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1979/03/07 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
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1979/03/07 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号

#1
第091回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和五十五年三月七日(金曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十一日
    辞任         補欠選任
     林  寛子君     長谷川 信君
 三月七日
    辞任         補欠選任
     望月 邦夫君     衛藤征士郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         塩出 啓典君
    理 事
                熊谷  弘君
                松前 達郎君
    委 員
                衛藤征士郎君
                下条進一郎君
                中山 太郎君
                山崎 竜男君
                吉田 正雄君
                渋谷 邦彦君
                佐藤 昭夫君
                中村 利次君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       長田 裕二君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      下邨 昭三君
       科学技術庁研究
       調整局長     勝谷  保君
       科学技術庁原子
       力局長      石渡 鷹雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    牧村 信之君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        児玉 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       労働省労働基準
       局安全衛生部労
       働衛生課長    林部  弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策及び昭和五十
 五年度科学技術庁関係予算に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(塩出啓典君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二月二十一日、林寛子君が委員を辞任され、その補欠として長谷川信君が選任されました。
 また、本日、望月邦夫君が委員を辞任され、その補欠として衛藤征士郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(塩出啓典君) 科学技術振興対策樹立に関する調査中、科学技術振興のための基本施策及び昭和五十五年度科学技術庁関係予算に関する件を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○吉田正雄君 先般の委員会の長官の所信表明の中で、代替エネルギーの中心的役割りを担うのは原子力という位置づけが与えられておるわけです。そこで、次の諸点についてお伺いいたします。
 第一点は、原子力の研究開発利用を強力に推進するため安全の確保に万全を期すということが述べられておるわけです。これは歴代長官も機会あるごとに安全性の確保ということは強調されておりますけれども、しかし世界的にもまたわが国の実情を見ましてもその発言とは必ずしも一致していない。私たちの予想以上の事故なり故障というものが発生しておるのは事実であるわけです。そういう点で心構えとしてはそうなければいけないわけですけれども、しかしそのとおり現状がいっていないということは非常に憂慮すべきことではないかというふうに思っておるわけです。近く三月二十八日、記念すべきというよりもあってはならない記念の日だと思うのですが、昨年の三月二十八日にアメリカのスリーマイルアイランドであのような大事故が起きたわけです。再びああいう事故を起こしてはならぬと思うわけです。ただ、私は、安全委員会の姿勢なり政府の姿勢、これは科技庁も通産も含めてのことなんですけれども、あの事故が起きた三日後に、まだ事故が進行中で原因も十分に解明されていない段階で安全宣言を早々と打ち上げたということで、これは国民の失笑を買ったり批判を浴びたりしたのは長官も御存じのとおりですけれども、それはなぜかと言えば、その後のわが国における事故の頻発状況を見ても明らかですし、それから世界的にもこのスリーマイルアイランド事故後のわずか半年間に約六十件にも上る非常に大きなというか重要な事故というものが起きておるわけです。そういう点で、この安全の確保に万全を期するという、まさに文字どおりそういう体制でなければいけないし、その整備に私は全力を尽くしてもらいたいと思うのですが、そのためにも、スリーマイルアイランド事故後に起きたわが国における故障、事故の件数、さらには人為的要素であるとか、あるいは設計不良であるとか、あるいは運転手順の不備、機器の不良等、原因別にどうなっておるのか、さらには故障の起きた個所、いわゆる系統別にどういう点でその事故や故障が頻発しておるのか、そういうものを十分調査されておると思いますし、集計さらには分析もされておるのではないかというふうに思うわけです。また、事故が発生したその発生時の発電所の運転状況、たとえば稼働中であるとか、あるいは試験運転中であるとか、定期検査中であるとか、いろんな時期があるわけですけれども、そういうものについても当然整理されておると思うのです。時間の関係もありますから、細かい点は一々長官からお答えいただかなくて結構ですけれども、まず、そういういま申し上げたような点で十分に整理、分析、点検されて問題点というものが整理されておるのかどうかということをお聞きしたいと思いますし、それからそれらの事故のうちで重要な事故と思われるものが何件くらいあって何が重要なのかという点と、それからこれらの事故から一体どのような教訓といいますか、今後留意しなければならない点というものが出てきておるのかどうかということを概略お聞きしたいと思うのです。詳細については、いま申し上げた内容については資料として提出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#5
○政府委員(児玉勝臣君) まず、最近の事故の状況をお話し申し上げたいと思います。
 米国のスリーマイルアイランドの事故の発生後、四月一日から昨年の末までに電気事業法及び原子炉等規制法に基づきまして報告されたわが国の原子力発電所における事故、故障の件数は十九件でございます。このうち運転中に発生したものが十件、それから定期検査等停止中に発見されたものが九件でございます。
 運転中に発生いたしました事故、故障は、蒸気等の漏洩、それから検出不良による保護装置の誤動作というものが多く見受けられます。その原因は、主に施工時の点検不備、それから保守の不備というものでございます。
 また、定期検査等停止中に発見された事故、故障は、制御棒案内管の支持ピン、たわみピンの損傷が大半を占めておりまして、ほかに一次冷却水漏れ等がございました。特に支持ピン、たわみピンの損傷は加圧水型原子炉共通に起こっておりまして、原因は、材料の持つ割れの感受性、取りつけ時の締めつけ応力、運転時の熱応力が相まちまして生じた応力腐食割れでございます。
 これらの事故、故障におきまして外部への放射能の影響はありませんでした。
 それで、重要な事故というのは、どれを見ましてもみんな今後の運転、保守の上で重要な教訓を含んでいるわけでございますけれども、特に高浜におきます温度計のプラグの材質の選択のミスというようなことで保守上のいわゆるマン・マシンの関連、すなわち、品質管理を含めました運転管理の問題が強く反省として浮かび上がっております。それからスリーマイルアイランドの事故の教訓を受けまして、運転員のいわゆる訓練、教育というような問題につきましても見直さなければならないというようなことは、従来の問題よりもさらに一歩進めて考えなければならないと考えております。
 それから最後に、先生のお話のございました資料の提出でございますが、御要求の資料につきましては、先生と十分御相談いたしまして、できる限り提出させていただきたいと思います。
#6
○吉田正雄君 世界的にエネルギー危機論というものが流布されておりますし、私もある観点からはそのことを認めるわけです。ただ、エネルギー危機というものの内容については必ずしも明確にされていない。政治的なあるいはその他の理由による一時的な供給中断をもってそれを直ちに資源的なものと結びつけてみたり、あるいは価格の問題とごっちゃにして論議してみたり、あるいはさらに日本の特殊的な商業風土といいますか、悪徳商法に基づく不当な石油隠し、値上げ等、そういう人為的なものによって導き出されるエネルギー危機論というふうなものが非常に錯綜しておって、国民自身のエネルギー危機というものに対する、あるいはエネルギー問題の本質というものに対する理解というものが得られていないのじゃないか。そういう正しい情報の国民への提供と理解というものをなおざりにしておいて、そして一方的にエネルギー危機論というものをぶち上げて、そして代替エネルギーの中心は原発なんだという、そういう原発の進め方については私は非常に問題があるのじゃないかと思うのです。
 これは私は政治の大きな課題だろうと思うのですけれども、そのことはおくといたしましても、私はやはり、科学技術振興対策特別委員会であるわけですから、原発が真に石油の代替エネルギーとしての位置づけなり任務を果たし得るのかどうかということを、まさに経済の面と科学的な面から厳密に検討していく必要があるというふうに考えるわけです。
 私の見解によれば、原発というものは、もともとはエネルギー論議から出てきたのではなくて、アメリカの核政策上の、国際的な批判に対する一つの言いわけとして、一九五三年、昭和二十八年十二月八日の国連総会におけるアイゼンハワー大統領の平和利用というところにまず端を発してきておるということであって、決してその当時は石油不足というエネルギーの観点から原発が論議されたわけじゃないということは、これは歴史的に明らかになっているわけです。もう一つは、軍需産業としての核というものを、戦争の終結に伴って平和産業に切りかえて、その中で核の優位性というものを保っていこうという、そういう政治的な面と産業政策というものが結びついての原発推進というものがそもそもの発足であったわけです。したがって、その時点では原発の経済性であるとかエネルギー収支というものについては十分な論議というものや検討が行われなかったということも、これは事実であるわけです。そして、その後の原発の状況というものを見ますと、もっぱら安全論議に終始してきたわけです。
 しかし、私は、今日これほどエネルギーの立場から原発が論議される段階に来ておる以上、エネルギーの収支、さらには経済性について原発はどうなのかということを本当に検討していく必要があろうかと思うのです。
 前の総理であります福田さん、それからいまの大平総理も、所信表明演説の中では、不況克服、雇用対策の機関車的役割りを原発に担っていただくのだということを述べておるわけです。つまり純粋たるエネルギーの観点からではなくて、まさに産業政策、雇用政策上から原発に機関車的役割りを果たしてもらうのだということも言っているわけです。私はここに本当のねらいがあるのじゃないかという感じがしてならないわけです。そういう疑いなり疑点を晴らす点からも、私は原発のエネルギー収支、さらには経済性について、推進をされる側、国なりあるいは電力会社なり産業界というものがこの国民の疑問に十分こたえることなくして原発建設の国民的な合意は成り立たぬだろう、これは安全性とともに私はこの点きわめて重要だろうというふうに思うわけです。
 そこで、お聞きいたしたいのですが、エネルギー収支について世界的にもいろんな研究論文が出ております。出ておりますけれども、科学技術庁それから通産省等においてこのエネルギー収支について今日まで研究、検討というものが私は当然なされてきたと思うのですが、なされてきたのかどうかという点、それからもし検討、研究がなされてそれが一つの成果として取りまとめられておるならば、資料としていただきたいということです。まず、エネルギー収支についてちょっとお聞きします。
#7
○政府委員(石渡鷹雄君) お答え申し上げます。
 エネルギー収支という観点につきましては、当庁は昭和五十一年度に政策科学研究所に委託いたしまして、当時活発となり始めておりましたエネルギー収支の議論の観点から調査を行ったわけでございます。この政策科学研究所の調査結果によりますれば、原子力発電につきましてはエネルギー収支は十分プラスである、英国のチャップマン氏あるいは米国のオークリッジ大学のエネルギー分析研究所、それから旧エネルギー研究開発庁、通称ERDAと申しておりますが、これらの研究においてもいずれもエネルギー収支はプラスであるという結果が示されている次第でございます。
 先生十分御存じのことでございますが、若干の経緯を申し上げさせていただきますと、前述のチャップマン氏の分析によりますと、昭和五十年前後において、エネルギー収支がマイナスになることがあるのではないかという試算を公にされまして世に問うたわけでございますが、この前提は、原発の新設が短期間に急増する、すなわち、二年間ごとに倍増するということを前提とした場合でございまして、実際にはこのような事態は長期間続くはずがないわけでございます。
 また、その後、昨年の十一月になりますが、一橋大学の室田助教授の著書が公にされまして、この場合、耐用年数が極端に短い場合、あるいは稼働率が非常に下がった場合、またきわめて低品位のウラン鉱を製錬するような場合、あるいは修理点検に要するエネルギー消費が予想よりも増大した場合、さらに廃炉などの廃棄物処理処分に要するエネルギーが予想より増大する場合、このような非常な悪条件を考えますとエネルギー収支がマイナスになるのではないかという御指摘もなされている次第でございます。しかしながら、室田助教授の指摘におきましても、原子力発電所のエネルギー収支が常にマイナスであるということを議論されているのではないと承知しているわけでございます。国内の原子力発電所が寿命十五年、そしてその一世代の平均稼働率が三〇%というきわめて極端に悪い情勢を考えた場合でも、前述の政策科学研究所の試算をもってしますとマイナスになることはないというような結論を得ているわけでございます。
 なお、この分析におきまして、特にエネルギーを非常に食いますウラン濃縮の工程が問題でございますが、最近はガス拡散法にかわりまして、御存じのように遠心分離法によるウラン濃縮が一般化しつつございますので、この場合必要なエネルギーは十分の一近くまで節減されるというような新しい情勢も生まれておりますので、このエネルギー収支全体に対しても大きな貢献になっていると、かように認識している次第でございます。ただ、いろいろ御指摘がございますように、設備利用率あるいは耐用年数といったことは非常にエネルギー収支上大きな問題でございますので、この点、特に安全性と密接不可分な関係にあるということを十分認識しつつ、エネルギー収支の観点からの研究、考察を絶えず怠らず続けてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
#8
○吉田正雄君 いまの説明をお聞きいたしますと、私どもが指摘してきた点については、エネルギー収支はマイナスにならぬであろう、ただ、問題意識だけはやはりあるということはわかるわけです。そこで、いまの論議は、マイナスではないか、いやプラスであるという抽象的な論議をやっても私はすれ違いになると思いますから、そういうことで、いまも答弁の中にありましたように、たとえば設備利用率であるとか、耐用年数であるとか、これは日本の現実を見ましても、福島第一の一号炉等を見てもいま大改修が行われているわけです。人間でたとえたならば、心臓から肺臓から腎臓から、まず五臓六腑というやつは全部新しいものに取りかえるという大改修工事ですから、私はあれは単なる定期点検とか簡単な修理というようなものでなくて、福島の第一というのは、専門家に言わせれば、完全にあれは廃炉にすべきではないか、もう寿命が来ておるという見解を持っておる専門家が非常に多いということをまず指摘しておきたいと思うのです。私もこの前行ってみました。炉心に入ってみたわけです。それからその後の東電の計画書というのは、事後になって私はまたよく説明を聞いたのですけれども、これを見ましても、重要部分の配管というものについては全部取りかえあるいは大修理を行っておるということですから、まず満身創痍の炉です。その修理に動員されておる労働者の被曝問題もきわめて深刻であって、これは説明者によって違うのですけれども、一日三千人から六千人という大変な労働者が、一日じゅうのうちそれだけが入れかわり立ちかわり修理点検の中で入っておるということを見ても、どれだけすさまじい修理かということが私はわかるわけです。ですから、私は先国会の委員会で、大臣、それからさらには安全委員長、安全局長に、私も入りますから一緒に入ってみませんかと言ったことがあるのですが、皆さんはついに黙して語らずということで私だけ入る結果になっちゃったのですけれども、あの実状をごらんになったら、いま机の上で計画され、机の上で安全だと言って主張されている人たちは、その実態というものを私は果たして本当に知っておって言っているのかどうか非常に疑問に思うのです。そういう点で私は非常にいい経験をしてきたと思うのですけれども、そういう点で、私は単なるすれ違い論議に終わらないためにも、たとえば、いま最悪の場合でも十五年と三〇%とおっしゃいましたけれども、私は、耐用年数というのはアメリカでも最近は十年くらいだろうと言われてきておる。また、事実十年くらいでそろそろ廃炉になり出してきておるということも言われておるわけです。それから設備利用率は、日本の場合を見ましても、各年度の暦年の平均設備利用率ですと確かに四〇%台とか五〇%台ですけれども、経過年数、使用年数ですね、一年後、二年後というその炉の使用経過年数というものをとってみますと、これは皆さん方の資料によっても、六年、七年、八年というこの辺に参りますと設備利用率は二〇%台に入ってしまうわけです。これは、何か首をかしげておいでになるようなんですけれども、皆さん方の資料でそれがはっきり出ているわけです。その点を私どもはこの前指摘しているわけです。ここで申し上げてもいいのですが、時間がありませんので、とにかく資料も出していただくことにしまして、私も勉強させていただく点からも皆さん方の部内の検討結果を出していただきたいということで、とりわけ、いま話のありました設備利用率、それから耐用年数がどれくらいになるのか。これはいままでの事実の中から出てきているわけですから、その事実に基づいて耐用年数、それから設備利用率がこの程度ならばこうなるだろうということと、それから核燃料コスト、これは資料としても私はもうちょっと詳細に皆さん方から早急に提出していただきたいと思うのです。というのは、これは特に通産にお願いしておきたいのですが、いま電気料金値上げの問題が論議されておるのですけれども、非常に問題があります。私は次の連合審査会なりでもこれは論議されると思います。商工委員会と物特の連合審査会が十八日に予定されておるようですから、このところでもお聞きしたいと思うのですが、原価を正しく算出するためにも、核燃料については日本が原発を始めてからの買い入れ時期と買い入れコスト、それから買い入れ数量、これを明らかにしていただきたい、今日までの。それと将来の価格についてはどのような見通しを持っておいでになるのかということと、それから一体どの程度の核燃料を手持ちしておれば電力会社は安心だというふうに考えておいでになるのか。どうもこの間の原価の内容を見ますと、今後十五年分になるのか二十年分になるのか、数量がはっきりしておりませんからわかりませんが、とにかく四千数百億円という膨大な核燃料費というものが原価の中に組み込まれておるわけです。五十五年度一年間の原価算定にもかかわらず、契約したものまでが全部あの中に含まれておるという、そういう矛盾があるわけです。そういう点で、各電力会社別に、いま申し上げたように今日までの買い入れ年次、買い入れ価格、買い入れ数量、それと、見通しとして、将来の価格はどのように上がると見通しておいでになるのか、また、どれだけ将来購入する予定があるのか、そういう計画等も明らかにしていただきたい。これはすでに手持ちであるはずですから、資料について早急にまず提出していただきたいということと、それから経済性で非常に問題になってまいりますのは建設費です。この建設費についても従来いろいろ資料請求してきたのですが、どうも明確な詳細な資料というものをいただけないのです。今度の電気料金の値上げを見ましても、私は詳細なようでありながら非常におかしい原価計算をやっているというふうに思われますし、それから燃料については非常に水増ししているという指摘は、これはあらゆる人が言っているわけです。私もいろんな点で見ますと、原油の価格については非常な水増しです。現に契約をし買い入れている値段とは全く違う数字があそこにはじき出されておるという点でこれは非常に問題があるわけですが、建設費についても、私は電気料金の大幅値上げの中心的なというか、主要な原因というのは原発建設にあるのじゃないかというふうに思っているのです。たとえば五十五年度一年間の修理費一つとってみても、原発だけで九百一億円という膨大な修理費が見込まれておるということをとってもわかると思うのです。そこで、建設費については、発電所の土地代金というのは立地条件によって非常に違うと思うのですけれども、その土地を含めた施設、建物の値段とそれから機器の値段、つまり原子炉、発電機、タービン等のそういう機器の値段、それから送電、変電、配電施設、たとえば五十万ボルトで送電するという巨大送電塔というものがずっと建設をされていくわけです。安全であれば東京周辺に建てれば一番いいわけですけれども、安全でないということは建てられる方が一番よくわかっているものですから僻遠の地に建てる。こういうことになってくるわけですけれども、そういうことで、そういう内容が明らかになるような計算をされて、キロワット当たりの建設単価は幾らになるかということ、これを明らかにしていただきたいと思うのです。その時期、時期によって違うというふうなことがあると思うのですが、アメリカでも言われておりますし、これは日本でも電力会社等も言っておりますが、これは原発については建設費用というのは非常に急速に上がってきておる、他の物価の数倍の値上りだということは電力会社も認めておいでになるようです。そういう点で、私は原発の建設単価、もうちょっと内容がわかるような資料というもの、これも早急に出していただきたいと思うのです。
 それから廃炉については、これはいまもちょっと話がありましたけれども、廃炉の解体技術であるとか、あるいは解体できなくてコンクリート等で封鎖してしまうのかどうか等、この廃炉の処理処分、さらには永久的な管理になると思うのですけれども、これらについてはいまだ技術的に確立されていない。したがって、エネルギー収支も経済性もプラスだとおっしゃっても、ここのところが非常に未知の分野であり、しかも管理というものは半永久的にわたるであろうと言われておるだけに、ここの経済性の問題や管理エネルギーについては、ある学者をして言わしむればまさに天文学的な数字になっていくのじゃないか、ちょっと現状では計算できないということすら指摘されているわけです。そういう点で、いま申し上げたような点についてわかるような、ひとつ積算根拠も示していただいたエネルギー収支と経済性についての資料、多分そういう点で十分検討されていると思いますから、現にある検討結果の資料をいただきたいと思うのです。いただけるか、いただけないかだけ、ちょっと返事してください。これは両方でやっていると思うのです。通産も原子力委員会も積極的な代替エネルギーとして位置づけてやっている以上、経済性もエネルギー収支も無視した、そういうことはあり得ないわけですから、これは通産省として、それから今度は科学技術庁、これは原子力委員会になりますか、としての、両方の検討資料というものをいただきたいのです。
#9
○政府委員(児玉勝臣君) ただいま先生がおっしゃいました核燃料コストの問題、これは原発の建設費、あわせまして今後の原子力の経済性を左右する問題でございますので、先生いまおっしゃいましたような議論に十分合うような資料ということで、核燃料の買い入れ時期、価格、その数量、将来の核燃料価格の動向をどう考えるか、その数量をどれくらい持てば安全供給として考えるか、そういう考え方の問題について整理してお出ししたいと思います。
 それから建設費の問題でございますが、これも建物、それから機器、機械ということで単価をわれわれも想定しておりますので、出せるものは出したいと思います。ただ、機械等は、これはメーカーとの折衝の問題もございますので、どの程度出せるか私よくわかりませんが、なるべく出すようにいたしまして、原子力発電のコストの内容がわかるようにしたいと思います。
 それから廃炉の問題でございますが、私たちも廃炉について関心を持っておりまして、いま研究会をつくりまして勉強中でございます。そういうようなことで、廃炉、廃棄物処理というものを今後どういうふうに考えるべきかということについて勉強しておりますが、従来までにわかりました知見について、また出せるものはなるべく多く出したいと、こう思っております。
#10
○政府委員(石渡鷹雄君) いま通産省からの資料提出についての御説明がございましたが、科学技術庁も通産省と協力いたしまして、できるだけいい資料を取りまとめたいと思っているわけでございます。
 エネルギー収支につきましては、先ほど御報告申し上げました政策科研への委託による調査以降、特別のペーパーを取りまとめておりません。ただ、コスト分析ということで、昨年三月に原子力委員会からの委託ということで日本エネルギー経済研究所というところに調査を依頼いたしました資料がございますので、それを中心に御提出申し上げたいと考えております。
#11
○吉田正雄君 それじゃ、いまの答弁で資料をいただけるということになったわけですが、いただける資料については至急いただきたいと思うのです。特にウラン燃料については、これはいまも申し上げましたように、十八日の連合審査がいま予定されておるようですから、その際に論議する資料ともなりますから、大至急ひとつ提出していただきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
#12
○政府委員(児玉勝臣君) なるべく早く出すように努力したいと思います。
#13
○吉田正雄君 十八日過ぎてからでは困りますから。すでに原価計算として東電の方からも――それから通産でもいま申請内容については検討されているわけです。検討されておるわけですから当然中身はわかっていると思いますから、大至急出していただきたいと思います。
 その次に、ウラン濃縮技術、再処理技術の開発など自主的核燃料サイクルの確立を図るということが言われているわけです。確かに現在の原発を進めていくということになりますと、核燃料サイクルが確立しなければ原発そのものというものが、ウラン燃料というのはわずか約八億キロワット分の四十年分しかないというのがIAEAとかIEAの報告の中にも明らかにされているわけですから、これは原発を推進するということになれば当然この確立を図らなければならぬということは、これは十分わかるわけです。そこで、予算の中で電源多様化勘定というのが今度あるわけですけれども、その中で、科学技術庁所管分の内容について幾つか挙げられてあるわけです。たとえば使用済み燃料再処理技術の開発ということで、再処理技術開発費として三十八億六百万円であるとか、あるいは廃棄物処理処分技術開発として二十二億四千二百万円というふうに出ておるわけですけれども、この具体的な内容についてちょっと不明ですので、その点御説明をお願いいたしたいと思うわけです。
#14
○政府委員(石渡鷹雄君) お答え申し上げます。
 昭和五十五年度の動力炉・核燃料開発事業団におきます再処理技術開発予算といたしましては、合計百七十四億円を計上しております。このうち、いわゆる電源多様化のための電源特会分が百三十四億円でございます。主な内容でございますが、次の四点になるかと存じます。
 まず、再処理関連技術の開発費といたしまして、再処理施設から放出されます液体並びに気体の放射能の低減化技術の開発に十六億円、二番目に中・低レベルの廃液のアスファルト固化処理技術の開発二十五億円、次に再処理回収ウランの転換技術並びに保障措置の技術等の開発十五億円等合計六十七億円、これが第一点でございます。この六十七億円のうち、いわゆる電源多様化特会から三十八億円の支出をお願いしているわけでございます。
 二番目に、高レベル廃液のガラス固化処理等の技術開発二十五億円でございます。これもいわゆるガラス固化技術の開発を進めていこうということでございます。
 それから三番目に、東海再処理の整備並びに運転に関する経費ということで、第一点が高レベル廃液の貯蔵をいたしますタンクの増設でございます。これに三十一億円を予定しております。それからなお、核物質防護対策等に必要な経費として三億円を計上しているわけでございます。この項目で約六十億円の支出を予定しているということでございます。
 四番目が、硝酸プルトニウムが最終的に出てくるわけでございます。それの転換施設の建設費、酸化プルトニウムに変えていくというその転換施設の建設費十三億円を予定しております。
 以上がその内容でございます。
#15
○吉田正雄君 そこで、次に核燃料サイクルにとって最も重要な使用済み核燃料の再処理施設の問題でありますけれども、昨年六月に規制法の改正が行われて、いわゆる民営の第二再処理工場がつくられることになったわけです。これに関連して幾つかの点でお聞きいたしたいと思うのです。
 御承知のように、今月一日に日本原燃サービス株式会社が発足し、役員も全部決まったわけですけれども、原子炉等規制法に基づく再処理指定業者にこの日本原燃サービスが多分指定されるであろうというふうに思っておるわけです。そして、その指定は総理大臣というふうなことになっておりますが、この指定をめぐっての事前の審査等については、これは当然原子力委員会あるいは安全委員会等の意見も事前に十分聞いて、そしてその意見を尊重して総理大臣が指定をする、こういうふうになるということになっておるわけです。そこで、再処理事業の規制の整備というものがすでに諸規定等について完了したのかどうか、まず、その点をお聞かせ願いたいと思います。
#16
○政府委員(牧村信之君) 先国会で再処理の事業の民営も認める法律の改正をお願いいたしまして、お認めいただいたわけでございますが、昨年の末に法律は施行されております。
 そこで、現在、私どもといたしましては、再処理事業を行いたいという者が事業の指定を申請してくる時期は、先生御指摘のように、新しい再処理会社が土地を取得して、そこにどういう施設をつくろうかという基本的な設計を完了した時点に指定の申請が出てくるというふうに考えておりまして、まだ数年は十分あるわけでございます。
 先生御指摘の再処理事業の具体的な規制の手段といたしまして、この新しい法律に基づきまして、いろいろな審査に当たっての諸基準あるいは規制に当たっての基準等が必要でございますが、その大部分は東海再処理工場の建設あるいは運転経験を踏まえまして逐次整備が行われておるところでございますが、何分にもこの新しい民間の再処理工場は年間千トンを超える規模が予想されておりますので、万全な審査の基準であるとか規制の技術的な諸基準を整備する必要があることはもちろんでございます。その申請が出てくる前に、先ほども申し上げましたような日時等がございますので、現在、安全委員会の中に核燃料の基準部会というのが設けられておりまして、そこで東海の再処理工場の経験等を徴しつつ現在鋭意整備を図っておるというところでございまして、民間の再処理工場から事業の指定が出てまいりました際に十分間に合うように諸基準を整備していくようすでに作業を開始しておるところでございます。
#17
○吉田正雄君 先般のイランと日本の石油化学のコンビナートをめぐってずいぶん論議もされたわけですし、それから日本政府も二百億円の出資をするというふうなことも決定しておるわけですが、私は、今度の再処理施設をめぐって日本原燃サービス株式会社と国との関係、これがどうなっていくのかということは非常に重要な問題だと思うのです。よく自由主義経済だということを言って、利潤が膨大に上がるときはそのことを最大限に利用していく、しかしぐあいが悪くなってくるとすぐ国家プロジェクトであるから国から財政補助をすべきだとかリスクについての負担も国が平等にやはり負うべきではないかという、非常に虫のいいというか、都合のいい論理が今日までまかり通ってきたような感じがしてならないわけです。
 そこで、あらかじめ私は聞いておきたいのですが、確かに国の方針として原子力を進めるという方針があるわけですから、多分そうだろうと思うのですが、この再処理施設の建設は、国家プロジェクトとして国が一体どこまでここに関与をしていくのか、その基本的な考え方をあらかじめお聞きしたいと思うわけです。
#18
○政府委員(石渡鷹雄君) 日本原燃サービス株式会社に対して今後どのように関与していくのかということでございますが、まだ会社が設立されたばかりということで、どのような推移をたどっていくのか不明確な点が多々あるわけでございますけれども、科学技術庁といたしましては、現在動燃で開発されております、また今後も蓄積されていくこの技術及び経験の移転、これを最大の支援と考えているわけであります。なお、恐らく、ある段階では、作業に従事される方あるいは技術者の方の訓練と申しますか、そういうことも大幅に行う必要が出てくると考えておりますが、具体的にどのように進められていくのか、まだそこまで具体的に検討が進んでいない状況でございます。
#19
○政府委員(児玉勝臣君) 若干補足させていただきたいと思います。
 日本原燃サービスが発足いたしたわけでございますが、これは先ほど先生おっしゃいますように、法律を改正いたしまして民間でもできるようにという道を開いていただいたその具体的な対策として出てきたものでございますけれども、これはまさに民間の技術とバイタリティーを有効に使おうという趣旨によるものでございます。ただし、その安全という問題については、これは国営であろうと民営であろうと同じように厳重に監視するという立場で民間のバイタリティーを取り入れるということかと思います。ただし、民間の事業にはやはり限界がございますので、どの程度まで民間でやり得るのか、どこまでが国に頼らなければならないのかというようなことについては、具体的な事業の中身を見ながら逐次その助成策を考えていくというふうに考えております。
#20
○吉田正雄君 民間のバイタリティーというものを最大限引き出していくのだ、これはそれで結構なんです。私が一番心配いたしますのは、都合のいいときは知らない顔をしている、しかし何かぐあいの悪いことが出てきた場合に、国の責任問題であるとか、いや国家プロジェクトである、国が相応の援助をすべきだという方向へ出てくる。これは過去にも幾多例があるわけです。私が当初にお聞きしておきたいのは、仮にそうであるならば、事前に、この原燃サービスの性格は工場ができてから、指定業者の申請が出てきた段階で考えればいいなんていうのは、私はこれは政府が掲げた原子力に対する基本的な考え方からしてもおかしいのじゃないか、無責任じゃないかという感じがするわけです。そういう点で、私は当然日本原燃サービス株式会社が発足するに当たっては、今後の運営なり、あるいは原燃サービスが考えておる再処理施設の規模なり、そういういろんな点について、当然私は国が何らかの補助をするならば相談があってしかるべきだと思っているのです。これは後ほど聞きたいと思うのですが、たとえば国家資金というものが、これは融資という形であれ、補助金であれ、あるいは債務負担行為であれ、そういう何らかの形で援助が行われるとするならば、金だけ出してくれ、あとは知っちゃいないという、そんなことにはなり得ないと思う。また、国としても援助をするからには、責任ある国家財政を使ってのことになるわけですから、当然それについて国としての責任を負った立場での補助、援助でなければいけないと思うわけです。ですから、民間であるから、私どもは民間が何をやるか出してくるまでは知らないのだという立場は、これは私は認められないと思うのです。そういう点で、何か事前にそういう話があってはぐあいが悪いということでなのかどうなのか、あるいは民間会社ですから政府は知りませんという、こういう逃げの発言というものがどうも政府当局者の口から出てくるのじゃないか。こんなことを言ってみると、それは何のことかというふうなことで、どうもちょっとはっきりしないというふうにお考えになるかわかりませんが、再処理施設の立地をめぐっていろんな動きというものが出ているわけですので、そういう点からも、私はお聞きしたいと思うのです。
 そこで、どうもはっきりしないのですが、もう一回お聞きしますが、民営だとは言うけれども、この日本原燃サービス株式会社は民営ではあるけれども、この事業そのものは国家プロジェクトとして国家が積極的に関与をしていくのかどうなのか、そうではなくて、単に何か援助してくれという要請があったときに考えるという程度なのか、その点、はっきりさせていただきたいと思うのです。
#21
○政府委員(児玉勝臣君) この日本原燃サービスに対する助成策としてただいま考えておりますのは、先ほど先生おっしゃいました開銀によります低利融資と、それからもう一つは、動燃事業団の経験、技術の備蓄を活用するための人の派遣とか情報の提供ということがさしあたっての助成のやり方かと思っております。いま先生おっしゃいますように、この原燃サービスはこれは民間会社でございますので、民営企業としてのいわゆる主体性を尊重して、大いに活動できる分については活動してもらわなければなりませんが、行う再処理事業というのはまさにわが国の核燃料政策のかなめでございますので、国としては積極的にこれに援助していかなければならないと、こう考えております。
#22
○吉田正雄君 融資等は当然今後出てくるということなんですが、それじゃ、ちょっとお聞きいたしますけれども、再処理施設の建設計画、これがどのようになっておるのか。たとえば、立地点についてはどの辺が予定候補地になっておるのか、さらには技術援助にしろ融資にしろ国家がかかわっていくということになるならば当然事前に相談があってしかるべきだと思うし、相談がない一方的な計画に国がはいはいと言いなりになること自体がこれは変な話ですから、そういう点で、いま言った立地点がどうなのか、また再処理施設の規模がどの程度であるのか、それから建設費はどの程度見込んでおるのか等について、会社も発足しておるわけですし、発足する以前から一定の計画があるからこの原燃サービス会社というのが設立されたわけですから、それなりの事前の相談が私は当然あったというふうに思っているわけです。そういう点で、いま言った立地点、それから再処理施設の規模、それから建設費用はおおよそどの程度を予定されておるのか、現状でわかる範囲内でお聞かせ願いたいと思うわけです。
#23
○政府委員(児玉勝臣君) この原燃サービス会社の設立の準備の過程におきましていろいろと検討された概要がございます。それにつきましては、まず規模でございますが、年間千二百トンのウランを処理できる能力を持つというふうに考えております。それから費用といたしましては約七千億円というふうに考えております。それからサイトにつきましては、これはまだ全然白紙の状態でございます。
 今度具体的に会社が発足いたしましたので、こういうような問題について再度見直しまして、会社自身としてどういうふうに対応するかという具体的な案が出てまいると思いますが、そのときは、それでまた国として相談に乗り積極的に推進していきたいと、こう考えております。
#24
○政府委員(石渡鷹雄君) 原燃サービス株式会社はあくまで民間の会社でございますから、その主体性というものは尊重されるべきでございますが、一方、原子力開発の計画的遂行という観点から原子力委員会として重大な関心を有していくという立場でございます。したがいまして、一義的には、計画は会社によって立てられ、それが原子力委員会に何らかの形で御相談がある。それを計画的遂行という観点からチェックするというのがわれわれの立場かと考えている次第でございます。
#25
○吉田正雄君 いま規模と建設費用についてはわかったのですけれども、しかし立地点が不明のままでは、用地買収もありますから、規模も建設費用もこれは出てこないわけです。したがって、今日まで予定地点としてはどういうところを調査されてきたのか、お聞かせ願いたいと思います。
#26
○政府委員(児玉勝臣君) 会社が設立されたばかりでございますので、いわゆるサイトの問題の調査というのは事実上何も進んでいないわけでございます。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、立地問題については全く白紙ということでございます。
 それからこの会社の設立に際しましての準備の期間がございましたけれども、その期間におきましてもそういう立地問題について具体的な調査というようなこともやっておりません。
 それから七千億の中の土地代というのは大体四百億から六百億ぐらいの勘定で考えておりますので、全体の計画の中で土地代がわからないと全体が決まらないというほどの問題ではないのではないかと考えております。
#27
○吉田正雄君 いまの答弁では全然納得できません。立地する条件というのは、水の問題、輸送の問題、それからその土地買収に当たっての地域の協力の度合い等、いろんな立地の条件というものがあるわけです。いまのところ全然白紙だという答弁ですけれども、過去にそういう調査は行われておりませんか。どうなんですか。通産としてかかわっておりませんか、そういう調査に。
#28
○政府委員(児玉勝臣君) かかわっておりません。
#29
○吉田正雄君 そういう調査が行われた事実はありませんか。
#30
○政府委員(児玉勝臣君) 通産省として再処理の立地地点を調査したことはございません。
#31
○吉田正雄君 通産省直接でなくても、大体いま言った日本原燃サービスが設立されるまでの今日までの時点において、全然やみくもに、どこに再処理施設が建つかもわからないでこんな原燃サービスができるわけないのです。したがって、今日まで再処理施設にふさわしい地点の調査というものが行われてきている事実というのは御存じですか。どこがどうかかわっておるかという問題は別にして、そういう適地を探すための諸調査が行われてきておるという事実は御存じなんでしょう。
#32
○政府委員(児玉勝臣君) 再処理の事業を進める上での具体的な話というのは聞いたことはないわけでございます。いろいろ新聞には出ておる。たとえば徳之島とか西表島とかというような話が出ておりますけれども、われわれとしては、その再処理工場を建てるということでの具体的な調査というふうには私たちは聞いておりませんし、また通産省としてもかかわっておりません。
#33
○吉田正雄君 それは児玉審議官が個人としては知らないとおっしゃっているのですか、通産省としてはそういうふうな調査が行われたということは知っていないというふうにおっしゃるのですか。どういうことなんですか。
#34
○政府委員(児玉勝臣君) 通産省といたしましても、再処理の事業そのものについての調査、いわゆる立地の調査というのはやっておりません。
 先生がおっしゃっておるのは、たとえば徳之島について日本工業立地センターが調査したとか、そういうような――これは徳之島興業という民営の会社が立地センターに頼んでやったと聞いて、おりますが、そういうのはございますが、それが通産省が進めようとする計画とかかわり合いがあるわけではございません。
#35
○吉田正雄君 いまの答弁ですと、どこかの、地元の何か民間のちっちゃな会社が日本工業立地センターに依頼してやったので、それは私どもは全然関与しておりません、知ってはおりません、全く無関係である、だれかが勝手にやったのだと、こういうふうに聞こえるのですが、そういうことですか。
#36
○政府委員(児玉勝臣君) これは私契約でございまして、通産省としては関係がないわけでございます。
 また、これはちょうど四十九年度に実施したものと聞いておりますけれども、四十九年ごろにはまだ、再処理事業を民営にやらせるかどうかというようなことも議論している最中でございまして、法律もまだ出すかどうかということも決まっていない状況下でございますので、全くそういう意味では白紙であったのだと思います。
#37
○吉田正雄君 いまの答弁というのは、通産省がそれにある程度関与したらぐあいが悪いという何かがあってそういう答弁されているのですか。どういうことなんですか。通産省は、いまの話ですと四十九年ごろそういう話があったようだ、しかしそのころには民営の再処理工場については全然考えていない。考えていないところで何で地元のちっぽけなそんな民間会社が日本工業立地センターに大々的にそういう立地の適否をめぐっての調査をやらせるようなことが考えられますか。そういうことはどういうふうにお考えになりますか。
 もっと言いましょうか。衆議院の科学技術振興対策特別委員会で、五十一年の十月に通産省はどういう答弁をしているかというと、MA−T計画調査は再処理工場を想定した調査も含まれているといって答弁しているじゃないですか。通産省は全然そんなことは一切関係ありませんなんという、そんな答弁で済まされる内容じゃないでしょう。これだけの重要な内容を持った立地調査は、一徳之島の現地の民間の聞いたこともないような小企業の民間会社が日本工業立地センターに大体依頼すべき性格のものでもないでしょう。通産省がわからぬとは言わせません。ちゃんとこうやって答弁しているじゃないですか。これは二十一日です。同じく十月二十八日に、通産省は、立地検討はやぶさかでないといって記者答弁しているのです。何がわからないのですか。これは堂々と認めているじゃないですか。このMA−T計画というのをちゃんと知っているのです。ちゃんとあります、ここにMA−T計画というのがわからぬわけないです。本調査は、徳之島に第二再処理工場、使用済み核燃料再処理工場の適地性を調査したものだということで、ずっとこう書いてあるわけでしょう。七十四ページのちゃんとした調査です。これは通産大臣は知っているのです。知っておって、いまの答弁だとわかりませんと。そんな答弁納得できません。これは五十年の三月にこの報告書というのが出されているわけです。通産大臣はこれを十分承知しておって答弁しているわけです。知っているわけだ。私は直接通産省が委託したとは言っていません。しかし、こういうことがちゃんと行われておる。しかも、再処理工場を想定した調査というのは含まれているのだということをちゃんと言っているじゃないですか。また、それは必要だと言っているわけでしょう。立地検討をやるのはやぶさかじゃないのだと、こうはっきり言っているわけです。だから、私は児玉審議官個人が知っているとか知っていないとかと聞いたのじゃなくて、通産省としてこういうことがあったことを知っておりますかと聞いているのですが、全然無関係のような、全然知らぬような話をされておる点の答弁は全然納得できないです。それはまた無責任だと思うのです。すでに再処理工場をつくるための会社ができている今日、立地については全く白紙であって、これからどこが適地だか検討していくとか調査をするなんていう、そんな無責任な答弁がありますか。五年前にちゃんとこういう調査が行われて、通産大臣は認めているじゃないですか、必要だと言って。それを全く白紙でありますからこれから検討するのだなんて、そんなすっとぼけた答弁ありません。どういうことですか。
#38
○政府委員(児玉勝臣君) 私は事実問題をはっきり申し上げているつもりでございます。したがいまして、その日本工業立地センターのつくったレポートということについて、通産省が初めから関与してやらせたとかなんとかということじゃないということを申し上げているわけでございます。
 それで、国会の答弁は、その前後関係を私はよくわかりませんが、恐らく、そういうレポートが出ている、あるじゃないかということでそのレポートを取り寄せまして、うちの方が中身を読みまして、それでその中身を説明した内容に再処理の問題がその中に入っておる、要するに、徳之島の全体の開発計画をやる中に再処理の事業の問題が入っているというふうに聞いておりますが、恐らくそういうことで再処理それだけのものの計画をやっているのではないというふうに思っておりますが、そういうことでそういう計画が民間において行われたということは私たちも承知しております。しかし、それが今度できます日本原燃サービスの計画とか国が実施しようという計画とは何もかかわりはないということを申し上げておりまして、それで国全体、日本列島のどこかに再処理工場をつくらなければならないということは今後の計画として考えてはおりますけれども、どこどこという立地の問題は、これはまず第一次的に民営会社が候補地点を決めた上で国がどういうふうにそれを援助するかということを決める段取りになろうかということでございます。
#39
○吉田正雄君 いまの答弁はこれは納得できません。このMA−T計画なるものは、奄美の再開発を目的とした調査ではないのです。その中に含まれるじゃないのですよ。いま、あなたの答弁は、再開発を目的とした中にあるいは再処理工場のことが含まれているかもわからぬという答弁だったわけですが、そうじゃないです。この調査はれっきとした、「本調査は、奄美群島第二の徳之島における使用済核燃料再処理工場の適地性を調査したものである」と、こういうことではっきりと目的を明示しておるのです、この調査は。そんないいかげんな答弁では納得できないです。しかも、前のこの調査が行われて報告書が出た時点での衆議院科技特における通産大臣の答弁といまの答弁というのは全く違っているわけです。じゃ、全然徳之島などということは想定したこともなければ、そういう意図で調査したことがないとおっしゃるのですか。全然白紙なんですか、それでは。ここだけじゃないと聞いているのです、私は。調査はここだけでない。そのほか幾つかについても行われておると聞いているのです。それは通産省が直接乗り出してなんかやっていないでしょうけれども、そういう民間会社を利用して、あるいはそういう研究機関を利用してやっておる。そういうことを通産省は知らぬとは言わせません。どういうことなんですか。その答弁は納得できません。
#40
○政府委員(児玉勝臣君) そのレポートというのはMA−T計画と言われておりますが、それはマスタープラン・オブ・徳之島の略と聞いております。したがいまして、徳之島の再開発に関してその再処理工場を誘致するとしたらどうかという計画で恐らくその徳之島興業が委託したのだというふうに思います。したがいまして、それはその民営会社の一つの意図で行われたものでございまして、たまたまその再処理工場をどこかにつくらなければいかぬという機運にあることは前からの問題でございますので、これは原子力委員会が再処理工場は民営でやるということを長期計画でお決めになったときからすでに話題にのっているわけでございますから、その話題にのったかっこうでいろいろな再開発を民営会社が考えられたというふうに考えるわけでございます。通産省といたしまして、民営会社をダミーにいたしましていろいろな調査をさせるというようなことは通産省としていたしておりません。
#41
○吉田正雄君 時間が参りましたからやめますけれども、いまの答弁というのはこれは納得できない答弁なんです。いいですか。だから、次回までに納得できる答弁をひとつ皆さんの方で用意しておいていただきたい。もっと突っ込んでやる予定でしたけれども、時間がありませんからやめますが、いまの答弁でいいかげんに済ますなんということは、これから国が再処理施設にかかわっていく、日本原燃サービスにそれなりの援助をしていくという国の方針、立場からしたって、そんなあいまいな態度でもってどこかが勝手にやってきたのだなんて、もし徳之島に建つなんということになったらどうなりますか。あるいは逆に言ったら、徳之島は全然想定していないということですか。答えられないでしょう、いまそういうことは。しかし、現実にはこういうことがどんどん行われているじゃないですか。
 それからもう一つ。先般の十二月七日のこの科技特の委員会で、私は東電の修理点検に絡んで被曝の問題でお尋ねし、さらにその後、文書で内閣総理大臣に対する質問主意書というものも提出してきたわけです。それなりの回答はいただいたのです。しかし、十二月七日の私の質問に対する児玉審議官の答弁というのは、私の質問というものに全く答えていない。私はその事実が出たらどうしますかと言ったにもかかわらず、考えてもいないし聞いたこともないという、全く質問をはぐらかす答弁であったわけです。しかし、その後の説明で、意図的にあるいは故意にそういう答弁をされたのではないということがわかりましたから、その点は理解いたします。しかし、質問主意書に対する文書回答の中でも、まだ私の質問に対して抜けておる部分があったわけです。その抜けておる部分の回答について、当初の質問者である私に対して回答するのではなくて、衆議院において他の議員の質問に対して文書で資料を提出して、そしてその後、吉田議員からもその質問がありましたから、衆議院のある議員にその資料は出しましたけれども、ついでですから吉田議員にもお上げしますということで、その後私のところへその資料を持ってきたのです。だから、児玉審議官の十二月七日の私の質問に対する答弁、それから文書による質問主意書に対する文書回答の内容、そしてその後の、いま言った措置というものを考えますというと、一貫して質問にはまともに答えていない。ある議員には出すけれども、当初質問をした私にはその資料は出してこない。後でわかると思って、ついでですから吉田議員にも、そういえばそういう質問がありましたからお渡しいたしますという、こういうことで私のところへその文書を持ってきたわけです、資料を。この点については、その事実は審議官おわかりですか。
#42
○政府委員(児玉勝臣君) 昨年十二月七日の当科学技術特別委員会におきましての放射線被曝の問題につきましては、先生の御質問の趣旨を十分にわきまえずに御答弁申し上げまして、まことに私の手落ちとしておわび申し上げたいと思います。
 それから主意書に対する回答の補足資料の問題でございますが、補足の内容につきまして不十分な点、先生からも御指摘をいただきまして、追加資料を用意いたして補足させるようにしておったわけでございますが、いまのような問題として、まことに先生のお立場をわきまえないで追加資料をお届けするというような、こういうふうにしたことはまことに申しわけなく思っております。私の部下に対する教育が十分でなかったということを反省しておる次第でございます。
#43
○吉田正雄君 そこで、その資料でもまだ不足しているわけです。まともに答えていないということで、この点についてはどこが足りないかということは指摘しておいたわけですから、この資料についても早急に提出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#44
○政府委員(児玉勝臣君) 内容につきまして、さらに先生と詳細な打ち合わせをした上で出させていただきたいと思います。
#45
○渋谷邦彦君 先月末、科学技術庁並びに宇宙開発事業団が大変な意欲を持って取り組まれた「あやめ二号」の打ち上げが大変残念なことに失敗に終わりました。もうすでにいろいろと報道されてもおりますので、私なりにその経過についても心得ているつもりでございますが、きょうは国会再開後初めての委員会と言ってもいいわけでございますので、まず、その辺の経過について御報告を願いたいと思います。
#46
○政府委員(勝谷保君) 御報告申し上げます。
 実験用静止通信衛星ECS−b「あやめ二号」につきましては、二月二十二日十七時三十五分に種子島の宇宙センターから打ち上げまして、トランスファー軌道まで順調に飛行を続けていたのでございますが、二月二十五日の十三時四十六分に、ドリフト軌道に投入するためトランスファー軌道の遠地点におきまして衛星の中に組み込まれておりますアポジモーターに点火いたしましたところ、約八秒後に衛星からの電波が途絶いたしました。宇宙開発事業団では直ちに衛星との通信を回復するためのコマンド送信に努めましたが、復旧には至らなかったわけでございます。昨年二月に打ち上げました、類似の故障を起こしましたECS「あやめ」の場合と違いまして、このたびはトランスファー軌道における衛星のスピン率等に特に異常が見られなかったのでございますが、今回のような事故を起こしまして、まことに申しわけなく思っておるところでございます。
 このような事態にかんがみまして、宇宙開発委員会では二月二十六日火曜日に臨時の委員会を開催いたしまして、今後の対応策について審議し、原因の究明及び対策にかかわる技術的事項を検討するために、同委員会第四部会に審議を付託いたしました。
 また、宇宙開発事業団では、直ちに調査対策チームを発足させ、原因の調査等に当たっているのが現状でございます。
#47
○渋谷邦彦君 われわれは専門家ではございません。ただ、こうした一連の科学技術開発というものについては、それなりに大変強い関心もありますし、今後の日本の発展のためにも欠くことのできない課題であろう、このように思うがゆえに今回の失敗というものが大変残念であった。昨年もたしか失敗しております。今回で二回目。同じようなことが二回も続きますと、素人目から見ましても一体どうなっているのだろうと。もちろん未知の世界への挑戦でございますから、一般的に考えましても失敗というものはそれは否めないと私は思います。失敗を乗り越えてこそ初めてそこに一つの成功という新しい軌道を見出せるということも、これは十分常識として考えられるわけでございますが、ただ、昨年と今回とで合わせますと二百五十億の損失ということになりましょう。これも一概にお金でもってすべてを律するわけにはいかないにいたしましても、しかし、それだけにまた慎重な配慮があってしかるべきであろうということは当然のことであります。
 今回のこの静止衛星の打ち上げについては、そのことと何か二つの目的があって大変科学技術庁としても画期的なそういう将来展望に立っての取り組みをされたと聞いております。もちろん、その静止衛星というものも問題でございましょうけれども、当然ながら明確な目的があってのまず打ち上げと、それに基づくところの技術開発ということが連動していくだろうと思うのです。いままで伝えられているところを、これは再確認ということでいまお尋ねするわけでございますが、さて、そのもう一つの一体目的というものは何であったのか。二つあると言われています。それを、まずお聞かせいただきたい。
#48
○政府委員(勝谷保君) 先生御指摘のとおり、このたびの実験につきましては大きく分けて二つの目的がございました。
 一つは、NIのロケットの第五号をもちまして百三十キログラムの衛星を確実に打ち上げるロケットを開発することがございました。その次には、それに付帯いたしまして静止軌道に衛星を最終段階まで到達させる追跡管制技術がございます。
 第二の大きな目的は、ECS−bの通信実験の分野でございまして、静止衛星を利用いたしましてミリ波等の周波数における通信実験、電波伝搬特性の調査でございまして、特にこのミリ波の研究は世界に先駆けた実験でございました。
#49
○渋谷邦彦君 確かにそのように私も記憶しておるつもりでございます。したがって、今回の衛星打ち上げ、これはまさに世界に先駆けた画期的なものであったろうと私もそれなりに判断をしていることにやぶさかではございません。それだけに相当慎重を期されておやりになったのだろうと私は思うのです。従来、ともするとアメリカの手をかりて衛星ロケットの打ち上げがなされた。すでに打ち上げられたものには、言うまでもなく「ひまわり」であるとか、「さくら」であるとか、「ゆり」というのがいま軌道に乗っているわけでございます。それで、アメリカにおいてもあるいはヨーロッパ等においてもこの種の失敗が何回か繰り返されたということも伝え聞いております。完璧を期すことには当然それなりに科学技術庁としても不断の努力をなされたであろうということは十分推測できるのでありますけれども、どこに一体問題があったのか。それはアポジについてのいま御説明もございました。われわれは、技術的にそれがどうなっているのだなんていうふうに説明を聞いても実際わかりません、はっきり申し上げて。前回とやはり同じような過ちを繰り返しておる。今度もあるいはそうではないかという推測も成り立つ。同じことの過ちを二度やってしまったのか、あるいはその衛星本体に問題があったのか。それは、いま御答弁がございましたように、いまそれぞれの専門家に委託して原因究明に当たっている。恐らくその結論が出るまでには相当時間がかかるであろうと私は思うのです。
 さて、そこで問題になりますことは、昨年も失敗した、その原因究明というのは本当に見きわめられたのかどうかということが一つ問題があるのではないだろうか。一連のそうした経過の中で今回の打ち上げということになったわけでありますが、こうした総合的な今後の技術開発というものについても、長官自身がいろいろと構想もおありになるであろうし、また今回の失敗についてもそれなりの責任をお感じになっていらっしゃると思うのです。われわれ国民としても、科学技術開発というものについては特段の関心と興味を持っておるわけでございますので、いままさしくスポットライトが科学技術に当てられていると私は思うのです。そういう立場から、昨年の失敗、また今回の失敗をどのように長官としてお受けとめになり、それから今後のその対応として、いまどういう御判断をお持ちになっているかということを、まず一般論からその点を最初にお伺いして、次に入っていきたいと思うのです。
#50
○国務大臣(長田裕二君) 昨年に引き続きましてこのたびの衛星打ち上げも失敗いたしまして、連続こういうようなことになり、相当の経費がそれに費やされているということにつきまして、私は大きな意味で責任を感じております。詳しいことは今後の究明と申しますか、探求、専門の部会のようなものをつくりまして検討しておりますので、それの結果にまちたいと思っておりますが、ただ、昨年の失敗の結果というものは、衛星三段ロケット分離後の措置が適切でなかったというような反省がいままでなされておるわけでございます。分離後の第三段ロケットが別の方向に行って追突を避けるような設計になっておりましたのが、十分にそのように作動しないで衛星自体に追突した、そして衛星に相当の故障と申しますか、衛星が故障したというようなことなどに関連しましていろいろな事柄が起こったように私は関係の者から聞かされておるわけでございますが、今回におきましては、衛星のその面の故障と申しますか、それが原因になってのようなことは全くなかったように思われますし、若干の進歩は見ているわけでございます。先ほど御指摘の、似たようなことが重ねて行われたということになるのかどうなのか、そこらも一つのかなり重要な検討事項にもなろうかと思うわけでございますが、いずれにしましても、細部あるいは具体的な点につきましては検討の結果にすべてまちたいと思っておりまして、また、私が冒頭申し上げましたように、大きな意味で二度も重ねて失敗し相当巨額の経費がそれに費やされたことにつきましては、十分責任を感じているものでございますが、このたびの検討の結果を生かしまして、日本にとりまして大事な今後の宇宙開発計画に十分に生かしてまいらなければならない、そのような心構えと、なお今後の宇宙開発計画につきましての従来にも増しての周到な検討というようなものが一層要るのではないか、そのように考えているところでございます。
