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1979/03/13 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第7号
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1979/03/13 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第7号

#1
第091回国会 予算委員会 第7号
昭和五十五年三月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十二日
    辞任         補欠選任
     内藤  功君     小笠原貞子君
     小巻 敏雄君     下田 京子君
     三治 重信君     井上  計君
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     田代由紀男君     源田  実君
     吉田 正雄君     穐山  篤君
     広田 幸一君     寺田 熊雄君
     高杉 廻忠君     坂倉 藤吾君
     森下 昭司君     大森  昭君
     内田 善利君     渋谷 邦彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山内 一郎君
    理 事
                亀長 友義君
                下条進一郎君
                桧垣徳太郎君
                安田 隆明君
                栗原 俊夫君
                山崎  昇君
                原田  立君
                沓脱タケ子君
                栗林 卓司君
    委 員
                浅野  拡君
                岩動 道行君
                小澤 太郎君
                金丸 三郎君
                上條 勝久君
                熊谷  弘君
                源田  実君
                志村 愛子君
                鈴木 正一君
                玉置 和郎君
                成相 善十君
                林  ゆう君
                真鍋 賢二君
                町村 金五君
                宮田  輝君
                八木 一郎君
                山本 富雄君
                穐山  篤君
                大木 正吾君
                大森  昭君
                勝又 武一君
                坂倉 藤吾君
                寺田 熊雄君
                松前 達郎君
                安恒 良一君
                渋谷 邦彦君
                中尾 辰義君
                渡部 通子君
                小笠原貞子君
                下田 京子君
                井上  計君
                秦   豊君
                下村  泰君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       法 務 大 臣  倉石 忠雄君
       外 務 大 臣  大来佐武郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  谷垣 專一君
       厚 生 大 臣  野呂 恭一君
       農林水産大臣   武藤 嘉文君
       通商産業大臣   佐々木義武君
       運 輸 大 臣  地崎宇三郎君
       郵 政 大 臣  大西 正男君
       労 働 大 臣  藤波 孝生君
       建 設 大 臣  渡辺 栄一君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       伊東 正義君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       宇野 宗佑君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  細田 吉藏君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       正示啓次郎君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       長田 裕二君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  土屋 義彦君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  園田 清充君
   政府委員
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       内閣法制局第一
       部長       味村  治君
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       警察庁交通局長  杉原  正君
       警察庁警備局長  鈴木 貞敏君
       行政管理庁長官
       官房審議官    中  庄二君
       行政管理庁行政
       管理局長     加地 夏雄君
       行政管理庁行政
       監察局長     佐倉  尚君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁参事官   佐々 淳行君
       防衛庁参事官   多田 欣二君
       防衛庁参事官   番匠 敦彦君
       防衛庁長官官房
       長        塩田  章君
       防衛庁長官官房
       防衛審議官    友藤 一隆君
       防衛庁防衛局長  原   徹君
       防衛庁装備局長  倉部 行雄君
       経済企画庁調整
       局審議官     廣江 運弘君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
       経済企画庁物価
       局審議官     坂井 清志君
       経済企画庁総合
       計画局長     白井 和徳君
       経済企画庁調査
       局長       田中誠一郎君
       科学技術庁計画
       局長       園山 重道君
       科学技術庁研究
       調整局長     勝谷  保君
       科学技術庁振興
       局長       山口 和男君
       科学技術庁原子
       力局長      石渡 鷹雄君
       国土庁長官官房
       長        谷村 昭一君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       外務大臣官房長  柳谷 謙介君
       外務大臣官房領
       事移住部長    塚本 政雄君
       外務省アジア局
       長        木内 昭胤君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省中南米局
       長        大鷹  正君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    千葉 一夫君
       外務省経済局長  手島れい志君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       外務省経済協力
       局長       梁井 新一君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       賀陽 治憲君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵省主計局長  田中  敬君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  渡辺 喜一君
       大蔵省銀行局長  米里  恕君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆司君
       文部省初等中等
       教育局長     諸澤 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省学術国際
       局長       篠澤 公平君
       文部省社会教育
       局長       望月哲太郎君
       文部省体育局長  柳川 覺治君
       文化庁長官    犬丸  直君
       厚生大臣官房審
       議官       正木  馨君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       農林水産大臣官
       房長       渡邊 五郎君
       農林水産大臣官
       房予算課長    田中 宏尚君
       農林水産省畜産
       局長       犬伏 孝治君
       農林水産省食品
       流通局長     森実 孝郎君
       農林水産技術会
       議事務局長    川嶋 良一君
       食糧庁長官    松本 作衞君
       通商産業省通商
       政策局長     藤原 一郎君
       通商産業省貿易
       局長       花岡 宗助君
       通商産業省基礎
       産業局長     大永 勇作君
       通商産業省機械
       情報産業局長   栗原 昭平君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  安田 佳三君
       運輸大臣官房総
       務審議官     永井  浩君
       運輸省海運局長  妹尾 弘人君
       運輸省港湾局長  鮫島 泰佑君
       運輸省鉄道監督
       局長       山地  進君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   寺島 角夫君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   神保 健二君
       郵政省郵務局長  江上 貞利君
       郵政省電波監理
       局長       平野 正雄君
       労働省労政局長  細野  正君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       建設省道路局長  山根  孟君
       建設省住宅局長  関口  洋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   参考人
       地域振興整備公
       団総裁      吉國 一郎君
       日本銀行総裁   前川 春雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○昭和五十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算、昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山内一郎君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 昭和五十五年度総予算三案審査のため、本日の委員会に地域振興整備公団総裁吉國一郎君及び日本銀行副総裁澄田智君を参考人として出席を求めることについて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、出席時刻等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(山内一郎君) それでは、大木正吾君の総括質疑を行います。大木君。
#7
○大木正吾君 最初に外務大臣に伺いますけれども、十九日に渡米されるそうでございますが、特に電電調達物品の問題につきましての課題がその際に話題になるかどうか、これを聞きたいと思います。
#8
○国務大臣(大来佐武郎君) 日米両国間の問題も話し合いの議題に含まれるかと思いますが、その際、電電の問題がどの程度詳しく討議されるかはまだ確定しておりませんけれども、今回の場合にはより広範な問題が主たる意見交換の目的になっておりますので、余りデテールに入る話にはならないと考えております。
#9
○大木正吾君 これは昨年から一昨年にかけまして大分長くやり合った問題でございますし、恐らく大来外務大臣御存じでしょうけれども、牛場・ストラウス会談の相互主義に基づく協定がございますが、特にその段階での話から後退するような話にならないような態度でもってお臨みになりますか。
#10
○国務大臣(大来佐武郎君) 牛場・ストラウスの合意事項から後退するということはないと存じます。御承知のように、政府調達の問題に関しまして、日米両国が相互の市場への進出機会に関して相互主義が適用されるということが含まれておるわけでございまして、どういう調達の方法が従来行われているかということで、これまでに実務者の日米間での会合は四回行われまして、だんだんそういう事態も明らかになりつつあるわけでございまして、そういう実情に応じてこの会談の趣旨を生かしていくということになるかと存じております。
#11
○大木正吾君 特にこの電電関係の、まあ全国的なシステム化された装置でございますから、自動車の数が多いとか少ないとかというわけにまいりませんので、特にアメリカが質の面で問題とされているそうですが、電子交換機、コンピューター、クロスバー交換機、こういった問題についてはぜひ在来の方針を守っていただかないと、国内通信の混乱という問題も考えられますから、そういった点については十分留意してもらいたいんです。
#12
○国務大臣(大来佐武郎君) できるだけいま御指摘のような点については留意してまいりたいと考えております。
#13
○大木正吾君 それでは本論に入りますが、まず企画庁に伺いますけれども、物価問題、これは総理からも聞きたいんですが、大変これはややこしいといいましょうか、胸突き八丁という状態に入っているわけでございますが、公定歩合の引き上げ問題、前川さん、けさの新聞でも近いとおっしゃっていましたが、そのことにあわせまして総需要の抑制問題、さらには公共料金のなだらかな値上げの持って行き方、こういった点について政府自身が、言えばアウトラインという、そういったことについてどう考えているか、どの時期に発動されるか、それをお聞きしたいのですが。
#14
○国務大臣(正示啓次郎君) 物価問題が大変重要な問題であり、国会におかれても非常に御熱心に御討議いただいておる問題であります。私ども、近く大事な電気料金、ガス料金の引き上げの情勢をにらみ合わせまして、総合的な物価対策、こういうことをただいま各省庁でお願いしておるわけでございます。
 そのときに、財政金融政策も、今日の物価情勢から見ればこれはもう引き締め的な基本方針を堅持していく、こういう考え方には非常に皆さんコンセンサスができておるわけでございますので、その方針に沿ってやっていただきたいと考えておることはもとよりでございますが、しかし、個々の具体的な政策、これはそれぞれ責任ある、たとえばいまお話しの公定歩合は日本銀行においてや、られる専管の問題でございます。これをどういうふうにお決めになるかは、日本銀行において所定の手続を経てお決めになることは当然でございますので、われわれとしては、基本的な方向を各省庁がどういうふうに御認識の上、具体的にどうお決めになるかについては、各省庁あるいは日本銀行等の責任でお決めくださることと考えておるわけでございます。
#15
○国務大臣(竹下登君) 基本的にはいま正示経済企画庁長官からお答えがあったとおりでありますが、私どもの方といたしましては、いわゆる財政の問題につきましては、当然のこととして公共事業の執行に関する考え方を盛らなければならないようになるではなかろうかと思っております。
 ただ、昨日も勉強してみたのでございますけれども、いわゆる繰り越し等を含む予算現額――現在の額が何ぼになるかということが正確につかめるのには少しく時間がかかりますので、したがって、数字の上でお示しすることは、少しタイミングとしてはおくれるような感じがいたしております。
 それから、公定歩合の問題につきましては、もとより日銀の専管事項でございますが、私どもとして、一般論として申し上げますならば、当面第四次公定歩合の引き上げの効果が浸透しつつある状態をながめておると、こういうことであります。
#16
○大木正吾君 上流から中流に来まして、大変中間製品の値上げが最近目立つ記事が新聞に出ていますが、総需要抑制について、もうちょっと筋ときめの細かなことを考える必要はないでしょうか。
#17
○国務大臣(竹下登君) 一概に総需要抑制策という表現で言うのが適当であるかどうかということに対しては、にわかに私どもも判断をしかねております。ただ、少なくとも財政が公共事業等を通じて積極的に景気に対してその下支えを行う、そういうことにはもちろんないわけでございますが、にわかに総需要抑制策をとりますという表現を使うべきかどうかということについては、いま少し慎重でありたい。
 それから、数字の問題でございますけれども、実際問題、従来は、国会で予算が審議されておりますときには財政金融の姿勢を打ち出すにとどめて、数字は予算が成立いたしました翌日発表するというような手法をとっておるわけであります。しかし、現実これだけの御注意もいただいておる状態でありますので、できることならば総合物価対策の中で数字そのものもお示しすることも一つの見識ではないかと思いながら、昨晩以来ずっとやってみますと、いささか五十四年度の繰り越しが現実各省庁でどれだけ出てくるかというようなことが正確に把握できない段階に、やや大ざっぱなものを出すことに、ある意味においては財政当局としてのまた一つの責任というものもございますので、あれこれいま部内で鋭意検討しておるという段階であると御賢察いただきたいと思います。
#18
○大木正吾君 わかるんですけれども、品物によって大分この中間製品も値上がりがひどいのと動かないのとございまするし、同時に、非常にやっぱりこわいのはマインドの問題でして、いま中間製品あるいは素原材料を買い込んでおきますとすれば、先行き自分の会社の、まあ言えば、もうけといいましょうか、わりあいに仕事はしやすいという空気といいましょうか、マインド的なものがありますから、ぜひ大臣おっしゃったような形で、なるべくきめ細かなものを幾つか整理されまして、そしてやってもらいたい、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
 それから、引き続きまして企画庁に伺いますけれども、東京都の二月の消費者物価上昇が七・六%上がっているわけですね。これについて、どうお考えですか。
#19
○国務大臣(正示啓次郎君) 御指摘のように、二月の東京都区部消費者物価は七・六、これは相当高い指数になっております。この原因を分析いたしますと、もう大木委員御承知かと存じますが、去年の二度にわたる台風、長雨、日照不足、そんなようなことが野菜へ非常な大きな打撃を与えまして、この野菜の価格が暴騰状態でございます。これが一番大きな原因でございます。そのほかに、海外から押し寄せてくる原材料価格が若干日用品の面まで影響いたしまして、たとえば金でございますね、金が大変暴騰いたしまして、身の回り品、装飾品と申しますか、かまぼこというあの婚約の指輪あたりが非常な値上がりをしておると、そんなようなこともございまして、大変大きく暴騰いたしたわけです。
 そこで、われわれは、その点を除いて考えますと五・四ぐらいの率になりまして、御心配をかけておる五十四年度の消費者物価は、年度を通じてみますると、政府の当初目標より若干下目にしておりますが、これを何とか守り抜いていきたいと、こういうことでいま一生懸命努力をいたしておる次第でございます。
#20
○大木正吾君 これは総理に伺いたいのですけれども、実は衆議院で予算を審議をしています時期、大体一月の末から二月の半ばぐらいが総括なんですけれども、そのときには不思議に物価が組んだ予算の根っこになっている部分と余り乖離がない。参議院に予算が来ますと、毎年ですけれども、円高円安とか、動きが激しいわけですよ。ですから、私は思うんですけれども、いまの東京都区部の問題ですが、もし年度平均四・七%でおさまらない、仮に五%を上回るその部分はネグってしまって、来年四月以降六・四でいけばいいんだと、こういうふうに言ってしまいますと、何といっても物価に対する政府の数字が年度途中でちょんぎれてしまうわけですね、これは。ですから、いろいろな方法でやらなきゃならぬと思うんですけれども、その辺について、七・六%、仮にこれが五・五%ぐらい平均でいってしまいますと、私は心配なんで、野菜だけじゃないと思って見ていますから心配なんですが、げたばきの部分については、来年度予算と六・四との関係はどういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。
#21
○国務大臣(正示啓次郎君) 総理から後でお答えいただくことにして、私ちょっとその点について申し上げますが、衆議院でいろいろ御議論のときにも、げたの問題が、社会党さんでも大変御熱心に御検討の結果おっしゃられたんですが、この問題の根本は、やっぱり先ほど申し上げた野菜を主とする騰貴、われわれはこれを瞬間風速と一応言っておるわけでございます。それが非常に高くなって御心配をかけておるわけでございます。私どもは、げたばき論というもので来年度の六・四を推定はしておりません。総合的ないろいろの生産、流通、需給、消費、そういうことを総合的に考えて六・四というものを出したわけでございますが、それとの関係で、チェックする意味で、社会党さんのお考え方も十分われわれは傾聴に値するものと考えていますが、ただ、そのげたが非常に高くなっております。そこで、それをいろいろ伺ってみますと、先ほど申し上げた年度末の瞬間風速的な高さがそのままずっと続くというふうな前提でげたをはかしていくと大変窮屈になるじゃないかと、こういう御議論でございましたので、その点は、野菜はいま農林水産大臣以下非常に御熱心に緊急対策を実施し、われわれも御協力をしていろいろやっておる結果、この間から申し上げたように、若干愁眉を開く状況になっております。さらに農林水産省のいろいろな御調査では、春野菜が出回る時期になってくると、これは相当需給関係が正常化されていくであろうと、こんな見通しでございますので、そのげたについて相当程度の割引を考え、それから公共料金の値上げについても、すでに年度内に行われたものがもう一回カウントされておるようですから、そういう点を調整いたしますと、相当程度にいわゆるマージンといいますか余裕といいますか、これが社会党さんのお考えよりは出てくるのではなかろうか。そういうふうな点から申しましても、六・四というわれわれの策定いたしました目標は、これはもう努力をしなければなりません。大変な努力を必要とします。また国民の、経営者、勤労者、消費者、皆さんの非常な御協力を願わなきゃならぬわけでございますが、そういう努力いかんによっては、いますぐ達成不可能ないわゆる虚構の数字ではない、こういうことを申し上げて、この年度末のいろいろな現象に対しましては冷静にこれを受けとめて、新年度の目標達成に努力をすることにいたしておるわけでございますので、若干、前に御説明だけ申し上げておきます。
#22
○国務大臣(大平正芳君) 五十四年度の消費者物価の見通しでございますけれども、当初、御承知のように、四・九%を目標として掲げたわけでございますけれども、これを改定いたしまして四・七%で抑えられるということにいたしましたことは御案内のとおりでございまして、野菜価格が季節的な要因で見込みより高目の動きを示しておりましたけれども、この四・七%は、われわれといたしましては達成できる確信を持っております。
 このいわゆる二月、三月における瞬間風速というものが、大木さんの言われる五十五年度の六・四%のげたになるわけでございますので、その点はやや当初の見込みよりは険しい状況になってまいりますけれども、いま企画庁長官が申しましたように、そういったいろいろな要素を勘案いたしまして、何としても六・四%は守らなければならぬ、また、それは守れるのではないかという見当をつけまして、政府一体となっていま対応をいたしておるわけでございますので、御鞭撻を願いたいと思います。
#23
○大木正吾君 総理にもう一遍ちょっと念を押しておきますけれども、実は産労懇というのがございまして、労働大臣の方から閣議に報告があったと思うんですが、これは相当細かな問題も出されているようでございますけれども、これに対する答えなり公定歩合の引き上げ、さらに総需要関係の問題、さらに公共料金問題についてどうされるか。そういったことを総合しまして政府が早く、総合的に物価をこうするんだということを、もうきょうでもいいですよ、これはもう。きようでもいいです。とにかくいま買い急いでいる連中を抑えることが大事な問題ですからね。そういった問題についての決意をもう一週聞かしてくれませんか。
#24
○国務大臣(大平正芳君) 産労懇の場を通じまして、労使双方と政府が経済をめぐるいろいろな基礎条件、ファンダメンタルズの動向につきまして、隔意のない意見交換を遂げておりますることは大変ありがたいことと思うのでございまして、相互の理解と信頼をかち取る上におきまして大変有益な場であると私も感じております。そこの論議につきましては、政府も積極的に裸になって取り組まなければならぬと考えております。
 それから第二に、物価政策につきまして基本的な姿勢を明らかにせよということでございますが、これはすでに明らかにいたしておるわけでございまして、消費者物価六・四%というのはどんなことがあっても守るということを目安といたしまして、総合物価対策なるものも、公共料金の改定等も踏まえた上で打ち出そうといたしておるわけでございまして、ここ旬日ならずしてこの総合対策はお目にかけたいといま鋭意検討いたしておるところでございまして、政府の物価政策に対する姿勢は一貫して進めておることは御信頼をいただきたいと思います。
#25
○大木正吾君 とにかく一日も早くということで、けさのこれは一部の新聞でございますけれども、五八・七、約六割の人が物価問題を心配している、こういう統計の記事でございますが、これは大平内閣に対する国民の信頼度、それがやっぱり低まっていく心配もありましょうから、総理御自身の問題でございますから、ぜひお考えいただきたい、急ぐことをお願いしておきます。
 次に、これは企画庁に伺いますが、いまのことも含めてだと思いますけれども、二月の二十二日ですか、七カ年計画の改定をされましたわけですが、その内容についてちょっと説明してください。
#26
○国務大臣(正示啓次郎君) 御承知のように、新経済社会七カ年計画は昨年の八月つくられたものでございますが、その後、イランにおける情勢を中心にいたしまして、原油の価格暴騰、また国際関係の緊張というふうなことから、その他のロイター商品等の非常な値上がりというふうなことも起こっております。そこへ持ってまいりまして、日本の国際収支が、御案内のように、非常な黒字から赤字に大幅に転落をいたしたわけでございます。こうした非常な内外情勢の激変、これに対処いたしまして七カ年計画について所要のフォローアップ、まあ暫定的見直しとでも申しましょうか、そういうことが経済審議会で必要ということに判断をせられまして、その結果、先般御指摘のように経済審議会からフォローアップの報告が政府に対してなされたわけでございます。
 その要点でございますが、これは五十四年度及び五十五年度の――五十四年度はやや実績に近いところへもうきておるわけでございますが、五十五年度は予算の段階でございますけれども、それらを考慮に入れまして、当初七カ年間の年平均経済の成長率を五・七と、こういうふうに見込んでおったのでありますけれども、これはいままでの実績見込みあるいは今度の新しい年度の予算等から考えて、経済見通しから考えて、五・五ぐらいに、若干低い姿勢に修正をすべきであると、こういうことが第一でございます。
 それから、いま申し上げたような情勢に伴いまして、卸売物価が当初年度平均で三%ぐらいの上昇でいくのじゃないか、こういうふうな見込みであって、これが達成できれば非常に結構だったのでございますが、いま申し上げたような事情で大変上がっておりますので、これは五%程度に修正をせざるを得ないであろう、こういうことでございます。
 それから、消費者物価の方は当初から五%程度ということで、これは手がついていないわけでございます。
 それから、御案内の財政の関係では、大蔵大臣のお言葉をかりますと、「一般消費税(仮称)」、これは大変有名になったのでございますが、それを五十五年度に導入すべく万般の準備を整えるというふうなことでございましたけれども、これに対しまする国民のいろいろの御理解においてなお不十分であるから、これから財政を六十年度を目標に立て直すという基本的な考え方については毛頭これは変えておりませんが、とりあえず五十五年度の導入ということはむずかしくなったので、それにかわるべき財政再建の歳入面の手法については、これからよく国民の皆様の各階層の御意見を十分拝聴して適切に対処していこう、こういうふうなことがこのフォローアップの重要な内容かと存じます。
 なお、エネルギーの需給関係から申しまして、われわれが推し進めてまいりました五%の節約をさらに一段強化すべきである。われわれはすでに七%を目標にやっておることは大木委員も御承知のとおりでありますが、そういう点についても触れておられるわけでございます。
#27
○大木正吾君 筋違いの質問かもしれませんけれども、いまおっしゃった中で、消費税を白紙に返したというような意味合いの中で、竹下さんがおっしゃるように、仮称云々という話がいつも、しっぽは残るんでございますけどね。しかし、税収見通し二十六ヵ二分の一は、これは変えていないでしょう。そうすると企画庁長官、どういうことを考えておるんですか。いま二一%前後だけれども、五%以上差が出てくるわけだけれども、どこから持ってくるというお考えなんですか。
#28
○国務大臣(正示啓次郎君) 申し上げましたように、六十年度の租税あるいは社会保障負担、こういうものについてはいまこれを変えてはいないわけでございます。
 そこで、いま御質問は、それじゃそういう目標に向かってどうするのかということでございますが、まず第一に、私どもは、新経済社会七ヵ年計画を本当に抜本的に見直す、こういう事態が一日も早く到来することを希望しております。と申しますのは、この前も衆議院に大蔵省から財政収支のとりあえずの試算というふうなものが出されておりますけれども、これは大蔵省としても、財政当局としても、大変御苦心になったところだと。まあわれわれのフォローアップを基礎にして一応出されておりますが、本当は、エネルギーの新しい事態、また国際経済の情勢、これに対応する日本経済のあり方から考えて、本当にこれから先五年、六年の間にどういうふうに日本経済がなるのか、まずここから見通しを立てるというのが順序かと思うのであります。それは私どもの責任でございまして、これはもう経済審議会においても十分心得て、新しい事態に対応した計画をつくりたいと、こういう気持ちを持っておられることは、フォローアップのときにも各委員からもいろいろお話があったわけでございます。しかし、残念ながらいまどういうふうに落ちついていくか、国際的な金利引き上げ競争さえもなかなかこれはむずかしい状況のときに、本当に基礎的な諸条件がどういうふうに落ちつくか。まあ本年はベネチアで先進国のサミットも開かれ、その前にもいろいろの会合がございますので、大来外務大臣の訪米等に当たっても、アメリカと経済問題を中心にいろいろ御協議をいただくようなことでございますし、日本銀行総裁もバーゼルの会議でそういうようなことをいたしてこられたように承っております。そんなようなことがだんだんと実りまして、一日も早く経済の基本的な見通しというものがつくられることが私は一番大事だと思っております。そういうことになりまして初めてここに六十年度に向かっての、本当に日本の財政はどういうふうに再建されていくか、おのずから一つの見通しというものもつくられるものと考えておりますが、大変いまのところは、基本的に不透明な、あるいは一つの見通しをつくることが不可能な情勢でございますが、一日も早くそういう一つの見通しができることによりまして私は基本的な計画をつくらなきゃいかぬと、こう考えております。
 次に、いろいろの問題については、やっぱり本年からスタートされましたこの行政改革、これに大変いま非常な苦しい中を英断を持って第二次大平内閣が着手された。私はこれに心から敬意を表しておるわけであります。こういう努力がだんだん進むことによって、まず歳出面について抜本的な抑制措置というふうなことを講ずることが国民の御理解をいただく上の前提条件ではなかろうかと、こう考えまするので、そういうふうなことで、国民の皆様の御理解がだんだん進んできたところで、新しい経済の見通しに即応した歳入計画というふうなものもつくられることによってだんだんと御期待にこたえることができるのじゃないか。その内容等については私は申し上げる立場ではございませんけれども、そうした基本的な前提条件をつくることにわれわれは精いっぱい努力をしていかなければならぬというのが私の考えでございます。
#29
○大木正吾君 答弁は簡潔にしてもらいたいのだけども、よく総理以下各閣僚の方々は、とにもかくにも日本経済はヨーロッパあるいはEC諸国なりアメリカに比べたらローリングが少ないと、うまくいっているんだと、こういうお話をされますよね。もっとひどいわけでしょう、アメリカとかECの場合には。そういったこととの関係で、私はいまの長官の答弁に納得ができないし、同時に、七カ年計画をなくす、もうこれは全く価値がないなら価値がないとはっきり言ってもらいたいし、あなた方は、外に向けて言う言葉と国民に対する国会での説明、全く違うておるんですよ。外国よりうまくいっていると、こう言っていながら、いまの話を聞いたら、まるっきりこれはもう七カ年計画はどうにもならぬと、フォローアップしてもしようがないから根本的に直す、こう言ったでしょう。一体どっちが正しいんです、言い方は。
#30
○国務大臣(正示啓次郎君) 申し上げた趣旨は、六十年度の財政についてまだ数字を、一応最初の計画どおりなっておるじゃないかと、本当はどうなんだと、こういうようなことから、最初の計画で一応われわれとしてはいま進んでおりますが、本来は、経済の方が落ちついて先行きの見込みもでき、それに即応した財政計画をつくるべきであるということが第一点。その基本の上に具体的にどういう手法をとろかはこれからいろいろやるのでありますが、まず歳出の削減というふうなことが非常に大事な前提条件ではなかろうかと、こういうことを申し上げた次第であります。
#31
○大木正吾君 行管庁長官もいるから、そんなことは後で聞きますけど、いずれにしたって、三万何千人かと結局五千何百億かの節約でしかないので、ここでもって行管庁の話が出てくることはないんですよ。
 私が聞いているのは、あなた方表へ向かっては日本経済は非常に国際的に波が激しい中でうまくいっているといつもおっしゃるわけだよ。ところが、いまあなた言ったことの中には、七カ年計画はもうなくしたいと、これはもう根本的に修正する、こういう意味のことをおっしゃっている。直すんですか。
#32
○国務大臣(正示啓次郎君) 私ども、計画経済ではございませんから、直す直さぬというよりは、現実の事態に対応した計画であらねばならぬということを基本に考えておりまして、その現実の事態は大きく変わりまして、まあいまのところはフォローアップという形で部分的な暫定的な修正でございますが、いずれは根本的な見直しも必要ではなかろうかと、こういうふうなことをまず申し上げたわけであります。
#33
○大木正吾君 フォローアップでいくのか、つくり直すのかをはっきりもう一遍言ってくださいよ。つくり直すのですか。
#34
○国務大臣(正示啓次郎君) 経済審議会ではそれらの点も考慮されながら事態の推移を見守っておると、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#35
○大木正吾君 時間がありませんから次に入りますけども、いまの話、非常に国民に対して私に言わしめれば不見識というか、不安感を与える、だから物価が上がる、こういうふうに考えざるを得ないわけなんです。
 本題に入りますけれども、衆議院で、竹下大臣、結局うまい答弁でもって財政収支試算についてはかわしたようにお見受けしますけど、そう思っていますか。
#36
