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1949/03/14 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第13号
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1949/03/14 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第13号

#1
第007回国会 予算委員会 第13号
昭和二十五年三月十四日(火曜日)
   午後二時四十五分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
三月十三日委員深水六郎君及び平岡市
三君辞任につき、その補欠として小林
英三君及び小串清一君を議長において
指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十五年度一般会計予算(内閣
 提出・衆議院送付)
○昭和二十五年度特別会計予算(内閣
 提出・衆議院送付)
○昭和二十五年度政府関係機関予算
 (内閣提出・衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山田佐一君) 只今から会議を開きます。
 十一日衆議院より二十五年度予算案の送付を受けましたので、本委員会としては本審議に入る段階と相成りましたが、未だ本予算と極めて重要な関連を有する地方税法案の提出時期、及びその全貌が明らかでありませんので、先般来、増田官房長官及び池田大蔵大臣よりその説明を求めましたが、本法案提出の最高責任者たる内閣総理大臣及び所管大臣たる本多国務相より詳細聽取の上本委員会の態度を決するということでありました。本日総理大臣及び本多国務相の御出席を得ましたので、本件に関し御審議をお願いいたします。先ず通告順によつて発言を許可いたします。内村清次君。
#3
○内村清次君 政府提出の昭和二十五年度予算案は、日本の自立経済の再建、及び国民生活に及ぼす影響が極めて重大でありまするに鑑みまして、参議院におきましては、二月十日より本予算委員会において、私共は予算予備審査及び公聽会を開いて愼重審議をいたして来たのでありまするが、去る三月十日衆議院においてはシヤウプ勧告による税制改革の主要なる地方税法案、地方財政平衡交付金法案等の未提出のまま、無謀に可決通過せしめた政府與党の態度に対しましては、少からず遺憾とするところであります。従つて本委員会におきましては、地方財政の充実、地方自治の強化の見地から本法案の提出を促すべく、十一日に池田大蔵大臣、増田官房長官に提出の時期び経過について質問いたしましたところ、答弁が曖昧でありまして、極めて遺憾である。而も又その言うところが一致しておらなかつたのであります。いわゆる政府にその重要性を御認識しておらないかの態度であつたのであります。その結果、私は行政の責任者であるところの吉田総理及び本多国務大臣に対しまして、この答弁及びその経過についてお聞きした上において、その審議の態度を決定することの動議を提出しまして、委員会満場一致の賛意によつてこれを可決されたわけであります。然るに昨十三日、本委員会におきましては、吉田総理は病気の理由に出席せられず、予算審議に一頓挫を来たしましたことは、政府の責任といたしまして誠に遺憾に堪えないところであります。吉田総理は承わるところによりますれば、十二日は東京駅においでて、至極お元気であつたと聞き及んでおります。吉田総理の国会軽視の態度につきましては、すでに参議院の院議を以て警告を発しており、民主国会に対する行政の責任者としての御態度につきましては、すでに国民輿論も勃興いたしておるところであります。更に本予算案を提出いたされましてから本日まで一回も本委員会に出席にならないということは、本予算に対するところの総理の熱意が極めて軽薄ではないかと私は認めざるを得ないのであります。この観点からいたしましてお尋ねしたいことは、吉田総理は二十五年度予算案及び国会軽視に対しての御態度について御答弁を要求いたしますると共に、地方税法案及び地方財政平衡交付金法案の提出の時期、交渉経過についてお伺いいたしたいのであります。
#4
○国務大臣(吉田茂君) しばしば私が議会に対して軽視をするというようなお話でありますが、あなたの御趣旨は勝手であるが、私は軽視した考えは毛頭ないのであります。日曜は陛下が御出発になるから総理大臣として役目上出なければならんところでありますから、病を押して出て参つたのでありますが、その他の容態は私自身が知つておるので、あなたには分る筈がないと思います。とにかく私は軽視する考えはない。
 第二には地方税法案でありますが、この地方税法案は最も重要であるから、政府としては愼重審議をいたしており、又関係方面とも鋭意折衡いたしておりましたために、重要であるがために今日まで遅れたのであります。併しながらその内容については関係方面との意見も本日を以てほぼ終了いたしましたから、法案の整理その他に盡力をいたしまして、今週末には提出することができる見込みであります。又平衡交付金の法案については取り急いでおりますが、只今のところ予定よりも少しく遅れまして、来週の初めには提出ができる考えであります。
#5
○内村清次君 只今吉田総理は国会軽視は自分ではしておらない、同時に又病気は自分でしか分らない、こういうような御言葉であつたのでありますが、国会の軽視の点につきましては、首相みずからはしておらないと、こう断言されますけれどもが、その軽視の状態は先程私が申上げたような、いわゆる院議を以てすでに参議院全体の声として出しておることは御承知の通りであります。而も又、第七通常国会になりましてからも、いわゆる緊急質問の通告をいたしました際におきまして、首相が一体この緊急質問に対して御答弁なさつたことは何回あるか。この点は一つはつきりと御認識して頂きたい。私はただ首相か只今相当御感情的になつておられるようでありまするけれどもが、併しこの御感情で国会に対しまして相対されるということは、国会の指名によつて今の職を務められておられるところの吉田首相の御言葉であるとはどうも我々は考えられないことでございます。この御不遜なる御態度につきましては、国民のために御矯正を特にお願いして、而も又この本予算案が非常な重大性を持つておるということは首相自身も只今言明された通りでありまするから、そういう御態度であるといたしましたならば、この予算審議に当りましては、首相みずからが毎日御出勤なさつて、そうして国民代表の質問に対して懇切に、而も亦その言うところは率直に答弁せられることが最も必要であろうと私は考えます。この点は今後におきましても、首相の現在の態度であるといたしましたならば到底御矯正はなさらないことだと存じまするが、今後は我々は事、国民の代表といたしまして、委員会その他本会議におきましてもこの御態度がお直りにならないといたしましたならば、このときにおきまして事実を指摘しまして、そうして御反省を国民のために求むべく私達は今後行動を取りたいと、かように存じます。
