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#1
第093回国会 文教委員会 第10号
昭和五十五年十一月二十一日(金曜日)
    午前十時三分開議
 出席委員
   委員長 三ツ林弥太郎君
   理事 中村喜四郎君 理事 森  喜朗君
   理事 嶋崎  譲君 理事 馬場  昇君
   理事 有島 重武君 理事 和田 耕作君
      臼井日出男君    浦野 烋興君
      狩野 明男君    久保田円次君
      高村 正彦君    近藤 鉄雄君
      塩崎  潤君    野上  徹君
      長谷川 峻君    船田  元君
      木島喜兵衞君    中西 積介君
      長谷川正三君    湯山  勇君
      鍛冶  清君    三浦  隆君
      栗田  翠君    山原健二郎君
      柿澤 弘治君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 田中 龍夫君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 鈴木  勲君
        文部省大学局長 宮地 貫一君
        文部省管理局長 吉田 壽雄君
 委員外の出席者
        文教委員会調査
        室長      中嶋 米夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月二十一日
 辞任         補欠選任
  小杉  隆君     柿澤 弘治君
同日
 辞任         補欠選任
  柿澤 弘治君     小杉  隆君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十四年度以後における私立学校教職員共
 済組合からの年金の額の改定に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
     ――――◇―――――
#2
○三ツ林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田耕作君。
#3
○和田(耕)委員 この問題は、これ自身として給与の率を変えるとかいうようなことがありませんので、この機会に、私立大学あるいは私学に関する一般的な問題の御質問をしてみたいと思います。
 私立大学等に対してのいろいろな研究設備等についての援助は大分前からやっておられるようですけれども、経常費に対しての補助を始めたのはどういうふうな意味からであったのか、その後の経過はどうなのか、そのことをお伺いしたいと思います。
#4
○吉田(壽)政府委員 現行の私立大学等経常費補助金でございますけれども、この補助金は昭和四十五年度に創設されたものでございます。それ以前につきましては、ただいま先生のお話の中にもございましたけれども、いわば必要に応じまして臨時的に私立大学の教育、研究用の設備とかあるいは図書等に対する補助の形がとられてまいってきたわけでございます。しかしながら当時、昭和四十五年度ごろは、私立学校の主要な財源は、もちろん学生から徴収する学生納付金でございましたけれども、その納付金の引き上げは、私立大学等の経費の増加になかなか追いつかないというようなことで、学校経営に支障が生じておりました。それからまた、一般に国公立の学校に比べまして総体的に低いと言われておりました教育条件の改善も次第に困難となっていたわけでございます。
 そういうことで、私立大学等の教育条件の状況と経営の実態にかんがみまして、昭和四十五年度の予算におきまして、新たに私立大学、短期大学、それから一部高等専門学校もございますが、これらの私立の高等教育機関に対しまして、経常的経費の一部補助を行うことといたしまして、同年度に百三十二億円を計上したわけでございます。その後、昭和五十年の七月に、議員立法によりまして私立学校振興助成法が制定されましたために、私立学校に対する助成が年々拡充されまして今日に至っている次第でございます。
#5
○和田(耕)委員 この助成金を決める場合の各学校の割り当てみたいなもの、どういう基準にしてこういう割り当てを決めるか、その基準というようなものがありますか。
#6
○吉田(壽)政府委員 そういう私学助成の配分の基準は、私立学校振興助成法に基づきまして日本私学振興財団が行うこととされておることは、先生の御承知のとおりと存じますが、私学振興財団は、法令並びに文部大臣の定める範囲内で配分基準を定めて各大学ごとの交付額を決定している、そういうやり方になっております。
 ちょっと敷衍させていただきますと、この補助金は、各私立大学ごとに専任の教員数、専任の職員数、それから学生数にそれぞれ所定の単価を乗じまして得た標準補助額を、当該私立大学ごとの教員一人当たり学生数など教育条件を考慮した係数でいろいろと調整して配分することといたしているわけでございます。配分の仕方、配分の基準は、おおむねそういうふうにして定められているところでございます。
#7
○和田(耕)委員 職員数とか、つまり、教育の規模を基準にして配分するというような考え方のようですけれども、これはどうでしょうか、私立大学の教育の内容が国公立に比べて少しレベルが低いとか学問、教育の環境が悪いとかということが前提になってこの助成が始められたということになりますと、最近では、財政状態の非常に良好な私学もだんだん出てきておるようでありますから、この問題とあわせて考えますと、学校の一定の規模が標準になりますと、収入のいいところはますます拡大していく、そしていままでの援助を受けることになるわけです。私立大学の中には、一般の文科系もあれば理科系もあるし、理科系の中にもいろいろな種類があるわけですけれども、日本の教育行政をあずかる文部省として、今後の私学をどういう方向に発展させていくのかという問題とも関係してくるわけですね。つまり、良好な財政状態にある学校が、もうけると言うとあれだけれども、収入になりそうなところが拡大していくことを放置するのはいかがかという感じは持つのですが、そういう問題はどういうふうにお考えになるでしょう。
#8
○吉田(壽)政府委員 いまお尋ねの問題は、大変むずかしい問題だと思います。
