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#1
第093回国会 地方行政委員会 第6号
昭和五十五年十一月二十七日(木曜日)
   午後一時三十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀長 友義君
    理 事
                金井 元彦君
                熊谷  弘君
                佐藤 三吾君
                伊藤 郁男君
    委 員
                岩上 二郎君
                加藤 武徳君
                後藤 正夫君
                名尾 良孝君
                鍋島 直紹君
                原 文兵衛君
                福田 宏一君
                小山 一平君
                志苫  裕君
                丸谷 金保君
                和泉 照雄君
                大川 清幸君
                神谷信之助君
                美濃部亮吉君
   国務大臣
       自 治 大 臣  石破 二朗君
   政府委員
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       自治省行政局公
       務員部長     宮尾  盤君
       消防庁次長    鹿児島重治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       厚生省環境衛生
       局水道環境部環
       境整備課長    杉戸 大作君
       労働省労働基準
       局安全衛生部計
       画課長      山田 正美君
   参考人
       地方公務員災害
       補償基金理事長  芦田 一良君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査
 (防火管理に関する件)
○参考人出席要求に関する件
○地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害
 補償等共済基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○産休補助教員の年金に関する請願(第二七二
 号)
○後進地域に係る特殊土じよう地帯の急傾斜地崩
 壊防止事業の促進に関する請願(第三三八号)
○高校増設のため地方税財政制度改善に関する請
 願(第一六五四号外五件)
○特別区の自治権拡充・財政権確立に関する請願
 (第二四二六号)
○継続調査要求に関する件
○閉会中の委員派遣に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀長友義君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、地方行政の改革に関する調査を議題といたします。
 この際、消防庁から発言を求められておりますので、これを許します。鹿児島消防庁次長。
#3
○政府委員(鹿児島重治君) 先般の伊藤委員の御質問に対しまして、御質問の趣旨を取り違えておりました。改めて答弁を申し上げたいと思います。
 消防庁の防火管理責任者につきましては、総務課長がこれに当たりますが、所轄の消防署に対する届け出をいたしておりませんでした。まことに不明の至りでございまして、私ども、深く反省をいたしております。
#4
○委員長(亀長友義君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(亀長友義君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、地方公務員災害補償基金理事長芦田一良君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(亀長友義君) 次に、地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明につきましては、すでに前回の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○佐藤三吾君 まず、公務災害の実態が、七五年を転機に非常に上昇しておるというふうに各数字が出ております。これは、財政危機が唱えられたときでありますし、同時にまた、そのことで合理化が進められた中で各自治体に起こった一つの特徴的な現象じゃないかと、こういうふうに私どもは判断しておるのですが、これについてどういうふうに受けとめておりますか。
 それから、特に死亡、重傷という重大災害が多発しておるわけですね。八月十四日に名古屋で水道のバルブを調査中に二名の事故死と一名の重傷、翌十五日に今度は岐阜のロープの降下中に消防職員が転落、重傷しておる。さらに、その翌日の十六日には静岡の地下爆発で消防職員を四名含んで九名が死亡しておる。また、明けて九月の四日には彦根の清掃センターで五名死亡する。さらに十二日には神奈川で、これは民間でありますが、下請でありますけれども、いわゆる汚水浄化槽の酸欠死亡が一名発生しておる。十九日では今度は長野でごみピットの酸欠で一名死亡しておる。さらに十八日は西宮市でごみ収集車が爆発して三名が負傷しておる。次々に消防、清掃関係で事故死が発生しておるわけです。この概要をどういうふうにとらえておるのか、まず自治省、消防庁、労働省、厚生省の御意見を承っておきます。
#9
○政府委員(宮尾盤君) 公務災害の発生件数等でございますが、公務災害認定件数によりまして申し上げますと、昭和四十三年――少し時点が古いのですが、この時点では三万七千件公務災害認定を行っております。それが昭和五十年の段階では三万一千六百九件でございます。それから五十一年が三万二千十六件、五十二年三万二千二百二十七件、五十三年三万二千二百十件、五十四年が三万二千五百三十二件と、こういった状況になっております。
 この中で、公務災害によって死亡した件数を同じ年度で拾ってみますと、四十三年の時点では百八十件でございます。五十年が百四十一件、五十一年百二十八件、五十二年百十一件、五十三年百十五件、五十四年七十九件、こういった状況になつておりまして、この数字から見ますと、全体としてはほぼ同じような認定件数で推移をしておるというふうに、私ども考えておるわけでございます。
 ただ、いまいろいろな事例を挙げられましたような、私どもとしては、公務災害というような事例ができるだけ少なくなるように努力していかなければならないわけでございまして、そういった面から安全衛生上の問題等についても真剣に取り組んでいかなければならないと、こういうふうに考えておるわけでございますが、状況はいまのような状況でございます。
#10
○政府委員(鹿児島重治君) 最近におきます消防職・団員の大きな事故といたしましては、お話しがございました、八月十六日の静岡市のゴールデン地下街のガス爆発によりまして、死者が全部で十五名出ておりますが、そのうち、消防職員四名、団員一名殉職者を出しております。また、負傷二百二十二名のうち、消防職員が二十八名、消防団員二名という状況になっております。
 それから、八月十五日の岐阜県の加茂消防組合の事故でございますが、訓練中に事故が発生いたしまして、二名がそれぞれ全治二カ月あるいは全治一カ月の重傷を負っているという報告を受けております。
 それから三番目は、九月四日に彦根市でごみ焼却場のマンホールで事故が発生いたしまして、救出に赴きました消防職員がガスのために一時人事不省に陥ったという報告を受けております。
#11
○説明員(杉戸大作君) 先生御指摘のように、最近水道事業、それから清掃事業で酸欠等によりますそういう人身事故等が多発いたしております。人身事故につきましては、愛知県におきます水道関係の事故、それから福島県、滋賀県、神奈川県、長野県におきます清掃事業関係の事故、合計五件、ことしになって発生いたしておりまして、水道事業におきましては二名、それから清掃事業におきましては七名、合計九名の方が死亡いたしております。
#12
○説明員(山田正美君) お答えを申し上げます。
 労働災害のうち、死亡災害、これは長期的に見ますと減少の傾向にはあるものの、依然として数多くの災害が発生しておりまして、特に先ほど来お話しがありますような種類の災害、そういうものが起きて労働者が死亡しております。
 こういう点につきましては、私どもといたしましては、死亡災害というのは労働災害の中でも特に問題のある災害であるということは当然でございまして、こういうような事態が起きる前あるいは起きた後におきましても、できるだけ死亡災害というものを防止するために努力を従来からしてまいっておるわけですが、今後とも、そういうことにつきまして一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#13
○佐藤三吾君 公務員部長、さっきの消防の取り消しというか訂正文じゃございませんがね、あなたそういう説明をするから問題があるんだよ。四十三年に三万七千あったのが五十年には三万一千何ぼだと、こういう説明をすると、ずいぶん減ったなと、こう皆さんお聞きになると思うんです。ところがそうじゃないんでしょう。四十三年に三万七千あったのが四十五年に三万五千に減り、そうしてその次にまたずっと減ってきて、七四年には三万二千三百まで減って、七五年には三万一千六百まで減っておった。それが七六年からまた上がり始めた、そういうことじゃないですか、この数字は。ですからその事実を私はとらえていま言っておるわけだ。この十年間の数字を見ると、七五年に三万一千六百まで減ったのがどうして三万二千何ぼになり、三万二千からずっと上がってきておるのかと、事件数がですね。この問題は一体どうとらえておるのかということを聞いておるわけだ、あなたの方に。いまあなたの答弁から見ると、むしろ減少しておるのだ、だから何も問題ないというような答弁に聞こえるんですよ。そういうふうにとらえていいんですか、この事実を。それが一つ。
 それから、私が質問したのは、こういう事件が次々に起こってきておる。事件の実態をいま報告いただいたんですが、それに対してどういうふうに対処してどういうふうに考えておるのか、ここを聞いているわけです。各省庁には。
#14
○政府委員(宮尾盤君) 先ほど数字を申し上げましたのは、決して数が非常に減っているということを申し上げているわけではございませんで、四十三年の時点では三万七千件、それが昭和四十年代には三万七千、五千あるいは三万二、三千ということで若干減り傾向で推移をしまして、五十一年に三万二千件、それから若干上がり傾向に数字としてはあります。
 ただ、これをどういうふうに見るかという見方の問題が一つございまして、たとえば、職員千人当たりの認定件数というところで見ますと、職員数はこの間に若干ずつふえておる傾向がありますので、その職員千人当たりの認定件数を、少し細かくなりますが申し上げてみますと、四十三年の時点では千人に対して一五・六件でございます。それが四十年代には千人に対して十一人あるいは十二人くらいのところまで落ち込みまして、昭和五十年で一〇・七、五十一年が同じく一〇・七、五十二年が一〇・六、五十三年が一〇・四、五十四年が一〇・三と、余り大きな変化はありませんが、千人当たりで見ますと、若干ではあるけれども落ち込んでいるという状況にあります。
 ただ、私も先ほど申し上げましたように、公務災害認定件数が総体の数として相当まだあるということと、この中に死亡件数も、これは減ってきてはおりますが、痛ましい公務災害による死亡事故というものが相変わらずある。こういうことはできるだけ少なくする努力をしていかなければならないというふうに私ども基本的に考えておるわけでございまして、そういう意味で安全衛生面での管理というものをそれぞれの地方公共団体においてしっかりやっていただきたいと、こういうことをかねがね指導してきておりますし、今後もそういう方向で努力をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#15
○佐藤三吾君 消防庁どうですか。
#16
○政府委員(鹿児島重治君) 消防職・団員の安全の確保につきましては、一般的に、装備を充実いたしましてその安全を図るということがもちろん基本でございますが、先般来のガス爆発でありますとか、あるいは彦根の事故でございますとか、特殊な事故が最近相次いで起きておるわけでございます。
 ガス爆発の事故に対する消防戦術のあり方につきましては、現在消防の専門家を集めまして警防戦術のための研究会を開催いたしております。この研究会の結論が間近くこれは出ることになりますので、これに基づきまして警戒区域の設定の仕方でございますとか、あるいは実際に出動した場合の車両の配置のあり方でございますとか、あるいはガスを元栓を締めるということでございますとか、そういうことにつきまして具体的に地方公共団体に連絡をいたしたいというぐあいに考えております。
 それから、彦根のマンホールの事故でありますけれども、これは一般に救助操法の問題になろうかと思いますが、「救助操法の基準」に基づきまして、立て坑におります場合の基準も定めてございます。ただ、彦根の事故の場合には私ども受けております報告によりますと、現場にたまたま調査に出かけておりました消防職員が、見るに見かねまして穴の中に入りまして酸欠で倒れたというぐあいに聞いております。
#17
○説明員(杉戸大作君) お答えいたします。
 厚生省におきましては、安全対策につきまして、施設面とそれから維持管理面につきましてこれまで対策を講じてきたわけでございます。
 施設につきましては施設構造指針を設けまして、その中で、新設する場合の安全対策とそれから維持管理面につきましては保守点検の手引きを作成いたしまして指導してまいったのでございますが、今回非常に事故が続発いたしたことにかんがみまして、これから厚生省では事業所管官庁としまして労働災害の発生が生じないように、労働安全衛生面のそういう労働省の所要の規制あるいは指導に合わせまして、厚生省といたしましてもこの指導を徹底してまいりたいと思っております。
#18
○説明員(山田正美君) 先ほど申し上げましたように、労働省といたしましては労働災害の防止に日ごろから取り組んでおるわけでございますけれども、最近その労働災害がなかなかそう思うように減らないというようなこともありまして、つい最近ですけれども、年度の途中ではありますが、年末あるいは年度末を控えまして労働災害の発生というものを防止するために特に通達を下部機関に出す、あるいは業界団体等にもそういうような要請を出しまして、それからさらに緊急の都道府県の労働基準局長会議を招集いたしまして、直接、大臣を初め幹部の方から労働災害の防止の強化につきまして指示を行い、いろいろと方策を講じているところでございます。
 それから、酸素欠乏症等の問題につきましては、このように続発をしているというようなことから、この問題につきましても改めて留意事項等を含めましてさらに対策を強化するよう指示したところでございます。
#19
○佐藤三吾君 いま、それぞれ各省の対応について聞いたんですが、これは直接いま起こっている事件というのは、ほとんど労働省の監督的なところですわね。労働安全衛生法の適用に基づいて労働省が、労働基準監督官が監督するところとかね。ところが、地方自治体の実態を見ると、そういうところよりたとえば任命権者に監督権を委任しておる市町村、それから人事委員会が監督、査察をする都道府県、地方公務員の場合には複雑多岐に分かれておるわけですけれども、そういうところはなおさら問題が多い。私は、その典型的なのが、一つはいま挙げた事例の中で言えば彦根の場合だと思うんですね。
 彦根の場合には、安全衛生法に基づく安全管理者、衛生管理者それから産業医、そういうのが選任されていなかった。さらにまた、安全委員会、衛生委員会が、設置が義務づけられておりながら指定されていなかった。まあ安全についてはまさに無防備状態にあったんです。したがってこういう事故が起こったわけでありますが、これは労働省が現地に入って調査をしておるようですから、その実態が一体どういう実態にあるのか。まず、実態とあわせてどういう対応措置をとっておるのか。そのことについてひとつ見解を聞きたいと思います。
#20
○説明員(山田正美君) 御質問のありました事件の処理の問題ですけれども、これにつきましては、私ども現地の労働基準局あるいは監督署と合同で災害調査を実施をいたしまして、原因究明に当たっております。
 それで、このケースにつきましては、最初、酸欠事故というような報道もありましたし、そういう調査もしたわけですけれども、目下のところこれは推定で、調査の途中ですので確たることは申し上げられませんけれども、硫化水素による中毒というふうに推定をいたしております。
 この問題につきまして、いまお話しのありました、こういう災害が起きないように事業者としてはいろいろな措置を要するわけですけれども、たとえば作業主任者の問題であるとか、いろいろ測定をするというような問題、あるいは保護具等を備えつける、あるいは特別教育を行う、いろいろ問題点があろうかと思いますけれども、そういう問題について私ども検討をいたしまして、いろいろと問題が出ておるというふうに聞いております。
 本件については、具体的に刑事事件と申しましょうか、目下調査中ということでございますので、この詳しい内容についてはちょっと差し控えさせていただきますけれども、同種類の事故というものが再発するということをやはり考えまして、同様な作業場につきまして、現地の局といたしましては一斉にこれを調査をし、必要な是正をさせるというような措置をとっております。
#21
○佐藤三吾君 刑事事件にもなっておりますから、後ほど警察からも事情を聞きますが、どういう点が労働安全衛生法上違反しておるのか、具体的にあなたがとらえておる点をひとつここでお聞きしたいと思うんです。
#22
○説明員(山田正美君) この問題につきましては、現在調査をしておりますので余り確たるお話しはできないので、その辺は御了承いただきたいのですが、特定化学物質等障害予防規則という規則がありまして、硫化水素というようなそういう有害物が出るような個所につきまして、たとえばその作業の方法あるいは順序を決定する必要があるとか、それから指揮者を選任する問題であるとか、そういう有害物が出た場合に換気を徹底するとか、いろいろな規定がございます。それで、調査をしないと、そのうちどれがどういうふうにかぶってきたかということについてはちょっといまのところわからないわけですが、そういうようなことを中心に現在調査を進めておるという段階でございます。
#23
○佐藤三吾君 労働安全衛生法の中ではそれだけですか。安全衛生法上設置しなきゃならぬ、義務づけられている分があるでしょう。そういった問題はどうなっていますか。
#24
○説明員(山田正美君) たとえば作業主任者でありますとか、安全関係の、先ほど委員会とお話しがありましたけれども、そういうような委員会を設けるとか、そういうようなことにつきまして欠けていたというふうに理解をしております。
#25
○佐藤三吾君 何点ですか、安全衛生法違反は。
#26
○説明員(山田正美君) これがすべてであるというふうに申し上げるわけにいかないと思いますが、たとえば安全衛生法の関係で衛生管理者を設けなければいけないという問題、それから、いまちょっと申し上げました安全委員会あるいは衛生委員会というものを設置しなければいけないという問題、これが安全衛生法の関係で、私が申し上げた以外にそういう点が現在検討されております。
#27
○佐藤三吾君 ここは衛生委員会、衛生管理者だけでいいんですか、六十五名従業員のおるところで。どうなんですか。
#28
○説明員(山田正美君) 五十名以上でございますし、清掃業でございますので、たとえば安全委員会をつくる、それから衛生関係では衛生委員会を設置するということは法律上の義務になっております。
#29
○佐藤三吾君 そうすれば、言うならば安全衛生法の中で強調されて義務づけられている部分がほとんど守られていなかった、やられていなかったと、そういうふうに理解していいんじゃないですか。何か守っていたところがあるんですか。
#30
○説明員(山田正美君) 安全衛生法をとらえましてその一々についてどれを守っていたかどうかということまでちょっと私、いまお答えしかねるわけですけれども、労働安全衛生法の守るべき事項のうち、基本的なことが確かに欠けていたということは言うてよろしいかと思います。
#31
○佐藤三吾君 そういう責任は、法律上どこにあるんですか。
#32
○説明員(山田正美君) 安全衛生法の体系といたしましては、これは、事業者は何々させるというような表現をとっておりまして、あるいは事業者は何々を行うと。ですから、基本的には事業者責任ということになります。
 問題は、事業者責任ということなんですけれども、同時に、事業者のために行為をする人、そういう人の行為がどういうものであったかということをあわせてとらえながら、その法律の遵守について追及をするというふうになっております。
#33
○佐藤三吾君 警察来ていますか。――この事件、警察も現地に入って捜査に入っておるわけですが、いままでの状況をちょっと報告してください。
#34
○政府委員(中平和水君) まず、事件の概要ですが、ことしの九月の四日の午前十時四十五分ごろに、彦根市にあります彦根市清掃センターごみ焼却場汚水処理室におきまして、中和凝集沈澱槽というのがありまして、ここから第一汚水槽に通じる配水管の点検のために、同清掃センターの施設の係員であります岸田宣夫二十一歳が第一汚水槽のふたをあけまして、はしごを利用して内部に入ったところ、倒れましたので、同じ場所で作業中の馬場康次二十九歳、江畑耕二二十一歳、荒尾茂五十六歳、杉本幸弘二十三歳、これが岸田を救出するために順次槽内に入って、全員倒れたと、こういうことでございます。
 倒れた五名につきましては、清掃センター事務所からの通報によりまして事故を認知した彦根市の消防本部の救助隊によって同日の午前十一時七分から四十八分の間に彦根市立病院及び彦根中央病院に収容されたわけでありますが、搬送の時点ですでに死亡しておったということでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては事故の特殊性並びに重大性にかんがみまして、直ちに県警の刑事部の幹部が現地に行きますと同時に、この原因の究明、刑事責任の有無について捜査を遂げるために関係者からの事情の聴取、それから現場の検証、鑑定の実施、遺体の解剖――一体解剖しておりますが――等の捜査方針を樹立いたしまして、現在捜査を推進中でございます。これまでに事故の関係者四十二名から事情を聴取しております。
 それから、死因の究明のための遺体を滋賀医科大学で解剖いたしておりますが、これはまだ最終的に確定いたしておりませんが、中間結果では、硫化水素中毒死の現象が著名である。それから、あと外部の研究機関に対しまして、事故の汚水槽の酸欠の状態及び有毒ガスの発生状態を調査するために現在鑑定の嘱託を行っております。
 そういうことで、事故原因の究明並びに刑事責任の有無等について現在鋭意捜査中である、こういうことでございます。
#35
○佐藤三吾君 いま、捜査の進行中のときで、なかなかここで報告できない部分もあると思うんですけれども、私がちょっと聞いたのでは、言うなら、亡くなった五人のいわゆる係長ですかね、そこに最大の焦点をしぼっておるというようなことを聞いておるんですが、それは事実ですか。
#36
○政府委員(中平和水君) この種の事件の真相の究明につきましては、これはどの事件の捜査でもそうでございますが、その人たちの直接の上司からだんだんに上に上っていくわけでございます。もっとも、この事件につきましては、先ほど労働省の方から話がありましたように、労働災害という観点からもいろいろ問題があるわけでございます。したがいまして、この部門については地元の労働基準監督署でございますか、こちらの方で一応調査をやっておるようでございますが、私どもといたしましては、そうした全体の労働安全管理の問題でどういうふうな問題があったか、つまり、そうした管理上の責任の問題を踏まえつつ、具体的な刑事責任の所在の有無につきましては逐次上司の方に上って事情を聞いておると、そういう状況でございます。
#37
○佐藤三吾君 これは私もできれば来月調査に入ってみたいと思うんですけれども、ちょっと気にかかるのは、先日の北陸トンネルの裁判の結果が出ましたですね。確かに機関士と車掌については無罪という判決が出ている。それは私は結構だと思うんですが、問題は、この七百名近い人命被害が、その責任が不明確に終わってしまった。あの経緯を見ると、警察の場合には、国鉄の責任者まで対象に広げていましたですね、起訴の対象に。ところが、検事が立証責任が持てないということで、国鉄の管理当局を外して、そして二人にしぼった結果が裁判の結果はああいう無罪という結果になって、私は遺族の皆さんから見ても割り切れないと思うんですよね、責任が問われないということになるわけですから。やはり、いま労働省の報告を聞きましても、労働安全衛生法上の責任というのは事業者ですしね。だから、事業者がきちっとしないところに今日事故が次々に起こってきておるというふうに見るのがこれは妥当だと思うわけです。しかも、安全衛生法の諸事項を見るとほとんど実施されていない。そういう点は、またいい例が北陸トンネルが出ておるわけですから、そこら辺はひとつ今後の捜査の中では、一番の責任ある者をきちんと処罰するなり明確にするということが大事だと思うので、これはまあ蛇足ですけれども、私の意見というか、感想を述べておきたいと思うんです。
 この問題は、調査の後もっと問題を掘り下げてまいりたいと思いますが、ちょっとその前に聞いておきたいのは、この場合に限らず、労働省が、先ほどの報告では、局長会議を開いたり通達を出したり業者に指示をしたということを言っておりますが、四十二年ごろに、こういう清掃に関する安全要綱みたいなのを労働省出しておりますね。その要綱を見ると、いわゆる清掃の運搬車であるとか、そういうところについては細かく安全の基準というか、そういうものを明確に定めておりますが、いわゆるこういう清掃処理工場の部分については、その当時は余りなかったということもあると思うんですけれども、要綱に不十分な部分があるんじゃないですか。そこら辺の問題については一体どういうふうに見直しをしようとしておるのか。このままいこうとしておるのか。先ほど通達という一言で片づけたから中身は聞いていないんですが、そこら辺はどういうふうな対処をしておるんですか。
#38
○説明員(山田正美君) いま御指摘の通達と申しますのは、昭和四十二年の一月十七日に出ております「清掃事業における労働災害の防止について」という通達であろうかと思います。これにつきましては、御指摘のような問題点が確かにこの中にはありまして、実はその後、先ほどちょっとお話し申し上げました化学物質によります健康障害の防止のための規則でありますとか、あるいは酸欠によります災害についての防止の規則でありますとか、そういう規則の面でかなり整備をされてきております。しかし、この要綱自体はまだ生きておりますので、現在時代に沿わないものについてはさらに改善をしてまいりたいというふうに考えております。
#39
○佐藤三吾君 そうすると、先ほどあなたがおっしゃった見直し、通達を出したとか、局長会議を開いて厳重に示達したとかいうことの中には、そこら辺の問題はまだ含まれていないわけですね。
#40
○説明員(山田正美君) 先ほど申し上げました酸欠等につきまして通達を出したと申しますのは、特に酸欠の場所の認識と申しましょうか、そういうものが非常に不明確であるというところがかなり問題であるという実は基本に立ちまして、それで酸欠の関係、あるいは有害化学物質等の関係につきまして、そういう基本を見直すとともに、申し上げましたいろんな規則で決まっております条項につきまして、これを厳重に守るということを内容にした通達でございます。ですから、この「清掃事業における労働災害の防止について」という通達を総合的に見直して完全にそちらへ持ってきたということではなくて、そのうち緊急に現在指示をしたいことにつきまして指示をしたという内容になっております。
#41
○佐藤三吾君 わかりました。
 四十二年の際の通達は、関係労働者とよく打ち合わせをしてそして制定した経緯があるわけですね。今回の見直しもやっぱりそういう意味ではひとつ関係労働者とも相談をしてその意見を含めて見直しをすると、こういうことでひとつ要請しておきたいと思いますが、よろしいですか。
#42
○説明員(山田正美君) この問題につきましては、組合の方々のいろいろとお話がございます。そういう過程で私ども組合の方々ともお話し合いをしておりまして、そういう線でできるだけ進めていくというふうに考えていきたいと思います。
#43
○佐藤三吾君 それをひとつぜひお願いしておきたいと思います。
 時間がございませんから次に移りますが、これは公務員部長に聞くのが妥当かな、どこの省になるか――地方公務員関係については、労働安全衛生の場合に、法律適用、さらに監督、査察こういったものが人事委員会、労働省、任命権者と、こういうふうにまたがっておるわけですね。特に私は問題に思うのは、人事委員会というのは、率直に言って給与、承認の問題はかなり専門的に取り組んでいることは事実わかりますよ。しかし、労働安全衛生についてはほとんど対応していないと言っていいんじゃないかと思う、実際問題。それから今度は市町村については、人事委員会のない市町村については、任命権者に労働基準監督の監督権限を委任していますね。これはどういう趣旨であれ、言うなら事業者ですね。事業者に事業者の違反行為の査察を任せるということは、これは実際問題として機能するはずがない。そこでこういう問題が次々起こってくる、そういうふうに私は思うんですが、いかがですか。
#44
○政府委員(宮尾盤君) いま御質問にありましたように、地方公務員の労働安全の問題につきまして、現業は別でございますが、特に非現業については、先生のおっしゃるとおり都道府県等の場合には人事委員会が行っておりますし、それから、市町村の場合には、市町村長がみずから監督権の行使をすると、こういう形になっております。
 それで、このようになりました経緯につきましては、これは労働安全衛生に関する事項は職員の勤務条件にかかわるものだと、こういうつかまえ方をいたしまして、国家公務員につきましても人事院がこれをとり行っていると、こういうことから、地方団体の非現業職員につきましては人事委員会にその権限をゆだねると、こういうことにしておるわけでございます。で、市町村の場合には人事委員会の設置をされておりませんので、事業主であるその地方公共団体の長がみずからその監督権限を行使すると、こういうことになるわけでございますが、これはやはり地方公共団体の長がその地域における公益を代表して行政を行うと、こういう立場にあるわけでございまして、そういう観点から自主的な監督を地方公共団体の長に行わせようと、こういうふうにされたというふうに私どもは理解をしております。
 ただ、いずれにいたしましても、いまのような人事委員会あるいは地方公共団体の長が労働安全衛生について十分な監督権限というものを行使をし、職員の安全衛生について十分な配慮を加えるような措置が行われるかどうか、こういうところが一番問題の点でございまして、制度論は別としましても、その具体的な労働安全衛生体制の整備あるいは労働安全衛生を確保するための所要の措置というものを十分に講ずるように、私どもとしては今後とも指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#45
○佐藤三吾君 たとえば市役所、町村役場の中に、労働安全を担当する係なり課なり、人事委員会に労働安全を担当する係なり課なりがどのくらいございますか。
#46
