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1979/03/27 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第17号
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1979/03/27 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第17号

#1
第091回国会 予算委員会 第17号
昭和五十五年三月二十七日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     渡辺  武君     小巻 敏雄君
     市川 正一君     安武 洋子君
     秦   豊君     前島英三郎君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     秦野  章君     浅野  拡君
     竹田 四郎君     穐山  篤君
     森下 昭司君     田中寿美子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山内 一郎君
    理 事
                亀長 友義君
                下条進一郎君
                桧垣徳太郎君
                安田 隆明君
                栗原 俊夫君
                山崎  昇君
                原田  立君
                沓脱タケ子君
                栗林 卓司君
    委 員
                浅野  拡君
                井上 吉夫君
                石本  茂君
                小澤 太郎君
                金丸 三郎君
                熊谷  弘君
                鈴木 正一君
                竹内  潔君
                成相 善十君
                林  ゆう君
                真鍋 賢二君
                町村 金五君
                八木 一郎君
                山本 富雄君
                大木 正吾君
                勝又 武一君
                坂倉 藤吾君
                松前 達郎君
                吉田 正雄君
                中尾 辰義君
                馬場  富君
                渡部 通子君
                小巻 敏雄君
                安武 洋子君
                井上  計君
                前島英三郎君
                青島 幸男君
   国務大臣
       外 務 大 臣  大来佐武郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       厚 生 大 臣  野呂 恭一君
       農林水産大臣   武藤 嘉文君
       通商産業大臣   佐々木義武君
       郵 政 大 臣  大西 正男君
       建 設 大 臣  渡辺 栄一君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 伊東 正義君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       宇野 宗佑君
       国 務 大 臣
      (経済企画庁長官) 正示啓次郎君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       清水  汪君
       総理府総務副長
       官        愛野興一郎君
       総理府統計局長  島村 史郎君
       公正取引委員会
       委員長      橋口  收君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  伊従  寛君
       公正取引委員会
       事務局取引部長  劔持 浩裕君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  妹尾  明君
       行政管理庁長官
       官房審議官    中  庄二君
       行政管理庁行政
       管理局長     加地 夏雄君
       経済企画庁調整
       局審議官     廣江 運弘君
       経済企画庁国民
       生活局長     小金 芳弘君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
       経済企画庁総合
       計画局長     白井 和徳君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵大臣官房審
       議官       宮本 保孝君
       大蔵省主計局長  田中  敬君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  渡辺 喜一君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆司君
       大蔵省国際金融
       局次長      大場 智満君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       農林水産大臣官
       房長       渡邊 五郎君
       農林水産大臣官
       房予算課長    田中 宏尚君
       農林水産省食品
       流通局長     森実 孝郎君
       水産庁長官    今村 宣夫君
       通商産業大臣官
       房審議官     神谷 和男君
       通商産業省通商
       政策局長     藤原 一郎君
       通商産業省貿易
       局長       花岡 宗助君
       通商産業省産業
       政策局長     宮本 四郎君
       通商産業省基礎
       産業局長     大永 勇作君
       通商産業省機械
       情報産業局長   栗原 昭平君
       通商産業省生活
       産業局長     児玉 清隆君
       資源エネルギー
       庁次長      古田 徳昌君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  安田 佳三君
       中小企業庁長官
       郵政大臣官房長  左近友三郎君
       郵政大臣官房電  小山 森也君
       気通信監理官   寺島 角夫君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   神保 健二君
       郵政省郵務局長  江上 貞利君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第四局長   岡峯佐一郎君
       日本電信電話公
       社総裁      秋草 篤二君
       日本電信電話公
       社総務理事    長田 武彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算、昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は、お手元の質疑通告表のとおり、物価等に関する集中審議を行います。
 それでは、これより質疑を行います。大木正吾君。
#3
○大木正吾君 最初に、政府が十九日に決めました総合物価対策のその後の成り行きについて、私の感じ方なんですが、余り成果が上がっていない、こういう感じがするんですが、それについて企画庁長官と大蔵大臣の御見解をいただきたいと思います。
#4
○国務大臣(正示啓次郎君) お話しのように、先般十九日に物価問題関係閣僚会議を開きまして、この四月から電灯、電力、ガス、この非常に大事な公共料金の改定が実行に移される、こういう情勢を前にいたしまして政府の総力を挙げての総合物価対策を御決定いただいたわけであります。たまたま日本銀行も時を同じゅういたしまして史上最高の公定歩合の引き上げを実行される、こういうことでございます。いま大木委員から効果が上がってないというふうな御印象をお述べになりましたが、私どもとしては、これは何としてもこの総合物価対策の実行によって、国民の皆さんあるいは経済界または労働組合関係勤労者の方々の皆さんが非常に心配しておられるインフレ、いよいよ防波堤を切って外国から押し寄せてくるインフレの波が国内にだんだんと激しく押し寄せてくると、こういう不安に対して最も強い施策として打ち出したわけであります。
 問題は、いま予算も御審議中でございますので、いよいよ財政――これは後で大蔵大臣からお述べいただくと思いますが、予算の実行等についてはっきりとした数字等入っておりませんけれども、しかし前文と各項目お読みいただきますと、まず「適切な総需要の管理」、こういうことを強くうたっております。これはいままではもっぱら便乗値上げというふうなこと、あるいは仮需といいますか、実需の伴わない仮需の抑制というふうなことに非常に力を入れまして、いわば思惑的な値上げというものに対する防止策に重点を置いてやってきた。これが今度は「適切な総需要が管理」、すなわち実際の需要は相当ございましても、これを時期的にもまた全体の数量的にも調節をすることによって外来のインフレを国内の要因に転嫁しないように十分配慮して財政、金融の運営に当たっていくと、こういうふうなことが非常に強くうたわれておることが第一の特徴として私は御理解いただけると思うのであります。
 それから、いままではやはり便乗値上げの防止というふうな消極的な対応であったのを生産性の向上によって吸収していくと、これは通産大臣、農林水産大臣等からも関係経済団体にも強く要請していただいておりますし、われわれも直接関係の方々にお目にかかってお願いしようと思っておりますが、本当にこの際こういう生産性の向上によって吸収していくということは、いままでも相当大きな成果を上げておりますが、これからが本当に大事な正念場に差しかかっておる、こういうことを第二に前文で強くうたい上げておるわけでございます。
 さらに進みまして、個別物資対策、これにつきましては通商産業省、農林水産省あるいはまたその他運輸省あるいは郵政省等関係諸官庁が打って一丸となりまして、中央、地方公共団体の総力を挙げてこうした大事な時期のインフレの、何といいますか、防御と抑圧、そういう態勢をがっちり固めたい、こういうことを打ち出しております。したがって、私はインフレ的なムードをまず払拭していただくというところから始まって、まあ心配をかけた電灯、電力、ガスも消費者物価への直接の影響はこの程度であるかと、さらにそれの間接的な影響はどうであるかというふうなことの具体的な考慮を入れてこれからの生活設計、経営計画、そういうものをお立ていただくという意味で、今回の総合物価対策は、やはり相当これはわれわれも全力を挙げてその実行に取り組まなければなりませんが、また国会の各党の御協力も得なきやなりませんが、私は、これでもって努力していけばわれわれの目標とするところは達成できるものと、かように考えておる次第でございます。
#5
○国務大臣(竹下登君) ただいまの経済企画庁長官からお話がありました当面の物価対策、特に私どもの方で公共事業の執行についての「抑制的な事業施行を図るものとする。」、これは五十五年度予算が成立するまでにまとめなきゃいかぬことだと思っておりますが、それについての物価に対する効果というのはその後期待できる問題ではなかろうかというふうに考えております。それよりも直接この当面の物価対策というものが、いわゆる為替市場の安定というものを目的としたものではございませんにいたしましても、総合物価対策は為替市場の安定にも資するということを期待してやったことは事実でございますから、それについて大木さんの御指摘のように、円レートが円高傾向にはないということはドルに対してはそのとおりであると思うのであります。きのうつくらせてみまして、円対策発表直前の二月二十九日のレートを基準といたしまして先週の月曜日からの動きを見てみますと、一応月曜日がプラス〇・二、十八日がプラス〇・四、十九日がプラス〇・三、二十一日が〇・三、二十四日が〇・二、二十五日が〇・三、二十六日が〇・三、二十七日が寄りつきがきょう二百四十九円二十銭ですから〇・二というようになっておりまして、これに比較してドイツ・マルクは五%から昨日は六・二%のマイナスになっております。それからスイス・フランは四・八からきのうが四・九、約五%のこれまたマイナスになっております。そうしてもう一つの見方として、アメリカのインフレ対策が発表されたときを視点に考えてみますと、日本の場合はマイナス〇・二からマイナス〇・一というところをずっとたどっておるわけであります。一方、ドイツ・マルクはマイナス二からマイナス三%までいっております。日本の場合は〇・一とか二でございますが、それからスイス・フランが大体マイナス一から一・九までいっておるわけです。
 そこで私も考えてみまして、いろいろな分析の仕方もございましょうが、結局ドルが国際的な通貨の中でドル高傾向になっておって、ドイツ・マルクとかスイス・フランの動きを見てみますと、アメリカのインフレ対策と日本の当面の物価対策、公定歩合の引き上げ等がちょうどカウンターパートみたいになって、したがって、まあ相打ちという言葉がいいのか悪いのか、それで比較的私はそれなりに安定的に推移しておるというふうに思えるではないかと。しかし、今後実勢として、これで私は妥当だとは思っておりませんので、なおのこと安定していってくれるではなかろうかということを今後に期待しております。ちょうどいまは相打ちになったという感じがいたしております。
#6
○大木正吾君 総合物価対策を発表された当時の各界の発言なり政府の一部の方の発言も、短期決戦型という話が少しく出ましたね。という点からいたしますと、竹下大臣、少し先走ってお答えいただいたのでございますけれども、国際問題と国内に分けまして今度聞いてみますけれども、アメリカのプライムレートが一九%から二〇%に迫っている勢いは、これは新聞報道でございますが、間違いないと思うんですね。それから同時に二百四十九円、けさの新聞ですか、ちょっと平均で十銭ぐらい出ていますけれども、そういった形は二百五十円を越さしたくないというところについては気休め的なものであったかもしれませんけれども、しかし戦後最高と言われる九%金利との関係では、私は二百四十円、二百四十五円ぐらいまではという期待をひそかに持っておったんですけれども、私の見方からしても少しく感応が鈍いと。同時にいまお出しになりました、たとえば西ドイツ、スイスの例がありましたが、これはその後国際金利競争ということもありましたけれども、いずれも金利は上げておりませんですね、この国はね。そうしますと、日本の円との関係では、幾らか向こうの方が分が悪いような感じは統計上出るかもしれませんけれども、金利を上げていませんからそういう結果になることは当然だろうという見方もできるわけです。ですから、この際私は国際問題としまして、やっぱり経常収支が赤字が相当百四十億ドルぐらいに行ってしまうかもしれないし、まあ言えば手持ち外貨が減ってしまっていきますからね。そういう点との関係からしますと、国際的に金利競争の中でもってアメリカがとった金融関係の政策、物価政策、同時に日本がとりました総合物価対策の、私は目玉とあえて申し上げたんですが、企画庁長官の管轄じゃありませんけれども、連動してやっていただいた日銀の方の公定歩合の方が影響は大きいわけでございますから、そういう点からしますと、国際的な面から見ても少しく期待外れの感はぬぐえない。こういうふうに見ておるんですが、軍事問題よりもむしろ経済問題に詳しい大来外務大臣、この辺の御感想いかがでしょうか、ひとつ聞かしていただきたいんです。
#7
○国務大臣(大来佐武郎君) どうも多少所管外のきらいがありますが、せんだってアメリカに参りました機会に、ミラー財務長官とかクルツニック商務長官とか、そういう方々ともお会いしましたものですから、やはりアメリカが三月十五日の総合対策をやりまして、これはドルを強める一つのファクター、要素になっていると思います。アメリカのインフレも御承知のように相当激しい、消費者物価で一月、二月年率大体一六、七%のインフレになっておりますし、消費者物価で言えば日本の方がずっとまだ落ちついておるわけで、アメリカの総合対策発表のときにわざわざ大統領は日本の卸売物価のことを、しかもこの一月二月の瞬間風速ですか、そういうのを挙げて、インフレはアメリカだけではないという演説をカーター大統領もしたわけでございますけれども、インフレの問題は、日本よりもアメリカの方が深刻だという印象を今度も受けてまいりました。ただ、今度の総合対策は相当広範な対策でございますし、何とかこういう対策を通じて来年に入ったころには一けたインフレにしたいということがアメリカの政策当局の目標のようでございますし、多分今度はある程度効果を示すのではないかと。このままほっておきますと、本当にスパイラルインフレーションと申しますか、物価が上がるものですから金で持っていてもしようがない、すぐ物にかえる。そういうような形で消費者金融などもすぐ金にかえて物を買うという傾向があるんで、これを大分抑えようとしておるわけでございますので、私どももアメリカのインフレ対策に今回は期待を置いておるわけでございます。
#8
○大木正吾君 大蔵大臣にあわせて伺いますけれども、これはいま国際問題少し触れたんですが、国内問題につきましてですが、物騒な記事がここ二、三日間続いておるんですけれども、これももっと敏感に反応してしかるべきではなかったかと思いますのは国債関係なんでございますが、けさの新聞の一部ですと、減額一兆八千億、そして運用部の方に七千四百二十億円ですか、持ち込むという話がぼちぼち結論を出さなければいかぬ、こういう記事もございますけれども、二重価格の問題でございますとか、整理基金についての限界あるいは店頭買いですね、そういったものを含めまして、ああいった高金利あるいは総合物価対策をやりましても全然国債が安定しないといいましょうか、国債市場が安定しない。これについては、私自身非常に国の財政の先行きについて心配をするんですけれども、大臣の顔を見ていますと、にこにこされているから御安心の模様なんですけれども、まあ内心はそうでもないと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか、これは大変な問題だろうと思うんですが。
#9
○国務大臣(竹下登君) 総括質疑のとき総理とこう隣に座っておりますと、寄りつきが何ぼだったか、午前中の終わり値が何ぼであったか、そして三時半、その日の終わり値が何ぼであったかということと、それから国債の価格と、これが絶えず心配で、メモをもらっては報告をしたりしておるわけです。私は、総合物価対策なりあるいは円防止対策を仮にもし行っていなかったらという点から見ますと、先ほど御指摘のように、まあスイス・フラン、ドイツで言いますと六%というと日本の円レートで言えば十五円ぐらい下がったということになりますと、そういう乱高下のうちへあるいは入るかもしらぬと。それが安定しておるというのがせめてもの気持ちの支えだなと。そして一方、今度は国債の価格ですが、ただこの国債の問題につきましては私ども大変心配しておるのでございますけれども、一つ言えますのは、当然のこととして物価上昇懸念の強まりとか諸外国の金利の上昇の要因に加えるに、金融引き締め下で短期金利の急騰が生じて、要するに買い総手控えという状態でございますことが一つと、それからもう一つは金融機関の期末決算日を迎えたことによって一時的に期末決算の問題からして非常に薄商い、一日たとえばたった一件とか二億円とかいうようなことがあるんです。そういう売り手も少なく買い手は全くないというようなところで私は値下がりが生じておるというのも一つの原因ではなかろうかと思います。しかし、いずれにいたしましても、先ほど御指摘があった二重価格等の問題を考えてみますと、その間にかなりの乖離があると聞いておりますので、私はそこで国債に関しても整理基金で買いオペをするという手段も講じてみましたが、これもおのずから、整理基金なんていうのは金額そのものも少ないわけでございますから、大変な国債価格の安定に資するものとは思いませんけれども、一つの手段としてやはりそれはやっていかなきゃならぬかなあと。しかし問題は、やはり債券市場全体の問題としてとらえなきゃいかぬじゃないだろうか、国債だけ安定すればいいということで、仮にどんどん買いオペをしていきまして、それだけで、要するに国債エゴイズムみたいな形で運用するわけにもいかない。だから、全体の債券市場というものが安定していくことをいま期待しておるのでありますけれども、三月末の決算期にあるということ、そして買い手はまさに総手控えというような状態で、必ずしもこれが継続していくものではないではなかろうかというふうに考えますけれども、御指摘のように、されば四月の国債の価格等は、いま相談しているようでございますけれども、なかなか頭の痛いところであるということは御指摘のとおりです。
#10
○大木正吾君 官房長官もお見えですから、これ入り口の話なんでございますけれども、やっぱり物価問題に対する結局インフレーションの構造的な要因のつかみ方が少し違っているから、確かに竹下さんおっしゃるとおり、国債市場問題あるいは円安問題の動向につきましてもうちょっと様子を見たいような御心境なり、あるいはここでもってとまっているからというようなお話は、政府側の答弁としてはそうでなくちゃいけないだろうと思うんですけれども、しかし、私は、やっぱりいまの特に先進工業国と産油国を中心としました資源を持っている国との関係とか日本とアメリカの違いで、アメリカは確かにインフレーションが激しいことは私たちも新聞等で承知しておりますけれども、逆に言いますと、今度は七十兆近い公債というようなものは、これは現にアメリカにはないわけですわね。
 ですから、そういったことをバランスをあちこちこう見てみますと、四十八年の狂乱インフレーションのときとは違うというような甘ったるい考えでもいけないし、ある意味ではもっと底深いものが世界的なインフレーションの要因の中にあるかもしれません。それはむしろ原油問題かもしれません。そういったことにつきましてもうちょっと深く掘り下げて、やるときにはもっと大胆にやるといいましょうか、思い切ってやると。私もいつか一般で申し上げたんですが、物価二法の発動等を考えないかということを言ったら、企画庁長官は、その時期じゃないと、こうおっしゃったんですが、少なくともやっぱり構造的日本の円の弱さ、実質二百二十円前後という話もございますけれども、なぜ日本が円が弱いのか、それについては資源が少ない、あるいは経常収支が一そのことも影響がありまして、だんだんと手持ち外貨が減ってくる趨勢にございますね。それから同時に、国内的には財政が非常に不如意である、赤字公債が多いですからね。こういう国はないです。世界最高ですからね。ですから、そういった問題等についてもっと深くメスを入れていかなけりゃいけないでしょうし、ある意味では、私は、経済外交というか、外交政策にも絡んでもう少し中近東の国の側に立つ外交政策の展開も必要じゃないか、こういう感じもするんですが、構造要因というものについての政府の見方が間違っていなかったかどうか。だから短期に勝負ができるんだなんということを簡単に言ってしまったという感じもするんですが、その辺について、これは三大臣と官房長官、きょう総理は出ていませんから、かわってひとつ個人的にもお親しい仲のようですから、ひとつ総理にかわって答えてみてくれませんか。
#11
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 総理にかわってということでございますが、私も政府の一員でございますので、いま担当の経済企画庁長官、大蔵大臣、またエコノミストとして有名な外務大臣までお答えしたわけでございまして、私がそれ以外のことを申し上げるというようなほど知識もございませんので、ひとつ三大臣の御答弁で勘弁をいただきたいとお願いを申し上げます。
#12
○国務大臣(正示啓次郎君) いま大木委員重ねて御質問でございまして、短期決戦型というふうな私どもの表現のうちに若干事態を甘く見ておるような印象をお持ちのようでございます。私ども決してこれは簡単に考えてはいけないということを十分心得ております。
 なお、いま大来外務大臣からも先ほど御答弁がありましたが、私、大来外務大臣がアメリカに行かれる前にも、またその前にもいろいろお願いをしたのは、いままさに大木委員が御指摘のように、本当に長期的に見てわれわれが経済の先行きの見通しあるいは財政の再建というふうなことを計画していくには国際的な関係がもっと展望のきくような状態に一日も早くならなきゃいけない、そういうことを考えまして、機会あるごとに、お互いの先進諸国同士だけではなくて産油国と石油消費国、あるいはアメリカと日本だけじゃなくてヨーロッパというふうに、経済政策について全体の見通しを共通にしながら立てていくというふうな事態に一日も早くならないと困る、これはもうまさにおっしゃるとおりだと思います。そういう意味から、私どものやっておりますいまの政策は一種の緊急避難でございます。エネルギーの制約、これが量的にあるいは価格的に日本に押し寄せてきたわけであります。その量的制約はまず五十四年度に関する限り一応しのいだと。また五十五年度の見通しも、数量的な意味から言うとある程度これは世界の需給は緩和したというふうな見方がいまは現実にあるというふうに申し上げて差し支えないと思うんですが、しかし価格については大変これはもう予想以上の上がり方でありますし、五十五年度についてはこれ以上の上がりようもないようにと心から願い、また努力をしておるところでございますけれども、そんな点については、なおこれからも十分注意をしていく必要があると思います。しかし、その意味でエネルギーの制約を価格面から卸売物価に非常に大きな影響を受けながら、これを消費者物価に波及しないようにという一種の消防の火消し的な、緊急避難的な措置というものにおいては今日まである程度のわれわれは成果を上げてきたと、こういうふうに見ておりまして、さしあたり重要な物価の正念場に当たってもその努力を強化していこう、こんな考えでございます。しかし、それは本来の本格的なエネルギー制約を克服する道ではないじゃないかと、もっと本格的なものは何かと言えば、これは石油消費節約から脱石油、エネルギーの転換、こういうふうな方向へ国内だけではなくて国際的にも努力をもって進んでいかなきゃならぬのだという御指摘は私どもはよくわかるわけでございまして、これに向かってわれわれは全力を尽くさなきゃならぬと思っております。
