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1947/08/30 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第7号
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1947/08/30 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第7号

#1
第001回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第7号
  付託事件
○在外同胞引揚促進及び引揚者の援護
 更生に關する請願(第五號)
○ビルマ残留同胞引揚促進に關する陳
 情(第三號)
○樺太残留同胞引揚促進に關する陳情
 (第五號)
○南方残留同胞引揚促進に閲する陳情
 (第六號)
○南方残留同脆引揚促進に關する陳情
 (第八號)
○引揚者復員者及び留守遺家族の救済
 緊急対策に關する情陳(第十八號)
○在外残留同胞引揚促進に關する陳情
 (第三十競)
○在外残留同胞引揚促進に關する陳情
 (第三十一號)
○海外引揚者に對する生業資金貸出に
 關する陳情(第三十二號)
○海外引揚者所有の農地に關する陳情
 (第三十三號)
○ソ連軍管下の未復員軍人歸還促進に
 關する請願(第七號)
○舊満鐵社員の會社に對する諸請求権
 應急處置に關する請願(第九號)
○海外残留同胞引揚促進に關する陳情
 (第四十八號)
○海外残留同胞引揚促進に關する陳情
 (第五十三臨)
○在外同胞の引揚促進に關する陳情
 (第七十四號)
○在外同胞引揚促進に關する陳情(第
 八十一號)
○在外同胞引揚促進に關する陳情(第
 百四號)
○在外同胞引揚促進に關する陳情(第
 百十號)
○在外同胞引揚促進に閲する陳情(第
 百二十一號)
○満洲における同胞救済の償還に關す
 る請願(第五十五號)
○在外同胞引揚促進に關する陳情(第
 百二十四號)
○舊満鐵社員の對會社請求權確保に關
 する陳情(第百二十九號)
○在外同胞引揚促進に關する陳情(第
 百四十二號)
○在外同胞引揚促進に關する陳情(第
 百五十一號)
○在外同胞引揚促進に關する陳情(第
 百五十九號)
○在外同胞引揚促進に關する請願(第
 八十三號)
○海外引揚者生存權保證等の問題に關
 する請願(第八十四號)
○在外同胞引揚促進に關する陳情(第
 百八十三號)
○在外同胞引揚促進に關する陳情(第
 百八十四號)
○海外引揚者の更生に關する陳情(第
 百九十八號)
○在外同胞引揚促進に關する陳情(第
 二百號)
○在外同胞引揚促進に關する陳情(第
 二百十四號)
○海外引揚者更生対策に閲する請願
 (第百四號)
○海外引揚者の住宅問題に關する請願
 (第百五號)
○在外同胞引揚促進に關する陳情(第
 二百四十一號)
○在外同引揚促進に關する陳情(第二
 百五十五號)
○引揚促進と受入態勢に閲する件
――――――――――――――――
昭和二十二年八月三十日(土曜日)
   午後一時二十三分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○引揚促進と受入態勢に關する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(矢野酉雄君) 第七回目の委員會を開催いたします。本日は總理本臣、復員廳總裁、外務大臣、厚生大臣の出席を要望しておりましたが、まだ後報に接しませんけれども、過般外務大臣から我々に報告を受けまして、非常なる希望を以て促進の實現ができると考えておりましたが、各方面からの情報を聞きますというと、非常に不明朗になりつつあるような情勢でありますから、この問題についての當局の確實なる報告を承ると共に、是非引揚促進についての具體的な方策を、休會に入る前にこの第七回目の委員會で何等かの聲明を得たいと思いまして、是非皆さんから政府當局に對して促進に對する具體的方策について御質問や、或いは建設的の御意見を活溌に出して頂きとう存じます。總理大臣も議長室に只今参つておられるそうで、もう直ぐにここに來られますので、折角の御意見は總理大臣が來られてから承わるようにしたらいかがかと思います。それから七名の方が参議院を代表して舞鶴港に引揚げの實情を観察においで下され、且つ参議院を代表して、慰問と激勵においで頂いた一行は、無事に昨日お歸り下さいましたので、非常な有力なる資料もお持ち歸りのように承つておりますので、これも本日の委員會に報告して頂いて、促進の一日も早いようなその方策確定にこれを生かして行きつつ、且つ又受入れ態勢を強化するという立場にも、この報道が大變お役に立つと思いますから、これはこのあとの方に廻したらと思つております……。いかがでしようか。復員廳總裁がお見えになつておりますので、復員廳總裁からその後の様子について承りましようか。いかがでしよう。
   〔賛成」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(矢野酉雄君) では復員廳總裁。
#4
○國務大臣(笹森順造君) 過般來委員會におかれましては、只今委員長のお述べになりましたように、引揚促進に關しまする非常なる御熱意を以て、適切なる御決議或いは方途をお講じ下さいましたことに對しましては、私共といたしましても深く敬意を表し、その實現に向つて皆様方の御期待に副いたいと折角努力を続けておる次第でございます。先般外務大臣から、相當なる期待を持ち得るが如き引揚促進に關する朗報を傳えられましたることは、只今委員長のお話の通りであります。このことに關しましては、後程外務大臣から、その後のことについて直接御報告をお聽きなさることが至當であろうかと思います。私共は自分達の立場から間接にこれを申上げるということで、恐らくは皆様のお尋ねに對しましても、御満足の行きますことは、むしろ外相からのお答の方が宜しいかと存じますが、只今時間の關係上、御指名がありましたから申上げます。
