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#1
第093回国会 本会議 第7号
昭和五十五年十一月七日(金曜日)
   午前十一時七分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
  昭和五十五年十一月七日
   午前十一時開議
 第一 千九百八十年の食糧援助規約の締結につ
  いて承認を求めるの件(衆議院送付)
 第二 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を
  改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 労働者災害補償保険法等の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。大村国務大臣。
   〔国務大臣大村襄治君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(大村襄治君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、防衛庁設置法のほか、自衛隊法並びに防衛庁職員給与法の一部改正を内容としております。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。
 これは、自衛官の定数を、海上自衛隊千六百十九人、航空自衛隊七百十二人、計二千三百三十一人増加するためのものであります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機の就役等に伴うものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 第一は、海上自衛隊の潜水艦部隊の一元的な指揮運用を図るため、司令部及び潜水隊群その他の直轄部隊から成る潜水艦隊を新編して、これを自衛艦隊の編成に加えるものであります。
 第二は、航空自衛隊の補給機能を効果的に発揮させるため、各補給処の業務の統制を行う補給統制処を廃止し、これにかわるものとして、各補給処の業務全般の指揮監督を行う補給本部を航空自衛隊の機関として新設するものであります。
 第三は、人事管理及び編成上の必要性等から自衛官の階級として曹長を新設するものであります。
 第四は、自衛隊の予備勢力を確保するため、陸上自衛隊の予備自衛官二千人を増員するためのものであります。
 最後に、防衛庁職員給与法の一部改正について御説明いたします。
 これは、自衛官の階級として曹長を新設することに伴い、曹長について俸給月額を定めるとともに営外手当を支給することができることとするものであります。
 以上が防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(徳永正利君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。矢田部理君。
   〔矢田部理君登壇、拍手〕
#7
○矢田部理君 私は、日本社会党を代表して、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案、いわゆる防衛三法案に強く反対する立場を明確にした上、総理及び関係各大臣に対し質問を行い、その見解と真意をただしていきたいと思います。
 初めに、総理の憲法に関する基本的な認識と見解を伺っておきたいと思います。
 総理は、去る十月二十二日の朝、自民党本部で、「鈴木内閣としては、現行憲法の尊重擁護と自主憲法制定への努力の両面の対応が必要になってきた」とあいさつしています。これは完全な二律背反であります。鈴木総理の本音は、いまは憲法改正はしない、正確に言えばできない、しかし、いずれは自主憲法の制定を行うということであって、本質的には改憲論者であると考えざるを得ないのでありますが、いかがでしょうか。改憲論者でないとすれば、総理は、ここで明確に憲法を尊重し擁護することを国会に対して誓うとともに、今後とも改憲はしないということを政治の基本姿勢として鮮明にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 ところで、自主憲法制定論の最大の攻撃目標が憲法第九条にあることは、改めて指摘するまでもありません。第九条は、太平洋戦争を初め侵略戦争が自衛の名のもとに行われてきたことを深刻に反省し、侵略的、攻撃的な軍隊はもとより、自衛のためにも一切の軍隊を保持しないことを内外に宣言したものであります。ところが、その後の動向は、憲法の制定経過、立法趣旨、文理の素直な解釈をもねじ曲げ、自衛のため必要最小限度の実力は保持できる、自衛隊は戦力なき軍隊であるから憲法には抵触しないなど、解釈改憲、憲法の空洞化を事実として推進してきました。そして今日では、自衛力の限度はそのときどきの国際情勢、軍事技術の水準その他の条件により変わり得る相対的なものという見解をとり、政府みずから設定した戦力概念の枠組みすら乗り越え、軍備の無制限拡大の危険を高めています。
 そこで、改めて総理の見解をただしたいのは、かねて政府みずから設定した必要最小限度性や専守防衛の枠組みすら今日では有名無実となっていますが、自衛力の限度をどう考えているのかについてであります。
 加えて、このようにしても、なおかつ解釈改憲には限界があると考えているのでしょうか。軍備の本格的拡大のための改憲論が横行し、現に地方議会においては、総理、あなたの率いる自民党がイニシアチブをとって、自主憲法制定促進の決議を強行採決しつつあるのが実情であります。あなたは、自民党の総裁として、また総理として、真に憲法を尊重し擁護するということであるならば、自民党員に対しこれをやめさせるべきだと考えますが、どうなされるか見解を承りたいと思います。
 第二に、国際情勢をどう認識しているかについて伺いたいと思います。
 改憲論と軍備拡大論の今日的台頭は、国際情勢に対するさまざまな認識がその背後にあると思います。とりわけ、八〇年代半ば危機説やソビエトの北海道侵攻論などがまことしやかに喧伝され、状況を過熱させていることは戒むべきことだと考えますが、総理の現状認識をお聞きしておきたいと思います。
 その前提として、今日の国際情勢についての認識でありますが、デタント、平和共存の時代が終えんし、緊張を高めている、さらには冷戦時代に逆行しつつあるという認識に立っておられるのかどうかを伺っておきたいと思います。
 次に、最近ソビエト脅威論がしばしばわが国の軍事力増強キャンペーンの理由として使われておりますが、総理はこの点についてどのように考えておられるのでしょうか。
 防衛庁は、脅威とは侵略の意図と能力の両面から見るべきであるとした上、ソビエトは極東における軍事力を増強しており、能力の面で潜在的脅威が増大しつつあると見ています。しかし、アメリカの軍事力の増強は、能力が高くなったとしても脅威とは言わないはずであり、単なる能力だけの問題ではなく、相手国に対する評価がそこには当然入ってくるものと考えます。その意味で、ソビエト脅威論は仮想敵国論を前提としてしか成立しないと考えますが、総理及び防衛庁長官の見解をただしておきたいと思います。
 関連して、わが国の軍備拡大の危険な動きについて二、三の点を指摘しておきたいと思います。
 その一つは、防衛庁が去る八月、護衛艦に魚雷を、戦闘機にミサイルの実弾を装備することを決めた点であります。いまから二年前の七八年当時は、防衛庁は参議院でミサイルの搭載について次のように述べています。「平和時には機関砲で対処する、直ちにミサイルを積んで領空侵犯に措置をしなければならない情勢とは考えていない」、こう答弁しているのであります。にもかかわらず、ミサイル等を装備したのは、今日すでに平和時ではないと考えているのでしょうか。
 二つ目は、長距離大量輸送機C130の導入についてであります。この点についても、かつて防衛庁は、「C130は足が長過ぎる、専守防衛のわが国には必要がない」と説明してきたのであります。しかるに、明年度これの六機購入を予定することになりました。まさに専守防衛の枠を超えたものと言わざるを得ません。しかも、導入の目的は、いわゆる三海峡封鎖のための機雷敷設用であるという見方が強いのであります。これでは、防衛庁の従前の説明に照らしても、情勢についての過剰認識、過剰反応だと言われてもいたしかたありません。防衛庁長官の考え方をお聞きしておきたいと思います。
 あわせて外務大臣に伺います。
 外交青書は声高に軍備増強を求めておりますが、情勢につきましては防衛庁とはやや認識を異にし、必ずしも脅威増大という見方には立っておりません。また、特に注意を喚起しておきたいのは、アメリカ上院外交委員会あるいは下院議会調査局の報告書であります。いずれも極東における軍事情勢の分析で、「日本はソ連の極東での軍事能力を過大評価している」とか「日本の軍備の大幅な増強は周辺諸国に脅威を与え、安定を崩すことになる」などと指摘をしている点についてであります。アメリカにおいてすらこのような分析、見方があるのです。その意味でも脅威の誇張や過大評価は、いたずらに軍備増強の前奏曲に利用される危険が高く、厳に慎むべきであります。政府に対し、状況に対する客観的な認識と冷静な対応を求めるものでありますが、総理及び外務大臣の見解を伺っておきます。
 さらに次には、海外派兵についてお尋ねをいたします。
