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1979/03/26 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第16号
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1979/03/26 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第16号

#1
第091回国会 予算委員会 第16号
昭和五十五年三月二十六日(水曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     穐山  篤君     竹田 四郎君
     柳澤 錬造君     井上  計君
     喜屋武眞榮君     青島 幸男君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     浅野  拡君     竹内  潔君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
     委員長        山内 一郎君
     理 事
                亀長 友義君
                下条進一郎君
                桧垣徳太郎君
                安田 隆明君
                栗原 俊夫君
                山崎  昇君
                原田  立君
                沓脱タケ子君
                栗林 卓司君
    委 員
                井上 吉夫君
                石本  茂君
                小澤 太郎君
                金丸 三郎君
                上條 勝久君
                北  修二君
                熊谷  弘君
                鈴木 正一君
                竹内  潔君
                成相 善十君
                林  ゆう君
                真鍋 賢二君
                町村 金五君
                八木 一郎君
                山本 富雄君
                大木 正吾君
                坂倉 藤吾君
                松前 達郎君
                安恒 良一君
                吉田 正雄君
                中尾 辰義君
                馬場  富君
                渡部 通子君
                市川 正一君
                渡辺  武君
                井上  計君
                秦   豊君
                青島 幸男君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       法 務 大 臣  倉石 忠雄君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       農林水産大臣   武藤 嘉文君
       通商産業大臣   佐々木義武君
       運 輸 大 臣  地崎宇三郎君
       郵 政 大 臣  大西 正男君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 伊東 正義君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       宇野 宗佑君
   政府委員
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       総理府人事局長  亀谷 禮次君
       総理府人事局次
       長        川崎 昭典君
       総理府恩給局長  小熊 鐵雄君
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       行政管理庁長官
       官房審議官    中  庄二君
       行政管理庁行政
       管理局長     加地 夏雄君
       行政管理庁行政
       監察局長     佐倉  尚君
       防衛施設庁長官  玉木 清司君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       外務大臣官房長  柳谷 謙介君
       大蔵省主計局長  田中  敬君
       国税庁長官    磯邊 律男君
       農林水産大臣官
       房長       渡邊 五郎君
       農林水産大臣官
       房予算課長    田中 宏尚君
       林野庁長官    須藤 徹男君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  安田 佳三君
       運輸大臣官房長  杉浦 喬也君
       郵政大臣官房長  小山 森也君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   寺島 角夫君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   神保 健二君
       郵政省電波監理
       局長       平野 正雄君
       郵政省人事局長  林  乙也君
       自治省行政局長  砂子田 隆君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   説明員
       警察庁刑事局参
       事官       谷口 守正君
       会計検査院事務
       総局次長     松尾恭一郎君
       日本専売公社総
       裁        泉 美之松君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算、昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は、お手元の質疑通告表のとおり、綱紀粛正及び行政改革に関する集中審議を行います。
 それでは、これより質疑を行います。熊谷弘君。
#3
○熊谷弘君 昨年来、いわゆる官公庁におきまして不祥事件が多発しております。数え上げると、本当に無数と言われるぐらいあるわけですけれども、会計検査院においてこの不正経理が指摘されて、そしていろいろな検査を行い、処置をされたと思うんですけれども、この実態についてごく簡単に御説明をしていただきたいと思います。
#4
○説明員(松尾恭一郎君) 説明いたします。
 昭和五十三年度決算検査報告に不正経理の事案としまして掲記いたしましたものは六件、総額三億二千二百一万円であります。その内訳は、防衛庁の航空自衛隊第一補給処で二百二十万円、環境庁で二千二百十一万円、通商産業省の札幌通商産業局で二百六十九万円、同じく札幌鉱山保安監督局で三百六十九万円、日本国有鉄道の盛岡鉄道管理局ほか四カ所で千七百四十八万円、日本鉄道建設公団で二億七千三百七十一万円となっております。これらはいずれも旅行の事実がないのに旅行したこととして旅費を支給するなどしまして資金を捻出し、これを会食等の費用に使用したり、超過勤務手当の代替と称して職員に支給したものでございます。
#5
○熊谷弘君 ただいま会計検査院から指摘のあった、あるいは検査を受け、問題点が指摘されたものだけではなくて、昨年来から非常にたくさんの問題が指摘されてきたわけですけれども、この点については、すでに昨年来当委員会を初め、国会におきまして数多く指摘されてきたところでありますから、私はここで繰り返しませんけれども、こうした一連の幾つかの問題を受けて、大平内閣としては、一体どのような対処をしたのか。いろいろな基本方針を固め、それを実施してきたと思うのですけれども、この点をごく概略事務当局から御説明をお願いしたい。
#6
○政府委員(川崎昭典君) 官庁綱紀の粛正につきましては、従来から機会あるごとに繰り返しその徹底を図ってまいりましたわけでございますけれども、昨年九月以来の一連の不祥事に当たりましては、総理大臣みずから厳しい御指示もございましたので、各省大臣におかれましては、それぞれいろいろ改善、工夫をいたすということとなりまして、具体的には昨年十一月二十六日に、「官庁綱紀の粛正について」ということで各省庁間で申し合わせを行いまして、これを現在厳しく実施しておるところでございます。
#7
○熊谷弘君 こうした基本方針を決め、その処置を徹底させる努力をしてきたということなんですけれども、しかし、その後いわゆるKDD事件、昨年来から捜査の続けられてきたこのKDD事件がついに郵政省において現職の幹部あるいは元の幹部の逮捕にまでなったわけであります。確かにこの事件そのものは数年前起こったことでありますけれども、われわれとしては本当に残念な思いであります。このいわゆる現職幹部等の逮捕されたことにつきまして郵政省は一体これをどのように受けとめておられるのか、大臣から御所信を伺いたい。
#8
○国務大臣(大西正男君) 御指摘のとおり、過日、当省の職員が収賄容疑で警視庁に逮捕されました。まことに遺憾なことであると存じております。国民全体の奉仕者として職務の公正、厳正な執行に当たるべき公務員がこのような事態を招きましたことにつきましては、心から国民の皆様におわびを申し上げたいと存じております。
 私に課されました最大の責務は、このような不祥事が再び起こらないよう全職員が行政責任の重みを自覚をいたしまして、綱紀粛正の徹底を期するよう強力に指導し一日も早く郵政行政の信頼の回復を図ることであると考えております。
#9
○熊谷弘君 再三繰り返すようでありますけれども、このKDD事件については、逓信委員会あるいは衆議院その他各担当の委員会におきまして繰り返し問題点を指摘され、質疑も繰り返されてきたところでありますけれども、いま一度このいわゆるKDD事件発生後に郵政省はみずから綱紀の点検調査を行ったと、こういうことでありましたけれども、その調査は一体どういうものであったのか。そしてそこにその調査を通じてどういう問題点が明らかになったのか、こういうことにつきまして事務当局から御説明を伺いたいと思います。
#10
○政府委員(小山森也君) 郵政省といたしましては、省内に、十一月中旬でございますが、綱紀点検委員会というのを設けまして、KDDとの関係において職務上何らかの接触があったのではないかと推定されるところの幹部職員百十名につきまして、それぞれ自己申告という形をとりまして、それぞれのいままでのKDDとの接触につきましての申告をさせたわけでございます。なお、これは百十名、五十三年七月以降の約一年半を対象にしたわけでございます。その結果、再々申し上げておりますが、いろいろ盆暮れの贈答品を受けている者あるいはいろいろ転任等に際しましての会食等があったという事実が判明いたした次第でございます。ただ、この結果につきまして――私ども非常に全力を挙げて、誠意を持って努力しているわけでございますが、また、職員それ自身も誠意を持ってこの調査に対して回答してもらったと信じております。その結果といたしましては、いわゆる従来におきます社会的儀礼の範囲内だと、こういうようなことが考えられました。しかしながら、社会的儀礼とは何かということにつきまして、従来の観念をそのまま持っていていいのかどうかということを考えまして、そういった観念それ自身を変えなければいけないということを考えまして、以後通達を出しまして、そういったような公務員に求められておりますところの厳正な綱紀というものを守るような通達を昨年末出したということでございます。したがいまして、部内調査といたしまして非常に意義があったものと私どもは受けとめておる次第でございます。
#11
○熊谷弘君 郵政大臣、ただいまの官房長のお話を伺っておられて、まあ一見まことにもっともな話なんですけれども、私は、もう一歩踏み込んだ郵政行政全体のあり方についての反省というものがなければ、再びこういうことが、時がたち、記憶が薄れ、惰性がまた支配するようになりますと、起こらないとは言えないと思うのです。と申しますのは、私も実は昨年の暮れになって逓信委員会の委員として仕事を始めたわけですけれども、その後の経験で気がついたことは、郵政省の仕事というのは他の省庁の仕事に比べて格段にいわゆる監督行政が多いということなんですね。これをもっと別の言い方で言いますと、一方に独占的な、免許あるいは許可というような形で、独占もしくはごく少数のサービス供給業者がいる。これに対して、サービスを受ける需要者側というのは非常に無数な、言ってみれば全国民という形のものが多いわけです。そうなりますと、うっかり間違えますと、どうしても業者サイドに目が向きがちだ、便宜的でもある。ところが、一億一千万の国民の声というのは、これはなかなかどうやってまとめていったらいいのか、どう聞き入れたらいいのかということをつい見失いがちではないだろうか。そのアンバランスというものが実は今回の事件の背後にやっぱり無視しがたい要因としてあるんじゃないかと思うんです。それだけに、これから郵政行政を進めていくに当たって、一体、国民のニーズがどこにあるのか、どうやってこのニーズをくみ上げていくのか、こういうことを郵政省の職員の方一人一人が耳を傾ける。もちろん、そういう努力は官房長も言っておられるように大事なことであります。大事なことでありますけれども、それと同時に、それを保証するようなシステムといいますかメカニズムといいますか、そういうものを郵政行政の中にビルトインしていきませんとアンバランスが出てくるのじゃないかと私は思うわけです。
 やはり、こういう視点からもう一回郵政行政というものを見直して、あくまでも国民に、サービスを受ける側に用意周到な目を配るという気構えといいますか、というものを必要とすると思うのですけれども、郵政大臣はこの点どのようにお考えでしょうか。
#12
○国務大臣(大西正男君) 先生御指摘のとおりだと思います。私も一同感でございます。ですから、郵政省はいろいろ現業を抱えておりますが、これは直接国民生活に密接な関係を持っておるわけでございます。したがいまして、これは公務員としては、各省ともそうでございますけれども、郵政省としては特にそのことに日ごろから留意をして、全体の奉仕者としての責任というものを痛感をし、その上に立って行政を公正に推進をしていかなきゃならないと思います。でございますから、過日も、この事件を契機にいたしまして職員全般に対しまして訓示もしたような次第でございますが、そのことは、先生のいまおっしゃいましたことを骨子にして、そういったみずから姿勢を正すということを一層これを自覚もし、そうして特に幹部についてはその自覚の上に立って互いに戒め合っていかなきゃならぬ。そうしてこういう事件が再び起こらないように、一致協力をして国民の御期待にこたえて、いまこうむっておる郵政行政に対する国民の不信を一日も早く払拭をして国民の信頼を回復するということがお互いわれわれの務めだということを話したわけでございます。
 なお、これにつきましては、具体的にもこれからも不断の努力をしていかなきゃならぬと考えております。
#13
○熊谷弘君 行政管理庁長官がお見えになりましたのですけれども、今回の行政改革を進めるに当たって、どういう視点でやっておられるのか、行革の前文だけを見ただけではよくわからないわけですが、たまたま行政管理庁管理局の管理官をやっておられます篠沢さんが、「昭和五十五年行政改革」という小論文を書いておられまして、若干解説をされておられるんですね。これ、ちょっと読ませていただきますと、「今日、行政改革が政治の大きな課題となった背景としては、昨秋来の公務部門における綱紀問題によって刺激された面もあろうが、基本的には今日の財政危機下、財政再建の方途がいろいろと模索される中で、まず行政自身が民間における厳しい減量経営に見習って身軽になるべきであるとの世論が高まったためであろう。」と。私も全く同様に考えるわけであります。
 そこで、今回の行政改革の一つは綱紀粛正問題、もう一方で財政再建、この二つを両にらみにして行おうとしているというふうに理解するわけですけれども、それでは先ほど来の綱紀粛正問題と今回の行政改革のねらいというのはどこでどのようにリンクしておられるのか、この点を長官に伺いたいと思います。
#14
○国務大臣(宇野宗佑君) やはり綱紀粛正というのは、公務員そのものが自分の職というもののあり方をもう一度しっかりと認識することから始まるのじゃないかと私は思います。たとえば公務員が、何々省の公務員というのは当然でしょうが、むしろ国家公務員という認識の上に立っていただいて行動されるのならば、決してそこにはなわ張りもなく、あるいはまた、そういう意識も働かないと私は思いますが、ややもいたしますと、なわ張り意識が働き、さらにはそれを裏づけるものとして、国民あるいは自治体に補助金をおれたちがやるんだと、許可認可はおれたちがするんだと、こういう意識が高じてしまう。そして、それが高度成長期において余りにも肥満化してしまうと、やはり公務員としての自覚を失うことになる。それが必ずや綱紀弛緩という問題につながっていく。私はこういうふうに考えておりますから、したがいまして、行革というのは、そうした意味合いにおきましても常に綱紀の粛正ということを念頭に置きながらやっていかなければならないと思います。そのためには、一般民間社会においては減量経営――いま篠沢君の論文が紹介されましたが、そのとおりでありまして、やはり減量経営をやる、それによって一人一人が会社のためにはがんばらなくちゃならぬという意識を持つ。そこに民間の経営原理というものが生きてきて、そして日本の今日のりっぱなGNPをもたらした一つの原動力になったと私は思いますと、やはり公務員もさような意味合いにおいて少数精鋭主義でなくちゃならないと私は思う次第でございます。しかしながら、残念にいたしまして、戦後三十四年の間いろいろな時代の変遷をくぐり抜けてまいりましたが、その時代時代によりまして新しい国民的なニーズもあったでございましょう。そのニーズにこたえて行政は、また一部国民サービスのために、あるいは定員がふえたり機構がふえた面が私は必ずしもなきにしもあらずと思います。それはそれでよろしい。しかしながら、三十四年たった今日、しかも過般の財政危機を招いた今日、やはりもう一度振り返って、どこかにむだはないであろうか、ぜい肉はないであろうか、これを考えるのが今回の行革の一つの大きなポイントでなければならない、私はかように存じておりますので、行革と綱紀粛正は、そうした面において、私は、仰せのとおりリンクしながら今後も続けていきたいと考えておる次第であります。
#15
○熊谷弘君 今後の方針も含めて長官がもう結論をお話しされたので、私どもは、もう質問をしていく必要もないくらいなんですが、ですけれども、実はその視点に立ちますと、私は今回の行政改革は――誤解のないように申し上げておきますと、大変な努力をしたと思います。わずかな日数の中でこれだけのことをやり、また従来の行政改革がともすればかけ声倒れになっていたにもかかわらず、現実に血が噴き出るようないろいろな改革をしておられるということは認めるわけであります。また、配置転換というようなかつての――私もかつては公務員でありましたけれども、ちょっとわれわれが勤めていた時代にはとうていできなかったようなことにまで手をつけておられる、この点については高い評価を与えるものなのですけれども、なお実は私は大きな課題が二つ残されていると思っております。それはいみじくもいま長官がおっしゃられた減量経営としての行政改革を進めるに当たって必要不可欠なものであって、この二つなしには実は減量経営としての行政改革は進まないとさえ私は思っておりますので、このことを幾つかの視点からいまから明らかにしていきたいわけです。
 その基本的な問題に入る前に、各論として、私は、外務省関係の行政改革と林野庁関係の行政改革について事務当局にちょっと質問をさしていただきたいと思います。
 まず、外務省関係でございますけれども、今回の行政改革、いわゆる減量経営という方向を目指した行政改革の中で、外務省については、十分とは言いがたいのでしょうけれども、あえて相当な機構、人員の面における拡張、拡大を図っている。このことについては実は高い評価を与えたいと思うわけであります。われわれがエネルギー問題あるいは国防問題、その他いま日本がぶつかっている各種の問題、基本的な問題をくぐり抜けていくために何が一番必要かといえば、世界の動向がどうなっていくのか、これについての的確でしかも早い情報というものを収集し分析し、そして政策に組み込んでいくということ、これがもう一番緊要のことだと思うのです。この点について外務省はどのように考え、どういうふうな機構改革あるいは人材の強化というものを考えておられるのか。事務当局で結構ですから御説明をお願いしたい。
#16
○政府委員(柳谷謙介君) 官房長の柳谷でございます。
 外務省といたしましては、一九八〇年代を迎えましての激動する国際情勢の中で、わが国が責任ある外交を実施していくということの重要性は特に認識いたし、いま御指摘の情報収集に限らず、さまざまの外交活動が誤りなくできるような体制を整備するということに年々心がけてきたつもりでございますが、今日の陣容は残念ながら必ずしも十分とは言えませんので、質の改善と、それからいまちょっと御指摘のありましたような相当規模のやはり増員というものも今後必要であろうと考えておる次第でございます。たとえば、昭和五十四年現在で七名以下のいわゆる小規模公館が全在外公館の約六割に当たる九十五館に達しております。また、非常に近年重要性を増してまいりました中東地域の諸公館について見ましても、一館平均九名ということでございまして、これは主要諸国に比べてかなり見劣りがすると率直に言わざるを得ない状況でございます。ただいま御審議を願っております五十五年度の予算案におきましては、国家公務員定数の抑制という政府の方針にもかかわらず純増ベースで八十人の増員を得ておりまして、これによりまして七名以下の小規模公館は現在の九十五館から八十六館、全体の半分強まで、若干減少するということでございますけれども、今後ともさらに必要な改善を図りたいと思っております。
 なお、あわせて、外交基盤の強化にどのような策を講じているかというお尋ねでございますから、これについては、最近努力しております三点ほどをちょっと簡単に御披露いたしたいと思います。
 第一は、試験制度の改革でございます。今日の外交官は、異なる文化と接触し多様化した各国民の価値観や願望というものを理解し吸収し得るような幅広い理解力を必要とすると考えております。このような人材を確保するためには、採用試験においても知識とか語学に偏重することなく、その人の理解力、判断力あるいはたくましさといったような要素も従来以上に評価し得るような試験が必要ではないかと考えまして、いろいろな方面の意見も聞きながら研究をしている次第でございます。
 第二には、研修制度の拡充強化でございまして、入省時の研修とか中間研修、さまざまな語学の研修、さらには官房要員が在外に行くときの研修等いろいろな研修に心がけてきているわけでございますけれども、御審議を願っている五十五年度の政府予算案におきましては、さらに省員が特殊語の国に赴任するに先立ってその国の言語及び政治経済等の知識を研修させるための特別な予算と若干ながらの定員が計上されている次第でございます。
 第三には、有能な職員の登用でございます。外交を一生の職業と心得てまじめに努力している職員のその努力が報われないということでは省内の士気にも影響いたしますので、これにこたえるようなさまざまの努力を払っているつもりでございます。たとえば、昭和五十年以来、上級職試験合格者以外の中級職員を対象にいたしまして登用制度というものを実施しておりますが、この登用制度によってこれまで上級職に登用された者十二名、中級職に登用された者四十名に上っております。また、この登用制度以外でも、中級試験等すなわち上級職試験以外の試験合格者あるいはその他の採用者の中で優秀な職員を本省及び在外の枢要なポストにつけるという努力はいろいろ払っておりますが、現在のところ、本省の管理職に十二名、在外の大使に八名、総領事及び領事に二十九名を起用しておりますが、部外からの有能な人材の登用も含めまして適材適所に人員を配置するということには今後とも心がけてまいりたいと思います。
 外務省といたしましては、傾聴すべき批判に対しては謙虚に耳を傾けるということを怠らないとともに、与えられた使命の重要性にかんがみて、外交体制の整備充実には今後も全力を尽くしたい覚悟でおります。
#17
○熊谷弘君 いまのお話を聞きますと、われわれも本当にぜひそういう方向でやっていただきたいと思うのですけれども、香川県の東京出張所の職員が十六名とか十九名とかいう数だそうですが、ちょうどそれと同じ数がイラン大使館の数だそうでございまして、香川県といいますと大平総理の御出身地ですけれども、香川県が東京に置くぐらいの人間しかわが日本がイランに、キーカントリーでありますイランに置いていないというのは、私は一昨年自民党の石油問題調査会あるいは資源エネルギー問題調査会の調査団に加わってあの地域を回ったのですが、外務省に若干耳の痛い話かもしれませんが、あの当時、一昨年の八月ですから、もういよいよイランも危ないというようなことがアメリカの雑誌にはすでに指摘されておったにもかかわらず、率直に言ってイラン大使館における問題意識というのはそれとは大幅に懸隔のあるものだったことを覚えております。したがいまして、これからも機構あるいは人材の育成、こういうことをぜひやっていただくと同時に、もう一つ私は、これは質問じゃないんですけれども、外務省にぜひ聞いておいていただきたいのは、やっぱり外務省のやっていただくことは日本の国益をどうやって守っていくかということだと思うんです。ところが、私どもがいろいろ外交官の方とお話をいたしますと、大変りっぱな方も多いんですけれども、中には、あの国が好きとかこの国がきらいとか、あるいは何か自分たちが、たとえば経済協力でやっている金というのは血の出るような税金を使ってやっているんだということを全く考えないで、慈善運動家みたいな発想、ある視点からすればそれはそれでいいことかもしれませんけれども、私は外交官の視点は、男女関係に使う好き、きらいだとか、慈善運動家の考え方のようなものでやられてはたまったものではないというふうに思うんです。そういう方々が全部だとは言いませんけれども、ぜひ外務省の中におけるみずからの管理といいますか、そういうこともぜひやっていただきたい。あわせてお願いをいたします。
 次に、林野庁の関係で今回の行革について質問をしたいのですけれども、従来、林野庁につきましてはいわゆる経営赤字が発生をいたしまして、非常に問題点が指摘されたと思うんです。そして、この林野庁の問題をどうやって解決していくかということについては相当の問題把握も行われ、それに対して対応策も、法律もつくられて講じられてきたと思うのですけれども、この二つの点についてごく概略林野庁から御説明をお願いしたいと思います。
#18
○政府委員(須藤徹男君) お答えいたします。
 国有林野事業は、国土の二割、全森林面積の三割に及びます国有林野を一体として管理経営を行っておるわけでございまして、国民経済並びに国民生活に重要な役割りを果たしておることは御承知のとおりでございます。しかしながら、近年、森林の有します広域的な機能の確保に対します要請に積極的にこたえていくために、森林施業に対します規制を従前以上に強化していく必要に迫られております。
 また、昭和三十年代の初めから積極的に進めてまいりました拡大造林、つまり成長量の非常に少ない天然林を成長量の旺盛な人工林にかえていくという拡大造林によりまして、今日では目標といたします人工林面積に対しましてほぼ八割を上回る人工林化が完了しておるわけでございますが、その七割以上が二十年生未満の幼齢林という森林資源の賦存状況にあるということでございます。このようなことから、収入の源泉でございますいわゆる伐採量を縮減させましてこれに対応していかなければならぬというような現状にあるわけでございます。
 また一方、支出の大宗を占めます人件費につきましては、高齢者の退職促進でございますとか新規採用の抑制というようなことを通じまして縮減に努めておるところでございますけれども、人件費率の圧縮にはなお時間をかけた改善努力が必要であるというような段階に至っておるわけでございます。
 さらに、以上のような情勢に加えまして、最近は幾分上昇は見ておりますが、これまでの長期にわたります木材価格の低迷から、国有林野事業の財務状況は歳入の三分の一を外部資金に依存する等極端に悪化いたしておりまして、このまま推移いたしますと、国有林野事業に課せられました使命の達成が困難となるおそれがあるという事態に立ち至っておったわけでございます。そこで、五十三年の六月に制定されました国有林野事業改善特別措置法に基づきまして、同年の九月に国有林野事業の改善に関する計画を策定いたしまして、この計画に即しまして現在改善に努力を払っておるわけでございますが、まずその第一点は組織の統廃合等によります簡素化でございます。
 一つは、北海道営林局五つございましたが、これを北海道営林局及び四つの営林支局への再編整備を五十四年一月一日現在に実施いたしております。また、改善期間中に一割の営林署、当時三百五十一の営林署がございましたので、まず三十五の営林署の統廃合ということを計画でうたっておるわけでございますが、五十四年の三月一日に九つの営林署の統廃合を実施いたしております。それから、事業所の統廃合でございますが、五十三年には三十六の事業所を統廃合いたしておりますし、五十四年度は六十二の事業所の統廃合を予定いたしておるわけでございます。また、五つの営林署の事業課の廃止も五十四年の十月一日に実施をいたしております。
 それから、要員の縮減でございますが、高齢者の退職促進等によります要員の縮減を実施いたしておりまして、五十三年度は定員内職員千三百四十二人、定員外職員千五百九十六人、合計二千九百三十八人の縮減を行っております。また、五十四年度につきましては定員内外込みでございますが、二千二百人程度の退職を予定いたしておるわけでございます。
 それから、事業運営の効率化の点でございますが、実は五十三年六月に公共企業体等基本問題会議の意見書が出されております。この意見書の趣旨に即しまして、従来、素材生産事業に請負事業のなかった営林局へ――三営林局ございましたが、これに新規の請負の導入もいたしております。また、作業工程の改善、合理化あるいは職務意欲の向上等によります労働生産性の向上という点につきましても重点を置いて実施いたしておるわけでございますが、たとえば、素材生産につきましては、五十一年度を一〇〇にいたします向上率が五十二年度は一〇四、五十三年度は一〇七、五十四年度は一二二というような見込みに相なっておるわけでございまして、このような現在改善努力を進めておるところでございます。
#19