○国務大臣(竹下登君) この財政収支試算、大変苦労いたしまして、三年前からお出しするようにしておるわけでございますが、その性格は衆議院でもこちらでも申し上げたとおりのことでございまして、うまくかわしたというような感じではございません、正直に申し上げたと、こういうふうに理解をしております。
#37
○大木正吾君 正直に答えたそうですが、正直に答えてもらいたいわけでございますけれども、ことし出しましたこの収支試算は、一体、さっきの経済計画と関係はするのですが、財政政策的にはどういう性格を持っているんですか。
#38
○国務大臣(竹下登君) 先ほど経済企画庁長官からお話がありましたように、フォローアップをいたしましたそのフォローアップの成長率、それから鉱工業雄産指数、それから卸売物価、そこのところを暫定的に変えていらっしゃるわけでございますが、税負担が二十六ヵ二分の一でございますとか、あるいは社会保障移転、六十年度十四ヵ二分の一、そういうものはそのままに置かれて、とりあえずフォローアップが行われたと、こういうことでございます。したがいまして、六十年度のそうした諸指標を手がかりといたしましてこれを財政に投影するとともに、一方、五十九年度に特例公債から脱却するものとしての六十年度の財政の姿についての試算であると、このように申し上げたわけであります。したがいまして、特に念入りに申し上げましたのは、試算の途中年次の計数につきましては、まさに機械的に算定したものでありまして、規範的な意味を持つものではありませんが、六十年度の計数はいわば経済計画の財政への投影である、今後の財政再建を考えていく上での手がかりになるものと考えておりますと、このようにお答えをいたしておるわけであります。
#39
○大木正吾君 六十年度に対して結んだ、機械的とか投影とかおっしゃいますけども、よくも衆議院の予算委員会でもってこれ各党の代表の方々が納得したものと、私も唖然としているんですけどね。
 大体、さっきも触れましたECとかアメリカと比べ日本の経済というのは一体どういう状態なんですか。
#40
○国務大臣(竹下登君) EC、まあ主要国の主要経済指標というので、一つの模範的なものだけを申し上げます。
 OECDの一九八〇年、これは暦年でございますけれども、それの一応の見通しは、日本は実質成長率が四・七五%、アメリカはマイナスの一・二五%、ドイツが二・二五%、フランスが二・〇%、イギリスがマイナスの二・〇%、イタリーが二・〇%。それから今度は消費者物価で申し上げてみますと、これはOECDの見通しでございますが、日本が六・六%、アメリカは一三・九%、ドイツがさすがに五・〇%、フランスは一二・九%、イギリスが一八・四%、イタリーに至っては二一・四%。そういうような数字が物語るものであります。もう一つだけ、失業率が日本が一・九%、アメリカが六・二%、ドイツが三・六%、イギリスが五・五%、イタリーが七・六%。こういう形の中におきましては、先ほどおっしゃった、ローリングが一番ないとでも申しましょうか、安定しておるという、指標としてはそのように読み得ると、このように考えております。
 それから、先ほどの財政収支試算の問題について衆議院の各党の代表の方がさらにそれの上に御質問なさいましたのは、したがって、財政計画そのものをつくらぬかと、こういうことでありました。これは今年末までに精いっぱいに努力いたします。大変諸外国においても十年がかりでつくったというのでございますから、日本の場合有能な官僚組織の中でいまもう目いっぱいやっておりますが、何月何日提出いたしますと言うほど私も自信がないというふうにお答えをしておるところであります。
#41
○大木正吾君 財政収支試算が出せない中で財政計画を出すとおっしゃいましたね。
 大体、竹下大臣も御承知でしょうが、日本の経済計画というものは、これは大体五年計画でいつも出るのですけれどもね、長くて三年、短いものは一年半ですよね。そういった中でもって財政計画と称するものが本当に自信を持って出せるでしょうか。ごれから油関係とか、たくさんの社会情勢を見たとき、私は――財政計画ですよ、今度は。財政収支試算とか、あるいは経済計画のときには誘導目標とか参考とかで逃げられますけれども、本当にできますか。
#42
○国務大臣(竹下登君) おっしゃるように、大変むずかしいものだと思っております。
 まず最初に、これは大蔵省だけでできる問題ではない。各省の御協力を得なければならぬと、そういたしますと、各省の物の考え方がこれが将来にわたっての自分の所管省の予算の査定につながるものではないかというような意識があったらこれまたなかなか御協力も受けにくいと、その辺もほぐしながら作業を進めるわけでございますので、それは大木さんおっしゃるとおり、大変むずかしい作業であるということは重々認識の上で取り組もうということであります。
#43
○大木正吾君 大体三年間続けてこの財政収支試算を年次ごとに出しましたね。土台を置いて、一応ターゲットを決めて、途中のことも含めて出してありますね。ことしはそれが出ていない。はっきりしているのは物価問題とか、あるいは社会保障の関係に対する組みかえの問題とか、あるいは税制の問題とかがはっきり出てますわね。
 私、総理にこれは伺いたいのですけれども、特に公債全部がそうですが、特例公債等の場合、言えば、会社で言ったら人件費その他でもって食ってしまってなくなっちゃうわけですからね。しかも、その金の出どころは、特例公債だから国民が国に対してこれは金を貸しているわけでしょう。それに対して返済計画というものがないというようなことでいいですか、これは。私が住宅を建てる、銀行へ行って、大臣、ローンを借りたとき、たとえば十五年でもって返済のときは返済計画ちゃんととられますよ。カタもとられます、担保もとられますわね。あなた方には国民に借金しているんだという気持ちがあるんですか、ないんですか。あるんだったらもっと親切に、具体的に何年に幾ら返して、こういう計画、どうして出せないんですか。そこ答えてください。
#44
○国務大臣(大平正芳君) お答えの前に、先ほどの財政計画でございますけれども、財政計画はあなたがおっしゃるとおり、非常にむずかしいのでございまして、われわれの方といたしましては、年々の予算案で御審議をいただこうと思っておったのですけれども、あなたの属する社会党を初めどうしても出せと、こういうわけでございますので、でございますから、大変むずかしいけれども困難な作業をしておるというように御了解をいただきたいと思います。
 第二点の国債の問題でございますが、国民から借金を受けておるわけでございますので、財政の上におきましては、償還財源というものは財政法上の問題と予算的に配慮せなきゃいかぬものとを構えまして、計画的にどのように償還していくかということを念頭に置いてやっておるわけでございまして、借りっ放しというようなぞんざいなことはいたしていないつもりでございます。
#45
○大木正吾君 総理、もう一遍聞きますから、やっぱりこれは国民が非常に不安感にかられるから、国債が六・一など含めて大分残ったりしたり、先行きも心配ですよね。単にこれは金利だけの問題じゃないと私見ているんですよ。ですから、財政計画にしても財政収支試算にしても、私はどちらでもいいと思います。要するに、国はこれだけ国民から借金しておるんだから、こういう年次計画でもって返しますよということをこれから絶対に国会に出してもらいたい、このことを約束してもらえますか。
#46
○国務大臣(竹下登君) これは現在も国債整理基金に六十分の一ずつ入れたり、そういう受けざらはあるわけであります。
 しかし、いずれにしても、ある年度には予算支出の中でその返済に充てなければならない時期もあるいはあるかもしらぬと、そういうことを考えてみますと、勇敢に国民の皆さん方の前に返済は、たとえば大木さんの持論とあえて申し上げませんが、勇敢にもっと増税計画なんかでもきちんと示したちいいじゃないかということでございますよね。それについては、それこそここでこうして大木さんと私とが問答する、そういう中で国民の理解が得られた場合に初めて勇敢にその増税計画などというものは打ち出せるものであって、やはりいかにりっぱな政策といえども、国民の理解と協力なしにこれを実現を図ることはできませんので、もう繰り返し繰り返しこういう問答がある中で、私はおのずから国民の理解が得られることを期待しながら責任ある財政運営をやっていっておるわけであります。
#47
○大木正吾君 竹下大臣、その前にですね、税金のことを――私は大臣じゃないから責任はあなたほどないわけですけれども、とにもかくにも毎年毎年こう返済する、そのローリングがあってもいいですよ。途中でもって幾らか手直しすることがあっても構いませんけれども、毎年毎年大体こういうふうにして返していきますよということについて、いわば財政収支試算ですよね、そういうところについてこれから責任持ってお出しになる――ことしは一番悪いですよ。スタートがあって六十年のターゲットがあるでしょう、その中間が何もないんだから。だからそういったものについて、もうちょっとやっぱり具体的に――三年間続けたんですから、今後は絶対に出しますと、こういうふうに申してくれなければ、私どもではどうしても何回でも追及をこれは続けてまいりますけれども、財政計画を出せるほどなんだから収支試算というものは出せると思うんですがどうですか、もう一遍。
#48
○国務大臣(竹下登君) 財政収支試算の中で、したがって、非常に数理的に六十年から五十五年へつないだものではございますけれども、その中に一応のものはお示ししてあるわけであります。したがって、その他政府といたしましては、それはローリングというものはあってもやはり一つの手がかりとして、そういう計画についてもできるだけ国民に知らしめ、あるいは国会の予算審議等の場に対して資料としての提出をした方がいいじゃないかと、こういう御意見は私もそれなりに評価いたしますので、できるだけ協力をしてみたいと思います。
#49
○大木正吾君 それじゃ、話が入口でちょっと合いましたから、中身に入ってちょっと聞きますが、ことしの五十四年度八兆五百億円となっておりましてね、そして五十九年度にゼロにするというふうに算術的にこう考えていきますと、大体五十六年が七千四百億円、五十七年が一兆四千億円、五十八年二兆一千五百億円、五十九年三兆二千億円ですか、これは間違いありませんか、返済計画としての数字ですが、答えてください。
#50
○政府委員(田中敬君) 委員のお示しになりました数字は国債発行領であろうと思います。返済領につきましては本院にも委員部の方に資料として御提出してあると存じますが、衆議院の予算委員会に国債整理基金の資金繰り状況についての仮定計算というものをお示ししておりまして、それによりますと五十五年度以降いろいろの想定を置きまして、六十九年度までの年々の国債の要償還額、あるいはまたそれをいかなる財源で償還していくかという資料をお示ししております。
#51
○大木正吾君 これは手元にあるのは大蔵省が出したものです。間違いないと思うんですがね。たとえば五十四年度、特例公債ですよ、八兆五百億円、そして五十五年度七兆四千八百億円、この差五千七百億円ですね、田中さんいいですか。それで、来年度が六兆七千四百億円だから、本年の七兆四千八百億円との差は七千四百億円となりませんか。
#52
○政府委員(田中敬君) 特例公債の発行予定額は委員のおっしゃるとおりでございます。
#53
○大木正吾君 そこで聞きますけれども、これをずっと見ていきますと、五十七、八、九年が大変なんですね、結局。特に五十八年が二兆一千五百億円、五十九年が三兆一千九百億、約二千億円ですか、そういう数字を見ていきますと、一体これをどういうふうにして六十年度、五十九年度ゼロにするということになるんですか。どこか、だれか金をこう集めてくるのか拾ってくるのか、どういうのですか。
#54
○政府委員(田中敬君) 先ほど来大臣が御説明申し上げておりますとおり、この財政収支試算と申しますものは、六十年度の経済計画の暫定試算の指標を足がかりといたしまして六十年度の財政の姿、すなわち基本的には社会保障移転支出一四・五、租税負担率二六・五ポイント、あるいはまた公共投資二百四十兆というような指標を財政に投影したものでございまして、このお手持ちの資料でもごらんいただけますように、その間に税収の増がありますと同時に、歳出面におきましては、社会保障移転支出以外のその他の支出というものは五年間平均で八・三%しか伸びないというような歳出の削減の姿も出ております。これら二六・五ポイントに達します租税の収入と歳出の削減ということによってこういう姿が機械的に計算されたというものでございます。
#55
○大木正吾君 ということは、田中さん、あれですか、これは大臣の方がいいかもしれぬけれども、増税ということは一切やらなくて行けるという数字ですか。
#56
○政府委員(田中敬君) 増税ということと直接には結びつかないと存じますが、とにかく昭和六十年度におきます租税負担率が二六・五ポイント、現在がおおむね二一%でございますので、その二六・五ポイントに達する租税収入というのが自然増収で上がるのか、あるいはそれによって上がらず何らかの増収対策が必要であるかというようなことは、それぞれの年度の経済情勢によって変わってくると存じます。
#57
○国務大臣(大平正芳君) 平たく申し上げますと、たびたび財政収支試算で申し上げますとおり、これは歳出を約束するとか増税をそこに約束するとかいう性質のものではないと、これは六十年度の日本の経済情勢というものを一応想定いたしまして、それを財政に投影して計算したものでございまして、それを鏡として見た場合に、こんなことをやっておったのでは、これでは一体あなたがいま増税しないといけないじゃないかと、あるいはこういうことをやっておったのでは歳出を減らさないといかぬじゃないかと、いろんな工夫をこの指標の中からわれわれは読み取ろうといたしておるわけでございまして、御疑問がわいてくるのは当然だと思うのでございまして、そういう疑問を拾い出しまして、どのようにして財政再建を進めていくか、税制をどのように改革してまいりますかというアイデアをそこからわれわれはくみ取らにゃいかぬという趣旨でつくり上げて、御審議をいただいておるものと御理解をいただきたいと思います。
#58
○大木正吾君 宇野行管庁長官にお伺いいたしますけれども、これはたしか五十九年度ですか、におきましては公務員の数を三万何千人お減らしになる、同時に五千何百億かの節減ができる、こういうお話がありましたですね。そういった歳出の節約との関係におきまして、増税なしで何とかこの数字がいけるというふうにお考えになられますか。
#59
○国務大臣(宇野宗佑君) この間お答えいたしましたとおり、第一次の計算によりますと、補助金を別にして五千百億円、これは昭和五十五年から五十九年までの五年間の数字でございます。そのほかにことしは千六百六十七億、これは大蔵大臣の努力によりまして補助金がそれだけ節減されておる。これはいずれも行政効果でございます。だから、あと四年間で補助金も少なくとも四分の一にしよう、こういう目的でございますから、それが幾らになりますか、まだ計算はいたしておりませんが、さような意味でこの五年間におきましては、第一次ではある程度の行政効果を上げ得るであろう、こういうふうに申しております。ただ、一般的に考えられますとおりに、消費税が何かこう否定されたので、したがって、それにかわるべきものを行革でやれとおっしゃっても、これはなかなかむずかしゅうございますよということを申し上げておるわけであります。
#60
○大木正吾君 いま宇野さんが言ったことは正直な話だと私は思いますけれども、それは歳出有切り詰めて何だかんだとおっしゃって、そして最後はまずいですと。総理ね、田中さんもそうですけれどもね。税負担を二六・五%にする、現在は二一%、もちろんこれは所得税を――弾性値が高い税種類ですからね。だから、これをほっぽっといて五年間いったらあるいは二六という数字が出てくるのかもしれませんけれどもね。五ポイントの税負担率が上がるのに、歳出の方でもって何とかつじつまを合わしていく、そういった面で総理、増税一切なしでいけるという答えはこれ詭弁じゃないですか。どういう手品でやるんですか。ちょっと教えていただきたいんですがね。
#61
○国務大臣(大平正芳君) そこにお示ししてありますような支出があるとすれば、そこに示してあるような歳入が確保されねばならぬと、ところが、その歳入を確保することが無理じゃないかというのであれば、歳出の方を切り詰めていかなけりゃならぬという道理になるわけでございまして、そういうアイデアをその表の中から読み取っていただきたいというのが私どもの願いでございます。
#62
○大木正吾君 ちょっと答弁を、あなた、私たちも税調六年もやっておったし、経済審議会も十年やっておったんですよ、ごまかしちゃ困るんですよ。税負担率が約二一%、それが二六・五%、五・五ポイント上がるのに対しまして、それは法人税か所得税か、あるいは物品税か、種類はわからぬですよ。しかし、増税であることは、これは間違いないでしょう。数字五・五ポイント上がっていることは間違いない。そのうちの、行管庁の努力でもって一ポイントか二ポイントぐらい、幾らか歳出が切れましても、四%ぐらいというものは私は増税というものはいっちゃうと思うんですが、その辺は全く増税はやらずに五年問いくというお考えですか。
#63
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、そこに示してある数字はそういう増税計画を政府が持っておるというわけじゃないんです。二六・五%の租税負担を想定して計算するとそういう歳入の見積もりになりますよと、それと歳出の方を、社会保障移転経費をどう見るかとか、公共投資をどう見るかとか、一応の想定をしてみるとこういう一応の試算ができますということでございまして、その二六・五%をどういう税目でどのようにお願いするかというようなことは全然そこにはうたってないわけでございまして、あなたが言われる所得税がどうだとか、法人税がどうだとかいうようなことは、いまそこで問うところではないわけでございまして、租税負担を二六・五%と見ると一応こういう試算が出てくると、それと歳出と見合った中で、われわれはどういう問題点をそこから発見すべきであるかというようなことがいま私が申し上げておるところでございまして、問題をはぐらかしているわけじゃないので、あなたの方がはぐらかしておるんじゃないですか。
#64
○大木正吾君 もう一遍重ねて聞きますけれども、総理は赤字公債を五十九年度ゼロにするという御意思はないのですね、逆に聞きますけれども。
#65
○国務大臣(大平正芳君) そうしたいということで、それを道標として財政再建を考えていきたいと思っております。
#66
○大木正吾君 私がはぐらかしておるとあなたはおっしゃったけれども、私が申し上げたいのは、会社が負担するか国民かの別は問いませんけれども、要するに税負担率が五・五%上がると書いてある、はっきり書いてあるわけだから、書いてあることは税金がふえるということじゃないのですかと、こう聞いているのですよ。
#67
○国務大臣(大平正芳君) ええ、一応そういう試算をしたということでございまして、政府がそれを増税計画として持っておるというわけじゃないのです。
#68
○大木正吾君 中身は問いませんが、増税をせざるを得ないだろうということは、これは間違いありませんね。
#69
○国務大臣(大平正芳君) そこに示してあるような支出を賄うことが国民の意思でありとすれば、そういう歳入は必要とするのではないでしょうか。その歳入をそんなによけい調達するのはいやだというのであれば、歳出の方を御遠慮いただかなきゃならぬのじゃないかということでございます。
#70
○大木正吾君 衆議院のときの大分こりがあると見えまして、盛んにあなた逃げ回っておるのだけれども、五・五%も税負担率が上がっている国で税金がふえなかった国はないですよ。それは一般消費税か物品税か、あるいは法人税かあるいは消費税か、それはわかりませんよ。わかりませんけれども、税金をふやす率が上がっているのですよ。中身については何にも考えてない。これは企画庁長官にも聞きますけれども、あの計画をつくるにはずいぶん日本の頭脳集団が集まってやっているんでしょう。その方々がそうおっしゃっておるわけでしょうが。そのときにこういう答え方でもってあの方々が満足するでしょうかね。総理、もう一遍答えてくださいよ。
#71
○国務大臣(大平正芳君) 財政収支試算の性格は何かとお尋ねになりますから、これは七ヵ年計画で想定しておる昭和六十年の日本の経済状態というものを考えてみたと、それを財政に計算的に投影してみるとこういう姿になりますというものにすぎませんと、これは政府の増税計画を示したものでもございませんし、政府の支出をここで約束するものでもございませんと、これはあくまで参考資料でございますと、こう申し上げておるわけでございますが、あなたはどうもこれは政府の増税計画でないかというように御認識されておられるんじゃないかと思うのでございますが、そうでないということはたびたび申し上げておるわけでございます。
#72
○大木正吾君 大体、本年度予算は七ヵ年計画の中の土台としまして成長率その他についてはそれを参考にしてつくったんですか、これは。
#73
○国務大臣(大平正芳君) これも一つの参考として見ておりますが、ことしの予算案というものは、ことしはこの程度お願いいたしましょうということで具体的な計画をつくったのでございまして、ことしも、来年も、再来年も、そのように年々歳々の予算案はつくって御審議をいただくようにいたしますが、そういうものをつくる場合の有力な参考資料として、この七ヵ年計画の数字でございますとか、財政収支の試算でございますとか、そういうものを参考にしながら政府としては考えておると、この財政収支試算に示された数字が具体的な約束ではないのだということはどうも御理解をいただかなけりゃならぬ基本的な認識であろうと思います。
#74
○大木正吾君 どうも国債なんかを銀行なんか買うのをやめたらいいと思うしね、回持に財投資金とか、あるいは政府資金なんかで引き受けることをやめてもらいたいと私は思うので、そんな頼りない話じゃ困るのですよ。もっときちっとした姿勢でもって――それはぶれがあることは認めますよ。認めるけれども、基本的なやっぱり方向というものは、財政赤字の再建ということを最大課題にしているんだったらもうちょっと――その中身は別ですよ。負担率が上がることは認めるわけでしょう。あの試算の中で上がっていることは認められるわけですね。
#75
○国務大臣(大平正芳君) そういう支出を賄うことをやらなけりゃならぬとすれば、そういう負担をお願いしなきゃならぬという筋道だと思います。
#76
○大木正吾君 押し問答で時間が来てしまって申しわけないですが、とにかく、じゃ、負担率が上がるということは私は税金がふえる、こういうふうに理解いたしまして質問をさらに続けてまいりますが、本年度の自然増収は幾らになりますか。
#77
○政府委員(高橋元君) 五十五年度の自然増収でございますが、全体といたしまして四兆五千九百八十億円計上いたしております。これは税制改正前の五十四年度に盛っております税収による五十五年度の増収額であります。
#78
○大木正吾君 その中身をもうちょっと詳しく述べてくれませんか。法人税、所得税、その他。
#79
○政府委員(高橋元君) 主な税目を申し上げますと、源泉所得税が一兆四千三百八十億円、法人税が一兆六千三十億円。次が申告所得税でございまして四千六百七十億円、物品税が二千三百七十億円、関税が二千七百億円、あとは比較的小さい税収であります。
#80
○大木正吾君 申告と源泉と比べた場合に、所得税は総額幾らですか。
#81
○政府委員(高橋元君) 五十五年度の税収、に計上いたしました額は十兆三千二百六十億円でございますが、これはそのいま申し上げました自然増収両方合計いたしまして一兆九千五十億円に相なりますが、そのほかに税制改正による増収二百六十億円を加えたものでございます。
#82
○大木正吾君 なかなか役人の方は話うまいですからね。だからちょっと聞き漏らしたらごまかされてしまうのだけれども、いずれにしても申告を含めて所得税が一兆九千五十億円で、四兆五千九百五十億円――四割五分を占めていますね。
 そこで、これも大蔵省に聞きたいんですが、租税負担率の最近の動向を五十年から以降言うてください。
#83
○政府委員(高橋元君) 国民所得に対する租税負担率でございますから国税、地方税、専売納付金を含みまして申し上げます。
 五十年度が一八・三、五十一年度が一九・二、五十二年度が一九・三、五十三年度は十二カ月ベースで申し上げますと一九・九、五十四年度は補正後予算を実績見込みで割りますと二一・一、五十五年度は経済見通しベースで二一・八であります。
#84
○大木正吾君 私の手元の資料と大体合いますけれども、もう一つ伺いますが、税目別のウエートが大ざっぱにわかりますか。所得税、法人税、間接税、そういった形でのウエート、百分率ですわな。
#85
○政府委員(高橋元君) 五十五年度でよろしゅうございますか。
#86
○大木正吾君 はい。
#87
○政府委員(高橋元君) 五十五年度の当初予算で申し上げますと、所得税のウエートが三七でございます。それから法人税が三〇・五。それから大きなもので申し上げますと、揮発油税五・五、それから関税二・八、印紙収入三・四その他になっておりますが、大きなものだけ申し上げました。
#88
○大木正吾君 ちょっと続けて主税局長に伺いますが、五十三年度の所得税と法人税のウエートをちょっと述べてくれませんか、五十三年度。
#89
○政府委員(高橋元君) 五十三年度決算で申し上げますと、所得税のウエートが三三・四であります。法人税が三四・一であります。ただしこれは十三ヵ月分でございますから、通常年に換算をいたしますとこのウエートは変わってまいります。
#90
○大木正吾君 いま総理も、大臣も聞いたと思いますけれども、私はサラリーマンの出ですからこういうことを言うのかもしれませんが、所得税のウエートはぐっと高まってきているわけですよ。総理はたしか、きのう、おとといの答弁で、所得税減税をやる環境にないとおっしゃったのですが、そのことの環境とはどういうことですか。
#91
○国務大臣(大平正芳君) 第一に、財政が大幅に公債依存の体質を持っておりまして、しかも、その公債たるや特例公債が圧倒的に多いというような、財政といたしましては危機的な状態にあるわけでございますので、所得税ばかりでなく、いまの正常な政府の歳入というものを減らさなければならぬというような環境でないと、つまり、財政の体質を健全な状態に返すためには負担をお願いすることが正しい行き方であって、負担をいま軽減するというような環境にないのではないかというのが一つでございます。
 それから、第二といたしまして、日本の所得税はそれでは非常に高いかというと、あなたが御指摘のように、法人税と比べてどうかという議論はございましょうが、他の先進諸国の所得税負担、先進諸国の国民所得に対する税負担というような御点から見ますと、幸いにわが国はまだ相当低い水準にあると見ておりますので、耐えられない水準で、他の諸国に比べまして非常に高いというふうなことでございますならば、これは環境でないかもしれませんけれども、幸いにそういう状況ではないと、所得に対しての税負担がよそに比べては比較的軽い状態にあるということでございますから、がまんしていただける環境ではなかろうかというようなことを念頭に置きましてお答えいたしたつもりでございます。
#92
○大木正吾君 税制というのは、国民の所得をなるべく均等化といいましょうか、上下の差別をなくしたり、いろんな調整作用をするわけでございますけれども、ただ、さっき大蔵省に聞きましたけれども、要するに五十三年度における法人税と五十五年度の法人税ですね。ちょっと手元の資料から見てもわかるんですけれども、とにもかくにも税金の比率が、所得税が五十三年度三三%、五十五年度三七%ですね。そして法人税の場合に、三四%あったものが逆に三〇・五に下がっているわけですよ。これは一つの例です。もっと深くやってもいいのですが、時間がありませんからしませんが、税金の公平感を欠くというように考えませんか。
#93
○国務大臣(大平正芳君) これは専門家にもお聞きいただきたいと思いますけれども、常識から申しまして、経済の繁閑というもの、好況不況というものを端的に法人税は反映する税目であろうと思うのでございまして、単年度限りの比較だけでは負担の公平ということを論ずるには十分ではないと私は思います。
#94
○大木正吾君 私の質問を聞いてもらいたい。
 五十三年度に、総理、よろしゅうございますか、法人税が三四%ですよ、全税収に占める割合が。五十五年度には三〇・五%に下がっておるんですよ。そして逆に所得税の方は三三%であったものが五十五年度三七%に比重が上がっているんですよ。これは公平な推移と言えますか。
#95
○政府委員(高橋元君) 先ほどお答えしましたときに、五十三年度は十三ヵ月で計上したと申し上げました。十二カ月ベースに換算をいたしました法人税のウェートを申し上げますと三〇・八と相なります。それから所得税のウエートは三七・一でございますから、先ほど申し上げました五十五年度の税収の所得税及び法人税の構成比とほぼ同じというふうに考えていただいて結構だと思います。
#96
○大木正吾君 税金の専門家との話はまた別の機会がありますが、ここに図表もあるんですよ。とにかく法人税の方がいずれにしても若干下がりぎみにあることは間違いないし、所得税がこういう上を向いていることは間違いないわけですよ。これは何だかんだ言ったって、ことしの場合の数字からしても明らかですから、いずれ、大蔵省には過去十年間のそういったいわば時系列的なものについての資料を求めて、いただく機会を得たいと思いますから、これは時間がありません、譲りますが、総理がおっしゃった社会保障移転の問題もちょっと触れたわけでございますけれども、とにもかくにも、外国の違うのはお認めのとおり、日本の場合には社会保障に対する負担が少ないということについてはお認めになるでしょう。
#97
○国務大臣(大平正芳君) 制度、水準等について、私は欧米諸国に遜色ないということを承っておりますが、年齢構成が御承知のように日本の場合はまだ低いわけでございまして、二十五年ぐらいたちますと欧米水準になってまいる。そういう場合において比較してまいりますと、日本の社会保障水準というものは不当に低いものとは私は考えておりません。
#98
○大木正吾君 それも同僚議員が質問するでしょうからここでやめておきますが、いずれにしても私の認識では、住宅とか老後生活を中心としまして、国家的に社会的にやるべきことを日本では個人がやっている。だから貯蓄もべらぼうに多いわけですから、そういったものでもって公債の消化に向けられたのではたまったものではない、こういう気持ちもあって実は竹下さんに聞いたわけですけれども、そういうことについては別の機会に譲ることにいたします。
 さて、税金問題について、竹下大臣、法人税問題について三月十日から税調が始まりましたね。これはどういうことを検討されるんですか。
#99
○政府委員(高橋元君) 去る三月十日の税制調査会の総会で企業課税の小委員会というのを設置していただきまして、法人税のいわゆる基本的仕組み、つまり配当軽課の問題、配当控除の問題、それから法人間の受け取り配当の益金不算入の問題を初めといたしまして、企業課税の基本的仕組みを広範な角度から、あるいは経済的な見地からも含めて御検討をいただくということにいたしました。
#100
○大木正吾君 法人税の推移についてどこかに資料がありましたけれども、説明してくれませんか。二十七、八年以降の法人税率の推移です。
#101
○政府委員(高橋元君) ごく簡単に申し上げますと、法人税は昭和二十五年に、御案内のとおり、シャウプの勧告によってできたわけでございますが、その後二十七、八年以降変遷を経てきておりまして、たとえば、三十五年でございましたか、配当軽課制度が導入される、それから当初二五%というふうになっておりました配当控除の割合が逐次下がってまいりまして、現在一〇%というふうになっておりますとか、それから二十五年当時はキャピタルゲインについて課税という原則でございましたが、二十八年以後キャピタルゲインは――株式のキャピタルゲインでございますが、非課税というふうになって、その後、本年度の税制改正で大きなものについて課税されるというふうに改めましたとか、それぞれ変遷を経てきておりますが、もし必要があればそういう資料につきまして御提出をしても結構だと思います。
#102
○大木正吾君 手元に税制問題はたくさんありますから、必要なものがあったらまた後で求めますが、実は、この実効税率でございますか、どういうふうに見ておりますか。法人の実効税率です。
#103
○政府委員(高橋元君) 日本の法人課税は、法人税と法人住民税と事業税と三つが所得に課せられることになっておりますので、事業税が損金でありますことを勘案いたしますと、大法人の場合、つまり資本金一億円超、年所得七百万円超の場合でございますが、その場合には四九・四七%に相なるということであります。
#104
○大木正吾君 いずれにいたしましても、この問題については大蔵事務当局が昨年予算をつくる前に、一遍法人税率を二%ぐらい上げたいということがあったわけですね。それについて一部の反対がありましてだめになったんですが、今度の税制調査会の法人関係の場合にこのことは俎上に上りましょうか。
#105
○政府委員(高橋元君) いまも仰せのありましたように、五十二年に税制調査会の中期答申の中で実効税率の国際比較をやっておられまして、その中では、わが国の法人税の実効税率は諸外国に比してまだ若干低目であると、したがって、経済社会情勢を見て適当な時期をとらえてそれの引き上げを検討する余地があるというお答えでありました。その経過に従いまして、法人税の課税水準をどうすべきかということについては年々の税制改正の際に税制調査会の総会で御検討いただいてきておりますし、これからもそういうことになろうと思いますが、先ほど申し上げました企業課税の小委員会は、そういう税負担水準というものとやや離れまして、いまのところは基本的な仕組みというものを御検討いただくという予定になっております。
#106
○大木正吾君 ということは、擬制説と実在説などに触れて議論するわけですか。
#107
○政府委員(高橋元君) そういうことも当然含まれると思います。
#108
○大木正吾君 ちょっと、これは厚生大臣に伺いますが、新聞記事とちょっと違って出ているのですけれども、医療の一人法人問題というのは、これはどういうことですかね。
#109
○国務大臣(野呂恭一君) 医療法人制度は病院等の開設のための資金の集積を容易ならしめるという観点からつくられたものでございまして、ただ、近年診療所におきましても開設の資金の量が相当大きくなってきておるという状況の変化がございますので、一一三人未満の診療所においても医療法人の設立の道を開く必要があるのではないかと、こういう御指摘もございます。現に、衆議院でございますが、八十七国会あるいは九十一国会におきましても一人法人を認めるべきではないかといった社会党、公明党、民社党、共産党、各党からその趣旨の質問が出ておるわけでございますが、ただこの問題は、医療法人の設置に必要な要件でございます常勤の医師三人以上ということを緩和するだけにとどまらないで、医療法人制度の全体のあり方にも大きな関連がございますので、慎重に検討いたしているわけでございます。
 なお、本件は税制上の取り扱いとは一応別個の問題としていま事務的に検討をいたしているわけでございます。
#110
○大木正吾君 これは法務省ですか、どこかわかりませんけれども、現在日本には会社は幾つありますか。
#111
○政府委員(高橋元君) 正確な数値はいま調べておりますが、課税統計から推算をいたしますと、申告のあるもの、ないもの――有所得、無所得と言っておりますが、それを含めまして百六十万であります。
#112
○大木正吾君 最後に、大蔵大臣と総理に伺いますけれども、とにかく法人税というものは、もうけた分に対する税金ですね、もうけなければ納めなくていいわけです。しかし、所得税の場合に、標準世帯の課税最低限は二百一万。二百一万でもって総理、私も生活できませんけども、四人世帯でなかなかむずかしいですよね。これらが生活費の中に食い込んできますよ、どうしたって。もうけて納める分と、所得の三百万前後から以下の層というものは、全然税金の質が違うということについて御認識はどうでしょうか。
#113
○委員長(山内一郎君) 大木君時間が来ました。
#114
○国務大臣(大平正芳君) いま仰せのとおりだと考えます。
#115
○大木正吾君 最後に一つ。
#116
○委員長(山内一郎君) 大木君、時間になりました。
#117
○大木正吾君 はい。
#118
○国務大臣(竹下登君) いまの大木さんのまあ認識とでも申しますか、私も同じくいたしております。
 ただ、この機会にひとつ答弁の訂正をさしていただきます。それは、OECDの見通しですがと申しました。成長率は見通しでございますが、あとの消費者物価と失業率は、これは実績でございましたので、そのことが一つ。
 それから、私がここにおって三回財政収支試算を見たのでありますが、私、間が飛んでおりまして、五回目であったということだけ訂正さしていただきます。
#119
○大木正吾君 最後にお願いですけれども……
#120
○委員長(山内一郎君) じゃ、あと一問だけ。
#121
○大木正吾君 これは質問いたしませんが、これは意見で述べておきますけれども、ぜひ二六・五%の線に近づくために財政収支試算も出していただきたいし、同時に税制改正が当然必要ですからね、大臣。増税の方向でいかざるを得ないわけですから、国民のコンセンサスを求めるためには公平化が必要ですからね。そのために私たちは、やっぱり所得税が累進度が高い。中間層が二%―三%ですからね。そういったことを考えていただいて、同時に法人税率は、二十八年以来確かに二、三%低いですからね。だからそういったことに着目されて税制の公平化をまずやっていただく。その上で、どうしても足らぬときには堂々と大平さん、増税論をぶったらいいんですよ。ぶったらいいんです、何も。そういったことを私申し上げて終わります。
