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1980/11/10 第93回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第093回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
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1980/11/10 第93回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第093回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号

#1
第093回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
昭和五十五年十一月十日(月曜日)
    午後三時二十二分開議
 出席委員
   委員長 久野 忠治君
   理事 片岡 清一君 理事 小泉純一郎君
   理事 塩崎  潤君 理事 松本 十郎君
   理事 川口 大助君 理事 新村 勝雄君
   理事 坂井 弘一君 理事 高橋 高望君
      足立 篤郎君    石井  一君
      上村千一郎君    小沢 辰男君
      佐藤 一郎君    瀬戸山三男君
      竹下  登君    渡海元三郎君
      原田昇左右君    村岡 兼造君
      堀  昌雄君    山口 鶴男君
      山本 幸一君    伏木 和雄君
      岡田 正勝君    安藤  巖君
      小杉  隆君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        自 治 大 臣 石破 二朗君
 出席政府委員
        自治省行政局選
        挙部長     大林 勝臣君
 委員外の出席者
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  岩田  脩君
        自治省行政局選
        挙部政治資金課
        長       緒方信一郎君
        特別委員会第二
        調査室長    秋山陽一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十日
 辞任         補欠選任
  上村千一郎君     原田昇左右君
  古井 喜實君     村岡 兼造君
  佐藤 観樹君     山本 幸一君
同日
 辞任         補欠選任
  原田昇左右君     上村千一郎君
  村岡 兼造君     古井 喜實君
  山本 幸一君     佐藤 観樹君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政治資金規正法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第二五号)
     ――――◇―――――
#2
○久野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎潤君。
#3
○塩崎委員 きわめて政治的に問題の多い政治資金規正法の改正案について、私は実質上の提案者とも申したらいいと思うのでございますが、鈴木総理大臣の御出席を得て、しかもまた討論、採決の前にいろいろと総理のお考え方を聞かしていただくことに対しまして、まず感謝の意をささげたいと思うのでございます。
 そこで、大変時間がございませんので、一、二点総理大臣にお伺いしたいと思います。
 まず第一点は、この改正案は、御承知のように、廃案となりましたが、ともかくも大平内閣のときに、前通常国会に提案されたものでございます。それをそのまま、しかも継続審議となった法案を中心とするこのきわめて時間の少ない臨時国会に、どうして提案されたのであろうか、これについて鈴木総理大臣のお考え方を伺いたいのでございます。
 聞くところによれば、総理大臣大変御熱心な推進者でございます。自民党の中には問題があった。それでもこれはぜひとも提案し、成立を期すべきであるというお考え方であるように伺っているわけでございますが、提案されたその背後にあります基本的な考え方をお伺いしたいのでございます。
 そこで、なぜこんなことを聞くかと申しますと、ここで二回ばかり非常に御熱心な御審議がございました。そして石破大臣から大変含蓄のあるお言葉で、一歩前進という明快なるお話もあったのでございますが、私は実は野党の方々も賛成であろう、こう思っておりましたら、何か聞くところによれば新自由クラブを除いて全部反対というようなことで、よくその意味がわからないわけでございます。私はこの審議の状況を聞いておりますと、まずそもそもこの改正案について不徹底じゃないか。せっかくこれまで野放しであった個人の政治資金の報告をこれからやらせるのだ、そのために政治資金団体を指定し、主として政治団体に経理させる、管理させる、こういうお考え方でございますが、しかし、御承知のように、個人管理が認められておって、政治資金団体の方へ一方的に集中するという規定はない。しかもまた、これには罰則がないじゃないか、依然として個人がどんぶり勘定のように受け取っていいではないかという御批判が強かった。それから、この改正案の前の現行法がそもそもざる法じゃないか。御承知のように、何人も、政党及び政治資金団体以外の同一人に対しては、百五十万を超して寄附してはならぬという二十二条の規定があるわけでございますが、こんなことはいろいろ分割をして寄附するじゃないか。あるいは百万円以上の収支報告をさそうとすると、これをまた分割して百万円の報告義務を免れるじゃないか。それだけじゃないのです。せっかく企業献金を禁止したと思ったら、例の励ます会というあの寄附の仕方で、寄附と申しますか金の調達の仕方で、しかも政治資金の適用を受けないで政治資金を調達しているのではないかという現行法についても批判がある。そんなような批判がある中にいまのような改正案をなぜ出したのであろうか、これを総理大臣のお考え方として私は伺いたいのでございます。
 私の想像するところ、非常に深いお考え方があるのではなかろうか。次の通常国会には、政治腐敗防止あるいは政治浄化の見地から、公選法を中心としていろいろの改正のお考え方があるのではないかということでございます。したがって、このような政治資金についての明朗化の改正は、ひとつ早くこの国会で上げておくべきではなかろうかというお考え方であるかどうかということでございます。
 私は、ここでも議論になりましたけれども、選挙制度、これが金のかかるもとである、金のかからない選挙制度をつくるのが政治資金規正法の改正よりもより先決問題ではないかというお考え方、これは当然だと思います。やはり選挙制度が先行し、そして金のかからない選挙制度によって政治資金を楽にする、こんなような方向が大事だと思いますが、鈴木総理は、その方向の一つとして、参議院の全国区の制度について根本的に検討すべきではないかというお考え方が強いと聞く。私はどうしてもこの選挙制度について抜本的な改正をしていただいて、とにかく政治資金はそれによって規制されていく。つまり、私は政治資金というものはしっぽみたいなもので、選挙制度が犬であろうと思うのです。しっぽが犬を振るというのはおかしいわけでございまして、やはり犬がしっぽを振るように選挙制度によって政治資金が規制されていくような考え方、これが大事と思いますが、そのような点について総理大臣のお考え方を伺いたいと思うのでございます。
#4
○鈴木内閣総理大臣 最初におわびを申し上げておきます。衆議院の安全保障特別委員会の方で時間をちょっとオーバーいたしまして、おくれましたことをおわびを申し上げます。
 ただいま塩崎さんからいろいろ御意見を述べられながら御質問がございました。政界の浄化を図るということが国民の間にも大きな世論として巻き起こっておりますし、また、私ども国会の場に席を置く者といたしましても、政治に対する国民の信頼を回復をするという観点からも、政治資金の明朗化を図るということは非常に大事な問題であろう、このように考えております。しかし、お説にもありましたように、政治に金がかかり過ぎる、特に選挙に莫大な金を必要とするというようなことが問題になるわけでございまして、この政治資金の問題を考えまする場合におきましては、それと並行して車の両輪といたしまして、金のかからない選挙制度と選挙運動のあり方というものの検討を進めなければならない、このように考えておるわけでございます。
