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1979/02/06 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 物価等対策特別委員会 第2号
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1979/02/06 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 物価等対策特別委員会 第2号

#1
第091回国会 物価等対策特別委員会 第2号
昭和五十五年二月六日(水曜日)
   午後一時三十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        目黒今朝次郎君
    理 事
                最上  進君
                高杉 廸忠君
                桑名 義治君
    委 員
                衛藤征士郎君
                小林 国司君
                山東 昭子君
                下条進一郎君
                夏目 忠雄君
                真鍋 賢二君
                大森  昭君
                広田 幸一君
                渡部 通子君
                小笠原貞子君
                木島 則夫君
                江田 五月君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   参考人
       電気事業連合会
       会長       平岩 外四君
       日本瓦斯協会会
       長        安西  浩君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○当面の物価等対策樹立に関する調査
 (電気・ガス料金値上げ申請に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(目黒今朝次郎君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 当面の物価等対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に参考人として電気事業連合会会長平岩外四君及び日本瓦斯協会会長安西浩君の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(目黒今朝次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(目黒今朝次郎君) 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題とし、電気、ガス料金値上げ申請に関する件について調査を行います。
 本日は、本件につきましてお手元の名簿にございます二名の参考人の方から御意見を拝聴いたしたいと存じます。
 この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 参考人各位から忌憚のない御意見を承り、今後の本件調査の参考にしてまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 これより参考人の方々に順次御意見をお述べ願うのでございますが、議事進行上まことに恐れ入りますが、まず平岩参考人には四十分程度、次に安西参考人には二十分程度で御意見をお述べいただきたいと存じます。
 なお、本日は御意見を拝聴させていただくことにとどめ、参考人の方々に対する委員の質疑は、次回の委員会において行うことにいたしますので御了承願いたいと存じます。
 それでは、平岩参考人からお願いいたします。平岩参考人。
#5
○参考人(平岩外四君) 電気事業連合会会長の平岩でございます。
 日ごろ私ども電気事業に対しまして格別の御理解と御指導を賜り、厚く御礼申し上げます。
 また、本日は、このたび電力八社が申請いたしました電気料金の改定につきまして、当委員会で御説明申し上げる機会を与えていただきましたことに重ねて御礼を申し上げます。
 本日は、まず最初に電力八社の今回の電気料金改定申請の内容につきまして簡単に申し上げまして、以下第二に、電気料金改定をお願いするに至った電気事業の実情について、第三に、今回の料金改定の主因となっております燃料価格の動向とその電気事業への影響について、第四に、エネルギー政策の最重要課題となっております代替エネルギー開発と電気事業の役割りについて、第五に、物価問題についての電気事業の考え方について、そして最後に、電気事業における経営合理化努力について、という順序で御説明を申し上げたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 では、まず最初に、私ども電力八社が去る一月二十三日通商産業大臣に申請いたしました電気料金改定の内容について説明さしていただきます。
 それぞれの会社の申請概要につきましては、電気事業連合会からお手元の資料の中の一冊の資料に取りまとめてお届けしてあるとおりでございます。
 その主要な点は、もう一つの資料一という「八電力会社の料金改定申請について」という横長の資料に取りまとめてございます。八社を並べて再録してございますが、その二ページ目に書いてございますように、このたびのお願いいたしました電気料金改定の率は八社平均で六四・四二%、内訳を申しますと、電灯が五五・六六%、電力が六八・四三%で、八社とも五十五年四月一日からの実施を希望をいたしております。
