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#1
第093回国会 本会議 第6号
昭和五十五年十一月五日(水曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
    ―――――――――――――
  昭和五十五年十一月五日
   午前十時本会議
    ―――――――――――――
 第一 郵便法等の一部を改正する法律案(趣旨
  説明)
 第二 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案
  (趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 神谷信之助君から病気のため十三日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(徳永正利君) 日程第一 郵便法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。山内郵政大臣。
   〔国務大臣山内一郎君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(山内一郎君) 郵便法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近における社会経済情勢の動向及び郵便事業の運営の現状にかんがみ、郵便事業の運営に要する財源の確保を図るため、第一種郵便物及び第二種郵便物の料金の改定を行うほか、第一種郵便物等の料金の決定について臨時の特例を設けるとともに、利用者に対するサービスの改善を図る等のため、郵便法その他関係法律について所要の改正を行おうとするものであります。
 まず、郵便法の一部改正の内容について申し上げます。
 第一は、郵便料金の改定についてであります。
 郵便事業財政は、石油危機に端を発した人件費や諸物価の高騰により、昭和四十九年度以来大幅な赤字に転じ、昭和五十一年一月の料金改定によりまして好転いたしましたものの、昭和五十三年度からは再び赤字を生ずることとなり、昭和五十四年度末における累積欠損金は二千百二十四億円になりました。このまま推移すれば赤字はますます増大し、事業財政の状況は悪化の一途をたどることとなります。
 こうした中で、昨年十月郵政審議会に対し、郵便事業財政を改善する方策について諮問いたしましたところ、同審議会から、昭和五十五年度から三年間は新たな赤字が生ずることを防ぐとともに、累積赤字についてもできるだけこれを解消していく措置をとることが必要であるとして、「この際郵便料金の改定を行うことはやむを得ないものと判断する。」との答申がなされました。
 今回の料金改定案は、この答申に示された料金を骨子とするものでありまして、第一種郵便物(封書)につきましては、定形二十五グラムまで五十円を六十円に、定形外五十グラムまで百円を百二十円に改め、また、第二種郵便物の通常葉書につきましては、二十円を四十円に改めることを主な内容といたしております。
 なお、第一種郵便物のうち、郵便書簡につきましては五十円に据え置くこととし、第二種郵便物の通常葉書につきましては、昭和五十五年度中は三十円とすることといたしております。
 第二は、第一種郵便物等の料金の決定についての特例についてであります。
 郵便の料金決定方法のあり方につきましては、かねて郵政審議会等から「現行の料金決定方法については、弾力的に対処できる方向での改善が必要である。」との趣旨の御提言をいただいていたところでありますが、その後慎重に検討いたしてまいりました結果、郵便事業財政の現状にかんがみ、郵便事業に係る累積欠損金が解消されるまでの間、一定の範囲及び条件のもとで、第一種郵便物及び第二種郵便物の料金は、郵政大臣が郵政審議会に諮問した上、省令で定めることができるものとする等の規定を設けることといたしたいとするものであります。
 第三は、利用者に対するサービスの改善を図るため、新たに郵便切手について手数料を徴してこれを他の郵便切手等と交換することができることとすること、新たに図画等を印刷した郵便葉書を発行し、一般の郵便葉書の料金額によらない額で売りさばくことができることとすること、速達小包として差し出すことができる郵便物の大きさ及び重量の制限を緩和することについての改正を行うことといたしております。
 以上のほか、郵便に関する料金を滞納した場合の延滞金、延滞利率についての規定を設けること等の内容を織り込んでおります。
 次に、お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金の処理に関する法律の一部改正の内容について申し上げます。
 まず、お年玉につきましては、利用者に対するサービスの改善を図るため、お年玉として贈る金品の単価の最高限度額を現行三万円から五万円に引き上げることとするとともに、お年玉として贈る金品は、簡易郵便局においても引きかえをすることができることといたしております。
 また、寄付金につきましては、その配分を受けることができる団体に、文化財の保護を行う団体及び青少年の健全な育成のための社会教育を行う団体を加えることといたしております。
 最後に、印紙をもってする歳入金納付に関する法律の一部改正の内容について申し上げます。
 これは、郵便法の一部改正の中で郵便切手の交換を行うことといたしておりますので、これにあわせまして、同様の趣旨から収入印紙につきましても、他の収入印紙との交換ができるようにしようとするものであります。
 以上、今般の法律改正の主な内容について申し上げましたが、今後とも安定した郵便の送達を確保し、もって国民各位の期待にこたえる所存でございます。
 以上をもって、この法律案の趣旨の説明を終わります。
 なお、衆議院におきまして、この法律案は、施行期日に関し、「昭和五十五年十月一日」といたしておりましたものを「公布の日から起算して四十日を経過した日」に修正されております。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(徳永正利君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。大森昭君。
   〔大森昭君登壇、拍手〕
#8
○大森昭君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました郵便法等の一部を改正する法律案について、郵便料金値上げ反対、料金法定制緩和反対の立場から、鈴木総理並びに関係大臣に対し、問題をしぼって若干の質問をいたします。
 まず最初にお伺いしたいことは、国民の最大関心事である物価問題に対する政府の政治姿勢についてであります。
 政府は、物価上昇はすでに峠を越え、今後は景気対策に重点を向けられるという認識に立っておられるようでありますが、これは国民生活の実感から全く遊離した感覚と言わざるを得ません。
 去る十月三十一日に総理府統計局から発表された十月の東京都区部の消費者物価指数は、対前年同月比で六・八%に下がったとはいえ、九月までは八%台という三年ぶりの大幅上昇を続けていたのであります。また、激動する中東情勢の影響や、依然として高水準にある卸売物価からの波及などを考えると、今後の物価情勢は全く予断を許さないと思います。
 国民は、実質所得の減少、貯蓄の目減りという状況の中で、先行きの生活不安におびえながら、消費の切り詰めによって生活を防衛しており、いまや物価の安定が国民の最大の政治願望となっていることは、各方面の国民生活調査によっても明白にあらわれておるところであります。しかも政府は、あすからの公定歩合の引き下げに連動させて郵便貯金の利率の引き下げを行うということでありますが、まさに国民生活無視もはなはだしいと言わざるを得ません。加えて、郵便料金値上げの物価に与える影響はきわめて少ないことを強調しておりますが、郵便料金の場合は、利用者はもちろん、心理的影響こそ問題であると思うのであります。
 鈴木総理は、さきの所信表明において、物価の安定こそ国民生活を安定させる基礎条件であることを強調されましたが、この際、郵便料金値上げを断念し、物価抑制への政府の姿勢を端的に国民の前に示すべきであると思います。
 さらに、政府は本年度の消費者物価上昇率を六・四%以内にとどめることを目標に掲げておりますが、現状ではその達成はきわめて困難であり、われわれは、まず公共料金の値上げを全面的にストップし、政府みずからが物価安定への強い姿勢を示すことなくしてはこの目標達成は不可能であると考えるのでありますが、総理並びに経済企画庁長官から物価抑制政策について明確な御答弁をお願いいたします。
 次に、郵便事業の独立採算制についてお伺いいたします。
 政府は、去る昭和四十六年の郵便法改正において、われわれの強い反対を押し切って、郵便事業の独立採算制原則を郵便法第三条に明記いたしました。その際、われわれは、これは郵便事業の持つ高度の公共的使命と矛盾するものであり、事業の将来に大きな禍根を残すことになることを強く指摘したのでありますが、まさにその指摘が現実のものとなったのが今回の値上げ法案であると言わざるを得ません。
 現在、郵便事業が抱えている累積赤字は、第一次石油ショックによる狂乱物価時代における政府の政策によって生じたものであります。前回の法改正の際、われわれは、政府の政策上生じた赤字は利用者に転嫁すべきではなく、政府の責任において措置すべきであることを強く主張したにもかかわらず、政府は独立採算制を盾にかたくなにそれを拒否したことは、いまだ記憶に新たなところであります。
 しかるに、その後の郵便財政の推移を見ると、前回の料金改定時の累積赤字を除外して考えるならば、その後五十四年度までの四カ年間を通じて約四百億円の黒字を計上できたのであり、さらにわれわれの主張するように、第三種郵便物など政府の政策目的によって低料金となっているための赤字などに対する適切な財政補てんが行われているとすれば、今回の料金値上げは全く必要のないものであります。
 前回の大幅料金値上げによって郵便利用は激減いたしましたが、今回の値上げによって国民の郵便離れがさらに助長されることは火を見るよりも明らかであります。値上げ、利用減、赤字、値上げという悪循環を早急に断ち切らなければ、郵便財政の再建は不可能であり、郵便事業が第二の国鉄化することは必至でありまして、この際、政府は、郵便事業の独立採算制を再検討し、将来にわたっての郵便事業財政の健全化方策を確立すべきであると思いますが、郵政大臣並びに大蔵大臣から明快な御答弁を求めます。
 また、今回の法案における最大の問題点である郵便料金の法定制緩和についてお尋ねいたします。
 申すまでもなく、郵便は、民主主義社会の基礎をなすコミュニケーションの最も基本的な手段として、きわめて高度の公共性を有しております。郵便法第五条によって国の独占が明確に規定されている一方、憲法に定める財政民主主義原則に基づき、財政法第三条には、国の独占事業料金の法定主義が厳然と規定されております。政府は、さきの国鉄運賃、たばこの定価に次いで、財政民主主義をなし崩し的に破壊するための第三弾として郵便料金の法定制緩和を打ち出したものでありますが、一体、郵便の公共的使命についてどう理解されているのでありましょうか。
 郵便事業は、ナショナルミニマムとして国が国民に保障すべき最重要業務の一つであるという認識は世界各国共通のものであり、今日、一部の国が公社運営に移行するなど、経営形態の相違はありますが、郵便が国家的独占事業であることは世界の常識でありまして、その点、鉄道事業や専売事業とは全くその性格を異にするものであります。
 政府は、去る四十六年に、第三種郵便物などの料金を省令に委任する法律改正案の国会審議において、第三種郵便物などは他に送達手段もあるので国の独占には該当せず、これを省令に委任しても財政法第三条に違反するものでないことを強弁していたのでありますが、明らかに国の独占である封書、葉書の基本料金までも省令に委任することについて、政府はどう説明されるのでしょうか。
 われわれは、今回の提案は、郵便事業の公共的性格を無視するもはなはだしい暴挙であると断ぜざるを得ないのであります。料金法定制緩和と財政法第三条との関係について、総理並びに郵政大臣から明確なる答弁を求めます。
 次に、料金法定制緩和に関連して、郵政審議会のあり方についてお尋ねいたします。
 ただいまの趣旨説明によれば、郵便料金の決定は、郵政審議会に諮問した上で省令で定めるということのようでありますが、現在の郵政審議会に、国会にかわって利用者たる国民の利益を代表するような機能が果たしてあるでしょうか。委員の大部分が財界代表や官僚出身によって占められ、しかも審議が非公開で行われている同審議会の現状を見るとき、これは結局、形式は民主的な行政体制を擬制しながら、実質的には公共料金の決定を行政府の恣意にゆだねるための隠れみのであると断ぜざるを得ないのであります。
 去る四十六年の第三種郵便物料金などの省令委任のための法改正に際し、参議院逓信委員会においては、附帯決議を付して、郵政審議会の抜本的機能強化を強く要請したにもかかわらず、現在まで全くその改善がなされていないことは、国会軽視もはなはだしいと言わざるを得ません。
 政府は、この附帯決議をどう受けとめ、どのように検討されたか、また、郵政審議会の機能強化についてどのような構想をお持ちなのか、郵政大臣から明確な御答弁をいただきたいと思うわけであります。
 次にお伺いしたいことは、郵便事業の将来展望の確立についてであります。
 料金の値上げを国民に訴える以上は、事業の将来展望を明らかにし、国民の理解と協力を得ることが必須要件であると思うのでありますが、郵政省は、郵便事業の長期的展望はおろか、事業のあり方についてすら何ら確たる理念をお持ちにならないのではないかと疑わざるを得ないのであります。
 郵便事業が、明治初年の創業以来、幾多諸先輩の英知と努力により、迅速、安全、確実という三大モットーのもとに、世界に誇るに足る輝かしい歩みを続けてきたことについては、敬意を表するにやぶさかではありませんが、しかしながら、最近における社会情勢の急激な変化は、郵便事業を取り巻く環境を一変させ、特に電話その他の高速度通信手段の急速な発展は、郵便事業の社会的使命にまで重大な影響をもたらしつつあることも否定できない現実であろうかと思います。
 われわれは、一昔も前から、新時代における郵便事業のあるべき姿を明示すべきことを事あるごとに要求してきたにもかかわらず、今日なお郵政省はそれを明らかにしないのでありますが、これは、国民から郵便事業を負託されている経営責任者として、まことに無責任であると言わざるを得ません。
 郵政省は、去る四十九年六月に各界の専門家の参画を得て、郵便の将来展望に関する調査会を設置し、その後、同調査会からは膨大な報告書が提出されておりますが、この報告書はきわめて基礎的な研究報告にとどまるものでありまして、これをもとに事業のあり方を探究するのは郵政省の責任であります。
