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1949/03/16 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第15号
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1949/03/16 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第15号

#1
第007回国会 予算委員会 第15号
昭和二十五年三月十六日(木曜日)
   午後一時四十一分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
三月十五日委員小林英三君辞任につ
き、その補欠として池田宇右衞門君を
議長において指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十五年度一般会計予算(内閣
 提出・衆議院送付)
○昭和二十五年度特別会計予算(内閣
 提出・衆議院送付)
○昭和二十五年度政府関係機関予算
 (内閣提出・衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山田佐一君) 只今から会議を開きます。通告順によつて発言を許可いたします。岩木哲夫君。
#3
○岩木哲夫君 大蔵大臣に二、三お尋ねいたしたいのですが、元来政府は超均衡予算と称せられて、そして日本の進むべき自立経済の方途を誤りなくこれに織込んでおるという自信の程を強められておるわけでありますが、どうもただ計数バランスとしての收支の均衡予算というような観点が、強く我々においても国民においても印象付けられておるのではないかと思うのであります。成る程入るに応じて出るを審らかにしておるわけでありますが、特に財政金融面におきまする今回の超均衡予算としての内容、処置は聊か独占と申しますか、統制強化、むしろ金融面におきましては政府の、政府統制が一層前年度予算よりは強化されて来つつある。これも日本の産業振興の上には必要なることであろうと思いますが、我々は前年度の予算において、元来千九百億の……。国民所得が相当厖大に見込まれて、千九百億に亘る増税を断行された。この間には見返資金が二千二十五億、適当に放出されるから、経済産業基金としての縣念はない旨の状態で通過されたのでありますが、前年度においてはすでに大蔵大臣も御承知の通り、大幅にこの二千二十二億と当初予定されておつた見返資金その他の放出が、結局千数百億に減じ、而も非常なズレで、調整は片方大変な勢いで厳格に推進されるに反して、放出は六ヶ月も八ヶ月もズレてから漸くその緒につきかけ、而も大体は年度末近くにその大半が出るといつたような状態で、これがために非常な昨年のデフレ傾向の兆を告げたといつたようなことは否めない事実であります。こうして政府が超均衡予算と称して、財政、金融を非常に強化独占化するということは、一面昨年の例に鑑みまして、殊に本年度のこのデフレ傾向、これが又大臣と見解は別になるかどうか存じませんが、この不景気に直面して、政府の胸三寸、乃至は特殊の銀行、或いは特定の政府が保障しない銀行貸出しはこれらに委ねられて、政府の方針に基いて金融資金面が梗塞されるという前途を慮りますと、ここに日本産業の将来に相当の杞憂を抱いておる方面が少くないことは今更私が申すまでもないのであります。かような工合に資金面は、金融面は独占、統制強化をしておるが、一面経済面は或いは価格調整金の大幅の撤廃はもとよりでありますが、あらゆるものが自由手離し経済と申しますか、相当解かれつつある。これも経済の自然の原則に基く向上発展の基礎から叩き上げるという見地から当然でありますが、併し一面これらに伴う統制が解除される、従来の制限が解除される、温床的な価格調整資金の出られたものが解除される半面には、十分その後の、統制解除の経済が成り立つて行くような資金、金融面の裏付けが相当自由経済に即応した体制でなくちやならんのであるに拘らず、政府がそれを一手に、殊に厖大なる債務償還をいたして、こういう金融面を独占、統制強化しておるといつたようなことは、どう見ましても超均衡予算なるものが果して政府の意図する日本の産業、経済復興の方途に、実際地についた国民経済といたしまして、或いは本当の自由経済を念願する自由党政府におきましての考えに一致しておるかどうか。政府が資金面を思う通り操作することは行政官といたしましての思う壷か存じませんが、併しどうも自由経済という面と、著しくそこに相背馳しておる。これが超均衡予算といたしましての一つの見方の特殊の性格ではないかと思うのですが、こうした問題に対して一般経済界は非常に議論と矛盾をついておるのでありますが、以上の観点に対しまして大臣の御見解を伺いたいと思います。
#4
○国務大臣(池田勇人君) インフレを急速に收束せしむるために、昭和二十四年度におきまして、超均衡予算を作り御承認を得て実行に移したのであります。昭和二十四年度中は、政府の收支が大体においてです。均衡がとれております。而して二十五年の一、三月には税の徴收が高まつて参りますので、引上げ超過になるのでありますが、こういう場合に政府はできるだけ引上げ超過の資金、又は見返資金を活用いたしまして、金融の逼迫を緩和しておるのであります。見返資金が当初は千七百五十億円であつたのを、補正予算で千五百億円にいたしたのであります。只今まで千二百億円余り入つておりますが、この一、三月におきましても直接の増資を二百億円ばかり計画いたしておりますので、二十五年度に廻る金は百四五十億ではないかと思つております。これは最少限度としてその程度は繰越しになるのが当然と考えておるのであります。
 それから第二段の、政府は債務償還をする。而して又金融を統制しておるというお言葉でございますが、この債務償還は御存じの通りインフレを急速に收束する一つの方法であるので、従つて二十四年度において千五百数十億の債務償還をしたら、二十五年度においてはその必要がないではないかという議論もあるのでありますが、税といたしましては、できるだけ歳出を縮めまして、そうして減税に当てますと同時に、直接需要を起すために、公共事業その他必要の経費を殖やし、そうして残つた金と申しまするか、残つた金というと語弊があるのでありますが、地方と中央を通じて債務の負担が多くならない地方財政で、四百億程度の地方債を出しますので、その程度のものは一応国の方で債務償還をしておかないと、インフレへのまだ危險が全然ないというわけではございませんので、二十五年度の歳入から五百億程度の債務償還をいたしたのであります。何分にも我が国は、只今アメリカの援助を千五百億円も受けているのであります。この援助がなくなつた場合のときを考えますと、減税ばかり建てられないのであります。私は援助がなくなつた場合におきましても、国民の生活水準を下げなくて済むように、即ち片一方で減税をして、生活水準を上げ、又公共事業費等生産方面、復興方面に金を出し、そうして、又他面できるだけ債務償還をしてアメリカ援助がなくなつた場合に、国民が経済的に非常な苦しみに陥らないような準備のために、こういう予算を作つたのであります。決して債務償還するとか、何とかということで、政府が金融を統制するというような考え方は持つておりません。
#5
○岩木哲夫君 アメリカ援助の問題につきまして、我々が今論ずることは差控えるわけでありますが、現在終戰処理費等に見合わしての将来から見まして、アメリカの援助につきましても、今全然なくなるというような問題より先に、そういう事態に立ち至るにつきましては、日本のこうした財政状態が、又相当程度変革が生ずるのではないかと思うのであります。今から援助がなくなるだろうということで、実際国民経済所得が微少であるに、相当これに、実情に相背馳した過大と申しますか、実際堪えられない重税を課して、そうして債務償還を厖大にして、而もこれが実際に自由経済と称せられる経済資金の裏付けに、直ちに打てば響くような態勢に至らなければならん、ただ資金蓄積を政府自身の手に握つておくということは、税金を取りたてられる方面におきましては、こうした状態から、非常な不況でありますが、取りたてたものを半年先、或いは一年先で補給融資をするといいましても、この間の期間というものが、実際産業面におきましても、国民生活経済の上におきましても堪えられないのではないか、それが今日こういうような事態に立ち至つているのでありまして、インフレが将来又再現する虞れがあると言われましたが、これは一つのお言葉でありまして、実際面におきまして、現在のこの資金難、或いはストック、或いは売掛金の回收不能の状況、或いは海外貿易の諸般の実情等から、それは單なる御意見でありまして、実際問題として今この厖大な債務償還を前年度におきましても遂行し、今年度においても遂行し、この間の徴税面と資金放出面とのずれにおきまする間隙というものが、如何に国民の経済基礎に大きな破滅を兆しつつあるかということが、すでに昨年の二十四年度の実情において、随分印象深く刻せられておるのであります。その上更にこれをたたくといつたような方法は、昨日も答弁ありましたが、国際物価にさや寄せをするという勧告から、或いはそういう狙いを持つておられるのか存じませんが、併しながら国際物価にさや寄せられるということが、日本の輸出貿易の振興でなく、日本経済の基礎が充実するわけでもない。もとより一面その点も成立ちますが、現在の段階におきましては、国内秩序の整備ということと合わせて、国際市場の物価の調整ということが必要であつて、国内秩序の整備をともすれば野放し的にデフレ状態を放任しておいて、そうして国際物価にさや寄せするという観点を以て、将来インフレの危險があるという御意見とは極めて矛盾を来たす虞れがありますので、こうした点につきまして重ねてお伺いをいたしたい。
#6
○国務大臣(池田勇人君) 対日援助の見通しについて私の私見を申上げますと、御承知の通りに、一九四八年から四九年は五億二千万ドルであつたのであります。四九年から五〇年は四億二千万ドルであるのであります。五〇年から五一年は、新聞の報ずるところによりますると、二億七千五百万ドルで、漸減いたしておるのであります。私は長く援助を頂きたいという気持もありまするが、又いつまでも我々が援助によつてやつて行くということも如何なるものであるかと思うのであります。これは好むと好まざるとに拘わらず、私は二、三年中にはなくなると覚悟して、日本の経済を建直ししなければいかんのじやないかという期待を持つておるのであります。そういうことを考えますると、私は勿論お話の通り、殊に減税は絶対必要でございますので、国税におきましては、実質的には九百億円の減税をいたしておるのであります。又日本の経済復興或いは災害の状況から申しまして、兎に角国土資源の確保をしなければなりませんし、復興の礎を作らなければなりませんので、減税をしながら、片一方では、そういう必要方面への歳出も殖やしておるのであります。ここで問題は、五百億円の債務償還であるのでありますが、先程申上げましたように、若しこれは千五百億円の援助がなかりせば、我々は飢餓輸出をするか、どうかしなければならん。或いは税金を取上げて、品物をなんと送らなければならん、こういうことを二、三年先きにしなければならんということを考えますと、余つた金だからといつて、それを直ぐ減税に充てておつたならば、二、三年後には増税をしなければならんということがありますから、減税もやはりほどほどにというので、本年減税し、又来年も減税する、そうして今年度中に経済安定の見通しがつきましたならば、そういう際におきましては、私はそう沢山の債務償還はいらん、こう考えておる次第であるのであります。
#7
○岩木哲夫君 将来援助資金がなくなつた場合を予想してのというお気持は分るのでありますが、それが特に昨年度及び今年度の予算において、超均衡予算と称して、まだ末期限の債務を殆んど根こそぎと申しますか、殆んどこれを償還していくということにつきましては、少し療治が荒療治過ぎやしないか、それだけ日本の経済なり、国民生活の基礎が十分強靭でありますれば、或いはそういうことも言い得るし、或いは成立ちもしましようが、現在日本は終戰後、戰敗後におきまする経済の悪性インフレの温床或いは価格調整の温床等によりまして、極めて不健全な状態にあつた。ところがこの不健全だからといつてこれを直ちに健全化するということも理論的には成立ちますが、実際問題としてこの八千万国民が最低限度の生活を確保せんとするところの実情によつて、今までのインフレが悪性であつて国家経済に貢献しておらないということで、直ちに厖大な二十四年度、二十五年度におきまして斧鉞を加えるということが観点は、どうも政治等に鑑みましても、私は良策ではない、もとより援助資金が急速に減るであろうというお考えもあるかも知れませんが、これは私も先程も申上げましたる通り、日本が講和態勢或いは講和態勢に準ずる諸般の事態に伴つて調整されるものであつて、援助資金のみが直ちになくなつて、終戰処理費も依然として厖大に要るという事態は、真に特に日本に好意を寄せられておるアメリカの指導経済としては考えられない、外国のことを忖度するのもどうかと思いますが、こうした状態から超均衡予算と称する、今大臣の御説は、国民としては納得できないのではないか、おのずから緩急よろしきを得る、もつと方法、方策があるのではないかということが一点と、更に今回の予算の歳入面におきましては、一般国民の所得を昨年より更に六千億でありますが、幾ばくか国民所得は増大するものとして、成る程全般的に通じますれば大臣のお説から見ますれば差引き勘定、計数上では減税となつておりますけれども、これはまだ出ておらない地方税法の諸般の実情、その内容等から見まして、必ずしもそれは実質的な減税になるかどうかは問題が多々あるのは御承知の通りであります。而もこれらの被徴税者の実情は国民所得というような利益部面の徴税よりは、勤労所得と申しますが、大衆所得の源泉徴收といつたようなものがその大宗をなしておる。而もこれらの大宗の消費経済というものは決して改善されておらない。かような実情等から見ましていわゆる超均衡予算の犠牲者は大衆国民であつて、これらの得る者は日本の経済復興と言う大資本家、或いは特殊金融資本方面にこれらが向けられ、或いは外国人に対しまする特別の所得税の減免方法等と組合せ、外資導入機関、或いはそういう経済機関との組合せにこの多数の債務償還の資金が放出されるということは否めない事実であります。こういうような状態から見ましても、超均衡予算の犠牲者は大衆である。或いは零細企業家である。実際に利得するものは今申し上げた方面が大いに利得し、いわゆる独占化した政府の統制金融政策にこれらの大衆が超均衡予算としての大きな犠牲を受けるんじやないかという意見は巷を蔽うておるのであります。かような状態に対しまして大臣は如何ようにお考えになつておるか、更に大臣は昭和二十六年度の歳出歳入面の予算の内容をも申上げてもよい、終始四年度、五年度、六年度を通じての政策の一端も先に声明されておるような事態から見まして、今日のこのデフレ不景気に更に大臣がかような政策を強行されるということは、実に我々は由々しき問題であろうとかように感じておるのですが、依然として大臣は今かような方針を御継続なさる思召しかどうか、承わりたいと思います。
#8
○国務大臣(池田勇人君) 非常な敗戰の憂目に遭つた我々国民といたしまして、これを早期に回復することは大変な苦難であるのであります。この苦難は国民全部が平等に受けなければならないのであります。私は何も大衆に負担を負わし、一部の人に利益さすというふうな考え方は毛頭持つておりません。できるだけ減税いたしまして又今後もできるだけ減税をいたしまして、国民の負担を少しでも軽くし、国民生活を楽にいたしたいと考えておるのであります。国税におきましては先程申上げましたように、実質的に九百億円程度の減税であります。地方税においてシャウプ博士の勧告では四百億の増税を計画いたしておるのでありますが、而もこの四百億の増税は税にも劣らないような寄附金をやめさせて、その代りに増税するんだということを謳つております通り、名目は増税でございまするが、そういう内容を持つておるのでございます。従いまして地方税はまだ出ておりませんが、あれを見ましてもあれを執行いたしましても、あれは大体の標準税率で概ねできておるのであります。従いまして地方財政を極力圧縮して国民の負担を軽減するようにして頂くならば、千九百億円徴らなくてもいいわけであります。従いまして国税で九百億円出ますし、而も寄附金に代る増税四百億円でありますから、私は全体として五百億の減税になると思うのであります。而も地方が財政機構を縮小すれば何も千九百億円徴る必要はないのであります。四百億円の増税は要らないのであります。だから私は地方議会ができるだけ国民の負担を軽くするように歳出を減らして行つて頂きたいと考えておる次第であるのであります。尚世間ではドツジ・ライン、ドツジ・ラインと申しますが、ドツジ・ラインはインフレを止めて、自立経済を建てようというのがドツジ・ラインであるのであります。当初は相当きつく行きましたが、併し私は昭和二十四年度よりも二十五年度の方が減税もし、そうして或る程度の今の債務償還もしてよくなつて行く。昭和二十六年度におきましてはこの傾向がもつと強化されましよう。国民全般の努力によりまして、経済の安定がますますその度を加えて来るならば、私はドツジ・ラインという、インフレを急速に收束せしめて、国民経済の安定を困るというこの考え方は余程変つて来ると思うのであります。従いまして、私は二十六年度についてどうこう言つたというので、少し早まつているのではないかと言われますが、二十四年度の予算と二十五年度の予算をお較ベになつたならば、二十六年度がどうなるということは誰にもすぐ分ることなのであります。例えば今年度の、二十五年度の收入によつて債務償還する五百億円をどうするということ、それから九百億円の輸入補給金が大体四百億くらいで済む。そうすると千億円出て参ります。而して又終戰処理費が殖えないとすれば、終戰関係の外の費用も減つて参ります。又統制を廃めて行きますので、早い話が船舶運営会に出しております四、五十億の金もなくなつて来る。こうなつて来れば千数百億円の金が浮いて来ることになる。千数百億円の金が浮いて来たときに、これをどれだけ減税に向けるか、これをどれだけ公共事業費を殖やして国土の資源の確保に向けるか。或いは又その程度の金のうちからどれだけ債務償還に充てるかという問題が起きて来るのであります。私は今から想像いたしまして、千億円余りの額が、国民の力によつて来年度は出て来る。それを又減税と復興に充てたい、こういう考えを持つているのであります。