 次に地方税法及び地方財政平衡交付金法が本日を以て御交渉が済んだと、かようにおつしてつておられまするが、この点につきまして、この委員会に御提出は今週末か来週というような御答弁であつたようでありまするが、この経過につきましては、どういう重要な点が今日まで即ち遅れた理由であるか。而も又衆議院においては、先程申しましたように、衆議院ではこの法案を提出なさらずに無理にこれを通過させておられる。こういう点につきまして如何なる即ちお考えの下にかようなことをなされたのであるか。この点につきまして、今少し詳しく御答弁をお願いしたい。
#6
○国務大臣(吉田茂君) 先程申した通り、この地方税問題については広範な法案でもありますし、向う関係の方との間の交渉が可なり面倒でありまして、成るべく妥当な落着を得たいと思つて今日まで再三交渉いたして今日に至つたのが交渉の経過であります。又重要な点、どの点が重要な点ということはこれは向うとの関係もありますからして、説明を差控えますが、併しながらこの法案は予算案、御承知の通りに本予算と切り離しても議了し、議決し得る、討議し得るものでありますから、切り離して、そうして衆議院に提出をするということに政府の方針は決めたのであります。
#7
○委員長(山田佐一君) 岩木哲夫君。
#8
○岩木哲夫君 総理大臣にお聞きいたしたい点は、只今も総理大臣は地方税法案及び地方財政平衡交付金等は予算と切り離して審議でき得るものであるから、衆議院においては通過したのであろうという御意見でありまするが、現に衆議院におきましても、これは不可分の法律案であるから是非並行審査、提出の促進をそれぞれの議員から要求した筈でありまして、それが多数党の政党政治の決議によりまして、切り離したままで今日参議院に参つたのでありますが、参議院といたしましては、その参議院の使命、或いは性格、嚴正なるべき批判の立場にありまする本院の立場におきましては、かようなことはどうしても合点が行かないのであります。と申しますのは、元来吉田内閣はこの予算を提出されましたる場合には、特に二十五年度一般会計においては総合予算と称せられまして、極めて特色のある点を力説、強調いたしておるのであります。而も政府の当時の説明は、新たに地方の平衡交付金制度を設け、従来各種地方に補助金を出しておつたことを大幅に整理し、地方税は国税と不可分の関係に置いたことを今回の予算の編成の趣旨と謳われておる。この性格それ自身から決して切り離すべき性格でないと思うのが第一点であります。更に今回の予算につきましては、政府は減税と称せられておるが、併し地方の税法によりますれば、噂によりますれば相当の増税であります。而もこれらの地方税法案が未だ国民や私達の議員には分つておらない、衆議院の議員各位にも分つておらなければ、もとより参議院の我々にも分つておらないのでありまして、国税に関する減税の法律案は只今審議をいたしておりまするが、地方の増税につきましては全くその姿が分らん、果して政府が意図せられまする今回の予算を中心とした税法は減税であるということが断言できるかどうか、その内容におきましては極めて不可解な点があるのであります。この点につきましても疑義があると思いまするし、更に今申上げましたるこの地方平衡交付金制度という新たな制度が設けられた、この金額は一千五十億でありますが、然らばこの一千五十億という金はどういう目安の勘定で生れて来たのか、恐らくは地方税法、地方財政のいろいろのことによつて一千五十億という金額が生れて来たものと思うのでありますが、その地方の財政、地方の税法、これらの目安というものが分らずして、果してこの予算の審議ができまするかどうか。更に又今回の予算を中心といたしまして、政府はこれらの物価体系或いは経済條件、財政状態等、盡く不可分の関連性のあることを強調して、その特殊の性格を政府が強調されてお事態に鑑みましても、どうしてもこの予算と地方税法及び平衡交付金に関する法律案等が出ない限り、この予算審議というものは断じて切離しができないものが多数に要素として含まれておるという感を深くしておるのであります。こういつた点につきまして、重ねてお伺いいたしたい。
#9
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。この法案すべては御承知の通り関係方面と交渉いたして、互いに討議が済んだもののみを提出するのでありますから、不幸にして関係方面との間に交渉、応接を重ねておるがために時間を取れば、次回提出もこれは止むを得ないのであります。併しながらこの国会の会期中、或いは予算案の審議中に提出をいたすならば、諸君の御了承は得られることと私は考えるのであります。併しながら大体についてはすでに大蔵大臣その他からして趣意は説明があつたことと思いますが、要するに減税を目当てにして地方民の負担を軽減する、この趣意に基いて交渉も従つて日にちを重ねておるわけであります。結果においては必ず私は地方の国民の、地方人民の負担が軽減せられる結果になることを私は信じて疑わないのであります。詳細については関係大臣からお聞きを願いたい。
#10
