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#1
第093回国会 文教委員会 第7号
昭和五十五年十一月二十日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月十九日
    辞任         補欠選任
     片岡 勝治君     本岡 昭次君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬義君
    理 事
                大島 友治君
                世耕 政隆君
                粕谷 照美君
                下田 京子君
    委 員
                井上  裕君
                田沢 智治君
                内藤誉三郎君
                仲川 幸男君
                松浦  功君
                吉田  実君
                小野  明君
                本岡 昭次君
                柏原 ヤス君
                高木健太郎君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
   政府委員
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省社会教育
       局長       高石 邦男君
       文部省管理局長  吉田 壽雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○放送大学学園法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十九日、片岡勝治君が委員を辞任され、その補欠として本岡昭次君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(降矢敬義君) 前回に引き続き、放送大学学園法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○本岡昭次君 先般、文部大臣より放送大学に関係する法案の提案説明をこの文教委員会で受けました。また同時に提出されていた関係資料も読ませていただきました。私にとって初めての放送大学法案でございますので、きょうは、もうすでに衆議院でもこの参議院でも論議されたことに重なっていくかもしれませんが、率直に私が疑問に思うこと、理解のできないこと、また私の考えなどを織りまぜて、初歩的な質問を広く全般的にさせていただきます。
 法案の内容を細かく各条ごとに検討していくことはまた次の機会に譲りますので、よろしくお願いします。したがって、この私にも放送大学のことがよくわかるように具体的に御答弁をお願いしておきます。
 そこで、まず第一点ですが、放送大学が構想されてこの法案が提出されるまでの経緯、昭和四十二年から今日まで約十三年間、簡単に経緯の資料をいただいたんですが、これだけのものを自分で調べようとすればこれ大変な努力と時間を要します。簡潔にこの経緯のポイントをひとつ御説明をいただき、なぜこのように長期間要したのかという理由も付して御説明していただきたいと思います。
#5
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の構想が今日まで大変長期間を要しておるわけでございますが、今日までの検討の経緯等についてのお尋ねでございます。
 御案内のとおり、政府といたしまして放送大学の検討を開始しましたのは、具体的に申しますと、四十四年の十月の閣議におきまして文部、郵政の両大臣から放送大学の検討を始めることについて閣議に報告して御了解をいただいたというところが具体的なスタートになろうかと思います。それ以来、まず郵政省におきましては、放送大学のための全国的に完全なネットワークが可能となるというためのテレビ――これはUHFでございますが、テレビとラジオ、ラジオの方はFMでございますが、それぞれ一系列の周波数を確保いたしますとともに、具体的にはそのときから調査会等で構想の検討を行ってきたわけでございます。
 まず第一は、昭和四十四年の十一月でございますが、放送大学問題懇談会というのはこれは石坂泰三氏が会長であったわけでございますが、大学教育を受ける機会を国民各層に提供するための放送大学を積極的に推進すべきであるという意見書を文部、郵政の両大臣に提出いたしております。次に昭和四十五年の七月でございますが、放送大学準備調査会というのはこれは松方三郎氏が会長でございましたが、放送大学の目的とかあるいは教育方法、教育内容等放送大学の構想を示す「放送大学の設立について」という報告書を文部大臣に提出をいたしております。これらを受けましてさらに検討が重ねられまして、昭和四十九年の三月でございますけれども、放送大学設置に関する調査研究会議というものが、これは大泉孝氏が会長でございますが、放送大学の目的でございますとか教育内容、教育方法のほかに、さらに設置形態でございますとか管理運営、組織あるいは既存大学との連携、協力等に関します基本的な構想を盛り込んだ放送大学の基本構想を取りまとめて提出をされております。その後、昭和五十年十二月でございますけれども、放送大学創設準備に関する調査研究会議が、先ほど申しました基本構想をさらに具体化をいたしまして放送大学の基本計画に関する報告を取りまとめております。
 おおむね調査検討といたしましては以上のような経緯を経まして、その後文部省といたしましては、昭和五十一年度以来放送大学の設置者となります特殊法人の新設を要求をしてきたわけでございますが、予算的にはなかなかそれが実現を見ておりませんでして、具体的には昭和五十四年度予算におきましてそのための所要経費が計上をされたというのが経緯でございます。特殊法人を設立するためにその予算が認められたことに伴いまして放送大学学園法案を、国会といたしましては第八十七、八十八の国会にそれぞれ御提案申し上げたわけでございますが、今日まで成立を見るに至らなかったという事情がございます。そこで、五十五年度予算におきましても同様の予算措置を講じまして、さきの通常国会とこの臨時国会へ御提案を申し上げたという経緯になっております。先生御案内のとおり、大変長い間の検討を経まして今日に至っておるわけでございまして、私どもとしましては、この五十五年度じゅうに特殊法人の放送大学学園の設立をぜひ図りたいということで準備を進めてきておるものでございます。
 そこで、お尋ねの第二点といたしまして、大変今日まで長い期間がかかっているがどうだというお尋ねであったかと思うわけでございますが、この放送大学は、御案内のとおり、国民各層の広範な教育需要にこたえまして、広く大学関係者の御協力もいただきながらテレビ、ラジオによる放送を効果的に活用しました大学教育を実施するということをねらいといたしております。ただ、わが国としてはもちろん初めての試みでございますし、しかもそのことの影響する範囲は非常に大きいわけでございまして、大変そういう意味では重要な事業と私どもも考えております。そういうことで、先ほど申し上げましたような各調査会議等にはもちろん国公私立の大学の関係者等広く各界各層の方々に入っていただきまして検討をしてきたわけでございまして、そういう過去の検討としては相当私どもとしても慎重に検討を重ねてまいってきたつもりでございます。なお、これは衆議院の方でございますけれども、昭和五十三年十一月でございますが、衆議院の文教委員会の放送教育小委員会におきまして放送大学の小委員会が設けられましてやはり何度か御議論をいただきまして十二月にその小委員会の報告がなされております。
 その小委員会におきましては、放送大学の設立の意義とかあるいは設立形態、設立した場合の問題点等について慎重に調査、御検討いただきまして、その小委員長報告におきましても大学と放送局とを一体のものとした放送大学を設置するならば、現時点で考えられる点では放送法制上の制約等もございまして、特殊法人方式というものを考えざるを得ないんではないかというのが小委員会での御報告の結論でございます。文部省としては、そういう経緯も踏まえまして放送大学の創設に向けて準備を進めて、先ほども申しました五十四年度予算において予算計上されて提案に至ったというのが今日までの経緯の検討経過でございます。
#6
○本岡昭次君 経緯は大体理解できたのですが、二点目に質問しました長期間要したその理由ですね、それがどうも私にわからないんです。慎重にと言えばその一言で済んでしまうわけで、なぜこのように長期間かかったのかというその理由をもう少し明確にひとつ言ってください。
#7
○政府委員(宮地貫一君) 先ほども申しましたように、五十年に具体的には放送大学の基本計画に関する報告という相当内容的にも検討いたしましたものがまとまりましたのが五十年の十二月でございます。その後のことは、先ほど申しましたように、私どもとしては概算要求を五十一年からいたしたわけでございますが、特殊法人という形で設立することについてなかなか予算計上が見られなかった点が一つと、さらにそれ以後は、具体的には、その間五十三年度には放送教育開発センターというような形が――これは国立大学の共同利用機関でございますが、放送教育についての開発研究を進めるという機関が設けられたというような事柄が途中にございます。さらにその後は、予算的には五十四年度予算から計上いたされたわけでございまして、法案としてはそのときから御提案を申し上げてきておるわけでございます。ただ、法案としてはしたがいましてすでに過去三回、国会に御提案を申し上げてきておるわけでございますが、その過去三回御提案を申し上げました法案の審議状況等は、主として衆議院での審議状況になるわけでございますが、過去三回の国会の状況で申しますと、具体的には国会の会期の関係でございますとか、あるいは衆議院の解散というような事柄がございまして、残念ながら今日まで成立を見るに至らなかったという事情でございます。
 法案を御提案申し上げるまでの検討期間としては先ほど申し上げたような事柄でございまして、先生のお尋ねの点が、提案までがずいぶん長いではないかという御質問であるのか、あるいは提案されて三回今日まで成立に至っていないその間が長いというお尋ねであるのか、ちょっとお尋ねのところが私も十分つかみかねる点もございますが、国会の審議をお願いしてすでに今回で第四回目の御審議をお願いをしておるという点では、私どもとしては十分内容的にも検討したものを御提案申し上げておるわけでございまして、過去三回御提案を申し上げて成立に至っていないというのは、先ほど申しました会期の問題でございますとか、あるいは解散が二回その間にはさまっておるというような事情ということかと思います。
#8
○本岡昭次君 中身について申していただきたいんですがね、国会が解散したとか会期が足らなかったとか、どういう委員会をやったとかということじゃなくて、結局のところ数々の委員会なりあるいは種々の会議、研究組織、そうしたものを積み重ねていかなければならないというのは、これは「放送大学について」という文部省が出しているこのパンフの第一項の構想の概要のところにも書いてあるように、「放送大学は、広く大学関係者の協力を得て、放送を効果的に利用した大学教育を実施することにより、生涯教育の中核的高等教育機関としての新しい教育システムを設立しようとするものである。」と、文字どおり新しい教育システムを設立するための国民的な合意を得るために、あるいは大学関係者あるいは行政、またすでにいま行われているさまざまなこうした社会教育あるいは大学教育等々の全体的な合意を得るために期間を要したというふうにぼくは理解をしているんです。だから慎重にということは、文字どおり国会の論議の中でも時間をかけて放送の新しい教育システムというものが本当に国民の合意を得て行われるように慎重に時間をかけなければならないという意味合いがこうした長期間かかっているというふうにぼくは理解しているんですが、それでいいのかどうか、もっとほかにあるのかどうか、そういうことですよ。ぼくは中身の問題で聞いているんです。手続じゃなくて。
#9
○政府委員(宮地貫一君) 先ほども御説明をいたしましたように新しい構想の大学ということもございまして、まずは事柄自体は慎重に取り組まなきゃならぬということがございます。そのために先ほど申し上げましたような調査研究会議というようなもので具体的な構想も十分練るために時間を要した点もございます。もちろん先ほど申しましたように、調査研究会議には各国公私立に関係ございます大学関係者等にも多数入っていただいて御検討もお願いをしておりますし、そのほか放送を利用する大学ということで、もちろん放送につきましてのそれぞれ専門家でございますとか、そういう方々にも御参加をいただいて検討をいただいております。
 先生お話しのように、もちろんこれが国民に開かれた大学ということでございますので、国民全体の合意を得ながらやっていく必要があるということは当然のことでございます。私どもとしてはそれぞれ専門家の御検討をいただいて、それを今日法案という形でまとめて御提案申し上げているということでございまして、内容の検討については私どもとしても十分先生御指摘のような点がございますからこそ今日まで検討としては十分慎重に検討してきたという経緯でございます。
#10
○本岡昭次君 たくさん聞きたいことがあるので、その点についてはもう深入りいたしません。
 そこで、先ほど四十四年の十月二十四日から放送大学の構想の具体的検討が始まったと答弁がありましたが、四十四年十月二十四日というこの時点で、文部、郵政両大臣から放送大学の検討を始めることについて云々とありますが、その事柄は、この前段にある文部省社会教育審議会の「映像放送およびFM放送による教育専門放送のあり方について」の答申を受けて、先ほど言われた四十四年十月二十四日の放送大学構想のスタートになったのかどうか、その関連はいかがなんですか。
#11
○政府委員(高石邦男君) 社会教育審議会には、昭和四十二年当時新たにUHF電波の割り当てが始まるころでございまして、当時教育分野においてもっと放送を利用していくということが必要ではないかということで、四十二年の十一月七日に文部大臣が社会教育審議会に諮問をしたわけでございます。その諮問を受けまして審議に着手いたしまして、四十四年の三月に社会教育審議会としては答申を行ったのでございます。
 その答申の内容は、放送の公共的使命にかんがみ、教育放送の充実を図るべきであるという基本的観点に立ちまして、学校教育、社会教育を通じて放送を利用しての教育を提供するということを基本的に示しているわけでございます。したがいまして、放送大学の構想とは直接のかかわり合いはございませんけれども、これらの審議会のいろいろな答申が一つの契機になって、放送利用というものをもっと進めていくという観点で、放送大学構想というのがその観点で議論をされていったというふうに考えている次第でございます。
#12
○本岡昭次君 いま契機になったということでしたが、放送大学を構想し、それを生み出していく素地になったというふうにぼくは私なりに検討した中で結論に達したんですが、そこで、社会教育審議会の答申を見て、この答申の中にあるような形で進められておれば今日のような大きな問題なりあるいは時間的経緯を要さなかったのではないかと、また私も基本的に賛成し得る中身になっていたんではないかと、こう考えているんです。
 意見だけ言っておきますが、社会教育審議会の答申の概要の中で、「大学教育の拡大と教育放送のあり方」という中にあって、やはり大事なことは、放送の利用は大学開放の実施を容易にするとか、あるいはまた大学通信教育の充実向上を図っていくとか、あるいはテレビ等を導入することによって大学での研究成果が広く社会の中に貢献をして学術の進歩も促進されると、こういう立場での取り上げ方がされていて、文部省としてはむしろこういう立場から放送利用というものを積極的に推進すべきであったと、こう思うんですが、残念ながら何かNHKの協力なく反対があったり、あるいは新構想大学というふうなものが構想されて、放送大学もそうした政治課題の一つとして悪乗りされた、悪用されたというところから最も基礎になるべき教育専門放送というものについての本当の考え方というふうなものがゆがめられてきているという経緯をぼくは非常に残念に思うんです。
 それはもう私の意見としてここで言わしていただくことにして、それでは四十四年あるいは四十二年、この当時に放送大学を構想した経済情勢あるいは社会情勢、また教育にかかわるさまざまな要件が十年たった今日と相当変化をしてきているし、その当時の物の考え方が今日まで持続してあり得るとは考えられないのですが、どうしてもこの放送大学が必要であるという今日的意義というふうなものを改めてお尋ねをしたいんです。
#13
○政府委員(宮地貫一君) 確かに先生御指摘のとおり、四十四年当時から今日まで十年余を経過しておるわけでございまして、その間の高等教育全体の姿でございますとか、その点は御指摘のように相当変化もあるわけでございます。たとえば、高等教育全体の姿でながめてみますと、四十四年、五年当時、いわゆる大学進学率というのは二一%余りでございましたが、当時から大体ほぼ年間二%ないし三%ずつ大学進学率も伸びてきておりまして、昭和五十一年で大体三八・六%に達しております。それ以後、五十一年以降はほぼ横ばいといいますか、若干下がってもおりますが、大体三七%台で大学、短期大学の進学率というものは横ばいで推移をしておるわけでございます。ただこれは、全体のいわゆる大学へ進学します十八歳人口といいますか、十八歳人口全体が四十一年がピークでございまして二百四十九万という数字でございましたが、この十八歳人口全体が二百四十九万から昭和五十一年度でいいますと約百五十四万ということで、ほとんど九十万を超えるぐらい十八歳人口そのものが年々非常に減ってきたというような背景がございまして、大学進学率が、これはもちろん社会全体の経済の発展と申しますか、そういう事柄とも絡んでいる問題がもちろんあろうかと思いますが、そういう背景がございまして今日に至っておるということが言えるかと思います。
 そこで、五十一年から五十五年度ぐらい、この間を高等教育の整備については前期の計画ということで私ども対応してきたわけでございますが、大体大学の進学率としてはほぼ横ばいで、十八歳人口も大体百五十万人台で横ばいで推移をしている時期でございます。私どもとしては、高等教育全体から言えば量的な拡大は抑えながら、むしろ質的な充実に重点を置くというような基本的な対応の姿勢で対応しておるわけでございます。
 この十八歳人口全体の推移で申しますと、五十六年からさらに百六十万人台、六十一年には百八十万というところまでまいりまして、昭和六十五年から七年前後にかけてはさらに二百万人台を超えるというところまで、また十八歳人口が推移をしていくわけでございます。その後、昭和七十年以後はほぼ百七十万人台で横ばいで推移をするというようなことが想定をされております。全体的な大学の進学率自体が今後どのように推移していくか、私どもとしては必ずしも明確にその見通しは確たる見通しは立てにくいというのが現状でございますが、最近数年の状況としてはほぼ横ばいぐらいに推移をいたしておるわけでございます。
 ただ十八歳人口そのものは、いまも申しましたように、百五十万人台からピークで二百万人台まで約五十万人これからさらにふえていくというのが日本の十八歳人口の動向ということになるわけでございまして、これを踏まえまして、私どもとしては質的な充実を図りながら、なおそのふえてまいります十八歳人口に対応する高等教育の機会の拡大というものをどのように図っていくかというのが今後の大変重要な課題の一つでございます。それに対応するものとして、いろいろ国立、私立等を通じまして、あるいは既存の学部の充実も図らなければならないわけでございますが、現在私どもが後期の計画ということで五十六年から六十一年まで程度見通しておりますものは、比較的一般学部等については、たとえば国立につきましては大体年間二千人程度までをめどとした規模の拡大程度を考えるというのがただいま持っております計画でございます。
 そういうような点を考え合わせまして、私どもとしてはこういうこれからの十八歳人口の増ということに対応します一つの対応の仕方として、やはりこの放送大学というものも構想をしておるわけでございます。もちろん大学教育全体の弾力化とか流動化というようなことにも資するわけでございます。そういう一面がもちろんございますが、なお一面といたしましては、放送大学の説明資料にも書いてございますように、生涯教育ということが言われておりますが、生涯教育のいわば中核的な高等教育機関としまして広く社会人や家庭婦人にも大学教育の機会を新しい形で提供するということになるわけでございます。
 そういうような二点から考えまして、私どもとしては既存の大学の充実ももとよりでございますけれども、あわせて放送大学というものがそういう大変重要な使命と申しますか、役割りを果たすものとして私どもとしては積極的に早くこれの実現を図りたいというぐあいに考えている理由でございます。
#14
○本岡昭次君 大体わかりました。いまの点についてはまた改めて論議はさせていただくことにしまして、先に進めさせていただきます。
 いまおっしゃったような情勢というんですか、意義に立って放送大学の構想が立てられ、いま法案として提出されているんですが、放送大学は正規の大学であるということで学校教育法上の大学である、こう言われているんですが、私は大学というものを組織論的に見ていくと、これは教員と職員と学生の三者で構成されている自治組織である、このように考えているんだ。だから、それが高等教育機関といわれ、大学といわれるんだ、これが小中の義務制なりあるいは後期中等教育の高等学校と違うところだというふうに組織的には押さえているんですが、言ってみれば、そうした三者の自治がなければこれは大学ではない、いわゆる自治があって初めて大学の学問の自由が守られる、このように考えています。
 大学の目的である教育と研究の成果を上げるために、こうした学生あるいは教員、職員、この三者、大学の構成員全体が大学の管理、運営に一つの責任とまたある意味では権利を持って大学の自治に当たっていく、こういうことでなければ本当の意味の大学ではない、こう考えるんですが、放送大学の持っている一番の弱点は、あの法案を見る限りではそうした大学の自治というものが本当に確立される条件にあるのかどうかということについてはきわめて悲観的ですし、ある意味ではそのことに大学そのものの存立に対しての危機を私は感じるんですが、大学の自治という問題について、いま私が言いました自治組織というふうなもののあり方から解明を願えたらと、こう思います。
#15
○政府委員(宮地貫一君) 先生お話しのとおり、この放送大学は学校教育法上の正規の大学ということで構想をいたしております。
 そこで、この放送大学の形態については先ほど申しましたように、たとえば国立大学でいく方式もあるかあるいは私立大学という形でいく方式もあるのかということでいろいろ検討もされたわけでございますが、それらについてそれぞれやはり問題点があるということで、先ほど申しましたように放送を行う大学である以上は、放送法制との関係ということが当然出てくるわけでございまして、それらの点について検討をいたしまして特殊法人で設立する大学という形に落ちついて今日御提案申し上げておるというわけでございます。
 ただ、特殊法人でこの放送大学を設立することにいたしたわけでございますが、この大学の自治と申しますか、基本的にその点がそれでは保障をされているのかというお尋ねであろうかと思いますが、既存の大学におきます学問の自由とかあるいは大学の自治の具体的な内容としては大学の学長でございますとかあるいは教授等のそういう教育組織といいますか、そういうものが大学の自主的な判断に基づいてなされるということが非常に重要な内容になろうかと思うわけでございます。その意味におきましては、この放送大学の教員の人事につきましても一般の大学と同様に大学の自主性が尊重されなければならないということは当然のことでございます。その見地からこの法案におきましても放送大学の学長でございますとかあるいは教員の任命方法につきましては、学園の一般の職員とは区別をいたしまして、国立大学の教員にかかわります教育公務員特例法の例にならいました特別の規定を設けて放送大学の学長、教員の人事というものを大学の自主性を尊重するということを法律上明確に規定をいたしたわけでございます。
 また、大学の設置者でございます特殊法人放送大学学園に対します国の関与と申しますか、国の関与のあり方につきましても、具体的にはたとえば法人役員の任命権はこれは文部大臣が持っておりますけれども、たとえば監督長の命令権というようなものも財務、会計にかかわる事項に限定するというようなことにいたしております。そういう意味で私どもはこの放送大学は確かに新しい形の大学であり、設置主体も特殊法人ということで従来のものとは全く異なるわけでございますけれども、たとえば国立大学において大学の自治が制度、慣行ともに確立されているというような仕組みというものは、この放送大学においても確保されるというぐあいに私どもとしては考えております。
