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#1
第093回国会 本会議 第12号
昭和五十五年十一月六日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十号
  昭和五十五年十一月六日
    午後一時開議
 第一 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案
    (内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 防衛庁設置法等の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 臨時行政調査会設置法案(内閣提出)の趣旨説明
  及び質疑
    午後一時四分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 防衛庁設置法等の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
#3
○議長(福田一君) 日程第一、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長江藤隆美君。
    〔江藤隆美君登壇〕
#4
○江藤隆美君 ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の主な内容は、海上自衛官千六百十九人、航空自衛官七百十二人、合計二千三百三十一人を増員すること、海上自衛隊の潜水艦隊及び航空自衛隊の補給本部を新編すること、自衛官の階級に曹長の階級を新設すること、陸上自衛隊の予備自衛官を二千人増員すること等であります。
 本案は、十月六日政府より提出され、十月二十一日本会議において趣旨説明及びこれに対する質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。
 委員会におきましては、十月二十八日大村防衛庁長官から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、十一月四日には鈴木内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行う等、慎重に審査を行いました。
 本案に対する質疑は、憲法第九条と自衛隊との関係、文民統制の確保のための方策、国際軍事情勢の分析、わが国に対する脅威の実態、防衛計画の大綱及び中期業務見積もりの取り扱いに関する問題等、広範多岐にわたって行われたのでありますが、その詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
 かくて、十一月四日質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由民主党の染谷誠君、民社党・国民連合の神田厚君及び新自由クラブの河野洋平君からそれぞれ賛成、日本社会党の岩垂寿喜男君、公明党・国民会議の鈴切康雄君及び日本共産党の榊利夫君からそれぞれ反対の意見が述べられました。
 引き続き採決いたしましたところ、本案は多数をもって、原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(福田一君) 討論の通告があります。順次これを許します。渡部行雄君。
    〔渡部行雄君登壇〕
#6
○渡部行雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
 今度の法律案のねらいは、単に海空自衛官の増員と潜水艦隊の新編成や曹長階級の新設という表面的なものとしてとらえるべきではなく、これまでの平和時の防衛力整備を基本とした基盤的防衛力構想の方針を百八十度変更して、脅威対応型の防衛構想確立のスタートにしようとする遠謀の一石としてとらえるべきであり、リムパック等合同演習の積み重ねによって、事実上連合軍構想の足場を築き、憲法第九条の空洞化をねらったものであります。これは、ことしの防衛白書を一読すれば明白であります。
 つまり、一口に言えば、ソ連の軍事力は最近著しく増強され、これに対してアメリカの軍事力は相対的に低下しており、米ソ間の軍事バランスが崩れつつあると強調、さらにソ連の極東及び北方領土における軍事力の増強とベトナムの海空軍基地の常時使用と相まって海上交通路の潜在的脅威が高まっているとし、日本列島の北と南から強大なソ連軍がいまにも襲いかかろうとしているような印象を読者に与えながら、これを日本の防衛力増強の必要性に結びつけ、防衛計画大綱の防衛力水準を可及的速やかに達成しなければならないと力説して、国防予算の大幅増額をねらったものであります。
 しかも、重大なことは、世界の軍事情勢を米ソ対立の二極構造によるものと分析し、日本は日米安保条約を強化してソ連に対抗しなければ、平和と安全は守れないという思想で貫かれている点であります。
 いま、世界の軍事、外交の専門家たちは、米ソ超大国による二極支配構造は終わりを告げ、多極化へと進んでいるという認識が圧倒的なのであります。加えて、日本の外務省も、外交青書で明らかなとおり、世界は多極化へ進んでいると分析しているのであります。
 しかるに、防衛庁だけが米ソ両国による二極支配構造を主張し、ことさらにソ連の脅威を拡大宣伝していることは、脅威に対する反発心を利用して日本国民に反ソ感情を助長させ、敵がい心をあおって、これを軍備増強のてこにしようというたくらみ以外の何物でもないのであります。(拍手)このことは逆にソ連にはね返り、際限なき軍拡競争へと発展するのであります。この法則性については、戦争科学者として有名なクラウゼヴィッツの「戦争論」によっても理論づけられているところであります。
 このようにして、仮想敵国を想定して続けられていく軍拡競争は、やがて戦争の極限まで引きずり込まれていくことは、古今東西の歴史が証明するところであります。(拍手)ましてや、平和憲法を改悪して軍備と戦争に対する歯どめを取り払うという動きとあわせ考えるならば、その目的の那辺にあるかは明々白々であります。
 鈴木内閣総理大臣が、平和憲法を擁護し遵守すると公式に表明しながらも、閣僚の一員たる奥野法相の所々方々における憲法批判の発言を抑えることもしないでいる現実を思うとき、そこには緻密に計算された仕掛け人と黒幕の関係を想起しないわけにはまいらぬのであります。(拍手)
 しかも、今日、日本にシビリアンコントロールが確立されているでしょうか。三矢事件からリムパック、さらに中期業務見積もり等、総理の知らない中で進められたケースなどを顧みるとき、自衛隊をめぐる秘密のべールは一層厚みを増していると思うのであります。国権の最高機関たる国会が、防衛秘密を知る権利と守る義務とを持つ、いわゆる情報収集能力を持たなければ、日本のシビリアンコントロールはまさに累卵の危機にあると言っても過言ではなかろうと思うのであります。(拍手)
 さらに問題なのは、産軍官癒着の構造であります。一例を挙げますならば、ロッキード、グラマン事件は申すまでもありませんが、去る十月三十一日の参議院安保特別委員会で参考人として脅威対応による防衛力増強を力説した白川元統幕議長は、現在、兵器メーカーの三菱電機の顧問をしており、このように自衛隊の大幹部は軍事産業と大きなかかわりを持っているのが常なのであります。したがって、今度の軍備増強の戦略は、死の商人の要請に基づく一面を見落としてはならないのであります。
 そして、もう一面は、アメリカの内政干渉とも思われる露骨な自衛隊増強と防衛費増額の要請であります。去る十一月四日にも、マンスフィールド大使から防衛費増額が改めて要請されたのは周知のとおりであります。自民党の多くの方々が、憲法はアメリカから押しつけられたのだから自主憲法をつくろうと、もっともらしく強調しながら、他方で、アメリカから押しつけられた軍備増強に狂奔している姿は一体何と説明したらよいでしょうか。(拍手)
 そんな中で去る十月三十一日、米国の対ソ封じ込め政策の発案者で有名なプリンストン大学名誉教授ジョージ・ケナン氏が、東京の国際文化会館での講演で、「日本は独自の判断と行動をとるべき時がきており、自分の意見を述べることにちゅうちょすべきではない。しかし発言力を増そうとして軍備を増強すれば世界的な反発を招き、道を誤ることになろう。ベトナム、アフガニスタンが示すように世界の危機は米ソ対立を基本に多極化しているからだ。」云々と述べて、日本の軍備増強に警告を発したのであります。