 いま官房長官も非常に謙遜してお答えになりましたが、非常に総理、官房長官も物価問題については真剣に取り組んでくださっており、また長期的な問題についても、一日も早くそういう展望を持ち得るような事態に進むべく、各関係閣僚、総理を初め総力を挙げていま取り組んでおるということだけはお答えを申し上げておきたいと思います。
#13
○国務大臣(竹下登君) 大木さんと議論しておりますと、「オオキ」と「オオキタ」と、「タ」の字がないが、どっちもエコノミストだと私は思いますよ。(笑声)それで、いつも実際問題非常に現実の状態を踏まえつつ、いわゆる日本の経済の持つ構造的弱点とでも申しましょうか、そういうことを踏まえながらの御質問でありますが、いま経済企画庁長官からお答えがありましたように、確かに当面の物価対策ということであると思うんです。しかし構造的に、実際問題、財政の赤字あるいは資源小国なるがゆえの国際収支の問題すべてそういう基礎的条件、ファンダメンタルズでございますか、そういう点がきちんとしなければ日本経済の安定はないという基本的な考え方は同感でございますので、したがって、当面の問題とは別に中長期の問題ということについても、経済企画庁を中心といたしまして、いわゆる輸入政策の積極的活用、これがまた非常に言いにくい問題でございまして、百も承知の上でのお尋ねでございますが、輸入政策というものを積極的に活用しようと、しかし、その場合も円レートというものが物価に対しては大変なまた影響のあることでございますし、そうして低生産性部門及び流通機構の合理化、競争政策の推進とか、そうして省エネルギー対策というようなものも中長期の構造的な日本の状況を踏まえて推進されておるところでございますので、短期、長期各般の対策を総合的に推進して物価の安定とインフレ退治というものに立ち向かっていかなきゃならぬということは事実でございます。
 ただ一つ、非常に言いにくいのは、国際収支の問題になりますと、逐次改善される方向にありますというお答えをしますと、響きといたしましては、また輸出、ECとかアメリカへ、集中的に特定な国とか特定な地域に対して輸出奨励をやるんじゃないかということで国際経済摩擦を惹起するようなことになってもならぬという配慮の中にも、中長期の施策が経済企画庁を中心として立てられて、その線に沿ってわれわれも総合的に金融、財政等でこれに対応して、いわば日本の持っている構造的体質というものを強めていかなきゃならぬということは、基本認識としては一緒であります。
#14
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま大木委員の御質問の国際経済から見た構造的な問題はどうかという点でございますが、私は、円の問題につきましては、一つは円が弱いという、相対的に弱いということは国際収支の大幅な赤字、特に石油で六百億ドル近く払わなきゃならない、その石油の支払いにドルが要るというような点での当面の外貨の収支の問題。それから第二には、やはり大木委員が御指摘になりました資源なり、何といいますか、安定性の問題。つまりアメリカはいろいろ経済的に問題を持っておりますけれども、世界が不安定になった場合には食糧も一億トンも輸出できるような力を持ち、エネルギーもいざとなれば自給できる資源を国内に持ち、広大な領土、それから防衛力というか国防力、こういうものがある。やはり何か問題があるときにはドルの方が安心かなあという一つの心理状態もあるのではないか。それに比べれば西ドイツ、日本というのは、ある程度そういうオーバーオールな面、見地でも弱味があるような、そういう評価もこのドルを強くする要素になっておるんではないかと感じております。それから第三にはやはり金利差、これはやっぱり何といっても直接レートに響くわけでございまして、この点は今度の日本側の対策で大分縮まってはまいりましたが、一方、そういう点がドルを弱くする要素としてあるけれども、反対にドルを強くする要素としては、インフレレートが、先ほどちょっと申しましたように、日本に比べてアメリカの方がかなりひどいということから、これは逆に本当は円を強くするはずだと思うのでございますが、それから生産性の増加率が格段に日本の方がすぐれておるというような点から見ますと、やや長期的に見れば円がもう少し強くなっていい点がある。まあ、いまのようなプラス・マイナスが働きまして現在のような為替レートのところに来るんじゃないか。
 やや展望といたしましては、油が一年に約倍に今度は上がったわけですが、上がった後はしばらく落ちつくと見ていいのではないか。そう毎年二倍、二倍と上がるわけはない。需給もやや、値上がりの影響もありまして世界的に石油の需給も緩和しておるようでございますし、そうしますと実質的に石油はそうことしは上がらない。アメリカの方もこんなインフレをやっていたんじゃ大変だという気持ちが大分強くなってまいりまして、対策をいろいろやり出しておる。ヨーロッパの方は非常な低成長になりまして、これもデフレ的な要素をかなり見せてきておる。七三年、七四年、七五年のオイルショックに対する世界経済の適応状態を振り返ってみますと、日本は物価では最初イタリー並みに成績は悪かった、物価上昇率で七四年のころは悪かったのでございますけれども、その後になりますと西ドイツ並みに成績優秀の方になったわけでございまして、私は、やっぱり今度の場合も、日本はいろいろ問題がございますけれども、非常に強い対応力がやっぱり体質的にはあるんではないか、そういう意味では何とかこういういまの情勢を乗り切っていく可能性を日本経済は持っておるのじゃないかというふうに、これは非常に大ざっぱなことでございますけれども。
#15
○大木正吾君 いま関係大臣の御意見を伺ったんですが、ただ、私の見解も含めてこれは申し上げておきたいんですが、大蔵大臣がおっしゃった中に中長期のことが若干入っておりましたけれども、私自身は実は短期決戦で片づかないと見ているわけなんですね。だから、けさのごく一部の新聞で、自民党の内部の何か役員会の席上らしいですけれども、財界がもうすぐに六月になったら金利を緩めてもらいたいという声が上がりますと、すぐにそれに振り回されて金利を下げるかのごとき――総理はそこに座っていませんから伝えてもらいたいのですが、余りああいうことをやられたんでは、国民に対して、また、これはもういろいろな経済上の問題に対する思惑が入りまじって困るんです。率直に申し上げて。私は、少なくともこの世界的高金利は、オイルダラー一千億ドルというものも毎年向こうへ行っちゃっているんですから、そういったものが還流する傾向はもっとはっきりしてこなければいけないだろうという気持ちは根底にありますよ。同時に、日本自身のものもありますよ、幾つかのソフトエネルギーの開発などたくさん課題がございますけれども、そういったこともありますけれども、とにもかくにも今.度の問題というのは、緊急避難という言葉も、それは確かに一応二百四十九円にとどめたんですからね。しかし、国際市場はまだ荒れている、危ないです。一時避難、緊急避難的な面はありましょうけれども、いま軽率に六月になったら金利を緩めましょうなんという言葉が責任者の口から飛び出したんでは、とてもじゃありませんけれども経済の混乱ということは避けられないだろうと見ているわけでございまして、このことは私の意見ですから、十分にひとつ総理にもお伝えおきいただきたいし、いまの大来さんの御意見の中の最後の部分も大体そういったニュアンスの御発言と受けとめるわけでございますけれども、ぜひその辺は慎重を期してもらいたい、こういうふうに申し上げて次の問題に移ります。
 さて、先ほど経企庁長官は総合的にやったと、こうおっしゃつたんですが、私は幾つか資料を自分で集めてみたんでございますが、通産大臣に伺いますけれども、生産性で吸収できる製造業、ここでもって大臣が答えますと、皆さん聞いている方々は、とにかくクリーニング屋さん、いまもちろんコインランドリーがあるから、できることはできるんですよね。それから散髪屋さん、私もこれ二ヵ月行っていませんけど、散髪に行く回数を減らして省エネルギーに協力していると、こういう立場をとっているんですけれども、とにもかくにも散髪屋さんなどは、これは大来さん御承知のとおり、絶対これは省力ができませんわね。問題はそういったこととの関係なんですよ。だから、製造業の方は特段です。たとえば鉄鋼みたいに居直っちゃって、とにかく一一%四月から上げるんだと、こういう言い方をして、通産省の方は、それは自動車、家電、そういった業界との話し合いですとか、こうおっしゃっているんでしょう。実際その話について佐々木さん、何か情報なり情勢なり、話し合いの中身をお聞きになったのか、もう四月一日すぐですからね。それはどうなっていますか。そのことをまず聞かしてください。
#16
○国務大臣(佐々木義武君) 前々から申し上げているとおり、個別の物資に関しましては、その価格形成に関しましては、原則といたしましてメーカーと需要者側の主体的な交渉によって解決されるものという原則に立っておりますので、詳しく鉄鋼並びに自動車等大手消費者側の交渉がどうなるかということはまだ予断を許さないわけでございますけれども、しかし、両方とも大変強い業界ですから、その価格を決定する過程におきましては十分吟味に吟味を加えて交渉の結果決まるものだと、それを見守っていきたいというふうに考えております。
#17
○大木正吾君 見守っているということと、先ほど総合物価対策できめ細かく業界を指導するとこうおっしゃった経企庁長官の発言とは、どういう関係になるんでしょうか。
#18
○国務大臣(佐々木義武君) たとえますと、電力・ガス料金等、最近許可したわけでございますけれども、直後に、当省の所管団体約百七十ばかりございますが、合理化努力によって吸収してもらいたいというふうな通知を出したり、あるいは四月一日でございますけれども、経済の四団体、中央の皆様に御参集いただきまして、同様の趣旨のことを懇請したいと思います。ということで、できるだけやはりこの合理化努力によりまして、企業努力で吸収してもらいたいというふうなことを進めるわけでございまして、一つ一つの企業に関して価格統制といったような、あるいは許可制とか、とっておりませんのでございますから、そういう努力を懇請するということがいまのところで最善の努力の範囲でございます。
#19
○大木正吾君 まあ鉄鋼とかアルミとかセメントというのは、非常にこれ、原油も関係ございますし、同時にエネルギー問題とも関係あるんですけれども、こういった非常に顕著な影響を受ける業界に対して、単なる自由市場のメカニズムだけで任しておくことは、これは今度の総合物価対策の政府の御指導と考えていいんですか。
#20
○国務大臣(佐々木義武君) まあ原則的にはそういう製品の価格というものは需給関係で決まりますので、一概に基礎物資が上がればそれが最終、中間の製品にどう響くかと言えないわけでございますけれども、しかし、先ほどから申しますように、原材料あるいは燃料等の値上げによりましてコストアップした場合に、それがある程度製品に転嫁していくというのは、これは自由経済でございますからやむを得ぬとは思っておりますが、ただ、その過程におきまして便乗値上げ等あったりしては、これはまあお話しのように大変経済全体に悪影響を及ぼしますから、そういうものがないようにということで、通産省内に協議会のようなものをつくりまして、そして主要物資に関しましては常時これをインスペクトしまして、需給関係あるいは価格動向等インスペクトして、そしてその経過を見守って、もし便乗値上げ等のおそれがある場合にはそれに対して対処をいたしますし、あるいは品がれ等によりまして異常な価格を形成するおそれがある場合にはそれに対してまたヒヤリングを行うとか注意をするとかいうことで指導を行っていっている次第でございます。
#21
○大木正吾君 先ほど正示経企庁長官がおっしゃったから、あえてしつこく聞いているんですけれども、総理が生産性向上でもって吸収しろと盛んにおっしゃったと、こういうふうに言うものですからね。生産性向上で吸収できる、特に中堅以上の製造業界が大体その業種なり産業に入ると思うんですがね。
 だから、いまおっしゃったように、もしも省内に便乗値上げを監視をし、あるいはそれについての調査等するプロジェクトのグループなり、まあ関係の局部があったら、その名前をここでもって発表してください。
#22
○政府委員(神谷和男君) 御説明いたします。
 ただいま大臣がお答えいたしました主要物資の需給連絡会は、産業政策局長を座長といたしまして機械情報産業局長、基礎産業局長、生活産業局長、エネルギー庁長官、中小企業庁長官、これをメンバーといたします連絡会議でございまして、大臣官房もこれに出席をすると、こういう形になっております。この下部機構といたしまして、これらの局の総務課長をメンバーといたしました企画連絡推進会議というものを持ちまして、常時主要物資の需給動向をフォローしておると、こういう状況にございます。
#23
○大木正吾君 その中で、名前はわかりましたけれども、どういう作業をされておるか。たとえば株式配当が年間平均一二%という形になっておりますれば、そういったものを一〇%ぐらいに下げるというような話なども入ってやっておるんですか。どうですか、その辺は。
#24
○政府委員(神谷和男君) 基本的考え方は、ただいま大臣が御説明いたしましたように、価格に直接介入をしたり、先生御指摘のように、配当に直接介入する、あるいは企業活動に直接介入するというようなことを目的とした会議ではございません。あくまでも石油その他の原燃料アップというものを円滑に、しかも各段階において合理化を進めながら日本経済の中に吸収していく、その過程に障害が出てくるか出てこないか。出てきた場合に、これをどのようにして除去していくかということを目的としたものでございまして、したがいまして、まず基本は需給関係がどのようになっておるか、需給関係によって正常な価格形成ができるような状態になっておるかどうか、あるいはその段階で企業努力というもの、あるいは合理化というものをどうしてもやらざるを得ないような状況になっておるかどうか、あるいは原燃料その他の面でネックがないかどうか、流通段階に異常な状況がないか、こういう問題を常時ウォッチをしておるわけでございまして、これらの問題、特定の物資につきまして何らかの問題が出てまいりました場合に、それらの対応において適切なる施策を講じ、あるいは指導を行うと、こういう考え方でございます。
#25
○大木正吾君 まあ需要が緩んでいるということ、まだ若干余裕があるということについては、私たちは、もう大体狂乱のときとは違います。こんなことはわかっているわけですね。結局あれですか、合理化なり人件費コスト、またぜい肉をぶったぎるという形でもって労働者の高年層を首切ったり、あるいは中小企業を切り捨てたり、これはそういうことをやるわけですか。
#26
○政府委員(神谷和男君) 基本的には、すべての中でバランスがとれた形での生産性向上の努力をしていただくということでございまして、これについてどの業種あるいはどの企業が何をやれというようなことまでわれわれとして直接介入する意図はございません。全体といたしまして、やはり基本的に企業努力を要請し、コストアップを吸収するようなことを一方で要請すると同時に、需給関係がやはり企業にそういう努力を求めるような形になっておる状態、これを常時維持していきたい。そのために必要なウォッチを続け、指導を行っていきたいと、こういう考え方でございます。
#27
○大木正吾君 学者がやっている仕事じゃございませんからね、もうちょっと具体的に言ってほしいし、同時に、生産性で吸収してもらいたいということが政府の方針ならば、私は、やっぱりもう少し需給の流れを見るとかですね。市場価格でもってどうのこうのということで、便乗で云々という程度のことだったら、これはもうふだんでもやっておいてもらわなきゃいけないことなんですからね。特別いまになってやってもらわなきやならぬということじゃないんで、総合物価対策とは認めることはできません。しかし、一応この問題については、手元に資料がございませんからね、いまの通産省内部におきましてのメンバーあるいはやっておる仕事の内容について私の手元にぜひ、後で結構ですから、ひとつ資料としてちょうだいしたいことを申し上げておきます。
 次に、正示さん、生産性で吸収できないところはないと、実際問題としましてですね。これは、公共料金の問題については後ほどにいたしますが、生活必需物資の上がり方ですが、私の手元に若干の資料がございますけれども、これについて、食料関係が一番強く上がっており、その中の野菜、同時に生鮮魚介類、さらには副食、その辺が非常に大きな上がり方を示しているんですけれども、これについて、どうでしょうか。農水と企画庁の御見解があったら聞かしてくださいませんか。
#28
○国務大臣(正示啓次郎君) 御指摘のように、私どもは、この三月末の五十四年度の最後の消費者物価、これがどうなるかと前々から非常に重大な関心を持ってまいりました。そのとき一番やはり大きな問題は、御指摘の野菜を初めとする非常に値上がりの大きな食料品の問題、こういうことでございまして、いま武藤農林水産大臣も御出席になっておりますが、閣議の席でもたびたび総理からもまた関係閣僚からもお願いをいたしまして、農林水産大臣にしばしば産地、市場等を回っていただき、いまのところ私どもはやや愁眉を開くに足る状況になりつつあると、こんなふうに考えておりますが、たしか昨日も総理から直接農林水産大臣にも重ねて御努力をお願いしたようでございます。全体のことにつきましては私よりは農林水産大臣から生々しい状況についてお答えをしていただきたいと思いますが、われわれは、まず、こういう季節的な値上がりのひどい野菜等の正常化によって五十四年度の年度平均の四・七%という消費者物価の値上がり見通し、これを達成し、続いて来年度の見通しをぜひ守っていきたい、こんなような政策でいま農林水産省、関係各省、打って一丸となって努力をしておるところでございます。
#29
○国務大臣(武藤嘉文君) 二月の消費者物価指数を見ましても、食料の前年同月比上昇率が八・四%でございまして、これが野菜を除きますと二・〇%という形になりまして、いかに野菜がこの食料品の上昇率に大きな寄与率を示しているかということがこの数字でもよくわかるわけでございまして、この点についてはもうこの間うちからお答えをいたしておりますように、大変私ども申しわけないと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、三十何年ぶりの長雨が続いたり、二十何年ぶりの台風が十月に二回も来るというような、まあダブルパンチを受けたわけでございまして、そのためにほとんどの主産地が、特に白菜、キャベツ、大根といったようなものの主産地がやられてしまったものでございますから、その後できる限り、もう一回種をまかしたりあるいは定植をさせたり、いろいろ指導してまいりましたけれども、いずれにしても、それが原因をいたしまして主産地における生産が大体四割ぐらい減になったわけでございます。これが私どもどうしても一番大きな原因であると考えておるわけでございますが、しかし、そういうことだけではいけないわけでございますので、できるだけ何か対策を考えようということで、私ども野菜の緊急対策を考えて、できるだけ早く春物を出荷をしていただく、普通の状態よりは一月でも早くひとつ出荷をしていただく、あるいは、余りいままでやっておりませんでしたが、輸入の問題にも目を向けていく、あるいは契約栽培のものをより早く出させる、こういうようないろいろの手を打ってまいりまして、確かに二月までは余りいい状況ではございませんでしたけれども、三月になりますと、近く総理府の統計も発表されると思っておりますが、二月と比べれば三月は普通の年であれば野菜は上がるのでございますけれども、今度の三月は二月と比べると野菜の値段は下がってきたという数字が出てくるはずでございます。前年対比においても二月と比べれば三月は野菜については二月よりは前年対比上昇率は低いと、こういう状態が必ず出てくると私どもは期待をいたしておるわけでございまして、今後なお、出荷のいま督励をやっておりますので四月になれば大体平年並みの価格になっていくと、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
#30
○大木正吾君 少しやっぱり農水大臣甘いんですよね。ここにちょっとグラフを持ってきましたけどね、大体見てみますと、傾向値としまして五月、六月から七月の前ぐらいまでがわりあいに下がるんですね、豊富に出てきますから、キュウリやナスその他が。そしてまた九月から十月の前半にかけまして少し下がりまして、こういう状態でもって行くんですね、野菜というのは。そして、ここにあります資料、これは東京都区部でございますけれども、五十年を一〇〇にいたしましてパーセンテージを見ていきますと、野菜が何と二〇六%ですね。そして、わいわい騒いでいますけれども、肉類、卵類が一〇四・六%、一〇六・九%なんですよ。そしてお米が一三〇・三%、同時に副食品が一三五・三%、生鮮魚介類は一五〇・八%、家賃一三九・〇%。これはぜひ見ておいてもらいたいんですよ。要するに、あなたおっしゃるように、四月になったら少し下がるでしょうとおっしゃるけれども、傾向として五年間をとってみますと、こういうように季節的に若干のたるみとか出っ張りが出てきますけど、五年間の推移で見る限り、これは野菜についてもっと構造的な、輸入の話も出ましたけども、もうちょっとしっかりした対策を持たないとこれはだめですよ、本当に。少し何か目の前のものばっかりに、市場に行ってごらんになることも結構ですけれども、とにかく五年間に約二倍ですね。ほかの方は一・〇幾らとか非常に少ないですよね。こういった傾向値を私は見るものですから、この席でいつも農水大臣おっしゃられるように、そのうち五億円の手当てをするとか、あるいは緊急出荷をするとか、輸入の話も出ましたけども、どうもそういうものではおさまらない状況がはっきりこの数字に出てきていますので、これを差し上げますから後でもって見ておいてもらいたい。東京都区部の、きのう私が持ってこさした資料なんですが。そういったことを含めてもっと、要するに、また生意気な言葉を使いますが、構造的な野菜対策を立てませんと、生活に弱い方々、大変だということになりますので、考えてもらいたいんです。
#31
○国務大臣(武藤嘉文君) 資料はちょうだいをいたしますが、私どもの資料では、東京都区部の消費者物価指数、二月の速報値によりますと、五十年を一〇〇といたしますと総合指数が一三三・六になっておりまして、食料が一三〇・三になっておるわけでございます。それで、野菜がどうもやはり問題でございまして、これは二〇六・三と、こういう数字になっておるわけでございます。野菜を除きますと、食料の指数は一二四と、こういうふうになっておるはずでございますが、これから見られるように、食料全体として、野菜を除けば、非常に安定した状況でございます。野菜が確かに御指摘のとおり非常に上がっているわけでございます。
 そこで、構造的にという御指摘でございますけれども、私どもは決して構造的には野菜は需給関係はタイトではないと思っておりまして、逆に緩やかであるという判断をいたしておるわけでございます。でございますから、先ほど申し上げましたように、もし構造的にタイトであれば、こういう状態の中で幾ら私どもが努力してもやはりなかなか値段は下がってこないはずでございまして、いま値段が下がってきているということは、構造的にはやはり野菜は需給関係は緩やかである。だから、私どもが出荷を督励をした結果野菜が出てきて、いま下がっておる、こういうことでございまして、私は構造的には決して野菜が非常に需給関係がタイトであるとは考えていないわけでございます。
 なお、しかしそれだけでは不十分でございますから、私ども、昨年の暮れのあのような失敗を繰り返さないようにするためには、新しく今度の年度で考えておりますが、いま御審議願っております五十五年度予算の中で重要野菜需給調整特別事業というものを、最初は必ずしもそこまで、まあいまの話で、つくりましたときには需給はタイトではございませんので、その考え方を持ってはいなかったのでございますが、ああいう状況を見て、せっかく事業をやる以上は、今度は作付のときに思い切ってひとつ余分目に作付をしてもらおうじゃないかということも私どもは考えておるわけでございまして、従来以上に構造的に問題のないように努力をしていきたいと、こう考えておるわけでございます。
#32
○大木正吾君 武藤さん、そういうふうに抗弁するから私もどうしても言いたくなるんですけれども、これをずっと見ていますと、五十四年の二月から十二月まで見ていますと、確かに一ヵ月一〇三・四、六月ですね。さっき御指摘しましたけれども、ちょうどこれは野菜がたくさん出回る時期だけなんです。下がっている月を見ますとね。ところが残念ながら、おっしゃいますけれども、五十三年が一二四、五十四年が一二九、二〇六と、こういう数字になってきまして、やっぱり日本人は菜食ですからね。あなたの奥さんの美人なこともこれ菜食のせいなんだから。やっぱり私はこの辺の問題については、もし構造的にそういうバランスが崩れてないとおっしゃるならば、まあ集荷の仕方とか、仲買の問題とか、そういったことをもっと整理されて、こんなにべらぼうな数字が出てくることはおかしいですからね。その辺についてもう少し具体的なきめの細かな対策をしてもらいたいと私は思うんですがね。
#33
○国務大臣(武藤嘉文君) 確かに御指摘のように、私申し上げておりますのは、生産段階においての構造的な問題においては需給は緩やかであると、こういうふうに私は申したわけでございまして、私もこの間うちから市場の方々と懇談を続けておりますけれども、流通面においてはもう少し何かきめ細かくやっていけば改善の余地はあるのではないかと私は感じておるわけでございます。そういう点については今後できるだけ努力をしていきたい。近日中にもまた市場の人たちと懇談をいたしまして改善策をぜひひとつつくり上げていきたいと思っておるわけでございます。その点は、先ほど申し上げたのは、私は生産部門においての構造面だけを申し上げたわけでございますので、同じことでもやっぱり物流という問題については、私どもの野菜その他についてもやはり今後再検討を加えていかなきゃならない点はあるのではなかろうかと私は考えております。
#34
○大木正吾君 いま大臣、そういったことをおっしゃいましたが、もう別の問題に入らしていただきますけれども、同じこの生産性で吸収できない業種、産業についてなんですが、地方自治体とか、業界とのお話し合い等についてはきめ細かくやる予定はございますか。長官、どうですか。
#35
○国務大臣(正示啓次郎君) おっしゃるとおり、一つ一つの物資を取り上げまして、これはまあ生活必需物資あるいは重要な生産資材、そういうものにつきまして先ほど通商産業省の中ではどうやっておるかということでございますが、私の方では、各省庁の物価担当官という方をお願いしております。これは日本銀行や公正取引委員会の方にもお入りをいただきまして、そういうものの値動き、これにつきまして常に需給関係、またコストの上昇がどういうふうになっておるかというふうな点についてもきめ細かく話し合っております。また、地方公共団体の方へも、いろいろと係官あるいはモニター、そういう方々と連絡をとりまして、中央での話し合いが第一線にまで浸透するように常に努力をいたしておるところでございます。
#36