 私の聞き及んでおりますことによりますと、先般の外務大臣の報告によりますと、現在毎月五萬人程度の人員がソ連關係地から引揚げて参つておりますので、状況を更に三倍或いはそれ以上の數を以て、毎月歸還せしむるように、關係方面へ折衝をし、一縷の望みがあるが如き状況であつたのでありまするが、その後の外務大臣の折衝いたしました結果によりますると、相手側のソ連の現在東京に居りまする人の言葉を、連合軍最高司令部との連絡を取つておりまする關係者によつて傳えられましたところによりますと、昨年の暮に定まりましたあの歸還の數を、今急に變えるという、つまり増加するということについての意圖を現わして呉れない。こういうことなんであります。それで折角持ちましたところの朗報も、今のところでは、又現状のままにこの數が繼續されるということである。こういうことを實は聞いておるのであります。それに關しますところの内容、それが又どういうふうに将來展開して行くかということに關しましては、直接折衝されました外務大臣からいろいろ皆様方がお尋ね下さいました方が宜かろうと思います。私の聞き及んでおります要點はそういうことになつております。
 この機會に尚南方のことに關しまして申上げて置きたいと思うのでありますが、これ亦皆様方の御熱誠なる御配慮によりまして、引揚促進に關する色色な方途をお講じ下さいました結果として、これが順調に期待の如く進んでおるのであります。数日前にビルマにおいて責任を持つておりました最高の地位におられました本多元中將が復員廳に來られまして、その結果引揚完了のことに關する御報告を具さにしておられたのであります。かくの如くにいたしまして、南方においては、その他の地區においても豫定の如く本年中には引揚完了ができる。できるならば年末に近付く前にこのことが完了するような、手筈としての船、即ち配船のこと等についてもこちらの方といたしましても、豫定の通りにいたしておりまするから、南方のことについては豫定の通り、私共引揚完了を確信し得ると申上げられると思つております。以上掻い摘んで先ず報告をさして頂きます。
#5
○委員長(矢野酉雄君) 只今總理大臣が出席して頂きましたので、過般院議によつて決定しましたあの當時總理大臣は政府を代表して固い決意をお述べ頂いたのでありますが、その後政府としてどういうような具體的の方策等を立てられましたかについて、この問題が本日の主要な問題となつておりまするので、各委員の方々から御質問、或いは御意見を活溌にお出し願いとう存じます。
#6
○淺岡信夫君 過般参議院の院議に基きまして、私共七名が舞鶴港に派遣されたのであります。舞鶴港に参りまして、親しく受入れの態勢の諸施設を見ました。更にすでに舞鶴港の宿舎に入つておられまする二千名近くの人と、その代表とも座談會を開き、更に二千名程おる人達と直接に話をしたのであります。それから習日初めて歸つて來る船が著きまして、その二千名近くの人と話をしたのでありますが、その一一の報告は又後の機會に譲るといたしまして今私が總理大臣にお尋ねいたしたいと思いますのは、とにかく私共が四千名低くの人に接したその結論というものは、どうしてもこの年内にシベリヤ方面におる人達を歸さなかつたならば、恐らくその六割近くの人達は死んで行くのじやないかという結論に到達いたしたのであります。でこれに對して私共は、歸つてきた四千名近くの人達の異口同音に、國會が、参議院が國民を代表して自分達を迎へ、更に今後の日本の建設に對して慰撫激勵したということに對しては、自分達は夢のようだ。自分達はソ連において聞かされておつたことはまるで夢のようだ。これは現實ですか。例えばその中の一つの例を擧げて見ますると、中平議員が、諸君御安心なさい。今年は豊年です。更に六百萬餘の放出物資があります。食糧には心配ありません。こういうことを報告しますると、何を言つているんだ。デマうまいな。何言つているんだ。でたらめばかり言いやがつて」というような一事であります。ところが上つてきた人たちは、一歩日本の大地を踏みしめ、これが日本だ。おい、山も青いし、祖國の地は變つておらん。だが併し日本の地に上れば、そこに死體が累々としているというようなことだつたが、實際夢の國に歸つて來たというような状態にあるのです。その人たちが異口同音にいうことは、何とかして自分たちが歸つて來た喜び、その喜びなんということはちつとも感じない。感ぜられない。あとに残してきた同胞、過去の戦友を思う時に、自分がこの祖國の地に足を一歩印するということが善いことか、悪いことか分らない。喜びじやない、何とかして自分たちの同胞を歸してくれ。これが四千人の叫びであつたのです。更に私がこれからお話をしますことは、ちよつと速記を止めて頂きたいと思います。
#7
○委員長(矢野酉雄君) 速記止めて。
   〔速記中止〕
#8
○委員長(矢野酉雄君) 速記始めて。
#9
○淺岡信夫君 で殊に私共一行が非常に打たれましたことは、林次長以下大熊復員部長或いはその他の職員諸君が、ただ職務上の事務的なこととして處理するのではなくして本當に心から情熱を迸らせてやつておることを目撃しましたときに、少くともこの國會において、或いはこの特別委員會において、更にでき得れば院議を以て、この引揚業務に從事さておる職員諸君に、感謝の決議を贈つてもいいのじやないかという結論に私共は到達したのであります。で、いろいろなこちらにおける、内地に歸つて來ましてからの受入態勢等の問題が澤山ありますが、その問題は別個の問題として、とにかく何としても、一刻も早くこの冬を越させないで歸したいということに對しまして、私は一千萬同胞が、もつともつとこれに熱を沸かして、そうして何らか連合國關係方面に對して手を打つべきじやなかろうか。歸つて來る復員者或いは歸還者の人達は、一體政府は何をしているのだというこの聲に充ち満ちておりました。これは政府ばかりじやありません。一體國會は何をしているのだと言われても、私は一言もないような氣がいたします。こうした面につきまして先ず國會みずから又政府それ自體に、何とかしてこの問題に封して眞劍に考えて頂きたいということを申上げて私は一行を代表いたしまして報告といたします。
 更に區々の問題につきましては、各委員からいろいろ報告あると思います。