 政府は、十月八日、憲法上海外派兵はできないが、派兵と派遣を区別し、武力行使の目的を持たない自衛隊の海外派遣は憲法上可能という新見解を明らかにしました。ここで明確にしておく必要があるのは、自衛隊の守備範囲についてであります。政府の言う自衛隊合憲論の立場に立ちましても、自衛隊はわが国の平和と独立を守り、直接侵略等に対しわが国を防衛することを任務とするもので、他国に出兵しないということがぎりぎりの限界であったはずであります。専守防衛論もまさにここから出てくるのでありまして、在外邦人の保護や海外資産の保全のため、たとえ武力行使の目的がないとしても、自衛隊が海外に展開することは憲法上容認できない事態と言わなければなりません。その意味で、政府が示した海外派遣の可否は、単なる政策上の問題ではなく、すぐれて憲法上の課題であり、これを許すことは自衛隊の海外派兵に大きく道を開くものとして、憲法上はもとより、世界の平和と安全にとってもきわめて危険な道であります。政府の新見解についての再検討を総理及び外務大臣に対して求めていきたいと思います。
 第三に、防衛庁の中期業務見積もりと防衛予算特別枠についてお聞きしたいと思います。
 去る五月の日米首脳会談でカーター大統領は、「すでに政府部内にある計画を早目に達成してほしい」とわが国に注文をつけ、大平総理は、「真剣に検討していきたい」と答えた上、それは「五十六年度予算で回答する」と述べたと伝えられています。
 一方、防衛庁は、中期業務見積もりは単なる庁内の参考資料であり、政府によってオーソライズされたものではないと説明しています。国民には詳細を明らかにせず、政府によっても認知されていない参考資料がどうしてアメリカの手に渡されたのでしょうか。しかも、アメリカはこれを日本政府の既定の軍事力増強方針として受けとめ、その繰り上げ達成を首脳会談の主要議題とするなど、事実上五次防的機能を果たしているのが業務見積もりであります。これでは国民無視、アメリカ優先の軍事方針と言わざるを得ません。総理、このような防衛庁の態度、アメリカとの関係についてどのようにお考えになっているか、見解を承りたいと存じます。
 同時に、五十六年度予算編成に当たり、一般予算は財政破綻を理由に概算要求枠を七・五%に抑えたのに対し、防衛予算だけは九・七%の特別枠をつくっています。これについてただしておきたいと思います。
 その一つは、アメリカの中期業務見積もり繰り上げ達成の要求に押されて、五十六年度予算で回答すると述べた大平発言は、この特別枠によって裏打ちをした趣旨なのかどうか、防衛庁長官及び大蔵大臣の見解を求めたいと思います。
 その二は、渡辺大蔵大臣は、要求は要求にすぎず、査定は別だと言っておりますが、本当なのでしょうか。すでに査定についてもアメリカから強い圧力があると言われておりますが、どうでしょうか。今日、財政破綻が大きな病気となって重荷となっているにもかかわらず、大蔵大臣、政策実施の優先順位について総合的な検討もしないまま防衛予算についてのみ特別枠を設定するのは納得できないところであります。これは、かつて太平洋戦争を初め、わが国は戦争に際しては必ず一般予算とは別に、臨時軍事費特別会計を設けて軍費を調達してきていますが、まさにこの思想と系譜を同じくするものでありまして、断じて認めるわけにはまいりません。総理並びに大蔵大臣の考え方をただしておきたいと思います。
 その三は、アメリカ大統領選挙でレーガンが勝利しました。そこで、今後アメリカの外交政策がわが国に及ぼす影響について伺っておきたいと思います。
 レーガンと共和党は、国際的に低下したアメリカの威信の回復を焦る余り、わが国に対して性急に防衛力増強など責任の分担を求めて、従来にも増してプレッシャーをかけてくる可能性が強いと考えますが、いかがでしょうか。対米外交の今後の対応をも含めて、総理に答弁をいただきたいと思います。
 最後に、軍縮について政府の方針をただしたいと思います。
 今日、国際的な緊張の高まりを背景に、一方では軍備増強の機運が広がりつつあるのも事実でありますが、他方、軍縮と緊張緩和を求める努力が粘り強く重ねられています。一九七八年五月、従来、米ソを中心に進められてきた軍縮交渉の停滞にしびれを切らした非同盟諸国の提案で、歴史的な国連軍縮総会が持たれました。この総会では、「真の永続する平和と安全保障は、軍事同盟による兵器の蓄積によってではなく、国連憲章に規定されている安全保障体制の効果的な実施と、究極的には全面完全軍縮に導く国際的取り決めによる兵器、軍備の実質的削減によってつくり出される」という宣言を採択しました。
 また、NATOとワルシャワ条約機構が対峙するヨーロッパにおきましては、まさに死活の問題として、軍縮とデタントへのさまざまな努力が続けられております。欧州正面でにらみ合う核軍縮のための独ソ会談、ポーランドから提起をされている、そしてまたフランスがこれにいち早く支持を表明した欧州デタント・軍縮会議の提案、東西間の信頼形成措置の増進、具体化のための努力など、衰弱しつつあるデタントに対して活力を求め、幅広い展開が行われているのであります。
 これに対し、わが国の軍縮と緊張緩和に向けた対応はいかにも鈍いと言わざるを得ません。いたずらに脅威をあおり、アメリカや財界の要求に押されて日米軍事同盟の強化や自衛隊の増強に走るのではなくて、全面完全軍縮に向けた積極的で具体的な努力を強く政府に求めるものであります。特に、平和憲法と非核三原則を持つわが国は、世界に軍縮を求め、提案できる大きな資格と説得力を持っております。そういう立場で、日本社会党はアジア太平洋非核武装地帯設置構想を進めています。
 この点において、政府は、軍縮の条件、方法、プログラムをどのように考えておられるのか、総理及び外務大臣にそれぞれ見解を求めるとともに、そのようなプログラムに基づいて具体的な提案と積極的な行動を起こすことが、防衛三法で軍備力を増強するよりもはるかに大事であり、日本とアジアの平和に大きな貢献をもたらすことを指摘いたしまして、そしてまた防衛三法に……
#8
○議長(徳永正利君) 矢田部君、時間です。
#9
○矢田部理君(続) 重ねて反対の意を表明して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(鈴木善幸君) 矢田部さんにお答えをいたします。
 憲法問題については、今国会において繰り返し申し上げておりますとおり、鈴木内閣においては現行憲法を改正する意思は毛頭持っておりません。また、各閣僚も現行憲法を尊重擁護していくということを明言いたしております。他方、憲法第九十六条は憲法の改正手続を規定しており、憲法改正について論議したり研究したりすることは、もとより憲法第九十九条の憲法尊重擁護義務に反するものでないことはきわめて明確であるわけでございます。したがって、政党が国民の要求にこたえていろいろな問題を研究し、その一つとして、改憲についても研究することは少しも差し支えないと考えております。
 次に、憲法第九条の解釈についてお尋ねがありましたが、憲法第九条は、わが国固有の自衛権までも否定したものではなく、この自衛権の行使を裏づける自衛のための必要最小限度の自衛力を保持することは同条によって禁止されていないと理解しており、この見解は年来政府のとっているところであります。したがって、防衛力の整備は、この必要最小限度の範囲内で行っているものであって、歯どめがないとは考えておりません。
 次に、改憲の具体的行動と憲法の遵守義務との関係について御質問がありましたが、先ほど申し上げましたように、政党などが憲法改正について主張したりあるいはそのための運動を行うことは現行憲法を遵守することと別個の問題であり、憲法第九十九条の尊重擁護義務に違反するものではありません。しかしながら、鈴木内閣においては憲法改正は全く考えておりませんので、そのための具体的行動をとる考えのないことをはっきり申し上げておきます。
 次に、今日の国際情勢についてでありますが、まずデタントの問題についてであります。
 確かに、最近のソ連の軍事力増強及びこれを背景とする第三世界への勢力拡張は、いわゆる東西間のデタントに対する米国を初めとする西側諸国の懸念を深めているものであります。さらに、ソ連のアフガニスタンへの軍事介入は米ソ間の緊張緩和の基礎をなす信頼関係を損ね、米ソ関係の大幅な後退を余儀なくしたことも事実でございます。しかし、他方において、米ソ間においては最近欧州方面における中距離ミサイル交渉が開始されるなど一定の動きも見られ始めております。私は、米ソ間の全面対決により核戦争の危機が増大することは避ける必要があるとの米ソの基本的考え方は変わっておらず、欧州諸国も基本的には引き続きデタントを維持するとの考えであると認識をいたしております。
 次に、国際的な軍事情勢についてでありますが、確かに、すでに述べましたとおり、アフガン問題を契機として米ソ関係が後退し、また、インドシナ、中東などにおける紛争対立が存在するなど、今日の国際情勢はきわめて厳しいものがございます。わが国は、関係各国が具体的行動をもってかかる紛争対立の原因を除去するよう努力し、軍縮の促進のために不可欠な国家間の信頼の回復促進に努力することが肝要であると考えております。
 次に、ソ連についてでありますが、最近の極東ソ連軍の急速かつ顕著な増強は明白な事実であります。北方領土における軍備強化もその一環と見られます。このようなソ連軍の動向は、客観的に見て、わが国にとり潜在的脅威の増大であると認められることは従来から申し上げておるとおりでございます。しかしながら、このような認識と、わが国がソ連を敵視する、あるいはソ連と対決するといったことは全く別問題であるということは申すまでもございません。政府としては、ソ連との間に言うべきは言い、通すべき筋は通すとの基本的立場を堅持しながら、日ソ両国間に真の相互理解に基づく安定的な関係の確立のため冷静に対処してまいりたいと考えております。
 次に、自衛隊の海外派遣についてお尋ねがありましたが、従来から申し上げておりますように、武力行使の目的を持って自衛隊を他国の領土、領海、領空に派遣するいわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであり憲法上許されないが、武力行使の目的を持たないで自衛隊を他国に派遣することは、憲法上許されないわけではないと考えております。
 なお、憲法上許される場合であっても、自衛隊法上の明文の規定を要することはもちろんであります。