○大木正吾君 これは私も余りこういう細かなことは不得手なんですけれども、調べてみました。これは代々木のあのロータリーの近くにございます千駄ケ谷の全国消費者団体連合会の資料でございますけれども、公共料金を主として挙げた中に、たとえば健康保険料の値上げ見込みを含めておりますが、一ヵ月の標準世帯の出費増が一万六千二百五十八円、これは電気料金が決まった直後にそのところを修正してございますから、新料金が四月から上がるという形の見方に立っておりまして、年間の標準世帯の出費増が十九万五千九十八円、こういう数字になるわけですね。要するに、もうすでに米価は上がって二月に実施されておる。国鉄運賃が四月という形でもって、全部虚構な数字じゃありませんからね。私も労働組合の代表であった時期もございましたからね、よく労働組合というものははったりかけると、こういうふうにおっしゃる方がいるが、これは違いますので、現実に皆さん方の資料でもってやっておるわけですから、そういうふうに御承知いただきたい。同時に、たとえばビールが今度また二百四十円に上がりますね。これも大体一二、三%になりましょうか。ネクタイ、くつが一〇%前後上がるというふうに、これはどこかの銀行の調べを新聞が取り上げて書いておるわけですね。この辺の問題について長官、ずいぶんきめ細かな御指導をされるとおっしゃるわけですから、さっき申し上げた公共料金だけでもって一万六千二百五十八円上がって、まあ私も一日に一本くらいビールぐらいは飲むし、土曜、日曜はあんまり飲まないことにしていますが、私自身もこれはちょっと大変なんですよね。ですから、こういったものとか、あるいは床屋さんとか浴場関係とか、それぞれのやっぱり組合とか、自治体等で許認可事項になっているものもあるはずですからね。そういった面に対する把握の仕方なり、国民に対する、庶民に対する物価の圧迫度についてどういうふうにお考えですか。
#37
○国務大臣(正示啓次郎君) ただいま御質問の消費者団体連合会、生活協同組合連合会等の御調査による負担増の十九万五千九十八円、これは健康保険なんかも入っておるということでございますが、あるいは、いまきめ細かないろいろの面を御指摘になりましたが、私どもの公共料金の関係からの試算とは若干違っておりまして、いまも大木委員お話しのように、われわれの見方がいつも過小評価といいますか、そういうふうな点を御指摘になったんですが、われわれのところでは、この前もたびたび申し上げたように、予算関連の改定で、この中にはやはり健康保険の改正も入っておるわけですが、一万七千九百二十円、一万八千円と、こういうふうに見ておりまして、そのほかに、これは厳密な意味では民間公共料金と言うのでございましょうか、若干いろいろまだ問題のあるものもございましょうと思いますが、これらを入れまして、いまの一万八千円のほかに三万一千七百七十円ぐらいのものが民間の料金改定から出てくるものと、こういうものを合わせまして両方で四万九千六百九十円、五万円近いものが一応試算で出ております。これは家計というか、企業負担というふうなものもございますので、厳密な意味ではございませんけれども、一応の試算としては出ております。それにしましても十九万五千円と五万円、ちょっと開きが大きいように思いますが、何でしたら私の方の計算をお手元へ資料としてお届けいたしたいと思っております。
#38
○大木正吾君 この中には、たとえば大学授業料が入っていますが、大学は全部の家庭で行っているわけじゃないからこれは引いてもいいですけれども。しかし、国民年金、厚生年金のどちらかの選択が要り、しかも健康保険料は国民全部の問題ですから、世帯全部の問題です。私は少なくともこの資料については確信持って、いま申し上げた大学授業料だけは値上がり分についてこれから引いてもいいんですけれども、長官の方の資料とは少しく違うということで、どちらが整合性があるかということは後で突き合わせしてもいいですけれどもね。ただ申し上げたいことは、要するに、基本の問題としまして、これ以外のビールあるいは洋服、食品関係とか、まあ生活必需品としまして洋服やくつは、サラリーマンにとってはこれは欠くことはできないわけですから、生産性でもって吸収できない、公共料金が生産性で吸収できないと私は断言いたしませんけれども、生産性の吸収度合いが非常に困難なところについて従来よりも増して厳しいやっぱり指導なり監視ということを続けなければ、八%の賃上げでもってよくしんぼうしてるなと、私自身も実は思うのですけれども、四百万年収でもって三十二万円ですよ。そしていまの数字を本当にあれして、竹下さんの方でも所得税減税や物価調整してくれませんから、ずっと加えていったら恐らくこれは三十二万円ぐらいのベースアップでしたら完全にもう帳消しになってしまうということは、どうも目に見えてきている感じなんですよ。だから、私がいま言いたいことは、あなた方は、要するに生産性向上で吸収しろということを、まあ大向こうをうならす話をするけれども、生産性でもって吸収できる企業が政府の上を行ってしまって、法人税の問題の討議じゃありませんけれども、政府の方の上を行ってしまってどんどん上げていく。そして、むしろどうしても上げざるを得ない、省力化できない、人を減らせないところが上げざるを得ない。と同時に、これから入りますけれども、物を買う力が落ちてくるわけですからね。そういった経済上の破行性ということが心配だから、特に生産性の吸収のできないところについての指導あるいは助成、そういったことを含めて考えてみてもらいたいことが私の言いたい一つの骨なんです。いま幾つか事例を挙げましたけれども。そういったことについてどうですか、長官。もう一遍生産性で吸収が困難な業種等についての御見解を承れませんか。
#39
○国務大臣(正示啓次郎君) いまの御質問にお答えする前に、私どもも国立学校の授業料の値上げ、これは入れておりますが、恐らく入れ方が、私どもは、全世帯ヘストレートに行くというわけじゃなくて、平均ではどのくらいになるかというふうな見方をしておる点が若干いまお示しの団体の御調査と食い違う点の一つかと思いますので、念のためこれは後で資料としてお描けを申し上げます。
 いま御指摘の生産性向上では吸収できないような面についてどうするかと、これが一番切実な問題でございます。先ほど農林水産大臣からお答えがありましたが、本年度から米価、麦価の改定がございましたので、農林水産省と私の方とでモニター等を動員いたしまして、外食食堂その他食料品の関係等について、立ち入り過ぎるというふうなことにならぬように非常に配慮をしながら監視といいますか、事情聴取をずっといたしました。そうしますと、いま御指摘のビール等はまだそのとき上がっておりませんが、しょうゆ、調味料でございますが、それから光熱費、これは今度上がると、そんなようなことから、どうしてもこれだけのものを上げざるを得ないんだと。しかし、米とか麦なんかについては、まだ何とか吸収するように努力してるんだという本当に涙ぐましいようなお話も聞いております。これらの点については、国民の皆さんがインフレを何とかして抑えたい、その気持ちはもうみんな一緒だと。だから努力はするんだけれども、どうしても上げなきゃならぬぎりぎりのところは上げて自分たちを守っていかなきゃならぬのだというふうな事情を直接いろいろ第一線の方からもいただいておるわけであります。そういうふうな真剣な努力、これが私は積み重なって今日――実は、うちの次官がヨーロッパへ参りましたら、アメリカやヨーロッパの責任者から、どうしてこんなに卸売物価が上がっておるのに消費者物価はまあまあ非常に落ちついているのかという点についてくどくいろいろ聞かれたということでございますが、私は、一にかかって、いま御指摘のようなぎりぎりの御努力というものが積み重なっていまのような成果をおさめておると考えますので、今後ともそういう点については私どもも十分配慮をいたしながら、皆さんと御一緒になって物価のできるだけの安定を図るように全力を尽くしていきたいと考えます。
#40
○大木正吾君 どうも、かずのこ商法の期待みたいな話ですね、やっぱり聞いていますと。
 そこで私、最近厚生省とかそれから総理府等が生活実態調査などを幾つか出しております。このどれ一つを取り上げてみましても、生活は楽になったというところはどちらもないわけですね。特に住宅ローンでございますとか、あるいは生活が苦しくなったとか、パートがだんだんふえてるとか、貯金をする方々の数が減ったりしてる傾向等が出ているわけですけど、そういった傾向については、企画庁長官と大蔵大臣は毎日の新聞等をお読みになっていると思うんですが、最近の国民生活についてどういうふうな所感をお持ちでしょうか。
#41
○国務大臣(正示啓次郎君) ちょうど総理府の方の調査がきょうの新聞にも大きく報道されております。私は、アメリカの実情、先ほど外務大臣がちょっとお触れになりましたが、非常な違いだと思うんです。これにもやはりそれぞれ事情があるわけでございますが、とにかく日本では貯蓄性向といいますか、これはもう格段に高いわけで、そこから四百万円以上というふうな高額の貯蓄が生まれておる。しかし、一方では借金をしょった家計の率が非常にふえておる、これもわれわれはよくわかります。こういう事態を考えましても、生活設計、こういうことを本当に自信を持ってつくっていけるような基盤をつくっていく政府の責任、政治の責任、こういうことについて一層強く痛感をさせられるわけでございまして、一日も早く物価が大体この程度で年々落ちついていけるんだというふうなところをわれわれとしては指し示し、それに向かって政策が整合性を持って推進せられるというところがないと、本当に住宅を建てるための住宅ローン、その金利が上がるというふうなところから、本当にあすの生活、来年の生活、そういうものに非常な不安を持って、いまのような貯蓄あるいは負債というふうなものに、心を砕く勤労者の方々に対しても政治の責任を一層厳しく感じておるところでございます。
#42
○大木正吾君 これは一番新しい私どもの資料なんですが、実は東京都内で三百五十世帯についての追跡調査をしたわけですが、第一順位から第五順位までの公共料金の影響度を生で調べた。これはまだコンピューターにかけたばかりですから余りきっちりした集約になっておりませんけれども、第五順位の方々と第一順位の関係では大体七%ぐらいの開きがありまして、そして第一順位が二七%ぐらいですね、それから第五順位が二〇%ぐらいの影響を受ける。収入にしますと第一の方が十五、六万ですね。それから第五の方が二十五、六万、こういう状態なんですけれども、こういったことについては長官、経企庁なり、どこか政府の関係省庁なりでやっておりますか。
#43
○政府委員(藤井直樹君) 家計調査が、年間のものがまとまりました段階で、年間を平均して家計調査の支出額に対して公共料金関係の支出額がどのくらいになるかということを私どもはフォローしておりますが、現在私どもが把握しております数字では、五十三年の家計支出、それに対応する公共料金の支出額というものはございます。
 それで見てまいりますと、全国の全世帯で見まして、平均いたしまして一五.六%という数字がございます。それを五分位に分けて申し上げますと、第一分位が一八・三%、第二分位が一六・六%、第三分位が一五・九%、第四分位が一五・〇%、第五分位が一四・二%という数字になっております。
#44
○大木正吾君 東京都と全国的な傾向で若干の違いはやむを得ないと思うんですが、いずれにいたしましても、第一順位の方々の影響度は物すごい影響を受けているということでございまして、総理府なり厚生省の調査等々突き合わして見ていきますと、どうもやっぱり第一順位の方々の生活は生活保護世帯に近いといいましょうか、非常に苦しい状態なんですね。こういったことが御判断いただけると思いますけれども、そういう問題に対しまして、結局、きょうは厚生大臣を呼んでおりませんけれども、最近よく公共料金等にも出てきますけれども、生活の厳しい層に対する福祉料金、そういった問題等については、もう遅いですか、これを検討することは。
#45
○国務大臣(正示啓次郎君) この間、電灯、電力、ガスの改定に当たりましても激変緩和措置あるいは従来の三分類による措置、こういう点について通産当局とともにできる限りの配慮をしておるわけでございます。
 なお、生活保護費についてはすでにお答えを申し上げておりますとおり、消費者物価上昇その他の要因に適応いたしまして若干の配慮をしておることは予算上の措置としてすでに御説明を申し上げたとおりでございます。
#46
○大木正吾君 関係委員会におきましてその種の問題の議論も出てくると思いますけれども、ぜひこれは大蔵大臣にも御賢察いただきまして、そうしてさほどの出費でないものにつきましては、補正等の措置も将来可能でしょうから、御検討をお願いいたしておきたいんですがね。
 そこで、生産性と賃金の関係についてこれは経企庁長官と少し議論してみたいんですが、盛んに日本の労働生産性なり、あるいは生産性が高いことが御自慢のようですけれども、一体どういう結果によってこういったことが起きてきているのか、あるいはでき上がっているのか、どうお考えですか。
#47
○国務大臣(正示啓次郎君) 私も本当にこれは感謝と、そして一種の誇りといいますか、これをもって世界に対する最近までの成績というものは示されておると思うのでありますが、まあ西ドイツと比べましても、日本では生産性の向上はいま御指摘のように非常にすぐれておる。しかも、そういうすぐれた生産性すなわち労働コストが低下する中でインフレをやったのでは元も子もないという認識に徹して、賃上げについては大所高所から良識のある判断をしておられると、こういうりっぱな成果をいま申し上げたような気持ちで見ておるわけでございますが、これはやっぱりその線を賢持していただくということは絶対に必要ではないか。もちろん賃金の交渉は労使の自由な交渉によって決まるわけでございますけれども、私どもは、いまインフレの悪化、これを防ぐことがもう国民全体の利害休戚に非常なバイタルな問題であるという認識でございますので、いままで挙げられたような生産性を向上しつつエネルギーを節約し、そして脱石油に向かって前進するためには生産性の向上というものに一層の努力をしながら、しかも賃上げ率については良識のある結論を持っていただくというりっぱな成果をぜひ続けてやっていただきたいと考えております。
#48
○大木正吾君 企画庁長官は、六・四%が守れなかったら云々ということの中身は政治責任をとられるというような御発言をなすった覚えがございますか。
#49
○国務大臣(正示啓次郎君) 私どもは、まず五十四年度の四・七、五十五年度の六・四、これはいろいろもう各省庁と連絡をとって、架空のものではない、これはもうぜひそれを守ることが経済運営の核心である、これを外しては経済全体ががたがたになっていくんじゃないかというところまで突き詰めた一つの見通しでございます。したがって、いまのところはその二つはぜひとも達成したい、またできる、こういう確信でございます。
 そこで、お話しのように、それができない場合の責任はということになれば、これはもう一切をなげうってその実現に全力を尽くしてまいります、こうお答えをしておるわけでございます。
#50
○大木正吾君 いま春闘真っ最中ですけれども、どうですか、ことしの賃金相場について。八%しか要求してない、歯がゆい感じもしますけれども、どの程度が経済の整合性という立場からしたら、ころ合いといいましょうか、そういうお感じですか。
#51
○国務大臣(正示啓次郎君) いま申し上げたように、賃上げの率等については、これはもうどこまでも労使の間の交渉でございますし、私どもとして、政府として口を差しはさむべきものではございませんが、先ほど申し上げたようないままでのりっぱな成果をさらにことしもぜひ結論的には実現をしていただくように心からこいねがっておる次第でございます。
#52
○大木正吾君 経済見通しが総括質問の際に消えてしまいましたからね、余りこれ、まあ根拠がどこかへ行ってしまったんですから困るんですけれども、ただ、労働組合が八%でもって、まあ言えば、とにかくこらえにこらえているということはお感じだろうと思うんですね。
 それから同時に、大蔵大臣もこれは関係がないとは考えていないでしょうけれども、税収問題その他、要するに全体のGNPに占める構成比ですね。そういった関係からしますと、この八%が崩れますと経済のバランスシートが崩れる、こういうお感じはお持ちじゃありませんか。
#53
○国務大臣(竹下登君) 賃上げの八%というもの、これは当然なこととして労使の自主的交渉の中で決められるべきものでございますが、要求そのものがここのところ数年来定着した労使の非常に成熟度の高い認識の上に交渉されて妥当なものが出ると私は期待をいたしておるところであります。
 で、八%というものが崩れたらどうなるかということでございますが、八%というものがいま数字として挙げられておるという認識はございますけれども、それが通らなかった場合にどうなるかというような計算をしてみたことはございません。が、私はいまの経済成長率等々いろいろ考えてみますと、今年度の税収等へのはね返りというようなものが八%であらねば崩れるというふうには理解をしておりません。たとえ感想を持っておったとしても、やっぱりお答えできる問題ではないじゃないかということであります。
#54
○大木正吾君 ここのところは逃げられちゃ困るんですよ。率直に申し上げまして、政府が予算には公務員はたしか二%ですか、組んだわけで、それとの違いが六%あるということなども頭にあるかもしれませんし、同時に、さっきの公債の話の金利問題等もあるかもしれませんけれどもね。とにかく日本経済の整合性ということを追求していったときと、同時に、サラリーマンの実際の生活の現実というものを考えたとき、私は、物価の方の六・四%を守るためには、生産性でもって吸収できるところの大企業がほとんど政府の言うことを聞かないでどんどん上げていくのだと、そして、中小零細から三次産業のサービス業関係でほとんど省力化できないところはもう本当に歯を食いしばって一割ぐらい上げざるを得ないというので泣いているんだという状態ですね。それから同時に、サラリーマンの生活の実態を見ていきますと、大体企画庁長官が六・四%でもって本当に抑えたといたしましても、八%の賃上げとの関係では残りが一・六%しかございません。そして税負担が四百万ぐらいの層ですと大体八%満額ちょうだいいたしまして三十二万ですからね。それとの関係で考えていきますと約三万五千円の税負担になるわけですよね。この金額を十二分していったりしてずっと除していきますと、結果的には八%ではサラリーマンの生活は、まあ言えば全く下落の一途をたどるという、先ほどの厚生省なり総理府の調査がそういったもののあらわれ方を示している、こういうふうに私見ておるんですね。
 ですから、いまのような御答弁じゃなしに、とにかくいいですよ、それは労使で決めるんだから。同時に、決まったら尊重するということでもいいですけれども、とにかく経済の整合性というものの中で企画庁、どこかでもってやっているはずですよ、たしか内部でね。それはあなた、そうでしょう、国民のGNPの占める大体五五、六%が個人消費ですからね。約四千万人余りがこれはサラリーマンなんだから、それがどれぐらい財布の中がどうなるかという計算なしにGNPの計算はできないはずでしょう。そういった面から見ても、長官、もう少し、若干増があってもいいんだけれども、どの辺が望ましいということぐらいは言えませんか。
#55
○国務大臣(正示啓次郎君) いまの御趣旨のような御質問、この前も大木委員からいただいたことがございます。私どもは、やっぱり民間最終消費というのは、これは非常に大事な経済の成長にとって欠くべからざるものであるという認識においては大木委員と全く同じでございます。
 そこで、八%に対する私の感じというものは直接は申し上げることはやはり差し控えさせていただきますが、雇用情勢が御案内のように大分よくなっておるわけでございます。これをまたよくしていくということも、これはもう経営者、労働組合の方々両方で非常に重要に考えていただいておるわけでございます。そういうふうなものを考えまして、五十五年度の政府の見通しの中におきましては、雇用所得の伸びといたしまして、名目では九・七、これはこの前もたしかお答えしたことを繰り返すわけで恐縮でございますが、実質で三・七というふうに、全体の雇用の改善等を含めてわれわれは見ておるわけでございます。
 個々の勤労世帯の負担という点についてはいろいろ御指摘のような問題もございましょうが、いずれにいたしましても、私どもとしてはインフレを抑えるために大所高所からの良識ある結論にぜひともおさめていただくようにこいねがっておる次第であります。
#56
○大木正吾君 雇用者の数もふえるだろうとおっしゃるけれども、さっきの議論との関係で、あなたは矛盾したことをおっしゃっているんですよ。少なくとも短期決戦型ではなかなかそう簡単にいかぬのだと、こういうふうな意味のことを御答弁しながら、今度は雇用者がふえるだろうとおっしゃるけれども、恐らくどの調査機関の傾向を見たって後半は景気が少し低迷するだろうという見方については一致しているわけでしょう。公共事業をそのとき出そうと思って竹下さんは一生懸命抑えているわけでしょう。だから、そういうことの関係では、結局、後半に雇用が伸びることの可能性はないし、同時に、皆さん方が組まれた雇用情勢がさらに上回っていくことはないんですよ。ほぼ出したものよりもよくなることはないので、最近、たしか日経新聞ですか、出していましたけれども、山一証券さんが金利九%後の経済動向について幾つか発表しておりましたですね。あの中で見ていきましても、結局、個人消費が実質面ではどうしても三・七%だけれども一%ぐらい落ち込むだろうと、こう書いているし、それから同時に、全体的には五五、六%と見ているけれども、これも危ないだろうと書いている。私が言っているわけじゃないんですから、専門の研究機関がそういうことを言っているわけですからね。そういう意味合いで考えていきますと、むしろこれは企画庁長官を助けて大蔵大臣をいじめているわけですね。要するに、経済の整合性という面ではやっぱり八%程度上げなければ国民の生活、個人個人を守れないし、経済のバランスを欠くことも明らかなんだ。しかし、こちらの方は出す方ですからね、公務員がたくさんいるから、だからそっちの方が困るからなるべく抑えたい気持ちは同じですよ。竹下さん、あなた大蔵大臣だからそれはもう当然そうでしょう。しかし、やっぱりこの辺の問題について、単に労使関係に任せるというだけじゃなくて、賃金じゃなくてもいいですよ、要するに、本年における経済計画なり財政の土台になった指標との関係におきまして、特に金利九%以後における変化等も踏まえまして、やっぱりどの辺に勤労者家庭の収入が欲しい、その場合には世帯主収入がどれぐらいあることが望ましいという、それぐらいのことは、どうですか、長官、国民の前に言えませんかね。私は別にここでもってあなたと交渉しているわけじゃないから、八%オーケーと言ってくれとはあえて申し上げませんけれどもね、望ましい姿と言って、経済の整合性の立場をもう少し言ってくださいよ。
#57
○国務大臣(正示啓次郎君) いま非常に大事なそれこそ局面でございますので、やはりその点については申し上げられませんが、ただ、いまおっしゃられましたように、雇用情勢について最近やや改善の傾向はあるけれども、来年は、おっしゃるように、下期について特に楽観を許さぬじゃないかという御指摘については、これは私も十分そういう見方があることについては注目しなければならぬと思っております。ただ、先ほど申し上げたように、まず物価についての基礎固めといいますか、これが先決でございますので、私どもとしては、いまはまさに春闘の大事な時期の直前でございますから、軽々なことを申し上げられませんが、その基礎固めをしていただけば、私は、先ほど構造的という御指摘もございましたけれども、そういうものに対処する基盤ができていくと、そういうふうに考えます。したがって、そこからわれわれとしては堅実な経済の歩みというものを期待できるわけでございますから、しかも、そのときに一番重要な問題はやっぱり雇用の確保、改善ということでなければならぬわけでございますから、私は、雇用問題が非常に重要な来年度の一つの大きな課題であることについては、先ほど申し上げたとおりの信念で進みたいと思っております。
 景気の先行きについては先ほど御注意がありまして、たとえば、早目に金利を下げるというようなことを軽々に言うなというふうなことを官房長官にも仰せになりましたが、そういう点についても十分配慮をいたしますけれども、われわれは、まず物価の高騰という不安、インフレ不安、これを払拭するということをいまは当面の緊急避難的な重要課題、そして、その上に経済の堅実な安定へ向かって、構造的な問題への解決に向かって、こういう順序で来年度の経済も進めていかなきゃならぬと、こんな考えでおりますので、御理解を賜りたいと思うわけであります。
#58
○大木正吾君 まあすれ違いの議論で、しようがありませんが、いずれにいたしましても、日本の生産性の上昇は、だれがどう書きましても、過去数年間、福田経済からの立ち直りの動機は減量経営、そういった中で起きてきたものであるし、同時に、まあ大変労働者、サラリーマンの方々が、倒産したり解雇されたりしまして、零細自営業者に転向している方々も相当多いわけですね。ですから、生産性が非常にいいんだということを言いながらも、働いている労働者、サラリーマンの立場ということについてもう少しくやっぱり御理解がないと、私自身、労使関係そのものについてもなかなかむずかしいデリケートな問題が起きてくるという心配も一面では持っているんですよ。同時に、たとえばいまの時代でしたら、もう昨年の九月、本年の三月決算期と見てますと、これは明らかに法人利潤税などを導入した中で、鉄鋼さんとか自動車さんとか電機関係の会社の大手などは税金でもってやっぱり相当量国家財政を助けるべきなんですよね。同時に、そういったところはまた、今度のまあ言えば電力あるいは石油問題に絡んでのうのうとして値上げ問題をやっているわけですからね。私はやっぱりそういう点でいきますと、いまのこの政策というものがうまくいっていると言いながらも、その景気の波のまにまに、いわば金持ちと弱い層の差が開きつつある、大手、中小の差が開きつつある、こういう感じがしてなりませんからね。そういった意味合いで、まさしく皆さんが本当に日本がこれからまあ言えば国際的にもりっぱな経済政策を展開していくというならば、八%の賃上げ問題はびた一文もこれはまけるわけにいかないだろうと。私がまあ責任者でございませんけれども、愼枝あるいは竪山さんなど指導者おられますけれども、昨晩の新聞の一部にもありましたけれども、恐らくびた一文まけたら現場労働者は承知せぬだろう、こういう感じがございますからね。そういうことと同時に、サラリーマンの生活に余裕がなくなりましたからね。ですから、そういったことを配慮していただきながら、同時に長官の立場なり竹下さんの立場からしますれば、これは当然国の経済計画の整合性という問題を考えたときに考えるべきものでしょうから、一つの大事な要素ですから、GNPに占める五十数%というものは大変なものですからね。そういったことを考えて、この場ではお答えができないといたしましても、私の発言というものをぜひ重視をして留意してもらいたい、このことを本問題について申し上げておきたいんです。