#10
○千田正君 只今淺岡議員から舞鶴における實情を述べられておりまするが、私はこの七月五日に片山首相の施政方針演説に對しまして質問した者でありまするが、その節外務大臣にも御質問申上げておりましたときのお答えとしましては、先般外務大臣からお話がありました。が併しどうも納得の行かない點が多々ありますので、實は本日を期待しておりましたところが、笹森國務相から詳細のことが、自分からも報告する譯に行かんというお話でありまするが、私の手許に只今ありますところの報告としましては、九月におけるところの配船手配は、シベリヤのナホドカから舞鶴港に入るものが二萬名、樺太の眞岡から小樽に入る者は約三萬名推定、こうなつておりますというと九十二萬北方において残つておるところの者が七、八月の間に歸つて來た者が二萬名としましても、まだ九十萬残つておる。この状態で行きますというと、今年中には假りに九月に決定した約五萬名が入る。この調子で行くとしても七十萬名の者があと北方に残るという数字的な計算になりまするが、本年中に残つた九十二萬の中、尚七十萬の我々の同胞が北方に残つておるとするならば、本年の冬を越すということはこれは重大な問題であるということを我々は考えるのであります。この點におきまして、若しもこうした状況に置かれたときにおいて、政府の方においてはどういう對策をして頂けるか。例えば北方收容所におけるところの昨年と違つた待遇の改善に對して、何とかして鐵のカーテンの彼方にあるところのソヴィエトに對して十分に申入れる方法をとられるかどうか。又内地との通信を即刻確保するような方法をとつて頂けるかどうか。在留人員の氏名を明確にする方法をとつて頂けるかどうか。ことに残つておられるところの氏名、人数の不明確という點は、我々同胞としては誠に遺憾至極なものであります。この點において日本政府としまして、或は外交機關その他の手を通じて十分な方法をとつて頂けるかどうかという點を、とくに片山首相にお願いして、政府の大きな力をこの際発揮して頂きたい。それは留守家族のみならず、日本の現在七千五百萬の同胞が毎日のように待つているところの問題であつて、この問題は何とかして一日も早く歸して頂きたいということを念願するものでありますので、この點につきまして片山首相に十分の御所信がございますれば、どうかこの機會に我々委員にお聽かせを願いたいと思うのであります。
#11
○國務大臣(片山哲君) この引揚問題につきましては、諸君が國民代表といたしまして非常に熱心に且つ又在留同胞に對する深い同情から運動を起されていることにつきましては深く感謝し、且つ敬意を表するものであります。この問題が非常に困難な問題であるということも諸君は十分に御了承されていることと思うのであります。先般院議を以て決議せられましたので、政府といたしましては院議を十分尊重いたしまして、できるだけのことを處置しなければならないと考えて、いろいろの方面に當つて只今千田君が御指摘のような問題について十分折衝これ努めた次第であります。ところが先程笹森國務相から御答辞あつたことと思いますが、なかなか要求通り参りませず、甚だ遺憾に思つているのであります。誠に一人きりで決められる問題であり、努力次第で達成される問題でありまするならば、あらん限りの努力を費やして問題解決に邁進するに決して吝かでないのでありまするが、相手のあることであつて、而も立場が御承知のような立場になつている今日は、全く目的通り達しられてないという遺憾な點を我々は非常に残念に思つているのであります。併しそれだからといつて氣の毒なる同胞をそのまま見捨ててこの冬を苦しい目に會わすということも忍びないことでありますから、全力を盡して諸君の御要求の點を掲げて更に念に念を入れまして當るつもりであります。外務省と復員廳と協力いたしまして政府が十分力を盡しまして、この問題について國民の要求に副うべく努力いたすことには決して手遅れしないつもりでありまするが、今申しましたような事情は十分含んでいただきまして、どうか國民的な温かい同情と燃えるような熱意を以て後押しをして頂きたいと思うのであります。そうして國全體の力を以てやらないことには、御承知のような状態で、政府だけの要求ではなかなか困難があります。又國會だけの問題といたしましてもなかなか困難があります。只今淺岡君が言われました通りばらばらではしようがないのでありまするから、どうかこの邊の事情を十分含んで頂いて、できるだけのことを盡すということに政府は十分協力し、力を盡したい。盡す決意があるということをこの機會にお答えしたいと思います。
#12
○委員長(矢野酉雄君) 委員長から政府當局にお尋ねして見たいと思いますが、この前の院議について、政府はあの院議を如何に生かすかということについて公式の閣議を開いて具體策を練つて頂きましたかどうか。これは勿論参議院の議長が過般マツクアーサー元帥にお會いいたしまして、一應の懇請感謝を申上げたわけでありますが、是非私たちとしては、總理大臣として政府を代表してマックアーサー元帥並びに對日理事會の議長代理等に對しても具體的に感謝と交渉をして頂いたかどうか。第三には、最も新らしき佐世保を中心にした情報によりますと、満洲中共地區においては一般邦人約十萬、軍人軍屬約二十萬、更に娘達が看護婦に徴用せられておる者が約二萬八千くらいあるという推定であります。その中共地區の同胞に對して、これを歸還せしめるためのなにかの手を政府としてはお打ち頂いているかどうか。主としてこの三點についてお答えを願いたいと思います。
#13
○國務大臣(片山哲君) 只今委員長から具體的な事實を擧げられまして、政府はこれについて處置を如何にしたか、こういう御質問であります。院議を尊重いたすことは言うまでもありません。特に本院においても亦衆議院におきましても同様の決議がありましたので、その決議を體しまして、政府は直ちに具體的交渉、處置を採つておるのであります。この詳細についてはここで申上げることは差控えたいと思いまするが、十分に手を盡して當つておるのであります。併し一々その細かいことをこれはこういうふうにいたしましたというような點については、餘りに問題が細部に互りまして、いろいろの支障を來すこと等もあると思いまするので差控えたいと存じまするが、御趣旨は十分に體してやつておるのであります。併し先程も申しましたような事情で、何分困難な仕事であり、要求通りその儘貫徹すべき事情にもなつておりませんことを甚だ遺憾に思う次第であります。どうかその邊はくれぐれもお願いする次第でありますが御了承願いまして、どうか政府が怠けておるわけでもない、又なすべきことをしていないというわけでもないこと困難である相手のあることであつて、甚だむずかしい問題であるが全力を盡してやつておるということを御了解賜わりたいと存じます。
