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1979/03/11 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第5号
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1979/03/11 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第5号

#1
第091回国会 予算委員会 第5号
昭和五十五年三月十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十日
    辞任         補欠選任
     大森  昭君     松前 達郎君
     渡辺  武君     小巻 敏雄君
三月十一日
    辞任         補欠選任
     北  修二君     林  ゆう君
     熊谷太三郎君     八木 一郎君
    茜ケ久保重光君     広田 幸一君
     和泉 照雄君     三木 忠雄君
     馬場  富君     矢原 秀男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山内 一郎君
    理 事
                亀長 友義君
                下条進一郎君
                桧垣徳太郎君
                安田 隆明君
                栗原 俊夫君
                山崎  昇君
                原田  立君
                沓脱タケ子君
                栗林 卓司君
    委 員
                浅野  拡君
                岩動 道行君
                上田  稔君
                小澤 太郎君
                金丸 三郎君
                上條 勝久君
                熊谷  弘君
                鈴木 正一君
                田代由紀男君
                玉置 和郎君
                成相 善十君
                林  ゆう君
                真鍋 賢二君
                町村 金五君
                宮田  輝君
                八木 一郎君
                山本 富雄君
                大木 正吾君
                勝又 武一君
                高杉 廸忠君
                竹田 四郎君
                広田 幸一君
                松前 達郎君
                森下 昭司君
                安恒 良一君
                中尾 辰義君
                馬場  富君
                三木 忠雄君
                矢原 秀男君
                渡部 通子君
                上田耕一郎君
                小巻 敏雄君
                井上  計君
                秦   豊君
                下村  泰君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       法 務 大 臣  倉石 忠雄君
       外 務 大 臣  大来佐武郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  谷垣 專一君
       厚 生 大 臣  野呂 恭一君
       農林水産大臣   武藤 嘉文君
       通商産業大臣   佐々木義武君
       運 輸 大 臣  地崎宇三郎君
       郵 政 大 臣  大西 正男君
       労 働 大 臣  藤波 孝生君
       建 設 大 臣  渡辺 栄一君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 伊東 正義君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       宇野 宗佑君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  細田 吉藏君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       正示啓次郎君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       長田 裕二君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  土屋 義彦君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  園田 清充君
   政府委員
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       内閣法制局第一
       部長       味村  治君
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       任用局長     斧 誠之助君
       総理府人事局長  亀谷 禮次君
       総理府人事局次
       長        川崎 昭典君
       公正取引委員会
       委員長      橋口  收君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  伊従  寛君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  妹尾  明君
       行政管理庁行政
       管理局長     加地 夏雄君
       行政管理庁行政
       監察局長     佐倉  尚君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁参事官   佐々 淳行君
       防衛庁長官官房
       長        塩田  章君
       防衛庁防衛局長  原   徹君
       防衛庁衛生局長  野津  聖君
       防衛庁経理局長  渡邊 伊助君
       防衛施設庁長官  玉木 清司君
       防衛施設庁施設
       部長       森山  武君
       防衛施設庁労務
       部長       伊藤 参午君
       経済企画庁調整
       局長       井川  博君
       経済企画庁調整
       局審議官     廣江 運弘君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
       経済企画庁総合
       計画局長     白井 和徳君
       科学技術庁長官
       官房長      下邨 昭三君
       科学技術庁計画
       局長       園山 重道君
       国土庁土地局長  山岡 一男君
       法務大臣官房長  筧  榮一君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       外務大臣官房長  柳谷 謙介君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省欧亜局長  武藤 利昭君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    千葉 一夫君
       外務省経済局長  手島れい志君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       賀陽 治憲君
       大蔵省主計局長  田中  敬君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  渡辺 喜一君
       大蔵省銀行局長  米里  恕君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆司君
       国税庁長官    磯邊 律男君
       文部省初等中等
       教育局長     諸澤 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       厚生大臣官房長  大和田 潔君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       厚生省児童家庭
       局長       竹内 嘉巳君
       農林水産大臣官
       房長       渡邊 五郎君
       農林水産大臣官
       房予算課長    田中 宏尚君
       農林水産省食品
       流通局長     森実 孝郎君
       食糧庁長官    松本 作衞君
       林野庁長官    須藤 徹男君
       水産庁長官    今村 宣夫君
       通商産業大臣官
       房審議官     神谷 和男君
       通商産業省通商
       政策局長     藤原 一郎君
       通商産業省基礎
       産業局長     大永 勇作君
       通商産業省生活
       産業局長     児玉 清隆君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
       資源エネルギー
       庁石油部長    志賀  学君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  安田 佳三君
       運輸大臣官房長  杉浦 喬也君
       運輸省鉄道監督
       局長       山地  進君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   寺島 角夫君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   神保 健二君
       労働大臣官房長  谷口 隆志君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 久子君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
       建設省計画局長  宮繁  護君
       建設省道路局長  山根  孟君
       建設省住宅局長  関口  洋君
       自治大臣官房長  石見 隆三君
       自治大臣官房審
       議官       久世 公堯君
       自治省行政局公
       務員部長     宮尾  盤君
       自治省税務局長  石原 信雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   説明員
       外務大臣官房調
       査企画部外務参
       事官       馬淵 晴之君
       日本国有鉄道総
       裁        高木 文雄君
   参考人
       日本銀行副総裁  澄田  智君
       川崎建設業協会
       会長       渡辺 幸藏君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算、昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山内一郎君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 昭和五十五年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行副総裁澄田智君及び川崎建設業協会会長渡辺幸藏君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(山内一郎君) それでは、昨日に引き続き、竹田四郎君の総括質疑を行います。竹田君。
#7
○竹田四郎君 建設大臣にお伺いいたしますけれども、最近の建設資材の非常な高騰、こういう中で公共事業を抱えている建設大臣はどんなふうにお考えですか。
#8
○国務大臣(渡辺栄一君) お答えします。
 御承知のように、石油価格の変動によりまして、一部の建設資材が高騰の懸念がございまして、しかもその見通しが非常に困難である、こういう実態でございまして、その結果、公共事業の請負契約に際しまして、あるいは支障が生じ、事業の円滑な実施が非常に困難になるというようなことも予想されますので、私どもといたしましては、これに対しましては適切なる措置をとりたいと考えておりまして、ただいま中央建設業審議会におきましていろいろ御検討いただいておりますので、その結果をまちまして速やかな措置を講じたい、かように考えておる次第でございます。
#9
○竹田四郎君 川崎から来ていただきました渡辺参考人にお伺いしたいと思いますが、渡辺さんの所属されている協会というのは余り大きな業者の協会ではないように伺っております。そして、各都道府県、市町村が「公共工事標準請負契約約款」というのに基づいて、都道府県それから市町村ではそれぞれ公共事業を出す場合の基準にしているようでありますが、渡辺参考人にお伺いしたいのですが、あなたの協会ではこの約款の二十一条に規定しております契約締結から十二カ月を経過した後でなければ物価スライドができない、少なくとも十二カ月以上工事をやってなけりゃできないのだということでありますが、その辺は、実際おたくの協会あたりではどんなふうに適用になるのかならないのか、この辺のお話を聞かしていただきたいと思います。
#10
○参考人(渡辺幸藏君) いまのお尋ねにお答え申し上げます。
 われわれ地元の業者が受注できる工事では十二カ月の工期を持つものはほとんどございません。建築関係では新校も大型化されてまいりましたけれども、六月発注の三月末日が工期ということで九カ月というのが長い方でございます。六カ月から八カ月というのが大体の工期でございます。もちろん庁舎関係の大型工事もございますけれども、これは一年以上ございますが、ほとんどが大手と地元業者のJVか、ないしは大手業者の単独でございます。
 また、土木工事では下水道工事が大型化してまいりましたけれども、契約工期はほとんど六カ月から十カ月のものでございます。ただ、ガスとか電気ケーブルの切り回しがありますので、そのために実質設計変更等が起きて実質の工期は十二カ月を過ぎる場合もございますけれども、いわゆる十二カ月を超えるものというスライド条項を適用するような工事は地元業者としてはほとんど受注しておりません。シールド工事等の大型工事は十二カ月を超えるものがほとんどでございますけれども、これは全部大手業者の受注でございまして、地元の中小業者では受注の機会がございません。
 以上です。
#11
○竹田四郎君 ありがとうございました。
 建設大臣、最近の物価の値上がりというのは非常に急激で十二カ月を待てないようなものがうんとあると思うんですが、いまのこの約款でいきますと、大手は物価スライドを受けられるんですが、一番問題は、中小がこの物価スライドを受けられないというのは、これは私おかしいと思うんですが、その辺は何か考慮をしてくれますか。
#12
○国務大臣(渡辺栄一君) お答えします。
 実は一億円未満の資本金の中小建設業というのは約九九・四%でございます。そんな状況でございますので、私どもといたしましては、やはり十二カ月以上の長期にわたるというのは、いわゆる大手業者が多いわけでございますから、中小建設業者を救済するということも大事でありますし、まじめに努力をしておる者が損をするということは、私どもの理念で許されません。そこでお話しのように、現在の約款によりますと、契約後十二カ月を経過いたしまして三%以上変動があったときということでございますから、これはまあ御承知のとおり、スライド条項と言っておりますが、これには適用がないわけでございますので、ただいま御検討いただいておりまするのは、そういうものが、特殊な資材につきまして救済のでき得るようにということを考えております。
 大まかに申しまして、この前はインフレ条項等を適用いたしたわけでございますが、この前四十八、九年のインフレ条項を適用いたしました当時は、御承知のとおりでありますが、石油が約四倍、今回は約二倍ということであります。
 なお、建設資材は前回約四〇%、今度が大体一五%というふうに現在予定をいたしております。労務関係は二五%、今度は六%、そのような情勢でございますので、十二カ月を経過いたさなくても何とか救済の道はないのか。同時に最近のいわゆる中小建設業の利益率というのは非常に落ちておるわけでございますから、これらにつきましても十分現状に合わせましてただいま検討をいただいておりまして、近く御答申がいただけると思いますので、これにつきましてはできる限り新年度から適用ができるように検討いたしたい、ただいま答申をお待ち申しておるところでございます。
#13
○竹田四郎君 渡辺参考人にお伺いしたいと思うんですが、この約款の四条による請負代金の内訳書等について、あなたの協会等ではこれは出すことになっているのですか、出さないことになっているのですか。それで内訳書というのは、中小企業にとってはどういうものなんでしょうか。
#14
○参考人(渡辺幸藏君) 内訳書の問題でございますけれども、川崎の場合でございますが、土木と住宅は内訳書を提出しない、契約内訳書がございません。それから一般営繕と申しますか、学校とか庁舎建設工事には提出はしておりますが、これはあくまでも参考書類ということでございます。
 会員の意向としては、昔は大変めんどうくさいので内訳書なしでやってくれというようなことがあったようでございます、だいぶ昔でございますが。しかし、いまはそんな時代ではございませんので、むしろ全員が内訳書を提出して、それで契約をしたいという希望をいたしております。単なる参考というものではなく、設計図書の中では内訳書は参考書類ということになっておりまして、現在はそういう必要性を持たれていないのですけれども、われわれとしましてはぜひ必要だと思っております。
 それで、契約価格というのは予定価格とちょっと違っておるはずでございますので、予算をつくった資料としての役所側が持っておる内訳書とわれわれが出す内訳書は当然違ってくるはずでございますし、それを甲乙協議して決められた契約内訳書というものを優先して考えていただければ、このような物価が変動しているときには大変助かるのではないかと思います。内訳書を出しておりませんと、発注者側のつくった資料、内訳書だけですべてのことが処理されてしまう。本当のわれわれ中小零細業者の出した内訳書というものが参考程度で終わってしまうということで、ぜひ私は必要でないかと思っております。
 以上です。
#15
○竹田四郎君 渡辺参考人、ちょっと次のことをお願いしたいのですが、政府の方は公共工事を非常に縮小しよう、こういう動きにありますけれども、あなたの協会の立場ではどんなふうにお考えですか、一言お願いしたいと思います。
#16
○参考人(渡辺幸藏君) 私どもは、御案内のとおり、中小零細業者で地元の業者でございますので、直接国のいろいろな形はわかりませんけれども、つまり景気浮揚策とか抑制策で公共工事が使われるということは非常に困っております。あくまでも安定した発注をしていただきたいと希望しております。これはかつては、非常に公共工事が多くなったときには大型工事もふえてまいります。そうしますと、どうしても人手が不足になりまして、大手企業が、まあ力関係もありまして、労務者を獲得してしまう。したがって、中小業者はその労務者不足のために非常に無理な賃金を出さなければ獲得できない、またこれが少なくなりますと、逆に今度は一生懸命集めた労務者を持続できないというような、そういう苦しい状態になるわけでございます。この点においては資材なんかも同じだと思うのですが、私どもの協会員としては、少なければ少ないなりに安定した発注をしていただきたい、そういうような考え方でおります。
 で、たまたま今月の六日に千葉、埼玉、神奈川の三県の中小のローカル業者の集まりがございました。その席で各県から出された議題は全部、表現は違っておりますけれども、公共工事、特に公共建築工事の採算割れというものが多い、それに対する対策をどうしたらいいだろうかというようなことばかりでございました。公共工事は実質減少もしておるし、しかも採算割れではわれわれとしてはどうにもならない。しかも無理して地方から出た工事を受注しませんと、まあ多少安くてもがまんしてとらないと次にはわれわれ地元業者は外されてしまう。そうなると今度はよその業者が来てやる。できる、できないということよりも、そういうふうな無理な受注の仕方をしなければならないというのが実情でございます。
 これは先生、実は甘えて言ってるわけではないので、本当の実情なんでございます。私どもは全建を通じたり、ないしは、また地方のわれわれの立場から、それぞれに適正単価の価格での積算をしてくれということをお願いはしております。しかし、実際はなかなか思うように期待どおりにはまいりません。発注者と受注者との間には当然いわゆる適正価格というものを――考え方は違うかもしれませんけれども、ぜひそういうことを取り上げてもらいたいということ、三県連絡会議の中で、建設省が特に建築工事に対して何らかの対策を考えなくてはならない、土木工事よりむしろ建築工事の方が救いようがないのじゃないかという考え方を持っているというような話も聞きました。しかし、われわれのようなローカル業者の場合ですと、果たして市町村までそういう対策がつながってくるかどうか、また時期的に時間がかかるのではないか、そんな不安がございます。工事量は減少するし、しかも内容が悪いということではどうにもならないので、私どもの苦衷をお察ししていただきたいと、そのように思っております。
 以上です。どうもありがとうございます。
#17
○竹田四郎君 建設大臣にお伺いしますが、いま渡辺参考人からお話がありましたように、一つは請負代金の内訳書、これをひとつ提出義務にさせてはっきり勘定ができるように。それからもう一つは、今度公共事業の縮小という景気対策があるのですけれども、とかくこういうときには大きな企業が小さな企業の仕事をとるわけでありまするけれども、こういうことをさせないように中小企業の仕事の分野はちゃんと守ってやると、こういうふうにしてやらないと、今度伸びるときにまた大変だと思いますから、その辺についての建設大臣のお考え方を承って、この問題は終わりにしたいと思います。
#18
○国務大臣(渡辺栄一君) お答えを申し上げます。
 ただいまお話のございましたように、公共事業というのはやはり安定いたしましてコンスタントにこれは実施すべきであるというのが私どもの考え方でございますが、最近め経済事情に対処いたしまして、やはりこれらにもある程度の、何といいますか、協調をしてやってまいりました面はございますが、ただ発注につきましては極力コンスタントに実施をするように努力をいたしておるつもりでございます。
 それで、ただいまお話しのございました内訳書でございますが、これはかつては出さしておったわけでございますが、御承知のように、約款を準則といたしまして規律のある契約を行うようになりまして以来――四十八年の四月一日と心得ておりますが、これは提出を要しないことにいたしておるわけでございます。しかし、いま御要請もございましたが、今回特にスライド条項等を適用しようということになりますと、なおさらこれらの問題は必要になってくるのでありますから、前向きに検討しております。ただ、これには多少の検討を要する問題がございますので、それらを詰めまして前向きで対処をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 それから中小建設業の受注の問題でございますが、これは今後予想されまする経済情勢の中では公共事業の大幅な伸びはもちろんこれは困難だと思いますし、また資材の高騰等によりましても中小建設業が非常に苦しい立場になるということも懸念をされますので、これには万全の対策を私どもは考えてまいりたいと思っております。
 それにはまず受注標準の遵守ということが一点ございます。それからもう一つは、発注に当たりまして極力分割発注をいたしまして、中小建設業にも仕事が及ぶようにしてまいらねばならぬと思っております。もう一つ、最近活用いたしておりまする共同請負、いわゆるジョイント制度、これも活用いたしまして極力中小企業に仕事が発注できまするように配慮いたしてまいりたいと思っておりますが、もう一つ大事な問題は、中小建設業自体の近代化、合理化の促進という問題でございまして、これは協同組合等によりまする団体ぐるみの問題、それから業種別の経営改善指導の問題あるいは中小建設業の金融の問題、もう一つ大事な問題は元請、下請の関係を適正化する等の問題でございまして、これらの施策をひとつ総合的に実施をいたしまして建設業の安定いたしました経営ができまするように努力をいたしたいと思っております。
 特に現在までもやってまいりましたが、新年度で実施いたしたいと思っておりまするのは建設業保証会社というのがございまして、その保証料の収入等で比較的この経営が安定をしてきておりますので、その一部を業界に還元いたしまして建設業の振興策をさらに推進をいたしてまいりたいと考えておる次第であります。今後とも中小建設業の問題につきましては最善の努力をいたしてまいるつもりでございます。
 ただいま質問ございませんでしたけれども、建築業に対しましていろいろな御要請のあることは十分承知をいたしておりますので、積算の問題につきましてもただいま検討いたしておりますし、特に建設省の中におきまして建築業を中心といたしまして担当いたしましてはおりまするけれども、それらの事務その他の問題につきましても一層充実をいたしてまいりたいと、ただいませっかく取り組んでおるところでございます。
#19
○委員長(山内一郎君) 渡辺参考人には、御多忙中のところ、御出席をくださいましてまことにありがとうございました。御退席していただいて結構でございます。
#20
○竹田四郎君 日銀の副総裁にお尋ねしたいと思いますが、きのうはバーゼルでBISの代表者会議が開かれたと思いますが、総裁の方からその会議について何らかの連絡、特に高金利問題に対する各国の動向というようなもの等について何らか連絡が入っておりますか、どうですか。
#21
○参考人(澄田智君) ただいまバーゼルで行われております国際決済銀行の総裁会議でございますけれど、いままで予定されております議題は、これはユーロダラーの市場の秩序化というような、そういう問題がかねて問題になっておって、それを論議するというのが正式の議題になっております。最近の国際金融情勢、御指摘の高金利問題等については今回の議題に予定されておりません。したがいまして、正式議題でなしに、何らかの機会に会議の内外であるいは意見交換というようなものがあるのではないかとも思われますけれど、いま現在までのところ、特にその点についてのバーゼルの方からの情報あるいは出席しております日銀総裁からの連絡というようなものはまだ入っておりません。
 以上でございます。
#22
○竹田四郎君 副総裁に重ねてお尋ねしますけれども、どうも公定歩合政策に対する通貨当局の対応というのは常におくれているように私は思います。世界的にもそう評価されていると思うのですが、それは結局金利の自由化というものが日本では余りよく行われていないということなんでしょうか、どうでしょう。
#23
○参考人(澄田智君) 金融政策を有効に働かせるためには、金利の機能を活用するということが重要でございまして、そういうことによって通貨の供給、マネーサプライのコントロールということを行う、そういう金利機能の活用のためには、金利の自由化、なかんずく短期金利の自由化ということが望ましいわけでありまして、わが国におきましても、このところ手形とかコールの金利あるいは金利自由のいわゆるCDと言われております譲渡性の預金というようなものを創設する等、漸次金利の自由化が進んできております。
 御指摘の金利政策の弾力的に行われる、機動的に行われることについて、金利の自由化がまだ十分に進んでいないというような点が支障になっているかということでございますが、この点は、いま申しましたように、漸次漸進的に金利の自由化が進んできておりますので、公定歩合その他金利政策の操作も従前に比べて非常に機動的になってきている、その点は国際的にも評価を次第に受けてきておるものと信じております。過般の二月の十八日の公定歩合の引き上げも、予算審議の進行中でもございますし、そういう意味で、従来の場合に比べてはるかに弾力的に行うことができ、これはやはり全体として金利の自由化が逐次進んできているということの中の一環というような意味合いもあるものと、さように考えております。
#24
○竹田四郎君 大蔵大臣は、金利の自由化に対しては、どちらかと言うと足を引っ張る方をいままでやってきていると思うのですが、いまの時代にそういうことは私は許されなくなってきていると思うのですが、金利の自由化に対する大蔵大臣の考え方……。
#25
○国務大臣(竹下登君) いま日銀の副総裁からもお話がございましたように、逐次そういう方向に移行しておると私は思います。特に、先般の日銀総裁、私、アメリカの通貨当局と同時発表いたしましたいわゆる非居住者の、中央銀行の預金ではございますけれども、それの国内金利を自由化したというのも、そういう方向の一つのあらわれではなかろうかというふうに考えております。
#26
○竹田四郎君 日銀副総裁に重ねてお尋ねいたしますけれども、物価政策のためには円を強くしなくちゃならないということですが、余り強くなってこないわけでありますけれども、しかし、短期的な観点からすると、いまのところ円を強くするには金利の引き上げ以外に方法は何かありますか。
#27
○参考人(澄田智君) 現に、ただいまお話の出ました円安対策とでも申しますか、三月二日に発表されました日本、アメリカ、西独、スイスという間で協調して円買い支えの介入を行うという、並びに外国からの資金の導入を容易化する外国の政府、中央銀行等の非居住者預金の金利の自由化、ただいま大蔵大臣が申された自由化でございますが、そういう措置を含めて外資を入りやすくする、こういうような措置がある程度の功を奏して、そして現在二百四十七円というような円の相場になっているわけでございます。このように、金利以外に介入でございますとか、あるいは外国の資金の導入を促す、そういったような措置も為替対策としては有効に働くわけでございまして、各般のそういった施策というようなものをその時に応じて活用するということではないかと存じております。
#28
○竹田四郎君 しかし、金利差がこんなにある、また金利差が開こうとしているときに、いまあなたのおっしゃったようなことというのは、それは私はできないだろうと、こういうふうに思うのですが、大蔵大臣にお伺いしますけれども、高金利競争というものの動向は大体いつごろになったら天井が見えてきますか。
#29
○国務大臣(竹下登君) 先ほど澄田副総裁からも御報告がありましたように、恐らく私どもは、正式な議題ではないものの、いま日銀総裁が会議に行かれている中でそうした議論は当然あるではないかというふうな、ある種の期待とでも申しましょうか、そういうことを感じておる一人でございます。したがって、いつまで高金利競争が続くかということになりますと、これは確かににわかにこれがいつまでだということは言えないと思うのであります。先週の月曜日あたりから、アメリカのインフレ対策が打ち出されるのじゃないか、毎日毎日こう推移を見ておりますが、まだ打ち出されない。そうした動きがどこまでいくものであろうかということは、まさにこれだけ経済が国際化しただけに、いつごろ終期が来るだろうということは、とても私どもには見通しはつきかねる問題であるというふうに考えております。
#30
○竹田四郎君 大蔵大臣と日銀副総裁にお伺いしたいと思うのですが、四月にハンブルグでIMFの暫定委員会が開かれるはずでありますけれども、このときには、いま問題になっている国際通貨の問題あるいは高金利の問題というようなことは何か問題になるのですか、あるいはしようとしているのですか、あるいはそういうことは問題にならないというのですか、その辺の方向をお聞かせいただきたい。
#31
○参考人(澄田智君) 私どもの承知している限りにおいては、国際通貨基金の暫定委員会においては、金利問題というものは直接の議題になるというふうには承知いたしておりません。
#32
○国務大臣(竹下登君) 国会のお許しがいただければ私も出席したいと思っておるわけでございますけれども、いまもお答えがありましたように、正式の討議議題につきましてはまだ承知しておりませんが、通常、暫定委員会におきましては、世界経済の情勢や国際通貨問題を中心に意見交換が行われておるところでございます。次回暫定委員会においても世界経済情勢というような各般にわたる議論が多いのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。われわれとしても、もとより国会のお許しがいただければ積極的に参加して議論をしたいと、このように思っております。
#33
○委員長(山内一郎君) 澄田参考人には、御多忙中のところ、御出席をくださいましてまことにありがとうございました。御退席していただいて結構でございます。
#34
○竹田四郎君 大蔵大臣にお伺いしますが、金利がこんなに高くなって毎日のように国債の暴落が伝えられているわけでありますが、五十四年、五十五年――五十五年度も四月になると恐らく発行になってくるだろうと思うんですけれども、消化状況はどう考えていますか。
#35
○国務大臣(竹下登君) いま私が総理にまず委員会に来まして報告することは、為替相場の寄りつきがどうなっているかということと、それから午後になりますと国債の価格がどうなっているかと、これを毎日心配しながら御報告申し上げておるわけであります。今回、五十四年度、五十五年度の国債の発行計画というものは、五十四年度の国債発行につきましては、年度開始直後五十四年五月に、民間の引き受け負担を軽減するため、シンジケート団の引き受け十年債を一兆円減額いたしまして、資金運用部がこれを肩がわりする方針を決定したところでありますが、予算補正に際しまして、公募入札中期債二兆七千億円のうち一兆五千億円をこれもシ団引き受け十年債に振りかえますとともに、一兆二千二百億円を全額シ団引受債から減額することといたしたわけであります。次が五十五年度の国債発行でございます。五十五年度の発行予定の内訳につきましては、円滑な消化を図りますために、資金運用部におきましては原資事情が厳しい中ではありますが、民間の消化能力を考慮いたしまして二兆五千億円――これは十年利付債であります。これを引き受けることといたしました。それから公募入札によって発行する予定の中期利付国債につきましては、消化環境を勘案して二兆円といたしました。その内訳としましては、二年利付債が四千億、三年利付債が一兆二千億、四年利付債が四千億を予定しております。そこで、シ団引き受けは、五十四年度当初に比べますと一兆三千億円減の九兆七千七百億円としたわけであります。その内訳は、十年利付国債が九兆五千六百億円、五年割引国債が二千百億円を予定いたしております。具体的な国債の発行に当たりましては、そのときどきの市場の動向、資金需要の繁閑等を勘案しながら、円滑に消化に努めてまいりたいというふうに基本姿勢として考えております。
#36
○竹田四郎君 まあ計画でありますから、計画は計画であって現実ではありません。そういう意味では、恐らくこのままの情勢でいくならば、国債の消化困難という事態というものは案外早い時期に出てくるのではないかという心配がございます。
 それから、五十五年度の自然増収四兆五千億円ほどを見込んでおりますが、私は後半には景気が落ちるんだろうと、こういうふうに思います。特に、中小企業の自然増収見込みというのは、常にいつも違ってくるわけでありまして、その辺が大きい面があるわけでありまして、恐らく年度後半にはこの自然増収は大変落ちてくるだろう、こういうふうに思いますが、どうですか。
#37
○国務大臣(竹下登君) 昭和五十五年度税収は、政府経済見通しによります経済諸指標を基礎として、最近までの課税実績、収入状況等を勘案して見積もった適正なものでありまして、この見積額は確保できるものであるというふうに考えております。きょうも月例報告を聞きますと、それはとても六カ月先の見通しを言えとおっしゃっても、それだけの私にはうぬぼれも自信もございませんですけれども、いまのところ底がたい、堅調に推移しておりますし、それから雇用情勢もわずかながら改善されておると。したがって、心配なのは当然のこととして物価問題ということになるわけであります。いま一つは、国際収支の問題でございましょう。しかし、私もそれ半年先の予言をするほどの知識もございませんけれども、大体その経済諸指標を基礎として見ましたので、その見通しが改定されているわけではございませんし、現段階で税収見積もりを変更するような特段の判断材料はいまのところないと。もちろん、それは予算審議していただきながら変更する判断材料がありますなんて言えるわけもございませんけれども、正直に申しますと。いまのところ、そういう判断材料というものは、けさも詳しく承りましたが、ないというふうに理解をいたしております。
#38
○委員長(山内一郎君) 関連質疑を許します。大木正吾君。
#39
○大木正吾君 いま、大蔵大臣、大分自信を持って税収の見積もり等についてお答えがあったのでございますけれども、これは最近のやっぱり金利問題、さらに国債の暴落に関連いたしまして、来年度見通しに絡みまして見込みどおりの国債の消化ができるかどうかですね。それに関連いたしまして、結果的に金利が上がってきますから、当然国債関係に関する利払い費がふえてくるだろうと、こう考えているのですが、新聞紙上では百四十億ぐらいという数字がきのう、おとといぐらい出ましたですね。あと絡みましてこれからふえていくと思うのですが、どういう見通しでございましょうか。
#40
○国務大臣(竹下登君) 詳しくは事務当局から申し述べることにいたしますが、私ども長年皆さん方と一緒に議論しておりますときに、大体為替そのものがフロートいたしますと、どうしても不安定要因というものが出てまいります。それと同じように、やはり原則的には予算審議中といえども、公定歩合は日銀の専権事項とはいえ、私は、公定歩合の上げ下げを行われるということは、原則的にはそれを守ってあげる立場に立つべきではないかと思います。そうなりますと今度は、いま大木さん御指摘のように、国債の金利問題に影響してきます。そうなれば、その金は一体どこから出すんだと、こういう議論が出てくるわけでありますが、原則的に申しますと、このハウスの理解の中で申し上げるとしたら、やはり金利というものは、これだけ国際経済社会というものが複雑に入り組んだ場合は、上がることもあれば下がることもあるということで、お互いがこの土俵で議論するというような、何だかだんだんそういう習慣ができつつあるということは非常に喜ばしいことであるというふうに考えておりますので、精いっぱい苦労しながら本当に毎日毎日が、総理のところへ為替レート、国債の価格等報告することが、気の小さい私でございますので、恐ろしいような感じで毎日対応して、一生懸命現実的な対応をしていきたいと思っております。
#41
○大木正吾君 社公民の三党が要請しました予算修正問題のときも、とうとう形を結果的に手をつけずに過ごしたんですけれども、この予算を組んだ十二月のときの金利はほぼ六分ぐらいだったと思うんですね。近く十八日前後に、私のこれはもう勘ですけれども、一・二五ぐらい上げるかもしれない。こうなりますと、八・五%ぐらいで、ちょうど福田さんの経済のデフレのときと同じ状態になるわけでございますけれども、金利差が二・五%。こうなってきますから、恐らく竹下大臣、あるいは二百億を超すぐらい費用が変わっていくだろうと思うんですね。野党のときには修正は形の上ではしないけれども、おたくの事情のときにはやるということになるのかどうなのか、その辺のことについて、今後のこともございます、参考に。予算の形について補正でやるのか、途中絶対にやらないのか、そういったことについて聞かしてください。
#42
○国務大臣(竹下登君) これは議会制民主主義でございますから、当然のこととして政権交代ということもあり得るわけです。その場合、私は、そもそもが上がることもあり、下がることもあり得るという要素のものは、これは予算書の書きかえということには当たらない方向であった方が、大木さんが今度大蔵大臣になったときも好ましいのじゃないかというふうに思います。
#43
○大木正吾君 最後に、ちょっと要望だけ付して終わりますが、竹田委員もおっしゃったのですけれども、最近何か国債の売れ行き状態がやっぱり芳しくないという状態から、落ち込むところが、結局どうしても資金運用部資金に逃げ込むという、こういう傾向が出てきます。結果的には補助金とか、財投とか、国民生活関係のために使うところのため込みのところを削っていくわけですから、非常に国債の運用としまして心配な個所なんですね。それについて、私はこれ以上絶対に運用部資金の方に流し込むことはやめてもらいたいと、これについて総理、どうですか、一言意見がありましたら聞かしていただけませんか。
#44
○国務大臣(竹下登君) いま竹田さんに五十五年度の発行の予定をお話ししましたときにも恐らくお感じになったことは、資金運用部資金ばかり使うのじゃないかと、こういうお感じであったと思うんです。が、そもそも資金運用部資金というのは、必ずしもそれが原資として、たとえば公共事業とかいうようなものによって運用されるものではなく、あるときには国債を買うことによってまたそれのいわゆる金利水準等々、運用益等々をもたらすこともあり得ると思うのです。だから一概に、国民の皆さん方からお預かりした金でございますから、これは政府の金ではございません。国民の皆さん方のお金でございますが、それを有利に運用するという立場をも考えれば、一概に国債をできるだけ引き受けることをやめろと、こうおっしゃいましても、そもそも国債管理政策というものは、これは本当は多過ぎるから困るんです。もっと少なくすれば喜んで引き受けてもらえるんですから。したがって、一兆円減らすので精いっぱいやったのでございますけれども、さらに資金運用部資金に逃げ込むことは一切相まかりならぬと、こういうことにはにわかに私も賛同いたしますとは言いかねる課題であります。
#45
○大木正吾君 終わります。
#46
○竹田四郎君 いまの討論を聞いていまして、やはり大蔵大臣もそれから大平内閣も財政節度というものをもう少しぴしっと考えてもらわないと私はいかぬと思うんです。金さえあればそっちへ逃げていく、そういう態度でいけばやっぱり問題は解決しないと思うのですが、そこで大蔵大臣、ことしは財政再建元年の前の年だと、こういうふうに言っておりますが、この問題と法人税率の引き上げを大蔵省内部では一応考えたようでありますが、それをやめたこと、土地成金への課税を緩和したこと、この二つの税金を緩和したこと、それから一方では物価調整減税をしないこと、こういうことと一体どういう関連があるのですか。その辺が一番私どもわかりにくいところ。それと関連して、一般消費税は五十五年度はやめられたのですが、五十六年度は一般消費税あるいはそれにかわる税金、その辺の関連を財政再建元年の前の年として、その辺の位置づけをはっきりひとつ聞かしてほしい。
#47
○国務大臣(竹下登君) まず前の年という言葉は、私も不用意に、もっとやりたいといろいろなことを思っておったものですから、それが全部が全部できなかったので、財政再建元年と肩を張ることはできないなという感じから、何だか前の年か、イブじゃないかという感想を述べたことは事実であります。しかし、財政再建元年にほぼ堂々と踏み出しましたというほど私どももうぬぼれるものじゃございませんけれども、財政再建に一歩をしるしたという意味のあかしと申し上げるならば、ひとつ公債一兆円の減額とそれから一般歳出の伸び率を、ことしの場合は入るをはかって出るを制するが、出るを制することによって入るをはかることの環境がそこにないという判断をいたしましたので、一般歳出の伸び率をまさに昭和三十一年以来の低い五・一%というものに抑えたと、そうしていまいろいろ御議論ございました税制面の見直しをいたしまして、いままでいろいろ議論されておりました租税特別措置の整理合理化と、そして給与所得控除の見直しと、また、ある意味においては法人税の一つではないかと言われるのでございますけれども、退職給与引当金の見直し、これらを税制面では行いました。そして、最後四番目の課題といたしまして、行政改革で特殊法人の統廃合あるいはブロック機関、府県単位機関の整理、それからこれは私の担当になりますが、補助金の整理というおおよそ四つの柱というものが、財政再建元年、初年一歩を印したあかしではなかろうかというふうに考えておるところであります。したがって、前の年というふうな印象をとっさに漏らしましたのは、国債の減額もあの時点においてはもう三千億ほどやれば十三兆円台になるものですから、そういうことにある種の私にも意欲があったから、それが現実できなかったからそういう表現を使ったわけであります。
 さて、そこで法人税を引き上げなかったのはおかしいじゃないかと、こういう議論でありますが、いま申しましたように、五十五年度予算編成に当たりましては、歳出規模の抑制によりましてまず対処すると、すなわち出るを制するというところからやろうということを基本といたしまして、歳入面においては、法人税率の引き上げを含め本格的な増収措置の検討は昭和五十六年度以降の課題として、昭和五十五年度においては従来にも増して税負担の公平を確保するという見地から、租税特別措置の大幅整理合理化、退職給与引当金の見直し等の増収措置を講ずる等増収措置は最小限度にいたしまして、それがいわゆる縮減した歳出額にたまたま見合うものになったと。したがって、本格的な増収措置の検討は五十六年度以降にしようと、したがって、法人税の税率はいじらなかったわけでございますが、きのうからでございましたか、最近に至りまして税制調査会に小委員会をつくっていただいて、法人税の全体の基本的な問題からひとつ議論をしていただこうということで、これを来年度避けて通る課題だなどとは考えていないわけであります。
 もう一つ、土地税制というものはまさにこれは地主をもうけさすことではないかと、こういう御指摘でございましたが、元来、土地政策におきますところのいわゆる税制の役割りというのは、まさに補完的なものであります。しみじみとわれわれもそう感じます。補完的なものであり、誘導的なものであります。しかし、私は、こういうことの基本的な仕組みを守りながら規模を少しずつ拡大するというような措置をとりましたことは、やはりこの宅地の供給に幾らかの影響を与えるのではないかという面からこのような措置をとったわけであります。三大都市圏、特に首都圏における市街地の地価水準、宅地供給の実態を考慮しまして、円滑な宅地の供給と土地の有効利用を推進するためにこれを行ったわけでございまして、基本的な枠組みというものは、従来の枠組みを完全にこれは維持しておるということでございます。しかも、もう一つは年限をつけておりましたが、これを年限を外しましたということは、年限をつけますとその時点まで持ちこたえればなお有利になるのじゃないかという期待感から宅地の供給が阻害されるというので、年限をつけないところに基本的な枠組みをこれによって維持していこうとしたわけであります。
 それから最後がいわゆる一般消費税(仮称)の問題でございます。これは本院において御決議をいただきました趣旨がございますので、ただ私はしつこいほどいわゆる一般消費税(仮称)と申しておりますのは、一般消費税というものがすべて国会決議等で否定されてしまいますと、消費一般にかかる消費税というものが税体系の中から消えてしまうのじゃないか。したがいまして、消費税といえば酒の税金も消費税でございましょうし、物品税も消費税でございましょうし、あらゆる税体系の中から消費一般にかかる税制そのものをなくしてしまうというのはやはり問題がある。したがって、いままで議論されました一般消費税でございますので、いわゆる一般消費税(仮称)と、こういうことを私もいつも言っておるわけでございます。これをとる環境には今日ないというふうに思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、ことしは歳出削減からかかってまいりましたが、明年度以降は、国会の決議にもございますとおり、歳入歳出両面にわたって国民各界各層の意見を聞きつつ財政再建に取り組んでいかなければならない課題であるというふうに考えております。
#48
○竹田四郎君 そうしますと、再建元年になれば法人税は税率を引き上げると、こういう理解と、それから仮称の方はやらないけれどもほかの方は来年からどんどんやっていこう、これが再建元年なんだと、そういうふうに理解していいのですか。
#49
○国務大臣(竹下登君) いや、まあことしも第一歩を印したのでございますから、ことしも元年、小さい声で数えてやっていただきたいと思います。やっぱりことしがその意味においては元年であると思うのであります。
 法人税につきましては、いまやはり来年はこうしますと言える状態ではない。せっかく税制調査会で法人税の基本的な仕組みにまで立ち至っての御審議をお願いするわけでございますから、ただ避けて通れるものではないというふうに思っておるというふうに理解をしていただきたいと思います。
 それから、このいわゆる一般消費税(仮称)以外の消費一般にかかるものと、こういうことになりますと、これはそれこそ竹田さんと私のこういう問答を通じたり、あるいは直間比率はいかにあるかとか、そういう国民の理解の中で考えるべきものでありまして、にわかに同じような手法をとる環境にはないというふうに思っております。
#50
○竹田四郎君 時間がありませんから次へ進みますけれども、こういう国債は売れないわ、税金も入ってくるかどうかわからないわというような、財政再建元年に入ったか入らないかわからないと、こういう時代に、総理、アメリカが防衛費を一%にふやせとこう言う。これはそういう環境にありますか。私はそういう環境にないと思うんです。幾らアメリカが一%にふやせと言っても、これでは国内から国の安全がつぶれていく可能性すらあると私は思う。そういう段階の中に、一体総理は総合安全保障という問題とこのGNP一%の防衛費の問題というふうなものをどう考えますか。これはひとつ総理にも大蔵大臣にも外務大臣にも防衛庁長官にもこの点はお聞きしておきたいと思う。
#51
○国務大臣(竹下登君) それでは、総理には一番後でお答えしていただくことにいたします。
 私どもは、このわが国のいままでの国防会議、閣議決定というものをずうっとフォローしてみますと、最初は、他の経費との調和をとりつつ「国力国情に応じ」という言葉になっております。それから五十一年に至りまして、対GNP比一%を超えざるものとすると、こういう表現になっておるわけであります。しかし、装備の近代化とかいう言葉はそこに新たに出ておるわけであります。したがって、五十五年度の防衛費の予算編成に当たりましても、国際的にも国内的にも何となく〇・九というのが一つの世論的指標みたいな形になっておったと思うのでございますけれども、私は防衛費というものについて初めから対GNP比でくくってしまう、先取りしてしまうべきものではない、やはり積み上げながらその結果としてことしは〇・九になり、ここのところ〇・八八というのが一度ありますけれどもおおむね〇・九というものになっておるわけでありますが、その〇・九というもの、あるいは一%というもので先取りすべき性格のものではないと、やはり予算はその年年の情勢によりまして他の予算とのバランスというようなものを考慮して編成に当たるべきものであると、基本的にそのように考えております。
#52
○国務大臣(大来佐武郎君) 外務省の立場といたしましては、最近の国際情勢等にかんがみまして、わが国が自衛力を徐々に強化していくという必要があると判断しておりますし、また、効果的な日米安保体制が守られていくというためにもこのことが必要だと考えられておるわけでございまして、そういう意味で、外務省の立場といたしましては防衛予算を可能な限り速やかに対GNP比率で一%に近づけていくべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
#53
○国務大臣(細田吉藏君) 防衛庁の立場からお答えをいたしたいと思います。
 ただいま御審議を願っております五十五年度予算では、申し上げるまでもございませんが、国民総生産に対する比率は〇・九%、また対前年は六・五%増でございます。アメリカの国防白書、あるいはアメリカからブラウン長官も先ごろこちらへ来られたわけでございますが、日本の防衛力の実質的増についての強い要請がございます。また、アメリカの国会や世論はアメリカの政府以上に日本の防衛力増強についての世論があると言ってもいいほど強いものがあると思います。まあアメリカの国防白書にまつまでもございませんが、アメリカも非常な苦しい中で国防費の増と、かなり長期的な見通しに立って大きな増を計画をしておられるようであります。NATOの各国につきましてもそのような計画でございます。したがいまして、ただいまのところ日本に対して具体的に、GNPに対して幾らにしろとか、あるいはこれこれの増額をせよという具体的な要請はございませんけれども、非常に強い要請があることは、そのようなそれぞれの国の状況、苦しい中でそういうことが計画されておるわけでございます。また、事実いまの会計年度についてもそういうふうになっておるわけでございますので、要請があることはこれは私はわかる、ごもっともな点だと思うのでございます。
 そこで、私どもの立場としましては、ただいま外務大臣からもお答えがございましたが、GNPに対して幾らということについては、五十一年の閣議決定で一%というものが一応出ておるわけでございますが、私どもとしては可及的速やかにそこまではいきたいと、かように考える。この点についてはいま外務大臣が言われたと同様でございます。しかし問題は、実質的な増を一体どうしていくかということが一番問題ではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
#54
○国務大臣(大平正芳君) アメリカからわが国の防衛努力を強めることにつきましての要請がありますことは事実でございます。しかし同時に、このことは日本の問題であるということにつきましてもアメリカが理解を持っておるものと思います。したがって、同盟国たるアメリカの理解を得ながら私ども日本としてこの問題に自主的に対処していかなければならぬと考えております。
 その場合、日本としてこの問題をどう取り扱うかでございますけれども、日本の財政経済の事情もございましょうし、国民の理解を得なければならぬわけでございますので、すでに定められておりまする防衛力整備の大綱に従いまして、どういう手順でこれにこたえてまいるかということは、われわれが慎重に考えつつ毎年度の予算編成に対処していかなければならぬと考えております。同時に、防衛力の整備につきまして、これは一般的に防衛費そのものの多寡を論ずる前に、その内容につきまして、それが装備の近代化整備に重点が置かれるように考えていかなければいかぬと思いまして、単に人件費がふえるというようなことに終わるようなものではいけないのではないかと思っております。
 さらに、軍事力だけで安全がはかれるわけではございませんので、外交、内政全体にわたりまして総合的な安全保障を確保する見地から、政府としてはこれに対処していくという基本の姿勢を崩してはいけないと考えております。
#55
○竹田四郎君 余りよくわかりません。何を言っているのかよくわかりませんけれども、何か次の時間があるようでありますから、ちょっとあと二問ばかり重ねて申し上げますからお答えをいただきたいと思います。
 一つは、公取委員長にきのうからおいでいただいておりますので、ちょっとお伺いしたいと思いますが、最近物価が上がってきて同調的値上げが非常に多くなってきておると思います。きのうの質問の鉄鋼の値上げについても同調的値上げの傾向がありますし、その他段ボール、これについてもそういう傾向がありますし、あるいはフィルム、ガラス、こうしたものについても同調的値上げの傾向が非常に出ていると思うんですが、公取はこれに対してどう対応をしているのか、また対応しようとしているのか。あるいは、こうした同調値上げに対して公取はどう考えているのか、この辺についてお答えをいただきたい。
 総理に最後に、六月にはベネチア・サミットが当然あるわけでありますけれども、いまのような国際通貨体制では、これはどうにもしようがないと思うんです。先細り、あるいは場合によれば大きなガラすら来るのではなかろうかという心配があるわけでありますが、そういうものについて、まあ前には一つのブロック的な通貨圏体制というようなものもありましたし、今日またEMSを中心とする通貨体制もある面ではスタートをしているわけでありますけれども、日本はこうしたサミットについて、そういうものについてどう考えておるのか、日本の立場でですね。どう考えておるのか。これをサミットに向けてどんなふうに考えているのか。
 それからもう一つは、この会議にフランスのジスカールが新しい通貨体制構想というようなものを考えているやに新聞では承っているわけでありますけれども、そういうものに対して日本ではどう考えているのか。この点についてお答えをいただきたいと思います。
#56
○政府委員(橋口收君) 物価の動向一般につきましては深い関心を持って注視をいたしておるところでございますが、われわれにとりまして最大の課題は、やはり個別品目の価格の動向でございまして、いま先生がおっしゃいましたような鉄鋼、フィルム、ガラス、段ボール等につきましては値上げの動きがあるわけでございますし、いわゆる同調的価格引き上げの監視対象品目はすでに五十六品目を指定いたしまして監視を続けておるわけでございますが、鉄鋼、フィルム、ガラス等はいずれもこの監視対象品目に入っておるわけでございます。昭和五十三年に価格の同調的引き上げがございまして報告を徴収いたしましたものが二件ございまして、これは二輪自動車と特殊調製粉乳でございます。で、昭和五十四年度におきまして今日まで徴求をいたしましたのが二件ございまして、これは乗用車と普通板ガラスでございます。現在その同調的値上げに該当するものとして、法律で決められました要件に該当するかどうかの予備調査をいたしておりますのが数件ございまして、自動車用のタイヤチューブ、それからインスタントコーヒー、台所用合成洗剤、一般用カラー写真フィルム等でございまして、これらにつきましては、予備調査の結果として法律の要件に該当するということであれば理由の報告を求めると、こういう措置をとることにいたしております。
 それから、いまお話がございました鉄鋼等につきましても、これもやはり監視対象品目に指定をされておりますので、まあ現段階ではまだ値上げの宣告をしただけでございますけれども、実際に値上げを実施いたしました場合にはやはり予備調査をいたしまして、法律の要件に該当すればその理由について開示を求めるということをいたしたいと思っております。ただ、同調値上げの対象品目になっておりますと、仮に共同行為がありましても違法性が阻却されるかのごとき誤解が一般にあるようでございまして、こういうことはあってはならない誤解でございまして、実は富士写真フイルム、小西六写真工業に対しまして二月二十一日に立入検査をいたしましたのも、これはフィルムなるがゆえに、同調引き上げの対象品目であるから仮に共同行為があっても差し支えないかのごとき誤解を払拭するという公取委の態度を示したものでございまして、こういうものにつきましては、率直に申しましてなかなか物証が出にくいという性格の事業ではございますが、いま鋭意証拠の整理をいたしておるところでございます。
 こういうふうに共同行為とかカルテルというものがございましたならば、これは当然同調値上げ品目であると否とにかかわらず厳しい態度で臨むべきでございまして、昭和五十四年度におきまして、今日までに価格の引き上げ等に関する違法なカルテルに対しまして勧告の措置をいたしましたのが十四件すでにございまして、そのうち三件はすでに課徴金を徴求いたしておりまして、総額で四億一千万ぐらいの金額になっております。それから現在課徴金を徴求するために作業をいたしておりますのが二件ございまして、これは合わせて十億円を超えるだろうと思います。したがいまして、改正法が施行になりまして今日まで、現在におきまして大体十五億円程度の課徴金の徴求がある見込みでございますし、そのほか、いま手がけております案件でも、課徴金対象案件というものがたくさんございますので、そういう点で申しますと、依然としてこの違法カルテルというものはなくなっていない。それから、いま先生がおっしゃいましたような品目におきましては、過去におきましてはほぼ例外なしに違法カルテルで公取によって摘発を受けている業種でございまして、そういう意味でカルテルマインドのある業種でございますから、今後とも十分監視をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#57
○国務大臣(大平正芳君) 六月の下旬に予定されておりまするベネチア・サミットにおきましてどういう問題が議題として採択されますか、まだ決まっておりません。一部の国からは、竹田さんがおっしゃるように、通貨問題を取り上げるべきでないかという考えが漏らされていることは事実でございます。けれども、まだ最終的にどういう議題にするかということはしぼられていないわけでございます。
 それから第二に、日本として仮に通貨問題を取り上げた場合の態度はどうかということでございます。
 日本は、申すまでもなく、ドル圏に属しておる有力な国でございまして、ドルは依然として国際基軸通貨でございまして、日本の立場から申しましても、世界の立場から申しましても、まずドルが安定した基軸通貨として機能していくという状態が一番望ましい状態であると思います。ドルがその価値を安定的に維持していくような方策をアメリカ自身がまず考えなければなりませんし、諸外国がこれに対して協力をしていくという姿勢でなければならぬと思います。とりわけ、有力なドル圏に属する日本といたしましては、それについてそれ相当の協力を惜しむべきでないと考えております。それから第二に、日本円はドルとの間にフロートした関係でございますけれども、日本の周辺のアジアの国々はドルと固定的な関係を持っておる国々が多いわけでございまして、そういう意味におきましてもドルとの取り組みが一番大事だと思っております。したがって、フロートした関係にございますけれども、円・ドルの関係ができるだけ安定した状態になるように配慮していかなければならぬと思います。先般のアメリカの協力を得まして為替市場対策を講じましたゆえんのものもそういう趣旨から出たものでございまして、アメリカの通貨当局との協力というものを強めていくということが日本の立場から見た基本でなければならぬと考えております。世界的に見て基軸通貨であるドル自体の安定価値の維持という問題と、日本の円とドルとのできるだけ安定した関係を創造してまいるという工夫を踏まえて通貨問題には対処していく必要があろうと考えております。
#58
○竹田四郎君 終わります。
#59
○委員長(山内一郎君) 以上で竹田君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#60
○委員長(山内一郎君) 次に、三木忠雄君の総括質疑を行います。三木君。
#61
○三木忠雄君 私は、公明党を代表いたしまして、外交並びに物価、行政改革、エネルギー等の問題について、総理を初め各大臣に伺いたいと思うのです。
 まず最初に、質問に入る前に、最近政治家の金にまつわる問題が非常に横行しているわけでございまして、政治不信を招いていることはもう総理も十分承知していることと思います。私は、ここで政治家と金の関係を明確にし、あるいはまた選挙制度等の問題等についても手を加えなければならないのではないか、このように考えるわけでございます。
 こういう意味で、まず最初に総理に伺っておきたいのですが、政治資金規正法の改正案を提出する考え方を持っているのかどうか、特に自民党総裁としての考え方を伺っておきたいと思うのです。
#62
○国務大臣(大平正芳君) 政治資金規正法につきましては、個人の政治資金の収支の明朗を期する意味におきましてその改正を考えるべきではないかと存じまして、ただいま政府と自由民主党との間で改正案について協議を進めておるところでございます。これが意見が一致いたしましたならば国会に御審議をいただきまして、各党の御協力を得て成立を図りたいと考えて、目下鋭意検討を急いでおるところでございます。
#63
○三木忠雄君 まあ検討を急いでいることはわかるのですけれども、総理、この国会では出すという総理としての腹構え、これはしっかりしておりますか。
#64
○国務大臣(大平正芳君) 出す方針で鋭意検討を急いでおるところです。
#65
○三木忠雄君 まあ総理の答弁、私は今国会に出るという答弁と理解をしておきたいと思うんです。
 もう一つ、最近新聞で非常に話題になっている問題として、前々から言われている問題でありますけれども、参議院の地方区の定数是正の問題等については非常に不均衡がある。こういう問題についてやはり総理としてはどういうふうに考えているか、この問題についてお伺いしたい。
#66
○国務大臣(大平正芳君) これは各党にかかわる問題でございまして、参議院におきまして御検討をいただいておると思いますが、参議院における各派の意見が一致いたしますならば、政府といたしましてもこれに異存はございません。
#67
○三木忠雄君 私は、大平内閣の姿勢をいろいろ見ておりますと、待ちの政治というのか、あるいは何をやろうとしているのかということが余りわからないんです。国民もその点について私は非常に心配をしているような感じを受けるわけです。各政党がまとまったらと、まとまらない事情はやはり自民党にもいろいろな問題点があるのじゃないかと私は思うんです。特に八〇年代は不透明な時代だとか、あるいは不確実な時代と、こういろいろ言われておりますけれども、やはり総理がリーダーシップを発揮しなければならないのじゃないかと私は強く考えるわけです。そういう意味で、特に八〇年代の大きな課題の一つであるエネルギー問題等についても、総理が中東へ行って具体的にこういう石油等の問題についても話し合う意気込みがあるかどうかということ、私はこの一点をとらえても一つの問題点ではなかろうかと考えるんです。総理、中東訪問の計画を持っていますか。
#68
○国務大臣(大平正芳君) 中東は、申すまでもなく、わが国にとりまして大変大事な地域でございまするし、石油の安定供給を確保しなければならぬ課題を抱えたことでございます。したがって、これまでもいろいろ気をつけてまいりまして、いま私の特使を派遣いたしておりますこともその一つでございますが、私自身も、いま具体的な日程を持っておりませんけれども、できるだけ早い機会に中東諸国を訪問して首脳との意思の疎通を十分図りたいという念願を持っております。けれども、具体的な日程をまだ詰めるまでには至っておりません。
#69
○三木忠雄君 園田特使を派遣した。私は非常に懸命なことはわかりますけれども、しかし、中東諸国が望んでいるのは、やはり日本の責任者が来て実際にそういう実情を知り、話し合うことが大事だという中東の意見が非常に強いわけです。特にサウジとかイランとか、あるいは湾岸地域については、やはり総理みずからこれを訪問するということが私は大事な姿じゃないかと思うんです。
 そういう意味で、総理のいまの答弁を聞いておりますと、アメリカも大事、あるいはメキシコ、カナダも決して私はだめだとは言いません。しかしながら、やはりこの中東訪問については、日本のエネルギーの確保という立場から考えても、まあ八五年にはソ連が輸入国に変わるんじゃないかという、こういう実態の中で、やはり総理が乗り込んでいっていろいろ話し合いをするということが最も大事な問題じゃないかと、こういう感じを受けているんです。総理、やはりそういうところを明確にしなきゃならないのじゃないかと思うんです。その点についてもう一度答弁を願いたいと思うんです。
#70
○国務大臣(大平正芳君) 中東外交、日本といたしましても全精力を挙げてやっているわけでございまして、現に石油危機が今日まで一回、二回と重ねてございましたけれども、わが国が予定いたしました石油の原油の確保につきましては、十分これを確保いたしておるわけでございまして、このことは国民にも理解を得ておることと私は思うのでございます。
 しかし、三木さんがおっしゃるように、石油の供給というものにつきまして、将来に大きな不安があることは事実でございます。その中におきましても、確保すべき資源は安定確保を図ってまいらなければならぬ責任を痛いほど感じておるわけでございます。そのためには私は何でもしなければならぬ立場にあるわけでございまして、私が参るということも一つの方法であろうと思いまするし、できるだけ早い機会にそういう機会を得たいものと念願いたしておりまするけれども、私が参ることができなくても、あらゆる手だてを通じまして日本に対する信頼と理解をつないでいくということには怠るところがないように処置してまいりたいと考えております。
#71
○三木忠雄君 福田前総理が二年前に中東へ行ったときと、この二年後の今日とでは中東の情勢はずいぶん変わっているのじゃないかと思うんです。総理はこの問題に対するどういう認識を持っていられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#72
○国務大臣(大平正芳君) 中東各国のそれぞれの内政面におきましてもいろいろな変化が起こっておりまするけれども、また、外部勢力の働きかけも活発になってきておりますので、二年前と比較いたしまして、今日には新たな緊張状態が出ておる、新たな不安要因が出ておると承知いたしておるわけでございます。したがって、中東につきましての配慮は、従来以上に緊張した姿勢で臨まなけりゃならぬことは申すまでもないと考えております。
#73
○三木忠雄君 次に、先ほども出ましたが、ベネチア・サミットの問題について一点伺っておきたいのですけれども、やはりここでまたエネルギー問題が大きなテーマになってくると思うんです。聞くところによると、八五年の石油の輸入の問題について、アメリカ側から相当削減の要請がされると、こういうふうな話を承っているわけでありますけれども、総理はこのベネチア・サミットでエネルギーの問題にどういう対応をしていこうと考えているのか。あるいはまた、このサミットのテーマとして日本はどのようなテーマを考えて主張しようとしているのか。この点についてお伺いしたいと思います。
#74
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、ベネチア・サミットの議題はまだ決まっていないわけでございます。しかし、あなたが仰せのように、エネルギー問題が引き続き大きな課題になることは明らかであろうと考えております。アメリカが一九八五年の石油の原油の輸入のシーリングにつきまして、もっとこれを締めてかかるというような意向を持っておることも伝えられておりますが、これに対しましてヨーロッパといたしましてはいろいろ批判が起こっておることも承知いたしておるわけでございます。
 日本といたしましては、まず第一に、巨大な消費国の一員といたしまして、消費国が力を合わせてまず石油の消費節約についてどういう共同したアクションをとってまいるか、技術開発についてどのように協力していくかということ、消費国といたしまして産油国との間の対話をどのように取り結んでまいるかというようなことにつきましては、十分有力な消費国といたしまして他の国々と力を合わせて全力投球しなければならないものと考えております。
 それから、代替エネルギーの開発問題、その技術開発の問題あるいはそれにまつわる投資問題、そういった問題が問題になることは当然だと考えております。それにつきましてはもう従来から決まった方針があるわけでございますので、精力的に各党との協力を得ながら進めてまいらなければならぬものと考えております。
#75
○三木忠雄君 それでは、外務大臣に伺いますが、アフガニスタンの問題で何点か伺っておきたいと思うんです。
 ソ連はアフガニスタンへの介入に対して、ソ連・アフガン善隣協力条約に基づくものだと、こういうふうな観点から言っているそうでございますけれども、日本政府は、このソ連のアフガニスタン侵攻にどのような分析を持っているのか。この点について、日本政府としての分析をお聞かせ願いたいと思うんです。
#76
○国務大臣(大来佐武郎君) アフガニスタンに対するソ連の軍事介入の動機等につきまして、外務省としてもいろいろな情報に基づいて分析をいたしておるわけでございますが、ソ連側の説明は、ただいま御指摘のような善隣友好条約に基づいてアフガニスタン政府の要請を受けて介入した、ということでございますけれども、外務省といたしましては、これはきわめて根拠が弱いというふうに判断いたしております。目的につきましては、一つにはアフガンの国内情勢に対するソ連の憂慮と申しますか、情勢によっては政権の交代、これがソ連の影響力を弱める形になるのではないかという点から軍事介入に踏み切ったということが直接の動機になっているのではないか。しかし、長期的にはインド洋あるいはペルシャ湾岸地帯への影響力の増大ということもその動機の中に考えられる点があるのではないか。
 大体以上のような判断をいたしておるわけでございます。
#77
○三木忠雄君 そうしますと、アフガンヘの侵攻の問題については、チェコ事件と今回のアフガンへの介入との違いがあるのかどうか。この点についてはどういうふうに外務省は認識をしておりますか。
#78
○国務大臣(大来佐武郎君) これまでのソ連のハンガリーに対する軍事介入、その後のチェコに対する軍事介入等におきまして、いわゆるブレジネフ・ドクトリンということが言われておりまして、社会主義諸国の中の内輪の関係であるというような説明があったわけでございますが、今回のアフガニスタンの場合には、これは非同盟と見られておる国に対するソ連の軍事的介入でございまして、この点が従来のケースと根本的に違っておる。それだけに、先般の国連緊急総会などにおいて、第三世界、回教圏を含めまして、即時撤兵を求める軍事介入に対する強い批判が出ておる面があると思います。ソ連といたしましては、すでにアフガニスタンには共産圏政権ができておるので、その点でソ連側の主体的な解釈といたしましてはチェコの場合とそう変わらないという解釈があるように見受けられますけれども、これは国際的にはいま申しましたようなことで通用しないことだろうと考えておるわけでございます。
#79
○三木忠雄君 それでは、このソ連とアフガンの友好善隣協力条約と、ソ連が――一方的と言えば一方的でありますが、発表しておるこの日ソ友好善隣協力条約との違いですね、この点についてお伺いしたいと思います。
#80
○国務大臣(大来佐武郎君) 日ソ友好善隣協力条約につきましては、これはソ連側から提示がありましたが、日本側としてはこれを受け付けないと、検討もしないというたてまえで終始しておるわけでございまして、それをソ連側が一方的に公表したという経緯がございまして、この内容について現在私どもの方からコメントをする立場にないと考えておるわけでございます。
#81
○三木忠雄君 違い。
#82
○国務大臣(大来佐武郎君) 相違点につきましては政府委員から答弁さしたいと思います。
#83
○政府委員(武藤利昭君) ソ連が各国と結んでおります善隣友好協力条約、似た面もあれば違う面もあって、さまざまでございますけれども、ただいまお尋ねのございましたアフガンと日本とのケースについて申し上げますと、特に問題になりますのがいわゆる有事協議条項でございますが、ここに若干の違いはあるわけでございます。アフガニスタンとの善隣友好協力条約の第四条でございますけれども、これは、「両国の安全、独立及び領土保全の確保を目的として協議し、双方の合意により適切な措置を取る。」という規定の仕方になっております。わが国に対しましてソ連が提案いたしました条文につきましては、ただいま外務大臣の方から申し上げましたとおり正式にコメントをする立場にはないわけでございますけれども、そのような留保をつけまして御参考までに御披露いたしますと、その部分につきましては、「双方が平和の維持にとって危険であるとみなす事態が発生した場合、あるいは平和が侵害された場合、双方は直ちに互いに接触し、情勢改善のためにとりうる措置について意見を交換する。」という規定になっておりまして、若干の相違はあろうかと存じます。
#84
○三木忠雄君 外務大臣、これはしっかりこういう問題はよく認識をしておいてもらわなければいけないと思うんです。特にアフガン問題の見通しについて外務省はどういうふうな判断をしているのか。あるいは今回のこのソ連の行動によってソ連に対する何らかの脅威あるいは新たな認識が外務省としては出てきたのかどうか。この点についてお伺いしたいと思います。
#85