#16
○本岡昭次君 いまのように説明されていますが、しかし理事長とか理事とか監事、運営審議委員、学長、副学長、各評議員、教員、それぞれのこの選任方法をずっと一覧表にした資料をいただいておりますが、これを見る限りでは文部大臣あるいは理事長のところにこの人事権が集中をしているということで、これは特殊法人とは言いながら文部大臣直轄の一つの大学というふうな形態にこれはなっているわけで、私は大学の教員の経験はないし、具体的にいま国立大学でどのようにこうした人事権の問題が取り扱われているかということを詳細に知っておりませんが、伝え聞くところによるというと、学校教育法の五十九条の規定ですか、それに基づく教授会というもののあり方が、まず教員の側の大学の自治、ひいては学問の自由ということにかかわる問題として非常に重要であるということが社会的な常識となっているというふうに聞いておるわけです。しかし、法案の中にはこの教授会の規定というものが含まれていない。そこでずっとこの大学の基本計画に関する報告の五十年のところにさかのぼってみると、この中には、「放送大学の基本計画に関する報告」、文部省大学局五十年十二月十七日付、ここには「授業計画と主要教務事務に関する最高審議機関としての教授会」という項目があります。しかし、ここに教授会という項目はあったとしても、そこに書いてある職務の内容には、学校教育法の五十九条にある大学の重要な事項についての審議を行うというふうな一つの決議機関的な性格というふうなものもこの中には非常に薄められた形でしか出されていない。こういうことを考えてみると、やはりこの放送大学の中における自治というもののあり方について非常に疑問を持たざるを得ないと、こう考えるんですが、いかがですか。
#17
○政府委員(宮地貫一君) 具体的には放送大学における教授会のあり方と申しますか、それについてのお尋ねであろうかと思いますが、私どもといたしましては、この放送大学については教員組織が非常に複雑になると。具体的に申しますと、これは全国各地に学習センターを設置するということを計画しておるわけでございまして、学習センターにもそれぞれ専任の教授も置くわけでございます。そういたしますと、その教授会の運営については、もちろん教授会そのものは学校教育法上の規定でこの放送大学についても教授会は置かれるわけでございます。ただ、具体的な教授会の運営のあり方といいますか、そういうようなものはやはりこれは大学がみずから自主的に御判断になって、どういう運営なりやり方をするかということについては大学の自主的な考え方にお任せせざるを得ない事柄でございます。
 そこで、問題はその教授会のほかに――教授会は学校教育法上当然あるわけでございますが、この法案では評議会というものを置くことにいたしておるわけでございます。評議会は、学長が評議会に諮問すべき事項ないしはこの法律の規定によりまして評議会の権限に属させられた事項についてはこの評議会で議論が行われるわけでございます。人事に関する基準等につきましては、この評議会でお決めになるという仕組みにいたしております。もちろん、その評議会が審議をするといたしましても、これは大学の教官組織にかかわる事項については評議会がその権限を持っているということは、大学人みずからが決めるという仕組みの基本においてはかかわりがないわけでございまして、私どもとしては、そういう学長とか教員等の大学の研究、教育に携わる者の人事というものを当該大学の研究、教育に携わる者の間における自主的な決定にゆだねておるという仕組みをとっておりますので、基本的にその点で私は大学の自治というものは確保されていると、かように考えておるわけでございます。
 なお、文部大臣直轄の大学のごとき印象であるというお尋ねでございましたが、基本的に申しますと国立大学はすべて国の直轄の大学でございまして、学長の任命も文部大臣が行うわけでございます。しかしながら、その学長の任命についてはもちろん大学の申し出に基づいて行うわけでございまして、その点で学長の任命について国立大学の学長の任命は文部大臣が行いますが、大学の申し出に基づいて任命する。その申し出に基づいてというところは非常に拘束力が強いというぐあいに従来解釈をされているわけでございます。この放送大学の学長の任命につきましては、評議会の議に基づきますところによりまして理事長の申し出に基づいて任命をするという形にいたしております。もちろんそういう意味で評議会が大変強く、教学組織に関しましては、評議会が評議会自身の定めるところによりまして行うという形が確保されているわけでございまして、私どもとしては特殊法人の放送大学のそういう教学組織における大学の自治の確保という点について、従来の国立大学の方式に準ずるような形を具体的にこの法律の規定で取り入れるという形で私どもはこの法案を御提案を申し上げておるというわけでございます。
#18
○本岡昭次君 そうした個々についてはまた後ほど法案の条文に従って検討さしていただくことにいたしまして、ずっと広くお尋ねをしていきます。
 そこで、いまおっしゃいましたように、この放送大学は性格上学部と学習センターというんですか、そういう非常に広範囲にわたって教員が分布されている。いろんなところで教員が教育活動をしているんですが、資料によると総数三千七百六十四人、この数字は若干誤差があるかもしれませんが、三千数百人という教員が教授、助教授、客員教員あるいはまたセンターの専任教員、非常勤とかかわっていて、その中でむしろ学習センターにという、地域にいる専任教員あるいは非常勤の講師等々の方の方が圧倒的に多いという状況下にあってのこの教員自治にかかわる問題ですから、非常に慎重にやっていかなければ、このそれぞれの教員についての、あるいは教育そのものについての学問の自由というものが保障されていくことはきわめて困難になると思うんですが、こうした放送大学の学部と学習センターのそれぞれ教員はどんな関係になり、これが全体としてどのように組織をされていくんですか。大まかなところで結構ですから教えていただきたい。
#19
○政府委員(宮地貫一君) 学習センターは、全体の構想としてはもちろん先ほど御説明申しましたように、各地に置かれるわけでございまして、お尋ねの点はそういう学習センターとこの本部と申しますか、本部との連携というようなものは具体的にはどのように行われるのかというお尋ねのように伺ったわけでございます。具体的な授業の構成、放送で行う大学でございますので、具体的に放送を流すための教材の、何といいますか、制作が事前にあるわけでございまして、それは本部の教官スタッフとそれから放送の専門のスタッフがそれぞれ、何と申しますか、コースチームというようなものを組みまして、具体的に検討をして番組の制作をするということになるわけでございます。そこで、それが具体的に放送が流されて、それを受けとめて、各地で学習センターでスクーリングをやるということになるわけでございますが、全体の教育課程の編成その他につきましては、もちろんそれぞれ、何と申しますか、専門の各種の委員会というものが構成されるということがもちろん予想されるわけでございます。具体的なそういう各専門領域といいますか、あるいは学習指導についての具体的な学習センターと本部との連絡につきましても、もちろん個別に連絡のための専門委員会のようなものが置かれるということは当然予想されるわけでございまして、具体的なその組織についてはこれから大学自体でその具体的な構想というものが固められるということになろうかと思います。法律上規定をいたしておりますのは、先ほど申しました評議会を設けておりまして、ほかにもちろん教授会も学校教育法上置かれるわけでございます。重要事項の審議についてはその教授会が行うのは当然でございます。ただ、教授会のあり方につきましても、具体的な教授会の持ち方というものも、これももちろんこの放送大学自体でこれから具体的な運営というものは大学みずからお考えるになるわけでございます。そのあり方として、たとえばこれは一つはちょっと国立大学の例になるわけでございますが、たとえば北海道教育大学というのは一つの大学でございますが、分校が具体的には五つある。札幌、函館、岩見沢、旭川、釧路というようなところに分校があるわけでございまして、教授会ももちろん持たれるわけでございますが、具体的にはさらにその運用のあり方としては代議員会というような形で運用をされているというのが、これは国立大学の一つの例でございます。たとえば具体的にはそういう形で、教授会の運営ということについても大学みずからが具体的なあり方というものについてはこれから御判断になるわけでございますし、また個々のたとえば教育内容については、それぞれ専門領域に応じて、また具体的なスクーリングのあり方についての本部との連絡については、それぞれ専門のと申しますか、そういう委員会が個別に組織をされることになりまして、それらで具体的な運用というものが行われていくということになろうかと思います。しかしながら、これらはいずれももちろん大学みずからが、具体に即しましてみずからがお決めになる事柄でございますので、もちろんこの法律にそれらについての規定というものは一切ないわけでございます。
#20
○本岡昭次君 それでは、職員の数も同じように完成時ではこれは三千八百人近く職員が勤めるということになっているんですが、この職員の自治的な組織、あるいはまた最終的には四十五万人という学生がこの放送大学で学ぶ。キャンパスのない大学、そしてしかも孤立分散しているという状況の中で、私初めに言いましたように、本当に正規の大学として、教員そして職員あるいは学生、そうしたものが三者が一体となってその大学の運営に当たっていくと、それぞれの立場から非常にむずかしい状況にあると考えるんですが、職員は、これは当然労働組合等がつくられるでしょうから、それはまたそれなりの内容が出てくると思うんですが、学生が、これ放送大学の当局との間でいろいろ学生自身が持っている教育要求なり、あるいはまた、たとえば授業料の問題とか大学の管理運営の問題についていろいろな要求を持ったときに、一体どのようにして、これ学生の側からかかわっていけるのかということを非常に疑問を持つんですが、そういった点はどういうふうに考えておられますか。
#21
○政府委員(宮地貫一君) おっしゃるとおり、完成時では、現在基本構想で、基本計画に関する報告でも述べられておる数字で申しましたら、先ほど先生おっしゃったように大変非常に大きな数になるわけでございます。もちろん中にはいわゆる何といいますか、科目履修生ということで、特定の一つの分野を勉強したいということで登録される学生も相当多いわけでございますが、いずれにしましても非常に大きな数になるわけでございます。
 それから、私どもの想定としては、もちろん基本的にはこの大学は、先ほども御説明をいたしましたように、家庭婦人でございますとか、そういう国民の各層を対象としました大学ということで、当然に学生の層というものも、従来の既存の大学で言われますような学生の層というようなものとは非常に異なった各層にわたる学生ということが想像されるわけでございます。そこに学ぶ学生について、基本的にはもちろん学生の自主的な態度を規制していくということが必要でございまして、そのことは自治活動を含めて学生の自主的な活動というのが学生の人間形成に資する健全な活動である限りは、学園内においても十分尊重されることは必要であろうと思います。たとえば具体的な学習センターにおきますスクーリングのあり方でございますとか、そういう受けとめる学生側のいろいろ要望といいますか、そういうようなものもいろいろ具体の問題としては出てくることになろうかと思います。それらについてはもちろんその学習センターにおきます専任の教官が対応をすることになるわけでございまして、個別のその学習センターにおけるスクーリングのあり方というようなことであれば、もちろんそこの学習センターにおいて、そこでスクーリングを受ける学生の要望その他を具体的に受けとめる学生側との話し合いといいますか、そういうことは当然出てくるであろうと予想いたしております。それらについても、それは個別に通常大学において行われておりますようなものと同じような形でそういう場が持たれるであろうということは予想をされるわけでございます。ただ、具体的にはそれがどういう形になるかというのは、ちょっと私もいまその点は明確にお示しできないわけでございますが、実際に学生の要望を受けとめて、大学がそれを具体的に学習者の方の要望を受けとめながら考えていくということは当然に考えられるわけでございまして、それは個別の具体の事柄として処理がなされるであろうと思います。
 なお、放送されますものの中身についてもいろいろそれは御意見というものは、これは登録されている学生のみならず視聴者一般からもいろいろとまた御意見も寄せられるということは当然予想されるわけでございます。それらについても、もちろん学内においてそういうようなものを受けとめて検討する組織というものがまた学内的に設けられるということも予想されます。
 一般論として申し上げますと、法人全体の運営につきましては、運営審議会というものが設けられまして、これはもちろん学外者といいますか、法人の運営全体について部外者の意見を参考にするための組織として、これは法律上規定をいたして、運営審議会というものも置いているわけでございますが、さらに具体的な個々の放送内容等につきましての意見の受けとめと申しますか、そういうようなものについてもそれぞれ学内組織としての委員会が置かれて具体的な処理に当たるというぐあいに考えられます。
#22
○本岡昭次君 大学の自治にかかわることをずっと一通り私が疑問に思っていることを聞いてみたんですが、一般論のような形で将来楽観的な期待ばかり聞かせていただいたんですが、実際はそれほど簡単なことでないと私は考えるんです。この問題は。
 そこで、最後に大臣にひとつ見解をお聞きしたいんですが、私はやはり自治抜きの大学になることを非常に恐れているからいまのような質問をしたんですが、そこで「放送文化」一九七八年の五月号にこういう非常に傾聴すべき内容が報道されているんです。これはエイザ・ブリッグスという方と前田義徳元NHKの会長ですが、対談をされているんですね。そのことがちょうど放送大学と同じような形態ですでに始められているイギリスの公開大学の中身にかかわって対談をされているんですね。
 若干紹介してみますと、こういう中身です。文部大臣、ひとつよく聞いていただきたいんですが、前田さんが、「公開大学のように文部省から助成金が直接入ってくる場合、もし文部省の考え方によって何らかの規制を受けるようになるというようなことはありませんか。」。ブリッグスという方は、「この点についてはイギリスの文部省はあまりこまかいことまで言わないで自由にさせてくれているんです。議会に学術審議会がありますが、文部省がこまかいことまでいちいち口を出すということはありません。文部省の助成金はかなり自由に使うことができます。もし文部省がこの点について何らかの干渉をしていたら話はずいぶん違ってきていたと思いますね。」。それから次のまた質問に前田さんがこうおっしゃっている。「おっしゃるように、政治的変化によってこういう計画が左右されてはならないと思いますね。とにかく、学問の自由は絶対に確保しなければならない。もしそれが政治の力によって何らかの影響を受けるようなことになったら非常に危険なことになると思いますね。」。ブリッグスさんは、「そのとおりだと思いますね。イギリスではその点は強力な学術審議会がありますのでずいぶん役に立っていると思いますが、公開大学が政治に利用される危険性はいつでも大いにあると思いますし、また、それは何としてでも避けなければならないことだと思います。」、そのために、「そういうことが起こらないように組織をつくるときに十分配慮することが大切ですね。」。こう、ここでは対談されているんです。
 そこで、一体イギリスの公開大学がそうしたことが起こらないように十分な配慮というのはどういう形でしているか、いま宮地大学局長おっしゃった楽観的な、いやそれは大学がやるでしょう、こういうことでしょうといった期待感じゃないんです。はっきりその配慮がされてありますね。それは公開大学を認可するときの、ここでいま審議されている放送大学法案のこの中身の、第二条に「大学の構成員」という規定があって、そこには役員ばかりでなく、教授スタッフはもちろんのこと、大学生も卒業生も大学の構成員というふうにこれは明記されていて、学生も地域在住の教授スタッフも全国を十二に分けた地域会に属し、総会のメンバーを選出して、こうした手続を通して「大学の意思決定に直接に影響を与えることができる」、こうなり、そして公開大学の最高機関である理事会にスタッフ一名を、またそれと並ぶ重要機関の評議員会にはスタッフ二名、学生二名を総会で選出して送り込む、こういうふうに最高機関である理事会にもスタッフをやはり送り込み、また評議員会にはスタッフなりあるいは学生も総会へ送り出すというようなことが決めている。
 もちろんイギリスと日本といろいろ条件が違いますから、同じように論じるわけにはいかない。しかし、この放送大学の持っている性格上、私は先ほどずっと質問しました、やはりこのように分散し孤立している学生あるいは各地域に分散する教員あるいは職員、そうしたさまざまな人々の総意を大学にくみ上げてくるそうした民主的な運営というものについて、文字どおりイギリスはオープンユニバーシティーですか、公開大学としているような中身を具体的にこの法案の中にきちっと盛り込んで、そうした危惧のないように、政治的な影響力が大学に及ばないようにと、あるいはまた放送大学の持っている特殊的な立場というものがまさに国民の立場から、教育を受ける学生の立場から、その教育が権利として守られていくという保障がこのようにされてあるというふうに私は聞いているんですね。
 そういう意味では放送大学の法案の持っている中身というのは非常にその点では弱点がある。大学にお任せするとか、いやそうはならないでしょうとか、いやこうなってくるんではありませんかというふうに、将来の問題について明確なやはり歯どめと、起こり得る危機に対して、危険に対して歯どめをしていくというふうなことがないのがこの放送大学法案の弱点だ、私はこのように考えるのですが、この中身はまたこれからの質疑で突っ込んでさせていただき、また文部省の方も私のいま言った資料もひとつ取り寄せていただいて、果たして私の言ったようなことになっているかどうかということについても、また勉強させていただきたいと思いますが、とりあえずきょうは文部大臣に、ひとつ私のいま言いました事柄についての見解を求めたいと思います。
#23
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま大学局長からるるお話を申し上げたように、イギリスのオープンユニバーシティーという問題と日本の今回の放送大学のできてまいりました経過も違いまするし、また英国がBBC放送を使っての公開大学をやっておるというのとわれわれの方のこの正規の大学としての放送学園大学、この自治のあり方とかあるいはまた役員構成、それからまたその組織の面においては、これからできます大学というものが、さらに自主的にいろいろと整えていかなきゃならない今後の問題として相当の分野が残されているんだろうと思いますけれども、基本の問題につきましては、ただいま局長からお話を申し上げたとおりでございます。
 なお、われわれも大学自治の問題につきましては、もちろんそれを確保していかなきゃならないということは当然のことでございまして、先生の御意見等も十分にわれわれといたしましては考えていかなきゃならない、かように考えております。
#24
○本岡昭次君 私の申し上げているのは、大学の自治とか学問の自由を守るとかいうようなことは、やはり自治が守れるように、学問の自由が守れるように、たとえば運営委員会なりあるいはその理事会あるいは評議員会、さまざまなそうした組織、機関がある。そうすると、それぞれの機関にそれでは職員の、スタッフの代表が入るとか、学生の代表が入るとかといったような問題もやはり形式的にきちっと整えた上で、その学問の自由、大学の自治が守れますというふうにやっていくべきが至当ではないかというふうに私はいま申し上げているわけで、この点もまたこれから具体的な中身の法案の逐条審議のときにまた深めさせていただくことにして、先に進んでいきます。
 そこで、次は大学の教育の質の確保の問題なんですが、やはり放送大学の持っておる弱点というのですか、それはキャンパスがなくて放送というメディアを通して学生が勉強する、もちろんテキストによる学習もある。だからその大学としての弱点を補っていくために欠くことのできないのがスクーリングということになると思います。学生の集団としての教育上の効果、あるいは学生が集団として自治的な活動の中で学んでいくその場、そうしたものをどう確保するかということで、先ほど紹介をしました、また文部省も一つの事例として、参考例として絶えず対象に挙げているイギリスの公開大学と比較してみた場合に、これはどうにもならない弱点があるわけです。たとえばイギリスの公開大学ではスクーリングが全体の教育活動の一五%、放送は一〇%というふうにスクーリングの方がそのパーセンテージが多くなっている。こちらの放送大学の場合はスクーリングが二%ないし九%、そして放送が一八%と、こういうことになっていて、二%から九%という二%をとった場合にこれはもうスクーリングというのは問題にならない状況にある。しかも、教員数と学生の比率を見てみると、イギリスの公開大学では教員が五千二百六十二人、学生が五万七千八百二十人。放送大学の方は最終段階で教員が三千三百六十三人、学生が四十五万三千人。この比率でもしやってみると、若干数字が違うかもしれませんが、教員一人が学生を見る人数というのはイギリスの公開大学では十一人という比率になるし、この放送大学では百三十五人というふうな比率になってくるわけで、スクーリングの持つ内容の弱さというものが、さらに教員の少なさ、学生の多さという問題についてこれは加重されていくということで、どうですか、百三十五人の学生を相手にして教授が教えていくということ、常時キャンパスのある大学でもこれは大変なことだと思うんですが、それが通信教育という形で、放送教育という形で行われるとすればこれはなおさらだと、こう考えます。そこで私は、あくまで放送大学とはいえ本質的にはこれは放送教材を媒体とした通信教育の一種ということであろうと考えるんですが、その場合大学の通信教育のスクーリングというものと放送大学のスクーリングというものが全然関係ないんだと、大学の通信教育のスクーリングは大学の通信教育だと、放送大学は放送大学だと言えるのかどうかという点なんですが、大学の通信教育のスクーリングというのは何か全体が百二十四単位のうち三十単位以上スクーリングをしなければならないというふうなことになっておるようですが、そういった点から見れば放送大学のスクーリングというものはまさに大学における教育の質を確保していくという点から見て大変問題があるんではないかと思うんですが、この点はいかがですか。
#25
○政府委員(宮地貫一君) 基本的な点でちょっと御説明申し上げますと、放送大学の教育課程の組み方というのは、基本的には放送を通じまする教育とスクーリングとそれから印刷教材によります学習というようなものを組み立てといたしておりまして、したがいまして、それらをほぼ三分の一ずつの組み立てということで考えているわけでございます。したがって、スクーリングについてはむしろ私どもはスクーリングというものを重視するという考え方で、スクーリングをほぼ三分の一のウエートをかけておるということではむしろ先生御指摘のイギリスのオープンユニバーシティーの場合よりもよりウエートを置いた形というぐあいに言えるんではないかと思っております。
 なお、通信教育につきましては三十単位をスクーリングで考えておりますが、この放送大学の場合には基準分科会等でいろいろ御議論をいただいておりますのは、面接授業により修得すべき単位のうち十単位は放送授業により修得することができるということは放送大学の特性としてあるいは検討すべき課題であるかということで、検討はされておるわけでございます。
 しかしながら、全体的に申しますと私どもが構想いたしておりますこの放送大学の考え方の方がいわゆるイギリスのオープンユニバーシティーの場合よりもスクーリングについても重視し、また放送による授業という要素につきましてもこの放送大学ではほぼ三分の一を考えておるというようなことから言いますと、放送による大学ということの特色がより一層出されておるというぐあいに考えております。もちろん、内容的には大学教育の中身を十分確保した内容のものが、放送におきましても、スクーリングにおきましても実施されることは、これは当然のことでございまして、むしろ私どもとしては各国公私立の大学の先生方にも客員教授というような形で積極的に御協力をお願いして、言うなれば非常に質の高い内容のものをわかりやすく放送するというような形で、内容的には私どもは、この放送大学の授業の中身というものについてはレベルが非常に高いものがわかりやすく行われるという意味では非常に期待もいたしておりますし、またそういうものでなければならないと、かように考えております。