#14
○委員長(矢野酉雄君) 御意見ありませんか。受入態勢等についてもなにか特に總理に對して御意見等がありましたら……。
#15
○千田正君 ちよつと受入態勢についてお願いしたいと思いますのは、大部歸つて來られる所の人達は相當榮養失調その他のことで衰弱しておる。直ちに家郷に歸つて仕事にも無論手に著かないような状態でありまするが、こういうような面における所の國立病院その他における所の受入態勢、並びに病院内における所の食糧、医療その他に萬全を期して頂きたいということをこの際要望するのであります。同時に歸つて参りまして、御承知の通り只今の所は職を得るにも職がない。第一に問題になるのは食糧問題に行詰つてしもう。こういう問題、衣食住の問題についてもなかなかせち辛い状態でありまするが、特にこの戰争犠牲者、而も遅れて苦しんで歸つて來るこういう人達に對して、政府か親心を持つて特段の御用意をして頂く方法がございませんか。特にこの點をお伺いしたいと思います。
#16
○國務大臣(笹森順造君) 只今引揚げて参りまする者に對する御同情の深いお言葉、感銘をいたしております。私共責任の衝にあります者として、このことは特に痛感いたしておる點であります。先般参議院の代表者が舞鶴港をお尋ねになりました所に、先んじて私自身も現地における状況を見て参つたわけであります。併し只今御指摘になりました點を特に考慮いたしまして、同時に或いは引揚地において、食糧が全國的な遅配缺配と同様な悪影響を受けてやしないかという懸念の下に、現状について實情を調査した結果、幸いにも當事者の用意周到な取扱い方によりまして、全く遅配のなかつたということを発見をいたしました。尚その當時全國的に十日内外の遅配のありましたときに、今後約二週間くらいの食糧の準備は責任を以て舞鶴においてはやれる確信があるということを申しておられるのであります。その後の様子も、恐らくは大體そういう順調なことで進んでおるのではなかろうかと現在においても想像しておりまするが、これはむしろ御視察下さつて歸つて來られた方々の方が新らしい實情を御存じではなかろうかとお察しいたします。尚又更に御要望の點でありまするが、榮養失調等に罹つて歸つてまいります者が、私の聴き及びますところでも、病気をして病院に入ります者の三分の一内外くらいある。これに對しまするところの特別の措置といたしまして、いろいろな體力を増強いたします注射薬等についても、病院といたしましてはできる限りの力を盡しており、又その面に對しまして、今後の用意もあるということを聽いたのであります。特に私はこの點を指摘いたしまして、今必要であるが國民の手に入らないものが相當ありはせんかということを聴きましたが、幸いにもこれはストック品を持つておる故に、要望にこたえ得るだけの葡萄糖の注射その他の医療のできる立場にある。こういうことを申しておつたのであります。いずれにいたしましても特殊な状況において歸つておいでなさいます方の健康の恢復増進のためにはこの上とも特別の必要な手を打とうという決心を持つております。若しも最近御覧下さいしたことで、具體的にこの點はこうであるということを御指摘を願えたならば、それに對して私共は尚善處したいと考えております。以上お答えを申上げます。
#17
○淺岡信夫君 只今笹森國務相からお話がありましたが、笹森國務相が御覧なられました當時と、私共が最近調査いたしました事情とちよつと情勢が變つて來たんぢやないかと思います。少し細かい點に移りますが、先ず食糧の面で申上げますと米でございます。米が殆ど今ないような状態で、麥と粉というようなことでこれからはやつて行かなければならんという状態になりつつあります。併し現在は若干の米はあるそうですけれども、もうこれは大體において毎月船が十杯歸ると二千人として二萬人ばかりの實情でありますが、その二萬人もやがて米がなくなるんじやないかというような状態でありまして、特に私共はその炊爨の事情からどういうものを食べさせるか、私自身も試食をいたしまして見て参りましたが、大體歸つて來る多くの人たちの聲を聴きますと、とにかく自分は三年半、米を食つたことがないとか或いはなんとかして日本に歸つたからには野菜、野菜はもう殆ど一年半食つたことがない。野菜を食べたい。或いは米を食べたい。もうその念願に驅られております。その際に米がないということは非常に残念なことだと思うのであります。これは特に復員廳總裁の方から農林大臣に或いは農林省當局に一つ特にこの點御配慮をお願いしたいと思います。そこで舞鶴港に引揚げられて参りますのは、現在の状態で参りますと月二萬です。函館が三萬、函館は私共まだ観察しておりませんが、米の状態はそういうふうでありますが、農林省に特にお願いして頂きたいと思います。それから野菜鮮魚であります。この野菜鮮魚というものは今の豫算では到底與えることはできないという實態で、今度は從來の豫算よりか三倍になるということを言われておりまして、非常に喜んではおりましたが、その三倍でも尚且つ足りないのだ。それではどうしてやつて行くのだと突込みますと、實はそこに五日間滞在することになつておるので、その豫算を、三日ぐらい滞在を願つて、そうして勿論早く郷里に歸りたいという念願で一杯なのだから、そういうふうに早く出發して頂く。そうするとそこに二日の餘裕ができる、その餘裕が出たものを全部新鮮な野菜を與えるというような状態でやつておるということを言われておりました。
 それから衣服の類でありますが、この衣服を渡しておるのも、私共實際に見ましたし、一つ一つ檢討いたしましたが、實は私共歸りにその二組を持つて歸りまして、そうして参議院の議員諸君、或いは衆議院の議員諸君に見て頂こうと思つて依頼しました。やがてそれは國會に送つて來ると思います。それを見て頂けば分りますが、とにかく引揚げて來る人の中には、靴を履いておる者もありますし、自分で下駄を作つておる人もありますし、跣足の人もあります。そういう人が日本に歸つて來て、ぼろぼろになつたやつを脱ぎ捨てて、そうして新しい衣服を身に著ける、或いは外被を身に著ける。ところが、その毛布が皆に行き渡らないのです。靴も三人に一つくらいの割合だそうです。せめて、今海外から歸つて來るのを假りに百萬としまして、百萬の衣料くらい、百萬の靴くらい、百萬の褌くらいは、この日本國中に決してないとは私は言えるものではないと思います。とにかく敗戰後丸二年間海外にあつて苦しんで歸つて來た日本において、衣服はない、靴はない、靴は貰うけれども今度は外套がない。毛布は貰うけれども或るものはないというようなことでは、これは實に私は情ないことだと思うのであります。それでこの衣服をどういうものを渡しておるかということは、この次の特別委員會に私は見本を示そうと思つておりましたが、せめて歸つて來る人達に一通りのものは渡るように一つお願いいたしたいと思うのであります。一通りと言いましても、毛布一、外套一、靴一、略帽一、それからテントなんかで造つたちようどリユツサックみたいなもの、それから揮、手拭、大體渡るものはこれくらいになつておりますが、これも渡つたり渡らなかつたりでは實際可哀そうです。ですからこの點だけは一つ特に片山總理に特別に御留意を願いたいと思います。
 それから石炭でございます。あそこに二萬人歸つて來る。その二萬人の人達の炊爨、それから消毒液の中に先ず身體を五分間浸ける。それから入浴をする。こうしたものに冬季は四百トン、夏季でも三百トンの石炭が毎月必要なのですが、ところが割當てておる石炭というものは僅かに四、五十トンです。あとはあそこの林次長以下皆が東奔西走して集めておるような實態でありますが、これも大したものじやないのですから、この程度の石炭ならば、どこを削つても、先ず舞鶴港、或いは函館、宇品、佐世保くらいには心配をさせずに一つやつて頂きたいということを私は特に念願いたします。
 それから映畫でございますが、歸つて來て日本の土を踏んで、新聞も日本の新聞は見たことがない。ソ聯にいる間は、向うで出ております「新生日本」とか、或いは「日本」とか、向うで印刷された新聞を見ております。その新聞につきましても、あそこで古いやつを五百部、新しいやつを五百部程入れておりますけれども、でき得れば東北或いは關西地方を人間天皇が行幸されたというような姿、或いは曲がりなりにもとにかく日本の動きつつあるニュース、そういうようなものを先ず映畫によつて見せるというようなことも非常に望ましいことじやないかと思うのであります。
 それからもう一つどうしても必要なことは、あすこへ歸つて來まして、自分の郷里、自分の親許に電報を打つのです。ところが歸つて來た人達は二百五十圓か三百圓の金しか貰わない。ですから、少し長い電報を打つとすぐ三十圓、四十圓、或いは五十圓、六十圓取られる。とにかく二年も三年も苦しんで歸つて來て、或いは六年も七年も苦しんで歸つて來て、二日後、三日後にはここを発つていつ頃歸るという電報を打つ、その電報賃に四十圓、五十圓取られたのでは、これは實際お氣の毒だと思うのです。せめて歸りの列車を鐵道省がとにかく歸る期間というものは只で乗せてやるように、勿論後で、それは政府が清算するのだそうでありますが、せめて歸つて來た人間は、一音信六十字とか、或いは八十字とか、百字とか決めて、その範囲においでは、親許なり、或いは細君なりの所に自由にお打ちなさいという温かい心持があつてもよいのじやないかと、私は非常に先ずこれを思つたのであります。
 大體もつと申上げることもありまするけれども、今千田君が政府に質問され、笹森國務相からお答え願つた點を私は折返して質問申上げたり、お願いしたい、或いは御了承願うような點を二三御報告申上げた次第でありますから、どうか私のお願いしました點につきまして政府の方でも一層の御勘考を願いたいと思います。
#18
○田村文吉君 先般参議院の自由討議のときに自分の所見大申上げたいのでありまするが、幸いに今日は總理が御出席になつておられまするから、この機會に重ねて所見を申上げまして、御意見を伺いたいと思うのであります。
 御承知の通りに、政府でお調べになりました日本の今の住宅の不足數は、四百萬戸なのであります。私共は、その中いくらか戰時中に補完すべかりしものができなかつたという戸数を差引きまして、それはいろいろ空家等を融通し合うという意味で、互いに融通し合う、そういうことを計算しましても、絶對に家が不足しておるのが二百六十萬戸あるのであります。その二百六十萬戸に對して、今年豫算は、庶民住宅として十六萬戸だけの御勘定になつておる。こんな勘定でありますと、七十年も八十年も掛らないと……それどころではない。一年に二十萬戸づつ家が消耗いたしますと、永久追い付きつこないような計算になつておるのであります。而もその十六萬戸という家でございますと、家を建ててやらうというのではなくてそれ以上建ててはならないという制限の戸數なのであります。今も引揚者の方々が取敢えず引揚げて來られて、又戦災者の方々が取敢えずどこかへ借家しておられます。今日十年も十五年も長い間苦労して國へ歸つたが、さて足を伸ばす家もないとうようなことにいつまでもして置くということは、今後の社會不安を生ずる上から見ましても、非常に必配すべきことである。幸に食糧不安というものについては、曲がりなりにも或る程度方針が立つたということでありますが、この家の問題を在來ネグレクトされておるという點は、非常に遺憾に考えておるのであります。これについて私は申上げるのでありますが、あらゆる政策に先立つて、まず國民でどうにか住まいのできるようにし、どうにか食べられるようにしてやつて、そうしてあらゆる政策というものを行なつて行くという、第一に先行すべき性質のものである。こういうふうに考えておるのでありまして、これに對して總理も御心付きになつておいでになるとは考えるのでありますが、ややもしますると、資材がない、何がないという話が出るのであります。併し私は二百六十萬戸も、今年を含めて五ヶ年間に建てるという案からいたしますと、一ヶ年に五十二萬戸建てるのでありますが、この五十二萬戸に對して木材が二千五百萬石要るわけで、日本の全生産高の三分の一に當るわけであります。でありまするが、日本の曾つて歴史上経験したことのないような、かような災害に遭つたのでありますから、若干の過伐が出ても止むを得ない。とにかく平和の時代にさえ住宅のために二千萬石ぐらい使つておつたのでありますからこの際二千五百萬石ぐらいの木材をお出し願いまして、そうして一年に五十二萬戸建てるような方策を早急に御決定になることが、民心安定の上からも、今後の日本の建設という上からいつても大事なことをネグレクトされておるように考えておるのであります。何かお考えがこれについてございましたら伺いたいと思います。
#19
○國務大臣(片山哲君) この住宅問題も引続き大きな問題と考えております。殊に戰争犠牲者である家屋を失われた諸君に對しましては、非常に同情し、何とか政府の方でもいたしたいと考えておるのでありまするが、組閣早々危機突破の問題、食糧問題からインフレ問題、生産増強問題等の大きな問題が矢繼ぎ早やに参りまして、その問題に考えを集中いたしまして、いわゆる経済緊急對策というものをどうしても立てて、その實行に當らなくてはならない。こういうことを考えたものでありまするから、自然住宅問題に對しましても具體的な處置を取る段階には行かなかつたのは甚だ遺憾でありまするが、決してこれを軽く考えたり、或いは又これを第二、第三の問題として横に置いておるというわけではないのであります。殊に大都會におきましては、市區改正と申しまするか、新らしい住宅計畫、道路計畫等を立つて、今後における火災、或いは交通、或いは市民諸君の衛生問題、いろいろな問題を考えまして、新らしき都市計畫を立てて行かなければならない。火災の問題に對しましても、一つの火事で全市灰燼に歸するというような不幸を今日より防いで置かなければならない。こういうようなことを考えまして、戰災復興院においていろいろと新らしき都市計畫、住宅計畫、衛生計畫、いろいろの都市の設備を十分に立てて行くことを組閣後直ちに檢討いたしまして、目下その問題について檢討中であります。それと相並びまして、焦眉の急である問題をも睨み合せて考えて行きたいと、かように考えておるのであります。焼跡へ直ちにバラックを建てて、それが十年或いは五年、長い間そこに所有権があるとか、住居權があるとかいうようなことで、徒らに紛争を重ねておるということでは、又都市政策の上から申しましても、いろいろの障碍を來すことも考えまして、この住宅問題に對しまして、今後どういうふうな處置を取るべきか、いろいろ檢討いたしておるのであります。例えば工場地區におきましては、職工住宅街を會社と協力して建てるとか、或いは商店街の形式を如何にするか、或いは又一般市民諸君の住宅を如何にこれから建てて行くか、將來の文化日本としても大いに考えて行くべき問題が澤山あると思うのであります。炊事關係から日常生活態様につきましても、大いに改善を施して、文化政策の面と睨み合せて行かなければならないと思うのであります。單に住めばいい。單に雨露を凌ぐバラツクを建てればいい。こういうだけでは味わいが少なかろうと思つておるのであります。いろいろこういうことで思案の結果遅れるということは、甚だ宜しくないのでありまして、いずれにしても、今焦眉の急である戰災者に住宅を與えなければならないという問題につきましては、いろいろな問題と關連いたしまするから、例えば大邸宅の開放問題とか、寺院とか、大建築物の提供とか、いろいろの問題が出て参りまするが、これらもそう突飛なこともできませず、順序ある方法によつて戰災者に便宜を與えることも考えて行かなければならないというわけで、復興院に、それらの問題を調査し、且つ緊急の處置に感ずる方策を立てることを檢討せしめておるような次第であります。何分にも今田村君から御指摘のように、重要な問題であるだけ、それだけ財政問題とからんで参ります。單に机上の空論で計畫だけ立てておりましても、それは何にもなりませんから、實際問題といたしましては、財政と關連を付けまして、財政の許す範囲内においてやつて行かなくちやならない、こういうことにもなります。誠に今日の豫算は引締めた豫算で、殊に健全財政の建前から赤字財政を取らない、こういう建前でありまするので、非常に窮屈になつております。諸般の情勢、甚だ苦しいのでありまするが、できるだけこの問題に對しては、將來を考え日本の國民生活の向上を考えて、その問題について對處して行こう、こういう施策の下に檢討いたしておりまするから、いろいろよき御考案等ありましたならば、お示し願いたいと思います。
#20
○田村文吉君 丁度いい機會にいいお話を承わつたのでありますが、今私共の一番悩んでおりまする問題が、丁度今總理が言われた點にあるのであります。それは今の復興院で考えられる方方は、多く技師の方が考えられる。如何にして今後、文化的に立派な、又焼けないような家を作ろうというようなことについて、敬意はお拂いするのでありますが、焦眉の差迫つた問題には少しも役に立たない。これは復興院の方々にそう申しては甚だ悪いのでありますが、技術官の方々が多くおいでになりまして、どうしたら芝生を付けて、どういう文化的の家を作つてやろう、こういうようなお考えになるのでありますが、左様なことは到底今日の日本としては、この五年、十年というものではできがたいのであります。今後それはゆるゆると國力の回復に伴つてやつて行く、これはいいが、差當り寺院だとか邸宅ということもお話がありまして、無論できるだけのことは皆やつているわけであります。やつているわけでありますが、引揚者にいたしましても、家族、子供を連れて皆やつて來た、病人もいる。よその家へ病人を抱えて厄介になるということはできない。こういうような悲惨な人達が實に多いのでありまするから、そんなことを言つている時代ではない。とにかくバラックでも何でもいいから、一日も早く家を建ててやる。これが焦眉の問題だ。私はこういうふうに考えておりますので、ややもすると復興院の方の御意見とすると、焼けないように、できれば成るべくコンクリートで作りたい。或いは集團住宅にして焼けないような地區を作りたいという理想論が出るのでありますが、今はそんなことを言つている時代ではないということを、總理は十分に御認識を頂いて、民情に副うような施策をこの際早急にお立て頂きたい。こういうことを重ねて申上げて御了解頂きたいと思います。
