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1949/02/27 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第6号
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1949/02/27 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第6号

#1
第007回国会 予算委員会 第6号
昭和二十五年二月二十七日(月曜日)
   午前十一時六分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
二月十六日議長において岩間正男君を
委員に指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○本委員会の運営に関する件
○理事の互選
○昭和二十五年度一般会計予算(内閣
 送付)
○昭和二十五年度特別会計予算(内閣
 送付)
○昭和二十五年度政府関係機関予算
 (内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○理事(田村文吉君) これより予算委員会を開会いたします。
 本日は委員長が病気のため欠席せられておられますので、私代理させて頂きます。
 議事を始めます前に皆さんに御相談がありますが、今後の審議の進め方につきまして、先般理事会で御相談があつたのでありますが、まだ衆議院の方では審議が結了いたしておりません。殊に尚これから三日間ばかりは酒税関係の問題で、大蔵大臣が主として衆議院の方に出席されるような状況下にありますので、さりとてこのまま審議を見送つておりますのもどうかと考えるので、お差支のない大臣方から逐次御出席を願つて議事を進めることに理事会で相談一決いたしましたが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○理事(田村文吉君) 尚審議の進行の都合もございますので、一部の方々からは質問のお申出がございましたが、まだ質問のお申出がないお方にも会派によつてあるようでありますから、成るべき至急、でき得れば本日中、或いは明日中ぐらいに、質問の当核大臣並びに要頃を御提出願えれば大変好都合かと考えております。
 本日は経済安定本部長官が見えることに相成つておりますので、それに対する質疑を始めたいと存じます。今やがて見えられますので、そのまま暫くお待ち願いたいと思います……。
 尚理事の二名が補欠になつておられますのでありまするが、そのうち一名岩間委員が理事に就任されることに相成りましたのですが、御承認頂きたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○理事(田村文吉君) 只今経本長官が見えられましたから、これから質疑をいたしたいと思います。
#5
○赤木正雄君 私は先ず治水問題についてお尋ねいたしたいと思います。治水事業は建設省で取扱つていますが、併しこれを査定されるのは安定本部でありますから、安定本部はどういう方針で今後治水事業を処理されるか、大臣の御所見を先ずお伺いしたいと思います。
#6
○国務大臣(青木孝義君) 赤木さんにお答え申上げます。御承知の通り治水事業はこの二十五年度におきましては、特に治山、治水という点で公共事業費の中でも重要視いたしております。そういう関係で災害対策費等とも睨み合せまして、治水事業費としてはできるだけ多く見積るというような考えで進んでおる次第であります。
#7
○赤木正雄君 單に五ヶ年計画のみならず、今後治水事業費としてどれ程の金が必要なんでありますか、河川事業費としてどれ程、或いは砂防事業費としてどれ程、又農林関係の治水事業費としてどれ程、これは五ヶ年の計画を承つたところが何ら意味がない。我が国の将来どれ程の金が必要なのであるか、それを承わりたい。
#8
○国務大臣(青木孝義君) 経済安定本部といたしましては、二十五年度におきまする治山、治水事業費は百七十五億円を予定いたしまして、河川に百十七億、それから砂防に十八億、山林に四十億というような予定をいたしておる次第でございます。
#9
○赤木正雄君 私の質問は全然大臣の御答弁とは違います。今後我が国の治水のためにどれ程要るか、決して二十五年度の問題を聽いておるのではありません。将来のことを聽いておるのであります。その点の……。
#10
○国務大臣(青木孝義君) お答え申上げます。今安定本部といたしましても、その数字については検討、計算中でございますが、はつきりして数字を申上げるわけには参りません。併しこれは十分裕りのある数字を見積りまして、治山、治水、殊に河川だとか、砂防だとかいう問題の解決に当りたいと存じております。
#11
○赤木正雄君 長官は詳しい数字はない、それは成る程こうお話していましても、或いはこのうちに水害が起るかも知れません。でありますから、詳しい数字はお分りにならないとしても、大体の数字が分らないで二十五年度の治水の予算が立とう筈がない、單に二十五年度の予算というものは二十五年度だけのものではありません。将来の治水をどうするか、そのお考えがなくて治水の計画は立つ筈がないと思います。今お話の通りに、将来のことは分らんという漠たるお話は甚だ私は要領を得ないのです。今後治水にどれ程費用が要るか、單に二ヶ年、三ヶ年、五ヶ年、そうじやありません。将来どれ程の治水事業費が要るか、その点を伺いたい。それを考えないで決して二十五年度の予算はできる筈がないと思います。
#12
○国務大臣(青木孝義君) 最初この予想の数字を五ヶ年間ということでいたしました当時は、千五百億ぐらいということでございましたけれども、併しながらまだそれはおつしやる通りの問題でございますから、確定的には申上げられませんので、そういう予想された数字は一応強行しておる次第であります。
#13
○赤木正雄君 千五百億とおつしやいますと、それは五ケ年間の計画でありますか、或いは将来の日本の治水に対して千五百億でいいのでありますか、單に五年間と申しましても、先程申した通りに、或いは二十五年度にもつと沢山予算が計上されたならば、三ヶ年ぐらいで済むかも知れませんし、二十五年度に少なかつたら或いは七ヶ年、八ヶ年になりますから、これは單に五ヶ年、そういうふうなことでは治水はできる筈はありません。やはり全体の計画ということをお考えにならないで、日本の治水はできないと思いますが、これに対するお考えは如何でございますか。
#14
○国務大臣(青木孝義君) おつしやる通り、これも予想でございますから、できるだけ日本の治水、治山ということについては、早くその理想的な解決をして行きたいというようなことは常に考えて仕事をしておるのでありますが、併し十年、二十年、或いは百年先というようなことを考えるというようなことは、予想としては考えられないことではございますまいけれども、少くとも予算として大体考えて行く、例えば五ヶ年計画というような場合におきましては、多少今申上げたような千五百億なんというのは曖昧な数字になるかも知れませんが、併しながら考え方としては、五ヶ年とか三ヶ年とかいうようなことで考えて行くことが順序ではなかろうかと考えておる次第でございます。
#15
○赤木正雄君 以前に内務省で予算を組んだ場合、直轄工事のごときは、仮に淀川なら淀川に対して将来どれ程の金が要るか、それを計上しまして、それを年々に振り分けたのであります。でありますから甚だしいのは十年、十二三年かかかつて予算にちやんと計上されております。併しそれも今言う通り全体として淀川改修にはどれ程の金が要るか、それをやはり一年に出す支出に鑑みまして継続年限に計上した。最近はそういうふうな予算の計画はない、直轄工事にいたしましても、河川事業のごとき、或いは砂防事業のごとき、これは二年や三年で済む筈はありません。それを單に一ヶ年一ヶ年の予算を計上されておる、これでは又来年になつたら引続きする、こういうお考えか知りませんが、その都度につまらん費用が要る、来年も予算を取るために地方から沢山建設省或いは安本にお百度を踏む、馬鹿々々しい話である。例えば利根川にしても、信濃川にしても、治水にどれ程要るかということを大体お考えになりまして、それを各年度に継続的にお考えなさるのが至当と思いますが、今回はいろいろな情勢でそうはならないかも知れませんが、これに対する今後のお考えは如何でしよう。
#16
○国務大臣(青木孝義君) 赤木さんの御説のように、これまではなかなか継続というようなことはできなかつたのでありますが、段々経済も安定の方向にあるというような意味におきまして、そういう継続的に何年度にどう、何年度まで継続事業でこういうふうにやるというような、具体的な策を立てたいというので、折角私共の安定本部におきましてもそういうふうな方針で努力をし、研究をいたしておる次第でございます。
#17
○赤木正雄君 治水の中でも河川改修もあります、或いは砂防も、或いは植林もありますが、この千七百億の予算の中でどれだけ河川改修、どれだけ砂防、どれだけ治山、治水、こういう点については如何でしようか。
#18
○国務大臣(青木孝義君) 先程申上げましたようにもう一遍申上げますると、治山、治水の事業として百七十五億円見積りまして、河川に百十七億円、砂防に十八億円、山林に四十億円というのがこの二十五年度の公共事業費の大まかな数字でございます。
#19
○赤木正雄君 そのことはもう質問する必要もないのであります。よく分つています。つまりこの予算ができるまでに、五ヶ年の継続事業としてどれだけのお考えをお持ちになつておるか。こういうことであります。
#20
○国務大臣(青木孝義君) それでは私のお伺い違いでございましたが、五ケ年のはまだ数字がはつきり決つておりませんので、そういう数字が決り次第又申上げたいと存じます。
#21
○赤木正雄君 では五ヶ年の計画もお持ちにならないで、二十五年度の予算を計上なすつたのですか。
#22
○国務大臣(青木孝義君) その点はまだ五ヶ年につきましての正確な見通しがつきませんので、止むを得ません処置といたしまして、只今申上げたような数字で実行をいたして参る所存でございます。
#23
○赤木正雄君 日本将来の治水、これは先程おつしやつた通りに詳しいことはお分りにならんか知れませんが、せめて五ヶ年ぐらいの予算は、河川はなんぼ、砂防はなんぼ、或いは農林関係の治水はなんぼ、こういうお考えをお持ちにならないで、二十五年度だけの予算をお組みになるその心理が私は治水の関点から分らない。これに対するお考え如何でしようか。
#24
○国務大臣(青木孝義君) これは先程から申上げておりまするように、五ヶ年というものはまだはつきりできておりませんので止むを得ませんが、財政の許す限りできるだけその措置を早く講じて行きたいという考え方で、それぞれ予算を組んでおる次第でございます。
#25
○赤木正雄君 詳しいことをお尋ねしても要望の答弁が得られませんので、ではお伺いいたしますが、砂防事業費が最初閣議で三十億を計上されたということは新聞紙上ではつきり分つています。それがドツジ博士のあの査定の結果、砂防事業費が特に十八億になつてしまいました。外の事業費も減じてはいますが、特に砂防事業費のようにその率において砂防事業程減額されたものはありません。これに対する長官の考え、何故砂防費のみこういうふうに減したか。そういうお考えを伺いたい。
#26
○国務大臣(青木孝義君) 閣議におきましてはそういう三十億という程度の話合をいたしましたけれども、併しいろいろと検討いたして参りました結果、他の予算との振合上止むを得ない事情といたしまして十八億と大体決つた次第でございます。