 さて、関連しまして、これは中小企業者の関係でもってちょっと一つだけ伺いますが、実は政府の物価対策の中にもあるかと思って注意したんですが、ないので伺っておきますが、五十一年当時の不況のときにやったような金融引き締めで市中銀行等は相当に締めつけが厳しいですから、なかなか市中銀行に借りる力が中小企業等にありませんから、政府関係の三金庫の現在の貸し出し状態あるいは手持ちのお金の状態、あるいはそれに対しての中小企業に対する対処なりめんどうの見方といいましょうか、そういったことについて何らかの処方せんがあったら伺っておきたいんですが。
#59
○国務大臣(佐々木義武君) なるほど物価総合対策の文面には中小企業の字が出ておりませんけれども、その席上で私から金融の引き締め等によってそのしわが集中的に中小企業に及ばぬように十分御配慮いただきたいという発言をすることにいたしまして、そのとおり私から発言をいたしまして、それを関係省にお願いしておきました。
 それから、政府系中小企業金融三機関の融資枠でございますけれども、これは五十四年に比較いたしまして五十五年は一〇%増でございます。その前年の五十三年と五十四年の比較はたしか七%だったと記憶しておりますが、それに比較いたしまして相当ことしは余裕と申しますか、それを考えまして枠をふやしてございます。
#60
○大木正吾君 三月も迫っているわけでございますけれども、いずれにいたしましても一千七百件を超える倒産という話題も出ていますから、ぜひ中小企業のめんどうだけは手抜かりなく見てもらいたいことを要望いたしておきます。
 大蔵大臣、これはどうも金利問題で相当天井感のものまでやったんですけれども、私は、短期にはちょっと、国際的な状態、さっき申し上げたような構造的な原因を考えていきますと、そう簡単には物価は下がらぬ。あるいは国際的なインフレーションもおさまらぬ、こう見るんですが、金利以外に、まあ金融関係でございますけれども、総合物価対策には入っておりませんでしたけれども、マネーサプライにつきまして、まあ狂乱のときとは違うということは私も十分承知していますけれども、どの程度が大体経済の動向の中では妥当かということについての御感触はお持ちですか。
#61
○国務大臣(竹下登君) 結論から申し上げますと、マネーサプライの適正水準ということを厳密に申し上げるということは、これはむずかしい問題だと思います。昨年来、原油等海外原材料の上昇する中におきまして、国内物価の上昇速度を極力抑制するということで公定歩合の引き上げとそれから日銀で窓口規制を強化しておられるわけです。この間、マネーサプライの伸びは昨年の六月以後鈍化いたしまして、本年一月にはプラス一〇・六%まで低下しておりますので、金融面から物価上昇が加速されていくような環境を整えていくという所期の効果は着実にこれは出ておるというふうに考えます。
 そこで、最初申し上げましたが、一般的に見たマネーサプライの適正水準いかんということになりますと、物価、それから実体経済活動との間には常に安定的な関係が存在するわけでは必ずしもございませんので、適正水準はこれだということを決定しがたいのが実情でございます。したがって、特定のマネーサプライの伸び率の目標値を掲げて、機械窓口規制等でそれをやっていくということではなく、他の関連指標の動きにも慎重な注意を払いながら、いわゆる金融政策の運営全体の中であやまりなきを期していくべきものではないか。だから、いまのところ、どこから見ましても適正という表現でございましょうか、とにかくマネーサプライは適当だというふうに評価されておりますが、全体の経済の中で何%というものが適正かということをやはり決定的に言えるような性格のものではないじゃないかというふうに考えております。
#62
○大木正吾君 これは短期療法というお話もありましたから、あえて伺っているんですけれども、一部の意見からいたしますと、通貨発行量これ自身、あるいはマネーサプライですね、これがインフレーションというものと短期的に勝負するにはもっと有効じゃないかと、こういう意見もあるんですが、それに対してはどうですか。
#63
○国務大臣(竹下登君) そうした性格を持つものでございますので、いま、おとといでございましたか、日銀当局の興長銀あるいは都市銀行等に対する窓口規制というものは、これもまさに有史以来−有史以来という表現はおかしいのでありますが、ちょうど金利の天井感を出すための公定歩合を引き上げられたと同じような印象を受けるような形で窓口規制を厳格に引き締め基調でやっていかれるという方向であると、だから、それはやはり今後の物価問題に期待できる大きな要素の一つであるというふうに考えております。
#64
○大木正吾君 それじゃ、最後の項に入りますけれども、私のこれは判断でございますが、恐らくインフレーションは国際的な面での影響も相当大きいですから、そう簡単にはおさまらない、こういうふうに見ておりまして、大蔵省も経済企画庁も恐らく、サマーレビューか何か知りませんけれども、新しい金利体制下の経済政策の検討といいましょうか、あるいは財政面からの検討等について入る準備をしていると思うんですけれども、そういった御準備でございますか。
#65
○国務大臣(正示啓次郎君) おっしゃるとおり、われわれとしては先ほども申し上げたように、まず当面の物価問題、これについて見通しをつける時期、これが非常に大事でありますから、これにいま全力を傾倒しながら、しかし経済の堅実な成長、これまた非常に大事な問題である。なお、それが本年度だけではなくて、あるいは来年度だけではなくて中長期的に、エネルギーの関係等を含め、また経済社会のたとえば老齢化問題等に対応しながら全般的な展望というものを組みたい、こういうことでございます。その中に財政金融が非常に重要な位置を占めることも御指摘のとおりと思っております。
 しかし一方では、予算委員会で財政計画、財政の見通しというふうな御議論もありましたが、経済について率直に先般私どもが経済社会七ヵ年計画のいわゆるフォローアップ、暫定的な修正を行ったわけでありますが、見直しを行ったわけでありますが、これを根本的につくりかえるという条件は、なかなか先ほど来御指摘のような構造的な問題に対する新しい事態、そういうことが先決でございますので、いま直ちにそういう作業に着手するということは事実上不可能でございます。しかし、これは先般の経済審議会でも、新しい事態に対応した勉強はしなきゃいかぬ、こういう御議論は非常に強うございました。私どもとしては、片時もそういうことを忘れることなく新しい事態に対応する準備は進めておるところでございますが、さて、いつになったらそういうものができるかということをまだ申し上げる段階ではないわけであります。
#66
○国務大臣(竹下登君) 私の方では、いわゆる財政計画ということになるだろうと思うのであります。御案内のように、ここ五年間でございますか、財政収支試算というものを予算審議の参考としてお出しいたしておるわけでございますが、これそのものがいわば一つのこのような経済社会七ヵ年計画に基づいて終着点を、たとえば社会保障一四・五あるいは租税負担率を二六・五というようなところに置いたらこのようなことになりますよという一つの試算はお出ししているわけでありますが、これではなく、ドイツなどがやっておるように、財政計画そのものをつくったらどうだという御指摘はたびたびいただいておりまして、それで部内でずいぶん皆が協議してくれたようです。が、なかなかむずかしい。それでこれは大蔵省だけでできる問題じゃない、各省の御協力をいただかなきやならぬ。そうなりますと、まず最初認識を新たにしなきゃならぬのは、各省におかれては自分の省の政策、それに対する予算の裏づけが長期にわたって拘束されてくるんじゃないかという懸念がやっぱり起こるわけでございますね。だから、なかなか協力を得られる状態になかったが、まあやっとできたと。聞いてみますと、ドイツもやっぱり十年かかったそうでございますので、しかし十年いまからかけてやりますと言っても、私も勲章をもらうぐらいな年になりますから、そういうわけにもいきませんので、したがって、鋭意やってみようということで、結局今年度じゃなくして、五十五年末までをめどに一応とにかく努力目標としてこれをつくってみようじゃないかというところまでいま気構えができておるという状態でございます。
#67
○大木正吾君 総括の際にもその話は伺いましたから、ぜひそれは作業を進めていただきたいし、中間でも大蔵委員会等に出していただければ幸いです。
 長官にこれは伺いますが、結局やっぱり昨年の十二月の七%台のときにつくった経済計画でございますから、九%に入った段階では相当に、たとえば物価上昇とか実質成長の問題、そういったことに対しましてやっぱり変化が起きてくると私は考えているんですね。その変化というものは、決してこれはいい傾向ではなく、むしろ経済の数字のあらゆる面におきまして物価は上昇ぎみになり、実質的な成長は逆に下がってしまう。国民個人個人の個人消費も若干下向き傾向をとってしまう。そういったようにやっぱり感じているし、といって国際的な高金利時代ですからね、そう簡単には金利を下げるわけにいかない。こういうふうにいろいろな見通しを持ったときに、もし七、八月ごろに景気後退という現象が起きたとすれば、一体どういう対策をそのときにとるおつもりですか。
#68
○国務大臣(正示啓次郎君) 一つの見通しに基づく政策ということはなかなか申し上げることがむずかしいわけでございます。しかし、この間の総合物価対策の中にもはっきり指し示しておりますように、当面は適切な総需要の管理、こういうことでございまして、それをさらに端的に言えば、抑制的な財政金融政策、こういうことが出てくるわけでございます。これによって物価の危機を乗り切っていく。もちろんそれが簡単でないことは御指摘のとおりかと思っております。
 さて、その後に機動的、弾力的な運営ということは、言うはやすくなかなか国際情勢その他からむずかしいじゃないか、金利等についても国際的な金利水準、こういうことも考えると簡単な引き下げができないというふうな御見解、これも非常に有力な御見識かと思います。そういうこともあわせ考え、私はやっぱり先ほど外務大臣がわざわざここでお述べになったように、これからはやはり国際協調、これが非常に大事な面であろうかと思っております。日本の経済はほかの諸外国と孤立した政策をとり得るものではございません。国際収支の面から言ってももちろんでございます。そこで、この物価関係等についても国際的な一つの現象となっておりますから、それに対応する努力を国際的に一緒にやっていくと同時に、そこからくるいわゆるリセッションといいますか、そういう事態に対応いたしましても、できる限り国際的に歩調をそろえながら、力を合わせながら進んでいけるような体制というものを常に配慮していかなけりゃならぬことだと思っております。それが大木委員が御指摘のような構造的な問題解決への第一歩でなきやならぬ。こういう認識でやっておりますが、さしあたり日本といたしましては、締めるときにはやっぱり締めて効果を出していただき、緩めるときは緩め得る限度まではやはり財政金融等でも適切な措置を講じ、先ほど通産大臣がお話しになりましたように、特に弱い中小企業、零細企業その他についても配慮していかなければならぬというふうな政策を常にし、客観情勢の推移に対応しながら、まあ限界はございましょうけれども、その限度内においてフルに私どもとしてはこれを活用していきたい、こんな気持ちで進んでおるわけでございます。
#69
○大木正吾君 一般的には、この金利の再引き下げの問題とか、公共事業も後ろ倒しにしていくでしょうけれども、それをもう一遍前倒しにするとか、そういった策が従来の手法だったと思うんですが、あと三日もしたら四月に入るんですけれどもね、新聞報道等には若干出ていますが、公共事業については、これは大蔵大臣どうですか、どの程度四−六あるいは上半期、下半期ですね、そういった面でどの程度の弾力的な発注をしようと考えておるんですか。
#70
○国務大臣(竹下登君) これは非常に重要な問題でございますが、きのうの段階でまだ予算現額が全部整理されておりません。したがいまして、それに対する、いわゆる上半期で従来ならば出しておりますが、また委員会等の御議論の中に、四−六何ぼというふうな出し方をしてみたらどうだというような議論もございます。したがって、幾らということをここでまだ申し上げる段階にございません。総需要を管理しつつ抑制的な施策として行うというわかり切った御答弁できょうのところはお許しをいただきたいと思います。
#71
○大木正吾君 結局、年度繰り越しはどの程度になるのですか。
#72
○政府委員(田中敬君) 五十四年度から五十五年度に繰り越される公共事業の金額のお尋ねだろうと存じますが、先般、五十四年度の公共事業関係費につきまして五%留保という措置をとっておりまして、間もなく年度末が参りますので、その五%の留保が確実に行われるものと思いますが、五%の留保額が約六千八百五十億円程度でございます。それが来年度に繰り越される金額であると考えます。
#73
○大木正吾君 なかなか数字が――あと二、三日後には言えるらしいですけれども、きょうは言えないという話でございますが、前半にはやはりなるべくこれを抑えて、抑制型にしておいて、そして後半に発注する、考えの筋はそういう筋ですか。
#74
○国務大臣(竹下登君) 後半の経済の実態がどうなるかということはその時点において考えなきゃならぬことでございますので、したがって、前半抑制型で後半は積極型だという割り切り方もいまの段階でできないだろうと思うのでありますが、前半抑制基調であるということは申し上げることができるというふうに思います。
#75
○大木正吾君 ちょっと変わった角度から伺いますけれども、これはあくまでも景気の後半における後退ということを私自身がそう感じるものですから申し上げるのですが、所得税の問題でございますけれども、過去三年間減税措置をしておりませんですね。そういう傾向の中でもって見てまいりますと、用語的な、自然増収という用語でございますけれども、むしろ所得税はきわめて細かな累進構造制をとっていますから、結果的にはやっぱり自然増税ですかね。自動増税装置みたいな感じがするのですけれども、主税局長、少し言葉が悪いので勘弁してもらいたいのだけれども、現実にはそういう考え方は間違っているでしょうか。
#76
○政府委員(高橋元君) もちろん所得税は総合累進ということでございますから、課税最低限を超えます所得がいまの税率表で申しますと、最初の六十万円が一〇%、次の六十万円が一二%というふうにだんだん税率が上がってまいります。したがいまして、所得が上昇をしてまいる場合にはそれの負担していただく所得税もふえていく、その割合がふえていくというのが所得税の基本的な構造でございます。
 ただし、しばしば御指摘もあることでございますけれども、たとえば本年の経済見通しに即して私ども所得税の五十五年度の増収というのを考えておるわけでございますが、その場合に、一人当たり所得が計算上七二二、雇用の増が一・四、合計八・七%収入がふえる。こういう前提で所得税の計算をいたしておりますが、たとえば年収二百五十万円、夫婦子二人という方をモデルにとって計算をいたしますと、その方々が納めておられる五十四年の税金は、所得税三万二千円、住民税二万七千七百円、合計五万九千七百円でございますが、五十五年には所得税四万四千四十五円、住民税三万一千円、合計七万五千四十五とふえてまいります。その増加は六・八%でございますけれども――失礼いたしました。その増加率は非常に高うございますけれども、税引きの手取りで計算していただきますと、五十四年には二百四十四万円が手取りでございましたのが五十五年には二百六十万七千四百五十五円と六・八%ふえまして、経済見通しの消費者物価六・四%上昇した場合の手取り額は前年よりも一万円ふえて二百四十五万六百十六円となる、こういう形で私どもはミクロ的には計算をいたしているわけでございます。
#77
○大木正吾君 別に税引き後の収入がどうなるかということを聞いているわけじゃないんで、私がいま聞いたのは、要するに六十万から三百万までの層がほぼ二%、それが三%になって入ったでしょう。そして、問題はこの中で三百万以下の層が、最近の資料ですと、昭和五十年からずっと見ていきますと、人員的には減っているんですね。そして五百万、まあ恐らく七百万ぐらいからでしょうけれども、三百万から五百万、この辺のところがいずれも人員がふえている。五十年に百七十万人、五十一年百八十二万人、昭和五十二年百二十三万人、昭和五十三年百二十三万とふえていますね。これはいずれもこれは課税最低限を上げてない。物価調整減税していないものですから、黙っていても、言えば春闘でもって賃金交渉すれば、主税局長が別にふところにしているわけじゃありませんけれども、国の所得税がふえていっている、こういうことになるんじゃないんですか。そういう解釈は間違いでしょうか。
#78
○政府委員(高橋元君) 確かに名目の所得、実質の所得も当然でございますが、増加してまいりました場合に、階級別の所得税の負担分布というものは上の方に上がっていくことは事実でございますけれども、しかしながら、税率表自体が課税所得三百万ぐらいから急激に上がってまいりますので、したがって、どこの階層で税収がふえていくかと申せば、五百万以上の階層の税収の増というのは非常に急激だと思います。もちろん、先ほどもお答え申し上げましたように、すべての階層で収入がふえますならば、収入のふえましたものから、夫婦子二人の給与所得者であれば二百一万五千円引いたものについて残りの課税所得についての税率が上がってまいりますから、全体として上がることは事実でございますが、どこがふえるかと言えば、やはり中額または高額のところが一番増加率が激しいということは申し上げられると思います。
#79
○大木正吾君 いや、私も税調六年やったから.一々教わらぬでもわかるんですけれども、一千万前後の方々に対してことしは特別にまた税率も少し上げたわけですから、むしろそのことは当然だったと思うのでして、別にそれに対してよかった、善政だったなんということをごとごと言うつもりはないんですが、一千万から大体三百万の層のところに、実を言うと、言えば納税人員のふえがありまして、過去数年間におけるこの納税人員のふえ方は異常とも言えるふえ方をしているんではないんですか。むしろ、たしか四、五年前に七二%ぐらいだったものが最近では五十年に七一・九%ですよ。それが五十五年には八二・四%、人員でもって約六百二十五万人ふえていますね。そういったことはどういうことを意味するんですか。
#80
○政府委員(高橋元君) ちょっと適当な数値を持ち合わせておりませんが、有業人口に対する納税者割合という指標で申し上げますと、五十三年の見込みは六五・四%でございます。たしか五十年であったかと思いますが、この比率は六一%程度でございます。したがいまして、経済の回復に伴う所前の増等がございまして、課税最低限が五十二年以降据え置かれていることも事実でございますが、有業人口に対する納税者の割合は若干増加ぎみであるということは申し上げられると思うのです。
#81
○大木正吾君 そういうような言い方では私は納得できないので、これは衆議院に出した五十五年度予算審議資料の大蔵省B−2より抜き出したものですが、給与所得者総数が五十年三千六百四十六万人、五十五年が三千九百四十万人、プラス二百九十四万人ですよね。これに対して納税者数が五十年二千六百二十二万人、そして五十五年が三千二百四十七万人ですからね。要するに、給与所得者の総数二百九十四万人に対して約倍以上の六百二十五万人が納税者に入っている、こういうことになるわけでしょう。それから同時に、その比率を見ていきますと、当初五十年七一・九%であったものが五十五年に八二・四%、一〇・五%もふえている、こういうことじゃないですか。
#82
○政府委員(高橋元君) 先ほどお答え申し上げましたのは有業人口対納税人員全体でございますが、雇用者対納税者ということで申し上げますと、ただいまお示しのございました衆議院提出資料B−2の数値のとおりでございますが、その原因は何かと仰せられれば、確かに賃金の上界ということと、それから申し上げておるような税率構造ということと二つでございます。したがって、五十年当時、給与所得者の中に占める納税人口の割合は五十年当時七一・九が五十三年七八・九になっておるということは御指摘のとおりであります。
#83
○大木正吾君 大体、納税人口二千二、三百万というのは、推移した経過として私たち承知しているんですけれども、これはほぼ二けた違いのこともございましたけれども、八%満額などということにもなったり、あるいはこれがもっと物価が二けたに近づいたりしますと、当然こういった問題については税務署の職員でやり切れぬぐらいの頭数になってくる。だから、源泉徴収をされる。まあ、源泉徴収をうまいぐあいに使っているでしょうけれども、とにもかくにも三年間物価調整減税やっていないということをいま言わなかったでしょう。なぜ言わないですか、物価調整減税しなかったからこうなったと。課税最低限上げたら、あなた、こういったふえ方はしないでしょうが。
#84
○政府委員(高橋元君) 課税される給与所得者は確かに課税最低限以上の方でございますから、課税最低限を上げれば納税者の数は、また納税者割合は減ってまいります。それはもう所得税の構造上当然のことでございますし、先ほどそのようなことを申し上げたつもりでございます。
#85
○大木正吾君 いや、累進構造とかなんとか言っているから、もっと皆さんにはっきりしてもらうために私はあえて念を押しているわけですけれどもね。
 そこで、最後、これは締めくくり的なことになるわけですけれども、金利は大体九%でもって張りついて年末までいかざるを得ないだろうと、国際趨勢等から考えたとき。六、七月に恐らく金利を下げるような条件は出てこない。恐らく石油の購入外貨が本年みたいに百四十億ドルに近づくということもないでしょうけれども、若干減っていきましても百億ドル前後をやっぱりまず必要とするだろうことは間違いないと思うんですね。下手に今度は貿易戦争――輸出に対して大変なプッシュがかかりまして貿易摩擦が起きても大変なことになるわけですよ。そうすると、国内的な状態でもってホームメードインフレをどうするかということになりますから、私があえて問題提起していますのは、一つの手法としてマネーサプライの工夫ということについて、短期の仕方もあるでしょうし、同時に、公共事業の発注という問題を後半に若干後ろ倒したものを持っていくことによってそういった不況というものを救う手もあるだろう。同時に、消費性向がぐんと下がってきていますからね。下がってきているから、それを支えなければ耐久消費財の方にも響くかもしれませんけれども、とにもかくにも経済のバランスが崩れるわけですからね。竹下さん、予算審議中ですからお答えできないかもしれませんけれども、やっぱりこういう状態ということは、特に所得税が自然増税装置化していることについては問題の個所ですから、だから過去数年間、ずっと戦後二十七、八年ごろから物価調整減税的なものをやってきたわけですから、そういったことをやめていることに対して解除をして、そうして物価調整減税を施行することによって景気の下支えをする、購買力をふやしていくわけですね。そういった手法を私の方から質問しながら提起しているわけですから、私は、それに対して、官房長官も帰ってきたからちょうどいいぐあいだから、官房長官と大蔵大臣と経企庁長官ですね、お三人の見解を聞いておきたいと思うんです。
#86
○国務大臣(竹下登君) 公共事業の下期に抑制的施策ではなくして景気の下支えになるような発注の仕方については、これは意見として承っておきます。いま言うわけにはいきませんけれども、りっぱな意見だと思います。
 それから、マネーサプライの問題につきましては、まさに日銀のとっておられるいまの窓口規制の問題等の効果に期待をしておるということになります。
 そこで、物価調整減税の問題になりますが、まあこの物価調整減税というものは、これは税制調査会に長らくいらした大木さんですから、課税最低限が高いとか、あるいは有業人口に占める納税者の数がフランスと一緒に少ないとか、累進税率は世界で一番高いとかいうような基礎的な話は別といたしまして、いまの財政状態の中で減税ということを意図する余裕はないと、このように言わざるを得ません。
#87
○国務大臣(正示啓次郎君) 大変大事な点の御質問でございます。
 私どもはやはり経済をいわゆるオーバーキルというふうな事態に持っていかないことも非常に大事であります。と同時に、インフレ心理・インフレマインドというものをとにかくここで皆さんの力で払拭していただく必要がある、こういう考え方のもとに、いま大蔵大臣が非常に苦衷を披瀝されたわけでありますが、何とかひとつ全力を挙げてやっていきたい。その結果どういうことになっていくか。経済の成長の上で非常に大事な個人消費の堅実な伸び、これを無視しては経済を運営できないではないかという御指摘、そのとおりでございます。そこで、先ほど来繰り返し申し上げるように、まず物価の安定、そして勤労者の充実した生活、こういうことが確保できますような自主的な良識ある賃金交渉、こういうことにわれわれとしては重大な関心を持って、りっぱな成果を上げていただくように期待をいたしておるところでございます。しかし、それを期待する政府の責任は重大でございます。これは物価の安定について全力を挙げて取り組まなければならぬと、こういう認識を持っておる次第でございます。
#88
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 いま、大蔵大臣、企画庁長官からお答えになりましたとおり、いまの財政再建という状態で減税ということを考えることは、なかなか政府としてはこれはむずかしいということを実は考えておるわけでございます。それで、先生おっしゃったのは、生活防衛ということが基本だと思うわけでございますので、実はきのうも与党との会議でいろいろ議論が出たのでございますが、総理も、何としても六・四%という消費者物価というものを守っていくということがこれは自分の最低のいまの目標なんだから、物価安定に自分は全力を尽くすということをきのう言ったわけでございまして、六・四という、物価を何とかそこに抑えまして生活防衛ができるようにすることが政府の役目でございまして、いま減税というところはとうてい考えられぬというのがいまの現状でございます。
#89
○大木正吾君 民間の経済機関が恐らく三、四月に入ってずっとまた調査していくと思うんですけど、大体スタートのときに政府の見解が甘いということが特に物価問題では象徴的に出ていたわけです。
 最近、山一証券さんの調査研究機関がやっぱりやったのがありますけれども、さらに消費者物価が特にやっぱりそれから上がるということの約一%ぐらい上げた数字をはじいているわけですよ。ですから、こういった傾向値は恐らく民間機関全部ならっていくだろうと、恐らくそういう傾向を出すと思いますね。