#21
○穗積眞六郎君 總理大臣に聽いて頂きたいと思います。
#22
○委員長(矢野酉雄君) 短かいのですか。
#23
○穗積眞六郎君 はあ。ちよつと速記を止めて頂きます。
#24
○委員長(矢野酉雄君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#25
○委員長(矢野酉雄君) 速記を始めて……。結局行政の府と立法の府がその権限を混することのなきようという、純立法的の立場からの参議院の態度であつたと思います。併し引揚促進というものは、實にこの冬を越させれば、四割くらいは死亡されるであろうというような重大な問題を解決する場合には、是非政府と特別委員會が協力して、何らかの具體策というものを立てるようなふうに、一つこの特別委員會を運んで行つたらどうかと思うのであります。政府だけの孤立的な一つの運動と、この特別委員會だけの一つの運動というふうに力をニ分する場合も必要でありますけれども、引揚促進の具體策というような問題についてはこの中から正式の小委員會というものを作らなくても、数名の委員の方が出て頂いて、そうして親しく總理や厚生大臣、外務大臣、復員廳總裁等々と懇談して、そうしてどういう手を打つべきか、今はどういう手がよかろうかというようなふうな一つの考えをここに燒らしてみたら如何でしようか。
#26
○淺岡信夫君 私は今委員長のその意見に對しては、雙手を擧げて賛成する者であります。でき得れば、それはその前に先ず國會自體が一本になるべきではないかと思うのであります。政府一本でやるべきことですら、先達つての十五日の衆議院、参議院の決議に對しましても、なかなか一本にでき得ないような情勢であります。でありますから、今の委員長のお話のような點につきましては、どうしても私は衆議院と参議院とこの特別委員會がありますから、一遍合同委員會を開いて、そうしてこの國會の方向を一本に決めて、然る後に政府と國會と話をして行く。こういうふうな行き方を一つ至急に探つて頂きたいと私は念願するのであります。
#27
○委員長(矢野酉雄君) 幸いに衆議院の特別委員長の天野先生が傍聴して頂いておりますから、委員長からお願いしますが、今淺岡君の御意見についての衆議院の特別委員長としての御意見をこの機會に承われましたら非常に幸甚だと思いますが……速記を止めて下さい。
  (速記中止〕
#28
○委員長(矢野酉雄君) それでは速記をお始め下さい。
#29
○星野芳樹君 本日大臣にお聞きしようと思つて参つたのですが、大臣がお見えになりませんで甚だ遺憾の意を表するものでありますが、局長がお見えですから局長から大臣に代つて御説明できないでしようか。
#30
○委員長(矢野酉雄君) 大野局長から引揚問題の實情について、前に非常に朗報をこの委員會で正式に御報告を受取つた譯でありますが、その間いろいろな問題が小耳に入る譯ですが、外務省としての公けの立場から一つお分りの行く點を十二分に御発表願いたいと思います。
#31
○島清君 その前に今あなたからお話になりましたあれは話のし放しでよろしいのですか。何か結論を得たいと思いますが。
#32
○委員長(矢野酉雄君) 最前私の提案しましたこの委員會でどういうふうにするか結論を見出してから大野局長に意向を聞く方が通常と思いますが、今島委員からの御意見、そのように運びたいと思いますが、外に御意見ありませんか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#33
○山田節男君 只今の委員長の御提案でありますが、これはこの引揚復員者の問題の特別委員會というのは、今日なかなか容易に引揚復員の見透しが分らない。そういつたような客觀情勢の見透しと、それから今日我々が受けております請願、陳情、これ等の處理も、これも今日ありますものだけで終るものではない。続々と復員問題或いは引揚者問題があります限り、これは繼續するものと思います。從いまして、本特別委員會は單なる法案の審査、特別に審査するための特別委員會というような極く簡單な特別委員會じやない。即ち今日復員廳、こういうものが存在する必要がある間は、この衆参両院におきまする引揚者、復員に關する特別委員會はこれは當然あるべきものじやないか。そういう意味におきまして、私は単なる本當に臨時の特別委員會とは少し腰の据え方を變えまして、而も我々衆参両院におきまする我々常任委員というものの任務は、これは非常に大きなものである。而もこの請願、陳情書に現われました方のいろいろ趣旨等を掴んで見ますと、これ又總理大臣始め政府全般に亙る問題が多多ございます。そういう意味におきまして、先程委員長の御提言、これもとより全幅的に賛成でありますが、その又一歩前に、我々が一つの特別委員會がそういう一つの肚で、今後勿論これは衆議院との了解を得まして、そういう肚を据えて徹底的にやる。こういうようなことも一應御議論願つた方がいいのぢやないかと、こういうふうに思います。
   〔「賛成」と呼ぶものあり〕
#34
○委員長(矢野酉雄君) 山田委員の御意見いかがですか。
   〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
#35
○委員長(矢野酉雄君) 最前委員長が提案いたしました立法府と行政府が協力して、この促進の具體的方策、引揚げ體制のもつと強化を圖るというように、これは皆さんに御相談をいたしまして、そういう手を打ちたいと思います。或る場合には委員會を招集しないで、急を要する場合にはまず理事諸君にお諮りして、そうして緊急適切なる、今申上げました處置をするように皆さん御了承せられましようか。
  (「異議なし」と呼ぶものあり〕