#27
○赤木正雄君 私の先程からの質問は、つまり治水に対して長官はどういうお考をお持ちになつておるか、それを伺いたい。いろいろ今の振合の関係上十八億になつたとおつしやいますが、何故砂防事業費が特に減額になつたか、その訳です。他の治水費も減つておりますが、特に砂防費のみが非常に減つておる。このお考えを承わりい。
#28
○国務大臣(青木孝義君) これは御承知の通り今年度の公共事業費のうち、それぞれ検討をいたして参りました結果、只今お答え申上げましたように、我々の予想と違いまして大分減つた次第でございますが、やはり重ねて申上げますけれども、全般的の関係から止むを得ない処置と考えておる次第でございますが、尚詳細につきましては政府委員からお答え申上げます。
#29
○赤木正雄君 私は実は建設委員会で政府委員の話を聞いたのです。ところがそのとき政府委員曰く、相当の予算を計上していたが、これが十八億になつたのはまだ閣議の席上において砂防事業をそれ程重視していないのだ。そういうふうな意味のお話があつた。併し先程からいわれておる通りに、又本会議において度々いわれておる通りに、又本会議で多くの議員が要望する通りに数年来の水害に鑑みまして、その原因がどこにあるか、これは水源の治水を今まで余り重要視しなかつた。であるからしてどうしてもこれを重要視しなければいけない。又政府も度々これを重要視するといつておられる。それにも拘わらず特にこの砂防費のみを著しく減額された。これは日頃言つておられることと実際の面とが非常に違いますからして、率直に長官の御意見を承りたい。これは将来の予算にも非常に影響すると思います。言い換えれば日本の治水をどういうふうに持つて行くか、そこに重大な関係がありますから、その御意見をお伺いしたい。
#30
○国務大臣(青木孝義君) これは昨年度の振合をお考え頂きますれば、昨年六億九千万円ぐらいであつたものを、今年は約三倍ぐらいになつておるというような関係もございまして、砂防関係について決して冷淡だという次第ではございませんで、全体の振合から見てさようになつておる次第でございますが、尚御承知の通り災害対策費の全額負担というような関係もありまして、止むを得ずかような状態になつた次第でございます。
#31
○赤木正雄君 今までの振合、こういうことをおつしやるならば私も言いたい。一体昭和十四、十五年当時の砂防事業費と河川事業費の割合は、砂防の一に対して河川は二、これくらいの振合であつた。ところが戰争になりまして砂防事業は必要だが、これに必要な資材即ちセメントがない。だから幾ら金を増しても仕事ができないじやないか、資材が出るまでは止むを得んということを安定本部は度々言われた。それで段々とその砂防と外の治水の事業費の率が変りまして、昨年、一昨年のごときは砂防と河川の割合は、砂防の一に対して河川六、こういうふうになつておる。私は併しそれはこう申しましても河川費を粗末にせよという意味ではありません。根本の治水というものを長官はよく御承知になつておるか、本当の治水という意味でなしに、こう思いますが故に、でありますから、先程長官が昨年より殖えたとおつしやつたが、これは当らない、戰争中に何故資材がああいうふうにないから予算は減らしたか、これを考えれば来年度の予算が、よし本年の予算よりも二倍半に増したところが何等これは答弁にならない。これに対する長官のお考えはどうですか。
#32
○国務大臣(青木孝義君) 二十五年度におきましては御承知のような数字に相成りましたけれども、五ヶ年計画が確立されますれば、砂防等につきましては十分その目的の達せられますように、我々も今後の対策として大きく考えている次第でございますので、我々も十分その点を注意して五ヶ年計画を立てたいと思つております。
#33
○赤木正雄君 折角長官が今の御答弁でいわゆる公正な治水と申しますか、或いは治水の原理に応じた治水事業を行うというふうな御意味らしいので私はこの問題については追究しません。どうか今長官の言われた通りに、二十五年度の予算を追究すればいくらでも追究したい、治水問題についてこの十八億とか一般の河川そういう予算については申上げません、今のお話をどうか二十六年度以後の予算については公正なる治水ができるように特にお考え願いたい。
 次にお伺いしたいのは災害復旧の問題であります。こんな災害復旧、その方法でありますが、御承知の通りに災害復旧は建設省の復旧工事は原形復旧によるのが自然であります。でありますからして災害復旧と申しましても、工作物のなかつたものに対しては災害を見込まないのが本質のように思いますが、これに対する長官のお考えは如何ですか。
#34
○政府委員(今泉兼寛君) 二十五年度の災害復旧につきましては、いろいろなまだ本決定の要素がございますので、はつきり決つたとまでは申上げ兼ねると思いますが、大体の方向といたしましては全額負担は河川、港湾、道路こういつたものに限定いたしまして、それ以外のものにつきましては従来の補助関係をそのまま据置く、それからその他の小さな災害につきまして大体現在のところでは一件の災害個所が十五万、それ未満のものは国においては負担しないと、こういう原則で進んでおります。それからその内容に立入りまして工作物の問題でございまするが、今の十五万という点で限定いたしまして、それ以外のものは落ちまするが、従来補助しておつた関係の工作物は、別に今回この補助の対象から落すというようなことはいたしませんで、従来工作物として災害関係で認められたものはそのまま継続するという、こういう考え方であります。従つて災害全額負担になつたから従来認められていたものが落されるか、或いは新規に工作物を入れるということは考えておりません。
#35
○小林勝馬君 議事進行について、本会議は開会されたようですから、尚又定足数も非常に少いようですから一応これで打切つて頂きたい。
#36
○理事(田村文吉君) 今小林君から動議がありましたが、いかがですかもう少し問題が、簡單な問題が御答弁ができるまでおつて頂いたらどうですか。
#37
○伊達源一郎君 質問を続けてよろしうございますか。
#38
○赤木正雄君 私の質問要旨はそういうことではないのであります。各省が災害復旧に当つておりますが、これを取纒めておるのは安定本部であります。それで同じような仕事に対して、いろいろ査定方針は違つておる、或る省にはこれを災害復旧の対象にしたい、ところが対象はこれを災害復旧として従来認められておる、又同じ省内におきましても災害復旧の対象にしない、これは安定本部に持つて行つても、安定本部の方でも認めないから災害復旧の対象にならない、こういうように各省におきましても、一省においてもこのように支離滅裂といいますか、統一がないのであります。これに対する安定本部のお考えを承わりたい。
#39
○政府委員(今泉兼寛君) 従来そう言つた御批評もありましたので、特にこの来年度二十五年度からは災害査定につきましては、今言つたような大まかな方針から、十五万円という基準を設けまする外に、特にこれは建設省、或いは農林省関係が災害復旧については大きな役割を持つておりますので、同一の対象に向つて両方が重複したり、或いは全然両方が取り上げなかつたものの内容に、特に重要河川等を中心にいたしまして、どういつた上流から下流まで復旧工事をやるかということを、重要河川といつても可なり広い範囲内に、一本々々川等に当りまして、そういつた重複とか或いは全然取り上げないというようなことのないような計画を特に農林省、それから建設省、場合によつては通産省当りへも打合せに出て頂きまして立派な計画を作つて、査定の計画等につきましても安本がもつと立入つて調整を加えて参りたいこう考えております。
#40
○赤木正雄君 災害が起りまして、この災害復旧するに当つては、どうしてもそこに土砂が出ないように、先づ以て堰堤を作らない以上は、何ら効果がない、こういうふうな仕事に対して安定本部としては災害の対象として取扱われるかどうですか。
#41
○政府委員(今泉兼寛君) なかなかむずかしい問題でございまするけれども、災害とそれから治山治水関係では私はもう表裏一体をなしておると、これはもう赤木さんもよく御存じの通りでありまするので、実際の認証に当りましては一応治山治水関係と、それから災害復旧関係では予算的には分離はいたしておりまするけれども、実際の施行関係については、或いはそういつた必要も起きて来るのではなかろうか、その際は認証関係の場合に特に考慮したいこう考えております。
#42
○赤木正雄君 尚具体的に申しますと、例えて申しますと、これは建設省の砂防関係で災害対策という名目で、砂防工事を大分出したらしい、又出した、又安定本部に要求した、これは全部安定本部ではお削りになつた、而も一つも採用されてない、これは私は工作物がない場所に災害復旧という名目で出してありますから、安定本部のなしたことを或いは正当かと思います。併し他の仕事に対しては随分工作物の破壞しないものに対しても災害復旧として認められておる、然るにそういう災害復旧にどうしても関連して必要な仕事でありながら、これは災害復旧として認められていない、そこに非常に実際の問題があり疑問がある。そういうことをさしては折角の災害復旧が意味がない、こういう事実がありますが、それに対して今後どういうふうにするお考えをお持ちになつているか。
#43
○政府委員(今泉兼寛君) 原則といたしましては、この災害復旧関係は何としても原則は、原形復旧ということがどうしても中心にならざるを得ないと思うのです。これを全然御破算にいたしまして、災害防除と、災害復旧とを完全に一つにするということはまあ如何かと考えておりますので、全然御破算にして一本にするまで、我々の考え方はまだそこまで進んでおりませんけれども、従来のように余りに機械的に考えまして、災害復旧は原形復旧だということにのみ捉われておりますると、今御指摘のような非常な弊害も一面出て参りますので、今後は災害防除関係と、災害復旧関係とは一応予算の分け方は別にしてはございまするけれども、実際の施行に当りましては、その間に余りに機械的にならずに両方の予算の使い方、噛み合せ方等におきまして災害の発生を未然に防止する、つまり治山治水関係に特に重点を置いて考えて、ただ後からいつでも懷れたから直すということじやなくて、未然にこれを防止するという方面に最も重点を置いて、今後の予算の使い方その他も計画したいと考えている次第であります。
#44
○赤木正雄君 御答弁は誠に結構でありますが、事実はそれに反して全部安定本部で認めていない。でありますからそういう御趣旨なら改めてそういうふうな予算を建設省から請求しましたらお認めになりますか。
#45
○政府委員(今泉兼寛君) これは五ヶ年計画立案に当りましては、十分検討に値いする大きな問題だと考えております。従つて将来の問題としては、或いは御指摘のようなことに相成るかとも思いまするが、今二十五年度の予算につきましてそういう使い方にするか、或いは来年度二十六年度から改めるかという今の御質問に対しては、今何とも申上げかねますけれども、今度のそういつた五ヶ年計画については十分御意見のあるところも、この計画の立案に対しましては取入れまして改善して参るべきところは改善して参りたい。
#46
