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1979/03/14 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第8号
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1979/03/14 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第8号

#1
第091回国会 予算委員会 第8号
昭和五十五年三月十四日(金曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     秦野  章君     北  修二君
     寺田 熊雄君     吉田 正雄君
     小笠原貞子君     神谷信之助君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山内 一郎君
    理 事
                亀長 友義君
                下条進一郎君
                桧垣徳太郎君
                安田 隆明君
                栗原 俊夫君
                山崎  昇君
                原田  立君
                沓脱タケ子君
                栗林 卓司君
    委 員
                浅野  拡君
                岩動 道行君
                小澤 太郎君
                金丸 三郎君
                上條 勝久君
                北  修二君
                熊谷  弘君
                鈴木 正一君
                玉置 和郎君
                成相 善十君
                林  ゆう君
                真鍋 賢二君
                町村 金五君
                宮田  輝君
                八木 一郎君
                山本 富雄君
                穐山  篤君
                大木 正吾君
                大森  昭君
                勝又 武一君
                坂倉 藤吾君
                松前 達郎君
                安恒 良一君
                吉田 正雄君
                中尾 辰義君
                馬場  富君
                渡部 通子君
                小笠原貞子君
                下田 京子君
                井上  計君
                秦   豊君
                下村  泰君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       法 務 大 臣  倉石 忠雄君
       外 務 大 臣  大来佐武郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  谷垣 專一君
       厚 生 大 臣  野呂 恭一君
       農林水産大臣   武藤 嘉文君
       通商産業大臣   佐々木義武君
       運 輸 大 臣  地崎宇三郎君
       郵 政 大 臣  大西 正男君
       労 働 大 臣  藤波 孝生君
       建 設 大 臣  渡辺 栄一君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 伊東 正義君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       宇野 宗佑君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  細田 吉藏君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       正示啓次郎君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       長田 裕二君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  土屋 義彦君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  園田 清充君
   政府委員
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       内閣法制局第一
       部長       味村  治君
       人事院事務総局
       任用局長     斧 誠之助君
       総理府人事局長  亀谷 禮次君
       総理府統計局長  島村 史郎君
       青少年対策本部
       次長       松浦泰次郎君
       公正取引委員会
       委員長      橋口  收君
       公正取引委員会
       事務局取引部長  劔持 浩裕君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  妹尾  明君
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       行政管理庁長官
       官房審議官    中  庄二君
       防衛庁参事官   佐々 淳行君
       防衛庁参事官   番匠 敦彦君
       防衛庁長官官房
       長        塩田  章君
       防衛庁長官官房
       防衛審議官    友藤 一隆君
       防衛庁防衛局長  原   徹君
       防衛庁衛生局長  野津  聖君
       経済企画庁調整
       局長       井川  博君
       経済企画庁国民
       生活局長     小金 芳弘君
       経済企画庁物価
       局審議官     坂井 清志君
       経済企画庁総合
       計画局長     白井 和徳君
       経済企画庁調査
       局長       田中誠一郎君
       科学技術庁計画
       局長       園山 重道君
       科学技術庁原子
       力局長      石渡 鷹雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    牧村 信之君
       環境庁自然保護
       局長       藤森 昭一君
       国土庁長官官房
       審議官      柴田 啓次君
       国土庁計画・調
       整局長      福島 量一君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       外務大臣官房長  柳谷 謙介君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省経済局長  手島れい志君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       大蔵省主計局長  田中  敬君
       大蔵省関税局長  米山 武政君
       大蔵省理財局長  渡辺 喜一君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆司君
       文部省初等中等
       教育局長     諸澤 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省体育局長  柳川 覺治君
       文部省管理局長  三角 哲生君
       厚生大臣官房長  大和田 潔君
       厚生大臣官房審
       議官       竹中 浩治君
       厚生省環境衛生
       局長       榊  孝悌君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       厚生省薬務局長  山崎  圭君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       厚生省児童家庭
       局長       竹内 嘉巳君
       厚生省保険局長  石野 清治君
       厚生省年金局長  木暮 保成君
       社会保険庁年金
       保険部長     持永 和見君
       農林水産大臣官
       房長       渡邊 五郎君
       農林水産大臣官
       房予算課長    田中 宏尚君
       農林水産省畜産
       局長       犬伏 孝治君
       水産庁長官    今村 宣夫君
       水産庁次長    米澤 邦男君
       通商産業大臣官
       房審議官     神谷 和男君
       通商産業大臣官
       房審議官     尾島  巖君
       通商産業省通商
       政策局長     藤原 一郎君
       通商産業省貿易
       局長       花岡 宗助君
       通商産業省産業
       政策局長     宮本 四郎君
       通商産業省立地
       公害局長     島田 春樹君
       通商産業省基礎
       産業局長     大永 勇作君
       通商産業省機械
       情報産業局長   栗原 昭平君
       通商産業省生活
       産業局長     児玉 清隆君
       工業技術院長   石坂 誠一君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        児玉 勝臣君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    高瀬 郁彌君
       中小企業庁長官  左近友三郎君
       運輸大臣官房長  杉浦 喬也君
       運輸大臣官房総
       務審議官     永井  浩君
       運輸大臣官房観
       光部長      上田  浩君
       運輸省港湾局長  鮫島 泰佑君
       運輸省鉄道監督
       局長       山地  進君
       運輸省自動車局
       長        飯島  篤君
       労働大臣官房長  谷口 隆志君
       労働省労働基準
       局長       吉本  実君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 久子君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
       建設省計画局長  宮繁  護君
       建設省河川局長  稲田  裕君
       建設省道路局長  山根  孟君
       建設省住宅局長  関口  洋君
       自治省行政局公
       務員部長     宮尾  盤君
       自治省財政局長  土屋 佳照君
       消防庁長官    近藤 隆之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 これより勝又武一君の総括質疑を行います。勝又君。
#3
○勝又武一君 文部大臣にお聞きをいたしますが、昨年の採択で、文部省の検定を通っておりました教科書が採択ではゼロだったというので有名になりまして、毎日新聞、朝日ジャーナル、聖教新聞、エコノミスト、芸術新潮、TBSテレビ、その他幾つかの地方紙でも大きく報道されました図画の教科書があります。その理由はなぜだったでしょう。
#4
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 どの教科書というのですか、実際の事実でございますので、事務当局の方から答えさしていただきたいと思います。
#5
○政府委員(諸澤正道君) お答えいたします。
 御質問のありましたのは、現代美術社という美術関係の出版社から初めて申請のありました小学校の図画工作の教科書でないかと思います。
 これは、現在教科書は検定制度でございますから、すでに各教科とも何種類かの教科書が出ておるわけでございまして、これまでの経緯におきましても、それらの既存の教科書にまじって新たに教科書を発行するという場合には、どうしても最初はその採択部数がきわめて少ないというのが実態でございます。そこでいまの教科書も、結果的には国立、私立の学校、それから公立の学校についてもごく限られた地区ということで、全国的に見て一万部ちょっとの採択部数であったというふうに聞いておるわけでございます。
 以上が実態でございます。
#6
○勝又武一君 ただいま挙げました各紙は、類型を脱皮した教科書だ、つくり手の哲学がある教科書、著者が子供に心を込めて語りかけている本だ、黒いうわさの教科書商戦に営業費をかけないという理想論で挑戦した本、内容より札束の競争で採択ゼロ事件、どうして採択されなかったのかこの内容を見ていえば全く理解に苦しむ等々の表現でその実情について指摘をしておりますが、文部大臣の見解はいかがですか。
#7
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 先生も御存じだと思いますが、教科書の採択権は、公立学校におきましては地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条の規定によって所管の教育委員会に属しておるわけであります。国立及び私立の学校では校長に属しておると、こういうことになっておることは御存じのとおりだと思います。公立の義務教育の諸学校における教科書の採択方法は、これまた義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律によりまして、市または郡を最小単位とした採択地区、これを設けまして、同一地区内では種目ごとに同一の教科書を採択する共同採択方式がとられておる、こういうことでございます。
 採択に当たりましては、都道府県教育委員会が教科用図書選定審議会の意見に基づきまして、市町村教育委員会に対し採択に関する事務について指導、助言を行うと、こういうことになっておりますし、しておるわけでございますので、また実際のやり方としては、都道府県の教育委員会が教科書の展示会を毎年七月上旬に全国的に――全国で千カ所を超える場所で開催をして、採択関係者がそこで調査研究を行っているというようなことを通じまして教科書の採択をいたしておるわけでございますので、御指摘になりましたような案件が具体的な事実はどういうふうになっておるかということにつきましては、詳細に私存じませんが、現在の採択のやり方から見て正しく行われておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#8
○勝又武一君 それでは、採択の結果はどうだったでしょうか。特に小学校の図工についての採択結果はどうだったでしょうか。
#9
○国務大臣(谷垣專一君) 具体的な事実に関しまして、局長の方から答弁をさしていただきたいと思います。
#10
○政府委員(諸澤正道君) お答えいたします。
 小学校の図画工作を出しております発行会社は五社ございまして、それぞれの教科書によって、相当部数を出しておるところと、いま申しましたように、御質問の現代美術社のように一万部程度というのと、採択部数には相当の開きがございます。
#11
○勝又武一君 この図画工作の一千二百万部のうちで、第一位の会社が約八百五十万部、約七〇%。もう一つの方は約一万冊で〇・一%です。この両方を比較しますと、定価は同じ百二十八円。〇・一%の方が厚表紙でミシンつづり、内容もよい。七〇%の方は薄い表紙で、針金二カ所とじであります。なぜこうなるのでしょうか。――ちょっと委員長お待ちください。総理に……(資料を手渡す)
#12
○政府委員(諸澤正道君) 現在、小中学校の教科書は、いわゆる無償制度によって全額国が支払うわけでございますが、その定価決定の仕組みは、それぞれの種目ごとに最高価格というものを国が決めまして、その価格の範囲内で各発行者が自分のところの定価を認可申請してくるわけでございますが、現在のところ、全部の教科書がその最高価格まで来ておるというのが実情でございます。したがいまして、発行部数が非常に多くても少なくてもその価格は同じということで、先生御指摘のような議論もございますことは承知いたしております。しかしながら、この問題は無償制度がいわゆる十数年前に発足するときにもありました議論でございまして、それならば、発行部数に応じて製造原価が合理化されるということを前提にすれば、価格に差をつけてもよいではないかという議論がございました。しかし、ございましたけれども、ある意味ではやはり教科書といえども、これはそれぞれの内容で勝負をする民間企業による商品でございますから、そこで、部数が多くなれば定価も安くするということではやはり企業の努力を喚起するに支障を来すではないかという議論もございまして現在のような価格制度になっておると、こういうことでございます。
#13
○勝又武一君 正確に言いますと、この厚い方は採択ゼロではありませんでした。公立学校においても父島と母島で採用されました。なぜでしょうか、文部大臣。
#14
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 先ほど私が申し上げましたように、採択のいたします決定は、申し上げましたような順序、手続を経まして、それぞれの教育委員会あるいは国立とか私立のあるとこではそこの校長が決めていくという形になっております。そういうことの結果いまのようになったものではないかというふうに考えております。
#15
○勝又武一君 島にはほかの業者が売りに行かないから、展示会だけだから、内容がいいからじゃないんですか。
#16
○国務大臣(谷垣專一君) いろいろなことが、それぞれの業者によりましての勧誘その他があったかもしれませんが、結果としてはそういうふうになっておるわけでございます。
#17
○勝又武一君 慶応とか暁星とかの私学、そして私の地元の静岡県内にあります宮城まり子さんのねむの木学園、こういうところでこの厚い方、これを採用しております。本屋でもこの教科書がいま大変よく売れている。こういうことでありますが、これはやっぱり内容がいいからじゃないんでしょうか。
#18
○国務大臣(谷垣專一君) 先ほど申し上げましたとおりに、内容のよしあし、それを採択するかどうかということはそれぞれの法律で決まっております方々がお決めをなさるわけでございまして、私たちが関与するわけではございません。
#19
○勝又武一君 これは社団法人教科書協会発行の「教科書発行のしおり」であります。この二十三ページに「教科書の体様について」とありまして、教科書の色、ページ、製本、口絵等々細かい点にまでわたって規定をしております。これらのことは文部省の検定基準には一切決めてありません。定価と紙の質と斤量だけしか決めていないのに、できる本は全部同じになるのはなぜでしょうか。業者が談合しているからではないかと思うんです。
 そこで、公取にお伺いをいたしますが、教科書業者が集まって上限を決める談合を行っている。これは独禁法違反ではないでしょうか。調査をなさいますか。
#20
○政府委員(橋口收君) いまお話がございましたように、教科書協会がその会員の出版する教科書につきまして、そのページ数、装丁等規格について統一的な意思を決定いたしております場合には、事業者団体が一定の取引分野における競争を実質的に制限するという可能性がございますので、独禁法上問題があるというふうに考えております。
 ただ、いまお話がございましたように、教科書につきましては、ことに義務教育につきましては国が一括して買い上げるというシステムでございますので、国がどういう基準をお示しになるか、それとの相対関係において決まることでございまして、私どもの希望といたしましては、国の方でお決めになります基準が、業者が自主的に決めるようなことのないように、詳細にわたることが望ましいというふうに考えております。
#21
○勝又武一君 いまの点は、先ほども言いましたように、文部省の検定基準は定価と紙の質と斤量しか決めていない、こういうことがありますので念のために申し上げておきます。
 それから、大蔵大臣にお伺いいたしますが、このように上限を決めてしまう、細かいことまで規制をする、値段は一万部でも八百五十万部でも同じ百二十八円、原価計算上の採算点は二十万部だ、こういうふうに言われているわけです。このやり方でいきますと、どうしても会社の利潤追求が優先をしやすい。いま総理にお示しをしましたように、この薄い方と厚い方と、こういうことが、しかも国の税金で子供たちには無償と言いながら四百万というお金が使われている。この点、大臣いかがお考えになりますか。
#22
○国務大臣(竹下登君) いささか専門的な御質問でございますので、どうもお答えするだけの知識がございませんので、財政当局からお答えをいたさせます。
#23
○勝又武一君 全然専門的じゃありませんよ。――あなたなら結構です。
 私が資料要求をいたしました採択結果につきましては、文部省ではお示しくださいませんでした。私が要請した参考人につきましても賛成が得られませんでした。理由は、競争を激化するからということでしたが、いまや教科書の採択結果を見ますと寡占化、独占化が進んでいます。いずれの教科書におきましても、一千二百万部のうちの八百万部とか、一千万部とかを一つの会社が独占しているのが実情であります。これは先日の朝日新聞等多くの新聞や雑誌がすでに明らかにしているところであります。百歩譲って、採択途中は秘密にしていても、採択後はその状況、結果、調査員等も公表してよいのではないでしょうか。教科書会社は全部知っている、会社の方はオープンだ、国民や国会にはブラインドだ。公表したらいかがでしょうか、文部大臣。
#24
○政府委員(諸澤正道君) 先ほど大臣からお答えいたしましたように、現在の小中学校の教科書の採択の仕組みは、郡または市を一つの単位として同一種類の教科書を採択する、こういうことになっておりますが、その具体的手続は、採択地区内に現場の先生等にお願いをいたしまして調査員というものを何人か委嘱をしております。そして、その調査員が対象となる何種類かの教科書を検討してこれに順位をつけ、あるいは種類をしぼって教育委員会に報告をし、教育委員会はそれをもとにして特定の教科書の採択を決めるという仕組みでございますから、そこで先生いまおっしゃったように、その調査員はどういう方にお願いをしているのか、調査員の氏名を公表したらいいではないか、あるいはその調査の過程でどの教科書とどの教科書が対象として上がってきたというような調査の経過を発表すればよいではないかと、こういう御質問のように思います。
 これは確かにそういう意見もあるわけでございますが、たとえばその調査員をあらかじめ発表するということにいたしますと、そのことによってあらかじめ調査員に対する働きかけが非常に強くなる、だからこれは発表しない方がいいのだ、こういう意見も一方にございます。というようなことで、私どもは、調査員の氏名をあらかじめ公表するかどうかとか、あるいは採択の経過を後に発表するかどうかということは、すべてそれぞれの採択権者である教育委員会にお任せをして、教育委員会の判断によってそれはどうするか決めていただく、こういうことにいたしているわけでございます。
#25
○勝又武一君 この出版労連の八〇年の「教科書レポート」、この八ページに、現場の教師が希望するものがとれないという埼玉県の実情が詳しく出ております。税金でつくり、国民が負担をする、そして子供が期待をしている、現場の教師が望んでいる教科書がなぜそのまま採択されないんでしょうか。
#26
○政府委員(諸澤正道君) 先生の御趣旨を極端に推し進めますならば、一つの学校で、ある組の国語の教科書はA社、ある組の教科書はB社ということにもなるだろうと思うわけでございますが、ところで、いまのように市町村あるいは教育委員会単位で同じ教科書をとるようにしておるというその理由でございますが、一つはやはり教師の教育活動ということを考えました場合に、同じ地区の先生方が集まっていろいろ教材の取り扱い等を研究をなさる、その場合に使う教科書がみんなまちまちでは研究上支障がないかというような問題もございますし、また子供の側から見ましても、転校その他考えますと、ある地域内の教科書は同じ方が都合がよろしいという問題もございますし、さらに教科書は、いわば購入費を国費で賄うわけでありますから、その製造供給の過程でできる限り合理化するという必要も一面にあるわけでございます。しかも、教科書は、年度初めまでにどんな離島僻地でも必ず供給しなきゃならぬ、こういうような実情を考えますと、全く採択がばらばらということでは、これはまた非常に不合理、不経済な結果になります。
 そういうことを考えていまのような採択にしておるわけですけれども、その過程で、それならば現場の先生方の御意見を一切受け付けないかといいますと、決してそうではないわけでございまして、たとえば教科書センターというものが全国に千数カ所ぐらいあって、そこに見本本を展示するわけでありますが、そこへ見にいった先生方が学校へ帰って、学校としては国語の教科書はこの教科書がいいと思うというふうに意見をまとめて教育委員会に報告をする、あるいはそれぞれの地区にそれぞれの教科の研究団体がございますから、その研究団体の研究結果として、自分の地区ではこの教科書がいいと思うというような意見を教育委員会に報告する。したがって、教育委員会は自分だけの判断ではなしに、そうした現場の意見を吸い上げて決定をするという過程を踏んでおるわけでございますから、私はいまの諸般の情勢を考えますと、やはりいま申し上げたような方法がまず妥当ではなかろうかと、かように思うわけでございます。
#27
○勝又武一君 公取にお伺いいたしますが、自由採択時代の三十一年の告示第五号以来、何をされていらっしゃったか。
 それから、広域採択以後不公正が解消されたと見ていらっしゃるのか。あるいは同じようなことがまだあるのか、調査をされているのか、いかがでしょうか。
#28
○政府委員(橋口收君) 先生がおっしゃいましたのは昭和三十一年の教科書業における特定の不公正な取引方法に関する特殊指定のことであろうかと思います。この特殊指定によりまして、教科書の採択に関与する者に対しまして教科書業者が金銭の供与、酒食の提供等をいたしました場合には不公正な取引方法に該当するということを明確に規定をいたしておるわけでございまして、この規定の運用に関連をいたしまして昭和三十六年に兵庫県地区において発生いたしました事件につきましては、すでに勧告をし、また審判が確定をいたしておるわけでございます。その後も関心を持っておるわけでございますが、現在までのところ有効な情報に接していないわけでございまして、教科書以外の教材につきましては、これは価格についての入札、談合等がございまして、これは宮城県地区でございますが、これにつきましては昨年の十二月に勧告した事例がございますけれども、三十一年指定の特殊指定に関連しての事件というものは最近はございません。
#29
○勝又武一君 本日は時間も限られておりますので、いまの点等、改めて文教委員会で今後ほかの問題も含めてお聞きをしたいと思います。
 それでは警察庁にお伺いいたしますが、昭和三十六年の大阪における教科書汚職の実態はどういうものだったでしょうか。
#30
○政府委員(中平和水君) お尋ねの事件は、大阪府下及び兵庫、奈良、和歌山の各県下の公立中学校の教員が教科書の選定、採択に関しまして教科書関係の出版業者から金品を収賄した事件でございます。
 本件につきましては、大阪府警が昭和三十六年九月十一日に検挙に着手いたしまして、収賄の被疑者五十五名、贈賄の被疑者十九名、これを検察庁の方に送致いたしまして、同年の十一月十四日に捜査を終結している次第でございます。
#31
○勝又武一君 何か一人五千円程度の商品券だったと。いまとずいぶん違うという感じがいまさらのようにするわけでありますが、そういうことがあって十五、六年たっているわけでしょうか、二十年、十九年ぐらいになりますか、最近の朝日新聞の「のびのび」や「教科書レポート」によりますと、採択のためにはあの手この手が使われた、人殺し以外は何でもやった、こういうように書いてあるわけです。これを読みますと、まさにいまお聞きした大阪汚職事件をはるかに上回る状況があると思われますけれども、警察庁なり、検察庁なり、あるいは公取等は現状について調査をなさる御意思がおありでしょうか。
#32
○政府委員(中平和水君) 御指摘になりました事実につきましては、私どもは具体的な犯罪容疑事実としては現在把握していない次第でございます。ただいまの御議論を踏まえまして、事柄が教育に関することでもございますので、慎重かつ十分な関心を持って対処してまいりたい、このように考えております。
#33
○政府委員(橋口收君) 教科書の販売に関しまして金品の提供、酒食の供与等の事実がございましたならば、不公正な取引方法に該当するということで、事件として立件をして調査をいたしたいと思います。
#34
○勝又武一君 再度、大蔵大臣にお伺いいたしますが、教科書の代金というのは国の支出、国民の税金、四百億ですね。このうち実は、いろいろ言われておるんですけれども、実際の教科書の原価を引きますと、約百億ぐらいのものが、あるいは百数十億のものが、営業費なり販売なり、過当な販売競争に使われているというように識者から指摘をされているわけです。そうしますと、四百億というのはやっぱり国民の出すものでありますから、大蔵大臣が重要な関心を示されていると考えますけれど、どんな御感想をお持ちでしょうか。
#35
○国務大臣(竹下登君) そうした意見を、私も文教委員会におりましたので、議論されたことは記憶いたしておりますが、現実詳細な事情を承知いたしておりませんので、貴重な意見として私としては受けとめさしていただく、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
#36
○勝又武一君 大平総理、私は、たしか七、八年前ですが、まだ議員ではありませんでした。神田一ツ橋のある全国会議に出席をいたしまして、お昼休みに神保町の本屋に寄りました。ちょうど大平さんが入っていらっしゃいました。約四十分以上、私の横でずっと本を読んでいらっしゃる。たしか外務大臣でした。現役の外務大臣がきわめて多忙な中で四十分以上その本屋で本をじっくり読んでいらっしゃる姿に、私は、私自身が本屋を出ていけませんでした。その全国会議に遅刻をして行きました。そして、大平さんが出られた後、私は一緒にその本屋を出ました。大変深い感銘を受けました。そういう意味で、ときどき新聞紙上で大平総理が本屋に寄られて買う本の名前が出ていますと、いまでもその本は買うことに心がけております。(笑声)
 私は、そういう意味でやはりこの営業費、販売競争分の費用をゼロにして、この厚い方ですが、いま大平総理に見ていただいたこの厚い方は原価は四十円ぐらいでできる。そして、それにそういう販売競争分なり営業費なり、言われているところの多くのそういう費用の分を一切抜いて営業費をゼロにして、そしてこういう厚い本をつくった。製作者の方は、読み、書き、そろばんの教科書ではつくれない、子供たちの心をつくるのがこの図画、美術の教科書だ、こう言っていらっしゃるわけです。こういう点について、全国の子供たちの立場に立ちまして、大平総理がこの点どういうようにお考えになりますか、御感想をお聞かせください。
#37
○国務大臣(大平正芳君) 教科書をつくるということは大変神聖なお仕事だと思いますけれども、経済的な行為には間違いございません。したがって、経済の原則がその作製並びに販売に働くことと思います。そして、この原則は厳しく教科書の製造、販売にまんべんに働いておると思うんでございます。特定の発行会社が非常に犠牲的な精神を持ちまして、これを低廉かつ品質の優良なものをつくろうというお気持ちに対しましては非常に敬意を表しますが、犠牲的な精神ばかりでは世の中は通りませんので、そういう犠牲をまたどこかでカバーしないと、そういう会社である以上、会社としては成り立たないんじゃないかと思うのでございまして、私はそういう精神は尊いという意味で評価いたしますが、あらゆる関係業者が公正に仕事をされて国家社会の需要にこたえていただくということが望ましいと思うのでございます。
#38
○勝又武一君 これは総理に重ねてお伺いをいたします。
 教育という問題は専門的とかどうとかということでは私はないと考えております。ですから、いま総理がおっしゃったような会社の営業という問題ではない。つまり、文部省もこの教科書の営業ということは基本的に認めておりません。ですから、展示会制度があるわけです。ところが、展示会制度があるにもかかわらず、現実は多くの営業マンが大変な販売過当競争をやっている。つまり、採択制度に一番の問題があるわけです。ですから、この採択制度を抜本的に検討するということは、大平総理、どうしても必要ではないでしょうか。そういういま時期にあるのではないでしょうか。
#39
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどからのやりとりを拝聴しておりまして感じますことは、教科書の採択という問題は原則として教育委員会のお仕事になっておる、国立と私立につきましては校長になっているという、そういう制度になっているということでございまして、その制度が適切かどうかということはわれわれの問題になると思うのでございます。それにつきましては、文部当局を中心といたしまして、御指摘されました弊害というようなものがもしありとすれば、この制度の改善の問題として検討すべきことではないかと思うのでございまして、現に採択しておる事情につきましていろいろお話を伺いましたけれども、要はわれわれの関係する仕事としては制度の改善、制度の是非の問題になるのではないかという私は印象を受けたわけでございますので、文部省を中心にいたしましてそういう点で抜かりなく検討をいたしておると思いますけれども、なお御注意がございました点につきましては文部当局中心に検討させることにいたします。
#40
○勝又武一君 総理から、文部省をして検討させるというきわめて誠意あるお話がありました。私は、教科書というのは、やっぱりそういう過当な販売競争分の費用というものを抜いて、まさに文部省が基本的に初め考えたように、百二十八円にできるだけ近い、限りなく百二十八円に近づいていく教科書こそつくるべきだというように考えます。そうなっていない点についてきわめて遺憾です。このことを重ねていまの点に付言をしておきたいと思います。
 そこで、教科書問題だけ――時間がありませんので、最後にお伺いをいたしますが、教科書無償制度は低所得者層だけ無償にするというような何か間違った考えが大蔵省にあるようでありますが、そういうこととか貸与制とか、そういう福祉政策ではない、やはり憲法、教育基本法に言う義務教育は無償である、こういう基本的な教育政策として考えるべきであると思います。
 私は当選以来、五十二年の海部文部大臣、五十三年の砂田文部大臣に文教委員会でこの基本を確認をし、そしてそのとおりの回答をいただいてきました。現在も文部大臣はこの基本にお変わりがないか、そしてまた、大蔵大臣なり総理なりもこの基本を尊重していただけるか、改めてお伺いをいたします。
#41
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 義務教育のいわゆる無償の精神を拡充したものであると私たちは受け取っておりますので、この制度を続けていきたいと考えておるわけであります。
#42
○国務大臣(竹下登君) 私も、この制度ができました当時、衆議院文教委員会の理事の一人でありました。そのときにも無償の原則という議論をいろいろやりました。要するに、無償というのは最低限で、言うなれば授業料を取らないと、これが無償というものであって、それから先のものはその都度都度の教育政策の中で拡大して考えればいいじゃないか、こういうような議論もありました。それから、勝又さんの御指摘のような、教育制度として、憲法、教育基本法に基づいてまさに無償そのものがこの教科書無償につながるものであるという議論もありました。
 ただ、財政当局としてこれを受けとめてまいりますと、五十四年十二月十九日に財政制度審議会から建議がございました。その建議におきましても、「現行の教科書無償給与制度は、実施後十年を経ているが、現下の厳しい財政事情にかんがみ、行財政の徹底的な見直しを前提として、その合理化方策の一つとして保護者負担の導入についても検討すべきである。」という御建議をいただいたわけであります。したがいまして、その建議に基づきまして種々検討を行ったところでありますが、結論として、五十五年度予算においては現行制度を維持するということに決定をいたした次第であります。
 したがいまして、今後についてということになりますと、やはり各界の意見にも耳を傾けながら対処していかなければならないというふうに考えております。
#43
○国務大臣(大平正芳君) いまお話がありましたように、現行制度を維持するという方針をいま政府はとっております。しかし、すべての制度がそうでありますように、将来、よりよい改善の方途がございますならば、それは検討してまいらなければならぬと思いますけれども、ただいま政府といたしましては、この無償の原則を変えるつもりはございません。
#44
○勝又武一君 四十人学級についてお伺いいたしますが、五十五年度からの実施で、これからの三年間の実施状況はどうなりますか。
#45
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 いまの御質問は、今後三年間どうするかという問題でございますが、この御質問の、何と申しますか、裏に、私の方から先に答えるのはおかしいんですけれども、各党と自民党――各党と申しますと共産党は入っていなかったかと思いますが、そういう問題における三年後の動向という――それはそれ以外のことでございますか。
#46
○勝又武一君 関係ありません。(笑声)
#47
○国務大臣(谷垣專一君) それじゃお答えをいたしますが、どうも少し思い過ごしました。
 今後三年間と申しますと、私たちのいま考えておりますのは、四十人学級を十二年にわたりまして実現をしてまいろうと、こういうことで考えを整理をいたしておるわけでございまして、その中の前の三年というものは人口の急増しない、全国一千町村を若干超えますけれども、それを対象にしてやっていきたいということが第一点でございます。それから、まず一年生からやっていく、順次進めていく方法をとってまいりたい。それから五十五年度におきましては、特にこれは今後の三年にもそういう問題が起きますが、いわゆる教室の増築等をしなくて済む、そういうものを対象として進みたい。こういうことで四十人学級の実施を進める決心でございます。
#48
○勝又武一君 そうしますと、この同じ市町村の中で一年生は二十二人のクラス、二年生は四十五人のクラス、すぐ隣の学校では一年生も四十五人のクラス――わかりますね、それが生まれるわけです。これは一体どこの地域でも教育上そうなると、こんな学級編制を変えるやり方というのは、過去に一度でもあったでしょうか。
#49
○国務大臣(谷垣專一君) 御指摘のような状況が出てまいる場合があると存じます。
 過去におきましてどういう実施の状況であったかということにつきましては、ちょっと事務当局の方から答えさしていきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#50
○政府委員(諸澤正道君) 学校の教員の学級編制の基準改善は、昭和三十四年から五カ年ごとに年次計画でやってまいりましたけれども、第二次の五カ年計画のやり方は五十人を四十五人に持っていくということでございましたが、そのときは一年ごとに四十九人、四十八人というふうに減らすというやり方でやってまいりました。
#51
○勝又武一君 ですから、私が言ったような不公平なことは過去は起きていなかった。今度は同じ地域、同じ市町村の中でこんなことが起きるわけですね。
 これまた大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども、こういうようなきわめて不公平で格差の拡大をしている事態、こういうことはやはり憲法、教育基本法に言う教育の機会均等、この考えを逸脱している、こう考えますけれども、大蔵大臣はどうお考えですか。
#52
○国務大臣(竹下登君) 財政当局の立場に立って申し上げますならば、先ほど来勝又委員すべて御存じの上でのお話でございますけれども、文部大臣からお答えいたしました、いわゆる過疎地帯、生徒減少市町村でございますか、を五十五年から六十年度まで――これは小学校であります。そうしてその他の市町村が五十八年から六十三年というような形で学年進行でやっていく、そういうことになれば、いま御指摘のような姿が出てくると私も思います。ただ、私ども財政当局といたしまして、今度のいわゆる四十人学級というものは大変お金のかかる話でございますので、厳しい財政状況の中にあって、特に国も地方も厳しい負担に耐えていかなければならないわけであります。一方、まさに学年進行によって、また減少市町村の次、いわゆる生徒数のふえていく市町村へ手がけていくという仕組みは、言ってみれば、財政と、それから各党同じ陳情書がこれは出ておりましたから、教育界全体の要求と財政とのいわば調整をした芸術作品であると、このように理解をいたしております。
#53
○勝又武一君 国民の立場に立ちますと、五年間に小中学校とも全学年を一名ずつ減らすというやり方ならば、不公平な教育の機会均等を失うようなことは生まれてこないんです。今度の場合には生まれてくるんです。その理由は、財政的な理由以外、これ以外に、文部大臣、何かきわめてアクチブな理由がございますか。
#54
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 確かに、財政上の問題が大きい理由であることは、これは否定できないところであろうと思いますが、もう一つその底に私たち考えていかなければならない問題は、児童数がどういう形で増減をしていくか、こういう問題があろうかと思います。このことは将来ともに、いわゆる教師の方々等の必要な数の増減の問題にもひっかかってくるわけでございます。こういう問題を両方並べ合わしてにらんでいく必要があろうかと存ずるわけでございまして、財政的な事情が大きい事情であることも事実でございますけれども、そこらのところもにらみ合わした計画をやっていく必要がある。それと、もう一つあると思います。財政的な見地からだけ申し上げますれば、先ほど大蔵大臣がちょっと触れておられましたように、これはまあ四十人学級というのは当分見送ってくれという議論に財政的見地からだけすればなるものだということ、そういう意見が出てくる、また現実に出たわけでございますが、文教行政を預かっております私たちの立場から言いますと、いささかそれとは違う議論が出てまいるわけでございまして、そこでずいぶんといろいろ議論もいたしました結果こういうことに決着を見たわけでございます。
 確かに、御指摘がございますように、一つの学校の中でも、一年生はあれだけれどもどうだという問題二年はもうどうだという問題もございましょう。しかし、これは将来というと非常に遠いように思いますけれども、何年か後にはこういうふうになるのだという一つの見通しがそこには生じてくるわけでございまして、それに対する準備も、もちろん心構えも必要になってくるでございましょう。したがいまして、四十人学級制度を早く着手していくということの方の利益と申しますか、教育的な立場から見ましても、それの方が重要であるという結論に私たちは立ったわけでございます。その点もひとつ十分に御了解を願いたいと思うところでございます。
#55
○勝又武一君 お聞きをしていて私には一つも積極的な理由に考えられません。
 そこで、一つになる、不公平がなくなるというのは、文部省案は最初は九年、今度の案は十二年です。十二年たったら一緒になるというだけのことである。もう一つは、これからの人口の推移を見てと言うんですけれども、もしきわめてアクチブだとおっしゃるならば、人口は減るんですから、減っていくときには、むしろ四十なり三十五にこそするならそうなんです。それならよくわかる。ところが反対なんです。
 そこで、五年方式の場合には子供が生まれていたわけですね。五年間ですからもう生まれているわけです。ところが、九年とか十二年といいますと生まれてないわけですよ、そうでしょう。来年から、生まれた子供が六年たたないと十二年にならぬですよ。そうしますと、文部省は何か、この人口問題研究所ですか、この調査を基準にされたようですが、この調査があって、文部省が資料を発表されたのはそれよりも後で、出生数、後十年はきわめて下降するというこの新聞発表もございますね。だから、文部省が考えていらっしゃる出生率よりはるかに減っていく、こういう事態もあるわけですよ。まさに九年も十二年も、これから六年間たたなければわからない生まれた子供まで、こんなことまで基準にするというこんなやり方は、一体、これはどこですか、厚生省ですか、あるいは文部省ですか、的確にこれは妥当なのかどうか、聞かしてくれませんか。
#56
○国務大臣(谷垣專一君) 人口の出生率の推定その他を当然やらなきゃならぬわけでございますし、人口問題研究所等の知恵をかりなきゃならぬことも当然であろうと思います。
 少し御質問が技術的な問題にも入っておりますので、事務局の方から答えさしていただきます。
#57
○政府委員(諸澤正道君) 御質問のように、十二年計画ということになりますと、まだ生まれてない子供を対象にして計画を立てなきゃならぬということになるのはそのとおりでございます。
 そこで、私どもとしましては、この人口問題についての専門であられる人口問題研究所の御意見を伺って計画を立てたわけでございます。ただ、その人口問題研究所の人口の見通しも、あくまでも推移でございますから、そこでどういう数値をとるかによって十二年先の子供の数の想定がかなり幅があるということは事実でございます。
 そこで、昨年の夏、私どもが予算要求をした段階では、人口問題研究所の御意見を伺った上で、中位推計値というのがございまして、ちょうどこのくらいの出産率であろうという中間の数字をとって積算をしたわけでございます。ところが、その後人口問題研究所でいろいろ研究をなさいますと、そもそもその出産率が急に減ってまいりましたのは四十九年の石油ショック以来ということでございまして、従来の経緯から言いますと、これは私は専門でございませんが、聞いた話ですが、一遍ショックで出生率が下がってもまたある程度すると復元するという見通を立てるのだそうでございますが、今回の現状を見ますと、その後その出生率が回復していないということで、そこで推計をもう一回して、見直す必要があるのじゃないかということからいたしまして、その後、暮れの予算査定の段階では、その出生率を訂正いたしまして、五十年の出生実績と低位推計値出生というこの二つの中間をとるという推定をいたしました結果、当初予算要求の段階と、予算を実際に査定をした段階での見通しの違いというものは、昭和六十六年になりますと、当初は千五百四十三万であったものが最新の推定では千四百六十六万ということで、そこに七十五万ほどのより少ない見込みを立てたわけでございまして、言ってみれば、私どもは、ぎりぎりの時点でできるだけいろいろな状況を想定して実績に近いような数値を出すべく努力をしてまいった、こういうことでございます。
#58
○勝又武一君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、たしか三日前ですね、半年先の見通しはできない、気の小さい私だと、こうここで竹田委員の御質問にお答えになった。とおっしゃられましたけれど、どうもこの問題では十二年先まで確固たる見通しのようであります。いかなる根拠なんでしょうか。社会的、経済的動向も的確に予測できない先までこの十二年というのは制度化することになるわけです。この点の見解はいかがですか。
#59
○国務大臣(竹下登君) 経済の見通しにつきまして半年先の状態をなかなか予見しがたいという意味で申し上げたわけでございますが、いわゆる四十人学級の問題につきましては、この人口問題研究所の日本の将来推計人口というものはかなり、私は専門家じゃございませんが、権威のあるものであるというふうに言われておるわけであります。
 そうして、これを見てみますと、確かに、たとえば私どもを中心にして、その上、いま六十歳ぐらいな人とでも申しましょうか、一挙に戦争から帰りまして結婚をして、それが第一次ベビーブームになっていく。一学年が二百六十万人ぐらいおりまして、その子たちが、すなわちわれわれの孫が大体第二次ベビーブームというものをいま現在つくっておって、それが五十七年から下降していくわけでございますから、現存するところのそれぞれの年齢構成を見ていけば、この人口問題研究所の出されております日本の将来推計人口というのはかなり私はそれなりに理解できる、数字というものが比較的的確に把握できますので、それなりに確度の高いものであるというふうに私どもはこれを理解いたしておるところであります。
#60
○勝又武一君 人口が減少したり過疎のところは、実はひっぱがしておきましても四十名なり三十五名に自然になっていくわけです。過密地域、人口急増地域こそ優先すべきだと思うんです。この地域はずっと四十五名のままでこの先なります。この過密地域の過大学級、過大学校の解消こそ最優先すべきだと思いますけれど、文部大臣と自治大臣にお聞きします。
#61
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 御指摘のような見方もあるのはよく承知をいたしておりますが、もう一つお考えを願いたいと思いますことは、たとえば人口がふえない過疎地帯におきましても、そこに必要な教師の人員の算定等の問題から考えますと、今度の場合も若干でございますけれども、余裕が生じてくるはずになるわけでございます。そういう点も考えていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 問題はやっぱり、それは先ほどもお答えいたしましたけれども、とにかくいまの苦しい財政の状況でございます。人口の非常に稠密しておるところで、まずそれの方が現実困っているからやれと、こういう期待があることは、教育の方面から申しますと強く主張してしかるべき点だと思いますけれども、地方の財政の状況等を見ますと、地方の自治体の諸君はもうとてもこれは御免こうむると、こういう強い財政上の立場からの御主張も十分ございまして、文教の私たちといたしましては、そこを押し切ってやっていかなきゃならぬということも十分承知はいたしておりますけれども、何せ今日の非常な苦しい財政状況の場合でございますし、しかも、四十人学級というものは文教の流れから見ましてもどうしても実施をしていかなきゃいけない、こういうところでございます。とにかく実施をしていくというところに教育関係の皆さん方の確固たる将来に対しての心構えもできてまいりますし、準備の態勢もできていく、そのメリットを文教行政の立場からはどうしてもとるべきであると、こういう立場から、財政の御当局、地方財政の方々に対しましても、ずいぶん無理なことだという面は一面ございます。ございますが、あえてそういうふうにお願いをし決定を願っておるところでございますので、御了承願いたいと思うわけであります。
#62
○国務大臣(後藤田正晴君) 御議論を承っておりまして、勝又さんの言っておられることはわからぬわけではありません。ただ、勝又さんのおっしゃるとおりに人口急増の市町村からやれということであるならば、今日の厳しい地方財政の現状から、私どもとしては賛成ができなかった事柄でございます。しかしながら、何といいましても、四十人学級ということは、教育の理想から見てやらなきゃならぬことではないかということで、地方財政の状況とそういった教育の理想、これをかみ合わせまして現実的な解決の手法をもってやるということで、私どもはあえて――地方団体から本当にこれは反対意見が強かったんです。しかしながら賛意を表した次第でございます。今日、過密のところは四十人学級どころの騒ぎじゃないので、実際は、人口が大変ふえておるところでは、学級数の増加、場所によれば新しい学校をつくらにゃならぬ、その用地費をどうするんだといったような大変厳しい状況にございまするので、今回のような措置でやるのも理想達成の一つの手段であろうと、かように考えておるわけでございます。
#63
○勝又武一君 総理にお伺いしますが、「子供は未来への使者」だと、そういう最大級の言葉で本会議でおっしゃられました。総理が言う行き届いた教育を実現するために、この教育問題が財政的理由に屈服をしてその本来の使命が曲げられてはならないと私は考えますが、いかがでしょうか。
#64
○国務大臣(大平正芳君) 教育は非常に大事でございますけれども、しかし、教育も聖域ではないと思うのでございまして、やはり財政との調和ということもお考えの中に入れて教育政策は御推進いただきたいものと思います。
#65
○勝又武一君 おおむね三年で見直すということは、私がいま挙げましたような、教育現場での多くの格差の拡大や矛盾やそしてまた問題点がありますので、この年数の短減等を含めて改善するために努力をしていただきたいと思いますけれども、この点についての見解を文部大臣と大蔵大臣にお伺いいたします。
#66
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 先ほど、少し先へ返事をしようと思ってしかられましたが、あの件の問題だと思います。
 今度の予算の問題につきましてのときに、自民党の方から各党の方々のところへ、おおよそ三年後に、各般の状況を勘案してその後の計画について検討するという旨の御回答があったことはよく承知をいたしておりますので、これは私たちも誠実に、そういうところを自分の考え方の中に入れまして適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#67
○国務大臣(竹下登君) 四十人学級など教職員定数改善計画につきまして、自民党が社会党、公明党、民社党の三党に、おおむね三年後に各般の状況を勘案しその後の計画につき検討する旨文書で回答して、そしてそれが合意されたことは承知をいたしております。
 政府といたしましては、まさにその時点で各般の状況を勘案して適切に対処してまいりたいと、このように統一してお答えをすることにいたしております。
#68
○勝又武一君 次に、大学入試不正問題等に移ります。
 早稲田の問題は、早稲田だけでなくて、もう、きょうの新聞を見れば、受験産業界、大学の予備校、日大グループ、ある特定宗教団体、某参議院全国区の候補者と、実名入りでいろいろ報道がされている。こういう続出している事態でj私は総理に伺いたいんですが、日本の悪い面――何でも金で買うことができる、あるいは金で買ってはいけないことまで金で買っていいという社会的風潮――選挙がそうですね。自民党総裁選挙もそうだと言われている。KDDもそうだ。政治家の誇りも官僚の名誉も金で処理する、こういう風潮について、やはり私は、総理みずからがこの実行の模範を示していただきたいと、二つでも三つでも具体的にこうすると、こういうお考えはございませんか。
#69
○国務大臣(大平正芳君) いま、金を重視すると申しますか、そういう思想がびまんしておるということを憂えられたわけでございまして、また、そういう風潮の中でいろいろ指弾すべき事件が続発いたしておりますことも御指摘のとおりでございます。ただ、幸いなことに、わが国の民主的な社会におきましては、そういったことが大小にかかわらずいろいろ摘発され究明されてわれわれに知ることができるようになっておることは、こういう事態を改善する上におきまして非常に有力な手だてになっておると思うのでございまして、私は、民主社会というものは、清潔さを維持していく上において、あるいは金権思想というもののびまんを収束していく上におきまして大きな役割りを果たしておると、わが国の民主主義は非常に活発に機能しておるということをまず勝又さんとともに評価したいと思います。
 しかしながら、現に行われておる事態は許されるべきではないわけでございます。それにつきましては、まずこれを客観的にいろいろ論評する前に、政治の実際といたしましては、あなたがいま仰せになりますように、まず政府が率先してやらなけりゃいかぬと思いますが、政府といたしましても、まず内閣が第一線に立ちまして、先頭に立ってそういった弊風の打破に努力しなければならぬと心得ておるわけでございます。したがって、去年の暮れに、内閣といたしましては綱紀の粛正について具体的な方針を決めまして、各省庁を通じまして申し合わせの徹底を図って、いま厳正に実行いたしておりまして、公費による接待はもとよりでございますけれども、いろいろな金品の贈答というような点につきましてもこれを自粛いたしまして、そういった弊風の打破にいま一生懸命に努めておるところでございます。私は、日本の国全体といたしまして、だんだんまじめに生活するという気風が出てきつつあるように思っておるわけでございまして、この気運はますます推し進めてまいらなければならぬと思っています。
#70
○勝又武一君 最近の一連の事件で一番心配なのは国民の信頼を失うこと、父母や受験生の不安、怒り、失望ですね。ですから、こういう不信感を除去し信頼を取り戻す手だてがどうしても必要だと考えます。諸悪の根源はこの社会の立身出世主義と学歴の偏重、そのための受験準備教育にあることはもう事実でありますから、文部省としてこの際、中途半端に終わった大学の改革、さらに大学の入試の改善等にやっぱり前向きに対処すべきだと考えますが、文部大臣いかがですか。
#71
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 御指摘のとおり、このたびの早稲田の問題が起きましたこと、これをそのままに放置していくと申しますか、それだけで済ましてはならぬ、それはもうおっしゃるとおりだと思います。ただ目の前に起きておりますこの事案をどういうふうにしていくか、問題が基本的なところにあるということにかまけて、現在の入試の管理体制というものに手を抜くことがあってはならないと、かように考えております。現在の入試の方法の基本的な改革のいろいろ議論をすることばかりやってはいけないことであって、現在の制度の上においても、今度のような不祥事を防げる道は当然あるわけでございまして、その管理の方法その他については、十分に今後もそれを進めていかなければなりませんし、いま起きております早稲田の問題に関しましても大変これは残念なことでございまして、本当に遺憾に存じますが、大学当局もその点につきましては強い決意を持っておるというふうに私たちも報告を受けておりますので、これを見守っておるわけでございます。
 入試制度全体の改革問題につきましては、従来からいろいろ御議論があったところでございまして、すでに先生が一番よく御存じのことと思いますけれども、あるところでは国公立の大学の入学試験において共通一次試験を去年からやって、ことしで二度目の経験を持ったわけであります。あれがすべての解決にはなりません。それはもうよくわかりますけれども、しかし、あのことによって高校教育における教育の課程というものを確実に自分のものにしておれば、いわゆる難問奇問のような形のものを避けるということ、その他のことはだんだんとこれから皆の知恵をやっていけばできることの一つになるだろうと、こういうふうに思います。
 そのほか、いろいろな入学の問題についての改善策は、これは考えてやっていかなければならぬと思っております。
#72
○勝又武一君 大学改革の実験校、新構想大学として文部省が非常に力を入れてきました国立の筑波大学も開校してすでに六年です。莫大な国費を投入してつくったこの大学が順調に運営されているというようにお考えなんでしょうか。たとえば、県議選挙の買収、学園紛争、学生の自由な自治活動の要求等、管理面等に多くの悪い面が出始めているというふうに思いますけれど、大臣いかがですか。
#73
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 筑波大学は御存じのような経緯を経まして、そしてあそこに新しい大学、新しい学府をつくろうということで鋭意努力を現在しておるところでございます。その間におきまして若干の問題があったことも承知はいたしておりまするけれども、私は、筑波大学をあそこへつくりましたときの基本的な気持ちを堅持しながら苦闘をしておる、苦闘という表現はいささかおかしいことでございますが、苦労しながら新しい大学をつくって努力をしておるというふうに考えておるわけであります。
#74
○勝又武一君 早稲田だけがマスコミに大きく取り上げられておりますけれど、この筑波大学におきましても、ことしの推薦入学試験で特定の学生に対して不正入試工作を福田副学長がしたと学内から告発された事件はきわめて重要な問題であります。推薦入学制度は、新しい入試方法として、よき学生を入学させる方法として、筑波大としても特に評価が高かったからであります。文部大臣はこの事件をどのように受けとめていらっしゃいますか。
#75
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 御指摘になりましたように、筑波大学のいわば新しいやり方の一つ、入学の方法の一つといたしまして、各学群におきまして一定比率の者を推薦入学という方式をとっておることは御存じのとおりでございます。これはこれで一つの試みの意味も含めまして十分な意味があることでございまして、入試制度全体に対します一つの解決の道をいま試みてやっておるというふうに考えまして、このやり方につきましても注目をしておるところでございます。
 いま具体的に御指摘になりましたその問題を通じて、今度何か不正があったのではないかという御指摘でございますが、この件につきましては、すでに大学の方からも学長を通じましてこちらの方に報告が来ておるわけでありまして、学長からもそういうような事実は全くないという報告を受けておるわけでございます。文部省としてもそのように了解をいたしておるところでございます。
#76
○勝又武一君 ここに谷津教授の自筆のメモがあります。「「将来地球科学をやりたいという学生の中に、副学長の紐つきがあり私はその名を知ってしまいましたので地球科学を志望するという学生たちの審査にあたることを遠慮したい」と申しました。私の近くで誰かが「またか」といっていました。」とあります。このように、過去にも不正なケースが数多くあったというようにも受けとめられるわけでありますが、いま文部大臣が言われました、宮島学長が不正がなかったと言って文部省に報告をされましたときに、一体、宮島学長はこれらの具体的な方々に調査をされてから発表をしたでしょうか。
#77
○国務大臣(谷垣專一君) 私は学長から御報告を受けたわけでございますが、この筑波大学の今度の入試につきまして、この御議論のある方両方ともにその入学試験そのものは――入学試験そのものというと語弊がありますが、入学試験の結果と申しますか、入学試験そのものは、これはきちっと行われたというふうに、この点は異論がないようでございます。そういう状況でございますし、私たちとしては学長の、大学当局の報告を信頼せざるを得ないところでございまして、文部省としてもその上に立ちましてこの御報告を信頼しておるわけでございます。
#78
○勝又武一君 問題を明らかにしますと、学長がそういう事実がないと言ったのは二月の二十八日。この一番の重要人物渡部さんという教授に会っているのが二月の二十九日なんです。一日ずれているわけです。しかも、不正がなかったと言うが、結果的にそうだった。それは頼まれた二人の教授が面接をかわったからなんだ。頼まれた二人の教授が面接をかわっていなければ、この不正入試工作はまんまと成功したかもしれない。そういう事実の違いがあるんだ。そこでこれらの関係の福田副学長、馬上、渡部、鈴木、谷津、これらの方々、あるいは山本事務官、こういう方々を学長が調べていらっしゃらないうちに不正がないということを発表されているわけなんです。
 私はここにこれらの関係者の方々の自筆のメモと要望書、これを持っております。この中によりますと、一番問題なのは、願書のコピーが事実渡っているわけですよ。そして、その願書のコピーをその渡部という教授は持っているんです。こういうことまでが何で必要だったのですか。
#79
○国務大臣(谷垣專一君) 私のところへの御報告は、いま申しましたようなことでございます。
 なおまた、関係の方々、名前はいまここではっきり私も記憶いたしておりませんが、関係の先生方から、いま言われました次期の学長の任命をいたします手続、これをおくらせてもらいたいというような文書も参りました。しかし、これらのことは、いわゆる大学の自治と申しますか、そういう基本的な問題点にかかわる問題でございますので、あえてそのことは問題として私が取り上げるようなことはしたくないと思っておるわけでございます。御指摘になりますような具体的な事実、不正な行為が現実にあったかどうかという問題、また、たとえばそれを私の方へ学長が御報告になりました以前にそこらを確かめられたかどうかというような問題、これは事実問題でございましょうけれども、まずは私たちとしましては大学当局を信頼していくというこの基本の態度は崩してはならないことだと思っております。もちろん、事実関係その他につきまして重大な関心を持っておることは当然でございますけれども、次期学長の選任の問題というふうな大学の人事に関します非常に重大な問題に関しましては、大学当局に対します一つの自省、自治的な判断というようなことを尊重していく態度で進めてまいりたい。したがいまして、宮島学長からの報告は、これはまず信頼をしてやっていくという態度で処置をいたしたい、こういうふうに私は考えておるところでございます。
#80
○勝又武一君 大学の学長の選挙までどうこうなんということは質問しておりませんよ。大学の自治に介入をせよなんということを一言も私は質問をしておりません。そうではなくて、学長が文部省へ出した報告について、いろいろそうじゃないと学内の教授の人たちがたくさん言っている。それをマスコミや新聞が大きく取り上げて報道をしている。国民は信頼をしなくなる、そこを問題にしている。早稲田だけではない。まさに文部省が一番模範にしている筑波大学、国立大学の問題だから、私は文部省がこういう点について十分な調査をすべきだ、再調査を命ずるべきだ、こういうことを言っている。何でおかしいんですか。そうして、十分これについての――時間がありませんから私は文教委員会等で今後十分お聞きをしていきます。しかし、この調査結果等について十分やはり文部省は調べて、こういう不正工作事件が起きないように、こういうことを契機にして十分ひとつ取り組むようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#81
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 どうも少し先へ御返事をしたような感じでございましたが、そういうような文書が回っておるというようなことも話に聞いておりましたので、それで申し上げたわけでございまして、いまの問題につきましてどういう事実があったかということは、これは私たちも関心を持っておるところでございます。それはそれとしまして、学長の報告等の裏づけになる問題等は、今後私たちも注意をしてまいらなければならぬと、こういうふうに考えております。
#82
○勝又武一君 時間が少なくなりましたので、財政特例法、大地震対策等についてお伺いをいたします。
 静岡県を中心としました全国知事会議、地震対策特別委員会等の要望もありまして、五十五年度予算の折衝段階の中で、国土庁と大蔵省の間で、強化地域における財政特例措置につきまして協議を重ねるとの約束が交わされました。それについて二、三伺いますが、地震防災施設の緊急整備に関係します関係自治体との折衝の結果、詰めの状況はどうなっておりますか。
#83
○国務大臣(園田清充君) お答えをいたします。
 御承知のとおり、先生自体が強化地域のある静岡県の御出身だけに、非常に御心配になり、いろいろ御激励をいただいていることをお礼を申し上げます。
 この際、国土庁のPRをさしていただくことになるかもしれませんが、実は、就任当時総理から私に命ぜられましたことは、行政の改革と綱紀の粛正と、二つをしっかりやれということでございました。それはやりますが、ただし、私の方にもお願いがございますということを申し上げました。それは、私も万能でないだけに、国土庁として何をすればいいのかということで、実は三つ問題を、柱を立てました。それは定住圏構想の推進という三全総の推進。それから水と土地の問題を解決をするということ。それにもう一つは、いま御質問をいただいた災害対策をどうするかということでございます。
 そこで、御質問の中にもございましたとおり、実は大蔵大臣との最後の予算折衝をいたします段階で、各省庁ともそれぞれこの金額をふやしてくれということが要請でございましたが、読み上げますと、「大規模地震対策として必要な緊急施設整備事業に関する国の特別財政援助措置に係る関係地方公共団体の要望については、早急に関係省庁間において必要な事業の種類及び規模、各種五箇年計画との関係、地方財政に及ぼす影響等について検討を行い、その結論を得た段階で可及的速やかに所要の措置を検討することとする」ということが大蔵大臣との合意でございます。それだけに、先生がいま御指摘になったように、いま地方公共団体、六県百七十市町村の自治体といろいろ強化についての検討を進めております。ところが、出てまいりましたものを見ると、たとえば避難道路だとか避難施設だとかということ、消防力の強化だとかということ、もちろん、やらなきゃならぬことはたくさんございます。しかし、やはり私どもは、いつの時間に地震が発生するかというような場合には、必然的に学校とか、あるいは病院だとか社会福祉施設だとかというものにも応分の財政の措置を講ずべきだという観点から自治体と実はいま詰めておるところでございまして、駆け込みで、さあ、これをこの際という便乗的なことでなく、本当にやらなきゃならないものを地方財政の実情に即してひとつ計画的に進めていこうではございませんかということで、重ねて地方自治体に御検討をお願いをしておるというのがいまの状況でございます。速やかにこれはひとつ結論を得たいと思っております。
#84
○勝又武一君 いま大臣の答弁の最後のところにかかわりますこの緊急整備施設の中に、特に病院なり福祉施設なり学校ですね、これを何としてもすぐにも指定追加すべきだというように考えるわけです。いま大臣からそういう点で努力するというお話がありましたが、そういうことを考えれば考えるほど、やはり特例措置法の政府提案が見送られたということについてやはり国土庁の大きな責任がある、こういうふうにも考えますので、今後の対応なり立法化の目途なり、そういうことについてひとつ明確にお示しをいただきたいと思います。
#85
○国務大臣(園田清充君) お答えをいたします。
 各党でそれぞれ御検討をいただいておると思いますが、私どもも与党の方で地震対策特別委員会において本国会に間に合わせるようにということで、いまむしろ議員立法という性格の中で御検討を願っておりますし、私どもはそれに対応して本国会に間に合うようにということで各省庁間いま努力をさしていただいておるというのが現段階でございます。
#86
○勝又武一君 この指定強化地域の中には、最大だと言われております清水のコンビナートあるいは浜岡町の原発、そしてまた、いま富士山ろくにはライオンサファリ、こういうことが出てきています。この大地震と関連をして、まさに防災計画なり強化計画の鳩尾でありまして、地震に対するこれらの地域の住民の不安はつのるばかりでありまして、そういう意味での政府としての地域に対する十分な対策、こういう点についてひとつ、時間もありませんから、まとめて政府の見解をお聞かせいただきたい。
#87
○委員長(山内一郎君) 勝又君、時間になりました。
#88
○国務大臣(園田清充君) 御指摘がございました問題については、サファリの問題についてはすでに政令で決めて、そして予知連からの時間がある場合にはまとめてほかへ移動する、ただし、そのいとまがない場合の措置ということについてもいろいろ検討を進めて支障のないようにということで、すでに政令で決めております。
 それから、恐らく清水における石油コンビナートの問題を頭に置いての御発言かと思いますけれども、これには防災上の観点から、十分ひとつ頭に置きながら問題に対処し、検討してほしいという願いを込めて、実は静岡県知事の方にも御指導願いたいということと、災害の発生時におけるいろいろな問題を頭に置きながら設置してもらいたいということを実はお願いをしておりますので、御心配のないような措置をひとつ講じてまいることで努力をしてまいりたいと思います。
#89
○委員長(山内一郎君) あと一問だけにしてください。
#90
○勝又武一君 指定強化地域を回りまして心配になるのは津波対策です。駿河湾や東海地方は海岸線が長く、まさに無防備であります。津波対策といえば、地震の予知によって避難するというのが第一要件とされています。もし予知がなく直撃された場合にはどうなるのか、予知がないこともあり得るのであります。予知ができない場合の津波対策は万全なのか。政府として大量の資金を投入しても、この海岸線の特に必要な危険個所について、抜本的な防波堤建設等を含めて優先すべきだと考えますが、いかがですか。
#91