#36
○島清君 その前に承つて置きたいのは、それはなんでございましようかね。別に機構的な問題ではないでしようね。
#37
○委員長(矢野酉雄君) はい。例えば今丁度國際赤十字社の何か會合があり、この際總理として引揚促進について赤十字社に一つ懇請してくれんか。僕らも一緒に行こうというように、いろいろな問題が起るであろうと思います。そういう意味で……或いはマツカーサー司令部に、マッカーサー元帥に、立法府と行政府が共々になつてお願いに行くというような、そういうような問題……。それから只今山田委員からの御意見は、非常に適切な御意見として、皆さんの御賛意を得たのですから、そういうふうなことになる。その山田委員の御意見を法制化するというふうな問題です。これは御研究置きを願いたいと思います。私の方で又調べる必要があるものは調べて置きますが、最前中途で切つて置きました外務省の大野局長の御意見を発表して頂くことにいたします。
#38
○政府委員(大野勝己君) 速記をお止め願いたいと思います。
#39
○委員長(矢野酉雄君) 速記をお止め下さい。
   〔速記中止)
#40
○委員長(矢野酉雄君) 速記を始めて……。外務省の政府委員の方にお願い申上げますが、本日大臣がお見えにならなかつたのは甚だ遺憾であります。その遺憾の内容の主なるものは、この前に非常に我々が期待しておるような大體の御報告を受けたのに、どことはなしに、外務省側の方から出たかのように思われる情報によると引揚促進が實に低迷化して來た。こういう問題はいろいろな訛傳を生む元でもあるし、且つ又命がけで首を長くして待つておる五百萬近い直接の關係の家族等の心理状態を考えますというと、いろいろな揣摩臆測が又そこに行なわれて、心配は心痛を生んで行くことになりますから、悪くなるような一つの事態が発生したならば、一日も早く公の委員會に外務大臣として御發表願つて、そうして最前申上げたように、行政府と立法府が協力態勢を作つて、その困難を打開して行くというようなふうにして貰いたいということを、委員長として要望したという旨を、正確に大臣にお傳え願いたいと思います。
 何か外務當局或いは復員廳關係にお話がありますか。
#41
○千田正君 私は先程片山總理大臣にお願いしておつたのですが特に外務省關係にお願いして置きたい點が三點ございます。先程申上げた通り、この只今の引揚状態においては、本年中などということは恐らく實現不可能である。シベリヤ方面に残つた同胞に對しての今後の手配方を十分にお願いしたい。その第一としましては、收容所におけるところの待遇の政善を何とかして達成して貰いたいということ。
 第二としましては、内地家族との通信の即刻できるような方法を執つて頂きたい。第三としましては、残留人員の名を明かにして頂きたい。この三つの點。十分に引揚げが行なわれずしてこの冬を越さなければならない状態であるとしますれば、この三つの點につきまして、十分なる御手配方をお願いしたい。こう思うのであります。この點を一つどうぞ……。
#42
○委員長(矢野酉雄君) 大野さん何か御意見ありますか。
#43
○政府委員(大野勝己君) 只今の御要望、一々誠に御尤もなことでございまして、私共も國會の、参議院の議員各位におかれまして、そういう點につきまして御熱心にお考え下さることに對しましては、感激に堪えないところでございます。残留者の收容所における待遇の改善とか、通信の問題等に關しましては、關係筋を通じまして、これ亦再々交渉もし、お願いもしておるところでありますが、それのみならず萬國赤十字社とか、或いはローマ法王廳等の厚意に上りまして、そつちの方の面からもいろいろ從來措置をして來ておりまするが、只今の御発言の趣旨はこれは大いに尊重いたしまして、更にそういう措置を強化いたしまして、御期待に副うように極力努力いたしたいと存じます。
 それから残留しておられる方々の人員の氏名を知らせることでございますが、この點に關しましては、從來あらゆる努力を拂つて参りましたが、どうしても今までのところこれが達成されておりません。併しながらこれを放棄することなく、今後も益々一生懸命にその點につきまして措置をとりたいと存じております。
#44
○委員長(矢野酉雄君) 本日は極く有力な生ま生ましい事實を中心として建設的な御意見を承わるし、更に本委員會運営についての有力なる御意見も出まして、大變委員長としては感謝に堪えないのでありまするが、これ位で一應委員會を閉じまして、そうして暫らく御懇談申上げたいことがありますが、如何でしようか。
   〔賛成」と呼ぶ者あり)
#45
○委員長(矢野酉雄君) それでは本日はこれを以て委員會を閉じます。
   午後二時五十一分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     矢野 酉雄君
   理事
           島   清君
           淺岡 信夫君
           木内キヤウ君
           星野 芳樹君
   委員
           天田 勝正君
           山田 節男君
           加藤常太郎君
           草葉 隆圓君
           伊東 隆治君
           高橋  啓君
           井上なつゑ君
           宇都宮 登君
           楠見 義男君
           田村 文吉君
           藤野 繁雄君
           穗積眞六郎君
           中西  功君
           千田  正君
  國務大臣
   内閣總理大臣  片山  哲君
   國 務 大 臣 笹森 順造君
  政府委員
   外務事務官
   (管理局長)  大野 勝己君
   復員事務官
   (第一復員局總
   務部長)    荒尾 興功君
   復員事務官
   (官房長)   森田 俊助君
   引揚援護院次長 大野 連治君
ソース: 国立国会図書館
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