○熊谷弘君 行政管理庁長官に伺いたいのですけれども、五十四年の十二月二十八日に行政改革計画の第一の実施についての計画を発表され、その翌日には第二の補助金等の整理合理化を含めた計画を発表されておられます。方針を決められたわけですが、実は私はまさに生まれ育ったところが全部国有林野のところにおりまして、ここ三十年ぐらいずっと国有林の経営の仕方というのを見てきたわけですけれども、率直に言って赤字になるのがあたりまえだというようなやり方だったと思うのです。それに初めてここ数年来メスが入って相当ドラスティックなことが行われ、大きな改革努力がされている。ところが、伝え聞くところによりますと、いわゆるブロック機関の整理ということで、いわば頭の部分をはねていこうというようなことが出てきているのですけれども、問題は一日にひどいときには二時間、中には平均すると四時間ぐらいしか働かないとか、非常な生産性の悪い国有林野の実態というものがあって、それを直すための一連の計画ができ、強力にそれが指導されて進められているさなかに管理部門だけ頭をはねちゃうというのは一体どういうものだろうか。むしろ私は、この二つの行われた閣議決定の第一と第二の現業部門の合理化を一生懸命やれという話と、ブロック機関整理というのはトレードオフといいますか、いまや事営林局の整理の問題について言えば、こっちを立てればこっちがだめになるというような関係にあるのじゃないかと思うのです。むしろ、将来においてそれをやる必要はあるかもしれません。あるかもありませんが、いまぜひわれわれが現場の国有林野のあの実態を見ている限りやっていただきたいのは、いまや計画を立てて人員整理、機械化、合理化というような方向にこそ全精力を挙げて計画達成の方向に進めていただきたい。その方向の方が、つまり第二の二十九日の閣議決定の方にまずプライオリティーつけて、しかる後に前日の閣議決定をやっていくという方が私は事柄の実態として望ましいんじゃないかと、こういうふうに思うんですけれども、長官、いかがでしょうか。
#20
○国務大臣(宇野宗佑君) いま林野庁長官が話されましたとおり、国有林野事業に関しましては林野庁も非常に努力をして、そして改善事業を推進しておられるということは、私もその労を多とするものでございます。特に、熊谷さんおっしゃいましたとおり、国有林の多いか少ないかは明治維新の遺物で、官軍に手向かったところが全部国有林になっておると。だから関東並びに東北に多いというわけでございますが、それだけにやはり国有林の占める部分が大きいわけでございますので、国家といたしましても、常にその改善、合理化に努力をしなければならぬことは当然でございます。試みに、国有林野事業に関しましては、昨年の一月の閣議決定におきましても、「事業規模に見合った要員規模の適正化を計画的に進める。」と、こういうふうに書いてある。まさに熊谷さんがいま指摘なさったとおりのことをすでに閣議においても決定いたしておるわけでありまして、四十二年度から大体ずっとこの十二年間の趨勢をたどりますと、要員を縮減いたしまして八千八十人の減になっておるというのが実態でございます。今後もこの点は、やはり余り山の中であくびをしてもらわないように常に努力をしていかなければならないことは、私は仰せのとおりだと思います。
 行革におきましては、一番冒頭の質問にありました財政効果をもたらすためには人減らしが一番なんですが、これは国会決議等々がございますから、そう簡単なものではありません。しかしながら、やはり定員削減計画であるとか、あるいは新規需要を極力抑えるとかいうことで縮減を図ってまいりたいと私も考えておりますが、その一つの手段といたしましては、やはり器減らし、仕事減らしということがあるということもひとつ御理解賜りたいと思います。
 だから、ブロック機関に関しましては、さような意味で四本柱の一本にしたわけでございますので、営林局といえども他の省庁の例外ではないということで、特にブロックは七つ、八つ、九つ、十と、もうまちまちでありますが、私はやはりこの際にひとつぜい肉であるかないかは別といたしまして、やはり行政の効率化、簡素化、そうした視点に立って、大体七つ、八つぐらいのところへ各省庁ともずらっとひとつ基準を定めて、そして新しいスタートを切ってほしいものだと、こういうふうに思っておりますので、そうしたことからこの問題に関しましてもブロック機関の削減と、そして整理、再編成ということを私は主張したわけでございます。いまその作業を進めておる最中でございます。
#21
○熊谷弘君 もう少しこの点質疑したいところなんですが、一番私の主張し、また明らかにしたい点の時間がなくなってしまいますので、話を本筋に戻しまして、もう一回行政管理庁長官に御登場いただきたいんですが、財政効果との関係が大いにあるんだと、財政再建論と離れがたく結びついているという長官のお話でございますから、私もそうだと思うんですが、ただ、中にはそういう議論に対してやや違う意見の方々もおられる。衆議院の集中審議におきまして、橋本龍太郎委員と宇野長官とのやりとりをちょっと私読み上げてみたいと思うんですが、二月二十二日の衆議院予算委員会の集中審議において、橋本委員はこういうことを言っておられるんですね。
  世の中には、行政改革を行うことによって財政再建が簡単にできるというような御意見がございます。しかし、これは果たして直接的に結びつくものでしょうか。もし行政改革の本来の目的が私が申し上げたようなものであるとするならば、当然行政経費の節減という形の中から副次的に効果は出てきます。しかし、大変失礼でありますが、太田薫さんの御提唱になる三、四兆円の節減行革案とかいろいろな御意見が出されておりますような、行政改革というものが直接財政再建に結びつくということには無理があるのじゃないかという感じを私は持っております。
と、こう言われておるんです。長官はこれに対して、
  しかし、消費税がたとえば二兆円、三兆円といたしましても一、では行革からそう簡単に二兆円、三兆円毎年出るかということになりますと、私はこれははなはだむずかしい課題であって、したがいまして、そのことを志さなけれぱならない、一般的な財政再建に資するように志さなければならないけれども、一応、行革即財政再建一〇〇%できるのだということに対しましては、私といたしましてもいささか考え方を異にするものでございます。
 と、こう長官はお答えになっておられます。実はニュアンスの差程度の話のように見えるかもしれませんけれども、これから私が大蔵大臣にお願いをしなきゃならない実は行政改革、あるいは自治大臣にお願いしなきゃならない行政改革の視点からいたしますと、実は一番私はここの出発点をおろそかにすると、行政改革の進め方と財政再建とがまさにいまのお話のようにそごを来してしまうような感じがするんです。
 そこで、私は最初に確認をしましたからもうお答えいただかないでも結構ぐらいですけれども、先ほどの篠沢論文では綱紀粛正という視点もあるけれども、実は財政再建、財政危機突破というための行革なんだという視点は、これは長官、間違いないんでしょうか。
#22
○国務大臣(宇野宗佑君) やはり行革は、常にもっぱら財政再建のためにあるとは言い切れないと思いますが、今回の行革は財政再建というところから出発をいたしておりますから、したがって、その財政再建にも資さなければならない、こういうことで私たちは進めております。だから消費税が否認されたと、それに見合う財源を行革から得られるはずだということに関しては、いささか行政改革は重荷ではなかろうかと、こういうふうに私は申し上げておるわけでございまして、よく評論家などの方々が、おれだったら一年間に二兆円、三兆円の行革ができるはずだと、こうおっしゃいますが、私は常に申し上げるんですが、たとえば十万人の公務員の方、あしたもうどなたも要りませんと――そんなばかなことは想定できませんが、たとえばそれが仮にあったとしましても、一人頭四百万ですから、三兆六千億の節約でいかに何兆円ということがむずかしいことであるかと、こういうふうに私は申し上げておるわけでございます。しかし、今回の行革におきましては五十九年を最終年度といたしますが、一応第一次分だけで五千百億という計算ができておりますし、大蔵大臣の努力で千六百六十七億円の本年度の補助金の節減もこれ以外にあるわけでございます。だから今後補助金の節減もございましょうし、さらにいろいろな行革を推し進めてまいりますと、大体五年間で一兆円ぐらいのものは私は上がるのではなかろうかと。これは相当私は財政に寄与するところが大きいと、こういうふうに見ておりますが、いわゆる冒頭に申しました増税分だけを行革で出せというふうな御期待に対しては非常にこれは困難な話でございますねということを橋本議員にも衆議院でお答え申し上げたという経緯であります。
#23
○熊谷弘君 それでは、私は、この話は一応大蔵大臣とそれから自治大臣からいろいろ御意見を伺った後でもう一回長官に伺いたいと思うのですけれども、そうなりますと、一体この財政再建という言葉が必要になった、つまり財政危機ですね、一体これは何から生じたんだろうか。ここからもう一回つかみ直す必要があると思うんです。
 そこで大蔵大臣に伺いたいのですけれども、昨年来非常に大きな問題となりました財政危機というのは一体どうして生じたのだろうか。いろいろな理由をもちろん数え上げれば、細かいことを挙げれば幾らでもあるんでしょうが、基本的には何であったというふうに御判断でしょうか。
#24
○国務大臣(竹下登君) 財政再建という言葉がいまやまさに普遍化して、そうして何の抵抗もなく財政再建という言葉が使えるようになったというこの歴史的経過を見てみますと、一九四五年、昭和二十年に戦争に敗れまして、四〇年代というのは、まさにGHQの統治下にあって新しい国づくりの体制の諸般の整備が行われた時代。そして五〇年代へ入りまして、サンフランシスコ平和条約の調印によって独立をして国際社会への仲間入りをした。そこに、経済問題からいたしますと、これは決してそれがよかったわけじゃございませんけれども、朝鮮動乱というようなものが起こって、それでいわゆる特需というようなものも一つの経済の上では大きな要因となって国際社会の仲間入り、というものが五〇年代の歴史ではなかったか。それで、六〇年代へ入りまして岸内閣で安保条約の改定が行われ、そうして、それによって国家安全保障の一つの方向が定まったと同時に、池田内閣による所得倍増計画。その当時の原油価格一つを見てみますと、三ドル四十セント。それが十年間のうちにいわば買い手市場で一ドル七十セントにまで下がって七〇年代を迎える。このときは、世界の先進各国が買い手市場にある油をじゃぶじゃぶ買って高度経済成長をする。それ以上に日本の経済はまさにじゃぶじゃぶと油を買いながらひた走りに繁栄の道をたどった。けんらん豪華たる繁栄の時代とでも言えるんじゃないかと思います。
 したがって、今度は七〇年代へ入りまして、そこでまさに、ドルの兌換停止から、三百六十円が三百八円というスミソニアン・レートになり、そうして変動相場制に移行した。そうして、七〇年代の歴史というのは、今度はOPEC等による油の売り手市場になって、どんどんどんどん油が上昇してきた。そのときに、結局、国民の負担というものを、新たなる負担を無理していただかないで水準を保つためにいわゆる公債政策というものを、結論から言うと、これは政府がそういう施策をとった、その政府は国民が選択したと、こういうふうに考えます。そうして、その限界というものが私は七九年のすなわち昨年の予算編成の際の公債依存率というものではないだろうか。たまたま、公債依存率が約四〇%になりますと、それだけの公債依存はちょうど戦争に敗れました昭和二十年の公債依存率にほぼ近い。そのころは国民もお互いペリーハングリーでありましたが、いまは必ずしもペリーハングリーではない。しかし、四〇%という数字が示すものは、やっぱり公債が売れなくなる、逆に言えば金を貸してくれなくなった。そうして、その公債政策によりまして景気の下支えをやってきた、いま財政の体質にそれが失われてしまったというところから、私は、財政再建という言葉が必然的に生じてきたものではなかろうかというふうに、少し長くなりましたが、理解をいたしております。
#25
○熊谷弘君 日本経済史の森の中へ何か連れ込まれたような感じがしますから、もう一回ちょっともとに戻りまして、私は実はこの財政危機とその対策としての財政再建策というのをこんなふうに考えているんです。
 つまり、いまある財政の支出構造というのは必要なことであるし、これを削る必要はないという立場から考えますと、要するに、財政赤字のよって来るところは収入が不足しているからだと、こう考えるわけですから、当然増税が必要であるという議論が一つですね。
 もう一つは、大体高度成長も終わって、いわゆる低成長時代に入ったにもかかわらず、あの高度成長期に自然増収でふえてきて、何につけても政府がめんどうを見ると、本来私的なものでやるべきものも国がめんどうを見るというような仕組みができちゃって、いわば肥大化しているから、そこを直していかなきゃいけないという、財政危機の本質をそうとらえる立場からいたしますと、これは経費構造、支出構造に手をつけていけと、これは実は行革につながると思うんです。
 もう一つは、その財政危機をどう考えようと、ともかく収支相償えばいいんだから、そしてまた過去の債務を帳消しにすればいいんだからという、これだれもそんなことを表立っては主張できないけれども、歴史にはときどきそういうことが繰り返されて財政再建された例が――インフレによる財政再建ですね、過去の債務は紙くず同然にすると。こういうことで、しかも税収は名目で税金は入ってくるわけですから、インフレになりますと、これだけ税率が段階がございますと、次々に税収が上がってくるということで収支は相償うと、そのかわり富の強制移転ですから非常な不公平が起こるというマイナスはあるわけです。
 三番目のインフレ、これは非常に危険が迫ってはおりますが、だれもこれを是認はしませんし、
 一生懸命これを阻止しようとする。そうすると、政策的には税収増、増税でいくか、歳出削減でいくかという私は選択しかないんじゃないかというふうに思うんです。
 で、私はここであえて言わしていただければ、大平内閣は過般の総選挙を受けて以降、行革を思い切って打ち出したことを含めて歳出削減ということを大いにやろうとしていると私は認識しております。であるからこそ、あの予算の第一次内示におきましては、大蔵大臣がいつも言うように、財政再建元年第一歩を踏み出したと。その第一歩を踏み出すのに、さらに鮮明な印象を与えるような第一次内示があったと思っております。この第一次内示に大蔵省は一体何を実現しようとしたのか、例示的な項目でも結構ですけれども、昨年末の予算の第一次内示、幾つかの改革案をひっ提げてやられましたですね。何と何を、実現ができなかったのを含めてちょっとここで御説明いただきたい。
#26
○政府委員(田中敬君) 今日の財政がこういうふうに大きな公債依存になった原因と申しますのは、ただいま委員が御指摘のとおりに、やはり第一次石油ショック、昭和四十九年から昨年までにわたりまして非常な低成長で租税収入が非常に減少した。と申しますのは、その後四十九年から五十四年までの租税収入の平均の伸び率というのは六・九%であったわけでございますけれども、これに対しまして当時の石油ショックに基づく景気の回復ということで歳出を削るわけにいかなかった。一つは公共事業をてこにして大きな景気のてこ入れをやった。その公共事業の伸び率というのが大体平均一七%ぐらい。それから、やはり社会保障の制度が充実いたしておりまして、加えて人口の老齢化等も加わりまして、社会保障費支出がその間平均一九%ぐらい伸び、租税収入が六・九%しか伸びないのに歳出全体はその期間を通じて平均二八%程度伸びておる。このギャップが今日の公債依存に頼る財政にしたんだろうと思います。しかしながら、いずれにいたしましても、そういう無理をした財政の機能によりまして景気は回復し、あるいは弱者に対する応分の所得再配分機能も果たしてきたと思っております。それなりに財政はその機能を果たし得てまいりましたけれども、いまやこのような四〇%に及ぶ公債依存になりますと、もはやそういう財政の機能、本来の機能、景気調整機能でございますとかあるいは所得再配分機能、あるいは資源配分機能というものが果たし得なくなった財政に今日到達したわけでございまして、どうしてもこの再建を図る必要がある。しかしながら、昨年の選挙におきまして増税の道というものは一応ふさがれて、歳出削減あるいは効率化によって財政再建を図るべしという国民の意向が出たものでございますから、私どもは歳出の効率化を図りたいという観点から種々の効率化案を作成さしていただいて第一次大蔵原案に盛ったわけでございます。できなかったものが非常に多く残念に思っておりますけれども、その中の一つといたしまして私どもが考えましたのは、やはり現在の社会保障というものが、いわゆる言葉は悪うございますが、端的に言えば、ばらまき的な福祉政策に偏しているのではなかろうかと。ある意味では、より困っておられる方、弱者のため、特にたとえば寝たきり老人でございますとか在宅の重症患者でございますとか、そういう方に温かい手を差し伸べるためにはばらまき的な福祉の一部を改善したらいかがであろうかと、そういう意味におきまして、たとえば老齢福祉年金に所得制限を入れていただきたい。あるいは老人医療費につきましてもある程度負担にたえ得る所得のある方については一部の医療費の負担をしていただきたいというような形で、所得制限あるいは一部負担という考え方を一次案に盛らしていただきました。
 それから問題になっておりました学校の学級定数、四十人学級の問題につきましては、やはり将来大きな財政負担を伴うこういう問題については、財源の裏打ちのないままにこういうものを発足させるということは、将来の財政というものにとって、と申しますよりも、財政というのは財政の立場だけでなくて、やはり国民にしかるべき所得再配分をすべき機能を持つ財政ということになりますと、やはり将来の国民生活全般のためにとって、やはりこういう将来負担を伴うものについては何らか財源的なめどというものがつくまでは発足させるべきでないというのが私ども財政当局の考えで、四十人学級というものは、ある程度将来の生徒児童数の自然減が出るような時期にまで待っていただきたいというようなことも一次案に盛らしていただきましたし、あるいは教科書の無償制度の問題にしましても、やはり一定の所得のある方というような方に小学校の児童一人当たり千七百円、中学生で三千円、年間の教科書代でございますけれども、この程度は負担をしていただいてもいいんのではなかろうか。
 あるいはまた、児童手当制度というのがございますが、現在の日本の給与制度あるいは税制等との関連から見まして、諸外国に児童手当制度があるからといって、いまこれをそのまま存続するというものは、こういう財政再建が急務なときにいかがであろうかというようなことで、これらの問題につきまして再建案といたしまして財政当局の考えを示させていただいたわけでございます。
 そのほかいろいろ補助金の整理でございますとか、あるいはいま問題になっております行革につながります役所の経常的な経費の節減という意味で、旅費の一律カットあるいは事務費の一律カットというようなものは目的を達成させていただきましたけれども、最初に申し上げました各種社会保険制度あるいは教育制度の中に応分の負担をしていただくという考え方は大蔵原案には盛らしていただきましたけれども、最終的には今回御提示いたしている予算案になったわけでございます。
#27
○熊谷弘君 大蔵大臣、まさにお聞きのとおりでございまして、しかし、これは別に大蔵大臣の責任でもなければ政府の責任でもないと思うんです。そういう財政再建を目指した教育も、大平総理の言葉をかりれば、教育といえども社会福祉といえども聖域にはしないという決意、気構えというものでやっても、現実には受益者側から猛烈な陳情といいますか、反発といいますか、主張というものが来ていまのような予算案になった。さらにその後は、与野党交渉でさらに修正を見たわけです。そこで結局、いままでのような形でのいわゆる支出構造を変えていくとか歳出構造を変えていくとかいうようなことをやっても、絶えずこういうことの繰り返しになってしまうのじゃないでしょうか。別の仕組みが必要なのではないでしょうかというのが私の考えなんです。
 それには私は二つ必要だというふうに思います。その一つは、まずお金を出す、つまり税金を取られる側と税金を使ってその受益を受ける側というものの距離が現在のいまの財政の仕組みでは余りにも遠いということだと思うんです。これは当然のことですけれども、中央集権になり過ぎている。ですから、カリフォルニアの税反乱なんかを見ましても言えることですし、実は私の出身の町、浜松でこういう例があったんです。市庁舎を建てたいということになった。市の担当者は当然これは補助金がついておって、自分のところで破棄したってほかの町が使うのだから、せっかく何十年に一遍しかないチャンスだからどうしても市役所をつくりたい、しかし補助金ですから一〇〇%国がくれるわけじゃなくて、その市も出すということになっている。そのことに対して市民の方方からそれこそ猛烈な反対運動が起こって、結果的には非常にじみな市役所をつくるということでおさまったのですが、私はその経過をずっと見ておりまして、つまり本当の意味での健全な財政再建というこの点が一番大事じゃないか。つまり税金を出す側というのがその感覚を生かして、むだなこと、不要なことに金を出さないような仕組みをつくるということがポイントじゃないかと思うのです。それによってしか、たとえば補助金を削るとしましても、いろいろな委託費を削るにしましても、私のところだけ削るということになればこれはもう受ける側は猛烈な抵抗をする、死にもの狂いになる、これはあたりまえなんです。全体の仕組みの中で、お金を出す側とお金を使う側がお互いに話をするようなことができるような仕組み、すべてがすべて、国家のすべてについてそれをやれということはむずかしい話ですけれども、そういう分野を多くふやしていくと、教育にしましても社会福祉にしましても私はそういうことが可能な分野だと思います。そういうことが必要じゃないかと思うんです。
 そういう視点からいたしますと、今回の行革の中で中央と地方の事務の再配分については今後の検討課題ということで、実は触れられていないというのは私は大変残念なんです。むずかしいことはよくわかっておりますし、過般の地方制度調査会における委員と大臣の質疑を見ますと、非常に自治大臣はむずかしいということを強調されておられるようですけれども、しかし私は、いま大平内閣、いや大平内閣だけじゃなくて、いままさに日本の政治が一番最大課題としている財政再建、その牽引車としての行政改革、一見すると一般消費税何兆円に対してこの行革何千億、これはよくわかるのですけれども、仕組みとしてのこの行政改革、ここでやっておかないと、もう幾らこれ増税でやっても出口のところをふさいで、つまりバケツに穴があいたやつに水を注ぐようなもので、幾ら水をたくさんやってもバケツに穴あいたのをふさいでおかない限り、たとえばことし仮に収支相償うような予算を組んだとしても三年後にはまた税収不足で赤字になることはわかり切っている。いまこの出口をふさぐという仕組みからいたしますと、私は自治大臣に大奮闘をしていただいて、行管庁長官ともどもにこの中央、地方の事務の再配分、勇気を持ってやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#28
○国務大臣(後藤田正晴君) 行政改革の問題は、これはいま国全体の仕組みの中でやはり中央、地方を通ずる課題であることは間違いございません。行政改革は今日のような国と地方がお互いに複雑に絡み合った上での仕事の取り組み方になっていますから、国だけでやってもできるものでもありませんし、地方だけでできる問題でもございません。したがって、政府としては国、地方を通ずる課題として取り組んでおるつもりでございます。その際に、行政改革の基本というのは、やはり何といっても根本は事務、事業の見直しとでも言いますか、それが一番肝心じゃないかと。事務、事業を見直すことによって、これは国がやる、これは地方がやる、これは外郭団体がやる、これは民間に任せるといったような交通整理をすることによって、その基礎に立って今度は組織、機構、定員、そして最後には経費の効率化、こういう手順でいくのが行政改革の基本である、こう思います。
 その際に、いま御説のように、やはり何といいますか、納税者と受益者の距離が遠過ぎる、いまの仕組みは。そういう面があると思います。やはり基本は、行政というものは身近なところで仕事をしておる機関に任せるべき筋合いのものであろう、そういうような意味合いでの事務の再配分ということは必要だと思います。その事務の再配分に従って財源の配分と、こういくのがこれが筋道であろうと思います。しかしながら、今日までの戦後三十数年の歩みを見てみますと、これは理屈どおりには、いよいよ踏み切るとなれば、なかなか多くの困難がある。一例として、いま市役所の建物のお話がございましたが、いわゆる補助金行政、補助金というのは国の施策を推進をするためにこれはなくてはならない制度ですから、補助金は悪いというわけにはいきません。しかしながら、補助金の中には、余りにも縦割りの国の行政が末端まで補助金行政の名のもとに行われて、その結果は過剰介入が行われているというものもございます。あるいはまた、既得権化して、もうそろそろ廃止してもいいではないかというものが残っておる。あるいは余りにも細か過ぎて実効の上がらぬものもありますから、そういう意味合いにおいて補助金整理はやらなきゃならない。今度の行政改革でもそういった補助金整理ということには今日取り組んでおるわけですね。ところが、補助金の実態をよく見ますと、過剰介入と私申し上げましたが、これは戦後の地方制度の改革の際に国と地方との間に信頼関係が必ずしも十分でなかったと思います。そこで補助金というものを通じて国の支配を強化しようと、こういう思想が一部にあった。今度は、地方は金がないものだから、何でもかんでも頼みますよ、頼みますよという陳情行政の弊に陥っている。これが私は今日の姿であろうと思います。
 したがって、行政改革というのは大変むずかしい仕事であることは熊谷さん御承知のとおりです。政府としては勇断を持って、昨年の暮れ以来、第一弾、第二弾あるいは第三弾やっているわけですけれども、私は、行政改革というのは絶えざる課題であろうと、こう思います。したがって、その絶えざる課題の中でいま何が問題かということを頭に置きながら、粘り強い解決策を講じていくというようなことでこれから先取り組んでいきたい、かように考えております。
#29
○熊谷弘君 中央、地方の事務再配分と並んで、私はもう一つ、今回の行革で財政再建と結びつけて考えた場合に、どうしても必用不可欠だったと思っているけれども、落ちてしまっているのがあると思うんです。それは何かと言いますと、先ほどから再三繰り返して申し上げておりますように、大蔵大臣としては、大蔵省を率いて、ともかく財政再建に向けて相当荒っぽいといいますか、勇断を持った幾つかの改革を志した。これに対して、おれのところだけは勘弁してくれというのが雲霞のように押し寄せたわけですね。そこにどうしても妥協せざるを得なかった。しかし、それは結局のところ、もらう側、つまり国民を含めた意識改革がない限り財政再建はできないということだと思うんです。その意識改革を進めるには、国民が、おれたちが使っているこの金は実は問題があるんだなあということがわからなきゃ、自分だけが犠牲になるというような感じを生み出す。これはあたりまえのことであります。私は、実は昨年の当委員会においても、大平総理あるいは当時の主計局長にも御指摘をしたわけですけれども、予算は表示だと、予算表示というものをもう少しうまく、わかりやすくすれば、一体自分の金がどれくらい、どういうように使われておって、それが果たして本当にいいことかどうかということはみんながわかるようになる。そういう手がかりを与えるようなものにすべきだということを申し上げたのですけれども、もっと言えば、いまの財政の最大の問題は、将来の予算じゃなくて、過去に予算化されたいろいろな費目、制度、こういうものに原因があるわけでありまして、これの適正あるいは効果、不効果、こういうものを判断する材料をわれわれが持ち、そしてみんなに判断してもらって、そしていろいろな議論はあろうと思いますけれども、だんだん削減していくということが必要だと思うんです。実はこの考え方、私の全く思いつきで話をしているわけじゃない。昭和三十九年九月の臨時行政調査会にすでにこのことがあり、これをやっておれば、大蔵省がこの臨調のやつをスポイルさしてしまってほうり出してしまわなければ、いまこんなに苦しむ必要はなかったはずです。そういう解決策が臨調の一つの本になって出ているんです。ちょっと簡単に読み上げてみます。十数年、十五、六年もたっているのに内容は全くいまの文章にしてもおかしくないようなことが書いてある。
  近年、わが国における財政規模の拡大は著しい。この拡大の傾向は、政府活動によって、ひろく経済開発、社会開発を促進してきたことによるものである。
  従って、政府活動は複雑多様化し、その成果のは握もきわめて困難となっている。このような事態に対処して、成果をいかにして具体的に表示するか、さらに、いかにして政府活動を経済的・能率的に遂行するかということが、特に要請されるといわなければならない。
  この要請は、予算の性格に大きな変化をもたらした。すなわち、予算は、これら政府活動を計画化するものとして、積極的に政策目的の達成をはかるようになってきたのである。同時に、たんなる支出統制にとどまらず、進んで、有効な行政管理の手段となる必要が生じてきた。予算のこの機能は、たんに一定の秩序のもとに、統一的な運営をはかることにあるのではなく、経費の使用を成果との関連においては握し、その効率性を促進しようとするものである。さらに、国会および国民の立場からは、財政を監視するための有用な情報の提供が、一層強く要請されよう。
  予算がこれらの機能を果たすにあたっては、会計と一体的な関係にたつことが必要である。すなわち、会計は、予算の執行状況と財産の運営状況を記録整理し、必要な情報を確保するとともに、予算と対比して、その当否を具体的に判断するものでなければならない。
  以上のような観点からみると、わが国の予算会計制度は、明治・大正年間にその基礎を完成し、戦後、財政管理の体系を変えるとともに、個別的に制度を補完してきたが、制度全般にわたる根本的な反省はいまだに加えられてはいない。予算の使途いかんがきわめて重要な意義をもつ現状においては、それを内部的に管理する予算会計制度は、その予算の機能を十分発揮させるような制度および運用となることが必要である。
 この考え方は、いままさにやるべきことであると私は思うんです。
 さらに付言しまして、
  現状において特に問題となるのは、予算偏重の傾向がはなはだしく、しかも予算を既得権視していることである。従って予算を効率的に執行し、予算の意図を十分に実現しようとする努力に欠けるとともに、決算をきわめて軽視している。
  また、制度上も、事務事業の実態に即して、弾力的な運用を行ない、あるいは業績の表示とその実績の検討等を行なう措置がとられていない。
 こういう指摘がされております。私はこのような観点に立って、予算会計制度というものを改革することが行革の中に入らなかったというのは不思議でしようがないんです。この点大蔵大臣、どのようにお考えでしょうか。
#30
○国務大臣(竹下登君) 三十九年のあの臨調答申でございます。ちょうど三十九年は私が内閣官房副長官をいたしておりまして、この臨調答申につきまして、いま読んでみてもまさに今日的な指摘であるという感じがいたします。私ども最初考えましたのは、私も若かったし、そして素人でもございましたので、一番魅力を持って最初これの勉強いたしましたのが予算編成における内閣の主導権の確立ということでありました。しかし、これはいまにして思えば、歳入歳出の一体化あるいは金融政策とか、あるいは国際経済とか、そういうような点でやはり歳入歳出は一体化したところにあるべきだと、こういう結論に当時達したわけでありますが、いまにしてなおこの国際経済、金融社会の中にまさに力を持った日本の国がそのまま入っておるときに、歳入歳出そして金融、すべてを一体化したところで予算編成はやるのがやはり至当であったなと、これは大蔵大臣になったから必ずしもそう感じたわけじゃございませんが、そういう感じがしております。
 それから、次の問題で総務庁みたいなものをつくって人事と管理二つを握ったらどうだと、こういう答申がなされておりました。これも私にとっては大変魅力のある提言でありましたが、しかし、それについてはその後人事局が総理府にできまして、そして行政管理庁と対応した形の中でそれなりの機能を発揮してきた、あるいは総定員法あるいは行政組織法というようなものがそれによって生まれたものであると思います。