○政府委員(宮尾盤君) そういう職員の労働安全衛生を担当する課とかというようなものを設けておる事例というのは、現実にはほとんどないというふうに私ども理解をしております。ただ、一般的には、たとえば都道府県庁でありますと、全体の人事管理をとり行う責任を持つ総務部の中に、総括的な業務を行う課の中にそういった責任を持たせてこういった問題を処理をさせているというのが実態であろうというふうに思っております。
#47
○佐藤三吾君 いや、私が聞いているのは、人事委員会が監督権限を持つわけでしょう。その人事委員会にそういう専任というのはほとんどないでしょう。それから、市町村の中には、労働安全衛生を監督したり、担当する専任の課なり係というのはほとんどないでしょう。そういった、いわゆる法のできた当時のその経緯はわかりますが、あなたが説明するまでもなく私も知っていますけれどもね、こういう事態が頻々と起こってくる、そしてそれが、言うならば監督権限を、労働基準監督署の監督権限というものが市町村長――事業者そのものに委託されておるという方法の結果、こういう市町村を中心に次々事件が起こってきておるこういう事態に対して、この問題のあり方に私は疑問を感ずるわけですよ。少なくとも、やっぱり非現業についてもこの際ひとつ――こういう事業者がみずからを取り締まるなんということはなかなかできるものじゃない。ですからここはひとつ、監督権限については現業と同じように労働基準監督署の権限にするとか、こういった法の見直しを検討する時期に来ておるんじゃないかと、そういうふうに私は思うので聞いておるわけですが、これは大臣、大臣としてはどういうふうにやりとりをとらえておりますか。――大臣聞いていなかった、そんなら公務員部長の答弁の後でひとつ。
#48
○政府委員(宮尾盤君) 労働安全衛生についての監督権限というものを労働基準局等に一元化をすると、それは確かに一つの制度的な議論としてはあり得る問題であるというふうに私ども考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、国家公務員についてその権限が、これらの労働基準法が適用にならないということもありまして、人事院がそういった措置を別に行っておるわけでございますが、地方公務員の場合、都道府県の場合には人事委員会にそういった権限をゆだねておりますのは、いずれにしても職員の勤務条件にかかわる問題でございますから、勤務条件全体について公正中立な立場から事務をいろいろな所要の権限を持っておる人事委員会にこれをゆだねることが適当であろうと、こういうことで立法措置をされたというふうに私ども理解をしておるわけでございます。
 ただ、そうなりますと、市町村の場合に人事委員会がありませんからその点どうかという議論、やはり立法論としての議論があるわけでございますが、この問題をどのようにしていくかということは、立法的にいろいろ研究をするということは一つあり得ると思います。その点については私どもも研究をしてみたいというふうに考えておりますが、ただ問題は、現在の体制の中でも労働安全衛生というものについてもっと効果の上がるような努力というものを現在の仕組みの中でさらにしてまいりまして、実効性の上がるような措置というものをもっと考えていく必要があるだろうというふうに私どもは当面考えておるわけでございます。そういう意味で私ども、総務部長会議等あらゆるいろいろな機会を通じまして、労働安全衛生については注意を喚起し、所要の体制整備等も十分に早く整備するようにということを指導しておるわけでございますが、いま申し上げたような方向で今後とも努力をしてまいろうと考えておる次第でございます。
#49
○佐藤三吾君 労働省にもう一つ聞きましょう。
 労働基準法の八条の適用区分がありますね。その中で、保育所は労働基準監督署の監督対象に入っていますね。ところが同じような仕事をしておる児童館、これは人事委員会の所管になっているんです。それから種苗園、種鶏場、種畜場、こういうところは監督署の所管になっている。ところが動物園、植物園、これは人事委員会の所管になっている。こういういわゆる国の縦割り行政の弊害じゃないかと思うんだけれども、もっと言うと、種苗園とか種鶏場から見ると動物園の方がもっと危険度が高いと思うんだがね、これは人事委員会になっている。こういうことに対して一体どういうふうに所管省として考えておりますか。――大臣、よう聞いておいてくださいよ。
#50
○説明員(山田正美君) お話しの点は、労働基準法の八条のこの区分によりまして、それぞれ一号から十七号まで事業が書いてございます。そのうち、十一号、十二号、十六号というのが人事委員会あるいは地方公共団体の長というような現在規定になっておるわけでございます。こういうような制度の仕組み、あるいは法律で決められた内容が適正であるかどうかということについては、ちょっと私ども行政を担当する立場といたしましては意見は差し控えさしていただきたいと思いますが、どういうようなところがそれぞれ担当するにしても、労働安全衛生法の趣旨を尊重してその適用を適正にやっていただくということが必要だろうと思いますし、私どもといたしましては、私どもに課せられた対象につきまして労働災害の防止のために全力を挙げて取り組んでまいるというふうに思っております。
#51
○佐藤三吾君 まあ課長としてはその程度の回答しかできないと私は思うんだが、これは大臣、さっきから言っておりますように、保育所が労働基準監督署の監督区分、それから同じような事業をやっている児童館ですね、これは人事委員会所管。それから、種苗園であるとか種鶏場、種畜場、こういうのは労働基準監督署。動物園、植物園は人事委員会。こういうように地方公務員の中で、いわゆる監督監査していく、査察していく機関が、法のたてまえからいきますと分かれてきておるわけです。しかも、さっきから言っておりますように、一番はなはだしいのは、その事業者の労働安全衛生が的確に行われておるかどうかを点検し――大臣いいですか――そしてそれを摘発する労働基準監督署長の業務が、これが事業者である市町村長に委託になっている。ここに今日災害が次々に起こってくる、もしくは労働安全衛生が、労働者の人命にかかわる問題が軽視をされてきておる、この現状に私はあると思うんですよ。
 立法の際の経過、いろいろあったかもしれません。しかし、もう今日のように相当な期間を置いて、そうしてこういう事実がどんどん発生してきておるという現段階の中にあって、しかも清掃などの場合は、もう率直に言って高度な近代設備に転化してきておるんですね。そういうような事例もございますが、そういう中でも、なおかつこういう人事委員会、任命権者、そして監督署という地方公務員全体を取り囲む安全衛生管理の実態では、そのこと自体が実態に合わなくなってきておると私は思うんですよ。見直す時期に来ておると思うんです。その点はいかがですか。
#52
○国務大臣(石破二朗君) お答えいたします。
 御指摘の点、検討の必要があると思いますけれども、よく調べた上でないと何とも言えませんけれども、実は国家公務員につきましても同じような問題が起こる余地があるのではなかろうかと思います。要するに、その任命権者といいますか、仕事を命ずる者が自分で安全衛生の点についての監督権も持つと、二重人格になるところに問題があるという御指摘でございますが、国家公務員についてもあるいはそういうのが起こる余地があるんではなかろうかと思います……
#53
○佐藤三吾君 国家公務員の場合にはないです。
#54
○国務大臣(石破二朗君) あるんじゃなかろうかと思うんです。よく調べます。
 そこで、労働基準法の適用のある地方公務員もあれば、適用のない地方公務員もある――職種と言った方がいいんですか――そういうふうなことでございまして、ばらばらになっておる点、御指摘のとおりあるようでありまして、ここでどれほどということは申し上げかねますけれども、何とか理屈のつくような、説明のつくような措置を必ずとります。何とかして一日も早く。ただ、そういう措置とるについて、何かまた妙なむずかしい委員会の議を経なきゃならぬとかなんとかいう法律上の制約があればこれは別でございますけれども、自治大臣の権限としてできることでありますれば、自分の考えとしましては次の通常国会には説明がつくような措置をとるつもりであります。
#55
○佐藤三吾君 ぜひひとつそこら辺を次の通常国会に期待したいと思うんです。あなたも知事をやっておっても労働安全衛生法というのは余り知らなかったでしょう。なかなかこういう問題というのは、知事をやっておる方でも頭の中に入らないぐらいの問題だと思うので、そこら辺はぜひひとつお願いしておきたいと思います。
 そこで、これは去年の国会で自治大臣と労働省に約束をいただいておるわけですが、今度の災害の実態を見ましても、飛び抜けて高いのは、清掃、警察、給食、消防が労働災害は高いんです。千人中、清掃が六十九、警察が三十二、給食が二十七、消防が三十二と、こうなっておるんです。こういう高いところについては、労働安全衛生法で、安全衛生委員会、安全管理者、衛生委員会、こういうものを設置しなきゃならぬということを義務づけられておる、法律上。その中でされていないのが警察と消防なんですよ。まあ警察の場合はともかくとしまして、消防についてはこの際ひとつ安全衛生法を改正して、その指定の中に入れるべきだと、こういう点を私がこの委員会で取り上げまして、労働省も、安全指定職場に該当する災害の実態であるという点が回答がありまして、加藤自治大臣だったと思いますが、自治大臣も労働省と相談して検討すると、こういうことになっておったんですが、その結果はどうですか。
#56
○政府委員(鹿児島重治君) 佐藤委員からそのようなお話しがございまして、当時の加藤大臣も労働省と十分協議をいたしますという御答弁を申し上げたところでございます。
 この消防職員に安全衛生法の全面的な適用をすることにつきましては、私どももいろいろ検討はいたしております。消防の任務がそもそも身を呈して火災等の災害から国民の生命、財産を守るという特殊な任務の性格を持っておりますこと。それからまた災害出動時におきまして、やはり一般の業務と違いまして死傷が多いこと等を勘案いたしまして、通常の業態と果たして同じ取り扱いをすべきかどうかという基本的な問題を議論いたしますかたわら、他方では標準的な消防本部につきまして労働災害の実態を現在把握しつつあるわけでございまして、この数字を踏まえましてさらに労働省と協議を進めてまいりたい、かように考えております。
#57
○佐藤三吾君 では、協議は進めておるわけですね。いつごろめどがつきますか。
#58
○政府委員(鹿児島重治君) 私どもは、標準的な消防本部――人口九万から十一万未満、大体標準団体でございますが、このような団体の消防本部につきまして、現在数値を取りまとめております。この数値の結果、労働災害の発生率でありますとかあるいは強度率でありますとか、こういうものを踏まえまして労働街と協議をいたしたい、かように考えております。
#59
○佐藤三吾君 めどはいつごろですか。
#60
○政府委員(鹿児島重治君) 結果が取りまとまり次第なるべく早急に数字の突き合わせをいたしてみたい、かように考えております。
#61
○佐藤三吾君 まあなかなかめどを言わぬから、また来年じゃなきゃ出てこぬということにならぬように、できれば通常国会で議論できるようにしていただきたいということを要求しておきます。
 そこで、次に職業病についてお尋ねしますが、頸肩腕症であるとか腰痛症、非災害性の腰痛症、こういうのが非常に社会福祉施設や保育所、給食調理員、消防などで発生をしておるわけですが、このほかに土木現場では振動障害、これが多発しておるようですね。給食調理員ではまた皮膚障害も出ておるわけですが、こういったものに対してどのような措置をとっておるのか。同時にまた、急性循環器系統の疾患も目立っておるわけですが、こういった点についてどういう指導、対処をしておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#62
○政府委員(宮尾盤君) 公務災害のいわゆる認定の問題でございますが、認定に当たりましては、御承知のように公務との因果関係というものがあるかないかと、こういうことが基本的な認定に当たっての判断基準でございます。そこで、そのいろいろな災害の種類によりましては、その業務とそれから疾病とが相当因果関係というものが密接に認められるということで職業病として認定をしておるものもあるわけでございまして、たとえば上半身を非常に使うタイピスト等については、その頸肩腕症の認定に当たっての職業病としての指定を行うと、こういうようなことをいたしておりますが、たとえば腰痛とかあるいは心疾患等につきましては、一般的にそういう職業病として認定されてないものについては個別の事例に即しまして当該業務とそれからその疾病とが相当因果関係というものがあるのかないのかと、こういうことを個別に認定をして、認められる者については公務災害ということで措置をしておるわけでございます。
#63
○佐藤三吾君 こういう職業病の実態が発生しておるわけですが、こういう認定の統計はこれは基金が出しおるんですか。自治省で調べて出しおるんですか、実態の報告は。いずれにしましてもこれでは非常にわかりにくいんですね。特にこの調査を見ると、職員の区分を、義務教育職員、義務教育以外の教育職員、警察、消防、ガス・水道、運輸、清掃、船員、そのほかは全部その他の職員になっておるわけですね。こういうことでなくて、あなたのところが地方団体の定数管理に関する調査というのをやっていますね、毎年自治省で。あれは四十職種ぐらいで種別にやっていますね。そのくらいに分類してできないものかどうなのか。そうすれば、大体どういう職種にどういう問題が起こってきておるかということがつかめるわけですね、実態が。そうすればそれに対する対応措置がとれるわけですけれども、そういう点が非常に定かでない。また、職業病の災害の実態を見ても、職種、役職、性別、年齢や事由、月日、所属自治体、このくらいが明らかになると、緊急にまたそういう問題の対処が可能なんですけれども、それらも明らかにされていない。それから、疾病別の調査でも、非常に要をつかみ得ないような数字の分類しか出されていない。これは統計でもそうですが、こういった問題について、もっとやはり見直しをして、そして実態がつかめるようなそういう方法はできないものかどうなのか。そうすれば、これらに対する対応ももっと進んでいくんじゃないかと思うので、その点どのように考えておるか聞いておきたいと思うんです。
 それから、特に災害の発生率の高い消防、給食、社会施設、こういうところの職種や、職業疾病の頸肩腕障害であるとか、非災害性の腰痛症、振動病、こういう発生源防止対策、こういった面に対するもっと具体的な資料というものが出せないものかどうなのか。これは要求しても、私も要求したんですが、なかなか出してこないんですね。そこまで調査ができないということでしか回答が返ってこないんですが、ここら辺について、もっと労働者の人命尊重という観点からも具体的なデータを出すべきだと思うんですが、いかがですか。
#64
○政府委員(宮尾盤君) ただいまの公務災害補償統計は、これは基金で作成をいたしておるものでございます。この統計資料は、ただいま御指摘がありました職種別あるいは疾病の種類別、こういう区分というのは、負担金率を算定するために必要がありましてこういった統計をとっておるわけでございます。
 御趣旨は、第二の御質問の方に絡んでの問題だと思いますが、たとえば公務災害というものをできるだけ少なくする、発生を少なくする、あるいは発生した公務災害に対する所要の対策を講ずるためにもう少し中身の分析を行うべきではないかと、こういう御趣旨だと思います。何といいますか、職種なり疾病なりというものが非常にたくさんありますので、どこまでそういう細かい分析ができるのか、細分をしていきますと非常に細かくなりますが、ただ、御指摘のような趣旨でのいろいろな分析等をいたしまして、今後の諸対策というものに役立てていかなきゃならぬという点は十分理解できますので、そういう点について、さらに統計分析の点についても研究をしてみたいと考えております。
#65
○佐藤三吾君 基金はどうですか。
#66
○参考人(芦田一良君) お答え申し上げます。