 次に、レーガン新大統領の対日政策についてお尋ねがございました。
 レーガン次期政権が発足していない現在、新政権の具体的な対日政策を云々することは差し控えたいと思いますが、共和党政策綱領においても、わが国との関係を重視し、わが国政府との緊密に連絡をとっていく旨明らかにされており、また、先般私がブッシュ次期副大統領と会談した際も、同氏は、日米両国間で緊密な協議を行い、問題の解決を図っていきたい旨述べておりました。
 私としても、米国新政権との間では、これまで築き上げた協調と連帯の精神を基礎に十分な話し合いを行い、諸問題の解決を図るとともに、日米間の協力を一層推進していくことが肝要と考えており、そのため引き続きあらゆる努力を続けてまいる所存でございます。
 次に、軍縮問題についてであります。
 わが国は、非核兵器国としての独自の立場から、国連、ジュネーブ軍縮委員会などの国際場裏において、核軍縮を中心とする軍縮の促進を従来より強く訴えてきておりますことは矢田部議員もよく御承知のとおりでございます。わが国は、これまで各国とも協力しつつ、現実の国際関係の中で実現可能な措置を一つ一つ積み重ねるべく積極的に努力してきております。今後とも引き続きこのような努力を重ねてまいる所存でございます。
 残余の点につきましては関係閣僚から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣大村襄治君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(大村襄治君) 矢田部議員の私に対する御質問に対してお答え申し上げます。
 まず、国際情勢、特にソビエト脅威論についてお尋ねがございました。
 防衛庁といたしましては、従来から国際軍事情勢を冷静かつ客観的に判断しているところでございまして、何らかの意図を持ってあおるというようなことは行っておらないのでございます。
 このような中で、近年の極東ソ連軍の顕著な増強と活発な活動は、北方領土への地上軍部隊の配備、空母ミンスク等の極東配備などに見られる太平洋艦隊の増強、SS20、IRBMやバックファイア爆撃機の配備、さらにはベトナムの海空軍基地の常時使用等に示されるように、客観的事実でありまして、わが国の安全保障にとって潜在的脅威の増大であると受けとめざるを得ないものと考えております。
 次に、中期業務見積もりについてお尋ねがございました。
 これにつきましては、防衛庁といたしましては、中期業務見積もりについて、これまでの日米両国の防衛問題に関する意見交換の場におきまして、防衛庁の考え方を述べる際に必要に応じその概要を説明しておりますが、その内容はすでに防衛庁が公表し、求めに応じて国会議員の先生方にも提出している範囲のものでございます。
 米側に対しましては、中期業務見積もりが防衛庁限りのものであって政府として決定したものでないことにつきましては、繰り返し説明もし、理解も得ているところでございます。したがいまして、御指摘のような問題はないものと考えている次第でございます。
 次に、C130を明年度の概算要求において導入している理由は何であるかというお尋ねがございましたが、現在の航空輸送体制におきましては、わが国に対する外部からの武力攻撃が行われた場合に、人員、装備品等の航空輸送等の任務を達成する上で不十分なものがございます。このような不備を是正するため、防衛庁といたしましては、現存の輸送機の中で航続距離、搭載量、価格等を総合的に勘案して、最も適当と判断されるC130Hを航空自衛隊に今後整備することとしているものでございます。
 次に、スクランブル機へのミサイル装備及び護衛艦等への魚雷を装備した理由は何であるかというお尋ねがございました。これについてお答え申し上げます。
 外部からの侵略からわが国を防衛することを任務とする自衛隊が平時から有事に即応できる防衛体制を整備しておきますことは、必要かつ重要なことであると考えており、近年この観点から各種の施策を講じてきているところでございます。今回の要撃機へのミサイル搭載、実装魚雷の艦艇への搭載及び航空基地への配備も有事即応体制強化のため行うことといたしたものでございます。このような措置は、国際的に見て一般的傾向であると防衛庁といたしましては考えている次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣伊東正義君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 国際情勢の認識等につきましては、総理から御答弁がございましたのと同じでございますから繰り返さぬ次第でございますが、外交の責任というのは、潜在的脅威でございますとか、そういう脅威というものをなくしていくというのが私は外交に与えられた大きな責務だと思うわけでございまして、外交としましては平和外交ということに徹しまして努力をしてまいるつもりでございます。
 それから海外派兵、海外派遣のことにつきまして御質問がございました。
 これは総理からお答えになりましたので、憲法との関係はもう繰り返しませんが、憲法の解釈上認められるということであっても、自衛隊法上はそういう任務は、自衛隊の派遣は認めておらないのでございますので、私はこれはやるべきじゃないとはっきり申し上げる次第でございます。ただ、国連の平和維持活動というのは、国連の第一義的な目的の国際平和の維持ということに非常に大きな役割りを果たしているわけでございますので、従来も日本では財政面で協力はしてきたわけでございますので、今後とも財政面の協力と、法令で許されるシビリアンのたとえばお医者さんとかシビリアン活動、法令で許されるということにつきましては、資材の供与でございますとかナミビアでの選挙の監視員とかいうことがあるわけでございますので、そういう面では協力はしてまいる、自衛隊の派遣ということは考えないということを申し上げる次第でございます。
 それから最後に、軍縮に取り組む態度の御質問がございました。
 これも総理からお答えになりましたので簡単に申し上げますが、私は、日本では平和憲法こそ軍縮の哲学のもとだと思うわけでございます。国連あるいは軍縮委員会で、世界の唯一の被爆国として、日本は核兵器の縮小、軍縮ということについて主張しているわけでございますが、具体的には地下実験の禁止を含めました包括的な核実験の禁止条約というふうなものを初めとしまして、軍縮措置につきまして今後努力してまいるつもりでございますが、軍縮のもとは、信頼がなければこれはできぬわけでございますので、国際的な信頼をお互いが高めていく、相互理解をするということが大切でございますので、これは外交としても努力をしてまいるつもりでございますし、八二年にはたしか軍縮の国連の特別総会が行われるわけでございますので、この準備等については日本も積極的に参加していくというつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 矢田部議員から私に二つありまして、一つは、中期業務見積もり等が首脳会談の主要議題になって、それでアメリカから防衛力増強が日本に押しつけられたのではないかということでございますが、アメリカが、わが国の防衛について、その整備に期待を寄せているということは聞いております。しかし、わが国の防衛力の整備というのは、防衛計画の大綱に従いましてわが国が自主的に判断をしてやらなければならないものであります。したがって、そういうことで自主的にやっておる。
 それから五十六年度の防衛関係費の概算要求枠については、シーリング枠七・五よりも多いじゃないかということでありますが、これはすでに締結されておる条約上の義務の履行に伴って出てくる経費、これが原則枠に対して例外とされた、その結果九・七になったのだということであって、特に米国からの要請を受けて特別扱いをしたというわけではありません。
 それからもう一つ、査定ではこれは別扱いしないと言ったが本当かということでありますが、五十六年度の予算編成に当たって防衛関係費といえども一般の経費と区別することはありません。財政事情、他の経費とのバランスの状況等を考えて、真に必要なものしか認めない、徹底した経費の節減合理化を図ってもらうと、そういうような方針で査定をさせるつもりでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(徳永正利君) 峯山昭範君。
   〔峯山昭範君登壇、拍手〕
#15
○峯山昭範君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係閣僚に対し若干の質問を行いたいと思います。
 まず初めに、次期米大統領にレーガン氏が選ばれたことに関連しお伺いいたします。
 今回の米大統領選挙でレーガン氏が予想を超えた圧倒的多数で次期大統領に選ばれたわけでありますが、レーガン氏は選挙運動中から「力の政策」を繰り返し主張し、そのタカ派的発言が米国民の圧倒的な支持を得て大勝利したわけであります。タカ派イメージの強いレーガン氏を支持した米国民の選択について総理はどのように受けとめておられるのか、お伺いします。
 さらに、レーガン氏は、具体的に核、非核の両面でソ連を上回る軍事力の強化の必要性を主張しております。また、伝え聞いたところでは、一九八五年までに軍事費を倍増すべきであるとの発言もあったと言われています。レーガン氏の選挙運動中の政策がそのまま実施されれば、外交、軍事政策面での右旋回、さらにはその結果として米ソ軍事対決ムードの高まりも予想されております。レーガン政権にかわることにより、米ソ間に新たな軍備拡大競争が起こる危険性あるいは要因が生まれるのではないかと心配されているわけですが、総理はこれらの点についてどう判断されているのか、伺いたい。
 特に、日本に対して軍事力増強、防衛費の大幅増加をレーガン政権はカーター政権以上に強く要求してくることが懸念されているわけですが、この点総理はどうお考えか、伺いたいのであります。
 次に、政府が声高に叫んでおります脅威論について伺います。
 政府によれば、近年、増強傾向を強めている極東配備のソ連軍が、わが国にとって潜在的脅威であるとしていることであります。確かにソ連は、北方領土を初め沿海州周辺においてもその軍事力の増強に努めているかもしれません。しかし、これを直ちに脅威としてとらえることは正しいのでしょうか。脅威というものがその意図と能力から構成されることは常識であります。政府によれば、能力が判明していても意図が不明確である場合、それは潜在的脅威であるということのようであります。しかし、潜在的という形容詞をつけようとつけまいと、名指しでそう決めつけられた国にしてみれば、全く同義語であって、日本から不信のやいばを突きつけられたも同然であります。
 さらに、政府は、明らかに能力という点でも脅威と言うに当たらない朝鮮民主主義人民共和国を指してまで、これを潜在的脅威としてとらえていると答弁されているのであります。この点に関しては一応修正したようでありますが、こうした一連の潜在的脅威論が鈴木内閣の改憲発言などと重なり合うとき、鈴木内閣の危険な姿勢を感ぜざるを得ないのであります。平和憲法が国家間の信頼関係の樹立を求めておりますことは申すまでもありません。脅威論をもっていたずらに相互不信を増幅するがごとき言動は厳に慎むべきであると考えますが、鈴木総理の御所見を承りたい。
 第二に、防衛計画の大綱についてお伺いします。
 政府は、昭和五十一年に防衛計画の大綱を決定し、それまでの規模拡大を目的とした構想から、質の向上に重点を置いた、いわゆる基盤的防衛力構想に転換し今日に至っているわけであります。この基盤的防衛力構想は、特定の国の脅威を想定して防衛力を拡大しようとするものではなく、平和時における最低限の防衛力を整備しようとする発想であります。ところが、最近の政府の姿勢は、ソ連の潜在的脅威を強調し、わが国の防衛力増強を図ろうとしております。この考え方は、明らかに防衛計画の大綱の基本的構想から逸脱したものであり、大綱の事実上の変更を意図しているといっても過言ではありません。政府はこの際防衛計画の大綱を見直すのかどうか。明確な御答弁をいただきたいのであります。
 第三に、中期業務見積もりについてお伺いします。
 政府は、ソ連の潜在的脅威の増大に対応するとともに、米国のわが国に対する軍事力増強要求にこたえるため、中期業務見積もりの前倒しを実施しようとしております。しかも、その実施のために防衛費を別枠扱いにしようとしています。防衛庁内の内部資料が公然と大手を振って歩き始め、政府部内には追認する形で中期業務見積もりの格上げを主張する声も強いと言われております。この中期業務見積もりを正式な防衛計画、すなわち実質的な五次防として格上げしようとする意見に総理は賛成されるつもりかどうか、この点もお伺いしておきたいのであります。
 第四に、防衛関係費についてお伺いします。
 防衛費増額に対する米国の圧力は、今後とも強まりこそすれ弱まることはないと思います。マンスフィールド大使は再三にわたり九・七%概算要求の予算化を申し入れてきております。さきの伊東外相の訪米の際にも、マスキー国務長官は、従来からの「着実、顕著」という言葉では足りず、継続的に努力することまでをも求めてきています。この九月に来日したコマー国防次官も同様の要請を行っていると伝えています。こうした米国の圧力は一段と強まることが予想されます。しかし、米国の圧力や脅威論をてこにして防衛力増強を図ることは認められないところであります。
 労働省調査によれば、勤労者の実質賃金は、相続く物価の上昇に伴い、ことしの八月現在で対前年比三・四%減少しています。こうしたときに防衛関係費だけを特別扱いすることは言語道断であります。片や児童手当の後退や老人福祉の切り捨てを平然と唱えながら、事防衛費に関しては、概算要求のシーリングの枠七・五%を大きく上回る九・七%をも認めているのであります。これはまさに防衛費の聖域化であります。財政再建を叫ぶ一方で、こうした聖域化を認めるとすれば、果たして国民は納得するでしょうか。総理の率直なお考えを伺いたいのであります。
 また、防衛予算の別枠確保については、来年度だけではなく、今後も継続していきたいと防衛庁長官は語っておられるようですが、この点に関し総理並びに大蔵大臣は了承されているのかどうか、お伺いしておきたいと思います。
 さらに、総理は、防衛費のGNP一%の枠について、今後とも守っていく決意があるのかどうか、あるいは再検討するのか、この際明らかにしていただきたいのであります。
 第五に、核兵器の問題についてお伺いしたい。
 政府は、最近の答弁書の中で、「核兵器の保有は憲法上禁じられてはいない」とし、「憲法上保持を許されない兵器」として、「性能上もっぱら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる兵器」との見解を明らかにしております。
 そこで、総理並びに防衛庁長官にお伺いしますが、現時点において、憲法上保持できない兵器とはどのようなものを言うのか、具体的に例示していただきたい。また、核兵器の保有は憲法上許されるという解釈をとっている理由は何か、明確にお答えいただきたいのであります。
 政府が核保有の道を意図的に残していることは、近い将来日本が核兵器を保有する意図があるのではないかと指摘する声が上がっております。具体的に、米国軍事筋は、一九九〇年代に日本が核武装に踏み切るのではないかと警戒していると言われています。このような対日警戒論について、総理はどのように考えているのか、お尋ねします。
 最後に、総理の言われる総合安全保障についてお伺いします。
 確かに、安全保障は総合的なものであることは言うまでもありません。このことは、外交、教育、工業、通商、科学技術といったいろいろの分野で交流を深め、さまざまな政策に総合性を付与することで全体としての安全保障を高め、むしろ軍事の比重を低くすることこそ総合安全保障の要諦ではないでしょうか。ところが、鈴木内閣の実績と現状を拝見する限りにおいては、まさに全政策の軍事化を招来しつつあるのではないかと憂慮せざるを得ないのであります。
 その根拠としては、第一に、有力閣僚の憲法改正発言や愛国心教育発言が次々と飛び出していることが挙げられます。これを党内実力者が援護射撃している現状からしても、その不安は単なる杞憂ではないと思うのであります。
 第二の根拠は、国会答弁を無視した形で、戦闘機への対空ミサイル搭載や艦艇への魚雷装備などが実施されていることであります。もちろん、この件は国防会議にも諮られていないのであります。一方的な防衛庁サイドの独走です。したがって、政府部内はおろか与党内からさえ不満の声が噴出したと伝えられております。まさにシビリアンコントロールの形骸化であります。この際、改めて総理の総合安全保障構想について、国民に納得のいく御説明をお願いしたいのであります。
 以上の数点について総理並びに関係閣僚の明確かつ具体的な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(鈴木善幸君) 峯山さんにお答えをいたします。
 まず、レーガン新大統領の対日政策についてお尋ねがございました。
 峯山議員も御承知のとおり、共和党は、その政策綱領において、わが国を米国のアジア政策の基軸と位置づけ、わが国政府とも緊密に連絡をとっていく旨明らかにいたしております。また、先般私がブッシュ次期副大統領と会談した際も、同氏は、日米両国間で緊密な協議を行い、問題の解決を図っていきたい旨述べております。私は、レーガン新政権のもとでも、日米関係は、今日まで築き上げてまいりましたところの信頼関係の上に、両国の友好協力関係が一層強化されていくものと期待をいたしております。
 なお、レーガン次期大統領のもとでの米ソ関係につきましては、新政権がまだ発足していない現時点で具体的に論ずることは困難でありますが、レーガン次期大統領もソ連との軍縮交渉の必要性に言及しており、米ソ間の戦略的安定の確立に努めるという米国の基本的姿勢は新しい政権のもとでも変わらないものと考えます。
 次に、レーガン次期大統領のもとでの防衛面での対日姿勢についてお尋ねがございました。
 わが国の防衛努力に対する姿勢は、カーター政権の姿勢と基本的には変化がないものと考えております。わが国は平和憲法のもとに自主的な立場からそれなりに防衛努力を行ってきているところでありまして、レーガン次期大統領の側においても十分このことは承知をいたしておるものと存じます。
 次に、ソ連についてでありますが、政府は、最近の極東ソ連軍の急速かつ顕著な増強という客観的事実に基づき、かかるソ連軍の動向を潜在的脅威の増大と判断しているものでありますが、他方、必要以上にこれを取りざたしているということではありません。ましてや、これをもってソ連を敵視する、あるいはソ連と対決姿勢を強めるといったことなどは全く考えていないところでございます。
 なお、北朝鮮につきましては、ソ連の場合と同列に論じ得るものではないと存じます。
 次に、防衛計画の大綱の見直しについて御質問がございましたが、政府は、現在、防衛計画の大綱に従って防衛力の整備を進めておりますが、いまだ大綱に定める防衛力の水準に達していないのが現状であります。したがって、同水準の可及的速やかな達成を図ることが必要であると考えており、いま直ちに防衛計画の大綱を改正することは考えておりません。
 中期業務見積もりは、御承知のとおり、防衛庁の内部資料として作成したものでありますが、最近における国会での御論議などを踏まえ、次のいわゆる五六中業の作成に当たっては、何らかの形で国防会議の議題とするよう努めてまいりたいと考えております。ただ、どういう形で国防会議の議題とするかについては、五六中業の策定段階において、国会での論議や世論の動向など諸般の情勢を勘案しつつ適正な方途を考えたいと思っております。
 防衛費の予算上の取り扱いにつきましては、すでにいろいろの機会に申し上げておりますとおり、別枠扱いするつもりも聖域化するつもりもございません。他の経費同様に徹底した経費の節減合理化を図り、真に必要な経費に限って予算計上してまいる所存であります。また、防衛関係費の総額につきましては、かねてから当該年度の国民総生産の一%に相当する額を超えないことをめどとしてこれを行うこととしておりますが、現在この方針を変更する考えは持っておりません。
 次に、核兵器の保有について御質問がありましたが、政府は、従来から、自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法上禁止されておらず、したがって、その限度の範囲内にとどまるものである限り、核兵器であると通常兵器であるとを問わず、これを保有することは憲法の禁ずるところではないとの解釈をとっているところであります。しかしながら、憲法上保有を禁じられていない核兵器についても、わが国は非核三原則を国是とし、さらに原子力基本法及び核兵器不拡散条約の規定により一切の核兵器を保有しないこととしておるのであります。
 総合安全保障構想についてお尋ねがございましたが、私は、今日の複雑な国際情勢とわが国の置かれている立場を考えれば、国の安全確保のためには単に防衛的な側面だけでなく、経済、外交を含めた広い立場からの努力が必要だと考えております。このため、外交、経済協力、エネルギー、食糧などの諸施策につきまして、総合的な安全保障の視点から、高いレベルでその整合性を確保することが必要であると考え、国防会議とは別に閣議決定により関係閣僚会議を設置することを念頭に置いて、その具体化について検討を進めておるところでございます。
 残余の問題につきましては関係閣僚から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(渡辺美智雄君) 防衛予算の別枠扱いを今後とも継続していきたいということに対して、これを大蔵大臣は了承したかと、了承はいたしません。なぜならば、そんなに長く大蔵大臣をやっているかどうか私はわかりませんから、当面のことだけであります。(拍手)
   〔国務大臣大村襄治君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(大村襄治君) 峯山議員の私に対する御質問に対してお答え申し上げます。
 私に対する御質問の趣旨は、憲法上保持できない兵器の範囲はどうかと、そういう趣旨のお尋ねであったかと承知しております。
 政府は、従来から自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法第九条第二項によって禁じられていないと解しておりますが、性能上もっぱら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる兵器についてはこれを保持することが許されないと考えております。
 そこで、他国の国土の壊滅的破壊のためにのみもっぱら用いられる兵器とはどういうものかというお尋ねでございましたので、たとえばICBM、長距離戦略爆撃機等があるものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(徳永正利君) 安武洋子君。
   〔安武洋子君登壇、拍手〕
#20
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
 本法案は、潜水艦隊を創設し、航空自衛隊補給本部を新編成するなど、アメリカの世界戦略、アジア戦略に基づく日米共同作戦体制が一層強化される中で、対米従属、憲法違反の自衛隊を増強しようとするものであります。
 第一に伺いたい問題は、米大統領選挙でレーガン氏が勝利したことによる今後の日米関係についてであります。
 「ベトナム戦争は崇高な大義の戦争」と公言し、
   〔議長退席、副議長着席〕
カーター政権の同盟政策を批判してきたレーガン氏は、選挙公約でも一層の軍事同盟強化政策を主張し、特に日本については「アメリカのアジア政策の主柱」と位置づけ、「日本の国防努力が大幅に強化されることを強く求める」と述べております。
 総理、レーガン次期政権が日本の軍事予算の一層の拡大、日米安保の双務条約化と適用地域の拡大を強く要求してくることは必至と思いますが、あなたはどのように対応するお考えなのでしょうか、所見をお伺いいたします。
 第二に、日米安保条約のNATO並み攻守同盟化への策動の問題であります。
 八月に行われた日米安保セミナーで、日本側の三原朝雄実行委員会代表は、安保条約の適用範囲の拡大や安保条約の双務条約化の必要性を述べております。政府はこれを黙認されるのでしょうか。三原発言に対する政府の見解を求めます。
 特に重要な問題は、アメリカの国防報告で、ヨーロッパでの戦争の際、自衛隊が米軍と共同して三海峡を封鎖する行動に出ることを求めていることです。このことは日米安保条約の攻守同盟化への変質の具体的提起であると言わざるを得ません。政府がこれに何ら抗議をしていないことは、こうした要求を事実上容認する重大なことではありませんか。見解を求めます。
 政府はアメリカに対し、ヨーロッパや中東で戦争が起きた場合、在日米軍や自衛隊が三海峡の封鎖などの軍事行動をとることは、安保条約上からも、憲法上からも、絶対に認められないことをきっぱりと述べるべきだと思います。総理並びに外務大臣の見解を求めます。潜水艦隊の創設は、海峡封鎖やシーレーン防衛を目的とした自衛隊の新たな能力の増強であることは明らかであります。これは五十六年度概算要求で、ミサイル装備を含む艦船の購入費が前年度に比べ実に二倍化されていること、機雷封鎖能力を持つC130大型輸送機を六機も購入することにもあらわれております。これもアメリカの要求に基づくものであります。こうしたアメリカの要求に基づく装備の購入と能力の増強は、まさにアメリカの補完戦力の強化そのものではありませんか。防衛庁長官の答弁を求めます。
 次に、日米防衛協力の指針、ガイドラインに基づく具体的作業について伺います。
 日米軍事同盟を事実上攻守同盟化する日米共同作戦の具体的段取りはきわめて重大な段階に入っております。重要なことは、この作業が日米の制服同士で恒常的に行われ、日米共同演習を通じて実戦的な強化が図られていることであります。さらに、この制服レベルの協議がイラン・イラク戦争や中東危機などを念頭に置いて行われていることは、まさに日本の自衛隊が東アジアにおいてアメリカのアジア戦略の肩がわりに踏み出そうとしていることを意味するものであります。政府・防衛庁は、この危険な日米ガイドラインについて「日米共同作戦計画はかなり進んでいる」と答弁していますが、総理自身、この共同作戦計画の内容の報告を受けておられるのでしょうか、お伺いいたします。
 また、これまで進められた共同作戦計画作成の作業内容と、ガイドラインで明らかにしている情報、後方支援の作業の経過、実態を明らかにすることを求めるものであります。
 いま、アメリカの強い要求によって自衛隊の増強と軍事費の急増が鈴木内閣のもとで急速に実行に移されております。アメリカは、来年度防衛予算の最低限九・七%増額の完全実施を迫る立場から、大統領選挙終了直後、マンスフィールド駐日大使と鈴木総理との会談を申し入れる方針であると伝えられておりますが、アメリカは会談申し入れの意向を示しているのかどうか。また、米大使が日本の予算編成にまで執拗に介入する理由は一体どこにあるのか、お伺いいたします。
 さらに、アメリカの内政干渉的な要求はきっぱりと拒否すべきであると考えますが、あわせて総理並びに外務大臣の見解を求めます。
 次に、中期業務見積もりについてお伺いいたします。
 この中期業務見積もりは、防衛庁の訓令でも明らかなように、五カ年計画を三年ごとに作成し、しかも毎年見直し変更することができ、好きなように増強することができる新しい軍備増強のやり方であります。この中期業務見積もりのもとになる統合中期防衛見積もりや中期業務見積もりの一部である能力見積もりは極秘とされ、全容はもちろん概要さえ国会に明らかにされておりません。
 総理は、中期業務見積もりを国防会議の議題とすることで格上げを進めようとしておりますが、中期業務見積もりを政府計画にそのまま格上げするつもりなのか、それとも格上げされた新しい軍備増強五カ年計画を国防会議で決定するつもりなのか、明確な答弁を求めます。
 最後に、私は、米軍への思いやり軍事分担に見られる鈴木内閣の姿勢をたださなければなりません。
 政府はこれまで、地位協定すら拡大解釈し、米国基地労働者の労務費の肩がわり分担、隊舎、宿舎の新築提供を行ってきましたが、来年度はさらに軍事支援施設であるシェルターの新設にまで思いやり予算を組み、新たな負担をふやそうとしております。米軍高官も軍事支援施設と明言しているシェルターの日本側分担は、これまでの政府答弁を超える全く新しいものではありませんか。これは今後在日米軍の全面的な軍事行動を支える軍事施設の日本側分担に道を開くものであります。日本側が分担するのはいかなる根拠によるものか、明白な答弁を求めます。
 財政再建の名のもとに、国民に増税や福祉、教育の切り捨ての三重苦を押しつけながら、米軍に手厚い思いやりをすることは国民をないがしろにするものであり、鈴木内閣の対米従属の姿勢をはっきりと示すものであります。米軍への思いやり分担は一切やめるべきことを要求いたします。
 私は、自衛隊の増強、日米共同作戦体制の強化に反対し、日米安保条約の廃棄、軍事ブロックの解消、自主独立、非同盟への国政の転換を強く要求し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(鈴木善幸君) 安武さんにお答えをいたします。
 レーガン次期大統領のもとでの米国の政策を現時点で具体的に論ずることは時期尚早とも考えますが、わが国の防衛に対する米国の姿勢は、カーター政権の方針と基本的には変化がないものと考えております。いずれにせよ、御心配のような日米安保条約の双務条約化あるいは日本の軍事大国化などということは全く考えておりません。この点をはっきり申し上げておきます。
 次に、日米間の共同作戦計画についてでありますが、これは昭和五十三年十一月に国防会議、閣議に報告、了承された日米防衛協力のための指針に基づいて、現在防衛庁と米軍との間で共同作戦計画などの研究作業を実施しているところでありますが、いまだまとまった段階に至っていないと聞いております。その研究作業の内容については、事柄の性格上公表することは差し控えたいと存じます。
 なお、マンスフィールド大使についてでありますが、近い将来にマンスフィールド大使より私に対し会談したいとの申し入れがあるとは承知いたしておりません。
 内政干渉云々ということでありますが、日米両国は日米安保条約に従い、わが国が有事の際に、わが国の防衛のため共通の危険に対して共同して対処すべき立場にあります。かかる共同対処をより効果的に行い得るような態勢を整えるという見地から、わが国の防衛努力に米国が関心を有することは自然なことであります。このような観点に立って、米国は、厳しさを増している最近の国際情勢にかんがみ、わが国が可能な限り防衛努力を強化してほしいとの期待を表明してきておる次第であり、これは内政干渉といった筋合いのものではありません。
 他方、わが国の防衛努力は、このような米国の考え方を十分承知の上で、あくまでもわが国自身の自主的判断に基づいて決定すべきものであることは言うまでもありません。この点は米国としても十分理解しているところであります。
 なお、わが国の防衛努力につき米側に約束したということはなく、また、米側より具体的数字に言及しての要求といったものは現在ございません。
 次に、いわゆる中業の取り扱いについてであります。
 中期業務見積もりは、御承知のとおり、防衛庁限りの内部資料として作成されたものでありますが、最近におけるシビリアンコントロールについての国会での御論議なども踏まえ、次の五六中業の作成に当たっては、何らかの形で国防会議の議題とするよう努めてまいりたい考えであります。ただ、どういう形で国防会議の議題とするかについては、五六中業の策定段階において、国会での論議や世論の動向など諸般の情勢を勘案しながら適正な方途を考えてまいりたいと思います。
 最後に、軍事支援施設への思いやり予算についてお尋ねがありましたが、日米安全保障体制の堅持を防衛の基本方針としておるわが国としては、日米安保条約及び地位協定に定められたわが国の責務を積極的に遂行し、米軍の駐留を効果的かつ円滑ならしむることが肝要であると考えており、この観点に立って対処してまいる所存であります。
 残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣伊東正義君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(伊東正義君) 安武さんにお答え申し上げます。
 マンスフィールドさんの名前が出まして、防衛予算の問題等出ましたが、総理からお答えになったとおりでございまして、亡くなりました大平総理がカーターさんにお会いして話が出ましたときにも、日本が防衛の問題についてどういうふうなことができるかということは真剣に取り組むという抽象的なことを申したのでございます。私も先般アメリカに行きましたときにマスキーさんあるいはブラウンさん等に会いまして、いろいろ話が出たのでございますが、そのときも向こう側から、その問題は日本で決められる問題だがということが頭にいつもついて話が出ました。私も、どういう防衛努力をするかということは、これは日本が国民の皆さんのコンセンサスを得て自主的に判断することだということを常にどの場合でも主張したのでございまして、これはあくまで自主的に日本が考えていくことだというふうに考えておる次第でございます。
 もう一点、日米安保条約の運用についての御質問があったわけでございますが、米軍は、わが国の安全に寄与するということと、極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するということがこれは目的でございまして、その場合に、わが国において施設区域を使用することが認められておるわけでございます。
 それで、極東に対して武力攻撃が行われる、あるいは極東区域の安全がその周辺の事情のために脅威にさらされるというような場合には、米軍の行動はこれは極東区域に局限されないということは、従来答弁をしているとおりでございます。
 なお、米軍が戦闘作戦行動のために基地、施設区域を使うという場合には事前協議が行われることになっておりますことも、これは先生御承知のとおりでございます。あくまで日本と、そして極東におけると、こういう制限があるわけでございます。
 もう一点、先生がおっしゃいました三海峡の封鎖の問題でございますが、日本以外の地域から来る米軍であるかどうかということを問わず、米軍による三海峡封鎖ということが具体的にいかなる場合にどのような形で行われるかということ、また、これがいかなる場合に認められるかというような問題につきましては、これはあらかじめ仮定の事態を抽象的に設定しましてこれを議論するということは、私は困難なことじゃないかというふうに思っておるのでございます。いずれにしろ、三海峡の封鎖というようなことは、これは非常に有事の本当に重大な問題でございますので、その場合には日本は、これは国益を守るという見地に立ちまして、政府として慎重にこの問題は判断し対処していくということでございます。(拍手)
   〔国務大臣大村襄治君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(大村襄治君) 安武議員の私に対するお尋ねに対してお答え申し上げます。
 議員のお尋ねの第一は、ヨーロッパなどの有事の際、日本への直接の攻撃がなければ自衛隊は三海峡の封鎖など軍事行動ができないことを明らかにせよ、また、海峡封鎖などのための装備購入をやめよと、こういう御趣旨であったと思います。
 そこで、自衛隊といたしましては、わが国に対する外部からの武力攻撃またはそのおそれのある場合に際して、わが国を防衛するため必要がある場合に自衛隊法第七十六条の防衛出動を命ぜられることとなっておりまして、わが国の防衛と直接関係なくヨーロッパや東アジアにおいて武力紛争が生じたということだけで自衛隊が同条の防衛出動を命ぜられることがないことは言うまでもないところでございます。
 また、お尋ねの五十六年度概算要求中の護衛艦のミサイル装備やC130輸送機の調達の問題は、もっぱら自衛のための装備改善の必要に基づいて要求したものでございます。したがいまして、これを取りやめる考えは持っておりません。
 次に、第二のお尋ねは、共同作戦計画作業の経過と実態を明らかにせよという趣旨の御質問でございましたが、これにつきましては、第十七回日米安全保障協議委員会で了承され、国防会議、閣議に報告、了承されました日米防衛協力のための指針に基づいて、現在防衛庁と米軍との間で共同作戦計画等の研究作業を実施しておりますが、まだまとまった段階に至っておりません。
 なお、公表せよというお話でございましたが、本研究作業のもとになっております日米防衛協力のための指針そのもの、及びこの指針に基づく作業方針等については、すでに一昨年の段階でかなり詳細にわたり公表しているところであり、また、自衛隊と米軍の共同作戦計画を中心とする研究という事柄の性質上、さらには相手方もあることから公表は差し控えたいと考えております。
 中期業務見積もりについてお尋ねがございましたが、総理大臣から明快な御答弁がございましたので重複は避けさせていただきます。
 また、シェルターなどの軍事支援施設への思いやり予算はいかなる根拠によるかと、こういうお尋ねがございましたが、米軍に提供する施設区域の整備は地位協定第二十四条第二項の規定に基づき行うものでございます。総理からも御答弁がございましたとおり、日米安全保障体制の堅持を防衛の基本方針としておりますわが国といたしましては、在日米軍の駐留が効果的かつ円滑に行えることができるようできるだけの協力をすべきであるとの観点に立って、昭和五十六年度においても昭和五十五年度に引き続き提供施設の整備を積極的に行いたいと考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○副議長(秋山長造君) 木島則夫君。
   〔木島則夫君登壇、拍手〕
#25
○木島則夫君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、先ほど趣旨説明のございました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案についてただすことにいたします。
 言うまでもなく、平和と安全を確保することは国家の存立にかかわる重要な政治課題であり、各国ともその確保のために心血を注いでおります。そして、平和と安全を確保する最も重要な柱が防衛政策であることは世界の現実であり、常識でもあるわけであります。われわれ民社党は、平和と安全の確保こそ福祉国家を築く上での大前提であるという立場に立って、これまでも国会における安全保障委員会の設置など防衛問題に対する国民の合意づくりに野党といえども積極的に取り組んでまいりました。しかし、わが国政を見ますと、安全保障、防衛問題の論議のされ方は、実態を離れた幻想的な平和論が一方で展開され、国家の安全を強調する立場から無原則な軍事力の増強を主張するといった、両極に立った不毛の論議がなされ、安全保障、防衛問題についての国民の共通の広場をつくろうという目標からは、はるかに離れたところでの議論であったことはまことに遺憾であります。
 さらに、政府は、国民や国会に対し、わが国を取り巻く軍事情勢やわが国の自衛力の実態を示そうとせず、事なかれ主義の態度をとりながら、緊迫した国際情勢に伴う外圧に便乗して、なし崩し的に自衛力の整備を図ってきました。しかし、いまやわが国を取り巻く国際情勢は、こういった対応が許されない厳しい状況になっております。われわれは、いまこそ世界平和を前進させる具体的な行動を推し進めるとともに、厳しい国際情勢に目を背けることなく、現実を踏まえた具体的な政策をもって防衛問題に取り組んでいかなければならない、こう考えております。
 私は、こういった立場に立って以下の諸点をただしていきたいと思います。
 第一に、さきに行われました民社党と自民党との党首会談において私どもが提起をした自衛力整備のための基本原則についてであります。
 この会談で佐々木委員長は、厳しい国際情勢のもとでわが国の防衛問題はいまや重大な選択の時期を迎えている、この情勢のもとで自衛力の整備を図ることは必要であると述べるとともに、その整備は、国民のコンセンサスを求めながら平和戦略の推進、つまり米ソの核軍縮を日本が強く要求し、南北問題解決のための開発途上国への援助強化など、一、平和戦略の推進、二、現行憲法の枠の中で進めること、さらに財政上の制約を十分に配慮をするという三つの条件を厳しく付した上で行うことを提起したものであります。政府は、この三つの条件を前提とすることによもや御異存はないと思いますけれども、確認を込めてお伺いをするものであります。
 第二は、世界平和の確立についてであります。
 言うまでもなく、最大の安全保障は世界平和の確立であり、日本としてもその実現のために全力を尽くすべきであります。そこで、まず、いまや大きく後退をしてしまった米ソのデタントの修復について、政府としてはどのような見通しを持っておられるか。また、日本として、そのために何をなし得るとお考えになっているか、具体的にお示しを願います。
 次に、南北問題の解決についてであります。
 世界の安定のためには南北問題の解決が急務です。このため政府としても、わが国の政府開発援助を拡充するために、各先進諸国がつくっているような中期的な視野に立った援助プランを策定すべきであると提唱をいたしますが、その意思をお持ちかどうか、確認をいたします。
 次に、対ソ関係について伺います。
 ソ連はわが国に隣接する超大国であり、アフガニスタンへのソ連軍の侵攻、極東におけるソ連軍の増強、さらには北方領土への顕著なソ連軍の配備など、わが国の平和と安全に重大な影響を与えております。政府は今後の対ソ外交をどう進めていくお考えか。また、日ソ関係はソ連がどのような状況になれば修復できると考えるか。さらに、レーガン政権のソ連に対する強硬外交といった新しい展開も予想される中で、具体的に御提示をしていただきたいと思います。
 次に、軍縮の問題についてであります。
 世界平和の確立のためには、軍縮、とりわけ核軍縮を進めることが急務でありますが、政府はこの問題について日本がどのように貢献すべきであるとお考えになっているか。また、レーガン氏がアメリカの大統領に選出されたことによりまして、SALTIIの批准問題を初め、アメリカが打ち出そうとしている新たな外交、防衛政策についてどのような見通しと姿勢をお持ちか伺いたい。日米関係の基本についてはカーター政権とさして差異はないという、基本は変わりはないと思いますが、新政権との接触が必要であろうと思います。いつになるか、日米首脳会談についての見通しについてもこの際はっきりと触れていただきたいと思います。
 第三は、自衛力の整備についてであります。
 現在の国際情勢のもとで、わが国の平和と安全を確立するためには厳しい条件をつけた自衛力の整備が必要であることは先ほどから申し述べてまいりましたが、その基本とも言うべき防衛計画の大綱は、いわば脱脅威論に立っており、本来対象となるべき脅威を考えておりません。
 そこで、防衛計画の大綱の見直しについて伺いたい。米ソのデタントと没脅威論を前提とした現在の防衛計画の大綱を見直し、現在の国際情勢を踏まえたものに改めるべきであると思うが、政府はどのようにお考えになっておりますか。
 次に、シビリアンコントロールに関連して、国防会議の改組、拡充強化について伺います。
 現在の形骸化してしまった国防会議を総合的な立場から安全保障全般を協議をする最高機関とすべきであると民社党は考えておりますが、政府のお考えを伺いたい。また、総理の提言された総合安全保障会議について、その任務、性格、構成などは一体どのようなものになるのか、国防会議との関係はどうなるのか、構想をお示し願いたいと思います。
 なお、国会の安全保障委員会において実のある論議ができますように、政府も資料の提出など最大限の便宜を提供し、国民の意思に基づいた防衛政策の確立を図るべきであることもこの際強調をしておきたいと思います。
 最後に、自衛隊の欠陥是正について伺います。
 奇襲対処能力の欠如を初め、各方面から指摘をされている自衛隊の欠陥について、政府としては具体的にどのように是正をしていくか、お伺いをいたします。
 以上の諸点について、総理並びに関係各大臣の誠意ある、かつ明確な御答弁をいただき、実態に即した実のある防衛論議でありますように強く要望をして、私の質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(鈴木善幸君) 木島さんにお答えをいたします。
 先般の自由民主党と民社党の党首会談において、民社党から、自衛力整備の基本的立場として、平和戦略の推進、憲法の枠内、財政事情の配慮の三点が述べられました。政府としては、自衛力の整備について、平和憲法のもと、非核三原則を国是とし、専守防衛に徹し、決して軍事大国にならないという基本方針を堅持しておるところでありまして、民社党の示した三条件と共通の認識の上に立つものでございます。
 次に、米ソ間のデタントの問題についてであります。
 いわゆるデタントの進展のためには東西間の良好な信頼関係がなくてはなりません。したがって、米ソ間のデタント修復にはなお時間を要するとは考えられますが、他方、最近米ソの間において欧州方面における中距離ミサイルについての交渉開始など一定の動きが見られることも事実であります。また、レーガン次期大統領の戦略問題に関する政策については、新政権がまだ発足していない段階で見通しを述べることは困難でありますが、米ソ間において戦略的安定を求めるとの基本的考え方は引き続き維持されていくものと考えます。
 わが国としても、米ソを中心とする東西関係が改善されることを強く希望しており、現在、米ソ関係の後退の原因の一つになっているアフガニスタン問題等の解決のためにも、米国、西欧諸国とも協調しつつ、その国際的地位にふさわしい役割りを積極的に果たしていく考えでございます。
 なお、日米首脳会談についてお尋ねがございましたが、私も日米相互の間の都合のつく時点を話し合いによって選定いたしまして、できるだけ早い機会に日米首脳会談を図り、両国の友好関係の発展をさらに一層強めてまいりたいと考えております。
 開発途上国に対する援助の問題についてお尋ねがございました。
 わが国は、政府開発援助を拡充するため三年倍増の中期目標を掲げて、その確実な達成を目指して現在努力しており、三年倍増の中期目標は本年確実に達成される見通しであります。政府といたしましては、今後ともこのような積極的な姿勢を維持し、当面はわが国の援助水準を速やかに先進国の水準まで高めることを目指して努力してまいりたいと存じます。
 次に、対ソ外交についてでありますが、ソ連はわが国にとり重要な隣国の一つであり、対ソ外交はわが国の対外関係の中でも重要なものの一つであると考えております。不幸にして、今日の日ソ関係は、アフガニスタン問題や北方領土軍備強化など、ソ連側の行動に起因して厳しい局面を迎えておりますが、このようなきわめて遺憾な事態に対しては、政府は、基本的立場を堅持し、言うべきことは言い、通すべき筋は通すとの一貫した態度で臨んでおります。いずれにいたしましても、このような状況にかんがみれば、わが国の方からいわゆる対ソ修復論を唱えることは筋が通らず、国民の納得を得ることはとうてい困難であると考えております。もとより政府としては、ソ連との間に真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することを望むものでありますが、過般の私の所信表明でも述べましたとおり、日ソ関係発展への道を開く環境をつくるためにも、ソ連側においてその誠意を具体的行動をもって示すことを強く期待するものであります。
 軍縮の問題につきましては、わが国は、非核兵器国としての独自の立場から、国連、ジュネーブ軍縮委員会などの国際場裏において、核軍縮を中心とする軍縮の促進を核兵器国に対し引き続き強く訴えてまいる所存でございます。
 レーガン新政権の外交、防衛の面での具体的政策について予測を申し上げることは差し控えたいと存じますが、今後米国を取り巻く国際環境の基調に変化が生ずることが予想されず、また、レーガン次期大統領の外交、防衛に関する発言は、その基本的態度においてカーター大統領の考えと非常に大きな差異があるとは思われないことからも、現政権の政策から著しく転換することはないものと考えております。いずれにせよ、日米協調の重要性は変わらず、わが国としては、新たな指導者を得ることとなった米国と協力しつつ、今後も世界平和のためできるだけの努力を払ってまいる所存でございます。
 次に、防衛計画の大綱を見直せとの御意見でありますが、昭和五十一年に策定した防衛計画の大綱は、わが国周辺の軍事能力を念頭に置いた上で、わが国が保有すべき防衛力の機能、規模などについて定めているものであり、大綱が、脅威を無視して整備すべき防衛力を定めているということはございません。
 なお、御指摘のように、大綱を策定した当時と比べて、米ソ関係が現在後退していることは事実でありますが、関係改善の努力も続けられており、現在、わが国に対し差し迫った侵略の脅威が生ずるような情勢に変化したとは考えておりません。わが国の防衛力は、いまだ防衛計画の大綱に定める水準に到達していない状況であり、したがって、同水準の可及的速やかな達成を図ることが必要であると考えており、いま直ちに防衛計画の大綱を改正する考えは持っておりません。
 国防会議を安全保障政策全般を協議する機関とすべきであるという御主張がございましたが、国防会議につきましては、木島議員御承知のとおり、現在、国防に関する重要事項を審議する機関となっております。しかしながら、私は、わが国の安全は国防会議に関する側面のみならず、経済、外交を含めた広い立場からの努力が必要であると考えております。このため、外交、経済協力、エネルギー、食糧などの諸施策につきまして、総合的な安全保障の視点から、高いレベルでその整合性を確保することが必要であると考え、国防会議とは別に、閣議決定により関係閣僚会議を設置することを念頭に置いて、その具体化について検討さしているところであります。
 なお、国防会議につきましては、さしあたりその機構の改組が必要とは考えておりませんが、今後の運用につきましては、必要に応じ一層の充実に努めてまいる考えであります。
 残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣伊東正義君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 総理から詳細に御答弁がありましたので、私は一、二点だけ申し上げます。
 南北問題で、政府開発援助の問題でございますが、総理からおっしゃったように、ことしで三年倍増の中期目標達成が必ずできますので、五十六年度の予算を大蔵省と折衝するわけでございますが、その際、さらにまた三年か五年かの中期目標はぜひつくりたいというふうに思っておるわけでございます。
 それから対ソ関係でございますが、総理からも御答弁がありましたので特につけ加えることはないのでございますが、ソ連は重要な隣国の一つでございますので、何としても相互理解のもとで安定的な友好関係を続けるということが必要だということはよくわかります。
 グロムイコ外相と会談をしましたときにも、最後に、お互いにそういう関係になるように努力しようということで握手をして別れたのでございますが、その後、イズベスチヤ紙に昭和三十一年の日ソ共同宣言が載ったのでございます。あの中には領土問題も含まれております。また、それと前後して出ました松本・グロムイコ交換公文という中にも領土問題があるわけでございますので、私どもは、何としても領土問題の解決を含んだ平和条約ができますように最善の努力をいたしたいと思っておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣大村襄治君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(大村襄治君) 木島議員の私に対するお尋ねは、奇襲対処能力の欠陥を初め、各方面から指摘されている欠陥について、政府として具体的にどのように是正していくか、その考え方を示せという御趣旨であったと思います。
 政府といたしましては、防衛計画の大綱に基づき、限定的かつ小規模な侵略については原則として独力でこれを排除し得る体制を整えるとの考え方のもとに防衛力の整備に努めてきたところでございますが、防衛力の現状について見ますると、全般的にまだ防衛計画の大綱に定められた防衛力の水準に達していないほか、陸上装備、艦艇、航空機等の装備の老朽化、即応体制の不備、機種等の抗たん性の不足、弾薬備蓄の不足等による継戦能力の不足等、種々の問題を抱えております。これらの不備の是正はいずれもわが国の防衛力整備上きわめて重要であり、防衛庁としては今後とも可及的速やかにその実施を図っていく必要があると考えているところでございます。
 このため、具体的には装備の更新、近代化等を進めるとともに、中央指揮システムの整備等による即応体制の整備、航空機用掩体、基地防空用火器等の整備による抗たん性の向上、各種弾薬の備蓄の拡充等による継戦能力の向上、三自衛隊の統合演習等による統合運用体制の充実等に努力してまいりたいと考えております。
 また、御指摘のありました奇襲対処及び有事法制の問題につきましても、その重要性につきましては十分認識しておりますので、目下鋭意検討を行っている最中でございます。(拍手)
#29
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#30
○副議長(秋山長造君) 日程第一 千九百八十年の食糧援助規約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長秦野章君。
   〔秦野章君登壇、拍手〕
#31
○秦野章君 ただいま議題となりました一九八〇年の食糧援助規約につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
 この規約は、これまで五回にわたって延長されてまいりました一九七一年の食糧援助規約にかわるものでありまして、開発途上国に対し、毎年、合計七百五十九万二千トンの穀物またはこれにかわる現金を援助すること等について定めたものであります。わが国の援助義務量は三十万トンであります。
 なお、この規約は、すでに本年七月一日に発効し、わが国政府は本年六月十七日にこの規約の暫定的適用宣言を行っております。
 委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知を願います。
 昨六日質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○副議長(秋山長造君) これより採決をいたします。
 本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#33
○副議長(秋山長造君) 過半数と認めます。
 よって、本件は承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#34
○副議長(秋山長造君) 日程第二 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長井上吉夫君。
   〔井上吉夫君登壇、拍手〕
#35
○井上吉夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、厚生年金保険における年金額の引き上げに伴い、国家公務員共済組合制度その他の共済組合制度に準じて、年金額算定方式中の定額部分の額及び新法に基づく退職年金等の最低保障額を昭和五十五年六月分から引き上げることにより、給付水準の引き上げ等を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、最低保障及び寡婦加算の水準と新旧問の均衡等年金給付の改善、国庫補助の引き上げ、年金財政、掛金負担の軽減、対象団体の経営基盤の強化と職員の雇用条件の改善等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。
 質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 また、本法律案に対し、全会一致をもって国庫補助の引き上げ等八項目の附帯決議を行いました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#36
○副議長(秋山長造君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#37
○副議長(秋山長造君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#38
○副議長(秋山長造君) 日程第三 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長片山甚市君。
    ―――――――――――――
   〔片山甚市君登壇、拍手〕
#39
○片山甚市君 ただいま議題となりました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案の主なる内容は、第一に、遺族補償年金について、遺族が一人から四人の場合の給付額を遺族の人数の区分に応じて引き上げること、第二に、障害補償年金給付に、障害補償差額一時金及び障害補償年金前払い一時金制度を創設すること、第三に、保険給付額のスライドの発動要件である賃金水準の変動幅を一〇%から六%を超える場合に改めること、第四に、同一事由についての労災保険給付とそれと重複する部分の民事損害賠償との調整規定を整備すること等であります。
 委員会におきましては、労働災害防止対策推進のための諸施策、労災保険制度改善のための抜本的検討、労災保険給付と民事損害賠償との調整等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、日本共産党沓脱委員より修正案が提出されました。
 採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 なお、本法律案に対し、特に労働災害防止対策の徹底等を内容とする附帯決議を全会一致をもって付することに決しました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
#40
○副議長(秋山長造君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#41
○副議長(秋山長造君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 今日はこれにて散会いたします。
   午後一時六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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