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1980/11/07 第93回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第093回国会 本会議 第13号
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1980/11/07 第93回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第093回国会 本会議 第13号

#1
第093回国会 本会議 第13号
昭和五十五年十一月七日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十一号
  昭和五十五年十一月七日
    午後二時開議
 第一 自転車の安全利用の促進及び自転車駐車
    場の整備に関する法律案(交通安全対策
    特別委員長提出)
 第二 地方公務員等共済組合法等の一部を改正
    する法律案(内閣提出)
 第三 国家公務員災害補償法の一部を改正する
    法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 自転車の安全利用の促進及び自転車
  駐車場の整備に関する法律案(交通安全対策
  特別委員長提出)
 日程第二 地方公務員等共済組合法等の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害
  補償等共済基金法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第三 国家公務員災害補償法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 渡辺大蔵大臣の昭和五十三年度決算の概要につ
  いての発言及び質疑
    午後二時四分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(福田一君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第一 自転車の安全利用の促進及び自転
  車駐車場の整備に関する法律案(交通安全
  対策特別委員長提出)
#5
○議長(福田一君) 日程第一、自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。交通安全対策特別委員長田中昭二君。
    〔田中昭二君登壇〕
#6
○田中昭二君 ただいま議題となりました自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容の概要を御説明申し上げます。
 近年、わが国の自転車利用は、自動車交通の混雑、燃料費の高騰等を背景として著しく増大するに及び、十年前の保有台数が約二千九百万台であったものが、現在約五千万台に達しております。このため、一方では自転車利用に伴う交通事故の増大、駅周辺におけるいわゆる自転車公害等の憂慮すべき社会問題を引き起こしつつあります。
 しかしながら、従来の法制度においては、自転車に対する位置づけは必ずしも十分でなく、かつまた、多種多様な行政にまたがるものであるため、有効かつ適切な施策に欠けているところがあったものであります。
 このような状況にかんがみ、今般、与野党間並びに政府各省との意見調整を経て、本法案を提出した次第であります。
 次に、本法案の概要について申し上げます。
 まず第一に、自転車の安全利用のため、道路整備事業、交通規制の方法等により、良好な自転車交通網の形成を図ることとしております。
 第二に、自転車駐車対策の総合的推進のため、駅前自転車駐車場の計画的整備、大規模駐車需要発生施設に対する自転車駐車場の設置義務、放置自転車の整理撤去等について明らかにしております。
 第三に、自転車の安全性の確保のため、自転車の製造及び販売に関する品質の基準、製造業者並びに小売業者の責務等について規定しております。
 第四に、所要の財政措置として、自転車駐車場整備事業に対する国庫補助、資金のあっせん等について規定しております。
 以上が本法案の提案の趣旨及びその内容の概要でありますが、本法案は、十一月六日の交通安全対策特別委員会において全会一致をもって委員会提出の法案とするに決した次第であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
#9
○鹿野道彦君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、日程第二とともに、内閣提出、地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案を追加して、両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#10
○議長(福田一君) 鹿野道彦君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 日程第二 地方公務員等共済組合法等の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
 地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災
  害補償等共済基金法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
#12
○議長(福田一君) 日程第二、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案、地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長左藤恵君。
    〔左藤恵君登壇〕
#13
○左藤恵君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず最初に、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、厚生年金保険における年金額の引き上げに伴い、地方公務員共済組合の退職年金等について、その算定の基礎となる定額部分の額及び最低保障額を引き上げるとともに、地方団体関係団体職員の年金制度について、地方公務員の共済組合制度の改正に準ずる所要の措置を講じようとするものであります。
 本案は、十月七日本委員会に付託され、十月十七日石破自治大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。
 昨六日、質疑を行い、討論の申し出もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 次に、地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、地方公務員の災害補償制度につきまして、公務上の災害または通勤による災害を受けた職員及びその遺族の保護の充実を図るため、遺族補償年金の額を平均六・一%引き上げるとともに、障害補償年金差額一時金及び障害補償年金前払一時金の支給に関する制度を創設する等の改正を行おうとするものであります。
 本案は、十月七日本委員会に付託され、十月十七日石破自治大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。
 本日質疑を終了いたしましたところ、本案に対し、中山利生君より、遺族補償年金の額の引き上げに関する規定を昭和五十五年十一月一日から適用することとする修正案が提出され、その趣旨説明を聴取いたしました。
 次いで、討論の申し出もなく、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(福田一君) 両案を一括して採決いたします。
 両案中、日程第二の委員長の報告は可決、他の一案の委員長の報告は修正であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第三 国家公務員災害補償法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
#16
○議長(福田一君) 日程第三、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員会理事染谷誠君。
    〔染谷誠君登壇〕
#17
○染谷誠君 ただいま議題となりました国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の主なる内容は、遺族補償年金の額の平均六・一%引き上げ、身体障害の評価の改善、障害補償年金の差額一時金及び前払一時金の制度の創設、国民金融公庫等から小口の資金貸し付けを受けるための措置等を講じようとするものであります。
 本案は、十月二十一日本委員会に付託され、十一月六日提案理由の説明を聴取した後、審査を行い、同日質疑を終了いたしましたところ、本案に対し、遺族補償年金の額を引き上げる実施時期を昭和五十五年十一月一日に遡及して適用する旨の修正案が、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブの各派共同提案により提出され、趣旨説明の後、採決の結果、全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決したのであります。
 なお、本案に対し、附帯決議が付されました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(昭和五十三年度決算の概要
  について)
#20
○議長(福田一君) 大蔵大臣から、昭和五十三年度決算の概要について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣渡辺美智雄君。
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#21
○国務大臣(渡辺美智雄君) 昭和五十三年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 昭和五十三年度予算は、昭和五十三年四月四日に成立いたしました。
 この予算は、財政の節度維持にも配意しつつ、民需の動向を踏まえ、内需の振興のため財政が積極的な役割りを果たす必要があるとの基本的な考え方に立って、臨時異例の財政運営を行うこととして編成されたものであります。
 さらに、その後における経済情勢等にかんがみ、公共事業関係費、文教・社会福祉施設等整備費、構造不況業種・中小企業等特別対策費等の追加を行うほか、水田利用再編対策費等について所要の措置を講ずるため、補正予算が編成され、昭和五十三年十月十二日その成立を見ました。
 この補正によりまして、昭和五十二年度一般会計予算は、歳入歳出とも三十四兆四千四百億円余となりました。
 以下、昭和五十三年度決算につきまして、その内容を御説明申し上げます。
 まず、一般会計におきまして、歳入の決算額は三十四兆九千七十二億円余、歳出の決算額は三十四兆九百六十億円余でありまして、差し引き八千百十二億円余の剰余を生じました。
 この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計の昭和五十四年度の歳入に繰り入れ済みであります。
 なお、昭和五十三年度における財政法第六条の純剰余金は三千四百三十八億円余であります。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額三十四兆四千四百億円余に比べて四千六百七十二億円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れが予算額に比べて増加いたした額二千三百三十億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和五十三年度の歳入の純増加額は二千三百四十一億円余となるのであります。
 その内訳は、租税及び印紙収入、雑収入等における増加額八千四百五十一億円余、公債金における減少額六千百十億円余となっております。
 一方、歳出につきましては、予算額三十四兆四千四百億円余に、昭和五十二年度からの繰越額二千二百八十五億円余を加えました歳出予算現額三十四兆六千六百八十五億円余に対しまして、支出済み歳出額は三十四兆九百六十億円余でありまして、その差額五千七百二十五億円余のうち、昭和五十四年度に繰り越しました額は二千四百九十一億円余となっており、不用となりました額は三千二百三十四億円余となっております。
 次に、予備費でありますが、昭和五十三年度一般会計における予備費の予算額は二千五百五十億円であり、その使用額は、二千五億円余あります。
 次に、昭和五十三年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十九でありまして、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。
 次に、昭和五十三年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は二十二兆五千三百三十七億円余でありまして、この資金からの一般会計等の歳入への組み入れ額等は二十二兆四千七百四十四億円余でありますので、差し引き五百九十二億円余が昭和五十三年度末の資金残額となります。
 これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。
 次に、昭和五十三年度政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。
 以上、昭和五十三年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(昭和五十三年度決算の概要
  について)に対する質疑
#22
○議長(福田一君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。井上一成君。
    〔井上一成君登壇〕
#23
○井上一成君 日本社会党を代表し、昭和五十三年度決算及び関連事項について、総理並びに関係大臣にお尋ねをいたします。
 五十三年度予算は、前年度の当初予算に比べて二〇・三%の伸び、一般の公共事業関係費は三四・五%の大幅増を示していたのであります。
 一方、公定歩合も、五十三年三月、四・二五%から三・五〇%という戦後最低の水準に引き下げるという金融緩和政策がとられ、こうした放漫とも言える財政金融政策が、今日の実質賃金の目減りをもたらし、国民生活を圧迫し、財政再建を困難ならしめる大きな原因となったのであります。
 鈴木総理は、断然この反省に立って財政再建に当たる決意を叫ばれたはずでありますが、いかがでありましょうか。
 さらに、財政当局は、財政再建イコール大型新税の導入と考えておられるようであります。政府の税制調査会は、消費、流通に着目した新しい間接税の導入を検討すると答申をまとめられましたが、ここで、総理に、財政再建は一般消費税によらないという昨年十二月の国会決議の精神を尊重し、財政再建は消費、流通に着目した新しい間接税にはよらないという決意を改めてお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
 さらに強く指摘すべき点は、財政投融資計画の問題であります。
 財政は火の車というのに、五十三年度の財投計画は最終規模で十八兆二千億円にふくらんだわけでありますが、年度が終わってみますと、実に四兆八千億円、二六・四%に上る未消化額を発生したのであります。そのうち、不用額は一兆五千億円であります。中小企業振興事業団、地域整備公団が計画の八五%を使い残したのを初め、日本輸出入銀行、石油公団も、その半分を未消化に終わらせたのであります。
 こうした効率の悪い運用実態をそのままにしての財政再建はあり得ないし、とうてい国民のコンセンサスは得られないと思います。
 ともすればずさんな運用、甘い基準で引き出され、財政膨張、放漫財政の火種ともなっている財投の資金使途を国民の前に明らかにするとともに、財投のあり方全体を抜本的に見直すべきだと思うのでありますが、政府の方策はいかがでありましょうか。
 資金の効率的運用を図るという観点での具体的事例としてお尋ねいたしますが、国際的には、すでに財政投融資資金から総額二千億円も貸し出しをされているIJPCを初めとするプラント輸出であり、その対応策が問題であります。
 特に、開発途上国に対しては、相手国の立場、利益を尊重し、かつ、財投の効果が上げられ、わが国に対する国際的な信頼が高まるような方策を講じることが肝要であります。政府の見解を承りたいと思います。(拍手)
 さらにまた、国内的には関西新空港の問題があります。
 国策空港としての関西新空港建設事業には、費用負担の世代公平論なり、現在の財政状態から財投を積極的に投入すべきだと言われておりますが、総理並びに関係大臣の所感をお伺いしたいと思います。
 財投の資金投入については、事業の安全性、堅実性が保証されなければなりませんが、この関西新空港の場合、総事業費の何割程度であればその安全性が保証されるのか、また、将来の回収見通しが明らかになるのか、この点についてもこの際お伺いしておきたいと思います。
 財政投融資計画の問題は、財投自身の運用の問題もさることながら、その対象機関である公社、公団、公庫など政府関係機関、特殊法人の問題も指摘しておかなければなりません。とりわけ、鉄道建設公団等の不正経理事件は、KDDや中央競馬会等における公金の乱費とともに、国民の行政、政治に対する不信感をかき立てた最たるものであります。
 航空機疑惑を含め、こうした国民の政治不信を払拭し、不正な支出やむだを排除し、かつ、政治の自浄のためにも会計検査院法の改正は急務であります。総理の見解をここで承りたいと思います。(拍手)
 さらに、この際お尋ねをいたします。
 アメリカの次期大統領にレーガン氏が決まったことで、わが国に対して、防衛力増強や経済、貿易の問題でこれまで以上に強い姿勢をとることが考えられます。わが国としては、アジアと世界の平和に貢献するため、防衛力増強に歯どめをかけることはもとより、軍縮、人権尊重のより強い自主的な立場を堅持することが求められますが、政府は今後どのように対応されるのか、総理のお考えをお伺いいたしたいと思います。(拍手)
 さらに、核と差別をなくし、平和と人権を守ることを政治信条とする私は、自衛のためであれば憲法の解釈上核兵器は保持できると憲法を拡大解釈し、防衛予算の増額を図ろうとする今日の状況を強く憂うるものであります。
 総理は、先日の決算委員会において、核兵器は非人道的兵器であると答えられました。この人類を破滅する非人道的な核兵器によって、わが国は世界で唯一の被爆国となり、その中から平和憲法は生まれたのであります。
 それゆえに、核廃絶を願う国民の求める憲法解釈は、核兵器は憲法上も保持できないという解釈以外にはあり得ないと思うのであります。(拍手)
 さらに、驚くべきことに、政府は、生物・化学兵器も憲法上保持できると有権解釈されております。なぜこのような拡大解釈をされるのか、その意図を、その理由を明らかにしていただきたいと思います。
 すでに八十一カ国が加盟し、一九七五年三月に発効した生物・毒素兵器禁止条約について、政府は署名したまま今日まで国会に承認を求める努力さえしないのはなぜなのか。
 また、一九七七年五月発効の環境変更技術の軍事的又はその他の敵対的利用の禁止に関する条約についても、何もしないのはどうしたことなのか。
 こうした条約こそ、わが国が率先して批准すべきではないでしょうか。(拍手)口を開けば平和主義、人権尊重をうたわれる鈴木総理の明快な御答弁をお願いしたいと思うのであります。(拍手)
 政府は、核兵器は絶対に保有しないと再三言明され、その理由の一つとして非核三原則を挙げておられます。生物・化学兵器についてもまた保有しないと明言されております。
 核と同様、この生物・化学兵器についても、持たず、つくらず、持ち込ませずという三原則、いわば非毒ガス三原則をこの際明確にすべきだと思いますが、いかがでありましょうか。(拍手)
 もし、明確にできないとすれば、それは米軍により国内に持ち込まれているのではないかと疑惑を持たざるを得ないのであります。国民に要らぬ不安を抱かせないためにも、ぜひ明確にしていただきたいと思います。(拍手)
 以上、総理の所信をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 井上さんにお答え申し上げます。
 まず、五十三年度予算編成時における経済情勢でありますが、当時は、民間経済の回復は緩慢なものにとどまり、雇用面、企業収益面の回復がおくれておりました。また、経常収支は大幅な黒字基調を続けており、その縮小を求める海外からの要請も高まっておりました。そのような厳しい情勢の中で、国民生活の安定を確保するとともに、対外均衡の回復を図るという観点から、財政金融に積極的な役割りを期待する政策がとられたのは御承知のとおりであります。
 その結果、わが国の経済は順調に回復し、国民生活の安定も確保されてまいりましたが、反面、財政収支のバランスは大幅に悪化する結果となりました。
 財政収支の赤字の拡大を放置することは、経済上種々のひずみを生じ、国民生活を破壊するおそれがありますので、五十五年度予算において公債発行額を前年度当初予算よりも一兆円減額し、財政再建の第一歩を踏み出したのでありますが、現在編成中の五十六年度予算では、公債発行額を二兆円程度縮減することを目途に作業を進めているところであります。私は、財政再建は現下の緊急課題であると考えておりますので、不退転の決意をもってこれに当たる所存であります。
 財政再建イコール大型新税の導入と考えているのではないかとのお尋ねがございましたが、私は、五十六年度予算の編成について、かねがね、いわゆる一般消費税のような新税によらず、思い切った歳出抑制などの努力を尽くした上で、それでもなお歳入が不足する場合には、現行制度の基本的な枠組みの中で増収を図ってまいる旨申し上げております。
 なお、昭和五十七年度以降の問題につきましては、本日、税制調査会から中期税制に関する答申を受ける予定になっておりますので、答申を拝見した上、その趣旨を踏まえつつ、各界各層の御意見を伺いながら、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。
 財政投融資に関する御質問についてでありますが、まず、財投の資金使途につきましては、財投計画の機関別資金配分のほか、使途別の内訳につきましても、国会の御審議の参考として資料を提出いたしてきております。また、財投計画の策定に当たりましては、従来から、効率的、重点的な資金配分となるよう、財投対象機関の融資対象などの見直しを含め検討を行ってきておりますが、御指摘のように、財政再建との関係もきわめて重要なことでありますので、より一層、重点的、効率的な資金運用となるよう努めてまいりたいと思っております。
 財政投融資に関連して、関西空港についてお尋ねがありました。
 関西空港につきましては、従来から各種の調査等を進めてきておりましたが、本年九月に、空港計画案の基本となる事項について、航空審議会の答申を得たところであります。今後、関係府県の意見も聴取した上で、関西空港建設についての政府の態度を決定したいと考えておりますが、その際、お尋ねの財源面や採算面につきましても、十分検討を行いたいと思います。
 不正経理事件や公金の乱費が生んだ国民の政治不信を払拭することは重要な課題であります。
 井上議員御指摘の会計検査院法の改正が、会計検査院に政府関係金融機関の融資先の企業などに対する強制調査権限を与えるという趣旨でありますれば、それにつきましては、自由主義経済体制下においては公権力の過剰介入になるとの議論もあり、また、政策金融の円滑な遂行との兼ね合いなど、立法政策上いろいろのむずかしい問題が含まれていると聞いております。しかしながら、かねて論議されている問題でありますので、引き続き検討さしてまいりたいと存じます。
 次に、レーガン政権の対日政策についてお尋ねがございました。
 レーガン次期大統領のもとでの米国の政策を現時点で具体的に論ずることは時期尚早と考えますが、日米間の友好協力関係は、いまやきわめて強固かつ成熟したものとなっており、日米関係は引き続きわが国外交の基軸をなすものであります。
 したがって、わが国としては、今後もこのような日米関係を基盤として、必要最小限度の防衛力の整備に努めるとともに、アジアを初めとする世界の平和と安定のために、わが国の国際的地位にふさわしい役割りと責任を積極的に果たしていく所存であります。
 軍縮面についても、平和国家としてのわが国の基本的立場を踏まえ、核拡散防止と核軍縮を中心として積極的に努力してまいる考えであります。
 なお、人権問題につきましては、各国それぞれの固有の事情を十分に踏まえ、慎重に進めらるべきものと考えております。
 次に、毒ガス兵器について問題の御提起がございました。
 井上議員も御承知のとおり、窒息性、毒性、これらに類するその他のガス、細菌学的手段の使用禁止については、わが国は一九二五年の本件ジュネーブ議定書に加盟し、国際的にかかる兵器を使用しないことを約束しております。さらに、わが国はこのような兵器を保有しておりませんし、これを保有する考えもありません。また、本件議定書には米ソを含む九十三カ国が加盟しており、かかる兵器の使用禁止については広く国際的に認められているところであります。
 したがって、わが国として改めて御指摘のような措置をとる必要はないと考えます。
 なお、本件議定書の加盟国である米国が、かかる兵器をわが国に持ち込むようなことはあり得ないと考えております。
 生物・毒素兵器禁止条約等の批准などの残余の点につきましては、関係閣僚から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#25
○国務大臣(渡辺美智雄君) まず第一に、新しい間接税によらないで財政再建をやれ。このことにつきましては総理大臣が詳しく答弁をいたしましたので、全く同様でございます。
 第二番目でございますが、財投計画について非常にずさんではないか。
 確かに、御指摘のように四兆円に上るような未消化額が発生したということについては反省すべきものがあろうかと存じますが、しかしながら、この原因というものを考えてみますると、五十三年度の財投計画の策定に当たって、編成時において、景気を振興をし資金需要の喚起を行うということに重点が置かれていたわけであります。ところが、その後内外の景気情勢が変化をした、金融事情も緩和したというようなこともありまして、繰り上げ償還の増加などがことにございました。また、繰越額の三分の二以上は実は地方団体に貸しておくものでございますが、これは地方公共団体の貸し付けが毎年四月から五月に行われる、そのときの出納整理期間中に集中するというような事情もございまして、三月までに借りてくれればいいのですけれども、それよりもずらかって借りるというようなことになっておるので、どうしてもそこに残りが出るわけであります。(発言する者あり)ずれて借りることになりますので、そのようなことがございます。
 また、財投の資金の使途でございますが、これは財政投融資計画につきましては、その内容を国会に出しまして御審議を願っているところであります。その使途がどのようなものに向けられているかにつきましても、使途別の状況を御審議の参考に供するように、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
 なお、財投の見直しということでございますが、今後、財投につきましては国債引き受けの要請、財政再建との関連などの問題もございますから、それらの観点も踏まえて、より一層重点的、効率的に運用をするように努めてまいりたい、かように考えております。
 次に、IJPCを初めとするプラント輸出、国内的には関西空港などの大型プロジェクトに対してどのように対処するかというお話でございます。
 大型プロジェクトにつきましては、たとえばプラント輸出に見られるように、相手国の経済事情、世界的な景気の変動、為替相場の推移等、いろいろ計画全体に影響するようなことが多いわけであります。たとえば中国に対するいろいろなプロジェクト等も積極的に組んだわけでありますが、輸銀にその金を準備しても、相手の方からちょっと今回は見合わせるというふうなことで、かなり大きな金額が余るということもあるわけであって、なかなか日本だけでうまくいかないという場面も財投の場合はあるということを御承知おき願いたい、かように考えております。
 今後の方針としては、先ほども言ったように、大型プロジェクトの資金計画の変動は、なかなか事前には予測しがたい、やむを得ない面もございますが、しかしながら、今後の財投計画策定に当たっては、より一層効率的な運用ということに細心の注意を払ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 特に、関西新空港建設についていまお話があったわけでございますが、それについて、採算がうまくとれるのかどうか、回収がつくのかというふうなお話がございました。
 しかしながら、関西空港については、基本的に伊丹を置くのか廃止するのかというような問題も実ははっきりしない。そうすると、それによって飛行場の規模というものも当然変わってくるはずだ。いろいろな問題がございまして、これについては果たしてそれでその採算が今後とれるのかどうか、これらの見通しについても、まだわれわれとしては具体的にどうこうというようなことを言える段階に実際は来てない。したがって、運輸省からの要請等も踏まえまして、精細にそれを見ました上で答えを出したい、かように考えておる次第でございます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
#26
○国務大臣(河本敏夫君) プラント輸出につきましては、これは原則として相手国の要請に基づいて行う場合が多いのであります。そして、相手国の経済建設に大きく寄与するということ、それから貿易の摩擦を回避できるということ、こういうことから、わが国といたしましては積極的にこれを推進してまいりまして、政府系の金融機関を通じて財政投融資資金を活用してまいりました。
 これは基本でございますが、御指摘のIJPCの問題でございますが、これはわが国とイラン政府が協議をいたしまして、昭和五十一年から約三年間工事を進めてまいりました。一昨年の秋になりまして、完成間際まで来ておりましたが、イランに動乱が起こりまして中断をいたしました。その後再開をしかけたのでございますが、その後またイラン・イラク戦争が起こりまして、再び中断をいたしております。
 これは、相手国と協力して進めてまいりました事業でございますから、戦争が終結をいたしましたならば、至急に現状を調べまして、そして相手国政府とよく相談をして、どうするか、最終的な決断をしなければならぬ、このように考えております。(拍手)
    〔国務大臣伊東正義君登壇〕
#27
○国務大臣(伊東正義君) 井上さんにお答え申し上げます。
 条約の署名あるいは批准の問題でございますが、第一点は、生物・毒素兵器禁止条約でございます。
 これはまだ署名だけで、批准しないじゃないかということでございますが、生物・毒素兵器を現在も保有しておらないのみならず、わが国は将来にわたってこれを保有する意図は持ってないわけでございます。そういう見地から、いま批准の準備のための、関係各省で検討をしておる段階でございますが、これは先生も御承知のように、禁止の対象となります兵器用の生物剤というのが非常にたくさんあるわけでございまして、それの特定の問題あるいは量をどうするかという問題、また、これは平和的な目的の利用は禁止されていないということから、これに関連する零細な関連業者の保護の問題等、いろいろございます。そのための必要な国内法の措置でございますとか、そういう問題がございますので、いま批准の準備のための検討をしているという段階でございます。
 それからもう一つの、環境変更技術の軍事的又はその他の敵対的利用の禁止に関する条約という長い条約でございますが、この条約は、いまだ軍事技術としてほとんど実際には開発されていない環境変更の技術が、将来軍事的またはその他の敵対的な目的に使用されることを禁止するという、一種の予防的な軍備管理の条約でございます。
 わが国は、軍事的にも、敵対的利用に供する本件のような技術の開発は行っておりませんし、今後も行う予定はないわけでございまして、わが国は、これはまだ署名しておりません。署名、批准について、今後の問題としてこれは検討してまいりたいと思うわけでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(福田一君) 春田重昭君。
    〔春田重昭君登壇〕
#29
○春田重昭君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十三年度決算に関して、現在の政治状況に深くかかわる幾つかの問題点を取り上げ、総理並びに関係大臣に質問するものであります。
 まず初めに、具体的な質問に先立ち、数点総理の御見解を承りたい。
 その一つは、憲法に対する総理の姿勢であります。
 総理は、これまで、所信表明演説では「憲法の定める平和と民主主義、基本的人権尊重の理念を堅持し、」としつつも、今臨時国会における憲法に対する一連の閣僚発言については、閣僚の憲法遵守義務と決して矛盾するものではないと評価しておいでになります。
 こうした総理の発言は、内閣首班と自民党総裁の立場をどのように使い分けようとも、その真意はおのずと明らかになってきていると言わねばなりません。このため、国民の多数は、憲法第九条を含むこの憲法改正に大きな不安を感じているのであります。
 総理は、この国民の不安を取り除くため、積極的に努力をされるべきであります。
 そこで、次の諸点につき、率直な御答弁を承りたいのであります。
 自民党憲法調査会では、現憲法は国民に定着していないとしておりますが、総理は、現憲法の定着度をどのように認識しているのか、また、調査会での改正点は憲法第九条にその重点があると言われていますが、第二次世界大戦を経験された総理はどのようなお考えをお持ちか、さらに、第九条に問題があると考えるならば、総理の言う平和主義と、自民党政綱で擁護するとする平和主義とはどのように違うのか、明らかにしていただきたいと思うのであります。
 さらにまた、十月三十日参議院法務委員会及び十一月五日の衆議院法務委員会における奥野法務大臣の憲法二十条の規定と閣僚の靖国神社への公式参拝との関連についての発言は、明らかに内閣不統一と見られるが、これをどう受けとめているのか、総理の御見解を明確にしていただきたいのであります。
 次に、お尋ねしたいのは、レーガン米大統領のもとにおける今後の日米関係であります。
 米国との経済摩擦は、自動車の輸出、電電公社の資材調達など、日米基幹産業の全面戦争と言われるまでにエスカレートしてきているのであります。新しい政権下における米国と、こうした貿易問題及び防衛予算増額などの日米間の懸案を今後どのように解決されようとしているのか、具体的に御答弁をいただきたいのであります。
 さて、昭和五十三年度決算に関してお尋ねしてまいりたいと思います。
 昭和五十三年度予算が提出された当時を振り返ってみると、わが国経済は、昭和四十八年のオイルショック以来なお五年を経過しても、構造不況の中の物価高といういわゆるスタグフレーションの波間を漂流する難破船にたとえられ、国民はその激浪の中にあってみずからの生活防衛に懸命に努力しつつ、新しい目標と進路を求めていたのであります。
 そうした中で、昭和玉十三年度予算審議に先立つ政府演説で、当時の福田総理は、昭和五十三年度を五十二年度に引き続き転換の時代とされ、経済成長の目標を七%に置き、これへの達成によって日本経済の五年越しの長いトンネルを抜け出せるとされたのであります。しかしながら、経済成長率は七%目標を大幅に下回る五・七%という遺憾な結果に終わったのであります。
 さらに、低率に抑えられたとする卸売物価及び消費者物価は、政府努力の結果というよりも、むしろ折からの円高に助けられたのであります。このことは、その後円安に推移するや、たちまちインフレ懸念が増大し、五十三年度明けの五十四年の四月と七月の二度にわたり公定歩合が引き上げられたことを見ても明らかであります。
 鈴木総理は、出時、政府が転換の時代とした昭和五十三年度を、今時点でどう評価され、位置づけされようとしておるのか、お伺いしたいところでございます。
 今日、政府は国の財政再建を最重要課題としております。
 大蔵省は、ことしの夏以来、異例とも言われる財政再建キャンペーンを繰り広げていますが、これは福祉の後退か増税かの二者択一を国民に迫ったものであり、国民に犠牲を強いる政府の姿勢があらわになったと言わねばなりません。安易な増税に走ることは厳に戒めなければなりません。大蔵大臣の基本的な考えをお示し願いたい。
 財政再建は、行政改革がその前提にあることは国民的合意であります。
 これまでの歴代総理は、事あるごとに行政改革の重要性を述べてきたのでございますが、いずれも当初の計画より大幅な後退を見ているのであります。今回、第二次臨調設置法案が提出されておりますが、この第二次臨調を政府はどう位置づけているのか、また、当面実施すべき行政改革の問題に行政管理庁長官はどのように対応されるのか、具体的に御答弁を賜りたい。
 行政改革とあわせ必要なことは、綱紀の粛正であります。
 厳正な綱紀のもとで、主権を持つ国民に奉仕する行政の役割りは、民主主義の基本的要件であることは言うまでもありません。
 わが党は、この立場から、政府に対し綱紀の粛正を強く主張してまいりましたが、五十三年度決算検査報告に見られる一連の不正事件の発生は、きわめて遺憾と言わねばなりません。いまこそ抜本的綱紀粛正策をとるべきでありますが、不正事件防止の徹底について、いかなる措置をとろうとするのか、総理にお伺いしたいのであります。
 最後に、かねてからの懸案である会計検査院法の改正についてお伺いいたします。
 現在、商社、航空機会社等は、政府関係機関である輸銀や開銀から多額の融資を受けていますが、そこに贈賄などの不正があっても、検査院は融資先に調査権を及ぼすことができません。国民の税金や資金が正しく使用されたかどうかを監視するのは国会の重大な使命であります。検査院の権限強化に対してはたびたび国会決議がなされているにもかかわらず、改正の徹底を見ないのは、政府の怠慢と言わざるを得ないのであります。この院法改正に対する総理の御所見と御決意をお伺いしたいのであります。
 以上、総理並びに関係大臣の誠意ある御答弁を要求して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#30
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 春田さんにお答えを申し上げます。
 まず、現行憲法が国民の間に定着しているかどうかという問題でありますが、この点についてはいろいろな見方があろうかと存じますけれども、現行の憲法が成立後三十数年間、国民の間に有効に機能してきたことは事実であります。また、現在国民の間には、憲法を改正すべしというコンセンサスが形成されているとは見られない状況にあると思います。
 次に、憲法の基本原則の一つであります平和主義について御意見がありましたが、私も第二次世界大戦を身をもって経験し、戦争の悲惨さと平和のたっとさを十分承知いたしております。私は、現行憲法の掲げる平和主義は、将来においてもあくまでも堅持さるべきものであるという信念を抱いております。
 なお、私が考えている平和主義と、自由民主党の政綱に掲げている平和主義との間に差異があるとは思っておりません。
 また、憲法第二十条に関する奥野法務大臣の発言については詳細を承知いたしておりませんが、今国会における論議で繰り返し申し上げましたように、鈴木内閣の憲法問題に関する考え方は、きわめて明確なものであることは御承知のとおりであります。いずれにしても、奥野法務大臣も鈴木内閣の一員としての立場をわきまえた上での発言であると存じております。
 次に、日米関係についてお答えをいたします。
 日米友好協力関係は、双方の努力により今日きわめて強固なものとなっており、この関係は今後ともわが国外交の基軸をなすものであります。
 このような基本認識を踏まえ、わが国は、防衛問題については今後ともあくまでもわが国自身の自主的判断に基づき、憲法、専守防衛の枠組みの中で、国民のコンセンサスを得つつ取り組んでいく考えであります。
 また、日米間の貿易問題につきましても、これが政治問題化いたしまして、日米関係全般に影を落とすような事態にならないよう十分留意しつつ、米側との意思疎通を図り、双方に納得のいく問題の解決を図ってまいりたいと考えるものでございます。
 昭和五十三年度経済の評価についてお尋ねがありました。
 春田議員も御指摘のとおり、五十三年度予算編成時におきましては、第一次石油危機後の民間経済の回復はなお緩慢なものにとどまり、雇用面、企業収益面では特に回復がおくれておりました。また、経常収支は大幅な黒字を続け、海外からその縮小が求められておりました。
 このような情勢下で五十三年度予算が編成され、五十三年度を迎えたのでありますが、わが国の経済は、五十二年度後半以降次第に自律的な回復過程に入り、雇用情勢も改善に向かいました。また、確かに御指摘の円高の効果はありましたが、物価の安定化傾向はさらに強まり、国際収支も均衡に向かったのであります。
 このような状況から判断いたしまして、私は、五十三年度は内外ともにほぼ均衡がもたらされた年であったと考えており、その意味で福田さんのおっしゃる転換の年とも呼べるものと思います。
 こうした背景には、五十年度以降五十三年度に至るまで、経済政策が積極的な景気浮揚を目指して実施されてきたことが民間設備投資の盛り上がりなどにつながったという要因が大きかったと思っております。
 次に、不正経理等を防止するため公務員の綱紀粛正を図れとの御叱正がありましたが、官庁綱紀の粛正については、今後とも引き続き政府の取り組むべき最重要課題の一つとして厳しい姿勢で対処し、国民の信頼の確保に努めてまいる所存であります。
 会計検査院法の改正についてお尋ねがございましたが、先刻井上さんにお答えをいたしましたとおり、立法政策上いろいろとむずかしい問題があり、いまだ関係者の間で合意に至っておりません。しかしながら、かねてから論議されている問題でありますので、引き続き検討さしていただきます。
 第二臨調など残余の点につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#31
○国務大臣(渡辺美智雄君) 春田議員にお答えをいたします。
 大蔵省は、ゼロリストなるものを出して、歳出の大幅カットか増税かと迫っている、安易な増税をやってはいけない、全く私もそのとおりであると思います。安易な増税はいけません。
 御承知のとおり、財政再建をやるためには、やはり国債をこれ以上ふやすことはできない。したがって、五十三年度実績で十三兆という実績ですから、それよりも低いものにしなければなるまい。したがって、五十四年度発行額の十四兆よりは二兆円程度国債の発行額を少なくするというところがいいんじゃないか。それを実現するためには、四兆円程度の自然増収があったと仮にしても、歳出は五十五年度並みでございます、ということを示したのがゼロリストであります。
 したがいまして、これは非常に大変なことなわけでありまして、極力まず歳出のカットということをやらなければなりません。歳出を同じ程度予算に組みますと言ってもあれぐらいのいろいろな御批判が出るわけでございますから、さらにそれを減らすという話をこれからするわけでございますので、非常に大変なことになるのじゃないかということでございます。極力徹底的な歳出抑制を図って、根本的に経費の洗い直し等もやらしていただきたい。
 しかしながら、それはむちゃくちゃだ、そんなことを言っても困るというようなことになりますと、しかし財源がなければ、言われても困るわけでありますから、そのときにはやはり、適正な既存の税制の枠組みの中での税収の増加は何らか図っていかなければ、御要望にこたえられないというようなことになろうかと存じます。
 そういうようなことで、まず歳出の徹底的な洗い直しや行政改革、そういうものをやりながら、むだのない効薬的な政府をつくるということで、必要にして最小限度の歳入増は時と場合によっては図らなければならない、かように考えておる次第でございます。
    〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#32
○国務大臣(中曽根康弘君) 春田議員の第一問は、第二臨調の位置づけいかんということでございました。
 いわゆる第一次臨調は、高度経済成長期に当たりまして、行政の効率を中心に答申がなされたと思います。
 今回つくられます臨時調査会におきましては、この安定成長期のしかも非常に多元化した社会にふさわしい行政のビジョンをつくっていただく、一言に言えばこういう性格があると思っております。そして、八〇年代以降におきまする日本の行革の軌道を設定したい、その指針をつくっていただく、こういう考えに立ってやっていきたいと思っております。
 第二に、当面の行革をいかにするか、こういう御質問でございますが、第一に、宇野長官が残しました五十五年行革を完遂することでございます。今回の臨時国会におきましても、ブロック機関整理以下八法案を提出いたしまして御審議願っておるところでございます。
 第二は、新しい角度から、宇野長官がやり残したことで大事なことはないか、そういう面から、新しい仕事減らしという面からの行革の目標をつくりまして、これも八項目をつくりました。その中心は、第一に法令の整理等を中心にする減量政策、第二はサービスの改革、第三は八〇年代以降を目指した新しい臨時行政調査会の設置、この三つを十二月までに推進するために努力しておるところでございます。そして第二臨調は、今国会にぜひ御成立をお願いいたしたいと思っておりますし、自余の問題は、十二月の予算編成期にぜひ閣議決定をしてこれを推進してまいりたい、そのように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○議長(福田一君) 三浦隆君。
    〔三浦隆君登壇〕
#34
○三浦隆君 私は、民社党・国民連合を代表し、昭和五十三年度決算及び関連事項につきまして、財政再建問題を中心に、総理並びに関係大臣の御見解をお伺いしたいと思います。(拍手)
 そもそも、決算審査の要諦は、予算執行のむだを省き、継続的に財政の健全化を図ることであります。しかるに、五十五年度末の特例公債の残高は二十九兆円、国債発行残高は七十一兆円にも累積し、達するものと予想されます。
 民社党は、これまで、財政再建問題に対して常に現実的かつ具体的な提言を行ってまいりました。
 その基本方針は、第一に、増税を行う前に行財政改革を行い、むだな経費を徹底して節約すること、第二に、一般消費税など大衆増税は行わず、不公平な税制を是正すること、第三に、日本経済の安定成長を維持し、税の自然増収の確保に努めることであります。
 このような立場から政府の財政再建に対する姿勢を見ましたとき、行政改革並びに不公平税制の是正は、いずれもきわめて不十分なものと言わざるを得ません。(拍手)
 そこで、まず第一に、行政改革についてお尋ねいたします。
 昨日の本会議で、第二次臨調設置に向けての法案が上程されました。昭和三十九年第一次臨調答申における許認可事項の整理合理化の例を見ましても、臨調答申の主張は骨抜きにされ、国民や企業の負担軽減と関係行政事務量の縮減という具体的効果はほとんど上がっていません。
 しからば、今回の第二次臨調にしましても、果たして答申が財政再建に間に合うか、答申が間に合ったとしても実行に向けて勇気と決断があるのかという点において、その保障は全くありません。(拍手)第二次臨調が行管庁の逃げ道でないよう、行管庁長官の政治生命をかけた決意を披瀝していただきたいと思います。(拍手)
 第二に、不公平税制の是正と予算編成に当たっての情報の公開化についてお尋ねいたします。
    〔議長退席、副議長着席〕
 中国のことわざにいわく、「衆を得ればすなわち国を得、衆を失えばすなわち国を失う」とあります。政府・自民党が一般消費税など大衆増税により国民を苦しめ、一方、不公平税制の是正に目をつぶり、大企業並びに富裕者に甘い姿勢をとるその考え方は、すでに多くの国民の信を失っているものと確信いたします。
 一昨日五日の夕刊紙に報じられた世論調査でも、国民は、現在の税負担を七八・一%もの多くが重いものと感じていると伝えております。
 鈴木内閣は、来年度税制の改正において、法人税の仕組みの見直し、高額所得者に対する課税強化など、富の不平等な分配の是正について具体的にいかなる検討をなされているのか、また、予算の編成に当たって大蔵省による情報の独占をどこまで公開される御用意があるのか、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。(拍手)
 第三に、財政再建に向けての特別法制定の動きについてお尋ねいたします。
 最近、政府は、財政再建のために特別法を制定し、歳出面では補助金の整理合理化、歳入面では物品税の期限つき増税などを検討されているようであります。しかし、この特別法はもろ刃の剣であって、その扱いはきわめて慎重でなければなりません。その作業の現状と、これに対する御見解を総理並びに大蔵大臣にお伺いしたいと存じます。
 第四に、財政再建に対する基本方針についてお尋ねいたします。
 わが党は、福祉社会の建設を計画的に推進し、同時に、財政再建を進めるために中期財政計画の策定が不可欠であると強く主張してまいりました。
 すなわち、政府による財政収支試算のように、単に新経済社会七カ年計画に盛り込まれた指標を利用するのみではなく、財政の現状を踏まえ、より厳密に将来の財政の姿を国民の前に明らかにすべきであります。(拍手)わが党の毎年見直しを行うローリング方式による中期財政計画の策定について、大蔵大臣の御見解をお伺いいたします。
 最後に、財政再建に取り組む基本姿勢についてお尋ねいたします。
 昭和五年、大蔵官僚出身の濱口首相がピストルで撃たれ死亡し、同七年、浜口内閣の大蔵大臣であった井上準之助が射殺されたいわゆる血盟団事件につき、総理は思いをはせていただきたいと思います。
 この二人が射殺された主な理由は、金解禁、緊縮財政を強行し、物価を引き下げ、廃業の整理と合理化を行ったからであると言われております。しかも、その後の日本が、五・一五事件から二・二六事件へと進んで、ファッショ化していったのは、われわれの記憶に新しいところであります。このことは、財政再建が国民の理解のもとに進めなければ大変なことになることを意味しています。
 現在のわが国は、巨額な累積赤字を解消するのに、軍事的侵略行為に訴えることができない以上、残されている道は、歳出カット、増税、両者の組み合わせなど、限られた手段しかありません。しかも、どの道をとっても、総理も大蔵大臣も行管庁長官も、濱口首相や井上蔵相のごとき決断を迫られるかもしれないのであります。総理、大蔵大臣及び行管庁長官の御決意のほどを承りたいと思います。(拍手)
 また、財政再建のやり方と結果によりましては、ファシズムが再現するおそれなしとしないのであります。どうか、責任ある御答弁をいただきたいと思います。
 これをもちまして、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#35
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 三浦さんにお答えをいたします。
 まず、財政再建のための特別法制定についてであります。
 政府は、目下財政当局を中心に財政再建の作業に真剣に取り組んでおるところでありますが、財政再建のための諸施策の具体的実施方法については、法的措置を要するものも多々あろうかと存じます。所要の立法、法律改正などを行うに当たって、その形式をどうするかにつきましては、講じようとする諸施策の内容や法技術的な問題にもよるところでありますので、なお慎重に検討してまいらなければならないと存じます。
 次に、財政再建に取り組む基本姿勢についてお尋ねがございました。
 私は、所信表明において述べましたとおり、現在のような大量の公債に依存した財政運営は、単に財政の破綻を招くばかりでなく、わが国経済と国民生活を根底から揺るがすものとなりかねないと、深く憂慮いたしております。
 このため、現在編成中の来年度予算では、公債発行額を今年度より二兆円程度削減することを目途に作業を進めておりますが、来年度予算の編成は、歳出の抑制のため、あらゆる面での犠牲を求めるとともに、現行税制の基本的枠組みの中で歳入の見直しを行っていかなければならないという、厳しい情勢に置かれております。しかし、私は、わが国の将来の基盤を確かなものにするため、断固として財政再建に当たる決意でございます。御協力を賜りたいと存じます。
 残余の点につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#36
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答え申し上げます。
 まず、財政再建をやるに当たって不公平税制の是正をやれと。これは御承知のとおり、昭和五十一年度から特別措置法についてはその整理合理化を続けてきたところであります。したがって、昭和四十七年度法人税収に対する企業関係租税特別措置の減収割合というものを見ますと、当時九%もそれによって減税になっておった。ところが、五十五年度は二・二%ということでございまして、しかもその中身は、特別措置法不公正と一概に言われますが、約一兆円近い減税がございます。しかしながら、その中の約八千億円、七千九百数十億というものは、これはもう個人関係の零細なマル優とか生命保険料控除とか、住宅取得促進措置とか利子配当の分離課税というようなもので、国民に直接関係のあるものばかりであります。
 したがって、これも全部切ってしまえ、どうせこの際だから、金がないなら一切やめてしまえという議論になりますと、それも一つの考え方だと私も思っているのです。しかし、そういうことはどうかなという反対意見もある。
 また、法人税の方は千九百億円ありますが、これは中小企業対策向けが八百億円で、あとは公害とか資源対策費などが大部分でございます。
 したがって、世間で言われるほど不公正な税制というものは私はそんなに、物の考え方の違いはありますが、ないんじゃないか。しかしながら、物の考え方でこういうものをなくすんだというのは一つのりっぱな考え方なわけでありますから、それはどういうふうにとっていくか、慎重に検討させていただきたい、かように考えております。
 ただ、執行面での脱税その他がよく問題になるわけでございますが、これらにつきましては、極力税の執行面において落ちこぼれのないように、厳重に、厳格にやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 法人税の仕組みの見直しや高額所得者に対する課税、財産課税、そういうものをやれ、富の不平等な分配を直せ、具体的に検討しているかというようなお話でございます。
 いつでもいろいろなことは研究はしておるわけでございますが、法人税の問題につきましては、国際的な動向も注意しながら政府の税調等においても検討してもらっておるので、現在の法人税の負担調整に関する仕組みの骨格は、これは維持することがいいのではないかなんと言う人もございますが、しかし法人税は、こういうときでありますから、もう少し負担をいただいてはどうかというような議論等もあり、いま検討しているわけです。
 高額所得者に対する課税強化については、わが国の高額所得者階層の実効税率は最高九三%、八千万円以上は九三%取るわけですから、スウェーデンとともに世界で一番ずば抜けて高いわけであります。したがって、一〇〇%取ってしまえということになれば話は別でありますけれども、高額所得者については、これ以上強化をするということは世界に余り例がございませんし、私は問題があるんじゃないかなというような気がいたします。
 資産課税の問題については、これは分離課税で、ともかく高額所得者の人で七〇%も八〇%も取られるべきものが三五%で済んでいるじゃないか、けしからぬ、これは広く言われてきたことでございますので、五十九年度から利子、配当すべてを総合課税にする。そのためには、グリーンカードというものもこしらえるということで、目下、法案も成立しておるし、その準備を着々やっておるところでございます。
 富裕税等の問題につきましては、いろいろ問題がございますが、目下のところ、これはそのわりに効果が少ないというような点から、九〇%も取ったほかに、また残っているものを取るというのは、相続税のときに取るわけですから、これはどういうものか、非常にむずかしいんじゃないか、簡潔に言うと、むずかしいんじゃないかということであります。
 それから、情報の公開につきましては、これはシーリング枠とか各省の要求、大蔵省の内示、いずれも公開しておりまして、これは実は諸外国では例を見ないのです。日本はその点は非常によく公開をしておるわけであって、たとえばいろいろな公開制度の問題についても、シーリング枠の公開とかあるいは予算の一次内示の公開とか、そういうようなものは、ほとんど大部分の国でやっておりません。日本だけであります。要求内容も党の部会等で全部中身も公開いたしております。したがって、一般にもこれは全部出ておるわけであります。したがって、これらについては私は、世界の主要国と比べると、一番公開しているんじゃないかというように思っておる次第でございます。
 それから、財政の特別法の制定の検討につきましては、これは歳出削減等の諸施策の検討結果を踏まえた上で、これらの諸施策のうち、法的措置が必要なものについて所要の法律改正を行うこととなるかもしれませんが、その立法形式につきましては、非常に法技術的な問題もあろうかと思われますので、いまここで私が断言できる段階ではない、もう少し慎重に検討させていただきたい、かように考えております。
 それから中期財政計画の策定の問題につきましても、後年度負担額推計を基本として、毎年のローリングを前提とした財政計画の策定は検討はいたしておりますが、非常にいろいろむずかしい問題が実はたくさんあるわけでありまして、策定のめどはまだ立っておらないというのが、正直に申し上げまして実情でございます。
 世界の例を見ましても、財政計画を立てるところでは経済計画を持っておりません。経済計画を持っておるところは財政計画を持っておりません。日本で二つ持つということが果たしてどういうことなのか。ここらの問題も含めまして、さらに一層詰めて、できるまでのことはひとつやってみようということで、目下努力いたしておる最中でございます。(発言する者あり)実際のところがそういうことなんです。
 ところが、財政再建に関する基本的な方針につきましては、総理大臣も不退転の決意でこれはやろうということを言っておるわけでございますから……(発言する者あり)それはいまからやるわけですから。それは確かに不退転の決意でなければ実際はできないのです、それは御承知のとおり。たとえば来年当然増が一兆五千億円ございますよと、当然増というものは当然増なんだから、必然的にふやすんだという考えではとても――それだけでも二兆円以上の増税をしなければやれないということになるわけですし、そのほかに、仮に政策経費というものについて全部がスクラップ・アンド・ビルドという中でおさまればいいが、おさまらない場合にはどうするのか。これも増収をしなければできないのですよ。
 ですから、これは命がけでやる仕事であるということを言っておるのでありまして、われわれといたしましては、いままでのような考え方で、当然増は当然伸びるんだということは、ちょっとこの際は考え直さなければならないんじゃないかということも含めて、非常に厳しいことをやらなければならない。そういう意味で命がけでやらなければならぬという点は総理大臣と同じでございます。(拍手)
    〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#37
○国務大臣(中曽根康弘君) 行革の決意いかんという御質問でございますが、時代の趨勢を見ますと、国民の皆さんは、いま政府や行政の能率がきわめて悪い、あるいは冗費を節約せよ、そういう御批判の声が非常に強いことを承知しております。しかも国民の皆さんは、石油危機に当たりましては株を売り、土地を売り、夜なべ仕事をし、いやな人員整理までやって、減量で血のにじむ努力をしたわけでございます。
 したがいまして、政府は、金がないと言って、便々としておるところではないのでありまして、政府みずから姿勢を正さなければ国民の納得は得られません。国民の皆さんが苦労したように、私らは大蔵省に対しましても、国有財産を売りなさい、あるいは政府保有の株式も売りなさい、あるいは特殊法人の剰余金もできるだけ回収して、国債をふやすお金を減らしなさい、あるいは許認可や法令の整理を徹底的にやろう、こういうことでいま懸命の努力をしておるところでございます。
 総理の御指導のもとに内閣一体になって真剣にやりますから、御協力をお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#38
○副議長(岡田春夫君) 辻第一君。
    〔辻第一君登壇〕
#39
○辻第一君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十三年度決算に関連し、総理に質問いたします。
 昭和五十三年度決算では、防衛庁の航空機購入費の国庫債務負担行為を前年度の二・一六倍に急増させるなど、軍事費を拡大し、P3C、F15の新規発注を行っています。同年十一月には、政府は日米防衛協力指針を取り決め、日米共同作戦体制への新たな一歩を踏み出しました。これは、集団自衛権を否定しているわが国憲法に明らかに違反するものであります。
 私は、まず第一に、憲法について総理の見解をただすものであります。
 日本国憲法については、サンフランシスコ条約締結交渉の当時から、アメリカが日本の再軍備と改憲への努力を再三強く要求していたことが、アメリカの外交機密文書の公表などによって明らかになっています。自民党などの自由憲法制定の名による改憲運動は、その出発点からこのようなアメリカの要求に呼応して進められてきたものであります。
 また、ことし八月の日米安保セミナーで、日米双方から安保条約の再編、憲法改定の主張が強調されたことからも明らかなように、今日の改憲運動は、安保条約を攻守同盟に変えていこうとするアメリカの強い意向にこたえるものであります。
 総理は、改憲についてのアメリカの圧力を否定されていますが、日本が憲法第九条の制約を脱することをアメリカが強く望んでいる事実を、総理は否定できるのかどうか、明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 また、総理は、自民党の改憲案が決まっていない現在、自主憲法期成議員同盟はただ騒いでいるだけだと答弁していますが、それは、基本的人権の制限と戦争への道をねらう自民党の改憲運動に対する国民の批判の高まりを逃れようとする口実にすぎません。総理がこのような団体に加盟していることが改憲運動を激励していることは、客観的な事実であります。総理が直ちにこの議員同盟から脱退するよう強く要求するものであります。総理の見解を承りたいと存じます。(拍手)
 また、一連の改憲発言に加えて、閣僚の靖国神社の公式参拝を憲法は禁止していないという奥野法務大臣の発言は、政府のさきの公式見解にも反するものであります。総理は、このような奥野発言に対し、どのような処置をとられるのか、お尋ねいたします。
 第二に、政治腐敗の一掃と予算の厳正な執行について、総理の政治姿勢を伺うものであります。
 ロッキード事件の公判での松尾検事の証言やわが党の訪米調査などによって、ロッキード事件の疑惑は、P3Cについてもますます強くなっています。また、最近、ニクソン政権の貿易担当副補佐官リチャード・アレン氏の往復書簡が明らかにされ、E2C導入に関しても新たな疑惑が浮き彫りになっています。それにもかかわらず、政府・自民党は、P3C、E2C導入について再捜査、再調査を拒否しているばかりか、衆議院航空機特別委員会の廃止さえ強行したではありませんか。
 このようなことは、いわゆる灰色高官を勲一等瑞宝章に叙勲したことともあわせ、鈴木内閣の政治倫理確立の表看板が、口先だけのごまかしであることを明らかに証明するものではないでしょうか。(拍手)
 巨額の軍用機購入に当たって不正がなかったかどうかは、予算執行の適否を判断する決算審査の重要な課題であります。これらの疑惑を解明することなしには、厳正な決算審査は行うことができないと考えますが、総理の責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 最後に、金大中氏問題について質問いたします。
 韓国の戒厳高等軍法会議は、わずか一週間に六回の審理で、被告側証人申請を全部却下して、最終弁論も最終陳述も行わせないまま、金大中氏に死刑の判決を重ねて言い渡しました。これは、不当な政治決着の最低条件にさえ反して、金大中氏を抹殺し、民主政治の確立を求める国際的な世論に真っ向から挑戦するものであります。(拍手)
 韓国のKCIAが日本の主権を侵し、金氏の人権を踏みにじった金大中氏拉致事件、その本質を不問に付し、不当な政治決着を行った政府は、今日の事態を招いた重大な責任を負わなければなりません。にもかかわらず、ただ憂慮を表明するだけで、抗議さえ行わず、さらに内政干渉はすべきでないなどと弁護さえしている政府の姿勢は、この殺人劇に手をかすものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 いまこそ、この不当な政治決着を見直し、金大中氏の死刑を中止させるためのあらゆる努力を尽くすことは、一刻もゆるがせにできない緊急かつ重大な日本政府の責務であります。総理は、この責任をどのように果たされるのか、どのように対処されるのか、しかとお答えをいただきたいのであります。
 以上の論点について、総理の明確な答弁を要求して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#40
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えをいたします。
 まず、米国政府とわが国憲法第九条の問題についてお尋ねがございました。
 米国政府は、従来よりわが国の憲法の存在を十分理解した上で、その範囲内でのわが国の防衛努力に対する期待を表明しておるものであります。米国政府として、わが国が憲法第九条から離脱するとかそれを改変するとかいうことを望んでいるというようなことはありませんし、また、そのような筋合いのものでもありません。この際、明確にこの点を申し上げておきます。(拍手)
 次に、私が自主憲法期成議員同盟に加わっておることについてお尋ねがありましたが、憲法問題については、今国会においてしばしば申し上げているとおり、鈴木内閣においては現行憲法を改正しない方針を確認しており、また、各閣僚も現行憲法を尊重し擁護していくことを明言しております。他方、憲法九十六条は憲法の改定手続を規定しており、憲法改正について議論をしたり研究したりすることは、もとより憲法第九十九条の憲法の尊重擁護義務に違反するものではないことも明確に申し上げておるところであります。(拍手)
 私は、多数の同僚議員とともに、自民党の一員として議員同盟に加わっておりますが、憲法調査会でただいま調査研究を行っておる段階であり、党の正式機関がまだ結論を出しておらない段階で、議員同盟が具体的な改正案を掲げて積極的な行動をするようなことはないと考えております。
 次に、奥野法務大臣が靖国神社の参拝について発言した内容につきましては、その詳細を承知しておりませんけれども、奥野法務大臣も鈴木内閣の一員としての立場をわきまえた上での発言であると思っております。
 次にお尋ねの、ロッキード事件を初め、いわゆる航空機輸入に関連して指摘された疑惑に関しては、検察当局によってすでに捜査及び処分が行われたと聞いており、検察当局においては厳正に事件の解明を行ったものと考えている次第であります。
 次に、金大中氏の裁判についての問題でございますが、判決文の入手につきましては、外交ルートを通じまして鋭意努力をいたしておるところでございます。今後も、その努力を続けてまいる所存でございます。
 金大中氏の裁判は、基本的には韓国の国内問題でありますが、金大中氏の身柄につきましては、政府としてこれまで重大な関心を有しておる旨、随時先方に表明をいたしております。今後も、わが方といたしましては、これは国民的な問題として関心を十分韓国側に伝えてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#41
○副議長(岡田春夫君) 小杉隆君。
    〔小杉隆君登壇〕
#42
○小杉隆君 私は、新自由クラブを代表して、昭和五十三年度決算に関連する幾つかの問題について質問いたします。
 まず第一に、決算に対する政府の基本的な姿勢についてであります。
 決算は、予算の執行結果であるということで、ややもするとその審査を軽視する風潮が感じられます。しかし現在、行政改革、財政再建が叫ばれている中で、決算の審査、検査結果を的確に予算に反映させることが大切だと考えますが、総理の決算に対する基本的な考え方を聞かせていただきたい。
 第二に、決算の審査結果を来年度予算にどのように反映するおつもりか、大蔵大臣のお考えをお示しいただきたい。
 第三に、五十三年度決算の検査報告を見ると、鉄建公団等に見られるような空出張による不当経理問題や、暴力団等からの物品の高価購入問題について、数多くの政府機関が関与していたことが指摘されております。このような実態は、官庁の綱紀が緩んでいるためと考えられるが、綱紀の粛正にどのように取り組んでいくおつもりか、総理のお考えを伺いたいのであります。
 さて、ここで、ここ数年のわが国の経済の推移を見てみますと、五十三年度決算によると、景気の回復のため当初七%の経済成長を目指しながら、結果としては五・七%にとどまっております。そのために財政の不均衡が拡大したと言えます。しかし、後半、民間の設備投資が活発になり、かなり回復し、国際収支も改善されました。五十四年度も、引き続き内需を中心に安定的な成長を遂げ、設備投資も個人消費も一応順調となりましたが、これは民間企業の活力に負うところが大であると思います。
 そして五十五年度、本年度は、民間の自律回復が期待されるところから、国債を減らすなど財政再建にウエートを置いております。しかし、設備投資についても最近ではかげりが見え始め、また、個人消費は落ち込みつつあります。これは今後に不安な材料となっております。来年度予算の編成に当たって歳出削減や行政改革を断行したとしても、大幅な赤字は避けられないところであります。最近発表された政府税制調査会の中期答申によれば、大型消費税の導入に道を開いているありさまです。
 以上申し上げたように、五十三年度以降の動きをながめてみますと、これからのわが国の財政運営は容易ならぬ見通しと言わなければなりません。
 そこで、経済企画庁長官に、今後の景気見通し、国際収支、物価、雇用などについて、その見通しを明らかにしていただきたいと思います。
 さて、米国の新政権が誕生することに伴い、日本の経済や外交が今後どのように展開していくのか、国民は強い懸念を抱いております。そこで、私は、こうした新しい事態を踏まえて、以下数点について取り上げてみたいと思います。
 地すべり的勝利を獲得したレーガン氏は、外交、財政、軍事の諸政策において力の政策を実行すると見られています。マンスフィールド米国大使によれば、対日関係はレーガン政権下においても基本的に変わるものではないと言明しておりますが、共和党が信条としている相互主義から考えますと、先ほども指摘があったように、日本に対する軍備増強の要求がさらに強まると考えられ、日本の自動車対米輸出や電電公社の入札問題についても、米国の姿勢が厳しいものとなることは容易に想像されます。
 このような米国新政権の日本に対して強まるであろう経済面での姿勢に対して、鈴木総理はどのように対処していくお考えか、承りたいと思います。
 次に、外交面から伺います。
 鈴木総理は、所信表明の中で、政治、経済上の理念をともにする米国、EC諸国などの自由主義諸国との連携を強化し、特に日米関係を外交の中心に据え、揺るぎない信頼関係を保っていくと強調しておられます。同様に、ASEAN諸国や中国、韓国などの近隣諸国との関係も、支援や友好を深めると述べておられます。ソ連に対しては、ソ連側の誠意を具体的行動で求め、イラン・イラク戦争の早期解決を期待しておられます。しかし、米国新政権は、対ソ対決姿勢を柱とする強硬な外交政策を推進する危険性があります。
 そこで、日本の平和と安全にとって重要な米中及び米ソの関係について私は触れたいと思います。
 特に、私は、米中関係に深い関心を持っております。レーガン氏が台湾との公式関係の樹立を口にして以来、中国はレーガン氏に非常な警戒心を持っております。私が九月に、田川、河野同氏らと訪中し、万里副首相以下中国政府首脳と会見した際、レーガン政権の誕生に強い懸念を表明しておられたことを思い起こしますと、今後の米中関係は必ずしも従来どおりの友好を保てると楽観することはできません。この点について、外務大臣はどのように分析されておられるのでしょうか。
 日中友好がかつて米中に先を越され、あわてて追随をした過去を反省し、いまこそ、隣国である日本が、レーガン新政権下の米中関係の友好促進に大きな力を発揮し、橋渡しの役割りを果たすべきときと考えますが、総理の所信をお示しいただきたい。
 一方、米ソ関係については、米国の新政権は力の対立関係で割り切りがちであります。わが国はソ連のアフガニスタン侵入の制裁措置について米国と歩調をそろえましたが、日米関係がいかに重要であるとはいえ、ソ連と隣接をする日本としては、おのずから米国と立場を異にする場合もあるのが当然でありましょう。力の論理で押しまくるであろう新しい米国の政策に無条件に追随していていいものかどうか。ときにはアメリカに自制を求める必要も生まれるのではないでしょうか。
 もちろん、ソ連に対しては、北方四島の一括返還やアフガニスタンからの撤収を迫る毅然とした態度を堅持しながらも、日本の独自性を発揮し、日ソの関係改善を独力に進めるとともに、米ソのデタント、緊張緩和にも一定の役割りを果たす、そのことがわが国の国際平和に対する責任と役刷りでもあると考えますが、総理並びに外務大臣のお考えを明らかにしていただきたいのであります。
 なお、近く日ソ円卓会議がモスクワで開催され、日本からも大ぜいの政治家や経済人、学者、ジャーナリストなどが参加しますが、こうした状況の中でこそ、むしろ民間レベルの友好、交流が大切だと考えますが、こうした交流についてどのように評価をされますか、あわせてお聞かせいただきたいのであります。
 明快な答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#43
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 小杉さんにお答えをいたします。
 まず最初に、私の決算に対する基本的な考え方について御質問がございました。
 私は、決算は予算の鏡であると考えております。決算の厳正な審査を行い、その反省を正しく予算に反映することによって、国民の納得と支持を得る予算編成をなし得るものと存じます。この点、小杉議員と見解を同じくするものであります。
 次に、官庁綱紀の粛正について御指摘がありました。
 私は、清潔な政治、規律ある行政が国民の信頼を得る原点であり、政府の取り組むべき緊要な課題であるとの考え方に立って、全省庁に対し、官庁綱紀の粛正に真剣に取り組むよう指示しているところであります。今後とも官庁綱紀の確保に厳しい姿勢で臨んでまいる所存でございます。
 レーガン政権の対日政策についてお尋ねがありました。
 私は、良好な日米経済関係を保つことは、政権担当者の交代にかかわらず、米国政府の基本的考え方であると理解しております。したがって、新政権のもとでも、日米経済関係についての米国の政策に基本的な変化があるとは考えておりません。
 御指摘の自動車及び電電公社等、当面の貿易関係上の問題につきましては、政府といたしましては、これらの問題が先鋭化し日米関係全般に悪影響を及ぼす事態とならないよう努力をしておるところであります。これが政治問題化するといった事態は何としても避けなければなりません。先般、アスキュー代表がお見えになりました際に、私からそのように申し入れ、先方も同感の意を表明しておったところであります。
 政府といたしましては、このような考え方に立って、米側と十分意思疎通を図りつつ、問題の円満な解決のため努力をしてまいる所存でございます。
 次に、米中関係でありますが、私は、良好な米中関係の進展はアジアの平和と安定に寄与するものであると考えております。したがって、わが国といたしましては、今後とも米中関係の順調な進展を期待するものでありまして、政府としても、今後とも、なし得る範囲内で両国の関係の順調な進展に協力していく所存でございます。
 次に、ソ連との関係についてお尋ねがございました。
 レーガン次期大統領政権の対外政策につきましては、新政権がいまだ発足していない現段階で具体的な見通しを述べることは困難でありますが、いずれにいたしましても、平和的話し合いを通じてソ連との問題解決に当たっていくとの米国の基本姿勢は、レーガン政権のもとにおいても変わらないものと考えます。
 現在の米ソ関係は、ソ連の一貫した軍事力増強及びアフガニスタンへの軍事介入等により、現在後退を余儀なくされていますが、わが国といたしましては、アフガニスタン問題が速やかに解決され、米ソを中心とする東西関係が良好な状況を回復することを希望しております。
 なお、ソ連は、御指摘のとおり、わが国にとりましても重要な隣国の一つであり、対ソ外交はわが国の対外関係の中でもきわめて重要なものであると考えておりますが、不幸にして今日の日ソ関係は、アフガン問題に加え、北方領土軍備強化など、ソ連側の行動に起因して厳しい局面を迎えております。
 このようなきわめて遺憾な状況の中で、わが国の方からいわゆる対ソ修復論を唱えることは筋が通らず、国民の納得を得ることは困難であると考えます。
 もとより、政府としては、ソ連との間に真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することを望むものでありますが、過般の私の所信表明でも述べましたとおり、日ソ関係発展への道を開く環境をつくるためにも、ソ連側においてその誠意を具体的行動をもって示すことを強く期待するものであります。
 残余の点は、関係大臣から答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#44
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 決算の結果を来年度予算編成にどういうように反映させるかということでございます。
 いま総理がおっしゃいましたように、決算は予算の鏡でありますから、予算がどういうように実際に使われたか、また使われなかったか、有効であったかなかったか、それらについて国会が審査をして、いろいろな御批判をいただくわけであります。
 これらの審査結果、また会計検査院の検査報告、こういうものから得られる決算に対する教訓は、その次の年度の予算編成及び執行過程で十分に生かしていかなければならぬ、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣伊東正義君登壇〕
#45
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 米中関係、米ソ、日ソの関係につきましては、総理大臣から詳細お答えがありましたので、私は日ソ円卓会議だけについてお答え申し上げます。
 日ソ円卓会議は、御承知のこれは民間の交流会議でございまして、私がここで私見を述べることは差し控えさせていただきますが、ただ、一般論として申し上げますことは、各種レベルの交流会議ということそれ自体は結構でございますが、やはり対等の立場に立って主張すべきことは堂々と主張してもらう。
 たとえば、日ソでございますれば、先生おっしゃったように、領土四島の返還問題、それに対する軍備の充実については軍備の撤退をしてもらいたい、あるいはアフガニスタンからの撤兵をしてもらいたいというような主張を常々と主張してもらう、その上でお互いが相互理解を深めるということは結構でございますので、私は、一般論としては、堂々と主張すべきことは主張していただきたいとお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
#46
○国務大臣(河本敏夫君) 物価、景気、国際収支、雇用、これからの経済運営、一連の御質問がございました。
 まず物価の問題でございますけれども、最近は安定の方向にいっておると思います。たとえば卸売物価について見ますと、ことしの四月は前年比二四%アップでありましたけれども、これが九月には一五%アップに下がり、十月にはさらに一三%、このようにだんだんと低下をいたしております。また、消費者物価もずっと八%台が続いておりましたが、十月の東京区部は九カ月ぶりに六%台に下がっております。
 大勢としてはいい方向にいっておると思いますが、しかし、なお問題が相当ございますので、引き続き強力な物価政策を進めてまいりまして、本年の政府見通し程度におさまるようにあらゆる努力を続けてまいりたい、このように考えております。
 景気の力は、最近は住宅投資がずっと減少しております。また、個人消費も計画どおり伸びておりません。貿易とそれから設備投資の方は大勢としてはいいのでございますが、これもこれからは相当問題があろうかと思います。
 そういうことで、九月初めに一連の経済政策を決定をいたしましたが、その後異常気象による損害というものが非常に大きな額に達しておりますし、イラン・イラク戦争の長期化によりましてあの付近との貿易がとだえております。
 こういう新しい事態も加わりまして、最近の景気動向は芳しくない、こういう感じがいたします。雇用などを見ましても、この春から見ますと有効求人倍率なども相当落ち込んでおります。
 概して申し上げますと、物価は安定の方向に、景気は警戒信号が出ておる、このように私どもは理解をしております。
 幸いに国際収支の方は、ことしの四月から七月までの間は年率に換算いたしまして百七十億ドルの赤字ということで大変私どもも心配しておりましたが、最近は急速に改善をされまして、たとえば九月のごときは経常収支は十億ドル近い黒字になっております。
 そういうことで、本年度の政府見通し、九十一億ドルの赤字と想定をして経済計画を組みましたが、多少の上下はあろうかと思いますけれども、ほぼ政府見通し前後に年度間を通じておさまるのではなかろうか、このように理解をいたしておりますが、国際収支の大幅な赤字を避けるということはいろんな経済政策を進めてまいります上に大切なことでございますから、今後ともこの方面で努力をしなければならぬと考えております。
 なお、これからの経済運営でございますけれども、昨年の八月に新しい七カ年計画が決定をされました。実は昨年の一月に決定する予定でございましたが、その後、イランの動乱等から第二次石油危機が起こりまして、六月の東京サミットのエネルギー政策の決定を見た上で最終判断をしようということになりまして、八月に原案を微調整をいたしまして新計画を決定をいたしました。
 要綱は、御案内のとおりでございますが、七カ年間を通じまして平均おおむね五・五%の成長を続ける、物価はおおむね平均その間五%と、こういうことを目標にしておりますが、毎年経済の実情を見ながらフォローアップをして、実情に合ったような目標値を毎年設定をする、こういうことにいたしております。
 昨年は、成長六・三%、物価は四・九%という目標を設定いたしました。ことしは、第二次石油危機がございますので、その目標を四・八%、物価は六・四%に設定したことは御案内のとおりでございます。
 来年の見通しにつきましては、目下作業中でございますが、できるだけ七カ年計画の平均値に近づけたいということでいま努力をしておりますけれども、最終の決定は十二月に行うことにいたしております。(拍手)
#47
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#48
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時八分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        外 務 大 臣 伊東 正義君
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
        自 治 大 臣 石破 二朗君
        国 務 大 臣 河本 敏夫君
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
        国 務 大 臣 中山 太郎君
ソース: 国立国会図書館
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