 ただいまお話のございましたように、結局さっき申しましたような画一的な配分方式を適用いたしますと、規模の大きな大学に相対的に大きな補助金がいってしまう、小さな規模の大学にはそれほどいかないという一般的な状況が出ているわけでございますが、これは配分の方法が各大学の学部ごと、学部のない大学では課程ごとに、さっき申しました教員数だとか職員数あるいは学生数に対応いたしまして補助金を算出するというやり方の結果、どうしても学部数をたくさん抱えている大規模の大学には大きな額の補助金がいく、小さな規模の大学にはそれほどいかないということになるわけでございまして、私ども、これはある程度やむを得ないのではないかと思っているわけでございます。
 ただ、今後の問題といたしましては、規模のそう大きくない大学でもきわめて特色のある教育なりあるいは研究をしているという大学につきましては、ただいま一般的に傾斜配分あるいは特別補助等を行っておりますけれども、そういう観点から比較的規模の小さな大学に対しましても、その大学における教育、研究がなるべく円滑に行われるように、あるいはそういう大学が今後大いに発展できるように工夫をした配分方式を引き続き検討していく必要があると考えているところでございます。
#9
○和田(耕)委員 規模の大きな大学に対して大きく行って、小さな大学に対しては少ないのは、ある程度までやむを得ないというお話でございますけれども、私もそう思います。ある程度までやむを得ないと思いますけれども、これは今後の日本の私学の問題にとって非常に大事な問題でありまして、この制度を始めてからちょうど十年になりますから、ここらで委員会でも何ででも、いまのような問題をもっと具体的に検討するようなものを設置してみたらどうかという感じが私にはするのです。
 単にいまのように大学が規模を大きくすれば補助金がたくさんもらえるという感じだけじゃなくて、もっと当面必要なあるいは余り急がないという問題もあるわけです、これは大学だけではなくて、その他の各種学校に至るまでそういう問題がたくさんあるわけです、非常にたくさんの分野でいろいろな大学あるいは私学があるわけですから、これを統制するという意味じゃないので、日本のそういう教育の問題を今後どういう方向づけをした方がいいのかということで、十年間を経過したところで一度検討してみたらどうか。問題がたくさんあると思います。ある一つの方向づけのできるような基準みたいなものをつくったらどうだろう、そういうふうな感じがするのですけれども、この問題はいかがでしょうか。
#10
○吉田(壽)政府委員 ただいまそういう御意見をいただきましたが、私どもも、この十年間に少しずつその配分の仕方につきましては工夫をこらしてきたつもりでございますが、なお必ずしもいまのやり方で十分であるとは考えておりません。
 そこで私どもは、常日ごろ日本私学振興財団の方と絶えず相談をしながら、国民の皆さんが御納得できるような、あるいは合理的な配分方式はどういうものかということで検討を進めているところでございます。
 ただいまの先生の御意見を十分に体しまして、今後とも、そういう方向で私学振興財団と協議しながら、その配分の仕方を改善するように努力してまいりたい、こういうふうに存じております。
#11
○和田(耕)委員 これは国民の税金を使うことでありますから、そういう意味では、義務教育の問題について、国民の税金を使って一番大事な教育を行う場に対しての文部省の姿勢が問題だと私は思うのですが、それとは違った意味で、同じような内容を持っておりますけれども、私学に対して国民の税金である国費を使う場合に、余りルーズで、しかも形式的な画一主義でやるということはいかがなものか、こういうことを考える時期に来ていると私は思うのです。これは国が経費を出すから、おれの言うとおりにしろなんということをやれとは決して言ってはいないのです。むしろ逆の考えを私は持っているのですけれども、それにしても国費を使うというからには、出す方にそれらしい責任があるわけです。ですから、そういうことを含めて、今後の私学の一つの方向の問題と関連して真剣な検討をする機会がぜひとも必要だと思う。
 これは先ほど申し上げたとおり、大学だけではありません。各種学校に至るまでの私学経営の問題について、一度本格的な見直しの機関を民主的な形で持つことをぜひお考えいただきたい。大臣、この問題はいかがでしょうか。
#12
○田中(龍)国務大臣 お説のとおりでありまして、本当に貴重な国民の税というものを配分するに当たりましては、お話のような一定の基準と正しい配分ということは、まず第一に考えなければならない鉄則だろうと思います。
#13
○和田(耕)委員 ぜひともお願いを申し上げます。
 まだいろいろありますけれども、採決を急いでおられるようでありますし、また、この問題については、私どもも積極的に賛成のものでありますから、いまの問題だけを御質問いたしまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#14
○三ツ林委員長 栗田翠君。
#15
○栗田委員 私学共済の問題について、いままで先輩委員の方々がいろいろ質問されましたので、私は、重複する問題は省いて伺いたいと思います。
 附帯決議が幾度も出されておりまして、その中身などについても、繰り返し皆さんから質問が出ておりましたが、附帯決議でいままでよく載せられていたものの一つに、退職手当制度のあり方についての検討を速やかにやるようにというのがありました。これは検討機関も設置されて、しかも調査費が百八十万ぐらいついていると思いますけれども、この検討の内容が現在どうなっているのかということについて伺いたいと思います。
#16
○吉田(壽)政府委員 文部省では、ただいま仰せのありました私立学校教職員の退職金制度のあり方につきまして調査研究するために、退職金の実務に明るい私学関係団体の方々を煩わしまして、私立学校教職員離職状況等分析研究会を昭和五十一年の八月に発足させまして、昭和五十三年の三月まで調査研究を行ってきたところでございます。この研究会におきましては、退職金制度のあり方について調査研究を行うためには、まずその実態調査を行う必要があるということで、すべての種類にわたる学校を対象とした調査を行うことといたしまして、調査事項等について検討を行いますとともに、その取りまとめを行ったところでございます。