 この際、まず情報化時代における郵便の新たな使命と事業のあり方を明確にし、郵便事業の将来展望を国民の前に明示することこそ先決であると考えますが、郵政大臣の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 最後に質問したいことは、郵政事業における労使関係の抜本的改善であります。
 郵政事業は、人なくして事業なしという典型的な労働集約型の事業であり、労使の信頼関係の確立こそまさに経営の基本であると信じます。
 今日、郵政事業に働く職員は、都市では公害、交通戦争の渦中に身をさらし、地方においては、交通不便な山間僻地の風雪の中で国民のために営々として努力しておりますが、これら働く人たちが心身ともに明るく希望を持って働くには、明朗な職場環境の確立が必要であります。過去十数年にも及ぶ郵政当局の全く時代錯誤による抑圧、人事差別政策により、職場は荒廃の極に達しております。最近ようやく関係者の良識と努力により改善の方向に向かいつつあるようでありますが、労使が年末繁忙期を迎え、早期解決に努力する基本は、全国多数の現場段階から信頼を積み上げることが特に重要であると思います。
 いかに郵便料金を値上げし、郵政財政の再建をと言っても、労使の信頼関係の確立なくしては事業の将来はありません。事業運営の根幹である労使の正常化、信頼関係の確立について、総理の和の政治倫理に照らして、総理の見解、並びに郵政大臣から誠意ある回答をいただくことを強く要請いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(鈴木善幸君) 大森さんの御質問にお答えをいたします。
 まず、物価抑制政策についてであります。
 政府は、去る九月五日の経済対策閣僚会議におきまして、経済運営の基本方針を定め、物価対策を積極的に推進してきたところでありますが、最近の物価の落ちつき傾向を今後さらに確かなものにするため、物価対策を一層推進してまいりたいと存じます。このため、先般、物価担当官会議を開催し、十四項目から成る対策を決定いたしましたが、それらの施策を講ずることによりまして、今年度の消費者物価が政府見通し程度におさまるよう最大限の努力を傾けてまいりたいと存じます。
 お尋ねの公共料金につきましては、経済対策閣僚会議及び物価担当官会議におきまして、経営の徹底した合理化を前提とし、物価、国民生活への影響を十分考慮して、厳正に取り扱う方針を定めており、この方針に従って、真にやむを得ないものに限るなど、調整に万全を期してまいりたいと存じます。
 次に、郵便料金の法定制緩和と財政法第三条についてお尋ねがございました。
 今回の特例措置につきましては、郵便事業財政の現状にかんがみ、法律において一定の厳格な要件を付した上で、ある程度の弾力性を付与しようとするものでありますので、財政法第三条にもとるものではないと考えます。しかしながら、封書や葉書の料金改定が国民生活に深くかかわる問題でありますことは御指摘のとおりでありますので、新しい制度の運営につきましては特に配慮し、厳正に取り扱ってまいりたいと存じます。
 労使関係についてでありますが、人手に頼るところがきわめて大きい郵便事業においては、労使の信頼関係の確立が事業運営の根幹でありますことはお説のとおりであります。政府としても、今後とも健全な労使関係の定着を目指して努力してまいります。
 残余の点につきましては所管大臣からお答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(河本敏夫君) 政府は、この夏までは物価対策中心に経済政策を進めてまいりました。それは、第二次オイルショックが起こりましたので、物価に対する配慮を払うことが何よりも必要である、そういう判断に基づいたのでございますが、夏ごろになりまして、物価は鎮静化の方向に進んでまいり、同時に景気の方がややかげりが出てまいりましたので、景気と物価と双方に配慮を払う必要があると、そういう方針を去る九月に決定をいたしました。十月の消費者物価は六・八%という水準になっておりますけれども、しかし、なお問題が大変多うございます。それで、引き続きまして強力な物価政策を進めてまいりまして、年度間平均六・四%という目標を達成するために、今後も引き続きまして全力を挙げる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣山内一郎君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(山内一郎君) 大森議員の御質問にお答えをいたします。総理から御答弁もございましたので、総理の答弁を補足しながら私に対する質問にお答えをしてまいりたいと、こう考えています。
 まず、独立採算制について申し上げます。
 現行法では、郵便事業は確かに公共性を有する事業でありますが、これは収支を度外視してまで安い料金とすることを意味するものではなく、その運営に必要な経費は利用者が負担するという受益者負担の原則による独立採算制を維持すべきであると考えているわけでございます。欠損を生じた場合、独立採算制を崩して一般会計からの繰り入れにより赤字を補てんするということになりますと、これは一般の税金を赤字対策に使うということでありまして、郵便の八割は企業などの差し出す業務用通信であるという利用実態から見ても、負担の公平を失することになりますし、赤字を安易に一般会計の負担により解消することは、経営意欲、企業努力といった面で悪影響を与えることも懸念され、適当でないと考えているわけでございます。
 また、郵便法の趣旨も、一定の期間を通じ、かつ第三種等の低料金のものも含めまして、全体として収支相償うべきものとの考えの上に立っているわけでございます。
 なお、前回の料金改定以降の郵便物数の推移について御質問がございましたが、確かに一時的には減少いたしましたが、その後は順調に回復しており、今後とも安定的にその伸びが期待し得るものと考えておりますので、従来にも増して郵便の利用増進を図るとともに、事業の効率化、合理化にも努力し、事業財政の改善に努めてまいりたいと考えております。
 次に、郵便料金決定方法の特例措置と財政法第三条との関係について申し上げたいと思います。
 財政法第三条は、国の独占事業の事業料金については、法律に基づいて定めなければならないとしておりますが、これはあらゆる場合に法律で直接具体的金額を定めることまでを要求するものではないと解されております。今回の改正は、郵便事業財政の現状にかんがみまして、法律において、郵便事業に係る累積欠損金が解消されるまでという期間を定めまして、また、料金の改定幅の上限を定めるなどの厳しい要件を付した料金決定方法の特例を設け、この法律の規定に基づいて料金の決定を行おうとするものであり、財政法第三条にもとるものではないと考えている次第でございます。
 次に、郵政審議会の機能強化についてお答えをいたします。
 郵政審議会の機能強化につきましては、昭和四十六年参議院逓信委員会において附帯決議をいただいておりまして、この附帯決議の趣旨に沿い、広く国民の意見が反映されるよう、各界の有識者を網羅した構成となるよう十分配意をしてきたところであります。今後、郵政審議会の役割りがますます重要性を持つことにかんがみまして、委員の人選に一層慎重を期し、より広く各界の意見が審議に反映されるよう努めるとともに、各種審議会の実情等をも検討し、郵政審議会の機能がより一層発揮できるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、郵便の使命と事業のあり方及び今後の郵便についてでありますが、郵便の使命は、郵便法第一条にありますように、その役務をなるべく安い料金であまねく公平に提供することによって公共の福祉を増進していくことにあり、情報化社会が進展していく中にあっても、この使命には変わりないものと考えております。
 また、郵便事業の運営につきましては、独立採算の原則に基づき、能率的な経営のもとで適正なサービスを提供して、効率的かつ健全な運営を図っていかなければならないものと考えております。
 郵便の利用は、長期的に見れば年々着実に増加しており、最近においてもかなりの増加を示しております。これからの郵便につきましては、各分野の専門家による調査研究におきましても、郵便は現物性、記録性等の面においてすぐれた特性を持つことから、通信手段が多様化する中にあっても、なお安定的に増加、発展していくものとされております。郵便事業をめぐる社会経済環境は厳しいものがあると予想されますが、今後とも事業運営の効率化、合理化の推進に努める一方、このような郵便の特性を生かした郵便需要の喚起につきましてもさらに努力し、事業の健全な経営に努めていく所存であります。
 最後に、労使関係の正常化、信頼関係の確立についてであります。
 郵政事業は、三十一万余という多くの職員を擁し、人手に依存する度合いの高い事業であり、労使関係の正常化、信頼関係の確立が事業の円滑な推進の上できわめて大切であることは御指摘のとおりでございます。郵政省といたしましても、じみちな話し合いを積み重ねる中で労使間の相互理解を深めるよう努力してきた結果、現在、労使関係は比較的落ちついてきており、業務運行も順調に推移しております。私といたしましても、この労使関係正常化の方向がしっかり定着することを念願しながら、誠意をもって引き続き努力してまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 郵便事業の独立採算制の問題について見解を求められましたが、ただいま郵政大臣から懇切丁寧な御答弁があり、私は全く同意見でございまして、何らつけ加えることはございません。事業を効率的に運営するためにも郵便事業の独立採算制は維持することがよいと、そう考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(徳永正利君) 太田淳夫君。
   〔太田淳夫君登壇、拍手〕
#14
○太田淳夫君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました郵便法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に対し質問を行うものでございます。
 まず第一は、財政民主主義を否定する郵便料金の法定制の緩和についてであります。
 郵便料金は、言うまでもなく、独占的な政府の事業であり、それゆえに国会において料金の引き上げを審議し議決を受ける義務を有しております。この意味で、法定制緩和の導入は、憲法、財政法で明定された財政民主主義の原則を葬り去るとともに、国会の財政コントロールをなし崩しにするきわめて危険な暴挙と言わなければなりません。
 すでに、国鉄、たばこの法定制の緩和が断行されておりますが、国鉄を例にとるならば、国鉄運賃の改正は、卸売物価、消費者物価、賃金指数を基礎にした物価変動率を用いて算出された経費増加額の範囲内で行うことができるとし、この制度の中で、五十三年度に平均一四・八%、五十四年度に八・八%、五十五年四月に五・一%、さらに来年度もまた九%を超える運賃改定をもくろんでおり、連年の大幅値上げが繰り返されているのであります。本改正案における法定制緩和の措置も、値上げに明け暮れる国鉄の二の舞を踏む危険なしといたしません。全国民を代表する国会の議決を免れた結末は、料金引き上げの連続だけであり、国民生活を無視する措置以外の何物でもありません。
 総理、郵政、大蔵大臣の、国会コントロール否定の法定制緩和導入の基本的考え方を伺いたいのであります。
 第二は、郵便事業財政の健全化が本改正案において真に達成できるのかという点であります。
 郵便事業が、創業以来、国民だれもが安価で、かつ都市、山間辺地を問わず、全国同一料金で信書の送達を行うことを基本的な使命としてまいったことは周知のところであります。最近の電気通信技術の発達、電話の普及等で個人の郵便利用が伸び悩んでいることは、これまた事実として認めるにやぶさかではありません。しかし、それゆえに創業以来の郵便事業の基本的使命を放置してよいというものではありません。憲法に保障された国民の生活を守るためには、何としてもその使命を保持していかなくてはならない事業と言わねばなりません。
 さらに、郵便送達事業の実態を見ますと、合理化、機械化の導入には限界があり、どうしても人力による事業の推進を図らねばならない宿命を背負った事業であることも認識しなければならないのであります。このことは、郵便事業にコスト増がつきものであり、本改正案における法定制緩和と大幅な郵便料金の引き上げで回避できる性格のものではないということをわれわれは直視しなければならないのであります。国鉄の暫定的とした法定制緩和の措置は、国民負担の強制を半永久的に定着させてしまったばかりでなく、国鉄の財政再建もなし得ず、ますますどろ沼にはまり込んでいるのが今日の姿ではありませんか。
 本改正案において「当分の間」としている法定制の緩和も、永久に続くおそれがあるばかりか、国会議決を免れたことによる安易な値上げで多くの国民から安価利便の通信手段を奪い、この結果がさらに大きな郵便事業の赤字を発生せしめることは言うをまちません。
 総理は、当分の間法定制を緩和するという「当分の間」の具体的な年次は明示できる確信はおありでしょうか。郵便事業が本改正案で健全化され、国民に迷惑をかけない保証は全くないと言わざるを得ません。総理、郵政、大蔵大臣の明確な処方せんをお伺いしたいと存じます。
 また、第三種及び第四種郵便物の大幅値上げは、消費者団体、文化団体、福祉活動等の機関紙を初め、新聞、雑誌などの発行を財政上困難にするものであり、憲法で保障された言論、出版、表現の自由、文化の享受という国民の基本的権利を奪いかねません。したがって、第三種、第四種の郵便物は低料金に抑えるべきであり、これらの赤字は、受益者負担の原則を及ぼすべきでなく、当然一般会計によって補てんすべきものと考えますが、いかがですか。
 第三には、最近の消費者物価の高進で国民の実質所得の目減りが続いている中で、物価最重点の大命題を抱える政府がみずから物価上昇の基盤をつくっている点であります。
 政府は、本改正案において、郵便料金の法定制を緩和し、国民大衆が最も利用する第一種及び第二種郵便物の料金を、葉書を二十円から四十円、封書を五十円から六十円にするなど、三九・三%という大幅値上げを図っており、これに伴う消費者物価への影響は〇・〇七%の軽微にとどまるとしております。家計消費に占める郵便料金の支出ウエートは低いが、国民生活に及ぼす影響は大であります。
 最近の物価上昇は連続八%台の高水準が持続し、勤労者世帯はもとより、一般個人営業世帯を含めた全世帯にわたり、収入と消費支出の両面において、かつて類例を見ない実質目減りが続いていることは、総理も御承知ないはずはないと思うのであります。しかも、政府が目標とする五十五年度の消費者物価上昇率六・四%を達成するためには、今後の年度後半において四%台にまで物価を抑えなければなりません。果たしてそのようなことが可能でありましょうか。この際、事業の存続発展のためにも、郵便料金の値上げを抑止し、事業の合理化、効率化を推進することが先決ではありませんか。
 しかるに、政府は、郵便料金の大幅値上げを初め、各種公共料金の引き上げに走ろうとしており、国民生活を守るべき立場の政府が主導的な物価上昇の引き金を引いていると言っても過言ではありません。
 しかも、法定制の緩和は、料金引き上げの歯どめの撤廃であり、将来にわたり料金の大幅値上げの路線をつくり上げる何物でもありません。政府の国鉄、たばこに続く公共料金の自動値上げシステム確立のねらいは、国民生活を守る立場から断固反対せざるを得ません。総理の物価抑制最重点という中での郵便料金値上げ、法定制緩和に対する明確なお考えを伺いたいのであります。
 最後に、郵便料金の値上げが家計費に与える影響以上に影響を及ぼすものに、青少年の通信手段があると思います。
 文書表現によって心や情報を伝達するという機能は、民族の文化的資質の向上にとってきわめて重要であります。値上げにより手紙による通信手段を他の手段に変更することになれば、青少年の教育問題にも影響のあることを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(鈴木善幸君) 太田さんの御質問にお答えいたします。
 今回の郵便料金の決定方法の特例措置は、法律において厳格な要件を付した上で、ある程度弾力的に料金改定を行い得る制度を採用することによって健全な事業経営の確保などを図り、もって郵便事業が今後とも国民に対し安定した郵便サービスを提供していくことを目的とするものでありますので、何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
 今回の制度改正におきましては、郵便事業に係る累積欠損金が解消されるまでの当分の間、料金改定についてある程度弾力性を持たせることといたしておりますが、累積欠損金の解消につきましては、単に料金改定に頼るだけではなく、事業運営の効率化、合理化の推進と収入の確保の努力など、真摯な経営努力によりましてできるだけ早期に累積赤字の解消を図りたいと存じます。
 郵便事業健全化の明確な処方せんを示せとのことでありますが、私は、まず郵便事業において事業運営の効率化、合理化を図り、あわせて郵便の需要を拡大して業務収入の確保を図るなどの経営努力が真剣になされなくてはならないと考えております。しかしながら、業務の大部分を人力に依存するという郵便事業の性格からいたしまして、合理化を前提としつつも必要最小限度の負担増を国民にお願いすることも必要であると思われます。このような措置を適切に行うことによって、郵便事業の健全化は必ず達成できるものと考えておるのであります。
 物価を重点施策とすると言いながら、なぜ郵便料金の値上げや法定制の緩和を行うかとの御質問でございましたが、郵便料金のような公共料金につきましては、政府は経営の徹底した合理化を前提として、物価、国民生活に及ぼす影響を十分考慮して、厳正に取り扱うという方針をとっております。ただ、物価面のみに着目して公共料金を抑制いたしますことは、一時的には効果はあるものの、後になってより大幅な料金改定を必要とすること、また、サービスの安定的供給を困難にするなどの問題を生じますので、総合的な判断を必要とするものと思います。このような考え方は法定制を緩和いたしましても堅持し、物価や国民生活に十分配慮しながら厳正な運営を図ってまいる所存でございます。
 その他の点につきましては所管大臣からお答えをいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣山内一郎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(山内一郎君) 太田議員の御質問にお答えをいたしたいと思います。総理から御答弁がございましたので、それを補足しながら、私に対する質問、これにお答えをしたいと思います。
 まず、料金決定方法の特例措置の考え方であります。
 今回の改定は、郵便事業財政の現状にかんがみまして、法律において郵便事業に係る累積欠損金が解消されるまでという期間を定め、また料金の改定幅の上限を定めるなどの厳しい要件を付した上で、法律に基づいて料金の決定を行おうとするものであります。これはもとより国会の財政コントロールを否定するというものではなく、また財政民主主義の原則にもとるものではないと考えている次第でございます。
 次に、特例措置がとられる「当分の間」についてお答えをいたします。
 「当分の間」とは、郵便事業に係る累積欠損金が解消されるまでの間であります。累積欠損金の解消につきましては、今後の賃金、物価その他の経済情勢や郵便の需要動向等の推移いかんに左右されますので、現時点で明確な見通しを申し上げることは困難でありますが、私といたしましては、事業運営の効率化、合理化を進めるとともに、郵便の需要を拡大して収入の確保に努めるなど真剣な経営努力を怠らず、できるだけ早期にこれを解消し、郵便事業の再建を果たすべく努めてまいりたいと存ずる次第であります。
 次に、郵便事業の健全化を図るための考え方についてお答えをいたします。
 郵便事業における現下の窮迫した事業財政を建て直し、健全な事業運営を回復するためには、安易に料金改定のみに依存するのではなく、郵便事業における真剣な努力がなさるべきであると考えております。そのためには徹底した事業運営の効率化、合理化を図り、あわせて郵便の需要を拡大して業務収入の確保を図る等の努力が必要であり、料金の改定は、こういった努力を前提に必要最小限度の負担を国民にお願いすることでなければならないと考えております。このような考え方を基本として、私としては、今後とも経営努力を怠らず、累積欠損金についてもできるだけ早期に解消し、郵便事業の再建を図る所存であります。
 次に、第三種及び第四種郵便物の赤字の一般会計による補てんについてお答えをいたします。
 第三種、第四種の郵便物の料金は、政策上の配意を加え低額の料金とされておりますが、郵便法は、これらの低料金のものを含めまして、郵便料金が全体として収支相償うよう決定されるべきことを明らかにしております。
 なお、一般会計から補てんすることにつきましては、負担の公平の見地から見ても適当でないと存じております。
 次に、郵便料金の値上げを抑制し、事業の合理化、効率化を推進すべきということについてお答えをいたします。
 郵便事業財政は、昭和五十四年度末において二千百億円にも及ぶ累積欠損金を抱え、きわめて逼迫した状況に置かれています。郵政省としても、従来から事業運営の効率化、合理化を図ってきたところでありますが、郵便事業は人件費及び人件費と同様の性格の経費が業務運営経費の約九割を占める労働集約性の高い事業であるため、それにもおのずから限界があり、本来、賃金コストの上昇に弱い体質を持っております。
 もとより、事業運営の効率化、合理化になお一層努めて、経費の増大を抑制すべきことは当然でありますが、賃金や諸物価の上昇により経費が増加していく傾向は避けられず、このまま推移すると、郵便事業にとってまさに危機的な状態に立ち至ることと相なります。こうした中で、物価や国民生活への配慮も加えて、所要の改定を行い、窮迫した事業財政の立て直しを図ろうとするものでありますので、御理解をいただきたいと思います。
 最後に、今回郵便料金を改定し、また、料金決定方法の特例措置を行うについてお答えをいたします。
 今回の郵便料金の改定は、窮迫した事業財政の現状を考えると、一日たりともゆるがせにできない状況にあります。一方、家計消費支出額に占める郵便料の割合や消費者物価指数に及ぼす影響を勘案しますと、物価や国民生活に与える影響は比較的小さいものと思われます。また、今回の料金決定方法の特例措置は、料金の決定を法律に基づき厳格な要件のもとで行おうとするものであり、今回の改正によって決して安易な改定を行おうとするものではありません。
 いずれにしましても、今後の事業財政の健全化を図るために、真にやむを得ぬ範囲の料金改定と必要な措置を行おうとしたものであることを御理解いただきたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答え申し上げます。
 国会の財政コントロールを否定するような法定制緩和導入についての見解いかんということでございますが、これは先ほどもるるお話がございましたように、財政法の第三条は、あらゆる場合に法律で直接具体的な金額を定めることを実は要求しておるものではございません。今回の郵便料金の決定方法につきましては、法律によって一定の厳格な条件がつけられておるものでありまして、私は、これらの条件から見て、国会の審議権を十分尊重しておるものではないかと、こう思っておるわけでございます。
 それから郵便事業の今後の健全化という問題につきまして、これは明確な処方せんを示すべきだということでありますが、これらの具体の問題については郵政大臣がお答えしたとおりでございます。私は、郵便事業といえども、これはやはり受益者負担の原則に基づきまして、自収自弁と申しますか、独立採算制の特別会計で従来も運用されておりますが、今後もこれがいいのじゃないかと、こう思っておるわけでございます。やはりこういう公共事業で余り実費を割るような極端な安い低廉な料金というものは必ずしも私は社会的公正を確保することにならぬと、こう思っております。
 御承知のとおり、先ほど郵政大臣のお話にもあったように、郵便の利用というものは、多くの企業がいろいろな広告とかダイレクトメールとか、いろいろな形でわれわれの手元にもたくさん送られてきますが、そういうものが非常に多くて、それがともかく赤字を生んでおる。その赤字を国民の税金で穴埋めするということはいかがなものであるか、私は、やはり適正な料金ということが必要なのではないかと、そう思っておるわけでございます。
 その次に、第三種、第四種郵便物は文化的施策として低料金に抑えるべきなんだから、一般会計によって税金で穴埋めしたらどうかというような御趣旨と承ったわけでありますが、郵便法では、低料金のものも含めて郵便料金が全体として収支が相償うと、こういうように決定されるべきことを明らかにしております。したがって、今後ともこれらの政策料金というものは、全体の郵便料金の中で吸収し得る範囲内で、あるいは少し安くするとかどうとかというような措置はその全体の収支の中で勘案をさるべきものではないか。したがって、それについて直接一般会計で補助をするというようなことは考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(河本敏夫君) 公共料金に対する取り扱い方針は、総理が先ほどお述べになったとおりでございまして、まず事業の徹底した合理化を求める、なおそれでも足りない分に対しては、物価に対する影響を最小限度に抑えるために、時期、幅等を十分考慮しながら実施していく、こういう方針でございますが、いま消費者物価は安定の方向にあるとは言いながらなお問題が相当ございますので、十月末に十四項目の対策を決定したばかりでございます。そういう時期でございますから、今後公共料金に対する取り扱いも以上申し上げましたような方針に沿って進めてまいるつもりでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(徳永正利君) 山中郁子君。
   〔山中郁子君登壇、拍手〕
#20
○山中郁子君 私は、日本共産党を代表し、郵便法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 この法改正は、封書を五十円から六十円に、葉書を二十円から四十円に引き上げるとともに、物価等変動率の範囲内という条件はつけていますが、郵便事業会計の累積赤字がなくなるまでの間、国会の議決を経ないで、郵政大臣の権限で郵便料金の値上げを行えるようにするという重大な内容を持つものであります。
 そこで、まず最初に、郵便料金の法定制緩和について伺います。
 現憲法が制定された際、民主主義の精神を国の財政運営の原則とし、その基本をうたった憲法第八十三条、八十四条を受けて、財政法第三条は、「国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」としております。今回の郵便料金の法定制緩和は、この憲法の理念に反し、財政法第三条に明らかに違反するものであります。財政法第三条を勝手に拡大解釈することは断じて許されないことですが、総理の見解を求めます。
 また、衆議院での審議において、政府は、法定制を外す理由として、郵便の独占性が薄れたという意味の答弁をし、電話の普及がその理由であると説明しております。しかし、郵便法第二条は、「郵便は、国の行う事業であって、郵政大臣が、これを管理する。」と定め、第五条は、「何人も、他人の信書の送達を業としてはならない。」として、郵便事業は国営独占事業であることを明確にしておりますし、郵便の利用もふえております。電話が普及したからといって郵便事業自体の独占性が薄れることにはなりません。
 郵政大臣にお尋ねいたしますが、独占性が薄れたということはどういうことですか。他に信書の送達を業とする企業などが存在するのかどうか、明確な答弁を求めます。
 また、政府は、法定制が外されても厳重なチェックを受けることになっているから大丈夫だと説明しておりますが、具体的にどのようなチェックが行われるのですか。いずれにしても、国民の総意を反映する国会の審議にまさるものはあり得ないはずですが、あわせて答弁を求めます。
 次に、郵便財政の再建計画について伺います。
 政府は、法定制を外して累積赤字を解消すると言いながら、どのようにして赤字を解消するのか、責任ある再建計画をいまだに明らかにしておりません。憲法、財政法に違反するだけでなく、このような無責任な態度に終始し、責任ある赤字解消計画も示さないまま、値上げだけは政府が自由に行うなどということを国民が納得できるはずがないではありませんか。少なくとも、参議院逓信委員会が本法案の審議に入るまでに、政府としての責任ある赤字解消計画を国会に提出すべきでありますが、総理並びに郵政大臣の誠意ある約束を求めるものであります。
 次に、郵便料金がもたらす国民生活への影響について伺います。
 総理は、さきの所信表明で、「物価の安定こそは国民生活を安定させる基礎条件であります。」、また「物価の安定には引き続き最善の努力を払うことにしております。」と繰り返し述べておられます。ところが、ことしになって公共料金の引き上げ、物価値上げが続いており、勤労者の実質所得が昨年より低下してきていることは、すでに指摘されているところです。
 また、今回の封書一・二倍、葉書二倍という値上げは、五年前の郵便料金値上げ以降の消費者物価の上昇率の一・三倍を大きく上回るものです。さらに、衆議院でのわが党の追及によって、郵政省は、今回の値上げを含めて八年間に三回もの大幅値上げを行い、封書八十五円、葉書六十円に引き上げる計画を公表せざるを得ませんでした。このような事態になれば、物価の上昇に拍車をかけることは火を見るよりも明らかです。いま郵便料金値上げを強行することは、さきの所信表明に照らしても、まさに言行不一致と言わざるを得ませんが、総理の見解を伺います。