 それから同時に、きょうずっと約二時間余りやってきましたけどもね、申し上げますと、通産省の大手企業に対する、言えば便乗というような言い方だけじゃなしに、私はもっと中身に入れと、こう申し上げたけれどもね。そういったことも従来の言えば通産省の監督なり見方と余り変わった――何か機関をつくってやっているという話でございまして、私自身は、むしろコストというもの、本当にコストプッシュということについて云々ならば、生産性向上で吸収のできる企業がもっと値段を下げることが筋であると、一つはですね。それが余りやられていない。そして今度は一般の国民なりサラリーマンに一番影響の大きい省力化のできない、生産性向上のしにくいところがきゅうきゅう言っていて、なおかつ上げざるを得ない。これはいずれも一割前後、まあ有名な吉野家さんとか、あるいはハンバーガーの店とかなんかも上げてますわ、現に。上げちゃってますよね。それから同時に、新聞代等も、いずれこれは私鉄運賃等も上がってくるでしょうし、てういったところでもって、結局わりあいに省力化が困難なところが苦しみながらも、苦しみ抜いてなおかつ一割ぐらい上げていっていると。そして景気動向を見ていくと、それは正示さん気持ちは壮といたしますけれども、六・四%はなかなか私はむずかしいという見方をしているから、あえてしかも日本だけ今度金利を財界の突き上げがあって下げたと言ったって、じゃ、またいまだもって一つの期待であったところの資本収支問題ね、あれはどうなっておるんですか。私が資料を見ている限りは、外国の資本は資本収支の面でも決してこっちへ入ってきていませんよね。ですから、あの九%、最高金利にしながらも、ほとんど国際金融面でも効果がないという状態でしょう。そうすると九%というものはなかなかさわれないですよ、現状からしますればね。そういう中で公共事業の後倒しから前倒しに変えていくという問題とか、あるいは一番経済の基盤となるところの五六%、GNPに占める。これは国民の方々すべてがかずのこでもって北商を追い込んだような手順はなかなかそうとり切らぬのですよ、しんぼうし切ってますからね。
 そうしますと、結果的にはやっぱりその段階では三年間塩づけになったところの所得税減税についても若干考えてもいいじゃないかと。私は別に私自身が立っている立場だけで物を言っておるんじゃないですよ。国家経済自身の整合性というものを言うからあえて申し上げているわけだから、それに対しての答弁はきわめて、きょうは時期が悪いのかしれませんけれどもね、あいまいで、いつも歯切れのよい竹下さんにしても、ちょっとこう腹の中に何かもっといいものを持っているみたいだけれども、口じゃ出せないという感じがするんです。だけど、私は、やっぱりそういった前後半の景気と同時に、金利問題等を中心としながらやっている見通しについてこの際もうちょっと歯切れのいい話が公共事業、同時にショック療法としての通貨の発行量ですね、そして同時に下支えをするところの、景気の下支えとしましての国民の方々の五六%程度のGNP構成比に占める個人消費、その恐らく七割ぐらい占める給与所得者の減税問題ですね、そういった問題等について何らかの前向きな答えが伺いたい。そのことは単に一方の立場じゃないと思うんですよ。経済全体の整合性で、むしろ財界の方々もそのことを期待しておるかもしれませんよ、これは。そういった面で申し上げているわけですから、もう一遍お答えをしていただけませんか。
#90
○国務大臣(竹下登君) 公共事業の執行についての御見解というものは私は貴重な意見として受けとめております。
 それからマネーサプライの問題については、まさにそうした方向で効果が出てくることをいま期待しておるというこの二つはいいんですよ。もう一つの分がいけない――いけないといいますか、お気に召さないわけであります。諸般の情勢を考えまして、いま所得減税を行う環境にはないと、こう申し上げざるを得ない。
#91
○国務大臣(正示啓次郎君) 大木委員は大変お詳しくて金融、財政の政策についてきめ細かにこれからの見通しというか、そういう点についてお触れになっておるわけですが、やっぱりその前に国際的な協調関係を実質的に形づくっていく努力、ベネチアのサミット、これが御案内のように予定されておるわけでございます。たまたま私の方からも事務次官がパリに参りまして、先ほどちょっと申し上げたと思いますが、各国の責任者と会談をして帰ってまいりました。本当に各国ともこれからの経済、世界経済、そして各国の経済、この歩みについては非常に深刻にいま悩んでおる最中だと思います。その中で西ドイツとスイスはアメリカの公定歩合の引き上げのなかったインフレ対策の後に金利の引き上げということに追随していないと、こういうふうなことも一つ事実としてあるわけでございますが、さて、そういうふうな各国のいまの状態というもの、これがどの程度これから維持されていくのか、日本の金利というものが一体どういうふうに推移していくのか、これはもう大変むずかしい問題でありますけれども、私どもとしては、先ほど来御指摘のあったような国際協調関係というものを着々と、またあらゆる機会に努力をしてかためていくという体制をつくりながら、国内における重要な勤労者の生活の問題あるいは景気の堅実な足取りを確保するという問題、こういう問題について常に細心の注意を払いながら弾力的に対処し得る限界の範囲内でやっていかなければならぬという考え方を繰り返し申し上げるわけでございます。
#92
○大木正吾君 六・四%ということについて非常に自信なりあるいは政治生命かけているという長官でございますからね、そういうお感じでおっしゃることはいいですけれども、ベネチアでもって集まったって、すぐにあなた、オイルダラーが返ってくるわけじゃありませんからね。ただ各国の金利の調整ぐらいは、それはできるかもしれませんけれども、なかなかそう簡単でないと私としては一応見ているわけですが、ただ、これは竹下さん、ふだんいつも物わかりのいい方なんですけれども、きょうは非常にがんこに一つのことを否定されておるんだけれども、とにかく富塚君にしても槙枝君にしても、あるいは竪山君にしても天池君にしたって――いまかわったですか、宇佐美君に。とにかくしんぼうして、一生懸命に皆さんに協力しまして何とか日本経済長く持っていこうという気持ちでもって生産性も上昇に協力もしましょうということも言い、経済の危いときには参加もしましょうと言い、下の方々相当不満持ちながらも八%にかけているわけですよ、いまね。進退をかけているわけですよ。そして私の見た目では残念だけれども、六・四%の正示さんの気持ちは壮とするけれども、なかなかむずかしい。もし七・五%程度の賃上げでもって終われば、これがむしろある意味では、言えば消費性向さらに下回りまして、かえって経済界自身にも余りいい効果もたらさないということもあり得るわけですよね。私はしかし金利をさわるわけにはいかぬと見るもんですからね。さわれるものは短期的にはマネーサプライである。言えば仕事をふやす意味合いでは、やっぱり公共事業の発注であろう。同時に消費を少しふくらまして微調整するならば所得税減税を、物価調整減税を、財政の苦しさはわかるけれども、またある意味ではそれやらなければ財政が期待どおり入ってこないこともあり得るわけなんですから、そういった点でもってこの減税問題に触れてみているわけなんでありましてね。とにかく非常にいまの日本の経済全体的にうまくいきつつあるものを壊す立場に政府の側が立つ危険すら問題によってはこれは生じますよということも言いたいわけだし、やっぱりこの辺の問題についてへたをするとヨーロッパ型の――カーターがああ言ったって八・五%や九%でアメリカの労働者はがまんしていませんよ、あれはもう。現にもう情報では一〇%、二けた賃上げ問題が現に起ころうとしている、一部の。そういうところにもありますから、私はやっぱりその意味合いでもって、日本における労使関係というものは大事な関係にいまできているわけですから、そういったことを考えてみていただいても、やっぱりそういうときには発動の用意があるような顔色ぐらいしてもらえませんか。竹下さん、どうですか。
#93
○委員長(山内一郎君) 大木君、時間が来ました。
#94
○国務大臣(竹下登君) それは大木さんの、エコノミスト大木さんとしての御議論に対して私も何回も傾聴しながらお答えしたのでありますが、さて政治家大木さんとしての最後の問題についてだけは、今日その環境にないと、こういうふうにお答えせざるを得ないと思います。
#95
○大木正吾君 委員長、最後ですけれども。
 きょうの段階、今日ですから、今日が八月まで続くかもしれませんけれども、余りここでもってびしゃっと切らないで、先行きまたお願いに行く筋も起きるかもしれませんから、その節にはよろしくひとつふところを開いていただきたい、このことを申し上げて終わります。(拍手)
#96
○委員長(山内一郎君) 以上で大木君の質疑は終了いたしました。
 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時三十分から委員会を再開することとし、これにて休憩します。
   午後零時三十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十一分開会
#97
○委員長(山内一郎君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十五年度総予算三葉を一括して議題といたします。
 これより中尾辰義君の質疑を行います。中尾君。(拍手)
#98
○中尾辰義君 私は、最近の魚の価格の動きにつきましてまず最初にお伺いをいたします。
 最近の多獲性魚、アジ、サバ、イワシ、サンマ等の価格はどういうような推移をたどっておるのか。また遠洋物のカツオ、マグロ、さらにはノリ、ワカメ等、どのように推移しているか、お伺いしたいと思います。
#99
○政府委員(今村宣夫君) お尋ねの最近の魚価の推移でございますが、まず全体的に見まして、五十四年の水産物の消費者物価指数でございますが、生鮮魚介類につきましては秋口まではほぼ前年並みの水準で推移をしてきておったわけですけれども、昨年十一月以降だんだん上昇いたしまして、五十五年の一月には対前年同月比八・一%のを上昇を示したわけでございます。しかし、今年に入りまして二月には落ちつきを取り戻しておりまして、前月比でマイナスの四・六%の下落ということになっております。三月につきましては小売価格はおおむね弱含みに推移をいたしております。一方、塩乾類でございますが、これは大体弱含みで推移をいたしておりまして、昭和五十五年一月には対前年同月比マイナスの三・七%、二月には同じくマイナスの三・九%の下落を示しておりまして、三月に入りましてもこの基調は続いておるわけでございます。
 それから、お尋ねの魚種別の価格でございますが、まずアジは、本年に入りまして、しけ等によります入荷減のために価格は堅調に推移をしておりますが、今後につきましては入荷増も見込まれますので、価格は弱含みで推移するというふうに見込んでおります。サバでございますが、サバは水揚げ量は減少をいたしておりまして、価格の暴落した前年に比べてやや高い水準で推移をしております。しかし、今後は他の青物等の出回りもございますので、価格は弱含みで推移するというふうに見込んでおります。イワシでございますが、閑漁期に向かいまして水揚げ量は減少いたしますが、産卵期のために魚体が大きくなっております。したがって、そういう点を考慮しますれば価格は横ばいかやや強含みで推移をするというふうに考えております。サンマでございますが、大体これも横ばいで推移するというふうに見込んでおります。それからスルメイカですが、大体今後も遠洋物の順調な水揚げが続くことから価格は弱含みに推移するというふうに見込んでいます。カツオでございますが、昨年以降、価格は、水揚げの減少によりまして高目に推移をしてきましたが、今後水揚げの回復が見込まれますので、相対的にはいままでよりも弱含みという形で推移するのではないか。マグロでございますが、マグロにつきましては入荷増があります一方、需要が頭打ちの傾向を示しておりますので、本年の一月を境として弱含みに転じております。今後につきましては春の行楽シーズン等を迎えまして需要の増大が見込まれますから、価格はやや強含みで推移をしていくというふうに思っております。ノリ、ワカメですが、ノリも大体いまのような水準で推移する。ワカメにつきましても、輸入が順調でございますので、小売価格は弱含みに推移しておりますが、今後は新しいものが出回りますので、そういう点から価格は強含みに推移するのではないかというふうに見ておるわけでございます。
#100
○中尾辰義君 大体承りましたけれども、一般消費者から見る限り、これは素朴な意見かしりませんけれど、政府の魚価対策は、最近のかずのことかマグロの買い占め空売りに見られるように、野放しというような事態が続いているように思われるわけであります。全部じゃありませんけれどね。そこで政府の魚価安定対策はいかなる役割りを果たすことを要求されておるのか。それから今日まで魚の価格対策としてどういう対策を講じてきたのか。また今後どのように対処するのか。一括してお伺いいたします。
#101
○政府委員(今村宣夫君) 魚価の安定を図りますためには、基本的にはやはり需要に見合った生産を行うということであろうと存じますが、しかし、御案内のとおり、魚種によりましては二百海里の漁業規制を受けまして生産が縮小しまして需要を下回っているものがございます。これらにつきましては適切な輸入によって対処をするということ以外にはないわけでございますが、私たちは輸入割り当てその他におきまして適切にこれによって対処をしていきたい。それから、同時にまた流通の改善、加工体制の整備ということも非常に重要でありますので、これらの対策の施策も充実をさせていきたいと考えております。と同時に、短期的に見ますれば、やはり価格の動向、それから在庫水準の推移等十分見きわめながら、必要に応じて適切な指導その他を行ってまいる必要があるというふうに考えておるわけでございます。
 問題は、魚はちょうど油をたきまして魚をとってくるようなものでございますので、油の価格の高騰が非常に漁業経営、漁家経営を圧迫をしておるということが実情でございまして、そういうサイドから見ますれば、いまの魚価は非常に低迷しておるというふうに生産者等は感じておるわけでございます。
 そこで、お尋ねの第二点の、魚価安定のためにどういう対策を講じてきたか、また今後どういう対策を講ずるつもりであるかということでございます。そこでまず、何と申しましても、先ほども申し上げましたように、需要に見合った生産を行うという観点から、やはりわが国の周辺の水域内におきます漁業の振興、いわゆるとる漁業からつくる漁業へという、そういう形での政策の展開が必要であろうかと思います。同時にまた、外国の二百海里水域におきます入漁割り当ての確保ということについても特段の努力をいたしておるところでございます。
 それから漁業は、御案内のとおり、非常に海況その他によりまして影響を受けやすいわけでございまして、その生産調整というのは実際問題として非常にむずかしい。これは農業のように土地に基づきます生産調整ということではございませんものですから、生産調整を実施することが非常にむずかしいわけでございます。そこで水揚げが集中しまして価格が低迷をするという場合に、生産者団体がこれを買い上げまして調整保管をすることによって価格の安定を図るということで、そういう事業を昭和五十年度から実施をしておりますが、昭和五十五年度におきましては多獲性魚の事業対象数量を拡大する等いたしまして事業の拡充を図ってまいりたい。そのほか、先ほども申し上げましたような流通機構その他の整備を図ることによって魚価の安定を図りたいと思っておるわけでございます。
#102
○中尾辰義君 そこで、きょうは政府の魚価安定のため、すなわち主要水産物調整保管事業の一つとして進めている魚価安定基金のことにつきましてお伺いをしたいと思います。
 まず、昭和三十六年の第三十八国会で成立をいたしました魚価安定基金法に基づく魚価安定基金について、この設立の目的から廃止の経緯について簡単に説明を願いたいと存じます。
#103
○政府委員(今村宣夫君) お尋ねの旧魚価安定基金は、昭和三十六年に、当時価格低落が非常に著しくございましたサンマ等の多獲性魚の価格安定を図って経営安定に資するということで、これらの水揚げが集中しまして価格が暴落する場合に漁業生産調整組合の行います生産調整事業に対して助成をするために設立したものでございます。結果的には生産調整の体制の整ったサンマのみを対象として行ったわけでございますが、その後事業実績が活発でない、あるいは冷蔵、冷凍施設の整備が進んできた、あるいはまた、政府機関等の統廃合を目的といたしました臨時行政調査会においても廃止の勧告を受けたということで、四十三年に同基金を民間団体に引き継ぐことにいたしまして、同基金を廃止をいたしたわけでございます。
#104
○中尾辰義君 昭和三十六年に設立をされまして、わずか三年の後の昭和三十九年九月、行政改革によって臨時行政調査会が廃止の勧告を行っておるのであります。最終的にはこの基金が廃止されたわけですが、廃止決定の後に基金の財産状況はどうなっていたのか。また財産の処分はどのようにされたのか、お伺いをしたい。
#105
○政府委員(今村宣夫君) 旧魚価安定基金は、四十三年十月に同基金の解散に伴います清算が終了いたしましたが、清算のときには二億二百六十万円余の残余財産がございました。その残余財産の処分につきましては、まず、魚価安定基金法の第四十三条に基づきまして、国と生産者団体等の出資者に対しまして、その出資額を限度として一億六千四百十万円を配分をいたしたわけでございます。したがいまして、三千八百五十万五千円が残ったわけでございます。そこで同基金はサンマの価格安定のための事業を行っておりましたが、この基金の解散後もサンマの価格安定の機能は維持すべきであるという生産者団体等の強い要望がございましたので、漁業者による休業等を円滑に実施できるように、社団法人の全国さんま漁業協会に対しまして、解散の法律第七条に基づきまして、清算人が残余財産のうち千五百万を寄付をいたしたわけでございます。その残りの残余財産の二千三百五十万余は国庫に納付をいたしました。
#106
○中尾辰義君 そこで不可解なのは、この基金は一度廃止をされたわけですな。これは法律で設立をした特殊法人でありますけれども、魚価の安定に対して機能をしてないという理由で廃止をされた、それが今度昭和五十一年十二月に財団法人魚価安定基金として再び設立をされているわけでありますが、これはどういうことでこうなったのか、その辺お伺いします。
#107
○政府委員(今村宣夫君) 先生御存じのように、昭和四十八年末の第一次石油危機以来、燃油や漁網が非常に高騰をいたしまして、これがために上昇したコストに見合った魚価が形成されなかったということで、漁業経営がきわめて苦しい状況に陥ったのであります。そこで、漁業経営の安定と水産物の安定的供給を確保するということで、昭和五十年からイワシ、サバなどの主要魚類の価格の低落時に生産者団体が調整保管の事業を行います場合に、これに金利、倉敷を助成をする。さらに昭和五十一年にその事業の円滑な実施に資するという考え方から魚価安定基金を設立をいたしまして、この基金を通じて水産物の調整保管事業によりましてこの事業を行った生産者団体に生じた損失に対しまして無利子融資を行うことにしたものでございます。
#108
○中尾辰義君 それから、この財団法人が設立をされましたのは五十一年度でありますが、このときに二十八億円の補助金が出されておるわけでありますけれども、この二十八億円の補助金の内訳はどうなっておりますか。それと、この魚価安定基金にはどのような団体が出資をしておりますか、お伺いします。
#109
○政府委員(今村宣夫君) 財団法人魚価安定基金が五十一年十二月二日に農林大臣の許可を受けて設立されたわけでございますが、この基金に対しまして国は同年に基本財産の造成補助金として三億円、貸付資金の造成補助金として二十五億円の補助金を交付をいたしたわけでございます。
 基本財産は五億円でございますが、それに対して基本財産の造成を図っている団体としましては、全国漁業協同組合連合会、これが一億円でございます。それから日本遠洋まき網漁業協同組合、北海道漁業協同組合連合会、それから全国の水産加工業協同組合連合会、日本鰹鮪漁業協同組合連合会でございます。
#110
○中尾辰義君 それから、この色価安定基金の五十一年度二十八億円の補助金がどのように消化をされたのか、これは数字を挙げて説明してください。さらに、五十二年度、五十三年度はどうなっておるのか、お伺いします。
#111
○政府委員(今村宣夫君) 魚価安定基金の貸付資金勘定でございますが、五十一年度は、貸付勘定の予算額は二十五億でございます。決算額は六百二十万円でございます。それから五十二年度は、繰り越しまして二十九億、繰り越しにプラス三億の補助がございますから二十九億になります。運用益その他を入れますから約二十九億になりますが、決算は一億五百万でございます。五十三年は、予算額は三十一億六千百万円、決算額は四億二千七百万円でございます。
#112
○中尾辰義君 いまお伺いしましたけれども、五十一年度は二十五億円の予算で、予算を消化したのは六百二十万、五十二年度が二十九億で、そのうち消化したのが一億五百万、こういうように予算執行が非常に少ないわけですけれども、ほとんど金が余っておる。これでは魚の調整保管事業というのは無理じゃないかと思うわけでありまして、魚の価格が暴騰したり暴落したり、全く効力を発揮できないではないかと思うわけですが、その辺のところの御意見いかがでしょうか。
#113
○政府委員(今村宣夫君) 先ほど申し上げました五十一年度は非常に少のうございますのは、これは事業発足のときでございましたものですから少ないのでございますが、五十二年度におきましてはわりあい魚価が一定の水準を保ったものですから、そこで実際上の事業としましては少なかった。五十三年も比較的そういう意味で大体同様の状況にあったのではないかと思いますが、そのようなことでは魚価の安定という所期の目的を達成されないではないかという御指摘でございまして、私どもとしましてもこれらの事業の的確な実施については十分留意をしてまいりたいと考えておるわけでございますが、一つ問題があるとしますれば、事業主体である漁業生産者団体がその事業を通じましてこれらの調整保管その他の事業を実施していくという仕組みに相なっておるわけでございます。
 したがいまして、そこのところは事業の実施にやっぱり生産者団体におきましてもどうも慎重になる傾向が見られるということは確かであろうと思いますが、それらの点も踏まえまして的確な実施につきましては今後とも特段の努力を行いたいと考えておる次第でございます。
#114
○中尾辰義君 それではお伺いしますが、魚価安定基金が昭和五十二年の北洋サケ、マス、タラ、ニシン、その他魚類が高騰したときにどういう効力を発揮しましたのか、お伺いします。
#115
○政府委員(今村宣夫君) 五十二年当時におきます水産物の調整保管事業の対象品目はイワシ、サバ等の多獲性魚、それからカツオ、マグロ、ノリ、ワカメ、冷凍すりみ等でございまして、お話のサケ、マス、タラ、ニシンは対象魚種になっていなかったわけでございます。いまでも対象ではございません。したがいまして、急激に到来しました北洋の二百海里問題に関連いたしまして高騰したサケ、マス、タラ、ニシンにつきまして、この基金としては対応することができなかったということでございます。
 水産庁としましては、五十二年の水産物の価格高騰に対しましては、魚介額価格の高騰防止の指導、あるいはまた在庫品の放出要請を行うと同時に、生産者団体の保管にかかるサバの放出の指導を行ったわけでございます。一方、五十二年の秋口以降の価格低落時にはイワシ、サバ等約二万六千トンの調整保管を行ったところでございまして、それはそれなりの効果を上げたのではないかと見ておるわけでございます。
#116
○中尾辰義君 いま最後のところ、もう一遍。今度は、いまも少しありましたけれども、五十二年の九月から十二月、このときは魚が暴落したわけであります。こういうときにどういう効力を発揮されたのか、その点もう一遍お願いします。
#117
○政府委員(今村宣夫君) 五十二年の秋口以降の価格の低落のときには、イワシ、サバ等約二万六千トンの調整保管を行ったわけでございます。
#118
○中尾辰義君 いままでの答弁を聞いておりますと、この魚価安定基金というものは財団法人でありますけれども、この行う事業というものは魚価の高騰、下落に対してほとんど影響を持ち合わせておらない、そういう感じがするんですね。私は最初わが国の魚価対策をお伺いしたわけですけれども、それにはやはり需要の側に、消費者の側に妥当かつ安定した価格で供給を行う、これが魚の価格対策でなきゃならぬはずですよ。せっかくこういうものをつくってわれわれが期待するほど余り力が発揮できてないじゃないか、こういう疑い、疑問が出てくるわけであります。
 そこで、この魚価安定基金に昭和五十一年設立時から現在まで、五十五年も含めて総額で幾らの補助金が出されておるのか、お伺いをします。
#119
○政府委員(今村宣夫君) 魚価安定基金に対します五十一年から五十五年度の補助金は、一つは基本財産の造成費が三億円、それから貸付資金の造成費が三十八億円、それから調整保管資金の造成費が三十八億七千万円で、合計いたしますと七十九億七千万円でございます。
#120
○中尾辰義君 あとまだ質問がありますから、この問題はこれを最後にいたしますが、いまお聞きのとおり、この魚価安定基金というのは一遍臨調の勧告があって廃止された。それから民法による財団法人としてできたわけです。そしていま答弁がありましたように、七十九億円も補助金を出しておりながら、余り魚の安定に対しては力が発揮されてないわけですね。本来の目的を発揮されてないわけですよ、農林水産大臣。これでは消費者にとってははなはだ不満足であるわけでありますから、これをどういうふうにされるのか、本来の機能が発揮されるようにもう少し前向きで、これがまずい点があるなら改めて、そして機能が発揮できるようにすべきであると思いますが、最後に、これは農林水産大臣、大蔵大臣の、経企庁長官もせっかくおいでになりました、御意見を伺って、この問題はこれで終わります。
#121
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど来いろいろ水産庁長官から答弁をいたしておりますように、私ども、この魚価安定基金というものは、どちらかといえば魚価が非常に低落をした場合に結果的に安定させるという仕組みになっておるわけでございまして、そういう点からまいりますと、どうも生産者保護ではないかというふうに受け取られる点もあると思いますけれども、しかし、よく考えてみますと、水産業というのはとにかく天候によっても非常に影響を受けるわけでございますし、また漁場がいろいろ変化いたしますので、そういう点でも非常に変わってくるわけでございまして、結果的に魚価が低迷を続けていけば、その水産業に携わっておる漁業者が全くそれじゃ操業ができなくなるということもありまして、そうなれば今度は魚がそのときには入ってこないということにもなるわけでございますので、一時的に見ると何か低落を防ぐような感じでございますけれども、私はよく考えれば、結果的には将来にわたっては安定して、ある価格で、適正な価格で消費者に魚が供給されると、こういう私は役目もよく考えて見れば負っておると思うのでございます。ただ、先ほど高騰したときに対象にならなかったんじゃないかということで御批判をいただいたかと思いますが、これは対象の魚になってなかったものでございますからどうにもならなかったわけでございまして、私は、そういう面で、今後そういう長い目で見てひとつよく御理解をいただきたいと思っております。そして、それだけでは決して魚の安定供給ということにはならないわけでございますから、それ以外にいろいろの政策を、先ほども答弁をいたしましたように、やはりできる限り需要に合った魚を漁業者にとっていただく。そしてまた私どもは栽培漁業でなるべくそういう要望の強いものを育てていく。それからまた流通加工部門においてもできるだけもっと整備をしていくということが必要であろうと思っておるわけでございまして、この魚価安定基金もそういういろいろの政策の一環としてひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#122