#122
○委員長(山内一郎君) 以上で大木君の総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#123
○委員長(山内一郎君) この際、御報告いたします。
 本日、日本銀行副総裁澄田智君を参考人として出席を求めることを決定いたしましたが、その後、同行総裁前川春雄君の出席が可能となった旨の連絡に接しました。
 つきましては、前川君に出席を求めることといたしますので、御了承を願います。
    ―――――――――――――
#124
○委員長(山内一郎君) 次に、源田実君の総括質疑を行います。源田君。
#125
○源田実君 孫子の巻頭に、「兵は国の大事、死生の地、存亡の道なり。察せざるべからざるなり。」ということがもうすでに二千五百年前に言われております。いまから私がお聞きしたいことは、その中の重要な項目についてお伺いしたいのであります。
 それは言うまでもなく防衛機密の保護である。どんな電磁であろうが、どんな精鋭であろうが、機密が漏れたら何にもならないんです。惨たんたろ結果になります。したっがて、機密保護ということがきわめて重要であると考えるのでありますが、まずお伺いしたいことは、現在のわが国は、この防衛機密の保護に関して遺憾の点があると考えておられるのか、遺憾の点はないと考えておられるのか、これは防衛庁長官。
#126
○国務大臣(細田吉藏君) ただいまの状況では十分であるとは考えておりません。
#127
○源田実君 では、具体的問題について逐次――その前に総理に、いまの点は防衛庁長官の御答弁と同じように考えていいでしょうか。
#128
○国務大臣(大平正芳君) どこが十分でないかというような点につきましては、先般起こりました不幸なスパイ事件等の調査をいま部内においてもやっておりますので、それを通じて、それを究明して明らかにしていただきたいものと思っております。
#129
○源田実君 ところで、これは法制局長官にお伺いしたいのですが、自衛隊法七十六条に防衛出動の規定があります。これは国会の承認を要することになっておるのですが、要するに、防衛出動の最終決定権というものは国会にあると考えていいのかどうか、この点をお伺いしたいんです。
#130
○政府委員(角田禮次郎君) 最終決定権というふうにおっしゃいましたけれども、その言葉の意味を十分に私は理解していないかもしれませんけれども、自衛隊法第七十六条にありますように、防衛出動を決定して、これを命令するというのはあくまで内閣総理大臣の権限でございます。ただ、内閣総理大臣が防衛出動を決定し、それを命ずるに当たっては国会の承認があるということが有効要件であることは言うまでもございません。そういう意味では、内閣総理大臣は、自分だけの権限で防衛出動を命ずるということはできない仕組みになっておるわけです。
#131
○源田実君 ここのところが、ちょっと詰めておきたいと思うんです。それは、もちろん七十六条に決まっておるように、防衛出動の下令は総理大臣がやる。しかし、国会が承認しなければその下令は発動しないわけなんです。したがって、最終決定権はこの両者にあると考えることになるのか。あるいは、こういう場合が考えられる。なかなか総理大臣が、もう危険が迫っておるのに防衛出動下令しないというとき、国会が防衛出動を下令しろということを政府に要求できるのかどうか。この点はどうでしょう。
#132
○政府委員(角田禮次郎君) 先ほども申し上げましたように、下令権は内閣総理大臣にあくまであるわけでございますから、国会が防衛出動を命令すべきであるということをお考えになったときには、それを政治的な意味で意見を表明することは無論できると思いますけれども、国会自体が防衛出動を命令すると、それによって法律的な効果が発生する意味の命令というのは、これはできないことは明らかだと思います。
#133
○源田実君 そこで問題は、国会が防衛出動が必要であるという国会の決議を行ったときに、総理大臣がこれを拒否できるのかどうか、これはどうでしょうか。
#134
○政府委員(角田禮次郎君) それは一般に国会の決議とそれに対する内閣の態度がいかにあるべきかという問題だろうと思いますが、当然内閣としては、国会のそういう決議があったときには、それを一般的には尊重すべきものであろうと思います。
#135
○源田実君 そうすると、国会の方で、防衛出動の承認を求められても国会が必要ないと見たら拒否できると。しかし、国会が防衛出動の必要があると考えて決議を行って、それを政府に要請したときは、政府は拒否できないと、こういうぐあいに考えていいんですか。
#136
○政府委員(角田禮次郎君) 先ほど申し上げたとおりのことでございまして、それは一般に国会の決議があった場合に、それを内閣がいかに処理するかという問題と同じ性質の問題であろうと思います。
#137
○源田実君 ここのところ、ちょっとはっきりしないんですがね。次に重要な問題がこれに入ってくるんです、そこで。この防衛出動の承認権というものを国会が持っておる。これは憲法第四十一条による「国権の最高機関」をどう解釈するのかという問題に関連するんですが、国権の最高機関として防衛出動の承認を、あるいは承認しないということをやるのか。それとも、憲法第六十二条によれば国政調査権というのがある、これによってやるのか、これはどちらになるんですか。
#138
○政府委員(角田禮次郎君) 御質問は、防衛出動の承認案件についての国会の審議との関連において、憲法四十一条と憲法六十二条とを対比して御質問になっておられるように思いますけれども、憲法四十一条というのは、その趣旨は、国会は選挙を通じて直接に主権者たる国民に連結しているということから、多くの国家機関の中でも最も重要な機関であるという、その国会の国家機関としての一般的な性格について定めたものであると承知しております。一方、憲法六十二条のいわゆる国政調査権の行使という点につきましては、憲法及び法律によって与えられている各議院の権能を遂行するための補助権的な権能として両議院に認められた具体的な権能の一つであります。
 したがいまして、御質問のように、国権の最高機関ということと、その国政調査権ということとを対比して同じ次元で論ずることは、どうも私どもには必ずしも適当でないように考えられます。
#139
○源田実君 こういうことは、実は防衛出動ということは行政権の発動によるのか、そうではなくて、最高機関として、とにかく国家機関の中の最高位にあるという権限によって承認を行うのか、これはどうですか。行政権の発動ならば政府だけでも、最後のとき衝突した場合はどうなんです。政府だけでやれる、しかしながら、もし最高機関となれば、衝突した場合には国会の方に従わなきゃいけないことになると思うんですが、これはどうでしょう。
#140
○政府委員(角田禮次郎君) 憲法四十一条についての御理解が私どもと多少違っているところに問題があるように思いますが、私どもは、憲法四十一条は、先ほど御説明申し上げたような一般的な、国会の国家機関としての地位というものを一般的に規定した規定でございまして、それが直ちに最高機関として行うとか行わないとかいうふうに結びつくのじゃなくて、国権の最高機関である国会の一般的地位というものをバックグラウンドとして、国会がどういう権能を持つかはそれぞれの憲法の規定なり法律の規定によって決められていると、こういう理解の仕方をしているわけです。
#141
○源田実君 国権の最高機関という意味は、――まあ私は素人ですが、違うと言うんですがね、そうすると憲法に書いてある「国権の最高機関」という意味は、昔の宮中席次第一位というような、ああいう意味の程度で、ただ位が上だけと、こう解釈するんですか。
#142
○政府委員(角田禮次郎君) 国権の最高機関であるという意味は先ほど来申し上げているところでございますけれども、さらにつけ加えて申し上げますと、わが憲法というのは、いわゆる三権分立制をとっているわけであります。したがいまして、端的に申し上げますと、国会が国権の最高機関であるからといって、国会がすべての点において最高であるということにはならないわけであります。たとえば、国会が制定した法律というものも、裁判所が違憲審査権を行使することによって国会のつくった法律を憲法違反だと、無効だと言うこともできるわけでございます。そういうふうに、憲法のそれぞれの規定では三権分立を前提として、ある場合には裁判所が国会を抑制する、無論逆に国会が裁判所を抑制するということもありますが、そういうふうに、それぞれの規定で具体的に三権の間の関係というのは決まっているわけであります。
 しかし、それにもかかわらず、四十一条というものに国権の最高機関であるという規定がわざわざ設けられている趣旨は、先ほど来申し上げたように、国民主権のもとにおいて主権者である国民によって直接選出されているのは国会だけでございますから、その国会というものが国家機関の中において最も国民に近い、かっ重要な権能を持つている、そういう意味合いをわざわざ四十一条で規定したものだと私どもは理解しております。
#143
○源田実君 ここのところは、ほかの問題と違ってきわめて重要な国の運命に関する問題を取り扱うんです。そうすると、判断によって是か非かというような考え方が変わってくるときがあると思うんですよ。防衛出動すべきである、すべからずと、国会と内閣と対立したときには一体だれがこれを決定するのか。最高機関ならば最高機関ができるはずである。でなければ、これは行政権みたいにして、国会が反対してもできると。しかし、これは法律じゃそうなってないですな。そこらのところをちょっとはっきりひとつ、どういうぐあいにやるのか、衝突した場合の最高決定です。
#144
○政府委員(角田禮次郎君) 先ほど来申し上げていることを繰り返すほかはございませんが、内閣の方で防衛出動を命令すべきだと考えて防衛出動の案件を国会に出すと、その場合に、国会が承認をしないというふうに御決定になれば、その限りにおいて内閣は防衛出動を命令することはできない。こういうことはもう明らかであります。
#145
○源田実君 ところが、防衛出動をやる場合のいろんな情報、判断、そういうものは政府がうんとよけい持っておると思うんですよ。したがって、政府が要請するときは相当な根拠がなきゃいけない。しかし、国会議員が全部それを知るわけにはいかないです、平生から。そうすると、そこに非常に問題があるのは、承認をするかしないかという重大決定を国会がやらなきゃいけない、その場合に、情報が十分入らないままに政府の要請に対して盲判を押すのか、それとも盲判ではなくて、政府の説明によって納得させられて承認するのか、それは一体どういう経過になるんですか。
#146
○政府委員(角田禮次郎君) どうも私がお答えするべき問題じゃないようにも思いますけれども、それは一般の案件と同じで、政府がある案件を出した場合に、国会はそれを御判断されるのは当然でありますし、また、政府としてはそれについていろいろ御説明申し上げて、それで御納得を得なければ所期の目的は達成できないわけでございますから、当然いろいろ御説明をするだろうと思います。しかし、判断は国会がおやりになることだと思います。
#147
○源田実君 そこで問題は、防衛出動を承認を要請したときに、国会に対しては国会が十分納得できるだけの説明を行うという意味ですね。こう理解していいですか。
#148
○国務大臣(細田吉藏君) 先ほど法制局長官からお答えのありました点につきまして、私から重ねてお答えをまずいたしたいと思いますが、これ、ただいまの法制局長官の答弁と全く同じことでありますけれども、七十六条により、内閣総理大臣が防衛出動を命ずるに際しまして国会で御承認をいただく場合には、国会の手続等は国会が御判断なさることでありまして、この可否を判断いただくためのいろいろな資料は、この判断をいただくに足るだけの資料は御説明しなければならないと思っております。この場合に、秘密事項についてもある程度言わなきゃわからぬじゃないかと、こういうことがあろうかと思いますが、こういうことを具体的なものまで説明しなくても、国会で全般的な政治的判断において御承認を得られることがあろうかと思いますし、また、むしろそういう場合の方が通常ではなかろうかと、かように思うのでございますけれども、場合によりましては秘密会によることもあろうかと思います。こういう点につきましては国会の御判断ではなかろうかと、かように存じております。
#149
○源田実君 国会が納得できるような説明を聞かなければ承認することはできないのは、これは当然だと思うんです。ところが、それではどの程度までの機密事項を説明するのか。これは大体政府の方としては、いつ何があるかわからないんだから、どこまでは説明する――たとえば敵側の状況は説明する、これは当然常識としても味方の計画は説明できないと思うんですよ。敵の状況は説明できる。こういうところについて何か基準を決められておりますか。これは防衛庁長官です。
#150
○国務大臣(細田吉藏君) 私が先ほど申し上げましたように、そのような具体的な事情について御説明しなくても、一般的な状況において国会が御判断になるという場合が私は最も多いんじゃなかろうかと思いますが、いま御質問にもございましたように、相手方の状況についてはある程度得ておる情報についての御報告はできると思います。しかし、わが方の状況については、おっしゃるように、逐一細かくいろいろ申し上げるというようなことは、実害がそういう予想される場合においてはあるわけでございますので、そのような点は説明をすべきではないし、しなくても御判断をいただけるというように私ども政府の側から十分国会に御納得いくように申し上げるべきであると、かように存じておりますが、非常に重大な問題でございまして、私どもは、そういうことがこの問題については基本的な考え方であってしかるべしと、かように考えておる次第でございます。
#151
○源田実君 非常に重要な問題がここに含まれておるんですよ。国会でたとえ秘密会にしても、ここでこちらの計画は説明する必要はないと私は思います。しかしながら、敵側の状況、一般状況というものは詳しく説明しなきゃいけない、これによって防衛出動が必要であるかないかの判断はできると思うんです。しかしながら、その機密が、秘密会の機密を守るのは、絶対守り得るような規定があるのかどうか、それはどうでしょうか。
#152
○政府委員(角田禮次郎君) 法律的な仕組みとして申し上げれば、一般職の国家公務員、自衛隊員等については、御承知のとおり、守秘義務に違反した場合に処罰する旨の規定がございまして、それによって担保されているわけでございます。しかし、国会議員が職務上知った秘密を漏らしたことを理由としてそれを処罰する旨の規定はございません。
#153
○源田実君 ここに非常に問題があるんです。国会の職員が秘密会に出て、これが漏らした場合には国会公務員法によって罰せられる。国会議員の場合は、その院において懲罰を受けてあるいは除名される場合がある。しかしながら、除名されても、次の選挙で再選された場合にはこれ拒否できないと、こうでしょう。こう理解していいですか。
#154
○政府委員(角田禮次郎君) 国会法の規定の解釈でございますから、私が申し上げるのは必ずしも適当でないと思いますが、いま御指摘のような規定が国会法にございます。
#155
○源田実君 これは、私は、防衛出動の場合に、これが秘密会にかかった場合に、その中で職員ならば、これは刑事責任を追及する、国会議員は刑事責任を追及されない、こういうあり方はどうかと思う。どうかじゃない、ちょっとぐあいが悪い。これは憲法の十四条ですか、これとはどういう関係になるのですか。「法の下に平等であつて、」というやつです。一般職員と国会議員とが同じ犯罪を犯した場合、片方は刑事責任を追及される、片方は追及されないというのはどうなんですか。こういうところは、これは法制局長官ですか、だれに聞くか、とにかくひとつ。
#156
○政府委員(角田禮次郎君) 国会議員になぜ罰則をかけないのかという前提に立っての御質問のように思いますので、どうも私はお答えしにくいんですけれども、国会議員は国会議員としての特別の地位を持っておられますから、そういうことで恐らく罰則をかけていないんだろうと思います。それが直ちに憲法十四条に違反するというふうには考えません。
 なお、ちょっとお言葉を返すようですけれども、国会職員には国家公務員法の規定の適用はございませんので、その点はちょっと誤解しておられるようです。
#157
○源田実君 ああそうですか、それはいい。
 この問題、実は国の運命に関する防衛問題なんです。防衛出動なんです。その機密が漏れた場合に、これの刑事責任を追及する道がないということは、はなはだもってこれは不可解な問題である。これは総理大臣いかがお考えか、ひとつお考え願いたい。
#158
○国務大臣(大平正芳君) 政治の問題として、そういった点は十分念頭に置いて政治の問題として適正に処理しなければならぬことであると思います。
#159
○委員長(山内一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時から委員会を再開し、源田君の質疑を続行いたします。
 これにて休憩いたします。
   午前十一時五十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十三分開会
#160
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十五年度総予算三案を一括して議題とし、源田実君の質疑を続けます。源田君。
#161
○源田実君 先ほど国会職員は一般的な国家公務員ではなくて特別職という、この点を私は間違えました。
 ところで、もしこの防衛出動に対する国会の審議において、これはやっぱり相当な機密、ことに敵状に関しては相当のことを言わなければ、これは審議できないと思うのです、言わざるを得ない。しかし、その状況を知ったならば、相手側としては、ははあ、こう考えておる、ではこういうぐあいにやれば裏がかけるということは、これは兵術的な常識として出てくるはずです。したがって、この審議でどういう状況を与えたかということなんかは絶対機密を要する。これに対しては、いまのところ結局最終的な歯どめはないと思うのですが、これはどうなのでしょうか。これは総理大臣に。
#162
○国務大臣(大平正芳君) 政府といたしましては、行政を預かっておるわけでございますので、憲法の条章に従いまして最善を尽くすわけでございまして、国会との関係につきまして、国会に了承を求めなければならぬ場合におきましては最善を尽くさなければならぬことは当然でございます。国会に説明し、国会を御説得申し上げるにつきまして、どれだけどういうことをやらなければならぬか、それが防衛機密にわたるということでどうしてもできないというような場面がないとは言えないと思うのでありまして、そういう場合には国会と政府との間におきまして、誠心誠意協議を遂げまして、国会の御了解を得なければならぬと考えておりまするし、私はそれはできない相談ではないと考えております。
#163
○源田実君 この問題は、実は非常に重要な問題であって、この防衛出動というのは国の運命を決する問題である。したがって、そこにおいて非常に重要な決定がなされる。それで機密保持も徹底した機密保持の必要があると思うのです。したがいまして、これはいま政府にこうやれ、どうやるのかというぐあいにはこれはいかないと思うのです。しかしながら、私は自分の意見として国会のこの防衛出動に対する審議の場合に、決定的な歯どめを必要とする、いまはそれが欠けておる、こういうぐあいに考えておるのでありまして、これを必要とするという意見をいま私の意見としてここではっきりと申し上げておきます。
 次に、いまの説明の範囲については、これもやっぱり国会においてやるか、いろいろ政府と御相談の上でどこまでの説明はやる、要するに納得できればいい、味方の方の計画まで説明する必要はないと思うのです。これはもうやっちゃいけない、これは作戦のその担当者だけが知るものであって、そのほかはいけない。しかしながら、状況はやっぱりこれは全部知らして、こういう出動の必要があるという、そういう規定を、規定というか了解を求めるか、何か求めなければいけない、歯どめが必要である。これは御返事は要りません。
 それから次に、兵器の秘密について、いまのところ米国から供与された兵器の秘密保護については日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法というのがございまして、もちろん、御承知のとおり、これは一般国民もすべてこれによって規制されると私は考えておるのですが、いかがですか、この点は。
#164
○国務大臣(細田吉藏君) お説のとおりでございます。
#165
○源田実君 そこでもう一つ私はここで疑問があるのですが、米国から供与された兵器に対しては規制がある、他の国から機密であるということで日本が購入するとか供与された、そういう兵器の機密を守るいまの規定はないと思うのですが、あるのですか、どうですか。
#166
○国務大臣(細田吉藏君) 自衛隊法の秘密を守る規定、五十九条の規定だけでございまして、アメリカからの武器というように特別な法律はございませんので、一般の、自衛隊法五十九条だけでございまして、特別なものがないということでございます。
#167
○源田実君 そうすると、米国のは一般国民がやっぱりこれで規制される。しかし、他の国から機密な兵器を日本が手に入れたとしても、これはだれもこれの機密が漏れた場合これを規制する法律はないと、こう考えていいのですか。
#168
○国務大臣(細田吉藏君) 自衛隊法や一般公務員法の秘密を守る義務、それの違反に対する罰則、それしかございません。
#169
○源田実君 こういうところにもいまの機密保護については日本にはいろいろな欠陥があると思うのです。まだそのほかにあるのですが、私はいろいろお伺いしたい。
 それは次は、自衛隊法の五十九条ですか、これが「隊員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」、こうなっておりますね。ところが、隊員が職務上によらずして得た機密というのは、自分の職務ではない、人の職務である、これによって得た機密を漏らした場合、これはどうなるか。これはどうでしょうか、防衛庁。
#170
○国務大臣(細田吉藏君) 御質問の御趣旨が必ずしも明らかでございませんが、たとえば防衛庁の職員が自分の直接担当しておらないということで、防衛庁の他の部分、他の部門でいろいろやっておる、これがこの担当していない者に秘密が入る、それは職務上知り得た秘密ではないではないか、こういうふうなこともあるいは言えるかもしれませんが、しかし、私どもはそのようには考えておりません。これはやはり防衛庁、自衛隊隊員であるがゆえにそういう周辺のことも入る、したがって、私は、職務上知り得た秘密の中にこれは当然入るべきである、かように解釈いたしておりますが、法律解釈の問題でございますから、あるいは法制局の方でお答えをいただいた方がよろしいのではないかと思います。お尋ねのようなことでございますと、私は、自分が直接担当しておらないほかのことでも、やはり自衛隊の隊員として知り得た秘密というふうに解釈すべきであろう、かように考えておる次第でございます。
#171
○源田実君 法制局長官、いまの問題について法制局のお考えはどうですか。
#172
○政府委員(角田禮次郎君) 五十九条には「職務上知ることができた秘密」と書いてありますから、「職務上知ることができた秘密」に当たらない場合は、むろん五十九条の適用はないわけでございます。しからばどういう場合が職務上知ることができたというのに当たるかどうかについては、いま防衛庁長官から御説明がありましたが、結局職務執行に何らかの意味のかかわり合いがなければいけないわけで、たまたま全く個人として何らかの機会に知ることができたとしても、それが自衛隊員であっても、そういう場合にはむろん入らないと思います。しかし、通常の場合職務執行に何らかのかかわり合いを持って、その機会を通じて知り得たものはここの五十九条の規定の適用があると思います。
#173
○源田実君 ここらのところが私はあいまいであると思うのです。いまちょっと御答弁のあれ、少し違うのじゃないかと思う。たとえば重要な防衛計画、あるいは重要でなくても防衛計画というものはほとんど作戦の首脳部がっくるものである。一般の曹士、ことに士の新入隊員なんか全然ごれは職務上も何も知る余地もないところなのです。何かの関係でこれを知って漏らした場合、具体的に言うと、これはどうなるのですか。
 防衛庁では、これはやっぱり防衛機密に属する問題で、ルートのいかんを問わず、これは自衛隊法にひっかかると。しかしながら、法制局長官の分は、どうもそうではなさそうな感じなのですが、ここのところはどうですか。
#174
○政府委員(角田禮次郎君) 非常に具体的な状況に応じて判断しなければならないと思いますので、源田委員のおっしゃることを正確にとらえがたいのですが、身分を持っているから自衛隊員は常に五十九条の規定の適用があるというほど広くは解し得ないと思います。下の方の者が何らかの意味の職務上のかかわり合いを通じてやはり知るという場合であれば、五十九条の規定は適用がありますけれども、たまたま何か盗んで持ってきたりなんかというような場合、あるいは個人として全く偶然知り得たというような場合は、どうも五十九条の規定の適用としては無理だと思います。
#175
○源田実君 こういうところにもいろいろな私は機密保護上の穴があると思うのです。したがって、結論的に言えば、私は、普遍的な機密保護法が現在の日本においては欠けておる、これがなければならないのだと、これはもう基本的な問題である。これは御意見を伺うことはやめて、私の意見を述べておきます。
 それをやらないでいろいろなことを幾らやっても、もうこちらの打つ手が一つ一つ敵にわかった場合に、これはどんなに金を入れて、どんなに軍備を整備しても役に立たないのです。しかも、それは単に隊員の生命だけじゃない、国民の生命までこれで犠牲になるんです。恐るべき結果になる。この点は私の意見として申し上げておきます。
 次には、やっぱりこれは今度は憲法問題ですがね、非常に厄介な問題があると素人ながら考えるのです。
 それは、いま自衛隊法の第五十九条、これで自衛隊員は規制されておる。国家公務員法第百条、これで国家公務員がある程度の規制を受けておる。また一般国民は日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法によって規制を受けておる。そのほかは受けてない、いまの日本では。たとえいま私が申し上げた普遍的な全国民に適用できる機密保護法を制定したとしても、現在の憲法の規定によれば、裁判の過程において機密が漏洩するようになるか、あるいは裁判の進行ができなくなるようなおそれがあると考えておるのですが、その点、これは法制局ですか、防衛庁ですか、どちらでもいいのですよ、両方言ってもらえばその方がいいですよ。
#176
○政府委員(角田禮次郎君) 御質問は、普遍的な機密保護法の制定を前提としての問題であるように思いますが、その辺はともかくといたしまして、実は現在でも公務員の守秘義務違反に係る刑事事件において、御指摘のような秘密の開示ということが問題となる場合があるわけでございます。機密保護法の制定とは関係なく、いまでも実は問題があるわけでございます。
 この点につきましては、現行の訴訟法の上では公務員の保管する職務上の秘密は、その監督官庁の承諾がなければ裁判の場に持ち出すことができないことになっております。その限りでは、秘密の漏洩というものが防げるわけであります。また、裁判の過程でも、その秘密事項そのものを直接法廷に出すということでなくて、その事項の周辺の事実と申しますか、そういうものを明らかにすることによってその事項が秘密であることを立証する方法も認められておりますので、また今後、実際に裁判の場においてそういう方法を恐らく検察当局はとっていくことと思われますし、裁判の場においてもそういう方法が恐らく認められると思いますので、裁判の場においても、つまり御指摘のように、憲法の八十二条の公開原則がとられている場合においても、秘密事項そのものの公開ということが避け得るものと一応考えられます。
#177
○源田実君 これに関連する問題でありますが、憲法の七十六条、これには「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」、その次は、第二項が「特別裁判所は、これを設置することができない。」、こういうことになっております。そうすると、軍法会議というようなものはできないわけですね。こう了解していいですか。
#178
○政府委員(角田禮次郎君) そのとおりでございます。
#179
○源田実君 そうすると、次にこういうことが考えられます。第八十二条、これにはどういうことが書いてあるかというと、もちろん御存じのとおり、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」、次には「裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。」、しかし、問題は次なんです。「但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となってみる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。」、そうすると、防衛機密の漏洩をやった、これに対する裁判が行われる場合、これは政治犯罪だと私は考えるのですが、いかがですか。
#180
○政府委員(角田禮次郎君) 具体的な事件の内容によって違うと思いますが、政治犯罪になる場合もありますし、ならない場合もあると思います。
#181
○源田実君 防衛機密を漏らしたというのは、政治犯罪にならない場合があるのですか。どういう場合があるのですか。
#182
○政府委員(角田禮次郎君) 源田委員は、一般的な機密保護法ができた後のことをどうも前提として御質問になっておられろようでございますので、一体どんな機密保護法ができるのか、そういうことを抜きにしては、ちょっといまこの場所でお答えはいたしかねます。
#183
○源田実君 全般的な機密保護法ができりゃもちろんですが、しかし、現在のままでも防衛機密を自衛隊員が漏らした場合には、これは裁判になるのです。裁判になって、政治犯罪になるというぐあいに私は考えるのですが、いかがですか。そうじやない、いまの普遍的な機密保護法ができなくても、現在のままでも……。
#184
○政府委員(角田禮次郎君) やはりその事件の態様によると思います。一律に政治犯罪に常になるとは私は思いません。
#185
○源田実君 次には、こういう問題があるのです。これはいまのままでは処罰の限りでない、非常に重要なことであるけども、処罰できないと思うのですが、これはどういうことかと言うと、非常に重要で、最も重要なものの中の一つに、敵味方識別の機械と規程があるのです。これがわかったら問題にならないのですよ、全然。ところが、それを自衛隊員が漏らした場合にはこれは自衛隊法でやられるだろう、しかしながら、これを製作した製作者、ないしは全然他の人がこういう敵味方識別記号を使い、こういう機械を使っておるということを漏らしても、これはいまのところ処罰の方法がないと思うのですが、これはどうですか。
#186
○政府委員(原徹君) 正確に問題を理解したかどうかちょっとわかりませんが、自衛隊法五十九条しかないわけでございますから、いまの装置その他につきまして、たとえば技術研究本部で開発をした技術があって、それがたとえば庁秘になっているといたしますると、防衛庁の職員が漏らせばもちろん自衛隊法の適用になりますが、その技術を使って会社が一つの機械をつくるということになったときに、その会社の人が漏らした場合には、自衛隊法は適用になりませんから、まあ穴があくということになるわけでございます。
#187
○源田実君 私は普遍的な機密保護法が必要だというのは、こういうことなのです。いまのように、たとえば飛行機なら飛行機で、詳しいことを申し上げるわけにいかないけれども、ある装置をぼっと押すことによって敵か味方かすぐわかる、その装置が敵に漏れておったら、これは全くもう見てはおれないですよ。ミグなんかそこらのところは実にうまいこと、これはわかってもわからないようになるような方法をあれは使っておる、ミグは。日本のはそうなっていないです。日本の国で、そいつをつくった会社で漏らした場合、これは罪にならない。それで、いつ漏れていついっているかわからないですよ。これは全く危なくて危なくて本当は見ちゃおれないですよ。だから、私はまた繰り返していまの機密保護法の問題をここに言うのですが、それが裁判になったときに、どういうぐあいになるか。裁判になった場合に、これはもうすでに航空自衛隊において数年前一つ例がある。ある男の裁判のときに、防衛計画を証拠書類として提出しろと、たしかそうだった。もちろん防衛庁は出しません、それは。そうすると、裁判の方はどうなるかと言うと、そのときの裁判の判決文は読んでいないけれども、多分証拠不十分。判定の証拠がない、こういうことになる。そうするとどういうことになるかと言うと、裁判官としては正当な判決を行おうとすれば証拠が必要である。その証拠は防衛機密である。それになお、政治犯罪、出版に関する犯罪、または憲法云々、これによってまずこれは公開裁判になる。その公開の席上で重要な機密が論議される、これは。この憲法によればどうしてもそうなるんですよ。この点ははなはだ遺憾で、この問題を日本は国を守るために本当に真剣に考えなきゃならない。その裁判の過程において漏れるというようなことを起こして国は滅びてもいいのかと、こういうことになるんです。したがって、この問題について、政府は、いまそれじゃこうやりますと、こうはいかぬでしょう。国会、政府ともよく相談してやらなきゃならない重要な問題でありますが、いまどういうぐあいにここに欠陥があるかないか、どういうぐあいにお考えになっておるか、これは防衛庁長官と総理とにお伺いしたいと思うんですよ。
#188
○国務大臣(細田吉藏君) 秘密の保護に関する問題につきましては、各般の点にわたりましていろいろ考えなきゃならぬ問題が非常にたくさんあると考えておりまして、いま御指摘の問題も、もちろんそのうちの非常に重大な問題だと考えております。したがいまして、私どもの方といたしましてはいろんな場合の検討をいたしておる次第でございます。ただ、しかしながら、私どもとしては、当面、現在どうするかということについては法律あるいは裁判になるぎりぎりのところでなくて、どうして秘密が守れるか、こういうことについて、これは当面の問題でございますので、現行法のままでもどうやったらこれが守れるかということについて、もちろん同じように検討をいたしておる次第でございます。
#189
○国務大臣(大平正芳君) 現行の憲法をわれわれが選択した以上、その許された範囲内において私どもは行動する以外に手はないわけでございます。この体制の中では、秘密保護が最終的に完璧に法律の保護を受けておる体制にはなっていないように私も思うわけでございます。したがって、政府としては行政権の範囲内におきまして、法律の保障をまたないで、できるだけのどういう措置を講じますと秘密の防衛に役立つか、それは仮に完璧なものでなくても、ぎりぎり限界まで行政努力を続けなければならぬと考えておるわけでございまして、先般の事件が起こりまして以来も、部内の検討を急いでおるところでございます。
#190
○源田実君 先般の事件はまことに遺憾である。しかも間諜というものに二種類あるんですね、御存じのように。一つは敵の情報を盗む役、もう一つは味方の情報を敵に売る間諜、二つある。先般の場合は後者であって、最もこれは国家、国民として憎むべき犯罪である。したがって、こういう問題に対しては私は非常に厳しい今後その処置が必要であると考えます。みんな自衛隊員が一生懸命になってやっておるその自衛隊員の命がまるで虫けらみたいに扱われることになるんです。この点はちょっとそれを申し上げておきます。
 そして、もう一つ機密保護法の問題について、実はいろんな情報を――新聞情報ですが、アメリカから中華人民共和国には人工衛星の情報とかなんとか渡っておる。日本にはなかなかわからないところがあると思うんですよ。日本には機密保護法がない。向こうはぴしゃっと機密が守れる。そうすると、同じ人工衛星の情報にしても、日本には渡さない、向こうには渡す、こういうことがある。また、さっき言ったSIF、すなわち敵味方識別のこれについても同じような問題があると思うんですよ。したがいまして、機密保護法が欠けておるということは現在の日本の防衛にとっては全く最大の欠陥であると私は考えるんです。それについてひとつもう一度政府の御見解――とにかくやるやらぬの問題でなくて、非常にこれは重要な問題に欠陥があるとかないとか、その御回答を得たい。それは防衛庁長官と総理。
#191
○国務大臣(細田吉藏君) 防衛庁長官といたしましては、非常に重大な問題であると考えておる次第でございます。
#192
○国務大臣(大平正芳君) いまの憲法体制のもとでどこまでできるか、そしてどこまで国民のコンセンサスを得て立法化できるかというような問題が一つございます。それからもう一つは、法律的手段によらないで行政手段によりましてどこまでできるかというような問題は、限界まで詰めて真剣に対処する必要があると私は思います。
#193
○源田実君 終わり。
#194
○委員長(山内一郎君) 以上で源田君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#195
○委員長(山内一郎君) 次に、渋谷邦彦君の総括質疑を行います。渋谷君。(拍手)
#196
○渋谷邦彦君 人類の悲願であります世界平和、このためにはどういう手段が一体必要なのか。つまり軍備競争によって得られるものなのか、あるいは核廃絶を中心とした軍縮によって得ちれるのか、総理にまず基本的な考え方を伺いたい。
#197
○国務大臣(大平正芳君) 平和と安全の確保のためにはあらゆる手だてを考えなければならぬわけでございまして、その有力な手だての一つとして軍縮の問題があると考えております。
#198
○渋谷邦彦君 現状、軍縮の方向へ向いているという御認識ありますか。
#199
○国務大臣(大平正芳君) 国連におきまして軍縮の決議が行われ、また二国間あるいは多国間の間におきまして軍縮の相談が行われておることは事実でございますし、それに若干の進歩が見られることも事実でございますけれども、残念ながら世界全体といたしまして軍備の拡張という方向が見られますことは大変残念なことと思っております。
#200
○渋谷邦彦君 申すまでもなく国連憲章、日本国憲法、また政府が一貫していままで主張してきた平和への道の選択、これは当然だと思うんです。しかし、いま御答弁がありましたように、残念ながら逆の方向へ行っている。このままわれわれが拱手傍観して果たしていいんであろうか。また、政府としてこの問題に対してどのような基本的な考え方に立っての取り組みがあるのか。
#201
○国務大臣(大平正芳君) 残念ながら世界全体として軍備の拡張ということが見られるにいたしましても、そういう状況であればあるほど軍縮を希求する願いを込めた軍縮計画の推進というものは、私はますます重要になってきておると思うのでございまして、わが国といたしましては、国連のこういった方向の努力に対しまして全幅的な協力を惜しむことなく、今後も精力的にこの討議に参加して、その実現に向かって努力していきたいと考えております。
#202
○渋谷邦彦君 おっしゃるとおりですね。国連創立以来、一番最初に討議された議題がこの軍縮であったわけです。自来、今日までは三十有余年経過しております。しかし、一向に実を結ばない、SALTIIももう暗礁に乗り上げている。こういう状況の中で、いまおっしゃったように、国連のそうした討議の場においては積極的に取り組むとおっしゃっておりますけれども、具体的にどういうふうに取り組んでその突破口を開こうというお考えがあるのか。
#203
○国務大臣(大平正芳君) 政府当局から説明させます。
#204
○国務大臣(大来佐武郎君) わが国は世界唯一の被爆国の立場もございますし、国連の軍縮問題の討議には積極的に参加しておるわけでございます。
 現実問題としての軍備は、先ほど総理が答弁されたようなことで、満足すべき状態にはないわけでございますが、一面、国連を通ずるこの軍縮問題の討議を通じまして、核不拡散条約あるいは部分核停条約、海底核禁止条約というようなものがこれまでに成立しておりますし、さらに現在は包括的核実験禁止条約、化学兵器禁止条約が最優先課題として審議されておりまして、わが国はこれらの審議に常に積極的に参加する姿勢をとっておるわけでございます。
#205
○渋谷邦彦君 私は、もっと具体的にその成果について、いままでどういう方向が、道が開けてきたのかということを実はここで確認をしたいわけです。それはいまの御説明はわかっているんです。
#206
○政府委員(賀陽治憲君) お答えいたします。
 具体的というお話でございまするが、ただ当面はやはり先ほど御議論ございました包括的核実験の禁止条約を一刻も早く成立させると、これは御承知のように、地中の実験を禁止するということでございます。これにつきましては、地震等と関連がございまして、本当にこれが核実験であるのか、あるいは地震であるのかというような検証措置についてさらに具体的にこれを詰める必要があるわけでございまして、この点はさらに一層の努力を要するところでございます。
 それから、化学兵器の禁止条約というものも上っておりますし、放射線兵器の禁止条約、そういったものが具体的に現在ジュネーブの軍縮委員会において討議されておるわけでございまして、特に最近は中国が軍縮討議に参加をし始めたわけでございまして、また軍縮委員会のメンバーも非同盟メンバーがふえます等、相当に新しい陣容になってきたわけでございまするから、そういう客観的条件を踏まえまして、われわれといたしましても、さらにこういった条約の早期成立のために努力をするというのが具体的な対処策であろうと考えるわけでございます。
#207
○渋谷邦彦君 その見込みがありますか。
#208
○政府委員(賀陽治憲君) 実際問題として、今会期中にこれらの条約ができるかという御質問でございますれば、これはそこまで保証の限りではないということと存じます。
#209
○渋谷邦彦君 将来の展望としてはいかがですか。
#210
○政府委員(賀陽治憲君) これは、特に先ほどの包括核実験禁止条約でございますれば、アメリカとソ連とイギリスが交渉に従事しておるわけでございます。最近その報告書を中間的に提出するとかいう話もございますので、こういったものをジュネーブの軍縮委員会において検討いたしまして、さらにそれを促進する等の方向がございまするけれども、具体的にいつまでこの条約が締結されるかということは、現在まだ確言できない状態と思います。
#211
○渋谷邦彦君 それでなくても現状はそうした軍備競争という脅威に脅かされているわけで、これはもういま総理もお認めになったとおりであります。一方においては新型兵器、こういったものがどんどん開発されている、あるいは化学兵器も開発されている、一体何のための開発であろうか。この点については防衛白書を見るまでもなく、その他の専門書を見ましても、年々その研究も盛んであるようでございますし、それに要する費用というものがきわめて莫大である。この認識については防衛庁はどのように認めていらっしゃいますか。
#212
○国務大臣(細田吉藏君) そういった点がだんだん強化してま、いっておることは事実でございまして、中身につきましては政府委員から答弁をさせていただきたいと思います。
#213
○政府委員(番匠敦彦君) 化学兵器につきましては防衛庁では保有しておりません。ただ、いざというときの対策といたしまして、化学兵器に対する化学防御のための器材の研究開発はやっております。
#214
○渋谷邦彦君 ちょっとね、もっと親切に言ってくれぬかな。いま通常兵器のことまで言うてあるんだ。化学兵器のことばかりじゃないんだよ。それは日本では恐らく開発してないでしょう。世界のいま趨勢はどうなっているのか、それで、また日本の国内においては通常兵器に対してどういう開発に取り組んでいるのか、そういったこともあわせて言うてもらわぬと、それだけもう紋切り型ではちょっと困るんだな。
#215
○政府委員(原徹君) 御指摘のように、世界各国で非常に多額の金額が、その防衛兵器の開発のために投ぜられておりますことは事実でございます。防衛庁は技術研究本部が中心で、防衛費の一%程度の開発費を投じて研究は続けておるわけでございます。
#216
○渋谷邦彦君 大変私としては、その辺のいまの御説明では不十分と思います。別に秘密事項に属する問題じゃございませんでしょう。いま総理が確かに率直に認識された。しかも、世界における防衛負担費というものは大変な、金額にしてもそれから資材の消耗にしてもおびただしいものがあります。政府はいままで一貫して有限の資材を大事にしなきゃならぬという、これは基本的な考え方であったと思うんです。このままでいったら鉄も石油も一体どうなるのだろう、こういうおそれがあります。したがって、この軍縮の意味というものが非常に重みを持ってまいりますでしょうし、また日本としても資源の乏しい国でありますゆえに、これは相当精力的に取り組まないと物事の解決には結びつかないのではないだろうか。いままでの考え方ですと非常に漠然としているわけで、討議には参加すると、それは松井元国連大使も大変努力をされて、それなりの評価を世界各国から得たということも知っています。けれども、それが実際に世界に対してどういう影響、波紋を巻き起こして、それで軍縮への方向というものに少しでも向いたのか、軍備競争への歯どめになったのかということになりますと、残念ながら、いまおっしゃったとおり、なっていないわけです。何か腹案がありますか、それに対して。
#217
○国務大臣(大平正芳君) これは非常に大事な仕事でございますけれども、同時に非常に困難な事業であることも渋谷さん御案内のとおりでございます。しかし、非常に困難であるからといって、これを怠っていいということにはならぬわけでございますので、国連を中心といたしまする軍縮の努力につきましては、わが国も積極的に参加いたしましてこれに協力をいたしておりますことは御案内のとおりでございます。しかし、これが早急に実を結ばないという一つの欲求不満は、確かにあなたもお持ちでございますし、みんな関係者が一同持っておることと思いますけれども、しかし、これは早急に結論が期待できるような性質の仕事でないこともまた明らかでございます。こういう状況ではございますけれども、われわれといたしましては、非常にしんぼう強くこの軍縮問題には取り組んでいくという姿勢を一面において堅持していかなければならぬと考えております。
 第二に、国内の防衛計画の問題、限られた資源をどのようにいわゆるノーブルユースという姿に持っていくかということは政治の最大の問題でございまして、防衛負担というような問題もそういう観点から政府としても考えながら、どういう見当でひとっこたえていくかという点を鋭意検討を続けておるわけでございまして、これは毎年毎年の政府の予算を通じまして御審議をいただきたいものと思っております。
#218
○渋谷邦彦君 国連では確かに今日まで何回となく苦労しながら努力を傾注し、決議もやった、討議もやった。最近の一番新しいところでは、いまから十年前当時のウ・タント国連事務総長が社会的経済的に及ぼす影響というような提言をしているわけですが、そういったことが現実に守られていない。一体、決議というものが持つ意味合いは何なんだろうという疑問が確かに起こってくる。実際守られていないことを幾ら議論をしても、これはどうにもならない。実際その突破口が開けないという背景は一体何なんでしょうか。
#219
○国務大臣(大来佐武郎君) 国連は一貫してこの軍縮問題に取り組んできておりますし、先ほど申しましたように、その一部には具体的な条約に結実したものもあるわけでございますから、全くの進歩が見られないとは言えないと思います。ただ、現実の世界におきまして各国それぞれの立場での軍備が行われておるという点で、一つには、国連が各国政府のやる仕事に対しての発言力あるいは影響力が不十分であるという点があると思いますし、一つには、各国政府あるいは各国の国民の軍備、軍縮問題に対する関心がまだ不十分であるというような点がいろいろあると思うのでございます。
 いろいろな突破口ということになりますと、一つには、そういう意味で国連の軍縮委員会の力を何とか強める方法はないか。一つには、国連のメンバーもふえてまいってきておりますし、その中には、平和愛好といいますか、こういうことについての関心を持つ国々も相当数いると思いますので、これは気長な努力になるわけでございますけれども、次第にそういうものの影響力を強めていくということではなかろうかと存じます。
#220
○渋谷邦彦君 なるほど、ロンドンの軍縮時代を振り返るまでもなく、長い一つの歴史があると思うんです。なかなか言うべくしてむずかしい問題かもしれない。しかし、いまも申し上げましたように、限られた資源というものを軍事力増強のために用いられるとするならば、一体、人類の生存というものはどうなるんだろう、これは当然考えられなければならない問題であろうかと私思うんです。ことに、最近の際立ったその例はソビエトとアメリカの軍事力の拮抗であります。だんだんふえる一方であります。こうした二大強国と言われる国々に対して、特にアメリカに対しては、今後も日米協調という基軸をもって外交の方針とされている政府といたしましては、何らかの手だてがあってしかるべきではないか、こう思うんですが、どうでしょうか。
#221
○国務大臣(大来佐武郎君) これは先般も私は答弁の中で申したことでございますが、もし米ソ両国の軍備競争がさらにエスカレートするということになれば、これは人類破滅の危険をはらんでおる。そういう意味で、この超大国間の軍備の無制限な拡張というものは人類全体の関心事であるということで、これは日本の立場として米ソ両国に申すべき問題だろうと考えております。
#222
○渋谷邦彦君 確かに申し入れることだろうと思うのですが、その申し入れ方に強い弱いというあり方があるだろうと思うんですよ。今日までの長い間それを模索し続けてきた政府においても何らかの筋の通った一つの取り組みというものがあってしかるべきではないか。いまの御答弁を伺っておりましても、その辺の反響というものは非常に弱いように私感ずるんです。しかし、一方においてはどんどんエスカレートしている。これは事実でしょう。防衛庁いかがですか、軍事力は現実にはエスカレートしているわけでしょう。
#223
○国務大臣(細田吉藏君) 初めに大平総理大臣からお答えがありましたが、私は、ある長いレンジで見ますと軍縮という方向が今日一番基底にはなっておると、こういうふうに思うのでございます。しかしながら、やや短い最近の状況を見ますと、おっしゃるように、両方においてエスカレートしておる、かように存じておる次第でございます。
#224
○渋谷邦彦君 力のバランスが戦争回避の安全弁であるというようなことがいままでしばしば言われてきた。それに日本があるいは同調するような考え方があったのではないか。しかし、いまおっしゃるとおり、これからの人類の平和を考えた場合に、軍縮の方向ということはだれしもが常識として判断できる政治課題ではなかろうか、国際問題の課題ではなかろうかという点を考慮いたしますと、取り組み方が私は大変弱いんじゃないか。現状においてどんどんエスカレートしていっている。具体的な例を私は申し上げてもいいですよ。防衛庁でもその辺の情勢分析というものは十分おやりになっておると私は思うんですが、その辺の分析の仕方はどうですか。基地の要塞化だとか、いろいろな問題があるでしょう。
#225
○国務大臣(細田吉藏君) 政府委員から私どもの得ております情報についてお答えをさせていただきます。
#226
○政府委員(岡崎久彦君) 世界主要国の軍備拡張の状況を申し上げますと、まず米国といたしましては、これは実質価格で計算するのでございますけれども、一九六三年度以来一九七五年度まで十二年間軍備費は毎年削減されております。これは途中でベトナム戦費の分だけふくらんだ時期がございますけれども、ベトナム戦費を除きますとこれはもう低落しております。それで、ベトナム戦費は大体六八年がピークでございますけれども、ベトナム戦争が終わりましてから急速に減っております。
 ただ、問題は、その間十何年間にわたりましてソ連の軍備費が一貫して増強しております。これはかってアメリカの方が弱かったのでございますけれども、現在はソ連の軍備費が年々大体アメリカの一・五倍になっていると、そういう状況でございます。それで、数年ほど前からアメリカにおいて非常に危機感がございまして、昨年のブラウン長官の表現をかりますと、われわれは兵力を削減した、それに対してソ連は削減に応じなかった、われわれが削減したときはソ連はふやした、われわれがふやしてもまたソ連はふやすだろう、これはこのまま放置しておきますと大変なことになる、ということで昨年以来若干ふえつつあります。それが現状でございまして、米ソ両方に話すということでございますけれども、過去十数年間のトレンドを見ます限りにおきましては、ソ連の軍拡がはなはだしく先行しております。それに対して西側、自由世界は対抗措置をとうておるというのが現状でございます。
#227
○渋谷邦彦君 総理もお聞きのとおりだと思うんです。このまま放置しておいたらえらいことになると思うんですよ。
 それで、軍縮というのは、恐らく国連としても、憲章の目的にも明確に示されておりますとおり、最大の課題である。これは言うまでもないことだと思うんです。それについては各国の取り組み方が非常に弱いのではないだろうか。現実にいま岡崎参事官から御説明があったとおり、どんどんエスカレートしていっている。しかも、最近の事例で申し上げますと、北方四島がだんだん要塞化の方向へ向いている。これはキューバのグアンタナモの要塞化に対抗する一つの手段であるとも伝えられている。あるいはバックファイアだとかSS20の配置が極東地域に終わったというようなことが伝えられている。こういったことをただわれわれは防衛力整備ということの方に視点を注ぐんではなくして、逆の方向へ取り組む必要があるんではないかという観点に立ってこの軍縮というものをもう一遍見直す必要があるだろう。総理、いかがですか。事態は私は決して楽観できる時代じゃないと思うんですよ。
#228
○国務大臣(大平正芳君) でございますから、先ほども申し上げましたように、そういう時代であればあるほど軍縮への取り組み方は積極的であらねばならぬ。そういたしましても、軍拡の波を抑えることにつきましては、なかなか希望が持ちにくい段階であればあるほど、われわれはその努力を怠ってはならぬと申し上げたわけでございまして、政府といたしましては、軍備の、国防費の増強というようなことに狂奔するということよりは、仰せのように、本格的な軍縮努力への着実な努力が求められておるものと私は考えております。
#229
○渋谷邦彦君 先ほど防衛庁が、言うなれば断片的ではありますけれども、大変な危機感を持った印象を持ちながら今日の軍拡の方向へ向いているということをいま言われた。けれども、その切迫感、危機感というものが政府部内において果たしてあるんだろうか。いま大平さんの答弁を伺っておりましても、ただ何とかなるではないかという、大変失礼な言い方でございますけれども、そういう印象しか受けないわけです。もっと具体的に日本として取り得る方法は一体どこにあるのかということをもっと明快にお示しになっていただく必要があるのじゃないでしょうか。考えられる方法はいろいろありますよ、後で提言しますけれども。
#230
○国務大臣(大平正芳君) 政府委員からも御報告申し上げましたような軍縮努力に対しましては、日本政府として積極的に協力をいたしておるわけでございます。防衛力の問題につきましては、防衛力整備の大綱に従いましてその着実な実現に向かって努力をいたしておるわけでございまして、私どもいま政府の姿勢といたしましてこれで間違いはないと考えておりますが、なお一層精力的に取り組めという御鞭撻としてあなたの御発言は承っでおきたいと思います。
#231
○渋谷邦彦君 一方において、総理の施政方針演説の中で、これは当然御記憶がおありになると思いますが、いまもおっしゃった、「必要な限度において質の高い防衛力の整備に努め、わが国にふさわしい防衛体制の確立を図ってまいる方針」であると。今度は一方においては防衛力整備なんです。それは現実対応としては必要かもしれません。けれども何を具体的にやるのか、質的向上とは一体何なのか。こういった点については十分な抱負をお持ちになっていらっしゃると思います。
#232
○国務大臣(細田吉藏君) お答えいたします。
 いま御質問の中にもございましたように、私どもは質的なものを強めてまいるということが一番大切だと、かように思っております。防衛費の総額の中には非常に大きなパーセンテージがあるいは人件費、食糧費といったようなもので占められておりまするけれども、私ども、中期業務見積もりでも、これを計画と言いましょうか、見通しを立てておりますが、正面装備の充実、これを特に私ども今後力を入れてまいらなきゃならぬと思っておりますし、また、先ほどお話がございまして、これは答弁の機会を私失しましたが、技術的な開発――これはもちろんわが国は国を守るという側の防衛でございますが、国を守るのには技術的に何をやったらいいかと、こういうような点につきまして私どもが重点的に考えてまいらなければならないと、かように存じております。
 内容はどんなことをやるんだということでございますれば、必要がありますれば政府委員からお答えいたします。
#233
○渋谷邦彦君 じゃ、内容をちょっと言うてください。
#234
○政府委員(原徹君) ただいま長官から答弁されました中期業務見積もりでございますが、これによりまして、まず正面装備でございますが、わが国の自衛隊の装備は新しいものもあるのでございますけれども、非常に老朽化した装備が大変ございます。まずそういうものを装備の近代化をしなけりゃなりません。そういうことで、たとえば陸上自衛隊について申しますと、戦車も定数に達しておりませんけれども、そういったものは七四式の戦車という新しいものもございますので、それをこの期間に約三百両つくるというようなこと。それから海上自衛隊につきましては、護衛艦がございますが、いまいわゆるミサイルを搭載しているものは現在では三隻しかないのでございまして、そういう対空防御というものを持ちませんと護衛艦としては余り意味がないということで、護衛艦はこの期間に十六隻つくろうというようなこと。あるいは航空自衛隊について申しますと、例のE2CとかF15とか、そういうものを新しい装備をやっていきたい、そういうようなことを考えております。
 それからその正面装備だけじゃなくて、いわゆる何と申しますか、抗たん力と申しますか、たとえて申しますと、航空機が掩体に入ってないところは――まあ大体ないわけでございますが、滑走路に並んでいますわけですかち非常に抗たん力が弱いというようなことがございます。それからもう一つ、いわゆる継戦能力と申しますが、要するに主としては弾の備蓄というのが自衛隊は非常に少ないというようなこともございます。あと後方支援、通信。したがいまして、部隊の規模は防衛計画の大綱のそれをふやすことでないのでございますから、そういう全体を含めての質的な弱点というのが大変ございますものですから、その中期業務見積もりで正面装備だけで約二兆七千億ないし二兆八千億円を投ずればその辺がかなり改善になるというふうに考えておる次第でございます。
#235
○渋谷邦彦君 冒頭に申し上げたように、兵器は時々刻々開発されて近代化の道をたどるでありましょう。ただ、いま聞いておりますと、だんだんわが国の防衛整備体制というものがエスカレートしていくんじゃないかと、こんな印象を受けるわけです。いかがなものでしょうか。必ず防衛力を整備するためには、受けるであろう攻撃に対して、それに対応できるという最小限度のものを必要とするわけでしょう、これは常識。そうすると、そのところまでレベルアップをしなければならぬということになると、どういうことになるんですか、ますますエスカレートしていきませんか。
#236
○国務大臣(細田吉藏君) ただいまの印象的に何かエスカレートするんだというふうなふうにもお受け取りかもわかりませんけれども、防衛計画の大綱というもので、私たちは、一応の歯どめといいましょうか、一つの枠を持っております。その中での話で、そこにいますぐ、来年すぐ防衛計画の大綱まで達するというふうには必ずしもなっておりませんので、これはエスカレートという言葉いかんでございますけれども、べらぼうに私どもの防衛計画が大きくなるというふうには私どもは考えておりませんので、強化はいたしてまいりますけれども、必ずしもどんどん、何といいましょうか、べらぼうに大きくなるとか何とかいう意味でのエスカレートというようなことには考えておらない次第でございます。
#237
○渋谷邦彦君 そうであってほしいと願いたいのでありますけれども、しかし、現実はそうじゃないでしょう。確かに財政規模という一つの枠がありますから、その決められた範囲の中で操作存する以外ないことは、これはもうわかり切った話です。ですから突拍子もないことはできない。しかし、いま近代兵器というものはどんどん開発の方向へ行っている。それに対抗し得るものということになると、日本もそれに伴って軍備競争の道の方へ引きずり込まれるおそれはないかということを心配するんです。どうですか。
#238
○国務大臣(細田吉藏君) いま御質問にありました、どこまで何に対抗していくかということでございまして、いま持っております艦船なり航空機なり、あるいはいろいろな兵器、いま防衛局長が申し上げたように、これは改善していかなきゃなりませんが、これを世界的な非常な大きな、何といいましょうか、日進月歩的に進んでおるものにこれは対抗するために、それこそ、日本の事情を無視し、また日本の憲法、あるいは日本のいろいろな与えられておる枠組み、そういうものを無視してどんどん大きくなろ、そういう方向にいま行こうと、こうしておるというものではないと考えておる次第でございます。
#239
○渋谷邦彦君 それはおかしいと思うんですよね。防衛をするためには、それに対抗し得る能力というものを持たなけりゃ防衛できないんじゃないですか。
#240
○国務大臣(細田吉藏君) 私ども、日本の国を攻撃を受けた場合守るという前提でございます。いわゆろ専守防衛でございます。したがいまして、その範囲でこれはやろうということであります。しかし、それにしてももっとやらなきゃだめじゃないかというような御意見は当然あろうかと思います。しかしながら、私たちは、その点につきましては、憲法の制約はもとよりでございますが、そのほかいろいろな枠組みもございますし、また財政経済、また国民の皆さんのコンセンサス、そういったようなものによりまして、やはりおのずから節度といいましょうか、そういうものが日本の場合は、日本の防衛の場合はある。したがって、一つの考え方でどんどん進めるというわけにはまいらないし、その辺をいかがいたすべきかということが私どもとしましては今後の与えられておる重要な課題である、かように存じておる次第でございます。
#241
○渋谷邦彦君 ですから、先ほど総理の施政方針演説を引用いたしまして、質の高い防衛力とは一体何だと、具体的にいままで少しも明らかにされてない。ですから、いま申し上げたような質問になったわけです。じゃあ、質の高い防衛力とは一体何だ。
#242
○国務大臣(細田吉藏君) どうもおっしゃっております趣旨がちょっとわかりかねますので、これまで申し上げましたようなことでございますが、もう一遍申しますと、日本の国を守るために……
#243
○渋谷邦彦君 それはわかるんだ。
#244
○国務大臣(細田吉藏君) ええ、そういう意味でざいまして、それ以上どういうお尋ねかちょっこ理解いたしかねますので……。
#245
○渋谷邦彦君 日本語というのはなかなかむずかしい内容を持つものでございまして、質が高いといえば、防衛力を高めるためには、先ほど申し上りたように、どこかの国を意識しながらやっぱりやらないと、ただぱあっと攻め込まれてきたんじゃしょうがない。波打ち際でやるんだ、専守防衛をその主眼とするんだと言われても、それに対応てきるものがなければ――その意味における質の伺いものを選ぶんじゃないかということを言っているわけですよ。
#246
○国務大臣(細田吉藏君) それは具体的におっしゃっていただきましたので非常によくわかります。いま日本を取り巻く他の国々の状況というものは、私ども、まあ完全ではないかもしれませんけれどもわかっております。したがって、私ども国を守るのについて、どこの地点、海空陸、それから日本は南北にこれだけ長うございますから、どういう地点で、そして、攻撃されるとすればどういう攻撃に対してどうすることが一番いいのか、それに力が足りないまでも質的にはどこまで対応できるかということについていろいろ準備をすると、そういう意味でございます。
#247
○渋谷邦彦君 まだわからないんだな。
 原さん、差し支えない範囲で結構ですからね、質の高い防衛力にはどんなことをいま考えていらっしゃるのか、それで取り組もうとされているのか。
#248
○政府委員(原徹君) 軍事能力はやはり量と質とで決まるわけでございます。量の面につきましては、例の防衛計画の大綱でその部隊の規模は限られてあるわけでございますから、そうなりますと残りは質ということになります。質ということは、結局、先ほど申しましたように、装備が非常に近代的であることが必要でありますし、それから、先ほど申しましたように、いわゆる抗たん力が強いというようなこと、あるいは継戦能力を持つというようなこと、それが中身の質でございます。そういう質の高いものにしたい、そういうことに考えているわけでございます。
#249
○渋谷邦彦君 いずれにせよ、それ以上のことは言えないと思いますし、ただ総理、いままでずっとお聞きになっていただいて、世界の趨勢というものは日本も例外ではない。やはりそれに対応するだけの準備もしなきゃならぬ、こういうことになりますと、だんだん目がそっちへ向いてくる。しかも、今回のアフガンの問題に端を発しました一連の事件、アメリカから相当強い要求がいま出されており、これも衆議院の予算委員会、この本委員会でも大分議論がされてきた。はやGNP一%に上げるとか、いろいろなそういう議論があるようであります。実際そういうことをやらなくちゃならぬだろうと、まあアメリカ側のそういう思惑というものを考慮しながら、これからの協調ムードというものを壊さない限り、多少のことはこちらでも何らかの見返りとして考える必要があるだろう。それは今度大来さんも訪米される、大平さんも近いうちに訪米される。何らかの結論を迫られた場合どうなさいますか。やはり軍備競争の方へ足並みをそろえるのか、軍縮の方へ何とかけじめをつけるような言い方をされるのか。
#250
○国務大臣(大平正芳君) 地球を壊してしまうような武器が出現した今日でございまして、したがって、一国の安全を保障しようという場合に、一国の力だけでできる国はどこにもないと思うのでございまして、したがって、世界でいまの安全保障体制は、個別的または集団的な安全保障体制を周密に組みまして、そういう事態にならぬように備えておるものと思うのでございまして、日本もその例外ではございません。したがって、わが国といたしましては、わが国の自衛力の整備も大事でございますけれども、日米安保条約の誠実な運営というものと両々相まちまして、この両方の合致した力の持つ抑止力をもってわが国の周辺の安全の保障をやろうという選択をしてきているわけでございまして、その限りにおいてこれは間違いでなかったと見えまして、戦後三十数年にわたりまして平和と安全の維持に成功いたしてきたと思うのでございまして、この基本的な枠組みを改定するつもりは毛頭ないのでございます。
 第二の問題は、わが国の防衛力の整備の問題でございますが、これはいま事務当局からもお話がございましたように、量的な限度につきましては、一応措定したものがございますが、質的な改善を時代の進歩に応じてやってまいろうという努力をいたしておるわけでございます。その点につきましては御了解をいただけるのではないかと思うのでございます。しかし、こういったものがわれわれの平和政策の全体ではないことはもとよりでございまして、基本的には世界全体を軍縮の方向に持ってまいること、これが人類として賢明な選択であることは申すまでもないことでございまして、そういう方面への努力も行われておるわけでございますけれども、必ずしもはかばかしい成果を上げておるとは言えないわけでございます。しかし、それだけに一層馬力をかけてこの軍縮の分野の開拓に努力しなければならぬと考えておりまして、そういった点につきまして、われわれはその努力を怠ることなく、これも並行して精力的に進めてまいるということで対応いたしたいと考えております。
 大来君も私もこういう方針につきましては考えを一にいたしておるわけでございますので、訪米の機会ばかりでなく、あらゆる外交場面におきましてこういった日本の基本的な姿勢を踏まえて国益を守るべく全力を挙げていかなければならぬと考えております。
#251
○渋谷邦彦君 この問題についてはまだまだ議論の余地があろうかと思いますけれども、先ほど総理自身が軍縮のきわめて大事なことについてお触れになりました。私もそのように確認をしておきます。
 そこで、日本として、具体的に一つの提言として一つ、二つ申し上げたいと思うんです。速やかにイニシアチブをとりながら世界各国の最高首脳者の会議を開く、そういう方向への一つの手だてを講ずる用意はないかどうか。まずこれが第一点。
#252
○国務大臣(大平正芳君) 軍縮ですか。
#253
○渋谷邦彦君 軍縮のための。
#254
○国務大臣(大平正芳君) 非常に重要な御提言でございまして、提言する以上はそれに成果を上げなければならぬわけでございます。御提言につきましては慎重に検討さしていただきます。
#255
○渋谷邦彦君 それからもう一点は、非核ゾーンの設置とその領域の拡大の推進ということにつきましても、国連を中心にして強力な推進というものを行う提言をなさるおつもりはないかどうか。
#256
○国務大臣(大平正芳君) あわせて重要な御提言として政府として真剣に検討さしていただきます。
#257
○渋谷邦彦君 もう一点は、先ほども質疑の中で申し上げました新型兵器の開発、これもやめてもらいたい、はっきり申し上げて。そのための世界各国の首脳会議というものが必要になってくる。そのための協定締結ということも当然次の段階として必要になってくるんじゃないだろうか、こういう点についてはいかがでしょうか。
#258
○国務大臣(大来佐武郎君) 二年前に特別軍縮の国連総会がございまして、一九八二年に第二回の軍縮特別総会がまた開かれることに予定されております。この問題は全世界的な問題でございますので、そういう機会に日本としてもできるだけ積極的な役割りを果たす。
 それから当面は、先ほど来の質疑応答にも出ておりますように、超大国の軍備競争というものが世界全体に対して大きな影響を与えておるわけでございまして、特にその中でのソ連の軍備増強がこの十年、十五年をとりますと目立っておるわけでございます。この超大国間の軍縮といいますか、軍拡競争に歯どめをかける一つの努力はSALTIIだろうと思うわけでございまして、このSALTIIの米ソ間の締結、さらにできればSALTIIIへいくということについて、やはり私どもの要望というものを両国に対して表明することは、長期的に軍備競争を防ぐと、歯どめをかける。特に超大国二ヵ国の問題が非常に大きい。現在においてはソ連がそのスピードを非常に上げておるという問題をやはり認識してこの軍縮の問題を考えなければならないかと思います。
#259
○渋谷邦彦君 最後のこの軍縮の締めくくりといたしまして、決して絶望的ではない、近い将来この可能性は十分にあり得る。その先頭に日本政府は立ってその役割りを果たしたい、このように確認してよろしゅうございますか。
#260
○国務大臣(大平正芳君) そのように受け取っていただいて結構と思います。
#261
○渋谷邦彦君 それから次の問題。
 今回の園田特使の成果についていろいろもう伝えられておるようでありますが、どうでございましたか。
#262
○国務大臣(大来佐武郎君) 本日の午後、園田特使帰国されて、私どもその報告を受けることになっておりますが、その後の方が全体の特使の成果について正確にお伝えできると思いまするが、当面、従来の電報その他によりまして判断いたしますと、一つには、中東の問題、やはり中東の包括的、永続的な平和、これに対して日本としても寄与しなければならない。日本の従来とっております態度を説明いたしまして、これについて中東諸国で広い共鳴を得た、支持を得たということでございます。それから、全般として、ソ連のアフガニスタンに対する武力介入について中東及び西南アジアに強いプロテスト、抗議、反対の意見が存するわけでございまして、この問題についての理解を相互に深めるということがあったと思います。それから、各国の間の紛争、この地域にもいろいろな国と国の間の紛争問題がございまして、そういう紛争に対する平和的な解決について日本が役立つような場合にはできるだけお手伝いをしたいということについての話し合いも特使はやられたようでございまして、これに対する反応も相当あったというふうに聞いておるわけでございます。
 石油問題は直接の目的になっておりませんでしたけれども、この中東の産油国から、三つぐらいの国々から対日供給についての好意的な約束を引き出したという成果もあったように考えております。
#263
○渋谷邦彦君 昨日、香港で記者会見されたようですね、いまのような経過があったようであります。
 ただ一点、こういうことがあるようですね。これは総理がやはり施政方針演説に明確にされておりますように、国際問題については受動的な対応から主体的な脱皮へ進めていかなければならぬ、これはもう緊急の課題であると、こうおっしゃっておりますね。今回の園田さんの印象としては、あくまでも、アメリカに余り顔を向けるんじゃなくて、日本独自の立場においての中東との接近感を強めていくということがきわめて大事である、こういう印象を通じて話があったようですが、この点は今後どのような中東政策をとる上で考えておられるのか。
#264
○国務大臣(大来佐武郎君) いまの点についてはさらに園田特使から直接承りたいと私ども考えておるわけでございますが、日本としてやはり中東、アジアにおきましてとり得る立場がある、これは園田特使がインドで言っておられることで、インドはソ連に比較的近い、日本はアメリカと近い関係がある、それぞれがそれぞれの立場において緊張緩和に貢献する道があるんじゃないかというようなことも発言しておられるわけでございますが、日本はやはり世界の平和あるいは日本自身の将来の安全という問題も含めて、日本の持っておる独自な立場でできるだけの貢献をするという意味のことになるかと考えております。
#265
○渋谷邦彦君 そこで、六月に予定されていると思うんですが、ベネチアのサミット、やはり総理御自身が行くチャンスといいますか、きっかけが今度できるんじゃないかと思うんです。先ほど申し上げた軍縮問題については、これもこのサミッ.トにおいて強烈に言ってもらいたい。そしてまたその帰る途中に中東を訪問されて、より緊密なパイプを太くする。何も油が欲しいから、油が必要だからということじゃなくて、やはりもっともっと人と人との触れ合いというものの中に親近感というものを強め、そして友好親善のきずなというものが当然できるであろう、そういうお考えはありませんか。
#266
○国務大臣(大平正芳君) 絶えず首脳間の接触を持って理解を深めてまいるという必要は私も痛感いたしておりまして、あらゆる利用し得る機会はどん欲に活用して日本の外交の展開に資するところがなければならぬと考えておりまして、とりわけ中東外交につきましてそういう必要をあなたと同様に強く感じております。
