くにさくロゴ
1980/10/30 第93回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第093回国会 本会議 第10号
姉妹サイト
 
1980/10/30 第93回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第093回国会 本会議 第10号

#1
第093回国会 本会議 第10号
昭和五十五年十月三十日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  昭和五十五年十月三十日
    午後一時開議
 第一 労働者災害補償保険法等の一部を改正す
    る法律案(内閣提出)
 第二 日本原子力船開発事業団法の一部を改正
    する法律案(内閣提出)
 第三 農住組合法案(内閣提出)
 第四 郵便法等の一部を改正する法律案(第九
    十二回国会、内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 労働者災害補償保険法等の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
 日程第二 日本原子力船開発事業団法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 農住組合法案(内閣提出)
 日程第四 郵便法等の一部を改正する法律案
  (第九十二回国会、内閣提出)
    午後一時三十五分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 労働者災害補償保険法等の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
#3
○議長(福田一君) 日程第一、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長山下徳夫君。
    〔山下徳夫君登壇〕
#4
○山下徳夫君 ただいま議題となりました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、労働者の業務災害または通勤災害に関し、遺族に対し支給する年金額の引き上げ、その他保険給付の内容を改善整備するとともに、保険給付と民事損害賠償との調整等について定めようとするもので、その主な内容は、
 労働者災害補償保険につきましては、
 第一に、遺族が一人から四人の場合の遺族補償年金の額をそれぞれ引き上げること、
 第二に、障害補償年金の受給権者が死亡した場合において、すでに支給された年金の合計額が一定額に満たないときは、その差額に相当する額の差額一時金をその遺族に支給すること、
 第三に、障害補償年金の受給権者が希望する場合には、一定額の範囲内で前払い一時金を支給すること、
 第四に、年金給付等の額のスライドの発動要件について、賃金水準の変動幅を現行一〇%から六%を超える場合に改めること、
 第五に、通勤災害に関する保険給付の内容等についても同様の改善を行うこと、
 第六に、労働福祉事業として、年金担保融資制度を設けること、
 第七に、同一の事由についての労災保険給付と、それと重複する部分の民事損害賠償とを調整するための規定を整備すること、
 第八に、事業場ごとの災害率による保険料の調整幅の限度を拡大すること、
 船員保険につきましても、労働者災害補償保険の改正に準じた改正を行うことなどであります。
 本案は、去る十月十四日委員会に付託となり、二十八日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、民事損害賠償を受けた場合の保険給付の調整並びにスライド制及び遺族に対し支給する年金額の引き上げに係る適用期日等について、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ及び社会民主連合の六党共同提案に係る修正案が、また、日本共産党より、保険給付と民事損害賠償との調整規定の削除等を内容とする修正案がそれぞれ提出され、採決の結果、日本共産党の修正案は否決され、本案は六党共同提案の修正案のとおり修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第二 日本原子力船開発事業団法の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
#7
○議長(福田一君) 日程第二、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。科学技術委員長中村弘海君。
    〔中村弘海君登壇〕
#8
○中村弘海君 ただいま議題となりました日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、科学技術委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、わが国における原子力船の開発を推進するため、日本原子力船開発事業団に、原子力船の開発に加えてこれに必要な研究を行わせることとし、その名称を「日本原子力船研究開発事業団」に改めるとともに、昭和六十年三月三十一日までに同事業団を他の原子力関係機関と統合しようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、事業団の名称を「日本原子力船研究開発事業団」に改め、法律の題名を「日本原子力船研究開発事業団法」とするとともに、同事業団の目的に、原子力船の開発に必要な研究を加えることであります。
 第二に、同事業団は、原子力船の開発業務に加えて、研究及び調査の業務を行うものとすることであります。
 第三に、現行法においては、この法律を昭和五十五年十一月三十日までに廃止するものとすることになっておりますが、行政の各般にわたりその簡素化及び効率化を進める見地から、政府は、昭和六十年三月三十一日までに同事業団を他の原子力関係機関と統合するものとし、このため必要な措置を講ずるものとすることであります。
 本案は、去る十月六日提出され、同月十四日当委員会に付託されました。委員会におきましては、十月十六日政府から提案理由の説明を聴取した後、内閣総理大臣及び主管大臣に対し質疑を行う等、慎重な審議を行い、同月二十八日質疑を終了し、討論、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(福田一君) 討論の通告があります。これを許します。日野市朗君。