○国務大臣(正示啓次郎君) 最近私ども決定をいたしました総合物価対策でも、水産物の供給及び価格の安定というふうな点に着目をしまして、需給事情に応じまして調整保管に当たる団体の放出というふうなことも適宜やっていただくと、こういうことをいたしております。やはりいろいろお話がありましたが、運営よろしきを得ればそういう目的にもかなうのではないかと、かように期待いたしておるわけでございます。
#123
○国務大臣(竹下登君) 中尾先生、個別問題でございますので、主計局長からお答えすることをお許しいただきたいと思います。
#124
○政府委員(田中敬君) 予算的措置といたしましては、先ほど農林大臣がおっしゃいましたように、魚価安定あるいは漁業者の就業安定ということを目途した基金制度でございますので、そういう趣旨に沿って予算的にも今日までやってきたわけでございます。こうした基金ができた以上、私どもはその機能が十全に発揮されるよう望んでおりますし、また、予算の執行面でもむしろそれを監視してまいるというふうな態度でまいりたいと存じます。
#125
○中尾辰義君 私はこの問題をそうあえて追及しようとは思いませんが、要するに言いたいことは、七十億も八十億も金を出したわりに余り働きが鈍いじゃないかと、こういう意向なんですよ。何もこれはつぶせとか、どうせいとか私は言いませんが、せっかくつくったのであるから、やはりあなた、国民の側に立って、あの基金があるからおかげさまで安い魚が食べられる、こういうふうにしてもらわぬと。いろいろ事情はよくわかるよ。また、この基金一つだけで魚がきちっと安定するのはむずかしいでしょうけれども、金がかかっているんですから。大臣の意見もわかりますけど、今後よくひとつ検討してやってください。
 後半におきましては、行政改革につきまして主として行政管理庁長官にお伺いいたします。
 昨日の集中審議におきまして、わが党の馬場委員から特殊法人の子会社、孫会社の乱立の状況を指摘され、行革もこれではしり抜けではないかということで質問をしたのに対しまして、総理大臣は、時宜を得た指摘である、政府全体の問題としてメスを入れる、こういうお答えがあったわけであります。そこで本日は、行政改革もこれではしり抜けではないかという問題を別の面から取り上げてみたいと存じます。
 その一つは、特殊法人の子会社に対して国の一般会計や特別会計から出資が特殊法人をトンネルにしてなされているという問題であります。これが一つ。もう一つの問題は、公益法人という民法法人に対して一般会計から法律によらないで予算補助という形で出資をしている問題であります。この二つが行革のしり抜けになっておるわけです。そこで、私、時間もありませんので、前者につきましては他日に譲りまして、後者につきまして、公益法人という民法法人に対しまして以下質問を展開してみたいと、こういうふうに存じます。
 そこで、まず行管庁にお伺いしますが、前日、一兆円の節約が今回の行革によってできると御発言がありました。新聞にもこう出ております。その内訳は、特殊法人の廃止などで幾ら、行政機関の改廃などで幾ら、人員の適正配置などで幾らというふうになるのか、もしおよそわかっていればお答え願いたいと存じます。
#126
○国務大臣(宇野宗佑君) 五十五年行革の第一次分というやつがございます。これは昨年の十二月二十八日にまとめたものでございます。これを五十五年から五十九年の五年間展望した場合の節減額はおおむね五千百億円でございます。この五千百億円の以外に、本年度、補助金の整理がなされまして、千六百六十七億円というものが節減効果として計算されておる次第でございますが、これはこの四年間の補助金を四分の一少なくとも減らそうということで大蔵大臣が努力をされて、その初年度の分でございます。まあ、そうしたこと等をも今後展望の上に立ってまたやっていかなくちゃなりませんし、また、第一次以外におきましてもさらに第二弾、第三弾という姿で行革を進めたいと、そうしたものを大体頭の中で計算をいたしますとおおむね一兆円に達する、それくらいの行革をしなければならないと、かように思う次第でございます。
 いままで決まりましたやつを申し上げますと、国家公務員の定員削減で千四百七十億円、特殊法人の統廃合及び役員の縮減で、これは百二十人プラスアルファというやつですが、十三億円以上へそして定員の削減、これは国鉄を含めまして特殊法人の要員も含まれるわけでございますが、約三千億円、こうしたものの合計が五千百億円ということであります。
#127
○中尾辰義君 そこで、これも数字的なものが入るかしれませんが、百十一の特殊法人のうちに十六を統廃合するというのがいまの行革の一つの大きな目玉になっておるわけですが、いま述べられた節約額の中に、特殊法人の廃止による残余財産の国庫への収入というものは幾らになるのか、そのうち出資額の国庫への返還というか、戻入というか、そういった金額は大体どのくらいになるのか、わかっておれば説明願いたいと思うんです。
#128
○政府委員(加地夏雄君) 先生御指摘のように、今回の行政改革で特殊法人十八法人の統廃合をやるわけでありますが、これは御承知のように、いま五十五年から五十九年までの間にそれぞれ具体的な計画でやってまいるわけであります。で、先ほど長官から御説明申し上げましたのは、五十五年度予算に反映する金目というのは実はそういう意味でははっきりいたしますが、五十六年度以降の問題は実は五十六年度以降にどういう形にするかというものが決まりませんと算定の方法ができないわけでありまして、その意味では、この五十五年度予算で幾らかということはお答えできますけれども、あるいはその処理がどうなったかということはわかりますけれども、五十六年度以降は現在では単に統廃合が決まっておるだけであると。統廃合した後の姿がどうなるかというのはこれから決めてまいるわけでございまして、そういう意味ではいまの段階で全体としてのそういうことは申し上げられないということでございます。
#129
○中尾辰義君 それでは次の質問にいきますが、大平内閣が行革を一つの柱としているのは、国費の節約に眼目があるのはこれは当然でありますけれども、十六特殊法人の統廃合によって国費の節約を一方では推進をしておりますけれども、一方では立法措置を必要としない公益法人に国庫補助で出資をしておる例があります。たとえばこれは政府側に発表してもらいますが、質問の通告もしておりましたので農水省、建設省、これは政府委員で結構ですが、民法法人の公益法人、基本財産等として補助金を出資している団体がありますが、これをひとつ私の方から名前だけ一遍読みますよ。農水省の場合は、農村地域工業導入促進センター、それから中央果実生産出荷安定基金協会、日本木材備蓄機構、日本緑化センター、いま質問をいたしました魚価安定基金、海外漁業協力財団、漁場油濁被害救済基金等です。建設省の場合は、公園緑地管理財団、河川環境管理財団、ほかにあるかしれませんが、大体私調査したところはこういうところですが、こういう財団法人で、基本財産全体の中で政府が補助金として幾ら投下したと、こういうふうに数字を説明していただきたい、一つずつ。
#130
○政府委員(丸山良仁君) 建設省の所管法人で国から補助金を受けて基本財産としておりますものは、財団法人河川環境管理財団及び財団法人公園緑地管理財団の二法人であります。その基本財産の額は、河川環境管理財団が二億円、公園緑地管理財団が二億四千五百万円でございますが、このうち建設省が交付いたしております補助金の額はいずれも五千万円でございます。
#131
○政府委員(今村宣夫君) 農林水産省関係では、ただいま先生が御指摘にございました農村地域工業導入促進センター、それから中央果実生産出荷安定基金協会、日本木材備蓄機構、日本緑化センター、魚価安定基金、海外漁業協力財団、それから漁場油濁被害救済基金でございます。
 基本財産は、農村地域工業導入促進センターが基本財産が三億六百万円でございまして、そのうち国からの補助金額は一億円でございます。中央果実生産出荷安定基金協会が基本財産が五億三千五百万円で国からの補助額は三億でございます。日本木材備蓄機構は基本財産が十三億二千百万円、うち国からの補助金は十一億七千五百万。日本緑化センターが基本財産が十七億七千三百万、そのうち国からの補助金が十億。魚価安定基金は基本財産が五億で国からの補助額が三億。海外漁業協力財団は基本財産が二億円で国からの補助額は一億円。漁場油濁被害救済基金は基本財産が二億八千百万円で、うち国からの補助金が一億二千七百万円でございます。
#132
○中尾辰義君 それでは、行管庁長官、いまお聞きのとおりです。要するに特殊法人をいま整理をしておるところである。片方ではこういうふうに民法法人に国の補助金が基本財産として投下されている。そしてこういうものが次々とできていくわけですね。これでしたら、これは予算の議決ということで国会の承認を受けておるでしょうけれども、行政改革はしり抜けの感じがするわけでありますが、長官の御意見いかがですか。
#133
○国務大臣(宇野宗佑君) 民法法人に対する補助、これやはり一度思い切っていろいろの立場から検討する必要があるのではないかと私も考える一員でございます。ただ、特殊法人は、政府が政府の別働隊として法律で強制的にこれは設立をいたしますから、私たちの手が入り、今回は特に議会の応援も得まして百十一全部に監察をするなり、いろいろな方途が加わったわけでございますが、民法法人に関しましては、これはそれぞれ民間からの要請によって主務大臣が許可をするということでございますので、はなはだ残念ながら行管庁そのものといたしましてはここに手が入らないというふうなことでございます。しかし、本年度の予算査定の過程におきましても、たとえば、名前は正式に私忘れましたが、体力づくりとかあるいは健康づくりとかというふうなたしか財団法人がそれぞれ主管省庁を異にしてあったと思います。これにそれぞれ補助金が出ておるというようなことはむだなことではないかというので、ひとっこれは統合すべきであろう、こういうふうな具体策も講じられておるようなことでございますので、こうしたことは十二分に今後われわれといたしましても一応重大な関心を持ちながら、やはり適切な補助金が使われているということが大切でございますので、ダブったりあるいは余り大した力にもならないようなことがかりそめにありとするのならば、やはり考えていかなければならない問題であろうと思います。
#134
○中尾辰義君 同じようなまた質問になるかしれませんが、要するにこれらの公益法人は民法による法人でありますので、国がこれを公法で統廃合ということはこれはちょっと強制はできないわけです。それで国の費用の節約という観点からも行政改革の対象にはやりにくいと、これはいまもありました。それだけに大蔵大臣、こういうしり抜けみたいに、国の法律によらないで出資金というのは、基本財産ということはこれは会社でいいますと資本金ですからね、これをやっちゃうわけですから、そういう形でこういう形態の民法法人ができていくことは非常にこれはまずいんじゃないかというふうに思うのですね。後でまた会計検査院も見えておりますのでお伺いしますけれども、大蔵大臣、後からお伺いします。
 それで、いま私はいろいろ例を七つばかり挙げたわけですけれども、この七つの公益法人、これは農水省でしたね。公益法人合計で四十九億円余りの基本財産、その中で国庫補助金で賄われておる金額は三十一億、六四%になる。また建設省の二つの公益法人では、四億四千万円の基本財産の中で国庫補助金が一億支出されておる。こういう支出、つまりこれは国は事実出資していることになる。会計検査院お見えになっておりますか。聞いておいてくださいよ。これは国が出資しているのです。補助金ではあるけれども国が基本財産出資している。こういう形になっているんですが、
 こういう形態に対してこれでいいのかどうか、会計検査院としてどのようにお考えになるのか、お伺いをいたします。
#135
○説明員(岡峯佐一郎君) お答え申し上げます。
  先生お尋ねの法人に対しましてその基本財産等の資本金的なものに対しまして補助金が支出されますことは、これは私ども関係省庁の政策判断に
 よるものと考えるものでございます。また、このような支出も国会の議決を経た予算の中から支払われているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、このような支出は本来出資として取り扱うのがベターである、国の権利を確保するという意味ではベターであるとは存じますけれども、補助金として支出されております以上、私どもといたしましてはその適正な執行をしっかりと見ていくと、このように考えている次第でございます。
#136
○中尾辰義君 それでは、大事なところですから、確認の意味でもう一回お伺いをしますけれども、ただいまの答弁は、国の権利の確保の見地から、補助金交付という形で出資として取り扱わないのは望ましくないと、こういうことですね。もう一遍わかりやすくおっしゃってください。
#137
○説明員(岡峯佐一郎君) はい、そのとおりでございますが、実はこの種の補助金が出資であるか補助金であるかということの違いでございますけれども、どのようなかさがかぶって拘束されているかということに尽きるかと思いますけれども、その点から考えました場合に、出資の方が国の持ち分が明確であるという意味で望ましいと申し上げた次第でございます。
#138
○中尾辰義君 今度は行管庁にお伺いをしますが、国が出資をする場合にはこれは法律に基づく必要があるわけであります。法律に基づいて出資して法人をつくるということは、これは特殊法人の設立ということになるわけでありますが、ということは、特殊法人の設立にかえてこのような公益法人の国庫補助による出資の方式が編み出されたのではないかと言わざるを得ないのであります。それで、行革はしり抜けになる方式はここにもあると申し上げたいのであります。先ほどから同じようなことを繰り返しておりますけれども、民法法人としてこういうようなしり抜けがあるということを行管庁はどのように感じておられますか。
#139
○国務大臣(宇野宗佑君) 国務大臣としての返答になろうと思いますが、必ずしもすべての公益法人が特殊法人とかわってしり抜けだとは申し上げにくい面もあるんです。これは行革の立場から今度は申し上げますと、現在の特殊法人の中でも極力民営に移管した方がいいと思うような特殊法人もあるわけでございますね。その場合には地方の運営を基準としたあるいは形態とした民営移管にするのか、あるいはまた、いままでどおり公益法人として民営移管にするのか、そういう問題もございますので、したがいまして、必ずしもすべてがすべてしり抜けであるとは私は考えない次第でございますが、先ほど御指摘のような面に関しては、やはり極力むだがないようこれは当然考えていかなければならない。そのためには、それぞれ主務大臣がいらっしゃって政策の必要上その設立を認められたと思いますが、やはり政府全体の問題として、御指摘の点に関してはわれわれといたしましても検討をするという姿勢を崩してはならない、これを私は申し上げた次第で、現在もそのような心境に変わりございません。
#140
○中尾辰義君 それはいま行管長官おっしゃったように、最初は、特殊法人だってたくさんありますけれども、みんな必要に応じてつくったわけですよ、あれは。そして天下り先も必要だし、こういうようにずばり言うのはいかぬかもしれませんが、一応必要に応じてつくったんだけれども、いまは整理の対象になっているのがかなりあるわけですからね。ただ、この問題は一つは補助金でありますが、一般補助と違って予算補助で資本投下する、基本財産に投下することがいいかどうか、これはいま会計検査院の方から答弁があったように、これは望ましくないと、そういう答弁でしたな、大蔵大臣。もう一つは、いま私が何遍も繰り返して言いますように、特殊法人を整理しながら、片方ではこういう形で幾らでもこれは民法法人ができるわけなんですよ、基本財産に補助金を入れて。そうすると、あなたがおっしゃる全部が全部じゃありませんが、どうしてもむだなしり抜けにもなると、一〇〇%というわけじゃありませんがね。こういうことでありますからお伺いしておるわけです。もう一遍答弁をお伺いしたい。お二人に。
#141
○政府委員(田中敬君) ただいままでの御意見を拝聴いたしておりましたが、予算の観点あるいは国の資金、税金と申しますか、財源の効率的な使用という観点から本件をながめてまいります場合に、補助金というものは一つの大きな目的といたしまして国の行政目的を達成するためにしかるべき団体、しかるべき事業に補助をするというものでございまして、公益法人というものが所定の国の政策目的を遂行するに役立つ仕事をやっております場合に、反対給付のない補助金という形で基本財産の構成に対して一部補助をするということは、やはり補助金のあり方として決して間違ってはいないというふうに考えます。ただ、先ほど会計検査院の方から御意見がございましたけれども、出資に近いものであるから、その債権確保と申しますか、そういう資金確保の面から言うと、はっきりした出資金の方が望ましいというような御意見もいま拝聴いたしましたけれども、その観点につきましては、これが補助金という形で基金造成の一部を出しておりますけれども、いわゆる補助金の交付要領、いわゆる補助金の適化法という法律がございますけれども、この法律に基づきまして基本財産の処分を行う際には当該法人の寄付行為の中にもいろいろ規定を設けていただいておりますと同時に、その処分については主務大臣の認可というような字句を揚げておりますので、これが勝手に処分されることはない。その主務大臣の認可に当たって国の補助をした分というものを国へ返還をさせるということが十分可能であろうと存じております。
 いずれにいたしましても、特殊法人に対しての出資というものは、確かに法律的には問題ございませんけれども、公益法人に対する出資といたしましても、やはり公益法人に対してこういう基金の造成を一部補助をするということは、民間の自主的な活力を活用するという意味におきまして、特殊法人が行うよりもより活力のある効果的な事業の遂行ということを期待しておるわけでございますので、私ども財政当局といたしましては、認可法人に対する出資というものが法律的予算措置としても決して間違ったものではない、あるいはまた、これが特殊法人のしり抜けになるとも一概には言えないと思っております。しかしながら、いずれにいたしましても、法律によらないで予算措置をいたすわけでございますので、予算編成に当たりましてはその事業の中身を十分吟味いたしまして、今後こういう補助を行います際には、いま委員の御指摘もございましたので、十分その点、事業目的その他十分勘案して慎重にやってまいりたいというふうに考えております。
#142
○中尾辰義君 いま御答弁もありましたけれども、会計検査院もそれは違法ではないとは言っておるでしょう。しかし、そういう方式で簡単につくりますると、補助金の節約ということに逆行することもあるわけでしょう。また、大蔵省あたりがそれは別に問題はないというような答弁だけれども、各省みんなこういうのをつくりますよ。特殊法人はやめたと、じゃこの手でいこうと、これは文句ないじゃないかと。それで補助金を基本財産として出して財団法人なり社団法人をつくる。そういうことで、かえってこれは行政改革に逆行するようなことになりはしないか。それはさっきおっしゃったように善意に解すれば民間側の要望に応じてできる場合もあるでしょう、それもあるでしょう。あるけれども一、二例で、そんなのばかりじゃないんですから、だからその辺のところを再検討したらいかがですかと聞いておるわけですよ。最後に、これで終わりますから、両方の方に答弁を願います。
#143
○国務大臣(竹下登君) 今後、いま中尾委員御指摘のとおり、いろいろむずかしい問題がありますのは、民法法人の認可は主務大臣であると、そしてその主務大臣の責任において、国の政策目的のために補助金というものが必要だと、そこで大蔵省が今度は予算の査定といいますか、厳密に言えば調整金をもってこれに当たるわけです。したがって、少なくとも私は委員のお話を聞きながら、特殊法人が廃止されて、それにかわるような機能を別途考えて認可法人として出てくるというようなものに対しては、これはやっぱり峻厳な態度で臨むべきであるというふうに感じます。
 それから、補助金というのは、委員も御指摘のように、すべてが悪いもの、もちろん性悪説はとるところではございませんけれども、それなりに政策遂行のために役立ち得るものもございます。が、今日いわば特殊法人になれなかったので、したがって認可法人でこれが生きておるというケースにつきましては私どもも精査してみるべきではないかなと、そういうふうに感じておるところであります。
#144
○国務大臣(宇野宗佑君) 先ほど来お答えいたしておりますが、やはり特殊法人、何かこう姿を変えて認可法人になったと、これはいま大蔵大臣が言われたとおりで、私といたしましても徹底してメスを入れる必要があるのじゃなかろうかと。ただ、ことしは、これも主務大臣のそれぞれの判断ですが、本年度の予算査定におきましても二件ばかり認可法人でどうであろうかという打診があったのですが、これは政府全体の意向といたしまして認めないという方針が出ました。したがいまして、認可法人に関しましてはこれ以上ふやさないという方針のもとにやはり一つ一つを見ていくことは必要であろう。ただ、何もかも特殊法人になれなかったから今度は財団だというのは、これは中にはかってあったかもしれませんが、いやしくも今日の体制におきましては、むしろこちらが特殊法人でなくても社団法人なりあるいは財団でやれるじゃないかと、こういうふうな考え方でそちらへ向けておるものもあるわけでございます。多分この国会で御審議を願う、こどもの国協会というのも特殊法人でございましたが、これは厚生大臣と話し合いをいたしまして、十分社団法人でいけるじゃないかと、何も特殊法人でいつまでもいつまでもやらなくてもいいじゃありませんかということで、それはそうだと、こういうことでございますから、一概に何もかもしり抜けだということではない、十分その点は御趣旨に沿いまして目を光らせてやってまいります。
#145
○中尾辰義君 もうちょっとこの問題は議論したいけれども、これで終わっておきましょう。
 あと少し時間があるようですから、大蔵大臣、財投問題で二、三問お伺いしたいと思います。
 まず、第二の予算と呼ばれておるいわゆる財政投融資ですね。これは五十五年度予算におきましては、その原資の八二%を資金運用部資金に依存しておるわけであります。国民の零細な郵便貯金、厚年年金、国民年金の預託金から成る資金運用部資金の運用について、政府はどのような姿勢をもって運営をしておるのか、まずその辺からお伺いしたい。
#146
○国務大臣(竹下登君) 五十五年度の財政投融資計画の策定に当たりましては、原資が厳しい事情のもとに置かれておりますので、国債の消化を円滑ならしめるため資金運用部資金による国債引き受けということにも配意しながら、予算編成方針にのっとりまして、事業規模、貸付規模、これを極力抑制する中におきまして、ただ、住宅、中小企業金融、それから新たな大きな柱といたしましてのエネルギー対策、この緊要な施策について資金の重点的配分を行う、こういうことにいたした次第でございます。
#147
○中尾辰義君 それから五十四年の十二月に大蔵原案ができたわけですが、財投は十七兆七千九百四十五億、こういうふうになっている。その後、復活折衝の過程で――これは復活折衝まで余り日にちはなかった。その間で直ちに三千八百五十四億円これは上乗せされておるわけですよ。これは手品みたいにぱっと出てきたわけです。こういう点が国民の側から見ますると非常に不明瞭である、こういうことなんです。わずかの期間で三千八百五十四億円もすぐ金が出てきたわけです。この辺のところを、素朴な質問かしりませんが、大蔵大臣にまずお伺いしておきます。
#148
○政府委員(渡辺喜一君) 財投原資の見積もりにつきましては、一応の見積もりを立てて大蔵原案跡投計画を編成するわけでございますが、その後におきましていろいろな変動要因が出てまいるわけでございます。通常のケースにおきましては、大体数千億ぐらいの原資増ということも見込まれるわけでございまして、今回の財投編成におきましても、たとえば原案に比べまして簡保の資金は五百八十億逆に減少をいたしておりますけれども、産投出資の増、これはわずか三十五億でございますが、そのほか資金運用部資金が約四千四百億円ぐらい増加しておる、こういうようなことになったわけでございまして、それで復活の要求に対処をいたしたと、こういう事情でございます。
#149
○中尾辰義君 次は、財投の実行状況につきましてお伺いします。
 これも大蔵省の提出した資料によりますと、財政投融資の実施状況を見ますると、五十四年度で三二・八%となっている、十一月末で。五十年度で三四・七%、五十一年度で三六・八%、五十二年度で三〇%、五十三年度で二七%、こういうふうに比率がだんだん低下をしてきているわけですが、財投の中でも日本輸出入銀行、これは五十四年十一月の末で八千二百億円の財投資金の中でその実行はわずか百億円にすぎない、こういうふうに出ておるわけですが、財投資金はほとんど金が余っているのじゃないか。消化状況がこの数字を見ましてもかなり低いわけですが、これはどういうわけなのか。それと、毎年財投の計画をするにしても、前年度に金が余ったにもかかわらずまたそれに何%と、こういうような予算のつけ方をしておるわけだが、その辺はもう少し改善する必要があるのじゃないかと思いますが、いかがです。
#150
○国務大臣(竹下登君) これは御案内のように、五十四年度の財政投融資は、いま新しいのでは万十五年一月末で四四・三%と、こうなっております。それから五十三年度の同時点の割合は三八・〇%、五十二年度は四四・一%、特に今年度がその限りにおいて進捗状況が悪いというわけではないわけです。構造的とでも申しましょうか、後半に非常に多くなることはこれは事実でございます。それは各財投機関の事業あるいは貸し付けそのものが進捗していないということではなく、年度の前半は要するに回収金等でできるだけ充てて、いわゆる自己資金で充てて、そしていよいよ足りなくなったら財投から借りるというような、できるだけ金利の関係で前半は自己資金でやろうという傾向にあるわけです。したがって、下期にどっと出てまいります。それからもう一つございますのは地方債。地方債は、御案内のように、市町村それぞれ起債で借ります。ところが、短期資金の方が金利が安うございますから、それでできるだけ民間金融機関、地方銀行等からつなぎは借りて、そしていよいよ最後になって長期のものの手続を行うということで、これらはまさに繰り越しになってしまうわけです。私はこれの勉強をしてみますと、構造的にそうなるものだなと、こういう感じがいたすわけであります。したがいまして、五十四年度の財政投融資は不用額は六千億円程度というふうに見ております。したがって、実行割合は、地方債はそういう構造的な問題がありますので、地方債を除けば九二%程度にはなるではないかというふうに思います。