#267
○渋谷邦彦君 大変細切れになるようでありますが、持ち時間もだんだん過ぎてまいりましたので、その点は私は篤とやはり念を押しておきたいと思うんです。
 この問題はもう少しく詰めたかったのでありますけれども、次に申し上げたいのは、とかく日本が非難を浴びております難民問題、この現状と今後の対応策。
#268
○国務大臣(大来佐武郎君) 日本は国連のUNHCR、難民高等弁務官事務所に対する拠出、特にタイにおけるカンボジア難民の救済あるいはベトナムのボートピープル、こういう比較的日本に近いアジア地域における難民問題については大きな拠出をいたしておりまして、さらに最近ではパキスタンの難民に対するUNHCRに対する拠出等、まず第一に国際機関を通じる日本の寄与というものをやっておりまして、現在このUNHCRに対する拠出額は世界で日本が第二位という立場にございます。これ以外にも二国間、バイラテラルの形で、たとえばタイにおけるカンボジア難民に対するこれは政府の直接の援助及び民間ボランティア。多少出発はおくれましたが、現在の状況では非常に相手側タイ国からも感謝をされる状況になってきておりますし、あるいは技術面で井戸掘り、これは他のある先進国が行いまして、五回試みて水が一回も出なかったけれども、日本の技術チームが参りましたところが二回の試掘で二回とも水が出た。これは非常に大きく感謝されて、単に難民のみならず付近の住民にも大きな利益がある。まあいろいろな面で日本のこの難民に対する援助を強化する努力がだんだん強化されつつある段階であると考えております。
#269
○渋谷邦彦君 こうした問題は常に対応が遅いというようなことで非難される場合が多いんだろうと私は思うんです。じっくり考えることも結構だと思いますが、急がれる対応についてはやはり即座に政府として手が打たれていくということが必要であろう。また、今後ふえるかもしれない難民の定住化について、これはもう限度が当然出てくるわけであります。何万も何十万もというわけにはいまの日本の国情としてはむずかしい問題がございます。そこで、いまも答弁の中にちょっとお触れになりましたけれども、ボランティア活動も結構でしょう、お金の投資も結構だと思うんですけれども、もっと実質的に水道であるとか住宅であるとか、あるいは教育施設であるとか病院であるとか、そういった具体的な対応を通じて難民に対しての一つの貢献を図っていく、むしろその方面にもっともっと重点をかけた具体的な計画というものを進める方が効果が大きいんではないか、こう思いますが、どうでしょうか。
#270
○国務大臣(大来佐武郎君) この点につきましては、たとえばタイ領内におきますカンボジア難民の救済問題につきましても、タイの貧しい農民の生活問題も同時に考えなければならない、それに対する配慮も援助に際して欲しいというタイ政府側の要望なども出ておりまして、難民も一時の緊急状態を脱して長期的な対策を必要とすることにもなってまいりまして、いま御指摘のような教育とか職業訓練なども含めた援助がだんだん重要になってまいっております。政府としましても、十一月に緒方貞子さんを団長とするミッションを出しましたが、最近も外務省から坂木課長を団長とするミッションを出しまして、やや長期的な取り組みについて目下具体的に検討いたしておる段階でございます。
#271
○渋谷邦彦君 これから恐らく季節が変わりますとまた難民がふえるという可能性があります。十分な対応を要望しておきたいと思います。
 外交、防衛の最後の問題といたしまして、これは総理、行管庁長官、よくお聞き取りをいただきたいのでありますが、外務省のいまの機能で十分能力を発揮できるというふうにお考えでございましょうか。
#272
○国務大臣(大平正芳君) いまの外務省の陣容を諸外国、先進諸国に比較いたしまして充実しておる状態とは言えないわけでございますが、万事行政経費を節約してかからなければならぬ時代でございますので、不自由でございましょうけれども、少数精鋭の形で外交需要をこなしていただくことを私は強く期待いたしております。
#273
○渋谷邦彦君 外務大臣、いまの総理の答弁で十分機能を発揮できるという自信がありますか。
 率直におっしゃってくださいよ。
#274
○国務大臣(大来佐武郎君) 外務省は、とりあえず現在の三千五百名程度のスタッフから五千名程度までに充実する計画を外務省自体の計画として持っておるわけでございますが、今年度八十名の定員の実質増。この五年の見通しはかなり下回っておるわけで、私ども、お尋ねになりましたことにつきましては、十分自信があるとは申し上げられないわけでございますが、今年は全体として行政を締めていく、予算定員等を締めていく政府全体の方針がございます。しかし、今後につきましては、やはり日本の全体の国際的責任、国際的活動、国際的な経済力の比重というものから見まして、外交人員は明らかに手薄であるということを私も痛感いたしておりますので、今年度はなかなか急にまいりませんけれども、今後引き続き政府全体としても充実について御考慮を願いたいということを考えておるわけでございます。
#275
○渋谷邦彦君 いまの外務大臣の答弁をこちらに、総理大臣に差し上げたいんです。いかがですか、これが率直ないまの外務省の状況なんです。
#276
○国務大臣(大来佐武郎君) 総理、大蔵大臣、行管庁長官にお願いしたいと思います。(笑声)
#277
○渋谷邦彦君 そのとおりなんで、これは笑い事じゃないんですよ。やっとこういうものをつくった、外務省で、必要最小限度。一方においては行政改革をやらなくちゃならぬ、これは強力に推進してもらいたい。その反面に、国の安全というものを考えた場合に、あるいは国の今後の外交というものを展開するために、その機能を発揮するためには、いま外務大臣がいみじくも言われた、十分じゃありません。これはまず行管庁の所感を伺いましよう。
#278
○国務大臣(宇野宗佑君) 現在の外務省の定員が三千五百名、せめてサミット参加国のイタリーの外交官の数ぐらいまで持っていきたい、この言葉は私はやはり一政治家として非常に悲痛な言葉だと受けとめております。したがいまして、本年の予算査定におきましても、昨日もお答えいたしましたが、総体では七百七十という減でございましたが、一応八十という増、わずかでございますが、しかし、行革を進めている中におきましても、やはりわが国の外交の重要性等々を考えますと、今後も十二分にそうしたことに配慮をいたしつつやらねばならぬなと私自身はさように考えております。
#279
○渋谷邦彦君 竹下さん、いまの行管庁の言葉を受けて、将来その方向に進むとするならば予算措置が十分でき得ると確信がありますか。
#280
○国務大臣(竹下登君) 今年度の外務省の人員増につきましても行管長官と本当に知恵をしぼって増員を認めたということであります。そうして、総定員法全体の中でいわゆる配置転換というようなことも外務省の方も積極的にお考えになっている。これは評価するところでございますけれども、といって米の検査員さんをワシントンへ行かすというわけにもまいりませんので、その辺これからも大変知恵をしぼって事に当たりたいと、このように考えます。
#281
○渋谷邦彦君 それはおっしゃるとおり、そんなことはできるわけはないです。それは長期展望に立たなかったところに政府自身の欠陥があるんですよ。これは前から外務省が提唱してきている。ノイローゼがふえているんですよ。総理御自身が海外視察なんかをおやりになって、いいところばかりしかごらんにならないかもしれない。その実態は御存じですか。
#282
○国務大臣(大平正芳君) 私も前後四年ばかり外務省を預かっておりますので外務省の事情は若干存じておるつもりでございますが、私といたしましては、それにもかかわらず外務省は少数精鋭で自分みずから仕事を効率的にこなしていただくように期待をいたしております。
#283
○渋谷邦彦君 精鋭も結構だと思いますよ。しかし、個人の能力には限界があるんです。それは言うまでもないことでございますけれども、いまノイローゼがふえたり病人がふえたりしたらどうしますか。仮に電信士一人のことを考えてみたって、もし倒れたらこっちに情報は入ってきませんよ。こういう現状じゃありませんか。大来さんどうでしょう。
#284
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま電信の問題、この十年に電信の扱い量は約十倍ぐらいにふえております。いろいろそういう物理的な面もございます。何とかできるだけ生産性を高めて対処していかなければならないと考えておりますが、先ほども申しましたように、やや長期の見方に基づいてこの人員の点についても充実していただきたい。さらに、現在の人員の中でもできるだけの能力、能率を発揮するようにさらに努力していかなければならないというふうに考えるわけでございます。
#285
○渋谷邦彦君 これは閣僚全員の方に私は要望したいのです。皆さん方の気持ちが一致しませんと、これはいまの問題の解消はできない。幾ら外務大臣が一生懸命になったって総理自身が最終的にもちろん決断を下さなければこれは前に進まないわけでございますので、いま細かいところまで私は申し上げている時間がない、残念ながら。
 それからもう一点、いまの外務省の採用の問題について、果たして現状でいいのかどうなのか。それは米の検査員というわけにいきませんよ、少なくとも十年かかるとぼくは見ているのですから、一人前になるまで。
#286
○国務大臣(大来佐武郎君) 外務省自体の改革ということも私は重要な問題かと存じております。これはいろいろな面があると思いますが、たとえば外部からの人材の登用ということももう少しあっていいのではないか。とりあえず高橋展子さん、デンマーク大使ということで進めておるわけでございますが、さらに内外の専門家を活用するという考慮も必要だと思いますし、また、いろいろな民間チャンネルを通ずる国際的な接触、こういうものは非常にふえておるわけでございまして、学界、政界、経済界、あらゆる面での接触についての援助協力ということも外交の一つの大きな役割りだと思いますし、さらに外交官試験の問題について、これは内部でいろいろ検討いたしております。この専門語の試験と中級の試験とを過去に一緒にいたしまして、現在それと上級の試験と二つあるわけでございますが、この両者の区別をなくするのがいいかどうか、そういう点も含めまして新しい外交官の採用と養成について長期の見通しに立った再検討を部内でも進めつつあるところでございます。
#287
○渋谷邦彦君 やはり人事に活力を持たせるという意味においては、キャリアとかノンキャリアだとか、あるいは言い方によってはスペシャリストですか、これじゃ営々とやって専門的な知識を持っておられる方は将来の展望がなければ、これはがっくりしますわ。これはもう常識でしょう。その辺を基本的に煮詰めながら洗い直して、いまのおっしゃった試験制度についても同じ、もっとやる方法がある。私自身そういう提言を持っています。そういう外務省のいまの環境の中でさらに大きな期待をこれから持たなければならないとした場合に、いま大来さんが述べられた、今後の考え方をあれでも遠慮しいしい言っているのじゃないかと私は思うんですよ。それに対して最終的な決断はやはり大平さんにお願いをする以外にないと思いますが、いかがでしょうか。
#288
○国務大臣(大平正芳君) 試験制度の問題、それから人事の登用問題、これは双方に関連した問題もございますけれども、不断に検討を加えまして時代の趨勢に合ったようにやってまいらなければなりませんし、また要員自体が希望と誇りを持って仕事に当たるような雰囲気をつくり上げていく上からも検討、改善は必要であると思うのでございまして、政府といたしましても、そういう方面の改善には精力的に努めてまいるつもりです。
#289
○渋谷邦彦君 いまそういう御答弁でございますから、安心してやってくださいよ。
 次は、外交問題を終わりましてイラン石化の問題。イランの現状とそれからイラン石化の輸銀等における融資の状況について、これは竹下さんから御説明を伺いましょうか、どちらでも結構です。
#290
○国務大臣(佐々木義武君) イラン石化は、御承知のように、所要資金は七千三百億円でございまして、出資金は二千億円でございます。
#291
○渋谷邦彦君 ずいぶんあっさりした答弁ですな。
#292
○国務大臣(正示啓次郎君) 私からちょっと補足いたしますが、イラン石化は、政府としてはナショナルプロジェクトに格上げをいたしまして出資を予定いたしておりますが、最近の報道で四十億ほど出資するのじゃないかと、こういう報道がございましたが、これは私どもはまだ承知をいたしておりません。それからいま輸銀とおっしゃいましたが、経済協力基金でございます。基金は経済企画庁の所管でございますので、私から。
 そこで、どういうふうにこれからなるかといいますと、現地にイラン化学開発あるいはまたイラン・日本石油化学と、こういう会社がございまして、最近会社の首脳部が現地に参って、イラン政府からはできるだけ早く事業を開始せよと、こういう御要望がございますが、これらの工事の進捗状況を見まして出資を実施したい。まだその具体的な御要請には接しておりません。
#293
○国務大臣(竹下登君) もう少し詳しくお話しします。
 御指摘の件につきましては、イラン日本石油化学株式会社の日本側投資会社であろイラン化学開発株式会社に対する民間当事者からの出資分と思われます。民間の当事者はイラン化学開発株式会社を通じて現地の合弁会社に対して出資を行っておりますが、これらの民間当事者は、IJPCに対する出資見合い分につきまして輸銀と市中銀行の協調融資による株主金融の供与を受けております。
 具体的には、イラン革命前の当初計画では、三井グループの五社に係る五百億円の出資分につきまして輸銀、市中銀行から五対五の割合の株主金融の供与を受け、また革命後の追加分につきましては、三井グループ五社に加え電機、鉄鋼、石油化学等の関連企業が出資することとされている三百億円につきまして輸銀、市中銀行から株主金融供与を受けることとなろうと思います。
 なお、御指摘の二百四十億円につきましては、上記五社のICDCに出資した資本金と思われますが、このうち四十億円については同社の運転資金に使われますので、実際にはIJPCにICDCから出資され、輸銀、市中銀行の協調の株主金融の対象となった額は二百億円であります。
#294
○渋谷邦彦君 先回りしておっしゃいましたね、四十億、二百四十億。結構です。
 それで、相当膨大な資金投下がなされているわけです。いまイランの政情は御存じのとおり。果たして政府として、いままで判断していたそれがうまいぐあいに機能していくのか、成果というものが必ず得られるものなのかどうなのか、その辺の見通しというものをお聞かせいただきたい。
#295
○国務大臣(佐々木義武君) 御承知のように、八五%ぐらい完成しておりまして残りをこれから進めるわけでございますけれども、御承知のように、日本側から技術者その他現地に参りまして、ただいまイラン側との具体的な打ち合わせに入っておりますので、予定どおりの完成を見るものと思っております。
#296
○渋谷邦彦君 将来において全くリスクは起きないという保証がありますか。
#297
○国務大臣(佐々木義武君) このプロジェクトはイラン側では大変重要視して早期の完成を望んでおりますので、日本側とイラン側との協力は必ず得られると思いますし、予定どおり進むものと考えてございます。
#298
○渋谷邦彦君 現状としては作業が中止になったままと違いますか。
#299
○国務大臣(佐々木義武君) いままで作業は中止しておりましたけれども、日本側から山下社長その他参りまして、現在到着いたしました技術者と一緒に再建にかかっている最中でございます。
#300
○渋谷邦彦君 これを整理しまして、今回の投融資についてはどこにねらいがあったのか。
#301
○国務大臣(佐々木義武君) 御承知のように、先ほどからまた繰り返し申しますように、このプロジェクトは大変イラン側としては重要視しておりますし、また早期に完成を強く希望しております。イランは御承知のように、わが国の石油供給源としては一割を上回る油を提供している国でもございますし、将来ともイラン側とは密接な関係を結んでまいらにやならぬ国でございますので、ただいま申しましたような、日本政府側も援助いたしまして、そしてこの完成を図りたいと、このように考えておるところでございます。
#302
○渋谷邦彦君 察するところ、油の供給を円滑に受けたいと、このように確認してよろしゅうございますか。
#303
○国務大臣(佐々木義武君) 相互には、このプロジェクトと油の供給との相互関係はもちろん直接はございませんけれども、しかし、両国が緊密化していくということ自体は相互扶助の関係に立つわけですから、結果においてはイラン側の好意的な供給も得られるものと考えてございます。
#304
○渋谷邦彦君 この問題も少しやり残した感がありますので、次回に譲ります。
 次に、将来枯渇するであろう石油にかわるべき新しいエネルギー、いわゆる代替エネルギーの開発というものが相当着目されてまいりました。特に、第一次オイルショックの直後から始まった石炭の液化、あるいは風力、波力、あるいは太陽熱、地熱、こういったもののその後の研究成果といいますか、予算はどのようについて、どのような成果をおさめられたか、それぞれの関係省庁の方から御答弁をいただきます。
#305
○国務大臣(佐々木義武君) 御承知のように、代替エネルギーの開発問題でございますけれども、石油にかわる一番主要なるものといたしましては、申すまでもなしに、原子力とか、あるいはLNG、天然ガスですね、あるいは石炭等が主でございます。しかし、これのみに頼るわけにまいりませんので、量的には補完的なものではございますけれども、将来も考えて、太陽熱とか地熱とか、あるいは風力とか、そういう自然のエネルギーも利用しようということでこれも進めることにいたし、遠い将来といたしましては、核融合とか水素エネルギーとか、あるいは地熱の深部の開発とかいったような計画でただいま進めてございますが、具体的な、何はどのくらいの金額で、どういうような進捗状況かといったような問題は、資源エネルギー庁長官から御説明申し上げます。
#306
○政府委員(森山信吾君) 従来、代替エネルギーの開発につきましては、一般的にいわゆる石特会計と電源開発会計、特別会計でございますが、これで運用をしておったのでございますけれども、ただいま先生から御指摘のとおり、画期的な代替エネルギー開発の促進をするために、ただいま御審議をいただいております五十五年度予算案におきまして、特別会計のうちで千百七十六億円の予算を計上しているわけでございます。それから一般会計といたしまして千七百二十一億円を予算案の中に組ましていただいておりますので、合計いたしまして約二千九百億円の予算を計上しておると、こういう状況でございます。
#307
○渋谷邦彦君 その成果と、実用化への段階にまだほど遠いのか、どうなのか。
#308
○政府委員(森山信吾君) 代替エネルギーの開発につきましては、大変中長期の立場から検討いたしておりまして、たとえば原子力あるいは太陽熱等の問題、さら.には石炭液化の問題等につきましては、若干の日にちがかかろうかと思いますけれども、早くスタートをする必要があるということで、今年度から、五十五年度からスタートさしていただきたいということでございますが、石炭関係の燃料転換等につきましてはただいま進行中でございますので、とりあえずできるものといたしますれば、石炭の石油にかわる燃料転換あるいはLNGの燃料転換、こういったものは着々と実行中であると、こういうふうな状況でございます。
#309
○渋谷邦彦君 先ほど私が申し上げた件については、将来実用化への見込みがあるのかどうなのか。
#310
○政府委員(森山信吾君) たとえば石炭液化等について申し上げますと、現在アメリカ、ドイツ、日本、三ヵ国の共同開発ということでございまして、大体一九八五年ぐらいには実用化をしたいということで努力をしておるところでございます。
#311
○渋谷邦彦君 これは一つ一つお伺いしておりますと、これだけで時間がかかってしまいますので、最近大変脚光を浴びております資源開発の中でバイオマス資源の開発がございます。その状況について。
#312
○国務大臣(佐々木義武君) バイオマス関係の研究は日本でも進めてございます。具体的に申し上げますと、バイオマスの連絡会というものをつくりまして、これには事務的な経費にすぎませんけれども、しかし、新燃料技術開発事業費という名目で補助金も出し、あるいは委託調査費等も出しまして、バイオマス関係だけの予算で総額にいたしますと四億六千四百万の予算をもちましてただいま通産省としては進めてございます。
 なお、民間側の研究も必要と存じまして、関連民間企業の総力を結集させまして、鉱工業技術研究組合を組織いたしまして積極的に推進いたしていく所存でございます。
#313
○国務大臣(長田裕二君) ただいま通産大臣がお答え申し上げたことにつきまして若干補足をいたします。
 バイオマスは、御承知のように、再生可能な、ある意味では無限な資源ということで、エネルギー源としましても相当注目されております。おととしの八月決定いたしましたエネルギー研究開発基本計画におきましても注目すべきものとしての位置づけが与えられまして、以後、ただいま通産大臣申し上げました通産省関係、農林水産省関係、それから文部省関係、わが科学技術庁等におきましてもそれぞれ相当の予算をもって進めているところでございます。
 さらにまた、五十五年度からは、科学技術庁の資源調査所におきまして日本のバイオマスの資源の現存量、それから利用分布状況等を詳しく調べまして、今後の開拓すべき分野等新しい位置づけをなすべくそういうような予算の用意もいたしまして、ただいま進められているところでございます。
#314
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 私の方は基礎的な研究をいたしておるわけでありますが、御指摘のバイオマスにつきましては、五十五年度約六千万ほどの予算で各大学において研究をいたしております。
 なお、先ほどのエネルギー一般の問題につきましても、大体、科学研究費の補助金等十五億、それから各大学におきましてやっております特別会計におきましては、エネルギー関係におきまして百十八億程度のもので研究をいたしております。
#315
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもの方はユーカリなどについて調査研究を進めておりますが、金額はいまの各省と比べて大変小さくて五百万という金額でやることとなっております。
#316
○渋谷邦彦君 総理、お聞き及びのとおりでありまして、私はここで一つの危惧を感ずることは、一つの研究テーマに対して何かばらばらになっているのじゃないか、これを一元化した方が予算措置についても、また研究体制にしても非常に効率的な研究というものができやしまいかという疑問が残るのでありますが、この辺についてはいかがでしょう。大変ユニークないま研究をこれからやっと手がけようという段階でありますだけに、大事な問題でございますから。
#317
○国務大臣(大平正芳君) そのあたりはどういう方法によればよろしいかということにつきまして、私も権威ある判断を持ちかねるわけでございまして、既存のいろいろな研究機関をそのままの姿で協力を願うのがいいのか、また別な一つの統一的なものをつくるのがいいかということは、ちょっと私の判断にわかにできないわけでございますけれども、問題は大事な代替資源の開発でございますので、その効果が上がりますように最善の道を発見してまいらなければなりませんので、そういった問題につきましては、政府は引き続き検討いたしまして有効な手だてを考えてまいりますので御信頼をいただきたいと思います。
#318
○国務大臣(長田裕二君) 総理のお答えを若干補足させていただきます。
 確かに先ほどお答え申しましたように、各省にまたがっての研究が進められておりますが、その際私も申し上げましたように、資源調査所におきまして、日本全国にわたりますバイオマスの資源の現存量、それから利用分布の状況などを五十五年度から大々的に調査をしようというような計画になっておりまして、その成果を見て位置づけなどをするという面が一応ございますし、さらにまた、たとえばいま理化学研究所などで着手しております太陽光、要するに植物の葉緑素といいますか、植物の機能を利用して水を吸い上げて酸素を放出し水素を残す、そこらの水素を残すというところに着目して理化学研究所とアメリカの大学の研究室等が共同しているとか、いろいろな研究の形態がありますので、一律にすぐ一カ所でまとめるということがいいのか、バイオマス自体の存在が広域にいろいろな面にわたっているということを考えて、ある程度農林系統とか通産系統とか、あるいは文教系統とか科学技術庁の系統とか、それぞれの分野での研究を推し進める方がいいのか、先ほども申し上げましたように、しばらく時間をちょうだいしたいと、そのように思っておるところでございます。
#319
○渋谷邦彦君 ユーカリ、アオサンゴの研究状況については、どんなふうに進んでいますか。
#320
○国務大臣(佐々木義武君) この二つの問題に関しましては、石油植物ということで、ことしの予算には含まれておりませんけれども、ただいまの段階では基礎データの収集を行いまして、今後の実用化の可能性等を検討いたしまして、できますれば来年くらいから具体的に入っていきたいというふうに考えてございます。
#321
○渋谷邦彦君 ずいぶんのんきですね。ユーカリだとかアオサンゴの開発については、もうすでに学界においてもどんどん進んでいるわけです。これは谷垣さんがよく御存じですわ。そういういま実用化に踏み切るべきだという提言もあるんです、学者の意見の中には。それが予算が全然ついていないんですって。
#322
○政府委員(園山重道君) お答えいたします。
 ただいま御質問のございましたアオサンゴ、ユーカリ等のいわゆる炭化水素を出します植物の活用に関します研究につきましては、私ども科技庁に計上されております特別研究促進調整費によりましての研究を五十四年度から始めておるところでございます。総経費は約四千五百万程度と考えておりますが、五十五年度では二千五百万程度を予定いたしておるところでございます。参加機関といたしましては、理化学研究所、それから農林水産省の熱帯農業研究センター等の御協力をいただくことにいたしております。
#323
○渋谷邦彦君 非常にスローモー的な対応の仕方、いま代替エネルギーということが非常に重要視されているときに、取り組みが非常におくれているのではないか。もうすでにアメリカやブラジルにおいては、御承知のとおり、ガソホールでもって実用化されている。オクタン価も非常に高い、あるいは排気ガスの量も非常に少ないといういろいろな利点が明らかにされている。もうすでに開発して実用化しているところもあるわけです。しかも、いま非常に大きな脚光を浴びているのは、
 ユーカリだとかアオサンゴであると。こういったやっぱり展望というものは、いま申し上げたとおり、たとえば文部省関係と十分連携がとれているのかどうなのかという、そういう弊害を感ずるわけ。これは当然もう日本においてもすぐれた頭脳集団が開発に着手しているわけですよ。全然それが進んでいない。しかも、資源が乏しいんだ、石油にとにかく依存しなきゃならぬ、こういう考え方、いま転換しなけりゃならぬ、そういう段階において、もっと真剣になっていいんじゃないか。これは具体的にどうなんですか、ユーカリ、アオサンゴの効用。それから実際に将来見通しとして、どういう日本においては可能性があるのか。――これはどこが答えてくれるのかな。
#324
○政府委員(園山重道君) お答えいたします。
 先生御指摘のユーカリあるいはアオサンゴという植物は、先ほど申し上げましたように、いわゆる炭化水素を出すものでございますので、これは将来において有望ということは考えられておりますけれども、現在まだこれを大量に栽培いたしまして実際に実用化していくというためには、まだ相当の時間がかかるものと思っております。キャッサバ等によってアルコールをとりまして、これをガソリンと混ぜまして、いわゆるガソホールということで自動車燃料等に使いますことはブラジル等で行われておりますけれども、これもやはり採算がとれるという段階にいたしますためには、日本の場合にはいろいろ研究要素等があるものと考えております。
#325
○渋谷邦彦君 確かに企業化ができるかどうか、政府の答弁は、確か私の記憶に間違いなければ、かつてされた記憶があります。企業化はその次の段階であって、それを進めるかどうか、その展望はどうなんだ、相当進んでいろはずだと私は理解しておりますがゆえに、その観点に立っていま申し述べているわけです。どうなんでしょうか。大変有望だと言うけれども、本当にそれは企業化できるような方向、実用化ができる方向へ持っていく可能性があるのかどうなのか。
#326
○政府委員(園山重道君) ユーカリ、アオサンゴ等の出しますいわゆる炭化水素を活用するということにつきましては、私の理解では可能性は十分あるということでございますが、それを御指摘のような企業化、実用化という段階に持っていくためにはまだ相当の研究開発が必要ではないかと、このように考えております。
#327
○渋谷邦彦君 サトウキビ、トウモロコシ、あるいはマンジョカはちょっと日本にはありませんが、その辺はどうですか。
#328
○政府委員(園山重道君) 御指摘のようなサトウキビあるいはマンジョカ、キャッサバといったようなたぐいからアルコールをとりまして、これを燃料に使用していくということについての御質問かと思いますが、先ほどもちょっと触れましたように、これは何と申しますか、むずかしい技術開発と申しますよりも、いかにそういうアルコール源になります植物を大量に安く栽培していけるかという問題であろうかと思っております。これはやはり土地を相当広く使用するわけでございますので、その辺との関係でいま直ちに日本の国内でこれを生産いたしまして、企業化、実用化ができるという段階にはまだ時間がかかるのではないかと、このように考えております。
#329
○渋谷邦彦君 代替エネルギーについては、これはもう緊急の課題であるということは論をまつまでもないところであります。いずれにしても、いまようやくその緒についたという、いま答弁を伺っておりましても、そういう段階である。これはどの省が中心になってやるかはわかりませんけれども、もっともっとやはり積極的な対応の仕方というものが必要ではないだろうか。有望だというその方向に立っての研究ですから、これはうまくやはり各省とも連携をとりながらやってもらいたいな。これはまた後日に譲りたいと思います。
 次に、定年制の問題。藤波さん、お願いします。
 定年延長あるいは雇用延長、中高年雇用政策の強化が完全雇用実施のために不可欠の政策課題であることは言うまでもありませんね。政府は、六十年には六十年定年というものを実現すると約束なさっているようであります。それは具体的にどうですか。
#330
○国務大臣(藤波孝生君) 労働行政のいろいろな課題がございますけれども、特に八〇年代、これから日本の社会が高齢化社会に入っていくという中で一番大事な課題は中高年対策、特に高齢者対策であるというふうに考えます。先生御指摘のとおりでございます。そこで、定年延長を中心にいたしましてこの高齢者対策に総合的に取り組んで、いろいろな給付金なども駆使いたしましてその実現に向かって全力を挙げているところでございます。ただいまの第四次の雇用対策基本計画において明らかにいたしておりますように、昭和六十年度で六十歳定年をぜひ一般化したい。なお、もっと行けるところは六十歳と言わずに六十五歳ぐらいまでを目標にいたしまして進んでいきたいと思いますけれども、まず六十年、六十歳定年を一般化したい。幸いに昨年は、鉄鋼、私鉄などで労使の合意を見ましたので、非常に大きな一つのうねりがまた出ている。ことしも労使のいろいろな話し合いの中で定年延長を中心にいたしました高齢者対策というものは非常にウエートを持った話題になっておりますので、さらに大きく前進をするものと、このように期待をいたしておるところでございまして、政府といたしましても全力を挙げてこの施策を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
#331
○渋谷邦彦君 いま御答弁がありましたように、将来、さらに六十五歳までと、当然だと思います。財界筋あたりでもそれは望ましいという提言がございますね。
 そこで、われわれが高齢化社会に対応する総合的政策の一環として六十五歳定年の法制化、これを御提言申し上げました。雇用審議会あたりでもそれを鋭意いま検討中だと伺っておりますけれども、これはぜひやはり推進すべきじゃないだろうか。いまいみじくも藤波さんがわれわれと同じような考え方の観点に立って答弁されました。将来の六十五歳定年制、それが法制化への方途、これについて締めくくり的におっしゃっていただきたいと思います。
#332
○国務大臣(藤波孝生君) わが国のような終身雇用の慣行で動いております社会におきまして定年延長を進めようと思いますと、いろいろと年功的な慣行になっておる部分を見直しをいたしまして、労使がよく話し合って新しいいろいろな工夫や新しいお互いの努力をしながら高齢者に働いてもらうという形をとっていくことが非常に大事だと。政府といたしましても、法制化の問題を考えないわけではありませんけれども、やはり、その着実な、じみちな努力を労使双方の話し合いの中で積み上げていくということによって名も取るし実も取るというような形になれればと思って、当面行政指導を中心にいたしまして努力をいたしておるところでございます。しかし、ただいま先生御指摘をいただきましたように、国会における各党のいろいろな御意見等も踏まえまして、昨年の六月に雇用審議会に諮問をいたしておりますので、その御意見を踏まえまして政府といたしましても、また法制化の問題についての考えを明らかにしていきたいと思いますけれども、その問も行政指導を強力に展開をいたしまして目的に向かって進んでいきたい、このように考えておる次第でございます。
#333
○渋谷邦彦君 それを期待しております。もう持ち時間もございません。武藤さん、きょう残念でございますけれども、分科会にまた席を譲りまして農業問題については触れたいと思います。
 いずれにしても、外交、防衛、エネルギー、というふうに一番いまわが国として緊急な課題について触れました。いま提言を交えた質問をさしていただいたわけでございますが、ぜひいま申し上げたような線に沿って不断の努力をしていただきたいことを最後の締めくくりといたしまして私の質問を終わります。
#334
○委員長(山内一郎君) 以上で渋谷君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#335
○委員長(山内一郎君) 次に、寺田熊雄君の総括質疑を行います。
   〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕
#336
○理事(安田隆明君) 寺田君。
#337
○寺田熊雄君 総理にお尋ねをします。
 総理もお聞きになっていらっしゃるでしょうが、総理の内閣、大平内閣を支えているのは自民党の田中派である、とりわけ田中角榮氏であるという見方が非常に強いんですが、総理自身はどういうふうに認識しておられますか。
#338
○国務大臣(大平正芳君) 私を支持していただいておる方々にいわゆる田中派があるということは私もよく承知いたしております。
#339
○寺田熊雄君 田中派があることは承知しておるということをおっしゃいましたね。田中派に対していまだに田中角榮氏が最大の指導力というか、影響力を持っているという事実があるようですが、これは認識しておられますか。
#340
○国務大臣(大平正芳君) そういうこと、詳細な事情は私にはわかりません。
#341
○寺田熊雄君 これは五十四年十一月の二十一日朝日新聞の「追跡大平政権」というコラムであります。そこで田中は当時側近の議員に「大平のヤツ、指名されるまでは毎日電話をかけてきたのに、首相になった途端、一本もかけてこない」とこぼしたと言うている。お読みになりましたか、いかがですか。
#342
○国務大臣(大平正芳君) よく存じません、それは。
#343
○寺田熊雄君 電話をかけられた事実はないとおっしゃるんでしょうか。
#344
○国務大臣(大平正芳君) 田中さんと電話連絡が全然ないわけじゃございませんけれども、非常に珍しいことでございまして、お互いにそういうことはいまほとんどない状態でございます。
#345
○寺田熊雄君 総理の側近といいますか、そういう方々が田中元総理に大平内閣を強力に支持するように要請した事実があることは御存じですか。
#346
○国務大臣(大平正芳君) よく承知しておりません。
   〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕
#347
○寺田熊雄君 正直な御答弁とはとうてい思われないんですがね。
 総理のその側近中の側近でいらっしゃった前内閣官房長官田中六助氏が週刊朝日記者の塩口喜乙さんに語られたてとが詳しく週刊朝日に載っておるんですがね。その中に、田中六助官房長官が昨年の総選挙の直後にすぐ田中角榮氏を訪ねて、そして強力な支援を要請したと、そのことは大平さんに報告したと言われますよ、いかがですか。
#348
○国務大臣(大平正芳君) そういう報告があったかどうかは私も記憶しておりませんけれども、私はそういうことを田中君に要請したつもりはありません。
#349
○寺田熊雄君 そうすると、あなたは田中さんが大平内閣を支えるために大変力を尽くされたという事実はお認めになるんですか。
#350
○国務大臣(大平正芳君) 田中君は田中君のお立場で自分の是と信ずる政治行動をとっておられると思うわけでございます。
#351
○寺田熊雄君 端的にお尋ねをまたしたいと思うのは、現在の建設大臣渡辺栄一氏の任命について、これは自民党の藤井丙午さんが田中さんにそのことを要請した。田中さんは即時にあなたに電話をして、そしてあなたに了承を得て藤井丙午さんに、もう決まった、すぐ渡辺に電話をしていいと言ったというんですが、あなたはこの渡辺栄一氏を建設大臣に任命するについて田中さんのそういう推薦を受けられましたか。
#352
○国務大臣(大平正芳君) そういうことはございません。
#353
○寺田熊雄君 私がこの小林久三氏に直接尋ねたんですから……。相当の根拠のないようなことは決して書きませんと小林氏は断言しておられるわけです。あなたの御答弁は決して正直なクリスチャンの御答弁だとは伺えないんですが、もう一遍伺いますが、田中派があなたを支援するということは認められるんだけれども、田中角榮氏があなたを強力に支援しているという事実、それはお認めになるんですか、ならないんですか。
#354
○国務大臣(大平正芳君) 田中君がその信念に基づいて私を支持していただいておるということは私も承知いたしております。
#355
○寺田熊雄君 いや、そこに問題があるんですよ。総理ね、ロッキード事件で田中さんが涙を流して五億円の金を受け取ってないと裁判所で罪状認否で述べたことはあなたも御存じでしょうが、これを渡した丸紅側の方は、専務の伊藤宏を初め四回にわたって渡したということをはっきり裁判所で述べている。これは私どもの裁判官の経験でも弁護士としての経験でも、恐らくそういう事実認定は必ず裁判所はすると思うんですよ。田中さんがそのことは非常に不正直な政治家であると、汚れているだけじゃなくて、同時に不正直だということも証明しておるんですよね。そういう方の支援を受けているということは、大平内閣の政治倫理を貫こうという根本のあなたのその信念に反しゃしませんか。
#356
○国務大臣(大平正芳君) ロッキード事件はいま裁判所の問題になっておりますので、これに対する論評は私は避けたいと思います。
 次に、田中君がその政治信念に従いまして私を支援していただいておるようだということは私は承知いたしております。それを断る理由はないと思っております。
#357
○寺田熊雄君 それは、つまり政治的な腐敗とか汚職とかいうものを追放しようという、政治倫理を貫こうという大平内閣のそういう立場と矛盾しやしませんかといってお尋ねをしていますが。
#358
○国務大臣(大平正芳君) どんなことがあっても私を支持していただきたいなんてお願いしているわけじゃないので、田中さんが田中さんの信念に従って私の政治についてよしと信じて支持していただいておることは承知いたしておりますけれども、そうしちゃいけませんよというようなことは申し上げるつもりはありません。
#359
○寺田熊雄君 この問題は、時間の問題がありますからね、さらにまた追及して、きょうはこの程度にとどめておきます。
 次に、金大中事件のことで伺いますが、金大中氏が三月一日に「私のら致事件に関する限り、本日を期してこの事件に関連したすべての者を許し、これ以上問題を取り上げないつもりである。」ということを述べたと同時に、「それは、唯一の政敵がこの世から消えたからである。彼の指示で動いた者は許さねばならない。」と語っていることは御存じでしょうか。
#360
○国務大臣(大来佐武郎君) 承知いたしております。
#361
○寺田熊雄君 犯罪の被害者が加害者を許したとしても、しかし、そうした事実があった場合に、日本の主権が侵害された事実というものは消えてなくなりませんが、そのことはお認めになりますね。
#362
○国務大臣(大来佐武郎君) 政府といたしましては、日本の主権が侵害されたというはっきりした証拠が認められていない。しかし、日本政府としては、刑事事件として捜査を続けるというのがこれまでの立場でございますし、現在もそういう立場をとっておると承知しております。
#363
○寺田熊雄君 当時のKCIA部長であった李厚洛氏がアメリカに行っておられることは把握していらっしゃいますか。
#364
○国務大臣(大来佐武郎君) 私どもの方の知っておる範囲では、李厚洛氏は、昨年十月二十六日の朴大統領死亡事件の後、韓国を出国し、現在米国にいる模様であるということは承知しておりますが、具体的動静については確認できておりません。
#365
○寺田熊雄君 李厚洛氏を追って、この事実の真相を明らかにする必要があると思うんですね。というのは、彼がやはりアメリカで、あの金大中拉致事件は朴大統領の指示に基づいたものだということを語ったと言うんですが、この事実は把握しておられませんか。
#366
○政府委員(木内昭胤君) そのような事実は承知しておりません。
#367
○寺田熊雄君 そうすると、金大中氏がこういうふうに語ったという事実にもかかわらず、やはり日本政府としては今後もこの事件の捜査を継続し、新しい証拠があればこの政治的決着を見直すという態度には変わりありませんか。総理、この点は総理がたびたびそうおっしゃっていますから、重ねて総理の御決意を伺いたいと思います。
#368
○国務大臣(大平正芳君) 金大中氏の言明いかんにかかわらず、政府がただいままでとりましたことを変更するつもりはありません。
#369
○寺田熊雄君 次に、早稲田大学の受験不正事件の捜査に関連してお尋ねをするのですが、早大のこの受験不正というのは、名誉ある歴史を持つ大学であるだけに、非常に国民が等しくこれを惜しんでいると思います。事実の解明は警察が努力しておられますが、この出題の内容を盗むことと紙切れを盗むこととは必ずしも一致しません。出題を見て、みずからが紙に写しとって、これを持ち出しても結果は同じことであります。この事件は窃盗罪として起訴せられておるようですが、窃盗よりも、その事実よりもさらに、だれがお金を出したとか頼んだとか、そのまた物がどこへ行ったとかいうようなことを捜査して、その方に重点が移っておるようですが、これは間違いないでしょうか。
#370
○政府委員(中平和水君) お答えいたします。
 現在警視庁におきましては、試験用紙を盗んだ人あるいはそれを盗むことを教唆した人、合計四名を、窃盗罪あるいは窃盗の共謀による教唆で逮捕いたしまして、現在真相を解明中でございますが、金がいかように流れたかという問題につきましては、私どもはこの窃盗罪の裏づけという観点でやっておりまして、そのこと自体が直ちに犯罪は構成しがたいではないか、こういう観点で、現在捜査を、真相の究明に努めておる次第でございます。
#371
○寺田熊雄君 これはつまり紙切れを盗んだということに仮託して、それをよりどころにして試験が公正に行われたかどうかということを調べるよりも、むしろ大学の試験が公正に行われること自体を法益とする犯罪の類型というものをむしろ構成した方がいいんじゃないか、つまり、大学の試験の公正を害することを犯罪とするという方がむしろ正道じゃないかと思うのですが、これは法務大臣、いかがですか。
#372
○政府委員(前田宏君) お尋ねの点につきましては、御指摘のような考え方、もちろんあり得ると思いますけれども、御意見にありますような、その公正を害する行為というものをどういう罰則の形でとらえるかということになりますと、なかなかむずかしい問題もあろうかと思うわけでございまして、直ちにそういう犯罪の類型をつくることはどうかということにつきましては端的な御意見を申しかねるわけでございます。
#373
○寺田熊雄君 何……。
#374
○政府委員(前田宏君) 端的に御意見を申しかねるわけでございます。
#375
○寺田熊雄君 これは、つまり法務省は、非常に悪評さくさくたる企業秘密漏示罪というのを刑法草案で規定しておられますね。それから現行法でも、たとえば競艇の公正を害する行為、競馬の公正を害する行為、それから自転車競技の公正を害する行為、小型自動車の競争の公正を害する行為を犯罪としておるわけでしょう。そのいわば賭博じゃないかもしれないが、賭博類似のそういう行為についてまで公正を守ろうとしておる。片方は公共性が非常に強い大学の試験ですね、そうしてそれは全国民が公正に行われるということをこいねがっている、そういう重要な問題。しかも、私立大学にも国家が財政資金を補助金として出して大きなかかわり合いを持っておるでしょう。そういう問題、試験の公正を害するような行為は、当然私はこれは犯罪の類型に加えても国民は納得すると思う。これは企業秘密漏示罪とは違いますし、競艇の不正行為以上にもっと重要な法益を含んでいると思いますが、これは総理大臣、どうでしょう、あなたのお考えは。
#376
○国務大臣(大平正芳君) ちょっとそういうむずかしい法律問題判断に苦しみますので、専門家からお聞き取りをいただきます。
#377
○寺田熊雄君 それじゃ、法務大臣のお答えを。
#378
○国務大臣(倉石忠雄君) その特別立法というか、あるいは本法の中にそういうものを入れたらどうかという御意見だと拝察するのでありますが、入学試験が公正に実施されなければならないという御指摘につきましては、私どもとしても心から同じ感じを持っておる一人であります。しかし、いまお話がございましたように、刑法の中で、あるいは特別立法で入学試験の公正を害する罪を新設するという、そういう御提案かもしれませんけれども、事柄がきわめて学校教育の基本問題でございまして、まずもって教育関係者の深い自覚によりまして不正が生じないようなことを考える、そういう方向で進めていくべきではないかと思うのでございます。
 もう御存じのように、試験に要する資料を盗まれたというようなことについて、それは盗まれたことはその行為でありますけれども、その原因またはその結果等につきましては多分に教育問題とも関連がございますので、やはりそういうような方面でまず検討する必要があるのではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#379
○寺田熊雄君 しかし、盗まなければどうしようもないでしょう。つまり、その試験問題を見て写してそれを流したってどうしようもないでしょう。紙切れをたまたま盗んだから犯罪、窃盗として跡を追うことができるけれども、紙切れを盗まないで幾らでも試験の公正は害し得る。それはもう仕方がないということで放置するには余りにも大きい法益の侵害じゃないでしょうか。これはもう少し見識を持っていただきたい。これは法制局長官どうですか。
#380
○政府委員(角田禮次郎君) 先ほど刑事局長からもお答え申し上げたと思いますが、そういう寺田委員の御指摘のような考え方も十分あり得ると思います。ただ、私は率直に申し上げて、何かやはりすぐに刑罰で担保するといいますか、刑罰でもって防がなきゃならない問題かなという気がいたします。
#381
○寺田熊雄君 だけど考えてごらんなさい。モーターボートの競争の不正や競馬の不正さえも犯罪としてつかまえているんですよ。それじゃ、それよりも大学の試験の公正というものが法益の程度が落ちるだろうか、どうでしょうか。
#382
○政府委員(角田禮次郎君) 公正を担保する必要という点においては、確かに大学の試験の公正を担保する社会的必要はあると思います。しかし、モーターボートというのは下の下の話――いまのはちょっとまずいですか。そういう話と何か一緒にされるのがちょっと私にはぴんとこないという意味なんです。
#383
○寺田熊雄君 文部大臣の御所見。
#384
○国務大臣(谷垣專一君) 先般もここで同様趣旨の御質問がございまして、単に一枚の答案のあれを、答案と申しますか、試験問題のあれを盗んだということじゃ余りにも財物としての価値がどうこうというような御議論がございましたが、現実にまあ先ほど寺田委員から御指摘がありますように、非常に試験の公正を害するという大きな問題が実際それに随して行われておるわけでございます。したがいまして、当然文教の側といたしまして、大学の側といたしましての管理体制の問題その他の問題、十分これは考えていかなきゃなりませんしいたしますけれども、何らかそこにもう少しこの重大な結果を及ぼしますことに対しての対策が行われることができないんだろうかという気持ちは私たちも持っておるわけでございます。かつて砂田文部大臣が著作権法の問題に触れて議論をされておることもございました。果たしてそれがそういうものに該当するかどうか、ことにこういう調査が進んでおります場合には、これは検察当局の御判断ということであろうかと思いますが、私たちも非常に心配をしながら事案を見ておろと、こういうところでございます。
#385
○寺田熊雄君 これはやはり政府はもっと真剣に検討していただきたいと思います。法制局長官のような下の下のもの、それはどうも疑問がなきにしもあらずですけどもね。そういういわば低次元のものを法でしっかりと守ると言うておきながら、もっと非常に高い価値を持っているものはどうも守るのはどうだろうかというような、そういう不見識なことでは、国民が強く願望している試験の公正というようなものをもっと国家が大切にして守ろうという、そういう気持ちを疑わしめるものがあるでしょう。これは大平総理、もうちょっとやはり真剣に検討してください。それをお約束願いたい、検討。
#386
○国務大臣(大平正芳君) 入学試験の公正を図ること、これは社会も強く求めておりまするし、本来公正でなければならぬものと思うわけでございまして、それを担保する手段として、立法に訴えるべきか、あるいは行政上あらゆる手だてを講じてそういうことの再発を防止していくかということになりますと、さしあたりの措置といたしましては、あらゆる手だてを講じましてそういうことのないようにする道があれば、まずそれを追求していくのが当然だと思いますけれども。立法的措置に訴えるというようなことは最後の措置であってほしいと私も思うわけでございますが、いずれにいたしましても、入学試験の公正を保証することを考えにゃいかぬということにつきましては御指摘のとおりでございまして、政府といたしましては、関係者と協力いたしまして最善を尽くさにゃならぬと思います。
#387
○寺田熊雄君 次はオリンピックの問題ですがね。私は政治とスポーツとは切り離すべきであると、モスクワ・オリンピックには参加すべきであるという主張、これは社会党は、そういう主張を公にいたしました一つの政党でもありますし、私も先般二月十三日の予算委員会でそういう立場から質問をしたわけでありますが、その後、朝日新聞のこれは三月十日付の記事を見ますと、国民の五五%がモスクワ・オリンピック・ボイコットに反対である。ボイコット賛成の二・五倍であるという世論調査が出たという結果を載せております。この結果を総理どういうふうにごらんになりますか。官房長官でもよろしい。
#388
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 先生おっしゃるように、その後いろいろ新聞紙上あるいはテレビその他で世論調査があり、また新聞の論説にもいろいろ出ておりますことは御承知のとおりでございまして、いま先生おっしゃったのは三月十日の掲載の「朝日」かと思うのでございますが、お説のとおり、これはボイコット賛成二二、反対五五、三月一日の「読売」は、参加すべきが三四で、参加しない方がいいというのは、五月までに友好国の多くが不参加の場合には参加すべきでないというのを入れるとこれは約四〇になるというような、新聞によりましてもいろいろ意見が分かれているわけでございます。それから論説も、御承知のように、参加すべきでない、あるいはJOCの決定に任したらいいとか、国内の世論がいろいろ分かれております。
 それで、国際論も御承知のとおりでございますので、われわれとしましては、もう少しこの問題は静かに見守っているという態度で、その後――二月一日に意向の表明をしましたが、いまもあのとおりの考えで見守っているというのが実情でございます。
#389
○寺田熊雄君 官房長官のその見守っておるというのは、いずれにしても世論を重視していきたいと、そういうお気持ちがあるんだというふうに伺ってよろしいでしょうか。
#390
○国務大臣(伊東正義君) お答えを申し上げます。
 もちろん、われわれとしましては、国内、国際世論両方にわたりまして注意深くこれを見守っているということは、いろいろこれから政府がまた意向を表明する機会があるかどうか、そういうことはまだわかりませんけれども、五月十九日の最後の申し込みまでの間にいろいろな動きがあると思いますので、その場合には、こういう国際世論、国内世論も重視して物は判断すると、こういうことだと思います。
#391
○寺田熊雄君 財政投融資資金の融資を受けました政府系金融機関あるいは公社公団、そうしたものの資金の繰り越しや不用額が非常にふえておりますが、大蔵大臣は、これをどのように把握しておられますか。
#392
○国務大臣(竹下登君) 財政投融資計画の繰り越しとか不用が多いがどうかと、こういうことであろうと思うのであります。
 確かに、特に五十三年度の実績におきましては、これは内外経済情勢の低迷、それから資金需要の伸び悩み及びもう一つは金融緩和して一番緩んだときでございますから、したがって、いわゆる開発銀行等の特利よりも市中銀行の金利が安くなって、それでそれが繰り上げ償還と、こういうようなことになりましたのでやむを得ず相当額の不用を生じたものであります。
 ただ、財投計画につきましては、地方資金はこれはどういたしましても、作業上いつでも出納閉鎖期に出るという、ある種の構造的なそういう支出体系になっておりますので、地方資金は、これはどうしても年度末では繰り越しになってくるものでございます。したがいまして、五十四年度には前年度に比して大幅に不用等は減少する。地方資金を除きますと、繰り越しについても減少するというふうに考えております。したがって、五十五年度計画におきましては、原資面の制約が厳しいところからも、財政投融資対象各機関につきまして、事業の内容、資金需要の実勢等十分勘案したところでありますので、資金の効率的配分に遺憾なきを期しておるというふうに考えておるところであります。五十四年度一体どの程度不用を見込んでおるかというふうにいま定かにはできませんが、おおむね六千億程度ではないかというふうに思います。その中身は、やっぱり日本輸出入銀行の貸し付けが内外景気の低迷とそれから円相場の変動によりまして資金需要が伸び悩んだこと、それから農林漁業金融公庫の農林漁業の環境変化による資金需要の減退、そうして既貸付金の繰り上げ償還によって自己資金の増があること等が主たるこの理由であるというふうに理解をいたしておるところであります。
#393
○寺田熊雄君 五十四年度の不用額が約六千億円出る見込みであるというお話でしたが、それじゃ繰越額はどのぐらいの見込みですか。
#394
○政府委員(渡辺喜一君) 五十四年度の繰越額はまだ年度経過中でございますので、確定数字は出ておりませんが、大体現在で見込み得る数字といたしましては財投全体で二兆六千億程度になろうかと思います。
#395
○寺田熊雄君 これは後でさらに従来の繰り越し、不用についてお尋ねをしますが、こういう繰り越しや不用額が出ておるにもかかわらず、五十五年度の財投資金がさらにまた五十四年度に比して、たしか――まずどの程度ふえておるか、それをお伺いしましようか。
#396
○政府委員(渡辺喜一君) 五十五年度財投は、計画額におきまして、五十四年度に対しまして八%増加いたしております。
#397
○寺田熊雄君 理財局長ね、五十年から五十三年に至る全体の繰越額と不用額、これは数字を把握していらっしゃるんでしょう。ちょっと言ってみてください。
#398
○政府委員(渡辺喜一君) 財政投融資全体につきまして五十年度の繰越額が一兆七千五十九億、五十一年度が一兆八千八百六十五億、五十二年度二兆六千四百九十三億、五十三年度三兆二千四百十八億の繰り越しとなっております。
#399
○寺田熊雄君 不用額。
#400
○政府委員(渡辺喜一君) 不用額は、五十年度が一千四十八億、五十一年度一千六百五十一億、五十二年度五千三百十三億、五十三年度一兆五千四百六十五億となっております。
#401
○寺田熊雄君 これは大蔵大臣慎重に計画を策定し、かつそれを大蔵省の方で十分資金需要や消化の見込みを検討しておられるというお話でしたけれども、いま理財局長のお話では、繰越額も五十年から五十三年までどんどんふえておりますね。それから不用額もふえておる。そういう状態では決してこの慎重な検討というものがなされておるとは思えませんけれども、いかがです。
#402
○国務大臣(竹下登君) これは予算編成、財投計画に対して根本的に見直せというふうな趣旨の御意見を含めての御質問であろうと思うのでありますが、この五十五年度財政投融資計画の編成に当たりましても、資金の効率的な活用に配慮したところでありまして、厳しい原資事情の中で各財投機関の事業内容、資金需要等を十分勘案いたしまして、全体としての財投規模の伸び率、先ほど申しましたとおり八%に私どもの方としては二十年来の伸び率でございますから、それだけの圧縮をしたという表現をいたしておるわけであります。特に資金配分につきましては、住宅、中小企業等の国民生活の向上と福祉の充実に資する分野と、それからエネルギー関係について特に重点的に配意をいたした次第であります。
 そこで、予算編成時点で見込まれた不用額につきましては、これによって生ずる余裕資金をむだにすることなく、資金をより必要とする機関へ有効に活用するための五十五年度の原資にこれを充てさしていただいた。ただ、基本的に非常にこれは経済情勢に敏感に――融資でございますから、金融市場の引き締まったとき、緩んだとき、そういうことで、予算の執行のように正確にはなかなかいかない点がございます。そのことは私も認めるにやぶさかではございません。
#403
○寺田熊雄君 大臣は五十五年度慎重に検討したということをおっしゃる、それからまた、五十四年度はいささか繰り越しも不用も減る見込みであるということをおっしゃるけれども、五十年度から五十三年度においては繰り越しも次第に増加しておる。不用額は五十年度の一千四十八億に対して五十三年度は一兆五千四百六十五億、実にまる三年の間に十五倍というような不用額の増加を見ておるわけでしょう、これは理財局長の御説明によっても。これをしも慎重な検討などということは言えないじゃないかということをお尋ねしているんですよ。この点いかがですか。
#404
○国務大臣(竹下登君) いわゆる不用額の推移についての御指摘でございますが、何としても五十二年、三年というものは、翌年度の繰り越しあるいは不用額につきましては、金融全体がきわめて緩んだ状態になったので、その繰り上げ償還等が出てきたということがやっぱり一番大きな理由ではないかと思うのであります。
 それから五十四年は、特に輸銀のお金が国際金融全体で円安の傾向もあり、投資の手控えというものがやむを得ずなされたということでそれだけの繰り越し――五十四年はまだ繰り越しとは呼べないわけでございますけれども、そうしたものが出たというような事情で私どもは理解をいたしております。
#405
○寺田熊雄君 結局、みずからのそういう計画の見通しを誤ったということを認めるのか認めないのか、何か弁明しきりでありますけれども、仮にそういうような原因があったにいたしましても、それはしようがないんだ、こういう客観的な事情でやむを得ないのだ、私の過ちでありませんと、こう言い切れるんだろうか。余り反省がないように思いますが、いかがですか。
#406
○国務大臣(竹下登君) れは私は大いに反省してしかるべき問題だと思っております。これはやはり国会のそれぞれの産投会計なら産投会計等で議決していただいておる問題でありますだけに、やはりこれは大いに反省してしかるべき問題である。しかし、事ほどさように国際的にも、あるいは国内的にも非常に経済の変動というものが多かったということを御理解をいただければ幸いである。だからといって、われわれがずさんなものでもいいなどという考えは全く持っておりませんし、大いに反省してしかるべき課題であるというふうに理解をいたしております。
#407
○寺田熊雄君 しかし、こういうふうな繰越額が非常に多い、しかも不用額が非常に多い。中には繰越額が全部使い切れずに不用額になったという例もありますけれども、これはお認めになりますか。
#408
○政府委員(渡辺喜一君) 先生のおっしゃいますように、繰り越した後不用になった、いわゆる私どもこれを二次不用と申しておりますけれども、そういうものが幾つかございます。その主たる理由は、大体用地取得等が難航をいたしまして、事業主体としては一生懸命事業を完成させるべく努力をしたわけでございますけれども、結局、年度中に事業がうまくいかなかった、こういう事例が非常に多いわけでございます。
#409
○寺田熊雄君 そういう国民の零細な資金を集めた財投の資金の使用状況ですね、これをいま申し上げたように大変巨額の金が繰り越され、そして不用額が出、中には繰り越ししたものがさらに不用になるというような事態もあるということなので、これからやはり国民にそういう事実を明らかにしていただく。われわれの国会のやはり財政コントロールといいますか、そういうものを強めていきたいという考えからも、ぜひこれは財投資金の運用状況、使用状況というものの詳細をやはり翌年度の予算審議の際に一緒に資料として国会に出していただきたいのですが、この点いかがでしょう。
#410
○国務大臣(竹下登君) これは各年度の使用状況というものにつきましては、資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律、いわゆる長期運用法と、こう呼んでおるようでありますが、それの第四条に基づきまして資金運用部資金及び簡保資金の運用実績報告書を作成して会計検査院の検査を得た後、各特別会計の決算参照書に添付して毎年国会に提出しておるところでございます。
#411
○寺田熊雄君 御承知のように、決算というものが非常に参議院においても衆議院においてもおくれておりますね。われわれがやはり予算審議の際に前年度あるいはそれよりさかのぼって何年間の財投資金の運用状況というのを知りたい、それを予算審議に役立てたいと考えておるので、その資料を予算審議の際にも出していただけぬかと、こういうお尋ねですよ。
#412
○政府委員(渡辺喜一君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、各特別会計の決算に添付資料といたしまして財政投融資の運用状況というものの実績は国会に御報告申し上げておるわけでございます。おっしゃいますように、それでは時期がちょっとおくれてしまうということはよくわかるわけでございますが、ただ正式に国会に提出いたします資料ということになりますと、どうしても決算が終わって確定した数字でないと正式資料としては提出はいたしかねるというのが現状でございます。
#413
○寺田熊雄君 それでは大体の見込み領というのはだめかしら。
#414
○政府委員(渡辺喜一君) 確定数字でなくて、一応の見込み韻ということでございますれば、大体毎年委員会要求資料ということで衆参両方の予算歪員会に対しまして実行状況の表を提出してございます。
#415
○寺田熊雄君 それでは、その問題は余り深追いしないことにして、いまお話ししたような問題とも関連をいたしますけれども、特別会計予算総則十七条の弾力条項、この弾力条項の使用状況をちょっと説明してもらいたいんですが。
#416
○政府委員(渡辺喜一君) 弾力条項は五〇%の範囲内と、こういうことになっておるわけでございますが、これは各機関別でございます。したがいまして、財投全体としてその五〇%の枠内で、各機関の間をうまく流用するというふうな制度にはなっていないわけでございます。したがいまして、実績ということになりますと、財投にたくさんあります機関の各機関別に年別に見ていく、こういうことになるわけでございます。もし御必要てしたら資料としては御提出できると思います。
#417
○寺田熊雄君 これは五十年中から、五十四年は見込みになりますが、大体何件ぐらいこの弾力条項を使用したか、その平均は何%ぐらいかということを御説明はいただけるでしょう。
#418
○政府委員(渡辺喜一君) 五十年度弾力条項を使用いたしました機関は十八機関でございます。平均はちょっと出しておりません。
#419
○寺田熊雄君 それは何年ですか。
#420
○政府委員(渡辺喜一君) 五十年度でございます。
 それから、五十一年度が十一機関でございます。五十二年度が十七機関、五十三年度が十六機関でございます。
#421
○寺田熊雄君 五十四年見込み。
#422
○政府委員(渡辺喜一君) 五十四年度は、現在時点ではまだ弾力条項の発動はございません。
#423
○寺田熊雄君 いまのはあれでしょう、資金運用部資金の問題でしょう。簡保資金の資金を運用している分についてはどうですか。
#424
○政府委員(渡辺喜一君) いま申し上げました数字は、簡保も含めての数字でございます。
#425
○寺田熊雄君 私が調べたところによりますと、三〇%以上の使用というのは、これはもうほとんどありません。五十年中に四件、五十一年中二件、五十二年中一件、五十三年中二件、ほとんどが二〇%以下なんですが、ことにいま伺いますと、五十四年中はまだないというのでありますが、ここの弾力条項の五〇%使用というのは、ちょっとこういう実績に見て過大に過ぎるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#426
○政府委員(渡辺喜一君) 昭和五十年度以降は金融のちょうど緩和期でございます。したがいまして、一般的に資金需要は弱くなっておるという経済状況でございますので、弾力条項の大きな発動というものもたまたま出なかった、こういうことではなかろうかと思います。それ以前の逆に金融の逼迫期あるいは景気の上昇期といいますか、そういうときにおきましては、特に中小金融機関を中心にいたしまして、かなりの大きな弾力条項の発動というのが見られるわけでございます。
#427
○寺田熊雄君 いや、それが私の調査では余り見られないんですよ。だから、あなたがおっしゃるんだったら、具体的にその例を示していただきたいんですが。
#428
○政府委員(渡辺喜一君) 昭和四十八年度におきましては、商工組合中央金庫、これが弾力の発動率が四六・四%でございます。しかも、この年は弾力の五〇%では足りませんで、結局、それ以外に補正予算で補正増額をいたしております。その補正増額を別にいたしまして、さらに弾力の発動率が四六・四%というふうなことになっております。
 それから、昭和四十九年度におきましては、国民金融公庫、弾力発動率が四五・四%、中小企業金融公庫、これが四二・四%、住宅金融公庫三四・九%というような事例がございます。
#429
○寺田熊雄君 いまの理財局長の御説明というのは四十八年と四十九年に集中しておるようだけれども、私はまた五十年以降のあれを調べたところが、これはほとんどないんですね。あってもきわめて率が少ないわけで、全体の平均をとってみると皆二〇%以下になります。全く弾力条項を使用してない政府機関なり金融機関がきわめて多いんですよね。だから、そういういまから大体六年も七年も前の事例でなくて、最近のこの五年間程度の事例を見て議論を進めていただきたいと思うんだけれども、これをやはりこの財投資金の計画額とそれから実際の取得額とのその差というものがあるんでしょう。それをやはり基準にして考えたらどんなものでしょうかね。
#430
○政府委員(渡辺喜一君) 先ほど申し上げましたように、経済の波によりまして非常にこの弾力条項の必要性の高い時期とそれほど必要性が生じない時期というものがあるわけでございまして、たまたま先生の御指摘になりました五十年度以降というものはちょうど下降期でございますので、資金需要が弱い時期に当たっておる、こういうことではなかろうかと思います。したがいまして、常に五〇%の弾力は過大であると、こういうふうには私ども見ていないわけでございます。
 それから、最初に申し上げましたように、この弾力条項というのは各機関別に五〇%の枠を与えておると、こういうことになっておるわけでございまして、おっしゃるような趣旨をもし仮に徹底させるとするならば、各機関別にそれぞれ違う弾力条項をつけると、こういうようなことにならざるを得ないわけでございますが、それは非常に煩瑣でもございますので、従来一律五〇%と、こういうことにいたしておるわけでございます。
#431
○寺田熊雄君 これは私どもいま過去の実績を見て、たとえば東京国際空港公団、こういうのは成田空港を短期にどうしてもやらなきゃいかぬという政府の要望で、ばかにその弾力条項を広げたりした例はあるけれども、そういう特別の事情によらざるものは大体もう二〇%以下だし、例も少ないということを見ますと、この弾力条項をいま先ほど申し上げたような不用額や繰り越しが非常に多い事態とあわせ考えると、五〇%というのはいかにも過大だと考えざるを得ないんで、これを少なくも二五%ぐらいに落としてもいいんじゃないか、いかがです。
#432
○政府委員(渡辺喜一君) 経緯的に弾力の枠を財投につきまして五〇%と、こういうふうにいたしましたのにつきましては、一方で各公庫の借入限度、これの枠につきましてやはり五〇先の弾力がついておるというようなこととも対応いたしておるわけでございます。実際の弾力の発動に当たりましては、そのときどき、個別の各機関の状況に応じまして十分適切な運用ということに努めておるわけでございますから、私どもといたしましては、この五〇%弾力というのは決してそれがそのために運用が乱に流れるとか、そういうことにはつながっていないと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#433
○寺田熊雄君 ですがね、理財局長。さっきお話ししたような、このあなた自身がお認めになったような繰越額の非常に多額なこと、それから不用額が多額なこと、こういうことを考えて、なおかっその五〇%の弾力条項が必要だというのは、余りにも行政機関に過大な裁量権を与え過ぎている、国会の財政コントロールの権限を不要に狭めていろとどうしても思わざるを得ないんだけれども、もう一度反省をしてもらいたいと思うが、どうです。
#434
○国務大臣(竹下登君) 寺田委員の御指摘というのは、予算総則十七条に五〇%までの弾力条項があるが、これは行政の裁量権が大き過ぎるという御指摘であると思うのであります。いま理財局長から種々答えておりましたが、これを理屈はとにかく、予見しがたい経済事情の変動により有効需要の創出とか社会資本の緊急整備等に必要が生じた場合に、長期運用を増額してこの必要に応ずる措置をとることが要請されるからでございます。そこで、その長期運用予定額に対する割合を五〇%としておりますのは、従来から認められている公庫の借入限度、これは先ほど申しました、及び政府保証の弾力がいずれも五〇%であるということにならったものであります。したがって、全部国民金融公庫からずうっとございます地方公共団体の起債に至るまでを――確かにいままでどうしても大きいものは、これは一時的に集中したのは公害防止事業団へ集中したこともございますし、それから四十八年、四十九年等はまさに中小企業対策というようなものでありますし、それでいま寺田委員御指摘の新東京国際空港は五十二年、五十三年にそれやれ、それやれでその弾力条項を目いっぱい使ったんじゃないか、それぞれ見ますと、そのときなりのやはり経済、行政におけるところの社会資本の緊急整備とか、有効需要の創出というそれぞれのやっぱりケースがこの数字によってよく読み取れると私は思うのであります。たとえば、ときには水資源公団に一挙に、何と申しますか、補償問題等が話がついて急速度に工事が稼働していくとかいうような場合もありますので、私は全体をひっくるめて考えたといたしますならば五〇%というのが、やはり政府保証の限度額というものとの並びでつくったものですが、全く理屈のないものではないじゃなかろうか一だから、寺田委員のおっしゃるように、個々に一つの対象ごとに弾力条項を一つ一つ違った条項を設けるというのもいかがかと、こういうふうに思います。だから、要はやっぱり五〇%であろうと、とにかくそれが財政民主主義の中で国会に決算の形で報告した場合に、なるほどという理解が得られるような使い方をわれわれとしてはしなければならぬというものであろうと思いますので、もとよりずさんであってはならぬと、しかし、そういう景気の動向に見合って、やはりある種の弾力条項というものは従来の経緯からかんがみ、まあ五〇%というのは妥当ではなかろうかというふうに考えます。
#435
○寺田熊雄君 それは緊急に必要がある場合は補正で国会の同意を得ても構いませんし、できないわけじゃないんだ。それからまた、あなたは政府保証債のことをおっしゃったが、政府保証債の方はますますもってこの弾力条項の使用が少ないんですよ。これはどの程度把握しておられますか。
#436
○国務大臣(竹下登君) 私が申しましたのは、あるいは誤解があるといけませんので、正確にもう一遍申し上げます。
 増額限度の長期運用予定額に対する割合を五〇%としておりますのは、従来から認められております公庫の借入限度及び政府保証の弾力がいずれも五〇%であることにならったものでありますと、こうお答え申し上げたわけでありまして、政府保証債という意味ではございません。
#437
○政府委員(渡辺喜一君) 政府保証の弾力条項は、発動額が五十年度二百億、五十一年度二百億、五十二年度二百八十億、五十三年度三百五十億ということになうております。
#438
○寺田熊雄君 パーセンテージは。
#439
○政府委員(渡辺喜一君) パーセントはちょっと出しておりませんが、五十年度の限度額が二千二百八十九億ですから、それに対して二百億、五十一年度は三千三百五十億五千万の限度に対して二百億、五十二年度は四千二百三十八億五千万に対して二百八十億、五十三年度は六千九百二十九億五千万に対しまして三百五十億円、こういうことになっております。
#440
○寺田熊雄君 これは私の方の計算と少し違うんだけれども、仮に理財局長の計算が正しいとしても、一〇%を超えたものは一つもないでしょう。皆せいぜい五、六%ですね。これはお認めになるでしょう。
#441
○政府委員(渡辺喜一君) 実績はおっしゃるとおりでございます。
#442
○寺田熊雄君 そういうことも考えますと、実際五〇%までの弾力的使用を認めても、実際はこれは二〇%以下になっている。政府保証に至っては一〇%までいってないという、そういう実績があるわけですからね。これは私は少なくも二五%程度に引き下げて、そして必要があればやはり補正でそれをオーバーするものの同意を求めるということにすべきだと思いますよ。これはお考えいただきたいと思うが、大蔵大臣。
#443
○国務大臣(竹下登君) 勉強さしていただきます。
#444
○寺田熊雄君 地域振興整備公団、どうも総裁御苦労さまでございます。
 実は、あなたを責めるわけじゃないのだけれども、私はずっと調査をしてみますと、おたくの方が繰越額と不用額が際立ってパーセンテージが高いわけですよ。ですから、一応お尋ねしたいと思ったわけですが、五十年度以降の不用額、繰越額の額をおっしゃっていただいて、なぜそんなにまで不用願や繰越額が生じたのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
#445
○参考人(吉國一郎君) お答え申し上げます。
 五十年度は繰越額が三百三億円、不用額が百九十八億円、合計五百一億円となっております。五十一年度は繰越額が四百八十二億円、不用額が三百五十億円、合計八百三十二億円でございます。五十二年度は繰越額が二百三十一億円、不用額が六百二十億円、合計八百五十一億円となっております。五十三年度は繰越額百三十三億円、不用額五百九十八億円、合計七百三十一億円でございます。五十四年度は見込みでございますが、繰越額が九十三億円、不用額は、これはもう億に達しません。微細な額でございます。そのような状況を生じました理由でございますが、私どもの公団は、地方都市開発整備、それから工業再配置、産炭地域振興と三部門がございますが、大別いたしますと、土地の造成と融資と二つに分かれております。土地の造成の部門につきましては、まず地方都市開発整備、それから工業再配置の部門におきましては、事業に着手する前に地元の都道府県なり、それから市町村の事業の要請を受けなければならないことになっております。ある年度にその事業の要請がある予定で予算を組んでおりましても、地元のいろんな情勢から、それが翌年度に事業の要請が回ってしまうということがございます。そのために不用額が、あるいは繰越額が立つという事例がございます。過去においても、新宇多津都市整備事業でございますとか、宮崎学園都市、これはもう本当に毎年、毎年と申しますか、当年度には必ずやってもらいたいということで地元からも事実上の要請はございましたけれども、県議会なり、あるいは市の議会で決議をやっていただくという段階までまいりませんで、翌年度に繰り越された事例でございます。また、福岡県の広川、富山県の富山、八尾の中核工業団地についてもそういう事例がございました。
 第二の原因といたしましては、私ども団地をつくりますときに、関連公共施設の整備につきまして、地方公共団体にも若干の御負担を願うことになっておりますが、この問題につきまして、地元の調整に多大の時間を要しまして、それでおくれたという事例がございます。長岡のニュータウンでございますとか、広島県の賀茂学園都市についてはそういう事例がございました。
 第三に、もうすでに要請を受けて計画を採択をいたしまして、事業に着手いたしましたものにつきましても、一部の土地所有者の反対によって用地買収がおくれたという事例がございます。全体のもう九九%が話がついて、ただ一ヵ所残っておりましても事業計画が立たないものでございますので、これが繰り越しなり、不用に立つ例がございます。賀茂学園都市でございますとか、いわきニュータウンではそういう事例がございました。土地の造成事業についてはそういう理由でございますが、融資事業につきましては、先ほど来、大蔵大臣なり、理財局長から答弁がありましたように、石油危機以降に経済情勢が渋滞をいたしまして、企業の設備投資意欲が停滞をいたしたと、したがって、工場の移転だとか新設が手控えられた、おくれたという事例がございます。また、金融情勢が緩和いたしましたので資金の需要が減りましたほかに、私どもはもうすでに貸し付けておりました資金が繰り上げて償還をされたというようなことから、資金が余裕を生じたというようなこともございます。
 ただいま進行中の五十四年度におきましては、地方都市開発整備におきましては、五つの都市の整備事業をやっております。また、中核工業団地といたしましては十二の地区の造成をいたしております。また、工業再配置の移転融資事業、九州、北海道等の産炭地域振興のための団地の造成事業、それから設備資金、運転資金等の融資事業等を鋭意実施してまいっておりまして、先ほど申し上げましたように、本年度は事業規模が八百五十億円程度でございますが、財投資金の繰り越しは九十三億円、不用額はわずか三百万円ぐらいに減少する見込みでございます。
#446
○寺田熊雄君 そうすると、総裁ね、これは大分話が細かくなってきたんだけれども、五十五年度はあなたの方は六百十一億ですね。九十三億が大体五十五年度に繰り越されるというと、五十五年度は約七百億の資金を抱えることになりますね。これは十分消化できる見込みがありますか。
#447
○参考人(吉國一郎君) お答え申し上げます。
 五十五年度は、御指摘ございましたように、財投計画の当初予算額は六百十一億円、それから前年度からの繰り越し、これは見込みでございますが、九十三億円、合計七百四億円になると思いますが、ただいままでのところで申し上げますと、五十五年度においても今年度の経済の好調が維持、拡大されると思いますので、地方公共団体との緊密な連携のもとに用地の取得でございますとか、造成工事の推進でございますとか、公団事業の全般につきまして格段の努力を傾注いたしまして、これが地域の振興と住民の福祉の向上に役立つわけでございますので、全力を挙げて努力してまいりたいと思っております。
#448
○寺田熊雄君 大変いまの総裁のお話細かく地方、地方のことを御説明になりましたので、そういうことでしたら、私もちょっと岡山県のことをお尋ねするんだけれども、吉備高原都市と、それから勝央工業団地の問題についてはどういうふうに処理なさるおつもりか、これをお伺いしたい。
#449
○参考人(吉國一郎君) まず吉備高原都市でございますが、岡山県の要請を受けまして、昭和四十九年度から地域振興整備公団と岡山県と共同調査を行っておりまして、事業の採択の可能性について鋭意検討してまいりました。その結果を踏まえまして、昭和五十四年の二月にさらに岡山県等から調査の要請がございまして、現在地域振興整備公団におきまして、事業の実施に向けての事業計画調査を推進いたしております。昭和五十五年度におきましては、公団といたしましては、ただいままでの調査の結果を踏まえて、岡山県それから関係の加茂川町、賀陽町の議会の議決を経た上の事業の要請をいただきまして、所要の認可をいただいた上で地方都市開発整備事業として実施してまいりたいと考えております。この吉備高原都市の事業と申しますのは、計画面積約四百十五ヘクタールで、保健、福祉、教育、文化等のセンターを形成するという大変有意義な、また高い理想に立った計画でございまして、岡山県の中心にございまして、周辺の自然と農山村の調和のとれた新しいコミュニティーを形成するという計画でございます。
 それから、勝央の中核工業団地でございますが、勝央の中核工業団地はもうすでに造成を終わりまして、一昨年の十月から公募に付しております。ただいままでの実績で申し上げますと、公募面積六十ヘクタールのうち、五割以上が分譲されておりまして、十二の企業がそこに新しく工場を建設すべく活動しておられます。地元の雇用の増大にも大いに役立っているものと私ども考えております。
 以上でございます。
#450
○寺田熊雄君 最後に、これは大蔵大臣でも理財局長でもよろしいですが、いま開発銀行と輸出入銀行、それから住宅公団、こういうもの、それから非常にいままでの消化率の低いところがありますね。巨大な資金がまだ実施に移されていないという、そういうところ、これは今年度十分実行ができるのかどうか、そういう見込みについて説明していただきたいと思いますが。
#451
○委員長(山内一郎君) 吉國参考人には、御多忙中のところ御出席をくださいまして、まことにありがとうございました。御退席して結構でございます。
#452
○政府委員(渡辺喜一君) 今年度は、先ほど申し上げましたように、大体不用が六千億程度、繰り越しは二兆六千億というふうなオーダーになろうということでございます。不用のうち一番大きいのは、大臣からも申し上げましたように、輸銀が非常に大きいわけでございます。輸銀が大体四千億ぐらいこのうち占めておる、六千のうち四千ぐらいを占めておるという状況でございまして、これは国際情勢等いろいろ変動するわけでございまして、結局予定しておりましたプロジェクトがなかなか予定どおりに進行しないというところに原因があるわけでございます。繰り越しにつきましては、二兆六千のうち二兆二千ぐらいは地方でございます。地方の場合は大体大部分が出納整理期間において財投支出されるという構造になっておりますので、これは例年そういう形になるわけでございます。いずれにしましても、地方の分は出納整理期間中にはほぼ全額支出されると、こういうことになるわけでございますから、繰り越しの方も、地方を除きますと四千億強と、こういうふうな程度になろうかと思います。
#453
○寺田熊雄君 局長ね、いまの日本住宅公団と開銀との問題を最後にちょっと説明してもらいたいんです。
#454
○政府委員(渡辺喜一君) 開銀は繰り越しが大体七百億ぐらいでございます。それから不用はございません。いまのところ見込みがございません。
 それから、住宅公団につきましても、繰り越し、不用はいまのところ見込んでおりません。
#455
○寺田熊雄君 これで質問を終わりますが、大蔵大臣、先ほども申し上げましたように、十分資金計画を練り、実行可能なものに資金を回すように、この財投の計画を慎重に練って、繰り越し、不用の出ないように今後十分御注意願いたいと思うんですが、ちょっと御答弁を願いたい、最後に。
#456
○国務大臣(竹下登君) 貴重な意見として受けとめて、今後とも繰り越し、不用等ができるだけ出ないようにきちんとした姿勢で臨みます。
#457
○寺田熊雄君 終わります。
#458
○委員長(山内一郎君) 以上で寺田君の総括質疑は終了しました。
    ―――――――――――――
#459
○委員長(山内一郎君) 次に、岩動道行君の総括質疑を行います。岩動君。
#460
○岩動道行君 大変長時間にわたっての審議で、委員長初め皆様お疲れだと思いますが、いましばらく御辛抱をお願いしたいと思います。
 最初に私は、総理に政治姿勢とその手法について伺ってまいりたいと思いますが、最近世論調査というものが幾つか出てまいってきておりますが、遺憾ながら大平内閣に対する支持が、たびたびこの委員会でも出ておりますように、三割程度の支持率である。しかし、一方において自由民主党の支持は四〇%を超していると、こういう実態であるようでございまするが、この世論の数字をどのように受けとめて今後日本の政治をお進めになるのか、特に今日はきわめて政治経済、財政あるいは国際問題等、難問が山積をいたしております。したがいまして、この政策を対応を誤りなく適切に行ってまいるためのその選択と順序というものがきわめて大事だと思いますので、総理からまずこの点について伺っておきたいと思います。
#461
○国務大臣(大平正芳君) 大きな歴史的な転換期に接しまして、国民の政治に対する欲求に十分こたえられていないことが各紙の世論調査で端的に示されておるものと反省いたしておるわけでございます。
 今日の政治のかじ取り、行政の運営は大変むずかしゅうございまして、なかなか思うに任せないものがございますけれども、内閣といたしましては、全員一致いたしまして、まず政治の重点、力点を綱紀の粛正に置いて内閣自体が姿勢を正すということを実践しながら、内外にわたる問題の処理に全力投球をしてまいりたいと考えております。
#462
○岩動道行君 私は、世界の政治、経済の中で日本はよくやっているなと、こういう評価をもらってもよろしいのではないかというふうに考えております。もちろん、日本経済のむつかしさ、政治のむつかしさ、外交のむつかしさはございまするが、その中においてよくやっているなと、こういうことを私は感じます。
 そういうようなことにつきましては、総理はきわめて謙虚でございまするので、国民が余りよくわからない。それが内閣の支持率を低くしているということもあるのかと思います。そういう意味におきまして、総理はきわめてシャイな方でございまして、自己宣伝をなさらない。しかし、りっぱな商品はやっぱりりっぱな商品として売り出していかなければいけない。そういう意味において、総理には自覚と自信を持って堂々と国民の先頭に立って政治を行っていただきたいし、あるいは国際政治の中において堂々と発言を独自にやっていただきたい、こう思うのでございますが、どうも国民から見ますと、総理の政治の姿勢はよくわかるとしても、その手法においてなかなかわかりにくいものがある。これは詠み人知らずの俳句でありますが、「山奥のまた霞の中や秘花」と。総理はりっぱな桜の花ではありますが、どうもどこまで行ってもよくわからない。「山奥のまた霞の中や桜花」、こういうような詠み人知らずの句もあるようでございまして、この辺についてはひとつ総理さらにもう一度御答弁を願いたいと思います。
#463
○国務大臣(大平正芳君) 内外のむずかしい時局に接して、まずまずよくやっているじゃないかといべ評価をいただいたことは恐縮でございます。これは政府のメリットというよりは、日本の国民がそれだけのしんぼうをし、力量を発揮していただいておることでございますので、その評価は国民の方に与えていただきたいものと思います。政府は、足らないことを憂えながら、全力投球する以外に道はないものと思っております。
 それから私もシャイな男でございますけれども、できるだけ言うべきことは言い、やるべきことはやらなければならぬと考えておりますが、今後とも、足らないところはまた御注意をいただきながら、全力を挙げてまいりたいと思いますので、御鞭撻を願いたいと思います。
#464
○岩動道行君 そこで、まず、いろいろなむつかしい政策を実行に移してまいるためには、どうしても政局の安定が大事であると思います。特に政権政党としての自由民主党がきちんとしなければいけない。そのためには、みずからの自浄作用をさらに推し進めていかなければなりませんし、党の体質を改善していかなければなりません。と同時に、挙党体制も必要であろうかと思いますが、これらの点について総理のお考えを伺っておきたいと思います。
#465
○国務大臣(大平正芳君) 政府・与党一体となりまして政局に当たらなければならぬこと、それでなければ実効が上がらぬことは私もよく承知いたしております。自由民主党は、その名の示すように、民主的な政党でございまして、党内におきましていろいろ見解の相違もございます。対立がありますことも否めないことでございますけれども、一たん決まりました以上は一致して難局に当たるというよき党風を持っておるわけでございますので、この党の全党的な体制ができますように、それの中核になりまして謙虚に私は努力してまいり、党員の協力を得るようにいたしたいと思っております。
#466
○岩動道行君 そこで、新聞等でも報道されておりますが、近い機会に挙党体制の実を内外に示して政治をきちんとやっていく、こういうことで、いわゆる実力者との間において今後の政局の運営についてお話し合いになる、こういうことも伝えられておりますが、この点についてはどのように進んでおりますでしょうか。
#467
○国務大臣(大平正芳君) 近くそういうことを心組んでおりまして、実行に移したいと考えておりまして、先方の都合も伺わなければならぬと思っています。
#468
○岩動道行君 そこで、国民の声は、まず自民党がしっかりしろ、もっときちんとしなければいけない、議員の姿勢もきちんとしなければいけない。と同時に、昨年の衆議院選挙を通じまして行政改革は天の声だということで、第二次大平内閣はこの点に政治生命をかけて出発をされたと思います。そして宇野長官を中心として非常によく、じみではございまするが、着実に行政改革の実を進めていると思いますが、しかし、国民のサイドから見ますと、まだまだどうも足りない、もっとやってほしいことがいっぱいあるじゃないか、こういう声もまたあることは否定できません。
 そこで、改めてこの機会に国民に対して行政改革の意欲と、そしてその計画をどのように進めるのか。それはたとえば特殊法人については手をつけられた、この次は地方支分部局だ、これも今月中には一つのめどをつけられるということであります。それから、やがては中央省庁にも手をつけなければいけないでしょう。あるいは地方自治体のそれぞれの肥満化を減量していく、こういうことも国民としては期待をしておるところであろうと思います。そういう意味におきまして、私は、まず行管長官からこれらの点について、また自治大臣からもこのような点についての政府の指導なり、そういうことについて伺っておきたいと思います。
 なお、続けて申し上げますが、特殊法人につきましてはKDD事件等がございまして、どうしても監察の対象を広げていかなければいけない。そうしなければ国民にこたえることができないということで、政府においては監察対象を広げるということを考えておられるそうですが、これをどのようにお進めになるのか。そしてまた、問題は、監察をいたしましても、それが効果的に作用しなければ意味がございません。いたずらに繁雑な監督権限が二重、三重にかかっていく、これではむしろ行政簡素化にも反するわけであります。
 たとえば昭和三十年代の終わりころであったと思いまするが、行政管理庁が監察をいたしました。それは航空空域についての問題でありました。そして東北地区において商業空路とそれから自衛隊の訓練空域、これが非常に微妙に絡み合っておって、いつ事故が起こるかわからない、したがって速やかにその整備を図りなさい、こういうきわめて重要な勧告をされたのでありまするが、それがそのままになって、ついにそれから十年近くたったところで、雫石において全日空機と自衛隊機との衝突事件によって非常に多数の人命を損傷してしまった、全員死亡という悲惨な事故につながってしまったのであります。
 こういうことを考えますと、私は行政監察というものがきわめて重要であり、そして結果についての勧告が守られるということについては、行管庁から各大臣に言われるだけではなかなか実効が期しがたい。そういう意味におきまして、総理そして官房長官も全内閣の責任者として、これに対してどのように今後対処していかれろのか、この点についても伺っておきたいと思います。
#469
○国務大臣(宇野宗佑君) 五十五年行革は、総理の強い決意のもとに四本の柱を中心として進めてまいりまして、御承知のとおり、その第一次案が昨年の暮れに閣議決定いたした次第でございます。
 私は、行革は天の声だということを申し上げまして、これはもう確かに常在行革で、いかなる内閣といえども常に行革を志さなければならない、そういう決意で臨んでおりますが、率直に申して行革はエンドレスであります。やはり次から次へとあらゆる問題にメスを入れていかなくちゃなりません。しかし、欲張りましてあれもこれもと思いましても一挙にはできませんので、順序を立ててやっておるような次第でございます。
 特殊法人に関しましても、率直に言って、最初はまあいままでの経緯から見て、歴代内閣が苦労したんだから、三つか四つできたらいいだろうという評判でございましたが、一挙に五十日で十八できました。それでも少ないと言われておるのであります。私はそれが行革だと思います。したがいまして、やはり国民の声にこたえまして、特殊法人に関しましても私はまだまだやらねばならぬと考えておりまするし、近く全特殊法人に関しましては、いま仰せの監察をすることにいたしまして、明日の閣議でこれを決定していただきます。したがいまして、行管庁といたしましては、非常に少数精鋭でございますが、もう千五百人しかおりませんが、これでやってやってやわ抜けと、私は大号令を下しておるような次第でございます。
 特に、許可認可に関しましても、じみではございますが、報告を約一割整理をいたしますと、三枚の紙を二枚、あるいは毎月を三月に一回、こういうようなことだけでも二百メーターの高さに達するだけの書類の整理がこの五十五年行革でできました。だから、これもこれだけむだなことを実は役人が判を押したり押されたり、民間に過剰に介入をしておったのではないか、自治体に過剰に介入をしておったのではないか、かように考えますと、やはりこの面におきましても今後も引き続いてやっていかなければならないと考えておる次第でございます。
 特に、監察の結果におきましては、これは雫石の例に見られるがごとく、十年という歳月、もしあのとき民間航路と自衛隊航路が截然として区分けをされておったならばこのような惨事は招かなくてよかったであろうと思いますと、やはりわれわれが懸命の努力をして、毎年、あらゆる角度で行革の一環として監察を行っておる次第でございますから、これはぜひとも各省庁において守っていただきたいと思いますが、その後の経緯におきましては、大体、私は、本当にまじめに特殊法人も、あるいはまた各省庁も、監察の結果を尊重して善後策を講じていただいておるのではないかと考えておりますが、御承知のとおり、監察の結果は三ヵ月後に当該省庁から報告を求めることになっておりまするし、それからさらに、善後策がどういうふうに具体的に進んだかということに関しましても、六ヵ月後にまた再度報告を求める、もしそれが不十分なときには再勧告をするというふうな仕組みになっておりますので、その点に関しましても大いに行管庁を叱咤激励いたしまして、内閣の全責任のもとにそうした問題を解決していきたいと思っております。もちろん第二弾はいろいろとただいま準備をいたしておりますので、常に行革を推し進めていくという態勢で臨みたいと考えております。
#470
○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、行政改革の問題は国、地方を通ずる課題である、国だけでできるものでもありませんし、地方だけでできるものでもありません。今日の統治機構の仕組みから考えまして、両者相まってやらなければ成果が上がらない、こういう観点に立ちまして、政府として五十二年の暮れ、さらに大平内閣になりましてから昨年の暮れ、基本の方針を立てましたので、それに従って地方団体も相ともに、ひとつ国民的な要望もあることであるし、また地方団体も今日肥大化していることは事実でございます。そういうような意味合いから政府の方針にのっとって協力をしてもらいたいということで要請をいたしております。
 私どもの考え方は、やはり行政改革というのは、一番最初にやらなければならぬのは本当は仕事減らしということではなかろうか、つまり事務、事業の見直しである、これが根本である。その事務、事業の見直しを通じて、国なり地方団体なりがやる仕事と民間に任せるべき仕事あるいは外郭団体にやらせる仕事、この区分けをはっきり立てることだ、これが第一。第二番目は、その結果によって今日の機構全体を見直して、できるだけ簡素効率化していくのだ、こういうこと。そしてその結果として、でき得べくんばこれはやはり経費の節減、これに資さなきゃならぬわけでございまするから、そういう三つの考え方に立って自治省としては国の方針にのっとって地方に協力を求めておるような次第でございます。
 また、そういったことで、一つは事務、事業の見直しをやり、人の定員管理等もやらなければなりませんが、ところが、よく私どもにいろいろ言われておるのは、今日地方団体の職員が三百三万人おる、これは多過ぎる、こういうことでございますが、確かに多過ぎると思います。しかしながら、これらについても、これは法令等の基本から見直しませんと、つまり国の御協力も得なければなりません。同時にまた、地方団体みずからも今日の定員管理について厳しい見直しをしてもらわなければなりませんので、そういったことについても地方団体として協力をしてもらいたい、かようなことでいろいろと国の方針の決まるたびに地方にも要請をしておりますが、現実の地方の状況を見ますというと、実際は地方の方が、本当に国がその方針を立てて、また地方もその気になれば国より私はやさしいと思っているのです。それは地方団体の知事と部長の立場あるいは市町村長と市町村内の課長さんとの関係というものと、総理大臣と各省大臣の関係、これは似たようなものだけれども、自治体はそうでない。これはやはり地方は地方団体の首長さんが真剣になってくれれば成果は私はかえって早く上がると思っているのです。現実に最近の都道府県の状況を見ますと、相当先行してやりかけたなと思って非常に私自身としては心強く思っておりますが、こういうような空気をさらに醸成して、本当に国民の要望にこたえられるような地方団体のあり方、これを見出してまいりたい、かように考えております。
#471
○国務大臣(大平正芳君) 経済の成長が停滞いたす中におきまして、行政経費をできるだけ詰めて国民の負担を軽減していかにゃいかぬということは政治が一番考えにゃいかぬことでございまして、行政整理は、先ほど宇野長官も言われたように、不断の課題として取り組まなければいかぬと思っております。五十五年行革というものは一応案ができましたので、これは是が非でも実行しなきゃならぬと考えております。
 しかしながら、第二に、行政整理というのは、いわば総論賛成、各論反対になりやすいものでございまして、行革はこれまでの案はできましたけれども、これを実行に移すのはこれからでございまして、これからが正念場と思っておるわけでございまして、いま後藤田大臣も言われたように、なかなか容易ならぬ、内外にわたって困難な局面に逢着することと思うのでございますが、一たん発心いたした以上やっぱりやり遂げなければなりませんので、国会の御協力を仰がなければならぬと考えておるわけでございます。
 それから行政監察の重要性につきましては、岩動さんが仰せになるとおりでございまして、これは軽視しちゃならぬと思うのでございまして、今度行政監察の及ぶ範囲を拡大しようというもくろみをいたしておるゆえんもそこにあるわけでございますが、せっかく得られました行政監察の成果なるものは、現実にこれは生かしていかなければなりませんので、内閣はその責任をもってそれに対処するようにしなければならぬと決意いたしておる次第でございます。
#472
○岩動道行君 予算修正についてちょっと伺いますが、先般衆議院の予算審議の過程において実質的な予算修正が関係政党の間で合意をなされたのでございますが、特に老齢福祉年金、それと五年年金、これはやがてなくなるわけのものでございましょうから、将来にわたってどれだけの財政負担が検討できるのか、実質修正の額を含めた数字で一応御説明をいただきたいと思います。
#473
○国務大臣(野呂恭一君) 老齢福祉年金、五年年金、修正後の所要額はどうなるか、さらに今後の推移はどうなるかという御質問でございますが、五十五年度予算に対しまして、社会、公明、民社三党から修正要求が出されました。これに対して自由民主党から回答が示されたわけであります。したがいまして、政府といたしましては、この回答に対し誠意をもって検討し適切に対処するという考えを今日述べておるわけでございます。したがいまして、いまの段階において老齢福祉年金等につきましてまだ具体的な修正内容が固まっているわけではないとお答え申し上げなければなりません。しかし、自民党において検討、用意しているところによりますならば、昭和五十五年度の老齢福祉年金の受給者の数は三百二十七万人でございます。したがいまして、八月からもし月額二万二千五百円にいたしますならば、その給付費は八千三百五十二億円と見込まれるわけでございます。また五年年金でございますが、受給者の数は百五万人でございます。その給付費は二千七百二十八億円と見込まれておるわけでございます。
 老齢福祉年金の受給者の今後の推移でございますが、昭和六十年には百八十七万人、したがいまして、その給付費は昭和五十五年に予定されております年金額で推定をいたしてまいりまして約五千億円と見込まれます。また、十五年後の昭和七十年には受給者の数は三十万人弱と相なるわけでございます。その給付劉は約八百億円となりまして、五十五年度に比べますならば十分の一以下になる見込みでございます。
 一方、五年年金の受給者でございますが、昭和六十年度には八十七万人でございまして、給付費は昭和五十五年度に予定されておる年金額で計算いたします、すなわち月額二万二千六百円といたしますならば約二千四百億円が見込まれるわけでございます。十五年後の昭和七十年度には受給者は約四十万人に減ってまいりまして、給付費は約一千百億円となる見込みでございます。
 なお、およそ三十年後には両年金の受給者の数はほぼゼロになる見込みでございます。
#474
○岩動道行君 ついでで恐縮なんですが、政管健保の昨年末での収支の基調がかなり変わったということが伝えられているのですが、そうなりますと、法改正との関係で一体どうなんだろうかという疑問も出てまいりますが、その辺についてどうお考えですか。
#475
○国務大臣(野呂恭一君) 五十四年度の政府管掌健康保険の収支が当初の見込みよりも好転することになりましたのは、当初見込みに比べまして医療給付費の伸びが小さいためでございます。五十四年度の当初見込みは、五十三年決算の終結前に行ったものでございますから、今回の見込みにこうした差が生じたものでございます。今回の見込みにおきましては、五十四年度は約百五十億円の赤字になると見込んでおるわけでございますが、この見込みには五十三年以降の医療費の鈍化傾向が織り込まれております。黒字決算の五十三年度に比べますと、収支は悪化するものと見ておったわけでございます。また、今回の見込みでは、五十五年度も税制改正が行われなければ約六百五十億円の赤字となりまして、この結果、五十五年度末の累積赤字は、およそ二千億円を超えることになると見込んでおるわけでございます。これも五十三年度以降の傾向を織り込んで見込んだものでございます。
 したがって、健保法改正の早期成立を図る必要性には何ら変わりがなく、五十五年度予算におきましても、今回の収支見込みを前提として累積赤字の解消を図るためには、改正の七月実施が必要であると考えておるわけでございます。
#476
○岩動道行君 説明はその程度に承っておきますが、いわば負担を国民がしていくということにもかかわります。したがって、公共料金等の関係からも慎重にその辺の基調の変化というものを読み取って対処をしていただきたい、こう思います。
 次に、経済情勢について伺ってまいりたいと思いますが、最近発表されました五十四年の十月から十二月期のQE、つまり国民所得統計速報、これは実績でございますが、設備投資も輸出もよくありますが、消費とか住宅投資の落ち込みが目立ってきている。今後は電力料金の引き上げ等でデフレ効果も予想されますが、物価の先行きも心配しなければなりませんが、景気の先行きということも非常に問題ではないだろうかと、こういう観点から景気の現状と先行きについて政府の考え方を伺っておきたいと思います。
#477
○国務大臣(正示啓次郎君) 御指摘のように、最近の情勢も私どもの予想よりもむしろ底がたい情勢を出しております。すなわな天候不順等一時的な要因による民間最終消費支出の伸びの鈍化、こういうことがございましたけれども、民間企業設備投資が堅調を持続しております。そこへ持ってきて円安等もございまして海外需要も好調に推移し、十−十二月の間でも実質的な経済成長率一・三%、こういうふうに着実な伸びをしてまいっております。これに対しまして物価動向、これは大変警戒を要する状況にあることは御指摘のとおりでございます。
 そこで、私どもといたしましては、物価の安定を図ることが経済の安定的成長を持続する上で最も緊要な問題と、こういうふうに考えまして、当面、物価の安定を最重点の政策課題として、機動的な政策運営を行っていく方針でございます。すでに岩動委員よく御承知のように、電力料金、ガス料金等の最終的な改定のことも近く行われようとしておりますので、われわれとしては、各省庁または日本銀行もいろいろとこの際こうした重要な物価の動向に対しまして万遺漏なき施策をこれから講じていくべく着々準備を進めておるところでございます。
#478
○岩動道行君 大変むずかしい質問になるかもしれませんが、いろいろな施策を講じましても、たとえば公共事業の後ろ倒しということもある程度政府は考えていると思いますが、そこで、今後の特に景気の転換点は、大体いつごろ、どうなるんだろうかということも大変気になるところでございますが、いかがでございましょうか。
#479
○国務大臣(正示啓次郎君) ただいま御審議中の予算の実行については、大蔵大臣からもたびたびお話がございますように、これを具体的にどうするか、金融政策はもとよりでございますが、これは各省あるいは日本銀行等で具体的にお決めになることでございます。ただ、私どもとしては、物価が非常に重要なので、全般的に締め基調をぜひ堅持していただくべく、これは大体においてコンセンサスのあるところではないかと、こういう考え方を持ってやっておるわけでございます。
 そこで、景気は一体どうなるか。私どもは、いまのところは、五十五年度の上期も比較的景気はいま申し上げたような底がたい情勢を持続するのではないか、そして、一番大きな問題はやはりインフレーション、これはインフレということにな.るとあらゆるものが崩れてまいりますので、これを悪化させないように、すなわち輸入インフレというものを国内のインフレに転化させないように、そこのところをぐっと締めていくことこそがいま申し上げたような経済の堅調さを維持していくためにも非常に大きな前提になっておる、こういうふうに考えて、そういうことがしつかりやれますれば、私は、五十五年度の上期なんかは経済は堅実な足取りで進むものと、こういうふうに考えておるわけであります。
#480
○岩動道行君 上期は景気は大丈夫だと、こういうことだろうと思いますが、そうあってほしいものでございます。また、そうやっていただきたいと思いますが、なかなかむずかしいと思います。
 そこで、次に、アメリカの経済というものは南北戦争以来のインフレだと、異常な経済情勢であると思いますが、それに比べてわが国は大変堅実な運営で来ていると思いますが、アメリカあるい.は西独、その他先進工業国について、どのような経済情勢であるのか、そしてどのような政策がとられているのか、簡潔にひとつ日本との対比においてお話をいただきたいと思います。どなたでも結構です。能力のある方で結構です。
#481
○国務大臣(竹下登君) それじゃ、全般的にサミット参加国の共通した課題というのは、やっぱりこれはインフレに対する懸念であろうと思うのであります。きょう大木委員の質問にもお答えいたしましたが、先ほど来御指摘の鉱工業生産におきましても、日本は経済企画庁長官からお答えがありましたように一・三%、アメリカは〇・三%、ドイツは〇%、フランス、イギリス、イタリアは、一月の分はまだ入っておりません。失業率を見ますと、これはアメリカが六・二%、西ドイツが三・六%、フランスがこれは人数で百三十八万と出ております。イギリスが五・五%、イタリアが入っておりませんで、日本が一・九%、この辺も確かに底がたい景気というものが持続しており、ささやかであっても雇用情勢も改善されつつあるという一つの証左になろうかと思います。
 消費者物価、これもアメリカが一三・九%、ドイツ、これはさすが五・〇%でございます。それからフランスが一二・九%、イギリスが一八・四%、イタリアは二一・四%、日本の場合が一月は六・六%、こういうことになっておるわけであります。そういう点につきましては、これはアメリカにおいていわゆるインフレ緊急対策というようなものをどう打ち出されるか、私も新聞情報等を余り出た情報は入っておりません。ただ、ワシントンからいろいろな電報は入ってまいりますけれども、何だか先週からやるぞやるぞという構えで、会議ばかり続けられておるのか、まだ結論が出ないようでございます。全般の空気といたしましては、各国ともインフレ対策ということに対しては非常に過敏に神経を使っておる。その中で比較的、これとてインフレに対して大変な警戒を払っておられるわけでございますけれども、日本と西ドイツというのがまずまず他国に比べてみた場合は比較して堅調な動きをたどっておると、こういうふうに理解をいたしております。
#482
○岩動道行君 どうもアメリカの経済に引きずられていくんで、アメリカの狂乱的な金利引き上げ、もうそろそろ天井かなと思っているのですが、まだそうでもないような空気、一体、日本はどこまでつき合わなきゃいけないのか。日本のいわゆるファンダメンタルズということからいえばそんなにっき合わなくてもうまくやっているじゃないかと、こういう見方も出てくるのでございますが、日本は公定歩合を引き上げなきゃいけないんでしょうか。日銀総裁お見えになっておりますので、バーゼルにおいでになって会議にも出てこられましたので、その辺を含めて全般の国際金融情勢なり首脳部の考え方、通貨当局の考え方、これをこの機会にお聞かせいただきたいと思います。
#483
○参考人(前川春雄君) ただいま大蔵大臣から話がございましたように、いま先進国はおしなべて物価騰貴、インフレ問題に悩んでおるわけでございます。ドイツは比較的その中では物価の上昇が低いわけでございますけれども、それ以外の先進国いずれも二けたの物価上昇になっております。そういう状態に対応いたしまして金融政策、なかんずく金利の引き上げが行われておるわけでございます。二けたに公定歩合が上がっておりまするのは主としてそういうふうな二けたの物価上昇がございまするために実質金利をマイナスにしないようにという配慮から公定歩合が上げられて、金利が上がっておるわけでございます。いまの世界的なインフレ状況というのは残念ながらまだ収束の見通しというのは立っておりません。今度バーゼルで各国首脳等のいろいろ話を聞いてまいりました。アメリカもいまのような状態に対処いたしましてインフレ対策というものを鋭意考えておるようでございまして、恐らぐ近いうちに発表されると思いますが、これは主として財政面の赤字を圧縮するというような点が一番大きな項目になるようでございます。それ以外にあるいはガソリンの節約であるとか、あるいは消費者信用に対する対応だとか、あるいは準備預金の問題とか若干の対策が加わるようでございまするけれども、その内容については、まだはっきりしたことはわかっておりません。
 金利が世界的にこういうふうに上がってきておりまするのに、これはどこまでそういう状態が続くか。まあ言葉は適当でないと思いまするけれども、金利の引き上げ競争のようなかっこうに現実にはなっておるわけでございます。これも基本的にはいま申し上げましたように、物価の上昇が一段落いたしますればそういう状態にも変化が起きてくると思います。金利がただ余り高いといずれはその反動が来るわけでございまするので、各国ともその点につきましては非常に懸念しております。余りお互いに金利がただ引き上がるというような状態がいいとは思っていないわけでございまするけれども、最近のように、国際経済が非常に全体として、何と申しますか、大きくなり、各国間の資金の移動も自由になってまいりますると、ある国の金利が上がりますると、その近隣の諸国では金利を上げませんと資金の流出が非常に起こる。したがって、その国の為替が安くなる。為替が安くなりますと物価にも悪影響があるということもございまして、金利についてはわりあいにお互いに多少ずつ上がるという傾向を持っております。ただ、一番のねらいはあくまで物価でございまして、このインフレに対して、何とかしてこれを収束しようという努力がそういう点にあらわれておるのだというふうに見ております。
#484
○岩動道行君 大変金利ばかりがいつも前面に出てきておりますが、総合物価対策、もちろんその中には金利の問題も含まれるというふうに理解もし、また企画庁長官もそういうお考えだと思いますが、金利を余り上げると、やはりとがめが国内の産業に響いてくる、中小企業等にも影響する。設備投資にも影響するかもしれません。そこら辺はどうお考えなのか。かと言って、国債の暴落状態から見ると、思い切った公定歩合の引き上げもやらなければいけない。したがって、日銀総裁が留守の問にいろいろ数字まで出て、大変気にしておられるようでございますが、まあ一・五%とか、場合によっては二%ぐらいまで思い切ってやったら天井感も出て落ちつくんじゃないかと、こういうようなことも言われているわけでございまするが、この辺のアメリカの出方もございまするが、日本独自の立場で今後総合物価対策、そしてその中においての金利をどのように位置づけるのか、そして経済の運営に、あるいは先の景気にどのような調整をしながらやっていくのか、この辺の感触をひとつ伺わしていただきたいと思います、まず日銀総裁から。
#485
○参考人(前川春雄君) 総合物価対策につきましては政府でお考えだと理解しております。もちろん財政金融政策のほか、物価の上昇抑制のためのあらゆる施薬をここで集中していただきたいというふうに思います。
 金融政策につきましては、昨年の初め以来、もうすでに一年以上でございまするけれども、私どもの立場といたしまして、物価の上昇を極力抑制する。海外の物価高が国内の要因によって増幅されることを何とかして防ぎたいということで、今日まで金融政策の引き締めをやってきたつもりでございます。その効果が私はそれなりにあったというふうに思っておるわけでございます。
 これから第五次の公定歩合を上げろかどうかという点についての御質問でございました。私どもは、いまの公定歩合につきましても二月に引き上げたばかりでございます。それから、昨年来公定歩合はもうこれで四回引き上げておるわけでございますし、引き締め政策ももうすでに一年以上になっておりまするので、それの累積的な効果というものもかなりの程度において出ておるというふうに思っております。そういう意味で、現在、さらに公定歩合を引き上げるかどうかにつきましては、全く白紙でおるわけでございます。
 こういう金利の引き上げが、一般論といたしまして、債券市況あるいは設備投資にも影響するのではないかという御質問であったというふうに思います。債券市況につきまして、特に国債については一部の銘柄についてやや行き過ぎておるというふうに私どもは判断しております。いわゆる六・一%物というものの価格は明らかに相場が行き過ぎておる、そういうふうな人気に市場心理がなっておるというふうに考えております。しかし、しょせん国債の問題につきましては発行量が非常に多いということが基本的な問題であろうというふうに思います。これにつきましては、財政当局が非常な御努力でその発行量を圧縮しておられるわけでございまするが、私どもの立場から申しましても、どうぞこの努力はさらに続けて少しでも圧縮していただきたいというふうに考えております。
 設備投資についてどうかということでございます。もちろん金融が詰まり、金利が上がりますれば、設備投資にはそれだけの影響が出ることは当然でございます。ただ、現在の設備投資の内容は中期的な上昇傾向にある、循環的に上昇傾向にあるということと、合理化投資、省力投資というものが非常に根強いわけでございまして、企業は減量経営を済ました後、これからの低成長時代に対応して何とか生き残っていこうというための投資が非常に多いようでございまするので、そういう点ではなかなか根強いものがあるのではないかというふうに思います。また、やや技術的ではございまするけれども、企業の手元資金というのはかなり潤沢になってきておりまするので、設備投資をいたしまするのに借入金によって賄わなければならない部分というのはそれほどいま多くはございません。高度成長期のときとは非常に違っておりまするので、そういう点でも、確かに金融が詰まり金利が上がりますれば影響はあるわけでございまするけれども、その程度はそれほど大きなものではないのではないかというふうに判断しております。
#486
○国務大臣(正示啓次郎君) 岩動委員から、総合物価対策について、いまこれを重大な問題として受けとめて万遺漏なきを期すべきであるという御趣旨から、いろいろお話ございました。
 まず国際協調、これはもう非常に大事な点は、前川総裁みずからバーゼルでもいろいろ各国首脳ともお話し合いになったこと、先ほどお話しのとおりであります。近く外務大臣もまたアメリカに行かれるわけで、経済通な外務大臣としてこの機会にいろいろお話し合いをしていただき、岩動委員がくしくも申されたように、金利の国際的な一種の何といいますか、悪循環的な動きを一日も早く食いとめるというふうなこともわれわれとしてぜひ努力をしなきゃならぬことかと考えております。なお、そうした国際的影響をできる限り遮断をするような努力とともに、国内においては各般の総合的な対策を各省庁でいろいろ検討いただいておりますので、御趣旨に沿うて万遺漏なきを期したいと、かように考えております。
#487
○岩動道行君 総合物価対策の柱ですね、金利とか公共事業とか、あるいは物価の監視であるとか流通問題とか、あるいは公共料金もその実施時期の調整であるとか、あるいは消費者の賢明な行動にどのように政府としてはやっていくのか、そういう柱をひとつ。
#488
○国務大臣(正示啓次郎君) これはもうなかなか新味というものが出にくいわけでございますが、われわれとしては新しい事態に対応いたしまして、いまお話しのような財政、金融政策についてはもとよりのことでありますが、これは大蔵省、日本銀行において各省と十分連絡の上、できる限りやはりはっきりした引き締めの基調を出していただきたい。また、日本銀行におかれては、マネーサプライについてはきわめてただいまのところ落ちついた動きでございますが、そういう方面に係る施策ももちろんはっきりとお示しをいただけることと考えております。そうしたインフレムードといいますか、これに対して敢然として立ち向かう姿勢、これを基底にいたしまして、そこへもってきて公共料金の問題がございます。これについては総理も非常にいま重大な関心を持っていただいて、これから最終的に決めるまでには、まあ何とかしてこれを抑制するような場面に来ております。
 ただ、予算関連の公共料金につきましては、予算編成の過程でいろいろ私どもは各省庁――大蔵省とも極力上げ幅を抑制し、いわゆる財政インフレ、これもまた警戒を要するところでありますから、そうしたことにわたらぬようにということでいろいろ苦心をいたしました。最小限度のものを盛り込んでおります。後は国会でこれから御審議をいただくわけで、いろいろ御意見もおありかと思いますが、できましたら、われわれとしては原案のとおりでひとつ御承認をいただきたいと考えておるわけでございますが、それ以外については、ただいま申し上げたような極力抑制という方針を堅持してまいりたいと思っております。
 それから個別物資でございますが、野菜の方はまだまだ下がってないよというふうな見方もございますけれども、しかし、農林水産大臣みずから産地、市場等にも督励をしていただきまして、やや一時の高騰状態からは愁眉を開けるような状態になっておるのではないか、さらにこうした施策を強化していただきまして、ぜひとも野菜の安定的な需給関係というものを一日も早く実現していただくようにお願いをしたいと思っております。その他食料品等についても同じであります。
 なお、通産省では各局の責任局長が物資の需給適応について常に緊密に連絡をとっていただいておるようでございます。最近、やや仮需というんですか、思惑的なものが動きそうだというふうな点については、これはもう非常に通産省の方で目を光らしていただいておりますので、その努力に期待したいと思っています。
 なお、いわゆる同調的な値上げその他独占禁止法の、また公正取引の実現について、確保については公正取引委員会でも十分努力をしていただく。
 こんなようなことをきめ細かく網羅して総合対策を講じたいと考えております。
#489
○岩動道行君 そこで電気料金の値上げあるいは石油の値上がり、こういったようなもので適正な負担は消費者にも、需要者にもという基本的な市場メカニズムに基づいた考え方は総理もとっておられると思いますが、今後ともそのような姿勢でおいでになるのか。さらにまた、ただし便乗値上げはこれは絶対に許すわけにいかないと思うんですが、これらについては具体的にそういうものがあったらどういうふうに対処をするのか、この辺もひとつこの機会に伺わしていただきたい。
#490
○国務大臣(佐々木義武君) 電気、ガス料金に関しましては、かねがねお話ししてございますように、経営の合理化と申しますか、企業努力を前提にいたしまして、物価あるいは生活等に対する重大な影響がある問題ですから、そういう点も考慮しながら、法律の示すとおり原価主義にのっとりまして厳正にただいま査定中でございます。
 また、原油の値上がりに関して国内的にどういうふうに措置するかという問題に関しましては、私どもとしましては、まず何といたしましても需給を調整するということが第一でございまして、そのためには供給を予定どおり、供給計画どおり万難を排して確保いたしまして、そして製品の需給関係には誤りないようにということで努めてまいりました。したがいまして、ただいまの段階では備蓄を放出しなくともますまず需給関係は所期の目的どおりいくのじゃなかろうかというふうに考えますので、事態がそうでありますれば、これは市場の操作に任しておいてもよろしいんじゃなかろうかということで、お話しのように、市場操作に落ちつくところへ落ちつかせて、ただいま見守っておるところでございます。
 ただ、最後にお話しございましたように、便乗値上げはこれは絶対いけませんので、地方の通産局あるいは府県あるいは市町村等にそれぞれ御依頼申し上げ、モニター等を通じまして便乗値上げのないように、ありますれば機敏な手をすぐ打てるようにただいま見守っておるところでございます。(「政府答弁が長いんだよ」と呼ぶ者あり)
#491
○岩動道行君 答弁はひとつ私も簡潔にわかりやすくやっていただきたいと思いますが、原価主義を踏まえてやるということは、私もそうであらなければならぬと思いますが、今後のエネルギーの供給を確保していくという観点からも、たとえば原子力発電に対しては定率法をこの際採用するというくらいの政策もまた配慮されてしかるべきではないかと、かように考えます。また、原価主義を余りにも政治的に切り過ぎちゃって、そのために財政援助するということはこれまた避けなければならないと、かように思いまするが、その辺についての大臣のお考えを伺いたい。
#492
○国務大臣(佐々木義武君) 何ど申しましても脱石油というのが今後のエネルギー政策の根幹になってまいりますし、それを完遂するとなりますと、電力会社の原子力なり石炭なり、あるいは天然ガスなりに膨大な投資をしなければ日本のエネルギー政策というものは完遂できないわけでございますので、そのための配慮というものが一番私は重要だと思いますので、ただいまお示しくださいましたような点は心してただいま査定中でございます。
#493
○岩動道行君 便乗値上げ。
#494
○国務大臣(正示啓次郎君) 便乗値上げというものについては、内閣は総理以下非常に厳しく言っておることは御承知のとおりでありますし、幸いにして今日までのところ、たとえば経営者にしても労働組合の方々にしても、もう一番大事なのは物価問題であるという御認識を持っていただいて、何とか物価の安定を図るようにと強く申し入れをいただいております。そういうときにいつもおっしゃることをここで、これは非常にわれわれのために心強いと思いますのは、みんなでひとつ監視をしていこうじゃないか、そして監視員をもっとふやせ、こういうふうな御激励をいただいております。私ども、さっき通産大臣が申しましたが、モニター等を入れますと、やっぱり一万数千人の方々にお願いをいたしまして市場の末端価格というものを、消費者が入手される末端価格というものについていつも調査をし監視をしておるわけでございます。そして、そういう情報を地方公共団体や中央省庁の出先あるいは中央においてキャッチしておるわけでございます。先ほど申し上げたように、責任の局長さん方で常にその情報を入れまして、需給はどうだと、先ほど通産大臣からお答えしましたように、いざというときは備蓄を放出する、出荷を督励して繰り上げて出す、これは野菜等についても同じでありますが、そういうふうな対策を講ずる上からいっても大変大事な情報であろうと思っております。そういうところへ、いまお示しのような便乗価上げの動きがあるかどうか、これをやっぱり規制していくために金融の引き締めということが非常に大きな私は働きをしておるんだろうと思うのでありますが、とかく金融が緩んでまいりますと、先高感というふうなことから買い占めあるいは賢い急ぎというふうなことになりますので、そういうことにならぬように全体の環境をしっかりと守っていくことが一番大事な点であろうと考えております。
#495
○岩動道行君 私は、具体的に便乗値上げ、たとえば町に行って、国民生活は外食の機会が非常に多くなっているんですよ。そういうときに、町の食堂とかなんとかで非常にぼんぼん上がっているんですね。これが国民の非常に負担感がふえてきている。そういうようなことがありますから、一遍、閣僚皆そば屡とか飯屋に食いに行って、そしてその実感をひとつ感得されたら、あるいはその便乗値上げに対してある程度の効果が上がるかもしれない。束條大将がごみ箱をのぞいたというので大変評判悪かったけれども、いまやそういう時代じゃないですから、ぜひそのような具体的な、庶民的な感覚で便乗値上げというものを――大企業なんかのは、これはかなり監視がきいておりますから上がらないんですよ、そんなに。便乗はそうないと思うけれども、しかし、そういう目につかないところ、しかも国民生活に密着したところが便乗値上げでぼんぼん上がる。それをひとつぜひやっていただきたい。
#496
○国務大臣(正示啓次郎君) 二月から消費者米価を上げまして、その後外食食堂等がどういう状況であるかということを食糧庁と私の方で一緒にいろいろと情報を取っております。
 いままでのところ、ある程度の改定がございましたものについてはその理由を十分調査をさしております。おっしゃるように、便乗的な働きがございますれば、これに対して厳重に申し入れをするようなことは私は絶えずやらなければならぬことかと考えて、私どももできる限り第一線の実情について調査の日を光らしておるわけでございます。
#497
○岩動道行君 物価に関連して、賃金の問題、特に春闘に対する政府の基本的な考え方をこの機会に伺っておきたいと思います。
 いわば八%ということが通称言われて、統一要求にもなっておるようでございまするが、これらに対する政府の基本姿勢をひとつ伺っておきたいと思います。
#498
○国務大臣(藤波孝生君) 賃金問題は、先生御理解をいただいておりますように、労使の自主的な交渉によって決定されるべきものでございまして、政府といたしましてこれに対して介入する気持ちもありませんし、また所見を申し上げることも控えさせていただきたいと思います。
 ただ、賃金交渉に当たりましては、労使が今日のこの広い視野に立って国民経済的な立場で十分に話し合いを行い、経済の実態を十分踏まえた上に立って合理的な解決を図るように心から期待をいたしておるものでございます。
 ただし、先ほど来のお話にもいろいろございますように、今日物価が非常に上昇機運にございます。したがいまして、労使が円満に話し合いを進めてまいりますためには、まず政府としては物価の抑制に全力を挙げて取り組んでいく、そして円満な話し合いが行われる環境をつくっていくことが何より大事なことである、このように考えておるところでございまして、労働大臣として政府全体にそのことも呼びかけまして、政府の総合的な物価対策を強力に展開をしていくようにお願いをいたしておるところでございます。
#499
○岩動道行君 次に、国債の暴落している現状について伺っていきたいのですが、いわゆる六・一国債の相場は、きょうは幾らになりましたか。
#500
○国務大臣(竹下登君) きょうはきのうと一緒でございます。七十五円八十銭でございます。
#501
○岩動道行君 こういう状態で、金融機関は非常に巨額の国債を政府に協力すると申しまするか、持っているわけでございますが、非常にこれで損が出ている。これを一体どのように処理をするのか。従来大蔵省は、経理基準では低価法で経営の健全を図ると、こういう方針で指導してまいりましたがへ昨年の暮れにはこれを原価法も併用してよろしいんだと、こういう指導方針を変更してまいりました。一体これは銀行の健全経営とどのように結びつけられるのか。従来は低価法一本でやってきたと、それを原価法ということになるとかなりの巨額の評価損がここに含みとして残ってくる。これは銀行経営の上で健全であるのかどうか。そういうような点についてまず伺っておきたい。
#502
○政府委員(米里恕君) いまお話がございましたように、去年の暮れに銀行の経理基準の一部を改正いたしまして、上場されている国債、その他の債券の評価方法を低価法から、原価法または低価法のいずれかの選択というように改めまして、五十五年三月期から実施することになっております。
 この理由でございますが、元来商法及び企業会計原町は、原則として原価法、例外的に低価法と、その選択を認めるというやり方になっておりましたのが金融機関につきましては特に低価法一本ということで指導してまいったわけでございます。今回選択制に移りましたのは、原価法、低価法の選択という商法、企業会計原則の一般的な原則に戻ったと、こういう形になります。
 その理由でございますが、御承知のように、国債の市況の変化によりまして非常に巨額の評価損が出ております。金融機関、都市銀行でとりまして、五十四年九月期には約二千億円の評価損、地方銀行で約一千億円の評価損、これに対しまして、都市銀行で申しますと大体同額の千八百億円ぐらいの有価証券の売却益を出しております。株式を売却しまして含み益を吐き出すというやり方でございます。こういったことが続けられますと、いわば売り食いのような形でだんだんに内部留保を吐き出していくというような形になりまして、金融機関の健全経営の晦から見ても一つの問題が起こるというふうに私どもは考えております。
 そこで、この問題をどう取り扱うかということでございますが、株と違いまして、株は今後ともに低価法という考え方をとっておりますが、有価証券の場合には途中で売却をすれば売却損が出ますけれども、最後まで保有している場合には最後に償還差益が出てもとに戻る、取得原価に戻るという関係にございますので、そういったような性格の相違も考えまして、長期保有の有価証券については、むしろ期間損益からいっても原価法の方がいいという面もございますので、いろいろな点を勘案いたしまして、この際、原価法でも低価法でも銀行の有価証券保有のビヘービアに従って選択できる、いわば減価償却の場合の定額法と定率法の選択と同じような考え方で選択制を導入した、こういうわけでございます。
#503
○岩動道行君 まあ原価法をとっても一時しのぎであって、金融機関は二年もたてば国債を放出しなければならない、そのときに非常に大きな損がまた出てくる、こういうことでございまするから根本的な解決にはならない。やはり国債の価格を復元していく、これが私は基本的に大事だと思います。そういう意味において、とりあえずはまず全体の対策も必要でありましょうが、発行条件の改定をどうするのか、あるいは日銀が買いオペを大量にやることがどうなのか、やるべきではないかという考え方もあろうと思います。あるいは当分国債の発行を休んで市場の回復を待つ、その他売却制限の緩和であるとかいろいろあろうと思いまするが、要するに、国債価格の維持、そうして長短金利の市場が日本には成熟していない、長いこと言われている公社債市場の育成というものがかけ声だけでまだまだ足りない、この辺についての基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
#504
○政府委員(渡辺喜一君) 国債市況につきましては、市場の実勢というものがあるわけでございますが、私どもといたしましては、それが心理的要因によって過度に動くというのはやはり好ましくないと、そういう要因はできるだけ除去していきたいと考えておるわけでございます。市況対策として、御案内のように、国債整理基金を活用いたしまして、すでに二回にわたって買い入れを実施したわけでございますが、今後とも市況の動向等を見ながら時において効果的な市況対策というものを実施していきたいと考えております。
 発行条件は、これは言うまでもなく発行する時期における市況の実情あるいは他のもろもろの金利との関連、その他経済政策一般というふうなものを頭に置いてその都度判断をしていくものでございまして、私どもといたしましては、できるだけそのときに一番適した発行条件を機動的にやっていくと、こういう考え方で現在まで来ておるわけでございます。
 場合によっては救済するというようなお話がございましたが、何にせよ相当多量の発行予定額を抱えておるわけでございますから、できるだけ救済というふうなことは避けて、実情に適した機動的な対策で発行を続けていきたい、かように考えておる次第でございます。
#505
○岩動道行君 いずれにしろ、市況をよくするためにはいろいろな基礎条件をつくっていかなければなりませんが、いつでも公社債市場が置き去りになってしまう。これはぜひこれを機会に具体的に市場育成に努めていただきたいと思いますが、大蔵大臣いかがですか。
#506
○国務大臣(竹下登君) それは結構なことだと思います。
#507
○岩動道行君 それから、伺っておきたいのですが、きょうの報道によりますと、円建て債の発行が見送りになったと、スウェーデン等の。これはどういう影響があるのか。それからどの程度のことが予定されているのか。日本の金融市場あるいはその他についてどういう問題があるのか。
#508
○政府委員(加藤隆司君) 証券局も関係しておりますが、マーケットの実勢によりましてそういうふうになったのだろうと思います。
#509
○岩動道行君 時間がないから、その程度の答弁では満足できませんが、容赦しておきましょう。
 そこで、こういうような国債消化が非常にむずかしくなってきて、しかも、国債価格が暴落をしている。そういう中において依然として十四兆円の国債を発行していかなければいけない。そうなりますと、一体財政再建といってもどうなるのかと、非常に不安を感じるのでございますが、財政再建との関係において大蔵大臣から御所見を伺っておきたいと思います。
#510
○国務大臣(竹下登君) 確かに国債の市況がかなり厳しい環境にあることは事実であります。ただ、いろいろやってみますと、現在の状況は金融機関の期末期決算月を迎えたことによる一時的な要因もあって商いは非常に少ない。きのうなんか一件というような調子でございますから、それらも私ももう少し原因を調べてみようというふうに思っておるところであります。
 要は、国債管理政策というものは、これは発行額が多いから問題であるわけでございますので、できるだけこれを減していくということが何よりも大切なことでございます。したがって、今年度当初において一兆円を減額したということもその姿勢の一つのあらわれであるというふうに考えておるところでありますが、今年の消化につきましてはシ団引き受け公募入札も五十四年度当初に比べて二兆円圧縮されましたので、円滑な消化が何とかできるではなかろうかというふうに考えておるところであります。したがって、今後は当然のこととして五十四年度の補正予算においても国債の減額に充てさせていただいたわけでございますが、絶えず、国債管理政策とは適時適切なる発行条件、それも大いに必要ですが、要は減すことという基本的な考え方に立って対応していきたいと、このように考えております。
#511
○岩動道行君 財政再建の問題等については、この程度にいたしておきます。
 次に、外交関係でございますが、園田特使も帰国をされて、すでに院内で待機をしておられるということのようでございますが、園田特使の訪問された国々の総括的な成果といいますか、これについて伺っておきたいと思います。
#512
○国務大臣(大来佐武郎君) 園田特使は院内に着かれまして、この委員会終了を待っておられるようでございます。直接、総理と御一緒によくお話を承ってからいろいろ申し上げた方がいいと存じますが、ごく簡単に申しますと、日本の中東政策の理解を先方に深める。それから、日本に対する経済、技術、特に技術面での期待が非常に大きいということ。単に油をもらうというだけじゃなくて、相互にギブ・アンド・テークで中東とのつき合う余地が非常にある。それから経済以外に政治的な問題を含めまして、この中東、南西アジア諸国等において日本がいろいろ果たすべき役割りがある。それの期待も向こうから見受けられるというようなことで、いろいろ今後の日本の外交に役立っ成果を上げてこられたと評価をいたしておるわけでございます。
#513
○委員長(山内一郎君) 前川参考人には、御多忙中のところを出席をくださいまして、まことにありがとうございました。御退席していただいて結構でございます。
#514
○岩動道行君 園田特使は香港で記者会見もしたようでございまするし、私もまた直接伺ったのですが、今度の特使の使命の中からの結論として、一つは中東の恒久和平についてサミットで日本から一つの具体的な提案をしたらどうかということを言っておられるようですが、昨年の東京サミットでこの問題について日本側がある提案をしようとしてそれが消えてしまったという経過もございますが、この辺についてはどのように具体的なことを外務省は承知しておられるのか伺っておきたい。
#515
○国務大臣(大来佐武郎君) 昨年のサミットにおきまして日本政府としては中東問題を取り上げる、議題に出す考えがあったようでございますが、参加国の一部から反対がございまして日の目を見なかったという事情がございます。今年度のベネチア・サミットにつきましては、まだ議題について打ち合わせ中、まだ打ち合わせが始まりかかっておる段階でございますので、いまの段階でどういうことと申し上げる段階ではございません。
#516
○岩動道行君 中東問題は世界の問題であり、また日本の生存にもかかわる重大な地域の問題でございます。特に日本はパレスチナ問題については欧米諸国よりはむしろ一歩前進した姿勢で進んできておりますが、園田特使もまた、これについては今度のサミットでは何らかの意見を言うべきだということを重ねて私も申し上げておきたいんですが、そこで、PLOの議長が日本に来るような機会があれば、総理あるいは外務大臣は会う用意があるということも伝えられておりまするが、この機会に、そのようにお考えになっているのかどうか伺っておきたいと思います。
#517
○国務大臣(大来佐武郎君) そのとおりでございます。
#518
○岩動道行君 大変簡明なお話で結構です。そういう要領のいい答弁が一番いいんです。
 そこで、省略をしながらやってまいりますが、ひとつ余り触れられていない問題として、海外における日本の移住事業、これは事業団が大変努力をして戦後の成果を上げておりますが、どうも最近ブラジルから国際協力事業団の移住事業についてこれをやめろと、こういう申し入れもあった。これに対応してどのようなことをやっていかれるのか。今後の移住者あるいはいままでの移住者が金融あるいはその他土地の取得等諸般の問題で不安が生じないのか、これに対応する対策はどうしているのか。なおあわせて、海外日系人の二世、三世、四世の時代になってそれぞれその国の国民として活躍をしておりますが、どうも日本語をだんだんに忘れてきている。これはぜひ日本民族の子孫として、その国の国民ではあるけれども、日本語はキープするように特段の配慮が必要であろうと思いまするが、これについて外務大臣の方でどうお考えになってどう対処するのか伺いたい。
#519
○国務大臣(大来佐武郎君) ブラジルの国の政策といたしまして、外国の土地所有の問題の制限等が出てまいりまして、国際協力事業団の子会社が所有している土地所有は認められないというようなことが出てきておりますが、基本的には日本からの移民、その先方の経済発展に役立つ形での日本人の活動は歓迎しておりますので、なるべく先方の需要に合って、要請に合うた形での移民という形が今後必要かと考えております。三世、四世の問題、これは日本語を忘れるという点ございますが、同時に移住国の善良な市民として育っていかなければならない点がございますが、この国際交流基金の方で日本語教育に資金的な援助等を行いまして、できるだけ日本語習得にも便宜を図るように努力いたしておるわけでございます。
#520
○岩動道行君 お疲れのようですから大分省いてまいります。
 エネルギーの問題に触れてまいりますが、総理は閣議決定でも七%節約ということを打ち出されたわけでございますが、総理御自身、まず自宅では大変省エネルギーをいろいろな形において実行されていると、たとえばおふろだとか室温だとか、そういうことも漏れ承っているんですが、具体的にはどういうことをおやりになっていらっしゃるんでしょうか。(笑声)
#521
○国務大臣(大平正芳君) 電気、ガスばかりじゃございませんで、水等につきましても節減に極力努めております。(笑声)
#522
○岩動道行君 総理だけじゃなくて、閣僚それぞれ、それぞれの工夫でおやりになっていると思いますが、各大臣どうですか、われこそはと思う人はひとつこの際……。(笑声)
#523
○国務大臣(竹下登君) 十八度を守っております。
#524
○岩動道行君 問題は、エネルギーは需給見通しについても暫定見通しが出ておりますが、非常にその中身を洗ってまいりますと問題が多いのでございます。実行不可能なような数字が出ている。これは見通しでございまするから政府には責任がないかもしれない。しかし、それで日本のエネルギー政策が果たしてうまく進むかどうかという点については非常に疑問を持つわけでございます。
 そこで、この需給見通しの中で新エネルギーの位置づけ、これについてはいろいろな新エネルギー総合開発機構というようなもので促進をすることにもなっておりますが、それらの財源については電源開発促進税というものを今度は八円五十銭から三十円に上げるということで国会に提案されておりますが、これが野党――中道四党ですか、どこかの政党では反対だということを申し合わせているようですが、こういうことでは日本のエネルギー政策というものは私は進められないと思いますので、ぜひこのことについては政府もがんばっていただきたいと思いますが、石炭の液化等が何か直ちに日本のエネルギー問題を解決するんだと、こういう印象、あるいはそれが幻みたいなものが現実のような感じで受け取られている面がないだろうか。その点についても、この機会に石炭液化の位置づけ、そしてまた新しい石油以外のエネルギーとすれば、やはり技術の確立した、もちろん安全性は大事でありまするが、原子力というものの位置づけをきちんとしなければならないと思いますが、この点についての政府の所見をお伺いいたしたい。
#525
○国務大臣(佐々木義武君) 石炭液化に関しましてはお説のとおりでございます。ただいますぐの問題とは考えておりません。
 原子力の開発の緊急性に関しましても御承知のとおりでございまして、これは一生懸命進めたいと思います。
#526
○岩動道行君 備蓄の問題も大事だと思います。いつ何が起こるかわからないということのために九十日備蓄ということで進めておりますが、しかし、実際には九十日備蓄で九十日間もっかといえば、もたない。その半分も使ってしまえば、もう恐慌状態に入ってしまう。そういうことを考えますと、一月半で恐慌状態に入るかもしれないということは恐るべきことではないか。やはり私は、日本のような条件の国においては、少なくとも百八十日程度のものは目標として考える、とりあえず百二十日を目標にする、それくらいの意気込みで備蓄問題にも取りかかっていただきたい。そしてこれは石油公団あるいはその他の機関も必要でありましょうが、大口消費者、需要者、たとえば電力会社、鉄鋼、そういうところのユーザーの備蓄ということも考えなければいけないと思いますが、これに対して政府は助成を考えていかれるかどうか。
#527
○国務大臣(佐々木義武君) 備蓄の必要性は申すまでもございませんが、現在では大体ヨーロッパ並み、百三十五日ぐらいを目標に進めたいと思っております。したがいまして、民間九十日、政府備蓄はそれに見合う大体三千万キロリッターくらいの備蓄はいたしたいということで進めてございます。
 大口ユーザーが自分でそれぞれ備蓄したら大変いいじゃないかと、大変これは好ましいことだと思います。思いますけれども、石油会社と違いまして、ユーザーが備蓄する場合には他の消費者にこれを回すんじゃなくて自分のための備蓄になりますから、やはりそればかりに頼るわけにはいかぬだろうと思います。
#528
○岩動道行君 いずれにいたしましても、省エネルギーということはきわめて大事でございますので、本当は時間があれば各省庁からそれぞれ伺いたいと思いましたが、それらはすべて省略をいたしまして、特に国鉄、運輸についてだけ伺っておきたいんですが、長距離の貨物輸送、これがトラック輸送と鉄道輸送とでどのような関連にあって、これを鉄道輸送に切りかえるということによってエネルギーの節約と、そしてまた国鉄の再建にも役に立つのかどうか、この辺をこの機会に伺っておきたいと思います。
#529
○政府委員(永井浩君) 営業トラックと鉄道とのエネルギーの消費効率につきまして五十三年の実績を申し上げますと、貨物一トン一キロ輸送する、つまりトンキロ当たりトラックは七百十三キロカロリー、鉄道は百四十二キロカロリーでございまして、その限りにおきましては鉄道が五分の一ということに相なるわけでございます。お尋ねの長距離トラックにつきましては特に統計がございませんが、一般的にトラックも大型でございますと積載効率もよろしいので、平均よりはいいかと思います。また、鉄道は端末輸送にトラックを使います。そういうたことで、五倍ほどにはなりませんが、一般から申しますと鉄道の方がエネルギー消費効率は高い。こういうことで、エネルギー消費効率だけから見ますと、確かに鉄道に輸送を任せるということの方がいいわけでございます。ただ、貨物輸送につきましては、そのほかに利便性とか速度とか、いろいろな問題がございますので、それぞれの交通機関に適した、特性に応じた貨物輸送に誘導してまいりたいと、このように考えております。
#530
○岩動道行君 先ほど原子力についての重要性を認識していただいたんですが、そのためにも核燃料産業というものを確立していかなければならないと思いますが、この点についてはいかがでございますか。
#531
○国務大臣(佐々木義武君) お話しのように、一番いま焦眉の急としてこれから進めなければならぬ問題でございまして、ただいま再処理工場の去年の法律改正に伴いまして、民間でこれからやろうということで新会社をようやく設立したばかりでございまして、これを中心にいたしまして再処理を進めてまいりたいと考えております。
#532
○岩動道行君 私の申し上げるのは、そのウランの濃縮と、そしてそれの成形加工、これが一つの産業として育てていく必要がないかということを申し上げました。
#533
○国務大臣(佐々木義武君) 成形加工部門は、御承知のように、初めから民間企業にゆだねておりましたが、これの発達も当然原子力発電が進むにつれまして重要になってまいりますので、今後はさらに一層発展するように心がけてまいりたいと思います。
#534
○岩動道行君 これで終わりますが、最後に農林大臣に伺いますが、畜産物価格の問題が近く解決をしなければなりませんが、これについてのお考えをこの機会に伺っておきたいと思います。
#535
○国務大臣(武藤嘉文君) 牛肉、豚肉につきましては畜安法、また加工原料乳については加工原料乳生産者補給金等暫定措置法というのがございまして、そこで生産条件、それから経済的な事情、その他需給関係、また再生産意欲、こういうものを見て決めろと書いてあります。私ども、その意味におきまして、それを十分心にしながら畜産振興審議会の意見も承りまして適正に決めていきたいと考えております。
#536
○岩動道行君 終わります。長い間御苦労さまでした。
#537
○委員長(山内一郎君) 以上で岩動君の総括質疑は終了いたしました。
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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