 ただいま公務員部長から申し上げました趣旨に同じでございまして、私どもも、これは十年以上とっておるのでございますが、確かに負担金率をはじき出すための資料ということに眼点をいままで置いておりました。しかし、いま御質問のありましたように、やはり今後の対策ということを考えますと、職場の分類、あるいはその職種の分類、そういうところまでとっていかなければ正確なデータというのがございませんので、まあ自治省とよく相談をいたしまして、そのようにできるように研究をいたしたいと、そういうふうに思っております。
#67
○佐藤三吾君 ぜひひとつお願いしておきます。
 時間がございませんから少し早口になってまいりますが、認定基準についてひとつお聞きしておきたいと思うんですが、死亡者の公務認定の問題で、長野の櫻井さん、都城の坂本さん、名古屋の松川さん、この裁判がございましたですね。いずれも基金の「公務外」というのが取り消されて、「公務災害」、こういう判決があって、これは確定をしましたですね。
 その裁判の内容、中身を見ますと、やっぱり基金の審査というのが非常に厳し過ぎるんじゃないか。とりわけ、公務と死亡との間の相当因果関係というのが、少し基金の方の審査が厳しい。もっと言うならば、超相当因果関係というぐらいな基準でやっておるんじゃないか、ここら辺はもっとやっぱり改善をする必要があるということが含まれておると思うんですが、この点、判決についてどういう判断をしておりますか。
#68
○参考人(芦田一良君) 大分古い判決でございますが、判決の内容につきましてわれわれとしましては、裁判所の言っております――全部じゃございませんが、共同原因説というのを、まあこれは緩いわけでございますが、とっておるわけでございます。ただその場合に、基金といたしましては、国公災あるいは労災と同じような認定基準の原則を持っておりますので、それによりますとやはり相当因果関係がなければ納得できないという線で来ておるわけでございます。
 そういう意味でこの判決に対してはまあ一応――非常に不満を持っておるのでございますが、ただ、現実の問題と、事実認定といたしますと、さらにもう少し総合的に事実をさかのぼって見てみますと、まあきついとおっしゃるかもわかりませんが、多少そういうところもあったという気もいたしまして、こういうものは控訴をいたさなかったというような結果でございます。
 しかし、あくまでわれわれがとっておりますのは、疾病の発症との間に相当の因果関係がなければいけない、これが全体の公平の原則にもつながるわけでございまして、そういう基本的な態度はいまだに崩さないで持っております。そういうことでございます。
#69
○佐藤三吾君 それが私は問題だと思うんですよ。判決が出て、そしてその判決に従ったわけですね。そこで確定したわけだ。そうすれば、そういう事例が出た場合には、判決の趣旨に沿って実行行為を伴っていくのが私は普通だと思うんですが、いまあなたの説明を聞いていますと、相当裁判には不満があった。不満があるけれども――端的に要約しますと、不満があるけれども判決には従った。しかし、裁判の内容について賛成した意味じゃないからなお基本線を貫くと、こういう言い方に聞こえたんですがね。ぼくは、もしそれが事実なら大変な問題だと思うので、やはり裁判の決定が出たら、そういった類するものについてはそこを物差しにして今後の審査判断をしていくという、それがあってしかるべきだと思うんですが、いかがですか。
#70
○政府委員(宮尾盤君) ただいまの御質問で引用されました裁判は、いずれもこれは脳、心疾患に係る問題でございまして、こういった疾病について公務と相当因果関係があるかないかということにつきましては、いろいろむずかしい判断があるわけでございます。これは御承知のように、脳なりあるいは心疾患の場合には、私的事由によっても発症するというようなことがありまして、公務との関係にどれだけの因果関係があるのかと、こういうことで、個別の事例につきまして、これは労災もそれから国家公務員災害補償も同じでございますが、大体公務との相当因果関係というものを具体的な事例について判断をして認定をするしないと、こういう措置をとっておるわけでございます。
 私どもの、この三つの裁判事例につきましては、それぞれ各被災職員について個別の事情があるわけでございますので、そういう個別事情を踏まえながら該当しないというふうに判断をしたものが、裁判所によってその判断は違うと、こういうふうにされたのでございまして、そういう意味で、個別事例についてのそういう基金と裁判所の判断の食い違いと、こういうふうに考えておるわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、脳疾患あるいは心疾患というのは非常にむずかしいために、たとえば基金の判断と訴訟で争われた場合の裁判所の判断が食い違うというような事例が起き得る可能性というものが間々ありますので、私どもとしてはこういう事例というものを、もちろんこの裁判所の判断も一つの事例として、今後たくさんそういうものをできるだけ収集をして、そして認定について適正な判断ができるように今後とも基金を指導し、またそういう努力を積み重ねていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#71
○佐藤三吾君 だから、積み重ねていくのはいいんですがね、判決が出されて、それがしたがって確定しているわけですから、それに類するような事例については裁判の判決を尊重すると、こういう事務作業をやっていくというのが基本でないですかと、こう聞いているわけです。そこら辺をひとつ間違いないようにやっていただかないと、また同じような事例で裁判で争うということになりかねぬわけですから、そうことはないでしょうねと、こう聞いておるわけです。よろしいですか。
#72
○政府委員(宮尾盤君) こういった疾病につきましては、それぞれその人の持っているいろいろな素因だとか、あるいはどういう状況でそういうことが起きたかというのはそれぞれ全部違っておるわけでございます。全く同じようなケースというものが出てくれば、これは私どもとすれば、それは裁判で確定をした考え方というものをもちろん適用していっていいわけでございますが、今後起き得る事態というものは、またそれぞれみんな違った事情のもとに出てくることが多いわけでございまして、そういう意味で、今後いろいろな事例を積み重ねて、共通的なものがあればそれを一つの今後の認定基準の中に取り込むと、こういう努力をしてまいりたいと思っております。
#73
○佐藤三吾君 そこで、長野の柴田さんの頸肩腕障害の件で、十一月十三日に基金では控訴しましたですね。地裁判決に対して控訴すると、こういう事例を起こしていますね。これはやっぱりぼくは、裁判の中身を読むと、長野地裁の判決というのが妥当に思うんですよ。まあ控訴した以上、それに納得できないところがあったから控訴したんだと思うんですが、どういう理由で控訴したんですか。
#74
○政府委員(宮尾盤君) この事例の概要は十分御承知のことと思います。
 なぜ控訴をしたかということでございますが、この判決理由の中に申し述べておりますのは、支部の判断は、頸肩腕症候群の認定基準の一つとして、業務量が同種の他の職員と比較して過重であるというような、そういうことがあれば格別でございますが、実際にはそういうことが認められなかったということでこれについては認定をしなかったわけでございますが、これに対しまして、裁判所の判断は、そういう同種の他の職員と比較して重かったか軽かったか非常に重かったかということを判断するのではなくて、その被災者個人について、適切な業務量を基準として過重であったかどうかを判断すべきだと、そういう観点から、その業務量が非常に過重であったということが認められれば相当因果関係があると、こういう考え方をとっておるようでございます。
 それで、この公務疾病、公務災害というふうに認めるか認めないかについての業務の過重性の判断の仕方というものについて、従来の基金の考え方、これは地方公務員災害補償基金だけでなくて、国家公務員の公務災害あるいは労災等にも通ずる一つの基本的な考え方でありますが、その点が、基本的な考え方が裁判所の判断では違っておるということになっているために、その点をさらに明確にする意味でこの判決については控訴をしたというふうに聞いております。
#75
○佐藤三吾君 どうですか、基金は。
#76
○参考人(芦田一良君) 公務員部長が申し上げましたとおりの趣旨でございます。
#77
○佐藤三吾君 端的に言えば、この人の場合に、基金の判断なり審査としては、A、B、Cという人間が勤めている同じ職種の中で、二人は頸肩腕症にかかってない、一人だけかかったと、そういう対比のところに重きを置いて、これは職業病という認定はできないという判断ですね。
 ところが裁判所の判断というのは、そういう対比をすること自体が問題があると。むしろ、こういう労働からくる障害というのは個人の体ですね、体との関係でも起こり得るんだと。そういうところに判決のポイントを置いておるようですね。私もやっぱり、並べて見るんじゃなくて、佐藤でありそれから石破であり、こういういろいろな人々の中には、私は体はやっぱり同一であるということはないと思うんですよね。ですから、個々によって起こる場合もあり得ると思うんですよ。そういう場合を裁判としては指摘しておるわけですからね。この問題で争うということはいかがなものか。むしろ、やっぱり体質の問題とかそういうものもひとつ十分判断の材料の中に入れて認定していくということもあっていいんではないかと、そういうふうに思うんですが、これは素人考えですか。大臣どうですか。
#78
○国務大臣(石破二朗君) 御質問の点は、法律の解釈の問題でありますので、専門の政府委員から正確に御答弁さしていただきます。
#79
○佐藤三吾君 ちょっと、まあ裁判所が判断をした、その裁判所の判断に対して控訴したということは、不服があったから控訴したわけです。不服の理由は、いま言うように、一つは労災法とかそういう関連の理由をいま公務員部長が述べましたね。同時にもう一つは、同じ仕事をしながら、いわゆる体質無視というか、体質の違いを無視するというか、同じ仕事をしておる中でこの人だけがこういう病気にかかるということはあり得ないというか、そういう観点から審査をして、これ落としているわけですね。ところが裁判所はそうじゃなくて、それは体質の違いもあるだろう、同じ仕事をしておってもかかる人とかからぬ人もあるだろう、そこら辺はやはり率直に認めた方がいいじゃないかと。同時に、この公務員災害補償法というのは、一面ではそういう公務災害の、公務をする中における災害者に対して救済する措置なんだから、その精神でやっぱりやるべきじゃないかと、こういうものも含まれておると思うんですね。そこら辺は私は裁判所じゃなくて、基金の方がむしろそこら辺で――逆ならわかると思うんですよ、純法律的だけで解釈せずに、災害補償という任に当たっている者が救済の観点からこの問題を取り上げるということでいくならわかると思うんだけれども、逆に基金の方がああいう論理を展開して公務災害外に置くということはどうしても理解できぬのです。
 だから、ここはひとつ専門でなくて、やっぱり常識的な判断も必要だと思うんです。そういう意味で私は大臣の見解を求めているわけです。
#80
○政府委員(宮尾盤君) 公務災害の認定に当たりましては、事例によりましてその判断が左右されるということは公平の原則に反するわけでございまして、そういう意味で認定基準というものにつきましても、客観的な基準がつくれるものについてはそういう基準をつくりながら判断をしていくというのがたてまえであろうというふうに思います。
 この事例については、先ほど申し上げましたように、裁判所が下した考え方とは違って、ただその認定基準を国としては他の労災あるいは国公災と同じように一つの判断基準を持っていろんな事例に当たってきておるわけでございますが、それが第一審におきまして違った裁判所の判断が下されたということでございます。したがいまして、この点につきましては今後のいろいろな取り扱いというものについても明確にしておかなければならないことでございますので、現在控訴をしまして裁判所の判断を求めておる段階でございますので、そういう意味におきまして今後の裁判所の判断というものの結果を待ちたいというふうに考えておる次第でございます。
#81
○佐藤三吾君 時間がございませんから、まだこの問題は少し議論したいんですが、もう質疑終了という通知が来ておりますから、一つだけ質問申し上げて、お答えをいただいて終わりたいと思います。
 それは、一つは、何かというと、基金の認定業務が非常に遅いんですね。岐阜県の日比野さんの例をとってみても、公務死をしてから認定までに約二年以上かかっておる。こういうことは私は、はっきりしておるような問題は直ちに認定して、そして遺族の皆さんにこたえていくというのが趣旨でなきゃならぬと思うんですね。そういうこともございます。
 それから不服審査の問題では、特に私が問題にしたいと思うのは、基金支部での公務外の取り消しという裁決を出しておる件数が非常に少ないんですね。ここら辺もひとつ県、政令都市の実態を報告をしていただきたいと思うんですが、どうも支部で決定して本部に上げていく過程の中で、審査会を通らずに事務手続でどんどんやられておる事例がたくさんあるんじゃないかと思うんですね。そういうことから、不服審査という問題についてほとんど、基金の統計を見ますと、実態と対比して数字が挙がってない。受理件数と裁決状況を見ましてもそういうことが言えるんじゃないかと思うので、ここら辺の問題はもう少し改善をする必要があるんじゃないかと、そういうふうに思うんですが、いかがに考えておるか、そこら辺も含めて御報告をいただきたいと思います。
 それから、民間の労災保険審査会の実態を見ると、これは傍聴を許しておるわけですね。ところが、基金の審査会についてはほとんど傍聴を許していない、非公開が原則のような運営になっておるわけですね。そこにもまた問題があるような感じがしますので、そこら辺の考え方はどうなのかお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#82
○政府委員(宮尾盤君) 第一点目の、公務上、公務外の認定業務を早く行うべきじゃないかと、こういうことでございますが、実態といたしましては平均では四十八日間というふうになっております、総体の平均は。ただ、その中を見ますと、三十日以内に処理をいたしておりますのが全体の件数の約四五%、それから六十日以内になりますと約八割、こういうことで処理がなされております。中には非常に日数を要しておるものがありますけれども、これらはそれぞれの事案によりまして判断するための所要の資料が十分整わなかったというような結果によるものであるというふうに考えておりますが、いずれにしてもこれはなるべく早くその判断を下して処理をしていく、こういうことで今後とも基金の方を指導をしてまいりたいと考えております。
 それから、審査会の関係でございますが、個々の事案につきましてはまず支部が決定をいたしますが、支部の決定について問題があれば本部にこれは上げてまいります。そして本部決定でなお問題がある場合には、これは審査会にかけると、こういう段取りになっておりますので、審査会についてはそれほど多くの事案というものがしょっちゅうかかるということにならないと思います。いずれにしてもこの審査会はその使命が達成できるように十分配慮して運営をされているものと、私ども考えております。
 それから傍聴の件でございますが、審査会において審査請求人がいろいろ口頭陳述をするような場合に、当該請求人のプライバシーにかかわるような事項もありますので、私どもといたしましては原則として非公開とすることの方がベターではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#83
○佐藤三吾君 大臣何かありますか。
#84
○国務大臣(石破二朗君) 認定に長年月を要しておるのは適当でないという御指摘でありますが、ただいまお答え申し上げましたとおり、平均してみますとやむを得ぬ日数ではなかろうかと思います。具体的に御指摘の二年というのはいかにも長過ぎると思うんですけれども、何かこれは特別の事情があったのであろうと思いますが、よく調べて、万一にも不当に長いようでありましたら今後の措置に当たって善処をいたします。