○国務大臣(本多市郎君) 私から補足いたしまして、今日までの交渉の経過につきまして御説明申上げて御了承を頂きたいと存じます。経過の大綱は総理からお話のあつた通りでございますが、何分にも地方税制の根本的な改革でございますので、問題となる点も非常に多いのでございます。先ずこの税法の大体の形を申上げますと、只今御質問にありました通りに、地方において四百億程度の、これは市町村に対する税源を確保するということが建前になつております。この四百億程度の税源の枠の拡張は、これは直ちにその通り市町村民の負担増加になるかと申しますと、これは地方税法が御承知の通りに税率の大部分は標準税率になつておりますので、この標準税率までとるか、それともその下で行くか、上で行くかということは自治的に決定せられる問題でありますが、この四百億は確かに枠が拡がるのでありますから、平均いたしますと、増税になるものと考えております。併し更に過去の実情とこれを照し合せて考えて見ますと、法律に基いて税をとる方法がなかつたために、地方では四百億に上る寄附という方法によつて財源を賄つておつたのでございます。この四百億の寄附というものは、税の枠がなかつたために止むを得ざる手段であつたと考えられるのでありまして、この四百億という今回の税源を拡張することによつて、この寄附であつた四百億は少くとも三百億くらいは減少して、残る寄附は百億くらいになる見込みであります。そうしますと、差引き市町村において百億の増税ということが考えられます。併し国税において昨年の当初予算に比較いたしますと、九百億を減税しておりますから、百億だけ市長村で増税になりましても、差引き実質的に八百億は減税になる、これは概略の見通しとして間違いないところであろうと考えております。こういうことでシャウプ氏の勧告を全面的に受入れまして、これを根拠として地方税法を立案いたしたのでございますが、地方税法の中で主なる税は、府県税におきまして附加価値税、市長村税におきまして市町村民税と、それから固定資産税であります。この附加価値税において、四百二十億ばかりの收入を標準税率によつて計算すれば見込んであります。又市町東民税におきまして、これは従来の住民税と言われた税に代るものでありますが、従来住民税は所得割と均等割と資産割と、この三本建てになつておりましたのを、今度はシャウプ氏の勧告に基ずきまして、均等割と所得割の二本建てにして、資産割というものを止めることにいたしたいと考えております。この市町村民税がシャウプ勧告では大体六百億を勧告されておるのでありますけれども、いろいろその收入見積、税率等を勘案いたしまして、それから少し下廻るかと思いますけれども、五百七、八十億を見込んでおります。更に固定資産税につきましては、五百二十億、この三つが今回の地方税源の根幹をなる税であります。これについてでき得る限りこの税收を標準税率によつて、四百億という枠の拡張が確実できさえするならば、具体的な税法上の税率等は成るべく低く決めて置くべきであろうという考えを以ちまして折衝いたしたのでございますが、その折衝の第一段階は、税率の問題よりも先に、実は如何なる税を、複雑な地方税の中でどういう税を廃止すべきか、廃止する税について折衝いたしました。その次には府県税と市町村税とにどういうふうにこの税を振り分けるか、これはシャウプ氏の勧告で、只今申上げましたような税についてはもう確定的で、政府の方針も初めからあつたのでありますが、その他の雑税につきましてどういうふうに振り分けるかという問題について折衝いたしました。その次には、標準税率を以て算定した場合の税收の見積額につきまして、この見積額についてなかなかこれは複雑な計算を見するのでありまして、この見積額を以てすれば、もう少しく附加価値税の税率にしても、下げても見積額に達するのではなかろうかというような点について種々折衝をいたしましたが、これは大体関係筋の方の意見もありまして、政府と意見が今日では一致しておるのでございます。その次に市町村民税につきましても、やはりこの所得割の税率等について、もう少しく下げても見込收入に達するのではなかろうかということで試みて見ましたが、これも長い間折衝いたしました結果、今日では結論に到達いたしております。
 更に固定資産税の実は課税標準の決定につきまして、この土地家屋に対する時価の評価は、今年に限つて公法上の賃買価格に対する千倍ということになつておりましたのを、これも千倍というのは実情の時価にも即しないようにも思われるし、もう少しく引下げるべきではなかろうかと交渉いたしまして、この点は九百倍ということに大体意見が一致いたしたのでございます。更に固定資産の税率等についても、本年も標準税率にして市町村で調節のできるようにしたらどうか。固定税率にすべきかということについて折衝を続けておりましたが、これも本日の閣議を以ちまして結論に到達いたしたような次第でございます。こういう経過でありまして、大体本日を以て関係方面との主なる箇所についての折衝は結論に到達いたしたのであります。更に尚、小さな問題といたしましては、法律案の中に政令を以て定むると書いてあるようなものを規則にすべきもの、政令でやるべきもの等の多少の折衝は残つておりますけれども、これについてはもう時間を要するということはなかろうと考えております。こういう状態でありますから、関係方面の本当の技術的な審査が終りさえすれば承認も得られて提案できようと思いますけれども、首相からお答えいたしました通り、順調に参りましたならば、今週週末には提案できるものであると考えております。これは私も昨日折衝に参りまして、平衡交付法金と切り離してこの税法だけは先にこれは承認してもいい性質のものであるということも聞いて参りました。そういう関係から見込の通りに進むものと考えております、平衡交付金法につきましては、実はこれは特に問題点は平衡交付金そのものにはないのでありますけれども、地方財政委員会の設置法との関係において今少しく研究する必要があるから、関係筋の承認は、関係筋の最後的意見は更に一週間ぐらいを要するのであろうと、向うで昨日そういう話があつた状態でありまして、これが一週間としますと、来週の月曜あたりには最後的意見に基く政府の態度を決して提案することができるのではないか、かように考えておる次第でありまして、全くこの二つの法案の提案が遅れておりますことは、誠に御審議のためにも非常に御都合の悪いことであると考えまして恐縮しておる次第でございますが、何分にも根本的な税制改革でありますから、でき得る限り税制改革のための摩擦を少なくし、国民にも了解して貰えるような税法に、盡すだけの手を盡しまして提案したいということから遅れておる次第でございまして、何とぞ御了承願いたいと思います。
#11
○岩木哲夫君 地方税法並びに平衡交付金の内容につきましては、又その法律案が提出された場合に詳しく承りたいと思うのでありますが、只今といたしましては、今程本多国務大臣のお話がありましたる通り、地方税法によりまして新らしく千五百億以上のものが新らしい税法といたしましてここに制定されますることにつきましては、なかなか地方の財政におきましても由々しき事態であろうと思うので、結論におきまして、政府は減税と申されましても、これが水割割当の程度、而もこれらの課税の実態等の、現在の経済状態に鑑みましての新らしい問題は幾種考えられる点があるのであります。今も総理大臣がお話がありましたる通り、こうした地方の税法、或いは平衡交付金法案等につきましては極めて重要である。重要なるがために慎重に審議をして関係筋と折衡しておつたという事態に鑑みまして、本二十五年度予算にこれを関連いたしまして考えますると、二十五年度の予算の審議の上におきましては、只今本多国務大臣のお話の内容にいたしましても、又総理のお話の趣向に鑑みましても、全く不可分的な関係のものでありまして、ただ本多国務大臣が言われるように甚だ不便であるとか、都合が悪いかといつたような問題でなく、元来この二十五年度の予算の性格及び基本的要素の分折が困難である。で、政府が本年度の予算の提出におきましてのその基礎的な経済條件として特に取り上げておる問題は、物価水準と給與の水準であります。この地方税が特に最近の経済事情及び近き将来の経済事情に、物価に及ぼす影響というものはいろいろな角度から各種方面で検討されておることは御案内の通りであります。又附加価値税が給與の水準におきましての大きなウェイトを持つて給與問題が論ぜられておる点なども実に大きな問題であろうと思うのでありまして、全くこの予算それ自体の基礎をなすべき重要な、車の両輪の片輪の車が出ないということは、二十五年度予算は我々といたしましては、どう考えましても一日も早く国家国民のために審議を慎重にいたしたいと存じましても、事実上困難ではないか。政府の御答弁におきましても、困難な事態が予想されるのではないかと思うことは、ひとり私が附度しなくても政府の御当局、当事者は深く考えられる点だと思うのであります。こういう点から考えまして、切り離すことは我が参議院の厳正なる批判機関といたしましての性格におきましては、どう見ても困難である点を私は強調いたしたい。
 又もう一点は、元来政府は原案を関係筋へ出されたとおつしやつておるけれども、その政府が関係筋に原案を出されたというものを又政府がそれを修正に行かれるというのは、どういう経緯なんであるか。この点なども併せて総理大臣にお伺いいたしたいと思います。
#12
○国務大臣(本多市郎君) 御承知のように、法律案は提案前に関係方面の承認を得なければならんことになつておりますので、政府は常に連絡を緊密にとりまして、関係筋の完全な承認を得た上で最後的な決定をいたしまして提案することにいたしておるのでございます。一応の意見等を申上げますいろいろな案はありますけれども、その最後的に決つたものが政府の最後の原案でありまして、決して政府自体が不動の原案を出して、それに対して向うの修正を受けているというわけではないのであります。
#13
○委員長(山田佐一君) 木村禧八郎君。
#14
○木村禧八郎君 私は二十五年度予算が参議院に送付されました際、これを審議するに先だちまして、特に総理大臣にお伺いいたしたいことは、この二十五年度予算の参議院に対する提出の仕方です。この形は財政法の精神、即ち総合予算として我々今これを審議しなければならない。その精神に反しないと総理大臣はお考であるかどうか。先ずこの点についてお伺いいたしたい。(「提出責任者が答弁せよ」と呼ぶ者あり)
#15
○国務大臣(本多市郎君) これ総理は最前お答えになつたことでもありますので、私から御答弁申上げます。この地方税法と予算の関係でありますが、間接に確かにこの審議のためにはこれは関係があると考えます、併しこの予算の数字の御決定如何によつて地方税法を直さなければならんという直接の関係はありません。又地方税法の修正によつて何か違つて来れば、この予算を特に修正しなければならんというような直接な関係はないと思います。但し国民負担等の関係を総合的に研究される場合は、総合的に必要なものと存じておりますが、政府といたしましてもでき得る限りこうした問題は一緒に御審議願いたいのでございますけれども、只今申上げました愼重に原案を研究している関係から遅れておる次第でございまして、この点は一つ衆議院においてもこの事情をよく認めて頂いて今日に至つておるのでございますが、これは今週いつぱいくらいには原案も、その法律案自体もお目にかけることができる見通しでありまするし、又大綱につきましてはもう狂うところはないのでございまして、要綱を皆さんに配付いたしておりますので、それでできる限りの御審議をお進め下さるようにお願いいたしたいと存じます。
#16
○木村禧八郎君 只今総理大臣に対して御答弁を求めているのでありますが、総理大臣は御答弁ないのであります。本多国務大臣の御答弁は、成るべく一緒にこれを審議して貰いたいということを言つておるんです。又地方財政の方が少し変つても一般会計に変りがないとこういうことを言つておりますが、先程本多国務大臣が言われたことは地方財政の方の枠のことを言つている。例えば住民税が六百億とか、或いは附加価値税が四百四十億、固定資産税が五百二十億。今問題になつているのはその枠ではなくて、これをどういう形において取るかということが問題であつて、その取り方如何によつて国民に対する負担が非常に違つて来る。誰がどれだけの負担をするか、そういうことは一般会計、今度問題になつている税法と総合して重大な問題になつて来るのです。従つて地方税法の如何によつては我々は一般会計の方の裏付となつている税法も変えなければならん。こういうことになつて来ます。密接不可分なもの、ただ法律的に言えばです、一応切離していいのかも知れませんが、この予算を、国家予算を審議する場合において一体としてこれを審議しなければ意味をなさないのです。意味をなさない、これは最近における財政の常識であります。そのために財政法においてもそういう精神を以てこれを総合予算として審議するということになつておるのであります。ところが先程総理大臣はこれを切離して審議しても差支えないと、こういうふうなお考えでありますが、その根拠はどこにあるのか、その根拠について総理大臣にお伺いしたい。
#17
○国務大臣(吉田茂君) 私の言うのは、この予算審議の間に関係方面との話を付けて、そして提出するから、審議せられても差支えないじやないかというのが私の議論であります。同時に今日の占領下において関係方面が承知しない法案は如何におつしやられても不幸にして出すことはできない状態にありますから、この事情は御了承願いたいと思ます。
#18
○木村禧八郎君 それならば私は総理大臣にお伺いしたいのですが、これまで二十五年度予算を国会に提出する場合において、政府は地方財政の方をどういうふうにお考になつて提出されたのか。一般会計を提出する場合には地方財政の方が分からなければ提出できないじやないか。それならば地方財政の方がどうなつてもいい、直接関連がないからいいという考でお出しになつたのか。
#19