 それから一方、輸銀の問題の御指摘がございました。確かにこれは特殊な事情とでも申しましょうか、要するにいま世界的に景気低迷というような感じが一つと、それから為替相場の変動によりまして貸し付け自体が計画よりも低水準になるということになるわけであります。それからもう一つございますのは、五十三年度に御案内のように金融が緩んで、したがって民間の方が安くなったりしまして、それを借りて繰り上げ償還が意図せざる額にも達した、そういうのが繰り越されてきたというので、私は輸銀については特殊事情というようなものではないかな、こういう感じがいたしておるわけでございます。だから、五十三年度の分はやむを得ない事情であって、そして五十四年度はまずこれは計画にそう大きな違いはない。五十五年度につきましては原資面での制約が今度はございますから、従来に比べまして少のうございますから、したがいまして、少ないだけに各機関の事業を非常に詳しく精査をいたしておりますので、したがって資金の配分には遺憾なきを期せられるではなかろうかというふうに思っておるところでございます。ただ、御指摘のとおり、構造的な問題は地方債なんかで一つございます。が、本当に第二の予算と言われるものであるだけに、予算と比べたときに何だかずさんなという印象をお持ちいただくのはこれは当然なことであると私も思います。
#151
○中尾辰義君 大蔵大臣、分科会でやりましょう、時間がありませんから。
#152
○委員長(山内一郎君) 以上で中尾君の質疑は終了いたしました。
#153
○委員長(山内一郎君) 次に、小巻敏雄君の質疑を行います。小巻君。
#154
○小巻敏雄君 独占禁止法の厳格な運用に努める、こういう課題について一、二具体問題をお伺いしたいわけであります。
 物価対策の際に一番大事なことは公共料金の抑制と大企業の便乗値上げ、こういうものとあわせて不当な独占価格つり上げをいかに抑えるか、こういうことだと思うのです。
 フィルムの問題であります。公正取引委員会に聞くわけでありますが、二月二十一日に富士フィルムと小西六写真工業に立ち入り検査を行ったというふうに聞いておりますが、どういう疑いをもって調査をされているのか、また一般カラーフィルムについてはどんな調査が行われているのか、お伺いをします。
#155
○政府委員(橋口收君) 去る二月二十一日、富士写真フイルムと小西六写真工業に対しまして立ち入り検査を行ったわけでございますが、容疑は二つございまして、一つはエックス線用のフィルムにつきまして価格協定をしているという疑いでございまして、もう一つは再販売価格の維持を図っているという疑いでございまして、さらに内容的に申しますと、エックス線用フィルムのほかに印刷用のフィルムにつきましても同様の容疑があるということで立ち入り検査をいたしたわけでございまして、その詳細な内容につきましては現在審査中でございますからお答えは御容赦をいただきたいと思いますが、もう一つお尋ねがございましたのは一般写真用のフィルムでございますが、これにつきましては、去る二月から三月にかけまして値上げが行われておりますし、また四月以降も値上げということが報道されているわけでございまして、これはいわゆる同調的価格引き上げの監視対象品目に指定をされているわけでございますから、価格の引き上げがございました場合には、法律の要件に該当するかどうかにつきまして予備的な調査を行いまして、法律の要件に該当するということであれば理由につきまして報告を徴収する、そういう段取りをいたしておるところでございます。
#156
○小巻敏雄君 私も現地の事業所等に当たって二、三の調査を行ったわけでありますが、なかなか深刻な事態があります。医療用のレントゲンフィルム、これが昨年十一月と今年二月の二回にわたって二倍以上の大幅値上げであると。私、病床数で百七十五くらいの規模の病院に当たってつぶさに状況を聞いてみるわけですが、一番よく使われるレントゲンフィルム、大角というそういうフィルムがありますが、これの現行の納入価格が五百五十二円八十銭、これに対して現行の保険点数は五百二十三円でありますから、ほぼ三十円の赤字になっておるわけです。実際上、医療機関は一枚フィルムを撮るたびに赤字がふえるというような状況を訴えておりました。そうして、その持ち出し分が大体月三十万を超えて、もうレントゲン技師の一ヵ月分ぐらいの給料に相当するんだというような例もありました。さらに印刷製版用のフィルムであります。私、大阪の関西共同印刷という印刷所に当たって調べたわけでありますが、品名ではVO−100、こういう製版フィルムがあります。百七十八ミリ掛ける六十一メートルと、こういうものですが、納入価格は第一次値上げをした十一月で一万七千三百五十円、これが三月の第二次値上げでは実に二万七千六十円、五六%アップ。さらに四月一日の第三次値上げで三万八千四百二十五円にすると、こういうわけであります。第一次の値上げからずっと勘定しますと、新価格は倍以上、二二一%と、こういうことになるわけであります。こういう状況の値上げによって印刷業者、病院というものが非常に苦しんでおる実態を見ますと、通産大臣にお伺いするわけでありますが、政府の総合物価対策では業種別、品目別に需給価格動向の調査、監視を行っているとうたつておりますが、こういう実態に対してどんな手を打たれたのか、どんな効果を上げられたのか、将来に向かってはどうかと、こういう点が問われると思うわけです。いかがですか。
#157
○政府委員(大永勇作君) 先生御指摘のように、フィルム関係につきましては最近かなり値上げが行われたわけでございますが、その背景といたしましては、フィルムの製造に使います銀の価格でございますが、昨年の初めごろはキログラム当たり四万円程度であったわけでありますが、それが急騰いたしまして、昨年の年末には約十六万円になりまして、その後も高水準で価格が推移しておるということを背景にいたしまして値上げを行ったわけでございますが、需給関係を見てまいりますと、写真製版用フィルムにつきましても、あるいはレントゲンフィルムにつきましても、おおむね順調に推移しておりまして、生産、出荷ともに対前年相当量の増加をしておるというような状態でございまして、価格形成につきましては特にトラブルはないというふうに見ておりまするので、われわれといたしましては、この需給の状況に照らしまして、特に問題のありますようなケースにつきましては供給のあっせん等をいたしますが、ただいまのところは、この需給価格動向につきまして注意をしながら見守っておるという現状でございます。
#158
○小巻敏雄君 需給関係についていろいろコメントされたわけでありますが、値段については打つ手がなかったというふうにも聞こえるわけですね。便乗値上げをチェックするという観点から言えば、はなはだ私は不十分じゃなかろうかと思うわけです。公正取引委員会が現に立入調査をやっておると。こういう不当値上げのさなかでありますし、もう一つ、いまも御説明にあったように、理由になった銀の高騰ということですけれども、最近では二月をピークにして大幅な値下がりをしているじゃありませんか。値上げの実施日の一キロ当たり三十万円というような大台が二十六日ごろでは十九万円ぐらいに下がっておる。ところが、この中で四月一日まで合わせて一回、二回、三回目の値上げを大幅にやると、こういうふうに予定をしてかましてきているわけなんですから、この点について値段の問題を御指導いただかぬと困る。この点について再度通産の方にお伺いをしますが、値段自身の問題については考えられるのか、何も考えないのか、改めてお伺いします。どうですか。
#159
○政府委員(大永勇作君) 先ほどお答え申し上げましたように、昨年の十二月が銀の値段十六万円でございまして、その後ピークには三十万円ぐらいまでいったわけでございますが、先生御指摘のように、ごく最近はこれが二十万円ぐらいまで少しまたバックするというふうなことになっております。したがいまして、先生先ほど御指摘のたとえば印刷用フィルムにつきましては、三月から昨年の暮れの十六万円見当のところをベースにいたしまして五〇%余りの価格引き上げが行われて、当初の計画ではこの三十万円ぐらいに上がったことをベースにいたしまして、また、四月から値上げするというふうなことを検討していたようでございますが、いま御指摘のような二十万円ぐらいまで銀の価格がまた戻っておるというふうなこともございますので、この辺につきましては、会社におきましてもさらに再調整をいま検討中であるというふうに聞いております。先ほど申し上げましたように、われわれといたしましては、需給関係が正常な状態で価格形成が正常に行われておるような時点におきましては、個別の価格形成の問題については余り政府が介入しないというたてまえでございますので、先ほど申し上げましたように、需給が円滑に行われるような手だてを打ちながら動向を見守っておるという現状でございます。
#160
○小巻敏雄君 何といっても、非常に独占性の強い業界ですから十分見守り、野方図に三回目の値上げが行われるというようなことはないようにお願いしたいと思うのですが、いまの局長答弁で三回目の値上げについては再考される余地もあるように伺いましたので、その件は終わります。
 省エネルギーに便乗した不当な価格つり上げといいますか、便乗値上げという新手口が私はこのごろ横行していると思うのです。その点についてお伺いをいたします。
 家電業界であります。もちろん省エネというのは必要なことだと思いますけれども、この家電業界におきまして、たとえば日経流通新聞という新聞がありますが、三月十三日付のものを見ますと、家電業界は省エネのこの時期がちょうど値上げを押し通すのにチャンスだというようなことを記載しておる。露骨な便乗値上げ宣言をやって、そしてどっと省エネタイプという製品をつくり出しまして、いわば価格つり上げを図っておるという事実をお尋ねするわけであります。販売店に対しては電気料金が大幅に上がることしこそ省エネという名で売り込めば絶好のチャンスだと、こういうふうにハッパをかけましてパンフレットを出しております。パンフレットを見ますと、これは三菱冷蔵庫、三菱クーラーなどのパンフレットですが、新しい版、これ去年のもので、こっちはことしのものなんですね。新しい版はみんな省エネうをたっておるわけであります。こういう状況、省エネはよろしいんですが、しかも、これでどっと値上げをやっておるわけですね。
 通産大臣にさらにお伺いをしたい、省エネに悪乗りをしたこういう風潮を一体どうお考えになるか。
#161
○政府委員(栗原昭平君) お答えいたします。
 家電の関係で最近の状況を見てみますと、特に省エネルギーという観点からのいろいろな新しい装置、工夫がこらされた新製品というものが出されておることは御指摘のとおりでございます。その場合に、いろいろな機能が追加された新しい製品につきましては、そういうものがないものに比べて若干値段が高くなっているということは現実にあるわけでございますが、この場合にそういった機能が省エネルギーの観点から必要なものであり、かつ適正な省エネルギー効果があるということであれば、この若干の追加的な装置に対する値上げということは、これはやむを得ないものというふうに考えておりますし、また実際に、家電業界は非常に競争の激しい状態でございまして、余り不当な値上げというようなものはできないという状況にあることもまた事実かと思います。
#162
○小巻敏雄君 具体的にこのパンフレットを見ながら中をよく読んでみると、ことし三菱が省エネタイプとして売り出しているいわば目玉商品MR−二三五〇形というのが出ておりますが、二百三十五リットルの冷蔵庫であります。この価格は十六万四千円なんですね。一ヵ月当たりの消費電力量は三十六キロワットアワーなんです。ところが、去年の製品、同じく二九三FG形というもの、二百三十三リットルですが、これが十五万八千円であるのに対して大きな値上がりをしておるわけであります。六千円も上げているんです。それではというので使用電力量を見ますと、一ヵ月当たりの消費電力量四十一キロワットアワーであります。つまり、この冷蔵庫について言えば、消費電力量は一ヵ月当たり五キロワットアワーしか違いがないのに価格は六千円も高くなっておるわけです。しかも、昨年のパンフレットとことしのパンフレットを比べてみますと、その構造なり工夫なりというのは、霜取りパイプだとかその他中に具体的に挙げて書いておりますが、こちらの方に資料を差し上げましたね、全く同じなんですよ、ほとんど同じことなんですね。これはいま言われたように新しい工夫をこらし、いろいろな機能を加えたものというよりは、心理的なこういう状況にまさに便乗して、ほぼ似たようなものをこれをチャンスに値上げして売っておると見ざるを得ないと思うんです。
 クーラーの場合もあります。三菱のクーラーはことしEEタイプMS−一八〇九R形というのを大々的に宣伝しておりますが、この価格は二十万三千円であります。昨年の同形MS−一八〇七R形は十八万七千円ですから一万六千円も値上げをしておるわけです。両方とも冷房能力は全く同じ千六百キロカロリーアワーでありますが、それにもかかわらずEEタイプの方は一定の温度に下がると室内向けのファンがとまると、こうなっておるわけです。ファンがとまればどれだけ省エネ効果があるのか。実験室でやってみればどうかわかりませんが、戸のあけたての多い一般の家庭では常識的に考えてこういうものが効果を上げるとは思えないわけであります。
 この点通産省にお伺いしますが、電力の使用量がわずかに減る、ほとんど余り変わりがないのに、なぜ昨年より冷蔵庫で六千円、クーラーで一万六千円も上がるのか説明できるでしょうか。
#163
○政府委員(栗原昭平君) お答えいたします。
 ただいま御指摘のありました具体的事例につきましては私承知しておりませんので、ただいまこの席では何ともお答え申しかねるわけでございますけれども、たとえば月に数キロワットアワー当たり消費の節減ができるということであれば、六千円程度の価格差といまの電力料金とを対比してみれば、四、五年で回収できるという計算も成り立ち得るのではないかというふうにいまここでは考えておるわけでございますが、いずれにしましても、その表示の内容自体が事実に反するというようなことがあれば、この業界は公正競争規約というものを設けて表示の適正化を図っているわけでございますし、そういった意味では余り不当な事実はないものというふうに思いますけれども、いずれにいたしましても、ただいま御指摘の具体的な事例につきましては私よく調査さしていただきたいというふうに考えます。
#164
○小巻敏雄君 私もこれをつぶさにながめてみたんですが、どうしても月に数千円浮いてくるような省エネルギーにはなりませんね。せいぜい、いいところ千円ぐらいですね。それでこれだけの値上がりをやっていくというのはやっぱり便乗値上げだと私は見ざるを得ないと思うわけであります。
 もっとひどいのがあるんですね。省エネの宣伝のもとに、冷蔵庫のドアをあけっ放しにしておくとブザーが鳴るアラーム装置つきとか、「電子サインでハイチェック」と言うて宣伝をしておるようなものがあります。これは日立製品でありますが、こういうふうなものもあります。これが本当に役に立つのか。三菱製品にもアラームつきがありますが、アラームをつけただけで三菱の場合は一万一千円も高くなっておる。ブザー一つで一万一千円というブザーはどう見ても高過ぎるわけですから、このムードでまさに業界紙でみずから言っておるように便乗値上げを図るものだ。昨年の型ではアラームつきは普通のものよりも七千円高いだけだったのに、ことしの新種は一万一千円高くなっておるわけです。四千円もどうして上がるのか。しかも、さらにけしからぬことは、省エネの徹底と言いながら、アラームつきのものの方が消費電力量が前のものより月二キロワット逆に多いというようなものもあります。これこそ便乗値上げで不当値上げの典型ではないかと思うわけです。具体に当たってどう思われますか。
#165
○政府委員(栗原昭平君) 私、個々のただいま御指摘になりました製品につきましては詳細存じませんので、よく調査をさしていただきたいというふうに思います。
#166
○小巻敏雄君 さしあたっていまから需要期に入る冷蔵庫、クーラーであります。言われたようにひとつ厳格に調査をして、私の指摘したような姿、それらの実態を国民に公表すると、こういうふうにやっていただきたい、これを求めておきます。
 公取にも一言聞いておきたいわけであります。
 ナショナルにドアドアというようなのがあります。こういうのですね。これはどういうわけかというと、下の方にとびらがついておりまして、これをあけるとビールだとかジュースが出せる。それだから全体が暖まらないから省エネになると、こういうわけなんです。実際問題として一日に二十遍もビールを出すというような人はないと思うんですけれどもね。消費電力についてはほとんど実験結果も変わらないんですよ。こういうものを売り物にするというのは、一つは不当表示になるんじゃないか、誇大広告に該当するのではないか、いかがですか。
#167
○政府委員(橋口收君) 家電製品につきましては、通産省からお答えがございましたように、公正競争規約を設定いたしておるわけでございますから、具体的な商品の表示の問題につきまして問題が生じました場合には、公正取引協議会というのがございまして、その協議会で業界で自主的に問題を解決するということになっておるわけでございます。
 ただ、いまお話がございましたこのナショナルにつきましては、私も内容を十分承知をいたしておりませんが、電力消費量の表示につきましてJIS規格によるというふうになっておるようでございます。JIS規格によりますと、下の方からあけます小さなドアつきのものにつきましての消費電力量を計算するという前例がないわけでございますから、したがって、大きなドアを開閉するという前提で消費量が計算されておる。そういうことで、実際に使用した結果としましては、あるいは消費電力量というものは少なくなるかもしれない。ただ、従来の慣例に従いまして表示をいたしておりますからいかにも消費電力に差がないというような感じが出ているというふうに承知をいたしております。
#168
○小巻敏雄君 早急に調査をし、協議会等でもひとつ問題としていただきたいと思うわけであります。
 電話料金の問題についてお伺いをします。
 公共料金、これについては、政府は赤字を最大の理由にしていろいろ続いて値上げをされておるわけでありますが、電電公社の場合には黒字も黒字じゃないですか。電電公社の利益というのは五十二年度四千三百八十九億円、五十三年度三千九百八億円、五十四年度には予想としては四千億円ぐらいの利益が上がる。三年合わせれば一兆二千億、ものすごい利益が見込まれておる。ところが、伝えられているところでは、夜間割引の時間延長、深夜料金の設定でせいぜい千二、三百億ぐらいを国民に還元をする、これらにとどまっておるわけであります。実際に一兆円を超える利益が上がっておるんですから、これまでの利益はしかるべく国民にもっと還元をされるべきだと思うわけです。この程度のことなら来年度以降の利益を少し切れば成り立つわけで、膨大な利潤というのはそのまま積まれているということになるわけですね。
 郵政大臣、電電公社の総裁、お伺いをしますが、これでおしまいということですか。どうなんですか。
#169
○説明員(秋草篤二君) お答えいたします。
 電電公社は、四十九年、五十年、五十一年と三ヵ年にわたって赤字を出して、五十一年の十一月に料金値上げの法案が通りまして、由来、きわめて順調な経過を来しまして、五十三年度をもちまして大蔵省から借り入れました一時借入金の借金六千億を完済することができました。五十四年度は予算面では約二千九百九十六億、三千億の収支差額が計上されることになりまして、これを予算をもちまして建設の設備の拡充、改良に投ずるということが国会で議決されました。ところが、予想以上に収益が上がってきているということは、御案内のように約一千億になんなんとしております。これをとらえまして、ただいまの料金の改定問題がいろいろ云々されておりますけれども、私どもの利益剰余金というものは私は常に国民のものであるという理解のもとに、今日まで国会でも何回となくこの料金ベースというものを二年でも三年でも長く持ちこたえるということが国民のためである。料金改定のときにはこの料金は何年までもつかということをいろいろな方々から御質問がございました。当時お答えしたのは、五十四年度まではがんばりますというお答えをしておりますが、これをもっともっと一年でも二年でも一ヵ月でもよけい持ちこたえるということが電電公社の責任である。と申しますのは、私どもの収支差額というものは会社とかと違って、一文も社外に流出するものではございません。全部社内に蓄積される積立金になるものでございまして、これはやがて建設投資の財源にもなりますし、これは間接にはやっぱり加入者に還元されていることだと私は思います。それからまた、ある程度いった場合に料金というものは必ずいつかはまた上げなくちゃなりませんという宿命を持っております。そういう場合にも上げ幅を少なくするとか、上げる時期をおくらせるとかいう可能性をはらんでおるものでございまして、私はもっともっと増収に励み、また節約をしろということを部下にも厳命しておる次第でございます。いままでの経過はそういうことでございます。
#170
○国務大臣(大西正男君) お答えいたします。
 いま電電公社の総裁からお答えを申し上げましたように、公社の収支差額と申しますものは、これは他の資金と合わせまして、まあ公衆電気通信をやっております公益性の強い公社でございますから、そのサービスを維持、改善をするために、将来に備えまして建設投資とか、あるいはまた現在までもそういう投資のために多額な借金をいたしておりますから、これに対する債務の償還とかいうものに充てられるべきものでございます。五十四年度では、いまも説明がございましたように、当初の予算から見ますとその点において収支格差が一千億近くよけいに出てくるのではないかということでございますが、これもいま申しましたような性質のものでございます。
 そこで、いま問題になっておりますのは、電電公社の電話料金が遠近格差がかなりある、これを何とか是正をしてくれ、しろと、こういうのが大方の声でございまして、一昨日も自民党の政調会長の方から新聞等で報道されておりますような要請が私どものところにもあったわけでございます。これはそういう趣旨におきまして、当面の措置として貴重な御提言であると考えまして、このことを早速公社に伝えますとともに、これが速やかな実現について行政指導をいましておるところでございます。でございますが、このことによって先ほど総裁からお話のありましたような料金の体系自体の改定に及ぶということになりますと、これはむしろこれを一年でも長く現行を保っていくのが公社の維持経営のためにも、あるいはまた国民の皆さんのためにもその方がいいのではないかというふうに考えられるわけでございますが、それにいたしましても、この当面の措置を実現をいたしますためには、公社としてさらに企業努力が必要なところだと思います。そういうことで、さしあたり当面の夜間料金についての遠近格差の是正ということを実現をしていきたいということで指導をいたしておるところでございます。
#171
○小巻敏雄君 大きな利益が出たら、まずやっぱり上げ過ぎじゃなかったかということと、国民に料金を下げて返すべきじゃないかということを先に考えてもらいたいと思うんです。金が残っておるから建設をしようと、こういうようなことでは、まるで建設をすれば利益が利益でなくなるように聞こえるわけです。やっぱり国民に還元をしなければならぬ。電話料金の遠距離電話の問題、深夜電話の問題については幾らか触れられたのですけれども、莫大なものを依然として投資に使うのだからというようなことで返す方へ話がいかないのですね。私は断じてこの際実施時期を早めて料金の引き下げを行うべきだと思うのです。技術的にもあれこれあるかもしれませんが、臨時的な措置として上がった、蓄えられた利益をたとえば一律に一割引き下げるとか、夜間割引については時間延長をするだとか、こういう点で積んでいくことはできるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
#172
○国務大臣(大西正男君) お答えいたします。
 先ほど申し上げました夜間料金の遠近格差をなくしていく、こういうことを実現いたしますとすると、これに対しまして公社としては平年度千二、三百億の減収になるわけでございます。ですから、そのことを勘案しながら先ほど申し上げましたような措置をしようと、こういうことでございます。
#173
○小巻敏雄君 さらに建設費問題なんですね、いつでも利益があったら建設費に充ててこれでもって国民にサービスをして、いわば国民に返すという言い方がされますけれども、本当に必要な建設を行うのか、独占企業でありますから不必要な料金を取り立てることがないのか、ここが肝心なわけであります。これについていいますと、事実については大問題があると思うのです。
 私、やや古いですが、ここに「電経新聞」という業界紙、一九七八年三月二十七日付というものですが、ここで公社の考え方がありありとあらわれておるように思うわけです。公社の北原副総裁、関係業界の首脳等が座談会をやっておるわけです。平山温電電工事協会の会長の談話、なかなか率直露骨なものがありますが、もと公社の総務理事、天下りの方だと私は承知をしております。何と言っておりますか。いまは戦争中でない、戦争中でないからなかなかつくったものが壊れない。これをどうして合法的に古い組織をどんどんと壊してかえていけるか、ここが勝負だ。サービスを提供するためにまだ耐用年数があるけれども取りかえる、このことが必要だと、こう言ってます。サービスというのは大義名分であって、戦争なき時代における合法的な有用物破壊促進法だ、こういうことを述べておるのですね。こうやって取り立てた金が余ってくれば大衆に還元しないで設備投資に回す、こういう状況の中でいまのような大臣答弁はいただきかねる点があるわけであります。これはどうでしょう、あなた。大臣どう考えられますか。
#174
○説明員(秋草篤二君) いまの座談会の何か平山さんのお話のもう少しつぶさに前後を見させてもらわないと、ちょっと不自然に私自身も感じます。ただ私たちは利益が出たからといって無限に建設に投資するのじゃなくて、予算の範囲内で自己資金が豊富になれば、ことしでありますと約一千億の余剰資金が出てまいりますので、予定している電電債の発行を差しとめてこれに振りかえるという、金利の安いものでございますから、金利がありませんから、ちょうど一般会計で税収入が多くなったから公債の発行を減額するというのと全く同じやり方で従来やってきております。その余剰金の総資産に占める割合は二十三年間積もっても非常に大きなパーセンテージではございません。年間予算にすれば一二、三%だと思っておりまして、私どもの事業の建設投資の財源というものはもう圧倒的に借金でございます。いま財産は八兆数千億ございますけれども、それの五兆数百億というものは電電債でございます。あとは自己資金でございまして、借金も十三億ぐらいの借金を毎日払っておるという大きな負債を持っておる事業によって成り立っておるものであります。
#175
○小巻敏雄君 重要なことは、公社の設備投資というものを利用者の利益の立場から考えているかどうかという姿勢の問題について私はいま指摘をしておるわけですね。私はいまの答弁を聞いておって肝心な点で反省をしようという姿勢がないと思うのです。こういう状況は。私がここにいま挙げた平山さんもこれは天下りなのですね。巨大な企業であるところの公社の設備投資の恩恵をこうむっておる大企業に対して軒並み公社や郵政省の幹部が天下りしておる。資材購入と工事発注のそれぞれについて大きな位置を占めておる関係が人脈でつながっておる。こういう中に利用者、国民から遊離をした何といいますか、資本の論理といいますか、こういう横暴な運用に対して動いていくわけだと思うのです。一つ聞きますが、上位五社の企業の役員、いま申しましたように資材購入関係と工事発注関係のそれぞれについて天下りがどれだけあるのか、ここで明らかにしてもらいたい。