 タカ派の巨頭レーガン大統領が誕生し、世界情勢が多極化の方向に進んでいる中で、いま日本が世界に向かって何をなすべきかを真剣に考えるべきであります。
 日本のように、国土が狭く、人口が多く、資源のない国は、貿易立国の道しか残されていないのに気づくはずでありましょう。だとすれば、平和が絶対の条件であり、敵をつくらない政策が緊要なのであります。したがって、平和憲法をてことして全面平和外交を展開し、世界の軍縮のために全力を尽くすことではないでしょうか。非同盟中立政策の推進によって、地球上から武器と戦争をなくすための努力が必要なのであります。
 かつて、故ケネディ大統領は、平和の戦略と題する演説の中で、「私は平和の追求が戦争の追求ほど劇的でないことを知っている。そしてしばしば平和追求者の言葉は、またかというように聞き流されてしまう。だがこれ以上緊急な仕事はないのである。」と述べ、また、「われわれの好き嫌いがどんなに固定したものに見えても、時代と事態の潮流は……
#7
○議長(福田一君) 渡部君、渡部君、申し合わせの時間が参っております。なるべく簡単に願います。
#8
○渡部行雄君(続) しばしば国家間、隣人間の関係に驚くべき変化をもたらす。だから、たゆまず努力を続けよう。平和は必ずしも実現不可能ではなく、戦争も必ずしも不可避ではない。」と述べられたのであります。たとえ、世界の片すみで戦闘が絶えないからといって、平和に対する人間の努力をあきらめてはならないと思うのであります。
 以上の理由により、原案に反対いたし、討論を終わります。(拍手)
#9
○議長(福田一君) 林保夫君。
    〔林保夫君登壇〕
#10
○林保夫君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 言うまでもなく、平和と安全、自由と繁栄は人類共通の願いであり、中でも平和と安全は国民の生命、財産、さらには国家の存立にかかわる最重要政治課題であります。このことのために、今日いかに世界各国が国を挙げて心血を注ぎ、高い代価を払って努力しているかは、いまさら強調するまでもありません。
 われわれ民社党は、平和と安全の確保こそ国の不断の繁栄と国民の願う福祉国家づくりの大前提であるとの見地に立って、これまでも国会における安全保障委員会の設置など、わが国防衛について現実的対応と国民の合意づくりに、野党ながらも政治に責任を持つ立場から積極的に努力してまいりました。(拍手)
 しかるに、わが国においては、戦後特に国政の場において現実を直視しない観念的平和論が横行し、国民各層から強い批判を浴びながら、今日なお非現実的な不毛の論議を繰り返す傾向にあります。このためもあり、国政の責任を担う政府・与党も国民や国会に対し、わが国を取り巻く軍事を初めとする国際情勢やわが国自衛力の実態を率直に示そうとせず、万事事なかれ主義をとりつつ、しかもなし崩し的に防衛力をふくらませてまいりました。まさに国民不在、との無責任ぶりは世界に例のないところと申せましょう。(拍手)
 しかし、いまや国際情勢は一変し、わが国を取り巻く環境は一段と厳しく、このような不毛、甘えは許されない現実となっております。われわれはいまこそ、国民の多くが日本は大丈夫なのかと心配する声に耳を傾け、厳しい国際情勢を直視しながら、何より世界平和の前進と国家、国民の安全のために、現実に立脚した具体的政策をもって防衛問題に取り組まなければなりません。まさにこれこそ、今日避けて通ることのできない国家的課題であります。
 民社党はこういう情勢を踏まえ、いわばやむにやまれぬ心境から、ここに結党以来初めて防衛三法に賛成することに決しました。(拍手)
 その理由はまことに明快であります。
 第一は、わが国を取り巻く国際情勢が大きく変化し、これに対処するには、世界平和の創造に積極的に努力するとともに、防衛力の整備が急務となったことであります。
 ここ数年来、ソ連は世界的規模で軍事力の増強を図るとともに、アジア、アフリカへの進出を初め、アフガニスタンへの侵略など、軍事力を背景に強引な対外進出を続け、国際的平和秩序に大きな変化をもたらしつつあるととは、きわめて憂慮すべきことであります。また、極東地域においては、わが国の固有の領土である北方四島のうち三島までソ連の軍事基地が構築され、海空軍の配備、増強と相まち、わが国への重大な脅威となっております。
 この結果、米ソのデタントは大きく後退し、加えてイラン・イラク戦争の発生もあって、西側自由陣営はスイング戦略の採用や防衛努力の拡大など、ソ連進出に対処すべく真剣な努力を傾注しつつあります。
 わが国としても、これらの事態を十分念頭に置き、西側自由陣営の一員としての立場を踏まえつつ、自主的に防衛力の整備を着実に進めていかねばならない立場に立たされております。
 第二は、わが党年来の主張であります自衛隊に対するシビリアンコントロール体制が一歩前進したことであります。特に、昭和四十年以来、多年にわたって主張してきました国会の安全保障特別委員会が、いまだ不十分とはいえ、機能し始めたことは事実であります。また、さきのわが党と自民党との党首会談において、中期業務見積もりが国防会議に付議されることが確認されるなど、これらはわが国の安全、防衛問題にとって、いずれも画期的な前進であります。
 第三はい防衛問題に対する国民的合意がようやく生まれつつあるということであります。
 わが党は、これまでも防衛問題に対する国民的合意づくりの重要性を強く指摘し、そのために全力を尽くしてまいりました。しかし、いまや国際情勢の厳しさと相まって、自衛隊の積極的評価を初め、平和確保のための防衛力整備の必要性について、国民的コンセンサスが生まれつつあるのであります。このことは世論調査に明瞭であります。
 第四は、防衛力整備の基本原則について、わが党の主張が政府において基本的に理解されつつあることであります。
 さきの党首会談を通じて、防衛力整備については、平和戦略の推進、憲法の枠内、財政事情への配慮という三条件に立つべきであるというわが党の主張に、政府・自民党が基本的に同意したことであり、今後、自衛隊の欠陥是正やシビリアンコントロールの一層の前進について、わが党の方針が反映される状況が生まれつつあることであります。
 しかし、それはあくまでも防衛問題について共通の論議の場、言いかえれば土俵ができたということであり、個々の具体的問題については、今後、国権の最高機関である国会を通じ、論議と対応を進めていかなければならないことは申すまでもありません。
 以上、防衛三法に対しまして主たる賛成理由を申し述べましたが、この際、私は政府に対し、防衛力整備について、次の諸点に十分配慮して取り組むべきことを改めてここに要望するものであります。
 その第一は、防衛力整備について、前述したとおり、一、あらゆる手法、手段を講じての平和戦略の推進、二、あくまで現行憲法の枠内、三、財政事情への配慮を基本原則として進めることを誠実に実行していくことであります。
 第二は、国会の安全保障特別委員会を機能的に運営するとともに、形骸化している国防会議を改組強化し、総合的立場から安全保障全般を協議する最高機関とするなど、シビリアンコントロールの一層の前進を図ることであります。
 第三は、米ソのデタントと没脅威論を前提とした現行の防衛計画大綱を根本的に見直しし、世界の現実と今日的脅威の実体を踏まえたものに改めることであります。
 第四は、奇襲対処能力の欠如など、各方面から指摘されている自衛隊の欠陥を是正し、その質的整備を進めることであります。
 第五は、こうした自衛のための自主的整備が、結果的に世界平和と国際協調に貢献できるよう、またいやしくも諸外国の誤解を生ぜしめないよう、慎重かつ着実に実行することであります。
 政府は、以上の諸点に十分配慮して、わが国の平和と安全を確保し、もって世界平和に寄与すべく万全の措置をとられますよう、特に強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わるものであります。(拍手)
#11
○議長(福田一君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#12
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#13
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 臨時行政調査会設置法案(内閣提出)の趣旨説
  明
#14
○議長(福田一君) この際、内閣提出、臨時行政調査会設置法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣中曽根康弘君。
    〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#15
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨時行政調査会設置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 近年、わが国内外の社会経済情勢は大きく変化し、わが国は、今後、エネルギー・資源の制約、財政赤字の累積等の多くの困難を克服しつつ、経済の発展と社会の成熟化の進展、先進国家としての国際的役割りの増大等に伴う新たな課題に対応していくことが要請されております。
 このようなわが国行政を取り巻く諸情勢の変化の中で、国民の要請に的確にこたえる簡素で効率的な行政を実現するとともに、新たな時代への移行に対応した行政の諸制度の確立を図ることが強く求められているところであります。そこで、政府といたしましては、今後における行政の抜本的な改善を推進するため、長期的かつ総合的視点から行政の適正かつ合理的なあり方を検討する必要があると考え、今般各界の英知を結集した権威の高い調査審議機関として、総理府に臨時行政調査会を設置することとし、ここにこの法案を提出した次第であります。
 次に、法案の内容について御説明申し上げます。
 臨時行政調査会は、社会経済情勢の変化に対応した適正かつ合理的な行政の実現に資するため、行政制度及び行政運営の改善に関する基本的事項を調査審議し、その結論に基づいて、内閣総理大臣に意見を述べ、または内閣総理大臣の諮問に対し答申することを任務としております。
 調査会の意見または答申につきましては、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないこととするとともに、調査会は、これを内閣総理大臣から国会に対して報告するよう申し出ることができる規定を設けることとしております。これは、行政の改善問題については行政府がその責めに任ずることはもちろんでありますが、あらかじめその問題点を国民及びその代表たる国会に提示し、十分な御協力を仰ぎたいとの趣旨によるものであります。
 調査会の組織については、内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する委員九人をもって構成するとともに、専門の事項を調査審議させるため専門委員を、また、調査会の調査事務その他の事務を処理させるため事務局を置くこととしております。
 また、調査会の権能につきましては、行政機関の長等に対して資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができることとしているほか、みずからその運営状況を調査することができることとしております。
 なお、調査会は臨時の機関として設置されるものであり、政令で定める本法律の施行期日から起算して二年を経過した日に廃止されることとしております。
 このほか、関係法律について所要の改正を行うこととしております。
 以上が臨時行政調査会設置法案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 臨時行政調査会設置法案(内閣提出)の趣旨説
  明に対する質疑
#16
○議長(福田一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。岩垂寿喜男君。
    〔岩垂寿喜男君登壇〕
#17
○岩垂寿喜男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました臨時行政調査会設置法案について、総理並びに行政管理庁長官に質問をいたします。
 申すまでもございませんが、現在の日本にとって行政改革は非常に重要な政治課題の一つであります。最近のわが国内外の諸情勢は大きな変化を遂げており、また、国民の意識や要求も多様化しており、これらの変化に対して行政が適切に対応する体制を整えることが差し迫った問題であることはだれしもが考えていることです。
 私ども日本社会党も、行政改革の推進について真剣に検討を重ね、その方針を提示してきたことは御承知のとおりであります。
 それに関連をいたしまして、私はこの機会に私どもの行政改革についての若干の見解を述べてみたいと思います。
 私は、行政改革を単に減量経営とか公務員一般の削減や倫理観の問題だけに矮小化する考え方には同調できません。真の行政改革は、国民の要求に的確に対応する国、地方の基本的な政策形成システムの民主化、言いかえれば、国民の税金の公平な、公正な使い方、公的資源の配分をどう民主化するかということを前提に置くべきだと考えます。
 これを予算の編成について申し上げますと、予算の編成は実務的には大蔵省主計局が当たりますが、実際には業界や利益団体が予算編成期を中心にして激しい予算分捕り合戦をやり、そこで、自民党だけとは言いませんが、特に政府・与党の議員がこれに介在、介入をいたします。そして各省庁の官僚も、これを利用して予算の拡大や権益、権限を確保するために全力を挙げます。
 この三角同盟、つまり業界や圧力団体は実益を得る、そして議員は票と政治献金を確保する、官僚はなわ張りと権限、それに天下り先をも含めて拡大をする、こうした癒着の関係が長い間ずっと積み重ねられてきたことは周知の事実であります。それは特に高度経済成長期を通して顕著になったと思われます。
 たとえば、補助金、財政投融資、信用保証、優遇税制、許認可制度、設備や操業に対する調整、輸入原材料の割り当て等々、さまざまな行政手段を使っての企業に対する過剰な保護、介入が行われており、公社、公団、特殊法人の設立もその例外ではございません。
 このようにして、特定の利益が民主的な政策形成や調整のルートを通らないで、政界、官界、財界の癒着を通じて既得権益として定着し、現に維持されていることは重大な問題だと言わざるを得ないのであります。
 私は、今日の行政改革はこの点にメスを入れ、改善の措置をとらない限り、本物ではないと強調せざるを得ません。
 私は、その改善のためには、まず第一に、国民の政策決定機関である国会があるのですから、国会の権威を予算編成全般に及ぼすことが必要であり、そのために国会の機能と体制を確立すること、第二に、国と自治体とトータルに構想されるべきであり、地域にかかわりのある政策や予算の決定は、地方自治体の参加を通して利害の調整を図るシステムを確立すること、第三に、国、地方自治体の政策形成に消費者や一般の納税者の意思を反映させるために、諮問機関や審議会の民主化にとどまらず、国民の参加の体制をつくり、第四には、行政による意思決定の根拠と過程を明らかにするために情報公開法を制定すること、第五には、行政における政策の執行や財務あるいは公的資産の管理、さらに特殊法人の経理、経営に納税者の代表がチェックできる機構の確立、たとえばオンブズマン制度を導入するなどのことが最低限必要だと思います。
 このような民主、公開、参加そして分権の大前提を確立した上で、公務員労働者はもちろん、国民の理解と協力を得ることが急務であります。
 総理は、所信表明演説で、行政改革に惜しみない努力を払うべきであると述べておられます。総理は、今後の行政改革にどのような方針で臨もうとなさっていらっしゃるのか、この調査会に何を期待するのか、いま私が申し上げたことなども含めて、明快な御答弁を煩わしたいと思います。
 行政改革は、今後の国民のニーズに的確にこたえる行政のあり方を長期的かつ総合的視野に立って検討することが必要であることは、いまさら私が申し上げる必要はございません。しかし、歴代内閣の行政改革の実績を振り返ってみますと、そのような配慮が十分であったとは言いがたいと思います。
 たとえば、第一次臨調答申の中で実施された主なものは、総定員法と一省一局削減という、人減らしと行政機構の縮小の域を出ず、行政における民主化の徹底、行政事務の中央集権化の排除、行政運営における合理化、能率化の推進などは、その具体化が不十分であったことを率直にお認めいただかなくてはなりません。
 その意味では、今回の臨時行政調査会の設置に当たって、これまでの行政改革の反省がそこになければならないと考えますが、この点の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、私は先日、内閣委員会の地方支分部局の整理のための行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案審議の際に、機械的に一省一局のいわゆる一律削減方式のやり方では、各省段階でスケープゴートを探し出すことになって、必要かどうかという客観的な判断よりも、抵抗の少ないところが犠牲になっていると指摘をいたしました。これでは、行政改革の名のもとに逆に行政の不合理と矛盾を生み、著しく住民サービスを低下させることになりかねません。
 これらの点は、新しい調査会の発足に当たって、これまでの反省として反映されるべきだと思いますが、行政管理庁長官の見解をお聞かせいただきたいと存じます。
 また、こうした一律的な行政改革方針によって、公務員労働者に少なからぬしわ寄せと犠牲を押しつけてきたことは否定できない事実であります。公務員労働者も、行政ニーズに適切に応対した合理化には必ずしも反対するものではないと信じます。公務員がその任務と責任を自覚し、国民に対して行政のサービスに努めるべきは当然であります。しかし、彼らが労働基本権を奪われ、人事院勧告も今日のように政治的な道具に使われている現実の中で、行政改革によって首切りや配転や労働条件の切り下げなど、一方的な犠牲を押しつけられるとすれば、それはがまんのできないことであります。
 私は、公務員労働者にも労働基本権を保障すべきである、この主張を持ちながら、臨時行政調査会の調査、審議に当たっては、いたずらに公務員労働者に不安を抱かせることのないよう、行政改革について組合との十分な交渉、協議はもちろんのこと、無理のない実行方策に関して十分な配慮が行われるべきだと考えますが、行政管理庁長官の誠意のある御答弁を求めます。
 新しい調査会は、政府においても、これまでの対症療法的な行政改革のやり方では解決できない行政の根本問題を、国民的な審議に付することによって解決していく必要を認めたからだと考えます。したがって、今回の調査会の成否は、これに取り組む政府の姿勢は当然のこととして、その構成をいかに国民的なものにするかという点が大変重要であります。労働者の代表を含む各界各層の立場や利益を網羅する超党派的な人選が必要であると考えますが、総理及び行政管理庁長官の方針をお示しいただきたいと思います。(拍手)
 次に、調査会の運営についてお尋ねしておきたいと思います。
 先ほどの提案理由の説明の中では、「今後における行政の抜本的な改善を推進するため、長期的かつ総合的視点から行政の適正かつ合理的なあり方を検討する必要があると考え、」云々とございます。率直に申し上げて、これでは余り抽象的過ぎまして、検討課題を判断することはできません。これは、総理大臣が具体的なテーマを決めて諮問するという形になるのか、あるいは白紙に近い形で委員会にお任せするのかよくわかりません。
 これに関連して、国会というのは設置法といういわば入れ物を決定するだけなのか、中身について意見を述べるときそれがどのように生かされるのかという点も明確ではございません。
 たとえば、第一次臨調の発足に際して総理大臣と行政管理庁長官はあいさつをされて、諮問事項とも思われる点を述べられております。ここでは行政管理庁長官は、「臨時行政調査会の意図するところは、人員整理による行政改革というようなことでなく、さらに高い見地から日本の行政のあり方を、その組織運営の根本にさかのぼって検討することでありまして」云々というあいさつをなさっておられます。新しい調査会はこういう形で委員各位に諮問するものと考えてよろしいかどうか、見解をお尋ねしておきたいと思います。
 前後して恐縮ですが、これは総理にお尋ねをいたします。
 過日の内閣委員会で、私は中曽根行政管理庁長官に、プライバシーの保護についてのOECDの勧告に関連して質問をいたしました。それは、勧告にあるプライバシー権というのは、個人が自分に関する情報をコントロールできる権利であるという規定、それから、保護の基本原則に八項目のガイドラインが示されているがその原則をお認めになるかという点、そして、日本も立法化を急ぐべきだという点についてでございました。
 行政管理庁長官は、日本の立場はOECDに近い立場だと前向きの姿勢を示し、立法の方向に行くのが至当ではないかと答弁をされましたが、総理のこの点に関しての御答弁を改めて要請をいたします。
 最後に申し上げます。
 これまで行政改革に関しては数多くの答申、意見が出されてきました。しかし、行政改革は国民生活の基本にかかわる行政のあり方を左右するだけに、慎重に検討されるべきであります。同時に、それは、財政再建という観点だけではなしに、公開、参加、分権という理念を基調として、国、地方の行政が民主的で開かれたものとして機能することを目指しての最大の努力を払うべきものだと考えます。
 総理は、そのリーダーシップをどうとられるのかお伺いをして、質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 まず、行政改革のあり方につきまして、具体的な御提言を含めお話がございました。いろいろ示唆に富む御意見であると存じます。
 個別の御提言につきましては、後ほど行政管理庁長官から答弁をいたしますが、私の行政改革に臨む方針といたしましては、所信表明の際に申し述べましたとおり、まず、前内閣が策定した昭和五十五年行政改革を着実に実現することを図り、さらに、新たな角度から行政の合理化と効率化を進めるため、これまで実施してきた定員縮減などに加えて、主として行政の仕事減らしという観点から行政改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、これからの国民の需要に的確にこたえる行政を実現するため、長期的かつ総合的な観点に立った行政のあり方について抜本的な検討を行う権威ある機関として、新たに臨時行政調査会を設置することとし、このたび法案の御審議をお願いいたしたのであります。
 同調査会に対しては、行政の実態に全般的な検討を加えていただき、国民と行政、官業と民業、国と地方の間などの基本的あり方を確立し、行政の簡素、効率化を一層推進するとともに、行政制度及び運営のあり方など、広く行政の基本的諸問題について抜本的な検討を願いたいと期待いたしております。
 なお、第二臨調の運営に当たっては、第一臨調の諸経験を十分に生かしてまいりたいと存じます。
 臨時行政調査会の委員の構成及び人選につきましては、私もきわめて重要なことであると考えております。広く国民各層各界から行政改革についてのすぐれた識見と熱意を有する方を厳正かつ公平に選考し、国民の信頼と支持を得る必要があると存じます。このため、御審議願っている法案におきましても、委員の任命に当たっては、あらかじめ衆参両院の同意を得るものといたしておるところであります。
 次に、プライバシー保護のOECD勧告でありますが、同勧告は広範な分野、事項の対策の実施を求めており、幅広い検討が必要であります。しかし、いずれにしても、政府としては前向きに対応する必要がありますので、行政管理庁を中心に検討を進めることといたしたいと存じます。
 最後に、行政改革に向かう視点について御質問がございましたが、行政改革は国民のニーズに適合したものでなくてはならず、それゆえに、あらゆる時代において政府に求められる課題であると私は認識いたしております。そのためには、今日国民が多面にわたって求めている行政サービスを的確にとらえ、これに簡素かつ効率的にこたえる行政の実現を目指してまいりませんと、行政の重複、複雑化を招くおそれがあります。
 私は、国民のニーズの推移に応じて、行政制度や行政のあり方を直していくことがきわめて重要であると考えており、そうすることによって、行政のむだを排除することが可能になると考えております。
 公開、参加、分権という理念を基調としてはどうかとの御意見でありましたが、それらの問題は、他方で個人のプライバシー、行政責任の所在と能率の問題、また行政の統一性といった検討課題を生ずるものでありますので、個々の具体的な事例ごとに、御意見に留意しながら、慎重に検討してまいりたいと存じます。
 残余の点につきましては、行政管理庁長官から御答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#19
○国務大臣(中曽根康弘君) お答えいたします。
 岩垂委員は、行革は政策形成システムの民主化であって、この点に特に力を入れよとまず御指摘になりましたが、私もこの御見識には賛成であります。しかし、行政の中には管理の効率化と清潔化という問題もあると思います。こういう点につきましても、われわれは特に戒心して推進してまいるつもりであります。
 それから、予算編成に関する癒着の問題を御指摘になりましたが、ややもすればそういう御批判をいただいていると思います。この点につきましては、そのような御批判をいただかないように、われわれは十分自戒しなければならないと思います。
 第二に、行政につきまして国会機能の強化、地方分権、行政に対する国民参加及び公正確保のための公開制度や、オンブズマンにつきまして御指摘をいただきました。
 私は、時代の趨勢はこういう方向に向かっていると思います。このような方向を具体的に一歩一歩どのように前進していくかということについて、慎重に検討してまいりたいと思っております。
 それから、民主、公開、参加、分権についても御指摘になりましたが、現代社会のように価値観が非常に複雑化しまして多元化した、しかも高学歴の情報化社会になってまいっておりますところを見ると、まさに御指摘のとおりの方向に改革はなさるべきであると思います。
 次に、臨時行政調査会につきまして、人選について御指摘がございましたが、総理が申されましたように、超党派的に、各界の意見を十分代表し得るようなお方に入っていただきたいと思います。特に今回は、地方の関係、あるいは労働関係、あるいは文化界の関係、こういうような関係の方々の御意見も重視するように心がけたいと思います。
 次に、第一次臨時行政調査会の反省について御指摘になりましたが、確かに、第一次の調査会は二十年前にできまして、その後大きく社会情勢が激変して、社会構造の劇的変化があったと思います。特に石油危機あるいは高齢化社会というものが現実化してまいりまして、これらに対する対応がおくれておると思います。また、国民全体の合意を形成するのについて必ずしも十分でなかったとも思いますし、官庁の規律や綱紀の粛正についても遺憾な点があったと思いますし、また、簡素、効率化についてもわれわれの努力が足りなかったところがあると思います。これらの点につきましては十分戒めてまいりたいと思っております。
 次に、公務員諸君について不安を与えないようにせよという御指摘でございますが、当然無用な不安や能率の低下を来さないように、私たちは十分慎重にやらなければならないと思います。
 それから、第二次臨時行政調査会の諮問、審議の内容でございますけれども、私はできるだけ自主的に、自由に御論議をいただきまして、前提や条件なしにフリーハンドを与えて、十分御審議願うようにいたしたいと思っております。
 なお、必要に応じましては、特定の事項あるいは包括的事項について新たに諮問に加えるということも考えていいと思っておりますし、また、その過程におきましては、国会の御意見を十分反映できるように私たち心がけてまいるつもりでございます。
 以上で御答弁を終わりにいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(福田一君) 鈴切康雄君。
    〔鈴切康雄君登壇〕
#21
○鈴切康雄君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、鈴木内閣の行政改革に取り組む姿勢及び今回議題となりました臨時行政調査会設置法案について、鈴木総理並びに中曽根行政管理庁長官にお伺いをいたします。
 近年、国際経済社会の歴史的転換期の中にあって、わが国の経済社会は大きく変容し、低成長経済の中にあって、今後急激に高齢化社会へ移行することが予想されております。
 その中にあって、民間企業では、減速経済に対処し、いち早く新時代に対応できる体質、体制に再構築するための経営努力が払われてきたことは、すでに御承知のとおりであります。
 しかるに、率先垂範しなければならない政府の行政改革は、行政府みずからが不断の検討と実践の努力を果たすべき責任があるにもかかわらず、ほとんど今日まで見るべきものもなく、旧態依然の行政に推移してきたのが現状であります。今日ほど、国家的な課題として財政再建が強く叫ばれているときはありません。財政再建に期待する国民の声は、高度成長で水ぶくれした行政機構にメスを入れ、行政経費の節減を図り、新たな時代に対応した行政を強く求めてやまないところであります。
 行政改革の抜本的推進を図るためには、中長期的な観点から、将来、日本が直面する政治課題としての資源・エネルギーの問題や、必然的に到来する高齢化社会に対応しての福祉行政の推進、さらには地方の時代、国民参加の行政のあり方等を含めた制度及び運営の改革に関する総合的ビジョンが必要とされていることは、言うまでもないことであります。また、直面する財政の窮状に対処し、当面実施し得る行政改革を着実に行うことも、国民の強く期待するところであります。
 そこで、これらの問題に関連して、まず総理に、今後の行政改革の推進についてどのようにお考えになっておられますか、所信をお伺いいたします。
 第二には、当面、早急に推進すべき行政改革事項について、先般、わが党を初めとする民社党、新自由クラブ、社会民主連合のいわゆる中道四党の合意として、中央省庁の機構の整理、地方出先機関の原則的廃止、国家公務員の四年間実質三万七千人の削減、特殊法人の統廃合、補助金の大幅整理等、行政の各般にわたる十項目の改革案を取りまとめ、政府にその具体的実施を強く要請したところであります。
 まず、今回の臨時行政調査会を設置する前に、当面の課題として、政府はこの四党合意による行政改革案をどう受けとめ、今後どう具体化を図っていくつもりなのか、行政管理庁長官の見解をお伺いいたします。
 第三に、わが党は、かねてから中長期的な観点から、行政の制度及び運営状況について抜本的改革案を検討、立案する機関の設置について、その必要性を今日まで再三にわたり主張してまいりましたが、政府は常に消極的な姿勢に終始してきたところであります。ところが今回、急遽、臨時行政調査会を設置するという方針が決定されたのであります。
 この際、行政管理庁長官から、その真意と趣旨を明確に国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 第四に、第一次臨調においては、内閣の総合調整機能の強化を初め、行政の各般にわたる改革意見が提起されたところでありますが、その実施状況は必ずしも十分とは言いがたいものがあります。行政改革の断行には、総理のリーダーシップと政府の熱意ある取り組みなくしては、どのような改革案も絵にかいたもちに等しいと言わざるを得ません。
 そこで、政府は、第一次臨調答申以来今日までを総括した結果、いかなる反省に立っておられるのか、また、いわゆる第二次臨調から提出される意見、答申を真摯に受けとめ、速やかにこれを実行に移すための具体的な方策をどのように考えておられるのか、総理並びに行政管理庁長官にその決意のほどをお伺いいたします。
 第五に、行政改革は、当面改革しなければならない問題と、中長期の経済社会を見通した上でのあるべき姿を想定して、適切な施策と確固たる哲学を持って進められなければなりません。しかし、これまでの政府が行ってきた行政改革は、ともすればそのときどきの内閣の人気取り的な発想に基づいて進められてきた感をぬぐい去ることはできません。
 今回の法案によると、「今後における行政の抜本的な改善を推進するため、長期的かつ総合的視点から行政の適正かつ合理的なあり方を検討する必要がある」となっておりますが、わが国の国民経済の変化の中で、国民の要請に的確にこたえるためには、ただ単に第二臨調にすべてを任せるということでなくして、むしろ行政府が今後の資源・エネルギーの制約にどのように対処し、高齢化社会にどのように対応していくのか、また、地方の時代と言われている八〇年代の国と地方の行政のあり方等将来の見通しと方向づけを、まず政府みずからが明らかにする必要があると考えますが、この際、総理及び行政管理庁長官から、政府の中長期的なビジョンを明確にしていただきたいと思うのであります。
 第六に、昭和三十九年の臨時行政調査会の性格は、権威の高い行政診断機関として位置づけられておりましたが、今回設置されようとしておりますところの調査会は、権威の高い調査審議機関として位置づけられております。この二つの調査会の性格の違いをどのように考えられておられますか。
 また、調査会の委員の構成についてでありますが、第一次臨調では委員が七人でありましたが、今回の調査会では九人と、二名増員されております。委員の選考の仕方によっては、今回設置しようとしている臨調の性格が大きく変わってくることは必然であります。どのような分野から代表を追加するお考えなのか、その内容を明確にするとともに、これら委員の人選に当たっては国民的な視野に立って公正を期すべきであると思いますが、その点をどのようにお考えになっておられるか、お伺いをいたします。
 第七に、今回の臨調設置に伴い行政監理委員会は廃止されることになっておりますが、行政監理委員会は創設以来十五年間、民間の有識者を中心として、行政改革に関する多くの意見、答申を提起し、行政改革の推進にとかく消極的な政府に活を入れ、その改善に取り組んできたことに対しては、それなりの評価をすることにやぶさかではありません。
 しかし、今回行政監理委員会が廃止されるとするならば、中長期的な行政のあり方の検討はともかくとして、五十六年度以降当面実施すべき行政改革の推進については、政府に対して厳しい注文をつける機関がなくなることになります。五十六年度以降今回の臨調答申が出るまで、政府の行政改革に対する対応の仕方について行政管理庁長官の所見をお伺いいたします。
 最後に、総理にお伺いをいたします。
 私は、今回第二次臨調を設置し、今後の新たな時代に即応した行政のあり方について基本的な検討を加えようとする政府の姿勢に対しては、それなりの理解を持つものでありますが、この第二臨調が隠れみののような存在になるとするならば、国民の厳しい糾弾を受けなければなりません。真に国民のための行政改革を断行することは政府の課せられた責務であり、なかんずく、総理のリーダーシップと決断を要することもまた言をまたないところであります。
 総理は、第二臨調の設置に対しどのような姿勢で臨み、今後どのように行政改革を進めていかれるか、そのおつもりはいかがであるか、お聞かせ願いたい。
 かりそめにも、行政改革に名をかりて国民への行政サービスの低下を来したり、行政改革が進まないからといって、弱い立場にある人々の福祉の切り捨てを図ったり、一般消費税などの大衆増税に転嫁するということは、断じてあってはならないと思いますが、これらの問題について総理の所見と決意をお伺いいたしまして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 鈴切さんにお答えをいたします。
 まず、今後の行政改革推進についての私の所信についてお尋ねがございましたが、私は、所信表明において明らかにいたしましたとおり、まず前内閣の策定した昭和五十五年行政改革を着実に実現することを図り、さらに新たな角度から行政の合理化と効率化を進めるため、これまで実施してまいりました定員縮減などの施策に加え、主として行政の仕事減らしという観点から行政改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、長期的かつ総合的な視野のもとに行政のあり方について抜本的な検討を行うため、今回御審議を願っている臨時行政調査会を設置し、基本的な行政改革案を策定して今後の行政改革を進めたいと考えております。
 いずれにいたしましても、行政改革の実行には多大の困難が伴い、世上言われるように、とかく総論賛成、各論反対となりがちでありますが、私は、内閣が一体となって不退転の決意のもとに行政改革の推進に当たる所存でありますので、広く各党各会派の御協力を賜りたいと存じます。
 第一次臨調答申につきましては、政府は、これまで極力これを尊重するとの基本方針のもとにその実現に取り組んできたところであり、相当の成果を上げてきたものと考えております。しかし、答申の中には、社会経済情勢の著しい変化など諸般の事情からいまだ実現を見ていないものがあることも事実であり、これらについては、これまでの間の情勢の変化を考慮しながら、行政の簡素、合理化に役立てるよう努めてまいりたいと存じます。
 また、第二臨調の意見、答申につきましては、これを全政府的な課題として受けとめ、実行に移してまいる所存であります。
 次に、政府の中長期的なビジョンを明らかにするようお話がございました。
 社会経済情勢の変化や国民のニーズに即応し、簡素にして効率的な行政の実現を図ることは、政府の基本方針とするところであります。このような見地に立って、従来から長期的な視点のもとに行政改革を進めてきておりますが、今後におきましても、社会の高齢化、エネルギー・資源の制約、財政負担の状況など、国民のニーズや負担のあり方を長期的に把握し、これに適切に対応し得る行政の体制をつくり上げてまいる所存であります。
 しかしながら、長期的かつ総合的な観点から行政制度及び運営のあり方を検討するに当たっては、ひとり政府のみならず、国民各界各層の英知を結集することが必要かつ適当なことであると考え、今回臨時行政調査会を設置することとしたものであります。
 最後に、第二臨調の設置に対する姿勢と今後の行政改革に取り組む決意についてお尋ねがございました。
 第二臨調は、高度成長期から安定成長期への移行など、わが国社会経済の大きな変化に対応して、行政のあり方を抜本的に見直し、長期的かつ総合的な視点に立った行政改革案を策定するために設置するものでありますので、昭和五十五年行政改革や昭和五十六年度以降の改革措置を先送りしたり、あるいはこれを怠るための隠れみのにしたりする意図はございません。
 また、私は、行政改革というものは、今日、国民が多面にわたって求めている行政サービスを的確にとらえ、これに簡素かつ効率的にこたえ得る行政を実現して、国民の負担を軽減することであると認識いたしておりますので、適正な行政サービスのあり方について国民の理解を得ながら、総力を挙げて着実に行政改革に取り組んでまいる所存でございます。
 残余の点につきましては、行政管理庁長官から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#23
○国務大臣(中曽根康弘君) 鈴切議員にお答えいたします。
 まず、第二臨調をつくりますのは、これは隠れみのにするという意図は毛頭ございません。現在も八項目にわたる行政改革の方針を実行中でございまして、この第二臨調というのは最後の八番目に当たることでございます。その前の七項目は、サービスの改善あるいは法律の廃止、許認可の廃止、特殊法人の見直しあるいは審議会の廃止等々、いま各省とかけ合っておる最中でございまして、十二月の予算編成のときにはこれを決着させて、閣議決定その他で最終的に決めたいと思っておる次第でございます。
 次に、四党の合意について所見いかんという御質問でございますが、拝読いたしまして、非常に御苦心の御労作であり、かつ相当長期間にわたりまして御検討いただいた傑作であると実は評価している次第であります。
 特に地方出先機関の廃止、整理、国家公務員の定員削減、あるいは公務員の定年制の導入、あるいは特殊法人の統廃合、補助金の大幅整理、各種審議会の整理合理化、許認可等の整理合理化、あるいは地方分権の推進、こういう点はわれわれも同感の点でございまして、そういう方向に沿っていま努力しておるところでございます。
 それから、オンブズマン制度について御提言がございますが、御提言の中で行政改革特別委員会を国会に設置せよという御提言もございますが、この二つは国会がお決めいただくことでございまして、われわれといたしましては、行政各部の範囲内でオンブズマン制度を導入する可否につきましていま検討しておるところでございます。
 また、この御提言の中身を見ますと、かなり具体的に詳細にわたりました御提言がございまして、かなり勇断をふるった内容であると実は拝読しておるわけでございまして、われわれの現実的な観点から見ると、今日、そこまでいまやることはむずかしいという点も実はございます。しかし、御趣旨の存するところはよく理解できますので、その線に沿いまして鋭意努力してまいりたいと思っております。
 第二に、第二臨調の問題でございますが、これを設置する方針は、一言に申せば八〇年代以降の複雑化したこの国際、国内の情勢に対応した日本政府の政府としてのあり方はどれが適正であるか、行政の機能はいかにあるべきか、中央、地方の問題、あるいは官業と民業との関係、あるいはプライバシーや情報公開の問題、そういうさまざまの問題につきまして一定の哲学と体系を持った具体的施策を出していただいて、われわれの指針とさせていただきたい、そういう考えに立ちまして、社会構造の変化を見通して、ある程度中長期的展望に立ったビジョン、体系をつくっていただきたいというのが一つの中心の考え方であります。しかし、二年間にこれはぜひ結論をつくっていただき、その途中におきましても中間答申をできるだけ早くつくっていただいて、実行に移したいと思っております。
 公明党におかれましては、このような機関の設置を前から御提言になっておりまして、私たちもこの御意見を参考にさしていただいた次第でございます。
 第一次臨調の成果はいかん、こういう御質問でございますが、大体四十項目にわたっていろいろ御指摘をいただき、御提言をいただきました。その中で完全に実施したものあるいは部分的に実施したものは三十一項目、全然手をつけてないものは九項目でございます。
 実施したものはどんなものかと申し上げますと、一省一局の削減、あるいは総定員法の実施、あるいは行政監理委員会の設置、あるいは国土庁の設置、あるいは経済企画庁の国民生活局、物価局の設置、あるいは官房長官を国務大臣制にした、これはトップマネジメントの関係から来ている考え方でございます。そのほか貿易あるいは外為関係の自由化という面がございまして、これも最近実施したところでございます。
 手をつけなかったところは何かと申しますと、内閣補佐官制度の問題、それから総務庁の設置、地方事務官制度の廃止あるいは職階制の実施、こういう点は全然手をつけなかった点でございます。これらについても鋭意検討してまいりたいと思っております。
 それから、第二次臨調の成果をいかに具体化して実現するかという御質問でございますが、第二次臨調におきましてはできるだけ具体的結論をいただきたいと思っております。抽象的な結論だけでなくて、できるだけ具体的な結論をいただきまして、それをできるだけ早期に実施するようにいたしたいと思っております。
 第一次臨調の反省いかんという御質問でございますが、先ほど岩垂議員に御答弁申し上げましたように、国民合意の形成について不十分であった、あるいは綱紀の粛正について足らざるところがあった、簡素、効率化についても不十分であった等々反省しております。
 なお、第二次臨調につきましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ自由に自主的な御判断をいただいて、前提や条件つきでなしに、自由な御結論を得るように努力してまいりたいと思っております。
 それから、第一次臨調と第二次臨調の差がどこにあるかということでございまして、第一次臨調は行政診断と書かれておる、第二次臨調は調査審議ということが重点である、こういうことでございますが、第一次臨調は、どちらかと申しますと、能率化という点、あるいは政府がトップマネジメントで勇断をふるってやれというような調子が強かったのであります。今回は、行政の体系あるいは展望あるいは哲学、そういうような観点も加味いたしまして、われわれに指針を与えていただくという性格が強くなっております。
 九名の人選につきましては、御指摘のように、全国民的代表となるべき方を慎重に人選してまいりたいと思っております。
 行政監理委員会の廃止の間どうするかという御質問でございますが、これは、第二次臨時行政調査会が開かれておると予想されますので、その間でも必要なものは諮問いたしまして、中間答申をできるだけ早期に出していただく。なお、われわれ行政管理庁も一生懸命努力いたしまして、その期間遺憾なきを期したいと思っております。行監委員会をその間廃止いたしますのは、やはり行政の簡素化の趣旨に沿いまして率先垂範しなければならぬ、そう考えてやっておるところであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○議長(福田一君) 玉置一弥君。
    〔玉置一弥君登壇〕
#25
○玉置一弥君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま提案されました臨時行政調査会設置法案に関し、総理並びに行政管理庁長官に対して質問を行うものであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 行政改革は、いまや最大の政治課題と言っても過言ではありません。特に、昨年秋、政府が導入せんとした一般消費税に対し、国民がノーの判断を下して以来、むだな行政のぜい肉を切り落とし、効率的な財政運営を行っていくことは、国民、納税者に対する政府の義務とも言えるものであります。
 民社党は、これまでどの政党にも増してこの問題に対して積極的に取り組んでまいりました。昭和四十四年、当時行革のバロメーターとまで言われた総定員法に賛成したのを初め、党内に行財政改革特別委員会を設置し、昭和五十二年、行政改革緊急三カ年計画案を作成して政府に申し入れ、さらに昨年、行政改革の政府への第二次提言を行い、政府にその実現を強く要求してまいったところであります。
 そこで、まず総理にお伺いをいたします。
 われわれは、行政改革の目的は、国民のための福祉国家建設に向けてのよりよき行政体制づくりにあると考えるのでありますが、今回の臨時行政調査会設置の目的はどこにあるのか、明確な御答弁をお願いしたいのであります。
 次に、第二臨調設置に当たっての政府の基本的姿勢についてお尋ねをいたします。
 八〇年代は地方の時代と言われております。高度成長優先、産業優先の立場から行われてきた極度な中央集権体制への反省が生まれ、分権と自治を確立し、独自性と主体性を生かした地域社会の建設を行っていこうという機運が出てきたのであります。
 しかるに、現在の行政体制は依然として中央集権であり、机上のプランである中央官庁の施策を、多大な事務権限と補助金で縛りながら、ばらばらに地方に押しつけているのが実情であります。
 この際、住民に身近な事務は住民に身近なところでとの視点に立って行政事務を洗い直し、可能な事務は大幅に地方に移譲するとともに、それに伴って財源も大幅に地方に移譲して、地方自治体の自主性に基づき効果的な財政運営を行っていく必要があると考えるのでありますが、このような地方分権の立場に立った行政改革を断行する意思がおありになるか、総理大臣の御所見を賜りたいのであります。
 戦後三十五年を経過した現在、すでに不要となり意味のなくなった機構を簡素化、効率化し、公正で民主的な行政が実現できるような体制を整備していかなければならないのでありますが、民社党はこの点に関しても、中央省庁の統廃合、特殊法人の大幅整理、地方出先機関の原則的廃止など、具体的な提案を行ってまいりました。
 しかるに、中曽根行管庁長官は、行政そのものの整理、簡素化が中心であるとの認識から、機構いじりはしないとの方針に立っておられるようでありますが、不要な機構の整理なくして行政の簡素化、効率化はあり得ないのであります。
 そこでお尋ねをいたしますが、第二次臨調に諮問するテーマは具体的にどういうものを考えているのか。中央省庁、特殊法人、地方出先機関を初め、われわれの主張するような行政機構の抜本的な改革を含むものであるのか、お聞きをしたいのであります。
 また、行政改革は、財政再建を進めるに際し、何よりも優先されなければならない課題であります。しかるに、政府のこれまでの行政改革は、補助金の整理一つをとってみても、遅々として進んでいないのが実情であります。補助金と並んで財政投融資の見直しなど、財政の徹底した見直しの手法などについて諮問されるお考えはないか、お尋ねをいたします。
 さらに、国民に開かれた民主的な行政を進めていくために、かねてからわが党が主張してきた国会に行政監察委員を設置するオンブズマン制度、国民に必要な情報を提供する情報公開法、管理社会のエスカレートから国民を守るプライバシー保護法について、それぞれ導入する方向で諮問すべきであると考えるのでありますが、政府の前向きな御答弁をいただきたいのであります。
 そこで、今回政府が設置しようとされております臨時行政調査会でありますが、具体的にどういう構成を考えておられるのか。法案によりますと、調査会の委員は九人ということでありますが、超党派かつ民間主導で推進する体制をつくる必要があると思うのであります。どのようなメンバーを考えておられるのか、お答えをお願いしたいのであります。
 次に、臨時行政調査会の答申の取り扱いについてお尋ねをいたします。
 過去、池田内閣時代に臨時行政調査会が設置をされております。当時、政府は「広く国民の立場に立って行政の画期的な体質改善を行ない、国民へのサービス向上に寄与すべく、各界各層の知能を結集して、権威の高い行政診断機関を設ける」との趣旨から昭和三十七年二月に臨調を設置し、昭和三十九年九月に至るまで実に二年七カ月にわたる審議を経て、総論以下十六項目、千ページに上る答申が提出されたのであります。その答申を受け取ったのは、当時官房長官であった鈴木総理大臣でありますから、総理はよく御記憶のことと思います。
 しかし、これら膨大な答申を得たにもかかわらず、政府がどれだけこれを真摯に実行に移したかは、はなはだ疑問であります。
 わが党は、毎年、予算委員会において、当該年度における臨調答申実現の進捗状況を政府に資料要求してまいりましたが、その回答を見る限り、きわめて不十分であると言わざるを得ないのであります。
 そこで、昭和三十九年の答申以来、トータルでどれだけこれが実現されてきたのか、具体的にお示し願いたいのであります。また、これらが十六年の長きにわたって放置し続けられてきた理由は何か、新たに臨時行政調査会が設置された場合、これらの答申内容は実現せぬままにすべてお蔵入りとなってしまうのか、重ねてお尋ねしたいのであります。
 さらに、本法律案が成立し、臨時行政調査会が設置されて答申を出した場合、答申は出たものの、前回と同様、一向にそれが実現をしないという結果に至ることもなしと言えません。第二臨調が、こうした失敗を犯さない保証はどこにあるのか、政府は、第二臨調を答申どおりすべて実施するのか、確固たる御答弁をいただきたいのであります。
 国民の多くが注視し、期待をいたしております行政改革に対し、政府の責任においてこれを一刻も早く具体的な形で断行しなければならない今日、第二臨調は、その実現から国民の目をそらそうという隠れみのであっては断じてならないのであります。
 最後に、五十五年行革との関係についてお尋ねをいたします。
 政府は、本年、五十五年行政改革計画を発表いたしました。それによりますと、特殊法人については六十一年度までに統廃合を、補助金は五十八年度までに件数を四分の一に整理、地方ブロック機関は五十九年度までに統廃合を、それぞれ進めることになっておりますが、これら五十五年行政改革計画を、臨調が設置されても引き続き実施していくつもりであるのか、また、わが党は、五十五年行革計画はきわめて不十分なものであると認識しておりますが、設置が予定されております臨時行政調査会では、この計画に対しさらに一歩踏み込んだ答申を期待することができるか、この点について政府の御見解をただして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#26
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 玉置さんにお答えを申し上げます。
 今回の臨時行政調査会設置法案の目的でありますが、現下の最重要政策課題の一つである行政改革の推進のために、長期的かつ総合的な視野のもとに行政の適正かつ合理的なあり方を検討し、社会経済情勢の変化に対応した適正かつ合理的な行政の実現に資することを目的といたしております。
 本調査会に対しましては、広く行政の制度及び運営の基本的諸問題につきまして多角的な御審議を期待いたしておりますが、地方分権の問題につきましても、広域行政への対応の必要性などにも配意しながら、住民生活に密着した行政は、できる限り地方公共団体の責任において実施さるべきであるとの基本的な考えに立って、総合的な調査審議が行われることを期待いたしております。
 次に、第一次臨調の実施状況についてお尋ねがございました。
 昭和三十九年九月の臨時行政調査会の改革意見は、内閣機能の強化、中央省庁に関する改革など、行政の各般にわたるものでありましたが、政府は、これまでこれを極力尊重するとの基本姿勢のもとに、答申の実現に取り組んできたところであります。これまでの行政改革においても、相当の成果を上げていると考えております。
 しかしながら、答申の一部については、社会経済情勢の著しい変化など諸般の事情から、いまだ実現を見ていないことも事実でありますので、これらについては答申当時からの情勢の変化を考慮しながら、行政の簡素、効率化に役立てるように努めてまいりたいと存じております。
 また、第二臨調答申について確実に実施せよとの御意見でございました。
 政府といたしましては、先ほど鈴切議員にもお答え申し上げましたとおり、行政改革を先送りしたり、あるいはこれを怠ったりする隠れみのに第二臨調を使うつもりは毛頭ございません。第二臨調の意見、答申につきましては、これを政府全体の課題として受けとめ、速やかに実行に移してまいる方針でございます。
 残余の件につきましては、行政管理庁長官からお答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#27
○国務大臣(中曽根康弘君) 第二次臨調のテーマでございますが、これは委員の皆様方に自主的にお決め願うのが適当であると思っております。しかしながら、いま国民が全面的に関心を持っております官業と民業の関係とかあるいは中央、地方の問題であるとかあるいは情報公開制度というような問題は、当然審議の対象になると期待しております。
 オンブズマン制度につきましては、四党合意の御主張は、先ほど申し上げましたように、国会にそういう行政監察官を置く、そういう御発想でございますが、これは国会の方で御審議願うべきものであり、われわれ行政各部の内部といたしましては、行政各部でもし行う場合にどういうものが適当であるか、この日本の風土に密着した方法はいかなるものがあるかということを目下検討しておる最中でございます。
 次に、第二臨調の構成でございますが、委員は九名にしてあります。御指摘のように、全国民的な世論を代表する方、超党派的に、かつ民間主導でやるということは全く同感でございます。
 次に、第一次臨調の実施の状況、成果はどうかという御質問でございますが、先ほどお答えいたしましたように、大体四十項目のうち全面的に実施したもの、部分的に手をつけたものが三十一項目ございまして、全然未着手のものは九項目でございます。この中には、たとえばブロック機関の統廃合あるいは特殊法人の統廃合等、今後も生きていくものもございます。しかし、たとえば内閣補佐官制度あるいは総務庁の設置、こういうようなものは、現段階におきましては、そのまま生きていくかどうか、疑問の余地があると思っております。
 次に、第二次臨調の結果をいかに実行するかという御質問でございますが、これは時代の要請にかんがみまして、その御答申をいただきましたら、これを検討の上、全内閣の力を挙げて実行すべきものであるとかたく信じております。
 補助金や財投や、財政の見直しも諮問すべきではないかという御質問でございますが、これは中央、地方あるいは行政の簡素化、能率化という面から、当然審議の対象になっていくものであると期待しております。
 五十五年行革、特に補助金や特殊法人やブロック機関等々の問題については、引き続き実施するかという御質問でございますが、これは引き続きわれわれは実行していくべきものと考えます。
 第二次答申の中でこれらの問題がどういうふうに扱われるかということでございますが、大きな問題につきましては、時代の変化に対応しつつ、これらについて答申が出てくることもあり得る、そのように考えます。(拍手)
#28
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#29
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        国 務 大 臣 大村 襄治君
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
ソース: 国立国会図書館
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