 なお、私学関係の団体の方ではどういう検討を進めているかということをちょっと御紹介申し上げますと、全私学連合という連合体がございますが、ここでは昭和五十一年の五月に、文部大臣あてに私立学校教職員の退職制度創設に関する要望書を提出いたしております。文部省としましては、この要望に沿いまして調査研究を行ってまいりましたが、全私学連合が要望しておられます制度は、各私学に対しまして一律に強制的に適用するという中身でございまして、また、そのためには特殊法人を設置する必要があるということも言っておられます。そういうむずかしい問題がこの中に含まれておりますし、現在都道府県には、大方、この退職金に関する団体がすでにできておりますけれども、そういう都道府県段階の退職金団体との調整の問題、そういう諸問題がいろいろと関連いたしますので、その実現はそう簡単ではないというような結論に全私学連合も一応達しまして、なかなかこれが進捗していないという実情でございます。
 私学側におきましては、現在も大学、短大の退職手当のあり方あるいはその財源の確保の方策について、引き続き検討を進めておられるというふうに私どもは承知いたしております。したがいまして、文部省といたしましては、その私学側のおおよその結論と申しますか、そのまとまりを拝見しながら、文部省としてどういう策を講ずべきかということで検討いたしたい、こういうふうに考えているところでございます。
#17
○栗田委員 いままでの提案された中身が非常にむずかしい、では、検討の結果では、たとえばいままで大学、短大などでやっているように、学校ごとに強めていくという方向での国庫補助をふやしていくとかそういう方向への転換ということもあるわけでございますね。
#18
○吉田(壽)政府委員 文部省としてまだそこまでは考えておりませんが、いま先生の仰せられた考え方も一つの考え方ではあるというふうに思っているところでございます。
#19
○栗田委員 それでは、次の問題に移りますけれども、私学共済法の審議のたびに、運営審議会のメンバーの構成の問題も幾度か出されてまいりました。そしてこの運営審議会のメンバーといいますのは、学識経験者、理事者側、組合代表の三者構成になっていて、いま二十一名でやっていらっしゃるということでございますけれども、この組合代表の推薦母体が一体どこなのかということが、どうもいままでもはっきりしなかったような気がいたします。
 いろいろ組合員のお話を聞いてみますと、自分の学校から代表が推薦されていたことさえも知らなかったとか、それから、いまだかつて代表たちが審議会に、組合員のどういう声を反映したらいいかということを聴取したこともないといったような声がしきりに出ているわけでございます。掛金の負担率からいいましても、組合員は圧倒的に教職員が多いわけですけれども、この教職員の意見が反映していないということは、運営の民主化ということで大変問題があると思います。
 このことは、すでに幾度か取り上げられておりますけれども、文部省としては、この点についてはどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。
#20
○吉田(壽)政府委員 私学共済の運営審議会の委員構成が三者構成になっているということは、先生の仰せられたとおりでございますが、このうち、組合員の関係あるいは法人関係の方から出ていただく委員につきましては、私立学校側の意向を十分にくむために、私学共済の発足以来、私学団体の推薦によって委員を文部大臣が委嘱しているというやり方をしているわけでございます。この推薦母体と申しましたのは、全私学連合でございますけれども、この構成メンバーは、日本私立大学連盟あるいは日本私学大学協会等々七団体で構成されているわけでございます。これらの団体は、学校法人の役員だけで構成されている団体ではございませんで、学校自体を加盟のメンバーとするという包括的な団体でございます。そうして私学全体の振興を図ることを目的としている、そういうものでございます。したがいまして、役員だけでございませんで、広く教職員の意向も反映されている団体であるというふうに私どもは見ているわけでございます。
 なお、推薦団体である全私学連合に対しましては、常々、組合員関係の候補者の推薦に当たりましては、組合員の意向が十分反映されるように、組合員を代表するにふさわしい方を推薦していただくように私どもお願いしているところでございます。
 ただ、ただいま御意見のございましたように、どうも各学校の職員に、この私学共済組合のことが、あるいは運営審議会における検討事項が十分に浸透していないというような御批判でございますが、この点につきましては、私立学校共済組合の方ではいろいろと工夫はしていると思うわけでございます。たとえば毎月、私学共済の方からPRのための広報紙も発行されまして、各大学に配られているというふうに承知しておりますし、その他、いろいろな会議等の機会をとらえまして、私学共済が現在どういうふうに動いているか、どういう方向に進んでいるか、あるいは現在の問題点はどういう点かということについて、私学共済の方から各私学団体を通じ各学校にそういう情報が配られているというふうに私ども承っているわけですが、なお不十分な点も相当あろうかと存じますので、今後、私学共済とまた十分協議しながら、各学校の全職員の方々に、私学共済のいろいろな問題点あるいは趣旨等が徹底するように努めてまいりたい、そういうふうに考えております。
#21
○栗田委員 PRの広報紙なども、全組合員に渡る数はなくて主に学校の事務室どまりだという話も聞いております。そういう意味でもなお徹底できないいろいろな要因があるのではないかと思うのです。
 もう一つは、公立共済には日教組の代表が入っていますけれども、私学共済の方には入っていませんね。これは入れるべきではないでしょうか。日教組関係の私学の関係者は三万人おりますから、私学共済組合の大体一割くらいはいるわけで、こういうところから入れていったならば、そのような組織を通じてももっと徹底をさせることができるのではないかという意見が強く出ておりますし、文部省にもそういう声は上がっていると思いますけれども、その点についてはどうお考えになりますか。また、どういう努力をしていらっしゃいましたか。
#22
○吉田(壽)政府委員 お話のございました公立学校共済組合は、御承知のとおり地方公務員の共済組合の傘下の一共済組合ということでございまして、そこの運審は労使による二者構成となっているということは、先生のおっしゃるとおりでございます。それに対しまして、この私学共済は、私立学校という職域をとらえまして、いわば単一の職域に係る組合というようなことで、当初の立法によりまして三者構成で法律上規定されているという経緯があるわけでございます。