○赤木正雄君 先の御答弁では災害復旧をやつても直ぐ効果がなくなる。これに関連して必要な仕事をせんならんというような御趣旨でありました。そういうふうな意味のものでありますから、二十五年、二十六年その先の五ヶ年計画の問題じやない。二十五年度災害復旧に関連しておるのです。例えて申しますと、この前の二十二年の秋田県の水害に際して川が埋つてしまつた。その川を堀るために災害復旧費を取られておる。併しその上に一本堰堤をやつてその土砂が上流から流れて来ないようにしない以上は、直ぐ明る年から折角堀つた河川が又埋つてしまう。そういう無意味な仕事が沢山ある。こういう仕事は二十五年度の災害と不可分である。でありますからむしろそういう仕事を今まで安定本部で十分検討されずに、こういう仕事を全部お認めにならない。そこに技術上に非常に不合理性がある。その不合理性を是正なさるかどうかということなんです。これをなさらない以上は、建して災害復旧そのものも効果がない。これに対するお考えは如何でしようか。
#47
○政府委員(今泉兼寛君) 一応今年の分け方といたしましては、予算面に先程申上げました災害防除関係と、災害復旧と分け方を別にして予算も入れてありますので、これを一本にしてしまつて今のような関係を皆使うのだということはちよつと御無理かと思います。併しながら何遍も繰返すようでございますが、防除と復旧とは表裏一体をなしておりますので、例えば災害防除関係の河川費に入れたダムの建設というようなものも、従来のこの災害の非常に頻繁なところというような点を特に又優先いたしまして、費目は或いは片つ方から片つ方に移すということができなくても、重点的にそういつた点は、両方の防除関係と復旧関係は噛み合せまして、そうして場合によつては名目のつく限りにおいては、片つ方の方に関連づけて認承をそれに変えて行くというようなこともやつて行きたいと考えておる次第であります。
#48
○赤木正雄君 私の申すことと政府委員のお考えとは根本的に相違しております。でありますがあとにいたします。
#49
○伊達源一郎君 私は新聞用紙の統制撤廃の問題についてお尋ねしたいのですが、安本長官にお尋ねしてよろしゆうございますか。
#50
○理事(田村文吉君) 如何でしようか。大分御退席も多いようでございますので、ちよつとこれから休憩したいと存じますのですが、午後にでも一つお願いしたいと思います。尚和田委員から簡單な資料の提出の御要求があつたようですが……。
#51
○和田博雄君 これは安本長官にお願いしたいのですが、資金課画がおできになつたものと思いますので、二十五年度の資金計画ができましたら至急にこれを頂きたいと思います。
#52
○理事(田村文吉君) それでは休憩いたします。
   午後十一時四十七分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十六分開会
#53
○理事(田村文吉君) 午前中に引続いて会議を始めます。
#54
○赤木正雄君 災害に関連してもう少しお伺いいたします。
 先ず維持修繕の問題でありますが、一定の金額に達するような大きな災害に対しては、これは国の災害復旧補助規程によつて補助を與え、又府県單独においてもこれらを復旧しております。併しそれ程金額は大きくないが、例えて申しますと、護岸の一坪くらいが欠けているとか、或いは石の一箇が欠落しておる。そういう場合に、すぐこれを維持修繕して置くならば、何ら水害に対してもそれが拡大しないで、いわゆる災害の原因を防ぎ得るのであります。併しこういうものに対して、これは以前から国からして少しも補助がない。今までは国の補助のないものに対しては起債の認可もできなかつた。そういう観点からいたしまして、都府県におきましてはこれらの小さい破壞箇所の維持修繕というものは殆んど軽視している。これが実情なのであります。でありますから、政府が災害に対して関心をお持ちになるならば、先ず以てそういう小さい破壞した場所の維持修繕をする場合に、国がこれを補助する。そういうふうな政策をおとりになるならば、確かに災害は減少し得るのであります。実際の状況を見ましても或る一定の金額に達しない以上は国が補助しないからして、甚しいものにおいては相当に破壞が大きくなるまではこれを放置しておる。国が補助をして呉れる場合には殆んど都府県の金を持出さなくても国庫の補助でできますから、県の財政からいうならば、これをむしろ放置した方がよい、こういう実態なのであります。でありますからして、かような場所に対して実際国が災害を防ごうというお考えならば、先ず維持修繕費を当然お考えになるのが至当だと思いますが、これに対して長官の御意見を承わりたいと思います。
#55
○国務大臣(青木孝義君) お言葉のように小さな災害のうちにこれを防げば大きくならないじやないか。それから又場合によつては大きくなれば国が補助して呉れるれけども、或いは国が支出して呉れるけれども、小さいうちはやつて呉れないから放つて置く。そういう弊害があるのじやないか。却つて大きな損失になるのじやないかという御質問だと存じますが、その点は勿論私共も同感でございますが、併しながら極く小さなものについてはむしろ地方でやつて頂く方が適当ではないか。小さなものが大きくなるということも考えられますけれども、勿論自分達の土地であり、自分の利害に大きな係りを持つておることでございまするから、やはり小さいうちならば地方でも負担できるし、又やるというのが当然な一つの考え方ではないかというふうに考えまして、十五万円という一つの標準を立てておるような次第でございまして、政府といたしましては大体小さな十五万円以下のものについては取上げない、そういうような考え方で予算を立てている次第でございます。
#56
○赤木正雄君 そのことは私もよく存じております。併しそれに欠陷がある。十五万以下のものを考えに入れられておらない。でありますからして何回申上げても同じことでありますが、府県もそれに合せて関心を持たない。又長官の言われるように水害の起る前に自分の土地を保護する点から考えましても、小さい破壞箇所を先ず以て自分で維持修繕をするのは当然と思います。そこまで国民教育を持つて行かなければとても災害は防げません。併し現状においてはそうじやない。長官の言われるような理想論に行つていない。むしろこれに反している。甚だしいものになりましては、例えて申しますと、一つの古い橋がある。この橋をこのままではとても維持はできない。水害の起つたときその橋桁に繩をかけてこれをひつくり返してしまう。そうすると国の補助が大変になる、これが実態であります。でありますから長官の今のお考えを変えない以上、災害は除くことはできない。そういう観点からお考えをお変えになる意思はないかどうか。
#57
○国務大臣(青木孝義君) お言葉のようなことは我々も考えないことではございませんけれども、財源の問題に制限がございますために、どうも我々の立場、今検討しておりまする状況といたしましては、そこまで考えていないというふうな状態でございます。
#58
○赤木正雄君 私は災害復旧というものは嚴密に解釈するならば、或いは今日計上されている多額の災害復旧費が果してあの規定に該当しているかどうかということに非常に疑問がある。若し規定に該当しているものだけを採択するならば、もつともつと災害復旧費は減るのであります。でありますから、そういう費用を以て小さい実際壞われたものの維持修繕をなした方が却つて国の財政からもいいのじやないか。これは事実の話であります。單に理想論ではない。これに対して長官はもう一度お考えなさる必要はありはせんか、それをお伺いいたします。
#59
○国務大臣(青木孝義君) それは勿論私自身の理想論というわけでもございませんので、すでにこれまでの経験からいたしまして、曾て五万円とか、或いは現在よりも低い額でこれを決めていた経験はございますけれども、併しながら今日の自治体運営、そうして自治体の独立性というものを強化しなければならん途上におきましては、やはりそういうことも各地方々々のそれぞれの箇所における住民の、やはり今後とも配慮して行かなければならん事柄でもございましようし、やはり我々の立場から申しますと、財源に非常な隘路がございますために、そこまでやりたいけれども行けないということがやはり一つの制約になつておりまするし、更にそれに関連いたしまして、絶えず国のみに依存するといつたような考え方は段々薄くして自治的に、自主的にできるだけそういう問題を解決して行く、大きくならないように、小さいうちから解決して行くというような途を辿つて行くということは、必ずしも無理ではないというふうに考えます。現在のところ止むを得ない次第でございます。
#60
○赤木正雄君 今の長官の話は成る程自治体の健全なる発達の上に必要か知りませんが、事実はなかなか長官のいわれるように行かない。ますます小さいものは放置されて行きますから災害が増大する。これは事実でありますからして、この事実を以て私は長官にお答えを求めたのでありますが、長官と考えが違いますが、遺憾ながら何ともいたし方ありません。併し事実はどうしても否定することはできませんから、長官のお考えのように小さなものは自分ですぐ修繕するところまで行つておりませんから、これは或る適当な時期に十分お考え願いたいと思います。
 その次にお伺いしたいことは、直轄工事と府県工事の点でありますが、これはたとえて申しますと又砂防の問題を申しますが、十八億の砂防費の中で五億五千万円が直轄で、あとは府県工事になつております。我々この治山治水事業に関連しておる衆議院、参議院の議員連盟の者は、成る程直轄事業も必要だが、今日の水害の状態を見るならば、先ず以て府県の事業に相当の金を廻して貰わなければ困る、こういうことを実は念願して、その筋にもお願いしました。ところが二十五年度のこの事業費を見ますと、直轄事業費と府県事業費の割合が、非常に直轄に重点が置かれておる。而も私共から考えまするならば新しくこれを直轄に取上げなくてもいいものさへ直轄に取上げて、そうして府県事業費を軽くお考えになつておる。これでは我々の、言い換えるならば一般大衆の要望と遥かに相違して行きます。勿論直轄事業といたしましては常願寺川とか白山とか、そういうところは重点的にすべきことは当然でありますが、とに角このことは建設省に申しますと、安定本部でそういうふうに決めて来るからいたし方ない、安定本部が重点的に直轄事業を計画してやるからいたし方ない、安定本部に行くと建設省でそうやるからいたし方がない、どつちがどつちか分らない。今後果してどういう方針でこの直轄事業と府県事業を持つて行かれるのか、これに対して確たるお考えを承わりたい。尚重ねて承わりますが、衆参両院の議員連盟といたしましては、特に直轄事業を二十五年度のように重点的にやらずに困つておる府県に補助を沢山出して欲しい、こういう要望があります。これに対して長官の意見を伺いたい。
#61
○政府委員(今泉兼寛君) お答え申上げます。直轄と府県の関係につきましてはいろいろ御意見のあることでございまするが、この点は十八億という振分けにつきましては、十分建設省とも打合せの上決めた次第でございまして、どうも全般的に十八億が少いためにその割振り関係等についても、なんか当初の三十億の案のときと較べて、或いは多少バランスが崩れたのじやないかというお考えもあるかと思いますけれども、十八億にいたしましたにつきましての、割振関係は決して安定本部が独断で決めておるわけではございませんので、十分実施に当るところの建設省と振合いをつけまして決めたような次第でございます。尤も今度のこの治山治水関係は重要河川、特に又非常に暴れる河川といつたものを中心といたしまして、その河一本々々について大体検討して、そこに上流から下流までの一貫した治山治水をやりたい、こういうことでやつておりますので、河を中心としてそういつた総合的な見方にこの十八億を振分けているという関係上、多少従来のまだ検討の足りなかつたものに比較しまして、このバランス関係が二十四年度あたりと合わんじやないかというあれも出て来ると思いますが、二十五年度のつけ方はそういつた河を中心とした総合的なつけ方にしており、その際に直轄でやるべきもの、或いは府県でやるべきものを振分けておるという状況なのでございまして、昨年との比例、その他が或いは合わない結果になつているかも知れませんけれども、左様御了承願いたいと思います。