    〔日野市朗君登壇〕
#10
○日野市朗君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論をいたします。
 この法律案には沿革があるのであります。
 すなわち、日本原子力船開発事業団法は、昭和五十二年第八十二国会において、同事業団を廃止するものとする期日を昭和五十五年十一月三十日といたしました。そして、この期間は、この事業団を研究開発機関に改組するための期間なのであります。
 ところが、先ほど中村委員長から報告がありましたように、この法律案の改正案なるものはきわめて簡単なものであります。名称を改める、それから事業の範囲を一部手直しをする、実質はその二つのみでありまして、その内容から見て、私は、本当にこの事業団を研究業務を担当するに値するだけの事業団に変更しようとする政府の熱意を全く読み取ることができないのであります。
 また、研究体制について委員会において審議の結果、わずかに九名のスタッフをもってこれを構成するというのでありまして、実体的にも研究体制はきわめて貧弱なものと言わざるを得ません。
 また、委員会の審議においては、一体何を研究するのかということを問いただしました。結局は、従来の事業団においてもなし得る範囲のものをやるというだけのことでありまして、新たなものが何らつけ加わっているわけでもありません。
 私はこう考えるのであります。日本原子力船開発事業団法は、ことしの十一月三十日限りの時限立法であります。また、沿革に従ってこれを研究所に改組しなければならないのでありますが、そのために追い詰められた政府は、窮余の一策として、何ら内容を伴わない文字面だけのこの法律案を出してきた、こういうふうに考えざるを得ないのであります。
 私は、このような軽はずみな法案に対しては、本院の権威にかけてもこれを否決すべきである、こう考えます。(拍手)
 皆さんの多くは、ああ、また原子力船「むつ」か、こうお思いになるに違いない。「むつ」はこれまでも何度も国会の場で審議にさらされてまいりました。そのたびに哀れな姿をさらしてきたのであります。そして、このたびまた姿を見せている「むつ」は、まさに惨めなと言うほかないような状態であります。
 いま「むつ」は、長崎県佐世保の佐世保重工の岸壁にその病の身を横たえているわけでありますが、いわゆる五者協定のもとに、佐世保にいつまでもいるわけにはいかないのであります。この佐世保も安住の地ではありません。あと一年後には、五者協定によってここから出ていかなければならない。
 そして、「むつ」の改修は一体順調に進捗しているのでありましょうか。いいえ。ここ佐世保に入ってから、五者協定で佐世保にいることのできる三年のうち、その半ばをすでに無為に過ごしてしまったのであります。改修が始まったのはほんの最近にすぎない。改修の工事は、予期されていた期間の半分の期間でなし遂げなければならないのであります。
 いまやっている工事は第一期工事なのでありますが、何と第二期工事については、まだ契約すらできていないのであります。これからどのくらいの時間が工事のために流れ去るのか、これからどのくらいの工事費用がかかかるのか、だれにもわかりません。
 しかも「むつ」が現在つながれているこの岸壁の係船料、これについての契約すらまだできていないというような状態にあります。まさに、天下に身を置くところがないというのはこの「むつ」のためにあるような言葉であります。
 こんなに苦労して、果たして「むつ」の心臓部である原子炉は正常なものとなり得るのでありましょうか。それが何とも心細い。
 「むつ」の原子炉は、最初の出力試験でほんのわずか出力を上げただけで、中性子漏れを起こしました。そして、その原因を検討した「「むつ」放射線漏れ問題調査報告書」いわゆる大山報告書は、原子力船「むつ」は全体としてかなりの水準に達している、こう述べています。政府は、このことを根拠として、さらに「むつ」の総点検、改修を進めようとしているのであります。
 しかし、「むつ」の原子炉に加えられる主要な工事、これは船体部の遮蔽改修工事十四項目、原子炉部遮蔽改修工事十項目、そしてさらに、総点検補修工事は七系統二十項目に及ぶのであります。これで果たして「むつ」の原子炉はある程度の水準に達しているということが言えるのでありましょうか。
 しかも、「むつ」の総点検、改修には、宿命的とも言える制約があります。それは、これだけの大規模な点検や改修を、原子炉の中心部分を密閉したままに行わなければならないということであります。いかに技術が進歩してきたとはいえ、主要部分を目で見たり手でさわったりすることもなしに改修が行われ得るとは、とうてい信じがたい。
 かくして、「むつ」の原子炉の総点検、改修が完璧に行われ得ると、私は決して信じることはできないのであります。一般の国民も同じでありましょう。
 「むつ」が、佐世保において五者協定に定める期間にその所定の工事を終えて佐世保を立ち去るなどということは、とうてい不可能であります。その政治的責任は、一体どのようにとられるのでありましょうか。
 「むつ」が、いつであれ、佐世保を立ち去ったとしても、「むつ」はどこへ行くのでありましょう。
 かつての母港大湊、いまそこでは反対運動が激しく盛り上がり、つい先日も大湊周辺の漁民たちが、母港化反対の一大海上デモンストレーションを繰り広げました。いわゆる四者協定に定められた母港撤去の不徹底であったことに加えて、最近明らかにされた核燃料棒集合体を秘匿してていたということや、原子炉を洗った水の大量投棄、そして「むつ」の大湊強行入港を可能ならしめる謀略など、いずれも周辺漁民や関係者の神経を逆なでするものでありました。
 このような信ずべからざる相手に、母港の設置を認めようというところはどこもないと思います。
 いわゆる四者協定を取りまとめた、時の自民党総務会長鈴木善幸氏はこう言ったと伝えられています。「このような海の幸豊かな海に母港を持ってくるべきではなかった。」私は鈴木善幸氏に問いたい。日本の海で海の幸豊かでないところはあるのでありますか。漁民の営々たる努力によって、日本の周辺の海は皆豊かな漁場なのであります。漁民の反対、それはまさに理由ある正当なる反対であります。
 「むつ」は母港を持つことはできないでありましょう。もしそれができるとしたならば、そこにはかなりの無理があり、常識を超えた心痛む不条理を乗り越えて初めてそれは可能となるでありましょう。