 したがいまして、公立学校共済組合とはややその意味で制度的な面であり方が異なっているかと存じます。しかしながら、三者構成というようなことで各学校の職員、つまり組合員の意向が十分反映されないということであっては、これは大変遺憾なことでありますので、ただいまおっしゃられました趣旨を十分に体しまして、私学共済組合とも十分相談しながら、組合員の意向が十分反映され、また、この運営審議会並びに私立学校共済組合そのものが民主的に運営されますように、私ども引き続き努力をしなければならないというふうに思っております。
#23
○栗田委員 この運営審議会の委員のメンバーは来年二月に改選されると思いますけれども、いまのようなお答えをいただきましたから、二月に間に合うようにそういう話し合いなども進めていただいて、組合員のポストの中に日教組関係が入るような方向での御努力をいただきたいのですが、いかがでございますか。
#24
○吉田(壽)政府委員 そういう先生の御要望の趣旨はよくわかりましたが、労働組合ということでそういう単位をとらまえて、そこから委員を出すということになるかどうか、これはまだ私、何とも申し上げられる段階ではございません。
 ただ、そういう先生の御要望があったということを十分に踏まえまして、私学共済とも相談して対処いたしたいというふうに考えております。
#25
○栗田委員 大臣に伺いますけれども、この運営審議会の委員の任命は文部大臣がなさるわけでございます。いま幾つか申し上げたように、組合員の本当の声が私学共済関係の審議会の中で十分反映しないということになれば、やはり問題でして、本当に徹底してみんなの声が上がり、ほかの共済と比べて給付が悪いとかいろいろな不満が出てこないような、十分民主的な審議ができるように文部大臣としてもぜひお取り計らいいただきたいのですけれども、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
#26
○田中(龍)国務大臣 制度上の問題でもございますと同時にまた、私学共済自体の経営者と組合との問題だろうと存じます。御趣旨のほどは拝聴いたしまして善処いたしたい、かように考えます。
#27
○栗田委員 次に、不当労働行為などで私学を解雇された教職員の私学共済資格の問題がございます。これは以前に比べますといろいろと改善をされてきて、身分保全などの処置がされた場合には資格も継続しているようになっているわけですけれども、しかし、まだまだ問題がございます。
 たとえば、身分保全の仮処分がされた場合でも、その仮処分がされるまでには三年間ぐらいかかるのが最近の例で、その三年間は資格を一時失う状態になって、そのために本人の病気はもとより家族の病気のときなどにも私学共済が使えないということで、首は切られた形になったし、保険は使えないしといういろいろ不便なことが起きてきているわけです。
 ところで伺いますけれども、七〇年代十年間で、不当労働行為ということで訴えられた、解雇をめぐる問題で裁判にかかったもの、また、労働委員会にかけられたものは、一体何件くらいあるでしょうか。そしてその結果はどうだったでしょうか。
#28
○吉田(壽)政府委員 私学共済の審査会に組合員の資格に関連いたしまして不服申請がありましたものは、昭和四十三年から今日まで約百件ほどございますが、そのうち、いまおっしゃられました不当解雇に係るものは二十五件でございます。
#29
○栗田委員 二十五件とおっしゃるのはずいぶん少ないと思います。不当解雇とおっしゃる範囲が狭いのかもしれませんね。不当労働行為で解雇された場合、私の調べたのでは四十四件あるのですが、それで結果はどうだったでしょうか。
#30
○吉田(壽)政府委員 不当解雇ということで審査請求があったという意味でございます。それが不当解雇に係るものでございますが、昭和四十三年から今年度、今年度はまだ一件でございますけれども、二十五件のうち不当解雇の取り消し処分、それから取り下げというのが多いわけでございまして、要するに取り下げというのは、和解が成立して審査請求を取り下げたということで、そういうものが二十五件のうち十八件でございます。あとの六件は却下または棄却、そういう数字になっております。
#31
○栗田委員 ちょっとそちらの数字とこちらの数字が違うようなんですが、私の持っている資料の四十四件を見ますと、勝訴をした者と和解をして復帰した者ばかりなんですね。だから、いまお話がありましたように、取り消しというのは二十五件の中では六件ということですが、ちょっと幅を広げて、解雇に反対しているということでいろいろやられてきたものの中では、ほとんど勝訴しているか、少なくとも和解が成立して職場復帰しているかという状況がいま多いわけでございます。
 ところで、さっきも申しましたように、不当労働行為などで解雇されたのだという訴えが出ている場合でも、いまの状態ですと、経営者側の一方的な通告で共済の資格は剥奪されてしまうわけですね。しかし、これは実際には労使折半で掛金も掛けているものであって、本来ならば共済の資格についても経営者側だけの通告で資格が剥奪されてしまってよいのだろうかという問題もあるわけですし、特に不利益を組合員がこうむるわけで、実際には不当解雇という場合がたくさんあるわけです。勝訴または和解が圧倒的に多いというわけです。
 そこで、不当労働行為であるということで訴えがされている者については、少なくとも判決が出るまでは資格は保全しておくべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#32
○吉田(壽)政府委員 先生の御意見の趣旨はわからないわけではございませんけれども、私学共済の組合員が当該学校におきまして解雇ということになりますと、私学共済法上は組合員の退職ということになるわけでございます。そういうことで退職した翌日から組合員の資格を喪失するということで、これは私立学校共済組合法の中にも規定されておりますけれども、健康保険とかあるいは厚生年金保険とかその他被用者に対する社会保険制度全般の共通の問題でございます。そういうようなことで、私学共済に関してのみ、先生がおっしゃられましたような措置を講ずることは、きわめて困難であるというふうに考えているわけでございます。