 今回提案をいたしました政治資金規正法の法案は、大平内閣において立案をいたしたものでございますが、個人に対する政治献金につきまして報告の手続、義務、そういう点を明確にいたしまして、そして政治資金の明朗化を図ろうというものでございますが、もとよりこれをもって十分とは考えておりません。五十六年の見直しという問題もございます。しかし、政治資金明朗化の一環といたしまして、先国会にも提案をいたしましたものを提案をいたし、ぜひ成立をさしていただきたい。
 引き続いて、国会の皆さんの御論議を踏まえまして、選挙制度の基本的なあり方の問題等につきましても検討を進めてまいりたいと考えておりますし、なお前段で申し上げましたところの選挙制度あるいは選挙運動のあり方という問題につきましても、国会で十分各党各会派で御意見を述べ合いながら問題点を詰めていただきたい、このように期待をいたしておるところでございます。
#5
○塩崎委員 総理のお考え方、よくわかりました。ただ、総理大臣のおっしゃったように、金のかからない選挙制度、これを国会で各党各派の意見を闘わせながら、煮詰めながら、その意見を踏まえてというお話がございましたが、私は、天と地とぐらい違うような意見があってなかなかまとまらないのがわが日本の国会ではないかと思うのです。しかもまた、選挙制度というようなものは、選挙で審判を受ける私ども政治家よりも、やはり客観的な第三者が深い洞察力でもって考える方がいいかと思うのでございます。
 そんなような考え方に基づいて選挙制度について案を出していくべきではないか。そうなりますと、やはり政府提案でこれらの問題は処理すべきではないか。いま全国区の参議院制度は各党で議論されておりますけれども、この全国区の参議院制度はもう来年の通常国会に出さなければ、三年先に迫っておりますところの参議院選挙には恐らくもう間に合わないというふうに言われております。したがって、これらの問題について政府として、ことに自治省は選挙制度を預かる主管官庁でございます、その上に指揮をとられる総理大臣、しかも政党政治家として最も長らく経験を持っておられる鈴木総理大臣でございますから、全国区の参議院選挙についてこれをどうされるか。たとえば次の通常国会にはひとつ考え方をまとめて提案していくのだ、こんなようなお考え方があるかどうか。自由民主党ではもう、地方区の基礎の上に一票制度とか二票制度とかいうような議論が盛んに行われておる。しかし、ほかの党にはブロック制度とかいろいろ案があることは御案内のとおりでございます。これらの情勢を踏まえて鈴木総理大臣はどう考えられるか、御意見を承りたいと思うのでございます。
#6
○鈴木内閣総理大臣 選挙制度あるいは選挙運動のあり方の問題は、これは各政党あるいは政治家の消長命運にかかわる重大な問題でございます。いま御意見として述べられましたが、政府で一つの案をつくって国会に提案をする、提案をする以上は成立を期さなければならぬわけでございますが、私は前段で申し上げましたように、非常に重要な意味を持つこの選挙制度なり選挙運動のあり方を規定する選挙法の改正、これはいわばスポーツのルールのようなものでございますから、一党一派に有利だからといってそれを強行する、推し進むべきものではない、むしろ国会の場におきまして各政党を代表する皆さん方が十分論議を尽くされて、そこに共通の土俵を形成される、それをお互いに、互譲の精神と申しますか、一〇〇%ではなくても、相手の立場も考えながら、そこに共通の土俵をつくって、そこで選挙法の改正、選挙運動の是正をやる、私は、こういうことが一番妥当な進め方ではないだろうか、このように考えるわけでございまして、せっかく当委員会におきましても、また各党においても御研究を大分進めておられるやに伺っておりますので、どうかそういうことをお願い申し上げたい、こう思っております。
#7
○塩崎委員 それでは、もう時間もございませんのであと一問総理大臣にお伺いしたいと思います。
 いまの問題に関連して、総理大臣も言われましたが、政治資金規正法の附則八条に基づく根本的な見直しの問題でございます。この問題も国会で各党各派が十分議論してというお話になったら、これもなかなか話がつかない。個人献金という政党もあれば、個人献金は無理という考え方の政党もあるわけでございます。それを一つにまとめて案を出すのはやはり政府――日本ではやはりアメリカのような議員立法になじまない、それが出てもなかなか通らない国では、やはり政府が公正な客観的な案をつくっていただくしかないと私は思うのです。そうなりますと、附則の八条は各党各派で考えるのはもちろんでございます。法律ですから国民全体が義務を負う、政府も縛られる。政府は附則八条に基づく五十六年一月一日以降の見直し、これを次の通常国会にでもお考えになる考え方があるかどうか、総理大臣にちょっと伺いたいと思います。
#8
○鈴木内閣総理大臣 政治資金規正法の根本的な見直しの問題、附則八条の問題に関連してお話がございました。
 現在、各政党とも、政党の財政の基盤をなす収入と申しますか、そういう面につきましては、それぞれの政党で違いがございます。企業献金に多くを期待しておるところあるいは労働組合等団体に期待をいたしておるところ、いろいろの政党の御事情があるわけでございます。私は、政治に、そして選挙に、政党の運営に金がかかること、これも現実の問題でございます、そういう点を十分相互勘案しながら政治資金規正法というのは改正をされなければならぬのであろうかと思うのでありまして、現実を離れて急にここをこうと、抜本的にどうこうということは、これは私は実際問題としてはどうであろうか、こう思っております。
 それからまた、選挙公営の拡大の問題もございましょう。それから政党法等を考えて国のこれに対する助成の道を導入するとか、いろいろな考え方もあろうかと思うのでございます。今後、各党各会派、特にこの特別委員会の皆さん方の御意見を十分踏まえまして、政府としても慎重にこの抜本的な見直しの問題に取り組んでいきたい、こう思っております。
#9
○塩崎委員 総理大臣にいまお答えしていただいた中にも入っておりますけれども、私が申しましたように、五十年の政治資金改正法というのは本当の試行錯誤なんです。したがって、この間の九百六十六億円という政治資金の中で政党の占める資金というのは五百六十六億円しかない。だんだん政党が細っていってその他の政治団体が太っていく。これは私は選挙があったからという理由だけでは足りないと思う。政治資金規正法に多分に問題がある。しかも個人献金を盛んに主張されている政党は自分の政党の中で個人献金を集めてない方々が言っておられる。もっぱら機関紙の販売収入でやっておられる。個人献金で苦労しているのは不思議なことに自由民主党と共産党の二つの政党だけ、あとの個人献金に全然頼っておられない政党が個人献金にすべきであるということを無責任に言っておるような気がいたすわけでございます。
 これは政府でこれまで五年間の実績があるのですから根本的に検討し直す、附則八条は検討義務だ、私はこういうふうに思いますので、総理大臣に根本的に見直すことの御答弁をもう一遍いただきたいと思います。
#10
○鈴木内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、私は企業献金が悪であるとか個人献金だけが善であるとか、そういうぐあいには考えておりません。先ほど申し上げましたように、各党のよって立つ党財政の基盤というものもあるわけでございまして、そういう点は一挙に変えるわけにはいかない、徐々に一つの方向を目指して努力すべきだ、このように考えておりますが、繰り返すようでございますけれども、個人本位の選挙制度ということもこの政治資金の問題に大きな影を投げかけておるものだ、私はこう思います。できるだけ政党本位の選挙制度、そういうものにすることによってだんだんこの選挙資金の問題も態様が変わってくるのではないか、こんな感じもいたします。
#11
○塩崎委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#12
○久野委員長 堀昌雄君。
#13
○堀委員 いま総理大臣が最後に大変いいことをお話になりました。きょうはわずか二十分しか時間がありませんが、私のこれから申し上げることは、私の個人的見解として申し述べるということを最初に申し上げておきたいと思います。