 原子力船の母港などというのは、場所さえ決まれば簡単にできるものではありません。核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律により、厳重な審査を受けなければならない。それに対応する数多くの陸上付帯施設を建設しなければなりません。その建設や審査に要する時間は一年や二年などというものではない。しかも、それに要する費用がどの程度になるのかだれも知りません。委員会でも聞いてみました。答えは、数百億円というのであります。
 いまわが国の厳しい財政事情のもとで、「むつ」のようにこれからどれだけの金がかかるかわからないような、予測もつかないような原子力船の開発を進めることは、妥当なる国の態度でありましょうか。
 しかも、それだけの資金を投下しての調査や研究の成果を有利に活用するのは、民間の原子力産業であり、造船業界であり、海運業界なのであります。もしこれらの業界が本気になって原子力船の研究開発が必要だと思うのならば、彼らにやらせるべきであります。国としてはこの「むつ」プロジェクトを中止すべきであります。
 原子力船「むつ」については、従来から無理に無理を積み重ねてきました。その無理がいまや覆い隠すことのできないところまで、もはや来てしまったと思います。それが、とりもなおさず現在の「むつ」の惨たんたる姿となってあらわれているとも言えるのであります。さらに無理を強行するならば、収拾不能の事態の到来することを私は恐れます。
 かつて原子力船必要論が世界を風靡したことがあります。各国も原子力船の建造を真剣に行いました。わが国の原子力船建造計画は、そのような背景のもとに策定されたのであります。
 しかし、いまや時代は変わっております。かつて熱心に原子力船の研究開発を進めたアメリカ、そしてサバンナ号をつくりました。また、西ドイツはオット・ハーン号をつくりました。いまはそれぞれの原子力船を係船したまま、運航させてはいないのであります。そして第二船建造の計画も全くない。いずれにしても、その理由は全く経済的に引き合わないからだと伝えられております。
 原子力船の実用化の時期ははるか先へ遠のいたという指摘は、いまや常識と言っていいのであります。ひとりわが国のみが無理に無理を重ねて原子力船の開発を急ぐ必要がどこにありましょう。
 このような採算を無視して膨大な国費を原子力船開発に投入することは、かえって原子力潜水艦などの軍事向けの資金投下ではないかという疑いを、国の内外に持たせることになりはしないでしょうか。この問題について言うならば、李下に冠を正さずという言葉をよくかみしめるべきであろうかと思います。
 また、「むつ」の原子炉の安全性については、すでに指摘いたしましたとおり、その改修手段の欠陥からして御理解いただけるかと思います。
 私は、「むつ」プロジェクトは失敗だったとはばからずに申し上げたい。いま大切なのは、失敗を失敗として評価することであり、その失敗の中から貴重なものを学び取ることでありましょう。一歩後退する勇気をいま持とうではありませんか。「むつ」は船体と炉とを分離して研究の材料に供すべきであります。
 以上の観点から本法律案に反対する意見を表明いたしまして、反対の討論といたします。(拍手)
#11
○議長(福田一君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#12
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#13
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 農住組合法案(内閣提出)
#14
○議長(福田一君) 日程第三、農住組合法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長稲村利幸君。
    〔稲村利幸君登壇〕
#15
○稲村利幸君 ただいま議題となりました農住組合法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、大都市地域において住宅地及び住宅の供給を拡大し、あわせて市街化区域内農地所有者等の経済的社会的地位の向上を図るため、農地所有者等が協同して、当面の営農の継続を図りつつ農地を円滑に住宅地化するため、農住組合を設立することができるものとしております。
 農住組合制度の対象地域は、特別区及び首都圏等の既成市街地、近郊整備地帯等に属する市町村の区域とするとともに、組合の事業として住宅地造成を目的とする土地区画形質の変更、住宅等の建設、賃貸または譲渡、土地の交換分合等を行うことができるものとするほか、組合の組合員、管理、設立、解散及び清算について所要の規定を整備するものとしております。
 本案は、去る十月十七日本委員会に付託され、同日提案理由の説明を聴取、農林水産委員会と連合審査会を開く等、慎重に審査を行ってきましたが、二十九日質疑を終了、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、五項目より成る附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#17
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 郵便法等の一部を改正する法律案
  (第九十二回国会、内閣提出)
#18
○議長(福田一君) 日程第四、郵便法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長佐藤守良君。
    〔佐藤守良君登壇〕
#19
○佐藤守良君 ただいま議題となりました郵便法等の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、最近における社会経済情勢の動向及び郵便事業の運営の現状にかんがみ、郵便事業の運営に要する財源の確保を図るため、第一種郵便物及び第二種郵便物の料金の改定を行うほか、第一種郵便物等の料金の決定について臨時の特例を設けるとともに、利用者に対するサービスの改善を図る等のため、郵便法その他関係法律について所要の改正を行おうとするものであります。
 まず、郵便法の一部改正の内容について申し上げますと、
 第一は、郵便料金の改定についてでありますが、その主なものは、第一種郵便物のうち、定形郵便物については二十五グラムまで五十円を六十円に、定形外郵便物については五十グラムまで百円を百二十円に改め、また、第二種郵便物の通常葉書につきましては、二十円を四十円に改めることといたしております。
 なお、第一種郵便物のうち、郵便書簡につきましては五十円に据え置くこととし、第二種郵便物の通常葉書につきましては、昭和五十五年度中は三十円とすることといたしております。
 第二は、第一種郵便物等の料金の決定についての特例についてでありますが、郵便事業財政の現状にかんがみ、郵便事業に係る累積欠損金が解消されるまでの間、一定の範囲及び条件のもとで、第一種郵便物及び第二種郵便物の料金は、郵政大臣が郵政審議会に諮問した上、省令で定めることができるものとする等の規定を設けることとしております。
 第三は、利用者に対するサービスの改善を図るため、新たに郵便切手について手数料を徴してこれを他の郵便切手等と交換することができることとすること、また、新たに図画等を印刷した郵便葉書を発行し、一般の郵便葉書の料金額によらない額で売りさばくことができることとする等の改正を行うこととしております。
 以上のほか、郵便に関する料金を滞納した場合の延滞金、延滞利率についての規定を設けること等の内容を織り込んでおります。
 次に、お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金の処理に関する法律の一部改正の内容について申し上げます。
 まず、お年玉につきましては、お年玉として贈る金品の単価の最高限度額を現行三万円から五万円に引き上げるとともに、お年玉として贈る金品は、簡易郵便局においても交付することができること、また、その寄附金につきましては、その配分を受けることができる団体に、文化財の保護を行う団体及び青少年の健全な育成のための社会教育を行う団体を加えることといたしております。
 さらに、印紙をもつてする歳入金納付に関する法律の一部改正の内容について申し上げます。
 これは、郵便法の一部改正の中で郵便切手の交換を行うこととしておりますので、これにあわせて、同様の趣旨から収入印紙につきましても、他の収入印紙との交換ができるようにしようとするものでごいます。
 本案は、前国会、本年七月十七日内閣から提出され、本院の議決により閉会中審査に付され、今国会に継続したものでごいまして、去る十月十五日山内郵政大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、公聴会において六公述人より意見を聴取し、さらに鈴木内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行うなど、慎重な審査を進め、昨二十九日質疑を終了いたしましたところ、本案に対し、畑英次郎君外二名から、自由民主党提案に係る修正案が提出されました。
 その内容は、附則第一項中、施行期日である昭和五十五年十月一日がすでに経過しておりますので、これを「公布の日から起算して四十日を経過した日」に改めることとするものであります。
 次いで、原案及び修正案を一括して討論に付し、採決いたしましたところ、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決した次第でございます。
 なお、本案に対しまして、効率的経営、郵政審議会の機能発揮など、五項目にわたる附帯決議が全会一致をもって付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(福田一君) 討論の通告があります。順次これを許します。永井孝信君。
    〔永井孝信君登壇〕
#21
○永井孝信君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対し、反対の意を表明するものであります。(拍手)
 まず第一に、この郵便料金の値上げが国民生活に及ぼす影響、とりわけ物価上昇の引き金になることについてであります。
 昨今の物価情勢は、依然として厳しいものがあることは申すまでもありません。消費者物価五十五年度上昇率の政府目標六・四%の達成はきわめて困難であるのが現実で、政府部内でさえも、六・四%の達成は絶望的だとする見方が一層強まっているところであります。この郵便料金値上げについては、政府目標の六・四%の中にすでに織り込み済みであるとしているものの、値上げの波及効果に至っては全く考慮されていないということが、質疑応答を通して明らかになっているのであります。
 政府は、物価抑制の取り組みを見直さざるを得ない現実に直面し、なおかつ、第二種のはがきを五十六年度から二倍の四十円に、第三種郵便物の月三回以上発行する新聞紙の基本料金に至っては実に二・三倍の値上げをしようとすることは、今後の物価動向を大きく左右し、物価上昇の引き金になることは余りにも明白であります。
 この郵便料金の値上げを見送ることこそ、物価対策上当然なことであり、そのことは衆目の一致するところであります。いま郵便料金を値上げすることによって、政府は、国民に対し、物価対策の公約をみずから踏みにじろうとしていることを強く指摘したいのであります。
 第二に、明らかになったことは、郵便料金の法定制緩和が財政法第三条に違反し、憲法上の財政民主主義、租税法律主義を無視したものであるということであります。
 財政法第三条との関係については、逓信委員会において最も力点を置いて審議したところでありますが、政府は、財政法第三条に言う「基いて」という法文は、法律で具体的に金額を定めることまでは要求しているものではないとし、さらに、一定の基準、すなわち独占の程度、国民生活上の必要性の程度のどちらかに合致すれば、法定制緩和がとれるとしているのでありまして、家計に占める郵便料の割合が〇・一二%であり、したがって国民生活上の必要性の程度が低いなどと、国民感情を無視した一方的な解釈に立っているのであります。
 果たして、郵便は、国民生活上の必要性の程度が低いと言えるでありましょうか。政府は、郵便は通信手段の中に占める割合が低下していると言いますが、郵便は依然として、国民の基本的な通信手段であることにはいささかも変わりはないのであります。郵便の現物性には、現在ほかに手段がありません。
 さらに、最近の郵便物数の動向を見ましても、着実に増加しているのでありまして、それは国民が必要とするからこそ増加しているのであって、必要性がなければ減少しているはずであります。