#26
○本岡昭次君 これから見てみなければわからないということばかりで困るんですが、そこでいまおっしゃったようにスクーリングを強化すると、三分の一をスクーリングでいくという場合、今度相矛盾するものがそこに起こってくるのは、やはり働きながら学ぶという立場にある学生――主婦とかあるいはもう定年を迎えた後の自分の教養のためにとかいう意味よりも、むしろいま私が考えていこうとしているのは、大学へ行きたいけれども経済的な事情、家庭的な事情によって行けないとか、あるいはまた、いまの大学の数が少なくて受験競争に敗北して行けなかったとかいう学生が放送大学にある一つの期待を持って入ってくる。それは働きながら学ぶという状態になろうかと考えるのですが、現在の働きながら学ぶという状態の中でこのスクーリングをいまおっしゃったように三分の一取り入れて充実していくのだという場合に、それではその学生が学習する条件をどのようにつくり得るのか、むしろ積極的にその学生の学ぶ条件を、学習権を保障してやることを国が制度的に推し進めてやらなければ、いかにスクーリングの場がたくさんできてもそこに行くことができない、こうなれば大学の意図は全く通じないわけで、そういうことについて法案の中には何もありませんし、また基本計画の中にもほとんどそういうことが述べられていない、学生は当然来るものだというふうな形で出されているんですが、たとえば週休二日制あるいはそれが週休三日制、また長期有給教育休暇制度というふうなものをこの放送大学に入った学生には適用するとか、あるいはまたそのほかの大学の通信教育を受ける勤労青年にもそうしたものを保障するとか、全体に働きながら学ぶ、学ぼうとする意欲を持っている青年に対する教育の機会均等ということから、当然有給教育休暇制度というふうなものあるいは週休二日からさらに三日というふうなそういう場を制度的に保障していくということがなければ、これは幾らここで理想を述べても絵にかいたもちになってしまうのではないかと、こう考える。イギリスの公開大学がある一定の成果をおさめているのも教育休暇制度というものがあって、そして働きながら学ぶという学生側の条件が整っているということも一つの大きな力になっていると、こう見ているのですが、そこの点は全然触れられていない。いまの点についてこれは文部大臣にもお答えいただきたいんですが、いかがですか。
#27
○国務大臣(田中龍夫君) この放送学園大学というものがいわゆる社会教育の面と大学教育の面と二つの面を持っておりまして、この大学教育の面においては本当に働きながら学ぶといったような、非常に向学の念に燃えた方々のために開かれたものでなければならぬ。そういうことから申しまして、働きながら聞こうと思ってもなかなかできないというような面から申しまして、できるだけ放送の時間帯やその他の問題を調整をして、また再放送等の時間をたくさん用意して、そうして朝の時間がいい人、あるいはまた昼でなければ聞けない人、あるいは晩でなければ聞けない人といったような方々に対しても学習の放送の時間を用意すると、こういうふうな働きながら学ぶという方々、あるいはぜひそれを履修したいという方々に対してのあらゆる機会を用意しなきゃならぬ、こういうふうにわれわれは考えております。いまお話しのようなスクーリングの時間がなかなかとれないというような方に対しましても、今後先生の御意見その他の問題に関しまして十分配慮していかなきゃならぬ、こういうふうに努めてまいりたいと思っております。
#28
○政府委員(宮地貫一君) ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございまして、特にスクーリングの点について補足して申し上げますと、具体的には学習センターというものを全国各地に設置をするということを基本的に考えております。そしてまた学習センターでのスクーリングの時間の確保のために、学習センターとしては、たとえば日曜日というようなものも開くというようなことも具体的に検討いたしておるわけでございまして、おおむね週一回程度学習センターに出席してスクーリングを受けるというための具体的な方途につきましては、そういう日曜日の開設というようなことも含めましてスクーリングになるだけ参加しやすいような条件なり整備をするというのを基本的に考慮いたしておるわけでございます。
#29
○本岡昭次君 たとえば日曜日週一回程度といって、幾ら向学心に燃えている青年でも日曜日を学習センターへ行って勉強して、また月曜日から働くなんて、そういうことが可能だと思いますか。怒りますよ、そういうことを言うと。やはり一方で放送大学というものがあって、そしてスクーリングというものが現に重要な要素になるときに、そうした日曜日にやって、日曜日を使えばいいじゃないかというふうな発想はやめていただきたいですね。だからいま文部大臣がおっしゃったように、今後検討するとおっしゃった今後というのは先の問題じゃ困るんで、やはりこの放送大学が発足するという時点に合わせて、これはぜひとも他の国公立、私学の通信制の大学に通ってそこのスクーリングの時間をとるのに本当に困っている学生、またそのためにある企業をやめなければならないという立場に追い込まれている学生も現にあるわけなんで、だから放送大学が本当にそうした働きながら学ぶというそういう学生に対して将来に明るい希望を与えてやるとすれば、このことを通して、せめてそうした有給教育休暇制度というふうなものも実施することについて労働省等とも相談しながらやっていただかなければならないと。放送大学が発足するときまでに、これはどうしても学生側の学習権を、教育権を本当に保障してやるという意味でぼくは制度化ということを打ち出すべきだと、こう強く考えるんですが、再度文部大臣のひとつお考えをお願いします。
#30
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまお話がございましたように、この発足までの間にいま先生が御指摘のような問題についても、もっときめの細かい配慮なりあるいはまた具体的な扱いなり、学園大学というもの自体の今後の運営あるいはまた今後の設立して実際に動き出すまでの期間に、もっともっといろんなきめの細かい処置を考えなきゃならぬだろうと存じます。たとえて申すならば、ラジオ等を利用する場合のカセットを学習にどういうふうに出していくとか、あるいはまた今後の時間帯の調整だとかあるいはお話のようないろんな考え方を十二分に勉強をしていかなきゃならぬ、かように考えております。
#31
○本岡昭次君 私は執拗にこの部分だけやっているのは、ほかのことはいろいろ出ているんですよ。この部分だけ何か全然触れられてないからここで執拗に聞いているんですが、そこでいま大臣が大学側の準備とかあるいはまたカセットとかおっしゃいましたけれども、学習センターに行って自分が見ることのできなかった放送をカセットで再び聞くとか再び見て、そしてそこで学習をするということ、もちろんそういうことも大事な要素ですけれども、やはりスクーリングが持つ意味の大きなものは、やはりキャンパスのない大学の中で集団制というものの持つ力、機能の中で学生が相互に学び合う、あるいは教授と、先生と直接意見を闘わし、そして教授の人間性にも触れながら、その中から学習意欲を燃やし、そして研究していく、学んでいくという、そういう触れ合いの場というものが、これはスクーリングの持っている最大の要点であって、そこでカセットでテレビを見たり、放送を聞いたりするようなために日曜日出ていくという事柄でないわけなんですね、スクーリングの持つ意味は。だから日曜日に一回とかいうことじゃなくて、ある程度長期間――一週間とか二週間とか、やはり学生が共同生活を大学の先生とする、そうしたものもその中に含めながらやらないと、キャンパスのない大学の持つ弱点というものがやはり出てきて、放送大学の将来展望というものは学ぶ側の学生の側から崩れてしまうんではないかと。私学でも、初めは希望を持って通信制の大学に入ったけれども、やはり働きながら学ぶという条件の悪さの中から、入ったけれども卒業できない、スクーリングがあっても行けないということが現にある通信制の大学の中の最大の問題になっているということは、これはもう大臣も御存じのとおりだと考えるんですね。だから、それをどのようにして補ってやるんかということを抜きにしてやれば、この大学はまさに片手落ちだと、どうぞどうぞ来なさいということにならないでしょう、これは。いま働いているところをやめてでも来るというふうな大学にはならないはずです。まさにその目的どおり、生涯教育というものを進めていく中核的な高等教育機関だと、新しい教育システムを打ち出すんだと言っておられるんだから、まさに新しさの中にいままで働きながら学ぶということについて懸命にがんばってきた先輩の人たちのためにも、やはりいま言った有給休暇制度というふうな事柄に類する企業あるいは役所がやっているさまざまなそういうところの雇用主との関係において休める、休暇がとれる、有給でとれるという問題について、ぜひとも制度的に保障すべきではないかと、ここのところを言っているんですから、それはカセットであるとかあるいはまた晩に放送を聞けばいいじゃないかとか、いや朝八時からやっているからとか、そういうことじゃなくて、スクーリングの問題にしぼって学生側の条件づくりについて大学が発足する時点までひとつ検討する、必ず実現するために努力するとかいった問題についての明確なお答えをいただきたいと、このように私はお願しているんです。
#32
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま先生の仰せの問題は、いろいろとこの放送学園大学をまとめる過程におきましてもありましたわけでございますが、なお関係各省庁との間の協議なりお話し合いを詰めていかなければならない問題でございまして、文部省単独ではなかなか決めかねる面も多いと思います。
#33
○本岡昭次君 もちろんそのとおりです。放送大学をいま中心的に進めているのは文部省なんですから、だから文部省が積極的に関係各省庁に働きかけて、先ほどからくどく私が言っておりますように、学生の学ぶ権利を保障していく条件づくり、それをひとつ精力的に、積極的にひとつ進める、この放送大学の問題を契機にして入っていくという一言を文部大臣からお願いしたいんですが。
#34
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま申し上げましたように、いままでの過程におきましてその問題も出ております。われわれもそういうふうな問題について解決しなければならない点が多々あるということを申し上げると同時に、御意見は十分拝聴いたしておきます。
#35
○本岡昭次君 いや、文部大臣、それはここで一言言えば責任が大変だと思っておられるんであろうと思うんですが、しかし、私は、放送大学をここにどうしても文部省が実現させなければならないというのは何も意地やメンツやないでしょう。意地やメンツでやるんならぼくはやめてほしいんですよ。大学の教育の機会をやはり広範な青年に与えてやりたいということなんでしょう。違うんですか、これは。どうですか。
#36
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま私が何回も申しましたように、文部省といたしましては先生のお考えと全く同じでありまして、前向きに検討さしていただきます。
#37
○本岡昭次君 それでは本当に本気になってひとつ前向きに検討して、ぜひとも学ぶ学生の側の条件をつくってやってください。
 それでは次に進みます。
 そこで、このことに関連して、この大学はそれでは高等教育機関なのか、それとも生涯教育機関なのか、ここの点についてひとつ明快に言っていただきたいんですが、いかがですか。
#38
○政府委員(宮地貫一君) もちろんこの放送大学は、学校教育法の規定に基づきまして文部大臣の認可を受けて設置される正規の大学として構想いたしております。しかしながら、その対象といたしますところは高等学校の新卒者ということだけじゃなくて、広く社会人や家庭婦人等にも大学教育の機会を提供いたしておるわけでございますが、さらにすでに高等教育を受けた者に対してもいわゆるリカレントエデュケーションといいますか、そういう機会にもなり得るというようなものであろうかと思います。そういうことも配慮して、具体的な授業科目等についてもそういうような事柄も配慮をいたしておるわけでございます。そういう意味においては、国民全体の生涯教育といいますか、生涯学習のために正規の大学教育を提供するというような形になろうかと思います。
#39
○本岡昭次君 生涯教育のために正規の大学教育を提供するとおっしゃいましたか、いま。
#40
○政府委員(宮地貫一君) まあそのように申し上げたわけでございますが、最初に申しましたように、正規の大学として大学教育の中身そのものを行うわけでございます。しかしながら、受けとめる側の国民の側からいたしますれば、広く社会人でございますとかあるいは家庭婦人等にも大学教育の機会を提供するということになるわけでございまして、もちろん正規の学生といいますか、あるいは科目履修生ということで単位を取ろうとする者、そういう方々のために行われる大学教育そのものでございますが、しかしながら、そういう正規の学生でない一般の家庭婦人その他についても、もちろん学習意欲のある方々は学生としての登録をしていなくともこの放送を見ることによりまして、学習意欲を持っておられる方々に対してはそういう意味では教育の機会を提供していることになるわけでございます。
 そういう意味で、先ほど申しましたのは、そういう生涯教育という観点と申しますか、生涯のその時点時点で学習をするというような、そういう学習意欲の高まりに対してはこたえるものになる。内容としてはもちろん先ほど申しました大学教育の中身そのものを提供しているわけでございますが、学習する方々の方から見ればそういう機能も果たしておるということが言えるかと思います。
#41
○本岡昭次君 学ぶ立場の人たちからはそういう意味も含んでいるということは、この放送大学というのは生涯教育という観点の方にウエートがやはり置かれていると見なければならないんですか。「放送大学について」という冊子の中の一の「放送大学設立の目的」、二の「放送大学の教育」というところにそれぞれア、イ、ウ、また下にア、イ、ウ、エとあって、まあアが何も一番だとは思いませんが、やはり目的のところにはいまおっしゃるように「生涯教育機関として、広く社会人や家庭婦人に、大学教育の機会を提供すること。」、そして二の「放送大学の教育」のアのところは、放送大学は「大学教育を行う正規の大学として設置する。」と、こうあって、これは両立をさせようとされているんですが、これも果たして思惑どおりいくのかどうか私は非常に疑義を持つんです。まず、高等教育機関としてということの中で、やはり放送大学が宿命的にこれからぶつかっていく壁は学歴の問題だと、こう思うんですね。まあ教養学部という一学部があって必要単位数を履修すれば学士号を与えられると、こういうことで、それはまさに学卒ということになるんでしょうが、しかしおっしゃるように、生涯教育機関の観点でまさに茶の間の学士号とか言われているんですが、自分の教養あるいは知識、そうしたものを高めていったという中で獲得できた名誉称号みたいなものであるならばそれは結構なんですが、しかし正規の大学と言う以上、そこに与えられる学士号なりあるいはまた大学卒という資格が一体いまの学歴社会の中でどのような取り扱いを受けていくのかということなんですね。そういうようなことは、学歴社会の中におけるこの放送大学卒業者の持っておる大学卒という資格がどういう形で通用していくのか、また社会的に受け入れられていくのか。ここに書いている「広く社会人や家庭婦人」が、私は放送大学の卒業生なんだ、学士号をもらっているんだと、そういうものはいいですわね、これは自己教育の問題として。しかしそうでない立場で学ぶ学生の方がより多いし、また私は本来その方にウエートをかけられるべきだと思うんですが、そのときに学歴社会の中におけるこの放送大学の持つ位置づけ、そういったものをどうお考えになりますか。
#42
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学は正規の大学であるということは先ほど来御説明をしておるわけでございます。
 そこで、いわゆる学歴社会と言われております社会の受けとめ方の中でこの放送大学の卒業生というようなものがどのような評価になると考えておるのかというお尋ねのように承ったわけでございますが、もちろん大学教育、一般の学部の卒業生もおりますれば、もちろん夜間の学部の卒業生、通信制の大学の卒業生とそれぞれいるわけでございまして、もちろんこれらはいずれも昼間の大学卒と同等の資格が得られることになっておるわけでございます。そういう意味では、この放送大学の卒業生、教養学士を得て正規の単位を修得した者は大学の卒業ということでもちろん同等の資格が与えられるわけでございます。問題は、そういう卒業生に対する社会的な評価といいますか、そういうような者がどのように取り扱われるかという問題でございますけれども、私どもは、昼間でございますとか夜間でございますとか、あるいは通信教育ということで、もちろん一般社会から区別されるべきものではないのは当然でございまして、それは、そこでどれだけの中身をその学生が身につけたか、いかに学び、いかに努力をしてきたかということによって、その能力に即して適正に評価されるべきものと考えます。ただ、いわゆる学歴社会と言われております今日の社会の全体の風潮と申しますか、それらが言うなれば是正されていく一つのきっかけにこそ私どもとしてはしなければならぬというぐあいに考えております。
#43
○本岡昭次君 いや、是正されていくきっかけになると、すごく楽観的におっしゃっていますが、私は学歴――一つのピラミットというんですか、これは高等学校にも一つの学校格差というものが一流校、二流校という形であるし、大学にも現にこれは社会的常識になっているように、東大を頂点として旧制の帝国大学という一つの、いわゆる一流というのがあり、それから私学の有名校があり、国立の一期校、二期校、そしてまた私学、さまざまな大学の中に格差があって、高校生がその高等学校段階における学力、あるいはまた共通一次試験によってそれでふるい分けられてみんな受験をしていくと、そこに定時制があり通信制がありというふうに現に存在をして、放送大学というのは一体そのどこに位置づけられるのか、そんないまのピラミッドになっているものをぶつ壊す力になるか。私はならないと、むしろ一番底辺に放送大学というものが置かれるにすぎなくて、いよいよその学歴ピラミッド、大学というもののあり方が大変なことになるんじゃないかと、こう見るんですよ。だから、先ほどの自治をつくり上げていくためにどうするかという具体的なことをやってくださいと、あるいは学生の学習権を保障するために具体的な手だてを講じてくださいと言っていると同じように、ぼくは、いまくしくもおっしゃられたように、学歴社会を是正するきっかけになるんではないかという願望を持っておられるんなら、これは大臣にお答えをいただきたいんですが、やはりいまの教育の中の最大のガンになっているもの、恐らくこの文教委員会でも学歴社会是正の問題は幾たびとなく論議されたと思うんですが、この放送大学を、まさにいまおっしゃったように提案して、これを社会の中に持ち出すときに、やはりあわせて放送大学が放送大学として国民の中に定着し、そしてみんなが受け入れ、そしてここに学ぶ者が、そうした学歴とかいったことにかかわりなくその大学教育を受けていくような場になるために学歴社会を積極的に打破していく方策というものも一方で講じていかなければ、この放送大学の持っているその運命というんですか、私は非常に非観的にいまの学歴社会の中では考えるんです。恐らくつぶされ、埋もれてしまって形だけ残るんじゃないかと。本当にこの放送大学を放送大学としてこれから発展させていこうとすれば、学歴社会を是正していくという問題について、抽象的でなく、具体的な方策が高等学校の段階から講じられていくべきだと思うのですが、ひとつ文部大臣のお考えをお聞きしたい。
#44
○国務大臣(田中龍夫君) 本岡先生のおっしゃる問題については非常に実は示唆を受けると同時に、また考えておりまする理想の一端でございます。で、現在高校を卒業された方々だけが資格を持っていない、あるいはまた短大の場合も資格がない、そういう問題について、この放送大学の学位を取られるということは、単位を取られるということは、これは確かに私は大きなそこには希望と意味があることだと思うのです。
 それから同時に、そのことはくしくも先生がお茶の間の学士と言われましたけれども一そういうことにならないように、それからまた同時に国民全体の社会教育的な意味の教育レベルを上げるというだけではなく、大学の学歴社会においてもこの放送大学の学習というものは、私はいま局長が申しましたように、やはりそこには新しい開けた道ができますように今後も努力を重ねてまいります。
#45
○本岡昭次君 いまの問題はここでもう時間かけて論議する余裕がありませんから、また次の機会にいま少し突っ込んでみたいと思います。
 そこで、私の結論は、やはり放送大学をつくるとすれば、何か生涯教育と高等教育機関と二またかけたような形ではなくて、やはり高等教育機関として存立するようにやっていくべきでないかと、放送を使った大学として、まさに正規の大学としてのあり方を中心的に求めていくことの方が意味があるんではないかと、こう結論として考えているんです。だから、生涯教育というものと高等教育というものが両立して一つの大学の中にやっていけるか。大学の学問研究の自由、研究という事柄にかかわって放送大学の教員、教授が専門的な自分のその分野の研究をやっていくというふうなことも非常にこの中に弱い――何か教えることだけ、教育するということだけが前面に出ているような中で、本当に個々の放送大学の教授が自分の専門とする学問の中身を追求していくというふうな研究の組織とか自由とかいうようなのが非常に弱いのも、やはり言ってみれば生涯教育と、お茶の間で主婦やらあるいは高齢者の方々が余暇利用というふうなことを含めながらやっていく程度でいいんではないかというふうなものが入ってくるから、そこに非常に学問の探究というふうなこととの間に私は矛盾がこの構想の中に来ているという気がしてならないのです。
 そこで、生涯教育というふうなものはこのような巨大なシステムでもって将来北海道から沖繩まで全国画一的にやっていくというふうなことじゃなくって、ぼくはテレビに主婦やそれから高齢者の方が、さあいまから放送大学の何かあるんだと言って、茶の間で一人一人が孤立した状態で勉強し、そしてテレビで学んでいくというそういう姿をずうっと、何十万か知らぬけれども、考えたときに、一面ぞうっとするんですよ。本当の生涯教育なんというものは、もっと地方自治体なり県や市や町や、あるいは自治的な市民組織や、そうしたものが、あるいはサークルが、自分たちの力で学びたいという者が集まって、そして自主的に、能動的に自分たちで学んでいくのが本当の意味での生涯教育であるべきだと、私はこう考える。
 だから、私の出身地である兵庫県でも、老人大学というふうなものをつくって、老人に勉強の場を提供して積極的にやっています。大変な効果を上げています。また、市、町でもそれに類するさまざまな形での社会教育的な大学講座というものを持って、それはテレビにくぎづけされるんじゃなくて、実物に即し、実体に即し、大ぜいの仲間と触れ合いながら、そこで生涯教育の実を上げているんです。また民主団体もやっています。私も選挙に出るまでかかわっていた民主団体では、県民大学というものを組織して、私はその理事長をしてたんですが、母親が千五百円の会費を納めて六講座を勉強するんです。子育ての問題、母親の算数教室、あるいはお父さんお母さんの国語教室というようなものを募集する。千五百円出してももう会員がいっぱい集まって、とにかく抽せんでさばかなければ仕方ないほどやはり集まって来られます。しかし、そこに集まって来られるのは、いままで全然知らない人たち、顔も見たことない人たちがそこに集まって、一つの共通の悩みについて勉強するときにつくられるお互いの連帯感のようなもの、また学び合い、そして直接先生から話を聞く中身で、自分のいままでの悩みや苦しみとの一致点なりあるいは違う点などをまた後で討論し、後で文集をつくってみんなでそれを確かめ合うとかいう、そういう中で生涯教育というものの具体的なぼくは実が上がっていくんだと思うんですね。そういう手のかかった、一見生ぬるい、そういうことであってもそれが本当の意味での生涯教育のあり方だ。
 だから、言ってみれば、これは地方自治体なり、民間組織なり、サークルなりといったところに任しておいて、そういうところの自主的な能動的な教育が行われるような、そういうバックアップ体制をこそ文部省はとっていけばいい、結論としてぼくはこう考えるんだ。そして、この放送大学をもしやられるなら、いろいろ先ほど言ったような中身の検討を含めながら、やはり高等教育機関として存立し得るという方向に重点が注がれるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#46