 しかしながら、これは御承知のこととは存じますけれども、労働委員会なりあるいは裁判所におきまして判定がありまして、これが不当解雇であるということがはっきりして身分を回復した場合には、その間御本人が払われた医療に要する療養費とかあるいは年金に係るその年金の通算期間、こういうものにつきましては、その解雇時にさかのぼっていわば補償すると申しますか、そういう仕組みになっております。これはほかの社会保険制度共通の措置でございますが、現在においては、そういうことでやむを得ないのではなかろうかというふうに思っているところでございます。
#33
○栗田委員 身分保全の処置がされた場合でも解雇はされているわけですね。
 そういうことともう一つは、退職した場合でも掛金を二倍払った場合には共済組合員の身分をつなぐことができるという制度もあるのじゃありませんか。いかがですか。
#34
○吉田(壽)政府委員 任意継続の組合員という制度はございます。
#35
○栗田委員 そうしますと、必ずしも無理な主張ではないのではないかと思います。それは身分保全という処置がされたとき、継続することを思うならば、係争中であっても一いま私が言っていますのは、身分保全が直ちにされれば、これは問題ないのですけれども、実際三年かかっているというこの間の問題ですね。そこが不利益になっているわけです。そこを埋めるという考え方です。実際にはその間は解雇という形になっていますけれども、いままでの不当労働行為などで訴えられているものがどういう結果を見たかという数を見ますと、ほとんどは勝訴か和解しているものですから、そういうことから考えても、そういう措置をとってもあながち悪くないのではないかということです。
 それから、掛金の問題なんか出てくると思います。半分は経営者側が掛けるわけですから解雇したのに掛金掛けることはない、こういうことになってくると思いますけれども、不当労働行為で係争中の者は退職金などは大抵供託していますので、そういうものなどを一時掛金に充てるという考え方もできるのではないかと思うのですけれども、そういうことでいかがなんでしょうか。そういうことも検討していただける可能性はあると思いますが、お考えを伺いたいと思います。
#36
○吉田(壽)政府委員 お尋ねの件でございますが、解雇された理由がそもそも不当労働行為であるかどうか、そのことが労働委員会なり裁判所等で審査検討されるわけでございますので、いまの社会保険全体の制度の問題として、私学共済だけがその間組合員として継続させるということは、きわめて困難な問題であると思うわけでございまして、健康保険なり厚生年金保険なり公的社会保険制度全般の問題としてそれは検討する必要はあろうかと思いますけれども、私学共済についてのみいわば先行するような形でおっしゃるような趣旨に改めることは、私ども困難であるというふうに思っているわけでございます。
#37
○栗田委員 確かに全般の問題でございます、ですから、その点はそうなんですが、その中の私学共済として念頭に置いて一つの検討課題にしていただきたいということです。
 それでは、次の問題に移ります。
 私学共済が充実した内容を持っていくためにも、私学自身の経営が充実しなければならないと思うわけです。最近、私学助成とか教科書の有償化問題などでも、いろいろ財政危機を理由にした大蔵省側の発言が強まってきておりまして、私学助成も見直しをしろというようなことを大蔵省がしきりに言っているわけでございます。
 文部大臣に伺いますけれども、こういう教科書の有償化、私学助成の見直しなど、大蔵省が出していますいまの考え方について、文部省としてどう対処なさるおつもりでしょうか。
#38
○田中(龍)国務大臣 われわれの方はすでに概算要求を出しておりますし、文部省としては従来同様一貫した考え方のもとに進んでまいります。
#39
○栗田委員 文部省にぜひがんばっていただきたいと思うわけです。大蔵省は私学助成見直しの理由として、これは読売新聞などが報道していた中身ですが、私学の経営状態は赤字から黒字に転換しているのだとか、その結果、補助金を受けながら国公立以上の給与を払う学校が多くなっているとか、大学、高校への進学率はほぼピークに達して、今後は横ばい状態になっていくとかいろいろな理由を挙げまして、私学をめぐる環境が変化しているから私学の見直しや抑制の方針で臨むのだと言っているということが報道されております。
 文部省は、こうした大蔵省の方針の詳細をつかんでいらっしゃるのでしょうか。実際に大蔵省がどういうふうに言っているかということです。
 それからもう一つは、文部省もこうした認識に立っていらっしゃるのか、そうではないのか、その点について伺いたいと思います。
#40
○吉田(壽)政府委員 本年の七月に大蔵省が発表いたしました、これはマスコミ等にも大々的に報道されました「歳出百科」というのがございますが、そこにおいて、私学の経営状況が、私学振興助成法が成立したころから見ると、相当改善されているというようなことを主張いたしまして、私学助成については極力抑制する必要があるというようなこと、また、私学の教育、研究条件の向上に資するようにさらに効率的な配分について検討する必要があるというようなことを挙げましたけれども、私ども、大蔵省がそういうことを主張したということは十分承知しているつもりでございます。
 それから、本年の十一月に、これも新聞、テレビ等で報道されましたが、財政制度審議会に対しまして、私学助成の拡充とともに私学の経常収支が昭和五十一年度以降毎年黒字が着実に増加していること等から、私学助成の規模を妥当なものに保っていく必要があるが、その方策をどう考えるか、同時に、現在、私立大学等経常費補助金は傾斜配分を行っているが、経営が効率的なものであるか否かにかかわらず、おおむね平均的な助成を行う結果に陥るおそれもあるので、より効率的な助成となるような方策をどう考えるかということについて意見を聞いたということも、私ども十分承知しているつもりでございます。
 それで、そういうことにつきましては、私どもも、いろいろと反論したいと思うわけでございますが、大蔵省は黒字を出している大学等には補助はしないとか、そういうようなことを別に大蔵省が言っているわけではないというふうに私ども承知しているところでございます。
#41
○栗田委員 それでは、少し具体的に伺いますけれども、私学助成の結果、私学が赤字から黒字に転換していると大蔵省は言っていますけれども、その点は実際にはどうなのでしょうか。
#42
○吉田(壽)政府委員 私学助成がただいま挙げられました私立大学等経常費補助金の拡充によりまして、もちろん、それだけではございませんで、私学自身の自主的な努力も相まっているわけでございますけれども、私学財政が年々好転してきているということは事実であると私ども見ております。
 私立大学等の財政を昭和五十三年度の経常収支で見てみますと、約千三百億円の黒字となっております。これは私学全体でございます。
 そこで、この経常収支でございますけれども、基本金としての組入額や減価償却費あるいは退職給与引当金への繰入額等を考慮しておりませんために、その経常収支だけで私学の財政を的確に判断することはできないというふうに考えております。
 そこで、いま申し上げましたような減価償却費等を十分勘案したものが、いわゆる消費収支と申すものでございますが、この消費収支状況で私学財政の状況を判断することが適当であるというふうに考えております。
 そこで、昭和五十三年度の大学法人、大学を持っている学校法人ですけれども、大学法人の消費収支はどうなっているかと申しますと、百十二億円の赤字となっているわけでございます。それから、もう一つ資料を申し上げますと、過年度のいわゆる累積赤字でございますが、赤字がどのくらいになっているかと申しますと、大学法人全体で約千二百億円という相当大きな数字でございますし、そのほかに、私学振興財団その他の金融機関等から借りた長期の借入金、これが約四千二百億円ございます。
 そういうようなことで、大学法人の財政状況は、一応傾向としてはいい方向に向かっているわけでございますが、必ずしも安心できるような状況ではないというふうに私どもは考えているところでございます。
#43
○栗田委員 大蔵省主計局がつくりました財政審議会に提出された資料を見ますと、経常収支の状況だけが書かれていまして、いまお話のあった消費収支についてはないわけです。経常収支を見ますと確かに黒字ですが、いまのお話ですと、本当の経営の状態を見るのは消費収支を見なければいけないと思いますが、借入金だとか基金の問題だとか、そういうことを全部考えていけば、五十三年度赤字だし、それから累積赤字、長期の経営の状態でも非常に赤字だという点で、黒字だと言うことは、それでは正しく私学の実態をあらわしてはいないと考えていいわけですね。
#44
○吉田(壽)政府委員 私どもは、本当に黒字かどうかということにつきましては、消費収支の状況で判断するのが、一番適当であるというふうに考えております。
#45
○栗田委員 次に、経常費総額の助成が二分の一に近くなっているといったようなことも実は大蔵省が言っておりますけれども、文部省は、その点どうお考えになっていらっしゃいますか。
#46
○吉田(壽)政府委員 御存じのとおり私立学校振興助成法におきましては、私立大学等に係る経常的経費、教育、研究に係る経常的経費の二分の一以内を補助することができるというふうになっているわけでございます。文部省、政府といたしましては、その趣旨に沿って年々経常費補助の拡充を図ってきたところでございますが、特に専任の教職員の給与費あるいは教員経費あるいは学生経費等、経常費補助の主要な項目につきましては、すでに二分の一補助を達成している段階でございます。しかしながら、経常費全体で見るときには、まだその中の約三〇%という比率に現在なっているところでございます。
#47
○栗田委員 補助対象から外されているものもかなりあるようですが、どんなものが外されておりますか。
#48
○吉田(壽)政府委員 補助対象から外されているものは、主なものを挙げますと、労務系職員に係る給与費とか、あるいは非常勤職員の給与費、あるいは退職金支出、それから管理的な経費、こういうものが現在、補助対象から外されておる主なものでございます。
#49
○栗田委員 かなり重要なものも外されているわけで、実際には経常費総額からいえば、まだ三〇%程度というお話です。そうしますと、この点でも私学助成の見直しという段階にはまだまだ来ていないし、私学振興助成法の趣旨から言っても、もっともっとがんばっていただかなければならないということだと思いますが、その点について大臣の御決意を伺いたいと思います。
#50
○田中(龍)国務大臣 ただいま当局から詳細御説明申し上げたような次第でございまして、もちろん私はさように考えております。
#51
○栗田委員 私学助成の一つの目的として、父母負担を軽減して教育の機会均等を図っていくということが言われているわけでございます。いままで授業料に対する直接補助を行えという声はずいぶんありますが、実際にそれがやられておりません。
 ところで、伺いますけれども、一九七八年の概算要求で文部省は授業料を具体的に軽減するための補助費の要求をなさったと思いますけれども、これはどういう趣旨からなさったのでしょうか。
#52
○吉田(壽)政府委員 昭和五十四年度の概算要求に当たりましては、御案内のように、私立高等学校等経常費助成費補助の中に、授業料の減免を行う私立高等学校のために都道府県が経常費について特別助成を行うのに必要な経費の一部を補助するというような趣旨で要求を行ったのは事実でございます。しかしながら、財政当局との予算の折衝過程におきまして、当面経常費補助、その拡充を図ることに全力を挙げるべきであって、経常費補助と相並んで直接授業料等を抜き出して修学上の経済的負担の軽減を図る、その二本立てでは財政事情その他から考えてとても無理であるというふうに文部省で判断いたしまして、当面は、法律に基づく経常費助成に全力を挙げるということで当時は一応要求を引っ込めた、こういう結末になっております。
    〔委員長退席、中村(喜)委員長代理着席〕
#53
○栗田委員 財政事情から片方にしぼったというふうに伺ってよろしいわけですね。
#54
○吉田(壽)政府委員 財政事情等、その他の要因もあったと思うわけでございますが、財政事情等からして両方を確保することは容易なことではない、当面は経常費助成に全力を傾けるということでそちらの方は取りやめた、こういうことでございます。
#55
○栗田委員 その他の要因というのはどういうことですか。
#56
○吉田(壽)政府委員 この問題は、補助金制度全体の問題であろうかと思うのでありますが、要するに学校という機関に対して補助する、いわゆる機関補助と一般的に言われておりますが、そういう補助が妥当なのか、あるいは生徒一人一人、結局は父兄の負担でございますが、そういう個人補助が妥当であるかということにつきましては、補助金の制度上いろいろな問題がある、議論もあるというようなことで、両者を併存させるのは大変問題があるということで授業料に対する直接補助というものは一応取りやめた、こういうことでございます。
#57
○栗田委員 七八年の概算要求のときにも、直接補助というよりは直接的補助ということでおやりになったのじゃないかと思うのです。学校が生徒に対して授業料を免除した場合にその分を学校に補助する、学校という機関に補助する、そういうお考えで概算要求をなさったように伺っておりますので、補助金の性格ということから言いますと、そういう点はちょっと違うのじゃないかと思いますけれどもね。
 それで私、いまいろいろ伺ってまいりましたけれども、しかし文部省としては、父母の負担を軽減させるということも私学振興助成法の目的の一つとしてはっきり書かれています。「私立学校の教育条件の維持及び向上並びに私立学校に在学する児童、生徒、学生又は幼児に係る修学上の経済的負担の軽減を図る」云々とありますが、そういう立場から言えば、財政事情が許し、また、いわゆる補助金の性格を満たすものであるならば、こういうこともやっていく必要はあるのだなというふうに思っていらっしゃるわけですね。
#58
○吉田(壽)政府委員 そういうような父兄負担の軽減に資するということで授業料等を一応抜き出しまして、それに対して直接補助するというのは、一つの意見と申しますか、考え方であるということで私どもは承知しているわけでございます。
    〔中村(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
#59
○栗田委員 しかし、一度概算要求をなさったということは、そういうことの必要もお考えになり、それから当時請願も採択されておりますし、そういうことでなさったのだと思いますけれども、そうですね。
#60
○吉田(壽)政府委員 そういうことで文部省が概算要求をした経緯もありますし、いまおっしゃられましたようなやり方が父母負担の軽減の一つのあり方であるということにつきましては、私ども問題意識としていまも十分持っているところでございます。
#61
○栗田委員 実際の問題として七〇年から経常費助成が始まりましたけれども、経常費助成が始まることによって私学の経営状態はだんだんよくはなっておりますが、父母負担は余り軽減されておりませんね。実態はどうでしょうか。
#62
○吉田(壽)政府委員 この経常費助成を行ったことによって父母負担はどういうふうに軽減されてきたかということでございますが、どういう指標と申しますか、どういうもので判断するかというのは必ずしも容易なことではないと思いますが、一応端的な指標、そういうもので申し上げますと、私立学校の昭和五十五年度の入学者にかかるものでございますけれども、初年度の学生納付金は授業料、入学料、施設整備費の合計でございます。大学については、もちろん昼間部でございますが、前年度の入学者に比べまして八・七%増の平均七十万五千円でございます。高等学校につきましては、前年度に比べまして三・六%増の三十六万五千円となっておりまして、ここ数年来の傾向を見てみますと、昭和五十年度をピークといたしまして年々学生納付金の上げ幅が鎮静してきている、鈍化してきている、そういう状況でございます。
 私立学校は、授業料等学生納付金が主要な財源となっていることは御案内のとおりでございます。そういうことのために教職員の給与の引き上げあるいは諸物価の上昇もあるというようなこと、そういうことでこれを賄うための収入の増加を図る必要が出てまいるわけでございます。あるいはまた、いわゆる水増しを解消するというようなことで定員超過の改善を初め教育条件、研究条件を向上させる必要があるというようないろいろな事情がございますので、結果的には授業料等この学生納付金がある程度引き上げられるということは、やむを得ないことであるというふうに私ども考えておるところでございます。
#63
○栗田委員 上げ幅が鈍化しているというふうにおっしゃったのですけれども、一九七〇年ごろから比べますと、七四年あたりから大変な勢いで上がっているというふうに私は見ているのです、いま比較なさったのは、ごく短いここ一、二年を比較なさっていますけれども。一九七〇年には、大学の初年度の入学金その他全部入れますと二十四万二千八百五十七円だったのです。それが七七年になりますと、文部省がお出しになった資料でも四十九万三千五百二十五円ですから、倍になっていて、そして五十五年、八〇年を見ますと七十万四千八百九十円ですから、七〇年と八〇年を比べると三倍になっていますね。特に七四年ごろから急速に上がっていると私は思っているのです。私学助成が始まってからむしろ――まあ始まったからということではないのですが、いろいろな物価の値上がりとかその他も全部ひっくるめてですけれども、私学助成が始まったから鎮化したという状態ではない、短く言えばそうですが、実際そうではないですか。
#64
○吉田(壽)政府委員 先生は西暦でいろいろとおっしゃいましたけれども、昭和で申し上げますと、昭和五十年度に授業料等納付金が大変引き上げられたということは仰せのとおりでございます。
 いまここに、昭和四十九年度以降の資料を持ち合わせておりますので、それに基づいて申し上げますと、大学の昼間部でございますが、昭和四十九年度は前年度に比べて平均八・九%の引き上げでございます。それから五十年度は、いま先生がおっしゃいましたように、前年度に比べて三一・五%という相当顕著といいますか非常なアップ率でございます。これは例の昭和四十八年度におけるオイルショックの影響がこの辺に出てきた、オイルショックの影響もこれあり、また民間なり公務員の給与も、この年には大幅に上がったというふうに私、記憶いたしておりますが、そういうようなことも影響しておりましょうし、いずれにしましても、五十年度で二一・五%という大幅な対前年度比でございます。五十一年になりますと、前年度に比べて一九・九%、五十二年は対前年度一〇・五%、五十三年度は対前年度一七・四%、この年がやや上がっております。それから五十四年度は一一・九%、五十五年度は八・七%ということで、五十三年度はちょっと異例でございますけれども、大体五十年度をピークとして徐々に上げ幅が落ちてきているというふうに言ってよかろうかと思います。
 このことは、全日制の高等学校を見ますと、なおはっきりしてまいるわけでございます。ちょっと申し上げてみますと、昭和五十年度には高等学校の納付金は前年度四十九年度に比べて実に四四・九%も引き上げられた、異常な伸びでございましたが、五十一年は対前年度比二一・〇%、五十二年は一二・五%、五十三年は一一・五%、五十四年は四・七%、それから今年度は三・六%ということで、ここでは最近数年漸減している、アップ率が鈍化しているということは事実であろうかと存じます。
#65
○栗田委員 とにかく値上げはなるべくアップ率を鈍化させていかなければならない。それにしても、この十年間で三倍というのは、父母にとって大変な負担ですし、経済的な理由で修学できない、進学もできないという人たちもふえてくるわけです。
 先ほどお話がありましたように、父母負担軽減の方向で、以前の国会での請願の採択の趣旨なども踏まえて十分な御努力をお願いしたいと思います。
 引き続きまして、時間がわずかですので、次に移りますけれども、奨学金の問題について大蔵省が返還免除制度の見直しとか、それから利子をつけるべきだということを言っておりますね。これについて文部省はどうお考えになっていらっしゃいますか。
#66
○宮地政府委員 御指摘の奨学金の有利子化を検討しているというお話でございますけれども、私ども直接には伺っておりませんが、財政審でそういう検討が行われたということを伺っております。しかしながら、先生御存じのとおり、育英会の制度というのは、基本的には、優秀な学生生徒で経済的な理由で修学困難な者に学費を貸与して、教育の機会均等を図るという基本的な目的があるわけでございまして、文部省といたしましては、育英奨学制度の充実という観点で検討することは多々あろうかと思いますけれども、ただいま御指摘の有利子化ということだけを検討するということは考えられないことでございます。
#67
○栗田委員 時間がなくなってまいりましたので、また奨学金の問題なども今後含めて伺わせていただきたいと思いますが、外国、アメリカやヨーロッパ諸国では、貸与どころか給与という例も非常に多いわけで、日本が貸与の上にサラ金並みの利息つきなどということになれば大変ですし、いまお話がございましたように、その拡充充実の方向で父母負担の軽減、教育の機会均等というために努力をしていただきたいと思います。
 では最後に大臣に伺いますけれども、財政危機ということを理由にして、先ほどから挙げましたように、私学助成の見直しだとか、奨学金制度の見直しだとかいろいろな形で大蔵当局が発言をしておりますけれども、しかし、本当に次代を担うおもちを育てていくという意味から言いましても、また教育の機会均等を守っていくということから言いましても、文部省としては、いままでやってきました制度の充実、拡充ならいざ知らず、その削減などということがあってはならないと思いますが、その点での御決意を伺いたいと思います。
#68
○田中(龍)国務大臣 現状の財政の苦しいことは、われわれみんなよく存じておるのでありますが、文教政策なるものは、未来の日本の形成でありまして、この点は当面の些々たる問題とは異なり、非常に重大な将来の日本の問題でございます。その点だけははっきりと確認申し上げます。
#69
○栗田委員 それでは、これで終わります。
#70
○三ツ林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#71
○三ツ林委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#72
○三ツ林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#73
○三ツ林委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、馬場昇君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 本動議を議題といたします。
 提出者より趣旨の説明を求めます。馬場昇君。
#74
○馬場委員 私は、提出者を代表して、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明を申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について検討し、速やかにその実現を図るべきである。
 一 長期給付に要する費用に対する国の補助率を百分の二十以上に引き上げるよう努めること。
 二 長期給付に対する日本私学振興財団の助成金について、必要な強化措置を講ずるよう努めること。
 三 地方財政の実情にかんがみ、長期給付掛金に対する都道府県の補助を充実するため、必要な措置を講ずるよう努めること。
 四 年金額改定のいわゆる自動スライド制については、給与スライドの導入を検討すること。
  右決議する。
以上でございます。
 その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。
 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#75
○三ツ林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 これより採決いたします。
 馬場昇君外五名提出の本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#76
○三ツ林委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、附帯決議に対し、政府の所見を求めます。田中文部大臣。
#77
○田中(龍)国務大臣 ただいま御決議がございました事項につきましては、御趣旨に沿いまして十分検討いたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
#78
○三ツ林委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#80
○三ツ林委員長 次回は、来る二十八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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