#62
○赤木正雄君 政府委員の御答弁は実に不滿であります。なぜならば、では一々河川を示してお話すればよろしい。そうすれば一日も二日も掛ります。一々例を以て話すならば……。すつかり答弁せんがための答弁で、実態に触れていない。そういう実態に触れていない答弁を私は少しも承わりたくない。どうしたら治水をやる……、先程一つ一つの河川について平衡を取るというような意味をおつしやいましたが、それならば河川と砂防とは平衡が取れていますか。先ずそれから承わりたいのであります。河川を取りましても、砂防と河川との比率は治水上どこが平衡が取れていますか。その意見から承わりたい。
#63
○政府委員(今泉兼寛君) 河川と砂防関係の比率の点は、午前中長官からも、私からもお答え申上げた通り、或いは御指摘の通り二十五年度がどうもバランスが取れていないのじやないかという御意見は十分拜聽いたしまして、明年度からの五ヶ年計画については十分その点は採上げて考えたいと考えておりますが、まあその点はどうも御意見として十分承わりまして、今後の施策に反映したいと思つております。
 ただその直轄と府県との関係につきましては、何か安定本部が独断だけでやつているかという、或いは語弊があるかと思いますが、この点実施者たる建設省の意見を十分採入れて、直轄と府県関係というのを振割りをしている。この点は決して安本が実施者でもございませんので、実施者が建設省でございますから、建設省の意見を十分参酌して、こういうふうになつているということをお答え申上げます。
#64
○赤木正雄君 今のお話の通りでありますが、とにかく直轄と府県との比率は取れていない。全国の河川を一々挙げてみても、これとこれとで果して妥当に比率が取れているかということははつきり私お話申上げることができる。そういうことをこの前建設委員会で安定本部のお方にお伺いした。そうしたらばそのときには、建設省の方がこういうふうになつて来るからして、安定本部としては余程これでも直轄を減したのだ、こういうふうなお話がありました。ところが建設省に聞くと、いや安定本部はうんと直轄を出しているけれども、もう向うとして決めるからして、余程これでも直轄を減したのだ。どれがどれやらその責任のなすり合いで分らない。で先程からしてこの直轄と府県との比率はうまく行つているとおつしやいますが、これは全然私はそう思いません。若しも具体的なことを示せとおつしやるならば、一々どの河川、日本の全国の河川についてお伺いします。又御意見も承わります。まあこれは事実において反していますからして、これ以上申上げません。
 尚私の質問はまだありますが、資料がありませんから、本日はこれでおきます。
#65
○伊達源一郎君 私は新聞用紙の統制撤廃の問題について安本長官の御意見を承わりたいと思います。政府は新聞用紙の統制撤廃を急速に行わんとする意思を示しましたために、新聞界は今困惑の状態に陷つております。それは紙の生産量が十分でないときに、統制を撤廃いたしますと、値段が上る、買占めが起る。全国地方の中小新聞は存在の危機に陷るのであります、こういうことを政府はどうして急いでしなければならんのであるか、その政府の意図が伺いたいのであります。今全国の新聞が統制を解かれて自由になりますには、月額三千六百万ポンドの紙を必要といたします。そこへ持つて来まして、紙の生産状況はどうであろうかというと、昨年は月平均二千百万ポンド、即ち三千六百万ポンドを要するところに、昨年の生産状況はそういうものであります。今年の四月には非常に生産量が増加するであろうという見通しでありますけれども、その見通しも大体二千五百万ポンドであろうということでありまして、千百万ポンド位の不足を示すであろうという予測であります。従つてストツクは減つております。こういう状況のときに統制を解きますと、非常な混乱状態に陷る。併し政府はそれを敢てせんとする意図を示しておりますので、若しこれが実際そうなるといたしますと、新聞界は混乱に陷り、折角の地方の民主化、地方自治というようなことが非常に困つたことになるであろうと思います。新聞社の方からいたしますと、生存の問題になつて来ておるのであります。
 先ず私が最初に伺いたいのは、こういうことを急速に行わねばならん政府のお考えはどこにあるのか、それを第一に伺いたいのであります。
#66
○国務大臣(青木孝義君) 新聞用紙に関する撤廃の問題を中心として、現在の紙の生産状況では統制が解けそうでないが、四月以降になつたならば、電力の関係等も緩和されるというようなことで、相当量の紙の生産が上る。恐らくそういう時期においては紙の、新聞巻取紙等の統制の撤廃はやるんじやないか、或いは紙全体の統制の撤廃をやるんじやないか、そうすれば中小新聞等に対する影響は相当に強くて、とても経営が成り立たないだろうということが御質問の要旨かと思います。それらの点につきましても、我々は全然存じないわけではございません。併しながら御承知の通り、ひとり大新聞を保護するような立場を政府はとるわけではございませんが、一般的に紙の統制を撤廃するとこういうことの要旨は、御承知の通りこの三四月頃になれば、大体紙の生産と需要の状況というものが均衡が取れるようになるだろう、その機会においては、一般的な要求として統制の撤廃ということが要請されておるので、その機会においては或いはその時期の成るべく早い時期において統制を解きたいということを今のところ考えております。併しながら必ずしも中小新聞がそれによつて大きな犠牲を拂わなければならんかということは一応の問題でございましよう。我々としても尚検討はいたしまするけれども、只今の方針としては、今前に申上げましたように、大体その生産の需給ということが、生産と消費の関係、即ちその需給の均衡が取れるようになれば、統制を解いてもいいんじやないかという考えを持つておる次第でございます。殊に現在の数量についても今お述べになつた通り大体巻取紙の数量とか、それから巻取紙以外の数量、約七百万ポンド程度のものは現在も新聞社は使つておるような次第でございますし、又紙を全体として見まする場合には、巻取紙以外の紙を新聞社が使用しておる分、その他一切の紙の生産というようなものから考えて、全体的に考えますれば現在のところでは勿論需給の均衡を保ちませんけれども、恐らく三四月頃になれば、それが均衡を保つようになるだろうと、こういうことで統制の撤廃ということを考えておる次第でございます。
#67
○伊達源一郎君 三四月の頃になれば、紙の増産ができて新聞の方へ供給するのも楽になるだろうというお考えは一応御尤もでありますけれども、その数字はすでに政府が示しております数字と、予想もこの必要に応ずることのできない数字であります。のみならず新聞の要求というものが政府によくお分りになつておりませんが、G・H・Qの方から指導されておりますところでも、統制を解くときはすべての新聞が四頁になるという目標を定めておりまして、全国の新聞が四頁になるという要求に応ずることが今の数量ではできないのでありまして、この要求を満すだけの増産ができるのを待つて統制を解かれないと非常な危險になるのであります。只今の御答弁の中の、調子がよくなる時を待つてということは非常にいいことでありまして、そうなければならんと思いますけれども、その需給の均衡が取れるということについて正確なるお考えがないように思いまして、よくなるということはどういうようなことを意味しておつしやるのであるかちよつとお尋ねしたいのであります。
#68
○国務大臣(青木孝義君) 紙の生産が上るかどうかということでありますが、これは御承知の通り今回の電力料金の改訂によつての関係において御承知の通りに、この第四四半期におきます渇水期の状況というのが相当不安な状況である。併しながら幸いに現在のところでは天候に惠まれまして裕りができておるようでございますが、併しながら尚この渇水期を過ぎますれば四月の頃にはもつと順調に不安なしに行けるだろうと、こういう考えを前堤といたしております。同時に御承知の通り四頁に全部なるとして大体四千万ポンド、年間四億八千万ポンドですか、多分それくらいな量ができるようになれば、これは四頁でしつかり需給のバランスが取れるという程度の生産量になるのであろうと思いますが、併しながらこれは必ずしも新聞の全部が四頁にならなければならんということでもなかろうと思いますが、いずれにいたしましても今日各新聞が殆んど例外なく夕刊紙を出すというような状況でもございますし、又新聞巻取紙以外の紙が相当に使用されておるというような状況でありますので、かれこれ勘案いたしまして適当な時期に新聞の紙の統制を外して行きたいというような考えで進んでおる次第でございます。
#69
○伊達源一郎君 只今の御答弁は大体において要を得た御答弁と思いますけれども、この紙の生産高の率の見込が違うのであります。今まで政府の見込は大体違つて来ております。四月から渇水期を脱してよくなるであろうというお考も、今まで分つております予想の数字では間に合わんことになつておる。それで私がここに伺いたい重要な点は、紙の供給がよくなつたらばという漠然たることでなくして、これははつきりと伺つて置きたいのであります。この用紙割当の審議会におきましては、大資本の新聞も買占をする必要なく、中小の地方新聞も自由に用紙が買えるというときを見極めて、この統制を撤廃すべきだと、こういうふうに考えておるようでありますが、政府もそういう考えでおやりになるか。どうでも時というものを急ぎ、時に重きを置いて、四月頃に目標を置いて無理でもやろうというお考えであるか、四月が無理であり、五月が無理であるならば、そこに完全撤廃に行かんまでも、中間の措置を講じて漸次に完全撤廃に向つて行くというお考えはないか、その点をお伺いしたいのであります。
#70
○国務大臣(青木孝義君) これは新聞の巻取紙が段々生産が上つて行く、それから又これに近いような紙といいますか、大体現在使われておるような紙が大体生産が上つて行つて、そうしてまあ何とかやつて行けるという時期が来れば、その時期には統制を解くということが適当ではないかというふうに考えておりますので、必ずしも四月とはつきりと決めておるわけでもございませんし、又或いは三月とか、そういうふうに少しでも早くという意味で三月だというふうな決め方をしておるわけではございませんので、やはり大体におきまして闇の紙であるとか、そういうものが一応どういう形で全部集計されて来るかというようなことも一つの問題でありまするけれども、大体需給の均衡が保つ、維持できるというような見通しがついたらば、その時期を予め決めないで、適当な時期に一つ統制を解きたいという考えで、先程もちよつと申上げましたように進んでおる次第でございます。
#71
○伊達源一郎君 お考えがそこに行くことを私共は大いに希望しておるのでありますが、つまり適当の時期、それを政府が單独に政治的に適当の時期を決めるのでなく、新聞界の本当の客観情勢が、すべての新聞がこの紙を獲得することにおいて困らない、大新聞も小新聞も共に困らない適当な時期があると思います。その時期を政府ばかりでなく、民間も一緒になつて御決定になつて解かれるということが我々の希望するところであつて、本当に正しい意味においてやつて貰いたいということでありますが、青木長官の御答弁もそういうことであると了解していいでしようか、違つておる点があるでしようか。
#72
○国務大臣(青木孝義君) 勿論私共の考え方はできるだけ公平な立場をとつて考えて参りまするので、今おつしやいますような、いろいろな点も勿論考慮の中へ入れまして、成るべく早く適当な時期に紙の統制を解きたい、こういうことでございます。
#73
○伊達源一郎君 その適当な時期ということに重きがあるのか、成るべく早くということに重きがあるのか、この点が非常に重大な問題なのであります。成るべく早くということと、適当な時期という、その適当という意味が、完全に一致するときに、やつて頂かないと、成るべく早くの方に重きを置くと非常に困つた事態を現出する、つまり困つた事態を現出しないということを基礎としてのお考えであるように希望しまして、それについての長官の御意見をもう一度伺いたい。
#74
○国務大臣(青木孝義君) 適当な時期ということは、一体実態がそういうふうに副つたときを指しておるかどうかということだと存じますが、私共は勿論実態を全然無視して適当ということを考えるわけではございませんので、おつしやいましたようなことを十分勘案しながら成るべく早く解きたい、こういうのでございます。どうぞさように御了承を願いたいと存じます。
#75
○伊達源一郎君 政府は可なりこの問題を急いでおられまして、GHQの方にも要請書が出ておるようでありまして、その外の機会をずつと考えて見ますと、何でも急ぎたいということを今までよく現わしておられますので、我々はそこに非常な心配を持つておりますから私は今までのような言葉を繰返したのでありますが、私は青木長官がそのお考えで、つまり適当な時期を、新聞が困らないとき、新聞界を混乱させないとき、そのときを適当と見て、必ずしも急がないということでこの問題に進んで頂きたいという希望を述べまして私の質問を終ります。
#76
○藤野繁雄君 私は中小企業に対して質問したいと思うのであります。私共先日予算委員の数人の者が、足利と桐生の中小企業の状態を視察して参つたのであります。その視察の結果は、何とか手を打たなくては、現在の中小企業は行き詰つてしまうという状況にあるのであります。安本長官は二十三日に、我が国中小企業の実情に即しつつ、その企業内容の強化、金融上の措置、技術指導等について能う限りの努力をする、こういうふうに演説しておられるのでありますが、現在行き詰つておるところのこの中小企業に対して、具体的に直ちに実行しようというお考えの事項があつたらば、先ずそれを承わりたいと思うのであります。
#77
○国務大臣(青木孝義君) 藤野議員からのお尋ねでありますが、我が国の中小企業の重要性に鑑みまして、今日の状況を照らし合わせまして、できるだけ中小企業に関する金融面の措置を講じたいということは、大蔵大臣もしばしば言つておりまするし、我々もそういう点でいろいろと考慮をし、また実行に移そうといたしておる次第でありますが、その点につきましては御承知かと存じますが、いろいろのかれこれと手を打つて行こうという意味で、まず第一に日銀の中小企業の枠を拡げまして、日銀から三十七億というものを興銀であるとか、勧銀であるとか、商工中金であるとかそういう方面に枠を拡げましてこれに応ずる態勢を整えておりまするし、それからまた尚この国債の買上げ等につきまして、或いは見返資金の使用等につきましても、それぞれできるだけの措置は講じておる次第でございますが、尚この今日すでに実行に移そうとしております点で商工中金等の資本金を増加する、そういうことによつて特に現在の資本金を増加して、その上に約百八十億程度の債券を発行するというようなことをも考えておりますし、また将に実行に移そうという段階に達しておる次第であります。それからまた市街地信用組合等についても、その措置を講じておりますし、或いはまた信用保証等の関係におきましてもそれぞれ全国に向つてその措置を講じておるような状態でございまして、これで十分だ、万全であるというふうには考えておりませんけれども、漸次その手を打つて行きたいという考えであります。
#78
○藤野繁雄君 金融的にはいろいろ考えておるというお話でありますが、実際業者に聞いて見ますと、殆んど金を借りることができない、また金を借りるについても短期資金を融通するのであるから毎日々々金を借りるのと、その金を拂うのに日を送つておるような状態である、こういうふうなことでありますから、私などは織物というようなものに対して資金を融通する場合においては、如何なる方式によつて、融通するのであるか。また織機というようなものがあるのでありますから、織機というようなものを見返りにある程度、その生産力を見て融資の條件を緩和して融通されるということでなかつたならば、如何に上の方で金を出そうとしても最末端に金が行かないのじやなかろうかと思うのであります。実際に融通されるのについて何か具体的の案があつたらその案をお示し願いたいと思うのであります。
#79
○国務大臣(青木孝義君) 御承知の通り、中小企業金融は昔からなかなかむずかしい問題でございまして、今日の場合特にインフレが終熄して一応安定の軌道に乗つて来たというような時期の、この移行過程におきまする困難性ということは、我々も十分認めるのでありまするが、それならば中小企業についていかなる企業に対しても万全の策を講じ得るものとすれば、これはやはりこの転換期と申しますか、移行過程におきまして、内部的には相当に合理化を実行して頂かなければなりませんし、又その合理化の程度その他この企業の能率の関係とか、或いはそのコストの関係であるとか、操業度の関係とか、いろいろな差がございまするので信用関係がおのずから違つて参ります。そのために銀行へ行つて直ちに比較的長期の資金を賄うということは困難であることはこれ又我々も考えておるのであります。併しながら我々としては、できるだけやはり中小企業に資金が滲透するような方策を考えなければならん、それにはどういうふうに持つて行つたらばいいかというような問題でありますが、これは直接投資というようなものにのみよることのできない今日の状況でございますから、可なりこの廻りくどい結果になることを認めなければなりません。併しながらやはり日本の中小企業というものは、大部分関連産業として親産業というようなものに結付いておりまするので、そういう関係からこの資金を滲透せしめるということと、もう一つは中小企業それ自体がその信用に基いて資金の融通を仰ぐというような方面も考えなければなりませんし、いろいろとやつておるのでありまするが、或は又企業によりましては相当に強い金融的に逼迫を感じておるものがあろうかと思います。尚我々としては一層検討いたしまして、漸次滲透するような措置を講じたいと考えておる次第であります。
#80
○藤野繁雄君 足利、桐生、両市の状況を拜見しまして、私などは特に驚いたのは税金が非常に沢山納まつていないということであります。これは一方からすれだ税金を拂うところの能力が、現在においては欠除しておる、別な言葉で申しましたならば、所得税というものが前年度の利益に対する税金である結果、それだけの金は一方の方において預金しておかなくちやできなかつたのでありましようけれども、いろいろな事情でそういうふうなことができなかつたために現在税金が決定せられ、それが滯納になつておる、こういうふうな状況であるのであります。そうしていろいろ調査して見まするというと、民間の業者と税務署との間に非常な距りがあるような感がいたすのであります。こういうふうなことではいけないと思うのでありますが、一方においては金融に行詰つておる、一方においては税金に困つておる、結局は廃業しなければいけない、こういうふうなことになるといたしまするというと、この関係を何とかして企業の合理化を図らなくちやいけないと思うのでありますが、こういうふうな方面に、どういうふうな方法を取つたら解決ができるというお考えであるか、この点お伺いしたいと思うのであります。
#81
○国務大臣(青木孝義君) 御質問の要旨はよく分るのでございます。私共も資金計画とか、或いはその他金融に対するいろいろな点からも考慮いたしまして、先程申上げましたように、資金計画等も一般的には樹てておるのでありますが、今おつしやいますような点は、特に大蔵関係、税等に問題になりまするので、それらの点は一つ、大蔵大臣等から御聽取を願いたいと思つております。
#82
○藤野繁雄君 大蔵関係の際に更に質問いたしたいと思うのでありまするが、現在ではどういうふうな状態になつているかというと、税金を納めることができない、税金を納めるために自分の持つているところのものを二足三文に叩き売つて税金を拂わなくちやならない、こういうふうな非常に悲惨の状況に陷つておるのでありますから、産業計画の根本を握つておられる安本長官に今までお伺いしたような次第なのであります。
 次に農業の長期金融についてお尋ねしたいと思うのであります。農地改革の結果、地主の土地は政府が買收し、そのためには農地証券が発行せられておるのであります。而してその農地証券は五ヶ年間は金融的措置を講ずることができないというようなことで、金融の便を與えられていないのであります。農村は最近ますます不景気になつているのでありますが、こういうふうな、過去においては最も有力であつた土地が、或いは農地証券が金融的措置を講ぜられないようになつた結果、今日非常に金融に行詰つているような状態なのであります。この農地証券は二十四年度の補正予算及び今年度の予算で、償還される計画が樹つているようであるのでありますが、この償還される資金を、農地証券を、やはり償還してでも発行後五ヶ年間は金融の対象にすることができない。こういうふうなお考えであるかどうか。この点お伺いしたいのであります。
#83
○国務大臣(青木孝義君) 只今の御質問は御尤もでございまして、今この農業関係におきまして、農地の金融の問題でありますが、農業手形であるとか、或いは漁業の手形こういうものの調達の途が開けておるのでありますが、併しながら今のところこれを直ちに金融化すという点について尚隘路があるような次第でありますが、これも只今私共検討中でございまして、できるだけ早くおつしやるような措置を講じて参りたいという考えでございます。
#84
○藤野繁雄君 漁業改革も農業改革と同時に行われたのでありますが、漁業改革によつてできた漁業の権利を讓つたり、債券に対しては金融の便を與えることができる。然るに農業改革によつてできた農地証券には、金融の便を與えることができないというふうなことになつておるのであります。これは私の考えるのには、農業の場合において、金融の措置を與えることはできないといつたのが間違いでありまして、あとの漁業改革については金融の措置をとることができるというふうに政府は改めたと思うのでありますが、両者を異にせられるところの理由がどこにあるかお伺いしたいのであります。
#85
○国務大臣(青木孝義君) 今の御質問からいたしますれば、勿論この農地改革と、漁業関係の問題は区別して考えるべきものでもない。或いは区別しなければならんといつたような問題について特に理由があるというわけではないのでありますが、何しろ漁区の問題、漁業等の問題はあとから問題になり、現在当面の問題として執り上げられておるような次第でありまして、その間の推移からさような状況になつたものと存じますが、併し特別に理由があるというわけではございません。
#86
○藤野繁雄君 只今の御説明の通りであるといたしましたならば、過去においては、若しも農地改革によつて、地主が売渡した土地に対して、直ちに金融の便を與えるというと、その通りの説明のように、インフレの虞があるか分らないのであります。然るに現在においては、御承知の通りに、農村は金融的に行詰つておるのであります。金融的に行詰つておる現在の状況を考えますならば、又さつき申上げたように、新たにできたところの漁業証券に対して金融の便を與えるということができるということにいたしましたならば、政府は速かに過去の考えを改めて、農業債券に対しても金融の便を與えることができるように改めるのが当然であろうと、こう考えるのでありますが、改められる意思はないのでありますかどうか、この点お伺いしたいと思うのであります。