 さらに、審査会の傍聴の問題、傍聴人を許すかどうかという問題でありますけれども、やっぱりこれは裁判と同じように考えたらどうかと、私は簡単にそう思うのでありますけれども、公務員部長は若干それとは違ったことを申しまして、部内の統一もまだ正直なところできておりません。しかしながら、事はやっぱり公衆の面前でということも必要でありますし、また、場合によっては個人のプライバシーという問題もありますし、逆にして、公開を原則にして、これはひとつ傍聴人をシャットアウトしてくれという要求があった場合に非公開にするというのでも私はいいんじゃないかと思うんですけれども、いずれにしましても検討いたします。
#85
○佐藤三吾君 大臣、そこのところが大事な点でね。いまあなたが考えておるのが私はこれが常識的というか万人の考えることだと思うので、公務員部長の考え方というのは少し閉鎖的で秘密で、そういう感じがすると思うので、そこら辺はひとつぜひ真剣に検討していただきたい、公開の問題をですね。これ、お願いしておきます。
 終わります。
#86
○大川清幸君 幾つか質問も、いままでのやりとりで重なっておりますので、私どもからは、本法案については特にとりたてて問題にするべき点がないと思いますので、この地方公務員災害の問題について、実情について二、三お伺いをいたしておきたいと思います。
 一つは、地方公務員の災害の、疾病ないしは死亡事故の発生の傾向といいますか、これは国家公務員のケースと比べてみてどんなことか。全体のトータルでいうと年々微増はしているんだろうと思うんですけれども、在籍数というか定数に対しての発生率等はどんな傾向でしょうか。
#87
○政府委員(宮尾盤君) 障害、死亡案件等の発生状況でございますが、公務災害、それから通勤災害を通じての認定件数についてまず申し上げますと、昭和五十一年度が三万五千四十六件、うち死亡件数が百六十八件。それから五十二年度が認定件数が三万五千三百三十件、死亡件数が百四十九件。五十三年度が認定件数三万五千百九十五件、死亡件数がこのうち百五十六件。五十四年度は認定件数三万五千六百十六件、このうち死亡件数が百十一件という状況になっております。
 それで、これを適用職員千人当たりで見てみますと、昭和五十一年が千人に対して認定件数が十一・七件でございます。それから五十二年度が十一・六件、五十三年が十一・四件、五十四年度が十一・二件ということになっております。
 死亡件数も参考までに申し上げますと、千人当たり五十一年が〇・〇六件、五十二年が〇・〇五件、五十三年も〇・〇五件、五十四年が〇・〇四件であります。
 それから国家公務員の場合でありますが、ただこれは単純に比較することがいいかどうかという問題が――職種が違うのでありますが、参考までに国家公務員について申し上げてみますと、五十一年度が職員千人当たりで申し上げますが、十五・七件、五十二年度が十五・九件、五十三年度が十七・六件ということになっておりまして、この数字だけから見ますと、国家公務員の認定件数の方が総体的に上回っていると、こういうことになっております。
#88
○大川清幸君 これ数字で見ると、直接地方公務員と国家公務員との比較をするのはなかなか技術的にむずかしいんですが、現業局が多いとか、そういうことで多少パーセンテージが高いのかなと思うわけでございますが、そこで先ほどから御論議になっておりました、まあ裁判で係争事件になるようなことはごく特殊なケースであろうと思うので、職種によって地方公務員の場合も災害の傾向が多いことは明確に出ておるわけですが、たとえば先ほどもお話に出ておりました保母さんとか給食員とか、あるいは消防、警察もそうですが、そのほかに清掃の職員等で頸腕症とかあるいは腰痛、こういうようなものは本人がもともと体質的に持っていた条件等があるので、なかなか判定がむずかしいというようなことになるんでしょうが、
   〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕
まあいろいろな経験を積み重ねて、いわば裁判で言えば判例みたいなものが積み重なって一応の判断が出るようになっていると思うわけで、そういう点で言えば、先ほど佐藤委員からも御指摘のあったように、各職種について、職業病で認定されたものは順調にいくんでしょうが、そうでないもので疑問のあるものについては、やはり職種別のデータなどを固めた上で、余り認定をめぐって論争にならないような方向で処理をする方が賢明なやり方だろうと私も思っておりますので、そういう意味では前向きでデータ等も検討さしてもらいたいというお答えがあったので、それでよろしいと思うんですが、実は現場へ行きますと、いろいろ細かいものまでありましてね、努力していただくのは私も大歓迎なんですが、技術的にそれは可能ですか。
#89
○政府委員(宮尾盤君) 公務災害の中で、ある程度類型的なといいますか、一種の職業病と認定できるようなそういうものについてはこれまでも認定されたものについては比較的問題といいますか、そう争いがないわけですが、そういう個々人の持っております体質とかそういったようなものにどの程度寄与するのか、それが公務とまたどの程度つながるかというと、なかなかむずかしいような事例もたくさんございまして、そういう点については、私どもとすれば、非常に厳しい認定をしてはいけないし、そうかといって非常に甘い認定ということについては、これはまた均衡という面から見て問題が出てくる。そういう意味で、できるだけこれは、幾つかの事例というものを積み重ねながら、そういうケースの中で何かまた物差しみたいなものができればそういうものを使っていく、こういう努力を積み重ねていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、これは医学的な部分といいますか、非常に専門的な問題でございまして、医師の御協力も得ながらやっていかないとできないという問題があります。なかなか医学的にも解明できないような、いわゆる非常にむずかしい病気というものもあるわけでございまして、そういう点でいろいろこれまでにも問題になっているようなものが短時日のうちにうまい基準ができるというふうには考えておりませんけれども、
   〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕
しかし、そういう点についての努力というのはさらにいろいろな工夫をしながら積み重ねていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#90
○大川清幸君 その方向で努力をされることは大変望ましいことで、ぜひ推進をしていただきたいんですが、現場でいろいろ状況が違うと思うんです。清掃だとかあるいはただいま申し上げた給食職員や保母さん等、いわゆる腰痛、慢性的な性格の疾病、これはなかなかむずかしいんだろうと思うんですが、労働組合の方々や現場で働いている方々から聞いてみると、こうした認定をめぐっていろいろむずかしいケースについては、何かいままでの事例を見て、時間がかかったりめんどうくさいというようなことで、潜在的な疾病患者が、これはデータ的にその労働組合なり職場なりで正確にとっているかどうかわかりませんので、そのままお話を信用していいかどうか別ですが、やっぱり潜在的な慢性疾患、疾病を持った労働者がかなりその職場でいるというようなことを言っておられるんですけれどもね。そうした、何というか、現場でのたまっている不満みたいなものがありますな。これらがなるべく解消をするような方向でやはり対応していただく方が親切でよろしいのではないかと思いますので、重ねて要求しておきますが、時間がかかるでしょうが、データ的にそうした紛争をなるべく解消していくような方向での御努力をお願いしたいと、こう思うんです。
 そこで、今度は年金対象者ですね。これは年金にもいろいろなケースがありますが、この基金の方は、拠出金の率などはその都度実情に応じて検討して改定するんですから財政的に余り問題はないと思うんですけれども、地方公共団体全体を一本にしてやっておられて、各支部があるという体制ですから、財政的には余り問題はないと思うんですが、この年金対象者の増加傾向というのは余り急カーブではないと思うんですが、やはり年々ふえていく傾向というのはこれはそういう傾向なんでしょうね。
#91
○政府委員(宮尾盤君) 年金受給者の数でございますが、五十二年には千九百六十件でございます。それから五十三年が二千二百二件で、これは対前年度一二・三%の増です。それから五十四年度では二千三百八十八件、対前年度で八・四%の増と、こういうことになっておりまして、これは年々増加の傾向にございます。
#92
○大川清幸君 そうしますと、特にいまのお話で、五十一年、五十二年のように何か特別なケースがあれば急激に対象者がふえるというような傾向があると思うんですが、大体事件の発生状況から見ても、八・四%が五十三年と五十四年の対比のようでございますが、このような傾斜というのは先々たどっていくんだろうというふうに推測が一応できるわけでございますから、地方公共団体がその都度職員数その他、それから給料等の計算をして拠出金の率を決めて出すわけですが、この年金対象者は年々ずっとふえていく。対象者がいつか死んでいくことにもなるから減る要素もあるわけですけれども、やはり増加をしていくと先々――まあ今日のような地方公共団体の財政の硬直化みたいなものがいつまで続くかわかりませんけれども、そうした財政負担的な面で地方公共団体に余り思わしくない影響等が出るおそれ等はないでしょうかね。
#93
○政府委員(宮尾盤君) この年金受給者に年金を支払う原資につきましては、これは負担金という形で各地方公共団体から負担をしていただいておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、ここ当面いまの傾向からすれば一〇%前後の増加ということがあると見込まれておりますが、そこで、この負担金率につきましては、おおむね三年間をめどにしましてその期間の収支が均衡が図れるように負担金率を三年ごとに見直すと、こういう仕組みをとっておりますので、私どもとしましては、次の見直しは五十七年からでございますが、五十七年から五十九年までの収支見通し等についてはまた事務的にもしっかりやりまして、支障がないように措置をしてまいりたいと思っております。
 ただ、この公務災害に係る年金というのは、年金を支払うための各地方団体の負担金というのは、これはいわば義務的なものでございますし、非常に地方財政が苦しい状況とはいいながら、財政が苦しいから負担金を出さないというようなことはこの経費の性格からいってないというふうに考えております。そういう点については遺漏のないように十分してまいる考え方でございます。
#94
○大川清幸君 次に、消防団員の公務災害等も今回改正案が出ているわけですが、この消防団員の事故発生状況について、概況をちょっとお知らせ願いたいと思います。
#95
○政府委員(鹿児島重治君) 昭和四十九年以降の事故の状況について申し上げますと、昭和四十九年は死者が二十三名、負傷者が千八百九十二名、合計千九百十五名でございます。昭和五十年は死者が二十六名、負傷者が千九百名、合計千九百二十六名でございます。昭和五十一年は死者が二十七名、負傷者が二千六十名、合計二千八十七名でございます。昭和五十二年は死者が十二名、者が二千二十七名、合計二千三十九名。五十三年は死者が十四名、負傷者が二千九十九名、合計二千百十三名でございます。
 私ども、実は、特異な事故発生率というものを用いておりますが、それを申し上げますと、出動回数一万回当たりの死傷者数でございますが、出動回数一万回当たりの死傷者数が四十九年二・〇、五十年二・〇、五十一年二・一、五十二年二・一、五十三年二・〇ということに相なっております。
#96
○大川清幸君 まあ、収況はわかりましたが、やはりこういう数字見てみますと、毎年同じ程度の死亡者とか傷害の事故発生はずっと出ておりますね。私どもの経験では、知事の諮問機関である消防団の審議会が各区に設置されておりまして、そこでいろいろ論議をされて、具体的な問題としては消防団員さん、これはいまの経済事情や家庭の事情がございましてね、年齢的には高齢化現象というのがやっぱり消防団員、これ全国共通じゃないかと思うんですけれども、その中で、社会の構成の上からいって、ある程度年齢が高くなるのはやむを得ないんだけれども、余り御同齢の方は、こういう激務なので定年ないしはそれに準ずるようなことを考えて措置をしてあげた方がいいのではないか、そういう点が一つ。
 それから、御承知のとおり、健康管理の上でも今度必ず健康診断等を受けるような制度にもなったし、保険なんかもきちんとしていただくようになったので条件はいいんですけれども、こうした激務に携わるし、地元の災害があったときにはまあ救急業務やらポンプ操法だのなかなか大変ですわ。そういう点から考えると、これは年齢の点では多少団員構成を――早速というのはなかなかむずかしいらしいんですよ、地方の議員さんなんかも絡んでいて。団員の中に議員もいますから。しかし、そういうような方向を、これは事故発生、事件発生といいますか、の傾向から見ると、お考えになっていただいた方が、団の運営等についてはよろしいんではないかと思うんですが、これはこの法案とは直接関係ありませんけれども、ちょっと御所見を伺わしてください。
#97
○政府委員(鹿児島重治君) 確かに、御指摘のとおり、高年齢の団員が次第にふえていることは事実でございます。全体の構成比を見ておりますと、五十一歳以上の団員が昭和五十年は三・一%でございました。それが五十一年三・五%、五十二年三・八%、五十三年四・一%、五十四年四・四%というぐあいに漸次増加をいたしております。
 お話しのとおり、消防団員は、いざという場合には自分の体を使いまして率先火に当たるという任務を持っておりますので、やはり若い方が望ましいということは一般論としては私どもよくわかります。しかしながら、地域のそれぞれの事情がございまして、特に、永年勤続をしたいという希望の団員さんも非常に多いわけでございまして、一概になかなかそうはいかないところにいろいろ問題がございます。御趣旨はよくわかりましたので、その点は十分検討させていただきたいと思います。
#98
○大川清幸君 次に、この法案とは直接関係ないんですが、実は新聞報道によりますと、防火防災訓練の際の災害補償制度ですね、これは民間の方々を対象に実施をしたいということで、実はこれは保険会社とも契約をして、地方の公共団体の一部、百数団体だと思いますが、すでに実施をしているところがあるわけでございます。この新聞報道によると、自治省としては、市町村などの主催する防災訓練に参加をした地域住民が訓練で死亡した場合に、これらを対象にして最高二千万円までの賠償あるいは補償金を支払う制度を実施したいということでございますが、この制度は、近い将来実施するに当たっては、自治省とこれを実施する団体とのかかわり合いというか関係、それはどんな形になりますか。
#99
○政府委員(鹿児島重治君) ただいまお話しがございました補償制度でございますが、一般の民間の方々が防災訓練に参加いたしまして、万一けがとか死亡とか事故が起きました場合、まあ一定の補償と申しますか見舞い金を差し上げるという制度をつくってほしいと、こういう話は、実は従来から全国の消防長からございました。また、ことしの六月の消防審議会の答申の中でも、こういう制度を設けるように努力をすべきだという答申が出ております。
 こういう背景がございまして、私ども現在検討いたしておるわけでございますが、ごく一般的な意味で申しまして、一種の保険制度的なものとして実施をいたしたいということでございますが、現在全国で約百余りの市町村がこの制度を実施いたしております。そして、そのうち約三十の団体が条例によって措置をしているという形でございます。単独事業として条例によって措置をいたしているという状況であります。東京都の場合で申しますならば、東京都が震災予防条例の中でこのような制度を設けているという形に相なっておるわけであります。
 そこで、こういう制度ができるだけ普及いたしますと、全国的な防災訓練にもより多くの方が参加していただけるんじゃなかろうかということで検討を進めてまいりましたが、現在民間に日本防火協会と申しますいわゆる自主防災のための団体がございます。ここをベースにして現在検討をいたしておるわけでございますが、広い意味での保険制度といたしまして、地方公共団体からの共済的な拠金を集めまして、この団体が事故の補てんに当たるという形で実施をいたしたい。時期は来年度から実施をいたしたいということで、現在検討を進めている段階でございます。