○国務大臣(地崎宇三郎君) 強化対策のうち、静岡県には清水港、田子の浦港、大井川港等十五港の港湾があります。また、神奈川県には大磯港、真鶴港の二港の港湾等がございます。地震、津波に関連して海岸保全施設、港湾施設の整備については海岸管理者、港湾管理者と十分協議をして対策を積極的に進めてまいりたいと存じます。なお、五十四年度から引き続きまして土肥港及び沼津港において耐震岸壁の整備を行うこととしておりますし、津波対策の一環といたしましてはやはり五十四年度から引き続きまして清水港、御前崎港について積極的に防波堤を整備してまいりたいと存じます。
#92
○国務大臣(渡辺栄一君) お答えいたします。
 駿河湾沿岸部一帯の建設省所管の海岸につきましては、従来とも高潮対策事業によりまして直轄事業及び補助事業といたしまして緊急を要する個所から鋭意海岸保全施設の整備を進めてまいりました。おおむね想定されます津波の高さ以上に堤防が設置をされてまいりましたが、なお若干残っておるわけでございますけれども、これらの地域につきましても高潮、津波対策のため最大限の配慮を行いまして海岸事業の促進に努めてまいりたいと思います。
 また、昭和五十五年度予算につきましても県の要望等につきまして最大の配慮をいたしてまいり、緊急にこれらの対策を進めてまいりたい、かように考えております。
#93
○委員長(山内一郎君) 以上で勝又君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#94
○委員長(山内一郎君) 次に、渡部通子君の総括質疑を行います。渡部君。
#95
○渡部通子君 最初に物価問題、若干お尋ねをしたいと思います。
 現下の最大の課題と言われておりますけれども、近く政府は総合物価対策お出しになるそうでございますが、当然個別物価の抑制も盛り込まれると思いますけれども、この個別物価対策はどのようになっておりますか、まずお尋ねをいたします。
#96
○国務大臣(正示啓次郎君) 御指摘のように、大変大事な状況でございまして、けさほどの閣議でも、総理からも、特にこの総合物価対策について各省庁一体となって全力を挙げて万遺漏なき対策を講ずるようにと、こういうお話がございまして、いま極力やっておる最中であります。
 そこで、お尋ねの個別物価対策、これは御案内のように、海外からの打ち寄せる卸売物価高騰の状況を国内において個別の物資に反映させないように、できるだけそれを最小限にとどめるようにということが私どもの政策の眼目になっております。一番いま近接な御家庭の野菜問題等については、緊急対策を先般も講じていただき、農林水産大臣が生産地及び市場にもそれぞれ出向いていただいて、やや愁眉を開き得るような状態でありますが、この点についてもけさほど総理から農林水産大臣その他に対しまして、さらに一層の努力をしていわゆる需給の正常化に努力をするようにと、こういう御指示があったわけであります。
 私どもは、そのほかにも、海外から影響を受ける通産省所管その他の物資についても、これが今日いわゆるインフレ的なムードに押されまして仮需が起こってないか、先高見越しによる買いだめ等の傾向はないか、また生産についてもそういうふうな傾向はないかということを通産省においては関係局長が常に連絡会議をお持ちいただいて需給の動向について監視調査を進められ、また、それに対してその都度必要な対策を実施しておられるのであります。
 また、個別の物価のうちの特に異常なもの、これは公正取引委員会が同調値上げその他のないように非常に強力な監視をしておられることは御承知のとおりだと思います。
 以上のような点についてさらに具体的に対策を講じていくつもりでございます。
#97
○渡部通子君 高炉メーカー各社が四月から鉄鋼価格の値上げを発表しておりますけれども、四月から電力と鉄が一斉に同時に値上げということは大変これは大きな影響だと思います。新日鉄の五十五年三月期決算は史上最高とも伝えられておりますけれども、これについて通産省はどういう見方をなさっていらっしゃいますか。
#98
○国務大臣(佐々木義武君) 通産省といたしましては、個別物資の価格形成に関しましては、使用者側と供給者側の双方の当事者間で自主的な交渉で決まることと思っております。でございますので、鉄鋼に関しましては今後の交渉の結果を見守っているところでございます。
#99
○渡部通子君 今回の鉄鋼の値上げは、五十五年度においても五十四年度並みの高決算と現行の一〇%配当を維持しようと、こういうことでございますね。そしてこういうコストプラス適正利潤という考え方、これは現下においては寡占化した業界においてのみなし得ることではないかと、こう考えるのでございまして、こういう中で通産省が全くそれはお任せで指導をしないということは、このような経済状況の中ではどうかと思うんです。当然何らかの指導をすべきだと思いますが、
 いかがですか。
#100
○国務大臣(佐々木義武君) 今度の鋼材価格の値上げの理由に関しましては、鉄鋼メーカーの皆さんのお話によりますと、鉄鉱石あるいは原料炭、重油等の原燃料の値上げその他によって大幅なコストアップが見込まれるので、このままでいきますと大変な赤字になるおそれがあるというのが値上げの主な理由のようでございます。
#101
○渡部通子君 それはわかっているんです。指導はしないのかと聞いているんです。
#102
○国務大臣(佐々木義武君) 指導と申しましても、先ほど申しましたように、強力な生産者、強力な需要者がおるわけで、その当事者間でただいま交渉を進めておりますので、その交渉を見ているところでございます。
#103
○渡部通子君 公取委員長に伺いますけれども、これの同調的値上げに関して、いつの時点で御報告を受けられるのか。また、それが年次報告での公表では抑止効果という点では非常に遅いのではないかと思いますが、報告を受けた時点で直ちに公表すべきだと思いますが、いかがでございますか。
#104
○政府委員(橋口收君) 鉄鋼メーカーによります鋼材価格の引き上げにつきましては、現在値上げの内容につきまして通告をした段階でございまして、これからユーザーとの折衝によりまして最終的に値上げの幅が決まるということでございます。法律の規定によりまして、値上げが実現しました後におきまして、その値上げの理由につきまして報告を求めて、合理的な説明内容であればこれを了承するというのが法律の趣旨でございます。その値上げの理由の概要につきましては国会に報告するというのが独占禁止法第四十四条で決まっておるわけでございまして、いまお話がございましたように、値上げの理由につきまして報告を受けました後、国会に報告するまで相当の時間が経過しているのは事実でございます。これにはいろいろ理由がございまして、寡占メーカーの立場におきましては、できれば公取委に対して理由の報告をするのを避けたいという気持ちがございます。したがいまして、現行法律に対しましていろいろな対応策を講じておるわけでございまして、それに対しまして私どもの方は予備的調査を行いまして、法律の規定に該当するという認定をする作業がございます。この作業に相当な時間がかかるわけでございますし、また、商品の性質によりましては、たとえば二輪自動車とか、あるいは乗用車というものにつきましては、機種が大変たくさんあるわけでございます。したがって、どのメーカーのどの機種と他のメーカーのどの機種とが対応するかということの認定にも大変手間取るわけでございます。したがいまして、実際に値上げが行われました後に予備調査を行って、公取委が理由の開示を受けるまでかなりの時間がかかります。また、それを整理いたしまして、その概要につきまして国会に報告するにもこれまた時間がかかるわけでございまして、現状におきましては一年半ないし、場合によっては二年近くおくれるというような事態があるわけでございまして、これが一つの問題であることは十分承知をいたしておりますが、何分にも法律が施行になりましてまだ二年ちょっとでございます。いまようやく行政上の情報の蓄積をしている最中でございますから、そういうものの結果を見まして、将来の問題としてひとつよく考えてみたいというふうに思っております。
#105
○渡部通子君 おっしゃることはわかりますけれども、やはり物価に対して緊急の事態でございますので、なるべく緊急に努力をお願いしたいと思うんです。
 総理、いま私ちょっとだけ伺いましたけれども、政府は輸入インフレをホームメイドインフレにつなげないと、こう常におっしゃっていらっしゃいますけれども、こういう大手の値上げというもの、コストプッシュプラス適正利潤とはいうものの、四月から同時に電力と鉄が上がるということは、これは大変なショックでございまして、これを手をこまねいて放置するという政府の態度というものは、みずからホームメイドインフレをつくり出すことに手をかすのではないか、こういう感さえするのでありまして、個別物価対策とは寡占商品を背景にしたこうした値上げを抑えると、こういったことではないのかと私は思うのですけれども、総理のお考えはいかがですか。
#106
○国務大臣(大平正芳君) 寡占商品に対しましては、公正な競争を確保するように公正取引委員会を中心といたしまして常に監視の目を光らしていなければならぬわけでございまするし、具体的に、それに心配がございますならば、事情を聴取してアクションに出るという用意があるわけでございます。それは常にそういう姿勢で政府はいなければならぬと考えております。緊急事態であろうと緊急事態でなかろうと、そういう姿勢は崩してはいけないと考えております。
 いまの場合は、輸入物資の値上がりというわれわれのコントロールを超えた問題が出てきておるわけでございまして、これは政府としても、海外の資源高というものはいかようにもいたし方のない事態でございます。けれども、このことは、わが国の必要とする資源の輸入はとめるわけにいきませんから、これの国内への波及ということは厳にこれは慎まなければいかぬわけでございます。渡部さんのお話によりますと、何か政府がやればとまる、やらないといけないというように受け取れますけれども、下手にやると私はかえって危ないと思っておるわけでございまして、海外物価高の公正な転嫁が行われておるということであるとよろしいのでございますけれども、そうでない限りにおきまして、その事実がわかりますならばそれに集中的に対応策を講じていくということ、それが明らかになってまいりましたら果敢に行動に出にゃいかぬと思いますけれども、政府がまだ火事が起こっていないのに消防車を持って走り回るというようなことは、私は余りいい物価対策とは考えていないんです。
#107
○渡部通子君 二月に入りましてから紙製品が急上昇をいたしております。私も詳しくこの実情を申し上げたいんですけれども、何せ時間がないという参議院の質問形態はまことに残念でございますけれども、きのう、あるスーパーで見ましたら、トイレットペーパーが百五十円から二百七十円です。ティッシュペーパーが九十八円から百四十五円です。こういう実情というものですね、印刷用紙などが非常に入手が困難だということが巷間伝えられております。紙の需要期を控えまして、値上げを見越しての、どこか流通段階にとどまっているんではないか、これは当然予想されることでございまして、第一次石油ショックがやはりトイレットペーパー騒ぎであったということを思い起こしましても、これに対しては十分な監視が必要だと思いますが、通産当局はそれを把握していらっしゃるか、あるいはそういう実態に対して指導なさっていらっしゃるのか伺いたい。
#108
○国務大臣(佐々木義武君) 量的にはトイレットペーパーも印刷用紙もそれほど緊迫した状況だとは考えておりません。ただ、価格につきましては、原料の値上がりによりまして、お話しのように、若干値上がりしつつあるという話も聞いておりますが、詳細に関しましては事務当局の方から一御説明を申し上げます。
#109
○政府委員(児玉清隆君) 最初にトイレットペーパーでございますが、この六月から六十五メーター物のワンロールでございますが、三十五円ないし三十六円、これが三月にかけまして三十九円ないし四十円というようなことで、若干上がっております。これは東京代理店の卸値段でございます。
 それから印刷用紙でございますが、これにつきましても実際の能力は十分ございましてあれでございますが、ことしの一月−二月、百六十二円から百八十二円というレンジで上がっております。これが三−四月で大体二百円ということで、現在折衝が続けられております。
#110
○渡部通子君 だから通産省の掌握は遅いと私は申し上げるんです。町の方がずっと速く進んでいます。正直言って、私がこれを通産当局にお尋ねしたときにびっくりなすったことはそちら様でございまして、それでいまのような御返事をいただいたと思いますけれども、いずれにしても、火事が出ないうちに消防車が走り回るんじゃなくて、ボヤが出かかっているうちに消防車はエンジンをかけておくという、これが政府の対応でなければならないと思うんですね。そういった点から言うと、非常に遅い。だから民間の方が、主婦の方が敏感にそれを反映して心配しているわけです。このインフレ心理、心配心理というものが事態をこじらせると思うので、それに対応していただきたいとお願いをしているわけなんです。これは全く一端を申し上げただけでございまして、電力や鉄が大幅に四月から上がる。紙はすでに上がっている。まして四月から需要期を迎えますから、小学校に生徒さんなどを上げる御家庭では、また苦しい思いをするだろうと思うんです。そういったことが狂乱物価の引き金にならねばいいがと私も心配をする一入でございまして、打つ手が遅ければ狂乱物価になりかねない、これは現実だろうと思います。そういった意味で、そろそろ国民生活安定法を発動する準備です、――せよとは言っておりません。準備について政府は用意をなさるおつもりがあるかどうか伺います。
#111
○国務大臣(正示啓次郎君) 渡部委員は前々から大変こういう問題に御熱心に取り組んでいただきまして、私も役所でもお目にかかり、いろいろと情報も教えていただいてありがとうございます。
 結論的に申し上げますと、前回の経験から言いましても、何とかしてそういう事態を避けたい。すなわち国民生活安定緊急措置法等を発動いたしますと標準価格というふうなものができてしまいまして、それに全部さや寄せをするというふうな現象が起こってくることは、私は非常にこれは大きな問題だと思うんであります。そこで、ただいま通産当局からもお話がありましたように、個々の物資について、これはもう情報を早く的確に把握することは非常に大事なことは御指摘のとおりでありますから、そういうふうなことで、個々の物資について需給関係がどうなるか。思惑で若干のことが起こっても供給がしっかりしておれば、これはそのことをはっきりいたすことによって消費者の健全、冷静なる対処とともに、そういうものは幻のごとくこれを解消することができるという自由競争の原理を私どもは堅持いたしまして、余りに、先ほど総理からも申されましたように、余りに騒ぎ過ぎて法律を発動してしまいますと自由競争原理に基づく市場価格のよい点がなくなってしまいましても非常に困るわけでございます。まあ早く法律を発動した方がいいじゃないかという御意見があることは十分承知いたしておりますが、私どもは、できる限りそういう事態が起こらないように個々の物資についても対策を講ずると同時に、財政金融の基盤的な条件についても常に最大限度の注意を払ってやっていきたいと、こういう基本的な考え方であることを改めて申し上げます。
#112
○渡部通子君 公取にもう一点伺います。
 先般、公取は酒類販売の表示に関する公正競争規約について公聴会を開かれましたね。それによりますと、特価セールとか、大廉売、特価、こういった表示は規制しようという話だそうでありますが、酒類の小売店だけでそれをやりますと、他の業界、小売店に対する影響をどのようにおとらえになりますか。
#113
○政府委員(橋口收君) 酒類の小売業における表示の公正競争規約について認定をしてほしいということで、全国小売酒販組合中央会から申請が出ておるわけでございまして、これにつきましては、表示連絡会、公聴会等いたしまして、いま認定の準備を進めておるところでございますが、公聴会におきましていろいろな御意見が出た経緯もございますし、規約のほかに施行規則というのがございまして、その施行規則の中で、いまおっしゃいましたような特売とか、特価とか、そういう表示を制限しようという内容を含んでおりますので、この点につきましてはさらによく検討いたしたいと思います。
 ただ、いまおっしゃいましたように、酒以外の物資にも、商品にも波及するんじゃないかという御心配でございますけれども、これはあくまでも致酔性の商品であるという特殊性に基づいて考えておる措置でございまして、同時にまた、一般に誤解がございますのは、廉売規制ではないか、あるいは安売りを規制するんではないかという誤解があるわけでございますけれども、これはそうではございませんで、表示、宣伝の問題でございます。したがいまして、酒についての安売りを規制するという考えは毛頭ないわけでございまして、安売りをしていただくのも結構なんでございますけれども、安売りをするにつきましては、大きな声で宣伝をするのはお互いにやめようじゃないかと、こういうことでございます。医薬品と同じように、まあ薬害とかあるいは酒害というものがあるわけでございますから、したがいまして、安売りをいたします場合にもお互いに静かに安売りをしようじゃないかと。店頭に大廉売とか、特価セールとかいう、ことさらにそういう表示なり宣伝をいたしませんでも、店舗の中に入りましたら自然に安売りのお酒があるというのが致酔性の商品の性格から見まして穏当なところではないかという考え方のもとに業界で自主規制をしたいということでございますから、まあ基本的な方向におきましては、これは適当な措置ではないかと思っております。
 ただ、いまお話がございましたように、施行規則の中で余りにも具体的に表示の内容等につきまして規制をいたしておりますので、こういう点につきましては、さらによく検討いたしてみたいというふうに思っております。
#114
○渡部通子君 委員長、もう一点。
 そうなりますと、小売店の経営の安定、これは私もお酒屋さん大事なことはわかるんですが、テレビなどでウイスキーだのビールだの、お酒だの日本酒だのといって大々的に宣伝をしている。これの方がよっぽど規制すべきだと思いますが、いかがですか。
#115
○政府委員(橋口收君) テレビ、新聞等に大きな宣伝をしているという事実はございます。ただ、現行法で申しまして、直ちにこれを規制できるかと申しますと、これは少なくとも独禁法の領域におきまして規制をするということはむずかしいと思います。業者の自主的な話し合いで制限をしようというお話し合いをすることは、これは自由だと思いますけれども、いきなり行政権の発動として抑制するということは、これは困難だと思います。ただ、御承知のように、お酒とかビール等は最も典型的な超高度寡占業界でございますから、したがいまして、独禁法の規定によりまして「独占的状態」に該当するという指定をいたしておるわけでございますから、こういう独占的な市場構造要件に該当する企業につきましては、いわゆる弊害要件というのがあるわけでございますから、したがいまして、過度に広告宣伝費を支出するということにつきましては、これは将来問題としては検討しなければならないと思っておるわけでございます。
 ただ、いまおっしゃいました酒類小売店の表示規制の問題と関連しまして、直ちにテレビの表示規制、広告規制を行うことは現行法ではむずかしいということでございます。
#116
○委員長(山内一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時から委員会を再開し、渡部君の質疑を続行いたします。
 これにて休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#117
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十五年度総予算三案を一括して議題とし、渡部通子君の総括質疑を続けます。渡部君。
#118
○渡部通子君 次に移りますが、薬づけ養殖の問題について、ひとつ実態提起をして御意見を伺いたいと思っております。
 薬づけ医療ということは昨今私たちの大変な大関心事になっておりますが、それが畜産や、あるいは魚にまで及んでいるのではないか。こういうことは私たち再三指摘してきたところでございます。本日はその点についてウナギを例に御意見をただしたいと思います。
 最初に、台湾からのウナギの輸入の実情について説明願いたいと思います。
#119
○政府委員(米澤邦男君) 台湾からは、五十四年度におきまして活鰻で一万三千二百六十八トン、それから白焼きで四千八百八十二トンの輸入がございました。
#120
○渡部通子君 国内生産のどのくらいのパーセントですか。
#121
○政府委員(米澤邦男君) わが国の生産量は、五十四年度では四万七千トン程度でございました。
#122
○渡部通子君 どのくらいの割合になりますか。
#123
○政府委員(米澤邦男君) お答え申し上げます。
 したがいまして、輸入が総計で一万八千トン、それから国内の生産量が四万七千トンということでございますので四〇%ぐらい、生産量に対して四〇%ぐらいの輸入があったということになります。
#124
○渡部通子君 国内生産量の四割近くが台湾からの輸入品である、十匹食べれば四匹は台湾産であるということを前提にお願いをしたいと思います。
 厚生省さん、これ私はデパートで買いましたが、グリーンFゴールドというこの薬の中身について説明をしてください。
#125
○政府委員(山崎圭君) 先生いま御指摘のグリーンFゴールドは動物用医薬品でございまして、私どもの直接の所管ではございませんが、これに含まれております成分といたしましてフラゾリドンというものがございます。このフラゾリドンというのは、かつて人用の医薬品として使用されておりました。そしてその性質と申しますのは、主として抗菌剤として用いられておったものでございまして、実は、使用されておったということにつきましては、私ども全医薬品につきまして再評価をやっております。見直しをやっておるのでございますが、長期大量投与による動物実験によりまして発がん性を疑わすデータの報告がございました。そしてほかに適切な薬剤もあると、こういう観点から、現在すでにこれは使用を中止しておりまして、製造販売の中止と回収措置をとっているところでございます。
#126
○渡部通子君 もう一つ薬を聞きます。
 モナフラシンについて御説明ください。
#127
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。
 モナフラシンの中に含まれております成分といたしまして、ニトロフラゾンという成分がございます。このニトロフラゾンも、先ほど御説明いたしましたフラゾリドンと同じように、かつて医薬品として用いられておりましたが、やはり同じような長期大量投与によります動物実験で発がん性を疑わすデータの報告がございました。そしてほかにも適切な薬剤がこれにかわるものがある、こういう考え方で、五十二年七月六日以降医薬品としては製造中止をしております。
 以上でございます。
#128
○渡部通子君 国内ではグリーンFゴールドについては観賞魚にだけ使われていて、あとは一切禁止をされている。それからモナフラシン等については一切販売をされていない、いまの御説明で発がん性の疑いが人体には認められている、こういう薬でございます。その薬が台湾に参りますと大々的に養殖に使われているというのがこの台湾の唯一の業界誌である「養魚世界」というのに載っているわけでございます。この事実を御存じですか。これによりますと、総代理店もあるし、よくPRをされておりますけれども、御存じですか。
#129
○政府委員(米澤邦男君) お答え申し上げます。
 私ども、台湾の養殖における薬の使用状況につきましては、輸入業界等を通じましていろいろ実態の把握に努めておりますけれども、台湾で使われているということは承知をいたしております。
#130
○渡部通子君 いたしております……。
#131
○政府委員(米澤邦男君) ええ、そう聞いております。
#132
○渡部通子君 これ、資料一部をお配りはしてありますけれども、グリーンFゴールド、しかも表紙にまで――これは去年の十一月号ですが、ことしの一月号においても同じように中身は魚病、鰻病、ウナギの病気に予防、治療剤としてよく効くと。しかも日本の会社名でPRをされている。日本の国では絶対使ってはいけない、養殖には使っていけない薬が台湾にいくと、その同じ会社がPRをして大々的に養殖に効きますよと言っているんです。これは大変な問題だと思う。薄々聞いているなどということをおっしゃるけれども、実態は承知をしていないでしょう、何の手当てもしていらっしゃらないんですから。
 このように、発がん性の疑いがあって四、五年前から養魚場での使用をメーカー自身もやめている薬モナフラシン、それや、観賞魚専用の薬グリーンFゴールド、こういった薬が堂々と現実に台湾で売られてつくられている。それが――後で触れますけれども、日本に逆輸入されてくるわけでございますが、その辺で総理にちょっと伺っておきたいけれども、日本人が食べる魚には使っちゃいけない、台湾では使っていいのか、外国ではいいのか。台湾人の口にも入っていると思いますけれども、それについて総理の御感想いかがですか。
#133
○国務大臣(大平正芳君) やっぱり事実をよく調べまして、危険があるということでございますならば十分予防措置を講じなければならぬことと思います。
#134
○渡部通子君 事実があればなどということじゃなくて、事実をだから示しているわけなのです。発がん性の疑いがある、日本では全然使われていない、それが台湾では堂々と使われている。これだけの事実をしても、まだ事実を調べねばという、そういう御答弁では少し――人命を大事にする、あるいはアジアの人たちに対して日本が非難を受けるというような点に対して、総理のいまの御意見はちょっといただけないと思います。
 このグリーンFゴールド、これは輸出用として登録をされているのですか。会社や薬は登録されているのですか。
#135
○政府委員(犬伏孝治君) 動物用医薬品の中に入るわけでございますが、動物用医薬品につきましては、薬事法におきまして、その薬品を製造しようとする者は輸出しようとする品目について事前の届け出が必要でございます。いまの御指摘の製剤につきましては事前届け出があるというふうに聞いております。
#136
○渡部通子君 あるのだったら示してください。
#137
○政府委員(犬伏孝治君) いまちょっと手元にございませんので、至急取り寄せて御報告申し上げます。
#138
○渡部通子君 あるのだったら出していただきたい。私が調べた限りにおいてはございません。日本動物薬品株式会社などという名前も、それからグリーンFという、こちらはグリーンFゴールド七彩丹と表現まで変えているわけですから、そういう薬品名、会社名、これがもし登録されているのだったら後で出してください。それはちょっと留保しておきます。
 そうしたら、こういう国内で使ってはならない薬が外へ出ていく場合に、輸出時のチェックというのはどういうふうになっているのですか。
#139
○政府委員(犬伏孝治君) まあその製剤についての届け出がされているかどうか、いま確認をいたしておりますので、至急御報告いたしたいと存じますが、一般的に動物用医薬品の輸出につきましては、先ほど申し上げましたような事前の届け出が必要でございます。その届け出におきましては、成分、分量、製造方法、用法、用量、効能、効果、規格、試験方法等を農林水産大臣に届け出ることとなっておるわけでございます。その製剤自体、医薬品自体の製造につきましても、業として行う場合には許可が必要であるとなっておるわけでございます。
#140
○渡部通子君 ですから、動物用では輸出時に対して法の盲点があると思うのですけれども、こういうのが野放しに、日本でだめなら、じゃ台湾へ行って売ろうかという形で出ていく方法に対して、出ていく実態に対して、何らか出ていく段階でチェックの方法は考えられませんか。大臣、いかがですか。
#141
○国務大臣(武藤嘉文君) 従来、動物用医薬品の輸出というのはわりあい数量が少なかったものでございますから、輸出検査法の対象になっていないわけでございます。これがもし輸出検査法の対象になっておればそこでチェックができるわけでございますけれども、その点は今後の検討課題としてこれは真剣に考えていかなければならない問題であると私は承知をいたしておりますが、いずれにしても、次善の策としては、いまの話で届け出制ということになっておりますので、そこでチェックしていくということもこれは当面は非常に大切な問題ではなかろうか。いま調べておりますけれども、もし万が一届け出をしてなくて出しておったということであれば、早急にこれは事前届け出をさせるようにしなければいけない、こう考えております。
#142
○渡部通子君 じゃ、厚生省で、輸入時の薬物残留検査などはどのように行われていますか。
#143
○政府委員(榊孝悌君) お答えいたします。
 輸入時におきましては、日本の食品衛生法では、食品の中に抗生物質を含有してはいけない、あるいはいま御指摘がございましたような化学的合成品たる抗菌性物質というふうなものにつきましては、特に食肉あるいは魚介類等に含有してはならないということになっておりますので、これらにつきましては、各港あるいは空港等におります国の食品衛生監視員が一応チェックするというふうな実は仕組みになっております。そういうようなことで、食品衛生法に定める規格基準に適合しない食品が輸入されないように、またそういう輸入食品の排除というふうなことに一応努めているというのが現実でございます。
#144
○渡部通子君 食品衛生監視員は何人いらっしゃいますか。
#145
○政府委員(榊孝悌君) お答えします。
 現在、主要な十六カ所の海空港に約六十名の監視員が勤務いたしております。
#146
○渡部通子君 なかなか手が足りなくて、そこのところは大変お気の毒だと私は思うのです。やっぱり輸入時のチェックよりは輸出時にこれをとめる、こうしなければ何にもならないのだと、これだけを強調しておきたいと思うのです。
 総理に重ねて私は御意見を伺いたいのですけれども、いまちょっとの議論ですけれども、危険な薬というものを、日本では使われないのが同じ会社が台湾へ行って使っている、輸出のときのチェックがない、しかもそれが向こうから逆輸入をされてくる、輸入のときのチェックは非常に手が足りない、そういう中で現実に日本のウナギの三匹に一匹は台湾産のを食べている。向こうで大々的にこの薬が使われている。これは道義的に考えてもいかがなものでしょうか、台湾の人に対しても、あるいは日本国民の生命に対しても。総理の感想で結構です、聞かしてください。
#147
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘をいただきましたような事実を確かめまして、それが有害なものであるというようなことでございますればゆゆしいことだと思いまして、これに対しまして対策を講じなければならぬことは当然の政府の責任であると思います。
#148
○渡部通子君 総理はなかなか慎重でいらっしゃる。私も成田まで行って調べてみましたけれども、台湾産の段ボールに入ってがさっと着くのです。これは写真を大きくしておけばよかったのですけれどもお渡ししておきます。(写真を手渡す)そばには、トラックはみんな静岡県のトラックが来るわけです。だから、それは一たん浜名湖へ行くのです。店頭に出るときには浜名湖産で出てきます。だから、スーパーでどこへ行っても台湾産などとは書いてはありません。しかし、スーパーの段ボールは台湾の雑なのです。非常にだまされている。これはもう表示上の問題もあるけれども、それは抜きにして、こういう抜け穴があるということを本当に知ってもらいたい。私はゆゆしい問題だとその問題提起をするわけでございます。
 そこで対策でございますけれども、人体の薬、動物の薬の要指示制度、これの魚への適用をどうお考えになりますか。
#149
○政府委員(犬伏孝治君) 医薬品のうち、副作用が強いものあるいは病原菌に対して耐性を生じやすいものを要指示医薬品として指定をしておるわけでございますが、もっぱら魚に使用することを目的とする医薬品については、現在要指示医薬品として指定をいたしておりません。これは、御承知のとおり、動物用医薬品については獣医師の診断書または指示に基づいてでなければ購入ができないということでございますが、その診断書なり指示をする獣医師が魚病等についてのまだ知識、経験を十分持っていないという現状でございまして、この点につきましては、現在、日本獣医師会において魚病に関する研修会等も行って獣医師の魚病に対する知識の向上に努めておるところでございますが、現時点ではそういう診断、指示をするところまでに至ってないという現状でございまして、したがいまして、水産――魚にもっぱら使われる医薬品についての要指示医薬品としての指定がされてないということでございます。
#150
○渡部通子君 だからどうするんだと聞いているんです、大臣。
#151
○委員長(山内一郎君) 渡部君、立って御発言ください。
#152
○渡部通子君 いまの質問内容について、だからどうするんだということを聞いているんです、大臣。
#153
○政府委員(犬伏孝治君) したがいまして、いま日本獣医師会で研修等を行っておること、また、水産の分野におきましても魚病に関する研修、検討を総合的に進めておるところでございまして、それらの実施状況を見た上で、これなら要指示医薬品として指定ができるという段階、できるだけその段階は早いことを望むわけでございますが、そういう段階に至りましたときに具体的に検討をするということで、現状においてはまだその段階に達してないということでございます。
#154
○渡部通子君 大変のんびりした話で、その間にどんどん逆輸入で入ってきているわけです。
 八十国会の衆参の農林水産委員会の附帯決議にもあって、五十三年からですか、国立の獣医科大学では魚病教育というものが始まっている。五十九年には魚の正式指示資格者というものができてくるわけですね。それで、それを待っているという、そういうお話でございますが、獣医師法第十七条に魚を対象動物として入れる御意思はございますか。
#155
○政府委員(犬伏孝治君) 現在、部内で種々検討を行っておるところでございまして、その検討の結論を待って方針を決めたいと考えておるところでございます。
#156
○渡部通子君 大臣、答えてください。
#157
○国務大臣(武藤嘉文君) 獣医師法の対象にすることについては十分前向きで検討したいと思います。
 それから、先ほどの局長の答弁をちょっと補足をいたしますと、薬事法の改正がこの間できたわけでございまして、今度の九月から施行になるわけでございます。その中において動物用医薬品の使用の規制に関する規定というのもありますので、それに基づきまして、この魚に使用される医薬品についてもひとつ人の健康を損なうおそれのあるものにつきましては十分その使用の基準を決めまして、そういうものは適正な使用がなされるように指導をしてまいりたいと思いますし、それから台湾のウナギでございますが、輸入業者が日本にいるわけですから、ひとつ輸入業者を指導いたしまして、輸入業者に向こう側でどういう形で薬が使われておるかをよく実態を把握させて、もし万が一心配されるような薬の投与がなされておるということがはっきりすれば、もちろんこれは、こちらから法的には規制はできませんけれども、業者からそういう話を聞いたときには、なるべくそういうことについては十分向こうの生産者が善処するような形で指導してまいりたい、こう考えております。
#158
○渡部通子君 大臣にみんなわかっておいていただきたいんですけれども、デパートへ参りますと屋上の観賞魚用のところにこういう薬がずらっと並んでいるんです。動物用、水産用と併記をされているわけです。動物用であれば要指示薬ですから買えないんです。ところが、水産用と書いただけで幾らでも買えるわけです。だから、これを子供が買って飲んで死にかけた例すらあるんですね。だから、魚を薬事法の対象に入れておかないというこの一点がどれほど混乱を招いているかということでございます。これをよくわかっていていただきたい。
 だから、先ほど農林大臣ね、輸出時にも動物薬のチェックをしたいとおっしゃったけれども、幾ら動物薬のチェックをなすっても魚は今の薬事法では対象になっていないんですから、これの対象に魚を入れておかなければ、幾ら輸出時チェックをしようと、動物薬チェックをしようといってもむだでしょう。
#159
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどの動物の医薬品に対しての届け出は魚を含めて私どもは届け出をさせることになっておりますので、そういう点については私は対象になっておると、こう判断をしておるわけでございます。
#160
○渡部通子君 いずれにしても十七条に魚を入れてもらえば動物用、水産用などというまぎらわしい混乱はなくなるわけです。動物用と言えば魚も全部含むと、こういう形にすっきりとしていただきませんと、店頭販売が非常に危険だということを私は警告しておきたいと思うのです。
 ちなみに厚生省に伺っておきますが、現在こういう水産用とさえ書けば売れているという、こういう心配な薬というのはどのくらいあるんですか。
#161
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。
 厚生省というお名指しでございますが、動物用、水産用につきましては農林水産省の所管でございますので……。
#162
○政府委員(犬伏孝治君) お尋ねの趣旨は、同種の医薬品がどう今後なるかということでございましょうか。ちょっと焦点が……。
#163
○渡部通子君 違う、違う。こういうのが何種類ぐらい出ているかというんです。
#164
○政府委員(犬伏孝治君) 種類の数でございますか――現在、動物用医薬品につきまして、輸出関係の輸出業者が二十社ございまして、輸出品目は五十三品目でございます。
#165
○渡部通子君 日本の店頭で目に触れる水産用の逃げ道で出ている薬は何種類ありますかと聞いているんです。
#166
○政府委員(犬伏孝治君) 失礼いたしました。
 水産用の店頭で売られておるもの、その数全体はちょっと掌握いたしておりません。
#167
○渡部通子君 私、掌握しているんですけどね。
#168
○政府委員(米澤邦男君) 水産用医薬品として現在市販されているものは、五十二年度で百四十六品目、五十五年度現在で百十六品目というぐあいに承知いたしております。
#169
○渡部通子君 それだけ大量なものが店頭で水産用と書けば売れるという、並んでいるということを御承知おきいただきたいんです。本来、水産用という表示はもうやめさせるべきです。そして動物用で一貫していただきたい。そうしなければ危険が増大するばかりであるということを最後に申し上げておきます。
 そして、私、本当に単なる一点だけで取り上げましたけれども、こういう形態というのは日本のいま業者間の中に、世界を舞台にしていろいろ多数に行われていると思う。これではやはり日本人のあり方自体が世界じゅうにまたひんしゅくを買うようなことにもなるし、それが私たちの命にはね返ってくるという現実でございます。そういった点については、重々行政の方で早目に手を打ってほしいということを重ねて念を押す次第です。
 時間がありませんので、次に福祉の基本について若干お尋ねをしたいと思います。
 総理は御就任以来、日本型福祉社会ということを口にしておいででございますが、もちろん、わが国独特の福祉体系を模索するということについて、私はその点で反対するわけではありません。しかしながら、現実にはこれが福祉見直しというような延長線で追求もされかねない。そういった意味で、総理に改めてこの福祉ということに対する哲学を伺いたい。
#170
○国務大臣(大平正芳君) 福祉政策ばかりでございませんで、何事にもその国特有の特性があるわけでございまして、わが国の国柄にふさわしい政策を考えにゃいけません。福祉政策につきましても同様でございますが、そのことが直ちに福祉軽視というようにとられますことは大変迷惑なんでございまして、福祉政策を実効あるものにするために、血の通ったものにするために考えておることでございますので、その点は御理解をいただきたいと思うのでございます。
 それから第二に、福祉はひとり物質的な福祉ばかりで実現できるものとは考えないものでございまして、目に見えない精神的なものが同時に充足されないと本当の意味の福祉にはならないのではないかと思うのでございます。
 第三に、福祉は他から与えられることによってまたこれ完璧を期することができるわけじゃございませんで、やっぱり福祉を受ける者も福祉について心配をする者も一緒になりまして真剣に対処してまいるということでなければ本物の福祉政策にはならないのではないかという感じを私は持っております。
#171
○渡部通子君 また総理は家庭基盤の充実ということをおっしゃっていらっしゃいますが、具体的にはどういうことを指していらっしゃるのでしょうか。
#172
○国務大臣(大平正芳君) 家庭は社会にとりましても国にとりましても基礎的な基盤でございまして、これがしっかりしないと、その上に築かれるところの社会、国家社会というようなものがりっぱになるはずはございません。また、家庭におきましては各成員が無条件に善意を持って処遇されておる聖域でございます。したがって、われわれの乾いた世代におきまして家庭というものを、この聖域をりっぱなものにしていくということはすべてのことのもとになっておる大事なことではなかろうかと思います。そういう意味におきまして、家庭基盤を充実するということは政治や行政の基礎的なこととして重視しなきゃならぬというのが私の考え方でございます。その大事な家庭がいま核家族化いたしておる、家庭をめぐる環境が大変むずかしくなってきておるわけでございまして、そういったところに家庭自体に対しまして政治が介入するというようなことはもってのほかと思いますけれども、家庭をめぐる諸条件の改善、住宅にいたしましても、それをめぐる環境にいたしましても、精神的な環境の改善にいたしましても、いろいろ改善しなければならない面について政治がどこまでお手伝いができるかというような点をいませっかく政府でも検討をいたしておるわけでございまして、私からお願いいたしました研究会の報告はまだ来ておりませんけれども、この春にはまとまった御報告がいただけるのではないか、そしてわれわれの行政を進めてまいる場合の手助けになるのではないかということを期待いたしております。
#173
○渡部通子君 総理は伊勢神宮参拝後の記者会見のときに、家庭の日の提案は傾聴に値するとおっしゃっておりますが、どういう理由でそういう発言をなさったわけですか。
#174
○国務大臣(大平正芳君) 家庭の大切なこと、家庭に対する思いを新たにしていくということはいいことでございまして、家庭の日をそういう意味でつくりたいという念願はそれなりに傾聴に値する御提言であると考えておりますが、ただ、それが有給休日でなければならぬということ、そして相当休日が多い日本にとりましてそれを本当に置くといたしますならば、それだけのコンセンサスが得られるかどうか、それらの点につきまして若干私どもまだ熟していないものを持っておるわけでございますが、少なくとも家庭を大事にせにゃならぬということについて、家庭の日を設けることも一つの方法として考えられておるということに対しましては傾聴すべき御提言じゃないかという意味のことを申し上げたわけです。
#175
○渡部通子君 家庭の日も結構かと思いますけれども、それよりもやっぱり家庭の充実にはいろんな角度で考えられなければならない、それは総理のおっしゃるとおりですが、その中で私はたった一つだけ、時間の関係もありますから、取り上げたいと思います。
 これは寝たきり老人の問題でございますが、厚生省さんに伺いますが、現在寝たきりお年寄りはどのくらいいるか、将来の推計があるのか、それはだれによって介護をされているのか。
#176
○政府委員(山下眞臣君) 昭和五十三年の六月一日の厚生行政基礎調査でございますが、六十五歳以上の寝たきり老人、半年以上床につききりという老人でございますが、全体の三・一%で、二十九万九千人でございます。将来の推計は大変むずかしいのでございますが、同じ率で寝たきり老人が発生をするという推計をいたしますと、昭和六十年で三十六万九千人、それから昭和六十五年に四十三万一千人、それから昭和七十五年に五十九万一千人というふうな数字になっていくかと思います。
 それから家庭で介護されております状況でございますが、昭和五十二年の全国社会福祉協議会の調査でございますけれども、配偶者によって介護されております者が一二・六%、それから子供によって介護されておられますのが二一%、それから嫁ないし婿によって介護されております者が三八・一%、それから孫によって介護されておるというのが二・〇%、あとはその他でございます。
#177
○渡部通子君 いま半年以上ということで統計をお出しになりまして、これが三カ月以上とかとなってくると、もっとふえてくる。いずれにしても寝たきりのお年寄りは高齢化につれてふえる。
 それからもう重ねて聞きませんけれども、介護人というのは配偶者とか、そういう表現をなさいますけれども、私の調査によりますと――私の調査でなくとも、全国社会福祉協議会の調査によりますと、ほとんどがその中身は妻、嫁、娘、要するに女なんです。それは大臣、想像はつきますでしょう。
#178
○国務大臣(野呂恭一君) 介護人の実態でございますが、御指摘の社会福祉協議会の調査によりましてもお嫁さんとか、そういった方が三八%、配偶者が一二%、あるいは子供が二一%、こういう実態から見ましても御指摘のとおりだと思います。
#179
○渡部通子君 それで私は総理に申し上げたいんだけれども、家庭基盤の充実と申しましても、寝たきりが一人出ちゃったら吹っ飛んじゃうわけです。その場合にどうしても負担がかかってくるのは女なんです。総理は七十を越えられてますますお元気で重責にあられて結構なことですよ、私もそれを祈っておりますけれども、総理御自身やはり死ぬときにはだれがみとってくれるだろうとお考えですか。(笑声)
#180
○国務大臣(大平正芳君) やっぱり家内や子供や友人の顔が浮かんでまいります。(笑声)
#181
○渡部通子君 やはり家内とおっしゃるのが一番先に出てくる。巷間言われますように、寝たきり老人の介護はほとんど女ですから、一番切実感を持っているのは女性なんです。私は、ほとんど男の人には余り切実感はなかろうと思うんですね。だから女は三回死をみとると言っているんです。親の死をみとり、夫の死をみとり、最後に自分の死を自分でみとらなきゃならないと、これが私たちの覚悟なんです。だから寝たきり老人が一人出たら、あるいは身体障害者が一人出たならば、家庭基盤どころか女の人生というのは吹っ飛んでしまう。私は、その一点を手厚くすることなくして家庭基盤の充実も家庭の日もあり得ないと思うんですけれども、いかがですか。
#182
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりだと思います。きのうも七十歳以上の方々との集まりがございまして、夫婦の集まりでございましたけれども、やっぱり奥さんの方もだんなさんの方も、死ぬのはこっちが先に死にたいと言っています。(笑声)という意味は、どちらかにやっぱり世話を受けながらおりたいという願望がそこに示されておるわけでございまして、仰せのような状況をみんな願望いたしておることでございまして、そういうことに対してはできるだけ政治としてこたえなければならぬと思っております。
#183
○渡部通子君 厚生省、もう一点伺いますが、家庭奉仕員の実情を、簡単で結構です。
#184
○政府委員(山下眞臣君) 家庭奉仕員は市町村あるいは市町村から委託を受けた市町村の社会福祉協議会に設置されておるわけでございますが、昭和五十四年度では一万三千百二十人。このうち市町村に設置されておる者が六二・三%。それから社会福祉協議会が三七・七%。常勤で勤めております者が九〇・七%、非常勤が九・三%と、こういう実情でございます。
#185
○渡部通子君 外国との比較。
#186
○政府委員(山下眞臣君) 主要な国だけ申し上げますが、西ドイツ総数で一万二千六百八十五名でございます。それからカナダ三千二百九十名、アメリカ六万名、それからフランス七千百四十四名、イギリス十二万九千七百二十四名、それからノルウェー三万三千二百七十八名、オランダ八万二千七百名、そういう数字でございます。
#187
○渡部通子君 これは比率を出すとよくわかるんですけれども、日本は非常に少ないんです。だから家庭介護人もホームヘルパーさんも少ない。まして手当は非常に薄い、訪問看護制度もない。こういう中で寝たきり老人がふえていく現況、これはもう本当に家庭基盤をぶち壊す最大要件です。これについてひとつ重点福祉の施策をお願いしたいと思う。
 で、福祉職員の位置づけが私は大事だと思う。弁護士さん、会計士さん、こういったものはかちっとした社会的位置づけがあります。しかしながら、ホームヘルパーさんというのは本当に補助的作業に考えられている。したがって、これからの社会では福祉職員の位置づけをするために何らかの処遇が必要だと思うけれども、これに対する処置が必要だと思いますが、厚生大臣、それから総理の御見解を伺いたい。
 それからもう一つ、総理府長官に、家庭の日を今後断念するのか、法案提出の件についてちょっと御意見を聞いておきたいと思います。
#188
○国務大臣(野呂恭一君) 先ほどからいろいろ御指摘をいただいております寝たきり老人対策の推進におきましては、その寝たきり老人を抱える家庭の負担を軽減をして、そして家庭基盤の充実を図ることが老人自身のために、また同時に御家族のためにも大変重要であると、こういう点で、厚生省としては総合的に在宅福祉事業を推進していかなきゃならぬと思います。同時に、先ほどの問答の中にもございましたが、家庭奉仕員、いわゆるヘルパーも実態的に日本が非常に低いということでございますが、しかし、諸外国の場合は、その大半が非常勤のヘルパーでございますが、わが国の場合は九一%のヘルパーが常勤であるというような勤務の形態上の違いもあるとは思います。しかし、いずれにしても、こういう福祉関係の職員に対する確保を十分果たしていかなきゃなりませんし、またこの人々に対する研修をより進めていき、そして処遇、資格の問題につきましても改善を進めていきたいと考えております。
#189
○国務大臣(大平正芳君) 福祉関係の方々の充実、それからその資質の向上、その処遇の改善、そういった点につきましては政府として十分配慮していかなければならぬと思います。
#190
○国務大臣(小渕恵三君) 家庭の日の制定につきましては、各般から御要請もありまして検討しておるところでございますし、同時に、総理府総務長官のもとに私的な懇談会を設置をいたしまして、過去三回、有識者の御検討を願っておるところでございますが、近々その答申がなされる予定に相なっておりますので、そのことを十分踏まえ、かつ世論の動向等も踏まえまして、最終的な判断をいたしてまいりたいと、このように考えております。
#191
○渡部通子君 パートタイマーについて伺います。
 まず総理に、パートタイマーというのはどんな仕事をしているか、どういう認識をお持ちですか。
#192
○国務大臣(大平正芳君) 家庭にございまして育児とか家庭の仕事とあわせて、外における仕事との間の調節を図る、外での仕事につきまして、いわゆるパートタイムでお働きになっておられる一つの雇用形態を言うのではないかと思います。(笑声)
#193
○渡部通子君 労働大臣はどう見ていらっしゃいますか。
#194
○国務大臣(藤波孝生君) いま総理からお答えがあったとおりでございます。(笑声)
#195
○渡部通子君 フルタイマーとどう違うのですか。
#196
○国務大臣(藤波孝生君) パートタイマーでお働きになっておられる方々にもいろいろな方がございます。これは決して女子だけを言うわけではありませんから、男子のことも含めていろいろ考えてみますると、いろいろなタイプがあると思いますけれども、時間をかけて常雇用として働いておられる方、フルタイマーの方々と比較をいたしますと、いま総理からもお話がありましたように、家庭にあって育児などのことも頭に置きながら働きに出る、短時間でできる限り所得を上げたいというような形で、比較的どちらかと言えば軽便な形で働きに出て、家庭のことも心配しながら両立させてがんばっていくというような方々の場合を比較的多くパートタイマーと称していると思います。
#197
○渡部通子君 定義を教えてください。
#198
○政府委員(吉本実君) お答え申し上げます。
 パートタイマー自身の定義につきましては、現在確立はしておりません。また、労働法規関係についてもはっきりした明文の規定はないわけでございます。ただ、二、三の統計等で、たとえば賃金構造基本調査あるいは雇用動向調査では、一日の所定労働時間、または一週間の労働時間が一般労働者より少ない常用労働者と、こういうような形で調査をしております。それから労働力調査では、平均週労働時間が三十五時間未満の雇用者、こういうふうなことで言っておりますので、一般的には一日、一週あるいは一月の間の所定労働時間が一般労働者よりも短い人を総称してパートタイマーというふうに解して差し支えないのではないかと思います。
#199
○渡部通子君 そのパート労働者は、統計的に見て、四十年ごろからどの程度ふえているんですか。
#200
○政府委員(高橋久子君) お答え申し上げます。
 パートタイム労働者につきましては、ただいま基準局長から申し上げましたように、大変定義がむずかしゅうございますので、統計的にずっと連続してわかるものということで、短時間雇用労働者をとってみますと、昭和四十年に女子の短時間労働者は八十二万人でございました。これが昭和五十四年には二百四十万人と非常に大幅な増加を示しております。
#201
○渡部通子君 労働時間の変化、増加についてはおわかりになりませんか、わかっていたら……。
#202
○政府委員(高橋久子君) お答え申し上げます。
 パートタイマーにつきましては、労働時間の推移というものについてただいま把握することは困難でございますが、現在の数字で見ますと、一日当たり六時間働いて、平均月二十三日稼働しているという状況でございます。
#203
○渡部通子君 私、婦人労働の実態を拝見して不思議なのは、労働時間というのが出てこないんです。これについては東京都が実態調査をして五十年に発表いたしておりますので、それをかいつまんで申し上げますと、七時間以下が二四%、七時間から八時間が三八%、八時間以上三五・五%、合わせて七三・五%は八時間以上の労働、これが東京都で出した実態調査でございます。
 こうして見ますと、先ほど言われた労働大臣、総理の定義、短時間で所得を上げたいというパートタイマー、この短時間という定義は全く当たらなくなってきている。私は実態的にたくさんの人たちに会って聞いてきました。これを言いたいんだけれども、残念ながら時間がない。だけれども、ほとんど二年とか三年とかいって続けて働いていて、常用労働者と全く同じ時間働いています。賃金だけがばかに安い。これがいまパートの実態でございます。こうなってまいりますと、定義自体が少しずれてきているのではないか。考え方が実態と合わなくなっているのではないかと思いますが、いかがですか。
#204
○国務大臣(藤波孝生君) 委員御指摘のような傾向は確かにあると思います。ただ、中身は、そのケースがいろいろなものですから、一概にこういうのが形であるというのはなかなかとらえにくいと思いますけれども、一般的には、おっしゃるように、常用雇用でいかない、そんな形で働きたいけれどもなかなかそうもいかぬので、条件が満たされないので、パートのような形で働いているというような形に動いている傾向は確かに見られると思います。
#205
○渡部通子君 賃金を比較をしてみますと、これは詳しい中身は後でお知らせしますけれども、大体一カ月六万円違うんですね、ボーナスを含めますと。六万二千四百二十円、これは私がパートを最高に八時間労働二十五日と見て、これだけ賃金格差は出てくる。それで同じなんです、条件は。働いている時間というものは。こういう実情が浮き彫りになってきたときに、これは労基法の三条に違反しませんか。
#206
○政府委員(吉本実君) ただいま三条なり基準法との関係につきましては、必ずしもそういうことにはならないと思います。いろいろと実態を見た上でないとはっきりは言えないと思います。
#207
○渡部通子君 いまの答弁は残念です。だけれども、やっている暇がないので常任委員会に譲ることといたしまして、労働大臣もお認めになったように、フルタイム以上の労働時間をしている、それも二年、三年続けて雇用されているという形態が非常に多くなってくると、パートという名称は違うんじゃないかと思うけれども、総理大臣いかがですか。
#208
○政府委員(高橋久子君) 先生の御指摘にもございましたように、私どもは、パートタイム労働者と申しますのは、文字どおり労働時間が短い労働者と、このように考え、労働条件の面ではほかの労働者と違うべきものではないと考えているわけでございますが、労働時間の点につきましても、一般の労働者と同じような時間働いているのにパートタイム労働者というふうに呼ばれているものがございまして、企業ではそういうものを身分的に差別しているというような傾向が見られるところでございます。これがパートタイム問題の非常に大きな問題でございまして、調査をするに当たりましても、短時間労働者ということだけで調査をいたしましては必ずしも実態が明らかにならないという点がございますので、労働省では事業場でパートタイムと呼ばれている者というものにつきましても調査をいたしまして、先ほど先生が御指摘になりましたように、労働時間がほかの労働者と同じというようなものも把握されているわけでございます。
 このような状況というものは、私どもはパートタイム労働者というのは、婦人についてはやはり家庭責任との両立という面からそういう雇用形態もあってしかるべきとは思いますが、労働条件が非常に悪いということが問題でございますので、これを改善していって婦人が働きやすくするということが必要であろうかと存じます。
#209
○渡部通子君 結局、採用の際の隠れみのなんです。パートというと何も、労基法もないようにみんな一般が思っている。だけれども、この法が全部適用されなければならないということは決まっているんですから、その点についても労働省としては徹底して指導していただきたいと思う。私がいまちょっと申し上げたように、もうすでにパートが常用を超えるというような実情の中で、法の及ばないところで第二市場がすでにでき上がっているというのが実感なんです。だから、そのパート労働者に対して市民権を与えるべきだと思いますが、これに対して労働大臣と総理の御見解を伺いたい。
#210
○国務大臣(藤波孝生君) 先ほど来お答えをいたしておりますように、どういうのがパートタイマーであるかという定義はいまだ確定をしていない。そういうとらえ方で何かまとまった施策をしているという意味ではないわけでありまして、そういう意味では、先生御指摘のように、労働基準法も、あるいは最低賃金法もみんな適用をしてやっていかなきゃならぬという方々でございます。したがいまして、いまさらにその実態を詳しく調査をいたしまして、さらに労働保護法規等に正しく適用されてまいりますように労働基準監督行政を力強く推進をしていきたい、そして行政指導をしていきたい、このように考えておるところでございます。
#211
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘の点は、労働行政が取り組まなければならぬ一つの新たな課題であると考えます。
#212
○渡部通子君 もう一点聞いておきます。
 労基法十五条では「労働条件の明示」というのがありますが、パートの契約の場合、口頭が多いんですね。ここに一番問題があると思いますけれども、これについての御見解。
#213
○国務大臣(藤波孝生君) いま申し上げました労働基準監督行政を推進をすると申し上げました中の大部分は、労働条件を明確化するということを労使が雇用の状態に入るときに明らかにするということを指導していきたい、これが一番大きな眼目だと思っております。
#214
○渡部通子君 これ書面でちゃんと契約をするように、それが後のトラブルのもとですから、それを強力に具体的に指導していただきたい。よろしゅうございますね。
#215
○国務大臣(藤波孝生君) お話の方向で努力をいたしてまいります。
#216
○渡部通子君 ベビーホテルについてちょっと伺っておきます。全国二千と聞きますけれども、ホテルのでベビールームについて運輸省はつかんでおりますか。
#217
○政府委員(上田浩君) お答えいたします。
 運輸省におきましては、国際観光ホテル整備法によりまして外人観光客対象のホテルにつきまして実態をつかんでおりますが、いわゆるベビーホテルにつきましては実態はつかんでおりません。ただ、巷間うわさされるところによりますと、三、四社、登録ホテルで三ホテルがこのベビーホテル業者に部屋を貸しているという実態は聞いております。
#218
○渡部通子君 いや、運輸省でそれをつかめと言っても無理かもしれないけれども、都内には一流ホテルから三流ホテルに至るまで幾らでもあるのです。そこで保育所並みのことをやって、無認可保育所の延長線にあるようなんですね。非常に衛生面もまずいということでの通報も私受けました。ここでの安全対策や職員の資格条件などはどうなっているんですか。
#219
○政府委員(竹内嘉巳君) お答えいたします。
 ベビーホテルにつきましては、ベビーホテルという定義そのものが実は全然私どもわかりません。かつ、現在の日本の法体系の中でベビーホテルを規制し、ないしは行政対象としてとらえる仕組みというのが実はございません。私ども、乳児の生命の保持あるいは健康の促進ということ自体私どもの仕事だと思っております。そういう意味で、この問題について実は数年前から幾つか問題もありまして、何とか行政という面で指導という意味でもできないかということをいろいろやってみましたけれども、いまのところ、その正確な意味でベビーホテルについて資格を云々する、ないしは内部の衛生設備その他物理的な条件等について規制をするという段階に立ち至っていないものですから、この方向を何とか、法的には個別の条文にはよれませんけれども、現在私どもが所管いたしております母子保健法の法律の制定の趣旨に照らした形で何とか行政指導という形がやれないものか、現在、家庭保健問題の検討委員会で実は議題ともなっており、私どももその問題についていろいろ検討はいたしておりますけれども、残念ながらまだそこに至っていないということでございます。
#220
○渡部通子君 結局、無認可保育所の延長だから厚生省では手がつけられないというのがいままでだった。
 官房長官、これは所管庁はどこにしますか。
#221
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 所管が決まらぬと、すぐ官房とか総理府でやれと、こう言われるんでございますが、どうもいま伺っておりますと、やっぱり厚生大臣と相談してやるのが一番いいんじゃないかと思いますね。これは検討してみます。
#222
○渡部通子君 表示の点でもう一点伺っておきますが、一流ホテルでやっていると、ホテルの名称が出ている、さっぱりほかでだれが何をやっているかわからない、そうするとやっぱりホテルが責任を負ってくれるのかなという、これで安心感があって預けるんですけれども、この表示に何らかの問題はありませんか。
#223
○政府委員(橋口收君) ベビールームの事業者がホテルの一室を借りて経営を行うことは、これは自由であると思います。ただ、ホテルの名称を僣称することによりまして自分の信用を補強するということであれば、これはいわゆる信用誤認の問題が生ずるというふうに考えます。ただ、信用誤認につきましては特に指定をいたしませんと法の発動ができないわけでございますが、よく実態を調べて、指導によって解決できるものがあれば解決をいたしたいと思います。要は、事業者がホテルの名前を使って自分の信用を補強することがないように十分注意したいと思います。
#224
○委員長(山内一郎君) 時間が来ましたからあと一問にしてください。
#225
○渡部通子君 じゃ、最後に一点。
 労基法の不備から、雇用における平等法をつくろうという空気が非常に強くなっておりますし、私どもも法案提出を準備いたしておりますが、これに対する労働大臣のもう一歩踏み込んだ御回答をいただいておきたいと思います。
#226
○国務大臣(藤波孝生君) 雇用におきます男女平等法につきましては、一昨年労働基準法研究会からその必要性が指摘されまして、労働省としてもそれを受けとめて検討に入っているところでございます。男女平等の具体的なガイドライン、これはいろいろな議論もございますので、男女平等というものについて一つ一つ具体的にどういうふうに平等を構えていくかということについてはいろんな意見もあるものですから、やはりできる限りその議論をこなさなきゃいかぬと、こういうふうに思います。保護すべきものはきちっと女だから保護しなきゃいかぬという面もありますけれども、ただいたずらに、もう何でも女性だから保護するということでございますと、今度は男女の平等が阻害されるという一面もございます。その辺の議論は十分やっぱりこなしておかなきゃいかぬというふうに思いますので、今後ずいぶん長く続いていくでありましょうこのわが国におきます男女平等をめぐっての議論も非常に大事な場面を迎えていると、こういうふうに考えまして、よくその意見をそしゃくをするというふうに考えて、審議会等で十分意見をこなしてもらうというふうにお願いをしておるところでございますので、労働省といたしましても、その審議会等の意見を踏まえまして前向きに取り組ませていただきたい。いまの時点ではそういった御答弁を申し上げることを御理解をいただきたいと思います。とにかく議論を進めてまいります。
#227
○委員長(山内一郎君) 以上で渡部君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#228
○委員長(山内一郎君) 次に、小笠原貞子君の総括質疑を行います。小笠原君。
#229
○小笠原貞子君 物価の情勢というのは非常に深刻な情勢になっております。国民のみんなが、一番問題は何だと言うと物価不安と言うのははっきり出ております。
 二月の卸売物価の状況、そしてその中での特徴的な問題はどういうふうにとらえていらっしゃるか、経企庁からお答えいただきたいと思います。
#230
○国務大臣(正示啓次郎君) 御指摘のように、大変物価問題が重要でありまして、国民の皆様も非常な関心を持っておられることは御指摘のとおりであります。
 二月の卸売物価が最近発表になりましたが、まず、卸売物価は全体としてじり高といいましょうか、確かにだんだんと上げ足を強めておる、こういうことが第一でございます。それからもう一つは、だんだんと御質疑もあることと存じますが、いままではいわゆる輸入資材、特に原油それから原材料、こういうものの輸入価格が非常に高くて、それが卸売物価引き上げの一番の主犯と申しましょうか、一番の大きな原因でありました。また、円安もそれに加速しておるような感じでございます。そういうことで、われわれとしては、輸入インフレを国内でホームメードインフレに転化させないようにということで、中間製品、完成品への波及をできるだけ抑える、中間加工工程で吸収していただく、こういうことを主力としてやってまいったわけでありますが、ややまだまだ大きな変化とは申せませんものの、全体として先ほど申した強含みの傾向があると同時に、この国内の関係の上がり方も若干強くなっておる、こういう点に大変われわれとしては注目をいたしまして、近く総合的な物価対策を樹立、実施したい、こういうわけで、ただいま関係省庁とともにいろいろと構想を練っておるという段階でございます。
#231
○小笠原貞子君 まあ狂乱物価以降の最悪の事態と言うことができると思いますし、非常に消費財にも波及してきている。その中でも電力、ガスというような公共料金の値上げというのがいまの問題として非常に大きく取り上げられているし、産業の米である鉄の値上げが認められたとすると、これは非常に深刻な情勢をまた深めていくと、そう思うわけです。だから、どうしてもこれは当面公共料金の値上げを凍結してもらいたい、そうすべきであるというのがわれわれの考えでございます。どういうお考えに立っていらっしゃるか、その点。
 それから、政府の卸売、消費者物価の見通し、見通しは私は非常に楽観的で甘いと思うんです。非常事態、そして狂乱直前といういまの事態で、この見方はどうも甘いんじゃないかと、実際どういうふうに見ていらっしゃって、それに対応するようなどういう処置を考えていらっしゃるか。
#232
○国務大臣(正示啓次郎君) 小笠原先生よくいろいろと主婦のお立場もおわかりと思います。私は、いま主婦の皆様、御家庭の家計をごらんになって、大変いろいろ苦しいけれども、しかし、まず前回の狂乱物価とは非常な違いがあることも御認識いただいておると思うんです。もちろん、いま申し上げたように、全体として上げ足がだんだん強くなっておりますので、そういう点で非常に御心配をかけておりますけれども、まず第一に、本年度、五十四年度の消費者物価は、これはもう本当に当初の目標四・九を四・七に下方修正をして、しかも最近の野菜価格の急騰というふうな一時的現象、季節的現象がございましたが、これまたいろいろの努力でだんだんと愁眉を開き得るんじゃないか。さらに今後努力すれば四・七の本年度の目標はこれは必ず達成できる。こういう事態を踏まえて来年度についても、先ほど申し上げたように、卸売物価高騰の様相は、これはもう全く楽観を許しません。油断はできません。しかし、それを消費者物価に波及させない努力というものは、いままでのようなやり方をさらに強めることによってこれは不可能ではない。すなわち六・四というわれわれの目標はこれは絶対に達成不可能なものではないので、先ほど申し上げたような新しい対策を強化することによってこれをしのいでいかなきゃならぬ。そして、それがいわゆる春闘の賃上げ等にも重大な関係がございますので、その辺からわれわれとしては国民の総力を挙げたインフレ防止、インフレが悪化することを抑圧するという努力を傾注することによって、諸外国でいまみんな苦しんでおるインフレの最悪の状態をわれわれとしては何とかしのいでいけると、こういうことでやっております。どうかひとつこの狂乱物価がもう必ず来るんだとか、あるいはその前夜であるとか、こういう考えでなくて、一層の御支援と御鞭撻をお願いしたいと思います。
#233
○小笠原貞子君 考えるのじゃなくて、実際の実感として本当に大変な時期だということから申し上げたわけです。
 そういう物価の問題の中でも欠かせない魚の問題、食卓に乗ります。その問題の一つとして、私は、きょうは、かずのこ問題を取り上げたいと思うわけです。まさに消費者不在で価格操作がされた、そして手痛いしっぺ返しを食ったといういい例があのかずのこでございます。輸入水産物も大体これと似たようなケースでございますが、まず、かずのこできょうはやります。その輸入量、どこから輸入しているか、国。御説明をいただきたいと思います。
#234
○政府委員(今村宣夫君) かずのこの輸入は、五十四年では総計で八千二百トンでございますが、そのうち大口はカナダで五千六百トン、これは全体の六八%を占めてます。その次が米国の千百トンで一三%、中国が九百トンで一〇%。この三国で七千六百トンになりまして、全体の九三%を占めております。
#235
○小笠原貞子君 五十三年に急にかずのこが高騰いたしました。去年は五十三年の高騰したそのまた倍に高騰をいたしました。異常な高値でございます。まず五十三年に大変な高値になった原因は何だと見ていらっしゃいますでしょうか。
#236
○政府委員(今村宣夫君) 五十三年のかずのこの輸入価格は、ドルベースで見ますとキログラム当たり十七ドルで、前年に比べて大幅に上昇をいたしております。その原因は、一つは主要供給国でございますカナダにおきます抱卵ニシンの資源が非常に減少をいたしまして、それを反映しまして漁獲量が減少をいたしました。五十二年が八万三千トンであったのが五十三年には七万トンと一六%減でございます。こういう供給不足が商社等の買い付け意欲を高めて、その価格が上昇したものだというふうに見られます。
#237
○小笠原貞子君 その実態を少し私ははっきりさせたいと思います。非常にまだ政府の御認識が甘いと思います。
 これは通産省からいただきました「水産物国際流通構造研究会報告書」というのがございます。この報告書の中で商社がどういう役割りを果たしているか、きわめて生々しく報告されているやに私は見ました。その中身を御説明いただきたいと思います。
#238
○政府委員(花岡宗助君) お答えいたします。
 この中には、かずのこの買い占めに関しますカナダ側からの対日批判についても書かれております。また、七八年のかずのこの価格の暴騰につきましての報告書は、東京農業大学の掘口健治先生の御報告でございますが、その中で、七八年はカナダ政府のニシン漁獲量のガイドラインが前年より引き下げられたことによりまして、生産量も減少するであろうという見通しのもとに商戦が始まったということで、特に暴騰いたしましたのは、一大手商社が破格の価格で全量落札したことによって激化された。当初かずのこは一ポンド六ドルで始まったものが九ドルに達し、また、漁業者から加工業者に渡る際の浜値もわずか六週間の短期に三倍近くにはね上がったというふうに報ぜられております。
#239
○小笠原貞子君 そういう内容でございます。そして中に具体的に、日本企業の進出ラッシュ、このまま現状を放置しておくならば将来ブリティッシュコロンビア州沿岸漁業が日本に支配されてしまうのではないかというふうに報告が出されております。で、「日本人がBC州漁業を侵略」というようにフィナンシャルタイムズに報じられているというように、非常に具体的に日本のやってきたことに対するカナダ側の批判がございます、商社に対する。
 それではカナダでは日本に対して雇用面でどういうふうに指摘されておりますでしょうか。
#240
○政府委員(花岡宗助君) お答えいたします。
 ブリティッシュコロンビア州の水産加工業者の中には原料不足、原料高騰によりまして経営困難に陥っている者もある。これに伴ってカナダ人の雇用機会が失われるおそれがあるというようなふうに書かれております。
#241
○小笠原貞子君 まさに雇用問題としても非常に大きく取り扱われて危険視されているわけでございます。
 また、報告書では、大手商社によるかなりの高値買い付けにより過当競争となっている、というふうに書かれていると思いますけれども、もうちょっとそこを具体的に内容を説明してください。
#242
○政府委員(花岡宗助君) お答えいたします。
 これはブリティッシュコロンビア州の漁業局のプロバーブスという方の報告書でございますが、政府の意見ではなくて著者個人の意見であるということで述べられておるわけでございますが、七四年以降、急激に日本資本のカナダ水産加工業への進出というのが行われまして、それで社債の購入あるいは直接金融は必ず販売契約を伴い、販売契約の主たるものはその先買い権である、この先買い権によって経営が実質上日本側に握られることになるということを警告いたしておるということでございます。
#243
○小笠原貞子君 非常に具体的に書かれているわけです。「抱卵ニシンの漁期中もジリジリ値を上げていたが、暴騰は漁期後の「B・C・パッカーズ」の数の子競売で、一大手商社が破格の価格で全量落札したことできわまった。」、こういうふうにはっきり書かれているわけでございます。ここで、大手商社によりきわまった、かなりの高値買い付けによりというふうに言われているわけですけれども、その大手商社というのは一体どこでございましょうか、農林省。
#244
○政府委員(今村宣夫君) 五十四年度の場合におきましては、御指摘のように、非常に需給が逼迫をいたしておったと同時に、大洋漁業がBCパッカーズと契約をしたということが契機になりまして、キャッシュ・バイというような形で買い付けが行われたわけでございますが、その場合におきまして、大洋漁業はそれほどの数量ではございませんでしたが、そのほかいろいろの商社が参りまして買い付けを実施したというふうに聞いております。
#245
○小笠原貞子君 お答えにくいかもしれません。私の方で調べました。そしてこれは巷間言われていることでございます。三菱商事というふうに言われておりますが、いかがでございますか。
#246
○政府委員(今村宣夫君) 五十三年のことでございますか、五十四年……
#247
○小笠原貞子君 五十三年。
#248
○政府委員(今村宣夫君) 五十三年におきましては、三菱商事はカナダの一番大きいニシンの加工企業でありますブリティッシュパッカーズ社の入札に対しまして相当の高値で落札をした、これが海外価格の高騰の引き金になったと言われております。
#249
○小笠原貞子君 それじゃ七九年はどういう状況になっておりますでしょうか。三菱商事は国内の買い占めだけではなくて、国外としても、はっきり言えば、非常に悪らつな商法を行っているというふうにここにも指摘されているわけでございますが、七九年にはどういう状況ですか。
#250
○政府委員(今村宣夫君) 五十三年までは、商社が現地工場のパッカーから買う場合が一般的でございましたが、五十四年は、大洋漁業が加工業者の最大手のBCパッカーズと独占契約を締結いたしましたために、他の商社が直接個々の漁業者からの買い付けに走りまして、極端な例は、キャッシュ・バイと称しまして漁場で現金で買い付けるという状況でございました。
#251
○小笠原貞子君 これもここにはっきり書かれているわけです。一九七九年は「浜値千六百ドルで始まったものが最高四千八百ドルまでになったといわれている。」、そして「過当競争はここにきわまったとしかいいようがない。」、こういうふうに書かれているわけでございます。
 時間がないから、わずかしか申し上げられませんでしたけれども、非常にカナダでは批判されているその商社のやり方というような、こういう事態についてどのように見て対処すべきだと考えていらっしゃいますか、通産省、まずそれを伺いたいと思います。
#252
○国務大臣(佐々木義武君) 安定的な輸入あるいはそのための過当競争等はこれに反したやり方でございまして、こういう状況は好ましくないものだと思っております。できますれば、秩序ある輸入で、安定的に混乱のない輸入をしてもらいたいと関係業者を指導しているところでございます。
#253
○小笠原貞子君 好ましくないなんていう、そんななまぬるい感覚じゃちょっと困ると思うんですけれどもね。
 日本に漁業はもう侵略されてきているよというふうな非常に大きな対日批判になってきているわけですけれども、大平さん、サミットでカナダの偉い方とお会いになったりして、カナダにはいろいろ御関心もあろうかと思いますけれども、こういう日本の商社のやり方――買い付けて値上げをして、そしてみんなに迷惑をかけているというようなこの問題について、総理としては、どういうふうに御感想をお持ちでしょうか。
#254
○国務大臣(大平正芳君) 伝えられているようなことが事実とすれば、これは大変残念なことでございまして、商社はそれぞれ営利会社として運営しておられるわけでございましょうけれども、消費者の利益、日本の信用、そういった点につきましては心して活動していただかなければならぬと存じまするし、政府といたしましても、政府の立場でそういう秩序ある業務の運営につきまして事あるごとに指導をしていかなければいけないと思っています。
#255
○小笠原貞子君 これは海外との関係ですけれども、これから国内の問題でお伺いしたいと思います。
 国内で五十三年、五十四年、非常に異常な価格が出てまいりました。なぜこうなったのか、どういうふうに分析していらっしゃいますでしょうか。
#256
○政府委員(今村宣夫君) かずのこの東京の卸売市場の卸売価格で見てみますと、五十三年は五千二百七十二円、キログラムでございますが、ということで前年に比して大体二五%ぐらいの上昇を見たわけでございます。五十四年には九月、十月と上昇をいたしまして、十月は一番高くて一万一千四百四十円、キログラム当たりということになったわけでございますが、十一月以後反落をしまして、本年に至っては非常に低落をしているというのが実情でございます。
 この原因につきましては、基本的には輸入量の減少による需給ギャップにあると思いますが、一部業者の思惑的な取引によるところも否めないことであろうと考えております。
#257
○小笠原貞子君 一昨年、三菱商事は輸入価格をつり上げて国内でも買い占めを行った、ざっと二十億以上もうけた、こう言われているわけです。昨年も三菱、北商による買い占めで、御承知のように、値上がりいたしました。しかし、消費者は賢明で買わなかった。そして北商は倒産ということになるわけですが、この北商が倒産する原因、経過、関係者への影響についてどうごらんになっていらっしゃいますか。
#258
○政府委員(今村宣夫君) 北商が倒産するに至りました経過と原因でございますが、昨年、かずのこの原卵を海外及び国内におきまして高値で買い付けまして、さらにまた市場において製品を買い付ける等によりまして価格の維持を図ったわけでございますが、御指摘のように、消費者の買い控えによりまして大量の越年在庫を抱えるに至ったために、資金繰りが悪化しまして、本年に入りまして経営が困難になって倒産に至ったということに承知をいたしております。
 影響でございますが、北商の債務額等については、現在、破産管財人の手によって整理中と聞いておりまして、来る三月二十六日の債権者集会の結果によって明らかになるものと聞いております。
 この金額は通産省からお答えいただく方がいいと思いますけれども、私たちが関係者から報告をまとめておるところでは、北商の債権者数は約二百、債権額は二百五十億円程度になるというふうに承知をいたしております。
#259
○小笠原貞子君 その間、政府は具体的にどのように対処され、指導されたでしょうか。
#260
○政府委員(今村宣夫君) 農林省といたしましては、昨年の秋のかずのこの価格高騰に対しましては、関係商社等に実需を無視した価格形成を行ってはならないということを再三にわたり指導をしたところでございます。
 北商の倒産によりまして、特に北海道の中小零細の水産加工業者の影響が大きゅうございますので、通産省及び北海道と連絡を緊密にとりながら、その実態の把握に努めますと同時に、関連中小企業の倒産の防止に努めておるところでございます。
#261
○小笠原貞子君 私たち調査をいたしました。と申しますのは、加工業者の非常に多いのが北海道の留萌でございます。このすべての人たちが北商という会社は三菱の子会社と思っていた、こういうふうにおっしゃるわけです。ところが、具体的に全部一つ一つ調べてみますと、子会社どころか、まさに一心同体という関係にあるということで調査の段階でも非常にびっくりいたしました。そして北商と三菱が一心同体、それと一緒に三菱と北商、そして三菱グループという、その操作によりまして国内価格が非常につり上げられておりました。
 時間がございませんが、特徴的な例として申し上げたいと思います。(図表を示す)
 第一のケースでございますが、これはこのケースで御説明いたします。これちょっとわかりにくいので、もうそちらにこれを出してありますし、ちょっと私ずっと持って質問するわけにいきませんが、時はいつか、時は十月の二十三日でございます。舞台はどこか、札幌中央卸売市場、こうなっているわけでございます。
 ここで、北商が、ここに書いてありますように、丸水という荷受け会社に売ったわけです。そして一万三千二百六十円で丸水というのが買いました。そして丸水とそれからこの仲卸というのが札幌市場の場内で相対で取引をいたしまして、一万三千五百円でこれを買い取りをいたしました。そして買い取った仲卸からこの柳堀という加工業者に一万四千三百十円で売っているわけでございます。そしてその北商から出た六十トンというのが二回に分かれますけれども、これ全量ここの柳堀という加工業者に入るわけです。これは三菱のスリーダイヤという商品をつくっておりますが、三菱の系列の会社でございますね。つまり、ここではっきりしていることは、北商から荷が出て、そして三菱のこの系列に入って、そしてここから、この三洋食品というのも三菱でございますが、また三菱に入っていくということでございますね。まさに北商と三菱が一体となって価格を操作していけるというようなスタートになっているということがはっきりしていると思うわけです。しかも、札幌の中央卸売市場でこれがやられているということがはっきりしたわけなんですが、水産庁として、これは御承知だったでしょうか。もし御承知でなければ調査をしていただきたいと思います。
#262
○政府委員(今村宣夫君) 北商と三菱商事は直接的な出資その他の関係はございませんが、業務取引の関係は非常に密接であったということは私どもも承知をいたしております。具体的なケースにつきましては承知をいたしておりませんが、こういう具体的なケースについても必要があれば調査をいたしたいと思います。
#263
○小笠原貞子君 必要だと思うのです。調査してください。
#264
○政府委員(今村宣夫君) 調査をいたしたいと思います。
#265
○小笠原貞子君 もうちょっと大きい声でおっしゃってください。
 それじゃ、次の第二のケースでございます。これもお手元にいっているので、ごらんいただきたいと思うのですけれども、これも三菱が原卵輸入をいたします。輸入したときの値段はキロ当たり六千九百五十七円でございます。これが実際に加工業者と直接の話し合いになっているわけなんです。これを三菱が加工業者に一万三千五百円で買え、こう言うわけですね。しかし、加工業者は専門家ですから、そんなに高くて加工賃をつけて、そして製品になったら売れないよ、それは高くて買えないよと言ったら、いや心配するな、これで買ってもちゃんと一万五千円で買うところがあるんだよ、それは北商だというような形で、そして加工業者に売られるわけでございますね。そして、そのときに心配だから、本当にそんな保証があるのか、何ぼで買ってくれるんだというようなことを言いますと、いや心配するなと。たとえばここに証拠があるんですけれども、これは三菱の人がその加工業者に出しているんですね、そしてこれは私持ってまいりました。たとえば、かずのこに大中小あります。大ならば一万五千円でちゃんとここで引き受けるところがあるから安心なんだと言って、これを保証して買わせるわけなんですね。そして、そうかと、それじゃ三菱さんがそう言うのだったらと言って、この加工業者は買いました。しかし、買ったときには、ここの三洋食品というところから仲を通してという形で来ています。しかし、これは真っすぐ二つで直接話し合いをしているわけですね。それで売ったはいいけれども、ここのところで北商が買ってくれた分、すなわち売った分は全部債権になって借金になった、こういうことになるわけでございますね。こういうふうに考えますと、これはまさに大変なことになるわけです。
 それで、公取の方にお伺いしたいんでございますが、独禁法で言う不当な取引制限というのを見ますと、まさにこのことを言っているのではないか。業者が共同して価格をこういうふうにつり上げているということですね、これについてどうでしょうか、私はこれに当たると。
#266
○政府委員(橋口收君) 不当な取引制限に該当するかどうかという御趣旨の御質問でないかと思いますが、不当な取引制限と申しますのは、相互に競争関係にある事業者がお互いに対価を決定するとか、あるいは生産数量を調整するという場合に不当な取引制限になるわけでございまして、いまのお話にございましたように、三菱商事と北商の関係は競争関係というよりは一体関係にあるということでございますから、不当な取引制限の条章には該当しにくいというふうに思います。ただ、まだ実態を十分究明しておりませんから的確なお答えはできませんが、商事と北商が結託をいたしまして市場を龍断ずる、それによって他の事業者を排除するというようなことがございます場合には、かずのこ市場における私的独占という疑いが生ずるということでございまして、むしろ適用があるとすれば私的独占の疑いの方が強いのではないかと思います。
#267
○小笠原貞子君 まさに三菱と一体だという形と一緒に、三菱と一緒になりまして、そしてこの二つで輸入かずのこの半数近くを独占しちゃっているという形から、私はいまそういうふうなのが当たると思ったわけなんですけれども、この事実をきょうはっきりさせまして、公取の方でもぜひ具体的に御調査をしていただきたいと思います。
#268
○政府委員(橋口收君) 北商はすでに破産をいたしておりますし、それから三菱商事もかずのこから撤退するということを宣言いたしておりますので、いま水産庁の方で御調査いただくということでございますから、まず水産庁の御調査を見まして、それから態度を決定したいと思います。
#269
○小笠原貞子君 もう済んじゃったなんというものじゃないですよ。過去に悪いことをやったのはちゃんとはっきりさせてもらいたいと思うのですね。
 なお、いずれにしてもこの三菱と北商が買い占めて、そして価格操作をやって非常な問題起こしたし、国民は大変苦労したというような事実、大臣、一体これをどうごらんになっていらっしゃるでしょうか。
#270
○国務大臣(武藤嘉文君) 企業というのは、確かに営利を目的としますけれども、一方、社会的な責任というのは十分これはあるわけでございます。そういう意味において、三菱商事が北商と組んでそういう水産物を投機の対象にしたことも大変私は遺憾なことであると思いますし、いまお話を聞いておりますと、その加工業者、結果的にはこれは工賃かせぎをやらされたんじゃないかと思うんですけれども、そういう点で非常に迷惑をこうむっておるということであれば、これも大変遺憾なことであると思っております。
#271
○小笠原貞子君 工賃かせぎどころか、全部それが債権になっちゃっていますからね。
 そこで、三菱の社長さんが記者会見でおっしゃっているわけですわ、北商とは全く関係がないと。買い占めとか高値操作はわが社は絶対にやっていないと、関係ないというふうに、買い占めもしていないと強弁されておりますが、まさにこれはごまかしだと思うんです。三菱にだまされて、そして高い原卵を買わされた留萌の加工業者の債権というのは二十億になっているんですね。そうすると、やっぱり三菱というものが非常に私は、いまおっしゃったように、社会的な責任があると思うんですね。それに対して当然責任をとるべきだというような具体的な勧告なり御指導なりというものをいただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
#272
○国務大臣(武藤嘉文君) これは中小企業倒産関連の関係で中小企業庁が中心としてやっていただいておるわけでございますが、もちろん、私どもは協力してできるだけの善処をしていきたいと考えております。
#273
○政府委員(左近友三郎君) 北商の倒産に伴います関連加工業者対策でございますが、これについては、二月九日に中小企業信用保険法に基づきまして北商を倒産企業に指定いたしまして、関連の中小企業者が倒産関連の特別補償が受けられるようにいたしました。それから二月の十四日に、関係の通産局――これは東京通産局と札幌の通産局でございますが、それぞれが主催をいたしまして、その地域の財務局、それから日銀の支店、それから北海道あるいは東京都というような関係機関が集まりまして、関連の中小企業者の対策の連絡協議会をやりまして、それに対して個々の関連業者に対する対策を逐一検討したわけでございます。民間の金融機関、それから政府系金融機関の特別融資等によりまして小康を得ておりますが、ただ、まだまだ問題が解消したわけではございません。今後とも個々の関連業者の実態に即してきめ細かい対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
#274
○小笠原貞子君 非常に具体的に、きのうも聞いたんだけれども、深刻な状態ですから、しかるべき対策、手を打っていただきたいと思います。
 次に警察庁にお願いしますが、社長さんが十五億持って逃げ出しちゃったわけですね。これは出たいんだけれども身の危険があって出られないというふうに新聞にも報道されておりました。そういう身の危険を感じられているということに対して、保護するなど具体的な対処を考えていらっしゃいますか。
#275
○政府委員(中平和水君) 警察といたしましては、所在不明になっておる中村社長、元社長でございますか、その方の所在を直接つかんでおるわけではございませんが、関係者のところには本人の所在はわかっているようでございます。
 それから身の危険を感じているというのを私ども報道等で承知しておるわけでございますが、そういう理由から、本人とか家族の方から、あるいは関係者の方から具体的な依頼等がございますれば、当然その段階で警視庁としては適切な措置をとると、こういうふうに考えている次第でございます。
#276
○小笠原貞子君 依頼がなくて、それで何か起こったらどうするんですか、しようがないんですか。
#277
○政府委員(中平和水君) ただいま申し上げましたように、一応関係者を通じてコンタクトはとれているわけでございますから、それで御理解いただきたいと思います。
#278
○小笠原貞子君 いまのかずのこ問題を見ましても非常に問題ははっきりしているわけですね。三菱という大商社、大きな資金を使って海外では一体何をやっているか。さっき言われたように、まさに日本の商社が侵略していって、そして漁業が脅かされるというような問題を起こし、そして国内ではその大商社が価格操作をやっているというこの実態を見ますと、私はこれは非常な問題だと思います。きょう、時間がなくて、かずのこだけにいたしましたけれども、いろいろ水産物にもこれがかかってまいりますので、ぜひこの点に関しても関心を深めて適切なる処置をはっきりさせていただきたいということを重ねて要望したいと思います。
 次に、いわゆる選挙退職金問題というふうに言われている問題なんですけれども、高級官僚の退職金について優遇措置がとられ、非常にもらい過ぎているではないかと、こう言われております。いわゆる肩たたき退職をさせたときに優遇措置をとる退職手当、どういう場合に適用されるでしょうか、お答えいただきたい。
#279
○国務大臣(小渕恵三君) お答えいたします。
 退職手当法によりまして、二十年以上勤続し非違がなく、勧奨によって退職した者に勧奨退職手当の支給が行われるわけでございます。
#280
○小笠原貞子君 それでは、本人の希望でやめて別の職につくという場合には、当然これは割り増しはつきませんね。
#281
○国務大臣(小渕恵三君) 自己都合の場合にはつきません。
#282
○小笠原貞子君 それでは、最近退職されました労働省森山真弓婦人少年局長、厚生省曾根田さん、運輸省梶原さん、建設省井上さん、農水省大河原さん、岡部さん、この退職された方々の退職時の役職、そして理由、退職金額はどのようになっていますか、勧奨によって受けたその額は幾らになっておりますか、順次お知らせをください。
#283
○政府委員(谷口隆志君) ただいま御指摘のございました方の退職時の役職名は労働省の婦人少年局長でございまして、退職理由は、かねてから行っておりました後進に道を譲るようにという勧奨により退職されたものでございます。
 退職手当法の適用につきましては、長期間勤務者の勧奨退職について規定いたしております退職手当法第五条一項でございますが、退職金の額につきましては、個人の問題にかかわる問題でございますのでお答えを控えさしていただきたいと思います。
#284
○政府委員(大和田潔君) 曾根田郁夫氏でございますが、昭和五十五年三月四日に退官いたしたわけでありますが、退職時の役職名は厚生事務次官でございます。退職理由は後進に道を譲るための勧奨によるものでございます。また退職金の額につきましては、先ほど労働の官房長が申しましたように、個人のプライバシーにかかわる問題でございますので控えさしていただきたいと思いますが、退職手当法の適用条項は法律第五条第一項によるものでございます。以上でございます。
#285
○政府委員(杉浦喬也君) 運輸省関係の御指摘の方の御質問にお答えいたします。
 退職時の官職は自動車局長、年齢が五十七歳でございます。退職の理由といたしましては、後進に道を譲るための勧奨退職でございます。勤続年数が四十二年、かなり長うございます。また退職手当の金額につきましては、個人の問題でございますので答弁を差し控えさしていただきたいと思います。なおまた、法律の適用につきましては、法の第五条の適用によりまして退職金を計算いたしております。以上でございます。
#286
○政府委員(丸山良仁君) お答えいたします。
 前建設事務次官の井上さんは、後進に道を譲るよう勧奨を受けまして、昨年の七月十七日に五十四歳で退職されております。その間の勤務年数は三十年十一カ月でございます。退職手当につきましては、国家公務員等退職手当法第五条を適用して支給いたしております。なお、退職金額につきましては、個人のプライバシーに関する問題でございますので回答を差し控えさしていただきます。
#287
○政府委員(渡邊五郎君) 農林水産省にかかわりますのは両名でございますが、退職順に申し上げますと、岡部三郎氏は昨年の三月十六日に退職いたしました。退職時の官職は構造改善局次長でございます。並びに大河原太一郎氏は昨年の七月二十日退職でございまして、退職時の官職は農林水産事務次官でございます。退職の理由でございますが、両氏とも識見力量とも優れておりましたが、人事の刷新等の観点から後進に道を譲るよう任命権者たる大臣より退職の勧奨をいたしました。したがいまして、退職金の算定におきましては、法五条を適用いたしております。金額については各省同様遠慮さしていただきます。
#288
○小笠原貞子君 みんな退職勧奨になりました。数字は計算すればすぐわかります。
 森山さんは退職金三千七百二十四万、勧奨退職だということでもらわれたのが一千百三十八万。それから曾根田さんは退職金が五千十五万、退職勧奨ということで千五百三十二万プラスです。それから自動車局長梶原さん、四千百九十三万退職金プラス六百九十九万。それから井上さん、退職金四千六百八十一万円に勧奨の分千四百三十万。それから岡部さん、退職勧奨の分が千四十五万。それから大河原さんが千六百二十一万という金を退職勧奨というのでもらっていらっしゃるわけです。
 そうしますと、一人一千万以上の選挙手当といわれるようなお金をもらっていらっしゃるわけですよ。しかも、この方たちみんな参議院選挙の予定ですわ。公認されているんですわ。何も自分の都合なんて一つもないんですよね。これほどはっきりしているのに何でこの優遇措置をつけなきゃならないか。だから世間は選挙退職金だと言っているんだ。不当な利益をわれわれの税金から与えていると思います。総理どうですか。
#289
○国務大臣(大平正芳君) 現行退職手当の法律の定めるところによって支給されたものと思います。高級官吏なるがゆえに優遇を受けた、特別の取り扱いを受けたものとは考えられませんけれども、この問題につきましては、全体として退職手当の水準が高いか低いかという問題が一つと、官民のバランスの問題等々がございますので、政府の方でもこの現行法の改正をそういう観点から見直して改定を考えておるわけでございます。
#290
○小笠原貞子君 後進に道を譲るの結構ですよ。だけどね、森山さん若いですよ、五十二歳ですよね。まだまだこれはがんばってもらわなきゃ、婦人の代表として一生懸命張り切っていらっしゃった。後進に道を譲る、ちょっとおかしいですね。みんなこういろいろ理由はつけていらっしゃるけれども、実に本人の意思ですよ、これはね。意思があるかないかって、また、いっぱい出せば時間かかるから出しませんけれども、たとえば、曾根田さんね、退職される前ですよ、この二月の二十三日に決意表明していらっしゃるわけですね。わしゃ選挙に出るんだというのは、これは茨城の新聞にちゃんと出てますよね。だから、まさにこれは自民党の肩たたきですよ、選挙に出てくれよという肩たたきだと。そのために国民の税金を取られたらたまったものじゃないというわけですよ。そこのところはっきりさせましょう。
 それから、これは北海道にも例がございまして、北海道の道庁の商工観光部長から立候補した現室蘭市長でございます。この現室蘭市長に対して不当な取り分を返せという裁判がされて、そして昨年の十一月に判決が出ております。判決主文は、被告は北海道に対し七百四十七万の金を返せと、こうなっております。被告は肩たたきがあったと主張したが、判決では、知事が二回にわたって勧奨したのは立候補を促したものであるということをはっきり言っているわけですね。ですから、ここの判決文の中にも「室蘭市長選挙立候補の態度決定を促すためなされたものであり、北海道の人事の刷新、行政能率の維持向上ということを目的としてなされたものではない、」と、こうはっきり言っているわけですね。だから退職勧奨の対象にはなっていないと。この判決はすでに決定しておりますね。返すことになりました。
 こういう事実がある現在ですよね。そしてまた総理大臣も御承知だと思いますけれども、いま公務員の退職金一〇%引き下げるというような大きな問題が出されているわけですけれどもね、こういう問題を片一方でやりながら、特権官僚、自分の意思で選挙に出る、その人たちのために一人一千万以上、こういう金を国民の税金でむだ遣いするとういのは、これはだれが聞いたって納得できないと思うんですよね。綱紀粛正などと大臣はかっこういいことをおっしゃるけれども、まさにかっこういいだけですよ、こんなことをこのままにしておいたら。その辺のところ、いまこの時点になったらやっぱり返しなさいというふうに言うべきだと思いますけれども、いかがですか。
#291
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどもお答え申し上げましたように、特定の人に対しまして特別の処遇をいたしたわけではございませんで、現行法律を適用いたしまして退職手当の支給をいたしたことでございます。これについては御批判がございましょうけれども、いま言われた方々が立候補しなかった場合におかれましても同様の退職手当を支給されたことでございまして、立候補をするかしないかということはこれと関係はないことと思うのでございます。現在のような退職手当の法制のあり方が問題かどうかということはまた別な観点から見直さないかないわけでございまして、現に政府は見直しておるところでございます。
#292
○小笠原貞子君 まさにごまかしです。時間がないからもう続けられませんけれども、自分の意思で自民党さんに肩たたきされて立候補するとはっきりわかっていて、法によってなんて言うけれども、法によってじゃないですよ。法を曲用してますよ、曲げて使ってます。これは本当に許されないことだと思います。しっかりやってもらいたい。
 もう時間がなくなりましたので、子供の健康の問題をちょっと伺いたいと思いましたけれども、大まかなところ、いま子供たちがどういう健康状態に置かれているか、心配な問題は何か。総理はお孫さんがいらっしゃるそうだけれども、どういうふうに見ていらっしゃいますか。
#293
○国務大臣(大平正芳君) 乳幼児の健康状態あるいは少年、幼年の非行問題その他胸を痛めるような問題につきましては、数々の事例を伺いまして心配をいたしておるわけでございます。そういった点につきましては、政府といたしまして、できるだけの配慮をいたしまして、健康な子供の育成ということについて十分配慮していかなければならぬものと考えております。
#294
○小笠原貞子君 文部省、総理府のそれぞれの資料の中からいまの状態、どういうふうに見てらっしゃるか、お知らせいただきたいと思います。
#295
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 文部省の方でも学校安全会等を通じまして状況を調べておりますし、またNHK、日本体育大学等の調査もあるわけでございます。要するに、いままで言われておったわけでありますが、体格の非常な、何と申しますか、向上が見えておるのにかかわらず体力が劣っておる、持久力あるいは柔軟性、そういうようなものが非常に劣った状況が出てきておる。ずっと立っておるのが倒れたり、あるいは脊柱が湾曲しておったり等々の状況をこれらの資料は意味しておると思います。非常に憂うべきことだと考えております。
#296
○政府委員(松浦泰次郎君) お答えいたします。
 昭和五十四年版の青少年白書におきまして、国際児童年にちなみまして、主として十五歳以下の子供を対象にして現状と対策を述べておるのでございますが、その中に、先ほど文部大臣からお話がございましたが、日本体育大学の体育研究所とNHKが共同調査したものがございます。日本の子供の体の異常等について調査したものでございますが、「「最近、子ども達の中で、病気とは言えないまでも、いろいろ気になる身体や動作の異常」で年々増えてきているもの」は何かという事項がございますが、小学校の場合一番に多いのが「椅子に座っている時、背もたれに寄りかかったり、ほお杖をついたり、じっとしておれず、ぐにゃぐにゃになる」というのが四四%の学校で見られております。それから二番目が「朝からあくびをする」というのが三一%の学校。三番目が「アトピー性皮膚炎やじんましんなどのアレルギー性疾患」が二六%。四番目に「脊柱異常とまではいかなくても、背筋がおかしい」というのが二三%でございます。
 中学校の場合は、「朝礼の時などにうずくまったり、倒れる」というのが一番でございまして四三%。それから「椅子に座っている時、背もたれに寄りかかったり、ほお杖をついたり、じっとしておれず、ぐにゃぐにゃになる」、先ほどの項目でございますが三七%。それから三番目が「朝からあくびをする」というのが三〇%ございます。四番目が「アトピー性皮膚炎やじんましんなどのアレルギー性疾患」、三〇%という状況でございます。これを紹介いたしております。
#297
○小笠原貞子君 非常に精神的な面もありますし、大変憂慮されます。これまた学校教育とぶつかって、塾との関係も出てまいります。
 時間が来ましたのでやめますけれども、心臓で倒れるという数も非常に多うございます。突然死の九〇%が心臓死ということになると、心臓検診というものも、非常にいまの進んだ中で心電図も取り入れてやらなければならない、ぜひそうやってほしいというのが学校医からの要望でございますが、その心臓検診に対して心電図をどういうふうにこれから取り入れて努力していこうとお考えになるか、最後にそれを伺って終わりたいと思います。
#298
○国務大臣(谷垣專一君) 御指摘の問題につきましては、従来の学校医の関係は触診でやって、それで疑わしい者は心電図等をとらせる、こういうやり方をとっておりましたけれども、御指摘のような問題を今後取り入れていきたいと思いまして、五十五年度からはかなり広範囲にいたしますが、数カ所実施をいたしたい、予算的にも措置をいたしたい、こういうふうに考えております。
#299
○小笠原貞子君 今後引き続いてその結果を踏まえて今度……。
#300
○国務大臣(谷垣專一君) そういうことになると思います。
#301
○小笠原貞子君 よろしくお願いします。(拍手)
#302
○委員長(山内一郎君) 以上で小笠原君の総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#303
○委員長(山内一郎君) 次に、松前達郎君の総括質疑を行います。(拍手)
   〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕
#304
○理事(安田隆明君) 松前君。
#305
○松前達郎君 総理、ちょっとお伺いしたいと思います。
 当委員会で総理に対して、非常に遠慮がちな方ですとか、あるいはりっぱな方とか、いろいろな賛辞が何回か贈られたと私思うわけですが、今日のわが国が抱える諸問題というのは大変な困難な時期だと私は思っております。特に今日ほど冷静に対処しなければならない問題がたくさんあるのじゃないか。特にエネルギー問題や外交問題、これはわが国の将来に対して重大な意味を含んでいる時期ではないかと、かように思うわけです。さっきも火事が起きないうちに消防車が出動しないというようなことを総理おっしゃったわけですけれども、どうもこういうことではエネルギー及び外交問題は処理できないのじゃないかと、かように思っております。
 総理はクリスチャンだということを伺っておりますけれども、聖書の中の「博道之書」の第一一章にこういうことがある。「風を伺ふ者は種播ことを得ず雲を望む者は刈ことを得ず」ということが書いてあるわけなんですが、政治家としてのこれに対する御感想をまず最初にお伺いしたいと思います。
#306
○国務大臣(大平正芳君) まあ、いま内外とも大変むずかしい局面を迎えておるということ、仰せのとおりだと思います。まずこれに対しまして冷静に対処しなければいけないということもまた仰せのとおりだと思うのでございまして、そういう場合に、先を展望いたしまして今日に冷静に備えるところがなければならぬわけでございます。ただ冷静ばかりが芸じゃないことは仰せのとおりでございまして、国家民族の幸せと安泰ということを実現するためにすべての精力を集中いたしまして、冷静しかも慎重、しかも的確に対応していくのが今日のわれわれ政治に携わる者の任務であろうと心得ております。
#307
○松前達郎君 きょうはエネルギー問題を中心としてお伺いいたしたいと思いますけれども、
   〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕
エネルギー問題は、今日わが国の繁栄、これに対して基本的な影響を持つ問題だ、これはだれも理解をしておるわけであります。また、その繁栄と同時に、生活レベルの確保という意味でもエネルギー確保が非常に重要な意味を持っている。その最近のエネルギー問題及びエネルギー確保について、総理並びに通産大臣、どういうふうに今後対処していかれようとしているのか。また問題点がありましたら、その問題点等についておっしゃっていただきたいと思います。
#308
○国務大臣(佐々木義武君) エネルギー問題の重要性に関しましては、おっしゃるとおりだと存じます。このエネルギーの安定供給をどうして確保するかという問題でございますけれども、私、一つはまず石油の代替エネルギーを強力に進めていくことが大変重要だと思います。第二点はエネルギーの需要を抑制いたしまして、省エネルギー対策というものを進めていくということが二番目に大事な問題でございます。三番目は、しばらくの間はやはり石油がエネルギーの中心であることは間違いございませんので、石油の安定確保というこの三点が一番核心になるものと思います。こういうことで進めてまいりまして、私どもといたしましては、十年後には少なくとも現在の七〇%の石油の依存率を五〇%まで下げたい。その下げるギャップを先ほど申しましたような省エネルギーとか、あるいは代替エネルギーでこれをカバーしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#309
○国務大臣(大平正芳君) おおむね通産大臣が言われたとおりでございまして、今日われわれが生活いたす場合におきましても、産業構造を考える上におきましても、エネルギー問題というものは根本的に重要な課題になってきております。省エネルギー、脱エネルギーということは常に念頭に置きまして万般の施策を考えていかなければならぬものと思っております。
#310
○松前達郎君 そこで、最近とみに、これは意図的であるかどうかわかりませんが、防衛論議、これが盛んになってきつつあるわけなんですが、エネルギーや資源の面から見て、かつての太平洋戦争、これが全く私は消耗戦であったというふうに解釈をいたしております。軍事面からではなくて、エネルギー、資源の面から見て、この戦争をどう評価しておられるか。これは総理にお伺いしたいと思います。
#311
○国務大臣(大平正芳君) 太平洋戦争をどう見るかという大きな課題でございますが、資源とのかかわりがなかったとは思いませんけれども、資源だけが戦争の原因並びに遂行を支配した大きな導因であったとは思いません。もう少し広い視野からこの問題は解明していかなければならぬものと思っております。
#312
○松前達郎君 その戦争の目的とか、そういうことをお伺いしているのじゃなくて、資源エネルギーの面から見て、この戦争の推移、これをお伺いしたがったわけなんです。
#313
○国務大臣(大平正芳君) 資源エネルギーの使用につきまして、賢明な選択でなかったと、非常に愚かな選択であったと言わざるを得ないと思います。
#314
○松前達郎君 そのぐらいにしておきまして、リムパックの件なんですが、リムパック80、環太平洋の合同演習が二月二十六日から中部太平洋で五カ国の参加ですね、日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド。これが行われておるわけなんですが、このリムパックの軍事想定というのは一体何でしょうか。これについて防衛庁、外務大臣、両方にお伺いします。
#315
○国務大臣(細田吉藏君) リムパックの目的といたしますところは、参加艦艇の能力評価を行い、練度の向上を図ることでございまして、このために対水上艦艇あるいは対潜水艦、対航空機等の各種訓練をいたしますとともに、誘導武器評価施設使用をした魚雷等の発射訓練を実施するものでございまして、訓練想定もこのような目的をスムーズに実施をするために策定されておるものでございまして、特定なシーレーンを防衛するとか、あるいはある特定の外国を防衛するといったようなものではないと承知いたしております。
#316
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま防衛庁長官からお答えしたとおりでございます。
#317
○松前達郎君 どうもその辺がおかしいような気がするのですが、ある新聞によりますと、演習のねらいは、一定の広さの海域を一定日数の間、潜水艦などの攻撃に対処しながら確保し、海上交通路を維持するいわゆる制海権の確保、アメリカの海軍で言うシーコントロールですね、これだというふうに防衛庁の幹部の一人は打ち明けている。また同時に、別の幹部は、海上自衛隊は参加国の部隊と共同防衛行動をとる、こういった旨を漏らしているということが伝えられておるんです。これが事実だとしますと、リムパックはまさに集団自衛権の行使を前提とした訓練ということになるんですけれども、これについていかがですか。
#318
○国務大臣(細田吉藏君) お答えをいたします。
 集団的自衛権は、わが国の場合はこれを行うことが許されておりません。今度の演習はそういうものを目指しておるものであるとは決して考えておりません。
 ただいま御質問にもございましたが、新聞や、あるいはいろいろな論評があることは私どもも承知しております。専門的にわたります点については政府委員から説明をさせていただきたいと思います。
#319
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。
 集団的自衛権と申しますのは、先生も十分御承知のとおり、ある独立国家が自国と非常に密接な関係のある国に対して他の国から武力攻撃が加えられた場合、自分の国に攻撃が加えられていなくても実力をもってこれを排除する、こういうことができるという国際法上の地位でございます。国連憲章五十一条で認められておる自衛権、これには集団的自衛権と個別的自衛権とが書いてございますが、日本国は憲法九条によりまして個別的自衛権の行使を認められておる。集団的自衛権は、国際法上はございますけれども、これは行使をしないというたてまえになっておることは御承知のとおりでございます。今回の訓練につきましては、これに参加をするに当たりましてアメリカ側と十分協議をいたし、このリムパック80の性格、目的あるいは訓練内容等十分検討し調査をいたしました。その結果、この訓練は、御承知のように、一九七一年からすでに六回行われておりまして、今回は七回目でございますけれども、その今回のリムパック80についての公表文にもございますように、参加艦艇の能力評価、練度の向上を行うことのみを目的として、通常兵器を使うことを前提として行う訓練であると、こういうアメリカ側の公式な見解がございます。その結果、私どもも政府部内におきまして関係省庁が十分この点について協議をし、確認をいたした上、これに参加をすることは、わが国の憲法、法律あるいは基本的な防衛政策に反するものではないという判断をいたしたところでございます。新聞報道にいろいろな報道があることは私ども承知をいたしておりますけれども、このリムパック参加につきましての防衛庁の正式見解は、昨年の十二月十一日の統一見解及び本年の三月八日、衆議院予算委員会におきまして安井吉典先生に対しまして防衛庁長官がお答えをいたしました有権解釈が防衛庁の見解でございます。
#320
○松前達郎君 見解が発表されたからそれで済むというものじゃないと私は思うのですけれども、その辺はいずれ機会を改めてまたいろいろとお尋ねしていきたいと思いますが、一言で言うと、オリンピックじゃないですが、参加することに意義があるということなんですね。
#321
○国務大臣(細田吉藏君) 参加することに意味があるということは、もうもとよりそうでございまして、私どもが申し上げ、またいま政府委員が申し上げた目的において参加することに意味が大いにあると考えておる次第でございます。
#322
○松前達郎君 アメリカの政府筋が、日本側が海上輸送路の防衛についてこれまで大体千キロメートル、小笠原までですね、それをさらに延長してグアム島までの航路を日米共同で防衛するというようなことを検討中である、こういうことを明らかにしておるんですが、これについて防衛庁、どうお考えですか。
#323
○政府委員(原徹君) アメリカ側が日本に対して防衛努力をさらにしてほしいということは、再々御答弁しているわけでございますが、具体的にどこをどうしろと、いまのお話のシーレーンをもっと延ばしてほしい、そういうような要請というものは現実問題としてはないわけでございます。
#324
○松前達郎君 しかし、先ほど太平洋戦争の問題ちょっと総理にもお伺いしたのですが、シーレーンというものが日本の資源確保のために非常に重要なルートである、これはだれもわかることなんです。ですから、そのシーレーンを守るという、そういう意味でアメリカと共同で防衛するんだということをこれはアメリカは当然考えると思うんですね。そういうことを考えていきますと、このリムパックというのはシーレーン防衛のための演習である、こういうふうに私は解釈したいと思うんですが、その点いかがですか。
#325
○政府委員(原徹君) リムパック自体につきましては、先ほど長官と参事官が申したとおりでございまして、特定の海域を防衛するというような性格を持ったものではございません。いわゆる練度を向上させるわけでございますが、その向上された練度をもって海上自衛隊が何をするかということになりますと、海上自衛隊は周辺海域の海上交通の保護をするというそのために非常に役に立つ訓練であると、そういうことになるわけでございます。
#326
○松前達郎君 結局シーレーン防衛ということですね。ですから、対潜作戦を考える。潜水艦といってもこの三カ国は当然敵にならないであろうし、その周囲を見ましてもそう潜水艦の強力なのを持っている国はない。そうすると、大体想定がつくんですね、どの国の潜水艦を相手にしてこの訓練を行っているか。また同時に三海峡封鎖の問題等もあるわけです。そういうことで、これもうはっきり言った方がいいと思うんですね。こういうふうな問題、今後いろいろとまた論議を呼ぶのじゃないかと思うんですけれども、ブラウン国防長官がわが国に対して防衛費の増額を要求している、ただ増額ということはないと私は思うんです。やはりこれは海上自衛力といいますか、そういったものに関して何かやはり内容があって要求をしているのじゃないかと思う。特にアメリカの代替防衛、日本に対する代替防衛の意思が、持ってないとするならば、なおさらそういうことをアメリカが強調すると思うんですけれども、その点いかがでしょうか。これは外務大臣並びに防衛庁長官にお聞きします。
#327
○国務大臣(大来佐武郎君) ブラウン国防長官来日の際に申しましたこと――最近二回参っておりますけれども、第一には、ソ連軍が世界的な規模で目覚ましくこの軍事力を強化しておるということ。それから第二に、日本が在日米軍経費の負担を軽減するための財政的措置や自衛力の質的改善のために装備の近代化の努力を図っていることを米側は多としているということ。第三に、防衛予算については各国それぞれの事情に基づいて自主的に決めることであるが、米側は日本の努力を多としておる、こういったようなことを申しておりまして、二回目のときには、さらに中国訪問の帰りでございましたので、中国情勢についての簡単な話がございました。これは外務省に来られたときの話でございます。
#328
○国務大臣(細田吉藏君) ブラウン長官が見えましたときにお会いしましたのは私の前の久保田防衛庁長官でございますが、このときの事情について申し上げますと、久保田防衛庁長官から五十五年度予算案につきまして、非常に財政上苦しい中で防衛努力をするということでこの予算案をつくったと、こういう説明をしたのに対しまして、ブラウン長官が理解を表明されると同時に、この防衛努力については今後も現在の国際情勢及び西側先進諸国の防衛努力を考慮して強化するように要望すると、こういう一般的な要望でございまして、具体的にただいま御質問にあったような海をどうせよとか、あるいは具体的な金額をどうとか、パーセンテージがどうとか、そういう話は全然なかったと、こういうふうに承っております。
#329
○松前達郎君 今度外務大臣と総理が訪米されるわけなんですが、恐らくそのときにはもうちょっと具体的な話が出てくるのじゃないかと、かように思っておるわけでございます。
 太平洋でのアメリカ海軍の増強について、横須賀に二隻目の空母を配備したい、こういうふうな話をアメリカの政府筋が十二日に明らかにしたと、こう報道されているのですが、これについては連絡ございましたか。
#330
○政府委員(淺尾新一郎君) 国防白書の中でアメリカとしてはいろいろなオプションを検討している関連で、二隻目の空母の母港化というのを考えているというふうに述べてございますが、最近その新聞報道によれば、それが横須賀に決まったかのような報道でございますが、そういうことを私たちはまだ承知しておりません。ただ念のため、事実関係を目下確認中でございます。
#331
○松前達郎君 これについてはもう前々からいろいろと話が出ておるわけですね。もしこれがそれじゃ横須賀に決定され、アメリカの方はですよ、決定して日本に申し入れてくるということになれば、当然これは日米安保条約の中の配備における重要な変更になろうと思うんですね。また、事前協議の対象になる。これは当然だと思うんですが、その点いかがでしょう。
#332
○政府委員(淺尾新一郎君) 航空母艦の母港化と申しますのは、その乗組員がたとえば横須賀に住むということでございまして、いわゆる安保条約上に言う配備における重要な変更には該当いたしません。
#333
○松前達郎君 配備というのは、そういう意味なんですか。
#334
○政府委員(淺尾新一郎君) 安保条約上配備と申しますのは、日本の施設、区域を根拠地とすると、たとえば陸上であれば、現在沖繩にある海兵隊が配備される、そういうことを指すものでございます。
#335
○松前達郎君 施設を根拠地とするとなれば、空母が新しくもう一つ来れば、これは配備されたということになるんじゃないですか。
#336
○政府委員(淺尾新一郎君) 軍艦の母港化につきましては、再三御答弁しておりますように、その軍艦の乗組員がたとえば横須賀に一定の居住個所をもらって住むということでございますので、安保条約上申し上げるその配備ということではございません。
#337
○松前達郎君 防衛庁長官、それはどうですか。
#338
○国務大臣(細田吉藏君) 外務省の見解のとおりと理解しております。
#339
○松前達郎君 何かその辺がどうも逃げ口上でおかしいんじゃないかと、私は、もうこれ配備すると向こうが言うんですから、この配備は当然そういうふうに解釈していいんじゃないかと、こういうふうに思っておるわけです。
 しかし、最近どうも、先ほど冒頭に申し上げましたように、防衛論議が非常に盛んになってきた。その中でソビエト脅威論というのが非常に強力になってきた。そういうふうなことで、最近リムパックですとか、あるいは中国側の防衛大学との学生交流まで出てくるんですね。そんなようなことがございます。しかし、われわれとして考えなきゃならないのは、憲法で保障されたといいますか、憲法第九条のこと、これはやはりわれわれとしては根底に信念として持っていなきゃいけないんじゃないか。これも新聞に出ていたんですが、ある――まあ、名前言いますと、シノダ・ミノル・ハワイ大学教授、この言葉が新聞に載っておりましたけれども、彼はかつては日本に向けて銃を向けた人である。アメリカの圧力があると思うけれども、日本は力の許す限り憲法九条だけは守ってほしい、この一線だけは貫いてほしい、そうしないと歴史なんというのは全然意味がなくなってしまうのじゃないか、こういう発言をいたしておるわけですが、これは私たち肝に銘じておく必要があると思います。総理、いかがでしょうか。
#340
○国務大臣(大平正芳君) 肝に銘じて憲法第九条を踏まえて、外交、防衛、考えにゃいかぬことは当然の任務であると心得ております。
#341
○松前達郎君 次に、エネルギー需給見通しについてお伺いしたいんですが、わが国のエネルギー需給は、経済活動や安全保障あるいは国民の生活を守るために最も重要な問題であるわけです。したがって、エネルギー供給については、絶えずこの見通しをつけておかなければいけない、これは当然なんですが、その対策として、エネルギーの長期需給見通しによって資源確保ですとか、資金あるいは価格、立地、環境、技術と、こういう面で総合的に対策を進める必要があろうと私は思います。わが国の長期エネルギー需給見通しについて、通産大臣の見解をお伺いいたしたい。
#342
○国務大臣(佐々木義武君) エネルギーの問題は短期の問題ばかりでなくて、長期に、しかも量とタイム――時間を両方考えながら国のいく道を策定するということは大変重要なことだと思いまして、いまお話しの長期需給暫定見通しが去年できたわけでございますけれども、これはその内容といたしましては、イラン政変以後の世界の石油情勢が急変したものですから、それと、東京サミットにおきましていろいろエネルギーに関する合意事項ができましたので、そういう状況を前提にいたしまして、今後日本が長期にわたってエネルギーの供給を確保するためにはどうしたらよろしいか、どのくらいの目標、規模で各エネルギーの確保に努めるかという点を策定したものでございまして、言うなれば、官民挙げて最大の努力と協力をいたすとすればこれは可能であるという努力目標かと存じます。したがいまして、その努力目標を達成するための手段としてのお話でございました再生とか、あるいは環境とか税制とか、各般の面でこれを総合して、総力を挙げまして、この目標を達するように努めてまいりたいというシステムかと存じます。
#343
○松前達郎君 政府の長期エネルギー需給見通しというのがございますが、これはどのような手順でつくられているのか。また内容について、その数字の算出はどういうふうに考えて算出しているのか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
#344
○政府委員(森山信吾君) 長期エネルギー需給暫定見通しにつきましては、前提条件が幾つかございますけれども、一つは、先ほど大臣がお答え申し上げましたとおり、石油の供給の限界をどう見るかということだと思います。それからもう一つは、いわゆるGNPの伸びというものをどう見ていくかということから、バランスをとりまして、拡大する需要に対しましてどの程度の節約をし、どの程度の代替エネルギーの開発をしなければならないかというのが発想でございまして、そういった発想に基づきまして一応の暫定見通しをつくったと、こういうのが手順でございます。
#345
○松前達郎君 突っ込んで言えば、GNPをまず設定して、エネルギー需給の対GNP弾性値を掛けて確保すべきエネルギー量を計算すると、そのうち、石油で満たされるだけ満たしておいて残ったエネルギーを他のエネルギーに割り当てる方式、こういうふうな方式ででき上がっているのじゃないか、私はそう思うんです。つまり経済成長が政治的に目標意識を持ってまず設定される。石油事情は、これは従なんですね。発想としてはこれは逆の発想だと思うんですけれども、いかがでしょう。
#346
○国務大臣(佐々木義武君) 前の暫定見通しは、確かにお話しのような手順で進めておったと思いますけれども、しかし、先ほど申しましたように、エネルギー情勢等が激変した前提あるいは東京サミットの結論等を踏んまえまして、そのエネルギーを中心にして見た場合には、国の全体の姿はどうなるかという点も加味しつつ改正したものだと考えてございます。
#347
○松前達郎君 このエネルギー需給見通しは、私は希望的な目標値だというふうに考えざるを得ないんですが、たとえば政府見通しの中で、原子力を例に挙げますと、一九八五年が三千万キロワット、一体これは可能でしょうか。また、同時に地熱発電が百万キロ、新エネルギー五百万キロリットル、これは石油換算。これが果たして可能かどうか、その点をお伺いしたい。
#348
○国務大臣(佐々木義武君) 法的な云々という、そういう縛りのあるようなものではございません。
 原子力の見通しでございますけれども、御説のように、三千万キロワットの目標でいままで進めておりましたが、その後のスリーマイルアイランドの事故等、いささか世界的にも事情ができてまいりましたので、その事情等を考えますと、恐らくは二千八百万キロワットくらいしかむずかしいのじゃなかろうかということで、去年の電調審というところでは、そういう結論を出してございます。恐らくこれが一番の最近の目標になると存じております。それから地熱に関しましては極力努力いたしまして、目標を達成したいと考えてございます。
#349
○松前達郎君 新エネルギーについて。
#350
○国務大臣(佐々木義武君) 新エネルギーに関しましては、これが一番ただいま私どもの力を入れているところでございまして、従来からありました原子力発電は、いま御説明したとおりでございますけれども、新エネルギーといたしましては、石炭あるいはLNGは申すに及ばず、特に地熱あるいは太陽熱、風力等々に関しまして、この開発をさらに強力に進めるために、本年度を期しましてまず財源をつくり、そうしてこれを遂行する機構も新設いたしまして、開発主体を明確にして、そうしていま申しましたような計画を強力に実施するために、ことしから発足した次第でございます。
#351
○松前達郎君 どうもその辺ちょっと見通しが甘いのじゃないかという感じを私は持つわけです。これは政府が依頼して行ったのだと思いますが、エネルギー経済研究所の見通しがあるんですが、これと比べると、全く政府の方が希望的な目標が入っている。やはり日本のエネルギー行政の基礎となるようなその数字ですから、これはやはりもうちょっと真剣に見直す必要があるのじゃないか。特にその予測については希望的なことを入れるのでなくて、厳しく査定したその数値を入れていくべきだ、こういうふうに思うのです。その点について今後さらに努力していただきたい。
 東京サミットのことに触れましたので、これは総理にお伺いしたいのですが、今度ベネチア・サミットが開かれて総理もこれに出席されるわけですね。このベネチア・サミットの主な討議の内容というのは、どういうふうに予測されておりますか。
#352
○国務大臣(大平正芳君) これにつきましては、各首脳のパーソナルリプレゼンタティブというのがおりまして、それが準備会議を数次にわたって開いて、それを首脳に上げてくるという手順でだんだん決まっていくわけでございます。ただいままでのところ、まだどういう議題をどういう手順で取り上げていくかというようなところまでは固まっていないわけでございまして、各リプレゼンタティブの間で非公式な相談が始まったばかりと承知いたしております。
#353
○松前達郎君 東京サミットでは石油輸入量について合意があったわけですね。これが六百三十万バレルないし六百七十万バレル・パー・デーと、こういうことなんですが、ベネチア・サミットの前に行われるIEAの会議でも、これをさらに縮小しようという傾向がある。アメリカもまたこれを見直したい、こういう意向があると聞いているのですが、日本としても、会議に臨んで、言われてからやるんじゃなくて、やはり前向きな提案をここでした方がいいんじゃないかと私は思うのです。石油輸入量についての見直しをして、サミットに臨むつもりはあるかどうか、総理のお考えを聞きたい。
#354
○国務大臣(佐々木義武君) 去年の十二月に開かれましたIEAの会議でも、サミットが決めました上限の輸入量を修正しようという意図も一部にはございましたけれども、終局的にはそうじゃなしに、サミットで決めました数字を大体基礎にして協議を決めました。今度のサミットに先立ちましてIEAの閣僚理事会があるわけでございますけれども、この際にまた上限の問題が出てくるだろうと思います。いままでは主として今年度、すなわち八〇年度の五百四十万バレルをどうするかというような問題が中心でございましたが、しかし、暦年から見ますともう半年近くなるわけでございますから、恐らくは八一年、来年度の上限をどうするか、あるいはこの前の東京サミットで決めました八五年の六百三十万バレル・パー・デー、これをどうするかといったような問題があるいは問題になるかとも存じますけれども、しかし、まだそれが中心テーマだというふうに決まっているわけでもございませんし、人によりましてはむしろ代替エネルギーの開発等もっと協力する方法をテーマにすべきじゃなかろうかというふうな意見もあるようでございまして、まだはっきりしてはございません。
#355
○松前達郎君 総理、いまの石油輸入量について見直してサミットに臨まれるつもりありますか。
#356
○国務大臣(大平正芳君) これからどのように予備会議の段階からサミットに至るまで状況が展開してまいりますかわかりませんけれども、いま私が考えておりますことは、いずれにいたしましても、石油政策はサミットに集まる先進主要国が一致して、進むも退くも対応していかなければ実効を上げ得ないと考えております。日本一国が主張するだけで事が成るわけじゃございません。周囲の状況を見ながら全体が一致して有効ある対応策を編み出すことができる方向で日本も積極的に貢献しなければならないものと考えます。抽象的で恐縮でございますけれども、いまそういう心構えでおるわけでございまして、具体的な対応につきましては今後の準備の状況を踏まえて逐次固めていきたいと思っております。
#357
○松前達郎君 石油消費をできるだけ抑えていけばそれだけ新エネルギー開発への時間がかせげるわけですね。これは先進国としては責任があるんじゃないかと私は思うのです。そういう意味でいま総理に申し上げたんですね。提案をしたらどうかということを申し上げたわけです。冒頭に私が「風を伺ふ者は種播ことを得ず」と申し上げたのはそういう意味もある。その点も十分お考えいただいて検討していただきたいと思います。
 そこで次に、石油資源の安定確保の問題なんですが、これについてはいろんな対策が要ると思いますが、現状の維持、供給ルートの確保、産油国との直接取引の拡大、輸入の分散、自主開発原油の拡大、重質油対策その他たくさんあると思うんですが、これらについて、たとえば一番最初の供給ルートの維持ですね、これについては資源国との友好共存関係を保持することであろうと私思うんです。そういう点で、外交が物ごい外交とよく言われるのですけれども、そういうことじゃなくて、もっと積極的な外交を進める必要があろうと思いますが、外務大臣、どう思いますか。
#358
○国務大臣(大来佐武郎君) 昨日、園田特使が中東、南西アジアからの旅行から帰ってこられましたが、総理と御一緒に報告を受けましたけれども、今回の場合は物ごい外交ではなくて、中東、南西アジアの平和と安定に日本がどういう役割りを果たせるかということを中心にして特使は議論をしてこられました。それなりに大きな成果があったと感じておりますが、同時に石油についても三つほどの国から有利な話が出てまいったようでございますので、これは全体のそういう広い日本の役割りとの関連で今後日本の果たすべき役割り、資源の確保、両面を満たして果たしていかなければならないと考えます。
#359
○松前達郎君 産油国との直接取引の拡大も必要だろう、さらに自主開発石油をもっと多くしなければいけない、こういうふうないろんな問題があるんですが、石油業界の再編の問題ですね、これについて最近の石油会社の原油確保はメジャー経由から次第にDD原油がふえてきていると、これによって特に民族系石油会社の原油手当てが不安定になってきて価格が高いものになってくる。しかも、そのため民族系石油会社の経営基盤が非常に不安定となると、こういうふうなことだろうと私は思います。こういったものを強化するために業界再編成の必要があろうと私も思うんですけれども、通産省、これはどういうふうに進めるつもりですか。
#360
○政府委員(森山信吾君) 御指摘のとおり、民族系の石油企業の体質改善と申しましょうか構造改善と申しましょうか、そういうことの必要性はつとに叫ばれているところでございまして、昭和四十九年以降の一時期におきましていわゆる精販ギャップということが叫ばれた時代がございます。これは精製能力と販売能力のギャップを埋めると、そういう観点からの再編成論議が非常に論議を呼んだことがございますけれども、現時点におきましては、精販ギャップにプラスいたしまして、いま御指摘の原油の調達をどうするかという問題が大きな課題となってあらわれているのではないかと思います。
 それからもう一つは、先ほど御指摘のとおり、重質油をどういう扱いをするかという観点もございますので、そういう点を含めました再編成論議というものは今後大きな課題を呼んでくるのではないかということでございまして、私どもは基本的には業界の自主的な判断にまつという姿勢をとっておりますけれども、それなりの対応はさしていただきたい、かような基本的な考え方を持っている次第でございます。
#361
○松前達郎君 オイルショックの後、石油対策の一環として民族系石油会社の体質強化と、こういうことで構造改善資金というのが百億円計上されたわけですね。これはいまどうなっていますか。
#362
○政府委員(森山信吾君) いま御指摘の百億円につきましては、石油開発公団の探鉱投融資資金の内枠として計上さしていただいたわけでございますが、その後は全然それは使っていないということでございます。
#363
○松前達郎君 これは手つかずにそのまま置いてあるというわけですね。そういうことで、とにかく石油の確保というのは何としてもこれはできるだけ確保するというのは当然の話なんで、その点またもっと徹底してやっていただきたい、かように思うわけです。
 それから重質油に対する対策、これも重要だと思うのですが、最近はだんだん中国とかアジアの石油が入ってくる。将来もそうなるでしょう。そうすると重質油が多くなってくるわけですが、これに対する対策はいかがでしょう。
#364
○国務大臣(佐々木義武君) 重質油対策は大変重要なことだと思っています。お話しのとおり、重質油の供給は、重質油がふえてまいりますし、需要の方は逆に軽質化と申しますか、ガソリンとか、そういうようなものの要求がふえますので、このままほうっておきますと重油等が過剰になって逆に灯油とか軽油が不足するというふうな状況になりかねませんので、重油対策を急ぐというのは大変重要だと思います。
 そこで、おととしでございましたか、民間の主な業界、石油とか鉄鋼、電力等が中心になりまして重質油対策技術研究組合というものをつくりまして、百八十億ぐらいの規模でただいま対策研究を進めている最中でございまして、政府といたしましても今年度予算で六十八億を計上しましてその対策を打ち出しているところでございます。
#365
○松前達郎君 それと産油国といいますか、輸入先の分散ですね、これもやはり非常に重要な問題だと。重質油もそういうことから出てくるわけですが、これに対して今後総理がメキシコに行く、これはまだ決定していないそうですが、メキシコに行かれる予定だと伺っておりますが、メキシコあたりは相当石油はまだ埋蔵量がある。そんなようなことから石油輸入について、もし行かれたときお話し合いされる用意がありますか。
#366
○国務大臣(大平正芳君) 以前、江崎大臣に行っていただきましていろいろお話を進めていただいて、ある程度の供給の確約はちょうだいいたしておるわけでございますが、さらにそれの増額方を私ども強く希望いたしておりまするし、あらゆる機会を通じまして先方の理解を得たいと考えております。
#367
○松前達郎君 そのほか石油輸入に関していろいろな対象の場所があるわけなんですが、たとえばシベリアのエネルギー資源ですとか、あるいはサハリンのエネルギー資源、そういうものもある。あるいはアラスカの石油についてスワップ方式なんという話も出たこともある。いろいろあろうと思いますが、これらについてどういうふうに考えておられるかということと、それから尖閣列島が大量の石油が埋蔵されているということ、これは私自身もこの調査に関与したんですけれども、これらについて領有問題もあろうと思います。石油資源開発についてその後の詰めが行われているかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#368
○政府委員(森山信吾君) まず、アラスカのスワップの問題につきましては、私どもといたしまして大変関心の深いところでございまして、幾たびかアプローチはしたことがございますけれども、アメリカの中におきます国内資源派と申しましょうか、そういう方々の強い意見もございまして実現には至っていないというのが現状でございます。
 それから、中国の油につきましては、先生よく御承知のとおり、渤海湾地区におきます開発を日本が請け負うという形で現在一億キロリッターの期待を持っておりまして、日本と中国が共同をして開発を進める、そのうち日本が四九%のシェアを持つというようなかっこうで開発を進めていきたいというふうに考えております。
 それから、尖閣列島の問題につきましては、確かに地質構造上大変有望な地域であるということはよくわかっておるわけでございますけれども、何といいましても、尖閣列島の帰属の問題につきまして、中国側からはいろいろと異なった見解を持っておられるわけでございますので、この共同開発につきましては大変な問題をはらんでいるということから、いましばらく時間がかかるんではないかと、こういうふうに考えております。
#369
○松前達郎君 石油についてはそのぐらいにしまして、今度は原子力に入りますけれども、INFCEでわが国独自のウラン濃縮及び核燃料の再処理が認められるようになったということですが、これは世界的レベルでそういうことになったわけなんですが、日米原子力協定が現実としては重要な部分はすべて制約をしていると、こういうことになろうと思います。今後日米交渉に対する政府の所信をお伺いしたいと思います。
#370
○国務大臣(佐々木義武君) 御承知のように、INFCEでいまの再処理問題等が平和利用の問題と両立するという結論になっておりまして、日本の言うなれば主張にほぼ近い結論が出たわけでございますが、これを踏んまえまして、今後米国から日本に対して、従来からございました日米原子力協定を改定したいという御希望もあるのでございますので、このINFCEの結論を踏んまえて慎重に臨んでいきたいと考えております。
#371
○松前達郎君 日本の場合ですと、かつては広島に濃縮爆弾が落ちたわけですね、それから長崎が再処理爆弾、こういうことで核エネルギーの平和利用に対する問題が日本じゃ非常に重要な問題として国民の間に定着しているわけですね。その平和利用に対する担保ですね、これが信用されなくなってしまうと、この日米交渉も進展しなくなるんじゃないかとか、いろいろ重大な問題が今後出てくるのじゃないか、こういうふうに思うんですが、二月の二十一日、細田長官が核について今後日米間で協議をする旨の発言をされておるわけですね。これもやはり非常に大きな影響力があるんじゃないかと私は思うんです。核はタブーだと、こういうふうに原子力関係者の中でも核兵器については触れたがらない、そういう状況だということも聞いておりますけれども、どうもじわりじわりと国民の前に核兵器問題を出しながら、核を保有もしくは米国の核を導入するつもりであると、こういうふうに見られても仕方がないと私は思うんですが、これは勘ぐりでしょうか。
#372
○国務大臣(佐々木義武君) 御承知のように、松前先生のお父さんやなんかと私ども原子力基本法をつくった方でございますけれども、あのときから第二条で平和の目的に限るということで明確にしてございますし、また原子力平和利用三原則ということで日本の態度ははっきりしているのみならず、対外的には核拡散防止条約にも加盟しておりますし、また数カ国との原子力協定におきまして、日本は平和目的以外には使わないという約束のもとにいままで進めておることはよく御承知のとおりでございまして、その方針は全然変わっておりませんし、今後とも平和利用に限って進むように努めてまいりたいと存じます。
#373
○国務大臣(長田裕二君) 原子力の平和利用につきましては、ただいま通産大臣がお答えしたとおりでございまして、先ほどお話のございましたINFCEで日本の主張が実質的に通ったことも、日本の平和利用、核不拡散についての日本の基本的な姿勢というものが国際的にアメリカをも含めて相当理解されていると、そのように考えておりますし、今後もその方針を堅持してまいるつもりでございます。
#374
○国務大臣(細田吉藏君) 私の衆議院予算委員会における発言につきまして大変誤解を招いておるようでございますが、これは私は原子力の平和利用については長年非常に熱心にやっている方でございまして、非核三原則をこれをどうこう、守らないとか、これを壊すとか、また、あるいはじわじわとそういうことを考えておるとか、そういうことでは決してございません。民社党の神田さんの質問がバックファイアやSS20というものの極東配備ということがございました。それに対して、こういう情勢の変化は全般の極東のソ連の状況とあわせて一般的な認識を持っておる必要があると、そういう意味で申し上げたということにほかなりませんので、そういう誤解を与えておるとしますれば、この際はっきり、そういう非核三原則をどうこうしようというようなことではないし、またなし崩しにどうこうということでもないことをはっきり申し上げたいと思います。
#375
○松前達郎君 それはもうあたりまえのことなんですけれども、しかし、日本が潜在的核保有国だと、核兵器保有国だと、こういうふうに外国からよく言われているんですね。この点についてはどうお考えですか。
#376
○国務大臣(佐々木義武君) 核拡散防止条約に基づきまして、またバイラテラルアグリーメントの条約のおきてに従いまして、日本が果たして平和目的に限って原子力を使用しているかどうか、これを監視するために国連から常時と言ってもいいほど繰り返し繰り返し監視員が国際的に参りまして、いまでも監視を続けておるところでございまして、決してそういうことはあり得ようがございません。私の承知している限りでは、一昨年でございますか、カーター声明が出てまいりまして、アメリカに行った際にも、向こうの国会議員もその点は非常に理解を持っておると認識してまいりましたので、世界的に潜在的な云々で不信を招いているというふうには見ておりません。
#377
○松前達郎君 ここにおられる閣僚の皆さん方は確かにそうかもしれませんが、この担保というやつはなかなかこれは危ないんですよね。ちょっとしたことですぐ変わってしまう。その辺が問題だと私は申し上げている。
 現在わが国で保有しているプルトニウム、一体どのぐらいですか、科学技術庁長官。
#378
○政府委員(石渡鷹雄君) お答えいたします。
 現在使用済み燃料の中に入っているものも含めまして三千七百三十二キロでございます。
#379
○松前達郎君 これはちょっと質問としていいかどうかわからないのですが、核爆弾に必要なプルトニウムというのは最小限どのぐらいか。これは防衛庁長官。
#380
○国務大臣(細田吉藏君) お答えすることができません。
#381
○松前達郎君 それじゃ、大体十キログラムです。
 核兵器が、これはパキスタンとか、いろんな問題があって、アメリカも警戒している面もわかる。核兵器というのは大規模な軍備より安上がりで、戦略的に外国に対する脅威は非常に高いのですね。そういう意味で、各国金がないところはすぐ核兵器を持ちたがる。こういう傾向があるんですが、その点、防衛庁長官いかがですか。
#382
○国務大臣(細田吉藏君) 先ほども申し上げましたが、核兵器を保有するということについては毛頭考えておりません。
#383
○松前達郎君 いや、あなたが考えているかどうかお聞きしているんじゃなくて、核兵器がそういう性格があるものかどうかということをお聞きしたわけです。いかがですか。
#384
○政府委員(原徹君) 私ども持つつもりはないものでございますので、余り研究もいたしておらないんですが、比較的安いというようなことは聞いておることはございます。
#385
○松前達郎君 でも、前には核戦略に対する研究をするとおっしゃったんですね。その辺ちょっと、そのぐらいのことを防衛庁は研究していなきゃおかしいですよ、外国の状況を把握する必要があるのですから。
 核爆弾をつくるのに、一体どのぐらいの時間でできるか、それは御存じですか。あるいは技術、どのぐらいの技術でできるか。
#386
○政府委員(原徹君) まことに恐縮でございますが、存じておりません。
#387
○松前達郎君 そんなことないはずなんですが、これ以上聞いてもしようがないと思いますからやめます。
 いま総理、お聞きになったようなことで、核爆弾をつくるのはもう町工場ぐらいでできるんですね。しかも、非常に費用も安いんです。ですから、そういう意味で核拡散というのは非常に危険であるというふうにアメリカも考えていると私は思っている。こういうことですから、やはり日本としても核武装禁止に対する担保というもの、これがいかに重要かということを認識しなきゃいけないと思うんです。その点を含めて総理の決意をひとつお伺いしたいと思うんです。
#388
○国務大臣(大平正芳君) 非核三原則の堅持、核物質の管理、核の爆発力の平和利用というふうな点を通じまして、政府といたしましては、神経質なまでに注意して、周到な配慮のもとにやってまいらなければならぬと心得ております。
#389
○委員長(山内一郎君) 関連質疑を許します。吉田正雄君。
#390
○吉田正雄君 関連質問申し上げます。
 最初に総理にお尋ねをいたします。
 原子力の平和利用に関しては秘密があってはならないわけです。ところが、核拡散防止あるいは企業秘密に名をかりて、原子力施設に関する情報の公開を制限する傾向というものが次第に強まってきておるわけです。これは原子力基本法の公開の原則に反するばかりでなく、原子力の軍事への転用を隠蔽できる危険性というものを内包することになるわけです。さらに、昨年四月発足した核ジャック防止を理由とする、いわゆる警察の核ジャック防止保安隊の配置は、原発反対運動を抑圧し、国民総背番号制の行き着く最も危険な核、原発管理社会体制に陥るおそれがあります。総理は、日本国憲法のすぐれて特質である基本的人権の尊重と、原子力基本法の自主、民主、公開、平和利用の四原則をあくまで尊重する意思があるのかどうか、お聞きかせを願いたいと思うわけです。
#391
○国務大臣(大平正芳君) わが国の原子力の開発利用は、申すまでもなく、原子力基本法に基づきまして、現に平和目的に限ってその推進を図っておるところでございます。
 原子力基本法の公開の原則の適用に当たりましては、財産権の保護にも配慮をいたしますとともに、核拡散につながることのないようしなければならないと考えております。政府としては、こういう考え方のもとで原子力の開発利用を推進しておるところでございますけれども、今後とも、いやしくも核拡散の防止等に名をかりて、不必要に成果の公開が妨げられるようなことがないよう十分配慮してまいりたいと思います。また、核物質の防護は重要なものであり、このため十分な措置をとることが国際的にも求められておるところでございますが、この措置によりまして基本的人権が抑圧されるということは考えていないが、御心配のようなことがないよう配慮してまいりたいと思います。
#392
○吉田正雄君 次に、科技庁長官にお尋ねいたします。
 時間もありませんから、いずれまた関連委員会等でお聞きをいたしたいと思いますけれども、原子力発電所、さらには新設が予定をされている使用済み核燃料再処理工場など、原子力施設の事故に対する国の緊急時対策の計画はどこまで進んでいるのか。昨年秋と聞いておったんですが、まだできておらないようです。また、県、市町村段階における避難計画など対策がどのようになっているのか。また、具体的な避難訓練を実施する必要があると思いますけれども、見解をお聞かせ願いたいと思うわけです。
#393
○国務大臣(長田裕二君) 昨年のスリーマイル・アイランドの事故を契機といたしまして、従来の日本の災害対策基本法等の災害と防災対策、あれにさらに加えるべきもの等につきまして原子力安全委員会を中心として相当検討を進めまして、さらにまた、原子力発電所等周辺防災対策専門部会をつくりまして、その防災の面につきましての今後の具体策というものの検討を進めさせております。まだ結論が出てはおりませんのですが、もし御要望ございましたら、原子力安全局長から途中の経過等につきましてもお答え申し上げたいと存じます。
#394
○吉田正雄君 次に、通産大臣にお尋ねいたします。
 最近における労働者被曝の問題、とりわけ福島第一原子力発電所におけるそれは、きわめて深刻な事態になっておるわけです。福島第一の一、二、三号炉の五十年度以降における労働者被曝について、一日当たりの被曝の実態がどのようになっておるのか、それを明らかにしていただきたいと思うわけです。特に三カ月三レムの基準を超えた人数がどれだけであったのか。また、社員と下請等の社員外の被曝基準に差別を設けていることは非常に問題があると思うんで、この点についてはどのようにお考えになっておりましょうか。
#395
○国務大臣(佐々木義武君) 技術のことでございますので、担当官から御説明させます。
#396
○政府委員(児玉勝臣君) お答えいたします。
 原子力発電所におきます従事者の被曝線量につきましては、原子炉等規制法に基づきまして電力会社から定期的に報告を受けております。しかしながら、これは三カ月または一年に受けた被曝の線量についての定時報告でございまして、ただいま先生がおっしゃいましたような一日ごとの資料というのは作成しておらないわけでございます。
 また、第二の御質問の三カ月三レムの許容値を超えた者は何人おるかということでございますが、現在までのところ、東京電力福島第一原子力発電所において許容被曝線量を超えた従事者はおりません。
 それから計画被曝線量に社員と請負等の社員外の者で差があるということがあるとすれば問題であるという御質問でございますが、これは計画被曝線量は、先生御承知のとおり、その作業に基づきまして、その遮蔽、その作業の難易、その人数、その作業の時間等々を勘案いたしまして計画被曝線量を定めておるわけでございまして、社員の作業の内容とそれから請負業者が行います内容とがおのおの違いますので、監督を行う社員とそれから実際に作業を行います請負者の間に計画的な被曝線量が違うということはある程度必然的な問題としていたし方ないのではないかと、こう考えております。
#397
○吉田正雄君 通産、科技庁長官にお尋ねいたします。
 各電力会社が個々別々に目安線量や管理被曝線量を設定することには問題があります。しかも、これらの現行数値がきわめて高いと思わざるを得ません。
 そこで、まず通産大臣に、通産省はこれをさらに低く抑えるよう強力な指導を電気事業者に対して行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 また、科技庁長官としては、原子力安全委員会の立場からして、早急に法令を整備し一定の基準というものを作成すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
#398
○国務大臣(佐々木義武君) 御承知のように、関係法令によりまして許容集積線量を定めてございまして、これは三カ月三レムでございます。これは国際放射線防護委員会の勧告に沿いましてわが国の放射線審議会で定めたものでございます。被曝線量として一日当たりの許容被曝線量を設けることにつきましては、お説の点に関しましては、国際放射線防護委員会の一九七七年の勧告におきましてもその必要を特に認めておりません。私どもも現実におきましては法令によってそれを基準化するという必要はないものと考えてございます。
#399
○国務大臣(長田裕二君) 通産大臣がお答えになりましたこととほとんど同様でございますが、国際放射線防護委員会、ICRPはかなり厳し目に基準を決めておりまして、各発電、電力会社等におきましてはその範囲内で低目に独自の基準を定めてやっているのが実情でございます。この国際的な基準そのものが甘いかどうかということにつきましては御論議の余地があるかと思いますが、従来私どもがいろいろ聞いておりますところでは、相当安全率を見て辛目の基準がつくられている、最近当該機関におきましてもこれを一層辛くするというような傾向ではないと、そのように承知いたしております。
#400
○松前達郎君 石炭エネルギー対策についてお伺いしたいんですが、最近原子力開発のリードタイムというのは非常に長くなってきている、これはもう御承知のとおり。電気連合会長の発言でも、これからの原子力開発は安全性を重視して急いで行わない、遠回りしてもいいんだというようなこともおっしゃっている。そこで石炭の見直しですね。それと石炭液化技術開発、これについて一体どういうふうに評価しておられるでしょうか。これは通産大臣。
#401
○国務大臣(佐々木義武君) 石炭の見直しに関しましては、私どももいまの石油にかわる最も早くしかも大量にかえ得るものとしてはまず石炭じゃなかろうかと考えてございます。したがいまして、石炭に対しましては大変ウエートを置いて考えてございますが、国内の石炭は重点的にこれを保護していかなければいけませんけれども、御承知のように、二千万トンが一応の限度になっておりますので、将来一億トン、一億二千万トンというふうに大きく必要になる場合にはとても国内炭だけでは賄い切れませんので、海外からこれを輸入してこなければいかぬと思っております。
 ただ、その際単純に貿易上の購入だけでこれが済まし得るかと申しますと、そうは考えられませんので、やはり開発輸入――みずから出かけましてそして開発をしてその石炭を輸入してくるというのが一番正しい方向だと思いますし、世界の情勢もそういう方向に向かっておりますので、わが方もそのつもりで中国とか豪州、カナダ等を中心にいたしましてそういう開発輸入のテンポを早めたいと思ってただいまやっております。
#402
○松前達郎君 それに関連してですが、たとえばウエストバージニアの石炭を使うプロジェクトですとか、日米独の国際協力プロジェクト、あるいはオーストラリアのビクトリア州の石炭を利用するプロジェクト、たくさんあるわけですね。これらのプロジェクトがばらばらにやられているような感じがあるわけなんですが、この開発計画に対して政府は大プロジェクトとしてまとめていく自信ありますか。それとも民間の活力で自由競争に任すのですか。
#403
○国務大臣(佐々木義武君) 石炭液化に関しましては、いまお話しのように、日本で三方式を固有のものとして進めておりますし、アメリカとの間に、日米独三者でただいま非常にビッグスケールのものを開発している点は御承知のとおりでございます。その開発を今後進めていく上におきまして国自体だけでいいのかということでございますけれども、今度新しくつくろうとしております総合エネルギー開発機構が主たるこれの担い手になるわけでございまして、さらばといって従来民間で進めておりましたものを全部取り上げて云々というのは、これは少し行き過ぎでございますので、そうじゃなくて、お話しのように民間の活力を尊重しながら、ともどもこの開発に当たっていきたいということで進めたいと思っております。
#404
○松前達郎君 液化の問題は一九九〇年後半のことだと思いますけれども、当面は石炭の生だきの問題があるわけですね。これが一番可能性が大きい。これらに対する輸送船の確保ですとか、あるいは港湾施設の整備、コールセンターの設置、たくさんの課題があろうと思うのですが、これらについて政府として輸銀とか開銀などを積極的に活用して石炭の生産、利用拡大を図るべきと思いますけれども、それについてはどうでしょうか。
#405
○国務大臣(佐々木義武君) いま一番急ぎますのは、油のボイラーを石炭にどう切りかえるかということが当面の急務でございますので、本年度の予算からその予算を大蔵省で認めていただきまして、ただいま相当なスケールで石炭に切りかえつつある最中でございます。特に鉄鋼、セメント等がその主たるものでございます。
 それから失礼でございますけれども、もう一つ何でございましたか、COMでございますね。
#406
○松前達郎君 COMはまだ質問していません。
#407
○国務大臣(佐々木義武君) COMじゃなくてCOM炭でございまして、COM炭に関しましてはお説のとおりでございまして、できるだけセンターの建設もさることながらCOM炭も、石油との合成と申しますか、これは急いでやるつもりでございます。
#408
○松前達郎君 大分時間もたって頭も少し混沌としてきている感じですが、エネルギー開発と国土政策についてちょっとお伺いしておきたいのですが、エネルギー事情が新たな段階を迎える、国民生活の向上あるいは国民経済の発展を確保するために石油代替エネルギーの開発が重要である。こういうことなんですが、この開発について地域エネルギー開発と今後非常に関連してくると思うのです。たとえば地熱発電あるいはソフトエネルギーの開発、そういう問題がありますけれども、いまのコールセンターもその一つの例です。こういう意味で国土庁に伺いたいのですが、これらのものの設置ですね、あるいは灰の捨て場の確保、いろいろ問題があります。このエネルギー問題に国土政策から見てどういうふうに考え、対処するつもりですか。
#409
○国務大臣(園田清充君) お答えをいたしますが、松前先生からの総理以下のそれぞれの御質疑を私は承りながら、いま改めて実は通産大臣を見直したわけでございますけれども、お父様のお話が答弁の中に出てまいりました。私自体非常に尊敬する方でございまして、戦時中に東條さんから前線の島に逓信院総裁であった方々を送られたということは、国をどう持っていくかということについて当時の東條さんと見解を異にせられた。いま御質疑の中に、科学的な問題を中心としての御質疑でございますけれども、まさに当時お父さんが唱えられたことは科学立国ということでございました。今日私どもが国土の中で問題を考えます場合でも、そうした点について産学協同という社会の地方分権を図っていこうという考え方に立っておりますが、いま具体的にはどう国土の利用計画という中で問題を考えておるのかということでございますけれども、石炭液化の問題あるいは地熱発電の問題、あるいはソフトエネルギーの確保の問題ということについては、実務省庁においてそれぞれ実は御検討いただいて、そしてこれが企業化の段階に入れるかどうかというようなことが現状の段階でございまして、私ども国土計画の中では、こうした面から環境の保全ということを頭に十分置きながら問題に対処してまいりたい、こう考えておるわけでございます。お答えになったかならないかわかりませんけれども、少なくともお父様の考えていらっしゃったことが今日の私どもの平和日本の建国の方向であるということで努力をしておるということで御理解願えれば非常に幸いだと思います。
#410
○松前達郎君 だんだん質問しにくくなってきたんですが、諸外国のエネルギー予算を見ましても、各国とも原子力開発に力を入れておるんです。これは入れているでしょう。ただし、一方では石炭やいわゆるソフトエネルギーにも対策費を配分しているんです。これは外国の例と日本を比較していかがでしょうか。
#411
○政府委員(石坂誠一君) お答え申し上げます。
 各国ともソフトエネルギーその他につきまして非常に力を入れているわけでございますが、特にアメリカは非常に多額の国費をつぎ込みましてその開発に当たっておる状況でございます。七九年度の予算で申しますと、たとえば太陽エネルギーだけでアメリカは七百七十一億円というような多額の投資をしておるわけでございます。なお、西独につきましては、たとえば石炭エネルギーの利用につきまして百億円ほどの投資をしておりますし、フランスは太陽熱等につきまして、やはり百億円程度の投資をしておる状況でございます。
 これに比べまして、日本は五十五年度の予算に昨年度予算の約二・四倍に当たります二百八十六億円を計上しておるわけでございまして、少しテンポは遅かったかもしれませんけれども、これから大いに力を入れて開発に努めたいということでございます。
#412
○松前達郎君 私の調べた資料と大分違うですね。アメリカではエネルギー予算の一二%以上、西ドイツでは一二%、フランスで約七%、日本では三%、これは一九七七年の数字です。多くなればそれは結構な話なんですが、この財源がまた一つ問題になってきますね。
 現在、道路目的の税源、これがいろいろと論議されているんですが、現在これについての使途、使い道、どういうふうな方向で使っておりますか。
#413
○国務大臣(竹下登君) 道路整備緊急措置法第三条の規定によりまして、揮発油税収入の全額と石油ガス税収入の二分の一――残りの二分の一は地方譲与税となるわけでありますが、これは道路整備費の財源に充てなければならないとされており、これらの収入が道路特定財源であります。それからいま一つは、自動車重量税につきましては、創設の経緯にかんがみ、道路整備のための一般財源が自動車重量税の国分の八〇%に見合う額を下回らないように努めるという慣行がこれはございます。自動車重量税は一般財源でありまして、特定財源とは言えない。しかし、そのような慣行があるということでお答えといたします。
#414
○松前達郎君 この税源が問題なんですね。一部の地方道を除いて道路の整備というのはほとんどでき上がっているんじゃないかと私は思うんですが、相変わらず道路整備にエネルギー関係諸税の大部分が使われてしまう。これは逆に言うとモータリゼーションを加速するようなことになるんですね。このような道路目的財源、これを一般財源化して省エネルギー財源として使用すべきだと私は思うんですが、その点いかがでしょう。
#415
○国務大臣(竹下登君) 道路特定財源につきましてはそれなりの合理性がこれはあります。その取り扱いにつきましては種々の検討が必要であると思うのでありますが、いまの松前さんの議論につきましては、税調の「五十五年度の税制改正に関する答申」、それの「間接税関係」に「エネルギー税制」、こういうところがありまして、結論から申し上げますと、「なお、現在、道路特定財源とされている揮発油税等について、その使途を見直し、代替エネルギー対策等にも充てるべきではないかとの意見があり、これに対しては、道路整備の状況等を考慮すれば、これらの税の使途の見直しについては慎重であるべきであるとする意見もあり、この問題については、今後、さらに検討することとした。」という御答申をいただいておるわけでございます。したがいまして、それなりの合理性もございますので、揮発油税を他の使途に充てることにつきましては、道路整備の必要性、負担と受益の関係等々種々の角度から検討する必要がある、こういう結論になっております。
#416
○松前達郎君 最後に、また原子力にちょっと戻るんですが、CANDU炉について、これはいろいろと論議がされておったんですが、またカナダからの導入についての働きかけがあると聞いていますが、これを導入する意思がありますか、再検討する意思がありますか。
#417
○国務大臣(長田裕二君) 昨年八月原子力委員会が、CANDU炉の導入につきまして、当面それを導入する実益に乏しいと申しますか、そういうような結論を出しております。ただし、今後事情が変わってまいればまた別だと、そういうようなことでございましたが、その後の事情の変更と申しますと、大きな点としましては、INFCEにおきまして日本の核燃料サイクル計画などが認められたということぐらいでございまして、そのCANDU炉導入の方向へ向かっての事情の変更というふうには考えられません。ただいまのところ、私どもは、あそこで委員会の決定の文書にございました大きな事情の変更、導入の方へ向かっての大きな事情の変更という状況にはまだ立ち至っていないのではないか、そのように考えております。
#418
○松前達郎君 通産省としてCANDU炉をどういうふうに評価していますか。
#419
○国務大臣(佐々木義武君) CANDUは非常にすぐれた炉だと思っております。あらゆる点から考えましてそう認識しておりますが、いま科学技術庁長官、原子力委員長からお話ございましたように、去年にああいう原子力委員会の結論が出たわけでございますので、わが方といたしましては、情勢の変化に応じまして輸入することあるかもしらぬ、将来を考えまして、ただいま地震等に対する対策とか、いろいろそういう勉強しているところでございます。
#420
○松前達郎君 CANDU炉の輸入の問題では通産と科技庁のCANDU炉論戦というのが考えられるんですが、これは余り火をつけてもまた大変なことになると思いますから、この辺でやめておきたいと思います。
 以上で質問を終わりますが、最後に一言だけ。
 先ほど総理、もう一度私確認しますが……
#421
○委員長(山内一郎君) じゃあ簡単に一言だけ。
#422
○松前達郎君 先ほどの非核三原則ですね。これらについてひとつ決意をもう一度お聞かせいただきたい。
#423
○国務大臣(大平正芳君) 非核三原則は、わが国の国是といたしまして、これを強く堅持してまいるつもりでございます。
#424
○委員長(山内一郎君) 以上で松前君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#425
○委員長(山内一郎君) 次に、安恒良一君の総括質疑を行います。安恒君。
#426
○安恒良一君 日本の経済の先行きが大変不安である、不透明の問題がありますが、それと同じように、私はわが国の福祉政策のあり方も大変むずかしい時点に立たされていると思います。世界でまれに見るこの急激な高齢化社会の到来、低経済成長への移行と、それに関連をいたしましたところの財政悪化による財源難、社会的生活環境の変化に伴いますところの福祉重視の国民的なニーズの高まり、このように見てまいりますと、福祉政策は三重苦を背負わされているというふうに私は思います。八〇年代のわが国の福祉政策の推進に政府はどう取り組むのか、総理のお考えをお聞きをしたいと思います。
 さらに、社会保障関係予算について、わが国の経済、財政力から見まして総理はどのようにお考えでございましょうか。御見解を聞かしていただきたいと思います。
#427
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、経済の成長が減速しましてまいりましたことでございます。にもかかわりませず、わが国の人口の年齢構成から申しますと、老齢、高齢人口が急速に仰せのように高まっておるわけでございます。したがって、このままでまいりますと、容易ならぬ事態でございますが、そこへもってまいりまして、仰せのように、財政体質を改善しなければならぬと、有効に国民のニーズに財政がこたえていくにはいまの体質ではいけないという再建の問題が大きくかかっているわけでございまして、安恒さんおっしゃるように、三重苦の状況にあると考えております。したがって、これからこの問題の処理はわが国の国政の最大の問題の一つでございまして、政府は総力を挙げてこれに対応していかなければならぬと考えております。
 第二に、現在の予算で計上いたしておりまする社会保障、社会福祉の経費というようなものにつきましては、そういう苦しい状況のもとにございましても、政府としては全力を挙げてその維持向上に努めたわけでございまして、この客観的な情勢、厳しい状況にかかわらずここまで計上できましたことを私は多といたしておるわけでございます。
#428
○安恒良一君 私は八〇年代にどうお取り組みになるつもりだろうかと、このことをいま総理にお聞きしているんですが、現状認識といままでのことの御答弁ありましたが、八〇年代に三重苦をしょいながらどうされようとしているのか、このことについてお伺いしたい。
#429
○国務大臣(大平正芳君) そういう三重苦を背負った状況であることを踏まえた上で、先ほど申しましたように、そして高齢化が急速に進むという状況を踏まえて、これはもうすでに予想がつくことでございますので、福祉を考える場合におきましては、総合的に新たな決意でこの問題に取り組んでいかなければならぬと考えておりまして、国政のうちで最大の問題の一つであるという認識を持ちましてこれに対処せにゃならぬと考えております。
#430
○安恒良一君 大変お答えが抽象的でわかりかねますけれども、中身についてこれから質問します。
 大平総理が日本型福祉政策とよく言われていますが、その大平総理の日本型福祉政策、どうも精神的に温かい家庭とか相互助け合いとか、こういうことがよく強調されるようでありますが、大平総理の日本型福祉政策というものの真意についてお聞かせを願いたい。
#431
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど渡部さんにもお答えしたところでございますけれども、福祉政策であれ何であれ、日本におきましては日本の特徴を持っておるわけでございまして、わが国におきましては権利義務というようなことで問題をとらえる前に、相互の思いやり、理解という形で問題が処理されてきたよき伝承を持っておるわけでございます。私は、そういう伝承を持っておるからわれわれの社会保障政策が希薄であっていいとは一つも思っていないわけでございますけれども、そういうよき伝承というものはやっぱり社会保障制度を考える上におきまして、これを生かしてまいるということでありたいと念願しておるわけでございまして、私はくれぐれも申しますけれども、福祉政策ばかりでなく、日本のあらゆる政策を考える場合に日本文化の特徴というものを念頭に置いて考えていくのは当然の道行きではなかろうかと思っております。
#432
○安恒良一君 そこで、関係大臣にお聞きしますが、平均的な日本の労働者の所得と、それからそれのいう生活状態について御説明をお願いをしたいと思います。
#433
○国務大臣(小渕恵三君) 総理府統計局の家計調査の結果によりますと、昭和五十四年平均の勤労者世帯の一カ月当たり平均家計収支は次のとおりであります。実収入三十二万六千円、世帯主の勤め先収入二十七万四千円、可処分所得二十八万七千円、消費支出、生活費二十二万二千円、金融資産純増、貯蓄三万九千円。借金純減、借金返済九千五百円。なお、これらの調査世帯の平均世帯人員は三・八三人、世帯主の平均年齢は四十一・一歳であります。
#434
○安恒良一君 いや、私がお聞きをしているのは、これは総理府の家計調査でありまして、私は、きのう労働省の方にも毎勤統計から見る平均的な日本の労働者の像、これと、できれば総理府と労働省の間でよく話をして御説明を願いたいとお願いしたんですが、いまのはいわゆる統計資料の数字を読み上げられただけなんですが、どうなっていましょうか。
#435
○国務大臣(藤波孝生君) 御質問のわが国の平均的労働者の収入はどういう実態になっておるかという御質問でございますが、常用雇用者三十人以上の事業所の労働者の賃金でございますが、労働省の、いまお話がございましたように、毎月勤労統計調査によりますと、労働者一人平均現金給与総額は昭和五十四年平均で二十四万七千九百三十三円となっております。なお、これは女子労働者、若年労働者等も含んだ全労働者平均の数字でございます。男子労働者だけの現金給与総額でいきますと二十八万九千五十二円となっております。
#436
○安恒良一君 大変不満に思います。総理、これは後で聞きますが、これが縦割り行政の悪いところで、自分の省の所管をしている統計資料を読み上げるだけで、平均的な日本の労働者の実態というものの説明ができないんです。これは後で申し上げます。時間がなくなりますから。
 そこで、総理にお聞きをしたいのですが、「新経済社会七カ年計画」で「日本型福祉社会の創造」ということがうたってあります。その中に、それを実現するための主要な公的施策として、「安定と安らぎのある国民生活」「ゆとりと生きがいのある国民生活」「快適で潤いのある国民生活」、三つの目標を掲げておりますが、この一年間、さらに五十五年度を展望いたしまして、国民生活と福祉は逆方向に進んでいるのではないかというふうに思います。多くの国民は、大平内閣になって福祉が充実したという感じを持っておりませんが、総理、このことは間違っているんでしょうか。それとも、国民の方が間違っているんでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。
#437
○国務大臣(大平正芳君) 国民生活の現状をどう見るかということでございますが、所得で見てみますと、五十四年の一世帯勤労者世帯の実収入が約三百九十万円、前年比名目で七%、実質で三・三%の増加を見ております。消費でまいりますと、五十四年度の一世帯約二百六十七万円でございまして、名目で六・八%、実質で三・一%の増加となっております。これを階層別に見てみますと、いわゆる五分位階級に分けてこの趨勢を見てみますと、一番低いところの増加が一番多い傾向になっておりますので、安恒さんの言われた御批判にかかわらず、国民生活の実態は、われわれの内閣のもとで相当な向上を見ておるということは数字が示しておるところでございます。
#438
○安恒良一君 私は、国民生活と福祉の問題をお聞きしたんですから、総理の認識は間違っておると思いますが、これは数字を細かく議論する時間がありませんので、また改めて議論したいと思いますが、私は、今日国民は物価高と生活難等でいろんな不安に脅かされていると思います。
 そこで、やはりいま総理がおっしゃったように、国民は安らぎとゆとり、潤いを持っている、生活は進んでいると、こういう総理の認識なものですから、五十五年度予算で福祉予算の圧縮を認めることになったんじゃないでしょうか。福祉元年というふうで政府・自民党、与党が宣伝した昭和四十八年、九年以降初めてことしの予算の中で社会保障費の伸びは七・七%。一般予算の伸びは一〇・三%、一般予算の伸びを下回ったことが端的に示されていると思います。ですから、大平内閣になりまして二回衆議院でいわゆる福祉予算の修正が行われました、老齢福祉年金を中心に。これはやはり大平総理の福祉改善への熱意と誠意が不足をしていると、そういうことに対する国会の警告として受けとるべきではないでしょうか、その点どうでしょうか。
#439
○国務大臣(大平正芳君) 残念ながら所見を異にするわけでございます。七・七%という社会福祉予算、これは今度の予算をつぶさに御検討いただきますとおわかりになりますように、最高の増加率でございます。一般の行政費は五・一%に抑えておるわけでございます。国債費あるいは地方交付税交付金等が二〇%、三〇%とふえておるがゆえに、予算全体といたしましては一〇・三%という増加になっておりまするけれども、この中におきましても福祉につきましては、先ほど申しましたように、最重点的な配慮をいたしたつもりでございます。私はこれで十分であるとか申し上げているわけじゃございませんが、厳しい今日の状況の中におきましては、最善を尽くして福祉予算の確保に努めておる苦心は評価をしていただきたいと思います。
#440
○安恒良一君 この点も見解を異にするのは、私は一般財政の伸びと社会保障の伸びをずうっと四十九年以降横並びに比較をして申し上げているわけですから、総理はことしの予算の中だけの問題言われていますから。
 そこで、次にお聞きしますと、どうも私の質問に対しましても、また、きのうの大木同僚委員の質問に対しましても、わが国の社会保障制度、社会福祉はすでに国際水準に達していると、制度的にも中身的にも、こういうことでありますが、わが国の社会保障制度を主要諸国と比較してみてどのような欠点があるというふうにお考えでございましょうか。この点について総理並びに関係大臣の御見解を賜りたいと思います。
#441
○国務大臣(大平正芳君) 私は、制度及び水準から見まして、欧米諸国に総体として遜色はないものと理解いたしておりまするけれども、ただ人口年齢構成が大変低うございますので、欧米並みの構成になった場合におきましては実質とも社会保障費は欧米水準に達しておるというような認識を持っております。詳細にわたりましては、関係者の説明をお聞き取りいただきたいと思います。
#442
○国務大臣(野呂恭一君) 他の欧米先進国と遜色のない水準に達しておるのではないかと総理が御答弁されたわけでございますが、この制度の違いもございますし、また、その水準のとり方などによって単一的に比較することは大変むずかしい問題であると思いますが、わが国の社会保障の水準は、たとえば厚生年金の給付水準におきましても、全体としては制度的に欧米諸国に遜色のない水準に達しておると考えるわけでございまして、また社会保障給付費の国民所得に占める割合から申しましても、現在時点におきましては低いわけでありますが、これらの諸国と比較する場合に、老齢人口が総体的に少ないし、また年金などの成熟度も低いということを現在時点では反映をいたしておりますが、今後本格的な人口の老齢化によりまして、遠からず大幅に上昇していくものだというふうに考えるわけでございます。また、社会保障制度審議会におきましても、おおむね国際的遜色のない水準にあるのだということをも指摘いたしておるわけでございます。
#443
○安恒良一君 それではお聞きしますが、わが国の社会保障制度の第一の欠陥は縦割り行政が反映して複雑に分立しているのではないでしょうか。第二番目には首尾一貫性や整合性がない。第三番目は場当たりで計画性がない。第四番目は、民間によって行われる公共サービスのコントロールができない。こういう欠陥があると私は思いますが、どうでしょうか。
#444
○国務大臣(野呂恭一君) まあわが国におきまする、たとえば年金制度の場合におきましても、分立をいたしておるという実態は確かに諸外国に比べるならば一つの大きな特徴でなかろうかと思うのでございます。しかし、これらはそれぞれの年金制度の沿革からくるものによる違い点であるというふうに考えられます。いろいろその実態ごとにこれが悪いのだ、これがいいのだというふうにそれ自体を一つ一つ比較して、それによって非常におくれておるのではないかということも言えないのではないかと、かように思います。
#445
○安恒良一君 私は委員各位のお手元に私が集めました資料を出しています。これを御参照願いたいと思います。また、この資料を整合化するために政府からも出していただきましたら、私の資料の方が詳しくて政府の方が詳しくない点がありますが、ほぼ似通っていますから、私の資料で論争を進めていただきたいと思いますが、まず、いま言われたところの、大臣にお聞きしたいのですが、特徴という言葉を使われましたが、私は諸外国の年金を見ますと、日本のように約九省に分かれて、しかも格差、不平等があるというところは非常に少ないのであります。多くの国は一ないし二省でこれをやられている、この表を見ていただくとわかりますが、こういう点はどうなんでしょうか。
#446
○国務大臣(野呂恭一君) 社会保障制度、政策の国際比較ということで、主要国におきまする年金制度の分立の実態をお示しいただいておるわけでございます。なるほどこの一覧表によりますならば、わが国におきまする制度の立て方あるいは適用においてはかなり分立をいたしていることは、これは事実でございます。
#447
○安恒良一君 失礼じゃないですか、よりますならばというのは。あなたの方の資料も出て、両方引き合わせて整合の上でやっているんですよ。いまの言い方は訂正してください。あなたの方の出ている資料を知らないんですか、あなたは。
#448
○国務大臣(野呂恭一君) 持っております。
#449
○安恒良一君 それと比較してどうなんですか。
#450
○国務大臣(野呂恭一君) 同じでございます。
#451
○安恒良一君 それならば、あなたのあれによりますればということじゃないでしょう。取り消してください。
#452
○国務大臣(野呂恭一君) 取り消します。
#453
○安恒良一君 そこで、次にお聞きしたいのは、こういうふうに分かれていますから、わが国は非常に年金関係の国家公務員、地方公務員が多いと思いますので、主要諸国におきまして年金関係に従事している国家公務員及び地方公務員等の対人口比について教えてください。
#454
○政府委員(持永和見君) 年金制度に従事する国家公務員、地方公務員の数の御質問でございますけれども、先生御承知とのおり、ヨーロッパ諸国におきます年金制度につきましては運営の形態がいろいろあるわけでございます。アメリカのように国直轄でやっておりますところとか、あるいはフランスのように公法人が運営しているというような、そういうように形態が区々でございます。また、これも先生御承知と思いますけれども、日本の場合などは、厚生年金とそれから医療保険と一緒に事務を取り扱っております。したがいまして、年金部門だけで幾ら従事するかということを人口比率で算出することはきわめて困難でございますけれども、仮に私どもが医療保険にも従事するということで含みまして調べましたところ、人口一万人当たりの職員比率でございますが、アメリカがおよそ三・六人、日本がおよそ二・六人というような数字がわかっております。
#455
○安恒良一君 この資料をいただいていますが、大変これは不正確ですから、ひとつこれは重要なことですから一遍調べていただきたいと思います。
 次にお聞きをしたいのですが、わが国の社会保障制度の首尾一貫がないということで、いわゆる受給開始年齢、この点で公務員の定年とそれから受給開始年齢、諸外国の例は主要諸外国で結構ですが、どうなっているでしょうか。
#456
○政府委員(斧誠之助君) お答えいたします。
 主要諸国につきまして定年年齢と年金支給開始年齢の関係でございますが、アメリカでは、七十歳定年でありましたのが昨年定年制廃止になりまして現在は定年制はありませんが、年金の支給開始年齢は六十歳となっております。イギリスにつきましては、定年年齢がこれは若干六十歳から六十五歳の幅の中で各省別に労使交渉で決めておるようでありますが、年金支給年齢は六十歳でございます。それから西ドイツにつきましては定年六十五歳、年金支給六十五歳。フランスにつきましては定年六十五歳、年金支給年齢六十歳。イタリアにつきましては定年六十五歳、年金支給年齢は特にございませんで、これは勤続年数二十年以上ということでございます。スウェーデンにつきましては定年年齢が六十六歳で、年金支給開始年齢が六十五歳などとなっております。
#457
○安恒良一君 委員長、これも時間の節約で、私が資料をいただいているものはそのままでいいわけです。ところが、これも大平総理にちょっと見ていただきたいんですが、実は、きょう私のところにこの二つを持ってきた。(資料を手渡す)これはどういうことを言おうとしているかというと、人事院は、私の方は定年年齢は調べていますと。大蔵省に言うと、いわゆる支給開始年齢はわかりますと。しかし、いまわからぬからよそうかなと。じゃ、それを一つの表にして持ってきてくれと言ったら、それぞれの省でできませんと言うんです。私がつくったらすぐこれができるわけですね。いわゆる全く縦割り行政なんです。こんな簡単なことも、きのうレクをしまして、きょう朝来たときに、どうしてこの表を横につなげないのかと言ったら、それぞれ担当省が違いますからと、こういうことにこれはなるわけですから。
 横道にそれてはいけませんので、これも後で行政改革のことで申し上げますが、そこで、少なくとも私がつくった表を見ていただきますとわかりますように、大体公務員の定年と年金支給開始年齢というのはきちんと一致をしております、ほぼ。民間においても同じことが言える。私はわかりやすい例で公務員を挙げました。ところが、わが国の場合は国家公務員の受給開始年齢を今度六十にする、こういうことであります。ところが、これは自民党の反対でいまは立ち消えになっていますが、民間だけは六十五にしたいと、こういうちぐはぐな提案をされようとしたわけですね。それをやっと食いとめることになりました。こういうところにやはりわが国の社会保障制度に非常にちぐはぐがあるというふうに総理はお考えになりませんか、諸外国のこの例とわが国のいまやろうとしていることの間に。
#458
○国務大臣(大平正芳君) 生い立ちから申しまして、仰せのように、日本の制度が多岐に分かれているとか、また縦割りになっておるということは御指摘のとおりだと思います。それは私も認めます。
#459
○安恒良一君 総理が認められましたので結構ですが、それじゃ今度は医療費政策についてちょっとお聞きしたいのですが、この医療費の抑制政策について諸外国はどのようなことをやっているのでしょう。わが国と同じように医療費が伸びて非常に困っている状況ですが、そのことについて厚生大臣から諸外国でやっていることとわが国でやっていることについて。
#460
○国務大臣(野呂恭一君) 近年、欧米先進諸国におきましても、やっぱり人口の老齢化、医療需要の多様化あるいは医療の高度化を背景といたしまして医療費が高騰いたしておりますので、したがいまして、その増大する医療費をどのように負担し、国民の医療をいかに確保していくかということにおいて苦心をいたしておるわけでございます。しかしながら、各国ともにその医療費の増加に対応してさまざまな方策が講じられておりますが、その社会的背景とか、あるいは医療保険制度の仕組み、沿革がそれぞれ異なっておりますので、その是非を論ずることは大変むずかしいことであると思います。
 わが国におきましては、医療費の適正化を図ることは医療保険制度の運営にとって大変大事な課題であるという考え方で、薬価基準の適正化とか、あるいは指導監査の強化などの対策を進めておるわけでございます。今後とも医療費の適正化の問題につきましては、わが国の実情を踏まえながら、各国のいろんな制度そのものを参考にしながら各般にわたりまする処置を講じてまいりたいと考えます。
#461
○安恒良一君 そこで、総理、お聞きしますが、総理のお手元に差し上げました、私が調べました各国における医療費の抑制政策をごらんになっていただきたいと思うんです。
 御承知のように、わが国の場合でも、すでに本年度で十一兆数千億ですね、五十八年になりますと二十兆二千八百億になるということになっております。そこで諸外国は、もちろん一部負担という問題も出しておりますが、基本的な特別な立法措置において国民医療費の急上昇を抑える、これが諸外国のとっている先進的な例だと思いますが、わが国の場合においても、いわゆる場当たり的に保険料を上げるとか、もしくは一部負担をふやすとか、そういうことだけじゃなくして、諸外国に見習って特別な立法措置をもって医療費の急増を抑えるというお考えは、総理、ございませんか。
#462
○国務大臣(大平正芳君) 医療費の問題が医療保険制度の根幹に横たわる大問題であるということを承知いたしておりますし、また、この問題は、医療保険という狭い領域の問題にとどまりませんで、わが国の財政にとりましても非常に大きな問題点になってきておるわけでございまして、これをどのようにして適正なものに抑えていくかということはわれわれが常に心がけなければならぬわけでございまして、それを行政努力でやるか立法政策に頼るか、そのお尋ねでございますが、そこは、われわれといたしましては、できるだけ行政措置でぎりぎりまで努力をやってまいりまして、どうしてもそれではいけないということでございますならば立法をお願いするということも考えなければならぬのじゃないかと思っておりますが、とりあえずのところは、やはり厚生省を中心といたしまして精いっぱいの行政努力を私は期待いたしたいと思っています。
#463
○安恒良一君 総理が行政努力でと言われましたが、厚生大臣、具体的に行政努力をどのようにしていまのように非常な勢いで年率十数%で上っている医療費を抑えられるんですか、具体案を聞かしてください。
#464
○国務大臣(野呂恭一君) 先ほどもちょっと触れたわけでございますが、やはり医療保険制度の運用の上でいまやっぱり急いでやらなければならぬ問題は薬価基準を適正化していくということでございます。また、診療等に関しまする指導監査の強化をより具体的に進めていくということによって医療費の高騰に対して対応していくことが必要でなかろうか、かように考えております。
#465
○安恒良一君 これも時間がありませんから、また改めてゆっくりやりますが、そういうことをいつも言って、実際はいままでやっていないし、問題ですから。
 そこで、次にお聞きしたいのですが、この前も厚生省がわが国における医療機関の地域偏在について発表されました。この点について、これも欧米先進諸国は医療機関ないし医師の偏在の抑制にいろいろな努力をしていると思いますが、どういう努力をしているのですか、それをまずお聞かせ願いたいと思います。
#466
○国務大臣(野呂恭一君) 御指摘のように、諸外国におきましては医療機関整備に関する計画を定めまして、医療機関の適正配置を進めておる例もあるということを私は聞いておるわけでございますが、その詳しい実態についてはいま資料を持っておりません。また、承知いたしておりませんが、それらの国におきましても制度の運用上実際にはいろいろ問題を持っておるというふうに聞いておるわけでございまして、医療に関する制度や実情がわが国とは大変な違い点もあるのではないか、したがって一律にこれを論ずることはできないと思います。しかし、わが国でも医師や医療機関の適正配置を図る観点に立ちまして、従来から公的病院に関する病床規制を実施しておりますほか、県の中において医大のないような県の解消あるいは僻地医療対策の計画的な推進、あるいは救急医療対策とか、あるいは特殊疾病対策等を通じまして、医療機関の体系的な整備や連携の確保を図ってまいっておるわけでございます。
#467
○安恒良一君 大臣が御承知なければ政府委員の方で、諸外国でやっている実例を西ドイツ、イタリア、アメリカ、イギリス、フランスについて挙げてください。それをなぜ言おうとするかというと、私は、いま言われたようなことで医師、医療機関の偏在が直ると思いませんので、諸外国の実例について御説明を願います。
#468
○政府委員(田中明夫君) 私どもも諸外国の実情について必ずしも詳細を承知しているわけでございませんが、私どもが知り得た範囲内において申し上げますと、それぞれの国によりまして医療に関する制度や実情が異なるので具体的な方策もまちまちでございまして、たとえばイギリスのように国民保健医療サービス方式をとっておりますところにおきましては、病院につきましては主として予算の重点配分というような方法によりまして、またGP、いわゆる一般医につきましては、その登録の際に、地域の医者の分布を考慮いたしまして、医師の不足地域につきましては特別の加算をするというような方法をとっておると聞いております。
 また、西ドイツにおきましては、病院につきまして公費による助成の要件といたしまして、病院需給計画を策定いたしまして、これによりましてその整備を進めようとしているようでございます。また、一般医につきましては、御案内のとおり、西ドイツにおきましては、疾病金庫と保険医協会の間におきまして一般医の医療サービスにつきまして毎年協議が行われておるわけでございまして、その過程におきまして非常に稠密になっているところにつきましては、医師会の方もそれ以上入ってきては困るというような観点で自主規制が行われると聞いております。
 また、フランスにおきましては、地域ごとに保険地図を作成いたしまして医療機関の開設や設備投資の適正化を図っているというふうに聞いております。
 アメリカにおきましては、連邦資金の投入と州における必要証明制度とをうまく組み合わせまして医療機関の適正な整備を図ろうとしているというふうに聞いております。
#469
○安恒良一君 日本では、個人開業医の診療所開設とそれから病院の開設は、どういう制度になっていますか。
#470
○政府委員(田中明夫君) 個人の診療所につきましては、開設者がその旨の届け出を行政機関にすればよろしいというふうになっております。病院につきましては、一定の設備基準等が医療法に定められておりまして、それに合致した場合には開設を承認されるということになっております。
#471
○安恒良一君 二つのことで適正配置ができますか。
#472
○政府委員(田中明夫君) 先ほど諸外国の例をいろいろ申し上げたわけでございますが、現在の医師の数等見ますと、ドイツその他におきましては日本よりかなり人口単位の数が多くなっておりまして、日本におきましては、われわれといたしましては、現在、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、僻地等の医師、医療に恵まれない地域に医療を供給するというような観点から、先ほど大臣が申しましたいろいろの施策を講じているところでございます。
#473
○安恒良一君 いや、私が聞いていることは、個人開業医は届け出だ、病院は許可制だ、それで適正な配置ができますか、あなたたち自体が発表しているやつでも非常に偏在があるのじゃないですかということを聞いている。僻地じゃありません。大都会周辺もそうじゃないですか。
#474
○政府委員(田中明夫君) 仰せのように、大都会の周辺の人口急増地域におきましても医療機関あるいは医療従業者の数が少ないというような地域もございまして、この点につきましては、救急医療体制の整備等の施策を通じていろいろの予算的な措置を講じておるところでございます。
#475
○安恒良一君 総理にお聞きしたいのですが、やはりこの問題もアメリカのところを見ていただきましてもわかりますように、病院の新増設は州の許可制で、それも必要な証明制度を導入しています。各国は、それぞれ立法措置を講じて医師の適正配置を行っているわけです。やっていないのはわが国だけなんです。ですから、こういう点について、わが国は今後医師、医療機関の適正配置をどういうふうにして行おうとされているのか。いまの現状は非常に偏在があることは事実なんです。どうでしょうか。
#476
○国務大臣(大平正芳君) 近年、経済の成長に伴いまして大量の人口移動がございまして、過疎地域、過密地域が出てまいりましたので、私は素人でよくわかりませんけれども、やはりお医者さん並びに医療機関、病院等の偏在が起こっておるのではないかと心配をいたしておりますが、ようやく事態も落ちついてまいっておりまして、そういった問題につきましても適正な配置について配慮を加えなけりゃならぬ時期が来ておるように思います。厚生省を中心といたしまして篤と検討を進めなければならぬ課題ではないかと思っております。
#477
○安恒良一君 以上のように、わが国の社会保障制度の中身には数多くのまだ欠陥があります。やはり、こういうことについては勇気を持って直していただきたいと思いますが、総理、どうでしょうか。
#478
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございます。勇気を持って取り組まなければならぬと思います。
#479
○安恒良一君 そこで、総理は勇気を持って取り組むということでありますので、次にお聞きをしたいのですが、新経済社会七カ年計画の中の十五ページに、政府は社会保障についての基本的な考え方を書いております。「社会保障の基本的任務は、公的に保障すべき所得又はサービスを適切に提供し、国民が生涯のどの段階においても不安なく生活設計を立て得るような」と、まことに私はりっぱなことが書いてあると思います。しかし、わが国の現状は、社会保障福祉システムは国民の生活設計に役立っていないと思います。たとえば一つの例を挙げますと、年金の計算ができる国民はいないのであります。自分の年金がわからないのであります。でありますから、私は生涯設計に寄与できるような社会保障福祉システムの体系化をする必要があると思いますが、この点、厚生大臣並びに総理、どのようにお考えでしょうか。
#480
○国務大臣(野呂恭一君) 御指摘のように、社会保障及びその関連領域におきまして各種の施策を有効的に連携を図っていくという施策の体系化ということは、その制度を効率的に運用する意味におきましても大変私は大事な問題であると考えます。
#481
○安恒良一君 そこで、お聞きしたいのですが、低経済成長の中で今後どのように福祉の充実を進めていくかというためには、政府のやはり基本方針がないとだめだと思うのであります。五十一年五月策定の五十年代前期経済計画の中でも、「社会保障長期計画を早期に策定する。」というふうに述べられておりますが、私はまだ作業が行われたことを寡聞にして聞いておりませんが、この点はどうするつもりでしょうか。
#482
○国務大臣(野呂恭一君) 御質問の社会保障の長期計画の問題でございますが、個別施策について、将来にわたっての数量的な目標を示すという意味で御指摘になるとするならば、その計画につきましてはなかなか実際問題として困難でございます。しかしながら、本格的な高齢化社会の到来を控えまして、社会保障が長期的、安定的に機能していくためには今後の社会保障をどうしていくかということについて、国民的合意を求めながら長期的な展望を明らかにしていくことは当然のことでございます。このため、関係審議会の意見を聞きながら、社会保障の中期的展望をつくるべく鋭意具体的に検討を進めておるわけでございます。厚生省といたしましては、社会保障の中核をなすべき年金と医療について、まず長期的展望を明らかにするように努めております。その第一段階が今国会におきまする健康保険法等の一部を改正する法律案であり、あるいは厚生年金保険法の一部を改正する法律でございまして、この御審議をお願いいたしているところでございます。
 なお、問題になりますのは、老人医療制度であるとか、あるいは児童手当制度などにつきまして将来のあり方についても討検しなければならないのでありますが、いずれにしても、社会保障全体にわたっての将来の数量的な目標を明らかにするという、そういう計画は現段階において大変残念ながら困難でございます。
#483
○安恒良一君 私は、真に生涯にわたる生活設計に役立つ負担と給付の関係が数量的にも明確にされる、そして社会福祉の体系化こそが今日の日本の福祉社会の建設に必要不可欠な要素だと思うのであります。そこで、私は、国民大衆の生涯にわたる生活設計確立のため、行政改革の一環として少なくとも年金と医療を主管する主管庁、中央に一本化したらどうだろうか、また国会に高齢化社会に対処するための特別委員会を設置をして審議をする、こういうことを考えたらどうだろうかと思いますが、総理、この点。
 それから、これはほかにも及びますので、官房長官を含めてお考えをお聞かせを願いたい。
#484
○国務大臣(宇野宗佑君) 年金制度は広く、また深く検討しなくちゃならないという御意見だろうと思いますが、この点に関しましては政府も十分認識いたしておりまして、御承知のとおり、関係閣僚懇談会を設け、また事務的には連絡協議会もございます。そこでそうした線で検討いたしておりますので、いま直ちに機構の改革ということは考えられない段階でございます。
#485
○国務大臣(大平正芳君) いま五十五年行革で御審議をお願いしようといたしておりますのは、行政費の節減ということを主眼にいたしましてやっておることでございまして、安恒さんの言われる国民のニーズに応じまして行政機構を改革していくという課題は次の課題になるわけでございますが、当面は行政費の節減という点にアクセントを置いてやっておるわけでございまして、いま御指摘になりました問題を忘れておるわけじゃございませんで、いずれ、そういう問題につきましても検討を加えなけりゃならぬ時期があると思いますけれども、当面やっておりますのは行政費の節減であるというように御理解をいだたきたいと思います。
#486
○安恒良一君 私の質問にまだ答えられておりません、国会における特別対策委員会の問題。
#487
○国務大臣(大平正芳君) それは、申すまでもなく、国会の各党の間のお話し合いで検討さるべき問題だと思いますが、自由民主党といたしましても、そういう問題を御提起になりまするならば誠意を持って御相談には応じなけりゃならぬと思っております。
#488
○安恒良一君 私がぜひお願いをしたいのは、行政費と同時に機構、これはうらはらの関係で、少なくとも日本のように九省にまたがって年金を管理しておるところはないんです。だから、関係閣僚懇ができただけでは問題は解決しないんです。事務機構がそうなっています。ですから、これは少なくともヨーロッパのように一つとか二つに整理する、こういうことこそが国民が望んでいる行政改革ではないかと思いますが、どうでしょうか。
#489
○国務大臣(大平正芳君) その問題性は私もよくわかっておるわけでございます。そういう問題意識は私も持っておりますけれども、いまやっておりますことは行政費の節減にアクセントを置いてやらしていただいておりますということでございまして、あなたのいま御指摘の問題は、われわれの将来の課題として取り組まなければならぬ問題だと心得ております。
#490
○安恒良一君 私は、国民として本当に安心して生活ができる、生涯にわたる生活設計ができまして社会保障計画がつくられるならば、財源が不足ならば大胆に福祉税の創設、こういうことを検討してもいいと私は個人的にも思います。必要なら、また給付に対しての負担も上げなけりゃならぬ。どころが、今日それをなぜ国民が拒否をするのかというのは、総理、少なくとも生涯にわたる生活設計と社会保障の計画が明示されないまま場当たり的に、いま野呂さんが説明したことなんか全く場当たり的なことです。ことし、こうしたいという、それに問題があるんじゃないでしょうか。ですから、私は少なくとも八〇年代をリードされる総理としては、やはりそういう点についてもきちっとしたお考えを示された中で、健康保険法をどうするのか、厚生年金をどうするのか、こういうふうに国民に訴えられていく必要があると思いますが、この点どうでしょうか。
#491
○国務大臣(大平正芳君) 冒頭にも、あなたとのやりとりを通じて申し上げましたように、いま三重苦を背負って社会保障の充実を考えなけりゃならぬという段階でございます。したがって、いま、あなたの言われる理想を追求してまいる上におきましては、いろいろな経過を経なければならぬわけでございます。ジグザグのコースをとってまいらなけりゃならぬことと思うのでございますけれども、目標をそういう理想に置きまして、政府としては鋭意努力していかなければならぬと考えております。そして、国民に生涯の目標ができるだけ明瞭に掌握できるような状態にいたしまして、そして、しかもそれは国民に適正な負担をしていただくというように、両々相まちまして社会保障の充実と定着に努めなければならぬと考えておりまして、そういう考え方につきましては私も全く同感でございます。ただ、こういうむずかしい環境の中でそういうことを追求していく上におきまして、いろいろな工夫を年々歳々加えていかなければならぬものと思っております。
#492
○安恒良一君 総理、いわゆるこの負担増のところだけを強調されるんじゃなくして、私は、低経済成長と老齢化社会という課題を調整、調和するためには福祉政策を重視する以外にはない。その場合には与野党の立場の違いはないはずだ。ですから、それにはまず長期福祉計画が必要なんだ、それをまず示してもらいたい。その中で十分福祉問題について議論をしようじゃないか、こういうことを申し上げておりますので、この点は答弁は要りませんが、私の考え方をはっきり申し上げておきたいと思います。
 それでは次に、交通政策について御質問をしますが、運輸大臣、大蔵大臣、自治大臣にお聞きしたいんです。
 五十三年の十月十八日に「地方陸上公共交通維持整備に関する件」が衆議院で六党満場一致で決定されました。昨年、この予算委員会の一般質問で私は本問題を取り上げまして、「来年の予算委員会で再び私がこのようなことを聞かなくて済むように、福永元運輸大臣が所要の立法、行財政措置を講ずるように努力しますと、こう言い切っているわけですから、どうかそういうふうにしていただきたい。」ということを森山前運輸大臣、金子前大蔵大臣、澁谷前自治大臣に質問をいたしました。そして、これに対して各大臣は、全力を挙げて取り組む、誠心誠意取り組むという約束をされました。
 そこで、現在の三大臣にお聞きいたしますが、この問題についてどのような引き継ぎを前大臣からそれぞれ受けられましたか、また、その後あなた方が大臣になってこれが具体化のためにどういう努力を運輸大臣、大蔵大臣、自治大臣はされていますか、各大臣の御説明をお願いします。
#493
○国務大臣(地崎宇三郎君) 国会の決議の趣旨は、モータリゼーションの進展により経営が困難になっている地方のバス、鉄道の維持、整備を図ることにあると承知しております。この点に関して、従来から地方のバス、鉄道に対して所要の助成を行って、その維持、整備を図ってきているところであります。五十五年度予算案においても所要の金額を計上しているところであります。さらに決議にありますように、安定的な財源を確保する必要があると考え、五十四年度に引き続き五十五年度予算編成過程においても地方交通対策を含む特別会計の創設に努力いたしましたが、諸般の事情からその創設を見送られたわけであります。この構想については引き続き検討していくこととしております。また、従来から法律により陸運局ごとに設置されております地方陸上交通審議会において都市を中心とする鉄道、バスの整備計画を策定してまいりましたが、今後はこの審議会を活用し、より広域的に、原則として都道府県を単位とする交通計画を作成するように準備を進めておるところであります。
#494
○国務大臣(竹下登君) 金子前大蔵大臣からの引き継ぎ事項に明瞭にこれはございました。そうしてまた、「地方陸上公共交通維持整備に関する件」、これの国会決議も確かに承知いたしておるところであります。
 そこで、運輸省におかれましては、五十五年度予算要求において陸上公共輸送整備特別会計の創設の構想がありました。ただ、いろいろ議論いたしまして種々問題がありましたので、政府部内で検討した結果、五十五年度はこれを見送りということにいたした次第であります。したがいまして、五十五年度予算におきましては、きわめて厳しい財政事情でありましたが、過疎地域等の住民の足を確保するためのバス運行対策費補助金、地方鉄道軌道整備費補助金、離島航路整備費補助金等につきましては、できるだけ配慮をいたしたところであります。
 そうして、どういうところが問題であったかということを簡単に申し上げますならば、この構想が自動車重量税の引き上げによる増収分を特定財源として一般財源と合わして地域公共輸送の維持整備のための歳出に充てるという構想でありましたが、この税を特定財源として鉄道等の整備に充当する理論的根拠、すなわち受益と負担の関係というものが必ずしも説得的でない、それが一つであります。いま一つは、特別会計につきましては、財政法第十三条で定めております「特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、」設置を認めることとするという要件に該当するか否かと、こういう点がまた問題点の第二であります。
 そこで、これは自民党の税制改正大綱におきましては、本件については「省エネルギー時代に対応する陸上公共輸送の整備充実を強力に推進することとし、このための特別会計の創設およびその特定財源の確保については、引き続き積極的に検討を行うものとする。」と、こういうことに最終的になったわけでございますので、私どもといたしましても、引き続き検討する課題としてそれらの問題点について議論を詰めていかなければならないというふうに考えております。
#495
○国務大臣(後藤田正晴君) 前大臣が昨年当委員会で答弁をなさった内容等は事務方の方から報告を聞いております。問題は、この地方交通体系の整備にかかる問題につきましては、事務配分の問題とそれに伴う財源措置という、いわばなかなか役所間で厄介な問題がございます。それらを踏まえながら――といってそのままにするわけにもいきません。たまたま起きてまいったのが、国鉄再建に伴う地方交通線の問題が起きてきております。こういった機会に、やはり地方交通体系整備の問題等も過去にあるわけでございますから、そこらを踏まえながらこういった問題に対処していこうということで、両省庁間においていろいろといま話し合いをしておるわけでございます。
 同時にまた、御承知のように、運輸省の関係と私どもの関係においては地方事務官の問題もございますから、それらもこの問題の一環として私どもは考えておるわけでございます。つまり地域における適切な交通体系、これを樹立、実施していくためには、地方公共団体の役割りというものを十分認識をして一層充実していく必要があるのではないかというのが私どもの基本的な物の考え方でございます。同時にまた、今日地方のバス事業は赤字がずいぶん出ておりまするので、これらについては再建計画を立てていただいて、それに対して所要の財政上の支援措置を講じておるような次第でございます。
#496
○安恒良一君 運輸大臣の答弁は全くわかりません。
 そこでお聞きしたいんですが、検討を重ねられている法制上のいろんな問題点があると聞きますが、どういう問題点があるか。またどういう点を去年私がお聞きをした以降検討を重ねられて、解決をしている点は何であるかお聞かせください。
#497
○政府委員(永井浩君) 地方陸上公共交通の整備、維持に関しまして、その前提として地域の交通計画をつくるべきではないか、こういう問題提起がございまして、私どもとしてはこれを制度化するのにいろいろ検討しなければならないという幾つかの問題点を考えたわけでございます。それがお尋ねの件であると考えますが、対象交通機関をどうするか、計画期間をどうするか、それから計画地域は、あるいは計画の内容、計画策定権者はだれにする、審議会をどう構成するか、あるいは関係行政機関との関係をどうするか、計画策定権限と行政配分権限の関係あるいは国と地方の助成及びその財源の確保と、こういった問題があるということで検討をしたわけでございます。
 先ほど大臣からお答え申しましたように、私どもとしては、この計画策定につきましては、陸運局長の諮問機関でございます地方陸上交通審議会で審議をお願いしたいと、このように考えておりますが、一番目の対象交通機関としては、当面、地域の住民の足を確保するということで鉄道及びバスとする。それから計画の目標年次は、おおむね十年先ぐらいを目途といたしたい。それから計画地域としては原則として都道府県単位に計画地域を定めてそれぞれの計画を策定する。それから計画の内容といたしましては、都市部、地方部に分けまして、それぞれのシビルミニマムの確保のために必要な公共交通機関の意義といったものはどうあるべきかといったような内容の御検討をお願いしたいと考えております。
 それからまた、計画策定は当然のことながら陸運局長といたしたい。
 それから審議会の構成でございますが、従来とも各般の学識経験者に委員になっていただいておりますが、特に都道府県ごとに部会を設けまして、国のそれぞれの出先機関あるいは地方公共団体等の参加を求めて御意見を承っていきたいと、このように考えております。当然のことながら、私どもは鉄道・バスの監督はいたしておりますが、そのほか交通行政は、道路整備とか、あるいは交通規制の問題もございますので、関係行政機関の協力をいただきたいと、このように考えております。
 それから計画策定権限と行政配分の権限の関係でございますが、現在のところ、先ほど申しましたようなことで陸運局長がこれをやりたいと、このように考えております。
 それから財源問題につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、特別会計という構想は見送らざるを得なくなりましたが、なお今後とも検討をしてまいりたいと、このように考えております。
#498
○安恒良一君 お聞きをしたいんですが、いま言われた中で、おおむね十年ぐらいを目標にと、こう言われたんですが、六党でおととし決めまして、もう一年半ぐらいたっていますね。まさかこれから十年もかかるということじゃないんでしょう。いま言われたようなことをどういう計画で、いつからどういうふうに実行するかと、こういうことを聞いている。
#499
○政府委員(永井浩君) 十年と申し上げましたのは、それぞれの計画の目標年次が十年先という趣旨でございます。私どもとしては、この準備をなるべく早くいたしまして、各陸運局ごとにスタートをいたしたいと考えておりますが、まあ陸運局の事務の能力等もございますので、当初は各陸運局で一つの府県の計画と――大体作業を始めますと、おおむね一年ぐらいはかかるだろうと、このように考えておりますので、逐次いまこれをスピードアップはしたいと思っておりますが、そういったような段取りかと考えております。
#500
○安恒良一君 いま言われたことをするのにしても、関係法規はどうなるんですか。あなたたちが決めればすぐそれはできることですか。国会との関係はどう考えられますか。
#501
○政府委員(永井浩君) ただいま申し上げました地方陸上交通審議会は、運輸省設置法に基づきまして陸運局ごとに置かれておるわけでございます。それで府県ごとに部会を設けるのは地方陸上交通審議会の権限でございますが、さらにそれを明確にするため審議会の運営規則というのが運輸省令でございますが、それの改正を行って部会の設置を明確化したいと、このように考えております。
#502
○安恒良一君 この点で自治省にお聞きをしたいんですが、私たちは少なくとも、社会党からもこの考え方を出したとき、地方陸上交通ということになると陸運局長の権限では無理だろうと、やはりまず県知事を中心に、もちろん陸運局なんかの意見も聞いていくんですが、そういうふうにやらなきゃならぬだろうというふうに私どもは社会党として案を出しておったのですが、いま言われたことは運輸省と自治省との間で話し合いは済んでいることですか。自治省の方にもお聞きします。運輸省と自治省。
#503
○政府委員(土屋佳照君) 先般来いろいろと協議はいたしておりますが、まだ結論的なものは出ておりません。
#504
○安恒良一君 運輸省。
#505
○政府委員(永井浩君) 従来から地方陸上交通審議会には、地方公共団体の代表の方が入っていただいておりますが、さらに部会を設けるということにつきましては、なお関係方面にこれから依頼をし、御協力をお願いしたいと、このように考えております。
#506
○安恒良一君 そうすると、まだこの点も調整が済んでない。ほとんど一年たったけれども何にもやってないということがほぼわかったわけです。
 そこで、私は権限の問題が、やはりどうもいまお聞きをしても――ところが去年私の質問に対して、財政的な問題は大変だが、権限的な問題は両大臣が話し合いをすれば解決できるというふうに言われているわけです、両大臣が。この点についてお考えを聞かしてください。去年の両大臣は、安恒さん、それはむずかしいことじゃないよ、問題は金だよという答弁だったんですが、そこはどうなっていますか。
#507
○国務大臣(後藤田正晴君) 率直に言いまして、金の問題だけでなしに、権限の問題もやかましい問題でございます。ただ交通問題は私はやはり広域にわたるものでございますから、権限といいましても知事だけで云々すべき筋合いのものではなかろう、同時にまた、現在のたてまえのように、地方の一県の中の交通機関の問題であるにかかわらず一切知事には権限を与えていないといったようなことも、これは改めるべきであろう。要するに、両省が余り突っ張り合いをやらないで、今日の交通事情をめぐる激変しておる状況にどう対応していくかということを真剣に検討をしていくべき私は時期にきておると思います。さような考え方のもとに、今後一生懸命に運輸省当局とも話し合いを進めたい、かように思っておるわけでございます。
#508
○安恒良一君 やはり私ども、同僚の山崎委員から御質問があったように、大臣が十カ月ごとにかわりますから、こういうところで聞くと、みんな一生懸命やる、やると言うのですね、一年たってみたら全く進歩してない。こういう点、大平総理、どうお考えですか。去年の議事録を読み、いまの答弁を聞いても全く同じようなことを言っている。これから一生懸命やります、これから一生懸命やりますと、国会で言ったことについて責任が持てないですね。(「総理がかわってないのだから総理から答えてもらえばいい」と呼ぶ者あり)ですから、これはもう総理からひとつお答え願いたいと思います。
#509
○国務大臣(大平正芳君) 大臣はかわりましたけれども、引き続き努力してまいります。
#510
○安恒良一君 いや、去年も大平総理、引き続き努力するとか、全く去年は突っ込んで、最善の努力をするとか、大蔵大臣だったら中身の金のことについても検討するとか、そういうことを言われているわけですね。ところが、一年たったら何にもですね。少なくとも何点か、これとこれは片づいたとか、これはここまでいったというなら、総理、私も理解をするわけです。一遍にできないということを知っています。しかし、去年の議事録とことしの議事録を後で読んでみると全く同じだということになると、国会で何をぼくたちが一生懸命こうして質問をし、注文をつけるか、ここのところをお聞きしているわけです。
#511
○国務大臣(大平正芳君) ですから、引き続き努力すると申し上げておるわけでございまして、(笑声)問題は、怠けておるということでございますならばおしかりを受けてもやむを得ませんけれども、みんな一生懸命にやっておりますけれどもなかなか問題がむずかしい問題でございますので、容易に折り合うところにまいっていないようでございますが、一層気をつけてまいります。
#512
○安恒良一君 しかも、これは六党が共同で決議されたことなんですよ、国会で。私たちが単なる注文をつけているわけじゃないんです。自民党を含めてみんなで、これは非常に国民の足を守っていくことは重要なことだからやろう、それがためには立法措置も講じようじゃないか、財政措置も講じようじゃないか、こういうことが決まってもう一年半たっているわけですよ、一年半。ですから、私は少なくとも、もう少し国会で決められたことということをまじめにやってもらいたい。できないことできることがあればはっきりしてもらいたい。ここはこうなっている、ここはこうできていない、こういう点について考え方をひとつ明らかにしてもらいたい。でなけりゃ、毎年同じような議事録を読んだら国民はどう思いますか。少なくともここまでは前進した、ここはこういう問題があると、こういうことを言われれば私もわからぬわけじゃないのですが、こういうふうに聞きますと、そのときは抽象的になりますから、今度は一般質問と違って総括ですから、総理がお約束をされましたから、来年はひとつ本当にこんなことを今度は総理に言わなくていいように具体的な中身についてお示しを願いたいと思いますが、総理よろしゅうございますか。
#513
○国務大臣(大平正芳君) 実のある御報告ができるように努力します。
#514
○安恒良一君 これをもって終わります。(拍手)
#515
○委員長(山内一郎君) 以上で安恒君の総括質疑は終了いたしました。
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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