#87
○国務大臣(青木孝義君) これは、この漁業権の問題と関連をいたしておりまするので、私がここで直ちに只今の御質問に対して明確にお答えすることができません。というのは、農林大臣の所管関係に属しておりまするので、その点から考えまして、農林大臣からその点はお聽取りを願いたいと思います。
#88
○藤野繁雄君 次は災害復旧と、土地改良の問題をお尋ねしたいと思うのでありますが、汽車で旅行して見るというと、田圃の中に水があつて二毛作がしてないところが沢山あるのであります。我が国は連合国の好意によつて沢山の食糧を入れて頂いておるのでありますが、或る程度自給の策を講じなければならない。而してこういうふうな土地を改良したならば直ちにそれ相当の増收ができる、こう考えるのであります。安本長官は国力の許す限りにおいて農業経営の安定に資したい、こういうふうなことを述べておられるのでありますが、一番早く食糧の増産をするためには、今申上げたような土地改良をやつたらば、或る程度の増收ができる。輸入補給金の四百五十六億というような金も或る程度節減することができるのじやなかろうかと、こう考えるのであります。この点からいたしまして、私は政府が意思があつたらば、或る程度の食糧増産のためには資金の割振りが現在の予算の範囲内においてできる、且つ国民全体に食糧不案を除去することができる、こう考えるのでありますが、これらの点についての土地改良に対する御方針を承わりたいと思うのであります。
#89
○国務大臣(青木孝義君) 土地改良は我が国としてはできるだけこれを大きく取上げまして、増産を図らなければならんということはいうまでもないところであります。御承知の通り二十五年度におきましては、三十三億余見積つてありますが、只今おつしやいましたような食糧の輸入補給金であります。この問題は、これは現在尚輸入しなければならん状況にありまするために、これを直ちに節減するというようなこともできませんので、食糧の増産が段々できて行つて、その必要が少くなつて来るに応じまして減じて行くという態勢は我々としては取つておるわけでございまして、そういうふうに我我の希望通り漸次増産ができて行くことを期待しているのでありますが、かようなわけでありますから、土地改良についてはできるだけの考慮をいたし、財政の許す限りにおいてできるだけこの方面の仕事を達成して行きたいという考えでおります。
#90
○藤野繁雄君 次は水産業について御質問申上げたいと思うのでありますが、我が国のような土地の少いところでは、食糧の増産を陸地のみによることができないのであります。幸いにして四界海をめぐらしているのでありますから、この海から食糧の増産を図ることが最も適切であると信ずるのであります。この点について安本長官は水産資源の保持育成、こういうふうなことを述べておられるのであります。水産資源の保持育成のことについてはいろいろあるであろうと思うのでありますが、そのうちの一つは水産業者が漁に行く場合において最も心配するのは、突風が出るか出ないかというようなことが土台になつて来るのであります。最近の例によつて見ましても、一つの突風が出たならば、たちどころに数億の損害を来して来るのであります。これを防止するところの対策といたしましては、現在の海洋気象台を拡充強化して行かなくちやできない、こういうふうに考えるのであります。海洋気象台の強化によつて気象を完全に把握し、それによつて漁業に出た者の損害を少なくするというのが現在において最も早くできることであつて、設備資金が少からず要するのじやなかろうかと思うのでありますが、水産資源の保持育成というようなことについて如何なる策を講じておられるのであるか、又こういうふうなことについて、海洋気象台の拡充というようなことについて計画があるかないか、あつたならばどういうふうな計画をしておられるのであるか、こういうふうなことをお伺いしたいと思うのであります。
#91
○国務大臣(青木孝義君) 我が国の現状におきまして、水産面におきます重要性、水産に対する重要性は十分これは認めておるところでありまして、漁田の開発であるとか、そのために見返資金を流用したとか、或いは又農林中金等を動員いたしまして、この方面にも増資とか、或いは社債の発行とか、そういうことも考えておるのでありますが、それに伴いまして只今御質問の漁猟に参りました途次、或いは漁猟中に突風等が起つてそのために大きな災害がある。よつてそういうことから魚獲が非常に制限されるのではないか、ついてはこういう場合の何か海洋気象台というようなものによつて、十分これを察知することができるのであるから、その設備等を十分完成したらどうか。これは誠に御尤もな御意見だと存じますが、これまでのところ御承知のようにこの気象台というようなものについての予算等は、公共事業費には見積つてございませんので、ただ燈台等につきましては公共事業費で見積つておりますけれども、残念ながら今のその気象台等の活動についての費用というようなものを、公共事業費では多分見積つておらなかつたように記憶いたしますので、尚そういう点について、関係当局の方も我々としても調べて見て、できるだけそういう方面の充実もすべきである、こういうふうに私も考えておる次第であります。
#92
○藤野繁雄君 気象観測その他の具体的の詳細の点については、所管大臣に御質問したいと思うのでありますが、只今安本長官からそういう方面に力を入れて行きたいというお言葉を貰つたことは、私喜びに堪えないのであります。どうかそういうふうなことによつて水産資源がより以上に獲得できるように御盡力を仰ぎたいと思うのであります。
#93
○木村禧八郎君 予算編成の基礎になつた條件について、ちよつとお尋ねして置きたいと思うのですが、安本長官にはいろいろまだ資金計画その他お尋ねしたいのですが、本日は若干の点についてお伺いしたいと思います。実は本会議でこの前の安本長官の演説に対しまして御質問したとき、生産増加の問題、それでまあ経済は安定しておる、或いはデイス・インフレ状態にある、その証拠として安定の指標として通貨、賃金、物価或いは生産の上昇、そういうものを挙げられました。そのとき私は、それは安定の指標にならない、むしろ不安定の指標である。そういうふうに質問いたしましたが、安本長官は、生産の増加が変態であるかどうかは、その実質と原因とを長期的に観察して、初めて判断できるものであるが、いずれの観点からも、現在の生産は正常な上昇をいたしているということが、我々の見解でございますという御答弁なんです。私がお聞きしたいのは、現在の生産がノーマルの生産増加であるという御意見ですが、その根拠はどういうところにあるか、先ずそれをお聞きしたいのです。
#94
○国務大臣(青木孝義君) これは木村議員も御承知の通り、現在の生産状況或いはその他のこれに関連する諸状況が正常なものである。こういう点につきましては、勿論意見の相違とか、或いは観点の相違とかいうこともございましようけれども、何しろこのインフレが継続して参りまして、そのインフレが一応收束して安定の軌道に乘つて来た。こういうことになりますれば、やはりその基盤というものから比較的長期的にこれを考えて見る必要があるのじやないか。ただこの基盤というものを考えないで、その現象形態だけを捉えてこれを判断するという場合には、いろいろと違つた判断が起るであろうと存ずるのであります。従つて我々の立場から一応採り得ました、戰前と申しますか、昭和六年であるとか、或いは八年、十年であるとか、七、十一年であるとかいうような、それぞれの一応比較的安定して来たような時期の数字を基礎といたしまして、そうしてそれに対して一定の上昇率というものを計算した数字を申上げて、私の判断を申上げた次第でございますので、私としては別段申上げたことについて、違つておりはしないように考えておる次第でございます。従つてそれについて、一体それならば我々の採上げておる要素がどこに欠点があるのかという問題になるかと思いますが、一応ともかくもその判断としては、デイス・インフレという線を維持しながら……、こういうふうに申しておりますが、勿論そういう点についても、やはり経済的には絶えず多少ずつの変化はいたしておりまするが、大体において、その経過において安定の症状を示しておる。こういうふうに判断いたしますので、先日の御答弁を申上げた次第でございます。
#95
○木村禧八郎君 私は事実問題をお伺いしているわけです。それで政府の安定指標の一つとしての生産の問題については、それを安定指標として挙げることについての欠陷はどこにあるかと申しますと、第一にその安定しているというその統計でございますね、この統計がどういう統計に基いて安定しているという数字をお出しになつたか、ここに一つ先ず問題があると思います。私、安本長官にお伺いしたいのですが、この生産その他の統計については通産省関係だと思うのですが、通産省に生産統計というものはあるんでございましようか。それを一つお伺いしたいのです。
#96
○国務大臣(青木孝義君) 通産省の統計については、私は只今ここに資料を持つておりませんし、見ておりませんが、御承知の通りに経済安定本部の統計と、それから司令部から発表になつておりまする統計、そういうものをやはり基礎として計算をいたしております。
#97
○木村禧八郎君 安定本部の生産統計というと、どういう統計でございますか。
#98
○国務大臣(青木孝義君) これは、経済安定本部としては、八年、十年を基礎といたしまして、これを一〇〇として、そうして今日の生産状況というものを計算をいたしております。経本統計といたしましては、これまで申上げております鉱工業生産、それから基礎物資、投資材、生活物資というふうに一応の統計を立てております。それから又ESSの方は鉱工業活動、それから鉱工業生産というので、そういうESSの方ではこの統計としては、昭和七年から十一年を一〇〇として、そうして計算をいたしております。
#99
○木村禧八郎君 安本長官は日本の生産上昇をお考えになる場合に、どちらの統計におよりになつておりますか。
#100
○国務大臣(青木孝義君) これは、大体我々は経済安定本部の統計を基礎としていることは勿論でございます。併しながら、大体これを睨合してみますると、仮にESSの鉱工業生産の統計を見ますれば、十二月が八二・二、それから経済安定本部の鉱工業生産では十二月で八七・二というふうなのでございまして、大体においてそう大きな違いはないというように考えておりますが、ともかくも経済安定本部の統計を中心として考えている次第でございます。
#101
○木村禧八郎君 この統計の……、余り細かいことになりますから又の機会にお伺いいたしますが、生産上昇の統計を出すについて、統計操作によつていろいろできると思います。最近、その生産統計ばかりでないと思いますが、賃金統計でも、CPI、その他の統計でも、一体政府は最近の統計を、これまで大体フイツシヤー式を使つていたようですが、最近全般的にフイツシヤー式を止めて、或いはパーシエ式とか、ラスパイル式とかいうように変えているような様子ですが、これは御答弁できなければ、内閣統計局あたりから又聽きますが、最近統計の算式、又基準等を、相当変えているのです。それが基礎になるのです。安定しているのか、していないのかということを判断する場合……。安本長官御承知と思いますが、この前コンヒールド氏が来まして、フイツシヤー式を作つて、その後シヤロンという人が参りまして、統計の作り方について、相当変つた指導をしているように聞いているのです。どういうわけで今までのフイツシヤー式を変えて……、全面的にですから相当問題になると思いますが、この頃どういうわけでそういうパーシエ式の方向に変えようとしているか。若しかお分りでしたらこの点を……。
