くにさくロゴ
1979/04/18 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
姉妹サイト
 
1979/04/18 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号

#1
第091回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
昭和五十五年四月十八日(金曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月八日
    辞任         補欠選任
     衛藤征士郎君     望月 邦夫君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     下条進一郎君     成相 善十君
     後藤 正夫君     北  修二君
     山崎 竜男君     山本 富雄君
     長谷川 信君     中村 啓一君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     玉置 和郎君     増岡 康治君
     永野 嚴雄君     高平 公友君
     望月 邦夫君     山崎 竜男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         塩出 啓典君
    理 事
                熊谷  弘君
                松前 達郎君
    委 員
                北  修二君
                高平 公友君
                中村 啓一君
                成相 善十君
                増岡 康治君
                山崎 竜男君
                山本 富雄君
                吉田 正雄君
                渋谷 邦彦君
                佐藤 昭夫君
                中村 利次君
                柿沢 弘治君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       長田 裕二君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      下郎 昭三君
       科学技術庁原子
       力局長      石渡 鷹雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    牧村 信之君
       科学技術庁原子
       力安全局次長   宮本 二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       外務大臣官房審
       議官       井口 武夫君
       外務省経済局海
       洋課長      野村 一成君
       外務省国際連合
       局原子力課長   金子 熊夫君
       厚生省医務局国
       立病院課長    七野  護君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電課長   西中真二郎君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電安全審
       査課長      逢坂 国一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
 する法律及び放射性同位元素等による放射線障
 害の防止に関する法律の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○放射性同位元素等による放射線障害の防止に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(塩出啓典君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、下条進一郎君、後藤正夫君、山崎竜男君及び長谷川信君が委員を辞任され、その補欠として成相善十君、北修二君、山本富雄君及び中村啓一君が選任されました。
 また、本日、玉置和郎君及び永野嚴雄君が委員を辞任され、その補欠として増岡康治君及び高平公友君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(塩出啓典君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
 まず、政府から両案の趣旨説明を順次聴取いたします。長田科学技術庁長官。
#4
○国務大臣(長田裕二君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。
 まず、初めに、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 この法律案は、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の実施に伴い、核原料物質または核燃料物質によって汚染されたもの等の海洋投棄の制限について所要の規定の整備を図ろうとするものであります。
 同条約は、海洋に投棄されるすべてのものを対象として、その投棄によって海洋汚染が生じないよう各国が相協力することを目的とする条約であり、環境の保全に関する国際協力の推進という見地からも、この条約の早期批准が望まれるところであります。
 この条約におきましては、放射性物質の海洋投棄についても規定がなされており、放射性物質は、低レベルのものに限り、政府の特別の許しを得た場合等一定の場合にのみ海洋投棄をすることができるものとされております。
 原子炉設置者等原子力事業者の行う海洋投棄に関しては、すでに十分安全を確保し得るような法規制の体系が整備されているところであります。
 しかしながら、同条約は、原子力事業者に限らずすべての者によって行われる海洋投棄を規制の対象としております関係上、今般原子力関係の二つの法律を改正し、従来の法規制に加えて、原子力事業者が政府の確認を受けて海洋投棄をする場合等一定の場合以外は、何人による放射性物質の海洋投棄もすべて禁止することにより、条約上の要請にこたえようとするものであります。
 以上、本法案を提出いたします理由につきまして御説明申し上げました。
 次に、本法案の要旨を述べさせていただきます。
 第一に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律につきましては、核原料物質、核燃料物質またはこれらによって汚染されたものは、原子炉設置者等が廃棄に関する確認を受けて海洋投棄をする場合等一定の場合以外は、海洋投棄をしてはならないものといたしております。
 第二に、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律につきましては、放射性同位元素または放射性同位元素によって汚染されたものは、使用者等が廃棄に関する確認を受けて海洋投棄をする場合等一定の場合以外は、海洋投棄をしてはならないものといたしますとともに、使用者等が工場または事業所の外において放射性同位元素または放射性同位元素によって汚染されたものを廃棄する場合においては、その廃棄が技術上の基準に適合することにつき、科学技術庁長官の確認を受けることを義務づけるものといたしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。
 次に、後者の放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律は、昭和三十二年に制定されて以来二十数年を経過しており、この間の放射性同位元素等の利用の普及は目覚ましいものがあります。
 また、近年においては、大線量の放射性同位元素の使用、ガスクロマトグラフ装置等の放射性同位元素を装備した機器の普及等放射性同位元素等の利用形態の多様化が進んでおります。
 一方、国際的にも、国際原子力機関における放射性物質安全輸送規則の改定等が行われており、これらの国際的基準の国内法への取り入れが求められつつあります。
 このような放射線利用の最近における急速な拡大、その利用形態の多様化及び放射線防護に関する国際的基準の整備の進展状況にかんがみ、放射性同位元素等の利用に関する規制について、その合理化を図りつつ充実強化を期することが本法案を提出する理由であります。
 以上、本法案を提出いたします理由につきまして御説明申し上げました。
 次に、本法案の要旨を述べさせていただきます。
 第一に、放射性同位元素装備機器に関する規制の充実合理化であります。
 放射性同位元素装備機器のうち、機器自体によって放射線の遮蔽等が十分行われ得る構造になっているガスクロマトグラフ装置等について、その放射線障害防止のための機構の設計の承認及び確認の制度を設け、確認を受けた機器については、従来の許可にかえて、届け出によって使用できることにいたします。
 第二に、放射性同位元素使用施設等に対する検査の充実であります。
 一定量以上の放射性同位元素または放射線発生装置を使用する施設については、従来の書面審査による使用許可に加えて、使用開始前の施設検査及びその後の定期検査を受けなければならないことにいたしております。
 第三に、安全な運搬のための規制の整備であります。
 放射性同位元素等の運搬の安全の確保を図るため、運搬の技術上の基準を事業所の内と外に分けて定めるとともに、国際原子力機関の安全輸送規則に沿って、事業所外において一定量以上の放射性同位元素等を運搬する場合には、科学技術庁長官または運輸大臣の確認を受けなければならないことにいたしております。
 第四に、放射線取扱主任者制度の改善であります。
 放射線取扱主任者免状の交付に当たり、従来の国家試験に加えて、一定の講習の受講を義務づけるとともに、放射性同位元素の利用形態の多様化にかんがみ、新たな種類の主任者免状を設けることにいたしております。
 第五に、検査等の実施体制の合理化であります。
 以上に述べました放射性同位元素装備機器の放射線障害防止のための機構の確認、使用施設等の施設検査及び定期検査、放射性同位元素等の運搬の確認、放射線取扱主任者試験及び講習の業務について、その円滑な実施を図るため、国の厳重な監督のもとに、民間の指定機関にこれらの業務を実施させることができることにいたしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#5
○委員長(塩出啓典君) 以上で両案の趣旨説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(塩出啓典君) 委員の異動について御報告いまします。
 本日、望月邦夫君が委員を辞任され、その補欠として山崎竜男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(塩出啓典君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○吉田正雄君 ただいま提案になりました法案についての質疑を行う前に、柏崎の問題についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
 この法案もそうですけれども、とにかく原子力に関しましては徹底した安全体制の確立と安全性の確認というものが行われなければならないわけですが、東京電力が現在建設を進めております柏崎・刈羽原子力発電所の一号機の建設状況につきましては、地元紙の報道によりますと、本体の基礎工事というものがほぼ完了して来月にも通産省の検査を受ける予定というふうに報道されているわけです。この点は間違いございませんか。
#9
○説明員(逢坂国一君) 東京電力の柏崎・刈羽一号機の建設状況でございますが、先月の状況では全体の計画としまして約八%の進捗状況でございます。そのうち基礎掘削工事でございますが、これは原子炉設置面標高マイナス四十メートル付近まで掘削するわけでございます。この全体掘削土量が約二百万立米というふうになっておりますが、これの約九八%を終了している状況でございます。
#10
○吉田正雄君 したがって、来月検査を実施するというふうに報道されておりますが、その点はいかがですか。
#11
○説明員(逢坂国一君) そういう状況でございますので、基礎掘削工事が終了いたしますと電気事業法第四十三条に基づきまして岩盤の検査を実施いたします。したがいまして、来月ごろには検査の申請があるものと予想しております。
#12
○吉田正雄君 この柏崎一号機の建設に当たっては、私も本委員会におきまして地盤の問題、地質の問題については、数回にわたって安全審査会の審査の内容について非常に大きな疑問があるという点で指摘してきたところです。したがって、今度の通産省の行われる検査の内容と方法、ただいまは簡単に電気事業法に基づく岩盤の検査というきわめて簡単なものなんですが、私もずいぶん指摘してきておるわけです。多くの活断層の所在、それから東京電力が提出された資料、さらに通産省の質問に対する見解についてはきわめて不十分であり、納得できるものではないということを繰り返し指摘してきたところです。そういう点で予定される検査の内容と実施のやり方、方法というものはどのように考えておるのか、これは当然わかっているはずですから明らかにしていただきたいと思うんです。
#13
○説明員(逢坂国一君) 電気事業法四十三条に基づきます検査の担当は現在仙台通産局で行うことになっております。
 検査に当たりましてどういう項目をやるかということにつきましては、検査要領書を本省で決めまして、それに基づきまして統一された方法でもって実施いたします。具体的には、検査要領書のまず検査の方法でございますが、基盤検査につきましては地質調査資料の確認、特に地質関係の調査につきましては、敷地内の地質の状況、試掘抗、ボーリング及び基盤上で実施いたしました調査及び試験結果の確認、それから基礎基盤につきましては、基礎基盤及びその周辺についての岩質、層理、節理、亀裂等の表面上の状態の確認、それから亀裂、破砕帯、軟弱地層のある場合に当たりましては、その方向性、幅、長さ等の計測、状況図の作成等、それからボーリングの資料がある場合にはボーリングの内容の確認というようなことでございます。それから基礎基盤の処理状況の確認を行いますが、その場合には基盤の表面におきます異物の状況、成層状況とか、そういうものの確認、それから亀裂、破砕帯、軟弱地層がある場合に当たりましては、その改良工事を伴うというような場合にはそういう方法についての確認を行うというようなことをやることになっております。
#14
○吉田正雄君 いまお話しのあったとおり、ほぼ本体の基礎工事は、おっしゃるように四十メートルも掘り下げて、そしてそこに原子炉建屋の基盤というものを据えていくというきわめて重要な工事になるわけです。一たん工事にかかった後、あそこにどうも危険な点があるのではないかというふうなことで工事を中止するということはこれは不可能なことです。それだけに、私は本体工事にかかる前に、地盤、地質についてはもう一回従来から指摘されてきておる点について徹底的な現地における再調査といいますか、再審査、これは科学技術庁にも私は要請しておきたいと思うんですが、ダブルチェックの観点からも非常に重要な検査になるわけです。でき上がってから後で調査するわけにはまいりませんから、そういう点で通産省の調査に、できたら一緒に立ち会い検査をやらなければこの場合にはできないのじゃないかというふうに思っておるわけです。
 そこで、何が問題なのかということを、私はもう一回ここで指摘をしておきたいと思うんです。
 御承知のように、現在の柏崎・刈羽原発用地の一帯というのは西山油田の中にあるわけですし、羽越活褶曲帯の中に含まれているわけです。いままでの帝石等を初めとする石油関係者あるいは第四紀研究グループの調査等によって明らかになっておることは、基盤岩というのは第三紀層のいわゆる椎谷層とか西山層というふうに呼ばれておる基盤岩であるわけですし、その上に第四紀洪積世の軟質泥岩であります安田層、その上に古砂丘、いわゆる番神砂層というものがあってその上に新砂丘があるという構成になっているわけです。ところが、この第三紀層に無数の断層が見られる。特に一号炉炉心に掘削された試掘抗でも西山層を切る断層が多く見られておるわけです。これは私ども社会党の現地調査団の試掘抗内における調査においても明らかになっておるわけです。私も二回この試掘抗に入っているわけです。さらに、この安田層、番神砂層にも無数の断層があるということは用地内外の露頭で確認できるところです。
 ところが、東電は七四年夏までは用地に断層はないと主張しておったんです。しかし、試掘抗内の西山層に断層のあることが新大の松野教授によって明らかにされた段階で、今度はその断層は層内断層あるいは面なし断層である、西山層の堆積当時にでき、いまは固結している古い断層で安全上問題はないというふうに言い方を変えたわけです。また、安田層や番神砂層を切る新しい断層はすべて地すべりによるものであって、西山層を基盤として建設される原子炉は工事で取り除かれる安田層や番神砂層に断層があっても問題がない、こういうふうに主張を変更しておるわけです。これは間違いないでしょう。当初は断層はないと言っておった。次には、断層はあるけれども古いものであってそういうものは安全上心配はないとか、いろんな言い方に今度は変えてきておるわけです。これはいままでの委員会の審議や東電側のいろんな現地における説明等によっても明らかになっています。この点は確認できるでしょう。
#15
○説明員(逢坂国一君) 柏崎・刈羽の地質問題、断層問題につきましては、安全審査会で詳細に検討されたところでございます。
 ここの地層の層状といいますか、どういうふうになっておるかというのは先生御指摘のとおりでございますが、基盤にあります断層につきましても安全審査の当時に十分わかっておりまして、それの基盤にあります西山層の断層は上の番神砂層を切っていないということが一点。
 それから番神砂層にあります小断層群と言っておりますが、これにつきましても中央断層のところで詳細な調査をされまして、その結果これは地すべり状のものであるということがわかっております。
 その後、工事道路ののり面にあらわれました断層につきましては、番神砂層を切っておる断層でございますが、これも中央断層と同じように地すべり状のものであって、これは基盤に達していないということがわかっておるわけでございます。
 それから先生御指摘の七四年というところは私はちょっとはっきりしないのですが、東電がどのように先生に御説明なさったかわかりませんけれども、安全審査の段階ではすべてわかっておることでございます。一般に断層が全然ないというふうなことはあり得ないのだと私は思いますが、この回答を変えたかどうかというような問題につきましては、私はちょっと承知しておりません。
#16
○吉田正雄君 いまもちょっと出たのですが、その後、安全審査の過程で、炉心部の西山層中に見られる多数の断層のうち二本について安田層や番神砂層との関係について追加調査を実施した結果、一本は西山層にとどまっておりますけれども、一本は安田層を数十センチメートル切っておるということが判明いたしておるんです。
 これから私がお出しする図面というのは、いずれも東電側から提出された資料なんです。(図面を示す)この地図でおわかりのように、いま掘削された原子炉本体の場所というのはちょうどここのこういう部分なんです。こういうふうに四十メートル掘削しているわけです。ちょうどここのところにアルファ断層とベータ断層というものがあって、そして地層の形というのは、ここに書いてあるように、西山層がこうあって、その上に緑色のところが安田層になっているわけです。その上に古砂丘、そして新砂丘というぐあいになっているわけです。ところが、このアルファ断層は確かに安田層のところでとまっておる。そしてベータ断層は安田層へ切り込んでいるわけです。これははっきりしているわけです。ところが、当局側の説明は切っていないと言いながらその後はどういう説明になっているかというと、安田層の形成年代というのがミンデル、リス間氷期であって十二から十四万年前であって、原発建設の障害となるアメリカの原子力規制委員会等の基準であります三万五千年より古い断層なんだ、だから問題はないという判断をして安全だという評価を下しているんです、安全審査会の場合。ところが、果たしてこの西山層なり安田層なりの形成年代がどうなのか。いま私が言った安全審査会の主張はそのとおりでしょう。そうですね。
#17
○説明員(逢坂国一君) 私が申し上げましたのは、安田層を切っていないということを言ったのではなくて、番神砂層、要するに旧砂層を切っていないということを申し上げました。
 原子力委員会の安全専門審査会の報告でございますが、安田層の形成年代を十二から十四万年前ということと考えることは妥当であるということと、それから番神砂層は三万年前よりは古いものと判断できる、およそ三ないし八万年前のものであるということで、番神砂層を切っていないということはその断層は三ないし八万年の間は動いていないということになるわけでございますので、原子炉の設置の安全上は支障ないということを判断されておるわけでございます。
#18
○吉田正雄君 私は前の委員会の質問でも指摘したのですけれども、安全審査会の独自の調査というのが行われていない、東電の提出した書類審査によって。まあ二、三回は現地にも行っておいでになるようなんですけれども。
 特にこの年代の推定については、いまおっしゃるような十二ないし十四万年前のものだというのは単なる主張なんです。ところが、安田層の形成年代というのは、第四紀研究グループの炭素14を用いた年代測定、まさにこれは科学的なんです。皆さん方の方ではそれをやっていないんです。この第四紀研究グループは、いま言った炭素測定法を用いて年代を推定しているんです。それによれば、二万八千年から三万五千年前であって、東電の主張、それからそれをうのみにして判断した安全審査会の主張というものとは非常に食い違っているわけです。どちらが正しいのか。私が何回聞いても安全審査会や東電側の科学的な根拠というのは、この点についてもついに十分な説明がなされなかったわけです。この炭素14による測定方法以上により正確な現在測定方法というのはあるんですか。単なる学説ではだめなんです。どうなんですか。どういう測定でやられたんですか、この十二ないし十四万年前というのは。
#19
○説明員(逢坂国一君) 安田層の形成年代につきましては、化石分析とそれから第四紀海水準変動の対比においていろんな文献を参考にした、それから下末吉海進の年代についてもその考察がなされているというふうに書かれております。
 炭素の測定方法を用いることも参考文献としてはやられるかと思いますが、それだけが科学的な手法であるというふうにも……。地質の場合にはいろんな方法、文献を参照してやります。それからボーリングや実際の露頭の調査その他をやりますので、そういう総合判断のもとでやるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
#20
○吉田正雄君 いまおっしゃったその文献というものについても、私どもが提示した文献と皆さん方がその文献とおっしゃる内容というものがまた食い違っているわけです。私どもの方でも幾つかの文献名を挙げて当局側の判断というのはおかしいのじゃないかということを言っておるのであって、単なる文献では決定的なものは出てきていないわけです。いろんな違いがあるわけです。ですから、科学的に最も現在考えられ得る正確な推定方法といえば、やはり炭素14を用いた推定法というものが最も近いのではないか、正確なのじゃないかということを申し上げたんですけれども、皆さん方は、いまおっしゃったように各種の文献だとか、あるいは化石だとか、そういう言い方の中で逃げておいでになるんです。そういう皆さん方の主張と私どもの提起した問題について、さらにその後地質専門学者にも検討を願ったのですけれども、当局側の説明では全然それは疑問に答えていないということも言われておるんです。ですから、私はさらにこれからもう少し――皆さん方のおっしゃっているのが、東電からその後得た資料によっていかにそれがいいかげんなものであったかということが私は非常にはっきりしたと思うんです。これは後ほど申し上げます。
 要するに、東電やあるいは通産省、安全審査会が認めた言い分というのは、要約すれば次の三つになると思うんです。まず第一点としては、基盤の西山層の断層というのはすべて古いものだ、だから心配ないのだという言い方。第二点としては、安田層や番神砂層を切る断層はすべて地すべりによるものであって基盤に影響しない。それから三番目として、西山層と安田層と同時に切る断層もあるが、安田層は古いから問題はない。こういう三つの言い方に東電側の主張というのは集約できるんです。これは間違いないでしょう。
#21
○説明員(逢坂国一君) 大体それで間違いないと思いますが、最後の点につきましては、私が申しておりますのは、番神砂層の形成年代が古いということで、それを切っていないから原子炉の安全上は支障ないのであるということでございます。
#22
○吉田正雄君 三番目はそうじゃなくて、西山層と安田層を同時に切る断層もあるということは認めているのです。ただ、安田層は古いから問題はない。さっき言ったようなこちらの方が二万八千年から三万五千年という言い方に対して、皆さんの方は七ないし八万年とかそういう言い方をやっているわけでしょう。だから古いから問題ないという言い方なんです。それは一々詳しいことは、いまあるいはお手元に資料がないからあれでしょうけれども、しかし以上の三点要約したものが主張の中心的なものだということは、これはよろしいわけでしょう。そうですね。
 そこで、私がお尋ねしたいのは、後ほど地すべりかどうかという問題はやりますが、いずれにしても炉心の近くに第四紀層を切る断層があるところに原発を建設しているのは日本だけなんです、はっきり言って。アメリカの場合には、炉心の近くに断層が発見された場合、基準といいますか、一定のそういうものがあって、一・五キロ以内とか二キロ以内にあった場合には建設は認めないというふうなことで現実に建設を開始した段階で、私も正確に幾つそういうものがあるかわかりませんが、たしか二つくらいは建設が中止されておるということを聞いておるわけです。断層がそんな炉心の近くにあって、古い新しいの問題はとにかくとして、断層のあるそういうところに原子炉を建設している例は世界じゅうにありますか。あったら聞かせていただきたい。
#23
○説明員(逢坂国一君) 原子炉の安全性を考える場合に、断層がどういうふうにかかわりを持ってくるかということを少し整理してみたいわけでございますが、まず、断層がありますと、その断層に基づいて地震の起こる原因になるかどうかということが一点。それから地震などが起こったときにその断層が動いて、原子炉の高低差といいますか、そういうものに影響するかどうか、こういうようなことだと思います。そういう観点から見まして、断層があるかどうかということだけでその安全性がどうとかということにはなりませんで、その断層が本当に活動するのかしないのかということが原子力の安全上の問題になるわけでございます。普通、断層と言われるものは地層の連続性が断たれているということでございまして、断層というだけでは、あるからといって影響があるということではございません。一般に活断層と言われるものも、これは地質学上の分類とそれからいろいろ建物設計その他を考える場合の判断で違うわけでございます。私ども原子炉の安全性を考える場合に、その断層が近い年代で動いているかどうか、それからそれが将来また動く可能性があるかということから判断するわけでございまして、そういう意味で、この年代がどうであるか。かつて動いたかもしれませんが、非常に固まって古い地層であるということで今後動く可能性がなければ原子炉の設置上別に支障はないというふうに判断するわけでございます。
 先生おっしゃるような、外国では置いていないだろうということでございますが、それは私はそういうことはないというふうに思っております。それはどうしてかといいますと、断層があるというだけでそれをだめだということは決して書いておりません。アメリカの文献しか私は知りませんけれども、その基準を見ましても、ケーパブルフォールトといいますか、そういう表現になっておりますので、断層があるから原子炉を設置できないのだということにはすぐ直には結びつかないというふうに判断しております。
#24
○吉田正雄君 いまの一般抽象論は、これはだれも否定し得ないと思うんです。確かに断層によって地震が起き、地震によって断層がさらに地震を振幅していく、地震の原因になるという一般論はこれは当然だと思いますし、単に断層があったからといってそれが地震の原因になるかどうかというのは、それが活断層であるかどうかということにかかっておることもこれは明らかなわけです。だから、私がこれから指摘しようとする点は、皆さん方は活断層でないとおっしゃるし、われわれは活断層だという主張もずいぶんやってきた。
 それからもう一つは、たとえば気比ノ宮断層を見た場合に、これは皆さん方の安全審査会の中の柏崎部会の審査委員の一人である当時の東大地震研の松田助教授、この方は皆さんも御承知のように、とにかく活断層に関しては日本の学界における最高権威の一人と言われておるわけですし、多くの著書も出されておるわけです。その松田さんの書いた本の中には、気比ノ宮断層というのは活断層です、活断層として三十キロメートル以上の長さにわたっているということが書いてあるわけです。ところが、皆さん方の安全審査の中で今度採用された部分というのは、三十キロでなくて十六キロでしたか十七キロでしたか、そういう長さに縮めてあるわけです。この点について、われわれの現地調査によればこの気比ノ宮活断層の長さというのは間違いなく三十キロあるということを言ったんです。皆さんに現地調査をされましたかと言ったら、皆さんの方は現地調査をされていないんです。されておらなくて、十六キロですか十七キロという数字を出されておるわけです。そして今度はどういう言い方に変わったかといいますと、実は地震に影響があると思われる気比ノ宮断層の長さというのが十七キロなんだ、こういう言い方に変わってきたわけです。
 そこで、私の方で何でそういう数字が出てきたのかということで言いましたのは、地震によってマグニチュードというものがどうなるかというときに活断層の長さが影響する。それが大きな要素になっているんです。これは一つの式があるわけです。その式に三十キロメートルという数字を当てはめますと、マグニチュードは七・二幾ら、約七・三になる。ところが、皆さん方のその十七キロという数字を入れますと、審査会の最終評価に出ているように六・九と出てくるわけです。つまりマグニチュードが七を超えるか七未満になるのかということによっては建設のやり方というのが非常に違ってくるわけです。当初、柏崎一号機の場合には二十メートル掘削してやる予定だったんです。ところが、いま言ったようないろんな断層というものが地元からも指摘され、それからいろんな学者の調査とかあるいは私たち社会党の調査団等の指摘によってその後四十メートルまでに変更されたんです、これははっきり言って。当初は二十メートルだった。ということで、私はマグニチュード七以内につくろうためのいま言った単なるまやかしではないか。どうやって現地調査されたんですかということで、私どもの現地調査の写真、断層が出ているところの写真まで示して言ったんですが、とうとう満足な答弁が得られなかったんです。ところが、そのものは気比ノ宮断層ですから、いま直接炉心の近くにあるわけじゃない、離れております。離れておりますからいいんですけれども、しかし、そういうふうに皆さん方の説明というのは、どこの説明でも満足し得る、納得させ得る科学的な説明というものは全然なされていない。まさに東電から出された申請書、ほとんどが書類審査によっておるということは、その気比ノ宮断層一つとってもこれは国会の論議の中でも明らかになったわけです。
 そこで、それでは先ほど来、いや、あの断層は地すべりのものが多いとかいろんな言い方があるんですけれども、この地すべり問題が出てきたというのは、実は七七年の八月に安全審査が終了したわけです。そして九月に内閣総理大臣の認可がおりたわけです。そして翌年の四月十一日には知事が保安林の指定を解除する、さらには従来の県道というものを廃止して迂回県道につくり直す工事にかかっていったわけです。この工事の進行中に、発電所東側道路ののり面露頭から新砂丘を切るきわめて新しい断層が発見された。これは一号炉の北東三百メートル、現在予定されておる二号炉予定地から二百メートルくらいの地点なんです。この新しい断層については、これも再度、二回目の社会党の調査団が入って見てきたわけです。この断層については、東電側も断層そのものは認めているわけです。その断層がどうやってできたものであるかどうかという点について、東電や通産省の言い分、当時は科技庁になりますが、安全審査会の方の言い分というのは、これは地すべりによるものだという主張を強くされたんです。私どもも、その当時ボーリングの資料というものを持っていなかったわけですから、完全に東電や安全審査会の言い分を覆すだけの資料がなくて非常に苦慮したんですけれども、その調査の後、東電側にボーリングの資料の提供を求めて東電側もその資料を提出してくれたわけです。
 これからお見せする資料は全部東電から出された資料を大きく書きかえたものなんです。全く同じものなんです。(図面を示す)ちょっとこれでも見えないかもわかりませんが、これが海岸です。こちら側が山地になるわけです。そして一号炉の予定地がここにあるわけです。そして北東三百メートルのちょっと緑っぽい枠のところがありますが、ここのところに断層が露頭に出ているわけです。そして東電はここのところに約十六本のボーリングを行っているわけです。私たちがこの断層を指摘したときは、地すべりですという言い方だったわけです。
 これを、もうちょっと断面図で見ますと、いまの部分というのはこうなっているわけです。(図面を示す)道路のところです。道路側から見たところなんですが、こういうぐあいに約七メートルくらいの断層になっている。東電や安全審査会はこれが地すべりだという言い方をしているんです。こういう地すべりというのが一体あり得るのかどうなのかということを、東電の資料によって私は地すべりではないということをこれから申し上げたいと思うんです。
 これが断面図。(図面を示す)その次に、これが掘られたボーリングなんです。東電側の非常に巧妙なやり方といいますか、うっかりしておるとそうかなあと思わせるやり方で実は感心したのが一つあるというのはボーリングの並べ方。こういうふうにボーリングが掘ってある。この並べ方を断層に沿って並べたら断層は出てきません。そうでしょう。こちら側のここの部分にボーリングしたものと、断層のこっち側にもボーリングがされているわけです。断層なのかどうなのかというのを調べるのは、同じ高さのここのところのボーリングの場所を並べたって同じ一定の高さでしか出てこないから断層かどうかというのはわからぬです。だから、掘ってある十六本は、この断層面を切るボーリングによってこれがどれだけの断層になっておるのかというのを見なければならぬわけです。東電側が当初言っておったのは、その並べ方を、断層が出てこないこちら側の部分のボーリングはこうです、今度はここの断層の下の部分のところもそれに沿って図面を見せるということですから、どっちを見てもわからぬわけだったんです。(図面を示す)私どもがいただいて、今度は断層にこういうふうにほぼ直角の面でそのボーリングのものを並べかえたんです。並べかえたことによって、ここにありますように、ずっとどこの部分をとってみても断層が実に明確にこうやってあらわれているわけです。
 ここでは一々細かい技術論争とか説明しても、大臣お聞きになっていてもちょっとぴんとこないと思いますからあれですが、とにかくこれは東電の資料なんです。ボーリングの番号も全部打ってあるんです。並べ方が横に並べたのと縦に並べたのの違いなんです。これを断層に直角にこう並べたことによって実に断層であるということがはっきりしたわけです。いや、それだって地すべりじゃないかという論がどうして成り立たないのかというと、今度は皆さん方の説明はどういう説明に変わってきたかというと、いや、実はあれは古い西山層の一番下の層、一番下の基盤層ができた、西山層のできた年代のときに、ここのところには古い川が流れておったのだ、川が流れておって、そこのところを掘っていったのじゃないかというふうなまた言い方も出てきたりしたんです。しかし、そんなことにはなり得ない。というのは、ほとんどどこの部分でもほぼ平らなんです。この断層の上の部分も下の部分もほぼ横に平らになっています。これが滑っていくなんという状況じゃないです。滑ったものじゃないという状況はこれははっきりしているんです、どこを見ても。と同時に、俗に言う礫、砂礫、小さな石ころ、ああいう石ころがこの上に乗っかっているんですけれども、もし川によってここのところが掘られたものであるとするならば、この低い掘られたところにのみ礫がたまらなければならぬのに、こちら側の上の方のここにも均等に、こっちの断層の下側の層と上の層にほぼ均等に礫というものがずっとあるんです。ですから、川によってそこが低くなったとかなんとかそんな話には全然ならぬということと、それによっても地すべりでないということがわかる。
 さらに、これが活断層であるというのは、(図面を示す)上の方の新砂丘のこの断層の差が、これが一番少ないところでは十五センチとか二十センチくらいでしかない。ところが、五メートルくらい下へ下がってまいりましたこの辺になってまいりますと、これが五、六十センチというふうにふえていくわけです。下へいくとさらにこの差というものが大きくなってくるわけです。つまり、この断層というのは数回にわたって断層が繰り返されていった、下の年代ほど古いわけですから。ということで、これが活断層を示しておるものである。これは、私どもも、専門家に分析してもらった結果、こんなものが地すべりだなんと言って、素人をごまかすのはともかくとして、そんなことで専門家がごまかされるわけがないし、よく地すべりだなんてことを言いましたねという話なんです。だから、そういうことで、私どもとしては東電側の資料に基づいてそういうことがはっきりした。
 いま地図を見ながらですから十分ではなかったと思うのですけれども、まとめて申し上げますと、東電と通産省の言い分をもう一回言いましょうか。どういう言い方をしているかというと、これは構造性断層でなくて地すべりだ。その理由を二つ挙げておるんです。
 一つは、西山油田地帯の主要な地質構造軸は北東から南西方向に向かっておる。この方向に背斜軸、向斜軸が並行している。したがって、新砂丘を切る断層というのはこの主要構造軸と異なっている。こういう言い方がまず第一点なんです。これは盛んにおっしゃっていたんです。
 それから第二点は、地表部をトレンチカットして断層線を追跡した結果、湾曲している。さっきの道の部分からずっと湾曲してきている。私たちもずっとその線に沿って歩いたわけですけれども、湾曲している。したがって、基盤岩の谷の地形と調和しており、地すべり断層を示している。こういう言い方だったんです。
 私どもは、この資料が入るまではそういう見方をしているのかと。しかし、あの荒浜全体の、いままでの油田会社の地層調査やいろんな調査結果から、われわれとしてはあそこに地すべりが起きるわけはないという確信は持っておったんです。確信は持っておったんですが、みずからボーリングした調査がないために、それになかなか十分な反論を加えるということはあの段階では若干水かけ論のような感じがしたわけです。
 そういう主張をされたことは間違いないでしょう。
#25
○説明員(逢坂国一君) 私どもの見解につきましては、昨年の一月、児玉審議官が述べたとおりでございまして、先生のおっしゃったとおりだと思います。
 なお、先生の資料でございますが、私どもを経由して先生に御提出した資料でございますので、資料の内容につきましてはよく承知しております。しかし、かかれました図でございますが、それはおつくりになったそうでございますが、問題は、ボーリングとボーリングの間隔が三十メーターくらいあるわけでございます。そういうものをどういうふうに結ぶかというところが問題でございまして、恐らく、それを直線で結ばれたことで、そこの断層の高低差があるからそこが断層じゃないかということで直角に断層を引かれたのではないかというふうに思いますが、それは正しくないと私どもは思っております。
 念のため、その後、私どもの見解はいままで安全審査会でよく議論された中央断層と同種のものであるということで考えておったわけでございまして、ただ、そういう図形をかいてみたときにどうなるのかという確認のために少しボーリングが必要ではないかということを私どもが示唆いたしまして、昨年の四月だったと思いますが、そのころに新たにボーリングを三本、ちょうど先生の御指摘のような直角方向に確認のためのボーリングをしたというふうに私どもは報告を受けております。その結果でございますが、それによりますと、判断の結果でございますが、スケッチによりますと、地すべり状の断層である、安田層の上の方にしか達していないということが結論づけられております。そして、その地すべりの状態につきましては、一般の地質学の地すべりの教科書に出てくるような生成原因であろうというふうに報告を受けておるところでございます。
 もう少し詳しくそういうふうなスケッチのできる過程を見ますと、問題は、安田層の中にどういう層があるかということで、その安田層とそれから西山層だけをちょっと結ぶというようなことではなくて、安田層が約四十メーター近くあるわけでございまして、そういう中に、鍵層と言っておりますが、その安田層は一様ではございませんで、砂利とか、植物性のものの腐植といいますか、そういうものがまざったいろいろな層がございます。それを鍵層と言っているわけでございます。それが四層ぐらいございまして、それを全部つなぎ合わせて、さらにその下の西山層との地層をつなぎ合わせるということをやりますと、そういうような先生御指摘のような図面にはならないわけでございます。
 私どもは、安全審査会以来、地すべり状であるということの見解につきましては何ら変わっておらないというふうに思います。
#26
○吉田正雄君 いまの説明を聞いておりますと、これは説明になっていないんです。私は、いま地図を示しながら概略幾つかの点でこれは活断層だということを申し上げたんですが、いまの説明では全然これは説明になっていませんから、もうちょっと一つ一つそれじゃ確認をいたします。
 一の、確かに構造軸が北東から南西方向に走っているということと、それからこの方向に背斜軸と向斜軸が並行しているんだというこの点については、事実がそうですからだれも否定し得ない。問題は、いままでの帝石等のいわゆる油田調査の結果から構造軸に直角ないしそれに近い角度で交差する胴切り断層が非常に多く確認されているわけです。これはここのところだけでなくて、その他、周辺にも多くの胴切り断層というものが確認されているわけです。これは教科書にも、いろんな本にも書かれているとおりなんです。したがって、発見されたいまの断層が胴切り断層であるという可能性というものはきわめて高いわけです。だから、東電や、今度は通産の見解になるわけですが、通産の見解は科学的な根拠が全然示されていない、これは独断的なものだと言わざるを得ないと思うんです。
 さらに、二の問題ですけれども、東電はかつて地表面であった西山層の上面が起伏に富んでいることの理由として、旧河川が浸食したためである、それは安田層基底、つまり西山層上面に見られる礫層によって明らかであるというふうな説明をしておったわけです。ところが、いま申し上げましたように、この東電からの資料ですね、ボーリングの柱状図をいま言ったように並べますと、そんな説明は全然できないと思うんです。掘られた範囲は確かに御指摘のとおりなんです。大体一辺が六百メートルと五百メートルというところに、海岸に並行方向に四十メートル間隔、それから直角方向に五十メートル間隔で全体として二百本近いボーリングが行われているわけです。用地全体とすると六百本になっているんです。
 そこで、いまのボーリング柱状図を見ますと、地表にあらわれておる新砂丘を切る断層の付近の地下で西山層の上面も、右側、つまり南側でマイナス三十四メートルからマイナス三十六メートルで、おおむね水平なんです。これに対して左側、つまり北側はマイナス四十二メートルからマイナス四十三メートル。つまり南側と北側では七ないし八メートルのギャップがあるんです。東電の主張のように、このギャップが河川の跡であり安田層堆積前のものであるとすれば、礫はマイナス四十二からマイナス四十三メートルの河床部分に堆積することはあっても、高い方の、堤防部と言えるのかどうかわかりませんが、その高い方のマイナス三十四からマイナス三十五メートルの上に河床部同様に礫が堆積していることの説明はつかない。高い方にも断層によって生じた低い方のところにもほぼ一様に礫というものがずっとあるんです。だから川底説というのは全然説明がつかない。この部分はどういうふうに説明されますか。
#27
○説明員(逢坂国一君) 礫があるかどうかということは、これは堆積をいたしましてその後隆起する、あるいはさらにまたいろいろなものが堆積して、その上にまた何層にもなるということでございまして、洪積層の時代の問題で、どういうふうにつくられたかというようなことは必ずしも川だけではないというふうに私は思っております。
 それからこれの調査、説明になっていないというおしかりでございますが、その後の追加ボーリングをやりましたということを私申し上げたのでして、先生の、ボーリングの古いもので、たとえば二点を結ぶのに直線で結ぶか、あるいは途中に段差を設けて結ぶかという高低差のある二点を結ぶやり方が、いろいろ線は引けるわけでございますが、それはそこの西山層だけを見てやるものではなくて、上層部のいろいろな層を考えて、鍵層と申しましたが、そういうものを総合判断してやるわけでございまして、その層が何層あるか、二本の間に何層あるかということでその層がどういうふうな高低差になっているかということを判断して結んでいるわけでございます。ですから、恐らくその結び方について問類があってそういう結論になられたのじゃないかというふうに私は思っております。
#28
○吉田正雄君 いまのも説明になりませんよ。昔の古い時代のことだからどういうふうに礫が堆積したかというのはよくわからぬけれどもと、こうおっしゃっていますけれども、川底部分というものとそれ以外の部分が全く同様の状況であるなんということは、これは川底部分の説明には全然なりません。これがまず第一点です。いまのあなたの説明だと全然私の質問には答えていないですよ。いいですか。これはいかなる層にあっても川底部分と違うところの部分が同じ状況だなんということはこれはあり得ないです。
 だから、そういう点ではいまの説明は全然説得力を持たぬというのも、単にそういうこともあるだろうという推定でしかないということと、それから幾つかの層があって、一つの層だけ見るのでなくて幾つかの層の状況を見て判断しなければいかぬ、まさにそのとおりです。だから、私が先ほど指摘したように、上の方にいくに従って落差が少なくなってくる。ということは、下ほど落差が大きいということは、何回も断層が繰り返された活断層だということが言えるわけなんですが、その前に、これもはっきりしているんです。
 地すべりと言い得るかどうかということを別の観点から見ますと、透水係数、つまり水が地面にしみ込んでいく速度をあらわすもの。透水係数を見ますと、いまの用地内の西山層の場合には十のマイナス六乗から十のマイナス七乗センチメートル・パー・セコンドということです。安田層は十のマイナス五乗から十のマイナス七乗センチメートル・パー・セコンド。番神砂層は十のマイナス二乗から十のマイナス三乗。それから新砂丘の場合には十のマイナス一乗から十のマイナス二乗ということです。つまり西山層と安田層というのは不透水層、水を通さない層と言えるわけです、この数値からして。それから番神砂層の場合には難透水層。そして新砂丘は透水層。こういうことが言えるわけです。この数字からはそうでしょう。その点は間違いないでしょう。
#29
○説明員(逢坂国一君) いま話題になっております断層、小断層の付近の地層でございますが、一番下が西山層、これは泥岩でございます。それから安田層はいろいろな層に分かれておりまして、泥岩が主体でございますが、その間に砂礫層を含んでいる。それから下の方からいきますと泥岩、砂礫層、それから粘土層も一部入っておる。それから砂層、砂の層ですね、これが入っている。それですから、泥岩の中に一部そういうものがはさまれておる。それを、私が先ほど申しました砂層とか、それから粘土層、それから砂礫層、こういうものを鍵層というふうに私は総称して表現したわけでございます。そういうものを、いままでのボーリングされたものとそれから昨年の四月以降追加されましたボーリング三本とを足しましてそしてスケッチをしてみますと、まず砂礫層が五本のボーリングのほぼ同じレベルにあるということで、そこまでは較差はいっていない、段差がないということ。それからその上の粘土層、二層ございますが、そういうものもほぼ同じレベルにあるということで、ずっと上までつないでいきますと、安田層のわずかちょっと入ったところでこの地すべりの断層がとまっているということがわかるわけでございます。そういうことで、これは地すべり状の断層であるということを再三申し上げているところでございます。
#30
○吉田正雄君 そのいまの説明も、上の方にいって地すべりの状況を示しているというふうな、下からずっと言われていますけれども、全然それは問題にならぬでしょう。説明になっていませんよ、先ほど来繰り返し言っているように。
 それじゃ、先ほど私が言った透水係数、その係数によって大体不透水あるいは難透水あるいは透水層というふうな分け方、これは大体通用するでしょう。皆さんもそれは認められるでしょう。
#31
○説明員(逢坂国一君) そのとおりでございまして、安田層の境目のところまでが水を通さないといいますか、ある重力がかかりますと地すべりがします。その基盤の地すべりするところの層というのは、水の透水性がどうかということで滑るか滑らないかという、もとが残るかどうかということで分かれるわけでございます。そういう意味で、いまの考えられる断層というのは、重力が低い方に下がりまして、下がって間があきます。あくとここに断層が一つ出るわけでございますが、もう少し下がると今度反対側の上の方が落ちてくる、そうするとこちらに一つの断層ができるということで、これは地すべりの教科書にも、私も調べましたけれども、そういう典型的なU字型の断層になっているということでございます。
#32
○吉田正雄君 それも説明になっていないし、それから私の時間もありますから、私の質問に端的に答えてもらえばいいんです。質問でないことを答えたって全然かみ合わぬわけです。私がいま聞いたのは、透水係数によってこれは難透水であるとか透水であるとか、そのことだけまず聞いてその次に移ろう、それに基づいて聞こうとしているのに要らない説明をやっておいでになるのでね。
 そこで、それじゃ、地すべりというのはどうやって起こるんですか。新潟県は地すべり多発地帯なんです。これは柏崎あたりでは余り地すべりなんか起きていないんです。地すべり地帯というのはもっと別のところなんです。一体地すべりはどうやって起こるのか、ちょっとお聞かせください。
#33
○説明員(逢坂国一君) 地すべりの原因にはいろいろあろうかと思いますが、一番典型的なものは表層にやわらかい層がございまして、そして雨などで水分が入りますとそこの粘着力がなくなりまして、それで滑るということだと思います。
#34
○吉田正雄君 その点は全くそのとおりだと思うんです。だから、新潟県はいま申し上げましたように地すべりの多帯地帯なんですけれども、土中の間隙水圧の上昇で土が粘着力を減少して生じていくというのはいまおっしゃったとおりで、この点は異論がないところなんです。
 そうやって考えますと、新しく発見されたいまの断層というものは、透水係数の著しく異なる新砂丘、古砂丘、そして安田層を同時に切っているんです。そうすると、地すべりとすれば、これは土中水の供給の説明というものがつかない。しかも、一番基盤の方からのところが、いま言った地すべりを起こす水との関係が全然ないわけです。だから、いま言ったいわゆる地すべりを起こす原因として考えられるのが上の新砂丘であるとか古砂丘であるとか、そういう水が浸透してくるというところで起こるなら話はわかる。ところが、そうではないわけでして、安田層まで同時に切っている。この安田層は、いま申し上げたとおり、十のマイナス五乗から大体十のマイナス七乗、細かく言えばその途中にいまあなたが言ったような少しずつ違っている層もありますけれども、安田層全体としてながめた場合にはいま言ったような透水係数なんです。そうすると、学術的にいま言った地すべりというのはこのところでは起きてこない。これをどういうふうに皆さん方は説明されるんですか。
#35
○説明員(逢坂国一君) ですから、安田層を全部切っているということではなくて、安田層の上層部、上の方だけ削られているというのが私どものこのスケッチの状況でございまして、先生のおっしゃるように、安田層と番神砂層との差で番神砂層の方が動いているということは明らかでございますが、番神砂層の動くときに摩擦をするわけでございますので、安田層が全然削られないということはないわけで、動くあれによって少しは削られるというのがこれは常識かと思います。
#36
○吉田正雄君 そこで、私は先ほど皆さんに東電のこの図を見せたでしょう。(図面を示す)上へいくほど、あなたのいまの説明ですと番神砂層までは切っているけれども、安田層というのはほんの上層部しか切っていないという言い方をされていますけれども、そんなことないですよ。これは東電の出された資料のどこの部分をとってみてもこういうぐあいに全部、上から新砂丘、古砂丘、それから今度は安田、それから西山層となっているんですが、全部切っているんですよ。下へいくほどこれは大きくなっているんです。地すべりが起きるはずのない粘土質のこういう不透水系や岩盤のところで地すべりが起きるわけないです、これはだれが考えたって。だから、この柱状図を専門家に見せてこれを地すべりだという専門家は一人もいない、私どもの聞いた専門家では。しかも、当初東電が言っていたときには、こういう断面図でない説明をしたんです、さっき言ったように。ここが上、こちらが断層を生じた下の方とすると、こういう柱状図を横に並べていますから断層なんか見えないですよ、これは。ところが、こっちとこっちのところをこういうふうに、ボーリングのあれを並べるとこうなるわけです。これは全部どこの部分をとったって、東電が出してくれた資料では全部そうです。しかも、いま言った各層の透水係数というものを見れば地すべりの説明なんというのは全然できない。しかも、年代によって断層の厚みといいますか、断層の差ですね、これがさっきも言ったように変わってきているんです。だから、地すべりの説明なんて、これは専門的な方に言わせたら、これはだれが考えたって無理な押しつけの説明というふうにしかとれないんですが、どういうふうに説明されますか。
#37
○説明員(逢坂国一君) その図面を判断してということが出発の、意見の食い違いだと思います。私どもの念のためやりました、そういう追加ボーリングを加えてのスケッチによりますと、安田層の表層、安田層のごく一部しか削られていないということでございますので、そういうふうな図面をかいた上で専門家に聞かれると、また違った意見が出てくるのじゃないかというふうに私は思います。
#38
○吉田正雄君 どうもいまの説明だって全然あれですよ。上の方は断層というか、それがはっきり差がある、だけども、下へいくというとわずかだとか、見られないところもあるという言い方でしょう。見られないところがあるじゃないですよ。東電の資料ではどこを見たってこれは明確にはっきり出ておって、さっきも言ったように、上部の新砂丘の下面、つまり古砂丘上面の黒い色をした土のところがあるんですが、そこでは落差が二十センチメートル程度なんです。いいですか。上は二十センチ程度。ところが、今度は古砂丘の上面から五メートルの下付近では今度は数十センチメートルというぐあいにふえていっているわけです。落差がふえているわけです。これは下へいくほどないとか、少ないとか、あるいはなくなっているとか、そういう説明じゃないですよ。これはどこを見たってみんなほとんどがそうなんです、この図面は。並べ方が変も悪いもないですよ。いまおっしゃるのも説明にはならない。だから、これは活断層であって、それも一回ではなくて、数回の断層活動というものがあった。だから、変位量というものが古い層ほどこれは積み重なっていくから、下ほど変位量というものは大きくなっていくということなんで、単なる一回の地すべりで出たとか上からかぶさってきましたとか、そんな説明がつくこの柱状図による断面図ではないんです。だから、繰り返しあなたが説明されていますけれども、ちっとも納得できる説明にはなっていないんです。だから、そういう点でもうちょっと納得できる説明……。
 それじゃ、これをお願いしておきたいと思うんですけれども、ここに出された図面というのは四十九年の十一月から五十年二月にかけてボーリングをやられた資料なんです。それを私どもが一昨年行ったときに出してくれということで出してもらった資料なんです。ところが、さらにその後もボーリングをずうっとやっておいでになるのでして、そこで、この以後の、さらにボーリングをずいぶんやられていますから、そのボーリングの資料というものをひとつ出してもらいたい。そうすればなおさらはっきりすると思うんです。とにかく、私は柏崎のボーリングの状況を見ますと、他の原発建設地と比較して異常なほどにボーリングの本数が多いんです。これは他の地質学者にも聞いてみたんですけれども、こんなにたくさんボーリングをやるなんというのはちょっと考えられない、異常じゃないかというくらいやっている。それは東電側に言わせれば、いや、地元住民からの地盤が悪い、活断層があるという指摘があるものだからそれにこたえるために非常にたくさんやっているんだ、こういうまた逃げの説明があるいはなされるかもわかりませんけれども、指摘されるたびにボーリングの数がふえている。さらにまた、後ほど第五号機の予定地の質問でその点に触れたいと思うんですけれども、どうですか、いま言ったその後のボーリングの柱状図ですね、これについては資料として東電の方からもらっていただいて、こちらへ出していただきたいと思うんです。
 この点について、もうちょっと通産省に聞きますと、私たちが二回目の調査に行ったときも、いまの掘削している現場、いまのここの断面のところをずうっと行ったときですが、事前に通産省側に言ったらなかなか資料がもらえなかったんです。現地へ行って、現地での話の中で資料を全部出してくださいと言ったら、環境影響評価から私どもが言った資料というのは全部出してくれたんです。その後、さらにまた別の追加資料があるということがわかりまして、私は通産省にそれを東電の方からとってくれないかということを言ったんですが、なかなか歯切れのいい回答でなかったんですが、その後東電の方から見えたものですから、私の方で、とにかく安全審査の資料については隠すこと自体問題なんで、まさに公開された安全審査でなければいけないから、そういう点で無用な揣摩憶測を封ずるためにも資料というものは全面公開すべきじゃないかと言ったら、わかりました、私どもはその考え方です、おっしゃればいつでもお持ちしますと、こう東電は答えたんです。私どもが東電に直接言うと受けてくれる。ところが、通産を通じますとなかなかそこがうまくいかないということは、通産が電力会社に対してそれこそ余りにもそんたくし過ぎた、遠慮といいますか、私はそういうものがあるのじゃないかという感じがするんです。そんなことはないと思いますが、いずれにしても、これはよろしゅうございますか。
#39
○説明員(逢坂国一君) 小断層につきましての、先ほど来の先生の御意見と私の説明が食い違っておりますのは、まさに資料の取り扱いといいますか、そのことであろうかというふうに思いますので、この件につきましては、責任を持って先生の方に追加ボーリングの資料とあわせて御説明に伺いたい、そのように思っております。
#40
○吉田正雄君 これは単に一号機だけに関係した問題じゃなくて、すぐ隣に今度は二号機が予定されておるわけです。それだけに私は、地盤、地質の問題については、ここで本当に徹底した審査というものを行わないと悔いを後に残すことになる、取り返しのつかないことになるのじゃないかというふうに思うので、当初聞きましたが、もう一回お尋ねしますけれども、来月と予定されている完成した後というのは、炉心部のあの掘削が完成していよいよ基盤工事に本格的に入っていくんですけれども、その審査は一体どれぐらいかけていつごろその審査を終了される予定なのか、それから現地にはどういう専門家を派遣するのかということをお聞かせ願いたいと思います。
 それからこれも科技庁の方に、でき上がってしまってから地盤検査しますと言ったってそれはできっこないんです。これはまさに機械と違いまして、掘った跡に建物が建ったのじゃこれはどうにもなりませんから、そういうことで、私は、原子力安全委員会としては通産が最終的に行うこの検査に立ち会わなければチェックはできないと思いますので、その点はどのように考えておいでになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#41
○説明員(逢坂国一君) 検査につきましてはまだ申請がございませんので、具体的にどういう人間がどうやるかということはまだ最終的に決まっておりません。一般的に申し上げますと、申請が来ますと、各通産局には土木の専門検査官がおりますので、そういう検査官が立ち会うことになろうと思います。
 それから実際の処分でございますが、検査は現場で判断するというのは原則にしております。
#42
○吉田正雄君 今回が地盤、地質の調査は初めてじゃないわけです。皆さんの方の専門審査会の柏崎部会等もあったりして、いままで何人かの方が何回か、大して回数は多くないんですが、行っておいでになるわけです。これは大臣にも聞いておいていただきたいのですけれども、安全審査会は委員が一人くらいしか出席しないで開かれていることがあったんですね。出席率が悪い中で開かれている。逆に言うと、私は、官僚主導ペースの中で、担当者の書いた安全審査の評価、下書きですね、そういうものをぼくは委員の皆さんがうのみにしているような、十分な審査体制がとられておらなかったのじゃないか、これは前にも指摘したことがあるんです。その委員の出席状況がどういうふうな状況であったのか、その資料も出しなさいということで資料も出してもらって見たのですけれども、出席がよくない。そういう点で今度の調査というのは私は非常に重要だと思いますので、今度は安全委員会としても通産の最終的な審査に立ち会う十分なひとつ体制をとってもらいたい。きょう午前中これだけ論議しても全然納得できないんです。どう聞いたって納得できない。説得できる説明ができるようなそういうひとつ審査体制というものをつくっていただきたいと思うんです。
 そこで、最後に、五号炉にかかわる問題でお尋ねいたしますが、五号炉は大体どこを予定されておりますか、おわかりですか。
#43
○説明員(西中真二郎君) まだ詳細なことは聞いておりませんけれども、いまの一号炉、二号炉より東の方向であるというふうな大ざっぱな話は聞いております。
#44
○吉田正雄君 これも私はおかしいと思います。いいですか。通産省が、実用発電炉については今度は第一次的に安全審査について責任を持ってやることになっているわけです。だから、各電力会社が施設計面を出すその段階からどういうものであるかということは常に留意していなければならぬわけでしょう。しかも、柏崎の場合は現に一号炉の建設がどんどん進んでいるんです。しかも、施設計画の中には二号炉と五号炉というのが発表されたわけでしょう。地元にも説明しているんです。ところが、通産省が、さあどの辺になるかよくわかりません、おおよそあの辺じゃないですかなんというあいまいな答弁では困るんです。私がこれから論議しようとしても、いや、そこになるかどうかわかりませんでは、これは質疑にならぬわけです。多分御存じのはずです、これは地元でもみんな新聞にも発表されておりますし。
 その情報によれば、いまの五号炉の建設予定地というのはかつての一号炉の建設予定地であるということなんです。つまり用地北東部の嶽の尻という地点なんですが、その嶽の尻地点につくる。いまの一号炉はそこに建てる予定だったのが青山地点に変更になっておるんです。
 この変更になった説明、これは私は委員会でも言ったんですが、大臣がかわりましたからこれは聞いておいていただきたいと思うんですが、この一号炉がいま言った今度の五号炉の予定地から現在のところに変更になった理由を東電側はどういう説明をしたかといいますと、工事建設用の道路というのが海岸を県道が走っているんです。それが五号炉予定地ですと柏崎市から遠いということで、近い方が建設に便利だから柏崎市に近い方の青山地点に持ってきたんだ、あるいは県道の迂回路をつくる、あるいは港をつくるという場合にも柏崎市に近い方が便利だというふうな言い方をしておったんです。
 ところが、嶽の尻、今度の五号炉の予定地点の試掘坑は地盤が劣悪で落盤がひどく掘削が中断されているといううわさがその当時飛んだり、あるいは出水がひどくて掘削できないというふうにその当時言われたんです。ですから、地元住民としては、非常に地盤が悪くて、あんなところへ一号炉が建てられたら大変なことになるだろうといって、指摘もされたりしていた。実は一遍に変わったのじゃないですね。もう一カ所それではこの辺と言ったんですが、またそこも地盤が悪いじゃないかと言われて現在のところへ移ってきたという経過があるわけです。
 いま言ったようなうわさを裏づけるものとして、これは今度現地へ大臣に行っていただくとわかると思うんですけれども、この地表部に安田層とそれから古砂丘が断層によって接している部分があらわれているんです。そしてその断層地形を物語るくぼ地が海岸からほぼ海岸線に直角にずうっと入っておるんです。(図面を示す)これは上の方が海岸ですけれども、この黄色い部分が原発用地です。そして赤い点線がずっと二本通っておりますが、ここの部分がくぼ地になっているんです。ここの、海岸の近くのこの辺がいわゆる嶽の尻地点というふうに言われて、ここが五号炉の建設予定地だと言われているんですが、ここのところに、いま言ったようにこういうくぼ地がある。ところが、これが単なるくぼ地でなくて、いま言ったように安田層とそれから古砂丘が大体十メートルくらいの落差になっているんです。だから大変な断層ではないかというふうに思っておるわけです。
 さらに、何でそれじゃ、断層があるのじゃないかと言って指摘されている危険なところに建てるのか。それからいまの一号炉もそうです。あれだけ炉心近くにわれわれの言う断層があるのに建設を強行しているのは一体どういう理由なのかということなんですけれども、これは私は前の質問でも繰り返し指摘しておいたんですが、(図面を示す)実は、この一番の基盤になる西山層が、ここのいまの一号炉とこの五号炉のところで一番高いんです。ほぼ海面と同じくらい、海抜ゼロメートルくらいなんです。これでも高いんです。ところが、その他の地点というのは、敷地中央部ではこの西山層が海面下マイナス四十メートルなんです。非常に低いんです。ですから、この辺が仮に断層がないとしても、そんなところに原子炉をつくるということになるというと物すごく掘らなければいけない。ところが、いまの一号炉の場所とかそれから今度の五号炉の場所というのは、西山層というのはほぼゼロメートルなんです。そうすれば掘削する必要がないです、一番の基盤がそうですから。
 さらに、海岸線から海中にかけて現在ずうっとボーリングをやっているんです。海中にまでやっているんです。何で海中にやっているかというと、いま言ったようにここが一番高いということで、ひょっとすると今度の五号機というのは海中にまで出っ張った中で建設されることになるのではないかという憶測までいま出ているんです。それはなぜかといえば、いま言ったように、そんなに深く掘り下げるということがないわけですから建設費用が物すごく違うわけです。これはいまの一号炉はそうでしょう。当初二十メートル掘る予定だったのが――地盤が悪いからなんですよ、何と否定されようと。当初の予定二十メートルでいいものを四十メートルまで掘り下げて、しかも基盤は七メートルとか七メートル半というコンクリートを敷き詰める、その上に建てるということになっているんです。だから、皆さん方がどう否定されようと、事実としてはそうせざるを得ない建設状況にいまなっているわけです。そういう点で今度の五号炉予定地も建設費用を安くするために、断層が近くにあるのだけれども高いところにつくる。ですから、場合によっては海中へある程度張り出していくかもわからぬということがいま言われておるんです。そういう点で私はそういうことになると大変じゃないかというふうに思うわけです。
 しかも、この地点はこういう状況になっているので、これは通産省、よくひとつ、皆さん余り現地へ行かれないで書類審査だけしかやられないですから、私がここでいま問題点を指摘しておきますので、そのことを頭に置いて、単なる書類審査でなくて現地へ行って十分実地調査をやってもらいたいと思うんです、いずれ今度電調審にかかってくると思いますから。
 そこで、いまこの用地全体があるところというのは、俗に言う荒浜砂丘なんです。(図面を示す)鯖石川を南西端として、幅は大体二・五キロ前後で、海岸線にずうっと沿って約六キロメートルくらい続いているわけです。高さは大体六十メートルくらいから八十メートルくらいの高さになっている砂丘なんです。黒松が自生しておる。その五号炉用地というのは、いま言った一番北東端のところにあるわけです。この嶽の尻海岸からこの海岸に直角に三百メートルの幅でくぼ地がずうっと砂丘を横断しているんです。この荒浜砂丘の高さはさっき言った六十メートルから八十メートルで大体一定しているんですけれども、このくぼ地部分の三百メートル間というのは三十メートルから三十五メートルしかないんです。しかも、このくぼ地に池が点在しておって、干ばつの年にも水がれがないんです。つまり、このくぼ地は真殿坂断層の胴切り断層の一つによって形成されておるというのがわれわれの見解なんです。しかも、この活動が新しくかつ非常に大きいために砂丘にまで明瞭なリニアメントが見られるんです。それを裏づけるかのように、くぼ地の延長線上の嶽の尻地点海岸露頭に、さっき言った安田層と番神砂層が十メートル以上の落差で接しているということなんです。
 そういうことを私は念頭に置かれて、今度二号機、五号機の電調審上程、そして安全審査という段階では、この一号機のときのように幾ら質問しても説明にならない説明、納得し得ないそういう説明にならないように、私はやはりきちんとしていただきたいと思うんです。しかも、ボーリング調査のときに、私の方で指摘したように、これは川内原発でもそうでしたけれども、あのボーリングのコアの差しかえを行ったということで、やったという人までが国会へ来て証言しておったわけでしょう。柏崎の場合にもあったんです。私はこの委員会で指摘した。ただ、そんなことがわかるとその下請会社は仕事をもらえなくなってつぶれてしまうだろう、だれがそんなことを言ったというまた犯人捜しが始まるだろうということも私はこの委員会で言ったんですけれども、そういう企業機密の名において危除なことを隠すインチキが行われるというふうなことがあったら私は大変だと思うんです。そういうことで、私は、今度の二号機、五号機の安全審査に当たっては、いま指摘され、批判されているようなずさんな安全審査ではなくて、やっぱり十分説明のできる、納得させ得るそういう安全審査でなければならぬと思っているんです。
 そこで、二号機、五号機の電調審上程は大体いつごろの予定になっておるのか、電調審がいつごろ開かれる予定なのか。今度の電調審にこの柏崎の二号機、五号機、さらには巻の一号機の上程を予定されておるのかどうか。それに伴って通産省主催の第一次のいわゆる公開ヒヤリング、こういうものは大体いつごろ予定されておるのか、それをお聞かせ願いたいと思うんです。
#45
○説明員(西中真二郎君) 先生御承知のように、電気事業法に基づきます昭和五十五年度の施設計画が東京電力から出ておるわけでございますけれども、その施設計画によりますと、柏崎・刈羽の二号機、五号機の電調審の上程は、一応本年七月というふうに、希望と申しましょうか、届け出がなされておるわけでございます。ただ、これは先生御承知のように電力会社の方で希望しておるという意味での計画でございまして、すでに七月ということで確定しておるというふうなものではございません。いつになるかということでございますけれども、今後の地元の状況でございますとか、あるいは環境審査に手をつけたわけでございますけれども、その環境審査の進捗状況でございますとか、その辺の様子を見ながらいわば時期が決まってくるということになろうかと思います。
 なお、最近、電調審は特に何月に開くということではございませんで、案件が煮詰まってくれば、そこでもちろん委員さんの御都合その他はおありだと思いますけれども、案件が煮詰まったらそこで開くというふうな運用でいたしておりますので、特に現在のところ、七月でございますとか、あるいは早くなるとか、それよりおくれるとかというふうなことが確定するというふうな段階ではないわけでございます。
 この点につきましては、もう一つ御質問がございました巻の方も同様でございまして、巻もやはり東北電力は七月という希望で施設計画を提出しておりますけれども、これにつきましても現在私どもといたしまして、いつになるかということをはっきり申し上げるというふうなポジションにはないわけでございます。
 それから公開ヒヤリングの方でございますけれども、これは電調審の前に当然やらなくてはいかぬということになるわけでございますが、何分、まだ第一次公開ヒヤリングをいままでいたした経験もございませんで、いろいろ詰めなくてはいかぬ点も残っておりますし、あるいは地方自治体との十分な意見交換というふうな問題もございまして、そういったふうな過程を経ながらスケジュールが決まってくるということでございまして、現在まだ確定的なスケジュールは私ども自身持っていないというのが正直なところでございます。
#46
○吉田正雄君 それじゃ、時間の関係もありますから、ついでにもう一点お聞きしておきたいと思うんですが、この二号、五号機の増設に伴う環境影響調査書というものを東電がまとめて、そして今月の二十六日に柏崎市の市民会館で東電主催による説明会が開催されるということになっておるということが報道されておるわけですけれども、環境影響調査書については、通産省としてもこれは事前の安全審査の一つの重要な資料になるわけですから、この点については十分審査されたといいますか、通産省なりの評価をされたのか、あるいは東電の影響調査に、通産省側としてはと言ったらいいか、国側として影響調査にどの程度かかわってこられたのか、そのことをお聞かせ願いたいと思うんです。
#47
○説明員(西中真二郎君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘ございましたように、東京電力の方でいたしました調査書が、たしか四月の十七日、昨日だったかと思いますが、通産省の方に提出されまして、本日から五月十日まで新潟の方で縦覧されるということになっております。それで、二十六日に東京電力が主催いたしまして説明会を行うというのは御指摘のとおりでございます。
 審査でございますけれども、これはきのう通産省に出てまいったわけでございまして、これから審査をする。それから東京電力が縦覧いたしまして、あるいは説明会をいたしまして、それに対する住民の方の意見というのが五月二十日までの間に出てくるということになっておるわけでございますけれども、その住民の方々の御意見というふうなものも踏まえましてこれから通産省が審査してまいるという運びになろうかと思います。
#48
○吉田正雄君 私は、この環境影響調査の説明会にしてもヒヤリングにしてもそうだと思うのですけれども、私たちは、本当に住民の意見を聞く真の意味での民主的な開かれたものでなければ、公開ヒヤリングにしろ説明会にしろ意味がないのじゃないか、単に形式だけ踏めばいいということであっては地元住民が反対するのは当然だ、そういうものであるならばわれわれも賛成できないということは従来からも繰り返し主張してきたんです。ところが、今度の影響調査書というのは六百ページにも及ぶ非常に膨大なものなんです。それを隣接十一市町村の十三カ所に出して、ごらんくださいということになっておるわけです。けれども、現実問題として、一人の人が本当によく見ようとしたら、大ぜいの希望者があったら、一人で六百ページを独占しちゃうことになって、とてもそんなことは不可能です。また、勤務を持っている人たちはそんなに暇人じゃないわけですから、朝から晩まで六百ページの膨大なものを読んで、どこに問題があるかなんというのを個人的な力量で検討するなんて、これも事実上不可能なことなんです。だから、住民がこれは単なるセレモニーじゃないか、そういう言い方をするのは私は当然だと思うんです。こういう点での改善ということについて何か考えておいでになるんですか。
#49
○説明員(西中真二郎君) ただいまの環境影響調査書でございますけれども、確かに御指摘のように非常に分厚いものだというふうな問題はあろうかと思いますが、これは概要を記載いたしましたパンフレットをつくりまして、東京電力の方で三万部ほど作成いたしまして、柏崎市とかあるいは刈羽村の全戸に配布するというふうなことを考えておるということを聞いております。
#50
○吉田正雄君 そこで、前にもあったんですけれども、要点だけ記したというのは結論しか書いてないわけです。この点は心配ありません、この点は心配ありませんと言って。どういう調査に基づいて評価をして安全なのか、心配はないのかというその経過というのはわからぬわけでしょう、東電が配るその要点というのは。そういうことで地元住民としては、みんながみんなということではないですけれども、ある程度限定したものを資料要求したらくれてもいいじゃないかということも、前にもそういう話が出ておったんです。先回は、私どもが一昨年行ったときにそのことも要求して東電側からいただきましたけれども、もう少し部数をふやすなり幾つかの部数に限って、要求があったらそれじゃ資料はお分けしますというふうな、場合によっては有料であってもお分けしますというふうな制度を考えたらいかがなんですか。
#51
○説明員(西中真二郎君) 現在のところは分厚い資料の方はその場で縦覧していただくということで考えております。
#52
○吉田正雄君 それでは困るので、いま言ったように改善策を講ぜられたらいかがですか。どうしても必要経費を取るというならそれは取ってもいいじゃないですかといま言っているのですが、検討する気はないですか。
#53
○説明員(西中真二郎君) まことに申しわけございませんが、実は私、環境審査自体を担当の課長でございませんが、きょうはこの担当の課長が参っておりませんので、その課長によく申し伝えておきたいと思います。
#54
○委員長(塩出啓典君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#55
○委員長(塩出啓典君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#56
○吉田正雄君 午前中に引き続いて質疑を継続いたします。
 提案されておる例のロンドン条約にかかわる規制法等の改正案ですが、外務省おいでになっておりますでしょうか。――当初に外務省にお尋ねいたします。
 ロンドン条約を審議する国際会議に、わが国からはどなたが代表として参加されましたか。
#57
○説明員(井口武夫君) これは準備委員会からございまして、実は七一年の六月でございますが、そのときに人間環境会議の準備委員会の海洋汚染部会というのがロンドンで開かれまして、そのときの日本の代表は、ただいま儀典長をなさっておられる中島大使がロンドンの公使で加わりました。それから七二年の人間環境会議で審議されたときは、当時の環境庁長官の大石大臣が行かれておりました。それから七二年十一月のロンドンの採択のときは、当時ロンドンで高橋公使、ただいまニューヨークの総領事をしておられる高橋公使が参画いたしました。それから随時外務省の担当課長、あるいはその他環境庁、運輸省等の関係官も出ておりました。
#58
○吉田正雄君 現在は、加盟国といいますか、批准国と未批准国と言ったらいいのでしょうか、これはどんな状況になっておりますか。
#59
○説明員(井口武夫君) これは、当時の会議に参加した国は八十カ国くらいございまして、署名した国は五十三カ国でございまして、わが国も入っておるわけでございます。
 それから現在締約国、批准して締約国になっておる国は四十三カ国ということでございます。
#60
○吉田正雄君 ところで、この条約審議の際、開発途上国からは、投棄以外の汚染も全面的に防止することを締約国の義務にすべきだという主張がなされたけれども、一部の国の反対によって投棄による海洋汚染の防止、規制というきわめて限定されたものになったということが言われておるわけですけれども、その審議経過がどうであったのか。もうちょっと申しますと、そういうふうに全面禁止にすると核実験などによる汚染も規制の対象になるのではないかということで、核保有国の一部がそれに強く反対したというふうなことが言われておるんですが、その辺のいきさつと、それから反対国はどこであったのか、これはおわかりだろうと思いますので、その辺の審議状況をお聞かせ願いたいと思います。
#61
○説明員(井口武夫君) これは実は、海洋投棄規制条約の主導権をとりましたのは米国でございまして、さらに別の観点から推進したのはカナダでございます。実は七一年の六月にロンドンの海洋汚染作業部会で、米国がオスロ条約を参考にいたしまして、当時オスロ条約というのは、北極海、大西洋における海洋投棄を規制する地域条約案が審議されておりまして、実はノルウェーの探検家のハイエルダールも来ておりまして、非常に海洋の汚染のことを先進国が特に心配したわけであります。実は私が一緒に出ておりましたので、よく知っておるわけでございますが、それで途上国は、まさに海洋投棄とか公海における汚染管理とかいうことは当時意識がまだそこまで成熟しておりませんで、むしろ国連の海洋法会議の方で実は二百海里の汚染防止ゾーンをつくるという審議が行われていたときでございまして、どちらかと言えば、沿岸国の管轄権拡大というものを目指す途上国が、むしろ沿岸から二百海里の汚染防止水域というものを設けて、そちらで海洋法会議の方を固めるのが先決ではないかという主張が出た経緯はあったかと記憶いたします。
 しかしながら、それはそれで沿岸国の管轄権というものを決めて、さらに陸上汚染源というものについても国際基準をつくる。海の汚染の大きな原因は陸上汚染でございますから、陸上汚染源についても何らか国際的基準をつくろう。ところが、陸上汚染の問題になりますと、これは大変ないろいろ問題がございまして、ストックホルムの人間環境会議でも単に一般的なアクションプランとか勧告とかそういうものでございまして、結局、沿岸管轄権を拡大して海洋汚染を取り締まるのは海洋法にゆだねる。むしろ人間環境会議で非常に重視されたかけがえのない宇宙という御存じのとおりのスローガンがあったわけでございまして、その場合に、公海というのは自由であるから廃棄も自由であるというようなことではいけない。それには公海の投棄を原則として禁止する、あるいはきわめて厳しい条件のもとに特別に許可するというような制度で、国際法上自由であったものをむしろ基本的に規制しようという主張が人間環境会議で強く出て、それで米国の条約案をカナダ等がさらにいろいろ直したりしまして、二年にわたる交渉をやってできた。実は後進国は交渉の過程においてむしろ全面的にこれを支持するということでございまして、反対というような態度はとらなかったというふうに記憶しております。
#62
○吉田正雄君 端的にお尋ねいたしますが、この条約の精神というのは、陸上廃棄物の投棄を全面的に禁止して海洋汚染を防止しようとするのがねらいなのか。それとも一定の基準と規制のもとにある程度の海洋投棄を、むしろ汚染を承知の上で認めることをねらいとしているのであるのかどうか。これはどちらにウエートを置いて考えた方がいいのか、お聞かせ願いたいと思うんです。
#63
○説明員(井口武夫君) その点に関しましては、やはり廃棄物というのは出てくるわけでございますから、産業廃棄物等、結局どこかに処理しなければならないということでございまして、むしろ従来は自由に投棄できたものを国際的に基準をつくり、有害、有毒なものは禁止する、それからそういうものでも厳重な処置をして、それが海洋環境というものを汚染あるいは破壊するようなことがなければ一定の条件のもとに許可しようということでございまして、やはり国際的な協力によって無害化する、あるいは危険のないようにした形で投棄そのものは一定の条件において認めるという考え方でございまして、そのために詳細な手続あるいは附属書I、II、IIIというようなものが規定されまして、さらにその後焼却に関する追加の附属書の改定というものがあるわけでございまして、無害化する、あるいは海洋環境を破壊しないというような注意を払えば投棄し得るという点は、むしろ先生の御質問の後者の考え方に立っているということであろうかと存じます。
#64
○吉田正雄君 科技庁はこの条約をどのように理解しておいでになりますか。
#65
○政府委員(牧村信之君) 私どもも、ただいま外務省から御説明があったように、そのとおりに理解しておるつもりでございます。
#66
○吉田正雄君 いままでの国内法でも電気事業者等については投棄できないわけではなかった、しかし投棄はしてこなかった。今度このロンドン条約の批准を契機として試験投棄から本投棄に踏み切っていこうという経過だと思うんですが、その点はどうなんですか。
#67
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のように、原子力施設から出てまいります低レベルの廃棄物については、かねてからその処分に当たりまして海洋投棄とそれから陸地の地中処分と申しますか、この二つがあるという技術的な研究開発を進めてきておったわけでございます。そこで、わが国といたしましても、海洋投棄とそれから陸地処分をあわせてこの問題に対処したいということで考えてきたわけでございます。そのために国内法の整備に当たりましても、当時ロンドン条約等の審議も進んでおりました、またロンドン条約を受けましてIAEAの技術基準も定められてきておるというようなことを背景にいたしまして、国内法の整備を図りつつ、計画としては試験的な海洋投棄を行い、その後に本格処分に移っていこうという計画のもとに進めてきたことは事実でございます。今回、この国内法の改正をお願いしております点は、そういう点からロンドン条約に加盟するために必要な国内法の整備のみをお願いしておるところでございまして、ある意味から言えば、この法改正をお願いすることによってわが国の海洋投棄を一層促進しようというふうな考え方のもとに行っているものではなくて、やはり私どもといたしましては、海洋投棄というものにつきまして十分に慎重な安全確保方策を立てつつ、また国際的にも認められた形で進めてまいりたいという考え方にはいささかも変わりがないつもりでございます。
#68
○吉田正雄君 陸上で処分する場合と海洋投棄の場合の汚染とかいうものを考えますと、海洋投棄の方が陸上よりも、よろしいという言い方は変でしょうけれども、何か利点が陸上と比較してあるというふうにお考えになっていますか。
#69
○政府委員(牧村信之君) 先生の御質問に端的にお答えできるかどうかちょっとあれでございますけれども、放射性廃棄物の海洋投棄につきましては、特にヨーロッパ諸国を中心に過去長い間行われておる実績もございます。そういうようなもの、あるいは国際的な基準も整備されておりますので、低レベルの廃棄物に限って行う手段としてはきわめて望ましい形であるというふうに言えるかと思っております。また、日本の国土を考えてみた場合に、国土の非常に狭いところであるというようなことから陸地処分をあわせ行うつもりでございますけれども、現在いろいろ調査研究を進めておりますけれども、非常に今後困難も予想されるということでございますので、日本の置かれた国情から言えばやはりこの二つを組み合わせて対処するのが最もいいのではないかというふうに考えておるところでございまして、この方針につきましては、昭和五十一年に原子力委員会が低レベルの廃棄物に関しましても一つの方針を打ち出してきておりまして、その線に沿いまして私ども安全を確保するという観点からの試験的な海洋処分をまず行いたいというふうに考えておるところでございます。
#70
○吉田正雄君 いまの答弁の中では、ヨーロッパを中心に相当長く行われてきておる、それからその実績や日本の国土というものを考えると海洋投棄がむしろ望ましいような発言があったと思うんですけれども、この点は非常に議論が分かれるところではないかと思うんです。
 そこで、その議論に入る前に、現在世界各国、とりわけ主要国と呼ばれる原発設置国でいま言った低レベル廃棄物の海洋投棄を実施しておる国は現在どことどこなのかということをお聞かせ願いたいと思うんです。
#71
○政府委員(牧村信之君) 現在、海洋投棄を現実に行っております国は、ヨーロッパにおきましてイギリス、オランダ、ベルギー、スイスの各国でございます。
 かつて行いました国といたしましては、ドイツ、フランス、米国がございます。たとえば米国の場合には、総量六万キュリー程度を大西洋、太平洋等に投棄した経験を持っておるわけでございますが、その後の輸送手段と申しますか、原子力施設が内陸に設置されておるというようなことで、経済的に非常に海洋投棄が高くつくというようなことからやめておるというふうに聞いております。また、フランスについても同様な考え方のようでございます。また、ドイツにつきましては、これも国内の内陸に岩塩坑という非常にこういうものを処理する適当な場所を持っておるということで、当面海洋投棄を実施する考えはないということを聞いておるところでございます。また、ソ連につきましても、これはむしろ海洋よりも陸地処分ということを中心に検討を進めておるように聞いているところでございます。
#72
○吉田正雄君 科技庁から出された「海洋投棄規制条約実施法案について」という資料集といいますか、参考資料のようなものがありますけれども、ここの中に、欧州における放射性廃棄物の海洋処分ということで、いまおっしゃったことが書いてございます。
 それからもう一つ、財団法人原子力環境整備センター、科学技術庁原子力安全局監修ということで「安全で確実な海洋処分をめざして」というPR用のパンフレットがつくられておるわけですが、これは御存じですね。これはどういう範囲にばらまかれたんですか。
#73
○政府委員(牧村信之君) 試験的海洋投棄を推進したいということで、三、四年前から漁業者の関係の団体に御理解を賜るためにいろいろ説明させていただいておるわけでございますが、最近、大日本水産会を窓口にいたしまして、関係漁業二十数機関が話を聞いてやろうというふうになってまいりましたので、この機会に海洋投棄というものはこういうことだということのできるだけわかりやすい説明資料をつくりまして御説明した方がいいということでございまして、環境整備センターがつくったわけでございますが、中身の確実性も確保したいということで、原子力安全局が監修して編集したものでございます。したがいまして、主として漁業者の方々に御理解を賜るためにつくったものでございます。
#74
○吉田正雄君 この説明の中で、「放射性廃棄物の海洋処分は、すでに、アメリカ、ヨーロッパの各国で行われており、約三十年の実績があります。」と、こういうふうに書いてあるわけです。最初にぽんと書いてあるんですよ。これを見ますと、ほとんどヨーロッパの原発を持っておる各国がずっと三十年もやってきたというふうに受けとめられますし、「アメリカ、ヨーロッパ」と、こう書いてあるものですから、アメリカも三十年くらい前からずっと海洋投棄をやってきておるというふうに第一印象としてはぱっと入ってくるんです。そして今度は表になったところを見ますと、一番下の注というところで細かい字で、「アメリカが一九四六年〜一九六九年に太平洋および大西洋で約六万キュリーの海洋投棄を実施したことがあります。」というのがちょびっとつけ加わっているわけです。だから、ばっと読んだ印象と注意深く読んだものではまるっきり印象が違うわけです。そこで、いまの説明でもイギリス、オランダ、ベルギー、スイス程度しかやってない。三十年前からというのはどこの国が三十年前からやってきたんですか。
#75
○政府委員(牧村信之君) アメリカが一九四六年から行っておるわけでございます。この間二十数年行ったわけでございます。そういうのを加味いたしまして三十年という表現を使ったものと考えております。
#76
○吉田正雄君 これはアメリカが一九四六年から六九年までやってきた、だからそれも合算してヨーロッパとつなぎ合わせて三十年間やってきた、こういう説明ですか。
#77
○政府委員(牧村信之君) 御指摘のとおりでございます。
#78
○吉田正雄君 ここでヨーロッパを中心に説明してあって、これはだれが読んでもヨーロッパで三十年というふうに見るんですよ。だから、ヨーロッパで実施したのは、いまここでは四国、そのほかにフランス、ドイツ、イタリア、スウェーデンも入っておりますけれども、一番古くからやったのはどこの国なんですか。
#79
○政府委員(牧村信之君) この表にも出ておりますように、一九六七年にEC諸国、オランダ、イギリス、ベルギー、フランス、西ドイツ、これらの国が共同してOECDの機構の中で海洋投棄を始めたのがヨーロッパにおける海洋投棄の歴史でございます。
#80
○吉田正雄君 私は細かいことを、余り重箱のすみをつつくようなことを言うわけじゃないですけれども、私は海洋投棄というのは非常に大きな問題をはらんでいると思うんです。三十年の歴史をおっしゃいますけれども、三十年の歴史を言ってみたって、アメリカではわずか四六年から六十何年までしかやっていない。ヨーロッパを言ってみてもまだ一九六七年から試験投棄を開始したという段階であって、ぱっと読んで受ける印象として、もう三十年以上もヨーロッパの多くの国やアメリカ等で全面的に行われておって、その結果全然心配がないのだみたような印象を受けるんです、これを読みますと。私は、とりわけ日本の場合にはまさに四周海に囲まれた漁業国でもありますし、二十海里時代であるわけですから、多くの漁業者が海洋投棄に積極的に賛成できかねるというのはこれは当然だと思うんです。ですから、同じPRするにしても、もう少し正確に、単に何か教宣していけばいいんだ、持っていくためには少しくらいの表現はというそういうことが、私は前々から繰り返し言ってきておるように原子力安全行政に対する信頼感というものを失わせることだと思うんです。そういうことで、こういう問題はまだ本当に結果が出ておる段階ではありませんし、なお、私は世界的な状況から見ても本格的に大量投棄に入れるそういう状況にはないのじゃないかというふうに思っておるものですから、これらの取り扱いについても私はやっぱり慎重にすべきではないかというふうに思っておるわけです。
 そこで、繰り返してもう一回お尋ねいたしますけれども、フランス、ドイツ、イタリー、スウェーデンが投棄を中止した理由をもう少し詳しく述べてください。
#81
○政府委員(牧村信之君) ただいま手元に細かい資料ございませんが、フランスにつきましては、国内に政府が指導して設けました廃棄物の処理場をつくっておりまして、最近におきましてもなお新しいサイトを決定したというようなことで、国内の陸地処分で処理する方針を出しておるところでございます。そこでフランスの理由としては、われわれがフランス政府の当局者等に伺ったところでも、問題は、原子力施設が内陸にあるために輸送に非常にコストがかかるので、陸地処分の方が安いので海洋処分をしないのだということを言っております。
 ドイツにおきましても大体同様の理由を挙げております。
 それからアメリカにつきましても、先ほど御説明しましたように、国内輸送に非常に経費がかかるために陸地処分でやっていきたいというふうに考えておるようでございます。なお、アメリカにつきましては、最近また海洋投棄につきまして非常に興味を出してきておりまして、過去に行いましたアメリカの海洋投棄したもの、これは当時行いましたのは二、三千メートルのわりあい浅いところでやっておりますので、それらを再度引き揚げて影響を調べるというような研究を開始したやに聞いておるところでございます。
#82
○吉田正雄君 アメリカの場合、いまアメリカ政府の正式な方針というのはどういうふうになっておりますか。
#83
○政府委員(牧村信之君) 国内に、すべての州ではございませんけれども、サイトを選びまして、そこに保管廃棄する方法を考えて、それを推進しておるというふうに聞いております。
#84
○吉田正雄君 私が尋ねたのは、かつて海洋投棄をやったものをその後アメリカは中止したわけです。同じ核大国であるソ連は全然やっていないわけです。ですから、先ほど投棄を中止した理由を少しお述べになったようですし、いままた国内輸送に経費がかかるからというふうなことも理由に挙げられたようなんですけれども、私はそれだけじゃないと思っているんです。アメリカが投棄を中止した理由はもっとほかにある。ほかにどうなんですか。それが理由ですか。
#85
○政府委員(牧村信之君) 私どもが聞いている範囲では、先ほど申し上げましたようにコストの関係であると聞いております。
#86
○吉田正雄君 アメリカが海洋投棄をやった段階で、アメリカ、カナダを初め漁業者の多く、あるいは環境団体が反対という非常に強い運動を起こしたことは御存じだろうと思うんです。そういうことは御存じないですか。
#87
○政府委員(牧村信之君) 全くそういうことがなかったということではないのはもちろん承知しておりますけれども、われわれがいろいろ聞きましたところでは、現在においてやめておるけれども海洋投棄をやらないつもりではないという話も聞いておりますわけでございますので、主としてコスト的な理由であるというふうに理解しておるわけでございます。
#88
○吉田正雄君 そこを非常に私は大事なところだと思いますから、もう一回念を押して聞きますが、アメリカ政府の方針というのは、単に州ごとに原発サイトに積んでおくのだという、積んでおくのだって、それはただ現状がそうだということだけであって、アメリカ政府の方針としては放射性廃棄物の海洋投棄について一定の方針を持っているんです。だから、さっきの話ですと、海洋投棄をこれからまたやるみたいなことにも受け取れるような、そしてそれは聞くところによるとというか、アメリカ政府の中にはそういうものがあるような説明があったんですが、それはどこからそういうことをお聞きになったんですか。
#89
○政府委員(牧村信之君) アメリカからは、実は先般来日本とアメリカの間で非エネルギーの分野における研究の協力の話が起きておりまして、アメリカのEPA、環境保護庁でございますが、EPAから海洋投棄の実施についての、日本が試験的な海洋処分をやるという話も十分知っておるわけでございますが、そういう研究についてお互いに協力し合っていこうではないかという呼びかけを実は受けておりまして、それぞれの研究成果につきまして情報交換をするという線で話し合いが進められているところでございます。そういうような機会にアメリカのEPAの考え方等も聞いておるわけでございますが、先ほど私がお答えいたしましたように、確かにアメリカでは国内に数ヵ地点設けまして、そこへ陸地処分しておるわけでございます。一九六九年以降停止しましたのは主として経済的な理由だったというふうに聞いておりますし、EPAのそのような動きから判断して、また向こうの担当者も必ずしも海洋投棄を行わないのだという方針ではないというふうに非公式ながら聞いておるところでございます。
#90
○吉田正雄君 アメリカ政府の放射性廃棄物の海洋投棄についての規制権限とか方針を決定するのはどこの省になりますか。
#91
○政府委員(牧村信之君) 方針はエネルギー省で行うのであろうかと思います。それから規制は、アメリカの場合はEPAがやっておると聞いております。
#92
○吉田正雄君 そうすると、DOEの方針はどうなっておりますか。
#93
○政府委員(牧村信之君) 先ほども申しましたように、公式に問い合わせたというようなことではございませんで、担当者ベースでいろいろ聞いておる段階でございますが、現状はやめておるけれども、これは主として経済的に陸地処分の方が安いからだということでございます。しかし、それだからといって完全に今後全然やらないと考えているわけではないというのが私どもの聞いておる返事でございます。何遍も繰り返すようでまことに恐縮でございますが、それ以上のあれにつきましては持っていないのが現状でございます。
#94
○吉田正雄君 昨年六月から七月に私たち例のスリーマイルアイランドの原発事故調査に行って、NRC、EPA、DOEにずっと会ってきたわけです。この海洋投棄の問題については国会でも論議の対象になっておったわけですから、そういう点で私どもは、アメリカ政府としてこの海洋投棄についてどういう見解を持っているのかということを尋ねたわけです。これは非公式ではなくて、私どもの調査というのは外務省を通じて正式にアメリカ政府に連絡をとっての公式な会談であったわけです。そこで、エネルギー省、DOEの担当者に、これが最高責任者であるかどうか、事務的にもどうかということはよくわかりませんけれども、しかし一応公的に責任を持って会って回答してくれた人たちですから単なる非公式なものではない。海洋投棄についてどのように思っておりますか、アメリカ政府の方針はどうですかということを尋ねたわけです。それに対してDOEの場合、アメリカ政府としては、いまも話があったように、過去にやったことがあります、しかし現在は全面的にやめております、そしてそのやめておる最大の理由といたしましては、それが高レベルはもちろんですけれども、低レベルであっても一たん海洋に投棄したならば回収が不可能である、したがってこの放射性廃棄物というのは海洋に投棄すべきではないというのがアメリカ政府の考え方であります。特に高レベル廃棄物については、砂漠であるとかあるいは鉱山であるとかの処理とあわせていま陸地への処分ということに重点を置いて研究をいたしております、こういうことであったわけです。私どもとしては、日本政府も近く低レベル廃棄物については投棄をするような方針を持っておるようだ、これについてどのように考えるのかということもあわせて聞いたわけです。これに対しても、とにかくアメリカ政府としては海洋投棄というのは好ましくないということを明確に言っておるわけです。
 そういう点でいまの局長の答弁と、私どもがこれは正式に聞いたわけですから、そういう点での回答内容というのは非常に違っておると思うんです。そういう認識の違いがありますとこれは大変なことだと思いますので、これはもうちょっとはっきりされた方がいいのじゃないかというふうに思うんですが、どうなんですか。
#95
○政府委員(牧村信之君) 私どもがいろいろな機会に確かめておることで、先生ただいま御指摘のように現在の時点ではアメリカは確かにやる意思はないようでございますが、私どもが聞いておるのは、だからと言って未来、先にやらないと決めたわけではないように聞いておるところで、若干確かに先生の御指摘と私ども聞いているアメリカの考え方と違いがあるかと思っておるわけでございます。
 それからアメリカはOECDのNEAにも参加しておりまして、当然海洋投棄を実施いたしますときにこのOECDのNEAにおきまして、国際的な監視機構で議論した上で海洋投棄をするというシステムにアメリカの政府からも専門家が派遣されておりまして、そこでのアメリカの専門家の意見というものは国際基準にのっとったものであれば問題はないということを発言もされておるところでございます。ただ、国の方針としてのアメリカの現在のステータスにつきましては、ただいま私申し引げましたように、若干先生の御指摘との食い違いはあろうかというふうに考える次第でございます。
#96
○吉田正雄君 いまの答弁を聞いていますと、NEAに加盟しておって、そして海洋投棄に立ち会っている人の意見としてはそういうものが出ておるとかということなんですけれども、これはアメリカ政府の正式な見解とか態度表明ではないでしょう、方針の。だから、私が繰り返し聞いているのは、アメリカ政府の現在の方針は明確にどうなっているのかということを聞いているんです。非公式だとか、担当者同士の事務レベルの段階での話し合いの中ではそういう未来永劫やらないとは言っていないとか、将来は海洋投棄にも興味があるというふうな考え方が示されているとか、そんなあいまい、漠然たることじゃ困るのじゃないかと思うんです。わからないならわからないと言ってもらえばいいんです。どうなんですか。
#97
○政府委員(牧村信之君) そういう御指摘の御趣旨でありますと、日本政府がアメリカ政府に海洋投棄についてアメリカはやらない方針かどうかという問い合わせをしたことはございませんので持ち合わせておりません。
 しかしながら、また言いわけになるかもしれませんが、OECDの会議におきましては、米政府から派遣された専門家が出ておりまして、欧州におきます海洋投棄に何ら反対しているわけではございません。十分な規制を行いつつやることについての賛成の立場をとっておるということは事実でございます。
#98
○吉田正雄君 すりかえないで答えてください。アメリカ政府の代表がOECDに行って、そしてヨーロッパの投棄について反対はしていないということと、アメリカ政府の方針としてアメリカはやらないんですというものとは全く違う話なんです。だから、一々正式にアメリカ政府の方針を尋ねたことはありませんと言ったって、アメリカ政府の方針というのは出されているわけでしょう、それはDOEならDOEで。海洋投棄についてはこうだという方針はないんですか、そうすると。
#99
○政府委員(牧村信之君) 少なくとも私としては、先ほど先生がおっしゃられたような全くしないという方針を聞いたことはございません。
#100
○吉田正雄君 先ほどから聞いておいでになられたらわかると思うんですが、そうすると、アメリカ政府がそういう方針を持っているかどうかもおわかりないわけですか。
#101
○政府委員(牧村信之君) アメリカの海洋投棄を実施する場合にも当然国内法の規制が行われるわけでございますが、海洋投棄を行っていないわけでございますけれども、国内法的には禁止されていないことも事実でございます。
#102
○吉田正雄君 それじゃ、もうちょっと詳しく調べておいてください、どうも自信がなさそうですから。
 そこで、次に、このパンフレット等を見ますと、とにかく海洋投棄はやっても絶対大丈夫というふうな安全性のPRにこれ努めているというパンフレットですけれども、私は決してそんなに安全性が確立されたなんて思っていないんです。そこで、原子力安全委員会の放射性廃棄物安全技術専門部会から「低レベル放射性廃棄物の試験的海洋処分に関する環境安全評価について」というものが出されております。私もまだ詳細にこれは読んでおりませんが、ざっと目を通したところでは、先ほどの活断層の地盤、地質の問題ではありませんけれども、陸上における、原研等あるいはその他の民間機関の協力を得ていろんな実験、研究が行われている。そして、それに基づく幾つかの仮定条件のもとでの検討結果というものが私はこれではないかというふうに思っているわけです。確かに部分的には海洋投棄もやってみた、ロープでつないでおろしてみたとか、実際にカメラをつけて自由投棄してみてどれくらい時間がかかったとかいうふうなことがある程度行われたやには聞いておりますけれども、あれだけの太平洋という非常に広大な、とりわけまだ海洋の状況については、われわれ人類が持っている知識というものはまだまだきわめて不十分な段階です。それだけに私はこの海洋投棄というものは軽々に行ってはならない。回収が不可能です、一たん五千メートル、六千メートルという深海に投棄をしたら。そういう点で私は、念にも念を入れて徹底した安全性の解明がなされて、これは絶対大丈夫だというそういう確信なり見通しがついた段階で初めて試験投棄をやるべきじゃないかと思うんですけれども、どうもこの報告書を読んでみますと、そういう何年間もかけて徹底した調査というものが具体的にはどうも行われていないのじゃないかというふうに思うわけです。
 次回にこの内容を個々具体的に聞いてまいりたいと思いますけれども、きょうはこの報告書作成までと、さらにはこの報告書が出る前にもう一つ、五十一年の八月に科学技術庁の原子力安全局から「試験的海洋処分の環境安全評価に関する報告書」というのが出されて、これを引き継いだ形で、先ほど申し上げました五十四年十一月十二日の報告書が出されておると思うんです。そこで、この二つの報告書が出されるに至るまでの具体的な考え方、方針、さらに実際にはどういうことをやったのかということをきょうはお聞かせ願いたいと思うんです。
#103
○政府委員(牧村信之君) 先ほど若干御説明申し上げましたが、原子力委員会が低レベルを含めまして処理処分の方針を決めたときに海洋投棄並びに陸地処分で対処していく方針をお決めになったわけでございます。その方針に沿いまして、海洋投棄につきましては、先生御指摘のように、わが国は海洋国である、また漁業国でございますので、きわめて慎重な安全対策を講じる必要があるという認識のもとに試験研究を従来行っておりましたけれども、さらにそれを強化いたしまして推進してきたわけでございます。
 で、先生御指摘の科学技術庁の安全評価と安全委員会のダブルチェックによる評価の二つの報告が出ておるわけでございますが、科学技術庁が、まずいろいろな海洋調査等も踏まえまして、あるいは関係各省の協力を得てやりました食物連鎖の問題等の実験経過等も含めまして、この安全評価の作業に入ったわけでございます。
 これは先生御指摘のように、非常に海洋というのは、特に深海底の状態というのはそれほどクリアになっていない面もなお現在においてもあるわけでございますので、安全評価をするに当たりましては、できるだけ安全サイドに立った評価をすべきであるという方針のもとに、各機関の専門家に御参集願いまして議論を進めてきたわけでございます。一つの条件といたしましては、仮に全部投棄いたしまして、投棄物が海底に着底しましたと同時にすべて壊れてしまって、その中のアイソトープが逸散するということをまず第一の安全を評価する上での条件にいたしております。試験研究の結果では、七百気圧の圧力容器の中での容器の健全性については壊れないという実証もされておるわけでございますけれども、そういうような条件、あるいは水平については海流の動きが全然ないというふうな、これは非常に放射性物質が濃縮される危険な方の要素に働くわけでございます。それから垂直方向には相当の動きがある。これも人間の環境あるいは魚の環境への影響が大きく出るような想定の海洋環境を調査するモデルをつくりまして、それによって食物連鎖の結果、魚を食べた人間等への影響を調査してまいったわけでございます。
 これらのまとめられたものを今度は安全委員会の方の専門部会でさらに御審議いただいたわけでございます。そこでは、科学技術庁が行いました条件にさらに個別の条件をいろいろ加えまして、科学技術庁が行った考え方が妥当かどうかというようなダブルチェックをいたしまして、その上で最終結論としては試験的海洋投棄の場合の人間に対する影響もどんなに大きく見積もっても非常に低いところにあるというふうな結論をお出しいただいておるところでございます。
 このような安全の評価を踏まえまして、先ほどおしかりは受けましたけれども、パンフレット等をつくりまして、いま漁業者に御理解を賜るようにお話を進めておるというのが現状でございます。
#104
○吉田正雄君 きょう、もう一つだけ聞いておきたいと思いますのは、絶対大丈夫ということでなければもちろん投棄はできないわけですけれども、そうは言っても人のやることですから、これはいつもよく例に出る話ですが、四日市の公害病にしろ、富山のイタイイタイ病にしろ、水俣病にしろ、四大公害裁判、さらには最近のあのスモン病を初めとする薬害にしても、当初からあれだけの惨事とか事態が出てくるということは想定できなかったと思うんです。想定できてやったとしたらこれは大変な話ですから、そういう点で無過失責任を問われておるところだと思うんですけれどもね。ところが、今度の場合は太平洋という日本の国に限定されたものじゃなくて、国際的にも非常に大きな私は影響が出てくる問題だと思うんです。仮に、もし海洋投棄によって、かつてのマグロが放射能汚染でもって売れなくなったなんということで大変な騒ぎになったことがありますけれども、そういうことで万一の場合の漁業補償等についても十分検討されたのかどうなのか。そういう場合には例の原賠法の適用ということを考えておいでになるのかどうか。
 さらに、私はこの海洋投棄が行われると、とにかくミクロネシアにしろ、俗に言う南方諸群島の長年にわたる原水爆実験における被害というものが大変なものになっているわけです。非常に敏感になっていると思うんです。そういう点で、私は日本の海洋投棄による国際的な強い非難、とりわけ環太平洋といわれるこの太平洋地域の各国から強い非難が出てくるのではないかという懸念をするんですが、この点について科技庁と外務省に見解をお聞きして、きょうの質問を終わりたいと思います。
#105
○政府委員(牧村信之君) 海洋投棄を実施いたしまして、この投棄の結果、漁業者等に損害を与えた場合の責任の問題の御指摘でございますが、これは核燃料物質等によって汚染された廃棄物につきましては損害賠償法の規定に基づきまして保険の限度額は二億までかかるわけでございます。なお、それに賠償法の制度によりまして、損害額がそれ以上の場合には一応青天井の国家による支援が規定されておるところでございます。
 それから近隣諸国の海洋投棄に対する関心の度合いでございますが、確かにこの問題は国際的にも非常につながりの深い行為でございますので、私ども国際的に十分御理解を得て進めてまいりたいという考え方を持っておるところでございます。まず、そういう理解を得るためにも、このロンドン条約に参画できるようにしていただきたいことが一つ。それからOECD・NEAの国際監視機構にその上で加盟をいたしたいと私ども考えておるところでございます。それらの国際的な監視のもとに国際基準に従って行うのだということを関係諸国に十分御理解を得るような努力をしていかなければいけないものというふうに考えておるところでございます。
#106
○説明員(金子熊夫君) 太平洋の沿岸地域の若干の国に日本の低レベル廃棄物の海洋投棄問題につきましてすでに懸念を表明している国が幾つかあるということは、私どもも承知いたしております。ただ、私どもが、たとえば外電等の報道で見まする限りにおきますと、どうも問題の性格が必ずしも十分に理解されていないかなと思われる点もあるわけです。たとえば、使用済み燃料の中間貯蔵というようなことも、これは核拡散防止との関係でいま問題になっておるわけでございますけれども、この使用済み燃料の中間貯蔵の問題とか、それから低レベルの廃棄物の海洋投棄の問題それから高レベルの廃棄物の問題、いろいろございますけれども、こういったところが、これは原子力の非常にむずかしい技術的なことが絡むのでございまして、必ずしも十分に理解されていない気がするわけでございますので、今後いろいろな機会をとらえまして、日本が考えております低レベル廃棄物の海洋投棄処分というものは、これは国際原子力機関IAEA、それからOECDのNEAの定める安全の基準に従いまして、かつOECDの多国間監視機構に入りましてその枠の中で行うものであるということ等を十分に説明いたしましてこれらの国の御理解を得たい、そのように根気強く説得してまいりたい、かように考えております。
#107
○渋谷邦彦君 初めに、本題から少しく離れるかもしれませんが、関連がありますのでその問題から確認させていただきつつお尋ねを申し上げたい、こう思います。
 それは、ふえこそすれまず減ることは将来においてもないであろう使用済み核燃料の再処理についてという命題であります。これは、申し上げるまでもなく、日米原子力協定あるいは日加原子力協定あるいは日豪原子力協定というような約束事の中で大変厳しく規制を受けているというのが現状でございます。しかし、日本の場合も、できることならば自前で再処理をという願望がしばらく前からあったことも事実でありまして、最近ようやく電力会社あるいは科学関係の仕事をしている大手の企業体等が出資いたしまして新たに日本原燃サービスというものをつくって、一九九〇年あたりをめどにしながら再処理への取り組みを具体化しよう、これが今日までの推移であろうかというふうに思えるわけでございますが、過日、外務委員会におきまして、日本とカナダの原子力協定の審議をやりました際に、少しくこの問題に私は触れさせていただきましたけれども、きょうはそれぞれの専門の主務官庁の方がおいででございますので、そのお立場からひとつ今後の考え方、また見通しというようなものについてお述べいただければありがたい、こう思うわけであります。
 これは、私があえて一々説明する必要のないことでありまして、十分科技庁としても知っておられる問題でありますが、特にアメリカ、カナダあたりは、いままで再処理については大変厳しい日本に対しての拘束を続けてまいったといういきさつがありまして、いまでもそれが解けない。したがって、やむを得ず日本の場合は英国なりフランスへ積み出しをして再処理してもらった。わずかに動燃の東海の再処理工場があるだけであります。言うまでもなく、核不拡散というこうしたアメリカの基本的な政策に基づく一つの措置であろうかと思いますけれども、再処理によって、その工程において生じるところのプルトニウムが軍事力に活用される、あるいは軍事面に転用されるということをきわめて恐れてのことであろう、これが今日までのいきさつであろうと思います。
 しかし、いかがなものだろうか。平和利用ということは、国是というよりも政府の考え方でもありましたし、また多くの方々のそういう受けとめ方ではないだろうか。そうすれば、一々国外に出して再処理を願うよりも、年々、時々刻々と言った方がいいですね、どんどん廃棄物がたまっていくわけです。現状でももうすでに二十万本たまっているそうです、原子力発電から出る廃棄物が。いま海中投棄ができないためにみんな構造物の中にそれを貯蔵している。これがどんどん将来たまっていったらどうなるだろうという問題と、それから再処理工場が具体化した場合に起こるいろんな問題点に現実的に対応する段階に来ておるのではないだろうか。こんなことがいろいろと将来展望の上で素人なりに感じられる面があるわけであります。したがって、いま私が申し上げたような経過について、将来の見通しを込めていま科技庁としてはどういうふうにお受けとめになっていらっしゃるか、それで今後どうお取り組みになるのか、まずその辺から総括的にお述べいただければと思います。
#108
○政府委員(石渡鷹雄君) お答え申し上げます。
 非常に広範な御意見を拝聴したわけでございまして、まず第一に、再処理を中心といたします国際情勢についての御指摘がございました。確かに、主として米国が政策としてプルトニウムの産出あるいはその使用をできるだけ先に延ばそう、みずからもそうするから友好国もそうしてほしいという政策がとられたわけでございまして、それに絡みましてわが国の再処理がなかなかうまく進んでいかない。すなわち、先生御指摘のように、現在では米国及びフランスに対してその再処理を委託しているわけでございますが、それの国外への搬出につきまして一々アメリカ政府の同意と申しますか、日本流に言えば許可のような感じの行為が行われているわけでございます。そういうことも踏まえまして、先生御指摘のように国内でぜひ再処理をやっていこうということで、つい先ごろの三月一日に日本原燃サービスが発足いたし、約十年後を目指して自前で日本の再処理をやっていこう、日本で産出いたします使用済み燃料の再処理をやっていこうという体制をとったわけでございますが、このことも恐らく今後日米間の交渉事項になっていくかと考えているわけでございます。
 しかしながら、アメリカのそういう政策と、一方、日本あるいは欧州諸国の原子力の平和利用の権利は十分その利益を享受し得るものであるとする核不拡散条約の精神を踏まえましてわれわれの権利を主張している、この二つの違った意見がぶつかり合いまして、過去二年半国際核燃料サイクル評価というINFCEという場におきましていろいろ議論が尽くされまして、一応日本の考えが世界の諸国の共感を得たと申しますか、ほかの国々も同じ考えを持っておったということが確認できたわけでございます。恐らくアメリカの考え方は基本的には変わっていないだろう。これは想像でございますが、一応そういうINFCEという国際協議の場では技術的な観点からは同意したというような経過をたどったわけでございます。
 したがいまして、こういう世界的なコンセンサスをバックにいたしまして、日本としては従来からの主張であるウラン・プルトニュウム・サイクルで今後の原子力平和利用を進めてまいりたいという主張を続けてまいりたいし、またその主張を貫き通すというのが基本的な考え方でございます。
 次に、いわゆる廃棄物の見通しでございますが、低レベルにつきましては、先ほど来議論が進められておりますように、海洋投棄及び陸地処分ということで対応してまいりたいというのが基本的な考え方でございます。ただ、再処理が進んでまいりますと、いわゆる高レベルの廃棄物が出てまいります。これにつきましては、現在技術開発を強力に進めることによって対応しようとしているわけでございます。と申しますのは、実は、すでに先生御指摘のように動燃の再処理工場が本格的稼働に入ろうとしている段階でございますけれども、現実に高レベルの廃棄物が出てまいりますのはその再処理工場が稼働した後出てくるわけでございます。その高レベル廃棄物を約四、五年の間タンクに溶液の状態でためておきまして放射能レベルが下がるのを待ち、その上で、現在考えられておりますのはガラス固化という形で固形物にいたしまして、そしてその状態でまた数十年監視しながらさらに冷やす、その次に最終的に地中処分等を考える、こういう段取りが現在考えておる工程でございまして、世界的に同じような考えで技術開発を進めているわけでございます。現在のところ、そのガラス固化という技術開発が進められている段階でございまして、わが国も主として動燃事業団におきましてこの技術開発を進めている。ここ数年あるいは十年近くの期間をかけましてこの技術を開発し、それに成功いたしましたならばガラス固化をした形で、あと三十年あるいは四十年人間の監視のもとに冷えていくのを待つという時代に入るわけでございます。
 以上、大筋の点につきましてお答え申し上げました。
#109
○渋谷邦彦君 そこで、再処理工場を日本に誘致すると言った方が正しいのか、それぞれの当該国との話し合いの上で自主的に設置すると言った方が適当なのかは別問題といたしましても、これはつくった方が得なのか、それともいままでのようにフランスとかイギリスへ委託してやった方が得なのか、これは大変専門的な分野に入る問題であろうかと思いますが、その辺はいかがなものでしょうか。
#110
○政府委員(石渡鷹雄君) お答え申し上げます。
 まず、経済的な観点からしていかがかという御質問かと存じますが、私ども自主的な核燃料サイクルの確立ということを主張しているわけでございますが、まず第一のねらいは、再処理によって生じてまいりますプルトニウム及びまだ燃料の中に残っております燃え残りの濃縮ウラン、この二つを利用いたしまして次の原子炉の燃料にして使いたいという核燃料面からの経済を考えているわけでございます。したがいまして、そういったものはできれば国内で行いたい。これはこのプロセスから生じてまいります産物を確実に使用できるという、いわばエネルギーセキュリティーの観点があるかと存じます。
 それからコスト的には、委託分といたしましては実費プラス幾らかの報酬と申しますか、相手国側の受け取り分ということでございまして、特に外国に頼んだからべらぼうに高くなるとか、あるいは国内でやれば非常に安くなるということではないわけでございますので、主として、一度日本に運び込みましたウラン資源を日本の中で十二分に活用いたしたいという点に私どもは主点を置いているというふうに御理解を賜りたいと存じます。
#111
○渋谷邦彦君 当然だろうと思います。それが一番合理的だと思うわけであります。
 そこで、今後いろいろなスケジュールをお立てになりながら、監督官庁としてはこの原燃サービスに対してもいろいろ注意を与え、行政指導しながら理想に近づけていくような態勢というものがとられていくのだろうというふうに思うんです。ただ、そこで一番問題になりますのは、先ほど触れましたように、一体アメリカあるいはカナダ、豪州の了解が得られるかどうか。それで、たまたま今度、大平さんと大来さんが行かれるわけです。大来さんに言うたのです、それを。どうせ、いままでは防衛の問題だとかイランの問題だとかアフガンの問題ばっかり話し合っちゃって、こっちの問題こうなっちゃっているだろうと。この間行ったときもやはり話が出なかったそうです。やっぱりいろんな問題、反対、賛成両論のある問題ではありますけれども、現実対応ということを考えてみた場合に、あるいはこれを進めなければならないとするならば、当然いま答弁のあったような方向に立って、いま手がけませんと、あれは十年先でしょう。そのうち核融合が実用化された場合一体この問題はどうなるんだということも、またそこに矛盾した現象が起きはしまいかという私は素人的な発想の点に立ってそういう矛盾を感ずるわけです。果たしてこれをやることが本当に日本の将来において非常に得策なのかどうなのかということがございます。
 それは一応さておきまして、いままでそういう外交折衝を通じて足がかり、手がかりというものができるのかできないのか。話は恐らく何回かされてきているのだろうと思うんです。しかし、いま現実的に対応を迫られているこの段階に来た場合にどうなさるのか。長官、いかがですか。
#112
○国務大臣(長田裕二君) 再処理につきましての日米間の交渉が行われまして、その結果、当面の措置として昭和五十四年のある時期までいままでのとおりにやっていくというようなことでございます。その期限が昨年到来いたしましたが、INFCEの審議の経過も見守る必要があるということ、あるいはまた日米の交渉で決められました九十九トンの枠がまだほとんど使われずに残っている、一年ぐらいそのまま東海の再処理を続けてもその枠内にとどまるとかそのようなこと、あるいは日本の再処理技術などによりましてウラニウムとプルトニウムの混合抽出あるいは混合転換の技術の進展なども見守ろうとか、そのような事情からしましてことしの四月末まではいままでの状況を延長しようということになっております。四月末という期限が当面参るわけでございますけれども、これはただいま申しましたような事情、まだ枠がほとんど使われずに残っておること、それからINFCEのあの結果についてアメリカ側もこれからよく消化していくというような事情などがございますし、また日本の方の技術の展開、混合転換とかそういうものの点などもございます。アメリカ側におきましては、これは若干こちらの推測にもなりますけれども、大統領選挙を控えてそういう問題を非常に大きく取り扱うことがいいかどうかというような考慮などもあるいはあり得るのかもしれませんが、そのようなことから、ただいまの日米間の話し合いではいままでの状況をもう一年間ぐらいそのまま延ばしていこうではないかという取り運びになっておりまして、あとはアメリカの国内法によります国会との関係というような状況でございます。
 しかし、私どもの方といたしましては、先ほど原子力局長が申し上げましたような基本的な核燃料サイクルをしっかり、ある程度自主技術によってつくり上げていかなければというような考え方、また日本の原子力の平和利用と核不拡散に対する考え方というものがINFCEの場におきましても多くの国の共鳴を得たというような事情などからしまして、私は事態は逐次好転しているというふうに思うわけでございます。ただ、INFCEの結論は個々の国を拘束するものではございませんから、核不拡散につきましてのカーター大統領の激しい情熱というようなものなどが、今後の交渉というものにおきましていろいろあらわれてくるということも深く覚悟をしておかなければならないところでございます。外交当局などともよく連絡をとりまして、また私どもの方の核不拡散に対する熱意、これは日本国民の非常に強い決意だと思っておりますから、そういうものの理解を深めまして、私どもの主張というものをアメリカ側に理解させ主張を通してまいりたい、そのように考えているところでございます。
 なお、大平総理のこのたびの米国へ参ることにつきましての御示唆の点につきましては、今回こちら側からそういう話をさらに進めるべきかどうかということにつきましては、外交当局などとも打ち合わせましてしかるべき方法を考えたい、そのように思っている次第でございます。
#113
○渋谷邦彦君 これから時間をかけてということになろうかと思うのでありますが、いずれにしても政府の方針としてはやるのだということになりますと、この狭い日本の国土で果たしてこれからそういう再処理工場なんかを設置する場所があるのだろうかという問題、ささやかなそういう疑問が出てまいります。原発一つをつくるにしても地域住民の合意を得なければならない。いわんや、今度再処理工場なんということになりますと、高レベルの廃棄物が出るというような関係等もこれあり、そうなかなかおいそれといくものではあるまい。なるほど原燃サービスに一切を任せたとはいうものの、土地の取得やなんかということになれば、当然それは国有地であるとか公有地ということが対象になれば、これは政府としても全然ただ拱手傍観してその成り行きを見るというわけにはいかなくなるであろうというような絡みの中で、そういう土地の問題だとか、あるいは具体的にいま若干答弁の中でお触れになりましたように、果たしてその再処理技術というものが日本ではもうパーフェクトな状態にいっているのかどうなのか。当然これは、企業秘密というようなものに属するものであるとするならば、どの程度アメリカ側あたりから、あるいはフランス、イギリスあたりからそういう高度な知識というものの導入が得られるものかどうなのか。その辺のやはり見通しというものが明確でありませんと今後のスケジュールの組み方ができないのではないだろうか、そういう疑問が実はあるわけです。これは当然迫りくる問題である。いまも核燃料サイクルを今後何とか自主的に日本の国内でというそういう発想がある限り、これは恐らくその方向に向かって今後強力に推進がなされていくであろう、そういうふうに感じますがゆえに、あらかじめそういうことを伺っておくということが必要であるまいか。
 これは今度安全性の問題にまた関連してまいりますから、その辺はいま大体長官の答弁を伺っておりまして、非常に慎重であることは十分わかります。また慎重であっていただかなければならぬと思う。しかし、いま原発一つをつくるにしても、実際工事に着手して稼働するまで最低五年でございましょう。果たしてこれが一体何年かかるものであるものなのか。こんなに狭い一体国土でもって、先ほど申し上げたような、本当に条件の整った地域というものが取得できるのかどうなのか。伝えられるところによれば、徳之島あたりに白羽の矢が立ったけれども物すごい地域住民の反対があってさたやみになったなんということも伝えられておる昨今でございますので、とても現状としては絶望に近い状況であるまいかというふうに、これも素人的な考え方です。いま申し上げたようなところをもう一遍整理してくださいまして、将来科技庁としてはこういう展望に立って進めていくのであるということをお述べいただければありがたいと思います。
#114
○政府委員(石渡鷹雄君) まず、再処理の技術の点の御質疑でございました。
 確かにまだ、動燃におきます再処理工場は実験工場的な小さな規模でございますが、これすらも一度トラブルがございまして、一年数カ月にわたって作業が中断したというような実例が示しますように、決してまだ完成し切った技術とはわれわれ考えていないわけでございます。さらに、原燃サービスが考えております再処理工場は、それの数倍の規模の工場を考えているわけでございまして、そのスケールアップに伴う技術の困難さということは当然予想されるところでございます。私どもといたしましては、希望としては、動燃事業団で開発されつつある技術、また今後開発されていくであろう技術を基礎にいたしまして次の原燃サービスの再処理工場の建設、運転に入りたいわけでございますが、何もそれに限るということは考えていないわけでございまして、その時点における世界最高のレベルの技術もあわせて使っていきたいというのが基本的な考え方でございます。ただ、再処理技術は、すでに先生御高承のように、非常に核不拡散の観点からも機微な技術でございますので、こういう技術が世界的に自由に入れられるものであるかどうかという点についてはまた別の観点から危惧の念が残るわけでございます。
 次に、再処理工場の立地につきましての御指摘でございました。私どももこれが非常に困難な仕事であろうということは十分想像できるわけでございますが、何とか土地を取得いたしましてこの事業を成功に導きたい、このように念願している次第でございまして、そういう観点で政府としてもできることはしていかなければならない、かように考えている次第でございます。
#115
○渋谷邦彦君 恐らく、そうした問題が具体化したときに一番表面化することは再処理の過程で生ずる放射性物質の取り扱いの問題であろう、こう思います。それと環境汚染の問題があるかないかという問題。これが集約的に考えられる二つの大きな課題ではなかろうか。果たしてそうした一連の動きの中で、先ほど国際的に話し合いが進み云々ということがありましたけれども、原子力の問題は、ともあれ世界の一つの動きの中で賛否両論まことに険しいものがあるというふうに私自身は受けとめているわけです。つい先ごろでございましたか、いまグスタフさんが来ておられますけれども、スウェーデンで調査された結果がNHKかなんかで報道されたことがございました。私の記憶に誤りなければということであります。反対と賛成が余り違わないですね。パーセンテージが。ということは、やはり反対があるということもこれは貴重な一つの資料として、これは日本も例外ではないという判断に立たなければならない。その反対があるというそれは、専門的な視野から見て反対という場合と感覚的に反対という場合と、さまざまあるだろうと私は思うんです。これは世界どこでも同じであろうと思うんです。そうした人たちの理解というものがどこまで一体得られるかどうかという裏づけをなすものは、この安全性という問題が明確に理解できるかどうかというところにやはり集約されるであろう。これは当然、いままで衆参両院の予算委員会を初め当委員会においてもしばしば議論の焦点になってきたことであり、いまさら事新しい問題ではないにいたしましても、しかし、これは古いようで常に新しい問題提起をしているわけであります。したがって、特にその再処理をめぐる問題については、この高レベルの廃棄物処理については一体どうするのかという問題、これは実に深刻だと私思うんです。低レベルですら、いま海洋投棄の問題でも問題になっているわけでございます。それと、いま重ねて申し上げますが、環境汚染というものが考えられないのかどうなのか。まずこれを私は予備知識として、将来においてもこれを柱にしてまたお尋ねする機会があろうかと思いますので、その辺の科技庁としての判断をお示しいただければありがたいと思います。
#116
○政府委員(牧村信之君) まず、安全規制の関係につきましては、私から御説明させていただきたいと思います。
 先生御承知のとおり、先般原子炉等規制法を改正させていただきまして民間の再処理工場を建設する道を開いたわけでございますが、このやり方としまして、原子力発電所の建設等とは違って事業の指定という制度をとったわけでございます。この考え方は、資格を持った者にしか与えないという、限定された者にしか与えない方法をとっておるわけでございます。また、そのほか、建設から運転に至るまでの規制につきまして非常に厳しい制度を新設させていただいたところでございます。私どもとしては、現在の動燃の再処理工場の規制の経験を踏まえまして、これらを十分新しい会社が再処理工場をつくるまでの間に基準化をいたしまして厳正な審査、検査等を行っていきたいというふうに考えているところでございます。幸い、動燃の再処理工場には先生御懸念の放射性物質の放出を低減化させるための開発施設としていろいろな新しい試みが、世界でも行われていないような施設を開発しております。これらが逐次再処理工場におきまして本施設として組み入れられてつくることを私ども期待しておりますが、こういうようなものも踏まえて新しい再処理工場の安全規制に万全を期してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#117
○渋谷邦彦君 これは将来、また実際時間の経過、いろんなもろもろの施設が設置され機能していって、しばらくまた経過を見ない限りは確認ができない問題でありますので、この程度にしておきたいと思うのでありますが、いずれにしてもこの問題は将来またクローズアップされるであろうということは当然でありまして、十分科技庁としてもその点には抜かりがないという角度に立って検討もされ準備もされているであろう、こう思います。
 最後に、この問題の締めくくりとしてお尋ねしておきたいんですが、高レベルにしても低レベルにしてもそうでございますけれども、放射能、放射線に対する安全度の確認、その技術、それから機能といいますか、全体の機構の中の機能というものが十分に発揮できているのかどうなのかという世界的な比較の上に立ってみた場合に日本のレベルは相当高度なものなのか、あるいは世界的基準までいっているものなのかどうなのか、その辺はどういうレベルなんでしょうか。それぞれ研究の分野というものは、あるいは日本がある点については非常にすぐれたものを持って、むしろアメリカ、ヨーロッパを凌駕しているという分野もあろうかと私は思うんです。逆にアメリカとかヨーロッパからおくれをとっているという面もあるであろう。これは学問の世界ですから当然そういうことがあり得ると思うんです。そういったことを平均化してみた場合に、この安全チェックという面から日本の技術というものは相当高度なものなのか、その点については将来まだまだ研究の余地は残されているにしても現段階においては相当高度なものである、こう認識してよろしいかどうか。
#118
○政府委員(牧村信之君) 先生の御指摘のように、原子力施設等の安全の研究あるいは放射性物質あるいは放射線による人間への影響等々の研究開発の必要性は日本のような国柄からいきましても非常に重要なことであることはもちろんであろうかと思います。研究段階におきましては、日本も最近この安全研究というものに非常に力を入れてきておるわけでございますが、逐次世界水準まで近づきつつあるというふうに考えていただいていいのではないかというふうに考えられるわけでございます。もちろん得手、不得手等がございまして、おくれている面も必ずしもなきにしもあらずということであろうかと考えております。
 それから施設の安全の規制に対する考え方でございますが、私は日本においては非常に慎重な態度で臨んでおる方ではないかと考えております。もちろん国際基準等で規制しておるのは各国とも同じレベルではございますが、できるだけそれらを、たとえばALARAの精神にのっとりまして被曝線量を少なくするというふうな配慮を運転に当たりましても行わせるというようなことでの慎重な配慮を事業者等に要求しておるわけでございますので、米国の事故等の原因その他をいま振り返ってみますと、日本におきましての規制は国が中心になって厳重な検査をやるとか、運転に対して非常に慎重であったという面も、もちろん反省しなくちゃいけない問題は抱えつつも全般的には慎重な配慮が行われておるというふうに考えておるところでございます。
#119
○政府委員(石渡鷹雄君) ただいま御説明申し上げたところでございますが、特に人体に対します放射線の影響という、この研究面について若干の補足をさせていただきます。
 たくさんの量の線量を人体が浴びた場合の急性あるいは晩発障害といった現象に関する知見につきましては、かなり蓄積されているというふうに考えているわけでございますが、低線量のごく微量の放射線を長期にわたって人体に浴びたような場合にどんな影響が出てくるのかといったこと、あるいは不幸にして体内に放射性物質が入った状態で中から放射線を浴びるような場合どういうことが起こり得るのかという研究が今後非常に大事になっていくかと考えているわけでございます。不幸にして、わが国の場合こういう非常に特殊であり専門的な研究者の数が限られているというような事情がございますが、今後この面にできるだけ力を入れて研究を進めていかなければならないというふうに考えておりまして、低線量放射線の影響という点につきまして、現在国立の試験研究機関あるいは科学技術庁の放射線医学総合研究所を中心にいたしまして、晩発障害あるいは遺伝に対する障害あるいは内部被曝の研究といったことに現在力を注いでいるというのが現状でございまして、この点はあるいはわが国が若干おくれている面かと考えている次第でございます。
#120
○渋谷邦彦君 それでは、持ち時間もあとわずかでございますので、少しく海洋投棄の問題をお尋ねしたいと思うんです。
 先ほども同僚議員と海洋投棄のことでやりとりがあったようでありますが、これからどんどん海中に投げ込まれていくわけであります。その数はまことにまたこれは膨大だ。これはたしかおたくの資料だと思ったが、西暦二〇〇〇年に到達いたしますと、ドラムかんで四百万本、こういう数字が挙げられております。大変奇妙なことをお尋ねいたしますけれども、将来一体何百万本海中投棄する予定なんでしょうか。そんなところから少し肩をほぐしてお伺いしましょう。
#121
○政府委員(牧村信之君) 現在、特に原子力発電所から出てまいります低レベルの廃棄物は、これはその敷地内に所要の建物を建てまして、外部に放射線の影響が出ないようにして保管をしておるわけでございます。この保管の施設は、増設すればその敷地内でその原子炉の寿命までたちましても安全に保管できる敷地の広さは持っておるわけでございますけれども、この廃棄物につきましては、地域住民の方もできるだけ早く適当な処分地に持っていってほしいというのが強い要望でございます。また、敷地内にそういう施設を非常に数多く建てるのも必ずしも利口な方法ではなかろうと考えられるところでございます。したがって、当然最終処分をやらなければいけないわけでございます。幸い、低レベルの放射性廃棄物、特に原子力発電所から出てくるものにつきましては半減期も長いものでも約三十年ぐらいでございますので、適当な処置、技術をもってすれば十分外部に、事業所の外に廃棄できるというのがこれが世界的な考え方でございます。
 先生御指摘のように、これから原子力開発を進めてまいりますと逐年この処理量、廃棄物の量がふえていくわけでございますので、何とか処分する方法を考えなくてはいけないということになってきておるところでございます。すでに現状におきまして、日本全体で、原子力発電所以外の原子力施設等々からも出ておりますので、ドラムかんの数にいたしまして約二十五万本を超える量の放射性廃棄物が日本の中で貯蔵されておるということでございます。私どもといたしましては、この処分に当たりましては、低レベルの廃棄物につきましては海洋処分と陸地処分、こういう二つの方法で解決してまいりたいというふうに考えて各種の調査研究を従来から進めてきて、海洋処分につきましては近く試験的な海洋処分を実施させていただきたいというようなことで、現在漁業者の方々にいろいろな御理解を得るよう説明会等を持たしていただいておるというのが現状でございます。
#122
○渋谷邦彦君 いまお答えになったとおりだと思うんです。われわれも常識的に、ふえこそすれ減ることはないであろう。ただ、私もいま考え直したんですが、現在の原発の敷地内で十分貯蔵できるだけの敷地があると。私がいままで何カ所か歩いたその敷地というのはごく一部しか見ておりませんから、果たして大丈夫なのかなと実は不安があったわけです。しかし、それも、これはやはり限度がありますので、いまの話じゃないけれども、地域住民にとってしみれば、しょっちゅうそれが野積みにされたりなんかしている状態を見ればやっぱり不安を禁じ得ない。いわんや半減期が三十年だなんということになりますと、これが五年とか十年というならまだそういう面での期間的な安心の度合いというものは違ってくるかもしれませんけれども、大体半減期が三十年というようなことになると、やっぱりそこに抵抗感が出てくるであろう。勢い海洋投棄して地域住民のそういう不安感も除去しようということで今回こういうような取り組みということになったのであろうと思うのでありますが、海洋投棄で、これも非常に中学生的な発想かもしれませんけれども、まず一つは、ドラムかんが大丈夫かどうかという問題があります。それからあそこには、できるだけ腐食を防ぐために塗料を塗るわけでしょう。これは全然はげないかどうか。それからセメントを詰めるときに手抜きというやつがあるんです、よほど監視していませんと。これをやられてしまいますと、しょっちゅう監視しているわけじゃないから、なかなかわかりにくいという面が出てくると思うんです。そういう手抜きが絶対できないというようなそういう測定の方法はあるのかどうなのか。これは伊勢湾台風で、われわれ地元ですからえらい目に遭っているんです、この手抜きをやられたために堤防が決壊してしまって。中はがらんどうだ。
 先ほど安全局長の言われたように、それが上に動いたり、こう動いたりすると濃縮度がぐっと強まるというような問題。それがもしセメントの固め方が空間ができたりなんかした場合一体どうなるのだろうという、そういうささやかな疑問がまた出てくる。海洋投棄は結構だと思うんです。六千メートルというと大抵大丈夫であろう。大体魚のいないようなところに持っていくようです、太平洋でも。だからと言って、それがすべて大丈夫だという保証にはぼくはならないと思う。これが本当に科学者自身が絶対という言葉を使ってそれを立証できるものがあれば、これはわれわれも安心しますが、科学者は絶対なんというような言葉を使いません。確率の上で九九%は大丈夫ですと。そこまでいけばほとんど大丈夫だということになるのでしょうけれども、しかし国民の受ける意識というものはやっぱり完全を願いたいわけです、もし万が一あった場合どうするかということがあるものですから。この問題については、いままでいろいろな曲折を踏みながら今日まで来たという経過があるわけです。どうでしょう。ささやかな質問でございますけれども、水圧の問題もありましょうし、いまのドラムかんの耐久性の問題もあるし、塗料の問題もあるし、セメントの詰め込み作業が一体どうなるのか、それを測定するあれがあるのか。大変中学生的な発想かもしれませんけれども、これは常識としてわれわれは知っておく必要があるであろうということで申し上げたわけです。
#123
○政府委員(牧村信之君) 先生御懸念のまず固化体の健全性の問題でございます。この固化の方法あるいは固化体の強度がどのくらいあるかというようなこと、あるいは現在考えております水域は数千メートル以上の海底に沈めなくてはいけないということを考えておりますので、実は原子力研究所あるいは電力中央研究所で七百気圧あるいは五百気圧、ちょうど数千メートルに相当する圧力の加圧試験装置を持っておりますが、そこで、現在定められておりますこれはIAEA等の基準をもとにして日本がつくりました固化体の基準でございますが、その固化体を加圧する試験等を行っておりまして、その基準どおり作製されたものにつきましては破壊されないという実績もすでに出ておるところでございます。
 それからドラムかんの腐食の問題でございますが、これは先生御指摘のように、塗料を塗装いたしまして行うわけでございますが、これは国内におきましては原研の研究があるわけでございますが、これは実際の非常に深い海底の状況を模擬することが非常にむずかしゅうございまして、必ずしも海底下の状態を模擬したものとは言われませんが、いろいろな実験経過から、表面積が一〇%腐食するのには約十年程度かかるだろうというふうな推定ができる腐食試験のデータはございます。また最近、アメリカがかつて二十年ないし三十年昔に投棄いたしましたのを、これは二、三千メートルの深さのところに投棄したものでございますが、これを回収いたしましてチェックしております。そのデータも入ってきておりますが、約一割ぐらいの固化体の塗装がはげておる、腐食も約一〇%ぐらい若干進んだものがあった、その他は非常に健全であったというデータも出ておるわけでございます。したがいまして、現在われわれが考えております容器であれば、深海底で非常に静かな、若干の海水の移動等はございますけれども、健全性は相当長期にわたって確保し得るのではないかと考えられておるところでございます。そのような実験等を踏まえまして海洋投棄に臨みたいと考えておるわけでございますが、安全の評価に当たりましては最悪のケースを想定してどうなるかということで想定いたしますので、実験では海洋の五千メートル以上のところに投棄いたしましても固化体は健全性を保つ実験データを持っておりますけれども、これがすべて壊れまして中に入っております放射性物質が海水中に全部溶け出してしまうという条件を考えまして、それが海洋に一時に出てくるということを想定しての環境の安全、ひいては人類への影響というものを想定したものでございます。そういうような非常に安全サイドに立った過酷な仮定をも入れつつ評価しておりまして、試験的海洋投棄では、人類が受けております自然放射能の一千万分の一程度というふうな値が出ておるわけでございます。
 なお、試験的海洋投棄に当たりましては、廃棄の量といたしましては五百キュリー程度の量でございまして、ドラムかんの数にして五千本から一万本ぐらいでございます。それから本格的な海洋投棄の想定をいたしておりますが、これは十万キュリーぐらいを捨てるというふうな想定をしておりますけれども、現状におきましてここ十年ぐらいは発生量等から考えましてもそれの十分の一ぐらい、せいぜい捨てたとしてもその程度でございます。慎重に健全性等の、あるいは投棄後の海洋調査も実施いたしまして、安全に、環境に影響を出さないようにして、若干は出ることは出るわけでございますけれども、慎重に進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#124
○渋谷邦彦君 本処分というのは、あとこれから何年先になるかわかりませんけれども、当面はいまおっしゃったような大体本数を海中投下する、しばらくその模様を見ながら、それからどうするかはその先に行ってからまた検討する、こんなことなんであろう。すると、一方においては陸上に積まれていくドラムかんもどんどんふえるわけですね。それは別に土中に埋めるとか、そういうことじゃなくて野ざらしですか。
#125
○政府委員(牧村信之君) 地中の処分につきましてはいま試験研究の段階でございますが、まず最初には、建屋と申しますか、構築物の中で長期に保管する形の方法をまず最初にスタートさせたい、それから試験研究が進みましたときに先生御指摘のような地中に処分してしまうという方法を最終的なものと考えて、この二つの方法で検討を進めております。それの規制の仕方等の調査研究をいま実施しておるところでございます。
#126
○渋谷邦彦君 そうすると、昭和七十年までの間には大体二百万本、昭和八十年までに大体四百万本ということになるわけですから、これはそのバランスというものはなかなか、海洋投棄の方ははるかに数が少なくて、やっても一体いかがなものだろうかという、逆に今度そういう疑問が出てまいりますね。一生懸命こうやってわずか五千本とか一万本、十年間の間に海洋投棄するぐらいだったら、むしろいままのでような状況の中で、いまおっしゃったように土の中へ埋めるとか、あるいは若干危険の度合いの少ない期間中野ざらしにしておくとか、そういうことになるのじゃないかと思うんだけれども、これはますますふえる状況の中で果たして――両方併用しながら処分していく、これはわかるんです。両方併用しながら処分していくということはわかるけれども、むしろ内陸でもって積み重ねられていく方の量がはるかに多くて海洋投棄の方が全然少ないわけですから、その辺のバランスというものは全くとれないのじゃないか。その点は大丈夫なんですか。
#127
○政府委員(牧村信之君) 先ほど本格的海洋投棄の規模の御説明を申し上げましたが、私申し上げたのは一万キュリーということで、一万本ではございませんで、年間にして数万から十万本程度のものをできたらばと考えておるところでございます。
#128
○渋谷邦彦君 だんだんこうやっているうちにまだまだ聞きたいことが次から次へ出るんですけれども、あと二、三分のところでございますから、残余の問題はまた後で検討していただくということにしていただきまして、最後に一点だけ、これはアイソトープのことで聞いておきます。
 最近、非常に利用範囲が拡大されてまいりました。工業用、医学用、あるいは食品の照射用、または農林水産関係の用途に使うということで、非常にバラエティーに富んだ活用の仕方というものが脚光を浴びているわけです。そうした中で私たちが一番関心の度合いが深いというのは、医学的なそういう観点に立った放射線のかかわり合い、それから食品関係、ジャガイモだとかタマネギの芽を摘むために照射するというこの問題、ここらあたりが一番日常生活にかかわり合いを持つ点であろうということでありまして、半減期、特に医学的に用いる場合には、説明を伺いますと、病気を治療するための効果の方がはるかに大であるということを考えれば、この辺の危険性というものはむしろないと考えてもよろしい、これが厚生省の見解であります、端的に申し上げれば。ただし、それは年齢的なもちろん段階がありますので、わかりやすく言えば、がん年齢に達したような年配になる肉体的な構造を考えた場合に非常に利用度が高い。ただ、やっぱりわれわれとしては、なるほどレントゲンを撮られる場合にも大変な放射線というものを浴びるはずだなあと、健康診断なんかの場合も確かにわれわれは実際の経験をしているわけです。こういったことは現実的には余り私自身にしても影響がなかったはずであるという結論になっているわけです。そうした面から、今度逆に、そういうもので使われて廃棄されたものの処置が一体どうなるのか、それはそれとして。それで、医師会の武見会長の言葉をかりて言うならば、レントゲンだとかなんかで使う放射線については、半減期が非常に短いために一般の廃棄物とこの取り扱いは別にしてくれということをすでに政府筋にそれを陳情していると。この辺の絡みですね。その辺をいま聞く時間もありませんけれども、かいつまんでその辺の効果の点とそれから全く弊害がないという点、それからもう一つは廃棄物に対する処分の方法、これを具体的に……。これもふえこそすれ、減ることはないんです。たくさん出てくると思うんです。これは医学用のものばかりじゃない。工業用のものまでもたくさん出てくる。むしろこの処置の方が今後非常に重要な課題になるのではあるまいかと思います。その一点だけにしぼって答弁してくれませんか。
#129
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘の医療に使いますエックス線であるとか放射性物質につきましては、厚生省が主管しております医療法等で規制されておるところでございますが、その考え方は障害防止法と何ら変わるところがあるはずはないわけでございますが、当然医療に使いますので放射線を患者等に当てる、あるいは必然的に治療に使った場合は当たってしまうということでございますが、先生御指摘のように、その効果は医療効果の方が大きいと判断されて行われておるところでございます。
 それからそういうような事業所から出てくる廃棄物の問題、これは最近先生御指摘のように、非常に短寿命のRI、ラジオアイソトープの利用が治療、診断に急速にふえてきております。これは非常に短寿命でございますので、治療が終わりましてしばらくいたしますと自然の放射線レベル以下に下がるようなものが相当出てきております。しかし、これが残念ながらいまの法制度ではすべていつまでたっても放射性物質によって汚染されたものとして扱われておりまして、勝手に投棄できない法体系となっております。
 そこで、安全委員会の専門部会でもいろいろ現在議論が進められておりまして、非常に極低レベルになったものは放射性廃棄物によって汚染されたものとしなくていいではないかという議論が出てきておるところでございます。その点についての法改正を今後検討していくべきであるという指摘を実は私ども受けておるわけでございます。
 今回の法改正に当たりましては、それらにつきまして議論はしたのでございますが、法律提出までは実は至らなかったことはございます。今後、引き続きそういう十分安全になったものにつきましての廃棄が可能になるような方法を考えてまいりたいということで、関係各省と今後も協議を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
#130
○佐藤昭夫君 委員会の質問の機会が余りございませんし、原子力二法に先立って若干原子力行政に関しての質問をいたします。
 新しく発足した安全委員会が国民合意の原子力行政を進めていく施策のいわば重点の一つとして打ち出したものに、新規原発の公聴会、ヒヤリング、これを打ち出されてきたところでありますが、本年一月、福井県の高浜町で行われた公開ヒヤリングの実際の実情を聞きますと、必ずしも国民合意を得る形で進んでいない。たとえば意見陳述人の選定が安全委員会の判断だけでやられたということは、いわば都合のいい意見だけをセレクトしたのではないかという住民の不信感はぬぐえない状況になっておると思うんです。
   〔委員長退席、理事熊谷弘君着席〕
まず、こうした点について、なぜそういうことをしたのか。もっと適切な形で、たとえば関係自治体にその選定をゆだねるとか、こういう形で住民合意が前進する方向での改善方向を考えてもらう必要があるのじゃないかと思うんですが、その点どうですか。
#131
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘の一月に行いました高浜町の公開ヒヤリングで意見陳述人の選定を原子力安全委員会が行いましたことは事実でございます。先生の御指摘ではございますが、むしろ幅広い意見を選んでいきたい、仮に御批判的な意見であっても十分取り入れていきたいということで、あらかじめ陳述はこういうふうに考えているという陳述要旨を申し込みの方からいただきまして、その中からできるだけ幅広い意見が出るように選定をしてまいったつもりでございます。したがいまして、御都合主義によって選んだつもりは全くございません。また、これらにつきまして関係市町村の意見も聞けという御指摘ではございましたけれども、私どもは選定いたしました後、陳述を希望された方の陳述要旨も含めまして、陳述の要求の中からこういう方を選んだのだということもかねてから新聞にも公表するような仕方で選んできたわけでございます。ただ、何分にも初めてのことでございますし、地域の住民の方にその辺の御理解を賜っていない面もあろうかという心配がございますが、姿勢といたしまして、ただいま私が述べたような考え方で安全委員会は進んでおりますので、逐次その辺の御理解をぜひ今後も賜っていきたいと思っておりますし、新しくこれから諮問を受けたものについて公開ヒヤリングの必要が出てくる際には、そういう誤解等は生まないような選定の仕方をさらに厳正にやってまいりたいと考える次第でございます。
#132
○佐藤昭夫君 安全委員会の意図としては、できるだけまんべんない意見をひとつ陳述してもらうという角度から責任を持った選定をやったんだというふうにいま言われしょうとも、大体民主主義というのは、内容と同時に民主主義的手法が要るわけです。内容は、安全委員会が恣意的なことを考えておってはこれは大変なこと、論外の問題。しかし、民主主義的な手法で事が進められたかどうかという、これが住民合意を進めていく上で一つ欠かすことのできない見地だと思うんです。たとえば高浜町における公聴会の際には、第一次審査の報告書、これが役所にぽんと置いてあるだけで、コピーをとろうと思ってもそれがとれない、その後福島の公聴会では若干の改善をされた模様でありますけれども。ですから、どう民主主義的手法を使いつつやっていくかというこのことを重視して、こういう意見陳述人の選定のあり方について改善を絶えず考えてもらうということでやってもらいたいと思うんです。
 この点について、なおもう一つ尋ねておきますが、何しろ会場の広さという点でも制約がありますし、実際にいろいろ意見を述べる時間的にも制約があるでしょうし、参加したいと思っても参加できなかった人のいろんな疑問や意見にもこたえていくという意味で、公聴会の記録を公表して、さらに必要な場合には意見も聞く、こういう措置もとるという、この点についてはどうでしょうか。
#133
○政府委員(牧村信之君) 公開ヒヤリングの結果につきましては、いま原子力安全委員会の考え方は、施設につきましてダブルチェックをやり、通産省にその答申をするその際に、この公聴会の記録、これは意見陳述を希望された方すべての、選ばれた人だけではなくて、御本人の御了承を得られればそういう方の陳述要旨も含めましてすべて記録にいたしまして発表するつもりでございます。また議事の概要は当然でございます。それから主要な意見につきまして安全審査会にしんしゃくするように、すでに高浜の場合につきましても福島につきましても意見の状況はこうだったということで、そういう記録とともに安全審査会に参酌できるものについて審査をお願いしておるところでございます。その審査の参酌の度合い、質問に対する考え方等を別につくりまして答申の際に公表することといたしております。
   〔理事熊谷弘君退席、委員長着席〕
そういうことをすることによりまして理解を深めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#134
○佐藤昭夫君 三月の二十八日に発表されております「昭和五十五年度原子力開発利用基本計画」、あの中に本年度の事業として原子力の全般的安全問題についての専門家によるシンポジウムを開くということが提起されておるわけですけれども、尋ねてみますと具体的構想はこれからだという模様でありますが、この計画を具体化していくに当たって、ぜひ学術会議など、そういう専門家、研究者の意見をよくくみ入れてこのシンポジウムを計画していくという点にぜひ留意していただきたいと思うんですが、どうですか。
#135
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のとおり、まだ本年度のシンポジウムにつきましては具体的な計画ができ上がっておりませんことは事実でございます。これは米国のスリーマイルアイランドの後始末と申しますか、各審査会あるいは基準部会の検討が多忙をきわめておるせいもありますが、できるだけ早くまた計画いたしたいと考えておるところでございます。先生御指摘のように、昨年度は学術会議と共催でやらせていただいたわけでございます。今後とも関係の専門家の方々あるいは機関等ともいろいろ打ち合わせしていきたいというふうに考えておるところでございます。
#136
○佐藤昭夫君 なお、一点お尋ねしますが、いまもありました昨年の学術会議との共同主催によるTMI事故学術シンポジウム、あの中ですべてのパネラーから一致して出ておりました、昨年のあの暮れの段階だったと思いますが、この委員会でも私提起をいたしました事故情報収集センターといいますか、この問題について吹田委員長も前向き方向で検討したいという答弁をされておったんですけれども、この問題の具体化についていまどういう検討をされておるか、お聞きしたいと思います。
#137
○政府委員(牧村信之君) かねて原子力安全委員会におきましても、こういういわゆる事故があった、これはこういうことだったということだけではなくて、そこに含まれておる技術的な中身も踏まえたそういう事故のデータを収集し、また一般の人にも公開できるようなセンターの必要性について、アメリカの現状等も踏まえて考えなくてはいけないというお考えであったわけでございます。前回の学術シンポジウムにおきましてパネラーの方からもその必要性が指摘されたところでございます。そういう点の具体化につきましては、原子力安全委員会の下に原子力施設等安全研究専門部会がございまして、安全研究の企画立案あるいは評価を行っておる部会でございますが、ここに具体的な検討をすでにお願いしたところでございます。また、原子力研究所には具体的にどういうふうにしたらいいかというようなやや学術的な調査もお願いしておるところでございます。近く、これらのところからの意見を踏まえまして何らかの措置をとってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#138
○佐藤昭夫君 専門部会で検討を始めているという話は前回もあったんです。ですから、その検討を急いで、早く学者、専門家の方が期待されておる方向でひとつ実現が実るように検討を鋭意急いでもらいたい。
 それで、時間がありませんので、海洋投棄に関する法案についてまず質問いたしたいと思いますが、この背景になっておりますロンドン条約は、一九七二年に採択され七五年に発効した。わが国は七三年に調印しているんですが、今国会でもしこの法案が可決されれば批准ということで進むわけですけれども、この間六年間の年月が経過しているその理由はなぜですか。
#139
○政府委員(牧村信之君) あるいは外務省の方からお答えすべきかとも思いますが、私ども聞いておりますのは、このロンドン条約に加わるためには国内法的な始末がついていなければ当然わが国におきましては許されないことでございます。そのいろいろな海洋投棄に関連いたします省庁も多岐にわたっております。また業界等も多岐にわたっておるわけでございますが、そういう点での法令の改正の調整に非常に手間がかかったというふうなことでございます。私どもの障害防止法並びに原子炉等規制法につきましてもどういうふうに改正すべきかというようなことをかねてから議論し、先国会にその結論を得たような次第でございます。
#140
○佐藤昭夫君 外務省、何かありますか。
#141
○説明員(野村一成君) この条約につきましては、作成されましたのが七二年の終わりでございますけれども、早速署名と申しますか、日本は翌年六月に、わずか六カ月足らずで署名いたしております。これは将来必ず締結しなければならない条約の一つであるということで署名を行ったわけでございます。ただいま局長から御説明のありました関係国内法令の整備、そのほかに、やはり締結するとなりますと、いろいろな問題につきましてIMCOとか関係機関あるいは加盟国の事情等を調査する、そういうことも必要でございまして、そういうのに時間を要したという事情がございました。
#142
○佐藤昭夫君 主として日本の国内法の法案確定にいろいろと手間取ったということを言われておるわけですけれども、要因はそれだけじゃない国際的な問題もあるわけです。
 それはさておいて、その条約の背景になっていますIAEAが作成した勧告、実は七五年一月のものと、七八年八月にこれが改定されておる。その内容を見ると、七五年のものに比べて七八年のものはかなりシビアになってきていると思いますが、なぜそういうことになってきたのか。その要点をどのように把握されておるのか。どうですか。
#143
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のように、七五年勧告と七八年勧告との間に、特にアルファ核種の扱いにつきまして七八年の方が厳しくなっていることは事実でございます。ロンドン条約が五十年に発効したことを踏まえまして、IAEAとしては早急にそれに対応するために暫定的な定義として勧告を公表したところでございます。その主な内容といたしましては、アルファ核種については一トン当たりの廃棄物の中に含まれるアルファ核種が十キュリー、ベーター・ガンマ核種では百キュリーあるいはトリチウムについては百万キュリーというふうな定めがあるわけでございます。それともう一点は、二千メートル以上の海域とすべきであるというのが当時のあれでございまして、IAEAはさらにその検討を進めまして、正式なものを出すために五十二年から五十三年にかけまして専門家の会合を招集してこの改定作業に当たったわけでございます。この改定作業には日本からも専門家が参加いたしましてこの新しい勧告をつくり上げたわけでございます。そういうような過程におきまして、特にアルファ核種につきましては半減期も非常に長いことでもございますし、アルファ核種の持つ特異性から一キュリー、約十分の一の厳しい規制値を採用したのが実情でございます。
#144
○佐藤昭夫君 そこで、わが国における試験的海洋処分を行っていくに当たって、いわゆる環境安全評価が厳密に行われたかどうか、これが問題になると思うんですけれども、この処分海域としてA、B、C、Dの四つの海域が候補に上っていると言われているんですが、どの海域を最も適当と考えておるのか、またBが最も適当だと言われているんですが、その理由、これはどういう点ですか。
#145
○政府委員(牧村信之君) 現在、海洋投棄の候補地点四海域につきまして海洋調査等をやっておるわけでございますが、その選定に当たりましての条件といたしまして私ども考えておりますのは、沿岸の重要な魚種が少ないこと、あるいはそれらの魚種の稚魚等の分布域を避けること、それから深海漁業への影響を避けること、それからでき得れば海底の状態が平たんなやわらかい海底であること、それから地震帯等を避けたいというようないろいろな条件をつけてA、B、C、Dの四カ地点を選定いたした上で所要の海洋調査を進めておるところでございます。これらの四調査で、現在まで四十七年から行ってきておりますけれども、上述の五つの条件からまいりまして特にB海域が望ましいと言っておりますのは、平たんな海底の地層、地勢を持っておるということからB海域が最も条件がいいとされておるわけでございます。その他の地域につきましては、水深がたとえば若干足りないとか、あるいは少し丘といいますか、丘陵の様子を示しておるというような状況がわかってきておるわけでございます。
#146
○佐藤昭夫君 七六年に原子力安全局が出された「試験的海洋処分の環境安全評価に関する報告書」、この中では、いわゆる底層流に関して「流向、流速ともかなりのばらつきがある。得られた記録は最大二週間であり、その数も限られているので、底層流の実態把握にまでは至らない」という指摘とか、「各点とも流れの構造は複雑でかなり速い流れの存在することがうかがえる。」というふうに記述をしているわけですけれども、こうした点から見て、海の流動状況についての調査研究というのはまだまだ緒についたばかりというふうに言えるのじゃないかというふうに思うんですが、いよいよ試験的海洋処分を行っていくに当たって、その前提条件としての綿密な調査が行われた上でというこの角度から見て、今日の調査の研究状況をどのように評価されていますか。
#147
○政府委員(牧村信之君) 現在、海洋投棄を実施しようとする海の深さは五千メートル以上を考えておるわけでございます。そういうような深海底の様子ということにつきましては、先生御指摘のように、なお不明な面も多々あるわけでございます。これは海洋学の面からも非常に興味が持たれている面もあるわけでございます。私どもといたしましては、そういう観点から可能な限りの海洋調査を実施してきておるわけでございます。
 第一次の海洋調査といたしまして、四十七年から四十九年度にかけて水産庁、気象庁、海上保安庁の協力を得まして、海底地形であるとか、海水、海底土、あるいは生物界の中の放射能のバックグラウンドの調査、それから先生御指摘の海流の流動等の調査を進めてきたわけでございます。確かに海水の流動につきましては一秒間に十センチメートルの流動がある、地域によっても、また季節によっても、時間によってもばらつきがあるというようなことが、大分実際の海洋調査の結果、候補地点についてわかってきたわけでございます。またその後、放射性物質を捨てまして、もし容器が全部壊れて海水中に出てまいります場合に、非常に拡散に大きな影響を与えると思われる渦の渦流と申しますか、そういうようなものの存在もわかってきたわけでございます。
 それらを踏まえまして第二次の海洋調査に現在入っておるわけでございます。五十二年度からそのよう専門的な研究も踏まえまして、理化学研究所をさらに加えまして海洋調査を実施しておるのが実情でございます。
 先ほど先生の御指摘の海流等の動きにつきまして、二週間程度というようなことも前回の調査ではございましたけれども、自動測定装置も開発いたしまして連続的に観測するというようなことも新たにつけ加える等の措置をとりまして、前回よりもさらに詳細な、特に海流の流れ、湧昇流の存在というようなものにつきましてのデータが着々と集まってきておるというのが現状であろうと考えております。
 なお、こういうような海流であるとか湧昇流につきましての安全審査へのはね返りといたしましては、そういう流れがあることはわかっておりますけれども、水平の流れは全くないと仮定して条件の悪い条件を置く、あるいは湧昇流につきましては、それほど長期にわたって、しかも海底から海上の一千メートルというようなところまで連続して起こるものではなかなかないようでございますけれども、相当長期にわたって、たとえば一年とか二年とかそういう湧昇流があるというような想定のもとに安全審査を行って、条件としては過酷な条件で評価をするというふうなことでのこれらのデータの取り組みをやっておるところでございます。したがいまして、安全委員会のダブルチェックにおきましてはそういう新しい海洋調査の結論等を踏まえつつ、科学技術庁が行いましたときは非常に広域のモデルを使ってやっておりますが、何と申しますか、地域的な変動があったとした場合の影響も加味いたしまして、総合的にダブルチェックするというふうな方法で安全委員会の審査は行われたところでございます。
#148
○佐藤昭夫君 近年、理化学研究所でかなり綿密な自動測定器による調査をやっているのだというお話でありますけれども、果たしてそれで万全と言えるかというふうに思うんです。
 実は先日、四月五日の日に霞ケ関ビルで日本海洋学会、日本放射線影響学会、日本原子力学会、日本保健物理学会、日本水産学会の共同主催で、後援として原子力安全研究協会、原子力環境整備センター、ここの後援による「低レベル放射性固体廃棄物の深海投棄」をテーマにしたシンポジウムが開かれているわけです。このシンポジウムの講演要旨を私いただいたわけですけれども、その中に、たとえば「深海域における長期測流」という海流の流速測定の報告、あるいは「北西太平洋底層のうず拡散係数と海洋構造」という実際の調査研究に基づく報告が出されております。これらで述べられておることは、いずれも、「海底あるいは海洋中に溶出した汚染物質の拡がりの範囲を予測するためには、海水の動きに関する正確な理解が不可欠であるが、現在のところまだよくわかっていない。」、あるいは「評価には、簡単な海洋モデルが用いられている。これは、現在までの海洋学的知識がきわめて乏しいことによるものであって、今後の海洋学的基礎研究の進歩によって、より現実に即した海洋モデルによる評価が可能となることを期待したい。」というふうにこの報告の中で触れられておるわけであります。
 いまも局長が言われました、理化学研究所で一年間三点観測をやっているということでありますが、問題の最適地点と言われておるこのB地点について見た場合に、広さが直径約百十キロというこれほど広い地域にわずか三点で、自動観測とはいえ、三点観測程度のことで本当にそこの海底並びに渦なり海水の流れなり、そういうものを綿密に調査し尽くすということにはおよそ足りない状況だということは自明の問題だろうと思うんですけれども、こうした点で、この海洋投棄を行っていくに当たっての前提とも言うべき海の観測、環境安全評価をどうするかという問題について力がもっともっと注がれる必要があるのじゃないかというふうに思うんです。
 この点で、御存じと思いますが、この道の権威者でもあります三宅泰雄博士のあの論文の中で、深海処分のための海洋学的事前観測調査についての六項目の一つの提言をされておると思うんです。もう繰り返す必要はないと思いますけれども、御承知と思いますけれども、こういった専門学者の提言なんかにもひとつよく耳を傾けて、本当に未来に向けての、人類共有の財産とも言うべき海をどう大切に守っていくかという角度から、念には念を入れたそういう環境調査をやるということについて一段と力を入れて取り組んでもらいたいというふうに思うんですが、ひとつその姿勢を問いたいと思います。
#149
○政府委員(牧村信之君) 確かに、海洋調査に関しましての観測手法等も含めまして、なおなおこれから研究開発が進められなくてはいけないことは御指摘のとおりだと存じます。私どもも、試験的な海洋処分あるいは本格的な海洋投棄を進める前提といたしましても、またその後の影響調査を行うに当たりましても、さらにこの調査を充実していかなければならないというふうに考えておるところでございます。
 なお、そういうような状態で百点とれるものではないわけでございますので、たとえば汚染物質の広がりを評価いたします場合には、現実に水平の流れは先ほど申しましたようにあるということ、あるいは湧昇流というのが部分的に時間的に出たりなくなったりしておるというようなことも踏まえまして、それが安全評価上厳しいサイドに働くような、実験結果よりもさらに厳しい条件で放射線の影響が出るような条件と申しますか、厳しい条件で安全評価をするというふうなたてまえで評価を進めてきた次第でございます。この実験結果等がさらに出てくれば、もっと余裕がある評価になってくると申しますか、悪い言い方をすれば、もっと大量に捨てていいというようなデータにもなり得るわけでございます。そういうようなことで、データが不足しておる限りはそれが悪い方への影響を加速するような前提を置くというふうなことで安全上の配慮を払うというふうな評価を進めておるつもりでございます。先生御指摘のように、はっきりわかればもっと細かいところで十分な評価ができるということも確かでございますので、今後とも調査を進めてまいりたい、また充実してまいりたいと考えておるところでございます。
#150
○佐藤昭夫君 持ち時間の最後の質問でありますが、ちょっと大臣にもお尋ねしますのでお願いいたしますが、このロンドン条約並びにその国内法としての具体化であります今次法案の主な目的が放射性廃棄物による海洋汚染を防止しようというところにあるわけでありますけれども、重大な盲点としていわゆる軍事的構造物、いわば原子爆弾だとか原子力潜水艦だとか、こういうものが発生する廃棄物を規制の対象外にしている、ここに重大な条約上、法律上の盲点があるということかと思うんです。
 まず、お尋ねしますけれども、これを規制の対象外にしたのはなぜか。どうですか。
#151
○政府委員(牧村信之君) この扱いが規制の対象外、軍艦が規制の対象外になっておるのは事実でございますが、こういうような条約における一つの条約上の基本的な考えにも当たろうか、こういうケースはほかでもあろうと考えております。
 なお、このロンドン条約では、軍艦でなくても、たとえば通常の原子力船が航海しておりまして、そこから出てくる廃棄物につきまして低レベルのものを処分するものまでこの条約は規制しておるものではございません。そういう軍艦とか構築物の通常の運転に当たって出てくる廃棄物の投棄につきましては、この条約の規制外になっておるわけでございます。したがって、仮に軍艦を入れたとしてもそういう扱いを受けるような仕組みの条約でございます。したがいまして、たとえば原子力船の運航に関しまして出てくる廃棄物の処理というものは、その他のそれぞれの国内法によって規制せざるを得ないたてまえの条約であるというふうに私は理解しておるところでございます。
#152
○佐藤昭夫君 この種条約のいわば通念として、そういう軍事的なものは規制から外すというのが通念になっているんだ、確かにそうかもしれません。しかし、それでこの法律、条約が目指しておる放射性廃棄物から海洋汚染を守ろうというこの本来の趣旨がそれで全うされていくかといえば大変なしり抜けになっているということはまがうべくもない事実であるわけです。ですから、その条約がいいかどうかというここの議論は度外視するにしても、さっきも言いました人類共通の財産である海を汚染からどう守るかというこういう観点から言って、いつかはこういう状況というもの、矛盾を解決しなくちゃならぬだろうということは、どうでしょうか大臣、理念的にはそういうふうにお考えになるでしょうね。
#153
○国務大臣(長田裕二君) 人類の理念という観点から見ますれば、そういう方向がきわめて好ましいということは私も全く同感でございます。ただし、国際的取り決めとして現実に各国を規制していくという立場からしますと、現在やり得る、当面実現不可能な理想を掲げてなかなか取り決めに至らないというようなことよりも、さしむき原子力発電その他によって各国で生じております、非常に日常出てまいります問題についての適正な規制をやるというような形からこのような条約が結ばれ、私どももそれに即応しての体制をとっていく、そういうことだろうと、そのように考えるわけでございます。
#154
○佐藤昭夫君 その実現不可能なことと言われるかどうかは、そこは見解の相違の問題ですけれども、いずれにしても、現在ある条約上、法律上のそういう盲点というか、不備な点というか、こういう点は人類の理想としてそれがいつまでも続いたらいいというふうには思わない、解決しなくちゃならぬ問題だということを言われるわけですけれども、とにかく現在核保有国が廃棄物処理について一体どのような処理をやっているのかということについても非核保有国というのはその詳細は知り得ない、こういう状況になっているわけです。一つの国が一生懸命海を汚染すまいということでいろんな法規制をつくって廃棄物処理について努力してみても、重大な部分がしり抜けになっているこの状況が放置されていいということではこれはないと思うんです、政治論を度外視すれば。問題の解決のために、核兵器禁止の問題というのは何もこの廃棄物のことじゃない、もっと人類の未来に向けての全体の命をどう守っていくかというこういう角度から、余りにもいま核開発競争で非常に恐るべき事態に来ているということは、たとえば国連の事務総長報告でも最近はっきり出されておるという状況であるし、この廃棄物処理という点から見ても、いまのこの核開発のこういった姿についてはできるだけ速やかな解決を目指していく必要があるというふうにお考えにならないかどうかということを最後に長官にお尋ねして、時間が来ましたから終わります。
#155
○国務大臣(長田裕二君) 先ほども、私は人類の理想という観点からは全く同感ですということをお答えいたしたわけでございます。理想にだんだん近づけていくということがわれわれのなすべきことだという点についてもそのように考える次第でございます。しかし、余りにそれを追求するのに急で現実の問題を片づけることができないということも大変残念でございますので、私は当面の問題としてはこのような措置によって対処してまいりたい、そう思っている次第でございます。
#156
○中村利次君 厚生省お見えになっていただいていますね。――法案のあれが逆になりますけれども、お見えいただいておりますので放射線障害防止法の方からお伺いしたいと思います。
 これは制定以来かなり長い間改正が行われていないわけでありますけれども、その間にRIの利用状況の変化があって、これが直接の動機になったか間接的なものか知らぬけれども、本法改正の契機になっていると言われておりますけれども、その点いかがでしょう。どんな変化が生じたのか、お答えいただきたい。
#157
○政府委員(牧村信之君) この法律ができましてから二十数年すでにたっておるわけでございます。その間、一番問題として変化があったことは、すでに四千を超えるような事業所におきましてRI等が使われておるということが一つ挙げられようかと思います。それからもう一点は、最近医学分野におきまして、診断、治療に使われる放射性物質の量がふえてきております。したがって、それに伴う研究開発も非常に盛んでございます。それから産業利用等の分野におきましては厚さ計であるとか、硫黄計であるとか、分析機械であるガスクロマトグラフィーというようなRI線源を一つの計測の手段として使います計測機器が非常にふえてきたことでございます。RIの需要の増大に伴いましてRIの輸送というものの機会が非常にふえてまいっております。現在におきましては年間四万件近いRIの輸送が行われているというようなことが挙げられようかと思っております。
 それからそういうような利用の形態も変わってまいりますと、たとえばRIを内蔵した計測機器でも装置の中で十分放射線を遮蔽できるようなもの、こういうような機器につきまして私ども規制をやっております上からは、従来から使用の許可ということをやっておりますけれども、これは非常に手間のかかる書面審査でございますので、しかもそういう機器が何十台と同じメーカーによって同じ型式のものがつくられておるということでございます。そういうようなものは製造元でちゃんとチェックしておけば使う方は届け出でも使っていいであろうというふうな、いろいろな規制の面でもそういう点が合理化してもいいようなものがふえてきておるということ等々ございまして、今回規制の一部強化と合理化を図るような法改正をお願いした次第でございます。
#158
○中村利次君 時間が短いものですから余り突っ込んだ質問ができないのは残念ですけれども、いま御答弁をいただいたとおりのいきさつがあったと存じます。
 ところで、RIの廃棄物に関してきわめて低いレベルのものについてのすそ切りの問題があると思うんですが、これはきわめて低いレベルの廃棄物の現状はどうなっていますか。
#159
○政府委員(牧村信之君) 現在、RIによりまして汚染されたものは放射性廃棄物といたしまして、半減期が非常に短いような場合非常に低レベルになりましても未来永劫にわたって放射性廃棄物という取り扱いをせざるを得ないような法律体系になっております。
#160
○中村利次君 きわめて実用に即さない面があるんじゃないですか。特に医療関係の廃棄物、これは厚生省の所管になるんでしょう。どうなっていますか。どうも表現がオーバーかもしれませんけれども、何か誇大妄想的な発想があって、かえって現実に即さない面があるんじゃないかと思いますが、厚生省としてはいかがお考えですか。
#161
○説明員(七野護君) 先生御指摘のように、現在、この規制は医療法の施行規則で固形のRI廃棄物は保管廃棄するということになっております。ただ、現在、RI医薬品の使用量が非常に増大してきておりますし、それに伴いましてRIの廃棄物の量がまた非常に増加してきておる、その処理対策が大きな課題になってきておることも先生御指摘のとおりでございます。
 そこで厚生省といたしましては、いま御説明いたしましたように、医療機関における放射性医薬品の管理等につきましては、医療法によりまして必要な規制を行なっておりますが、この医療法の施行規則の放射性廃棄物の処理に関する規定で実態にそぐわない点なども見受けられます。そこで、低レベルの医療用の放射性廃棄物の合理的な処理のあり方、そういうものも含めまして、医療法の施行規則の所要の改正につきまして検討を進めていきたい、かように考えております。
 以上でございます。
#162
○中村利次君 これは確かに厚生省の所管では非常にむずかしい問題があると思います。薬品なんかでも、市民パワーから言わせると厚生省は業界寄りであるというようなそういう悪口も言われるような面があり、慎重の上にもやっぱり慎重な姿勢をおとりにならざるを得ないものがあると思うんですけれども、私は、安全というのは本当にやり過ぎて失敗することはないわけでありますから、だから、その基本的な姿勢がいけないと言うつもりは全くありませんけれども、同時に、やっぱり過ぎたるは及ばざるがごとしということもあるわけでありますから、このすそ切りの問題等についても、科技庁も当然でありましょうけれども、私は厚生省も過ぎて及ばざるようなことがないように責任のある判断をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#163
○説明員(七野護君) 先生御指摘のとおりでございまして、現在いろいろの廃棄物の大部分は、御指摘がございましたように六時間という非常に短い半減期を有するテクネシウム、これが大半使われております。九〇%ぐらいじゃないかと思っておりますが、そういうことでございまして、ある程度の期間保管されますと廃棄物の放射能レベルは自然界以下になってしまうわけでございます。そういうこともございますので、先ほど申し上げましたように、合理的な処理のための医療法の施行規則を改正して施行すべく検討を進めてまいりたい、かように考えております。
#164
○中村利次君 まことにごもっともであります。ひとつぜひ国民の健康と安全を守るという立場から過ぎたるは及ばざるがごとしにならないように、いまの御答弁を生かしていただくような御努力をお願いしたいと思います。
 そこで、そういういろいろな情勢があるにもかかわらず、今回の改正にこのすそ切りの問題が盛り込まれなかったという理由は、これはいいじゃないですかと言えばそれ以上聞きませんが、何かそのほかに特別な理由があったらお伺いしたい。
#165
○政府委員(牧村信之君) 私どもの障害防止法は、ラジオアイソトープを使用する等の規制の一つの親法的な性格も持っておるのではないかと考えておるわけでございます。しかしながら、ただいま先生の御指摘の非常に短寿命の放射性核種のものの廃棄物は、きわめてわずかな時間で自然放射能レベル以下に下がっていくわけでございます。そういうような状況で、医療に使います場合は医療法等で規制されておる、また一方、同じ医療の研究に使います場合は障害防止法で規制されておるというような若干複雑な関係を持っておるところでございます。そういうようなことから考えますと、両者が一体になってこういう問題に対処しなければいけないわけでございます。そういうようなことで、今回の改正に当たりましても、いろいろお話し合いをしたことは事実でございます。しかしながら、いわゆる国民的な感情から申しますと、放射性物質によって汚染されたものというものはきわめて慎重な態度でこれに対処する必要も、技術的のみでない問題も私はあるのではないかと思います。そういう点から原子力の安全委員会の専門部会におきましても、この問題を取り上げて、その取り扱いを検討しなさいという注文を受けたわけでございますけれども、今回の改正にはまだ時間的にどうしても間に合わないような状況がございました。で、今回の改正を見送ったわけでございます。私どもといたしましては、引き続き検討を進めまして、関係機関の根回し等も十分いたしまして次の機会にそういう改正をお願いしたい、このように考えておる次第でございます。
#166
○中村利次君 科学技術庁、厚生省ともに、私にとりましてはそういうことですかというお答えをいただきましたので、これで質問を終わりますけれども、私は本委員会で毎々申し上げておるのですが、安全はやり過ぎるということはないと私も思うんです。これは本当にやり過ぎて悔いることはない。ただし、特に私は、過ぎたるは及ばざるがごとしにつけ加えて、この原子力にかかわる問題については、たとえば放射性物質にしても、全く低減してそれをさわろうと飲み込もうと、それで水浴しようと全く関係のない、低レベル、超低レベルも言えるような、そういうほど放射能は低減、喪失したものまで、これが放射性物質であったということによって実に異常なまでの対応をするということが、果たして原子力に対する、核に対する国民の正しい理解を得るものに通ずるかどうか。私はそうじゃない、それはかえって逆であるというのが私の持論でして、本委員会ではそのことを何回となく指摘してまいりまして、私は、国民の立場に立ち国益に立たなければならない行政府は特にその点についての正しい判断というか、選択といいますか、これを誤らないように、原子力の正しい開発が日本の死活にかかわるほどの大事な問題ですから、これはせっかくの納得すべき御答弁をいただきながら、科技庁、厚生省ともに、くどいようで恐縮ですが要望しておきたいと思います。そういう意味ですから、大変どうもありがとうございました。厚生省の方、これで結構でございます。
 次は、廃棄物処理の問題についてお伺いいたしますけれども、これは、こういうことを言ってなんですけれども、私はあらましのことは承知しておるつもりでございます。したがって、だめ押しといいますか、念を押す意味でお伺いいたします。
 何と申しましても、原子力の平和利用に欠かすことができないのは核燃料サイクルの問題とそれから廃棄物の処理、特に廃棄物の処理は本委員会でも各委員からずいぶん問題の提起をされてきたところでありまして、当然これはわが国にとっても重大な政策課題であることは言うをまたないわけであります。そこで、私が大臣に質問するのは多分初めてでしょう。もうその必要もないと思いますけれども、大変大事な問題ですから、大臣に廃棄物処理についての政策と申しますか、所信と申しますか、その御所信を承りたいと思います。
#167
○国務大臣(長田裕二君) 放射性廃棄物の処理の問題は、特に原子力の開発利用という問題に必ず伴ってくる重要な問題だというふうに考えておりますが、したがいまして、これにつきまして処理処分の対策を確立するということも今後の私どもにとりまして非常に重要な課題でございます。これにつきましては、昭和五十一年に原子力委員会が基本方針を決定しておりまして、政府といたしましても、これまでこれに基づきましての所要の調査研究を進めてきているわけであります。今後、これらの研究成果を踏まえまして、高レベルのものにつきましては、一応の考え方を持っておるわけでございますが、まだ具体的にその問題に十分取り組んでおりません。低レベル放射性廃棄物につきまして陸地処分あるいは海洋投棄というような方向も示されておりますが、その中の特に試験的海洋処分を実施するためにその準備を進め、陸地処分の方もその準備を進めて、相ともに最終的な処分方法を確立してまいりたいと思っているところでございますが、当面条約の締結に関連します国内法の処分としまして、海洋投棄ということにつきましてのこの措置に関する法案をお願いしているところでございます。
#168
○中村利次君 おっしゃるとおり、海洋投棄、陸地処分等は今後の課題になるわけでありますけれども、ロンドン条約にかかわる海洋投棄が本法案の趣旨なんですけれども、こういう質問をいまさらする必要もないと思いますけれども、この対象になるいわゆる低レベルの廃棄物ですね、この現状。それからここのところ原子力発電の開発が私はちょっとおくれぎみじゃないかと思って心配しておりますけれども、今後この対象になる低レベルの廃棄物の発生の見通し等について、どういうぐあいに見通していらっしゃいますか。
#169
○政府委員(牧村信之君) 現在、原子力施設等に保管されております低レベルの放射性固体廃棄物は、ラジオアイソトープを使用する事業所等も含めまして二十五万本余に及んでおります。これらのものは、主として原子力施設につきましてはそこのサイトの中に保管しております。それからラジオアイソトープ等を使っておる事業者につきましては、一部事業者において保管するとともに、廃棄業者というのがございまして、そこで貯蔵しておる。また一部は原子力研究所に運びまして、減容して原子力研究所の施設内に保管されておるというのが現状でございまして、昨年末で二十五万五千九百本に及んでおります。
 それから特に先生御指摘の原子力発電所から出てまいります固体廃棄物の発生量でございますが、最近の百万キロワット級の原子炉施設から一年間に出てまいります廃棄物の量は、その施設の定期検査中における修繕その他の量によっても違うわけでございますけれども、PWRでございますとドラムかんの数にいたしまして千五百本から三千本程度出てまいります。またBWRにつきましては若干発生量が多うございまして、五千本から六千本という数が毎年ふえてきておるところでございます。最近におきましては、本年度発生量といたしましてたしか六万本程度の増加を見ておるところでございます。
#170
○中村利次君 本当に、放射性の廃棄物というと、全く知らない方々はかなり危険なものだというような印象があると思いますけれども、低レベルなんというのは、私どもの仲間の作業員があそこで着る作業服を洗たくした水、これが低レベルの水であると言うし、作業しておるそこの床をふいたぞうきん、これがコンクリート詰めになってドラムかんに入れて、これが低レベルの固体廃棄物であると言うんですから、本来なら私どもはそんなものを持ってきて洗たくでもして自分のうちの家庭のぞうきんに使ったっていいのじゃないかと思うようなのがあれですから、これはいまお答えをいただいたようにかなりの量になっておるわけですけれども、しかし、その量であっても陸上処分が当面できないかと言ったら、私は別の考えを持っています。まだ十分に現状においては低レベルの処分方法はある。しかし、なぜロンドン条約ができ、それに基づいてなぜ海洋投棄をやろうとするのか。その方が私はベターだからやっぱりそういう方法を国際的にもとろうとし、あるいは日本もその道を選ぼうとするのだと思うんですけれども、昭和五十一年に原子力委員会は低レベルの廃棄物の処理についての基本方針を定めています。その方針に基づいてこれまで政府はどんな措置を講じてこられたんですか。
#171
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のように、原子力委員会は五十一年の十月でございますけれども、放射性廃棄物のこれからの日本における対策の基本方針を決定したわけでございます。この中には高レベルの再処理工場から出てまいります廃棄物の扱いの考え方と同時に、低レベルの主として原子力発電所等から出てまいります放射性廃棄物、特に固体の廃棄物についての方針を打ち出しております。その考え方は、海洋処分と陸地処分を組み合わせて行うようにすべきである、それでそういう処分に当たりましては、試験的な処分をまずやって十分安全を確認した上で本格的な処分に移るべきであるという方針を出したわけでございます。
 このような方針を受けまして、特に低レベルについて御説明申し上げますと、セメント固化体等の容器の健全性につきまして、海洋処分の場合は数千メートルの海低に投棄することを前提にして、そういうところに投棄しましても健全性を保つような容器の開発、また投棄後の容器の腐食等の研究、あるいは投棄する海域の海洋の調査等を行ってきたわけでございます。
 一方、陸地処分につきましては、この調査研究がややおくれておりますけれども、陸地処分につきましての方法としては、保管廃棄とそれから地中埋没の二つの方法をあわせて進めていこうと調査研究を進めておるわけでございますが、保管廃棄につきましては、いままでの知見で相当程度がわかるわけでございますので、それの規制方法の具体的な調査を試験的に、たとえば鉱山の跡地等を利用しまして進めておるというような実情にございます。いずれにいたしましても、この二、三年のうちにそういう調査研究を終了して、できればサイトを決定いたしまして、当面は保管廃棄を試験的にやっていきたいというふうな考え方をとっておるところでございます。
 海洋調査につきましてもほぼ所要の調査研究が進んでおりますので、漁業者の御了承、御理解を得てできるだけ早く試験的な海洋処分を実施したいというふうに考えておるところでございます。
#172
○中村利次君 私が仄聞するところによりますと、それに基づいて五十三年には海洋投棄の試験投棄に取りかかる予定だったと聞いておるんですけれども、これがいまもって実施されておらない。これも仄聞だか判断だか何だか知りませんけれども、私どもがほかの面でいろいろ体験するところから言っても、どうもやっぱり水産会の反対でなかなかむずかしかったのじゃないかと仄聞もし、また判断もされるんですけれども、現在いかがですか。そういう業界との話し合い、折衝等おやりになっておるのかどうか。おやりになっておるとするとどういう程度に話し合いが進んでおるのか。いかがですか。
#173
○政府委員(牧村信之君) 五十一年に安全委員会の方針が出ました後、実は大日本水産会という水産業界の総束ねの機関がございますが、ここへ、試験的な海洋投棄につきまして成案ができましたので了承してほしいという話を持ちかけていきましたことは事実でございます。たまたまその時期が、先生御存じのように「むつ」問題が起きまして、その後原子力の体制につきまして機構改革等が盛んに叫ばれておりまして、法案的には原子力安全委員会の設置であるとか原子力安全局の設置等のそれぞれの法案が提出されたり、あるいは近くされるというふうな過程の時期にあったかと私は思っておりますけれども、まず水産会の方々の御対応は、いまのような信頼のおけない政府の行政的な体制では幾らおまえたちの安全だという説明を聞いても理解できない、出直してこいというのが端的に言いまして初回の話し合いのときの状況でございました。その後、基本法の改正等も無事国会を通していただききまして、その後の調査研究のデータ等の積み上げもございましたし、安全評価書等もつくり上げた段階で、一昨年度あたりからいろいろ関係業界にお話し合いをさせていただいているというのが実情でございます。
 ただ、この予定しております海域の漁業の量等はそれほど多いわけではございませんが、いろいろ広域に、海洋でございますので影響あるかもしれないということを考えますと、漁業者の数も二十幾つの漁連等関係機関がございます。そういうものに逐一ただいまいろいろ御説明しておる。一わたり御説明が終わりまして、そろそろ大日水あるいは全漁連等で御意見を取りまとめていただくような段階に近づきつつあるというのが現状でございます。
#174
○中村利次君 本法案に絡んでおるロンドン条約は、これは四十七年に採択されて五十年に発効しているんです。核拡散防止法の問題もいろいろこれは国内でも議論がありながら大変に批准がおくれたんですが、この批准が今国会まで非常におくれた原因というか理由、どういうぐあいにお考えですか。
#175
○政府委員(牧村信之君) この条約は、すべてのものの海洋の投棄にある一定の規制を加えるものでございます。国際的に規制していこうという条約でございますので、あらゆる問題に関係しておることは御理解いただけると思うのでございますが、そういうような観点からいろいろ関係いたします省庁の数も非常に多いわけでございます。そういうような省庁間の検討、それから新たに提出しなくてはいけない法律がどのぐらいあるかというようなこと、またそのやり方をどうしたらいいかというような問題で各省庁間での検討と調整に時間がかかったというのがおくれた主な理由であろうかと思います。原子力関係にいたしましても、当時基本法等の改正が出ておりまして、直ちに対応できない面も若干はございました。また国内での規制の法的なあり方等なおいろいろむずかしい問題がございまして、IMCOの見解を尋ねるというようこと等も行いつつ、国内法、われわれ原子力二法の改正の成案を得るまでにこのような時間がかかったというのが現状でございます。
#176
○中村利次君 ようやくにして海洋投棄がここに実現しようとしているわけでありますけれども、私は結構なことだと思います。
 そこで、この安全は幾らやってもやり過ぎることはないというたてまえからいきますと、海洋投棄の安全規制の問題がどうなっておるのか。具体的にどのような形でこの安全規制が行われるのか。いかがでしょう。
#177
○政府委員(牧村信之君) 現在の事業者が行います際の特に海洋投棄につきましてでございますが、これは原子炉等規制法の体系におきましてはほとんど整備が済んでおるわけでございます。
 そこで、この規制のやり方でございますが、低レベルの廃棄物をドラムかんに詰めます際に、もうすでにやっておることでございますけれども、どのようなものがおさめられておるか、またドラムかんに入れましたものの放射線の量はどのくらいであるかとか、固化体につきましては超音波等を使いまして健全に固化されておるかというようなことが事業者の方でチェックが行われるようなシステムになっておるわけでございます。
 さて、それを海洋に投棄いたします場合に、内閣総理大臣が確認するという制度がすでにできておりまして、実際に海洋投棄に運びますものの表面線量等あるいは内容物の記録等のチェックを行いまして船に積み込みまして、検査官が実際にその船に乗りまして投棄地点まで参りまして、正常なところに正常な作業方法で投棄しておるということを確認する方法をとってまいりたいというふうに考えております。
 なお、一方、国際的にはOECD・NEAの国際的な監視機構がございますので、私どもこの条約の批准をお認めいただきました後でNEAに参加いたしまして、多国間監視機構の一員になりましてそこの監視を受ける。具体的には投棄一年前に計画並びに安全評価書を提出しましてOECDのメンバー国のチェックを受ける。チェックを受けて十分であると判断された場合にはOECDは加盟国にそれを連絡するというような制度もございます。そういうようなことでの国際的な理解を得る努力をしたい。それから実際に投棄いたしますときにはOECDの監視員が来ることになっておりますので、監視員が実際の海洋投棄に立ち会って正常な投棄が行われているということを監視してもらうというふうな二重の、国際的にも有効な監視を受けつつ投棄行為を実施したいというふうに考えておるところでございます。
#178
○中村利次君 結構だと思います、国内的な対応、国際的な対応。そうしますと、本法律案が成立しますとNEAの監視機構に加入しようという、そういう方向ですね。そういうことですね。――結構だと思います。
 そこで、これは最後になりますけれども、原子力委員会の基本方針によりますと、低レベルの廃棄物の処分は、冒頭申し上げましたように海洋、陸地、これを並行的にやろうということになっているはずですけれども、陸地処分については業界でそれなりの対応をしていると思いますが、政府として、科学技術庁としてこれまでどのような施策をおとりになってこられたのか。それからまた、今後どうこれに対応しようとしておられるのか。予算措置等も含むわけでありますから、その点についてのお答えをいただいて、私の質問を終わります。
#179
○政府委員(牧村信之君) 先ほども若干御説明申し上げましたが、委員会決定によりますと、長期貯蔵と申しますか、保管廃棄と申しますか、そういう考え方のもとで管理しながら貯蔵する方式を一つ考えております。それからもう一つは地中処分ということで、これは完全に処分してしまう。この二つを考えておるわけでございます。そういうようなものに移る場合に、まず長期貯蔵を先に先行させたいというふうに考えておるわけでございます。そういうようなことで、現在所要の調査研究をいたしておりまして、国といたしましては、五十一年以降原子力環境整備センターをつくりまして、そこで陸地処分につきましても調査研究を、国の委託費を出しまして検討を進めておるところでございます。国のかかわりは、主として安全規制を十分に行うための技術基準を作成するという観点からの委託をこういうところに行わせておるわけでございます。そのほか、日本原子力研究所、大学等におきまして、これも安全評価モデルの検討であるとか、特に地中に埋没した場合に放射性物質が容器等からどういう漏洩が行われるかというような研究等、主として安全性に関する研究を原研等にお願いしておるというのが実情でございます。五十三年にはこの整備センターで実際の、もちろん放射性廃棄物質は使いませんけれども、尾去沢におきまして模擬廃棄物を用いた実験も開始されておるところでございます。このような所要の研究を踏まえつつ試験的な陸地処分の推進を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#180
○中村利次君 どうもありがとうございました。
#181
○委員長(塩出啓典君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 次回は四月二十三日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト