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#1
第093回国会 本会議 第11号
昭和五十五年十一月二十六日(水曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十一号
  昭和五十五年十一月二十六日
   午前十時開議
 第一 日本原子力船開発事業団法の一部を改正
  する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第二 郵便法等の一部を改正する法律案(第九
  十二回国会内閣提出、第九十三回国会衆議院
  送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、故元議員塩見俊二君に対し弔詞贈呈の件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 さきに院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員塩見俊二君は、去る二十二日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、この際、同君に対し、院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞は議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。議長において起草いたしました弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くし特に院議をもつて永年の功労を表彰せられまた国務大臣としての重責にあたられました元議員正三位勲一等塩見俊二君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
 弔詞の贈呈方は、議長において取り計らいます。
     ―――――・―――――
#5
○議長(徳永正利君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、中央更生保護審査会委員に貞閑晴君を、
 電波監理審議会委員に前田陽一君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#6
○議長(徳永正利君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(徳永正利君) 日程第一 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長太田淳夫君。
   〔太田淳夫君登壇、拍手〕
#8
○太田淳夫君 ただいま議題となりました日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、わが国における原子力船の開発を推進するため、現在の日本原子力船開発事業団を改組し、従来の原子力船開発業務に加えて、開発に必要な研究業務を行う日本原子力船研究開発事業団とするとともに、本年十一月三十日までに廃止するものとされている事業団法の廃止に関する規定を改正し、昭和六十年三月三十一日までに事業団を他の原子力関係機関と統合する方針を明らかにしようとするものであります。
 委員会におきましては、内閣総理大臣の出席を求め、また参考人の意見を聴取する等、長時間にわたり熱心な質疑が行われました。
 質疑で取り上げられた主な点は、原子力船の今後の開発計画と実用化の見通し、原子力船「むつ」の放射線漏れ問題についての責任の所在、「むつ」の改修工事の進歩状況、「むつ」の新母港選定をめぐる諸問題、事業団を他の原子力関係機関と統合するに当たっての条件と手順等の諸点でありますが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党八百板理事、日本共産党佐藤委員よりそれぞれ反対、自由民主党・自由国民会議後藤理事、公明党・国民会議塩出理事、民社党・国民連合小西委員よりそれぞれ賛成の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#9
○議長(徳永正利君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#10
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#11
○議長(徳永正利君) 日程第二 郵便法等の一部を改正する法律案(第九十二回国会内閣提出、第九十三回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まずへ委員長の報告を求めます。逓信委員長福間知之君。
    ―――――――――――――
   〔福間知之君登壇、拍手〕
#12
○福間知之君 ただいま議題となりました郵便法等の一部を改正する法律案について、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、本法律案の主な内容についてでありますが、その第一は、郵便事業の運営に要する財源を確保するための郵便料金の改定でありまして、法定料金である封書の最低重量区分の料金を現行の五十円から六十円に、葉書の料金を現行の二十円から今年度中は三十円に、来年度から四十円に改めることを骨子としております。
 その第二は、いわゆる料金法定制の緩和でありまして、郵便事業財政の現状にかんがみ、郵便事業の累積欠損金が解消されるまでの間、当該年度が赤字の場合に限り、一定の範囲内で、郵政大臣が郵政審議会に諮問した上で封書及び葉書の料金を定めることができる臨時の特例を設けようとするものであります。
 その他、利用者に対するサービスの改善を図るため、郵便切手及び収入印紙の交換制度の新設や、いわゆるコマーシャル葉書等の発売の道を開くための改正等を行おうとするものであります。
 なお、郵便料金改定等の施行期日につきましては、政府原案では「昭和五十五年十月一日」とされておりましたが、衆議院において「公布の日から起算して四十日を経過した日」とする修正が行われております。
 委員会におきましては、本法律案の重要性にかんがみ、公聴会及び物価等対策特別委員会との連合審査会をそれぞれ開催し、また、鈴木総理の出席を求めるなど慎重な審査を行いました。
 委員会における主な質疑事項は、財政民主主義に基づく財政法第三条の立法精神と郵便料金法定制緩和の是非、郵政審議会の機能強化、新聞など定期刊行物の第三種料金大幅値上げの再検討、小包郵便の収支改善策、人事制度の運用、労使関係の改善などでありましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終え、討論に入りましたところ、日本社会党の大森委員より反対、自由民主党・自由国民会議の成相委員より賛成、公明党・国民会議の太田委員より反対、日本共産党の山中委員より反対、民社党・国民連合の中村委員より反対の旨のそれぞれの会派を代表しての発言がありました。
 討論を終え、採決の結果、本法律案は賛成多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、委員会は、全会一致をもって、法定制緩和に伴いますます責務の重大化する郵政審議会の機能強化、新聞など定期刊行物の第三種料金大幅値上げの抑制など五項目の附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(徳永正利君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。大森昭君。
   〔大森昭君登壇、拍手〕
#14
○大森昭君 私は、日本社会党を代表いたしまして、郵便法等の一部を改正する法律案に対し反対の意見を表明するものであります。
 反対理由の第一は、現在の物価情勢から見て、国民の日常生活に直接的、間接的、心理的に影響の大きい郵便料金は、値上げすべきではないということであります。
 政府は、物価問題はすでに解決したという認識に立ち、公定歩合の引き下げや預金金利の引き下げなど一連の景気浮揚対策を打ち出し、物価抑制から景気浮揚へと政策の重点を転換しようとしておりますが、しかしながら、本年度の消費者物価上昇率の政府目標六・四%の達成については、委員会の中で何回質問いたしましても、私どもが何ら納得できるような説明を得られません。政府は目標達成をすでに断念していると受けとめざるを得ないのであります。
 政府は、郵便料金の値上げは物価目標に織り込み済みであるという理由により値上げを強行しようとしているわけでありますが、政府の公約した目標達成が困難であるという状況においては、政府事業である郵便料金の値上げは当然再検討されるべきものであり、それすら行われないことは、鈴木総理の所信表明における、物価の安定こそ国民生活を安定させる基礎条件であるという言葉に逆行するものであります。
 次に、反対理由の第二は、郵便料金の法定制緩和であります。憲法に定める財政民主主義の理念を踏みにじり、また、郵便事業の高度の公共的使命を否定する暴挙であるということであります。
 申すまでもなく、郵便は、民主主義社会の基礎をなすコミュニケーションの最も基本的な手段としてきわめて高度の公共性を有しており、郵便法第五条によって国の独占が明確に規定されているところであります。憲法に定める財政民主主義原則に基づき、財政法第三条には国の独占事業料金の法定主義が厳然と規定されているのでありまして、郵便料金は法律によって決定しなければならないことは条文上きわめて明白であります。
 しかるに、政府は、財政法第三条を拡大解釈し、法律に厳しい要件を付して郵政大臣が定めるので、財政法第三条に違反しないと強弁をしております。そもそも三条制定以来の立法経過を無視し、全くその説明はこじつけで、まさにわれわれの主張に何ら根拠のない答弁をいたしまして、明らかに財政法第三条の立法の精神から見て同条に違反することは明白であります。郵便料金には、創業以来の伝統ある料金体系、料金政策が存在するのでありますが、今後は一片の省令改正によってすべてが変更され、あるいは実施できるものであり、今回の提案は財政民主主義を全く空洞化するものと断ぜざるを得ないのであります。
 また、政府は、法定制緩和の理由として、郵便の独占度が低下したとか、国民生活上の必要度が薄れたとか、郵便の地位の低下をことさら強調しているのでありますが、通信手段が多様化しつつあるとはいえ、郵便は依然として国民の基本的通信手段であることにおきましては、いささかも変わりはありません。信書の送達が国の独占であることについても何ら変わらないところであります。今回の政府の姿勢は、明治初年の創業以来、幾多諸先輩が営々として築き上げてきました郵便事業のよき伝統をまさに根底から覆すものであり、また、郵便事業の持つ高度の公共的使命を政府みずから否定するものでありまして、われれわは断じて容認できないところであります。
 反対理由の第三といたしましては、郵便事業の財政再建計画や事業の将来展望が全く明らかにされていないということであります。
 法定制緩和は、郵便事業の累積赤字が解消されるまでの特例措置であるということでありますが、それならば郵便事業の財政再建計画を明らかかにし、特例措置解消の時期を国民の前に示すべきであります。政府は、本法案審議の過程において、苦しまぎれに、今後十年間に二回程度の料金値上げを行えば累積赤字は解消するという見通しを発表したのでありますが、十年間に二回の値上げで済むならば、わざわざ法定制を緩和する必要はないのであります。提案理由の中で、適時適切に弾力的な料金改定を行うためという法定制緩和とは明らかに矛盾するところであります。まことにずさんな見通しであると言わざるを得ません。
 特に、郵便事業の原価計算によれば、郵便財政の赤字のほとんどは小包郵便により生じていることが明らかであり、したがって、政府はこの際、小包郵便のあり方について抜本的方策を検討し、小包郵便の今後の方向を国民の前に明らかにすべきであります。しかるに、政府は、何らその方策を示さないまま、安易な料金改定によって、競争事業である小包郵便の赤字を政府独占である信書送達の料金に転嫁させているのでありますが、この姿勢は、郵便独占の上にあぐらをかいて、その経営努力を怠っていると断ぜざるを得ないのであります。
 また、情報化時代の到来や通信手段の多様化などにより、いまや郵便事業は重大な転機に立たされており、新時代における郵便のあるべき姿や事業の将来展望について国民の前に明らかにすべきであることを幾たびか私どもは要求しておりますが、特に料金値上げや料金法定制緩和を内容とする重要な法案を提出するからには、当然それを示すことが先決であるにもかかわらず、今回の法案審査によっても何ら事業の具体的将来展望が明らかにされないのであります。国民から郵便事業を負託されておる経営責任者として、まことに無責任きわまりないと言わざるを得ないのであります。
 反対理由の第四は、郵政審議会の改善について何らこれまた具体的方策が示されておらないことであります。
 もちろん、われわれは本法案の成立に反対でありますが、与党の多数をもってこれが成立した暁には、郵便料金の改定は国会にかわって郵政審議会が審議することになり、同審議会の任務と責任はまことに重大となるのでありますが、現在の郵政審議会には、国会にかわって民意を反映できるような機能は全く認められません。委員の大部分が財界の代表や官僚出身によって占められ、しかも審議が非公開で行われている同審議会の現状を見るとき、これは結局、形式は民主的な行政体制を擬制しながら、実質的には郵便料金の決定を政府の恣意にゆだねるための隠れみのであると断ぜざるを得ないのであります。郵便料金の法定制を緩和するからには、少なくとも郵政審議会の抜本的民主化と機能強化が不可欠であることを強く指摘するものであります。
 以上申し上げましたとおり、本法案は、財政民主主義の理念に違反し、また、百有余年の伝統ある郵便事業の公共的使命をも否定する悪法でありまして、われわれは本法案に強く反対するものであります。
 最後に、高度の労働集約型産業である郵政事業においては、労使の信頼関係の確立こそまさに経営の基本であり、郵政当局は、従来の行きがかりを捨て、郵政労使関係の抜本的改善のために格段の努力を払うべきであることを強く要求いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#15
○議長(徳永正利君) 白木義一郎君。
   〔白木義一郎君登壇、拍手〕
#16
○白木義一郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております郵便法等の一部を改正する法律案について反対討論を行うものであります。
 反対の第一の理由は、財政民主主義を否定する郵便料金の法定制の緩和を図っているということであります。
 郵便料金は、言うまでもなく政府の独占的な事業であり、それゆえに国会において料金の引き上げを審議し議決を受ける義務を有しております。この意味で、法定制緩和の導入は、憲法、財政法で明記された財政民主主義の原則を葬り去るとともに、国会の財政コントロールをなし崩しにするきわめて危険な暴挙と言わねばなりません。法定制の緩和が断行されている国鉄を例にとるならば、国鉄運賃の改正は、卸売物価、消費者物価、賃金指数を基礎にした物価変動率を用いて算出された経費増加額の範囲内で行うことができるとし、この制度の中で、五十四年度に八・八%、五十五年四月に五・一%、さらに来年度もまた九%を超える運賃改定をもくろんでおり、連年の大幅値上げが繰り返されているのであります。本改正案における法定制緩和の措置も、値上げに明け暮れる国鉄の二の舞を踏む危険な法定制緩和と言わざるを得ません。
 また、本改正案において「当分の間」としている法定制緩和も永久に続くおそれがあるばかりか、たとえ現存の累積赤字が解消して黒字に転じた場合も、その先は恒常的な法定制緩和を企図しているということであります。その上、社会経済情勢の変化に適切に対処するための弾力的な料金改定を目的とする法定制緩和であるにもかかわらず、実際の運用に当たっては弾力的な料金改定は行われ得ないという矛盾があることであります。法定制緩和の導入は、全国民を代表する国会の議決を免れたというだけにすぎず、その結果は料金引き上げの連続だけであり、国民生活を無視する措置以外の何物でもないことは明白であります。
 反対する第二の理由は、郵便事業財政の健全化を真に達成できる再建計画が全くないということであります。
 二千億円を超える累積赤字を抱えている郵便財政の再建について、基本的には、利用者の要求にこたえる適切なサービスを図り、郵便需要を拡大することによって増収を図ること、経営の徹底した合理化、効率化を図ること、やむを得ない郵便料金の値上げの三つのやり方があるはずであります。しかし、郵便需要の拡大や経営の合理化、効率化については、政府の施策には全く見るべきものがなく、料金の値上げにのみ頼るという最も安易な手段をとろうとしております。このような親方日の丸的な経営姿勢は、国民の郵便離れを引き起こし、郵便制度の崩壊を招きかねません。
 政府は、昨年八月に策定した新経済社会七ヵ年計画の中で、「厳正な公共料金政策」をとることとしており、特に「現在大幅な赤字を抱えている企業体については、早急に再建計画を確立して、企業体の徹底した経営合理化を進めることを基本としつつ、企業体、利用者、行政それぞれの役割りを明らかにし、国民の理解を求めながら企業再建に努める。」とはっきりうたっているではありませんか。しかし、政府が公表した「郵便事業損益計算見込」では、向こう八年間に三度の値上げを行うことが示されているだけであり、とうてい再建計画と呼べるものではありません。企業体としての徹底した経営合理化や郵便需要の拡大策を織り込んだ再建計画を国会に提出し、しかる後に郵便料金の値上げ案を国会で審議するのが筋でありますが、このような措置が全くとられておりません。
 反対理由の第三は、最近の消費者物価の高進の中で、政府みずから物価上昇の基盤をつくっているという点であります。
 政府は、本改正案において、国民大衆が最も利用する封書を五十円から六十円に、葉書を二十円から四十円にするなど、三九・三%という大幅値上げを図っております。郵便法の目的は、その第一条に「この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することにょつて、公共の福祉を増進することを目的とする。」と定めております。この郵便法の精神に照らしても、今回の大幅値上げを認めるわけにはまいりません。
 政府は、値上げに伴う消費者物価への影響は〇・〇七%の軽微にとどまるとしておりますが、国民生活に及ぼす影響ははなはだ大であります。最近の物価上昇は連続八%台の高水準が持続し、勤労者世帯はもとより、一般個人営業世帯を含めた全世帯にわたり、収入と消費支出の両面において、かつてない実質目減りが続いております。しかも、政府が目標とする五十五年度の消費者物価上昇率六・四%を達成するためには、今後の年度後半において四%台にまで物価を抑えなければなりません。しかし、それは不可能と言っても過言ではありません。
 国民生活を守るべき立場の政府が、本年に入って、国鉄運賃、たばこ、さらには電気、ガス料金など、公共料金の引き上げが相次ぎ、政府が主導的な物価上昇の引き金を引く役割りを果たしていることは断じて認めるわけにはまいりません。
 政府に本法案の撤回を強く要求をして、反対討論を終わります。(拍手)
#17
○議長(徳永正利君) 中村鋭一君。
   〔中村鋭一君登壇、拍手〕
#18
○中村鋭一君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、郵便法等の一部改正案に対し強く反対の意思を表明するものであります。
 現在、郵便事業は慢性的な赤字に陥っておりまして、すでに累積が二千億円を超えております。私どもはこれを認めるにやぶさかではございません。しかしながら、政府・自民党が現に行おうとしております、郵便料金を値上げし、かつ郵便料金の法定制を緩和するという方法では、郵便事業の抱えるこれまで百年余にわたって累積してまいりました構造的な欠陥を何ら解決することにはならないと思います。郵便事業の抱えるこういった問題を解決するには、ほかに手段方法があるはずであります。ただ、値上げするという方法のみでは、いたずらに国民生活を圧迫するだけであると思います。
 まず、反対理由の第一は、郵便料金の値上げは当然ながら物価の上昇に拍車をかけ、ひいては国民生活に重大な影響を及ぼすという点であります。
 この時期に主要な公共料金を値上げすることは、物価の上昇にはずみをつけ、国民生活を物価高の脅威にさらすものであります。物価高から国民を守る責任を持つ政府が、いたずらに一方的な値上げを強行しようとすることは、みずからその責務を放棄するものと言わなくてはなりません。
 政府が五十五年度経済見通しの中で公約しておりますところの消費者物価上昇率を六・四%以内に抑えるという目標の達成は非常に困難でありまして、すでに七%を超えるという予想もなされております。この時期に料金値上げを行うことは、みずから経済運営の努力を放棄するにひとしいと考えざるを得ません。一方で六・四%という公約に固執しながら、他方で明らかにその達成を困難にし、値上げの道を選ぶ、これはまさに二律背反、言行不一致、公約不履行、不誠実、かつ国民に対する重大な挑戦であると言わざるを得ません。
 政府はつとに郵便料金の値上げが家計に与える影響は少ないと強弁をしておりますけれども、それは単純な計算上の数値であります。公共料金、とりわけ郵便のように広範かつ大量に利用されておりますサービス料金の値上げが国民の心理や経済のもろもろの要因に広くかつ深い影響を与え、大きな波及効果をもたらすことを考慮した数値ではありません。料金が値上げされた場合の影響は、政府当局の予想を超えたものになることは必定であります。このような政府の態度は国民を偽るものと言わざるを得ません。
 反対の第二の理由は、料金法定制の緩和により値上げへの歯どめがきかなくなり、厳しい経営努力の道よりもイージーな料金値上げの道が選ばれるおそれが強いからであります。
 法定制の緩和は、郵便料金という重要な公共料金の値上げに対する国会の監視を外すものであり、法律上、国の独占である郵便事業の料金についてこれを行うことは、憲法八十四条及び財政法第三条にうたわれております財政民主主義の趣旨に反するものとして厳しく批判せざるを得ません。たばこ、国鉄料金における法定制の枠はすでに外されております。しかし、たばこにも国鉄にも競合する他業種があります。一方、郵政事業は独占であります。公共性の強い独占事業であります。
 にもかかわらず、法定制を緩和するがごときは絶対に容認することのできないところであります。さらに一層強い国会の監視、ひいては国民によるコントロールを必要とすると思います。歯どめがきかなくなり、今後確実に大幅な料金値上げが実施されるということは必至であります。政府みずからが逓信委員会に提出いたしました資料の中で値上げの予定を示しているありさまではありませんか。このような値上げは国民生活を圧迫するのは当然であり、また大幅な値上げは、手紙を書くという、手紙を書きそれを人に送達し、心を伝えるという貴重な民主主義の伝達手段を失わせるゆえんにもならないかと恐れます。手紙離れを加速することは、とりもなおさず根幹である郵政事業そのものの基盤を崩すことになると思います。こういった点から郵便料金の法定制は断々固として守られるべきであると考えます。
 郵政事業の再建は、料金値上げのやすきにつくのではなくて、まず労使の積極的な努力による労働生産性の向上と徹底的な合理化、さらにまた、はつらつとした需要の喚起によってなされるべきであると思います。企業努力の行われていないところに、このたびの法改正案のように財政措置だけをとってみても、それはいたずらに放漫な経営を助長するだけであると言えましょう。これは民間企業等にあっては想像もできないことであります。
 現在の郵政特別会計の赤字は、単に原価の高騰のみによって生じたものではございません。先年行われた、国民の年賀状を人質にとって自分の言い分を通そうというような、このような労使の乱れ、規律の混乱、国民へのサービスの低下、これが今日の郵便離れの大きな要因となったことから目を覆うことはできません。国民の郵政労使のたるみに対する深刻な怒りの声を謙虚に受けとめ、合理化努力とサービスの向上、信賞必罰、適正な人材配置、健全でまじめな郵政職員が正当に報われるべき労使の慣行を確立することが喫緊の課題であると思います。
 政府は、国民負担の増大となる料金値上げを先行させ、郵政財政再建の根本にかかわる経営の合理化、効率化について明確な方針を現在まで明らかにしておりません。これでは国民は納得ができないのであります。また、このような政府の態度は国民無視の態度であると言わざるを得ません。政府に国民生活の向上を云々する資格はありません。世論を無視し、物価の安定に逆行する郵便法改正案に強く反対をいたしまして、討論を終わります。(拍手)
#19
○議長(徳永正利君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#20
○議長(徳永正利君) これより採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#21
○議長(徳永正利君) 加瀬完君から、投票を参事に委託したいとの申し出がございました。これを許可いたします。
 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#22
○議長(徳永正利君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#23
○議長(徳永正利君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十三票
  白色票           百三十票
  青色票            百三票
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百三十名
      安孫子藤吉君    浅野  拡君
      井上 吉夫君    井上  孝君
      井上  裕君    伊江 朝雄君
      岩動 道行君    石破 二朗君
      石本  茂君    板垣  正君
      稲嶺 一郎君    岩上 二郎君
      岩崎 純三君    岩本 政光君
      上田  稔君    植木 光教君
      江島  淳君    衛藤征士郎君
      遠藤  要君    遠藤 政夫君
      小澤 太郎君    大石 武一君
      大河原太一郎君    大木  浩君
      大島 友治君    大鷹 淑子君
      岡部 三郎君    長田 裕二君
      加藤 武徳君    梶木 又三君
      梶原  清君    片山 正英君
      金井 元彦君    金丸 三郎君
      上條 勝久君    亀井 久興君
      亀長 友義君    川原新次郎君
      河本嘉久蔵君    木村 睦男君
      北  修二君    楠  正俊君
      熊谷太三郎君    熊谷  弘君
      藏内 修治君    源田  実君
      古賀雷四郎君    後藤 正夫君
      郡  祐一君    佐々木 満君
      斎藤栄三郎君    斎藤 十朗君
      坂野 重信君    坂元 親男君
      山東 昭子君    志村 愛子君
      嶋崎  均君    下条進一郎君
      新谷寅三郎君    菅野 儀作君
      鈴木 正一君    鈴木 省吾君
      世耕 政隆君    関口 恵造君
      園田 清充君    田沢 智治君
      田代由紀男君    田中 正巳君
      田原 武雄君    高木 正明君
      高橋 圭三君    高平 公友君
      竹内  潔君    谷川 寛三君
      玉置 和郎君    塚田十一郎君
      土屋 義彦君    戸塚 進也君
      名尾 良孝君    内藤  健君
      内藤誉三郎君    中西 一郎君
      中村 啓一君    中村 太郎君
      中村 禎二君    中山 太郎君
      仲川 幸男君    鍋島 直紹君
      成相 善十君    西村 尚治君
      野呂田芳成君    長谷 川信君
      秦野  章君    初村滝一郎君
      鳩山威一郎君    林  寛子君
      林  ゆう君    原 文兵衛君
      桧垣徳太郎君    平井 卓志君
      福岡日出麿君    福島 茂夫君
      福田 宏一君    藤井 裕久君
      藤田 正明君    降矢 敬義君
      降矢 敬雄君    細川 護煕君
      堀内 俊夫君    堀江 正夫君
      真鍋 賢二君    前田 勲男君
      増岡 康治君    増田  盛君
      町村 金五君    松浦  功君
      松尾 官平君    丸茂 重貞君
      円山 雅也君    三浦 八水君
      宮田  輝君    村上 正邦君
      森下  泰君    森山 眞弓君
      八木 一郎君    安井  謙君
      安田 隆明君    山崎 竜男君
      山内 一郎君    山本 富雄君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百三名
      阿具根 登君    青木 薪次君
      赤桐  操君    茜ケ久保重光君
      穐山  篤君    小野  明君
      大木 正吾君    大森  昭君
      加瀬  完君    粕谷 照美君
      片岡 勝治君    片山 甚市君
      川村 清一君    小谷  守君
      小柳  勇君    小山 一平君
      佐藤 三吾君    坂倉 藤吾君
      志苫  裕君    鈴木 和美君
      瀬谷 英行君    田中寿美子君
      高杉 廸忠君    竹田 四郎君
      対馬 孝且君    寺田 熊雄君
      戸叶  武君    野田  哲君
      広田 幸一君    福間 知之君
      藤田  進君    松前 達郎君
      松本 英一君    丸谷 金保君
      村沢  牧君    村田 秀三君
      目黒今朝次郎君    本岡 昭次君
      八百板 正君    矢田部 理君
      安恒 良一君    山崎  昇君
      山田  譲君    吉田 正雄君
      和田 静夫君    和泉 照雄君
      大川 清幸君    太田 淳夫君
      柏原 ヤス君    黒柳  明君
      桑名 義治君    小平 芳平君
      塩出 啓典君    渋谷 邦彦君
      白木義一郎君    鈴木 一弘君
      田代富士男君    多田 省吾君
      高木健太郎君    鶴岡  洋君
      中尾 辰義君    中野  明君
      中野 鉄造君    馬場  富君
      原田  立君    藤原 房雄君
      三木 忠雄君    峯山 昭範君
      宮崎 正義君    矢追 秀彦君
      渡部 通子君    市川 正一君
      上田耕一郎君    神谷信之助君
      沓脱タケ子君    近藤 忠孝君
      佐藤 昭夫君    下田 京子君
      立木  洋君    宮本 顕治君
      安武 洋子君    山中 郁子君
      伊藤 郁男君    柄谷 道一君
      木島 則夫君    栗林 卓司君
      小西 博行君    田渕 哲也君
      中村 鋭一君    藤井 恒男君
      柳澤 錬造君    江田 五月君
      田  英夫君    野末 陳平君
      秦   豊君    前島英三郎君
      森田 重郎君    青島 幸男君
      市川 房枝君    喜屋武眞榮君
      秋山 長造君    美濃部亮吉君
      山田耕三郎君
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#24
○議長(徳永正利君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十二分散会
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ソース: 国立国会図書館
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