#100
○大川清幸君 これは、私の記憶に間違いなければ、たしか東京都下でも、府中かどこか多摩の方で防災訓練をやったときに、町のお医者さん等に御協力を願う。まあこれはどこでもやれば救急の仕事がありますからお医者さんの御協力を願ったりするようになると思うんですが、こうした特殊な職種というか、いわゆる高額所得者みたいな方で参加をした人の補償については、この金額ではちょっと不満が残ったり、いろいろな問題が今後も残るだろうと思うんですが、先般のああした事件についての処理をどうされたのか。これではこの限度の補償しかする方法はありませんわな。
#101
○政府委員(鹿児島重治君) いまお話しがございました事故は、実は私詳細に承知しておりません。したがって、具体的にこの席ではお答えいたしかねますけれども……
#102
○大川清幸君 はい、結構です。
#103
○政府委員(鹿児島重治君) 確かに参加した方々の所得に応ずる補償という考え方も実はあるわけでございますけれども、実はこの問題は民間の方々だけではなくて、消防団員についても実は同じような問題がございます。しかしながら、やはり火を消すという形で、あるいはその火を消すための訓練という形で参加された立場の方々は、これは立場としてはほぼ等しいのじゃなかろうかということで、実は同じような事故については同じような補償を差し上げるということでやっておりますので、その辺、まだいろいろ議論があろうかと思いますが、今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
#104
○大川清幸君 終わります。
#105
○神谷信之助君 まず最初に、自治大臣にお伺いしたいと思います。それは、労働者に対する労働安全の義務、まあ基本問題について御意見を聞きたいと思うんです。
 御承知のように、自治省の方では、減量経営の地方自治体版といいますか、自治体行政の合理化の推進を非常に指導をなさっているわけです。これが私どもは、真に住民の利益に合致をする、あるいは住民の利益をさらに一層増進をするという立場で行われるならば問題はないんですが、それについてはいろいろな問題を、自治省の進めているいまの減量経営の問題については問題点を持っています。
 しかし、きょうはここではそれを取り上げるわけではないんですが、そういう自治省の合理化の促進の中で、今日いわゆる職業病ですね、あるいは公務上に伴う疾病、あるいはそれがそう言えるかどうかという問題も含めまして、そういう事案というのが非常に多発をしています。先ほどから問題になっておりますように、頸肩腕障害の問題とか腰痛の問題、あるいは胃腸障害、あるいは自律神経失調症等々、職場には多発をしてきているわけです。これを単に公務員労働者のそういう疾病の問題だけではなしに、日本の全労働者的な規模で見ますと、労働災害として認定をされたそういう疾病というのは七二年がピークになって、それ以後ずっと減少してまいりました、全体としては。ところが、七六年以降再びまた増加をしてきているというのが労働省の資料で明らかであります。
 たとえば七八年の資料が一番最近のやつですが、それによりますと、業務上疾病として認定をされた件数は二万七千四百五十六件、前年比〇・七%増です。労働災害保険の新規受給者数は百十万三千六百五十四人で、これも〇・四%の増ということになっています。このほかに、いわゆる公務員の公務災害あるいは公営企業体の職員の業務上疾病、あるいは船員の関係、これがありますし、さらに認定外の――認定されなかった、しかし本人の方は業務上による疾病だと言っている、そういう人たちを考えると、七八年当時で優に二百万人になるのではないか、あるいはそれを超えるのではないかという推定が、この春の全国の職業病の対策の交流集会で議論になっているわけです。このように非常に膨大な数の労働者がそういう業務上疾病あるいは障害、これを抱えているという状況が出ています。
 これは、ちょうど私のふるさとの京都の、昔細井和喜蔵の「女工哀史」がありましたし、最近では御承知のように「あゝ野麦峠」という映画やテレビで評判になりました事案がありますけれども、あれなんかによりますと、政井みねさんですか、「あゝ野麦峠」の、この人が製糸女工として働き続けて、そしてとうとう体を弱らして、わずか十円札一枚でほっぽり出されて、兄さんの背中に背負われて結局野麦峠の頂上で死んでしまうという痛ましい、労働者の命を奪われる悲惨な状況なんですね。それから以後、ずっとこの問題はいろいろ社会的にも問題になって、改善はされておりますけれども、しかし先ほど申し上げましたように、そういう状態がいまだに続いている。あの「野麦峠」に出ている政井みねさんにしても、工場から、会社から、労働によって死んだという女工を出すのは恥だと、あるいはそれはぐあい悪いということで十円札一枚でほうり出されたわけですね。そしてとうとう命を奪われてしまう。こういう状態は私はいまでも現実に――数はそれは減っているかもしれぬけれども、先ほど言いましたように、二百万からも推定される。命まではいっていないにしても、従来どおりの労働に従事できないような状態、これはいまなお残っていると思うんですよ。そういう点を考えますと、私は非常に重大だと思うんですね。
 私は、労働というのはこれは人類最高の道徳で、これによって初めて人間が他の動物と違った社会生活、社会生活の向上やあるいは社会進歩を築き、そして全人類の幸福へ向かって進む原動力になっていると。そのことが戦後の現在の憲法のもとで初めて確認をされて、憲法二十五条の生活権のみならず二十七条の勤労権の保障ということになり、そしてその法的な体系の中で労働安全衛生法、これが制定をされてきておるというように見ておるんですね。したがって、労働安全衛生法の第三条では、「事業者等の責務」として、「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な作業環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」というように、事業者の責任というのを規定しています。したがって、この点では国及び地方公共団体、これも使用者ですから、当然この責務を負うし、労働者の労働の安全と労働者の健康を保障する責任はきわめて重いものがあるというように私は考えるんですけれども、この点についての認識をまず大臣にお伺いしたいというように思います。
#106
○国務大臣(石破二朗君) 申し上げるまでもありませんけれども、他人を雇用し、使用する者といたしましては、被用者の健康、安全等に関する法律の規定は特に厳重に遵守しなければならない、かように考えております。
#107
○神谷信之助君 私は、ちょっと長かったんですがいまこの第三条を読み上げたんです。この第三条の「事業者等の責務」というのは、単にこの法律の最低基準を守るだけではないんだと、それだけでは事業者の責任というのは果たされない、このことを特に強調しているわけですね、「快適な作業環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」、これは義務規定です。だから、いろんな規定がありますけれども、その規定に合わせれば、それに必要な罰則なんかも部分的にはあります。しかし、罰則があろうがなかろうが、その最低基準は言うに及ばず、快適な職場環境と健康の保障ですね、これをやらないかぬということを、それ以上のレベルに向かって事業者は前進をする責任があるんだということを、労働安全衛生法の三条は規定していると思うんですよ。
 私はその点で、災害補償の問題を論ずる場合に、公務災害の認定が行われますけれども、その認定をどうするかという場合にも、この基準というかこういう労働者の安全とそして健康の確保、これが理念として確立されなければ、これはなかなかこの問題は、AかBかという判断というのは、実際問題としてはつけにくいのが現実ですから、この理念をいかに実現をしていくかという立場に立って認定の基準というものを判断すべきだというように思うんです。現実に職場環境を見ますと、健康を害するいろんな諸条件、それは職場だけじゃなしに社会的環境もあります。これがまだまだその予測なり発見もおくれておりますし、あるいは職業病や疾病の原因の究明についても医学的にもまだまだ未解明の部分がたくさん残っているし、等々ですね、この予防対策といいますか、そういうものをさらに積極的に確立をしていく点での立ちおくれというのが今日十分に存在をするという点を考慮してこういう点は考えるべきだというように思うんですが、この点についての御所見はいかがですか。
#108
○国務大臣(石破二朗君) 先ほどもお答え申し上げましたとおりなかなかむずかしい点ではありますけれども、いやしくも法律に定めるところは個人の好きこのみなどによって左右されるべきではなくて、法律が定めるところはもう明確に、厳正にこれを遵守していくのが使用者としての責務であると、かように考えております。
#109
○神谷信之助君 まだちょっと大臣、この認定の問題の具体的ないろんな事例について十分御承知じゃないからそうおっしゃっているんだと思うんですけれども、基金なりがいろんな認定をなさるのに法律を離れて認定をされてない、法律に基づいていろんな認定をなさっている、これは公務上の災害とか公務外の災害とかいう判断をなさっているわけです。しかし先ほどからも議論されておりますように、その判断についていろいろ問題が、法律を越えるいろんな現実の個々のケースというのはたくさんあるわけです。この場合に判断をどっちにとるかというのは非常に当事者としては、あるいはその担当者としては苦しむところだろうけれども、その判断をつける場合にその理念というのは一体何だという点を私は聞いているんです。こういった労働安全衛生法の第三条の趣旨を生かす立場というかね、この立場に立って仕事をする必要があるんだということを私は強調しているわけですが、これは後具体的に事例でお話し申し上げますから、その点はひとつ念頭に置いておいてもらって、これから私は具体的事例でいろいろお伺いしますけれども、その点が一つきょうは明らかにしておきたいという問題なんです。
 そこで、取り上げる問題は、頸肩腕症候群の疾病に関する問題です。これは労働省の通達あるいは基金の方でも、それに応じて通達も出されて、キーパンチャーやあるいはタイピスト等一定の職種については、これは職業病といいますか、いわゆる認定し得る疾病として、もちろん公務に起因性はありますが、そういうものとして一定の職種を挙げておられます。ところが、その基準にはまっていない、それに入っていないその他の職種がいま非常に多くの問題を抱えているわけですね。だから、仕事をなさっている基金の側でも、あるいはそれぞれの支部の方でもこの点の判断で非常に困っておられるわけです。この種の問題で非常に業種的に職種の面で多いのは保育所の保母さんなんかが非常に集団としてあります。この問題は、衆議院の地方行政委員会で先般わが党の三谷議員が取り上げましたので、だからきょうは私はそれは繰り返しません。きょう私が取り上げてみたいのは、一般事務職員の頸肩腕症候群にかかっている者、これについてお尋ねしたいというふうに思うんです。
 まず基金の方にお伺いしますが、一般事務職員の場合の頸肩腕症候群の疾病が発生をした場合、発症者に対する公務上の災害という認定をする基準、これはどこに置いておられますか。
#110
○参考人(芦田一良君) お答え申し上げます。
 一般職員の頸肩腕的な疾病につきましての認定基準は、職業病に該当するところの基準がございますが、それに準じて調査をしてやっております。
 もう少し具体的に申し上げますと、被災職員の職務内容であるとかあるいは職務態様、それから職場の環境、それから勤務時間とそれから症状の部位でございますね、場所、程度、それから身体状況、そういうものをさらに医学的な意見を求めまして、それが過重性といいますか、相当因果関係というものに結びつく場合はこれを公務上の災害として認定をいたしておると、そういうところでございます。
#111
○神谷信之助君 そうすると、要約しますと、一つは、仕事の内容、態様、それから職場環境、その次は症状ですね。いわゆる環境の問題と病状ですね、症状の問題。それの医学的見地。それから三つ目は過重性、いわゆる相当因果関係の問題。この三つでしょう。これはどうなんですか。いままでの御経験で、そう簡単に判断できますか。簡単に判断ができる問題ですか。判断をするそれ自身、たとえば仕事の内容、態様、環境、医学的見地はまあわかりますわね。仕事の量が過重というのは、それぞれどういう判断を――基準があるんですか。
#112
○参考人(芦田一良君) まあ医学的所見もこれなかなかむずかしゅうございまして、本当に因果関係があるのかということはなかなか学説上も一致しない面もありまして、非常に私ども判定する場合に苦慮するところでございます。
 それから、仕事の過重性ということになりますと、これは通常の体の人が同じような種類の仕事をやった場合と比較しまして、通常の場合よりも非常に仕事の量が多い。質的に多い、あるいは量的に多いという場合は過重性を認めて、これを公務上の災害とすると、そういうような基準と申しますか、考え方を持っているわけでございます。
#113
○神谷信之助君 だから、そうしますと、比較をすると言っても具体的な、客観的な基準というのはないわけです。そうするときわめて恣意的になりますね、過重性といっても。だれと比較をするかということです。
#114
○参考人(芦田一良君) これは具体的に、個々に体質も違いますから一概に言えませんが、ただ、客観的に見まして、同じような職場で、同じような仕事をしている人でございます。それが過重であるかどうか、その辺の仕事の分量と比較をいたしたい、そういう考えでございます。
#115
○神谷信之助君 先ほども同僚議員の方でちょっと引例をされたかと思うんですが、この十月三十日の長野地裁の判決がありますね。控訴をされたやつですね。これは判例を私もしさいに持ってきていますが、これずっと研究もいたしました。ここで、「実際問題としてこのような比較すべき適切な対象者が得られがたく、仮に得られたとしても、その労働者の能力によって判断が左右されること」にはならないという趣旨の判示があります。いまおっしゃったように、「比較の基準を当該勤務所における年令、性別、作業態様及び熟練度が同じ条件の労働者の平均的な業務量に置いているけれども、実際問題としてこのような比較すべき適切な対象者が得られがたく、仮に得られたとしても、その労働者の能力によって判断が左右されることは相当ではないと考えられるので、結局、認定を受けるべき者の適切な業務量を基準として過重であったかどうかを判断すべく、業務量と個体の体力とのアンバランスすなわち業務量が個体にとって適量であることから頸肩腕症候群が発症したと認められれば、それをもって足りるものと解するのが相当である。」というのが御承知のように判決ですね。
 これ、先ほど聞いていますと、仮にそうだとしても、その基準はどこにあるのかおれもわからぬから、裁判所に判断を求めるんだと言って控訴をなさっている。これを裁判所にと言うたって、仕事の量を、あの人は十でいいけれどもこの人は五だとかとかいう判断は、体力がそれぞれ個別にあってできるわけがない。比較し得ないもの、それを比較なさろうとしてやっておられるところに私は無理があるというように思うんです。
 これは、その点で先ほど言いました衆議院の地方行政委員会で三谷議員の質問に対して公務員部長の御答弁、これ議事録がちょうどできていましたから持ってきましたけれども、三谷議員の方からの質問に対して、医学的に公務との因果関係の解明に努力をすると、一つは医学的に公務との因果関係の解明に努力をしていきたいという点と、個々の事例に即して、その積み重ねを通じて、要望に対応できるように努めるということで、現実に適応できるように、そういう必要な基準のさらに見直し――これは医学的な問題の解明も含めてですけれども、あるいはその実際の運用に当たっての矛軟な姿勢といいますか、こういったものを示唆するところの答弁をなさっているというように思うんですがね。私は非常にこれはむずかしい問題ではないかと思うんですが、その辺についてはどうお考えでしょう、自治省の方で。
#116
○政府委員(宮尾盤君) 御質問の点を詰めていくということになりますと、一つには医学的に専門的な立場から相当なる研究、検討をしていかなければならないということが一つであります。ただ、これまでもたびたび議論になっておるところは、結局は、医学的にも非常にむずかしい問題があって、そこのところについてきちっとした判断というものがなかなか、一般的にそういう基準をつくるような医学的見解というものが出せないというのがむずかしい点であろうというふうに思います。ただ、幾つかのいろいろな事例が起きておりますので、私どもといたしましては、この地方公務員の災害補償だけでなくて国家公務員の災害補償の問題、あるいは労災の問題、そういうものを通じてのこれは議論でございますので、専門的にいろいろ研究をしておる労働省等の知恵も借りたり、また、いろいろな研究方法等についても相談をして何らかのそういう研究成果というものをもう少し積み上げることができるならばそれを詰めていきたいというのが一つ。それから、幾つかの事例というものがありますし、裁判の結果等もありますから、そういうたくさんの事例というものを他方で積み上げて、そういう中から何かもう少し議論が余り出ないようなやり方というものがないのかどうか、こういうことも詰めていきたいというのが一つであります。
 ただ、神谷先生も十分御存じのように、非常にむずかしいからこそこういう問題がたくさん出ておるわけでございまして、そこのところについてはもう少し私どもに時間をかしていただきたいと、こういうふうに思っているわけでございます。
#117
○神谷信之助君 大臣、いま問題にしていましたのは、ここに速記さんもおられますけれども、いま複写その他いろいろ機械化が進んでまいりましたけれども、昔は皆筆耕ですわね。力を入れなければならない。それからガリ版を切る。だから、そういう力の要る筆耕というのが主として一般事務職員、特に婦人労働者の場合多かったわけです、一般事務職。ですから、そういう人たちに頸肩腕症候群の症状がずっと発生し出しているわけです。この判断が、これを公務上の疾病だという認定をするというのがなかなかむずかしいんですよ。その仕事とそれどういう関連があるのかというのがね。これがなかなか実際問題として、本人に証明せいと言われたって困るわけです。それでこちらの方は、それは比較をしますとおっしゃる。比較をするにしても、私と石破さんと同じ仕事をしても石破さんの体力と私の体力と違うでしょう。だから、私は発病しても石破さんの方は発病しないという場合がある。それは同じ仕事を同じようにたくさんの人数でやっていれば、百人なら百人でやっていればその中で十人がなったとか十五人なったとかいったやつが出ればわかります。たった二人しかその仕事をしていないとしたら比較のしようがないでしょう。こういう問題がずっと出てきているわけですよ。
 だから、それに対して、先ほども問題になりましたように、長野の地裁の判決は、それは、そんな比較をしてみても、個人個人の体力の差があるんですから、だからそれで基準を、線を引っ張るというのは適当ではない。それは、その人の体力に応じた仕事の量というもの、これに応じて、それが過度であったかどうであったかということを考える必要がある。こういう判断ですね。だから公務上の災害という結論を出しているわけです。しかし、それについて、ここで線を引っ張りますのやというて、開き直って控訴されているんですよ。こんなもの私は、そんな線が引っ張れるんやったら大臣に示してもらいたいと思う。線なんか引っ張れない。それは具体的なそれぞれのその人その人の置かれている条件や、その人の体力や、それから実際にその病気が発症をした状況、その後の状況なんかから判断をする以外にない。それは一般性、普遍性というのは、将来になったら出てくるかもしれません、しかし、いまはもうずっと事務の機械が進んでいますから、そういう意味ではいまの状態と四十六、七年ぐらいとは――最近でもまだ少しは残っていますけれども、その筆耕は。そのころの状態とは大分違いますからね、実際問題として。だから、こういった点を考えると、私は、これは考えなきゃならぬ問題ではないかと思うんですね。
 これは名古屋大の医学部教授の山田信也先生が問題にされているわけですけれども、大体、職業病という認定は、これどうやって起こるんだろうかという問題に触れておられますね。職業病が初めて職場に発生したときに、それはどのようなものとして認識されるのか、また、それが公務上のものとして認識されるまでにどのような経過をたどるか、そうして、同じ仕事をしていても――たとえば頸肩腕症候群、まず肩が痛くなったり、体がだるくなったりし出してくる。それでだんだん指が痛くなってくるし、物を持っても、はしを持っても落とすことがある、そういう状態になってくる。そういう状態が起こるのは、初めの段階というのは職場で一人か二人。だからこれは職業病として見ないわけです。公務上の疾病としては認定しない。ほかの人はどうもないじゃないかと。それが蓄積をして、しかも人手が減り労働が加重されてくることによってそれが何%かになってくる。それでもなかなか認めてもらえない。それが一定量にならないと認めない。そうしてだんだん認められるようになってくる。だから、キーパンチャーとかタイピストだとか、そういう方々、これはいま職業病として労働省も認めていますけれども、職業病と認定されるまでにはたくさんの人がそういう症状があるんです。ところが、何ぼ言ってもこれは労働災害として認められなかった。これが歴史的経過ですよ。
 だからいま、キーパンチャーとかそういう一定の職種を数量的にも持ってるところで、数量的にもそういう症状が発症している、そういう職群についてはやっと職業病に認定になったけれども、いまなお保母さんの六割、七割までが、肩が痛い、手が痛い、腕がだるいとかいう症状が出ている状況でも、保母さんはまだ職業病になってない。まして、いわゆる女子事務員のやっている筆耕その他をやっている人たちのいま起こってる現象については、それどころの騒ぎじゃない。まだまだもう一つ先の問題としてなかなか公務上の認定がされないわけです。
 ところが、先ほどもあったように、長野地裁もそういう判断をいたしましたし、それだけではなしに、最近ですと、この六月の四日に三井銀行の横浜支店の野呂瀬さんという、これも女子一般事務労働者ですね、一般事務の仕事をやっている人が、横浜南労働基準監督署で、職業病として、労働災害としての認定を受けた。業務上災害としての認定。あるいは、同じく九月四日には東京中野の労働基準監督署で三和銀行の二人の婦人事務員の疾病を業務上の疾病という認定をするというやつが出だしてきてるんですよ。
 ところが、まだ地方公務員関係、これがなかなからちが明かぬという状況で、私どもは、これは一定量の労働者の災害が生まれない限りはもう認めないというような態度自身が問題で、しかも個々の人の条件というのは違うわけですから、そういう問題については、先ほど言いました、この労働者のそういう災害について、公務によって災害が、疾病が起こらないように、労働によってその人の身体に大きな影響を与え、さらには、最後には命まで奪われるというような状況が起こらないようにやるのが事業者の責任だという労働安全衛生法の三条の規定からいっても、この点について、ちゃんとした対策を立てていなくて起こっているんですから、さらに積極的な判断を下すべきではないか。そうしなかったら、これは何年か先でなければこれらの労働者が同じような苦しみから救われないという事態――決まれば、それから以後の人は救われるけれども、それまでの人はもうだめですからね、ほったらかしです。そういう状態がいつまでも続くということになる。だから私はこの点は、積極的なそういう態度というものが政治方針として、あるいは政策の基本としてやっぱり貫かれなければ、この公務災害を論ずる基本というのがもうどこに行ったのかということにならざるを得ないと思う。そういう面から、最高責任者である大臣の見解というのを明らかにしてもらいたいと、こう思うんですよ。
#118
○国務大臣(石破二朗君) 地方公務員の職場におきまする新しい形の職業病的な病気の取り扱いについてでありますけれども、もちろん法律の定めるところによって処置すべきではありますが、同時にまた、残念なことでありますけれども、これは理屈で、また学問で、簡単に認定というわけにいかない。ある程度は数がそろわなければいかぬ。では数がそろうまで待つか、これもまたひどい話で、これどうもならぬのですが、同じような問題が国家公務員についても起こり得るだろうと思うんです。さらに、一般労働者についてももちろんあり得ることであります。でございますから、地方公務員という限られた人数の労働者についてある程度の数がまとまらにゃならぬということを言わなくても、もうすでに――いいことかどうかは別として、こういう事例がほかの職場でも、国家公務員、一般労働者についても出ておるのじゃないか。もう出ていると想像する方が実は職業病と認定するについてはいいわけなんです。そういう立場からすれば。でありますから、その辺のところも十分協議し、相談いたしまして、病気の方がいわれなく不幸に嘆くというようなことのないように善処いたします。
 ただ、まあこれはまたさらにめんどうな問題でありますけれども、裁判になじむかという問題があるんですが、裁判所というものも神様でありませんから、法律はなかなかうまいんですけれども、こういうものを裁判所の認定のみにまつというのも実は私はどうかと思います。善処いたします。
#119
○神谷信之助君 大臣もいま御答弁になったように、確かにむずかしい問題あります。私は、だから一定量のそういう発症があれば職業病としての認定をする、それでくくっていくということもどんどんこれから広げていかなきゃならぬだろう。しかし、なかなかこれは一定量にならないあれでありますから、特に自治体労働者の場合は、職種が、事務といっても非常に多方面に分かれて多種多様ですから、なかなか量的にはそうはいかない、判断しにくい、そういう条件があるので、その場合、個々に判断をする基準というのを、いま大臣おっしゃったように、そのことによって泣かざるを得ないような、そういう労働者のないように善処していただくということを期待したいと思います。
 そこで具体的に私は一つ提起したいんですが、一つは、これは京都ですが、京都府の事務職員で三木仁さんという人が、頸肩腕症候群が昭和四十四年の十一月十四日に発症をして、そして四十七年の六月八日に基金の京都府支部に認定申請をされているんです。ところが、これの認定が、四十七年に出されているんだから、もう八年過ぎているんですよ、申請してから。先ほど公務員部長の話では、非常に短縮されて、大体平均で四十五日ぐらいですか、とおっしゃっていますけれども、とにかくこの事案はもうすでに八年を超えて、公務上の疾病であるとも公務外の疾病であるとも、どちらの認定もまだおりておらないままで今日まで来ています。これは法第一条の、災害補償の「迅速かつ公正な実施」という趣旨からいいましてもべらぼうな状況ですね。これでもし公務外という認定が出れば、御本人は当然それに対して不服の申し立てをしなければいかぬ。いわゆる本部に対して再申請をする、あるいは裁判所へ裁判請求をすると、こうなってきますと、後何年かかるかわからぬという事案になります。
 ですから、御本人はもう実際に、そういう症状が発生をする一年ほど前から急に事務量とそれから事務の仕事の種類がふえてきたこと。それから作業の中心はガリ切りとかガリ版を刷ったり、校正とか判こを押すとか、そういう手指の酷使をするのがふえたということ。それから病気になって休んで、そして京都府の衛生管理規則の疾病のA1になって、一たん休業といいますか、休職して治療するんですが、出てきたら、またさらに人員が、人手が減ってそれで仕事がふえたりして労働密度がふえる、それでまた再発するというかひどくなると、こういう状態が繰り返されて、そしてこれではたまらぬということでやっと認定申請を出したわけです。ですから、もう八年もいまだにこれが公務災害として認められておらないということは非常に残念で、この奪われた十年間――発症してからもう十年を超えているわけですから、これを返してもらえぬならば、せめて公務上の認定をやってもらいたいという要求がいまなお続いて出されています。
 私は、これは京都府の当該の人たちが何とか救済ができないだろうかという、そういう積極的な意思を持っていろいろ本部とも交渉をし、いろいろな折衝もしたけれども、なかなか全国的なそういう例からいうと認めてもらえない。しかし、それをむげに公務外といって認定をするには、実際の現場に近いわけですから、現場の状態、仕事の実態を見ているそういう立場からは、公務外という認定はできない。この辺の悩みが結局八年間になっているんですよ。だから、これは私はひどいと思うんですね。
 だからそういう点で、支部の方が積極的に認定をするという態度に立てば、それに対して全国的な基準がどうだとか、あるいは国家公務員がどうとかいうような比較の問題ではなしに、個々の具体的な事例の問題ですよ。個々の問題で、一番やっぱり現場でよくわかるそういう立場にある支部の方でそういう認定をするならば、それは当然それに対して本部の方が制肘を加えるというのはあり得べきことではないし、逆にそういう態度をはっきりするならば、これはもっと早く救済措置がとられた問題ではないかと思うんです。
 だから、国家公務員がどうだとかあるいは労働省の態度がどうだとかといって、よそ待ちにこの問題がされている限りは、いつまでたっても決まらない。あげくの果ては裁判所へ持ち出して決着を見てもらわなければならぬ。ただ、あえて裁判所へ持ち出して決着を見てもらって、勝ったと思っても控訴されるんですからね。もうこれでは踏んだりけったりなんです。現実にその労働者はどうなりますか、障害を受けているんだから。頸肩腕症候群の症状が出ているんですから。それはそのままおるんです。公務外だと言うならば、あんたは家へ帰ってから内職で筆耕やっているから、それが原因でそうなっているんだとおっしゃるならいい。そんなことは事実はないんだから。ただし、職場における仕事、それに起因をしてそういう症状が出ている、そうでないとする反論は一つもない、できない。それで認定をおくらすというのは、私は、まさにこれは非人道的だし、まさに「女工哀史」の時代に逆戻りしている、そういう状態だと言わざるを得ぬと思うんですよ。冒頭に言いましたけれどもね。
 この辺ひとつ基金なり自治省の方で、この問題で御意見があればお聞きしたいと思うんです。
#120
○参考人(芦田一良君) お答え申し上げます。
 これは非常に古い事案でございまして、いろいろ事情があったようでございますが、何分これは判定が非常にむずかしいというので、支部の方でも調査あるいは資料の収集に手間取っておったことは事実のようでございます。最近私の方へ協議として来ておりますので、これ結論をつけて早急にこれは返事をしたいと、そのように考えております。
#121
○神谷信之助君 返事というのは、救済されるんでしょうね。
#122
○参考人(芦田一良君) いやまだ……
#123
○神谷信之助君 だからね、却下するのなら早く却下しなさいよ、そんなんやったら。そうなれば中央の方へ申請するし裁判にも出しますよ。八年もたってから却下されて何だ。あたりまえですよ、そんなこと。職場の長も、それから京都府の労働衛生管理部の関係の担当者の方も、係長も課長も、課長補佐も皆ちゃんと実情の証明を出してますよ。そういう状態であってもなかなか決まらない。国家公務員が決まっていない、地方公務員全体がどうや、労働省はどうやと優柔不断でやっているから八年もたつんだ。
 私はだから、この点、いまおっしゃったように協議は求めてきているということですから、協議なされれば、まさにこのような非人道的なことを直ちになくすためにも救済なさるであろうということを――この席で結論出すというわけにいかぬでしょうけれども、期待をして、もしそうでないとすればこれは重大な問題だということを指摘しておきたいと思うんです。