 なお、今回の改定申請におきましては、原価計算期間を特に一年といたしております。電気料金は、最も基礎的な公共料金としてできるだけ長く安定しているのが望ましく、このため本来、計算期間は原則として三年と定められているのでありますけれども、このたびは、石油を初め燃料価格の先行きの情勢がきわめて不安定かつ不透明でありますとともに、物価上昇の抑制が重要な課題となっている現在、改定率を少しでも低く抑えたいという考えから、算定期間を一年としたものでございます。
 また同時に、今回の料金改定に当たりまして省エネルギー効果をねらいとする季節別料金制度の採用、逓増料金制度の強化など、幾つかの料金制度の改定をあわせてお願いし、電力の安定供給に役立たせようといたしております。
 今般、私どもが厳しい経済社会情勢の中で大幅な電気料金改定をお願いいたしますことは、大変心苦しく存じておるところでございます。これは、一昨年末のイラン政変に端を発します石油価格の相次ぐ、かつ大幅な値上げという国際的なエネルギー情勢の激変を主たる原因とするものでございます。
 横長の資料の四ページの左側の丸いグラフがございますが、左側のグラフと五ページの表に書いてございますように、今回、料金改定をお願いせざるを得なくなった原価高騰の要因の大部分、すなわち八三%までが石油及び液化天然ガス、いわゆるLNGを中心とする燃料費がらみの経費の急騰によるものでございまして、残りの一七%弱が資本費その他の諸経費の増加によるものでございます。
 ここで少し細かくなりますけれども、私どもが今回の申請に当たって原価をどのような考えで計算しているかを簡単に説明さしていただきます。
 資料の五ページの表の左側に主な経費の項目が並んでおりますので、この順で御説明いたします。
 まず、燃料費でございますけれども、これは今回、原価高騰の最大の要因となっておりますので、後ほど詳細に説明さしていただきますけれども、五十二年度に比べ三倍強に高騰した石油、LNGなどの最近の実績価格水準をもとに計算をいたしております。
 その下の購入電力料は、共同火力などの卸売電気事業者から私どもが購入する電気代で、燃料費とほぼ同じ性格のものでありますので、燃料費とあわせて需給関係費と総称いたしております。
 次は、資本費でございますが、この中身は減価償却費といわゆる事業報酬とに分かれます。電気事業の減価償却費は、今後の膨大なエネルギー開発資金の自己調達源として最も重要なものでありますが、前回の石油危機前後のインフレ高進によりまして、固定資産の評価不足が著しく、大幅な実質償却不足が生じているのが実情でございます。これをカバーするために、今回の改定申請では電気事業審議会の料金制度部会の報告に基づきまして、八社平均で定率法と定額法の差額の約四七%に当たる一部定率償却を導入いたしております。これによる償却増加額は千六百億円で、改定率への影響は二・四九%でございます。
 もう一つの事業報酬と申しますのは、電力の安定供給という電気事業の使命遂行に必要な固定資産や運転資本などに対して八%を掛けて計算しておりますけれども、これは電気事業を経営していく上に必要な、資金に対する金利などのコストでございます。すなわち、八割強が支払い利息に、二割弱が配当に振り向けられるものでございまして、報酬とはいうものの決してもうけといったものではございません。
 それから修繕費は、発電設備や送変配電設備ごとに綿密に定められた一定の方式に基づきまして、合理化を織り込んで計算をいたしております。
 また、人件費につきましては、昇給率として政府の五十五年度経済見通しによる一人当たりの雇用者所得の伸び率七・三%によって計算をいたしております。
 以上の二項目は五ページの表にもありますように、全体の原価増にはごくわずかしか影響いたしておりません。
 そのほか公租公課は、固定資産税、電源開発促進税、事業税、法人税、都市計画税その他の諸税等を、それぞれ税法に基づき計算しておりますけれども、電気事業はもともと他産業に比べて租税負担率がきわめて高く、たとえば五十二年度の実績で申しますと、売上高に対する税負担は全産業が平均大体一・六%の負担であるのに対して電気事業は七・一%となっており、しかも最近、とみに負担額が急増しているのが悩みでございます。
 なお、控除収入という項目がございますけれども、これはお客様からの電気料収入以外の収入で、原価からマイナスして改定率を計算いたしております。
 以上、やや詳しくなってしまいましたけれども、料金原価計算の概要について御説明を申し上げた次第でございます。
 では第二に、電気料金改定をお願いするに至りました電気事業経営の実情について申し述べさしていただきたいと存じます。
 すでに諸先生方御高承のとおり、ここ一年の間に石油の価格は、いわゆる十ドル原油時代から段階的に値上げされてきておりましたけれども、昨年十二月以降は一挙に三十ドル原油時代に突入をいたし、さらにLNGも石油価格に連動して大幅な値上がりをいたしております。このため、これらの燃料に大きく依存しております電気事業の経営はその直撃を受けまして、事業収支はまさに破綻に瀕しておるのが実情でございます。すなわち、燃料費の負担は日を追って増大の一途をたどり、現状においても現行料金による月間収入の大部分を燃料費の支払いに充てなければならないという状態になっております。したがって、この三月に終了いたします五十四年度の決算では、数字はまだこれから出てくる段階ではっきりとはつかめませんけれども、このまままいりますと八電力合計で数千億円の規模の実質赤字が発生せざるを得ません。こうした収支面の大幅な赤字は、同時に日常の資金繰りが窮迫いたしますので、この資金手当ての対策にも苦慮いたしているところでございます。
 このような経営状況にありますが、私ども電力八社は、一昨年には総計約二千六百億円の為替差益の還元を実施いたしますとともに、五十五年の三月末日まで現行料金を据え置く旨の約束をいたしました。その後、先ほど申し上げましたように石油価格が急騰いたし、さらに為替レートの大幅円安の進行という外部情勢の激変があったわけでございます。私どもは、このような大きな条件変化が生じましたけれども、最も重要な公共料金である電気料金をできるだけ据え置いて、現在、国民の最大の関心事になっております物価問題にいささかでも寄与すべきである、それが公益事業の使命であると考えまして、この三月いっぱいまで約四年間にわたって、何としても現行料金を維持するというかたい決意のもとに、目下あらゆる手だてを必死に講じている次第でございます。このため、修繕費を初めとするあらゆる費用の削減、設備投資の圧縮、繰り延べなどの合理化を徹底し、さらには諸準備金の取り崩し、資産の売却をした上で、やむを得ず配当も六分にカットするなどの非常手段を講じているところであります。われわれの役員報酬につきましてももちろんカットを実施いたしております。
 しかしながら、五十五年度に入りますと、三倍強にも高騰いたしました燃料価格の重圧が、年度を通じまして大きくのしかかってまいります。資料の三ページの表に数字を書いてございますけれども、八電力合計では、現行料金での年間収入は約六兆四千億円でございますが、燃料費がらみの経費だけでもほぼ同額の六兆一千億円の支出となりまして、税金を初め人件費、修繕費、金利など燃料費以外の諸経費の支払いが全く不能になるといった状態になります。この結果、年間約四兆一千億円、一日当たりで見ますと百十億円の赤字が年度当初から発生する見込みとなっております。こうした事態は、もはや経営努力の限界をはるかに超えるものであり、ここに、必要最小限の電気料金の改定を四月一日から実施さしていただきたいとお願いをするに至った次第でございます。
 以上、石油価格の急騰によります電気事業の窮状を申し述べてまいりましたが、次に第三番目として、このような料金改定を余儀なくされるに至りました理由並びにその背景にある電気事業経営の直面いたしている課題につきまして、申し述べたいと存じます。
 電気事業は、電気の生産から消費に至るまでの間に、膨大な電力供給設備を持つ典型的な設備産業でございます。また、それと同時に、その発電の約七割を火力発電に依存している燃料加工産業でもございます。この燃料費は、四十八年の石油ショック前までは、全体コストのうち約一五ないし二〇%程度を占めるにすぎませんでした。しかしながら、前回の第一次石油ショックによりまして、燃料費の全体コストに占める比率が一挙に三〇%ないし四〇%に高まってまいり、続いて今回の第二次石油ショックによって、この燃料費の比率は、申請いたしております原価においては実に六〇%弱を占めることとなります。こうした全体コストに占める燃料費比率の増大は、燃料費のわずかな変動でもコスト全体に対する影響がきわめて大きいということを意味しております。たとえば、五十五年度におきましては、原油価格が一ドル上昇いたしますと、電力八社で年間一千億円を上回る負担増をもたらすことになります。これは、電気事業の従業員総数約十三万人の人件費のほぼ二カ月分に相当する額でございます。まさに電気事業収支は、燃料価格の動向に大きく左右される状況になってまいっております。
 このように、今日の電気事業経営を大きく左右する要因は、燃料情勢いかんにあると申せますが、その特徴についていささか申し述べてみたいと思います。
 御高承のとおり、四十八年の石油ショックは、二ドル原油時代から十ドル原油時代へと価格面で大きく変化したのでありますけれども、これは同時に供給面でも、メジャー中心から産油国主導へと石油供給構造の大きな転換をもたらしました。今次の石油ショックにおいてこの傾向がさらに進展して、完全に産油国主導の時代へと移行しておりますけれども、これに伴って、原油価格も十ドル時代から一挙に三十ドル時代へと突入しております。本日の日経新聞にも出ておりますけれども、この一週間の間にサウジアラビア、イラク、インドネシアなどOPECの十三カ国のうち、十カ国までが七ないし一四%の値上げを行っておりまして、石油価格はなお上昇傾向にあるものと考えられますし、先行きを憂慮いたしておる次第でございます。
 この三十ドル原油時代をもたらしましたのは、石油の供給限界が明らかになる一方で、世界的に代替エネルギーの開発や省エネルギーがなかなか進展せず、石油の売手市場の傾向がなお当分続くという事情を背景に、各産油国が競って公式販売価格を引き上げ、さらにプレミアムを上乗せしたり、割り高なスポット市場へ石油を流し始めたことによるものでございます。このような産油国の方向転換によって、わが国の輸入する原油は、必然的にこれらの割り高な原油に向かわざるを得ないわけでございます。このため、石油価格は、公式販売価格を底値といたしまして、プレミアム価格、スポット価格が上乗せされたきわめて高い複合価格の時代に入るとともに、非常に量的に不安定なものとなっております。
 このような情勢の中で、私ども電力各社が使用いたしております燃料の特性並びに価格について申し述べることといたしますが、電気事業の使用燃料は、環境対策上からきわめて良質なものが必要になっております。さらに、電力の安定供給のために、安定確保が必要であります。電気事業は、従来から政情が不安定な中東地域と比較して、供給の安定が期待でき、しかも硫黄分が少なく良質な、インドネシアや中国などのアジア産の石油を中心として使用いたしております。これらアジア産の良質原油は、公式販売価格の水準が高く、かつ昨年来の値上がり幅も大幅でございます。たとえばすでにブルネイ産のセリア原油はバレル当たり三十三・四〇ドル、インドネシア産のアタカ原油は三十二・二五ドル、ミナス原油は二十九・五ドル、中国産の大慶原油は三十二・三三ドルとなっており、これらを総合した公式販売価格の平均価格は三十一ドル以上にもなっております。これに、先ほど申し述べましたプレミアム価格の上乗せ分やスポット価格の影響を加味いたしますと、複合価格は三十五ドル程度の水準に達するものと考えられます。この三十五ドルと申しますのは、産油国が船に積み出す価格でございまして、円に換算いたしますと、キロリットル当たり約五万三千円となりますけれども、これは電力会社が発電所で購入する価格ではないわけでございます。実際に私どもが購入いたします価格は、産油国から日本に入りますまでの外航運賃や保険料が必要でありまして、これを加味した日本着の価格が、東京電力の場合、約五万七千円となります。さらに日本国内での関税あるいは石油税に加えて備蓄、防災のための経費、国内転送費あるいは石油取り扱い業者の一般経費等の諸経費がありまして、発電所での消費価格は資料の九ページの下の方にございますが、発電所での消費価格は東京電力の例をとりますと、全燃料の総合単価で六万七千円となっております。
 以上、産油国が船に積み出すドルベースの価格、及び電力各社が実際に発電所で使用する価格について御説明申し上げてまいりましたが、先ほど申し上げましたドルベースでの価格三十五ドルに対応いたします五十三年度の平均価格は、約十三ドル前後、東京電力の場合では十三・四ドルでございましたので、実に二・五倍強になっているわけでございます。これに為替レートの円安傾向が加わりまして、燃料費は三倍の水準に達しているわけでございます。これが今回大幅な料金改定をお願いせざるを得ない主たる原因でございます。
 燃料はいわば電気を起こす原材料でありますので、電気事業にとりまして最優先で支払わねばならない費用であります。したがって、燃料費が増大いたしますと、設備の維持に必要な修繕費、資本費を初めとするその他の経費を大きく圧迫することとなります。すなわち、電力を供給する設備の修繕が十分にできなくなる、あるいは増大する電力需要に対して設備投資が必要であっても、そのための資金を十分に賄うことがきわめてむずかしくなるという事態も懸念されるに至っております。このことは、国民経済や国民生活にとって不可欠である電力の安定供給を基本使命といたします電気事業にとりまして、重大かつゆゆしい問題でございます。
 わが国の電気事業は、これまで技術の革新、改善を通じて営々として世界的に見てもきわめて高度な、しかも効率的な電力供給設備とその運用方式をつくり上げてきたと自負しておりますが、この高度な水準の電力供給設備の維持が、まさに危うくなろうとしているわけでございます。電気は安全、便利、清潔な二次エネルギーとして今後ますます国民生活、産業活動に広く使われていくことは必至と思われます。そのため私ども電気事業者は、これまでに築き上げてきたこの停電のほとんどない高度な電力供給設備と、その運用方式をわが国の生活、産業の発展の基盤として、燃料価格高騰の中においてもぜひ将来に向かって維持し、拡充していく必要があると考えておるわけでございます。
 これまで、石油価格の高騰による電気事業経営の危機について申し上げてまいりましたけれども、次に、第四の問題といたしまして、代替エネルギー開発と電気事業の役割りということについて申し述べます。
 石油価格の高騰は、現在世界の各国、とりわけエネルギー資源に乏しいわが国が直面しておりますエネルギー問題の一つの側面を示すものでありますが、エネルギー問題のいま一つの重要な側面として、石油にかわる代替エネルギー開発の問題があります。石油の需給関係につきましては、短期的にはいろいろな見方もありますが、中長期的に見ますと、国際的な需給情勢はますます不均衡かつ不安定な傾向をたどることは必至だと思われます。わが国は現在、全エネルギーの七三%を石油に依存しておりますので、この状況から一日も早く脱却し、エネルギーの新しい需給体制を確立して、わが国のエネルギー安全保障を確保するため、国を挙げての総合エネルギー政策の展開を進めようとしております。申すまでもありませんが、この総合エネルギー政策の基本は、石油にかわる代替エネルギーの開発と、省エネルギーの推進の二つだと思います。
 代替エネルギーの開発につきましては、実用可能性や開発量の大きさなどから見まして、原子力、石炭、LNGを中心として推進せざるを得ないと考えておりますが、これらはすべて電気事業がその中心となって進めていかなければならないものでございます。したがいまして、電気事業はわが国の今後の代替エネルギー開発の約六割を担っていかねばならぬという重大な役割りと責務を負っているのでございます。私どもは、電気事業に課せられたこの重大な責務の遂行に最大の努力を払い、将来に向かってわが国のエネルギーの安定確保を果たしていかなくてはならないと覚悟をしている次第でございます。このため私ども電気事業者は、長期設備計画を見直して、原子力発電所、石炭火力、LNG火力発電所の建設を従来にも増して促進することとし、懸命の努力を続けておりますが、これらの推進には立地・環境問題、資源開発、技術開発、資金問題等幾多の困難な課題がございます。
 中でも特に重要なのは資金問題でございますが、今後十年間にこれら代替エネルギー開発を含めてエネルギーの安定供給に要する資金は約百兆円、そのうち電力関係では約六割の六十兆円を必要といたしております。これは原子力や石炭火力など代替エネルギー電源の開発促進に加えまして、過密化が進む中での流通設備の建設、環境、安全対策などが必要となっているためでございます。さらに、代替エネルギー開発の基礎となる研究開発投資についても、電気事業者の立場から国と協調を図りながら進めていく必要がございます。このために、これからの電気事業は膨大な代替エネルギー開発資金が必要になるわけでございます。
 そこで問題になりますのは、電気事業がこの膨大な資金の負担にたえ、エネルギーの安定供給確保という国家的事業を担うだけの経営基盤なり財務体質なりを現状のまま推移すれば持ち得ないという点であります。現状におきましても、私どもはこの膨大な設備資金の約七割を借金で賄っており、その利息だけでも一日約二十億円が必要となっております。先ほど申し上げましたとおり、ここ一年間の燃料価格の急騰は、燃料費の支払いだけで精いっぱいでありまして、設備の維持、強化が十分にできなくなる状況に追い込まれております。この結果、安定供給のための設備体質を弱めるとともに、今後のエネルギー問題に取り組むべき企業の財務体質を極度に弱体化させようといたしております。このことは私ども電気事業の基本的な責務である代替エネルギーの開発にとって致命的な問題でありまして、何としても健全な企業体質の維持が不可欠と考えるゆえんでございます。私どもが今回の改定申請で一部定率償却をお願いし、健全配当による資金調達力の強化をお願いしているのもこのためでございます。ぜひとも御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。
 第五に、エネルギー問題と物価問題について私どもの考え方を申し述べたいと存じます。
 もとより、電気は国民生活や産業活動にとって必要不可欠なものであり、電気料金改定の影響、特に物価への影響につきましては、私どもも重大な問題と深く認識しているところでございます。昨年初頭からの石油価格は、わずか一年の間に、一月、四月、七月と段階的に値上げを繰り返し、特に十二月以降は急速に大幅な引き上げが続いております。このため、五十四年度中にすでに大きな負担として電気事業の収支に重圧を加えつつあります。私どもはこの引き続く石油価格高騰の中で、安易に料金改定に走ることなく、何としても自己吸収の方途を見出して、本年三月いっぱいまでは現行料金を維持しようと必死の努力を行っております。また、さきにも申し上げましたとおり、今回の料金改定を一年原価で申請いたしましたのも、一つには物価への影響をできるだけ少なくしたいということによるものでございます。しかしながら私ども電気事業には、まず当面の燃料を確保し、安定供給を果たすという重大な任務がございます。さらに、より重大な役割りとして、国の総合エネルギー政策に沿ってわが国の脱石油、代替エネルギー開発の中心的役割りを果たし、将来にわたってのエネルギー安定供給対策を推進していくという大きな使命も担っているわけでございます。しかもこの使命は、厳しい世界のエネルギー情勢から見ますと、一刻もゆるがせにできない重大な点であろうと考えております。
 今日、先進諸国は挙げて脱石油を指向しておりますが、エネルギー資源に乏しいわが国が一たびこの進展におくれるならば、エネルギーの安全保障に重大な支障が懸念されるところであります。私どもは、この現在から中長期にわたるエネルギー問題と当面の物価問題のジレンマに悩みながらも、あえてエネルギー問題の重要性を重視し、今回の料金改定をお願いするに至った次第であります。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 最後に、電気事業の経営合理化について申し述べたいと存じます。
 電気事業は典型的な設備産業でございますから、その合理化の重点はいかに効率的な設備をつくり、これをどのように効率的に運転するかということが基本であります。私どもは、いままでこのための長期にわたる地道な努力の積み重ねを通して大きな成果を達成し、サービスの向上とコストの低減を推進してまいりました。特に技術革新は、私どもが最も力を注いできたところでありまして、これまで長年にわたって、国内はもちろん世界の技術陣と協力しつつ、常に最先端の技術を開発、導入してまいりました。この結果、いまや世界的に見ても最高レベルの効率性の高い電力供給設備と運転体制をつくり上げてきたことについては、先ほど申しましたとおりでございます。たとえば資料の十三ページにございますが、火力発電所の熱効率は欧米先進国を大きく上回る世界最高の水準に達し、送配電設備のロス率も高電圧化、大容量化によって著しく低減をいたしております。さらに、変電設備を小型化したり、設備の自動化や無人化による省力化を進め、資料十二ページ――一ページ前に戻っていただきたいと思いますが、資料の十二ページにありますように、水力発電所や変電所についてはすでに八五%まで無人化を進めております。このようなたゆむことのない技術開発によりまして、燃料コスト、建設コストの低減、省力化などに大きな成果を挙げております。
 この結果、従業員の労働生産性も顕著な向上を見せております。資料の十一ページをごらんいただきますと、左側にございますように、一人当たり販売電力量はこの十年間で見ても約二倍になっておりますし、さらに現在の九電力体制が発足した昭和二十六年と比べますと、同じページの右側のグラフにありますように、販売電力量は十三倍以上になっているのに対して、従業員はほとんど同じ数だというふうな状態でございます。また、次の十二ページの左側のグラフにありますが、火力発電所の出力当たりの人員は、昭和三十五年度を一〇〇といたしますと、現在はわずかに一五に減少をいたしております。
 また、電気事業が取り組んでおります技術革新の中で、特に原子力の開発の促進は脱石油、代替エネルギー開発に大きな効果を持つものであり、今日すでに約千三百万キロワットを開発しております。この原子力発電所は、経済性の面から見ますと、建設費こそ高くつきますが、燃料費のウエートが小さいことから、総合的な発電コストでは石油火力のおよそ半分であり、今後石油価格が上昇いたしますと、その経済性はさらに高まってまいります。と同時にこの原子力発電の稼働率を向上さしていくことが全体コストの引き下げに寄与するものであり、業界を挙げて原子力の安定運転に一層努力をしているところであります。この原子力を、私ども電力会社は昭和六十年度末には約二千八百万キロワット、六十五年度末には五千百万キロワットとすることを計画し、総合コスト切り下げの面からも大きな貢献を期待している状態でございます。
 また、昭和三十三年以来実施してまいりました広域運営も、合理化と安定供給の上に際立った成果をおさめているとともに、昨年十二月には本州と北海道間を連係する北本連係線が竣工し、日本全国を一つに結ぶ電力の送電網が完成いたしました。
 一方、このような長期にわたる経営の合理化を続けておりますと同時に、石油価格急騰に対する緊急対策として、短期的にもきわめて厳しい合理化努力を行っております。すなわち燃料費支出の増大に対して、修繕費を初めとする諸経費の削減、設備投資の繰り延べ、圧縮、さらには資産売却等、将来の安定供給、サービス面への一時的な影響を覚悟の上で、最大限の合理化を徹底いたしております。
 以上、電力八社の電気料金改定申請に至る経緯と、その背景にあります電気事業の課題について申し述べさせていただきました。
 今回の私どもの電気料金改定申請は、わが国経済社会が直面しております厳しいエネルギー情勢の変化によって引き起こされた、エネルギー局価格化という外的な大波をまともに受けたことによるものであります。しかし、そうした事情があるにもせよ、国民の皆様や産業界の方々に多大な御負担をお願いすることはまことに心苦しく、御迷惑なことだと存じている次第でございます。
 これまでるる御説明申し上げましたとおり、まず私ども電気事業が、この波をでき得る限りの経営努力によって企業内吸収を図るべく努めておりますが、その上で、なおやむを得ざるものについて御負担をお願いをしたものでございます。申請に当たっては、燃料費の重圧が一日一日と強まっている中で、ぎりぎりの合理化を織り込んで必要最小限のものといたしております。
 何とぞわが国のエネルギー問題の厳しさ、その中での電気事業の責務と役割りにつきまして、格別の御理解を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 大変長時間にわたりまして発言の機会を与えていただきましたことに対して厚く御礼を申し上げます。今後もなお一層、格別の御指導を賜りますようお願い申し上げまして終わらしていただきます。
 どうもありがとうございました。
#6
○委員長(目黒今朝次郎君) どうもありがとうございました。
 それでは次に、安西参考人にお願いいたします。安西参考人。
#7
○参考人(安西浩君) 社団法人日本瓦斯協会の会長をいたしております東京瓦斯の会長の安西浩でございます。
 本日、本委員会の参考人として東京瓦斯、大阪瓦斯及び東邦瓦斯の今回のガス料金改訂の申請につきまして、先生方に御説明をさせていただく機会をお与えくださいましたことに対しまして、厚く御礼申し上げる次第でございます。
 現在、国を挙げて物価の上昇を抑制することが重要な課題となっておりまするこのさなかに、料金の改定をお願いいたしますことはまことに心苦しい次第でございますが、以下、私ども料金改定申請の内容と経営の実情を御説明させていただきまして、先生方の格段の御理解と御指導を賜りたいと存ずる次第でございます。
 現在、全国のガス事業者は二百四十九社ございますが、その中で昨年十月一日から本年一月三十一日までに料金改定を申請いたしました会社が百六十一ございます。すでに認可済みとなったものが六十八社、ただいま認可処理中のものが九十三社という実情でございます。
 さて東京、大阪、名古屋――東邦ですが、この三社を合わせますと需要家の数及びガスの販売量がともに都市ガス業界全体の約七〇%を占めまして業界の主力をなしておりますが、去る一月二十五日に申請いたしました料金改定の内容は次のとおりでございます。
 第一に、料金の改定率は東京瓦斯が五二・九九%、大阪瓦斯が五二・一二%、東邦瓦斯が四七・四六%でございまして、原価計算期間を一年とし、実施期日を本年四月一日とさせていただきたいと考えております。
 第二に、ガス料金の体系を現行の「最低料金・最低責任使用量付区画別逓減料金体系」から、基本料金と従量料金から成ります二部料金体系に変更させていただきたいと考えておる次第でございます。
 それでは、料金改定の理由を申し上げたいと存じます。
 私どもは今日まで、公益事業としての使命を十分に認識いたしまして、千百万件を超える需要家に対しまして都市ガスを安定してお届けし、保安を強化いたしますとともに、きめの細かいサービスに努め、経営の合理化にも全力を傾注してまいったのでございます。しかしながら、昨年来、OPECによる原油価格の大幅な引き上げによりまして、原料費を中心といたしましてガス原価は急激な上昇を続けております。このまま推移いたしますならば、昭和五十四年度――本年三月末の収支は相当な赤字となりまして、さらに五十五年度におきましてはいまだかつてない欠損を生じまして、公益事業としての事業運営にも致命的な支障を来すことが憂慮される状況に立ち至った次第でございます。このような事態は、もはやこの三つの会社が各社の努力によってだけ克服し得る限界をはるかに超えておりますので、ここにおきまして、まことに心苦しい限りではございますが、万やむを得ずガス料金の改定を申請いたした次第でございます。
 このような事態に相なりました理由を説明させていただきますと、その一番大きな原因は、申すまでもなく原料費の急激な上昇でございます。昨年来中東地域の政情が激動いたしまして、OPEC諸国を初め各産油国は原油価格を相次いで引き上げておりまして、本年に入りましてもサウジアラビア等の穏健諸国が再引き上げを行うとともに、イラン、インドネシア等も価格の引き上げを通告するなど、エネルギー価格は混迷のただ中にあると言わざるを得ません。これに伴いまして、ガスの主力原料でございますLNGの価格も急激な上昇を余儀なくされておりまして、またナフサ、LPGにつきましても大幅な価格上昇の渦中にあるのでございます。
 LNGにつきましては、これまで私どもの懸命な努力によりまして原油を下回る価格で購入することができたのでございますが、先年来の急激なエネルギー情勢の変化に伴いまして、ひとりLNGだけを低廉な価格に抑制することは不可能な事態となってまいりました。そのためにLNG価格につきましては、本年一月、二ドル三十六セントのものが一ドル上がりまして三ドル三十六セント、四〇%の引き上げに続きまして、さらに本年四月以降は、わが国の輸入原油価格に連動させることを余儀なくされる状況でございます。これに円安の影響も加わりますために、昭和五十三年度はLNGはトン当たり二万三千円でございましたものが、昭和五十五年度におきましては少なくともトン当たり七万円を超える、すなわち三倍以上に上昇することが避けられない状況でございます。このようなLNGの価格高騰に加えまして、ナフサ、LPGにつきましても、その価格は昭和五十三年度に比べますと、昭和五十五年度は三倍以上に上昇することが避けられない見通しでございます。これらの原料費の急激な上昇が今回の料金改定申請の主要な原因となっているのでございます。
 なお、このたびの申請に当たりましては、東京瓦斯を例にとりますならば、昭和五十五年度の平均原油価格をバレル当たり三十四ドル強と見通しまして、これを基本にガスの原料価格を算定しておるのでございます。これは、原油の需給がかなり安定した形で推移することを前提としたものでございまして、仮にも中東情勢がさらに悪化したり、あるいはサウジアラビア等産油国の原油生産量が低下するなどの事態となりますれば、原油価格は、さきに申し上げました見通しをはるかに超える事態となることは明らかでございます。その意味におきまして、私どもはまさに薄氷を踏む思いで申請を行ったというのが偽らざる実感でございます。
 料金改定申請の第二の原因は諸費用の増高でございます。先生方御承知のとおり、都市ガス事業は典型的な設備産業でございまして、保安のための投資を初めといたしまして、新規需要に対応する投資及び都市ガス供給の安定を図るための投資などでございまして、事業遂行のために多額の設備投資が必要でございます。
 近年、東京、大阪、東邦――東邦というのは名古屋でございますが、この三社の合計で毎年二千億円を超える設備投資を行っておりますが、この設備投資の計画の策定に当たりましてはきわめて厳格に、技術に裏づけされた科学的な検討を積み重ねまして最も効率的な投資計画にするととも一に、実行に当たりましても厳重な管理を行っている次第でございます。しかしながら、御案内のように地震対策を初め保安対策に要する投資や費用の投入額などは必要に応じて増大せざるを得ない問題でございまして、昭和五十五年度につきましては、三つの会社の投資額は総額で二千二百八十三億に達する見通しでございます。そのために資本費は上昇を余儀なくされておりまして、保安対策上欠くことのできない修繕費につきましても、材料費や労務費の上昇に伴って増大し続けておるのでございまして、諸費用の増高は今後とも避けがたい状況でございます。
 以上申し上げましたように、都市ガス事業は第二次石油危機とも申すべき状況下にありまして深刻な事態に立ち至っておりますが、私どもはこれまでも全力を傾けて徹底した経営の合理化を追求してきたのでございます。
 とりわけ、都市ガスを長期に安定して供給するという最大の責務を果たすためには、ガスの原料を安定的に入手することが欠くべからざる要件でございますので、私どもは常に世界のエネルギー情勢をにらみ、その変革を先取りして原料の選択を行ってまいりました。現在、東京瓦斯、大阪瓦斯、東邦瓦斯の三社ではLNGの比率を高めておりますが、私どもは石油の時代が本格化しつつあった昭和三十二年ごろから、すでにLNGが硫黄分を含まないクリーンなエネルギーであり、かつ供給の安定性を有するというすぐれた特性に着目をいたしまして、その利用に関する研究に着手したのでございます。その結果、昭和四十四年には東京瓦斯が、東京電力と共同してわが国で初めてLNGの導入をいたしました。ここにLNG時代の幕を開いたのでございますが、続いて大阪瓦斯は昭和四十七年にブルネイLNG、東邦瓦斯は昭和五十二年にインドネシアLNGを導入開始いたしたのでございます。私ども三社におきましては昭和五十五年度にはLNGが全ガス原料に占める比率を六〇%に達することにいたしておりますが、LNGの特性、すなわち無公害であること、供給の安定性がきわめてすぐれていることを考えまして、今後とも石油にかわるエネルギーとして比率を高めていく所存でございます。
 次に、私どもが実施しております保安の確保につきまして申し上げますと、私どもはガスの製造設備、ガス導管及び需要家のガス設備の各段階におきまして保安を確保することが、都市ガス事業にとりまして大きな社会的責務であると認識いたしておりまして、これまで最大限の努力を傾注いたしてまいりました。私ども三社は東京圏、近畿圏、中京圏という過密化した都市部を主たる供給区域といたしておりますだけに、特にガス導管網につきまして、都市の再開発が進められる中にありましてきわめて厳しい埋設環境にさらされております。しかしながら、万が一にもガス導管に事故が発生いたしますと、社会に及ぼす影響ははかり知れないものがございますので、三社におきましては導管の材質を強化するとともに、事故防止の体制を徹底させてまいりました。また、特に大都市において都市ガスを供給している私どもにとりまして、通常の保安対策に加えまして、地震対策もきわめて重要であると判断しております。そのために、大規模な地震が発生してもこれに対応し得るような諸設備の設計、建設には万全を尽くし、また地震が発生したときには自動的にガスが遮断できる設備を設置するなど、その対策には三社とも膨大な設備投資と費用の投入を行っておる次第でございます。需要家の安全を守るために、私どもは全力を傾注しておる次第でございます。
 次に、差益還元について申し上げたいと存じますが、これらの経営努力によりまして、公益事業の使命を全うすべく全力を傾注しておりますとともに、昭和五十三年――一昨年の十月から昭和五十四年の三月まで六カ月にわたりまして、折から一ドル二百円を割るという異常な円レートによって生じましたいわゆる為替差益、三社合計で二百三十八億円を需要家に還元させていただきました。〇・七%の値引きになったはずでございますが、いささかなりとも需要家の御負担を軽減すべく努めてまいった次第でございます。
 なお、為替差益還元につきましてちょっとつけ加えて申し上げますが、一昨年の四月二十日、衆議院の物特委員会が開かれまして、差益還元を電力、ガスはすべきじゃないかという御要請がございました。私は参考人として出席いたしましたが、為替レートは常に変わるべきものであるから、これは特別積立金として会社に積み立てておき、料金の安定を図るべきでありますと強く反対したのでございますが、その後一昨年の七、八月になりますと、先生御案内のとおり円が百八十円ベースにまで円高になりました。八月二十九日、第二回目の衆議院の物特委員会が開かれまして差益の六〇%を還元することといたした次第でございます。それで河本通産大臣は、円が二百円ベースで推移してOPECの値上げなかりせば現行料金は五十四年度いっぱい、つまり五十五年三月いっぱいまで東京、大阪、東邦は据え置いてもらいたいという御要請がございましたので、私どもはこれに御協力することにいたしました。ところが、先生御案内のように、円は本年春から非常に円安になりまして、OPECは去る七月のジュネーブ総会、また昨年末のカラカス会議におきまして大幅な暴騰を続けておる次第でございまして、したがいまして、私どもといたしましては、昨年秋、料金改定の申請をできることにはなっておったのでございますけれども、毎月の赤字を克服しながら本年三月まで、五十四年度いっぱいはがんばろうと言ってがんばってきた次第でございます。この点をつけ加えて申し上げたいと思います。
 次に、申請に当たりまして御理解を得たい点を申し上げたいと存じますが、諸先生方の御理解をぜひともちょうだいいたしたい二、三の点を申し上げたいと存じます。
 第一は事業報酬の問題でございます。ただいま申し上げましたように、私どもは公益事業としての責務を全うし、安定供給と保安の確保を図るためには、多額の設備投資と費用の投入に必要な資金の確保が不可欠でございます。そのためには増資、借り入れ及び社債発行を円滑に行うことが必要でございまして、その前提といたしまして、少なくとも一〇%の配当率を持続することが重要な要件となっておるのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、どうしても現在の事業報酬率を確保する必要がございます。三社は本年度の中間配当におきましては、配当率は一〇%を割りまして八%になりましたが、もしこのような事態が続くならば、ガス事業における資金調達に多大の問題が生じ、事業運営をも危うくしかねないのでございます。一方、私どもの株主の大多数は個人株主の方々でありまして、資産株でありますために、三社の配当に大きな信頼を寄せられていることも考慮しなければならないと考える次第でございます。
 第二は、原価計算期間の問題でございますが、このたびの申請におきましては、期間を本年四月一日から一年間としておりますが、本来ガス料金を長期的に安定させるためには、原価計算期間は、許される範囲で長期であることが望ましいことは申すまでもございません。今回、申請に当たりまして原価計算期間を一年といたしましたのは、このたびは、原料費を中心にガス原価が急騰しているさなかの申請でございまして、先行きがきわめて不透明なためであるとともに、ガス料金の改定率を少しでも低く抑えたいと私どもが考えたためでありますことを、何とぞ御賢察賜りたいと存じます。
 最後に、料金体系の変更について触れさせていただきたいと存じます。
 現行の都市ガスの料金体系は、冒頭にも申し上げましたように、「最低料金・最低責任使用量付区画別逓減体系」と申しまして、昭和二十六年にこれは総司令部の、アメリカ進駐軍の指示でやったことでございますが、この現行料金制度が設けられて今日に至っておるのでございますが、本年の一月八日に開催されました総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会におきまして、都市ガスの料金体系を最近の社会情勢やエネルギー情勢の変化に対応させるべく、新たに二部料金体系に移行することが必要である旨の中間報告が通産大臣になされたのでございます。すなわち、現行の料金体系におきましては、需要家の御使用量が最低責任使用量に到達するまでは、その御使用量に関係なく一定の料金をいただくことになっておりました。しかしながら、これは原価との対応が必ずしも明確でなく、また省エネルギーの精神にも反するという御指摘がありましたので、私どもといたしましても、このたび同部会の中間報告に沿いまして現行の体系を改めまして、需要家一件一月ごとに定額をちょうだいする基本料金と、需要家の御使用量に応じてお支払いいただく従量料金の二つの部分をもって構成する二部料金体系に変更いたしたいと考えておる次第でございます。なお、この料金体系は、すでに電気、水道、電話などの各事業が採用しておりまして、欧州諸国はほとんどこの方式でやっておるのでございます。
 以上、私はこのたびのガス料金改定の申請につきまして、その内容と理由並びに当面する諸問題について御説明申し上げましたが、私どもは可能な限りの合理化努力を織り込み、必要最小限度の料金改定をお願い申し上げた次第でございます。今後、エネルギー情勢が一段と厳しさを増していくに従いまして、わが国のエネルギー産業の果たすべき役割りと責任はまことに重大なものがあると考えております。私どもエネルギー産業の一翼を担う者といたしまして、その使命達成に全力を傾注してまいる決意でございますので、何とぞ現状につきまして特段の御理解を賜りまして、よろしく御指導くださいますよう衷心からお願いする次第でございます。
 以上をもって説明を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#8
○委員長(目黒今朝次郎君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述を終わりました。本件に対する質疑は後日に譲ります。
 参考人の方々には、本日は御多忙のところ御出席をいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして重ねてお礼申し上げます。
 どうも御苦労さまでした。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(目黒今朝次郎君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 当面の物価対策樹立に関する調査のため、次回の委員会に参考人の出席を求め、電気、ガス料金値上げ申請に関する件について意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(目黒今朝次郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(目黒今朝次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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