 特に、電話利用が困難な障害者やお年寄りなどにとっても、郵便はみずからの生きがいを支えるとともに、社会的交流のためのかけがえのない手段となっています。また、過疎地域に住んでいる多くの人々も、毎日の新聞の配達を初め、情報伝達の手段を多く郵便に頼っていますが、これらの人々が大きな打撃を受けることは当然です。これは「恵まれない人々に重点的に温かい手を差し伸べる必要があります。」という総理の所信表明の言葉に反するばかりでなく、国際障害者年を前にしたこの時期に余りにも心ないやり方だと言わなければなりません。この実情をどう認識しておられるのか、あわせて御所見を伺います。
 また、郵政省の計画案によれば、五十九年と六十二年に行う予定の値上げ幅は消費者物価の上昇見込みをいずれも上回ります。これはすでに衆議院でのわが党の指摘に対して政府も認めざるを得なかったところです。このような値上げ計画をお認めになるのかどうか、経企庁長官の見解を求めます。
 次に、現在省令にゆだねられている第三種、第四種の料金について伺います。
 第三種は、定期的に発行される新聞、雑誌を特別低料金で郵送することによって、国民の政治、文化の啓発向上に貢献しようとするものであり、その果たしてきた役割りは非常に大きいものがあります。ところが、今回の法改正に伴い、第三種を現行十五円から三十五円に引き上げるという計画で実に二・三倍となり、第四種も一・五倍に引き上げられます。過疎地域における新聞の配達を初め、社会福祉団体、各種専門新聞、文化団体、労働諸団体、心身障害者団体など、すべて第三種による郵送に頼っているものは、頒布活動の縮小、活動経費の切り詰め、あるいは関係者の負担増を余儀なくされ、死活問題となっております。これが憲法で保障された言論、出版、結社の自由を経営財政面から圧迫するものであることは繰り返し指摘されてきたところです。第四種で扱う通信教育用教材や学術刊行物についても同様です。
 これらの料金値上げを抑えるとともに、第三種、第四種料金もその公共性を踏まえ、一九七二年以前の法定事項に戻すことが必要であると思いますが、総理の見解を求めます。
 最後に、郵便事業の独立採算制見直しの必要について伺います。
 どんな辺地にも国民の要求にこたえて信書を送達する郵便事業が多くの人手に頼るという特性から、機械化、近代化に一定の限界があることは国民がひとしく認めるところであります。このような性格の郵便事業を料金だけで賄おうとするやり方は、結局のところ、料金値上げと郵便離れの悪循環を生み出し、郵便事業そのものの土台を掘り崩しかねないと言わなければなりません。それは、すでに法定制緩和を強行して以降の三年間で五回もの値上げを繰り返しても、国民生活を苦しめるばかりで再建のめどが立たないばかりか、一層の乗客離れを引き起こしている国鉄運賃の実態を見れば余りにも明らかではありませんか。
 いまこそ国民本位の郵便事業を再建するために、基礎施設の建設費を国が負担するなど、郵便事業に対する国の財政責任を確立する必要があるのではないでしょうか。そのためにも、政府が勇断をもって郵便事業の独立採算制を見直す時期であると考えますが、総理並びに郵政大臣の見解を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(鈴木善幸君) 山中さんにお答えをいたします。
 今回御審議をお願いいたしました郵便料金の法定制緩和の特例措置についてのお尋ねがございましたが、これは郵便事業財政の現状にかんがみまして、法律において一定の厳格な要件を付した上で、ある程度弾力的に料金改定を行い得る制度を採用することによりまして健全な事業経営の確保などを図ろうとするものでありますので、憲法または財政法の規定に違背するものではないと考えております。
 新しい制度は、法律で許された範囲内で郵便料金の改定ができることとなりますが、その運用に当たっては、国会における本法案の御審議における御議論等を十分に踏まえ、新制度の運営に厳正を期してまいりたいと存じます。
 赤字解消計画を国会に提出する用意があるかとの御質問がございましたが、今後の賃金、物価の動向など社会経済情勢の推移に即応しながら、長期的な見地に立って経営の改善合理化を進めたいと存じます。
 私は、所信表明におきまして、物価安定の重要性と思いやりのある社会を築くことの必要性について触れました。あらゆる施策を展開するに当たってこの点に配慮してまいる所存でありますが、郵便事業が今後とも国民に対し安定した郵便サービスを提供していくためには、今回の措置はやむを得ないものと考えます。社会的弱者についての対策は、総合的に社会保障全体の見地から考慮すべきものであると考えておりますので、最善を尽くす所存でございます。
 最後に、郵便事業の独立採算制を見直してはどうかとの御意見でございましたが、収支相償うべきこと、独立採算制の原則をとる郵便法の趣旨から見ましても、また事業経営に自主性を持たせ能率的経営を図ることが事業にとっても利用者のためにも役立つという見地からも、さらには国の一般会計の現状から見ても、郵便事業に税金などの一般財源を繰り入れることは適当ではないと考えます。
 以上、お答え申し上げましたが、残余の点につきましては所管大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣山内一郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(山内一郎君) 山中議員の御質問にお答えをいたします。総理から御答弁ございましたので、補足をしながら私に対する質問にもお答えしたいと思います。
 まず、料金決定方法の特例措置を行うに当たつての根拠についてお答えいたします。
 国の独占事業の事業料金は、法律に基づいて定めなければならない旨を財政法第三条は規定しておるのでございます。財政法第三条の要請を満たすには、特定の事業料金の法定制の内容をどのような方式とすべきかということは、その事業の独占の程度及びその事業が提供する給付を利用することの国民生活上の必要性の程度を総合的に勘案して判断されるべきであると考えられております。
 郵便事業につきましては、法律上他人の信書の送達を業とすることは独占となっておりますが、今回の改正は、先ほど申し上げました点を勘案をいたしまして、法律において一定の厳格な要件を付した郵便料金決定方法の特例措置を設け、この法律の規定に基づいて料金の決定を行おうとするものでありますので、御理解をいただきたいと思います。
 次に、料金決定方法の特例措置と国会審議との関係についてお答えをいたします。
 今回の改正は、郵便事業財政の現状にかんがみまして、法律において郵便事業に係る累積欠損金が解消されるまでという期間を定めまして、また、料金の改定幅の上限を定めるなどの厳しい要件を付した料金決定方法の特例措置を設け、この法律の規定に基づいて料金の決定を行おうとするものでありまして、財政処理権限の国会議決主義の精神に沿うものであると考えております。
 次に、今後の赤字解消計画についてお答えをいたします。
 累積欠損金の解消につきましては、今後の賃金、物価その他の経済情勢や郵便の需要動向等の推移いかんに左右されますので、現時点で明確な見通しを申し上げることは困難でありますが、郵政省としては、事業運営の効率化、合理化を進めるとともに、郵便の需要を拡大して収入の確保に努めるなど真剣な経営努力を怠らず、できるだけ早期にこれを解消し、郵便事業の再建を果たすべく努めたいと存じている次第であります。
 最後に、第三種及び第四種郵便物の料金についてお答えをいたします。
 第三種及び第四種郵便物の料金につきましては、それぞれその社会的意義を考慮して従来から低い料金に設定されております。私といたしましては、現下の郵便事業財政にかんがみ、郵政審議会の御意見にも沿い、第三種郵便物等の料金を適正な水準に改めたいと考えている次第でありますが、具体的な料金の決定に当たりましては、今後郵政審議会の御審議をいただいた上決定させていただきたいと存じております。
 また、現在の第三種郵便物等の料金決定方法は、昭和四十六年に国会で十分御審議いただいた上お認めいただいたものであり、現行の制度を続けさせていただきたいと存じております。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(河本敏夫君) 郵政省では郵便事業損益計算見込みという長期の試算を発表しておられます。いま御指摘がございましたように、十年間に今回の料金改定も含めまして三回の料金改定をする、こういう計算でございますが、そのために物件費、人件費の上昇をある程度仮定の数字を置きまして計算しておりますが、政府といたしましては、今回の料金改定ができるだけ長く続くような、強力な合理化が続くことを期待いたしております。(拍手)
#24
○議長(徳永正利君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#25
○議長(徳永正利君) 日程第二 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。塩川運輸大臣。
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(塩川正十郎君) 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 国鉄は、これまでわが国の基幹的交通機関としての機能を果たしてまいりましたが、その累積赤字は昭和五十四年度末において六兆円を超え、このままに推移すれば将来巨額な国民負担となることは明らかであり、わが国の交通体系における国鉄の枢要な機能を今後とも維持させるためにも、国鉄の経営の再建が緊急の国民的課題となってまいりました。
 このため、政府といたしましては、昨年十二月「日本国有鉄道の再建について」の閣議了解を行い、国民及び利用者の深い理解と協力のもとに、国鉄の再建を図るため、国及び国鉄が当面緊急に実施すべき対策を決定したところであります。
 この閣議了解におきましては、国鉄は、地方交通線対策を含む経営の重点化、減量化、業務運営全般の効率化、機構・組織の簡素化等の推進によって、昭和六十年度に職員三十五万人体制を実現することを中心とする徹底した経営改善を実施することとするとともに、国は、このような国鉄自身の経営改善努力を前提として、国鉄の経営努力のみでは解決しがたいいわゆる構造的問題を中心に債務のたな上げ等所要の行財政上の措置を講ずることとしており、このような国及び国鉄の対策を総合的に実施することにより昭和六十年度までに国鉄の健全経営の基盤を確立し、可及的速やかに収支均衡の実現を図ることといたしております。
 本法律案は、この閣議了解の考え方に基づいて、国鉄の再建を促進するためにとるべき特別の措置を定めるものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、この法律の趣旨は、わが国における基幹的交通機関である国鉄の経営の再建を促進するためにとるべき特別の措置を定めることとするもので、国鉄の経営の再建の目標を、昭和六十年度までにその経営の健全性を確保するための基盤を確立し、引き続き、速やかにその事業の収支の均衡の回復を図ることに置くこととするとともに、その目標を達成するための国鉄及び国の責務を明らかにしております。
 第二に、国鉄の経営の再建のための措置の確実な実施を期するため、国鉄に経営改善計画を作成させ、毎事業年度その実施状況を検討させることとするとともに、その経営の再建の促進に関する監査を充実するために、国鉄の監査委員会の委員を一人増員することとしております。
 第三に、国鉄の鉄道の営業線のうち地方交通線に関しては、関係行政機関等による特定地方交通線対策協議会を組織し、特定地方交通線を廃止する場合に必要となる輸送の確保について協議させることとすること、並びに地方交通線の貸し付け及び譲渡の道を開くこととすること等、地域における輸送の確保に配慮しつつバスまたは地方鉄道へ転換するための措置を講ずることとするとともに、地方交通線の運賃設定に当たり物価安定等に配意しつつ収支改善のために特別の配慮を払うこととするほか、日本鉄道建設公団の業務として、地方鉄道新線の建設を行うことができることとする等の措置を定めております。
 第四に、国鉄に対する援助措置の強化を図るため、昭和五十四年度末の債務のうち五兆五百九十九億円の債務についてたな上げを行うとともに、たな上げされた債務に係る償還資金の無利子貸し付け及び利子補給を行うことができることとするほか、地方交通線に係る補助の規定を設ける等、国の財政措置に関する規定を整備することとしております。
 第五に、以上の措置を実施するために必要な関係法律の規定の整備を行うこととしております。
 なお、衆議院におきまして、この法律案中、特定債務の選定基準日等について「昭和五十五年三月三十一日」といたしておりましたものを「この法律の施行の日」に改めるとともに、特定債務に係る利子補給の遡及適用等について所要の経過措置を新たに設ける修正が行われております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。
 何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(徳永正利君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。広田幸一君。
   〔広田幸一君登壇、拍手〕
#28
○広田幸一君 私は、日本社会党を代表し、ただいま提案されました国鉄再建法案について、鈴木総理を初め各関係大臣に質問をしようとするものであります。
 国鉄は、長い歴史の中で、昭和三十九年以降経営が悪化し始め、すでに六兆円の累積赤字を見るに至りましたが、その原因は多岐にわたるとはいえ、この間の激しい経済的、社会的構造の変化に伴う輸送構造の変革に即応し得なかった政府の無為無策によるものであって、その責任は追及されなければなりません。しかるに、本法案はその責任を回避し、国鉄再建の美名のもとに公共的使命を放棄し、
   〔議長退席、副議長着席〕
厳しい経営合理化と特別運賃制度の設置、地方交通線の廃止等によって事態を切り抜けようとしておるのでありますが、とうていわが党の賛成できるところではなく、法案の修正を迫り、政府の猛省を促してきたにもかかわらず、衆議院においては、わが党の修正案を否決し、採決されたのでありますが、本院においては、さらに問題点を追及し、本案の撤回を求めるものであります。
 以下、最大の焦点になっておる地方交通線の廃止を中心に論及してまいります。
 国鉄から切り離そうとしている特定地方交通線の選定は、法案では、その基準を政令で定め、国鉄が該当する線を運輸大臣の承認を受けて決め、関係都道府県の知事に通知することになっており、また、その後設けられる地方協議会も、関係自治体等の意見は述べられるものの、決定権は運輸大臣が持っており、いわゆる地方交通線廃止の生殺与奪の権限はすべて政府の手中に握られることになっておりまして、これほどの権力性を持った法律があるだろうかと驚くほかありません。
 特に、地方交通線は、沿線地域の経済文化発展のよりどころであり、住民にとってはまさに生命線であります。それが政府の強権によって一刀両断に廃止が決定されることは住民としてとうてい容認できないところであります。本法案に怒りと不満が集中するのも当然と言うべきでありましょう。全国知事会や市町村長会等が法案に容易に賛成を示さないのはここにあるのであります。
 政府は、基準に照らし、住民の意見も尊重し、慎重に対応すると言っておるけれども、それならば、選別の決定は住民を代表する知事等の意見の合意を必要とすることを条文に明記すれば、住民が抱いておる疑念と不安は解消されるのであります。わが党は、誠意をもってこのことを提言したにもかかわらず、政府・自民党はこれに応じようとせず、一部他党の協力を得て強行可決したのであります。口では協力的姿勢を示しながらも、最後は地元住民の意向を無視し、問答無用で政府の思うままに押しつけようとする底意をありありとうかがい知ることができるのであります。国民本意の和の政治を強調される総理の言行不一致のやり方ではありませんか。あくまでも国有鉄道という公共性を堅持し、地方交通線の運営は地方住民の合意によって推進されることを基本にした法案に修正すべきであると考えますが、総理はいまでも原案のままでよいと思っておられるのか、お尋ねをいたします。
 また、国鉄の経営を第三セクターに移管する問題も、経営の責任はその性格上自治体がとらざるを得ないということになるでありましょう。いまの地方自治体の財政事情は国以上に悪く、ましてや特定地方交通線の沿線の自治体は、より以上に悪い状態にあることは政府も百も承知のはずであります。運輸大臣は、該当地区が責任を持って運営すると言えば容認していくという方針を明らかにしておりますけれども、専門の国鉄で経営困難なものが第三セクターで可能なはずがありません。これは国鉄側が経営のむずかしさから逃避し、他にその責任を転嫁しようとする、公共的使命を放棄した無責任さにあると言わざるを得ないのであります。鉄道が廃止されると大変だという地域住民の弱みにつけ込んだ弱い者いじめの何物でもないと言えましよう。私は、そのような、ほかにむずかしさを押しつけるような安易な他力依存の発想では、国民が希求してやまないこれほどの困難な大事業が達成できるとは考えられないのであります。
 総理、これほど重大な問題の強行突破は思いとどまるべきではないかと思いますが、重ねて真意のほどをお聞きいたします。
 また、同時に、地方交通線沿線の自治体の苦しい財政事情と住民の生活実態を知悉しておられる自治大臣として、第三セクター方式を是とされてのことか。そして、このことで運輸大臣とどこまで詰めてお話しになっておるのか、あわせてお聞きをいたします。また、運輸大臣にもそのことをお尋ねいたします。
 さらに、国土庁長官にお尋ねをいたしますが、地方をより住みやすい環境にする定住圏構想は、すでにモデル地区の指定を終わり、具体的計画が進められようとしております。地方交通線はその中核に位置づけられておるが、これが国鉄から切り離された場合は構想が根本から崩されることになりかねないと思われるが、定住圏構想と地方交通線廃止とはどう関連をして考えておられるのか。また、沿線には過疎法の適用を受けた町村も多く、過疎振興計画の中にも国鉄の役割りが決められておりますが、どうなるのか。
 また、北海道地区は対象になる線も多く、国鉄から切り離されることになれば手足をもぎ取られたも同然であって、現在進めておる開発計画に重大な支障を来すと、異常な危機感を持って全道挙げて反対しておると聞いておりますが、北海道開発庁長官として現状をどのように認識されておるのか、あわせてお答え願いたい。
 地方交通線は、国鉄再建にとって根治不能のがんだから、すべてに優先して順次除去する方針を決めていますが、いま対象が予想される約九十線の赤字は、五十三、五十四年度の全体の純損失総額の十分の一の約八百五十億であります。ちなみに他の部門と比較してみた場合、たとえば工事完成が間近い上越、東北新幹線は、すでに四兆二千億円以上の巨費を投じ、最近ではさらに相当な増額が言われており、開業の暁には工事費をそのまま国鉄に背負わされ、年間三千億円以上の赤字が出ると言われており、政府は十年後には黒字に転換ができると苦しい答弁をしておりますが、根拠のない不確実なものであります。他にも類似した多額の費用を要しておる部門があります。
 単純に比較してみましても、約九十線の赤字は驚くべき数字ではなく、過疎化に追いまくられている住民にとって唯一の生活路線を目のかたきのようにぶった切ろうとする発想に対して、住民として耐えられないのではありませんか。政治への不公平感を持つのはあたりまえと言えるではありませんか。政治の公平を公約しておられる総理は、これでも急いで地方線を国鉄から切り離されるのか、再びお伺いをいたします。
 私は、特定地方交通線と思われる幾つかの沿線住民の生の声を聞いてまいりました。ここで多くを述べることはできませんが、二、三の共通した点を申し上げますならば、自分たちの生活路線として、赤字を少しでも少なくするために創意工夫し、可能最大の協力を送っているにもかかわらず、国鉄側に積極的な反応は見られず、むしろ自然衰退を待っているかのごとき姿勢に強い不満を示しておりました。また、高校生など学生諸君は、バスに転換しても期待はできず、町に下宿を余儀なくされるであろうし、それだけ父兄の負担もふえ、これに耐えられない者は進学をあきらめるしかないという深刻な訴えを学校側、また父兄代表から随所で聞かされたのであります。もっと憂うべきことは、国鉄が廃止になれば町の総合病院にも通えない、入院も負担がかかって入れず、結局は医者にも診てもらえず、病に苦しみながら死を待つしかない。ぜひ鉄道だけはなくしないでくださいと、祈るように思い詰めておるお年寄りが余りにも多いのに驚きました。
 政治は経済力の弱い人たちのためにあると言われてきました。学生といい老人といい、まさに交通弱者であります。地方線の廃止は一層過疎化に拍車をかけ、ますます人の住まない地域に追いやっていきます。こうした住民が持つ血の出るような叫びに政治はいかにこたえていくべきでありましょうか。学校をやめなければならない子供たちはどうなるのか、死を待つしかないと悲しむお年寄りはそのままにしておいてよいのか、これでも採算主義で国鉄から切り離していこうとするのか。運輸大臣の答弁を求めるものであります。
 さらに、この際ただしておきたいのは、五兆三千億円の巨額の工事費を必要とする新幹線整備五線の建設についてであります。運輸省が依頼した運輸経済研究センターは、工事費全額を国が補助しても年間三千億円以上の赤字が見込まれ、財源の見通しもむずかしいと報告しておるのに、政治的な絡みでいまだ結論を出していないのはなぜなのか。政府が言うところの緊急を要する財政再建とは、そんな御都合主義でよいのか。結局は弱いところにしわ寄せを押しつける弱い者いじめの何物でもないと言えるではありませんか。国民注視の五線はいつ決着をつけるのか。国鉄再建との関連をどのように考えておるのか。総理大臣並びに大蔵大臣にお聞きをしておきます。
 私は、以上質問を重ねてきましたが、これではとうてい国民の理解と協力が得られるものではありません。国鉄の真の再建は、国鉄側が公共性の理念を前提にした徹底した経営努力と、国鉄の手の届かない構造欠損部門に政府の適確な助成を行い、これに国民の理解と協力を得て三位一体の体制ができるとき初めて持続性の持てる安定した国鉄再建が実現できるものと信じます。
 最近の国鉄側の経営刷新の積極的な取り組みは、遅きに失した感なきにしもあらずでありますが、監査報告書の中に読み取ることができます。また、労働組合も可能最大の協力を惜しまず、むだを排除し、近代化を進めており、五十四年度、また去る十月一日のダイヤ改正では相当数の要員を縮減し、いまや国鉄側の労働組合も困難を克服し、国民のための国鉄を再現するために全力を傾注し努力しておるのであります。このような国鉄側の積極的な姿勢が国民に理解されるとき、日ならず再建の実を上げることは可能と信ずるものであります。
 政府は、いま、将来のあるべき総合交通体系を作成中であります。その中で今後国鉄がいかにあるべきかが位置づけられることになっています。私はその成案を待ってからでも決して遅くはないと思うのであります。総理、私の言っていることは、大勢としてそう間違っていないと思いますが、あなたはどのようにお考えになりますか、お答え願いたい。
 関係住民の合意が得られないまま、断じて強行すべきものではありません。わが党の誠意ある提言をいま一度謙虚に受けとめて、法案を撤回し、出直しを強く求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(鈴木善幸君) 広田さんにお答えをいたします。
 まず、国鉄の累積赤字についてお尋ねがありましたが、今回の国鉄再建対策におきましては、累積赤字について、国鉄の経営努力のみでは解決しがたいいわゆる構造的問題の一つとして考えており、昭和五十四年度末における累積赤字の一部約五兆円について債務のたな上げ措置を講じようとするものであります。
 次に、特定地方交通線の選定等につきまして、政府の強権的な決定によるものであるとの御意見でございましたが、法案におきましては、特定地方交通線の選定については、関係知事が運輸大臣に対し意見を申し出ることができることとしております。また、路線ごとに協議会を設け、代替輸送の確保について、国の関係行政機関、国鉄及び地方公共団体で十分協議を尽くすこととし、協議が調った事項については、国の関係行政機関及び国鉄はこれを尊重しなければならないこととしております。この協議会において万一協議が調わない場合であっても、国鉄が定める転換バス輸送措置について関係知事が運輸大臣に意見を申し出ることができることといたしておりますので、これらの措置を通じて地元の方々の意向を十分反映できるものと考えております。
 また、特定地方交通線の第三セクターへの移管は地方自治体の財政を圧迫することにならないかとのお尋ねでありますが、第三セクターへの移管は、関係自治体も参加する特定地方交通線対策協議会において協議を尽くした結果決定されるものでありますので、この決定に際しては、関係地方自治体の財政状況についても十分配慮されるものと考えます。
 特定地方交通線の廃止という考えを撤回せよとの御意見でありますが、危機的な状況にある国鉄の経営を再建するためには、国鉄全般にわたり経営の重点化及び業務運営の効率化を図る必要があります。国鉄地方交通線対策もその一環をなすものでありますので、地域住民の足の確保に十分配慮しながら進推してまいる所存でございます。
 次に、整備五新幹線についての御質問でありますが、御承知のとおり、五十三年十月に整備新幹線関係閣僚会議におきまして具体的実施計画が定められ、それに基づいて環境影響評価など所要の調査が進められてきております。しかし、整備新幹線は、想定される輸送量から見て、投資採算上問題が多いと判断されますので、国の財政事情、国鉄の財政状況などを勘案して、財源措置などの前提要件を十分検討する必要があり、目下慎重に検討を進めておる段階でございます。
 国鉄再建のためには、国鉄の経営努力、国の助成、国民の協力が三位一体となることが必要であるとのお話でございますが、今回の国鉄再建対策におきましては、国鉄自身の経営改善措置と国の行財政上の援助措置を総合的に実施することにより国鉄の再建を達成することとしております。政府といたしましては、国民及び利用者の深い理解と協力のもとに、全力を挙げて国鉄再建対策の推進に取り組んでまいる所存でございます。
 現在運輸省で検討中の総合交通体系のあり方についての検討結果を待ちまして国鉄の再建に着手しても遅くないのではないか、この御意見でございましたが、五十四年度末で累積赤字が六兆円を超え、危機的な状況に陥っておる国鉄の再建は、緊急に実施を要する国民的課題であり、また対策の内容も、総合交通政策の観点から見て適切なものと思われますので、早急に実施いたしたいと考えております。
 また、今回の法案は、昭和五十二年十二月二十九日に閣議了解された国鉄再建の基本方針、昭和五十四年十二月二十九日に閣議了解された国鉄再建対策を受けてまとめられたものであり、一方、運輸政策審議会の検討結果や、国鉄自身が策定した国鉄再建の基本構想案等も明らかにされておりますので、国民の理解は十分高まっているものと考えます。政府は本法案を撤回する考えはございません。
 残余の点につきましては関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(塩川正十郎君) お答え申し上げます。先ほど総理から詳しく御説明ございましたので、私は重複を避ける意味におきまして、お尋ねの二点についてお答え申し上げたいと存じます。
 第一点は、第三セクター、これがつくられても将来経営が困難になるのではないかという御心配でございまして、この状態につきましては、先ほどお話がございましたように、特定地方交通線対策協議会におきまして今後の運営等について十分な検討がされることと思っておりますし、また、地方線がそういう地域の特性に応じた交通体系をつくってくれることをわれわれも期待し、そのためには地方自治体と一体となりまして、全力を挙げてこの対策を講じてまいりたいと思っておるのでございます。
 そしてまた、これが地方自治体に対する大きい負担となるではないかという御心配でございますが、われわれも自治体に大きい負担にならぬように十分なそういう配慮もするし、また、将来における効率的な運用を通じまして、これが真に地域の交通として特性を発揮してくれるよう願っておるものでございまして、その対策は十分に慎重に講じてまいる所存でございます。
 それから二番目の問題といたしまして、老人それから通学生徒等に対する不安でございますが、これも最近におきましては、全国津々浦々へ行きましても道路は非常に発達してまいりまして、モータリゼーションによるところの交通の網も十分に張られてきております。したがいまして、この鉄道の経営と、自動車、バス等による交通と相まちまして、将来における地域交通のあり方を、住民の皆さん方の参加のもとで、やはり対策協議会等において協議をしていただきたいと思うのでございますが、同時に、当面の一定期間、一定の割合によりますところの通学生徒等に対する助成等も考慮をいたしておるのでございまして、われわれは、将来におけるこういう交通弱者と言われる方々に対する配慮等も、協議会を通じまして十分な対策を講じてまいりたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣石破二朗君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(石破二朗君) お答えいたします。
 国鉄再建方策の一手段としての特定地方交通線の廃止後の善後措置としてのいわゆる第三セクターなるものは、関係地方公共団体に多大の負担を与えることになりはしないかと、自治省の所見はどうかという意味のお尋ねでございましたが、先ほど総理大臣からすでに御答弁がございましたので、重複する点につきましては御遠慮いたしますけれども、やっぱり自治大臣といたしましては、地方公共団体の正当な要望を国鉄に反映するというのが大きな仕事の一つであります。国鉄の再建方策としての特定地方交通線の廃止に関しまする地方自治体の御意見は、現在のところ、地方住民の足を守るのは、大都市と言わず、地方と言わず、一様に国の責任であるから、国において責任を持つべきである、あるいはまた、一定の期間を置くとは言いながら、協議が調わないときにいわゆる見切り発車等は遺憾至極であると、そういうことをすべきではないというような御要望は承っておりまして、その辺のところは運輸省当局にも十分申し上げ、今回御審議願いますに当たりましても、十分検討した上であります。
 そこで、地方自治体の御意見は、目下のところ、そういうやり方は困るというだけでありまして、さてそれでは現実に廃止されたときにどう対応するかというような点については、まだ御意見を承っておりません。御心配のとおり、第三セクターを設置しますれば、国が経営しても赤字が出る路線でありますし、なかなか経営困難であろうと思います。また、下手をしますと、いわゆる第二の国鉄、ミニ国鉄になってしまって、さっぱり能率が上がらぬじゃないかというようなことになりかねないかもしれません。しかしながら、どういう方法によるにかかわりませず、政府としましても地方住民の足は全国一律に守って差し上げなければならぬと思っております。地方自治体の責任もそこにあろうと思います。まず国に責任があると、地方自治体もこれに協力すると、こういう考え方でいくべきであろうと思います。何とかして地域の住民だけが犠牲にならないで済みますように関係の地方自治体ともよく協議いたしまして善処してまいりたいと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣原健三郎君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(原健三郎君) 広田先生にお答え申し上げます。
 私に対する質問は三問あります。その質問の第一は、特定地域交通線の廃止と定住圏構想とはどういう結びつきになるか、矛盾はないかと、こういうような意味でございます。
 それで、定住圏構想との関連につきましては、三全総において、地域の実情に応じた合理的な交通体系の整備を図ることが地方定住を推進する上で重要なこととされておるところであります。国鉄地方交通線の存廃については、国鉄経営再建も重要な課題でございますが、三全総の趣旨にのっとり定住圏構想推進にそごを来さないよう対処してまいる必要があると決心しております。
 第二の御質問は、過疎振興計画との関係についてでございます。
 この計画は、本年四月に施行された過疎地域振興特別措置法に基づき、過疎地域市町村及び関係都道府県においてすでに策定されたところでございます。この計画では、策定団体の実施する道路交通網の整備、産業の振興等、過疎地域の振興を図るための総合的な過疎対策事業がその内容とされておるところであります。その計画に付帯して、お尋ねの国鉄線の維持、建設促進等につきましても、多くの関係地方公共団体から要望されておることは私もよく承知しておるところでございます。
 第三の御質問は、北海道の特定地方交通線についてでございます。
 このたびの国鉄再建法案に係る地方交通線等の選定基準の考え方につきましては、いろいろ取りざたされておるところは私もよく承知いたしております。私といたしましては、北海道の総合開発推進の上に国鉄が基本的交通体系の一環として重要な役割りを果たしてきた経緯にかんがみ、その問題については関係機関と十分協議を尽くし、北海道開発がいささかも停とんを来すことのないようにいたしたいと考えておるところであります。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(渡辺美智雄君) 新幹線整備五線の着工、これは財政危機の現況下において考え直したらどうか、こういうふうに私は質問の趣旨をとったわけです。これは非常に重大な問題で、私も苦悩に満ちておる問題でございます。
 御承知のとおり、私は国鉄の赤字の問題については非常に同情しているのです。最近、労使関係も国鉄再建について非常に熱心だと、しかしながら、しり抜けができていったのでは幾らこれは経営合理化をやれと言っても労使両方でできるはずがない。私はそういうような点から考えて、果たしてこの整備新幹線というものが財政的にできるかどうか。五十四年度価格で少なくとも五兆円以上ということが言われておるわけでありますから、これを政府の助成によって建設するということは、現在の財政事情から見て、少なくとも当面とてもできる相談ではない。仮にそういうものを建設して、果たしてどれくらい利用者があるのか、これが非常に問題であります。
 昭和四十八年と最近のたとえば博多−東京間の乗客というものを見ても、逆に減っておる、鉄道が二本になったらお客さんが減ってしまったと。結局はどうしてかというと、いろいろありますが、国鉄無料パスを持った人がおりまして、私がアンケートをとってみた。ところが、やっぱり飛行機利用が圧倒的に多い。無料の人が国鉄に乗らないのですから、有料の人が少なくなるのも無理はないのじゃないかというようにも私は思うわけであります。そういうような点から考えましても、これは経営の問題、将来の展望というものも含めまして慎重に検討をさしていただきたい、かように考えております。ありがとうございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○副議長(秋山長造君) 桑名義治君。
   〔桑名義治君登壇、拍手〕
#35
○桑名義治君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま運輸大臣から趣旨説明がありました日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 質問の第一点は、国鉄経営失敗の責任の所在の明確化についてであります。
 昭和三十九年に三百億円の赤字を計上した国鉄の財政は、その後年々悪化の一途をたどり、五十四年度末には累積赤字が六兆円を超えるという破局的な状況に陥ったのであります。その間、政府は四回にわたって財政再建計画なるものを策定し、財政の立て直しを図ろうとしたのでありますが、いずれも国鉄が置かれている厳しい客観情勢を無視し、当面を糊塗する机上のプランであったため、計画目標を達成するに至らず、ことごとく失敗に帰し、今日の事態となったのであります。
 しかるに、その間、国鉄経営の最高責任者である国鉄総裁とその監督責任者である運輸大臣がその責任をとっておやめになったという話は、かつて一度も聞いたことはありません。政府は、毎回国会でその実現を約束し、履行できないとわかると、きわめて遺憾です、残念ですとの答弁に終始してきたのであります。このように責任の所在を不明確にして、国会で幾ら国鉄財政再建の問題を論じても無意味と言わざるを得ません。この際、国鉄財政再建失敗の責任の所在を明確にしていただきたいのであります。
 さらに、国鉄経営の失敗のツケを地域住民の足である地方交通線の切り捨てに求めることは、国民にその責任を転嫁するものと言わざるを得ないのであります。総理の御所見を伺いたい。
 質問の第二点は、現在、政府の国鉄財政の再建計画では、財政再建はもとより経営の立て直しも不可能ではないかという点であります。
 この法案は、四千キロに及ぶ地方交通線の廃止、三十五万人体制の実施、五兆円に及ぶ過去債務のたな上げ等を主な内容としておりますが、地方交通線の廃止で減少する赤字額はわずか年間八百億円程度にすぎないにもかかわらず、今年度の決算で動力費の大幅な値上がり等により一兆円を超える赤字が見込まれており、初年度からすでに計画は崩壊していると言わざるを得ません。政府は、五兆円に上る過去債務のたな上げで国鉄財政再建の道が開かれたかのように宣伝しておりますが、昭和六十年度からその償還が始まるのであり、六十年までに発生すると予測される赤字額を合わせると、この法律で健全経営の基盤を確立するとされている昭和六十年には、国鉄は十兆円を超える過去債務の重荷を背負うことになるのですが、これでは国鉄財政の再建は永久に不可能と言わざるを得ないのであります。歴代内閣の怠慢によってもたらされたこの巨額の過去債務の重荷から国鉄経営を解放することが国鉄財政再建の出発点でなければならないと考えますが、これら過去債務を計画的に国庫で肩がわりされる御用意はあるのかないのか、大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
 さらに、国鉄当局が昨年発表した国鉄再建の基本構想案では、昭和六十年には単年度収支で若干の黒字が出るかのような試算を行っておりますが、これには東北、上越新幹線の開業に伴う赤字増加分、退職金及び年金負担増加分等一兆円に上る損失予定額が除外されており、これらの損失を加えると現在と変わらない年間約一兆円弱の欠損が生ずることになっており、国鉄の借金依存体質は何ら変わらないのであります。そこで、今後発生する構造的な欠損について政府はどのような対策を講じられるか、この際明らかにしていただきたいのであります。
 政府の責任においてこれらの構造的な欠損が措置されなければ国鉄の財政再建計画は幻の計画に終わるでしょう。現在進めている再建案を撤回し、わが党が提案しているような実現可能な国鉄財政再建十カ年計画を策定される用意はないか、総理及び運輸大臣の御所見を伺いたい。
 質問の第三点は、地方交通線の廃止問題についてであります。
 わが国の基幹的な公共輸送機関としての国鉄の役割りを考えるならば、通勤通学等地域住民の足として地域社会にしっかりと定着している地方交通線を単にその経営効率だけで廃止することはきわめて疑問と言わざるを得ないのであります。この法律では、かかる地方の実情を何ら考慮することなく、政府が定める基準に該当する線区について、二年の協議の後一方的に廃止することができるとしておりますが、このような非民主的な態度は、住民の協力と理解のもとに地方交通線の整備を進めるとの言葉とうらはらに、強圧的な姿勢で地方交通線の廃止を強行しようとするものであり、とうていこれを容認することはできません。地方交通線の問題は、地域住民の参加のもとに民主的かつ自主的にその存廃が決定されるべきものと考えますが、運輸大臣の御所見を伺いたい。
 次に、廃止対象線を決定する政令基準については、輸送密度等の機械的な尺度によることなく地方の実情が十分に考慮される必要があり、また、地方の実情を十分に把握している知事の意見が最大限に尊重されるべきと考えますが、この点をどうお考えですか。
 また、現在政府が予定しております政令基準では、廃止線区は特に北海道と九州に集中するのであります。これが実施に移されますと、これらの地域では鉄道網が壊滅的な被害を受け、地域経済が成り立たなくなるのであります。福岡県筑豊に例をとれば、政府が多額の資金を投じて進めてきた産炭地域振興計画が挫折を余儀なくされ、産炭地域の荒廃がますます進むことになるのであります。一方で地域振興計画のため多額の国費を投じながら、他方で赤字を理由に地域の鉄道網を縮小していくという政府のちぐはぐな政策に地域住民の怒りは爆発寸前にあります。総合的な観点に立ち、地域開発との関連において政令基準を見直されるお考えはないか。
 ここで具体的な例を挙げて政府の責任ある答弁を求めたい。筑豊の中心部を走っている油須原線は、すでに漆生−豊前川崎間が開通、残り工事も九七%まで完了しており、実質的に開業認可を待つばかりとなっており、全線開通すれば筑豊の産炭地域の動脈として期待されている線区であるにもかかわらず、現在廃止予定線となっているため、残り三%の建設工事が認められないのであります。このような不合理をどのようにお考えになりますか、お伺いしたいのであります。
 しかし、政令基準を決定するに当たって、地方の特殊性を配慮することと政治的にゆがめることとは明確に区別されるべきであります。この問題をめぐる最近の運輸大臣の言動は二転三転しており、また一部に政治的圧力や地位を利用しようとする動きもあるやに報じられており、厳重に監視する必要があります。この際、政令基準についての考え方を運輸大臣から明確な答弁を求めておきたいと思います。
 質問の第四点は、地方交通線の第三セクターによる運営及び新線建設の問題についてであります。
 この法案では、廃止線を第三セクター等が引き受けて運営すること及び現在工事予算の配分が凍結されているAB線について第三セクター等による運営が明確になれば、従来どおり鉄道建設公団による建設工事が続行できることとなっておりますが、もともと国鉄が経営し、多額の欠損を出している線区の運営を第三セクターが引き受けても黒字に転ずるはずはなく、赤字経営となることは必至であり、長期にわたって地方自治体の財政を圧迫することは明白であります。特に過疎地域等の財政力がきわめて薄弱な市町村では死活の問題であります。地方財政に重大な影響を与える本問題について、自治大臣の明確な御所見を求めるものであります。
 さらに看過できない点は、営業中の地方交通線の廃止を一方的かつ強制的に実施しようとしながら、この法律では、国鉄新線の建設について、開業後バス転換対象線となる線区を地方鉄道として免許できる旨規定しているにすぎず、鉄道敷設法の建設予定線から外すことなく、依然として地方の住民に新線建設の幻想を抱かせているという点であります。鉄道経営をめぐる情勢の変化を無視して、戦前の鉄道敷設法を金科玉条とする態度は早急に改められるべきと考えますが、運輸大臣の御所見を伺いたいと思います。
 以上、数点にわたって質問をいたしましたが、国鉄経営再建のかぎは、国鉄労使の協力体制の確立にあり、労使関係の改善が何よりも必要であるとともに、国民の理解と協力なくしては真の国鉄再建はあり得ないのであります。しかるに、今回の法案は、一方的に地方交通線の廃止を強行しようとするものであり、国民の信頼を裏切ろうとするものであります。本法の撤回を強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(鈴木善幸君) 桑名さんにお答えをいたします。
 国鉄財政再建失敗の責任の所在を明確にせよと、こういう御意見でございますが、政府といたしましては、これまで数次にわたる国鉄再建計画に取り組んでまいりましたことは御承知のとおりでございます。しかしながら、経済社会構造の変化に伴う輸送構造の変革など国鉄を取り巻く環境の変化もあって、いまだに国鉄の経営の改善を見ていないことはまことに残念でございます。国鉄の再建は、いまや緊急な国民的課題でありますので、今回の国鉄再建対策を達成することが政府及び国鉄の責任を果たすことであると考えております。
 次に、地方交通線についてのお尋ねでありますが、この対策は、単に国鉄再建のためのみならず、輸送需要に適合した地域における効率的な交通体系の形成を図るという観点からも推進する必要があると考えております。
 国鉄の借金依存体質につきましては、今回の対策による経営改善措置を進めることによって赤字を生み出す体質を改善するとともに、設備投資の規模を極力圧縮することによって対処してまいる所存であります。
 また、いわゆる構造的欠損の問題につきましては、昨年末の閣議了解にのっとって適切に対処してまいりたいと存じます。
 なお、東北、上越新幹線につきましては、中長期的には黒字に転ずることが可能となるものと見ておりますので、国鉄の経営再建の支障になるとは考えておりません。
 公明党の十カ年計画を取り入れるつもりはないかとのお尋ねでありますが、現在御審議願っておりますところの国鉄再建対策は、各方面の御意見を十分踏まえた上で策定した最善の策であると考えております。
 残余の点につきましては関係閣僚から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(塩川正十郎君) お答え申し上げます。
 私にお尋ねになりましたその一点は、まずローカル線、地方交通線、特に特定地方交通線の廃止について、これが強権的態度で決定され、さらに住民に御迷惑をかけるのではないかというお尋ねでございますが、この法案にも書いてございますように、この赤字路線、特定地方交通線を廃止いたしますに伴いましては、路線ごとに関係知事を交えました対策協議会というのが設けられるのでございまして、そこで十分に地方自治体の意見を聞いて対策を講じていきたいと思っております。また、特定地方交通線の廃止を決定する前には知事が意見を申し出ることができるということになっておるのでございまして、その意見は当然われわれも拝聴することにいたしたいと思っております。
 それから政令基準の見直しについてでございますけれども、現在、法案提出と同時に政令の作成を準備いたしておりますが、その政令案の骨子につきまして過般運輸省といたしまして皆さん方に提示したところでございますが、この基準を見直す考えは毛頭ございません。私が二転、三転しておるというお説でございますが、私は終始一貫いたしまして、現在、骨子として定めておる基準を変更する考えは持っておりません。ただ、この政令を定めるに際しましては、各省庁間の意見を十分に取りまとめ、その対策協議会ができました後、それがスムーズに運営されるようにいたしたいという意見を申しておるのでございます。
 なお、この政令を適用いたしますにつきまして、不公正なことがあってはならぬというお説でございますが、これはもう仰せのとおりでございまして、われわれはこの政令基準に従って厳正に行政を進めてまいりたいと思っておるのでございます。
 それからAB線についてのお尋ねでございましたが、AB線は、現在、新線建設の途中にありますものもこれは工事を中止いたしております。この工事の再開につきましては、地元において、たとえば第三セタクー等国鉄以外のものによる鉄道運営の引き受けが選択され決定された場合に工事を続行するということになっておるのでございまして、これは現在進めております国鉄再建対策の一環の政策として進めてまいりたいと思っております。
 それから鉄道敷設法との間に矛盾はないかというお尋ねでございますが、鉄道敷設法は、いわば将来あるべき長期的な日本の鉄道網のあり方について明示されておるものでございまして、これと国鉄の運営との間におきましては、相互には関連はございますけれども、しかしながら、鉄道敷設法によって国鉄の鉄道網が決定されるということではないということでございます。
 それから現在考えておる地方交通線対策は産炭地振興政策と相反しており、どのような調整を考えているかというお尋ねでございますが、この産炭地振興政策との調整につきましては、国鉄の地方交通線対策が単に国鉄再建のみの観点から行うものではなく、輸送需要に適合した地域における効率的な交通体系の形成を図る観点からも推進の必要があるものでございますので、産炭地域における諸政策と相まちまして考えていきたいと思うのでございます。
 以上、お答え申し上げました。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 国鉄の過去債務についての御質問でございます。
 私は、先ほど国鉄の赤字について、これは構造的なものがあるということを申し上げましたが、それは言うまでもなく、地方の空港の整備等によって航空機がうんと飛ぶようになるとか、道路によって自動車との競争が起きる、フェリーの拡大によって荷物がとられる、いろいろなそういう問題があってとても逃げられないという面もあったでしょう。合理化がついていけなかった、経営努力の怠りもあったと、いろいろあろうかと存じます。したがいまして、それらのことを勘案いたしまして、この累積債務につきましては、ある程度たな上げして解消せざるを得ないだろうと。こういうようなことから昭和五十四年度末における累積赤字の一部約五兆円につきまして債務のたな上げ措置を講じようと考えておるところでございます。
 しかしながら、この過去債務の対策を初めとする公的な助成というものは、これはあくまでも国鉄自身の徹底した合理化というものを前提にして考えておるものであります。したがって、国鉄は、今度の再建法あるいは六十年度までに七万人減量経営で人員を減らす、徹底した合理化を図るというようなことなどいろいろ考えておるようでございますから、私はそれらによって収支の均衡が図れるようになるというように思っておりますし、またそうしてもらわなければ困るわけであります。したがって、今後発生する国鉄赤字については再たな上げなどということは毛頭考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣石破二朗君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(石破二朗君) お答えいたします。
 第三セクター方式による経営の肩がわりは、地方自治体に長期間にわたって財政負担を課することになるのだが、自治大臣はそれについてどう考えておるかという趣旨の御質問でございますが、玄人中の玄人であります国鉄がせっかく努力されましても赤字を生ずるような、いわゆる特定地方交通線であります。地方自治体が参加しましても、第三セクターと申しましても、とてもこれは黒字経営など、とんとん経営も想像できないと思います。したがいまして、新しい財源措置を講じない限り、地方自治体でとうてい第三セクターなどで経営するなんということを言ってくれる団体はあるまいと、かように考えております。
 いずれにしましても、しかし地域の、地方の住民も国民であります以上は、ひとしく国の責任で輸送してもらうということは、やっぱりそれは保障して差し上げなければいかぬと思います。ただ問題は、どうしても鉄道でなければいかぬのか、それとも、鉄道よりかむしろ便利で、余り値段もそう高くないというような輸送手段ではがまんならぬのかと聞いてみますと、必ずしも鉄道でなければいかぬとも言わぬようであります。よく地方自治体の御意見を拝聴した上で、国もそう困らない、国鉄も困らない、地域の住民も困らないいい方法が必ずあるはずであります。努力いたしたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○副議長(秋山長造君) 小笠原貞子君。
   〔小笠原貞子君登壇、拍手〕
#41
○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案について、総理並びに運輸大臣に質問いたします。
 重大な危機に陥っている国鉄の経営を再建し、国鉄を真に国民に奉仕する公共交通機関の根幹として安定した発展をさせるということについては、国民だれもが大きな関心と期待を持っているところでございます。
 ところが、今回政府が提出してまいりました再建法案は、決してこのような国民の期待にこたえるものではありません。それどころか、逆に、長年にわたって自民党政治がつくり出してきた財政危機の根源にメスを入れることもせず、国民と国鉄労働者にその責任と犠牲を押しつけようという、まことに不当なものであります。
 総理、あなたは、この再建法案によって廃止に追い込まれるローカル線利用者の不安と憤りを考えられたことがおありでしょうか。
 ローカル線は、地域住民の通勤通学はもちろんのこと、お年寄りや幼い子供連れの通院など、いわゆる交通弱者と言われる人々にとっては特に不可欠な輸送手段であり、正確さ、安全性、そして低運賃等の面から見て、バスではとうてい代替できない役割りを果たしてきております。関係住民は、政府の一方的なローカル線廃止計画を聞いて、身の切られるような思いをしています。
 もし政府案どおり一九八五年までに輸送密度二千人未満の路線が廃止されるということになりますと、最も対象路線の多い北海道では三十六線のうち実に二十七線、道内路線の七割が切り捨てられることになります。政府は、これまでわが党の追及に対し、そして、きょうもまた、切り捨てるのではない、住民の足は守るなどと強弁しておられますが、これでも本当に住民の足を守れるとおっしゃるのでしょうか。
 当面、廃止の対象となる地方交通線九十線の欠損額は約一千億円です。ところが他方、幹線である東海道本線の欠損額は、この一つの線だけで実に一千三百億円にも達しています。また、客貨別損益を見ても、赤字の七割は貨物輸送から発生しているのであります。地方交通線だけを厄介者扱いして切り捨てようとするのは余りにも不当ではないでしょうか。明快な答弁を求めます。
 次に、私は、本法案が持っている国会の立法権、審議権にかかわる重大な問題点について伺いたいと思います。
 本法案は、廃止する路線、五割増し運賃の対象となる路線を全国の国鉄線から選び出そうとするものでありますが、政府はいまもって、このような重大な意味を持つ選定基準について、各省の合意ができていないと言って政府としての基準を一切明らかにしておりません。この法案は政府が提案しているのですから、運輸省の考え方でなく、政府の基準案を直ちに国会に提出すべきであります。最も重要なこの中身を明らかにしないで、何を審議しろとおっしゃるのですか。このようなまさに欠陥法案と言われるような内容では審議はできない。はっきり申し上げたいと思います。審議に入る前に政令案を国会に提出するのかしないのか、総理の明確な答弁を求めるものであります。
 しかも、一層重大なことは、政令で委任されていないにもかかわらず、選定の対象となるべき個々の路線区分の決定をも政府の自由裁量で行おうとしていることであります。これでは、国会はどの路線が廃止対象になるのか全く予想もできないことになり、国会の立法権に対する重大な侵害であると断ぜざるを得ません。総理のはっきりした御所見をただすものであります。
 また、本法案はローカル線を切り捨てるだけではありません。日本の国鉄を今日まで支えてきたのは、営々としてそこに働く国鉄労働者でした。しかるに、いま国鉄労働者七万四千人を削減しようとしています。これでは安全輸送や国民サービスの切り下げは避けられません。また、運賃の毎年値上げが前提とされており、まさに反国民的法案であるということを強く指摘しなければなりません。
 今日、大企業の史上空前の繁栄をよそに、国民の生活は一段と苦しく、個人消費支出の連続低下や物価上昇が賃金上昇を上回るなどきわめて深刻な生活状態が続いています。このような事態のもとで行われる運賃の毎年値上げは国民生活に大きな重圧となることは間違いありません。一九七四年以降この六年間に、運賃値上げが行われなかった年は一九七七年、その一年だけでした。この結果、国鉄運賃の値上がりは、一九六〇年を基準とした場合、消費者物価上昇率の一・四倍にも達しています。しかも政府は、国鉄の約半分の九千キロの地方交通線にさらに五割の割り増し運賃を導入しようとしています。この結果、これらの線区の利用者は、五年後には現在の倍以上、消費者物価上昇率見通しの七倍という高い運賃を負担させられることになります。このような異常な運賃値上げ、総理、これは当然だとおっしゃるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 このように、まことに異常な運賃値上げは必然的に公共料金の引き金になってまいります。公共料金の値上げを凍結せよという国民の切実な要求にもかかわらず、総理はこれを拒否し続けておられます。このように厚年繰り返される運賃値上げは、今後ますます国鉄からの客離れを激しくし、国鉄財政の再建どころか、一層の経営悪化をもたらすものになることは明らかであります。当面の物価対策から見ても、国鉄財政の再建の展望に立っても、運賃を凍結せよという主張は当然ではありませんか。総理の御所見を伺いたいと思います。
 最後に、私は、今日の国鉄財政の危機をもたらした原因とその対策について総理にお伺いしたいと思います。
 今日の国鉄財政の危機的状況をもたらした最大の原因は、長年にわたって政府・自民党が国鉄を大企業本位の経済政策に奉仕させ、新幹線や大企業貨物輸送中心の膨大な設備投資を借金に依存して進めてきたことにあることは余りにも明白であります。ところが、政府は引き続き莫大な設備投資を借金によって続けさせようというのであります。この結果、政府の再建目標年度である一九八五年度、そのときには利払いだけでも約一兆円にもなります。これでも国鉄の経営基盤の確立ができると考えておられるのですか、総理の答弁を求めるものです。
 さらに、真に国鉄経営を再建するためには、旅客には高く大企業の貨物には安いこの運賃体系を改めるなど国鉄の大企業貨物優遇の営業政策を転換すること。また、毎年のように指摘される国鉄の巨額な浪費の根絶を図ること。そのためにも国鉄の工事発注や資材購入などにおける国鉄高級官僚と大企業の癒着を断つこと。国鉄と関連の深い大企業への天下りを規制するなど国鉄の管理運営を徹底的に民主化することが急務だと考えます。
 総理、いまこそこうした国鉄危機の根源にメスを入れた抜本的な対策こそが必要ではないでしょうか。国鉄財政の危機をもたらした根源には全くメスを入れないでどうして再建ができますか。国民に重い負担を押しつける経営改善ではなく、国民へのサービス向上と負担の軽減によってこそ国鉄の経営改善の道は開かれるのです。政府は、国民犠牲の再建計画をやめて、国民に奉仕する国民のための国鉄づくりにその計画を転換すべきだと考えますが、総理の答弁を求めます。
 日本共産党は、国鉄が国民本位の陸上公共交通機関の根幹としての役割りを果たすために、国鉄の真の財政再建を目指し、たくさんの国民とともに奮闘しながらがんばっていくということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(鈴木善幸君) 小笠原さんにお答えをいたします。
 まず、地方交通線に関連した御質問がございました。
 地方交通線のバスなどへの転換でありますが、国鉄の地方交通線は、産業構造の変革、過疎現象やモータリゼーションの進展によりまして、その輸送需要が著しく減少し、鉄道としての特性を発揮することが困難な状況にありますので、国鉄再建の観点とともに、地域における効率的な交通体系の形成を図る観点から、バス輸送への転換など所要の措置を講じていく必要があると考えます。この国鉄地方交通線対策の実施に当たりましては、地域住民の理解を得るよう努めるとともに、住民の足の確保には十分配慮してまいる所存でございます。
 また、地方交通線の選定基準につきましてお尋ねがありましたが、選定基準につきましては、国会における審議などを十分踏まえ、法律が成立した時点で公正妥当なものを定めたいと考えております。
 路線区分についてでありますが、営業線の区分は、地方交通線などの選定基準の内容として政令で定めることといたしております。これは、御審議を願っております法案の第八条第一項及び第二項の政令委任に基づいて定められるものでありますので、御指摘のような問題はないと考えております。
 次に、運賃について御質問がありました。
 地方交通線の割り増し運賃につきましては、地方交通線の収入が経費の四分の一にも満たない現状から見て、徹底した経費削減の努力を行い、また国の助成措置を講ずることとしても、それらの措置とあわせ、利用者にも特別運賃の形で負担を分け合っていただかざるを得ないと考えます。その具体的実施に当たっては、大幅、急激な改定とならないよう、十分配慮してまいる考えでございます。
 また、運賃を凍結せよとの御意見でありますが、公共料金の過度の抑制は、一時的効果はあっても、後により大幅な引き上げを余儀なくされること、また事業運営上サービスの低下をもたらすおそれがあることなどから、総合的な判断を要する問題であろうかと存じます。特に、国鉄につきましては御承知のとおりの財政状況でありますので、その欠損を税金で補てんするのか、受益者にも応分の負担を願うのかといった観点からも考えてみる必要があろうかと存じます。
 なお、来年度の運賃改定につきましては、国鉄の合理化の状況、国民生活への影響などを十分配慮しながら、五十六年度予算編成の中で結論を出したいと存じます。
 国鉄の設備投資についての御質問でございますが、投資に伴う資本費の増加が経営の圧迫要因となっている現状から、その規模を当面現状程度に抑制することとしております。設備投資に要する費用については利用者負担によることが原則でありますが、今回の対策では、社会的要請に基づき企業採算を超えて実施しなければならない投資に重点を置いて、その負担軽減のための助成を行うこととしております。
 最後に、国鉄再建計画を撤回せよとの御意見でございましたが、政府としては、いわゆる三K問題の中の最難関である国鉄の再建を図り、国鉄の使命を全うさせるため、全力を挙げてこの対策の推進に取り組む決意であります。撤回するつもりはございません。
 残余の点につきましては関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(塩川正十郎君) 三点お答え申し上げます。
 まず第一点は、旅客には高い運賃を上げて、そして大企業貨物には安い運賃、こういう体系をとっておるが、これでは国鉄再建はできないという御質問でございます。
 国鉄では、過去におきまして確かに旅客には貨物より高い料率の決定をしたこともございました。しかしながら、ただ運賃を安くしたということだけでも貨物はふえないのでございまして、現在、輸送需要が減退しておりますのにはいろいろな理由があると思うのでございまして、一つは産業構造の変化、それからまた過去におきましてたび重なるストがございましたに伴って、企業は自衛の手段上、やはり独自の輸送体系を持たなければならぬというようなことも起こってまいりましたし、そういうことが重なってまいったのでございますが、しかしながら、これからの省エネルギー時代を迎えまして、鉄道の特性を発揮するためにも、貨物輸送というものは国鉄といたしまして大きい業務シェアになってまいりました。これから一層の努力をして改善を図っていきたいと思っておるのでございます。
 その一つといたしまして、去る五十三年並びに本年の五十五年十月におきますダイヤ改正におきましては、貨物の輸送体系を大きく改革いたしまして効率的な運用を期するようにいたしたのでございます。なお、荷主に対しまして、大企業であるから特別安いというようなことはございませんで、どの荷主に対しましても運賃の条件というものは平等でございますので、御承知いただきたいと思うのであります。
 それから二番目の問題といたしまして、国鉄の設備投資に巨額な浪費がある、この根絶を図るべきではないかというお尋ねでございます。
 なるほど、現在、借入金に依存しております国鉄といたしましては、その設備投資につきましては十分な効率を図ること、これを心がけなければならぬことは当然でございます。今後一層設備投資につきましては効率を中心とした、そうして安全が確保できるよう投資計画等を十分に指導してまいるつもりでございます。
 それから三番目の問題といたしまして、国鉄の高級官僚の天下り、これが業者との癒着があるではないかというお尋ねでございます。
 国鉄には確かに優秀な技術者がおりまして、特にトンネル工事等につきましては世界に冠たる技術者もおります。こういう技術者がそれぞれの民間企業において活躍をしてくれるということは、このこと自体、私は日本の経済なり技術水準の引き上げについて何ら異存のないことであると思っておるのでございます。これが癒着があるとか仰せでございますけれども、そういうようなことは今後においても、また過去においても私はそういう事態は余り見られなかったと思うのでございますが、御質問でございますそういう趣旨は十分に心得て、今後そういうようなことのないよう一層厳しく指導してまいる覚悟であります。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
#44
○副議長(秋山長造君) 柳澤錬造君。
   〔柳澤錬造君登壇、拍手〕
#45
○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました国鉄経営再建法案に対して質問をいたします。
 まず第一に明らかにしていただきたいのは、四年前、それまでの損失二兆五千四百四億円のたな上げを決め、昭和五十二年十二月九日国鉄運賃法定制緩和法案が成立し、それに続いて政府は、十二月二十九日国鉄再建の基本方針を閣議了解として決めました。その中で、「国鉄経営から安易な姿勢を排除し、抜本的な経営刷新と職場規律を確立して、責任ある経営体制を確立する」、また「労使関係は速やかに正常化して国鉄再建に取り組む体制を確立する」として、昭和五十五年度以降健全経営にすることを目標としたはずであります。政府並びに国鉄当局は、この三年間、国鉄再建のためにいかなる努力をしたのでしょうか。
 本年の国鉄監査委員会の報告書でも、「これが再建の最後のチャンスであり、国鉄の労使は、国民の国鉄という共通の使命感に立て」とまで指摘されております。この三年間の実績を国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 次に、今回の再建法案についてであります。
 わずか四年前、身軽にしてくれればといって膨大な赤字をたな上げにしたばかりですのに、今回はそれを上回る二兆七千八百三十四億円をさらにたな上げするというのはどういうことでしょうか。加えて、地方ローカル線四千キロを廃止するというのです。そこにはエネルギー政策との関連もなければ、住民の足のことも考えない線引きであります。それ以上に、この法案はみずからの犠牲を払わずして、相次ぐ運賃値上げの上に、国民の税金を使い、国民の足を犠牲にしての再建案であり、住民無視もはなはだしく、断じて認めることはできません。
 国鉄といっても、輸送シェアが昭和三十五年には旅客の五一%、貨物の三八・六%を運んでいましたのが、昨年度は旅客が二五・一%、貨物に至ってはわずか九・六%を占めているにすぎません。いまや日本国有鉄道としての存在価値は失われているのです。そのことに気がつかず、惰性で経営を担当してきて今日の事態を招いたことを謙虚に反省し、その責任を明確にせずしてどうして再建ができるのでしょうか。
 しかも、今回の地方ローカル線の廃止によって減る赤字はせいぜい八百億ぐらいであり、本年度の赤字予想八千九百億から見れば一割にも満たないものです。確かに、かつては地方ローカル線が赤字の原因となっていましたが、いまでは国鉄の赤字麻痺症は全線に蔓延してしまい、赤字の七割以上は幹線からであります。
 したがって、国鉄再建のかぎは、単なるお金の問題ではなく、国鉄企業体の姿勢の問題であり、再建を可能とする前提条件を整備することであります。それをせずして何回再建案を決めてもそれは同じことであり、ちょうど基礎工事をしないでビルディングを建設するようなものです。この点について、鈴木総理並びに運輸大臣の明確な答弁を求めます。
 では、第三に、その前提条件とは何かと言えば、次の諸点を実行して国鉄の体質改善をすることであります。
 第一に、労使関係の正常化です。国鉄経営者は、この再建合理化案を労働組合とどれだけ協議をしたのでしょうか。当事者である国鉄労使の合意ができていないものを国会で議決だけしてもどれほどの価値があるのでしょうか。
 今日の国鉄の現状は倒産寸前であり、その認識があるならば、仮に労働組合にスト権があっても、そのスト権に封をしてまず再建に取り組むのが正常な労働組合のとるべき道であると思うのです。それが依然として国労、動労による違法ストが行われており、それに対して経営者は黙認してとめようともしません。それどころか、違法スト反対、列車を動かそうと国民の足を守る努力をしている鉄道労働組合の正常な行為までとめているのです。これでも経営者と言えるのでしょうか。
 労働組合は経営者の鏡と言われますが、全くそのとおりであって、このような無責任ムードになれた労使関係のままで国鉄の再建などできるものではありません。本気で国鉄再建を決意するならば、本気になって労使関係の正常化を決意し、それを最優先課題として取り組むべきです。
 第二に、生産性向上運動の実施です。世界の先進国では、生産性の向上なくして生活の向上はあり得ないとの認識に立てばこそ、アメリカであれ、ソ連であれ、また日本の多くの企業でも生産性の向上に努めています。
 しかるに、倒産寸前の国鉄が生産性の向上に取り組まず、国の助成と運賃値上げにだけ求めているのです。その結果、新宿−八王子間の運賃が私鉄は二百十円でありますのに、国鉄は何と二倍以上の四百四十円です。したがって、国鉄離れとは国鉄自身がさせているものであります。いまこそ国鉄は、総裁以下全職員が一致団結して、生産性向上を推進して、再建への決意の姿を国民の前に示すべきです。
 第三に、実力本位の人事です。国鉄職員の人事を見ていますと、本社採用、地方採用、局採用と区分されており、その区分がそのまま職員の一生のコースを決めております。国鉄入社後の人事は、あくまでも入社後の各人の働きを実力本位で正当に評価して昇給昇格をさせるべきであり、それでこそ全職員が希望を持って働き、勤労意欲も高まるもので、それが近代的経営の理念です。
 第四に、信賞必罰の徹底です。信賞必罰のきちんとしていない企業は職場の秩序も乱れています。ましてや、懲戒解雇した者を再雇用するようなルーズな管理体制がとられたり、暴力行為があっても管理者は上司に報告もしなければ処罰もしない、これでは職場は無法地帯です。まず管理職はみずからの姿勢を正し、管理職の任務に徹し、信賞必罰を明確にすることです。
 第五に、企業体意識の確立です。国鉄経営者の態度には何らの危機意識もなく、あるのは親方日の丸意識だけです。国鉄といえども企業体であり、特権組織ではありません。毎年一兆円近い巨額な赤字を出しても、だれも責任を問われないようなことをしているならば、国民の方で国鉄の存在理由に再検討を求めることでしょう。いまこそ企業体意識を自覚して、責任体制を確立し、国民に信頼される国鉄としての運営をすることです。
 最後に、いまでも国鉄の中にあって日夜一生懸命勤務に励んでいる良識ある国鉄職員に対して心からの敬意と感謝を表明し、質問を終わります。
 鈴木総理並びに運輸大臣の明確にして誠意ある答弁を求めます。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#46
○国務大臣(鈴木善幸君) 柳澤さんにお答えをいたします。
 国鉄の経営につきまして大変厳しい御叱正をいただきました。国鉄再建のかぎが国鉄経営の姿勢の問題にあるとのお考えには、私も多くの点で同感であります。
 国鉄の再建につきましては、前回の赤字たな上げ後におきましても、国鉄、政府ともども努力してまいりました。昭和五十二年十二月には国鉄再建の基本方針が閣議了解され、これを受けて二年間の審議検討の結果、今回の再建策を取りまとめたものでございます。
 この間、国鉄自身の経営改善措置として、要員の合理化などの経費節減措置、設備投資の抑制、収入増加のための努力、労使関係の安定などの方策を進推するとともに、政府といたしましても、いわゆる構造的な問題に対する助成の強化に努めてまいりました。しかしながら、それらの努力にもかかわらず、今日の国鉄の経営状況は、七千億近い助成を得ながらなお九千億円ほどの赤字の発生を見込まざるを得ない危機的な状況にあります。国鉄としては経営全般にわたって一層の合理化に全力を尽くす必要があり、地方交通線対策も欠かせない対策でありますが、柳澤議員の御指摘のとおり、国鉄再建のためには何といっても国鉄自身が労使相協力して徹底した経営改善に取り組むことが基本的に重要でありますので、今後とも厳しく国鉄を指導してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(塩川正十郎君) お答えいたします。
 四年前にたな上げしたばかりだが再度のたな上げとは、なぜやるのかというお尋ねでございます。これにつきましては、第八十二回国会の運輸委員会における議論を踏まえて定められました国鉄再建の基本方針、これは五十二年十二月二十九日に閣議了解されておりますが、それにおきまして、収支均衡時点までに累積された赤字は国鉄の経営努力、債務のたな上げ等により解消を図るということが決められておりまして、それを受けまして、今回の国鉄再建対策の一環としてこういう措置をとったことでございますので、御承知いただきたいと思うのでございます。今後こういう再々たな上げするようなことの事態がないように、十分な経営改善を図ってまいりたいと思うのであります。
 そこで、体質改善につきまして貴重な御意見をいただきました。これに対しまして総理からも答弁がございましたので、重複は避けたいと思うのでございますが、何といたしましても現在破局的な状況にございますこの国鉄の財政を立ち上がらすためには、仰せのとおり、労使一体となって真に燃えるがごとき意欲を持って再建に取り組んでくれることが、これが決定的な問題であろうと思っております。それにつきまして、われわれ運輸省といたしましても、こういう方向に労使正常化、そして人事管理、特にこれが私は大事だと思うのでございますが、これを正確適正に運用するよう強く指導してまいる所存でございます。(拍手)
#48
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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