○国務大臣(田中龍夫君) 私は、先生の御意見とは異なる気持ちを持っております。というのは、そういうふうに、この放送なり何なりを使った教育で、そしてしかも、対象をしぼった教育をしようと、こういう問題に対して、自治体といいますか、コミュニティーといいますか、それがお取り組みになりますことはまことに結構なことだと思うんです。しかし、そういうふうな放送を使い、あるいはまた一般教養を高めるということは、特殊の向学心を持った地域ではできましょうけれども、全国規模における非常に広い面で、社会教育にしましても、あるいはまた実際の一般教養としての大学教育にいたしましても、全体のレベルアップをしていくということは、これはやっぱり国のやるべきことであろうと思うんです。
 そういう点で「二兎を追う者は一兎をも得ず」の結果じゃないかというような御意見でございますけれども、私はそれはそれでりっぱに意味があると。やはりこの際、通信教育というものの効果というものを、さらにこれを格づけて普及いたしますと同時に、他の大学との互換制も、単位の互換制をもって、そうして一般の国民教養というものを高めていく、同時にまた、生涯教育としての社会教育面も進めていく。こういうふうなものが一つのまたよすがになって、そうしていま先生がおっしゃったような、さらに小さな自治体なりコミュニティーにおいて、そういうところまでレベルが上がりやすくなっていくと。何はともあれ、近代社会におけるラジオ、テレビといったようなこういうものを教育に使っていくということは、私は、大学教育にいたしましても社会教育にいたしましても、非常に一つの大きな理想に向かっての大きな一歩前進である、こういうふうな気持ちでこの問題と取り組まなきゃいかぬ、かように考えております。
#47
○本岡昭次君 大臣のおっしゃることをそのとおり実現しようとするならば、私にも注文があるんです。
 おっしゃったように、近代社会の中においてテレビ、ラジオの持つ力というものは非常に大きいんです。大きいからこそ私はいま注文をつけているんですよ。だからこそこの審議も長期間要したと思うんです。一番の問題は、やはり国家権力がこうしたラジオとかテレビとかいう放送に対しての支配権を持つということになったときは大変なことになる。それは日本にかかわらず、民主的に国が運営されようとすれば、当然だれもが考えること。だから放送法の中で、国が放送機関を持たないというところに一つの大きな制約を置いているということもわかるわけです。にもかかわらず、放送大学としてテレビ、ラジオを使って、全国民に対してチャンネルを合わせればだれもが聞ける、だれもが見れるという状態を持っていくときに、それだけやはり条件があると思うんですね、力があるだけに。それは北海道だとか、それでは九州だとか四国だとか、あるいは近畿、中国の広範な地域の人たちが、それぞれ住んでいる条件が違う。歴史も伝統も地理的条件も環境も生活様式も皆違う。違うということは、その人たちの持っている教育要求、あるいは教育に対する関心の度合いも皆違う。その違うことに、それではテレビや放送がそれこそ一人一人のところにすとんすとんとはまるようになるか、これは不可能。やはり一律的に、機械的に流さざるを得ないという宿命が一つあるわけです。
 私はここに、文部大臣にあるいは宮地さんに違う物の言い方をすることはできます。しかし、テレビや放送はそういう異なった形で話しかけ、問いかけることはできない。やはり一つの形で流さざるを得ぬ。だから、そこに民主的な運営が必要であるし、イギリスの公開大学のとったような、とにかく国民全体のやはり監視をしていく制度、大学運営への参加、こうしたものがなければならない。もっと極端に言えば、北海道から、各県から一人ずつ、この放送大学の生涯教育にかかわる部分について代表者が皆来て、それは地域住民から選ばれた代表者が来て、そうして生涯教育としてこれこれのことをやってほしいと、あるいはこの間放送されたこの点についてはこういう疑義があると、そうしたみんなが直接参加するという民主的な運営の土台というものがなければ、私は、文部大臣のおっしゃっていく形というものは実は上がらないし、逆に危険な方向に向いてしまうというふうに考えるんですが、最後に、その問題についてひとつ御見解を承りたい。
#48
○国務大臣(田中龍夫君) 本岡先生の御意見を貴重な御高見として拝聴いたしておきます。
#49
○委員長(降矢敬義君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#50
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送大学学園法案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#51
○柏原ヤス君 放送大学についてはいままでいろいろ問題点が指摘されてまいりました。参議院では最初の質疑になりますので、基本的な点について二、三お伺いしたいと思います。
 まず、放送大学が電波を利用するものである、また準備が国の主導で行われてきたということなどから、教育研究の自由をいかにかく保障し、国の支配をいかに排除するか、これが課題になっていると考えられます。そこがやはり衆議院でも論議の中心であったと思います。この点についてもう一度どのように考えていらっしゃるか、放送大学学園及び放送大学の機構と制度面で配慮されている点を述べていただきたいと思います。
#52
○政府委員(宮地貫一君) お尋ねのとおり、放送大学は放送によって教育を行うということがございます。したがいまして、その点での教育研究の自由がどのように保障されているのかというまず第一点のお尋ねでございますが、基本的には放送大学というものも、先ほど来御質疑がございましたように、学校教育法上の正規の大学でございまして、従来の国公私立大学というようなものと同様に大学の自治が保障されるものであることはもとよりのことでございます。そのために放送大学の教育研究に関します事項については評議会や、また学校教育法上置かれます教授会が設けられまして、全学の教員の意向を反映して大学の運営がされるようになっているわけでございます。
 特に、学長や教員というような教学面での人事につきましては、国公立の大学の教員にかかわります教育公務員特例法の例にならいまして、評議会の議に基づいて任命を行うことを法律上明確に規定をするということにいたしております。
 また、この放送大学の設置者は特殊法人の放送大学学園になるわけでございますが、この特殊法人の放送大学学園に対します国の関与というものにつきましても、法人役員の任命等は文部大臣が行うわけでございますが、そのほか、たとえば監督上の、業務上の命令も財務、会計にかかわる事項に限定するというようなことを規定いたしておりまして、放送大学の教育研究に関しましては大学の自主性を尊重するということを配慮いたしておるわけでございます。
 ただ、御指摘にもございましたように、放送大学の教育のうちで放送大学学園の放送を通じて行われるもの、これはもとより放送によって教育を行うわけでございますのでそれは不可欠なわけでございますが、放送を通じて行われるものにつきましては、放送大学の授業としての実質を持っておりますと同時に、広く一般に視聴者に自由に視聴される放送という、これは基本的なそういう性格があるわけでございます。したがいまして、これに対しまして放送法四十四条第三項の規定が適用されるようにこの法案において措置をいたしております。したがって、放送大学が放送という手段を用いる場合には、大学側が番組の内容や問題となる事項の取り扱いについて、放送法四十四条三項に反することのないように適切に工夫、自制を行う必要があるわけでございますが、しかしこれは大学みずからの手において行われるというわけでございまして、そのことによって大学における学問の自由の本質を損なうことにはならないと、かように考えております。
#53
○柏原ヤス君 次に、教員の雇用形態についてですが、これについて任期制も採用されております。この任期制は、運用次第では教員の身分を不安定にする、また教育研究の面でも好ましくない影響も考えられます。そこで、教育研究の自由を保障する立場から運営をされなければならないのですが、この点どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#54
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のとおり、教員の任期制というものを考えておるわけでございますが、基本的に申し上げますと放送大学というのは、言うなれば国民の多様な要求にこたえるために非常に幅広い学問分野にわたって授業科目を開設すると、具体的には教養学部ということで考えておるわけでございますが、そういう非常に幅広い授業科目で開設をするし、また学問の発展に応じまして新しい内容を盛り込むということが望まれるわけでございます。そういう観点から、教員に任期制を設けまして、数多くの教員が放送大学に参加することによってそのことが一層進められると、かように考えております。放送を通じまして国民にすぐれた講義を開放するためには、特定の教員がいわば永続的に放送大学の教員の地位を占めるということになることは必ずしも適切ではないと考えておるわけでございまして、その点は任期制をとることによりましてそういう弊害が防がれるということになろうかと思うわけでございます。そして、こういう任期制をとり、こういう任期制の持っておりますいわばメリットといいますか、そういうところに着目をしまして、広く各方面の優秀な方々の御参加をいただくということ、それを円滑に実施するために任期制を採用しておるわけでございます。
 ただ、御指摘のとおり、任期制をとることによりまして身分が不安定になるんではないかというお尋ねではないかと思うわけでございますが、この任期制というものがただいま申しましたようなところに着目をしまして、そういうメリットを生かすために任期制を取り入れておるわけでございますが、具体的にその制度が実際に円滑に機能するというためには、これは関係の各大学の関係者全体の御理解と協力が得られなければうまく円滑に実施が図れないということはもとよりあるわけでございます。そういう点で、私どもといたしましては、そういう各関係の大学の関係者全体に十分な理解と御協力が得られるように努力もしていかなければならぬわけでございまして、単に任期制というものがこの放送大学だけの考え方でうまく実現はされないという点も御指摘のようにあるわけでございまして、そのためには関係者全体の御理解と協力が必要である、かように考えておりますし、私どももそういう御理解と協力が得られるように努力をしていかなければならぬ、かように考えております。
#55
○柏原ヤス君 次に、通信教育との関係をお伺いいたしますが、これまでも放送大学が現在の大学の通信教育を圧迫するのではないかといった懸念はあったわけでございますが、こうした指摘に対して通信教育との関係をどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#56
○政府委員(宮地貫一君) 私立大学の通信教育との関係というのは、確かにこの放送大学というのは非常にかかわりが深いわけでございまして、放送大学の構想が今日まで検討されてきました途中の段階におきましては、私立大学の関係者、特に通信教育の関係者からは、戦後三十年間、大変苦しい中で実施をしてまいっております私大の通信教育に対してこの放送大学が相当影響を与えるのではないかというようなことから、消極の見解が表明された時期もあったわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、その後この準備を進めるに際しまして、調査研究会等にも私大の通信教育協会からも御参加を願うということで具体的な構想を検討して、具体化を図っていきます際にそういう私大通信教育の関係者の十分な御理解を得られるように努力をしてきておりますし、その点は私どもは、私大の通信教育関係者はこの放送大学の構想を進めていくことについて、今日では十分御協力を得られるものと、かように考えております。そしてまた、先ほど来御説明を申し上げておりますようないろいろな放送大学学園の組織の面で、たとえば運営審議会というようなものが考えられておるわけでございますが、そういう構成メンバーを考える際に、私大の通信教育の関係者にもそういう組織に入っていただきまして、放送大学と私大の通信教育とがともに、共存共栄と申しますか、相ともに充実していくような方途を考えていくということが必要であると考えております。
#57
○柏原ヤス君 その点にかかわり合いがあるんですが、この通信教育との協力関係、これが可能だということでございますが、放送大学が流す放送、これを通信教育でも使ってもよいということですね、これは。その点はどうですか。
#58
○政府委員(宮地貫一君) その点は法案の規定で規定をいたしておる点でございまして、放送大学学園の放送については私大通信教育のための放送を放送大学学園がみずからの放送として実施をするということを法案の第二十条第三項に目的達成業務の一つとして想定をいたしておるわけでございます。
#59
○柏原ヤス君 そうであるならば、当然その放送の制作には参画することができる体制をつくっておかなければならないと思いますが、こうした体制はできているんでしょうか。
#60
○政府委員(宮地貫一君) その際の具体的な実施方法等についてのお尋ねであろうかと思いますが、私大通信教育側の具体的な要請と申しますか、協力要請が出ました段階で検討される課題ではあろうかと思いますが、もちろん学園がそのための番組を制作、放送に当たりまして、できる限り私大通信教育側の意向が具体的に反映されるような形で行われるように配慮するのは当然であるわけでございます。しかしながら、これは具体的なそういう協力要請がありましてからの問題でございますが、その私大通信教育のための放送そのものを放送大学学園みずからが行うということになっておるわけでございまして、十分それは御協議をいたしながら私大通信教育側の御要望が組み入れられる形でやることは当然のことでございますが、具体的な協議をした上で、行います放送そのものは放送大学学園が行う放送ということに相なるわけでございます。
#61
○柏原ヤス君 私がお聞きしたいのは、その放送の制作に参加する体制というものがつくれるのか、つくる方向なのか。
#62
○政府委員(宮地貫一君) 具体的な番組制作の際に、もちろん十分協議が行われるような形で、番組制作そのものとしてはコースチームのようなものがつくられまして行われるわけでございまして、その企画に際しまして私大通信教育側の御意向を十分組み入れるような具体的な仕組みというものは、当然考えられることになろうかと思います。
#63
○柏原ヤス君 次に、スクーリングについてお伺いいたしますが、先ほども非常に具体的に、しかもスクーリングが非常に大事だという立場での御意見がありましたが、私もそういう点では同感で、重ねて、ダブルようですけれども、お聞きしておきたいと思います。
 そこで、既存の通信教育では具体的にどのような形態でどれだけの期間このスクーリングが行われているか、これは大学によっては違うと思いますが、それを具体的にお聞きしたいと思います。またそうした差はあっても、平均的に標準的にどうなっているかという点をお聞かせいただきたいと思います。
#64
○政府委員(宮地貫一君) お尋ねは、既存の大学通信教育ではスクーリングがどういう形で行われているかというお尋ねのように承ったわけでございます。
 大学通信教育では、卒業の所要単位の中に、三十単位以上を面接授業、いわゆるスクーリングで取得しなければならないということになっておるわけでございまして、これは各大学が、具体的には学生がスクーリングを受けやすいように、たとえば次のような三種類の方法によりまして実施をしているようでございます。
 一つは、夜間のスクーリングということで実施をしております。春または秋に十週間ないしは十五週間程度継続的に夜間に通学して授業を受けるというような形でございます。
 第二番目としては、夏季ないし冬季のスクーリングということで、比較的休みのとりやすい夏季、七月中旬ないし八月下旬という間、あるいは冬季、十二月ないし二月ごろまでの間におきまして、四週間ないし六週間程度昼間に授業を受けるというような形でございます。
 それから第三番目の形といたしまして、通年スクーリングと申しますか、四月上旬から翌年三月までの一年間を、一般の通学生と同様に通学して授業を受ける。つまり、四年間に一年間は通学スクーリングを実施するというような形もあるようでございます。
 これらにつきましては、現在通信教育を実施しておりますのは私立大学では十二大学あるわけでございますが、それぞれの大学におきましてただいま申し上げましたような形を適宜組み合わせることによりましてスクーリングを実施しておりますが、中には、ほかに日曜日のスクーリング等も行うというような形を取り入れているところもございます。
 また、大学によりましては、地方において、つまり大学所在地のみでなく、地方におけるスクーリングを実施するということによりまして、地方の学生の参加しやすいような形も取り入れるというようなことが行われているようでございます。
#65
○柏原ヤス君 そこで、今度できる放送大学ではこうしたスクーリングの形態、それから期間、こういうものをどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
#66
○政府委員(宮地貫一君) スクーリングの問題、この放送大学の場合にはどのように考えているのかというお尋ねでございますが、卒業の所要単位三十単位として、このスクーリングが現在の大学通信教育基準に従ってはそういうことになっておるわけでございまして、ただこの放送大学の場合におきましては、そのうち十単位を放送視聴によりまして取ることを認めることとするように、ただいま基準の検討の段階ではそういう点も検討をされているわけでございます。
 そこで、この放送大学では面接授業への参加それ自体が大変負担にならないようにいろいろと工夫をこらす必要があるわけでございまして、学習センターの設置を一応広く各地に置くということで考えております。
 また、その学習センターの受講につきましても、夜間でございますとかあるいは日曜等の受講も可能なように工夫をすることでいろいろと考えておるわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、スクーリングというものが、大学教育にとっては教官と学生とが接する機会というものがやはり非常に不可欠な要素でございまして、それがスクーリングを受けやすいような工夫を具体的に講ずるということがこの放送大学を成功に導いていくための非常に重要な要素と私どもも考えておりまして、その点について十分配慮をするつもりでございます。
#67
○柏原ヤス君 十分にとか細かくとか、いろいろ抽象的な御説明はあるんですけれども、まあ具体的にわかるのは、学習センターをつくるというようなことは具体的にわかりますが、そういうものができても、このスクーリングを受ける学生というのは一番この問題で苦労しているわけで、そのために通信教育で悩んでるようなことをやはり放送大学で同じように悩んでいくようではこれは効果が上がったとは言えないと思うんですね。そういうわけで、先ほど、どういう形態がどんな機関で行われているのかと、いままでの通信教育の例をお聞きしたんですね。そういう点で、この放送大学でのそれじゃ一番の形をとるのか、二番の形でやるのか、三番の形でやるのか、そういう点、もうちょっと具体的に御説明がいただけないでしょうか。
#68
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど私立大学の通信教育のスクーリングの状況については、現在実施されておりますものは大体三通りの型がありまして、ほかにたとえば地方スクーリングを実施しているようなものもあるということを申し上げたわけでございます。
 この私立大学の通信教育におきましても、スクーリングをいかに確保するかという点がまさに非常にポイントでございまして、スクーリングを受けやすく考えるためにいろいろ配慮をしているわけでございます。これらの点を十分参考にいたしながら私どもとしては、受講生のなるだけ便宜を考えるということで、学習センターの設置については各地に設置をするというのが基本でございます。そしてまた、その学習センターの開議の時間といいますか、受講可能時間というものをなるだけ、平日の昼間ということには限らないで、夜間でございますとか、あるいは土曜、日曜等にも開議するということを具体的には検討をいたしております。
 要は、スクーリングをなるだけ受けやすく、そういう機会を、受講生の便宜を考えるという考え方から、従来の私立大学の通信教育のスクーリングで問題点となっておりましたことを踏まえまして、極力便宜を図るという考え方で学習センターの設置、開議時間等を考えているわけでございます。
#69
○柏原ヤス君 何か私が期待しているような具体的な御説明が全然ないと感ずるわけで、これ以上やりとりを繰り返していても意味ないと。結局このスクーリングに対していままでの通信教育の例がずっとあるわけで、そこに問題点もはっきりしているわけで、それを少しでも前向きに直していくと。スクーリングを受けやすくするというそうした研究というか、そうした配慮は必ずやると、こう文部省としては言い切れるんですか。
#70
○政府委員(宮地貫一君) 学習センターでのスクーリングのあり方につきましては、具体的な組み合わせば先ほど来御説明をしておるような形で対応をしていきたいということで申し上げておるわけでございます。
 なお、先ほどの、午前の御質問の際に、たとえば具体的にスクーリングのために教育有給休暇というような制度について文部省としてどう取り組むのかというお尋ねがございまして、先ほど大臣からも、そういうような事柄についても前向きに検討をいたしたいという御答弁があったわけでございまして、そういう制度面での検討も私どもとしてもいたさなければならぬことだと、かように考えております。
#71
○柏原ヤス君 その御答弁がありましたので、それについてもも少し具体的にお聞きしたいわけなんですね。具体的に教育休暇の制度化、こういうものが取り上げられているわけです。それについても考えなければならない考えなければならないと言っていらっしゃるんですけれども、じゃ、どういうふうにするのか。この学校がいつできるということはもう決まっているわけでしょう。そうしてその開校の年にもうすでに受講生というものは本気になって受講しようと思って入学を申し出るわけです。その前に、たとえ働いている者でも、特に困難だと言われているスクーリングはこういうふうに簡単に受けられるようになるんだというものが欲しいわけですね。それには教育休暇の制度化ということが具体的に挙げられている。これ一つでも実現させたら私はすばらしいことだと思うんですね。放送大学が成功するばかりじゃなくて、通信教育の中で苦しんでいる受講生たちもこのスクーリングを気やすく受けられるようになるわけで、私、これはもっと文部省が本腰で取り組んでいただきたいということを切望してくどく申し上げるんですが、私はぜひ大臣がこの問題を閣議の席で取り上げていただきたい。それには、労働省はもちろんのことですけれども、やはり閣議の席で取り上げるくらいにしなければだめだと思います。そして、労働基準法の改善、具体的には教育休暇の制度化ということをぜひやっていただきたいんですね、この一、二年の間に。少なくとも開校の前にこれはやらなければならない私は文部省の一つの責任だと思うんですね。いかがでしょうか。
#72
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと細かい御注意をいただきましてありがとうございます。
 なおまた、先ほどの御質問からいろいろとお話のございましたように、われわれといたしましては勤労する方々に対しましてできるだけの教養と便宜をお与えしなければならぬ、かように考えておる次第でありまして、ただ、お話が、先ほど申し上げたとおり関係省庁もあることでございます。文部省といたしましては前向きにこの問題を進めてまいりたい、かように存じております。
#73
○柏原ヤス君 その程度の御答弁で私は満足しないわけです。言葉じりをちょっとつかまえるみたいで申しわけないんですけれども、そういう細かい御注意をって、細かい問題かと私は思うんですね、この問題は。大変な問題だと思うんですね。この制度をつくるということ、しかも基準法を改正する、しかも通信教育の一番大きな障害になっているわけでしょう。あれだけ熱心に勉強しようと思って通信教育を受けている学生たちが一割か二割しか卒業できないという、こういう現状というものを、細かい問題だとか小さい問題なんかで、言葉だけで濁していないで、私は本気になってやっていただきたいんですね。放送大学を本気になってつくるんだったら、放送大学の効果というものがはっきりと、働きながら勉強していく立場の者に本当にいい大学だと言われるような大学をつくらなければ意味ないと思うんですね。私は細かい問題なんて言っているのんきな大臣にもう一回、本気にやるんだという、そういう決意を述べていただきたいんですよ。