○国務大臣(大来佐武郎君) アフガン情勢につきまして、的確な情勢をいまの段階で把握することは困難でございますけれども、外務省といたしましては、できるだけの努力をして各方面からの情報を集め、分析を行いつつあるわけでございます。
 現在までの段階では、アフガンの国内情勢が安定すればソ連軍は引き揚げるということをソ連側としては申しておるわけでございますが、現状ではむしろ武力を増強する方向に進んでおりますし、かなり長期にわたってアフガンの国内にとどまるということになる可能性が強い。一方におきまして、アフガン問題につきまして、先ほどちょっと触れましたように、国際世論というものは第三世界を含めてかなり強い反発があるわけでございます。またEC諸国の発意によります中立アフガンの問題というような話し合いについての努力も始められておるわけでございますが、現状におきましては、この問題がかなり長期にわたりそうだというのが私どもの判断でございます。
#86
○三木忠雄君 その問題ばかり詰めるわけにいきませんけれども。
 次に、海外経済協力の問題で、特に港湾建設の問題についてのことについてお伺いしたいと思います。
 特に、経済協力の問題については、五十三年四月五日の衆議院の外務委員会で、対外経済協力に関する決議の中の二の三項に、「今後とも軍事的用途に充てられる或いは国際紛争を助長する如き対外経済協力は行わないよう万全の措置を講ずること。」、こういうことが決められているわけです。このことは、政府間の協力は、わが国の恒久平和と国際協調を宣明したわが国憲法の精神に基づいて三項にあるように決められたと思うわけでありますが、この問題についての総理の見解を伺っておきたいと思います。
#87
○国務大臣(大平正芳君) わが国の経済協力の基本的方針は、受益国の民生の安定に役立つもので、その国の希望によって、わが国がその持てる経済力、技術力を供与しようということでございまして、軍事力の増強に役立つようなものには、申すまでもなく、協力すべきものではないことは当然と心得ております。
#88
○三木忠雄君 そうしますと、民間企業間の対外国との取引においてもこの原則あるいは精神が守られなければならないと思いますけれども、これはそのとおりでございますか。
#89
○国務大臣(大平正芳君) 御案内のように、武器輸出はしないということをわが国は国是として貫いておりますことからも御理解いただけますように、民間の関係におきましても、軍事的なものにわたることのないように配慮をしておるわけでございますし、将来もそういう方向で処理していかなければならぬと思っています。
#90
○三木忠雄君 私は、ここに一つの、わが国民間企業とマレーシアとの工事契約についての具体的な事実について伺っておきたいと思います。
 その内容について、私もいろいろ証拠を持っているわけでございますが、契約先は、マレーシアの国防大臣と公共事業局長が行っているわけです。契約内容は、海軍基地、施設建物、埠頭及び造船所という問題になっているわけです。契約金額は九十億円、こういう問題でございますけれども、その会社は五十三年一月に請負契約に当たって日銀を通して役務に関する契約及び決済に関する許可申請を大蔵大臣に提出していると思うのですが、この問題についての大蔵大臣の答弁を求めます。
#91
○国務大臣(竹下登君) 具体的な事実関係でございますので、加藤国際金融局長からお答えをさすことをお許しいただきたいと思います。
#92
○政府委員(加藤隆司君) 許可をした事実がございません。それで、許可を要するものなのかどうか。許可を要するものは、役務提供後一年を経過した後で支払いを受領するのでございますが、そういう事実関係をつまびらかにしておりませんので、調査の上後刻御報告をさしていただきます。
#93
○三木忠雄君 後刻調査の上でございますけれども、やはり現にすでにもう海外の建設工事が始められているわけですね。実際にこういう問題を考えたときに、果たしてこの軍港建設の請負契約を見逃したのか、あるいはこの役務に対する契約が必要でないのか、この点についてのもう一度見解を伺いたい。
#94
○政府委員(加藤隆司君) 過日議決をしていただきました新法におきましては、先ほど総理から御答弁のございましたように、役務の提供等に関しまして国際的な平和と安全の維持の妨げになるようなものは大臣許可にかかわらしめるような措置がとられております。本件のそういう実質的な内容を目下のところつまびらかにしておりませんので、ただいま調査をして後刻御報告すると申し上げたわけでございます。
#95
○三木忠雄君 これは後刻調査では、私も次の質問をこれを留保しなければならないのですけれども、現に有価証券報告書等に見ますと、現に公共事業者の見せかけの掲載だけされているわけです。軍港建設ということは当然一字もないわけです。しかしながら、現地のいろいろな報告によりますと、やはりこの工事現場の状況というものは海軍基地建設はもう間違いないと、こういう見解に立っているわけです。したがって、こういう問題を考えますと、役務に関する問題を大蔵省あるいは日銀が承知してないという、こういう問題でございます。後刻私はこの問題は調査してもらいたいと、こう思っておりますけれども、もしこの問題が役務に関することで軍港建設という、こういう問題になった場合に、総理あるいは大蔵大臣、こういう問題をどう処理しますか。この点についてお伺いしたいと思うんです。
#96
○国務大臣(竹下登君) 仮定のことでございますので、ここでにわかに私が断定するだけの自信がございませんが、いずれにしても御趣旨に沿って十分調査の上正確なお答えを申し上げることにいたしたいと思います。
#97
○三木忠雄君 この問題について私たちの方は事実はっきりしているわけです。したがって、これは一例でございますけれども、今後こういう問題が各地域で民間企業においても行われるようなことがあったならば、まさしくこれはまずいんじゃないか、衆議院で外務委員会で決議したことも、あるいはいま総理が答弁されたことも含めて、やはりこういうことは非常に国際紛争の火種をつくるような結果になってくるんじゃないかと私は考えるわけです。まあこの事実関係については私留保しますけれども、この問題について総理の見解を伺っておきたいと思うんです。今後の歯どめの問題といたしましても、どうするかということを明確にしておいていただきたいと思うんです。
#98
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申し上げましたように、わが国の経済協力の基本方針に照らしまして厳正に処理いたします。
#99
○三木忠雄君 では、この問題については私留保しておきます。
 次に、防衛問題について一、二点伺っておきたいと思うんです。
 米国からの日本の防衛力増強についての要請が非常に強まっているということは、今国会でもいろいろ議論されたところでございますけれども、この日本政府の対応として防衛庁長官あるいはまた外務大臣、この問題についての見解を伺っておきたいと思うんです。
#100
○国務大臣(細田吉藏君) アメリカの日本に対する防衛力強化の要望につきましては、私たち誠意をもってこたえなきゃならぬことは当然だと存じております。しかし、私どもは防衛の大綱というものを持っておりますし、また中期業務見積もりというもので、なるべく早くこの大綱の線まで沿いたいということで基本的な線を決めておりまするので、その範囲内で実質的な増強をもって対応したいと。アメリカからまた具体的にどうこうしろということは言ってまいっておりませんので、そういったようなことで対応してまいりたいと、かように存じておる次第でございます。
#101
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま防衛庁長官から答弁がございましたが、アメリカ側の政府として正式な具体的な申し入れは私どものところにも参っておらないわけでございます。ただ、議会筋、ジャーナリズム、財界、いろいろな場面で日本の防衛努力の増強を求める声が強いわけでございまして、日本自身の防衛力ということの増強を求めておると私どもは了解しておるわけでございまして、日本の持っております平和憲法、専守防衛、非核原則等の大きな枠組みを超えることは許されないわけでございまして、そういう限度の中におきまして防衛の質的な向上を図るということは現下の情勢から見て必要なことだと考えておるわけでございまして、この点については米側とも十分話し合って理解を深めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#102
○三木忠雄君 いまの防衛庁長官の答弁の中に、基本線は守るけれども実質的な増強を図るという、こういう答弁がございましたけれども、実質的な増強という意味についてはどういう考え方を持っているんですか。
#103
○国務大臣(細田吉藏君) 実質的と申しますことは、私ども一番大切なものはやはり正面装備、これを強化していくということが一番大切なことだと。防衛庁の経費の中には人件費とか食糧費とかいうのが大きなパーセンテージを占めておるわけでございますが、実質的なそういうものを強化していくと、そういう意味でございまして、質的な、その中でもまた量の問題もさることでございますが、特に質の面をよくしてまいりたいと、かような意味でございます。
#104
○三木忠雄君 一部専門家筋の話によりますと、艦艇の増加あるいは対空能力の向上であるとか弾薬の備蓄など、中期業務見積もりの一部修正を行わなければならないんじゃないか。あるいはまたF15、P3C等の購入計画の期限短縮などが迫られているのではないかという、こういう話を私も一部伺っているわけでありますけれども、こういう問題に対する政府の対応はどのようにするつもりですか。
#105
○国務大臣(細田吉藏君) お答え申し上げます。
 ただいま中期業務見積もりにつきまして、これを直ちに改定しなければならぬというふうには考えておりません。しかし、これに対して種々の意見があることは承知いたしておりますので、これらの点につきましては政府委員から答弁させていただきたいと存じます。
#106
○政府委員(原徹君) ただいまのお話でございますが、いろいろの面について具体的に何をどうするというような、そういう要求はないわけでございまして、一般的に防衛努力をさらにしてほしいと、こういうことでございます。また、そういう意味で私どもはできるだけ早く防衛計画大綱の水準に持っていきたいと。そのために質的改善がどうしても必要だと。質的改善のやり方として中期業務見積もりというものがございまして、これで五年間で二兆七千ないし二兆八千のものが見積もられ、正面装備でございますが、そういうことでございます。中期業務見積もりは防衛庁限りの見積もりでございますから、私どもはそれに基づいて予算を要求をいたしましても、そのとおりについているわけではございませんから、毎年見直す性格のものでございます。でございますから、また来年度につきましては、それを見直して来年度に予算要求をすると、そういう形になるわけでございます。そうした場合に、どういうことが一番質的改善にいいかどうかということは、これからまた考えていかなければならないと、そういうふうに考えているわけでございます。
#107
○三木忠雄君 この中期業務見積もりの初年度でようやく〇・九%を確保したという、こういう実情でございます。しかしながら、期間中のこの当面、装備費二兆七千あるいは八千億という、こういう問題と今後のこの一%以内のGNP比で果たしてこの業務見積もりが見直さなくてできるのかどうかということは非常に私も疑問です。何も増強しろということを私は言っているわけじゃない。こういう点と今後の経済成長率との見通しとを考えたときに、非常にこの中期業務見積もりというものはちょっと絵にかいたようなもちで、正面装備とか、あるいは実質的な増強と、こういろいろ言っておるけれども、ただ言葉だけに終わって、実際にこの業務見積もりが適用されないのではないか、改定をしなきゃならないのじゃないかという、こういう私は考え方を持つわけですけれども、防衛庁長官どうですか。
#108
○国務大臣(細田吉藏君) お答えいたします。
 今後の国民総生産がどういうふうに伸びていくかということに重大な関連を持つわけでございます。したがいまして、御心配のような点が私どもないわけではありませんが、ただいまのところでは、ただいま防衛局長が申しました、ただいまの全体としての中期業務見積もり程度の達成は、防衛関係費対GNP一%以内で、ただいまのところは変更なく可能であると、ただいま判断いたしておる次第でございます。
#109
○三木忠雄君 もう一つ、このGNPの問題で、外務大臣あるいは大蔵大臣、あるいは防衛庁長官等の間でずいぶんいろいろ――試算では、外務大臣は恩給費等も入れて一・五%だと、あるいは大蔵大臣は渋く〇・九とか八とか、いろいろ議論が分かれているわけです。外務大臣がこれから訪米されるわけですね。国内の三大臣がこう意見が合わないような状態で、アメリカに行って何を話をし、何をコンセンサスを得てくるのか、私は非常に疑問だと思うのですよ。そういう点について明確にやはり三閣僚初め、大平内閣の統一見解はっきりしておかなければならないと思うのですけれども、この点についてはいかがですか。
#110
○国務大臣(大来佐武郎君) 防衛費のGNP比率の問題でございますけれども、日本の防衛費の計算は、GNPの〇・九という現状になっておるわけでございます。ただ、アメリカ、ヨーロッパ等で、これは政府筋、専門家はみんな承知しておることでありますけれども、一般の評論あるいは議会の討論その他におきまして、日本のGNP比〇・九、これに対してアメリカはGNPの五ないし六%を防衛費に使っておる、あるいはヨーロッパ諸国が大体三・五ないし四%を使っておる、こういう比較をいたした文章や発言がしばしば出てまいるわけでございまして、これはベースの違う数字を比較することになりますので、そういう点については事実として、機会があればさらに広く理解を進める、それだけの意味でございまして、この実質的な内容につきましては、たとえばアメリカの政府当局の人たちも十分承知しておるわけでございます。そういう点につきましては、私の方と防衛庁の間に全然意見の相違はございませんで、対外的にそういうベースの違うもので比較をするということをできるだけ減らしてまいりたいというだけのことでございます。
#111
○委員長(山内一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時から委員会を再開し、三木君の質疑を続行いたします。
 これにて休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#112
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十五年度総予算三案を一括して議題とし、三木忠雄君の質疑を続けます。三木君。
#113
○三木忠雄君 それでは、午前中の質疑に引き続きまして、物価の問題について最初にお伺いしたいと思うんです。
 特に本年度の最大の課題は私は物価の安定ではないかと、こう思うんです。きょうのニュース等によりますと、やはり卸売物価が対前年三六・一%と、こういう数字が示されているわけでありますけれども、この卸売物価の上昇の原因というものは何だと見ていらっしゃるんですか、まず経企庁長官から伺いたいと思うんです。
#114
○国務大臣(正示啓次郎君) 先ほど日本銀行が発表いたしましたものがいま仰せのようなふうに伝えられましたのは、この上がり方が一年間持続していればという計算をしておるわけでございますが、確かに卸売物価の騰勢はきわめて重大な様相を呈していることは、私どもも真剣にこれを受けとめておるわけであります。その原因は、すでに三木委員も御承知のように、原油価格の急騰、それからその他海外から輸入せられる原材料の価格の騰貴、そしてまた円安、こういうことが卸売物価高騰の主な原因でございます。若干しかし、国内においても需給関係がタイトになってきたというふうな点もこれは決して見過ごしてはならない重大な徴候であるとわれわれは考えておるわけでございます。しかし、物価対策の基本は、どこまでもこうした外部から来るインフレの波を何とかして国内の特に消費者物価に波及をさせることを最小限度に食いとめる、この点に物価政策の眼目を置きまして、今日まで国民各階層の御協力をいただいて、そういう政策が相当の成果をおさめておることもまた三木委員御承知のとおりでございます。
 私どもは、結論といたしまして、何としても五十四年度の消費者物価を当初の目標よりも下回る四・七におさめたい。来年度につきましても、卸売物価はなお若干の、本年度に比較すれば卸売物価の上がり方も来年度は年度全体としてはやや緩やかになっていくわけでございますけれども、しかし、ここで気を緩めずに消費者物価を六・四%という政府の目標の達成に全力を挙げて取り組みたい、かように考えておるわけでございます。
#115
○三木忠雄君 いまの日銀等の状況によりますと、二月だけではなしにやはり三月にもこのような傾向が続くであろうと、こういうふうな報道が行われているわけです。当面卸売物価をめぐる環境というものは好転しそうもないような感じに受け取られるわけです。いわんや、いままでは海外の要因を主力にいろいろ大平総理を初め企画庁でも主張しておったわけでありますが、国内要因にも移ってきているのではないか、この点についての経企庁の対策、どういうふうに対応していくのか、この点についてお伺いしたいと思うんです。
#116
○国務大臣(正示啓次郎君) この委員会でほかの山崎委員、竹田委員その他また与党の熊谷委員にもお答えをいたしましたとおりに、私どもは、近く非常に重要な電力料金あるいはガス料金、こういうものについて政府部内のいろいろの調整が完了するというふうに通産大臣の方からも伺っておりますので、そういう時期とにらみ合わせながら、大体今月の半ばからできるだけ早いところを一つの時期に設定をいたしまして総合的な物価対策を強化する、こういう考え方を持っておるわけでございます。
 その際、どういう点に重点を置いていくか、物価政策の主眼をどこに置くか、これはもう当委員会でも段々御議論がありますように、財政金融全般をインフレ的なムードを極力抑えるような、そういうふうな基調において運営していくことが私は基本的に非常に大事な点であると考えておりますが、そのほかに個々の物資につきましても、先ほどちょっと触れましたような需給の関係からタイトになってきておるようなものについては、その需要に対して供給を適応させるような、こういう政策をやっていかなければならぬことは非常に大事な点かと思います。
 通産省におかれましても、備蓄の放出あるいは出荷の督励その他の万般の施策を講ぜられまして、生活関連物資あるいは重要な物資についていろいろ施策を講ぜられておるわけでありますが、特に農林水産大臣からは、先般私どもと御相談をいたしまして緊急な野菜対策を実施されたわけであります。その結果、大変な値上がりを続けておりました野菜も漸次鎮静の傾向でございまして、特に出荷はだんだんとふえておりますので、いま御指摘のような重大な時期に際しまして、消費者物価に非常にウエートの大きい野菜の価格については今後一層の努力をしていく、こういうふうに個々の物資につきましても政府の施策、そしてまた国民全般の御協力をいただいた強力な調査、監視、指導をこれからも進めてまいりたいと考えております。
#117
○三木忠雄君 総合的な対策と、こう言われているわけでありますけれども、この中にやはり公共料金の値上げというものに対する政府の基本的な考え方があるのかどうか、あるいはこの公共料金を一時ストップをさせるとか、あるいは繰り延べさせるとか、こういう考え方は持っているのかどうか。
#118
○国務大臣(正示啓次郎君) 結論的に申し上げますと、まず予算関連の政府が非常に深くかかわっておる公共料金につきましては、予算の編成過程におきまして相当厳しく、各省庁の御協力をいただき、これを抑制し、また実施時期につきましても、できるだけそれを集中させないような配慮を行ったのであります。
 これについては、私どもはできる限り財政再建、いわゆる財政的な面からのインフレを抑えるという意味におきましても、受益者負担を最小限度にお願いすることが私どもの考え方に沿うゆえんでございまして、ぜひともそういうふうに御協力を願いたいと考えておりますが、そうした予算関連以外の公共料金、その中でも先ほど申し上げた電力料金、ガス料金、これはきわめて大きなアイテムでございますが、これらにつきましても、通産当局を中心にいたしまして、原価主義、公平の原則という法律に定められた原則の枠内において、これを極力国民生活あるいは物価に対する影響を最小限度に食いとめるように努力をしておられるわけでございます。
 ただいまのところ、まだ通産当局から正式の御協議をいただいておりませんが、私ども経済企画庁といたしましても、十分それらの内容につきまして厳しく見せていただき、いろいろと御意見を申し上げて、最終的に適正妥当な結論に持っていきたいと、かように考えております。こういう問題が総合物価対策の大きな柱であることは申し上げるまでもないところでございます。
#119
○三木忠雄君 予算関連あるいはその他の問題の公共料金、それも含まれるというわけでございますけれども、具体的に、じゃ公共料金を抑制するとか、あるいはまた一時凍結をするとか、繰り延べするとかいう問題についての個々の問題についての検討は行われているんですか。
#120
○国務大臣(正示啓次郎君) ただいま申し上げたように、予算で一応お願いしております問題については、私どもは予算は政府の提案を最良と考えて御協力をお願いしておるわけでございます。これはそういうことでお願いをしたいと思うわけでございます。
 そこで、予算でそれじゃそういうことを努力したのかと、こういう御質疑に対しましては、国鉄の値上げにいたしましても、郵便料金の値上げにいたしましても、その上げ幅を最小限度に食いとめるべく、いろいろと原案に対して私どもの方からお願いをして抑制をいたしましたと同時に、その実施時期についても、たとえば国鉄の値上げを四月のしょっぱなということでなしに、四月の初めには、このうれしい入学のために国鉄運賃を支払われるような方々には、やはり旧料金でお払い願うようにしたらどうかというようなこともお願いをいたしまして調整を図っておるところでございます。これ以上にいま政府は提案をしておるものを繰り延べるつもりがあるのかという御質問に対しましては、ただいまのところは、私どもは原案のとおりひとつお認めをいただきたいと考えておるわけでございます。
#121
○三木忠雄君 私は、このような卸売物価の上昇、これは消費者物価の値上がりに必ずはね上がってくるわけです。そういう点から考えましても、やはり公共料金の繰り延べであるとか、あるいは政府が意図をしております、一般会計について見れば一年間で約二十万円も負担をしなければならない公共料金、やはりこれは再考すべきではないかと私は思うのです。それを行ってこそ初めて総合物価対策ではないかと、このように考えるわけです。特にこの二月の卸売物価が三六・一%という異常な上昇の中で、五十五年度の卸売物価目標九・三%の達成というものはとうてい不可能ではないかと、このように考えるわけでありますが、この点についてはいかがですか。
#122
○国務大臣(正示啓次郎君) 先ほど三六%余りになるという計算は、今日の上がり方が一年間続いた場合という計算方法であることを申し上げたのですが、私どもの通常の見方では、いわゆる前年同月に対する上がり方ということから見ますと二一・四%、これが普通の卸売物価の高さを示す数字でございますので、その点はひとつ申し上げておきたいと思います。
 いま御質問の点は、私どもの年度の卸売物価の見通しに対して、いまのような上がり方で一体どうだと、こういうことでお尋ねございますが、先ほどもちょっと申し上げたように、五十四年度は相当原油価格の上がり方も激しかった。これに対しまして五十五年度は、その上がり方の、何といいますか、段階を経ての上がり方は、これはこの間もいろいろ電力料金等についてエネルギー庁長官からも御説明がありましたが、私どもは一つの大きなピークにいま差しかかっておるのでありまして、これからはあらゆる努力を払ってこの国際的な協調関係を強化することにより、また、けさほどから御質問のあったような、あらゆる機会に、産油国、消費国それぞれにやはりインフレというものはこれは人類共通の最大の敵でございますから、これを抑えるようにみんなでひとつ力を合わしていこうじゃないかと、こういう機運を私は世界的に盛り上げていく必要があろうかと思います。そういうふうな努力によって本年度の――本年度というか、来年度の九・三という私どもの目標に対する卸売物価の実際の推移は五十四年度よりは緩やかになってまいりますので、努力いかんによってはこれを達成することは不可能ではないと、こういうふうに見ておるわけでございます。
#123
○三木忠雄君 無理ではないと、こういうふうな答弁ですけれども、非常に私は厳しい問題ではないかと、こう見ているわけです。この問題が消費者物価の値上がりに連動しますと、恐らく五十五年度の消費者物価政府の見通しの六・四%は私は不可能ではないかと、こういう考え方を持つんです。その点のためにも、やはり個々の物資の対策として、通産大臣あるいは農林大臣が具体的にこの総合物価対策の中でどういうふうな点を考えているのかということについて、この六・四%の問題については経企庁長官、また個々の物価対策として、特に農林大臣あるいは通産大臣にいま考えている問題点についてお伺いしたいと思うんです。
#124
○国務大臣(武藤嘉文君) 農林関係についてお答えをいたします。
 私どもは、特に流通関係にいま重点を置いておるのが一つでございます。これは食料品関係全体でございます。それから、先ほども話題になりましたが、野菜につきましては、今度の野菜の高騰を反省いたしまして、何とかこういうことが二度と起きないようにひとつしなければいけないと、こういう考え方から、従来のいわゆる野菜価格安定制度、この対象範囲を拡大するとともに、野菜集団産地育成事業、この計画的な推進も強力に進めていきたい。
 それから、あわせて五十五年度から私ども考えております重要野菜需給調整特別事業というのがございますけれども、これを今回のこの事態を踏まえて、大いにひとつ作付のときからある程度緩やかというか、相当作付において大きな計画を立てまして、そして需要に合ったような出荷ができるようにしていく、万が一余ったときには産地廃棄ができるような仕組みを考えていきたいと、こういうことによって何とかこれからは野菜の価格はもう高騰しないと、こういうようなことにぜひ努力をしていきたいと思っておるわけでございます。
#125
○国務大臣(佐々木義武君) 通産省といたしましては、一つは電気、ガス等の公共料金でございますけれども、これに関しましては、ただいま原価主義を貫きまして、かたがた反響の大きい問題でございますから、物価対策等も考慮の上、慎重にただいま査定を行っておる最中でございます。その他の主要物資に関しましては、省内に主要物資需給価格動向連絡会というものを先般つくりまして、主な工業製品の需給あるいは価格動向の調査、監査等を行っておりまして、価格に急上昇の見られるような場合は、必要に応じまして商品ごとに機動的な対策を講ずるといったようなやり方をとってございます。
 また、流通対策等に関しましても、先ほどお話し申し上げましたように、各種の対策を講じまして、粗漏のないようにということで、便乗値上げ等に特に注意いたしまして、ただいま政策を進めてございます。
#126
○国務大臣(正示啓次郎君) ただいま農林水産大臣、通産大臣からお答えのような個別物資対策、これも非常に大事でございますが、何としましても基本的に大事なのは、前回の石油危機というふうに申し上げた方がいいと思うのですが、このときは卸売物価、消費者物価ともに大変な高騰を見たことは三木委員御承知のとおりでございます。またマネーサプライ、これが大変な勢いでふえてまいりまして、それがインフレムードを大変駆り立てるような動きになりました。そしてこのときは非常に一般の消費者も不安に駆られまして、トイレットペーパー騒ぎというふうなことになりまして、やむを得ず政府もいろいろな法律を発動したりしたわけでございます。そのときやっぱり一番大きな問題は、そういう事態のもとにおいて賃上げというものも非常に大幅に行われた。こういうふうなことが大変私は前回と今回との大きな違いである、こういうふうに認識をいたしております。そこで、先ほど両大臣からお答えのような個個の物資に対する対策を適切にやっていただくと同時に、財政、金融の基本的な政策において、前回われわれがなめた苦い経験を再び繰り返さないような、そういう基本的な政策を強力に推し進めることがきわめて大事な政策であって、これによって六・四%をぜひ守り抜きたいと考えておるわけでございます。
#127
○委員長(山内一郎君) 関連質疑を許します。矢原秀男君。
#128
○矢原秀男君 経企庁長官、この一カ月生鮮食料品でも特に白菜、キャベツが高騰したわけですけれども、物価の大番頭としてあなたは市場に行って消費者や小売業者の方々と何回ぐらいお話をされて現況を視察されましたか。
#129
○国務大臣(正示啓次郎君) 率直にお答え申し上げますが、実は私ども、御案内のように、第一線というよりは、むしろ先ほどお答えになりました農林水産大臣あるいは通産大臣に直接の行政の方はお願いをいたしておりまして、もう口やかましいほどいろいろお願いをしておる立場でございます。そこで、通産大臣なり農林水産大臣が第一線の実情についてよく把握をしてくださっておりますので、私は間接的にそれらのお話を伺って対策に誤りなきを期しておる、こういう状況でございます。
#130
○矢原秀男君 そういうのが机上の空論になるわけです。私たちも十日近く市場で、やはりキャベツが七百円、白菜が五百十円、こういうときから何回も消費者の方、小売業者の方々、そうして生産の現地へ行ってまいりました。農林大臣は所轄であっても、あなたはやはり物価の安定の大立て者として国民の立場から行くのが当然でありながら、報告だけを聞く、こういうところに物価対策の手おくれがあるわけです。
 総理大臣、まあ、あなたは大変でしょうから、そこまで言いませんけれども、あなたも御発言の中で、最近になって卸売物価の上昇がその他の物価に波及する懸念が濃厚になってきた、五十五年度の六・四%の目標については公共料金値上げもカウントしているが、相当緊張した物価対策をしないと達成できない、こういうふうに答弁をされているわけでございます。いま三木委員から質問がございましたように、この二月、三六・一%卸売物価の上昇率、これと大平総理大臣の御発言を見ておりまして、非常に重要な問題になっている。六・四%の目標はいまここで具体的に私たちに御答弁がないと、なかなか達成できないのではないか、こういうふうに私たちも懸念します。この点、総理大臣どうですか。
#131
○国務大臣(大平正芳君) 去年はおかげさまで海外の物価高がございましたけれども、国内の消費者物価につきましては比較的安定した足取りをたどることができたわけでございまして、景気か物価かという選択を考える余裕があったわけでございますが、矢原さんがいま御指摘のように、ことしはそういう余裕はないわけでございまして、物価の安定がなければ景気の問題も雇用の問題もその解決がおぼつかない状況にございますので、物価政策に力点を置いて、あそこにアクセントを置いて経済の運営を真剣にやらなければならぬ事態を迎えておるというように、私は認識いたしておるわけでございます。
 最近の卸売物価の高騰、そしてそれがやがて消費者物価に、われわれが抑えに抑えてまいりまするけれども、若干の影響を来すことは明らかでございますが、そういった点を一応カウントいたしまして六・四%の目標は達成しなければならぬ、また、われわれが緊張して対処いたしますならば達成できないはずはないというのがいま政府の確信でございます。
#132
○矢原秀男君 きょうもNHKで報道いたしておりましたけれども、物価に対する世論調査、物価値上がりに苦労しているというのが七二・九%もございます。そして、物価の中で負担に思うのはやはり食費というものが六八・四%、光熱費が五四・三%、交通費が一七・五%ですね。この中で家庭での物価対策としても今後食費を削っていきたい、これが二二・四%、今後安いもので補う。二番目には衣料費についても節約をしたい。そういう中で物価値上げへの危機感を持っている国民の人たちが九〇%以上、こういうふうに出ているわけでございます。これについて経企庁長官もいろいろと感じていらっしゃると思いますけれども、これについての所感をお願いいたします。
#133
○国務大臣(正示啓次郎君) ただいま矢原委員御指摘のように、最近の特に野菜の値上がり等によって家庭の主婦がいわば直撃を受けておる。そういう事態でございましたので、先ほどもちょっと申し上げたように、緊急対策を講じまして、農林水産大臣を煩わしていろいろと対策を講じました。やや愁眉を開くような状況でございますが、決してこれで気を緩めてはならぬという感じをますます強めております。そこへもってまいりまして、また電力、ガスというふうに、これまた家庭に非常に重大な影響を及ぼす料金の改定が差し迫っておるわけでございまするので、そういう面からも、先ほど来申し上げておる総合物価対策を一段と強化いたしまして、インフレムードがだんだんと波及していくようなことのないように歯どめをかけるような政策をきちんと出していきたい。国会の御意見をも十分に体してこれを行わなければならぬという信念をますます固めておるような状況でございます。
#134
○矢原秀男君 公共料金を本来設けた理由というものは、広く国民の生活から切り離すことができないからこういう制度が設けられているわけですが、非常にこの公共料金の大幅値上げ、これを見ておりますと、先ほども話がございましたように、年間で一家における二十万円の重圧というものがあります。あと各関係大臣にどれだけ国民の立場から努力をしているのか、もう一回明確に伺いたいわけでございますが、一つは消費者米価も新たな負担として二千百十二円、麦価も三千六百三十六円、国鉄運賃が三千二十四円、郵便料金が千四十四円、NHKの受信料がカラーで二千四十円、たばこが一万八百円、電気料金が三万二千百九十六円、ガスの料金が二万四千二百五十二円、国内航空運賃が二千九百八十八円、国立大学の授業料が三万六千円、健康保険料が五万一千七百八十二円、国民年金の掛金が五千六百四十円、厚生年金の掛金が三万二千四百円、合計二十万七千九百十四円がこのままでいきますと公共料金の大幅値上げ、年間で一家における二十万円の重圧になってくる。これは単純計算でございますけれども、これが波及的な問題になってまいりますと、一家における大きな影響というものはどれだけになるかわからない。こういうことでございます。
 私がいま期待感を持っておりますのは、総理大臣が公共料金の影響も答弁されていらっしゃいます。お昼のNHKのニュースにおきましても、総理が改めて電気、ガス値上げ幅の圧縮を打ち出していらっしゃる。それに関係の各大臣がどうするのかというのは今後の課題でございますけれども、いま私が細かに申し上げましたけれども、これについて各関係大臣は国民生活を守る立場からどう努力をするのか、もう一回御答弁をお願いしたいと思います。
#135
○国務大臣(武藤嘉文君) 私の関係は米麦でございます。米麦につきましては二月から値上げをいたしまして、いまの私ども一カ月一家庭は二百五十六円という計算をいたしておるわけでございます。それで、どういうことをそれじゃやっているかということでございますけれども、いろいろ調査を進めまして、とにかく便乗値上げだけは何が何でも抑える、こういう方向で努力をしておるわけでございます。
#136
○国務大臣(佐々木義武君) 私の方は電力とガスの公定料金問題でございますけれども、経営の合理化と申しますか、経営努力を前提にいたしまして、あくまでもまず経営努力をしていただく。そして法律に基づきまして原価主義という立場を堅持いたしまして、物価あるいは国民生活の影響を十分配慮しつつ、ただいま厳正かつ慎重に査定をしている最中でございます。
#137
○国務大臣(竹下登君) 私の方の関係ではたばこがございます。これはすでに五十五年度予算の財源として見込んでおるものでございまして、委員御承知のように、ただいま本院において審議をいただいておるという段階であります。
#138
○国務大臣(大西正男君) 郵政大臣の関係は、御指摘の郵便料金とNHKの関係でございますが、郵便料金につきましては、五十四年度の収支の関係におきましては単年度で四百億以上の不足になる予定でございます。五十四年度で累積の赤字は二千四百億くらいに達する見込みでございます。これは例の第一次の石油ショック以前に、当時の郵便料金の財政が二千五百億ぐらいだったと思います。いまそれに匹敵する情勢になっておりまして、その間に五十一年の一月に国会の御承認を得まして料金の値上げをしたわけでありますが、それで一時小康を得たわけでございますけれども、それからもうすでに四年間以上料金は据え置きになって今日に至っておるわけでございます。御承知のように、郵便財政の中で支出の大宗を占めるものは何と申しましても賃金コストでございまして、御承知のように、郵便物は全国の津々浦々の国民の皆様のお手元へお届けをしなければならぬわけでありまして、そういう関係から申しまして、どうしても人手に頼らざるを得ないわけでございます。そういうことで、郵便の支出の中の約九〇%、これを人件費的な経費が占めておるわけでございます。人件費的と申しますのは、人件費のほかに、あるいは臨時に働いていただいた方々に対する賃金とかといったものを含めまして九〇%になるわけでございます。
 そういうことでありまして、労働賃金はその幅の大小は別といたしまして年々上昇をいたしておるわけでございまして、これが将来も上昇の見込みでございますから、この状態を放置いたしますと、これはもう郵便財政というものは破局に突き当たらざるを得ないわけでございます。もしそうなりますと、郵便を国民の皆様のお手元にお届けするという、そういう使命の達成においてはきわめて困難な状態にならざるを得ないわけでございます。もちろん、この間、経費の節減とか合理化、効率化、これは今日まで非常な努力を払って努めてきたところでございます。御承知と思いますけれども、東京には小包専門の集配局が南北二局ございます。また、中央郵便局その他大きな郵便局がございますので、そういう小包の集配局では非常に合理化されておることは御承知のとおりだと思います。さらに、郵便物一般を扱っておる大きな郵便局におきましては、郵便物の区分をしますための自動の機械を備えつけまして、開発をいたしまして、そしてこれによって合理化を今日まで図ってきておるところでございます。しかし、この機械は、何と言いましても機械というものは、(「要領よくやれ」と呼ぶ者あり)まあこれはよく御理解をいただかなければなりませんからお聞き賜りたいと思います。そういうことで大いに努力をして合理化等に努めてまいったところでありますが、中型とか、地方の小さい局等にはその大きな機械を据えるわけにいきませんから、そういう点で大型に対して中型、小型をいま開発をしておりますけれども、なかなかまだそれが実用にいくところまではいっておりません。今後ともそういう努力はしてまいりますけれども、この際、この四年間も据え置かれてきた郵便料金について郵政審議会におきましてもこれは財政を立て直すためにはやむを得ないという御答申をいただいたわけでございまして、しかしながら、これに対しまして、先ほど経企庁長官からもお話がございましたように、暮れの予算編成期におきまして、郵政審議会の御答申は四十円、六十円を七月の一日から実施をする必要があるという御答申でございました。しかし、私どもはいまの経企庁長官あるいは大蔵大臣、さらに官房長官等協議をいたしました結果、この答申はそうであるけれども、ひとつ物価等の問題を十分に配慮をして国民的立場からも考えてやろうではないかということで、五十五年度の下半期からこの料金値上げをしよう、ただし封書については答申どおりにやるけれどもミニレター等については現状のまま据え置いていこう、さらに葉書につきましては四十円ということでありますけれども、これを来年の三月中までは、つまり六カ月間は三十円に引き下げて実施をしようと(「委員長、注意した方がいいよ、長過ぎるよ」と呼ぶ者あり)そうして五十六年の四月一日からこれを実施しようというふうに……
