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1949/03/22 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第18号
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1949/03/22 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 予算委員会 第18号

#1
第007回国会 予算委員会 第18号
昭和二十五年三月二十二日(水曜日)
   午前十一時四十一分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
三月二十日委員鈴木順一君辞任につ
き、その補欠として櫻内辰郎君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十五年度一般会計予算(内閣
 提出・衆議院送付)
○昭和二十五年度特別会計予算(内閣
 提出・衆議院送付)
○昭和二十五年度政府関係機関予算
 (内閣提出・衆議院送付)
○昭和二十五年度政府関係機関予算補
 正(機第一号)(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山田佐一君) では会議を開きます。この際内閣総理大臣より発言を求められております。許可いたします。吉田内閣総理大臣。
#3
○国務大臣(吉田茂君) 地方税の法律の国会提出が遅延いたしておるという理由についてお尋ねがあるそうでありますが、これはこの前私が一応お答えしたごとく、もつと早く提出ができる筈であつたのであります。併し関係方面も政府の希望を考えて、なるべく政府の希望に応ずるようにいろいろ親切に考えて呉れた結果、いろいろな方面と交渉、相談をする必要があつたのであります。併しながら一両日の中には必ず出ると考えますから、暫く御猶予を願いたいと考えます。ただ遅延いたした理由は、決して悪意ということは無論ないのでありますが、政府の希望を採り入れて、なるべく政府の希望に合せたいようにしたいと、又政府としてもなるべく地方税は減らしたい、正確に減らしたいという考えで交渉いたしておつた、そのために交渉が長引き、向うの詮議も長引いて今日に至つたのでありますという事情を御了承願いたいと思います。
#4
○内村清次君 地方税法の国会提出につきましては、これはもうすでに本委員会におきましてはこの問題は重大視されまして、そうして一旦総理の十四日におけるところの本委員会の答弁によりまして、一応了承の形を以て、又更にその期日につきましてもその総理のお言葉を信じて、委員会も審議に入つて行くという態度を決定したのでございまするが、併しこの態度につきましては、只今総理からのお言葉を聽きますると、総理全体の只今のお言葉の中には、相当まだ当時の御答弁と懸隔のあるような御態度を私達は見受ることは甚だ遺憾とするところであります。その一つといたしましては、いわゆる総理が地方平衡交付金法はこれは先週に提出しなくてはならない、而も又地方税法についてはこれも又週末においては必ず出すということを確言せられたのであります。その後本多国務相も、ただ政府の今の交渉自体については、すべて政府から出したその重要な点について、関係当局との交渉はない。ただ字句の修正だけだと、かような御答弁であつたことは、私達はまだ明確に記憶しておるところでございます。こういうような事態に対しまして、尚総理はお尋ねがあるからそれに対して御答弁をするというような御態度、当然この政府のいわゆる責任者であるところの総理自体が、自分の御発言なさつたことに対しまして若しもその遅延の状態がここに現れたといたしましたならば、総理みずからお出になつて、委員会の進行上重大な、いわゆる点が残つておりまするからして、これに御答弁なさる態度が、それは総理の御態度であるということが第一点であります。
 それから第二の点は減税を考えた、そのためにこの法案の提出というものが、相当遅れておるということは、今尚おつしやつておられますが、これは当時衝に当つておられるところの本多国務相は、その点の交渉は済んだ、もう済んでおる、ただ字句の修正だけだと、かような御答弁でありまするが一体どちらが本当であるか、又この法案を総理がいつ迄にお出しになるか、この点につきまして明確に御答弁をお願いしたい。総理に一つ尋ねるのです。
#5
○国務大臣(本多市郎君) 総理の御答弁の前にちよつと私から担当者でございますから、事情をお話申上げます。先般総理が提案の期日につきましての見込みを御答弁されたのでありますが、その当時の状態と何ら変りはないのでございまして、すでに司令部方面の折衝を担当いたしておりまする私といたしましては、その後司令部と意見を異にするというような点のために、折衝すべき問題というのは全然残つておらないのであります。でありますから只今も司令部から何か異つた意見があるために、承認が遅れておるというようなことは、一つも関知いたしておらない状態でありまして、司令部の内部的な審査のために遅れていることと存じますが、私共が見込を申上げますにつきましては、大体の司令部の今日までの進行状況、或いはその係官等の見込等をお伺いいたしまして、これくらいの日までには出せるであろうという見込を申上げた次第でございます。
 更に又税の問題についてでありますが、これも私が司令部との折衝に当つたのでございますが、シヤウプ氏の示されました程度の枠にまで達することならば、税率はその必要限度に止めたいという趣旨において、やはり折衝いたしたのでございます。併しこれももう折衝はすべて結論に到達いたしておりまして、総理が見込を述べられました時と、状態は変つておらないのであります。誠に担当大臣の私といたしましても、この遅延いたしておることにつきましては、恐縮いたしておる次第でございます。
#6
○内村清次君 本多国務相の御答弁を聞きますと、どうも私達納得できないような状態でありまして、本多国務相のおつしやることになると、何でこの法案が遅延しておるかということが全然分らない。もう字句の修正或いは又関係当局との交渉のことについては何もない、かような御答弁でありまして、どの点が即ちこうやつていわゆる提出遅延になつておるかということがはつきりいたさない。こういう態度であるといたしましたならば、これはやはりこの予算に対するところの政府の態度が、非常に私達が考えておるような点より以上に軽視しておられるという態度であると私達はもうつくづく考えるわけでございます。問題はこの本多国務相でなくて、総理に対しまして、又その関係大臣といたしまして、そういうような点が即ち密接にいわゆる関係ができておるかどうか、御報告が総理に対して十分できておるかどうかですね、総理の御判断では、まだ国民に対するところの徴税の軽減を考えての折衝中であるというようなお言葉でありまするが、一体どちらが本当であるか、一つ総理から伺いたいと思います。
#7
○国務大臣(吉田茂君) 今私が申したところで御了承を願いたいと思いますが、私の申したことは、向うが親切に考えて呉れて、何か余地がないかということを考えて呉れておるのであつて、向うが考えておるのであつて、本多君とGHQとの間の交渉は一応結了しておるのでございますが、その後から何かできないかということを向うが親切に考えて呉れ、私と本多君との話の間には少しも齟齬を来たしていないのであります。それからこれはしばしば申上げる通り、今日においてはGHQの何と申すか、同意若しくは協議が済んだものでなければ提案ができない。従つて向うがOKを寄越さない問題に対しては、政府が幾らあせつても自然に時間のずれは生ずることを御了承を願いたいと思います。
#8
○内村清次君 総理の御答弁では、GHQの考え次第ですべて法案を遅延しようが、これはGHQの方の考え一つだというような御態度であつたように思いますが、これは重大なことだと思います。総理はこの内政の責任者といたしまして、この予算審議というものが、この一点で相当今後の審議状態においても密接な重大な関連があるということは、篤とこの前においでになりまして御承知の筈だと思うのです。参議院がどういう態度を取つているかということも御承知の筈であります。而もたとえ又参議院がこういう態度を取らないといたしましても、これはやはり予算案をお出しになつたといたしましたならば、関係法がそれと連関をいたしまして、同時に財政法の精神によりまして提出なさるのが、これは総理の御態度でなくちやならん。それを十四日の委員会におきましては遺憾であるという、即ち弁明をされておる。弁明をされておりながら只今の御答弁では尚且つやはり関係当局にその責任を転ずるような御態度であるということは、私達といたしましては甚だ腑に落ちないところでございます。こういうふうな御態度が尚更政府の反省がないといたしましたならば、敢えて又我々も考えざるを得ないという段階に立至ることもこれは止むを得んと思いますが、ただ問題は、ただ向うの方でOKを呉れないからというようなことでお済ましになるつもりであるか、一体いつ頃までにお出しになるつもりであるか、この点を一つ明確にして頂きたいということを先程から私は総理にお尋ねしておるわけでございますが、この点一つ……。
#9
○国務大臣(吉田茂君) 先程も申しました通り、政府としてはこの予算委員会において審議を進められることを重要と考えますので、できるだけのことをいたしておつたのであります。のみならず先程本多国務大臣が言われる通り、従来政策の大要においては一致をした。併しながら尚残つておる点が、あるところまで勉強してやつておつたわけで、決して提出を遅らせること、或いは又遅らしても構わんというような考えでは毛頭なかつたことを十分御了承を願いたいと思います。それから法案は一両日中に、少くとも今日ぐらいにでもできる筈と考えております。それだけの情勢になつておることは私も確めております。ついては必らず一両日中には提案いたします。
#10
○内村清次君 一両日中のうちに必ず提出されるということにつきましては、もうこれは二回目でありまして、この点は御責任上はつきりと御履行を頂きたい。この点につきましては、私も先般の総理との御約束も、国会軽視の問題において御約束の点もあります。この点につきましても私は言いたいのでございますけれども、この点は、控えますが、ただ今日の新聞を見てみますと、この法案提出が相当遅れ、審議が遅れるために、地方庁に対しましては、通牒を発してそうして、現行地方税法を以て徴税をするというような通牒を出しておられると聞きますが、これは総理が責任者といたしまして、はんこを捺されての御通牒だと考えますが、一体そういうことがあつていいかどうか総理に一つ伺いたい。
#11
○国務大臣(本多市郎君) これは私が命じまして地方に通牒を出したのであります。この税法が四月一日までに成立実行されるか否かという点につきまして、政府といたしましても、遅れる場合も予想されますので、税法上、日税として取らなければならん面がございますので、そうしたものはやはり、旧税法によつて日税を取つて行くように新税法の実施されるまで日税は旧税法で取る。更に又酒の消費税のごときは、廃止することになつておる税でありますので、取らないようにという趣旨を通牒いたしました。
#12
○岩木哲夫君 私よりも重ねて総理にお尋ねいたしたいことは、今回の地方税法が出ないと予算審議が非常に困難であるという点は、すでに先般申上げた通りでありますが、地方におきましても、おのおの都道府県会議は御案内の通り今日審議中でありますが、政府は、今度税法を改正されるということのために、闇の手さぐりで想像して各歳入を地方府県が審議しておるというところに、非常に地方財政確立の上に困難が来たしておるということが大きな一つの問題でありますが、特に政府が減税だと言つておる点につきましては、我々は非常に疑義を持つておるのでありまして、国税面においては、或いは数字上減税のトータルが現われておるかも知れませんが、国税それ自体につきましても、増收か、増税かの問題につきまして、尚議論が残つておりますので……。いわんや地方税制に関しまする改正に伴う、地方の増税という問題から検討いたしますれば、本年度予算の特殊性も、特に総合予算の見地から地方税法の改正というものは、極めて大きな問題であるということは御承知の通りであります。これ程大きな問題に対しまして、内閣の一部におきまして、いろいろ御議論が時と場合によつて、或いは人々によつて殆んど違つておるということは、大体政府の御方針はどういうところにあるのかどうか、我々といたしましては、非常な疑問があるのであります。只今も本多国務大臣はすべて結論には達して、終局になつておるのだ、言わば、字句か印刷かの手遅れぐらいで、ずれが来ておるだけであるということを先般来繰返し繰返し言われておるのに対しまして、総理大臣は、本多国務大臣の結論後におきまして、尚政府の希望をGHQが考慮してくれておるという、或いは政府の希望があるのだということを言われておりますが、若し然りといたしますならば、政府は、本多国務大臣がすでに結了した、もう決定しているのだ、最終的の結論が出ておるのだという、その後政府が地方税法に対しまして、どういう点を更にむし返して司令部に懇請、御交渉なさつておるのか、その点を明らかにして頂きたい。
#13
○国務大臣(吉田茂君) 私は先程申した通り、この税は御承知の通り地方においても中央においても重要な立法でありますから、殊に納税者の負担において成るべくそれが軽減せられるように考えるのが、当局としてなすべきことであり、又その点はGHQもよく了解して、何とか都合のいいように、軽減になるようにできないかということを、一旦決つたにも拘わらず、更に親切にも研究を重ねて呉れた。そのために時間が延びたというのが内容であります。私がこうして貰いたい、ああして貰いたいというよりは、GHQの方で以て本多国務大臣等の話を聞いて一応適用したにも拘わらず、尚字句に余地がないか、向うが親切に考えてくれて、考え直して何かその途がないかということを研究した結果、時間が延びたという内容はあるのであります。
#14
○岩木哲夫君 一旦本多国務大臣がすでにもう折衝をされて、その前に結論が出たというのに対して、司令部がその上更に親切でなんとか軽減してやろうという思召しで審議をされておるから遅れておるという御意見でありますが、然らばその内容は政府がお分りでないというのであるならば、今総理大臣が一両日中には必らず出すという御見解はどういう手応えで見通しを持つておられるのですか、もう一辺それを伺つて置きます。
#15
○国務大臣(吉田茂君) 内容は存じません、存じませんが、併しながら一両日のうちには必らず向うがOKをよこしてくれるという内報があつたから申すのであります。
#16
○岩木哲夫君 一両日に出すという内報があつたということでありますが、こうしたことは先に本多国務大臣から二度、或いは三度承つたのが今日まで内報を承つた意味をこの委員会でお述べになつておりながら、今日まで三回に亘つてお尋ねしたものがずれておるのでありますが、そこに我々といたしましては非常な疑義を持つておるのでありますが、若し政府がこの地方税法が出なかつたならば、この予算に対しまする政府の改正内容につきましては、何らか別の考えを持つていられますかどうかを承つて置きたい。
#17
○国務大臣(本多市郎君) 政府は只今のところ必ずこの税法の予算案その他税法案等同一に成立さして頂けることと考えております。併し若し出なかつたときには、予算に何か数字的に影響があるかというお話でありますが、予算には影響ないと思います。
#18
○木村禧八郎君 総理にお伺いしたいのですが、司令部の方でまだ減税についてお考えになつておるのかどうか。そして一両中に提出されるという決定的な地方税法は司令部が考えておる減税というものが盛込まれて提出されるのかどうか、その点二点についてお伺いしたい。
#19
○国務大臣(吉田茂君) 司令部と研究の結果は、本多国務大臣と話合つた結果通りの結論に達したのであります。
#20
○木村禧八郎君 そうしますと司令部で考えられた一旦決つた後において考えられた減税はこれは織込まれないで、やはり元通りの形において提出される、そういうふうに了解してよろしいのですか。
#21
○国務大臣(吉田茂君) 本多国務大臣との交渉の時に決つた結果通りになつたということであります。
#22
○木村禧八郎君 それじや本多国務大臣にお伺いしたいのですが、この前国務大臣は我々に対する御答弁として今度決つた、大体今までに決つて提出されるものと確信する税法の内容によると、住民税においてはシヤウプ勧告以上に取れる、あの税率では取れ過ぎる、それから固定資産税においても取れ過ぎるというのでいろいろ折衝した、こういうお話があつたのです。そういたしますと、この間本多国務大臣の我々に対する御答弁になつた内容で出されますと、地方税はシヤウプ勧告案の枠より取れ過ぎる。従つてそれと密接の関係のある平衡交付金についても、何らかの変化はこれは当然来なければならない筈だと思うんです。この点の関係はどういうふうにされるのですか。
#23
○国務大臣(本多市郎君) 実は徴收見込額につきまして、でき得るだけ枠内に止めたいということからいろいろな研究をいたしまして、もう少しく低率でも見込額に達するのではなかろうかということで、司令部の係りの人とも研究をいたしましたが、結論において私が先日申上げました程度のところで丁度見込額と符号するという結論になつたわけでありまして、殊に住民税等につきまして、枠よりも多く取れるだろうなどということも我々も全然予想しておりません。
#24
○木村禧八郎君 それは非常に私は本多国務相は違う御答弁になつて来ているんです。この間我々に御答弁になつたのは、例えば固定資産税においては一・七五%に、これは固定税率になつておる。そうしてまあ賃貸価格に対する評価倍数は九百倍、そこで取れ過ぎるので政府は標準税率にして貰いたいというので折衝した、ところが標準税率にならないで固定税率であるという御報告である。そうしますと九百倍に対して、一・七五%の固定税率になれば、これは必ず取れ過ぎるので困つておる。併し住民税においては、この間の御答弁では、この司令部と今折衝中の税率では取れ過ぎるからその税率だけを折衝中である、こういうお話になつた、それが本多国務大臣の考え通りに決まらないで、司令部の考え通りになつたとしたならば、これは取れ過ぎる。速記を見ればはつきり出ているんです。今のお話を伺いますとそこが非常に不明確なんです。この点はもう非常に重大な問題と思う。ですから地方では非常に重大視しているわけです。一般国税よりも更にこの地方税を重大視しているから、参議院においてもこの地方税の取扱いについても非常に愼重を期しているわけなんです。その点非常に曖昧で我々了解できないのですがもう一度。
#25
○国務大臣(本多市郎君) 只今のお話は私の先日の答弁と違うのですが、これはお聞き違いじやないかと思います。私は先般折衝の経過について申上げた次第でありますが、これで取れば取れ過ぎるというふうな決定的なことを申上げた筈は、結論的なことを申上げた筈はないのでありまして、今少しく税率、或いは倍数等を緩和しても收入見込を確保し得られるのではないかという考えも、そういうふうな角度からも関係方面と研究し折衝いたしました。従つてその結論はシヤウプ氏は千倍というものを九百倍までならば收入見込額を割るようなことはなかろうかと、倍数は決定し、それから二十五年度限りの税率は百分の一・七五というものが、固定税率になる見込でございますということを答弁しているのです。
#26
○木村禧八郎君 それは非常に遺憾でありますが、あの時速記がなかつたのです。その懇談というようなことで速記がないのは非常に残念ですが、それはもうはつきり……、本多国務相は何故今まで司令部と折衝されたか。あの枠内において取れるなら別にこれまで本多国務相は司令部と一生懸命折衝する必要はないわけなんですが、ところが今度決つた税率で行くと、どうしても取れ過ぎるから本多国務相は固定資産税については、固定税率を標準税率にして頂きたいということを折衝されておつたわけなんです。取れ過ぎになつて来れば何も折衝する必要はない。住民税においても今度の所得を標準にするのですか。所得税を標準とするあの取り方にすれば取れ過ぎる、それだからこそ折衝して行つた。それじや今日まで何故これまで折衝しておつたか。單なる字句とかそういう問題ではない。内容について折衝された、その点くどいようですが、一体何故これまで折衝されたか。
#27
○国務大臣(本多市郎君) 実は政府側の納得、司令部の納得の一致するまでは折衝を続けなければなりませんので、それで折衝を続けて行つた次第であります。そうして更に税率の固定税率か標準税率かという問題で、税が固定税率に取れば多く取れ、標準税率にすれば少く取れるという、そういう観点からではないのでありまして、これは標準税率になりますと、市町村毎の財源を勘案いたしまして、低くも取れる又高くも取れる、動かせるという、そうした取り方にしたらどうかということを考えて、これは折衝もいたしました。併しシヤウプ勧告にあります通り、こうした税の根本的改革のときに、有力な税を一つ固定税率で確実に取るということは、地方財源を確保する上において必要であろう。そうした点について政府も納得し意見が一致いたした次第であります。
#28
○岩間正男君 私は首相にお伺いしたいと思うのでありますが、我々は国会の審議を熱望しているわけです。予算を早く審議したい。まだ政府に質すべきところの條項が沢山あるわけです。而もそれをも尚押えて地方税法の提出を望んであるというところには、地方税法が今後国民の生活に影響するところが非常に大きいからというのでこういう態度をとつているのであります。然るにここまで追い込まれたような形になつているのでありますが、私は多くのことを言うよりも、ここで聽きたいのでありますが、大体三度今まで政府の言明がその通り行われていないのでありますが、一両日中に出されると言われるのでありますが、我々はそれを諒として今まで二回やつて来ました、それが尚三回目になつて一両日中に出ない、こういう場合においては政府はどのような責任を負われるかということを聽くことが非常に重要になつて来ている。私はこういうことは聽きたくないけれども、三度目である。三度目であるからして国民の前に今責任を明らかにする必要が出ているのではないか、従つて我々は首相からその点に関するところの正確な答弁をして頂きたい。
#29
○国務大臣(吉田茂君) 一両日中に出すと断言いたしましたからあとは問題ないと思います。
#30
○岩間正男君 そうすると若し出ないという場合には、やはり政府はそれだけの責任を負うということを前提として只今の言葉を私は了承していいのですか。政府はそれだけの責任を負う、責任を当然裏付けとしたところの只今の首相の断言と了解していいかどうか。
#31
○国務大臣(吉田茂君) 出すことは断言いたします。
#32
○岩間正男君 尚今までの経過を見ますと、これは政府の自主性ということが非常に大きな問題になつて来ると思うのです。尤もこの問題を討議する余裕もないのでありますが、もつとこのような政府の自主性、これをはつきり確立するところの努力を首相は持つておられるかどうか、併せてその点も聽いて置きたいと思います。
#33
○国務大臣(吉田茂君) 自主性自主性と言われますけれども、今日降伏している日本としては自主性という言葉は当らないと思います。できるだけの政府としては責任において出す。責任において上程をする、こういうように我々はお答えするより言葉を知らないのであります。
#34
○岩間正男君 無論今のような説明が行われておりますけれども、併し飽くまでも政府は日本の政府であり、そうして日本国民の実益を負うところの政府なんでありますから、そういう意味におきまして予算審議を急ぐ、そうしてこのことを明らかにしなくちやならないということは非常に重要な段階になつている。国会からも要求されているとしましたならば、これはやはり自主性を発揮してこういうところを積極的に推進することが重要じやないかと思います。併し論議になるからこの点は省いて次に移りたいと思うのでありますが、さつきの内村君に対する本多国務相の答弁によりますと、大体地方税法は間に合わないかも知れない。従つて暫定的なやり方を旧税法との関連でやるというのですでに通知を出された、こういうことになりますが、政府は地方税法が今度間に合わない、或いは流れる、こういうことを前提とされて、そうしてそのような措置を取られたのじやないかどうか、これはどうです。本多国務相から伺います。
#35
○国務大臣(本多市郎君) 実は日税等につきましては、改めて通知を出しませんでも、旧税法が今回の税制改正と共に廃止されることになりますから、当然のことでありますけれども、当然日税等は旧税法で取ることになつておるのでありますけれども、併しそこにいろいろ心配をかけるといけませんと思つて、念のために通牒を出した次第であります。その通牒を出す前提として本法案の不成立ということを予想して出したかということでありますが、これは必ず成立さして貰いたい、こういうふうに考えております。
#36
○岩間正男君 私がなぜそのような質問をしたかというと、よくこういうことが言われておる。政府は恐らく地方税法をこういうふうに遅らして、そうして審議がどうもできない。殊に七百條に及ぶところの厖大な地方税法を出して審議は恐らく未了になるだろう、そうしてその審議未了こそが政府の狙いである。つまり若しもこの税法がこのまま行われる、この内容が実際これは国民の前に示されるときには非常に増税になる、従つてこれは大きな反撃が起る、これが参議院議員選挙を控えた政府の対策としては非常に不利になる。従つて政府はこの税法を今回流してしまつて暫定措置を以てここのところを糊塗する。そうして今度は特別国会においてこの地方税法を新たに審議する。こういうようなことが專ら言われておるところの意見なのであります。このような事実があるかないか、このような肚があるかどうか、これについて伺いたい。
#37
○国務大臣(本多市郎君) 全く只今のような考えは持つておりません。
#38
○岩間正男君 当然そう答弁されると思うのでありますか、(笑声)問題は事実がどうなるか、そうなるかならないかということによつて、吉田内閣の政策がはつきり国民の前に批判されると思います。これに対して首相にお伺いしたいのでありますが、どのように善処される意嚮があるか、この点伺いたい。
#39
○国務大臣(吉田茂君) お尋ねのような考えは毛頭持つておりません。従つて又内閣のこの態度について諸君及び国民が如何に主張されるかは、今後の政府の態度について御判断願うようにいたしたいと思います。
#40
○岩間正男君 もう一点、若しそのような事態が起つたときはどのような責任を負われますか、勿論これは国会の問題でありますが、政府の責任を感じられるかどうか。当然感じるべきだと思いますが、これは首相に……。
#41
○国務大臣(吉田茂君) 政府の責任として感ずべきことがありましたら無論感ずるのみならず適当な善後措置をいたします。
#42
○木村禧八郎君 本多国務相にお伺いいたしたいのですが、仮に地方税法が通過したとして、それが実施されるのはいつ頃になるか。
#43
○国務大臣(本多市郎君) これは成立する時期がはつきりしませんと実施される時期も申上げられないのでありますが、審議を極力進めて頂きまして、これが早期に成立いたしましたならば、四月一日には間に合わないといたしましてもそう遅れないうちに実施できるのではないかと考えております。
#44
○木村禧八郎君 そう遅れない期間というのは、一月とか二月とか、その程度でこの大税法を実施できるのでございますか。例えばこれが四月中頃に通過したとして、五月とか六月に実施できるのでございますか。
#45
○国務大臣(本多市郎君) 実は今回の改正税法の内容は、提案はされておりませんけれども、新聞その他自治庁のいろいろな普及によりまして相当各地方団体にも徹底しております。従つてこの改正法案実施に対する準備としては相当進みつつあるのでございます。そういう関係から、成立さえ見ましたならば、四月の中頃までに成立いたしましたならば、四月末日というくらいのことには困難はなかろうと思います。
#46
○委員長(山田佐一君) この際一時半まで休憩をいたします。
   午後零時二十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時五分開会
#47
○委員長(山田佐一君) 只今から委員会を開きます。通告順によつて発言を許可いたします。堀越君。
#48
○堀越儀郎君 私は総理に三つの点についてお伺いがしたいのであります。
 その第一は講和会議後の安全保障の問題、これは従前からたびたび本会議なり委員会で、総理は繰返して御答弁になつているのでありますが、余りに抽象的であつて、国民は非常な不安を抱いていると思うのであります。近く講和会議に開かれる予想の下に、憲法によつて全然軍備を放棄してしまつた全く非武裝の日本が、如何にして安全を保障するか。又講和後の侵入を防ぐかということは国民の重大関心事であろうと思うのであります。これは單に仮定の問題でなしに、講和会議の際に日本国民全般の希望として、強い希望として、こうあつて欲しいということを政府は国民の声を聽いて決定せられる必要がありはしないか。軍事基地を提供するというような問題、いろいろのことは言われまするが、憲法上の疑義があることであり、或いは又日本の国の独立を脅やかされる、侵害される、こういうような懸念も伴うものであります。併しながら全然軍備を持たない日本が如何にして保障されるかということは、講和会議に際する重要なる事項のあろうと思うのでありますが、この国民の希望をはつきりと表明されないために、世界の他の地方においてもいろんな意見が出ているようであります。例えばフイリツピンの世論の一部として、講和会議に際してはその締結後は日本に最低の軍備を許すべしというような世論が現われているという情報も聞くのであります。又元の第八軍司令官のアイケルバーガーが二月二日にニユーヨークで演説をされた際に、日本が防禦のために軍備を持つということはこれは当然であると述べているのであります。そういうような情報が伝わりまするにつれて、更に以前の軍閥が蠢動するような地下工作が伝えられる虞れがあるのであります。
 こういうように首相は、安全保障は日本国民が民主的に平和主義に徹することによつて得られると述べておられるのでありますが、一面において最小の軍備を許すべしというような、こういう意見が外国に出ていることを勿怪の幸いとして、最び軍備に心を向けようとするような者が出る虞れがある。そういうことが反映したのでありまするか、この前の新聞紙の伝うるところによると、イギリスが対日講和條約の條件として非常な強硬な意見を持つているということが伝えられて、それが発表されているのであります。こういうようなことで現在科学的の兵器が非常な進歩発達をして、原子爆彈、水素爆彈というようなものが、強力な国が使用し得る場合に、僅かばかりの軍備を整えて見て、何の安全保障になるかと我々は考えるのでありますが、併し講和会議後のはつきりとした安全保障を、我々が安心のできる、而も独立を侵害されない、脅かされない、この本当の国民の声を、政府は強い希望として出される、その決意を承わらなければ、又平和主義に徹するという政府の言明が、單に抽象的に過ぎて、具体的に、どれをどう考えておられるか、どういう施策に出られるのかというようなことに我々は疑念を持つのであります。私は軍備の再拡張をいうのでなしに、そのような僅かのもので本当の安全は保障できないのだ。如何に外国でかような声が上つてもそれに乘つてはならないという考えでおるのであります。併しその本当に平和主義に徹するという政府の方策が曖昧模糊としている憾みが多いのであります。重大な文化施設、或いはその他の面において、科学振興の面においても、これはこの前の国会において私は総理に要望したのです。予算の面に許す限り十分に考慮して、その点希望に副いたいとお答えを得たのでありますが、本年度の科学振興費などを見ますと、一般民間に対する科学振興費というものは、昨年よりも僅かに五千万円しか殖えておらないのであります。昨年学術会議では十六億なければ十分な研究は為し遂げられないと要求したにも拘わらず、四億五千万円しか計上されておらない。僅かに今年は五億、つまり五千万円の増額であります。文部大臣にこの点について質問をしたのでありまするが、文部大臣の答弁を承りますると、一般民間その他の学術科学研究費に僅か五千万円の増額であるけれども、国立大学の講座研究費として十一億六千九百万円、つまり昨年の約倍を計上してあるから、又大学附置の研究所において相当の増額を見ておるから、その点でカバーできるという御答弁であつたようでありまするが、従来とても大学における研究というものは、象牙の塔にたてこもつて、一般民間との交流が少い。それは打破するといたしましても、今度の増額は、価格差補給金の打切りのために、非常に研究に要する物資が増加しているのであります。最も顯著なのは電力の問題であります。折角倍額に国立大学における研究費が計上せられましても、殆んどそれが電力費に食われてしまうという現状であります。このような状況から見ますると、せつかく平和主義に徹する、或いは文化を進めると首相はいつておられるのでありまするが、果してそれが、我々が要望するような線に沿つて行けるものかどうか、勿論日本の中にも非常に優れた人が多い。対外的に有名になつた、例えば湯川博士とか、或いは野口英世博士、結局それは日本の文化の水準を示すのでなしに、私は單なる煙突文化じやないかと思います。によきによきと高い水準の人がいても、一般の人の水準が高まらない現状であります。こういう点について現在の政府が取つておられる態度は余りに生温いのじやないかというふうに私は非常に遺憾に考えるのであります。そういう点なども併せて、講和会議後における、首相がたびたび言われる平和主義に徹するという方策は何か。又事実問題として無防備の日本がどうして安全を保障されるか。この点について、先ず第一点、首相にお伺いしたいと思います。
#49
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、私の安全保障に関する言い方が甚だ漠然といいますか、抽象に過ぎる、これは今日のところは抽象的にお話をする以外に方法がないのであります。講和條約によつて日本の安全が如何に保障せられるか、保障せらるる内容を持つ條約が、條文ができるか。これは第一、連合国の方で提案する案文の内容をなすものでありましようが、日本政府としては今日先ず第一に言い得ることは、如何にしても戰争を放棄する、無防備に徹する大方針は飽くまでも保持するということが日本の安全を保障する第一の要素だと思います。この下に日本としては平和運動の先駆けにはなつても、軍備運動の先駆けにはならん、国民一致してこの戰争状態の防止をやつても、これを惹起する先駆けにはならん、飽くまでも平和に徹する、世界の平和を増進する、或いは平和運動の先駆けをなすという国民の決意が日本の安全を保障する第一の要素であると私は確信して疑わないのであります。この趣意に徹して然らば如何にして安全を保障するか。この提案の内容にもよりますが、先ず私は、私が連合国の気持になつて考えるのでありますが、或いは国際連合に加入せしむる、この加入についても無軍備が條件になつておりますから、日本の場合においては、これに加入を許すとしても保障の條件の変更を必要といたすでありましようが、或いは連合国の管理する條件の下に加入を許して、或いは国際條約で日本の安全を保障する條約を考慮せられるか、いずれにしても私は始終言うのでありますが、日本が局外中立の條約を結んで、これによつて直ちに日本の安全が保障せられるかということについては、前にもある通りでありますから、直ちに従来の局外中立だけではこれは安心できないと思います。然らばそれに補充してどういうふうな機構を拵えるか。これも一つの問題であろうと思います。まあ具体的に述べて行けばそういうことも考えられますが、更にもう一歩進んで私は始終申すのでありますが、差当りのところ、近年においてとかくいろいろな噂があるが、直ちに近年に戰争が再び起るということは先ず一応考えられないことである。御承知の通りここ二十年間に二度も大戰争が起つて、そうして各国共に、勝つた国も敗けた国も共に国力が疲弊して、今日世界の統計をとつたならば、戰争は厭だ、戰争は御免蒙りたいという気持であります。これは普通の常識においてはびこつておると見て差支えないと思います。この気持の下に戰争が再び起る、まさに起らんとするような形勢があるというような形勢を生ずることはあり得るでありましようが、直ちにこれが戰争になるということを断定するのは少し早くはないか、これは歴史において考えて見ましても、地方において、大きな戰争があつた後において、二、三年経つて平和が乱れて、再び戰争が起る危險を生じた歴史上に事実は沢山ありますが、遂に事なくして戰争も起らずして、無事に経過したということが歴史上の事実であります。况んや大戰争を二度もやつて、そうして更に再び第三の戰争が近く起るということは、いろいろ噂が世間にあつても、これは私は信ずることができないのであります。更に私の外交の常識から言うというと、近い将来において、戰争が勃発するということは先ず考えられない。考えられないことが常識と私は考えるのであります。又この常識の下に考えて見て、日本が日本の国民或いは国家として平和に徹する。無防備に徹するという、この精神が貫徹して、更にこれが世界の平和をも助長するということになれば、一層世界の平和が確保せられるものであると思うのであります。
 更に文化の話でありますが、文化は又日本の安全を保障する一つの方法であるに違いありませんが、現在の日本の施設では足りないではないか。若し予算が許されるならば、十分に施設をいたしたいのでありますが、今日は戰後の混乱を整頓するだけで日本の国力は盡きておる。少くとも財力が盡きておるという状態にあるのである。慾を申せばいろいろな施設を必要といたしますが、併しながらそれが予算的にできない、国力がこれを許さない、こういう状態にあるので、漸を追つて文化施設を助けるというより仕方がないと思います。併しここに一つ御注意願いたいと思いますのは、従来日本が戰前において学校は完備して、いろいろな文化施設が完備しておつたにも拘わらず、その当時の空気として、外国との間の交通が甚だ不自由である。従つて国民の国際知識が甚だ貧弱であつたために戰争が起つたものと思いますが、併し今日においては、海外への交通は制限せられておりまするが、尚且つ新聞、雑誌その他の図書は相当册数入つて来ておるようであります。又日本からして海外に行く者、或いは来る者、この交通は相当頻繁にあるので、これは日本の文化を相当助けておるであろうと思います。今日私がちよつと考えて見ましても、日本における、或いは例えば田舎の小供に至るまでも、米国の何という所はどこにある。よくラジオで以ていろいろな放送をしておりますが、我々の知らない地、或いは学校その他の名前が記憶せられておるところを考えて見ましても、日本国民の国際的知識はこの数年来、殊にこの一、二年来著しく進んだものと私は考えられるのであります。これは結構なことであります。これが実物教育であるか、或いは実際教育であるか、とにかく国民の目に映ずるもの、耳に聞くところのものは一種の文化振興、発展を助けるものが非常に多い。これは従来のごとく、限られた見聞のみを、知識のみを輸入せられるのじやなくて、広く日本にいろいろな知識が入つて来る。外国の知識が入つて来る、或いは外国人の往来、日本人の海外に出る者が、施設はなくても、文化的には相当近年において進歩しつつあるものと私は認めております。この傾向がますます助長せられるということも、又日本の国にとつて誠に有益なことと考えておるのであります。一応お答え申上げます。
#50
○堀越儀郎君 只今の御答弁を頂いたのでありますが、従前の形式の局外中立では不十分だとのお話で、何らかの新らしい考案がせられるであろうと、それで我々も安心できるのでありますが、国民が非常な不安に駆られ、又非常に心配しているのは、その点なのであります。講和会議が成立後、全然無防備であるのに、どうして保障されるか。従前の局外中立の形を見て見ても、我々は不安に堪えないのであります。何らか新らしい形のものが決められるであろうという、その御答弁によつて多少安心するのでありますが、できればその点もう少し具体的にお考えになつている点を承わることができれば、私は国民として安心するのじやないかと思います。
 それから條約は一切向うで決められるのであるからというお話であり、尤もそうでありましようが、安全保障の場合に、條約が、先ず第一義といたしまするならば、万一日本の現在の憲法に抵触するようなことになりまするならば、憲法を第一としてお考えになりますか。條約を第一として、この場合には、憲法の改正をもすることが当然であるとお考えになりますか。その点承わりたい。
 更に、先程申しました、日本に再軍備を許すべしというような声が挙つているのに対して、総理としては、これをどうお考えになつておりますか。重ねてお伺いいたします。
#51
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。しまいの項からお答えいたしますが、日本に再軍備を許すべしという声は、成程時々聞きますが、これは先ず国民として、耳傾くべからざるものだと思います。憲法において、すでに戰争放棄、戰争撤去ということを謳つているから、この国法の範囲において我々は考えるしか仕方がないので、従つて海外において、日本に好意を持つ者、或いは持たない者もあるかも知れませんが、好意によつて言つて呉れた意見といえども、憲法の精神、先程申すように、平和に徹底するような意味において、耳傾くべからざるものであると考えます。それからこの私の議論について、私の言い方について、説明について、多少補充いたしますが、私の申す意味は、條約において連合国が日本の安全を考えるであろうと申すことは、一に連合国のみによつて決定せられるという意味合ではないのでありまして、無論国民の希望も忖度する。考えに入れる。そうして講和條約を連合国は考えるでありましようが、先ず第一に、連合国として考えるべきことは、考えるだろうと考えられることは、平和が永続することを必要とする。平和が永続し得るような講和條約を作ろうと考えるので、これは理想であろうと考えます。従つて国民の希望は全然度外視して、そうして講和條約を押付ける。これは戰争を撤去した国に対しては、あるべからざる行為と思います。又日本の安全せ撤去して、日本が不安な状態にいる。東洋の一角に不安な国が生じているということであれば、これは極東は勿論のことでありますが、世界の平和は保障されないわけであつて、今日国際的に互にその関係が、国際の関係が非常に緊密になつている今日において、世界の一隅に戰争が起つて、他の地方は安全であつて、平和は保ち得るということは、これは考えられないことであります。たとえこういうような行き方、東洋の一角において、或いは日本において平和が保たれんならば、それがやがては極東、延いては世界の戰争になるという危險が……、国際の関係が非常に微妙な今日においては、或る一部に生じた戰争状態が全世界に瀰漫するということは考えられ得るのでありますから、従つて日本の安全について、單に日本の利益となるのみならず、世界の平和のために、連合国としては日本の平和、日本の秩序……安全なり、独立が脅かされて差支えないというような條約は、これは考えないであろうと私は想像いたします。想像でありますが、道理は正にそうであろうかと思います。
 それからその次は日本としては飽くまでも憲法を第一に考うべきである、この憲法に反対する條約に対しては日本に対して強いることもありますまいが、日本としては直ちにこれを受取ることはできないことになると思います。
#52
○堀越儀郎君 それではその点は又他の委員からも御質疑があると思いまするのでこれは一応打切りまして、参議院の性格というものを首相はどう考えておられるかということ、この点をお聞きしたいのであります。これは度々問題になり、御承知のように予算審議の委員会の態度が首相の出席を求めて御答弁を伺つたりして、いろいろ我々が協議しておるのもその点にあると思うのであります。参議院が設けられましたその最初の帝国議会、これは確か第九十帝国議会だと思いまするが、両院制度を議した際に、参議院は衆議院と等しく国民を代表する選挙せられた議員を以て組織するという原則はこれを認めるけれども、これがために衆議院と重複するがごとき機関となり終ることは、その存在の意義を没却するものであるという附帶決議があつた筈であります。ところが最近自由党なり、政府の方針として度々伝えられるところによりますと、今度の参議院の選挙によつて與党が多数を占めなければ政局が安定しない、これは首相自らが一月二十一日の民自党の議員を招待された席上で激励しておられるのであります。單なる激励の言葉であれば我々は関知するところではないのでありますが、万一政府與党が少数であるときには、破れたときには、政府は安定しないということは、どういう意味にお考えになつておりますか。又廣川幹事長が地方において今度の参議院選挙で與党が破れたら退陣するのだ、内閣は退陣するのだというようなことさえも放言しておられるのであります。勿論選挙であるから勝つことを主にされることには我々は異存はありません。けれども與党の絶対多数が参議院になければ、政局が安定しないというそのお考えに私は疑義があるのであります。全く参議院というものを政党化し、それによつて與党化して行くというならば、参議院の存在の意義が失われるのではないか、現在においても衆議院は絶対多数を持つておられるのであるから、如何ような法案、如何ような審議もこれによつて通して行かれるであろうと思いますけれども、参議院は国民に代つて更にそれを再批評する必要があるので、與党化することは参議院の存在を私は無視すると思う。首相は参議院を軽視はしておられないが、如何にもやつかい者、目の上のたんこぶのような、自由にならないやつかい者のような考えをしておられるように思います。一つの具体的な例を申し上げまするならば、前国会、前々国会において問題になつて食糧確保臨時措置法案、あれは第五国会においては参議院が通過しておるのであります。衆議院はこれを審議未了にしたのであります。その場合の態度は、参議院としては……、あの食確法というものはポツダム宣言受諾に伴う当然しなければならない措置と考えておるのでありますが、農民の負担を余りに増大し、農民を塗炭の苦しみに陷れてはならないというので、表裏一体となつて食糧増産基本法案というものを参議院において通過させ、この両法案が公布せられて初めて農民も納得してこの法案を支持するであろう、又すべきものであるという観念のもとに、参議院はああいう態度をとつたのであります。ところが衆議院においては、絶対多数の力で食糧増産基本法を握り潰しにし、又食確法というものを握り潰されたのであります。併しながら第六国会において、我々の正しい理論を蹂躙して食糧増産基本法案をそのままに引離して、食確法案のみを通して我々にこれを通過させるを強要されたのであります。我々は参議院の、正しい国民の輿論を反映してこの二つの法案を成立させなければならない立場で審議を進めて来たのでありまするが、どうしても一つのこの食確法のみでは不完全である、農民の立場から両法案を通過さすべしという交渉をしておる最中に……。併しながらこれはポツダム宣言受諾に伴うて当然何らかの措置に出なければならないことは十分分つておるのでありまするから、期間中には通る見込であり、通すべく努力した際に、いわゆる首相の爆彈声明というものが発表されて、そのために審議が却つて遅れたという結果になつた。会期が終つたために次の国会、第七国会が開会されたにも拘わらず、国会で審議し終らないうちに声明を出された。その態度も甚だ私は了解に苦しむのでありまするが、あの食確法案を握り潰したのは参議院であるというふうな宣伝の仕方……。私はむしろあの食糧法案の潰れたのは首相の爆彈声明がそうさせたのだと解しております。(「その通り」と呼ぶ者あり)勿論これは首相と意見は異にするかも分りませんが、結局参議院というものを衆議院と同じように考えて行かれるところに私は間違があると思う。参議院の性格をもつとはつきり呑み込んで行かれる必要が政府にありはしないか、こういう点を特に首相からお答えを得たいのであります。
#53
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。新憲法が議せられたときに、一院という説があつたのであります。併しながら一院で事を早急に決して、そうして取返しのできないような事態が生じてはいけないから、やはり二院という制度にして国政の審議を愼重にする、愼重にするために二院制度がよかろうという我々の考えが当時あつて、二院制度に私は賛成したのであります。その考えは尚今でも変らないのであります。一院ならずして二院を置いて、そうして国政の審議を愼重ならしめ、衆議院の見た角度からして或る法案或る政策を議するということも一つであるのでありますが、そのでき上つた政策を他の角度からしてこれを愼重に審議する、よつてもつて国政の全きを期する。これが二院制度の趣旨であり、私はこの意味において、二院制度のあることを希望いたしたのでありますが、その考えは今尚そう考えております。併しながら然らば参議院なるものが、政党の外におく。これは二院制においてあり得べからざることであつて、二院制度をする以上は、国会が自然に政党化されることは、これは当然のことであります。イギリスの両院においても、政党の分れはあると同じように、国会がある以上、それは選挙をられた以上、どうしても別な二院にするということは、自然である。その自然の結果参議院においても、我が党が余計であることを、これは政党として当然希望せざるを得ないことであります。即ち我が党の政策を理解し、我が党の政策を遂行し我が党の政策に対して十分協力して、そして政策が円満に進行するということは、これは政府を持つた内閣として、若しくは政党としてこれは望むのが当然であつて、これを不都合なりといえば、議会政治が不都合ということに私はなると思いますが、これは余り極端なことになりますが、そういつても差支えないと考えております。故に選挙制度である以上、そしてそれが選挙母体があつて、それが選挙する以上、政党色が生ずるのはむしろ当然であつて、むしろ参議院は民主政治の中にあつて、即ち二院制度の政党政治の中にあつて、国政の円満を期するというか、愼重を期して、そして国政に誤りなからしむるということが、二院制度の私は根本原則であるとこう確信いたします。
#54
○堀越儀郎君 民主政治でありますから、参議院が政党化するということには、私も同感であります。けれども衆議院と同じような、つまり衆議院化するというか、與党の絶対多数を衆議院と同じようにさせなければ、政局が安定しないものだとお考えになつているところに参議院に対する首相の考え方は私はまだ不十分だと思うのです。如何に、参議院において具体的な例を申しますると、自由党が絶対多数で現在はありませんが、多数を取られる工作が国民に納得の行くような政策であり、又国家再建のために重要なものならば、我々決して反対しないのでありますが、ただ衆議院と同じように、絶対多数を政党が取らなければならないとされる首相の態度には、私はまだ不満である。併しこれは意見にいろいろ違いがあると思いますので、その点は打ち切つて私から第三番目の点についてお答えを願いたいのであります。中小企業の本質というものを首相はどう考えておられるかというこの点お伺いしたい。
#55
○国務大臣(吉田茂君) 中小企業については、しばしば大分議会で問題になつておりますが、これは現在の日本において大工業が壞滅し、若くは壞滅の悲運に遭遇せられた今日においては、中小工業が日本の工業の中核をなすといつてもよいのでありまして、この中小工業の発達がやがて大工業に移るでありましようから、又大工業と相互いに表裏するものでありますから、この保護乃至はその利益については政府としては十分考えて、現に金融その他の計画を立てて、そうしてその利益に対して政府として十分な考慮を拂つておることは、予算その他において御存じであると思います。
#56
○堀越儀郎君 只今の首相の御答弁を伺つて安心したのでありますが、そういうふうに中小企業というものを日本の産業の中核をなす、又は基礎をなすものであるというお考えにある首相が、先般中小企業に対する非常な認識の少いと思われる放言をせられた池田通産大臣をそのままにお置きになつている態度が私は腑に落ちないのであります。それのみならずドツジラインに副つても当然我々は肯けることであります。日本の貿易進展ということが現在の日本としては非常に重要であります。この大切なる産業の面を受持つ大臣が兼任のままでおられるということに対して、非常にその見解が私に分らないのである。自由党に人がないのでありますか。適任な人がある筈であると私は思うのである。池田大蔵大臣が不適任だと私は極言するのではなしに、大蔵大臣適任であつても兼任は非常に不都合であると私は思うのであります。それであるからこの間のような新聞に出た中小企業に対する政府の理解のないことが平気で述べられるのではないか。これに対して衆議院においても池田通産大臣に対する緊急質問があり、参議院においてもあり、更に参議院の予算委員会においても池田通産大臣に対する緊急質問を行なつたのである。私はその一人として單に責めるだけでなしに、公平な立場からあの際に池田通産大臣が、新聞記者会談において述べられた記事に或いは漏れ落ちがあつたためにあのようなことが起つたのではないか。新聞社は非常に公平な立場から報道されるものであるから、曲げて報道されたとは思わないのであります。併しながら或いは漏れ落ちがあつたかも分らんから、池田さんがあの記者会談において述べられた、どの点が漏れ落ちがあつたか。その点をここではつきり述べられれば、この委員会を通じて国民が池田さんの通産大臣の意のあるところを納得するかも分らないというので、私はその新聞記者会談における池田通産大臣の話の漏れた点をお聽きしたのであります。ところがこういうことも言つた、こういうことも言うたと言われた。その中に見返資金から中小企業の融資をするようにしておるのだから、そう困らないという話もしたと、これは速記録を御覧頂ければ分るのでありますが、それだけのことであつて見れば、あの池田放言というものを拭うことはできないのではないか。現に政府の資料によりますと、三月十七日現在中小企業に対して見返資金から決定したのは百五十三件で一億九千三百万円、融資せられたのは百件で一億二千五百万円、十五億円までは融資するといつておるものの、僅かに百件で一億二千五百万円しか融資しておられないのであります。而も半額は見返資金で、半額は自己資金というのでありますから、先ず銀行は普段からの取引などを主にして信用状態を先にいたしまするために、大部分の中小企業は、この見返資金による融資というものは縁なき衆生に見られておるのであります、殆んど期待できないようなことを言われて、それが漏れ落ちておつたのだ。それだから自分の真意が分らなかつたというような、ああいう答弁をせられるのは私は遺憾であります。その答弁に対して首相に申し上げるのではないのでありますが、首相が今中小企業というものに対する、その本質に対してお採りになつておるお考えは、私は非常に結構だと思います。そのお考えになつておる、我々の納得するそのお考えをお持ちになつておりながら、何故專任の通産大臣をお置きにならないのか。それを極端に申しますると、党利党略のために国政を軽視しておられるのじやないかと、私は非常に遺憾に思うのであります。專任に池田さんをされるならば、私は敢て言うのではありません。兼任ということを私は非常に不満を訴えるのであります。貿易振興を唱えて一般の通産ということ、小工業ということ、経済安定ということを非常に現在の政策に織込んでおられるに拘わらず、この点一つが何故解決が著かないのか、私は不可思議に思うのであります。何故私がこういうことを言うか。日本の国会議員の代表が渡米いたすに当りまして、マツカーサー元帥に挨拶に行つたところが、マツカーサー元帥は議員団に対していろいろ激励された言葉の中に、国会というものは法律の制定をし、法の実施の監視をして、更に種々なる個人及び団体の利益の擁護に国会は当らなければならない。これが基本的の権能だ。我々は中小工業の立場の擁護という意味だけでなしに、国民の声として、何故国会のことを第一にして。党の人事は第二にされないのか。何故それを逡巡しておられるのかということを重ねてお伺いしたいのであります。党の人事に干渉するだけでなしに、やがてこれが……、私は党よりも国家本位でなければならないという私の信念を申上げるのであります。御答弁を頂きたい。
#57
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。大蔵大臣、通産大臣を兼任せしめたのは、党利党略の結果ではないのであります。私の考えておりますことは、今日商工業、その他ではあるが、今第一考えなければならんことは金融の点であると思う。商工業者のために図つて金融を円満ならしめる。これが商工業を保護する上からといつても、又これを発達せしめることからいつても、差当りとしては金融が大事である。故に通産大臣と大蔵大臣を兼任せしめたことが商工業のためでも、中小企業のためでもあり、又国家のためであると考えて、党利党略からいたしたのではないのであります。兼任せしめたのは、その観点からいたしたのであります。
#58
○堀越儀郎君 重ねてお伺いたします。党利党略という言葉はお気に障つたか存じませんが、私の考えをこれは率直に申上げたのであります。ただ只今の御答弁によりまして、通産大臣に主なる仕事として金融面だとおつしやるのでありますが、それならば金融工作のために、或いは税金功勢のために、多数の中小企業者が非常なる打撃を受けておることは、これはどうお考えになりますか。その点をお伺いしたい。
#59
○国務大臣(吉田茂君) 故に金融も考え、又税の收税等についても、相当政府は考慮いたして收税をし、又金融も付けております。
#60
○委員長(山田佐一君) 関連事項で三分間だそうですから、岩間君に三分間だけ與えてやつて下さい。
#61
○岩間正男君 ちよつと時間を頂きまして関連質問したいと思うのですが、先程の堀越委員の御発言の中にもあつたのでありますが、参議院選挙で與党が多数を取れない場合は解散すると、廣川幹事長はこれは話されたのでありますが、これに対して首相に伺いたいのでありますが、首相はそのようなことを考えておられるか。又これは民自党の党の考え方であるか。その点明らかにしたいと思いますので伺います。
#62
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、私はそういう放言をいたしたこともなし、又そういうことを言明いたしたこともなし、今日においてもまだそういうことは考えておりません。
#63
○岩間正男君 私は総理がそういうことを言われたということは申しておりません。廣川幹事長がそういうことを言われた。これは新聞にも出ておりますが、それに対して一党の幹事長でありますから、大幹事長でありますから、それでその声明は、これは党を代表したものと考えてよろしいのかどうか。でこの点を伺つておるのであります。これは総理に伺います。
#64
○国務大臣(吉田茂君) 新聞に何と書いてあつたか存じませんが、蓋し党の意見を代表したものではなくて、若し廣川幹事長が言つたとすれば、廣川個人の考えであると思います。
#65
○岩間正男君 多分そのように答弁されるだろうということを、私は予測しておりました。
 それでは改めて総理に伺いますが、総理はこの参議院選挙におきまして、與党が多数を取ることができなかつたというような場合におきましては、どのような態度を執られるか伺つて置きます。
#66
○国務大臣(吉田茂君) その場合にはその場合において政府は考えます。今日予めにお答えはできない。
#67
○羽生三七君 日本の経済の当面の対策については又別の機会にいたしまして、私は先日の本会議の緊急質問でも総理大臣にお尋ねいたしましたように、日本の経済の現状から見まして、どうしても将来の或る一定時期を目安に、ロングランに経済の計画性を持つことが絶対に必要であるという信念を持つておるのであります。これに対しまして総理大臣は先日の御答弁で、一年以上の計画を立てることは極めて困難である。むしろ長い目先を持つた経済計画の立案は、国民に迷惑を與えることになるという意味の御答弁でありましたが、私はこれは誠に遺憾に思うのであります。どういうわけで私が遺憾に感ずるかという点につきましては、実は細かい点に触れるかも知れませんが、これを申上げたいと思います。我が国の経済が安定に向いつつあるという政府当局のたびたびの言明にも拘わらず、実質的には今堀越さんもお話がありましたように、中小企業者までも含む広汎な勤労大衆が、極めて困難な生活條件の中に喘いでおるということは、特に指摘するまでもなく明瞭でございます。
 今日のデフレ要因が、すべてドツジ氏のプランに起因しておるかどうかということについては、これは別の問題にいたしまして、とにかく進行するインフレを何等かの形で阻止しなければならず、且つそれが実際にドツジ・プランによつて一応收束の形を取つたという事実は、私共もこれは率直に認めるところであります。そうして又私共は敗戰日本の経済の実態が極めて容易ならんものであるという、その現実の嚴しい諸條件についても又よくこれを了解しております。実を言うならば、そうであればこそその嚴しい條件の認識の上に立つて、日本経済の将来についての一応の計画性の必要を私は主張するのでありますが、日本経済が戰後五ケ年、一応再建の遂に著いたと申しましても、これはまあ私の主観になるかも知れませんが、併し私といたしましては、十分考え拔いた結果のことでありますが、実質的には満洲事変以前の経済的構造、或いは経済的実力以上に日本の今日の経済力がないという私は考えに立つておるのであります。その点について詳細に申上げますると、先ず第一次欧州大戰の直後に、我が国は、確か、これは正確な数字を持つておりませんが、二十億程度の金保有があつて、これで頗る日本の経済は活気を呈したわけです。その後大正八年を頂上といたしまして、大正九年に、いわゆる反動恐慌に見舞われまして、日本のみならず世界の各国が非常な恐慌に直面をいたしました。昭和二年の金融恐慌に引続きまして、更に昭和五、六年に農業恐慌が参りましたが、このときは御承知のように米が石十八円、麦が五円、まゆが一貫目一円八十銭という極めて農産物価格の大低落をしたときであります。その後日本の政府は、御承知の為替安と賃金安で大ダンピングをやつて一時を糊塗して参りました。当時の日本の生産物で対外競争力を持つておつたものは、私の記憶にして誤りなければ、綿布と綿糸その他の雑貨製品であります。その後昭和六年に例の満洲事変が起りまして、その後わが国の経済は一種の軍需インフレに転化したのであります。つまり国民経済の内部的な発展ではなく、軍部の作為的な、いわゆる膨脹政策の結果として、一応外見上我が国の経済が発展したかの様相を呈して来たのであります。つまり国の内部の経済の実力の発展の結果として、活気を呈したのでなしに、軍部の作為的な膨脹政策の結果、如何にも日本経済が飛躍的に発展したかの外貌を呈したというのがその後の経済事情であります。これは非生産的な軍需の結果でありますから、先にも申しましたように、我が国経済の内部的発展とは関係のないものでありますし、又これは全く似ても似つかぬものであります。従つてそういう場合の政府需要を差引きますと、日本経済の実力は最初の出発点と少しも変つておらない。つまり今日インフレ打切りとか何とかいつておりますけれども、実をいうならば、日本経済の実態は、満洲事変当時、昭和五、六年、当時の経済にしかなつておらない、日本の経済は。このことを私共がはつきり認識いたしますれば、これはあとで申上げますように、日本の当面の政策だけで事足りるような、そんななまやさしい経済條件ではないということがよくお分り願えると思うのであります。即ち需要が政府需要であつたために、対外競争力とは無関係に生産が促進されて来たのであります。つまりコストが何ら考慮されない。従つて日本工業の実力は、特殊な部面を除けば、全体として技術の低下、非能率を招来して来まして、つまり国際的な経済から遮断をされて、温室の中で育つて来たのが今日までの日本の経済であります。つまり一種の島国経済的なもの、或いは変則的な経済であつたということが考えられることができると思うのであります。今日になつて見ますると、この経済の実態では、国際経済にも対応できないし、又我が国国民経済にも対応できないと私は考えております。池田大蔵大臣は、しばしば国内経済を鞘寄せさせるために、日本企業の合理化を行うと言われておる。全くその通りであります。そのこと自体は私は否定しない。そのことによつて起る派生的な諸問題については、私は今日触れませんけれども、そういう満洲事変以来の非常な作為的な膨脹政策でもたらされた日本経済の実態というものを、インフレをここで打切りましても、それは何もそれによつて日本経済が安定するわけではないという、この根本的な立場を私たちははつきり捉えなければならんと思つております。問題は依然として昭和五、六年の極めて貧弱な経済水準に戻るということに過ぎないのです。こういうふうに満洲事変以来蓄積されて来ましたインフレ要因を今日切捨てるのでありますから、それが非常に困難な條件を伴う、そうして又更に先にも申上げましたように、とにかくドツジ氏の方式が短期間にインフレを抑圧したという事実も、私共はこれを率直に認めるに吝ではございません。併しインフレ抑圧には成功いたしましたが、それで日本の経済の復興の緒につくことができるかというならば、今申上げたような事由で、問題はやはり今後に残されておる。私はそう考えております。実は国民経済の基盤は、或いはその実態は、私が今申上げたように満洲事変当時の水準に戻るのでありますから、そのことを考慮に入れてロング・ランに日本の経済の長期計画を立てなければならん。敗戰の結果曾ての植民地、或いは半植民地というものが、そういう支配から満洲、朝鮮、台湾、樺太等が全部失われまして、従つて又一切の資源を失いました今日の日本が、一方では増大する人口を抱えまして一体今後どうして自立して行くのか。この際特別に大きな対外貿易でもなければ、恐らく日本の経済再建は不可能でありましよう。この際政府は補給金の撤廃乃至は軽減、又は種々なる統制方式の改廃によりまして、いわゆる価格調整作用を復活して、これは自由主義の原則に基くものでありますが、そういう価格調整作用を復活いたしまして、日本経済の自由経済方式への転換を図つておるのが今日の政治であります。併し諸種の国際的制約を受けております今日の客観的な條件の下におきまして、即ち具体的な例を申上げるならば、為替レートの問題、或いは日本船舶による貨物の輸送がまだ十分許可されておらない。一説によりますれば日本の百八十万トン程度の荷積みのできる船舶が船舶運営会の運営の廃止によりまして、今後は八十万トン程度の貨物の輸送しかできない。而もこれによつて沢山な船員達を失業者にする、船は全部繋船されるという事実があるようであります。或いは又ポンドの比率の切下げの問題によりましても、貿易の前途には極めて困難なる問題が存在しております。こういう條件の下では、日本の企業の合理化が、国際経済への鞘寄せをするといたしましても、その抵抗の最も弱い部面に犠牲を負わせることによつてのみ遂行されるという形を取るわけであります。即ち日本経済の実態が全体として見たときに均衡が取れておらない。予算は均衡予算であるかも知れませんが、国民経済の基礎構造は極めて不均衡なものとなるのであります。こういうことの結果から、中小企業の破滅、或いは労働者の失業は恐らく加速度的に増大して来ると考えるのであります。必らずそうなつて来るのであります。国際経済への鞘寄せということも勿論重要ではありましようが、併し今日のような日本経済の條件の下におきましては、これは先日木村議員からも指摘されましたが、インフレ抑圧のシヨツクは最少限度に喰止めなければならん、先程私が申上げたことを繰返すことになりますが、つまりインフレを断ち切つたならば、たとえ多少の派生的な問題がありましても、これで日本経済が安定するというならそれでいいですけれども、私の言うのはそうでない。インフレを断切つてデフレになつた。併し問題は過去二十年間の満洲事変以来の日本の作為的経済を建直すということでありますから、そう簡單ではないと私は申上げておるのであります。そういう意味から考えますならば、この際一千二百余億円に亘る債務償還を無理に強行するような必要は殆んどない。むしろ逆にこれを直接或いは間接を問わず、電源の開発に使うとか、或いは住宅問題の解決については一般会計、特別会計を合せまして百五十億円の予算が計上されております。けれども、尚且つこれでも足りない、戰災で徹底的に破壞された日本が、住宅は悉く燒かれておるのに鉄、セメントの建設資材が余るということはどこかに欠陷があるのであります。そういう面から考えましても、電源開発、住宅問題の解決、或いは給與問題等の解決に資するように予算が工夫されなければならない。勿論インフレは切らなければならないが、それはそういう意味ではドツジ氏の政策が間違つておるとは申しませんが、そのシヨツクを最小限に食い止めるために、そういう方針がとられなければならないと思います。見返資金の運用についても、私は同様のことが言えると思います。若しインフレを抑圧することにのみ急でありまして、そのシヨツクの及ぼす影響というものを十分に考慮しなかつたならば、先にも申上げましたように、今後の失業問題は非常な大きな様相を呈して来ると思います。恐らく我が国民経済は救うべからざる状態に立至るものと私は考えております。その場合の影響は、今日言われておるような三月危機というような生やさしいものではない。私はそう信じております。そういうものではなしに日本の自立が可能か不可能かという、そういうもう基本的な問題に打突かる、私はそう考えております。恐らく決定的な影響を日本経済に與えるものと考えておるのであります。もとよりイギリスのような国におきましても、或る種の耐乏生活は行われております。併しそれは完全雇用と広汎な社会保障制度の建前の上にイギリス流の耐乏生活が行われておるのでありまして、そういうものを何も持たない日本が直ちにこういう形をとるということは、極めて多くの矛盾を生むものと考えられます。そして又一方イギリスやフランスではそういう、まあフランスは社会保障制度なんかイギリス程ではありませんけれども、併しイギリスもフランスも共通したことは、国家自体が大規模な国家資本を投下して、産業の近代化或いは高度化のために非常に大きな犠性を拂つておるのであります。どんどん産業は近代化されておる。又最も高度に資本主義が発展して、自由経済の典型的な国だといわれておりますアメリカにおきましてすら、個々の問題は別といたしまして、大きな意味では一種の経済の計画性が進められたことは私が申上げるまでもなく、総理大臣御承知の通りだと思います。最近アメリカから帰りました大和田氏の報告によりまするならば、アメリカでは農業恐慌化の問題が非常に深刻に論議されて、それを回避するために政府はあらゆる努力を拂つておる。そうしてそのために約十億ドルを支出するという、いわゆるフラナン・プランというものが立てられたようでありますが、これは実行には至らなかつたようでありますけれども、とにかく別段恐慌に見舞われておるわけではないアメリカが、そういう一種の先を見通しての大きな計画を立てておる。先日私の緊急質問の直ぐ後に、渡米議員団の諸君のアメリカ視察の報告がありましたが、その中に波多野議員が相当厖大な予算でアメリカが農業恐慌対策の予算を組んでおるということを報告されておりましたが、フラナン・プランは潰れたかも知れませんけれども、別にそういう対策が立てられている。そういうような世界各国、高度に自由主義の発展した国、典型的な資本主義といわれておる国々においてすら、厖大な国家資本が産業に投下され、或いは又今申上げましたように、長い期間を見通して十分な恐慌対策というようなものが立てられておるのであります。私は繰返して申上げますけれども、今日の日本経済の実態は、熱病のような一時的なものではありません。若しそれが一時的な熱病でありますならば、恐らくドツジドクターの処方箋で解決するでありましよう。先程申しましたように、若干の派生的な問題があつても、そういう処方箋で解決すると思います。併し実にそれは先程来申上げますように、満洲事変以来の二十年間に亘るこれは痼疾の疾患でありますから、これを切り捨てるのでありますから、その意味におきましては極めて愼重な対策が立てられなければならない。その意味で、応急的な当面の施策と共に、この過去の経済の認識の上に立つて、ロングランに日本経済の基本的な構想を用いなかつたならば、本当の意味の日本経済の自立はできないと私は考えております。首相は長期計画はできないし、又国民のためにもならないということを先にも申したように言われましたけれども、これは大変な間違いであるし、誠に私としては遺憾に考えております。占領治下の今日においては、なかなか経済の計画性を樹立することは困難であるということは、これは事実又私も率直に認めます。併しそうであつても、それ故に日本経済のロングラン・プランが立てられないという理由がない。立てようという努力が私はないのではないかというように考えられる。今日経済安定本部は漸次その機能を縮小されて、やがては廃止の運命にもさらされようとしているかのように考えますけれども、私はこの点、今日の経済安定本部そのものが、私は満足なものとは少しも考えておりません。併し先にも述べましたように、この日本経済の嚴しい諸條件を考えますれば、これに対して万全の対策と構想を持つという意味におきまして、経済の計画中心部を作ること、若し政府が計画経済という言葉が厭でありますならば、経済の計画と申しても差支ありません。そういうものを持つような私は努力が要ると思うのであります。従いまして先程来申上げますような問題は、單に今日一般に言われているようなデフレ問題ということだけではありません。日本経済の実態を率直に認識いたしますならば、今申上げましたような経済の安定計画を十分に立案いたしまして、これに基いて日本経済の個々の政策を進めて行かなければならんと私は考えております。私は現在の経済安定本部をそのまま残して置けばいいということではなしに、もつと積極的な意味で、どうしても日本経済の計画性を持つ必要がある。こういうことを私は申上げているのであります。
 日本は必要な輸入を賄うために、輸出工業力の増強を考えているわけでありますけれども、国民経済の基盤が全体としてバランスが取れ、それをバツクしてやるのでなかつたならば、必要な物資を輸入することすら私は不可能だと思つております。而も現在対日援助費の大部分は、輸入食糧に使われております。二十五年度予算におきましては、九百二十余億が計上されている。このような実情においては、今後何らかの方法を講じない限り、恐らくこのバランスを変えまして、必要な輸入物資は、全部日本の工業生産力による輸出で賄えるというような状態を再現することは極めて困難であると私は考えております。今日の、私は今申上げましたように経済安定本部をそのままでいいというようなわけではありませんけれども、こういう経済の認識の上の我々は立つた場合に、果して首相がそういう意味の計画性すらも尚且つ、先日私の緊急質問にお答えがありましたように、必要でないとお考えになつているかどうか。この点を先ず伺います。要するに国際経済にマツチするように、個々の企業の自由性がその経済の基礎となりましても、この限られた島国の中に、八千数百万の人口を有する日本が、何らかの計画性なくして生存できるはずがないということを、我々は基本的な問題として考えているのであります。こういう意味におきまして、とにかく機構はどのようなものでも構いませんが、首相が本年一年だけの経済の計画しか立てられない。長期の計画は無理であるというお考えを今尚お持ちになつているのかどうか、この点について伺いたいと思います。私は、首相がどうか、失礼な言い分でありますけれども、当面を糊塗するだけの御答弁でなしに、日本の経済の本当の実態というものがこういう貧弱にして、惨憺たるものであると、この事実をお考えになり、又将来私共は本当に自立の経済の基礎を確立して行くために、今申上げたような條件から考えて行くならば、相当ロングランに経済の計画を立てて、むしろ国際條件をそれにマツチして貰うように努力しなければならんと私は考えております。どうかこの点について、大総理大臣の率直な御見解を承わりたいと考えておるのであります。
#68
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。私の申す計画、長きに亘る計画は無理であると、又立てない方がいいと言いましたのは、私は今尚変らないのでありますが、なぜ立てない方がいいかと申しますれば、例えばアメリカのような、資源に富んだ所、そういう国においては、あり余る資源においては計画が立てられるでありましよう。又そのあり余る資源を有効に使い、経済的に使うということは、アメリカとしては今日最も有力な政策の一つでありましようが、又日本は曾て満洲からして南方、その他広きに亘つて領土でないまでも経済的勢力範囲の下に包含し得たのでありますが、今日はお話の通り四つの島に限られております。その後始末からいつてみても、相当いろんなことを考えなければならんと思います。いわば敗戰後の日本経済を整頓して行き、整備して行くというために、規模が今尚足らざるような今日の状態にあるのであります。それから又資源と申しましても殆んど主なる工業原料、食糧、その他は外国によるものであつて、日本の将来をどうするかと言えば、極く簡單に申せば、海外依存、依存性をますます発揮して、そして海外による、貿易その他による利益によつて、それを維持して行くという大体の計画した立てられないと思いますが、果してそうであるならば、日本の将来、日本の経済というものは甚だ危險な、甚だ何と申しますか、基礎脆弱な位置にあるだけ、それだけ日本としては一層考えなければならんのであります。併しながら今日において講和もできない、或いは海外の情勢が一向分らない、正確なる情報を得られない今日において、若し仮に日本の将来は海外の利益による、或いは貿易に依存するというような、外国に、国外に依存するという程度が高ければ高い程、又その海外の状況が分らんけば分らん程、今日において日本が計画性を立てるということは、むしろ無理ではないかと、これは私の考えであります。むしろ内外の情勢の変転極まりない今日であるから、この変転の時機においては、靜かに時の経過と言いますか、事態の経過を見て、そうして徐ろに計画を立ててこそ永久性の計画は立ちますけれども、現在あるところのものを、極く短かい、不正確な材料によつて計画を立てるということは、これはむしろ立てない方がよかろうが、これは私の考え方であります。これはあなたは承服されないでしようが、私もあなたの議論に対しては承服できないゆえんはそう考えるからであります。一応お答えいたします。
#69
○羽生三七君 まあ結局意見の違いにはなるかと思いますけれども、私ちよつとここで言葉尻を捉えるわけではありませんが、この前の本会議のどなたかの質問に対して、総理大臣は今の日本の統計くらい当てにならないものはないという御答弁をなさつて、今又どうも不正確な資料に基いてと言われておりますが、私共は予算を審議する上において、いつでも政府が提出して来る資料に基いて、問題を審議しているのであります。その行政責任者の首相が不正確な資料とか、或いは日本の統計くらい当てにならんものはないということを言われるのは、私は極めて奇怪であると思つております。これは別にお答えしなくても結構ですが……それから先程外国の経済に依存すればする程というお言葉がございましたが、そうして行かなければ復興できないというお言葉もございましたが、それを脱却するために今の池田蔵相はそのために遂行されておるのであります。これはとんでもない話であります。飽くまでも外国の経済の依存度を少くし、日本の経済の地盤を確立するために私共は努力しておるのだ。
 それからもう一つ、先程首相の答弁のうちにアメリカは物資が豊富であるから、品物が豊富であるから長期の計画経済も立てられますと言いましたが、問題は別であります。日本は物資が少い程、生活が困難であるから立てられない、私はその計画は立てられないことはないと思います。立てられ得る。これは当面処理すべき問題が山積しておつて困難だと言われるかも知れませんが、併し先程申上げましたように、外国が強い国家資本を投下いたしまして、非常に工業生産力を高めておるのであるから、それに対応するようにしなければ日本の自立は困難である。それができるならば、爾余の中小企業者、農民、勤労者を徹底的に犠牲にいたしまして、大資本だけが残つておる、一部残つたときは、そのまま、その分だけはいいかも知れないが、先程申上げましたように、日本経済の全体としての、いわゆる均衡を持つた場合のバツクがなければ日本の自立というものは不可能だということを申上げておるので、そういう意味から言いますならば、私は国内の、国際経済全体、国民自身が或る程度自立できるような経済を作る必要があると思います。そういう意味から考えまして、私は首相の、先程来見解の違いになるかも知れないと言いましたけれども、私はお考え直しを願つて、やはり或る一定期間を目標において一応の想定を一つ立てて行く。安本の事務当局で農業五ケ年計画を立てられましたが立派なものであります。私共はそれに基いて実は第六国会の食確法の審議のときに一生懸命に審議の材料としてやつたのであります。そうしたら安本長官も農林大臣も、そういうものは事務官僚が作つたので我々は知らんということなのであります。併しそういうことは幹部がやることである。が、あるプランを見ますならば実に立派なものであります。あの計画で行きますならば、日本の食糧を今後五年間におきまして相当輸入量を削減し得る。恐らく今日九百数十億円に上る食糧代金は恐らく半分以内に節約できる、そういうプランであります。そのプランに基いて農業でも、中小企業でも遂行できるにも拘わらず、それを尚且つ非難されるというお考えがどうも分らない。これは首相が十分お考え直しを願つて、今日即刻とは言わないが、十分お考え願つて、占領治下という困難な状況であつても長期の計画を持つ、何もソ連の五ケ年計画をまねる必要はないが、私はそれをまねろと言うのではないが、いわゆる一定の計画を立てて、例えばインフレーシヨンが止まつても容易ならん経済の事態が日本の経済機構の中は存在しておるということを御認識願つて、十分な対策を強力にやられることをお願いいたします。お答えがいやならば別にお答えする必要はありません。
#70
○岩木哲夫君 この際お尋ねいたしたいことは、吉田総理は講和問題に対して、先の第六回国会におきまして、講和問題が近いということを劈頭の声明、劈頭の施政演説においてされましてから、その後この問題を中心として、衆、参議院におきまして、論議の途中でその性格をやや明らかにして来た。それは全面講和は望ましいのだが、止むを得ざる場合には單独講和でも止むを得ないという態度を明らかにした。と共に、更に日本に不利であつたならば、席を立つてもいいということを公言された。更にそれから論議が進められますと、又自衞権を放棄せずということを言明された。更にこうした状態をいろいろ又論議が進められて行きますと、先般は戰争終結宣言というような言葉を言われました。現に西ドイツに考慮されておるような連合国の態度に一端についての、日本の立場も織込んでの言明があつたわけでありますが、更に最近では講和問題は、講和会議は少し遅れるかも分らない。かような工合に、いろいろもとより客観情勢によつて変化はありましようとも、苟くも一国の総理大臣の講和問題に対しまする態度はいろいろ捕捉し難い又言明をされて今日に来ておるのでありますが、最近中ソはその同盟條約が結ばれてから後に、而も四大国方式を撤廃して、全面講和をソ連及び中国も最近これを強調しておるのであります。アメリカももとより全面講和を強調しておることは承知いたしておりまするが、この際総理大臣はこの中ソが唱えられまする四大国方式を撤廃して、全面講和が望ましいというその内容と、アメリカ自身が全面講和を望んでおるという内容とにおきましては、どういう相違があるか。どういう点が違うのでありますか。この際明らかに御観察を承わりたい。
#71
○国務大臣(吉田茂君) お尋ねでありますが、始終申す通り、今日日本としては在外公館も持たず、海外の情報は新聞以外に何も得ておらないのでありますから、芝しい材料によつて、即ち不正確なる材料によつて、連合国の占領下において云々するということは関係当局者として、責任者として差控えたいと思います。
#72
○岩木哲夫君 それでは私が今先、冒頭で繰返しました講和問題に対して、いろいろあちらこちらとお考え方が変つて来た。又最近は少し遅れるかも分らんという模様などは、どういう観点でかように変つて来たのでありますか承わりたい。
#73
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。私の申したことが始終変るようなお話でありますが、私は客観情勢の変化を述べておるだけの話で、私の意見が変つたと御承知になつては甚だ迷惑いたします。今日曾ては講和会議は存外早いというように承知いたしておりましたが、その後只今尚終戰後四ケ年余に亘つて今尚その締結を見ないのでありますが、最近客観情勢は御承知のごとくに相当複雑に、又一つも予測できないような変化が出ております。即ち国際関係は不安定であると一言にして言えば申し得るのであります。又イギリスにおいても総選挙があつたが政局は安定しない。政局が安定しない以上は対日講和というような大きな、或いは日本を含んだ今やその他の講和ということも、或いはそういう大政策は或いは決定ができんのではないかとも想像せられるのであります。又近く極東においても、情勢は決して安定しておるとも考えられないのであります。つまり客観情勢が安定すれば従つてこの安定を助けるためにも戰争状態は成るべく早く終結したいというのが、これは誰しも考える点でありましようが、不幸にして客観情勢と申すか国際情勢は安定しないから、従つて対日講和ということも我々が曾て申した以上に延びるということも止むを得ないと私は考えるのであります。
#74
○岩木哲夫君 先程堀越委員のお尋ねに対して、総理は近いうちに戰争は起るようなことは全く考えられないという意味をお話されましたが、曾て総理は自衞権を放棄せずということを言われておるのでありますが、この自衞権の問題につきましては、昭和二十一年の憲法の審議会の委員会、本会議等において、この自衞権というものを強く否定して、従来……近年の戰争は多くは自衞権の名において戰争が行われているということを言明しておるのであります。で、自衞権を放棄せずということにつきましては、かように総理は憲法の審議決定の場合においては言明されておりますが、この自衞権を放棄せずという観点は、今程近いうちに戰争は起るとは考えられないということと、これら前後いたしますと、総理の考え方の根本に非常なその問題があるように思うのでありますが、この自衞権を放棄せないという意味は、現在の御境地におきましては、どのようなことの解釈を持つのでありますが、承わりたい。
#75
○国務大臣(吉田茂君) 私は曾て自衞権を否認したことはないと思います。又そういうことを否認する筈もないのであります。自衞権の名において戰争の行われたということはたしかにありますが、併しながら日本は自衞権を放棄したという、戰争は放棄したが、自衞権を放棄したことはないのであります。ただ武力による自衞という、これは憲法において放棄したといいますが、併しながら自衞権は日本が自立を回復する以上はあるのが当然であつて、それを放棄すれば自衞権はなくなると、かように私は考える。
#76
○岩木哲夫君 然らばその自衞権はどういう素質を持つた、内容を持つた意味に考えられますかを伺いたい。
#77
○国務大臣(吉田茂君) 武力により自衞以外のすべての手段を含むと、かようにお答えする外ないと思います。
#78
○岩木哲夫君 総理は安全保障を求められます方式につきまして、曾て衆議院でありましたか話されておるのでありますが、この安全保障を求められる、将来講和問題、講和会議の場合に、安全保障は我が国といたしまして、憲法の趣旨に則つて求められることが当然であろうと思いますが、こうした考え方と、今の自衞権を放棄せずといつたような問題とには、どうもぴつたり来ない点があるのではありますが、更に総理は非武装、無防備の嚴正中立の方式を選ばれるのであるか。安全保障という方式を選ばれるにつきましては、先程の自衞権を放棄せずという問題等と絡んで、どうもその辺の内容が分らないのでありますが、その辺につきましての御意見を伺いたい。
#79
○国務大臣(吉田茂君) ちよつと私了解しかねる点がありますが、御質問の趣意は、安全保障、自衞権に非ざる安全保障についてのお尋ねでありますか。
#80
○岩木哲夫君 そうであります。
#81
○国務大臣(吉田茂君) これはいろいろ考え方もありましようが、自衞をする場合に、外交の力によつて自衞することもありましようし、或いは條約の力によつて自衞することもありましようし、その方式はいろいろありましようが、とにかく日本を守るということは、武力による自衞権を行使しないということははつきり憲法の條章によつて、この点は明らかであると思います。
#82
○岩木哲夫君 講和問題は連合国ばかりが考えられ、又はするだけの問題ではない。我が国民、我が国の希望も十分容れて貰えるものとの考えであるということは、これ又総理はしばしば声明されておるのでありますが、然らば我が国及び我が国民の希望を、この講和問題、講和会議に容れて頂けるという希望を確認されるならば、総理といたしましては、曾て参議院におきましての講和問題に対しまする制限的な態度をとられるという問題は、我々といたしまして極めて遺憾とするところでありますが、それは仮に別問題といたしまして、この重大な我が国の運命の岐路に立ちまする、左右をいたしまするところのこの講和問題、講和会議に対しまして、首相が我が国並びに国民の希望を容れて頂けるものだという考えを強く信念されておる以上は、もつとこの問題、講和問題或いは講和会議に対しまして、国民の希望を相当政府といたしましても、ひとり議会ばかりじやありませず、一般社会、一般国民にこの問題に対しまする輿論、希望を聞く方法を採られるのが親切な……、この祖国の運命を担つておる総理といたしましての御立場であろうかと考えられますが、かような方法につきましての総理のお考えはどのような工合にございましようか。
#83
○国務大臣(吉田茂君) 私は今期国会においても申しておるのでありますが、講和問題に対する国民の意思発表、議論の発表については無論何らの制限すべきことでなく自由に発表もし、又希望も率直に述べるべきであると考えます。併しながら然らば政府がみずからこういうふうに指導する、ああいうふうに指導するということの利害得失はおのずからあると思います。つまり政府が国民の名において国民を率いてそうして政府に都合のいい政策を拵え上げるといいますか、連合軍に押付けようとしておるのだというようなふうに、誤解を受けるようなことがあれば、これ又日本のためにならんであろうと思います。これは結果論でありますが、政府としては飽くまでも自由に国民がその希望を述べるについては何らこれを妨害し、若しくは阻止すべきでない、こういうふうな信念の下に立つております。
#84
○岩木哲夫君 この問題は総理がお答えなさらんのではあるまいかという考えをもつて私が聞くのは失礼でありますが、中ソ同盟條約におきまして日本の帝国主義なるものをその対象として、或いはその背後にあるものの組織、国家等を対象としたような意味合にこの中ソ同盟條約の目的内容が盛られておつたのでありまするが、この日本の帝国主義というものはどういうことを中ソ両国が指されたものであるかとの御見解を承わりたいのでありますが、国民の方面におきましても我々におきましても、これは若しや現在政府が取られておるようなこの態度と申しますか、政策、方策というようなものが、誤つて日本の帝国主義なるものの指摘を受けておるのか、或いは受けても差支ないかどうかも分りませんが、併し苟くも日本の帝国主義といつて指しておるものにつきましては、満更中ソ両国におきましてもその考え方に根拠のないことはないと思いますが、最近政府が取られておりまする或いは国警長官の人事の問題、或いは警察法の改正の問題であるとか、大巾追放緩和の問題であるとか、或いは農地改革を場合によつては打切ろうかというような態度を出されるとか、或いは独善的な政治体制を人事問題その他議会の運営につきましても多数決政治の趣旨によつて強くこの方針を取られて来たとか、或いはこうした講和問題に対しまして不利だつたら席を立つのだとか、或いは自衞権は放棄せないとかといつたような、ともすれば誤解を生じ易い諸般の態度なるものがともすれば日本の帝国主義なるものの指摘を受けたというような、その点が濃厚に我々は考え得られるのでありますが、日本の帝国主義というものは若しそうでなかつたならばどういうものを日本帝国主義として指摘されたのであるか首相のお考えを承まりたい。
#85
○国務大臣(吉田茂君) これは想像の通り私としては答弁いたしかねるのであります。何となれば何らの正確なる情報を持たずして、そうして連合国の二国が拵えた條約にかれこれ批判をするということは私として差控えたいと思います。
#86
○岩木哲夫君 それでは次にお尋ねいたしますが、中共を国連代表に推薦決定せよという動きは、すでに御案内の通り場合によつては英国でもそういう態度があるように報ぜられておりますし、ソ連はもとよりそういう態勢であろうと思うのであります。こうした状態で中共政府が国連代表として或いは国民政府に代つてか、国民政府の外に又加入されるか、それは存じませんが、入つて来た場合におきましての日本が、中共政権等に対しまする今日の貿易政策、或いは諸般の政策等につきましては、どういう政府の政策として或いはこうした方面に対する政府の考え方は変つて参りますか。依然として、今日までの態勢を持たれるおつもりでしようか。
#87
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、今日日本の地位は外国との間の交渉を絶たれておる占領下にある日本でありますから、外交行動は許されていないのであります。どう考えるかという考え方はありましようけれども、事実において政府の政策がこうであるとか、こうするというような具体的の行動を取れない地位にあることを御承知を願いたいと思います。
#88
○岩木哲夫君 最近国民政府と申ましても台湾を中心としてでありましようが、国民政府とバーター貿易その他の協定も進められておるようでありますが、将来のことを考えますと、又総理は答えの限りでないと言われるかも知れませんが、併しながら当面する日本の貿易振興でありましようとも、諸般の企業、産業の資源問題につきましても、現在国民政府の政権下のうちにありまする方面との貿易問題は、非常に中共問題の貿易と並行して重大な問題でありまするが、国民政府に対しまする現在日本の政策というものは、将来中共政権と国民政権とが対峠したままどちらとも片がつかないような状態のままに行かれる場合に、どのような将来貿易政策に対しまして、或いは国民政府といたしましての日本の政府の考え方というものを持つて行かれるお考えでありますか、承わりたい。
#89
○国務大臣(吉田茂君) 日本として御承知の通り中国その他の市場は大事な市場であつて、この市場との間の関係はますます密接にならんことを希望せざるを得ないのであります。希望する外ないのでありますが、併しながら今日いわゆるバーター貿易はGHQを介しての貿易であつて、日本が直接にいたしておるのではないのであります。ただ希望として申せばその関係はますます密接であり、貿易はますます伸張せんことを希望はいたしますが、然らば、直接にはどうこうという行為はとれないのであり、又仮に考えておつたところが行為がとれない以上は、中共に対しても、或いはその他に対しても政策の履行というものはできないのでありますから、考えだけであつて、実際に事実こういうふうな態勢でこうするということは、今日のところはできない事態にあるのであります。
#90
○岩木哲夫君 次にお尋ねいたしたいことは、先に総理は講和問題と保守合同と申しますか、というものは、不可分の関係で、講和態勢を強固にするために保守合同するのだということを言われた。今日保守合同でありますか何か存じませんが、とにかく講和態勢と保守合同というものが不可分の関係にあることを、これは衆、参の議院におきましてそういう御意見を総理は言われたのでありますが、講和態勢と保守合同の強化と申しますか、こういつたものはどういう点で必要なのでありますか。それを承わりたい。
#91
○国務大臣(吉田茂君) 私が保守合同と講和会議とは不可分だと申したとすれば、それは私の言つたことの聞き誤りであつて、本人としてはそういうことを申した覚えは一向ないのであります。併し政界を安定せしむること、又国の経済を安定せしむること、安定の状態にあるということが日本を早く国際団体に引入れる方がよいという結論を連合国に生ぜしめるから、日本の政局安定のために保守合同をやるがよいとは申しましたが、これができなければ講和條約はできないのだという程不可分だとは申したことは曾てないのであります。
#92
○岩木哲夫君 それでは経済問題で二、三お尋ねいたしたいのでありますが、総理は今回の議会の施政方針で経済は安定し、インフレは收束をして国民の意気頓に盛んである。かようなことを言われておるのであります。ところが今程堀越議員から中小企業の問題でお尋ねがありまして、今日大工業が壞滅に瀕しておる、それと裏表の関係にある中小企業も放つて置けない、かようなことを言われておるのであります。そこで施政演説をしたとき、或いはそれから先の経済は安定し、インフれは收束し国民の意気は頓に盛んであろうと考えられたから、かように言われたかどうか、私総理大臣が現下の経済実情、現下の経済界の実態というものを、総理はどのようにお考えになつておりますか、御診察された点を承わりたい。
#93
○国務大臣(吉田茂君) 私は国民が国際団体に復帰せんと意気甚だ盛んであると考えます。(笑声)併しながら然らば日本の工業はどうだと言えば、戰前に比べて壞滅に近い程衰えておることは事実であります。この壞滅した工業を復興せしめるために意気盛んである。こう私は解するのであります。(笑声)
#94
○岩木哲夫君 これはどうも近来の御名言を承わりましたけれども、余りどうも木に竹を継いだこととは申しませんが、どうも生木に枯木の継ぎ合せたような工合の御答弁でちよつとピンと来ないのであります。こういう言葉尻を幾ら日が長いからと申しまして、取上げていては甚だおかしいと思いますので、(「その通り」と呼ぶ者あり)略したいと思いますが、今回の政府の二十五年度予算につきましては大蔵大臣も一年有余の先を見通して総理と同じような工合に経済を安定し、インフレを收束し、物価は横這いの状態でデイス・インフレの状態であるということを強調し、そうして今日尚その態度を堅持されておるのでありまするが、不幸にしてかようなお考え方と政策というものは遺憾ながら食違つておりまして、今日の財政の実情はもとより政府が当初考慮されました金融政策におきましても、或いは経済実情におきましても、実に二十五年度の予算編成の目標なるものの政府の態度というものは非常に食違つた実情にあるのであります。殊に今回の予算におきましては、その財政金融というものと経済施策というものとがマツチしておらない。特に厖大な債務償還をいたして、財政金融の途は変則ながら政府の大枠の中に統制せんとする措置をとられましたから、或いは見方によれば、政府の御都合によつては安定的な見方をとり得るかも知れませんが、これは変則であります。併しながらその裏返しの経済活動というものは正に壞滅状態であります。戰争状態の壞滅時代から見ますと、国民の意気は頓に盛んだと言われるかも知りませんが、併し今日敗戰後歴代内閣は増税々々を続行して参つたのでありますが、特に政府は前年度、二十四年度の予算におきまして、曾て見ざる大増税を断行したのは御承知の通りであります。この根拠となるのは二十二年度のあのインフレの時代を基礎として国民所得、或いは経済状態を、いわゆる闇経済的な、或いは価格調整によりまする、価格補給金によります変態産業のこうしたものを取上げて、いわゆる大増税、即ち千九百億の大増税をいたしたのであります。ところがこの大増税の裏打は二千二十二億という見返資金の経済方面、企業方面に対する裏付として政府は千九百億の増税は敢て国民経済には悪影響はないというかような御都合主義的な御観点で行われたのでありましたが、国民より吸上げる徴税はどんどん進行するに反し、見返資金の放出は半分内外に減るはもとより、税金を拂つてから十ケ月後に漸くちよろちよろと谷間の水のように出掛けたわけでありまして、即ちこれによつて日本の経済は、いろいろな企業は壞滅状態からは救われたのでありますが、インフレ收束の反動によります日本経済の危機は、このときより始つたのであります。こうした状態を昭和二十五年度におきましては、いわゆる減税と称せられておりますが、これは中央におきます減税の数字上のトータルでありますが、実際面におきましては地方税はかような状態ではないというような実情で、而も二十五年度の税金の基礎は、先般池田大蔵大臣の説明によりますれば、二十三年度のいわゆる徴税の実績に基いて、いわゆるインフレのまだ高潮時代の実績を国民所得、企業、産業の收益とする推定の下に二十五年度の課税の対象とされたような実情でありまして、現在国民が非常に税金に苦んでおるということは御案内の通りであります。こうした状態によつて吸上げられる金は多く政府の統制の枠の中にしまい込んで経済復興の裏打をしないということから今日厖大な二千二百億に余るストツクが現われ、先程総理大臣自身も御認めのごとく大工業は壞滅に等しい状態を展開して、貿易資金も又枯渇し、物価は非常な低落状態にある。総理大臣がわざわざ昨年の末にはフロア・プライスを撤廃し、ダンピングはしないと言つておつたのに、あらゆる物価は三――四割平均暴落しておる。全く採算割れをして、企業が成立たないように状態に今日追込められて来ておるのであります。若し政府がかような経済政策、金融政策を採つて行かれるということになりますれば、先程羽生委員の言われたごとく、日本の経済はただ單なる不景気とか、デフレの問題ではない。根本的に、拔本的に壞滅に瀕する虞れがあるのであります。かような状態が国民一人一人の経済面におきましても日本の自立経済に面におきましても、実に容易ならざる私は亀裂が起きつつあると、かように思つておるのであります。この政府の二十四年度予算に現われていることはもとよりでありますが、その他の経済金融政策、財政政策に対しまする考え方をこの際若し政府が建直し、或いは修正をせなければ誠に由々しき事態が起ることを我々は考えられるのでありますが、総理大臣は現在池田大蔵大臣、その他経済大臣が採られております日本の財政経済政策に対しまして、修正をされる御意思がありますかどうか、この点を承わりたい。
#95
○国務大臣(吉田茂君) 現内閣が就任以来とつておる考え方は、歳出を成るべく少くして、従つて減税の方に持つて行こうという政策を以て一貫しておるのであります。お話は少し私共の考えておるところとは違いますが、併し私の現内閣としてはその方針を守つて減税という考えを以て、よつて以て日本の復興ができ、日本の貿易ができる、こういう考えを以て進んでおります。今日において一旦立てた現内閣の財政計画、或いは予算計画を変える考えは毛頭ありません。(笑声)
#96
○岩木哲夫君 当初吉田内閣のでき上る前の総選挙におきまして、当時の民自党は、経済九原則は我が党の政策と全く一致したのだということは、総理も言明されております。その他の経済大臣盡く挙げて経済九原則というものは我が党の方針と全く一致しておるのだということを吹聽宣伝されたのでありますが、今日経済九原則は、いろいろの角度から修正されつつあるのであります。最近におきましての物価政策はもとより、或いは統制経済の問題はもとより、或いは農業政策、或いは食糧政策におきましても、重大な転換が現在現われつつあるのであります。そのような状態であるのに対しまして、政府が経済九原則を実行するのだという。予算目標に当初立てられたことは、今日現実の問題においては、すでにこれが大修正されつつあるのに、政府の採られる経済財政政策は毛頭変える考えがないということにつきましては、誠に重大なる問題だと思いますが、この点につきましては経済九原則は転換されつつあるのに、今総理大臣のいわれる当面する二十五年度予算を中心とする経済財政政策は変えない、この矛盾はどう解決いたしたらよろしいのか。国民といたしましては誠に迷わざるを得ないと思うのでありますが、重ねて承わりたい。
#97
○国務大臣(吉田茂君) 矛盾と言われますが、政府としては矛盾と考えておりません。故に又今の予算計画をそのまま遂行する意思においては毛頭変つておりません。
#98
○岩木哲夫君 どうも大変お急ぎのようですが、まだいろいろお尋ねいたしたいこともあるのですが、特にそれでは本日といたしましてもう一、二点お尋ねいたしたいのは、先般政府は閣議で在日外人の課税五割控除という特典を発表されました。而もこれは外資と不足した財政に対しまして、或いは資本に対しまして、外資を持合わせて基本産業を復興するという考え方は或いは成立つと思うし、当面の日本の自立経済の下におきましては、一つの考え方であるということはちつとも異論がないのであります。ただ問題は、こうした場合におきましての、余りにも特典を、ウエートをつき過ぎるといいますれば失礼かも知れないが、成る程外資の導入ということは必要でありますが、日本の現在の企業、国民の血税を搾つて、そうして政府は債務償還して、或いはこの貴重な資本を政府は嚴選の上に嚴選をしてから、そうして日本の基本産業は配当すらもできない。而もこれらの従業員は生活の安定すらもできないようにベースは改訂することのできないように経済実情に追込まれておる現在の窮乏、大臣が認められます大工業は壞滅に等しいのだと言つておるような状態に対しまして、外資が導入される工面はした、企業だけは……。而もそれらの外人達に対しまして五割控除の特典を與えて行くということは、或いは優遇するという意味でこれも一つの議論かも知れませんが、併しながら半面におきまして、今私が申上げたように、日本の経済界というものはこれがために外資の導入会社でない限りは殆んど非常な経営難……又企業の増産拡張、あらゆる方面におきまして発展性がないということは、これは共産党の売物ではありませんが、売国奴だと共産党は言つておりますが、私は別に現在の政府が売国奴だとは思いませんけれども、とにかくかようなことを、余りにも露骨なことをやられるということは、将来日本の基礎産業復興におきましても、自立経済を推進いたして行く上におきましても、重大なる問題で、而も外資と関連性のない部面にまでこの在日外人課税の五割控除の特典を與えるということは、余りにもそのやり口が酷いではないかと、かように思うのでありますが、御意見を承わりたい。
#99
○国務大臣(本多市郎君) 外資に対する免税、減税等の範囲につきましては資料もございませんので、主管大臣から後で御答弁申上げたいと思います。
#100
○岩木哲夫君 それじや私の質問は又改めて……。
  ―――――――――――――
#101
○委員長(山田佐一君) 次に政府関係機関予算補正について水田政務次官の御説明をお願いいたします。
#102
○政府委員(水田三喜男君) 今回提出いたしました、昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第一号)について御説明申上げます。
 この補正予算は去る一月二十七日附連合軍最高司令官より日本政府に対する覚書「占領軍に従属する建物の附加に関する規定」によりまして連合国軍人等住宅二千戸を建設することに関するものでありまして、このため今回新たに連合国軍人等住宅公社を設立いたすこととし別途その法律案を提出いたしまして御審議をお願いいたすこととしておる次第であります。
 この連合国軍人等住宅公社におきましては、前申上げました連合軍最高司令官の覚書によりまして、連合国軍人等の住宅二千戸を建設するため総額五十二億五千六百万円の工事費を予定いたしておりましてその建設資金といたしましては、米国対日援助見返資金特別会計より全額を借入れて充当いたすこととしております。又建設いたしました住宅の維持費は一般会計の終戰処理事業費から支出し、公社の事務費は特別調達庁の既定予算から支出することといたしております。
 連合国軍人等住宅公社の業務としては、連合国軍人等の使用する住宅を建設する外、この住宅を連合国軍人等に賃貸いたしまして賃貸料の徴收に当てるのでありまして、その收入した賃貸料はすべて米国対日援助見返資金特別会計よりの借入金の利子の支拂及び元金の償還に充てることといたしております。
 尚公社の職員はすべて特別調達庁の職員が兼務するものとし、主たる事務所を東京都に置く外、必要な地に従たる事務所を置く予定であります。
 以上この補正予算の概要を御説明申上げましたが、何とぞ御審議をお願いいたします。
#103
○岩間正男君 これはいずれ十分に論議される問題と思いますが、ただ一点だけ質して置きたいと思います。それは終戰処理費から何故このような予算措置がなされてとられなかつたのか。今の説明を聽きますと、見返資金特別会計から全額を借りるということになつておるのでありますが、その関係が我々としては聽きたいのであります。これはいずれいろいろな詳しい点につきましては、この補正予算の審議のときに讓りますけれども、概括的に今の一点について説明を願います。
#104
○政府委員(水田三喜男君) 只今の御質問にお答えいたします。なぜこれを終戰処理費から支弁しなかつたかという実質的な理由の第一は、この問題が起きましたときは、すでに終戰処理費を含む昭和二十五年度の予算が国会に提出済でありまして、予算を変更することが適当でないというふうに、関係方面によつて予算の変更が回避せられたということが先ず一つです。その次の理由は若し終戰処理費で建つた宿舎に連合国の軍人が入つた場合には、これは宿舎の現物給與を受けておるというようなことで、住宅手当というものを出す方法がないという向うの会計検査院のいろんな解釈もございまして、どうしても日本の政府の金で建つた公舎へ入るというわけにちよつと行かない。これを若し特別の名目上の公社でも作つて、その金で建つた宿舎に入れるということができれば、連合国の方では日本にドルを以て家賃を支拂つて呉れる。でそれは、その家賃は米国の向うの予算から住宅手当として出せる。こういうことになりますので、これは見返資金のうちに予備費がありますので、この予備費から借入れて、そうして作る。特別の公社を作ればそういうことができる。こういう理由から終戰処理費でこれを建てるということを止めて、特にこういう法案を提出した次第であります。
#105
○岩間正男君 今の説明は聞きつ放しにして置きます。
 次にもう一点ですが、この二千戸に亘る住宅を利用される連合軍の兵士ですね、こういう人達は今どこに入つているのか。それともこれは将来において使うのでありますか。この点が明確であることが非常に必要であります。この点がはつきりしないと我々としては審議をする目当がないのでありまして、この点明らかにして貰いたい。
#106
○政府委員(水田三喜男君) 現在連合軍が各地に駐在しておるんでありますが、そのうちで日本が一番住宅に不足している。世界のうちで日本が一番住宅に不足していまして、従つて現在連合国の軍人でも日本へ来て八ケ月間は家族を日本へ呼ぶことができないというので、そこにいろんな不便を持つておりまして、どうしてもこれをもう一歩施設をして貰わなければいかんというようなことから、出発したものでございまして、別にどこから来るというのではなくて、現在いる連合国の軍人で住宅に困つている人達が次々にこれを利用する、こういう関係であります。
#107
○岩木哲夫君 お尋ねいたしますが、現在進駐軍関係が日本人の住宅を強制接收いたしておるのは一万二千戸以上あると思うのであります。この今回の二千戸の住宅を増築するについては、現在日本人の住宅を強制接收しておる人達が、この住宅に替るのか、或いは全然それらの方は明けずに新たな人が入るのでありますか、この点を承わりたい。
#108
○政府委員(水田三喜男君) 一部分は現在接收しておる宿舎におる人が入替るというのは、この民政部が廃止されたり、いろんなことで向うに入替りがありまして、不用になつて解除される宿舎もございますし、その他は現在独身生活をしておるのがそこに入る。その一部は入替りますし、後は新たに入るということになつております。
#109
○岩木哲夫君 政府は、現在日本人の住宅を進駐軍が強制接收しておるその法律的根拠を承わりたい。
#110
○政府委員(石原周夫君) 現在日本側におきましては宿舎を調達いたしまして、進駐軍の用に供しておりまするのは、その一軒々々の場合におきまして、調達要求書というものが公文を以て書かれた文書が出ておるわけであります。それに基きましてこちら側は宿舎を決定しておる。
#111
○岩木哲夫君 調達要求書というものはどの法律に根拠してやられるのでありますか、それを承わりたい。
#112
○政府委員(石原周夫君) 調達要求書というものの性質につきましては、これはポツダム宣言の受諾に伴いまする、連合国軍最高司令官が日本側に対しまして、いろいろな命令、或いは要求をいたすわけでありまするが、その一つの形式であります。よくスキヤツプイン或いはデイレクテイヴと申すものもその一つであり、今申上げましたその調達要求書もその一つであります。
#113
○委員長(山田佐一君) お諮りいたしますが、大蔵大臣が見えておりますから、先だつての分が、木村さんのが半分でございまして、引続きやつて頂きたいと思いますが……。
#114
○岩木哲夫君 それではいずれこの問題は質問いたしたいのですが、もう一点だけついででありますからお聞きしますが、進駐軍のそうした命令によるということであるけれども、進駐軍のそうしたポツダム宣言による調達命令であるということであつたならば、この調達をした、家賃、地代というものは新たな観点から政府は操作するものではないか。それをポツダム宣言によつて調達したものを、日本の現在の地代家賃統制令に照してやられるということの関連性はどうも薄いと思うのですが、これについて承わりたい。
#115
○政府委員(石原周夫君) 今お尋ねになりました今回の、ここに今補正予算の形で御審議を願つておりまする連合国軍の軍人に対しまして、住宅を提供いたしまする関係は、私が今申上げました調達要求書の形式によつていない。その資料に参考として差上げてあるものと思いまするが、別途に指令が出ておりまして、その指令によりまして二千戸分を作つて貰いたい。こういう趣旨のスキヤツプインという形式になるのであります。私先程申上げましたのはそれによらない、従来一軒々々につきまして、個々に調達要求が出ておる性質のものを、即ちこれを連合国軍の要求のいたし方が違うのでありまして、前者の場合におきましては、これは一軒々々調達要求が出て、後者の即ち今御審議を願つておりますものにつきましては、これは一括して二千戸という要求が出ておる。で、お尋ねの家賃云々の点につきましては、先程政務次官がお答え申上げましたように、一軒々々の調達要求が出ておりまして、これはアメリカ側の話でありますが、アメリカ側の解釈におきましてはこれはパブリツク・ハウジングであるというようなものにつきましては、家賃を取るわけに参らんというのがアメリカ会計検査院の解釈であるということであります。従いまして今回のようにアメリカの会計検査院の解釈によりますパブリツク・ハウジングにならない、即ち日本政府が直接でなくて、政府機関の形によりまする或る公社の提供するところの住宅につきましては、これは舎宅手当を取ることができ、住宅手当を以て家賃を支拂うことができると、こういうことに相成るのです。
#116
○岩木哲夫君 次のポツダム宣言によります調達命令によるものの調達された家の家賃と、今回のこの二千戸の建設住宅の家賃とはどのように違うのでありますか、承わりたい。
#117
○政府委員(水田三喜男君) 今までの接收された家屋に対する家賃は全然取つておりません。今回の場合の家賃は、直ぐこれだけなければ家の維持ができんとかいうふうに決めた家賃ではございませんで、向うから住宅手当をそのまま家賃としてこちらは受取る。大体一戸七十ドルぐらいという予想をしておりますが、全然前の方は取つておりませんので、これは比較になりません。
#118
○岩木哲夫君 これは一戸七十ドルと申しますと、日本流に考えれば、総坪数幾らかを承わりたいのが一点と、それから日本人の一万二千戸の亘る住宅を接收しているものの家賃というものの基礎ですね、基礎というものはこれとは違うそうでありますが、併し同じ進駐軍が入るのであります。これは見返資金で作つた住宅、前のは日本人の自己所有物件であります。これをポツダム宣言で徴発した。ポツダム宣言で徴発したものの、こうした日本人の一万二千戸の住宅に対する家賃は、どういう観点で現行の地代家賃統制令に照してやるのかどうか。新らしい角度によるのかよらないのかということを承わりたい。ここに矛盾があるのではないかということを承わりたい。先ずそれより七十ドルなるものの坪数は一戸当り幾らを基準としているのか、その点も承わりたい。
#119
○政府委員(水田三喜男君) まだ設計書その他が正確に示されておりませんので何坪と言うことはできませんが、大体金額にして一戸当り二百六十万円くらいかかるという予想をしております。そうしますと七十ドルの家賃によりますと、大体見返資金の利息が、利子が五分五厘としますと十二年間くらいで償却できるとこういう計算になりますので、一般の家の家賃よりも非常に割がいいという計算になります。
#120
○岩木哲夫君 これは特調の長官もお見えになつていないようですが、ちよつと專門的になりますから私の質問はこれで打切ります。又改めて……。
#121
○岩間正男君 池田蔵相が見えているようでありますから、この際緊急質問をしたいと思います。それは裁定の問題ですが、政府はこの度專売裁定を無條件で呑んだ。こういうことになつたのでありますが、これに対して從来政府の取つている態度から言いますと、資金上、予算上不可能だというので国会に審議の提案があつた筈であります。そうすると先ず第一に伺いたいことは、どういうような、これは條件の変化によつて、この度こういう措置に出られたか、この点を先ず伺いたいのであります。
#122
○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げまするが、只今衆議院で御審議を願つておりまする專売裁定に関する件につきましては、当時審議を願います場合におきまして、給料並びに手当、いわめる俸給予算から出し得る金はないという專売公社総裁の報告があつたのでありますが、而して他の費目から流用することは予算上、資金上不可能なりという見解の下に御審議を願うことにいたしたのでありまするが、最近の專売公社の予算の状況を見まするというと、給料並びに手当の中から專売裁定のありました一億二千八百万円は出し得ることに相成つたのであります。そういたしますると、これは專売公社総裁管理において出し得るのでありまするから、政府は專売裁定の趣旨を尊重いたしまして、專売公社の総裁がお出しになるのは結構だ、こういうことに相成りました関係上、当然公労法の第十六條の二項の問題が起らなくなつて参りました。従いまして衆議院で御審議を願つている、あの議決を求める件を撤回する考えでいるのであります。
#123
○岩間正男君 今の蔵相の答弁は少しおかしいじやないかと思う。これは專売公社の出せるというのは違うからと当局者がそういうことを言明された筈であります。今資料がありませんから資料を調べれば分るのでありますが、であるに拘わらず政府はいろいろな観点から理由を挙げてこれに対して、現在は資金上、予算上これは出さない、こういうことで国会に提案されたということを我々ははつきり確信しておるのでありますが、今の説明では專売公社の問題であつて、專売公社がよく検討して見たところが出せるようになつた、そういうような情勢の変化によつて出した、こういうようなことを言われるのでありますが、これは甚だおかしいと思います。尤も実体をなす……今まであれ程国鉄裁定とも絡んで強く政府が突張つていたところの、而も政府がこれによつて出せない理由を説明したのは、單にこの公社のそういうような会計上の経理の問題だけじやなくて、もつとこれは一般の公務員の給與に連関するところの大きな問題であります。従つてこれはとにかく公正の観念から言うときに專売公社、国鉄公社だけでこれを出すということは非常に問題です。これは曾て年末の特別手当の法案を審議するときにも政府は事実として言明したところであります。このような態度をここで覆して專売公社の案を呑むに至つたのは、決して今のような子供騙しの説明では我々は満足することはできないのであります。ざつくばらんにこの際ぶちまけて貰いたい。
#124
○国務大臣(池田勇人君) 事実をざつくばらんに申上げたのが今のお答えでございます。政府といたしましては專売裁定につきまして他の費目から流用をして裁定に副うわけには行かない、こういうことを今まで言つておつたのであります。然るところ他の費目から流用せず專売公社総裁の管理においてやり得る、給與の中から一億二千八百万円出得るように最近なつたのであります。
#125
○岩間正男君 その点の検討は、これはもう少し確実な資料を我々は持つて参りまして、いろいろ聞きたいと思います。そこでお聞きしたいのですが、その点は保留にして置きますが、次にお聞きしたいのは、專売公社の裁定をあすこで呑んだということになりますと、先程私が申しましたようにこの公正の観念、政府がしばしば繰返す観念から行つて国鉄裁定に対しましても、これは残余の分につきましても支拂をするというような措置を十分とらなければならないという段階、これは常識的にそういう段階に追込まれておると思いますが、政府はここでなす意思があるかどうか、これは当然なすべきだと思いますが、これについて蔵相の意見を聞きたい。
#126
○国務大臣(池田勇人君) 公共企業体労働関係法十六條の規定によりまして、国鉄裁定につきましての措置はすつかり我々済んでいると考えているのであります。もう国会におきましても、あれは裁定に従うわけには行かないという結論になつたのであります。併し專売公社の問題は只今審議中であるのであります。従いまして給料、手当の方から出ることになりますれば当然あれは撤回し得ることなんです。法律上当然なことであるのであります。国鉄裁定とはもう事情が変つて来ております。国鉄裁定の方はもうここで済んだのであるが、今後国鉄従業員に対しまして、給與を出すか出さんかということは全然別個の問題として取扱わなければならん問題と思います。而してこの問題につきましては、私はここでお答えする段階に至つておりません。
#127
○岩間正男君 国会がこれを否認したようなことを言われましたが、これは政府側の解釈があることは判然としていると思います。参議院はこれに対して同調していない。参議院は別な見解を持つておつたのでありますから、ここで再び問題が強烈に再燃するだろうと思うのであります。私の聞きたいのは政府が従来今まで公正の観念という理由でもつてですね、そこで例えば国鉄のあの裁定案の問題をやるとき、国鉄だけの問題じやない、これは他に波及するところが非常に大きいから、どうしてもこの問題は、これに対して現在の段階で出せない、こういうようなことが一つの大きな政治理由の中になつているのでありますが、專売公社の問題をここで解決したところの政府は、当然同じような態度でもつてくると、国鉄裁定の問題に対してこれは積極的な解決の努力をすべきである、こういうふうに我々は断定せざるを得ないのでありますが、これに対して蔵相は同意されますかどうか。
#128
○国務大臣(池田勇人君) 予算の流用の問題につきましては、公平の原則ということもあるかも分りません。併し本問題につきましては、予算の流用の問題ではないのであります。法律上当然出さなければならん状況に相成つて来ましたので、特別に出すことにいたしたのであります。
#129
○岩間正男君 まだまだそういう点についてこれは徹底的にやらなくちやならないと思いますが、時間もありませんが、もう一つ聽きたいのは、公務員の給與ベース改訂の問題とこの問題は決して無関係じやない。むしろ密接不可分の関係にあると思う。それで政府はこれをどう解釈しておられるか。今の例えば蔵相の私に対する答弁のようなものが、これがはつきり院外に出て、そして公務員の諸君に伝わつたとしたならば、これで満足すると蔵相は考えておられますか、どうですか。これは当然專売裁定の問題を中心として、当然我々の給與ベース改訂に対してどうして呉れるのだという声はごうごうとして起るということを考える。これに対して政治責任を持つた蔵相は、どういうような処置をとられるか。これは今のような技術的な答弁では問題は解決できん。我々はもつと大きな、今のような現実の情勢から、この問題について、はつきり政治的な答弁が欲しい、こういうふうに思います。
#130
○国務大臣(池田勇人君) 本日專売裁定に関しまする衆議院への提案を撤回いたしましたときに、政府はこの問題があつたからといつて、一般給與に関する方針並びに昭和二十五年度予算案につきまして変更する意思はないということを声明いたしております。
#131
○岩間正男君 政府のそういう意思、一応政府が一方的にそういう考えを持つておられて、現実の、この非常に生活苦に悩んでおるところの一体公務員諸君並びに勤労大衆が満足するかどうか。これは今後の問題でありますから、これはここで議論してもしようがないのでありますが、最後に私は一点お聽きしたいが、或る新聞の談によりますと、国鉄裁定があのままの形で通して、それから給與ベース改訂が行われるような事態に立至つたならば、蔵相は辞めるということを話されたようでございますが、事実でございますか。
#132
○国務大臣(池田勇人君) そんな考えは持つておりません。
#133
○岩間正男君 そうすると、何新聞だつたか……読売新聞だと思いますが、読売新聞だと思いますが、あれは蔵相の意向を推測されて書かれたものでありますか。
#134
○国務大臣(池田勇人君) 御想像にまかせます。私は先程お答えした通りであります。
#135
○岩間正男君 まあ、ここではつきりこれは言明されないでありましようが、この間の経緯については私は再質問することを保留したいと思います。
#136
○岩木哲夫君 ちよつと関連してお尋ねしたいのですが、法律上とおつしやる今度の專売裁定に対しまして、それは給與の予算内で当然出たんだから、而もそれが法律上当然だから出すんだ。こういうことでありますが、給與の予算の中から当然出たというその内容を、具体的にどういうような項目、予算給與の項目の中のどういう人間の数字でどういう予算の計上で、どういう工合にして、今回一億何千万円のものが出たか、その内容を資料を以て説明を、今日でなくてよろしうございますが、願いたいことが一点と、それから一般公務員に対しまする出す意思はない、こう言つておるのですが、或るときには、資金上、予算上出せないと言つておる場合があるのでありますが、これは意思がないというのか。出せない根拠が……資金上、予算上出せないというのか。その根拠でありますが、それを承わりたい。
#137
○国務大臣(池田勇人君) 專売裁定に対しまして、一億二千八百万円出すことにいたしましたのは、給與の予算中八千十七万円出ております。八千十七万円の余裕金があるのであります。而して手当の関係から五千百九十数万円の余裕があるのであります。合計いたしまして、一億三千二百万円の給與並びに手当から余剩財源が見出されましたので、一億二千八百万円の專売裁定に副うようにするという專売公社総裁の申出であるのであります。それだけ出るのならば、これは公共関係であろうと、十六條一項、二項はもう要しないことになりましたので、撤回しようとするのであります。
 次に御質問の、公務員に対して、予算上、資金上の問題はありません。公共企業体につきまして裁定があつた場合に、十六條一項、二項が働きまして、予算上、資金上の問題が起つて来るのであります。お話の一般公務員につきまして、予算上、資金上という問題は直接にはないと御了承願いたいと思います。
#138
○岩木哲夫君 今一億二千八百万円を、給與の方面から八千幾ばくと、手当から五千幾ばくという説明を聞きましたが、それはどういうわけで出たのでありますか。それを具体的に承わりたい。
#139
○国務大臣(池田勇人君) いろいろな関係があると思います。家族手当が少なかつたり、或いは予想通り行かなかつたり、或いは又勤務地手当が予算通り行かなかつたり、或いは又給料の方におきましても、人が変りまして定員が同じであつても、一人当り俸給額が少なかつたり、或いは欠員ができたり、いろいろな関係から出て来たと思うのであります。
#140
○岩木哲夫君 今説明を聞きましたが、それにつきましてはどうも合点が行かないのでありまして、かような家族手当であるとか、勤務地手当であるとか、定員の問題で予想通り行かなかつたということは、ひとり專売公社だけに限つた問題でありますか。こうしたことは国鉄におきましても、或いは一般予算、特別予算等におきましても当然あり得るというのが常態でありまして、それがために各官公吏が、年度末にはいろいろ金が余つた場合に使うとか、旅行するとか何とかいつたことは、これは世間通例の事実であります。こういうような工合で、今御説のような工合で、給與の予算内からこうしたことが出たということは、ひとり專売公社のみに限つたことではないと私は思いまするが、それの初めの予算であります、例えば家族手当は何ぼと予算しておつたものが何ぼになつた、勤務地手当は何人ぐらいについてどういう工合にとつたものが、どうなつた、定員は当初何人おつたのが、どうなつたという、その具体的内容を一つ数字で是非お出し願いたいと思います。
#141
○国務大臣(池田勇人君) 細かい数字は又政府委員からお話申上げる機会もありましようし、又資料として提出してもいいのでありますが、大体におきまして專売公社におきましては、昭和二十四年度当初予算のときに予想いたしました以上に行政整理をいたしました。それと、又御承知の通り煙草の増産のために、行政整理において減員はいたしまするが、増産のために相当の増員を認めておつたのであります。行政整理で減員をいたします場合にも、辞める人によりまして退職金その他についての狂いが出て参ります。例えば四千人整理いたしますにつきましても、上の方の人を整理するか、下の方の人を整理するかによつて狂いは出て参ります。而して又新規に煙草増産によりまして、四千人ばかり増員をしたと思いまするが、この増員の時によりまして、余裕額が出て来る場合もあるのであります。專売公社におきましては、そういう関係より特殊の例がございましたので出て来たと私は聞いておるのであります。いずれ細かい点につきましては、政府委員より御答弁いたさしたいと思います。
#142
○岩木哲夫君 特に專売公社だけかような事情があつたということは承わりますが、これは重ねて申上げます通り、国鉄の場合でも一般会計、特別会計、政府機関等におきましても同様のことはあり得ると思う。で、この際私がお尋ねいたしたいのは、專売公社のような場合に当然予算上、給與の予算上余裕ができて来たといつた場合には、それを待遇の改善と申しますか、こうした方途を他の国鉄、他の一般公務員、他の政府機関、これらの問題の場合にでもこうした場合が出て来た場合には、同様の措置をとりますかどうかをお尋ねしたいと思います。
#143
○国務大臣(池田勇人君) それは先程来申上げておりますように、專売裁定が出ましたから、裁定の趣旨に副う意味、裁定を尊重いたしまして出したのであります。而して一般公務員につきまして財源に余裕がありましても今の給與準則によつております関係上、別途の法的措置を講じなければ出すことはできません。それは丁度十二月に年末手当を出しましたときに、予算の財源に或る見通しがつきましたので、あの法的措置を講じて出したのであります。一般会計並びに特別会計の、即ち普通の公務員に対しましては、特別の法律的措置をとつて而も財源があつた場合にしか出せないのであります。国鉄の方は專売と同じように公共企業体でございますが、政府の解釈といたしましてはあの国鉄の裁定はもう済んだことにしておるのであります。而して国鉄の方で別に給與財源があつて予算の流用を全然要しない、国鉄総裁限りにおいて支出し得る金があるときには国鉄総裁のお決めになることでございましよう。
#144
○岩木哲夫君 そうすると、国鉄の場合には総裁がこうした給與予算の中から操作のできるものであるならば、国鉄総裁の自由にやられても差支ないということに承知してよろしいかどうかをお尋ねしたいのが一点と、一般公務員に対しましては、いわゆる人事院の勧告に基く問題等は、それでは法律的措置だとは考えられないのでありますかどうか、この点を承わりたい。
#145
○国務大臣(池田勇人君) 第一点の国鉄総裁において給與予算から出し得る金があつた場合に、出すか出さんかということは、大蔵大臣に関係したことではないのであります、予算の流用がございませんから。ただ国鉄総裁のおやりになることでございます。而して国鉄総裁がおやりになるということにつきまして、政府がどういう態度をとるかということは、別の問題だと御了承願いたいと思います。池田大蔵大臣は国務大臣としてそういう場合にどういう考えを持つておるかという御質問ならば、只今のところ申し上げられません。こうお答えするより外にはございません。一般公務員の問題につきましては、先程お答えいたしましたように、給與財源があつた場合に、どうし得るかということになりますと、たとえ給與財源がございましても、公務員に対しましては給與準則規定が適用になりますので、法的措置を新たにとらなければできないことになります。法的措置をとるかとらんかという問題は、別個の問題でございまして、私から今お答え申上げる段階に至つておりません。
#146
○木村禧八郎君 私はこの前に引続き御質問申上げたいと思うのですが、その前に一つ緊急な問題について御質問申上げたいと思う。それは国有財産の拂下げの問題に関してですが、国有財産の拂下げですね。これはたとえ軍用財産でも、その他の不動産拂下げについて、私は今大蔵省関係で相当問題になつておるものがあると思うのです。その点について御質問したいのです。それは都不動産株式会社、そういう会社がある。そこの社長は田村秀吉という人です。これは石渡蔵相当時の参與官をしていたと言われますから、池田大蔵大臣も御存じだと思うのです。この人はパージになつて、追放になつておる身分であると言われておりますが、この人がこの都不動産株式会社、こういうものを作つて、そこでこの国有財産の拂下げですね、この売渡し、こういうものに従事しておるのでありますが、この人が大蔵省の管財局長以下、相当の人間にいろいろ饗応その他をして、そうして不当に国有財産の拂下げをした、そういう理由によつて今告発されておるということを聞いたのであります。この問題について大蔵大臣は御存じであるかどうか。そうしてこの問題はどういうふうになつておるか、これは單にただ一つの事件ではなきして、国有財産の拂下げの問題、それから拂下げの公式、どういう形で今後国有財産を拂下げて行くか、その拂下げをもつと明朗に明確に公正にして行く上において、この事件は重大な事件だと思うのであります。その意味において大蔵大臣が若し御存じならば、お伺いしたい。総理大臣についてもその官紀の粛正、こういう面からもお尋ねしたいのですが、先ず責任官庁である大蔵大臣にその点お伺いしたい。
#147
○国務大臣(池田勇人君) 田村秀吉氏は私存じ上げております。而して国有財産の拂下げ、特にこれは財産税等によりまして、物納した小さい土地家屋があるのであります。この売拂いにつきましては、信託会社、或いは又これに類似の仲介機関を公認いたしまして、そうしてその信託会社、或いはそういう会社に委嘱いたしまして一定の手数料を渡しまして、そうして売拂つておるのであります。で、今の田村秀吉君のやつておられる何とか会社というものは、私、聞いたことはございます。併し外の点につきましては、私聞いておりません。政務次官が御存じのようでございますから、政務次官よりお答えになることと思います。
#148
○政府委員(水田三喜男君) この問題は、都不動産の関係会社からの従業員からもしばしば陳情されておつた問題ですが、只今管財局長以下買收されて云々というようなことがございましたが、我々の方で調べて見てそういう事実はございません。それからこれはすでに法務庁でも問題になりまして、一応調べられた問題ですが、これは年末に役所の人が一遍ぐらい忘年会ということで簡單に儀礼的な招待を受けて、洋食を皆食べたというぐらいの事実がございますが、それは特にその会社に対して大蔵省は特別の便宜を図つた、或いは売拂代金を何ケ月も政府へ納めるのを猶予してやつたという、そういうような問題は全然ございませんので、これは私達の方もいろいろ陳情がございましたが、調べた結果、別にどうこう取上げるべき問題でないということに現在なつております。
#149
○木村禧八郎君 そうしますと、この問題は全然法務庁では関係ない問題になつておるのですか。
#150
○政府委員(水田三喜男君) 何か法務庁の方でいろいろ調べておるという話でございましたが、それは私の方とは全然関係ございません。で、従業員の方では、田村氏にそういう権利を與えたことを取消して呉れ、この都不動産に国有財産の処分を委託するようなことは取消して呉れというような要求がございましたが、大蔵省としましては、これに委せておつて、売つた代金を規定内にちやんと拂うというようなことでありますれば、別に取消という行政処分をする必要はございませんで、その会社内部に社長が横暴でとか何とかいろいろ問題がありましても、それと我々の方は一切無関係でして、若し売つた財産を着服して役所に拂わんというような事実がございましたら、処分のことは考えなければいけないかも知れませんが、現在言われておる程度では、会社に大過なくやつておる以上は、これを取消すべきものでも何でもないということで、これが外の方面から若しその社長の方で個人的にどうこういう問題が法務庁の方で出て来たという場合にはこれは別問題であります。現在のところでは私達の方として会社に別に特別のものはないと、こう考えております。
#151
○木村禧八郎君 この問題は法務庁にもお伺いいたしたいと思うのですけれども、大蔵省におきましては現在の程度ならば何ら差支ないのだ、こういうお考えですか。先程大蔵大臣が一定の手数料を拂つて、そうしてこれに委託しておるということになつておるのですが、その一定の手数料というのは幾らですか。大蔵政務次官お分りになつておりますか。
#152
○政府委員(水田三喜男君) 大体売拂代金の五分程度あたりであつたと思います。
#153
○木村禧八郎君 売拂代金五万円以下について五分ですか。ところがこの会社では一件について二千五百円手数料を取つておる。如何に小さいものでも何でも五万円以下については……これは調査して頂きたい。これは聞くところによれば、これは一件について五分という手数料になつておるのだけれども、田村氏が運動したことによつて二千五百円の手数料を取ることを容認されたというふうにいわれておりますけれども、若しそういうことが事実であれば相当問題である。今まで五分以上の手数料を取つてはいけないことになつておるのです。この二千五百円が五分以上だつた場合にはどうするかの問題が起ると思うのです。この点についてどうお考えになつておりますか。
#154
○国務大臣(池田勇人君) 一件について五分と我々は心得ておるのでありますが、これは決め方でございまして、例えば金額が少くても売買の手数料を取りますときには電車賃であるとかいろいろ費用もかかりますから、最低幾らという決め方もあるかも知れません。その辺の具体的の問題については調査してお答えいたしますが、大体私らの記憶では外分売買金額の五分と心得ておるのであります。そのときに例えば千円の物を売つたときに五分といつたら五十円、五十円ということになるとこれは大変なことになりますから……千円というような国有財産はございませんが、一万円の物であつても五分といえば五百円、いろいろな手数料で五百円ではいかんから、或る程度の最低金額は決めることはあるのです。
#155
○木村禧八郎君 その御答弁は非常に曖昧なんですが、その大体五分ということに決まつておるのにその後そういう二千五百円にして、そのために不当な收益を得たものと私は思わざるを得ない。その点もう少し明確にして調べて頂きたいと思います。五分と決まつておるものを五分以上取る。更にこの国有財産拂下げについては非常にいろいろな弊害が沢山出ておるわけです。非常に起つておるのです。これは民間の例えば大きい朝日信託とか日本信託とか、大きいところに信託した場合はそうでもないかも知れませんが、小さい不動産会社、或いは金融会社、そういう会社に拂下げた場合には、これは例えばそこの都不動産会社の社員が行つてこの土地を売るのだといつて金を貰つても、それがインチキ社員であつた場合には非常に弊害が多い。そういう事例が沢山あるわけです。ですから国有財産の拂下げの形、拂下げの仕方ですね。これはもつと公明にしなければならぬと思う。何故そういう個人会社、或いは民間個人会社に委託させる、こういう方式を採つたか、例えばこれは非常に財産は大きいのでありますから、或いは旧軍用財産もあるのですから、もつと公的なそういう拂下げの委託をさせる会社を作るべきではないかと思います。それを何故個々のこういう個人会社に委託させるようになつたのか、その間の事情を伺いたいと思います。
#156
○国務大臣(池田勇人君) 国有財産の大きい財産につきましては、勿論直接にやつておるのでありまするが、御承知の通りに財産税で物納になつたものがございます。これは例えば金額にいたしますと相当になりますが、五十坪とか百坪とかいう四五十万円、或いは二三十万円のものも相当あるのであります。こういうものを当初の原則として信託会社でやつておつたのでありますが、なかなか信託会社なんかでそういう些細な三十万円五十万円というものを仲介するということは、実際問題としてなかなか手が届かん点がありますので、信託会社以外の普通の会社につきましても、とにかく早く売りたいという気持でやつておると考えておるのであります。
#157
○木村禧八郎君 そのやり方が非常に弊害が多いのです。今まで非常に迷惑を受けている人が沢山あるのです。従つて今まで通りこういう形で拂下げを委託していると、その間において例えば九百円で売る物を間に入つていろいろ操作して不当に利益を得た、こういうような個人会社によつてそういう弊害を受けている人が多いのです。従つてそういう弊害が多いのに、このような都不動産会社というものが例えばそういうような個人的な会社にそういうものを委託させて、そうして例えばさつき調べられたと言いますけれども、管財局長以下御馳走になつたのでしよう。そういう形において取引をして、そうしてそこに直接委託させている。こういうことによつて不当に儲けさせる。更に問題になるのは、本当は買取人から手数料を取つてはいけないということになつている。政府の方からも手数料を取る、且つ買う人からも手数料を取る、こういう不当なことをやつている。こういう弊害の多いような国有財産の拂下げ方、これについては今のようなやり方は非常に弊害が多いのですから改める意思がないか。もつと公的な性質を持つたところのそういう拂下げを委託する機構を作る意思はないかどうか。
#158
○国務大臣(池田勇人君) 弊害が非常に多ければ改めなければなりません。私は今ここで改めなければならぬほど弊害が多いとも今まで聞いておりませんので、よく調査いたしましてお答えいたしたいと思います。
#159
○木村禧八郎君 最後に確かめて置きたいのは、管財局長以下この問題について取調べを受けた、これは事実でありますね。
#160
○政府委員(水田三喜男君) 何人取調べを受けたか知りませんが、従業員側からこういう人がこの会に出たということは言つて参つた。その範囲の人を一応法務庁が来て調べたという話は聞いております。管財局長が調べられたかどうか聞きませんでしたが、管財局長は別に調べられなかつたと思います。
#161
○木村禧八郎君 大蔵省としてはそういう問題が起つたのに、これを調査してないのですか。ただ従業員からそういうことを聞いたというだけなんですか。それは大蔵省としては、直接調べられたかどうか、調査されたかどうか。
#162
○政府委員(水田三喜男君) 管財局長の報告によりますとそういう問題はあつたが、役所の方でも調査した結果、別に不正というような事実は大体ない、こういう報告を受取つております。
#163
○木村禧八郎君 それは本人から聞けばそう言うに違いないのです。法務庁の方から何ら調書、その他をお調べになつたのですか。
#164
○政府委員(水田三喜男君) それはまだ実は調べておりません。
#165
○木村禧八郎君 この問題は單にただ一つの事件だけではないと思います。今後政府は国有財産の拂下げ、これは沢山やつて行くと思うのです。そういう場合に一つの事件としてこういう事件が起つているのです。これはまだ確定的ではございませんけれど、そういう誤解を受けさせる非常に不明朗な事件が起つているのです。これは今後国有財産拂下げを公明にする、そういう意味においてもこういう問題は徹底的に大蔵省は調べるべきである、徹底的に調査すべきである。ただ本人から聞いて大したことがなかつた、それだけでは済まされないものである。(「その通り」と呼ぶ者あり)徹底的に調査して、今後国有財産の拂下げについて、これは国民の財産ですからそういうふうないい加減な、又運動によつて、不当にこれが或る一会社に委託されて、不当な利益を與える、殊に田村としては追放の身分ということを聞いておる。そういうような人に、仮にですよ、そういう不当な利益を與えたということになれば、これは穏かでないと思う。こういう意味において徹底的なこの問題については調査をされて、そうして報告して頂きたいと思う。さつきの手数料の問題、その他ですね、私は法務総裁からも聽きたいと思いますが、大蔵省においても十分徹底的に調査されるべきだと思う。調査されるかどうか、この点についてお伺いしたい。
#166
○国務大臣(池田勇人君) 調査いたして見ましよう。併し私の見るところで、何とかいう会社が不当に利益を得ておるものとは私は考えておりません。手数料の決め方におきましては、全般に通ずるように手数料を決めておるのでありますから、而して又些細な国有財産の売拂いについて、或る程度の民間の会社に仲介に入らすことは、私は妥当な方法ではないかと考えております。
#167
○木村禧八郎君 私は大蔵大臣の御答弁はおかしいと思う。これから調査しましよう……。で、先程自分の質問した問題については、知らないとこう言つておる。自分は知らないということを答弁されておる。従つて大蔵次官が答弁された。知らないに拘わらず、不当でないと思うという御答弁は、私はおかしいと思う。とにかく徹底的に調査をして、その結果によつてお答えになれば、私は正しいと思うのでありますけれども、この問題について全然知らないというような御答弁があつて、それで後で、これは不当でないと思う、こういうことは私は辻褄が合わないと思う。この点はどうなんですか。
#168
○国務大臣(池田勇人君) 質問応答によりまして、いろいろな事柄を聞いて、私が判断いたしますのに、各会社があるということは、売拂いについて信託会社以外のものが介在してやつたということは、前から知つております。而して料金の決め方は五%だということを聞いておれば……饗応になつたとか何とかいうことは別問題でございますよ。併し一定の基準の下にやつておる場合において、私は不正の事実はないと思いますが、調査はいたしますというのです。私は何も矛盾はないと考えております。
#169
○木村禧八郎君 それは私はおかしいと思う。まあ手数料の問題については調査して頂きたいと思うのですが、一定の手数料の下においてですよ。その饗応その他によつて特にその人に、その会社に、多くの財務を委託させるということになれば、やはり不当だと思うのです。それはどういう基準で決めるかは知りませんが、そこは取引によつて行われるあれがあると思うのです。そこは非常に公正を欠いて行く点であり、従つていろいろなスキヤンダルが起る可能性のあることなんでありますから、従つて調査しないで、ただ手数料が五分、その基準に基いてやるから何ら不正がない、こういうことだけではこれは筋が通らない。今まで何故こういう問題は法務庁で問題になつたか、法務庁で取調べられたか、何故問題になつたか。それは單に手数料が五分であつて、その通りやつておるということではないと思う。これはもう少し……。大蔵大臣は大したことでないような、そういうように扱つておるようでありますけれども、私は重大な問題だと思うのです。もう少しはつきりした御答弁をお願いしたいのです。
#170
○国務大臣(池田勇人君) 饗応になつたとかその他のことについては、私は存じ上げませんが、これは別に調査しなければならんと思うのです。而してあなたは、何とかいう会社に特に沢山取扱を委しておる、こういうことが御疑念のようでありますが、私はそうはしていないのじやないかと思う。国有財産のうちで、そういう信託会社とか、或いは一般の会社が介入して、売拂いの事務に当つておる。全体のこういう財産は各会社にいろいろとしておると思うのであります。田村秀吉君がやつておる会社に、お前に分はこの分をやれと別に割当をやつていないと思います。若し別に割当をやつておるというようなことになると、そこに饗応関係とか因果関係があると思いますが、私は財産税で納められた物納財産の売拂いは一時困りまして、ずつと昔に役人をしておる時分に……。そうして何とか信託会社でやるのが原則だが、外の会社も設けて、とにかく早く適正の値段で売拂つたらどうかというのでリストを作つておりますが、リストを作つて、他の会社がやつておると思います。こういうことを前提として考えておる。あなたの方は、都不動産に特に沢山渡して、これでやれ、こういうことをやつておるとすれば、これは饗応等の関係、因果関係があると思いますが、私は大体リストを作つて皆が平等に売拂いの立場で行くということになつておるから、大したあれはないと思いますが、調べることは調べます。
#171
○木村禧八郎君 それは調べることは調べるという御答弁はいいと思うのですけれども、大したことはないということは分らない。調べないでそういう御答弁をするのはおかしいというのです。私は今大蔵大臣が言われたように、何か割当みたいなことをすれば、これは饗応関係などで不当なことになるのじやないか、こう考えられる。そういうお話、そういうことがあるかないかを調べなければならないのです。そういうことが問題になつて、恐らく法務庁においても調べることになつたと思うのです。ですから、そういうことは大蔵大臣は弁護される必要はないと思うのです。弁護されるから我々ますます疑問を抱く。特に大蔵大臣は田村秀吉氏とよく御存じだとこういうふうに言われたのでありますから、何故そういうふうに弁護されるのか。その弁護される前に、先ず実情を調査して見る、こういう御答弁ならいい。それを実情を調査しないうちに、よく分らんうちに、そういうことがないと思う、こういう御答弁ですから、おかしいのです。
#172
○政府委員(水田三喜男君) 十分分りましたので、実情は調査いたします。ただその場合一言申上げて置きたいのは、この会社は中で非常に内紛ばかり多くて、重役連中でいろいろお互いに排斥し合つて、どつちが中で勝つかという喧嘩をやつておるために、あらゆることをやつておる。大蔵省の人が来てお茶一杯飲んだまで記けて置いて、法務庁へ行つて、この男を縛つて呉れ、調査やつて呉れ、こういう裏のあれは盛んなもんでありまして、私達が無関心ではありませんので、いろいろどちらがいいかということは十分官庁として調査しておりますが、これを衆議院で取上げたいということで、従業員から頼まれて取上げかかつた事件も、今日まで何回かありましたが、その都度大蔵省へ聞きに来て、実情を見たところが、何だ、一遍くらい皆が集まつてお茶を飲むかというようなことも、どこそこの家へ行つて饗応に與かつて、金を貰つてどうしたなんという、そんな大げさなもんでないということが皆に分つて来て、これはもう取上げないということで、今日まで国会に質問頼む頼むという運動が猛烈にあらゆる人に行われておつたが、取上げられなくて、たまたまあなたが今日取上げたということになつておりまして、これにつきましてはこれまで問題がありまして、法務庁でも何か大蔵省が聞きに来て呉れれば答えるが、来なければこつちから発動する問題でないというので、この間いろいろな問題がございまして、調査いたしますが、そういう事情でここへ出て来たということを一つ御承知願いたいと思います。私の方では全然知らないというわけでなくて、十分関心持つて今までやつておりましたが、これは取消処分をするとかなんとかいうような行政措置を我々が発動するまでに至つていない、至る事件でないということを御答弁申上げます。
#173
○木村禧八郎君 そういう御答弁を承わるから、我々ますますおかしいのです。私は国有財産の拂下げはもつと公正でなければならん、そういう意味で一つの問題としてこれを取上げておるわけです。内紛がどうであるか、こういうことは私は知つておりません。この私も陳情を受けましたが、知つておりません。併しながらそんなに内紛を起してごたごたしておる会社に、何故そういうようなことを委託するのです。これもやはり問題になると思う。それならばこの国有財産の拂下げは順調に行かないと思うのです。そういう会社に……。何故そういう内紛を起すのか、了解に苦しむ。そういうことも徹底的に調査されて、そういう会社には取消す。そういう内紛を起しておるのは支障を来すから……。そうしてもつとどうして国有財産の拂下げを公的な性質を帶びた機関によつてやらないのか、それが我々は不審に堪えない。そういう点から御質問しておるのです。その内紛云々は我々はどういうことか知りませんが、そのこと自体においても、そういうところにこういう国有財産の拂下げを委託するということが不当じやないかと思う。よくない。とにかく実情をよく調べて……。それで我々の問題は重役のごたごたじやない。我々の問題とすべきは国有財産の拂下げの機構で、若しこれを調査した結果、そういうような饗応その他の疑い、そういうことによつてこれが公正に拂下げられない、支障を来すということならば、どういう機構を作るべきか、こういう積極的な問題としてこれを取上げるべきであろうと思うのです。たまたまこれが一つの国有財産の拂下げに関して起つて来た事件でありますから、そういう意味で国有財産の拂下げについては、軍用財産その他を入れればまあ非常に大きいのですから、国民の財産を処理する場合に、軽卒にこれをやつちやいけないという意味において、公正に拂下げるべきだ、そういう意味において質問しているのですから、その点は内容その他と別に、もつと公正に調査されて頂きたいと思うのです。
   〔岩間正男君「議事進行」と述ぶ〕
#174
○委員長(山田佐一君) 岩間君。
#175
○岩間正男君 今私達ここで傍で聞いていまして、やはりどうも蔵相の答弁の中に、非常に何か弁護するような疑惑を感じさせるものがある。あるとすればやはり蔵相の答弁そのものをやはり考えなくちやならないと思うのです。それで委員長はそういう答弁の内容については、これははつきり質されたらいいと思います。それからそういうものに対して注意を與えられるところの、この委員会としての見識を持つことが非常に必要だと思います。それから調査すると言われたのでありますが、それについて委員長はそういうことをはつきり確認して、そうしてこれがいつ何日までにそういう報告が出るかというようなことについて委員長は確認されて、この議事をやはりはつきりした形で明確に進行されることを私は切望したい。
#176
○委員長(山田佐一君) お答えいたします。調査してやられるのですから、大蔵大臣を信用いたしまして、調査すれば報告があることと私も信じております。
 それでは本日はどういたしましようか。
#177
○岩木哲夫君 もう時間もあれですから、如何ですか。
#178
○委員長(山田佐一君) 夕飯済まされてからやりますか。
   〔「次に延ばしましよう。」「幾らでもやりますよ。」「人も余りいないですから、木村君いいでしよう。」と呼ぶ者あり〕
#179
○委員長(山田佐一君) それでは本日はこの程度において散会いたします。
   午後五時十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 佐一君
   理事
           内村 清次君
           岩木 哲夫君
           高橋龍太郎君
           田村 文吉君
           寺尾  博君
           堀越 儀郎君
           岩間 正男君
           木村禧八郎君
           岩男 仁藏君
   委員
           岩崎正三郎君
           岡田 宗司君
           和田 博雄君
           羽生 三七君
           石坂 豊一君
           岡崎 真一君
           小林米三郎君
           城  義臣君
           團  伊能君
           堀  末治君
          前之園喜一郎君
           赤木 正雄君
           飯田精太郎君
           井上なつゑ君
           西郷吉之助君
           伊達源一郎君
           藤野 繁雄君
           帆足  計君
           松村眞一郎君
           藤田 芳雄君
           小川 友三君
  国務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 吉田  茂君
   大 蔵 大 臣
   通商産業大臣  池田 勇人君
   国 務 大 臣 本多 市郎君
   国 務 大 臣 増田甲子七君
  政府委員
   地方自治政務次
   官       小野  哲君
   大蔵政務次官  水田三喜男君
   大蔵事務官
   (主計局長)  河野 一之君
   大蔵事務官
   (主計局次長) 石原 周夫君
   経済安定政務次
   官       西村 久之君
ソース: 国立国会図書館
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