#74
○国務大臣(田中龍夫君) それは大変誤解でございまして、私がいま申し上げたのは、勤労青年に教育の機会をできるだけ出すということは、これはもう重大な問題でございますが、きめの細かい御質問と、こう言ったんです。その点は細かい問題と、そうおとりになっていただいてははなはだ心外でございます。大変重大な問題でございます。しかもきめの細かい御質問があったと、かように存じます。
#75
○柏原ヤス君 言葉のやりとりはもうこの辺でやめて、本当に教育休暇の制度化、こういうような、イギリスでは成功しているわけでしょう。学問が非常に盛んな日本でありながら、教育休暇の制度化くらいできないでどうするんだ、こういうふうに言いたいわけですね。ですから、言葉がどうだこうだじゃなくて、本当に大臣やる気があるんですか。
#76
○国務大臣(田中龍夫君) 十分にやる気がございますから御安心ください。
#77
○柏原ヤス君 私、この放送大学の問題と一緒に教育大学――最初教員大学という名前で出てきましたけれども、あの教育大学ができますときには、この教育大学というのはいい大学だと、大変いいお話をさんざん聞かされた。それを期待するわけですけれども、そういう大学に入る学生に対しては職場の先生方がその対象になるわけなんですけれども、お給料はちゃんとあげますよ、二年間は働かなくて勉強に専念しなさいと、もう確かに有利な条件であの教育大学に行けるようにしたわけでしょう。それができたんだから、このスクーリングが最大の障害になっているということがわかり切っているんですから、私は先ほどお話伺っていると、何ですか、それこそ細かいことをおっしゃっていたじゃないですか。カセットをつくるとか、時間帯を何とか考慮するとか、日曜日にも行かれるようにしますと。日曜日というのは休む日ですよ。さんざん働いて、そうしてその上で勉強したいという者に、日曜日も休まずに勉強しろと。日曜日ぐらいはゆっくり休みなさいと言うべきじゃないですか。それを、日曜日にも行かれるようにします。そんなことはやめてもらいたいと思いますね。そんなのは私は細かい配慮じゃなくて冷たい配慮だと、こう言わざるを得ない。そういう点で、私は取り組みに対して、本当に働きながら大学教育を受けたい、やりたいという者が喜んでやれるような、こうした体制というものが必要だと思うんですね。どんなに学校の内容がよくても、どんなりっぱな講義が行われていても、やっぱり卒業できなければ私は意味ないと思います。そういう点で、大臣が教育休暇の制度化は本気になってやるとおっしゃったんですから、それじゃ具体的にどういう省に向かって取り組みますか、大臣は。
#78
○政府委員(宮地貫一君) 教育有給休暇制度という事柄になりますと全般的な問題でございまして、労働省がその事柄を所管をいたしておるわけでございます。したがいまして、ただいま文部大臣が御答弁申し上げましたような線に沿いまして、私どもとしても労働省を初め関係省庁にその問題について積極的な姿勢で対応いたしたい、かように考えております。
 なお、先ほどちょっと、いわゆる兵庫と上越にできました教育大学の場合の現職教員の研修といいますか、研修のための大学を基本に置きました兵庫の教育大学の場合のケースについてお尋ねがありましたが、現職教員につきましては研修出張ということで取り扱っておりますので、先生御指摘のように、その点は十分配慮をした扱いがなされているわけでございます。しかしながら、いまお話しの点は、企業全体に通ずる問題でございまして、それぞれの企業がその問題にどう取り組むかという問題になろうかと思います。もちろん個々の企業におきましては、あるいは教育的な見地から大学院に入らせるというような際に、お話しのような形で取り組んでいるものもあるかと思いますが、企業全体にわたる問題でございますし、またもう一つはILOの教育有給休暇に関する条約の問題で、問題点としては幾つかその中にございまして、問題点の一つとしては、たとえば労働組合休暇というような点も問題点の一つに上がっているわけでございます。そういう大変企業全般にわたる問題で、かつ問題点も、休暇の問題につきましてもいま申しましたような点で非常に幅広い問題点があるわけでございまして、基本的には労働省が取り組んでおる問題でございますが、私ども教育の観点からは、教育がなるだけ広く国民に受け入れられやすいようなことを考えていく、それを積極的に進めるということは御指摘のとおり必要なことだと思いますので、先ほど大臣が御答弁申し上げましたような趣旨で対応していきたいと、かように考えております。
#79
○柏原ヤス君 このスクーリングのことについてもう一点お聞きしたいのは、テキストによって自宅学習する、それから放送の視聴による、それからもう一つこのスクーリングというこの三つですね。これが三分の一、三分の一、三分の一で想定しているというお話で、何だかさっぱりわからないわけなんですね、その三分の一、三分の一。三分の一はわかりますけれども、その三分の一の中身がわからないんですよ。もう少しこの三分の一、特に、テキストの三分の一、放送の三分の一は結構ですから、スクーリングを三分の一想定していると。それじゃ三つコースがあるわけでしょう。その各コースの中でスクーリングの問題はこういうふうに考えていると、単位はこれだけ、そして時間はこれだけというような、それは非常にそれこそきめの細かい内容なんですけれども、それをやっぱりお示ししていただかないとわからないわけなんですね。それは大学ができた暁のことだなんて言われちゃえばそれっきりなんですけれども、三分の一ということをおっしゃっているんですから、もう少し三分の一の中身を、なるほどという三分の一の御説明をいただければと思いますけれども。
#80
○政府委員(宮地貫一君) 具体的な開設予定の授業科目一覧というのは「放送大学について」という資料の中にも掲げてあるわけでございますが、具体的などの科目でどういうスクーリングをやるのかということは、先生御指摘のとおり、これは大学自体が実際にカリキュラムを組んでやります際の課題でございまして、ただいまたとえばどの専門科目についてどういう組み合わせをすることになろうかというところまでちょっと御説明は私どもとしてはいまの段階ではないわけでございます。ただ、一般的な考え方で申し上げますと、科目の中では、たとえば演習を必要とする科目というものも出てくるわけでございまして、演習を要するもの等については当然に学習センターでスクーリングが必要になってくるであろう。また、実習を要する科目も中にはあるわけでございまして、それらについても実習科目についてはやはり学習センターでのスクーリングということが当然に必要になってくるであろうということは言えるわけでございます。
 そこで、具体的な三分の一ずっということで申し上げておるわけでございますが、四年間で卒業するという前提での総学習時間といいますか、そういう関係で御説明を申し上げるといたしますと、一科目につきまして一回四十五分の番組を毎週二回、十五週にわたって延べ三十回、時間数にいたしまして二十二時間半を視聴するということになるわけでございます。また、あわせて同時間程度教科書による学習を行うことになりまして四単位を取得するということで構成をされるわけでございますが、四年間で卒業するといたしました場合には、毎学期放送の視聴と教科書の学習によって八ないし十単位の取得が必要になるわけでございます。毎週四十五分番組を四、五回視聴する必要があるということになり、毎日にいたしますれば四十五分番組を一回程度視聴するということになるわけでございます。そして、この放送によります授業のほか、教科書による自学自習、それからいまの学習センターにおける実習、演習というようなものを組み合わせてやるわけでございまして、大体学習センターへ出席をする、スクーリングに参加する必要度というのは毎週一回程度必要になるということになろうかと思います。そして四年間で卒業するとすればいま申しました程度の学習が必要になるというわけでございます。
#81
○柏原ヤス君 次に、この放送大学ではスクーリング等の学生指導に当たられる非常勤の教員、これを地元国公私立大学の協力を得て確保すると、こういうふうになっておりますが、やはりこのスクーリングを成功させるのにはこうした協力がなければ充実したものはできないと思うんですね。そこで、すべての各大学で教育、研究に当たっている教員にとって、この放送大学への協力というのは少なからぬ負担増と、こういうふうに考えていいと思います。また文部省もそうお考えになっていると思います。したがって、文部省はこれに対してどのような大学に、またどういう予算措置を講じて協力を求めようとしていらっしゃるか。その点のお考えはここでお聞かせいただけますでしょうか。
#82
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のとおり、学習センターにおきますスクーリングについては具体的にもちろん専任の教員も置かれるわけでございますけれども、スクーリングの実施に当たってはそれぞれ地元の国公私立の大学の関係者の協力を得ることが必要でございます。具体的にはそのためにはもちろん非常勤の講師として加わっていただくとすれば、当然非常勤の講師の謝金というようなことも当然これは予算に計上する必要があるわけでございます。これらの予算面につきましては、具体的に非常勤の数がどの程度になるかというようなことももちろん想定をいたしまして予算計上をする必要があろうかと思います。そのほか、まずはそのために、先生御指摘のように、それぞれ国公私立の大学の教官にいたしましてもそれぞれ本務があるわけでございまして、本務の上にさらにこういう放送大学の学習センターにおけるスクーリングということでお願いをするわけでございます。その点については、私どもとしては、先ほど来申し上げておりますような国公私立の大学の関係者に積極的にそういう点での御協力をお願いをし、また予算措置としても必要な非常勤講師の手当等を計上するのはもとよりでございます。
#83
○柏原ヤス君 次に、この放送大学は、現在の大学設置基準また通信教育の基準、こういうものを満たす方向で設立されるものか、それとも放送大学の創設に際していままであるこの基準を改めるつもりか。この点どういうふうにお考えなのか。
#84
○政府委員(宮地貫一君) 現在の大学通信教育の基準についてのお尋ねでございますが、大学設置基準に準拠いたしまして大学基準協会が定めました大学通信教育基準があるわけでございまして、この放送大学学園法案におきまして、この法律の附則で学校教育法の一部改正が行われて放送大学を含めまして通信教育のみを行う学部の設置が可能となりますれば、放送大学を含みます大学通信教育全体の基準のあり方については、大学設置審議会の大学基準分科会に特別委員会を設けまして御審議を願わなければならぬということで、すでに具体的に御検討はお願いをいたしておるわけでございます。現在までの審議におきましておおむね共通の了解に達しております点は、学部の組織編制でございますとか教育課程、卒業要件等基本的なあり方については大学設置基準に準拠するということをまず考えております。
 それから教育方法、単位の計算方法等につきましては、通信教育に即した基準を定めるということで考えておりますわけでございまして、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、たとえばスクーリング――面接授業につきましては、現在は通信教育により大学を卒業するためには三十単位以上が面接授業で必要であるということになっておりますが、放送授業をあわせ行う場合については面接授業により修得すべき単位のうち十単位までは放送授業によって修得することが可能であるというようなことを具体的には検討していただいているというところでございます。
#85
○柏原ヤス君 これをお聞きしましたのは、せっかくできた大学でも教育内容が低いなどということのないように心配してお聞きしたわけでございます。
 次に、通信教育はやはり資格に結びつく分野が多い。そういう点、学生がたとえ苦しくても脱落しないでがんばるというものであると思います。放送大学に予定されているこのコース、これを見ますと家庭の主婦などが中心になるんじゃないかというような心配もございます。そういう点で、どのような受講者を予想し、またどの程度の人数が受講すると文部省は考えていらっしゃるのか。これは「放送大学について」というこの刷り物を見ますと、人数などは出ております。それをお聞きしているんじゃなくて、予想ですね、本当にここに示されているような受講者が果たして集まるのかどうか、それが疑問なのでお聞きするわけなんです。
#86
○政府委員(宮地貫一君) 実は放送大学に対します教育需要の予測調査というのを昭和五十年でございますが、実施をいたしまして、放送大学の学習希望者等の予測を行ったわけでございます。これは全国から十八歳以上の者、五千人を抽出いたしまして行ったわけでございまして、そのときの調査によりますと、全体の回答者の四五・五%の者が放送大学を利用して勉強したいというぐあいに言っておるわけでございます。そしてまた放送大学に入学して単位や大学の資格を得たいという者がそのうちの約三分の一、一四・三%という数字になっております。さらに放送番組の連続視聴でございますとか、あるいはテキスト等の自宅学習、面接授業等のための学習センターへの出席が可能な者は全体の回答者の七・二%というような数字になっておりまして、これらの数字を踏まえまして、先ほどの基本計画の中では全国の最大規模の数字として学生数が四十五万三千、その場合の入学者が二十三万三千という試算をいたしておるわけでございます。そのときの具体的な、たとえば年齢別で申しますと、三十歳代から四十歳代の者が五二%という数字になっておりますし、また学歴別では高校卒の者が五六%というような数字に上がっております。ほかに職業別では、たとえば比較的多い層が主婦の層で二八%、事務職が二五%というような数字が上がっておりまして、そういう年齢別、学歴別、職業別の数字を見ましても、そのときの調査によりますれば非常に希望者としては幅広い希望が考えられるという数字になっております。
#87
○柏原ヤス君 第一期計画では放送の対象地域は「東京タワーから、テレビ・ラジオの電波の到達する範囲」ということになっておりますが、この放送大学が全国にカバーされるのはいつごろか、将来の計画がおありでしたらお示しいただきたいと思うんです。特に、こうした放送大学を利用する学生というのは、余り便利なところではない、不便なところにたくさんいるんじゃないかと、こう思いますので、やはり全国カバーということを一日も早く実現させたいと、こういう期待でそうなるのはいつごろなのかということをお聞きしているわけでございます。
#88
○政府委員(宮地貫一君) この放送大学の構想自体がわが国としては最初の試みでございますし、また全体計画としては非常に大きなプロジェクトでございまして、段階的にかつ慎重にこれを進めていく必要があると、かように考えております。したがいまして、御提案申し上げております第一期の計画というのは、東京タワーから電波の届く範囲内ということで考えておりますが、将来の計画につきましては、一つは放送衛星の実用化の動向でございますとか、あるいはこの関東地域で実施をいたしました状況等を、実際に行った様子を見た上で、さらに全国に広げていく際の問題点の検討も進めなければならぬわけでございます。
 お話のとおり、教育の機会均等という観点からすれば、全国へカバーする時期をなるだけ早くということは、御趣旨は十分踏まえて、私どもも対応するつもりでございますが、先ほども御説明しました十八歳人口の全体の流れというようなものも踏まえまして、昭和六十一年度までが私ども現在高等教育の計画的整備の後期の計画の期間ということにしておりますが、それから後おおよそ十年ぐらいに、先ほど申しました高等教育へ進学する十八歳人口が二百万にまで達する時期がずうっと来るわけでございまして、昭和六十一年から後の十年間程度の期間の中には、この放送大学というものを全国的にカバーする時期として考えたいと、かように考えております。
#89
○柏原ヤス君 現在のところは学部は教養学部だけですが、将来学部あるいはコース、こういうものの拡充ということについてはお考えがありますか。
#90
○政府委員(宮地貫一君) 現在まで従来の検討結果に基づきまして、学部としては教育学部ということで構想を立てているわけでございます。
 ただ、この放送大学に割り当てられます電波のチャンネルに限度があるというようなことの制約等もございまして、具体的にどう考えていくかということについては、ただいまここで明確に御説明を申し上げるのはやや困難でございますが、将来この放送大学そのものが定着をいたしまして、そしてまた国民全体からの要望と申しますか、社会全体の要請というようなものがどういう方向にあるかというようなことにつきましてはまたその時点において十分調査等も行いまして、社会全体の要請にこたえるような形というものを将来においては考える必要はあろうかと思います。
#91
○柏原ヤス君 最後に、放送大学ができるからという理由で夜間大学や通信制の大学の拡充がいいかげんにされてはならないと、そういう点夜間大学や通信制大学の拡充策というものもやはり並行して考えるべきだと、こう思いますが、この拡充策というものがおありでしょうか。
#92
○政府委員(宮地貫一君) もちろん先ほど来御説明をしておりますように、従来の夜間学部でございますとかあるいは私立の通信教育とこの放送大学とがともに言うなれば共存共栄ということで、ともに充実発展していくように考えていかなければならないことは当然でございます。
 たとえば、具体的な点で申し上げますと、国立大学の場合等につきましても、たとえば学部の開設に当たりまして、昼夜開議制というようなことで、勤労学生に対します大学進学のための受けやすい形というようなものを順次拡充もしてきておるわけでございまして、それらの点は今後ともなお十分意を用いてまいりたいと、かように考えております。
#93
○下田京子君 放送大学学園法を審議するに当たりまして、まず労働者はもちろん主婦も含めて多くの国民が大学水準の知識やあるいは教養を求めてきている。それからまた、テレビやそのほかの放送手段を高等教育にどう生かしていくかと、あるいはまた大学教育を国民にどのように開放していくか、こういったことは非常に重要な問題であります。
 ただ問題は、そうしたことにこの法案、いわゆる学園が設置する放送大学が大学としてのそういう目的と機能を果たし得るだろうかという疑問がいろんな角度から論議されているわけなんです。
 そこで、私は第一にお尋ねしたい点なんですけれども、この放送大学はいわゆる法律の中にあっては放送大学学園の目的は書いてありますけれども、放送大学学園が設置する大学の目的が明確でないわけなんですけれども、これはいわゆる学校教育法に基づく第五十二条のその大学として読み取ってよろしいんでしょうか。
#94
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のとおりでございます。
#95
○下田京子君 この学校教育法の第五十二条というものはどういう経緯で制定されたものでしょうか。
#96
○政府委員(宮地貫一君) 学校教育法の五十二条は、考え方といたしましては旧大学令を受け継ぎまして、戦後の教育制度、これは法律に基づく行政ということに基本的に切り変わった。そのときに、学校教育法という形でまとめられたものと理解をいたしております。
 条文の点は、先生御案内のとおり、「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」というのが大学の目的でございまして、放送大学につきましてもこの学校教育法上の大学でございますので、この大学の目的というのはこの放送大学についても当てはまるものと、かように考えております。
#97
○下田京子君 私は第五十二条をどう書いているかなんて聞いたんじゃないです。いま局長がお述べになりましたそういう条文が制定される背景というものは何かということを聞いているわけです。
#98
○政府委員(宮地貫一君) 先ほどちょっと御説明を申し上げましたように、学校教育法というのは、これは昭和二十二年に制定された法律でございまして、従来教育制度全体につきましては、いいわゆる勅令によりまして教育制度というものが小学校令以下規定があったわけでございますが、戦後の行政全体についての基本的な原理原則と申しますか、法律に基づく行政ということが基本原則として確立をされてきまして、教育制度につきましても従来勅令で制度的な保障がなされておりましたものをこの学校教育法で全体をまとめて法律として規定をすることになったものと理解をいたしております。その中で、この大学につきましては、ただいま申し上げました条文にございますように、大学の目的を五十二条で規定をしていると、かように考えております。
#99
○下田京子君 それじゃ、「学術の中心として、」と、こういうふうに言われておりますが、これはどういう意味を持つもんでしょう。
#100
○政府委員(宮地貫一君) 学校教育法に規定をいたしております幼稚園から大学までの教育の機関があるわけでございますが、その中で大学はもちろん一応学校教育法の制度といたしましては最高のといいますか、高等教育を実施するものでございまして、したがって、学術、研究につきましても一番基礎的なものとしてはこの大学がその使命を果たすということになろうと思います。そのことを受けましてこの五十二条の規定では「学術の中心として、」という規定を置いたものと考えております。
#101
○下田京子君 局長、この学校教育法の第五十二条の持つ意味を非常に何といいますか、軽く一般的にあれこれで解釈されているようなんですが、私がこれを聞く意味はどこにあるかと言いますと、法律が制定される経過の中でこういうことが位置づけられているんですね。この五十二条というのは二つあると、一つは大学の教育目的を規定しているものである。もう一つは大学の性格をも規定しているんだと。そして、大学の教育目的は何かと言ったら広く学術を中心とするというふうなことで、一つは知識を授けるということを入れているわけです。
 それから、性格の話では、いわゆる学術を中心とした教育機関であるけれども、同時にそれは「深く専門の学芸を教授研究」することである。この学校教育法の第五十二条というのは、そういういわゆる大学の教育目的と大学の性格と、この二つをきちんと位置づけたものであって、その旧法が、旧制大学令がどうこうではない。いまそのもの、現行法の中の五十二条のこの法文の中身は何を言っているのかと、こう私は聞いていたわけなんです。そういうとらえ方をこのいわゆる学園が設置する放送大学にも適用するという点で間違いないのかどうか、もう一度お尋ねしたいと思います。
#102
○政府委員(宮地貫一君) 学校教育法五十二条の規定は、これは大学全般に通ずる大学の目的というものを規定したものと考えているわけでございます。したがいまして、私ども構想いたしております放送大学というものは、もちろん学校教育法上の正規の大学ということで位置づけをしておるわけでございまして、そういう意味ではこの五十二条の規定はこの放送大学についてももちろろん適用があるものと、かように考えております。
#103
○下田京子君 局長、適用があるものとか、それからそれを受けるものですとかということで、答弁が厳密に言うとちょっとこうはっきりしないように受け取れる感じの内容でもあるんですが、逆に、それじゃどうしてその大学の目的というものがこの法文の中には明記されなかったんでしょうか。
#104
○政府委員(宮地貫一君) その点は従来からも御説明をしている点でございますけれども、この放送大学学園法案というのは特殊法人としての放送大学学園を設置するための法案ということで御提案を申し上げておるわけでございます。そしてこの特殊法人の放送大学学園は、放送局と大学とをあわせ持つものというのが組み立ての基本であるわけでございます。そして放送大学そのもの、大学そのものにつきましては、これはこの特殊法人の放送大学学園が文部大臣に大学の設置認可申請をいたしまして、審査の上認可をされればいわゆる放送大学というものが設置をされることになるわけでございます。
 その大学の設置について、文部大臣に認可申請をして認可になって大学というものがつくられるという、そういう仕組みであるという点におきましては、言うなれば学校法人が私立大学を設置するというような仕組みと同じわけでございまして、したがって、この御提案申し上げております放送大学学園法案の目的といたしましては、その第一条に書きましたように、ただいま私が御説明申し上げましたような中身を目的として掲げてあるわけでございまして、大学の目的そのものをこの法律に規定していないというのは、大学の目的そのものについてはこれは一般論として、学校教育法で大学の目的というものは、これは国公私立大学を通じまして大学全般の目的というものは学校教育法で規定をされているとか、かように理解をいたしております。