#51
○渋谷邦彦君 確かにそのとおりだと私も思います。
 そこで、今後またいろんな計画を進められていくであろうということも十分予測できるわけです。ただ、今回の問題を通じまして世論もそれなりにいろいろとございまして、まだ一部には大変厳しい批判をなさる向きもあるやに聞いております。それは当然大変な金額をかけての実験でございますから当然だろうと思うのです。そこで、非常に概括的に言いますと、今回の失敗を通じて宇宙開発事業そのものを見直していく必要があるのじゃないかという、そういう議論があるようでございます。具体的に、見直すということは一体どういうことを意味しているのかということも、これは問題があると思うのです。何を一体見直すのか。しかし、確かに見直さなきゃならぬという言葉そのものの意味から考えますと、そのとおりだと思うのです。見直さなきゃならない。いま恐らくいろいろと長年の間積み重ねてきた研究、努力を踏まえて、いろいろといま反省もおありになるだろうと思うし、二度とこういうことを繰り返さないというお気持ちもおありになると思う。ということになった場合に、やはり科学技術庁は主務官庁としても当然もう一遍全体的に総合的にこれを見直すというそれなりの考え方というものがおありになるのではないだろうか。さて、そこで見直すという場合に、何を一体見直さなきゃならぬのであろうか。いろいろ私なりに考えていることがあるのですが、大変抽象的な言い方で恐縮なんですけれども、いま見直すべきものがあるとすれば一体どういうことを見直さなきゃならぬのか。いかがでしょう。
#52
○国務大臣(長田裕二君) 宇宙開発にはいろいろな面がありまして、一つは、国民が衛星等の利用によります便益を受ける、これは非常に大きな面だと思うわけでございます。その面につきましては、放送衛星とか通信衛星とか、あるいはすでに現に日常私どもの生活にも活用されております気象衛星とか、あるいは今後の海洋あるいは測地等の衛星だとか、いろいろな面で私は日本がその面を放棄するわけにはまいらない、今後もそういう面で日本国民がそういう便益を受けてまいる必要があろう、そのように思っているわけでございます。
 それから同時に、それを打ち上げるためのロケットは自主開発の道を進んできているわけでございますが、これにつきましてはいろいろな方法もあり得る。従来経てきました経験だけから申しましても、アメリカが打ち上げてきた、あるいは日本の衛星じゃないインテルサット等の衛星というものが現実に――日本も若干持ち分を持っておりますけれども、これが国際通信、国際テレビ中継、その他に非常に利用されていることは御承知のとおりでございますが、日本の衛星のことにつきましても、すでにアメリカの手によって打ち上げられました衛星も幾つかあるわけでございます。しかし、私どもは、日本の自主的な打ち上げ技術というようなものを進めていくことが日本の技術全般、いろいろな面に波及します、技術の向上、推進というものにも非常に大きな効果があるというような観点から、だんだん日本の手によります打ち上げというものを進めてきているわけでございまして、それらに関連しましての、これは私の立場から申すと大変申しにくいことでございますが、かなりむずかしい技術の開発でもございまして、私は、個別の人たち、担当者の人たちに非常に厳しい責任追及ということになりますと全体の萎靡沈滞を来すというような意味と、それからしかし過ちなきを期して確実に打ち上げていくという面、いろいろ考えながら、また先ほど申しました国民の衛星利用による便益、いろいろ考えまして、その調和点と申しますか、調和点を前向きに、いいところに引き上げながら宇宙開発を進めてまいりたい、そのように考えている次第でございます。
#53
○渋谷邦彦君 そのとおりだと思うのです。いま御答弁の中にもございましたように、一日も早く、端的に申し上げれば、一切の技術開発から機器の作製に至るまで国産化の方向、自主的な打ち上げ、これが連動していけばこれにこしたことはないわけです。しかし、残念ながら現状のところは国産化率というのはまだ依然としてその割合が少ない。私がいま手元にある資料によりましても、ロケットが六七%、衛星本体が五三%、ここらあたりにもまだやっぱり問題が残されている。しかし、相当すぐれた日本の科学技術者の頭脳をもってここまで開発が進んできたということは、大変な進歩であろうと私は思うのです。いままでのおくれを何とか取り戻さなきゃならぬ。それには先進国であるアメリカあたりからの技術も導入しなきゃならぬ、知恵もかなりなきゃならぬ、ノーハウに至るまで、そこはどうかはわかりませんけれども、こういったことが一日も早くその方向へいくことが非常に大事だろうということは、これは素人でも理解できる問題だと思うのですが、そうしたような、いま御答弁があったような方向へいま取り組んでいらっしゃる。これがこれから十年も二十年もかかったのでは今日の非常に進んでいるその時勢に対応できないということは、これは当然だと私は思うのですが、その辺の見通しについてはどんなふうにいまお立てになり、また進めようとされておられるのでしょうか。
#54
○政府委員(勝谷保君) 自主開発の方向の一つにつきまして、先生のお示しいただきました先ほどの数字を踏襲するわけでございますが、NIロケットにつきましても、一号機は五三%の国産化率でございましたが、このたび打ち上げました五号機につきましてはこれを六七%に高めております。さらに次の段階で従来の百三十キログラムの打ち上げ能力を三百五十キログラムの能力にするNIIの開発を進めますが、これも最初は五六%から出発いたしますが、それを六〇%以上に持っていく、そしてNIIの完成を見まして次にHIという五百キログラム程度の打ち上げができるものを開発いたしますが、これは一部コマーシャルベースで買えるようなものはわざわざ国産化する必要はございませんが、主要な部分につきましては、すべて国産をいたしまして、実質的には一〇〇%国産のものに持っていきたいと考えているわけでございます。さらに、実用化に入っております気象衛星、通信衛星、放送衛星等につきましても、たとえば気象衛星は一号機は一一%の国産化でございますが、近く打ち上げます二号機につきましては三五%、さらに通信衛星は一号機が二三%でございますが、これを六二%へというように逐次国産化率を高めまして、その間に米国等先進国の技術を日本に消化いたしまして、六十年代を迎えますれば実質的には国産化が進むような方向で努力を進めたい、かように考えておるわけでございます。
#55
○渋谷邦彦君 まごまごしておりますと、やはり科学技術の進歩というのは、申し上げるまでもございませんが日進月歩だと思うのです。米国のNASAあたりでは、すでに有人宇宙連絡船、これが飛ぶようになりますと、そこから衛星を放出するといういま計画が進められ、恐らく具体化していく方向へいくであろう。そうなりますと、今度地上からの衛星の打ち上げはやめるというようなことが伝えられておるようであります。果たしてその時期がいつになるのか。事実その伝えられているよな方向へいくのかということになりますと、これは日本としても大変影響を受けるだろうと私は思うのです。そのようにいま打ち上げの方に一生懸命になって努力をしている、取り組んでいらっしゃる。それがほっと息をついてやっと成功したなと思うと、もう息つく暇もなく次は、どんどんアメリカも進んでいる、ヨーロッパも進んでいる、打ち上げは非常に危険であるというような状況になりかねないことも、これは再三申し上げているように、われわれ素人目から見ましてもそういうことの可能性というものは十分考えられるだろうなと。そうした場合に、また新しい面の開発というものを急がなきゃならぬという、日本独自の開発をしなきゃならぬという問題が起こってきはしまいか。その辺の絡み合いをどういま整理をなさりながら確かにこれから宇宙開発というのは非常に大きな私は課題だと思うのです。それだけにこの日本人のすぐれた頭脳というものを何とか効果的にそういう方面へ活用できることが非常に望ましいし、それだけに一生懸命苦労されている方の努力というものはやっぱり実っていってもらいたい。それには体制的にもまた計画的にもこれからのいろんな展望を立てられるときに配慮というものが必要になってくるだろうと思うのです。
 いま申し上げたようなことは大変素人っぽい言い方かもしれません。おさらいをするつもりでいま聞いているわけでございますので、そういう問題点についてはどのようにいま科学技術庁としてはお考えになっていらっしゃるのか。これから十年、二十年先のこともございます。長官の意のあるところをひとつ……。
#56
○国務大臣(長田裕二君) 大変むずかしい御質問かと存じますが、確かにアメリカあるいはソ連等におきましての軍事技術ということとも関連しましての宇宙技術の開発というものは、今後とも相当精力的に続けられるだろうと思いますし、そういう面でわが国がこういう国柄として宇宙開発を進めてまいってそれに追いつくとかというような面から考えますと、これはなかなか容易なことではないという感じもいたすわけでございます。
 そこで、先ほどの非常に進みました国々が開発する衛星、軍事目的は私ども直接目標ともいたしませんし、そう関与する意図はございませんけれども、これによって国民が受ける便益というようなものがどういうものであるかということ、それからさらに私どもが技術を開発して自主打ち上げということをやっていくことに伴います科学技術上のいろいろなメリット、日本の国内に蓄積される技術というものの効果とか、そういうようなものも、これも絶えず念頭に置かなければならないところでございまして、そういうことを相当厳密に検討分析いたしまして、どの分野ではそういう進んだ国のその技術の成果というものを利用していくのか、どの面ではこちらが自分で開発した技術によって得られた成果というものを利用していくか、そういうことはこれからの非常に大きな課題かと思うわけでございます。ある面ではそれぞれの国の進んでいる分野に任せてその成果だけをわれわれが利用するということも考えなければならないと思いますが、非常にむずかしい問題ではございますが、私どもは今後の宇宙開発政策を立ててまいります上で最も慎重に、しかし精力的に取り組まなければならない面の御指摘だというふうに思いまして、今後その御指摘の面につきまして十分気をつけてやってまいりたい、そのように思っております。
#57
○渋谷邦彦君 いま、いみじくもおっしゃられて、次にお尋ねしようと思っておったことを長官が先回りしてお答えになったのですが、こうした開発が進んでまいりますと、やはり一つの、何といいますか、危機感というものを大仰に言うのはいかがかと私は思うのですけれども、いま御承知のとおり、依然として軍拡の方へ進んでいる米ソ二大陣営のことを考えてみますと、これからも恐らく衰えを見せないだろうと思うのです。いまの状況を考えますと、力のバランスというものが崩れない限りは。そうなりますと、どうしてもこの宇宙開発に伴う軍事面の効用というものを当然それは考えられていくに違いない。迷惑をするのはわれわれなんです、はっきり申し上げて。そういったものが人類にとってまことに願わしくない方向へ進むとするならば、これは地球上の破滅を来すと言っても言い過ぎではないと私は思うのです。
 そういう面からもこの宇宙開発というのは、その一国でもっていろいろな研究、工夫、努力を重ねて開発することは当然だろうと私は思うのですが、やはりその辺の交通整理というものも将来世界的な規模に広がっていくであろうことは論をまつまでもない。その時間というものは非常に早いだろう、このように思います。残念ながらいま国連の機能というものは本当にだらしがないなんというものではございません、はっきり申し上げて。一体どうなっているのだろう、あってもなくてもいいようなそういう状況の中で、果たして国連だけにそういうものを要望することはいかがなものかとは思いますけれども、やはり国連というせっかくの仕組みがあるわけでございますし、そういった問題が起こった場合に、日本として積極的にそういうことのないようなチェックをするその取り組みというものも当然私は近い将来起こるであろう、あるいは単独にアメリカならアメリカに対して要望する、ソビエトならソビエトに対してこれを要望するということが考えられると私は思うのです。もちろん秘密事項に属する問題については容易にわれわれとしてもそれを掌握し切れない面があって、果たしてそこら、どこで見分けをつけて、どこで判断して、これが軍事的に用いられているかどうかという判定を下すのは大変むずかしい問題も当然起こるであろう。いろんなそういう関連というものが起こり得るという可能性だけは十分考えられる。そういうことも含めて、科技庁としては、いま大変な重要な立場に置かれているわけでございますので、その辺も包括的にお考えになって、世界的な視野に立つ宇宙開発というものにやっぱりお取り組みになる必要があるのではないだろうか。この点いかがでしょうか。
#58
○国務大臣(長田裕二君) 現在、科学技術庁あるいは国として定めております宇宙開発計画は、御承知のように実用通信衛星、実用放送衛星あるいは海洋観測とか、測地衛星とか、気象の関係とか、そういうようなものが決められているところでございます。これを今後どういうふうにさらに持っていくかということにつきましては、ただいまのような御指摘、御意見も十分考え、あるいはまた国際的な宇宙秩序と申しますか、そういうようなものなども考える場面というものも当然出てくるのではないかと思います。その中で私どもはどういうものを選択し、どういう方法でそれをやっていくか、よその国々との分担なり何なりをどうしていくか、そのまた害悪をどうして避けていくか、そういうような事柄がこれから私どもの重要な課題になってまいろうか、そのように思っておるところでございます。
#59
○渋谷邦彦君 宇宙開発の締めくくりの最後に、いまの研究体制、これはいかがなものであろうか。先般、私ども当委員会を代表して筑波学園都市を見学させていただきました。それぞれ一生懸命学究の方々が取り組んでいらっしゃいます。この宇宙開発についても、申し上げるまでもない問題でございますが、東大宇宙研、それと宇宙開発事業団がございますし、こうした体制で果たして効果ある研究開発というものが促進できる状況に置かれているのかどうなのか。一方において予算というものを取り、一方においても予算を取る。そこに決められた定員というものがあるわけです。これをもっと包含して、そしてお互いにその連携を絶えずとりながら、それは現在でもとれていると私は思います。思いますけれども、やはり一緒のところで研究開発する方がもっと私は効果が上がるのではないだろうか。そういったことがいろんなところにあるのです、現状といたしまして。特に、いまずっと御答弁を伺っても感じるのですけれども、長官としては大変な意欲を持って取り組んでいらっしゃる、そういう気構えが感じられます。それだけに、ならば現在のその体制に欠陥はないのかどうなのか。せっかく与えられた貴重な予算というものを効果的に使うためには現状で果たしていいのかどうなのか。こういったこともやはりこの機会に、別に行政改革の一環というわけじゃありませんけれども、考える必要が当然あるのではないだろうかという気持ちが私の心の中には強いのです。いま宇宙開発のことだけに限定して申し上げているわけですけれども、そういう権威ある研究機関が二つある、そういったことが体制的にそごを来さないか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
#60
○国務大臣(長田裕二君) 日本の宇宙政策を決める立場にあります宇宙開発委員会あるいはそれの関連の部会とかそういう場面には、東京大学の研究開発に十分な理解を持ち、またそれを推進していこうという方々の御意見なども十分反映されながら日本の宇宙開発計画が決められ進められてきたと思っております。宇宙開発事業団と東大とがそれぞれやっていくという形の長所もあり得たのではないかと思っておりますが、しかし、いま御指摘のように両者の力を、仮に別々にやっていくにしても緊密な連絡をとり、むだな重複とかあるいは知識の交流が十分でないとか、そういうようなことによるロスということも十分考えられるところでございますが、今後の開発計画等につきまして、逐次そういうものの調整なり統合なりというものが考えられているわけでございまして、これにつきまして研究調整局長からお答え申し上げたいと存じます。
#61
○政府委員(勝谷保君) いま大臣から御答弁いただきました線で実は事務的には、ロケットにつきましては東京大学が先行しておりまして、その後宇宙開発事業団で進めてまいりましたが、予算の重点的執行ということもございますし、一元的に技術、能力を集中しろという先生の御指摘の点もございますが、昨年の暮れに宇宙開発委員長に御裁定いただきまして、東大は現在開発しておりますミューシリーズをもってロケットの開発を打ち切りまして、以後はロケットの開発並びに打ち上げは事業団で一元的に行うという方向を決定いたしました。さらに人工衛星につきましては、宇宙科学の実験を行います科学衛星につきましては東大並びに各大学で従来どおり進めていただくことにいたしますが、その他の人工衛星につきましては宇宙開発事業団で行う。さらに打ち上げました後の追跡につきましては、東大の要請を受けて宇宙開発事業団の追跡施設で重点的に行うことを決めております。さらに、従来も実は宇宙開発事業団に技術委員会を設置いたしまして、そのもとに東大、航技研等の専門家を集中いたしまして、技術の集中的な機能の効率化を図ることにしてはおりましたが、残念ながらここらは必ずしも十分な効果を上げていなかったのが実情でございますが、これも昨年の十二月に決定いたしまして、近く委員会を開催いたしまして、両者の定期的な委員会の推進とともに人材の交流も今後は行おうということになっております。今後は実行面でこの成果を上げるべき段階に立ち至っていることを申し上げたいと思います。
#62
○渋谷邦彦君 それじゃ、宇宙開発は一応この程度にしておきまして、次に入りたいと思います。
 科学技術庁は大変ユニークな取り組みをされているものの中に、予算措置もされておる特別研究調整費というものがございます。これもこの機会にいろいろとその考え方、また将来の方向性というものについてかいつまんでひとつ御説明を、まず最初に伺っておきたいと思います。
#63
○政府委員(勝谷保君) 昭和五十五年度の予算要求に際しまして、私どもが従来行っておりました特別研究促進調整費、特調費と申しておりますが、特調費の運用につきまして抜本的な方針の改善をいたしたいということで、各省にまたがっております問題で一省では推進不可能なものであり、しかも将来にわたってきわめて重要だと考えられるテーマを選定いたしまして、これを重要総合研究ということで取り上げることにいたしました。五十五年度は七つのテーマを取り上げましてその推進を進めるべく予算要求をいたしました。実際には財政当局との折衝で新たな制度の新設は認められませんでしたけれども、従来の特調費と他の予算との併合によりまして、私どものアイデアは曲がりなりに実行できる状態になっていることを御報告いたしたいと思います。
#64
○渋谷邦彦君 恐らくこの特調費については、いま御答弁がございましたように、その研究テーマによりましては非常に多くの人が期待と願望をかけているというものがあるのです。これはいま七つの項目を言われました。これを一つ一つ取り上げてまいるには余りにも時間がきょうはなさ過ぎます。いままで私自身が接触をし、また非常に強く要望された問題の一つだけに限定していま申し上げてみたいと思うのです。
 かねて科技庁さんからも御説明を伺ったことがございます証、経穴の問題でございます。これは大変私は画期的なテーマであろうかというふうに思います。恐らく厚生省もかかわり合いを持つでありましょうし、あるいは場合によっては文部省もかかわり合いを持つかもしれません。しかし、先頭を切って科技庁がこれを取り上げたということは、また今後もこの特調費を軸にしてこの研究というものを促進させよう、将来の日本の医療に大いに役立たせよう、ああいう発想には私は非常に期待している一人であります。いわゆる西洋医学と東洋医学の接点をどういうところに求めながら新しい医学の開発、そしてこれは多くの人々がどれほど恩恵を受けるかはかり知れないという、そういう内容を持つものでありますだけにこれは今後とも積極的に取り組んでいただきたい問題だと、そう感じておりました。ただ、東洋医学といいましても、これはどちらかといいますと、大変西洋医学と比較いたしますと、おくれをとっているわけじゃございませんが、制度上においてどちらかというと余り顧みられなかったという歴史的な経過がございます。しかし、昨今、この東洋医学がいま新たな視点に立って見直されようとしてきておる現状でございます。また、その効用というものも高く評価されてきておるようであります。一部の研究所においても、長年の間そういう課題に取り組みながら一つの画期的な医学の革新というものを図るべく努めておられるようであります。したがいまして、こうしたものが予算化された場合に、それぞれ権威ある筋に委託研究というようなかっこうになるのだろうと私は思うのであります。伺いますと、大体六月ごろをめどにしていまいろいろと要請のあった向きに対し、これを調整しながらその振り分けをしていきたいということまで私は伺っております。これはどのように今後この問題について具体化されるか。大体六月といいますと、いま三月でございますから、四、五とあと二カ月しかございません、六月から実施される場合には。そう期間的にもございません。いろんな連絡、打ち合わせする場合にもこれくらいの期間的な時間はかかるでありましょう。その辺の経過とその考え方について、この委員会においての確認を私はさせていただきたい、こう思います。
#65
○国務大臣(長田裕二君) 東洋医学につきましては、ただいまお話のございましたような点を十分考えていかなければならないと存じます。西洋医学では対応のできない分野などで、医学界を初め国民の間に相当期待がかけられている、そのように思っておるわけでございまして、このような観点から医療科学技術の推進を図るというようなことを目標といたしまして、五十五年度から特別研究促進調整費をこれに充てまして、関係各機関協力のもとに東洋医学につきましての研究に着手することといたしておりますし、私どもは、これにつきましての研究が成功し、大きな進歩を見ることを期待しているわけでございます。
 具体的なこれからの進め方につきましては、担当局長からお答え申し上げます。
#66
○政府委員(勝谷保君) 研究の概要と今後の進め方について申し上げます。
 研究目的は、東洋医学についてその効果の実証とメカニズムの解明を行うとともに、生薬資源の確保を図るということになっております。
 研究項目とその内容につきましては三つに分かれておりまして、第一が鉄灸治療に関する研究でございます。鍼灸治療の効果の機構を臨床的に、あるいは動物実験等を用いて究明することになっております。
 それから、漢方治療に関する研究が第二でございまして、漢方治療によって患者の体質、症状等を診て行う漢方に特有の診断法、この診断法を科学的に解明したいと思っております。
 次に、薬用植物の高品質化技術の開発研究という項目が第三でございまして、品質のよい薬用植物の国内栽培を推進するため、優良品種を育種する技術を開発したいということでございまして、実は本年の特調費で、一部、最後まで緊急の用にと思って残しておりました予算がございましたので、この予算を使いまして、この第三の薬用植物についてはことしから着手いたしたいと思っておるところでございます。
 研究期間は、昭和五十五年度から五十七年度の三カ年間といたしたいと思っておりますが、これは第一期でございまして、全体としては五年ないし六年間を予定いたしております。
 研究実施機関といたしましては、厚生省、民間の研究機関、病院等を予定いたしております。
 予算は、五十五年度は最終的にはまだ決定しておりませんが、四、五千万を投入しようかと、いま検討いたしておるところでございます。
 さらに、これを進める組織でございますけれども、専門家によって構成される研究委員会を開催することといたしておりまして、この研究委員会に御参画いただく研究者の人選をいま個別に折衝している段階でございます。
 以上、御説明申し上げました。
#67
○渋谷邦彦君 限られた時間もあと二分少々というところで、残念でありますけれども、長官、いま局長の答弁をお聞きになっておられまして、非常におもしろい研究なんです。おもしろいというとちょっと語弊があるかもしれません。これはやっぱり大事に育てていただきたい。
 それから委託研究させる場合でも、やはり相当いままで何十年という蓄積された研究家がいるわけです。ただし、われわれがすぱんとどこの病院がいいとか、あるいはどこの研究所がいいという、機械的にそういう分配をするのじゃなくて、やはり埋もれた、非常にまた際立った、それでまた社会的にも東洋医学については大変な権威者であるという方がおられるわけであります。そういった方々の意見も十分しんしゃくしながら、そういう効果ある委託研究をぜひやっていただきたいというのが一つ。
 それからもう一つは、今回の予算の取得を見まして、せっかくここまで取り組んできた特調費が削られているのです。それはやっぱり乏しいというよりも大変厳しい財政難の折から、やむを得ないといえばやむを得ないということになるかもしれません。しかし、こうした人命に対して新しい一つの分野を切り開こうというこうした課題については、総力を挙げて私は予算の獲得をなさってしかるべきではないかと思うのです。これは当然政治折衝において長官がどういう決意を持って取り組むかということにもありましょうし、これは今回、ことしだけじゃございません、御存じのとおり。これから結果が出るまで続けていただきたいのです。したがって、五十六年度の予算編成に当たっても、それまで長官でいてもらいたいわけです、はっきり言って。そうでないと、ここで申し上げたことが約束できないというようなことになったのでは大変ぐあいが悪い。ですから、何とかそれを今度予算獲得の上でも十分な御配慮を願って、こういう研究というものがみごとに実を結ぶ方向へお取り組みを願いたいということを申し上げて、私のきょうの質問を終わります。
 海洋開発、原子力については、また次回にいたしますけれども、それだけを伺って、きょうの私の質問を終わらせていただきます。
#68
○国務大臣(長田裕二君) ただいま御指摘の二点につきましては、科学技術庁として十分留意し、力を入れてまいりたいと思っております。
#69
○佐藤昭夫君 大臣所信に関して多々質問したい点がありますが、きょうは時間の制約もありますし、当委員会でも何回か議論になってきた原発で働く労働者の被曝の問題を中心にお尋ねいたしたいと思います。
 現在のわが国のいわゆる放射線防護に関する諸法令は、例のICRPの一九五八年勧告を取り入れてつくられておるということになっておりますが、その後ICRPは一九六五年、昭和四十年に新しい勧告を出しています。これに沿ってのわが国の諸法令の整備はどのように進められたのか、まず、この点をお尋ねします。
#70
○政府委員(牧村信之君) お尋ねの国際放射線防護委員会で一九六五年にはパブリケーション九、その後七七年にパブリケーション二十六が出されておるところでございます。これらの勧告に対します法令化の問題につきましては、かねてより放射線審議会で御検討いただきまして、これを法令に取り入れるべくいろいろ努力してきておるところでございますが、パブリケーション九、パブリケーション二十六につきましては取りまとめて今後法令に取り入れるということにいたしまして、最近、放射線審議会からとりあえず法律に取り入れるべき事項についての意見をちょうだいしたところでございます。私どもといたしましては、今国会に障害防止法の一部改正をお願いしようと思っておりまして、現在鋭意検討しておるところでございます。この放射線障害防止法の改正をお願いできる段階になりますと、法令、法律上取り入れるべき点はこの障害防止法の改正で整備できるものというふうに考えております。
 なお、規制法の方につきましては、ほぼこれらの勧告に沿って行われておりますので、現在規制法の方の改正は検討されておりません。以上でございます。
#71
○佐藤昭夫君 最近の七七年勧告を受けてどう対応するかという問題を中心に御答弁なさったわけでありますが、せっかく六五年の勧告が出ながら放射線審議会でいろいろ検討してきて、十年もかかってその答申が出るというマンマンデーなこうした取り組みが一つ問題だろうと思うのですが、それが十年かかってようやく答申が出ながら、それがいわばたなざらしにされて七七年勧告が近く出そうだということで見送りのまま今日に至っているというここの経緯の問題があるわけです。そのことをるる質問しようという気ではありませんけれども、そういうせっかく国際的勧告が出ながら、わが国の諸法令の整備をどう図っていくかということについての対応が非常に緩慢であるという経緯の上に立って、いまいろいろ検討されておるという内容が報告されているわけですけれども、今回の新しい七七年勧告、これを具体的にいつわが国の諸法令にどう取り入れるかという結論はいつ出すのですか。
#72
○政府委員(牧村信之君) パブリケーション九の勧告につきましては、放射線審議会で種々御検討いただいておりましたわけでございますが、現在の法制では一九六五年の勧告に従ってやっておることは先生御指摘のとおりでございまして、このパブリケーション九の御検討をお願いいたしておりましたさなかに、ただいま私が申しました七七年度の勧告が出るということが、しかもそれが一九六五年の勧告の全面的な見直しである、それが遠からず勧告されると見込まれた関係で、国内法令への取り入ればその動向に留意しつつ行う方が適当であろうという審議会の御意見がありました関係上、私どもとしては五十二年の新しい勧告を踏まえて国内法令の見直しを行うということに踏み切って、非常におくれがあるという御批判はただいま承ったわけでございますけれども、最近新しい勧告についての法令の取り入れに対しましての勧告をいただきましたので、直ちに私どもとしてはその親法でございます放射線障害防止法の改正に踏み切った次第でございます。
#73
○佐藤昭夫君 いま局長は、現在のわが国の諸法令は一九六五年勧告をもとに法令をつくっているというふうに言われましたけれども、そうじゃないでしょう。五八年勧告でしょう。ですから、二十年近くもうすでに年月が経過しながら国際的な基準、水準に見合うわが国の法令の整備が進んでいないというここの事実は一つ明確にしておく必要があると思うのです。そういう上で七七年新勧告に基づいていろいろな取り組みを始めておるというのですけれども、放射線審議会がことしの一月段階で中間報告を出しております。これに沿ってどの点をいよいよわが国諸法令に具体化を図るか、どの点をいま考えておるのか、それの作業はいつをめどに置いておるのか、その点はどうですか。
#74
○政府委員(牧村信之君) 先ほどの答弁の間違いを先に訂正させていただきますが、現在の国内法令は先生御指摘のとおり一九六二年の勧告でございました。誤りました。
 それからどういう点を……
#75
○佐藤昭夫君 五八年でしょう。
#76
○政府委員(牧村信之君) 三十七年のものです。一九六二年の勧告をいまあれしております。――大変失礼しました。一九五九年に修正され一九六二年に改定したものをいま取り入れておるわけでございます。
 それからその後の勧告の取り入れでございますけれども、現在私どもが障害防止法に取り組みたいと考えております事柄といたしまして法律上の改正を申し上げますと、放射線を利用いたします施設等の検査とか、あるいは使用に当たっての定期的な検査がございますが、これらにつきまして、障害防止法は従来、使用の許可等で書面による図面の審査のみを行ってきておりますが、ICRPではでき上がった施設の性能等も十分チェックする必要があるということが言われておりますので、今回改正いたしまして、従来の設計の承認に加えまして、施設の検査検定あるいは使用前の施設の検査等を追加いたしたいというふうに考えておるところでございます。
 それから放射線審議会でも同様の御見解をいただいたところでございますが、従来の健康診断というのは放射線による障害の発見を目的に健康診断を行うようにというふうになっておりますけれども、今回のICRPの勧告では、勧告されております放射線の被曝線量が守られておれば医学的なサーべーランスを行う通常の健康診断を行うような目的に変えるべきである、通常の医学的な健康診断では障害を見つけるという目的ではないのだというふうな勧告が出ておるところでございますので、健康診断の目的等につきまして変更するということを考えております。
 そのほか、医学的な処置の問題等につきましては、規則等の改正で措置することといたしておるところでございます。
#77
○佐藤昭夫君 それで、いま概略説明があったわけですけれども、七七年勧告に基づいてわが国諸法令を改善するためにどうその具体化を図るかというところの問題はまた後で触れるにいたしまして、今日の放射線防護に関しての基準とする物の考え方、いわゆる許容線量とか等々の言葉での規制値を定めておりますけれども、果たしてこれが妥当かどうか。大きく言って二つの角度があると思うのです。一つは、規制値なるものが果たしていわゆる閾値ということをもって言い得るものか、そこの科学的概念はどういうことなのか。それからもう一つは、実際にそこに働く労働者の健康、生命との関係において妥当な規制値になっているかどうかという、こういう二つの角度があろうと思うのですけれども、それで実は、この七七年勧告で御承知のことと思いますけれども、放射線の影響というのは、大きく二つに分けて、確率的な影響と非確率的な影響とに分けられる。いわゆる発がんとか遺伝的影響、こういうものは確率的なものなんだ、したがって、いわゆる閾値はない。この意味から言って、どんな低線量でも放射線による影響が皆無だということは言い得ないのだということが、今度のこの七七年勧告でいわば明確に定義づけられたということが書かれておると思うのですけれども、これはつとに学術的にも定説になってきた問題である。影響についてはそういう確率的影響と非確率的影響。その確率的影響については、どんな低いものでもまさに確率的なものとして影響ゼロというふうには言い得ないのだという、ここの認識についてはお認めになりますね。
#78
○政府委員(牧村信之君) 低レベルの放射線の影響につきましてICRPの勧告が出されておることは、よく承知しておるところでございます。ICRPにおきましては、急性障害と申しますか、確率的でない方でございますが、これは二十五レム以下ならば影響はないとされておるところでございます。
 また、遺伝的な障害につきましてのいわゆる閾値の問題につきましては、ICRPの勧告におきましても、現在のところその存在が学術的に明らかにされていないのだという認識のもとに閾値は存在しないという、安全側に立った仮定のもとにいろいろな放射線の被曝の基準を決める、あるいは被曝の管理を行うべきだということが言われておるわけでございます。これは従来からの放射線利用の経験であるとか、放射線被曝の影響の研究の知見等に基づいていろいろ議論がされておるわけでございますが、その上でICRPが出しております、たとえば全身被曝線量、パブリケーション二十六でございますと、従来の三カ月三レムを年間五レムに統一して集積線量の規定は廃止するというようなことからもうかがえますように、被曝線量の影響につきまして、原子力利用の効果と放射線障害の発生というものが社会的に容認できる線量として従業者の許容被曝線量を勧告しておるものと私ども理解しておるところでございます。
 従来の、これまでの研究で明らかにされました線量域でのこの遺伝的な影響というものは必ずしも低レベルの段階の関係がわかっておりません。たとえば広島、長崎のデータに基づいては百ラドまでは確かめられております。また、これは人間に直しますと百レムでございますが、英国におけるいろいろなデータでも五十ラド程度のマウスによる白血病の影響というようなことで、それ以下の線量につきましては、なお学術的にはっきりしない。そういうような前提と申しますか、実績を踏まえまして、安全サイドに立って直接的に関係を持つのだということで閾値がないという仮定を設けて、被曝の線量等の勧告が行われておるというふうに理解しておるところでございます。
#79
○佐藤昭夫君 いろいろ言われたのですけれども、結論は何を言われているのですか。この放射線審議会基本部会のさっき言いました五十五年一月の中間報告、ここの「放射線防護の目的」というところで、いわば学識経験者の集まった審議会が今度の一CRPの新しい七七年勧告をどう理解するかということに関して、今度の「新勧告では、放射線防護の目的を「非確率的な有害な影響を防止し、また、確率的影響の確率を容認できると思われるレベルにまで制限することにおくべきである。」」、「防止」という表現と「制限」という表現を使い分けしておるという、ここに意味があるわけです。そして「確率的影響(発がん及び遺伝的影響)とは、その影響の起こる確率がしきい値のない線量の関数とみなされる影響」である。こういうことから、いわゆる確率的影響というものに閾値を設けることはできないのだ。ただ、そういう低線量によってどういう遺伝的影響が起こるということについての定量的結論はまだ今日出ていないにしても、閾値を設けることはできないのだ。いわば、どんな低線量でもその影響ゼロとは断言できないのだという、これが今日の認識の到達点でしょう。このことをお認めになるかということを言っているわけです。
#80
○政府委員(牧村信之君) ICRPの勧告では、先ほど私が申し上げましたような閾値の仮定と申しますか、安全側に立ち閾値が存在しないという仮定のもとに考えていくべきであるということを言っておるのは御指摘のとおりでございまして、その上で放射線の被曝線量の具体的な勧告につきましては、パブリケーション二十六におきましては年間五レムの許容線量をもって対応することにより社会的に被害は十分容認できるということを勧告しておるものと私どもは理解しておりますので、従来、三カ月三レム、それから集積線量として、D=5(N−18)という集積線量、これが従来年間五レムというあれでございますけれども……
#81
○佐藤昭夫君 そのことはよくわかっているのです。
#82
○政府委員(牧村信之君) そういうものにつきましての新しい許容線量の取り入れにつきましては、現在放射線審議会で御検討をお願いしておるところでございます。
#83
○佐藤昭夫君 非常に限られた時間で質問しているのですから、問うていることだけに答えてもらったらいい。
 ですから、いわゆる確率的影響については閾値はない。ただ、実際にどうやっていまそこの規制値を定めているかというのは、健康、身体への危険度と社会的利益とのバランスの上に立って、国際的にもわが国の場合でもそういうことで決めてきているのだということは、そこはわかっている話ですから、ひとつ……。
 それからもう一つの角度、今日の規制値が果たして医学的な見地から妥当な規制値かどうかということについて学者の中でもさまざまな意見があるという。時間がありませんから、そのことについて詳しく述べませんけれども、こういう二つの角度から今日の放射線防護のあり方について根本的な見直しが必要になってきているのじゃないかということが国際的にも議論されておるし、わが国の関係専門家の中でも議論されてきているという現状だと思うのです。
 そこで、被曝の実態については繰り返しませんが、過日の委員会でも何人かの委員の方がそれぞれ労働者の証言とか、出版物とか、こういうものも引用されながらいろいろ述べておられました。現状は原子力発電所に働く労働者の九〇%を超える圧倒的部分が下請労働者である。そして、ここ数年ないし十年の被曝の現状を統計をとってみた場合に、特に下請労働者の部分において急速に被曝がふえておるということは、これは通産省なり科技庁が発表されておる統計を見ても一目瞭然たる問題だ。しかし、実際に原賠法の適用ということにせざるを得ぬような、そういうひどい被曝の実態はいままでもなかったし、いまもありませんということが繰り返し政府の方から言われているわけだけれども、果たして本当だろうか。被害隠しが行われておるのじゃないかということがいろいろ問題に今日なってきているということだと思うのです。
 そこで、さっき局長も引用されました七七年勧告に基づいてどうやってわが国の諸法令の整備をやっていくか。その中の一つの課題である健康診断の問題、この問題について実は一月の放射線審議会の中間報告でも具体的に触れておるわけですけれども、要するに、健康診断というものを、そういう被害を受けた人の発見だけに目的を狭く限定してはならぬ。なぜそういう被害が起こったのか。ここの文章でいきますと、「同時に事故時被ばくによって職業性疾病が発生した時の基礎的な情報の整備をも目的としている。」、すなわち、なぜ起こったかというこういういろんな原因の収集をせい、これを目的としている。さらに、「放射線健康診断は、作業環境・作業状況における有害要因の発見と排除のための有用な情報を得ることもあり得ることを考慮して行われるものである。」という、例の放射線作業従事者等健康診断検討会のこうした報告書が出されておる。これを引き続き引用しながら放射線審議会基本部会の結論として、「放射線作業従事者等の健康診断については、上記の報告書の内容に従って法令の改正等所要の措置を講ずることが適当であると考える。」というふうに書いておるわけですね。
 そこで、ここに指摘しておりますような、単に被害の発見だけじゃなくて、なぜそういう被害が起こったのか、作業状況やら作業環境やら、こういうものの整理、ここにこの目的を同時に向けていくような健康診断でなくちゃならぬということになりますと、一番危険区域に入って仕事をしておるのは下請労働者です。この下請労働者の人たちについても、一遍全面的な健康診断をやってみるということが今日必要になってきているのではないかというふうに私は痛感するわけです。事問題は、単にそこに働く人たちの直接の健康の問題であるのは言うに及ばず、本当に原子力発電所の安全体制をしっかり確立していくという見地から言っても、それから同時に、日本の未来を担う子々孫々に至る民族の命をどうしっかり守っていくかというこういう国家的見地から言っても、本当にそういうすべての原発従事者の健康診断問題というのが今日重要になってきておると思うのですけれども、この問題について、労働省はそういう健康管理という点での行政をどう進めるかという角度でどういう検討をなさっておるか、お答え願いたい。
#84
○説明員(林部弘君) 健康診断の問題でございますが、現在、健康診断につきましては、安全衛生法あるいは安全衛生法に基づきます電離放射線障害防止規則に基づきまして、雇い入れ時あるいは定期的な健診を行うということが義務づけられているわけでございます。私どもといたしましては、現実に原子力発電所に監督に入ります場合にも、この健康診断の実施の問題と、それから被曝限度の遵守ということを重点事項として監督指導をやってきておるという状況でございます。また、発電所につきましては、監督の重点業種ということで監督指導をやってきておるということでございますので、そういうような重点施策としていままでも監督指導をやってきているわけでございますから、そういう路線を継承してまいるということになっております。
#85
○佐藤昭夫君 時間がなくなってまいりましたけれども、ただ、現状は、正規の職員については法なり規則に基づいて定期的な健診が確実にやられるというふうに定められておるわけですけれども、短期雇用の下請労働者なんかについては、そういう法や規則による明確な定めというのが必ずしもはっきりしていないという現状があるわけです。こうした点で一番被害を受けておる人たちはその人たちじゃないか。この人たちの実際の被曝の状況がどうなっておるかというここを調べないと、さっき言っています作業状況やら作業環境の整備ということに本当に役立てていく健康診断制度にならないのではないかというのが、こうした審議会やら部会の報告、答申として出ているという新たな今日的見地に立って、下請労働者も含めての全面的な健康診断問題を今日ひとつ取り上げていくことをぜひ検討してもらわなければならない。ここがまず安全問題の第一の出発点じゃないかということを私は強く思うわけですけれども、そうした点で再度労働省と科技庁の見解を求めておきたいと思います。
#86
○説明員(林部弘君) 私がいま申し上げましたのは、原発の本社の社員とか下請と先生おっしゃいましたが、そういう区別はないわけでございまして、少なくとも労働者が事業者と雇用関係を結んでいる限りにおきましては、先ほど私が申し上げました規制というものは事業者の義務ということになっておるわけでございますので、短期雇用労働者であっても、現実に放射線の被曝を受ける管理区域内に入る場合には、当然定められた健康診断を行うということになっておりますし、短期の方の場合には一年に一回とか半年に一回という健診の対象にならない場合であっても雇用時の健診というものは当然受けるわけでございますから、そういう健診を受けておりませんと管理区域の中には入れないことにたしかなっている実態にございますので、私どもの理解しております限りでは、法令、規則に定められていることが遵守されれば、当然社員、社員外を問わず健診なり被曝の管理というものは行えるということになっております。
#87
○政府委員(牧村信之君) 科学技術庁が所掌しております原子炉等規制法並びに放射線障害防止法におきましては、それぞれの事業者を対象にして規制しておるところでございます。しかも、ただいま労働省の方から御答弁がございましたように、労働安全衛生法という法律が二重にかかるような形で規制が行われておるわけでございます。
 そこで、原子炉等規制法につきましては健康診断についての細目の規定はございませんので、労働安全衛生法で行っていただいておるところでございますが、この従業員の被曝管理につきましては原子炉等規制法で電力会社と下請従事者を全く区別しない精神で行われておりますので、先生御懸念の下請労務者がこういう健康診断等で不利な扱いが行われるということは、まさに法律の精神に反するところでございますので、私ども厳重に今後事業者等を指導していくことにいたしたいと思います。
 それから放射線障害防止法につきましては、健康診断等の規定が盛り込まれておりまして、これも労働安全衛生法と全く同じ形態で二重の規制を受けるというふうなことで、きわめて厳重な規制になっておるところでございます。
 なお、新しい勧告によりますこの健康診断等の基準が若干前回の勧告等と現在の法令に取り入れました勧告と変わっておりまして、中には一部こういう健康診断を緩めるような向きにとられる事項がございまして、これの勧告どおり行うことにつきましては、なお労働界等とのお話し合いを進めつつ、政令等の改正に当たりまして放射線審議会の御意見を聞きながらわが国に取り入れてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#88
○佐藤昭夫君 終わります。
#89
○中村利次君 本国会が八〇年代の幕あけ国会であり、また内閣も改造されて第二次大平内閣になって発足したわけでありますし、科学技術庁長官もおかわりになったわけでありますから、全般的な科学技術振興についての、海洋開発あるいは宇宙の開発、特にこれは「あやめ二号」の問題もございますから、いろんなものを含めてまず大臣の御所見を伺うところでございましょうけれども、私の質問時間も大変短うございますから、それはいずれまたということにしまして、きょうは、八〇年代幕あけで決定的な課題になっております原子力の平和利用、エネルギー問題にかかわる代替エネルギーの開発等を中心として、短い質問時間でどこまで行けますか、質問してみたいと思います。
 後先になるかもしれませんけれども、まず最初に、過般の原子力基本法の審議で、私は通産省や原子力安全委員会等が計画されておる、あるいはやるのだ、やるのだとおっしゃった公開ヒヤリングの問題について、これは福島第二あるいは新潟での公開ヒヤリングの実態からして、そんなことは、やるやるなんて言ったってできっこないじゃないかということを非常に強く申し上げてまいりました。政府は、これは何としてもやるのだという姿勢を崩されなかったわけですけれども、実際おやりになった。いろんな見方があると思います。しかし、やっぱり執念を持っておやりになって、私は成功されたのではないかと思います。ですから、これは皆さんに敬意を表し、やっぱり私がそういうばかげたことはおやめなさいと言ったのだけれども、おやりになって結果してよかったと思うのだが、この成功の原因というのはどういうところにあるとお考えになっていますか、簡単にお答えいただきたい。
#90
○政府委員(牧村信之君) 公開ヒヤリングを、本年の一月十七日に高浜並びに二月の十四日に福島で、二回にわたりまして公開ヒヤリングを行ったわけでございます。先生、いま成功の原因というふうに御質問でございますけれども、いろいろな経緯で一部の方々がこの公開ヒヤリングをボイコットされたという経緯もございまして、私ども考えておりました、原子力の開発にもきわめて批判的な方にもおいでいただいて御意見を賜り、また行政当局から自分たちの考え方、安全審査における考え方等を表明する、そういうような対話を通じて地元の原子力開発あるいは安全性の御理解を深めていただきつつ安全審査を進めていくということには、若干当初の考え方よりは外れたような形で行われたことはきわめて残念であったと思いますが、何とか所期の目的を達することができた、また一回目の経験を踏まえて二回目にはそれを反省しつつ改善していくというようなことをやってもまいってきたわけでございます。そういう点で、一応原子力安全委員会としては所期の目的を達することができたというふうに評価されておられるところでございますけれども、今後開かれます公開ヒヤリングに当たりましては、この二回の経験を踏まえて、さらに当初の目的とするところによりよくしていきたいというふうに考えておるところでございます。
#91
○中村利次君 確かにいま局長のお答えにございましたように反対派の人たちがボイコットをしたようでありまして、結果して、まあまあ平穏という表現が正しいのかどうか知りませんけれども、トラブルがなくて公開ヒヤリングが終わったということになっておると思うのです。だから、そういう点について、私は福島や新潟の実績、あるいは原子力安全委員会と日本学術会議が共催された例のスリーマイルアイランドの原子炉事故にかかわるシンポジウム、これなんかはやっぱり反対される人たちが物理的抵抗、実力行使をして波乱を招いたわけでありますが、きわめてこれは小規模なものでございましたから排除することができた。これを大規模にやられたのでは、私が心配したようにこれはえらいことになったのじゃないかと思うのだけれども、いわゆるボイコットという中で公開ヒヤリングは現象的には円満に終わたということだと思うのです。これから反対派の戦術、戦略がどういうことに変わりますか。これはボイコットでずっと続いていくかどうかわからぬわけでありますから、その対応には当事者として十分ひとつ誤りのないような対策を講じられて、こういう際でありますからいささかも原子力の正しい開発に支障があってはならぬわけでありますので、そういう点の十分の対策というものを怠られないよう、特にこれは要望しておきたいと思うのです。
 そこで、冒頭申し上げましたように、技術開発を含むというよりも、技術開発が不可分である代替エネルギーの開発、これにはその前提としてエネルギーバランスをとれるような石油の確保及び代替エネルギーの開発ということがわが国にとっては私は不可分だと思うのです。私はよく日ごろから言っているのですけれども、日本はエネルギー資源の上では小資源国ではなくて無資源国です。石油にしても、唯一の地下エネルギー資源である石炭にしても、まるでこれは問題にならないし、政府の計画にしても昭和六十年の国内炭と国際炭の割合は五倍以上の海外炭の依存度になっておるわけであります。その傾向というのは、やっぱり昭和六十年、六十五年、七十年と年を重ねるに従ってますますそれが際立ってくるわけでありますから、したがって石炭、海外炭をどう利用するのか。私は毎々申し上げておりますように、石炭はこれからの八〇年代から九〇年、二十一世紀にかけて大変大事なエネルギー源である。原子力も、軽水炉から高速増殖炉、あるいはまだ未知部分がたくさんにありどういうリスクがあるのかまできわめられていない核融合にどうつないでいくかということでありますし、あるいはまた太陽熱をどう利用していくのか、そういうものが総合して開発されていかなければならないことでございましょうから、そういう意味で私は当面大変心配いたしますのは、代替エネルギーとしての原子力の利用はこれは言うもさらなり、これが柱になることは間違いありません。もう一つの石炭の利用について、液化の実用化の問題がいつごろになり、それからこれもアメリカ、日本、それに西ドイツあたりも含めて共同開発研究等をおやりになっておるという、これは私は大変に結構な話で、積極的にそういうものを進めていってほしいのですけれども、仮に石炭の液化技術が開発されて実用化されたという段階に至って、日本の千八百万トンかそこらの、そのうちの一般炭なんというものは一千万トンをはるかに下回るものでございますから、したがって、やっぱりこれは海外炭に依存する度合いがきわめて多いということは間違いございません。その場合、これはそこまでまだ検討されていなければそれでいいのですけれども、これは後ほど深刻な問題としてやっぱり検討して、もらわなきゃいけないのだが、海外において液化されたものを輸入されるというそういうおつもりなのか、あるいは日本に輸入してその上で液化するという御計画なのか、そういう点についてはいまのところはまだ具体策はございませんか。どうですか。
#92
○政府委員(児玉勝臣君) 石炭問題についても、いま先生がおっしゃいますように非常に難題がたくさんあるわけでございますが、その中の一つといたしまして、石炭の液化の問題もございます。これは御存じのとおり、アメリカと日本、それからドイツ、三国でもってアメリカにおきます石炭液化のプロジェクトに参加するということが大筋において合意されておりまして、具体的な動きが今年度から進んでいるわけでございます。
 それで、石炭の液化についてはいろいろ考え方もございますけれども、主にいま考えられておりますのは、産炭地に液化の工場をつくりまして、そして流通の上でのメリットを追求するということと、それから石油にかわりまして代替した製品として、石油製品のかわりにその液化の製品を使うということで、現在あります石油の流通機構を使いながらやるということでございます。
 それからもう一つは、液化するときに石炭の中に含まれております硫黄分等々を取り除きまして低公害の燃料とする、そういうようなメリットがいろいろ考えられておりますが、いずれにしろ、石油代替ということで石油とのコストの競争というのが最大の眼目ということになろうかと思います。
#93
○中村利次君 これには私は非常に強い関心を寄せておりまして、繰り返しますけれども、石炭がこれからの大事なエネルギー源であるだけに、この使い方を誤りますとこれはえらいことになっちゃうと思うのです。たとえば液化技術が開発された場合には、先ほど質問いたしましたように、実用化された場合にはどこでその液化をするのかということ、これは海外、産炭地において液化されるということ、私は本当はそうあってほしいと思いますけれども、これは、たとえば、いま原子力のサイトにおいて反対運動があるのと同じような、そういうものがまたこの石炭利用については起きる可能性が多分にある。それには私はやっぱり石炭があとう限りクリーンエネルギーとして国民の理解を得なきゃならないものでなければならないと思いますだけに、だからそのまま、これは燃料炭、一般炭、原料炭のあれもございますけれども、たとえば固形で輸入する。そうすれば私は、先方の港湾だとか、輸送だとか、日本の受け入れ体制の港湾設備、輸送等々はこれはしばらくおくとしましても、いま児玉審議官のお答えの中にもございました硫黄分の問題、脱硫だけじゃなくて、脱硝だとか集じんだとか、それから灰の処理だとか、これはすべてやっぱり環境にかかわる問題ですから、だから、さあ石炭だ、石炭だといって騒いでおる人たちが必ず、やっぱり環境に影響がないような利用をしませんと、今度はけしからぬ、けしからぬに早変わりすることは間違いがないわけであります。加えて、やっぱり貯炭から――以前にも私は指摘いたしましたが、本当に石炭から石油、それからLNG、原子力、こういうものにだんだん移行しつつある過程でありますけれども、昔、石炭をかなりの比率でたいていた当時、しかしその当時は総出力そのものが非常に少なかったわけですから、だから石炭だってきわめて小出力の発電所であり、使用する石炭の量もきわめて少ないときでも、貯炭問題だとか灰処理の問題だとか、あるいは自然発火対策まで大変大事な石炭を用いる場合の対策として対応しなければならなかったのですが、今度は大量ですから、ですからそういう点、私はそういう科学技術の開発や対応というものが伴わないとエネルギーバランスがとれない。原子力は反対が強くて開発がなかなかどうも思うようにいかない。LNGは日本だけの問題じゃなくて相手国との関係もあって総合エネルギー調査会需給部会の長期暫定見通しどおりにはいかないから、足らず前は石炭が一番やさしいからそいつを使っていくのだということになりますと、必ずそういういろんな問題が私は起きてくる可能性が多分にあると思う。そういう対応について、なかなかこれはお答えにくいことだろうと思って恐縮ですけれども、これはやっぱり基本的な姿勢の問題ですから伺っておきたいと思うのです。
#94
○政府委員(児玉勝臣君) ただいま先生からお話がありましたエネルギー調査会の長期需給見通しでございますが、この中の供給力の想定の中には、いまおっしゃいますように非常に大きな問題点がたくさんございます。
 たとえて申しますと、水力の問題でも、一般水力はほとんど限界に来ておるわけでございますけれども、さらに小水力を開発して高めなければならない。それから地熱の問題にいたしましても、これも現在原油で換算いたしまして十五万キロリットル相当でございますが、これを何しろ二百二十万キロリットル相当まで上げるということで、これも十倍以上の拡大を図らなければいけませんし、いまお話のありました石炭も、現在一般炭九十五万トンでございますが、それを二千二百万トンということで、これも二十二倍の拡大。それからLNGにつきましても八百三十九万トンのものを二千九百万トンに上げる、これも三倍ぐらいの上昇ということで、どの項目をとりましても、従来石油に依存していたものをそういう各分野のエネルギーで拡大して分担しようという考え方に立っておりますので、非常なノルマをおのおののエネルギー源に求めているという実態は、原子力を含めてみんなあるわけでございます。したがいまして、非常な決意を持って、それからまた具体的な施策について国民の御理解を得ながらやっていかなければいかぬということであろうかと思います。
 そういう意味で、新エネルギー開発のための新しい特別会計をお願いしておりまして、また新エネルギー総合開発機構という新しい特殊法人の設立も実は国会にいまお願いしているところでございまして、そういうような国の打てる手段も打ってまいりますが、また民間からの頭脳、それから資金力を大いに活用してこの国家的な難局をぜひひとつ切り抜けていきたい、こう考えております。
#95
○中村利次君 いま審議官のおっしゃるような課題がそっくりそのまま課題としてあるのだから、だからこれは何としてもこの課題に取り組んで、そしてこれを消化して乗り越えていかなければならないと思うのです。
 たとえば石油の需給見通し、それからエネルギーバランスにしても確かにいろんな見方がございましょう。しかしやっぱり昭和五十四年度、今月が年度末ですけれども、二億七千万キロ石油を輸入したのか、二億八千万キロ輸入をしたのか、石油換算してどれだけのエネルギーを消費したのか、その中の石油の割合はどうであったのか、原子力は、あるいは水力は、火力はというぐあいにはっきり出てくるわけでありますから、したがって、八〇年代、その後日本の国民生活を安定させ雇用不安をなくしていくような経済成長はどれだけしなければいけないのか、すればいいのか。国会の議論なんかでも、物価問題だとか、あるいは景気問題だとか、経済成長の問題なんかいろいろあれしますけれども、しかし、そういう議論の裏づけはすべてこれはエネルギーです。これは細かく言えば弾性値をどれくらいにするのか、これは弾性値をどれだけに見るのかじゃなくてするのかという、そういうものもございましょうけれども、しかし、これは手品を使ってエネルギーバランスがとれるわけじゃございませんから、裏づけのあるようなエネルギーバランスを確立していくのが国民課題であり、行政の至上課題であるというぐあいに考えております。これはいまのお答えのとおりに私も実は、石油の輸入量の問題なんかもありますが、これはともかくとして、やっぱり石油換算八千万キロリッターの節約が昭和六十年でできるのかどうかという課題です。それからおっしゃるとおり、原子力が三千万キロ営業運転に入れるのか。私はこれは入れないと思う。それから石炭の二千二百万トン、一般炭の利用ができるのか、こういう問題。あるいはLNGの二千九百万トンが実際に国内で利用することができるのか。いろんな大変な課題がございます。
 そこで、時間もだんだんなくなってきましたから、これでできれば最後にしたいと思いますけれども、エネルギーの量だけではなくて、あるいはバランス問題のみではなくて、価格の問題が大変問題になっています。原子力がエネルギー源として安いのか高いのか、こういう議論も、電力、ガスの料金改定の問題も絡めていろんな議論が行われておるようでございますけれども、その中で、原子力の建設費、あるいは水力の建設費、あるいは石油火力の建設費、あるいは送電線、鉄塔の建設費、いろいろなことが議論され、これからもまたこれはかなりの議論を呼ぶと思いますが、私の発想から言って問題にされなければならないのは建設費で、たとえば建物だとか機器類、こういうものはどれほど節約して発電所をつくるのか。建物も必要なものはつくらなければいかぬけれども、どれだけ節約してつくるのか。機器にしてもそうだ。ところが、そのほかに、たとえばこの立地問題に資するためにということで電源三法ができまして、そのうちに五十五年度予算では四百億に近い予算計上がされておる、特別会計として。それから促進税をその上にまたキロワットアワー当たり八銭五厘を三十銭にして上積みをしよう、これは別勘定をしようとしておられる。そういうのもやっぱりこれは経費にかかわってきますけれども、そのほかに、そういうことをやられているにもかかわらずいろんな地元対策、あるいは反対で揺さぶられ揺さぶられて計画から建設に至るリードタイムが五〇%よけいかかる、倍かかる、あるいは三倍かかる。いろんな反対運動や揺さぶりに対する対応をするということになりますと、その間のまた経費が大変なんです。これも建設にかかわる経費なんです。成田空港がどうもちゃんとでき上がちゃってから長期間にわたって開港ができなかった。私どもなんか想像を絶するのだけれども、滑走路に何か、雑草の生命力というのは大変なもののようでございまして、あの滑走路を突き破って雑草だか何だかが生えてくる。やり直さなきゃならない。そしてあらゆる設備がそのまま放置されて廃退していく。そういうものの補修から何から大変巨額な経費が、これもやっぱり建設費に算入せざるを得ないのでしょうが、かかるというこういう事態。民主主義国日本のこれは私は陣痛だか何だか知りませんが、やむを得ないものだと思いますけれども、そういうのが電力なんかでも物すごくかかるのです。私はその比率がどうなんだろう、これは統計をとってみるとかなりのものになると思いますが、そういう点についてはいかがでしょう。あらましのことを御承知になっておりましょうか。――これは時間がなくなっちゃいましたから結構です。これはまた改めてこういう問題は十分に時間があるときに御質問することにいたしまして、きょうはこれでやめます。
#96
○委員長(塩出啓典君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後一時十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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