の自由を侵すからだと、こういうようになるので文部省は決めないんだと言っていましたけど、この協会の方が上限をすべて中学は三十二ページ、小学校は二十四ページ、こう決めてしまった。実質的にそうなる、四ページという差をつけても。それは先ほどの局長の見解と相矛盾いたしませんか。
#44
○政府委員(三角哲生君) まあ考え方ということもあろうかと存じますが、基本的には私が先ほど申し上げましたようなことがあるかと存じますが、しかし、その上で実際に教科書を発行する方々が申し合わせなりあるいは一つの目安についての申し合わせをするということは、これはまたそれなりの理由があることでございますので、私もまあ一応いろいろなことを煮詰めてまいりますれば、一つの基準によってつくっていただくものでございますから、教科書の著作者によってそんなにひどいばらつきがあるということは、これはやはり同じく義務教育の教科書でございますので、その点からもどうかということはあるかと思います。ただ、文部省の細則で一方的に決めるというやり方もありましょうけれども、発行者の方々が御相談になって一つの目安を決めて、私どももその中身について、ないしは趣旨について検討して、そのやり方というものについて合意をすると、そういう形にこれはなっておるということでございます。
 なお、これはまあ中身の問題ではございませんが、やはり一つの目安を設けることによりまして不必要に華美な装丁をいたしましたり、あるいは、まあ中身が十分締まっておればいいんですが、そういうことでなくてページ数がふえるといったような意味合いの競争はやはり避けた方がいいと、そういう御認識が発行者の中であって、こういったことになっておるというふうに理解しております。
#45
○勝又武一君 どうも歯切れが悪いですね。
 つまり、私がお聞きしたいのは、片方では独禁法違反になるからこうやるんだと。こうやると今度は局長のおっしゃった意思に反する。だから、両方とも満足させるためには、つまり独禁法違反にもならないし、局長のさっきおっしゃった著作者の自由も侵害しないということをやるためにはどうしたらいいか。私は、一切自由にしたらいい。つまり、私が先ほどから文部省が細かく決めたらいいということを言っているのは、独禁法違反を逃れるためにはそうするしかないという意味で言ったんだ。ところが、いま局長のおっしゃっているようなことになれば、やはり上限を三十二ページとか、二十四ページとか決めずに、教科書会社にお任せになったらいかがですか。自主的な判断に任したらいかがですか。そうすれば、局長のおっしゃる著作者の自由も侵害をしないし、独禁法違反にもならないし、文部省も困りもしない。なぜそういうようにされないのか。本当に関与するというなら、そういうことしないと関与にならぬじゃないですか。局長の趣旨が貫徹しないんじゃないですか。いかがですか。
#46
○政府委員(三角哲生君) 教科書は民間の著作物でございますから、基本的には先ほど来申し上げたようなことがあるわけでございますけれども、やはりしかし教科書というのは、先ほど来委員も御指摘のように、国が発注と言うとあれでございますが、国費でもって義務教育の教科書は購入をしていると、そういう図書でございます。したがいまして、私どもとしてはやはりいろいろな意味で適切な教科書を確保するという努力をいたさなければなりません。したがいまして、先ほど来御指摘でございますが、判型、分冊、印刷、製本、用紙、その他につきましては協会の図書検定基準及び同実施細則が、これはいわば必要最低限の基準ということで定めておるわけでございます。あわせて、やはり教科書については適正な価格を維持したいということがございまして、そのために教科書の定価は文部省告示で定めますところの最高限度額の枠内で文部省の認可を要すると、そういう制度になっておるわけでございます。で、こういった条件のもとで先ほども申し上げましたが、いたずらに不必要な装丁でございますとか、あるいは冗漫な増ページなどによる競争を避ける。そのことによりまして、逆に内容の締まった充実したものをつくっていただくということを図りますために、私どもは、こういった教科書協会という発行者全部が入っておりますところの団体、自主的な社団法人の中で、発行者の合意によりましてこういった申し合わせが設けられているというふうに理解しているわけでございまして、そのこととこれが民間の著作物であるということとは、ここのところで調和を図られているわけでございますので、文部省としては、この申し合わせの趣旨を十分に検討いたしました結果、これはおおむね妥当なものであるということを考えまして、先ほど来御指摘のような回答を出しておる、こういうことでございます。
#47
○勝又武一君 現在の小学校図工の教科書は一冊百二十八円ですね。一万部発行している会社も八百五十万部の会社も一冊百二十八円。そして、原価計算上の採算点というのは二十万部だというように言われておりますけれど、その点はそう理解してよろしいですか。
#48
○政府委員(三角哲生君) 前段の御質問はそのようなことでございます。これは教科書といいましても、民間の著作物として民間の会社が出しておるものでございますから、いわば一つのそういう何と申しますか、そういう意味では競争の原則の上に立っておりますから、たくさん売れるか少なく売れるかということは、それはいろいろ内容の問題その他あると思います。
 それから、採算ベースの部数と申しますか、いま二十万部という御指摘でございましたが、そういうことも言われておるようでございますが、私どもの理解しておりますところでは、これはどこでどう決めたということではないのでございまして、教科書の営業採算部数というものは、でございますから、その時点時点でいろいろ違うと思いますが、昭和四十年ごろの教科書の平均発行部数が二十万部程度であったので、一応それが営業採算部数というふうなことを言われてきたかと思います。ただ、御参考までに申し上げますと、現在の平均発行部数は、児童・生徒数その他の関係もございましょうが、平均三十万ということになってございます。
#49
○勝又武一君 百二十八円というのは決まっている値段ですよ、そのことを言っているんですよ、そうでしょう。
 そこで、この百二十八円の単価の内訳を文部省に資料要求いたしましたら、けさ「教科書単価の内訳」というのをいただきました。これで見ますと、いわゆるコスト、製造原価「用紙代・印刷・製本費」、これが三五・四%です。
 そこで、そういう紙代、印刷費、製本費という部分は、これは部数がふえるにつれて増大をしますけれど、別の製版代、宣伝費、編集費、人件費、管理費、これらは発行部数が変わろうが変わるまいがほとんど変わらない。これは一応いわゆる固定費用部分、こういうように呼ぶといたしまして、この固定費用部分、これは大体コストの何%ぐらいに当たるというふうに理解されておりますか。――皆さんの資料にあるんですよ、これは計算すればすぐ出る。
#50
○政府委員(三角哲生君) 私どもの持っております資料で、それを勝又委員の方にお出ししたわけでございますが、これは教科書の定価が文部大臣認可にかかっておりますので、定価の基準を定めます場合に、教科用図書検定調査審議会の中の価格分科会というところで、教科書会社の営業内容と申しますか、決算を調べまして、そして教科書の編集についての必要経費の算定をいたしまして、そしてこれをまた国が買うわけでございますから、かなり慎重にそこのところを決めまして、ページ当たりの単価というものを決めるわけでございます。そのときの資料が、当時の物価あるいは労務費その他からの計算の結果として、ただいま御引用のありました製造原価三五・四%以下の数字になっておるわけでございます。したがいまして、この中でいわゆる固定経費、生産量がふえてもそれほどふえない部分と、それから紙代でございますとかあるいは印刷代あるいは荷づくり発送費というような部数がふえればふえたなりに増加する経費、これの厳密な仕分けというものはいま手元にございませんですけれども、編集費というようなものは部数がふえてもふえることのない部分、印税といったような部分は部数がふえるとふえるいうことでいろいろ複雑に絡み合っておりますので何でございますが、用紙代、印刷代、製本費、これが三五・四%。これは部数に大体比例するかと存じますが、人件費の二一・三%は比例する部分とそうでない部分があろうかと存じます。一般管理費のようなものはこれは……
#51
○勝又武一君 できるだけ簡単にしてください。
#52
○政府委員(三角哲生君) はい。一般管理費と金利が八・八%でございますが、このうちの一般管理費というのは部数と必ずしも比例しない、金利のようなものはこれは比例する部分であろう。「編集費・印税」の編集費は比例しないが、印税は比例する部分、供給費、荷づくり発送費等は大体は部数がふえればこういったものはふえていく。広告宣伝費でございますとか利潤、これが二・六%あるいは利潤は三・〇%でございますが、これは部数がふえれば必ずしも部数と正比例ではございませんけれども、これはふえていくということかと思いまして、これを全部こう要素にあれして計算をするとどうなりますか、ちょっといま手元に数字がないんでございます。
#53
○勝又武一君 私も限られた時間ですから一々反論できませんけれども、たとえば一つ二つしますと、この場合の広告宣伝費というのは局長の言っているのと違うんですよ、これは。この二・六%というのは、その教科書を出す前のときの広告宣伝費の意味だというように調べますとなっている。それから、一般管理費のうちでも確かに金利等の違う部分ありますけれどもね、ほとんど人件費なり編集費なり、一般管理費の大部分というのは動かないんだと。ちなみに言いますと、教科書協会の会長は、毎日新聞を読みますと五五%だと言っているんですよね、教科書協会の会長はこの固定費用部分が。私も、文部省の資料で三五・四%、残りが六四・六でしょう、六四・六から大ざっぱにいまの比例部分を引いても大体教科書協会の会長がおっしゃる五五%、大目に見れば六〇%、その分ぐらいが固定費用部分に当たるというのは、会長のおっしゃっていることだし、そうだと思います。だとしますと、先ほど言っているように、いままで二十万部が採算点だと言われてきた。先ほどの局長だと、いまは三十万部が平均発行部数だからというお話があって、仮に二十万から三十万が原価計算上の採算点だとした場合、それ以下のところは赤字になりますね。だから、それを超すところはどんどんそこの部分の剰余の部分はふえる、グラフを書いてみたんですけれども、(資料を示す)固定費用部分が動かないんだから、これはもう三十万部を超せば超すほどどんどんここの部分減るでしょう。比例をしてふえる用紙代、印刷代、製本費は確かに原価もコストもふえるでしょう。しかし、固定費用部分の五五%から六〇%部分というのはその上費用もかからないんだから、三十万部を超えて百万、二百万、五百万、八百五十万部となったからこれは相当、そこのこの三角の部分ですね、この三角の部分の剰余というのはずいぶん大きくなるでしょう。これはわかりますね、お認めになりますね。
#54
○政府委員(三角哲生君) 御趣旨はわかるつもりでございます。
#55
○勝又武一君 御趣旨はわかるということは私の言っているのと同じ意味だというように理解せざるを得ませんけれどもね。
#56
○政府委員(三角哲生君) 結構でございます。
#57
○勝又武一君 そこで、財政再建ということがよく言われるわけですね。これ大臣にお聞きしたい。これ大臣ぜひここのところ検討してくれませんか。財政再建という観点で、何か先ほど鈴木内閣は大平総理を継承するんだから教科書無償を維持する、こういうお話でしたね。ところが、何か教科書代の四百億に注目をしていろいろ言っているわけでしょう。だったら、私はまず先に仮にここへ目をつけるならばここにこそ注目すべきじゃないか。いまの点大臣よくお聞きになっておって、局長もおっしゃっているとおり、大臣もこの辺はよくおわかりだと思いますので、まずここの部分、これにこそ目を向けるべきだというように私は思いますけれども、大臣の御見解はいかがですか。
#58
○政府委員(三角哲生君) 勝又委員の御指摘のような分析ができるわけでございまして、何と申しますか、ですから何部売れたかによりましてその教科書発行するに必要とした経費、これも一応何らかの基準は必要かと思いますから、経費を見て、そして一部当たりの原価というようなものを考えまして、それを後で補てんするというようなそういう制度は考えとしてはあり得ると思うのでございます。それは。そうしますれば、少ししか売れなかった場合も、それから非常にたくさん売れた場合も発行業者は損もしないかわりにそんなに得もしない、こういうシステムというのは、それは考えの上ではあり得ることでございまして、そういう御議論もないことはないというふうに考えます。
 ただ、この議論は無償制度が発足するときにもそういった問題というものは出ていたわけでございますが、それならば発行部数に応じまして、そうして製造原価が合理化されるということが前提になればいいではないか、そういう議論でございましたけれども、先ほども申し上げましたが、現在の制度は民間の著作物を検定というふるいにかけた上で教科書に使う、こういう制度でございますから、やはり教科書といえどもそれはそれぞれの内容で競争するという民間企業の商品でございますから、だからやはり部数が多くなれば定価も安くするということではそういった意味の企業の努力というものを喚起するには支障を来すというようなことからこういう現在の制度ができておる、そうしてそういった価格制度でずっとまいったと、こういうことでございます。
#59
○勝又武一君 四百八億ですよね、いま。これは無償ですけれども、実は国民の税金からの支出ですね。大臣よろしゅうございますね。四百八億というのは国民の税金から出ている。そして、四百八億に及ぶ教科書の代金のうちの約三〇%が営業費、販売競争費用部分に充てられている。大体四百億として三〇%で百二十億ですか、百億から百数十億に及ぶお金が営業費なり販売競争費用部分に充てられている。そして、これはもう各新聞社なり各識者がみんな指摘しているところですよね。三月十四日にも私はこの点にも言及をして、こういうような事情を全部新聞社が言っているんで一体どうなっているんだ、国民の何というんでしょうか、心配なり国民のそういう疑惑を払拭する必要があるんじゃないか。そういう意味で、大阪の教科書事件のことを申し上げたり、いろんな事例を申し上げて現状についてどうかということでお聞きをした。そして、たとえば警察庁については、お聞きをしたら、警察庁の刑事局長は「事柄が教育に関することでもございますので、慎重かつ十分な関心を持って対処してまいりたい、」と述べられておるんですが、その後警察庁はこの刑事局長のこの言明についてどのように十分な関心を持って対処されてきましたか、警察庁。
#60
○説明員(漆間英治君) 確かに三月十四日の当院の予算委員会において勝又議員の御質問に答えて私どもの局長がそのような答弁をいたしております。私どももそれを受けまして各都道府県警察に、この種の問題について各種の報道があること、それから当院においてそのような質問があったということを通知をいたしまして、この種の問題について局長が申し上げましたように、慎重かつ十分な関心を持って対処するようにということを連絡いたしております。ただ、事柄が事柄でございますから、その結果これまでにこの種の事案について検挙したというような報告例には接しておりませんけれども、しかし各都道府県警察がそのような経緯を踏まえまして、現在でも十分な関心を持って臨んでおることは事実でございます。
#61
○勝又武一君 そうすると、私はやっぱり常識的な国民の疑惑を解くために、警察庁が引き続き十分な関心を持ってこれらについては調査をされているというように受け取ってよろしゅうございますか。
#62
○説明員(漆間英治君) 結構でございます。
#63
○勝又武一君 これは、文部大臣、殺人以外のことは何でもやってんだという書き方がずいぶんされてるんですよ。人殺し以外のことは何でもやってんだと、そういうような言い方さえ出ている。そのことも十分ひとつ大臣、御関心をお持ちいただきたいんです。
 そこで公取にお聞きをするんですが、公取も「教科書の販売に関しまして金品の提供、酒食の供与等の事実がございましたならば、不公正な取引方法に該当するということで、事件として立件をして調査をいたしたいと思います。」と、こういうように橋口公正取引委員長がその際答弁をされているんですが、その後公取としてこういう問題についてどのような調査をなさっていらっしゃいましたか。
#64
○説明員(奥村栄一君) 教科書発行業者によります選択に関与する者への供応等が行われる場合には、教科書業におきます特定の不公正な取引方法に該当するということで、もちろん独占禁止法上問題になるわけでございますが、そのような行為があるというふうな有効な端緒にはその後接しておりません。それで、もしそのような端緒に接しました場合には厳正に処理してまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
#65
○勝又武一君 そういう状況を私、予算委員会で申し上げまして、採択状況についていろいろの章見を質問をいたしました。それで大平総理は、そういうような問題については十分文部省をしてこの採択制度について検討させるという答弁をされたわけですが、そこで以下二、三この採択制度についてお伺いをしたいんです。
 これは一つの例ですが、今度中学の教科書採択に当たりまして、私が三月十四日にお聞きをした小学校の図工の教科書の例を挙げましたが、この小学校の図工でお聞きをした教科書会社の今度の中学校における採択状況を見ますと、こうなっているわけです。国立と私立と公立に分けますと、私立は私立全体の三四・八%なんです。私立は。それから国立は九・六%、こういうようにされているんです。昨年は全部で、公立は〇・一%しか小学校は採用されていませんでした、この図工の出版会社のは。そして私は大平総理に現物も全部お見せをして、どういうわけなんだと、この八百五十万部と〇・一%の違いはとお聞きをしたんです。そしたら、ここのところが、今度は中学校では私立が三四・八%、国立が九・六%、しかし公立は依然として圧倒的に少ないんですね。父島とか母島とか営業セールスマンが行けないようなところはちゃんとなっておりますけれども、それは私はそのときもお聞きしたんですが、内容がいいからじゃないかということをそのとき言ったんですけれども、営業マンが行けないようなそういうところは内容で勝負するんだから、そうなったんだろうということをお聞きしたんですが、今度もそうですがね。そこで、現行の採択制度の本来の趣旨というのがこれを一つ見ますと、私は非常に明らかにあらわれておる。これは専門家の答弁じゃなくって、大臣の直接の御感想をお聞きしたいんです。大臣、どんなにお考えになりますか。
#66
○国務大臣(田中龍夫君) 私も着任早々でございまして、従来の経過その他、詳細に知悉いたしておりません。また、よく調べましてお答えいたします。
#67
○勝又武一君 これは採択制度に問題があるというようにお考えになりませんか。私立で見ましょうか。大臣、挙げましょうか、これ有名校が――まあ有名校というとおかしいんですね、非常にむずかしい表現になっちゃうんだけどね、これ一覧表見るとおもしろいですよ。私立学校のもう名前挙げれば皆さん知ってるようなところがみんなこの教科書とっているんだ、三四・八%だ。ところが公立の方は圧倒的にない。これはやっぱり採択制度に問題があるからでしょう。私立のそうそうたる中学校がほとんど使ってんですよ、三四・八ですよ。
 そこで次に、局長にお伺いしますけれども、一体、採択制度について一つは、展示会制度がありますね。この展示会制度について文部省はどんなふうに思われますかね。
 これは東京武蔵野市の場合です。全教師が手分けをして全教科書を読み、職員会議で討論をする。その結果を各校が持ち寄ってさらに討論し、市の採択委員会に報告する。採択委員は、教師、学識経験者、市の職員で構成をされているが、各校の要望を十分に尊重して答申する仕組みである。また展示会場には投票箱が置かれ、父母の意見を採択委に吸い上げるよう配慮されている。同市のような――武蔵野市ですね。武蔵野市のようなガラス張りの採択方式では疑惑の起こりようがない。こういうところが一体どのぐらい展示会場であるというように文部省、調査でおつかみになっていらっしゃいますか。
#68
○政府委員(三角哲生君) これは、採択については勝又委員御承知いただいておりますとおり、各都道府県の教育委員会、これが指導することになっておりますので、都道府県の教育委員会段階ではそのような実態について一々掌握を相当程度しているかと存じますが、私どもは全国の状況について特段に全体について調べておらないのでございます。
#69
○勝又武一君 文部省としては採択制度を検討せよという大平総理の予算委員会での答弁に対してきわめて忠実ではないんじゃないですか。どういうように一体――その採択制度の質問のときにぼくが問題点を指摘したんです。この採択制度のあり方についてもう一回この三月十四日のでやる時間がありませんから申し上げませんけれども、その予算委員会のときに局長いらっしゃいましたね、御存じでしょう。このこと一々全部いまから時間ない中でやらなくっても、この予算委員会の会議録の中で私が幾つかこの採択制度の問題について指摘をしているんです。展示会制度の問題についても指摘をしたけど、いま一例を挙げたんだ。この武蔵野市のような展示会制度やっているところはほとんどないでしょう。文部省調査であったら挙げてくださいよ、どことどこの市か。
 それから、各県の採択の状況がきわめてそういう意味で問題があるということも指摘をしているんです。そういうことについて大平総理はこのときにこうおっしゃってるんでしょう。「要はわれわれの関係する仕事としては制度の改善、制度の是非の問題になるのではないかという私は印象を受けたわけでございますので、文部省を中心にいたしましてそういう点で抜かりなく検討をいたしておると思いますけれども、」私から「御注意がございました点につきましては文部当局中心に検討させることにいたします。」と、こうちゃんと答えているでしょう。間違いございませんね。そういう点について文部省は、一体三月十四日から、この採択委員会なり、採択制度なり、展示会制度なり、そういうような問題についてどういうような具体的な検討をされてきたんですか。
#70
○政府委員(三角哲生君) 先ほど申し上げましたのは、まあ勝又委員の御紹介のありましたような一々のその採択地区ごとの採択の手順なり、あるいはそのときにいろいろな工夫をどういうぐあいに加えているかということについて、全国採択地区が五百幾つかあったかと存じますが、それについて私どもは一々チェックをしていないと、こういうことでございますが、ただ教科書展示会に法定期間内にどのくらいの先生方が見えたか、あるいは期間外にもどのくらい見えたかというようなことは報告を取っておりまして、この人数のようなものは大体そう毎年度変わりはございませんが、むしろ傾向としてはふえてきているということでございます。
 それから、私も、勝又委員が予算委員会で御質疑がございましたときにほかの問題で出席しておりましたので、そうして一々は私所管が違いましたので覚えておりませんでしたが、速記録は拝見させていただいております。そして、大平総理もそのように言われたわけでございまして、私どもはやはり採択の制度については、これは常時そのときどきの、たとえばただいま勝又委員御指摘のような事柄が生じましたことも当然これは含めまして、これについて果たしてさらに改善の余地はないかというようなことは検討しなければならないと思っておりますし、そのための所管課としてはそういう意識で仕事に当たっておるわけでございますが、ただいまのところは、私どもは、現在の採択方式というのは、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律によりまして、一応この採択方式の基本が定められておりまして、この基本はただいまこれはこれで妥当であると思っておりますし、そして先ほど来御紹介のような武蔵野市のような非常に丹念なやり方と申しますか、ガラス張りとおっしゃいましたが、ああいうことも、先生方の教科書に対する研究の結果を集約して、それを基礎に教科書を決めていくという一つの方法であると思いますが、その他の地域につきまして一々調べておりませんけれども、私どもとしては、この法律に定められました採択方式で各地区でやっていただいておるというふうに認識をしておるのでございます。
#71
○勝又武一君 大変限られた時間ですので、教科書問題もっともっと――いまの局長の答弁では私の質問に対する答弁としてはきわめて不適切です。そしてまた私も了解できません。しかし、もう時間がありませんからここでこの問題を終わりますけれども、最後に、大臣に、この教科書問題で私は御要望もし、お聞きもしたいんです。それは、私がいまこういろいろの角度から教科書問題を言ってきた一番の気持ちは、四百八億というもの、それをまた今度は、先ほど大臣の御決意をお聞きしましたけれども、相当ふえていますね、概算要求で。目につくわけです。一番大蔵省目につけているのはここなんです。それだけに国民の期待もここにあるわけです。そうすると、ただ無償で四百億を出せばいいという問題じゃないんです。それにやっぱりこたえられ得るような状況でないと大変だというふうに思うんですよ。おわかりいただけるでしょう。だから、四百八億をいままで出していたんだと、今度はこれを四百七十何億にふやすわけでしょう。そうすると、それに見合うようなものでなければいけない。何かそのうちの三〇%が営業費だとか販売競争部門に使われちゃっているんだというような声が出るような状況ではいけないんじゃないかと、それが一つ。
 もう一つは、私はやっぱり教科書というのは子供が使うんだから、本当にいいものにしなくちゃいかぬ。そういうむだなものをなくして、限りなく良心的に百二十八円に中身が全部近づくような、そういう中身のものにしてもらわなくちゃいけない。そうするには、やっぱり局長が一番最初におっしゃっていた著作者の自由だとか、そういうようなものが一番尊重されるようないい教科書をつくらなくちゃいかぬ。そういう意味でいま言ったようなものが幾つかあるんじゃないか。その根っ子はいまの広域採択制度にある。時間がなくて触れられませんでしたけれども、そこの広域採択制度になったことと無償制度とは一緒に出発しているんです。ただほど高い物はないんだ。そういう意味では、そこのところはやっぱり文部省として、無償無償というそのことだけでなくて、中身の問題として検討してもらいたい、そういうことを強く主張しているわけです。そういう意味で、大臣のこの点に関する御見解といいますか、御決意をお伺いしたいんです。
#72
○政府委員(三角哲生君) 大臣の御答弁の前に、四百億云々の勝又委員の御発言に関してちょっと御説明をさせていただきたいと存じます。
 価格の問題をお取り上げいただいているわけでございますが、やはり教科書の著作者も民間の著作者であり、発行者も民間の会社でございます。やはり内容で勝負すると申しますか、競争原理というものは置いておるわけでございますから、その意味で、ある種の営業経費というようなものがこれは必要であるということは、現実問題としてこれ全く否定するということはできないわけでございますが、ただ、そういったものがやっぱり教科書の採択や教科書の定価に及ぼす影響というものはよく考えなければいけないということで、いろいろな意味の指導をしておるわけでございます。ただ、先ほど来時間の関係おっしゃっておりますので、その中身については別途御報告申し上げたいと存じますが、いろいろな意味で私どもとしては指導ないし規制は行っております。
 それから価格そのものでございますが、これは先ほど来勝又委員の部数がふえれば利益もふえるという御指摘、これはそのとおりでございますが、やはり価格の適正を図りますために、先ほどもちょっと申し上げましたが、サンプルとして十社なら十社という会社をとりまして、それの全部の経理内容をチェックをいたしまして、そして審議会で検討いたします。そして、その審議会の中にはいろいろな学識経験者にも入っていただきますし、会計、経営関係の専門家にも入ってもらいますし、それから大蔵省の主計局からも参加をしていただきまして、そして先ほど申し上げましたような価格の構成比率というようなものをそのときどき検討いたしまして定めておるのでございまして、でございますから、私どもの明年度の四百七十五億円の要求が、いかにも何か非常に国費をむだにしたというような結果になるような前提での要求であるというふうに誤解されることは、これは私どもとしては非常に不本意なことであるというふうに申し上げざるを得ません。(「そんなことを聞いているんじゃないのだ、大臣の答えを聞いているのだ、ぼくは」と呼ぶ者あり)
#73
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと詳細な御指摘等々、お話を承りましてありがとうございます。非常に建設的な御意見に対しまして、私の方といたしましても十分に精査いたしまして検討いたします。
#74
○勝又武一君 大臣の最後のお言葉で了解しますけれども、局長が最後におっしゃった点は、全然私の質問を取り違えておりますから、きわめていまの点だけは納得できませんので、承知したということじゃありませんから、後で取り消してください。
 次に、もう二つ目の研究体制といいましょうか、そういう問題についてお伺いしたいんです。
 それは大臣の所信表明の中で、「文教の振興を図ることが国政の基本である」、また「学校教育の成否を左右するものは、究極的には教員の力による」、こう言われておりますね。全く同感なんです。そこでどう力をつけていくのか、まずそれが問題だと思いますので、そういう観点で幾つかお聞きをいたします。
 授業は教員の命だというように私は考えます。小学校の教員が授業を一時間行うために事前準備、教材研究、事後指導等で勤務時間内において最低一時間必要であると、こういうことについて私はもうこの三年来再三にわたってこの文教委員会で確認をしてきましたし、事実四月二十四日、標準定数法が可決をされた日の当文教委員会、これは初中局長――現在の事務次官の諸澤氏が、おっしゃるとおりですと、こういうように再三これは答弁しているんですが、これはもちろん変わりございませんね。
#75
○政府委員(三角哲生君) 記録でもって拝見いたしましてよく承知しております。
#76
○勝又武一君 勤務時間は一週間四十四時間ですね。
#77
○政府委員(三角哲生君) さようでございます。
#78
○勝又武一君 同じように、四月二十四日のこの日にいろいろ大臣と当時の初中局長にお伺いをいたしましたが、学校教育法二十八条に言う教員の本務というのは授業だ、こういうことについて当時の諸澤局長も全くそのとおりだと答えておりますがこの点もよろしゅうございますね。
#79
○政府委員(三角哲生君) 教員の主たる仕事は授業でございます。
#80
○勝又武一君 そうしますと、授業を充実するためにその方策というのを最優先すべきだと、こういうように考えますけれども、この点はいかがですか。
#81
○政府委員(三角哲生君) 授業は充実して実施していただかなければならないと思います。
#82
○勝又武一君 主たる本務が授業である。そして授業を行うための事前準備、教材研究、事後指導、これが非常に重要だ、これはお認めになっているわけです。
 そこで、勤務時間の中でそれ以外の教員の本務とか職務とか、つまり授業及び授業を行うための――以下時間がありませんから教材研究等という言葉に省略しますけれども、教材研究等に要する時間、これ以外の職務にどんなものがあると思われますか。主なものを二、三挙げてみてください。
#83
○政府委員(三角哲生君) 授業以外に、やはり先生方でいろいろ御相談になるような時間もあろうと思いますし、事務的なことの処理というようなこともありましょうし、あるいはPTA、あるいは母親、父親等との接触のための準備や実際のそういう仕事、それから状況によりましては地区の家庭を訪問するとか、もろもろのことがいろいろあると存じます。
#84
○勝又武一君 職員会議とか、決められた研修だとか、あるいは校務分掌による仕事とか、特にまたクラブ活動、部活動の指導とかございますね。あるいは、常時ではないでしょうけれども、運動会とか、遠足とか、健康診断だとか、家庭訪問だとか、修学旅行だとかいろいろありますね。それから、養護教諭と学校事務職員のいない学校ではこれらの仕事をみんな負担しておりますね。こういう教員がやっている時間というのは小規模校になればなるほど大変ですし、大規模校には大規模校の違いがあるんでしょうけれども、これら授業と教材研究以外の時間、これが四十四時間の中で大体平均して標準的に何時間ぐらいあるというように文部省はおつかみになっていますか。
#85
○政府委員(三角哲生君) 最近のところ、いま御質問のような調査をしておりませんので具体的には一々つかんでございません。
#86
○勝又武一君 文部省が調査をしていないとおっしゃるので、私なりに、たとえばいま挙げたようないろいろな時間というのが一週間四十四時間のうちで仮に四時間としますと、四十四時間から四時間を引くと四十時間、そしてそれは授業を一時間行って、そのための教材研究が一時間必要だから二十時間、ちょうど四時間プラス二十時間プラス二十時間で四十四時間になりますね。いろんな学校でそういう仕事が大変多い学校がありますね。学校が仮に一週間四十四時間のうちで八時間そういう本務とか職務を持っているというように仮定をしますと、四十四時間から八時間を引いた三十六時間、それを二で割るとちょうど十八時間と十八時間、こうなりますね。八プラス十八プラス十八となる。つまり、一週間の受け持ち授業時間数、担当授業時間数が二十時間とか十八時間とかということがこの中から生まれてきて、そして四時間とか八時間のその他の仕事をやっている以外の時間は――教材研究等としますよ、事前準備、教材研究、事後指導、これで一時間必要だというのは文部省が認めているんだから、文部省の認めている一時間というのは十分確保できますね。こういうように現場の実情を理解をしてよろしゅうございますね。
#87
○政府委員(三角哲生君) 私どもよくつまびらかにしていない面もございますけれども、先生の論旨はわかるつもりでございます。
#88
○勝又武一君 そこで、一昨日でしたよね、まだ記憶は新たなんですよ、おとといだから。ここの文教委員会で三角局長は、委員の方の質問に当たって、教諭の週担当授業時間数について、五十二年十月一日の文部省調査で、小学校は二十二・四時間、中学は十七・九時間とおととい答弁されましたね。四月の二十四日の文教委員会には三角局長は御出席なさっていらっしゃるのですよ。そしてこの文教委員会の中に、その文教委員会に御出席の方もいらっしゃるわけです。私は標準定数法が文教委員会でいよいよ可決されるその日ですから三時間にわたって綿密にこれをやったんです。文教委員会の議事録持っていらっしゃるでしょう。おかしいじゃないですか。この三時間やり直せというのですか、局長。これは再三再四粕谷委員もぼくもいままで何回も言って、確かに諸澤局長はこれを何回もオウム返しのように答えている。そこで、四月二十四日に、私はこれを谷垣文部大臣といまの事務次官に、おたくの資料で徹底して議論したのじゃないですか。そうしたら、いまの事務次官はこのときに何とおっしゃっているのですか。もう御記憶が戻られたのじゃないですか。この日までは認めていなかった諸澤局長が、この資料よりは受け持ち授業時間数は多くなるということを認めているじゃないですか。そのとき局長いらっしゃったんですよ。そして、文部省のこの五十二年十月一日の小学校二十二・四時間、中学十七・九時間というのは単なる総人員から算出した平均だと、こういうこともお認めになったんです。そして、校長と教頭の受け持ち授業時間数は私立の方がはるかに公立より校長や教頭は多い。主任もそうなんだ。ところが今度は一般の教諭の方は公立の方が私立の方よりも多い。これも全部お聞きになっているのじゃないですか。これを三時間いまからやり直せというのですか。そうして校長や教頭や主任等の週担当授業時間数が著しく減ってきている。私立の校長や教頭さんは授業をやっているのに、公立の方がそれよりずっと少ない。こういうことも指摘をした。これはぼくが文部省の調査に基づいてやったんじゃないですか、あの一枚の紙切れの。そうして、正確に調査をしてございませんので検討するというように再度答えているのじゃないですか。これは全然おとといの三角局長の答弁はおかしい。どうですか。
#89
○政府委員(三角哲生君) 一昨日の場合は週平均のやはり担当授業時数ということでお取り上げいただいたかというふうに記憶しておりますので、そのことについては、ただいま勝又委員も御指摘のように、標準法の御審議のときに文部省の方からお出ししております平均担当授業時数というものは私どもも、ただいま持っております数字もそのときの数字も同じでございまして、これは昭和五十二年の調査ということでございまして、小学校では公立二十二・四時間、中学校では十七・九時間ということで、これは当時もそういうふうに申し上げておるわけでございまして、この数字はこの数字として一つの調査でございますから申し上げたわけでございますが、別にそう他意はないわけでございますが、当時の勝又委員と政府委員側のやりとりでございますが、これは当時の政府委員としては、「これは平均の授業時数ですから、そういう意味で」――これよりという意味でございましょうか、「多い方もおられる」というような発言をしている。それから御指摘にもあったかと存じますが、授業時数のほかに特活やクラブ活動というものがあるので、そういうものを加えれば、また「もう少しふえるということは確実だろうと思います。」、こういう発言になっておりまして、そしてさらに「授業時数だけで調査しますとこのような数字が出ておりますんで」云々とありまして、「全部の授業時数をとった場合に、県によってはそのくらいの数字になるというのは、私どもとしては正確に調査してございませんので、お聞きしておいて、ひとつまた検討してみたいと思います。」、こういうやりとりになっておるのでございまして、でございますから、授業時数という意味では、私どもやはり一昨日申し上げた数字を持っておりまして、それを基礎にいろいろなことを検討している。それで、勝又委員御指摘の校長、教頭の授業時数というのもそれによっておるわけでございます。
#90
○勝又武一君 ちょっと違いますよ。校長、教頭を全部ひっくるめた上での平均の数字でしょう。だから校長とか教頭が授業をやっているという、そこの違いが一つあるんです。指摘がね。それからもう一つは、いま局長おっしゃっているけれども、これは詳しく読む時間、本当はありませんのでやめますけれども、諸澤局長がこう答えていますよ。「これは平均の授業時数ですから、そういう意味で多い方もおられるというのが一つと、」、こう答えていますよね。
#91
○政府委員(三角哲生君) はい。
#92
○勝又武一君 それからいまおっしゃっているクラブ活動の問題を言っているんです。それから「授業時数の対比で見れば、確かに一人の先生が一学級の教科を全部教えれば、三十三時間ということはあり得る」と、こういうことも言っておりますよね。そして「私どもの調査は、先ほど申しましたように授業時数だけで調査しますとこのような数字が出ておりますんで、いま先生が御指摘のように、全部の授業時数をとった場合に、県によっては」云々と、で検討すると、こう答えているでしょう。だから、ここの皆さんの出している数字の違いを指摘しているんですから。そして私が特に全国的な傾向として小学校では二十五時間から二十八時間のところ、中学校では二十二時間から二十五時間、この辺が圧倒的に受け持ち授業時間数が集中しているんだ、こういう指摘をしましたよね。これについても局長は、検討するというふうにお答えになっているんですよね。こういう点については検討されましたか。
#93
○政府委員(三角哲生君) 私どもの方と調査統計担当部局の方とで協議を続けたいと思っております。
#94
○勝又武一君 そこで局長、お伺いいたしますが、たとえばいまの場合で、授業は二十五時間、一週間に授業を二十五時間行う者はさっきの算式でいうとどうなりますかね。四プラス二十プラス二十と八プラス十八プラス十八。こういう関係からいくと、二十五の方は、二十五プラス二十五で五十時間ですよね。これ以外にさっきの四時間とか八時間というのが入るわけでしょう。だから二十五プラス二十五で五十、これに四を足せば五十四、八時間なら五十八時間、こうなる。――ならざるを得ないでしょう。これはお認めになりますね。
#95
○政府委員(三角哲生君) そういう計算だと思います。特に一週間を固定して計算しますとそうなります。
#96
○勝又武一君 それ以外に、今度は土曜日の午後とか日曜にもいろいろやっているわけですよね。学校以外の場所で、自宅で研究したり、作文やテストの指導もしたりしている。テストの採点をしたりしている。そうすると、これは、いま一週間当たりと言うけれども、全体を見ましてもそのことは出てきますね。そうすると、文部省が一体授業を一週間二十五時間やる人の教材研究の一時間の確保を勤務時間の中でやるということは一体どういうことになるんですか。やるやるとおっしゃっているけれども、この人、現実の問題としてできないんじゃないですか。どうなさるんですか、こういう方は。
#97
○政府委員(三角哲生君) 教室での授業をできるだけ充実した、密度の濃い、しかも児童、生徒に対して目の行き届いたものにしていただくということは非常に重要なことでございます。そういう意味合いで、勝又委員御指摘のような一つの体制を確保するということは私どもとしても課題であると存じます。ただ、これはやはり一つの現実の諸条件とにらみ合わせながら推し進めていかざるを得ない問題でございまして、したがいましてこれは私からいまさら申すまでもなく、ここ長年の間、私どもは衆参両院の文教委員会の御教示や御指導や御指示を得まして、学級編制の改善なり、あるいは定数の増なりに努めてまいったわけでございまして、その延長の一環として、言うまでもなく今年度から、非常な財政条件の悪いときにあえて改善計画を出発させたと、こういうことでございまして、やはり一つ一つ乗り越えていって、だんだんに理想的な状態に持っていくということであろうかと存じます。また、先ほど来、それは休日にも一生懸命に御自分のお仕事を大切にされ、いろいろとお努めになっておるという方は多いかと存じますし、それはまた単に教職にとどまらず、ほかの職業についている方でもそういうふうに努力をしている方もおると思います。なお、教員の場合にはさらに夏でございますとか冬等の時間にも研修に励んでおられるという方も多いというふうに考える次第でございます。
#98
○勝又武一君 大臣にお伺いいたしますが、ここで大臣がおっしゃっていた教員の力によるということですね、文部省はそういう意味で、授業を充実するためには教材研究等の一時間というものを確保できるようにすることが必要だということを再三再四にわたってこれは局長も、それからもちろん大臣もいらっしゃる文教委員会の席上で常に確認をされてきていらっしゃる。それは努力するとおっしゃってきている。一週二十五とか二十八とかいいましてもちょっとわかりにくいですね。ですから、具体的に言いますと、月曜日から金曜日まで毎日五時間授業をやる。――よろしいですか。月曜日から金曜日まで毎日五時間授業をやって、土曜日に午前中三時間授業をやる。二十五プラス三で二十八時間ですね。こういう方がおるわけです。一週間に二十八時間授業をやっている方というのはそういう方なんです。一日に五時間ぶつ通しで授業をやっているというのはどんなに大変かということは大臣おわかりいただけるでしょう。そして、じゃ三十時間やっているという人はどういう方かというと、月曜日から金曜日までの五日間のうち、何と一日六時間やる日が二日あって、そしてやっと三十時間になるわけでしょう。一体この人にどうして教材研究等の一時間の確保をさせるようにできるんでしょうか。大臣、この辺どんなにお感じになりますか。
#99
○国務大臣(田中龍夫君) いまいろいろと教鞭をおとりいただく時間の問題、特に教鞭をとっていただく方に十分に研究もしていただかなければならない、資質の向上もしなければならない、そういう御意見につきまして十分理解をいたします。
#100
○勝又武一君 私は端的に言いまして、一週間当たりの受け持ち授業時間数、つまり担当授業時間数の最高を規制する、これ以上は持たせませんと、こういうことをやる以外にこれ方法ないんじゃないんですか。それ以外にもし具体的にいい方法があったらどうぞ文部省お示しください。
#101
○政府委員(三角哲生君) これは全国的にいろいろな条件の学校がございまして、平均をとっていろいろ物を考えてみましたり、あるいは勝又委員の御指摘のように、一つの傾向として何時間なら何時間というものが非常に多い、そういう印象といいますか、感じであるということから事柄の改善を考えていくことももちろんあるわけでございますが、やはり現在といたしましては、私どもは先国会で成立をさせていただきましたこの定数改善並びに学級編制の改善、これをできるだけ円滑に進めていくということ。それからもう一つは、その運用におきまして各教育委員会で必要な教員の配置なり、それからさらには学校内での授業時間のそれぞれの割り振り、専科教員の活用、あるいは勝又委員先刻来御指摘の校長なり教頭なりが適切に直接児童、生徒と接触するという、そういう道も総合的にあわせて考えていくと、いろいろな手だてを講ずることによってやはりしのいでいただくということであろうかと存じますが、一生懸命やっていただく先生方にとっては確かに非常に苦労の多いことであると存じますけれども、私どもとしてはいま申し上げましたようなことで少しずつでも改善をしていくということで努力をいたしたいというふうに考える次第でございます。
#102
○勝又武一君 これも四月二十四日に御指摘もいたしましたが、四十九年の参議院当文教委員会での附帯決議で、一週間担当授業時間数を小学校は二十時間、中学校は十八時間、こうするという、この指摘をいたしましたよね。この点は四月二十四日以降その点について努力をするということも文部省、方針が変わったわけじゃございませんでしょう。その点はどうですか。
#103
○政府委員(三角哲生君) 先ほど御指摘のように、三時間もいろいろと詰めた議論をなさいましておられますので、どの個所かちょっと私、的確にチェックすることができないのでございますが、まあ附帯決議ということでございますが、附帯決議の趣旨はそれとして十分にわきまえつつ、私どもは今後の改善についての検討を進めていかなければならないと、そういうふうに思っております。
#104
○勝又武一君 そうしますと、私はやや違った意見もありますけれども、小学校の二十時間というのでさえ大変だと思いますけれども、四十九年の附帯決議からいけば、小学校は一週間二十時間、中学校は十八時間、こう大臣、あるわけです。そうすると、先ほど言いましたように、ちょうど二十時間、十八時間というのは、さっき言ったような算式で、ほかの仕事を四時間やっていても十分教材研究等が、文部省の言う一時間程度の教材研究等ができる、授業一時間行うために。こういう趣旨で、私は二十時間とか十八時間というものをやっぱり文部省は常に不断の目標としてこれがもう一日も早くできるようにしなくちゃいけないはずなんです。それで私はもう最高規制をするしかないんじゃないか。それ以上は持たせない。そういうようなことをやらない限りこれは達成できないというように常々指摘をしておりますけれども、この目標を達成するための文部省の努力というのは、私は非常に緩慢だというように言わざるを得ないわけなんです。
 そこで、次に、観点を変えまして三、三お伺いをするんですが、大臣のやはり同じく所信表明の中で、ゆとりのあるための小学校の新指導要領の実施について触れられておりますね。これは大臣の所信表明です。このゆとりの時間、つまり自由裁量の時間というこれについての実施状況、これはどうでしょうか。文部省はその後実態調査等おやりになっていらっしゃったら、その結果についてお聞かせください。
#105
○政府委員(三角哲生君) 御指摘のゆとりの活用の実態については、別途調査をいま行っておるところでございまして、調査の結果がまとまりますれば、必要な分析なり評価をいたしました上で報告をいたしたいと思っております。現段階では、したがいまして正確な調査に基づいた資料を持っているわけではございませんが、私どもの理解では大多数の小学校では今回の改定の趣旨を正確に理解していただきまして、たとえば休憩や給食の時間を延長いたしましたり、あるいは週当たり一ないし二単位時間、学校の創意を生かしたスポーツ活動あるいは園芸その他の教育活動を行ったりしているようでございます。いずれにいたしましても、今回の教科の授業時数の削減は、ゆとりのある充実した学校生活の実現を目指して実施したものでございますから、私どもとしてはできるだけこの趣旨にのっとって、しかもそれぞれの学校の置かれております状況の実態に即して授業時数の運用というものができるだけ適正に行われますように、調査の結果も見ながらさらに指導をしてまいりたいというふうに思っております。
#106
○勝又武一君 いっその調査はできますか。
#107
○政府委員(三角哲生君) 大体都道府県から資料が出そろいつつある段階でございますので、もうしばらくお待ちいただきたいというふうに思っております。
#108
○勝又武一君 もうしばらくというのは大体いつごろまとまるんですか、その調査結果のまとまるのは、大まかのところ。
#109
○政府委員(三角哲生君) ちょっと日取り、いま担当部局から聞いておりませんのですが、なるべく早くまとめたいと思っております。
#110
○勝又武一君 これはある県の状況報告なんですが、ゆとりをつくるために大変なゆとりをつくるための計画、それに追われちゃうんです。あるいはアイデア競争が非常に盛んになって、そしてそのために強制的な準備を始めている。それが必然的に学校内での画一化を生んでいる。そしてそのための校内研修とか、特に何というんでしょうか、本当の教師の自主的、自発的なゆとりの活動ではなくて、そのことが学校全体の、いわゆる学校の管理体制、そういうことと結びつきまして、ゆとりどころか子供も教師もかえって忙しくなってきちゃった、こういう傾向がある。たとえば、子供の側から見ますと、忙しくなったという子供が二〇%、いままでと変わらないという子供が四〇%、加えると六〇%、教員の側から見ますと、忙しくなったと訴えている教員が三五%、変わらないと言っているのは二五%、ちょうど大体六〇%、どっちからもこのゆとりというのはそんなような傾向にあるというように言われているところがあるんですが、こんな点については文部省はどんなにお感じになりますか。
#111
○政府委員(三角哲生君) 何せ一つの新しい試みを発足させたわけでございますから、これに対して非常に興味を持ちかつ真剣に取り組んで、果たしてどのように当該学校の新しいゆとりのある、しかも充実した学校生活というものを子供に体験させるかということについて、いろいろと御苦心なさるとすれば、それはあるこういった過渡期におきましては、非常に学校現場において皆さん御苦労なさるということはあろうかと思います。ただ、管理体制云々については、これは私どもとしては、それは見方の問題もありましょうけれども、やはりみんなで一緒になって学校ぐるみでこういった新しい問題には取り組んでいただくのがよろしいのではなかろうかというふうに思うわけでございます。ただ、ゆとりと申しましても、これは必ずしもゆとり即暇になるということではございませんで、それはどんなに忙しい中にもその業務が教員であれ、あるいは児童生徒であれ、あるいは公務員であれ、忙しい中にも心にゆとりを持って険しい、厳しい仕事に対処していくということはあると思うんでございまして、そういう意味で、先生方、非常に新しいことでございますから、御苦労かと存じますが、ひとつゆとりを持って、このゆとりの教育に取り組んでいただきたいというふうに考えるわけでございます。
#112
○勝又武一君 三十二時間が二十九時間に減ったということにつきましても、やっぱり四十分授業が四十五分になると四十分掛ける三十二が千二百八十ですか、四十五分掛ける二十九は千三百五分、分数でいうとふえちゃったという声もありますしね。
 それから、これらのゆとりをつくるための、いまのようにゆとりを持ってやれと言うんだけれども、なかなか多忙になっちゃって、かえって教材研究等の時間が減っちゃったという指摘もあるんです。そこで、本来この自由裁量の時間設定というのは、大臣のおっしゃる教師一人一人の力量がなければ本当の目標というのは達成できませんね。教師が他律的であったり、強制されたり、物まねであったりしたらだめだ。教師の独創性こそが必要なんですね。つまり教師の創造的な自主的な活動をどう高めるかということが前提でなくては私はいけないんじゃないか。そういう意味で、この教師の自発性に任せる、学級の独自活動にすべてを任せる、こういうような方策でないとこのゆとりの時間というものの本来のその目的を達成し得ないじゃないか。現場の実態というのはなかなかそうじゃなくて、さっきのようにゆとりを持ってやれなんという局長のおっしゃるような実情じゃなくって、もっともっとそういう管理体制の中で一層教育現場が多忙になってきている、こういう声の方が多いというふうに私は思いますので、むしろ根幹になる教師の自発的、自主的な独自的な活動、学級の活動は教師に任していく、こういう指導こそが必要だと思いますけれども、大臣いかがでしょう。
#113
○政府委員(三角哲生君) やはり教育活動は、その根本の学ぶということは自発性が必要なことでございます。そういう意味合いで、先生方が非常に自主的にやる気をもって、事にすべて臨んでいただくということは望ましいことでございます。ただ、これは非常に蛇足あるいは老婆心のようなことになるかもしれませんが、自発的に自主的に努力するということはただ何でも勝手ほうだいにやるということでもございませんので、やはりそこは学校が全体でよく研究し、相談し、学校長のもとで、全部がいわばラグビーならラグビーのチームのように結束してやっていただくということも大切であろうというふうに考えるのでございます。
#114
○勝又武一君 概算要求にかかわっていまの教育研修という問題についてお伺いしたいと思います。
 文部省の五十六年度の概算要求はもう御承知のように前年度に比較して六・六%増ということですね。ところが教員研修の充実という点では何%でしょうか。四四・六%増ということになっていると思いますが、そのうちで教員研修事業費補助というのは何%増ですか。パーセントだけで答えてください。
#115
○政府委員(三角哲生君) いますぐに計算させます。
#116
○勝又武一君 出てないんですか。
#117
○政府委員(三角哲生君) そこだけちょっと出ておりません。
#118
○勝又武一君 教育研究団体補助は何%増ですか。
#119
○政府委員(三角哲生君) 二一%増でございます。
#120
○勝又武一君 教育研究グループ補助ですよ。教育研究グループ補助は何%増ですか。
#121
○政府委員(三角哲生君) ただいま御指摘のグループ補助は一〇四%増でございます。
#122
○勝又武一君 一〇四%ですね。倍増ですね。一〇四%というのは倍増という意味ですね。教育研究団体補助は何%増ですか。
#123
○政府委員(三角哲生君) それが先ほど申し上げました二一%増です。
#124
○勝又武一君 それから都道府県教育研修センター設置費補助というのは何%増ですか。
#125
○政府委員(三角哲生君) これは前年が一億で、二億三千五百万でございますから一三五%増になりましょうか。
#126
○勝又武一君 そうしますと、これ大臣、こういうように考えていいんですね。全部では六・六%増だと、前年に比較してね。しかし、教員研修の充実という意味では四四・六増で、いまの内訳はこういうことだと。こういうように大変なパーセントで見てもここのところは大幅な要求をされている。
 そこで、研究指定校等の実情はいまどんなになっていますか。
#127
○政府委員(三角哲生君) 研究指定校の経費につきましては、全体としてほぼ前年同額の経費の確保をいたしたいということで要求をいたしてございます。
#128
○勝又武一君 私の研究指定校の実情というのは予算の増でなくて、現在大変な状況にあるわけですよ、教育現場へ行きますとね。研究指定校のその準備に大わらわで教材研究の一時間なんというのはとてもじゃない、確保できない、こういう声が、現場で、率直に言って非常に強いんです。その上にいまのような大変な増が出てきている。これを一つ御指摘を申し上げておきます。
 そこで、一〇四%増されている教育研究グループというのは、これは私は教員の力をつけるという意味の大臣の御見解からおっしゃっても、これはあくまでも自発的、自主的なもの、当然そういうものだというふうに考えるわけですが、文部省とか県教委が組織化したり規制をしたりしている、そういうものじゃよもやないというふうに考えるんですけれども、どうなんでしょうか。
#129
○政府委員(三角哲生君) これはわりと新しく始めた補助で――補助というか事業でございまして、これに私どもはやはり力を入れたいということで御指摘のような倍増の要求でございます。これは、そのねらいは勝又委員の御指摘に近いと思いますが、私どもやはり教育現場に非常に活気と申しますか、生き生きとした空気で授業なり学習なり展開していただくために、やはり教員がみずから自主的に研修をしようということで自主的なグループをおつくりになりまして、そこでいろいろ研さんをしていただくということがやはり一つのあり方だと思いまして、そのためのこれは事業でございますので、それについて充実、拡充をしていきたい、こういう考えでございます。
#130
○勝又武一君 この点は重ねてお伺いをしますが、そうしますと、ここで考えている、補助対象に考える教育研究グループというのは、あくまでも自発的な、自主的な、自律的な、そういう教員の研究グループだという意味であって、文部省とか県教委が組織化を図ったり規制をしたりする、そういうものじゃございませんですね。そしてその団体にはこういう人たちは入れちゃいかぬとか、こういう者が入っているからこのグループは補助対象にしないとか、こんなことは全然ございませんね。
#131
○政府委員(三角哲生君) 組織化とか、おっしゃいましたようなことは私どもの意図するところではございません。これは各都道府県ないしは指定都市が教員によるグループ研究に対して助成を行います場合に、都道府県に対しまして国かちもそれに協力するという形でいたしておりまして、私どもとしてはやはりこれは一つのグループ研究でございますから、まじめな取り組みをなさる先生方がひとつ熱心な研究を進めていただくという場合のこれは一助にしたい、こういう考えでございます。
#132
○勝又武一君 そうすると、もし私が指摘したようなところがあったら、これは文部省はそういう考え方は誤りだということで指導をされて是正をされるわけですね。私の手元に幾つかのデータがあるんですけれども、時間がありませんから大臣言いませんけれども、そういうものが各県にあったりしたら、それは間違いなんだから文部省が全部直させますね。
#133
○政府委員(三角哲生君) これは主体は都道府県でございますので、これは都道府県のまたいわば自主と申しますか、自治に任せるべき事柄でございますが、国から経費を出しますので、国としての一応の補助の要綱と申しますか、基準がございます。それに照らしてもし非常におかしいものがあれば、これは県からも事情を聞いて検討をした上で、県に対して必要なことがあれば助言をし、指導するということであろうと存じます。
#134
○勝又武一君 よくここに「研修」という言葉が出てきてますけれども、「研修」とは一体どういうことなんでしょうか。
#135
○政府委員(三角哲生君) 「研修」という言葉でいろいろなことをくくってございますけれども、これの言葉の定義というのもある幅がございますのでなんでございますけれども、やはり主としてすでに職業についておられる方が、いろいろな意味で自分の能力――それは一般的な能力もありましょうし、それから職業に即したいろいろな知識、技術どいう面もございましょうが、そういったものを、その場その場で、研修の内容によって異なってまいりますけれども、充実、内上させていくということで、これは教員の場合でもしかり、お医者さんの場合でもしかり、それから私どものような事務的な事柄に携わっている者についても同じだと思っております。
#136
○勝又武一君 そういうことをお聞きしているんじゃないんです。私は明らかだと思うんですよ。「研修」というのは、教育公務員特例法の十九条で言っている、そのことじゃないんですか。教育公務員特例法の十九条は、「研修」というのを研究と修養ということに言っておりますね。つまり、研究と修養を詰めて「研修」と、こういうように、やっぱり法律的にも文部省としても、そうじゃないんですか。そうしますと、私はいま大変そこが間違っている。「研修」というのは、何かきわめて他律的な、教えてやるんだ、勉強さしてやるんだ、学習さしてやるんだと。そうではなくて、教育公務員特例法に言う「研修」という意味は研究と修養ですから。これは大臣、研究というのはまさにそうでしょう。研究というのはまさにそう押しつけられたものではなくて、みずからが独創的に行う、そういう自発的な自律的なものでなければ、創造的なものでなければ研究と言えないんじゃないですか。そのことを、やっぱり教育公務員特例法は期待をしているわけです。明確に研究と修養というようにしているんです。
 そういう意味で、私はいま何か文部省のこういうのがずいぶん個人の研究ということを触発をしていくということよりは、何か他律的な、教えてやるんだ、勉強さしてやるんだ、修養さしてやるんだと、研究の方がきわめて薄くなってきている、こういう感じを持たざるを得ないわけです。つまり、授業を一時間行うために、事前準備、教材研究、事後指導で一時間必要だと言っているのは研究なんです。これを保障しているんですよ。そして、大臣もいて、局長もいたところで、文部省は常にこのことを一貫して私の追及に対しても答えてきてくれている。それで、現場の実情を見ると、まさにこの教材研究の時間の一時間の確保はされていない実情にあるんです。私はいつもこのことを、だから言っているわけですよ。そして、一時間の教材研究をやるという、いわゆる教育公務員特例法第十九条に言う研究の方が忘れられがちになりまして、そして何か研修、研修、研修、これを官製研修と現場では言っているんです。私は官製研修なんて言葉は余り好きじゃないんで、この文教委員会でも、ぼくはきょうたしか初めて使ったですよ。いままで使わないできた。だから、そういう意味の、やっぱり個人の独創的な、自発的な研究態勢をこそ十分まず優先的に保障すべきであって、そのことがまず前提になって、それをいろいろ盛り上げるための研修指導とか研究指導とか、そういう意味のものというのを、文部省はまさに学校教育法で言うところの条件整備をこそ行うべきなんです。文部省のやっぱり基本の方針というものはここでぐらついてきている。そういう意味の条件整備をこそ行うのが文部省の役割りじゃないか。官製研修の方ばっかりが全部出て、そのための、さっき挙げて数字は明らかですよね、二一%とか一〇四%とか一三五%とか、そっちの方ばっかり増額をしちやいまして、こっちの方がずいぶん減ってきちゃっているというのは一体どういうことなのか。これはやっぱりまさに主客転倒しているんじゃないですか。教育公務員特例法の十九条に言う「研究」ということを本当に文部省はお考えになっていらっしゃるのか。ここにこそ力点を置くべきだというように私は思いますけれども、大臣、いかがですか。
#137
○政府委員(三角哲生君) 大臣のお答えの前に御説明申し上げます。
 特例法についての御指摘でございますが、やはり私ども文部省なりあるいは都道府県なりは、それぞれの教職員の資質の向上のためにいろいろな意味で計画を立て、その実施に相努めなければならないと思っておりますが、その内容はまあいろいろな御批判があればそれを率直に受けとめまして、そしてその研修計画の内容の改善、充実に努めていかなければならない、そういうふうに思っている次第でございまして、官製研修がおもしろくないという御批評でございますが、これは非常におもしろくそしてためになるというようなものになるように心がけたいと存じます。
 さらに、御指摘の事柄でございますが、教員研修の充実で私ども約四五%増の要求をしたわけでございますが、その中で、先ほどお尋ねのございました一つでございます教育研究団体補助は、これはいろいろな教科の研究団体でございますとか、そういう自主的な研究団体のお仕事に対するお手伝いでございますし、それからもう一つの教育研究グループ補助は、先ほど御説明申し上げたような趣旨の、できるだけ現場で自発的なそういう研究意欲が盛り上がってきますようなことを私どもは願って始めました補助でございます。
#138
○勝又武一君 教員の海外派遣、これもずいぶん大変な額ですね、増額が。四八・七%ですか、これもずいぶんふえておりますね。その派遣されている期間の学校の現場というのはどうなっているのか、大臣や局長、お考えになったことございますか。他の教員にどれだけしわ寄せになっているのか。また教材研究のことを言いますけれども、教材研究の一時間の確保がこれでどれだけ食われちゃっているのか。総枠は六・六%増の要求で、四八・七%増の海外派遣教員ですね、この一体プラス面なりマイナス面というのをどんなふうにお考えになっていらっしゃるのか。
 時間がなくなりましたのでひとつまとめて最後にお聞きしますが、そういう現場の実情がありますね。片一方では、きょうは時間がなくなりましたからあれですが、一昨日も出ました暴力なり暴走族の問題。暴走族の増加と悪質化、特に学校内の暴力事件の特に中学生の激増、こういう問題でも、ずいぶんと教員のいまの仕事というものはふえておりますね。
 片方で教員の週休二日制ということを見ますと、一体どうなっているんだろうか。確かに四週五休制の試行が国立で一部されておりますけれど、公立の小・中・高校で四週五休制の試行がされたところが一つでもございますか。全然ないでしょう。四週五休制の施行を試すこのやり方さえ公立では小・中・高全部やられていない。一体ほんとにどう教育現場ということをお感じになるのか。
 私は、少なくとも、たとえば土曜日のあり方を工夫するというようなことは、文部省はすぐにもやれる方策だと思いますよ。一つ提言をしておきますけど、たとえば土曜日は授業を行わなくて、積極的な自発的なクラブ活動だとか部活動を行うとか、そういう意味での具体的な、土曜日をどうするかというような工夫なり検討をこそ文部省は行うべきじゃないか。民間も公共企業体も週休二日制の実施というのはどんどん進んでいるわけです。諸外国もそうですね。教員のぼくが週休二日制ということを言っているゆえんは、先ほど言っているようなほんとの意味の研究態勢が十分職場でできない、そういうからみで言っているわけですよ。
 だから、そういう意味で、片方では暴力や暴走族がうんとふえたり、そしてまた片方では海外派遣教員の方はどんどんふえたり、何とか官製研修の費用だけはどんどん倍増したり、そういう中で、今度は一番肝心な週休二日制の方になると、小・中・高含めて全然手もつけていない。そして、口を開けば教材研究の一時間を確保できるのが望ましいです。そのための教員の担当授業時間数は計算上は、平均的にはこうなっています。これではまさに片手落ちもいいところじゃないですか。これらについてのやっぱり抜本的な検討ということを考えるべきだというふうに思いますけれど、この点いかがですか。
#139
○政府委員(三角哲生君) 教員海外派遣につきましては、現在の五千人という人数を千人ふやして六千人の要求をいたしてございますが、これはそのほかにやはりいろいろ国際航空運賃の値上げその他ございまして、実は発足当初五千人でございましたものが、実際は四千人ちょっとぐらいのところに言わば目減りもしておりますし、この事業は勝又委員の御意見ではございますけれども、非常に有益であるという一般的な評価も得、そしてこれをぜひふやしてほしいという要望はいろいろなところから参っておりまして、私どもはそれを踏まえこれを出したわけでございます。
 それで、現場での問題でございますけれども、これはやはり県の教育委員会は、校長なり、あるいは市町村の教育委員会なりの手を経て、そこのところのしのぎ方というものについて一応めどが立っておるものについてこれを実施するという、そういう取り運び方をしているわけでございます。確かにお一人の先生が一月なら一月抜けますとその間ほかの方々に負担がかかるということは現実であろうかと存じますが、仲間の方がそういった意味の研修をし、さらにお帰りになってからそれをいろいろな意味での教育の上で生かし、活用していただくということでございますので、そこは仲間で皆さん助け合っていただくということがあろうかと存じますけれども、制度の手順としては、そういった校長なり教育委員会なりでその辺のところは見きわめた上で実施をしていただくということでございます。
 それから次に週休二日制の問題でございますが、これは確かに委員のおっしゃいましたように、公立学校の方はいろいろなやはり事情がありまして、私どもその試行について施行してもらえたらということで、二度にわたりまして各都道府県教育委員会を通じて指導をいたしたわけでございますが、事務職員の場合を除きまして教員につきましては試行を実施したところがなかったわけでございます。その理由はいろいろあろうと思いまして若干分析はしてございますが、ちょっとここでは省略いたします。その後、これは勝又委員もお聞き及びになっておられると思いますが、昨年八月の人事院勧告を受けまして、文部省では、公立の高等学校以下の教職員の週休二日制につきまして、この勧告で示されている一つの弾力的な方法、それはいわば、特に研修教育部門の職員については、当該勧告の説明におきまして「夏冬等の時季又はその他の比較的休み易い日時に休む」ことを考慮するということとされておりますので、これを踏まえて、その実施に当たっての具体的問題点の検討につきましては、これを都道府県の教育長協議会に依頼しておるところでございますので、その結果を参考にして適切に対処してまいりたいと思っておる次第でございます。
 なお、御提案のございました土曜日には全部の先生が出てこないでもいいような形態の学校の教育活動の展開をしてはどうかという御意見でございますが、これは御意見としては承らせていただきますが、やはり学校の施設設備の関係、それから全部の子供たちが体育をやるというわけにもまいりません等、いろいろ問題が多うございますので、これは直ちにその御提案について御意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
#140
○委員長(降矢敬義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五分開会
#141
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#142
○柏原ヤス君 最初に、教科書のことについてお聞きしたいと思います。
 去る八日、参議院本会議の代表質問において、わが党の田代議員が、鈴木総理に対して、財政再建の名をかりて義務教育教科書無償、また児童手当、こういうものを見直ししたり削減するのは福祉切り捨てではないかという質問をいたしました。それに対して総理は、文教費と社会保障は今年度予算で三〇%を占める、歳出見直しに当たって特別の聖域とするわけにはいかないという答弁がございました。この特別の聖域としないという総理の答弁について、文部大臣はどういう御見解をお持ちになっていらっしゃるのか伺っておきたいと思います。
#143
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。
 聖域という言葉を正面から出すということは、これはまた別な感じにとられるかもしれませんが、文教というもの、教育というものがいかに国家、国民にとって重大な問題であるかということは、これはもうだれもが異議のないことであろうと存じます。ことに、今回のような非常に大蔵当局等々いろいろと財政窮乏の訴えをいたしておりますときに、私どもといたしましてはあくまでも既定方針を貫くというかたい決意をいたしておりますこともあわせて申し上げておきます。
#144
○柏原ヤス君 もう少しお聞きしておきたいんですが、特別の聖域としないとの総理の御答弁は、福祉切り捨てではないかという質疑に対しての御答弁だったわけで、文教費も削減するのはやむを得ない、教科書無償配付も中止するのもやむを得ないという論議がございますが、文部大臣はこうした論議にくみするものなのか、この点その御態度を明らかにしていただきたいと思います。
#145
○国務大臣(田中龍夫君) 断じてくみしないということを再度申し上げます。
#146
○柏原ヤス君 大変力強いお言葉をいただきまして、大臣の実りある成果をその御態度でかち取っていただきたいと、心から期待をするわけでございます。
 次に、大臣は大蔵省から出された通称ゼロリスト、これをお読みになったと思いますが、これは財政再建論議を起こすことを目的としたリストであると、こう大蔵大臣は説明されておりますが、文部大臣としてこのリストを読まれまして、どのように受けとめられていらっしゃいますか。
#147
○国務大臣(田中龍夫君) 大蔵省といたしまして、あるいはサマーレビューをするとか、あるいはゼロリストを出すとか、そういうふうなことがあったかもしれませんが、私の方は文部省といたしましてのすでに概算要求を出しておるのでありまして、文部省はこういったものには何ら関係なくわが道を行くと、かように存じます。
#148
○柏原ヤス君 そこで、このリストには六十九項目、その中に十三項目が文教関係費として取り上げられているわけです。これを見ますと、文教費というものを重視していると、目をつけていると、やり玉に上げているというように思えてならないわけなんです。しかも、この十三項目の内容を見ますと、父母に肩がわりできる、父母または本人負担にも転換できる項目を中心に取り上げているように感ずるわけです。これは具体的に申し上げますと時間がありませんので略さしていただきますが、教材費を削るとか、私大の授業料が上がる、また私立高校の授業料も上がると、幼稚園のこれは私立ですが、父母負担というものが軽くならない、教科書を親に買わせる、いろいろ父母に肩がわりさせられるもの、こういうものが取り上げられているように思うんです。大蔵省としては、文部省予算の中で特に削減しやすい項目を取り上げたんじゃないか、こう私は判断しておりますが、このゼロリストは眼中にないと大臣はおっしゃいますけれども、こうした具体的な十三項目に対して大臣はどういうふうに思われていらっしゃるんでしょうか。
#149
○国務大臣(田中龍夫君) そういうふうな仮定に基づく一つの主張というものは、これは私は意に介さないでいこうと思うんです。
#150
○柏原ヤス君 意に介さないというあっけない御答弁じゃなくて、そういうようなものが特にねらわれていると、やり玉に上がっているということを超然とただ見おろしているだけじゃなくて、やはりそれに対しては相当文部省の取り組みもしっかりやっていただきたいと、こういうふうにお願いをするわけなんです。特にこのゼロリストの中に教科書購入費、これを削減するという項目が上げられている。これに対して私は強い懸念を持っているわけなんです。このゼロリストの発表というのは財政当局がカットする優先順位に対してどうこうということはないというけれども、やはり議論を起こさせようという、そういう期待があるわけなんですね。こういうやり方は非常に私はひきょうだと思います。何かあおるみたいな、そしてそこから多少なりとも都合のいい傾向をかぎとろうというか、察知しようというか、こういう意味が非常に含まれているわけです。この教科書無償配付というのは毎年毎年、年中行事のように取り上げられる。まるで財政が苦しいということの宣伝に使われているような、そういう感じをいつもするわけですが、この教科書無償配付の中止、有償化の論議、これが繰り返されてこういうゼロリストの中にも取り上げられている。そういうわけで、先ほど力強い大臣のお考えを承ったので、何かしつこいようですけれども、大臣の基本的な見解をやはりここで伺っておきたいと思うんです。それは憲法第二十六条の「義務教育は、これを無償とする。」という規定と教育基本法第四条の「授業料は、これを徴収しない。」というこの規定との関係、これをどのようにとらえていらっしゃるか、御見解を承っておきたいと思います。
#151
○国務大臣(田中龍夫君) その点はたびたび申し上げておりますように、私は憲法を遵守するならば同時に基本法の精神も遵守していかなければならぬ。いまゼロリストの問題を、いろいろと口の端に乗せることそれ自体が思うつぼでありまして、大蔵省の方としてはそれによって世論を喚起しよう、こういう策謀でありますから、それに乗ることはかえっていけない、かように考えております。
#152
○柏原ヤス君 ゼロリストに対しての大臣の毅然たる御態度は非常に頼もしく思うわけです。私お聞きをしたのは、憲法第二十六条の規定と教育基本法第四条の規定のとらえ方、これをやはり大臣の基本的お考えとして承っておきたいわけなんです。もう一度お願いいたします。
#153
○政府委員(三角哲生君) 法令の関係につきましてちょっと私の方から御説明申し上げます。
 柏原委員御指摘の憲法二十六条に定めておりますのは、「義務教育は、これを無償とする。」となっておりますが、そして御指摘の教育基本法の方では、その義務教育について、「国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。」ということになっておりまして、これらの法令の規定に関する限りは、この「無償」というのは授業料について言うておるということでございまして、そしてまた、これは三権の別の機関でございますが、最高裁判所の判例でも授業料を徴収しないという意味に憲法の「無償」の意義を解するというような判例があるわけでございます。しかしながら、私どもがこの国会の議決を経まして法律をつくっていただきまして、現在義務教育教科書無償給与制度を実施してきておるわけでございますが、これはただいま申し上げましたような憲法あるいは教育基本法に掲げております義務教育無償の精神を、これをより広く実現しようという、そういう考え方に立ってやってまいってきたと、こういうことでございます。
#154
○柏原ヤス君 大臣にもう一度私の申し上げたいことを聞いていただいて一言お答えをいただきたいんです。
 義務教育無償化というこの憲法の精神、これをより積極的に政策化し、実現させてきたのが教科書の無償配付の実現だと、しかも教科書無償配付が国民の間に定着している、教育費の父母負担を軽減させてきた重要な基本施策だ、こう受けとめてきたわけで、これをやめさせるとする動きは全くとんでもないことだ、これは大臣も同じ意見であると存じます。そういう点で、この教科書無償配付の存続、これについての御決意、取り組み、あくまで義務教育無償化というのは授業料を取らないのが無償化なんだなんというんじゃなくて、もっと広い意味でとるべきだ、こういうふうに思っておりますが、大臣も同じ意見であると、こう期待して長々と申し上げるわけですが、いかがでしょうか。
#155
○国務大臣(田中龍夫君) とんでもないことだと、こう考えております。
#156
○柏原ヤス君 何がとんでもないことなんですか。
#157
○国務大臣(田中龍夫君) 先方が言うておる落とし穴にはまるような議論はしたくないのです。その憲法の精神を局限的に解釈するか演繹的に解釈するかという問題で、私どもはあくまでも憲法の精神というものを広く解釈して今日までまいっております。こちらの方からそれに対して疑義を差しはさむような議論は、かえって先方のわなにはまる以外には何物もないと、かように私は思いますので、とんでもないことだと、かように考えております。
#158
○柏原ヤス君 それでは、青少年非行化の問題についてお聞きいたします。
 まず初めに、警察庁にお伺いいたしますが、近年特に青少年の非行が目立っておりますが、その中でも低年齢化が著しい。高校生から中学生、また犯行も陰湿になっているように思いますが、昭和五十五年上半期の青少年の刑法犯の概況どのようになっておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
#159
○説明員(古山剛君) ことしの上半期検挙、補導いたしました刑法犯少年、これは交通事故に係る業務上過失致死傷を除きまして統計をとりますと七万六千二百七十七人でございまして、昨年同期に比べまして一万三千六百十六人増加いたしております。増加率は二一・七%という大幅な増加でございます。ただいまお話にもございましたように低年齢化の傾向が非常に顕著に認められるのでございまして、年齢別に見ましても一番下の十四歳が三一・七%の増加と、それから十五歳が二五・九%ということで、非常に年齢の下の方が増加率が高いという数字が出ております。それから学職別に見ますと、中学生が二九・二%の増加ということで、やはり高校生や大学生あるいは有職、無職少年に比べるとはるかに高い増加率を示しているという点がございます。
 それから中身でございますけれども、少年非行は従来から窃盗が大変多かったわけで、そういう万引き、自転車盗のいわゆる遊び型の非行が依然として多発はいたしておるわけでございますけれども、昨年との比較で見ますと、暴行あるいは傷害、脅迫、恐喝といった粗暴犯が昨年に比べまして三二・五%という大幅な増加でございます。それからまた凶悪犯につきましても、強盗が二〇・七%増加いたしておりますし、また強姦は二二・四%という近来にない増加率でございまして、まあ量的にも質的にもきわめて憂慮すべき状況にあるというふうに判断いたしております。
#160
○柏原ヤス君 その理由はどこにあると見ていらっしゃいますか。
#161
○説明員(古山剛君) 実は少年非行の原因というものをずばり指摘するということは非常にむずかしい問題でございます。しかしながら、最近の少年非行の傾向あるいは主な非行事例等から見ますと、家庭、学校あるいは地域社会の抱えるさまざまな問題が複雑に絡み合って少年非行の要因になっているというふうに考えられるわけでございます。
 まず、家庭につきましては、放任でありますとか、あるいは過保護あるいはさらには子供のしつけに対する親の自信喪失といった問題が目立っているように思うわけでございます。
 それから学校関係につきましては、受験競争からいわゆる落ちこぼれる少年が大変ふえているという問題があるように思います。それからまた、最近の享楽的な社会風潮を反映いたしました性とかあるいは暴力等を取り扱ったまあ俗悪な情報のはんらん、さらには社会全体における規範意識の低下の風潮、そういった問題が心身ともに未成熟な少年に有形無形の影響を与えているものと考えられるわけでございまして、こういった問題がまあことし特に顕著に出ているんではないかと、少年非行の増加あるいは低年齢化あるいは凶悪粗暴化の傾向に拍車をかけているんではないかというふうに考えている次第でございます。
#162
○柏原ヤス君 資料を見ますと、主要刑法犯少年のピークが昭和二十六年、三十九年そして五十四年と、三つのピークができておりますが、この五十四年度のこのピークの今後、これは上り坂にやはりなるのか、それとも下り坂になるのか、これのお見通しはお持ちでしょうか。
#163
○説明員(古山剛君) ただいまお話しのように、戦後三十年余りの主要刑法犯少年の推移を見ますと、三つの大きな波が見られるわけでございまして、第一の波は二十六年、第二の波は三十九年をピークとしたわけでございます。最近では四十八年から増加傾向があらわれてきておるわけで、現在第三のピークを迎えているわけでございますけれども、ことしの上半期、さらに昨年同期に比べまして、先ほども申し上げましたように、二一・七%増加ということで大変ふえておるわけでございまして、恐らくまあ年間トータルをとりましても昨年を大きく上回るものと予測されるわけでございます。
 で、今後の見通しでございますけれども、少年非行はそのときどきの社会情勢に大きく影響されるものでございますので明確にこうだと断定することはできませんけれども、まず一つには少年人口の増加という問題がございます。厚生省の人口問題研究所の推計によりますと、十四歳から十九歳までの人口は、ことしは九百七十万八千人であるというふうに推計されておりますけれども、十年後の昭和六十五年には千百七十五万七千人ということになるということで、十年間に少年人口が二割強増加すると推計されております。で、それだけでも二割ほど少年非行がふえるわけでございますけれども、実はかつて昭和三十九年当時、ちょうど終戦直後のベビーラッシュのころの少年たちが三十九年に非行盛りに達しまして、そのころ非常に少年人口が多かったわけでございますけれども、このときにも少年人口の増加以上に少年非行が激増し、かつまた凶悪犯とか粗暴犯が大変増加したと、そういう歴史的な事実がございます。そういう点から考えまして、やはり量的にも質的にもまだまだ悪くなるのではないかということが一つ考えられます。
 それから先ほど申し上げました少年を取り巻くさまざまな家庭、学校、地域社会といった問題点も今後ともますます悪くなるのじゃないかという懸念も考えられます。したがいまして、恐らくは少年非行はさらに増加いたしますとともに、その内容も悪くなるのではないかというふうに考えられますし、さらには現在出てないような全く新しい態様の非行が出てくるということも十分予測されるわけでございまして、まあ現在よりも一段と深刻になってくることが、そういう可能性が強いというふうに考えられるわけでございます。
#164
○柏原ヤス君 次に、総理府青少年対策本部にお伺いいたします。
 先ほど警察の報告をお聞きして重大な問題だなあと、厳しくこれを受けとめておりますが、総理府では青少年対策本部、これが設けられて、青少年の非行問題については取り組んでいらっしゃるわけです。行政の総合調整役、総合的な広い立場からの施策を講じていらっしゃると思いますが、こうした事態をどう受けとめ、またどう対処していこうとしていらっしゃるか、お聞きいたしたいと思います。
#165
○説明員(阿部宏彌君) 先ほど御指摘がありましたさまざまな少年非行の特徴なり傾向がございましたけれども、大変な勢いで増加をしている状況があり、これからまたさらに増加していくであろうといったような予測もありましたけれども、また、内容的に低年齢化の傾向だとか、あるいは粗暴犯、具体的には暴走族だとか校内暴力だとか、いろいろな形で行われておりますけれども、われわれといたしましても大変心配をしているわけでございます。このような事態にどういうふうに対応していくかということは大変むずかしい問題でございますけれども、私どもといたしましては、非行防止という観点からだけではなくて、もう少し広く、青少年の健全育成という観点からの施策も含めまして、総合的な非行防止のための施策を推進いたしたいというふうに考えております。このようなために、総理府では、警察庁とか法務省、文部省、厚生省などの関係省庁とも緊密な連係をとりまして、情報の交換なり、あるいは具体的な問題提起をいたしまして、いろいろと協議、検討を進めながら総合的な非行防止のための施策の推進に努めております。
 また、七月、これはもうすでに済みましたけれども、青少年を非行から守る全国強調月間とか、あるいは十一月に始まりますけれども、全国青少年健全育成強調月間というものを設けまして、非行防止、あるいは健全育成ということにつきまして広く国民各層の関心が高まりまして国民的な運動として展開されますように、そういった強調月間の活動を推進しております。
 そのほか、補導センターというのがございますけれども、これは地域のそういった青少年問題というものをみんなで考えていこうということで、そのセンターとしての拠点としての機能を与えているものでございます。この中では警察職員なり学校教師なり民生児童委員さん方一体となりまして、街頭補導なり継続補導なり、あるいは先ほどもお話がございましたけれども、有害環境の浄化といったようなことなども行っております。青少年の非行防止、そして健全育成ということは大変重要な問題でございますので、今後とも一層努力してまいりたいと考えております。以上でございます。
#166
○柏原ヤス君 次に、文部省にお伺いいたしますが、警察、総理府、こうしたところからいろいろの報告を伺いましたが、これを聞いていて、校内暴力事件がことしは特に増加してきております。ここ一年間の新聞記事、これを拾ってみただけでも大変な事件が起きているわけです。ちょっと申し上げますと、これは東京都の小平の中学で、生徒六人が先生二人に集団暴行を加えた、その生徒たちは黒竜会というグループをつくって暴力団気取りでいる。また、川口では、小学校の六年生が、先生に注意されたということに腹を立てて教室の中で日本刀を振り回した。こんなものを学校へ持ってきているわけなんです。また、葛飾区の中学三年生七、八人が教室に土足で入ってたばこを吸っていた、これを先生に注意されて集団暴行をした。また、江東区の同じ中学三年生十五人が特攻服を着て登校し、担任に注意されたために、仲間を呼んで集団暴力で暴れた。いろいろございます。時間がございませんから略しますが、これは新聞に出ていますからここで述べるまでもないと思いますが、新聞に取り上げられただけでも五十件、この校内暴力事件はまだたくさん起きていると私は推察するわけなんです。特に学校の中で、校内暴力としてこのような現実の問題、現場の問題。これは、学校教育の立場から文部省としてはやはり対策を講じなければならないと思いますが、先ほど新聞記事の内容を見て、非行化の問題は家庭教育だ、社会教育だということはもちろん言えますけれども、校内暴力ということについては学校教育のあり方それ自体にやはり一番責任があると、こういうふうに感じますので、大臣はこの責任というものをどのようにお感じになっていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
#167
○国務大臣(田中龍夫君) 総理府や警察御当局の方々とは違いまして、教育をお預かりいたしておりまする文部省といたしましては、いまのような非行少年、それをつくったという責任を本当に心から痛感をすると同時に、それに対しましては真剣に私は反省もし、対策を考えなけりゃならない、かように深く心に誓うものでございます。
#168
○柏原ヤス君 私は、大臣に期待することは一切は自分の責任だ、自分の責任だというその決意、責任逃れなことは許されない立場に文部大臣はお立ちになっているんだという、これを期待しているわけなんですが、いかがでしょうか。
#169
○国務大臣(田中龍夫君) 私はただいまそのように申し上げたと思うんでありますが、その責任は私にある、かように深く反省いたしております。
#170
○柏原ヤス君 次に、国際交流の問題でお聞きいたします。
 大臣の所信を承りましたが、その中で、最も重要な課題は国際的に開かれた日本人の育成であると述べておられますが、その重点は教育、学術、文化の交流であると、重点を取り上げられた第二項目にも改めてお述べになっていらっしゃいますが、国際的に開かれた日本人の育成というものはこの第二の重点項目に特に大臣は取り上げられてお考えを述べられたと、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
#171
○国務大臣(田中龍夫君) 私はさように考えております。具体的な問題につきましては担当の局長から申し上げますが、概括的に申しまして、われわれ自体、教育の面においてとかく閉鎖的になりがちであります。しかしながら、視野を全世界に向けまして、そうして今日の日本の置かれている地位というものから考えましても、私は、全世界に向かってあらゆる機会に知識を広く求め、同時にまた、日本の現状を広く世界に知ってもらう、同時にまた、日本が資源がない国としてそのよって立つ外交はあくまでも平和外交に徹しなきゃいかぬと、こういうふうに考える次第でございます。
#172
○柏原ヤス君 大臣は第二十一回ユネスコ総会にも御出席になり、教育、学術、文化の国際交流を積極的に推進する決意ということを新たにおっしゃっておりますが、そこで、その国際交流のための予算、これは五十六年度概算要求にどのくらい文部省としてなさっているんですか。
#173
○政府委員(松浦泰次郎君) 来年度は五百三十億円の概算要求をしておりまして、今年度予算額の四百八億円に対しまして約三〇%の増加となっております。
#174
○柏原ヤス君 私が調べた概算要求の中では三百十六億じゃないんですか。
#175
○政府委員(松浦泰次郎君) いまの点は間違いございません。
#176
○柏原ヤス君 何%になると、ちょっとおっしゃいましたね。
#177
○政府委員(松浦泰次郎君) はい。実は五百三十億円の概算要求を単純に本年度予算額との割合をとりますと四十数%増になるのでございますが、実は海外の日本人学校の先生に対する給与の一部を従来外務省が所管いたしておりましたが、統一的に処理するということから、来年度は文部省に移管するということで、両省で協議いたしまして、その概算要求額がこの中に入っております。それは外務省から実質的には移しかえというような形になるものでございますから、それを引きますと約三〇%の増加ということでございます。
#178
○柏原ヤス君 主要先進国の文化交流予算、これは外務省に聞きたいところですけれども、御存じだと思いますので、わが国の予算と比較してどうなるか、この点お調べいただいているはずですけれども。
#179
○政府委員(松浦泰次郎君) 実は、柏原先生からちょっと御指摘をいただきました新聞記事がございますが、その中に各国の数字が出ております。ただ、その中には日本の数字が非常に小さく出ておりまして、これはとり方にもよるのかとも思うんでございますが、私どもとしましては先ほど申し上げました数字を要求いたしておるわけでございます。これ以外に外務省関係その他の省庁のもあるわけでございますが、新聞に出ておりますのによりますと、たとえばアメリカが一千億円、フランスが四百三十七億円、西ドイツが五百四億円というような数字が出ております。これちょっと古い数字でございますが、ただ、その辺につきまして精密な私ども数字は手元に現在持っておりません。ただ、先生御指摘のように、留学生の関係をとってみますと、やはり日本は、諸外国に比べまして、国力等からいきまして、なお数字的には低い数字でございます。人口当たりにしましても、国費留学生あるいは留学生全体の数字が、やはりアメリカとかそれからドイツ、フランス等に比べると、低い状況でございますので、全体的にも現在のところは御指摘のような傾向があるんじゃないかというふうに考えています。
#180
○柏原ヤス君 弁解しいしいお答えにならないで、やはりありのままに、これから国際交流をしっかりやるぞと、文化交流は決意を新たにしてやると大臣が踏ん張っているんですから、それに当たる皆さん方が少なけりゃ少ないように、これをふやす努力をこれからすればいいわけで、何だかそんな少ないなんて言われるほどでもないみたいなことじゃなく、おっしゃっていただきたいんですね。非常に少ないんじゃないんですか。私ももう少し調べればいいんですが、五十三年度フランスが四百三十七億、日本は七十三億、これは貧困な日本の文化政策ということを嘆いてパリで日本館の館長をなさっていた方が新聞で発表していらっしゃいますし、こういうわけで非常に予算が少ない。大臣が、最も重要な問題であると、積極的に推進するとお述べになっていらっしゃる、そのわりにはお粗末じゃないか。大臣はどうお感じですか、これは。
#181
○国務大臣(田中龍夫君) 私、先生が一番よく御承知のとおりに、日本の対外活動というのは、経済的にも、文化的にも私は非常におくれていると、こう率直に申し上げます。ことに、その中におきまして、わが省だけの管轄じゃありませんけれども、留学生や何かの交流だけではなく、ODAと言われる中で、先進国十六カ国ですか、これが国際的な一つのベースになってそして対外的な活動を展開いたしておる中に、日本はアメリカやソ連と並んで三大大国と言われながら、対外協力の点においては十六番目でありますか、ビリでありまして、こういうような果たして現状でよろしいのかということを非常に残念に思います。
 なお、国連の活動におきまして、ユネスコのこの間のお話が出ましたが、今回は百五十四カ国の中におきましても上位から数番目というような日本の地位でございますが、しかしながら、御案内のとおり、国連活動として一番日本が活発にいたしておりますのは先生の属しておられます人口問題だけでありまして、これはもう全世界に伍して、私は、アメリカに次ぐ大きなシェアを持っておりますが、その点につきましては先生の最も御承知のとおり、あと以下の国連活動におきましても非常に劣っておりますことを率直に申し上げます。同時に、これを反省といたしまして大いに今後躍進しなけりゃならぬ、開かれた世界の日本にしなけりゃならぬ、こういうふうに考えます。
#182
○柏原ヤス君 そこで、この国際交流の中でも留学生の問題は非常に重大な大切な問題だと思いますので、そうした点からお聞きいたしたいんですが、五十四年度のわが国の外国人留学生、これは何人でしょうか。
#183
○政府委員(松浦泰次郎君) 初めに、先ほど先生のお話しになりました五十三年度のわが国の国際文化交流関係の数字でございますが、これ外務省が取りまとめたものを手元に持っておるのでございますが、これは三百五十三億円というような数字でございます。先ほど先生のお話ございました数十億円という数字は、これは確かに新聞で報道されたものでございますけれども、どういう根拠によるものかちょっと私ども理解しかねるわけでございます。その数字だけをちょっと申し上げておきたいと思います。その点につきましても、いま大臣からお話ございました大臣の方針にのっとりまして、私ども今後できるだけの努力をしていきたいと思っておりますので、今後ともよろしく御指導、御支援を賜りたいと存じます。
 留学生の数でございますが、五十四年度は国費留学生が千百八十三人、私費留学生が四千七百五十人、合計五千九百三十三人でございます。
#184
○柏原ヤス君 一九七八年版のユネスコ統計年鑑によりますと、日本は、在日韓国人を除いた数で――いまおっしゃった数ですね、それで順位は二十位です。シリア、メキシコ、トルコ、それよりも少ない日本、大臣はこれをよく御存じと思いますが、受け入れの数としては余りにも少な過ぎると思いますが大臣いかがですか。
#185
○国務大臣(田中龍夫君) さようでございます。率直に認めますが、しかし、それをどうしたらよろしいかというときに、具体的には一番障害になるのは語学の問題だろうと思うのであります。英米あるいはフランスといったような、英語あるいはフランス語、スペイン語の国柄でありますと、留学生が後進諸国から来まして勉強して帰っても十分に帰った後に就職ができるのでありますが、日本語を覚えて帰りました学生が母国に戻りまして一体どれだけ社会的な需要に応じられるかということになりますと、やはり勉強に来る学生も少なくなる、こういう語学の問題が一番私は隘路であると思っております。
 そのほか、なお先生の御注意もいろいろといただきまして改めるべきものはどしどしと改めていかなければなりません。そういう点を今後ともに御指摘いただき、また御指導もいただきたい、かように考えます。
#186
○柏原ヤス君 留学生を積極的に受け入れると言おうか、西ドイツ並みぐらいには日本もなってほしい、こう思います。
 いま大臣がおっしゃったように、日本語教育の問題、いろいろ問題が山積していると思いますけれども、これを何とか克服しなければならない。そういう点で、今後の受け入れというものをどう拡大していくか、質の向上をどういうふうにしていくか、やはりこれは思いつきではなく、長期的なビジョンというものを持つべきだと思うわけです。この点お考えになっているんでしょうか、それともどうなんですか。
#187
○政府委員(松浦泰次郎君) この点につきましては、従来から、外国人学生に対する給与、奨学金等の引き上げ、国立大学等におきます寄宿舎の整備、それから下宿をいたしますような場合の賃貸料の補助というようなこと、それから学校内におきましては日本語担当教官の整備、それから留学生別科の拡充というようないろいろな方面から努力いたしておるところでございます。
 ただ、先生御指摘のように非常に総合的な問題でございますし、私ども関係の学識経験者の方々の意見もよく聞きながらその問題点を整理していきたいということで、本年の五月十六日から来年三月末日までを一応の実施期間としまして留学生問題調査研究の会議を持っております。この中におきまして、外国人留学生の受け入れに関すること、国費外国人留学生の制度に関すること、国費外国人留学生の選考に関すること、日本人学生等の海外留学に関すること、その他の事項を検討して取りまとめていく考えでおるところでございます。
#188
○柏原ヤス君 意見をお聞きになるのも結構ですけれども、やはり長期的なビジョンというものを、こうした国際交流というものに特に熱をお入れになる大臣のいらっしゃるときに立てようと思えば立てられるんじゃないか。ビジョンですからそれに向かう姿勢で私はできると思います。少なくともアメリカは二十万、フランスは九万、イギリスは五万、西独五万という、こうした留学生を受け入れているんですから、日本の立場としてもこれ並みにという意欲というものがあってほしい。今後十倍の外国人留学生の受け入れということになりますけれども、このぐらいの目標を立てて、そうして、そこにこういう問題がある、こうだとかああだとかという、そういうもっと前向きと言おうか実現可能な線に持っていけるようなそういうものがやはり政府として文部省としてあってこそ、いろいろ御意見のある方の御意見もより積極的な実現可能な意見になってくると思うんですね。ただ意見を聞いていて、やれそうかなどうだろうかなんという弱腰じゃとうていだめだと思うのですよ。そういう点、何となくおざなりじゃないかなと、真剣にやっていらっしゃるのでしょうけれどもおざなりだと、こう言わざるを得ません。五万人の留学生を受け入れるとしたらというようなそういう希望ある姿勢でビジョンをぜひつくっていただきたい、こういうふうに思うわけなんです。
#189
○政府委員(松浦泰次郎君) 先生のお話の趣旨をよく体しまして今後できるだけの努力をしていきたいと考えております。
#190
○柏原ヤス君 次に、留学生の派遣についてお伺いいたしますが、留学生を派遣するためにどんな制度があり、現在何名ぐらいが派遣されておるか、この点お聞かせいただきたいと思います。
#191
○政府委員(松浦泰次郎君) 文部省が実施しております留学生の派遣制度としましては、学生国際交流制度、それから二番目に教員養成大学学部学生海外派遣制度、それから三番目にアジア諸国等派遣留学制度の三つがございまして、五十五年度におきましては二百五十三人、うちアジアに三十六人を派遣することとしております。その予算額は約三億八千八百万円でございます。
#192
○柏原ヤス君 中近東、アジア、こういうものを無視して日本外交は語れないという最近でございます。アジア、中近東諸国の友好関係、これがさらによりよくなるためにもアジア諸国等の派遣留学生制度、これをもっともっと進めていかなければならない。現在、調べますと八人派遣されているわけですね。非常に少ないと思うんです。これいかがでしょうか。また、来年はどういうお考えで取り組まれるんでしょうか。
#193
○政府委員(松浦泰次郎君) 来年は、わずかでございますがこれを倍にいたしまして、十六人を計画して概算要求しておるところでございます。これ以外にも、実は科学研究費補助金によります外地での研究というようなこともございますし、あるいは東京大学の研究所等による部門の拡大等も図りまして、直接の留学生じゃございませんけれども、先生の御指摘のようなアジア地域の研究あるいは広く中近東、アフリカ、南米等にわたる地域研究につきましてできるだけ促進をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#194
○柏原ヤス君 こうした国費の留学生にとどまらないで、スポーツとか教育、文化、芸術、こうした面でも、アジア、中近東、こちらにはより多くの交流をしていくべきだと私は文部省に期待するわけなんです。で、この交流についても、現在は文化交流というと展覧会をやるとか、生け花をやるとか、踊りを見せるとか、こういうものが大体文化交流の花形になっておるわけであります。これも非常に意味があるけれども、私はやはりさっき大臣がおっしゃった日本語教育という、こうした一番根本的なものを先頭に立てて、最もそこに力を入れて大いにこの東南アジア、中近東への働きかけ、文化交流をやっていただきたい、こういうふうに思っております。
 それからもう一つ、単位の互換制度というのもございますので、特に中近東の大学、こういうところへはもっと積極的に実施の働きかけをすべきじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#195
○政府委員(松浦泰次郎君) 先生の御指摘のとおりでございます。日本に留学しました学生が帰りましても何か若干の差別を受けておるというようなことも聞くことがございますが、先生御指摘のように、単位の互換制度、資格につきまして、同じような同等の処遇が与えられますよう、私どもできるだけ努力していきたいと思っております。
#196
○柏原ヤス君 最後にもう一言大臣にお聞きしたいんですが、先般デンマークで国連婦人の十年の世界会議が開かれました。そこでわが国の政府代表が、特に教育協力の拡充、文化交流の強化等を通じて開発途上国の人づくりへの貢献を重視する決意であると述べたわけです。非常にこの発言に対して発展途上国の皆さんが拍手を盛んにされたわけなんです。国際的なひのき舞台でもあり、日本の代表が先進国としての貫禄で述べたわけなんですね。しかし、先ほどからいろいろお伺いしていますと、予算も人員的にも非常にお粗末である。そういう点で、これだけひのき舞台で日本の代表が決意を述べたんですから、これに具体的にどう貢献していくお考えなのか、まず大臣にがんばっていただきたいと思って、最後に抱負をお聞かせいただきたいと思います。
#197
○国務大臣(田中龍夫君) まず、その前に互換制度と言われました問題にちょっと触れてみたいと思います。
 単位の互換制度、留学生個々の大学内の単位の問題だろうと思うんでありますが、単位の互換制度の前に日本自体が深く反省しなきゃならない問題は、国際問題というのはあくまでも相互主義なんでありまして、そういう点でわれわれが海外にもっともっと伸びていかなきゃならない。特に海外移住をしておる方面からは、大変に日本の医療協力やお医者の要請があるのであります。ところがその点は、日本は非常に閉鎖的である。つまり、日本の医学というものは世界に冠たる医学であると、こういうプライドが多過ぎまして、日本の医学を修得した、ライセンスを持った者は、当然東南アジアへ行こうがあるいは中南米へ行こうが、ヨーロッパへ行こうが堂々と日本の医学、日本が誇る医学を向こうへ行って開業できるだろうと思ったら大間違いなんです。ということはなぜかというと、相互主義でありますから、ブラジルのサンパウロ大学のライセンスを持った者が日本の東京に来ていつでも開業できるように、あるいはまたジャカルタの大学を卒業した者が日本の国内に来て開業できるように、そういう日本自体が自分の姿を開かれたものにしなければ、日本に何ぼりっぱなお医者がいるといっても、オーバードクターになっても、外に受け入れてくれない、そういう単位の互換どころではない、もっと許認可の問題、認許の問題でも非常に反省をしなきゃならない点が多いこともつけ加えて申し上げます。
 それから国連の婦人年においでになりまして大変御活躍になりましたことも聞き及んでおりまして、非常に先生のお姿を喜んでおるわけでありますが、日本代表が堂々と国際会議で主張をいたしました、それが単に言っただけだというようなことになってはいけないと思います。日本が国際的に堂々と主張いたしましたことは、それを実践してこそ初めて私は意義がある。やはり信頼、うそをつかない。欧米あたりでは、あれはうそつきだと言われれば決闘を申し込んでもいいほどに信頼というものを特に強調していますが、日本の国際的な発言に対しては日本国、日本人自身がそれを裏づけるだけの私は今後の努力が要ると、かように存ずる次第でございます。
#198
○佐藤昭夫君 私は、きょうはまず、いわゆる愛国心教育について幾つかお尋ねをいたしたいと思います。
 一昨日の私のこの委員会における質問において、文部大臣は教育基本法を遵守するとはっきり答弁をされました。また教育基本法を遵守する教育の核心は何かと、それは最高裁判決文も述べているように、戦前の国家主義的、軍国主義的教育に対する深い反省に立って平和と民主主義に立脚した教育を進めることではないかと私が質問したのに対し、文部大臣も同感の意を表明されました。これからの議論を進めていく出発として、この一昨日の文部大臣答弁再確認をしてよろしゅうございますか。
#199
○国務大臣(田中龍夫君) 平和と民主主義を守り、同時にまた憲法並びに教育基本法の一連の法規を遵守いたします。
#200
○佐藤昭夫君 ところで、いわゆる愛国心教育について、いままで衆議院、参議院の文教委員会での論議を通して、文部省はいま直ちに学習指導要領や教科書を変えるということはしない、文部省としての指導の充実を通していわゆる愛国心教育の強化を図っていきたいのだというふうに答弁をされているんじゃないかと思うんですが、おおむねこういうことでしょうね。
#201
○政府委員(三角哲生君) 文部省といたしましては、両三年にわたる教育課程審議会の丹念、慎重な御審議の結果をいただきまして、それをもとに小中学校の学習指導要領を定めまして、御存じのとおり、小学校は今年から、中学校は明年からこれの実施ということになっておるわけでございます。この教育課程の今回の改定の状況は省かせていただきますが、私どもとしてはこの教育課程の内容が十分に各学校において理解されまして、これにのっとったゆとりのある、しかも充実した教育がそれぞれ展開されるように願っておりますので、この学習指導要領の内容についての十分な理解、認識をいただきますように、これまでもいたしております各種の講習会あるいは研修会あるいはその他の連絡会議等の場におきましてこの教育課程の趣旨及び内容の普及徹底を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#202
○佐藤昭夫君 ところで、わが党も子供たちに正しい意味での国を愛する心を育てる教育を何ら否定するものではありませんが、しかし問題は、この愛国心教育の内容、方向これが問題であろうと思うんです。最近文部省が言われている愛国心教育の内容、方向が、戦前のような国家主義的、軍国主義的な教育の復活に進んでいくんではないか。この点で今日多くの国民が不安、心配を寄せている。もし、そのような内容、方向であれば、先ほど冒頭に大臣に再確認を求めたわけであります。すなわち、最高裁判決文も明らかにしております。あの戦前の国家主義的、軍国主義的な教育に対する深い反省に立って平和と民主主義を基本にした教育を進めていくんだというこの確認とも反することになりますし、国民をいわば欺く二面的な態度になるんじゃないか。
 そこで、はっきりお尋ねをするのですが、文部省がいまお考えになっている愛国心教育についての指導の充実を図るというその内容、方向は、決して国家主義的、軍国主義的な教育の復活を考えているものではない。で、文部大臣も表明をされている教育基本法遵守の立場に立った、正しい意味での国を愛する心を育てる教育の充実を図っていくんだ、こういうふうに理解をしてよろしいですね。
#203
○政府委員(三角哲生君) お聞きいたしておりまして、どうも御質問いただくゆえんのものが私としては理解しかねる気持ちでございます。
 私ども文部省としましては、戦前のような国家主義でございますとか、ましていわんや軍国主義というようなことはちっとも考えてございませんし、学習指導要領の内容をごらんいただければそれは直ちにわかることでございます。
#204
○佐藤昭夫君 ただいま文部省としては国家主義的、軍国主義的な教育の復活はさらさら考えていないというふうに明言をされておりますので、この点はきっちり押さえておきたいというふうに思いますが、ただ、国民がいまその点不安を寄せておりますのは、文部大臣もよくお考えをいただきたいと思うんでありますが、憲法をめぐってこの国会でもずいぶん議論がありました。内閣としては憲法を守るということを一面では言う。しかし一面では、内閣のほとんど多数の人が自主憲法制定という名の憲法改正のいわば運動体とも言ってもいい議員連盟に加わっておられて、そこでどんどんとそういう運動がやられていくという、この二面的な態度に国民が非常に大きな不安を寄せておる。なればこそ、この愛国心教育の問題についても、一面では教育基本法遵守ということが言われる。しかし一面では愛国心教育という名前で教育の内容、方向が危険な方向へ進んでいくんじゃないかという不安を寄せているのは至極当然なことだろうと思うんです。ただ、先ほどの答弁で、決してそのようなことはさらさら考えていないということでありますので、その点をきっちり押さえて、さらにもう一つお尋ねをいたしますが、五十一年十二月十八日の教育課程審議会答申、この中におけるいわば学習指導要領の基本的考え方のこの基礎になる部分ですけれども、「学校運営と学習の指導方法」という項目のところで、「教育課程の実施の効果は、各学校における自発的・創造的な活動に期待するところが大きい。」というふうに述べておること、もう当局はよく御存じのことと思うんです。すなわち、学校における教育の基本は、それぞれの学校と教師が学習指導要領や教科書を基礎としながら、どうしたら子供たちの心身の発達に一番役立つのか。その教材、教える順序、方法についてよく練り上げて、自発的、創造的な活動を進めることが基本だということだと思うんですが、教育というものは本来そういうものだということでよろしいですね。