 そこでいま御指摘のありました予算編成、特に予算と決算、その表示をもっとわかりやすくしろと、こういう御提言がありました。これは財政法、会計法等々からしてなかなかいまの予算書そのものを訂正するということは必ずしもなじまないと。しかし、説明書みたいな形で国民にもっとPRしていけばいいなあと。その努力は今日続けられておるわけでございますけれども、御指摘のとおり、この財政再建というものが基本的に先ほど来御指摘いただいておる安易なるインフレ、政策インフレによってこれをやることだけは絶対避けなきゃならぬという、そして行政改革が増税のすべてを埋めるものなどというものではないというようなものから考えてみますと、国民に入るも出ずるも理解をしていただかなければならないという視点に立ったときには、予算にしろ決算にしろ、もっとわかりやすく国民に理解を求める努力は引き続きやっていかなきゃならぬ問題だなと、国会を通じて、予算委員会、決算委員会等で種々なる問答を行うということも国民に理解を求める一つの方法であろうと思うのでありますが、政府広報等々の中においてもそのような努力は続けられていかなければならない課題であるというふうに考えております。
#31
○熊谷弘君 カーター大統領がゼロベース予算を提唱しまして、アメリカのGAO、いわゆる会計検査院の機能強化をやっていることは周知のとおりでありますが、さらにアメリカの場合には踏み込んで、もうすでに数年前から会計検査を、先ほどの不正経理とか、いわゆる法的な適合性があるとか違法性があるとかいうような、あるいは補助金の交付要項に違反しているとか違反してないとかという、これも大事でありますけれども、これよりもさらに重要な事業の効果評価というようなところまで踏み込んでやっている現実がございます。聞くところによりますと、会計検査院も特記事項というようなことで幾つかの努力をされておられるようです。おられるようですけれども、それはあくまでも特記事項で、たまたまやったというような感じをぬぐいがたいんですね。私がぜひこれ行政管理庁長官にお願いしたいのは、この臨時行政調査会の「予算・会計の改革に関する意見」というところにもう一回戻ってもらって、そこの点を、つまり会計検査院や大蔵省に、むしろ行政改革、人員とか何とかというよりも財政の赤字を生み出すメカニズムにメスを入れるような、そういうすでに従来多くの学識経験者の手によってなされたこの功績、この調査に戻ってもらって再検討してもらうということをぜひつけ加えていただきたい、心からそう願うものですけれども、長官いかがでしょうか。
#32
○国務大臣(宇野宗佑君) 臨調の答申というのは、やはり今日におきましても私十二分に尊重しなくちゃならないものが含まれておると思います。しかし、中にはもう十五、六年たちましたからずいぶんと変わったなあという印象を持つ問題も多々あると思います。特に予算局を内部につくった方がいい、総理府につくった方がいいというような御提言もございますが、やはり歳入歳出は大蔵省がやった方がいいだろう川と。しかしながら、いまおっしゃるように、いかに国民にそうしたものをもっとわかりやすく知らしめるか、また余りにも大蔵サイドばかりであると独善に陥りやすいというそしりもあるわけでございますから、行政監察を通じまして実のところはいろいろとフォローをいたしてまいっておる次第でございます。
 御承知だろうと思いますが、補助金問題もことしは千六百六十七億、あれだけの大整理をしたというのはこれは戦後初めてのことではなかろうかと、これは当然予算の実態そのものにも触れる問題でございますが、そのもとは大蔵省も調査をなさいましたが、やはり行政監察によって詳細にわたって相当なデータを大蔵省に実は差し上げてあるわけであります。そのほかに関しましても、新しい政策とか新しい予算、これが執行されまして五年たてばやはりその効果が本当にあったかどうかということも、実は行政監察を通じまして毎年一つのプロジェクトとしてこれを検討課題として調査いたしております。その結果は当然これは大蔵省にも差し上げておるわけでございます。もちろん会計検査院の方はこれは経理の存在そのものについてのメスを入れる役目でございますが、われわれといたしましては、当然予算、補助金等々を通じまして行政の組織機構あるいは制度そのもののあり方の是非、また改良はいかにすべきか、改善はいかにすべきか、そういうことを念頭としてやってまいりたいと、かように思っておりますから、いま御指摘の点は、そうした形において今日までも続けてまいりましたが、さらにまた大蔵大臣等とも十二分にいろいろ意見を交わしながら、改善すべき点があるならば常に行政改革はやっていかなければならないと、さように心得ております。だから、今回は単に行革だけではなくして、行財政改革という名のもとに私と大蔵大臣とそして内閣の大番頭である官房長官、この三人がその衝に当たっておるというのが私は一つの大きな特色ではなかろうかと。先ほどからいろいろ御質問ございました地方ともやはり国は表裏一体となってやっていかなければならない問題もございます。また時と場合には、みずからやはり分権、これを確立するために国がもっと応援をしなければならない点もございます。過剰介入なんていやしくもあってはならないと、私はこう思いますね。そうしたときには後藤田さんも入っていただくというふうなことで、やはりもう一度いま御指摘の点等々に関しましては、中央、地方を通じましてのひとつ財政のあり方なり国民との接点をどこに求めるかということ等に関しましても十分検討したいと思っております。
#33
○委員長(山内一郎君) 以上で熊谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○委員長(山内一郎君) 次に、吉田正雄の質疑を行います。吉田君。(拍手)
#35
○吉田正雄君 ロッキード、グラマン、ダグラスなどのスキャンダルというものが相次いで発生をしてまいりました。さらに、昨年来公団、公社あるいは各官庁による一連の不正経理事件等が表に出てまいったわけです。そして、国民の多くは、すでに今日のこういう腐敗というものが体質化し構造化しておるということにある程度私はもう絶望感を持っているんじゃないかと思うんですね。この絶望感や無力感に拍車をかけておるものに、政府・与党である自民党、その責任政党の今日までの公約というものが何ら実現をされていない、ほとんど実質的な効果を上げてないということも私は大きくかかわっていると思うわけです。そして、加えて今度のKDD事件がかつてない規模と深刻さで国民の前にその醜態というものをさらけ出したわけです。私は、このKDD事件というものを徹底的に解明をしていかなければ、今後汚職を防止をするであるとか、綱紀粛正を実現するということは国民にとって空念仏にしか聞こえないだろうというふうに思うわけです。
 そこで、お尋ねをいたしたいのですけれども、ただいまの熊谷委員の質問に対します郵政省の官房長の答弁を私は聞いておりまして、これでは今後の綱紀粛正や汚職防止は相も変わらず不可能であろうという感じを深くしたわけですね。それはなぜかといいますと、いまの答弁の中で、部内に綱紀点検委員会というものを設置をした、そして関係者から自己申告書を提出をさせた。その調査の結果、言われるようなものは余りなくて、社会的、儀礼的な範囲を出なかったというふうに判断をしておる、そういう点ではこの内部申告というのは大きな意味があったのだ、というふうな趣旨の答弁をされておるわけですね。私はそういう答弁では納得できませんし、もし仮にそのような調査結果で終わっておるとするならば、その綱紀点検委員会なるものの性格も、また真相究明に対する態度もきわめて疑わしいというふうに私は思わざるを得ないわけです。お聞きをいたしますが、一体、社会的、儀礼的な範囲内であったというその内容をまず教えてください。
#36
○政府委員(小山森也君) 御案内のとおり、社会的儀礼と言われますもの、なかなかむずかしい判断だと思いますが、私どもといたしましては、日常生活で一般常識的な判断によらざるを得ないと思いまして、その範囲を、たとえば人事異動に際しましての儀礼的な懇談の場を持った場合の出席とか、いわゆる盆暮れに社会一般でやりとりされているような贈答の品物を受け取ったという場合、これが社会的な通念におきます社会的儀礼ではないかと判断したわけでございます。
#37
○吉田正雄君 その社会的儀礼というものが今日の腐敗、汚職を生み出している一つの大きな原因であることは間違いないわけですよ。いまあなたのおっしゃった、たとえば人事異動に際しての転任であるとか昇任祝い等というものがいろいろ言われているわけですね。これは後ほど警察、検察にもお聞きをしたいと思っているんですけれども、皆さんは、一体それでは儀礼的な範囲の盆暮れのつけ届けとか贈り届けというものはどの程度が常識的だと判断されているんですか。
#38
○政府委員(小山森也君) 職員の申告によりますと、大体ウイスキーであるとかワイシャツ、それからコーヒーセットというようなものが申告されております。じゃ、価格がどうかということにつきまして非常に判明しにくいというところから、その程度のものはという判断を下したわけでございます。
#39
○吉田正雄君 それは答弁にならないんですよ。たとえばウイスキー一本と言っても二、三千円のものもあれば何万円もするものもありますしね、これは大変な違いがあるのです。そういう点でいまの答弁はちっとも具体化されていないし、内容がはっきりつかめないわけです。
 そこで、本当に郵政省当局が今後の綱紀粛正であるとか汚職防止を真剣に考えておるならば、いま皆さんがやられたその調査結果を予算委員会に提出をしてください。これはいかがですかo
#40
○政府委員(小山森也君) 調査結果について申し上げますと……
#41
○吉田正雄君 時間がないから、その資料を提出をするかどうかを聞いているのです。
#42
○政府委員(小山森也君) 委員長の方からそういう御要請がありますれば提出させていただきます。
#43
○委員長(山内一郎君) 理事会で協議します。
#44
○吉田正雄君 委員長というよりも、いまあなたが先ほど調査をして結果が出ておりますと言うから、秘密の資料じゃないのでしょう、どうなんですか。
#45
○政府委員(小山森也君) 秘密の資料ではありません。
#46
○吉田正雄君 では提出してください。よろしいですか。
#47
○政府委員(小山森也君) 委員長からの御命令がありましたら提出いたします。
#48
○委員長(山内一郎君) 理事会で協議します。
#49
○吉田正雄君 それでは、郵政大臣にお尋ねをいたしますが、KDD事件が表面化をしてきてから、いま官房長の説明のあった部内的なある程度の調査と言ったらいいんでしょうか、そういうものはいま聞きましたけれども、もう少し突っ込んだ論議が庁内で一体行われたのかどうなのか。その前に、国際電信電話会社法の第九条には、郵政大臣の監督権限が定めてあることは御承知のとおりだと思うのです。さらに第十五条には、監督権者である郵政大臣の会社に対する指揮命令権というものも定めてあるわけですね。これに基づいて、具体的に一体どのような監督を事件発生前、今日まで行われてきたのか。また事件発生後、一体そういう指揮命令というものをどのような形で何回発動されたのか、お聞きをしたいと思います。
#50
○国務大臣(大西正男君) KDD事件は、私が就任いたす前からもうすでに公に発覚といいますか、一部発覚しておった事件でございます。私が就任をいたしましてからは、いま官房長が申しましたように、十一月の十二日ごろだったと思いますけれども、そういう綱紀点検委員会を省内につくりまして、そしてこれに関係のあると思われる部局について綱紀の点検を行ったわけでございます。その結果については、いま官房長からお答えを申し上げたようなことでございます。そこで、調べてみると、従来の観念によると社交的儀礼の範囲内のものだと、こういうことでございました。そこで、従来の観念によって社交的儀礼の範囲内に属するものであっても、この際お互いに公務員としてそういう儀礼をも受けるべきではないのではないだろうか。そういう点をさらに自粛をすべきではないか、そういうことで、改めて従来そういう観念に立ってのものであってもこれからはそれを慎むようにという通達を関係各所へ出したわけでございます。このことは部内だけではなくて、郵政省の監督下にある各機関に対しても、そういうことは今後慎んでもらいたいということを通達したわけでございます。
 それから、お尋ねのKDDに対する報告とか命令とかいうことでございますが、私が就任する以前からそういう報告を受けたりなどしておったと思います。事件が起こりましたからその内容についていろいろKDD当局から報告を受けておったと思います。ということは、当時KDD内にも経営刷新委員会というものができておりまして、そこで組織の問題とか綱紀の粛正の問題とか、いろいろ調査を始めておったわけでございますから、その都度その報告を受けておったと思います。私が就任をいたしましても、それらの報告は随時担当のところへ来ておったわけであります。そういうことでございますが、指揮命令権といいますのは、御承知でございましょうが、いま御指摘のKDD法の中におきましても限定をされたものがあるわけでありますが、その従来の解釈が……
#51
○吉田正雄君 いや、解釈は聞かなくていいですよ、具体的にどういうものを。
#52
○国務大臣(大西正男君) ですから、そういう指揮命令をしたことは、私としては記憶――したんじゃないと思います。しなかったと思います。それからその後、最近に至りまして御承知のようなかつての幹部あるいは現職の参事官、こういう人たちが――参事官じゃなくて、現職の役人が警視庁に逮捕をされるといったまことに遺憾な事件が発生をいたしました。そこでこれを契機に、私といたしましては幹部を集めまして、そうして訓示をして、公務員としての原点に立ち返って再びこういう事件が起こらないように戒慎をするようにということの訓示をしたわけでございます。いままではそういう状況でございます。
#53
○吉田正雄君 大臣、大臣の心づもりとか今後の決意というのはまたそれでお聞きしますけれども、私が聞いているのは、いま具体的な問題を聞いているのでして、いまの大臣の答弁でも、報告があったと思うと、幹部は見ておるようだという、いまちょっとこう聞き取れたんですが、大臣自身はKDDからの報告を具体的にどのような形で見られましたか。文書報告はごらんになりましたか。ごらんになりましたら、どういう報告、主要な報告内容はどんなものがあったのか。それから、あれだけ問題が起きた後就任をされたわけですから、必要な改善命令というものは、具体的にはどういう改善命令を出されたのか。必要な命令をすることができることになっているわけですよ。この法の範囲内において具体的にどういう改善命令を出されたのか、具体的におっしゃってください。
#54
○国務大臣(大西正男君) その法に書いてある命令とかいう問題は、私どもの有権解釈では、本来の国際公衆電気通信事業に関することについて命令等をするということでございます。そういうことでありますから、私が就任をいたしましても、この条文に基づく命令等は発しておりません。
 それから、いわゆるKDD問題が生じてからの報告等につきましては、私ども、先ほど申し上げましたように、経営刷新委員会というものができて、そうしてその中でKDDのいまの問題が起こっておるその問題についての調査をする部門と、それからKDDのこういうふうになってきたその原因等について、組織の問題でいろいろあるとか、あるいはまた監査のあり方がどうであるとかいったようなことを調査をしておる、刷新委員会がやっているということでございまして、それについては報告を受けておるわけでございます。
#55
○吉田正雄君 大臣ね、答弁になっていませんよ。「その業務に関し必要な命令をすることができる。」、その命令の内容というのは、公共の福祉を確保するためであり、かつ会社の業務に関し必要である場合に限定はされておりますけれども、公共の福祉に関してあれですか、そうすると今度のKDDの事件というのは一切関係がなかったと思われるのですか。その点どうなんですか、そういう認識ですか。
#56
○国務大臣(大西正男君) お答えいたします。
 KDDの行っております国際公衆電気通信事業の遂行は、それが公共の福祉に関することでございまして、その本来の業務を、公共の福祉といいますか、本来の業務について適切な業務の運営が行われておるかどうかということについては、この十五条によっていろいろとなし得る権限があるわけでございます。でございますが、今度の事件はそれとは直接関係がないと、こういうことでございまして、私どもはそういう解釈でございますから、これは衆議院の予算委員会でもそうお答えを申し上げたことでございますが、これに基づく命令を発したことはございません。
#57
○吉田正雄君 私はいまの大臣答弁を聞いて驚いておる次第ですよ。今度の事件がKDDのその業務に関して公共の福祉を確保する上において全然関係がないなんという、そういう認識だから私はこういう汚職、腐敗というものが出てくると思うのですよね。指揮命令というか、監督ができないんじゃないんですか、癒着関係からして。大臣ね、一体いまの郵政省とKDDとの関係で、その監督をやれる体制だというふうに思っておいでになりますか。KDDの経営陣というのは、もうこれは新聞や雑誌等でもいやというほど報道されたから、一々私が言う必要もないと思うんですけれども、事件発生前は郵政省から天下った俗に言う天下り役員というものが、会長は元郵政相ですよね、さらに一人の副社長、それから板野前社長、さらには取締役が二人というぐあいに郵政省から天下っているわけですよね。これじゃとても指揮をしますとか、監督をしますなんということにはなり得ないですよね。だから、私はいまの大臣の答弁を聞いて、もっともだろうと思ったんですね。癒着があり、癒着の構造があり、そして報道された内容のようにしょっちゅう飲み食いをやっておるという中で何が指揮監督ができますか。まさにKDDの利益、KDDに、アリがちょうど砂糖に群がるような形、それが今度の私は一つの側面であったというふうに思っているわけですね。一体、監督がやれる体制にあるとお思いになりますか。
#58
○国務大臣(大西正男君) KDDは昭和二十八年にできた特殊法人でございまして、今日まで約三十年、三十年に少し足りませんけれども、たつわけでございます。この間、社長その他役員は数代をかわってきておるわけでございます。この間において問題が起こったのは御承知のとおりでございます。ですから、郵政省とKDDが本質的に、本来的に癒着にあるものだとは私は考えておりません。また、仮に天下りの人がおったからといって、これは郵政省の姿が本来の公務員としての原点にあるならば、それ自体によって癒着が生ずるとは考えません。また反面においては、これは非常に技術的な会社でございますし、そういう関係においては郵政省出身の社員がおるということはお互いの業務を理解し合う上では利点もあったのではないかと思います。問題は、おっしゃるように、KDDがみずからの経営姿勢、経営倫理というものを忘却をし、もし仮に郵政省の方で、今回逮捕を受けましたような不祥な事件によって特定の人たちが癒着をしておったということは遺憾にたえないところでございますけれども、原則論としてそういうことが言われるということは、先生の御意見としては十分拝聴いたしますけれども、それがあるためにその姿勢が正し得ないということは、私はそうは考えない次第でございます。
#59
○吉田正雄君 そうであれば今回のような事件は起きませんよ、あなたのおっしゃっているようなことが現に行われておったならば。KDD前社長室長の佐藤陽一と、それから三月十八日に逮捕された松井清武元郵政省電気通信監理官は、特に昭和二十五年郵政省入省組の同期であって、佐藤がKDDの社長室総務課長、松井が郵政省秘書課長時代から交際が始まり深まっていったということが言われているわけですが、そのとおりですか。イエスかノーかだけ答えてください。
#60
○国務大臣(大西正男君) 私は過去のことは存じませんけれども、交際があるということはあったであろうと思います。けれども……
#61
○吉田正雄君 いや質問にだけ答えてください。
#62
○国務大臣(大西正男君) そのこと自体がいかがかということになりますと、先生と御意見を異にする点があるかもわからぬと思います。
#63
○吉田正雄君 先ほど内部監査というか、自己申告もやられ、内部の調査委員会でもっていろいろな調査をされたんでしょう。官房長、この事実はどうなんですか、大臣はわからないと言うんですからね。大臣がわからぬようじゃ困るじゃないですか。
#64
○政府委員(小山森也君) 同期生であることは先生おっしゃるとおりでございますが、二人の間の個人的なつき合いがどうであったかということについては私は存じ上げぬ次第でございます。
#65
○吉田正雄君 この松井清武が監理官時代の七五年の七月ごろから七七年の七月ごろまでホテルオークラに霞新会なるものを設置したと、これも一部新聞で報道されているとおりですね。霞新会というのは霞という字に新しいという字、つまり郵政省のある霞が関とKDDのある新宿、この二つの頭文字をとって霞新会と名づけたということなんですけれども、この会があったことは知っておりますか、郵政大臣。
#66
○政府委員(寺島角夫君) 私は一昨年の七月から電気通信監理官をやっておりますが、その時点におきましてそういう霞新会というものがあったということにつきましては、着任後承知をいたしております。いつごろそれができたかということについては承知いたしておりません。
#67
○吉田正雄君 いつごろできたか承知をしていないということは、先ほどの調査結果がきわめてずさんであるということのあらわれじゃないですか。こんなこと一つわからぬでどうするんですか。何が調査できるんです。
 霞新会のレギュラーメンバーは、郵政省側がただいまの松井、それからいまの郵務局長の江上両監理官、KDD側が社長、副社長、社長室長などであって、そしてさらに、会議には随時、参事官であるとか副参事官であるとか、それぞれの会議の内容に応じてそれぞれからそれぞれの担当者が出席をしてきたということも、これはもう明らかになっているんですよ。この霞新会がKDDと電気通信監理官室の幹部が許認可事業に対する便宜供与、法改正に伴う政界工作の下打ち合わせ、政治献金、旅行のせんべつ、物品贈与など、意思疎通を図る場であったことは、これはもう関係者の証言で明らかになっているんですよ。これは承知をいたしておりますか。
#68
○政府委員(寺島角夫君) 霞新会と言われておりますものがKDD幹部とそれから私ども郵政省の電気通信監理官室の幹部との意思疎通の場であったことはそのように考えておりますけれども、ただいま先生からいろいろな御指摘がございましたが、そういうことについての打ち合わせなり、そういうことをしたことは一切ございません。
#69
○吉田正雄君 一切ないと断言できるんですか。あなたたちは調査をよくしていないとおっしゃったじゃないですか。よく調査もしていない人間が一切なかったと言ってどうして断言できるんですか。
 大体、それでは定期あるいは随時に何回開かれましたか。
#70
○政府委員(寺島角夫君) ただいまそういうこと一が一切ないと申し上げましたのは、私の経験に基づきましてお答えを申し上げた次第でございまして……(「あなた個人に聞いているんじゃないんだよ」と呼ぶ者あり)
#71
○吉田正雄君 私の経験に基づいてなかったと思うというのはどういうことなんですか。皆さんは内部で調査をされたとおっしゃっているわけですよね。私が指摘をしているわけだ。関係者の証言でも明らかであるというのに、あなたはなかったというふうに断言をされているわけですよ。だから断言の根拠を聞かせてください。
 しからば、何回定期的な会議が開かれ、随時何回開かれたか。わかっているわけでしょう、ないとおっしゃるからには。これははっきりしてくださいよ。
#72
○政府委員(寺島角夫君) 私が着任いたしましてから今日まで二年近くなるわけでございますけれども、その間に私の記憶では二回だったと思います。
#73
○委員長(山内一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時から委員会を再開し、吉田君の質疑を続行いたします。
 これにて休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#74
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十五年度総予算三案を一括して議題とし、午前に引き続き吉田正雄君の質疑を行います。吉田君。
#75
○吉田正雄君 法務大臣がきょう主管の法務省関係に関する決算委員会に呼ばれているそうでありますので、当初に法務大臣の見解なり決意をお聞きしたいと思うんです。実は私の質疑をある程度お聞きをいただいた後、法務大臣の見解なり決意をお聞きするのが妥当かと思うんですけれども、時間の制約がありますから、法務大臣のいままでの法務省におけるKDD事件に対する調査の結果等、現状における法務大臣の認識のもとでの決意、見解をお聞きをしたいと思うんです。
 法務大臣も御承知だと思うんですけれども、かつて一九五四年、吉田内閣時代の造船疑獄をめぐって、時の幹事長でありました佐藤榮作氏に対する検察の逮捕というものが犬養法相の指揮権発動によって阻止をされたということは御存じだろうと思いますし、国民もその事実というものを非常に生々しく記憶をしておると思うんですね。総理もおいでになりますが、歴代内閣が、自民党が綱紀の粛正、汚職の徹底的な解明と今後の汚職の発生防止ということを繰り返し公約をされてきたのですけれども、ほとんど実効が上がっていない。そして、今日まで幾つかの汚職事件の摘発に際して常に国民の間には、巨悪ほど逃れやすいと、法網というものが非常に弱いんじゃないかと、網をかぶせる範囲というのは大きなものにはかからないという、そういう疑惑なり失望感というものを私は持ってきておると思うんです。
 特に、今回法務大臣に就任された直後、これは法務委員会でも問題になったりマスコミでも取り上げられたのですけれども、法相が就任直後、例のロッキード事件に関係したと言われる人は私どもと懇意な人たちであり、公明正大で青天白日になられることを友人として念願するんだと、こういう趣旨の発言をきれて大変物議をかもしたわけです。それだけに、私は今度のKDD事件というものに一体法務省当局がどこまで本腰を入れて真相の解明に乗り出すのか。再び指揮権発動なんということはこれはもうあり得ないと思うんですけれども、しかし、ききのそういう法務大臣の発言もこれあり、そういう点で、私は、ここでやはり法務大臣から国民の疑惑に対しても明確に国会の場を通じて解消していく必要があろうかというふうに思うわけです。特に政治の場から検察当局の解明への努力を全面的に支援すると言ったらいいでしょうか、そういう条件づくりに法務大臣は全力を挙げるべきではないかというふうに思うんですが、法務大臣の見解と決意をお聞かせ願いたいと思うんです。
#76
○国務大臣(倉石忠雄君) お話しのいわゆるKDD事件につきましては、ただいま警視庁と東京地方検察庁が共同で捜査に当たっております。私は私の立場といたしましては、この両者がいま熱心に捜査中でありますので、適切な捜査を行ってくれるものであるということを確信しているわけであります。御存じのように、わが国の治安当局並びに検察は非常に厳正中立でありまして、そういう点におきましては私は信頼し切っておるわけでありまして、いやしくもそれが捜査に障害になるようなことにならないためには全力を挙げてこれに協力をいたすつもりでございますので、警察、検察を信頼いたしておる私の気持ちを御理解願いたいと思います。
#77
○吉田正雄君 それでは、午前中に引き続いて郵政当局にお尋ねをいたします。
 先ほどの霞新会に対する私の質問に対して、事務当局は霞新会の存在とそれから意思疎通の場であったということは認められたわけです。そして、何回くらい会合が持たれたのかということについては、二回ほどというふうにお答えになっておるんですね。これは全然実態と違っているんじゃないかと思うんですが、たとえば当時の監理官であった松井さんの逮捕以前にもすでに調査もされておると思うんですね。どのような調査をされてその二回という結論が出されたのか、ちょっとお聞かせください。
#78
○政府委員(寺島角夫君) 私が二回とお答え申し上げましたのは、私の現在のポストに着任をいたしまして以来二回ということでございまして、これは記録が残っておりませんので、それ以前のことにつきましては私は承知をしておらないところでございます。
#79
○吉田正雄君 それじゃ、皆さんの現状における調査、現時点における調査結果というものはきわめて不完全なものであるわけですね。先ほどは絶対ありませんというふうなことをおっしゃったんですよね。
#80
○政府委員(小山森也君) 私どもの綱紀点検委員会で調査いたしましたのは五十三年七月以降のものでございます。先ほど監理官の方から答えましたものは、それ以前のことについてはわからないということを申し上げたわけでございます。
#81
○吉田正雄君 そうすると、いまの答弁を聞くとますます、皆さん方が内部に調査委員会を設置をして調査をやってきて、それなりの意義があり、しかも社会常識の範囲を超えていないという一定の結論を出されたわけでしょう。五十三年七月以降というと、最もこの事件に関係があると思われる五十二年の七月からのことが含まれていないわけですね。それからしても、私はこの内部調査なるものがきわめてずさんなものであると言わざるを得ないと思うんですね。
 そういう点でさらにお聞きをいたしたいと思いますけれども、松井監理官とそれから日高参事官のコンビが電監室の幹部の座にあって、霞新会が設けられた先ほど申し上げた七五年七月からの二年間に、一体KDDとの間にどのようなことが話し合われ、それが具体的に一体どういう形をとってあらわれてきたかということですが、これはもう事実としてはっきりしているわけですね。これは報道もされておりますし、私どもの調査でもはっきりしているんですが、まず一つは、データ通信時代を迎えて、KDDの独占体制を脅かす外国通信業者の上陸というものを阻止をするということで話し合われておるということも、これはっきりいたしておりますし、それから第二点としては、電電公社の国内電話料金の値上げに便乗して七六年にフィリピンなど近隣地域向けの電報、テレックスを最高一五〇%値上げをし、さらには韓国向けの電話料金を最高五三%も値上げをいたしておるわけですね。御承知のように、日本のこのKDDの国際料金というのは世界でも最も高いと言われているんですね。にもかかわらず、さらにこれだけの値上げが行われておるということですし、さらに、第三点としては、料金滞納者の通話停止に法的根拠を与える公衆電気通信法四十三条を同じ七六年の十一月に改正をいたしているわけですね。これは当初電電公社当局が大分渋ったと言われておるんですけれども、強引に納得をさせて、この法案の改正に成功いたしておるわけですね。さらに国際海事衛星機構の国内運用権の獲得ということ、このたった四つというだけではないのですけれども、この非常に大きなこれらの四点につていもこの期間に話し合われ、これらのことが実現をしておると。そういう点で、私は、単に新宿や赤坂の高級料亭であるとかバーであるとかクラブであるとかで飲んだとかどうとかという以上に、きわめて政治的な大きな背景を持った事件ではないかというふうに思っておるわけです。これらの四つのことがこの期間に行われておるという点については間違いないでしょう。
#82
○政府委員(寺島角夫君) ただいま御指摘のございました点につきまして事実関係をお答え申し上げます。
 最初に、KDDの専用線等の料金改定でございますが、これにつきましては五十二年の五月二十三日に申請がございまして、同年、五十二年十一月二十五日にこれを認可をいたしております。
 それから、韓国への料金の問題でございますが、これは昭和五十一年十二月一日に行っておりますが、これは国内欧文電報の料金が四倍になりましたことに伴いまして、それとの均衡等を考慮して改定をしたものであると、こういうふうになっておるわけでございます。
 それから、いわゆるKDDの料金滞納者に対します国内電話の通話停止の措置につきましては、五十一年に成立をいたしました公衆電気通信法の改正の際にその改正が行われていること、これは事実でございます。
#83
○吉田正雄君 最近五カ年のこの収支を見ますと、値上げをしなければならないような状況はないわけですね。昭和四十九年に約六百八十億円の営業収益、その他の収益を入れて約七百十五億円。これに対して支出の合計が六百四十四億ですから、約七十億円の利益が上がっているわけですね。純益が上がっているわけです。五十年の場合も七十四億、五十一年度は九百十一億、五十二年度が九百二十二億、五十三年度が九百七十七億という大変な収益が上がっておるわけでして、この電報料金、電話料金等の値上げをする必要は全然ないわけなんですね。ですから、利用者がこのもうけ過ぎを批判をし、値下げを要求するのは、これは当然なわけですね。そして、七七年の円高差益の問題をきっかけにしてこれが表面化をしたわけです。七八年の九月の経済対策閣僚会議もこれを取り上げて、もうけ過ぎを指摘をし、そして郵政省当局がそれに対する適切な措置をどのように講じたのか。まず、この経済対策閣僚会議でその問題が取り上げられたということは、これは事実だろうと思うんですが、どうですか。