 また、昭和四十六年の郵便法改正の提案理由の中では、第一種、第二種郵便物の料金は、国民生活に密着しているので法定しておくと明確に述べているのでありまして、これが今日に至ってなぜ、どのように変わったのかという数点の質疑に対しましても、政府の答弁はきわめて不明確であり、むしろ詭弁であるとさえ言わざるを得ません。
 このような観点から見ても、財政法第三条に違反していることは明確であり、郵便料金に法定制緩和がとれるという理由はどこにもないということであります。
 このような郵政当局、すなわち行政の側からの恣意的な解釈は断じて許されません。
 法定制緩和についての行政府の独善と横暴な法解釈、法の運用を認めることは、立法府の責任を放棄し、国民の権利を売り渡すことになり、われわれは、たとえ累積欠損金が解消されるまでの間といえども、断じて認めることはできないのであります。
 さらに第三点としては、国民の重要な通信手段である第一種、第二種郵便物の料金までも、従来どおりの郵政審議会に諮問し、郵政大臣が一方的に決定しようとすることであります。
 われわれは、これまでにも、郵政審議会の委員の選任に当たっては、相当数の利用者代表を委員に加えるべきであり、開かれた審議会として、国民、利用者が納得できる民主的な審議会にすべきであると、逓信委員会においても再三指摘してきたところでありますが、何らそれにこたえることなく、これまでどおりの審議会に諮問するだけで、国民の基本的通信手段である第一種、第二種郵便物の料金までも郵政大臣が一方的に決定しようとすることは、全く国民を無視し、国民不在の郵便料金の決定方式であると断言せざるを得ないのであります。
 最後に申し上げたいことは、郵便事業に将来展望が現状のままではないということであります。
 新しい発想に立った将来展望を確立し、具体的対応策を国民に明示し、理解と協力を求めることが肝要であるということであります。
 今回の改正案は、百年余の伝統ある郵便事業に大きな汚点を残すだけでなく、国民の郵便離れを招き、ひいては郵便制度の崩壊のおそれまであるということを強く指摘して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#22
○議長(福田一君) 竹内勝彦君。
    〔竹内勝彦君登壇〕
#23
○竹内勝彦君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題になっております郵便法の一部改正案並びにその修正案について、反対の立場から討論を行うものであります。
 この法案の最大の問題点は、国鉄運賃やたばこと同様に、郵便料金の決定方法についても、国会の議決を必要とせずに、郵政大臣に値上げ認可の権限を与えることであります。
 現行の料金法定制を緩和して、郵政審議会に諮問し、その答申を得るだけで値上げができるという郵便料金値上げ自由化法案を断じて容認するわけにはまいりません。
 政府・自民党が強引に国鉄運賃の法定制を緩和した結果、法定の枠を外された国鉄が、毎年値上げを繰り返し、そのためにかえって安易な経営姿勢に流され、膨大な赤字に苦しんでいる事実は周知のところであります。この法案が成立すれば、郵便料金も国鉄運賃の轍を踏むことは明らかであります。
 憲法第八十三条にも「國の財政を處理する權根は、國會の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と定めてあり、財政法第三条では「国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」と明示されております。しかるに、今回提出されている改正案はこうした規定をことごとく無視しているのであります。
 郵便事業そのものは、明治四年の創業以来、ほかに代替手段のない国の独占事業であることは明らかであり、郵便物数の着実な増加傾向から見ても、国民生活上の必要性の程度は、増すことはあっても減ることはありません。
 したがって、今回の郵便料金の法定制緩和は、憲法及び財政法の本旨を踏みにじり、財政民主主義を破壊し、法定主義をなし崩しにするものであり、法定制緩和条項の撤回を強く要求するものであります。
 第二の問題点は、経営努力による郵便財政の収支改善を図るための抜本的な再建計画が策定されていないことであります。
 二千億円を超える累積赤字を抱えている郵便財政の再建について、基本的には、利用者の要求にこたえる適切なサービスを図り、郵便需要を拡大することによって増収を図ること、経営の徹底した合理化、効率化を図ること、やむを得ない郵便料金の値上げの三つのやり方があるはずであります。
 しかし、政府・自民党案には、郵便需要の拡大や経営の効率化の努力に全く見るべきものがありません。料金の値上げだけに頼る最も安易な手段に走ることは、巨額の累積赤字を利用者である国民に押しつけるものであります。
 このような悪循環が続く限り、親方日の丸と批判されても仕方がないし、国民の郵便離れを引き起こし、郵便制度の崩壊を招きかねません。
 政府は、昨年八月に策定した新経済社会七カ年計面の中で、「厳正な公共料金政策」をとることとしており、特に、「現在大幅な赤字を抱えている企業体については、早急に再建計画を確立して、企業体の徹底した経営合理化を進めることを基本としつつ、企業体、利用者、行政それぞれの役割を明らかにし、国民の理解を求めながら企業再建に努める。」とはっきりうたっております。
 しかし、さきに逓信委員会に提出された「郵便事業損益計算見込」を見ても、ずさんきわまりなく、向こう十年間に二度の値上げを行うことが示されているだけにとどまっており、とうてい再建計画と呼べるものではありません。
 企業体の徹底した経営合理化や郵便需要の拡大策を織り込んだ国民の納得できる郵便財政の再建計画を早急に策定し、国会に提出し、しかる後に郵便料金の値上げ案を国会で審議するのが当然でありますが、このような措置がとられておりません。
 これが反対理由の第二であります。
 第三に、物価対策の上で、公共料金である郵便料金は凍結すべきであります。
 第二種郵便物のはがきの値上げを例にとると、昭和二十六年の五円から七円に二円上がる間、据え置き期間が実に十五年もあったのに対し、昭和四十一年の七円から十円に三円上がるまでの期間は六年となっております。そして、昭和四十七年の十円から二倍の二十円に上がる期間は四年に縮まり、そしてその四年後のことしは二十円から四十円へと、さらに二倍に引き上げる政府案がただいま審議されているわけであります。
 すなわち、当初は抑え置き期間も長く、上がり幅も二円、三円と等差級数的に小刻みであったものが、最近は短期間のうちに十円が二十円、二十円が四十円というように、まさに幾何級数的に大幅に値上げされようとしております。
 郵便法の目的は、その第一条に「この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。」と定めております。郵便の使命と性格をきわめて的確に表現していると思いますが、この郵便法の精神に照らしても、今回の大幅値上げを、絶対に認めるわけにはまいりません。
 ことしは、すでに国鉄運賃、たばこ、電気ガス料金、国立学校の授業料値上げなど、公共料金の引き上げがメジロ押しの中で、今度は郵便料金を大幅に引き上げようとする政府の基本的な姿勢は全く理解できません。
 公共料金の引き上げが物価上昇に一層の拍車をかけ、国民生活を圧迫するということは、多くの国民が幾度となく経験してきたところであります。
 昭和五十五年度の消費者物価は、上半期で大きな上昇を示しており、十月以降の物価が前年並みとすれば、今年度の物価上昇率は八・一%となり、十月以降の物価が横ばいであったとしても七・八%となり、政府目標の六・四%の達成は絶望的であります。
 したがって、この郵便料金値上げの強行突破は、まさに公共料金主導型の高物価を政府みずからごり押しするものであり、本院において直ちに撤回し、国民の期待にこたえるよう強く要求して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(福田一君) 近藤豊君。
    〔近藤豊君登壇〕
#25
○近藤豊君 私は、民社党・国民連合を代表して、郵便法の一部改正及びその修正案に対し、強く反対の意を表明するものであります。
 現在、郵便事業は慢性的な赤字体質に陥り、郵政事業特別会計は二千億円余に上る累積欠損金を抱えるに至っております。私どもは、この事態を正面から率直に受けとめることにやぶさかではありません。
 しかしながら、政府・自民党が行おうとしている、郵便料金を値上げし、かつ郵便料金の法定制を緩和するという方法では、郵便事業の抱える構造的問題を何ら解決することにはなりません。むしろその方法では、いたずらに国民生活を圧迫するだけであると言えるのであります。
 反対の理由の第一は、郵便料金の値上げは物価の上昇に拍車をかけ、ひいては国民生活に重大な影響を及ぼすからであります。
 現在、わが国の経済状況はきわめてむずかしい情勢のもとにあり、特に物価の上昇が懸念すべき事態にあることは言うまでもありません。この時期に、主要な公共料金である郵便料金を値上げすることは、国民のインフレマインドをあおり、諸物価の上昇にはずみをつけ、国民生活を物価高の脅威にさらすものであります。国民生活を物価高騰の脅威から守る責任を持つ政府が郵便料金の大幅な値上げを断行しようとすることは、みずからその責務を放棄するものであると言わざるを得ません。
 また、政府が五十五年度経済見通しの中で公約しているところの、消費者物価上昇率を六・四%以内に抑えるという目標の達成が非常に困難であると見られているにもかかわらず、この時期に郵便料金の値上げを行うことは、みずから経済運営の努力を放棄するに等しいと考えざるを得ません。一方で六・四%の達成という公約を固執しながら、他方で明らかにその達成を困難ならしめる重大な要因となる郵便料金の値上げを強行するということは、政府の経済政策においては、物価抑制ということが単なるお題目にすぎないことをはからずも示していると言えましょう。
 政府は、つとに郵便料金の値上げが家計に与える影響は少ないと強弁しておりますが、それは単純な計算上の数値であります。公共料金、とりわけ郵便のように広範かつ大量に利用されているサービスの料金の値上げが、国民の心理や経済のもろもろの要因に広くかつ深い影響を与え、大きな波及効果をもたらすことを考慮した数値ではありません。料金が値上げされた場合の影響は、政府当局の予想を超えたものとなることは必定であります。このような政府の態度は、国民を偽るものと言わざるを得ません。
 反対の第二の理由は、料金法安制の緩和により、値上げへの歯どめがきかなくなり、厳しい経営努力の道よりも安易な料金値上げの道が選ばれるおそれが強いからであります。
 法定制の緩和は、郵便料金という重要な公共料金の値上げに対する国会の監視を外すものであり、法律上国の独占である郵政事業の料金についてこれを行うことは、憲法八十四条及び財政法三条にうたわれている財政民主主義の趣旨に反するものとして厳しく批判せざるを得ません。
 国鉄においては、料金の法定制を緩和したところ、当初の決意とはうらはらに、経営合理化の努力が怠られたまま運賃のみが上昇し、かえって乗客の国鉄離れを招くという悪循環に陥っていることは、国民周知の事実であります。
 公社形態をとっている国鉄と違って、政府の直営事業である郵政事業に対しては一層強い国会の監視、すなわち国民のコントロールが必要なことは言うまでもありません。
 法定制が緩和されれば料金値上げの歯どめがきかなくなり、今後確実に大幅な料金値上げが実施されることは必至であります。政府みずからが逓信委員会に提出した資料の中で値上げの予定を示しているありさまです。このような値上げは国民生活を大きく圧迫することになります。また、大幅な値上げは手紙離れを加速し、郵政事業の基盤をみずから掘り崩すことになります。
 これらのことから、郵便料金の法定主義は断固として守られるべきであると考えます。
 郵政事業の再建は、安易な料金値上げではなく、まず労使の積極的な努力による労働生産性の向上と合理化によってなされるべきであります。企業努力の行われていないところに、このたびの改正案のように財政措置だけをとってみても、それはいたずらに放漫な経営を助長するだけであると言えましょう。
 第二次オイルショックを脱却し切れない経済の混迷の中で、国民の多くは不況にあえぎ、不安にさいなまれております。民間企業は合理化に次ぐ合理化で限界に近い努力を続けている現在、政府関係事業や中央地方の行政の生産性の低さは、最も厳しい批判にさらされております。
 ましてや、政府直営事業である郵便事業に対しては、当然のことながら、労働生産性向上と合理化のための努力がまだまだ不十分であるというのが国民の声であり、この面での十分な努力が行われない限り、安易な料金値上げは許されるべきではないと信じます。
 先年行われた国民の年賀状を人質にとった歳末闘争や勤務体制の乱れと、それをさらに混乱させたマル生闘争等による国民へのサービスの低下が、今日の郵便離れの大きな要因となったことから目を覆うことは許されません。
 すなわち、現在の郵政特別会計の赤字は、単に原価の高騰のみによって生じたものでないことは明らかであります。国民の郵政労使のたるみに対する深刻な怒りの声を謙虚に受けとめ、このたるみをいかに除去するかという点に合理化努力を集中し、サービスの向上に努めることが郵政財政再建の第一歩であると考えます。
 しかるに政府は、国民負担の増大となる料金値上げを先行させ、郵政財政再建の根本にかかわる経営の合理化、効率化について明確な方針を明らかにしておりません。
 このたびの郵便法改正案の審議の中でも、その点についての明確なビジョンは全く示されていないのであります。これでは国民は納得できません。また、このような政府の態度は、八〇年代の政治になくてはならない勇気の欠如を示すものであり、いやなことは避けて通ってツケは国民に回すという、国民無視の態度と断ぜざるを得ません。
 周知のとおり、わが国が直面する最重要の課題の一つは物価の安定であります。その物価の安定に逆行する郵便料金の値上げに強く反対して、私の討論を終わります。(拍手)
#26
○議長(福田一君) 藤原ひろ子君。
    〔藤原ひろ子君登壇〕
#27
○藤原ひろ子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、郵便法等の一部改正案並びにその修正案に対しまして反対の討論を行います。
 まず第一に指摘しなければならないのは、本法案が、国鉄、たばこに続いて、郵便事業を国民から離反させる法定制の緩和、事実上の法定制撤廃を内容としている点であります。
 明治四年に発足いたしました郵便事業は、百年の歴史を通して、どのような地域に対しても公平に信書の送達を行っており、また、それを完全に保障するために国の独占事業となっているのであります。このことは、私たち国民が信書を送る場合は、国営の郵便制度以外は利用することができないということであります。したがって、国の独占事業である郵便の料金は、憲法第八十三条、財政法の第三条を受け、国民の総意を反映する最高の方法である国会の議決を経ることになっているのであります。
 ところが、政府は、今回このやり方を排除して、郵便料金の値上げを政府が自由にできるようにしようとするものであり、これは国民と国会に対する重大な挑戦と言わざるを得ません。(拍手)
 政府の言う法定制緩和の理由は、結局のところ、累績赤字を解消するためということに尽きるのであります。このような理由は、政府みずからの責任を負うべき郵便事業の赤字のツケを国民に転嫁しようとするものにほかなりません。
 国民と国会から離れて郵便事業を推進しようとする今回の法定制撤廃は、郵便事業百年の改悪であり、断固として反対するものであります。(拍手)
 今日、郵便事業が抱える膨大な赤字は、インフレと物価の高騰、それに伴う人件費の増大など、大企業本位の自民党政治の経済政策に加えて、郵便事業の特性を無視した独立採算制などに起因するものであります。
 こうして生まれた赤字を一体どのように克服するのか、また、国民に信頼され、喜んで利用される郵便事業にするにはどのようにしていけばよいのか。この方策こそ、国民の代議機関であります国会において徹底的に審議すべきであり、決してこれを排除すべきではないことを私は改めてここに強調するものであります。(拍手)
 反対をする第二の理由は、郵便事業及び財政についての責任ある再建計画がないということであります。
 赤字解消計画を提出しなさい、こういうわが党の要求に対して政府が出してまいりました資料は、全省的にコンセンサスを得たものではないなどという全くずさんきわまりないものであります。こんなことが一体許されてよいものでしょうか。
 政府は、今後十年もの長い間、事業の運営は全面的にお任せくださいなどと主張しながら、明確な財政再建計画がないというのが今日の姿であります。八年間に三回も値上げはするけれども、財政再建の保障はない、こんな無責任な改悪を絶対に認めるわけにはまいりません。
 わが党は、政府が郵便事業について真に責任を持つならば、独立採算制の廃止も含めて、いまこそ抜本的で科学的な国民本位の郵便事業再建計画を、国民の前に明らかにすることを強く要求するものであります。
 反対理由の第三は、今回の料金改定が物価の上界に一層拍車をかけ、国民生活に重大な影響を与える点であります。
 封書は一・二倍、はがきは二倍にするという今日の値上げは、前回から今日までの消費者物価の上昇率一・三倍を大きく上回っております。さらに、政府の計画では、昭和六十二年までにもう二回、八年間で三回もの値上げをしようとするものですが、いずれも消費者物価指数を大幅に上回るという計画になっているのであります。
 ことしの春以来、政府の軒並み大幅な公共料金の値上げ強行によって、国民生活はますます苦しくなってきております。このような中で、物価値上げと生活破壊を内容とする本改正案は、断じて容認できません。
 軍事費は大幅にふやす、教育や福祉は切り捨てる、公共料金は大幅に引き上げる、大増税を国民に押しつける、全くこれでは血も涙もないではありませんか。わが党は、政府のこの態度を断じて許すものではありません。
 反対理由の第四は、第三種郵便料金の大幅値上げが、国民の情報、文化を享受する権利の著しい侵害につながるからであります。
 政府が計画をしております三種料金の改定は、現行十五円から二・三倍の三十五円に引き上げるというむちゃくちゃなものです。その上今回の法改正によって、一種、二種の法定制が外れることになれば、三種料金の値上げは一層加速度を加えていくことは火を見るよりも明らかであります。
 本来、第三種の郵便とは、定期的に発行される新聞、雑誌などを特別低い料金で郵送することによって、国民の政治、文化の啓発、あるいは向上に貢献しようとするものであります。その果たしてきました役割りは、また非常に大きなものがあります。
 現に、新聞の郵送地域はいまもなお少なくありません。北海道新聞では四万部を郵送に頼っているのであります。これら辺地に住む人々にとっては、今回の値上げで年間七千円余りの出費増になるのであります。
 また、労働組合や諸団体の機関紙、各種業界の専門新聞など、すべて三種郵便で配布されており、これらの団体や発行者は、頒布活動の縮小、活動経費の切り詰めなどを余儀なくされ、まさに死活問題となっているのであります。
 これは、憲法で保障された言論、出版の自由を、経営、財政面から圧迫する暴挙でなくて何でしょうか。(拍手)このようなことは断じて許すわけにはまいりません。
 同様に、障害者団体発行物の三種料金値上げは、来年の国際障害者年に向けて障害者の完全参加と平等をH指し活動を進めておられる障害者の方々の生きがいを奪うことになるのであります。
 このように、第三種郵便料金の大幅値上げは断じて許されないことをわが党は強く主張するものであります。
 以上述べてきましたように、本法案は郵便事業の再建にならないばかりでなく、国民に一層の負担を押しつけるものであり、断固として反対をするものであります。政府に本法案の撤回を強く要求をして、反対討論を終わります。(拍手)
#28
○議長(福田一君) 依田実君。
    〔依田実君登壇〕
#29
○依田実君 私は、新自由クラブを代表して、郵便法等の一部を改正する法律案並びにその修正案に反対の討論をいたします。
 反対の理由のまず第一は、物価への影響であります。
 御承知のように、今年度の消費者物価上昇率は、政府見通しによりますと六・四%であるのにもかかわらず、八月のそれは八・七%もの大幅上昇になっております。一方、国民はここ数年所得税の減税が見送られたため実質賃金の減少に悩み、八月は実に三・五%のマイナスになり、生活は苦しくなっております。消費者物価の上昇は、もちろん異常低温による季節野菜などの値上がりに原因するところもありますが、しかし、電気、国鉄、たばこなど公共料金の値上げによる部分も多いと思うのであります。
 政府は、郵便料金の家計に及ぼす影響は少ないと言いますけれども、便乗値上げなどを考慮すれば心理的影響は大きいと予想され、この時期での郵便料金の値上げには反対であります。
 第二に、安易な値上げが、いま郵便事業に一番要求されている合理化、効率化の妨げになるという理由で反対をいたすものであります。
 郵便事業はその大部分を人手に負うものであり、人件費の高騰が赤字に結びつくことは理解いたします。諸外国の郵便事業も同じ原因で赤字に悩んでいることも、われわれは知っております。
 しかし、わが国の郵便専業を振り返ってみるとき、特に民間企業の血の出るような合理化に比べ、まだまだ効率化の点でおくれていると覆わざるを得ないのであります。機械の導入、輸送集配システムの改善など、もっと真剣に努力しなければならないと考えるのであります。また、二年前の年賀はがきストに見られるように、国民に多大の迷惑をかけるような現状を見ますと、その労使関係についても大いに反省をしていただきたい、こう思うのであります。
 これら内部的努力なくして、安易に値上げによって赤字を解消しようとするならば、また数年を待たずして再度値上げをせざるを得ず、累積赤字はいつまでたっても消えません。
 かかる意味からも、今回の値上げには反対であります。
 次に、法定制の緩和についても強く反対をいたします。
 公共料金を人為的に押さえ込むと、やがて大幅値上げになり、かえって物価に悪影響を及ぼす、それより、適時適切に小幅に値上げをする方がよい、こういう議論も確かにあります。自由主義経済下ではそれもまた一つの意見ではあります。しかし一方では、国会の審議の外で公共料金が決められることは、国民の世論を無視し、合理化、効率化を怠って、安易な値上げを招きやすくなります。
 財政法第三条には、「事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」こういうふうに書いてあります。
 ところが、昭和五十二年に国鉄料金が、そしてことしはたばこの価格が相次いでこの法定制の外に置かれ、いままた、全く独占とも言うべき郵便料金が法定制を緩和されようとしております。これがもし通るようなことがあるならば、デモクラティック・コントロールの基本である国会の審議権をみずから放棄するに等しいものであります。
 国鉄の場合の国会審議を振り返ってみますと、議論の多くは国鉄の独占度の薄れたことを根拠に挙げております。
 すなわち、国会の議事録の中に、政府答弁を見ますと、「国鉄のように財政法制定当時に比べまして独占度が著しく低下しているというような実態に応じまして、」とか、あるいはまた「事業の独占性の程度等に応じまして、その定め方、その基づき方というのにはおのずから差異があってよいのではないかというふうに考えております。」と政府側は答弁しておるのであります。逆を言うならば、独占性の強いものは法定制を外せない、こういうことだろうと思うのであります。
 国鉄は、料金が上がれば乗らないとか、あるいは私鉄なり他の交通機関に振りかえることができます。経済原則の適用ができるのであります。しかるに、郵便料金は全く独占であり、これが法定制を緩和されるようなことがあれば、財政法第三条は骨抜きになり、憲法八十三条の趣旨にも反することになるのであります。
 さらに、今回の改正により、郵便料金は郵政大臣が郵政審議会の諮問により省令により決定されるようになりますけれども、現在の郵政審議会が果たしてその任にたえるでありましょうか、疑問を抱かざるを得ないのであります。適時適切な値上げどころではなく、国鉄の例に見られるように、適当なときに適当な幅で値上げをされることになり、一方累積赤字も減らないということになります。全く、三Kに次ぐどろ沼に落ち込むことは明瞭であります。
 以上、法定制の緩和ということは民主主義の基本に関係するものであり、もしこの法案が通るようなことになるならば、長く議会政治の上に汚点を残すものとして、私たち新自由クラブは強くこれに反対するものであります。
 以上をもって反対討論を終わります。(拍手)
#30
○議長(福田一君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#31
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#32
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#33
○議長(福田一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 山内 一郎君
        労 働 大 臣 藤尾 正行君
        国 務 大 臣 中川 一郎君
        国 務 大 臣 原 健三郎君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト