くにさくロゴ
1947/10/16 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第10号
姉妹サイト
 
1947/10/16 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第10号

#1
第001回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第10号
  付託事件
○在外同胞引揚促進及び引揚者の援護
 更生に関する請願(第五号)
○ビルマ残留同胞引揚促進に関する陳
 情(第三号)
○樺太残留同胞引揚促進に関する陳情
 (第五号)
○南方残留同胞引揚促進に関する陳情
 (第六号)
○南方残留同胞引揚促進に関する陳情
 (第八号)
○引揚者、復員及び留守遺家族の救済
 緊急対策に関する陳情(第十八号)
○在外残留同胞引揚促進に関する陳情
 (第三十号)
○海外残留同胞引揚促進に関する陳情
 (第三十一号)
○海外引揚者に対する生業資金貸出に
 関する陳情(第三十二号)
○海外引揚者所有の農地に関する陳情
 (第三十三号)
○ソ連軍管下の未復員軍人帰還促進に
 関する請願(第七号)
○旧満鉄社員の会社に対する諸請求権
 應急処置に関する請願(第九号)
○海外残留同胞引揚促進に関する陳情
 (第四十八号)
○海外残留同胞引揚促進に関する陳情
 (第五十三号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 七十五号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 八十一号)
○海外同胞引揚促進に関する陳情(第
 百四号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 百十号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 百二十一号)
○満州における同胞救済金の償還に関
 する請願(第五十五号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 百二十四号)
○旧満鉄社員の対会社請求権確保に関
 する陳情(第百三十九号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 百四十二号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 百五十一号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 百五十九号)
○在外同胞引揚促進に関する請願(第
 八十三号)
○海外引揚者生存権保証等の問題に関
 する請願(第八十四号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 百八十二号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 百八十四号)
○海外引揚者の更生に関する陳情(第
 百九十八号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 二百号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 二百十四号)
○海外引揚者更生対策に関する請願
 (第百四号)
○海外引揚者の住宅問題に関する請願
 (第百五号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 二百四十一号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 二百五十五号)
○在外同胞引揚促進に関する請願(第
 百六十三号)
○海外引揚者の住宅問題に関する陳情
 (第二百六十三号)
○海外残留同胞所有農地に関する陳情
 (第二百六十五号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 二百八十五号)
○戦争犠牲の公平負担に関する陳情
 (第二百八十七号)
○海外引揚者更生対策に関する陳情
 (第二百九十一号)
○在外引揚促進に関する陳情(第三百
 一号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 三百五号)
○同胞引揚促進に関する陳情(第三百
 十四号)
○在外個人資産の補償に関する陳情
 (第三百二十六号)
○同胞救済金の償還に関する陳情(第
 三百二十七号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 三百四十八号)
○海外引揚者に対する庶民金庫生業資
 金貸出に関する請願(第二百三十
 号)
○青島における民留民立替金の返還に
 関する請願(第二百三十一号)
○海外引揚者の送金爲替支拂に関する
 請願(第二百三十二号)
○中國東北地区における戦犯者救護に
 関する請願(第二百三十四号)
○海外引揚者所有の農地に関する請願
 (第二百四十四号)
○北鮮における不法抑留者等の釈放に
 関する陳情(第二百四十四号)
○朝鮮における同胞救済資金の返還に
 関する請願(第二百七十号)
○海外引揚者の営業衣料品登録店舗特
 例に関する請願(第二百七十二号)
○海外引揚者の所有の農地に関する陳
 情(第三百六十八号)
○海外引揚者に対する開拓資金増額に
 関する陳情(第三百六十九号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 三百七十七号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 四百二号)
○海外引揚者の在勤労資屋等の問題に
 関する陳情(第四百八号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 四百十号)
○海外引揚者の在外勤労資産等の問題
 に関する陳情(第四百十六号)
○東印度における戰犯容疑者釈放に関
 する陳情(第四百三十二号)
――――――――――――――――
昭和二十二年十月十六日(木曜日)
   午後一時四十八分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○引揚促進と應急援護に関する件
○第一小委員長報告
  ―――――――――――――
#2
○委員長(矢野酉雄君) 只今から委員会を開会いたします。
#3
○中平常太郎君 数点お伺いしたいと思いますが、先般舞鶴引揚げ復員者の状況調査並びに慰問に参りました節、初めて懐しい本土に足跡を印した復員者が、二ケ年の間音信不通であつた自分の家庭の方へ向つて、帰還したということを通知する場合の電報料の問題であります。近來通信費も上つておりますのにそれは当事者の自弁であるということでございます。然るに交付されるところの旅費は遠近を問わず僅かに三百円でございまして、それは殆んど数日にして何かの手廻り物を買うためになくしてしもうというような情勢の中に、電報料を自弁で賄うということは、大変困難な情勢であることを認めたのでございます。せめて我々は内地へ帰つて電報一つだけでも國家が保証して打たして貰えないかというような氣持が復員者に横溢いたしております。現在戰犯者その他この戰争犠牲者に対しましていろいろその筋からも制約がございますけれども、物價高の今日を迎えまして、そういうような手当を十分上げてないという場合には、こういう手続上の処理につきましては何も國家が損失は行かない、ない者から剥ぎ取るようなことをせいでも、ない者に無料で電報を打たしたところで國家は損は行かないのでありますから、そういう手続を取つて頂きたいということを、本省にも帰りました後に淺岡委員、北條委員その他から随分熱心にこの問題を要求しておられたのでありますが、聞くところによりますというと、これはどうしても逓信の方の側で無料にするという一つの特例がないからして、その金の出所は厚生省の方から振替えて拂つて貰うような方法を講ずるより仕方がないから、目下厚生省に交渉中であるというようなふうに、逓信大臣もお話になつたのでございます。
#4
○委員長(矢野酉雄君) 中平委員、ちよつと御発言中ですが、今逓信省の局長がおいでになりましたから、その問題について政治的折衝のことを私から委員長として依頼しましたところが、多分逓信省側で解決ができると思うからというような今お返事を頂きましたので、いま暫くその問題は私にお預け願いたいと思いますが……。
#5
○中平常太郎君 よく分りました。大変嬉しいことであります。それならばその問題は我々の要求通り、希望通りになり得るように委員長のお話がございましたから、この問題は打切ることにいたします。
 次に傷痍軍人などが入つておるところの國立病院、陸海軍に附属しておつたところの病院が國立病院になりまして、その後これが有料になつたがために、大変困難を感じておるところの者が万を以て数える程あるように聞いております。これは厚生省がその肚を以て、或る程度の考えを以て、生活保護法に準じて適当な処置を以て、できる限り希望に感じて、そうして無料で入院した者を治療せられるというような十分幅のあるお話があつたのでありますが、それが病院においては徹底を欠いて、或る所においては五割程度でやつておるところもありますし、或る所では四割、六割というふうになつておりまして、その取扱いにつきましては大体一致していない。病院の方針、院長の考えなどによつて左右されておるような状態でありまして、誠にお氣の毒な傷痍者、復員者のあることを考えて見ますと、これはどういうような程度におやりになるか。どの病院にも徹底を欠いておるように考えますが、その点はどういうお考えでおられますか、それをお伺いしたい。
 それからもう一つは、終戰後傷痍を受けた者、即ち戰争が済んでつまり武器を棄てた後に起きたところのそういう者に対して、労働省の災害補償法というものの適用ができるかできないか。そういう方面にできうる筈、例えて見れば運輸中に汽車の從業員が怪我をするというような場合に、直ちにこれは労働保護法の災害救助法にかかるのでありますが、それと同じように、戰争が済んで後に偶発的に起きたところの傷害に対しましても同じ取扱いができる筈であると思うのでありますが、これがそういうふうになつていないように思われますが、終戰後における傷害には、軍人の戰闘上起きておるところの傷痍でないということのために取上げられない。これは災害の補償が適当にできる筈と思いますが、この点をお伺いしたいと存じます。
 それから生活保護法でありますが、今日厚生省は諸種の救済問題は生活保護法一本で行くことになつておりますので、これは私共も諒といたしておるのであります。これは厚生大臣もおつしやつたのでありますが、今日三十六億の予算があるけれども、足りなかつたならば予備費を以て使つてよろしい、これに向つては積極的に支出する考である、こういうふうにおつしやつて私共は頗る心強い感じを持つておるのでありますが、事実といたしましてはそれがそう使えない。これは要するに私は市町村に一割の負担があつてこれが一つのブレーキになつておるということは、濫給を防ぐ意味において一應一割の負担をせしむることは道理があり、又了承ができるのでありますけれども、これによつて救わるべき者が救われずして燒跡に彷徨しておるということ、或いはそれがために、十分なる救助の途が全うしていないがために、國民の中に往々にして國政に怨みを持つ者ができて來る虞れがあると思うのであります。それで何か適当な方法を一つお考えになりまして、外地帰還者に対しましての救助の方法は、生活保護法以外の特別な何かの方法を以て十分なる援護の手を下して、國民戰争犠牲の公平なる負担に属すべき一助として頂きたいと思うのでありますが、他にいい方法がないか。それの一本槍で厚生省は行くつもりであるか。行くつもりであるならば、この生活保護法の金を出すことについてどれくらいの積極性を持つておるか。その点をお伺いしたいと思うのであります。
 それから先般笹森國務大臣がおつしやつたのでありますが、未帰還者の家族がなかなか分りにくいということでありますが、これは分りにくいことはないと思つております。民生委員もありますし、その他いろいろありまして、相当救護網が完備いたしておりまして、未帰還者がどれ程あるということは直に分るのでありますから、これらの援護に対しましても特別なる方途を講じて恨みを千載に貽すことのないように……。未だに帰つて來ない家庭が、自分の家の者は帰つて來るのか來ないのかそれが分らない状態でおるのでありますが、その家族に対して何か慰問の方法を講じる、生活保護法の金以外に慰問の方法を講じるとか、こういうわけでこうなつておるから、それでソ聯の側においてはこういう状態であるからというような親切な手紙を政府が出して、十分これに慰安を與えて、その帰還を待ち、又希望を繋がしめるというような温い氣持が拂われねばならんと思いますが、これに対する援護措置はどういうふうになつておりますか。それをお伺いしたいと思います。
#6
○政府委員(葛西嘉資君) 中平委員の御質問になりました第一の点でありますが、國立病院並に療養所が有料になつたために、非常に入院しておる人たちが困つておる。病院によつていろいろちぐはぐになつておつたり、徹底を欠いておるという意味のお尋ねでありました。これは今年度の初めに有料ということに決まりましてからは今中平委員の御指摘のように当初のうちはそういうふうな状態のあつたことも私共は認めざるを得ないような状態であつたと思つております。ただ併しその後縣廳の方面、或いは病院の方面によくこの趣旨を言うて聞かしてやつてありますので、段々とよくなつて來ておることも事実だ、こういうふうに思つております。これは先程中平委員がお述べになりましたように、入院料を結局本人が出さないでやれるようにしたいということが御趣旨のようでありましたが、これはやはり金を持つておる人でありますれば全部只にするというわけにはいかんと思います。金のある人からは金を頂く。入つておる人で生活保護法にかかる者はこれは生活保護法にかけて行く、この点は十分やるようにということを通知してあります。
 それから金を拂える者と生活保護法にかかるものとの間に、御承知のようにまだ生活保護法にかからないが、併し金の支拂いがなかなかむずかしいというような者もあるわけでございます。こういう者につきましては、病院の入院規程がございまして、そうして病院長が認めるところによつて入院料を減免することができる。ひどい場合には全部只にして上げる。それから取れる者からは若干一部を取つてまけてやるというような措置ができることになつております。これは病院当局でやることであります。從つてそこの間に三つの階級があるわけでございます。有料になる、それから生活保護法に当然かかる階級、その眞中の階級、この三つの階級があるわけでありますが、取扱機関によつて、その眞中の階級と一般生活保護法の階級とは御承知のように取扱いが違つております。それらのところの事務の連絡がうまく行かないというと、お述べのように非常に混乱を來すというようなことが実際ございます。それで議会でもそういうふうなやかましい声がございましたが、大臣の御注意によつて医務局長と社会局長の連名の通牒を以ちまして、今のことをよく府縣の側にも言うて置きました。それから病院の側にもよく言うて置きました。そうして会合等にもそのことをよく傳えてあります。具体的に申しますれば、先々月の初めに開きました民生部長会議には、医務局長、私も出まして、そのことをよく言うて置きましたから、段々と地方には徹底して参つて來るだろうというふうに存じております。
 それから第二の御質問になりました点でございますが、これは実は私の所管でありませんのでお答え申すのもどうかと思うのでございますが、承知しておる点だけを申上げさして頂きたいと思うのであります。元傷痍軍人でありました者につきましては、傷痍の程度によりまして傷痍恩給というものが出ることになつておりまして、軍人の恩給が停止になりますまでは非常に沢山の恩給が相当低い傷痍の程度の者にまで出ておつたのであります。御承知のように軍人恩給停止の指令に基きまして、一般の恩給は全部停止になつたけれども、特に重い何等症以上の傷痍元軍人についてはやはり恩給を出していいということになつております。額は少くなりましたが出ておるわけであります。或る程度の傷痍者には出ておるわけであります。それは戰争のために傷痍になつた者でございます。又新らしい問題としましては、現在抑留されて、向うでいろいろ働かされておるような人が傷痍を受けたような場合に、今度の公務に基く給與金が出ないかというふうな点については、私の承知しておるところは、恩給局において今その点を鋭意関係方面と折衝しておるように承知いたしております。
 それから第三に、いろいろ生活保護法でやつて参るが、なかなか地方で生活保護法というものがうまく行つてない部分がある、何かこういう引揚げというような特殊なものについては、特別の援護方法をやる意思があるかというようなお尋ねでございましたが、御承知のように生活保護法は、そういうふうないろいろな原因によるものを全部無差別平等に取扱つて行くというのが法の精神でございまして、それは法律の第一條に明らかに書いてあります。それでありますから特に生活援護というものについて、この引揚者だけに特別の援護の制度を作るという意思はないわけであります。ただ無差別平等に保護するということと、それからその困つておる状態に應じて実情に即した保護をするということは別問題であります。生活保護法はその実際の状態に即した援護をやることはちつとも禁じておらないのであります。從いまして極くお氣の毒な引揚げをして來ておる人につきましては、御承知のように去年の冬越冬毛布など出したときにも、或る程度の費用というものは生活保護法の方から一部負担のものについては出した実例もございます。実情に即した援護をして参り、不徹底な点につきましてはこれは一つ是非徹底して一人も洩れないようにしたい、こういうふうに考えております。
 それから第四番目にお尋ねになりました未帰還者の援護のことでございます。特に慰問の方法等を講じ、親切な取扱いをすべきであるという点については、これは申すまでもなくそういうふうにしたいというつもりでございます。向うにおつて生死不明だというような人に対しまして、本当にあなたのところの未帰還者の方はどうしておいでになるということが実はなかなか徹底できないのであります。これは復員廳所管でありますけれども、そういうことになつております。併し残つておる家族の方面に対するいろいろな慰問方法等につきましては、この委員会でも復員廳或いは援護院当局からいろいろお話をしておりますように、向うの状態等分る限りそれを地方廳を通じましていろいろな機会にお示ししておることは中平委員御承知の通りでございます。ただ全部の未帰還者の方に個々に手紙等で示すというようなことはなかなか至難でございますけれども、できれば何かそういうふうにしてやつて参りたい。勿論未帰還の家族の援護ということは生活保護法でもできるだけのことをいたしますが、その他のことでもできるだけのことをすべきものだというふうに考えております。
#7
○委員長(矢野酉雄君) 大臣は復員廳の事務引継ぎのため御用があるそうでありますから、それは次に延して頂きます。岡元委員から前から通告がありますから……岡元委員。
#8
○岡元義人君 非常にお忙しい大臣の御出席を煩わしたのでありますが、私が質問申上げたいのは庶民金庫の貸付金の未放出を見まして、三億五千万円を十一月末日までに貸し出すよう処置して頂くということが一つ。次に貸付金額の追加増額を、追加計画をば更正する前にお約束が出ておるのでありますが、この際これを二十五億にして頂きたい。三番に、今一世帶五千円になつておりますが、これをせめて物價高に應じまして三倍の一万五千円に増額して頂きたい。四番に、生業資金によつて発足する企業体がその運営におきまして相当の融資金を必要とするのであるが、その融資に対しまして、全國で非常にこの問題で以て地盤のない引揚者が困つておりますから、その点特別融資について御考慮を煩したい。この四問でございます。この問題をここに持ち出すまでに、この問題についてはもうすでに縷々述べられましたし、当局におかれましても十分御承知のことと思うのでありますが、私が特に脇目より時間を多少頂きたいと申出で書きました所以は、これは我々引揚者が何を措いても一番大事な問題でありますために、大臣に対して多少地方の実情をば述べさせて頂きまして、事務的処理でなくして、むしろ本当の当局の人間性に愬えまして、この問題をば解決をつけて行きたいと念願するからであります。
 この度関東大水害によりまして多くの犠牲者を出しまして、罹災者は数十万に及んだのであります。この大水害によりまして、日本の國民が寄せられました関心は非常なものでありますが、千に余る貴い命がこの水害によつて落されたわけであります。併しながら引揚者の問題は單に……、ちよつと速記を止めて下さい。
#9
○委員長(矢野酉雄君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#10
○委員長(矢野酉雄君) 速記始めて。
#11
○岡元義人君 唯一の途は千円以外には何ものもなかつたのであります。どうしても生き抜こうとするならば、この生業資金の、いわゆる庶民金庫の貸付金によつて更生するという以外に途はなかつたのであります。併しこの更生資金となつておりますところの庶民金庫の金がどういう工合に地方において利用されて行つたかということをば、総括的に申上げますと分りにくくなりますので一地方の、鹿兒島縣下の最近の実情をば取上げまして御参考に供したいと思うのであります。この度鹿兒島縣下で二千六百十八万円の庶民金庫の割当を頂いたのでありますが、只今申込の受付金額の総額は三千四百万になつております。その中二千六百十八万円の金が何らの予告もなく一次、二次、三次に切られまして、第一回の金額が六百八万円割当られて來たのであります。併しこの割当られた金は縣廳といたしましては一應これを取上げて庶民金庫に送つて、再び縣の方へ帰つて來る。この間におきまして相当日数を要しております。この金の運轉につきましては直接更生補導をやつております更生連盟と縣廳、それから金融機関の信用組合と無盡会社というものが一体となりましてこの割当をやつておるのでありますが、実際の申込金額は三千数百万になつて、來た金は六百八万円、こういうことになりますと、今まで計画書類として出ております事業体も殆んど全部が縮小され、そうして或るものはすでに事業に著手しておりながら事業をば中止しなければならんというような結果になつておるのであります。私が特に厚生大臣に本日申上げたいのは、先日大臣がいらつしやいましたとき、霧島の牧薗村、あの附近が私の郷里でございます。丁度私は選挙の最中で大臣に是非見て頂きたい、聞いて頂きたいことが沢山あつたのでありましたが、その機会を得なかつたのであります。とにかく來るようになつておりました生業資金、庶民金庫の金が來なかつたがために、農業会その他あらゆる金融機関から引揚者はこれを振当てにいたしまして金を借りておつたのであります。そうして歳の瀬を越す間際になりましてもこの金が到着しなかつたために、あらゆる悲劇が各所に起つたのであります。甚しきに至りましては第三國人の金を借りておりましてその金が返せないために自分の主人を人質に取られて、そうして大晦日をば迎えねばならなかつた引揚者が沢山いたのであります。そのときほど私はこの庶民金庫の貸出しの不円滑さにおいて全く情けないと思つたことはなかつたのであります。尚只今の実情を申上げますと、あの大臣がいらつしやいました、一見平和そのもののような村でございますが、すでに相当の自殺者を出しております。次から次に自殺者が出て行く状況にあるのであります。少くともこの庶民金庫の放出に対しましては思い切りよく、折角出して頂く金でございますから死んだ金にしないように、生きた金として当局も考えて頂きたい、そうして本当の事業ができるようにして、引揚者の更生を図つて頂きたいということを考えたのであります。とにかく一千万に余る引揚者たちの問題でございます。成るほど厚生大臣もお忙しいと思います。併しながら日本人口の大半を占めるところのこの引揚者の問題は、絶対に等閑にされるという趣旨のものではないことは分り切つております。併しながらこの第一國会が始まりまして、一体この特別委員会でいろいろ同僚委員がなんとかして解決を付けなければならんという問題が山積しておるにも拘わらず、何ら具体的な、本当にこの第一國会として引揚者の問題が解決付いておるという問題は誠に少いのであります。本日はすでに第一國会も、あとそう長くありませんし、是非とも大臣の本当の人間性によりまして、この問題をば明確に、この委員会が本当に明るくなるような明確な回答をば、心から希望する次第であります。
#12
○國務大臣(一松定吉君) 引揚者の引揚後における窮状並びに政府の救援状態に関しまして、詳細な事実の御主張がありましたので、よくそれらの点は理解いたしました。この救援の生産資金に関しましては、先般参議院の本会議において私から詳細申上げて置きましたように、第一次の金が十億円、第二次分として六億六千六百六十七万円、合計十六億六千余万円、こういうことになつておりまして、その中の第一次分はすでにもう放出済みでありまして、第二次分がすでに三億五千万円というものが放出いたして残りが三億一千六百六十余万円というものになつております。これらの金を成るたけ庶民金庫から一日も速かにそれらの引揚者の人々に放出して貰いたいというこの御希望は御尤ものことでありまして、政府としては成るたけ速かにこれらの金をそれらの人に放出いたしまして、少しでもそれら引揚民諸君の窮状をお救いしたいということは申上げるまでもございません。又厚生省といたしましても、それらの援護事業に向つて、何もこれを疎かにしておるということもありませんが、今お話を承つて見ますると、鹿兒島縣方面においてすでに決定されておるものが減額されたり、若しくは非常に時期を失したりしたというようなことを承りまして、そういうようなことが、どういう動機原因のためにさようなことになつたかということは、私只今明らかにしておりませんが、恐らく推察するところによりますと、この大藏省のいわゆる資金計画というものが、各府縣に成るたけ公平に割当てよう、それから成るだけこれを先順位から先順位へというふうに割当てるというような、いわゆる手続上の問題でさようなことになつたのではないかと思うのであります。これは併し私の推察でありまするから、果してその通りであるかどうかということは分りませんから、早速取調べまして、そういうようなことのために、もうすでに過ぎ去つたことは止むを得ないといたしまして、將來再びさようなことがあつて、それがために皆さんに御迷惑掛けるようなことがないように、これは一つ調査研究をして、御期待に副うようにいたしたい、かようなことをお答えとして申上げて置きます。
 その次の、今そういたしますると、第二次の放出の残りが三億一千六百六十余万円ということでありまするが、実は政府の当初の考えでは、この第一次、第二次で大方賄いができようと思つておつたのでありますが、なかなか今日の状態から見ますると、賄いができるどころではない、まだ何十億という沢山の金が足りない、足りないからとて、これをこのままに放置することもできませんので、厚生省といたしましても、これらの点について大いにこれを考慮して、そうして増額をしよう、増額をして今生業資金一世帶に五千円ということは、今日の物價高の現状から見て到底さようなことでは足りないから、これを幾分でも増額するということに取計らわなければならん、かような考えを以て目下関係方面と樽爼折衝中であります。数字のことをここで申上げることは憚りますから、これは一つお許しを願いたいと思うのでありますが、あなたの仰せになりましたように、二十五億円というような金は我が國現下の財政状態から見まして、そこまでには手が届くまいと思いまするが、関係方面と折衝いたしておりまするから、金額が決まりますれば、今の五千円ということが相当額引上げられることであろうと思います。さように一つ御了解の上、もう暫くその時期をお待ちあらんことをお願いたして置くのであります。
 それから一世帶の貸付けを現在の三倍以上、五千円の三倍で一万五千円ということでありますが、これは関係方面と折衝中である追加予算に計上すべき金額から見まして、三倍引上げということはちよつと困難のようでありまするが、できるだけ一つこれらのことの実現をいたしまして、困つておる方をそのお困り方を少しでも減軽いたしたい、かように考えておるのであります。丁度第一次、第二次の十六億六千六百六十余万円というものを全部放出してしまうといたしますと、三十数万世帯の一通りの急援ができる。それで我が國におきましての今の引揚者の世帶は、推定でありまするが、少くとも百万世帶くらいあろう、そういたしますると、三十数万世帶という者の救援ができたからというて、あとまだ六十万世帶というものがそのままになるのであります。併しそれを全部一世帶五千円若しくは増額されただけの金が要るとは考えられません。なぜかといいますると、その引揚者たちの中に生業資金の要るような、全くそういうような業務に從事しておらんで、例えば労働関係とかいうような方面に從事しておつて、日傭取だとかいうような人も必ずしもないではない。そういう方が帰りまして、いわゆるそういう方面に力を用いるということになりますると、必ずしも生業資金は要らないというようなことになろうと思いますから、まあ今関係方面と折衝中の金額が許容せられますならば、どうか生業にありつくことができるだけの余力はできよう、かように思つておるのでありますから、どうかそういうように御了解を賜りたい。尚これらの生業資金が決まつたものなら早くやればよいじやないかということは御尤もです。こういうことは一体政府はただ判を沢山押して各係から課長から局長から次官、大臣まで行かなければならんというような一体手間遠しいことをやるのがいかんのでありますから、そういうようなことは事務をできるだけ簡素にして、急速にこれらの実現を見たいということに一つ努力いたしたいと思いますから、これは私の省だけではいけませんから、関係方面ともよく話合いをし、又関係各省とも連絡を取りまして成るたけ御期待に副うように努力いたします。
#13
○委員長(矢野酉雄君) 今の問題について何か……。
#14
○岡元義人君 第一項の庶民金庫の貸出残額の三億一千万円をば、十一月中に放出して頂くということをばお願したのは、十分大臣の方でもお分りだと思いますが、先程來述べましたように、この度の放出金が発表されまして、大体地方には本年の六月に渡るという指令を全國引揚者連合会の方へ通知を出しておるのであります。各地方におきましてはすでに六月に貰えるという金が未だに貰えないというような状態なのでありまして、この六ヶ月間におきますところの物價高ということ●●●してその当時に計画した事業体ができ上るかということをばこの際熟慮して頂きたいのであります。
 次に昨年中に残りました三億幾らをば出して頂けるか頂けないかということを、勿論大藏当局との何もございましようが、大体の見通しをば大臣のお答えを煩わしたいと思うのであります。
 尚この庶民金庫の貸付金の不円滑という点について、もう一言だけ申述べさして頂きますが、無盡会社が取扱つております。信用組合も取り扱つております。併し地方無盡会社におきましては、必ず借入金に対する利息の前引をやつております。と同時にいわゆる無盡会社に加入しなければいけないという一つの條件が、非常に不円滑に庶民金庫の金をば寝かした因なのでありますが、最近この問題につきましては、相当交渉いたしまして、かようなことのないようにということを言つておるようでございますが、地方においてはまだ実際に実施されておらんのであります。非常にこの問題で引揚者は難澁いたしておりますから、願わくば厚生大臣からこういう問題につきまして大藏省と連絡を取つて頂きまして、少くとも引揚者の庶民金庫から出る金の利息を前引で取つたり、或いは無盡の加入を強要するというようなことが絶対ないように、再度又御考慮を煩わしたいと思うのであります。
#15
○國務大臣(一松定吉君) 六月に支拂わなければならない金が、今にそのままになつておるということは全く事務の怠慢でありまして、これはどうも誠に申訳はありません。そういう点につきましては、大藏省とも早速交渉いたしまして、急速にこれの実施をいたしたいと考えるのであります。十一月末までにというようなことになりまするとまだ大分ありまするが、その間には是非これは実施に移したい、かように思つております。
 それから利息の前拂い云々の点に対しましてはこれは今私が独断で答えることもできませんから、よく事務当局とも相談いたしまして、成るたけそれらの人々に損害の高くかからんように一つ努力いたして行きたいと思います。
#16
○岡元義人君 非常に大臣お忙しいところを今日は御親切なお答えを頂きまして厚くお礼を申上げます。尚四番についてお答えを頂けなかつたのでありますが、この問題も非常に重要な問題でございまして、これは生業資金の貸付けを受けますと、これは殆んど設備資金に充当されるのであります。事業そのものが今の金融措置法によりまして相当制限されておりますために、普通の設備資金の借入れが地方銀行では到底見込がないのでございます。復金におきましても、資金の利用方法も殆んど引揚者には利用されないというような状況でございます。少くも生業資金を借り入れました者は一杯々々に設備資金に充当して行きたいというのが、地方の特に考えておる問題でありまして、これ以上の運轉資金につきましては、地方銀行の厄介にならない限り、うまく事業の運営はできないのであります。併しながら実際の、今までの実績を持たない引揚者、地盤を持たない引揚者が地場銀行に対する信用を得て、運轉資金の融資をして頂くということは非常に困難な問題であります。この点につきましては特に大藏当局に対しましても、厚生大臣を煩わしまして、引揚者の現状をば了解して頂いて、できる限り地方銀行が引揚者の庶民金庫によつて貸付けを受けた事業体に対しましては、あらゆる御援助の程をばして頂くということをば是非お願いしたいのであります。
#17
○國務大臣(一松定吉君) 成るたけ御期待に副うよう努力いたします。
#18
○穗積眞六郎君 只今厚生大臣から十一月までに残りの三億何千万円の金を貸出すように努力して見ようというお話でございまして有難いと存じますが、これは繰返して申上げますまでもなく、今引揚者が資金というものを得る見込といたしましては、この生業資金が殆んど一本だと云つてもいいのじやないかという状態にあるのであります。政府の方でもいろいろ考えて下すつておりますが、現実にやり得る途として推し進めて行つて頂ける可能性の一番多いのはこの金のみだといつてもいい状態にあるのでございます。百二十万世帶も帰つておりますものに途がたつたこれ一つでありますのに、それに対しての金というものが去年において二十五億出してやろうというまでのお考えがあつたのでございますが、なかなかいろいろの関係でできません。これに対して私たちも政府がいろいろ御工夫下すつたことについては有難いと思つております。結局のところ二年かかつて十六億が出るか出ないかというようなことになつておるのであります。從つてこれはどうぞ大臣の異常な御努力によりまして、この決まりました六億六千万円の残り金の、三億何千万円というものは必ず十一月までにすつかり行き渡るようにお出し下さいまして、その上にも後の増加額というものを先程のお言葉の通りお願いいたしたいと存ずる次第でございます。これがもう引揚者といたしましては、金融の途で今現実にやり得るたつた一本の途と存じますので、誠にくどいようでございますが、極力お願い申上げて置きます。
#19
○國務大臣(一松定吉君) 穗積委員の御要求御尤もでございますから、岡元委員の御要求と共に、でき得べき限り努力いたしまして、御期待に副うようにいたしたいと考えております。
#20
○委員長(矢野酉雄君) 今岡元委員の質問に対して大藏当局も二年間に十六億ですから、どうぞ一つ本当な氣持で御意見をお洩らし願いたいと思います。
#21
○政府委員(長沼弘毅君) 庶民金庫の貸付けの未支出分については、気持としては厚生大臣の仰せられた通りでありますが、ただ最近の数字が大臣が云われたのと違つておりますようですから、事務的に訂正さして頂きますと、その後約二億円が配付済みになつておりますので、全体の残額は現在のところ一億五千万円、これはできる限り早く支出いたしますように努力いたします。……只今申上げましたのは私の考え違いがございまして、やはり三億一千万円残つております。考え違いでございました。
#22
○中平常太郎君 先程社会局長に御質問申上げたのに一つまだ残つておりますので……。重症患者などとありますが、これは大体引揚者全体という意味でありますが、國営で以て就職の斡旋をする、つまり根本において授産所を拵えて各地に拡充強化して國営でやつて行くというようなお話がございましたのでありますが、これに対しましてはいよいよ実行なさるようなふうになつておりますか。ただ今日イデオロギーで進んでおるのか。その辺をお伺いいたします。
#23
○政府委員(葛西嘉資君) お答えいたします。引揚者、それから戰爭で傷ついた人、或いは戰災で傷ついた人でも、これからの人の更生に資するためそうして而もこれに適当な宿舎を附設したようなものを持つた施設を作りたいという計画を持つておるのは事実でございます。全國に約十一ケ所ばかり、或いは國立病院のいらないものを使いますとか、或いは軍需工場の建物を拂下げて頂くとか、寄宿舎を改造するとかいうようなものをいたしまして、全國に十一ケ所と思いますが、これに今のような傷痍者であります、勿論軍人だけでございません、引揚者も皆入つてのそういうふうな収容施設を、これは國費を以て造るということの計画を持つております。ただこれは今の計画としましては縣に全額補助をいたしまして縣をして経営させる。從つて國立ではありません。縣をして経営させるというふうな計画でございます。この点は政府部内では大藏省とも大体話が進んでおりますので、関係方面と了解がつきますれば直ちに実行したいというふうに今思つております。四國では多分善通寺に造るような予定になつております。ただこの点はこの計画だけでありませんので、一般の傷痍者というものが、先程も中平委員からお述べになつたと思いますが、比較的生活保護法の実情に即してると申しましても、重度傷痍を持つた人等につきましてはなかなか面倒でございます。適当な若干の手助けをするということが必要だというようなことから、相当廣い範囲の傷痍者に対する保護の対策というふうな具体的な計画を以ちまして関係方面の了解も得なければなりませんので、折角話合いを進めております。もう二ケ月も継続しておりますので恐らく最近承認が得られるのではないかというふうに思つております。その上で実行をしたいというふうに考えております。
#24
○中平常太郎君 そういう御計画をなさつて、その筋と御交渉をなさつておられまして、誠に我々も感謝いたすのでありますが、生活保護法と申しますのは、実際最低限度の生活を保障しておるかというと実際におきましては生活保護法の金では最低生活を保障されないのであります。今日千円程度のものを五人家族というようなことでは、絶対生活保護法の金で食つて行けないのでありまして、何かしなくちやならん、どうしても副業か何かの職に就かなければならんのでございます。而も傷痍されておる人々に対しましてはそれぞれ適当な仕事があるものであります。ただ設備さえ國がすれば、その人らは生活保護法にかかり、あとの足りない部分を働くのであります。ただこれをやるとやらないとの問題でありまして、誠にそういう状態に置かれる人の心を考えて御覧願いましたならば、どんなに痛切なものがあるか分らないのでございます。その筋との御交渉につきましては、とにかく傷痍者などの恨みを買うようなことのないように思いを馳せて貰いまして、押しの一手でございますが、十分な押しを一つ局長さんあたりは持つて貰いまして、押しの一手で押し切つて、どうでも早くやつて貰いますように、十一ケ所できましたならば後まで及ぼして、少くとも一縣下に一つぐらいはお拵えになるようにやつて頂きたいと思うのであります。又委員会におきましてもできるだけの援助をするつもりでおりますから、一つこれは普通の交渉でなくして、本腰を入れて十分なる押しを以て、いわゆる強腰で御交渉願いたいと思うのであります。
 それから十一ヶ所というものにつきまして、予算をとつておるのでございましようか、その点はまだですね。
#25
○政府委員(葛西嘉資君) お答えいたします。大変しつかりやれという激励のお言葉は有難うございました。今まで交渉しておりますのは実はこの問題全部は私が行つてやつております。これは本当に是非やらなければならんことだと思つております。予算の関係が大藏省と話がついたと申しますのは、現在の民生安定費の中から或る程度のものを出せということで、金額にいたしますと約五千万円ということでございます。
#26
○委員長(矢野酉雄君) ちよつと委員長から大藏省の管理局長を通して、大藏省の主として財務行政の樞要な地位に立たれた方にお願いをして置きたいと存じます。最前岡元委員並びに穗積委員から実に赤裸々な意見が出ましたが、岡元委員は引揚者関係者約一千万と計算しておりますが、私は五百五十万が今引揚げておると思います。大体今年中に六百万としますと、日本の一世帶の平均数が五人でありますが故に、三千万人に垂んとする実に我が國民の殆んど半数を占めるというような莫大な國民の数でございます。これらの諸君は動乱のさ中に外に在つて祖國を眺めている諸君であり、又動乱前にはより以上祖國を愛し、民族を愛して出て行つた諸君が大多数である。そうして命を賭けて何十回か何百回か生死巌頭に立つてそれを乗り切つて來ているところの、これは黄金を以て購うことのできない一つの偉大なる生命力の所有者ばかりであります。この諸君が若しそれ政府の親心によつて眞に民主日本建設のために、我れ立ち上らんという信念に燃えたとき、日本の將來を考えましたならば、私は実にそこに明るいものを画くことができると思うのであります。併しながら帰つて來て冷い眼、冷い言葉、角の立つた待遇、何一つ生業への資金さへも恵まれないという境遇に置かれたとき、よしんばそうした生死巌頭に立つ体験を持つた人であろうとも、逆轉して恐るべき一つの、祖國を呪い、民族を怨むところの人間に轉換することの可能を私は信ずるものであります。そういう点に著眼されまして、二ヶ年間に十七億にも足りない、而もその生業資金たる庶民金庫の取扱つた金は全部引揚者に與えられたのでなくて、戰災者であり、その他の生活困窮者等にもこれは当然貸付けらるべき金でありまするから、実質的に引揚者のみに與えられたる生業資金というものは、もつと割引しなければならんと思うのであります。十一月まで三億一千万円残つておるものを、直ちに放出するためにも、最も財務当局として実務の実力をお持ちになつておる管理局長は、是非御同僚の方々に私たちのこの衷情をお傳え頂きまして、更にこれを三倍、五倍に増額して頂いて、本当に一人も志を得ざる者のないように、この財務が難局に立てば立つほど、そのない算盤のところに、最も國家百年の大計と緊急一分間も忽せにできない処置というものを、私はここに確立すべきだと思うのでありますから、委員長は委員諸君即ち三千万の我が兄弟の赤誠をここに披瀝いたしまして、政治的折衝だけでなく、その財務の実務に立つておられる方々のお考えとお氣持というものを、更に我々の生活の中にお寄せ頂きますように、この機会に特にお願いをする次第であります。そうして今日はいろいろまだありますから、若しも皆様のお許しが出ましたならば、大体あと五、六分間で会議を閉じたいと思いますから、どうぞそういうおつもりで……。
#27
○岡元義人君 中平委員よりお話のありました問題について、ちよつとだけ附加えさして頂きたいと思います。この傷痍軍人の問題は、私実地に昨日も実は相模原の患者と会つて参つておりますが、只今病院では大体八百円の請求書を出しています。それを患者は自分の郷里の村からいわゆる生活保護法によるところの切符をば貰つて、それを差出しておるのであります。で、どういう工合に決済されておるかということも患者は全然知りません。そうして先程御説明があつたような、そういう工合に決定したのであつたならば、全國の患者にこういう工合になつたんだということをば知らして頂きたいと私思うのであります。どの患者も、病院がこれは怠慢であるかどうか知りませんが、他の問題はそのままで以て、金は別に拂つちやおらないが、ただ自分の村から切符を、無料切符をば貰つてそうして出しておるだけだ。どういう工合になつておるか知らないけれども、別に金も何もそのままずるずるになつておるのだ。こういう工合に返事をしておるのであります。この点は一つ明確に各患者に知らせる必要があるのじやなかろうかということを考えましたので、一言申述べさして頂きますのと、生活保護法をば受なければならん病院の患者です。單に生活保護法は……。自分の村から直接そういうような生活保護法によつてなされるのでありますが、実際に適用を受けなければならん者は、結局金は一つもない、実際に貧困な状態だということになるのでありまして、病院に入つておりますと、相当に経費も要るのでありますが、これらに対しては結局一銭の金も出て來ないということになるのであります。この点については、何らかの方法で一つ取上げて研究して頂きたいと考える次第であります。
 それから尚もう一つ概念的に、この生活保護法の適用は、中平委員は十分御存知だと思いますけれども私が取扱つた仕事におきまして、生活保護法の適用を受けるということは、非常に引揚者が、いやがつておるのであります。これは全般的にいやがつておるのであります。前のいわゆる要保護者というものとは大分違つて、その人品を重んじて、いろいろな保護法が生活保護法によりまして変りましたけれども、尚この生活の保護を受けるということは実に恥である、恥辱であるという観念が強いために、一例を申上げますると、もう一つの獎学資金でございますが、獎学資金でさえも、殆んどああいうものを作られましても、貰つてはおらんのであります。受けたがらないのであります。何といつても更生したい、早く自分の力で食えるようになりたいというのが、これが本当の僞らざるところの氣持なんであります。で、むしろ生活保護法の金をば廻して頂くならば、去年みたいに遅れたり、只今でも多少まだ遅れておりますが、これを前拂いするくらいの氣持になつて、初めて生活保護法の実際の趣旨が徹底する筈であります。遅れて行くなんということでは、私はもう生活保護法というものの本当の趣旨は死んでしまつておると思つておるのであります。で、この保護法の生業資金、これは庶民金庫の金の生業資金でありませんが、あの生業資金の金もよく徹底せしめて、更生しようという途も開いて行きたいという氣持を持つておるということを念頭に置いて頂きまして、早く生業に就かしめるという方法に持つて行つて頂きたいと考えるのであります。これを一言だけ補足さして頂きます。
#28
○政府委員(葛西嘉資君) 簡単に…。この趣旨が徹底しておらんというお話でありますが、これはそういうことがありますれば大変遺憾でありますので、もう病院の当局と会議等の席にはよくそのことを傳えまして、話が分るようにいたしたいと思つております。
 それから最後にお述べになりました生活保護法にかかることを非常にいやがる傾向があるというお話、これは私共もそういう傾向があることを承知しておりまして、これは大変残念なことだと思つております。今岡元委員がお述べになりましたような精神でできた法律、これによつて起ち上つて貰つて頂くために作つたものでありますからそうでないように、この趣旨をよく分るように言つておりますが、まだ徹底していないのは事実で、尚今後ともやりたい。殊に遺族などの中には、特にそういう氣持が強いことを承知しておりまして、これは是非必要である者は一つこれで起ち上つて貰う。そうしてそこで屈辱感を感ずることのないように、取扱う者もそういう印象を與えたら法の精神は死ぬのであるということは、よく係員には言い聞かせておるような次第であります。
 それから金が非常に遅れて着くということはその趣旨が死ぬと、その通りであります。これは今後とも尚努力しまして、成るべく早く、殊にその月の金は、その月の一日くらいに本人に渡るということでなければならんと思います。そういうふうにするため、これは努力しております。その点は聯合軍司令部の方でも最近関心を持つておるのでありまして、大藏省、私共と聯合軍司令部、或いは地方の軍政部というようなものと相談をしまして、どうしたら一番早く渡るかということについて近く研究して、具体的に進める、ことになつております。
 それから生活保護というのは、これは最後のどたん場でありまして、成るべく生業に就かして行かなければならん、生業資金というようなものが非常に重要だ。誠に御尤もで、私共そういうふうに考えております。むしろ起ち上つて頂くために必要でありますれば、それが起ち上れないで貧困になつてしまつて、生活保護法にかかるというのは権道でありまして、そういう方に各方面指導するつもりであります。今後とも御注意がありますれば、よくそんなふうな趣旨でやつて行きたいと思います。
#29
○山田節男君 若し時間がございませんようでしたならば、第一小委員会の報告をしたいと思います。
 本特別委員会の第一小委員会に付託されました請願並びに陳情の審議の経過並にその結果について本特別委員会に簡單に御報告申上げたいと思います。この第一小委員会におきましては付託された請願並に陳情の内容が大体三つに分けられる。即ち更生、それから引揚促進、それから住宅問題に分れますので、この三つの部門に大体請願、陳情を整理いたしまして、そうしてその部門には各々担任者を置いて頂きまして、そうして去る十月二日、三日、七日、十五日と四囘に亘りまして、付託されました陳情並に請願の審議をいたしたのでありまするが、その中で請願は十二件ございまするが、その中で更生六件、引揚促進に関するもの五件、住宅に関するものが一件、陳情が合計三十四件ございまして、その中で更生に関するものが九件、引揚に関するものが二十五件となつております。この審議に当りましては、外務省、厚生省、それから復員廳その他関係諸官廳の政府委員を招致しまして、この請願並びに陳情に盛られております内容につきまして質問應答が行われました。大体その結果といたしまして、この本第一小委員会に附託されました請願の十二件、それから陳情の三十四件は、共に参議院議院規則第七十條によりまして、本会議にこれを付し、又更にそれを内閣に送付を要するものと、こういうように採託いたされた次第であります。どうか本特別委員会におきましては、右の事情をお酌み取り下さいまして然るべくお取計らい願うようにお願いいたします。右簡單でありまするが、第一小委員会の審議の経過並に結果の御報告を申上げる次第であります。
 それから申し忘れましたが、この請願と陳情は共にこれは先程申上げましたように、三つの部門に分れまするが、殊に引揚促進に関しましては、これは陳情並に請願に付する意見書案というのがあるのでありますが、その文言が普通には文言に非常に何といいますか、例えば願意は大体は妥当なものなりと思う、仍つて内閣は鋭意これが実現に努力されるよう云々という文句があるのでありますが、この小委員会の一委員から、この文句は引揚げに関する意見書案に付するものとして余りに弱過ぎる、内地で待つておる家族の方々の氣持、並びに請願陳情に盛られておる内容から見ましても、こういつたような軟かいものではいけない、もう少しこれを強く謳つた方がよかろう、こういう提案がございまして、小委員会の人は全員これに賛成いたしました。そうして意見書案に附しまする要請の文句を強くいたした。この点も併せて御報告申上げて置きます。
#30
○委員長(矢野酉雄君) いかがでしよう。今山田小委員長から小委員会での可決報告の報告を今承つたわけですがこれを全部議題に供しまして、そうしてここで可決か、否決か、修正かを決したいと思いますが、いかがでございましようか。
#31
○北條秀一君 只今の小委員長の報告に対しましては私は全面的に心の中から賛成であります。殊にこの問題は日本民族の道義と信頼の問題であります。先程委員長の熱烈なる御言葉の中にも十分にその意は証明されておりましたので、私は敢えて言葉を重ねることを憚るのでありますが、どうかこうした日本民族の本当に空前絶後の道義上の大問題でありますので、皆さんで心からこれを採択して頂けるように御賛成願いたいと思うのであります。
#32
○淺岡信夫君 今北條委員の言いました採択に対して私は賛成するのであります。殊にこの引揚促進の問題に関しましては、非常に沢山の請願書が出ております。その内容というものはすでに大同小異であつて、これは参議院も衆議院も共に國会の議決を得たものでありまして、そうしてこれを小委員会に、更にこの特別委員会に取り上げる必要はないのではないかという意見もないことはないのであります。けれども実際において引揚げが促進されていない今日においては、何回でもやつてよいと私は思います。たまたまその請願が多数出て参つておりますから、この問題に対しましては、是非本特別委員会は御採択を願いたいと思います。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#33
○委員長(矢野酉雄君) 全員御賛成のようでありますから、山田委員長の御報告通りに全部特別委員会はこれを採択してそれぞれ合法的に処置するということにいたしたいと思います。御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○委員長(矢野酉雄君) 御異議ないと認めます。本日はこれを以て閉会いたします。
   午後三時八分散会
 出席者左の通り。
   委員長     矢野 酉雄君
   理事
           淺岡 信夫君
           木内キヤウ君
           北條 秀一君
           星野 芳樹君
   委員
           中平常太郎君
           山田 節男君
           加藤常太郎君
           草葉 隆圓君
           宇都宮 登君
           楠見 義男君
           穗積眞六郎君
           岡元 義人君
  國務大臣
   厚 生 大 臣 一松 定吉君
  政府委員
   大藏事務官
   (管理局長)  長沼 弘毅君
   厚生事務官
   (社会局長)  葛西 嘉資君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト