くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第093回国会 文教委員会 第4号
昭和五十五年十月二十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十七日
    辞任         補欠選任
     勝又 武一君     松本 英一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬義君
    理 事
                大島 友治君
                世耕 政隆君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                山東 昭子君
                田沢 智治君
                内藤誉三郎君
                仲川 幸男君
                松浦  功君
                本岡 昭次君
                柏原 ヤス君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
   政府委員
       文部政務次官   石橋 一弥君
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省学術国際
       局長       松浦泰次郎君
       文部省管理局長  吉田 壽雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部外務参
       事官       大村 喬一君
       文部大臣官房人
       事課長      齊藤 尚夫君
       文部大臣官房会
       計課長      植木  浩君
       厚生省児童家庭
       局母子衛生課長  福渡  靖君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (兵庫県における広池学園問題に関する件)
 (兵庫教育大学附属小学校の学級編制問題に関
 する件)
 (中学校における免許外教科担任問題に関する
 件)
 (障害児教育問題に関する件)
 (冷害に伴う就学及び進学助成に関する件)
 (高校教科書における母乳育児教育に関する
 件)
 (在外子女の教育問題等に関する件)
 (日本人学校への現地人入校問題に関する件)
 (教育予算に関する件)
 (私学助成問題に関する件)
 (大学における研究費に関する件)
 (大学の定員外職員の待遇問題等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十七日、勝又武一君が委員を辞任され、その補欠として松本英一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(降矢敬義君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○本岡昭次君 きょうは、具体的な問題五、六点について時間の許す限り順次質問をさしていただきます。
 あらかじめ、細かく問題点についてお話ししてありますので、その点については、ひとつ具体的に明確なお答えをお願いしたいと存じます。
 まず質問の第一は、兵庫県において大変な論議をいま巻き起こしております私学広池学園誘致の問題でございます。
 これは、前回の質問、十月二十一日に終わりの方で質問をさしていただきましたが、時間もありませんでしたし、また答弁もいただきましたが、それについて私の方からいろいろ詳細にわたって質問する時間もないまま、全く不十分なまま終わってしまいましたので、改めて再質問のような形になって申しわけございませんが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。そしてまた、委員の皆さんにもこの広池学園の問題につきまして御理解いただくために、いま一度問題の概要を申し上げることにいたします。
 兵庫県が、加東郡社町という純農村地域に保有していた土地を活用して、公立の中高一貫教育を全寮制で行い、生徒を全県下から募集しようという新しい試みを立て、それに基づいて学校建設計画を進めたのですが、父母、県民の、あるいは教職員の側からは、それは英才教育を県がすすめることになる。いま子供や父母の求めているのは、そうした英才教育でなく、公立の普通高校を建てて、高校で勉強したいと願っている子供たちに一人でも多く勉強する場を与えてやることではないかと批判が続出し、また、県の方もその後その建設計画を進めていくうちに、これはまあ当然のことであったと思うんですが、公立でそのように中高一貫の全寮制の高校を建てて、学校を建てて、全県下から生徒を募集するということは、現在の学校制度の中では不可能であるということになり、結局のところ、それでは私学を誘致しようということになったわけでございます。そして、県が準備しておった十五ヘクタール、土地の値段で約六億七千万円であるわけですが、その土地を無償で提供するから希望する私学はないかという募集を全国的に行いました。また、そのために兵庫県議会の中では条例をつくって議決も行ったわけです。その募集に対してただ一校、この広池学園が応募をしました。ところが、広池学園は、財団法人モラロジー最高道徳研究所というところが設立をしている私学で、その学校は現在千葉あるいは岐阜等にあるようでございますが、そこで勉強する子供たちの生徒の六割以上はモラロジー研究所の会員の子弟がそこで勉強する。そして、教えるそこの教育の内容、もちろん私学ですから建学の精神というものがあります。そのモラロジーという一つの研究所が持っている特定の道徳にかかわる教育をしているということで問題になったわけです。
 その内容の問題を若干ここで、新聞等が問題にしているのはこういう事柄であるわけです。その最高道徳というものの教科書と言うよりも、道徳の教材であろうと思うのですが、その中にはこのようなことが書いてあります。「不幸を背負った人は先祖の不徳によるもので因果応報である。不幸な人は自我を捨て、高い階級にある人の二倍も三倍も品位を高めるよう義務を先行しなければならない」、「権利を要求するような行為は犯罪と同様に不徳を積み重ねる結果になり、自然とうたされ、除去されるのが宇宙自然の大法則だ」、こういうふうなことがずっとこの「道徳科学モラロジーおよび最高道徳の概要」という中に綿々と書いてあって、これが道徳の教材になっているということであります。
 そこで、県がこの私学を十五ヘクタール六億七千万円もする土地を無償で提供するのですから、どの私学が適当かどうかということについての審議会を別につくりまして、その審議会で諮問をいたしました。ところが、その諮問を受けた助成対象学校法人選考審査会も、一応その私学を誘致することについて異議はないとしながらも、一つは、生徒の募集方法について広く県民の中からだれでも入れるようにしなさいということと、いま一つは、「テキスト道徳科学についても、もしこれが学校教育で使用する場合には、教育上適当でないと思われる点は、指導上慎重に配慮する必要がある。」と、このようにここに注文をつけました。つまり、教育の内容に注文をつけたのです。県の土地を提供して設立される学校でございますから、県民もそのことは当然だというふうに受け入れていきました。県の本会議あるいは文教委員会でもこの問題が取り上げられ、盛んに論議をされています。
 現在では、県教委が広池学園側と話し合い、先ほど申し上げました道徳教材について内容の変更を県教委が求めております。広池学園の方も、その教材の内容を変更することについて同意をしているようでございます。県教委は今後もこのことについてチェックをしていくと言い、地元の新聞等では、県教委が私学の教育内容を検閲していると、教材のチェックをこれからも始めると言っているというふうなことで、私学のいわゆる特性、自主性というものに対して県の教育行政が介入しているんではないかという立場での疑問をいま投げかけている。
 以上が現状であるわけなんですが、そのような問題を前提に踏まえながら質問をさしていただきます。
 そこで、第九十一回、衆議院文教委員会で社会党の土井委員がこの問題にも、やはり私と同じような立場から質問をいたしております。そのときに政府委員であった諸澤さんが、兵庫県に対して調査をする、たとえば土地の問題を提供するというふうなことは私は聞いたことがない、あるいはまた、本当に私学の教育内容に、県教委がそれにかかわる、介入するようなことがあれば問題があると、このようなことを前提にしながら調査をすると、このように答弁されたのですが、文部省としていつどのような調査をされたのか、答弁を願います。
#5
○政府委員(三角哲生君) ただいまお話のございましたような前の衆議院文教委員会での御議論がございましたので、その後私どもとしましては兵庫県側に連絡をいたしまして、とりあえずは電話
 によりいろいろ照会をしたり、それから県側から若干の資料の提供を受けたりしまして報告をいただき、さらにその後、県の方から私どもの方の担当課に来ていただきまして本件関連の諸事情につきまして事情を聴取しております。
#6
○本岡昭次君 どのような内容について事情を聴取されておられるのか、それから若干の資料を取り寄せたとおっしゃっていますが、どのような資料を取り寄せられたのか、御答弁願います。
#7
○政府委員(三角哲生君) 資料と申しましても、先ほど御指摘の私立中等教育学校設置助成要綱というような、助成審査会をつくって審査をするような手順でございますとか、それからいままでの経違でございますね、応募を求めたというふうに本岡委員おっしゃいましたそういう応募の関係の経違とか、そういったことについて承ったわけでございます。
 それで、ただいまお話もあったわけでございますが、その際、兵庫県側の構想というのが中高一貫の全寮制教育の実現を図ろうということで、それによってひとつ特色のある学校を県下に設置をするということにして、できるだけ生徒一人一人の個性や能力を伸ばすとともに知・徳・体調和のとれたいわゆる全人教育というものを行うことを目的としたものであるということを聞いたわけでございます。
 で、そういう方針で応募した学校法人の中から審査をいたしまして県が土地の無償貸し付けという形で設置の際に助成を行おうということであるというふうな報告を受けたわけでございます。
#8
○本岡昭次君 そこで、この前の衆議院の委員会では、さらに必要があれば適切な指導をするということの答弁も文部省としてされているわけですが、現在県がつかんでおられる状況の中で、先ほど県を呼び出したと。また県が来たのかもしれませんが、その段階で文部省として必要があれば適切な指導をするということを言われたことに対して指導をされたのかどうか、ひとつお願いします。
#9
○政府委員(三角哲生君) 県の方からおいでいただいておりますので、いろいろ私学が新しく設置される場合に、これは初めてのことでもなく、県の知事部局の学事担当の部局で心得ておることでございますので、そういう一々のことについて指導ということはとりたてて必要もないことかと存じておりますが、ただ一般的にはいろいろおいでになって話をすればそういった制度論のような話はしたと思いますが、本件につきましては兵庫県当局もいろいろとお考えを詰めておられるようでございますし、それから県外でも先ほどいろいろ御議論もあったという御指摘もありましたが、県会でもいろいろと御審議もなされておる。行政審査会というような手順でまたそこでもいろいろ御検討になっておりますので、個々の具体的な事象について特段の指導をいたすということにはなっておらないのでございます。
#10
○本岡昭次君 なぜ指導しなかったかということについてひとつ詰めてみたいと考えるんですが、時間もありませんから、それにかかわり合いながらさらに進めてみたいと思います。
 そこで、私がお尋ねしたいのは、私学振興助成法というものがあって、いま私学に対して国なり地方公共団体が助成をしているのですが、それではこの私学振興助成法が目的とする「助成」とは一体何ですか。
#11
○政府委員(吉田壽雄君) お答えいたします。
 私学振興助成法の目的は、同法の第一条に掲げられているとおりでございますが、先生おっしゃるように三つございまして、一つは「私立学校の教育条件の維持及び向上」を図るということがございます。二つ目には「私立学校に在学する児童、生徒、学生」等に「係る修学上の経済的負担の軽減を図る」ということ、三つ目は「私立学校の経営の健全性を」高めること、こういう三つの目的を掲げておるわけでございまして、「もって私立学校の健全な発達に資すことを目的とする。」、こういうふうに規定されております。
#12
○本岡昭次君 そこで、いまおっしゃられた私学振興助成法が目的とする三つの条件にかかわって兵庫県が土地の無償提供をして私学を誘致するということは、私学振興助成法の言う目的とする「助成」というものの範疇に入り得るのかどうか、見解を賜りたい。
#13
○政府委員(吉田壽雄君) 私立学校振興助成法に基づいて、都道府県が学校法人に対して行います助成でございますけれども、同法の第八条に「学校法人が行う学資の貸与の事業についての助成」という規定がございますし、第九条には高等学校以下の学校法人に対します経常費助成の規定がございますし、それからさらに第十条に「国又は地方公共団体は、」そのほか「補助金を支出し、又は通常の条件よりも有利な条件で、貸付金をし、その他の財産を譲渡し、若しくは貸し付けることができる。」というような規定がございます。
 そこで、兵庫県が土地を広池学園に対しまして無償で提供するというような場合は、いま申し上げましたこの私立学校振興助成法の第十条に該当する「助成」であるというふうに考えております。
#14
○本岡昭次君 私もそうお答えになると考えていたんですがね。そうすると、土地の提供も可能だということになれば、その土地の上に県が校舎を建て、運動場をつくり、体育館をつくり、プールをつくって、そしてどうぞ私学来てくださいと、そしてこれを経営してくださいということも、その発展の上にやはり「助成」ということになるんですか。
#15
○政府委員(吉田壽雄君) ただいまの御質問は一つの仮定の御質問と思いますが、理論上はそういうこともこの法律によって可能だと私ども解しております。
#16
○本岡昭次君 それでは、助成というのがそこまで可能であるとすれば、そこで私たちは、私学助成というのは、いま目的とすることの三点を出されました、しかし一方、私立学校法の第一条に言うところの「私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、」というこの語句にかかわって、公共団体が県民の財産である土地あるいはそのほかの財産を提供して特定の私学を迎え入れるということ、そこから、いま兵庫に起こっているように、その学校の教育内容の問題について、あるいはその学校がどのような子弟を迎え入れるべきかということについて、公共団体がまた父母が住民が当然注文をつける、言葉を強めれば、私学の教育に介入をするということがそこで当然起こってくると、このように私は見ており、結局のところ私学助成というものには、私学の特性、自主性というものを維持し得る一つの限界が助成の中に当然なくてはならない、このように考えるわけです。そういう立場から、いま兵庫に起こっている、今度は道徳の教材に対して県が内容を変更させ、これからもその教育内容についてチェックするということになっているが、それはそれでは私立学校法第一条という問題について違反をしているということになると考えるが、これはどうですか。
#17
○政府委員(三角哲生君) 私立学校法第一条に書いてございますわけでございますが、私立学校はその自主性が重んじられなければならない。同時に学校教育法に基づく学校でございますから、公共性も高めていただかなければならないということが基本でございます。したがいまして、私立学校の教育の内容面に対する指導ということは、こういった私立学校の特性から見てやはり慎重な配慮が必要であるということはそのとおりでございますが、私ども聞いておりますところでは、やはりこういった新しくそこに私学を建てようという一つのいまそういうものを生み出す前の段階のいろいろ状況があるわけでございまして、そういったことから、こういった県側のオファーに対して、申し出るという立場にある学校側からも、県に対していろいろと相談に行くと申しますか、県に対して申し出をして県の教育委員会にいろいろなことをお聞きするというようなことから始まったものと聞いておりますので、そういう段階で県の教育委員会がいろいろとまた自分の持っておる企画と申しますか、構想と申しますか、そういうことをお話しになるということであったかと存じまして、いずれにいたしましてもこれはひとつのこれからつくるものに対する両者の話し合いということはあり得ることでございますし、その場合、しかし両方ともがそれぞれがその主体性を失うことなく話し合いをしていくということであろうかというふうに思うのでございます。
#18
○本岡昭次君 ここで話し合っておりましても水かけ論に最後はなりそうで、私の方も時間がもったいないですからこの辺でこの問題は打ち切りますが、私の考えは、やはり兵庫県のやったことは無理があったと、こう考えるんです。モラロジーのこの副読本も渡しておきましたから読まれたと思います。しかし私は、このモラロジーというひとつの特別な考え方を持ったその団体が学校を設立するということを問題にしているんじゃなくて、私学というものが私立学校法に基づいてまさに私学のその特性、自主性を重んじて教育をしていくという事柄が、こうした助成というものを通して公共団体がさまざまな形で教育の内容にかかわっていくというそうした傾向について疑義を持ち、これは私立学校法の基本的な精神に反していると。だから、兵庫県はやはり無理をやった、このように判断をしているわけなんです。したがって、先ほど私学振興法の解釈を理論上やれば、それは土地を提供しても結構、建物から何から全部建ててどうぞ私学来てくださいと言っても結構というお話がありましたが、仮定の話にしろ、現にもう土地というものがそこにあって次に建物ときたときに、それではそういう建物の中に入った学校が真にその私学としての特性を、あるいは私学としての自主性というものを前面に押し出して教育ができるか。金は出しても中身にはかかわらないというのがたてまえだという筋論はあっても、実態としては、金を出せばやはりその中身にかかわっていくというのが現在の実態ですし、私学というものを私学として振興させていくということについては、好ましくないことがいま兵庫に起こっていると私は考え、先ほどのように理論上は建物を建てても何をしてでも助成の範疇に入るんだというふうな拡大解釈はすべきでないというふうに私は思いますので、私の考えをここで最後申し上げて、せっかく私学の問題に入ったのですから、最後に一つだけ。
 私学の助成問題については、私学の経営の安定ということから、人件費等の経常費についていま補助が行われていますが、いま各地方自治体では私学の生徒が納める授業料の問題にかかわって補助を出しております。どの県がどの程度の補助を出しているかということのここにも資料があります。文部省の方もそれはつかんでおられるわけですが、私学助成という問題をもっと内容のあるものにしていこうと、実際私学に通う子供たちの父母負担を軽減して公立との較差をなくしていってやろうという問題で、一九七九年にせっかく文部省が概算要求の段階で授業料補助というものを打ち出していった。それは日の目を見なかったようですが、その後八〇年あるいは来年度の概算要求にこうしたものが見当たらないようになっていますけれども、なぜこの授業料補助という問題についても積極的に助成を検討していかれないのか、お尋ねをしたい。
#19
○政府委員(吉田壽雄君) 私立高等学校等の授業料など修学上の経済的負担の軽減につきましては、先ほど来申し上げております私立学校振興助成法の趣旨に沿いまして、都道府県に対する私立学校等経常費、助成費補助というものに重点を置いて助成をしてまいってきたところでございます。
 で、昭和五十五年度予算におきまして、前年度に比べまして一六・七%増の七百億円を計上いたしまして、その拡充を図っているところでございます。厳しい財政事情のもとにあるわけですけれども、文部省としましては今後とも経常費助成を推進いたしますとともに、各都道府県における授業料等の抑制の御努力とも相まちまして、父兄負担の軽減が図られるよう努めてまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
 したがいまして、直接、授業料の軽減に資するということ、そういう費目を立てて、それに対する助成を行うということはいまのところ考えておりません。
 以上でございます。
#20
○本岡昭次君 私が質問しました中に一九七九年の概算要求に、わずかであったが、その授業料補助の予算を要求した経緯があるがということを踏まえて質問したんですが、一九七九年に授業料補助というものを概算要求した経緯はあるのですか、ないんですか。
#21
○政府委員(吉田壽雄君) そういう要求した経緯はございますけれども、折衝の結果、それは最終的に政府予算として計上するに至らなかった、こういう経緯がございます。
#22
○本岡昭次君 要求された以上、その要求するだけの根拠、理由、そういうものがあったと思うんですが、七九年度の概算要求をされたその根拠、理由、そうしたものはどういうところにあったんですか。
#23
○政府委員(吉田壽雄君) その時点におきましては、そういう授業料に対する減免措置に対する補助ということで要求いたしたわけですけれども、予算の折衝過程等を通じまして、当面はやはり、この生徒一人当たりの単価によるところの助成ということで、従来から経常費と考えられております教職員の経費とかあるいは生徒当たりの経費とか、そういう経常的な経費を設定いたしまして、それに対する補助をするということになりまして、当初考えておりましたそういう文部省の要求は一応撤回いたしたと、こういう経緯でございます。
#24
○本岡昭次君 ゼロ査定されたということで日の目を見なかったわけですが、それではお尋ねしますが、考え方として、文部省として生徒の授業料補助ということを助成の中に加えていくことまで否定したわけではないんですね。
#25
○政府委員(吉田壽雄君) いまおっしゃられましたのは、そういう助成も一応考え方としてはあろうかと存じます。
#26
○本岡昭次君 考え方としてあるということ、当然それが前提になって予算要求をされたと思います。やはり、私学に通わしている親の立場からすれば、言葉は適切でないかもしれませんけれども、税金の大変な二重負担だというふうな感覚を持ちます。税金を納めて、公立の高等学校があって、そこへ行きたいんだけれども、行けなくて私学に通っている、私学で高い授業料を払っている。この授業料は、いわばその公立との差は税金の二重払いになっているのではないかと、こういうことです。だから、経常費の補助と、やはりもう一方、私学に通う子供たちの教育費を公立の高校に通う子供たちとの間に格差が拡大しないように――もちろん経常経費の中の補助で一定の効果はあると考えますが、具体的に授業料というものにまで踏み込んで文部省が一九七九年にとにかく取り上げられたんですから、そのことは私は高く評価をいたしますし、これからもそうした問題について積極的に取り組んでいかれることを、そして各県がそうした問題に乏しい財政の中で対応している、その努力を、やはり文部省側も支えていくべきであろうと、このように御意見を申し上げまして、次の問題に移らしていただきます。
 二番目の問題は、これも兵庫県にある問題ですが、ことしスタートいたしました兵庫教育大学の附属小学校にかかわる問題を中心に学級編制、教職員定数の問題について質問をさせていただきます。
 まず、国立附属小中学校の学級編制基準あるいは教職員配当の編制基準、これはどうなっておりますか。ここにおられる委員の方は御存じなのかもしれません。私は初めてでございますので、ひとつお教えいただきたい。
#27
○政府委員(宮地貫一君) 附属学校の学級編制と教員の配当基準についてのお尋ねでございますが、国立の附属学校と申しますのは、御案内のとおり、教員養成大学学部等に附属して置かれておるものでございまして、もちろん、通常の公立学校と同様の、通常の教育を行うわけでございますが、さらに大学学部の教育に関する研究に協力するというような役割り、あるいはまた学生の教育実習に当たるということを重要な役割りの一つとしているわけでございます。
 そういうことで戦前師範学校の附属から今日まで続いているわけでございますが、基準と申しましては正確でないかもしれませんが、戦後おおよそ二十年代のころから、附属の小学校につきましては、学級編制としては四十名ということで今日まで行われてきているというのが実態でございます。
 なお、先ほど小学校について申しましたのも、もちろんこれは普通学級のことでございます。
 附属中学校の場合については五十人で編制をしてまいったんでございますが、昭和五十年度から四十五人ということで編制をしてきております。そういうたてまえになっておりますが、片一方、公立学校の学級編制については、先生御案内のとおり、標準法でその標準が定められておるわけでございます。
 兵庫につきましては、附属学校を新たに本年度から新設をいたしたわけでございますが、そういう新設等するに際しましての教員の配置ということについても、考え方としては、公立学校の基準に準拠して配当をしておるというのが現状でございます。
#28
○本岡昭次君 兵庫教育大学の附属小学校のところにまで言及されましたので、それではお聞きしますが、兵庫教育大学の附属小学校はいま一年生と四年生が募集されているはずです。
 そこで、現在一年と四年の児童数と学級数、そして教職員数はそれではどうなっておりますか。
#29
○政府委員(宮地貫一君) 兵庫教育大学の附属小学校では、初年度といたしまして一年生三学級百二十人及び四年生三学級百二十人の児童の募集を行ったわけでございますが、新設の学校ということもございまして、実際には応募者がそこまで至っていないという現状でございまして、ことし九月一日現在で申し上げますと、一年生は七十四名でございます。それを三クラスに編制し、また四年生は三十七名でございまして、これを二クラスに編制して教育しておりまして、教員数は副校長一人を含めまして七人で、ほかに養護教員が一人おります。
 それで、ことしの在学児童数が大変募集人員に満たなかったという点でございますが、これは附属学校の新設当初でございまして、実際に応募者、入学者については、従来過去に附属学校を新設した場合にも同様の事実はございます。
 たとえば、御案内のように、これは一年生、四年生というような学年構成から言いましても、出発のときで変則的な構成になっておりますとか、あるいは現に校舎は仮校舎で授業をいたしておりますとか、そういうような仮校舎であるというようなことを受けまして、給食が実施できないというような事情もございます。そういうようなことで定員を充足できないと、兵庫教育大学附属小学校についても同様の状態がございます。私どもとしては、順次学年進行に伴いまして、応募者、入学者数が当初の三クラスというところにまいるものと想定をいたしております。
#30
○本岡昭次君 七十四人を三クラスというと、一クラス平均二十五人ですね、これは。それから四年生三十七人二クラスということは、十八人ないし十九人ということですか。七十四人を三クラス三十七人を二クラスにしたその理由は何ですか。三十七人というこの人数、四十人であれば一クラスで済むし、一年生も二クラスで済む人数であると考えますが、なぜですか。
#31
○政府委員(宮地貫一君) 附属学校の役割りといいますか、先ほど最初に御説明申し上げたとおりでございまして、兵庫教育大学の附属小学校につきましても兵庫教育大学の本来の教育研究に協力するというような役割りがあるわけでございます。兵庫教育大学全体の学生数その他を勘案いたしまして、この附属小学校については、さらに特に地域の状況等をも総合的に勘案して、学級編制としては、一応小学校は各学年を三クラス編制ということで計画をいたしたわけでございます。そういうことで、一学年の編制としては三クラスということで計画をいたしまして、具体的な教員人事で申しますと、ことしの四月から発足するということで、三クラス編制を前提にいたしまして、具体的に教員も発令をするというような状況が現実問題としてございます。ただ、発足当初の大変変則的な状況は先ほど御説明したとおりでございまして、三クラス編制までの子供が入学しなかったというのが現実問題として出てきておるわけでございます。先ほども御説明しましたように、順次この過渡的現象は解消されていくものと私どもは考えておりますが、附属学校としては、本来は三クラス編制で臨むべきものということでスタートをしてきておるわけでございます。そういう状況を受けまして、一年生は三クラス編制でスタートしておりますが、四年生についてはそういう状況を受けまして二クラスの編制にしたというのが現実の学校側の事情ということに相なっております。
#32
○本岡昭次君 この教育大というのも、先ほど言いました広池学園と同じ兵庫県加東郡の社町にあるわけで、純農村に教育問題の大きなのが二つも飛び込んだんですね。あなたはやがて百二十人にできるだろうとおっしゃったけれども、私は百二十人には何年かかってもならないだろうと、こう考えます。つくってはならないところにつくって、そしてその子供を募集をしたのですからね。――三次募集までやったんでしょう。
 そこでお伺いしたいんですが、この問題は先ほど言いました第九十一国会の衆議院の文教委員会で土井委員がやはり質問をして、私がいま言ったような結果になるであろうということについて鋭く追及をしているわけです。そのときに三塚政府委員が、答弁で、要するに問題は地元の公立学校の教育との間に混乱が起こらないことだと、そのためにきちっと公平の原則を守っていきます。このように言っているわけです。
 現に、地元では四十人以上のクラスがある学校は二、三校ありますし、先ほど四年生の三十七人を二クラスに分けて十八人と十九人というふうな形での教育をやっているというふうなことから見て、地元の教育との混乱、これをどのように避けていくのかということ、言ってみれば公立と附属の教育条件の格差というものをどのようにして埋めていくのかということ、このことをよほどしっかりと文部省として考えていかなければ、この附属をこの純農村地帯につくったということが間違いであったというふうなことになりかねないと考えるのですが、この公平の原則に立ってきちっとやりますということにかかわって、ひとつ文部省の学級編制上の問題あるいは教職員配当基準の問題等々について格差をつくらない、地元の教育を混乱させないと、それで地元の公立の小中学校とともにその地域の教育、文化の発展のために、また教育大学が教育大学として存立し得るように、ともにやっていくんだというような事柄についてのお考えを聞かせていただきたい、このように思います。
#33
○政府委員(宮地貫一君) 先生御指摘のように、この附属小学校にありましても、地域社会の公立学校と相ともに地域の教育全体の発展のために尽くすべきことは当然のことでございまして、私どもとしてもそういう配慮は十分していかなければならぬことだと、かように考えております。ただ、御指摘の格差という点でお話がございましたが、現実に学級編制全体といたしましては、先ほど来附属学校の本来の使命というような観点から御説明もいたしましたし、また学級編制そのものについても、一応全体地域社会との整合性というようなことも念頭に置きまして三クラス編制ということでスタートをしたわけでございます。スタート当初にこういう変則的と申しますか、変則的な学級編制になっておりますが、これは私どもはその点は過渡的な現象と考えておりまして、先ほど申しましたように、学年進行が進むに従いまして、その点は順次正規の学級編制ができるようになるものと、かように想定をしておるわけでございます。
 全体的に、お話しのように、公立学校との地域社会における教育に対しては、公立学校と相ともにこの附属小学校が役割りを果たしていくという観点は十分私どもも考えていくつもりでございますが、ただ格差というような点で申された点では、最初に申しましたように、附属学校のこれは大変沿革的なことにもなるわけでございますが、最初の附属学校の使命というような観点から、小学校については昭和二十年代から四十名の学級編制でやってきておるというのが現実でございまして、公立学校の学級編制の標準については、御案内のように、本年度から十二年計画で四十名を実現するということで、これは特に財政負担の問題等があるわけかと思いますけれども、そういうことで、それはおのずからそれぞれの考え方に立っているものと私どもは考えております。
#34
○本岡昭次君 そういう抽象論じゃなくて、いまあなたも言われたように学年進行でこれからやっていくというんでしょう。いまの一年生は来年二年になる、四年は五年になる、そして来年また一年生と四年生募集していくわけですか。そうですね。
#35
○政府委員(宮地貫一君) はい。
#36
○本岡昭次君 そうすると、一年生が七十四人、定数百二十に対して四十六人足りないんですか。それから四年生は百二十人に対して三十七しかいないと八十三人ですか、足らないと、それも並行して募集していくんでしょう。その子供はどこから来るんですか。募集は通学範囲一時間ということになっていますね。そうすると純農村地帯で、過疎地域で、過疎ということでもないけれども人口増は見込めないその純農村地帯の中からそれだけの子供をその学校にこれから充当する努力をしなければならないということであるんですよね。そうすると、現にある公立の小中学校の子供が減るということですよね。おわかりですか、その理屈は。神戸や阪神間から来るんじゃないんですよ、社会増しているところから。そうすると、当然現在ある小中学校のその教育条件に大変な変化が起こるでしょう。何万も子供がいるところであったらいいですよ。小さな社町、人口六千ぐらいしかないところ、また東条町も四千ぐらいしかないところです。私はそこの出身ですからよく知っているんです。相当地域の教育に問題を起こすということを私は考えて言っているんです。たとえば四十六人のクラスがあったとしますね、四十六人であれば二クラスになりますね。そこの学校はどうしますか。附属に一人でも行ってもらったら困るということになるでしょう、教育条件守るために。そしたら四年、一年を来年も募集する、また現在も不足するから足りない子供を現在の小学校から募集したときに当然二クラスであったところが一クラスになったり、三クラスであったところが二クラスになったりしますね。私はそのことを言っているんですよ。神戸や大阪やら阪神間の大都市の中に附属の一つや二つあっても、子供が少々動いたってどういうことはない。だから、こういうところで三十七人、これはどうされるんですか。それともう一つ、来年もやはりまた五年生として募集したけれども、この三十七人よりふえなかったというときにもやはり二クラスですか。また一年生が来年二年生になって、その子供たちが七十四人、これがふえなかったといってもやはりこれは三クラスということでやっていかれるんですか、どうですか。お願いします。
#37
○政府委員(宮地貫一君) 先ほども申し上げましたように、地域社会の教育全体を公立学校とこの附属学校とが相ともに果たしていくということは当然のことでございまして、そういう観点から、この附属学校の学級編制なりあり方というものについては、私ども、地域の教育の関係者とも学校当局としては十分協議した上で進めてきておるものと考えております。
 明年度、さらに具体的にこの状況が続いた場合にどうかというお尋ねでございますが、私どもとしては、ただいまのところ三学級編制を考えて、学年進行で明年度も進むわけでございますので、明年度は現在の一年生、四年生がそれぞれ二年、五年に進むわけでございまして、新たに一年、四年を学年進行で入れていくという形で順次完成年度へ持っていくという考え方で進めておるわけでございます。
 地域社会の教育、先生御指摘のように、おっしゃるように大都会ではございませんので、その点が地域社会の従来の公立学校の教育条件等に対して影響があって、そのことが非常に公立学校に重大な影響を及ぼすというようなことのないように、その点は十分地域社会の教育の責任者側とも十分御相談を詰めながら円滑に進めていくように配慮をするつもりでございます。
#38
○本岡昭次君 質問に答えられていないんですがね。
 来年も五年生の募集をやってもやはり百二十人にならなかったと、あるいは二年生も七十四人から一歩も出なかったというときは、やはり二クラス、三クラスでされるんですかということについてひとつお答えください。
#39
○政府委員(宮地貫一君) 最初に申しましたように、発足当初の変則的な事態で現在のような学級編制なり学級数というようなことになっているわけでございまして、明年度の学級編制をどう考えるのかというお尋ねでございますが、これらの現在の変則的な状況についてはいましばらくこの状況で私どもとしては見守っていくという考え方でございます。
#40
○本岡昭次君 私が恐れているのは、学校としても百二十の定数を満杯にしようとする努力が、やはり国立学校だということで大変な権力的な形で出てきているんですよ。あなたは御存じないと思いますけれども、地方の教育委員会あるいはその地方の教職員、そうしたものに対してほとんど具体的な説明あるいは協力要請、また一緒になって地元の子供たちの教育をやっていこうじゃないかという、そうした気持ちの触れ合うような場所もつくることなしに、そこのけそこのけ附属が通るというふうな形で押し込んできた結果がこういう人数になってあらわれているんです。私は恐らく期待されるようなことにならない。しかし、期待されるようなことにしようとすれば大変な公立小中学校が迷惑を受けるということになる。学級が減れば教員が減る。そのことによって学校の適正規模というふうなものがやはり影響を受けて小規模校になっていくというふうなことになるわけです。附属が栄えて公立小中学校が衰えるというふうなことになりかねない状況があるから地元の人たちは必死になって、私たちが先祖代々守ってきたこの地元の公立学校をよくしていこうと、附属へ行けば少しは勉強ができるかもしれないけれども、そんなことよりもやはり歴史と伝統を守っていこうと、地域の学校を守っていこうとして皆さんがやっておられるんですよ。だから、ぼくはここでひとつ文部大臣に最後御答弁願いたいんですが、もちろん国立附属というものが純農村におりてきたときに地域に対して大変な影響を及ぼす、それがよい影響であればいいんですけれども、現に兵庫の教育大学附属が及ぼしている影響というのは地域の公立小中学校に対して非常な混乱を巻き起こしているというのが現状であるわけです。学校側の対応、特に副学長の対応の悪さなんというふうなものは大変なものなんですが、ひとつ文部省として、私が先ほど言いましたように地元の公立学校の教育に混乱をもたらさないと、相携えて、そして教育に当たっていくという事柄を必死になって要求している地元の親や教職員の立場に立って、文部大臣に最後にひとつこうした問題に対してのこれからのお考えをお聞きしておきたいと思うんですが、いかがですか。
#41
○国務大臣(田中龍夫君) 先生も地元の御出身として大変いろいろと御心配であろうと存じます。なお、地元の県並びに町村におかれましても非常にいろいろと御腐心をなさっておられると思いますが、ただいま局長からもよくお話を申し上げたように、文部省といたしましても本件につきましてはいろいろと研究もし、心を砕いておると存じます。今後ともに、できるだけりっぱな学校ができますようにいろいろと調整をし、努力をいたさなきやならぬと、かように考える次第でございます。
#42
○本岡昭次君 よくわかりませんけれども、とにかく私の論議したことは記憶にとどめておいていただきたいと思います。
 そこで、またその上に協力校をつくるということですね、その地元に、教育実習のために、教育研究のために。この協力校というのは、どういうふうにその地元につくろうとされているんですか。附属が一校あってさえ大変な混乱が起こっている。その上になお協力校をつくって云々というふうなことが起こっているんですがね。
#43
○政府委員(宮地貫一君) 地元の公立学校に協力校をというお話でございますが、まだ協力校の話は具体的に協力校ということにはなっていないように伺っております。
 なお、協力校の問題は今後の御相談としては出てくることかと、かように考えております。
#44
○本岡昭次君 そうすると、「教育研究組織等」ということの中に「協力学校」というのがあって、「地域の協力を得て、教育研究協力校、教育実習協力校等を委嘱し、大学における研究・教育、実地教育の充実を図るとともに地域との研究・教育の交流を促進する。」と、こういうふうなことがあって、地元の方では、協力校って一体どういうものができるんだろうかと、それでなくとも大変な状態なのに、この上にまた国立附属と同じような形で教育大学の実習なり教育研究の協力をさせられるのかということで非常に拒否反応が強いんですが、これ絶対つくるんですか、それともあるいは地元との環境の中でつくらなくてもいいんですか。
#45
○政府委員(宮地貫一君) 具体的には、この兵庫教育大学は、先生御案内のとおり、現在学制としては、まあ大学院先行型といいますか、大学院の方から学生を受け入れるという形でスタートをしておるわけでございます。学部学生を受け入れていきます年度、一応現在の計画では五十七年度から学部学生を受け入れていくということになるわけでございまして、学部学生を受け入れていくような時期につきましては、教育実習について地元の御協力もいただくというようなことで、協力校の考え方も大学自体としてはもちろん持っていることは事実でございます。
 ただ、協力校と申しましても、もちろん地域の教育委員会でございますとか、その学校と十分連絡協議をいたしまして、十分御理解と御協力を得た上でスタートをすることでございますし、その御理解なしに大学側で一方的に協力校ということでお願いするわけにもまいらぬことは当然のことでございます。十分その辺は地元の教育委員会なり学校御当局とも御相談をした上で協力校の実施という運びになることかと思います。
#46
○本岡昭次君 協力校の問題についても、附属と同じように教育実習なり教育研究というものの何か応分の任務があるのならば、十分その学校の条件整備という問題も検討の上、ひとつよく話し合って、混乱のないようにしていただきたいという要望を申し上げておきます。
 最後に、ちょっと話は変わりますが、その大学院がいますでに発足して、いま一学年入っております。ことし試験が終わりました。そこで大学院への応募者、合格者、これを各県別に昨年とことしの状態を、人数でよろしいから、資料として後でいただきたいというお願いなんですが、いかがでしょうか。
#47
○政府委員(宮地貫一君) お申し出の資料については、後ほど出さしていただきます。
#48
○本岡昭次君 それではよろしくお願いをいたします。
 第三点目の問題で、中学校の免許外教科担任の問題についてお伺いをしていきます。
 この問題は、中学校の生徒の多くがいわば無免許の教員に勉強を教えてもらっているということであって、これは生徒にとっても、教える教師にとっても大変な問題であるわけなんです。この実態を本当に父母が、あるいは教えている子供も知れば、これは大変なことになるんじゃないかというふうに私は憂えています。文部大臣も、いまから私がずっと申し上げることの実態を聞かれたら、これはもう大変驚かれると思うんですが、全国的な実態を後でお聞きすることにして、まず兵庫の実態を申し上げてみますと、いま無免許で子供を教えているという教員は、神戸市で百八十九人、それから神戸市を除くその他で二千二十九人、合計二千二百十八人の無免許で担任している教員が現実にいます。神戸市の例をとると、中学校が七十一校あって、そのうちの五十六校で無免許担任ということが現実に行われています。中には無免許で十年以上もずっと教えているという教員もいますし、ある中学校を例にとってみますと、教員が二十六人いて、その中で無免許で教えている教員が十一人おります。ある理科の免許状を持っておる教師が数学を六時間、国語を五時間、保健体育を二時間教えているというふうなことが起こっております。これは例を挙げればもう切りがないので、時間がもったいないんですが、いま一つのことでおわかりだと思うんです。また、ある中学校では、音楽の担任免許状を持った教員がいないんで、仕方がないので体育の免許状を持った女の教師が音楽をやると、そうすると体育があくので、それを理科や数学や国語の免許状を持っている教師がその穴埋めにずっと体育を教えている。その教師たちは、おれは学校時代バスケットをやっておったからバスケットは専門だけれども、体育を教育として教えることについて非常に不安があると、こうみんな思いながらやっております。全国的な状況はどうなっておりますか、ひとつ御報告いただきたい。
#49
○政府委員(三角哲生君) 免許外教科担任教員の状況でございますが、昭和五十三年度におきまして、これは教育委員会の方で許可をした件数ということでの調べですが、国公私立全体の許可件数が四万五千九百三十二件、このうち中学校の場合は義務教育でございますから、学校数、生徒数ともに公立中学校が大部分でございまするので、したがいましてこの許可件数も公立中学校に係る件数が四万五千八百五十一件という状況になってございます。
#50
○本岡昭次君 いまのは五十三年度ですね。
#51
○政府委員(三角哲生君) さようです。
#52
○本岡昭次君 私はその資料が手に入りませんでしたので、五十二年度の「学校教員調査統計報告書」というところから抜き出しますと四万八千七百二十一人という数が出ていたわけで、それよりも減ってきていると、こういうことのようですが、文部大臣、私は、五十二年度の数字で大変申しわけございませんが、五十二年度の資料によれば、公立中学校の教員の総数は二十六万一千三百六十五名です。そして、先ほどありましたように、免許外の担任として子供を教えろという許可を受けて教えた者が四万八千七百二十一人、その割合は一八・六%という実態になっています。先ほども兵庫の若干の事例も申し上げました。いわば、免許状を持っていない者が教える。無免許ということではないでしょうけれども、それに近い形で教えられている子供は本当の意味で、学習権と言うのですか、十分な教育を受ける条件のもとで学んでいるとは言えない。教える教師も、免許状のないまま、自分が得意だ、あるいは経験があるということだけで教えているという不安、あるいはまた子供に対して、何かこう責任を非常に重く感じているという面もあろうと思うんですが、文部大臣、これはどう思われますか、こういう実態。
#53
○国務大臣(田中龍夫君) 大変むずかしい問題でございますが、中学校の教科は九教科ありまして、九人の先生が要るわけでございますが、しかしながら、実際の問題といたしまして、この教員定数を確保し、免許外教科担任を解消し得る措置を講じる方針でいたしておりますが、まだなかなかその問題が解決し得ないということでいろいろと努力をしておるところでございます。
#54
○本岡昭次君 いや、努力をしておられるその努力の中身はまた後ほどお伺いしたいと思うんですが、現にいま中学校で学んでいる子供たちが、先ほど言いました統計で言えば、一八%というふうな、これだけ大きな比率で実際勉強をさせられていると。国立の例をとると、国立では千四百五十三人のうちに二十人です。一・三八%です。私立は六千三百四十六人のうち三百五十人、その比率は五・五二%です。国立とか私立のいわゆる免許外担任教師というものの比率は、このように非常に低いのです。公立だけがいま言いましたように一八・六%と。ことしは四万五千というふうに去年度の方が減っておりますから、パーセントは減るにしても、やはり一五%なり一六%ということになるかと思いますが、そうした大変な比率でもって現に教師が存在している。私が先ほど兵庫県の実例を言ったように、無免許の授業というものがそこにたくさん行われているという実態、率直に文部大臣としてどう思われますかということをお聞きしたのです。
#55
○政府委員(三角哲生君) 無免許の状態の御指摘でございます。これはできるだけ解消しようという方針で従来も来ておるわけでございまして、その一番主な施策が教職員定数の改善計画ということでございまして、これを従来重ねてまいったわけでございます。先ほど大臣から申されましたように、当然、中学校の教科は九教科あるわけでございますから、一教科を一教員が専門に担当するということになりますと、小規模の学校でも九人の教員が必要なわけで、先刻改正いただきました法律の改正前の状況では、三学級の学校では八人、四学級の学校では八・三人という定数になっておったわけでございますが、今回の第五次改善計画では、三学級以上の学校についてすべて九人の教員定数を確保して、ひとつ、こういった免許外教科担任を解消し得る措置を講じることにいたしたということでございまして、このために、全体計画としては二千百四十人の改善増を行うということにしたところでございます。しかし、そういう条件を整えましても、なおかつ、やはり教員配置の問題がございます。それから、現在教職についておられる先生方の所有免許状の状況がございます。児童生徒数の増減というようなことともこれは関連してくることでございますが、児童生徒数が増をした場合に採用した先生たちが、今度は減をした場合に必ずしもその全体のバランスの上で適切なバランスでなくなるということがあり得ますが、そういった場合に、特定の教科の先生方に御勇退いただくというようなことは、これは事実問題としてなかなか無理なわけでございますし、したがいまして、そういった全体の状況の中からやはりいろいろな意味の工夫努力を加えていく必要がありますが、単に定数を確保しただけでも、またこの免許外担任制度というものを全部解消するということは、これは現実の世の中として困難なことでございます。
#56
○本岡昭次君 全部解消することが不可能というふうなことではないと私は見るんですが、問題は、いま言われたように、定数を増加するということだけでは解決しない。たとえば、九教科あるから三学級のところに九人の教員を配置したら済むということにはならないわけですね。それは、国語がたとえば五時間あり、そして音楽が二時間、美術が二時間という一つ一つの教科のその週当たりの時間数というものがあって、教科だけ配当したのでは一週間当たりの教員の持ち時間というものに非常にアンバランスが起こるという現実の中で起こっている問題もあるんです。これは。だから、私は、ここで一つ申し上げたいのは、やはり教職員定数増という問題を考えていくときの観点に、四十九年の五月三十日のこの教職員定数増第四次五カ年計画成立時における国会の附帯決議、衆議院でも、参議院でも行われておりますが、特に、衆議院になくて、参議院の方にある条項です。この附帯決議のここの三の項目に、「教諭の週担当授業時間教を、小学校二十時間、中学校十八時間、全日制高校十五時間、定時制高校十時間とするよう定数増に努めること。」というのがあるんですね。ぼくは、このことを、やっぱりこの定数増の中の大きな問題の柱にしていきながら免許外担任教師というものをなくしていく。もちろん、人事上の問題は、これは文部省でできませんから、これは県が教員採用の問題あるいは人事をするときに、免許のない教師が担任をしなければならない状況が起こらないようにやるということは、これは現場の問題ですけれども、やはり文部省がこれから定数増を図っていく観点は、この教員の週担当持ち時間というものを減らし、そして、それぞれ、教科担当は違っていても、大体同じような持ち時間になって教えていけるという定数を考えていくということをやらなければ、いつまでたってもこの免許外はなくならない、このように考えているんですが、いかがでしょうか。
#57
○政府委員(三角哲生君) 御指摘のございましたように、教科によりまして授業時数の少ないものもございますわけで、これは、そういたしますと、やはり学校の規模にもよるわけでございますが、教員の担当時間数のバランスをとるというような、そういう必要も出てくるかと存じます。そういったことで、やはり実態としては、わりあいにこの免許外でもやりやすいような教科、そのときの教員構成の状況にもよりますけれども、そういった者を免許外として担当させているという実態があることは事実でございますし、こういった場合に、授業時間の多い人と少ない人の勤務負担の均衡化というのは、本来は授業以外のいろいろな校務の分担ということも織りまぜてやるべきであろうと思いますけれども、現実問題としていま御指摘のようなことがあるであろうと思います。
 で、今回の定数の改善計画で先ほど申し上げましたような措置をいたしましたが、そのほかのいろいろな改善計画もあわせて実施することにいたしておりますので、ただいま御指摘もございましたし、前回にも御指摘のございました教員のいわゆる平均持ち時間を従前よりもだんだんと少なくして、先生方の教育なり研究なりに十分な、何と申しますか、準備を積んだ上で密度の濃い授業をしていただくという方向は私どもも考えておるわけで、それはまあ附帯決議の御趣旨は十分に体しながらこれまでも施策を進めてまいったつもりでございます。
#58
○本岡昭次君 文部大臣、いま私は免許外の担任教諭の問題から教育の現場の実態を聞いていただいたんです。はっきり言って。だから、子供の学習権を保障する、子供がみんな賢い子になってほしいと。学校へ行けば勉強が楽しくできる。勉強がわかって、そうした非行や自殺やらそういうようなことに走らないようにしていくという問題にかかわっていろんな問題があり、そのことに、免許外担任教師がいかにたくさんいて、その免許外担任という問題が、教える教師にとっても勉強を学ぶ子供の側にとっても実は重大な問題を含んでいるということを、日本の教育の一つの恥部であるという立場から私は警告をしたつもりであるわけなんです。十分ここのところはひとつ考えていただいて、本当に現場に十分な教職員が配置されたかどうかの観点で、免許外担任教師というものをなくしていくと、無免許運転というふうなことでもって子供に教えるというふうなことをさせないというその文部省の決意が要ると思うんですが、文部大臣いかがですか。
#59
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまいろいろとお話がございましたように、同一の県内でも過密過疎の現象が同時に進行するといったようなこともございますし、必要教科と必要教員のアンバランスが生じておりますことも聞いております。文部省といたしまして、免許外教科担任の解消のために、第五次の改善計画においても定数改善措置を講ずることにしたところでございますが、また、先生の兵庫県では幸い今後生徒数が増加し続ける傾向にございますし、採用教員の数も増加しておるものでございますから、採用に当たりましては県教育委員会においても、この点にも十分に配意をお願いいたしまして、教員の任用、配置の適正化に努めてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#60
○本岡昭次君 まあ細かいことじゃなくて、やっぱり文部大臣として、そうした免許外担任というふうな形、いわば無免許という状態で、無免許運転をやっているというような状態で子供の教育をさせないと。また、そういう状態で子供にも教育を受けさせないようにこれから努力するというひとつ決意を聞かしていただければよかったわけで、その点はひとつよろしくお願いします。
 次に、障害児教育の問題についてお尋ねをしてまいります。
 そこで、同じように定数増の問題ですが、障害児教育の問題についてもそれを充実していくために十二年計画が出されております。最終的に五千百二十四名を十二年計画で増員するということになっておりますが、八〇年、八一年ではそれぞれ年間百五十名の増員ということのようでしたが、この数字には間違いありませんか。
#61
○政府委員(三角哲生君) そういうことにいたしております。
#62
○本岡昭次君 それでは、八〇年百五十名、八一年百五十名――私の問い方はちょっと幼稚かもれませんが、十二年計画で百五十名ずっということにはならぬと思うんですが、百五十名ずつとすれば三十四年かかるという算術計算、単純計算になるわけなんですが、どのような年次計画で五千百二十四名を達成されるんですか。いまのままでは三十四年かかるではないかということになってくるわけです。
#63
○政府委員(三角哲生君) これは三十四年かけるということではございませんで、十二年計画の定数改善の中でこれを遂行していくということでございますが、毎年度の措置すべき人数は、全体の定数改善の計画の中で、これはその年々の状況にもかんがみまして弾力的に措置をしていくということにいたしておるのでございます。
#64
○本岡昭次君 いや、弾力的措置と言っても、百五十名百五十名というものを目の前に見せられて、そして五千百二十四人ふやすんですと、こう言われても、現場の障害児教育を本当に身をすり減らしてがんばっているという人たちや親やらにしてみれば、百五十人百五十人ということで五千百二十四名を達成するには三十四年かかるという心配、疑問に対して、いまあなたのようにいや弾力的にやりますということではどうにも答えにならないですがね。それではこの五千百二十四人というものは一体どうするんですか。
#65
○政府委員(三角哲生君) 今回の学級編制及び教職員定数改善計画の全体計画というものは持っているわけでございます。学級編制の改善に約四万三千人余、教職員定数増の改善に約三万八千五百人余と、こういう数字になっております。で、五十五年、五十六年、五十七年につきましては、これは本岡委員も先刻御承知と存じますが、児童生徒数がまだ増加をしていくということで、年々そのための教員のいわば自然必要増が約九千人ずつ、明年度は児童生徒数の約三十万人の増に見合う九千五百人の教員の定数増が必要でございます。そういったことから、やはり十二年計画の初動の時期におきましては、どうしてもいわゆる改善増の方は若干穏やかな形で開始せざるを得ないと、こういうことでございますが、十二年間に先ほど申し上げました五千百二十四人を達成しようという計画でございまして、これを三十年もかけてやるとかそういう話にはなっておらないのでございます。
#66
○本岡昭次君 そうすると、全体計画十二年間かかって障害児学校の定数増は五千百二十四名を行うと、あるいはそのほかずっとあるけれども、各年ごとに一体何人というものは全くないのですか。いわゆる一つ一つの十二年間の全体計画というものですね。ただ最終目標はあるけれども、その途中ですね。途中どのようにしてそれをやっていくのかと。いまあなたおっしゃったように五十五年、五十六年、五十七年は児童、生徒が相当増加するので、それでという理由があれば百五十。生徒の状況はどうなるのかということはこれはわかるんですから、そうすると、五十八年以降は一体どうすると、また六十年以降はどうすると、そうした計画がなければおかしいと思うんですが、それはどうですか。
#67
○政府委員(三角哲生君) 全体の計画は先ほど申し上げたとおりでございますが、これにつきまして学級編制の改善の方は、御案内のように、五十五年度からは児童生徒数の減少する市町村で教室を新たに建設を要しないところから着手することにいたしまして、その数字は大体見当がついておりまして、その見当をつけた数字は資料として当時お配りをいたしたと存じますし、それから、五十八年度以降はその他の市町村におきまして学級編制の改善をやるということで、これまたその数字は大体のところが出ております。で、それがまず一方にあるわけでございまして、それを実施して、その上にさらに、ただいま御指摘に係る事項も含めました全体の小中学校あるいは特殊教育諸学校の教職員の定数改善計画をあわせて並行してやっていくわけでございますが、その各年度の割り振りというものは、これはそのときそのときの財政状況、あるいは教員の需給状況その他を勘案いたしまして進めてまいりたいと、こういうことをいたしておりますが、私どもとしては、せっかく決めました十二年計画につきましては、できるだけそういった先ほど申し上げましたような教員の自然増のような非常に大きな圧迫要因とかいうようなものは別としまして、できるだけスムーズに、円滑にその実施に努めてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#68
○本岡昭次君 大体の数字があると、目安のようなものがあるということをいま言われましたが、その目安、大体の数字でもいいですから――私は、この六月に選挙に勝って初めて国会議員となって、いままで現場からいろいろこうした十二年計画の問題を見ていたんですが、実際私の手元にはいまあなたが言われた大体の数字がある。十二年間このようにして教育条件を整備していこうと、児童、生徒の学校教育のさまざまな条件を改善していこうという問題について非常に関心を持っています。だから、その大体の数字であるという十二年計画の中身をひとつ示していただきたいと。いまここで言っていただくのは時間が惜しいですから、後ほどひとつそれをいただきたいと思うんですが、いかがですか。
#69
○政府委員(三角哲生君) 私がただいま申し上げましたのは、第五次の学級編制改善に係るいわゆる四十人学級の実施の方に必要な総計四万三千人余につきましての各年度の大体の計画のめど、その数字でございまして、それは本岡委員の方にお出しいたしたいと思います。ただ、それと並行して行うことにいたしております教職員の定数改善計画のその規模につきましては、これはそのときそのときの経済情勢、財政状況等勘案しまして財政当局と協議の上、弾力的に対処していくと、こういうことにいたしておりますので、そちらの方の数字は、これはいま固めたものはないわけでございます。そうではございますけれども、私どもとしてはできるだけこの十二年計画というものを円滑に進めてまいるために努力をいたしたいと、こういうふうに申し上げたわけでございます。
#70
○本岡昭次君 それでは、そういう目安のようなものすらいまだないということですね。そのときそのとき弾力的に目標達成に向かって歩んでいくということのようなんですが、それでは十二年計画と言いながら弾力的ということは、それは五年あるいは状態によってはそれが七年とか十年とか早目に目標に達成してもいいということですか。
#71
○政府委員(三角哲生君) 十二年の間に全体の目標を実施をしていこうと、こういうことでございまして、これは言わずもがなかとも存じますが、昨年度の予算編成の際からも非常に財政状況が厳しかったわけでございますが、あえてそれを出発をさしたと、こういうことでございまして、私どもとしてはただ出発さした以上は、できるだけ十二年間にこれを円滑に進めてまいりたいというふうに考えておるのでございます。
#72
○本岡昭次君 「十二年間に」といういまの答弁の中に、十二年目にここまでということじゃなくて間ですから、これは五年であるいは七年で、十年で早目にその目標に達した方が、これは子供たちにとっても学校の教職員にとってもいいことなのですから、そういう意思があるというふうに私は判断をさしていただきます。しかし、それのネックになっているものが財政であるということのようなのですが、この話は私も現場にいるときからずっとしていたんですが、いまも問題になっておる小中学校のあるいは高等学校の教員に対する主任手当の問題なんですが、この主任手当、ことしは一体幾ら計上されておりますか、予算として。
#73
○政府委員(三角哲生君) 十二年計画についてちょっと補足をさせていただきますが、十二年計画はやはり十二年の計画でございまして、政府としてそういうものを決めましたということは、十二年目までにこういうことを達成しようということでございまして、ただ御承知のように附帯決議にもありますことでございますから、約三年後にそのときの状況を勘案してその後の計画について検討するということはございますが、十二年計画はあくまでも十二年計画ということなのでございます。
 それから、ただいまの御質問の主任手当の予算額は四十七億円でございます。
#74
○本岡昭次君 その主任手当の問題については、いろいろここで論議すればむずかしいことになりますが、問題をひとつ単純化させて、とにかく現場の教職員はそれを要らないと言っているということから、いま四十七億円を使って財政上困難だと言っておられる十二年計画の中の定数増問題にそのお金を使えば一体どういうことになるのかということなんですが、私の試算が間違っておれば間違っていると言っていただいたらいいんですが、四十七億円計上されていて、一人当たり人件費が四百七十万円程度要ると――これは平均値ですが、その半額が国庫負担というふうに考えていくと、四十七億円というお金は千九百五十六人ないし七人、その程度の教職員の年間の人件費を賄うことのできるお金であるわけなんです。それで、財源上の問題ということですが、先ほどいろいろ論議しました免許外担任教師解消のために十二年間で二千百四十人――これで解消すると思いませんけれども、二千百四十人がここに出ております。また、教育困難校あるいは寄宿舎の問題についての人数が千七百七人と出ております。また複式・障害児学校の学級の改善増に二千二百一人という人数が十二年計画で出ております。この主任手当を使えば免許外あるいは障害児学級の改善あるいは教育困難校に対する定数増、そのうちのどれか一つが一挙に解決できる予算であるとこう見ているんですが、これひとつ使ってみたらどうですか。使って一つでも解決してみたらどうですか。両方が喜ぶのと違いますか。教職員の方も結構だと言い、それによって恩恵を受ける父母等学校教師も結構だと、双方めでたしめでたしになると思うんですがいかがですか、お金はありますここに。
#75
○政府委員(三角哲生君) お金の数字を計算すると、ただいまのようなことになるのだろうと思います。ただ、これは事柄が全然別のことでございまして、主任制というものは法律で定めて実施に入っております。それで、この主任手当というのは、やはり主任の機能を果たしていただきました場合に、そのお仕事を評価するということで出されておるものでございますから、これは給与の一種でございまして、これを何と申しますか、組織的、継続的に拠出するというようなことは法律の精神にはなはだしく反する事柄でございまして、そういうふうに私どもは考えております。予算額について五十億なら五十億確保してなるべく早くある種のアイテムについて解決を図るということは、これはまた別個の問題でございます。御意見ではございますけれども、ちょっと私どもとしてはその御意見には沿いかねるということを申し上げざるを得ません。
#76
○本岡昭次君 いや、まず文部大臣に答えてもらいたかったんですが、ひとつ文部大臣のお考えを聞きたいんです。もちろん法律に従って主任手当が出ている、そのとおりですよね、法律に従わないで金出たら大変ですから。しかし、一方、ゼロ査定――何ですか、大蔵省の出したああした中身を見ても、いろんなことを言っていますよね、大胆に。また教科書を父母負担にすればこれは四百五十億余り財源が捻出できるではないかといって、さまざまな形で現在法律に従って出されているものの中で不要なものはひとつ切り捨てていこうということがいま行われているんでしょう。
   〔委員長退席、理事世耕政隆君着席〕
だから、その中の一つにこの主任手当を積極的にひとつ加えて出していけばどうかと、こういう一つ提案をしているわけなんですが、文部大臣、いかがですか。
#77
○国務大臣(田中龍夫君) そういうわけにはちょっとまいらないように思います。
#78
○本岡昭次君 そういうわけにまいらないと言ってしまわれたらもうそれでしまいでね。しかし、現に法律に従って支給されている問題についても、必要に応じてはそれを出さないということも可能ですし、ここでいま直接その問題についてやりとりするもう時間もありませんから、ひとつぜひ、文部省の予算の中で大蔵省から何か削れと言われたら、この主任手当というのはもう現場の教員が要らぬと言うてるし、ひとつこれからまず献上しましょうと、ぜひ文部大臣にやってもらいたいということだけまずきょうは申し上げて、また改めてこの主任手当にかかわる問題は、予算の上から、またいろいろ予算を論議する段階でさせていただくことにしまして、とりあえずこの程度にきょうは置いておきます。
 それから、先ほどの定数の問題にかかわって、高等学校の問題に最後に触れさしていただきます。三年後に見直すということを先ほども言われたんですが、私は非常にこの三年後の見直しということに大きな期待を持っているんです。特に高等学校関係については、今回見送られたということもあって、三年後には高等学校の問題も含めて検討してもらえるんだろうと。それは先ほど触れた昭和四十九年のあの附帯決議の中の、これから定数の抜本改善、学級編制基準の抜本改善をしていくについて、あの中では高等学校と小中とを別に分けていない。高等学校も小中も一緒にという形での附帯決議がなされているわけで、当然三年後には、高等学校の学級編制を四十人に、そして定数改善の問題も含めて検討されるべきだと考えるんですが、いかがですか。
#79
○政府委員(三角哲生君) 高等学校の関係も含めまして、おおむね三年後に各般の状況を勘案し、その後の計画につき検討を行うということでございます。
#80
○本岡昭次君 ぜひともひとつ高等学校の問題をその時点で積極的に改善をしていただきたいということを申し上げますが、当面の問題は、これはもうすでにこの委員会でも論議をされたんじゃないかと思いますが、ひのえうま対策でございます。
   〔理事世耕政隆君退席、委員長着席〕
 私どもの調査では、ひのえうまの年に当たる中学卒業者が、八一年、八二年、来年、再来年、この二年間で約二十万人減少するということでありますが、問題は、そのときに高等学校をどのようにすればいいかということです。子供が二十万人減ったんだからそれで余る学級数は減らせばいいじゃないか、あるいはまた余った教員はそれでは首にすればいいじゃないかということになればこれは事は大変なので、ひとつお考えをお聞きしたいんですが、過去小学校にもあるいは中学校にもこうした問題があったときにとられた対策、その一つは、最低保障率九八・五%というものを前面に引いてそうした児童、生徒の激減に備えたということもあります。また、そのときには学級数というものも基本的には減らさないということで対処もしてきました。このひのえうまというのはある一定の時期ですから、また八三年には約三十万人の子供がふえるんです。現に。だからこれはひとつ慎重にこのひのえうま対策をやらなければならないと思うんですが、そこで、小中学校、義務制に適用した最低保障率九八・五%というものを高等学校にも適用してはどうか。それから学級減というものはしないと。先ほど言いましたようにその翌年には三十万という子供が中学卒でふえるんですから、そうしたことをひとつ政府が特別の措置をもって対処すべきであると考えますが、いかがですか。
#81
○政府委員(三角哲生君) いわゆるひのえうまによる高等学校の生徒数の減少ということがかねてから問題になっておるわけでございます。で、ただいま御指摘のような、過去において義務教育学校等でやりましたようなやり方も当然参考になる事柄であるとは思います。ただ、学級減とかいろいろな問題になりますと、一方において、高等学校の場合には、地域によりましては非常に私立学校に依存しておる状況が大きなケースもございます。やり方によりまして私立学校の方に悪い意味のしわ寄せが行われるということも十分に配慮しなければならないと。いろいろな意味で、やはり各県におきまして各県当局が対策について努力をし考えを立てているところかと存じます。私ども文部省といたしましては、そういった各県の実情について現在県側からいろいろなことをお聞きして調査を進めておりまして、この調査結果を踏まえまして、確かにおっしゃいますように非常に一過性の現象でございますので、これをどうしのいでいくかということについて必要な措置については関係の省庁と十分に折衝をしてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
#82
○本岡昭次君 いや、いま少し具体的にお答えをいただきたいんですが、義務制に適用したその最低保障率九八・五という、こうした措置を高等学校に適用するということについて、それほど問題がないと思うんですが、いかがなんですか。
#83
○政府委員(三角哲生君) これまでもいろいろ考えましたやり方は当然頭に置いて、それらも参考にしながら事態に対処すべく関係省庁と協議をし折衝をいたしたいと思っております。ただ、あくまでもそれは各県がどういうぐあいなこの状況に対する対応なり対策なり措置なりを考えていろいろな調査を進められるかと、それを土台にして進めたいと思っております。
#84
○本岡昭次君 高等学校が設置義務が県あるいは市にあって、義務制の小中学校のようなわけにはまいらないということをおっしゃっているんじゃないかと私は考えているんですが、しかし現実に全国的には平均が九四%というところまで子供が高等学校に進学しているわけで、おっしゃるように私学の問題についてもその状況の中で大変な対応が出てくるんじゃないかと思うんですが、これは実態的にはもう準義務教育化されている状況下にあっての対策として、ひとつ文部省としても義務制の小中学校と同じようなやはり対策、対応をぜひとってもらいたいと、またとるべきであると、このように考えます。ひとつ、これ文部大臣いかがですか、ぜひともこれはやっていただきたいんですが。
#85
○国務大臣(田中龍夫君) 現在各県の実情を調査いたしておるところでございまして、調査の結果を踏まえましてまた必要な措置をとりたいと、かように考えております。
#86
○本岡昭次君 何かどうも心もとないんですが、やはり全国的な一つの適切な手を打たなければ、たとえ一過性のものとはいえ、そのときに中学校に入学する子供たちにとってこれはもう大変なことになるわけですから、またその前後の問題としてやはり十分な措置をひとつ講じていただきたい、このように特に要望を申し上げておきます。
 それからあと一点、東北、北海道を中心として冷害対策が政府の立場でとられておりますが、これについて子供たちの教育にかかわる問題で、とにかく収入が大幅に減をしてしまう、食べていくのにやっとだというふうな状況の中にあって高等学校へ進学していくということが不可能になるような子供たちも出てきているやに聞くわけなんですが、そこで、過去もこうした措置をとられたようですが、授業料の減免措置とかあるいは就学奨励費――これは奨学金ですか、あるいはまた修学旅行への助成あるいは私学に通っている子供たちに特別の助成、さまざまな子供たちの高等学校への就学というものについて助成をして、今回の冷害が起こったことによって高等学校へ行けなくなって働かなければならないというふうなことにならない措置を文部省としてとるべきだと思うんですが、それについていかがですか。
#87
○政府委員(三角哲生君) 今回の東北の冷害に関しまして御指摘がございましたが、私どもも関係の県当局ないしは県の議会筋その他からいろいろな御要望、実情をお聞きしてございます。公立高等学校の授業料等につきましては、各都道府県におきまして条例、規則で定めるところにより、天災その他の災害により学資の支弁が困難な者については減額または免除することができるということになっております。この減免措置分については、地方交付税で一定限度の財源措置が講じられているところでございます。また、日本育英会の奨学金につきましては、風水害等の災害を受けた者で、緊急に奨学金の貸与の必要が生じた場合には奨学金貸与の出願ができるということになってございまして、各都道府県におきましては従来から何らかの状況が生じた場合にこれらの措置によって対処してきておりますし、私どももそれを受けとめるような方向で指導をしたいというふうに思っておるわけでございます。
 それから、就学援助の問題についての御指摘もございましたが、これも従来から、冷害あるいは台風などによりまして被災した世帯の児童、生徒で就学援助を必要とする者につきましては、その都度適切な認定を行いまして遺漏のないように措置することを指導してきておるところでございます。それで、就学援助費の予算の枠の問題があるわけでございますが、これは関係県に対しまして就学援助の必要な者がどのくらい見込まれるか至急調査をして報告をするようにお願いしているところでございます。その結果をいただきまして、五十一年の例もございますので、関係当局とも協議の上、適切な措置をしてまいりたいというふうに考えております。
#88
○本岡昭次君 私たちの調査では、いまおっしゃったように県の方が授業料の減免措置というふうなものについて乗り出しているんですが、何せ予算の枠等があって百名程度しか対応できないと。しかし、希望を募ってみると三百何十名という人数が出てきて、それで結局全員が受けられないと。結局百名の枠しかないし、三百何十名の差をどうつけて百名にしぼるかということについてもなかなかむずかしいそこに問題があるというふうな実態も聞かされているので、それについての実態に応じた措置――百人というふうに決めてしまってそこで線を切るというのじゃなくって、その被害の状況に応じてその枠を決めるというふうな形での積極的な文部省側の援助というのですか、そういうようなものはできないんですか。
#89
○政府委員(三角哲生君) 授業料の減免の枠は一応生徒数の一割ということになっておりますが、ただいま本岡委員御指摘の三百とか百とかいうような状況はちょっと私どもの方はまだ聞いておりませんのですが、その枠で果たして不十分かどうかという問題かと存じますので、その辺は関係県からも事情は聞いてみたいと思います。
#90
○本岡昭次君 それでは関係県から意見を聞いてもらって、その枠の中ではどうしても対応できないという内容であればまた文部省としても特別の対応をしてもいいということですか。
#91
○政府委員(三角哲生君) これは地方財政の問題でございますので自治省の方で措置をしていただいておる事柄でございますので、状況によりまして自治省の方にもいろいろお聞きをしてみたいというふうに思います。
#92
○本岡昭次君 ひとつそれよろしくお願いします。
 それから、もう時間があと二分ほどになってしまいましたので、前回の質問のときに来年は国際障害者年であるということで、文部省としてもそれを契機として障害児教育の問題についてひとつ抜本的な改善策を年次計画でそれぞれ立てるという方策を検討してはどうかということを申し上げていたんですが、その中で、それは多く財政の問題にかかわると思いますけれども、私は、障害児教育も義務教育ということになった段階で、文部省のさまざまな文書の中にある「特殊教育」という言葉をもうこの際やめて、用語を「障害児教育」と現場のみんなが使っているところへ直すということ、これはお金一銭もかからぬのですからね、まずここからスタートをして国際障害者年というものを迎える、このことだってできると考えるんですが、いかがですか、この辺で。もうこれは何遍も何遍も論議されてきたことで、もう特別にそれにこだわる理由は少しもないと私は考えるのですが、いかがでしょうか。
#93
○政府委員(三角哲生君) 御指摘のことは長谷川正三議員からも衆議院の本会議並びに文教委員会で御質疑があった事柄でございます。私どもといたしましては、その際にも申し上げたのでございますが、「特殊教育」という用語は学校教育法等におきまして戦後三十年余にわたって使われてきているものでございますが、心身に障害を持つ児童生徒のために特別の手厚い教育を施すという意味で理解しておりまして、確かに本岡委員のおっしゃる用語の問題ということについて御意見がいろいろあることは存じておりますが、当面はこの教育の一層の振興、充実を図るとともに、この教育に対します一般社会の正しい理解や認識を深めていくと、そういうことに努力をしてまいりたいというふうに考えておるのでございます。
#94
○本岡昭次君 いや、どうもいまの理由では――結局三十年、世の中がずっと変わってきて、実態も変わり、そしてみんなの認識も意識も変わり、養護学校が義務化されたという段階になっても終始一貫同じようなことを言われている。そこに特別という事柄で置くんじゃなくて、普通の義務教育と普通の子供たちと同じという立場になぜ立てないんですか。同じ言葉を繰り返しておられるですね、国会の中で、私もずっと調べると。文部大臣、一言聞いて私は終わります。「障害児教育」というふうに現場もそうなっているんですから、なぜ「特殊」という言葉にそれほど固執なさるのかお伺いして終わります。
#95
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおり、「障害児教育」といい、「特殊教育」といい同じことでございますので、ひとつどうぞよろしくお願いいたします。
#96
○委員長(降矢敬義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#97
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#98
○柏原ヤス君 私は母乳について質問をしたいと思います。
 それは、母乳のことにつきましては高等学校の教科書に母乳の問題が取り上げられております。その教科書に取り上げられている範囲の中での母乳の問題についてお聞きしたいと思うわけです。
 それは、母乳については子供の幸福というものを考えますと、母乳で育った子供は一生幸せではないかと、幸せだと、こう思うておりますので、こうした母乳について文部省で取り扱っている教科書にこれがどのように扱われているか。母乳のことはここ数十年私たちが牛のお乳で子供を育てるというようになってまいりました。そういう中で学者の中にもいかにもそれが結構なことだというような講演をなさる方も多い。また、乳業界は巨大な資本を使って情報を流し、人口栄養、特に特殊調製粉乳がいかにもよいというような宣伝をいたしまして、子供をミルクで育てた方がいいんだというような風潮になってしまいました。母親の方は昔から子供を母乳で育てるのは当然だというふうにして母乳を与えてきたわけです。そういう中で自分の子供全部を母乳で育てたという、そういうお母さんに、あなたはお子さんを全部母乳で育てましたね、なぜですかと――なぜですかと聞くのもおかしいんですけれども――聞きますと、そのお母さんは出たからよと、こういうふうに言うんですよ。出たからよって、おしっこでも出たみたいに。さもなければ、ただだからと、こう言う。それじゃ貧乏人が母乳で育て、お金のある人はミルクで育てるという、そういうのかというような感じを持つわけなんです。ですから、あなたが子供を全部母乳で育てたとしても、出ないわよとか、哺乳びんで育てた方がハイカラだというような、そういう若い人に対して何も言えない。これを一歩踏み込んで、自分のお乳というものがすばらしいものなんだと、お乳で育った子供はまたお乳で子供を育てるという、こうしたとうとい作業というものが続いているからこそ今日人類の発展はあるんだと、このくらい言っても差し支えない。これがここでとだえてしまったならばどうなるだろうか。アメリカあたりではもうすでにお乳で育ってもいない、母乳のすばらしさを忘れちゃった、そういう国民が非常に多くなったというので、これは問題になっているわけなんです。日本もこのままにしておけばそういう社会になってしまう。テレビなどを見ていても、おっぱいはだれの物なのかしらと、こう言いたい。おっぱいは赤ちゃんのお弁当箱なのかしら、それとも大人のおもちゃ箱かしらと、こう言いたいような現状でございます。
 ほかの動物のお乳で育てても肉体の害というものはいま医学が進歩しておりますから何とか治していけることができると思いますけれども、心の害というものは果たしてどうだろうかと、こう考えますと、いまの母親たちに、特に未来の母になるべき人、一人一人に母乳の大切さ、とうとさ、これこそ人間文化なんだというこの語り継ぎというものができなきゃならない。こう痛感しますときに、私はやはり根本は教育だと、教育によってこの思想をしっかりと持たせなきゃならないと、こう思いまして、こういう観点から、一体文部省は、また文部省の検定によってつくられている教科書でどんなふうにこれを扱っているだろうかということを調べてみました。果たしてこれでいいだろうかと思わずにいられませんので、教科書の内容を取り上げて、まず厚生省にお伺いをし、その後で文部省にお尋ねしたいと、こう思うわけでございます。
 そこで、何冊かの教科書に目を通してみました。
 まず、この「母乳栄養の重要性」というものをどういうふうに説明しているか。これはある教科書ですけれども、「母乳栄養は、育児上きわめてたいせつである。」当然そういうふうに言います。ところが、その後に職業を持つ母親がふえた。誤った母性保護や育児感を持つ者もいるので母乳を飲ませるのをやめる者がある、出が悪い者があると、こういうふうに水をかけたような言葉をここに述べているわけですね。そして、「つとめて母乳を与える必要がある。」、「つとめて」とは何事だと、こういうふうに私は頭へきちゃうわけなんですね。また、この内容で職業を持つ母親が母乳を飲ませるのに大変支障を持って飲ませられなくなるというようなことをまことしやかに取り上げていますけれども、それじゃ産前産後、特に産後六週間の休暇というものが法律上認られているじゃないか。育児時間というものもとれるじゃないかと。現在働いている女性が、母親が母乳で育てている例はもうどんどんふえているわけなんですね。そういうものを時代おくれに取り上げている。
 また、もう一つの教科書を見ますと、「乳児に最適の栄養食品は母乳である。」、こういうふうにりっぱなことを言っているわけです。そのとおり。ところが、その次に、「最近人工栄養が進歩して母乳に劣らない働きをするようになってはいるが、粉乳や牛乳はあくまで母乳不足や母乳を与えられないときの補助に与えるべきである。」と、ちょっともう少し説明させていただきますと、乳児に最適の栄養食品は母乳だと、ところが最近人工栄養が進歩して母乳に劣らない働きをするようになった粉乳や牛乳があると、こういうふうに。何でこんなよけいなことを言うんだろうと。「乳児に最適の栄養食品は母乳である。」と、それで粉乳や牛乳のことはほめなくていいからそこを抜かして、粉乳や牛乳はあくまで母乳不足や母乳を与えられないときの補助にすべきであるでいいじゃないかと思うんですね。
 それからある本を見ますと、やはり母乳は非常にいいということを書いているんですけれども、しばらく読んでいくと、「母乳栄養を行うには、乳の分泌が豊富であることが必須条件なので、母親は、日常の健康管理によく注意し、栄養をじゅうぶんにとり、心の安定をはかるように努めなければならない。」、大変ですよと言わんばかり。それで、その後に人工栄養の説明がずうっとしてあって、これは非常に簡単である。最後のところで「湯に溶かして与えるだけでよい。」なんて言ってるんですね。そうすると、何だか母乳を上げるときは物すごい努力をしなきゃならない、人工栄養の方はちょっと「溶かして与えるだけでよい。」なんて、私は本当におかしいんじゃないかなと思うんですね。そういう点で厚生省はどういうふうにお感じですか。
#99
○説明員(福渡靖君) お答えをいたします。
 母乳が子供にとって最も好ましい食品である――食品と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、最も好ましい栄養物であるということは私どももそのように十分に認識をしているつもりでございます。また、母乳が子供のどういう点にとっていいのかということを考えてみますと、子供が心、体それぞれ発達、発育をしていくわけでございますが、この心身両面の発育、発達にとって最も好ましい。これは感情論ではなくて本当に科学的にもそういう証明がされていると私どもは考えております。したがいまして、母乳育児というものをもっと推進をしようということで、昭和五十年以来一つの国民運動としてこれを繰り広げていこうというふうに考えたわけでございます。
 その動機は、いまも柏原先生がおっしゃいましたように、母乳から人工栄養に切りかえていく方がだんだんとふえてきているということが統計的にもはっきりとしておりましたので、こういうことでは困ると。人工栄養というものは確かに非常に進歩はいたしましたけれども、やはり母乳を追い越すことはできない。だから、母乳が使える間は母乳を使って育ててもらいたいと、こういうようなことで、一つは人工栄養への反省というものがございましたし、ちょうど昭和四十九年にWHOあるいは国連の専門部会でも母乳育児の推進についての決議をしておりますが、そういうような事態を含めまして五十年から一つの国民運動として展開をしていったわけでございます。その一番最初のスローガンに、出生後一・五カ月までは母乳のみで育てようと、こういうスローガンを挙げておりますし、また最後の方には、四カ月以上でも安易に人工ミルクに切りかえないようにしようということもスローガンの中に含めておるわけです。こういうような母乳育児推進運動を展開をするとともに、母子保健の分野でもこの思想を中心にしていろいろな事業を進めていくということでいろいろな指導に当たっているところでございます。
#100
○柏原ヤス君 私は努めて母乳を与えるべきであるなんということじゃなくて、母乳でなくてはならないと、母乳で育てましょうという、そういう積極的な姿勢がやはり教科書の中になくてはならないと、こういうふうに思います。
 次に、やはり母乳栄養がいいんだということをこの教科書で説明しているんですけれども、その説明に、乳の成分比較というものを出しておるんですね。これは、私が拝見した六種類の教科書全部に母乳の成分、そしてそれが表になって出ているわけですね。厚生省もこれは御存じだと思うんです。ところが、私がこの成分表を見ますと、何だか牛乳の方がいいんじゃないかという感じになるわけなんですよ。それはどうしてかと言いますと、まあたん白質のところを見ても、母乳は一・四、牛乳は二・九だと。カルシウムになると母乳は三十五、牛乳は百。燐は母乳は二十五、牛乳は九十と、大変牛乳の成分の方が数字の上で多いんですね。多いから必ずしもいいというふうにならないのかもしれませんけれども、まあ数を示されればやっぱり多い方がいいんだというふうに思って、どうしてこの表を見て高校生ぐらいの生徒が、なるほど母乳は成分が牛乳よりいいんだなあというふうに思うかしら。ところがこの説明は、大変消化がいいとか書いてあるわけですね。ただ消化がいいと言ったって、さっぱり何で消化がいいのかということがどこにも説明されてないわけなんです。こういうような専門家がわかる、いわゆる栄養学者が考えてつくったようなこんな表を示して、そして母乳がいいということをわからせようというのは私は無理じゃないか、こういうふうに思うわけなんです。どの教科書にも全部これが出ているものですから、厚生省としてはどうお考えでしょうか。
#101
○説明員(福渡靖君) まあ御指摘がございましたけれども、母乳がよいという一つの裏づけは、やはり子供にとって必要な栄養分が全部含まれているということを客観的に示すことだろうと思います。そういう意味では母乳の成分というものが示されている方がわかりやすいとは思いますが、ただ母乳というのは非常に精巧にできておりまして、生まれてからの期間に応じて、子供にとって一番好ましい状態になって出てくる仕組みになっております。特に生まれた直後の一週間、この間に出るお乳を初乳と呼んでおりますけれども、この初乳はどちらかといえば水分が比較的少なくてカロリーが高い。またたん白質も多く含まれているというような成分構成になっております。
 また、一週間を過ぎてきますとだんだんと母乳が薄くなってくるわけですが、薄くなるということは水分が多くなるということですから、それにつれてカロリーも少なくなる。そして、たん白も含有度が少なくなると、こういうことになってまいります。そういうように、体に合わせて非常にうまくできるものは母乳しか実はないわけでございますので、そういう点の説明が十分にされているならば、私は理解が非常によくできるようになるだろうと思います。
#102
○柏原ヤス君 そこで、母乳が非常にいいものであるということを説明するのには、やはり成分の問題を取り上げるわけですけれども、表じゃさっぱりわからないじゃないですかと私が申し上げました。
 それにかわって、私は、いま厚生省でおっしゃったような初乳の問題、この初乳の問題を話せば母乳というものはそんなにいいものかと。また、この初乳というものをどうしても飲ませなきゃなんないと。それにはどんなに苦しくってもお乳を出そうと、そして、初乳は飲ませようというふうになるわけですね。
 そこで、この教科書に初乳のことは取り上げて書いてあります。ところが読んでみるとさっぱりわかんないんですね。どれ一つとして、なるほど初乳というのは大切なんだなというふうにわかる書き方がされてない。ちょっと申し上げますと、「分べん後四日−五日のあいだに出る乳を初乳といい、たんぱく質や無機質が多く、新生児の栄養に適している。」と、これだけなんです。これはほかの教科書も全部同じです。これで初乳の説明は十分でしょうか。
#103
○説明員(福渡靖君) 大体、意は尽くしていると思いますが、子供にとってこの初乳がどうして必要なのかという点の説明があればもっといいと思います。
#104
○柏原ヤス君 まあ教科書を文部省が検定してるんですから、厚生省は余りけなせないと思います。ですけど、私は肝心なところが書いてないと思うんですね。それは、初乳というのがなぜ大事か、なぜ大切か、すばらしいかというのは免疫体だということでしょう。たん白質や無機質が多いなんていういうのと免疫体だということとは別な問題だと思うんですね。私は、免疫体、これこそ母親の体の中にいるときには胎盤からこの免疫体をもらっていた。ところが、ひとたび外へ出て、そしてこの初乳を飲むことによって一切の免疫体をこの初乳の中からもらう、そして丈夫な子供になると。いわゆる予防注射と同じような働きになるわけで、この免疫体というものがどれほど子供を丈夫に育てるのに大切かと。言うなれば、この初乳というのはコンクジュースだと、スーパージュースだと、こういうふうに考えて、その説明があってこそ私は、初乳というものの大切さがわかるんだと思うんですね。また、これは動物の実験でもわかるように、ひづめの動物というのは絶対に母親のお乳からこの初乳を飲まなければ育たないと。豚は親豚からこの初乳を飲まなかった場合には死んじゃうんだと。こういうことは豚を飼ってる人はもう常識のように知っているわけです。豚の子はそうだけど人間の子はそうじゃないとは私は言えないと思うんですね。それは同じだと思う。ただ人間の子供は医学の進歩に助けられながら弱々しく育ってると、こういうふうに言えると思うんですね。ですから、ほぼ意を尽くしてるなんていう厚生省がいいかげんなこと言ってたんじゃこの教科書は私はいい教科書にならないと思います。
#105
○説明員(福渡靖君) おっしゃるように、免疫の問題も非常に大事な要素でございます。
#106
○柏原ヤス君 非常にじゃなくて、一番大事なんです。
#107
○説明員(福渡靖君) ただ、免疫体というのをどのように表現するかということば非常にむずかしいと思うんですが、免疫を持っているということをあらわす成分としては私はたん白質という表現でもいいと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、子供にとってどうしてこの初乳が大事なのかということについての説明は確かに抜けておるような気がいたしますが、その点、教科書ともう一つの文部省の方には学習指導要領というのがあるようでございますが、そちらの方でどのように補っておられるのか、そこまでは実は私どもは十分に承知をしておりませんのでわかりませんが、初乳の重要性ということは十分にやっぱり教えていただきたいというふうに私も考えております。
#108
○柏原ヤス君 文部省の学習指導要領に書いてあるというようなお話ですけれども、書いてないんですよ。もう解説の中にたった一言「乳児の栄養では、特に母乳の価値を認識させる」と、これだけなんです。文部省から示してるのはたったこれだけですね。ですから教科書任せ。教科書がどう書くかということに期待をかけて文部省はこういう解説を出してるわけなんですね。
 そこで次に、人工栄養のことを非常に教科書の中で力を入れて書いてるわけなんですね。私は、この解説の中に、「特に母乳の価値を認識させ」というんですから、人工栄養を認識させなんて書いてないわけなんですね。ですけれども、事実、現実には人工栄養、こういうものがあるんだからやはり教科書では一応書いてもいいですけれども、私はあっさりでいいんだと思うんですね。こんなに力を入れて人工栄養人工栄養と乳業協会から圧力でも受けてるみたいな書きぶりをしている本もあるわけなんですね。
 それで、この人工栄養の説明の中で私は不思議に思うことは、「母乳にちかづける」とか、「母乳に近い状態にする」とか、「母乳に劣らない働きをする」とか、ひどいのになると「母乳と同じ状態にする」なんていう書き方をしてるわけですね。私は、牛の乳は、どういうふうに精巧に加工してもやっぱり牛の乳は牛だと。母乳が人間の乳だと。どんなにいい洋服を着ても牛が着たらやっぱり人間とは思わないわけです。まあそういうふうに、「ちかづける」とか「近い状態にする」とか、「同じにする」なんて、こういう表現は私は誤解が生まれるんじゃないかと。だから人工栄養でもいいんだというふうにとりやすい。それでなくても、もう病院でお産をすれば、子供の口にその病院でミルクを飲まされちゃうと。一遍飲んだ子供は絶対に母親の乳首に吸いつかないと。また、飲んだミルクが、ある会社のミルクだったらほかの会社のミルクは飲まないというような、こういう状態になってるわけです。私はこういう表現はやめるべきだと、こういうふうに思っておりますが、どうでしょうか。
#109
○説明員(福渡靖君) 私ども人工栄養についてはあくまで母乳がどうしても使えないときの代替品であるというふうに理解をしておるわけです。ただ、代替品だと、このように言いましても、子供にとって一番やっぱりよい状態、好ましい状態に近づける努力をやっていただくということはもう一方で必要であろうと思います。
 確かに人工栄養が非常に進んでまいりまして、その点での子供への好影響という点が見られてきたことも事実でございますが、それを強調するかどうかということは、やはりその当事者の考え方になってくるだろうと思います。
 ただ、私たちの立場で申し上げるなら、いまも申し上げましたように、どうしても母乳が出ないときの最もよい食品としての品質を確保していただきたいと、こういうことで人工栄養を扱う場合の一つのやはり注意事項としては私たちも考えているところでございます。
#110
○柏原ヤス君 この人工栄養を母乳に近づけようとしている、そういう産業だっていうことの原因は、厚生省の省令の中に、特殊調製粉乳というものの説明の中にそういう言葉があるわけなんですね。ですから、それがある限りにおいては人工栄養をつくっている会社はそれを使うわけなんです。ですけれども、聞くところによるとその言葉も省令の中から整理されたとか聞いておりますが、それは整理されたんですか。
#111
○説明員(福渡靖君) いわゆる乳等省令のことだと思いますが、ちょっと私所管が違いますので、そこまで正確にはいまのところ覚えておりません。
#112
○柏原ヤス君 そういうものが省令の中から消されたとしたら、こういう言葉を教科書が使うということは私はもってのほかだと、こういうふうに思っているわけです。
 厚生省の方、以上で厚生省への質問は終わります。
 そこで、文部省にお聞きしたいんですが、教科書の内容をずっと見ておりますと、母乳栄養、人工栄養、こういうものを同列に見ているんじゃないか――けれども、私はこの解説に言われているように、特に母乳の認識を得させる、そういう教育をしなさいというふうに書いてあるんですから、私は人工栄養を同列に並べたような考え方、書き方は間違っていると思いますね。文部省の期待していることに忠実じゃないんじゃないか。母乳にかわるものはないとか、母乳でなくてはならないとか、母乳で育てましょうとか、そして、それはなぜかというようなことを明確に述べてこそ私はこの解説にこたえた教科書だと思うんですね。この点、文部省いかがですか。
#113
○政府委員(三角哲生君) 柏原委員からいろいろただいま承らせていただいたわけでございますが、母乳に関しましては、どういたしましてもやはり柏原委員の方が権威者であり、私は柏原先生とちょっと太刀打ちする能力もないと思っております。
 で、ただ、教科書についての御指摘でございます。ただいま柏原委員おっしゃいましたことは一々ごもっとでございまして、それについて私、別に異議を唱えたり反論をしたりする気持ちはないわけでございます。おっしゃるとおりのことであると思っております。
 そこで、委員が非常に問題意識を強くお持ちでございますので、教科書の記述について、若干と申しますか、教科書の書き方が物足りないというか、いろいろ批判があるということでございますが、私ども、現在の学習指導要領では、乳児の栄養では、「母乳の価値を認識させる。」と、こう言っておりますが、今回の改定でそこに「特に」という字をさらに入れさしていただいたわけでございます。――指導要領の解説でございますが、先ほど御指摘のあったとおりでございます。
 ただいま御指摘の教科書はいま使っておる教科書でございますが、しかし柏原先生も御指摘のありましたように、やはり母乳栄養というのが完全、最良であるとか、やはり育児上母乳栄養はきわめて大切であるという認識はそれぞれどの教科書も持っているように思っております。
 そして、先ほども御指摘でございましたが、「つとめて母乳を与える必要がある。」というところだけ読みますと、何かいやいやなんだけれども努力してやるんだと、こういう感じも受けますけれども、ちょっとそこの前後を読みますと、やはり人によっては母乳の出が悪い場合があるので、たとえ出が悪くても根気よく吸わせたり、努力をするとだんだん出がよくなるので、「つとめて母乳を与える必要がある。」というような言い方でもありますので、若干、私は教科書に少し同情的かもしれませんが、そんな感じも受けております。
 それから、なぜ母乳をやらなければいけないかというようなことも、教科書によってこれは書き方に若干の丁寧さの度合いが違っておるかと思いますが、たとえば、先ほど御指摘の教科書の中の一つと思いますが、囲みをしまして、母乳には「乳児に必要な栄養素のほとんどすべてを含み、その配合も最適である。」、二としまして「消化・吸収が非常によい。」、三といたしまして「免疫体や酵素などを含んでいる。」、四「病気にかかりにくい。」、五「授乳が簡単で、経済的である。」、それから六としまして「母と子の愛情の交流がはかれる。」というようなことを書いてある例もございます。
 それから、先ほど母親がやっぱり――ちょっと言葉を覚えておりませんが、教科書によっては常に健康を保持して精神を安定させておくことが必要であるというところの御紹介もあったわけでございますが、やはり女性の体のメカニズム、精神のメカニズムは非常にデリケートなようでございまして、私の経験でも、何かショッキングなことがあると乳がとまるという例は私も体験したことがございます。そういうようなことで、教科書にもそういう意味合いから記述があるのだと存じまして、たとえば、「母親は、おだやかな愛情にみちたふんい気をつくり授乳を行う。授乳後は乳児をまっすぐに抱き、背中を軽く数回たたいて、母乳とともに飲み込んだ空気をはかせる。これは、乳児に多いいつ乳を防ぐひとつの方法である。」それから続けまして、「母乳の分泌は、精神的な影響を受けやすいので、母親はじゅうぶんな栄養と睡眠をとり、また、周囲のひとびとのあたたかい理解と協力が必要である。」というようなことで、かなり柏原委員の御主張に即した記述もまた見られるというふうに理解はしておるのでございます。
 それから人工栄養について、余りこれを推奨するような取り上げ方はいけないではないか。これもそのとおりだと思いますが、しかし、やはり数ある母親の中にはいろいろな事情で乳が十分に出ない方もおりますし、あるいは全く出ないというケースもあるようでございます。十分出ない場合には、いわゆる混合栄養ということで併用をするということが必要でございましょうし、それからよく出ない場合にはどうしてもやはり人工栄養に頼らざるを得ない。その場合に、人工栄養というものが果たしてどういうものであるか。それを与える場合に、できるだけ母乳に近いような薄め方でございますとか、あるいは温度でございますとか、あるいは成分についても母親がよく検討して調べて与える必要がある。そういうふうなことで、やはり高等学校の教科書といたしましてはいろいろなケースを一応考えまして、そして漏れのないようにするという、そういう配慮もあるためにそういったような記述の方もあるのだと思います。ただ、これを委員御指摘のようなぐあいに、むしろ逆にとられることのないような指導は十分にしていく必要があるであろうというふうに考えております。
#114
○柏原ヤス君 教科書の中にはこういうことも書いてある、ああいうことも書いてあると、いまいい点を御指摘になったわけですが、私はそれに対しても反論があるわけなんですね。母乳の問題を取り扱っている教科書の中身というのは、育児学、栄養学、こういうところから取り扱われている。その育児学、栄養学たるや古びた情報、もう古いものなんですね。そういう情報の範囲にとどまっていると、こういうふうに私は言えると思います。現実の母乳の研究はもっともっと進んでいる。医学的に考えてもいる教科書でしょうけれども、それも四十年前ぐらいの小児科の知識で考えられ書かれているというんですね。この教科書をお書きになった先生方をずっと見ると、大分お年のいった方――大家ですからそういう方でしょうけれども、いかにも古い、こういう感覚の説明が多いわけなんですね。母乳の研究というのは、いまから十年ぐらい前にされ始めたんですけれども、非常に進んでいるわけなんです。ですから、この母乳の問題は、育児学、栄養学の上からはもちろん、動物学、生物学、行動学と、こういうような面からも研究されているし、また研究されなきやならないというふうに言われております。私も専門家でございませんからなるほどそうなのかとお伺いしたわけなんですね。
 また、いま教科書の中からいろいろとこういうふうに扱っている、ああいうふうに扱っているという御説明がございましたけれども、いわゆる母乳論議、どう与えるかとか、どう薄めるかとか、どうするかとかいう技術なんですね。私は、家庭科というものがややもすると技術的なことにだけ走っていやしないか、走り過ぎていやしないかと。ところが、実際世の中のそういう技術というものはどんどんどんどん進んでいるわけなんです。教科書は依然として古くさい。だから、学習する生徒は何だかもうばかばかしいからぽかんと口をあいてただ聞きおく程度で何の魅力もない。男女共修せよなんと言ったって、私は男性はこんなのまじめに聞いてないと思うんです。女性だって何だか眠たいような、ただ聞いているだけで、そこに何の新しい知識の吸収もないんじゃないかと。それは先生がすばらしい先生で、教科書の内容がそうであっても新しいものを絶えず与えているんだと、こう言われちゃえばそれだけですけれども、やはり人間文化、母乳を与えることのとうとさ、母乳を与えることが人間教育の出発なんだとか、人間の愛情というものはここから生まれてくるんだというような、そういうものを根底に置いたやはり私は母乳教育、家庭科の教育じゃなきやならないと思うんですね。
 で、古くさい古くさいと言いましたから、私も古い一人ですけれども、この間働くお母さんたちが、やっぱりおっぱい上げるのに母乳母乳と言うと。それじゃどうするのと言うでしょうと言ったら、そこですよと。もうそんなこと言っている時代じゃないと。こういういい物ができているんですよと見せられたんですよね。(器具を示す)これは簡単なんですね。乳首の大きいお母さん、小さいお母さんによって、これ二つあるんですね。それをこう差し込んで、それでおっばいのところに当ててきゅうっと吸い取るんですね。そうすると、どんどんどんどん入ってくるんです。それでとったものにそのまま乳首をつければそれで飲めると。これをこういうバッグに入れて、そしてきちっと締めて、「母乳バッグ」と言うんです。これを冷凍庫の中に入れておけば一週間でも二週間でも腐らない。牛乳だったらばい菌が入るとすぐ腐っちゃうけれども、母乳は先ほどから言っている免疫体というものですからばい菌はふえない。そして、これを出して水の中に入れて凍っていたのを解かして、またこういうのに入れて飲ませる。もう働く婦人がみんなこういうのをどんどん使っているというんですね。私もへえっと驚いて、こんなのがあったのって気がついたんですけれども、余りミルクが売れているほどこれ売れてないんですね。だから、私また、こういうの売れない方がいいという、そういうミルク会社の圧力でもあってなかなかこういうものは普及しないんじゃないかなと、そういうふうにひがんでいるわけなんです。ですけれども、こういうものがもうどんどん工夫されている。厚生省が母乳バンクというのをつくろうとしてやめたみたいな、何だかうやむやになっちゃった。ですけれども、国がそんなことをまごまごしている間に、民間ではこういう必要に迫られた母乳バックなんてものがどんどんつくられているんです。実際これを看護婦さんとか職場で働くお母さん方がどんどん使っているというんですね。そういうようなことを考えますと、私はこの教科書はずいぶん古くさい教科書だなと言われてもしようがないんじゃないかと、こういうふうに思うわけなんです。
#115
○政府委員(三角哲生君) 教科書はやはり一番主要な教材でございまして非常に大切なものでございますので、学問の進歩に即応してそのときそのときのやはり学説の最善なるものを反映して著作され編さんされるべきものでございまして、大方の著作者はそういう努力もしておられるだろうと思います。ただ、著作者の中にはいろいろ、実際に筆をおとりになる方もおられれば、あるいはそれを校閲なさるというお立場、監修なさるというお立場の方もおられますから、私よくは調べておりませんけれども、家庭科についてもいろいろな年齢層の方が共同の著作というような形でやっておる場合はあるのかもしれないと思います。やはり一番学問の状況に即応してそれを基礎に編さんされるべきものであると存じます。
 なお家庭科の内容についても御批判がありましたが、やはりこれはまあ普通の――普通のといいますか、それなりの判断力なり理解力なり知識があれば常識でこなせるようなところの技術まで一々学校でやるということはないと存じますが、やはり家庭科は一つの実践につながった教科でございますので、そういう意味ではいろいろな意味でやはり技術もしっかりと学んでいただくと、そして実際の実践を通して将来の家庭生活が充実したものになるような、そういう精神面もあわせて、何と申しますか、励んでもらうということかと存じます。そういうことで、私どもとしては、先ほども御説明申し上げましたように、「乳児の栄養では、母乳の価値を認識させる」というところにあえて「特に」という字も入れました経緯もございまして、今後新しい教科書についてもその記述が一層適切なものとなりますように、これは検定する立場でございますから、検定という一つの限度がございますけれども、ともどもにいい教科書ができますように努めてまいりたいと思っております。
#116
○柏原ヤス君 私もこういうことを申し上げているのは今度新しい解説ですね、指導要領ですばらしい教科書ができてほしいと思うから申し上げるんであって、特に母乳の知識というのは赤ちゃんが生まれちゃてからじゃもう遅い、結婚したときでも、もうそれでも遅い、婦人学級あたりで婚前教育というんで取り上げているけれども、それでも私は遅いと思います。まさに高等学校時代に母乳というものを正しくわからせる、母乳でなければならないということを納得してわからしていく。いまの高校生というのはおっぱいの話、母乳の話というとあら、いやらしいわね、汚いわね、汗だらけのおっぱい吸うのとか、おっぱいが出るのなんてびっくりしている子供もいるっていうんですね。また、赤ちゃんを抱いてお乳を飲ませている母親の姿を、みっともないとか、だらしがないとかというふうに考える人も多いわけですね。そういう先入観が入っちゃったんじゃもう遅い。その前に、子供を母乳で育てよう、母乳じゃなきゃだめなんだ、母乳はすばらしいんだ、男性がどんなにすばらしくったってお乳を飲ませるということは男性は絶対にできないんだと、そういう意味で女性の地位というものは輝いた地位でなければならないという、そういう誇りをやっぱり子供に、高校生あたりになったらもう持たせていいと思うんですよ。
 そこで、教科書で「特に母乳の価値を認識させる」っていうふうに解説で言っているならば――ここに写真が出ているんですね。どの写真を見ても哺乳びんでお乳飲ませている写真なんですよ。私は、何でこんなよけいな写真出すんだろうと。哺乳びんで飲ませることがとてもスタイルがいい、品がいい、インテリなんだ、現代的なんだと言わんばかりじゃないですか、この写真。やはり母親が子供を抱いて慈しんでいる、その目と目の行き交うところに親子のつながりが生まれるんだというような、そういう写真を出した方がいいと思うんですね。そういう写真がなきやむしろ出さない方がいいんだ、あんな哺乳びんで飲ませているところなんかよけいなことじゃないか。それで「特に」と解説に書いてそんなものを検定しているのはおかしいと思いますね。これから検定なさるんですから、そんなものはやめてもらいたいですよね。テレビなんか見てもずいぶんいやらしい場面が出ている。それで、おっぱいを飲ませているお母さんの清らかな姿なんというものはただの一度も出たことがない。おっぱいを飲ませているお母さんの場面が一つ出るんですけれども、あれは夫婦おもろきかなというのですか、そういうのがあって、あれに赤ちゃんを抱いてリヤカーに乗っているお母さんの絵が出てくるんですけれども、初めは何かおしりみたいなかっこうにすっと出るわけなんですよ。そうするとおしりかなと思って見ていると、それがおっぱいなんでしょう、私はあれだってずいぶん失礼だと思うんですよね。いずれにしても崇高な母乳の精神というものをやはり直感でわからせるようなそういう教科書であってほしい。それから厚生省がそれこそねじりはち巻きでスローガンを掲げて母乳運動というものを進めているわけですから、やはり文部省の検定の教科書の中にはこうしたスローガンあたりは出してもいいんじゃないかなと、こういうふうに思いますが、いかがですか。
#117
○政府委員(三角哲生君) 母乳が赤ん坊にとって最善最良のものであるということは、本当に先ほど来おっしゃっておられるとおりだと思っておりまして、私どもの教育の指導の方針もそれに基づいております。
 なおついでに、写真のお話も出たわけですが、おっぱいの方はまあ普通にやればいいわけなんで、ここに一つ写真で出ておりますのは、飲ました後に背中をなでたりちょっと軽くたたいてあげて空気を出してあげる、そういう写真は出ております。ただ、牛乳、哺乳の写真があえて出ておりますのは、びんをやはり少し傾けてうまいぐあいに与えないと空気を一緒に吸ってしまうので、恐らくそこのところを間違えないようにするために哺乳びんの写真が出ています。おっぱいの写真が出ていないというのは、どうもそこのところはバランスがとれないようでございますけれども、恐らく編集者の意図はそこにあるんだろうと思いますが、ただ、先ほども申し上げましたように、いろいろと総合的に見て、先ほど来柏原委員の御指摘になったようなことが間違われないような記述にする必要はあると思いますので、その点は新しい教科書の今回の編集に当たっても、私どもの方もまあできるだけ配慮してまいりたいと思っております。
#118
○柏原ヤス君 その哺乳びんで授乳している写真は何も教科書に出さなくても、一般のミルク会社でもっときれいないいのが出ているんですよ、いやというほど。それに合わせて何も教科書というこのしっかりしたものの中に出さなくたっていい、そっちでやらしておけばいいじゃないですか。やっぱり文部省は「特に母乳」と言っているんだから、母乳を飲ませているお母さんの気高い姿とか、とうとい姿をやっぱり出した方がいいと思う。哺乳びんのことほめているようじゃだめじゃないですか。
 以上で、最後に大臣に最初からお聞きいただいたわけですが、大臣は人口問題に対しては非常な関心をお持ちであり、また、それに対しての実績も持っていらっしゃる。人口問題の究極はやはりよい子供を丈夫に育てるというところにあると思うんですね。そういう点で、大臣の御見解を一言承って、よい教科書が出ることを願って終わりにしたいと思います。
#119
○国務大臣(田中龍夫君) 本日は柏原先生の本当にりっぱな御質問を拝聴いたしまして、先ほどからしみじみと実はわれわれ文教政策の面におきましても最後に私からお礼を申さなきゃならない、かように考えておったのでございます。
 ことに、われわれの家庭教育、社会教育という中で精神的な問題を取り上げてまいります場合には、その原点である本当に若いお母さんの、結婚前の将来のお母さん教育、それからまたいわゆる母と子供の愛の原点はやはり母乳を与える、そうしてそこに親子の精神的な交流まで私は高めていかなきゃならない大事な教育上の問題だと存じます。
 きょうは非常にいいお話を承りましたことを幾重にも厚く御礼申し上げまして、お答えといたします。
#120
○小西博行君 きょうは六十分ほど時間をいただいていますので、特に海外子女教育の問題につきまして、数点にわたって質問させていただきたいと思います。
 その前に、前回も少し全体的な質問をさしていただいたわけでありますが、きょうも一、二点だけその問題をとらえて質問さしていただきたいと思います。
 実は、教育の問題というのは大変広い領域にわたって、ただいま柏原先生のお話のように、大変基本的な問題を大変大きな教育問題として考えなければならないというような実は問題がございます。そこで私は、現在日本は大変教育に対しては国民全体が熱心であるということも当然でございましょうけれども、政府も教育に対しては大変予算的にも力を入れてやっておられるという認識に立っているわけであります。そこで、特に世界各国の中で、先進国ということでまとめていただいても結構でございますが、その中で日本の現在の教育の実情といいましょうか、実は私は教育の効果という問題が大変測定しにくいというのはよく理解しておるわけでございますけれども、結果に対する評価の仕方という観点から考えましても、世界の国々の中で日本の位置づけというんでしょうか、大変日本が進んでいるというだけで終わるだけではなくて、何かこういう面で非常に日本の教育というのは間違いないんだというような、そういうお話を聞かしていただいたら結構だと思いますし、もしほかの点で米国が、あるいはイギリスが特に進んでいるんだという問題がございましたら、ぜひ答弁をお願いしたいというふうに思うわけであります。どうぞよろしくお願いします。どなたでも結構ですが、大臣もし……。
#121
○国務大臣(田中龍夫君) ちょっとその前に、委員長、お断りしておきたいと思います。また、質問者の方にも申し上げておきたいと思いますが、御案内のとおり、きょう二時半から労働問題閣僚懇談会がございまして、私は二時半までしか先生の御答弁ができません。あらかじめ御了承いただきとうございます。
#122
○委員長(降矢敬義君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#123
○委員長(降矢敬義君) 速記を開始してください。
#124
○国務大臣(田中龍夫君) さようなわけで、私に対する御質問、どうぞ前の方にお寄せいただきとうございます。
 いまの日本の教育の問題につきましては、よその国の教育と日本の教育とをこういう点で具体的に計量する、比較するということは実はできにくい問題だと思うんでございますけれども、少なくとも私どもは、自分の国の教育というものが非常に進んでおり、特に哲学的な東洋哲学、あるいはそれ以外のいろいろな要素を加えまして、新興日本があの封建制度であった幕末から新しい日本に至りまして、それから百年の歴史のたどりというものはすばらしいものだったと、こうはだで感じ、またいろいろと教えてもらっておるわけでございます。もちろん外国にもいろいろすぐれた教育者、すぐれた教育内容がございますと存じますけれども、少なくとも私は日本の教育というものは決して他の国に劣っておるものではない、かように存じております。
#125
○小西博行君 三角さん、何かございましたら。
#126
○政府委員(三角哲生君) なかなか短時間でお答え申し上げるのにはむずかしい問題をお聞きいただいておると思いますが、とりわけ申せますことは、戦後の学制改革に伴いまして、これは江戸時代あるいは戦前からの蓄積の上に立っての話でございますけれども、国民全般に対して非常に教育が普及をしておる。特に最近に至りましては、これが高等教育の段階までその普及の度合いが非常に高まってまいったということが言えますし、そうしてその内容面においても、時たまございます国際的なたとえば数学なら数学の比較というようなものにおきましても、ただいま大臣も申されましたが、かなり日本の諸国民の水準というものは、学力水準というものは高いところにあろうと思っておりますが、反面あわせて、しかしこの普及に伴いまして、いろいろな問題点も生じてきておる。それから、状況によりますと、今回学習指導要領を改定いたしまして、ゆとりと充実というようなことで、基礎、基本をしっかり勉強するというようなことをねらっていたしたわけでございますが、知識の詰め込みに偏りがちで、正しい学術なり文化なりを創造していくという面が弱いんではないかとかいろいろ言われておりますけれども、これはなかなか計量的にこれをお示しして御説明することもむずかしいことでございますが、いろいろな点、これから注意して取り組まなければならないことは多いと思っております。
#127
○小西博行君 と申しますのは、先ほど最後の部分で申し上げましたように、今度日本でも四十人学級というような一つの思い切った方法をとられて現在やっているわけであります。そういう意味で、教育の行政に対して具体的な評価というんでしょうか、これが何か非常につかみにくい分野ではないかというふうに私も思うわけでありますが、しかし一般の産業におきましても、企業におきましても、実はスタッフの――スタッフというのは特別に自分が生産をやるわけでございませんし、販売をやるわけではございません。しかし、いろいろ政策あるいは施策に対して実際の実績評価というものを最近の企業ではかなり表に出して評価しているという実態があります。同時にヨーロッパの方、ある国では具体的にそういう教育の施策に対しての評価の方式というものをいろいろ検討して現在もやっておられるという話を友人から聞いたことがあるわけでありますけれども、そういう意味で、どうでしょうか、海外で具体的なそういう何か資料を文部省の方で持っておられたら、一遍御紹介していただきたいと思うんでありますが、教育の効果のやり方でございます。
#128
○政府委員(三角哲生君) ある行政ないしはある施策について、そのことについてのアセスメントと申しますか、あるいはアプレーザルというような字を使ったりしてやっている事例は国際機関のなんかの場合にあることを私聞いたことがございますが、ただ具体的に私どもが直ちに参考にできるようなものについては、まだかっこうなものがあるということを実は知らないのでございます。文部省にも調査統計担当の部局がございまして、海外の状況等についても調べてはございますけれども、私端的にいますぐにそれを参考にできるようなものについては聞いておりません。ただ、問題によりましては、OECDの中に教育関係の委員会等もございまして、そうしてそういう一つの決まった手法によって行うということじゃないと思いますが、各国の教育政策について、それについて一種のコンフロンテーションというような字で言っておりますが、専門家が調査をし、分析し、そして報告をしてくださるというようなことがございまして、日本も、たとえば社会科学の状況等について順番でそういう調査の対象になった経緯がございますが、そういったところからはやはり端的にすぐそれを応用できるというのではございませんけれども、そこに示されておることはいろいろと施策の上の参考材料にしていくということであろうかと思っております。
#129
○小西博行君 これは簡単に評価するということになりますと、うっかりするとやはり一流大学への合格率というんでしょうか、こういうようなかっこうで恐らく評価をしていくようになりますと、先日大臣の方の所信表明でございましたように、非常に個性豊かな独創性のある子供さんの教育という面からややかけ離れたようなことも現実に私は起こるんではないかということを実は心配しているわけであります。
 これもある私の友人から聞いた話でありますけれども、私は自分自身が教員として十二年間大学でやってきました関係で大変参考になるし、もしそういう学校ができたらすばらしいなというのを実は感じたことがございました。これは米国でありました。オープン教室というのがございます。そして、その彼の言う話を聞きますと、ほとんど海外へお父さんが出張して、それに子供さんがついていくというようなケースであるそうでありますけれども、ほとんど世界各国から来られた子供さんを大体二十人ぐらいの学級に編成しまして、そしてそこである一年間勉強するんだというように話を聞いたわけであります。で、大変日本の教育と違うと思ったのは、日本ですと、私も一つの悪い事例でありますけれども、子供のときにやはり人の前で自己主張というのが非常にしにくい場合がございます。私の場合はたまたま人前で歌を歌わされるということで、大変歌に自信がなくなった経験がございました。そういう意味で、その学校での実際の勉強の仕方というのは、言葉がみんな不自由でありますから、言葉だけで対抗いたしますと、やはりたとえば英語がしゃべれる子供さんの方が大変有利に立ってしまう、ところがその学校では、たとえば歌の上手な人あるいは工作が非常に上手な人ということで先生がうまくその子供さんの個性を引き出して、そしてそれによって子供さん同士でばかにしないといいますか、お互いに認め合うといいますか、そういうクラスがあるんだという話を聞いたことがあるわけであります。そして、一年間教育を受けて日本へ帰るわけでありますが、帰った時点では大変積極的な子供さんになってしまう、いい結果でございます。ですから、何か演劇活動をひとつやらんかと言ったら、自分は主役をやりたいということで、みんながわっと飛びつくほど自信を持った子供さんができるんだという話を実は聞いたわけであります。したがいまして、二十人という非常に少ない生徒数、それから同時に先生も、一週間授業を終わりますと、やっと終わったといいますか、力いっぱい授業のためにがんばったんだという実感が実はそこにあるんだという話を聞いたことがあるわけであります。
 日本の場合は四十人学級ということでございますけれども、しかし現実そういうお話を聞きますと、何かそこにわれわれ一番大切な問題を抜かしているんではないだろうか、こういう感じが実はしたもんですから、いま教育の評価の問題はこれからやっぱり何かの形で私は完成しておく必要があるんじゃないか。これはもちろん一〇〇%絶対だということはないと思いますけれども、せめて六〇%はこれで大体評価できるんだ、つまり追跡調査というものが非常にこれからは大切になってくるんではないか、そのように感じたもんですから、ちょっと質問させていただいたわけであります。
 いよいよ海外子女教育という問題に入っていきたいと思いますが、私はこの海外子女教育につきましても、これは世界各国へそれぞれ皆さん行かれるわけですから、一様にどこの国がいいとか、どの学校がいいということは非常にわかりにくいと思うんでございますけれども、いままでの段階で文部省の方で海外子女教育に対してこういういい面があった、悪い面があった、トータルでは非常にいい成果が上がっているんだ、こういうお話でも結構でございますが、その答弁をひとつお願いしたいと思います。
#130
○政府委員(松浦泰次郎君) 全体的にそういう調査をしたことはないのでございますが、実はたまたま先般ユーゴスラビアでユネスコの総会がございまして、それに大臣のお供をして出席しましたときに、ミラノの日本人学校を訪問いたしました。そこで、私ども常識的には、日本人学校にはいろいろ問題があるということで行ったのでございますが、いろいろ聞いてみますと、非常に少人数教育をやっておる関係もあろうと思うのでございますが、いわゆる非行児童生徒というのがいないんだというようなことでございました。それで、一時間に担任の先生がいろいろ質問をなさる場合も、同じ子供が三回も四回も当たる場合もあるというようなことで、高等学校に進学します場合、これは日本に帰って日本の高等学校へ行く場合も現地の学校へ行く場合もあるようでございますが、かなり父兄の要望に即した進学ができるというようなことを聞いたのでございます。その点、いろんな点で不便をしているわけでございますけれども、少人数教育の利点というようなものはあるように感じた次第でございます。
#131
○小西博行君 いまお話をお伺いいたしますと、イランということでございますから、このデータでいきますと四百二十三名ですね、中近東ということで。海外子女教育としては、いまの生徒数といいますか、これからいきますと大変人数が少ない。三・四%でしょうか、全体の中で。そういうことだというふうに私思います。
 私は、特にこの表ですね、これは文部省の方から実はいただいたわけでありますが、この表を見てみますと、「日本人学校」あるいは「補習授業校」、「その他」というふうになっておりまして、この日本人学校の場合は当然日本人の学校、日本人がつくった学校といいますか、日本人の子供さんの入って勉強する学校、こういうことだと思うわけでありますが、これを見ますと、ほとんどアジアというのが大変大きなウエートを占めているわけですね。そして、あと補習授業校となりますと、完全にこれは北米が七四・七%、約七五%を占めている。こういう数字の大体裏づけというんでしょうか、自分なりに考えて多分こうだろうという実感はしているわけでございますけれども、この辺の実態というのは実はどうなんでございましょうか、ずいぶん違うわけでありますが。
#132
○政府委員(松浦泰次郎君) 先ほど私の発言が不明瞭で申しわけございませんでしたが、例に申し上げましたのはイタリアのミラノの日本人学校でございます。
 ただいまの先生の御質問につきましては、この表で御指摘になりましたように、アジアの場合、日本人学校に行っている者がかなり多いということでございます。といいますのは、国によりまして言葉がいろいろアジアの言葉があるわけでございますが、その言葉の問題、あるいはそういう言葉を勉強しましても、日本に帰りまして役立つ割合が少ないというようなことがあろうかと思うのでございますが、日本人の力で日本学校をつくりまして国内におけると同じような教育をしたいというような希望が非常に強いわけでございます。
 一方、アメリカ等におきましては、現地の学校の、先ほどの先生の御指摘で、教育評価という点でいろいろどう見るかというようなことはあろうかと思うのでございますが、英語で教育をしているということで、レベルもかなり高いというようなことがございますので、行きましても日本人学校をつくらなくても現地の学校に入る、そしてアメリカの子供たちと一緒に授業を受けまして、そして土、日曜あたりに日本から送られてきた教科書で日本の勉強を補習的に行っている補習授業校が多いというふうな状況でございます。これはアメリカにつきましてもヨーロッパも同じような傾向でございます。それで、英語とかフランス語等覚えて帰りますと、それが日本の国内におきましても外国語として評価されるという面が多いわけでございます。
 「その他」の点につきましては、日本人学校とか補習授業校へ行けないような本当に少数の日本人がいるようなところでは、現在のところ現地の学校だけに頼ったり、あるいは通信教育等で日本人としての教育を受けておるというふうな状況でございます。
#133
○小西博行君 そこで、予算的に見ますとこれ約九十三億弱でございますね、約九十三億。その中でも教員に対する滞在費というのでしょうか、給料といいましょうか、そういうものがやはり圧倒的に多いわけでありますけれども、七百四十四名というのは、これ五十五年五月一日のデータでございますけれども、この数字というのはいかがなものでしょうか。日本のいわゆる教員に対する給与あるいはボーナス入れまして、どういう比較になるんでしょうか、金額的に。
#134
○政府委員(松浦泰次郎君) 現在におきましては、その先生方が日本人学校に赴任されます場合、国内において受けられるはずの給料につきましてはこれは支給いたしております。それから、外地の勤務をなさいますのでいろいろな余分の経費が要るわけでございますが、その点につきましては従来外務省の方で在外勤務手当というものを支給されておりまして、また赴任、それから帰国旅費等も措置されていたところでございます。ただ、いまの最後に申し上げました点につきましては、人件費を一括処理するというようなことがございまして、外務省といろいろ協議をいたしまして来年度からはその点を文部省で一括処理することにしようかというような概算要求をいたしているところでございます。
#135
○小西博行君 それではもっと具体的な質問をさせていただきます。
 そういうわけで、いま大体海外子女教育、現在外国へ出て勉強をしている子供さんが二万七千四百六十五名という五月一日のデータでは、いまさっき申し上げた、三校合わせてそのぐらいの数字になっているわけであります。
 ところで、これは義務教育ということでございますが、これはあれでしょう、日本の国籍を持ってそのまま行かれるわけでありますから当然義務教育、つまり憲法の問題はどうなるんでございましょうか。
#136
○政府委員(松浦泰次郎君) この点につきましては、従前法制局とも相談をしたことがあるのでございますが、憲法の規定が、属人主義といいますか、日本人であればすべて適用される部分と、それから属地主義と申しますか、日本の国内におる範囲において適用されるという部分があるようでございまして、教育関係につきましては属地主義というような従来解釈でございます。
 したがいまして、法律的な、形式的な面だけ申し上げますと、海外にいます子供の場合は憲法上の義務教育そのものではないということでございますが、実態としましてはやはり義務教育段階の子供でございますので、私どもはそれに準じた考えでおる次第でございます。
#137
○小西博行君 そうしますと、憲法二十六条第二項というのがございまして、つまり義務教育費の無償ですね、これは適用されないわけでありますか。いや、便宜的にというか、事務手続上そういうふうに無償でやっているというお考え方でございましょうか。
#138
○政府委員(松浦泰次郎君) この点は法律上は適用されないと解釈いたします。
#139
○小西博行君 私、どうもその辺がよくわからないんですけれども、当然日本人でございますし、何か両親の事情でもって海外へ渡って、そして向こうで現実に授業を受けているわけであります。これは小学校、中学校の問題でありますから、そういう場合に当然教科書を向こうへ送ったりしているのは全部予算として入っておりますですよね。それ以外の費用はめんどうは見てないわけでありますか。教科書はこれは送っているわけですね。授業料なんかどうでしょうか。
#140
○政府委員(松浦泰次郎君) 経費の面につきましては、先ほど先生の御質問ございました教員の給与費等負担いたしております。また往復旅費等も見ておりますし、それから授業いたします場合に教材が要るわけでございますが、これも文部省の方でできるだけの補助を行いまして、応援いたしております。それから、校舎の関係につきましては、従来外務省の方で措置していただいておりまして、学校によって若干その間に差があるようでございますが、あるいは外務省の方からお答えがあろうかと思いますけれども、そんな状況でございます。しかし、現地の学校におきましては実際問題としまして小規模でございましても事務の人を雇ったりあるいは日本から派遣します教員が少ない場合に、現地から現地採用の講師のような先生を雇ったりいたしておりますが、あるいはその光熱費というような関係で金がかかる面がございまして、そういうものは、現地の方がそれぞれの学校ごとに委員会を設けて相談した内容に従いまして支弁をしておるということでございます。したがいまして、授業料は実際には支払われておるという状況でございます。
#141
○小西博行君 どうも私すっきりしませんのですが、外務省の方ちょっと見解をお願いします。
#142
○説明員(大村喬一君) 先ほど局長の方から御説明ございましたように、在外における日本人学校というのはいわば国内における私立学校に類したような形をとっておりますので、御存じのとおり在外にあるということで、実は教育問題につきましては、その当該国の主権下に属するということもございまして、授業料――私立学校でございますので、やはりある程度それぞれ父兄の方々あるいは現地に進出しております企業の負担ということで、ある程度やっぱり負担をするのが適当ではないかと考えております。現に日本人学校と類似したもので、アメリカンスクールがあり、あるいはブリテッシュスクールもあり、あるいはフランス、ドイツ等も同じように在外にそれぞれ学校をつくっておるわけでございますけれども、こういう学校におきましても、授業料の多寡はございますけれども、それぞれ各人から授業料を取っておるということでございます。
#143
○小西博行君 それはあれですか、憲法か何かでうたっているわけじゃございませんのですか。いま申されたいわゆる義務教育というのは憲法では「無償とする。」と、こういうふうにうたっているんですけれども、それは全然もう適用しないということでございますか、海外では。
#144
○政府委員(松浦泰次郎君) その点につきましては、憲法の解釈の問題で先ほども申し上げましたように適用されない。その理由としましては、いま外務省の方からお答えがございましたように、外国の主権のもとにありまして、よその国の者に勝手の教育を認めないというような一般的な状況等もございますし、属地主義というような形で適用されないという考えでございます。ただ、憲法に言う義務教育そのものではないんでございますけれども、憲法の精神を生かすというような見地からは、派遣教育の充実とか教材の整備などによりまして、なるべく在外の子弟が教育を安い費用で受けることができるように私ども努力していきたいと考えておる次第でございます。
#145
○小西博行君 いまさっきお話をいただいたのは日本人学校の問題でございますか、そうですね。
#146
○説明員(大村喬一君) そうでございます。
#147
○小西博行君 それ以外の補習校だとかあるいは通信校という問題に対してはどうでございますか。これは向こうの学校へ入るわけでございますね。
#148
○説明員(大村喬一君) 補習校は御存じのとおり、現地校に行っておる子弟の方々がウイークエンド、いわばその現地校の休みの時間を利用いたしまして日本語を、国語とかそういう基礎的なことをしておる学校でございます。したがいまして、当然そういうところに行っております子弟の方々は、東京から派遣される教員の方もございますけれども、大部分の方々は現地で教師の免状を持っておられる方等を採用いたしまして勉強しておりますので、そういう方々の謝礼という形で、授業料と申すのが適切かどうかわかりませんけれども、父兄が負担しておるというのが現状でございます。
#149
○小西博行君 先ほど、現地の方々の負担もあわせてというお話がございましたが、これは日本人という意味ですか。いまの質問でお答えいただきましたが、それは補習校であるとかあるいは通信教育といって、つまり向こうの学校へ入った場合でございましたですね。そうですね。そして今度は日本人学校の場合は必ずしも政府がすべてを無償でやっていない、これは憲法上から言ってもやる必要ないんだと。そうですね。それ以外のつまり費用について、これは本人負担でございますか、それとも現地の企業あたりからそれに対して寄付をしていただいているといいますか、そういう形になっているのですか、どちらでございましょうか。
#150
○説明員(大村喬一君) 日本人学校につきましては、まず校舎借料というのがございますけれども、これはほとんどすべて一〇〇%を国が補助しております。それから、新しい建設等をいたします場合には通常半分の補助を国が行っております。もっとも、財政負担が非常に大き過ぎて困るという小規模校などの場合もございますので、そういう場合には実は国が三分の二という負担をしておるわけでございますけれども、そのほかに、先ほど松浦局長からもいろいろお話がございましたが、学校運営上必要な事務員とかあるいはスクールバスとかもろもろの経費がございますので、そういう経費は父兄が負担しておるということでございまして、現地進出企業はたとえば学校を新設する場合の残り半分あるいは三分の一を見ておる、こういう関係でございます。
#151
○小西博行君 ちょっと調べてみますと、大体五千円から二万円ぐらい月に負担があるというように聞いているわけでありますが、これはもちろん国によっても相当違うと思うんですが、この辺の実態がもしおわかりでしたらちょっとお聞かせ願いたいんです。個人がどのぐらい負担しているかですね。
#152
○説明員(大村喬一君) 授業料について申しますと、今年の五月一日現在で大体一万九千円が父兄の負担しております平均でございます。もちろんその中には安い高いが各地によってございまして、これは一概にどういうことから出てくる差かということは非常にむずかしいのでございますけれども、一般的に申しますと、一つは物価水準の差がそれに影響してきておる。それから特に現地採用教員を採ります場合の給料、それから、先ほど申しましたように事務職員の人件費、特にこれは御存じのとおり質のいい人を雇おうとすればそれだけ高い給料を支払わなければいけないというような状況もございます。もう一つ、先ほどちょっと申しましたが、借料はすべてほとんど国が見ておるわけでございますけれども、実は各地インフレが非常に激しゅうございまして、なかなか要求された額に見合って予算が出るというわけにはいきませんで一年おくれぐらいでようやく追いつくというケースもございます。その差額はやはり現地の父兄の方々が見ておるというような状況で、したがいまして各地によってそれぞれ授業料の差に反映してくると、こういうことでございます。
#153
○小西博行君 これは、それだけ負担をして、本人というよりもむしろ親御さんあたりが大変だというふうに私考えるわけでありますから、国の方でそういうものに対して満額というような形で何か補償できるような方法はないものでございますか。私はぜひこれはやっていただきたいというふうに考えるわけでありますが、いかがでございますか。
#154
○説明員(大村喬一君) 私どもといたしましても、特に授業料が各地によってそれだけ差があるというのはおかしゅうございまして、できるだけこういう格差をなくしていこうという方向で考えておるわけでございますけれども、そのためには、現在事務職員等の給料については何ら補助を行っておりません、そこで来年度予算ではこういう事務職員の経費まで予算で要求しておるわけでございまして、そういう形でできるだけ差をなくしていこうということはいろいろ努力しておるわけでございます。
 他方、企業の方も、実は子女教育手当という形で在勤俸、手当の五%から一〇%ぐらいをそれぞれ払っておる企業が大分ございます。すべてとは申しませんけれども、ほとんど大部分の企業がそういう形で個人に支払っております。もちろん中には支払っていない企業もございまして、こういうでこぼこをなくすためにも、いろいろの機会を通じまして、やはり子女教育手当というものは必要なのじゃないかということをお話ししている状況でございます。
#155
○小西博行君 いや、私はむしろそういう一般の企業に大変感謝しなければいかぬという気持ちがするのでありますけれども、しかし法律的には別に何としても払わなければいかぬという義務はないのでございますよね。あくまでも好意でやっていただいているという私は現状だろうというように考えるわけでありますが、そうですね。
#156
○説明員(大村喬一君) 先ほども実は義務教育が海外まで及ぶか及ばないかという点が問題になりましたけれども、やはりある程度企業ないし父兄の負担、自己努力、自助努力というものを柱にして海外の日本人学校というものが成り立っておるわけでございますので、その点、どの点が適正かという点はいろいろ問題もございましょうけれども、ある程度の負担というのはやむを得ないのではないかというふうに考えております。
#157
○小西博行君 そうしますと、もう一回最初のを確認したいのでありますけれども、つまり海外の日本人学校の場合は大体私立の形態だというふうに理解したらよろしいのですね。
#158
○説明員(大村喬一君) そのように理解してよろしいかと思いますけれども、むしろこれは文部省の方からお答えいただいた方がよろしいかと思います。
#159
○政府委員(松浦泰次郎君) この点につきましては、現在、国内の場合には、公立の学校がちゃんと用意をしておるわけでございますけれども、本人あるいはその両親の希望で私立学校へ行っておるわけでございます。海外の場合には、出発点としましては自助努力によりましてできたのがだんだん国の補助等がふえてきておるという状況でございますが、もともとは本人の希望というよりも、やはり企業の人事などによりまして赴任しておる人が多いわけでございますし、またその企業が海外においていろいろ事業活動を展開することによって日本の経済の支えにもなっておるという点もございます。そういう点で国内の私立学校の場合とちょっと事情が違うと思いますが、そういう点におきましては海外子女教育はやはり国家的重要性も強いというように考えますので、国としまして文部省、外務省が共同しましていろいろな措置を講じておるわけでございます。
 先ほど外務省からの答弁がございましたけれども、文部省としましても、現在派遣教員数が国内の基準に比べましてやや低い状況でございますから、派遣教員の増員を図りますとともに、また教材等につきましてもできるだけ支援していくように予算増額に努力しておるところでございます。そういうことによりまして父兄の負担も少しでも低減するようにやっていきたいと考えておる次第でございます。
#160
○小西博行君 じゃ、その問題はさておきまして、今度はもう一点、私は、大きな問題になっているのではないか、さらにこれから先も海外子女教育ということで大きな問題になってくるというように考えられるのは、特に日本人学校の問題だというように考えるわけであります。当然日本の企業が海外へどんどん進出していく傾向だというように私は考えるわけであります。特にその中で、日本人学校の閉鎖性という問題が現地の中でかなり私は起こっているというように聞いているわけであります。特に東南アジアの場合は、日本語をぜひ勉強したいという子供さんがたくさんいらっしゃると。その場合にはどうしても日本へ来て勉強しなければならない。留学をするということになりますと、相当お金の問題もございますし、なかなか来られない。現地でせっかくそういう日本人学校があるなら、その中へ現地の子供さんも入れてあげて、そしてその閉鎖性というものを取り払っていく必要があるんじゃないか、私はそのように考えるわけでありますが、いかがでございましょうか。
#161
○政府委員(松浦泰次郎君) この点につきましては、実は日本人学校に現地の子供が入学しておる例が二つほどございます。
 一つはシドニーの日本人学校でございますが、ここでは日本人だけの学級以外に国際学級というものを認めまして、オーストラリアの子供が入って勉強しておる。そこでは日本語ばかりではなくて、日本語の授業と英語の授業と両方あるように聞いておりますが、そういうものが一つございます。
 それからもう一つは、メキシコにございますが、日墨学院というものがございまして、ここでは日本コースとそれからメキシココースというのがございまして、メキシコの正規の学校と併設された形でございます。日本コースの方が二百八十四人の子供がいまして、メキシココースの方が四百八十八人の子供がおります。
 そういうことで、しかし、その経費につきましてはそれぞれの国が応分の負担をしておるという状況でございます。そういう先生の御指摘のようなそれにぴたりの例もあるのでございますが、一般的に申しますと、海外の日本人学校に現地の子供を入学させることにつきましては、そこで行われておるのが日本の教育でございますので、相手国の主権とのかかわりといいますか、その国の子供がその国の言葉による教育を受けられないというような反発等がありましたり、それからまた、経費の面につきましても、日本人学校は、先ほど申し上げましたように、相当額は国費で支弁されておるのでございまして、場所によりましては教室等がなかなか思うように拡充できないという、施設に非常に困難を感じておるというような点もあるわけでございまして、希望するから無条件に入れることはできないというような状況もあるようでございます。
 ただ、一般的に申しますと、先生御指摘のように、やはり日本人学校が開かれたものということは非常に望ましい次第でございますし、今後とも現地の実情に応じましては、経費負担の問題が別途あるわけでございますけれども、日本人学校としてもやはり門戸を開いていくことが望ましいのじゃないかというふうに考える次第でございます。
 先ほどちょっと申しましたイタリアのミラノにおきましては、何か日本人学校の教育内容のことが向こうの新聞に非常に大きく出たことがあるようでございまして、その点で、現地の学校では午前中で授業が終わる、日本人学校では午後までずっと授業をしておるというようなことから、現地の方が日本人学校に入れてほしいという希望が数人から出たことがあるようなことは聞いております。ただ、現在のところはまだそこまでには至っていないようでございます。
#162
○小西博行君 極端な話をしますと、先ほど申し上げたように、日本人学校へ現地の人を入れなさいという私、話をしたと思いますけれども、必ずしもそこまで一〇〇%やれなくても、先ほどの通信学校だとか、それから補習校とかいうのがございました。
   〔委員長退席、理事世耕政隆君着席〕
つまり、現地の学校の中にせっかく日本人の優秀な先生が行かれているわけでありますから、そういった意味で、日曜日であるとか、あるいは土曜日の昼からとかという形で何としても教育を、むしろ日本の文化を知っていただくといいますか、情報を流すといいますか、そういう形でもぜひ私は必要なんじゃないだろうか。そうしないと、どうしてもこれから先の外交政策という問題になりますと、誤って情報を伝えてしまう、キャッチしてしまう、そういう問題が私はあると思いますので、その辺はいかがでございますか。
#163
○政府委員(松浦泰次郎君) ただいまの点でございますが、文部省におきまして、外国の方が日本語を勉強する場合にどうしたらいいかというようなことは、文化庁あるいは国語研究法等でも研究いたしておりますし、また外務省の方でも外国人に対する日本語の普及につきましてはいろいろな面で努力されておるところでございますが、ただいまの先生の御指摘につきましては、私どもも平素いろいろな機会に日本語をもっと勉強したいというような声を聞くことが多いのでございますが、そういうふうになれば非常にいいんではないかというように感じます。ただ、日本人学校の場合は週日の授業でかなり先生の負担もみっちりとやっている関係がございまして、どの程度余裕があるかと思うのでございますが、特に補習学校の場合にはこれは土、日に集中的に教えますので、ふだんの日がかなり先生が余力があるというように聞いております。そういうような場合には先生方が現地の要望に応じて日本語などの勉強を指導されるということは非常に結構なことじゃないかと思うのでございますが、今後機会を見まして先生御指摘のような方向で、現地の事情が一々は違っておる面もあろうかと思いますが、私どもとしましても留意してやっていきたいと思います。
#164
○小西博行君 とにかくその辺は将来の外交政策という非常に広い立場でひとつ考えて、ぜひとも強力に進めていただきたいというのが私の希望でございます。
 さて、三点目になりますけれども、こうやってそれぞれの国で勉強をするわけでありますけれども、いよいよ日本に帰るという問題があると思うんです。つまり受け入れ体制の問題ですね。これは私は当然日本の場合は四月入学ということがございますでしょうし、向こうの場合は九月ということもございますけれども、どこの学校で実際受け入れしているかというのは大体データとしてはいただいているわけでありますけれども、いろいろな問題点が私はずいぶんあるというふうに聞いているわけでありますが、その辺の実情はどうでございますか。
#165
○政府委員(三角哲生君) 小西委員のお手元にもデータがおありのようでございますので、簡単に申し上げますが、五十四年度に海外から帰国して高等学校に転入学した者が五百八十一名ございます。文部省としては、やり方としましてはかねてから公立と私立の高等学校について帰国子女教育研究協力校という形で指定させていただきまして、帰国した子女が日本の国内の学校教育にできるだけ早く適応していくようなそういう指導を研究もし、かつその実践もしていただくという形で努めておるわけでございますが、
   〔理事世耕政隆君退席、委員長着席〕
これらの高等学校におきましては、帰国子女のために入学定員の別枠を設けましたり、あるいは先ほど御指摘の入学の時期としては、学年当初の四月だけでなくて九月においても受け入れを図るというようなことをしていただきまして、入学についても特別の配慮をしていただいておる協力校が少なからずあるようでございます。またこのほかに、御案内と存じますが、国立の東京学芸大学附属高等学校において帰国子女のための特別学級を設ける、これは国としてもやはりこういう問題に取り組もうという一つの姿勢でございます。
 それからさらに昭和五十二年度からは、新たに私学の協力も得まして、帰国子女の受け入れを主目的とする私立の高等学校を設置するということで、本年までに暁星と国際基督教大学と同志社でもってそういうことをやっていただきまして三校が開校いたしましたが、これに対しましては、通常の私学助成とは別の特別の助成を行った次第でございます。
 ただ、これの教育をこういうような取り組みで、いろいろな学校の大変な御協力を仰いで進めてきておりますけれども、やはり海外での経験、これがその長さとかそれから行っておられた場所柄にもよりますし、それから先ほど来の御質疑にあります日本人学校に行っていたケースと、それから現地の学校に行っていたケースと、いろいろ子供によって状況が違いますので、これに一々対応していくのには、それは御指摘のようにいろいろな問題点があるかと存じますが、それらについてやはり具体的に取り組むという体制として以上申し上げましたようなやり方でこれまで展開してきたわけでございます。
#166
○小西博行君 もう一つの問題は、やはり受験戦争だというふうに私考えるわけです。海外でせっかく伸び丙伸びと豊かな経験を身につけて、そしていまから勉強したいという感じで、中には希望を持ってやっておられる方もいらっしゃると思うんでありますけれども、どうしても日本の高等学校に入りたい、入らなければいい大学へも入れない、そういう焦りから、両親とは離れて自分一人で帰ってしまわなきゃいかぬというような現実問題が私はあるように聞いているわけでありますけれども、この点で、例の高等学校、つまり大学を受ける資格という意味では、IBという、バカロレアですが、このシステムがありますですね。これは中学の場合は、いまのところはまだございませんですか、そういう種類のものは。
#167
○政府委員(三角哲生君) 中学の場合には、何らかの事情で義務教育の課程を終了していない方々に中学校の終了と同等の資格を認定する試験というものはいたしておりますけれども、これはごく例外のケースで年々百二、三十人の方々がお受けになるというもので、ちょっとただいま御質問の趣旨とはまた別個のことになるかと存じます。
#168
○小西博行君 そういう意味では、いまのは卒業ということはほぼ間違いないんだと思うんですが、問題はやっぱり、受験、つまり上級の高等学校へ何としても入りたいというのが実は大きな問題でございますね、どうしても。私は、そういう意味で、この受け入れ体制ということにおきましては、先ほど申されたように、同志社その他でずいぶん手を打ってやっていただいていると思うんですが、国立ですね、つまり附属高等学校、この辺が何か積極的に、入りやすいといいましょうか、その辺の個性を生かしたような受験の仕方というのは特別にございますでしょうか。推薦その他あるんじゃないでしょうか。
#169
○政府委員(宮地貫一君) 附属学校の場合にどういう受け入れ方をしているかというお尋ねでございますが、先ほど初中局長の方からもあわせてお話がございましたが、大泉の附属高等学校に帰国子女教育学級を設けるというような形で実施はいたしておりますが、希望者全体に対する対応の仕方としては必ずしも十分ではないという点が言えるかと思います。
#170
○小西博行君 先ほど一番最初に申し上げましたように、子供さんがせっかく海外の学校では得られないような貴重な体験を通じて、そして温かいいろんな部分を――私はやっぱり、単に海外の友達ができたというだけじゃなくて、ずいぶんいいものがあるんじゃないかというように考えますので、海外へ行くのが大変心配だということのないような国の施策をぜひともお願いをしたいというように考える次第であります。どうかひとつその点、よろしくお願いしたいと思います。
 そして、最後にこれは留学生でも高校生の分野について、UWCというのがございますですね。これは経団連のビルの中に事務局がありまして、実はこの間そこへ行っていろいろ聞かしていただいたわけでありますが、現存は英国、カナダ、シンガポールにそれぞれ学校がございまして、大変ユニークな教育をやっておられる。しかも、この高等学校は二年生の九月から向こうへ留学生として参りまして、そして二年間向こうで勉強して、そして帰る人もいますし、同時に向こうで向こうの大学へ入ってしまう、こういう方もたくさんいらっしゃるというふうに聞いているわけですが、私が大変感心したのは、追跡調査をかなり綿密にやっておられるということが一番私は感心した要素の一つだったんですね。しかし、残念ながら人数が非常に少ないんですね。ことしは大体九名ぐらいだという話を聞いたわけであります。これはもちろん経済界の方々の寄付金によって、奨学金という形でもう満額めんどうを見る。一年間に大体二百万というように私この間聞いたわけでありますけれども、こういう学校がほかに三つほど、AFSだとか、それからYFUですか、それからCIEEと、こういうふうにそれぞれ学風はあるわけでございますけれども、その辺の実情を、もうあと少ししか時間がございませんが、お話をしていただきたい。そして特徴がもしございましたら、その留学制度の特徴をぜひお願いしたい、そのように思うわけです。お願いします。
#171
○政府委員(松浦泰次郎君) いま先生の御指摘のとおりでございまして、UWC以外にAFS、YFU、CIEEというようなところで日本からそれぞれの国に派遣しておりますのが年間八百二十五人ございます。それから受け入れが、そういう機関を通じまして四百六十名日本に参っておる次第でございますが、高等学校段階でそういう交流をするということは、言葉の問題を克服できるというような点においては、大学に大体進学するというようなことが通常であろうかと思いますが、非常に有利な点があるわけでございます。それも一つの特徴ではないかと思う次第でございます。
#172
○小西博行君 お話を聞きますと、このUWCは大変優秀な子供さんでなければ選考に出られないといいますか、試験に受からないという話を聞いているわけであります。いろんなPRをしている、あるいは学校長の推薦によって試験によっていくのだという話も聞いておるわけでありますけれども、これは現在は、先ほど申し上げましたように、各財界の寄付金ということで非常にユニークな教育をやっておられる。しかもその就職先までかなり詳しく追跡をやっておられまして、本人たちに会っていろいろ聞きましても、大変いい勉強をしてきたんだということをおっしゃるわけであります。できればこういう種類のものをもっと国が積極的に推進できないものだろうか。現在九名でございますから、せめてこれが二十名、三十名ぐらいの規模で海外へ出してあげられることができたらなというのが実は私の実感でございましたのですけれども、そういうものに対する考え方、これ以外でも結構でございますが、何かございませんでしょうか。
#173
○政府委員(松浦泰次郎君) 実は、やや残念に思うのでございますが、現在時点におきましては大学学部それから大学院レベルの留学生につきましても、先般この委員会で御指摘ございましたが、ほかの国に比べましてまだやや少ない点がございまして、現在それの拡大に全力を注いでおるところでございます。ただ、先生御指摘のように、高校生の段階あるいはいわゆる高等専門学校というような段階につきましても問題があるわけでございまして、現在私ども留学生問題を委員会をつくりまして検討をいただいておるところでございますが、一つの課題として私どもも検討してまいりたいと考える次第でございます。
#174
○小西博行君 最後に申し上げたいんですが、きょういろんな質問をさしていただきました。特に海外子女という問題を中心にやらしていただいたわけでありますけれども、当然これはむしろ日本から外国へ留学するという部分の話でございまして、今度は逆に海外から日本にどんどん留学生を迎え入れる。調べてみますと必ずしも十分でないという実情もございます。これはまた次の機会にさせていただきたいと思うんでありますけれども、せっかくそういう日本以外の広い視野に立った勉強ができる機会をお父さんあるいはお母さんの事情でもってできたわけでございますので、できるだけ私は、先ほども申し上げた月謝の問題、その他費用の問題、あるいは帰ってから先の進学の問題、こういう問題に対しては本当に事務的な手続だけじゃなくて、文部省の方でも積極的にこの問題は進めていただきたい。そのことが一つ日本だけのいままでやってきた教育とは違った、何かそこに新しい効果が生まれるんではないか。そういう意味で、一番冒頭申し上げたように、教育の効果という問題をこれから先ぜひとも――われわれの仕事でもあると思うんでありますけれども、文部省でもその問題に対してどういう効果評定したらいいんだろうかという、これは大きな問題でありますけれども、過去もあんまりそういう問題については考えておられないような気がしてならないわけであります。
 最後に申し上げます。この問題をぜひひとつ考えていただきたい、そのように思います。
 大変きょうはありがとうございました。
#175
○政府委員(三角哲生君) 冒頭御質問いただいていたわけでございますが、そして、必ずしも今日の問題意識と一致していることではないかと存じますが、私どもとしては、御承知のようにこのたび小学校、中学校、それぞれ学習指導要領を新しくいたしまして、小学校はことしから、中学校は来年から実施するということでございますので、これの実施状況のフォローアップはいたしたいということで、新教育課程の実施状況調査という形で、来年度の概算要求で必要な経費をお願いいたしておりまして、これは各教科にわたりましてそれぞれの指導要領が定めております到達度をどの程度まで理解し、こなしていただいてもらっておるかということも調べ、それからあわせて調査研究協力校というような形で、ペーパーテストになじまないような事柄につきましてはもう少し実態を観察するような形で、サンプルではございますけれども、確かめてまいりたいということを考えてございます。
 なお、海外子女教育で、帰ってきた子供さんたちのその後がどうであるかということについては、実はある団体に委嘱しまして調査を進めてもらっておりまして、もう資料がまとまっておりますので、ごく近々にこれを発表いたしたいし、お手元にもお届けしたいと思っております。
#176
○小西博行君 終わります。
#177
○委員長(降矢敬義君) ちょっと速記とめて。
   〔速記中止〕
#178
○委員長(降矢敬義君) 速記開始。
#179
○佐藤昭夫君 本日、私は教育予算の問題を中心に幾つかお尋ねをいたしたいと思いますが、まず大臣に早速お尋ねをしますが、文部省の五十六年度の概算要求についてでありますが、片や防衛費等は別枠扱いとして、五十五年度対比九・七%の伸び、自衛隊員のベースアップ等を加えますと一二%の伸びだと。しかし、文部省については六・六%と、各省庁の中でも最低の伸びの部類となっていると思います。
 大蔵省は、当初各省庁の概算要求は七%台に抑えるんだという発言をしておりましたが、いわば文部省はこの大蔵省の方向さえみずから切り下げるような六・六%ということで大臣として判断をした根拠は何ですか。
#180
○国務大臣(田中龍夫君) この計数はまたさらに詳細事務当局から御説明をいたしますけれども、大蔵当局の方へ概算要求に対しまする各省庁の限度いっぱいまで要求をいたしたわけでございます。さらに、それが計数整理いたしましてこの六・六の線に落ちついたと。限度いっぱい要求してある。つまり許容範囲をいっぱいにまでわれわれの方は主張いたした次第でございます。
#181
○佐藤昭夫君 何かありますか。
#182
○政府委員(鈴木勲君) いま大臣の申し上げたとおりでございますが、若干補足を申し上げますと、本年の七月二十九日の閣議了解によりまして、政策経費につきましては先生御指摘のように七・五%が要求の限度枠であったわけでございますけれども、その他の一般行政経費につきましては前年度相当額、伸び率ゼロということになっておりますので、それらを合わせますと六・六%増と、限度いっぱい文部省としては要求いたしたわけでございます。ちなみに、昨年度の政策経費の限度枠は一〇%でございまして、それと一般行政経費の前年度相当額ゼロ%を合わせまして八・七%の要求限度の中で五十五年度の予算要求はいたしたわけでございまして、文部省といたしましてはその枠内でぎりぎりの限度いっぱいの要求を行いましたという状況でございます。
#183
○佐藤昭夫君 ただいまのような説明でありますが、限度いっぱい必要なものは概算で出したと、しかし後から触れますけれども、国民の要求に照らして非常に重大な問題があるんじゃないかというふうに思うんでありますけれども、いずれにしても各省庁対比してみた場合に文部省概算要求が最低の部類になっているのは歴然たる事実でありますし、そうした点で、これはいよいよ査定、閣議決定の段階に向けて文部省として一段と考えてもらう必要があるということをまず最初に指摘をしておきたいわけであります。
 そこで、いわゆる「歳出百科」などで当面焦点になっている若干の問題、同僚委員も触れられた問題でありますが、私からも幾つか重ねてお尋ねをしたいと思いますが、「歳出百科」の「教育予算総論」で「教育について公費負担を行うべき範囲はどこまでか、また公費負担を行うとしても国と地方公共団体の負担区分をどう考えるか」という問題を提起をしながら、教科書の有償制度についての検討を強調しているわけであります。この問題については同僚委員の質問もありましたが、文部省としては憲法第二十六条の無償原則、これを狭い意味ではなくて、極力学用品も含めて無償に持っていくそういう方向で努力もしてきたし、今後も努力していくんだという見解も出されているわけでありますけれども、重ねて確認をいたしますが、文部大臣、大蔵省からどのような圧力があろうとも文部省としては教科書無償原則を堅持をしていくというふうに確認をしてよろしゅうございますね。
#184
○国務大臣(田中龍夫君) 前回からこの点につきましてはたびたび申し上げておりますけれども、文教政策をおあずかりいたす者といたしまして、ただいま御質問のとおりに、この憲法の主張するところを広く解釈してあくまでもこの線を貫徹したい、しなければならないと、かように存ずる次第でございます。
#185
○佐藤昭夫君 二つ目は、いわゆる四十人学級の十二カ年計画の期間短縮の問題でありますけれども、「歳出百科」は「短縮することは考えていません。」というふうに、全く財政的な理由だけから明言をしているわけでありますけれども、さきの通常国会で私どもの党は五カ年計画による四十人学級実現を主張してまいりました。いろいろ議論の末、十二年計画の短縮見直しということが確認をされてきたそういう経緯をたどっているわけでありますけれども、そこで、午前中の本岡委員の質問に対しての御答弁でもありましたけれども、一つは、文部大臣にお尋ねをしますが、この十二年計画の期間短縮についての決意のほどはどうですか。
#186
○政府委員(三角哲生君) ただいまお話のございましたように、日本共産党の方は五年ということで御提案があったわけでございますが、私どものこの法改正に基づきまして設定しました計画は十二年計画ということでございます。これは当時からるる御説明申し上げておりますように、非常に財政状況の厳しい折からではございますが、長年の懸案でございましたのでこの四十人学級というものの計画をスタートさせるということにあえて踏み切ったわけでございますが、そのやり方といたしましては昭和五十五年度から実施でございますが、五十五、五十六、五十七と、先ほどの本岡委員の御質問にお答え申し上げましたように、教員の非常に多数のいわゆる自然必要増ということがございます。そういったことも勘案いたしまして、四十人学級はできるだけ当初は児童生徒の減少に伴う教職員定数の自然減を活用するということで、人口の減少傾向にある市町村について実施する、実質的にその他の市町村については五十八年度から学年進行をもって実施するということでスタートしたわけでございますので、これは計画完成までに十二年を必要とするわけでございまして、政府といたしましてはこの当初の計画ができるだけ円滑に推進、実施されるように相努めたいと思っておりますが、この計画の短縮はただいまの時点では考えておらないということでございます。
#187
○佐藤昭夫君 それはちょっと議論の経過と答弁違っているんじゃないですか。三年後に見直しをすると、その内容、角度は十二年計画の短縮という角度からやるんだというふうに午前中答弁しておったじゃないですか。
#188
○政府委員(三角哲生君) 三年後に云々というのは、社会党、民社党、公明党三党の自民党に対する予算委員会当時の申し入れがございまして、それを受けて自由民主党の方でお考えになりまして、さらにその趣旨が附帯決議に盛り込まれておるわけでございますが、これはおおむね三年後におきまして各般の状況を勘案し、その後の計画につき検討を行うということでございますから、それはその時点で各般の状況を勘案して、それは短縮ということも検討の一つの視点になるかどうかということはあり得ると存じますけれども、ただいまのところは、先ほども御答弁申し上げておりますように、政府の計画は十二年間の計画ということで始めたばかりでございますので、この十二年計画をできるだけ円滑に進めてまいるというのが私どもの考えでございます。
#189
○佐藤昭夫君 高等学校における四十人学級実現の問題についてもいろいろ議論をされてまいりましたけれども、まあいわばある意味では小中学校以上に暴走族だとか非行だとか学力の格差だとか、緊急解決を要する問題を抱えているわけでありますけれども、これも午前中の答弁で十二年計画の、いまのあなたの表現によれば総合的検討ですか、いわゆる見直し、その段階で高等学校の四十人学級問題も含めて検討をするということですね。
#190
○政府委員(三角哲生君) 私どもとしては、先ほども答弁申し上げたわけですが、附帯決議の趣旨の中には小中学校のほかに高等学校も含まれておるであろうというふうに解しておりますので、そのようにお答えをしたわけでございます。
 ただ、高等学校につきましては、これはまた大変な状況がまだあるということでございまして、これは高等学校の生徒の急増ということはただいまもうすでに起こっておりますが、これがまだ大分後まで続くという状況がございますので、私どもはそういった点をにらみながら物事は考えなければならないというふうに思っております。
#191
○佐藤昭夫君 次に、私学助成の問題でありますが、「歳出百科」はこういうふうに書いているわけです。現行の私学助成方式が、定員、給与水準等について何らの規制もない実支出額の一定割合を追認的に補助するので適切でないとか、私学経費の二分の一補助は一部の議論だということを書いておるわけですけれども、しかし、これはまあいわば二分の一補助を目指すということは国会の決議もある問題でありますし、まことに国会の決議を冒涜するけしからぬ暴言だというふうに言わなければならぬと思うんです。その後も私学助成の一層の充実を望む要望というのはますます全国的に強まっている。国会に出されてくる各種請願署名の数を見ましても、私学助成の請願署名というのは一番たくさん国会に毎期寄せられておるということは御承知のとおりだと思いますが、またいま私の住んでおります京都でも、清水寺の管守の大西良慶さん、同志社大学元総長の住谷悦治さん、推理作家の山村美沙さん等々、こういう方を代表人として、京都府に向けて、私立学校の経常費経費に対する助成に関する直接条例制定請求、こういう運動も大きく始まっておるという段階でありますが、文部省にはっきりお尋ねをしておきたいと思いますのは、この経常費の二分の一を目指す助成を行っていくというこの原則、方針を、まさかどのような大蔵省の圧力があろうとも放棄をするということはないでしょうねということが一つと、それから昭和何年度にこの二分の一に到達をさせるということで今後引き続き努力をやっていくのかというこの二点についてお尋ねをします。
#192
○政府委員(吉田壽雄君) 私立学校振興助成法におきましては、御案内のように、私立大学等の教育、研究にかかる経常的経費の二分の一以内を補助することができると、そういうふうに規定されております。二分の一以内を補助することができるというふうになっておりますが、政府としましては、この趣旨に沿いまして年々経常費補助の拡充を図ってきているところでございまして、専任教員あるいは専任職員の給与費とか、あるいは教員経費、学生経費等、経常費補助の主要なものにつきましては、すでに二分の一補助を達成している、そういう状況でございます。今後とも財政事情の許す限りその充実に努めてまいりたい、こういう所存でございます。
 なお、御質問に係るいつまでに二分の一を達成するかということでございますが、こういう御承知のような財政事情大変厳しい中でございますので、いつまでにというような、何カ年先というようなことは、現在まだそういうことは考えておりません。しかしながら、なるべく私どもはそういうところに向かって逐年拡充してまいりたい、こういう考えでいるわけでございます。
#193
○佐藤昭夫君 大臣どうでしょうか、この二分の一の到達を目指す言うなら年次計画ですね、これについて本来であれば、国会決議等の関係でいけばもうつとに二分の一に到達をしていなければならない問題。で、四十人学級の問題についても、最初は文部省は五年計画とか六年計画ということを言っていた。まあ、残念ながらこれが十二年に延びたという形になっていますけれども、当然国会決議に対して文部省として責任を負っていくという見地からいえば、いろいろ財政上の困難はあるでしょうけれども、少なくとも昭和何年までぐらいには二分の一に持っていきたいという文部省としての責任ある態度を国民の前に打ち出すべきではありませんか。いますぐここで何年ということを私、答えは得られそうにありませんけれども、そういう検討を文部省としてやるべきじゃありませんか、大臣どうでしょうか。
#194
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま事務当局から御説明をいたしましたが、当省といたしましては、今後ともに財政事情の許す限りその充実に努めてまいりたい所存でございます。
#195
○佐藤昭夫君 どうもすれ違いの答弁ですけれども、私の言っている意味わかると思うんですよ。ですから、この席で昭和何年までにということを言えと言ったってどうもお言いにはなりそうにならない状況ですけれども、国民に国会決議の関係で責任を負っていくという立場から、文部省としては遅くとも何年までぐらいには二分の一に持っていくという、こういう方針を打ち立てる検討をやるべきだということを重ねて大臣に要望をしておきたいと思います。
 国立大学の授業料問題ですが、ここ数年文部省は毎年のように授業料、入学金等の学費の値上げを進めてきているんですが、そこへ加えて、大蔵省は「歳出百科」で、国立大学の授業料について、私学との格差があることを口実にして全般的な引き上げを訴えるだけでなく、「学部間で格差を設ける問題についても、検討の余地がある」ということを「歳出百科」で書いています。現に七月九日付の日経によりますと、大蔵省はすでに来年度から授業料を文科系、理工系、医学系の三種類に分けて、特に理工系、医学系を引き上げる方針を固めたというふうに報道をされておりますけれども、このようなことを文部省としてはつかんでおられるのか。そして、こういう動きに対して、私は全く不当な態度と思うんですけれども、文部省の見解、当然大蔵省に対しての、こういう方針は文部省としては受け入れがたいという申し入れを行ってもらうべきじゃないかというふうに思いますが、どうですか。
#196
○政府委員(宮地貫一君) 国立大学の授業料についてのお尋ねでございますが、私ども、国立大学の使命といいますか、考え方といたしましては、国家的な、社会的な見地から各種の学問分野あるいは専門職業分野等を考えまして人材養成を行うという、そういう使命を担っているものと考えております。したがいまして、国立大学の授業料にただいま先生御指摘のようないわばコスト主義というような経済的視点を強く導入するというようなことについては、能力に応じた教育機会を縮小することにもなりかねませんし、また経済力の差によって人材の分野別な偏りを招くおそれが強いというぐあいに考えておりまして、私どもとしては賛成いたしかねるというぐあいに考えております。
#197
○佐藤昭夫君 次に、大学における研究費問題について若干質問をいたしたいと思います。
 大学におけるいわゆる経常的、基礎的な教育研究活動の予算措置としては校費というものが計上されておりますが、その内容は大別して、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費、設備費、光熱費などその他諸費という四つに大別をされておると思いますが、ところで本年、電気代、ガス代の大幅値上げのために光熱費が非常に膨張をしてきている、この点を含めて五十六年度概算要求では校費について六百九十三億、五十五年度対比で一三・六%の引き上げ要求をしているというふうに伺っているんですが、まずこの点こういう理解でよろしいか。
#198
○説明員(植木浩君) ただいま先生がおっしゃいましたように、光熱水費がかなり大幅に値上がりをしておりますので、そういう点も配慮いたしまして、学生当たり積算校費並びに教官当たりの積算校費についてはそれぞれ増額を図っております。学生当たり積算校費におきましては、総額にいたしますと五十五年度に比べて五十六年度は一一・一%増、それから教官当たりの積算校費は一〇・三%の増になっております。
#199
○佐藤昭夫君 そこで、光熱費が膨張をしてきている。概算要求としても、全体としては文部省六・六%。しかし、校費の部分についてはそれの約二倍ぐらいですね。そういう要求をしているんだということでありますけれども、当然本年度の、五十五年度のすでに予算が確定をしておる研究費について、同じように電気ガス代の値上げのために大変な不足を来してきているということで、国立学校の関係でどれぐらいの額の不足が生まれてきているか、どういう算定でしょうか。
#200
○説明員(植木浩君) いま先生御指摘のように、かなり光熱水料等が大幅に値上がりをしておるということで、文部省も先般実態調査を国立大学等について行いました。その結果、まだ見込みでございますけれども、五十五年度にどのくらい光熱水料や燃料費がかかるかということを一応推算いたしております。それを五十四年度の実績と比較いたしますと、百十三億ほど五十五年度はよけい光熱水料、燃料費がかかるということになっております。
#201
○佐藤昭夫君 私、ちょっといろいろお聞きしておるんでは、百八十億ぐらいじゃないかというふうに聞いておるんですが、いま百十三億というお話ですけれども、ともかくかなり光熱費の膨張のために大学の研究予算が窮屈になってきていると。そこで、ただでさえ窮屈な大学の研究活動、これがそういう形で圧迫をされてきているわけでありますから、当然、大臣、五十五年度の追加予算の問題、これは全国的に見れば冷害に伴ういろんな補償、援助の問題等々ございますけれども、大学の研究費の問題についても――大学病院の問題もありますが、当然五十五年度追加予算の、文部省としてひとつ検討の俎上に上せていくと、大蔵省との協議にもっていくということで積極的にやっていただく必要があろうと思うんですが、どうでしょうか。
#202
○政府委員(鈴木勲君) ただいまの計数につきまして病院の経費等入れますと先生のお挙げになりましたような数字になるわけでございます。確かに光熱水料等の値上がりによりまして大学におきます研究あるいは経営等に問題が生じておりますので、文部省といたしましては現在実態調査をしておりまして、その結果を待って、執行上の工夫等を含めまして今後どういうふうに対応するかということを検討いたしたいと思いますし、またその実態等につきましては、大蔵省ともその都度実情を説明して折衝しているところでございまして、この実態の調査をしっかり踏まえましてから対応をいたしたいというふうに考えている次第でございます。
#203
○佐藤昭夫君 そこで、先ほどもお尋ねをしたら説明があったわけですけれども、五十六年度の概算要求について、光熱費の膨張も含めて、校費について一三・六%の引き上げを概算要求で出していると、この中身として教官当たり積算校費、これは教官の定員増も含まれていますから、それ含めて一〇・三%。ですから、ネットの基準でいくと八%アップという要求をしているということですけれども、ところが、昨年の予算の経緯を振り返ってみますと、昨年も同様に八%アップをして、査定、閣議決定は二%というところへ落ちたという経過があるわけですけれども、もしことしも昨年と同様な形で、結果として二%かゼロかと。せいぜい二%というようなところにもしとどまるとすれば、光熱費がうんとふえてきているんですから、大学における研究活動費というのは昭和五十四年度よりも実際は後退をしてしまうという重大なことになりかねない。こう見ていきますと、八%アップというのはもう最低の歯どめとして何としてもこれを死守をしていく。日本の将来に向けての大学の基礎的な研究を守り、発展をさしていくという角度から、大臣としては査定の段階で大いにがんばってもらう必要があると思いますけれども、その決意のほどを聞いておきたい。
#204
○国務大臣(田中龍夫君) 今日の日本として最も重大な案件は、大学におきます高度の研究関係であります。就任以来その問題につきましては真剣に取り組んでおる次第は御承知のとおりでありますけれども、ただいまの問題につきまして御趣意のとおり私も同感でございます。
#205
○佐藤昭夫君 いわゆる国立大学における定員外職員の問題について次にお尋ねをしたいと思いますが、文部省は、ことしの五月、定員外職員の賃金頭打ち改善に関する通知、こういうものを出されたわけでありますが、いわば若干遅きに失したという感もないわけではありませんが、長年の大学職員の要望を取り入れた積極方向として私も強く支持するものでありますけれども、現在各大学としてこの通知に基づいて定員外職員の賃金改善を決めている大学は幾つあるのか。まだ数が少ないんじゃないかと思いますが、文部省として積極的な督励、指導をやってもらう必要があると思うんですけれども、どうでしょうか。
#206
○説明員(齊藤尚夫君) 国立大学等の定員外職員の待遇の改善の問題についてのお尋ねでございますが、今回の待遇改善の措置は文部省と協議の上これを実施するということといたしておりまして、現在のところ七つの大学が協議をいたしておる段階でございます。事実上長期にわたって日々雇用職員を再雇用している大学はすべての大学でございませんで、およそ二十大学程度というふうに判断しておるわけでございますが、そのうち約三分の一が現在雇用しておるという段階でございます。
#207
○佐藤昭夫君 およそ三分の一ということでありますから、せっかくの方向が出たんでありますから、できるだけ早くひとつすべての大学、多くの大学でそれが実施されていく方向での指導を強めていただきたいと思うんです。
 それと、この通知の内容が確かに改善ではありますが、頭打ち改善を三分の二にとどめるという形になっているということやら、いわゆる一〇〇%の改善にはなっていない。そのほか退職金の問題とか、共済組合加入資格の点、こういう点では依然として不利は残っていると思うんですけれども、これらの点について引き続き改善方向についての検討はなさるんでしょうね。
#208
○説明員(齊藤尚夫君) 今回の給与の改善につきましては、他の常勤職員の取り扱い以上にいわば優遇措置、大変特例的な措置を思い切って実施をいたすということといたしたわけでございます。非常勤職員の給与の改善については、不断に検討を進めていかなければならない課題であるとは存じますが、当面、今回の改善措置で一応の本年度の措置は終わりにいたしたいというふうに考えております。
#209
○佐藤昭夫君 しかし、この賃金の問題もさりながら、いまも触れました退職金、共済組合加入資格の点でこれは根本的不利が残っているわけですから、そうした点も含めてこれはぜひ検討をやってもらう必要があると思うのです。
 それともう一つお尋ねは、今回の通知の重大な盲点というか問題点、これはすでに各大学に配分――配分というか、予算上配分をされておる予算の枠内、いわば校費の枠内で賃金改善の原資を賄いなさいという形になっているわけですけれども、こうしますと、先ほど上げました光熱費の膨張で窮屈になってきている。加えてこの問題が加わるということになれば、これは一層大学における研究活動費の困難を来たすことはもう目に見えていると思うのですね。そこの問題を解決をしないと大学の中における職員と研究者の矛盾が非常に大きくなってくる。こういう意味から先ほど御答弁いただいたわけですけれども、五十五年度追加予算要求をこれから協議に上せていこうと思うんだということでありますが、この問題も含めて、しかも、それはまあ全額とは言わないにしても、多少なりともこの問題も要素の一つに加えて追加予算要求をしていくという方向を文部省としてとってもらう必要があるんじゃないかと思いますが、どうでしょう。
#210
○政府委員(鈴木勲君) 御指摘の点でございますが、定員外職員の給与上の措置につきましてはあくまでも既定予算の範囲内という制限があるわけでございます。また、御指摘のように、教育研究にそのことによりまして支障を来たすということがあってはならないのもそのとおりでございます。校費の中には各種の経費が積算されているわけでございますけれども、この定員外職員の問題に限って申し上げますならば、各大学等も年々努力をいたしまして、逐年定員外職員の数を減らしてまいっておりまして、その範囲内におきまして追加予算を計上しないでも対応できるような現状になっているのではないかというふうに思いますので、たてまえと実態とをあわせまして、私どもとしてはこの既定予算の範囲内で措置をすると、そういうふうに指導をしているところでございます。
#211
○佐藤昭夫君 私は、その答弁では実際問題として、さっき言いましたような大学学内における職員と研究者との矛盾、研究活動の困難が過重をするという結果がきっと出てくるということで、きょうは時間の関係でこれ以上申し上げることをやめますけれども、ぜひこれは文部省として検討課題の一つに据えてその打開の方向について研究をしてもらいたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 続きまして、障害児教育の関係で若干お尋ねをいたします。文部省はいわゆる九カ年計画案を十二年計画に引き延ばすということにしたわけですけれども、期間のみならず改善内容もいろいろ問題が出てきていると思うのです。
 これを障害児教育の関係で見れば、本岡委員の質問の中でもありましたけれども、複式・特殊学級の改善を六千八百二十人から三千二百十人、四七%に後退をしてきている。特殊教育諸学校の改善について見ますと、九千八百五十九人から五千百二十四人と五二%に後退をしてきている。そしてこの特殊教育諸学校の改善の十二年計画の、人数にすれば十二年で五千百二十四人ということですけれども、その内訳は漠としている。この学級編成の改善でどれくらいか、養護訓練定数がどれくらいか、寄宿舎定数がどれくらいか、寮母の定数がどうなるかということが十二年計画が漠としている。そして、まずいよいよ出発の初年度の昭和五十五年、五十六年について見ると、それぞれ百五十人、百五十人という遅々たる歩みで出発をする、こういうやり方で、不十分な文部省の十二年計画でも一体達成される保障があるのかということがいろいろ指摘をされておると思うのですね。これ職種別に内訳を見ますと、教員定数、これは五十五年、五十六年増員計画はそれぞれ八百人だと、十二年で一万五千二百十八人ふやすというんですから、単純な毎年同じ数平均ふやしていくということでいくと千二百六十八人になるはずです。私の計算ですと。そうすると、教員の関係は本来の平均的十二年計画に比べると六三%しかふえていかない。養護教員は同様の計算をしますと一〇五%ずつふえていく。事務職員は同様の計算で八五%ずつ一年目、二年目とふえていく。障害児学校の関係を見ますと、百五十人、百五十人ですから、これは三五%。もちろん養護教員が一人も置かれてないという学校がまだたくさんあるわけですから、こういうところを優先的にやっていくということ、これ自体を否定をいたしません。そもそも十二年計画に延ばしたということ自体が非常に問題であるわけですけれども、いま言いました教員は歩き出し六三%、養護教員歩き出し一〇五%、事務職員歩き出し八五%、障害児の関係は歩き出し三五%、この数字を見ますと、歴然としていることは、来年国際障害者年を迎えるという時期でありながら、この障害児の関係の定員増に一番犠牲がしわ寄せされてきているんじゃないかということを数字からどうしても私は指摘せざるを得ないわけです。なぜこういうことになったのか、そのちょっと理由を説明してください。重大な問題じゃないかと思うのです。
#212
○政府委員(三角哲生君) 教員定数改善の十二年計画でございますが、これはやはり児童生徒の急増の時期あるいはまた五十八年度以降の減少の時期、こういったことの兼ね合いで、やはり現実具体の施策として御審議いただきまして定めたものでございまして、先ほどちょっと申し上げましたような、国会では否決になりましたけれども、五年で実現するというような一つの案は案でございますけれども、これはやはり現実から見てどうか、率直に申しますれば非常に非現実な考えであって、私どもは十二年というのは児童生徒の増減に合わせた非常に具体的に、実施についても合理的であり、かつ現実的な案であるということで踏み切らせていただいたわけでございます。
 なお、人数についての要求と結果についての御指摘もございましたけれども、予算要求というものはやはり、要求側の省庁といたしましてはできるだけたくさんのものをということで出しておりまして、その間、いろいろな観点からの折衝、推敲、審議を経て政府原案というものが定まってまいるということは言うまでもないことでございます。
 そこで、特殊教育諸学校の関係の定数増についての御指摘でございますけれども、百五十人、百五十人という点は先ほど本岡委員からも御指摘のあった点でございます。これは佐藤委員もちょっとおっしゃいましたけれども、やはり事務職員あるいは養護教諭あるいは学校栄養職員等のないところへこれは配置を進めていくという問題でございますので、やはり私どもは、この点については心遣いをするといいますか、重視してまいらなければならない、そういうことで考えておることでございます。その上に、先ほども申し上げましたように、この計画の当初三カ年間はなお小学校、中学校の児童生徒が大変な数で増加してまいりますので、毎年九千人ないし九千五百人の定数の手当てを、措置をする必要があるということも、傍らにそういう状況もあるわけでございます。
 それから、特殊教育諸学校について、これを障害者年にかんがみてこういう手当てではどうかという御指摘でございますが、私どもは、それは一つの分析ではありましょうけれども、これをもって私どもの姿勢を御批判いただくのはどうかというふうに思うのでございます。確かに、特殊教育諸学校は重要でございます。したがいまして、私どもとしては今回の定数計画でも全体で五千百二十四人という人数を措置するように計画をいたしておりますが、これは特殊教育諸学校の一校当たり平均で見ますと、増加の人員は七・七人ぐらいになります。その他の一般の小中学校について見ますと増加の人数は二・三人ということでございます。百五十人、百五十人ということでございますけれども、私どもとしては十二年間の計画としてその後の計画をできるだけ他の要素ともバランスをとりながら円滑に進めてまいりたいと、こういうふうに考えておるのでございます。
#213
○佐藤昭夫君 あなたの答弁は取り違えているんですよ。共産党としては確かに五カ年計画を提案をした、これに比べてふえ方がのろいじゃないかという、こういうことを私言ってない。この文部省の十二年計画を土台に置いても、教員のふえ方、養護職員のふえ方、事務職員のふえ方、とりわけ障害児の教育の関係の定数のふえ方というのがテンポがおそいということに、五十五年度、五十六年度文部省の数字見てもなっているじゃないかということを言っているんですよ。それはやっぱり来年国際障害者年を迎えてこういう措置というのは大変問題じゃないか。そういうことになったというのは九カ年計画を十二年に延ばしたという、ここから当然いろんな手直しせんならぬ、どこを落とすかということの姿がこういう形に出てきたんでしょうということを言っているわけです。ですから、そこはそういうふうに取り違えてとらえられたらいかぬ。この五十五年度百五十人をふやした。で、それは養護訓練定数にしぼったと言うんでしょう。そしたら、その他の寄宿舎定数や寮母定数はなぜ改善をしなかったのか。五十六年度の概算要求百五十人というんだけれども、これは一体何の改善に使うんですか、どうですか。
#214
○政府委員(三角哲生君) 百五十人のことでございますが、本年度これを御指摘のように養護訓練教員定数に充てるということで措置をいたしましたのは、これはこの養護訓練教員に対する要望が最も強い状況であったということを私どもは踏まえましてこういうことにいたしたわけでございます。
 ただ、明年度のことにつきましては、その後のいろいろな御審議、御議論の中で他の要素についても配慮をした方がいいという御意見が出ておりますので、明年度の要求としては、これはその他の事項にも割り振ることができるような形での要求にいたしてございます。
#215
○佐藤昭夫君 あなた、私の質問をまじめに聞いているのかな。その障害児教育の関係、去年も百五十、ことしも百五十。去年は養護教諭の関係を重視する必要がありますのでそういうことを考えましたと、ことしは少し角度を変えて障害児教育の関係も重視するようにしましたと言って、数字同じじゃないですか、去年と同じ百五十、百五十と。そういう矛盾をした答弁をしたらだめですよ。私が聞いておったのは、この百五十、百五十という数字自身も問題だと、しかし、その中身に、五十五年度について言えば、養護訓練定数にしばられておって、寮母とかそういうものは含まれていない。五十六年度については、これは中身というのは何も考えてないんでしょう。各県教育委員会にぽんと渡して、そして教育委員会でひとつ適当に判断をしなさいと。しかし、教育委員会に割ったって、全国の都道府県の数に割ったらどうですか、県に大体三名足らずじゃないですか。三名ぐらいでしょう、平均。どういう前進が出てくるんですか、一年間に三人、養護障害児教育の関係で定数がふえると言ったって。もっと抜本的な措置が必要と思いませんか。
 質問を進めましょう。この文部省の計画によりますと、教員及び肢体不自由児養護学校寄宿舎の寮母の増員計画が含まれていますけれども、盲学校、聾学校、精神薄弱及び病虚弱養護学校の寄宿舎の寮母増員計画が一切含まれていませんね。これは九カ年計画のときには入っていた。十二年計画に延びたらこれがすぽっと落ちた。これはどうしても必要な問題じゃないかというふうに思うんです。なぜこういうことになったんですか。
#216
○政府委員(三角哲生君) 今年度と明年度の定数改善の計画でございますけれども、これは先刻法律御審議の際にもその状況は御説明をしてあったと思いますが、やはりこういった状況下でございますので、それにもかかわらずあえて出発をさせるわけでございますが、財政再建期間中は教職員の改善増につきましてはできるだけ抑制するという前提でいたしておりますので、私どもとしては明年度の改善増の要求は、一応今年度と同じ数で抑えた数字をもって概算要求をするということにいたしたわけでございます。
 それから、ただいまの寮母の定数の御指摘でございますが、これは現在、最低八人というものを十人まで保障しようということは、これは盲学校、聾学校等についてもそういう措置にいたしたいというのがこの計画の内容でございまして、ただ、肢体不自由については、従来四人に一人というものをさらに三人に一人というふうに改善しょうと、こういうふうに考えておるということでございます。
#217
○佐藤昭夫君 もう大分時間が迫ってきていますけれども、文部省の皆さん方、こういう事実を御存じでしょうか。たとえば長野県では、障害児の寄宿舎の寮母の――婦人の方が多いわけです。寮母ですから――流産の率が四〇%になっているという実態があるわけです。障害児学校というのは、ただでさえ普通の学校に比べていろんな苦労が多い、労働強化だと。とりわけ、この婦人の関係の健康破壊がひどいわけですけれども、そういう中で、京都府では、この障害児教育諸学校・学級における妊娠中の教員に対する児童、生徒の指導軽減措置要綱というものが一九七八年から実施をされている。同様のものを東京とか大阪とかいうところでやっているわけですけれども、これはいわば、特に冷遇されておる寮母の定員の仕組み、標準法、こういうもとで健康破壊が激しい。特に妊娠中の婦人の流産、異状が多発をしておる中から、こういうことが編み出されたわけですけれども、文部省としても、こういう方向もひとつ評価をして、すべての障害児学校の寮母についての改善計画をもう一遍よく練ってみる、検討してみるということの必要を感じませんか。
#218
○政府委員(三角哲生君) 私、ただいま御紹介の実態はよく承知はしておりませんけれども、やはり、特に肢体不自由な子供たちの介護等をする場合には、いろいろな意味で体を使うというようなことが当然伴いましょうから、通常の仕事よりは大変であろうということはわかるのでございます。
 そういうことで、先ほども御説明申し上げましたが、寮母の定数につきましても、肢体不自由の場合については特に、通常の場合以上に配置をよくするという計画にいたしておるわけでございまして、これによりまして、たとえば夜交代で泊まるというような関係の事柄も、その泊まる度合いが、一週間にできるならば一回、回り合わせによりまして、何週間の間には一週間に二回という日も出るようでございますけれども、そういったことも勘案して、改善計画を立てているわけでございます。
#219
○佐藤昭夫君 改善計画を立てている、それが不十分だから、もう一遍練り直しなさいと言っている。障害児学級というのがあるのですね、学校でなくて。これは子供の数でいいますと、七九年五月一日現在、十一万五千七百十九人、全障害児の五六・五%が障害児学級というところで勉強している。この障害児学級に関する十二年計画についても多々問題があるわけです。これは京都の……
#220
○委員長(降矢敬義君) 佐藤君、時間が来ましたので……。
#221
○佐藤昭夫君 はい。もう簡単にとどめますけれども、木幡小学校という一つの学校の例ですけれども、この障害児学級、男四人、女四人、そのうち一人は三年生で、重度の知恵おくれ。一人は二年生、自閉的傾向。一人は一年生、身体不自由児。一人は六年生、緘黙児。それから一年に二人、三年に一人、六年に一人ということで、トータル四人の知恵おくれ。私が言いたいのは、この八人、さまざまな障害の性質の違い、年齢の違い、発達段階の違い、それを一くくりにして、一学級一人の担任で教えるという形になっているわけですね。こういう形で、本当に障害の性質の違う子供を一くくりでうまいこと教育が進むのかと、こういう問題があるんです。どうしてもこの問題については、本当を言えば、障害の性質のそれぞれの違いに応じて教員が配置される、少なくとも当面の措置として、一学級に二人の、複数の担任を配置をするということがどうしても必要じゃないかということを、かねがね私どもとしては提起をしてきているのですけれども、この問題についてどうでしょうか。
 そのほか時間の関係できょう触れることができませんでしたけれども、たとえば訪問教育、次回もまた取り上げたいと思いますけれども、これについては週二回…………。
#222
○委員長(降矢敬義君) 佐藤君、時間が大分過ぎました。
#223
○佐藤昭夫君 はい。一日に二時間ということしか訪問教育ができないという、こういう訪問教育の定員の不足の状況ですね。
 で、私は、最後に質問といたしましては、さっき尋ねました障害児学級の定員についての改善を検討をしてみる必要があるんじゃないかということを、これを局長に。
 最後に大臣にお尋ねをしますのは、いろいろ例を挙げて申しましたけれども、来年国際障害者年ということを前にしてこうした――私は理事会に当委員会としてひとつ障害児教育充実の特別決議をしようじゃないかということの御相談をかけているのですけれども、とりわけ来年を前にして障害児教育の充実強化を目指す一段の文部省としての検討を、大臣、号令をかけて、ひとつやってほしいという、これ御両名に質問をして私は終わります。
#224
○委員長(降矢敬義君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#225
○委員長(降矢敬義君) 速記を起こしてください。
#226
○政府委員(三角哲生君) 個別にはいろいろなケースがときどきあるのであろうと思いますが、私どもはやはり障害の程度、状況によりまして、先刻御案内のように、県並びに市町村の就学指導委員会というようなところで十分な検討をしていただきまして、親の希望も聞いた上で、適切な就学指導が行われることを期待しておりますから、子供によりましては、特殊教育諸学校に、あるいは特別学級にということで、そこのところは適切にやっていただきたいと思っておりますが、ただいま御指摘の学級の子供の定数の問題でございますが、これまた長いこの努力を経て、かつては十五人であったものを十三人、それから次に十二人と改善いたしまして、今回の改善計画では、特殊学級は一学級当たりそれをさらに十人にするということにいたしているわけでございますが、そして御指摘に関連して、障害種類別の学級編制基準をつくるというような考えは、いまのところは持っておらないのでございますが、ただ、いろいろな子供がまざっているというようなケースについては、これまた、それなりの配慮も必要かと存じますが、特殊学級は、また、子供が多い場合には障害別に学級編制できることになっておりまして、そうして特殊学級の学級編制基準というのは、これは一学級の上限を決めているものでございますから、実態としては、一学級の児童生徒数の平均をとりますと、この上限でありますところの学級編制基準よりはかなり低い数字になっておりまして、ちなみに小学校の場合には一学級平均が五・五人、中学校の平均が五・七人ということでございます。私どもは、先ほど来申し上げておりますように、この定数の改善計画、十二年間の計画をできるだけ円滑に進めていきまして、この改善措置を実現したいと、こう思っております。
#227
○委員長(降矢敬義君) 文部大臣、ありますか。
#228
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと詳細な御意見を承りまして、まことに教育の現場、特に障害児教育につきましては胸の痛む思いがする次第でございます。
#229
○委員長(降矢敬義君) 以上で本調査に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト