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1947/10/21 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第11号
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1947/10/21 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第11号

#1
第001回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第11号
  付託事件
○旧満鉄社員の会社に対する諸請求権
 應急措置等に関する請願(第九号)
○満洲における同胞救済金の償還に関
 する請願(第五十五号)
○旧満鉄社員の対会社請求権確保に関
 する陳情(第百三十九号)
○海外引揚者の住宅問題に関する陳情
 (第二百六十三号)
○戰争犠牲の公平負担に関する陳情
 (第二百八十七号)
○在外個人資産の補償に関する陳情
 (第三百二十六号)
○同胞救済金の償還に関する陳情(第
 三百二十七号)
○青島における居留民立替金の返還に
 関する請願(第二百三十一号)
○海外引揚者の送金爲替支拂に関する
 請願(第二百三十二号)
○朝鮮における同胞救済資金の返還に
 関する請願(第二百七十号)
○海外引揚者所有の農地に関する陳情
 (第三百六十八号)
○海外引揚者に対する開拓資金増額に
 関する陳情(第三百六十九号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 三百七十七号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 四百二号)
○海外引揚者の在外勤労資産等の問題
 に関する陳情(第四百八号)
○在外同胞引揚促進に関する陳情(第
 四百十号)
○海外引揚者の在外勤労資産等の問題
 に関する陳情(第四百十六号)
○東印度における戰犯容疑者釈放に関
 する陳情(第四百三十二号)
○在外同胞引揚促進に関する請願(第
 三百四十三号)
○引揚者の開拓入植に関する請願(第
 三百六十号)
○在外私有財産の國家補償に関する請
 願(第三百六十八号)
○引揚者の國内諸債権取扱いに関する
 請願(第三百六十九号)
○同胞救済資金等の返還に関する請願
 (第三百七十号)
○同胞援護会に貸付の國有財産貸付料
 免除並びに拂下げに関する請願(第
 三百七十一号)
○在外同胞引揚促進に関する請願(第
 三百七十七号)
○海外引揚者の住宅問題に関する陳情
 (第四百五十六号)
○引揚者並びに戰災者に遊休公共建造
 物の即時開放等に関する陳情(第四
 百五十八号)
――――――――――――――――
昭和二十二年十月二十一日(火曜日)
   午後一時四十四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○引揚促進と應急援護に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(矢野酉雄君) 只今から政府当局もおいでになつて頂きましたので、委員会を開くことにいたします。
#3
○星野芳樹君 庶民金庫の貸付が、元來放出になるべきところまだ三億五千万円が放出になつていないでそのままになつておりますが、引揚者は庶民金庫によつて、金を借りることが唯一の自力更生の手段であり、非常にこれを渇望しておるのですが、これを十一月末までに貸出すという言明が與えられるでしようか。この点政府にお答え願いたいと思います。
#4
○政府委員(長沼弘毅君) その点はでき得る限り努力いたしまして、十一月三十日までに終了したいと考えております。或いは事務的に多少遅れることはあるかも知れませんが、御希望の線にできるだけ沿いたいと思います。
#5
○星野芳樹君 できるだけというと、これは政府部内の事務上の手続きだけの問題ですか、他に何か……。
#6
○政府委員(長沼弘毅君) 実はこれは私の管轄外でございまして、主計局の方と打合せまして事情をはつきりいたしたいと思います。
#7
○星野芳樹君 政府内だけの問題でしたらでき得る限りという表現より、もつとするという御返答を頂きたいのです。例えば引揚促進というようなことで、日本の政府としては如何ともし難い面のある問題がある。これはまあできるだけという御返答を頂く外はないが、政府部内だけの問題でしたら、これはもう今日は主計局との打合せがないようですけれども、この次にははつきりと出せるというような御返事が頂きたいと思います。
#8
○委員長(矢野酉雄君) 委員長としても是非御斡旋願いたいと思います。これだけが結局起ち上る根本ですから、本当にお願いいたします。
#9
○穗積眞六郎君 只今の問題で三億一千万円は十一月までにできるだけだ、こういう何でございますが、その出しました後においても、何とか工夫して増額の途を図るということについて、この間厚生省の方から、できるだけ努めるというお話があつたのでございます。大藏省でも今年度六億六千万円だけではどうしても足りませんので、その後のことについても今年度中に工夫して見るというお考が是非あつて頂きたいと思いますので、お伺いいたします。
#10
○政府委員(小坂善太郎君) 御尤もなお話でありまして、我々としても極力御趣旨に副いたいと思つて努力しております。只今大藏省内で主計局と厚生省との打合せが行なわれておりますから、いずれ追加予算が確定いたしましたときには、十分明確にお答えができると思います。さよう御了承を願います。
#11
○穗積眞六郎君 速記を止めて頂きたいと思います。
#12
○委員長(矢野酉雄君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#13
○委員長(矢野酉雄君) 速記を始めて……。
#14
○穗積眞六郎君 一番初めにお伺いいたしたいと存じますのは、在外公館の借入金、それから在外同胞の救援金、これを何とかして早く返して頂きたいということでございます。この在外公館の借入金、在外同胞の救済金がどういう性質のものであるかというようなことにつきましては、度重ねてお話がしてありますので、今ここで繰返して申上げることはいたしません。ただこれに対しましては、國会の最初に私が質問をいたしましたのに対しまして、芦田外務大臣が総理の代理として御答弁の中に、これは当然返すべき金である、ただいろいろな事情で直ぐに返すことができないが、当然返すべき金であるということは言つておられます。又その後においても、この特別委員会の小委員会等において、外務省の方でも、これは行政費に属すべきものであつて、返すべきものであるという根本には少しも疑いのないものと思うということを伺つておるのであります。勿論そうであろうと存じますが、この点につきまして大藏省からも根本の性質に対してのお考えを承りたいと存じます。続いてこの返すべきで金あるという根本が決まりましても、我々といたしましては、是非このできますならば全部、それでなくても一部でも早く返して頂かなければ、この金を用達てました人々として今日の生活にも困るという状況がございますが、その点を少し長くなりますが、具体的にお話して見たいと存ずるのでございます。お話は極く一地方の話になりますが、併しこれは殆んど全体に及ぼし得るというものなので、一應お話して見たいと存じます。私は京城におりました関係から朝鮮の状態を極く簡單にお話して見ようと存じます。終戰後御承知の通り、朝鮮は三十八度線によりまして、ソ連の占領地区と米軍の占領地区とに分れたのでございますが 三十八度線以内・米國の占領区におきましても、占領と同時に地方との連絡は全く断絶されまして、日本人は十キロ以上の旅行をする場合には許可を得なければならんということになりまして、その許可も殆んど與えられないという状況でございましたので、各都市がみんなばらばらな状況になつたのでございます。そうでございますが、結局が京城を中心といたしまして、そうしてこの連絡の取りにくい中でもできるだけの連絡を取りまして、南の方の引揚げに努力いたしますと同時に、京城を中心として北の方から脱出して参ります人たちの救済に当つたのでございます。この経費が京城におきましては、初め総督府その他の寄附金によりまして千八百万円くらい集つておりましたので、その年の十二月までは先ずこれで以て凌いで來たのでございます。十二月に入りまして、まだ千百万円ばかり余つておりました金が米軍に凍結されましてから、どうしても北の方からずんずん逃げて参ります人を京城に収容いたしましてこれを南の方に送り出すというために非常に多額の金が要りましたので、そのために借入金ということが生じたのでございます。そのときに内地と折合せまして、外務省から金を送つて頂くということを祕かに申送つたのでございますが、併し金を送ることはできないが、併しお前の方で借入れた金はこちらに帰つたらば直ちに返してやるという御誓約を二度まで頂きまして、先ずそうなるものとして人々から金を集めて参つたのでございます。併し一昨年の暮になりまして、南鮮におきましては殆ど金持は帰つてしまいました。金を集めると申しましても殆ど残つておる人の差当りにも要るような金を集めて使つたような状況でございます。その上に北の方におきましては、みんな財産は没収されます。その残つたものの賣食いで皆が命を繋いでおるような状況なので、北の方の都市並びに村落におきましては実に皆血の出るような金を集めてその土地々々の救済に当つていたのでございます。こういうふうにしておりますうちに、去年の四月頃になりまして北三十八度線以北からの脱出をどうしてもしなければもう生命に危險を及ぼすというような程度になりましたので、北からの脱出というものが非常に殖えました。これが殆んど京城に集まつて、釜山を通つて帰るというような状況になつたのでございます。北におりましても傳染病ははやります、非常な死人を出します。南に逃げて來ましても、これらの予防の見地から、京城の街には入れられません。城外の二三ヶ所にテント生活を送らなければいけないというような状況でございます。それに対する食事等も非常にひどい状況でありましたので、どうしてもこれを支えるためには多額な金が要るのでございます。併しそれを集めますのに、もう纒まつた金を持つておる人はないのであります。先に北から着のみ着のままで逃げて参りました人たちの帶の間、髪の中に隠して置いた金を集めて、そうしてこの救済費に充てる。こういうような状況にまでなりました。やつと昨年の十二月で大体の送還が終つたというような結末になつたのであります。從つて金を借りました額は七千何百万円でございますが、借りました人員においては四万八千人に達しております。これはこちらの内地の御希望としては成るべく纏めて借りてくれという御希望でありました。御尤もな次第でございますが、現地の状況は決して大きな金を纏めて借りるようなことはできませんので、そういう最後の金まで借り上げて、そうしてやつと、この仕事を終つたというような状況なのでございます。そのときに借ります人々も貸します人たちも、これは帰つたならば必らずこちらで直ぐ返して頂けるという氣持でこういうことをしたのでございますが、帰りましてもこのことが今日まででは政府の御事情で一円も返して頂けないという状況でございますので裸で帰つて着、そうして最後の金を同胞救援のために途中に置いて参りました人たちといたしましては、何とも法が付かないのでございます。法が付かなければ借りました人々に対して是非非常に早く返してくれと言つて迫るのは当り前のことでございます。私はこれは政府の責任だとは思いますけれども併しそれを政府の責任であると言つて抛つて置くことはできないのでございます。そこで同志が相寄りまして、こちらで商賣をしましたり、又願いまして慈善興行をさして頂いたりして、その一部分を返すということに計らつたのでございますが、我々の仕事というものはそう大きな程度にできるわけのものでございません。約百何十万円をそういう方法で集めて返したことでもうとてもいけなくなつた、こういう実情にあるのであります。朝鮮もこうでございますが、満洲あたりにおきましても初めまだ自由な時代にお役所の方も皆集まつて御相談の上で計画を立てられまして、そうして、すべてが承知の上で寄附金を集められたのだそうでございますが、併しそれも初めは一万円というようなことを目途としておられましたのが、そういうわけには行かなくなり、千円になり、二百円になり、小さな金まで集めてこの事業に当るというような状況になつておるのでございます。こういう問題に関しまして、いつまでもこれに対する返済ということにつきまして、根本は決まらないでも、何とか工夫して一部の実行でもして頂きません場合には、これらの人々の頭の上には、この点に関しては、日本の國というものがあるのだかないのだかという疑いを持つのは、私は無理のないことだと思つております。こういう事情でございますので、この在外公館の借入金は勿論、一般の借入金につきましても、随分いろいろな御事情はございましようが、そこを何とか工夫されて、一部でも早く返すということに御努力あることが、私は政府の絶対の御責任だと思つております。この点につきましてお考えを伺いたいと存じます。
#15
○政府委員(小坂善太郎君) 只今穗積さんからいろいろと現地で直接御苦心になりました御体験並びにその当時の有様等を詳細承りまして、私共実はいろいろな人からその当時の現地における御苦心の事情等につきまして承つておるのでありまするが、今日穗積さんから直接詳細に亘つてお話頂きましたことを非常に有難く思つております。仰しやいまするまでもなく、在外公館の借入金というものは、当然政府において返すべきものであろうというふうに思つて、おるのであります。先般芦田外務大臣が総理の代理としてお答え申上げました線に沿いまして、私共大藏当局といたしましても、そのことを考えておるわけでございます。いや考えるだけでなくていろいろその実現方について努力をいたしておるわけであります。併しながら只今お話の中にもありましたように、日本の國の事情というものが、極めて複雑であり、又微妙な関係も持つておりまするので、誠に仰せの通りでありまして、何とかして早く一部においても実現せねばならんというように考えるのでありまするが現在まだその実現に至つておりませんわけでありまして、我々今後ともこの内閣の代表者が公約いたしましたこの線に沿いまして努力いたしたいとかように考えておるわけであります。
#16
○穗積眞六郎君 私共も政府がこの点に関しましていろいろ御苦心になつておるということに対しましては、誠にその御労苦を多としておるのでございます。併しながらこれはもう現実の問題で、これがなければ本当に生死に関するという人が沢山あるのでございます。その上にこういうわかり切つた返さなければいけない金を、ただ、理由もわからずに一部分でも返すことなしに、そのままにして長年おくということは、これからの日本の再建という上に非常な私は悪影響を與えるものと存ずるのでございます。この点につきましては尚一層の御努力を願いまして、一日も早く何らかの形で返還の端緒をつけて頂くということを切にお願いいたしておきます。
#17
○北條秀一君 只今の問題ですが、政府は大いにこの解決に努力するといつておられるのですが、今までこの第一囘國会が始つて当初からこの問題についてしばしば論議したにも拘わらず、依然として四ヶ月の間研究を続けるということで、極めて我々としてはその点不満なのであります。殊に八月、文書を以て政府に対してこれについてどういう考えでおるかということを出したことは、小坂政務次官も御承知であると私は思いますが、本日御出席のお答えの様子では、どうもそのときの質問書に対する政府の囘答についてもまだ大蔵省として十分に考えていないのではないかということを考えて非常に遺憾であります。そこで研究でなしにすでにやるかやらんかというところにこの問題は來ておるわけであります。更に今後研究を続けるのでなしに、どういう点にこの問題の解決し得ない点があるのか、その点について政務次官の考えを披瀝して頂きたいと思います。更に質問を後で続けます。
#18
○政府委員(小坂善太郎君) 私は只今穗積さんに対してお答え申上げましたように、何とかしてこういう当然支弁すべきものは、政府が支拂うように努力するということを申上げておるのであります。この点北條さんから、先般御書面によりまして伺いました節にも申上げ、又その線に沿うて努力をいたしておるわけであります。問題は、只今も穗積さんに申上げました中にも申上げましたように、今日の日本の國情というものがなかなか微妙且つ複雑であるという点にかかつておるので、どうも甚だお答えとして御不満であろうと存ずるのでありますが、そういう事情以外に申上げられないと考えます。
#19
○北條秀一君 この問題について、今まで閣議で愼重に研究したことがあるでしようか。
#20
○政府委員(長沼弘毅君) これは本年度の当初予算を編成いたしますときに一應政府としては決意をいたしまして金額等についても算出すべく努力をしたことがあるのであります。でありますが、予算全体の編成の際に、只今政務次官から申上げました複雑微妙な関係から、遂にそれを引落さなければならんというような事態になつております。從つて閣議等でいろいろ議論がありましたことは、私は列席いたしておりませんけれども、当然議論があつたことと承知いたしております。
#21
○委員長(矢野酉雄君) ちよつと委員長から意見を伺つておきたいと思いますが、それは研究する、考慮するではもう全く困つたことですが、勿論いろいろな、日本政府だけの問題じやありませんが、そういうような場合に百尺竿頭一歩を進めて親心で、大藏省の省内だけの問題で、こういうようなことはできないものですか。例えば北京なら北京で、当然國庫が支拂うべきところの金を支掃うことのできない事情におかれたために、一般の市民から二千万円なら二千万円借りて、いわゆる日本大使館の職員たちの月給を結局拂つたわけです、片一方は、今のお話は、いわゆる難民救済に政府がやるべきものを、片一方の本当に百円、二百円と乏しい中から出して、政府のやるべきことを代行したわけですから、或る方面との理解ができずして、直ちに國家が支拂うべき債務を履行し得ない今日において、例えば矢野酉雄が五千円金をそのために出しておる場合にその証拠はありますから、それを担保として庶民金庫或いはその他の銀行から貸出をするというような手は打たれないのですか。
#22
○政府委員(小坂善太郎君) その点につきましても、勿論我々としてもそういう方法を考えて見たのでございます。ただこの支拂をすることもフアイナンスをすることもやはり同様の範疇に属するものだという向うの見解の方が強くて、そういうことが行われないでおる次第であります。併しお話もございまするし、我々も何とかしてもつとこの実現を見るように、努力というとお叱りを蒙るかも知りませんが、努力をしなければならんものと思いますから、更にこの点は続けたいと思つております。
#23
○委員長(矢野酉雄君) ちよつと速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#24
○委員長(矢野酉雄君) 速記を始めて……。
#25
○北條秀一君 政務次官と長沼局長を通じて、長沼管理局長は今日まで二囘も見えておりますので、今我々がこういう問題で大藏省の根本の考を聞こうとしておる問題が沢山ある訳ですが、今一つの問題にぶつかつておる訳ですが次の問題を全部述べて貰つて、そうしてそれに基ずいて更に政務次官、管理局長から十分これを大藏省に早急に傳えて、貰つて、この次の機会にはもう本当にそれこそギリギリのところを発表して貰うというふうにして頂きたいと思うのです。
#26
○委員長(矢野酉雄君) どうです、今の動議は……。
#27
○穗積眞六郎君 それが結構と思います。
#28
○委員長(矢野酉雄君) それならばそういうふうに進行さしたいと思います。
#29
○北條秀一君 尚穗積さんの済んだ後時間の許す限り、速記はなくても政務次官と管理局長と我々懇談して、各種の点について我々が大藏省の研究される参考資料としてこういうこともあるんじやないか、こういうことも考えられるんじやないかということを後で懇談する時間を與えられれば非常に幸いだと思います。
#30
○穗積眞六郎君 それでは各問題を一應簡単に述べます。第一番は閉鎖機関の使用人が当閉鎖機関に対して有する未拂給料、身元保証金、退職手当の債務の取扱について、引揚者を國内勤務者と差別して取扱う理由はないと思う。それに対する政府の所見如何、こういう問題でございます。これは閉鎖機関になつておりますところの会社等の使用人が向うでは給料も貰えなかつた。身元保証金も貰えなかつた。退職手当も貰えなかつたというような状況でこちらに還つております。一番大きな例を申上げますれば……。
#31
○委員長(矢野酉雄君) ちよつと穗積さん御発言中ですが、ちよつと緊急に政務次官は衆議院の本会議に出席を要望されておりますから、大藏大臣が参議院の予算総会に來ておりますので責任者として、……。だからその一点だけ一つ明快に、それだけ取り結んで下さい。
#32
○穗積眞六郎君 今のように向うの人は何も貰うべきものを貰わないで還つて來ておる。然るにこちらの支店その他においてはこちらとして拂うべき金はある。そういう場合にこの日本國内にあります金で、そういう向うで勤めていた人の退職慰労金その他を拂うということが今の御解釈でできないというふうになつておるやに伺うのでございます。それから閉鎖機関でないものは何か、大藏省令の八十八号とかでやはりそんなような目安になつておると承るのでありますが、これは我々にはどうしても納得ができない。商法の二百九十五條というところから言つても債権の請求権があるものだと思いますしそれからこの閉鎖機関令の解釈につきましてもまだそれが本邦内の債務に限られるということに読まなくてもいいのではないかという氣がいたすのでございます。そういう法令上の解釈はともかくといたしまして、これは大藏主管大臣のお決めになることでございますが、そのお決めになり方に我々の常識から申しましても、法律的の解釈からいたしましても、向うにおるものであるから、同じ会社のこちらの余つておる金から支拂を受けてはいけないのだという根本原則を理解することがどうしてもできないのでございます。是非これはこちらにあります財産を、その閉鎖機関の会社の全体に潤すことができますような御解釈にして頂きたいこれがどう考えても本当の取扱ではないかというのが中心でございます。この点について御意見を承りたいと思います。
#33
○政府委員(長沼弘毅君) 只今の穗積さんのお話誠に御尤もでございまして退職金、それから身元保証金というふうな性質の債権は、会社の何と申しますか全財産に対して先取特権があるということでもありますし、又外地に本店があります会社においては、その退職金等の債権というものの履行地は内地にあるというふうにも考えるのが私共の法律常識ではあるわけであります。ところで其の筋の考え方を申上げますと、第一点は御承知の閉鎖機関のいわゆる特殊整理という特殊の整理方式でありまして、それは外地における資産と、内地における資産というものは明瞭に分離するということ、而して内地における整理は、内地の財産と内地の負債とにおいて整理する。それから外地に勤務いたしておりました引揚者という者が会社に対して持つておる債権は、これは國内債権にはなり得ないので、在外債権として扱う。從つて満洲から引揚て來て、例えば満鉄の内地支店における資産に対して請求権を行使するということはできないこういう考え方に終始いたしておるわけであります。それから今一つ、それにいたしましても外地における債権というものは將來生きるかも知れない。そこでそういう場合のことも想定して仮に内地の財産からさようなものを支拂つておくというような方法もあるではないかという折衝をいたしましたのですが、在外債権というものの帰趨いうものは何人といえども知りえないことである、こういうことでありまして、これ又私共の満足するような解決に至つておらないような状態でございます。
#34
○委員長(矢野酉雄君) 只今復員廳の森田官房長と、それから主計局次長の河野さんがおみえになつておりますから……。
#35
○穗積眞六郎君 これはどうも内地にあります財産は、内地にのみ使つていたものでないということは明瞭なことなんです。それをただ切つたからといつて、内地にある財産は内地のみの支拂にあつたような帰結にもつて來るというのは根本に非常な矛盾があるように思います。先程あなたがおつしやつた通り、こういうところの人々も支拂いを受ける本当の、根本の、この土地としては内地と思つておりましたし又内地で受けておる例が非常にあるのであります。そういうところから申しますと、理論上成り立たないという氣がいたすのですが、そういう内地のものは内地だけのあれに限るのだということは、どうもそれが分らないのでありますね。何か少しはあなた方におうなずけになる議論があるのですか。
#36
○政府委員(長沼弘毅君) 速記を止めて下さい。
#37
○委員長(矢野酉雄君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#38
○委員長(矢野酉雄君) 速記を始めて下さい。
#39
○穗積眞六郎君 続いて御質問いたしますが、在外同胞の持参の戰時公債の利子の應急的の処理について、政府の御所信を承りたく、これはもう申す迄もありませんが、戰時公債というものがどうなるかということは、我々もう勿論なくなるかも知らんのだという覚悟はしてみたのです。併し内地においてはそのままになる。そうして利子も拂われている。外地の戰時公債についてのみ利子も支拂われておらん。こういうことになりますと外地在住者といたしましては、いろいろな不利益が重なつている上に、こういう点においても犠牲の公平負担ということに非常な距離があると思うのです。これはどういうふうなお考えであるか。どうして下さる積りであるか。これを伺いたいのが第一点。それからその次は中國の在留者の所持金に対しては中國政府が承認せる限度まで利子等を支拂うべきであるという問題であります。これは中國において、向うの方が五千円まで持ち帰りを許しておるというお話でございます。併しこちらはやはり一千円を限度にするということになつておりまして、同じ聯合國の而も統治國が許しておる限度までは持ち帰らせてもいいではないか、こういう問題でございます。
 それからその次は終戰前本國への送金で、九月二十三日以前に本國に到着しておるもので、受取人に支拂われないものがある。その理由はどういう理由であるか、これは当然支拂つておるべき筈なんでございます。銀行等いろいろな理由を附して拂わないというものがあるそうでございます。こういうことはない筈だと思いますが、若し同じなにかそれに対する理由があるとすれば、承りたいというのが本旨でございます。
 それからその次は終戰前に本國への電信送金で、未到着又は不明のものが非常に多くある。これは本当に戰乱に紛れて未到着というのもあるかも知れませんが、併し中には到着したのが未到着というような扱いになつておるのが、可なりありはしないかと存じます。それに対してお調べがどこまで行届いておりますか、そのはつきりしたことを承りませんでは、或いは到着したのがそのままになつておるというようなことでは、これは國としても捨ておけない事態でございますので、こういうものに対してはその責任を明らかにして頂きたい。こういうことでございます。簡單にその題目だけを羅列いたした次第であります。
#40
○委員長(矢野酉雄君) どうしましようか、穗積さんこれは御相談申上げますが、只今御答弁を要求なさいますか、当局によくこれについてそれぞれの主管の部署において研究して頂いてそうして最も良心的な御返答を頂戴するようにいたしましようか。
#41
○穗積眞六郎君 今明白に御答弁の頂けるものだけ御答弁頂いて、それも括めてもう一遍よく御研究願つて、この次の時に御答弁頂いたら有難いと思います。
#42
○委員長(矢野酉雄君) 管理局長或いは主計局次長の方で、今質問がありましたことについて、御答弁のできる範囲のものがあれば御答弁を願いたいと思います。
#43
○政府委員(長沼弘毅君) 戰時公債の利子の問題でございますが、これは御承知の如く一般に支拂いを打切られておるわけじやございません。唯外地引揚げの方、又は外地に元本等を持つておられるというふうな方々に対しましては、これは支拂いの方法が現実にないわけであります。これは止むを得ないと存じますが、内地にその戰時公債を持つておられたということが、他の適当な方法で十分確認できるというものについては、建前としてはお拂いをするという建前でございます。これは御承知の千円の限度という枠の中に勿論入つてしもうわけでございます。その範囲内におきましてお支拂いするということになつております。
 それから中國の留用者の持帰り金の問題でございますが、この中國政府が承認いたしました五千円というものの意味が甚だ不明でありまして、中國政府において負担するという意味でありますのか、誰が負担するという意味でありますのか、その辺を明確にいたしませんことには、処理がなかなか困難かと思いますが、現在司令部を通じまして中國政府に照会いたしておる最中でございます。これは何分の囘答があり次第、それに應じた処置ができるかと存じております。
 それから終戰前に送金いたしましたもので、九月二十三日以前に到着いたしておるけれども、荷受取人に支拂われないというものがあるというお話でございますが、これは実はいろいろな場合があるのでございますが、極く普通の場合は、二十三日以前のものは当然千円の限度において支拂われるということは申すまでもないのでありますが、ところでこの支拂い期間が閉鎖機関に指定されたというものになりますと、先程申上げました在外債券等と同じような関係がありまして、二十三日以前に着いたものでありましても、着かないものでありましても、閉鎖機関に対する外部からの請求権というものは一切弁済されないということになつてしまいまして、なかなかこれは簡單には解決いたし兼ねると思うのであります。それから尚昨年の八月十一日以降この閉鎖機関にならない、普通の機関でありますが、金融機関の再建整備法の関係その他法律上のいろいろの見解がありまして、実際にこの場合に該当するような小切手等の支拂いを停止されておる状態であります。九月二十三日以前に内地に到着いたしまして、例えば預金の形に振替わつておるというふうなものは、朝鮮については一万円まで、その他の地域につきましては全額すでに支拂われておるのであります。いろいろの場合がございますので、或いはちよつと御判断に不便であつたかと存じます。
 尚電信送金等で、たしかに内地に着いておると思われるようなもので、受取人の手に入つておらないような事例があるというお話でございましたが、これは関係の局に早速連絡いたしまして、若し仮にさような事実ありといたしますれば、至急にこれは解決しなければならん問題でございますし、更に責任者の追及等は嚴重にやらなければならんと存じますので、関係の局に連絡するということで御了承を願いたいと思います。
#44
○北條秀一君 只今の九月二十三日以前に本國に到着して、受取人に支拂つてないという送金爲替の問題ですが、これは閉鎖機関の指定が九月三十日なので、從つて九月三十日以前に到着したもので、且二十三日までに本人の手に渡つたものは、銀行に多くの者が交渉しておるわけでございます。ところが当時大藏省の指令が、極めて不明確であつたために、ぐじぐじになつて結局九月三十日の閉鎖機関指定の処置後にこの問題を取扱うということになつて、結局銀行の責任、即ち大藏省の責任が本人の責任に轉嫁されたのが沢山あるわけであります。その問題が今言われた問題の大部分なんであります。
#45
○政府委員(長沼弘毅君) 私は二十三日以前に到着いたしまして、三十日に閉鎖機関に指定されて、それから尚あと受取つておらないという者だけについて申上げたのでありまして、只今のあなたの仰せのような場合は、特に救済手段を講じなければならんと存じますので、十分研究いたします。
#46
○委員長(矢野酉雄君) そうすると、その問題に関聯して、向うの送金小切手を持つておつて、こちらが閉鎖機関になつておつたら、だめでありますか。朝鮮銀行なら朝鮮銀行で、終戰前振出した実際の小切手は、それを持つて帰つても駄目でありますか。
#47
○北條秀一君 それも九月二十三日以前に到着した分ならば当然それは支拂うべき筈なんであります。それをぐずぐずしておつたために三十日に延ばされてしまつた。それは本人の責任でなしに、銀行の責任であります。これが多いのであります。
#48
○委員長(矢野酉雄君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#49
○委員長(矢野酉雄君) 速記を始めて……。
#50
○北條秀一君 主計局次長と復員廳の官房長がお見えになつておりますので質問したいのでありますが、先程星野委員が質問いたしました庶民金庫の未放出分の三億一千六百六十七万円の点であります。この庶民金庫の生業資金は、すでに本委員会におきまして十数囘も主張され、論議されたところでありまして言葉を重ねる必要はないのでありますが、先程管理局長が星野委員の要求に対して答弁されたのでありますが、主計局の次長が見えておりますので、私は重ねてこの席上でその主張を繰返して、主計局においても十分認識されて善処されんことを希望するのであります。即ちそれは残額三億一千六百六十七万円を十一月一ぱいに全部放出するようにやつて貰いたいということであります。
#51
○政府委員(河野一之君) 御趣旨の点はよく分りました。三億一千六百万円の内一億五千万円につきましては、現在のところ十一月に支拂を付けるつもりで計画を立てております。毎四半期ごとの収支計画を立てて予算を実行しておりますので、その一億五千万円の分については、さようにすでに計画に組んでおる次第であります。残りの一億六千六百万円でありますが、この点につきましても、これは御承知の通り生活保護費の予算の中から支出されるものでありまして、その関係と予算の残額その他の関係もありまして、現在これについて、追加予算を近く提出いたしまして、御承認を得たいと思つておるのでありますが、その追加予算が通りました場合においては、できるだけ御趣旨に副いまして善処いたしたいと、こう考えております。
#52
○北條秀一君 三億一千六百万円残つておるし、一億五千万円を出したのでは、結局あとの一億六千万円というものは死金になつてしまうので、どうしてもこれは一億六千万円を加えた三億一千万円を十一月に出して貰いたい。私共は十月に当然出すべきだと考えるのですが、それを一ヶ月延ばして十一月中に是非残額を出すように確約をするところまでやつて貰いたいと、こう考えるのであります。
 それからあとの追加予算の問題につきましては、先日の衆議院の特別委員会におきまして、厚生大臣は、八億円の追加予算をこのために取るということを述べておりましたが、そういう考えがあるかどうか、若しお答え願えるならば、御囘答願いたいのであります。
#53
○委員長(矢野酉雄君) ちよつと委員長から補足しますが、もう何度でも私強調して置きましたけれども、引揚者復員者約六百万、一家が五人として三千万人の、これは本当に死活の問題に関係しますから、途中で打ち切られれば、結局は氣息奄々たる者が絶命するより外はないというようなことに譬えることができると思います。恐らく十月の終り、十一月、だんだん経つに從つて、御承知のごとく、実に経済的の非常な混乱を示しつつあるのであつて、その中で一番本当に餓死線上に彷徨する者は引揚者諸君だと思いますから、この点本当にその人の痛さを己れの痛さとして御提出頂けば、参議院、衆議院共に、その追加予算通過には國会として万全を盡したい熱意に燃えておるのでありますから、結局大藏当局、なかんずく主計局の当局の方が、これについて積極的な熱意を持つて予算を立てて頂くということができなければ、我々には予算の発案権はないのでありますから、この点十分の一つ御理解を、委員長からも補足的にお願いして置く次第であります。
#54
○政府委員(河野一之君) 生活保護費の予算の中から支出いたすわけでありますが、現在大体十七八億程度の追加予算を計上すべく、目下関係方面と折衝いたしておる次第であります。この十八億円は、生活保護法の要救護者の救護費の單價が、例えば主食の値上りその他で單價の値上り等に基ずくものが大部分でありますので、救護人員その他の実行状況を見ませんと、何とも申上げかねるのでありますが、厚生省から庶民金庫の貸付金として八億円の御要望があることも存じております。併しながら目下追加予算につきましては、御承知のような事情で、非常な編成難の状況でありまして、財源その他についても非常に苦慮いたしておるような次第であります。予算の実行状況等も十分勘案いたしまして、できるだけ御貴意に副いたいと存じております。只今幾ら支出するというような御約束は、ちよつと現在の段階においては、お約束いたしかねることを御了承願いたいと存じます。
#55
○千田正君 先程もこれは申上げましたが、重ねてお尋ねしたいと思いますのは、毎日新聞紙上で皆さんの御覧になる犯罪の面において出て來るものは引揚者か復員者である。殆んど現在全國の刑務所に繋れておる者の経済犯罪の大部分というものは、こうして帰つて來たところの未だ報いられざるところの人たちが、生活の立つて行かない又性格の弱さから陷るところの犯罪の大部分というものが引揚者並びに復員者であるということは、皆さん御承知のことであると思う。この点につきまして、先程も申上げましたが、日本の政治の貧困というものは、戰爭を誤まつて起したということも政治の貧困であると同時に、戰後において囘復の速かでないということも政治の貧困であるということを我々が痛感いたしましたときに、我々選ばれて國会の席に連なる者といたしましては、一日も早くこういう面を打開しなければ、日本の民主主義政治は徹底しない。殊にそうした報いられない人たちに対して何とかしてやらなければならんということを考えたときに、この金融面、生活面に直結したところの御当局の特別の御配慮を願わなければ、思想的においても重大なる面に直面する時期が、我々としては、そう遅いのではなく、むしろ早く來るのではないかという虞れを抱く者でありますから、是非この点について御考慮を願いたいということを重ねてお願いして置く次第であります。
#56
○穗積眞六郎君 只今の主計局次長のお話は、主計局次長としては御尤もだと存じまするが、ただこういう点は、よく御理解願つておることとは存じますが、重ねてお願いいたします。引揚者の要求というものは、在外財産を初め非常に沢山あるのでございますが、これがすべて解決に至らないのみならず解決の曙光も、見えないものが多いのであります。而もその理由といたしましては、政府においても御説明のできないような理由に基ずいて、戰爭犠牲を公平に負担するという観念から遠ざかり、そうしてあらゆる明確な理由を示すことを得ずして解決されないというものが非常に多いのであります。そういう中で、ただ一つこの生業資金の問題だけが我々といたしましては非常に不満足でございますが、お力によりまして去年も先ず非常な波瀾の後にやつと十億まで出ることになつたのであります。殆んど我々の差当りの問題といたしましては、この生業資金だけが本当の頼りだということになつております。從つて今年の六億六千万円という額が、多い、少いという問題も初めからいろいろ論じ盡しましたが、一年をこれでやられたのではとても引揚者を宥めることはできんとの考えからいろいろに政府の方では御無理のあるところを願い抜きまして、やつと十一月までには何とかしようというお言葉を得ておるのであります。決してこれで満足はできませんので、追加ということを願つております。これは決してただこれのみの問題でなく、引揚者の問題の今における第一の中心をなしておるものでございます。僅か八億、十億の金を出して頂けると頂けないによつて、これを中心といたしておりますだけに、引揚者の思想全般にも非常な重大な影響を及ぼすものなのでございます。どうぞ主計局におかれましても、この点に十分御留意下さいまして、この予算増加ということに極力御努力下されまするように切にお願いを申上げます。
#57
○北條秀一君 主計局次長は今私が追加予算について、言明しろといつたように誤解されたのでありますが、それは聞違いである。一億五千万円を十二月に出すということを主計局次長として言明されたことは、誠に感謝に堪えない。あと残りの一億六千万円を十二月以降において考えるというのを、それを十一月一ぱいに出して貰いたい。これは幸いに政務次官も來ておられますから、十一月に合計三億一千六百万円出すか出さないかということは、これは本当に生業資金を生かすか生かさないかという瀬戸際だと思います。だから十二月以後のことを追加予算で更に考えることにして、三億一千六百万円は最少ぎりぎりの要求として出して貰いたいということを切に頼んでおるのであります。これは全員のあれですから、是非そこは実行して貰いたい、その点を言明して貰いたいというのです。
#58
○千田正君 今の北條委員の説明、穗積委員の要求に対して追加して申上げることがあります。我々は厚生省に度度血のにじむような請願をし、又外務省にも請願し、各方面の当局に請願しても、結論においては大藏省が最後の鍵を握つておるという段階に落ちるのであります。大藏当局に向つて特に特段の御処置を頂かないというと今後の問題は結局終点は大藏省であるという決勝点に向つて皆動くことになりますから、是非その点は十分に引揚者の立場に御同情下さつて、特別の御配慮を願いたいと特に私お願い申上げます。
#59
○委員長(矢野酉雄君) これは決して引揚者ばかりでなく、戰災者、戰爭犠牲者を対象としておるのですから、こちらはそれだけを言つておるようですが、何も引揚者だけが恩典に浴するわけでないのですから、日本を起上らせるこれは最小限度の、これを通らなければならない段階ですから、どうですか次長さん……。
#60
○政府委員(河野一之君) 実は庶民金庫の貸付金について國庫から支出いたしますのは貸付金の三割ということになつておりましたので、この点御承知のことと思いますが、実行いたしました結果は、なかなか庶民金庫の市中の資金も集まりませず、段々國庫でその貸付金自身を負担するというような情勢に追い込まれて参りまして、当初大藏当局といたしまして計画を立てておりました金額、國庫として出します金額が非常に嵩んで参りまして、そういう点でいろいろ御満足の行くような処置をお採り申上げることができなかつた点が多々あるかと思うのであります。実は私共といたしましては、今年度生活保護費から五億円出すということについては十分考えておつたのでありますが、その外に一億六千六百万円という問題が起きて参りまして、私共といたしましてはその財源というものについて別途の考慮をしなければならんというようなことに相成つておるわけであります。御趣旨の点につきましては、私共も前からこの問題に関與いたしておりまして十分了解いたしておりますので、できるだけおつしやる方向に向いまして努力いたしたいと存じます。
#61
○委員長(矢野酉雄君) 政務次官はどうですか。
#62
○政府委員(小坂善太郎君) 只今主計局次長の申上げた通りでありまして、当局としてはできるだけのことをいたしたいと思います。近く結果によつて御判断を願いたいと思います。
#63
○北條秀一君 政務次官と主計局次長復員廳の官房長が見えておりますので今後の未帰還者の兵の給與及び留守家族に対する手当、これは今囘の追加予算に出ておるそうであります。その点についてはわれわれ國会としてもこれを全会一致で通すように努力しますし必ず通ることと思います。ただ現在渡つております三百円の交通費、これを我々としては三倍半に当然上げるべきじやないかという要求をして、少くとも千円まで上げてやつてくれという要求をしたのですが、これは先達つての國務大臣の答弁とは実際は違いまして今度の追加予算に出ない、その点について説明して頂きたいと思います。
#64
○政府委員(河野一之君) 在外未復員者の給與の問題でありますが、これにつきましては法律を別途出しますほか追加予算を出すという一應の予定をいたしております。これはいつになりますか、今折衝いたしております大きな追加予算が出て参る、今まで出ておりますのは非常に細々したもの、例えば一時金、十一月分の俸給、そういう細細したものでありまして、御趣旨のようなのは大きな追加予算で出ます……。その案では一應三百円ということになつておりますが、これを殖やしますにつきましては私共も随分努力いたしたのでありますが、非常に困難な点は御了解願えると思うのであります。現在で申しますとおつしやるような数字になつておりますが、從來の未復員者に対する給與というものは非常に、考えによつては不公平になつております。今度は相当ならしまして、平均的なものにいたしまして、將校と、兵、下士官との差別はできるだけなくす。こういう方法でやりたいと思つております。旅費の点については、今のところまだ残念ながら解決いたしておらない、こういう状況でございます。
#65
○委員長(矢野酉雄君) その問題は委員長として非常にそれは残念ですね。或る方面の了解はすでに得ておるのであつて、むしろ一番の難関は大藏当局自体の問題じやないですか。少くとも三百円だつたならば、物價がこんなに騰貴しておるときに、何等増額するという意味じやなくて、自然的の流れと思う。二年前三百円貰つていた者が、今三百円貰うというのは、これは常識的にどうも納得行く筈がないのですから、贅沢でも何でもない。特殊の待遇でも何でもない。自然の流れにおいて千円なら千円ぐらいに、復員廳当局は要望したら……大藏当局はどうですか。
#66
○政府委員(河野一之君) この問題は旅費だけの問題として解決いたしておるのでありませんで、從來終戰以來この問題に実は努力をして参つたのでありますが、……ちよつと速記を止めて頂きます。
#67
○委員長(矢野酉雄君) ちよつと速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#68
○委員長(矢野酉雄君) 速記を始めて……。
#69
○北條秀一君 復員者の旅費の三百円の問題ですが、あと六十万帰るとして僅か一億八千万円、それを千円にしたところが六億円、差は僅かに四億二千万円なんですが、これらのものを出すか出さんかという問題は、他方官公吏の待遇改善という問題と考えて見ますと、ひがむなといつても、とかくひがみたがるのです。ですから長年國家の犠牲になつて海外において、本当に苦役に就いている復員者達に、僅か三百円を千円にしても、ひがまないということもありませんけれども、せめて氣は心ということがありますから、僅かの金額で、政府がこれだけのことをやつて呉れたという親切心を示すようにして貰いたい。從つて次の機会には三百円を千円にするように、我々も全力を挙げますが、予算を出すのは政府でありますから、是非政府においては、そういう趣旨の下に予算を提出するように願いたいと思います。
#70
○政府委員(河野一之君) 重ねて申上げますが、この旅費の問題は未復員者の給與ということに考えておるわけでありまして、一種の給與、旅費の実費という観念とは、実は変つているものになつております。一般の引揚者に対しては無賃乗車券を出し、二泊三日分かの食糧を持たせてやるわけでありますが、從つて旅費という観念がないわけであります。この旅費の沿革から言いますと、先ず聯隊に帰る。そうしてそこでいろいろな点檢その他をやつて、それから國に帰るのであつて、一應元の聯隊区司令部に出頭して帰るのだと、こういう建前で旅費にできておるのであります。一般の引揚者と同じに考まえすと、官が食糧を持たせて、無賃乗車券を持たせて返すが、兵隊だけはそうじやないのだ。自分たちは聯隊区に帰つて、それから郷里に帰るのだと、こういう建前でこの金の積算ができておるわけであります。それで現実に汽車に乗るとか何とかいう問題とはこの問題は別に出発している。ただ給與を貰う手段として考えられております。その後において旅費が増額になりましても、その当時と計算をすれば、もう少し殖えますが、それは別途の給與の問題として考える。旅費の問題として考えると、問題が複雑になりますので、兵隊に対する給與全般の問題としてこの問題を処理して行きたいと、こう考えております。御了承を願いたいと思います。
#71
○委員長(矢野酉雄君) 復員廳の方で予算を出しませんか。
#72
○政府委員(森田俊介君) いろいろ研究いたしましたけれども、今主計局からお話があつた今度の大きな追加予算の中にはそれは出しておりません。
#73
○委員長(矢野酉雄君) 併しこの間大臣は責任ある……。
#74
○政府委員(森田俊介君) 事務的に復員廳自体として、いろいろ研究したことは事実であります。
#75
○穗積眞六郎君 この間も、その旅費の三百円の問題は、追加予算に含んだとは言いませんでした。あれの前の問題だけは追加予算に出したが……。
#76
○委員長(矢野酉雄君) 本日はこれで閉じたいと思いますが、大藏当局その他政府当局の方々は、いろいろな委員会におでましになりまして、いろいろ御体験でしようが、この委員会は非常にうるさいというふうに或いはお思い下さるかも知れませんが、本当にお互い参議院の特別委員会の九五%を占める大部分の諸君は、生死の関頭に立つて、あの動乱の中、苦難の中を乗り越えて帰つて來ておる者でありますから本当に未帰還者の苦痛、その遺族の苦痛、帰つて來られた人々の痛さというものは、命がけでその痛さを体験することができるものでありますので、切実にその思いを当局自体に直通申上げて、そうしてここに共々に民主日本の建設に努めたいという民族愛、國家愛の立場から申上げる次第でありますから、どうぞうるさいというお氣持をお持ちなくして、十分の御理解と御同情を、委員長からお願いしておく次第であります。お忙しいのに長いこと、誠にありがとうございました。これにて散会いたします。
   午後三時三十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     矢野 酉雄君
   理事
           島   清君
           淺岡 信夫君
           木内キヤウ君
           北條 秀一君
           星野 芳樹君
   委員
           中平常太郎君
           山田 節男君
           伊東 隆治君
           井上なつゑ君
           楠見 義男君
           穗積眞六郎君
           千田  正君
  政府委員
   大藏政務次官  小坂善太郎君
   大藏事務官
   (主計局次長) 河野 一之君
   大藏事務官
   (管理局長)  長沼 弘毅君
   復員事務官
   (官房長)   森田 俊介君
ソース: 国立国会図書館
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