#9
○岩木哲夫君 減税問題は又後でお聞きいたしたいと思いまするが、債務償還の問題等にも関連いたしますが、どうも今日の予算を通じましても、これは前年度の予算を見ましても同樣でありますが、政府のとられたこうした財政方式といいますか、金融対策と経済復興、自立経済の方途というものは、ただインフレを收束して自立経済を確立するというドツジ・ラインの基本的な方針がこの今度の予算であるという漠然としたことなんでありまして、どうも政府のとられた財政金融政策というものと経済政策というものとに有機性を欠くと申しますか、血が通うなおらないということなんであります。これはまあ議論にもなるかも知れませんが、これは大臣も恐らくかような御見解がおありじやないかと思うのでありますが、政府がとられておるこの超均衡予算に対処して、然らば将来の日本の自立経済というものはどういうものを目標にし、どういう産業を振興し、どういう価格政策、物価対策を講ぜられると考えておりましようか。一度承わりたい。
#10
○国務大臣(池田勇人君) 何と申しましても、狹い国土に非常に沢山の同胞がここに住んで行かなければならないのでありますから、どうしても産業の復興を培わなければなりません。勿論農業の発展を図りまして、主食の輸入を減らすことも考えなければなりませんが、積極的に原材料を輸入いたしまして、これを加工して外貨を稼ぐことに努めなければならんと思うのであります。どういう産業を先ず力を入れて行くかと申ますと、やはり我が国の状況から申まするならば、豊富にある電力を起すとか、或いは今までも国際收支に非常に役立ちました船舶の運航を図る。そうして又こういう各産業の基本を完成しますことろの石炭、或いは鉄、こういう基本産業を先ず助成して行く。そうして輸出の均衡に当てたいという考えでおるのであります。物価の問題は昨日の申上げましたように、どうしても国際経済の中に立つて貿易によつて我が国を立てて行こうとすれば、もう結論は国際物価鞘寄せし、国際物価に対して競争力のある物価にして行きたい。これは結局産業を起すことであるのであります。私はまだまだ統制を外したと申ましても主食におけるがごとく、又片一方では鉄におけるがごとく、非常な不均衡な物価状態であるのでありまするから、片一方では補給金を削りますと共に、片一方では合理化、増産を図つて行く。そうして国際物価の鏡に当てましても、何もそこに変なことの起らないような物価体系にいたしたいと考えておるのであります。
#11
○岩木哲夫君 大臣の自立経済の御構想を承わりましたが、この御構想がこの莫大なる無期限の債務償還、例えば本年一千二百八十億であるといつたようなものを償還しなければならんというようなことは、どうもぴんと来ないのではないか。産業復興を図らなければいかんという漠然としたことでありまして、例えば食糧につきましても、自給自足をやらなければならんのはもとよりでありますが、現在政府が三百七十五万トンを入れておるのはこれは行き過ぎであります。本年度の端境期は千九百万石を政府は手持しておる。この千九百万石の手持ちのために全国津津浦々の倉庫は食糧で満たされておるのであり、戰前ですら四百万石とか五百万石の手持で済んでいたものが、端境期になると千九百万石にもなる。これによつてその保管料とロスだけでも数百億に匹敵するのであります。こうしたような無駄な食糧輸入……とは申ませんが、これ程入れるならば、何故増配しないのか。或いは現在の各地から買つておる食糧というものは大臣も御案内の通り最近南方でも朝鮮でも、その他小麦にいたしましても、一石当り八千円乃至一万円に達しておるのに、内地の農家は四千二、三百円で收奪して、外国のものは八千円、一万円である。我々の税金は決してシヤムやタイの農民に補給するのに税金を奉つたのとは違うのであります。こうした理窟の合わない。これは食糧問題は後に廻しますが理窟に合わない。こういう方法、これでは農業復興のため政府が今回予算にどれだけの熱意と資金を注入しておるかといつたような問題につきましては今私が、喋々を要しない。
 又原材料の輸入につきましても、原材料を輸入して外貨を獲得しなければならんと言つておりますが、現在の為替レートの問題からしまして、果して外貨の獲得のできるような貿易振興策がとれると思召しなさるかどうか。問屋、小売、その他のメーカーを合せますれば、政府民間のあらゆるものを通じまして、二千億に達しておるというこのストック、外国では日本のダンピングによつて世界的経済恐慌が起るとすら言われておる。そんな状態で果して高い原料を入れて、そうしてこれが輸入できるようないわゆる外貨のとれるような現在の貿易圏内、貿易地域、現在のポンド、ドルの不足状態の実情から見まして、到底、そういつたことは理想ではありましようが、その理想を千二百八十億の債務償還で以つてやらなければならんかという、切実な具体的な紐のついた血の通うた経済政策とは私は受取れない。又電力につきましても、これは電力を増強するということは、これは日本の経済におきまして、不可欠の問題でありまして、それはもとより言うまでもありません。船舶につきましても、又大いに造船をしなければならんわけでありますが、現在の船舶が外船と対抗してどのような有利の状態を確保できるか、而も鉄鋼の補給金を廃して、増船費の相当の値上りから見まする将来の造船対策につきましても、幾多の議論があるし、輸出が振興されない、原材料が沢山入らない。この状態において日本の船舶、造船の将来の経済政策はどう現れて来るか、なかなかこの点は容易ならざる問題でありますが、どうもぴんと来ない。或には石炭対策におきましても、鉄鋼政策におきましても、千二百八十億の厖大な債務償還の資金を具体的にどのような工合にやるのか、こうしたような補給金とか、調整金を撤廃するのは、もとより自立経済に必要な温床経済からいわゆる野生経済に持つて行くということはでき得ましようとも、この間にどうも政府のやり方が矛盾がある。又国際物価に鞘寄せをすると言われますが、然らば現在の物価水準というものから、国際物価に鞘寄せというのは、まだ何十パーセント、何パーセント日本の物価を下げたら大臣のお気に召す国際経済、国際物価の鞘寄せに至りますかどうか、この点を重ねてお伺いいたします。
#12
○国務大臣(池田勇人君) レートの問題でございましたが、私は三百六十円レートでやつて行けると考えているのであります。何と申しましても、只今は、日本は輸入国でございます。而も原材料を相当輸入しております場合におきまして、レートの引下げは一時はいいように見えまするが、結局は第二段第三段の引下げを起し、又安定した物価政策が行われないようになるのであります。三百六十円で十分やつて行ける、行けるようにしなければならんと考えているのであります。造船なんかについて問題がございますが、それは今トン八万円ばかりの造船費がかかるのであります。ヨーロッパの諸国と比べますと、少し高過ぎるので、私は造船界の合理化を先ず図らなければならん。而して又一トン当りの価格が高いのは鉄が高いからだ、鉄が高いのはなぜ高いかというと石炭が定いからである。御承知の通りにアメリカでは製鉄に対しまして、トン七ドル程度の石炭を使つているのであります。併し日本では同じカロリーにいたしますと、十七ドルぐらいの石炭になるのであります。こういうところからやはり石炭の合理化を図り。そうして鉄をできるだけ安くして、そうして又それによつて造船を安くする。こういうふうに順を追つて行きたいと考えているのであります。折角通商産業省におきまして各重要産業の合通化委員会を作りまして、検討をいたしているのであります。できるだけ早い機会に適正なところまで行こう、尚物価を国際物価に鞘寄せをする。こういうことは、どういう物価についてか、こういうお話であるのでありますが、これは今、今日取引の行われておりまするものは大体鞘寄せの済んだものがあります。併し鉄にいたしましても、肥料にいたしましても、又お話の米にいたしましてもこれはかなり違つているのであります。例えば先般も朝鮮から輸入いたしました米はトン百四十四ドル、C・I・F価格は百四十四ドルだと思いますが、こういたしますと七千七百円ばかりになります。こういうようなものは日本の米価が安過ぎるのであります。併し米価が価過ぎるということと、而もこれを国際物価に鞘寄せをいたしますと、肥料なり賃金の関係、一般物価にも影響いたしますのでこういうことにつきましては、できるだけ早い機会に経済界に非常なシヨックを與えない方法によりまして解決して行きたいと考えておるのであります。
#13
○岩木哲夫君 どうも私の感じにぴんと来ませんが、これは議論になりますから省きたいと思いますが、どうも物価政策におきましても、或いは大蔵大臣が考えられておる日本の自立経済の構想というものとは、こういうただ漠然とした御見解、国民のこの実際困難な状態から相当の徴税をして、そうしてそれを無期限の債務償還をして、どうも余り暴挙じやないかという声に対してももつと裏付けをする物価政策、産業政策というものが大蔵大臣におありにならなかつた。そういう点につきましては誠に我々は遺憾に思うのでありますが、大臣はこれは当面する政策でありますか。吉田内閣は長期計画は立てないといわれておるのですが、長期計画というものは大臣は、政府はお立てにならんのですか。立てんというわけにはいかんものも相当あります。大体計画経済的な御構想というものは、例えば電力問題にいたしましても、船舶問題、或いは将来の繊維関係、或いは鉄鋼関係にいたしましても、或いはあらゆる基礎産業、重要産業に対しまして、恐らくや計画的な経済構想がなくてはならんと思いますが、こうしたものがおありであつたら承わりたい。なければ結構であります。
#14
○国務大臣(池田勇人君) 私は先程申上げましたようにできるだけ減税はいたしておるのであります。債務償還をやめてうんと減税せよというお考えのようでありますが、私は減税もするし、債務償還もするという考えで進んでおります。
 尚吉田内閣は五ヶ年計画とか、三ヶ年という計画経済の見通しを立てていないかどうかという問題でございます。これは私としても立てたいと思います。併し如何せん日本の産業経済におきましては、援助資金がどうなるか、或いは外資の導入はどういうふうになるかという非常に重要な問題がはつきりいたしませんので、なかなか立ちにくいのであります。私の所管いたしておる予算の点、税の点につきましては私は自分では立てております。先程申上げましたように二十五年度の予算を作ります前に、二十六年度はどうなるかという二ヶ年間ぐらいは見ておりまするが、一般の産業につきまして日本政府で今独自にどうこうやるということはなかなか困難である。立てて見ても役に立たない。机上のプランに終り勝ちなのであります。併し所管所管によりまして各大臣がお考えになつておるかも分りませんが、私は大体五ヶ年計画というものは立てても立てにくくもありますし、立てても役立たないのではないかという気持を持つております。
#15
○岩木哲夫君 それではそれはその辺で略しましよう。
 次にお尋ねいたしたいのでありますが、大臣に国税において九百億の減税をし、地方税においては寄附金を消滅して相当の事実上のそう大した増税にもならんといつたようなお話であつたのでありますが、元来昨年度のことを持ち出して失礼でありますが、この増税というものの国民に與えておる経済実情というものはどういう感覚で、これはいろいろ徴税の成績表も拜見いたしておるのでありますが、どういうふうに国民経済に與えた影響をお考えになりますか。この辺をちよつと承わりたいと思うのであります。
#16
○国務大臣(池田勇人君) 増税という言葉でございますが、どういうふうにお考えになつておりますか、私は他の機会に申上げたと思いますが、少くとも私、大蔵省で今まで考えておりますことは、税率その他を動かしまして、税法改正によりましての増收を増税と言つておるのであります。経済界が変動いたしまして国民所得が殖え、或いは課税物件が殖えたために増收のあつた分は増税とは考えておりません。例えば今年は酒の税金は千三十億となつております。昨年の当初予算では六百五十億、補正予算では七百数十億となつておると思いますが、今年の三百億からの増加は増税による増收ではないのであります。それは一部に二、三十億は増税による増收もございますが、大部分は増産、酒を沢山作つて沢山呑んで頂いたところの收入であつて、増税とは言つておりません。従いまして昭和二十四年度におきまして三千百億の税金が五千百億になりましても、これは全部増税によるものとは私は考えておりません。増收なのであります。従つてそういうふうに殖えた税金が増收になつたために国民経済に與えた影響はどうか、こういうお話でございますが、私は只今問題になつております中小企業者或いは農業者を根幹といたしまする申告所得税につきまして千九百億のものを、補正予算において千七百億と即ち二百億と見込を減らしました。その後の状況は千七百億でも相当赤字が出ると見ております。この赤字の原因は何かと申しますと、一には予想よりもいわゆる申告納税をなさる中小企業者或いは農家の方の懷工合がよくない。もう一つは各企業が法人に組織変更をしたというふうなことによると思うのであります。決して私はこれだけ税金を取らなければならんからというのでやつておるのでなく、やはり税法の命ずるところによつて国民所得をはつきり掴え、そして税を課けて行くのであります。無理に税金を取るべきでないということを私は常に言つておるのであります。こういう状況でありまして、私はこの五千百億の税金は大体二十四年度において徴收し得ると考えております。税によりまして凸凹はあります。全体としては大体自然増收もせずに徴税できると考えております。
#17
○岩木哲夫君 増收か増税かについては大臣のおつしやる点も御尤もだろうと思います。併しながら増收か増税かにつきましては非常に微妙な関係があることは言うまでもないのでありまして、元来国民所得、社会経済というものがどういう実体であるか、この見込というところに、増税になるか、増收になるのかという問題があるのでありまして、昨年度におきましては国民所得を厖大に見積り、昨年度の補正予算におきましても尚国民所得の増大を見積り、本年度予算におきましても更に一層の国民所得の増大を見込んで、それを増税でない増收だと言われるのでありますが、元来国民所得をそういう非常に大きく、過大と申しますか、強く見積るういうものの根拠につきましては、これは又いろいろ議論の分れるところもありましようが、ここに問題があるのでありまして、インフレ時代の隋力を推定し、或いは通貨面におきまするいろいろの流動資本等の実体等からいろいろの見方を政府はとつておられることもあると思うのでありますが、インフレ時代の隋力を以て、すでに昨年度のあの大きなデフレ政策の斧鉞を加えた状態の悪循環的な悪隋力の今日において、尚今年度におきましても国民所得は増大しておるという見方に基ずく増收政策と申しますか、こういつたことはどうも国民の現在の実情から見ましてどうしても合点が行かない。と申しますことは、国民経済に余裕があるならば、それは過去において儲けたものを、利得したものを今日以後において税金として納めるのは易いことでありますが、併し大臣におきましても、どなたにおきましても、国民一人として特殊の人は除き、その日その日の生活経済というものは容易ならざるものがあるのであります。で過去において仮に利得がありましてもそれは余剩利得ではなくして、自分らの消費経済を漸く賄い得るところのいわゆる自給自足所得でありまして、それをこの悪隋力のデフレ景気の今日以後においてこの税金を納めるという者が、極めてそこに重税といつたような感を抱くことは当然でありまして、こうした問題の経済実情というものとインフレ時代の隋力を以て課税標準を決め課税基準を推定して、そうしてそれだから増税ではないのだ、これは増收であるといつたような見方はどうも現在の実情からぴんと来ないのではないか。かように思いますが、御所見は如何ですか。
#18
○国務大臣(池田勇人君) お話は国民所得の見方だと思います。二十三年に比べまして二十四年の国民所得が殖えたのは、概ね増産もさることながら、物価騰貴が一年中フルに出て来る関係であつたのであります。併し二十四年の国民所得に対しまして、二十五年は大体六%程度の国民所得の増を見ておりますのは、これは物価は余り動かないのでありますから、生産の増強によつてそれだれ殖えたことに見ておるのであります。勿論国民所得というものは一つの推計でございまして、正確を期してはおりますけれども、なかなか捉えにくいものであるのであります。
 そこで御質問の点は国民所得を殖やす方はどうしたか、なぜ殖やしたかという問題があつたと思うのであります。で我々は国民所得が三兆二千億だからというので、昭和二十五年度の税を彈いていないのであります。昭和二十三年の徴收実績を捉まえまして、それからそれを基本にして国民所得がどう殖えておるかといういわゆる物差し……何と申しますか、基本にせずに傾向を調べるだけに国民所得のあれを使つておるのであります。
#19
○岩木哲夫君 国民所得のことのみ申上げたようなお感じをとつたことは失礼いたしましたが、今大臣の言われる生産が増強しておるからいわゆる六%増收しておるのだということは、或る部面におきましては生産が増強されましても、それはいわゆる有効需要と申しますか、実効のある需要ではないのでありまして、これが今日資本を喰潰すダンピングとなり、非常なロスを釀成するストックとなつておるのでありまして、生産増強、それ自体が直ちに国民所得の増大だという主要観点を以て今回の税法の基礎を立てられた、税收の基礎を立てられたということは、大臣といたしましてはどういうなんですか、ちよつと合点が参りませんが、もう一度承わりたい。
#20
○国務大臣(池田勇人君) 昭和二十五年の歳入の予算というものは、三兆二千億をもとにしたのではないのであります。二十三年の課税所得が二十四年、二十五年でどうなるかというその殖え方の差物しを国民所得の殖え方で取扱たつのであります。もとは二十三年の課税実績であるのであります。従いましてよそでよく問題になりますように、課税所得に使つた場合の国民所得とそれから一般の計算の国民所得につきましては、可なりのギャップがあるのであります。我々の租税收入の見方は今申上げました二十三年を基本にして、その後の国民所得の殖え方の割合を掛けて行く、それで二十四年度そのものを基本にいたしておるのではないのであります。
#21
○岩木哲夫君 まあ二十三年度を基礎としての御計算でありますが、二十三年度のいわゆる企業体、企業の実情と生産製品の売行き、価格、これを取扱いまする商業上の問題或いは労銀の問題につきましても、実情は著しく二十三年度のあのインフレ最高時におきまする実情と、今日の、二十五年度、二十五年四月一日以降におきまする問題とはいわゆる雲泥の相違があるのであります。ここに政府当局は増税でない、増收だという御意見を言われますが、徴税される方は誠に重税、増税の感じを深くするのであります。而もその当時の物価の状態或いは通貨の実体、或いは経済上の実情等から見ましても、そこにいわゆる課税政策におきまして、こうしたような波瀾期におきましては、相当の矛盾が生じて来るのじやないかという感じが深いのでありますが、重ねてこの点を承わりたい。
#22
○国務大臣(池田勇人君) 二十三年はインフレの強かつたときだから、それを基本にするということはよくないのじやないかというふうなお話でございまするが、成るべく課税実績を見まして、その後の物価の動き、生産の増強を見てやつておるのであります。これは我々としては大体この程度は適当だ、こう考えてやつておるのでありますが、片一方は国民経済の実況を見まして、今年度即ち二十四年度は三千百億円の所得税をとつておるが、明年度は二千五百八十億、五百億余を減らすことにいたしておるのであります。決して増税はいたしておりません。
 それから又これは予算でございまして、今年の例にもありますごとく、今後次第に経済界が、私はそう考えませんが、非常に不況になつて来る、国民所得が減るというふうな場合になつたら、これは又変えられるのであります。昨年は法人の方につきましては非常な増收が出ました。当初予算の倍以上の増收が出ました。併し中小企業、農業家の方に対しましてはもうすでに二百億円の減收を見て、予算を作成しておるのであります。その後におきましても減收が出る、これは私は覚悟いたしておるのであります。経済の実情に副つて徴税をやつて行かなければなりません。ただ税法といたしましては、今年度よりも来年度、先程申上げましたように相当の減税をいたしておるのであります。
#23
○岩木哲夫君 増税したのではないと言われまするし、どうもこの点は意見の相違にもなりまするが、又生産増強におきましても、私は現在の生産増強というものはいわゆる有効需要の生産増強ではない、資本の喰潰しのダンピングであるし、ロスの温床であるストックであつて、これが資金なり品質なりあらゆるものに、却つて生産増強というものが、経済界の実情を非常に悪くしておる、悪くしおると言えば言葉が悪いのでありますが、結果において悪くなつておる。この実情に対しまして、前年度におきましてはそういう実績から見て当然だと、決して増税ではないのだという基本的なお考えにはこれはどうも隔たりがありますから、これはこの辺にいたしたいと思いますが、昨年度の徴税実績につきましては、丁度政府は共産党張りみたいに、共産党の方を前においてえらい失礼でありますが、密告制度を設け、それに賞金を與える、そうして差押えのトラックに随分なスローガンを掲げてやるというような極めてあくどい方法を以て嚴重なる取立てをしたものと私達は思うのです。必ずしもそればかりではありませんが、こうしたことは極めて国民に対する心証が悪く、結果において政府は最もいやがる共産党の各位がいろいろ税務相談委員会かなんか、ああいうようなものを拵えていろいろ税務署に当つておるということの事態の起つたのは、やはりこうした政府の取つた措置によつたことだと思うのでありますが、こうした措置等から非常な昨年度におきましては徴税の実績が上つたということは、私達も了承いたします。昨年度の余剩所得と申しますか、何と申しますか、過剩收入は、大体こうしたことによつてかどうか知りませんが、如何程であつたのでありますか。
#24
○国務大臣(池田勇人君) 昨年度とおつしやるのは、二十三年度と心得て答弁いたします。
#25
○岩木哲夫君 いや四年度です。
#26
○国務大臣(池田勇人君) 今年度即ち二十四年度におきますところの国庫の状況は、今経過中でございますから、はつきりは分りません。三月が過ぎまして、大体五、六月頃に分るのであります。ただ私が大蔵大臣として、日頃の金の出方等を見て参りますと、今年度は七千四百億円の一般会計の予算でその一%の動きもないように考えております。税の方面につきましては、二十三年度においては二百億近い自然増收がございましたが、今年度は余り自然増收がない状況であるのであります。何と申しましても、五千億円の税金を全国五百数十の税務署でとつておりますので、少しくらいの差は出て来るかも分りませんが、余り去年のように三百億近いということはないのであります。百億も出ない状況であるのであります。
#27
○岩木哲夫君 大変失礼しましたが、二十三年度であります。二十三年度が三百億でございますか。
#28
○国務大臣(池田勇人君) 二十三年度におきましては、税と專売益金で三百億余り、而して又歳出の不用額が百億ばかりで、合計四百十二億になります。この四百十二億のうち、半分は財政法で債務償還をしなければならんということになつておりますので、二百六億円を明年度即ち二十五年度で債務償還をする。半分の二百六億円は補正予算で御審議願いましたように二十四年度の補正予算として使つたのでございます。
#29
○岩木哲夫君 二十三年度におきまして、四百十二億の自然増收があつたと言われるのでありますが、二十四年度においては百億に充たないであろうという御見解でありますが、我々の見方では、二十四年度におきましても、相当の自然増收があるのではないかと思います。というのは、この大蔵省の資料によりますれば、法人税、織物消費税、取引高税等はすでに二月の末で、一〇〇%を突破いたしております。その外相当の成績が上つておるものもありますし、こういう状態から見まして、二十四年度も相当の自然増收があるのではないかとまあ推測いたします、私達は考えておるのであります。二十三年度におきましても、四百十二億自然増收がある。而も財政法において半額債務償還に充当するのは承知いたしておりますが、かような工合に自然増收が、二十三年度におきましても、四百億を突破し、又二十四年度におきましても相当の自然増收が相当額に達するというような実情でありますれば、こういう分だけでも明年度におきまして減税をするとか、或いはこうした自然増收の非常な莫大な金額に対しまして、減税に何か準ずるような方途はないものでありますかどうかお伺いいたしたい。
#30
○国務大臣(池田勇人君) 先程言つたのは、四百十二億円というのは、自然増收ではございませんで、それは剩余金でございます。このうち自然増收は、税と煙草で三百億円、あとは不用額であるのであります。而してこの昭和二十四年度、本年度におきまして自然増收がどれだけ出るかという問題でありますが、お話の通りに源泉課税の所得、即ち勤労所得者に対するもの、或いは法人税、或いは酒税につきましては、増收が出ることははつきりいたしております。どれだけ増收が出るか数額は申上げられませんが、法人税につきまして六、七十億ぐらいは出ましよう、酒税につきましては三十億ぐらいかも分りません。勤労所得税につきましても相当出ましようが、申告税はお話の通りに千七百億円の予算に対しまして、二月末までで、千九十億しか入つておりません。即ち予算に対しまして、二百億減らした千七百億の予算に対して二月末の千九十億、まだ六百億円の未收入があるわけであります。これを考えて見ますと、税に関しては自然増收が出ないと思います。それから税以外の、今度は煙草も当初は專売裁定で政府は四億か五億ぐらいの赤字だろうと思つておりましたが、この頃の売行から見ますと、五十億ぐらいの煙草は赤字が出ましよう。価格差納付金につきましても予定通り取れません。又補正予算でお決め願つた地方公共団体への貸付金の十八億円の回收も思うように回收できません。こういうことを考えますと歳出の方で或る程度の不用額が出まするが、收入不足の方が多く、租税收入の増と專売益金の減收を比べますと余り差はありませんのであります。今から自然増收が出るということを考えるのは無駄なことではないかと考えるのであります。
#31
○岩木哲夫君 これは大臣の方が專門でありますから、私の見方が間違つておるかも知れませんので、これもこれ以上の論争はいたしたくないと思いますが、但し毎年度相当の自然増收がある、特に二十三年度におきましては、自然増收その他におきまして四百十二億あつたわけでありますが、こうしたような若し自然増收があつた場合には、例えば将来これを以て減税的な措置を講ずる、次年度においてその実績、或いは実情に基きまして減税的な措置を講ずる、乃至は当面する勤労者の給與のベースの改訂の問題であるとかいつたようなものにつきましても、若し過年度におきましてそういう実情があつた場合には政府は考慮をされまするかどうか承わりたい。
#32
○国務大臣(池田勇人君) 前年度剩余金につきましては、財政法で半分は国債償還に充てるということを決まつております。残る半分は一般の歳出に充てますから、減税にも充てることができるものと考えております。私は何を措いても減税といたしたいという考えでございますので、自然増收が出たらその分は先ず以て減税をいたしたい、而して減税ばかりでなしに、又別の歳出を殖やして施行しなければならん費目があれば、税と見合いに復興資金にも充てる。又只今問題になつております、公務員の給與等につきましても、私は十分増收があれば考慮いたしたいと考えております。
#33
○岩木哲夫君 もう一点税のことでお聞きいたしたいのでありますが、地方税は税法が出ておりませんから、今この席で申上げることはどうかと思いますが、元来国税は水増割当と申しますか、凡そこの分で四百億、或いは五百億といつたようなものに対して、水増割当というものが当然あると思うのですが、それと各税の実收入の実績比率というような問題の、ほんの二三でもよいのでありますが開きの顯著なものを承わりたい。
#34
○国務大臣(池田勇人君) 水増割当というようなことは全然ございません。そんなことは考えたこともないのであります。我々は收入予算を作成いたします場合におきましては、常に経済界のの今までの実績、そうして見通しをつけてやるのでありますが、この、例えば酒の方につきましても、当初はいもの割当が非常に嚴格でございました。併し食糧事情の変更によりまして、いもはいくらでも使つていいということになりますと、燒酎がどんどん増える。こういうことで、御承知の通りに、酒の自然増收も出て来たのであります。
 それから又、個人の所得税、即ち申告所得税が非常に減つて来た。それから法人の方が非常に予定よりも殖えて来た。勤労階級の方が非常に殖えて来た。こういうことは個人企業が法人になつたという場合には、逆になつておる。個人企業が法人になれば、今までの申告納税の分だけが、それだけ全部なくなりまして、法人の所得だとか、今度は個人が法人に勤めたという勤労所得になつて来る。こういうふうになつて来まして、まあ本年の予算では法人税と源泉徴收の分が、当初予算よりも可成り殖えて参りました。そうして、酒の方が相当殖えて来た。それで減つた方は中小企業方面の所得が非常に減つて来た、こういことになつたと思います。
#35
○岩木哲夫君 私がお尋ねいたしましたのは、今大臣の御答弁頂いたこともあるのですが、もつと私がお聞きいたしたいのは、先般主税局長でございましたか、それぞれ税の歩留り、パーセンテージを本委員会で公表されておりました。例えば、この税金は六五%の実績の歩留りだとか、或いはこの税金は七〇%の実績の歩留りだと、こういう報告がありまして、ちよつと私は控えた資料を持つておりませんのでありますが、即ち、この七〇%に歩留つたというものは、いわゆる大蔵省が、その徴税目標四百億、この税金として四百億というものに対して四百億の割当をしておるのか、例えば四百四十億、一割ぐらいの多きを国民に割当てておるのか、そいつを承わりたい。その結果が七〇%の歩留りだつたとか何とかということを承つたのであります。
#36
○国務大臣(池田勇人君) 主税局長が答えたというのは、こういう意味と思うのであります。例えば勤労所得に対しましては、源泉徴收をいたします。源泉徴收をいたしますと、その次の、例えば役人の月給であれば八日と二十一日に拂います。そうすると、その分は俸給支拂いの際に、まあ初めから源泉で取つてしまいますから、そうして翌月日本銀行へ拂込む。こういうものの徴收歩合というものは、毎月々々で、非常にいい。多分私は九五・六%くらい行つていると思います。中には過年度分とか何とかいうのがありましたり、或いは脱税というものがありますので、少しぐらい、一〇〇%まで行かん場合もあると思いますが、これは九五・六%から七・八%であります。併しそこで、この中小企業等に対しましては、一月一日から十二月三十一日までの所得を計算をいたしまして、一月末に確定申告いたします。それで、確定申告によつて、税務署が更正決定をしたり、何かいたします。更正決定を二月の末とか三月の始めにやりますと、三月の末までの年度内の收入にはならんものが相当あるわけです。こういうのが翌年度にずれ、これがずれますから、今の七〇%とか七六%の收入歩合、こういうことになると思います。それを主税局長が説明したと思います。若し何だつたら、專門の政府委員がおりますから、御説明さしてもよろしゆうございます。
#37
○岩木哲夫君 そうすると、その場合に一〇〇%以下の場合には、御説のような歩合でありますが、一〇〇%以上取れておるというのはどういうわけでありますか。
#38
○国務大臣(池田勇人君) どういう税目で一〇〇%以上取れるか、前年のずれが、それだけ七〇%なり三〇%ずつずれがあると思うのであります。前年度の予算が非常に多くて、その次の予算が少なかつたならば、そのずれで一〇〇%ということも観念上は起り得るかもわかりません。併し一〇〇%以上というふうなものはそれ以外にはないと思います。
#39
○岩木哲夫君 ここに法人税、織物消費税、取引高税等がそれぞれ一〇四%七とか、一〇四%三であるとか。こういつたような工合にそれぞれ基準を増加いたしておりますが。
#40
○国務大臣(池田勇人君) それは法人税について申しますると、当初予算は二百七十億円であつたのであります。その後これを五百億円に予算を変えたのであります。五百億円よりも沢山取れたというときに、予算より超過したのを一〇三%とかなんとかということになつております。予算よりも超過しないのは、例えば申告納税即ち中小企業や、農業者の税金は予算に対して六四%しか今取れておりません。それから法人税の方はもうすでに二月末に一〇四%七になつておる。勤労階級に対する分は予算をこれは百数十億円当初予算よりも補正予算で殖しても尚且つ九八%四に出ておるのであります。で、これは予算に対しての徴收実績であるのであります。
#41
○岩木哲夫君 それでは次にお尋ねいたしたいのは、最近地方財政が、殊に今回の地方税法の改正等に伴い、その他地方庁といたしましては、地方財政としての自主的な取扱い予算といつたようなものが非常に複雑且つ膨脹して参ると思うのでありますが、この地方財政に対しまして、政府はいかなる監督をしておらるるのかどうか。最近各府県におきましては、その予算におきまして知事の交際費でありますとか、或いは知事が独断で使えるいろいろの費目を持つて厖大なる予算を獲得し、或る地方におきましては、知事室などを設けて特殊な地方長官といたしましての政策を遂行いたしておる半面に、来たるべき知事の選挙に際会して、その立場を利用して、或いは予算の一部を活用して、自分の選挙運動に使うといつたような噂が相当現われておるのであります。で、今各都道府県で、それぞれ地方の予算が都道府県議会で提出されて審議されておりますが、これに伴いまして、現在まあ地方税法が現われておらないから地方がどういう予算を立てておるのか、我々にはその根拠を衝くのに甚だ危ぶんでおるのでありますが、これはかねて政府が発表せる地方税法の基本というものを、大体その通りだと鵜呑で起算いたしておるものと思うのでありますが、仮にこれが別といたしましても、今回の平衡交付金といつたような問題と、地方の財政といつたようなものとの睨合わせというものは、中央政府といたしましてはどういう方法で睨み合しておるのか、或る地方におきますれば、今申上げた地方長官ばかりでなく、或いは府県会議長、議員等が、来たるべき来年の選挙に対しまして、地方予算のうち、いろいろの名目で結局自分等の選挙対策的な方面に活用でき得るような素質を含んだ予算を含んでおる要素が各府県に相当現われておるようでありますが、こうした問題は地方に議会それ自体の自主性によるわけでありまして、或いは政府におきましても、地方自治庁の所管大臣におきまして主宰されるものとは思いますけれども、平衡交付金等の関係から見ましても、特に大蔵大臣はこうした地方財政に対しましてどういうような指導監督をされておりますか殊に最近、今申上げましたような実情に対しまして、どのようなお考えを持つておるかを承わりたい。
#42
○国務大臣(池田勇人君) 以前は大蔵大臣といたしまして相当監督権を持つておつたのでありますが、只今では全般的に申しまして大蔵大臣としては監督権が実質的にございません。ただ規定には、大蔵省主計局におきまして、地方自治団体の歳計に関するもの、主税局におきまして收入に関するもの、こういうものをやつておるだけでありまして、実際上の監督権は大蔵大臣にはございません。然らばどういう観点から地方財政の平衡交付金を考えたかと申しますると、大体前年度の予算等から見まして、義務教育費につきましては、これだけの先生が殖える、これだけの事務費が要るというようなことを算出いたしてやつておるのであります。当然殖えるものは殖やしますし、減るものは減らす。こういう地方財政平衡交付金より外に、大蔵大臣として積極的にタッチすることはないのであります。私は先にも触れましたように、国民の負担軽減が最も重要な政治でありますので、国におきましてもああいうように減税いたしましたが、地方におきましても、できるだけ歳出を減らして負担の軽減を図つて貰いたいということを、大蔵大臣として常に機会ある毎に言つておりますが、法的の監督権はないのであります。
#43
○岩木哲夫君 政府は近く地方税法に対しまする法律案を出されることだと思つておりますが、今回の固定資産税或いは附加価値税乃至は地租、住民税でありますが、特に固定資産税、附加価値税が一般企業及び物価に関しましては、影響するところ極めて大きいと思うのであります。殊に民間給與体系におきましても、或いはいろいろの事情で却つて企業整備の名に基く失業者が出る虞れ等もあるのでありまして、民間では非常に脅威を感じており、且つこれに対しまして非常な議論を展開されておることは御案内の通りであります。こうした実情を固定資産税、附加価値税が近く出ました場合に、これが実行される場合におきまして、実際物価面或いは一般経済面、或いは生産の増強面等にどのような影響があるとお考えになりますか、どうでありますかを伺いたい。
#44
○国務大臣(池田勇人君) 施行如何にもよりまするが、私の考えでは、不動産税におきましては五百二十億円、附加価値税におきましては四百二十五億円の收入を見込んで、地方財政の枠を拵えておるのであります。そこで大体それだけの税を徴收すれば賄える予定でおりますので、地方といたしましても、できるだけ歳計をふくらまさないようにして、附加価値税で四百二十五億、或いは固定資産税で五百二十億徴收なされば、そう大して物価等に悪影響はないと考えております。
#45
○岩木哲夫君 これはまあ議論の分れるところで、幾ら押しましても分れるところでございますが、元来大臣はしばしば、所得のあるところには課税をするのが当り前であるということをよく言われておるのでありますが、今回の附加価値税、それから特に市町村住民税の内容、性格等は、どうも従来大臣の抑せられた点と著しく相違いたしておりますが、これに対して御見解如何ですか。
#46
○国務大臣(池田勇人君) 違つてはいないと思います。所得税は所得のあるところに課税するのであります。住民税はやはり所得を大体基準にして行つております。従つて所得税につきまして最高五五%は低過ぎるじやないかというお話がありますが、これは住民税というものを考えますと五五%が六六%になる、こう言つて答えておるのであります。所得のあるところに所得税並びに住民税を課税するのであります。併し附加価値税という制度は、これは特殊な税でございます。收入金から人件費その他のものを除いて、即ち仕入金を差引いたものについて、そこに担税力を見て課税するのであります。この税の建前は所得課税ではないので、所得が無い場合にもこの税は課税するような場合も起り得るのであります例外といたしまして。併し原則はこれも担税力のあるところに課税しようという狙いであることは間違いありません。
#47
○岩木哲夫君 附加価値税の問題をここで長くやりますと、迷惑であろうと思いますが、これは企業体が利益が上ろうが上るまいが、今大臣の言われたような工合に課税されるのでありまして、実に画期的な税制として恐るべきものであるというので、企業体におきましては非常な脅威を感じておる。現在この困難な惡條件下に営々として素地を築いて将来の生産増強、国家経済に貢献せんとする困難な企業体をも、かような制度によりまして、更に一層の困難に追い込むということから、極めてこの附加価値税等が一般経済界、企業体に及ぼす影響は甚大なものであるということは、もうすでに今日世論が決定的な事態にあるのであります。こうした状態から、特にこうした税金を地方税に移讓されたことは、シャウプ博士の勧告に基くものであろうとは思いますが、どうもこの点に矛盾があるし危險性があるし、地方経済というものと、地方におきまする大臣の財政金融政策の政府統制をしようという目途というものとは、極めて矛盾を生じて来ると思うのでありまして、これらに対しまする政府が債務償還をして、資本を蓄積して自立経済に貢献するということを、こうした問題とはどういう工合に政府は関連性を持たせ、結び付けをいたして行かれるかということをお聽きいたしたいのが一点と、それから住民税におきましては人頭割という問題、所得のあるところに住民税の一定の賦課割合が生じて来ることは仮に諒といたしましても、人頭割という問題であります。これは日本全国同樣の現在の米の価格、或いは通信料におきまして、或いはその他の汽車賃におきましても同樣でありますが、最近政府が提出されんとする電力料の問題につきましても、例えば東北、中国、九州のごときは、著しくここに電力料等に相違もあるのであります。こうした状態から住民税がそれぞれの経済事情、地域によつては段階はありましようとも、今申上げたような状態では、極めて矛盾があるし、公平なる政府の税の課税の方針におきましては問題があると思うのでありますが、これに対する大臣の御見解を承わりたい。
#48
○国務大臣(池田勇人君) 政府は、何も政府金融を統制しようという考え方は持つておりません。補給金をなくしたり、或いは財政の規模を縮小したりいたしておるのであります。決して統制をしようとしてはいないのであります。見返資金の中でも、政府が直接投資よりも一般債務償還を沢山して、民間人がその創意によつて運用して行こうということに進んでおるのであります。決して財政金融を統制しようという考えは……、今でも或る程度の補給金なんかが残つておりますから、考え方としては、財政金融を統制しようという考え方を強めて行く気持はございません。
 次に附加価値税の問題でありますが、これはお話の通りに、私共直接の所管ではございませんが、シャウプ博士と私はこの問題につきまして二三日議論したのであります。世界でこういうものをやつておるところはございませんが、これは営業税の外形標準的なものか、或いは流通税と見るべきか、いろいろな点がございますが、私は一種の税であろうと考えております。施行につきましては、なかなか困難な点がありますが、これが施行について十分用意をしてやつて行けば、税として学問上は非常にいい税でございますし、実際上も私はうまくやつて行けるのではないかと考えております。
 次に住民税の人頭割でございますが、御承知の通りに、住民税というものは昭和十五年拵えられました市町村民税の代りでございまするが、地方団体によつて負担分任の精神という観念の下に出発いたしたのでございます。そこで各人がやはりその町村に住んでおるとすれば、その町村の経費をとにかくお互いに皆多かれ少かれ分担しようと、こういう出発点から出ておると思うのであります。五十万以上の都市で幾ら幾ら、或いは三段階に分けておるよのでありますが、だから全然所得のない方に人頭割は私はうまく行かんと思います。又そういうものは行くべきではない。或る程度こういうことを加味しておる。即ち人税であると考えております。
#49
○岩木哲夫君 税金の問題は、このくらいにいたして置きたいのでありますが、次に大蔵大臣は現在の経済実情はデイスインフレの実態である、物価は横這いであるということを終始繰返されておられるのですが、遺憾ながら経済実情はかような実情でないと思うのでありまして、この見解につきまして一、二お尋ねいたしたいのでありますが、先程からも大臣からもお話ありましたが、生産は増強されておると言われますが、二十三年度のインフレ惰力によりましての一部の生産増強、或いは海外貿易の特殊事情に基く生産増強の部面はありましたが、今日生産増強なるものはすでに停頓いたして、更に生産を増強いたそうと思えば、海外にダンピングするか、余程政府から金でも借つて寢さすかストックさすか、或いは国内市場に投売をするか、まあかような状態で、生産経済それ自体は算盤が合わない。而も現在の偽替のレートから貿易面におきましても、これが消化の容易ならざることはもう先刻御承知の通りであります。最近あなたの御所管の通産省の調査によりますれば、最近の生産は百四十二品目中僅かに特殊のものが十六品目であつて、後は皆生産が昨年末から低下いたしておる。これは今回の二十五年度の超均衡業経済の前途が非常に憂慮されておる。成る程大臣は只今政府の金融統制はしない、民間金融に一任すると言われておるが、民間金融はもう私がすでに申上げるまでもなく、資産は絶対基礎が確実であつて、将来に保証されるような政府の産業計画にマッチした企業体に、或いは民間企業としては融資をいたしましても、今日よかれあしかれ、国家経済に貢献し、よかれあしかれ国民経済に融け込んだ経済実情が、企業体が非常な困難な場合に対して民間金融機関に、それの投資を或いは金融を要請いたしましても、これはおいそれとは貸さないのであります。民間に金を持たすとか何とか言つておりますが、実情はこれが民間企業体に潤うと、環流するというようなことは、なかなか大臣の仰せられるような工合にはうまく問屋が卸して呉れない、こうした状態を現在の生産部面におきまする将来性、政府は五ヶ年計画であるとか三ヶ年計画であるとかいう計画は立てないと言われますが、仮にその計画は立てなくても、将来日本の自立経済は、例えば鉄鋼であるとか、肥料であるとか、或いは電力であるとかどこであるとかいつた工合に確信のある状態を披瀝し、これに対する金融政策、統済政策、物価政策と並行して裏付をいたすことによつて、或いは生産企業体におきましても、民間金融機関におきましても、投資が成り立つのでありますが、こうした方面にただ政府の態度が漠然としておるから生産は一向増産されない、増産したものはストック化し、食い潰しのダンピングである、出血ダンピングであるといつたような状態の目標以外では、現在の状態では生産は向上発展しないのであります。而も又通貨面におきましては、これ又大臣と見解は相違するかも知れませんが、何を申しましてもやはり政府が統制をしなくても統制に近い管理をいたしておるのであります。それが故に今回のまあ債務償還がどの部面からどういう内容で償還されるのかまだ承つておりませんが、実情におきましてはやはり預金部、日本銀行が主催して、これらが政府の方途に基いて融資をするのでありまして、或いはこうした経済下におきます通貨政策という問題につきましても、到底デイス・インフレの線だとは見られないのであります。最近政府は株式振興と申しますか、株価復興に対しまして厖大な金を出しましたが、どれだけ株の値段が上つたと考えられますか。いたずらにただ株の値段を上げるために金をばら撒いただけでは株価は上らない。やはり国家全体に対する金融政策、経済政策、あらゆる貿易政策に対して一貫した方途がなくてはならんし、又今回の債務償還が余り厖大にし過ぎて、そうしてこれが経済界に寄與する政策性を欠いておる。民間金融に聞きに行つても一向分らない。安全なものなら貸すが、そうそう政府の企業目標に副つておるといつても、民間金融はそうは問屋は卸さない。こうした実情から、企業の経営難から不渡手形は増大する一方であるわけであります。又貿易面におきましても先般昨年の何月でありましたかフロア・プライスを撤廃されてから、政府は総理大臣の名において投げ売りはしないのだ、こういう声明をされましたが、如何せんこの政策は日本の企業体、生産経済面といたしましては、これを維持、保持することが困難でありますから、採算割れの出血ダンピングを国内、国外に向つていたそうということから、却つて世界の不況は日本からだといつたような最近声が一部にあるようであります。最近通産省のサンフランシスコでありましたかどこかの駐在官の経済報告によりましても、日本の商品はフロア・プライスを撤廃後四割五割叩いても応ずる、恐るべきダンピングだと言つてアメリカが非常に警戒をしておる実情等からも、現在の貿易面におきまするこうした状態から申しましても、果してこれがデイス・インフレの線でありますかどうかは、実に容易ならざる問題だと思うのであります。先程重税の問題は重税じやない増税ではない増收だと言われましたが、繰返して申す必要もない。いわゆる過去における経済実態の惰力を推しての、いわゆる増收政策を取つておられるというところに、大きな問題があるのでありまして、最近の農村不況におきましても、或いは中小企業の実態は言うまでもなく、あらゆる面におきましての最近の経済実情というものは、決して大蔵大臣の言われるデイス・インフレの実情ではないと我々は確信いたしておりますが、これにつきまして大臣は現在はデイス・インフレの経済実態であるとの御観念を持つて進まれておられるのかどうか承わりたい。
#50
○国務大臣(池田勇人君) 私は日本経済全体としてデイス・インフレの線で行つておると確信いたしております。生産につきましても、先般本委員会で十一月までの数字でスキャップの統計は余り数字は殖えていないじやないか。安本の統計だけが殖えておるというが十二月の状況は、ストックを全体的に題ますと、或る程度減少いたしておりますし、生産は十二月は非常に伸びております。一月の数字はまだ持つておりませんが、私は全体の傾向といたしましては、生産はずつと伸びておると思うのであります。今お話の肥料にいたしましても、二十四年は硫安は予定よりも殖えまして百三十数万トンを見込んでおるのであります。鉄にいたしましても、予定よりも殖え、二十五年度におきましては相当の増加を見込み、又増加し得る体制にあるのであります。石炭にいたしましても、数量予定よりも減つたかも知れませんが、カロリーの点につきましては非常によくなつて参つたのであります。私は生産は段々殖えて行きつつある、又将来も殖えるものと確信いたしておるのであります。貿易の問題をお話になりましたが、貿易は御承知の通りに、昨年七月からポンド地域とバーター制になりまして、それ以前は非常に日本が輸出超過であつたということが頭にありまして、バーター制を採りましたけれども、日本では必要以上に、今まで輸出超過だというので、非常に輸入をしたという関係で、一時ポンドの不足を来しておりまするが、これは両者今までの実績を計つたのでありますが、この分は徐々にとけて行くと考えるのであります。尚金融の統制の問題がございましたが、これはやはり政府でございますし、前の見返資金を或る程度私企業に出します関係上、又預金部資金を一般銀行に幾分出します関係上、その点は極く小部分の統制があるかも分りません。併し預金部資金は年に六百億程集まつて来る予定になつておるのであります。そのうち郵便貯金が半分、或いは簡易保險、厚生年金が半分足らず貸付金の回收ということになつておるのでありますが、これも殆んど大部分は地方債の引受けでございまして、統制の中には入つていないと思います。貸出しなんかも、非常に金詰りとか何とか言われるのでありますが、昨年の一月から六月までに七百億円の銀行の貸出増、併し七月から十二月までは二千億の貸出しであります。銀行の或る人に言わせますれば、預金の額よりも貸出しの方が殖えておる、こういう程銀行は貸出しておるのであります。インフレの時代に馴れておる人が金詰りと言われるのでありますが、それは金詰りもありましようが、できるだけ貸出しをやつておるという状況であるのでありまして、私は金融全体は相当預金も殖え、貸出しも殖えて行つて、とにかくデイス・インフレの線を堅持しつつ、除々に明るい面に入つて来つつあると考えておるのであります。尚株価のために預金部資金を出したというお話でございまするが、株価維持のために出したのではございません。年末から或いは一―三月の間の政府の引上げ超過を緩和して、産業界に非常な金詰りの状態を起さないように、政府で遊んでおる金と申しては語弊があるかも知れませんが、余裕金がありましたので、これを短期運用をいたしたのでございます。株価維持のために出したというわけではございません。政府の金を出しまして、それは産業復興になり、いろいろな経済の不安定を直すことによつて株価に間接に影響があるということは、これは認めなければならないのでありまするが、株価維持のために出したということは全然当らないのであります。
#51
○岩木哲夫君 飽くまでもデイス・インフレの線であるし、これを推進するこの方法を堅持せられると言われるのでありますが、どうも問題はここにあるのでありまして、今程も大臣は、生産は例えば鉄鋼であるとか、肥料であるとか、石炭であるとか増強しておるということでありますが、これは仰せの通りであります。これは政府の価格補給金もありまするし、それに今のうちにやらなければならんということは、企業界はいわずもがなであります。併しながら、例えば肥料、石炭は国内市場におきましても、果して又現在の増強された鉄鋼が海外輸出の価格の面で適合しておるかどうか、その他の製品におきましても、企業体におきましても盡く生産は低下、低迷の状態であります。大臣は生産はずつと伸びておるということの信念を持つておられるようでありますが、それはお説のような工合に今申上げたものの部類はそれは伸びておりますが、これも若し補給金が止まれば私は量は大臣のお思召す通りには行かないと思うのみならず、基礎産業、重要物資の大半のものは生産が止まつて、厖大なるストックとなつておる。又貸出しは二千億あると申しますが、これは売れない商品の金融に殆んど喰われておるのでありまして、経済活動、企業活動にこの貸出しが全部行つておるわけじやない。特にストックにおきまする融資というものがこの大半をなしておる実情でありまして、かような実情から本当に企業経済というものが、生産増強の発展性のある金融というものは依然として政府は積極的にとられておらない。かような状態でこの金詰り、金融梗塞という問題が如何に現在の深刻な経済界に、更に一層拍車をかけておるかということにつきまして、深い御関心を持たれることを要望するのでありますが、株価は余裕金があつたから一時運用したんだと申されますが、それ程余裕があるならばもつと重要なる経済復興の方途に金融の途があるだろうと思う点も少くない。もとより株式の低迷に対する価格維持ということは我々も望むところでありますが、併しこれは全く張つたり膏薬でありまして、本当に拔本的な治療政策ではない、やはり政府の採られるデフレ政策と申しますか、こういうインフレに対する余りにもきつい剔決政策を取つて、尚それを追い打ちをして、そうして国際価格に鞘寄せをする、尚農村物価の米の問題は特殊の事情がありますが、日本が貿易資金によつて日本の経済を賄うて行かなければならんという将来性に向つて、国際物価に日本の物価を鞘寄せしようということは、まだまだもう一杯日本の企業状態が窮地に陷つても止むを得ないし、もう一杯安くなつて初めて国際価格に鞘寄せしてから正常貿易が振興するんだという思召しというものは、この脆弱なる敗戰後の日本の経済の基盤に立つて靜かに考えて見ますれば、由々しき問題でありまして、再び立つことのできないような私は大きな傷を負うような政策を採られるということは、誠に由々しき問題だろうと思うのであります。飽くまでも生産は増強されておるし、金詰りじやないという観点の下にデイス・インフレ線を強行される、続行されるということは、私はまあこれは自由党の政策でありますから、自由党の政策の思召す通りにやられることは御尤もでありますが、日本経済の実情は大蔵大臣の仰せられるようなことを決して望んでもおりませず、又そうあるべきだという批評は下しておらないのであります。政府は飽くまでも現在の状態を以て推進されるということにつきましては、誠に私は日本の経済におきまして由々しき事態の発生を恐れまするし、又日本の自立経済の誠に根本を司る大蔵大臣といたしましての御方策におきましては、疑問を失礼ながら持つのでありますが、将来このデイス・インフレ線に対しましてのお考えに対しまして、少しは修正される思召しがおありかどうか、或いは金融政策その他の企業政策につきまして、物価政策につきましても、少しは修正される思召しがあるかどうかをお伺いいたしたい。
#52
○国務大臣(池田勇人君) デイス・インフレ政策を修正する意向ありやということでございますが、デイス・インフレ政策というものはやはり幅があるものでございます。私はそのときどきによりまして、適当な財政金融政策を取るべきであります。ただ問題はインフレを急速に止めまして、デフレにならないようにして行こうというのが私の政策であります。
#53
○岩木哲夫君 これは又論争になる点でありまするから、これはこの辺で略したいと思いますが、債務償還の問題につきましてお伺いしたいのでありますが、先程多少触れましたのでが、今回の債務償還千二百八十億程のものにつきましては、本年度二十五年度期限の到来するものは八億三千七百万円でありますか、あると承知いたしておりますが、それ以後長期に亘る無期限のものを償還されるということにつきましては、先程いろいろお話も承つたのでありますが、元来この見返資金というものは、援助資金、救済資金の内容に多少は違いがあるのか、救済資金というものは特にどういう方面を救済……例えば国民生活の大きな問題から言えば国民経済の救済であるのか、或いは諸産業に対する救済資金であるのか、援助資金ものどういつた性格であるのか、この点を一応承わりたいと思います。
#54
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点がはつきりいたさないのでありますが、只今までの状態は、そのものが、ガリオア或いはイロアと、こういつておりますが、年によつて違いますけれども、主食その他生産原材料品の相成つておるのであります。而して経済復興資金或いは援助資金はどれだけになつておるか、その区別がどうかということは私には分りません。
#55
○岩木哲夫君 ガリオア、イロア資金なるものは、元来こうしたものを無期限の債務償還に充てるという性格のものとは国民の受ける感じといたしましてピンと来ないと思う。それをガリオア、イロア資金を、見返資金をこの債務償還に充てるということは、それが直接間接……、まあ間接には国民の救済資金、援助資金になると思いますが、これが直ちにそういう援助資金、それから救済資金に直結しない民間金融にそれを廻して、或いは政府で一部を投資して、政府の方で或いは民間が要望する地方銀行が借受者に対して融資をするという問題であつて、どうもガリオア、イロア資金という名前から見まして、国民にはぴんと来ないと思うのですが、この点はどういうお考えを……、やはりこれはその方が正しいと思召されるかどうか。
#56
○国務大臣(池田勇人君) どういうふうにガリオア、イロアの資金を使つたらよいかというお考えを持つておるか分らないのでありますが、とにかく援助資金は輸入物資に相当する金額を溜めておきまして、その金を日本の経済復興に使おうというのであります。で援助というのは、その金を今直ちに拂わずに、借りてやつておるというのが援助の意味であるのであります。而も又これを見合いに溜めました金が、公共事業費、或いは私企業に行く、そうして又政府が直接そういうことをせずに、民間に渡してこれを産業復興に充てさそうという意味であるのであります。すでに御案内と思いますが、アメリカからヨーロッパ諸国に行つておりまする援助資金というものは、イギリスにおきましては、殆んど全部が債務償還になつておる。而して又フランスにおきましても、七、八割が産業資金に行つております。日本では今言つたように、約六、七割が直接の産業資金、そうして三、四割が今の債務償還で、民間の産業資金に使われる、こうなつておるのであります。
#57
○岩木哲夫君 今度の債務償還の内訳であります、例えば預金部に幾ら、日銀に幾らとか、或いは市中銀行に幾ら……、その内容は分つておりますか。御計画を伺つき置きます。
#58
○国務大臣(池田勇人君) 一時新聞に出たようでありますが、私はまだそれに向つて意見は言つておりません。従いまして、あの新聞通りには行かんと思います。ただ私は預金部の会計の状況から申しまして、而も又今計画いたしておる特殊な銀行の長期債券発行の計画から申しまして、先ず預金部、次に市中銀行、こういうふうに考えておるのであります、日本銀行の国債を償還するのは後の後でございまして、来年度日本銀行の分を償還するまでには至らないと考えております。
#59
○岩木哲夫君 やはり千二百八十億を債務償還しようということと、それから大臣の言われる自立経済を推進して行かなければならんという資金構想、企業経済構想というものとは、私は先程申しました、いわゆる財政と経済政策との一致点がどうも分らんと申上げたのはここでありまして、債務償還を千二百八十億しようという問題は、どういう基準でこういう金額を構想されたのであるか、その経済構想を一つ承わりたい。この千二百八十億に結び付く経済構想を承わりたい。
#60
○国務大臣(池田勇人君) 千二百八十億というのは数字がそういうふうに出ておるのでありますが、国債償還が千二百八十億ではございません。借入金の償還等を入れておりますから、国債償還に当るものは九百九十億くらいであつたかと思うのであります。先ず見返資金からの五百億の償還は、先程申上げましたように、ヨーロッパにおきましては、全部償還しておる国もあるし、或いは半分くらい償還しておる国もあるし、三、四割くらい償還しておる国もあります。私はこういうことを考えまして、政府が見返資金を全部政府の手で直接に使うということよりも、相当部分は即ち三、四割程度のものは、民間の方の人に使わして置いて、そうして政府の債務を少くした方がよいだろうという考えの下に五百億を組んだのであります。勿論これは衆議院の決議もありましたように、関係方面との話合をつけて決めた問題であるのであります。然らば一般会計における債務償還の問題はどうかと申しますると、二百数十億円というのは、前年度剩余金その他で、財政法で決まつておるのであります。二十五年度に資金徴收をして債務償還をするのではございません。二十三年度にすでに徴收したもので財政法によつて償還するものであります。問題は五百億円の債務償還、一般会計の中の五百億円の債務償還が問題になるのであります。五百億円の債務償還を何故大蔵大臣はしたかと申しますと、片一方では七百億或いは九百億の減税をいたします、片一方では又経済復興に向つて歳出の増をいたします。そうしてこの際はデイス・インフレの線によつて中央地方を通じて債務を殖やさないということがデイス・インフレの線であるのでありますから、地方債の発行が大体四百億円ということを見ますというと、私はこの際五百億程度の債務償還をして置くことが適当であると考えるのであります。それで百億違うだろうというお話がございますが、御承知の通りに対日援助で償還しましたり、或いは我々の税で以て償還いたしましたり、復金の方からの一般会計繰入れが百八十七億円あります。これはアメリカの援助も相当部分あるのであります。だからこの部分を六、七割に見込みますと、百億円のアメリカの援助の部分もこれも債務償還、そうすると結局五百億円になるのであります。私の気持はそういう計画で、減税も七百億或いは九百億、そういう計画で復興事業もどんどん……それは債務償還において政府の手で復興すればいいというふうにお考えになるかも分りませんが、やはり徐々にやつて行かないと、まだ安定に乘つて参りましたけれども、これでもう安心だというところまで行かないのであります。あなたは減税をやつたらいいとおつしやいましたけれども、これは先程から言つておりますけれども、今一般に減税したい、したいというのは山々でございますが、又増税というようになつては国民が困るから、減税を徐々に先を見ながら、而も生活水準を徐々に上げながらやつて行くのが現在の策と考えるのであります。
#61
○岩木哲夫君 私はこれをこの際減税に廻せということを特に申上げておるのではないのでありまして、こうした沢山の一般会計その他における債務償還によつて生じた金を、今大臣は三、四割は民間銀行に使わせ、あとは政府でやるという話でありますが、民間銀行におきまして使わせるといたしましても、政府が将来の物価政策、貿易政策、産業復興政策の基本をもつと具体的に出せないというと、民間の企業体におきましても、金融業者におきましても、どういう方面の企業を起して拡げたらいいのか、民間の金融機関もどういうふうな方面に資金を投じたら安全であるのか、将来性があるのか、必要なのだかこれは分らない。政府におきましてもこうした厖大な債務償還によつて生じた金をどういう方面の企業に重点的に向けられるのか、或いは電力であるとか、鉄道であるとか、通信であるとかいつたような問題も承わりましたが、これはとてもその一部分でありまして、この厖大なる資金をどういう計画経済の下にマツチさすのか、リンクさすと申しますか、結び付きはどういう構想を持つておられるのか、その内容を承わりたい。
#62
○国務大臣(池田勇人君) これは先程来申上げましたように、国債償還に充てた分は民間の方でやつて行くのであります。政府が支拂いました金をどこへ持つて行け、そこへ持つて行けということを指図することはよくないと考えるのであります。
#63
○岩木哲夫君 まあその点はどうも私の質問に対してピンと来ないのでありますが、これはもうこの辺にいたして置きましよう。
 大蔵大臣は現在の関税政策を折衝中のようでありまするが、最近の交渉の、折衝の内容などをお漏らし願えれば幸いであります。恐らくお話になりますまいが、日本の関税政策というものは、将来どういうふうな経済構想でお考えを持ち、どういうものにどういう考えを持つておるのか、その構想を承わりたい。
#64
○国務大臣(池田勇人君) 関税政策は相手のあることでございますから、自分が自由主義関税にしたいといつても、相手が保護関税をやればこつちも当然保護関税をやらなければならないのであります。そのときそのとき相手の動向によつて決まる問題だと思つております。
#65
○岩木哲夫君 まあそうおつしやればそうかも分りませんが、外国人が対しまする特別課税の問題は、今日でありましたか、昨日でありましたか新聞に出ておつたようでありまするが、さなきだに日本人の企業体、而も困難なこの沢山な税金の拂いで投資しても採算が取れない。事業は成り立たない。現に価格調整金も出さなければやつて行けないというような事態の実情に対して、外国人に対しまして特別課税を與えるということの特殊事情は分りますが、余りにもそのウエートが大きいではないか。こういうことの、極端なかような方法が将来日本の基本的な産業の上におきましての由々しき事態を心配するのでありますが、お考えを承わりたいと思います。
#66
○国務大臣(池田勇人君) 特別の措置をとる考え方については、すでに田村先生からの御質問に対して申上げたのでありますが、日本の経済再建復興には是非とも外国の資本が必要なのであります。外国の技術者が要るのであります。このことは日本ばかりではありません。フランスにおきましても、フランスでアメリカ人が事業をした場合におきましては、アメリカの税金より高からんように特別の措置をとつているのであります。敗けた日本といたしまして、私は或る程度の措置をとることは当然だと思います。イギリスを見ましても特に減税はいたしませんが、所得税というものは人税でございますから、その所得がどこで発生しようとも課税する建前の根本原則をイギリスにおきましても止めまして、アメリカ人がイギリスで所得があつた場合はイギリスで支拂われる所得にのみ課税すると、こういう原則を採つているのであります。私は日本の今の経済の実情から申しまして、或る程度の特別措置を五ヶ年間だけやることは望ましい措置だと考えているのであります。
#67
○岩木哲夫君 それでは多少話が外へそれるかも知れませんが、現在厖大なストックの中に輸出商品といつたものが大部分を占めていると思うのでありますが、先程もちよつと触れましたが、四五割叩いても日本の商品は売り応ずるだろうという各地の海外情報見込に対しまして、日本のストックというものの荷捌きの前途、或いは四、五割もということは極端でありますが、併しいずれにおきましても二、三割という、フロアー・プライスから二、三割は全面的に現在価格は低落し、実際売れるところは又フロアー・プライスより四、五割安いだろうというのが一般の見方であります。こうした状態から日本の現在のストックというものがいつ捌ける模樣か、大臣は国際物価に鞘寄せすると言われますが、これがどの程度下らなければ売れないというお見込でありますか。これらに対する貿易対策の御所見を承わりたい。
#68
○国務大臣(池田勇人君) 滯貨の問題も、従来のより、キャンセルされた滯貨の問題と、それから一般民間の滯貨の問題もあると思うのでありますが、私は四割下げても売れるだろうと、こういうようなことは一部で言つておられることで、私は余り信を置いておりません。ただ問題は今の現状では価格ということよりも、バーター制を取つております関係で、輸出ライセンスの問題だと思います。ポンド地域のみならず、ドル地域におきましてもやつているのであります。例えばアルゼンチンなんかの問題も、こうした話が進んでいるのでありますが、どうもやはり向うの方が、向うの産業政策とか何とかいう関係でありましようが、ライセンスを與えて呉れないという実情であります。その他の問題も入つていると思うのでありますが、私といたしましては、極力相手政府と交渉いたしまして、早く荷捌きのできるようにいたしたいと考えております。質問にあつたかどうか分りませんが、輸出滯貨の国内放出につきましては、やはり国内の物価の状況等を考えまして、適時適当な措置を講ずるようにいたしたいのであります。
#69
○岩木哲夫君 ではその辺にいたしまして、ちよつと一点中小企業対策につきましてお尋ねいたしたいのでありますが、大臣の先般の雄大なる御発言、中小企業に対する御発言があつたのでありますが、その後これによつて政府は中小企業に対して非常な関心を持つているという証左を陸続と御発言後に発表されているのでありますが、その盡くを拜見いたしまするに、概ねただ融資をする、或いは金融を講ずる、金詰り打開だといつたような方途が大体政府の御趣旨と拜見いたしておりますが、僅かなかような融資で全国厖大な、恐らく中小企業と唱えられるものにつきましてはいろいろの見方もありますが、実際小商人小企業を入れましてほぼ二百万人にも近いだろう。そうしてこれらの家族を合せますれば莫大なる、一千万以上の人口を擁している中小企業、その従業員等を寄せますれば二千万人にも達するだろうという中小企業に対しまする政府の融資政策は余りにも微少である、のみならず、実際の中小企業に対しまする根本対策はやはり有効需要の展開によりまする、循環によりまする企業体の健全なる発達でなければいかないのであつて、当面する僅かな金融では却つてその日の税金に納める金であるとか、それ自体の月給の一部の拂いに過ぎない、或いはストックに対しまする補充に過ぎないというようなものでありまして、結局中小企業といたしましては、現在の段階では政府が非常な御熱心なる御対策は陸続と発表されましたが、その実効というものは極めて寥々である。これはその後におきます中小企業のあの声、深刻なるあの叫びにおきましても御感得なさつていることだと思いますが、この中小企業の本当の救済の途はいろいろありますが、何を申しましても有効需要の循環、展開に基く基本的な政府のいわゆるデフレ政策、デイス・インフレ政策と仰せられます実情でありますが、一般の実情は決してデイス・インフレではない。デフレの状態に対します根本的な経済政策が行われん限り、先程申しまして輸出対策におきましても、一般企業におきましても、とりわけ中小企業におきましても深刻なる状態を展開することは勿論だろうと思うのでありますが、中小企業に対しましての現在の大臣といたしましての御心境御対策は如何ようなものでございますか承わりたい。
#70
○国務大臣(池田勇人君) 私は昨年来中小企業に対しましてできるだけの金融をし、できるだけ減税をして行こうというので進んでいるのでありまして、三月一日に記者会見でああいうことがあつたからこういうことを言つているわけではありません。日本の産業の状態から申しまして、どうしても力瘤を中小企業に入れなければならんことは当然であります。できるだけの金融措置を講ずる、又今年度から減税もする。有効需要の問題でありますが、これは二十五年度予算は二十四年度予算よりも相当有効需要の喚起に努めているわけであります。これは財政演説で申しましたように、七割程度の生産増強への資金の増加をいたしておるのであります。経済が普通の状態であつて、本当の意味の安定したアメリカのようなところでは景気、不景気を左右するのに有効需要喚起という政策はこれは採るべきだと思います。併し今の日本の状態で、非常に困つたからといつて直ぐ有効需要喚起というのでインフレ政策を採るということは私は愼まなければならんことだと思います。日本の経済は残念ながらそういうところまで行つていないのであります。私はもう四、五年経つて安定して景気、不景気の問題が起るときには、予算上の措置として手が入ります。併し如何せん毀れかかつた経済を直そうとする過程でそういう措置はとりたくない、又とり得ないと考えています。併しできるだけのことをやつているのは予算を御覧になればお分りになるだろうと思うのであります。
#71
○岩木哲夫君 インフレ政策を採れということを私は申しているのではないのでありますが、余りにも現在の国民所得の見積りに、実情に対比した徴税と申しますか、税金を取り立てて、それを特殊の政府並びに金融機関が掌握して一般経済に直結しないような、而も政府の経済指導が明確でない現段階において、これはもう一回国際物価に下さなければならないという政府の政策というものを睨み合せますれば、現在の状態は例えば勤労者に対しまする給與ベースを改訂いたしたら直ちに大臣はインフレが起るのだ、かように言つておられますが、私は三百億、五百億の給與改訂に伴う、これ以外の方法で政府がいろいろ金を融資されておる方面こそむしろ大臣が案じられるインフレ的要素、事実上はインフレが起らないと思いますが、インフレ的要素を含んでおる。この零細な勤労者に対しまする僅かばかりの給與の引上げが直ちにインフレ化するということで、現在の超均衡予算の基本的なものが毀われるからと頑として給與ベースに関しまする改訂方針を取られないということが問題でありまして、むしろ私達はこうした零細な勤労者に対しまする聊かの生活安定資金を増額することは健全なる私は購買力の滲透であつて、決してこれがインフレ化するというような虞れはないのではないか、現在の不況に処して、現在の非常に困難な国民生活の実態に伴いまして、この給與ベースの改訂という問題は少し観点を換えた方法で御考慮される必要がありはしないかと思いまするが、大臣は依然として、更に本日国鉄の裁定も新たに生れておるわけでありますが、こうした観点に処しまして大臣の御所見を承わりたい。
#72
○国務大臣(池田勇人君) 私も昔公務員であつた関係上公務員の生活は人並以上には知つておるのであります。できるだけ国民の生活水準を上げたいということは何も人後に落ちるものではないのでありますが、この日本経済再建にはなかなか困難の問題が山積しておるのであります。公務員の方は御苦労でございましよう。又農民の方も中小企業の方も等しく苦難の途を歩みつつあるのであります。今度の予算を出します場合におきましても、この公務員の給與というものと日本の経済復興ということは最も大きい問題として考えたのでありまするが、今の状態から申しまして、物価が横這い、或いは低落の傾向にある現段階におきまして、私は今直ちに給與を引上げるという措置をとることはよくないと考えておるのであります。然らば今後どういう措置をとるかという問題でありまするが、これにつきましては私は実質賃金が下らないようにできるだけの各般の施策を講じますと同時に、将来の問題として公務員の生活改善については常に考慮を拂つて行きたいと思つておるのであります。具体的な問題につきましては私はここで申上げる程の案を持つておりません。又そういうことを私が言うことはよくないと考えておる次第でありまするが、中小企業に対しましても、農民の方々に対しましても、公務員の方々に対しましても、非常に冷酷なように見えまするが、私はとにかく何とかして切拔けるまで我慢して頂きたい。我慢できないようだつたらこれは経済全体を毀すのでありますから非常手段を講じなければなりませんが、非常手段を講じなくても国民が一致して切拔けたいという念顔で進んでおるのあります。
#73
○岩木哲夫君 この問題は專門家の、又内村委員からの質問があるようでありまするから私は略したいと思いますが、もう一つ甚だ長時間恐縮でありますが承わりたいのであります。鉄鋼、肥料、ソーダ、その他各補給金が近く撤廃されますが、されましたらこういう産業はどういうような状態になるか一遍その辺をちよつと承わりたい。
#74
○国務大臣(池田勇人君) どういうふうな状態になるかとおつしやいますが、大したことはないと思います。この分は一般の鉄鋼価格、肥料価格の引上げになるのであります。ソーダは金額も少いし、特殊なものでございますから、問題はございませんが、鉄が上り、肥料が上つた場合にはどうなるかと、こういうことだと思います。会社がどうなるかというのでなくて。肥料が上りますれば、これは米価に影響いたしましよう。従つてパリティー計算で米価を動かします。それから鉄鋼が上りましたら、どの程度上るのか、というのも問題でありますが、私は企業合理化等によりまして、補給金がなくなつても、なくなつただけ直ぐ全部鉄鋼価格に影響するとは考えておりません。鉄鋼が上りましてもさしたる全体の日本経済には影響はないと考えております。
#75
○岩木哲夫君 ついでにちよつとお聽きいたしたいのは、戰時中及び敗戰後普通鉄鋼に対しましては、政府は電力量の問題にいたしましても、税金の問題におきましても、いろいろの補助政策を講じて来ましたが、この間に特殊鋼のメーカーの方に対しまして、何ら補助政策を採られておらない。尤も戰時中におきまするストック、手持品があつたからという見解もあるようでありますが、最近政府は普通鉄鋼に対しましてニッケルその他の原料、或いはいろいろの便宜をはかつて、今日まで非常な困難を閲して来た特殊鋼に対する対策はなおざりにいたしておる。而も将来日本のあらゆる機械工業にいたしましても、その他重要なる基本産業の塩酸ビニールの生産にいたしましても、特殊鋼の需要というものは貿易面から考えましても重要な性格を持つておるのでありますが、これらに対しましてどういう対策なり御見解を持つておられるか、承わりたいと思います。
#76
○国務大臣(池田勇人君) 鉄鋼につきましては石炭補給金或いは鉄鉄鉄鋼補給金を出しておりましたが、お話の通り特殊鋼に対しましては何の措置もいたしていないのであります。こういう点から考えまして鉄鋼の方を外して行けば特殊鋼との釣合がとれて行くと考えておる次第であります。私は今後の特殊鋼の需要から考えて特殊鋼に特に保護の政策を採る必要があるかどうかという問題でございますが、私は只今のところ自分では考えておりません。まだ研究が足りないというのか、特殊鋼に特別の保護を與えなければならんということは、まだ通産大臣として知つておりません。従つて措置も考えていないのであります。
#77
○岩木哲夫君 価格補給金が撤廃されて、肥料が七月以降相当値上りするわけでありますが、このときに大臣は米価を改訂せにやならんと言われましたが、米価は、そういたしますと肥料の価格補給金が停止されますのが七月でありますが、七月頃に米価は改訂する考えがありますかどうか。
#78
○国務大臣(池田勇人君) 生産者価格の米価は、七月にする必要はないと思います。今年の米ができてからの価格改訂でいいと思います。消費者価格につきましては、昭和二十五年中は変えなくてもいいように、消費者価格を決めておるのであります。
#79
○岩木哲夫君 もう一点承わりたいのは、先程もちよつと触れたのでありますが、現在政府は食糧輸入に対しまして価格調整金を四百五十六億計上いたしておりまするが、これは三百七十五万トンの輸入に対しましてであろうと推測いたしますが、三百七十五万トンはどういう御見解で輸入しなければならんのか、押付けられたのか、従つて押付けられたから四百五十六億計上しなければならんのか、この辺を承わりたい。
#80
○国務大臣(池田勇人君) この問題は農林大臣からお答えした方が適当だと思います。私は三百七十五万トン大豆を入れてそれだけと聞いておるのでありますし、多分又、その分は日本の食糧事情の将来から申まして必要である、押付けられたものではないと思つております。
#81
○岩木哲夫君 将来の食糧事情から必要だろうと言われるのでありますが、本年度の端境期は千九百万石も手持があるし、これをどんなに内輪に見ましても、二合九勺や三合の配給はでき得る実情であります。これを現在政府は二百数十億に跨るロスと申しますか、非常な長い間倉庫に入れてその間に鼠食いであるとか、欠量をするとかいつたような工合なロスを食管の特別会計にも計上しておるくらいに厖大な食糧の手持であります。現在ですら厖大な手持の上に、更に段々食糧が増加するような工合にまで貴重な価格調整金を使うということは、どこを以て必要と考えられるのでありますか。その御見解を承わりたい。
#82
○国務大臣(池田勇人君) 三百七十五万トンの根拠につきましては、所管大臣からお聽き頂いた方が結構だと思います。ただ私は国務大臣としてこの際食糧は相当輸入した方がいいと考えておるのであります。二合七勺の配給ではなかなか困難な状況であるのでありまするから、できるだけ沢山食糧を入れて置いた方がいいと考えております。尚、鼠食いその他によりましてロスが出ることも聞いておりますが、これは止むを得ないことでございます。ストックをすれば或る程度のロスは見積らざるを得ないと思つております。
#83
○岩木哲夫君 こうした食糧政策に対しまする価格調整金その他につきましては、まだまだ意見もありまするが、所管大臣でありませんからこれ以上お尋ねするのも失礼だと思いまして略したいと思います。私のお尋ねする点は以上であります。又……
#84
○内村清次君 私は委員長の許可を得まして、又帆足委員の了解も得まして特に今日大蔵大臣に御質問申上げますことは、すでに大蔵大臣もよく御存じの通りに、公務員の方々、公共企業体の方々、この方々が或いは人事院の給與勧告又は仲裁裁定におけるところの裁定の趣旨に従つた点につきまして、現在の紛争を法律的に、法律の枠内において解決して行こうという態度で、只今併し鬪争形態になつておりますし、又民間労働組合の方々も賃金問題その他労働條件の改善問題で相当実力的に、これもやはり法律の枠内ではありますが、実力的な鬪争をやつておる、こういう労働不安の情勢につきまして一般国民の方々も影響するところ大であるという観点で相当な輿論がこの一点に集中しておるようでありまするが、こういうような関係で、実はその時期につきましても緊急を要するものだ、かように考えまして、敢て時間を割いて貰つたわけでございまするが、昨日国鉄の仲裁委員会におきましては国鉄が今年の一月の二十日に国鉄労働組合が提訴いたしました賃金紛争に対しまして調停委員会ではこれを受理して審議はいたしたようでありまするが、政府が放つておりますところの人事院の即ち昨年十二月四日に勧告されましたこの勧告に対する政府の態度、及び又一般公共企業体その他民間労働組合に対しておられるところのベース改訂の基本方針、この基本方針が甚だ不明確で、而もこれを改訂する意思がないというような現状のままにおいては、いわゆる委員会が、又この調停委員会が如何なる努力をやつても、その努力は何ら紛争を円満に解決することは不可能であるというような見解を取つておるし、而も又この事実をこのまま遷延しておるということは、これは公労法の、即ち立法の精神に鑑みて妥当でない、かような判断を下して仲裁委員会の方に、いわゆるこの紛争を持込んだことも御承知の通りでありまして、而も仲裁委員会はこれは公労法の紛争に対するところの最終裁定をする機関でありまするが、この機関も現在のこの状態を平和的に立法の精神によつて解決をしたい、かように考えて二月十五日から三月十五日、昨日まで一ヶ月間双方の事情をよく調査して、そうして御承知のごとく昨日、昭和二十五年四月以降は基準賃金を平均八千二百円に達せしめる、その配分方については両当事者が協議して決める。
 それから二として日本国有鉄道は昭和二十五年度に基準外賃金、現物給與、福祉施設その他の給與等において、前回の裁定に指摘した待遇切下ば補填について適切な措置を講じ、実質的な賃金の充実を図るものとする。右の措置を講ずる際は、労働組合側の意向を十分取入れること、
 第三が本裁定の解釈に関し疑義を生じ、若しくはその実施に当り両当事者間の意見が一致しないときは本委員会の指示によつて決める。
 かような斯文の裁定を発表いたしたことは御承知の通りでございまするが、これに対しまして、今日の新聞によると、政府はやはり従来の態度を堅持して行くかのような発言の記事が載つておりますし、又一方ではこれはいわゆる公労法の精神に従つた期間までにおいて閣僚全体の意向を取りまとめてこれに対処するというようなことも載つておるわけでございまするが、当の一番……私達がこの問題につきまして折衝をいたし、又は同時にこの国会内におきまして、何と申しますか、その要点に対しての強固な意見を持つておられるところの大蔵大臣にしまして一体この仲裁裁定をどのように取上げる御意思であるかどうか、この点を先ずお尋ねいたします。
#85
○国務大臣(池田勇人君) 昨日国鉄に関しての仲裁裁定が出たことは、昨日の五時頃聞きましたし、今朝の新聞でも見たのであります。併しこれは御承知のような重大な問題でありますので、これは閣議で決定すべき問題だと思います。併し閣議にはまだかかつておりません。従いましてこれが措置につきましては一大蔵大臣としてここで申上げることは如何かと思うのであります。
#86
○内村清次君 只今閣議におきまして、いわゆる政府の態度を御決定になることを了承したわけでございまするが、ただこの際お尋ねして置きたい、又大蔵大臣のお考えを伺つて置かなくてはならないことは、いわゆる公共企業体の特質と申しますか、公共企業体にマッカーサー元帥の書簡によつてあの書簡内容ではつきり示しておりますように公共企業体の特性というものをどういうふうに大蔵大臣はお考えになつておるか。この点を一つお伺いして置きたいと思います。
#87
○国務大臣(池田勇人君) 公共企業体の特性は……問題がちよつと分らないのでございますが、これを公共企業体の職員の給與に関する仲裁裁定の問題でございますか、或いは公共企業自体の特性という問題でございますか。
#88
○内村清次君 私が聞きます主要な点は、いわゆるこの公共企業体という、日本国有鉄道の公共企業体というものが日本国有鉄道法で制定をされまして、そうして国有のものではあるけれどもが、その企業自体の運用は公共企業性を持つたところの而も独立採算を主体とする企業体である。かような点でありまするが、この点に対しましての大蔵大臣の御認識、これはもうすべて大蔵大臣の一存によつて、やはり財政その他も一存によつてこれを決定なさろうとする御意思であるかどうか。
#89
○国務大臣(池田勇人君) 公共企業体の特質については公共企業体の法律に書いてある通りでございまして、何も大蔵大臣の一存で公共企業体の財政その他を決められる問題ではございません。こう存じております。
#90
○内村清次君 そうしますと企業体がいわゆる一方には生産性を持つておる、一方においては公共企業体自体の即ち特性を守りつつ行く機関である、かように考えまするが、そういう点につきましてはやはり同感でありますか。
#91
○国務大臣(池田勇人君) 法律政令に定められたところによつてやるべきものだと思うのであります。
#92
○内村清次君 問題はこの企業体が、いわゆる憲法の條項に従いまして基本的人権として企業体についておるところの組合員の方々の罷業権は、これは制限されておる、同時に又団体交渉権は、これは持つておるが、いわゆる政府機関、即ち行政機関に携つておるところの公務員の方々とはこれは趣を異にしている、又その事務運用につき、又機関運用についての即ち特性というのは全然異つておるということにつきましては大蔵大臣はどのように考えておりますか。
#93
○国務大臣(池田勇人君) 一般政府職員とは違つていることはこの法律政令に規定してある通りであります。併し非常に今まで似た立場にあつたということ並びに俸給料については法律政令が公務員のあれに準用してやる、違う性質のものではあるが規定にある通り準用しておるのでございますが、これはなかなか厄介な問題と思いまするが公務員と同樣には取扱つておりません。
#94
○内村清次君 その点は明確になつたわけでございまするが、併しこの日本国有鉄道に公務員の給與に準ずる、と同時に又民間給與も参酌しなくてはならないという規定があることはこれは存じております。存じておりますが、この企業体の特性からいたしまして、これははつきりとここで分つた以上は、企業体が生産機関であるという観点に立ちましたならば、その点につきましてはやはり民間給與との比較、この比較を考えなければならない。而論公務員給與に対しましての比較も考えなくてはなりませんが、もう現在において民間給與との差がいわゆる四千円も六千円も違つておるというこの実体、この実体については大蔵大臣は一体どうお考えになりますか。
#95
○国務大臣(池田勇人君) 民間企業との比較でございまするがどこにそれを取るかということになると思うのであります。お話には多分私鉄関係をお取りになつておると思うのでありますが、これは私鉄がこうだから片一方私鉄に合わして行かなければならんということも直ぐ出ないと思うのであります。何條でございましたか、一般公務員との関係も考慮しなければならん関係に相成つておるのであります。
#96
○内村清次君 国鉄の、私が重大にこの問題を並行して考えますことは、国鉄の今回の裁定問題は前のいわゆる年末にありました裁定の問題と少し趣を異にしておると私は考えます。で問題はこのベースが八千二百円というものが出たものの点で特に注意せなくちやなりませんことは、いわゆる二十五年度の予算が提出されておる、この予算の提出に対しまして、いわゆる三月三十一日までにこれを早く解決しなくちやならん。これは昨日も加賀山総裁が言つておりまするように、即ち国鉄法の三十九條で追加予算を出すということもはつきり明言しております。この追加予算の即ち提出が参りましたときにおきまして直接この問題を調整せられる方は大蔵大臣であります。だからしてこの三月三十一日までには政府は而論、これは公労法の十六條によりまして十日以内にはこの問題についての御態度が決まると思いまするが、こういう緊急な状態がありまするからして、大蔵大臣も先程言つておられるように、いわゆる政府職員と同時に、又公務員との間においては特質上においても違うのであるという点がはつきりなつております以上は、この問題を対処して貰いたいということが一点でありまするが、こういうような予算の問題につきまして、予算の内容を見て見ましても相当なまだ使うべきところと、そうしてこの給與の額というものが、給與予算全額というものが非常に何と申しますか、比重が違つておるような感じが私達はしておるのであります。この問題に入りますと相当長くなりますが、ただ一点伺つて置きたいのは、こういうような予算額に対しまして大蔵大臣が今回の裁定をどういうふうに尊重して行かれるかどうか。この点を一つはつきりと御答弁をお願いして置きたいと思います。
#97
○国務大臣(池田勇人君) 昨日裁定があつたので、閣議にもまだかけておらん問題であります。私は閣議にかけましてから後に大蔵大臣としての意見を述べるのが適当だと考えまして、暫く御猶予願いたいと思います。
#98
○帆足計君 大蔵大臣に御質問します。終戰以来のインフレーションが、占領軍の指導と政府の非常な努力によりましてとにかく終熄の段階に達しましたということは、これは非常なる意思力と努力を必要としたことであつて、その点につきましては我々非常に敬意を表しておる次第です。併しながら先程岩木委員が縷々指摘されましたように只今の状況は非常な経済の窮迫状況を呈しております。これが一度は通過せねばならん長い坂道であるとしましても、やはり相当行過ぎの点があるということは殆んど国民一致の輿論でありまして、私はこれは一自由党又は一政府の立場を離れて国民経済の復興という立場から大蔵大臣におかれては十分に再検討される必要のある点であり、この予算委員会において十分審議さるべき重大な問題であろうと考えるわけであります。特に日本はよくヨーロッパの例などが出ますけれども、日本の敗戰の痛手というものはその比でございません。又満洲、朝鮮、台湾その他をなくし、船の八割五分をなくし、貿易は戰前の三割に窒息し、かような状見に置かれておりながら尚二千万の人口が殖え、年に三百万の幼き者が生れ、その国で生きて行くということは容易なことでございません。従いましてインフレーションというものは一見財政技術の繰作から、その不十分から来ておるように思いますれけども、本当の真相は国民経済の不均衡から来ておりまして、その結果が財政に反映しておる点も非常にあるわけでございます。従いまして財政をただ引締めるだけで、財政の均衡ということも極めて重要でありますけれども、それだけで以て国民経済の実態の均衡、その人口と食糧と産業との実態の均衡が萎縮し、破れますならば、その一面から再び国際收支が破れ、そうして更に廻り廻つて財政が破れるということになりますから、この辺のところは私はその辛い仕事を引受けておられる大蔵大臣としましてはいろいろな方の意見も聞き、輿論にも徴し、よく再検討の必要があるのではなかろうかと率直に考えております。従いまして現在アメリカから昨年あたり千五百億円の食糧並びに物資が與えられました。これは我々が朝鮮、台湾その他一切の正当なる、又不当なる特権、外地権益を失い、国内は戰災に遭いました、その穴埋めとして外からこれだけのカンフル注射が與えられておるわけであります。従いましてそれがここ一両年後になくなるとしたならば、我々は外に失いしものを内に耕し、内に準備せねばならないと思います。現在すでに三億ドル以上の食糧を輸入せねばならん。その他一億数千万ドルの資材をアメリカから貰つておる状況でありますけれども、これらのものが他日来ないとするならばそれらの部門のものを国内において開発すべく、開発、補修その他の説備資金に相当の努力をし、一定の産業目標を立ててまだまだ努力せねばならん過程であると思います。国民経済の回復は端的に国民生活に反映されておりますけれども、国民生活についての安本の統計は私は間違つておると考えております。凡そ国民生活の水準は人口の増加をも考慮に入れますならば、戰前のまだ六割前後というところでございましよう。従いまして国民生活そのものが均衡を回復しまするためには、そうしてこの厖大な人口がとにかく生活の途を見出しますにはまだ余程の人為的努力によつてこの病態を回復しなければならんのではないかと思います。従いまして方法論的に見ましても、国民経済復興の方法論から考えましても千五百億の援助資金は私はこれはただ漫然と平面的に、そうしてただ儲かるところに使うという形でなく、又過去の債務償還に漫然と充てるというのでなくて、これを少くともその三分の一はやはり食糧の増産、治水治山、農業技術の改善に、そうして今日よりも明日は一割乃至二割の食糧増産があり得るような形にそれを投資する必要がある。その残りの三分の一の五百億は電源の開発、合理化資金等に計画的に充てる必要がある。更に残りの三分の一はこれを海運並びに貿易の振興に充てる必要がある。かくのごとき努力を後数ヶ年続けて漸くにして国民生活の均衡が回復するわけでありますから、私はどうしてもこれに対しては一定の目標と基本政策を持たなければ今手放しにすべき時機ではないと思うのであります。勿論いわゆる過去の官僚統制、又戰時統制の形を解放いたしまして、自由闊達なる企業能率競争に移ることは必要でありますけれども、現在のように価格の一千億円以上のものを債務償還にただ充てる。それから民間から吸上げられました資金が有効適切に設備資金の方に迎えかねておるような現状、これらの現状を私はとにかく修正する必要がある。この点におきまして大蔵大臣はインフレ防止のために非常なる御努力をされておりますけれども、同時に他面におきまして日本経済の再建のために一定の目標が必要である。相当額の設備資金が必要であるということにつきまして、占領軍政策を十分説得することにおいて、果して行届いておつたかどうか。或いは現在内外の諸情勢を考えられまして、先程岩木委員の指摘されましたように、若干これは修正する必要があると内心お考えであるかどうか。又債務償還につきましても法的基礎に基く償還もありまするし、いろいろな條件がありまするけれども、これを若干緩和するように今後御努力される余地はないか。これはさつき岩木委員からお尋ねしたことでありますけれども、先ず最初にこの二点につきまして大臣の所感を伺いたいと思います。
#99
○国務大臣(池田勇人君) 帆足さんの御意見、前提は私と至極似ているのであります。同感の意を表しまするが、そういう前提の下に立つて今回の予算を作つたのであります。問題は設備資金の問題でございます。二は債務償還の問題であると思います。
 設備資金につきましては今国会におきまして、その調達に便ならしむるように、金融債の発行を計画いたしておるのであります。勿論見返資金からも御承知の通りに相当に出ることに相成つておるのであります。
 次の債務償還の問題は先程から申上げましたように、私はこの程度のものが必要であると考えておるのでございまして、これを只今変更する考えは持つておりません。併し来年度になつて参りましたらば、経済の復興の状況を見てから、債務償還の金融は余程緩和して来るということを考えておるのであります。
#100
○帆足計君 只今の日本経済の状況につきましては、私の見解は申述べた通りでありますが、現政府が過去の戰争中の官僚統制の絆を解きまして、そうして産業をあるべき姿に戻すために非常な努力をされた。官僚統制の絆の中から解放されまして、今経済が非常な試練に遭いつつも能率化への途を辿つておることにつきましては、私は時機を得た政策であつたが故に国民の支持を得たものと、そう考えております。併しながらいわばただ弱肉強食、ただ競争だけの世界に投げ込まれるということはいわば肉体の途ともいうべきである。今後におきましては、やはりそれに対する一定の合理的な目標の裏付が必要である。先程大臣は有効需要についての質問に対しまして、今有効需要を與えんとすれば、それは消費生活の浪費になり、インフレを触発するから、その点望ましくないというような意味の御指摘もありましたけれども、私共が有効需要の喚起を考えているのは、漫然と消費生活を高めよという意味ではございません。只今繊維類にいたしましても、その他にしましても、一時的に滯貨が殖えておりますけれども、国際收支の状況から見ますると、やがて又非常なる危機緊迫が来る時期もあることが予想されますので、依然として国民は耐乏の生活に耐え、消費は合理的に節約せねばならん段階であると思います。併しながら国内に設備あり資材があり資金があり技術がありますのに、それが生産的に動いていないものが多々あるというところに問題がありますから、有効需要と申しましても單に国民消費的、又浪費的な有効需要でなくして、これを建設に向けるような刺激が必要ではないか、こういう意味でございます。私共は安定本部が長い間御努力せられまして立てられました五ヶ年計画に対しまして非常に大きな期待を持つていたのでありますが、勿論この五ヶ年計画そのものは石炭を重点とし、私共の考えておりまする食糧、電源、教育、価格ベース、民族的復興と相当距離がありますので、相当批判の余地があると思いますけれども、これ程の惨禍を浴びた国民経済が復興するためには、やはり、或る程度の枠が必要であつて、国民経済に能率競争の目標を與える、明日へのための目標を與える基本政策が必要であると思います。この点は融資の面におきましてもやはり或る程度の目標を示され、又関連政策におきましても基本政策が示され、為替管理の政策におきましても、輸入の順位等につきましての大体の大まかな目標が必要である。このことはいわば聰明であり且つ合理的に設計をされた都市計画ともいうべきものでありまして、その都市計画の目標だけは国民に示されて、その枠の中で各自が創意と能率競争を進めて行くというくらいの目標と基本政策が示されなければ、産業界は去就に迷うのではないかと思います。従いまして大蔵大臣としまして今後の財政政策を最も能率的に運用するために、このような目標計画の必要を痛感されておりますかどうか。又産業、特に基礎産業に対して基本政策が必ずしも一貫して国民に示されていないという事実に対して今後御努力なさる意思があるかどうか。又有効購買力問題を單に消費の有効購買力とお考えにならず、或いは電源開発とか鉄道の電化、治山治水、農業技術の改善、教育の振興とか、そういう生産的並びに再生産的有効需要である限りはインフレを触発する虞れがないのでありますから、このような方面に一段の努力が必要であるということをお認めになるかどうか。この三点につきまして御意見を伺いたいと思います。
#101
○国務大臣(池田勇人君) 先般安本で検討いたされました五ヶ年計画も私も十分計画を立つた方に直接に聽き検討はいたしておるのであります。御承知の通りにあれにもいろいろな前提がございまして、その前提が一つ毀れるとずつと違つて来るのであります。従いまして一つの都市計画案としてはああいう検討もして行く必要があると思いますが、あれを外部に発表してこれによつてやつて行くのだということは、プラスになる面もあるかも知れませんが、マイナスになる面もありますので、今暫く検討する必要があると思うのですが、政府がこれによつてやつて行くのだというためにはもう少し短いものであつて、もつと実際に即したものでないといけないと考えておるのであります。
 次に有効需要の問題でありますが、勿論消費に充てられるのはお話の通り好ましくない。生産方面への有効需要はいたさなければならんのであります。従いまして今度の予算におきましても有効需要を殖やすようにいたしているのであります。それではどの程度の問題かということになりますと、勿論有効需要へ十分に向くものならばインフレにならないということも言い得られないのでありまして、そこには程度の問題があると考えているのでございます。
#102
○帆足計君 最初の問題に戻りまして、もう一点お尋ねいたしまするが、インフレーション防止の鍵といたしまして、私共財政の均衡ということは極めて重要な要件であると思いまするけれども、病人ができまして、ただ頭を冷やすだけでは不十分でありまして、足や胴に湯たんぽを入れましたり、又体が衰弱しておりまするときには注射をいたしたりすることが必要でありますが、例えば因業な御主人が財布の口を閉めただけでは女房は肺病となり、子供は教育費もなくて浮浪兒となり、住む家もないというような状況のときには、私は債務の償還を繰延ばしても、多少の借金をいたしてでも、先ず家族の生活それ自体の均衡と安定を図ることが必要であろうと思います。従いまして現在の状況におきましては、国民経済の実態そのものがまだ非常に病状が重く、そうして多数の失業者がいる。そして作つた品物が非常に大きい滯貨を来たし、折角能率を上げましても、作りました商品は殆んど売れなというような一つの自由経済の許す限界における袋小路に入つているように思います。この状況は丁度遡つて昭和五、六年の状況に似ていると思います。曾ての政友会の伝統を引いているかどうか存じませんが、引いていると言われる自由党が逆に井上準之助さんの役割を果しているということについては、私はこれは余程再検討を必要とする余地があるのではなかろうかと思います。そこで結論といたしましてインフレの防止の鍵は財政の均衡も極めて重要でありますけれども、それと同時に国民経済の実態、人口、雇傭、食糧、並びに工業の操業率等の均衡が更に大事である、更により重要なのは、国際收支の均衡であると思います。従いまして、これらの三者を一つに結び付けた国民の納得するインフレ終熄政策でなければ、現在はとかく財政均衡のみに重点が置かれまして、又そこに重点を置かれました御努力の程は十分に我々は敬意も表し、又御諒察も申上げているのでありまするけれども、この三者の均衡において欠くるところがないかというのが大方の世論の批評であります。これらの即ち国民経済の均衡自体を守るためにどのような努力と、又大蔵大臣としましての、抱負、識見がおありでありましようか、この点を一番国民は憂慮しているところでありますのでお尋ねしたい。特に例えば食糧問題の例を引きましても、年に三百万ずつも幼き者が生れておりまするけれども、経済安定本部の五ヶ年計画としましても、あの計画が功成り名遂けたる後に現在の倍の食糧の輸入を必要とするというように報告は我々に告げております。このようなことでは却つて二百五十万トンの鉄で一億トンの鉄と戰かつた愚なる戰争をしたと同じように、国際收支の底が拔けてしまう。そこで今後財政の均衡を保ちながら許す範囲において財政を上手にやり、産業の設備資金その他の再生産的な仕事を刺戟するような方面に向け、又関税政策や輸入為替政策をも日本経済の自立を高める方向にそれを誘導しまして、数ヶ年後には国際收支の均衡も保てるような方途も併せて稠密に行なつて置きません限り、その一環から崩れることは誠に残念であると思いまして、この点を指摘し、大臣の御注意を促し、そうして御所見をお伺いしたいのであります。
#103
○国務大臣(池田勇人君) 我が国のインフレの原因は先程申されたように、国土も半分近くになり、今までの生産財或いは原材料の供給源をなくしたために起つた次第でありまして、お話の三点から申しますると、財政の不均衡と経済の不均衡から起つたことはお話り通りであります。而して最も大きい原因は、やはり財政の不均衡でありましたので、これお直そうといたしておるのであります。財政の不均衡のみに走つて、国民経済の均衡も考えていない、この一例として債務償還のことをお話になつたようでありまするが、債務償還は何も病人に対しましてこの薬や或いは注射薬にならないことはないのでありまして、これを減税に充てるかどうかという問題になつて来ると思うのであります。政府が債務償還もせずに余つた金をどうしろとおつしやるのか知れませんが、これは私の方で公共事業費、或いは私企業に直接投資いたしますと同時にこれを民間の銀行その他をして薬とさせようといたしておるのであります。勿論これによりまして徐々に経済の均衡を図つて行きたいと考えております。食糧問題にいたしましてもこれを食糧増産に向けたらどうかという御意見がございまするが、今年度の予算に比べまして、明年度におきましては災害復旧が食糧増産にも役立ちます。又その他の点にも相当の金額を出しておるのであります。又見返資金の使い方におきましても、農村関係へ或る程度出すことになつておるのでございます。経済の均衡も徐々にやつて行くように配慮をいたしておる次第でございます。国際收支の均衡、これは勿論必要でありまするが、何と申しましても国際收支の均衡を今直ちにやるわけには行きません。アメリカの援助によつて漸く辻褄を合せておるのでありまするが、財政の均衡を保ち国民経済の均衡ができましても、当分のうちはやはり外資に頼らざるを得ないのであります。私は日本経済を安定せしめ外国の信用を得て、暫くここ数年の繋ぎといたしまして、外資導入に專念しておる状況であるのであります。
#104
○帆足計君 時間の制約もございますので後二、三点部分的なことをお尋ねいたしたいと思います。
 最近市中金利もやや下の方に向いまして、政府の政策によりまして産業の方面も次第に軽くなりましたことを非常に喜んでおる次第でございます。けれども復金の金利につきましては前国会におきまして、大蔵大臣から至急再調査をするという御返答がありましたが、現在七十億の残高に対しましてそのうちの九千億くらいは設備資金でありまするので、とにかく事実問題といたしまして現在産業界の大きな負担になつておる次第でございます。その金額は恐らく百億にも達していると思います。これに対しましていろいろ議論はございましようけれども、一般の銀行の金利が低下の傾向にあります時期でもありますから、即刻再検討して頂きたいということは産業界並びに労働界を含めての要望でありまするが、これに対しまして大蔵大臣は只今どういう御所見でありまするか。
 第二に私共といたしましては、先程大蔵大臣はいろいろな資金を国の形で直接出すだけでは却つて放漫になり、よくない結果が伴うから、市中銀行その他適当な金融機関を通じて出すことを併せて考えておるというお話であります。それも極めて筋道の通つたことではございまるけれども、日本の現状におきまして、最初に申上げましたような非常なる打撲傷を負つておりまする経済の復興でございまするから、やはり国家的な計画ある投資というものが、勿論それは能率と効率から離れたものであつてはなりませんけれども、長期資金の供給の源というようなものが必要であろうと存じます。従いまして復金をもつと民主化したような形で、適当な形で適当な形における長期金融機関というものがどうしても必要である。現にアメリカにおきましても、ニュー・ディールの対策として復興金融会社というものが生れております。それは直接証券界の暴落に対しまして、又必要なる設備補修資金の調達におきまして、特に最近におきましては中小工業金融に対しまして、非常に大きな役割をいたしておりますることは大蔵大臣御承知の通りでございます。ただ、自由経済一点張りの法則、政策が許されましたのは十八世紀のことでございまして、二十世紀に至りますと、経営も亦国民を発見し、サービスを発見し、科学を発見し、社会的公共の利益を発見し、又経済政策におきましても、歴史的の変動に対して或る程度の経済の調節瓣を漸じなければならんところのダムの必要を痛感するに至りますと、進駐軍の本国たるアメリカにおきましても、ニュー・ディール政策によりまして数十のダムが設けられた。それが経済の安全瓣になつておりますことは御承知の通りでございます。従いまして、今後の経済政策にとつて必要なことは、一つは、経済の調節の安全瓣を持つことであります。それによつて失業者を救い、雇傭を調節することであります。購買力を亦調節することであります。
 もう一つは社会保障制度を実行して、勤労者の最低生活を保障することであります。この二つなしに、今日の資本主義というものは、私は維持することはできないと考えておるのであります。それに対しまして、そういうふうな観点から見まして、アメリカの復興金融会社のような機構が、何らかの意味で必要であろうと思いますけれも、これに対して大蔵大臣は今後御研究なさる意思があるかどうか。この復金の金利の問題、復金を更に民主化したような、アメリカの復興金融会社のような機構につきまして御研究なさり、将来実現に努力されるようなお考えがあるかどうか、それを伺いたいと思うのであります。
#105
○国務大臣(池田勇人君) 復金の貸出金利につきましては、多分今日発表いたしたと思います。先般来検討を続けまして、二厘と三厘と別々にいたそうと考えておる次第であります。
 次に資金の国家的使用計画を立てる必要ないかというお話でございますが、私は復金の失敗ということはございませんが、あのやり方に懲りて研究しないというのではございません。そういう考え方もあるので検討はいたしておりますが、只今のところ、直ちにこれを実施する目的で検討は加えておりません。現在におきまして、国家的に使用しておるのは見返資金から相当出ておるのでありますから、又日銀等もあるのでございまして、政府が一つのダムを拵え、その金でどうこうということは私は主義としては取らないのでございます。
#106
○帆足計君 あと一、二点お尋ねしたいのですが、それは前国会におきましてもお尋ねいたしましたが、現在政府は財政凋落の折でありまするから、科学技術の振興に対しまして多額の補助金なり助成をすることは困難な状況でございます。従いまして現在非常に各会社の研究機関は低下いたしておりますけれども、今後復興のために必要なのは科学技術研究の振興でございます。従いまして、通産省等におきましては、科学技術研究機関の振興につきまして、各種の角度から只今検討をせられている由でありますけれども、私は大蔵大臣といたしましてこの必要を痛感されまして、少くとも終戰前までは科学技術研究機関に投下されました経費につきましては免税になつております。敗戰の今日、科学技術の振興が、最も急務中の急務であります今日、私はこれを全部免税することができないにいたしましても、これに対する各種の税を、科学技術研究機関に投じた場合におきましては、減税にするくらいの措置の御研究は是非して頂きたいと思います。これにつきまして、一つ一つの税率はとにかくといたしまして、我々のその要望に対しまして、大蔵大臣はどのようにお考えでありましようか。又できますことなら、この問題を愼重に研究して頂くことを、むしろお願いしたいと存じます。
 次に第二には、先般この予算委員会並びに前国会、本国会におきまして重ねてお尋ねいたしましたるストレプトマイシンの問題です。最終的解決がまだついておりません。その問題の詳細につきましてはすでに申上げ、又意見書等も差上げてございますから、御覧下さいましたことと思いますが、結論といたしまして、ストレプトマイシンの買上資金といたしまして、回転資金が六億円前後本予算に計上されておると存じます。併しながら、この回転資金は買上げまして又患者にプールして売るわけでありますから、恐らくその大部分は国庫に戻るでありましよう。従いましてマイシンの保護、育成期間が凡そ二ヶ年或いは二ヶ年半要ると仮定いたしますと、若しそれが合理的な要求であり、又それは必要であるとすれば、明年度におきましても私はこの六億円の回転資金を少くとも出す。そこまで確言できませんでもそれに対して合理的な保護政策は採るということを総理、大蔵大臣が厚生大臣の要求に対して確認して頂くならば、復金並びに興銀等におきましても投資をされると申しておりますけれども、この問題が未解決のために現在融資の途がつかないという状態でございます。幸いにいたしまして、大蔵大臣の非常なるお骨折り等によりまして、見返資金融資の途の目鼻がつきかけておるということを伺いまして、私は愁眉を開きつつありまするけれども、現在六十万の患者が一日千秋の思いでこの新薬を待望しておりまする今日、この悲惨なる結核の病状に思いをいたされまして、一日も早く合理的條件の下に生産に移しますように、この問題に対して特別の御考慮を大蔵大臣みずからがめぐらしまして、日本の御回答ができませんでしたら後日で結構でございますから、これが生産し得るような合理的條件を作つて頂くことにつきまして特別の御配慮を願いたいと思います。
 第三には楽器に関する問題でございます。時間がありませんから、この問題一つでございますけれども、私はユネスコの常務理事をいたしておりまするけれども、それは趣味としてただ、しておるだけの問題でありますけれども、日本の現状におきまして御承知のように、四疊半の中で唄う唄はありますけれども、国民が職場において、旅上において、船の中において、野において山において、高らかに合唱する民族的な歌は全くない。歌わん民族であるというような状況になつております。現在やつと小学校におきまして器楽教育が緒に就いておると申しますものの、楽器というものは贅沢品の一つとして依然として数えられておる状況であります。これは儒教におきましても楽は即ち礼でありまして、民主革命の一つの重要な要件、その教養を高め、世界に通ずる言葉としての芸術を作りまするま対には、どうしても私は音楽の普及というものが必要であろうと存じます。これがただ贅沢品に取扱われ、そうして戰争経済以来の余燼で、楽器には若干の金属並びに貴重な木材を必要としまするので、更にその意味においても賛沢品として取扱われて参りました。然るに今日スポーツに対しましては、これを政府も認められ、そしてスポーツ品は相当の高級品に対しても二割の物品税しかかけられておりませんのに、楽器につきましては従来五割乃至八割の税率がかけられております。今日はそれが五割程度になりましたけれども、これは少くとも正直に考えましても、これはスポーツ品と同じように取扱われるべきものと思います。東京ユネスコ協力会におきましても、この種の決議をいたし関係方面に示唆いたしました。又参議院の常任委員長におきましても、楽器税に対する文化的見地からの特別の配慮を願うというところの請願文も満場一致可決いたしました。このような国民の要請に対しまして、これは一業者の利益の問題ではございません。文化国家の困難なる道程の途中におきまして、このような問題は重大な問題であることを特に大蔵大臣並びに政府当局は念頭に置かれまして、今般物品税の改正を日程に上せましたならば、せめて音楽とスポーツとは私は対等のものとして見るというだけの認識を持つて頂きたい。それにつきましても本日御答弁がむずかしい事情でありましたならば、後程でも結構でありますけれども、十分念頭に置いて頂き、若しお答え願えるのでしたら大臣のお心持だけを伺いたい。
 最後に地方税の問題がございますけれども、この問題は政府当局におきましても、再検討とのことでございまして、我々も今再検討の最中でございますので、いずれ数字を以ちまして、この問題につきましては政府の所見を質し、若し改めねばならんとするならば、政府、民間相呼応して又国会の重要議題として地方税の問題は愼重審議されねばならんと存じますが、時間の都合もありますし、又我々は更にその点は勉強いたさねばなりませんので、地方税の問題は他日同僚議員達とも相諮り、ここで審議いたすことにいたします。只今の三点につきまして大臣の御所見を伺いたいと思います。
#107
○国務大臣(池田勇人君) 科学技術の研究費の点でございますが、政府におきましても今年度は一般財政のスケールが縮小しましたが、特に力を入れておるのであります。通産省関係におきましても、相当殖えたので、全体といたしまして六、七割は前年に比べて殖えておると思いますが、併しお話のごとく、日本の経済再建には科学技術の向上、発達が最も必要でありまして、その基本をなすものでございますから、今後も十分この方面への予算を殖やして行きたいと考えております。而して科学技術研究のための法人の寄附を免除するというお話でございまするが、その法人自体が、科学技術研究費として計上いたしますものは、資産の増加にあらざる限りにおきましては、損金といたしておるのであります。他の研究機関に寄附をいたします点につきましては、一定額までは、科学技術研究費のみならず、免除いたしておりますが、これを特に法人から幾らかでも出しても損金にするということは、如何なものかと考えております。
 第二段目のストレプトマイシンの増産でありまするが、お話の通りに、今年度は六億出資いたしまして、運転資金に廻すことにいたしてありまするが、この気持ちをもつと拡充いたしまして、国内で十分生産ができ、結核患者の人が非常に喜ばれるような方法を採つて行きたいと考えております。具体的の問題は御承知の通りでございまして、とにかく私といたしましては、ストレプトマイシン増産に、又この価格を安くするために、極力努力いたしたいと考えております。
#108
○帆足計君 見返資金の方はどうなるのですか。
#109
○国務大臣(池田勇人君) 見返資金の問題は、これはなかなか厄介な問題でございまして、私は直ぐここで有望だとかいうことは申上げられない状況でございます。見返資金が出ませんければ、国内資金が出るような方法を考えたいと考えております。
 次に楽器に対する物品税でございまするが、お説御尤もでございます。私は大体この物品税というものは余り好かないと、又今の状態ではやはり税率が高過ぎる。先ず減税の第一は所得税に向わなければなりませんが、その次は物品税だと、こういう考えを持つておるのでございます。お説十分御尤もな点が多々ありますので、今後研究して行きたいと考えております。
#110
○委員長(山田佐一君) 本日はこれを以て散会いたします。
   午後五時五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 佐一君
   理事
           内村 清次君
           岩木 哲夫君
           高橋龍太郎君
           田村 文吉君
           岩間 正男君
           岩男 仁藏君
   委員
           岩崎正三郎君
           岡田 宗司君
           羽生 三七君
           森下 政一君
          池田宇右衞門君
           石坂 豊一君
           小串 清一君
           小林米三郎君
           團  伊能君
           堀  末治君
           小林 勝馬君
           鈴木 順一君
           深川タマヱ君
           赤木 正雄君
           飯田精太郎君
           佐伯卯四郎君
           藤野 繁雄君
           帆足  計君
  国務大臣
   大 蔵 大 臣
   通商産業大臣  池田 勇人君
  政府委員
   大蔵事務官
   (大臣官房長) 森永貞一郎君
   大蔵事務官
   (主計局長)  河野 一之君
   大蔵事務官
   (主税局調査課
   長)      忠  佐市君
   通商産業事務官
   (大臣官房長) 永山 時雄君
ソース: 国立国会図書館
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