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#1
第093回国会 本会議 第4号
昭和五十五年十月八日(水曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  昭和五十五年十月八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、宇宙開発委員会委員に井上啓次郎君を、
 公正取引委員会委員に平田胤明君を、
 労働保険審査会委員に中村博君を任命したことについて、本院の承認を求めてまいりました。
 まず、宇宙開発委員会委員、公正取引委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#4
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも承認することに決しました。
 次に、労働保険審査会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これを承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#5
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、これを承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(徳永正利君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。田代富士男君。
   〔田代富士男君登壇、拍手〕
#7
○田代富士男君 私は、公明党・国民会議を代表して、総理の所信表明演説に関して、内政、外交の重要課題について質問をいたします。
 私どもは、激動の八〇年代に迎える新しい政治を構築するために一層の努力を傾けるとともに、多数におごれる政府・自民党を今後とも厳しく監視してまいる所存であることをまず申し上げたいと思います。
 以下、鈴木内閣は今後いかなる政治を行わんとするのか、順次お尋ねをいたします。
 第一には、政治姿勢についてお伺いします。
 鈴木総理は、長らく党総務会長として党内にあって常に調整の役に徹してこられたのであります。また、総理は、総選挙や総裁選出に当たって何一つ政治理念、政策目標を表明されず一国の指導者の地位につかれたのであります。これが鈴木政治の明確なる輪郭が浮かばず不透明と評されるゆえんであります。確かに、内閣発足以来の総理は、常に「大平承継」とか「和の政治」を強調されているが、国民には派閥継承あるいは派閥均衡、党内融和のイメージしかないと批判されております。しかも、組閣直後に、まず奥野法務大臣の口から憲法改正論議や護憲運動批判が飛び出し、その対応をめぐって鈴木総理の指導力が問われる局面も生まれましたが、結局国会対策優先のこそくな収拾策が打たれました。また、概算要求の段階で、大蔵、防衛両大臣が承知しているという防衛費別枠扱いは、園田厚生大臣も、福祉を削っての防衛費の増額は悪乗りであると決めつけており、その上、防衛費といえども財政再建の上から聖域ではないという総理の基本方針にも反しているのであります。この他、総理は、靖国神社法案の再提出の指示を与えたり、一部閣僚からも批判される中で大半の閣僚が靖国神社に参拝するなど、鈴木内閣には右傾化と総理の指導力の欠如だけが目立ち、国民は大きな危惧を抱いているのであります。
 激動の八〇年代ほど政治の指導力が求められる時代はありません。そして、この時代にふさわしい指導者を得ることができないことほど国民にとって不幸なことはありません。総理は、内閣の右寄り姿勢を改め、総理としての指導力をいかに発揮されるつもりか、その決意をお尋ねしたい。
 第二に、鈴木内閣の最重要課題である財政再建について伺いたい。
 初めに、財政計画についてであります。
 財政再建の手順、方法を示す財政計画については、わが党がかねてより要求し、すでに大平内閣時代にその作成を約束されているが、その後継者となられた鈴木総理も同様にその作成の年内実行を約束していただけるのか、まず確認しておきたい。
 次は、行政改革についてであります。
 総理は、さきの所信表明演説等において、仕事を減らし、機構や定員を削減することが行革の基本と述べ、そのため、一部官業を民間へ移行し、経営合理化と民間活力を導入すると語るなど、まことに歯切れのよい発言をしておられるのであります。
 では、総理は、どのような官業を民間に移し、仕事を減らそうと考えておられるのか、ここで具体的に明らかにしていただきたい。
 次は、補助金の整理についてであります。
 補助金を受けるべき知事会や市長会が整理すべき補助金のリストを提出しているのに、補助金を出す側の政府にその対応のおくれがあるほか、補助金が政権党の票集めに役立っているという事実もあります。いま政府が補助金の整理に真剣に取り組まなければ国民に大きな政治不信を植えつけるおそれがあります。
 そこで、数多い補助金についてその軽重を比較検討する繁雑さを避け、補助金の一括整理を目指すために財政当局がまとめた補助金整理法案の国会提出の考えがあるかどうか、また、その成立の決意を伺いたい。
 次に、財政と福祉問題についてであります。
 財政再建に名をかりた教科書無償制度、児童手当制度、老人医療費無料制度などの見直しないしは手直しが常に財政当局より取りざたされておりますが、文部省の教科書検定審議会は「児童らの学習意欲をそぎ、財政上の節約にならない」と反対の建議をまとめました。また、児童手当について、中央児童福祉審議会は「財政難を理由とした制度廃止の動きに反対」を表明しております。老人医療費無料制度は、病気の早期発見に役立つなど、現に制度として定着を見ております。
 これらを手直し、後退、削減することは明らかに弱者、大衆へのしわ寄せであり、いずれも福祉切り捨ての財政再建策であって、断じて認めがたいものであります。財政再建と福祉充実についての具体的な御所見を伺いたい。
 次に、税制についてであります。
 税制は何よりも公正を旨とすべきです。しかるに、現行の税制では二つの問題を指摘しなければなりません。
 その一つは、税の捕捉率をあらわすいわゆるトーゴーサンと言われる問題であります。もう一つは、額に汗して働くサラリーマンなどの勤労所得よりも利子配当などの資産所得の方が税が軽いという問題であります。政府がこうした税体系の不備を改めることなく、五十六年度に選択増税や間接税増税を導入することは、かえって不公正を拡大し、納税意欲をそぐことになり、われわれはそうした公正さを欠く増税に強く反対をいたします。
 さらに、中期税制に絡ませて、政府が「増税なしの財政再建は不可能」と宣伝し、売上税など表面上は一般消費税を隠した大衆課税を導入しようとしていることは、昨年十二月二十一日の衆参本会議における、増税なしの財政再建の決議に違反し、これこそ国会と国民を無視した悪政と思うが、総理の御所見をお聞きしたい。
 第三に、地方行財政並びに地方経済の育成について伺いたい。
 初めに財政危機についてであります。
 現在、地方財政は、昭和五十年度より連続六年、毎年発生する二兆円以上もの莫大な赤字にあえいでおり、まさに危機に瀕しております。これに対して、政府は、わが国地方行財政制度の基盤の脆弱さと強大な中央集権を抜本的に改めることなく、ただ、毎年度地方債の増発と地方交付税の借り入れという当座しのぎの方策をとるのみであり、それがかえって地方財政を大きく圧迫しているのであります。
 地方財政改善のためには、まず地方交付税率の引き上げや地方超過負担の解消を図り、地方債の許可制を廃止することが重要であります。また、租税特別措置の改廃により地方税の減免措置の合理化、法人事業税の外形課税化を図るなど、地方税制を根本的に改正することが大事であります。総理の率直な御所見をお尋ねします。
 次は、地方分権化についてであります。
 地方行財政の改革の一環として地方分権化を進めることは、地域住民へのサービス向上につながります。そのためには国と地方の行政事務を再配分し、地方公共団体の行政になじむ機関委任事務や許認可事務については、その裏づけとなる財源とともに地方に移すなど、地方の主体性を確立することであると思いますが、政府の方針を伺いたい。
 次に、地方経済の育成についてであります。
 地方の経済力がその地方住民に与える影響は大変大きいものがあります。しかるに、現在のわが国では、政治の中心東京にあらゆるものが偏重しており、東京と地方では極端な格差が見られるのであります。鈴木総理が提唱された公平で思いやりのある社会づくりの見地からも、格差解消に十分な対策が必要であると考えますが、いかがですか。
 なお、関連して、最近の大阪を初めとする地方経済の地盤沈下防止策の一助となる鉄道建設について触れておきたい。
 関西経済の地盤沈下が言われて久しいが、先月高木国鉄総裁が大阪で明らかにした大阪外環状線の電化並びに片福線建設は、関西経済に大きな活力を与えるものとして歓迎されております。
 そこで、この際、政府としての支援体制並びに具体化の目途などについて総理に伺っておきたいと思います。
 第四に、当面の経済問題について伺いたい。
 初めに物価問題についてであります。
 最近の消費者物価は、冷夏の影響を受け、都内区部については、九月の対前年同月比は八・九%にまで達するなど、七カ月連続八%台を記録し、政府の五十五年度消費者物価の目標六・四%の達成にはほど遠い数字であります。また海外では、アメリカ等の熱波によってわが国の輸入農作物の価格も急騰しております。その上、政府は、郵便料金の値上げや医療費負担の強化などを予定しているほか、五十六年度の国鉄予算では運賃の値上げを予定し、都内のタクシー料金の値上げも申請されております。
 今日、国民大衆の生活は、物価高騰による目減りのため、生活の切り下げを余儀なくされております。これが消費不況と言われる景気後退の実態でもあります。
 そこでお尋ねします。
 まず、政府は六・四%の政府目標を達成すると確約できますか。また、その具体的方策を示していただきたい。特に、予算修正で設けた五百億円の物価対策費はどのように使われるのですか。また、公共料金値上げについては、国民生活への配慮から検討すべきだと思いますが、いかがですか。
 公明党は、予算審議の際も、物価調整減税による国民の生活水準維持を主張してまいりました。この消費者物価高騰の折、何としても物価調整減税を行って、生活水準の維持向上を図るとともに、景気回復の対策にも資するべきと思いますが、あわせて総理の御見解をお尋ねします。
 次に、当面の景気対策について伺いたい。
 最近の景気動向にはややかげりが出ており、第一・四半期の実質経済成長率は対前年同期比で〇・六%にとどまり、大幅な成長率鈍化を来し、五十五年度政府経済見通しの四・八%の達成が危ぶまれております。景気回復には公共事業の拡大や金利引き下げよりも、むしろ物価の安定と就労者の実質収入の増加を図り、民間最終消費支出の回復を促すべきだと思いますが、いかがですか。
 また、この際、公共事業のあり方についてお尋ねしておきたい。
 政府は、上半期抑制的に進めてきた公共事業を、景気のかげりから促進に転じ、八月現在の執行状況から見て第三・四半期では契約目標額を対前年度同期比三〇%増としたものの、全体では従来より低水準で、契約は七八・九%となっているのであります。この後、第四・四半期においては一気に対前年度同期比五六%増、金額にして三兆円という事業が行われるといいますが、果たして消化できるかどうか疑問があります。
 また、地元の雇用創出のために、公的住宅、病院、保育所、文教施設などの新増改築を進めるとともに、この際、社会福祉施設整備計画など生活福祉関連の社会資本充実のための長期計画を策定すべきだと思いますが、あわせて伺いたい。
 次に、関連して住宅問題についてであります。
 住宅は、民生安定、家庭基盤づくりの原点であります。しかし、実質賃金の伸び悩み、地価の急上昇などの悪条件が重なり、マイホームの実現は絶望的であります。
 そこで、私は次の三点を提案したい。
 一つには、住宅金融公庫の融資限度額を実情に見合うよう大幅に引き上げ、あわせて公的資金による超低利の頭金貸付制度を創設すること。二つには、いわゆる三世代同居住宅について割り増し融資を拡充するとともに、不動産取得税を減税し、住宅取得税や住宅ローン控除についても拡大すること。三つには、既存の中古住宅融資についても一般新築並みの金利とし、対象地域を全国に拡大して、木造一戸建て住宅も融資対象に加えること。
 以上の三点につき総理の御所見を伺います。
 次に、中小企業対策についてであります。
 最近の中小企業は三カ月連続して売上高の減少を見ており、その倒産件数は千五百件を記録した昨年十月以来高水準で推移しております。また、繊維、家電などは冷夏の打撃を受け深刻な事態を招いております。
 これに対して政府は、この九月五日に中小企業対策の円滑な推進を含む総合経済対策を決めたが、これはまさに通り一遍の対策でしかありません。たとえば資金繰りに苦しむ中小企業への金融の円滑化といっても、金融機関の窓口での選別融資とか、貸し付け決定までに時間がかかり過ぎて急場に間に合わないなど、現場の切実な声が後を絶ちません。また、今回の中小企業対策の中で掲げられた政府系金融三機関の貸し付けの弾力化、倒産対策の機動的運用、既往債務の返済猶予の弾力的運用などについても政府はどういう点を改善されたのか、中小企業の皆様が聞いてわかるよう具体的に丁寧に答えていただきたい。
 その他、冷夏による打撃を受けた業種については、すでに告示された中小企業信用保険法に基づく融資保証枠の二倍拡大のほかに、既往貸付金利の一部免除を実施するなどの思い切った措置をとるべきだと思いますが、あわせて総理の所見をお尋ねします。
 第五に、農業の冷害について伺いたい。
 五十一年を上回る戦後二番目の冷害による農業の被害は、作況指数九一の水稲や野菜、果樹など日本列島全域に及んでおります。しかも、西日本を中心とした集中豪雨は冷害に苦しむ農家にダブルパンチを与え、深刻な事態となっております。
 これに対して、わが党はいち早く異常低温対策本部を設置し、各都道府県と連携をとりながら積極的な支援活動を展開するとともに、被害農家の実態を調査する一方、地方自治体からも詳しい実情を聞いたのであります。現地には、「収穫ゼロ宣言をすべきだ」とか、「収穫を当てに肥料代、農機具代を借金した、これからは生活費も心配だ」などの切実な訴えがあったのであります。実らぬ稲穂に絶望したのか、ことしは二人の犠牲者さえ出ており、悲しみに胸が詰まる思いがするのであります。わが党は、これらの深刻な被害に対して早速天災融資法の発動、激甚災害法の至急指定とその融資の限度額の引き上げ、被災農家の営農維持のための土木事業の集中発注など、政府の積極的援助を申し入れたのであります。政府はいかなる対策を講ぜられたのか、また、これから講じようとしているのかをお尋ねしたい。
 第六に、福祉問題について伺いたい。
 初めに、「完全参加と平等」をテーマに来年に予定されている国際障害者年に関してであります。
 国際障害者年の意義は、障害者問題を国民の一人一人が自身の問題として理解と関心を持つように意識を高め、連帯を強めることにあると言われております。総理府のアンケート調査によれば、現在の障害者福祉に不満を感じている国民は五九%に上り、施策はいまだ不十分と言わざるを得ません。そして、身障者から最も要望の多いのは雇用の促進であります。しかし、身障者の雇用率について現行の一・八%を達成している大企業はわずか二〇%にすぎないのであります。いまや身障者福祉は、従来の教育、医療、労働といった縦割り行政ではなく、きめ細かで総合的な対策を講ずべきであります。明年の国際障害者年を迎えるに当たって、わが国としてどのような方針で臨むのか、障害者福祉に対する総理の決意を伺いたい。
 次は、近づく高齢化社会に関してであります。
 高齢化社会が加速度的に進行する現在は、資源・エネルギーの制約など国際的な経済環境の変化による低成長の時代でもあり、減量経営、合理化などが行われ、中高年労働者へのしわ寄せが深刻化してきております。私どもは、高齢者が真に生きがいを感じ、能力を発揮され、福祉の増進が実現できる社会を築くことが八〇年代の重要課題と考えます。政府はいかなる展望と具体策を持っておられるのか。また、本年六月に採択されたILO百六十二号高齢労働者に関する勧告をいかに受けとめ、その実現を目指してどう取り組まれるのか、総理にお伺いしたい。
 第七に、婦人問題についてであります。
 初めに、去る七月、デンマークで行われた国際婦人の十年・中間世界会議において、懸案の婦人差別撤廃条約の署名が行われました。
 翻って、わが国では、雇用、教育、国籍などの面において同条約に抵触する婦人差別が存在しており、まことに遺憾に思います。政府は条約の署名に伴う関係国内法の整備を急ぐべきであります。特に、いわゆる男女雇用平等法の制定は婦人の地位向上のため最も優先されるべきと思いますが、いかがですか。
 次は、婦人の雇用に関連して、パートタイマーと寡婦雇用についてであります。
 年々ふえていくパートタイマーは劣悪な労働条件に泣いており、低い賃金など、働く婦人の能力や母性を無視、軽視した労働慣行が根強く残っており、早急に改善されねばなりません。
 また、交通事故、労働災害、自然災害などで突然一家の働き手を失った家庭ほど悲惨なものはありません。こうした母子家庭の母が最も望むことは、何よりも安定した職場で働き、自力で子供を育てることであります。国際婦人年の国内行動計画にある寡婦等の経済的自立の促進を実現するためにも、寡婦雇用促進法を一日も早く制定すべきです。総理の決意をお聞きしたい。
 次に、母子保健法についてであります。
 わが国は、その高い医学水準にもかかわらず、母性の保健と健全な児童の出生と育成は十分とは言いがたく、その原因は何よりも政府の母子保健に対する対策の不備、投資不足にあると思います。わが党は、母子保健法全面改正のため、百七十万の署名を集め、陳情したが、政府はその早期実現に向かい、いかなる対応をされるのですか、お尋ねいたします。
 第八に、公職選挙法及び政治資金規正法改正について伺いたい。
 政治倫理の確立は焦眉の急務であり、総理は政治資金の明朗化、公正で金のかからない選挙の実現を主張されております。また、総理は記者会見等で、選挙制度はスポーツのルールと同じとも言われました。
 そこで、総理は、選挙制度及び政治資金規正の改革にいかに取り組まれるのか、次の点についてお尋ねします。
 まず、選挙区制度のような根本問題は論議を尽くし、与野党合意によって各党一致のものに限るという不文律があり、これに従うべきです。
 次に、議員定数不均衡は最高裁で違憲と断ぜられたが、国民の基本的人権を守り、公正な民意の反映のために、衆議院並びに参議院地方区の不均衡是正を可能な限り断行すべきです。
 次に、参議院の機能、役割りを無視する全国区拘束名簿式比例代表制の導入と衆議院小選挙区制の採用は、有権者の意思をねじ曲げることとなり、断じて許せません。
 金権腐敗選挙は選挙区制とは直接関係がないのであって、選挙に金をかけ過ぎる姿勢を改め、選挙運動の公営化、選挙方法の改善を進めることが肝要です。
 次に、今国会において、政治家個人への政治献金の届け出、公開、罰則の強化等、政治資金規正法を改正すると言われているが、もしそうなら、さきに廃案となったものを再提出するのではなく、支出の明確化など、野党の意見を十分に取り入れたものにすべきであります。
 次に、政治資金規正法の新法施行後ことしで五年を経過し、明年早々企業献金を廃止し個人献金強化の方途などを検討しなければなりません。自民党は、去る五十年二月二十四日の役員会で、今後五年以内に党経費は党費と個人寄付により賄うと決議し、また、五十三年三月八日福田元総理は「見直しの際、企業献金の制限を検討」と表明されたが、政府は実行を決意すべきと思います。
 以上五点について総理のお考えをお尋ねいたします。
 第九に、外交問題について伺いたい。
 初めに、外交姿勢についてであります。
 ソ連のアフガニスタン侵攻やイランの人質事件、また、最近のイラン・イラク戦争など、八〇年代に入り新たな国際情勢の急変が見られました。
 この国際情勢に対して、鈴木内閣は、従来の日米基軸外交に加えて、日米欧三極の軍事力増強という西側同盟との結束に積極的に協力していくという変化を見せ始めたのであります。確かに、アフガニスタン侵攻、防衛庁スパイ事件、原子力潜水艦の火災事故後の無害通航に絡むトラブルなど、ソ連の行動には不愉快なものがあります。しかし、これをもとにいたずらにソ連脅威論を振りかざし、米国の要請に盲従して防衛費の増額を進めようとすることは、国民の合意を欠落させた際限のない防衛力増強路線の強行であり、恒久平和主義を厳守すべきわが国のとるべき道ではありません。
 わが国の安全と自主外交を堅持してソ連との関係改善を図ることは、まことに重大な外交課題であると思いますが、わが国外交の基本姿勢及び対ソ外交のあり方について、総理の御所見を伺いたい。
 次に、イラン・イラク戦争と石油問題についてであります。
 両国戦争の長期化は、両国民の犠牲が増大することはもちろん、世界平和にとってもまことに憂慮すべきことで、早期終結を強く望むものであります。
 特に、両国とわが国は石油で結ばれており、イラン制裁の結果、石油減少分をイラク原油でカバーしてきたわが国としては、イラク原油まで減少するという事態になりかねず、しかも輸送の混乱がコストに大きくはね返るおそれも出てきており、政府の対応について総理より伺いたい。
 なお、戦争中のイラン、イラクからわが国に、不足するガソリンを輸入したいという話があるが、戦争の早期終結を望むわが国としては認められないと思うが、通産大臣に確認したい。
 最後に、国際経済協力に関してであります。
 南北問題はますます対立の様相を深めております。先進各国は世界不況と貿易格差に悩み、一方、南側においては、片や資源大国、片や四百三十億ドルもの累積赤字と八億人にも上る絶対的貧困者を抱えた最低開発国という二重構造に苦しみ、相次いで開かれた国連総会でも解決の道が開かれないありさまであります。
 わが国の経済協力の実情を見ますと、政府開発援助の対GNP比は、国際目標〇・七%を大きく下回る〇・二六%であり、贈与比率はOECD開発援助委員会加盟十七カ国中最低という、国際水準からは遠くかけ離れた状況であります。世界銀行は八〇年度年次報告で「富める国と貧しい国が、分かちがたい命運を認識して協力しない限り、ともに将来を生き延びることは困難」と警告しております。わが国は、資源小国として南側諸国と密接な関係にあり、経済保全保障からも、まずみずからの責任を果たし、せめて欧米並みの援助活動をすることが対日非難解消にも役立つものと考えるが、総理の御所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(鈴木善幸君) 鈴木政治につきまして右寄りであるとか指導力がないとかの御意見がありましたが、私は、憲法に定める平和と民主主義、基本的人権尊重の理念を非常にすぐれた理念であると評価し、施政の基本としているものであり、右傾化という御意見はまことに心外でございます。
 また、私は、物事の判断や決定に当たって、閣僚はもとより与野党の御意見や世論などの傾聴すべき意見にできるだけ耳を傾け、可能な限り論議を尽くし、最後に国民が納得する結論に到達すべく努力することを政治信条としてまいったものであります。私は、決断を求められる場合においては、国家、国民のために毅然としてリーダーシップを示すつもりであります。
 財政計画についてお尋ねがございました。
 長期的な視野に立って財政の展望を行うことは、財政再建の上からもきわめて有要であると存じます。まだ政府部内で技術的な検討を行っておる段階と聞いておりますので、詳細は後ほど大蔵大臣をして答弁いたさせます。
 行政改革についてでありますが、私は、行政の仕事減らしという観点から行政改革に取り組んでまいりたいと考えております。つまり、すでに行政需要が少なくなったと思われる仕事を縮小廃止し、また、政府が直接関与する必要がなくなったと思われる仕事はできるだけ民間部門の手に任せるという考え方であります。官業の民業化ということを申し上げましたのも同じ考えによるものでありますが、具体的にあの仕事を民間に移す、この仕事を民間に移すというようなことを現段階で申し上げますといろいろと影響もあろうかと存じます。具体的成案を得次第、国会にお諮りしたいと存じております。
 財政再建と福祉の充実についての私の考え方を述べよとのお話でありました。
 五十五年度予算で見ますと、社会保障関係費は八兆二千億円余、予算全体の一九・三%、文教・科学振興費は四兆五千億円余、予算全体の一〇・六%、つまり両者を合わせますと予算の約三割になるわけであります。
 田代議員は、いわゆる防衛費別枠の問題にも触れられましたが、財政再建のため歳出の見直しを徹底して行うためには、特別に聖域を認めるわけにはまいらないものと考えております。予算の三割を占める経費が福祉の名のもとに合理化の対象から外されてしまっては、財政の再建は望むべくもありません。福祉といえどもむだは省く、そのかわり真に恵まれない立場にある人には重点的にきめ細かい配慮をする、そのようにして財政再建と福祉の充実が両立するものと私は考えております。
 税制は何よりも公正を旨とすべきであるとのお話でありました。
 私も全くそのとおりであると存じます。制度、執行の両面にわたり公平を確保するよう努力してまいります。私は、再三申し上げておりますように、五十六年度の税制改正においては、現行税制の基本的枠組みの中で対応してまいるつもりであります。また、五十七年度以降につきましては、昨年十二月二十一日の衆参両院の決議の趣旨に配意しながら、税制調査会の検討の結果や、その他諸般の事情を総合的に勘案し、慎重に対処してまいります。
 地方財政の改善のために地方交付税率の引き上げ、地方超過負担の解消、地方債の許可制を廃止することが重要であるとのお話でありました。
 いずれも国と地方との間の事務配分、これに伴う財源配分等に絡む問題であります。超過負担の解消にはかねてから努めてまいっておりますが、地方交付税率、地方債の許可につきましては、いずれも基本的な検討を必要とする問題でありますことは御承知のとおりであります。これに対する国の施策が当座しのぎに終わっているとの御指摘ですが、国は御承知のとおり苦しい財政事情であります。その中で特に多額の特例公債まで発行しながら地方の財源不足額の補てんを行ってきておるのが実情であります。基本的には、国同様に、地方団体自身も自主的な行政整理及び財政対策が必要とされるのではないかと思います。
 御指摘の地方税制上の問題は、いずれもかねて議論のあるところであると承知しております。今後とも検討してまいります。
 国と地方の事務配分の問題は、行政改革を進める上で基本的な問題であります。住民の身近なところで、住民の意思を反映しながら行われることが望ましい事務については、地方にできるだけ権限を移譲することが基本的には必要であると思われますので、そういう観点に立って地方公共団体への事務移譲等に努めてまいる所存であります。
 地方経済を振興して格差の是正を図れとの御意見がございました。
 そのように心がけてまいりたいと存じますが、お尋ねの大阪外環状線の電化などにつきましては、いずれも大阪都市圏における将来構想として長年の懸案事項でありますが、御承知のような国鉄も財政事情でありますので、地元と国鉄その他関係者の間で慎重に検討を進めてまいりたいと存じます。
 物価に対する一連の御質問にお答え申し上げます。
 まず、消費者物価の政府見通し六・四%についてでありますが、消費者物価の現状は、冷夏などの影響や原油価格の影響など厳しい情勢にありますが、六・四%程度の上昇におさまるよう最大限の努力を傾注してまいりたいと存じます。
 次に、物価対策費五百億円についてでありますが、これは、物価が著しく高騰するおそれが生じたような場合に、事態の進展に即応した効果的な使途が検討される性格のものと承知しております。物価の現況から見て、この枠から何らかの具体的支出が検討されるような差し迫った状況にあるとは見ておりませんが、いずれにせよ、物価の動向には細心の注意を払ってまいります。
 公共料金の値上げに当たっては、慎重に諸般の情勢を配慮してまいります。
 物価調整減税についてのお尋ねでありますが、わが国の所得税の負担水準は諸外国との比較で見ても相当低く、また有業人口に占める納税人員の割合もかなり低いのが実情であります。このような負担水準の実情や、厳しい財政の現状を考えますと、財政の再建が成るまでは物価調整減税を含めまして所得税の減税は御容赦願わなければならないと考えております。
 第四・四半期の公共事業の執行につき御質問がございました。
 御指摘のとおり、残高は約三兆円でありますが、第三・四半期までに契約率が八〇%近いものになることであり、必ずしも消化不能とは言い切れないと思います。
 また、地元の雇用創出のため、公的住宅、病院などの新増改築を進めよとの御提言でございました。第三・四半期の契約目標額を前年同期比三〇%増程度とすることを閣議決定いたしました際、中小建設業者の受注機会の確保を図ることを決定いたしましたので、現在関係省庁でそれに従い指導いたしておるところでありますが、その際、地元の雇用創出につながる公的住宅、病院等の新増改築にも配慮をする所存であります。
 また、福祉関連の社会資本充実のための長期計画を策定すべきではないかとのお話がありました。高齢化社会への対応という問題もありますので、地域の実情に応じて福祉関連の社会資本の整備を図ってまいりたいと思っております。
 住宅に関連して、金融、税制上三点の提案がございました。
 住宅対策は、国民の需要も大きく、国民生活の安定向上のためきわめて重要でありますので、従来から住宅金融公庫融資または税制上いろいろと配慮してきております。現在、格段に厳しい財政事情下にありますが、御提案のようなこともそのうち検討の対象に上ってくるものと考えております。せっかく努力をしてまいるつもりでございます。
 次に、中小企業対策についてお答えをいたします。
 九月五日の経済対策閣僚会議決定の趣旨を受け、中小企業対策の円滑な推進を図るため、具体的には次のような措置を講じたわけでございます。
 中小企業金融の円滑化については、政府系中小企業金融三機関、全国信用保証協会連合会及び民間金融機関全国団体に対し、貸出手続の迅速化、返済猶予、担保徴求の弾力的運用など、中小企業に対する融資、債務保証について特段の配慮方を要請しております。
 第二は、中小企業信用保険法に基づく不況業種の指定について、建設業及び清涼飲料製造業等冷夏の影響を受けておる業種等について機動的に追加指定を行っております。
 次に、冷夏等による被災農家はまことにお気の毒であります。政府としては実情に応じ万全の対策を講じてまいります。すでに天災融資法及び激甚災害法については早期発動を準備しており、また、農業共済金につきましては、被害農作物の損失評価を迅速的確に行い、共済金の支払いを早期に完了するよう努めてまいります。また、公共事業の活用につきましては、第三・四半期の執行に当たり特別の事業枠を設けるなどいたしまして、被災地での重点的な事業の実施に努めることといたしております。
 国際障害者年についての御質問がありましたが、来年の国際障害者年の事業については、中央心身障害者対策協議会に障害者の代表も参画して審議した結果の提言をいただきました。政府は、その提言をもとに、先般国際障害者年事業の推進方針を決定し、障害者問題に対する啓発活動、保健医療、教育、雇用などの対策について積極的に取り組んでまいります。
 高齢化社会の社会保障の問題でありますが、八〇年代以降、わが国の高齢化が急速に進むことは御指摘のとおりであります。このことから大きく言って二つの問題が生じると思います。一つは、高齢者が安心して生活できる社会をつくり上げなくてはならないということであります。もう一つは、将来における働き手の負担を過重にしてはならないということであります。この二つの問題を同時に解決するため、現行の社会保障制度を再点検し、長期的な視野に立って福祉の立て直しを図り、負担の公平を考えながら、恵まれない人々、ハンディキャップを背負っておる人々には重点的に温かい手を差し伸べるよう配慮してまいりたいと思います。
 社会が高齢化することによって活力を失うこととなってはその社会は衰退いたします。わが国は今後とも民間経済を中心とした活力のある福祉社会を建設していかなくてはなりませんが、その中にあって、社会の高齢化に備え、定年の延長、再就職機会の増大に努め、自助の精神を失わない活力ある高齢化社会の実現に努力してまいりたいと存じます。
 本年六月に採択された高齢労働者に関するILOの勧告につきましては、今後その内容を検討の上、わが国の実情を勘案しつつ、今後の重要課題である高齢労働者の労働問題等に対処するに当たって十分尊重してまいりたいと考えております。
 婦人差別撤廃条約につきましては、政府部内における検討結果に基づいて、国内法制など諸条件の整備を図ってまいりたいと考えます。なお、男女雇用平等法につきましては、関係審議会において審議中でありますので、その結論に基づいて対処することといたしたいと思います。
 次に、パートタイマーの労働条件の改善についてでありますが、女子を中心とするパートタイマーの雇い入れに際して、労働条件の不明確などの問題があると聞いております。労働基準法の履行確保を中心に十分の監督指導を行い、パートタイマーの労働条件の確保、改善に努めてまいる考えであります。
 寡婦雇用促進法の早期制定という御主張に関してでありますが、私も寡婦の方々の雇用を促進したいという点に関しては田代議員と意見を同じゅうするものであります。しかしながら、その具体的な手だてといたしましては、外部から法律で義務づけて促進するというようなことでなく、現在寡婦の方々の雇用の妨げとなっている障害を取り除き、雇用が容易になるような環境条件を整えていく、これが施策の基本であると考えております。
 選挙制度の改正は各党一致のものに限れとの御意見ですが、これまでも申し上げているように、選挙制度の見直しについては、選挙のルールに関する問題でありますので、国会の場において各党各会派の間で大局的見地に立って十分御論議を願い、国民の納得いく改善案が得られるようにしたいと考えております。いずれにしても、選挙のルールに関する問題でありますので、国会の場において御検討をお願いしたいと思います。
 今回御審議を願いたいと考えておりまする政治資金規正法の改正案は、御承知のとおり、昨年の航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言を受けて、政府与党で各方面の意見を伺いながら十分論議を尽くし、取りまとめたものであります。政治資金の明朗化は当面する緊要の課題でありますから、改めて今国会に提出したいと考えておりますので、国会の場で十分御審議を尽くしていただきたいと念願いたしております。
 企業献金の廃止、個人献金強化の問題につき御質問がございましたが、自由民主党は、五十年二月、党の経常費について党員の党費と個人の寄付によって賄うことなどを決め、それ以来、党員、党友の拡大等により、個人による拠出の増大に努めております。その後相当の実績を上げてきておりますが、まだ企業献金に完全にかわり得るまでに至っておりません。五十三年三月、福田元総理が国会で答弁しておりますように、それは、企業献金は悪でない、企業体も一つの社会単位である、その献金を全部否定する要はないというものでありまして、私もそのように考えております。これらの点を踏まえまして、議会制民主主義のもとでの政党の機能の重要性にかんがみ、さらに検討してまいりたいと思っております。
 次に、外交問題についてお尋ねがございましたが、第一に、わが国の外交の基本姿勢の問題であります。
 政府は、平和国家としての基本的立場を堅持しつつ、世界の平和と安定のため、わが国の国際的地位にふさわしい役割りを主体的に果たすことをもって外交の基本といたしております。
 また、その間にあって、ソ連との間においても政府は真の相互理解に基づく安定的な関係を発展させることを望んでおります。最近の日ソ関係は、所信表明演説でも述べたとおり、ソ連側の行動に起因して厳しい局面にありますが、日ソ関係発展への道を開く環境をつくるためにも、私はソ連側においてその誠意を具体的行動をもって示すことを強く期待するものであります。
 イラン、イラクの紛争につきましては、わが国としては和平のために最善の努力を払っております。ただし、石油備蓄その他、十分ございますので、いま直ちに石油需給その他について不安を持つような状態ではございません。国民の皆さんの御理解、御協力をいただきたいと思います。詳細につきましては通産大臣からお答えすることにいたしております。
 最後に、わが国の政府開発援助の問題についてお答えいたします。
 わが国は、政府開発援助を拡充するため、三年倍増の中期目標を掲げて、その確実な達成を目指し現在努力しておりますが、三年倍増の中期目標は本年確実に達成される見通しであります。わが国は今後ともこのような積極的な姿勢を維持し、わが国の水準を速やかに先進国水準にまで高めることを当面の目標といたしております。
 以上、田代議員の御質問にお答えいたしましたが、残余の問題につきましては所管大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(渡辺美智雄君) 財政再建の手順、方法を示す財政計画、これを大平内閣が約束したが、鈴木内閣もその作成を年度内に約束するかと、こういう御趣旨でございますが、これは非常にむずかしい実は問題なのでございます。
 御承知のとおり、財政計画というものは日本で持っておりません。経済計画というものは持っておりまして、その経済計画から投影して財政試算というものをこしらえたわけでありますが、それではだめだと。ところが、諸外国、アメリカ、ドイツ等の例を見ると逆であって、経済見通し程度のものはあるが経済計画は自由主義経済だからない、したがって財政計画というものをこしらえておりますが、これとても経済が動けば結局は動いてしまうわけであります。
 そこで、どっちがいいのか、非常に問題なのでありますが、昨年の七月に取りまとめていただいた財政審財政計画等特別部会の中間報告というものがございますから、その中間報告を踏まえまして、政府内部において後年度負担額推計を基本としたいわゆる財政計画の策定作業というものを実はやってきておるわけであります。本年の末までを努力目標として、とりあえずそれまでの作業において明らかになった問題点の整理を行ってみたところでありますが、そのため、今後財政審の特別部会を開催してもらって、実際にいままで作業をしたその経過及び結果の概要を報告をいたしまして、そこでその財政計画策定作業に関する問題点を煮詰めてもらうということをいま考えておるわけであります。五十六年度予算をベースとしたその策定検討作業の進捗については、これは全力を挙げてまいりたいと、かように考えております。
 その次は、補助金の一括整理をするための補助金整理法案というようなものを国会に出す必要があるかと。これはもう財政再建の上で補助金整理の問題は非常に重要な問題であります。ことしの予算では約十三兆八千五百億円の補助金がございますが、そのうち法律によって補助しなければならないというようなものと、これだけのものは補助することができるといういわゆる法律補助でございますが、それが実際は十三兆のうち十一兆三千三百億円あるわけであります。補助金整理ということになりますと、その法律補助を整理しなければ補助金整理にならない。
 そこで問題は、たとえば八兆数千億円の社会保障関係費の中では約四兆五千三百四十億円が補助金ですが、これは要するに社会保障費の補助金の中の九七というのが法律補助なんです。これは法律でほとんど決まっておる。したがって、そういうものは皆さんの御理解と御協力がなければなかなか切ることがむずかしい。文教・科学振興費についても同じく補助金のうちの九二・五%というのが法律補助でございます。公共事業費についても補助金の約八〇%が法律補助。農業関係なんかは案外法律補助が少ないわけでございます。したがって、このような大きな補助金の整理をするという場合には、ぜひともこれは法律を直さなければならない。
 したがいまして、法律補助の問題についても積極的に整理合理化をいま検討をしておるところでございますので、検討結果が出ました暁には、必要がある時点で所要の立法措置について検討をさしていただきたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(河本敏夫君) 当面の物価問題及び物価に関連する諸問題につきましては、ほとんど全部総理がお答えになりましたので、私からは若干の補足をいたします。
 物価に対する基本的な政府の考え方は、すべての経済政策の前提条件は物価の安定にある、このように理解いたしております。そのために、去る九月の一連の経済対策におきましても物価対策に半分のスペースを割きましてその対策を詳細に具体的に決めたところでございます。これがいわゆる六項目ございますけれども、御案内のことでございますから、時間の関係でこれは省略いたします。その六項目を今後強力に進めていきたい、これが基本的な物価に対する考え方でございます。
 それから、ことしの経済成長目標は四・八%でございますが、この四・八%の経済成長を達成するためには物価の安定が必要ではないか、特に消費者物価六・四%という目標を達成いたしまして国民の消費活動を盛んにするということがその前提条件になるのではないか、こういうお話でございますが、その点につきましては私どもも全く賛成でございまして、成長目標を達成するためには消費者物価の安定が前提条件である、このように考えまして、引き続きましてこの実現のために全力を尽くしてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣田中六助君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(田中六助君) 田代議員にお答え申し上げます。
 中小企業問題につきましては総理がお答えになりましたので、イラン、イラクの紛争に伴って輸送路が混乱して日本に大きな影響を及ぼさないかという点と、最近イラン、イラクからガソリンなどを日本から輸入したいというようなことを言われておるが、それはどうかという二点と思います。
 まず、第一点のイラク、イランの紛争、戦争でございますけれども、すでにことしの七月にイランからの石油は全面的にストップしております。イラクからはちょうど一日に三十九万バレルでございますが、それが入っておりましたけれども、これも九月の二十三日で入らなくなっております。したがって、大きなダメージがあろうかというような考えも浮かびますけれども、イラクへの日本の依存率は約八・五%程度でございまして、こういうものを勘案いたしますときに、ちょうどわが国のいまの備蓄でございますけれども、民間備蓄が百四日分、政府関係が一週間ございます。したがって、百十一日分ございますし、五十四年度の五%消費節約ということが非常にうまく達成されております。五十五年度も七%の消費節約を国民の皆様にもお願いしておるわけでございますが、これも現在のところ非常にうまくいって九%台になりつつあるということが言えると思います。いずれにしても非常に冷静な態度でこれに応じておりますし、国民の皆様に感謝するわけでございます。その上、IEA二十一カ国の一日の備蓄量が平均で百四十日分あるわけでございます。その他OPEC十一カ国で一応減産をしようかという心構えがありましたけれども、これも現在の中近東の模様からむしろ増産へというような空気が高まっております。
 問題のペルシャ湾のホルムズ海峡でございますけれども、ここは実は日本の原油、石油の中近東から出る船のほとんど約七〇%が通過するわけでございまして、量にして三百六十万バレル一日通過するのです。自由主義陣営が千八百万バレル一日通過するのでございますけれども、いまのところホルムズ海峡が閉鎖される空気はございませんし、私どもはそういうことのないように一生懸命今後あらゆる機会を通じて国際的にも国内的にも努力していかなければならないというふうに思っております。ちなみに、この百十一日分の日本の備蓄を三十日分取り崩しますとちょうど一年もてるわけです。したがって、倍の六十日分取り崩しますと二年分もてますので、まあ国民の皆様が大騒ぎしないような配慮というものはできるのじゃないかというふうに思っております。
 第二点の問題でございますが、イラン、イラクからガソリンの輸入を要請されておるのじゃないかという一部の報道は確かにございましたけれども、私どもこれを調べてみましたが、現実にそういうことはございません。わが国は、御承知のように、石油製品というものは国内だけでも足らないし、今後とも、いまの需給関係を見ますときに、それが余るというようなことは絶対ありません。現在、輸出貿易管理令によりまして輸出承認物資ということになっておりまして、これは承認がなければできませんし、現在、私どもはこれをそういうふうに変えるというようなことも考えておりません。ただ、いま私どもがこれを承認しているのは、外国船が寄港した場合にいろいろ要る品物がございます。そういう点を承認しているだけでございまして、今後とも貿易管理令そのものを実行していくことには変わりがございません。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(園田直君) 総理からお答えがありましたから、私は母子保健についてお答えいたします。
 現行制度が樹立されてから十数年、しかも現在では、この制度を見直すだけではなくて、急速に来る高齢化社会、静止人口期を迎える二十一世紀に、新たなる次元の高い観点から全面的な新しい制度、施策を樹立することは、御意見のとおりでありまして、ただいま各分野の御協力を仰いで、昨年六月に家庭保健基本問題検討委員会を発足させて、多角的観点から新しい制度、施策の検討をお願いしております。
 公明党から提案されました全面改正の案は、要約すれば八項目がその眼目でありまして、この八項目は、事務的にそう困難ではなくて実行できる問題もあるし、また、これを取り入れなければならぬ点も多々ございますので、この全面改正については十分御意見を取り入れて改正したいと考えておるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(徳永正利君) 市川正一君。
   〔市川正一君登壇、拍手〕
#14
○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、総理の所信表明に関して質問を行うものであります。
 最近、各新聞の投書欄には、政治の右傾化、軍国主義化に対する国民の強い不安が反映されています。「昨今の怪しげなふん囲気に、一人でも多くの人たちが危険を感じ、いまこそ、きっぱりと、軍事国家への道を否定する意思表示をしなければならないと思う」。これは三十九歳の横浜の主婦の投書、「繰り返すまいいつか来た道」の一節であります。
 事実、鈴木内閣発足後の二カ月半は、靖国神社への内閣勢ぞろい参拝に始まって、憲法改正論、防衛予算の別枠増額、軍備増強など、相次ぐ右寄り、軍国化への顕著な傾斜でありました。
 そこで、まず総理に伺いますが、戦前、主権在民の思想を犯罪視する暗黒政治のもと、無謀な侵略戦争が十五年間続けられ、わが国を悲惨な敗戦に導いたのでありますが、総理は、この戦争の性格についてどういう基本認識を持ち、また、どう反省されておられるのか承りたいのであります。
 さらに、奥野法務大臣、あなたは、その戦争中、終戦まで鹿児島県で特高課長であったのでありますが、この戦争の性格についての基本的認識及び反省を特に私はお聞かせ願いたいと思うのであります。
 先ほど紹介しましたような国民の不安は決して杞憂ではありません。いま日米軍事同盟の攻守同盟化、すなわちアメリカが世界のどこで引き起こした軍事行動にも日本がそれに積極的に参加していくという体制づくりが急速に展開されています。
 この点で、昨日の衆議院本会議でわが党の不破書記局長の質問に答えて、総理は、八月の日米安保セミナーで三原元防衛庁長官が安保改定発言をしたことは存じていないなどと答えられましたが、三原元長官は、現行の片務的な安保条約を双務的なものにすべきだなど、安保改定論を展開したことは、新聞を読めるほどの人ならばだれでも知っている事実であります。ましてや、このセミナーに出席を予定しておられた総理御自身が知らないなどと言うのは、白々しくも無責任な態度と言わなければなりません。
 こうした中で、カーター大統領は、イラン・イラク紛争に関連して、ホルムズ海峡への国際合同艦隊の派遣を日本など同盟国に呼びかけ、シーレーン集団防衛構想を進めようとしております。これに応ずることは明白な憲法違反であります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 そこで、総理に伺うが、政府は、こうした国際合同艦隊の派遣構想に反対し、一切の軍事行動に加担しないことを明言すべきではありませんか。また、こうした軍事行動のための費用分担要求には一切応ずべきでないと考えますが、あわせて答弁を求めるものであります。
 日米安保条約のこうした攻守同盟化と関連して重要なのは、自衛隊の侵略的機能のきわめて顕著な強化であります。
 最近、自衛隊は、戦闘機と艦艇にミサイルや魚雷などの実弾装備を実施に移しました。これは、首相も国会も知らない間に、アメリカの太平洋戦略に繰り込まれた自衛隊の第一線指揮官の判断だけで戦闘行動に巻き込まれる危険性を持つものであります。このような危険な実弾装備を取りやめること、及び緊急発進時の武器使用についての内訓を国会に提出することを要求し、総理の明確な答弁を求めるものであります。
 こうした軍備増強、軍事優先の道が国民生活に大きな犠牲を強いる結果となることは明らかなところであります。来年度予算の概算要求でも、防衛費は別枠で九・七%も確保しながら、その他の予算は七%台、国民向けに使える予算は、わが党の試算では実質一・八%のマイナスとなります。昨日、総理は、防衛予算は別枠でないと言われたが、この事実こそ別枠扱いそのものではありませんか。
 そこで、私は総理にお聞きしたい。
 政治と経済の根本目的とは何か、民生の安定にこそあると私は信ずるのでありますが、総理はどう認識されておられるのか。世上、政治理念の貧困と評せられている総理に、この際、議席も見ずにメモを朗読するようなそういう形でなしに、総理御自身の哲学と言葉で率直にお聞かせ願いたいのであります。
 いま国民生活の実態を見るとき、勤労者家計の実質収入は、本年一月以降、七月だけを除いて連続して昨年を大幅に下回っております。
 また、灯油はこの二年間で二・五倍も上がり、その陰で石油大企業は一挙に十倍の利益を得ております。いま冬を前にして灯油の値上がりが心配されているとき、不当な値上げは断じて許さないということを政府は言明すべきであると考えますが、いかがですか。
 この点で、先般の石油やみカルテル裁判で、東京高裁の判決は、悪徳商法容認の通産行政の姿勢とその責任をつくとともに、カルテルを結んで値上げする理由がなかったと明確に断じております。
 今後、物価安定の立場から、不当な独占価格引き上げを許さないために、大企業製品の原価の公開、あるいは不当につり上げた価格をもとに戻す原状回復など、独占禁止法の抜本的改正が必要になっていると考えますが、この点の見解を伺いたい。
 この機会に、私は、差し迫った国民の生活と権利に関連した四つの問題についてお聞きしておきたいのであります。
 一つ、婦人に対する差別撤廃条約に日本代表は署名いたしましたが、日本では逆に男女間の賃金格差は拡大しております。差別撤廃条約批准の重要な内容である雇用平等法は、何よりも母性保護の充実を前提とした真の男女平等を実現するものであるべきでありますが、先ほど審議会待ちの答弁がありましたが、政府として制定の決意があるのか、国内法改正とあわせて、この条約の批准の目標時期はいつなのか、明確にしていただきたい。
 二つ、国際障害者年まであと三カ月であります。国連決議は、各国政府が十年間の国内行動計画を立てて取り組むことを勧告していますが、わが国の国内計画はいつ策定されるのか。また、その具体化として、たとえば郵便局、電報電話局など、政府諸機関の施設を障害者が利用できるよう率先して改善する意思はないか。国際障害者年推進本部長でもある総理に伺いたい。
 三つ、八月六日、私は広島に参り、原爆被爆者の方々を見舞いましたが、被爆者の高齢化の中で状況はまことに深刻であります。国家補償の原則に立った被爆者援護法の制定はいまや急務となっております。政府は、遺族年金や障害者年金を含む国家補償としての援護法を直ちに制定すべきであると考えますが、三十七万人の被爆者とその家族の切なる願いにこたえ、心のこもった答弁を求めるものであります。
 四つ、公共企業体労働者の賃金改定については、すでに仲裁裁定が出ているにもかかわらず、国鉄、郵政労働者の賃金改定は放置されたままであります。これはスト権を奪うかわりに設けられたはずの仲裁裁定制度さえも踏みにじる不当なものであります。政府は、八月の人事院勧告による国家公務員の賃金改定とあわせ、直ちに無条件で実施すべきであると考えますが、いかがですか。
 さて、次に金大中問題でありますが、総理は、昨日、わが党の不破書記局長に、公権力の行使があったと断定し得る状況に至っていない、なお捜査中であると答えられた。
 そこで伺いますが、公権力の介入行使があったという結論に達すれば、政治決着は取り消し、金大中氏の原状回復を実現するということになるのですね、確認をいたしたい。
 現に、事件当時の法務大臣田中伊三次氏は、金大中事件が韓国秘密警察KCIAの犯行であり、主権侵犯は明白だと繰り返し言明しております。捜査当局並びに外務省は、田中氏に正式に証言を求めるべきではありませんか。
 また、レイナード元アメリカ国務省韓国部長は、CIA報告に基づいて、金大中氏事件以降、韓国から日本の自民党政治家に集中的に献金工作が行われたことを指摘しております。政府として、レイナード氏に直接問い合わせるなど、その真相を解明すべきではないか、あわせて明確にお答えをいただきたいのであります。
 憲法問題でありますが、総理初め十八人の閣僚が会員になっている自主憲法期成議員同盟と一体のものである自主憲法制定国民会議の自主憲法綱領を見ますと、天皇元首化やあるいは国家緊急権の確立など、明治憲法の復活をうかがわせる内容を掲げております。これは総理の言う憲法の理念とは矛盾しないのですか。総理を初め鈴木内閣の圧倒的多数がこのような内容を持った改憲運動を推進している議員同盟のメンバーとして加盟したままで、鈴木内閣は憲法を遵守し擁護するなどと言ったところで、それは全く空論になるのではないでしょうか。明確な答弁を求めます。
 最後に、重大な問題として、私は政治倫理に関してただしたいのであります。
 富士見病院の献金問題で齋藤厚生大臣は辞任しました。ところが、澁谷元自治大臣については、あれだけ明白な事実がありながら、また、けさの新聞報道によっても、本人自身が自民党総務をやめると辞意を表明しているにもかかわらず、自民党役員会がこれを留任させております。報道によれば、総理と灰色高官のあの総務会長が責任のなすり合いをやっているようでありますが、一体、真相はどうなのか。また、澁谷元自治相の問題は、政治倫理に反しないものとして容認されておられるのか、総裁としての鈴木総理に国民にわかるように責任ある答弁を求めるものであります。
 以上、私は緊急かつ重要な問題にしぼって質問いたしましたが、日本共産党は、日本の独立と平和、民主主義、国民生活擁護のためにさらに全力を尽くす決意を表明して、代表質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えをいたします。
 去る戦争に対する私の意見を求められましたが、私は当時一青年でありましたが、戦争の悲惨さを身をもって体験していただけに、平和のとうとさ、自由のありがたさということをよくわかっております。わが国はいつまでも自由であり平和でなければなりません。私はそのために全力を尽くして努力してまいる考えでございます。(拍手)
 今般のイラン・イラク紛争に伴う国際合同監視艦隊の派遣構想についてお尋ねがございました。
 この構想は、ホルムズ海峡における船舶の航行の安全を確保することを目的とし、米国が関係諸国との間で検討中であると伝えられておるものであります。本構想はまだ具体化したものでないものと承知しておりますが、仮に本構想が具体化してまいりましても、わが国がこのような監視行動に参加する立場にないことについては米側も十分理解しておるものと考えます。ホルムズ海峡における船舶の航行の安全確保についてはわが国も重大な関心を有しており、米国との間では今後とも引き続き外交ルートを通じ緊密に連絡をとってまいる考えであります。
 いわゆるミサイル、魚雷の搭載の問題についてお答えいたします。
 自衛隊は、その任務上、平時から有事に即応できる防衛体制を整備しておくことは必要であります。今回の要撃機へのミサイルの搭載や艦艇への実装魚雷の配備はこれは本来の兵装であって、このことをもって直ちに自衛隊の第一線の指揮官の判断でわが国が戦闘行動に巻き込まれる事態が生ずるとは考えられませんので、今回の措置を撤回する考えはありません。
 なお、魚雷などを装備することと、それを使用することとは別の問題でありまして、その使用についてはシビリアンコントロールのもとに厳格に規制されていることは言うまでもありません。関係の内訓を国会に提示する件につきましては、事柄の性質上、この種の規程を明らかにしている国はなく、内容を秘匿するのが国際的常識であると理解しております。したがって、これまで国会への提出はお断りしておりますが、可能な限りその概要を説明し、御理解を願っておるところであります。
 政治と経済の目標につきまして、防衛力整備との関連でお尋ねがございました。
 政治と経済政策の究極の目的は、国民生活の安定であります。これこそ歴代自由民主党内閣が一貫して追求してきたところでございます。申すまでもなく、外部からのわが国への侵略が容易に行われるような状況下では国民生活の安定は確保できません。このような意味におきまして、節度ある防衛力の整備も国民生活安定にほかならないことを御理解願いたいのであります。
 灯油の問題につき御質問がありました。
 灯油に関しましては、需要とバランスのとれた供給を確保することがその価格安定のためにもきわめて重要であるとの認識に立って灯油の供給確保に努めているところであります。むろん、一昨年来の原油価格の高騰などによるコストアップ分は、市場を通じて灯油の価格にも適正に反映させることはやむを得ざるところでありますが、その際、便乗値上げ等が起きないように政府としても引き続き価格監視を行っていく考えでございます。
 独占禁止法の問題についてでありますが、御承知のとおり、昭和五十二年の改正で、違法な価格カルテルに対する課徴金制度、同調的値上げに関する報告徴収制度が新設されるなど、その強化が図られたところであります。今後とも独禁法の厳正な運用を期しまして、競争制限的行為による違法な価格引き上げを防止してまいる方針でありますので、独占禁止法の改正の必要は、いまのところ考えておりません。
 婦人差別撤廃条約の批准問題についてお尋ねがございました。
 この条約批准のため男女平等法の制定が必要であるかどうかについては、条約の要請しているところを踏まえつつ今後十分検討してまいります。また、本条約の批准につきましては、今年六月の婦人問題企画推進本部の申し合わせに従い、今後の重点課題として国内法制等諸条件の整備に努めてまいります。
 国際障害者年の問題についてでありますが、国際障害者年に関する国内行動計画のあり方については、中央心身障害者対策協議会において近く審議する予定であります。
 なお、国民生活に関係の深い政府関係の施設については、従来から障害者の利用を考慮したものとするよう努めてきたところでありますが、今後とも努力してまいるつもりでございます。
 原爆被爆者対策につきましては、被爆者の特殊事情に着目し、特別の社会保障制度として現行二法を制定し、対策を推進してきたところであります。国家補償の精神に基づく援護法を制定することにつきましては、他の一般戦災者との均衡などの問題もありますのでなかなかむずかしい面がありますが、いずれにせよ、今後の被爆者対策のあり方については、現在取りまとめ段階に入っている原爆被爆者対策基本問題懇談会の結論を待って適切に対処してまいる考えであります。
 国鉄、郵政関係の仲裁裁定についてでありますが、できるだけ早く実施したいという気持ちに変わりはありません。しかしながら、国鉄、郵政関係の仲裁裁定は、国鉄再建法案、郵便法改正法案が未成立であり、予算上可能とは断定できないので、議決案件として国会に付議したものであります。政府としては、仲裁裁定を早期に実施できるようにするためにも、これら関連法案の早期成立に最善の努力を払う所存でありますが、御協力いただきたいと存じます。
 人事院勧告の取り扱いについては、政府は従来からこれを尊重することとしておりますが、本年度におきましては、勧告実施の所要財源が多額に上ります上、厳しい財政事情にあるなど諸般の事情を総合的に判断する必要がありますので、現在各省庁において検討させているところであります。
 次に、金大中氏の問題についてお答えいたします。
 まず、田中伊三次議員の件でありますが、同議員は事件当時現職の法務大臣の地位にあった人であり、仮に同氏がこの問題について韓国側のわが国における公権力の行使を裏づけるような証拠を持っておられるのであれば、こちらから証言を求めるまでもなく、みずから進んで関係当局に対してその証拠を提供されるはずであると信じます。
 また、御指摘のレイナード氏の発言につきましては、過去において本人に在米日本大使館を通じて照会したのでありますが、その際同氏は、自分としてはこれ以上この問題にかかわりたくない、また、だれに対しても何も発言するつもりはない旨を述べた経緯があります。このような状況にかんがみ、政府としては、この問題について同氏に改めて照会する考えはございません。
 金大中氏事件の政治決着の問題については、韓国によるわが国の主権侵害があったと断定し得るに至っていない状況下で、その当時の日韓双方の最高首脳が日韓関係の大局を考えて政治的判断を下したものであります。政治決着につきましては、韓国側の公権力の行使が明白になった場合にこれを見直すことがあり得るというのが政府のこれまでの一貫した立場であります。
 憲法問題に関連して申し上げます。
 私が会員となっている自主憲法期成議員同盟は、その趣旨として、徹底した民主主義と平和主義、基本的人権の尊重、これは日本憲法を貫く基本原則である、との憲法の基本原則はあくまでも堅持されなければならぬ旨を掲げているのであります。自主憲法制定国民会議の綱領について詳細は承知しておりませんが、その参加団体となっている自主憲法期成議員同盟が参画したとすれば、その設立の趣旨である憲法の三つの基本理念の堅持に反しないと考えたからであろうと思います。
 澁谷直藏議員は、同郷の名誉村民の肩書きを持つ北野早苗なる人物を信用し、純粋な献金として政治献金を受けたのでありますが、その後に至って北野なる人物が医師法違反などの容疑で取り調べを受けるなどの事情が明らかになり、直ちに全額を返還するとともに、党に対し遺憾の意を表し、党役員辞任の意思を伝えてまいりました。党としては、以上のような経緯でありますので、ただいまその取り扱いについて検討いたしておるところであります。(拍手)
   〔国務大臣奥野誠亮君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(奥野誠亮君) 戦争に追い込まれました当時の日本の事情を残念至極に感じております。戦争の悲惨さを身にしみて感じている一人でございますから、戦後三十五年、平和な民主的な国家建設に私なりに努力を払ってまいったつもりでございますし、これからも最善を尽くしてまいる決意でございます。(拍手)
#17
○副議長(秋山長造君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開議
#18
○議長(徳永正利君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。藤井恒男君。
   〔藤井恒男君登壇、拍手〕
#19
○藤井恒男君 私は、民社党・国民連合を代表して、先般行われた鈴木総理の所信表明演説に対して、若干の質問をいたします。
 まず、総理の政治姿勢についてであります。
 あなたが総理に就任されて二カ月余りを経過し、ここに初めて国会を通じて国民に語りかけたわけですが、国民はこの厳しい国際環境の中で初めての総理に「総理の時代認識と政治ビジョン」について聞きたかったことであろうと思います。残念ながら所信表明の中からそれをうかがい知ることはできませんでした。結局、いま国民の脳裏に残っている首相像とは、この二カ月余りの間に国民の前に日々映し出された閣内の不統一と総理のリーダーシップの欠如というものだけであったと思います。また、常々総理の言われる「和の政治」とは、自民党の絶対多数下であえてリーダーシップを殺した党内融和のための方策だったのかということであります。
 八〇年代は調整の時代から選択の時代であり、総理には高いビジョンと強いリーダーシップが要請されます。また、それなくして、内外の厳しい環境の中で国益を守り、国民生活の安定を図ることはとうてい無理だと言わねばなりません。
 そこでお伺いいたします。
 一つ、総理の言われる「和の政治」とはどのような理念、ビジョンによるものか。二つ、閣内または自民党内に根強い改憲論のある中で、憲法に対してどのように対処されるのか。三つ、憲法を遵守すると堅持するとではどう違うのか。
 国民の前に明確にしていただきたいと思います。
 次に、物価問題についてお尋ねいたします。
 総理も御指摘のとおり、わが国の繁栄をもたらした原動力は、内外のさまざまな変化に賢明に対応してきた民間の経済活動にあると思います。とりわけ、勤勉な労働者で構成する民主的労働組合が、経済の安定化を一層確実なものにすることを深く考慮して行動し、生産性の向上に努力してきたことに負うところがきわめて大きいことに格別の関心を払う必要があります。しかしながら、本年初頭来、実質賃金が連続してマイナスを記録し、勤労者世帯の生活に大きな影響を与えており、これらまじめな勤労者の誠実な努力が裏切られようとしています。
 この際、鈴木内閣は、何としても経済政策の主要課題を、物価の一層の安定と景気停滞による雇用不安の惹起を防止し、わが国の経済を確実に安定成長の軌道に乗せなければなりません。
 そこで、お伺いいたしますが、政府は消費者物価の本年度当初見込みである六・四%を守るためにどのような方策をお持ちか。また、これが守れなかった場合に、六・四%以下を前提としてベースアップを自制した勤労者に対してどのように報いられるのか、お答え願いたい。
 また、景気停滞と雇用不安を惹起しないために、五十六年度の経済成長目標を六%程度、消費者物価上昇率の政府目標を五%台とすることを多くの労働団体が求めていますが、これに対する政府の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、高齢化社会と雇用対策についてお尋ねいたします。
 これからのわが国にとって喫緊の課題は、活力のある高齢化社会樹立への対策であろうと思います。このために次の諸点についてお尋ねします。
 一つは、定年法の制定促進についてであります。
 定年延長が高齢化社会における雇用基盤形成のかぎとなることは論をまたないところであり、これがために当面六十歳定年、近い将来に六十五歳を定年とする定年法の制定を図るべきであると思うが、いかがでしょうか。
 二つは、定年年齢の延長制度化には、その促進をしやすくする条件の整備が不可欠であります。この観点から、中高年雇用誘導のための各種給付金の弾力的運用、高齢者を受け入れるための職場環境改善投資などに対する税制上の優遇措置、その他各種のインセンティブ施策を積極的に講ずべきであります。このために、労使間に中高年齢雇用協議会の設置などを法的措置を講じて対処すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、韓国問題についてお尋ねいたします。
 現在、問題となっている金大中氏らに対する裁判は、基本的には韓国の内政問題であり、わが国がこれに軽々に干渉することは本来慎まなければなりません。しかし、同時に、この裁判の行方は、韓国の民主主義はもとよりのこと、日韓関係、さらには韓国の国際的評価にもかかわる問題であり、したがって、われわれは、この問題の最終的な段階においては韓国政府の特段の配慮がなされるよう希望するものであります。この問題について総理はどのように考え、どのように対処されんとしているのか承りたいと思います。
 特に、総理がテレビを通じて、「金大中氏の問題が、日本が憂慮している事態にならないようにしないと、日本で手を差し伸べる場合、政府としても非常に制約を受ける」と発言されておりますが、その真意は何か、この際あわせてお尋ねいたします。
 次に、参議院の選挙制度改革についてお尋ねいたします。
 総理は、就任以来、金のかからない選挙制度の実現のため、参議院全国区制の改革を叫ばれておりますが、これは拘束名簿式比例代表制一本にしぼって考えられておられるのか。とすれば、それは政党への一票という投票方式か、その具体的内容をこの際明らかにしていただきたいと思います。また、そのための法案を次の通常国会に提出する方針なのか、あわせて承りたい。
 われわれは、拘束名簿式比例代表制には次の大きな問題点があると考えます。
 一つ、衆議院における政党政治の行き過ぎをチェックするはずの参議院が衆議院以上に政党化すること。二つ、わが国においては政党法もなく、政党の定義づけがあいまいであること。三つ、無所属候補を締め出すおそれがあること。四つ、当選議員の離党や他党への入党などを不当に妨げるおそれがあること。五つ、政党が拘束名簿で立候補を縛ることは、有権者の選択を一方的に縛るおそれがあることなどであります。
 このように、拘束名簿方式比例代表制には、参議院の存在意義そのものにかかわる重大な問題点を含んでいます。総理はいかようにお考えなのか、この際承りたい。
 参議院の問題点は、全国区以上に地方区の定数アンバランスにあります。今回の参議院選挙においても、地方区で、最低得票当選者の得票数が二十万三千六百八十六票であるのに対して、その三倍以上の六十九万六千九百一票を得票しながら落選しています。違憲判決すら出ているこの問題を放置することは断じて許されません。総理は、このような地方区の定数アンバランスについて、これを野放しにしておくつもりなのか、あわせて承りたい。
 わが党は、こうした全国区制の欠陥と地方区の定数アンバランスを同時に克服する方法として、この際、参議院の全国区、地方区を一体化し、十程度のブロック選挙区制に大胆に参議院選挙制度を改革すべきだと考えます。総理は、参議院改革の一つの方法として、このブロック制案を今後検討する用意があるかどうか、お伺いいたします。
 最後に、平和と安全についてお尋ねいたします。
 今日の国際情勢は、アフガニスタン問題を契機に、米ソ関係を中心に国際環境が悪化し、日本を取り巻く諸情勢も厳しくなっております。この結果、米国を初め各国が日本に対して、その経済力にふさわしい防衛力の分担を求めていることからわれわれは目をそらすことはできません。しかし、だからこそわが党は、ずいぶん以前から、国際関係を重視し、平和と安全の問題につき、現実重視の立場から、日本が国際政治の場で、西側国の一員として平和憲法国家にふさわしい積極的平和外交の展開を要求し続け、一方、国会での安全保障委員会の設置を初め、国防会議の改組充実、有事対応の再検討など、狭義の安全保障政策についても国民のコンセンサスづくりを政府に要求し続けてまいりました。しかるに、歴代自民党内閣は、独立国家としての、かつ国際社会の責任ある一員としての当然のこれら課題を国内政治の場から避ける政治姿勢をとり続けてまいりました。そして今日、突然に外圧的情勢に便乗して、国会における討議も国民のコツセンサスの形成に努めることもなしに、いきなり高姿勢に転じ、予算措置だけを先走りさせようとしています。それは和の政治どころか民主政治の根本に反するものであると言わなければなりません。総理は、このことについてどのようにお考えでしょうか。
 鈴木内閣がこの安全保障問題に堅実に取り組もうとするならば、私は、防衛予算先取り方針の前にまず次の三つの基本的方針を確立して、これを国民の前に明らかにすべきだと思います。
 第一は、積極的平和戦略の確立とその展開であります。
 言うまでもなく、最大の安全保障は世界平和の確保であります。政府は、最近の米ソ・デタントの後退、核軍備の拡大競争という状況の中で、この事態自身を打開し、積極的に国際平和に貢献するために、わが国のとるべき平和戦略の具体案を国民に示すことを優先すべきだと思います。
 私は、一つ、対ソ政策、特に関係修復の糸口をどうつけるのか。二つ、軍縮、特に米ソの核軍縮。三つ、南北問題特に途上国への政府開発援助。この三点こそ、目下のわが国平和戦略の重点的政策であるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 第二は、防衛費拡充問題は、あくまでも財政再建と財政事情を無視したものであってはならないということです。
 防衛費の急膨張には、現在のわが国の財政と国民生活圧迫の両面から明らかに限界があり、それを超えてはなりません。外圧的国際情勢を強調する前に、政府は選挙公約を想起し、かつ歴代自民党内閣のこの問題を避け続けてきた政治責任をこそ反省し、急がば回れの故知に学ぶべきであります。防衛予算の独走は、防衛費の無原則な拡大、福祉、教育予算へのしわ寄せ、財政再建へのブレーキ、防衛問題に対する国論の分裂の拡大といった好ましからざる事態への発展につながるおそれがあることを厳に留意すべきであります。
 第三に、シビリアンコントロール体制の確立こそが狭義の安全保障上最優先課題であります。
 国防会議改組問題は、事実上防衛庁の下請機関化していた現状を平和戦略や総合安全保障の立場から再位置づけすべき問題であり、それはシビリアンコントロールの原則に従って、政治優先の立場から国会と一体化した体制をも考慮すべきだと思います。この問題を提唱された鈴木総理は、白紙状態の思いつき提案ではなく、その基本理念を示して、具体的構想を急がせるべきだと思いますが、総理、いかがでしょうか。
 以上、政府の明確な答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(鈴木善幸君) 藤井さんにお答えいたします。
 「和の政治」とは党内融和の方策だったのかとの御質問でございますが、和の政治は、党内融和にとどまらず、国会運営に当たってもこれを実践していきたいというのが私の基本的な考えでございます。
 今国会ですでに再三お答え申し上げているとおり、私は、国会は話し合いの場であって、対立抗争の場であってはならないと思っております。あくまで論議を尽くし、民意を吸収し、話し合いを通じて国民の納得する結論を引き出す場であると考えます。この国民の納得する結論を出すということが議会制民主主義の本旨に沿うものであり、国会における和の政治は、この議会制民主主義のルールに従って国会が運営され、国民の負託にこたえることであると考えます。
 憲法問題についてお尋ねがありましたが、繰り返し申し上げておりますように、鈴木内閣においては憲法を改正しない方針を確認しております。
 その理由といたしましては、一つには、憲法が掲げている民主主義、平和主義及び基本的人権の尊重の理念は将来においても堅持すべきものであること。二つには、憲法改正は慎重の上にも慎重な配慮を要するものであるのに、現在、国民の中で憲法を改正すべしというコンセンサスができているとは言えないので、憲法改正を政治日程にのせることは全く考えていないというのでございます。
 また、所信表明で当初の遵守から堅持に変わったが、その意味の違いは何かとのお尋ねでありました。
 鈴木内閣が現行の憲法を厳に遵守することは当然であり、このことは御質問に答えて何回も申し上げているところであります。また、鈴木内閣の基本姿勢として、民主主義、平和主義及び基本的人権の尊重という憲法の理念を堅持することもまた明言しているところであります。したがって、鈴木内閣の憲法に対する考え方が、憲法全体を遵守するということから、憲法を部分的、選択的に堅持するということに変わったということは絶対にございません。
 消費者物価につきましては、冷夏の影響や原油価格の上昇など厳しい情勢にありますが、五十五年度の消費者物価が政府見通し六・四%程度の上昇におさまりまするよう最大限の努力を傾注してまいる所存であります。
 そのための対策といたしましては、去る九月五日に決定した経済運営の基本方針に示しました物価対策、野菜の供給確保策でありますとか減産の行き過ぎ防止など六項目を引き続き強力に推進してまいります。
 わが国の経済の安定に労働組合の自制ある行動が貢献しておりますことは、私は常々評価しております。労使のよき慣行、労使の協調こそは、わが国が持つ世界に誇るすばらしい資源であると私は考えております。政府は、このようなよい慣行がますます発展するような環境整備に心がけるべきでありますが、そのような環境づくりの上で最も重要なことの一つが消費者物価の安定でありますので、全力を挙げて最大限の努力を傾注してまいります。
 次に、金大中氏のことについてお尋ねがございました。
 金大中氏の裁判自体は韓国の国内問題であり、わが国としてこれに介入しているがごとき印象を与える態度をとることは適当でないと考えます。
 もっとも、金大中氏の身柄の問題につきましては、常々申し上げているとおり、政府としては重大な関心を有しており、このようなわが方の関心はこれまで随時韓国側に伝えてきております。政府としては、今後とも裁判の推移を見守りつつ、引き続きわが方の関心を韓国側に伝えてまいりたいと考えます。
 なお、先般のNHKの番組における私の発言についてでありますが、それは、わが国としては日韓関係を重視している、経済協力も積極的に行いたい、ただし、金大中氏の裁判の成り行きいかんによっては政府としてもいろいろ制約を受けざるを得ないという日本側の事情を率直に述べたものでございます。いずれにせよ、現段階において具体的措置を念頭に置いて発言したものではありませんので、そのように御理解いただきたいと思います。
 次に、参議院の選挙制度についてでありますが、参議院全国区制については、その改善を検討すべき段階に来ており、すでに各党間においても真剣な検討が重ねられておると承っております。
 この問題は、参議院のあり方、選挙のルールづくりに関する問題でありますので、それぞれの立場から当然いろいろな改善案が出てくるものと思われます。先ほど来いろいろ御高見も拝聴いたしました。事柄の性質上、国会の場において各党各会派の間で十分御論議を願う必要があり、さらに論議を尽くされて成案が得られまするようにお願いしたいのであります。ただ、参議院全国区制については特に早急に解決を迫られている課題が多いことから、当面は全国区のあり方の問題をまず取り上げ、国会の場において各党各会派の間で御論議をいただき、できるだけ速やかに結論を出していただきまするよう期待しております。
 防衛予算についてお答え申し上げます。
 政府としては、昭和五十一年に閣議決定された「防衛計画の大綱」に従い防衛力の整備を図ることとしておりますが、その具体的実施に際しては、そのときそのときの経済事情、国の他の諸施策との調和を図りながら真剣に検討を進めてきておりますので、防衛問題のうち予算措置だけが先走っているということはございません。また、防衛費の総額が当該年度のGNPの一%に相当する額を超えないことを目途とするという方針のもとに予算が組まれておりますので、この点からも節度を保った財政運営となっております。
 防衛費と財政再建との関係についてお尋ねがありましたが、防衛費であるからといって聖域にあるものではなく、他の経費と全く同様に、各般の施策、制度につき、合理化、効率化を図ってまいる所存であります。
 いわゆる総合安全保障に関してお尋ねがございました。
 今日の複雑な国際情勢とわが国の置かれた立場を考えれば、単に防衛的な側面のみならず、経済、外交を含めた広い立場からの努力が必要であります。外交、経済協力、エネルギー、食糧などの諸施策は、むろんそれぞれの所管官庁におきまして推進してきているところでありますが、私はこれらの施策について総合的な安全保障の視点から高いレベルでその整合性を確保することが必要と考え、現在その具体策について検討さしているところであります。
 なお、国防会議は引き続き存置してまいります。
 また、シビリアンコントロールの問題につきましては、民主主義国家においては政治の軍事に対する優先は確保されなければならないものと考えます。わが国の現行制度においては、国防組織たる自衛隊は文民である内閣総理大臣、防衛庁長官のもとに管理されておりますほか、法律、予算などについて国会の民主的コントロールのもとに置かれていることは御承知のとおりであります。また、国防に関する重要事項については国防会議の議を経ることとされており、シビリアンコントロールの原則は貫かれているものと考えております。政府としては、今後ともシビリアンコントロールの確保について十分配慮していく所存でございます。
 以上、御答弁申し上げましたが、残余の問題につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(河本敏夫君) 物価の問題につきましては総理からお答えになりましたので、私からは来年度の経済運営の考え方について申し上げたいと思います。
 来年度の経済運営の基本方針は、この十二月に諸般の事情を総合的に判断いたしまして決定することになっておりますが、その基本になるものは、昨年政府が決定をいたしました新経済社会七カ年計画というのがございまして、ここに掲げております目標を実現することにあると考えております。それは、七年にわたりまして五・五%程度実質経済成長を続けるということ、消費者物価につきましてはおおむね五%程度にするということ、これが基本的な目標でございますが、その年々の実情に応じてこれは若干変化をすることになっております。昨年は六%台の経済成長を実現しておりますけれども、ことしは第二次オイルショックの影響がございますので四・八%という目標を掲げております。しかし、来年は努力をいたしまして、五・五%経済成長、物価は五%と、こういう目標が実現するような経済運営を実現したいというのが政府の考え方でございます。
 そのためには、ことし後半の経済運営が非常に大事であると考えまして、去る九月五日に総合対策を決定した次第でございまして、これによりまして、ことし下半期の経済の活力を回復いたしまして、それを来年度に持続させる、そして拡大をしていく、そういう基本路線で運営をしたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣藤尾正行君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(藤尾正行君) お答えを申し上げます。
 高齢化社会に対応するためにどのような雇用対策をとっていくかということについて三点の御指摘がございました。
 総理大臣から、所信表明演説におきまして、この高齢化社会に対処いたしまして十二分な対応措置をとってまいるということが示されておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、第八十七回の通常国会の御決定、これに沿いまして、昨年の六月に雇用審議会といいまするものに諮りまして、定年制度の問題を含めましてこの審議会で御審議を煩わしておるわけであります。この審議会の御審議の結果がどのように出てまいりますかお待ち申し上げておるわけでありまするけれども、その結果を私ども尊重をすることは申すまでもありませんが、いずれにいたしましても、私どもはこういった定年法というような法制をここにつくりますということより先に、この法の精神といいまするものを十二分に達成をいたしたい、かように考えております。したがいまして、この労使の問題といいまするものに業種別にそれぞれ御相談を願う、そういった機会を多くいたしまして、この定年制度の問題はもとより、高年齢者の雇用の問題も含めまして、どのようにその実を上げていただけるかということを強くお願いをいたしておるところであります。
 私の考えますところでは、定年制度と申しまするのは、当面六十歳といいまするものを目標にいたしておるわけでありまするけれども、しかしながら、六十歳までお働きを願えればそれでおしまいということではございませんで、高年齢に達せられましても、なお今日、医学医術の進歩と私どもの生活環境の非常な改善によりまして、高齢者の方々の体力といいまするものも非常に向上いたしておるわけであります。したがいまして、六十歳にとどまるところなく、六十三歳でも六十五歳でも六十七歳でもお働きがいただけまするように、そのような措置をできるだけとってまいりたい、かように考えておるわけでございまして、当面、それぞれの労使のお働きによりまして、六十年までの間にはどんなことをいたしましても、法制を皆様方でお考えをいただいております、そういった目標が超えられるように努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
 なお、雇用の創出のためにいろいろなことを考えなければならぬわけでありまするけれども、何と申しましても、こういった問題はそれぞれの業種によりましていろいろな制約があるわけであります。したがいまして、この間は御案内のとおり銀行といったような高年齢者の方々の雇用につきまして非常に憶病なそういった業界にもお願いをいたしまして、すでに六十歳の定年制と雇用率の達成といいますることをお願いいたしましてお聞き届けを願えたような感じがいたしております。
 こういったことをさらに全般に推し進めてまいりまして、皆様方の御心配をいただかないで済むような、そのような措置を必ずいたしてまいりますから、御信頼をいただきたいとお願い申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣伊東正義君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(伊東正義君) 藤井議員の御質問にお答え申し上げます。
 先生のおっしゃいました御質問の中で、平和外交政策として対ソ外交あるいは核軍縮問題、南北問題につきまして、積極的な外交の展開をすべきじゃないかという御質問でございます。
 対ソ外交につきましては、ソ連との間に真の相互理解に基づきました安定的な友好関係を確立してまいるということは、もちろん望ましいことでございます。ただ、そのためには、日ソ関係の発展への道を開く環境をつくるためにも、たびたび総理がおっしゃっていますように、ソ連側においてその誠意を具体的な行動で示すことを強く期待しているという考えでございます。
 また、軍縮の問題につきまして、核軍縮が最優先課題であるということはわれわれも御同感でございます。国連その他国際場裏におきましてその推進に積極的に努力を払っておるところでございますが、特に具体的には地下核実験禁止ということを含みました包括的な核実験禁止条約の実現ということが早急にできますように、核兵器保有国に対しまして強く訴えてまいる所存でございます。
 さらに、南北問題でございますが、先進国の中で発展途上国と非常に日本はかかわりが多いわけでございますので、この南北問題が重要だということは先生のおっしゃるとおりでございます。自由世界の中の経済大国として、また平和国家としまして、建設的な南北関係を維持して、自由で開放されました国際社会の構築ということに努力してまいりますし、特に政府の開発援助につきましては、今年度で三年倍増の中期目標が達成いたすわけでございますので、今後もこの分野で積極的に経済協力を推し進めてまいるというのが政府の考え方でございます。
 お答えいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○議長(徳永正利君) 対馬孝且君。
   〔対馬孝且君登壇、拍手〕
#25
○対馬孝且君 私は、日本社会党を代表して、総理の所信表明に対して国民の抱いている疑問についてお尋ねいたします。
 私は、総理の所信表明には、率直なところ深く失望したのであります。歴代総理の言葉をかりれば、いわゆる総理は日本丸の船長ということになりますが、鈴木総理の日本丸には羅針盤がなく、風と波のまにまに漂流していると断ぜざるを得ないのであります。しかも、乗組員は船長の命に服さず、かじを右へ右へと切り、憲法改正論、防衛力増強論、軍事大国への道に押し流されております。これでは乗っている国民は全く不安であります。
 総理が唱える「和」とは、第一に閣内統一による和であり、第二は自民党内の派閥による和であり、第三には財界癒着の和であり、つまり安定過半数による力の政治のためのものであると断定せざるを得ません。
 総理の「和の政治」とは一体何であるのか、国民に改めて明確にすべきであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 まず、防衛問題について総理の基本姿勢をお伺いをいたします。
 総理、いま秋たけなわの日本の山野に高くこだましているのは、政財官の各界が声をそろえての防衛力増強の大合唱であります。国民はこの大合唱に大いなる不安を抱いているのであります。私は、国民の意思とは全く無関係に防衛力増強にのめり込もうとする政府の危険な姿勢を見逃すことはできないのであります。
 最近の動向を見ても、戦闘機、護衛艦のミサイル搭載、魚雷装備を初め、陸上自衛隊による北海道侵略を想定をした軍事演習など一連の有事即応体制の強化は、すでに自衛権を大きく逸脱し、戦力保持の道に明らかに踏み出していると断ぜざるを得ません。こうした軍備増強を強行しようとしているのは、アメリカの対日防衛力増強要請にこたえるものであり、今日の国際緊張下のもとで、わが国も米ソ軍事大国のパワーゲームに参加する意図を明確に打ち出したことにほかなりません。わが国が平和国家を築くことができたのは、平和憲法のもとで軍事力によらない国際政治、外交を追求してきたからであります。これに対し、今日、対ソ脅威論のもとに防衛力増強の道を選ぶということは、緊張緩和、平和への道につながらないことは明らかであります。
 昨日のわが党の小柳議員の質問に対し、総理は、防衛力増強はアメリカの要請によるものではない、また、仮想敵国を想定したものではないと答弁しているのであります。そうだとするならば、全方位外交という立場を堅持するとともに、防衛費はふやすべきではないと思うが、見解を賜りたい。
 防衛予算について、七月、大蔵省が、防衛費の先取りや別枠扱いによる大幅な伸びは認めるべきでないという方針を明らかにしたにもかかわらず、突如として特別枠の設定を認め、国際環境から見て防衛力整備の必要性は増大しているという見解に一変したのは、はなはだ理解に苦しむところであります。政府にとって政治課題の第一であるはずの財政再建を早くも危うくし、経済、福祉などの予算との均衡を崩しかねない予算編成方針は、戦前の軍事予算優先、国民生活耐乏の悪夢を思い出さざるを得ないのであります。
 防衛予算九・七%の伸びが認められた場合、その後の債務負担は将来の財政、予算にどのような影響を与えるのか、今回の特別扱いは防衛予算の聖域化を意味するのか、予算特別の扱いは取りやめるべきであると思うが、以上の点について総理大臣の所見を賜りたい。
 次に、当面最も重要な物価問題について質問いたします。
 その第一は、物価安定に対する政府の姿勢についてであります。
 物価情勢は現在に至るも上昇はやまず、高水準を続けております。しかるに、政府は最近物価は落ちつきを示しているとし、公定歩合の引き下げを初め公共事業契約の大幅な増加など、物価重視から景気重視へと姿勢を転換したことはきわめて危険であると言わなければなりません。無理な景気拡大策はいたずらに物価だけ騰貴し成長率が低下するスタグフレーションを招くことになりかねません。当面、物価に重点を置いた経済運営を続けることが必要ではないかと思います。総理並びに所管大臣の答弁を求めます。
 さらに、先ほど答弁がございましたが、九十一回通常国会において四党合意を見た物価対策費五百億円について、河本経企庁長官は、九月二十九日、政府・自民党連絡会議で、最近の物価情勢が厳しいことから、この物価対策費を有効に使って鎮静化を図りたいとの方針を明らかにしたと伝えられていますが、この具体的な使途について国民の前に明らかにすべきであります。経企庁長官にお伺いをいたします。
 第二は、政府の見通しを上回る消費者物価高騰による国民の所得の目減り防止策についてであります。
 騰勢を持続している消費者物価は、ついに八月には前年度比八・七%、九月の東京区部に至っては八・九%と異常な高騰を示し、今後三月まで毎月前月比の物価上昇率が下がらなければ政府見通し六・四%達成は困難な状況に追い込まれています。六・四%達成は不可能であり、もし政府が達成し得ると考えるならば、その根拠と対策を明らかにしていただきたい。
 物価の騰貴で勤労者の実質賃金は低下し、八月はマイナス三・五%と四十九年の狂乱物価以来の大幅な落ち込みをしております。春闘の際、政府が労働組合と約束した実質賃金の維持はほごにされていると言わなければなりません。速やかに政府は目減りを防止し、実質所得の確保を図る必要があります。大企業に投資減税を行うくらいならば、実質所得の低下に見合う物価調整減税を実施すべきであります。
 大企業は、本年上期、史上空前の利益を上げ、過去最高だった四十八年の一・五倍という多額の法人税の自然増収が確実に見込まれています。物価調整減税は消費停滞による景気のかげりと国民生活の目減りを防止する一石二鳥の効果を生むことになるのではないでしょうか。
 さらに加えて、政府が値上げを予定している郵便料金、米価、国鉄運賃などの公共料金は今年度は速やかに凍結すべきであります。
 以上について経企庁長官の見解をお伺いいたします。
 第三は、今後予想される石油価格の高騰防止策についてであります。
 イラン・イラク戦争による石油供給の確保と価格に対し国民は重大な関心を寄せております。特に、家庭用灯油は需要期に向かっており、石油の安定的確保に支障はないか。灯油については、生活二法を発動し、指導価格もしくは標準価格を決定し、国民の負担を最小限度にとどめるべきだと考えます。
 北海道、東北、北陸では、大量の灯油を使用するため、わずかな価格の値上がりでも家計には大きな負担となり、老人・母子世帯などの低所得家庭に対する影響はきわめて重いのが実態であります。すでに北海道では、道及び道内各市町村において、年金生活者、心身障害者、母子世帯を対象に灯油購入費の一部を助成する福祉灯油を四十九年度、五十四年度に実施をしております。しかし、零細な財政力の地方自治体の施策には限界があり、必ずしも十分な効果を上げていません。
 この際、国が福祉灯油を制度化し、積極的な助成を行って、低所得世帯の灯油に対する負担を軽減すべきであると存じますが、この点について経企庁長官の見解をお伺いいたします。
 次に、エネルギー政策について質問いたします。
 政府の長期エネルギー需給暫定見通しによると、昭和六十五年度にエネルギーの輸入石油に対する依存率を五〇%に引き下げるとしています。その内容を見ると、今後十五年間に原子力発電を現在の五倍近い七千万キロワットに拡大することにしておりますが、このためには百万キロワットの発電所を五十基以上も新増設することが必要となるなど、安全性及び立地環境から考えて実現不可能な数字が並んでいるのであります。
 政府は、この際、長期エネルギー需給暫定見通しを早急に見直すべきであります。通産大臣の所見を伺いたいのであります。
 わが国の石油代替エネルギー政策の推進は、危険性のある原子力を中心とすべきではなく、石炭、LNG、太陽熱、地熱等の活用と自然エネルギーの開発を柱にすべきであります。特に、貴重な国産エネルギーである国内石炭の重要性を再確認し、衆参石特委員会、エネルギー特別委員会における石炭政策に関する決議に基づき、いまこそ石炭政策の見直し、復興元年として、抜本的転換を行うべきであります。そのため、ガソリン税などの使途に検討を加え、エネルギー対策財源の確保を図るべきであります。
 今後の石炭政策として、特に二千万トン以上の生産と需要の確保を柱として、保安体制の強化、新鉱開発、遊休鉱区の集約、石炭専焼火力発電所の増設、そして国内炭と外国炭の受け入れ一元化機構の設立など、積極的な対策の実施が強く要望されているのであります。
 また、北炭夕張新鉱の再建が何よりも必要でありますが、特に八月二十七日に起きた自然発火による災害の復旧については、労使の自助努力で再建に立ち向かっておりますが、これには限界もありますので、特別資金などの確保について特段の措置を講ずるとともに、災害による縮小、閉山などを回避し、地域住民に生活の不安を起こさせないよう配慮すべきであります。
 また、産炭地振興法は明年にかけて期限切れとなるので、今後も引き続き延長すべきであります。通産大臣の所見を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、国鉄再建問題についてお伺いいたします。
 政府は、歴代自民党内閣による再建計画の失敗を何ら反省することなく、そのしわ寄せを赤字ローカル線の廃止や要員の大幅削減による国鉄財政再建案を強行しようとしているのであります。この政府の姿勢は、高度成長期における政策と経営の失敗の責任をすべて利用者たる国民や国鉄労働者に転嫁しようとするものであって、断じて容認できません。
 まず、赤字ローカル線の廃止について具体的に伺いたい。
 政府の計画によれば、昭和六十年度までに輸送密度二千人未満のローカル線約四千キロを廃止することになっております。
 北海道に例をとると、国鉄線営業キロの約五〇%が廃止されることになります。さらに、輸送コストが鉄道の二倍もするトラック輸送には依存できません。また、豪雪地帯ではマイカーもバスも使用は不可能であります。生活、産業に直結する人、農産物、石炭を輸送する唯一の手段が鉄道なのであります。その北海道から鉄道を奪うということは、住民の足を奪い、町ぐるみ壊滅に陥れることにほかなりません。人間の体にたとえれば、末端の細胞を切り捨てて、動脈と静脈だけでどうして生きていくことが一体できましょうか。この事情は九州においても全く同じであると言わなければなりません。
 このようなやり方は、口で「地方の時代」を唱え、「思いやりの政治」を力説しながら、その実は地方切り捨ての冷酷無残な政策であると断ぜざるを得ないのであります。総理大臣、やみくもなローカル線廃止という暴挙をおやめになるべきであると考えるのであります。
 この際、国鉄経営再建法案を撤回し、総合交通政策に基づき国鉄再建計画を抜本的に見直し、改めて国民の協力を求めるべきであると考えますが、総理の御所見を伺いたい。
 次に、食糧自給の強化策及び今回の冷害救済策についてお伺いいたします。
 八〇年代はエネルギーと並んで食糧の安全保障が大きな問題となると考えます。すなわち、食糧需給の動向を見ると、人口の増加、生活水準の向上、さらには食糧が外交的手段に用いられるなど、一段と不安定要因が増大しております。
 このような食糧政策の重大性を踏まえ、先国会の衆参本会議においても食糧自給力強化の決議が全会一致で行われたのでありますが、食糧自給力強化の具体策に関する政府の基本的方針を明らかにしていただきたい。
 次に、本年の異常気象による東北地方、北海道を中心とした農作物に対する冷害は、昭和五十一年の冷害の被害を上回り、戦後最大の被害が見込まれており、いまや農民の現状は、減反でたたかれ、冷害で収穫なく、お先真っ暗で首つり一歩手前であると悲痛な訴えがなされております。農林水産省の九月十五日現在の応急調査によると、農作物被害はまさに五千六百七十九億円に達しており、莫大な被害額となっております。したがって、今後これらの被害を速やかに把握し適切な措置を講ずる必要を痛感するのであります。
 まず、総理大臣から、冷害救済対策の基本的方針を明らかにしていただきたいと存じます。
 次に、第一には天災融資法、激甚災害法の早期適用を行うこと。第二には、災害による低品位米の特別規格を早期に設定し、全量政府買い上げの措置を行うこと。第三には、救農土木事業を早急に実施し、農業共済対策の強化を図ることを強く要請します。さらに、第二期減反政策については凍結すべきであると思うが、農林水産大臣の所見を伺いたいと思います。
 次に、高齢化社会に対応する社会保障、特に年金、医療について質問いたします。
 今日の問題は、一つは、国民年金を中心に大部分がなお低い給付水準に置かれていること。二つは、制度が分立し、制度間の格差が著しいこと。三つは、高齢化社会への移行に伴い年金財政の危機が表面化しつつあることなどであります。また、婦人は年金においても不利な条件に置かれております。
 これらの問題に対する解決策としては、少なくとも各種の年金が公的年金であり、いずれも国庫負担と結びついている限り、横断的に均等化し得る部分は統一すべきであります。そのためには、全国民を対象とする一律の基礎年金制度を導入し、その水準を国民生活の基礎的な保障となり得る高さに設定すべきであります。また、家庭にいる婦人の国民年金加入を促進するとともに、配偶者への遺族年金を引き上げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 年金と雇用の促進の関係についても、政府の方針はいまだ明らかにされていないにもかかわらず、本年厚生年金支給年齢を六十歳から六十五歳に引き上げる政府の構想が示されましたが、この点についていかがか、お伺いをいたします。
 今次の富士見病院事件に見られる生命軽視の乱診乱療は医療行政の怠慢であります。今日の老人医療に最も欠如しているのは日常的な健康管理体制で、こういった問題を考えますときに、現行の七十歳無料化に対し所得制限の強化など、老人に医療費の負担を強いようとする構想は断じて認めるわけにはまいりません。厚生大臣から明確なお答えをお願いいたします。
 最後に、自民党政府は、いまや国民生活に目を向けず、おごり高ぶり、改憲論議にうつつを抜かし、力の政治を強行しようとする政治姿勢を直ちに改めるべきことを強く訴え申し上げて、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(鈴木善幸君) 対馬さんにお答えをいたします。
 私は、所信表明でも明らかにいたしましたように、私の内閣の政治の目指すところは、今日までわが国政府が国民の皆さんとともに営々として築いてまいりましたところの平和と安定と繁栄を今後も引き続き持続するように、あらゆる施策を進めていかなければならない。私は、そのために内閣の総力を挙げまして、当面の課題であります財政再建の問題やあるいは行政改革の問題、エネルギー対策の推進など、また高齢化社会に対する対応、そういう政策を強力に進めてまいる所存でございます。これらの課題は、当面の課題だけでなしに、日本の将来にとりましてもまさに基盤をしっかりとしたものにしていく、こういう問題でございます。今後そういう目標に向かいまして最善を尽くしてまいりますので、御理解を賜り、御協力をお願い申し上げたいのであります。
 なお、私の政治姿勢につきましてお話がございましたが、この点につきましてはもう再三この席で申し上げておるわけでございます。単なる党内向けの問題ではなしに、国会運営に当たりましても、国会はあくまで話し合いの場であり、対立抗争の場であってはいけない。わが自由民主党は衆参両院で安定多数を確保いたしましたけれども、野党と十分話し合いを進め、論議を尽くし、とるべきものはとり、そして議会政治のルールに従って最終的な国民の納得できる結論を出していただきたい、これが和の政治である、こういうことも申し上げておるところでございます。
 次に、平和外交と自衛力の整備についてでありますが、わが国の平和と繁栄は世界の平和と安定なくしてはあり得ず、したがって、わが国が世界の平和と安定、そして緊張の緩和に資するため積極的な平和外交をしていかなければならないのはお説のとおりでございます。
 しかし、その際、今日の国際情勢を考えますと、わが国の平和と繁栄を図っていくためには国の安全を維持するための現実的な努力もまた不可欠であります。わが国としては、今後とも日米安全保障体制の維持を基本とし、みずからも節度ある質の高い自衛力の整備に努力していくことが必要であると考えます。そうして、そのような面での努力が積極的な平和外交の努力と一体になって初めてわが国の平和と繁栄を確保し得るものと考えます。
 わが国が防衛力の増強によって軍事大国になるのではないかとの御意見でありますが、わが国は、現在、昭和五十一年に策定された「防衛計画の大綱」に基づき防衛力整備を進めているところであります。これは専守防衛の原則に基づくものでありまして、周辺諸国に脅威を与えるようなものでないことについては、広範な国民の理解をいただいているものと考えております。わが国は専守防衛を基本としていますが、軍事大国になるなどということは全く考えておりません。
 防衛予算を聖域化しているのではないかという御質問でございましたが、そのようなことはございません。
 先般の所信表明においても申し上げましたとおり、私は物価安定こそが国民生活を安定させる基礎条件であると考えており、今後の経済運営におきましても物価の安定には引き続き最善の努力を払おうとしております。
 国鉄再建について、総合交通体系という観点から抜本的に見直しするようにとの御意見がございました。
 私は、総合交通体系の基本は、各交通機関の特性を生かした効率的な交通体系の形成を図ることであると理解いたしております。そのような考えに立って、今回の国鉄再建対策では、国鉄の経営を鉄道特性を発揮し得る分野である都市間旅客輸送、大都市圏旅客輸送及び大量定型貨物輸送の分野を中心に重点化するとともに、鉄道特性を発揮しがたい分野については、輸送力、営業範囲の縮小などの減量化施策を講ずることにより、総合交通政策の観点からもこれを進めるととが適切な施策であると思っております。
 国鉄の地方交通線は、御承知のとおり大変な赤字になっているわけでありますが、その原因を探れば、産業構造の変革、たとえば燃料が石炭から石油に切りかわったため石炭貨物の輸送がなくなったというような状況、過疎現象、マイカーを初めとする自動車の普及など、いろいろな原因があって国鉄のローカル線が輸送機関として成り立たなくなってしまったわけであります。これは国鉄の経営の上からも大きな負担でありますし、また、その地域の交通体系から見ても、国鉄という交通機関が余り効率的な存在のものでなくなってしまっているということを意味するものであります。もちろん、一方では国鉄の経営そのものにもっと工夫があってよいのではないか、もっと生産性が上げられるのではないかといった問題があることは事実であります。
 しかし、現実の問題として六兆円を超える累積赤字を抱えて、一年に七千億円近くの国の補助金を食っているというような存在に国鉄がなってしまっているものですから、地域の人々にも、鉄道をバスに転換したら本当に地域の交通がだめになってしまうかどうか、案外現在よりももっとサービスがよくなるのではないかというようなことを真剣に検討していただきたいと思うのであります。検討の結果、民営または第三セクターというような形式で地域で鉄道を経営するということになれば、それに対する助成措置も検討されております。いずれにせよ、政府としては、国鉄地方交通線対策の実施に当たっては地域住民の理解を得るよう、またその足の確保に十分配慮してまいる考えであります。
 次に、エネルギーに関してでありますが、私は、エネルギーの安定供給の確保はわが国の将来の揺るぎない基盤を構築するため不可欠であると考えております。脆弱なわが国のエネルギーの供給構造を改めるため特に重要なのは脱石油であります。この観点から、所信表明でも述べたごとく、わが国の石油依存度を今後十年の間に五〇%にまで引き下げることを目標に、原子力、石炭などの石油代替エネルギーの開発導入を安全性確保、環境保全に留意しながら積極的に進める考えであります。
 農業政策の基本についてお尋ねがございました。
 私は、食糧の安定供給の確保は国民生活安定の最も根源的な基盤であると考えます。このため、農業の体質を強化し、総合的な自給力の向上を目指す必要がありますが、そのための施策としては、特に八〇年代の農政の方向と農産物需給の長期展望の確立、生産性の高い中核農家の育成、需要の動向や地域の実態に即した農業生産の再編成が重要であると考えております。
 以上お答えいたしましたが、長期エネルギー需給暫定見通しなど残余の問題につきましては担当大臣からお答えをいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(河本敏夫君) 政府は、あらゆる経済政策の前提が物価の安定だと考えております。したがいまして、景気優先、物価軽視、こういう考え方ではございませんで、あくまで物価の安定を図っていきたいと考えております。ただ、最近、景気の動向にやや警戒すべき徴候が出始めましたので、景気に対しても十分な配慮を払っていこう、景気と物価と両方に対して十分な対策を立てていこう、こういう考え方でございます。
 それから公共料金についての考え方でございますが、公共料金につきましては、それぞれの企業体で徹底したやはり合理化を進めていただくということがまず第一の課題だと思います。その上でどうしても足りない分に対しては若干の値上げも万やむを得ませんけれども、それは最小限度に抑えなければなりませんし、物価動向を見きわめながらその時期等も慎重に判断する必要があろうかと考えております。
 それから物価対策費五百億円についての取り扱いでございますが、実は私は、この五百億円は、予算修正のときに六・四%という政府見通しを実現するためにこれを使うのだ、こういう御相談があったのかと、このように実は考えておりました。そこで、最近は消費者物価が八%台に推移しておりますから、どうしてもこれを六%台に引き下げなければなりません。そのためにはいろいろ対策が必要でございますが、その対策のためにこの五百億円は使えるのだと、実はこのように考えておったのでございます。ところが、その後お聞きいたしますと、この五百億円は物価が急上昇をしたときだけに使うのだ、つまり狂乱状態になった、こういうときに使うのだ、こういう話でございますので、それでは実は私は誤解をしておったということになります。しかしながら、幸い、きょうお聞きいたしますと、各政党の政策担当者の間でこの五百億円の使い方について御相談をせられる、きょう決まったということを聞いております。もし六・四%を実現するためにこれを使ってよろしいということでありますならば、企画庁におきまして適当な対策を至急立てたいと、このように考えております。
 それから灯油の問題でございますが、これは通産大臣もお答えになっておりますけれども、その量はたっぷりあるようでございます。価格も現在は安定をしておるようでございます。したがいまして、第一次オイルショックのときの事情とは大分違っております。第一次オイルショックのときは物価が大変な状態になりましたのでいろいろな緊急対策を進めましたけれども、現在はそういう状態ではございませんで、数量も十分あり、価格も安定をしておるという状態でございますから、いまお述べになりましたような対策は現在は必要はないと、このように考えておりますけれども、何分にも国民生活といま非常に密接な関係のある灯油でございますから、今後の価格動向につきましては十分警戒してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣田中六助君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(田中六助君) 対馬議員の私に対する質問は四点あったと思います。
 まず第一は、長期エネルギー需給暫定見通しを見直せということでございます。
 これは総理も一部触れられましたけれども、この見通しの中心になるものは、十年後にいま依存しております石油依存率七三%を五〇%まで落とすということが中心になっておるわけでございます。これは、御指摘のように、原子力発電所というようなものが中心になっておるからそれは不可能じゃないかということでございますけれども、あくまでこれは私ども官民共同によって達成したい努力目標、つまり政策の大きな目標でございまして、現在のところこれを見直す考えはございません。
 御承知のように、原子力発電所は現在日本に二十一基ございます。建設中のものが七基、それから建設計画中のものが七基でございまして、現在の二十一基では、御承知のように電気容量の一二%、約千五百万キロワットでございます。十年後の将来私どもが考えておるのは、約二三%、これも約五千二百から五千三百万キロワットでございますけれども、これは御指摘のようになかなか困難だと思います。しかし、私どもは原子力発電所が水力、火力のコストの約半分で済みますし、あくまで安全性確保ということの努力、研究、そういうものをすると同時に、好条件の立地条件に持っていくというようなことでこれらの克服に邁進していきたいというふうに考えております。そのほか、石油代替エネルギーの確保、これは石炭も含めましてでございますけれども、それから石油の安定需給確保あるいはその他省エネルギーというような三つの眼目を表題といたしまして、あくまでこの需給見通しの達成に努力していかなければならないという気持ちでおります。
 第二点は、こういうようなエネルギーの状態の中で石炭の位置づけ、石炭をどういうふうに見直すかということでございます。
 これは昭和五十年に第六次石炭鉱業審議会の答申が出ておりまして、二千万トン体制を堅持するということでまいっておりますけれども、現実になかなか二千万トン体制ができませず、いまでも千八百万トンくらいではないかと思います。これを維持することはなかなか困難でございますし、といって、石油代替エネルギーの確保ということが必要でございますので、私ども、石炭の再確認、新しいエネルギーということから、国内にできる唯一のエネルギー資源でございますので、現在第七次答申を石炭鉱業審議会にお願いしておりまして、これも来年の半ばごろまでにはその答申を得て、新しい石炭の位置づけというものを考えてみたいと思います。
 それから石炭六法でございます。
 この石炭六法をどういうふうにするかということでございますが、まず産炭地振興法が来年の十一月に切れます。これが最初の法律の時間切れでございまして、あと鉱害復旧とかその他の法律が再来年から切れるわけでございますけれども、まず振興法でございますけれども、審議会から今月の末か来月の初めに答申が出ますので、それを待って私ども態度を決めたいと思いますけれども、ほぼこれらの六法を延長していくという気持ちは変わりございません。
 最後に、北炭夕張新鉱の問題でございますけれども、率直に申しまして、私、議席を得て十数年来、北海道炭礦汽船株式会社のビヘービア、そういう態度を見ておりますけれども、労使とも、これが炭鉱業界、つまり石炭業界の参考になるような態度かどうかということについて非常に長い間疑問を持っております。しかし、これも今回の事故が人命にかかわらなかったということは大きな救いでございますし、これを閉山に持っていくということは社会的な問題にも発展いたしますので、何とかこれを前向きに考えたいと思っておりまして、現在労使の自助努力、それを一生懸命お願いしているわけでございますけれども、また金融機関の人々にも全体的なお願いをしておりますけれども、なかなかいろいろな問題がございましてうまくいきませんけれども、近く向こうの方からいろいろな結論の答申書を出すということでございますので、それを見た上で政府の態度を決めたいと思います。
 以上で終わります。(拍手)
   〔国務大臣亀岡高夫君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(亀岡高夫君) 対馬君にお答え申し上げます。
 食糧自給力強化の具体的方策いかんという御質問でございます。
 四月に衆参両院におきまして食糧自給力強化に関する御決議をいただき、しかもこれと並行いたしまして農用地利用増進法、農地法、農業委員会法等の制定、改正をちょうだいしたわけでございます。この国会の御趣旨を基本といたしまして、農林水産省といたしましては、現在、農政審議会に農政の見直しと、農業基本法に基づきますところの長期見通しの検討をお願いいたしておるところでございます。近く答申を得ることに相なっておるわけでございます。したがいまして、この答申を踏まえまして、とにかく年々いわゆる農林水産物資の輸入が莫大なものになってきておるわけであります。昨年一年間で二百八十九億ドルという、石油の半分近い農林水産物資を外国から買っておる、こういう状態を続けてまいりましたのでは大変なことになるということで国会の御決議をちょうだいしたわけでありますから、米並びに畜産物あるいは果実等はいずれも八十数%以上の自給力を持っておるわけでございますが、飼料、それから小麦、麦類、大豆等についてはほとんど外国に仰いでおるということでございますから、これらの国内生産を上げていくことが自給力強化の基本であると、こういうことであるわけでございますので、国会で制定をさしていただきました農用地利用増進法等をもとにいたしまして、そうして規模拡大を図り、生産性を上げて、小麦あるいは大豆等は、めん類とか国内のうどんとか、こういうものに活用しております分は国内で生産をする、あるいはお豆腐とかみそとか納豆、そういうものに使っておる豆は国内でせめて生産していこうという一応の目標をお示しいただけることと思っておるわけでありますが、そういうものは国内で生産できるように、何といっても土地基盤の整備を完了してまいりたい。と同時に、県やあるいは市町村、農業団体、特に農家の協力を得まして、そうして規模拡大、生産性の向上というわが国農政の最も困難な問題を解決していく努力をすることによって食糧自給力の強化を図っていく所存でございます。
 本年の冷害につきましては、私も現地を何カ所か見てまいりました。本当に丹精して育ててまいりました稲がわずか一週間くらいのいわゆる異常気象によりまして全くの収穫皆無という事態になっておるわけでありまして、本当に被災農家の皆さん方には心からお見舞いを申し上げたいと考えておるわけでございます。
 農林水産省といたしましては、これらの被災農家が来年の農業再生産をりっぱにこなし得ることができますように、生活費はもちろん、来年の農業の資材を購入するいわゆる経営費等につきまして十分な措置を講ずることができますように、まず何といっても農業共済金の早期支払い、これは九月早々に通達を出しまして、近く概算払いを行い得るところも出てきておるわけでございます。と同時に、遅くとも本払いを年内中に進めたい、こういうことで手配を進めておるわけでございます。
 天災融資法、激甚災法に基づく処置につきましては、十月六日に最終的な被害額の調査を指示いたしてございます。さらに、十月の中旬以降に最終的な被害高、統計情報部の指数調査をいたしまして、そうして、五十一年度の冷害のときには十一月二十九日に政令をつくったわけでございますが、ことしは五十一年度よりも早く政令決定をしていきたいということで事務的な取り進め方をさしておるところでございます。
 また、自作農維持資金の融資枠の確保と貸付限度額の引き上げについては、被害の実態に即しまして御希望に沿えるように対処してまいりたい。
 規格外米の政府買い入れ等につきましても、現在鋭意御趣旨に沿えるように検討を進めさしておる次第でございます。
 なお、最後に水田利用再編対策についての御質問でございますが、この問題につきましては、冷害が先ほど申し上げたように非常な深刻なときでもございますので、当面は全力を挙げて冷害対策の万全を期すという姿勢でまいります。しかし、この水田利用再編対策は、米の需給均衡を図っていきますことは、これはもう将来の日本の農政、ひいては日本の農家並びに国民のために避けて通れない方法でもございますので、第二期対策につきましては与党等の意見も十分聴取いたしまして、そうして日本の将来の農政確立のために大いに役立ってまいるように決定してまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 お述べになりました基礎年金構想は、今後の年金制度のあり方の一つの有力な御提案であると考えております。
 しかしながら、問題がたくさんございまして、多数の受給者を抱えておる現行制度をどのように円滑に移行していくか、なおまたその費用負担をどのようにするかなど、いろいろ検討を要する問題が多いと考えております。御指摘のとおり、高齢化社会において年金制度が真に老後生活の支えとなり、全体としての整合性のとれた発展が図られるよう、その改革に計画的に取り組む考えであります。
 次に、年金の支給開始年齢の問題でありますが、支給開始年齢の問題は、年金制度の長期かつ安定した運営を確保していくためには避けて通れない問題であることは御指摘のとおりであります。この問題は、御案内のとおり訓示規定で、法律案が施行された後最初に行われる厚生年金保険の財政計算のときに所要の改定措置を講ずることになっております。したがいまして、いまの御意見も十分参考にし、今後の社会経済情勢の推移を見通しながら、雇用対策と関連施策との有機的連携を図りつつ総合的に検討したいと考えております。
 次に、医療制度の根本改正の問題でありますが、国民の健康と生命を守る重要な責務を有する医療機関が、まさに殺人傷害よりもひどいような事件を起こし、国民の信頼を失っていることはまことに残念でたまりません。
 医療に対する国民の信頼を回復し、今後二度とこのような事件が起こることのないよう、直ちに厚生省内に医療に関する国民の信頼を回復するための検討委員会を発足せしめ、広く実情を調査し、各方面の意見を聞き、これに対する当面の問題、処分の問題、あるいはこの富士見病院を契機にして全国医療機関に対する見直し及び長期に対する問題、御意見のとおり制度その他の問題の改革を含めて検討を行っておりまするので、その結果に基づいて、なるべく早く逐次対策を講じていきたいと考えております。
 老人医療費の問題でありますが、現在、厚生省で老人保健医療制度の基本的見直しを進めておって、その中で老人医療の負担のあり方について検討を行っているところであります。御意見も十分参考にしつつ検討を進めてまいります。
 次に、婦人の国民年金加入の問題でありますが、御案内のとおり、現行制度ではサラリーマンの奥様は御主人の年金でカバーされ、また年金に任意加入されることによって独自の年金を取得する道が開かれております。この任意加入制度のあり方は、公的年金制度全体の構成に関連する問題であり、任意加入している被用者の奥さんは年々着実に増加し、いまやサラリーマンの奥さんの八割近くが任意加入されているという現実、この現実を踏まえながら引き続き慎重に検討してまいります。
 最後に、夫に死別された妻の生活保障としての重要な遺族年金については、全く御意見のとおりでありますから、今般の改正の重要事項の一つとなっているわけであります。せっかく御協力をお願いいたします。
 以上お答えいたします。(拍手)
#31
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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