 それからもう一つの事例は、今度は、先ほどもありましたが、脳、心臓関係、循環器系統の疾患です。これの判定も確かに非常にむずかしいです。たとえば血圧が日常的に高いというそういう素因がある人、あるいはお酒が好きやとか感情に激しやすいとかいうようないろんな性格、これがあるという、したがって業務が過度になったりあるいは神経を集中するようなことが必要な、そういう状況でなくても、ある場合には確かに脳卒中で倒れるということもあり得るかもしれない。そして死亡するという悲惨な事態になるかもしれない。だからその点では、その素因がある場合に、業務内容の過重の状態というのは、審査をする側からすれば慎重に検討されるのは、これは私は無理はないと思います。しかし、これも非常にまたむずかしいわけですね。酒の好きな人であり、感情に激する人だからすぐなるということにならぬ。あるいは、神経の集中の程度が何週間も続いたとかあるいは残業が何日間も続いたとかいう状態が続かなければ脳卒中は発生をしないということでもない。一回であるいは瞬発的に脳卒中の症状を起こして命をなくす人も出てくる。だから、これは素因がある場合です。ましてや素因のない場合になれば、これは非常に素因のある場合に比べれば比較的判断しやすい事例だと思う。
 というのは、血圧が高いというような状況ではなかった。健康診断の状態は普通であった。ところが――具体例で申し上げますと、京都の北芝さんの問題ですが、修学旅行に来ておって、それでバスの中で気分が悪くなった。だから初めのうちは自動車に酔ったのではないかと同僚は思ったけれども、どうも顔色が悪いというので、あわてて病院へ運んだら、三時間後には脳卒中でお亡くなりになったと、こういう状況です。それで認定の請求をいたしますと、これは却下された。却下された理由はどういうことかというと、それは、その先生はその前年も修学旅行に行っているしその前の年も行っている、何回か修学旅行の経験をしている。そのときは脳卒中は起こさなかった。それで修学旅行に何遍も行っているのだから、普通の経験済みの仕事や、過重はなかったと。結論から言うたら過重はなかったから却下と、こうなっておるんです。これじゃ残された奥さん初め家族はたまらぬですよね。
   〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕
 現実にその先生は、その年の四月に配置転換で新しい職場に移り、そして非常にまじめというかきちょうめんな性格というか、いろいろな問題を抱えて神経を集中するそういう仕事に、新しい職場だからよけいに神経を使う。この修学旅行のプランをつくったり、あるいは生徒に対する指導等を含めていろいろの問題がある。そういったいろいろなものが含まれている。しかしそれはだめなんだ、おまえさんは別の原因で死んだんだと。公務外だと言うならば、それを審査をした、認定をした側がはっきり証明しなければ私はいかぬと思うんですよ。死んだ方はもう亡くなってしまったんですから、いまさら医学的にそれを明らかにしようとして解剖しようとしても、もう焼かれてしまった後ですからね。現実には、旅行先でそういう状態になったんですから、解剖したりどうのこうのして原因を究明するそういう手だてももちろん講じられていない。したがって医学的原因を追求する資料というのはこれはなくなっている。それで、これは過重性がないからだめなんだと、こういって却下されたんでしょう。
 また、これは血圧の場合もそうだし心臓でもそうですわね。日常的に別に心臓に疾患を持っていない人でも、あるいは仮に心臓の疾患を持っていても、本人は知らないし自覚症状がないという場合でも、実際は検査すれば心電図等に症状が出ても、心電図をとっていなければわからないし、そういう中で、自覚的症状の起こる人と起こらない人体質的にあります。それぞれね。私の知っている人でもあるんです。本人は全然苦痛を感じない、胸も息切れもしない、しかし心電図をとればちゃんと心臓疾患があるということはわかっている、そういう人がいますよ。だから、本人が自覚したときは大体あの世行きとこうなるんですよ。
 そのあの世行きになる、自覚する、そういう状態というのはどういうときに起こるのか。これは、精神的に興奮を呼び起こすようなそういうショックがあったのかなかったのか。いろいろあるでしょう。これもまた千差万別、人によっても違う。同じような衝撃で同じような症状を発生するとは限らない。だからこの点も非常にむずかしいわけですよね。ところが、あなた方の方の認定作業というのは、公務上の認定の判定では、これはまあ本人の主張を認めるわけです。それを否定をされるならば否定をする理由をもっと明確に自分から立証しなければいかぬ。請求者には立証することをやかましくおっしゃる。だから、先ほど言いました三木さんも、それこそ配置転換であっちへ行ったりこっちへ行ったりした、その職場をずうっと調べて、そしてあのときは何人の職場でどんな仕事をお互いやったんやということを一つ一つ聞いて、そして一生懸命証拠書類をつくるわけです。
   〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕
こちらはもう亡くなりましたから、そのときおった人にいろいろ状況を聞いたりするわけです。それ以上にはできない。そうやってもだめだというときには、過重労働があったとは認められがたいということでね。認められがたい理由は一体何や。業務上の過重ではなしにあんたは前の晩によっぽど悪いことをしておったんや、勝手なことをしてたんやと、だからだめなんですというようなのは一つもないです。まさに切り捨てのままですね。あとは今度はどうするのやというたら、いま言いましたように、中央に持ち出すか裁判所――大臣がおっしゃるように裁判所へ持っていかなければしようがない。大変なことなんですよ。
 こういう問題が実際に、特に心臓病それから循環器系統については最近は本部の協議事項になっているようで、これもずっとふえてきているようですから、協議に当たられる基金の方としても、この点は十分前向きに、しかも却下をするというようなことでなく、これは労働者にとっては、本人は業務上による疾病と考えあるいは家族はそう思っているわけですから、納得することができるような根拠を示してやるべきだということをあわせて――そのことができなければ、救済の措置をやらなければ、そのことは、単に地公関係じゃなしに、国家公務員関係あるいは労働省関係含めてそういう考え方を広げていかなければならぬ。よそを待っているのではなしに、特に国家公務員とか地方公務員、こういう行政官庁がそういう点では積極性を発揮しなければ、利潤追求を原則とする企業の側からそういう発想というのは生まれっこないわけですから、この点ひとつ基金の見解をお聞きしておきたいと思うのです。
#124
○参考人(芦田一良君) 脳、心は非常にむずかしいのでございます。その素因がはっきりしない場合――はっきりでございますね、あったのかもわかりませんがはっきりしない場合に、突発的に亡くなられるということで非常に気の毒なケースが多いのでございますが、ただ判定の基準としましては、やはりそこに、よく調べますけれども、過重性、あるいはアクシデントでございますね、そういうものがどうしても必要である。そうでないと、自然に亡くなったというようなことでは、ちょっとほかのいろいろな例がございますので、まあ公平の原則を欠いているようなことにもなりますので非常にわれわれ苦慮するところでございますが、いまおっしゃったことはよくわかりますし、とにかく徹底的に資料調査をして決める、そういう態度は十分いまもやっておりますけれども、至らぬ点もあるかと思いますので、さらに資料調査をやっていきたいと、そのように考えております。
#125
○神谷信之助君 これは私も京都の審査会の参与を一遍ちょっとやったことがありますからね、そのときに、舞鶴の水道の労働者で、役所からの帰りに交通事故で負傷した事件があります。初めは申請が却下されました。それで、京都段階の審査請求。最終的には救済されたんですけれども。これも今度の労働省のなにで、帰りに散髪屋さんへ寄っても通勤途上の災害としてみなすということになってきましたけれども、いつも通るコースとちょっとこう回っているというだけでだめだとかね。それはまあ基準といえばそういう言い方もできるかもしれぬけれども、まさにそういうひどい状況があったわけですけれども、それが救済されまして、だんだんそういう点では交通、通勤途上の災害についても大分広く考えるようになってきています。
 だから、そういう点はひとつ十分、先ほど言いましたように、やっぱり労働はみずからの生活向上、それからまた社会の進歩、ひいては全人類の幸せを目指して行われるものでね、その労働によってみずからが疾病になり、そしてそのために生活が破綻をし、あるいは命まで奪われるということになったんではこれはまさに労働というのは意味がなくなるんです。したがって、労働によってそういうことが起こらないようにする使用者、事業者の責任、そういうことを引き起こさない管理体制――きょうは同僚議員がやりましたので時間もありませんからやりませんけれども、そういう体制を含めて整備をしながら、この点についてはやっぱり積極的な態度をとらなければいかぬ。というのは、新しい事案ですから、どんどんと新しい事件が起こってくるだろうという点で要望しておきたいと思います。
 それで、あと時間がありませんから問題提起になりますが、いわゆる休業補償非課税問題ですが、地方公務員災害補償法の六十五条で、この法律または条例により支給された金品を標準として課税をしてはならないという非課税措置の規定があります。それに対して、だから本来はそういうことで、基金から出される休業補償については非課税措置がなされる。ところが現実には、基金の方で特別経理と一般経理があって、いわゆる給与として休業補償が出されるという場合にはこれは課税対象になっていますね。そういう事態が現実に起こっています。
 それで私は、何でそんなややこしいことになるんやと聞くと、国家公務員が全部給与ということになっているからやという話と、それからもう一つは、八〇%までそうやって休業補償で給与として支給されて、あと二〇%条例で補てんをしているところがある程度ある。したがって、若干課税されてもそれで相殺されるから大したことはないという現実的理由というようにお聞きしているんですけれども、しかし私は、法律の六十五条で、これは社会保障的意味を持つものとして非課税措置をとったんだということは、これは自治省の給与課編の「地方公務員災害補償制度詳解」や、「国家公務員災害補償制度詳説」ですか、それ、両方とも明記されているんですね。だから、そういう条項を法律で明記をしておりながら、給与として支給されているその形態にとらわれてそれが課税対象になるということ、これが残され、しかもそういう方向がずっと拡大をされるということは、それでは六十五条の意味がなくなってしまうということが一つ。
 ですから、六十五条を設置をするからにはこの原則を確立をすると。したがって給与として支給するのでなく、休業補償としてちゃんとするというたてまえを貫く必要があるし、それに二〇%前後のプラスアルファをやるやらないというのは、それは自治体の問題であって、それは別の問題としてやっていかないと、公務上の疾病による場合とそれから私的理由による疾病ですね、それに対する休業補償の問題、これはどちらも一般的には給与になりますから、その点では差別を生じないわけでしょう、同じように課税対象になりますから。税という面でいいますと。だからこの点でも一つ問題がありますし、さらに通勤災害になりますと、これはその点がもう一つ、期間によってずっと減額しますからね、給与が減りますから、減った分は休業補償に、災害補償法に言う補償に切りかえていくわけでしょう。だからそんな矛盾した措置までやらなきゃならぬ。だからこの点は、一つ法律が規定されながら実際上の執行の面で税法上の矛盾があるのではないかというふうに私は思うんです。
 それで、きょうはもう時間がありませんから、ひとつこの点を研究してもらい、もし改善が必要であるとすればやってもらう。もしその点でまだなければ、また適当な機会にこれは議論をしていきたいというように思っています。この点、御意見だけ聞いておきましょうか。
#126
○政府委員(宮尾盤君) 公務災害補償法の六十五条には、先生のおっしゃるような、この法律に基づく補償については、課税をしないという規定が確かにございます。
 ただ、いまお取り上げになりました問題についての私どもの見解でございますが、基本的な考え方といたしましては、公務災害によって休む方たちについては、原則としてこれは給与を支給する、全額支給するというのがたてまえになっているわけでございます。それで、たまたま休業補償が出るというふうなケースについて見ますと、これは一部の地方団体につきまして、給与を支払わないで休業補償とか休業援護金と、こういうような形で扱っておるところがあるわけですが、たまたまそういう団体については、まさにその公務災害補償法の規定に基づくわけですから非課税になる。ただこれは、基金をつくった当時、いろいろな経緯があっての特例措置だというふうに私ども考えております。
 ですから、考え方の基本は、あくまでも公務災害によって休んだ職員については給与ですべて全額払うと、これは国公法のたてまえもそうなっていますし、地方公務員災害補償法のたてまえもそうであるというのが原則であると思います。したがいまして、いわゆる特例的なものとして認められておる事例がそうなっているからということで、給与を支払ったものについてこれを非課税にするということは、これはなかなか公務災害補償制度のたてまえからいきましても、あるいは税制の仕組みからいたしましても、相当むずかしいケースではないだろうかというふうに実は考えておるわけでございます。
 なお、いろいろそういう点についての専門的なところの意見も十分聞いてみたいと思いますが、ただいまの私どもの見解は以上のようなところでございます。
#127
○神谷信之助君 その点については、先ほど言いましたように若干異論を持っていますから、いずれ機会を改めて議論をしたいと思います。
 終わります。
#128
○委員長(亀長友義君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#129
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#131
○委員長(亀長友義君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#132
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#133
○委員長(亀長友義君) 次に、請願の審査を行います。
 第二七二号産休補助教員の年金に関する請願外八件を一括して議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において慎重に検討いたしました結果、いずれもその決定を留保することに意見が一致いたしました。
 右、理事会申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#134
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#135
○委員長(亀長友義君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方行政の改革に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#136
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#137
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#138
○委員長(亀長友義君) 次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 本件につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#139
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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