#205
○政府委員(三角哲生君) 教育を学校において実際にやっていただくのは教員の先生方でございます。でございますから、先生方がまさに教育については主役でございます。そういう意味で。でございますから、私どもは、先生方がりっぱな授業を実施していただくこと、やはり日本全体の教育の水準がどうなるかということを支配するものでございますから、非常にその期待が大きいというのは当然のことでございます。
 で、御指摘の学習指導要領はわが国全体の教育の機会均等ないしは水準の維持向上のために一つの基準として定めてあるものでございます。今回の定め方はそこにかなり弾力的な面を入れまして定めてございます。そのねらいはやはりこの基準に従ってもらいますことを前提として、教育の内容はそれぞれの現場の先生方に一生懸命に努力、工夫をしていただきまして、そして本当に生き生きとした、児童生徒が非常にそれによって、何と申しますか、充実した授業時間が過ごせるような、そういう教育活動を展開していただきたい、そういうぐあいに思っておるわけでございます。
#206
○佐藤昭夫君 ところで、そういう学校の教育というのは学習指導要領、教科書、これを基礎にしながら、現場の教師の自発的、創造的な活動で進めてもらう、これが基本なんだということですが、そこでこの学習指導要領については最高裁判決も、それは大綱的基準であるということで、学校と教師のまさに自発的、創造的な活動にゆだねられるべきものであるというふうに述べておるわけですけれども、したがって、いわんやいま文部省がお考えになっているいわゆるこの愛国心教育、法的規制も持たない愛国心教育、これについては文部省の指導として現場に強制できるものではないと。あくまでそれぞれの学校と教師がまさに自発的、創意的な活動によって、そこにゆだねられるべき問題だと、こういう問題だと思うんですが、どうですか。
#207
○政府委員(三角哲生君) 私ども、この数日来問題にされております愛国心教育という、先ほど申し上げましたように、これが仰せになりましたような、戦前のような国家主義とかあるいは軍国主義、そういうものを意図して学習指導要領を定めたなんてことはないわけでございまして、まあそういう不安があるという御発言ではございますが、私どもそういういわれのない不安は、もしあるとすればはなはだ遺憾なことでございますし、そういう不安をつくるようなそういう動きももしあるとすれば、それはいささか――いささかではございません、大変に現実の状況を誤解をするような動きになるのではないかという感想を持つわけでございます。
 それで、学習指導要領では、やはりこの平和的な国家及び社会の形成者として自分が生まれ、自分の祖先がそこで育ち、その祖先から自分が生まれ、また自分たちの子孫がそこでまた生きていくという国、そして、そこでは同じ日本語というものを使って、われわれの先人がいろいろな意味でこの日本語を通して精神形成なり文化財産をつくってきた、そういう同じ言葉を尊重しながら、そして申しましたような文化、これをまたさらに高めていこうと、こういう心情を持つことは国民として当然のことでございますから、そういう意味の愛国心に関する記述を学習指導要領にしているわけでございます。
 学習指導要領は、おっしゃいますように一つの基準でございまして、わりと簡明に書いてあるということでございますが、これにのっとりました教育は、現実に先ほど御発言もございまして御答弁申し上げましたように、教育の場における舞台に立つ主役であるところの個々の教員の方々によって充実した展開をしていただかなければなりませんので、私どもはこの学習指導要領にのっとった教育がそのような形で行われることを願っておるわけでございます。ただ、もし万一そういうことでなくて、たとえば愛国心でもようございますし、そうじゃない事柄でも結構でございますが、ある部面についてそのことをおろそかにいたしましたり、おざなりにしましたりするようなもし傾向でも見られます場合には、それはやはり私どもは直接には県の教育委員会等を通じまして、そこのところはやはり学習指導要領の定めるようにひとつしっかりやっていただきたい。そういう指導をすることはあり得ることでございまして、そういった指導をしました場合には、これはやはり私どもとしては責任を持って、もしそういうことがありました場合はその学校によって真剣に受けとめていただかなければならない、そういうふうに思うわけでございます。
#208
○佐藤昭夫君 長い答弁をなさるんですけれど、局長、限られた時間の中で質問をしているんですから、私の質問点に端的に答えていただきたいと思うんですけれども、もう一遍重ねて聞きますけれども、あなたの言われたように、学習指導要領でさえそれは弾力性を持たせていくという、そういう基準なんだと。学校における教育指導上の基準なんだと。そこで、最近議論をされておるいわゆる愛国心教育といいますか、国を愛する心を育てる教育云々というこの問題について、文部省が指導という名で現場の教育に対して強制をするということはできないはずだと。あくまでそれは現場の学校と教師が自発性、創意性を最大限発揮をして、そこで正しい意味での国を愛する心を育てる教育をやってもらうという、これを望んでいるということなんですねと、こう聞いているんですから、そこの部分だけ答えてください。
#209
○政府委員(三角哲生君) 日本の学校におきまして、日本人のための教育の基準でございます今回の学習指導要領が正しく認識、理解されまして、そしてそれにのっとった教育が個々の先生方の御工夫、御努力によりまして、子供たちに大変わかりやすく、しかも子供たちの身につくようなやり方で教育が展開されることを願っておるということでございます。
#210
○佐藤昭夫君 まあ私の質問を言い方かえて再確認をされたんだというふうに思います。
 そこで、もう一つ話を進めて質問をいたしますが、前回の当委員会で自民党の田沢委員さんが愛国心教育について誤解があると、平和と民主主義を基調にした愛国主義教育ならいいじゃないかということで質問をなされ、文部大臣も賛同の意を表明されたわけでありますが、しかし私はそういう形の上の言葉だけではちょっと安心できない、いまのいろんな動きがあるんじゃないかと思っているのです。現に、最近自由民主党の機関紙であります自由新報に、教科書批判シリーズの連載キャンペーンをずっとやられてきた。その中には、さまざまな、これでは危険じゃないかというふうに思わざるを得ないように感ずるようなことが多々あるわけです。国際的にも大きな評価を受けています木下順二氏の「夕鶴」を教材にしているのは、あたかも偏向教育だと言わんばかりの、いわば荒唐無稽とも言うべき記述がある。
 しかし、本日そういう問題を一つ一つ取り上げる時間的余裕がありませんので、端的な一例だけを取り上げて文部省に質問をするんでありますが、そのシリーズの中に書かれています日露戦争を帝国主義的侵略戦争と見る書き方は直せと。そして、これと結びついて東郷平八郎を教材に取り入れなさいという主張がされている。これは結局、この間の田沢さんのお言葉とは全く逆に、いまのままでいくと戦争讃美の教材を入れなさいということになるんじゃないかという不安を大きく持たざるを得ないわけです。もちろん自由新報の記事でございますので、自由民主党のこれが方針だというふうに私も思いません。その執筆者の個人意見かどうか、そこはよくわからぬわけでありますけれども。
 そこで、文部省にもう一遍念のためにお尋ねをしておきますけれども、まさか今後戦争讃美の教材を、これを取り入れるというようなことはゆめゆめお考えになっていないというふうに再確認してよろしいですね。
#211
○政府委員(三角哲生君) 戦争というのも一つの歴史の上の事象でございますから、たとえば歴史なら歴史というものの学習をいたします場合に、戦争ということを扱うということはあって差し支えないし、状況によりましては必要なことでございます。
#212
○佐藤昭夫君 戦争讃美。
#213
○政府委員(三角哲生君) で、東郷平八郎という名前も、そういったことに関連して出てきても別にどうということはないと思いますが、戦争讃美ということと戦争を扱うということは別でございますので、戦争を讃美するということはないと思います。
#214
○佐藤昭夫君 戦争讃美の教材を取り入れるということは考えていないという、この点は押さえておきましょう。で、いまの答弁についてちょっとあいまいな点がありますけれども、これはまたおいおい今後の当委員会で質問をしていくことにいたします。
 話を進めます。文部省は先ほども言いましたけれども、一方では教育基本法を遵守すると、こう言いながら、しかし片一方では現場の教育に対して軍国主義がどんどんと入り込んでくるという姿になっているんじゃないか。そういう二面的な態度。その一つの具体例として、一昨日の委員会で私は自衛隊の学校教育に対する介入の問題を取り上げてまいりました。いろいろ当局にこの調査をしてもらう約束になっていることもありますけれども、その問題はまた先にしまして、きょうもう一つ新しい問題についてただしたいと思いますが、この十月の七日新日本婦人の会が文部省と交渉をされました際に、神奈川県において高校生の自宅に対して自衛隊から自衛隊の勧誘葉書が大量に発送されていると、受けとった母親は赤紙が舞い込んだんではないかというふうに不安を感じたというふうに語っている人もありますが、こういう問題について文部省としてはよく事実を調べて対応を考えてみましょうというふうに回答なさっているわけですけれども、その後、私どもの調査によりますと、この種のはがきというのが神奈川県だけじゃなくて、兵庫県でも全く同様な葉書が出されておるということが明らかになっておる。神奈川、兵庫にとどまらず、言うなら防衛庁の一地方組織だけで起こっておるということだけではなくて、相当全国的に起こっているおそれがある。こうなりますと、かなり組織的、計画的に防衛庁がこういうことをやっているという問題じゃなかろうかと。そういう意味で、文部省としては、こういうことはひとつ防衛庁として断じて中止をしてもらうよう、防衛庁に強く申し入れをしてもらいたいというふうに思うんですが、どうでしょう。
#215
○政府委員(三角哲生君) 自衛隊の関係の事柄が、直ちにまた委員のおっしゃる軍国主義に直結するかどうか、そこの点については私は議論ございますが、それは差しおきまして、ただいま御指摘の、たとえば神奈川県で高等学校の生徒に対して、郵便でいわゆる体験航海でございますとか体験搭乗というものの勧誘を行っているという話は、おっしゃいましたその婦人の会からもございまして、防衛庁の方にもお聞きしてみたわけでございます。これは防衛庁の一つの広報活動の一環として行われているというものと考えておるわけでございまして、これはただそういうことであろうと、こういうふうに思っております。
#216
○佐藤昭夫君 それで、その交渉の中で、文部省としてはよく事実を調べて対応をひとつ考えてみますというふうに答弁をなさっているわけでしょう。そこへ加えて、その後明らかになった問題として、兵庫県等々いろんな県で同じようなことが出ているという事態にもなっているので、ひとつさらに一層よく調査をして、文部省としてはこの対応を考えてもらう必要がある。防衛庁にこういうことはやめてもらいたいという申し入れをすべきじゃないかという点を質問しているんです。
#217
○政府委員(三角哲生君) 私どもとしましては、一昨日の……
#218
○佐藤昭夫君 そういう事実がございませんなら、ございませんと……。
#219
○政府委員(三角哲生君) 一部の県でそのようなことがあったということは聞いております。
 私どもとしては、一昨日申し上げましたように、いわゆる新規の卒業者に対する隊員募集につきましては、先生の御質問にお答えもしたわけでございますが、教育的観点から申しまして、学校を通してそして労働、文部両省で協力を依頼しております一般の企業に対するその時期と同様の所定の時期に求人活動なるものを行うことが適当であるというふうに考えまして、防衛庁の方に協力を求めているわけでございますが、ただいま御指摘になりました事柄はもちろん聞いておりますが、これは一つの自衛隊での体験航海や体験搭乗の勧誘でございまして、これはこれに参加するしないはその親なり、その本人の子供たちが考えまして、そしてこれに応ずるということはあり得ることでございまして、これはいわば一つの自主的な自由な対応でございます。そうして、これは防衛庁の一つの広報活動の一環として行われているということでございますので、これは私どもこれに対して、防衛庁に特に何か申し上げるという筋合いのことでもあるまいというふうに考えておる次第でございます。
#220
○佐藤昭夫君 そうしますとあれですか、自衛隊への入隊募集については努めて学校を通してやってもらうということでかねがね希望してきていると、しかし、いろんな諸行事、そういうものに防衛庁の方が高校生の参加を呼びかけるそういう葉書、これは直接入隊という問題ではないからと言う。しかし、明らかにそういうことで自衛隊との親近感をつくって、行く行くは入隊を、そこへ勧誘というところへ持っていきたいという願望があってやられておることはもう疑うべくもないでしょう。そういう点で、やっぱりこの問題についても、学校が全然知らない間にもう無差別、大量に子供の自宅へそういうものがばあっばあっと発送される、こういうことが教育的に好ましいと思いますか、まず。
#221
○政府委員(三角哲生君) 状況によりましては学校にも相談をした上でそういうことをやるということが好ましいかもしれませんが、私どものただいまの考えは先ほど申し上げたとおりでございます。
 それで、自衛隊というものは自衛隊として法律がございまして、それに基づいて日本という国あるいは社会のために必要な機能を持たされてこれが存在しておるわけでございまして、そうしてこれに対して理解を持つというか、関心を持つということは、これは別にそれに対してそれがどうこうという筋合いのことではないというふうに思っております。
#222
○佐藤昭夫君 どうも防衛庁に気がねをしているというか、本来文部省としてはっきりしなくちゃならぬ立場さえはっきりできない今日の深刻な状況にあるんじゃないかというふうな気がしてならぬわけですけれども、もう幾ら繰り辺し聞いておってもあれですけれども、どうですか、とにかく一県、二県の問題でない、相当数、大量にこういうことがやられているということも加えて、教育的観点から一体このことは妥当かどうかということを検討すべき局面へ来ているんじゃないかと思うんです。
 そこで、最低このことをしてもらいたいというように思うんですが、よくひとつ全国的な状況を文部省として調べてみるということと、どういう対応の仕方をするかということについて、文部省としていろいろ研究、検討してみる、最低この点を約束をしてもらいたいと思うんですが、どうですか。
#223
○政府委員(三角哲生君) まずは同じ政府部内でございますから、佐藤委員からただいまのような御指摘がありましたことに基づきまして、防衛庁の方にいろいろと聞いてみたいと思います。その上で、このような広報活動ということでございましても、もし教育的な観点から何らかの行き過ぎと言っていいようなことがございますれば、私どもとしても考えさしていただかなければならないと思いますので、その上で防衛庁に対して、もし必要ならば配慮を求めてまいるということにいたしたいと思います。
#224
○佐藤昭夫君 大分、自衛隊問題で思わざる時間がかかりましたのであれですが、教育予算に関する問題について、次にもう少しやらせていただきたいと思います。しかし中途半端だから、ここで本日は終わります。話が大きくなりますから。
#225
○委員長(降矢敬義君) 以上で本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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