○国務大臣(本多市郎君) 今回の税制の改革は、シャウプ氏の勧告に基きまして、中央地方を通じての一貫した改革であります。従つて、これは関連はあるのでございますが、それぞれその根幹をなす税法の骨子につきましては政府といたしまして、このシャウプ博士の勧告を全面的に了承するという建前で立案をいたしております。その立案をいたしたものが、仕上げまでにあとさきが生じたということでございまして、皆樣方のお手許に配付いたしておりまする地方税法改正案に大綱と内容において、骨子において変るものではないと考えておりますので、これで手続上遅れている点はどうか一つ御了承願つて御審議を進めて頂きたいと思います。
#20
○木村禧八郎君 重ねて総理大臣にお伺いしたいのですが、財政法の精神からこういう予算の出し方は、これはいいことであるとお考であるか、悪いことであるとお考になりますか。
#21
○国務大臣(吉田茂君) 先程しばしば申す通り遺憾ながら今日の状態においてはGHQの了解の得ない法案は提出することができない。ために遺憾ながら前後するということを御了承願いたい。(「了承」と呼ぶ者あり)
#22
○木村禧八郎君 それでは私はこれ以上追及しませんが、政府は予算の編成、或いは国会に提出する場合ですね、これは政府の責任において出されておるのかどうか、この点を先ずお伺いしたいと思います。
#23
○国務大臣(吉田茂君) しばしば申す通り、それは日本政府の責任において、即ち現内閣に責任において提出いたしております。
#24
○木村禧八郎君 それならばですね、致し方ないとこういう御答弁は、政府の責任において予算を提出されたとこういうふうには解されない。それではですね、更にこの予算審議を今後ですね、我々の便宜早くするためにお伺いいたしたいのですが、要するに我々がこの総合予算として審議できない問題点は、予算の総合的な全貌が分らない。只今本多国務相の御答弁によりまして大体の枠は分つて来たのです。大体の枠は漸く分つて来た。そこでこれまで懸案になつておる点はもうはつきりしておる。住民税におきましては、この税の取り方、所得にかけるのか或いは税金にかけるのか、或いは所得から税金を引いたものにかけるのか、この点がどうなつておるかということがはつきりすれば、法律案が出て来なくとも我々は審議の対象になる。何も我我は形式として法律案を出せと言つておるのではない。それがはつきりしていない。この点をはつきりさせるということだ。そうすると我々は法律案は出て来なくとも、その影響がどういうふうになるかということにおいて、総合予算として検討できるわけです。
 第二点は附加価値税におきまして、附加価値税の問題では先程もお話がありましたが、この税率を第一種六%、第二種四%、第三種三%、最高税率が第一種八%、第二種五%、第三種四%、こういうふうに決まるのかどうか。ここが一番肝腎な点です。更に又固定資産税におきましては先程もお話がありましたように、大体結論に到達したというのですが、結論が大切なんです。それが分れば何も法律案が出て来る来ないということは第二の問題になる。従つて一・七五%というこれが標準税率になるのか、或いは先程お話になつたような市町村において自由にですね、増減できるようになるのかですね。この点がはつきりいたしますれば、この税法自体のよい悪いは今後我我が予算審議において審議して、その賛否の態度を決めなければなりませんが、その点がはつきりすれば大体地方財政と一般会計との関連がはつきりして来るわけなんです。我々は枠だけはですね大体聞いておつたわけです。一千五十億という平衡交付金、或いは住民税、附加価値税、固定資産税がどれだけと枠は分つておる。その今御質問した内容がですね三つの点においてはつきりしなかつた。そこでここで本多国務相がこの三つの点についてこういうふうになるのである。今週末或いは来週早々出て来る地方財政の税制はこういうふうになるのである。その点結論に到達した点、この点をここで明らかにされれば、我々は今後の予算審議を進める上に、態度を又決める上に、これが非常にはつきりして来ると思う。この点についてお伺いいたしたい。
#25
○国務大臣(本多市郎君) 最前も申上げました通りに、最後的に関係筋の折衝を終へまして決定するまでは、これは責任のあることは申上げられないようにも考えられるのでありますが、私の今の立場でこういう程度で間違いなかろうと、現段階における私の確信のある落着く程度のところを申上げて御了承を得たいと思います。
 附加価値税におきましては、一種、二種、三種とありますが、一種については附加価値税の百分の四、これを標準税率とし、制限税率は百分の八、この程度に決まる見込であります。それから第二種、第三種はこれは同一税率でありまして、百分の三を標準税率とし、制限税率は百分の三、附加価値につきましては大体そういうふうに行くのではないかと、今の段階では考えております。それから住民税の所得割のかけ方につきましては、お話の通り前年度の所得税額に対する税額の百分の十八と只今では決まるだろうと見通ししておりますが、その税額を標準にして百分の十八をかける方法と、それから所得額を標準にして課税する方法と、それから所得額から所得税を引いた税引の所得額を課税標準にしてかける方法と三つございます。この三つにつきましては、各市町村の選択によつてどの方法によるか、その市町村の実情に適し、又財源としても確保できるかという研究の結果選択主義にやつて貰うようになる見込でございます。更に固定資産税についてでありますが、これは最前申上げました通り、倍率は九百倍になる見込であります。又税率につきましては、標準税率か、固定税率かということにつきましては、百分の一・七五というものについていろいろ折衝せし、研究も進めて参りましたが、只今のところはやはり二十五年度に限つて固定税率に決まる見込でございます。これは凡その現段階における私の個人的な確信とお考え願いたいと思います。
#26
○木村禧八郎君 最後に吉田首相にお伺いしたいのですが、このように本多国務相の確信されるところが大体明らかになつたので、今後の予算審議を進める上に便宜になつたと思うのですが、併しながら今日まで予算の審議が遅れておるのです。首相は先程関係筋の許可がなければ仕方がないと言いますけれども、財政法を作つた精神、総合予算を審議する立場からこういうふうな形で出て来ることがよいと考えられるのであるかどうか、又今後において若しこれがよくない慣例であるとするならば、これを是正することに努力される御意思があるのかどうか。この点についてお伺いいたします。
#27
○国務大臣(吉田茂君) 先程から申す通り、政府としてはこれは誠に遺憾なことである。決してよいとは考えておらないのであります。
 併しながら事情止むを得ないのであるということについて御了解を求めておる。今後はどうか。無論悪いことでありますから、政府としては改めることに努力いたしております。(「了承了承」と呼ぶ者あり)
#28
○委員長(山田佐一君) 岩間正男君。
#29
○岩間正男君 私からも二、三点質問したいと思うのであります。
 先ず第一に、国会軽視の問題は今問題の中心点が地方税制の問題に変つておりますから、私は追及するつもりはなかつたのであります。ところがさつきの首相の答弁を聞いておる中に、これはもつと明らかにしなければならない問題であるので、この点を先に申上げたいと思います。首相は国会軽規の意向はない、自分の体の樣子は自分が一番知つておるのである、こういうように啖呵みたいなものを切られたのであります。これは非常にやはり問題じやないかと思います。何故かというと、このたびの参議院に予算案が回付されてから、さて本審議が始まるわけでありますが、その審議に入る前からどういうような過程を経たかということを考えますと、第一日の十日に首相に第一回の要求があつた筈なんであります。併しこれに対しては風邪と言つて首相は出られなかつた、さてその次に今点は昨年又にこれに対して更に委員会からこれは追求があつた筈であります。これに対してやはり風邪だと言つて出られない、併しその間に首相は東京駅で天皇のこれは御旅行を送つておるわけであります。そこでその点について私は何も言うのじやない。これはつまり首相が今説明された国家の象徴を首相として送られる、併しこの問題はやはり国会の、殊に予算審議が非常に重要な段階に達しておるところの審議、それに対して再三、再四首相の出席を要求しておる、ところが首相がこれに対して出られない、こういうような問題を考えて見るときに、天皇の御旅行を送られるということはこれはやはりプライべートな問題である、而して国会の審議の問題は非常にこれは重要な問題になつておるのであるから、当然首相はそういうような観点において風邪を冒して東京駅に来られた首相であるならば、昨日の月曜日においても当然このような重要な段階については当然出て来るのがこれは本当ではないか、こういうふうに考えるのではないか、こういうふうに考えるのであります。首相個人の天皇に対する判断の問題についてかれこれ言うのではありませんけれども、この現在の憲法の治下におきまして、一体果して首相はこの国会に運営に対してどのような観点を持つておるのであるか。この点についてはつきりとした首相の見解を承つて置くことが重要であると思うので、先ずこれを最初に聞きたいと思います。
#30
○国務大臣(吉田茂君) はつきりお答え申上げます。私は参議院の、殊に予算委員会の審議を軽視いたすものではないからこそ言を盡して最前から申しておるのであります。併しながら人間である以上は風邪を引くこともあれば、病気もある、このときには出ることはできない、これは誰でもいたし方ないことであると思います。
#31
○岩間正男君 その点はまあ余り……。(「みつともない質問をするな」と呼ぶ者あり)ただ私の聞きたいことは、風邪を冒して一方でそういうことをされておつて、国会に対しては、而も今度だけの問題じやなくて、たびたびそういう問題があつて、首相に週末風邪、これは一つの何かそういうような流行のように今日世の中に宣伝されておる、この点をはつきり考えて、国会の運営に対してはもつと愼重であるべきで、殊に参議院におけるところの院議を以てこの点は首相の反省を促しておりわけでありますから、今後の予算審議にも連関してこの点は警告して置きたいと思います。
 問題に要点に入りますけれども、首相は非常に地方税法案の問題は重要である、こい言われておる、重要であるから愼重にやつていて遅れた、こういう話であります。そこで私は聞きたいのでありますが、このような重要な地方税法を衆議院に提出しない、そうして單にこれはこの国家予算だれの審議をして、地方財政の問題と並行させない、つまりこれに対して総合的に関連させない方法を取つておる、このような重要な地方税法をそのままにして送つた方法について、これは正しいと考えられるかどうか、その点をお伺いいたします。
#32
○国務大臣(本多市郎君) 地方税法の提案につきましては、私がそれを推進する責任者でありますので、一応お答えをいたしたいと思いますが、重要な法案を提案しないと言われますと、如何もに提案できるものを提案しないように政府は考えておるように聞えるのでありますが、法律が重要であり、且つ急速に提案しなければならないものでございますので、提案できるように全力を盡しておるのでございますが、止むを得ず今日に遅れておるのでありまして、決して政府が提案しないのではないのであります。
#33
○岩間正男君 遅れて止むを得ずと言わけますけれども、地方税法は、政府において原案を一体決めてこれの審議を始めてから半年ぐらいになり、第十四次案まで作つておる現状である。こういうような形で、そうして而もその重要な法案を衆議院の方に出さないで、そしてこれとの関連なしに衆議院を通過して来たという点については参議院として大きな疑義を持つ。この点についと我々の参議院本来の職責を果したいと思うので、この問題を論究しておるのであります。而も今のお話によるというと、いろいろやつたが、努力が及ばないというのでありますが、それは一応そういう点もあつたでありましよう。併し今までも問題がまとまらなかつた理由の中には、なかなかこれは政府の意向がまとまらなかつた。こういうような点も聞いておるのでありますが、この事実はがあつたかどうか。如何ですか。
#34
○国務大臣(本多市郎君) 最後的な閣議の決定に至りまする以前におきましては、これはいろいろな観点から各省大臣からの御意見も出て参りますので、そういう意見が一致いたしまする前においてはいろいろな意見が出て、それらの問題についての研究を進め、そうして、一致点に達するのでありまして、その閣議の最後的決定に至りまする前におきましては、必ずしもすべての税法に関する意見が一致してばかりいたとは言えないと思いますが、併しそれは研究をし、立派な案を得るための研究でございますから、これは如何なる会においてもそういうことは経るべき段階であつて、特別に不思議なことではなかろうと思います。
#35
○岩間正男君 愼重にやつていたと言いますけれども、やはり衆議院の予算審議そのものが問題になるので、それに間に合わないで、いつまでも遷延しておるということは、これはやはり政府の責任だということをここで我々は考えざるを得ない。更にこの衆議院の審議の問題でありますが、我々から見ますというと、あれは地方税法が決らないのであるから、いわば架空の事実の上に立つてこれを審議したと考えざるを得ない。ところが吉田首相はよく言つておるのだ。架空の事実には答えられない。これはもう何回言つたか分らないのでありますが、こういうような審議のやり方を衆議院においてやつた。そうして而もこの地方税法の決定如何によつては地方財政との連関においてこれは実に重要ないろいろな意味を持つ。(「衆議院でやつたらどうだ」と呼ぶ者あり)その点について我々は今後の問題になると思う。こう考える。衆議院でやるのではなくて、これは参議院の問題である。
 更にここでお聞きしたいのでありますが、減税になるかならないか。この問題はこれは今後細かにこの問題をやつて行けばいいのでありますが、それともう一つ平衡交付金の問題との連関。こういうような点につきまして本多国務相にお聞きしたいのであります。平衡交付金はやはり地方財政との連関においてこれは当然決つて来ると思う。それでそういうようなこの地方財政の如何によつては今後非常にこの平衡交付金の額というものは変更あるべきものだと思うのでありますが、それが最初から天降り的に平衡交付金を決めて、そうしてこの地方財政を後に廻した。この点でこれは非常に基礎がおかしいと思うのであります。それからもう一つ聞きたいのは、四百億の大体増税の問題。この増税の問題は、平衡交付金との関係において一応大ざつぱに決めた。こういうことを衆議院の委員会においてこれは本多国務相は答弁せられたと聞いておりますが、これは事実であるかどうか。その点について先に伺います。
#36
○国務大臣(本多市郎君) 平衡交付金というものは標準税收入と標準財政需要との関係から決つて来るので、この税法の決り方によつてはこの平衡交付金そのものの金額に変更があるのではないかという御質問は御尤もであると存じます。但し本年におきましては、国家財政の状況とも勘案して一千五十億というものが決つておるのでございますが、この一千五十億を決定いたしましたその根拠は、従来の方式による配付税による配付金額、それから更に従来の補助金で、この平衡交付金の中に統合のできるものはこれを相当統合いたしました。これは三百億ぐらいのものが統合されておると思います。そういう点から従来の実績、更に平衡交付金の精神に基く統合、これを基礎とし、国家財政の実情と勘案いたしまして、一千五十億という平衡交付金が決つたのでございますが、これをどういうふうにして運営して行くかと申しますると、この地方税法に基く標準税率で算出いたしました標準税收入、これと、それから地方平衡交付金法に基く地方の財政需要額というものを一定の標準で算出いたします。それとの不足額をこの平衡交付金で、補填するということになつております。でありますから、税が需要額をカバーするような所には平衡交付金は勿論行きません。そうして平衡交付金の金額そのものに制限がありますから、その不足額に一千五十億を按分して配分するという建前をとることにいたしております。そういう関係から国家財政の実情、その他の事情から千五十億というものがこれが増額、減額にならないものとすれば、只今申上げましたような不足額の按分をするということによつて、直接にはそこに不都合は生じない次第でございます。
#37
○岩間正男君 もう一、二承りたい。もう一つ減税になる。国家財政の方において七百億の減税になる。地方税の方でそれに対して四百億の増税になるから、約差額の三百億が減税になるではないか。これは政府が今まで最も言われて来たところでありますが、この地方税法の衆議院の説明によりますと、地方の実情によつて決定する。こういうような点が非常にあるのでありますが、果して現在の附加価値税、それから住民税、こういうようなものをよく検討するときに、而もこれが平衡交付金との連関において平衡交付金を支給する條件として、地方の税收が非常に取られておるというような点、更にそれがどういうことに支給されるかというような非常にそれらの制限條件が付いておる。そういう形においては地方財政が非常に困窮しておる状態においては制限税率までがつちり取るのではないか、又そういうようなことに追込むのがこの平衡交付金の性格とも考えられるのでありますが、そういうことになると厖大な……政府の見積よりも、大体地方の税收の一千九十億ですか、その見積よりももつと二倍くらいに上るところの厖大な価額になるのではないか。こういう点から考えて、この地方税法は中央財政の、国家財政のしわを地方財政に物凄く寄せるのだ。こういうふうに考えられる節があるのですが、この点について本田国務大臣の意見を聞きたい。
#38
○委員長(山田佐一君) ちよつと岩間さんにお諮りいたしますが、総理は外の所用でお急ぎなんですが、総理に対する御質疑はこの辺であなたの方は了承されましたならば、本多国務相にやつて頂きまして、もう一人総理に対する簡單な御質問がありますから、その方をお許しを願いたいと思います。
#39
○岩間正男君 よろしうございます。
#40
○委員長(山田佐一君) 羽生三七君。
#41
○羽生三七君 私のお尋ねいたしたいのは、総理でも、本多国務相でも結構でありますが、本予算委員会で予算審議に対する、最終的態度の決定は後刻あると思いますけれども、その前にお伺いしたいことは、今度の地方税関係法案は衆議院先議になるのか、参議院先議になるのか、この点をお尋ねして置きたい。これも衆議院の法案審議の状況、修正等の如何によつては本委員会の審議の上に相当影響があると思いますので、この点を先ずお伺いいたします。
#42
○国務大臣(本多市郎君) これは慣例によりまして衆議院先議になると考えております。
#43
○委員長(山田佐一君) 羽生さんよろうございますか。
#44
○羽生三七君 よろしうございます。
#45
○委員長(山田佐一君) それでは本多国務大臣、岩間君の御質問に対して御答弁を願います。
#46
○国務大臣(本多市郎君) 今回の地方税が、標準税率等を設けても結局は制限税率まで取らざるを得ない事情になるとすれば、四百億という予定の増税以上に達して、非常に地方民の負担が多くなりはしないかという御趣旨であつたと存ずるのでございますが、実は今日までの地方の税の枠が余りに窮屈でありましたために、その標準税率以上に達しておる所が、制限税率に達しておる所が多いのであります。更に又それでも尚且つ足らず、寄附というような手段によつて財源を賄つておるような実状であります。これは今回の税法の枠の拡張はそうしたものを是正するに役立つだろうと考えております。但し今回の地方税法の改正で財源の増加される所は專ら市町村でありまして、府県に対しては昨年通りの程度に、七百億という程度に税收はこれは抑制いたしております。そういう関係から市町村のみに税源が殖えるわけでありますが、今まで市町村民の人達が税に対して考えておりました点について想像いたしますのに、府県税或いは国税等で非常に取られてしまつて、そうして市町村自体で賄う財源がなくなつしまう。つまり他に税をとられてしまうという立場であつたのでありますが、今回拡げます枠は自分の市町村のためにこの枠内の操作を自治的にやるのであります。仮に更に立派な学校を作りたいという住宅の総意のある場合、或いは制限率税まで標準税率以上の税をとつてその総意によつてはやる場合もあろうかと思いますが、併しもう一年建直しを辛棒して行こうじやないかというこにとになれば、標準税率よりも下の税率、少ない税率で賄なつて行くこともできるのでありまして、これはこうした枠を與えて自治的運営の余地を多からしめる。そうして従来のような強制的な寄附金とか、或いは法定外の雑税をいろいろ設けて取るとかいうようなことはこれで余程緩和されるものと期待いたしておる次第でございます。
#47
○岡田宗司君 私は議事の進行につきまして発言いたします。本日首相においで願い、本多国務相においでを願いましたのは、この予算の提出と、つまり予算の審議とそれから地方財政関係の法律の提出の問題と、それとの関連について本日首相及び本多国務大臣に御出席を願つてそれを質したのでありまして、その予算案そのものの内容につきましては、私は今日まだ入る段階ではないと思います。何故ならば、若し予算案を内容的に審議いたすとするならば、先ず大蔵大臣の出席を求めて、その総括的なる問題から論議すべきが至当である。未だはつきりと決らない他との関連において尚一部に過ぎないところの地方財政の問題は今日まだやるべきでない。従いまして本日の予算委員会は、その提出関係の問題が委員諸君の間におきまして納得でき、或いは納得できないかも知れませんが、その問題についての決定がありましたならば、本日はこれを以ちまして議事を打切つて、そうして改めて内容につきましては別に審議を開始する、そういうふうにして頂きたいと思うのであります。
#48
○田村文吉君 大体今の動議の趣旨は結構だと思いますが、私は休憩の動議を提出いたします。
#49
○委員長(山田佐一君) それではお諮りいたします。内村君の動議に対しまして、総理大臣及び本多国務相に対する質疑の通告者は終了いたしました。右動議の取扱方について一応御協議を願いたいと思いまするから、田村君の只今の動議のごとく十分間この際休憩いたしたいと思いますが、異議ありますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○委員長(山田佐一君) それではここで休憩をいたします。
   午後三時五十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時四十八分開会
#51
○委員長(山田佐一君) 休憩前に引続きまして、会議を開きます。
 本日、本委員会において、地方税法案提出遅延の経緯及びその外貌について総理大臣及び本多国務大臣より説明を聽取しましたところ、予算案提出の方法については原則として遺憾であることを確認し得た。未提出関係法案中、地方税法案は今週末までに、地方財政平衡交付金法案は来週初めに提出の運びに相成るべき旨答弁があり、又予算審議に一応支障なき程度の地方税法の内容につき、本多国務相より発表ありましたに徴し、期間切迫の折から予算審議を促進せしめるため、変則ながら一応これを了承の上、予算案の本審議に入りたいと思います。
#52
○内村清次君 私は吉田総理の本委員会において答弁せられました国会軽視に対する答弁及び態度に対しましては、未だ了解しがたいところがあることを表明いたしまして、爾余の点に対しましては、委員長から御報告になりましたすべての点につきまして、賛成を表明するものであります。
#53
○岩木哲夫君 私は先程来総理並びに本多国務大臣の言明に基きまして、これを信頼して、只今委員長の報告されたような原案に原則といたしまして賛成いたしますが、但し本多国務大臣が言明せるごとく、地方税法は今週の末、平衡交付金法案は来週の初めに議会に提案されなかつた場合には、予算審議につきましては、又重大なる態度を改めて協議いたしたい、決定いたしたいことを條件といたしまして了承いたしたいと思います。
#54
○委員長(山田佐一君) 他に御発言がなければ、只今委員長の発言通り取計うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○委員長(山田佐一君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。本日はこれを以て散会いたします。
   午後四時五十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 佐一君
   理事
           内村 清次君
           岩木 哲夫君
           高橋龍太郎君
           田村 文吉君
           寺尾  博君
           堀越 儀郎君
           岩間 正男君
           木村禧八郎君
           岩男 仁藏君
   委員
           岩崎正三郎君
           岡田 宗司君
           羽生 三七君
           石坂 豊一君
           岡崎 真一君
           小林米三郎君
           小林 英三君
           島津 忠彦君
           城  義臣君
           團  伊能君
           堀  末治君
           安達 良助君
           小林 勝馬君
           鈴木 順一君
           藤森 眞治君
          前之園喜一郎君
           赤木 正雄君
           飯田精太郎君
           井上なつゑ君
           西郷吉之助君
           玉置吉之丞君
           藤野 繁雄君
           松村眞一郎君
           川上  嘉君
           小川 友三君
  国務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 吉田  茂君
   国 務 大 臣 本多 市郎君
  政府委員
   大蔵事務官
   (主計局長)  河野 一之君
ソース: 国立国会図書館
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