#102
○国務大臣(青木孝義君) これは木村さんも御承知の通り、統計学界におきまして、大体世界の大多数の国々の趨勢というものを基礎として段々変つて参りまして、ラスパイル式にいたしましても、最近そういう趨勢に世界的になつているというようなことで、統計学界等におきましても、そういうことが言われていることを記憶いたしておりますが、大体、これが都合がいいからこれにするということは、統計の学界等における研究の結果、一般的な趨勢としてそういうようなふうに変つて来たのであつて、別にこれが便利である、自分達の主張を証明するためにはこの方が都合がいいというような、このような偏した考え方を以て、我々がこれを変えておるというわけではございません。さよう御了承願いたいと思います。
#103
○木村禧八郎君 その点は私はそこまで曲解していないのですが、ただ諸外国の場合は相当安定している国において採用しておる、算式とかその他を直ぐ日本に持つて来るのは問題であるとこういう点なんですが、この点については又内閣統計局あたりで理論的にお伺いしたいと思うのです。
 次に今生産の問題につきまして、この前この予算委員会で公聽会を開きまして、実業界の方にいろいろ伺つたのです。特に日清紡の櫻田さんあたりから御意見を伺つたのですが、現在の生産の増加は非常に変態的であると実業家自体が言つておるのですね。それはむしろその有効需要の増加によつて、ノーマルに生産が殖えたのじやなくして、滯貨が生ずるので、無理に操業度を高める、非常に無理してコストを安くするために無理して生産しておるのだ、それは売れないで滯貨になつて行く、こういう点や、或いは又補給金削減になるので、この際たくさん増産しておいて補給金を貰うとか、或いはその金融を受けるとき、銀行に対してはこの際無理でも生産を殖しておかないと、金融を受けられないとか、そういう点にその生産が上つたという原因があると聞いておるのです。若し実際にそうしますと、本当に有効需要が起つて来て生産が殖えたならば、そう滯貨がそんなにたくさん殖える筈がないのです。理屈からいつて、従つてどうしてもこの最近の生産上昇はアブノーマルのものと見なければならないのです。ノーマルのものとは思われないのです。それを安本長官は現在の生産はその実質と原因とから見ても、いずれの点から見ても正常な上昇を示しておると、こういうふうに御説明になりますのでどうしても合点が行かない。むしろそういうアブノーマルの原因によつて生産が増加したとすれば、これは安定の指標じやなくして逆に不安定の指標になるのじやないか。そういう点でまあ御質問しておるわけです。
#104
○国務大臣(青木孝義君) これは我々の調査いたしておりますところでも、有効需要の少い面におきましては、生産も上つていないし、有効需要の多い面におきましては生産が上つておるというような状況でございますが、これはやはり現在のこの傾向的な一つの問題でありまして、丁度このデフレであるかデイス・インフレであるかということの議論と同じ結果になるのではないかと思うんであります。これは我々のところで見ましても、この板ガラスだとか、セメントというものの有効需要が大きいと同時に、生産が上つている。それからこれは金属類でありましたが、とも角も有効需要の低いものについては、どうも生産が上らんというような傾向を示しておるのであります。それでありまするからおつしやること、もとより決して我々も考えないわけではございませんけれども、恐らくこれは一つの傾向の問題ではないかというふうに思います。
#105
○木村禧八郎君 併しこの点は非常にその重要な問題だと思うのですが、單に傾向というだけで問題は解決がつかないと思うのですが、安本長官のお話を伺つておると絶えず非常にロングランのことを、非常に長期にのみ考えられておるのです。ですからここで仮にインフレを一挙に止めた。じやその安定的な作用が起つても、それは短期のことであつて、ロング・ランに考えれば、これが又段々上昇気味に行くのだからよい。大雑把にいえばそういうふうなお考えでしようが、併し今のドツジさんの方式によつて起つておる、これは私達ははつきりデフレと考えておるが、これがこの措置がうまく行かなければ、ロング・ランの問題もうまく行かない。そういう意味で現在の生産の上昇を單に統計上、指数上上がつたからといつて、こういつて安定したと見るのは、これは非常に私は危險なことでないかと思うのですが、この点については議論になつてしまいますから、この程度にして又機会があつたら御質問したいと思うのですが、もう一つお伺いしておきたいのは、物価の見通しについての御意見です。安本長官は今後物価の前途についてどういうお見透しを持つておりますか。その点についてお伺いしたい。
#106
○国務大臣(青木孝義君) まあこれは大体の見通しといたしましては、段々我々の申しておりますように、自由貿易が軌道に乘つて来る。自由貿易を中心として軌道に乘つて来るというようなことになつて来、協定貿易も段々姿が明瞭になつて来る。国内におきましても合理化も多少づつ推進して行くということでありますれば、やはりその生産の関係から見て物価は漸次下降の状態を続けて行くのではないか。こういうふうに方向で考えております。従いましてその他いろいろと、我々の努力がそういう方向で維持し得るということで、一応考えておりますけれども、先程おつしやいましたような、短期的に考える場合と、長期的に考える場合との差もございましようかと思いますが、大体今こういうことが必要だ。その措置をとつておるうちに段々次の段階に至つて、どうなつて行くかということになれば、放つて置けばこうなんだ、併し手を加えればこうなるということもございますので、やはり我々としてその方向に進んで行くように、低物価主義というのを依然としてこれを持ち続けながら、できるだけ物価の上上を避けるような態度をとつて参りたいということでありますので、やはり我々も下がらせたい。下げて行きたい。そういう努力が今までの例えば昨年の九月以降、或いは今後とも段々下がるであろうと考えまするし、下がるような方向にもつて行きたい。こういうことでございます。
#107
○木村禧八郎君 それで問題になりますのは、政府はそうしますと物価は安定させるのではなくて、まあ上げてというと語弊がありますけれども、物価を下げて行く。そういうような方針で進められるわけですか。
#108
○国務大臣(青木孝義君) 決して何処までも下げるということではございませんが、その他の関係もございますので、ただ下げるとのみ申上げておるのではない。私の言葉が足りなかつたと思いますが、我々の希望として物価の安定ということ、その他の諸要素における安定という線を確実に、できるだけ確実に支持して行きたいという方向でございます。
#109
○木村禧八郎君 デイス・インフレということは、インフレは止めるがデフレにしない、こういうことだと思います。そういうことについてならば物価を騰貴はせんが、それが急速に下がつて行くことはやはりせん。こういう意味だと思うのです。併しこのままの状態ですと、物価は相当下がるような傾向にあり、而も物価庁で算出されたところによりますと、これは日本経済新聞の二月十日の新聞に出ておつたのですが、給與ベースを維持した場合、現在の六千三百七円給與ベースを維持した場合において消費財は一割下がる。そういう見通しである。更に又人事院勧告に基いて給與ベースを七千八百七十七円に引上げ、民間の給與を九千百円と見た場合には、消費財は七%下る、実効物価指数においてこういう調査があるのでありますが、大体こういう調査が安本長官としてお認めになるわけでございますか。
#110
○国務大臣(青木孝義君) そういうものが「日本経済」に出ておつたかと記憶いたしておりますが、それはまだ私共のところでは研究の段階にございますので、責任をもつて発表いたしたものではございません。さよう御了承願いたいと思います。
#111
○木村禧八郎君 併しながらこれは研究段階かも知れませんが、大体において、じやあ物価は低落の傾向にある。また先程もなるべく物価は下げて行きたいというようなお話であつたのですが、物価の見通しについてはそういうふうに了承してよろしいのですか。
#112
○国務大臣(青木孝義君) 我々はあくまでも安定ということに目標を置いておりますけれども、物価の点につきまして一面我々は実質所得を高める、こういうような意味もございますので、それに殊に自由物価だけ統制から解かれたものも相当数に上つて参つておる現状でありますので、おつしやるようにこの下り気味な、いわゆる物価は下つて行くような傾向にあるということは認めることができると思います。従つてそこでどこまで下つてもそれでよろしいのだということでは勿論ございませんが、なるべく安定した状況を維持して参りたいというふうな考えですということを申上げておきます。
#113
○木村禧八郎君 そこがはつきりしないのですが、なるべく下降の方向に行き、下つて欲しいか、安定して欲しい、併しそれはおかしいと思うのです。どうして安本長官はそうお答えになるかと推測すれば要するに予算編成のとき、予算編成の條件として物価は横逼いであるというよりも、寧ろパリテイを見ると多少上り気味になつておる。パリテイ指数は、大体物価は今後下り気味だというお話であります。どこまでも……。無論程度問題ですけれどもデイスインフレ、デイスインフレというときは、物価は下り気味になればその物価は下らないような方策を採られるべきだと思う。物価が今後あまり下降の状態を示せば政府がその物価をあまり下げさせない方策をお採りになるかどうか。
#114
○国務大臣(青木孝義君) これは現実の問題と睨み合わせまして、個々の価格につきましてはそういうものがだんだん数が多くなり物価全体としては、そう極端に下つておるという状況もないと思いますので、やはりその間はそれらの点について生産が上つて来て、適当に安定性を持つて来るというような点を中心として今のところ考えておりますが、どれがどれだけだという個々の価格が極端にそれが下つたというようなものもそれにはございましよう。御承知の通り物価全体として見る場合においてはある一つの傾向を示しておりますけれども、価格という点から考えますれば、個々の価格の点から考えて見なければならん問題もあると思いますので、私としてはまずデイスインフレという線を維持するということを申述べておりますので、やはり安定ということを目指して進めて行くとこう申上げる外はないと存じます。
#115
○木村禧八郎君 その御趣旨はこの前の国会当りからも、すでに常にデイス・インフレにしたいという御趣旨はよく分つておるのであります。