#139
○委員長(山内一郎君) 答弁は簡潔に、要領よくお願いします。
#140
○国務大臣(大西正男君) 十分物価に対する影響等も考えましてそういう措置をいたしたところでございます。どうかひとつ先生方の御理解をちょうだいをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
#141
○国務大臣(野呂恭一君) 厚生省所管に係る五十五年度におきまする保険料等の引き上げによる負担額の増加でございますが、政管健保で被保険者一人当たり月額千百五十一円、厚生年金で千九百八十円、国民年金で四百七十円の増となっております。
 なお、これらは給付改善等に要する最小限必要な負担増でございます。(「みんな値上げじゃないか、どこで抑制するんだ」と呼ぶ者あり)
#142
○国務大臣(谷垣專一君) 国立学校の授業料について申し上げたいと思います。
 諸般の状況もございますし、私立大学の授業料との均衡の関係がございまして国立学校の値上げをいたしましたが、これは育英奨学事業の方とにらみ合わしまして、こちらの方の増額をいたすというような形で、極力その影響を少なくしたいと、こういうことでやっておるわけであります。
 なお、盲聾唖学校等の授業料は、これは値上げをしないということで、若干きめの細かい配慮をいたしておるところでございます。
#143
○矢原秀男君 いま一部の関係各大臣のを伺っていると、これは抑制に努力をせずに、値上げのために一生懸命になっている答弁を伺うわけです。これでは公共料金の制度を設けた本旨と全然違うわけです。こういうことになると狂乱物価の再燃になることは間違いございません。総理、これは一時凍結をするもの。二番目には値上げ幅をさらに厳しく抑制する、こういう形でもう一回きょうから善処していただかなくちゃいけません。
 そういうわけで、最後に大平総理に伺いますが、いまの公共料金抑制に対する決意。それからもう一点は、物価調整を中心として減税がこれはどうしても必要である、早く実施をすべきである、こういうふうに私は考えるわけです。これについて大平総理は、可能な条件、実施時期はいつだ、こういうことを明確にしていただきたい。
#144
○国務大臣(大平正芳君) いま各大臣から所管の物資並びに料金につきまして値上げせざるを得ない理由の説明がございました。委員席からはみんな値上げじゃないかというお声もありました。事実、日本の立場は矢原さんも御承知のとおりでございますが、去年の原油の値上げが一挙に倍になったわけでございます。そういたしますと、同じ石油を買うにいたしましても、二百数十億ドルの財産が産油国にそのまま移っていくわけでございますから、それだけ国民がみずからの生活を切り詰めて支払わなければならない立場にあるわけでございまして、こういう状態のもとでは、いまの物価問題というのは、そういう負担を公正に国民各層にどのように負担していただくかという問題でもあるということでございまして、これは万々御認識をいただいておることと思うのでございます。
 したがって、在来の、普通の平常事態における物価問題にプラスいたしまして、今日の物価問題というのはそういう財産の産油国に対する大量の移転状態に対しましてどう対応するかという問題を含んでおるという意味において御理解をいただきたいと思うのでございます。したがって、これは物価の形で、あるいは料金の形で、あるいは人件費の値上げの形におきまして、何らかの形において国民に御負担をいただかなければ日本の経済がもたないと、こういう性質のものであろうと思うのでございまして、各省におきましてはそれを最小限度にとどめるようにいま努力しておることを皆様に御理解いただくべく訴えたわけでございます。しかし、この努力がまだ足らないということでございますならば、われわれはなお一層努力してまいらなければならぬわけでございまして、皆様の御鞭撻のもと政府も最善を尽くしてこの難局に対処したいと考えて、国民の期待にこたえなけりゃならぬと思っております。
 それから第二に、減税の問題でございます。そのように国民各層に巨大な購買力の産油国に対する移転の負担をいただかなけりゃならぬときに、政府が減税の余裕があるかというと、それは明らかに大変むずかしい問題であるということもまたあわせて御理解をいただかなければならぬと思うのでございまして、いま当面、たびたび政府が申し上げておりまするように、それでも今日の国民の負担が非常に重いということでございますならば、いろいろな工夫をし、支出を思い切って削減いたしましてこれにこたえなけりゃならぬわけでございますけれども、いまの日本の所得税の負担というようなものは、先進諸国に比べまして相対的に相当低い状態にあるということもまたあなた御承知のことと思うのでございまして、いま当面減税する意図があるかどうかということにつきましては、残念ながらそういう環境でないということをお答えせざるを得ないことを御了解いただきたいと思います。
#145
○三木忠雄君 先ほど来各大臣の公共料金の値上げの問題を聞いておりますと、どこを努力をしてどういうふうに国民にこたえているかということがわからぬ。もう少しやはり努力したところはここだと、そうしてどうしようもない部分については繰り延べするとか、あるいは意見をつけるとか、そういうけじめがはっきりしていない。ただもう値上げPRをやっているということで、こういう点についてはやはり政府が物価に対する真剣な取り組み方というもの、いわんやこの高騰する卸売物価の中で六・四%の消費者物価のこの値上がりというのは五十五年度抑え切れないと、こう私は考えるんです。総理、この六・四%が守られなかった場合の政治責任はどう感じられますか。
#146
○国務大臣(大平正芳君) 六・四%は五十五年度における消費者物価を維持する目標でございます。まだ五十五年度は始まっていないわけでございまして、いまから全力を挙げてこれに立ち向かわさしていただかなければならぬわけでございますので、いまこれが達成されない場合のことよりは、達成いたすことができるように御鞭撻を願いたいと思います。
#147
○三木忠雄君 御鞭撻と言うけれども、実際に公共料金がこれだけメジロ押しに値上がりをしてくるという中で、私は、特に昨年の暮れからことしの初めにかけて、いまもそうでありますけれども、野菜の高騰の原因というものが、やはり人為的につくられた高騰ではないかという点について一、二メスを入れてみたいと思うんです。特にこの個別対策等でも、農林大臣はいろいろ考えているそうでありますけれども、この野菜の高騰の原因という問題について、農林水産省としてどのように分析をしているのか、まずそこから伺っておきたいと思います。
#148
○国務大臣(武藤嘉文君) 価格の高騰の原因についてはいろいろ言われておるわけでございますが、主たる原因は、やはり昨年の十月の二回にわたる台風の襲来と長雨によりまして、非常に作付そのものがやられ、それに加えて病虫害がその後発生いたしまして、これまた作付がやられたと、これが一番大きな原因であると考えております。
#149
○三木忠雄君 確かにそれも一部の理由だと思うんです。しかしながら、キャベツあるいは白菜、大根等の問題を考えましたときに、やはり安くなったときには安値対策のためにいろいろな助成金を出し、補助金を出して支えているわけですね。こういう問題について農林大臣として、やはり今回の野菜の高騰の原因が確かに天候による部分も一部あると思うんです。しかしながら、安いときには安定基金を出して、そして生産者を支える。高くなってきた場合にはどうかというと、ある農家では農協を脱退をして、そうして投げ師売り等によって仲買人とぐるになって、そうしてこの安定基金を今度は返すと、こういうふうな形を繰り返しているわけです。したがって、人為的に白菜の調整をしていると、こう言っても過言ではないわけです。農林大臣、この点についての分析をしておりますか。
#150
○国務大臣(武藤嘉文君) 御承知のとおり、野菜というのは大体系統出荷がなかなか多くないわけでございまして、それにいま御指摘の問題、野菜価格安定基金で系統出荷をしておる農家が安いときはその安定基金で補償がしてもらえるから入っておって、それで出荷をする、それでこういう高いときになったら、それからそれを通じないで直接商人に売るとか、直接市場へ売ってしまうと、こういうことが御指摘の点であろうと思うのございますが、確かに今回私も産地を見まして、そういう点がないとは言えないことがわかりました。特に関東の南部はわりあいそういうことがないと思うのでございますけれども、関東の北部においてはそういうことがどうも間々あるようでございます。大変私は残念に思っております。しかしながら、過去に一度茨城県でこれはあった例でございますけれども、茨城県でぜひひとつ野菜価格安定基金は農協を通じてやるべきであると指導したところが、脱退をしてしまったと、こういうケースもあるわけでございまして、この問題については、大変私ども苦慮いたしておりますけれども、今後、特に先ほど申し上げましたような重要野菜需給調整特別事業というものなどをやりますときには、何かその辺の仕組みを考えていきたい。結果において農協にもっと指導力を発揮させて、何とか農民の人たちをしっかりと把握をしていくということをさせるように、この重要野菜需給調整特別事業の中で、何か仕組みをいま考えていきたいと思って検討をいたしておるような次第でございます。何にしても、それには農民の自覚も必要でございますので、農民の方にもよくお話をして、ぜひうまいひとつ知恵を出していきたいということでいまやっております。そういうことで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#151
○三木忠雄君 うまい知恵を出してやるという、これは農林省のいつも言いぐせの問題で、後で私、補助金の問題をやりますけれども、この法律補助じゃなしに、予算補助が余りにも農林省に多過ぎるという問題です。実際に今回のこの野菜の値上がりの問題をいろいろ分析をしてみますと、やはりこう安いときは、いま大臣の指摘のようにもらった。今回も秋冬期重要野菜計画生産出荷特別事業というのがあって、前渡金まで三割渡して、そして利子補給までして確保しておりながら、値段が高くなったらもうそれを脱退して返金して高い値段で売るという、こういうモラルの問題も私はあろうと思いますよ。しかしながら、そういうところに首を突っ込んで、農林省として具体的な指導ができてないというところに、私はつくられた人為的な生鮮食料品の値上がりというものがあるのではないかと思うのです。農林大臣、青果市場へ行って大根で写真を撮ったり、いろいろ苦労しているのはわかるのですよ。あれじゃだめなんですよ。生産者のところへ行って、農民がどういう実態になっているのか、どういうところでからくりが行われているのか、そこにメスを入れるために徹底的な調査をし、そこに乗り込んでいって手を加えなければ、これは白菜は下がらない、野菜は下がらない。消費者のところへ来て、問屋とか――大平総理大臣、キャベツ屋の前へ行ってキャベツ持ってみたって、これはだめなんですよ。やはり生産地へ乗り込んで、そうして具体的にそこにメスを入れていかなければ、やはりこういう問題の解決はないと私は思うのです。この点について、秋冬期重要野菜出荷事業とこの農協の脱退の問題についてどういうぐあいに考えているのか、もう一度答弁願いたいと思います。
#152
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど申し上げましたように、私も実は生産地へも参りましたけれども、たまたま私が参りました三浦半島の方は大変農協へ入っておる、農協を通じて出しておる量が非常に多いところでございまして、これは優等生であったわけでございます。いま御指摘のは、私の知っている限りでは関東の北部、茨城とか栃木とか、群馬とか、こちらに多いと聞いておるのでございますが、特にいまの脱退をしたというのは、これは茨城の例でございます。ぜひひとつ機会を見てそちらにも出かけていって、ぜひそういう農民の人たちとよく話をしてみたいと考えておりますが、重要野菜というものをどういうふうに考えておるかということでございますけれども、大根、白菜、キャベツ、タマネギでございますが、これはある程度作付を多くさせまして、それで作付を多くしておいて、そして市場が足りないときはなるべく多く出させるというようなことをひとつやらせることによって市場の価格の安定に役立たせたいと、こう考えておるわけでございます。
#153
○三木忠雄君 私は、やはり農民が農林行政に対して非常に不安を持っているという点、これはやはり一番大きな問題だと思うのです。したがって、やはりいまの調査も、三浦の方に行くんじゃなしに、北関東がいま大きな騒ぎになっているわけです。そういうところへ行ってメスを入れなければ白菜は下がらぬのですよ。行かなくていいところへ行って、必要なところはなかなか手を抜いているというのが農林行政じゃないかと、口が悪くて申しわけないかもしれませんけれども。そういうところはやはりしっかりメスを入れていかなければ、どちらかといえば生産者対策、特に安値対策の方には農林省は力が入っているけれども、高値で困る消費者の側、こういう方向にはひとつも力が入っていないと言っても過言ではないんですよ。したがって、店頭に白菜を、あるいはキャベツを置く場合は、青物屋さんがもう四つに切ったり半分に切ったりして店に並べなければならないというあの苦境に陥っているという点もやはり真剣になって私は考えなければならないと、こう思うんです。これは農林大臣も、時間があったらというんじゃなしに、早急にこの問題は解決するようにひとつ答弁願いたいと思うのです。
#154
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど経企庁の長官からも御答弁がありましたが、野菜については、私はいまはおかげで下がってきたわけでございます。今後ともこの値段、価格の下がる傾向は続いていくわけでございまして、当面私は野菜の価格については御心配をかけなくて済むと、こう思っております。
 ただ、将来の問題といたしましては、確かに御指摘の点、私もたまたま時間の関係で近くの神奈川県へ参ったのでございますけれども、茨城についてはぜひなるべく早くひとつ出かけて行ってよく農民と話をし、本当にやっぱり私どもと農民との間の信頼感が私は必要かと思っておるわけでございまして、よく話をし協力を求めたいと、こう考えておるわけでございます。
#155
○三木忠雄君 もう一点、やはり野菜の値上がりの人為的な影響というもの、これを考えますと、やはり中央卸売市場の機能が十分ではないのじゃないかと、こういう点を私は考えるわけなんです。それはやはり一番大きな問題は競りの問題だと、こう思うんです。前々からもいろいろ議論になっておりますけれども、この競りの問題が十分行われてない。特に仲卸業者、仲買人等が荷受け会社の仲買人あるいはまた商社の系列の仲買人、そしてまじめに青果市場と連携をとって、小売市場と連携をとっている仲買人の人たちが非常にこういう人たちに対して苦慮いたしているわけです。したがって、公正な競りが行われていないというところにやはり人為的につくられた品薄傾向をつくっている一つの問題点があると私は思うのです。こういう点についてのやはりしっかりした農林省の態度というものが必要ではないか、こう考えるわけでありますけれども、それとあわせて、この卸売市場法の三十四条にはどういうふうな原則が盛り込まれているのか、この点についての答弁を願いたいと思うんです。
#156
○国務大臣(武藤嘉文君) 私は必ずしも競りが公正でないと思っていないわけでございます。やはり公正な形で行われておると思っておりますけれども、仲買の問題についてはいま流通問題についてひとつ思い切ってメスを入れてみようということで取り組んでおるわけでございます。
 三十四条の問題については局長から答弁をさせます。
#157
○政府委員(森実孝郎君) お答え申し上げます。
 卸売市場法の三十四条では、「卸売業者は、中央卸売市場において行なう卸売については、せり売又は入札の方法によらなければならない。」、ただし、特定物品等特定の物品については他の方法つまり相対売り、定価売りも認めているという規定でございます。
#158
○三木忠雄君 この三十四条に規定をされておるのは「中央卸売市場において行なう卸売については、せり売又は入札の方法」という形になっているわけです。ここがやはり私は一つ問題だと思うのです。実際に荷受け会社にいろいろ品物が入るわけでありますけれども、競りに競られる部分と競られない部分があるという、こういう実際の実情を私も証拠を持っているわけです。こういう点が余りにもメスを入れられないで、したがって、まじめな仲買人さんの人たち、実際に資本金もない、その日を売らなきゃならない仲買人の人たちが非常に困っているのは何かというと、あの投げ師屋のような状況で畑ごと買うというような状態の仲買人がいるというのと、本当にきょうあす青果市場に売らなきゃならないという、青物屋さんに売らなきゃならないというこの仲買人との間に大きな差があるわけです。それは何かというと、やはり一つの系列ができ上がってしまっているところなんです。ここをやはり私はしっかりメスを入れなければこの野菜の流通問題は解決しないと。これは魚も同じだと私は思うんです。
 こういう点のこの市場法に対する考え方が、やはり農林大臣、一遍、どういうふうにして品物が入ってきて、そしてどういうふうに競られているか、伝票はどうなっているか、見てごらんになれば私は明確にこの問題が解明されるのじゃないかと思うんです。それをやる意思はありますか。
#159
○国務大臣(武藤嘉文君) 今回の野菜の高騰に反省をいたしまして、いま食品流通局で、この生鮮食料品の流通問題についてひとつ思い切って再検討を加えようということで検討をさせておるわけでございまして、いま御指摘の点についても、私としては貴重な御意見としてひとつ参考にさしていただきたいと思います。
#160
○三木忠雄君 これは五十年の十一月の十一日、安倍農林大臣ですよ、いまの自民党の政調会長だ。一生懸命やられたんだと私は思うんですよ。このやったことに対しては敬意を表するんです。特に「せり方式の改善等せり取引の合理化に努めること。」ということで、明確にこの問題を取り上げたのですよ。しかしながら、結論的にはやれなかった。やらなかった。やれないのか。こういう問題を私は非常に不愉快に思うんです。一般消費者はこういう問題で非常に苦労をしているわけですね。また、一般の青物店等はやはり白菜やキャベツを店に置くことすらできない。したがって、白菜やキャベツの置けないような青果物店は、あれは力がないんだといっていろいろ文句を消費者から言われる。こういう声すらあるのです。こういうところがやはり、やりますやりますと、いつもこういう文書をいただくのは結構なんですけれども、本当に農民あるいはまた消費者、こういう立場を明確に守っていくのだという立場から考えたならば、農林行政は、ちょっと金さえ渡しておけば何か解決するのじゃないかという考え方があるんですが、いかがですか。
#161
○国務大臣(武藤嘉文君) 私は必ずしも金を出せばそれで済むと思ってはいないわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、真剣にいま取り組んでおるわけでございます。もう少し時間をおかしいただきたいと思うわけでございます。とにかく野菜はいま下がってきたわけでございますから、今後、上がらぬ前に私どもは対策を考えていかなきゃならないということでいま検討しておるわけでございます。
 それから、いま御指摘のあったものの経緯については局長の方から答弁をさせます。
#162
○政府委員(森実孝郎君) 補足させていただきます。
 いま先生御指摘の仲買と申しますのは、産地の集荷業者の仲買と中央卸売市場の買受人としての仲買と、全く別でございます。この点はひとつ御理解を賜りたいと思います。
 それから、二番目に競りによらない場合というのは、恐らく御指摘は先取り転送を行う場合の御指摘だろうと思っております。これは現在、中小の市場が集荷力がないために、特定の高級品とか物資の需給がタイトの場合、どうしても大市場の集荷力に頼って、そこから分けてもらわざるを得ないという実情があるわけでございます。これにつきましては、大市場の買受人に迷惑をかけないように、品目ごとに一定の限度を設けると同時に、決済条件につきましては、あるいは仕切り条件については、大市場の仲買い、その他よりも優遇しないようにする、また不当なマージンを取らないようにマージンを一定の範囲に抑制するという準則を決めて指導しているわけでございます。
#163
○三木忠雄君 その話が出たから、もう一点言っておきますと、やはり卸売市場の荷受けと関係の深い仲買的な立場の人たちが、きょうは、たとえばA市場ではだめだと思ったらB市場へ流すわけですね。こういう点もやはりよく監視できる機構をつくらなければ私はならないと思うんです。まあ野菜が下がりかけてきているからいいと、こういうふうな一部話ですけれども、私は決して下がってきていないと思うのです。いわんや、こういう根本的な問題にメスを入れてなければ、やはりまた二度、三度繰り返さなきゃならない問題点になろうと思うのです。
 もう一点、私は金の件ばかり申し上げましたけれども、五十五年度の予算の中に重要野菜需給調整特別事業というのがある。これもまた考えてみれば、ある新聞では「野菜減産指導」という、こういう形になって、高値安定を図るためのある意味じゃ需給調整の補助じゃないかと、こう思うのです。この点については農林大臣、どう考えますか。
#164
○国務大臣(武藤嘉文君) 私はその新聞はどうも大変曲げて書いてあるんじゃないかと実は思っておるわけでございまして、いま重要野菜需給調整特別事業につきましては、まだ中身をいま詰めておる段階でございます。先ほども私は触れましたように、この新しい事業につきましては、作付のときに思い切ってより多くの作付をしてもらおうと、そういう指導をしていきたいと思っておるわけでございまして、それは需給をやはり均衡を図ること、やはり供給の方が円滑にいくことが結果的に価格を安定することになるわけでございますから、そういう供給の安定をさせるために、ひとつ思い切って作付に余裕を持っておかせようと、こういう考え方でいま進めていきたいということで鋭意詰めておる段階でございまして、いまの新聞報道というものは必ずしも的を射ていないものであると私は考えておるわけでございます。
#165
○三木忠雄君 私が聞くところによると、安値のために生産者に対して多くの予算を使い過ぎるので、大蔵の方からも、こういう調整事業の方で予算をつけた方がいいと、こういうふうな観点からこれが浮かび上がったという話も聞いているわけです。こういう点をいろいろ考えますと、やはりこの野菜対策という問題について農林省としては真剣に取り組んでもらわなきゃならないと私は思うのです。
 そういう意味で、これは農林大臣にだけではない問題でございますけれども、やはり社会党、公明党、民社党三党で共同修正した中で、物価対策として五百億を修正したわけです。この問題について、私も私案というか、野菜等の問題を含めて、私個人の意見でございますけれども、農林大臣にいろいろ提案を申し上げる。特に野菜の集団産地育成事業費であるとか、野菜生産出荷安定資金の造成費であるとか、小麦あるいは合板の備蓄対策費であるとか、また野菜等を運ぶための国鉄運賃の助成費であるとか、生活保護被保護者の緊急物価調整給付金であるとか、国民生活安定対策等経済政策推進費等を含めた、こういう具体的な問題でやはり総合的な物価対策の処理をしていくべきではないかと、こういう考え方を持っているわけでございます。こういう点についての農林大臣あるいは経企庁長官のお考え方を伺いたい。
#166
○国務大臣(武藤嘉文君) 先生の私案は貴重な御意見として、今後物価対策、特に私どもの方の生鮮食料品の価格対策の中で十分意を尽くして検討さしていただき、活用さしていただけるものがあれば喜んで活用さしていただきたいと思っております。
#167
○国務大臣(正示啓次郎君) 予算修正に対する三党の御意見、また自民党のそれに対する対応を私も伺っておりまして、特に重要な物価対策のために五百億円という巨額の金を予定しておられることについては十分伺っております。これについては、ただいま各党の御意見もいろいろお出しになって、最終的に有効適切な使途に充てるべく御努力をしていただいておると思うのでありまして、三木委員の御意見も党を通じて十分反映さしていただければ幸甚と存じます。
#168
○三木忠雄君 野菜の問題で一、二申し上げたわけでありますけれども、政府のことしの物価対策関係予算が一般会計で三兆八千二百二十四億円という、こういう予算を組まれているわけです。しかし、この予算が果たして物価上昇に歯どめを何%ぐらいかけるのか、この三兆八千二百二十四億円の物価対策費によって上昇する消費者物価をどのぐらいにまで抑えることができると考えていらっしゃるのか、この点について、まず経企庁長官。
#169
○国務大臣(正示啓次郎君) 予算で相当巨額の物価対策関連の経費が計上されておることは承知いたしております。これを最も有効に使うことによりまして、私どもはあらゆる努力を先ほども申し上げたように傾倒いたしまして、消費者物価六・四%という目標におさめたいと、こういう基本的な政策を推進しておるわけでございます。これでどの程度抑える効果があるかという点につきましては、流動する経済の情勢についてなかなか的確に申し上げることはできませんが、少なくとも、ただいま三木委員や矢原委員が御指摘になりましたような非常に重要なときでございますので、これらの貴重な財源また経費の予算を最も有効に使うことが私どもの目標達成のために必要なものである、こういう認識で各省庁で御努力を願っておるわけでございます。
#170
○三木忠雄君 それでは、次にビールの問題で一点伺っておきたいと思うのです。
 新聞報道等によりますと、三月の中旬ごろにビールの値上がりが予想されているわけです。この問題について、国税庁長官、いらっしゃいますか。――このヒール四社の値上げを表明しているわけでありますけれども、国税庁はこの問題について知っていらっしゃいますか。
#171
○政府委員(磯邊律男君) ビールの価格改定の問題につきましては私どもも十分承知いたしております。そのビールの価格を改定するという背景と申しますか、それは御承知のように、最近におきましてビールの価格が改定されましたのは、昭和五十一年の一月に十五円、それから五十三年の五月に二十円の値上げがあったわけでございますけれども、これはいずれも税金の引き上げによる価格の改定でありまして、過去五年の間、ビールの実質的な価格というものは全く据え置かれていて、安定的な価格を保っておったわけでございます。
 ところが、御承知のように、最近の円安傾向によりまして、輸入麦芽の値段が非常に上がってまいりました。それからさらにまた、国産麦芽をいろいろな観点から大量に使用することにいたしましたが、この国産麦芽の価格というのは、輸入麦芽に比べまして約三・六倍という割り高な麦芽でございます。そういったことで原料高が響いてきたということ。それからさらに加えまして、集配費、それから燃料費、その他諸掛かりの価格が上がりまして、そういったことがメーカー側の収支を圧迫し経営上に大きな問題が出てきたということ。それからさらにまた流通界におきましても、この五年間流通マージンというのは据え置かれたままにありまして、これが小売店等の収支に非常に悪い影響を持ってきたようになったと、こういったことからこのたびビールの価格を上げたいという動きになったというふうに承知しているわけでございます。
#172
○三木忠雄君 この問題について、具体的に国税庁は値上げを指導したわけですか。
#173
○政府委員(磯邊律男君) 御承知のように、ビールのみならず、酒類の価格というのは現在自由価格になっておりますので、私どもはそのビールの値段について許認可するとか、あるいはそれに対して決定をするというふうな立場にございませんけれども、ただ、ビールの価格というのは非常に消費者にいろいろな影響を及ぼす価格でございますので、この価格の改定等につきましては非常に重大な関心を持ってこれを見ておるという実態でございます。
#174
○三木忠雄君 公正取引委員長、価格の同調的引き上げについての新法はどういうふうになっていますか。
#175
○政府委員(橋口收君) 価格の同調的引き上げに関する独禁法十八条の二の規定でございますが、これは御承知のように、昭和三十年代の後半に盛んになりました管理価格論ないし寡占価格論から発したものでございまして、少数企業が一定の市場分野におきまして占拠率が高い場合には、メーカーの意思によりまして価格が左右されやすいと、しかもメーカー間に相互に意思の決定とか意思の形成ということがなくても、価格が引き上げやすいと、あるいは下がるべき価格が下がらないと、こういうものに対してどういう法的な規制を行うかということで、昭和五十二年の改正法によって実現した規定でございまして、一定の市場規模を持っております物資につきまして上位三社が七〇%以上のシェアを占めております場合に、価格の引き上げが一定の期間内でありました場合には、その引き上げの理由について公正取引委員会がその理由を徴収すると、こういう規定でございます。
#176
○三木忠雄君 そうしますと、具体的にビールがこの三月の中旬から三カ月以内に四社で値上がりをするという、これは報道です。こういう点になりますと、この原価とか、あるいは公正取引委員会の徴収とか、こういうことは具体的にやられるというお考えですか。
#177
○政府委員(橋口收君) ビールが先ほど申し上げました市場構造要件を充足いたしておりますことは間違いございません。また製品差別化が進んでおりませんで、したがいまして、ビールということであれば、どのビールとこのビールと対応するというのはむずかしい問題はございませんから、一定期間内に、三カ月以内に値上げがあれば、しかも首位事業者の値上げが含まれております場合には、これは当然予備調査をいたしまして、法律の要件に該当するかどうかが明らかになれば、その理由を徴求するということになると思います。
#178
○三木忠雄君 そうしますと、昨年ごろからビール会社がいろいろ話し合いをしてきた。そして、この三月中旬から三カ月間以内にビールの値上げをしようという、こういう問題になってきますと、やはり「価格の同調的引上げ」に、十八条の二項に該当し、公正取引委員会が立入調査をする、あるいは徴収をすると、こういうふうに受け取っていいわけですか。そして三カ月を過ぎれば、それ以降についての値上がりについては公取委としては効力がないと、こういう考え方ですか。この点についての御意見を。
#179
○政府委員(橋口收君) 同調的値上げの理由の報告の徴収でございますから、いまおっしゃいましたような立入検査等を伴うような調査ではございません。ただ、一般調査に比べますと、仮に虚偽の報告をするとか、あるいは報告をしないという場合の罰則は強化されておるわけでございます。
 それからもう一つ、何をおっしゃいましたですか。
#180
○三木忠雄君 三カ月過ぎた場合の、さみだれ式。
#181
○政府委員(橋口收君) 三カ月を経過した場合にどうなるかという問題でございますが、同調的価格引き上げの報告を公取委に出すことにつきまして、一般的に申しまして、企業としてはできれば回避したいという気持ちがあるわけでございます。仮にということでございますが、首位事業者である麒麟麦酒が他の事業者より三月以上おくれて、たとえば三カ月と一日おくれて値上げをいたした場合には、これは法律の規定から申しまして適用はございません。ただ、逆に申しますと、首位メーカーである麒麟麦酒が値上げをしない段階におきまして下位メーカーの値上げが果たして実現するかどうかというところが問題でございまして、仮に麒麟麦酒が値上げするまでは下位メーカーの値上げが末端において実現しないということであれば、これは期日はそろうわけでございます。三カ月以内に入るわけでございます。したがいまして、寡占メーカーの希望としましては、値上げを宣言した時点をもって値上げをしたというふうにしてほしいという希望はございますが、そういうふうにいたしますと、極端なことを申しますと、全部逃げてしまうわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、実際に値上げの実現した時期をとらえまして、それが三カ月以内に入っておれば、これは当然同調的引き上げの対象になるということで理由の報告を徴収すると、こういう姿勢でおるわけでございます。
#182
○三木忠雄君 よくわかりました。そうすると、三月中旬から値上げをしようというビール、この三カ月以内には四社が出そろって値上げをするということは回避ができると――まあ、公取委からも徴収をすると、こういうふうに受け取ってもいいわけですか。
#183
○政府委員(橋口收君) まだこの値上げの宣言をしていない段階でございますから、将来のことを申し上げるのは本来適当でないと思いますが、仮におっしゃいますような状態で三カ月以内に値上げの実施があれば、これは当然報告を徴収するということでございますし、先ほど来申し上げましたように、首位事業者が値上げをしない限りは下位事業者の値上げが通らない、実現しないということであれば、ビールのような寡占マーケットにおきましては、値上げの都度必ず理由につきましては公取に報告すると、こういうことになるわけでございまして、そういう点から申しまして、改正後施行になりまして初めてのケースでございますから、そういう意味で十分注意してやりたいというふうに思っております。
#184
○三木忠雄君 私は、この同調的引き上げの新法ができて初めてのケースではないかということで非常に注目をしているわけです。まあ、できればビールの値上げがなるべく遅い方がいいと思うんです。なるべくならぬ方がいいと思う。これは特に値上げができない方がやはり消費者のためにも非常にいいんじゃないかと、こう思っているんです。
 もう一つ国税庁長官に伺いますけれども、酒税の値上がりがあり、そしてビール会社の値上がりが翌年ある。翌年、次はまた酒税の値上がりがあると、こういう順繰りに繰り返しているわけでありますけれども、来年度のこの酒税の値上げというものは考えているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
#185
○政府委員(高橋元君) 御案内のように、ビールにかかります酒税は従量税でございますから、ビール大びん一本当たり百一円九十七銭という率は決まっております。したがいまして、ビールの値上げがあってもそれが税収の増加につながるわけではないのであります。五十六年度以降どういう形で酒税について税制改正をお願いするかということにつきましては、実のところいま五十五年度の税制改正について国会の御審議をいただいておる最中でございますから、まだ具体的な成案は持ち合わせておりません。五十二年に税制調査会から中期答申というものをいただきましたときに、酒にかかります税金は大体九三%ぐらいがさつき申し上げた従量税であります。従量税でありますので、酒の値段が上がってまいりますと消費の実質的な税率というのは下がってくる、そこをときどき見直しをしていくべきだというお話がございました。そういう線に従って五十六年度どういうふうに考えていくか、今後の税制改正全体の問題として税制調査会にもお諮りをして詰めてまいりたいというふうに考えております。
#186
○三木忠雄君 それでは次の問題、行政改革の問題で一、二伺っておきたいと思うんです。
 特にこの五十五年度予算編成で総理は、肉を切って骨に達する行政改革や経費節減の主張を十分やるんだと、こういうふうなことを言っておりますけれども、この予算編成、いま審議をしているこの五十五年度の予算の中で具体的にこの総理の主張は実っているのかどうか、この点についてまず最初に伺いたい。
#187
○国務大臣(大平正芳君) 五十五年行政改革は、定員の削減、特殊法人の整理、認許可事項の整理、補助金の整理というような一連の仕事をしてきたわけでございまするし、地方支分部局等につきましては、三月末、六月末を目標にいたしまして実行する計画をいま進めておるわけでございます。全体として必ずしも満足すべきものではございませんけれども、今日まで政府がやってまいりました行政改革といたしましては一番大きな仕事であると自負いたしております。しかし、これは、行革の問題は単年度の一過的なものではございませんで、政府の不断の仕事でなければなりませんので、第二弾、第三弾は当然のこととして考えていかなければならぬものと考えております。
#188
○三木忠雄君 今回の行政改革の中身を見ますと、一部の閣僚の声からも漏れ承った話でございますけれども、まあ今回の行政改革はこれは余りできてないわと、こういうふうな意見があるということも聞いております。まあいずれにしても、この一般会計に直接影響を与えるようなところですね、そういう行政改革まで踏み込まなければ経費の削減にはならないわけですよ。一部の特殊法人とか、一部の地域問題を解決する程度ではやはり本当の行政改革は私は行われないんじゃないかと、こう考えるわけです。そういう点でやはり行政改革の本旨というか、やはりこの一般会計削減にまで及ぶような、やはり行政改革までメスを入れていかなきゃならないと思うのですけれども、これは行政管理庁長官に伺っておきたいと思います。
#189
○国務大臣(宇野宗佑君) 今回の行革と財政効果というお話になりますが、総選挙の結果消費税がだめになったと、だから消費税にかわるべき財源は行革から生み出せというふうなお考え方が一般にあることは私も存じておりますが、消費税の例をとりますと、新税を創設すれば毎年二兆ないし三兆入ると大蔵省は計算しておったと、それと同様のものを行革から生み出せということになりますと、非常に私はむずかしい問題であると考えるのであります。もちろん、行革そのものは決して財政再建を無視したものではございません。大いに資すべく努力をいたしておりますが、私はたとえ話を申し上げますが、ある評論家が、特殊法人の整理だけでも何兆円生み出せるんだと、こういうふうにおっしゃいました。しかし、これは無理であります。たとえば国家公務員が九十万人いますから、一人頭四百万といたしまして、あしたからもう九十万人要らないというふうな情勢をもし想定できるならば、それで四、九、三兆六千億であります。したがいまして、なかなか一兆円というものを生み出すことは非常にむずかしいのでございます。現に参議院におきましても、出血を伴う人減らしはしてはいけないという決議がございます。で、私たちは、将来は人減らしにつながるであろうと考えておりますが、今日は器減らし、仕事減らし、そうしたことで行革を進めておりますが、それにいたしましても、いま総理がお答えのとおり、この第一次分だけで、昭和五十五年行革は五年間にわたってやりますが、トータル五千一百億円の節減と相なります。このほかに、本年度補助金が大蔵大臣の努力によりまして千六百六十七億円ございますから、これがもしあと四年間このペースで続くならば、相当な私は効果を上げるのではないかと存じます。もちろん、これは第一次分のすでに決定いたした分だけでございますから、三月三十一日までに地方支分部局等々の整理を行いますから、これによって生み出されるものも多大であろうと期待をいたしております。
#190
○三木忠雄君 管理庁長官が、いまくしくも地方支分部局の廃止という問題を言われましたけれども、具体的に一つの問題を挙げますけれども、これは九州の財務局の廃止の問題ですね。この一つの問題、私どういうふうに処理をされるかということを見守っているわけでありますけれども、まあ地元からいろいろな陳情があるわけです。しかし、三月末日までにこの問題を処理をするという決議をされているそうでございますけれども、もう残された日数は限られているわけです。果たしてこれが行政管理庁長官の言うような方向で進むのかどうか、この点についての明確な答弁を伺っておきたいと思う。
#191
○国務大臣(竹下登君) ただいまの、具体的に財務局と、こういうことでございますから、大蔵省の所管でございますので、まず私から簡単に申し述べます。
 現在のところ、九州の南北を一つにするとかということを決定しておるわけではございません。やはり減らすということになりますと、全部の一応財務局の基礎的ないろいろの客観的事項を調査した上で結論を出すということでございますので、世間一般に言われるように、初めから九州がねらい撃ちされておると、こういうところではございません。しかし、すでに閣議決定されております方針に従いまして、私どもの方としても、行政管理庁と協議をして三月末には具体的に方針を打ち出すと、こういう考え方であります。
#192
○国務大臣(宇野宗佑君) いま大蔵大臣お答えのとおりでございまして、このことはすでに、行管はまず隗より始めよで管区行政監察局を一つ出す、また大蔵省は財務局を一つ出す、また郵政省も貯金局を一つ出す、この三つの名前が具体的に閣議決定の計画表に載ってございます。したがいまして、今日作業進めておりますが、各省庁もこの趣旨にのっとりまして十二分にブロック機関の整理はできると私は考えております。
#193
○三木忠雄君 行政改革の機構と並行して、やはり私は補助金の整理という問題が非常に大きな問題ではないかと思うのです。
 一般会計予算総額の三三%前後、約十三兆から十四兆円が補助金、こう言われているわけです。これは固定をされているわけですけれども、一点聞いておきたいのですけれども、特別会計あるいは政府関係機関予算の補助金は五十五年度予算でどのような整理をされたのですか、この点についてお伺いします。
#194
○政府委員(田中敬君) 五十五年度予算におきましては、一般会計の中の補助金につきましては一定の計画を持ちまして整理をいたしまして、その整理実績につきましては国会に御報告したとおりでございますけれども、特別会計あるいは政府関係機関から出ております補助金につきましては、いまだその整理計画を持っておりませんので、特別のことはいたしておりません。
#195
○三木忠雄君 これはひとつ考えなければならない問題ではないかと思うのです。大蔵大臣、これはどう受けとめておりますか。
#196
○国務大臣(竹下登君) 補助金の整理合理化計画というものを十二月末の閣議までにつくれ、こういう閣議決定が実は大臣になりました十一月九日の日にまずあったわけであります。したがいまして、今日、先ほど御答弁申し上げましたように、一般会計につきましての補助金は、いま三木委員御指摘のとおりでございます。約三分の一という感じでございますが、それについての整理計画というものは立てましたが、特別会計、それから公社公団等につきましては現在まだ作業中でございます。
 それから、四党の御趣旨にも、補助金整理についてサマーレビューを行え、こういう御趣旨もございましたので、そういう方向でそれをも含めて検討してできるだけ計画という形のところへ持ってはいきたい、このように思っております。
#197
○三木忠雄君 補助金の整理をした部分もあるわけでありますけれども、たとえば五十五年度のこの補助金整理、千六百六十七億円の整理の中身を具体的に明示できるかどうかです。一つは廃止した金額あるいは補助金を統合した金額、メニュー化した金額、四番目にはその他で分類した場合にどういうふうな補助金の整理の仕方をしたのか、この点についての数字を示していただきたいと思うんです。
#198
○政府委員(田中敬君) 五十五年度の補助金の整理の概要につきましては、補助金の件数が全体で三千八百三十三件、五十四年度に存在いたしましたが、整理合理化の対象にいたしたものが千九百六件でございます。このうち金額で廃止、減額等の措置をいたしましたものが先ほど申し上げましたように千六百六十七億円、廃止をした件数は三百二十八件でございます。
 それから、スクラップ・アンド・ビルドの徹底ということをいたしまして、補助金の目の件数が五十四年度千九件でございましたのを十九件廃止をいたしまして九百九十件にいたしております。また、目の細分、先ほど申し上げました三千八百三十三件のベースで補助金の整理を申し上げますと、廃止によります減が四百三件でございます。先ほど三百二十八件と申しましたのは整理合理化の観点から廃止をいたしたものでございまして、そのほかサンセット方式の期限到来あるいは当然減というようなものを考えますと、廃止による減は四百三件、千五百四十四億円になっております。それから新規がございました。スクラップ・アンド・ビルドで行政需要に応じまして新たに設置をいたしました補助金が三百二件、九百八十一億円ございます。その他、総合メニュー化等による減が二十五件でございます。また、補助金の整理合理化の将来目標といたしましてサンセット方式の導入という目標を立てておりますが、五十五年度におきましてサンセットを導入いたしました補助金の件数は六百六十七件でございます。また、総合メニュー化ということも一つの整理方法でございますが、五十四件を対象にして総合メニュー化を行いまして、これを三十九件に統合いたしております。また、職員設置補助金というものがございますが、これは国の行政整理の方針に従いまして、一律定員四・二%削減の方針に準じまして補助職員の減を行っております。また、零細補助金六十八件につきましては、これを廃止いたしております。また、補助率の引き上げは行わないで、今回の措置によりまして補助率の引き下げを行ったものが六件ございます。
 以上が補助金整理の大要でございます。
#199
○三木忠雄君 この新規の補助金の中で、やはり私は補助金というのは国民から預かった税金でいろいろ事業をやるわけですから非常に慎重に扱わなければならない問題だと、こう思うのです。この新規の補助金三百二件、九百八十一億円ということがわが党の坂井議員の質問で衆議院では答えているわけでありますけれども、法律補助は何件で、そして予算補助は何件で金額は幾らぐらいになるのか、これは明確にできますか。
#200
○委員長(山内一郎君) わかりますか。
#201
○政府委員(田中敬君) 法律補助と予算補助の区分をただいまいたしておりませんので、至急整理をいたしましてお答えいたします。
#202
○三木忠雄君 事務当局を私は決していじめるつもりはないですけれども、予算補助、法律補助が予算を審議している過程においてすらもそういう実態が明確に出ないんですよ、私たちもわからぬ、どこにどうなっているかということ。そういう点について特に、後で結構でございますが、これは数字を出していただきたいと思うんですけれども、私は、この新規補助金をつくる中にあっても、予算補助をふやすということは余り芳しい問題ではないんじゃないかと思うのです。全部がゼロだというわけにはいきませんけれども、やはり法律補助に限って、国民の納得あるいは同時に批判にも耐えられるような形での補助金の新規というものをつくり上げていかなければならないのじゃないかと思うのです。
 いままでのやり方を見ておりますと、補助金が水道のじゃ口のように、どんどん補助金で育成をしておると言っても過言ではない。こういう点はやはり明確に今後法律補助に極力限定していくべきではないかと思うんですけれども、これは大蔵大臣の考え方を伺っておきたいと思います。
#203
○国務大臣(竹下登君) 最初に先ほどの法律補助、それから予算補助の区分の問題がございましたが、新設された補助金等の事例の中でことし一番大きいものは、いわゆる総理府のことしが国勢調査でございますので、この二百七十三億、それから参議院議員通常選挙執行委託費の百八十四億というようなものが一番大きいものでございます。
 そこで、ただいまの御質問に対する法律補助の問題でございますが、確かに御指摘のように、法律補助というものが八一・八%ありまして、一八・二%というものが予算補助でございます。したがって、法律補助というのはそれなりの根拠が確かなものでございます。いわゆる予算補助という問題につきましては、ここのところで一番大事なことは、補助金というのは必ずしも委員御承知のとおり性悪説と断ずるものではなかろうと思うのであります。時々のニーズに応じて予算補助というものもそれなりの政策遂行上の大きな効果の上がるものであると思うのです。ただ、間々、補助金というものは既得権化、それから惰性的運用によって硬直化する、そういうような弊害がまたございますので、これについて予算修正の際の四党のお申し入れのとおり、そうしたものをさらにサマーレビューをやって整理しろ、こういうことであります。
 そこで、全部法律補助にしたらどうだというような議論も一度してみたことがあるのでございます。全部を一遍、すべての補助金に対する法律を全部なくす法律を一本で出して、そして一本、一本もう一遍生かす法律をつくってみるかという議論は十年ほど前でございますけれども確かにしたことがございますが、それはまた大変な立法の作業を伴うことでございますので事実上困難でございますが、今後は、法律補助の中でも終期設定とか、あるいはそれなりの効果をもう失ったものというようなものは手をつけていかなければならないというような考え方で臨みますものの、いま三木さんのお話自体、法律補助というのはそれなりの根拠があるからきちんとしておるけれども、予算補助というものは間々惰性に陥りやすいと。そういうことがないように、これから整理計画を進めるに当たって十分心がけていきたい、このように考えております。
#204
○三木忠雄君 補助金の整理の中にも、やはり現在の補助金は、財政制度審議会や大蔵省が定義しているように、整理基準ですね、たとえば長期固定化したもの、あるいは補助目的を達したもの、あるいは零細なもの、補助金の効率が悪いもの、こういうふうにいろいろ分類をして、そして国会や国民にこの問題を示すべきではないか。財政硬直化だ、あるいは財源が足りないんだという中にあって、やはりここも洗い直していかなければならない問題点ではないかと思うわけでありますが、この点について、大蔵大臣、御答弁願いたいと思います。
#205
○国務大臣(竹下登君) それこそまさにこの四党の申し合わせで、とにかくサマーレビューをやれ、こういう見解が示されたとおりのことではなかろうか。それに従って精力的に進めていかなければならぬ課題であると思います。
#206
○三木忠雄君 最後に、この補助金の実態が私たち予算審議をするときにもわからないわけです。そういう意味において補助金の状況がわかる表、たとえば財政法二十八条による予算参考書類、こういうものに載せるようにしたらどうかというように考えるわけであります。この点については総理あるいは大蔵大臣の見解を伺っておきたいと思うんです。
#207
○政府委員(田中敬君) いわゆる補助金白書的なものを作成したらいかがかという御趣旨であろうと存じますが、衆議院におきましても老の御意向をいただいておりますが、私ども、何せ三千八百件に及びます補助金をどういうふうにして一番御理解をいただくのがいいか、さらに検討を進めさせていただきたいと思いますので、検討のめどがつき次第、本件の扱いについて正確な方針をお答えさせていただきたいと存じます。
 なお、先ほど御質問のございました新規の補助金でございますけれども、新たなる法律補助は、今度の七月に行われます参議院選挙の予算の執行経費が三年ごとに見直されます補助単価の引き上げが行われることになっております。これが法律事項でございますので、それが一本と、それから明日香村の保存のための基金造成費のための補助金、これが法律事項でございまして、この二つが新たな新規法律補助になっております。なお、昨年五十四年度以来の懸案でございます放送大学学園関係の補助金も、法律といたしましては五十五年度新たに御審議をお願いして成立するということになりますので、それを加えますと三本が新規の法律補助ということになってまいります。
#208
○三木忠雄君 私は、大蔵大臣に、予算の審議をするときに、できればこの一覧でも、対前年どういうぐあいになっているのかということ、これが二十八条のでできるような姿で私はやはり予算の審議をすべきじゃないかと思うんです。国の予算の三分の一が補助金になっている、その実態がわからずに予算審議をしているということは、予算書を見ないで、あるいは一つも勉強をしないで予算審議をしていると言われても、これは過言ではない。こういう点、やはり予算の審議のときにそういう書類は提案できるように一日も早く努力をすべきじゃないか、こう思いますけれども、大蔵大臣のもう一度見解を伺っておきます。
#209
○国務大臣(竹下登君) 個々の補助金につきましてはそれなりに予算書に書かれてありますけれども、かねて御主張のございますのは、まさに補助金白書的なもの、本当に大変な厚さのものがございます。その三千八百幾らに整理いたしましたのも、目でやるべきか目細でやるべきかいろんな議論をしてやりましたので、先ほど主計局長からお答え申し上げましたように、どのような形で整理したが一番いいかというめどをつけた段階で正確にまたお答えをいたします。
#210
○三木忠雄君 それでは一点だけ建設大臣に伺っておきたいのですけれども、行政改革とある意味じゃ逆行するような一つの問題点でございます。
 住宅金融普及協会というのがあるんです。これはいま東京を初めとする各地域でマンションを建設している人たち、あるいは住宅金融からローンで借りたいという人たちがいままでの方向とちょっと変わったニュアンスで今回住宅金融普及協会に手続をしなければならないような問題が出てきまして、実際にこういう事務の渋滞等においてマンションを建設する業者や、あるいは住宅金融ローンを借りる人たちが非常に困惑をしている実態があるわけです。会うたびにこういう人たちから、政府は行政改革と言うけれども、行政改革の逆行じゃないか、ある意味じゃ住宅金融公庫の業務を一部、まあ言葉は悪いですけれども、天下りの場所をさらに拡大するために財団法人の方に行政改革の移行を始めたんじゃないか、こういうふうな考え方も民間の業者から指摘をされているわけです。こういう点について、いままでの手続、各区あるいは各市町村でやっておった問題をどうしてこの住宅金融普及協会に移さなければならなかったのか、この点についての見解を求めたいと思います。
#211
○国務大臣(渡辺栄一君) お答えいたします。
 ただいまお話しの住宅金融普及協会におきまして審査をするということを五十四年度から実施いたしておりまして、このことにつきましての御質問であると思いますが、御承知だと思いますが、昭和二十六年五月二十九日に協会設立をいたしておりまして、五十三年度までは業務委託契約を行いまして、いわゆる建築の確認事務とあわせて実施をいたしておったわけでございますが、最近、御承知のように、大変に住宅金融公庫の事業量がふえてまいりました。その関係でまた融資制度も非常に多様化をいたしてきました。もう一つ、地方公共団体の建築行政事務もふえてまいりましたし、また一面におきまして新築マンションあるいは中古マンション等、そのような購入資金等の竣工済み物件の融資等が拡大いたしまして、建築確認事務と必ずしもかかわり合いのない、関係の少ない審査事務等が非常にふえてまいりまして、そのために一部の地方公共団体におきましては、いままではお願いしておりましたけれども、そのことにつきましての難色を示される向きが非常に多くなってまいりました。そこで、これらの問題を公庫がみずから審査をいたすということになりますと、新しい法人を設立するというような問題もございますが、費用効率その他の面から必ずしも合理的ではございませんので、この際、いまお話しのございましたような協会におきまして仕事をやろう、こういうことにいたしておる次第でございます。
 したがいまして、私は現在まではほぼ順調にこれは処理されておるものと承知をいたしておるわけでございますが、なお業務の開始後日も浅いところでもありまするし、また組織の未整備あるいは担当者の事務未熟というようなことがあるといたしますれば、これらのことにつきまして十分に指導をいたしまして、趣旨に沿いまするような業務運営が円滑にできまするように配慮をいたしてまいりたいと考えております。
 なお、その役員の天下りというようなお話がございましたが、役員は九名でございまして、常勤は三名でございます。したがって、事務を円滑にするような意味でそのような今日までの成り行きがあったと思っておりまするが、今後におきましてはなるべく広く人材を登用するように努力をいたしまして、趣旨に沿うような協会の運営ができまするように努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#212
○三木忠雄君 もう初めから謝った答弁ですけれども、いままで地方自治体で検査をし確認して、判こ一つ押しておけば住宅金融公庫のローンが実は受けられたわけです。それをわざわざ住宅金融公庫から業務をこの金融普及協会に移して、限られた人員の中でそれをやらしているわけです。業者がいままでであれば区で簡単にできた問題が、その審査を受けるために、わざわざ判こ一つもらいに行くために、ある場合には車で迎えに来いとか、いろんな暴言を吐いている例で業者は実は非常に困っているわけです。なぜこういうものを財団法人に移さなきゃならないかという真意というものは、私はここで議論し合えば、建設大臣はかばう方ですから――私もいろいろ役所から聞きましたけれども、いかになわ張りというか、こういう立場を堅持しようということに強い意地を持っているかということに私もある意味では敬服するわけですけれども、たとえば今回のこの住宅金融普及協会の常勤役員というのは全部住宅金融公庫からやはり出向しているわけです。天下っているわけです。限られた人間でこういうふうに事務をやっているということは、事務の渋滞だけではなしに、これによって影響を受ける民間業者というものは非常に大きな問題なんですね。いままで、たとえば審査で十日ぐらいでできたものが、また普及協会が入ったために二十日も二十五日もかかるわけです。このために金利負担とか、あるいは売買という問題に対して非常な迷惑をこうむっているということについて、これは建設大臣、真剣になってこの問題は考えていただきたいと思うんです。そして善処していただきたいと思うんです。よろしいですか。
#213
○国務大臣(渡辺栄一君) お答えいたします。
 先生の御発言の御趣旨は私もよく理解をいたすわけでございますが、協会の方は九名の役員で二十七名の職員でございまして、先生もお触れになりましたような東京都周辺のごく一部の地域の仕事をいまやっておるわけでありますが、地方公共団体が従来のとおりやっていただければ問題はないわけでございますけれども、先ほど申しましたような中古住宅あるいはマンション等、直接確認業務に関係の少ない仕事につきましては難色を示されておりまするために、便宜の措置として五十四年度からそのような措置を講じておるわけでございますけれども、そういうような意味におきましては、元来手続をなるべくスムーズにやるようにということと、余分な経費を使わないでという趣旨でございますので、その趣旨に沿わないような事実があるといたしますれば、十分ひとつ私どもも検討をいたしまして万全を期してまいりたいと、かように考えております。
#214
○三木忠雄君 私は区の人たちからの意見も聞いております。これは実際上、私たちがやった方が非常に都合がいいと、簡単に済む問題だといって各自治体の人たちも口をそろえて言っているわけです。しかし、住宅金融公庫からこういう通達で、実際上は業務が移管をされたということに対する、ある意味じゃわれわれは信用されていないのじゃないかというぐらいの憤りすら持っているまじめな地方公共団体の職員の人たちがいるということも理解してもらいたいと思うんです。それではその問題は、ひとつ建設大臣が善処をしっかりしていただきたいと思うんです。
 次に、私は婦人の問題について一、二伺っておきたいと思うんです。特に母子保健法について伺います。
 特に、母と子の健康の確保あるいは増進こそ家庭の幸福の基盤であり、社会の繁栄にとって非常に重要な問題であろうと私は思います。したがって、わが国の母子保健の現状が非常に立ちおくれているというこの実情については、先般来からも厚生大臣等は認めているわけでありますけれども、この母子保健法が制定されてから――昭和四十年当時とは、まあ今日から比べてみれば非常に社会情勢が変化をしているわけでございまして、現行法では非常にそぐわない問題点が数多く出てきているということも、これは厚生大臣も認める問題ではなかろうかと思うんです。したがって、この現行法を改正をしなければならないと私は思いますけれども、厚生大臣の見解を伺いたいと思うんです。
#215
○国務大臣(野呂恭一君) 御指摘のように、母子保健にかかる社会環境の大きな変化、そしてまた急速な高齢化社会への移行などを考えてまいりますと、豊かで活力ある社会を実現していくためには、次の社会を支える子供たちを健やかに育てていくということが従来にも倍して大変大事なことであると思います。同時に、ライフサイクルの基本でございます乳幼児におきまする健康を保持して、確保するための母子保健施策というものは、まさに国家的な課題でございます。したがいまして、単に現行の母子保健施策の見直しということでなくって、高齢化社会静止人口期を迎えた二十一世紀を展望するような形で家庭保健対策のあり方を検討する必要はあるわけでございます。それがために、昨年の六月に家庭保健基本問題検討委員会を発足させまして、第一委員会、第二委員会、総合委員会など、三つの委員会に分けまして、自由討議の形式ではございますが、母子保健及びこれに関連する諸問題について検討いたしておるわけでございます。したがいまして、この家庭保健基本問題検討委員会が、検討期間を二年をめどにして審議を願っておるわけでございます。これらの検討の結果を得まして、長期的展望に立った新しい展開を進めていかなきゃならぬ、かように考えておる次第でございます。
#216
○三木忠雄君 端的に私は伺いたいのですけれども、現行法が不備であるということについては大臣はお認めになっているわけですね。これが第一点と、その家庭保健基本問題検討委員会の結論というのはいつごろまでに出す予定なのか。そして第三点として、その結論の内容として母子保健法の改正案のような原案が出るのかどうか。この点について、三点お伺いしたいと思うんです。
#217
○国務大臣(野呂恭一君) 先ほど申しましたとおり、社会情勢の変化、それから今日の人口の動向などを考えてまいりますと、現行法は長期的な展望から立てば必ずしも私は満足し得るものではないと。したがって、抜本的な改正の方向に向かって進めていかなきゃならぬ、かように考えるわけでございます。
 なお、いつまでにこの検討委員会の結論を出すのか、昨年の六月に発足をいたしたわけでございます。二年をめどにということにいたしておりますが、なるべく早くこの検討の結果を得たいものだと、かように考えるわけでございます。なお、それらを通しまして、今後その進め方については抜本的にこれに対して真剣な対応を示してまいりたいと、かように考えております。
#218
○三木忠雄君 三点目、答弁がないよ。原案のようなものが出るのかどうか、検討委員会は。
#219
○国務大臣(野呂恭一君) 検討委員会では意見という形で出てくるものだと期待をいたしておりますので、それを待って私どもはこの対応に一つの方向をつくって国会の審議を受けることに相なろうかと考えております。
#220
○三木忠雄君 そうしますと、二年間ぐらい結論の検討会をする、あるいはその結論を待ってまた厚生省がいろいろ検討をするという、こういう気の長い話のように受けとめるわけでありますけれども、やはりこういう問題が不備だということについての一部改正というものは速やかにやっていかなきゃならない問題だと思う。母と子に係る問題なんですね。健康問題に係る問題についてやはり厚生省は手ぬるいのじゃないかという感じが私はするわけです。したがって、政府案として国会に改正案を早く提案するように目標年次を明確にしておいた方が私はいいのじゃないかと思うのですけれども、厚生大臣の答弁をもう一度伺いたいと思うんです。
#221
○国務大臣(野呂恭一君) 先ほどもお答え申し上げましたように、昨年の六月に発足したこの問題検討委員会の結論はしたがって来年の六月、あるいはそれからまだ一年ということに相なりますが、しかしこれは検討委員会に急ぎ結論を出していただくようにわれわれも要請すると同時に、並行して厚生省としてもこの検討を進めてまいりたい、かように考えております。
#222
○三木忠雄君 関連して、この法案の中で出産給付の現状を、特に出産に際して支払いの費用がいま普通の病院で最低二十万円はかかると、こう言っているわけです。これに対して社会保険で受ける金額は、健保で最低十万円、国保で六から八万円という非常にきわめて不十分な姿になっているわけです。国際的に見ますと、出産というのは無料という、こういう国が多い中で、わが国の出産に対する基本的な考え方がちょっとおかしいのじゃないかと、こういうふうに考えるわけでありますけれども、厚生大臣の見解を伺いたいと思います。
#223
○政府委員(竹内嘉巳君) お答え申し上げます。
 出産の場合、まあ通常の妊娠の場合によります正常分娩につきましては、社会保険の立場では、いわゆる身体に違和という、疾病というか、概念に当てはまらないということから医療保険の保険給付の対象としていないわけであります。ただ、正常分娩につきましては、先ほど先生からお話がありましたように、分娩費の現金給付という形で対応いたしております。もちろん、現実の正常の分娩の場合における出産費について現在社会保険各法で支給されております給付額が必ずしも十分でないことについてはわれわれも承知はいたしておるつもりでございます。
 したがいまして、母子保健という仕組みを抜本的に考え直しますときに、これを現金給付の形のままでいくか、あるいはまたILOの最低基準の条約の中に示されておるような現物給付論というのも一方においてあるわけであります。ただ、この辺の問題につきましては、実際の補遺給付をなし得る体制そのものがいままでの日本にはできていないために改めて検討をし直さなければならないというような、やや事務的にももう少し時間をおかしいただきたい問題がございます。そういった点で、御趣旨の点は十分踏まえながらも、当面、私どもの方は現在の母子保健体制の中で、特に先生最初に御指摘いただきましたように、妊産婦死亡率の問題についてのこれの低下を促進するということについて重点を置きながら進めて、いまの正常分娩についての給付問題につきましても、当面は現金給付主体ということでいかざるを得ないかと思いますけれども、それにつきましても、しかるべく本来所要のものが十分給付として対応し得る方式を検討しながら進めてまいりたいというのが検討委員会の論議の過程でも示されておりまするし、私どもも厚生大臣の御指示の中でそういう方向で今後とも慎重に検討を進めてまいりたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
#224
○三木忠雄君 もう一つ婦人の問題として、パートタイマーが非常に最近はふえているわけです。この問題について労働大臣に伺っておきたいのですけれども、この労働条件が非常に劣悪であるということ、あるいはまた有給休暇がないとか、あるいはまた福利厚生とか退職金等の労基法の適用という問題が非常に困難になっているという、こういう問題を考えますと、やはりこの中小企業や零細企業ではパートタイマーを非常に雇っているわけです。また、必要にしているわけです。そういう中にあって、やはりパートタイマーの制度を確立すべきではないかと、こういうふうに考えるのですが、労働大臣の御所見を伺っておきたいと思うんです。
#225
○国務大臣(藤波孝生君) 委員御指摘のように、最近婦人の労働者が非常に増加をしておりまして、フルタイムの方の労働者も婦人の場合はふえておりますが、わけてもパートタイムの婦人労働者が非常にふえている。現在、週三十五時間未満の短時間の婦人労働者としてとらえてみますると、農林業以外の産業で二百十五万人と非常にたくさんの数を数えております。また、婦人雇用者の中の一七・三%というパーセンテージを占めておるわけでございます。
 そこで、その労働条件についていろいろな御意見がございますので、労働省といたしましては、労働基準法あるいは最低賃金法などの一連の労働保護法規を守るようにいろいろな指導をしてきておるところでございますが、新たに五十五年度におきましては、その条件の明確化をしていくように全国の第一線を動員をいたしまして指導に当たっていきたいと、こう考えておるわけでございます。しかし、なかなかこの婦人のパートタイムの場合に、企業の方もそういった労働の形を求めている、と同時に、働いていく婦人の方も家事だとか育児、教育などと両立させるような形で気軽に働きに出るといったような希望も満たされるという形になっておりますので、まだ、調査はしておりますけれども、実態をしっかりつかみ切っていないところがございます。そこで一連の強い指導を進めてまいりますと同時に、五十四年度から五十五年度へかけましてさらにそのパートタイムの実態をよく把握いたしまして、それがパートタイムという一つの形として適切な何か形を整えていく必要があるということであれば、そういった形をとりたいと思いますし、しかし、一連の労働保護法規はパートタイムといえどもきちっと守られていかなければいかぬということになっておるわけでございますから、当面はその方の指導を厳正に進めていくように努力をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
#226
○三木忠雄君 大蔵大臣に伺いたいのですが、このパートの税制上の問題がひとつ私は問題になるのじゃないかと思うんです。特に七十万円を超えるとパートの労働の収入がある場合は給与所得とみなされて、それで七十九万円を超えると配偶者控除の対象にならないばかりか、所得税も納めなければならないという、こういう結果になっているわけです。しかしながら、ここ数年、物価が非常に上昇している中にあって、やはり給与所得控除の最低保障額を引き上げるべきではないか、できれば年収九十万円ぐらいまで無税にすべきではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、大蔵大臣の考え方を伺いたい。
#227
○国務大臣(竹下登君) 婦人のパートタイム収入があります場合には、御指摘のとおり、現在七十万円までは夫の所得税の計算上、配偶者控除が適用されます。給与所得控除が給与所得に対する概算経費控除である性格を持ち、同控除の最低保障額が五十万円はすでにぎりぎりの高い水準であることを考えてみますならば、特にパートタイマーだからという理由で給与所得控除額を引き上げるということは現実困難な問題ではなかろうかと、そうしてまたそれが内職であります場合には、その所得は事業所得であるか、あるいは雑所得となるわけでございますので、これを給与所得として取り扱うことにつきましては、これは内職の実態が雇用契約に基づくものでないというようなことから困難であるというような今日見解を持っておるわけであります。しかし、いずれにいたしましても、本国会等を通じまして、このパートタイマーの課税問題につきましては大変議論がなされたところでございますので、御意見を正確に税制調査会にお伝えして、そして審議していただこう、こういう考え方に立ち至った次第であります。
#228
○三木忠雄君 それでは、最後に国鉄問題で一、二伺っておきたいと思うんです。
 国鉄再建に関して自民党の総務会においていろいろ決議をされているわけでありますけれども、この自民党の日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案、この問題について特に国鉄の民営移管の問題等についてるる述べられておりますけれども、この決議について総理はどのように考えられておるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#229
○国務大臣(大平正芳君) 政府・与党一体でございますので、自由民主党の最高決議機関の決議につきましては政府としては尊重してまいるつもりでございます。
#230
○三木忠雄君 尊重してまいるということでございます。これは当然であると思うんです。しかしながら、この民営移管とかいろいろな議論があったように伺いますけれども、やはり私は前提として解決しなければならない問題も明確にやはり解決した上でのことだと思うんですね。そういう点で、私はいろいろ国鉄の構造欠損の問題等について、ここ十二年間ばかり、国鉄財政の問題専門にいろいろ勉強もしました。しかしながら、いろいろ考えますと、やはり政治路線でつくったいろいろな路線がずいぶんあるわけです。地方交通線の整理等の問題についてもいろいろな各大臣も御意見を持っていると思うんです。
 まあ内閣の番頭である伊東官房長官に伺いたいのですけれども、伊東官房長官の日中線ですか、この線の地方交通線問題に対する考え方は官房長官はどういう考え方を持っているんですか、再建と絡めて。
#231
○国務大臣(伊東正義君) お名指しで御質問でございますが、日中線というのは非常に乗客の少ない線だというふうに私どもも知っております。日中線廃止反対と言ってこられる人も皆自動車で来られる。汽車には乗ってこないというような実情でございますので、こういう線はやっぱり検討していかなければいかぬというふうに考えております。
#232
○三木忠雄君 それでは行政管理庁長官の宇野長官の信楽線ですね、この線について。
#233
○国務大臣(宇野宗佑君) 信楽線も、私が選挙区へ帰りますと、町長初め町の有力者が来ます。この間初めて汽車に乗ってきて、それまでは全部自動車であったという状態であります。だから、これはやはりいろいろと前向きに考えていかなくちゃならないと考えております。
#234
○三木忠雄君 防衛庁長官、この三江線ですね、この線についてはどうですか。
#235
○国務大臣(細田吉藏君) お答えいたします。
 今度の法律では二年間一定数以下の乗客の線についてどうしたらいいかということを検討するということになっております。したがって、三江線も、量はただいまの国鉄の考えでは交通量がある一定以下の線のようでございますから、どういうふうにしたらいいかということを二年間にわたって地方の皆さん、利用者の皆さんも全部で検討される、これはもう当然検討しなければならぬ対象になると考えております。
#236
○三木忠雄君 一、二の大臣に伺ったのですけれども、やはり廃止するかどうかということは、地域住民とのいろいろな問題点があろうと私は思います。しかし、国鉄がそのために背負わされている赤字というものが二千五百億ある。それで解決しないから、極端に言えば民営に移管だというような、タカ派的な一方的な発想というのも、これも私は行き過ぎじゃないかと思うんです。こういう点は明確に議論をし合って、やはり国鉄の負担が強いられているという、こういう構造的な欠損の問題については解決をしなければならないと思うんです。総理、どうですか。
#237
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘の点につきましては、国鉄再建の基本の方針に従いまして具体的な問題として真剣に検討しなければならぬと思います。具体的な案件につきましては、御指摘のように、いろいろ工夫をしなければならぬものがあろうかと思いますけれども、根本の再建の筋は壊してはいけないと考えています。
#238
○三木忠雄君 もう一つこの席で聞いておきたいのですけれども、やはり公共負担の問題の中で、文部省、厚生省の負担等の問題があるわけでございますけれども、この公共割引の問題について、やはり私は結論をひとつ出さなければならない問題点にきているのじゃないかと思うんです。
 それからもう一つは、やはり年齢構成のゆがみから、国鉄が満鉄から引き受けたいろいろな人員のために年金問題が非常に大変な問題になっていると思うんです。こういう問題について政府がやはり抜本的な対策を打たなければ、幾ら経営努力をしてみても、運賃の値上げをしてみても、その解決は目鼻がつかないというのが実情じゃないかと思うんです。この点についての公共負担の問題と、それから年金問題について大蔵大臣はどのように考えますか。
#239
○国務大臣(竹下登君) この国鉄年金問題というのは、確かにいま委員御指摘のとおり、戦中戦後の輸送力の増強や復員者の吸収のために大量採用した方々が、ちょうど私ぐらいな年齢でございますが、退職期を迎えておるわけでございますので、国鉄共済年金の受給者は今後急速に増加すると見込まれるわけであります。
 これは私どもがいま考えておりますことといたしましては、昨年末に閣議了解をいたしました「日本国有鉄道の再建について」というものがございます。「関係省庁において抜本的な共済年金対策について検討を進め、早急に結論を得ること」としておるわけでございますので、これは国鉄共済問題のみにとどめることなく、他の年金制度全体の関連で検討する必要があるではないかと、このように考えておるところでございます。
 それから公共投資につきましては、新経済社会七カ年計画におきますところの二百四十兆のうち、鉄道部門につきましては十七兆七千五百億円というものが見込まれておるわけでございます。これはそのときどきの経済動向、財政事情等を勘案しながら、運輸省とも十分協議して弾力的に実施していく所存でございます。
#240
○三木忠雄君 国鉄総裁、いま各地域では五新幹線の建設ということが非常に話題になっているわけです。しかし、国鉄の財政から考えた場合には、五新幹線の建設というのは非常にむずかしいのじゃないかと思うんです。この取り扱いについては国鉄総裁としてどのように考えていますか。
#241
○説明員(高木文雄君) いわゆる整備五線につきましては、いま私どもが試算をいたしておりますところでは、それがつくられました後も、その地域にあります在来線、並行している在来線と総合的に考えた場合に、当分の間はとても採算がとれないということでございますので、私どもとしては、そのおつくりいただいたものの経営をお引き受けするというわけにはいかないという感じを持っております。ただ、全国にそういう鉄道網をつくることはわが方の経営ということとは別の立場でお考えになりますと、国土政策なり、あるいは地域振興対策なりとして非常に重要な意味を持つわけでございましょうから、私どもとはまた別の角度でこれはつくるべしということであるならば、いま私どもが線をつくるときに一般的にいたしておりますように、借入金で資金を調達してつくる、つまり利息がわれわれの負担になるということでは困るわけでございまして、そうでないということであれば、これは私どもの経営とまた別の立場で御判断いただくべき問題だと考えております。
#242
○三木忠雄君 この問題で、運輸大臣、一問伺っておきたいのですけれども、この五新幹線は優先順位をつけて財源が確保できればやるというような話を伺っておりますけれども、そういう方針ですか。
#243
○国務大臣(地崎宇三郎君) ただいま国鉄総裁がお答え申し上げましたように、国鉄にこれをしょわせるわけにはいかない、新しい財源措置を求めて考えていかなければならぬと思うわけでありますが、そのようなことになりましても、非常に大きな金額でございますので、全面着工というようなことはなかなか考えられないと思いますので、その時点に至ってよく相談をして、優先順位等も考えるような事態になるのではなかろうかと、かように考えております。
#244
○三木忠雄君 総理、新経済社会発展計画の公共投資が二百四十兆という考え方になりますと、国鉄の負担から考えますと十一兆円程度になるわけですね。こういう点を考えますと、これだけの設備投資には応じ切れないんじゃないかと、こういう問題がございます。したがって、こういう五新幹線の建設等についても、やはりよく財源等の問題を考えなければならない。それと同時に、今後の問題としまして、やはりこれからの八〇年代に政策の選択をしっかりしていかなければならないんじゃないかと思うんです。たとえばエネルギーの開発の問題にしましても、金がない。しかしながら、道路財源では二兆八千億もつぎ込んでいるという問題等についても、どちらを選択するか、あるいはどう調整するかということが非常な大事な問題じゃないかと思うんです。私は、いまこそ総理のリーダーシップを発揮しなければならないときじゃないかと、こういうふうに考えるわけです。したがって、政策の選択等の問題についてやはり真剣な総理の英断というか、こういう問題が必要ではないかと思いますけれども、この五新幹線等を含めて、今後の問題の対応を伺っておきたいと思うんです。
#245
○委員長(山内一郎君) 三木君、時間になりました。
#246
○三木忠雄君 はい。
#247
○国務大臣(大平正芳君) 新経済七カ年計画にいたしましても、政府が吟味をしてお願いいたしておりまする財政試算にいたしましても、いろいろな前提を設けましてつくりました一応の想定でございまして、その中から財政再建の方向、経済運営の方向、公共投資の方向、分量等をわれわれはつかみとろうと努力をいたしておるわけでございまして、そういった客観的な資料を十分駆使、吟味いたしまして、これからの経済運営にバランスのとれた実効性のある成果を得るように努力をいたしたいと思います。
#248
○三木忠雄君 最後に。
#249
○委員長(山内一郎君) じゃ、あと一問にしてください。
#250
○三木忠雄君 もう意見だけ述べて終わりたいと思いますけれども、いずれにしましても、私は本年度の政治課題と最大の問題はやはり物価の安定じゃないかと思います。きょうの卸売物価の上昇等を考えまして、やはり公共料金等の問題も真剣に考えてどうか対処していただきたいということを強く要請いたしまして私の質問を終わります。(拍手)
#251
○委員長(山内一郎君) 以上で三木君の総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#252
○委員長(山内一郎君) 次に、上田耕一郎君の総括質疑を行います。
   〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕
#253
○理事(安田隆明君) 上田君。
#254
○上田耕一郎君 私は、安保・防衛問題、それから国際障害者年の問題、財政・増税問題、行政改革問題などについて質問したいと思います。
 まず、安全保障問題ですが、ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入、これは許すことのできないもので、共産党としては撤退を要求しておりますが、それを悪用してカーター政権は、たとえば一般教書演説で、石油供給など死活的利益が脅かされる場合、軍事力を含むあらゆる手段を行使するという政策を明らかにしました。大平さん、この政策を日本政府として支持するんですか、反対するんですか。
#255
○国務大臣(大平正芳君) ソ連のアフガン武力介入問題というのは、いま上田さんも仰せになりましたとおり、各方面に強い反対がございます。国連の場において、あるいはイスラム外相会議において強い非難が起きておりますることも仰せのとおりでございまして、わが国政府もまた反対の立場に立っております。
 第二の問題といたしまして、アメリカがこの事態に対応いたしまして、南西アジア、中近東方面に対しまして強い抑止力の行使を考えておるということも承知いたしておるわけでございまして、
   〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕
このソ連の行動に対しまして反対であるという言葉だけの問題ではなくて、それを実効あらしめるためには武力の行使も辞さないという意気込みで抑止力を考えておるという姿勢は了解もできますし、支持もできることであると考えております。
#256
○上田耕一郎君 外務大臣、このカーターさんの軍事力行使の政策、これは国連憲章の中でどの条項に基づくものか、もし該当するものがあれば読み上げていただきたいと思います。
#257
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま総理がお答えしましたように、アメリカの立場は抑止力として働く、ソ連のアフガンに対する軍事介入というのがございましたし、将来にわたって抑止力として働くことが一番重要な役割りだと考えます。これはアメリカ側でも緊急展開部隊その他の問題につきまして相手国の政府の要請がある場合のみそういう行動をとり得るのだといっておりますので、国連憲章第五十一条が該当すると考えております。
#258
○上田耕一郎君 条文を読んでください。
#259
○国務大臣(大来佐武郎君) 条文は手元にございませんので、政府委員からもし必要ならば読ませます。
#260
○委員長(山内一郎君) 読ませますか。
#261
○上田耕一郎君 はい。
#262
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。
 五十一条は「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」というふうに書いてございます。
#263
○上田耕一郎君 しかし、ペルシャ湾地域はアメリカ領じゃないじゃないですか。何でこれで軍事力行使できるのですか。
#264
○国務大臣(大来佐武郎君) 先ほども申しましたように、その地域の国の政府の要請があった場合にということになるわけでございます。
#265
○政府委員(伊達宗起君) ただいまの大臣の御答弁をさらに補足いたしますと、実際問題といたしまして、ペルシャ湾は、上田委員のおっしゃいますように、アメリカ領ではございません。したがいまして、現実の事態というものにつきましては、これはアメリカの自衛権の行使ということにはならないわけでございまして、ただ、アメリカは集団的自衛権の権利も持っているわけでございますから、アメリカと密接な関係にある国が外部からの侵略を受けたような場合に、その国が要請をするというような場合には、アメリカはそれに対して集団的自衛権を行使して援助する、そしてその侵害を排除するということになると思うのでございます。
 大臣がいまお答え申し上げましたのは、私がいま申し上げました後段を申し上げたものでございます。
#266
○上田耕一郎君 それではペルシャ湾地域の国とアメリカとそういう軍事同盟条約を結んでいる国はありますか。
#267
○政府委員(伊達宗起君) 現在のところ、私の知っております限りペルシャ湾の諸国とアメリカと軍事同盟条約を結んだものはないと思います。
#268
○上田耕一郎君 それじゃ集団的自衛権発動できないじゃないですか。
#269
○政府委員(伊達宗起君) これは集団的自衛権に関しましての過去の国会の御論議でも政府側が明らかにしたところでございますが、特にあらかじめ軍事同盟ないしは集団的安全保障に関する条約関係がなくとも危急存亡の場合に当該国の要請ないしは同意があれば、その当該国の求めに応じて援助をすることは、これは集団的自衛権の行使として正当化されるということでございます。
#270
○上田耕一郎君 しかし、カーターの一般教書演説は何もそんなことは書いてないんです。あの地域の石油はアメリカにとっても死活的な利益があるのだと、だからあの地域での外部勢力の試みはアメリカの死活にかかわる利益に対する攻撃とみなされるだろう、そのような試みは軍事力を含む必要なあらゆる手段によって撃退されるだろうと言っているんですね。五十一条は武力攻撃があった場合にのみですね。自分の死活的利益にかかわるという判断で武力行使ができますか。
#271
○政府委員(伊達宗起君) これは当然のことながら、自分の死活的利益ということだけの経済的、特にカーター大統領がおっしゃっているのは、石油の供給ということを主たる念頭に置いておられるものだと思いますけれども、それを理由にして五十一条を発動――発動と申しますか、五十一条を援用するということはむずかしいことであると思うわけでございます。
#272
○上田耕一郎君 そうしますと、石油が危ないからというので軍事力行使をやるというのは、国連憲章違反になりますね。
#273
○政府委員(伊達宗起君) 軍事的な、つまり武力の行使、武力攻撃というものがなくて、自衛権を行使してそこにさらに対抗する武力の行使を行うということはできないことは明瞭でございますけれども、先ほど私が申し上げましたように、当該国、つまり中近東ないしはペルシャ湾の諸国の要請によりまして、アメリカがそれに応じていくということは、これは五十一条に該当する場合もあり得ると思うわけでございます。
#274
○上田耕一郎君 あの地域にあったCENTOという軍事同盟条約は、昨年正式に解体しているんですね。そういう状況の中でアメリカがこういうことを言っている。国連憲章違反の疑いさえ強いきわめて過剰な力の政策の反応だと思う。アメリカの国内でもヨーロッパでもこれに対する批判が強いのに、日本だけはこれに加担しようと。大平さん、先ほど支持すると言われたけれども、大来外相の訪米並びにその後の大平さんの訪米で、この問題でアメリカに協力要請された場合、どういう対応をするつもりですか。お二人にお聞きします。
#275
○国務大臣(大平正芳君) カーター大統領の言われておりますことは、抑止力といたしまして、武力も含めて、軍事力も含めて対応する用意があるという意味のことを言っておるわけでございまして、これはもちろん御指摘のように、正当な手順を踏まえてやらなければ、武力の行使というものをぞんざいにやることはできないと私は考えておりますけれども、この声明のアクセントは、あらゆる方策を講じて今度のアフガンの侵入のような事態を抑止していくことをやっていかないといけないというところにアクセントがあるものと思うのでございまして、その限りにおきましてその態度は支持できるということを申し上げたわけでございます。
#276
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま総理から答弁されたとおりであります。
 さらに、日本がこの立場を支持いたしましても、軍事的に協力することはあの地域でできないということも明らかでございます。
#277
○上田耕一郎君 ところが、そういう危険な政策のもとで、日本がペルシャ湾出撃の処点になろうとしているわけです。アメリカの国防総省の報告では、戦術核兵器の使用もペルシャ湾地域で考えると、そういうことまで言い始めている。こうなると、日本への公然たる核持ち込みの危険さえ生まれてくるわけなんです。
 私はおととしのこの予算委員会で、六九年の佐藤・ニクソン会談での核兵器再持ち込みの密約問題、これを追及したことがありましたが、当時園田外相は、俗に言う根回しであって、そういう文書は外務省にないとお答えになった。ところが今回、当事者のキッシンジャー秘録で、この問題で私の追及が裏づけられていると思うんですけれども、外務省、どういう見解ですか。
#278
○国務大臣(大来佐武郎君) キッシンジャーの回顧録も拝見いたしておりますけれども、これはキッシンジャー氏の見解でございますけれども、従来の会談の経緯から見まして正確な叙述でないわけでございまして、またキッシンジャー氏自身がこの回顧録の中でも認めているところでございますが、あくまでも核の持ち込みは安保条約上の事前協議の対象になるということを確認しているにすぎないというふうに解釈いたしております。
#279
○上田耕一郎君 当時の佐藤内閣の官房副長官の木村俊夫氏は、読売新聞で、キッシンジャー回顧録は正鵠を射た内容だと、で沖繩返還に関してはこのとおりだと、そういうことを言っているわけです。大来さんより当事者だったから、本人の証言があるわけで、私は最終的にこの問題は確定されていると思うんですが、キッシンジャー氏が秘録の中で言っている「ミスター・ヨシダ」、この密使の名前は突きとめられましたか。
#280
○政府委員(淺尾新一郎君) お答えいたします。
 外務省としては、ミスター・ヨシダなるものの人物は承知しておりませんし、また、そういう記録もございません。
#281
○上田耕一郎君 お配りした資料1にありますが、このミスター・ヨシダというキッシンジャー氏が何回も会ったということを書いている人物、これ、読売新聞も私も若泉敬氏だと、京都産業大学の。これを私も一昨年指摘しました。木村俊夫氏も読売の書いているとおりだというので、若泉さんだということを確認しているんですね。佐藤さんの密使でこれだけ日本の大きな問題をキッシンジャーと打ち合わせた人物について、外務省が何らの事情聴取もしていないということは、まことに私は怠慢だと思うんですね。外務大臣どうですか。若泉さん、事情聴取をぜひしていただきた
 い。
#282
○国務大臣(大来佐武郎君) 現在までのところ確認ができませんので、事情聴取をする意向もございません。
#283
○上田耕一郎君 今後はどうなんです。
#284
○国務大臣(大来佐武郎君) 今後新しい事実、確認するようなことが可能になりますれば、その段階で考えたいと思います。
#285
○上田耕一郎君 アメリカ側のキッシンジャーが書いて、日本側の木村さんが確認しているんですから、もうこれで事実は確定しているんですね。
 問題は、この大変な私は密約といったものがニクソン・佐藤の会談の議事録に残されているとキッシンジャー氏は書いている。どういう議事録になっておりますか。
#286
○政府委員(淺尾新一郎君) お答えいたします。
 すでに当委員会その他で外務省からお答えいたしておりますように、当時の沖繩返還に関する佐藤・ニクソン会談について、日本とアメリカとの共通の合意した議事録というものはございません。その結果は当時の共同声明によって発表されているものでございます。
#287
○上田耕一郎君 大事なところです。キッシンジャー秘録の中で、その議事録をつくろうとしたところについてはどう書かれていますか。
#288
○政府委員(淺尾新一郎君) このキッシンジャーの中にはいろいろ出ておりますけれども、適切な記録が残るようにするために万全の台本を書き上げたというようなことも書いてございますし、その他あと一カ所ぐらい出ている――日本側の発案によるものであり、押しつけられたものではなく、記録は真正なものであると、こういうふうに言及されております。
#289
○上田耕一郎君 まるで逆なんですよ。アメリカ側がつくったものだが、こういう議事録にしておけば日本側の発案かのように見えるということが書いてある。キッシンジャーはこういう筋書きをつくったというんです。密使と二人でまず第一に、会談で佐藤首相は核持ち込み反対だと述べる。そうすると、ニクソンはアメリカ側の最大限の要求を述べる。第三番目に、佐藤さんは数分間考え込んだ後、妥協案を出す。第四に、ニクソンは思案してみせた後、その妥協案を受け入れると。これは二人でリハーサルを、ニクソン並びに佐藤と二人でずっとやって、実際にこういうふうにやったというんです。これがキッシンジャー氏の書いたもので、木村さんもそのとおりだというふうに認めたものです。さて、そうなりますと、佐藤さんは絶対反対だとまず言う、それから妥協案をつくるというのですから、妥協案というのはいかなる場合にも反対だというのを妥協して非核三原則を取り崩したものになる以外にない。これらすべてがこの日米会談の議事録にちゃんと残って、そういうふうに残してあるというふうに言っているわけだから、私が言った密約は、この議事録の経過を見れば明らかになるわけです。どうですか外務省、外務大臣。
#290
○国務大臣(大来佐武郎君) この点につきましては、園田前外務大臣が議事録の有無について調査してみるということを国会で言われたわけでございます。正式の議事録は、ただいま局長から申しましたように、ございません。これは大統領対総理の会談でございまして、しかし、それに対する記録はございますが、これは両首脳が会談した記録である性質上、公表することは許されないことだと考えております。
 それから、もう一つつけ加えますが、木村前外務大臣が読売の中で申しておりますことは、「当時交渉にあたった者として今回の回顧録は、正鵠を射た内容と思う。」と。これは回顧録の内容全般を抽象的に申したものでございまして、特定の問題についてのことではないと理解しております。
#291
○上田耕一郎君 その後に、「沖繩返還に関しては、この通りだ。」と言っている。そこまで読んでください。
#292
○国務大臣(大来佐武郎君) もう一度その点はチェックいたしますけれども、一般的な了解だと私は了知しておりました。
#293
○上田耕一郎君 この議事録を非常に重大問題ですので公表すべきだと思いますけれども、首相いかがでしょうか。
#294
○国務大臣(大平正芳君) 事柄の性質上、先方の了解も得なければなりませんし、いままでそういうことをいたしたことはございませんので、御勘弁いただきたいと思います。
#295
○上田耕一郎君 佐藤首相は、将来沖繩に核兵器を持ち込んでいいという、とんでもない反国民的な約束をアメリカとしたんです。それで非核三原則をつくったといってノーベル賞をもらったんですけれども、これはまことに驚くべき皮肉だと思う。こういう大事な議事録を公表できないというところにわれわれが情報公開法が必要だということを主張している根拠があるわけです。
 私は、委員長に、若泉敬京都産業大学教授の証人喚問と、佐藤・ニクソン会談の核問題に関する部分の日本側の議事録の国会提出を求めたいと思うんです。
#296
○委員長(山内一郎君) 理事会で協議をいたします。
#297
○上田耕一郎君 外務大臣、安保条約の日米共同防衛の区域、これはどう決まっておりますか。
#298
○国務大臣(大来佐武郎君) 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、この双方が協力することになっておりますので、それからこの武力の、外からの武力攻撃に対しましては、日本国の施政のもとにある領域におけるいずれか一方に対する武力の攻撃があった場合に、安保条約が発動する。これが第五条に書いてあるわけでございます。
#299
○上田耕一郎君 そうすると、共同防衛の区域というのは日本の領土、領空、領内ということですね。
#300
○政府委員(淺尾新一郎君) お答えいたします。
 安保条約の適用区域については、ただいま外務大臣から御答弁いたしましたように、第五条でございます。五条の規定は、日本が攻撃された場合に、日本の施政のもとにある区域が攻撃された場合に、日米は共同して対処するということを明記してございます。ただし、自衛隊が行動する区域は、これはまたこの第五条と必ずしも一致しない。すなわち自衛隊が国を守るために必要である限度においては、この日本の施政のもとにある区域には限られない。これはまた別個の問題でございます。
#301
○上田耕一郎君 だから、日米共同の防衛区域というのは第五条の日本の領土、領空、領内ですね。領海ですね。
#302
○政府委員(淺尾新一郎君) 五条は、先ほども申し上げ摂したように、共同対処される要件が書いてあるわけでございます。さらに、自衛隊は外部から武力攻撃がある場合には、わが国の防衛に必要な限度内において、周辺の公海あるいは公空においても行動できるということになっております。
#303
○上田耕一郎君 どうもあいまいですけれども、一昨年の日米防衛協力の指針ですね、これは私はいまの安保条約の規定をはるかに踏み越えた重大な内容だと思いますけれども、防衛庁長官、この日米防衛協力の指針というのは、どういう内容で、何を目的としたものですか。
#304
○国務大臣(細田吉藏君) ガイドラインは自衛隊と米軍が共同して作戦を実施する際、あらかじめ共通化しておく必要がある手順、こういうものを定めるものでございます。詳細につきましては政府委員から答弁したいと思います。
#305
○政府委員(原徹君) ガイドラインは、安保条約によって共同対処をする場合のそのやり方がいままで研究されていないということで、その共同対処の仕方を一応決めてあるということでございます。
#306
○上田耕一郎君 ガイドラインに日米共同作戦の実施要領とありますが、これはどういうものですか。
#307
○政府委員(原徹君) これは大変細かい手続でございまして、たとえばどういう地図を使うとか、作戦の面で言えばどういう地図を使うとか、たとえば砲兵に支援を求めるといったときに、目標何何、距離何々というようなところをどういう順序で言うとか、あるいは補給の点で申しますれば、部品の番号を決めておくとか、そういう非常に細かい要領を決めることになっているわけでございますが、まだそこまでには至っておらないのが現状でございます。
#308
○上田耕一郎君 共同の対処の方針だというのですが、じゃ、日米の共同対処の作戦計画、これは作成中ですか。
#309
○政府委員(原徹君) 共同作戦計画の研究をすることになっておりますが、その研究は着々進んでおります。
#310
○上田耕一郎君 その共同作戦は日本の領土、領海だけでなく、極東地域、これも含まれていますか。
#311
○政府委員(原徹君) 自衛隊が国を守るにつきましては、領土、領海のみならず、自衛のため必要な範囲において、周辺の公海、公空に及ぶということになっておりますから、共同対処の場合にもそういうことをやることになっております。
#312
○上田耕一郎君 さっきの説明と違うじゃないですか。日米共同で、領土、領海以外のものも日米共同でやるんですか。
#313
○政府委員(原徹君) 安保条約の五条は、共同対処をするための発動の要件が書かれておるわけでございまして、そういうふうに発動になりますと、領土、領海のみでなくて、自衛のため必要な範囲におきまして公海にも及ぶというふうに理解をいたしております。
#314
○上田耕一郎君 お配りした資料の2、ガイドライン、この「海上作戦」の項目を読み上げていただきたいと思います。
#315
○委員長(山内一郎君) 上田君、あなたの方が配ったんですからね。
#316
○上田耕一郎君 あなた方が大事なものなのでつくったんだから、ちゃんと読み上げたらいいでしょう、自信があるなら。
#317
○委員長(山内一郎君) 自分の資料だから自分でやってください。
#318
○上田耕一郎君 じゃ第一項目、この「周辺海域の防衛のための海上作戦」の「周辺海域」というのはどの範囲ですか。
#319
○政府委員(原徹君) 私どもいつでも国会で申し上げておりますが、私どもが周辺海域という場合には数百海里、それから航路帯を設ける場合にはおおむね千マイル、千海里程度というふうに考えております。
#320
○上田耕一郎君 これは大変なことなんですよ。「海上自衛隊及び米海軍は、周辺海域の防衛のための」「海上作戦を共同して実施する。」ということになっているんです。どうなんですか。じゃ数百海里の周辺海域、つまり日本の領海の外を日米共同の防衛区域ということを取り決めたんですか。
#321
○政府委員(原徹君) 安保条約で日米共同で防衛をするわけでございます。先ほども申しましたように、五条は確かに発動の要件で、施政の中における日本が攻撃を受けた場合に発動になる、共同対処の仕方はその周辺海域に及んで共同で対処をする、そういうことでございます。
#322
○上田耕一郎君 これは全然違うんですよ。七五年六月十七日、衆議院内閣委員会で当時の丸山防衛局長は、「作戦行動範囲は、」「周辺の数百海里」と言ったんですから、防衛区域を数百海里と言ったんじゃないですよ。
#323
○政府委員(原徹君) 別に私も防衛区域というそういう観念で申し上げたわけではないのでございまして、要するに領空、領海以外に公海、公空に及ぶということを申し上げているわけでございます。
#324
○上田耕一郎君 だから、じゃ「海上作戦」の第一項目、いまのところを読み上げてください、重大なところです。
#325
○政府委員(原徹君) 「海上自衛隊及び米海軍は、周辺海域の防衛のための海上作戦及び海上交通の保護のための海上作戦を共同して実施する。」。
#326
○上田耕一郎君 だから、作戦行動範囲じゃない、「周辺海域の防衛」と書いてあるじゃないですか。安保条約の第五条以外のことを防衛するということをガイドラインで取り決めておるとしか読めないじゃないですか。ちゃんと説明してください、重大問題だから。
#327
○政府委員(原徹君) 日本を防衛するわけでございますから、日本は日本の防衛のため必要な限度において、国を守る際に領土、領海のみならず公海にも及ぶわけでございます。その公海にも及んで作戦をする際にアメリカと共同でやると、こういうことでございます。
#328
○上田耕一郎君 外務省どうですか、条約局長。
#329
○政府委員(淺尾新一郎君) 防衛局長の答弁したことに外務省としてつけ加えることはございません。
#330
○上田耕一郎君 防衛区域と作戦行動範囲、違うんですよ、これは「周辺海域の防衛」と書いてあるんだから。防衛のための作戦行動の範囲というふうに書いてないじゃないですか。
#331
○政府委員(原徹君) 先生のおっしゃる防衛区域というのはどういう意味か実はわからないわけでございますが……
#332
○上田耕一郎君 安保第五条の発動条件ですよ。
#333
○政府委員(原徹君) 発動要件はそうでございますが、共同で防衛することにつきましては、領土、領海のみならず自衛のため必要な範囲において周辺海域に及ぶわけでございます。それを一緒に共同でするわけでございます。その数百海里とか航路帯一千マイルと申しますのは、防衛力整備の考え方としてその程度のことを防衛するということを考えておるわけでございまして、その防衛をする際にアメリカが共同してこれに当たるということでございますから、余り不思議はないのではないかと思います。
#334
○上田耕一郎君 それでは、領海以外の周辺海域数百海里のところでいずれか一方に対する武力攻撃があったときに、日米は共同で対処するんですか。
#335
○政府委員(原徹君) 安保条約、何と申しますか、発動にならない場合におきまして、わが国の艦船がどこかで攻撃を受けましてもアメリカはこれに対して安保条約の発動の義務はございません。同様に、アメリカの艦船が安保条約が発動になる前に攻撃を受けても、もちろんそれは共同対処ということにはならないわけでございます。ただし、安保条約五条が発動になって共同対処ということになれば、これは共同対処でございますから一緒に作戦をする、こういうことでございます。
#336
○上田耕一郎君 これは三百代言ですよ。周辺海域の防衛のために日米で共同して作戦すると書いてあるじゃないですか。
#337
○政府委員(原徹君) 周辺海域――海そのものを守るわけではございませんわけで、周辺海域においてわが国の艦船が攻撃を受けたりなんかするそういう場合に共同して守ろう、こういうわけでございます。
#338
○上田耕一郎君 先ほどの答弁と全然違います。先ほどの場合には、領海以外の周辺海域でどちらか一方攻撃を受けても、安保を発動していない場合には共同してやらぬと言った。いまは共同してやると言った。全然違うじゃないですか。
#339
○政府委員(原徹君) 先ほども申しましたように、その安保条約五条が発動にならない場合に両方これは――安保条約五条の発動というのはわが国に対する攻撃でございますね、施政の中におけるいずれか一方でございますから、要するにわが国ということであります。そういう攻撃があって安保条約五条が発動になれば、その際にわが国は当然自衛の範囲で活動するわけでございますが、その際は何も領海、領空のみならず公海にも及ぶわけでございますから、その公海に及ぶところで作戦をするにつきまして、五条で発動を受けた米軍が共同で一緒に作戦をする、こういうことでございます。
#340
○上田耕一郎君 それでは確認します。安保条約第五条が発動していない場合、周辺海域でいずれか一方攻撃を受けても日米共同の海上作戦はないということですね。
#341
○政府委員(原徹君) それはそのとおりでございます。
#342
○上田耕一郎君 次に第二項目、「海上交通の保護のための海上作戦」、これの「海上交通の保護」というのはどのくらいの範囲ですか。
#343
○政府委員(原徹君) これはちょっと説明をしないとわかりにくいだろうと思います。
#344
○上田耕一郎君 どうぞ説明してください。
#345
○政府委員(原徹君) この一項と二項と関係があるわけでございます。一項につきましては、海上自衛隊はどういうふうにやるのかということにつきまして、たとえば三次防とか四次防、皆書いてあるのでございますが、それは周辺海域の防衛と海上交通保護と両方書いてございます。海上自衛隊がやることの任務というのはそういうことでございますので、その周辺海域の防衛とそれから海上交通保護を共同して対処するということが一項に書かれておる趣旨でございます。そういうことでございますが、二項におきまして、じゃ海上自衛隊は機能としてどんなことがやれるのかということが書かれておるわけでございまして、二項におきまして「海上自衛隊は、日本の重要な港湾」「海峡の防備のための作戦並びに周辺海域における対潜作戦、船舶の保護のための作戦その他の作戦を主体となって実施する」。三項におきまして、米軍はこれを支援する、また機動打撃力を使って撃退することもある、そういうふうに書かれておるわけでございまして、要するに一項というのは作戦目的が普通に書かれ、二項におきましてその機能が書かれているということでございます。私どもは、だからその周辺海域における……
#346
○上田耕一郎君 どうもわからない、説明を聞いていても。もっとわかるようにやってください。
#347
○政府委員(原徹君) 「周辺海域における」ということの中身といたしまして、その防衛力整備の目標と申しますか、そういうものは数百海里あるいは航路帯を設ける場合には千海里程度、そういうことを目標にして防衛力の整備をしているわけでございます。したがって、私どもがいま航路帯と申しておりますのは、先ほど申しましたように、千マイル程度ということを考えているわけでございます。
#348
○上田耕一郎君 説明を受けてもわかりませんけれども、じゃ、海上交通の保護のための海上作戦の範囲、はっきり答えてください。
#349
○政府委員(原徹君) 先ほど申しましたように、大体千マイル程度のことを考えて防衛力の整備をやっていると、そういうことでございます。
#350
○上田耕一郎君 周辺海域以外の海上交通路も範囲に入るんですか。
#351
○政府委員(原徹君) これはガイドラインは現実の能力も頭に入れながらつくったものでございますので、わが国のいまの防衛力では、この周辺海域航路帯でありますると千マイル程度でございますが、それでやれば精いっぱいでございますから、それ以上のことは米側に期待すると、こういうことでございます。
#352
○上田耕一郎君 じゃ、能力がもっと大きくなれば、千海里以上のところも海上交通防衛するのですか。
#353
○政府委員(原徹君) それは結局自衛のためにどれだけができるかということとの絡みになるわけでございまして、いま千マイルと申しましたけれども、その千マイルから一マイルよけいになったらいいとか悪いとかいう、そういうものでございませんので、やはり自衛のために必要な範囲というのはどこかということで決めるべき筋合いのものでございますので、一概にどこまでということはちょっと申しかねるわけでございます。
#354
○上田耕一郎君 拡大の可能性があるということですか。この海上交通というのは日本のですか、アメリカのですか、それとも両方のですか。
#355
○政府委員(原徹君) それは、ガイドラインは日本を防衛するためのものでございますので、日本の海上交通でございます。
#356
○上田耕一郎君 日本の海上交通だけれども、たとえば横須賀を拠点にしてアメリカの第七艦隊が進んでいく、その海上交通も入りますか。
#357
○政府委員(原徹君) これもときどき御議論がございますわけですが、いまの防衛出動になりまして日米共同対処ということになった場合に、いまのこの第三項に書いてありますように、たとえば機動打撃力で上陸を阻止しなければならぬようなことになりますと、それはやはり共同でやるわけでございますから、その際に反撃してくる侵略国の艦船なり航空機がそこに出ますれば、もうすでに防衛出動が出ているわけでございますから、それに対して攻撃を加えるのは当然のことでございます。そういうことで、それが結果として米国の艦船を守るという結果になるかもしれませんが、それは私どもがやるのは日本を守るために、防衛出動が出ましたからその際出てくる侵略国の艦船ないし航空機を攻撃をしているわけでございます。
#358
○上田耕一郎君 日本を守るためにアメリカの艦船を、アメリカの海上交通路を守ることもあるということですね。
#359
○政府委員(原徹君) 先ほど申しましたようなことでございますので、海上交通路という、これはやはりそこに侵略国の艦船がいたりいなかったり、そういうことで、いれば攻撃をするということがあるということでございます。
#360
○上田耕一郎君 この第二項目で、周辺海域の保護作戦を日本は海上自衛隊が主体となって実施する。これは英文を見ますと、プライマリリーとなっていますね。そうすると、周辺海域よりもっと遠いところでは日本が主体となってじゃなくて、セコンダリリーに、つまり第二義的にはもっと広い地域でアメリカと一緒になってやる、そういうことも意味しているわけですか。
#361
○政府委員(原徹君) 日本の防衛でございますから日本周辺海域について行うということで、それを日本が主体となってやるのは当然で、それをアメリカが支援することでございまして、それで日本が主体となってやりますと、それ以外の能力というものは日本の海上自衛隊にはございませんから、その部面についてはアメリカが自分でやると、こういうことでございます。
#362
○上田耕一郎君 主体とならないで、保護する、補強する、手助けするというケースもあるのですか。
#363
○政府委員(原徹君) このガイドラインに書いてあるとおりでございまして、そこのところは書いてないわけでございます。書いてないわけでございますが、私どもは、周辺海域について主体となって行動すれば、それ以上の能力は持っていないわけでございます。
#364
○上田耕一郎君 先ほど日本を守るためという理由がつけばアメリカの艦船をも守ることがあると言われた。この保護という場合、保護というのは何をやるんですか。たとえばアメリカの艦船が攻撃された場合、日本の海上自衛隊は反撃するんですか。
#365
○政府委員(原徹君) 共同対処でございますから、とにかく防衛出動が出ているという状況下の問題なんでございますから、そこに侵略国の軍艦あるいは航空機、潜水艦があれば、見つけ次第これは攻撃をせざるを得ないわけでございますので、それが、アメリカの艦船がいるかいないかということは、直接には本当は関係がないわけでございます。
#366
○上田耕一郎君 いや、アメリカの艦船を守る場合もあると言われた。そのアメリカの艦船が攻撃された場合、日本も反撃するんですか。
#367
○政府委員(原徹君) 日本に対する攻撃がもうすでにある状況下でございますから、そうなりますと、その侵略国の艦船ないし航空機がいれば、自衛隊としてはそれに対して反撃をするのはあたりまえのことでございまして、そこにアメリカの艦船がいてもいなくてもそれをしなければならないのであります。でございますから、結果として守ることがあってもちっともおかしくないと。
#368
○上田耕一郎君 私はガイドラインの条文の中身を少し詳しく詰めましたけれども、実はこれが冒頭述べましたペルシャ湾地域についてのアメリカのカーター戦略の展開と非常に深い関係がある。第七艦隊がもうインド洋に行っているわけですね。で、アラビア海にまで行くかもしれぬという状況があるとアメリカは第七艦隊が太平洋で穴があいてしまう、そこで海上自衛隊に海上交通路を守ることを助けてほしいという強い要望がいま生まれているんです。そのときに、このガイドラインのこの海上作戦の項目が非常に危険な役割りを発揮するから、私はこの問題を詰めているわけであります。いまのリムパック、あの共同演習もこういう海上作戦の保護のための日米共同。これは文字どおり攻守同盟ですよ。そういう共同演習やっているんです。
 読売の二月十七日の記事には、ワシントン電、アメリカ政府筋がグアム島周辺までの南方航路を日米共同で防衛することを検討していると報じて、これが有事の際の日米共同対処計画の中に入るという記事がありますけれども、こういう事実はありますか。防衛庁長官。
#369
○政府委員(原徹君) そういう事実はございません。
#370
○上田耕一郎君 グアム島というのは千海里よりもっと遠いわけですね。
 それから、いま防衛庁でこういう三つの海峡を通る日米共同作戦ですね、これを検討しているという事実があるんです。これは文字どおり日本の横須賀からペルシャ湾地域に向かう海上輸送路で、一つはフィリピン海峡。一つはロンボク海峡、インドネシアであります。もう一つは、トーレス海峡といってオーストラリアとニューギニアの間の。この三つの海峡防衛、海上交通路、航空路ですね、これを日米で共同防衛したいというので協議が進んでいるという、そういう話がある。こういう申し入れ、いかがですか、ありましたか。
#371
○政府委員(原徹君) ございません。
#372
○上田耕一郎君 いままではないそうですけれども、今後、アメリカ側からこういう海上交通路、三つの海峡を通る海上交通路の保護のための日米共同作戦計画、こういう提案があったとき、断固として拒否できますか。防衛庁長官。
#373
○国務大臣(細田吉藏君) さような相談はないと思いますが、仮定の質問でございますので、これ
 以上お答えすることはできません。
#374
○上田耕一郎君 そんなことないですよ。これは大問題になっている。新聞でもいろいろ報道しているので、こういう要請があった場合拒否するということは言えないんですか。仮定じゃないですよ。再答弁を求めます。
#375
○国務大臣(細田吉藏君) ただいまお答えいたしましたとおりでございます。
#376
○上田耕一郎君 首相、いかがですか。こういう日米の共同作戦拡大ですね、こういうのがアメリカ側から要請があった場合、仮定の問題だから答えられないとしか言えないですか。拒否すると、日本の責任者として言えませんか。
#377
○国務大臣(大平正芳君) そういう相談はないようでございます。将来も恐らくないと思います。
#378
○上田耕一郎君 あった場合ですよ。あった場合拒否すると、はっきり、じゃ答えてください。
#379
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど防衛庁長官が答えたとおりでございます。
#380
○上田耕一郎君 答えてくださいよ。答えられないということないでしょう、仮定の問題じゃないんだから。仮定の問題だから答えないなんというのは国会を無視したやり方ですよ。答えてください、大問題なんだから。仮定じゃないですよ、現に報道が幾らでもあるんだから。
#381
○国務大臣(大平正芳君) まだそういうことはアメリカ側から持ち込まれておりませんので、もしそういう申し入れがありました場合にお尋ねをいただきます。
#382
○上田耕一郎君 それじゃ仮定の問題じゃないことを証明しましょう。
 ここにアメリカの雑誌の「エービエーション・ウイーク・アンド・スペース・テクノロジー」、自衛隊特集の記事が載っている。これに在日米軍司令官のギン将軍がインタビューしている。ここでギン将軍はNATO並みの訓練作戦でですね、統合軍としての訓練作戦に日米は向かいつつあると、NATO並みの統合軍の訓練を始めていると言っているのです。アメリカは、防衛庁が北東――これは北西の誤りですが、北東太平洋とインド洋での日本の役割りを果たすようにさせるように努めているということを在日米軍司令官が言っている。そしてこの記事は、アメリカ国防総省は「日本政府との率直な討議の中で、アメリカがグアム周辺までの死活的シー・レーンを維持するのを援助する責任を日本が負ってくれるよう求めてきている。」と、こういう記事が在日米軍司令官ではっきり載っているんですから、仮定の問題じゃないです。今後こういう問題が出たときに、日本の国民がアメリカのこういう戦争に巻き込まれないように拒否するということをなぜ言えないんですか。答弁を要求します。
#383
○国務大臣(大平正芳君) まだそういう要請は受けておりませんので、先ほどお答えいたしたとおりでございます。
#384
○上田耕一郎君 そんな、納得できないですよ。これだけの大問題でね、明白じゃないですか。そういうものがきたとき答えられないと、そんな話はないです。いまから拒否すると……。
#385
○委員長(山内一郎君) 上田君、質問を続けてください。
#386
○上田耕一郎君 向こうが答える番ですよ。向こうが答える番ですよ。
#387
○国務大臣(大平正芳君) ですから、先ほどお願いいたしましたように、もしそういうことが万一あった場合には、改めてあなたの方からお尋ねをいただきます。
#388
○上田耕一郎君 そんな、だめですね、そういうのは。これだけの大問題で、なぜ答えられないんですか。何を言ってんだい。何でこれ答えられないんだい。大問題だよ。
#389
○委員長(山内一郎君) じゃ、ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#390
○委員長(山内一郎君) 速記をつけてください。
#391
○上田耕一郎君 仮定の問題で答えられないと言われますけれども、再度申しますが、読売新聞二月十七日ワシントン電は、日米防衛当局は、いま日米ガイドラインに基づいて共同対処計画の作成を急いでいるが、アメリカ政府筋は日本側がこのシーレン防衛に関して、グアム島周辺まで防衛に当たることを前向きに検討していることを明らかにしたという読売新聞での報道もあります。
 私はこの地図で、三つの海峡の共同防衛ですね、これを日米双方で協議しているのではないかという疑惑をも示しました。それからまた、このアメリカの「エービエーション・ウイーク」という雑誌で、在日米軍司令官のギン将軍が、日米でこういうグアム島までの防衛ですね、こういう問題を進めているという事実をも述べていることをも私明らかにしたわけです。もうすでにNATO並みの共同防衛になっているということを言っている。それから、ギン司令官は、北東太平洋とインド洋での日本の役割りを果たすようにさせることにアメリカは努めていると書いてある。これだけの重大な疑惑があるので、全く仮定の問題とは考えられない。これだけの大事な問題で、もしアメリカがそういう要請をしたとき、グアム島まで防衛してくれとか、三つの海峡の防衛も頼むとかいったときに、日本は安保条約に定められていたあの範囲、少なくともその範囲ということで当然これは拒否すべきだということを答えるべきだということです。
#392
○国務大臣(大平正芳君) 政府の申し上げることも信用していただきたいと思うのです。アメリカ側からそういう具体的な相談は受けていないということでございます。アメリカ側にどういうお話があるのか知りませんけれども、新聞にどう書いてあるのか知りませんけれども、政府はそういう相談は受けていないということでございますし、私は恐らく将来そういうことはあり得ないと考えますけれども、もし万一そういうことがございましたら、その暁にお尋ねをいただきたいと思います。
#393
○上田耕一郎君 だから、それでは納得できないというんですよ。現にこういう危険があるのだから、なぜノーと言えないんですか。将来そのときに答えるというのは、将来イエスということがあるかもしれぬという含みですか。イエスもノーもあるという考えですか。
#394
○国務大臣(大平正芳君) 新聞記事にこうあったとか、こういううわさがあるとかで一々政府が答えるわけにまいりません。
#395
○上田耕一郎君 こういうことにもしイエスと言うことがあれば、やっぱり日米軍事同盟が文字どおり攻守同盟、集団自衛権の発動に進む危険があるからです。
 私は、最後に政府に要望しますけれども、これまで明らかにしましたように、国連憲章違反の疑いのあるアメリカのペルシャ湾に対する軍事力行使、これと結びついて太平洋における海上自衛隊、航空自衛隊の機能の拡大、これが求められているという状況で、日米軍事同盟の非常に危険な侵略的拡大が現実の問題になっているわけです。ところが、先ほどの答弁で共同防衛の区域、作戦行動の範囲等々きわめてあいまいだった。もう時間がないので余り詰めませんでしたけれども、改めて日米の共同防衛区域、自衛隊の作戦行動の範囲、日米の共同作戦行動の範囲、それらの条約上の根拠、こういうものについて国会に対して政府の明確な統一解釈を要望したいと思います。
#396
○政府委員(原徹君) 先ほど御答弁したとおりでございまして、いわゆる防衛区域、海域分担、そういうような考え方は一切ないのでございます。日本は自衛隊が自衛のために必要なことで作戦をする、それをアメリカは支援する、そういうことでございまして、それ以外のことはないのでございます。
 先ほどもいろいろなお尋ねがございましたけれども、アメリカがいま日本に対して言っておりますのはそういうことではございませんで、日本の防衛のための防衛力、そういうものについてもうちょっとやっていただきたいと、こういうお話でございまして、そういうまあ遠くの保護とかいうようなことを言っているわけではないわけでございますから、私はそういう要求というのはまあないだろうと思っているわけでございます。
#397
○上田耕一郎君 まことにあいまいな見解ですね。どうもわからぬらしいけれども、これは重大な問題だと私は思うのです。
 この問題に関連して、もう一つ最後に聞きたいことは、日本の防衛という理由がつくのならば、アメリカの艦船をも海上交通路の保護ということで守るということもあり得るということを防衛局長は答えられた。その際アメリカの艦船が攻撃されたときこれに反撃するということになれば、文字どおり集団防衛、集団的自衛権の発動ということになりませんか。
#398
○政府委員(原徹君) 先ほど来申しましていますように、自衛隊はもちろん個別的自衛権で日本を守るために行動するのでございますが、その防衛出動があったときの状態をいま考えてみますると、そういうときにまあ共同作戦をするわけでございますから、その共同作戦をやっている部隊に対してとにかく向かってくるのは、いま防衛出動が出てくる侵略国の艦船とか航空機なのでございますから、それはアメリカがいようといまいと、それはやはり防衛しなきゃならないわけでございまして、それは日本を守るためにやっているわけでございますから、それは個別的自衛権の範囲内の問題であるということでございます。
#399
○上田耕一郎君 私は、アメリカのカーター戦略の危険な展開のもとで日米軍事同盟がきわめて危険な侵略的拡大の方向に向かおうとしていること、文字どおり攻守同盟への、侵略的な攻守同盟への変質が進みつつあるということ、これが日本の国民をアメリカの戦争に巻き込む危険をますます大きくしているということ、この点を強調したいと思う。われわれは、だからこそ日米軍事同盟の廃棄を要求して闘っている。そのことが実は日本の安全を守る道である。
 軍事同盟に反対している国々がいま非同盟諸国会議というのをつくっておりますけれども、非同盟諸国会議に参加している国の数はどのぐらいになっておりますか。
#400
○説明員(馬淵晴之君) お答え申し上げます。
 第六回のハバナ会議で採択された最終宣言には、この会議には八十九カ国とそれから三組織が正式メンバーとして参加しております。
#401
○上田耕一郎君 国連加盟国が約百五十二ぐらいですからね。三分の二を超えて四分の三近くなっておる。オブザーバー、ゲストを入れると、国連加盟国中百十二カ国が非同盟諸国会議に入っている。日本が安保条約をなくして非同盟諸国会議に参加するということになれば、軍事ブロック反対の国際的な政治的な潮流の力が非常に大きくなる。この非同盟諸国会議にはOPEC諸国が全部入っているわけですから、これはエネルギー問題の解決にも非常に役割りを果たすということを私どもは指摘したい。だからこそ、私どもはこういう危険な軍事ブロックの拡大の方向でなしに、日本は非同盟中立の道に進むべきだと、いまこそそれが国民的な課題だということを強調したい。
 さて、こういう軍事同盟条約、これは一般にどういう廃棄条項を持っているか、これをお答え願いたい。
#402
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。
 安全保障条約も含めまして申し上げますと、日米安保条約は第十条でございまして、「この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。」というのが前段でございまして、後段には「この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。」ということになっております。
 さらに一応、NATOの条約がございますが、NATOの条約は、条約が効力を生じてから二十年を経過した後は締約国は廃棄通告を行うことができ、廃棄通告を行ってから一年後に脱退できるというふうに書いてございます。
 ANZUS条約は、「この条約は、無期限に有効とする。」と書いてございまして、さらに、当事国は通告を行ってから一年後に理事会の構成員であることを終止することができるという書き方になっております。
 さらにSEATO、それからアメリカ・フィリピン――米比、それからアメリカ・韓国――米韓、それからアメリカ・台湾でございますが、米台の防衛条約というものは、いずれも無期限に効力を有するとしてございまして、さらに、いずれの締約国も廃棄の通告ないしはその旨の通告を行ってから一年後に廃棄または脱退できるというように規定してございます。
#403
○上田耕一郎君 まあすべての、ほとんどの軍事同盟条約国がこのように一方的廃棄通告で一年後に廃棄ということになっておりますが、なぜこういう条項が共通してあるわけですか。
#404
○政府委員(伊達宗起君) これは特に軍事同盟条約と申しますか、集団安全保障条約に限りませんで、大体におきまして条約を締結いたしますときには、条約の有効期限として三年でございますとか五年でございますとか十年でございますとか決めた後は、一年の予告をもって解除と申しますか、廃棄できる、ないしは脱退できるというふうに定めるのが普通でございまして、これは条約を結ぶ際に、全くそのまますぐに、結びました翌日に廃棄をされるようでは困るわけでございますので、一定の有効期間というものを定めた上で、その後はそれぞれの条約当事国の意思によって廃棄するという、まあ事情が変更してくるということも考えましてそういう規定を設けているものだと思います。
#405
○上田耕一郎君 これはまあ当然のことなんですね。主権国家として当然で、相手がどう言おうと軍事同盟条約は一国がこれを廃棄しようということを国家意思で決めたときに、これは一方的に廃棄通告する。それで一年後になくなるというのはもう国際的な常識であります。
 ところが、最近、交渉による廃棄と――片方は、日本は主権国家としてやめようと思っているのに、向こうがノーと言う場合はやむを得ず続けよう、そういうのが当然だというような主張があります。社会党、公明党の政権合意構想、こういうものもそういう考えですけれども、これは私は主権放棄にほかならないと思うのですね。私ども日本共産党は、安保廃棄、非同盟中立、この方向のために、この実現のために全力を尽くしたい。
 最後に、私は、大平首相が、先ほど私が質問した問題について、仮定の問題だ、将来そのときになって答えたいと言うのは、実はイエスを言う可能性もあるという非常に危険な意図を示したものだと思います。日本共産党は今後もこの問題を追及したいと思いますけれども、時間の問題もありますので次に移りたいと思います。
 次に、財政問題に移る前に、ひとつ国際障害者年について若干お聞きしたい。来年一九八一年は、「完全参加と平等」というテーマで国際障害者年で、国連はすでに幾つかの宣言と行動計画を決定しております。その「国内活動」のB項というのでは、障害者団体の代表を含む国内委員会設置がありますけれども、官房長官、日本ではどのような構成で、いつ発足するつもりですか。
#406
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 五十六年が国際障害者年でございますので、目下、どういう委員会をつくるか、どういう人がその委員になるかということにつきましては、関係省庁で検討しているということでございます。
#407
○上田耕一郎君 同計画のh項では、政策総合化のための政府機関の設立を求めておりますが、総理府に障害者問題の担当室を設けてはいかがでしょうか。
#408
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 いま申し上げました委員会、どういう方が委員になるか、あるいは対策室を設けるか設けぬかということも含めまして、いま関係省庁で検討中でございます。
#409
○上田耕一郎君 日本の障害者政策は、大分進みはしましたけれども、まだまだ、御存じのように、欧米諸国と比べてもおくれています。雇用の問題、町づくりの問題、公共施設の問題、新幹線、国鉄あるいは私鉄、バスあるいは住宅等々、いろいろな問題がありますけれども、国際障害者年を迎えて、その現状と、それから今後こういう施策に向けて進みたいという方向、その他具体的な問題について、厚生大臣、建設大臣、運輸大臣、労働大臣、それぞれ答えていただきたいと思います。国鉄の問題についても運輸省に答えていただきたいと思います。
#410
○国務大臣(野呂恭一君) 国際障害者年を明年に控えまして、厚生省は心身障害者対策に重点を置いております。五十五年度の関係予算の総額を見ましても四千八百億でございます。前年に比べますならば八・二%の増と相なっているわけでございます。
 その対策の主なものは所得保障対策あるいは在宅障害者対策、あるいはまた施設対策等を中心といたしまして、国際障害者年を機会に身体障害者対策の充実強化に努めておるわけでございますが、先ほど御指摘のとおり、身体障害者の福祉を確保するということは、単に福祉施策だけでありませんので、教育、雇用、生活環境改善等、広範多岐にわたっての施策を必要とするものでございます。中央心身障害者対策協議会を中心といたしまして、各省それぞれの立場において努力をいたしている次第でございます。
#411
○国務大臣(渡辺栄一君) お答えいたします。
 建設省としましては、障害者が自立をいたしました生活を営み、また積極的に社会に参加していけるように従来から努力をいたしておる段階でございまして、現在のところといたしましては官庁施設の建築改善、特に御承知のようなスロープでありますとか障害者用の便所とか、それらにつきましても努力をしておるわけでございます。さらに道路関係につきましては、歩道の段差の切り下げ、また誘導ブロックの設置あるいは心身障害者向けの特定目的公営住宅の建設、これら生活環境施設の整備を行っておるところでございますが、昭和五十四年の六月からは、御承知のように、高速道路を利用いたします、みずから運転いたしまして利用いたします場合の有料道路の利用、これは二分の一にいたすことにしておりますし、今度の国会におきましては、身体障害者の単身入居も認めるということで法の改正もいたしたい。今後ともこういうような問題につきましては一層努力をいたしてまいりたいと思っております。
 具体的なことが必要でありますれば政府委員からさらに詳しく説明さしても結構でございます。
#412
○上田耕一郎君 ちょっとお願いします。
#413
○政府委員(丸山良仁君) ただいま大臣から御説明申し上げたとおりでございますが、なおつけ加えさしていただきますと、まず官庁施設につきましては、昭和五十二年の十月に通達を出しまして、それ以後建てられる官庁施設につきましては身体障害者用の施設をつくると、こういうことになっております。それから、その前のものにつきましては、五十三年度から五十六年度までの四カ年計画によりまして、合同庁舎を中心に身体障害者用の施設の整備を図ってまいりたい、こういうことでございます。
 それから道路につきましては、いま大臣が御答弁を申し上げたような次第でございます。
 また住宅につきましては、公営住宅につきましては、心身障害者用の住宅をたとえば本年度は六百十九戸建てております。また公団住宅につきましても、優先入居の措置がございます。また住宅金融公庫につきましては、最高六十万円の割り増し貸し付けを行うというようなことをやっておるわけでございますが、今後ともこれらの施設につきましては十分配慮してまいりたいと存ずる次第でございます。
#414
○国務大臣(地崎宇三郎君) 鉄道におきましては、目の不自由な人のために、駅舎における誘導装置及び点字運賃表の設置、自動券売機への点字テープの張りつけ、または車いす利用者のために改札口の拡幅、駅トイレの新設、改良、駅エレベーターの活用などを身体障害者の利用度の多い駅から順次実施しているほか、車いすの利用に対応できる新幹線車両の整備、シルバーシートの確保等を行っており、さらに車両等への盲導犬の随伴や車いすの持ち込み等を認めるなど、身体障害者の利便の確保に努めているところであります。
 運輸省といたしましては、今後とも関係行政機関と緊密に連携して、所要の施設の整備を一層進めるように鉄道事業者を指導してまいる所存でございます。
#415
○国務大臣(藤波孝生君) 心身障害者の方々の雇用の問題は、労働行政上の最も大きな課題の一つである、このように考えまして重点的に取り組んできておるところでございます。
 特に身体障害者雇用促進法に基づきまして、身体障害者雇用率の達成の指導を進めてきております。
 また、各種の助成金制度の活用等によりまして、心身障害者の方々が働いていただく、その雇い入れのための条件を整備していくということを中心にいたしまして努力をする。同時に、心身障害者の方々に対しましては、職業訓練でありますとか、また職業指導といったことを中心に強力に行政を実施をしてきておるところでございます。
 身体障害者の雇用状況を、昭和五十四年六月一日現在の身体障害者雇用率の達成状況の数字で見ますると、法定雇用率一・五%の民間企業では、実雇用率一・一二%となっておりまして、ここ数年徐々に改善、前進を遂げてきておるところでございます。今後とも雇用率の達成をいたしますように、特に大企業で少し数字がなかなか整うていかないというきらいがございますので、こういったところにつきましては身体障害者の雇い入れに関する計画を作成することを命じまして、その適正な実施を勧告する。計画をつくる、その次に勧告する、こういうことで強力に行政指導を進めてまいっておるところでございます。
 また、重度障害者や中高年齢者の障害者の方々の雇用は、特に職につきにくいという条件にございますので、五十四年度から新たに重度障害者等のための雇用管理助成金を設けまして、さらにこういった面を推進をしていくようにいたしたい、こう考えておりますが、いずれにいたしましても、心身障害者の方々の雇用の問題は、やっぱりお一人お一人の個性と能力に対応していくということが大事でございます。もう、二人以上まとめてというような話にはなりません。一人一人にどのようにきめ細かく、しかも誠実に対応するかというふうなことが行政の課題でございますので、第一線の職業安定指導官などを中心にいたしまして、若い方々には学校の先生方と連絡をとる、社会にお入りになってからの方につきましては、地域の方々や御家庭の方や、あるいは職業安定の指導官、みんな連絡を取り合いまして指導に当たっている、そして一人でも多く働いていただいて社会に参加をしていただくことができる、そういう構えをつくるように努力をしておるところでございます。
 なお、来年は国際障害者年に当たりますので、特に関係者の方々の御希望もあり、国際的な経験を身につける、それから一般の理解、認識を深めるといったようなことを目標にいたしまして、国際身体障害者技能競技大会を開催をいたしたいと考えまして準備に入っているところでございます。
#416
○上田耕一郎君 東北新幹線など今後建設中の新幹線、それから民間の私鉄、この問題、先ほど言ったんですが、政府委員、運輸省の方、少し詳しく答えていただけませんか。
#417
○政府委員(山地進君) 新幹線につきましては、現在主要な「ひかり」の停車駅にはこういった施設を拡充しておりますが、東北新幹線等の駅につきましても、従来の例にならって身体障害者用の施設を逐次整備していきたいと、かように考えておるわけでございます。
 それから現在の新幹線でございますが、「ひかり」の九十九両でございますが、これに全部車いすを持って乗り込めるというようなこと、それから身体障害者用のトイレというのもついてございます。これにつきましては、今後は「こだま」にもできればこういうものを拡充していきたい、かように考えております。現在のところ「こだま」には八両ついております。
#418
○上田耕一郎君 身障者用のエレベーター、こういうものもぜひつけるようにしていただきたいと思うんです。
 さて、非常に切実な問題で、自立する障害者ということを真のものにするためには仕事の問題が非常に大事だと思うんですね、労働大臣も言われました。雇用拡大では法律までできているんだけれども、政府が先頭に立つ必要がある。そうでないと国際障害者年は絵にかいたもちになると思う。
 その一つとして、いま全日本視力障害者協議会などから、官公庁がみずから率先して視覚障害者を雇用すること、それから各種公務員試験には点字の受験、これを認めるようにしてほしいという請願が出ているんですけれども、人事院、この公務員試験の点字受験、私は本当に認めるべき段階に来ていると思いますが、いかがでしょう。
#419
○政府委員(藤井貞夫君) 身障者につきまして点字受験を認めるべきではないかという話は以前から出ております。また、特に最近は非常に熱心にそのことが主張せられておるということも重々承知をいたしておるところでございます。
 少しくどいようでございますが、御説明を申し上げますと、国家公務員の試験というのは、御承知のように、文書、書類の媒介ということが非常に重要な仕事の内容になっておるわけでございます。文書の受け付けから始まりまして、文書の審査あるいはいろいろな策案の問題、これをさらに一般に流していくというような問題、送達の問題――文書の媒介というというものが大変重要なことに相なっておるわけでございますので、したがいまして、試験を行いまする場合にも、これに重点が置かれるような業種についてはそれにふさわしい試験をやらなきゃならぬということで従来からやっておるわけでございます。
 雇用の拡大ということは、いまお話にもございましたし、また労働大臣からも適切な御答弁もございましたように、大変大事なことでございまして、人事院といたしましてもその方向の努力はやってまいる所存で、従来からも大いに検討を続け、またやれることはやるということでやっておるつもりでございますが、一面試験の性格の問題もございまするし、それから雇用の問題と同時に、公務に従事するということでございますので、国民に対するサービスと申しますか、その点もこれは無視ができないという問題もございます。したがいまして、そこにおのずからなる限界があることはやむを得ない点であろうと思いますが、しかし、公務員についての採用の問題は、試験だけではなくて、これは選考という方法もございます。選考は、それぞれ本人の能力に応じてこれを適切なるところにできるだけ採用していくという、そういう努力の範囲というものはなおあるわけでございますし、現在もそれ相当の部面においてはこれを実施をいたしておるという面がかなりございます。その方面の努力は今後とも大いに続けてまいりたいし、それが雇用の拡大ということにつながり、また障害者年ということの趣旨にも合致をいたしますれば大変結構なことでございますので、その方面の努力も、人事院といたしましてもできる限りの努力をいたしたいと思っておりますが、おのずからそこに限界というものがある、そういう点を踏まえながら今後とも失いに努力をすべき点は努力をしてまいりたい、それが現在のところの人事院、われわれの立場であるということを申し上げておきたいと存じます。
#420
○上田耕一郎君 努力はするが限界があるということですね。
 文書、これを扱うのが大事だ、仕事だというふうに言われたんですけれども、法務省にお伺いします。
 司法試験ですね、これは文書を扱う弁護士、検事、裁判官になるわけですけれども、これはすでに点字によって受験が認められているんですけれども、実施に至る経過と受験の現状いかがでしょうか。
#421
○政府委員(筧榮一君) お答えいたします。
 司法試験につきましては、昭和四十七年に視力障害者の方から点字による受験を認めてほしいという御要望がございまして、昭和四十八年二月に司法試験管理委員会――御承知のように、法務事務次官と最高裁事務総長及び日本弁護士連合会の推薦する弁護士一名の三名から成っておる機関でございますが、司法試験管理委員会においていろいろな点を種々検討いたしました結果、点字による受験を認めるという結論を得たわけでございます。その後現在に至るまで、司法試験の二次試験につきまして点字による受験を認めて現在に至っております。その間には、いろいろ問題――点訳の問題でございますとか、あるいは論文式の試験の際に受験者に配付して利用させますいわゆる司法試験用六法、これの点字版、相当膨大なものでございます。それの作成とか、毎年その改正でございますとか、あるいは試験の時間をどの程度延長することが他の受験者の間に実質的な公平と言えるかというような数々の問題がございます。現在に至るまでその方針でまいっております。
 ちなみに、昭和四十八年から五十年までは毎年一名の受験者でございました。昭和五十一年が二名、五十二年、五十三年が四名、昭和五十四年が五名でございます。なお、現在まで司法試験第二次試験に点字の受験者の中から合格者はまだ出ておりません。
#422
○上田耕一郎君 一次試験は通った人がいましたね。
#423
○政府委員(筧榮一君) 一次試験と申しますのは、司法試験の一次試験と申しておりますが、司法試験の受験資格でございますので、法律の試験というよりは、大学のある程度の学年と同等の学力を認める試験でございます。
#424
○上田耕一郎君 リハビリテーションですね、理学療法士の国家試験、これも点字を認めたはずですが、厚生省、この点についてお伺いします。
#425
○政府委員(田中明夫君) 現在厚生省において所管しております国家試験の中で点字による試験が行われているものは、御指摘のように、理学療法士の国家試験でございます。作業療法士の国家試験につきましても理学療法士と同様と考えられますが、実際に点字によって受験をしたという者の例がまだございません。
#426
○上田耕一郎君 文部省にお伺いします。
 教員の採用試験に点字を採用している状況はどうか。
 それから、国公立大学、私立大学での入試での点字受験、これの状況はいかがでしょうか。
#427
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 教員の採用試験の問題でございますが、これは各県の教育委員会がやっておるところでございますが、希望がありますれば点字で受験をさしておるわけであります。そして、受験時間等も若干ほかの方よりも五割ぐらい時間をよけいに与えてやっておる状況でございますが、人数その他ちょっとわかりかねております。
 それから大学の入試でございますが、大学の方は少しずつふえておりますけれども、まあ四十人ないし五十人ぐらいの方々が受験をいたしておりまして、この五十年以来点字の試験をやりました大学が大体五十校くらいになると思います。それから、なお共通第一次試験、これ去年からやっておるわけですが、これを受験いたしましたのは、昨年がたしか九名、ことしが十名程度受験をしておる、これはもちろん点字でやっておりますが、そういう状況でございます。
#428
○上田耕一郎君 いま各省からお答えいただきましたように、かつては、はり、きゅう、マッサージと、この三療だけが視力障害者の方々の職業と考えられていたんですけれども、日本でもだんだん新しい職業に自立する方々がふえつつあると、そして司法試験まで、あるいは教員あるいは大学生ですね、こういうところにまで道が開かれ始めたと、急速に変わっているわけであります。いま国公私立大学で全盲の大学生が約六十人いらっしゃる。ところが、その大学を出て司法試験しかまだ道が開かれていないというのが現状であるわけですね。地方公務員はどうなっていますか、自治省。
#429
○国務大臣(後藤田正晴君) 東京都で点字の試験をやっております。五十五年度から神奈川県も採用したいと、こういうことでございますが、何せ採用の数が少ないんです。公平な試験をやるという意味で、私は、非常に試験制度、点字は結構だと思いますけれども、採用は、こういった身体障害者の場合には選考の方法をとっている場合が多いんですね。だから、私は、今日必要なことは、試験制度の改善もさることながら、地方公共団体の中における職場の開拓、この面の指導をもう少しやっていきたいと、かように考えております。
#430
○上田耕一郎君 東京都は一般職に四十八年から実施して、これまで二十六名受験して七名合格した。福祉会館、図書館、福祉センターなどでりっぱに働いているということであります。
 先ほど人事院総裁は、やっぱり文書を扱うと言われましたが、首相、オプタコンという「指先の目」という機械があることを御存じですか。
#431
○国務大臣(大平正芳君) 私よく存じません。
#432
○上田耕一郎君 いや、御存じないのは当然で、日本盲人職能開発センターの松井所長から私も今度初めて教わったんです。ちょっと首相、このオプタコン、「指先の目」というのを見ていただきたいんですけれども、(実物を手渡す)これはアメリカで発明されて日本にいま百六十台あると。カメラでずうっと本や何かをやりまして、指先で全部それを読み取れるという機械で、高くて、百三十万円だそうですけれども、大学生にも貸す仕事までやっているわけですね。そうすると、字引でも読めるし、訓練すれば、それからデパートへ行って着物の柄までこうやってこれでわかる。本当に「指先の目」ということで、字引きも読めるというのですよ。そういうものが生まれているのですね。だから、こういう補装機器というのも非常に発達している。
 人事院総裁、外国でこういう公務員に点字受験、あるいは公務員になっているかどうか御存じでしょうか。
#433
○政府委員(藤井貞夫君) 実は、御指摘があります前からも、私自身といたしましてはそういう点もやはり調べておく必要があるということも考えておりまして、事務当局にその調査を指示をいたしておりますが、現在のところは、大変申しわけございませんが、各国でどういうようなことをやっておるかという実績はつかんでおりません。ただ、いま指示をいたしておりますので、調査が済み次第、適当なときに御報告を申し上げたいと思います。
#434
○上田耕一郎君 ぜひ御報告いただきたいのですけれども、非常な反響を呼んだNHKの「働く盲人たち」という番組があって、これを集めた本が出ています。この中にありますけれども、これを見ると、「諸外国における盲人の職業事情」というのを見ますと、やっぱりアメリカ、イギリス、ソ連ですね、こういうところではもう本当に普通職に五割以上六割、七割、公務員にもなっているというデータが出ています。ぜひ人事院もそういうものを見ていただきたい。
 総理、最後に、来年、国際障害者年で、その行動計画の中には、障害者の教育及び雇用に関し、起こり得る差別的な慣習を除去するための現在ある法律、これを見直すこと、ということが書いてあるんですね。日本の場合には国家公務員法その他でこういう差別的な慣習が制度化されている、御存じの七十八条の問題などがあるわけですね。ぜひこういうものを見直していただいて――視力障害の方のほとんど九割は生まれつきではなくて中途失明ですね。そういう方が多いわけだから、その人たちの自立しようとする気持ちをくんで、本当にまじめに、ものすごい努力をして仕事をされている方が非常に多い。そういう点で、この来年障害者年を迎えるに当たって、もう一つ希望の灯を加えるという点で、大学で学んでおる人も多いわけだから、司法試験だけでなく、国家公務員に点字受験を、本当に残っているところなので、踏み切る方向にぜひ御検討いただきたいと思いますけども、いかがでしょうか。
#435
○国務大臣(大平正芳君) 人事院でいろいろ検討をいたしまして、ただいまの段階はなかなかむずかしいということを承っておりますけれども、この困難をどうしたら打開できるか、政府として篤と検討を進めて、希望が持てるようなものにすべく努力をしてみたいと思います。
#436
○上田耕一郎君 首相から希望を持てるような方向で困難があっても努力してみたいというお言葉をいただきましたので、ひとつぜひ人事院も内閣も御努力いただきたいと思います。
 次に、財政再建問題に移りたいと思います。お配りした「(資料5)」にデータがありますが、大蔵省、私どものこの数字に誤りがないかどうか、ひとつ当たっておいていただきたいと思います。
 まず、予算修正問題についてお聞きしたい。
 衆議院段階で、自社公民との間で千四百十四億円の実質修正が行われた。この委員会でも御報告並びに議論がありましたけれども、確実に一般会計の歳出増となるのは幾らなんでしょうか。これは大蔵大臣にお伺いします。
#437
○国務大臣(竹下登君) 今回合意を見ました内容は、金額にして総額一千四百十四億円程度になるものと承知いたしております。今回の合意事項の執行につきましては、今後誠意を持って検討を進め、それぞれ実情に即し、必要に応じて適切に対処することとしております。その段階で予算上の措置につきましては適切に対応してまいりたいと考えております。したがって、最終的に一般会計の歳出増がどの程度となるか、現在申し上げられる段階にはございません。
#438
○上田耕一郎君 なかなか政治的な御発言ですけれども、新聞その他でも、大蔵省その他の数字で、実質は二百四十八億円だという数字が出ていて、どうも水増しのようです。これは参議院の予算委員会としても予算修正問題なんで大きな関心があります。この中に中高年齢者雇用開発給付金というのが入っているけれども、これはすでに政府予算案に計上されているんじゃありませんか。
#439
○国務大臣(竹下登君) 中高年齢者雇用開発給付金の現行指定期間は本年六月七日までとされておりますが、この指定期間が延長され継続実施される場合に備えて、五十五年度予算において約百五十三億円を計上しているところであります。
 ただ、この給付金を六月八日以降も継続実施するかどうかにつきましては、中央職業安定審議会に諮って、五十四年六月に定めた指定基準に基づきその時点で判断することとなっており、今後の雇用、失業情勢の推移にもよります。しかしながら、先般の自民党が回答いたしまして四党で合意いたしました期間指定の基準の緩和につきましては関係審議会に諮って指定期間の延長に努めるとされておりますので、この回答の趣旨に従い、この給付金の継続実施が行われる場合必要となる所要額のめどとして百五十三億円が示されたものと思われます。
#440
○上田耕一郎君 もうすでに予算化されているものを修正要求に掲げる方もどうかと思いますけれども、修正額をふくらませるために、予算化されていることを百も承知で回答に掲げる方も相当なものだと私は思いますね。これは国民に対して責任を明確にすべきだと、そう思います。
 それで、今後の政府予算案は、この程度の実質二百四十八億円の修正ではもうどうにもならない三重苦予算だと私どもは思う。公共料金の値上げでインフレ予算、福祉の切り捨て、実質増税というものであって、日本共産党は、減税とか福祉の充実、あるいは防衛費の削減その他で総額三兆六千億円規模の組みかえ動議を提出しましたが、こういう立場に本当に立たなければやっぱり国民の利益はいま守れないだろうと、そう私は思います。私どもは、この中で防衛費の削減六千億円を要求しました。大体一機百億円もする例の疑獄がらみのF15あるいはP3C、こういうものもうんと盛り込まれている。
 それから防衛費の中で米軍用の予算が千五百五十八億円もある。その中で元金丸防衛庁長官が思いやりだと言われた米軍のための費用、思いやり負担三百七十四億円もあるというようなことはやっぱり許せないと思うんですね。防衛庁、この内訳を答えてください。
#441
○政府委員(玉木清司君) お答えいたします。
 三百七十四億円という御指摘がございましたが、それは昭和五十五年度の審議していただいております予算に組み込んでおります提供施設の整備費と昭和五十五年度の駐留軍労務者に対します日本側負担分の合計金額でございます。
#442
○上田耕一郎君 地位協定の第二十四条、これはどう規定しておりますか。
#443
○政府委員(玉木清司君) 地位協定の第二十四条におきましては、第一項におきまして、駐留の在日米軍の維持に要する経費は米側の負担であり、施設の提供に要する経費は日本側の負担であるという原則を定めております。
#444
○上田耕一郎君 じゃ、なぜ思いやり負担で米軍のこれはやっているんですか。
#445
○政府委員(玉木清司君) 思いやり思いやりというお言葉でお尋ねでございますけれども、思いやりというのは、この新しき日本側の負担を考えました動機あるいはその姿勢を金丸元長官がそういう表現で言われたものでございまして、施設を提供いたしますのは地位協定の二条に基づき、経費の負担は二十四条二項に基づいて実施するものでございますし、労務費の方は地位協定の中にあります第二十四条一項によります米軍の維持の費用についてしさいに検討いたしまして、その中で日本政府が負担してしかるべきと考えたものを提案しておるということでございます。
#446
○上田耕一郎君 横田、横須賀その他で建設中の米軍用住宅、この広さ、間取り、設備、一戸当たりの建設単価、答えてください。
#447
○政府委員(玉木清司君) お答えいたします。
 横田、横須賀あたりで建設中の住宅という御指摘でございますけれども、住宅にもいろいろなサイズがございまして、例を申し上げますと、専用面積が百二平方メートルの住宅におきまして約二千万円という計算になっております。
#448
○上田耕一郎君 私ども調べたのはもうちょっと上のもので、一戸当たり百十一平方メートル、三千万円。私は間取りもちゃんと見ました。これは大変なものですね。リビングルーム、セントラルヒーティング、二寝室です。共用が一階にありましてね、共用のバーベキュー室もあります。成人用カードゲーム室――だれかさんのように四億五千万円かけて何かやるというのでないかもしれませんけれども、そういうふうなものまでちゃんとつくって、三千万円、民間マンション五LDKに匹敵するものを思いやりで建てて米軍にただで提供している。
 厚生大臣、お聞きします。今度の予算で身寄りのない老人たちの養護老人ホームの入居者たちから三十億円取り立てるというのを立てて、これは修正で二十億円になったようですけれども、アメリカ軍人にはこういう思いやりをやっておいて、思いやりの必要な養護老人ホームに入っているお年寄りたちから二十億円も取り立てる、厚生大臣、どういう気持ちなんですか。
#449
○国務大臣(野呂恭一君) お答え申し上げます。
 今回、老人ホーム、特別養護老人ホームなどに入居されておりますお年寄りの方々から、費用徴収基準を改定いたすことになったわけでございますが、これは昨年の十一月に中央社会福祉審議会から提出されました意見書の趣旨を尊重いたしまして行おうとするものでございます。これは言うまでもなく、本格的に高齢化社会が進んでまいります。これに備えまして、老人ホームも、言うならばいままでは収容の場としてあったわけでございますが、これを生活の場へと質的転換をしなければならない、こういう観点に立って現行の入所者の費用徴収基準を考えてまいりますと、負担能力を所得税法の課税状況に基づいて認定しておるということでございますので、たとえば月額十一万円の年金収入がありましても負担がゼロとなっている。実際の負担能力を十分に反映していない内容になっておるわけでございまして、年金を生活費に充てておる、たとえば在宅老人との不均衡の問題もこの点において生じてまいるわけでございます。また、今後年金制度が成熟してまいりますに従って、こういう在宅老人との格差が拡大していくという傾向にあることは、これはお認めいただけることだと思うのでございます。そういう意味で、早急に社会的公平の見地として、入所者の所得の実態に応じた形において、しかもそれが余り御迷惑にならぬような形で何とかこの自立意識を醸し出す生活の場をつくり上げていくのだと、こういった質的転換にも対応するような意味からも基準の改定が必要だというふうにいたしたわけでございます。したがいまして、三党から申し出もございますが、十分この点につきましては今後実施の段階におきまして無理のない負担額を設定するように配慮をしていきたいと、かように考えているわけでございます。
#450
○上田耕一郎君 在宅老人とのバランスを言われましたけれども、在宅老人への福祉そのものが低いんですよ。その低いのにそろえるというようなのはやっぱり思いやりの履き違いだと思いますね。そういう意味で、われわれはこの二十億円、こういうものはやっぱり取るというのをやめることが福祉政策のためにどうしても必要だと思う。
 ところで、現在一部負担している日本人の基地労働者の労務費について、読売の三月三日付の記事によると、将来全額負担を含みにして、五十六年度、半額の四百億円を地位協定の柔軟な解釈でわが国が負担する、そういう基本方針を政府が決めた、大来外務大臣が訪米の際にアメリカ政府に伝達するという報道が出ておりますが、とんでもないことです。事実でしょうか。
#451
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま御指摘の報道は全く事実無根でございます。
#452
○上田耕一郎君 防衛庁長官の側はどうですか。
#453
○国務大臣(細田吉藏君) 外務大臣と同様でございまして、全然そのような話もございませんし、考えてもおりません。
#454
○上田耕一郎君 大蔵大臣、いかがですか。
#455
○国務大臣(竹下登君) お二人がお答えになったとおりであります。
#456
○上田耕一郎君 この地位協定の形骸化が非常に進んでいるという状況なので、われわれはこういう問題は今後も厳しく見ていきたい。いま三大臣がこれ事実無根だと言われたので、しかとお聞きしておきたいと思います。
 次に、所得税減税の見送り問題、五十二年来三年間にわたって所得税減税が見送られているわけですね。何か新しい税金がこないので、何かそのままのようだけれども、インフレが進んでいるわけだから、もし所得がインフレと同じように伸びていくと累進課税なので実は税金は重くなっているということになって、実質増税が三年も進んでいるということになると思うんです。先ほど資料をお配りしましたが、大蔵省として計算していただいたと思いますが、この資料で、たとえば五十二年に年収二百五十万円であったサラリーマンの所得税、年収の伸びが消費者物価と同じとした場合、五十五年にどのくらいになりますか。
#457
○政府委員(高橋元君) 先ほどお示しのございました「資料5」、これで年収アップ率を三・八、四・七、六・四、五・〇、五・〇、五・〇、五・〇といたしました場合の年収及び税額、これはお示しをいただいた計算で間違いはないわけでございます。
#458
○上田耕一郎君 五十二年、三万一千八百円が五十五年に五万七千四百円になる。これは実は五十二年の四人家族一万五千円の戻し税が入っていないので、これを当然入れると何と三年間で三・四倍になるんですよ。二百五十万の所得の方は三・四倍の重税になっているということなんですね。
 首相、ひとつお伺いしますが、あなたは今後所得税減税やりますか、やりませんか。
#459
○国務大臣(大平正芳君) いま御案内のように、財政の体質を改善せにゃならぬ厳しい状況にございますので当面われわれの任務は財政再建をやり遂げることが国民の幸せに通ずることと考えておりますので、この期間中は所得税減税というようなことに手を染める状況でないと私は判断しています。
#460
○上田耕一郎君 つまり五十九年までやらぬということですね。七年間やらぬことになる。やはり計算を私どもしてお示ししましたが、五十二年に年収二百五十万円だった人、五十九年のを計算してありますが、大蔵省いかがでしょう。
#461
○政府委員(高橋元君) 先ほどの「資料5」の五十九年の欄に書いてあります数字でございます。
#462
○上田耕一郎君 五十九年十一万四千円になるんです。五十二年戻し税入れて一万六千八百円の税金だった人が五十九年に十一万四千円、税額は何と六・七倍、これだけの重税になってしまう。ところで、五十二年に年収二千万円だった人の場合も計算してありますが、五十九年でこの計算、どうでしょうか。
#463
○政府委員(高橋元君) お示しの資料の該当年度の該当の年収の欄のとおりであります。
#464
○上田耕一郎君 なかなかこういういやな計算とというのは御自分で計算しないのですよね。ひとつわれわれに計算してくれ、それの正否だけは確かめるというのですね。増税になる計算をいかに大蔵省がやっていないかということを示している。しようがないから私が読みます。二千万円年収の人、五十二年、戻し税入れて五百五万円の税額、五十九年、九百三十五万八千二百円の税額、わずか一・九倍なんですね。お金持ちは一・九倍しか税金を取られない。二百五十万円の人は六・七倍という、そういう重い税金を負担するんです。七年間所得税減税見送りだといかに増税になるかということがいままでのこの計算で明らかだ。事実の問題だ。税金が非常に重くなっていることをみんな感じているけれども、まだまだなるわけですね。こういう所得税減税の見送りだけじゃなくて、実際に新しい増税計画も入ってしまう。財政収支試算では五十六年度から五十九年度までの各年度にどれだけの増税を予定しているでしょうか、大蔵大臣。
#465
○政府委員(高橋元君) 財政収支試算を御提出いたしておりますが、これは御案内のとおり、経済審議会の企画委員会の六十年度経済の暫定試算、そこにありますマクロの諸指標を手がかりといたしまして、それを財政の数字に翻訳をしたわけでございます。それで六十年度の財政の姿を出しております。それで、六十年度から五十九年度に逆に通常の経済成長率一一・四、弾性値一・二として税収を戻しまして、五十九年度と五十五年度の二十六兆四千百億の税収を等比でつないだわけでございます。そういう計算過程でございますから、試算の中にお示ししております税収額は各年度の税収の予定というものではございません。また、その税収とその自然増収と見込まれる額との差額も具体的な増税額ということでもないというふうに御理解いただきたいと思います。
#466
○上田耕一郎君 総額は。
#467
○政府委員(高橋元君) 総額と申しますと、昨年度の財政収支試算の際に備考の欄に数字を掲記してごらんに入れたわけでございますが、中間年度を機械的に計算した各年度の税収額と前年度の税収額が名目GNPに対して弾性値一・二で伸びるとした場合の税収額との差額、五十六年度一兆一千三百億円、五十七年度一兆三千二百億円、五十八年度一兆五千六百億円、五十九年度一兆八千四百億円、合計五兆八千五百億円というふうに概算されます。
#468
○上田耕一郎君 これ大変な数字ですよね、五兆八千五百億。しかし、これで実際の国民の税負担はわからない。たとえばことし十万円増税が行われる、来年度また十万円増税というと、いまの計算だと二十万円というんだが、来年度は実はことしの十万円と新規増税また十万円で実は二十万円になる。二年間で三十万円ということになるんですね。そういう計算をしますと、実際の国民の負担はこの四年間で十五兆二千億円になります。これはわかりにくいので絵にかきましたが、こういうふうに政府の五兆八千億というのは毎年の新規のやつだけなんです、この赤で足した分。実際の国民に対する増税は、全く増税しなかった部分と加えると青全部です。これ全部で十五兆円。四年間で十五兆二千億円の実質的な負担が、いま全く増税しなかった場合と比べるとかかるわけですから、これまあ大変なものです。これに地方税のこういう同じ計算を加えますと、何と二十二兆三千億円、国民一人当たり二十万円、四人家族で八十万円、四年間の税負担増。これが先ほどの所得税減税見送りに加わって国民にかかるわけですから、これは私はもう大変なことだと思うのですけれども、首相、この責任どうお考えになりますか。
#469
○国務大臣(大平正芳君) いまも事務当局から御説明申し上げましたように、財政試算に盛りました数字はいろんな仮定を置いて試算――文字どおり試算でございまして、そこからわれわれが財政再建をやるやり方、税制をどう考えていくかという指針を探ろうといたしておるわけでございまして、それが年次別の増税額を示したものでないというようにお答えいたしたのでございまして、ああいう試算にあらわれた数字からわれわれはどういう教訓をくみ取るかということをいま検討いたしておるわけでございまして、毎年毎年予算編成を通じまして財政の再建もでき、国民経済の安定にも役立ち、国民の生活の安定も図りながらやっていこうといたしておるわけでございまして、具体的な論議は、やはり年々歳々の予算案を通じて詳細に吟味していただきたいものと思います。
#470
○上田耕一郎君 いま財政再建が大きな問題になっていますけれども、ちょっとこれは大変な状況だと思うんですね。田中主計局長、衆議院の予算委員会でもお答えになったけれども、財政収支試算では国債費の合計が五十九年度まで三十九兆円で、いろいろ過程はありますけれども、赤字国債の償還期限の始まる昭和六十年から六十九年までに今後必要な十年間の国債費を田中主計局長は、あのとき百八十九兆円とお答えになった。合わせますと二百二十八兆円です、これから十五年間の国債費が二百二十八兆円。三菱総合研究所が第二次世界大戦のアメリカの戦費を七五年度の価格で計算して百五十九兆円、五千三百億ドルという数字を出したことがある。第二次大戦のアメリカの戦費よりも、数字だけ比べると一・四倍なんですね。田中主計局長は読売新聞で、「“火薬なき戦争”」を経験したようなものだと国債増発について言われたけれども、どういう意味ですか。
#471
○政府委員(田中敬君) 御指摘の読売新聞は昨年の九月ごろであったろうと思いますが……
#472
○上田耕一郎君 そうです、九月四日付です。
#473
○政府委員(田中敬君) 五十五年度予算の編成に当たりまして、五十四年度における国債依存度というものが約四〇%に及んでおる。過去の日本の歴史を振り返ってみますと、国債依存度が四〇%以上であったのは、日清戦争、日露戦争のとき、それから後は日中、第二次大戦を通ずる昭和十二年から二十年、この際は国債依存度が四〇%を超しまして非常に財政的な困難を自後に生じたときでございます。たまたまこれは対外的な武力戦争でございましたが、第一次オイルショック後の日本の経済あるいは財政を考えてみました場合に、オイルショックから回復するため、景気の回復あるいは国民経済の安定成長、維持、さらには国民の福祉水準、教育水準、行政サービス水準の維持のために非常に低成長下で税収が少なくなったときに国債を増発して結果的には四〇%にも及ぶ依存度になった。そういう意味において、これはかつては対外的武力戦争であったけれども、国債の増発ということによる財政戦争と申しますか、いわゆる国内経済あるいは国民生活維持のために必要であった、そういう財政戦争を経験したという、そういう状況ではなかろうかということで「“火薬なき戦争”」という言葉を使ったのであろうといま考えております。
#474
○上田耕一郎君 第一次石油ショックを理由にされましたが、大蔵省、いかがですか、あの第一次石油ショックのときに欧米諸国の一九七五年ごろの国債依存率はどうなっていたか、その後の推移はどうなっているか、これを述べてください。
#475
○政府委員(田中敬君) 日本、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランスについて申し上げたいと思いますが、一九七三年――昭和四十八年でございますが、日本が一二、アメリカが六、イギリスが八・七、西ドイツが二・六でございます。いずれの国も石油ショックを経験したわけでございますが、日本におきましては一九七五年――昭和五十年度に一二%であったものが二五・三に上昇いたしましたし、アメリカは一三・九、さらにアメリカのピークは昭和五十一年――七六年の一八・一まで六・〇が上昇いたしております。イギリスは七三年に八・七であったものが七五年ピーク一八・四、西ドイツが二・六であったものが二一・一、フランスは七五年に至りまして初めて一二・二%という国債発行の依存度を経験したわけでございます。それらのピークを境にいたしまして米、英、独、仏とも、いずれも公債依存度というものは漸減してまいりまして、一九八〇年でアメリカが七・一、西ドイツが一一、フランスが五・二と減じておりますが、日本では、御承知のとおり、昨年の三九・六%をピークに昭和五十五年度、現在御審議をいただいております予算案でようやく三三・五に低下したというのが現状でございます。
#476
○上田耕一郎君 いま主計局長が言われたように、日本だけなんです、こんなやり方をとったのは。やっぱり石油ショック以後、欧米諸国は大体二〇%くらいまで上がっておりますわな。しかし、その後全部下がってきているわけですね、いま説明あったとおり。ところが日本は二五・五からずっと上げていって三〇、三三、それから遂に四〇までいっていまちょっと下げていると。日本だけですよ、こういう無責任なやり方をとったのは。これは「“火薬なき戦争”」――国民の知らぬうちに戦争みたいなものすごい金を使って、何に使ったのかというと大企業を助けるためですよ、景気回復景気回復と。これだけ借金してばらまけば少しは景気よくなるかもしれぬけれども、先ほど申しましたように、二百二十八兆円もの天文学的な借金を今後十五年間払わなきゃならぬという状況になっている。それで一般消費税やれば何とかなると思われたのでしょう。しかしノーだったじゃないですか、選挙で。どうされますか、増税かインフレか。どうしますか、この財政再建。二つに一つしかないと思うのだけれども。
#477
○国務大臣(竹下登君) 別に私は二つに一つしかないとは思いません。この一般消費税につきましては、国民の理解を十分に得ることはできなかった、いわゆる一般消費税(仮称)につきましては。したがって、これからわれわれといたしましては、それこそ広範な各方面の意見を聞きながら、五十五年度こそは、いわゆる入るをはかる前に出るを制したわけでございますけれども、五十六年度以降は歳入歳出両面にわたって広く国民各階各層の意見をお聞きしながら、そうして財政再建に真っすぐに取り組んでいくと、こういう姿勢であります。
#478
○上田耕一郎君 大平さんは七五年の補正予算で赤字国債を発行した張本人で、あなた、大蔵大臣、幹事長、首相――ずっとやっているわけですね。いまこう明らかになってきた事態についてどう責任をお考えになっていますか。
#479
○国務大臣(大平正芳君) 第一次の石油ショックに見舞われたときの選択でございますが、政府といたしましては、この場合の選択は、経済を引き締めていくと、縮小に持っていくと、財政の規模を縮小していくという方法を選択するか、財政の力でこの危機を当面乗り切っていくかと、いずれを選択するかに迫られたわけでございますが、政府としては後者を選んだわけでございます。選びました結果、公債政策を大胆に導入いたしまして、当面の危機を、経済を守りながら、国民生活を守りながら石油危機を突破できたことでございまして、このことは国の内外を通じて相当評価されておる選択であったと思うのでございまして、私はそれが間違いであったとは思いません。けれども、いまになって考えてみますと、この選択がいかに高くつく選択だったかということをしみじみ痛いほど感じておるわけでございまして、財政再建は仰せのように容易じゃございません。したがって、五十五年度を第一年度といたしましてこの困難な仕事に取りかかったわけでございます。取りかかった以上、これはなし遂げなければならぬと考えておりまして、なし遂げることを通じまして責任にこたえていかなきゃいかぬと思っております。
#480
○上田耕一郎君 事態は明らかなんですよ、事態は。ヨーロッパの資本主義国、欧州ともアメリカとも違ったやり方をあなたはとったのですよ。ぴゅうっと四〇%まで、戦争と同じような国債依存率まで上げていって、一般消費税で国民にまた負担させれば何とかなるとあなたは思われた。それがノーという答えが出て、もうインフレか増税しかない、そういう状況にあなた方は追い込まれているのです。日本共産党はこういう赤字公債の増発に一貫して反対してきた。そういうことじゃなくて、この事態から抜け出す道は、経済のレールそのものを切りかえることだと、大企業本位、アメリカべったりの道から切りかえることだということを言い続けてきた。いまでもそうです。もうこの事態というのはやっぱり自民党大平内閣、自民党政権の経済財政政策が根本的に破綻したということを示している以外に私はないと思う。だれが負担するかという問題ですね。大企業が負担するのか、国民に負担させるのかというところに問題は来ているということを指摘しておきたいと思います。自民党の政治が一党政府で長い間続いてきて、このようにもう政策的にも破綻している。失礼ですが、大蔵官僚ももう政策的に破綻しているのです。あなた方の思うとおりにいかなかった。もうあなた方の抜け出る道というのは、考えている道というのは国民が拒否する道しかないと私は思う。政策的にもう行き詰まっているだけでなくて、田中金脈、ロッキード、ダグラス・グラマン、KDD、日本住宅公団、大蔵省、どんどん不正、腐敗がついに大蔵省から日本の官僚機構のエリート層にまでずっと及んでいるという事態は、自民党の支配がそういう点でも、清潔さ、公正さという点でももう全身がんに冒されてだめだと、切りかえなきゃならぬという事態になっていることを私は示していると思うのですね。四億五千万円のあのバカラのばくちをやられた人もその一つのあぶくのようなあらわれです。そういうところまであなた方は来ている。
 そこで、私は一つ、大きな問題ありますけれども、税理士法改正、賄賂による法律の買い取りと言いたい問題を取り上げたい。
 昨年九月の総選挙直前に、日本税理士連合会がその政治団体税政連と共同して、法対策特別会費として会員から一億三千万円の金を集めて、日本共産党を除く百一名――公明党の名誉のために、四名は公明党は返された。九十七名の衆議院議員候補者に貢献度によって五ランクに分けて献金しました。これは現在国会で審議中の税理士法改正案を通過させるためのきわめて賄賂性の強い金と言わなければなりません。すでに告発もされております。法務大臣、どのように捜査しておりますか。
#481
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまお話がございましたように、税政連から献金を受け取ったと称せられる数名の人に対して告発がございました。その告発によって検察当局はただいま捜査中であります。この捜査はもちろん厳正に行われるべきものであると確信をいたしております。
#482
○上田耕一郎君 あれは国会解散後なので、刑法百九十七条二項、公務員たらんとする者という項目が適用されると思うんですが、そうすると請託があったかどうかということがポイントの一つです。それを確定するためには日税連の幹部だけでなく、小切手を持参した各地域の税理士会幹部と各受領者九十七名などを捜査する必要があると思いますが、捜査しておりますか。今後捜査しますか。
#483
○政府委員(前田宏君) お尋ねの点につきましては、ただいまも大臣からお答えございましたように、現在東京地検で捜査中でございます。したがいまして、その具体的な内容につきましては何分にも捜査のことでございますので、お答えを差し控えさしていただきたいわけでございますが、検察当局といたしましては、事件の捜査に必要なことはそれなりにやっておるわけでございますし、今後も当然やることと思います。その中には関係者の取り調べということも当然含まれるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、だれを取り調べるとかいうようなことはやはり捜査の秘密という問題もございますので、お答えを差し控えさしていただきたいわけでございます。
#484
○上田耕一郎君 この法案、二月五日に、衆議院は実質審議なし、日本共産党だけ反対で大蔵委員会通過、二月七日衆議院通過でいま参議院に来ています。こういうものが真相不明のまま参議院を通過するというようなことがあれば国会の権威にもかかわると思いますので、できるだけ早く法務大臣、結論を出していただきたいと思います。
#485
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま検察が鋭意捜査中でございますので、先ほど申し上げましたように、厳正公平に厳しくやっておると信じております。
#486
○上田耕一郎君 私は率直に、小渕総務長官、あなたは閣僚の一人ですし、お伺いしたい。
 あなたは告発されております。それで、五百万円受け取ったということですけれども、事実でしょうか。
#487
○国務大臣(小渕恵三君) 総選挙に当たりまして、日税連から私の政治団体に対して政治献金として届けられ、受領いたしております。
#488
○上田耕一郎君 金額は。
#489
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘の数字でございます。
#490
○上田耕一郎君 先ほど五クラスと申しました。貢献度に応じて特は五百万円、Aが三百万円、Bが二百万円、Bが百万円、Cが五十万円。あなたは特級クラスであります。
 あなたは、自民党政調会の中の税理士問題小委員会委員長、これをやっていたことがありますね。
#491
○国務大臣(小渕恵三君) 党政調にあります財政部会の中に設置されました税理士問題小委員長といたしまして責務を果たしました。
#492
○上田耕一郎君 あなたは、政治献金だというふうに先ほど言われましたが、献金の前あるいは後――そのとき言われなくても、前あるいは後に、税理士法改正をよろしくと、税政連あるいは日税連から依頼されたことはありませんか。
#493
○国務大臣(小渕恵三君) この税理士法改正は、御案内かと思いますが、昭和三十八年の税制調査会の答申に基づいてその改正が当時なされまして、以後時代を経まして、政府としても見直しの時期だということで、政府も検討しておったようでございます。私といたしましても御命令をいただきましたので、党としても並行的審議をしなければならないという立場でその職務を遂行したわけでございますが、当然のことでございますが、各般にわたりまして、各方面からこの法律に対していろいろ御陳情を受けたことは当然のことでございますし、また責務上あらゆる角度から、あらゆる立場の方々の御意見を十分拝聴いたしたつもりでございます。
#494
○小巻敏雄君 関連質問。
#495
○委員長(山内一郎君) 関連質疑を許します。小巻敏雄君。
#496
○小巻敏雄君 小渕総務長官にお尋ねをいたします。
 日税連の発行する「税理士界」という新聞があります、御存じと思いますが。この新聞を見ますと、五十四年九月十日付第七百六十二号、この中で、日税連の専務理事四元正憲という方が特別報告を挙げておるんですね。国会に熱心に働きかけて小渕恵三さんには特別の御尽力を終始一貫いただいたというふうに小渕さんについて記述があります。さらに、小渕さんは税理士制度改正案の基となった改正要綱の生みの親であるというふうにも述べております。どういう御尽力をされたのか。
 また、税理士会連合会の正幅会長の議事録というものがございますが、あなたに対しての働きかけの事実が次々と記録されておるのであります。五十三年の十一月二十一日、同じく十二月六日、翌年の三月十五日、さらに続いて五月というぐあいに毎回出てくるわけですね。当面、小渕委員長の動きやすい環境づくりが肝要と言って運動を組織をしておる。十二月には、十一月十八日前橋で小渕さんの激励を兼ねての法改正決起大会の席上で六千七百名の後援会名簿を送り届けたと、こういうのもあります。さらに翌年の春には、柳田法対部長から、小渕さんの労に対して謝意を表されたいと、会場での発言も記録をされております。翌年の五月二十三日には、四元専務理事の報告において、小渕代議士の言葉として、法改正を審議する本会議当日の午前中、税懇の総会等を開催してはどうかと示唆がありましたと、こういう報告も記録されておるわけであります。あなたは、この記録の事実をそのとおりとお認めになりますか。
 なお、五十四年五月十日常任理事会の記録におきましても、四元氏は、法改正はあと一息、大蔵当局初め小渕委員長、藤井、山中、また平林、山田、横山議員らの積極的協力があったればこそ今日に至ったというふうに言っておりますが、いかがですか。
#497
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘をいただきました新聞の存在は十分承知をいたしておるところでございますが、先方がどのようなことを考えられたかは、そこに御指摘でございますが、まあ私としては、みずから与えられた責任を果たし、党としての立場でその法律についての――法律が十分各般にわたって審議に耐え得るものだということをつくり上げるために努力をしただけでございます。
#498
○小巻敏雄君 総理にお伺いをいたします。
 いまお聞きのとおり、これだけの事実があり、日税連の正式な議事録にも記載をされているという状況は否定はできないと思うんです。あなたの任命された閣僚、多額の献金を受領し、いろいろ依頼も受け、尽力をされておるわけであります。この責任をどうされるか伺いたい。
 もう一つでありますが、政治連盟の五十三年度収支報告には、あなたの政治団体もまた登場するのであります。新産業政策研究会に対して百万円の献金が挙がっておる。本当に受領されたのですか。首相のそれについての責任をどう感じておられるか、あわせて御答弁を求めます。
#499
○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問でございますが、いまのやりとりを通じて小渕君が表明されましたことを通じて、小渕君の人格を信頼いたしておるわけでございます。
 本件につきましては、一部検察の手で賄賂性を持っているかどうかというような点についての究明が行われておるようでございますので、それが厳正に行われて、真相が解明されることを私は期待いたしております。
 それから、私の政治団体につきましては、承りましたので調べてみましたら、五十三年十二月十二日に政治献金として百万円は受け入れておりました。これは正当な政治献金として受け入れて、適正に処理をいたしてありますので問題はないという報告を受けております。
#500
○上田耕一郎君 小渕さんも、恐らく五百万円もらったとき、あれだなと恐らく感じられたんだろうと思いますね。そういうふうに答弁されておりますけれども、今後、やっぱり真実をぜひ明らかに法務省、していただきたいし、われわれも努力したいと思う。
#501
○国務大臣(小渕恵三君) ちょっと待ってください。
#502
○上田耕一郎君 大蔵省、国税庁、これまで日本税理士会から料亭で接待を受けたことはありませんか。
#503
○国務大臣(小渕恵三君) 委員長、ちょっと。
#504
○委員長(山内一郎君) 発言を求められております。許可します。小渕総務長官。
#505
○国務大臣(小渕恵三君) 大変聞き捨てなりませぬ御発言で、あれだなというのはどういうことですか。私は……
#506
○上田耕一郎君 税理士法改正問題――税理士法改正問題の小委員長としての尽力ですよ、先ほどの議事録にあったような。
#507
○国務大臣(小渕恵三君) いや、速記録をお調べいただきますが、あれだなというお話でございまして、何か思惑ありげな御発言でございまして、私といたしましては、申し上げますように、小委員長といたしまして税理士会からも当然御陳情をいただいております。しかし、周辺の団体でございます公認会計士会、行政書士会あるいは日本弁護士会、またその他各般にわたりましてそれぞれの御陳情をいただいておりますし、また、税理士会内部におきましてもいろいろ団体ございまして、それぞれの意見を十分踏まえながら、私といたしましては自由民主党における専門家の皆さんの御意見を取りまとめたわけでございまして、そのことをもって私は任務を果たしたと思っております。
 なお、この政治献金につきましては、私といたしましては、当然のことでございますが、私を政治家として、若い政治家を育て上げようという皆さんのありがたいお志と考えて、政治献金として受領し、そして政治資金規正法に基づいて、当然のことでございますが、領収証を発行し、かつ期間内に届けをするということとして処理をするという報告をいただいておりますので、念のためつけ加えさしていただきます。
 ありがとうございました。
#508
○上田耕一郎君 私も念のため、あなたは、五百万円は税理士法改正問題と全く無関係だと言えますか。
#509
○国務大臣(小渕恵三君) 私の認識は、いま申し上げたとおりでございます。
#510
○委員長(山内一郎君) どうぞ、発言を続けてください。上田君、どうぞ。
#511
○上田耕一郎君 大蔵省、国税庁は、日本税理士会から料亭で接待受けたことありますか。
#512
○政府委員(磯邊律男君) 年に一、二度はございます。
#513
○上田耕一郎君 それでは、衆議院の大蔵委員会、十二月七日、福田政府委員、一回も接待を受けたことはないと大蔵省は言っているんです。国税庁伊豫田政府委員「国税庁サイドからも、同様のことを申し上げます。」――取り消しますか。
#514
○政府委員(磯邊律男君) 私が日本税理士会連合会と会食をしたことがあるというふうにお答えいたしましたのは、御承知のように、日本税理士会連合会というのは、各地の税理士会あるいは税理士に対します指導監督、連絡等の任務を持っておる公共の団体でございます。また一方、私たち、五万の職員を持ちまして現在の税務行政を適正かつ円滑に執行していくためには、やはり税理士会の存在、それから同時に、税理士の先生方のもって果たしておられる役割りというのは大変大きな力でございまして、これを無視しては現在の申告納税制度というものは円滑に執行できないというふうに私は考えております。そういった意味で年に一回あるいは場合によっては二回程度、こういった日本税理士会連合会の役員の方々と国税庁の幹部とがお互いの意思の疎通を図るという意味において定例的な会合を持っておるということでありまして、そういった意味で、私は年に一、二回の会合を持っておるということを申し上げたわけでございます。
 それで、先生がいま御指摘になりましたことに対する福田審議官並びに伊豫田次長の答弁は、恐らく察するに、税理士法に関連して接待、供応を受け、何らかそこで不明朗なことがあったのではないかといったような趣旨で質問されたのに対して、そういったことは絶対ないというふうに御答弁申し上げたのだと私は理解しております。
#515
○上田耕一郎君 磯邊長官、じゃ、五十二年、いつどこで接待を受けましたか。会食しましたかでもいいです。
#516
○政府委員(磯邊律男君) 私も税理士会の会報ですか、それを見ますと、私の名前が出ておりますのは、五十二年か三年の三月に瓢亭において出席者の名前に私が一カ所出ております。
#517
○上田耕一郎君 どうも私が事実を知っているので事実をお認めになる方針に変えられた。しかし、事実を認めることは非常にいいことですね。
 しかし、あなたは、税理士法改正問題ではやらなかったみたいに先ほど言いましたね、大蔵委員会での答弁は。ところが残念ながらそうなっていない。税理士連合会の第二十二回定期総会議案の五十一ページ、五十三年三月九日、「主税局、国税庁幹部と税理士法改正問題について懇談(於、瓢亭)」と、こういうふうになっているんだ。懇談したでしょう。
#518
○政府委員(磯邊律男君) 先ほど申しましたように、日本税理士会連合会との会合はあくまでも定例的な、あるいは儀礼的な会合でございますので、その席上でどういった話が出たかということはつまびらかに私は記憶しておりません。しかし、やはり税理士会の幹部の方々と一緒に会食して話したわけですから、税務行政全般の問題であるとか、あるいは税理士法の改正の問題だとか、いろいろなことが議題になっただろうということは、これは想像にかたくないところでございます。
#519
○上田耕一郎君 これはお認めになった、それが議題になったと。
 この当夜出席していた人がいろいろ詳しく言っているんですから。その日は午後一時から正副会長会議で対政府交渉委員を選出したんだ、税理士法改正問題交渉委員を。その交渉委員と国税庁の顔合わせで、あなた、長官と次長とその他で会食して税理士法改正問題でしゃべっている。
 しかも、五十一年――二年前ですけど、そのときもやはり瓢亭で宴会をやっているのですけれども、そのとき山内審議官が、日税連の山本会長は私がつくった大阪の会長だ、よろしく頼むという話までしている。この山内審議官というのは元大阪国税局長だったんですね。国税局長時代に日税連の大阪の会長、いまの会長の山本さんを自分がつくったんだというようなことまで述べている。これらの事実は、大蔵省が税理士会の……
#520
○委員長(山内一郎君) 上田君に申し上げます。予定の時間になりました。
#521
○上田耕一郎君 はい、知っています。
 役員人事にまで干渉して、料亭接待まで受けて税理士法改正を進めてきたということを示していると思うんですね。
 私は、これまで明らかにしたような事実の調査を求めると同時に、これの真相を明らかにするために、やっぱり政府、大蔵省、国税庁と日税連の幹部、あるいは九十七名の共産党などを除く議員の方々が一億三千万円でこの法案を買い取ろうとしていたという疑惑がまことに強いんです。こういうものを、共産党だけ反対だというので、もし参議院通過したら問題にならぬと思うんです。私は、真相を明らかにするために、日税連の山本義雄会長、四元正憲専務理事、この二人を問題の真相解明のため証人として喚問することを委員長に求めたいと思います。
#522
○委員長(山内一郎君) 理事会で協議します。
#523
○上田耕一郎君 以上で質問を終わります。(拍手)
#524
○委員長(山内一郎君) ただいま自由民主党安田理事から、上田耕一郎君の発言中に不適当な言辞があったやの指摘がございました。
 委員長は、速記録を調査の上、理事会に諮って措置をいたします。
 以上で上田君の総括質疑は終了しました。
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会します。
   午後五時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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