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#1
第093回国会 本会議 第8号
昭和五十五年十一月十二日(水曜日)
   午前十時二分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第八号
  昭和五十五年十一月十二日
   午前十時開議
 第一 地方支分部局の整理のための行政管理庁
  設置法等の一部を改正する法律案(内閣提
  出、衆議院送付)
 第二 地方自治法第百五十六条第六項の規定に
  基づき、四国行政監察支局等の設置に関し承
  認を求めるの件(衆議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、健康保険法等の一部を改正する法律案(趣
  旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 健康保険法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。園田厚生大臣。
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(園田直君) ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 医療保険制度の基本的改革は、かねてから重要な課題となっているところでありますが、医療保険をめぐる諸情勢は、近年厳しさを加えております。
 かつてのような高度経済成長が期待できない情勢のもとにおいては、人口構成の老齢化や医療の高度化等により医療費の伸びが賃金の伸びを上回る状況が続くものと考えられます。また、このような医療費の負担の問題のみならず、医療体制の整備、老人保健医療制度の整備など、早急に解決を図るべき多くの問題があります。
 したがいまして、医療保険制度の基本的改革に当たりましては、医療保険制度のみにとどまらず、医療制度、健康管理対策など、関連各分野においても逐次改善を図ってまいる考えであります。
 医療保険制度の改革については、まず、社会経済情勢の変化に対応した健康保険制度の健全な発展を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案を第八十四回国会に提出し、その後第九十一回国会に至るまで御審議を煩わしたのでありますが、成立を見るに至りませんでした。
 しかしながら、医療保険制度の改革は、緊急の国民的課題であり、一刻も早くその実現を図る必要があることから、さらに今国会にこの法律案を提案し、御審議を願うことといたした次第であります。
 以下、この法律案の内容について概略を御説明申し上げます。
 まず、健康保険法の改正について申し上げます。
 第一は、医療給付に関する改正でありますが、被保険者、被扶養者ともに同一水準の給付を確保することを基本とし、患者負担として初診時千円、薬剤等に要する費用の二分の一及び入院一日につき給食料に相当する額を負担願うこととし、これらの患者負担の額が著しく高額となったときは、高額療養費を支給することとしております。
 これにつきましては、衆議院における修正により、被保険者本人の一部負担金については、初診時八百円、入院時は一ヵ月を限度として一日につき五百円とし、家族療養費の支給については、外来の場合は療養費の額の百分の七十、入院の場合は百分の八十とすることとされております。
 第二は、分娩費等の給付に関する改正でありますが、これらの額を実情に即して改定できるものとするため、政令で定めることといたしております。
 第三は、保険料に関する改正でありますが、賞与等についても標準報酬と同様の保険料率で保険料を徴収することとし、また、標準報酬等級の上限を給与の実態に即して政令で改定できることとしております。また、政府管掌健康保険及び健康保険組合の保険料率は千分の八十を超えない範囲内において決定するものといたしております。
 これにつきましては、衆議院における修正により、賞与等の取り扱いは、現行の特別保険料制度によることとし、また、保険料率の上限は、政府管掌健康保険については千分の九十一、組合管掌健康保険については千分の九十五とすること、また、政府管掌健康保険の保険料率の弾力条項発動の条件は、既往の累積赤字の償還の場合を除いては、現行どおりとすることとされております。
 第四は、政府管掌健康保険に対する国庫補助に関する改正でありますが、保険料率に連動した国庫補助率の調整規定は廃止し、国庫補助率は、現行の千分の百六十四から千分の二百の範囲内において政令で定めることといたしておりますが、衆議院における修正により、国庫補助率は、当分の間千分の百六十四とし、将来給付内容の変更または国の財政状況の変動等の場合に検討するものとすることとされております。
 そのほか、健康保険組合間の財政調整、保険医療機関などの登録、指定の手続の簡素化その他所要の規定の整備を行うこととしておりますが、衆議院において、薬価調査に関する規定及び保険医療機関等に対する指導、監査に関する規定を整備することとするものであります。
 なお、この法律の実施時期につきましては、公布の日から起算して六月を超えない範囲において政令で定める日から施行することとしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(徳永正利君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。安恒良一君。
   〔安恒良一君登壇、拍手〕
#7
○安恒良一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に対して御質問したいと思います。
 今日、医療をめぐる諸問題が社会問題化し、医療に対する国民の不安と不信はますます増大をいたしております。この不安と不信を解消することは当面の最大の政治課題だと考えるものであります。したがって、本法律案の審議に当たっては、当面の財政対策を中心とする改正点に限ることなく、わが国の医療はどうあるべきなのか、総合的な検討を加えなければなりません。すなわち、国民皆保険下の医療は、いつでも、どこでも、だれでも、よい医療が平等に受けられるという大原則に立たなければなりません。この原則に従って、これまでの医療行政の反省と医療保険制度の抜本的改革について十分な討議が行われなければならないと考える次第であります。
 私は、基本的な態度といたしまして、保険料の負担及び窓口における一部負担の増大を図るよりも先に、国民医療費の肥大化に歯どめをかけるための総合的な施策の先行を今日まで主張してまいりました。これがほとんど実行されない現状で保険料のみならず一部負担まで引き上げるなど、総合的、抜本的な施策を後回しにした保険財政対策至上主義の本改正案には断じて賛成できないのであります。
 私は、何ゆえに本案に賛成できないのか、具体的に明らかにしつつ質問をしたいと思います。
 第一に質問したいのは、今回の改正案によって、あるいはまた現在すでに医療担当者から要望の出ている診療報酬の改定等によってどの程度の保険料の負担増となるのか、国民には全く知らされていないのです。それに加えて、本案は、昭和五十四年度末千二百九十億円の赤字解消をねらいとし、これを六年間で返済していくというふうにしております。また、そのためにも保険料率の引き上げを図ろうとしているものであります。このため本案では、厚生大臣が告示をもって変更し得る保険料率の上限を現行の千分の八十から千分の九十一に大幅に引き上げることとし、これまで保険料率の引き上げと連動していた国庫負担については、その連動を停止することとしております。
 ところが、かつて法定しておりました保険料率を昭和四十八年にいわゆる弾力条項へと改悪した際に、政府は、国民の猛反対をなだめるために、これと国庫負担とを連動させることとし、弾力条項の乱用に対する歯どめと説明したのであります。したがって、今回の措置は昭和四十八年の改悪をさらに増幅させ、弾力条項が一〇〇%行政の専決という性格に変貌を遂げたことを意味しております。われわれは、これを絶対に許すことのできない暴挙であると言わなければなりません。まず、この点について鈴木総理並びに厚生大臣の見解を承りたいと存じます。
 第二に、修正によって保険医療機関等に対する指導、監査に関する規定が設けられ、医療行政における指導、監査が強められると主張しておりますが、医師会の立ち会いのない指導、監査にいたしましても、果たして現行法で実行できない性質のものでしょうか。そうではありません。たとえば、医師会が立ち会いを拒否した場合に指導、監査を行わないというのは、行政側が医師会に約束させられたことを通達で指導していたにすぎず、医療行政が関係団体にじゅうりんされていたあかしと言わなければならないのであります。それを正常化するために新たな立法が必要となったということだけのことであります。むしろ、現行法のままでも、その立法の趣旨に基づいて厳正に法を執行することこそ望まれているのではないでしょうか。
 第三に、送付案で解せないのは、今日これほどその解決が焦眉の急となっておる老人保健制度の問題について、政府管掌保険はどのように対処し、どのように受けとめていくのか。その財政に与える影響は大変大きいにもかかわらず、全然明らかにされていないことであります。本来、老人保健医療制度の創設と健康保険制度の改革は同時になされるべき問題であると考えますが、政府はなぜその片方だけを急ぐのか、御説明いただきたいと思います。総理並びに厚生大臣に明確な答弁を求めます。
 次に、最近国民を震撼せしめました富士見産婦人科病院の事件であります。
 国民は、この乱診乱療事件を氷山の一角と考え、各地でこれら類似の不祥事件を告発し糾弾する声が横溢しているのであります。これら事件の実態把握と再発防止のために政府は今日までどのような対処をしてきたのか、まず御報告をいただきたいと思います。
 また、この事件に関連して、妊娠、分娩にかかわる給付に保険の適用がなく、基本的には自由診療に放置されていることを問題にしたいのであります。
 社会保障の最低基準を定めたILO百二号条約においても、また、母性保護に関する規定を定めた百三号条約においても、分娩に伴う給付は全額社会保障制度の対象とすることを定めております。わが国では、出産に伴う入院費用の半額に満たない十万円の現金給付が保障されているにすぎません。母性保護の重要性が叫ばれ、高齢化社会の進展の過程で、わが国の出生率が減少傾向にある今日、妊娠、分娩については全額現物給付として保険点数化すべき問題であると私は考えますが、鈴木総理、総理の英断を求める次第であります。
 次に、いまなお年々二けたの伸び率で伸び続けている国民医療費の肥大化の主要な原因並びにその対策について、大蔵大臣並びに厚生大臣にお尋ねをいたします。
 医療サービスの目的が、病気を治し、病人を減らすことにあることは言うまでもありません。しかし、実際には多くの医療犯罪や薬害犠牲者が物語るように、乱診乱療がかえって病人をつくり出しているのではないでしょうか。たとえば、一般診療所の医師は、いま一日に平均約六十人を診察しており、患者一人にかけることのできる診察時間はわずかに三分程度と推計されております。これは受診の必要がないのに押し寄せる患者側の責任なのでしょうか。断じてそうではありません。特段の治療を必要としない場合に、医師はその旨をよく理解させ、あるいはまた日常生活の中で疾病をコントロールする方法を正しく指導すれば、その患者は似たようなことで再び医師を訪れることはないでしょう。しかし、ほとんどの場合、このような説得も指導もないままに、検査、投薬、注射が機械的に行われ、その結果、再びぐあいが悪いと感じたらやはり医療機関に行くことになります。どうしてお医者は患者によく説明し、また適切な指導をしようとしないのでしょうか。
 実は、そんなことをしても収入にはならないという制度、すなわち点数出来高払いによる診療報酬制度になっていることがその最大の原因であります。このことはすでに政府も認めております。たとえば、一九七七年三月、「出来高払い方式における点数制の問題点」として厚生省が示した文書によれば、第一に、医薬品を多量に投与しないと点数が増加しない、病名をたくさん列挙しないと点数が増加しないなどと、三年前に示されたこの指摘について、厚生大臣並びに渡辺大蔵大臣はどのようにお考えになるか、答えていただきたいと思います。
 このような制度に支えられた今日の医療は、医療効果の上がらぬままに国民医療費ばかりが肥大化し、患者負担、保険料負担、国庫負担などの増大に歯どめをかけることができないという国全体の重大な損失を招いているのであります。国民医療費の肥大化をどう抑制するかについては、近年、諸外国においても大きな政治課題となり、アメリカにおいてさえ病院の建設や高額医療機器購入を制限するシステム、イタリアにおいては出来高払いから登録人頭払いへの転換、西ドイツにおいては平均賃金上昇率以内の診療報酬引き上げ、さらに医師だけではなく支払い側代表を加えた審査委員会の設置などに踏み切っているのであります。
 一方、わが国においては、すでに指摘をいたしましたように、点数出来高払い制度を温存しているばかりでなく、医療法は、医師が診療所を開設するときには都道府県への届け出だけでよいとし、許可制の病院についても、その構造、設備及び人員が要件を満たしておれば「許可を与えなければならない。」としております。国、自治体は医療資源の有効利用のためにこれを適正配置する権限さえ持たないという野放しの自由開業医制を続けているではありませんか。たとえ資本主義のもとでも、諸外国が取り組もうとしているのは、医療に対する公的民主的コントロールを徹底しようということであります。これを言いかえるならば、医療を社会化しようというのであります。ひるがえって、わが国政府は国民医療費の肥大化にどう対処しようとしているのか。とりわけ、点数出来高払い方式や自由開業医制に対しメスを入れようとしないのか、それはなぜなのか、総理並びに厚生大臣はこの際明確にしていただきたいと思います。
 さらに、今度の健康保険法等の改正が国民医療費の抑制に果たしてどの程度効果を持つものなのか、厚生大臣、大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。
 特に、渡辺大蔵大臣は二年前に「日本の医療ここに問題あり」を出版され、その中で、「医療内容や医療費の請求について、思い切ったメスを入れなければならない」とか、あるいはまた「出来高払い制が乱用されるような仕組みがあるなら、その仕組みを徹底的に改めていかなければならない」などと指摘されています。そこで、財政に携わる大蔵大臣として、国民医療費の肥大化に対する総合的、計画的な抑制策について御答弁をお願いをしたいと思います。
 周知のように、医療サービスは本来営利性には決してなじまない性格のものであり、その理由は、医療サービスには次の二つの特性があるためであります。
 すなわち、第一の特性は、それが生存のための最も基礎的なニーズであり、水や空気の確保、治安や防災の備えのように、市場経済を超えて必要に応じた供給がなされなければなりません。この観点から、最も優先すべき改革の課題は、貧困と疾病の悪循環の中にある生活困窮者、あるいは無医地区の住民、お年寄り、難病者、障害者などの医療、救急医療などの充足であります。特に、一九八一年の国際障害者年を機として、障害者の福祉施設や国立病院に障害者医療センターを設置して、地域の障害者すべてが利用できるようにすることなども必要ではないでしょうか。総理の明確な答弁をお願いいたします。
 医療サービスの持つ第二の特性は、その目的が傷病を治し健康を増進すること、言いかえれば需要を減らすことが供給の使命だということであります。他の商品生産とはこの点が決定的に異なるのであります。この観点から最も優先すべき改革の課題は、逆に患者や被害者を出している今日の現状を正すことであり、保健予防制度の確立を初めとして、いわゆる数こなし診療を生む点数出来高払い制度や、薬の利ざやを生む薬価制度に深くメスを入れることであります。特に、創設を目指されている老人保健医療制度においては、対象となる高齢者の登録人頭払いを導入し、慢性病、成人病患者を検査づけ、薬づけから守る必要があるのではないでしょうか。
 以上、当面する改革の最優先課題について総理並びに厚生大臣の所見を承り、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えをいたします。
 安恒さんの示唆に富んだ御意見を含めての御質問がございまして、御意見の点は十分今後参考にして医療行政を進めてまいりたいと、こう思っております。
 まず、国庫補助率についてであります。衆議院におきまして、国庫補助率を当分の間給付費の一六・四%に据え置くよう修正が行われたのでありますが、政府といたしましても、現下の厳しい国家財政の現状から見て、保険料率と国庫補助率の自動的な連動を継続することは困難であると考えております。
 次に、累積赤字償還のための保険料率の引き上げ分についてお尋ねがありましたが、これにつきましては、できるだけ早く算定をするようにいたしたいと考えております。また、医療費改定については、当面改定を必要とする状況にないと考えておるのであります。
 次に、薬価調査及び医療機関に対する指導、監査につきましては、適正な保険診療を確保する上で重要なことでありますので、従来から適正に実施してきたところでありますけれども、今回の修正によりまして、従前にも増してより円滑な実施が図られると考えております。
 また、老人保健制度の創設と健康保険制度の抜本的改革とは同時に解決すべきものではないかとの御意見でありましたが、老人保健医療制度の整備は医療保険各制度と深くかかわり合いを持っておるのであり、老人保健医療制度の整備に先立って、医療保険制度の基本となる健康保険の制度的安定を図ることが急務であると存じます。
 出産給付につきまして、これを現物給付化するようにとの御意見でありましたが、現状から考えまして、やはり現金給付、定額払いの方式でいかざるを得ないと考えます。ただし、給付内容につきましては、通例の分娩に要する費用をカバーできるよう検討してまいりたいと存じます。
 医療費抑制のため、点数出来高払い方式を改めてはどうかとのことでありましたが、これはなかなかむずかしい問題であります。しかし、現行制度のもとにおいて医療費の効率的使用が図られるよう、諸般の対策を推進するようにいたしたいと思います。
 また、自由開業医の制度を改めることは、国民医療の根幹に触れることでもありますので、これを改める考えは現在のところございません。
 生活困窮者、無医地区住民、老人、難病者、障害者に対する医療、救急医療等につきましては、従来から優先的に施策を講じているところでありますが、今後とも国民の医療需要の動向を把握しつつ、必要な医療の確保に努めてまいりたいと存じます。
 なお、障害者に対する医療の確保につきましては、国及び地方公共団体によるリハビリテーションセンターの設置運営、国立の神経センターの整備推進、障害者福祉施設における医療機能の充実などにより対処してまいりたいと考えております。
 医療サービスの特性として、医療の需要を減らすことが医療供給側の使命ではないかとの御意見でありました。けだしそのとおりであると存じます。現状は逆にかえって患者をつくり出しているのではないかとの御認識にも、確かにそういう面もあろうかと存じます。しかし、すでにお答えしたとおり、点数出来高払い制度を改めるには、実際問題としてなかなかむずかしいことでありますし、また、老人医療制度において老人のみを対象とした新たな支払い方式をとることも困難ではないかと思います。しかし、薬価基準の適正化には今後とも努力してまいりたいと考えております。
 保健予防制度につきましても、生涯を通じる健康づくりの推進を図ってまいりたいと存じます。私も厚生大臣をやっておりますから、よく承知をいたしております。
 自余の点につきましては所管大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(園田直君) ほとんど総理からお答えになりましたが、若干補足してお答えを申し上げます。
 第一の保険料率の引き上げ連動制に関する廃止の御指摘の点は、十分注意をいたしまして、社会保険審議会の御意見等も十分聞いて慎重に、御心配のようなことがないように注意してまいりたいと存じます。
 次に、累積赤字の問題は総理がお答えになったとおりであります。六年間で償還することになっておりますが、累積赤字償還の問題も含めて、所要の保険料率はなるべく早く算定したいと考えております。
 なお、法的執行については厳正にやれ、圧力団体に負けるな、こういうことでありますが、各位の御協力を得て法執行は厳正にやるつもりでございます。
 なお、老人の保健医療制度とそれから保険の改革は同時にやるべきだ、こういう御意見で、なるべくそうしたいと考えておりますが、老人保健の問題は、単に健康保険のみならず各種の制度に関連がございますので、こういう関連と調整をしながら、なるべく早くやりたいと考えております。
 薬価の調査、指導、監査に関する点は、総理がお答えになったとおりであります。
 分娩の現物給付の問題でありますが、これも御指摘のとおりでありますが、実際にはなかなか問題が多うございますので、よく勉強をいたしたいと考えております。
 出来高払いに対するいろいろな御指摘は、安恒議員からも、かつまた、ごく最近は現代総研から一つの提案がなされております。今日のいろいろな問題の原因が出来高払いにあることは御指摘のとおりでありますが、昭和十八年以来定着いたしました出来高払いをどのようにやるかということになると、これは非常に困難な大きな問題があるわけでありまして、簡単に出来高払いをいま変えるというわけにまいらぬことは御承知のとおりであります。
 なお、今度の改正案が国民医療費の抑制にはどの程度の効果を持つか、こういうことでありますが、御意見のとおり、本案の改正を機会に各方面あるいは各種の指導、監査を強化して、この抑制をするようにいたしたいと考えております。
 なお、国際障害者年を機会にひとつ障害者その他の施設あるいは国立病院に障害医療センターをつくってはどうか、これはきわめて有力な御提案でありまするから、総理府に設けられた特別委員会で検討してもらいたいと考えております。
 以上、お答えをいたします。(拍手、「答弁漏れ」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 財政当局といたしましても、ともかく一年間に三兆七千億円というような莫大な国費を医療補助として投入するわけでありますから、これに対しては最大の関心を持っておるのは当然のことでございます。したがいまして、医療費の肥大化に対してどうして歯どめをかけることができるかということは、私は一番重要な点だろうと思います。何と申しましても、私は、個人個人が自分の健康は自分が守るということで、やはり保健衛生思想の徹底、こういうことでできるだけ病気になることを防ぐ、そういうことが必要だと思い、また早期診断とか早期治療、こういうことも必要でありますから、病気になる前の予防、これを推進することが必要だ。厚生省でもやっておるところであります。
 二番目は、私は、何といっても、どんないい制度ができましても、それに携わる人が使命感を持たなければ、抜け穴というのはつくる気なら必ずできるのですから、やはり医道といいますか、医のモラルといいますか、医者になる人がまず何のために医者になるのか、こういうことについて、医学教育の過程を通じて、学問、科学だけじゃなくて、そういうような医のモラルについての教育をもっと徹底させるということが必要じゃないか、そう思っております。
 また、不正、濃厚診療等の防止もしたり、あるいはそれらを排除するために、ただいまお話があったように、指導、監査というものはもっと徹底をさせる必要がある、かように思います。
 また病院とか、あるいは高額医療機械等の適正配置、これも金さえあればだれが高額医療機械を買ってやってもいいのだという制度はいかがなものか、今後の検討課題ではないか。
 薬価基準の適正化は厚生大臣のおっしゃるとおりでございまして、ぜひやっていただきたいし、私どもとしては、やはりただということはどうしてもお互いに責任がなくなる、したがって一部負担の導入ということについて、これを今回の改正案でも額を引き上げてもらったということは私は大変結構なことだ、こう思っておるわけであります。家庭で寝てごろごろしているよりも病院に寝ていた方が経費が少なくて済むんだ、大した病気でもないのにその方が少なくて済むというようなことは、やはり乱用されるおそれがありますから、本当の病人は徹底的に治さなければならぬけれども、ただ、入院が悪用されるというような事態はどうしても避けるような工夫が必要ではないか。
 出来高払いの問題につきましては、これもいろいろお話があるとおり、なかなか一遍に他のものに変えるということは非常に困難でございますが、しかしながら、これはたゆまず検討を続けていく必要があるだろう、かように考えております。今回の健康保険法案の改正につきましては、衆議院における修正によって薬価調査や医療機関に対する指導、監査等、いろいろな一部負担の増加等の規定が盛られたことは、私はある意味において健全な保険運営に大変役立つものと考えております。
 以上であります。(拍手)
#11
○議長(徳永正利君) 答弁の補足があります。園田厚生大臣。
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(園田直君) 答弁漏れがございまして、深くおわびを申し上げます。
 富士見事件及び乱診乱療に対する対策、これは総合的な対策で、一遍ではございませんけれども、とりあえず厚生省内にこのような乱診乱療医療に対する国民の信頼を回復するという特別チームをつくり、参議院、衆議院の各委員の方からの御意見も取り上げて各県に医療相談所というのをつくることにいたしまして、早急にこれは発足をいたします。将来これはできれば市町村まで広げていって、そしてとりあえずはこのような不正事件、乱診乱療、こういうものを国民と一緒になって監視することが目的でありますが、将来は医師と国民をつなぎ、しかもその医療の主人公は国民であると、こういう体制を確立するためにやることが先決問題であると考え、そういう点から逐次各位の御協力も賜りながら成果を上げるようにしたいと考えております。
 次に、誤りの連続でありますが、趣旨説明の中で約半ページ言い落としまして、まことに申しわけありませんがお許しを願ってここで追加をいたします。
 最後の方でありますが、
 指導、監査に関する規定を整備すること等についての修正が行われたところであります。
 次に、船員保険法の改正については、健康保険法の改正に準じて所要の改正を行うものでありますが、船員保険法についても、衆議院において健康保険法に準じた修正が行われたところであります。
 次に、社会保険診療報酬支払基金法の改正については、社会保険診療報酬支払基金における審査について再審査に関する規定を整備するものであります。
 これだけ落としたわけであります。緊張の余り落としたわけでありますから、お許しを願います。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(徳永正利君) 渡部通子君。
   〔渡部通子君登壇、拍手〕
#14
○渡部通子君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま提案理由説明のありました健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして質問をいたします。
 医療の荒廃が叫ばれてすでに久しいわけでございますが、最近の医療をめぐる国民の批判は一段と厳しさを増しており、危機的状況にあると申しても過言ではございません。現行の健康保険制度が国民皆保険のもとで果たしてきた役割りは大きく、医療が私たちの身近になったその成果は私も率直に認めるところであります。しかし、一方、国民の医療費負担は不断に増大し、保険医療の質的低下をもたらしていることも否定できないと思うのでございます。この意味で、改正案を議論するに当たっては、単なる財政対策にとどまってはならず、いかに医療を健全化し、医療に対する国民の信頼を回復していくかという立場からその是非が論じられなければならないと思うわけでございます。
 ところで、衆議院より送付されました本案は、さきの通常国会における四党間の合意を十分に実現する努力を怠り、単に財政収支のしわ寄せを被保険者にかぶせるもので、従来、政管健保について保険料率引き上げと連動してきた国庫負担を凍結させようとすることは、とうてい賛成いたしかねる内容であることをまず明らかにしておきたいと思います。
 そもそも、修正前の政府原案は、保険料の引き上げと薬剤について患者に半額負担をさせることによって、平均保険給付水準を現行より五%引き下げ、八三%程度にして政管健保財政の収支を合わせることと国庫負担の抑制を目的とするものでありました。このようなねらいを持つ政府案が当初国会に提出されたのは二年六カ月も前の五十三年五月のことであります。
 その後の医療保険を取り巻く諸環境、特に政管健保財政は大きく変化をいたしました。すなわち、四十九年以来の赤字続きは、五十三年度決算で見込み額より三百七十三億円好転、百二十六億円の黒字、五十四年度も単年度で二十三億円の赤字にとどまっているのであります。また、四十九年度以降の財政悪化の要因も、石油ショックによる政府の経済運営の失敗がもたらした急激かつ異常な経済変動のもとで起こったことであり、それを直ちに被保険者負担に転嫁し、収支を合わせようとする態度は、医療保障としての社会保険を正しく理解する態度とは言い得ないと思うのであります。過去の累積収支不足額解消には慎重に時間をかけ、国民の納得の得られるような解決をすべきです。政府の従来の態度に強い反省を求めます。
 政府は、この点をどのように認識し、三たび同一の法案を本国会に提出してきたのか、その真意はどこにあったのか、まず明らかにしていただきたいと思います。
 私たちは、財政対策の域を出ない法律改正をする前に、医療費のむだの排除、医療をめぐる周辺問題の解決が先行しなければならないと主張し続けてまいりました。しかし、最近の一部病院で見られる乱診乱療事件は目に余るものがあり、しかも悲しいことに、国民の多くはそれら不祥事件を例外的存在だとは思っていないのです。また、事件を事前にあるいは初期の段階で防げなかった行政当局や同業の医師に対し不信感を高めております。
 行政の最高の責任を負う総理は、現状をどのように認識しているのか、また、医療及び医師に対する国民の信頼をどう回復しようとするのか、明確にしていただきたいと思います。
 また、こうした医療をめぐる不祥事件は、医師の資質を厳しく問うものであり、医療の根幹に疑問を投げかけております。
 言うまでもなく、医療に携わる人には、それにふさわしい資質が必要です。医学に対する鋭い理解力、判断力はもちろんのこと、それにも増して患者の心を理解する能力と強い責任感と誠実な人格が要求されております。しかし、現在の医学教育は、入学試験の段階から、また国家試験、卒業後の研修制度においても、医師として十分な資質を育てる体制にあるとはとても言い得ない状況です。大学側は、医学部を志す者に対し最小限必要な資質について明確にし、入学試験においてもすぐれた医学生を発掘し、六年間の教育の場でも厳しく使命感を育てていただきたいと思います。同時に、医学教育でもう一つのテーマは、卒業後の教育、生涯教育でございます。医療の技術水準と倫理の向上のため、体系化された卒後研修制度をより充実することが必要でございます。
 この際、医師の養成に当たる文部、厚生両大臣の、あるべき医師像に向かっての教育、研修についての考え方を明らかにしてください。
 さて、今日、わが国の国民医療費は、昭和五十四年度十一兆円と予測され、国民所得に占める割合は六%をすでに超えております。もちろん、医療費の増大の要因は単一ではありません。医学や薬学の進歩に起因する医療のコストの伸びなど必要な要因も少なくないことは言うまでもございません。しかし、それと同時に、乱診乱療とか、薬の過剰使用とか、検査の過剰といった望ましくないと考えられる要因も多く存在していることを指摘しないわけにはまいりません。
 そこで、薬剤の問題です。薬づけ医療の追放が進まないのは、現行の医療保険制度が薬で利ざやをかせげる仕組みになっているからであります。
 その原因の一つは、保険の基準価格と実勢価格との乖離です。現行薬価基準の算定は、品目別に実勢価格を調査し、安い価格から積み上げ計算をしていって、全体の九〇%に達したところの価格を基準としております。したがって、ほとんどの医療機関は薬価基準をかなり下回った値段で購入することとなります。安く仕入れて高く売ることが可能となれば、どうしても薬や注射を過剰に投与しがちになります。それが薬づけ医療をもたらす土壌になっており、医療の荒廃ぶりをそこに見ることができるのであります。その是正のためには、薬価調査を厳しく実施し、薬価基準を引き下げて実勢価格との差を解消する薬価の適正な把握と、そのための法的整備が必要であると考えます。さらに医療機関、製薬会社間の流通面の姿勢を正すことなど、厳正に対処していただきたいと思います。これら関係団体に対する指導を含めてどのように対処されるお考えか、明らかにしてください。
 次に、いわゆる検査づけと言われるものがございます。昨年度は、対前年度一八・六%も検査料の増大を招いています。現在のわが国の自由開業制のもとでは、高額な医療機器導入に際し何らの規制も受けておりません。
 それが真に医療サービスの向上につながるのであるなら問題はありません。しかし、医療機器を使いこなせないような病院が導入した場合、それが収入を上げるための検査づけを助長し、医療の荒廃を招く以外の何物でもないことを最近の事件は教えております。諸外国では、医療機器配置のガイドラインを設けるとか、導入に際し許可制を採用するなど適正配置に努めております。医療内容が伴わないのに機械だけ買い込むといった不必要な投資は厳に規制していかなければならない問題でございます。高額医療機器について共同利用を図るなど、患者のための適正配置推進についてどのような対策を準備しておられるのか、明確にしてください。
 それから、今日、国民皆保険のもとで受診者の多くが不合理を感じているものは保険外負担です。保険外負担の存在自体、医療保険の性格と矛盾するものであり、こういった問題はすでに論議の段階ではございません。解消に向けて対策が待望されております。重症者に対する看護、室料の特別加算制度が検討されていると聞いておりますが、どのような方法でこれらの保険外負担を解消していこうとしているのか、御説明願います。
 以上、何点か御質問申し上げましたが、最後に、医療に対する国民の不信、不安を払拭するため、厳正な医療行政を推進されることを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(鈴木善幸君) 広範にわたる御質問をいただきましたが、私からは主な点につきまして申し上げ、残余の点は所管大臣等からお答えをいたします。
 まず、健康保険法案提出の理由でありますが、先ほど厚生大臣の趣旨説明にもございましたとおり、人口の老齢化や医療の高度化により、医療費の伸びが賃金の伸びを大きく上回る状況が今後も続くものと予想をされるのであります。このような社会経済情勢の推移に対応するため、今回の法案を提出いたしたものでございます。
 医療の荒廃についてでありますが、崇高な倫理観の存在が期待される医の世界におきまして、富士見病院のような不祥事件が見られることはまことに遺憾であります。医療に携わる者すべてが常に心すべき問題であると存じます。
 あるべき医師像についてお尋ねがありましたが、生命の尊厳をだれよりも強く認識し、人間愛にあふれた医師であってほしいと存じます。医師の養成に当たっても、人間性の涵養ということを忘れないでこれを行わなければならないのであります。
 薬価問題につきましては、かねてからいろいろの問題点が指摘されておりますが、政府としては、薬価調査の厳正な実施による薬価基準の適正化を初め、その他の薬価問題解決のため引き続き努力してまいる所存でございます。
 差額ベッド、付添看護婦等の保険外負担の問題でありますが、さきの衆議院の審議の際における自社公民四党間の話し合いの経緯を踏まえまして、その改善に努力をしてまいりたいと存じます。
 今後の医療行政のあり方についてでありますが、医療制度のあり方、医療機関に対する指導監督の強化などの諸問題につきまして厚生省で目下検討を進めておりますので、逐次必要な改善を進めていく所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 第一の、今度の法案の提出に関してでありますが、総理から言われたとおり、老齢化、医療の費用がだんだんかさまってくる、経済社会情勢は厳しくなる、こういう状態で、政管健保の財政は一時好転したところではございますけれども、やはり医療費の増が賃金の伸びを上回る、こういう限りは赤字基調でございまして、現行制度のまま進むことはとうていこの健康保険の財政がもたないわけでありまして、先般四党で種々話し合いが行われた経緯もあって、このような御審議をお願いすることになったわけであります。
 乱診乱療事件については、総理から言われたとおりでありますが、しばしば委員会や本会議で申し上げましたとおり、各種の対策を講じて、そして一般のお医者さんがこういう乱診乱療のお医者さんと同じように疑惑を持って見られないように、一日も早くこの信頼を回復するように努めたいと考えております。
 医師の養成に当たる医師の像というのは、総理が的確に言われたところでありますが、厚生大臣から言えば、さらにその上に、国民に奉仕するお医者さん、お医者さんの下に国民があると、こういう考え方ではなくて、国民に奉仕するお医者さん、こういうのが理想であると考えております。
 なお、そのような理想が達成されるためには、医師の国家試験、医師の卒業後の臨床研修、生涯教育、これは特に大事でありまして、こういうものを通じて国民の期待にこたえるお医者さんをつくるように文部大臣ともよく相談をしてやりたいと考えております。
 薬価基準の適正化では、今般四党の調整によりまして、厚生大臣の権限を法定する修正が行われたわけでありますから、この改正が実現すれば、薬価調査の厳正な実施に非常に役立つものと考えております。その上で、薬剤の適正使用、製薬会社の販売姿勢の適正化等については厳しく指導していくつもりでございます。
 高額医療機器の問題については、まさに御指摘のとおりでありまして、共同利用の促進を図るために広域市町村圏を単位として医療関係者から成る共同利用対策部会を設置させて、基幹病院等を中心とする高額医療機器の共同利用、共同購入体制の整備等を図るほか、開業医の生涯教育を図り、かつ地域医療研修センターに高額医療機器を整備し、開業医の共同利用に供するなどのことをただいま検討しているところでございます。
 次に、保険外負担の問題でありますが、これはいろいろ問題がありますが、特に問題のあるのは、病院経営面での問題があるわけでありまして、病院に対する診療報酬体系において特別加算を設けるほか、問題の多い私立大学病院等については文部省ともよく相談をして解決を図ってまいりたいと思います。
 なお、この問題についても四党間の話し合いの経緯がございますので、この経緯も十分踏まえ、中医協の御意見等を聞いた上で、家計負担の軽減が図られるよう努力していく所存であります。
 国民の医療に対する信頼の回復、先ほどお答えしたとおりでございます。(拍手)
   〔国務大臣田中龍夫君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。
 御質問の内容は、文部省関係におきましては、現行の入学試験あるいは国家試験、卒業後の研修制度によります一環の医師養成システムでは医師の資質向上には不十分ではないかというような点であったと存じますが、卒業前の大学教育及び卒業後の臨床研修を中心といたしながらも、医療の特色といたしまして、生涯にわたりまする絶えざる勉強、絶えざる自己研修というものが必要であることは御存じのとおりでございます。また、卒業前教育の充実を図るための臨床実習においては、できるだけ少人数によります教育を重視いたしておりますが、特に新大学におきましては六カ年間の特に一貫したカリキュラムの編成等の工夫を行いまして、さらに卒業後の臨床研修の充実を通じまして医師の資質の向上に努め、また教育研修体制の充実に努力をいたしておるような次第でございます。
 次に、卒業後の研修制度の今後の拡充はどうかという御質問でありますが、卒業後の臨床研修こそがすぐれた医師の養成上最も重要視しなければならない問題でございます。本年七月、大学病院におきます臨床研修のあり方についてのガイドラインを取りまとめまして各大学の参考に供したところでございますけれども、これに示されました方針に従いまして、具体的な研修体制の整備について所要の条件整備に努めておる次第でございます。
 最後に、今後の医療行政のあり方を踏まえ、医師養成のあり方についての御質問でございました。
 私は、医師としての知識技能の習得ということはもちろん当然でございまするが、古来、医は仁術とも言われたように、その社会的な使命の認識、また人材の養成に留意をいたしまして、すぐれた指導者のもとでの厳しい訓練を通じて、人間の生命また身体の尊厳に対しまする自覚を培うことが何よりも大切である。信頼される医師の養成、これがわれわれの努力をいたす焦点でございます。
 以上、お答えいたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(徳永正利君) 沓脱タケ子君。
   〔沓脱タケ子君登壇、拍手〕
#19
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、健康保険法等一部改正案について総理並びに関係大臣に質問を行います。
 まず、総理は、本改正案の基本的な性格をどのように把握されているのか、御見解をお聞きしたいと思います。
 本改正案は、家族給付を入院に限り一割改善するなど一部改善はありますが、反面、初診時一部負担を八百円に、入院時一日五百円と、患者負担を増大させるのみか、保険料を大幅にいつでも引き上げることに道を開いております。この保険料引き上げが健康保険の累積赤字を六年間で解消する分にまで拡大されたことは、きわめて大きな問題でございます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 さらに重大なことは、患者、労働者の負担をふやしながら、国庫負担は現行に据え置くとしていることであります。そもそも、中小企業労働者で構成されております政府管掌健康保険が構造的に脆弱さを内包していることは自明のことであり、低賃金を反映して保険料収入は低く、労働条件と環境の劣悪さと深くかかわる疾病率の高さなど、政管健保の脆弱さは何ら労働者の責任ではなく、それゆえにこそ政府にこれを保護する責任があるのであります。国庫負担の据え置きは、結局、政府責任の放棄であり、中小企業とその労働者及び家族への負担の転嫁であります。
 桜田日経連会長が責任者でありました財政制度審議会は、繰り返し、受診抑制、患者の負担増を主張してまいりましたが、さきに指摘いたしましたように、本改正案の基本的性格は、国民に大幅な負担をかけるとともに、政府責任は放棄するというもので、結局、財界の意向に沿ったものであると断ぜざるを得ないのであります。これは、衆議院の審議で、わが党初め国民の強い反対に押されて、本人給付九割への引き下げやその撤回、初診料、入院料の一部負担自由化のたくらみなど、二転三転して送付された本案におきましても、本質的に少しも変わりはないではありませんか。総理の御見解をお聞きしたいと思うのであります。
 政府は、もともと改正案提出理由の一つに赤字の解消を挙げてまいりました。ところが、五十三年度は当初赤字見込み額二百四十七億円に対し、決算では逆に百二十六億円の黒字を出し、五十四年度は当初九百四億円、その後修正をいたしました百五十億円の赤字見込みに対して、わずか二十三億円の赤字決算になっておるのであります。それにもかかわらず、本案強行の態度を貫く理由というのは、累積赤字解消のために保険料の引き上げと患者への負担増で受診抑制をねらったもので、これこそ福祉切り捨て、国民の負担増で国家財政を再建するという自民党政府の路線の一環であり、本改正案は絶対に認めることはできないのであります。
 そもそも、政府は、国民の健康破壊についてどのように考えておられるのでしょうか、お聞きをしたいところであります。
 五十三年国民健康調査結果によりますと、九人に一人が病気にかかっていると報告されており、昭和四十年と比べまして二倍近くにもなっておるのであります。先日、一千匹の解剖所見から、犬の肺がんは工場街で高い発生率を示しているという研究報告が発表されております。大気汚染と肺がんの因果関係は言うに及ばず、各種の公害は今日人間の生存権を脅かすまでになっておるのであります。職場では、大企業の減量経営のもとで激しい労働強化、長時間労働の影響は憂慮すべき健康破壊を生み、大都市では四十代の男子労働者が過労のためと見られる疾病による死亡率の上昇という新たな傾向まで出てきているのであります。このような国民の健康破壊は、まさに大企業優先の自民党政治の産物であります。これらの点について、総理はどのような認識をお持ちになっているのか、お聞きをしたい。そして、国民の健康を守るためにも公害対策の抜本的な強化、そして労働時間の短縮や労働条件の改善を積極的に推進すべきだと考えておりますが、所見をお聞きをしたいのであります。
 また、わが国の場合、医療費に占める薬剤費は昭和五十三年度で三四・二%と、主要諸国の中でも異常な高さを持っているのであります。その上、最近は検査料の増高が顕著な傾向にあります。これがいわゆる薬づけ、検査づけと言われ、医療のゆがみになっているのであります。医療のゆがみを生み出す根底には、製薬大企業や高額医療機器メーカーが保険制度に寄生して、医療機関に猛烈な販売攻勢をかけ、大もうけをしているという実態があるのであります。政府は、いまこそ本気になって医療のゆがみを正すためにも、大製薬メーカーの大もうけを抑えて、薬価を引き下げ、医師などの技術料を適正に評価する診療報酬体系の確立に努力すべきではないでしょうか。また、医療機器の適正配置、共同利用への道を講ずべきであると考えますけれども、この点についての厚生大臣の御所見をお伺いしたいのであります。
 今日、国民の健康が悪化しているにもかかわらず、政府は、予防、公衆衛生を軽視し、治療、リハビリテーションなどの一貫体制の確立についても対策を怠ってきたのであります。そのことが医療費増高をもたらす一因にもなっているのであります。疾病構造の変化により脳卒中など成人病が増加し、後遺症軽減のための機能回復に欠かせないリハビリテーション充実の必要性は切実になっているのであります。ところが、厚生省は、いまだに作業療法士、理学療法士などリハビリ専門職の養成計画さえ持っていないのであります。高齢化社会を迎えつつある今日、また障害者の機能回復促進のためにも、政府はこの際、専門職の養成、施設整備を含めた総合的なリハビリ対策推進の年次計画を作成し、国会に提出すべきであります。厚生大臣の御答弁を求めます。
 また、富士見病院事件を契機といたしまして、いま国民の間に医療不信が広がりつつあります。医師法違反や脱税、不正請求など、絶対に許されないものだし、厳しく対処すべきであります。同時に、医療不信をなくし、国民の健康を守るためにも、予防給付や訪問看護制度を確立することや、地域住民と密着した医師の健康相談活動などを政府が正当に評価し、医療政策に取り入れる必要があるのであります。
 また、将来方向といたしましても、各地域ごとに住民が参加する地域保健・医療委員会をつくり、医療における国民参加の原則を具体化する必要があります。これが、いつでも、どこでも、安心して医療にかかれる体制づくりであろうと思うのでありますが、この点に対して厚生大臣の所見を求めます。今日、労働者の実質賃金はマイナスとなっております。政府はその上、来年度、所得税や酒税、物品税などの増税を検討しておりますが、国民にとりまして、これでは増税と社会保険料の大幅引き上げ等々二重三重の打撃となるのであります。このような低福祉高負担、労働者の生活と健康破壊につながる本法案は速やかに撤回すべきであると強く要求をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 今回、患者一部負担の増額をお願いしておるわけでございますが、その程度は、最近における消費者物価の動向などとの比較から考えましても、受診の抑制効果を持つような大幅なものではないと考えております。国庫負担を当分の間給付費の一六・四%に据え置くことといたしましたが、医療保険は本来保険料負担で賄うのが基本であります。わが国では制度が分立しておりますため、各制度の実情に応じて、バランスを考えながら、補完的に国庫負担をいたしておるのでありますが、一六・四%という国庫補助率は必ずしも低いものではないと考えております。国の財政事情からすれば精いっぱいのものであります。私は、国庫補助率の据え置きが政府の責任の放棄であると考えておりません。
 環境破壊、長時間労働などが国民の健康破壊の原因になっておるのではないかとのお尋ねがありました。
 政府は、国民が健康な生活を営めるよう、各般の施策の充実に努めてきておるところでありますが、労働面においても、労働災害、職業性の疾病の防止を重点課題とし、職場における生命と健康の確保に積極的に取り組んでいるほか、労働時間の短縮についても、労使の自主的努力を促進しながら、その推進に努めているところであります。
 自余の点につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(園田直君) お答えいたします。
 薬価、技術料、こういうものを適正にして医療のゆがみを正せという御意見は全くそのとおりでありまして、そのために、社会保険診療報酬で市場価格を適正に把握して、薬価基準の改定、医学の進歩に即応する技術料の評価、こういうものを具体的になるべくやるようにいろいろ検討してみたいと考えますが、診療報酬体系を抜本的に改めろと御指摘の点は各所からあるところでありますが、なかなか問題もありますので十分勉強したいと考えております。
 リハビリテーションの要員、専門職、これの指導、それから資格、こういうことについて厚生省はなるべく早くそういう計画をつくって、そしてこの要員を充実強化すべきだ、これは御指摘のとおりでありまして、そのように努力をしてまいりたいと思いますが、早急に年次計画を国会に出せとおっしゃることは、なかなか早急に出すことは困難でございますので、御理解を願いたいと思います。
 なお、医療機関と国民の信頼を確立するための提言、これは全く私もそのとおり考えておりまして、いま御承知のとおりに広域市町村圏を単位として、医療関係者、地域住民の代表者、市町村長、こういう方々の参加を得て設置して成果を上げているところでありますが、さらに今般は富士見病院に端を発して各県に医療相談所をつくり、将来はこれを市町村にまで伸ばして、いま御指摘のような方向で努力検討する所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○副議長(秋山長造君) 柄谷道一君。
   〔柄谷道一君登壇、拍手〕
#23
○柄谷道一君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま趣旨説明のありました健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、総理並びに厚生、大蔵両大臣の見解をただすものであります。第一は医の倫理の確立についてであります。埼至県所沢市の富士見産婦人科病院の常識を超えた犯罪行為、医療法人十全会グループの株買い占めと脱税事件、豊洲厚生病院のから診療請求、さらに昭和五十四年度だけで史上最高の十億三千八百万円もの医療費の架空請求や水増し請求など、最近相次ぐ医療の荒廃に対して、心ある国民はこれを憂い、強い憤りの気持ちを持っております。そして国民の中に、これら一連の事件は氷山の一角であり、多くの医療機関でも不正が行われているのではないかという疑念が広がりつつあることもまた事実であります。
 医療の正しい実践を望むためには、医師、歯科医師と患者とのよい人間関係を前提とした医療の主体性、すなわち相互の信頼関係、秘密保持、医療の非画一性、医師選択の自由などが十分に確保されることがその基盤であることは論をまちません。
 もちろん、私は、真摯に国民の生命と健康を守るために尽力されている多くの医師がおられることを十分承知しております。しかし、こうした一連の不正事件を放置すれば、悪貨が良貨を駆逐すると言われるように、良心的医師の医療行為や請求事務まで悪影響を及ぼし、ついには医療界全体を崩壊させるおそれのあることを指摘せざるを得ません。このためには、問題を起こした医療機関に対して厳正に措置するとともに、医の倫理の高揚を図らなければなりません。
 医の倫理の基礎は、政治を含めた社会全体の倫理の向上と、医学教育における医師の使命感の醸成が図られなければならず、各職種の自主的団体が中心となってこれを推進するとともに、必要に応じ妥当な範囲でその制度化を図ることが必要であると考えますが、総理の見解と具体的方策を示していただきたいのであります。
 第二に、医療保険制度の前提諸条件の整備についてお伺いいたします。
 医の倫理の確立とあわせ、今日までたびたび公的審議会が建議し、提言している医療制度の抜本的改革を断行することは喫緊の政治課題であります。政府は今日まで医療保険の財政対策にのみ終始し、医療教育体制の改革、医療機関の適正配置と機能の明確化、専門医制度の確立と医療従事者の充実、公的医療の役割りの拡大、診療報酬体系の是正、現実に即した医薬分業の推進、さらに進んで医と検査の分業や患者の苦情処理など多くの問題について審議会の答申を軽視し、その改革を怠ってきました。その責任は重大と言わなければなりません。特に、「診療報酬の適正化が成果を上げていないことが、保険医療に絡まる問題の根源の大半である」として、四十六年九月、社会保障制度審議会が行った中医協の改組を含む建議がその後全く実現されていないことは全く遺憾と言わざるを得ません。医療制度の抜本改正を勇断をもって実行に移さなければならぬと考えますが、総理並びに厚生大臣の明快な答弁を求めます。
 第三に、高額検査機器の対策について質問します。
 昭和五十四年度の「社会医療等の調査」によりますと、検査料は前年比一八・六%増となり、医療費全体に占める割合も一割を超え一〇・六%に達するなど、最近における検査料の急増が目立ちます。このような事態を招いた大きな原因は、たとえば医療機関が競って高額医療用電子機器等を購入し、その償還のため必要以上に検査している傾向を見逃すことはできません。正確な検査が必要であることは十分理解しますが、高額機器を駆使するにはそれなりの技術と正確に映像を判定し得る体制が必要であります。このため高額医療機器を装備する医療機関について、一定の基準を設けて許認可制度とするか、各地域において共同で利用できる検査センターを設置するなどの措置を講じ、検査づけと言われる現状を是正することが国民に期待されている医療改革の第一歩ではないでしょうか。検査づけを含め薬づけを是正するため、今後具体的にどのような対策を講ずる方針であるのか、厚生大臣の答弁を求めます。
 第四は、監査と審査の強化についてであります。
 現在、保険医療機関等の監査を行う医療専門官が都道府県に配置されていますが、その人員はわずか七十六名と、定員の百七名にも満たず、県によってはいないところがあるなど必ずしも十分な監査がなされていない実態にあります。不正請求をなくすため、医療専門官がその使命を十分遂行できるようにするなど、監査体制を早急に充実すべきでありますが、当面どのような施策を講ずるのか、具体的な答弁を伺いたいのであります。
 また、社会保険診療報酬支払基金の審査支払い業務を強化することも、このような不正請求を解消するために不可欠な課題であると考えます。私は、この際、審査運営の実態を見直し、審査委員会委員の選任基準の明確化、統計的資料の整備と活用による医療機関の診療傾向を把握した上での重点審査の実施、審査基準の合理化、職員の責任と権限の明確化、審査委員の拡充などその機能を高め、あわせて財務運営の基盤確立や組織機構の改善が必要であり、そのため基金法を抜本的に改正すべきであると考えますが、これらの改革について政府の見解をただします。
 次に、本法案の内容について質問します。
 まず、国庫負担の連動についてであります。現行法では保険料の引き上げに対応して国庫補助を連動する規定がありましたが、改正法案では、この連動規定を削除するのみならず、当分の間現在の一六・四%を凍結する内容となっております。国庫補助は保険料とともに保険財政を担うものであり、保険者と被保険者の負担増によってのみ保険財政の再建を図る姿勢を容認することはできません。こうした見地から、私は現行どおりの連動規定を改正法案に取り入れるべきだと考えますが、厚生、大蔵両大臣の所見を伺います。
 さらに、累積赤字の処理について、改正案では保険料をもって六年間で償還するとなっていますが、政府は医療費のむだの排除など効率的な医療資源の配分によって累積赤字の解消に全力を注ぐべきであり、赤字が出れば保険料の値上げで補うという安易な姿勢はとうてい国民の理解が得られるものではないと信じますが、その決意と取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、差額ベッド及び付添看護料といった保険外負担の解消について、自社公民の四党で合意がなされましたが、政府は今後具体的にどのような施策をもって四党間の合意を誠実に実施するのか、その内容を確認しておきたいと思います。
 今後の社会保障の計画的向上は、何よりも社会的公正という見地から推進しなければなりません。したがって、健康保険制度の抜本改正は本人と家族の医療給付の統合を目指すべきであり、可及的速やかにその同一給付を実現するよう強く政府に要求して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 医療は、医師と患者の信頼関係の上に初めて成り立つものでございます。御指摘のように、医の倫理の基礎は、政治を含めた社会全体の倫理の向上と、医学教育における医者の使命感の醸成にあるということを御指摘がございましたが、私もそのとおり全く同感でございます。今後、医師の養成、教育につきましては、特にこの点に留意をいたしまして努力してまいりたいと考えております。
 医療保険制度の前提諸条件の整備について政府の取り組み方はどうかとのお尋ねがございました。
 詳細につきましては後ほど厚生大臣から答弁をいたしますが、御指摘のようないろいろの問題につきましても真剣に取り組んでまいらなければならないところでございます。しかしながら、他方において医療保険制度それ自体の合理化も急を要する問題でありますので、御提案しておりますような制度の改正をお願いいたした次第でございます。
 政管健保の累積赤字についてのお尋ねでありますが、お説のとおり、医療のむだの排除についてはでき得る限りの努力をしてまいらなければならないと存じます。しかし、医療費は人口の老齢化、医療の高度化などの影響によりまして今後も上昇を続けることは避けられない見通しでありますので、累積赤字の処理には受益者である被保険者の協力を求めざるを得ない状況でございます。御理解を賜りたいと存ずるわけでございます。
 自余の点は所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 医療保険制度の改善については、今般四党間で特に真剣に話し合いをし合意されたと承っております。まさにきわめて重大な点であります。
 なお、審議会の建議等にもありますように、中医協の改組の問題がありますが、中医協は御承知のとおり長い歴史があり、それぞれの側に言い分があるわけでありますから、直ちにこれに御提案の措置をとることはむずかしいところでありますが、しかし、その趣旨を踏まえて十分検討し努力をしたいと考えております。
 診療報酬体系の改善についても、今後とも御趣旨を踏まえて努力する覚悟であります。
 なお、高額医療機器あるいは薬づけの問題でありますが、先ほども申し上げましたとおり、高額医療機器の共同利用、共同購入、あるいは地域等において適正な配置をして、これが十分適正に利用され、検査づけ、あるいはその他にならないようただいま検討しているところであります。
 なお、薬価基準の適正化、これもきわめて必要でありまして、必要以上の投薬や検査が行われることのないよう保険医療機関の監査、指導を適正に進めていきたいと考えております。
 次に、各専門官、監査体制等の問題でありますが、この充実についてこれまた四党で話し合いがなされたことで、この問題の重要性は十分認識をしておるところでありますが、特に指導、監査の中核となる医療専門官の充実は今後とも積極的に推進してまいらなければならぬ問題でありますが、ただ、この専門性のゆえに人材の確保がきわめて困難でありまして、処遇の改善と相まってこの困難を克服して確保に全力を尽くしたいと考えておりますので、御支援を賜りたいと考えております。
 次に、社会保険診療報酬支払基金についてでございますが、支払基金の審査支払い業務のより円滑かつ公正な運営を図れとの御趣旨は、その御指摘の点も十分踏まえて、重点審査の実施など支払基金の審査支払い体制の充実に努めてまいる所存でございます。
 次に、累積赤字その他については総理からお答えになりましたので、私は重複を避けます。
 最後に、保険外負担の解消については御指摘のとおりでありまして、重症患者に対する看護のための特別加算、重症患者を個室または二人部屋に収容した場合の特別加算、歯科診療における保険適用の範囲の拡大として、唇裂、口蓋裂患者の歯列矯正、小児歯科関連項目等の取り入れの措置を講ずることによってその解消を図りたいと考えております。
 以上、お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(渡辺美智雄君) 国庫の補助率を連動させて、現在の一六・四というような暫定的にしろ固定することはいけない、こういうような御趣旨でございますが、現在の財政事情からして、さらにこれを連動させて増額するということは事実上不可能に近いような状態でございます。先ほども言ったように、医療費については総額で三兆七千億円に及ぼうとするほどの莫大な国庫補助金が全体として投入されておりまして、これを連動させると、ほかのところにもみんな関係が出てくるわけでございますし、出来高払い制ではともかく医療費がどうしてもふえがちだと、これも事実でございます。したがって、現在の中で、さらに薬価基準と実勢価格の乖離というようなものもかなりの金目になるということが言われておるし、あるいはいま御指摘があったような濃厚診療、不正請求、こういうようなものもやはりこれはもう厳正になくしてもらうというようなことをすればまだまだ余裕が出てくるはずでありますから、私どもとしては、現在諸般の情勢から見てもこれを連動させるようなことはできない、かように残念ながら考えております。(拍手)
#27
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#28
○副議長(秋山長造君) 日程第一 地方支分部局の整理のための行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 日程第二 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、四国行政監察支局等の設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)
 以上両件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長林ゆう君。
    ―――――――――――――
   〔林ゆう君登壇、拍手〕
#29
○林ゆう君 ただいま議題となりました二案件につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、地方支分部局の整理のための行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案は、行政機構の簡素化を図るため、行政管理庁ほか七省についてその地方支分部局の整理再編成を行おうとするものでありまして、
 その第一は、行政管理庁の中国管区行政監察局及び四国管区行政監察局を統合して、中国四国管区行政監察局とし、同局に四国行政監察支局を置くこと、
 第二は、法務省の札幌ほか十三の入国管理事務所を東京ほか七の入国管理局及び二支局、四出張所に再編成すること、
 第三は、大蔵省の北九州財務局及び南九州財務局を統合して九州財務局とし、同局に福岡財務支局を置くこと、
 第四は、厚生省の中国地方医務局及び四国地方医務局を統合して中国四国地方医務局とし、同局に四国地方医務支局を置くこと、
 第五は、農林水産省についてのものであり、昭和六十年三月三十一日までに、国有林野事業の改善に関する計画につき必要な検討を加え、その結果に基づいて営林局を統合するために必要な措置を講ずるものとすること、
 第六は、通商産業省の名古屋鉱山保安監督部と大阪鉱山保安監督部並びに広島鉱山保安監督部と四国鉱山保安監督部をそれぞれ統合すること、
 第七は、運輸省の新潟海運局及び関東海運局を統合して関東海運局とし、同局に海運監理部を置くこと、
 第八は、建設省の筑波研究学園都市営繕建設本部を廃止することであります。
 なお、四国行政監察支局、福岡財務支局及び四国地方医務支局は、いずれも昭和六十年三月三十一日までに廃止するものとすることといたしております。
 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、四国行政監察支局等の設置に関し承認を求めるの件は、ただいま申し上げました法律案による地方支分部局の整理再編成に伴い新たに設けられることとなる四国行政監察支局を高松市に、福岡財務支局を福岡市に、四国地方医務支局を高松市に、中部近畿鉱山保安監督部大阪支部を大阪市に、中国四国鉱山保安監督部四国支部を高松市に設置することについて地方自治法に基づく国会の承認を求めようとするものであります。
 委員会におきましては、以上の二案件を一括して審査し、六人の参考人より意見聴取を行うとともに、中曽根行革の基本的な進め方、今回の整理再編成と行政サービスの維持向上との関連、サン・セット条項の意味合い、当該機関職員の処遇問題、鉱山保安監督部長の権限移譲問題、国有林野事業改善特別措置法との関連等につき質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終わり、別に討論もなく、順次採決の結果、法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定し、承認案件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、法律案に対し矢田部理事より、行政サービスの低下を来さないよう配慮することなどを要望する各派共同提案に係る附帯決議案が提出され、全会一致をもって当委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○副議長(秋山長造君) これより採決をいたします。まず、地方支分部局の整理のための行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#31
○副議長(秋山長造君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、四国行政監察支局等の設置に関し承認を求めるの件の採決をいたします。
 本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#32
○副議長(秋山長造君) 過半数と認めます。
 よって、本件は承認することに決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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