#105
○下田京子君 しかし、そういうふうな位置づけと観点がこの法案上は出てこないですね。いまの御説明聞いていると、この法案によって放送等による教育を行う大学を設置するんだと、同時にその大学は教育に必要な放送を行うんだと、こうなっているわけなんですが、そもそも、そのやられる大学というものの目的は何なのか、位置づけは何なのかということがどこにも明らかになっていないでしょう。それはそうすると、どこか新たにまた――まず、この法案が通っちゃってから大学がいよいよ動き出すよというときに、また別なものをつくるんですか、そういうことじゃないでしょう。
#106
○政府委員(宮地貫一君) そういうことではございません。先生御指摘のとおり、これは学校教育法に大学の目的というものは掲げられておるわけでございまして、これは国公私立を通じましてその大学の目的というものは全く同じなわけでございます。たとえば国立学校設置法によりまして国立大学を設置いたしておりますけれども、国立学校設置法には大学の目的というものは書いていないのと事柄としては同様の仕組みになっておろうかと、かように考えております。
#107
○下田京子君 いや、言っていることがわからなくはないんですが、つまりその設置される大学の目的というもの、位置づけというものがこの法案にきちんと出てこないよと、きちんとさせるべきじゃないでしょうかと、こう言っているんです。
 それで、なぜならば、たとえば私立学校法の場合ですと、きちんと第二条の中に、これは「学校教育法第一条に規定する」ものですよということで位置づけが出てますでしょう。そうすると、学校教育法の第一条を受けて、ああその大学だから、大学の場合は同じ学校教育法の五十二条の適用になりますねというふうなことで、置かれているその大学の性格、目的というものが明確になっているわけなんです。私はその学園の目的だけがここに明らかに出ていて、大事な教育の中身、いわゆるその教育の目的、教育の性格を規定するものがここで何らの形にも出てないんじゃないかと。きちっとして、特にその学校教育法五十二条の関係を明記すべきではないかと、こういうふうに言っているわけなんです。
#108
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど来御説明を申し上げておりますことの繰り返しになるわけでございますけれども、この放送大学学園の設置します「放送等により教育を行う大学」というのは、学校教育法上の「大学」ということで申し上げておるわけでございまして、その「大学」の目的そのものは、これは学校教育法が規定をしているという仕組みになっておるわけでございます。
 なお、先生御指摘の私立学校法上の規定というのは、第二条では、「「学校」とは、」という学校の定義規定が書かれているというぐあいに理解をいたしておるわけでございます。
 それから、この放送大学学園法案の附則で学校教育法の一部改正をいたしておるわけでございますが、学校教育法の一部改正をいたしまして学校教育法の第二条に一項をつけ加えておりまして、「第一項の規定にかかわらず、」つまりこれは学校教育法第二条第一項でございますが、学校教育法第二条第一項というのは、「学校は、国、地方公共団体及び私立学校法第二条に規定する学校法人のみが、これを設置することができる。」という規定があるわけでございます。そこで、今回この特殊法人でございます放送大学学園が大学を設置し得ることの根拠規定といしまして、この第二条に一項を加えまして、「第一項の規定にかかわらず、放送大学学園は、大学を設置することができる。」という規定を、学校教育法の改正を、この法律の附則で改正をいたしておるわけでございます。したがいまして、学校教育法との結びつきといいますか、その点は私どもとしてはこの学校教育法の一部改正の附則の規定で十分私どもとしてはつながっているものと、かように考えております。
#109
○下田京子君 まあ法律的にはきちんとつながっているといういま御説明だったかと思うんですが、私の主張としては、もう少し明確に、学園の目的は明らかになっているけれども、その学園が設置する放送大学の目的が果たしてその学校教育法の五十二条のそういう精神をきちっと押さえている、いわゆる大学たり得る性格と、そしてその目的がどうなのかという点を心配しているわけで、それは明記しておいた方がいいんじゃないか、こういう立場から私は質問しているわけですね。
 最後に、これは私の主張のみに終わると思うんですけれども、なぜかと言いますと、いま論議になっている放送大学が本当に大学たるそういう目的と性格を十分にこう包括できる、そういう内容になっているんだろうかといういろいろな疑問が各方面から出ている、だからこそあえて私は質問しているわけです。特に学校教育法の第五十二条の規定が決められるその背景というのには、言うまでもないことですけれども、憲法の二十三条の学問の自由というものを受けて、さらには教育基本法の中で教育を受ける権利というものは二十六条にあると思うんですけれども、そういったものを受けて出てきたんだと、非常に意味が深い、そして大事なことを規定しているんだと、そういうことを私は御認識いただいて、大学の設置、運営というものをはっきりと明確にこう位置づけて行うことが必要じゃないか。
   〔委員長退席、理事大島友治君着席〕
法律に明記されてない云々のことはさておいて、そういう精神に基づいて、じゃ、この放送大学を運営されていくかという点で、大臣の御決意はいかがですか。
#110
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 学校教育法上の大学でございますから、もちろんその根本の趣旨に沿いまして今後の学園につきましても運営をいたさなければならない、かように考えております。
#111
○下田京子君 それじゃ、ちょっと具体的なことに入ってお伺いしたいと思うんですけれども、学園が設置する大学は教養学部だけでございますね。
 ところで、文部省が過去三回調査を行っていると思うんですけれども、その過去三回の調査の中で、特に昭和四十五年十二月十日、二回目の調査、その調査結果で放送大学を利用して勉強してみたいという答えの中で、放送大学のどの分野で勉強したいというふうに答えられているのか、その辺をちょっとお聞かせください。
#112
○政府委員(宮地貫一君) 昭和四十五年に実施いたしましたものは、放送大学に関する世論調査ということで行ったものであろうかと思います。この四十五年七月の調査におきましては……。
#113
○下田京子君 十二月十日の調査です。二回目の調査です。
#114
○政府委員(宮地貫一君) 失礼しました。四十五年の十二月の二回目の調査ということのお尋ねでございますが、その十二月の調査におきましては、対象者を全国の十六歳以上の者から一万人抽出するということによりまして、放送大学における、より具体的な履習条件等を示しまして、また高校、大学等に在学する者につきましては、別に質問事項を設定して調査員による面接調査を実施したということになっております。そしてその実際の学習希望の分野というものにつきましては、非常に各方面にまたがっているわけでございまして、私どもとしては、先ほども御説明したわけでございますが、放送大学のための電波の利用というものが、波が一つに限られているというような一つの制約も片方あるわけでございまして、全体の希望を受けまして幅広く、結果といたしましては、私どもとしては、御提案申し上げておりますような教養学部ということで、幅広い学習の希望というものを言うなれば公約数的に受けとめる学部としては、この御提案申し上げておりますような教養学部というものがふさわしいということで、教養学部ということで考えてきたというのが経緯でございます。
#115
○下田京子君 ちょっと私の質問に答えてないでしょう、局長。二回目の調査で、 (資料を示す)これですよね。放送大学に関する世論調査をやったわけでしょう。その世論調査の中で、放送大学を学びたいと答えた者の中で、それではどの分野の勉強をしたいというふうに思っていらっしゃるのかと聞いてますね。それを分野別にひとつお聞かせくださいませんかと、こうお伺いしているわけです。
#116
○政府委員(宮地貫一君) お尋ねの調査におきます放送大学利用希望者の学習希望分野でございますが、文学系、法学系、経済学系、教育学系、理学系、工学系、農学系、家政学系、教養学系、情報科学、外国語、その他というような指摘になっておりまして、それぞれパーセントで申し上げますと、二六%、五%、一七%、三%、八%、二一%、五%、二四%、八%、七%、一三%、一%というような分野になっておるというのが調査の結果の中身でございます。
#117
○下田京子君 教養学系はいまのお話ですと八%ということですね。正確には七・八%。そうすると、「その他」、「わからない」というお答えをした方もおりますから、全回答者の中で教養学系を学びたいと答えたそれは五・四%になるかと思うんです。そうしますと、この放送大学は教養学系だけでありますね。といいますと広く国民の願いにこたえるというふうなものになるのかどうかと。大臣これちょっとおわかりだと思うんで、その辺、いかがにお考えでしょうか。
#118
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の点は、四十五年におきます放送大学に関する世論調査の数字で御指摘があったわけでございまして、私どもとしては、非常に多岐にわたっているということが言えるわけでございますが、さらにその後、昭和五十年でございますけれども、先ほどもちょっと申し上げました放送大学に対する教育需要の予測調査というものを行っておりまして、その昭和五十年の数字等も参考にいたしまして、非常に幅広い領域についての学習希望があると。具体的には、たとえば家庭や職場におきまして、現実に直面する諸課題の解決の手がかりといいますか、たとえば健康と病気の問題でございますとか、衣食住に関する生活科学でございますとか、あるいは政治、経済、社会などの諸分野、人文、自然にわたります広い教養の分野を求めているということが、五十年の調査では私どもとしてはそういう把握をいたしたわけでございます。したがいまして、私どもとしては過去の調査を何度か積み上げもいたしましたし、そういうことを受けまして、午前の御質問の際にお答えをした点でございますが、従来の経緯の中ではそういうものを踏まえてそれぞれ専門家の調査会議において御検討いただいて、ただいま御提案を申し上げている点は教養学部ということで考えているということでございます。
#119
○下田京子君 ただいま考えているのが教養学部だというのはわかるわけです。だから、教養学部だけで広く国民の期待にこたえられるんでしょうかということで過去の調査結果を聞いたわけですね。
   〔理事大島友治君退席、委員長着席〕
そうしたら、過去の調査結果に基づけば全体で教養学部を願っている、教養学系を言っている人は全体の中でわずか五・四%ですよ。そのほか学部いろいろとあるわけですね。そうじゃないですかと、こう聞いたわけです。そうでしょう。
#120
○政府委員(宮地貫一君) 四十五年の調査についてはそうでございます。
#121
○下田京子君 四十五年の調査ではそうでございますということですが、五十年に行った調査というのは、いまのような形で現存する大学の姿、学部ごとには調査アンケートとっていませんね。そうしたらいまのようなのは出てこないでしょう。
#122
○政府委員(宮地貫一君) 私どもといたしましては、そういう非常に多岐にわたっておりますものを、先ほども申し上げたわけでございますが、利用できる電波の数としてはテレビ、ラジオ、それぞれ一系列であるという、そういう放送面からきます制約というものが一面あるわけでございます。そしてまた、四十五年の調査ではそういう非常に多岐にわたっておりますものを、そういう一つの制約のあるものに一番広くこたえられるものとしては何かという点を、五十年の調査も参考にいたしまして、私どもとしてはそういう非常に幅広い要望というものを受けとめる学部としては教養学部がふさわしいということで考えたわけでございます。
#123
○下田京子君 ちょっと、いまのお話をおいといて、現在高等学校の生徒さんの進学率は、昨年、ことし、どのくらいでしょうか。
#124
○政府委員(宮地貫一君) 高等学校の進学率はおおよそ九四%と承知しております。
#125
○下田京子君 その高校生の中で、大学や短大の志願率はどのくらいで、そして実際の進学率はどのくらいでしょうか。
#126
○政府委員(宮地貫一君) 高等学校の新規卒業者の大学、短期大学の進学の志願率は、過去二、三年来おおよそ四六%ということで推移をいたしております。
#127
○下田京子君 いえ、進学率も聞いているんです。志願率と進学率は違う。
#128
○政府委員(宮地貫一君) なお、大学、短期大学の進学率は、三七・四%というのが五十四年、五十五年の進学率でございます。
#129
○下田京子君 それから、現在の大学には学部が幾つぐらいありますでしょうか。それから、その教養学部の学生数はおおよそどのくらいで、そしてまた、全体の学部の中で何%ぐらいになりますでしょうか。
#130
○政府委員(宮地貫一君) 高等教育機関ということで申し上げますと、大学、短期大学、高等専門学校全体をひっくるめて申し上げますと、国公私立を合わせまして、ただいま手元の資料では、これは五十四年五月の数字でございますけれども、学校数で千二十三、在学者数で二百十四万余りという数字になっております。
 なお、学部ごとについてのお尋ねがあったわけでございますが、学部別の入学定員で申し上げますと、全体で三十一万九千余りが学部別の入学定員でございます。これは五十五年四月現在でございます。その中で教養学部の入学定員で申し上げますと、国立、私立を合わせまして千二百四十ということに相なっております。パーセントから申しますと、〇・三九%ということになろうかと思います。
#131
○下田京子君 〇・三九。
 学部幾つぐらいになっているかということをまだお答えいただいてませんが、私、ちょっと聞いたところでは、七十学部ぐらいだということですけど、間違いないでしょうか。
#132
○政府委員(宮地貫一君) 大学の学部全体の数は千百十九でございまして、うち教養学部は国立、私立を合わせまして六学部ということになっております。
#133
○下田京子君 学部の種類なんです。――まあよろしいです。全体の中で、とにかく教養学部に学ぶ生徒がどのくらいの数字で、そして全体の中で占める割合がどのくらいかというのがわかりましたから。
 あと、具体的な数字はまあ聞くことにしまして、おおよそ教養学系の学生というのは全学生の中でどのくらいなのかという数字だけ、いま聞きますと〇・三九と、それ間違いないわけですね。――そうしますと、本当に学生が要求されているものは、教養学部ということに限らず、非常に広範囲に現在学んでいるということになると思うんですね。で、いろいろ先ほどから、まあ電波の問題やら何やらがあっていろいろできないから教養学部だけだという話なんですが、私は、結果としていまそういうことだけれども、この放送大学が果たしてこういういまの大学生の在学状況、そしてその学部に対するいろんな要求から見て、あたかも今度学園が設置しようとする放送大学が、国民の広い期待にこたえているように、こう言われるのは問題ではないでしょうかと、いかがなんでしょうと、こう思うわけなんです。
 つまり、これは先ほどからちょっと言ってますけれども、過去何回か調査をなさったって言うんですが、私たち知る範囲では三回だと思うんです。その三回のうちの最後の調査が五十年の調査ですね。その五十年の調査をもとにしながら私たちのところにいろいろ資料も出してくださっておりますが、その五十年の調査の仕方、それもちょっと、これは細かく言ったらいろいろあるんですが、一点だけ問題点を指摘しておきたいんです。
 どういうふうに書いてるかというと、まず、「「放送大学」に対する教育需要の予測調査の調査票」として、「ごあいさつ」があるんですね。「ごあいさつ」のところで、「文部省では、数年前から、ラジオやテレビを活用して、「放送大学」という新しいタイプの大学を作ることを検討しています。この大学は、これまでの学校のように毎日通学しなくても、また、だれでも、いつでも、自分の望むものを勉強できる点で、全く新しいものです。もちろん、勉強した科目について単位を取り、それが一定の条件にかなえば、普通の大学と同じように「学士」になることもできます。この大学の講義は、すべて放送で行われます。さらに本当に勉強して実力を身につけるためには、」云々て、こういうふうに書いてあるんです。これを読みますとね。だから、ああ、いまの大学とどこも変わらないんだなというふうにも受け取れるわけですね。だから、この調査そのものも、さっきのいろんなことからいって、本当に正しいものなんだろうかというふうなことの疑問を感じるわけなんです。これは大臣どうですか。
#134
○国務大臣(田中龍夫君) 私、過去三回にわたる詳細な回答を個々に拝見いたしておりませんけれども、まあ、多種多様にわたる要望が出たことと思うんです。しかし、その中で、たとえば希望が工学部がいいとか、あるいは法学部がいいとか、あるいはいろんな、やはり希望がたくさん順位の上からいって出てきたり、あるいはいろんな内容が出てきたと存じますが、私はそれをいまここでしさいに見る時間もありませんが、しかし今度自分が文部大臣になりまして、そうしてそういうものをなぜ一体教養学部ということに選んだかと。これはまあ統計の単純数理でいくならばパーセンテージの多いところに落とすべきかもしれませんけれども、要するに文部省といたしまして、私の先輩の諸君が教養学部ということを選んだゆえんのものは、やはり全体をカバーをする学部の構成としては教養学部ということに落ちつけることが一番適当ではないかという判断のもとに、彼此勘案いたしまして決定いたしたものであろうと、かように判断をいたします。
 詳細なことは、私はその当時携わっておりませんし、いまのこの数字だけの御質問の応答では私は即答をしかねます。
#135
○下田京子君 問題ごっちゃにしないでください。
 私は、教養学系を置くということはけしからぬとは言ってないんです。教養学系だけで広く国民の期待にこたえると。特にその大学進学、直接にある高校生の調査の結果からいってもそれは多種多岐にわたりますよと。むしろ希望の割合から言えば文学系が二六%とかということにもなりますよと。ですから、全体的にこのことで放送大学があたかも広く国民の期待にこたえるというふうには言えないでしょう、こう言っているわけなんです。それが一点。
 それから同時に、調査の仕方についてもここで一点だけ指摘しておきますと、調査は三回ともやりましたが、若干違っておりますよね。しかし、一番違うのは、過去二回のと五十年にやったのとでは、最も違う点はいまのように具体的に学部の問題については触れてないことですよね。それから三回目の五十年の調査というのは、放送大学というものが一般大学と全然変わってないようなかっこうで「ごあいさつ」を入れているというところにありますよね。私は、そういうことで調査そのものにも問題があるよということは指摘しておきたいし、大臣にも考えておいていただきたいということを申し上げておきたいんです。でなかったらばこういう結果が出ないと思うんです。
 つまり、まず予測調査の結果の概要のところにぽんと出てくるんですが、放送大学利用希望者で、「今回の調査」によれば――今回というのは、五十年の調査によれば四五・五%の人が希望しているといっているんですね。ところが、前回の四十五年の調査によれば二五・四しか出てないんですね。そういうことにもあらわれているんじゃないでしょうか。これはもう少し考えてみる必要があるんじゃないかという点を言っているわけなんです。いまの点でひとつ答弁いただいておきましょう。大臣、どうですか。
#136
○国務大臣(田中龍夫君) 先生がいま言われた中に、そういうふうにこれが悪いと言っておるのではないが、他にもこういうふうな集計の結果もあるということを念頭に置いておけと、こういうお話だと存じます。確かに念頭に置きます。
#137
○下田京子君 ただ念頭に置くだけじゃなくて、だからこそその大学の運営やら、それからこれらのいろんなやり方――やり方、運営は同じですが、大事なんですよということですね。
 それから同じようなことで、これも他の委員からちょっと出ましたが、通信教育の関係です。お尋ねしたいんですが、現在大学で通信教育をやられている大学の数と、それから学部と学生数、それから短期大学の数と学部と学生数、どうなってますでしょうか。
#138
○政府委員(宮地貫一君) 私立の通信教育を行っております大学の数は十二でございます。短期大学の数は九つでございます。
 なお、その学生数についてのお尋ねでございますが、その在学者数は、五十四年五月現在で大学については約八万八千、短期大学については一万九千でございまして、計十万七千人というのが現状でございます。
#139
○下田京子君 いまの調査の数字はどこのあれなんでしょうか。これ、私持っているのは文部統計要覧の五十五年版で出ているんですが、五十四年で大学は十二の学校、学部が二十二、学生数は十万九百八十三名、それから短期大学は学校数が九、学科が十三、そして学生数が八万四千三百三十人、ですから合わせますと十八万五千からになるわけですね。
 で、私はなぜこの数字を聞いたかといいますと、大臣、ちょっとお聞きしたいのは、現在こうして通信教育を受けられている学生さんが十八万人もいるわけですね。こういう人たちから、テレビやラジオ等通信網を使ってそして教育を受けられる機会をという声が非常に大きいのは御存じだと思うんです。そのことについて、たとえば審議会等の中で道を開くように考えていきたい、こういうことも言われているのもわかるんですけれども、まずこういう方々の御要望にどうこたえていくのか。放送大学の放送科目をこうした人たちに使っていただくだけじゃない。つまり、現在学んでいる通信教育を受けている方々のその学校やなんかで実際に通信網を使えるような、そういう見通しというのはあるんでしょうか。
#140
○国務大臣(田中龍夫君) 私のお答えが間違っているかもしれません。というのは、数字やなんかのことになりますといまちょっとわかりませんから。だけども、ただ私が基本的に考えたいのは、局長にも私この間から質問したんですが、現在ある短期大学や現在ある通信教育や、そういうものと、今度できる放送学園大学の通信教育というものが、これができることによって既存のそういうふうな通信教育がつぶれちゃったり、あるいはだめになったり、影響を与えることはよくない、こういう気持ちは当然起こってきます。
 それからもう一つ、そういうことか知りませんが、放送大学におけるいまの教養学部というものは、いままでの通信教育とかあるいは短大というふうなものはどちらかというと専門的な分野の方のことに進んでいただくなりなんなりして、放送学園大学というものはあくまで一般教養という点に思いをいたしていったらどうなんだろうかというのが私のこれは個人的な考え方でございます。そういう点からいきますと、他の大学に影響や迷惑をおかけしない。同時にまた、当放送学園大学はあくまでも教養という国民のレベルアップをする。しかもそれは大学であって、本当に勉強したいという方に単位も与えていくというふうな諸般の情勢を勘案をいたした先輩諸公の結果がこの名称となり、この学部編成になったもんであろう、こういうふうに私は個人的に推測いたします。
#141
○政府委員(宮地貫一君) 補足をさせていただきたいと思いますが、先ほどの、まず私立の通信教育の数字につきまして、先生御指摘の数字は聴講生等も全部含めた数字でございまして、私申し上げたのは正規の学生の数字でございまして、その点の数字の差があるということでございます。それが一つでございます。
 それから私立の通信教育と放送大学との関連と申しますか、一つは放送の利用ということについては、先ほどもお尋ねのございましたように、この放送大学学園の放送事業につきまして、放送大学と並びまして通信教育を実施する私立の大学において放送を利用するということは十分考えられるわけでございまして、その点は御提案申し上げております法律案の二十条第三項に規定する「目的を達成するため必要な業務」というものに該当するわけでございまして、学園が私立大学の通信教育におきます教育に必要な放送を行うにつきましては、主務大臣の認可を得まして実施ができるという体制になっておるわけでございます。
 その点が一点と、もう一つは、スクーリング等に際しまして放送大学の学習センターを私立の通信教育のスクーリングのために利用するということは、十分具体的に考えられるわけでございまして、その点については積極的に対応できますように、この法律案の二十条第二項の規定も設けておるわけでございます。
#142
○下田京子君 ずばり申し上げますと、いまから設置しようかなと思って出しているこの法案との関係でできる放送大学のいわゆる電波の問題も大事ですが、それと同時に、現在すでに通信制大学の関係者の方々から特に、予定されているテレビのUHFやあるいはラジオですとFMと、こういった電波を使わせてほしいという御要望も出ていると思うんですね。だからいま局長が御答弁になった関係の話は、道は開いてあると、だけどその道というのは、特にこれから考えられる放送大学で仕組んだその通信教育材料を使えるようにしようかという、こんな話なんでしょう。だからそれが一方通行でなくて、相互に関連していかないものだろうかと。そして同時に、すでに聴講生も含めてということになりますが、十八万人から実際に教育を受けている通信大学のこうした皆さんにこたえていくことがまず大事なんじゃないだろうか。そういう関係での、そういうところでの関係者とのいろんな懇談というものは十分になされたというふうに理解していいんでしょうか、私は不十分だなと思うんですけれども。
#143
○政府委員(宮地貫一君) 私立大学の通信教育の関係者との放送大学につきます基本構想を固めていく際に、私どもとしては十分関係者と話し合いをいたしまして、その理解と御協力をいただいてこの法案を提出しておるものでございます。さらに今後、この放送大学学園の運営につきましても、先ほど申し上げたわけでございますが、部外の関係者の御協力をいただく、これは法律上の組織といたしまして運営審議会というようなものも設けておるわけでございますが、たとえば私立大学の通信教育関係者にもそういうところに入っていただきまして、具体的に放送大学学園の運営についても私立大学通信教育関係者の意見というものが十分反映されるように措置をしていく、それは両者がお互いに今後とも共存共栄していくためにも必要なことであると、かように考えております。
#144
○下田京子君 それじゃさらに聞きますけれども、当面日本学術会議の方々だとかあるいは放送関係者の、学者、有識人の方々の御意見を伺った、そしてそれがきちんと意見の一致を見たというふうに断言できますでしょうか。
#145
○政府委員(宮地貫一君) 私ども学術会議に対して意見を聞いたことはございません。
#146
○下田京子君 その一点だけ見てもちょっと問題であると思います。私はもう時間がございませんから、いまの話については、いわゆる放送大学がどういうふうな内容でどのように進められていくかという点でいまちょっとお聞きしましたように、何よりもやはり日本学術会議を中心にした大学関係者、放送関係者、いろんな有識者、学者、こうした方々、そしていま私が話しましたが、いわゆる私学関係の方々も含めて、通信制の大学を現に行っている関係者の方々の御要望というか、御意見も聞いて、もっとさらに研究する問題が多々あるんじゃないか、こういうことを申し上げておきたいと思うんです。
 最後に聞きたい点なんですが、この学園に責任を持つ人はどなたになりますか。
#147
○政府委員(宮地貫一君) 理事長が責任を持っているものと考えております。
#148
○下田京子君 理事長が責任を持つことになるわけですけれども、その理事長は理事の互選によって選ばれるんではないわけですね。理事の互選によって選ばれている、そういう仕組みになっているのはどこでしょうか。
#149
○政府委員(宮地貫一君) 理事長は文部大臣が任命をすることになっているわけでございます。
 お尋ねの点は、理事長が理事の互選になっているものは何かというお尋ねのように伺ったわけでございますが、通例特殊法人の役員の任命につきましてはそれぞれ所管をしております大臣の任命になるものが通例であろうかと考えております。
#150
○下田京子君 ちょっと私も言葉足らずだったのですが、特殊法人の場合にはいまお話しのように通例は理事長が理事を任命するということですが、一方学校法人の場合、私立学校、この場合はどうなっているでしょうか。
#151
○政府委員(吉田壽雄君) お答えいたします。
 私立学校の学校法人の場合は、理事のうちの一人が寄附行為の定めるところによりまして理事長に選任されます。一般的には理事の互選によるというのが一般的なあり方でございます。
#152
○下田京子君 それから、もう一つ聞きたいんですが、学園に責任を持つのが理事長です。その理事長は、「目的」にもありますけれども、「放送等により教育を行う大学を設置」することと、「大学における教育に必要な放送を行うこと」、それに責任を持つわけですが、その放送の分野の方でNHKあるいは民放、どういった人が責任を持っていますでしょうか。
#153
○政府委員(宮地貫一君) あるいはお尋ねの趣旨を明確に把握した御答弁でないかもしれませんが、具体的には「理事長は、学園を代表し、その業務を総理する。」ということになっておるわけでございまして、ほかに常勤の理事が四人以内置かれることになっておるわけでございます。理事のうち一名は、学長は当然に理事になることになっておるわけでございます。学長が、学務関係と申しますか、教務関係と申しますか、そういう点については学長である理事がその仕事を掌理するということになろうかと思います。ほかに放送関係については放送の分野を担当する理事というものを考えるということになろうかと思います。
#154
○下田京子君 私の質問がまた確実に伝わってなかったと思うんですが、一方その放送法に基づいて設置されているNHKや民放の責任者はどなたなんでしょうか、会長だと思うんですけれども、その会長はどういうふうな形態になっていますかということです。
#155
○政府委員(宮地貫一君) どうも失礼いたしました。
 NHKにつきましては「会長は、協会を代表し、経営委員会の定めるところに従い、その業務を総理する。」ということになっているわけでございます
#156
○下田京子君 私立学校の方なんですけれども、この私立学校はかつて民法の財団法人によって設置されていたと思うんですけれども、昭和二十四年に法律制定の際に学校法人という制度が創設された理由というものはどこにあるんでしょうか。
#157
○政府委員(吉田壽雄君) ただいま先生がおっしゃいましたように、私立学校法は昭和二十四年に制定されたわけですけれども、私立学校法が制定される前は私立学校の設置者は原則として民法の規定によります財団法人であったわけでございます。私立学校法におきましては、私立学校の自主性を尊重する、それから公共性を重んずる、担保すると申しますか、そういうような趣旨から学校法人の制度が設けられたわけでございます。
#158
○下田京子君 そこで大臣お尋ねしたいんですが、いまの御説明をお聞きになってもおわかりだと思うんですが、私立学校法制定の際に、学問の自主性とぞれから学校の持つ公共性というふうなことをもって設けたと。設けた際にできた最高の責任者というか理事長というものは、理事会の互選によって選ばれているんですね。で、今度の学園の場合には、理事長が理事を選任するんですね。そういう違いがあります。
 それから時間がないから話しておきますけれども、放送の方ではNHKにしても民放にしても、その放送に責任を持つのは会長だと。その会長は経営委員会というものが設けられて、その経営委員会からその会長というのが選ばれるんですね。運営上学問の自由とそれから放送の自由と民主的な運営というふうにお話が繰り返されておりますけれども、とすれば、こういう形態ということを考えてしかるべきではなかろうかと思うわけなんですが、どうでしょうか。
#159
○国務大臣(田中龍夫君) その点は今日までいろいろと経緯もあることと存じまするし、いろんな論議が尽くされておると存じますが、その間の経過は私よく存じませんので、担当の局長からお答えいたさせます。
#160
○政府委員(宮地貫一君) 理事長の任命につきましては、これは先ほども御説明申しましたように、特殊法人の任命の形としてごく通例の形で文部大臣の任命ということをいたしたわけでございます。
 先ほど来御説明を申し上げておりますことは、放送大学の大学の教学組織と申しますか、学長以下の人事につきましては、大学が自主的に定め得るように評議会その他の規定を法律に置きまして、国立大学等におきます大学の教学組織につきまして学内の自主的な手続きに従って任命される、そういう従来の国立大学あるいは教育公務員特例法等に規定されておりますような手続に準ずる手続をこの放送大学学園について規定をしたということでございまして、私どもとしては理事長が文部大臣任命であるということと、大学の学長以下の人事についてこれはいまも申し上げましたような大学みずからが定める方式を取り入れておるということについては、先ほど来御説明を申し上げておりますように、大学の自治の確保においては十分その精神をくんでやっておるというぐあいに考えておるところでございます。
#161
○下田京子君 十分大学の自治を尊重してやっていますよと言っているけれども、実際に出されてきたのはそうじゃないということは、いまの二、三の指摘だけでもこれはわかると思うんです。
 もう時間がありませんから私は一つだけ指摘しておきたいのは、これは衆議院の放送教育に関する小委員会で出されたものですけれども、大学のあり方としてということでいろいろあって、最終的に「特殊法人方式で新しい形態の特殊法人が放送大学を設置し、放送局を開設する場合」という点で「放送法制上の難点は解消されます。」と、こう言っている。ただし、いまの理事の問題、理事長の関係ですね。私はこれ一つうんと大事だと思うんですよ。「この特殊法人方式をとる場合には、特殊法人の組織及び大学の管理運営のあり方について大学の自治が尊重されるよう事前に十分な措置を講ずることが必要であります。」と、こう述べているわけです。ですから理事長の権限なり理事長の選出のあり方についても、いまの話でわかったように、一般的に並びの特殊法人でやられているような形よりも、もう私立学校の法律やあるいはまた放送の公共性、そしてその民主的なものを保障していくという点で、放送法が規定しているような経営委員会を選んで、その経営委員の中から責任者である会長を選ぶとかいうふうなものの方が、より大学の自治のあり方を具体的に裏づけるものでないかという点を指摘して、もう時間ですので終わりたいと思います。
#162
○小西博行君 放送大学学園法案につきましては、すでに衆議院におきまして相当の多くの時間を費やして審議されたというふうに私も聞いております。同時に先日も世耕先生、仲川先生の方からいろいろ質問がございましたし、きょうはまた各委員の御質問がございました。そして同時に私自身も、伺いながら、あるいは資料を参考にさしてもらいながら、大変放送大学学園というのはむずかしいし、新しい一つの大学をつくっていくんだという、まるでいままでの形と違うような私は形態がそこにあるからこそ、いろいろ審議しても、個々につきましては当然審議されるわけでありますが、どうも全体計画というものが明確にされてないような気がしてならないわけであります。もちろん基本計画というのは、これ参考書という形で出ております。これはいろいろ読ましていただいたりいたしましたが、果たして放送大学そのものがいまの時代に本当に心要性があるんだろうかなという、これだけたくさんのお金を使いながら、しかも大変むずかしいプロジェクトを組んでいかなければいかぬわけであります。そして、実際やる場合には各地方の大学の先生方にも協力をしていただかなくてはならない、非常に私は大きな問題が残されているのではないだろうかな、このように実は考えるわけなんです。そこで、どうしても多額の予算を食ってまでこの放送大学をやらなきゃいかぬのだろうか、そこの辺の意義は一体どうなのか、今日的にそれがぴったり合っていると、その辺のところを実はまずお聞きしたいと思います。
#163
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の今日までの検討経過等につきましては午前中も御質問にお答えしたとおりでございまして、私どもとしては四十四年以来慎重に検討を重ねまして、今日御提案を申し上げておるわけでございます。もちろん、この放送大学というものが広く国民全体に開かれた大学ということで、放送を利用する大学ということで、そういう意味では全く新しい形の大学をつくっていくということになるわけでございます。
 御指摘の点は、まあ全国規模で広げていく際には相当多額の経費を要するものであり、今日財政再建ということも大変大事なことでございますが、そういう中でなおどういう点に放送大学の意義を求めているのかというお尋ねのように承ったわけでございます。
 従来の経緯等についてはもうすでに御説明を申し上げたわけでございますので、繰り返すことを省略さしていただくわけでございますが、考え方といたしまして、やはり今日国民全体の学習意欲といいますか、そういうようなものが非常な高まりを見せておると。そういう点は、たとえばいわゆるカルチャーセンターというようなものなどにつきましても、これはまあ民間の行っているものを含めまして大変国民全般に要請が強い。そのことは、一つにはこれから余暇時間と申しますか、国民全体の余暇時間というものもふえてきておる。そしてまた、日本の社会構造全体がだんだん高齢化社会に向かってきておる。そういうことで、一面また学習意欲といいますか、生涯学習ということも先ほど来御議論が出ておるわけでございますが、そういう要請が非常に強いわけでございます。もちろん、それらに対しまして私どもとしては、一つには放送を利用する教育の形、これはただいま御提案申し上げておりますものは放送大学という形で御提案を申し上げておるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、テレビ、ラジオというようなものがやっぱり国民の文化生活といいますか、国民の生活全体に与えております影響というものも大変はかり知れないほど大きいものがあるわけでございます。それを教育的にどう生かしていくかということもこれまた非常に大事な課題ではなかろうかと考えておるわけでございます。そして、そのテレビ、ラジオのそういういわゆるマスメディアと申しますか、そういうようなものを教育的な手段として生かしていくための方策として、私どもとしては従来の検討経過から放送大学というものを計画してきたわけでございます。
 先ほど来御説明しておりますように、放送大学の考え方といたしましては、国民に広く開かれた大学をつくるということでございまして、教育機会に恵まれない方々にもそういう機会を提供するということは大変意味のあることであろうかと思っております。そしてまた、この放送大学におきます教育――私どもとしては大学制度というものを弾力化し、流動化していくということもまた大変社会全体の要請としては強いというぐあいに受け取めているわけでございまして、その大学の流動化といいますか、弾力化のためには、たとえば単位の互換というような事柄もさらに積極的に進めていく必要がある。そうしますと、この放送大学を利用して、たとえば既存の大学との間に単位の互換を積極的に進めていくというようなことで、従来の大学に対しましても大変いい意味での刺激を与えることになるんではないかと、かように考えております。と申しますのは、放送大学の授業というものは、先ほども言いましたように、国民に広く開かれて国民全体が視聴し得る形で行われるわけでございます。従来とかく言われておりますように、大学教育というものが、大学のいわばアカデミックな中にだけ閉じこもっていて、世の中全体に対して開かれていない点を、何とか社会全体に開かれた方向に持っていくようにということで種々努力もしておるわけでございますが、この放送大学の場合で申しますと、大学の講義の中身そのものが広く一般国民に開かれているというふうな形で、そういう意味で国民全体の御批判にも十分耐え得るものでなければならないわけでございます。そして、そういう形で広く国民に批判を受け得るだけのものをやることによりまして、いままでの大学の教育というものの改革の推進にも、この放送大学というものがきっかけになりまして行われていくということも大変見逃すことのできない重要な意味を持っているというぐあいに考えております。
 もちろん、財政再建という、こういう時期でございますので、教育、学術、文化全般に対してどのように充実を図っていくか、非常に財政的にはむずかしい時期に差しかかっておるわけでございますが、私どもとしては十分関係省庁とも御相談を尽くして、第一期の計画ということで御提案を申し上げておるわけでございまして、教育の充実のためにこの放送大学を全国的な規模に広げるに際しましては、相当の時間を要するということも先ほど来御説明を申し上げたとおりでございますが、それは今後の高等教育の全体の流れと申しますか、昭和七十年代に向けての十八歳人口の動向でございますとか、そういうものも見定めた上でこの放送大学をぜひ推進さしていただきたいと、かように考えて御提案を申し上げておるわけでございます。
#164
○小西博行君 私も放送大学を最初から、真っ向からやめてしまえという意味では決してないわけなんです。と申しますのは、いまおっしゃられましたように、そこには確かに意義を見つけることができるということなんですね。ところが、私が申し上げたいのは、現実のいろんな大学教育を見ましても大変たくさんの問題があるではないか。国立あるいは公立、私立におきましても、もう少し充実すればいい教育ができるんではないだろうかなあと。そういう意味で、むしろそっちの方に予算的にも技術的にも力を入れていただく非常に大切な時期ではないかなあと。同時に、金が幾らでもあれば、それはもうすぐ放送大学ということで非常にうまみがあるわけでありますから、それを実行に移していただきたいと、こういう気持ちは実はあるわけなんです。しかし、現実この放送大学を出ましても、先ほど本岡委員の方からちょっとおっしゃられましたけれども、いわゆる社会的な評価という問題がこれから先の内容によって決まってくるんではないかと私も思うのです。しかし、現実にいまの夜間大学であるとかあるいは通信教育ですね、こういうものを現実に見てみますと、通信教育の学生というのはみずから本当に教養を高めることだけに意義を見出しているとは限らないわけですね。ある資格をもらうためにとにかくがんばっていくんだという現実が実はあるわけなんですね。そういう意味で、これから先の放送大学を実際出られて、放送大学が全体の大学の中でどういう位置決めをするかということによって単位の互換性という問題も私は大いに変わってくるんではないか、こういう気がしておるものですから、もう少し詳しく放送大学の社会的な評価ですね、どの辺のところを基準にしておられるのか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
#165
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学は一言で申し上げますと、入るのは大変やさしいけれどもなかなか卒業については厳格な大学ということが一つの特色として言えるんではないかと、かように考えております。私どもとしましては、教育の内容ないし水準の確保という点につきましては、十分必要な教官スタッフというものをそろえ、またそれぞれ客員教授という形で、既存の国公私立大学の関係者の方々の御協力も得ながら、言うなれば大学の講義の中身といたしましては、レベルの高いものをわかりやすく理解しやすいような形で実施をしていくというところが基本的なねらいになるんではないかと思っております。そういう意味で、五十三年以来、放送教育開発センターというものが、これは国立大学の共同利用機関ということでもうすでに設けられておるわけでございますが、その放送教育開発センターにおきましては、実験番組ということで、これは民間のテレビを通じまして具体的な大学講座ということで具体的に実験的に取り組んで、放送時間は、たとえば朝の早い時間でございますとか大変限られた時間帯にはなっておるわけでございますが、私ども一般的に現在放送教育開発センターの実験番組で流しておりますその内容面につきましては大変高い評価をいただいておるものと理解をしております。そしてまた、これの実験番組の取り組みにつきまして、具体的に、たとえばスクーリングも受けるというようなことについてモニターを募集いたしたりしておるわけでございますが、その応募者の状況等につきましても定員に対しまして非常に高い倍率で志望者が出されてきておるというようなことを通じましても、そういう意味では現在の実験番組につきましても非常に関心が持たれているということが実証されるんではないかと、かように考えておるわけでございます。
 先ほど来お尋ねのその放送大学の卒業生というものに対する社会的な評価といいますか、そういうような面についてどう考えるかという点でございますが、これはもちろん先ほども御説明しましたように、一般の大学の卒業者と同等の資格ということは、夜間学部、通信教育、放送大学、一般学部を通じて全く肩書きは同じなわけでございます。ただ、先ほども御指摘があったわけでございますが、いわゆる学歴社会と言われております一般社会全体の中でどのように評価されていくかという点でございますが、私どもは能力の評価としましてはもちろん個々の人たちがいかに努力し、いかに学んできたかということに着目し、能力に応じた適正な評価がされなければならないのは当然でございます。そのために努力もいたさなければならないわけでございますが、具体的には放送大学の教育の内容が水準の高いものをしかもわかりやすくという形で広く受け入れられるような形で実現をしていかなければならない、そういうことの積み重ねというものが放送大学というものに対します評価を高めていくゆえんでもあろうかと思っておりますので、そういう努力を積み重ねてまいりたいと、かように考えております。
#166
○小西博行君 確かにこの放送大学は、文部省にとりましても一つの大きなロマンだというふうに私は考えますし、したがいまして、長期計画というものがぴしっとありまして、そして何年度はどうなんだという具体的なものがありますと非常にわれわれも審議がやりやすいわけなんでございますけれども、ともかくもこの法案を通して、そして大学をいまから研究して具体化していくんだというお話が非常に方々に出てくるもんですから、さっぱり審議が、各政党とも恐らくがっぷりと四つに組むという形が非常にとりにくいじゃないかという感じでいるわけでございますけど、これはどうなんでしょうか、通常国会ぐらいまでに何かひとついい計画書みたいなものがそろうという自信はございますでしょうか。聞けばお答え願うということではあるんですけれども、現実にどうも、先ほども言われましたように、そこの労働組合の問題がどうだとか、いろんな細かい問題を突けば幾らでも私は問題が出てくるんじゃないかと思いまして、しかし一方では、何か法案ということですから、大学をつくることに賛成したらどうですかという程度に理解すれば、いまから審議十分すればいいというふうにも考えられるわけですね。したがって、細かい分野に入れば入るほど、これは何時間審議やっても決着がつかないような部分というのはいっぱいあるような気がするもんですから、何か具体的な長期計画みたいなものを近々、そういう整理できるような条件ございますでしょうか。
#167
○政府委員(宮地貫一君) 具体的な計画といたしましては、従来から御説明を申し上げておりますように、第一期の計画としては、東京タワーからテレビ、ラジオの電波の到達する範囲を対象地域といたしまして、関東地域からスタートをさせていただくということで御説明を申し上げておるわけでございます。なお、その後の全国ネットと申しますか、全国を対象にする全体計画についてのお尋ねでございますが、その点については先ほども御説明をした点でございますけれども、具体的に広げていく際に、やはり関東地域をやりました結果、なおいろいろと検討しなければならぬ個々具体の課題も出てくることであろうかと考えております。そういう意味で、私どもは先ほど御説明を申し上げましたような形で将来の計画というものを考えておりますと、もちろん教育の機会均等の確保というようなことから、全国に広げるに際しまして、その計画を早期に進めろということは、これは国会での従来の御審議でも十分な御指摘をいただいておる点でございまして、それらの点については私どもも早期に広げるように努力をいたしますということは申し上げておるわけでございます。
 それから先ほどのお尋ねの中で、一般大学の方にむしろ整備の重点を置いていくべきじゃないかというお話もございました。もちろん既存の一般大学の充実につきましては、たとえば国立大学等につきましても、既存の学部の整備充実、それも特に地方の国立大学の整備充実というようなことで、たとえば学部の改組でございますとか、そういうようなことについては過去私どもも取り組んできておりますし、これからもそういう意味で既存の国立大学の整備充実ということももちろん大事なことでございまして、それも地方の大学に重点を置いた整備充実というものを図っていかなければならぬわけでございます。そしてまた、私立大学について申せば、私大経常費補助というようなことで、私立大学の教育水準等を高めるというためにも相当額の国費を投入してきておるわけでございます。それらの施策と相まってこの放送大学の整備ということについても私どもは取り組みたい。それについては、御提案申し上げておる点は、第一期の計画としては、先ほど御説明申し上げたようなことで取り組みたいということでございます。
#168
○小西博行君 そこで、もっとちょっと具体的にお聞きしたいんですが、大学四年で卒業するというのが前提だと思うんですけども、百二十四単位で四年間で卒業できるということなんですね。そしてこのアンケートを見ますと、何か大体週に二こまぐらいならとれる。アンケートがございますけれども、そこへ出ているわけですね。二こまか一こまかという数字が(1)、(2)というふうに出ておるわけですが、実際はこれは四こまぐらいとらなければ四年間で卒業できないんでございましょうか。科目によっても多少違うと思いますけれども、ちょっとお聞きしたいのです。
#169
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど御説明をした点でございますが、放送の視聴につきましては、四年間で卒業をするということになりますと、大体四十五分の番組を毎週二回程度視聴するということが必要になろうかと思います。――失礼しました……
#170
○小西博行君 これは一単位でしょう。
#171
○政府委員(宮地貫一君) はい。一単位でございますので、毎週四、五回程度ということになるわけでございます。それで、アンケートの点で御指摘があったわけでございますが、これは先ほどもちょっと御説明申し上げました実験番組でやっておりますものについてのアンケートでございまして、これは放送時間というものが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、午前六時十五分から七時というきわめて限られた時間帯で一回だけ放送されている実験番組でございまして、具体的にはそういう形で実施をされているわけでございます。ところが、放送大学の場合で申し上げますと、実際の放送視聴というのは、私どもの計画いたしておりますのは、毎日、午前六時から夜十二時までの間十八時間放送をいたします。もちろん、その間に再放送もするということでございまして、なるたけ視聴者が視聴しやすいような形で放送時間を確保するということができるわけでございます。したがいまして、このアンケート調査の場合の結果が四年間で卒業するための毎週四、五回ということと相当ずれがあるではないかという御指摘ではないかと思いますが、その点はいま申しましたような放送時間の差というようなこともございまして、私どもとしては、週四、五回程度の視聴が、先ほど申しました放送大学で計画しております放送時間ということから申し上げれば、その点は十分確保できるのではないかと、かように考えております。
#172
○小西博行君 そうしますと、大体一日一時間――四十五分という授業だと思いますけれども、大体一日に一コマといいますか、大体四十五分ずつを毎日やれば、あとは毎週スクーリングというのがありまして、そのスクーリングというのは大体三時間ぐらいでいいというふうに話を大体聞いているわけです。そしてあとは自宅研修と。これで大学が出られるということでございますか。
#173
○政府委員(宮地貫一君) 基本的にはそういう放送視聴、それから自宅の学習、スクーリング、そういう三つの組み合わせで、先生ただいま御指摘のような形で単位は修得できるものと、かように考えております。
#174
○小西博行君 何か非常に薄っぺらい学生ができるような感じがしてならないわけですね。もちろん、これはスクーリングのやり方もありますでしょうし、自宅研修というのはこれは幾らやってもいいということにはなるわけでございますから、勉強次第によっては当然普通の大学並みの力がつくというふうに考えるわけですけれども、一般的に考えまして、私自身が夜間の大学の学生を教えてみましても、非常に熱心で来るわけでございますけれども、どうしても時間的な制約がある。そして、夜間ですから、せいぜい六十分を三時間ぐらいというようなことですから、どうしても昼間と夜を比べますと、卒業はできるんだけれども、実際の勉強というのが非常になおざりになったような経験を持っているわけなんです。ですから、私は、その辺がどうも、むしろ力のある人というのは放送を見なくても、放送でやる教材よりも、実際、家で使っている教材の方がはるかに詳しくて、あるいは高度かもしれません。あるいは参考書とか。ですから、放送を見なくても、本当に勉強したい人は自然に勉強できて大学は卒業できるという、こういう理論も私は成り立つと思うんですけれども、その辺はいかがでございますか、放送を見なくて卒業できるという可能性。
#175
○政府委員(宮地貫一君) その点は、先ほど来御説明申し上げておりますように、放送視聴と、印刷教材によります学習といいますか、自宅の学習、それと面接授業という三つで全体の教育課程を組み立てておるわけでございます。具体的な授業科目の中で放送視聴に適しておるものについては積極的に放送視聴を取り入れていくという考え方でございまして、もちろん先生おっしゃるとおり、印刷教材によります学習にふさわしいものについては、なるたけそちらの方で考えていくというようなことになろうかと思います。具体の科目につきましてはそういうそれぞれの特性に応じた教育課程の組み立てということが考えられるわけでございまして、たとえばなるたけ視覚に訴えた方がより理解しやすいものというようなものはそれぞれあるんではないかと考えられます。私どもは、具体的な授業科目を、どの授業科目をどのような組み合わせでどうやっていくかということについては、もちろんこれから放送大学自体で御検討いただくわけでございますが、従来の実験番組でやっております中身につきましてもそういう点は言えるんではないかと思っております。
 なお、放送授業をあわせ行うこととしておるわけでございますが、放送授業によりまして直接指導に相当するような教育効果も期待できる場合もあり得るというぐあいに私どもは考えておりまして、先ほど面接授業の単位のうち放送授業で十単位までは修得することができるように考えて検討いたしておりますのも、そういう点を考慮して弾力的に扱いたい、かように考えております。
 内容面では、先生の御指摘では、大学教育として本当に十分な中身が確保できるのかという御指摘のように承ったわけでございますが、その点は、これから放送大学の教官スタッフがその内容について十分工夫をすることはもとよりでございまして、先ほど来申し上げておりますような大学教育の中身にふさわしいものを用意することは当然のことでございます。
#176
○小西博行君 実際、教育の場に立ちますと、教員そのものが大変悩む場合が多いわけですね。と言うのは、どうしても、大学の場合に、なるほどよかったなというふうに学生が感じるのは、恐らく、ゼミを通じて、そうしてかなりしぼられながらも、半ノイローゼになりながらも、それに挑戦していく、そうして卒業の認定までがんばるといいますか、そういうことが実は将来にとって非常に大きな励みになるわけですね。私は、そういう面で、いまの大学教育の本当にいい面というのは、そういうゼミに入って、本当に先生にしごかれて自分が予想もしなかったいい、たとえば卒論を書いて仕上げるとか、それによって自己啓発というのが、私は将来に非常に大きくプラスしているというふうに考えているわけですね。
 それともう一つは、やっぱりスポーツの関係だと思うんですね。スポーツは団体行動ということでこれも相当またしごかれるわけでございますけれども、その中に非常にいい人間性が私は生まれてくると思う。むしろいまの教育の中で問題になるのは、どうも管理社会と同じような子供さんがたくさんできてしまっているんではないかという不安感がむしろ私なんかはある方なんですね。そういう意味で、映像によって、しかも個人で、独学でもってやるということが、これから先の日本を考える場合に、本当に自分たちが文部省の方がいま考えておられる理想的なそういうものに展開していくんだろうか。もちろん試行錯誤していくということでありますけれども、どうも、そういう意味で、私はちょっと心配になるものですからいろいろなことをお聞きしているわけなんです。
 もう一点。先ほどせっかく言われましたので、教員ですね。教員の確保、たとえば地域になりますとセンターがあるわけですから、そこでの教員の確保という場合に、国立とかあるいは公立の問題ですね。こういういわゆる国立、公立というのは、外へ応援に出る場合の態勢――非常勤講師の場合ですけれども、その場合にかなり非常に規約が厳しいというぐあいに私は聞いているわけなんです。その辺は一体どうなんでしょうか。週に何時間とか、大体、大学で決まっていると思うんです。
#177
○政府委員(宮地貫一君) 先生御指摘のとおり、教育というものの基本的な機能と申しますか、教官と学生との触れ合いでございますとか、あるいは学生同士の触れ合いというようなものが大切なことは御指摘を待つまでもないことでございまして、私どももそういうものが非常に重要であるということに着目をいたしまして、学習センターにおきます面接授業といいますか、スクーリングというものを重視するという考え方に立ってこの放送大学というものを構想しておるわけでございます。その点は先ほど来御説明をしておるとおりでございまして、具体的にはそういう教官と学生、学生相互の触れ合いというようなものが、その学習センターにおける場を通じまして実際に効果を上げますように、その点は十分考えていかなければならない大事な点だと、かように考えております。
 それから、お尋ねの第二の点で、御指摘のように、あるいは国立ないし公立の大学におきます非常勤講師として具体的に協力をお願いをしなければ、この放送大学におきます学習センターというものが十分機能していかないということは先ほど来御説明を申し上げている点でございます。
 それで、御指摘のとおり、国立大学等におきまして非常勤講師として国立大学の教官が他の大学の非常勤講師等を兼ねる場合の、何といいますか、制約といいますか、比較的厳格ではないかという御指摘があったわけでございまして、現在のところ国立大学の基準としては週六時間程度というように伺っております。
#178
○小西博行君 これは、私どもでも国立からいろいろ来てもらっておりましたんですけれども、確かにそうでございますか。週六時間、そうしたら三回に分けても四回に分けてもいいということですか、一週間で。じゃ、二時間ずつ三回で六時間というのが成り立つでしょうか。
#179
○政府委員(宮地貫一君) 基準として週六時間程度という取り扱いでございまして、それをたとえば二時間程度に三回に分けるということはもちろん考えられるわけでございます。
#180
○小西博行君 私は、教員の確保という問題が大変むずかしいんではないかなという感じを実は持っているわけなんですね。したがいまして、これ最終計画では三千六百六十八名の教員を確保するという非常に大きなことになっておりますし、しかもこれ、常勤の場合は五年契約でございますか、五年間でまた新しく契約し直すという制度でございますか、ちょっとお伺いしたいんですが。
#181
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の教官につきましては任期制を考えるということでございまして、具体的にはこれから大学自体でお決めになるわけでございますが、任期の一つのめどといたしまして、五年程度ということが一つの目安としては考えられるんではないかと思います。もちろん個々のケースにおいては再任されるという場合もあり得ましょうし、任期制の問題については、先ほども他の議員の御質問にお答えしましたようなメリットを考えて任期制というものを考えたいということで積極的に考えているわけでございます。
#182
○小西博行君 この間もちょっと出たと思うんですが、教員は当然、研究機関といいますか、研究しなければいけない。したがいまして、私、広島でございますけれども、たとえば広島大学の経済の先生が放送学園のセンターの方に専任で行きまして、そしてそこでもってやるということが現実問題としまして私は大変むずかしいんではないか。まあ命令で行けと言ったら、これは国立ですからしようがないでしょうけれども、何かしらその辺が、私は本当にそういうメンバーはいいメンバーがそろうんだろうか、むしろ定年になった方々を集めるんじゃないか、そういう何か非常にいいセンターにならぬのじゃないかなという感じで、ちょっと心配しておるんですが、その辺は心配ございませんか。
#183
○政府委員(宮地貫一君) 先ほども御説明を申し上げたわけでございますが、任期制というもののメリットももちろんあるわけでございますが、一面先生御指摘のように、任期というものは放送大学側だけが考えましても、なかなかうまく考えているように回転をしていかなければそのメリットが生かされないではないかという御心配ももちろんあるわけでございます。各放送大学の教官組織というものをつくり上げていくに際しましては、当然に国公私立のほかの大学の御協力と御理解というものがやはりないとうまく回っていかないということは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、私どもとしてはそういう他の国公私立大学の御理解、御協力をいただいた上で、その点で積極的に、いま御提案を申し上げておりますような任期制というものをメリットのある形でローテーションがつくような形で運用というものを考えていかなければならない。もちろん個々の人事にかかわる問題でございまして、それぞれ関係の大学と放送大学側との密接な連携といいますか、そういうものがなければうまく回転をしていかないというのは御指摘のとおりであろうかと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたようなメリットというものももちろんあるわけでございますので、ひとつその点を十分生かせるような形で私どもとしては積極的に取り組んでいきたいと、かように考えております。
#184
○小西博行君 私は何としてもスクーリングをやっぱり徹底的にやって、しかもそれがその学生のやる気を喚起するような、そういう有意義なスクーリングをやるということになれば、時間的にも相当少ないんではないかなと。同時に各県に一つずつ置こうと。東京は二つということなんですけれども、たとえば広島なんかへ行きまして、片道六時間、七時間というようなところはざらにございまして、そういうところから朝早く出てきて、二時間ないし三時間それを受けて、そしてまた帰るというのは、スクーリングというのは、実際問題として非常にむずかしいんじゃないかという感じを私は持っておるんです。言葉では非常に簡単なんでございますけれども、特に冬になったり、そういう条件を考えますとむずかしいんではないかなという感じがしておるんですけれども、その辺に対してのいろんな見解をもしお持ちだったら教えていただきたいと思うんですが、うまくいけばいいんですけれどもね。
#185
○政府委員(宮地貫一君) スクーリングの実施に当たって、具体的にたとえば各県一カ所という程度であれば、実際のスクーリングということから考えればいろいろ難点も出てくるんではないかという御指摘でございます。私どももその点は十分考えていかなければならない大変大事な点であるというぐあいに理解をいたしております。従来の私大の通信教育等におけるスクーリングの問題、先ほどもお尋ねがあったわけでございますが、いろんな形で実施をしておるわけでございまして、私どもとしても受講生がなるだけ受けられやすいような形でどのようにやっていけばいいのか。その点については従来の経験等も十分踏まえながら、実際の問題に当たって、それらの従来の経験を十分生かすような形で積極的な姿勢で取り組んでいきたと、かよう考えております。個々の具体の受講生がどういう形であれば受講しやすいのか、受講形態も毎週一回出てくるという形では、いまおっしゃったようなたとえば片道六時間というような場合であれば、それは現実問題としてなかなかむずかしい問題でございましょうから、そういう場合にはまとめてスクーリングをどういう形でとれるような形で実施をしていけばいいのか。個々の問題につきましては、先生も御指摘のように、実際にやっていくに当たっては非常に個別の問題でいろいろと解決をしなきゃならぬ課題というものは出てまいろうかと思っております。放送大学を成功させるためにはそこの点が非常に大事なところだということは私どもも十分認識をしておるわけでございまして、個別の問題につきまして積極的な姿勢でそれらの解決を図っていきながらこの放送大学というものを成功させるようにぜひとも推進をさしていただきたい、かように考えております。
#186
○小西博行君 何か、細かく行けば行くほど、こういう質問をしたらいいのかなあという逆にむしろ――これから先の研究課題というのもわからぬでもないんです。そういう意味で、ついででございますけれども、たとえば月謝ですね、これは通信大学並みという表現をしているんですけれども、実際にはやはり手紙で往復したりあるいは教材とかいろいろなものを入れまして、大体年間に六、七万ぐらいだというのは、これはいわゆる学費ということなんですよね。――まあ月謝というか、学費といいますか。ですから実際に勉強したいと思う方というのは大体どのくらいのお金がかかるものでしょうか。これもはっきりしていないんですね。ちょっと、わかりましたらどうぞお願いします。
#187
○政府委員(宮地貫一君) 御説明申し上げておりますように、私大の通信教育の場合のおおよそ年間の授業料等との均衡を考慮いたしまして、六万程度ということを想定いたしておるわけでございます。これはもちろん授業料としてそういうものを想定いたしておりますが、その中には印刷教材等の経費も含まれておるわけでございますし、添削指導等の経費も含まれるというぐあいに私どもとしては理解をしております。
#188
○小西博行君 そうしたら、大体一カ月勉強するためには六、七万ぐらいで十分いけると。で、私は、くどいようですけれども、実際には、自分で大学で勉強しようというような気持ちのある人というのは、恐らく教科書の三倍や五倍というお金じゃ勉強にならないと思うんですよ。実際にはたくさんの参考書を持ってきてやらないと、テキストというのは、NHKなんかでもやっておりますけれども、ああいうそれぞれの科目別にテキストをつくられるからそんなに厚い大きなものということはないと思うんです。恐らく二千円かそんなものじゃないかと思うんです。したがって、内容的には十分なことは恐らく盛り込めないだろうというようなことで、現実にこれを勉強して、試験にもよりけりでございまして、どの程度の試験で、単位で認定して上へ行くかという問題ですけれども、私は相当費用をかけないととてもじゃないけれどもそう簡単に大学を出られるという形にはならないような実は感じがするんです。
 そこで、もう一点ちょっとお聞きしたいんですが、視聴率ですね、何パーぐらいそれを聞いているか。たとえば、大学へ入った人というのは全部数がわかるわけですね。ところが、それ以外の方々がテレビを見るということは、これは自由に見ることができるわけですから、そういうものの実態調査ですね、これは何か具体的に考えておられるんでしょうか。視聴率の実態調査の仕方とか評価の仕方。
#189
○政府委員(宮地貫一君) 初めのお尋ねの点で、六万程度というのは実は年額でございます。
#190
○小西博行君 年額ですね。
#191
○政府委員(宮地貫一君) 年額でございます。
 それから、もちろん登録をいたしております学生はテレビ、ラジオをそれぞれ視聴するものと考えられるわけでございますが、お尋ねの点は、それ以外に広く一般の方々がどれだけ関心を持って放送大学の番組を視聴することになるのか、その辺の視聴率等についての調査についてどう考えておるかというお尋ねのように承ったわけでございまして、具体には、どれだけ広く国民全体に関心が持たれているかということを調査するために、そういう登録学生以外の方々の視聴率がどの程度であるかということについても、もちろん私どもとしては、これが実施をされますれば、必要に応じてそれらを調査して、社会全体といいますか、広く一般国民にどの程度に視聴されているのか、それらを把握しながら、それがまた、放送大学の教育の中身そのものの改善といいますか、向上のための参考資料ということで、当然にそれらの点も調査をする必要もある、かように考えております。
#192
○小西博行君 ですから、平たく言いますと、入学のときはわりあい楽にはいれる、単位を取るというのはなかなか厳しいと、こういうかっこうになりますかしら。大体そういう大学というように考えたらいいわけですね。何か、その辺で大学の評価というものがずいぶん私ははっきり出てくるのではないかなあと。たとえば、この放送大学での単位認定を受けると東大生あたりの単位に互換ができるとか、そのぐらいの内容があるものだったら私はそれほど心配しないんですけれども、どうも現実にいろいろなお話を聞きましても、非常に安っぽくなって、全体の大学そのものが、この放送大学のことで評価を落としてしまうような感じになりはしないだろうかなあと。これは私ども実際夜間大学なんかやってみまして、そういう傾向が非常に大きく出たんですね。勉強したいというのと同時に、試験すると全然はいれないという問題が実はありましたものですから、入ってから本当に勉強するという態勢がとれればこれは私は非常にいい大学になるのではないかと思うのですけれども、これはやっぱり自主性という問題が常に大学教育の中にありますので。その辺の心配が少し私は残っておるものですから、その上手な知り方ですね、カリキュラムの編成だとか。ややもすると、テレビに登場される先生というのはスター的なといいますか、タレント的な要素がないと見てもらえない、非常にまじめにやればやるほどあきられるという部分がある。実際われわれ自身が講演に行ってもそういうものがあるわけであります。この中でも、かなりシステム工学だとかなんかというのを書いてあるのです。非常にかたい講義を学際的にやられますと、これは大変聞きづらいのではないか。
 そうしてもう一点は、これはNHKの例の教育テレビなんか見てもよくわかるのですけれども、非常に簡潔に上手にまとめていますね、項目一何ということで。そのときは非常に感心するのだけれども後さっぱり残らないという欠点があるわけですね。だから、何回もそれを上手に繰り返して刺激するという問題も私はあわせて考えていただきたい。
 時間があとまだ少しあるわけですけれども、とにかく私がここで申し上げたいのは、きょうはもう非常に総論的なことを申し上げたわけですけれども、放送大学というのは確かに新しい一つの時代の要求というのも当然あるでしょうし、そして勉強したい人が何としても勉強できるような体制をつくらなければいかぬ、これはもう私は国としては当然やるべきことだし、やらなければいかぬと思う。しかし、現実の細かい問題になっていきますとまだはっきり決まっていないことばかりで、それは法案が通ってから細かく審議しましょうということではございますけれども、やっぱり私はもっと詳しい具体的なそういう素案というものをできればつくっていただきたい。当然大学を特殊法人ということでつくるわけですから、これをどこまで文部省で介入できるかどうかという問題も私はあるんではないかと思うのです。非常に遠慮した部分があるのではないかと思いますけれども、少なくとも、ここで審議するということでございますので、できれば具体策を早急に示していただいたらもっと焦点をそれぞれが合わして審議ができるのではないかな、こういう感じが実はしているわけです。
 そして、全体から言いますと、放送法の問題、これが一つ私はあると思うのです。この中にはたくさんの問題があると思います。それから今度は、国の強いコントロール、つまり組織の問題ですね。こういうものが一体どうなのか。それから実際に大学ができた場合の管理運営の組織、それから教育内容とか方法、これも一つの大きな問題だと私は思うのです。それからもう一点は、既存の大学と放送に及ぼす影響、この辺の調整。最後に、これ幾つもあるわけですが、たとえば生涯教育に果たす放送大学の役割りとか、それから放送大学に適用する設置基準であるとか、あるいは開校は大学教育の機会に恵まれない地方からできるだけ採れるような体制にするとか、あるいは、完成までに時間をかけ過ぎるのでもう少し内部での審議、これを十分尽くしていかなければいかぬだろう。あるいは、多額なお金を使う、だからむだのないような方向性を見つけなければいかぬ。たくさんの問題があるのではないかというように私は考えます。したがいまして、それぞれの資料をばらばらにもらうわけでございますけれども、できればそれが、最初から計画書が、ぴしっとしたやつが日程によって出てくれば一番助かるというように思うわけでございますが、できればそれをお願いいたしまして質問を終わりたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
#193
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと詳細な御質疑ありがとうございました。
 なおまた、先生の御要望にできるだけ沿うこと、それ自体がまたわれわれの方の法案をなお一層固める趣旨でもございます。
 なお、最後におっしゃいましたその計画の点につきましても十分に私の方も考えたいと思います。ありがとうございました。
#194
○委員長(降矢敬義君) 以上で本案に対する本日の審査はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時散会
ソース: 国立国会図書館
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