#84
○政府委員(寺島角夫君) お答えいたします。
 経済対策閣僚会議のことでございますが、九月二日の会議におきまして、総合経済対策の一環といたしまして「国際電信電話料金については、収支構造上為替差益は少額であり、方向別格差の是正についても料金体系上の問題等があるところであるが、利用者へのサービスの改善、安定的な国際通信の確保等を総合的に勘案しつつ、料金問題についてさらに検討することとする。」という旨の決定がなされておりまして、これを受けまして私どもの方も検討するように指導文書をKDDに対して出しておるところでございます。
#85
○吉田正雄君 その閣僚会議の決定や各ユーザーからのそういう強い要請を受けて、郵政省当局としては、許認可権を持っている立場から、KDDに対して具体的にはどのような指導をされたんですか。
#86
○政府委員(寺島角夫君) お答えいたします。
 円高に伴いますいわゆる為替差益の問題が論議されましたのは五十二年の秋ごろからだと記憶をいたしておるところでございますが、それを受けましていろいろ国会等でも御議論になったところでございますが、先ほど九月の経済対策閣僚会議のことをお答え申し上げましたが、四月にも経済対策閣僚会議におきましてこの件が取り上げられておりまして、それを受けまして五十三年五月並びに五十四年九月に郵政省から検討方の指示文書を発出いたしております。さらに五十四年の二月にも物価担当官会議におきまして国際電信電話料金の改定につきさらに検討を進める、こういう申し合わせがなされておりますので、これにつきましても指導文書を出してこれが検討方の促進を郵政省としては継続をして図ってきたところでございます。
#87
○吉田正雄君 総理、よく聞いていただきたいと思うんですけれども、私は、このKDD事件というのは戦後の多くの汚職あるいは疑獄事件と呼ばれる中でも非常に深刻な問題を内包しておると思うんです。特に私は総理にお聞きをいたしたいと思いますのは、これだけマスコミでも取り上げられてきておるわけですね。そこで、総理として一体この問題について閣議で取り上げられて論議をされたことがございますでしょうか。まず、それをお聞かせ願いたいと思うんです。
#88
○国務大臣(大平正芳君) 特殊法人の監査の問題、それから役員登用の問題、役職員の給与問題等につきましては、去年の暮れ、閣議で新たな基準を設けてその実現を図るということにいたしたわけでございます。
 特定のKDDという法人につきましては、不幸にして事件が発生いたしておりますが、その事件の捜査状況、それからKDDに対する監督官庁としてやっておりますこと等の報告を閣議で聴取いたしたことは何回かこれまでもございます。
#89
○吉田正雄君 昨年暮れというのは、行政改革の一環としての天下り人事についての制限というのが閣議で論議をされていることは承知いたしておるんですけれどもね、KDDそのものについて政府としてどのように取り組んでいくのかという論議は、私は十分なされていないと思うんですよね。
 私は、刑事犯については疑わしきは罰せずということがありますけれども、政治家の場合は疑わしきはもう積極的にみずからその疑惑を晴らす努力というものを国民に対してなすべきだろうと思いますし、もしそのことがなし得ないならば、疑わしきは私はむしろ政治家は責任をとるべきではないかというふうに思っておるわけです。
 これもマスコミに報道されておりますけれども、たとえば服部前郵政大臣に五千万円であるとか、これは絵画ですか何ですか、現金ですかわかりませんけれども、いろいろなことが報道されているわけですね。小宮山重四郎議員には四千万円であるとか、そういううわさが飛んでおりますし、さらに園田前外務大臣、竹下現大蔵大臣あるいは小渕現総務長官のあたりにも、あるいはパーティー券だとか、いや海外旅行のせんべつであるとか、いろいろなうわさが巷間に流れておるわけです。そういう点で、私は、よもやそんなことはあり得ないだろうというふうに思いますが、たとえばけさの朝日新聞の報道を見ましても、警視庁は、板野前社長と密談をしたんではないかと、そういう事実をつかんだということで、近く政治家への事情聴取を始めるのではないかというふうなことで、服部元郵政相の名前も挙がって報道されているわけですね。そこで私は、もし潔白であるならば、そのような報道自体が名誉棄損であるわけですから、各大臣は積極的にその疑いを晴らす努力をすべきだと思うんですね。それは単なるうわさであるとか、マスコミの一方的な報道だという言い逃れが常にあるんですよ。これでは国民は納得しないと思うんです。そこで、いま名前の挙がった現職大臣にはどういう見解をお持ちなのか、また、これからそういうみずからに降りかかった疑惑に対してどのようにこれを振り払い、国民の前にそれを明らかにしていこうというのか、まずお聞かせ願いたいと思うんです。
#90
○国務大臣(竹下登君) 正確な日にちは記憶いたしておりませんが、昨年の六月でございました、私の出版記念会を行いました。その際、出版記念準備会の善意の第三者の手を通じまして、KDDから私の二万円パーティー券五十枚を購入していただいた事実があります。そのことは、実は本院の決算委員会において黒柳委員からKDDのパーティー券の購入の質問があっておりましたので、あるいはこれは私もあるかもしらぬなと思いまして、そのときに調べました。そしたら確かにございました。したがって、その第三者の了解も得まして、そしてKDDへ返しました。返して、その領収証もいただいておりますが、領収証の受取人等は、衆議院の予算委員会の質問に対しては持ってきておりましたので申し述べましたが、名前はいまは忘れました。が、そういう事実でございます。
 なお、その善意の第三者とは、郵政関係とは全く関係のないお方であります。
#91
○国務大臣(小渕恵三君) 私に関しましては、昨年の夏、いわゆる私を励ましてくれる方々の集まりの責任者がKDDに対しましてパーティー券の購入をお願いをいたしまして、百枚の御協力をちょうだいをいたしたことは事実でございます。
 その後このパーティーは、総選挙その他がございまして、実は選挙後に相なったわけでございますが、まあ当時、KDD問題が世間をにぎわすことになりまして、したがいまして、社会的なこうした問題を惹起しておることにかんがみまして、私といたしましてもその代金を返済することが望ましいと考えまして、責任者をもってKDDに御返却を申し上げたような次第でございます。その領収証その他はすべて励ます会当局で所持をいたしております。
#92
○吉田正雄君 先ほども事務当局の発言の中に、社会常識の範囲を超えなければ許されるのではないかという、そういうまあ趣旨の発言があったわけです。今日、そのことが社会常識の名のもとで腐敗、汚職というものを増大をさせてきたと思うので、今日、その社会常識なるものについてわれわれ自身が考え方というものを変えていく必要があるんじゃないかというふうに思うんです。
 そこで、警察庁にお尋ねをいたしますけれども、今度のKDD事件で、東京空港の税関で摘発されるまで、これらの一連の事件に関する事柄について事前にキャッチをしておったのかどうなのかですね。よく銀行強盗であるとか、あるいはその他の民間企業等の汚職等では、金遣いが荒いということから警察は直ちにそれらの問題を解明をするきっかけをつかむということがあるんですけれども、これだけKDD事件がはでに行われておったにもかかわらず、もし東京税関の摘発がなかったらわからなかったということになると、私はこれは日本警察何をしておったのかというふうに思うんですが、その辺はどうであったのかお聞かせ願いたいと思いますし、それから、これも報道ですが、七五年から三年半にわたって五十七億円もの交際費の疑惑を警視庁は究明したというふうに報道されておりますが、その総額はほぼ間違いありませんですか、どうでしょうか。
#93
○説明員(谷口守正君) お答え申し上げます。第一点の成田税関支署の方で摘発される以前に警視庁の方で何らかの容疑事実を知っておるかどうかといった点でございますけれども、そういった事実につきまして私どもの方は警視庁から何らの報告に接してないということでございます。
 第二点の交際費の額についてでございますけれども、個別具体的な問題についてでございますので、この席で御答弁は差し控えたいと思います。
#94
○吉田正雄君 私はいままでも国会答弁を聞いておって実に奇異な感じを持っているのですよ。新聞ではすでに報道されておる。これはこの間の電気料金の値上げもそうです。マスコミでは正確に値上げの率をきちんと報道して、国会論議の場での質疑に対しては、ただいま査定中であってお答えできないと。五十七億円の一々中身、だれがどこで何に使ったということを聞いているわけじゃなくて、そういう金額にほぼ間違いないかということを聞いているわけですよ。それが答えられない理由は何ですか、捜査に支障があるんですか、その五十七億円という数字がありましたということを発表するだけで。それから使途不明金があったかどうか、それをお聞かせください。
#95
○説明員(谷口守正君) お答え申し上げます。
 交際費の額及び使途不明金があったか否かについてでございますけれども、いずれも捜査にかかわる問題でございますし、かつ個別具体的な問題でございますので、申しわけありませんけれども、答弁を差し控えさせていただきます。
#96
○吉田正雄君 警察にお尋ねいたしますが、先ほども儀礼的贈答であるとか、あるいは人事異動等に伴うそういう常識的なものはいいんじゃないかというふうなことが話に出たわけですけれども、私は、そもそもそのことがあいまいであるから問題が発生するんだろうと思うんですけれども、儀礼的贈答と贈収賄の一体違いというものを警察や検察当局は、これは法務省も、何を基準として判断をされるのか。
 私は、これは明確に聞いたことですけれども、某大臣の就任祝いに非常に多くの祝儀が来たと、秘書はその封筒を開いて隣室で金勘定で大変だったんですね。すごい金額もあるわけですよね。あるいは海外出張せんべつと称して常識的な、たとえば五千円であるとか一万円というものではなくて、まさにあごつき足つきのような何十万円ものそういう一体海外出張せんべつ、これが社会常識として認められるのかどうか非常に疑問があるわけです。こう言うと、検察当局はケース・バイ・ケースと、こういうふうにおっしゃるでしょうし、一説によれば五百万円説というふうなことも聞くんですけれども、一体どのような基準をお持ちなのか、警察と検察のそれぞれの見解をお聞きしたいと思うんです。
#97
○政府委員(前田宏君) お尋ねのいわゆる社交的儀礼の範囲と賄賂罪の関係でございますが、委員も仰せになりましたように、まさしくケース・バイ・ケースであるわけでございます。人事異動の場合にいろいろお祝いをやるとか、あるいはいわゆる盆暮れ等の贈答というものもあり得るわけでございまして、その額が常識的に見て過大であるという場合には何か特段の事情があるであろうということは一応疑いと申しますか、出てくると思いますけれども、その場合でも何か特段のまた別な事由がある場合もあり得るわけでございます。また、社交的儀礼ということでそれ自体が過大であるという場合にも、その過大であるかどうかがまた一つの批判の対象にはなることはございましょうけれども、過大であるからといって直ちに賄賂になるというわけでもないわけでございます。要するに賄賂になるかどうかということになりますと、職務に関してそのいわば対価として金品が贈られ、あるいは供応がされたかということにかかわるわけでございまして、金額そのものによって一概には申しかねるわけでございます。
#98
○説明員(谷口守正君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、この一般社交儀礼の範囲につきましてはやはりケース・バイ・ケースだと思います。具体的な事案につきまして判断するということになると思います。法律解釈につきましては、ただいま法務省からの法律見解に従いまして私どもも捜査をしておるという状況でございます。
#99
○吉田正雄君 きわめていまの説明では何が何なのかさっぱりわからぬわけですね。国民も聞いておって、それでは警察、検察の全く恣意的な判断によって、まさにさじかげん一つで、逆に言うならば政治的な判断でそういうものが決定をされていくんじゃないかという疑惑はこれは残るわけですね。今度の日高、松井逮捕の場合には海外における贈収賄罪というふうなことで、あれはまさに旅費あるいは食事代、ホテル代等大体五十数万円といことで逮捕されているわけですね。この五十万円程度の件で年間逮捕された人たちは大体どれくらいおりますか。公務員関係なり、あるいは民間も含めた贈収賄関係といいますか、五十万円くらいで逮捕された人間は何人くらいですか。
#100
○政府委員(前田宏君) 五十万円ぐらいで何人かということでございますが、手元にちょっと資料も持ち合わせておりませんので的確なお答えはできないわけでございますが、先ほどの御答弁では、さじかげんいかんで恣意的な結論が出るではないかというおしかりを受けたわけでございますけれども、先ほども申しましたように、金額いかんにはよらないわけでございます。五十万円でもなる場合はもちろんございますし、ならない場合もあるということを申したつもりでございます。
#101
○吉田正雄君 資料がないというのも変な話なんですが、これは毎年どういう傾向であったかということを実はお聞きをしたかったんです。年々減ってきているんですね、表面的には。しかし、このことはわかるだろうと思うんですね、国家公務員で局長あるいは次長クラスで逮捕をされた人の数は年々どういうふうになってきておりますか。
#102
○政府委員(前田宏君) 先ほど数字を持ち合わせませんと申しましたのは、金額五十万円でということでございましたので、そこまでの数字を持ち合わせていないということを申したわけでございます。
 なお、重ねてのお尋ねでございますが、最近の事例でいまおっしゃったような階級といいますか、地位の方はさして検挙された例がないように思います。
#103
○吉田正雄君 それでは答弁にならないんです。
 検察にそれではお聞きをいたします。警察でもいいですが、今度の事件はだんだん新聞報道で明らかになってきておりますように、政治家への波及というものが必至ではないか、私どももそう思っておるわけです。そこで政治献金であるとか、先ほども話が出ましたパーティー券あるいはせんべつ、あるいは常識的贈答の範囲を超えると思われる国会議員、これは事情聴取を検討しておると報道されておるわけですけれども、そういう議員というのが大体現在どれくらいおるのか、またそういう聴取の予定があるのかどうなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#104
○政府委員(前田宏君) 先ほど来御意見のございますように、いわゆるKDD事件につきましては国民の皆様方が大変深い関心をお持ちであること、またこの国会におきましてもいろいろと御論議があることは承知しておるわけでございまして、捜査当局といたしましては、そういうことを十分頭に置いてこの事件の捜査、処理に当たっておる次第でございます。しかしながら、ただいま御指摘のように、これからどういう人を調べるかとか、あるいは捜査の対象に何人がなっておるかということになりますと、先ほど来警察からもお答えございましたように、何分にも捜査のことでございまして、現段階で今後どういうふうになるかということを申し上げることは、事柄の性質上困難でもございますし、適当でもないというふうに考えている次第でございます。
#105
○吉田正雄君 これは徹底的に追及はされますね。政治的な圧力には屈せずに徹底的に追及されますね。
#106
○政府委員(前田宏君) その点につきましては、先ほど法務大臣からお答えしたとおりでございます。
#107
○吉田正雄君 国家公安委員長にお尋ねいたしますが、国家公安委員長は自治大臣も兼ねておいでになるわけですし、かつての警察庁長官でもあったわけです。と同時に、警察庁長官、官房副長官をやめられた後衆議院選挙に出られて、そして選挙違反事件で問題を起こされたこともこれは事実であるわけですね。報道どおりだとすれば、選挙違反で挙げられた人の数が二百六十五人というふうに言われておるわけです。したがって、国民としては、選挙違反に問われておる国会議員が選挙違反も含めたまさに法を守る立場、警察の最高の立場に立つ国家公安委員長という要職につかれたということなんですね。私ども常識的な判断からすると、そういう疑惑が持たれ、まだ事件が完全に解決をしていない段階で自治大臣、国家公安委員長のポスト就任を要請されたら断るのが普通ではないかというのがこれは国民の常識だと思うんですよね。そういう疑惑の人が本当に徹底的に粛正のメスをふるえるのかどうか、はなはだ疑問に思うのはこれは当然だと思うんです。そういう点で、お引き受けになるときの心境はどういう心境であったのか。
 と同時に、先ほども法務大臣に聞きましたけれども、警察も人の子でありますから、どうしても政治に完全に無関係ということではないだろう、政治の影響、時の政治権力の影響というものを受けるであろう、これは過去の歴史がこれを立証しているわけですね。そういう点で、私は、法務大臣と同じく国家公安委員長としくまさに警察庁のこのKDD事件の解明に対するそういう取り組みについては、いやしくもブレーキをかけると思われるようなことがあってはならぬだろうと思いますし、うわさをされるような人事を通じてその影響を及ぼすというふうなことがあってももちろんならぬことだというふうに思うわけですね。そういう点で、今度のKDD事件に対する国家公安委員長としての姿勢というものをひとつここの国民の前に明らかにしていただきたいというふうに思うわけです。この点いかがですか。
#108
○国務大臣(後藤田正晴君) 私の参議院選挙当時の四十九年選挙違反のことについての厳しい御批判ございました。私自身も厳しく反省をいたしております。その反省の上に立ってお引き受けをしたような次第でございます。
 なおまた、KDD事件の捜査について圧力を加えてはいかぬよ、こういうあたりまえの話でございまして、第一また、国家公安委員長というのは、あなたが御承知だと思いますけれども、さような立場にはございません。まあ平たい言葉で言えば国家公安委員長というのは、君臨すれども統治せずというのが今日の法のたてまえでございます。公安委員会というのは、警察庁を警察法の五条に書いてございますような事項について管理をする。こういうことでございますから、管理というのは一般的な方針、大綱を決めるということにすぎません。しかも公安委員長というものは、公安委員会の表決権がございません。可否同数の場合に初めて裁決権があるというにすぎない。こういうたてまえで戦後の警察というものは民主的に、しかも中立性を保とう。こういう保障の制度としてなっているわけでございますので、したがって、個々の事件に対する指揮権というものは公安委員会、したがって、また公安委員長には与えられていないんだ。私は厳しくこの立場を守っていく決意でございまするので、御心配のような件はさらさらないということを申し上げておきたいと思います。
#109
○吉田正雄君 いまの後藤田国家公安委員長、あなたの決意は、これからの警察、検察の実績によって国民が判断し、評価をすると思うんですよね。そのことを私は強く要望もし、期待をするんです。
 ところで、総理に私はお伺いしたいと思うのですけれども、とにかくいまの人事一つをとってみても、国民の多くはやはり納得しがたいとか、あるいは不安であるというふうに思っている国民が多いと思うのですね。よく政治責任の問題が問われる段階になりますと、ただいま警察、検察で捜査中でありますとか、そういうことでもって逃げてしまう、これがいままでの私は政府の態度ではなかったかと思うのですね。しかし、私はそうであってはならないと思うんです。検察は検察、しかし、自民党総裁であり総理である大平総理としてはこの問題の解明に積極的に取り組む私は責任があるというふうに思いますし、とりわけ先回の総選挙の際における政治公約の一つとして、政治倫理の確立であるとか政治の浄化ということをあなたは国民に公約をされておるわけです。その公約が口約束に終わるということになったらこれは大変だと思うんですね。そうでなくても、いま多くの国民が現在の日本の政治に非常な危機感を抱き、民主政治が崩壊しつつあるのではないかという非常に強い危惧の念を持っておると思うんです。さらには絶望感からどういう状況が出てくるかということも、またこれは歴史の示すところだと思うのですね。
 そういう点で、今度のこのKDD事件そのものの処理を誤ってはならぬことはもちろんですけれども、さらに将来に向けての政治倫理の確立、そういう観点からも幾つかの点において積極的にあなたは公約を果たしていく責任というものをいま背負っておると思うのです。ここ二、三日の新聞報道によりますと、福田前総理や元三木総理ともいろんな問題で話し合われておるようですけれども、実力者会談の中で見解を述べられることも、それはそれなりに必要だと思いますけれども、やはりあなたの公約は国会の場を通じて国民に明確に説明をされることが総理大臣の私は任務だろうと思うのですね。そういう点で幾つかの点でお聞きをいたしたいと思いますが、まず、綱紀を粛正して政治総体の腐敗を防止するために抜本的な対策を講ずる必要があると思うのですね。
 そこで、まずあなたが、ただいまも申し上げました選挙中に公約をされました公選法と政治資金規正法の改正についてどういう決意を持って取り組まれようとしておるのか。ここ二、三日来の新聞報道によりますと、早くも党内の抵抗から今国会での実現が困難ではないかとか、党首脳はどうも積極的でないとか、そういう報道が行われておるわけですけれども、あるいは一つの理由として野党に抵抗があるというふうなことが言われておるのですけれども、私は、今日の時点で、党利党略の立場からこの公選法や政治資金規正法は論ずるべきではないと思うのですね。本当に日本というものの将来を考えた場合、現在政治のあなたは担当責任者であるわけですから、そういう点で公約を積極的に実現する決意がおありなのかどうか。私は、もしあなたがこの公約をこの国会で実現できないとなるならば、国民にまさに政治的責任をとる。そういうことを国民は求めることになるんじゃないかというふうに思うんですが、まずこの点についてはいかがですか。
#110
○国務大臣(大平正芳君) ロッキード事件が起こりまして後、三木内閣のときに、腐敗防止措置を講じよう、再発防止措置を講じようということで幾つかの対策が立てられまして、それはいま逐次実行に移しつつあるわけでございまして、最近衆議院で通過いたしますことになりました刑法の改正というようなものもその一環でございます。私の場合は、それはそれとしてやりまするけれども、さらにさしあたっていまやらねばならぬことは何かという点につきまして検討を重ねました結果、あなたがいま御指摘になりましたように、金のかからない選挙実現のためにいまなすべきことは何かという問題それから政治資金規正法は五年たてば見直すことになっているけれども、それを待つことなく、ただいまの時点で見直すべきことがあればこれは実行に移すべきじゃないかというような観点から、公選法の改正問題と政治資金規正法の改正問題を党内の検討を依頼いたしまして、ようやく党内の小委会といたしましては一つのまとまった案を得たわけでございます。それをベースにいたしまして、いま政府と党との間で相談をいたしておるところでございまして、私といたしましては、今国会にぜひとも提案をいたして御審議をいただかなければならぬと考えております。
 そのほかに、先ほど来あなたも御論議をいただいておりました行政上の綱紀を正すという問題がありまして、KDDに絡んだいろいろな問題は御指摘のとおりあるわけでございまして、これに対応していまやるべきことは何かという問題ございますので、去年の暮れ、閣議でいろいろな行政上の綱紀を正す方途につきまして具体的な決定をいたしまして、各省にそれぞれ申し合わせを徹底させまして、現在では、たとえば公費による接待とかあるいは公費による贈答でございますとか、あるいはいま問題になりましたパーティー券に応募するというようなことは、それは社会的な常識に合うか合わぬかというような問題を越えて、それは一切自粛しようということを決めまして、現在、政府並びに政府機関の中におきましては一切そういうことは行われていないと私は確信をいたしております。
#111
○吉田正雄君 もう一つ総理にお伺いいたしたいのですけれども、私は、癒着であるとか汚職が発生する一つの大きな原因として、すべてが秘密のベールに包まれる中で行政が進行していくということにあるんじゃないかと思っているわけですね。そういうことで、私は、アメリカですでに実施をされておりますいわゆる情報公開法について、これを早急に制定をしていく必要があるのじゃないかと思いますし、総理も先般そのような趣旨のことはおっしゃっておるようですけれども、その点についてどうお考えになっておるのか。この情報公開法の制定は、政府や特殊法人の悪の温床となる秘密主義というものを排して、国民の知る権利というものを保障し、民主主義、民主政治を守るためにもこれは必要最低限度のものだというふうに考えるわけです。
 しかし、これも国益の名による秘密であるとか、あるいは政府に不都合であるから制限をするんだということであっては逆に機密保護法的な危険性というものが私は出てくると思うのですね。そういう危険に転嫁をするおそれというものが出てくると思うのです。したがって、私はそういう危険性というものを持たない機密保護法というものを制定をしていく必要があるだろうと思いますし、秘密を制限するというのは政府の立場なんですね。ですから、この情報公開法というものは議員立法によって早急に制定をしていくべきではないかというふうに思うわけです。アメリカの民主主義というものを見ますと、いろいろな点で問題を抱えつつも、やはりそういう点で国民の知る権利というものが最大限保障されておるというところにアメリカ民主主義の大きな一つの活力というものがあるんじゃないかというふうに思うんですね。そういう点で、総理の見解をお聞かせ願いたいと思います。
#112
○国務大臣(大平正芳君) 御案内のように、いま国会におきましても、あなたが言われるように情報公開法制定を考えるべきじゃないかという御議論もあれば、国家機密保護法を制定すべきでないかという御議論も一方においてあるわけでございまして、しかし、これもうらはらの問題でございまして、情報を公開するという場合におきましては、どうしても何をどこまで公開するかというような問題が必ずぶつかるわけでございまして、両方の問題の提起がございますけれども、実体は同じだと私は思いますけれども、しかし、この問題は行政機関における情報管理のあり方、それから公務員の守秘義務、それから一般的な行政手続の整備、それからプライバシーの保護等々の各般の問題を含んだ立法政策上の問題だと思うのでございます。政府としてはいま担当官を設けまして、各省における文書の管理、情報公開の現状についての統一的把握にいま努めておりまして、現行制度のもとにおきまして今後どのような改善ができるかということについても鋭意検討を進めておる状況でございます。また、諸外国の制度等の把握にも努めなければならぬと考えておりまして、幅広くいろいろな角度から順次検討を進めてまいらなければならぬと考えておるのがいま政府の立場でございまして、いつ、どのようにどういう姿で御審議を仰ぐかというようなところまではまだ至っていないことは御了承をいただきたいと思います。
#113
○吉田正雄君 総理個人の見解としてはどうなんですか、この情報公開法の制定については。
#114
○国務大臣(大平正芳君) いま申し上げましたように、非常にこの問題については関連する問題点が多いのでございますので、そういった点について十分私自身も勉強をいたしまして熟した判断を持ちたいと思っておるわけでございまして、いま直ちにこうすべきであるという決定的な判断をまだ固めるに至っていないわけでございます。
#115
○吉田正雄君 KDDの問題については、綱紀の粛正であるとか、いろいろな観点から今後も積極的に検討をし解明をしていかなければならないというふうに思うのですけれども、KDD自体の改革について郵政省は一体どういうことを考えておいでになるのか。きょうはきわめて時間が限られておりますので、一つ二つだけ指摘をしてみたいと思うのですけれども、いまアメリカとの関係で非常に論議をされている問題として、例のITT化構想というものが云々されておるわけです。これは昨年の十二月二十三日の週刊朝日のニューズウイークの東京特派員記者の記事の中にもこのITTをめぐる問題が指摘をされているわけですね。つまり、RCAがCIAに金を出しておるとか、ITT、RCA両社が国際通信を細大漏らさず傍受をしてその内容をFBIとCIAに漏らしておるというふうなことが報道されておるわけです。これは事実がアメリカにおいて確認をされておるわけですから、アメリカの事柄としてこれはまあいいわけですけれども、日本においてもそういうITT化構想というものが進んでおったんじゃないかと。たとえばサンケイの三月十九日の報道によりますと、佐藤陽一前社長室長がITTにならって、海外での情報収集のためのネットワークづくりを目指したとき、西本正は要員の一期生としてワシントン事務所に三年間派遣されたというふうなことが報道をされておるわけですね。こういう事実はあるわけですか。
#116
○政府委員(寺島角夫君) いわゆるITT化構想と申しますか、そういうことに関しましての報道は目にしたことはございますが、私どもKDDからそういうことに関しましては公式にも非公式にも一切聞いたことはございません。
#117
○吉田正雄君 報道されておるんですからね。これもさっき言ったように、部内でひとつ十分に調査をやっていただきたいと思うんですが、それはどうですか。
#118
○政府委員(寺島角夫君) お答えいたします。
 ITT化構想と申します意味が、私どもそういうことで意味、内容をつかむことができないわけでございますが、先生御案内のとおり、ITTと申しますのはアメリカの大変巨大な、コングロマリットと申しますか、あるいは多種多様の企業を営んでおる会社でございまして、同社が出しております報告を見ましても、たとえば一九七八年の売上高で申し上げますと、いわゆる通信業務は総体の二%程度でございまして、そのほか通信機器の製造でございますとか、あるいは工業製品あるいはホテル業、あるいは保険金融業と、非常に多種多様の業務を行っておる会社でございまして、KDDのように国際通信を専業といたしておる会社とは全く性格を異にしておると、そういうふうに考えるわけでございまして、そういう意味ではKDDがITTのようになるということは全く私ども考えられないことだと、かように思っておるところでございます。
#119
○吉田正雄君 簡潔に答えていただきたいと思うのですが、いままで専用線をめぐって駐留アメリカ軍が使用した料金について、非常に安いということと同時に、逆に未払いがあって、そのことがこの海外線をめぐる収支の赤字の一つの大きな原因になっておったということが指摘をされておるんですが、現在はそういう未払いがあるのかないのか、あるいは防衛分担金の方からそれが支払われた経過があるのかないのか、そのことをお聞かせ願いたいと思います。
 それから、日韓海底ケーブルの新建設をめぐっては、七八年の五月に衆議院の逓信委員会でも問題が指摘をされたわけですけれども、五〇年から六三年の間の日本陸軍の旧ケーブルの米軍使用料十三億五千万円を日本電電に支払ったことに関して韓国側がこれにクレームをつけて、そして昨年の十月に計画が確定をいたしました韓国の釜山から島根県の浜田に至るいわゆる新海底ケーブルの建設費千四百万ドルの中にこれらのものを含ませるとか、この韓国側の十三億五千万円に対する権利請求をめぐって日韓の間でどのような決着がつけられたのか。詳細は要りません。決着がついたのかつかないのか、そういう話は現在行われておらないのかどうか、そのことだけお聞かせを願いたいと思います。
 それからもう一つ、たとえば日本とアメリカとの料金決済、KDDの料金決済に当たっては、いわゆる国際電気通信条約に基づく架空の基準通貨としてゴールドフラン制度というものがあるわけですけれども、このゴールドフラン制度というものがいわゆる為替レートとパラレルでずっと行われてきたのか。時間がありませんから、その取り扱いがどうなっておるか、もし支障がなければ後ほど資料として提出をしていただきたいと思いますが、この点いかがですか。
#120
○政府委員(寺島角夫君) お答えが逆になりまして恐縮でございますが、ゴールドフランに関します件につきましては、後刻資料として提出さしていただます。
 なお、前段で御指摘ございました点につきましては、ただいま手元に資料を持ち合わしておりませんので的確なお答えはいたしかねる次第でございます。
#121
○吉田正雄君 これもこのKDDをめぐる非常に大きな問題として指摘をされておる点です。それじゃ、手元に資料がないということでありますから、またいずれかの機会にこの問題についてお尋ねをいたしたいというふうに思っております。
 次に、行政改革についてお尋ねをいたしたいと思います。
 私は、行政改革というものに対する国民の受けとめ方というものが非常にまちまちではないかと思うんです。ついこの間会った人は私にどういうことを言ったかというと、こんなに汚職が続いておるんだから、とにかく早いところ行政改革をやって、そういう悪い役人というのはさっさと首を切ったらどうかと、これを行政改革だというふうに勘違いをしておるわけですね。それから、今度地元へ参りますというと、いろんな行政事務をめぐって手不足であるということで非常に時間を食うということで、人間が足りないからもう少し要員をふやすべきだ、こういう意味で行政改革というものを要求をしておるということなんです。だから、国民の行政改革に対する受けとめ方あるいは要求の内容というものも余り統一をされていないんじゃないかという感じがするわけですね。
 大平総理は、一月二十五日の施政方針演説の中で、政府は国民の強い要請にこたえて簡素で効率的な政府を目指していく決意であると述べておいでになりますけれども、その内容をまた見ますというと、昭和五十五年度を第一歩として国家公務員の定員削減、定員の再配置をその第一にどうも掲げてあるようであります。さらにまた、退職手当の改悪であるとか、いわゆる国家公務員に犠牲を強いることに私は力点が置かれておると見られても仕方のないようなどうも文章に見えて仕方がないんです。しかし、今日国民が求めている行政改革というのは、私はやはり高度経済成長期において肥大化した不要部分というものを切り捨てて、低成長経済、高齢化社会に対応した国民生活安定という課題に取り組み、新しい時代における国民のニーズにこたえる政策の展開と、これに必要な行政のあり方にあるのではないかというふうに思っておるわけです。午前中の熊谷委員の論議でも、ずいぶんこの行政改革については当局側の、政府のお考えも述べられて、それなりに納得した面もありますし、どうもそれではまだ国民が納得しないのではないかという部分もあるというふうに思っておるわけです。特に私が政府に強く要望いたしたいと思いますのは、この相次ぐ腐敗汚職の抜本的な解決というものをなおざりにしておいて、国民の根強い役人不信に便乗し迎合する形の中で、単に公務員の首を切ることが行政整理だというふうなことであっては、これは私はもう間違いだと思いますし、そういうことであってはならないというふうに思うわけです。そこで、まず当初にそういう誤解を国民に与えないためにも、一体いまの日本の行政機構というものが国際的に見て、本当に俗にいう整理とか人員削減というふうなことをやらなければならないような実情になっておるのか、国際比較の面においては一体どういうふうになっているのかということをまずお聞きをしたいと思います。
#122
○国務大臣(宇野宗佑君) いろいろ比較はあろうと思いますが、国民千人当たり公務員をどれだけ抱えておるかという一つの見方がございます。わが国の場合には地方、国家公務員、特殊法人合わせまして五百十万と、そういうふうな勘定でございますが、そこから裁判所あるいは国会職員、さらには自衛官という特殊な任務に就いている国家公務員もございますから、約この三十万を引きまして一応四百八十万、これを対象といたしました場合には、日本は大体千人で四十六人の公務員ということに相なります。ドイツ、フランス、英国ははるかに大きい。特に英国は百人をオーバーするのではなかろうかと。これはまあ労働党が天下をとられますと国有化が進みますから、勢いそういう結果になるんではないかと思います。ただ、面積等々から考えました場合にこれで一応少ないなという考えもできましょうし、面積から見ればまたいろいろ問題もあろうかと思いますが、国際比較から単純に見ました場合には、一応私たちは多くの公務員を抱えておるとは考えておらない。ただ、時代の推移とともに不要な部分も出てきたのではなかろうか。いま御指摘のとおり、高度成長期に肥大化した部分もあるのではなかろうか、こういう点も考えられます。
#123
○吉田正雄君 定員について見ますと、いまもお話がありましたように、国際的には決して国民一人当たりから見た場合に多い数字ではないということは行政管理庁長官もお認めのとおりだと思うんですね。国家公務員の場合、昭和四十二年度から五十四年度までの十二年間に、私どもの数字と政府の数字は余り違っていない、ほぼ同じなんですが、十三万五千八百六十四名が削減をされておるわけです。しかしまた、新規の部門に十二万六千九百九十三名が採用されておりますから、この十二年間に差し引き約八千八百名が減員となっているわけですね。一方、財政規模とか行政需要、行政事務というものを見ますというと、たとえば一般会計がこの十二年間に七・八倍、補助金等が九・四倍、特別会計補助金等が九・七倍というぐあいに非常に増大をいたしておるわけです。ところが、人員だけはかえって減少しておるということであるわけですね。そういう点で私は行政管理庁長官に、いまもお話がありましたけれども、基本的にこの行政改革のあり方、一言で言って何を主眼にして、またどういう方向でやるべきなのか、こういうことについてもうちょっと明確にお答え願いたいと思います。
#124
○国務大臣(宇野宗佑君) 先ほど吉田さんが国民が行革に対していろいろな解釈をしておるとおっしゃいましたが、私たちも行革を進める間に、新聞を初めいろいろな評論、さらには国民の直の声等々を考えますと、確かにいろいろな立場で行革に期待をしておられるということでありまして、中にはやはり増税をしないかわりの行革をやれと、こういうふうな要望も確かに今日の大きな部面を占めておるのではなかろうかと思います。あるいはまた行革とは首切りであると、こういうふうに割り切ってなぜ首切りせないか、首切りすりゃもっと税金を払わなくたって済むのじゃないかと、こういう単純な要求もあるわけでございます。しかし、われわれは、いずれにいたしましても、一九八〇年というむずかしい時代はもうわかっておるわけでございますから、したがいまして、身軽な政府になっておく、機敏な政府になっておく、それを総理は簡素にして効率的な政府と、こういうふうにおっしゃったわけでございまして、特に今回の行革はやはり財政再建そのものに資する決意をしながら、そのものではないけれども、それを大きく助ける決意をしながらやはり進めていかなければならない。そして、極力歳出を抑えるように冗費は節減しなくちゃならない。こういう立場でございますので、したがって、一番手っ取り早い方法は人減らしであるかもしれませんが、これは国会の決議等もございますから、その前段であるところの仕事減らし、器減らし、これをまずやることにおいて国民の御期待にこたえようではないか、こうしたことで現在進んでおるというのが今日の行革でありまして、その目的も幾つかの判断を必要といたしますが、やはり時代の推移ということを念頭に置いておかなければなりません。
 二番目には、余りにも自治体あるいは民間に介入し過ぎている部分、これもやはり一つの大きな災いでございますから、これもカットするという決意を私たちは持っておる次第であります。さらにでき得べくんば民力をこの際に大いに培養する、そういう行革でなければならない、そうした方面で今日かかっておるのであります。
#125
○吉田正雄君 もう少しお尋ねしたいと思うんですけれども、簡素化とか効率化という内容もまた聞く人によって受けとめ方が違ってくると思うんですけれども、従来余りにも判こ行政ではないかというふうなことが言われておったと思うんですね。その一つとして、地方へ許認可事務等は大幅に移譲すべきではないかというふうなことも言われておるわけです。そういう点から考えると、確かに地方支分部局の整理合理化あるいは県単位の出先機関の整理合理化ということがいま政府の行革案の中でずっと前面に出てきておるということで、一面、納得できる部分もあるわけですね。しかし、同時に今度は国民の側から考えた場合には、その末端行政機関というのは直接国民に接しておるだけに、国民の側から見たならば、それはもう政府そのものである、と同時にまさにサービス機関であるわけですね。そういう点から逆に、当初申し上げましたように、強化をしてもらいたいという意見もあるわけですね。先ほども林野庁の問題が出ましたけれども、いまの国有林の荒廃というものが非常にすさまじいということで、むしろ現場職員の人数はふやすべきだというのが私は地元の強い意見じゃないかと思うんですね。そういう点で、実情を知らないで机上の計画でいくというと、切ってはならないところを切り、切るべきところを温存をするという、こういうふうな心配も私はなきにしもあらずというふうに思うわけです。そういう点で、その方向に行かないようなやっぱり保障というものを国民は求めているんじゃないか。行政サービスそのものが切り捨てられていくという、こういうことにならない保障というものを私は政府はやるべきではないかと思うんですが、その点はいかがですか。
#126
○国務大臣(宇野宗佑君) おっしゃるとおり国家公務員九十万、そのうち中央にどれだけいるかと申し上げれば、大きく見てまあ五%もいればよい方で、四万人そこそこでございます。だからほかは全部地方にいるわけであります。なかんずく現業は三十五万人と、こういうふうに言われておりますから。したがって、これがいわば地方住民あるいは自治体との間のかけ橋であり、さらにはサービス部面ではないかと、こういうふうに考えます。その中におきましても、たとえば農業面におきましては機械の進歩とともにやや人手が余り過ぎた面があるのではなかろうか、あるいはコンピューターの導入と同時に、そろばんをはじく業はだんだんと不必要になったんではなかろうかと、こういう面もございますから、そこら辺は、われわれといたしましてもやはり省庁間の配置転換なりあるいは定員の削減という方法によりましてこの十何年間それぞれの管理をしてきたわけでございますが、仰せのとおり、必要な部面もあるわけですから、見ていただきますとわかると思いますが、先ほど吉田さんがおっしゃった純減八千と、これは大体一般職におっかぶせてしまいまして、そして純増の面をながめますと、当然そこには学校、病院、さらには登記だとか航空行政であるとか、そういうふうな新しい時代の要請に従った定員管理がなされておるということでございますので、私たちはやはり国民へのサービスということを念頭に置きまして今後も定員管理をしていきたい、行政管理もしたいと、こういう気持ちでございます。
#127
○吉田正雄君 大蔵大臣にお尋ねいたしますけれども、財投の実態は、この前十三日の日にわが党の寺田委員が質問をされたと思うんですけれども、消化主義というこれが非常に私は今日大きな問題になっているのじゃないかと思うんですね。そういう点で、補助金の肥大化とそれから特殊法人の肥大化、これは非常に先ほどの綱紀粛正や汚職防止という観点からもきわめて重要だと思いますが、同時に財政再建の大きな障害というものがここにあるんではないかというふうに思うわけです。そういう点で、補助金のあり方、あるいはいますでに進められておりますこの特殊法人のあり方等について大蔵大臣としてはどのようにお考えになっているのか、お聞かせ願いたいと思うのです。
#128
○国務大臣(竹下登君) 特殊法人の問題につきましては、今度の行革というものが要するにまず環境の熟したところからやろうというような形で、十八法人、実質十六法人というものを行政管理庁が中心になって案をおまとめになりまして、それが第一次、第一弾としていま着々それが実行に移されておるということであります。
 これが今度は財政の方から見ますと、これは長期的な物の考え方に立ちませんと、一挙にこれは大変金が余るという問題ではない、特に急激にやりますと退職金等々もたくさん必要でございますし、しかし長期にわたって見た場合、これはやはり大きな効果を上げるものである。そしてやはり行革に携わるひとつの姿勢があらわれておるというふうに思います。
 それから次に第二弾で、今月末にいま行管が中心でおまとめになっておりますのは、いわゆるブロック機関の統廃合の問題でありますが、これはいま行管長官からお答えになったとおりであります。
 そうして、私どもの方で担当いたしておりますこの補助金の問題でございますが、実際上、私は就任いたしまして十二月末までにこれが整理計画を出せと言われて、はいと言ってみましたものの、一体どういうふうにして数を数えるべきかと苦労いたしました。とにかくアバウト三千八百件というものを一応件数として数え上げたわけであります。その中に、御案内のとおり、法律補助は約八〇%、それから福祉と教育と公共事業、これを見たらこれまた八〇%、それから地方自治体へ行くものがこれまた八〇%というようなとらえ方でございますので、中には公共事業というようなものは時の景気動向等によって左右されるものであって、一概にこれを切るわけにもいかぬ。それから福祉、教育、もとよりそういう一概に一律カットというようなことになじむものではない。したがって、大変苦労いたしまして、補助金というのは元来性悪説ではない、行政上必要なものはつけなけりゃならぬというので、その効力を失ったものでございますとかいうようなものに手をつけてこれをやったわけです。あと、ことしを初年度といたしまして、四年間に一応その四分の一だけをやろうという気構えで、そして先般また四党からの予算修正の際に、それについてはサマーレビューを行えと、こういう御指摘もついておりますので、そういう形で鋭意この効率的な整理合理化に努めたいと、このように考えておるところであります。
#129
○吉田正雄君 総理府総務長官にお尋ねいたしますが、天下り人事がまあいつの国会でも論議され、いつまでたっても問題が解消されない。まさに堂々めぐりという感じなんですが、暮れの閣議でもこの天下り人事については一定の方針が出されたようです。現在ある百十一法人のうちの七百八十七人の役員のうち実に国家公務員から天下っていった役員が四百七十八人、六一%になっているわけですね。これは政府の資料です。したがって、単にこれが空念仏に終わらないためにも、私はお話を聞きますと、どうも総理府のところでの調整が十分機能してないんじゃないかという感じがいたしますので、いままでの批判にこたえ得るこの天下り人事についての一定の厳しい基準、姿勢でもって臨むべきじゃないかと思うんですが、これについてはいかがですか。
#130
○国務大臣(伊東正義君) 私の方で担当していますので、私からお答え申し上げます。
 いま先生おっしゃったように、直接公務員から行った者が大体四〇%、公務員から民間に出まして、また特殊法人に行った者が二〇%、両方で六〇%ぐらいあるわけでございます。それで、昨年の暮れの閣議におきましても、特殊法人というのは国にかわって仕事をするものでございますが、これは民間の活力も活用しようということで、民間の人も登用しようじゃないかということをずっとやっておるわけでございまして、それを実効あらしめるために、総数においては、法人の性格というのはいろいろありますけれども、大体半数は民間から入ってもらおうじゃないかということを閣議決定したわけでございます。その後、行政管理庁の長官、大蔵大臣、総務長官とも一緒になりまして、実は民間の経済団体の人とも会合をやりまして、一体どこにネックがあるのか。俸給でございますとか、民間から来る人には俸給が少ないとか、やめた後民間に戻れないとか、いろいろあるわけでございます。いままでのネックがあるわけでございますので、そういうところもひとつ何とか改正しまして、民間の人に来てもらおうということでいまやっているわけでございまして、私のところへ特殊法人の役員の選考はずっと回ってくるわけでございます。それを見まして、実はいま言ったような方針で、何とか半々ぐらいまでには民間の人にも入ってもらうということがやれるようにいま計画をつくっておりますし、各省からも特殊法人の役員の整理とあわせまして、そういう考え方を出してもらうようにいまやっているところでございまして、先生おっしゃるように厳格にひとつ運用していこうと思っております。
#131
○吉田正雄君 通産大臣、それから会計検査院からもおいでいただいたのですが、時間がありませんので失礼さしていただきたいと思います。
 最後に、総理にお尋ねをいたしたいと思うんですけれども、先ほども申し上げましたように、第五次定員削減を現在計画されておりますけれども、これが即行政改革ということにはならないわけです。逆に国民の行政要求にこたえられないんじゃないか。単に首切りだけだということでは行政改革にはならない。たとえば省庁間配置転換などというのは、なれないところへ行くわけですから、むしろ行政効率を下げる結果というものが出てくるんじゃないかというふうに思うわけです。
 そこで、行政改革に当たってはそういうことにならないように、あるいはまたそこに働く人たちの職場というものも保障していくということもやっぱり必要なわけですから、行政機関の職員の定員に関する法律、俗に言う総定員法なんですけれども、これに対する一九六九年五月十六日の国会附帯決議と、同じその年の四月八日の衆議院内閣委員会における佐藤元総理の答弁、簡単に言うならば、もう生首を飛ばしてもやるんだというような、そういうむちゃな行政改革というふうなことや、意に反する、あるいは家庭条件を無視した、何が何でも強制配転だという、そういうことはやらないんだというふうな内容の附帯決議と歴代総理大臣の答弁なんですね。こういうものに対して、これは今後も尊重すべきではないか、先ほどの行政改革の計画はわかりますが、それを実行するに当たっての基本的な考え方としてはこういうものは尊重すべきではないか、こういうことなんですが、総理いかがですか。
#132
○国務大臣(大平正芳君) 行政改革に当たりまして、国会の審議の経過並びに国会の決議というものは、私どもこれを尊重してまいらなければならぬことは当然のことと考えております。
 現在進めておりまする行政改革、あなたが仰せのように、いまの時代の国民の要請に応じた行政改革もありまするが、当面やっておりますのは、行政費の節減、簡素化ということをもくろんでやっておるわけでございますけれども、これは何も生首を切ろうなんというようなことではなくて、配置の転換等につきましては、十分御協力をいただきながら所期の目的を達しようといたしておるものでありますことは申すまでもございません。
#133
○委員長(山内一郎君) 以上で吉田君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#134
○委員長(山内一郎君) 次に、馬場富君の質疑を行います。馬場君。
#135
○馬場富君 最初に、綱紀粛正について何点かお尋ねいたします。
 昨年来問題となっておりましたKDD事件につきましては、三月十八日の二名の郵政高官の逮捕におきまして、いままでのやはり犯罪と趣を異にしまして、郵政汚職へとこれが拡大の方向に進んでおるわけでございますが、この点について、郵政大臣と総理のこれに対する責任ある答弁をお願いしたいと思います。
#136
○国務大臣(大西正男君) 過日、御指摘のように郵政省の職員が収賄容疑で警視庁に逮捕されましたことは、まことに遺憾なことだと存じております。国民全体の奉任者として、職務の公正、厳正な執行に当たるべき公務員がこのような事態を招きましたことにつきましては、心から国民の皆様におわび申し上げたいと存じます。
 私に課されました最大の責務は、このような不祥事件が再び起きないよう、全職員が行政責任の重みを自覚いたしまして、綱紀粛正の徹底を期するよう強力に指導し、一日も早く郵政行政の信頼の回復を図ることであると考えております。
#137
○国務大臣(大平正芳君) 郵政省の中に逮捕者を出しましたことは大変残念なことでございまして、国民に申しわけないと存じております。この上は、この事件につきまして捜査当局の捜査が迅速にかつ厳正に行われまして、その事実を踏まえた上で厳正な処置をいたさなければならぬと考えております。
 また、行政面におきましては、監督官庁はもとよりでございますけれども、特殊法人であるKDDにおきましても綱紀を正してまいるということに特段の配慮をしてまいらなければなりませんので、監督権の強化充実等につきましていま政府部内で検討を急いでおるところでございまして、こういった事件の再発防止のために最善を尽くさなければならないのが私の責任であると考えております。
#138
○馬場富君 それでは、次には警察関係にお尋ねいたしますが、この犯罪は社内犯罪から汚職へと変わったわけでございますが、新しいやはり捜査の段階を迎えまして、その経緯と現況について説明していただきたいと思います。
#139
○説明員(谷口守正君) お答え申し上げます。
 御案内のとおり、二月の二十四日にKDD前社長室長佐藤陽一が業務上横領罪等で逮捕されまして、三月十五日に起訴されたわけでございます。その後さらに、去る三月十八日、元郵政省電気通信監理官松井清武及び前郵政省大臣官房電気通信参事官日高英実を収賄罪、それから業務上横領罪等で起訴勾留中でございましたKDD前社長室長佐藤陽一及びKDD前社長室次長西本正の二名を贈賄罪でそれぞれ逮捕いたしますとともに、三月十九日、郵政省、KDD本社など七カ所を捜索したところでございます。現在警視庁では、これら逮捕者につきまして取り調べを行うとともに、押収資料などにつきまして分析検討をするなど、鋭意捜査を進めているというところでございます。
#140
○馬場富君 この事件には、一つは多額の金が動いた経緯があるということが問題になっておりますが、警察の方で現在までにこの関係の問題点でどのような、いかほどの金が動いたか、そういうやはり経緯から推しまして、一つは現在よりも拡大の可能性があるかどうか、この点を御説明願いたいと思います。
#141
○説明員(谷口守正君) お答え申し上げます。
 本事件の捜査につきましては、ただいま申し上げましたとおりでございまして、さきの前社長室長の逮捕に引き続きまして、先般増収賄事件の検挙に着手したところでございますが、この事件の捜査の基本方針につきましては、いわゆるKDD疑惑にかかわり合いがあると見られます金の流れ、物の流れを徹底的に追及いたしまして、その中に刑事責任を問うべき事実があるかどうかを解明することにおきまして、幅広い捜査を進めているところでございます。捜査進展の現段階におきまして、今後捜査がどのような方向に発展するか等につきまして、いわゆる捜査の見通しでございますけれども、御容赦願いたいと存ずる次第でございます。
#142
○馬場富君 もう一点、いまよりも、そういう点について、やはり拡大の方向性はどうかという点と政治家の関係、特に政界工作の疑いが強いということはかなりもう事実のように言われてきておりますけれども、この二点についてもう一遍御答弁願いたいと思います。
#143
○説明員(谷口守正君) お答え申し上げます。
 本事件の警察の捜査に対しまして国民の方々が期待を寄せておられるわけでございますけれども、そういった期待につきまして、警察としまして真摯に受けとめまして、この事件捜査の徹底を図ってまいりたいと、こう思っている次第でございます。
#144
○馬場富君 次に、このKDDにつきましては、やはり国の監督下に実は置かれた特殊法人でございますけれども、これに対してどのようなチェックをなされるのが正しいのか、行管庁からその説明をしていただきたいと思います。
#145
○国務大臣(宇野宗佑君) 行管庁には御承知の監察権がございます。ところが、今日までは公社公団、そして公庫等々、四十八の機関にだけ監察権が与えられておりまして、そのほかの特殊法人に対しましては実はなかったわけでございます。先年、議長をなさいました保利先生がKDDに対しましてもやはりいろいろなことを勉強したいというので参考資料の提出を求められた経緯がございますが、一片の葉書で断られたという、そういう事実もございます。だから、それ以来やはりわれわれといたしましては、政府が別働隊として強制的に法律でつくった、それが特殊法人でございますから、当然監察をして、そして国民の期待に合うよう常に合理化、常に公正化、簡素化、そうしたものが図られることは必要である、こういう観点から、過般来衆参両院におきましても与野党からそのようなお声をちょうだいいたしましたので、本日、実は衆議院の内閣委員会でお経読みを終わったばかりでございます。だから、もちろんKDDに対しましても今後はそうした意味の監察は強化されると考えております。
#146
○馬場富君 それは行管のチェックでございますが、その他にはございませんか。
#147
○政府委員(佐倉尚君) 特殊法人につきましては、まずその特殊法人の内部監査機構がそれぞれあるわけでございます。そこで事業等、特殊法人に関する事業のチェックがまずなされます。それから、その特殊法人を監督しております各主務大臣、主務官庁がございます。ここがそれぞれの管轄の特殊法人についてチェックをいたします。いま長官から申し上げましたのは、さらにその主務官庁は行政機関でございますから、行政機関を行政監察するという立場で行政管理庁の行政監察の立場を申し上げたわけでございます。
 以上でございます。
#148
○馬場富君 そこで、いまお話も出ましたように、KDDは法律によりまして人事、財務、業務等については郵政大臣がこれを監督することになっております。この点について郵政大臣はどのように考えてみえますか。
#149
○国務大臣(大西正男君) 郵政大臣は、KDDに対しまして主務官庁として法律の定める監督権を持っておるわけでございます。今回KDDの事件が発生をいたしまして、KDDの経営姿勢もさることながら、郵政省の監督のあり方という問題につきましても、立法の点を含めましていろいろと検討いたしました結果、今回、御承知のとおり、郵政大臣の監督権を拡大をいたしますとともに、KDDの会計を会計検査院の検査対象にすると、こういったようなものを骨子とする法改正を考えておるわけでございまして、すでに国会に提出をいたしております。
 よろしく御審議をお願いしたいと思っております。
#150
○馬場富君 それでは郵政省は、その監督下のKDDの事件発覚後五ヵ月になりますけれども、この間、そのKDDに対しての実態の調査、把握はどのようにしていらっしゃいますか。
#151
○国務大臣(大西正男君) 事件が起こりまして――最初の事件は十月の上旬でございましたか、成田における税関の事件が起こったわけでございますが、自来、KDDにおきましては経営刷新委員会というものを内部につくりまして、そうして内部的な調査、さらにこれを踏まえて組織の改革とか、あるいは監査のあり方とかいったようなことについて鋭意検討を進めてきておったところでございます。郵政省といたしましても、これに対して適時報告を求めておったところでありますが、KDDそのものに対しましては、御承知のとおり、それを契機にいたしまして首脳陣が退陣をいたしました。これが補充ということにつきまして、KDDの経営姿勢そのものをりっぱなものにしていかなければならぬということか当然考えられるわけでございまして、これにつきましては、ことしに入りましてからKDDの方で臨時総会を開きまして、純粋の民間の方を会長に、さらにKDDに従来おられた方でありますけれども民間に移っておった方、そしてKDDの業務にきわめて堪能な方、そうして人格、識見においてKDD内部において非常に信望のあるという方、そういう方をそれぞれ会長あるいは社長に就任をしていただいたわけでございます。こういうふうなことでございまして、これからのKDDに対しましては、自主的な反省に立ってりっぱに再建をしていただけるものと私どもは確信をいたしておるところでございます。
 それから、それを制度的に担保するという意味におきまして、先ほど申し上げましたような法改正に踏み切ったところでございます。
#152
○馬場富君 内部的に委員会を設けて調査されたとか、そういうお話でございますけれども、御存じのように、この事件はもう新聞等でも、あらゆる方面でも言われておりますように、本当にいままでかつてないような規模の汚職に拡大しつつあるわけです。たとえば三年間で約五十数億の交際費が使われたとか、あるいは一年間で二十二億に達したとか、こういうような莫大な数字も言われまして、その中の特徴というものは、特に使途不明金が多いとか、あるいは金銭の行方がよくわからぬと、こういうことがやかましく論じられておるわけです。本当に郵政省の下である特殊法人として考えもしないような問題点が一つは指摘されておるわけです。こういう点で、内部のお互いの関係からつくったそういう刷新的なものということではなくて、私は国際電信電話公社法を読んでみましたけれども、あの法律を見た場合には、もうKDDはほとんど郵政省のまる抱えでこれは監督すべきものだと、こういうふうに私は法律からも解釈するわけでございますけれども、こういう点につきまして、郵政省内でこれに対するもっともっとやはり調査なり指導をはっきりとすることが私は前提ではないかと思いますが、どうでしょうか。
#153
○国務大臣(大西正男君) お答えいたします。
 郵政省内部におきましては、私が昨年十一月就任をいたしまして後に間もなく郵政省に綱紀点検委員会というものをつくりまして、官房長を長としてこの問題をめぐる郵政官僚自体のあり方はどうであったかということについて調査をしてまいりました。その結果、その報告によりますと、従来いろいろと盆暮れとか、あるいは人事異動とかといったときに会食をしたり、あるいは贈答品を受け取ったというふうなことがあったようでありますが、いずれも当時の社会的な通念によりますと、儀礼的な範囲内のものであったという報告を受けたわけであります。
 しかし、それはそれといたしまして、今日このような問題になっておるわけでありますから、従来の観念自体を反省をしてみなければならない。そういうことで、従来、社交的な、社会的な儀礼であると認識をされたものであっても、それ自体をこれからは慎まなければならないということで、そういう観点に立ちまして、部内はもとよりでございますが、それからKDDももとよりでございますが、その他の郵政省の監督下にある特殊法人につきましても、それぞれそういう考え方に立って従来の社交的な儀礼というものもお互いに慎もうと、慎しむべきであると、こういう通達をそれぞれ出したところでございます。
 そういうことでございまして、先ほど申し上げました従来の監督のあり方と申しますのは、先生も御承知のとおり、現行法のKDD法によりましてきわめて監督の範囲が限られておるわけでございます。そういうことでございますから、それでは十分でないということで、先ほど申し上げましたように改正に踏み切ったと、こういうことでございます。
#154
○馬場富君 これは一国のこれからの政治のあり方についても問題となるような私は大事件だと思う。国民や多くの人たちは何を信頼したらいいかと、こういうことになりかねない重大な問題だと私は思います。そういう点でやはり担当大臣である郵政大臣は、ここでやはり新たな決意に立って、従来の状況とは違いまして、あなたが監督しなければならない省に火がついたわけですから、それについていままでと違ったひとつ一新した形で郵政省自体がこの問題に私は取り組んでもらいたい。このことについて一言答弁していただきたいと思いますし、それから、総理からもこれに対する責任者としての御答弁をいただきたいと思います。
#155
○国務大臣(大西正男君) お答えいたします。
 先生いまおっしゃいましたことは全く同感でございまして、先ほど御指摘のありました逮捕者ができましたことを契機にいたしまして、私が幹部職員を集めまして綱紀粛正について今後再びこのような事件の起こらないようにお互いに戒め合って、郵政省の国民に対する信頼を回復するために最善の努力をすべきであるし、お互いにしようではないかという意味の訓示を出したところでございます。
 今後、この刑事事件がどのように進展するか、私どもには予測もしがたいのでありますけれども、その進展に即しまして適切な措置もとりたいと考えております。
#156
○国務大臣(大平正芳君) この事件は、政治や行政に対する不信解消の意味におきまして、まず事件の解明を急ぎ、その厳正な処理をして国民の疑惑の一掃に努力しなければならぬと存じます。行政面におきましては、KDD自体の自主的な刷新、改善はもとよりでございますけれども、監督官庁でございまする郵政省と、ここにおきまして新たな決意を持ってこの問題に取り組みまして、善後処理に誤りなきを期するとともに、将来にわたりましてこの種の事件の再発を見ることのないように万全の措置を講じていかなければならないと考えております。
#157
○馬場富君 綱紀粛正の問題につきまして最後に総理に。
 このような事件が相次いで起こり、国民の政治不信は拡大するばかりです。そういう状況下にあって、総理はかつて所信表明の中で政治倫理の確立ということをおっしゃいました。その実現と、あわせましていま懸念されております政治資金規正法の改正について一言説明していただきたいと思います。
#158
○国務大臣(大平正芳君) この前、吉田さんの御質疑にもお答え申し上げたとおりでございまして、政府はかねがね、ロッキード事件が起こりまして以後、再発防止のためにいろいろの計画を立てまして努力をいたしておるところでございます。私の内閣になりまして以来も、改めてとりあえず最小限度やらなきゃならないものは何かという点を拾いまして、一つには収賄罪等の罰則の強化、それから選挙法並びに政治資金規正法の改正、それから党におきましての倫理憲章の制定、その他一連のことを決めまして、いま実行にかかっておるところでございます。
 その中で政治資金規正法の問題につきましては、この際とりあえずやらなきゃならぬことといたしまして、個人の政治資金の明朗化を期する措置を講じなければならぬと存じまして、いまの政治資金規正法にはその点に触れられておりませんのでございまして、新しい原野に立法のすきを入れるわけでございまして、大変むずかしい問題ではございますけれども、一応与党内におきましての小委員会における検討は終えたわけでございまして、それを軸といたしまして、いま党内調整を急いでおるところでございます。これから先は政府と党との意見調整をした上で、野党の御意見も聞きながらこの国会において御審議をお願いしなきゃならぬと考えております。
#159
○馬場富君 次に、行政改革についてお尋ねいたします。
 総理は、先日、参院選の争点として行政改革の実行を一つの柱とするようなことをお述べになったと聞いておりますが、大分行革についての自信がおありのようでございますが、この点についてひとつ御答弁いただきたいと思います。
#160
○国務大臣(大平正芳君) 選挙があろうがなかろうが、やらなければならぬことはやらなければなりません。しかし、やるべきことをやらないで選挙ができるはずはないと考えております。したがいまして、いま手がけておりまする五十五年行革というものを誠実に実行してまいることは、いま当面のわれわれの責任でございまするし、国民の信頼を回復するためにも大事なことだと心得ておるわけでございまして、すでにことしの予算をもちまして定員の削減等を予算化いたしたわけでございますけれども、この三月末までに地方支分部局等につきましての整理案をまとめることにいたしておりまするし、六月には県レベルのものもまとめ上げて整理の実を上げたいと考えておるわけでございます。これは申すまでもなく時勢の進展に応じて国民のニーズに合わせた行政改革を考えておるというよりは、とりあえずの措置といたしまして行政費の節減、行政の簡素化を通じまして、高度成長時に肥大化いたしましたぜい肉部分をできるだけ切り落とすということによって、国民の負担を軽減しながら行政の効率を上げていこうという点に力点を置いておりますることはたびたび申し上げておるとおりでございます。
#161
○馬場富君 まあ、そのために特殊法人のチェックを強化する意味で行政組織法の改正が提出されたわけでございますが、その中身について説明していただきたいと思います。
#162
○政府委員(佐倉尚君) ただいまのお話の行政管理庁設置法の改正案でございますけれども、中身は、現在特殊法人が全部で百十一ございます。私ども行政監察に関連した調査対象となっておりますのがそのうちの公社、公庫、公団、事業団の四十八に現在限られております。これを百十一全部に広げるというのがこの内容でございます。
#163
○馬場富君 それでは、いま説明によりますと行政管理庁の監察が全法人に及ぶと、こういうことに理解してよろしゅうございますか。
 それで、つけ加えまして、じゃ間違いなく法人であるKDDあるいはNHKや日本航空、電源開発、日本船舶振興会、日本中央競馬会等も特殊法人であり、行管庁の監察は間違いなくやるということでございますか。
#164
○国務大臣(宇野宗佑君) 現在ある百十一全部でございまして、例外は一つもございません。
#165
○馬場富君 では、特殊法人の監督は一応主務官庁がこれを行うということになっておりますけれども、行管庁が全特殊法人を監察対象とすると、こういうことにつきまして、目的並びに主務官庁の監督との関係はどのようですか。
#166
○国務大臣(宇野宗佑君) 主務官庁の有しております権限内において監督をするということでございます。
#167
○馬場富君 特殊法人の監察を過去はどのような観点でこれを行ってきたか、過去に。
 それからもう一つは、今後どのようなポイントでこれを行おうとするのか、その要点をひとつお願いします。
#168
○国務大臣(宇野宗佑君) 過去は、先ほど申し上げましたように公社公団、そして事業団等々が対象でございましたが、今回は全く他の法人に及ぶわけでありまして、それぞれやはり公正な事業が行われておるかどうか、また組織、機構等々もそれでよいかどうか、主務官庁との関連もそれでよいかどうか等々を監察をいたしたいと存じます。たとえば国鉄に関しましては、先般も予算委員会でお答えをいたしましたが、部外委託等々をもっと進めるべきである。国鉄ではなかなかできないこともやはり第三者なればこそできるということでございますから、そうした観点で全法人を対象といたしたいと思っております。
#169
○馬場富君 政府は特殊法人の統廃合等、合理化を決定されたわけでございますが、それについて進んでおるわけですけれども、実はこの特殊法人は現在その下に天下り会社とも言うべき子会社あるいは孫会社等を相当つくっておるわけです。これに対して出資あるいは投資、人の派遣等をもって下部組織の拡大がなされておるわけです。これら特殊法人の下部組織の拡大を無制限に認めることは、やはり行政機構の無制限の拡大を促すというような結果にもなりかねない。こういう点で、この特殊法人を整理統合しても、行政改革がそういうところに拡大されていけば結局しり抜けになってしまうのじゃないか、こういう心配がございます。この点について大蔵大臣あるいは行政管理庁長官は、特殊法人がそういうような関係をどれほど持っておるか、またどのくらいの額を出資しておるかという点についてどのように掌握してみえますか。
#170
○国務大臣(竹下登君) 特殊法人の出資につきましては、当該特殊法人の事業の円滑な運営に資する観点から行われておるものと認められます。
 ただ、先般本委員会でも御指摘がございました労働福祉事業団の公益法人に対する出資、当該公益法人の業務の運営が適切でない。こういう御指摘をいただきまして、早速労働省において早急に改善するよう指導していかれるということを委員会で御表明なすったことを私も承知いたしております。したがいまして、これは問題のございますのは、特殊法人からの出資について、特殊法人の予算、事業計画及び資金計画について主務大臣がその認可を行うに際して大蔵大臣が協議を受けるものになっているものにつきましては、これは把握ができます。ただ、当該特殊法人からさらに出資する法人までは通常は把握をいたしておりません。これはまさに当該法人と監督する所管省庁との問題であろうというふうに思っております。
 したがいまして、大蔵省といたしましては、特殊法人の予算等の認可に係る協議を受ける際に十分考慮していく、こういう姿勢をとっております。したがいまして、全部どの程度出資されておるかという把握は私はいたしておりませんが、事務当局で仮にもし概算でも把握しておるといたしますならば、後刻お答えをさすことにいたします。
#171
○国務大臣(宇野宗佑君) 行管庁は、先ほど申し上げましたとおり、四十八に関しましては監察の対象としてやってまいりましたが、それもやはり主務官庁の予算が流れる、補助金が流れる、そうした経路を通じての監察でございます。したがいまして、今後百十一全部を監察の対象といたしまして、いわゆる子会社、孫会社と一つ飛ぶことに対しましてはなかなか手が及ばない。しかしながら、いま仰せのとおり、そうしたものが余りあることは決して好ましいことではございません。その点は主務官庁を通じて特殊法人を監察をし、そして、そこら辺でいかがあるべきかということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、主務官庁を飛び越えて頭越しにやるということはできない。これは先ほどそれぞれの大臣の権限内において特殊法人の監察をすると申し上げたとおりでございます。
#172
○馬場富君 現在、行政管理庁長官が掌握されてみえる四十八法人についてだけでも結構ですから、そういうような法人がどれほど出資をしておるか、またどのくらいの会社の数があるか、これはわかってますか。
#173
○政府委員(佐倉尚君) お話の特殊法人の外郭団体に対する出資等につきましては、私どもの方では現在のところ把握しておりません。
#174
○馬場富君 それでは後日、委員長にお願いしますが、いま大蔵大臣も資料を出すとおっしゃいましたが、行管からもわかっただけの資料をいただきたいと、こう思います。
#175
○委員長(山内一郎君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#176
○委員長(山内一郎君) 速記をつけて。
#177
○国務大臣(竹下登君) いま事務当局と協議しましたが、大蔵省所管のものは把握しておるけれども、他を一括しては把握していない。したがいまして、いま宇野長官とここで協議をいたしまして、どちらがまとめるかは別といたしまして、二人の責任において可能な限りのものをまとめまして、委員長のお許しを得て本委員会へ提出をいたします。
#178
○委員長(山内一郎君) では、馬場君、理事会で協議をいたします。
#179
○馬場富君 資料は後から出していただくということですが、ひとつこういう点についても、やはり行政改革の一つの重要な点でございますので、これからも適切な関係でチェックをお願いしたいと、こう思うわけでございます。
 なぜ私がこの問題をいま申し上げますかというと、この特殊法人の関係で五〇%ないし一〇〇%ぐらいの出資会社がずいぶんあるわけです。そして、資本的にも人的にも新たな特殊法人が設立されたと同じような、そんな関係を持った実は子会社、孫会社もあるわけです。私がいま調査した二、三の省の関係だけでも、ここで説明申し上げますと、たとえばいま郵政省の中で、先ほど質問でも問題になっております国際電信電話株式会社は、これは百六十五億の出資でございますけれども、これは電電公社から十六億出資になっておりますけれども、この子会社に、たとえばアジア海底ケーブル株式会社という子会社がございます。これはほとんどKDDがやる仕事を全部やっておるというような形じゃないか。それで、これに対して八千万の出資のうち、一〇〇%の八千万がKDDより出ておると。そして、融資も二十一億の融資がKDDから出ておる。これは日中の間の電話ケーブルのことでございますけれども、ほとんどこれはKDDがやるべき仕事の中身だということです。
 それから、国際ケーブル・シップというのがございますけれども、これも一億の資本の中の一億全部KDDから出ております。それから国際通信施設というのが五千万で五千万、これも一〇〇%です。それから日本空港無線サービスというのがございますけれども、これは二億のうち八千万が出ております。それからKDDビル管理株式会社は五千万のうち四千九百九十万出ております。それから国際東京サービスあるいは国際大阪サービス等もほとんど九九%出ております。
 次に、建設省関係で申しますと、日本住宅公団、これは八百十九億のうち七百九十九億が政府出資でございます。この子会社に団地サービスというのがございますが、これは三億六千万の資本金の中で二億四千万が公団から出資されております。それから、この団地サービスに孫会社がございます。団地開発だとか、あるいは関西団地開発だとか宅地開発技術サービスという、こういう会社がございますけれども、これは一〇〇%近く出資がおのおのなされております。
 次に、労働省関係でいきますと、労働福祉事業団というのがございますが、これは八百七十四億のうち全額政府出資でございます。そして、この子会社の中に労働福祉共済会というのがございますけれども、これは六千五百万の資本で、事業団から六千五百万全額出資されております。その孫に共済商事というのがございますけれども、これは四千万の資本で、このうち千二百万がこの共済会から出資されております。
 次に運輸省関係でいきますと、日本自動車ターミナルという会社がございますけれども、これは子会社に東北高速ターミナルという会社がございますけれども、これに関連いたしまして北陸とか兵庫とか九州という子会社がございますけれども、おのおの全部二〇%ずつ出資がなされております。
 それから、国鉄関係は前にも指摘されておりましたけれども、外郭の子会社八十一社に対して百八十億の出資がなされておりますし、孫会社の関係が六十五社ございますけれども、これに二十三億三千万の出資がなされております。
 これは、後ほど長官の方にも私は資料を提出いたしますけれども、これが一つの例でございますけれども、このような特殊法人の出資が行われたり、あるいは投資が行われたり、人の派遣が行われてほとんどまる抱えというような、その特殊法人そのままというような会社も中にあるわけでございます。こういうわけで、これを私が全部の特殊法人に当たって全部調査してみましたら、この外郭団体から、もう中心は子会社でございますけれども、孫までは調査ができておりませんけれども、子会社関係が八百八十八ここから出ております。このような膨大な外郭を持っておるわけです。これが一向管理されなかったらこれは大変なことだ、こう思います。そういう点で、これは特殊法人の整理統合も大切ですけれども、ここらあたりにやはり目を向けた見直しの仕方をしていかなきゃいかぬじゃないか。この点については総理大蔵大臣、行管庁長官のおのおの御答弁をいただきたいと思います。
#180
○国務大臣(大平正芳君) 大変適切な時宜を得た御指摘だと思います。政府関係各省におきましてその子または孫の経営体につきまして調査を進めて、それの適正な管理方途につきまして検討を進めていかなければいかぬと思います。
#181
○国務大臣(竹下登君) 基本的なお答えを総理から申されました。そのとおりであります。
#182
○国務大臣(宇野宗佑君) 総理のお答えのとおりでございます。
 特に、特殊法人に対しては天下りが余りにもひどいということは、われわれも先般その対策を講じたのですが、さらに子会社、孫会社において天下りがあるかもしれません。しかし、それはそれなりの必要で設立されたものもあろうと思いますが、仮にそうしたことがいわゆる主務官庁との癒着になったり、さらには民間の自由市場への介入になったり、あるいは独占形態になったり、そんなものが仮にありせば、これはやはり徹底して取り締まっていかなければならない、かように存じますが、政府全体の問題として十二分に検討いたしたいと思います。
#183
○馬場富君 そして、この問題の中のもう一つの点でございますが、非常に法的にもまたいろんな文書等についても語句の使い分けが不明確な点が多いという点ですね。特にこの特殊法人の出資の関係では、たとえば根拠法に定められておるというものだけでも三公社、住宅公団あるいは道路公団等ではこういうことについて「投資」という言葉を使っておりますし、それから石油公団、金属鉱業事業団、畜産振興事業団あるいはNHK等ではこういう問題については「出資」という言葉を使っておる。法律用語として「出資」と「投資」というものがどのように相違があるのかという点、これはKDDの場合も、一つは電電が「投資」という言葉の点で問題があるようでございますが、この点についての語句の使い分け、大蔵大臣はどのように理解しておみえになりますか。
#184
○政府委員(田中敬君) 公社、事業団、公団等各種の設立法規の中におきまして、行い得る業務として「投資」あるいは「出資」という言葉が使われておりますことは御指摘のとおりでございます。法律用語として特別の使い分けということは本来いたしておりませんけれども、法令用語辞典によりますと、「出資」というのは、「事業を営むための資本として金銭その他の財産、信用若しくは労務を組合、法人等に出捐すること又は前記の出捐により組合、法人等の財産に対し取得する持分をいう。」、いわゆる出資は、事業を営むための資本として出資をするということでございまして、「投資」につきましては、「通例利益を得る目的で事業に資本を投下することをいう。」というのが、これは法令用語辞典にそういうふうに定義をされております。
 こういう定義がございますけれども、現行の公団法、公社法等事業団法上では、特にこれらの「出資」「投資」というものを使い分けておりませんで、私どもは、事業団法上の「出資」「投資」というものは現在ではほぼ同じ意味に使われておるというふうに解釈をいたしております。
#185
○馬場富君 この点、非常にこういう事件等にも問題になってくる言葉でございますので、その根拠法に「投資」とあって出資しておるというような形のものもありますし、それから、「出資」と「投資」を混同しておるような向きもございますので、ここからいろいろな問題点が起こっておるわけです。
 そういう点で、やはり政府としてもここらあたりの問題を一つはまとめていかなきゃいかぬじゃないかという点で、官房長官どのようにお考えでしょうか、この点について。
#186
○国務大臣(伊東正義君) 御質問でございますが、言葉がいろいろな言葉で同じような目的ということでございますれば、なるべく統一していくというのが適当だと思いますので、私が答えるよりも法制局長官がこれ答えた方が結構と思いますので、ちょっと法制局長官の意見を聞いていただきたいと思います。
#187
○政府委員(角田禮次郎君) 本来的に「出資」という言葉と「投資」という言葉の意味合いの違いについては、先ほど主計局長から御答弁申し上げたとおりであります。ただ、御指摘もございましたが、実定法上若干そういう言葉の使い方が必ずしも厳密でない点があることは事実でございます。そういう意味で、できるだけ言葉として統一して使うようにいたしたいと思いますが、先ほど主計局長からも御答弁申し上げましたように、「投資」という言葉は、どちらかと言えば、利益を得る目的、厳密な意味の非常な利益を得る目的ではありませんが、比較的経済的な観念として使われているようであります。したがいまして、事業団等の場合には、どちらかと言えば「出資」という言葉を使う方が適当じゃないかと思います。
#188
○馬場富君 次に、特殊法人とは別にして、各省庁の下に認可法人というのがございます。これはどれほどあって、どのようにチェックされておりますか、官房長官、お願いします。
#189
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。認可法人というのは、日本銀行、商工会議所とか、あるいは全国農業会議所とか、自治省になりますと地方の議員の共済組合でございますとか、まあ、各種、各省にわたりまして九十八ぐらいだったと思うのでございますが、あるわけでございます。
 それで、これの監督につきましては、性格が違うものでございますから、それぞれ主務大臣にこれを監督してもらうということで、法令の問題とか、その予算の問題とかにつきましてそれぞれ主務大臣に監督してもらっておるわけでございます。ただ、特殊法人の整理はするが、皆それじゃ認可法人ということになっては、これはいかぬということでございまして、ことしの五十五年行革をやりますときも行政管理庁長官と御相談をいろいろしたわけでございますが、これは予算で大蔵省の方へ出てくる認可法人が新設の場合多うございますので、大蔵大臣とも御相談して、五十五年度は一つも新設は認めないということで実はやったような次第でございます。
#190
○馬場富君 ここに資料もございますけれども、とにかく数多くこれもあるわけです。まあ新設は認めないと、こうおっしゃっておりますけれども、これは私はつくって悪いということを言っておるのじゃなくて、やはり適切な配置が必要であるということを言いたいわけです。そこで、これはやはり中を見てみますと、ほとんど特殊法人と変わらない性格のものもたくさんあります。そういう点で、こちらでは主務大臣だと、こちらでは行政監察だということで嫌なくて、ひとつここらあたりで、この認可法人についても何がしかやはり行管庁等の対象にしなきゃならぬのではないかと、こういうふうに考えるわけですけれども、総理の御見解をお願いします。
#191
○国務大臣(伊東正義君) 私からお答えを申し上げます。
 いま認可法人についても何か統一的なところで見たらどうかという御意見でございます。認可法人と特殊法人と非常に似ているも一のがあることは、これは確かでございますが、いろんな経緯もございますし、主務大臣にやっていただいておるところでございますので、これをどういうふうにしたら一番チェックしていくにいいかということにつきましては、これは少し検討さしていただきたい、時間をかしていただきたい。主務大臣にいまは一生懸命それは監督してもらうということで現在はやっております。
#192
○馬場富君 では次に、行革の中のもう一つの柱は、やはり地方支分部局の整理合理化の関係でございますけれども、これはかなり勢いのいい、千カ所も整理、再編成するとか、こういうようなことが実は計画の中に載っておりますけれども、これについて、実際各省等あるいは地方等の問題について賛否のいろいろな点が出てきておるようでございますが、やはり総論賛成、各論反対というような声すら中に出てきているところもございます。そういう点について、この地方ブロックの問題につきまして運輸省や農水省等に問題があるようですけれども、その点、運輸大臣と農林大臣からの御説明をいただきたいと思います。
#193
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもの方で問題になっておりますのは営林局の問題でございます。営林局につきましては、御承知いただいておりますように、国有林野事業改善特別措置法という法律が一昨年できまして、その法律に基づいて国有林野事業に関する改善計画、こういう計画をつくり、それに基づいていま行政改革を含めた経営の改善をやっておるわけでございます。これは去年から本格的に始めたわけでございますが、そういう行政改革を含めた経営改善事業がいま緒についたばかりでございまして、かえってこの際に営林局の問題をいまの時点で取り上げることは、その行政改革を含めてやっておる経営改善事業に大変支障を来す問題があるので、これについては十分ひとつ再考をお願いを申し上げたいと、こういうことを行政管理庁に私の方からお願いをいたしておるわけでございます。
#194
○国務大臣(地崎宇三郎君) 行政改革は現内閣の重要な課題でございますので、運輸省といたしましても真剣に検討をしているところでございます。
 支分部局の廃止の問題については、現在行政管理庁と協議をしているところでございます。運輸省は、行政は陸海空にわたりまして密接に住民と関係のある行政を行っておりますので、この行政改革を検討いたします段におきましても住民サービス、行政に欠陥の起きないように対処をしてまいりたいと、かように存じております。
#195
○馬場富君 もう一つここで、きのうあたりの新聞にも出ております自民党関係から防衛施設局の点については見送りというような線が三役で了承されたと、こういうように出ておりますけれども、総理大臣、この点はどうでしょうか。
#196
○国務大臣(宇野宗佑君) 防衛庁の施設局もブロック機関の一つでございまして、全国に十ございます。私といたしましては、やはりこの際に大体ブロックを七つ、八つ――勘定、いろいろ方法はございましょうが、やはりまあ九つ、十というふうなところは各省庁間のバランスも保つ必要があり、また行政を簡素化する必要もある。そうしたことで、いわゆる防衛庁の施設局もその範疇に属するものであるという判定のもとに次のように考えた次第でございます。
 御承知のとおり、防衛予算はGNPの一%未満であると、こういうふうな閣議決定のもとに、本年度もいろいろ議論がございましたが、〇・九というきわめて限られた予算であります。当然、人件費がそのうち五〇%を占めております。ことしは総体が多くなりましたから、やや五〇%を割っておりますが、ひどいときには五六%というときもありました。装備費がわずか一七%であります。そのほかが一般費ということになりますと、やはりシビリアンコントロールをたてまえとするわが国の自衛隊ではございますが、極力背広族の方においても官僚意識を捨てて、節約するところは節約して、それをひとつ装備の方に回す、そういう努力が必要である。私は、そういう意味で防衛庁の施設局も行革の聖域にあらず、こういうふうに望んだ次第でございますが、何分にも防衛という問題は大きな問題でございます。他の省庁のブロック機関はいわゆる許可認可等々の問題を中心として構成されておりまするが、防衛にはそうした問題もございません。特にアメリカとの関係におきましてやはり施設庁は大切だという認識も私にはございます。しかしながら、一応これは大きな問題でございますから党の御判断を仰ぎたいという経緯におきまして、昨日党にお諮りをし、党の行財政調査会におきましては、よく行管庁長官の気持ちはわかる、またその主張は十分わかる、しかし今日防衛は非常に重大なときであるから、今回はひとつその対象にしないようにと、こういうふうな私に対するアドバイスがあった次第であります。
#197
○馬場富君 そのようにいろいろな事情が出てくると思うのです。確かに行革が一つの大きい政府の柱として取り上げられて、計画も立てられたわけですけれども、そういうような形で各官庁の関係あるいは地方の関係等ですっぽ抜けてくるような状況も、私は計画どおりいかぬように出てくると思うんですね。こういう点につきまして、ひとつそれをどういうふうな形でやはり目的をきちっと達成していくか、そこらあたりのところを最後に総理と長官にお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。
#198
○国務大臣(宇野宗佑君) 行革は、特に地方ブロックは総論賛成、各論反対の最たるものでございますが、幸いにいたしまして今回の行政改革の重要性を各省庁も十分認識をされ、また主務大臣もその点十分認識をされまして、順調に事は運んでおります。ただいま特に馬場さんが質問されました農林大臣あるいはまた運輸大臣も、私といま十二分にそうした認識の上に立ちまして調停をいたしておりまするから、この問題はりっぱに仕上がるものであると私は確信をいたします。
#199
○国務大臣(大平正芳君) 内閣一体となりまして五十五年行革は有終の美を飾りたいと存じまして、いま仕上げを急いでおるところでございまして、御期待に沿いたいと考えております。
#200
○委員長(山内一郎君) 以上で馬場君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#201
○委員長(山内一郎君) 次に、沓脱タケ子君の質疑を行います。
   〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕
#202
○理事(安田隆明君) 沓脱君。
#203
○沓脱タケ子君 それでは、わずかな時間ですので端的に御質問をしていきたいと思っております。
 政府は綱紀粛正というのを最重点施策の柱にしておられます。しかし、いま国民は、航空機疑獄を初め、また鉄建公団あるいはKDD、また政府各省庁のカラ出張を初めとする乱脈経理、こういうものが次から次へと出てくるという中で、大変政治不信が深くなっている。そうして、もう端的に言えば税金を納めるのはいやになったというのが端的な声になっているわけでございます。しかも、そういう中で国民は、何とかしてこれら数々の疑惑についての究明、これを徹底的にやり、そうして清潔な政治の確立をというのが切望されているというのが今日の姿でございます。私は、この国民の切実な期待にこたえるために、許された時間の間一、二点御質問をしていきたい、そう思っております。
 まず第一にお聞きをしたいのは、KDDについてでございます。KDDの問題につきましては、事件発覚以来すでに、大変遅いテンポではありますけれども郵政省にまで波及をしてまいりました。そして松井元電気通信監理官と日高元電気通信参事官が逮捕された。そうしてその逮捕容疑は、公衆電気通信法の改正や、それから国際専用線料金の値上げ申請など、当時KDDの懸案事項に便宜を図ってくれた謝礼にかかわる贈収賄だというふうに言われているわけでございます。
 きょうは、私はもう一つの大きな疑惑を呼んでおります国際電話料金の値下げに関連をしてお聞きをしていきたいと思います。
 まず郵政省にお聞きをしたいのですが、五十二年の暮れごろから、円高差益をきっかけにいたしまして、国際電電の値下げ論というのが表面化をしてまいりましたが、その経過は先ほどの同僚委員の質疑の中でも寺島監理官が御報告になっておりましたが、皆さんからいただいた資料によって私申し上げますから、確認をしていただきたいと思うのです。
 五十二年の十二月、年末から円高差益をきっかけに料金の引き下げ論が表面化をして、
   〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕
郵政省も事務レベルで値下げの方向で検討を始めたというふうな動きが出てきておる。その後、先ほども御報告になりましたが、四月二十一日、経済対策閣僚会議で値下げの検討を決定された。料金改定についての検討を決定をされた。この四月二十一日の経済閣僚会議での御決定を受けて、郵政省は、先ほどこれもお述べになっておりましたが、KDDに料金改定、値下げの検討を文書によって指示をした。さらに九月の二日には経済対策閣僚会議で料金体系を含め総合的検討を決定した。そして九月の十九日には、この九月の二日の決定を受けて郵政省が再度KDDに料金改定、いわゆる値下げの検討を文書で指示をした。さらに五十四年の二月にもそういう決定、申し合わせがあって、三月十四日にKDDに対して郵政省から指示をした。こういう経過に間違いはありませんか。
#204
○政府委員(寺島角夫君) 大要ただいま先生御指摘のとおりでございますが、ただ、先ほど私の答弁が漏れたかもしれませんが、五十三年の五月に郵政省から文書をもって指導いたしました。それに対しまして、五十三年の八月の末にKDDの方から、通貨変動に伴う料金改定の必要はなく、通信設備の充実等によりましてサービスの改善を図りたいと、こういう趣旨の回答が参りました。しかし、これは郵政省といたしまして受け入れがたいものでございましたので、それと御指摘のございました九月二日の経済対策閣僚会議の決定、この両者を踏まえまして九月に再度検討方指示をいたしたところでございます。
#205
○沓脱タケ子君 それはいま聞こうと思っていたんだけれども、文書でKDDに郵政省から指示をして、そうして五月の十日に指示をして八月の二十六日にこれは受け入れがたいといういわゆる拒否回答がKDDから来た。いまの御回答、それですね。その後、九月にもう一遍郵政省からは文書で御指示になったのですが、その後KDDからは御返事がありましたか。簡潔に。
#206
○政府委員(寺島角夫君) お答えいたします。公文書による返事はございませんので、郵政省といたしましては、あらゆる機会をとらえまして検討の促進方を図ってきたところでございます。
#207
○沓脱タケ子君 大体けしからぬですよ。あなた。監督官庁から文書できちんと指示しているのに、その指示監督に服さなければならないKDDからは一遍は拒否回答、あとは返事なしと、まさにこれは大臣ね、大体なめられているじゃないですか、KDDに郵政省は。どないなっている。そうでしょう、あなた。わざわざ関係閣僚会議の決定で指示文書を大臣名で出しているんですよ。知らぬ顔の半兵衛でやられているんです。どこに権威があるんですか、こんなもの。――それはまあいいとして、時間がないからね。
 それで、その当時の国会の動きをちょっと見てみた。その当時は服部郵政大臣でございますので、服部郵政大臣がその間における国会答弁をいろいろとなさっておられる。これをちょっと拝見をいたしますと、なかなかおもしろいんですね、これ。いわゆる五十二年十二月の末から円高差益を含めて値下げ論が表面化して事務当局でその作業を鋭意進めているという時期、ですから五十三年の二月、三月ごろというのは、これはおもしろいんですが、ちょっとこれ、委員長ね、関係者に資料を差し上げるとわかりやすいかと思いますので、郵政大臣とそれから法務大臣、それから国家公安委員長に。(資料を手渡す)
 ちょっと見ますと、五十三年の二月の七日、衆議院の予算委員会で岡田議員の質問に対しまして当時の服部郵政大臣は「政府といたしましては積極的にこの問題」、これは料金改定の問題ですが、「この問題と取り組んでまいりたい、かように考えている次第でございます。」と、こう答えた。それで、二月の十六日に衆議院の逓信委員会で野口議員の質問に対しまして、こういうふうに今度は答えた。「私がいま真剣に考えていることは、料金を下げる方向でいわゆる収支の状況を検討し、下げる方向でいま努力をしておるわけであります。あのときよりかもっと進んだ」――「あのときよりか」というのは七日のことですね。二月七日のことを引き合いに出して質問なさっておるので、「あのときよりかもっと進んだ考え方で改定の方向を検討いたしておりますと、このように御理解いただければ幸いだと存じます。」と、こうお答えになっております。さらに、三月三日、衆議院予算の第五分科会で井上議員の質問に対して、この同じ課題について、「ただいまこの値下げを、適正な価格にするように大変なファイトで指導いたしておりますので、御理解を賜りたいと思います。」と、まあこの二月の七日から三回にわたってずっと服部郵政大臣の御答弁を拝見をいたしますと、値下げの決意がますますエスカレートしているということが非常にはっきりしております。
 ところが、四月十八日の参議院の逓信委員会になりますと、これはちょっと百八十度と言っていいほど御答弁が変わってきているわけです。服部郵政大臣の御答弁の一節を読みますと、「私は決して新聞に報道あった、値下げするなんて言った覚えはありません。ここでいろいろと御意見があったから検討いたしましょうというわけであって、どうぞこの点も誤解のないようにひとつ御認識を新たにしてもらいたい」と。三月三日には、「大変なファイトで指導いたしております」と言うているかと思ったら、四月の十八日には、新聞に報道があった、あんな値下げするなんてなこと言うた覚えはありませんと、これは大体百八十度転換ですわ。その次が五月の十日の衆議院逓信委員会で、やはりこの種の鳥居議員の質問に対して服部郵政大臣の御答弁なんですが、このときにはどう言うているかというと、「この種の仕事は経営基盤の確立がまず第一であるということであります。」、「長期展望に立って設備投資の見込みとか需要動向などを十二分に考えねばならないと私は思っております」と、値下げはどっかへ飛んでしもうているんですね。さらに十月になりまして、これも衆議院の逓信委員会で同種の質疑に対する答弁で、やっぱり値下げはどっかへ飛んでしもうて、「現在は御指摘のとおりかなり利益は上げて社内積み立てをやらせておりますが、」、「したがって、いざという場合に決して利用者に迷惑をかけないように、よりよいサービスを提供いたしまして、その任務を果たさせるという心構えもある程度持っているわけなんです。」と。大体四月十八日を契機にいたしまして服部郵政大臣の御答弁が変わってしもうているわけですね。これはまあ大概不思議なことなんです。
 こういうふうに大臣の御答弁が変わったということは、郵政省知ってますか。知っているわな、それは、聞いてたんだから。どうです。
#208
○政府委員(寺島角夫君) ただいま国会議事録の一部につきまして先生から御指摘ございました。ただいま私も全部そのとおりすぐに照合できたわけではございませんが、先生がお読みになったような部分が当時の大臣の御答弁の中にあるということについては承知いたしております。
#209
○沓脱タケ子君 それは知ってなきゃおかしいですね、聞いておるんやから。
 それで、こういう大臣の主張が変わったことについて捜査当局は御承知でございましょうか。
#210
○政府委員(中平和水君) 警視庁から具体的な報告は受けておりませんが、やはり警視庁としてはKDDをめぐる諸般の問題について検討しているはずでございますから、恐らく承知しておろうと思います。
#211
○沓脱タケ子君 それは秘密文書と違いますからね。公表された会議録ですから知ってないとおかしいんですよ。
 それで、ここでちょっとびっくりしたことがあるんですが、いま申し上げた五月十日という日です。これは先ほど政府等の動きのところで申し上げたように、四月二十一日に経済対策閣僚会議で値下げ、料金改定の検討を決定した。これには当時の服部郵政大臣もこの閣僚会議には初めて御参加になって決定をされた。そうしてこの決定に基づいて五月の十日に郵政省はKDDに値下げの検討をせいと、料金改定の検討をせいという指示を文書でお出しになった。ところが、この同じ五月の十日の服部郵政大臣の御答弁ですね、先ほど横並びに読みましたけれども。これ見ましたら、ひとつもそんなこと言うてないんですね。経営基盤の確立が第一で、「長期展望に立って設備投資の見込みとか需要動向などを十二分に考えねばならないと私は思っております」と、これは衆議院逓信委員会で鳥居議員に対する御答弁。それで、私はこれ非常に不思議に思うんです。大体、閣僚が自分が入った経済閣僚会議で決定した決定を自分の名前で指示文書としてKDDに渡しているその同じ日に、その方向と違う答弁をするというようなことは、これはちょっと考えられないんですけどね。大体、閣僚会議で決定をして、それと違うことを平気でやるというようなことが大臣にあっていいんですかな。私はちょっと理解ができないんですが、これは総理にちょっとお聞きしたいんですが、こんなことが現在の閣僚の中にあったら私は直ちに政治責任問題だと思うんですよ。恐らくこのときに判明していたら当然服部郵政大臣の責任問題が起こったであろうと思うんです。大体、内閣の権威にかけてもこんなことがあってはよくないと思うんですが、総理、御見解をお聞きしておきたい。
#212
○国務大臣(大平正芳君) 政府で政策を立案いたしまして、それを決定して実行に移すということの過程におきましてはいろいろな意見もあるわけでございますが、最終的に決まりました政府の方針につきましては、各閣僚はもとよりでございますけれども、政府の関係者一同、その方針に従って処理していただかなければならぬことは当然と考えております。
#213
○沓脱タケ子君 だからこれ、そのときわかっていたら政治責任を問われるでしょう。私は念のためにこんなことはいままで歴史上あったかなあと思って調べてみましたよ。自分も入って閣僚会議で決定して、その方針を、決定を自分の名前でKDDに指示文書を出して、その同じ日に国会でその方針と違うことをぬけぬけ言うと。こんなことを大臣がやっている事例があるんかなあと、あるいはそんなことが見過ごされたり、そういうことが起こって政治問題化した事例はないんかなあと思って調べてみましたけれども、これは国会図書館から方々調べてみましたが、どっこにもないです。前代未聞のむちゃくちゃなやり方ですわ。こんなばかげたことがやられているからKDDになめられて、何ぼ指示文書出したって拒否されてきたり、回答もよこさぬというようなことでなめられるんですよ、実際。どうしますか、こんなこと。
#214
○国務大臣(大平正芳君) でございますから、その経済閣僚懇談会で申し合わせたこと、それは値下げについての検討を命じようじゃないかということであったように私は聞きましたわけでございますけれども、最終的に幾ら幾ら値下げをするということを決めたというようには私伺わなかったわけでございます。そういう、一つの過程の議論としてそういう議論が起きたのか、そういうことがあったのか、最終的な行政の意思統一がなされたかどうかという点につきましては、その事案よく検討してみないと、にわかに意見を申し上げるわけには、それだけの材料で、私いま突然聞きましたので、わかりません。
#215
○沓脱タケ子君 これは過程のことを申し上げているんじゃないんですよ。五月十日付で自分の名前で指示文書出しておる。その指示文書を出す決定というのは四月二十一日の経済対策閣僚会議で、御自分も出て御決定になった方針を出しております。ところが、国会では違うことを言うと。そんなじゃらじゃらしたことはないですよ。私は内閣というのはもっと権威があるもんやと思ったですわ。それでね、いま答弁できないというのだったら、一遍よく検討してみてください。
#216
○政府委員(寺島角夫君) 一点事実関係についてお答え申し上げます。
 私、言及をいたしませんでしたが、先ほど御指摘の郵政省の指導文書は大臣名ではございませんで、監理官名で出されておるものでございます。
#217
○沓脱タケ子君 そうか、だから大臣に責任ないとおっしゃるわけか。別にあなた、目くそ鼻くそのたぐいじゃないですか。あなた、よその省の監理官名やったら話は別やけど、郵政大臣のもとにおける監理官でしょう。何を言うとるの。大体料金問題の許認可権、だれが持っているんですか。大臣でしょう。もう朝からも大分論議されてるから繰り返しませんよ、そんなこと。
 だから、これは総理ね、一遍事情を調査していただきたい。内閣の権威にかかわりますよ。現内閣ではありませんからあれですけれども、これははっきりしておきたい。
 時間がないから次にいきます。
 それで、この服部元郵政大臣については、これはもうずいぶん昨年の十月以来たびたび私も追及をしてまいりましたが、数々の疑惑がございます。その中でKDD側も国会で認めたものとしてはっきりしているのは、インテリア・ルイにかかわるものなんです。このインテリア・ルイなる会社はどういう会社かといいますと、皆さん御承知だと思いますけれども、服部元郵政大臣の全額出資会社で、そして社長は服部先生の秘書の則信さんという方がやっていたということは事実です。これは私は直接現認している。そういうこのインテリア・ルイにかかわる問題を簡潔にちょっと述べてみますと、KDDはルイから約二千二百万円余り、これはもっとたくさんあるんだけれども、十分検討を尽くされている分だけで約二千二百万円高級家具類を購入しておって、代金の支払いは、六百十五万円だけが服部氏の政治団体である服部政経研究会の会計責任者、千葉修身という方の名前に振り込まれ、千五百八十万円分についてはイタリア製高級輸入家具を扱っている株式会社ワタナベ、ここの東京営業所長の小田原巌、こういう人の銀行口座に振り込まれている。しかも、ワタナベというところに振り込まれた分については、振り込まれて二日後に服部氏の秘書である則信氏が引き出しに来ている、こういう擬装工作さえやっていた。しかも、この家具の購入につきましては、板野学元社長が事案決定書に決定印を押していた。これらの事実については実は三月六日の参議院逓信委員会で私の追及に対してKDDが認めている事実でございます。
 私はきょうは板野氏の証人喚問等を要求をしたのは、本院の逓信委員会で二回にわたって板野さん来てもらいました。そのときには、インテリア・ルイというような会社は服部さんと何の関係もあるのか知らぬと。また、そこから物を買っているかどうかも知らぬと言っておった。ところが三月六日の私の質問で明らかになったのは、事案決定書に板野さんの判がちゃんと押してある。大体うそを言うわけですからね。だから、そういうことだから事態を究明するためにはどうしても証人として来てもらわなかったら疑惑を解明することはできない。だからこそ要求をしたんだけれども、これは各党の入れられるところとならなかった。だからしようがないんですね。
 特に私がこのインテリア・ルイに絡む問題で重要だと思いますのは、大臣の国会発言の変化とインテリア・ルイから高級家具購入の時期というのは大変密接な関係があるということに気がついた。見てみますと、二月七日に衆議院予算委員会で積極的にこの問題に取り組んでまいりたいと言ってお答えになっている。その翌日、二月の八日ですわ。KDDへイタリア製の家具、応接セットなど三百四十九万円の御明細書というやつが提出されておる。それから三月十六日にはKDDへさらにフランス製応接セット二百六十六万三千円、こういう納品書が出されている。それで四月の十六日の国会答弁で百八十度御答弁が転換した。その後ですね、大臣の態度変更に呼応するようなかっこうで五月の二十五日にはKDDに対して今度は御見積書を提出している、イタリア製応接セット千三百七十八万三千八百円というやつが出ているんですね。
 まだちょっとありますけれども、時間がかかりますからね。何かうまいこと答弁で値下げに一生懸命やりますと言ったら、あわててインテリア・ルイの品物を買いますと言って明細書をもらったり、納品書をぱっと持っていったりしているように見えてしようがない。それだけかと思ったら、きょうも新聞で出ていましたけれども、五月の二十五日、千三百七十八万三千八百円の見積書を提出をされた日に、その晩には赤坂の某料亭で板野さんと服部さんと二人だけの密談がやられたというふうに言われていますし、私どもの調査でも感触があります。さらにそれだけかと思ったら、商品券問題でもちょうどこの値下げ問題でがたがたしてKDDから拒否回答が来ている。拒否回答が来たのが八月二十六日なんです。そのころの八月二十五日から三十一日までの間に十万円券で二千万円本人に商品券が渡された。さらに九月の十日には十万円券で二千万円が本人に渡されたという報道も出ている。こういう事実が出てきているわけでございます。
 事態はこういうふうに見てまいりますと、きわめて重大でございます。捜査当局は当然御承知だろうと思いますが、御調査をしておられますか。私はこういう事態を見てまいりますと、板野元社長には贈賄容疑が成立するんじゃないかと思う。また服部元郵政大臣も職務権限から見まして収賄容疑が出てくるんではないかと思うんですけれども、そういう点で捜査当局は当然知っておられるであろうと思いますが、御調査をしておられますか。
#218
○政府委員(中平和水君) KDDをめぐる疑惑につきましては、現在警視庁が幅広く鋭意捜査中でございます。ただいま御指摘の個々の内容につきましては、これまた個々のきわめて具体的な問題でございますので、この席で答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
#219
○沓脱タケ子君 ちょっと、いまのはどなたですか。
#220
○委員長(山内一郎君) 警察庁中平刑事局長です。
 ちょっと速記とめて。
   〔速記中止〕
#221
○委員長(山内一郎君) 速記をつけて。
#222
○沓脱タケ子君 それでね、法務省の御見解を聞きたいんですわ。一般論として大分朝からもう聞いてきましたけれども、刑事局長おらへんのや。どうしても出てもらわなければ困ると言っておいたんだよ。そんなもの、予算がちゃんと優先しているのに、何を言ってるんですか。本人は了承してないのですよ、そんなこと。勝手にそんなことをやったら困る。委員長困ります、それじゃ。出てもらわなきゃ困るということを再三にわたって言っておいた。
#223
○委員長(山内一郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#224
○委員長(山内一郎君) 速記をつけて。
 水原官房審議官。
#225
○沓脱タケ子君 委員長、ちょっと答弁待ってください。
 私、たくさんの御要望を申し上げていたけど、しかし時間が時間だから法務省と総理と郵政省だけは必ずということで、念には念を押して、他の省庁についてはもう結構だということでしているんですからね、それはきちんと質問者の要望にこたえてもらわなきゃ困りますよ。ちょっと私は理事で困るのだけれども、こんなやり方はもうけしからぬですよ。
#226
○政府委員(前田宏君) 決算委員会の方に参っておりまして、いま駆けつけてまいりましたので、お許し願いたいと思います。
#227
○沓脱タケ子君 これ困るのですわ、聞いてへんかったら何にも答えようがありませんね。
 それでもう一遍しようがないから貴重な時間を繰り返しますが、服部郵政大臣が国会内の答弁で、四月の十八日に百八十度答弁の御内容が変わるのですね。それと呼応してずっと見てみると、KDDが国会でも認めているインテリア・ルイとの関係ですね、品物の納品したり、見積書を出したりしているのは、大体値上げをすると言ったらもうあわてて買いにいっているみたいなんですよね。そういうことがずっと、これあなたに資料を上げたら一遍にわかるのだけれども、資料がないかな。――そういう状況というのがあるし、しかも料金値下げ問題で大問題になっているころに商品券が二千万円も本人に渡されたとやら言うている。そういう具体的な事態が出てきているのはきわめて事態重大だと、したがって、当然こういう事態は、私は、板野元社長というのは贈賄容疑が成立する疑いがあるじゃないかと、また服部元郵政大臣は職務権限から見て収賄容疑が出てくるんではないかと、だから法務省の見解を明確にしてもらいたいと、こう言うてお聞きしたんです。
#228
○政府委員(前田宏君) お尋ねのKDD関係の事件につきましては、警視庁と東京地検が緊密な連絡のもとに捜査を進めておるところでございまして、現に捜査が進んでいるところでございます。したがいまして、御指摘のような事実、これはいろいろと報道等にもされておりますし、また国会でも御議論があることでございますので、捜査当局といたしましては、その点はそれなりに受けとめて十分頭に置いてやっていることと思いますけれども、ただいまのお尋ねだけで直ちに贈賄罪になるとか収賄罪になるとかいうことば、やや早きに過ぎるのではないかというふうに考えております。
#229
○沓脱タケ子君 時間がないんでね、ちょっと他の問題についてもお聞きをしたいと思っていたんですが、時間がないんです。私はこの問題に限りたいと思いますが、特に法務大臣、それから国家公安委員長にもお聞きをしたいんですけれども、一般論で指摘をしているというんで一般論でお答えをいただくということならいいですけれども、そうではなくて、これはこういうふうに並べてみたら大変な疑惑が出てくると、私はこういうふうに具体的に申し上げて、御指摘申し上げているので、これは非常に重大な関心を持って捜査に対処してもらわなきゃならないんじゃないか。そうでなかったら国民は納得しないと思うんですよ。そういう点で国民の期待にこたえられるように対処してもらいたい。そういう点でひとつ法務大臣と国家公安委員長の御見解をお聞きをしておきたい。
#230
○国務大臣(倉石忠雄君) 御指摘の事件について検察が鋭意捜査をいたしておることはいま局長からお答えいたしました。そこで私どもの立場といたしましては、厳正公平にりっぱに国民の御期待に沿うような捜査をしてまいります。御安心願いたいと思います。
#231
○国務大臣(後藤田正晴君) 大変注目を集めている事件でございますから、警視庁としては全力を挙げて事態の解明に当たってくれるものと確信をいたしております。ただ御質問が、何かなかなか具体的に質問していらっしゃるでしょう。いま捜査の途中ですから、いろいろ御不満あると思いますけれども、これはあなたが一般論で質問してくれて、具体的な名前でなしにA、Bだとこちらも答えやすいんだけれども、捜査中でございますから、これはやはり捜査の結果を待ちませんとこういう席では捜査当局としては物が言えないんだということを御理解を賜りたいと思います。
#232
○沓脱タケ子君 時間がありませんので、最後に総理にお伺いをしたいんですが、郵政省の松井さんや日高さんが逮捕された。私はこんなことが省内に起こってくるのは当然ではないかと思うんです。これはきっちり刑法にひっかかるか、あるいは灰色に終わるかは知らぬけれども、もっともっと広がるだろうと思う。というのは、省の統轄者である大臣自身が、先ほど御指摘申し上げたように、乱脈と言おうか不見識と言おうか、むちゃくちゃな、自分で決めたことと違うことを平気で国会では物を言うというようなことの言動をおとりになるようでは、しかも、そういう態度の変更と
 いうのは、いろいろとうわさをされているような、あるいは私どもが御指摘申し上げたような事態があるということになってまいりますと、省内の官僚の皆さん方が、これは天下り等での癒着などもあるということも前提ではございますけれども、それはスペイン旅行で世話になったり、ちょっとせんべつもろうたり、料亭で接待受けたりしても……
#233
○委員長(山内一郎君) 時間が超過してますから、簡潔に願います。
#234
○沓脱タケ子君 はい、これで終わりですわ。
 罪悪感がなくなるだろうとは思うんですよ。そういう腐敗や汚職に浸って、もう感覚が麻痺するような環境ができてしまっているというところに大変問題があると思うんです。
 そこで、総理にお伺いをしたいのは、政治家の不正、腐敗をなくさなければならない、これは総理もおっしゃっているとおり。
#235
○委員長(山内一郎君) 簡潔に願います。
#236
○沓脱タケ子君 特に閣僚の不正や腐敗、ここを根を断つということが何よりも大事だと思うんです。綱紀粛正と言いましても、この辺にきっぱりとメスを入れなければ国民の御期待にこたえることはできなかろうと思います。最後に総理の御見解をお伺いしたいと思います。
#237
○国務大臣(大平正芳君) 数々の政治不信を生む事件が出てまいりまして、大変国民に申しわけなく存じております。政治に対する信頼を取り戻すためには、まず何よりも政治家自身がみずからの姿勢を正してまいらなければなりません。政治家と申しましても、まず内閣自体が率先して厳しい姿勢で行政に臨まなければならぬと存ずるわけでございまして、私ども内閣といたしまして、去年の暮れ以来各省を通じましてそういう申し合わせをいたしまして、いま厳重に疑惑を招くようなことを一切やらないことで自粛をいたしておるわけでございます。
 それから第二に、しかし、KDD事件はいま起こりまして捜査当局の手にあるわけでございまして、この事件の真相が厳密に究明されまして、その事実を踏まえまして厳正な処理をしてまいらなければならぬ。私は、日本の捜査当局、法務当局はそれだけの国民の期待にこたえてのお仕事をしていただけるものと信頼をいたしておるわけでございまして、政治、行政全般にわたりまして、より一層緊張した姿勢で対処しなければならぬと存じております。
#238
○委員長(山内一郎君) 以上で沓脱君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#239
○委員長(山内一郎君) 次に、井上計君の質疑を行います。(拍手)
#240
○井上計君 最初に、総理にひとつ御所見を伺いたいと思いますが、綱紀粛正といういわばメーンタイトルで国会の審議が行われるということは、国民に対して大変恥ずかしい、申しわけないと、こういう感じが私はいたしてならないわけであります。野党の一員であります私でもそう思うわけでありますが、現在の綱紀紊乱、紊乱とあえて申し上げますけれども、このようなことから国民の政治不信を非常に多くの理由によって招いておるわけでありますが、それらの責任はただ単に政府あるいは与党でありますところの自由民主党だけの責任ではなくして、やはり野党のわれわれもこの責任の一端は担うべきだというふうに私個人的には考えております。
 そこで、総理にお伺いしたいのは、総理の長い国会生活、政治生活を続けられておる中で、綱紀粛正というのがタイトルになったような国会審議が行われた御記憶がおありかどうか。それから同時に現在のようなこのような状態が非常に綱紀紊乱、いろいろな問題が山積をしておりますが、次次と明るみに出ておりますけれども、こういう状態がこのまま続いてまいりますと、もし仮にこういう状態が続くと、果たして日本の将来はどのようになるのか、どのように憂慮しておられるか。最初にひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
#241
○国務大臣(大平正芳君) 二十八年に及ぶ国会生活の中で、それは毎国会で綱紀問題が常に論議されたことはあったと思いますが、今日のように綱紀の質疑に明けて綱紀の質疑に暮れるというような国会は珍しいと思っております。これはわれわれがよほど考えなけりゃならない事態だと考えております。しかしながら、この事態は私は最悪の事態とは思っておりません。あらゆることが白日のもとにさらされまして、国民の前で公明に論議されるという日本の民主主義は力を持っておると思うのでございまして、したがって、こういうことが起きましたもろもろの事件につきまして、公明に議論いたしまして真実を把握いたしまして、果たしてそれに厳正な処理が、公正な処理ができたかどうかということをまたもう一遍見直すということを通じまして日本の政治に公正を期するということの道は開かれておると思うのでございまして、民主主義の基本はあくまでも守り抜かなければならない、よらしむべし知らしむべからずではいけない、知る権利に対しましてはわれわれも忠実にこたえていかなきゃいかぬものと考えております。
#242
○井上計君 いま総理の御見解を伺いまして、私もそのように大いに期待をいたしております。
 そこで、専売公社総裁にお越しいただいておりますのでお伺いしたいと思いますが、専売公社のカラ超勤の問題が大変大きく問題になっておりまして、総裁がすでに国会の委員会で明らかにカラ超勤であるということを認められたというようなことも過去に新聞報道等ございました。ところが、それについての処理が、きのうの新聞でありますが、各紙にいろいろ出ております。「カラ超勤″煙幕支給″」という大きなタイトル、あるいはカラ超勤半減、まあ大体批判的な見出しで中身もかなり今度の処理について批判的であります。私は、きょうはそのことについてはもう触れません。というのは、いろいろな問題を掘り返してみても、もちろん、これは掘り返す必要もありますし、また明らかにし、いろいろ追及をしなくちゃいけませんけれども、むしろ大事なのはこれからどうするか、国民の信をつなぎとめるためにどうするかというこれからの方法、これまた大切だというふうに思います。
 そこで、総裁にお伺いしますけれども、この新聞記事に、公社側が超勤の実態のつかみ方を改善し、超勤手当は実績に応じて毎月支払うようにするというふうなことを公社側で発言をされておるようでありますが、具体的にこれからどういう方法でどういう手段でこの超勤の実態をつかもうとされておるのか、これをお伺いしたいと思います。
#243
○説明員(泉美之松君) お答えいたします。
 私ども専売公社におきましては、従来、始業前あるいは終業後いわゆる端数の超勤問題というのがあったわけでございます。本来、超勤というのは一時間とかあるいは三十分という単位で命令権者が超勤命令を出しまして、超勤をする者がそれを承ったという判を押して行うのが普通でございますけれども、始業前あるいは終業後、その日の機械の調子が悪かったからある程度直すとか、あるいは始業前に始業のための準備を行う、こういうことで+分とか何かの端数の問題があったわけであります。
 本来ならば、それぞれにつきましてその実態を確認いたしまして超勤として支払うのが筋でございますけれども、そういう端数の時間があったものでございますから、一々細かく確認しないで、労働組合と話し合って本年度は何時間分そういう端数の超勤として払おうということで払ってまいったのであります。
#244
○井上計君 これからの問題でいいです。過去は……。
#245
○説明員(泉美之松君) したがって、いわゆるカラ超勤と言われるのは私どもは心外に存じております。ただ、正確に言うと、必ずしもその支給した時間数と実際行った超勤時間数とが合わないという問題がありますので、その合わない分についてはいわばカラ超勤と言われてもいたし方ないものでございますが、その数字はきわめて小さいものと思っております。
 それで、いまお尋ねの今後のやり方でございますが、今後は毎日その端数の超勤の実績を確認しておきまして、それを帳簿に載せておきまして月ごとに翌月支給する、実績に基づいて支給する、こういう方法に直していこうという考えでおるわけでございます。
#246
○井上計君 総裁がカラ超勤とは心外だと言われましたけれども、しかし、別にあえて言うつもりはなかったのですが、総裁が衆議院の予算委員会で公明党の柴田委員からのカラ超勤だという指摘に対して、そう言われても「やむを得ない」、このように答えておられますからカラ超勤ということで方々で言われておるのだと、こういうことだと思う。あえて私はカラ超勤だとは言いませんけれども、そういうことであるわけです。
 そこで、いま端数まで十分にこれから実態をとらえてということでありますが、お説わかりました。問題はそういうふうないわば端数時間までをだれがどのようにしてとらえるのか、具体的にお聞きしたいと思っておりましたがまだそこまで御検討がないようですから結構です。
 そこで、総務長官にわざわざお越しいただいているので一言お伺いしたいと思うのですが、いま公務員の登庁時間、退庁時間の掌握といいますか、そのようなものはどういう方法でされておるのですか。
#247
○国務大臣(小渕恵三君) 大正十一年の閣令によりまして決まっておりますので、そのことに対して公務員の皆さんが出勤簿によりまして出庁、退庁がなされておるわけでございます。
#248
○井上計君 その出勤簿が全くでたらめであって、何時に来て押そうとも、あるいは何時に帰ろうとも、はっきりそのようなものが恐らくこれはもう各省庁とも掌握をされていないと、こう聞いておるんです。だから、言えば実働八時間が、現在実働七時間ですか、実際には五時間の人もあれば四時間の人もあれば、十時間の人もあるというのが現在の、これは仕事の性質上やむを得ないかとも思いますけれども、そういうのが実態だというふうにこれは伺っております。これらの点もやはり私は何らかの方法で時間厳守ということを掌握をすることをぜひお考えをいただきたい。これは所管がどなたか知りませんけれども、それもひとつお考えをいただかなくちゃいけないというふうに思います。この問題はまだいろいろと詰めていけば、民間の企業のようにタイムレコーダーを入れたらどうだというふうな意見もありましょう。そうなってくると大蔵大臣の所管でしょうが、予算がないとかというふうな、あるいはある程度の予算を費やしても、むしろそのような方法をとることによって時間厳守ということにした方がいいといういろいろな意見もあると思いますけれども、やはり私はそういうふうな問題も綱紀粛正という中ではやはり考えていただく必要があるというふうに思います。これはお答えは要りませんが、またひとつ御検討いただければというふうに思います。
 そこで、もう一つ私は考え方の問題として、全部の方がそうだとは決して言いませんけれども、だれが自分たちの雇用主であるのか、まあちょっと表現がおかしいですがね、公務員として何を使命感と考えておるのかというふうなことについても大変欠如しておる方が多いのではないかという気もするんですね。自分はだれにも使われているんじゃないのだと、したがって、上司の指示にそれほど従う必要ない、何も上司の顔色を見て出勤、退庁を考える必要ないというふうな考え方、これまた多いのではなかろうかというふうに思います。信賞必罰というのがほとんど行われていないというふうに思うのですが、そこで人事院総裁にお伺いいたしますが、懲戒免職あるいは懲戒解雇等、これはどのような場合にこれが適用されておるのか、簡単で結構ですからお願いをいたします。
#249
○政府委員(藤井貞夫君) ごく簡単に申し上げますと、国家公務員法に懲戒の規定がございますが、これは先生御承知のように、大きく言って三つの場合を規定いたしております。法律及びこれに基づく命令に違反をした場合。それから職務上の義務違反、それから職務懈怠。それからもう一つは、国民全体の奉仕者としてふさわしくない非行と、この三つの場合につきまして懲戒権の発動がなされるということになっておりまして、この懲戒権の内容は四つに分かれておりまして、一番シビアなものが免職であるということは、もうこれは御承知のとおりでございます。こういうのは、これはやはり法律のたてまえから申しまして、公務員の本質から申しまして、やはり厳正にやってもらわなきゃならないというたてまえに出ておることでございまして、いま御指摘になりましたように、私は常日ごろ思っておりますが、やはり公務員というものは国家に雇われておるのであるし、また、それは国民にかわって国家が雇うんですから、その源泉はやはり国民だと。したがって、全体の奉仕者として勤務しなければならなぬ、こういう観念に徹しなければならぬ。すべてはそこに胚胎をしてきておるのではないだろうかと思います。
 そこで、そういう非違行為があった場合には懲戒権が発動されるわけですが、これは大変千差万別でございまして、内容も大変多種類にわたっております。したがいまして、各懲戒権者でありまする、任命権者である各省庁、その他委任を受けた者は、その非違行為の内容、性質に応じて適正な判断、あるいは従来のいろいろ前例等との均衡の問題等もございます。社会的なやはり一つの反応というようなものについてもこれは無視できないという問題もございまして、それらの点を厳正に配慮しながら懲戒権の行使をやっておるということでございますし、今後ともその基本的な線は私どもといたしましても十分配慮して貫いてまいることが必要ではないかと、かように思っております。
#250
○井上計君 まあ具体的にお聞きをしたかったわけで、もっと具体的に聞きたかったんです。
 そこで、じゃ人事院総裁ね、具体的に一つの例を挙げてお伺いしますが、仮に無断欠勤――無断欠勤という内容がまた若干異なると思いますが、要するにどっかへ遊びに行ったと、一週間無断欠勤した場合にはどういう懲戒権が発動されるのですか。それからもう一つ、もう連日のように三十分、一時間以上の遅刻をしておるという場合、これがもう十日も半月も続いておると、理由なく、そういうふうな場合にはどういうふうな懲戒権が発動されるんですか。
#251
○政府委員(藤井貞夫君) いま具体的にお尋ねがございましたのでお答えを申し上げておきますと、無断欠勤を理由として懲戒処分をいたしました例はたくさんございます。調べましたところでは、昭和四十九年から五十三年までの過去五年間で千三百件が無断欠勤を理由として懲戒処分を発動いたしております。その種類別の内訳は、免職が十四件、停職五十九件、減給五百十二件、戒告七百十五件というふうに相なっております。したがいまして、大変こうひどいものは、無断欠勤でも長期にわたったり、その態様がきわめて悪質であるといったものは免職にいたしておりますし……
#252
○井上計君 これは一週間でですか。
#253
○政府委員(藤井貞夫君) 一週間の場合でも免職の場合があり得ます。
#254
○井上計君 事実ありますか。
#255
○政府委員(藤井貞夫君) いままでの……
#256
○井上計君 事実ないでしょう。
#257
○政府委員(藤井貞夫君) 例では……
#258
○井上計君 一週間では、ないでしょう。
#259
○政府委員(藤井貞夫君) 一週間の例につきましては、いまなお調べてみますが、私の手元にございますものは、それよりももう少し長期にわたる無断欠勤というものに相なっております。したがいまして、一週間程度といって、これも悪いわけですが、そういった場合には、やはり過去に例が仮にありますれば、それについては厳重に注意をしてやっておくと。それにもかかわらずなおやるという場合が出てくれば、たとえ一週間でも私はやはり免職の対象になり得ると、かように考えます。
#260
○井上計君 遅刻の場合、連続遅刻。
#261
○政府委員(藤井貞夫君) 遅刻の場合は、これも余り連続してなされた場合においては免職辞令を発令した件が全然ないわけではございませんが、事柄の性質上から言いまして、大体その場合は減給とか戒告という対象になっておる者が多いようでございます。
#262
○井上計君 いま伺いまして、実は私が聞いた範囲では、一週間や――これはその何回も何回も、もう始終繰り返されておるという場合は別ですけれども、普通一週間ぐらいの無断欠勤では免職なんということは事実上全くないと。事実、私いろいろ調査をした資料をいただいていますけれども、各省庁ともこの四、五年間の間に懲戒免職というのは非常に少ないですね、全体の〇・五%ぐらいしかないですよ。そんなのから考えましても、細かい資料は結構ですから、これ以上お伺いしませんけれども、やはり大変ルーズになっておるということは事実だと思うのですね。いま総裁言われたように、本当に厳格にこれをおやりになったら三分の一ぐらい懲戒権を発動するようになるんじゃないですか。いま実態はそれほどやはり乱脈をきわめておるといううわさもあります。事実かどうかは別としてね。だからやはりもっとこれらの点について信賞必罰ということで、もっとやはり人事院もあるいは総理府も、さらに総理も、ひとつ十二分にお考えをいただく必要があるのではなかろうかというふうに思います。ただ単に綱紀粛正、綱紀粛正と言って、済んだことを――もちろん、これをいろいろと追及することも大切ではありますけれども、これからの問題として、そういうことについてもっと毅然たる態度、指示、監督をお願いをいたしたいというふうに思います。
 それから次に、公務員の六十歳の定年制が近く審議が始まるわけでありますけれども、ところがすでに六十歳の定年制実施は首切りであるという、ふうなことから反対運動が起きておるように聞いております。新聞報道にも出ております。そのほかにも、この六十歳定年制の反対のほかにも、高齢者の定昇ストップ反対、年功賃金体系改悪反対、共済年金制度改悪反対、国家公務員等退職金手当法改悪反対というスローガンがちまたに大変いま見受けられるようになりました。これらのものは、その反対する人たちの理由は私は理解できないとは言いませんけれども、しかし、これまた全くおかしいというふうな論理なんですね。だから、言いかえますと、民間より悪い待遇、労働条件については民間並みにしろという要求があって、民間よりかいい条件等については既得権だとして絶対に侵すべからずと、こういうふうな考え方が最近特に強いのではないかというふうに私は考えますが、これらについてのお考え、御所見、それからさらに今後それらの人たちに対する説得の仕方、臨み方を総務長官どうお考えであるか、さらに総理どうお考えであるか、お聞かせをいただきたいと思います。
#263
○国務大臣(小渕恵三君) 政府としては、御指摘ありましたように、公務員の退職手当の見直しあるいは定年制の導入等につきまして人事院からの書簡等もありまして取り組んでおるわけでございます。これに対して、委員御指摘のように、種々すでに御議論がなされておることも承知をいたしております。しかし、これは法定すべきことであり、国民の皆さんの税金によって公務員の処遇が、源泉が定められておることにかんがみまして、十分国会で御審議をいただきまして国民の理解と協力が得られるように考えてまいりたいと思っております。現在法律を提案をいたしておりますので、速やかなる御審議をお願いいたしておるところでございます。
#264
○国務大臣(大平正芳君) これからわれわれ考えなきゃいかぬことは、高年齢社会に急速に突入してまいるわけでございますので、そこでの高年齢者の生活を保障して差し上げなければいかぬわけで、それは働く者が何らかの形で負担していかなければいかぬ要請が強まってきておると思うのでございます。また官民の間はもとよりでございますし、また官庁の中におきましても公平でなけりゃならぬという要請もあるわけでございまして、そういった点につきましては、皆さんの理解を得ながら厳しく貫いてまいりまして、時代の要請にこたえるように政府としてはがんばらなければならぬと思っております。
#265
○井上計君 最後に、これは総理にまた大変御無礼なお尋ねになるかと思いますが、先月、二月十四日の当委員会で、私は、政治家は先憂後楽の精神をというふうな点から、総理がひとつ率先垂範という意味で総理が受給しておられますところの恩給を国会議員として在職しておられる間辞退をされることについて御検討をという御提案を申し上げました。それにつきまして総理から、「政治に対する信頼の問題、あるいは年金制度の存続問題、そういった関連から、いまの御提言のありましたようなことは考慮に値する御提言であろうと私は感じます。」という御答弁をちょうだいしておりますが、その後この問題につきまして御検討されましたかどうか。私は、願わくば総理がこの総理の御検討の結果を御発表いただくことが政治不信を解消するためにもまた綱紀粛正のためにも私は必要であろうというふうに考えております。
 それからついでに時間ありませんのでもう一つ。これは全く個人的な私の意見ということでお聞き取りいただいて結構でありますが、総理は、きのうも閣議で、焼け太りやあるいは看板の書きかえのないように配慮して行政改革を徹底的にやるようにという御発言をされたように新聞報道されております。そこで、私は国民の中にあります声を代弁という形で申し上げますけれども、行政改革が非常にやかましく言われておりますけれども、国会の行政改革というのは全く実は国会の中で審議をされない、あるいは話題に上らぬという問題もあると思うのです。国民の中には国会議員の数が多いという意見も実はあるわけですね。多いかどうか私自身は申し上げませんけれども、仮に国会の行政改革という考え方でまいりますと、よく言われておりますところの議員の定数是正、定数是正と言えば、従来すべて数をふやすことが定数是正だという考え方がありましたが、数を減らすということも私はこれまた定数是正という考え方の中にあってもいいんではないかという感じがします。時間がありませんので以上でやめますけれども、ひとつ最後に、それらの大変むずかしいお尋ねでありますが、御所見を伺いたいというふうに思います。
#266
○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問でございますが、私は恩給を年額八十九万九千円余り受給いたしております。井上さんの御指摘もありましてその後いろいろ考えたわけでございますが、辞退をすべきじゃないかといろいろ専門家とも相談してみたんですが、恩給法上、辞退いたしますと、今度復活――妻子が路頭に迷いましても復活できないそうですね。それで、こいねがわくは恩給受給権は行使してもらいたいというのが、恩給局なんかの考え方もそのようでございますので、私は約九十万円ちょうだいいたしておりますので、これは私が自分でそれに頼らなくとも生活ができる間は何か社会公共のために寄付すべきであると存じまして、社会福祉法人の母子愛育会というのに五十四年度分として九十万円を三月十二日に寄付させていただきまして、これも毎年度私が能力のある間はやらしていただきたいと考えております。
 それから第二の問題でございますが、行政改革の問題は、行政府の問題としていま御論議をいただいておるわけでございますが、ここに国会もまた、国会が率先をしてやっていただくということになりますと、これは一段と促進されるわけでございます。政府といたしましては、国会もまたこの問題について真剣に御検討いただきたいものと強い希望を持っております。
#267
○委員長(山内一郎君) 以上で井上君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#268
○委員長(山内一郎君) 次に、秦豊君の質疑を行います。
#269
○秦豊君 最初に総裁としての総理につかぬことを伺いますけれども、いまの自民党の党紀委員長はどなたですか。
#270
○国務大臣(大平正芳君) 参議院議員の新谷さんでございます。
#271
○秦豊君 さすがによく御存じだと感心をいたしました。きょうは時間が余り大した時間じゃございませんので、あなたにだけ一つ二つ伺いたいことがあります。
 このところ福田元総理、三木元総理、一連ずうっと歩いていらっしゃる。さまざまな要望はマスメディアに載っています。それを通じて知っているのですけれども、いま総理は、K・ハマダ、公的には浜田幸一代議士ですが、確かに頭が痛い、けじめのつけ方、タイミングで苦慮している、だが努力すると。これは私は当然の苦慮だと思うのですけれども、私がきょう提案したいことは、たとえば航特であるとか国会のしかるべき場に喚問云々となると国会次元の問題になる。私が総裁としての総理につくづくと心から申し上げたいことは、国会の喚問以前に総裁としてなすべきことがおありではないかという前提で伺いたい。けじめのつけ方がおありじゃありませんかという点を私は御提案申し上げたいんですがね。
 そこで、党紀委員長のお名前は御存じだから当然構成も御存じでしょう。私は自民党の党則をちょっと拝見しまして、なかなかこれはいいことを書いてありますね、よくできている。ただ、その実行が伴っていない。たとえば浜田幸一氏によりますと、ロッキード事件には全く関係がない、こうおっしゃっている。総理は、本人が関係がないと言っているじゃないか、これでとまっているわけです、事はラスベガスの四億五千万にとどまらないで、もっと根源的な国会議員としての品位、あり方あるいはあるべき姿、これにかかわるんじゃないでしょうか。まずその点について伺いたい。
#272
○国務大臣(大平正芳君) 浜田さんの場合、いま確かな事実を確認いたしておりませんので、一般論として秦さんの御質問に答えますと、そのとおりだと思います。
#273
○秦豊君 そこで、タイミングで苦慮する、これはもちろん選挙前であることは絶対条件ですよね。違いますか。
#274
○国務大臣(大平正芳君) 選挙はわれわれ非常に大事なことと考えておることはもとよりでございますけれども、こういうむずかしい問題の処理につきましては、どういうタイミングにおいて、どういう手順で問題に対応していくかということは一般的に非常に大事だと心得ております。
#275
○秦豊君 じゃ、総裁、こういうふうに伺ったらいかがでしょうか。おたくの党則では、九十七条は、「党の規律をみだす行為」、「党員たる品位をけがす行為」、「党議にそむく行為」、これが罰に値すると、こうありまして、別に定めた賞罰規程では、同じく「党員たる品位をけがす行為」、「汚職、選挙違反等の刑事事犯に関与した行為」、あとは「暴力行為」等となっているのですが、宇野早代議士といい、あるいは浜田幸一代議士といい、まさにあなたが総裁として執行の最高責任者にあられる。賞罰規程あるいは党としてのいわゆる党規、これの私が朗読をした個所、たとえば「品位をけがす行為」、これに該当するとはお考え
 になりませんか。
#276
○国務大臣(大平正芳君) 党則におきましては、御指摘のように、規律違反とか品位にもとるとか、あるいは党議違反とかいうようなことが書かれてあるわけでございまして、それはそのとおりでございますが、その前提といたしまして、私が先ほど申しましたように、具体的な事案につきましては、その事実、事実が確認されて、それを踏まえて提起されなければならぬわけでございますが、いまの場合におきましては、それがこうだというようにまだ私も十分に掌握できていない、ほかの党紀委員の諸君もそうであろうというのがいまの状態でございます。
#277
○秦豊君 一代議士が仮に児玉譽士夫という人物に対して先生と呼び、小佐野賢治という、いま一被告であるが、この男に対して、おやじと呼ぶことは自由です。すべて自由です。しかし、いやしくも有権者の信を得て国政に参加している者にとっては、証人喚問云々じゃなくて、おのずからその前に律すべきことが事実としても、あるいは他者からもあり得る、それが自民党の場合にはぼくは党紀委員会ではないかと。いま答弁を伺っていると事実関係が明らかでない。
 じゃ、こう伺いましょうか。総裁として総務会あるいは党紀委員会に諮問をされて、浜田、宇野両代議士については一体事実関係がどうであったのかと、宇野氏の場合にはすでに司直の手が入っていますけれども、まずお調べになってみてはいかがです。真相がわからない、本人が否定している、これでは永遠の平行線ですよ。じゃ、積極的に総裁としてお調べになるおつもりはないんですか、党内の機関で。
#278
○国務大臣(大平正芳君) この種の問題につきまして一番大事なことは、問題になっておる御本人が、政治家として、また人間としてどのようにお考えになられるかと、どういう判断を持たれるかということだと思うのでございまして、他からとやかく言うことよりは、やはり一番大事なことは、御本人の判断というものだろうと思うのでございます。こいねがわくは、すべての問題が党規だの党紀委員会の問題とかなんとかいうことではなくて、御本人の分別において問題が処理されるということが一番望ましいわけでございまして、私は、浜田君――K・ハマダが浜田さんと同一人物であるかどうか、まだ確実だということは聞いておりませんけれども、しかし浜田さんがいま問題になっていることは事実でございますが、浜田幸一君も御自分としてはいろいろ深い苦悶をされておるに違いないと拝察いたします。したがって、私、この問題につきましては、いま党紀委員会の問題として党が取り上げるということにつきまして、材料がそろっていないばかりか、タイミングと申し上げましたのは、もう少し、御本人がお考えいただいておることでございますから、いま党でこれを取り上げるというタイミングとして適当でないんじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、何も臭い物にふたをしろとか、こういう問題を不問に付しろとかなんとかいうつもりはないわけでございまして、問題をどのように解決するのが民主政治のあり方として正しいんだろうかと、党のあり方として正しいんだろうかというようなことについていま思いをめぐらしておるというように御理解をいただきたいと思います。
#279
○秦豊君 それじゃ総理、あれですか、宇野氏の問題については司直の手にゆだね、それをもって足れりとなし、K・ハマダ――私は浜田幸一氏だと思いますが、この問題は御本人が役職を、党の役員を、運動本部長をやめられたから、それでもう十分と、こういうお考えですか。
#280
○国務大臣(大平正芳君) 司直の手にゆだねてあるからいいとか、運動本部長をやめたから十分であるとか、そういうことは毛頭考えていないわけでございまして、この問題の処理は政治の立場でもっと厳正にやらなければいかぬと思っておりまするし、御本人もまた私は十分政治家としてお考になっておられるのではないかと思います。
#281
○秦豊君 あなた方の賞罰規程には、国民の信をつなぎとめるためにとりっぱなことが書いてある、前文においてね。あなたのおっしゃっていること、あなたがじんぜんとして日を過ごされること、このことはとりもなおさず有権者の皆様からする政治に対する不信、疑惑、おっしゃった言葉をそのままお返しすれば、臭い物にふたをしていらっしゃるのはあなたですよ。違いますか。
#282
○国務大臣(大平正芳君) 大変御性急なお話でございますが、いま党といたしましても本人といたしましても、この問題につきましてはいろいろ苦吟を重ねておるところでございます。秦さんの御指摘をまつまでもなく、政治というものの信頼を回復しなければならぬということは、あなたに劣らず私も心配をいたして苦慮いたしておるところでございまして、この問題をいまの段階で、こういうやりとりを通じて、あるいは党規の条章に照らしてとかいうような処理の仕方をいまするということにつきましては、私どもまだ十分熟していないわけでございますので、われわれいまこれについて何もしてないというわけではないのですから、もう少し時間をかしていただかなければならぬのではないか、大事な問題でございますので、仕上をりっぱにするためにはもう少し時間をかしていただきたいと思います。
#283
○秦豊君 やっぱり総理・総裁、大変私は残念だと思います。政治に対する信をつなぎとめねばならぬという点では私と総理とは共感をし合っているわけでありますが、方法論においては無限の隔たりがある。それは性急じゃないと思うんですよ、常識的な感覚じゃないかと私は思うんですよ。だから、あなたの選択の中には、いまは苦渋に満ちた顔をしていらっしゃるし、いまはなるほど足を一歩前にはむずかしいかもしれないが、あなたがこれから党の自浄能力、あるいは信をつなぎとめるための幅の広い多様な選択の一つとして、自民党みずからが姿勢を正すことの一つとして、証左として、宇野、浜田問題については何らかのもっと積極的なアクションを起こされるおつもりはあるのかないのか、また、その選択の一つに、党紀問題を含めてあり得るかどうかだけを伺って終わりたいと思います。
#284
○国務大臣(大平正芳君) あなたも政治家として、政治に対する信頼を回復する立場から御質疑をいただいておるわけでございますが、私はいま政権を預かる非常に重い立場にあるわけでございまして、あなたに劣らず重い政治責任を感じてこの問題の処理に当たっておるということから御理解をいただきたいと思います。
#285
○委員長(山内一郎君) 以上で秦君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#286
○委員長(山内一郎君) 次に、青島幸男君の質疑を行います。青島君。
#287
○青島幸男君 綱紀粛正に関しまして二、三御質問申し上げますけれども、まず政治家自身がえりを正すという立場で始めなければ目的を遂げることはできないというふうに総理も当然お考えになると思いますが、公務員も含めまして、この程度ならいいだろうという程度の問題がだんだんと高じて、先ほど来当委員会で問題になっておりますように、通常のつき合いの範囲でこの程度ならいいだろう、あの程度ならいいだろうと言われていたのがだんだんマンネリ化して、罪の意識も軽くなってきて重大な間違いを犯したということにつながっていったと思いますけれども、こういう倫理の問題につきまして、法で縛るというようなことは大変私は情けないことだと思うんですね。いつも総理もそのように委員会なんかを通じておっしゃっておられます。モラルの問題を法で律するのは大変不愉快なことだし、でき得ればモラルの確立がより望ましいのはもちろんなんですけれども、しかし、法的にぴしっと縛るというようなことはお考えになれませんでしょうかね。たとえば公選法ではどんなに好意からであっても、あらゆる理由を通じて選挙区に寄付してはならないことになっていますね。しかも罰則規定も設けています。こういうふうに、たとえお中元であれお歳暮であれ、この程度ならいいだろうというところから始まるんだから、一切ならぬというようなことを法制化してしまうというようなお考えはございませんでしょうか。その辺からまずお伺いしたいと思います。
#288
○国務大臣(大平正芳君) あなたの仰せになるとおり、行政の綱紀を正す、政治の倫理を立てていくということを法律によるというようなことは恥だと思うのでございまして、やはり自発的に法律によらないで処理しなければいかぬと存じます。行政府におきましても、したがって、去年の暮れ以来、最近惰性が出てまいりまして、相互の接待でございますとか贈答でございますとか、パーティー券とかいろいろなことが出てまいりましたので、これは一切ともかく理由のいかんを問わずやめろというように申し合わせをいたしまして、いま厳重に実施しているわけでございまして、これは法律によらぬでやっておることでございまして、私は、いま政府部内では特殊法人も通じまして厳重に守っていただいておるものと確信をいたしておるわけでございます。政治の面におきましても、政治家自身がどのように身構えて対処するかということが法律を改めるよりは大事だと思います。といって、しかし法律を立法政策としてちゃんとしておいた方がいいという考え方もまたこれは捨てがたいものがございまして、公選法の問題とか政治資金規正法の問題とか刑法でございますとか、そういうようなものも、いま御検討いただいておりますこともそうでございまして、しかし、それの方が重くて非法律的な行政的な措置の方が軽いというようには考えませんで、法律によらないで、できるだけつついっぱいやってみるということの方が私は大事だと思っていますが、法的整備もまたおろそかにしちゃならぬと考えております。
#289
○青島幸男君 閣議でお話し合いになられたり通達を出されたり申し合わせをなさったりという御努力は私も伺っておりますので、認めないわけではございません。しかし、それが実効がなかなか上がらないというので苦しいお立場に立たされておいでになるのも承知しておりますのでそういうことを申し上げるわけですけれども、いまパーティー券の問題が総理から出ましたけれども、パーティー券も最初は知り合いが相集って激励をするというようなかっこうで本来的な意味がありましたが、現行を見ておりますと、ただただ政治資金を集めるために膨大な数のパーティー券を会場のキャパシティーをやたらオーバーするような数をまいたりしている目に余る状況がありますね。しかも、それを関係各界を通じて企業に押しつけるというようなことが重大な問題になって、これが企業との変な癒着を生んだりするということなんですけれども、これがいまみたいな状態になっていますと、いまの申し合わせとか通達ぐらいではなかなかどうも防ぎ切れない状態になっておるんではなかろうかという気がするわけです。
 いまの御答弁ですと、必ずしも法制化は全くだめだというふうにおっしゃったように私は受け取らないんです。あるいは検討の余地もあるというふうにお考えになっていらっしゃると解釈してよろしゅうございましょうか、その点だけ、一言で結構でございますが。
#290
○国務大臣(大平正芳君) いまのパーティー券も、政府と政府機関の内部での公的資金によるものというものを、理由のいかんを問わず、社会的な交際程度のものも含めて全部やめろということにいたしたわけでございまして、政府がやれることはいまはそこまででございまして、あとの問題は、つまりそれじゃ政治家が励ます会をやる場合にどこにパーティー券をお願いするかというところまでまだ政府が決めるわけにいきませんので、これは各政治家の分別によってやられることだと思いますが、あなたが言われるように常識的な節度のあるものであって私はほしいと思っております。
 それから法制化の問題でございますが、私は法制化の必要も感じますがゆえに、公選法にいたしましても政治資金規正法にいたしましても、いま改正の準備をいたしておるところでございまして、少なくともそういうことによって綱紀を正していくことに効果があるものであれば何でもやっていかなければいかぬという気持ちに変わりありません。
#291
○青島幸男君 わかりました。
 ついでにお尋ねいたしますけれども、政治家が行いますパーティーの収入に関して、大蔵大臣に今度はお尋ねしますけれども、課税処置の方はどういうことになっておりますか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。
#292
○国務大臣(竹下登君) 大体聞いておりますが、正確を期するために事務当局から正確に答えます。
#293
○政府委員(磯邊律男君) いわゆるだれだれ先生を励ます会といった会があるわけでございますけれども、この励ます会の性格そのものは、私たち税法で言いますと、人格のない社団ということになっておるわけでありまして、この人格のない社団につきます課税につきましては、法人税法の第七条によりまして収益事業に係る収益以外は課税されないということになっておるわけであります。したがいまして、まず第一段階におきまして、その励ます会そのものについては、パーティー券の売り上げとそれから実際に支出いたしました費用の差額がありましても、それに対して税金がかからない。それから、そのいわゆる収益といいますか、その差額をだれだれ先生の方にお渡しになりますと、これはだれだれ先生にとりましては、やはり一般の法人とかあるいは個人の方から政治家に対するいわゆる政治献金と同じような形で政治資金として入ってくるわけでありますから、そうしますと、政治家に対しますいわゆる政治資金課税の中に入ってまいりまして、政治家としていろいろな政治活動されましたその費用の残りがございました場合には、その段階で雑所得として課税になってくる。こういったことでございますけれども、通常そういった政治献金というものはほとんど政治活動のために支出されまして差し引きゼロになるというふうな状態でございますので、ほとんどこれによって課税されるというようなことは余りないというのが実態でございます。
#294
○青島幸男君 わかりました。
 そうなりますと、実は政治家の個人献金の問題が政治家の綱紀粛正の基本問題につながると私は思っておりまして、再三機会があるたびに御質問申し上げておりまして、前回も、過日、本会議場で大蔵大臣にこの問題をお尋ねいたしまして、大蔵大臣にもせっかく御丁寧に御答弁をいただいたのですけれども、答弁を要約いたしますと、私の質問に対しまして、税法上の特別な提出義務を政治家に課しますと、税法そのものは一般国民と同一のものですから国会議員だけ差別的な扱いになりはしないかという御答弁をいただいたのですけれども、実は私が御質問申し上げたことは全く反対のことでございまして、一般の納税者の方でも雑所得がございました場合、それに見合った必要経費を除きまして残った分を収入として報告するわけですけれども、その雑所得の必要経費の分につきまして詳細に査定を受けるわけですよ、一般の方は。ところが国会議員の場合は、受けた個人献金を政治資金に全部使った、政治活動に使ったと一行書けば一切細かい項目は不問に付されるわけですね。そこにきわめて基本的な問題があるわけでして、実はそこが大臣と私と見解が全く裏返しになっている。国会議員だけ特別に優遇されているということになっているわけですよ。ですから、法はすべての人間に平等に行われなけりゃならないわけですから、国会議員だと政治活動に使ったと言えば一切不問に付される、一般の方だと、やれ何に使った、かにに使ったと必要経費の項目を挙げなければ認められないというのはおかしいんじゃないか。ですから、政治活動に使ったんだから一切不問に付されるという慣行がありますので、何億集めてもその金は政治活動に使ったんだ、差し引きなしだ、むしろ赤字が出たぐらいだから申告しない、これで済んでしまうわけですね。ですから、いままでは賄賂だったのか政治資金だったのかの区別がつきませんので、追及の手だてがなかったからいままで放置されてきたわけですね。これが政治家の綱紀の紊乱を生んでいた基本的な問題なんですよ。ですから、その見解の相違をいま改めて私申し上げましたので、御検討いただきたいと思いますし、御答弁いただきたいと思います。
#295
○国務大臣(竹下登君) 確かに、いわゆる法のもとに差別が生ずるという認識が裏返しなんですね、青島さんと私とは。
 そこで、私は、政治家という者に限っていわゆる雑所得の中身を義務づけるべきであるというあのとき御質問であったと思いますので、したがって、それをやることは、政治家なるがゆえに雑所得の内容を報告しなければならないということにしたならば、そのものが税法上の不平等をもたらすと同時に、一方、いわゆる税務上の守秘義務というものがあるから結局それは守秘の中に入ってしまうので、やはり基本的には政治資金規正法の範疇の中で解決すべき問題ではないか、このような趣旨のお答えをしたのです。その後も市川先生からその種のお話がありまして、何回かそういう議論をしておるのですが、基本的なスタンスは、その認識においては確かにうらはらの認識にあるということを私も認めながら私は私の見解を申し述べて、やはり政治資金規正法の範疇の中で処理さるべき問題ではないか、このように申し上げておるわけであります。
#296
○委員長(山内一郎君) 青島君、時間です。
#297
○青島幸男君 時間ですが、一問だけお許しいただきたいと思います。
#298
○委員長(山内一郎君) では、簡単に。
#299
○青島幸男君 この問題は、私の質問の仕方にも問題があったのかと思いますが、まだまだ大臣と私の間に行き違いがあるようなので、もう時間がございませんので次回に譲りたいと思いますが、私も検討しますので、もう一度御検討いただきたいと思います。
 それから、自治大臣が今回自民党にお申し入れになりました中に、やっぱりこの問題を含んで御検討いただいているようですし、そのことは大変な前進だと思いますよ。私、大変評価しておりますので、この方向で個人献金の問題が明朗化するような線で御努力いただきたいということを要望申し上げまして、大臣に質問はいたしませんけれども、終わります。
#300
○委員長(山内一郎君) 以上で青島君の質疑は終了いたしました。
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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