 鈴木総理が就任をされまして、七月十八日に記者会見をされたときに、こういうふうにお話しになったと新聞が伝えているのであります。「新内閣を率いるに当たり鈴木総理の基本的な政治姿勢はどうか。」という質問に対して首相は、「私は今日まで真心をもって事に当たる、誠心誠意政治に取り組むことを一貫してやってきた。言葉をかえると「和の政治」である。「和の政治」は話し合いの政治、公正を追求する政治でもある。私はこれを自分の政治理念として一貫して実践してきた。総理大臣になるに当たって一つの標語として掲げるのでなく、長年政治家として実践してきたものを披露した。」こういうふうに新聞が伝えておりますが、そのとおりでございましょうか。
#14
○鈴木内閣総理大臣 そのとおりでございます。
#15
○堀委員 そこでその後に、今度は初閣議で綱紀粛正を指示されたが、「政治倫理の確立、綱紀粛正について具体的な計画は。」という質問に対して「今後政治倫理を確立し、二度と国民の指弾を受ける事柄が起こらないよう、いろいろの分野で検討が必要と思う。第一は政治にあたって金のかからない選挙制度を確立する必要がある。また、そのためには選挙の公営の拡大を検討する必要があると思う。金のかからない選挙、公営の拡大を通じて無名の青年でも志ある者は政界に進出できる政治風土に改めていく必要がある。」こういうふうに述べられて、「先般、国会に政治資金規正法の一部改正案を提出した。それは個人への政治資金、献金が正確に規正法によって届けられておらず不明朗、不正確である。これが政界腐敗の温床ということで提出した。ぜひ、次の国会で成立を期したい。参院の全国区制度についても世論には、あのままでいいという議論はない。何とか全国区制度を改革すべきだという世論が定着している。これについても早急に検討を進めていきたい。」実はこういうふうにお答えになっております。これもそうだと思いますが、いかがでございましょうか。
#16
○鈴木内閣総理大臣 そのとおりに述べております。
#17
○堀委員 そこで、塩崎委員がお話しになりましたように、私も実は政治資金の問題がしっぽであって選挙制度が犬の本体だと思いますし、総理もそこでお答えになりました。
 選挙制度審議会が第一次から第七次までございましたけれども、私は第一次、第二次、第四次、第五次の選挙制度審議会の特別委員としてこの問題にかかわってまいりました。そしてこの選挙制度審議会で一貫して言われておりましたことは、何とか政党本位の選挙にしたいということが実は選挙制度審議会における主要な目的でございました。しかし、残念ながら選挙制度審議会でいろいろ御議論になった案というものは、実は皆さんが頭の中で考えられた案でありますから、現実にそれが実行されたときにどうなるかという問題が一つございましたし、総理がいまいみじくも大変いいことを言っていただいたのでありますけれども、選挙制度というのはスポーツのルールのようなものだ、一党一派が自分に有利だからごり押しをするということではならないとおっしゃったのであります。私も全く同感でありますし、いま私が申し上げた政治姿勢は、実は私は大変高く評価をさせていただいておるわけでございます。
 そこで、いまの政治資金の問題あるいは参議院の全国区については、すでに塩崎さんがお触れになりましたが、私は衆議院の選挙制度について少しお伺いをいたしたいと思うのであります。
 それはどういうことかといいますと、現実に政治の問題というのは実験をするわけにはいきませんから、実施をしてみなければどんな問題があるかよくわからないわけであります。
 そこで私は、諸制度については、すでに世界の中で人類が何年かにわたって行っておる制度をわれわれは手本とすべきではないだろうか、こう考えるわけであります。そこで、私たちと非常にいろいろな点で共通点を持っておりますのは、現在の先進諸国の中では西ドイツではなかろうか、私はこういう感じがいたします。ともにあの戦争によって敗戦の憂き目に遭い、しかしその後国民の勤勉によって今日の経済的な発展がもたらされ、国民がいずれも勤勉で、世界で一番物価の安定しておる国というのが西ドイツと日本だ、こうなっておるのであります。この西ドイツで現在とられております選挙制度は実は比例代表が基本になっておりまして、その半分の二百四十八の議席についてはドイツの齢の中に小選挙区が設けられて一ここで選挙が行われる。この小選挙区で当選した者は、いま参議院でお話が出ております拘束比例名簿式の全体の名簿の中で優先的に当選するということでありますから、土台が比例代表であることに変わりがございません、要するにその中で国民が直接半分だけは自分たちの投票によって多数を得た者を当選者にする、これは名簿の順位にかかわりなく当選する、それ以外は全体の比例に基づいたものの中でいまの名簿の中から順位がとられて、比例代表によって当選をする、こういう仕組みであります。言うなれば、基本は比例代表、それを小選挙区によって、一方的に政党が順位を決めるのではなくて、国民が参加して、その中で半分の当選者が決められるという制度でございます。
 先ほど総理がお話しになりましたように、選挙制度というものを一党の利害で問題にしようということでは、これは制度になりません。実は当初総理は、選挙制度審議会をおつくりになりたいという御意向のようでありましたが、これが取りやめになりましたことは大変結構だと私は思っておるのです。ということは、第七次までやりましたけれども、ここは学者やその他の皆さんでおやりになっておるので、自分たちの問題でありますから、どうしても政治家がもっと関与していかなければならない。たとえばいま西ドイツ方式でやるとしても、西ドイツでも小選挙区の区割りについては第三者の委員会でやっておるということになっておりますから、そういうものは第三者でやるとしても、西ドイツが現実に行って特別に弊害がないというものであるならば、比例代表ならば各党で一生懸命にやればいいのでございますから、どこの党に有利ということにはならないわけでございまして、これは比較的皆さんの賛意が得られるような方法ではないだろうか。
 それともう一つ、総理は、公正にと先ほどのルールにお触れになったのでありますが、選挙制度の問題は、少なくとも国会における三分の二の同意をもって成立をするというふうにお考えをいただきたい。そうなれば、三分の二が決めたことはある意味では多数の決定でございますから、それが尊重されてしかるべきではないだろうか、こう考えるわけであります。ただしかし、選挙制度が急に変わりますと大変でございますので、ひとつこの際政府において、この西ドイツ方式の比例代表の選挙制度と、いまちょっと総理もお触れになりましたが、政党法の問題もございますので、あわせて御検討をお進めいただきたい。
 総理は、今度の十一月から向こう二年間は自民党総裁であるということのようでございますから、間違いなくこの二年間は総理でおられると思いますので、あなたの二年間の期間中にひとつ成案を国会に出していただきたい。ただし、実施はそれが成立してから十年先にいたしましょう。要するに、衆議院の選挙制度のようなものを変えて余り近くでやると政党はなかなか対応できませんから、十年後に来る総選挙で初めて実施をする。まあ、お互いに六十を超えておりますから、この制度ができても私どもはこの選挙で出てくることはないのでありますけれども、しかし私は、このことがまさに日本の政治倫理を確立する最大の有効な道ではないかと考えておるわけでございます。総理の御見解をひとつ承りたいと思います。
#18
○鈴木内閣総理大臣 堀さんから、西独の選挙制度の例を挙げて大変ユニークな御意見、御提案がございました。ここで大体三分の二ならいいのではないか、そうしてそこで決定をした改正選挙法というのは十年後に実施をする、こういう大変おもしろいと言っては失礼ですが、ユニークな御提案でございます。
 十年後は、自分らはその選挙法ではやらないというのもいかがかと思いますが、五年なり何年なり、自分らもその選挙制度でやってみよう、責任を持つのだ、こういうことも一つの考え方であろうかと思います。いずれにしても、各党、各会派が、余り目先の利害、打算だけでなしに、日本の民主政治、議会政治を健全に育成、発展をさせるという観点から選挙制度というものを冷静に御検討いただきたいものだ、私はこう思っております。
#19
○堀委員 いま政治の問題でいろいろな問題がございます。一つは財政再建でございましょう。その中の重要な問題は、いわゆる三Kと言われている国鉄、健保、食管の問題でございます。さらに政治資金規正法を含めて政治倫理の問題がありますが、これはいろいろなことが対応されておりますけれども、実はいずれも一つのシステムになっておるものです。健康保険法もそう、国鉄もそう、食管法もそうであります。このシステムを動かさないで部分的にどこかをさわってこれを改正しようとしても、これはだめなところに来ている、私はこういう判断なのでございます。政治資金の問題を含め、選挙法の問題を含めてシステムを変える、仕組みを変えることから、新しい物の発想がそれに参加するすべての者に生まれてくるのであって、政治資金規正法の一部を変え選挙法の一部を変えても、このシステムが変わらない限り、さっき総理がおっしゃったように個人本位の選挙が行われておる限り政治倫理の確立はできない、こう私は確信をしているのであります。
 私が十年と申し上げたのは、五年や六年というのでは皆さんなかなか大変だろうから、まあ十年ぐらい先に実施するということならみんなでこの際やろうじゃないかといってやれるのではないかということで、期間が短ければ短いほど、それは政治倫理が確立することでありますから大変結構なのであります。
 しかし、総理はこれから二年間おやりになるとして、日本の国家百年の大計を考えるならば、このことをやらなければ、せっかくあなたが和の政治、話し合いの政治、公正を追求する政治という大変りっぱな政治に対するお考えを述べておられるのに、うつろな内容になるのではないだろうか。ですから、いま私ども政治家に求められているのは勇気だと思うのであります。所信表明の中でも総理はそのことに触れられているわけでございまして、「私は、このような立場に立って、未来を展望し、政策運営に誤りなきを期して次の世代に引き継ぐという責務を、誠実に果たしてまいりたいと思います。」とおっしゃっているわけです。私もこの十二月が参りますと六十四歳になります。二十年余り国会で仕事をさせていただきましたけれども、それでは私たちがこの歴史の検証にこたえるものを本当に次の世代に引き継げるかと言えば、私はこの二十年間、歴史の検証にたえるだけのことをやってきたように思えません。私自身もそうですが、日本の国会も歴史の検証にたえることをやってきていないと思うのであります。この歴史の検証にたえるだけの政治をやるかやらないかが、当代の政治家に求められておる最大の責務ではないか、こう私は考えているのでございます。
 ですから、そのためには勇気が要ります。いまの国鉄、健保あるいは食管の問題についても、国鉄だけを一つ申し上げると、あれは競争の関係になっているわけです。ところが自由民主党は、いま五つの線をつくるのだと言っていますが、いま東北、上越の新幹線の土地をあの赤字の国鉄に全部買わせてやらしているのでありますから、これはもう大変な問題なのでございます。そういう全体のシステムを見て物を考えないで、ただ出ている赤字だけを問題にしておったのではどうにもなりません。健康保険の問題もまたしかりであります。抜本改正の問題が常々言われております、財政調整の問題も言われておりますけれども、政府は何ら手をつけようとしないで、ごく部分的なところだけをさわろうとしているのであります。食管しかりであります。それはある程度既得権があるわけでありましょうし、いろいろな問題がありますけれども、勇気を持ってそこヘメスを入れることなくして、今日の日本の財政再建も不可能であるし、あるいは政治倫理の確立も不可能だと思うのであります。
 どうかひとつ総理は、この際、私が申し上げたような政治のシステムを変えるだけの勇気を持って、あなたが総理であったことが、やがて五十年、百年先でも、このときに出た総理が勇気を持ってやった結果、今日の日本の政治はこうなったというようにしていただきたい。
 経済は大変うまくいっているが政治はだめだと言われておる日本の政治を、あなたが所信表明でおっしゃったように、ここで国民のため、次代によきものを引き継ぐことができるようにするためには、まず一番の根本は選挙制度だ。ですから参議院の選挙制度も大事でありますが、さらに重要なのは衆議院の選挙制度であります。これを政党本位の選挙にすることなくして、日本の政治倫理の確立などは、言うはやすくして実際には行えないことだ、こう思うのでありますが、ひとつ総理の御決意を伺いたいと思うのであります。
#20
○鈴木内閣総理大臣 堀さん御指摘のように、選挙制度並びに選挙運動等のあり方、これはわが国の議会制民主主義が健全に発展できるかどうかという基本の問題でございます。私も真剣に取り組んでまいりますが、皆さん方の御協力も切にお願いを申し上げます。
#21
○堀委員 選挙制度はこれだけで終わりますが、どうかひとつこれから予算の編成その他がありますけれども、私は、既得権すべてを尊重してこれに対応することはできない、どこかの既得権を抑えながら、やはり国民全体に役に立つような方向というものが求められていると思うのであります。総理は二兆円の国債減額をお約束になっておりますから、私はこれも評価をいたします。どうかひとつ勇気を持って五十六年度予算編成に取り組んでいただいて、ある部分における既得権も抑えながら、しかし、後代の国民があのときにこういうスタートを切ったのはよかったと言われるような予算編成を特に要望をして、私の質問を終わります。(拍手)
#22
○久野委員長 坂井弘一君。
#23
○坂井委員 さきの当委員会で、附則八条、つまり個人献金の強化につきまして、自治大臣は試行錯誤の錯誤と考えてもよいのではないかというような趣旨の発言がございました。私はこの考え方には残念ながら同調できません。
 そこで、総理にお伺いしたいのでございますが、いわゆるロッキード事件の再発防止のための提言、対策として今後検討すべき事項につきまして、昭和五十一年の十一月の十二日、ロッキード問題閣僚連絡協議会におきまして、「政治資金の規制のあり方」、この項は二項目ございまして、一つは「政治献金について個人献金中心に今後改善を検討する」二つ目には、「政治家個人の収支の明確化」この二点でございます。ここでまず第一に、提言、合意をいたしておりますいわゆる政治献金につきましては、個人献金の強化の検討、これを明確にうたっているわけでありまして、当然鈴木総理もこの方向を尊重をされると私は思います。少なくとも努力すべきではないか、こう考えるわけでございますが、総理はいかが御認識でしょうか。また、どういうお考えでしょうか。
#24
○鈴木内閣総理大臣 ロッキード問題再発防止の問題につきましては、いろいろ述べておるわけでございますが、公正で金のかからない選挙の問題、それから政治家の私人としての経済と政治活動に必要な経費との明確な区別、政治資金の明朗化、こういう問題あるいは国会に倫理委員会を設置するなどの問題、そういう問題等も述べておるわけでございます。
 私は、先ほども申し述べましたように、企業献金は悪であり、個人献金が善である、こういうことは必ずしも一〇〇%賛成であるとは申し上げかねるわけでございます。現在の各政党あるいは政治家個人の場合におきましても、やはり企業献金、個人献金、いろいろその濃淡の差はございますけれども、それに依存をいたしておるわけでございます。そして選挙や政治に金のかかることも、これも現実の問題でございます。私どもは、要は各人の自覚と自粛によりまして、この献金が刑事問題として追及されるようなことのないように、またそれが取引を含むような問題でないように、政治倫理の面からいっても非難を受けないような、正しい、明朗なものでなければならない、そういうことに各人が心がけて自粛をすることが大事だ、こう考えておりますし、またやはり個人個人ということになりますと、多くの金が選挙でかかるということになりますから、政党本位の選挙制度にしたいものだということも、申し述べたとおりでございます。
 坂井さんがおっしゃるように、できるだけ個人献金の方向を志向する、そういう方向に努力をするということにつきましては、私も賛成でございます。
#25
○坂井委員 最後のくだりだけなら端的にお答えいただいたとして受け取っておきたいと思うのです。いずれにしましても、閣僚協議会でこういう合意ができておるということはやはり尊重し、個人献金への移行の方向に努力をするということが大事だと思うのです。だからいま総理からお答えをいただきましたけれども、個人献金を重視する中心の方向にできるだけ努力をしながら、そういう改正を目指す、これが必要だと思うのですが、ただ、今日までの議論を振り返ってみますと、残念ながら企業献金、これをさらに拡大をしよう、こういう方向にあるように思えてならぬわけであります。献金の規制枠を拡大するということが一部に伝えられるわけでありますけれども、そういう方向は総理はお考えになっていませんか。それは否定されますか。
#26
○鈴木内閣総理大臣 いろいろの御議論のあることも承知をいたしておりますが、しかしそれが、いま企業献金の枠を拡大するということに大勢が動いておるとも私は実は見ていないわけでございます。国民世論、いろいろな各方面の御意見等も十分聞きながら、こういう大事な問題でございますから慎重に結論を出すべきものだ、こう思っております。
#27
○坂井委員 では重ねてお尋ねいたしますが、総理は少なくとも胸の中には、五十六年の改正、見直しにおいては、個人献金を中心、重視をするという方向には努力を重ねながら、そういう改正の方向を何とか見出したい、あわせてこの規制枠の拡大については、少なくとも企業献金の拡大は、これは好ましくない、そういう方向に五十六年見直しを見出していきたい、そういうお考えでしょうか。あわせて、次の通常国会にはいずれにもせよ改正案を出されますか。
#28
○鈴木内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、われわれは理想を追求いたしますと同時に、現実ということからも余り足を踏み外すようなことがあってはならない、こう考えております。ということは、この政治資金の問題につきましても、各政党にはそれぞれ政党資金の財政のよって立つ基盤と申しますか、そういうものがあるわけでございます。こういう点は一つの理想に近づけるようにこれをだんだん改善をしなければなりませんが、一挙にはなかなか実際問題としてできないのではないか、こう思っております。
 したがいまして、私は個人献金をできるだけ進めたい、このように考えておりますが、いま申し上げたような現実の問題もございますから、十分そういう点を勘案しながら、この委員会及び各党の御意見等を踏まえながら、五十六年見直しという案の内容というものを慎重に固めていきたい、こう思っております。
 今度の通常国会に皆さんの御意見等がこういう方向という大勢が固まってくることを期待いたしますが、政府としても、政治資金の問題は大事な問題でございますから、十分前向きで取り組んでいきたい、こう思っております。
#29
○坂井委員 済みません一言だけ、時間参っておりますが。
 私は、いきなり個人献金が善で企業献金が悪だ、こういう決めつけはいたしません。ただ、少なくとも個人献金へ移行する努力は最大限にすべきであるということ、同時にまた確かに総理がおっしゃるとおり、いきなりというわけにはいかぬということもよくわかります。
 確かに選挙に金がかかるということ、できるだけ少なくしたいという願望、したがってそれらは政党の党費収入でありますとか、あるいは一方におきます政治献金でありますとか、あるいはまた一方におきます国庫の支出でありますとか、あるいはそれとは別に選挙の運動のあり方でありますとか、公営選挙の拡大の方向でありますとか、選挙制度の問題でありますとか、総合的に勘案して、そういう中で調和を保ちながらより好ましい政治献金のあり方ということを探求しなければならぬ、そういう方向を踏まえるべきである、私はこういう意見を持っております。
 したがっていま申し上げましたこと、時間がございませんので十分意を尽くすことはできませんが、ただしかしながら努力は努力として、個人献金への移行を最大限に努力しなければならぬということを一言つけ加えまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
#30
○久野委員長 高橋高望君。
#31
○高橋(高)委員 総理、私がお伺いしたいことはちょっといままでの同僚議員とは違った立場からお尋ねをいたしたいと思いますけれども、私は今度の政治資金の規制に対する法律の検討をするというその底流には、私たち政治家が持つ倫理感の欠如というものが引き起こした問題であるというふうに考えるものでございます。ところが今度の法案を見てみますと、最終的にはそういった意味での倫理感ということについて多分にまた期待をしている。
 もっと率直に言えば、ここまで倫理の問題で政党並びに政治家が国民の方からいろいろな意味で信頼を失っているという現実を考えた場合には、再び倫理感に期待するといったような解決の仕方ではなくて、一言で言えば罰則をもう少し強化すべきではないか、こういう立場をとりたいのです。また私たちの党はそういった方向で今度の改正案に対しては反対をしたい。甘い、抜けている、こういう立場をとるわけでございます。
 くどいようでございますけれども、倫理感の欠如が問題になったがために検討を始めたこの法案の審議を、さらにまた最終的には倫理感に期待するという解決の仕方は納得しがたい、こんなふうに考えるわけでございますけれども、総理の御見解を承りたいと思います。
#32
○鈴木内閣総理大臣 高橋さん御指摘のように、この政治資金にまつわるいろいろな不信を国民から受けるようなこと、これは何と言っても政治家各人が自粛、自戒をすることが根本であろうかと思います。政治倫理の確立の基本はやはりそこにあるわけでございますが、また一方、制度的に政治資金の明朗化を図るという制度の面でも工夫を要することは論をまたないわけでございます。今回の改正案は個人に対する政治献金の届け出、報告、手続、そういうものの規定を明らかにいたしまして、政治資金の明朗化を図ろうということでございます。したがいまして政界浄化と申しますか、政治資金のあり方としては一歩前進である、私はこのように考えるものでございます。
 罰則強化の問題、高橋さんからそれもひとつやるべきではないか、ただ倫理感だけに依存してはだめだ、罰則も強化すべしという御意見もございましたが、今回の場合は、政治家各人のそういう反省の上に立っての手続的な明朗化、これを図ることに重点を置いての改正案であるわけでございます。(「それでは国民が信用しない」と呼ぶ者あり)
#33
○高橋(高)委員 ただいま同僚議員から声援がございましたけれども、総理、これは一代の内閣で一つのお仕事を大きくなされば私は十分な世の中だと思うのですよ。そういう点で、総理が御就任なさってこの問題を取り上げられて、その基本になっているのが大平内閣時代の案だということも私にとってはさびしいのです。やはり鈴木総理御自身がお考えになって、そして党内はもとより、各政党各議員に対してこのことを強く訴えられる、それによって政治に対する国民の信頼を取り戻す。いま総理、残念なことに、子供たちに大きくなって大人になってやりたい仕事で国会議員なんていうのは余りいないのですよ、なぜだ、私の息子などもそうです、国会議員になりたいなんて決して思わない、家の中がつらいから、そんなことじゃないのです、何となしに仕事として人から尊敬を受けてない、何だ、金の問題なんですよ、そういう点をお考えくださいまして、どうかこれは総理のお仕事の一つとして、後世に残るものとして、はっきりとした政治資金に対する姿勢というものをお示しいただきたいし、私たち民社党は甘んじてその罰則の展開にも御相談に応ずるつもりでおりますし、お考えになっていただきたい、お願い申し上げるところでございます。
 さらに私はここで一つ御提案申し上げたいというか、御意見を承りたいのは、いわゆる政治家、この場合は国会議員でよろしいかと私は思いますけれども、全所有資産の公開を、これは総理を初めとしてとかく閣僚のことには話が出がちでございますが、そうではなくて、全国会議員がその所有資産の公開を毎年行うという義務づけをなさるようなお気持ちはお持ちになりませんか、いかがでございます。
#34
○鈴木内閣総理大臣 私は、国民から信頼を回復すると申しますか、国民の選良としての立場からそうあった方が望ましい、こう考えるものでございますが、しかしこれは国会全体として、国会議員の皆さんとして、これは御協議の上決められるべき問題であろう、こう思います。プライバシーの問題もあろうかと思いますが、とにかく政府がこの国会議員の私有財産の公開というようなことをやるべきかどうか、国会の場において論議をされて、そして結論を出していただくことが望ましいのではないか。私が国会に倫理委員会の設置ということを申し上げておりますが、これは事件が起こった場合に、それを道義的、政治的問題を追求するという場でなしに、いまのような問題、政治倫理の確立のため、国会議員としてどうあるべきか、いまの資産の公開等の問題も含めて、そういう場において取り組んでいただくことが必要ではないか、こう私は思っておるわけでございます。
#35
○高橋(高)委員 残念ながらきょうは時間が短過ぎますので、お願いは最後になりますが、どうぞ政権担当政党、そしてその指導者として、こういう姿勢を強く打ち出し、国民に対して呼びかけ、政治に対する信頼を取り戻すべくせっかく御努力いただくことをお願い申し上げまして、私のお尋ねを終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
#36
○久野委員長 安藤巖君。
#37
○安藤委員 共産党の安藤巖でございます。
 いまの政治資金規正法が改正をされました昭和五十年、そしてこの政治資金規正法には御承知のように附則の八条というのがついております。これに個人献金を強化することも検討するというのが入っておるわけですが、このときに当時の三木総理大臣は、当院のこの公職選挙法調査特別委員会でこういうふうに答弁をしておられるわけなんです。ちょっと紹介をいたします。「私は自民党に党議の決定を求めたわけです。五年後は党の経常費についてはやはり党費並びに個人献金によってこれを賄うことにして企業献金は辞退する。」ちょっと途中飛ばしますが、「したがって五年後には政党の経常費については党費と個人献金によって、個人の寄付ですね、献金という言葉もどうか、個人の寄付によって賄うという党議の決定をいたしたわけです。」こういうような発言があるわけですが、いま御紹介いたしましたように、これは自民党の党議の決定ということになっておるのですが、この党議の決定、企業献金は辞退して個人献金で賄っていくんだ、こういう方針は変わってはおりませんか。
#38
○鈴木内閣総理大臣 いま御披露がございましたが、三木総理・総裁の当時、そういう自由民主党が方針を打ち出しまして、それに基づいて党員の拡張、拡大を図ってまいりました。三百万党員、いろいろ経過がございましたが、とにかくそういう方向に党員諸君が努力をしたことは事実でございます。また個人献金等につきましても、御承知のように励ます会とかいろいろな形をとりましてこれもそれなりの努力をしたわけでございます。しかし、先ほど来申し上げるように、選挙制度、現在の政治活動のあり方等々からいたしまして、政治にそして選挙になかなか金がかかる。いま申し上げたような努力にもかかわらず、三木さんが希求されたように、必ずしも全部それで賄いができるというところには至っておりません。
 また私は、基本的に個人献金だけが善であって企業献金は悪であるというぐあいには考えておりません。やはり、企業といえども憲法のもとにおける法人として政治活動もやっていいわけでございます。そういうようなことからいたしまして、私は要はそれが節度のあるものであってほしい、こういうことを考えておるわけでございます。
#39
○安藤委員 私がお尋ねしているのは、三木総理がおっしゃったように、党議で個人献金によって賄う、企業献金は辞退をするということをお決めになったのを、それ以後自民党の党議としてこれはお変えになったのかどうかということをお尋ねしておるのです。
#40
○鈴木内閣総理大臣 ちゃんと答えてあります。そういう方向で努力しておるけれども、全部はそれで賄えない、だからこうしておるのだ、こういうふうにはっきり申し上げておるのです。
#41
○安藤委員 そこで、先ほどもちょっとお話がございましたが、最近新聞の報道するところによりますと、自民党の中で来年一月の見直しの時期を迎えるに当たって、いまの政治資金規正法を、現在以上に政治献金をふやさせる方向で改定しようというような検討を始めたという報道があるわけなんです。その中身は、企業などの政治献金の上限の枠を拡大する、国政選挙のある年には規制を緩め別枠とする、物価上昇に伴って献金額を拡大させる、こういうようなことを検討を始めたという報道があるのですが、総理は御承知でしょうか。
#42
○鈴木内閣総理大臣 いま政治資金規正法、政治資金のあり方につきましていろいろ党内でも勉強をいたしておる段階でございます。それにつきましてそれぞれ意見の存するところであろうかと思うのでありまして、いま安藤さんが新聞等を通じて入手されたその動きといいますか、主張といいますか、そういうこともあるやに私承知をいたしておりますが、必ずしも一つの方向に固まっておりません。いろいろの意見がある、いろいろの角度から勉強しておるのだ、こういうことを御承知おきを願いたい、こう思います。
 私は、とにかくできるだけ個人から政党本位に、政治活動もあるいは選挙も行われるようになり、また政治資金も政党中心に集まるように、できるだけやりまして、そして個人に対する企業献金等の枠を拡大せぬでもいいような努力、そういう検討も進める必要がある、こう考えております。
#43
○安藤委員 いまいろいろお述べになったのですが、そしていろいろな意見があるというお話でございます。総理としては、いま私が新聞の一つの報道として紹介しましたような方向での検討に対しては、否定的なお考えをお持ちなのかあるいはこれを肯定するという方向でお考えなのか、あるいはそのどちらでもないのか、いかがでしょうか。
#44
○鈴木内閣総理大臣 私は、まだ私としての判断を示しておりません。党内で十分論議を尽くし、煮詰めてもらいまして、その上で私が判断を下したい、こう思っております。
#45
○安藤委員 そうしますと、その関係についてはまだ総理としては無というのか白紙というのか、そういうようなお立場だというようなことになるわけですね、いまうなずいておられるから。
 最後の一点ですが、いま審議をされておりますこの政治資金規正法の改正案につきましては、いろいろ入るをはかって、入る方をきちっと規制をするんだというようなお話がございます。これまでの審議の中でも自治大臣にいろいろお話もしてきたのですが、先ほどからもちょっと議論がありますけれども、入る方も百万円以下に細分するということになれば報告の義務はなくなる、出る方も一度寄附をした指定した政治資金団体からまたその政治家が寄附を受けるということになると、それはどういう方向に使ってもこれは全く明らかにならないというような点でまさにざる法だというふうに言われておるのですが、この前自治大臣にお尋ねしたときには、いま私が申し上げましたようなそういう抜け道もあるので、その辺のところもきちっとこの附則八条による見直しのときに見直しをされるのかどうか。これは石破自治大臣からはそれも検討の中に加えるという御答弁をいただきましたけれども、総理の御答弁を重ねてお願いしたいのです。
#46
○鈴木内閣総理大臣 五十六年以降これを見直しをする、こういうことは、現在の政治資金規正法新法を五年くらい実施をした後の結果どういう点に不備な点があるか、どういう点は改善を要する点であるか、そういう実績、実態を踏まえた上で、広く政治資金規正法全体について検討しようというのが附則八条であろうかと思うのでありまして、いま安藤さんが御指摘になった点も含めて検討さるべきもの、こう思っております。
#47
○安藤委員 時間が来ましたので、終わります。
#48
○久野委員長 小杉隆君。
#49
○小杉委員 私は、総理に三つの点についてお答えをいただきたいと思います。
 第一に、総理はこの政治資金規正法の一部改正をどのように評価しておられるかということです。
 いままでこの委員会におきましても、今回の法律改正は、いまの指摘にもありましたように、入りの方は規制しても出の方が規制されていないとか、あるいは金銭だけに限定をして、書画骨とうとか貴金属類、そうしたものを加えていないとか、いろいろ不備な点が指摘がございました。私自身もその懸念を持っている一人であります。もちろん公職の政治家たらんとする者の自覚、自粛にまつという点は多々ございますが、しかしやはり法規制に頼らざるを得ないという側面があるわけでありまして、大変残念なことでありますけれども、現状はやむを得ないと思います。
 そこで総理は、この法律の改正が国民の政治に対する不信をぬぐい去る上で効果を十分に発揮でき得るものと受けとめておられるのかどうか、率直な御感想を伺いたいのであります。
#50
○鈴木内閣総理大臣 今回の提案をされております法案の内容は、航空機等疑惑の問題に関連しまして、再びこのようなものが起こらないようにという提言の中にもございますが、政治家の私人としての生活と、それから政治活動という本来の公人としての活動、それにどのようにその寄附なり献金を受けた資金が使われておるか。私生活に使われるようなことがあってはならないわけでございますが、これを届け出をする、報告をする、そういう手続義務を明確にして政治資金の明朗化を図ろう、こういうことでございまして、私は政治浄化の面からいきまして一つの新しい角度からの対応である、このように評価をいたしておるわけでございます。
#51
○小杉委員 時間がございませんから次に進めますけれども、第二に、政治への信頼回復とか政治腐敗の防止のためにとるべき道が幾つかあると思いますが、総理はこれから最低二年間在任されるわけですが、その間に選挙制度の見直しとか法律の制定等を積極的に推進していくお考えがあるかどうかということをお答えいただきたいのであります。
 今回の法律改正も含めて、従来の公職選挙法あるいは政治資金規正法というのは、やはりいろいろな面でまだ経験に照らして直していかなければならない点が多々あるわけでございます。特に五十六年度には、ちょうど政治資金規正法が改正されて五年目を迎えるわけでございまして、私どもも今回のこの改正には賛成の立場をとりますけれども、しかし、現行制度や今度の改正をやはり早急にこの五年間の経験を踏まえた土で改正すべきだという立場に立っておりますが、総理は在任期間中にこうした公職選挙法あるいは政治資金規正法の改正、あるいはまた先ほど来政党法の制定等についても意見が出ておりますが、そうしたことに取り組む、あるいは実現をする心構えがあるかどうか、それをひとつお答えいただきたいと思います。
#52
○鈴木内閣総理大臣 御指摘がございましたように、公職選挙法の改正の問題あるいは政治資金規正法の抜本的な改正の問題これはわが国の議会制民主主義の健全な発展の上からいたしましても、また政治に対する国民の信頼を回復する観点からいたしましても、非常に重要な問題でございます。私は、皆さん方の御協力を得ながらこの二つの問題につきまして真剣に組り組んでまいる所存でございます。
#53
○小杉委員 最後の一点は、これからのこうした政治資金規正法とか、公職選挙法あるいは政党法、もし制定するとすればの話ですけれども、今後こうした法律の改正についての進め方、この点について私は少し質問をしてみたいと思うのです。
 今度の政治資金規正法改正の問題でも、私どもには事前のいろいろな話し合いとか意見打診の場というのが全然ないわけです。私は普通の法律でももっと各政党政派の意見というものを取り入れるべきだと思いますが、特にこうした政党や政治家が関連をする選挙諸法の問題については、ただ単に自民党の中だけの検討とかあるいは自治省内部だけの検討で法律を提案するといういままでの姿勢というのは改めなければいけないと思うのです。いま自民党の中でも竹下さんが中心でいろいろ選挙制度の改革をやっております。個人的にはいろいろ意見を求められたりしておりますけれども、私は、やはり自民党の中だけの検討とか自治省内部だけの検討ではなくて、現実に各政党がその活動を通じてこういう問題に非常に苦慮しておるわけですから、もっと事前に各党と調整なり意見打診なりをやってしかるべきだったと思うのです。
 特に今度の問題は、いろいろ不備はあっても恐らく各政党ともこのことを制定することにそんなに異論があるはずがないわけです。私はきょうここへ来て反対の政党があるというのを聞いてびっくりしたわけですね。やはり一歩前進ということで皆さんが納得できれば、全党一致でこういうものは改正できるはずですし、そうしなければいけないと思うのですが、いままでのこういった政治資金規正法なり公職選挙法の改正のやり方を見ておりますと、普通の一般の法律と同じ取り扱いのような気がしてならないわけですけれども、自民党の総裁としての鈴木さんが、今後こういう政治資金規正法の改正などの場合には、もっと各党と精力的に話し合うという姿勢を打ち出すべきではないか、鈴木さん自身が和の政治を求めているわけですから。そういう点についての見解を私は改めてお聞きしたいと思うのです。
#54
○鈴木内閣総理大臣 全く御意見のとおりでございまして、私もそのように心がけてまいるつもりでございます。
 なお、選挙制度あるいは選挙運動のあり方、それから五十六年見直しの政治資金規正法の問題、これはわが党におきまして選挙制度等のベテランであります竹下さんを中心に、いま鋭意党内で検討しておるところでございます。党内である程度のめどが立ってまいりますれば、私先ほど来申し上げるように、こういう問題はスポーツのルールのような問題でございますから、各党各会派に御相談を申し上げて、大方の御賛同を得たところ、御意見の一致したところでこういう問題は処理さるべきものだ、このように考えておるわけでございます。
#55
○小杉委員 時間がございませんのでこれで終わりますが、特に総裁としての総理、また竹下さんもちょうどこの委員会でありますから、今後こういうたぐいのものは、私はできれば議員提案というような形で各党が意見の合意を見た上で出す、そうでなければ、この委員会で幾ら議論しても自治省の人だって答えにくいと思うのですね。ですから、こういう点は私は、やはり政治家自身が主体性を持って改正をするというような運びをこれから心がけていかなければいけないと思うわけでございまして、この点を特に要望といいますか、指摘をいたしまして質問を終わりたいと思います。
#56
○久野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
#57
○久野委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
#58
○片岡委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております政治資金規正法の一部を改正する法律案について賛成の討論をしようとするものであります。
 本改正案は、昨年九月に行われました航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言を受けて、政治家個人に係る政治資金の明朗化を図るため、政治資金を取り扱うべき政治団体の届け出、収支の公開等に関する制度を新たに設けようとするものであります。
 もちろんこれは、いままでやみの中に放置せられておりました政治家個人に対する政治献金のあり方を改め、その資金を受けた、少なくともだれからそれを受けたか、またどの団体から受けたかということを明瞭にして、もっていやしくも不明朗な政治資金の受領のないようにいたしまして、もって国民の政治資金に対する疑惑を少しでも払拭しようとする趣旨から出たものでありまして、もとより私はこれをもって万全なものとは考えません。しかし政治倫理確立の立場から大きく一歩前進するものとしてこれを心から評価いたすものであります。
 この案の内容については申し上げませんが、そういう趣旨から心からこれに賛成いたしたいと思って討論をいたしました。(拍手)
#59
○久野委員長 新村勝雄君。
#60
○新村委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、政治資金規正法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 国民の信頼にこたえ得る清潔な政治を確立することは、民主政治の基礎であり、現下最大の急務であります。ロッキード、グラマン事件から最近の富士見病院の献金問題に至るまで政治資金にかかわる腐敗は後を絶たず、ますます国民の疑惑を深めています。この風潮を一掃するため、金のかからない選挙と日常の政治活動体制を実現することが強く要請されています。
 これにこたえるためには、政治資金規正法の抜本改正により資金の質と量を合理的に規制し、明朗なものにして国民の前に明らかにしなければなりません。わが党は、かねてからこれを強く主張し続けてまいりました。
 ところが、今回提案された改正案は、国民の期待していたものにはほど遠く、とうてい政治浄化に資するものとは考えられません。いま望まれているのは政治倫理の確立、企業献金の抑制、匿名金額の引き下げ、資金の流れの明朗化、政治家の資産公開などでありますが、今回の改正案は、これらもろもろの重要事項に全く触れようとせず、わずかに政治家個人の政治資金収支について届け出制を新設しておるにすぎず、しかも訓示規定であって強制力がないというに至っては、全く改正の名に値しないものと言わざるを得ません。
 政府は速やかに本案を撤回し、以上述べた重要課題を解決するに足る、真に国民の要求にこたえ得る改正案を提案されるよう強く要望し、本案に反対の態度を表明するものであります。(拍手)
#61
○久野委員長 伏木和雄君。
#62
○伏木委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました政治資金規正法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 反対の第一は、指定団体に係る件についてであります。
 改正案では、個人が受けた献金について政治資金とその他の資金の区別を各個人の判断に任せているために、個人が受けた政治資金を指定する政治団体に入れ、また出すことができるようになっております。この場合、指定団体から出された政治資金については収支の報告を必要としないために、結果において私経済と政治活動との区別がつかないことになります。しかも指定団体の数についての制限がないために、個人の政治資金の実態は全く明らかにされないのが実態であります。
 次に、罰則についてであります。
 今回の改正において、保有金や指定団体に係る届け出を怠ったり、また虚偽の届け出をした場合でも罰則が設けられておりません。このためにこの法律の実効性をさらに低下させる結果となり、本改正案は全くの骨抜きのものであると言わざるを得ません。
 いま政治に与えられた重要な課題は、国民の政治不信を回復することでありますが、このような骨抜きの改正案では、政治不信の回復はますます困難であることが明白であります。
 次に、本法附則八条では「この法律の施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途及び会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、更に検討を加えるものとする。」とありますが、新法施行後五年を経過しようとする今日において、政治資金浄化の傾向は全く五里霧中の状態であって、政府・自民党は、この時期にあってもなお企業献金存続の声を大にしております。
 わが党は、速やかに企業献金廃止、個人献金移行を行うべきことを強く主張いたしまして、反対討論を終わります。(拍手)
#63
○久野委員長 高橋高望君。
#64
○高橋(高)委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま提案されております政治資金規正法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
 このところ政治に対する国民の信頼の欠如、特に政治家に対する信頼の失墜はまことに大きなものがあり、われわれにとってまことに残念なものであると言わざるを得ません。
 すぐれた国民性とそれに支えられた旺盛な経済力とによって国際的には評価を得てきたわが国は、それであるがゆえに政治の権威のなさが目立たずに国内は済ませてまいりました。この原因のほとんどが今日までの長期にわたる政権担当政党の独善的な政治姿勢にあり、特に政治と金の問題について多くの心ある国民の反感を買い、政治そのものに対しての不信感にまで至らしめた責任はまことに重いものと言わざるを得ません。
 私たち民社党は、この現実を深く憂うるものであり、政権担当責任者に強くその責任を求めているものであります。松野事件、富士見病院事件等々、いわばこれらは氷山の一角にすぎぬやに思われ、田中元首相の事件もまたその一つとして考えられるのであります。かかる機会に今回この法律が提出されたことは、その改正への手続をとられたものとしての評価は行われましょうが、その内容はまことに不十分で、われわれとしてはこの法律案を容認することはできません。
 今回の質疑を通してわれわれは政府・自民党の誠意ある国民への姿勢を要求しました。すなわち、一つには、現在まで基盤としてきた政治家の倫理が、ないも同然であり、であるがゆえに今回の問題提起にもかかわらず、依然としてその倫理感に訴える不可解さ、また一たん受けた資金を指定された政治団体に入れ、そこから引き出したときの処理の仕方をめぐる不透明さ等についてそのままにしてある点等を考え合わせ、今回の法改正がまさに一時しのぎであるということを指摘したいと存じます。
 以上、この法律案に対し反対の意思を表明することによって、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)
#65
○久野委員長 安藤巌君。
#66
○安藤委員 私は、日本共産党を代表し、政府提出の政治資金規正法改正案に対して反対の討論を行うものであります。
 ロッキード、ダグラス、グラマンなど一連の航空機疑獄事件やKDDなどの特殊法人による政官界工作、税理士法買収事件など金権腐敗の政治構造が温存されてきた第一の要因が企業や業界団体の政治献金にあることは、今日国民周知の事実であります。職務権限に直結する明白な贈収賄のみならず、現行法が合法としている企業、団体献金もまた事実上の賄賂にほかなりません。二酸化窒素規制の緩和をねらった自動車工業会や鉄鋼各社からの多額の献金、料金値上げ時に集中する私鉄各社、電力各社などの献金はそのほんの一例にすぎません。
 しかるに、政府提出の政治資金規正改正法案は企業、労組など団体献金には一切手をつけておらず、その結果これを事実上容認することとなっております。政治家個人の受けた献金の公開について言うならば、賄賂性の濃い企業、労組などの団体献金を禁止し、寄附を個人に限るという抜本的改正をした場合に初めてその効果を期待できるのであって、こうした抜本策を抜きにしては企業、団体献金を容認、奨励するものにしかならないのは明白であります。これが反対の第一の理由であります。
 反対の第二の理由は、すでに本委員会の質疑の経過を見ても明らかなように、法案改正部分にも重大な欠陥があるからであります。
 その第一は、特定候補者が受けた政治献金を意図的に百万円以下に細分化してしまえば、その資金の公開は献金総額のみで済まされ、寄附者の氏名も住所も明らかにしないで済むという重大な欠陥を有している点です。
 さらにその第二は、特定候補者が、その受けた献金を一たん指定団体に寄附し、再びこれを寄附された形にして支出すれば、その支出についての報告義務は全く要らないという問題であります。
 その第三は、会計帳簿、収支報告書の記載義務や虚偽報告など、その一切にわたって特定候補者には罰則がなく、法案自体が違法、脱法行為を容認している問題であります。
 本法案は、こうして政治家個人の受けた献金の明朗化という趣旨に反して、その収入も支出もほとんどすべてをやみからやみに葬ることのできる重大な抜け道を残した欠陥法、ざる法と言うべきものであります。
 私は、以上の理由によって、本法案に対し反対の態度を明確に表明するものであります。
#67
○久野委員長 小杉隆君。
#68
○小杉委員 私は、新自由クラブを代表し、ただいま議題になっております政治資金規正法の一部を改正する法律案について賛成の討論を行います。
 ロッキード事件に始まり、ダグラス、グラマン、KDD、富士見産婦人科病院など、国民の信頼を裏切り、または不信を買うような政治の体質が世の批判を浴びている中で、今回の政治資金規正法の一部改正は、確かに一時しのぎとか、ざる法とか不十分な側面はぬぐい去ることはできませんが、しかし一歩でも政治資金の明朗化、公開性を図ろうとするこの法律改正は、現段階ではその一歩として評価さるべきものと考えます。しかし、この改正はあくまでも小さな一歩であり、国民の信頼を回復するためには、政治資金規正法はそのときどきの情勢に従って不断に改正されるべきものであって、特に五年後の見直しという次の大きなステップが必要であることは言うまでもありません。従来指摘されてきた現行法の不備を改め、五年間の経験を踏まえた抜本的な改正を早急に行うことを強く主張するものであります。
 なお、今後の見直しあるいは法改正に当たっては、各党の意見を十分吸い上げる努力をなすべきであります。また同時に、公職選挙法の改正や政党法、情報公開法の制定も鋭意検討し、制定を促進すべきであるということを申し添えて、私の意見の開陳を終わります。(拍手)
#69
○久野委員長 これにて討論は終局いたしました。
#70
○久野委員長 これより採決に入ります。
 政治資金規正法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#71
○久野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○久野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#73
○久野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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