 それからそういう方針で行きたい、ところがそれは実際は物価は下り、生産もアブノーマルであるけれども多少上つておる、そういうデフレの線にはつきりと来ておるのであります。ですから問題なのは政府は物価をデイス・インフレになれば物価を安定させることがデイス・インフレである、それをもつと下がる方向に持つて行くような方針を取つておられるようなんです。例えばこれは池田大蔵大臣などか為替相場が三百六十円でも円安過ぎると思つておる、三百三十円ぐらいにしたい、それが政府の方針である、そういうことが理想であるということを言つておる。これは明らかに低物価政策、もつと物価を下げようとそういう方向にあるかと思うのであります。そうすると予算を見ると、政府は低物価政策、もつと物価を下げて行く考えである、それであるのに予算の方は、寧ろ予算の積算のベースは寧ろ上り気味の予算を作つて、そこで今後の物価をどういうふうにお考えになるかということは非常に重要であるし、それから物価がそういうふうに下つて行つた場合、予算を又組替えるということも問題になつて来ると思うのであります。そういう意味で政府の物価政策、又その目標、こういうものについてはつきりとお伺いしたいのであります。ただ安定さしたい、安定さしたいというだけで分らないのであつて、若しその安定さしたいという政策を取られるならば、物価が今後一割、二割というふうに下つて行つたらば、その物価の低落する物価を食い止める政策をお取りになるか、一割、二割ぐらいの低落であるならば、そのまま放つて置かれるかどうか、その点お伺いしたいのであります。
#116
○国務大臣(青木孝義君) これはなかなかむずかしい問題で、今のところ現況から考えますれば、程度の問題だというふうに考えますが、勿論二十五年度の予算ということになりますれば、御承知の通り予め或る時期を基礎とする、例えば昨年の十月なり、十一月、そういう時期を基礎とするとかいうようなことになつておりまするので、多少の違いというか、或いは変化というか、変動というか、そういうこともありましようけれども、併し今のところ若し物価が下つたらば、或いは下り過ぎたらばというような前提を以ての御質問のようでありまするが、別に今のところ予算を組替えるというような考えを持つておるわけではないのでございまして、恐らく今期国会におきまして、予算が通過いたしますれば、その通過したもので当然参るのでありまして、今のところ別にそういうことを予想をして今年度内に予算の編成替をするというようなことまで考えておりませんので、ここで今からお答えをするというわけにも参りません。
#117
○木村禧八郎君 この物価の問題を非常にしつこくお尋ねするのでありますが、併しこれは今後の経済政策全般の基礎として非常に重要だと思いますので、今後物価が相当低落して行くと思われますのでしつこくお伺いしておるのでありますが、さようなそういうような前のインフレ時代と違つて、今後有効需要を基にしてそうして物価が決つて行くように、例えば賃金を上げた場合、給與を上げた場合、それが物価に及ぼす影響はこれまでと非常に違うと思いますが、よく賃金と物価の悪循環といいますけれども、インフレ時代の悪循環というものと、最近のデイス・インフレ時代の悪循環というものとは非常に違うと思うのでありますが、安本長官は給與、仮に人事院勧告程度に給與を上げた場合、これは悪循環するというこういうふうにお考えですか。賃金と物価の悪循環の問題についてこれまでのようなインフレの時代と現在とは同じである、そういうふうにお考えになるかどうか。
#118
○国務大臣(青木孝義君) 日本の現在の経済状況ということから考えまして、インフレ的要素というものは全然なくなつたかどうか、こういう問題も尚問題として残つておると思うのであります。従いまして我々は一応安定の軌道に乘つたと申しておりますけれども、インフレは尚警戒をいたしておるのであります。従つてそういう観点からいろいろな要素の問題がございましようが、賃金ベースを引上げるということになつたらば、直ちに賃金と物価の悪循環が起るかどうか、これも実行してみなければ分らん、こういうこともあろうかと思いますが、併し一応そういう問題も考えて置かなければならんと思いますので、尚それもこの悪循環の一つの要素にはなるとはつきり私は考えておる次第でございます。
#119
○木村禧八郎君 そうしますとまあ非常に見解が違うのですが、一体インフレ要因があるというのはどういうところにあるのですか。まだ残つている……。
#120
○国務大臣(青木孝義君) これはやはり結局、論理で行けば意見相違といつたようなことになるのを実は惧れるのでありますが、事実現在この状況で若しどんどん直接投資というようなものを、困るからといつてやるということができて、先ず行なつたという場合におきましては、仮にそういうことにすれば、又そこで全体のバランスがとれなければ、やはりインフレの要因ともなる。今のところ相当に、あなたもさつきおつしやいましたと思いますが、中小企業等の問題から考えて見てデフレであるということになる。そういうことから考えてみましても、やはりそういうことは言い得られると思うのであります。それが全部が全部とは私は申上げるのではありませんが、やはりそういうことは考えて置かなければならん。
 それから又賃金ベース等の問題についても、これを上げても差支えがないという実証は別に私は特に挙げられてもおらんとこう思うのでありますが、仮にこれだけ上げれば四百五十億なり、或いは六百億の予算を見積らなければならん。その上げ方によつて……。そういうことになればそれだけの影響はやはり当然あるということを考えなければなりませんので、私としては先程申しましたように、それも一つの要素として考えなければならんだろうとこう申したのであります。
#121
○木村禧八郎君 この点はですね、これまで政府が給與ベースが上げられない、上げない一つの理由として、いわゆるインフレ要因が残つているが、上げると消費インフレが起るとそういうふうに言つておりますが、これは安本長官はインフレという言葉を濫用しておると思うのです。インフレと価格騰貴とは違うのです。これはよく御存じだと思うのです。いわゆる給與ベースを上げて消費財に対する需要が起つたとき、そこに価格騰貴は起ります。併しながらそれを国の赤字公債にしないで、いわゆるバランスト・バジエツトの範囲内でやつたらインフレは起りつこないと思う。インフレというのは結局紙幣の減価です。政府が赤字公債を出して、日本銀行から追加購買力が出た場合にインフレーシヨンが起るのであつて、給與ベースを上げて価格騰貴が起つた場合はそれはインフレーシヨンではない、所得の分配の変化が起るだけで、それはただ価格騰貴にすぎない。それが悪循環するのは通貨信用で不換紙幣ができて来たからであつて、価格騰貴とインフレーシヨンを混同し、それで給與ベースを上げない一つの根拠として、ドツジさんの言つたことを一つ覚えに、直ぐ消費インフレが起ると言われるが、ドツジさんの消費インフレというのはこれは分析しなければならんと思うのですが、そういうものはインフレと解釈すべきでない、価格騰貴だと思う。価格騰貴とインフレとは私は違うと思うのですが、この点は非常に重要な問題だと思う。これが大勢の官吏の給與を上げさせない一つの有力な理由になつている。この点は理論的にもはつきりさせるように、もつと納得させるように、消費インフレとかそれから物価と賃金の悪循環、その要因が残つているということは、これはもつと理論的にはつきりさせなければならん。価格騰貴とインフレーシヨンとは私は違うと思うのですが、その点安本長官のはつきりした理論的に割切つた御答弁を願いたいのです。
#122
○国務大臣(青木孝義君) これはインフレーシヨンに対する一つの考え方、殊に木村さんもインフレーシヨンについてはいろいろお書きになつたものもございますので、我々も多少ながら承知をいたしておりますが、そういう問題になつて、理論的にかくかくである、こういうことの議論は勿論十分これは遂げなければならんということもございましよう。併しながら現在我々が日本の経済のおもむく方向というものから考えて見まして、昨年から今年にかけて一ドル対三百六十円という為替レートが決まつて、これを維持し、尚経済の変動を避けて安定の軌道に乗せて行きたい、こういう我々の念願とその方策からは、やはり今おつしやるような賃金ベース等の問題についても、一応今申上げましたような我々の立場から、やはり悪循環の一つの要素として考えておる。こういうような考え方に、やはりあなたが何とおつしやいましても、やはりそこには変りはございません。(笑声)
#123
○木村禧八郎君 どうもやはりそこはもう少し何ですか、世間に通用するような議論の仕方をして頂きたいと思う。あなたが何とおつしやつてもというのでは、これはいけないのであつて、木村の言う根拠はこういう点において理論的に間違つている、実際的にも間違つている、こういうふうにおつしやつて下されば了承します。あなたが何と言つてもというような言い方は、これは青木安本長官に似合わしからぬ御答弁だと思うのですが、(「異議なし」と呼ぶ者あり)これは非常に重要な問題なのです。多くの官公吏或いは又景気政策としても今後重要だと思うのです。それはあの悪循環論に囚われて、それで給與ベースを改討しないで、ますます一般大衆購買力を乏しくさせて行くことによつて、そうして景気はますますデフレの方向に行つてしまつて、いわゆる資金のみが蓄積されて、非常な不均衡な経済がやつて来ると思うのです。そういう意味においてもこのいわゆる消費インフレのこういう間違つた考え方は止めなければいけないと思うのです。インフレーシヨンという問題についてもう少し……何で理論的に研究するかといえば、それが具体的に理論を実践に移して、それがうまく均衡をとつて経済を運行して行くためにいろいろ研究するのですから、單に遊戯のためにやつているのではないのです。そういうようにやはり議論というものも相当私は重要視すベきだと思うのです。そういう意味で安本長官の御答弁については非常に不満です。併し何と言おうともそうだと言うのでは議論になりますから止めます。それから、時間はどうですか。
#124
○理事(田村文吉君) 本会議がございますから、又あとで……。
#125
○木村禧八郎君 それではいろいろまだ御質問申上げたいことがあるのですが、殊に予算編成の基礎になつた問題について十分にお伺いしたいと思うのですが、時間がございませんから……。
#126
○理事(田村文吉君) それでは本日はこれで散会いたします。
   午後三時四十九分散会
 出席者は左の通り。
   理事
           田村 文吉君
           寺尾  博君
           岩間 正男君
           木村禧八郎君
           岩男 仁藏君
   委員
           岩崎正三郎君
           木下 源吾君
           和田 博雄君
           羽生 三七君
           森下 政一君
           岡崎 真一君
           平岡 市三君
           深水 六郎君
           小林 勝馬君
           鈴木 順一君
           深川タマヱ君
           赤木 正雄君
           飯田精太郎君
           井上なつゑ君
           西郷吉之助君
           伊達源一郎君
           藤野 繁雄君
           松村眞一郎君
           川上  嘉君
           小川 友三君
  国務大臣
   国 務 大 臣 青木 孝義君
  政府委員
   大蔵事務官
   (主計局長)  河野 一之君
   経済安定事務官
   (経済安定本部
   総裁官房次長) 河野 通一君
   経済安定事務官
   (経済安定本部
   総裁官房企画課
   長)      松尾 金藏君
   経済安定事務官
   (生産局次長) 前谷 重夫君
   経済安定事務官
   (動力局長)  増岡 尚士君
   経済安定事務官
   (財政金融局次
   長)      西原 直廉君
   経済安定事務官
   (建設交通局次
   長)      今泉 兼寛君
ソース: 国立国会図書館
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