#176
○説明員(長田武彦君) お答えいたします。
 いま先生御指摘の分野は電気通信設備の資材を調達するメーカーと、それから電気通信設備の工事をいたします会社、それらについての御指摘だろうというふうに思うわけでございますが、現在、公社の出身者がその技術や経験を買われまして、会社から請われましてそういう業界に入社しているということはございますけれども、これは電気通信用の資材なりあるいは設備の工事といいますものが非常に高度かつ専門的な技術的な内容を持っておりますことから、公社以外に非常に人材を求めることが比較的むずかしいというような状況にあるというふうに考えております。
 ちょっと付言をさしていただきたいのでございますが、現在の公社の持っております電気通信設備といいますものは、これは非常に……
#177
○小巻敏雄君 いや、質問に答えてくださいよ。
#178
○説明員(長田武彦君) それじゃ、過去十年間で本社の局長以上から入社いたしまして社員となっております者の数は、設備工事関係で四名、それから資材関係で四名でございます。
#179
○小巻敏雄君 私が調べたところでも資材購入関係ですね。日本電機株式会社第一位で千八十七億円、こういう実績がありますが、専務に二人、公社、郵政省から各一が行っておる、常務に公社から一人行っておる、第二位の富士通、常務にちゃんと入っておりますし、第三位の沖電気工業、これは四百三十億の取引をやっておりますが、社長は公社から来ておる、取締役には公社から来ておる、それから監査役に一名郵政省から来ておる、実に天下りだらけだと、こう言ってもいいと思います。建設工事の発注をしておる会社、協和電設、五十二年度の発注実績が六百七十億ですが、会長、社長、副社長、専務、常務、取締役四名中四名、監査役ことごとく公社出身であります。第二位の日本通信建設、五百八十七億取引しておりますが、会長初めことごとく天下りである。第三位の大明電話工業、二百八十二億。これについても役員計十七名のうちで天下りが八名入っておる。こういう実態があります。天下り官僚を大量に抱えた大企業が設備を合法的に破壊して投資を拡大せよと追っておる中で、公社の方は利益を投資に回しておるからこれでサービスだと主張しておる。公社と電電ファミリーと呼ばれる少数の大企業がぐるになって国民からしぼり取っているという姿がありありと浮かんでいるんじゃないでしょうか。
 郵政大臣に聞きますが、特に公社からの天下りは一般職公務員と違って規制を受けていない。これはこのままでいいんだと考えておられるのか、簡潔に答えていただきたいと思いますし、さらにもう一遍、国民にどれだけの額を還元するのか、依然として建設に回すからこれでサービスは返されているというふうに言い続けるのか、伺いたい。
 私は、日曜、祭日割引料金制の採用とか、夜間割引の適用時間を午後六時から午前八時まで持っていくとか、遠距離料金を当面平均一割以上引き下げるとか、あるいは実施時期を四月からにするとか、こういったふうなことをやれば幾らもできるのじゃないかと思うんです。具体的な答弁を簡潔にお願いをして質問を終わりたいと思うんです。
#180
○国務大臣(大西正男君) 電電公社の職員の方が技術的な能力などによりまして民間の企業に再就職される、こういったことはそれ自体がいいとか悪いとかいう問題ではなかろうと思いますが、このことによって非難を受けるようなことがあってはならないと私どもも考えます。また、御指摘のように、公務員につきましては規制がございますけれども、電電公社の職員についてはそういった規制がないわけでございますから、いろいろの立場から御意見のあることにつきましては、これも当然あるものと存じますけれども、私の立場からこれに対して何らかのコメントをする、そういう立場にはございません。
 それから料金の問題ですが、夜間割引の問題をいま当面の問題として取り上げておりますのは、これも先ほど申し上げましたように千三百億くらいの減収になるわけであります。しかし、あえてそれをやるようにということを指示をいたしておるわけでございます。
#181
○委員長(山内一郎君) 以上で小巻君の質疑は終了いたしました。(拍手)
#182
○委員長(山内一郎君) 次に、栗林卓司君の質疑を行います。
   〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕
#183
○理事(安田隆明君) 栗林君。
#184
○栗林卓司君 まず、企画庁長官にお尋ねをしますけれども、いまのインフレ問題の根本原因というのは輸入インフレでございまして、それがどうやって国産のいわばホームメードインフレに転化することを避けるかということに最大の関心があることは、もちろん異論はございません。ただ、そこでその前段の輸入インフレ、もう少し言いますと、原油等の海外産原材料の高騰あるいは円安傾向、こうしたものに対して日本政府として、これはもうしょうがない、与えられた条件として受けとめていくのか、それに対して何らかのその対策を考えていくのか。総理がおられませんので、政府の立場ということでお答えいただきたいと思います。
#185
○国務大臣(正示啓次郎君) 御指摘のように、輸入インフレの一番の元凶とも言うべきものは原油価格の大幅な高騰、これを初めといたしまして輸入原材料も相当上がったものもございます。それから円安、これも輸入物価を押し上げておるわけでございますが、そこで、われわれとしては、まず、いま御質問の原油価格の大幅な上昇に対処いたしまして、御案内のように、昭和五十四年度においては五%の消費節約、エネルギーの節約、これを産業界及び国民生活の全体を通じてお願いをいたしまして強力に国民運動を展開したわけであります。大変、おかげさまで御協力をいただいておるわけでありますが、しかし、五十五年度についてはこれを強化いたしまして、七%ということでこれは新年早々からやはり強力にその運動を展開し、御協力をいただいておることは御承知のとおりであります。しかし、これも本当に私どもとしてはやむを得ない措置としていろいろやっておりますが、大きくはやはり脱石油、これにどうしても早く転換していかなければならぬ。そういうわけで、栗林委員御承知のように、原子力、石炭を中心にいたしまして石油代替エネルギーを開発する、これは通産省、資源エネルギー庁が中心になって大変やっておられます。今回の電力、ガスの値上げ等を振り返ってみましても、たとえば北海道は石炭を使っておる、関西電力は原子力を相当入れておる、そういうことが端的に料金の上がり方にもあらわれておりますので、そういう点から見ても強力にこういう政策を一方では安全性を確保しながら進めていかなければならぬと、かように考えております。
#186
○栗林卓司君 通産大臣にお尋ねをしますけれども、現在アメリカは二けたに近いインフレが依然としておさまらずに続いているわけです。これを見ながらOPECというのはどう対応するだろうか。インフレというのはドルの価値が減るわけですから、当然それを取り戻すような値上げというものを考えるんだろうか。従前ですと、世界的に不況でありますから、不況になるとだぶついて、したがって値段が弱含みになるということがありましたけれども、
   〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕
どうも昨今では状況が違う。昨年でしたか、サミットの前にOPECが値上げをぶつけてサミットが大きく動揺したという場面もあったんだけれども、ことしのサミットはという質問ではなくて、今後の石油価格、日本の調査機関ですと、来年はバレル五十ドルになる、あるいは数年先を見越して七十ドルになるという見方もあるんだけれども、私の意見としては、これは上がるものと覚悟をせざるを得ない。として、しかもそのままではどうしようもないと思うんですが、当面、その石油の価格推移についてどのように御判断になっていますか。
#187
○国務大臣(佐々木義武君) この第四・四半期、いま現在でございますけれども、これに関しましては輸入も順調でございますし、備蓄もございますし、価格的には別に不安もなかろうと思います。
 今年度でございますけれども、IEAの予想によりますと、世界全体の需給状況はむしろタイトではない、若干供給の方が上回るのじゃないかという見通しでございますし、スポットなども大分値上がりして、聞くところによりますと、倉庫はもう満杯だというような話も、本当かどうか確かに確かめたわけではございませんけれども、という状況でございますから、私は、今年度は世界各国とも相当節約にも力を入れているようでございますし、したがって需要が従来以上旺盛だとも考えられませんから、それこれ考え合わせますと、価格は去年の暮れあるいはことしの一月のような、ああいうギャロップ的なことはゆめゆめなかろうと思います。むしろ安定した推移をするんじゃなかろうかというふうに考えております。
#188
○栗林卓司君 安定した推移をするだろうというお話ですが、これで、ことし、来年、再来年と、こう見てまいりますと、やはりインフレによる減価を取り戻すようにしてOPECは値上げをしてくるのではないのか、そうお考えになりますか。
#189
○国務大臣(佐々木義武君) ことしの見通しという御質問かと思いましたので先ほどのような答弁をしたのでありますけれども、中長期にわたってそれではどうかと申しますと、それはIEAのみならず、世界でほぼ常識的に五年先、六年先ごろからは相当需給関係はタイトになっていくだろうというのは世界のもう定論でございます。したがいまして、強含みに価格が動いていくという想定はほぼ間違いなかろうと思っています。その際、ドルの値下がりをカバーする意味で、それにも合わして値上げするんじゃなかろうかというお話でございますけれども、これはまあ国際金融相場等の、為替相場等の動向でございますから、むしろ私はその問題よりも、さっき申しましたように、需給関係から判断した方がより正しいんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#190
○栗林卓司君 では、これはどちらにお伺いするのか、経済企画庁長官か大蔵大臣かだと思うんですが、じゃ大蔵大臣にお尋ねをしますけれども、いまの円安傾向なんです。以前にもそれぞれ御発言があったと思うんですが、どうも円は過小評価をされている。いまのアメリカの経済実態を見ていくと、とてもドル高になるとは思えない。逆に言うと円の過小評価ということになるんですが、いまの円、ドル相場、これがなぜこういうことになっているのか。一説によりますと、まあ実力から言えば一ドル二百十円がいいところだといいながら、いま二百五十円ぎりぎりに張りついて、精いっぱい買い支えをしながら二百五十円守っているわけですが、なぜこういうドル高になって円安になっているのか、この点については御意見いかがですか。
#191
○国務大臣(竹下登君) 基本的な問題は、これはいわゆるファンダメンタルズとでも申しますか、そうした国際収支でございますとか、もろもろのまさに経済の諸条件というものが整備されていくということが必要であると思います。が、いまの段階で見ますと、これはやっぱり石油価格の引き上げとそれから海外金利上昇に対する為替市場の心理的反応というようなものもあろうかと思うのであります。
 ちょうどいま御質問いただいておるときに入ってまいりましたきょうの終わり値が二百四十九円六十五銭と、こういうことでございます。したがいまして、三月二日の円対策を発表しました直前の対ドル相場から見ますと、マルクは六%、あるいはスイスフランが五%ドルに対して下落しておりますので、仮にそういうものがなかったとしてとでも申しましょうか、同じような状態で計算しますと十五円程度下がるということになりますので、そういうことから見れば、あの円対策というものが一つの効果があったと。
 その次の問題でございますが、アメリカのやっぱりインフレ対策、あれと今度の公定歩合は別にこれは物価対策上おやりになった問題でございますけれども、ひいては為替レートの安定にもつながる、あれはちょうど私から見ますと、こうカウンターパンチになったような感じがしておりまして、したがって、いま比較的安定はいたしておると言えると思うんです。しかし、他の通貨に比べてドル高基調というものがいつまで続くかは、私どもそういう問題をも含めて円相場の動向につきましては今後ともその推移を見守っていかなきゃならぬというふうに思っておるところであります。
#192
○栗林卓司君 いろいろな見方ができるんですけれども、たとえば石油が大幅に値上げになったものですから石油の支払い額が急激にふえたと、支払い通貨としてのドルの需要がふえたということやら、それから昨今の状況の中で米国の軍事力を背景にした、いわば準備資産としてのドルの見直し、これも起こっただろうと、いろいろ言われておりますけれども、日本側として見ますと、心理的な要因としてやっぱり石油に弱い日本という印象がいまの円安の一つの有力な原因ではないのか、こう思うのですが、いかがですか。
#193
○国務大臣(竹下登君) 石油に弱い、すなわち経常収支がそれによって非常に左右される国であるということは大きな要因であろうと、私も同感です。
#194
○栗林卓司君 別にたくらんでこう伺っているわけではないんですけれども、結局、円安ということの直接対策にはあるいはならないかもしれないけれども、間接的な効果とすると円、ドルレート、まあ円の国際通貨としての価値を守るという面でも、これはさっき経企庁長官言われました脱石油を力いっぱいに進めることが結局基本対策ではないのかと、その面からも私そう思うんですが、重ねてお尋ねをいたします。
#195
○国務大臣(竹下登君) きょうの問題としてそれが直ちに呼応するというものであろうとは必ずしも言えませんが、基本的な考え方は私も少しく中長期に見た場合、その意見はそのとおりだと思います。
#196
○栗林卓司君 そこで実はお尋ねをしたいんですけれども、総合物価対策、先日発表になりました。確かにこれは、きょうのきょう、すぐに役に立つというものではないんですよ、脱石油というのは。だけれども、その代替エネルギーの開発という文句が全然入ってないというのはどういうわけなんですか。ここに書いてあるのは、きょうのきょうの対策だけじゃなくて、いろいろ書いてあるわけですよ。「省エネルギー」とはありますけれども、肝心の代替エネルギーの開発を鋭意急ぐべきだという文章が全然ない。これは問題意識として致命的な欠陥と言われても仕方がないんじゃないか、いかがですか。
#197
○国務大臣(正示啓次郎君) 大変いま御熱心な栗林委員の御見解は、私どもとしては全く同感でございますが、ただ、総合物価対策はけさほどもほかの委員の方にも申し上げたように、私どもの当面するこの物価正念場、物価非常時、これに対する緊急対策でございます。したがって、もう少し具体性がないかという御批判は非常にあるわけでございますが、緊急の具体策、これに対しては大蔵大臣もたびたびお述べのように、予算が審議中のために、予算の実行をどうだというようなところをいま若干伏せておるのはやむを得ないところだと思うのでありますが、しかし、一方では将来の展望としてこの省エネルギーというようなことを言うのならば、さらに進んで脱石油エネルギー政策というようなことをとおっしゃる御意見もよくわかります。しかし、いま申し上げたような緊急性というような点に着目をいたしまして、たとえば同じ資源活用にいたしましても、故紙の回収、これはもう早速やれるから書こうと、こういうふうなことで、そして中長期的なエネルギー対策は、これはまあ別の問題というか、オブコースの問題というふうな一応の見方で緊急にやるべき第三次物価総合対策を一応ここへ書き上げたと、こういうふうに御理解をいただき、脱石油の問題一は非常に重要な問題として心得ておることだけははっきりと申し上げて、御理解をいただきたいと思っております。
#198
○栗林卓司君 そうおっしゃいますけれどもね、その代替エネルギーの開発というのはリードタイムが長いんですね、大体八年なり十年なり。したがって、役に立つのはきょうじゃないんですよ。始めるのはきょう始めなかったら間に合わないんです。その意味で、きわめてきょうの緊急性があるんです。リードタイムが長いというのが代替エネルギーの致命傷なんですよ。ですから、その先のことですよ、出てくるのは。だけれども、いま言っておかなかったら絶対できない。
 そこで、これはきょうの朝刊ですけれども、通産大臣に恐らく御報告が来ていると思うのですが、ベネチアサミットの準備としてIETGというんですか、これが代替エネルギー開発の「国際協力の骨格固まる」ということで記事が出ておりました。内容については載っておりますからお尋ねはしません。ただ、これがベネチアサミットでいやでも議論になるわけ。わが方が物価対策こうでありました。この間わずかたった二月ですよ。円安問題が結局石油に弱い日本という批判から心理的な不安感となってもおりませんかと伺ったのは、いまのエネルギー問題、こういう国際環境の中で日本がどういうスタンスで取り組むのか、いわばいまの緊急物価対策というのは、これを見ているのは日本人だけではないんです。となったら、やっぱり書いておいた方がよかったと、こうなりませんか。
#199
○国務大臣(正示啓次郎君) 繰り返し申し上げて恐縮ですが、実は昭和五十五年度の経済運営の基本的な問題としては高らかに脱石油、これを掲げております。エネルギー政策というものを非常に重要視しておることは、私どもはもう片時も忘れてはおりません。これからもそのことを念頭に置きつつ緊急の対策をやっていくことは、お示しのとおりだと考えております。
#200
○栗林卓司君 前からやっていることもずいぶんここに書いてありますので、やっぱり書いたらよかったんじゃないかということと、もう一つは、実はさっき私が申し上げたIETGの報告ですけれども、四つにまとめた結論がありまして、その三番目がどういうことかというと、代替エネルギー開発のリスク軽減、金融面の優遇を行うため購入保証や減税などの処置が必要である、ここなんですよ。九%に公定歩合しましたね。でも、代替エネルギーは進めなければいけない、当面のホームメードインフレ対策としては公定歩合を上げました。しかし、こっちの部分では何らかの促進処置がなかったら効かないじゃないですか。年初来やってまいりましたと言うけれども、やっぱりそれはやってきたことにならない。では、購入保証とか――購入保証というのは、開発をした、当分はできが悪いかもしらぬ、悪いけど引き取ってくれということですよ。購入保証や減税がないとなぜ代替エネルギーが進まないのか、これがリードタイムが長いということの意味なんです。いま開発をしたらコストが高いものができるに決まっている、だけど、やっぱりいま始めなかったら間に合わない、そういう政策をいまとっていますか。
#201
○国務大臣(正示啓次郎君) 栗林委員おっしゃったように、制度的な問題、税制改正、こういう問題なもんですから、五十五年度の経済政策の大きな柱と、こう打ち出したというわけでございます。
 そこで、電力料金の改定に当たりましては、原子力なんかの減価償却について定率法を入れるというふうなことは、これは実行しておるわけでございますから、私どもとしては、着々実行できるものはその都度やるわけでございます。ただ、制度の改正ということになりますと、これは今度の緊急対策というよりは、年度を通じての政策の問題、こんなふうに一応分けたわけでございます。
#202
○栗林卓司君 時間がありませんからこれで終わりますけれども、ただやはり私は書いておくべきだったと思いますよ。機会があるたびに重要性を訴えていくことがこれは一番の眼目ですからね。満足な自衛力もない日本としてこの十年、二十年生きていく道は、どうやって脱石油を進めるかだと私は思います。
 問題を移しまして、行管庁長官にお尋ねをしたいんですが、物価対策との兼ね合いです。この際、生産性の向上が物価安定に欠くことのできない要件であることにかんがみ各界が一層の生産性向上に努力することを期待すると、こう書いてございまして、特に電灯、電力、ガスの料金改定に対しては、極力合理化努力によって吸収をしてもらいたいと書いてございます。これを行管庁の立場で受けとめるとしたら一体どうなるんだろうか。一つ例を引いて申し上げてみたいと思います。
 国鉄がまことにみじめな現状にあることは、いまさら申し上げるまでもございません。そこで、現在約四十七、八万人ですか、この国鉄職員を自然の減少、退職者を待ちながら、補充はせいぜい半分ぐらいにして行く行く三十七万人体制にしていきたい、これが日本の国鉄の進めているいまのあり方です。一方、英国はどうかと言いますと、英国というのは英国病と言われて、労働組合がどうしようもないほど強くて、あれじゃ君だめだよと言われていた英国なんです。御存じかもしれませんけれども、英国の国鉄というのは、一九六三年職員数は四十七万六千五百四十五人いました。日本の国鉄とほぼ同じです。それが一九七六年に一体何人になったか、二十三万九百七十二名、半分に減らしたんです。この英国国鉄がとった方向は人員整理を伴う合理化です。日本のあの惨たんたる国鉄がやろうとしているのは、絶対に生首は切らないよという方向なんです。しかも、電力料金が上がればコストは当然上がるんですから、それを極力合理化によって吸収しようと言ったら、これは人員整理をするしか、少なくとも人員整理を含みとした合理化でなければ理屈が合わない。
 そこで、いま二つ申し上げたんですが、いろんな前提条件を抜きにしてどっちが本当のやり方なのか、日本なのか英国なのか、御意見はどうですか。
#203
○国務大臣(宇野宗佑君) 政治的条件を抜きにしてあくまで生産性向上と、そういう立場あるいはぜい肉を切るという立場から申し上げるのならば、英国のやり方の方が正しいと私は思います。
#204
○栗林卓司君 よく長官もお答えになるんですけれども、実は国会決議がございまして生首取るなと言われているんでとおっしゃるんですが、あの国会決議がなければ実はできたんだけれどもという意味でしょうか。
#205
○国務大臣(宇野宗佑君) 国会決議というものは、これは当然政府は尊重しなければなりません。仮になければどうだろうかと、こういう問題ですが、私は率直に言って、今日、先ほど来質疑応答のありましたとおり、必ずしも経済情勢は安定をいたしておらない、また失業率は世界で比べれば日本が低いかもしれないけれども、決して雇用条件は楽観を許さない、こういうふうに考えますと、もし出血を伴う何か人員整理を政府みずからがやったとするのならば、私は雇用関係で大変な社会問題を引き起こすのではなかろうか、そういう問題を引き起こすことは政治のやるべきことではないと、かように考えております。
#206
○栗林卓司君 それで、英国の例なんですけれども、一九六三年から七六年にかけて約四十八万人の英国国鉄職員を二十三万人に減らした、ではこの生首どうやって切ったんだろうか、労使が一生懸命になって汗水で就職先を探したんです。したがって、一人も失業者になっていないんです。したがって、その努力をやれば、おっしゃる社会不安なんてないんですま。私は何も二十三万人にするために構うことないから首切ってほっぽっておけということを言っているんじゃない。あの英国で、しかも労働組合が受け入れてこれができたということは、職場の労働者が理解できるほど経営者も労働組合幹部も死にもの狂いになって雇用対策をしたということなんです。それをやればいいんでしょう。
#207
○国務大臣(宇野宗佑君) そうしたことも大切なことだと思います。しかし、わが国の国鉄を考えますと、労働組合だけでも二十幾つでございますか、いろいろの性格の組合があるということも私承知いたしておりますから、非常に労使関係を重んじてやられる立場の人たちもおれば、あるいはあくまでもそうでないという立場もありますから、非常に望ましいことではあるかもしれませんが、また一方むずかしいことではないかと、かように存じます。
#208
○栗林卓司君 国鉄では労働組合の数が多くてとおっしゃるんですけれども、イギリスの方がもっと多いんですよ。御承知のように職能別労働組合ですから、すごく多いんです。そういう条件の中でやった国がありますよと言っているんです。
 そこで、じゃ長官にお尋ねしますけれども、合理化努力で吸収をしてもらいたい、それはこういうことを結局意味するわけでしょう。いろいろな条件を抜きにして言えばこれが正しいとおっしゃった。しかも、これを日本で何と言っているかというと、こういうことを減量経営と言っているんです。民間にはこれを求めて、いや国鉄はそうはいかぬよと、これは通らない。いま国会決議がありますから、あれがあるうちはとてもじゃないけれども言うことを聞かざるを得ない、これはわかりますよ。これはわれわれが変えればいいんだから。あれがなかったとしたらできるんじゃなくて、やっぱりいろいろ考えるとそれもこれもぐあい悪いということはなくて、やっぱりあれがないとしたら、民間並みに、むしろ政府の息がかかっているんですから、民間よりもはっきりと合理化努力で電力料金のコストアップによる影響を吸収していくのが本来の筋道、議論になりますから言いませんが、と思うんですが、もう一遍御意見を聞きたいと思います。
#209
○国務大臣(宇野宗佑君) やはり企業におきましても国におきましても、人件費の占める率というものはこれは大変なものであります。民間におきましては、減量経営の方法といたしまして、たとえば新規採用を見合わすということをやっておりますが、よく民間人からなぜ宇野さんやらないんだと、たとえば毎年平均して四%やめていく人がいるじゃないか、しからば、二%補充せずに二%だけにとどめておくのならば五年間で五、二、十、一割、九十万人の一割の九万人、何も出血を伴わなくたってやめさせることができるはずだよ、こういう意見もございます。私、これは非常に貴重な意見だと思います。ただ、民間には、大企業には、たとえば五十五歳という定年制があるとするのならば、その五十五歳以前に肩たたきをすることは容易だろうと思います。来年あなたは定年ですから、ことしならばこういうよい条件があります、また子会社もあります、孫会社もありますと、いろいろ私は条件があると思いますが、政府におきましては、現在定年制ございませんから、その四%が全部自分の意思でもう国家公務員をやめたとおっしゃる方ばかりが四%ならば、あるいは二%は新規採用を見合わすとという方法があるかもしれませんが、実のところは、ほとんどが肩たたきにおいてやめてもらっている人たちであります。したがいまして、もしも新規採用しないよ、二%しないよということならば、せっかく百人の定員があって、四人やめて四人入るから四人やめてもらったのに、二人しか入らないのならばやめたと、今度は肩たたきができません。したがいまして、われわれといたしましては、この国会に定年制を出すことにいたしました。だから、刻々とそうした方向においてお互いの理解を深めながらやっていく以外にないではないかと、かように思いますので、御承知のとおりに定員削減をやり、あるいは新規需要を極力圧縮し、総体的には縮減だと、こういう方法でやっておるわけでございます。国鉄みずからも、仰せのとおりに、三十五万体制に早く移りたい、こういうことで、昭和六十一年度まで相当思い切った定員の確保、管理をすると、私はこういうふうに承っておりますので、まあそれぞれ決して拱手傍観をしているのではない、懸命の努力をして、そして少しでも身軽になりたいと、こういうふうに存じておりますから、英国の例もいい例だとは思いますが、日本には日本の一つの方式もございますので、その点も御理解賜りたいと思います。
#210
○栗林卓司君 時間がなくなってしま、いまして、総務長官わざわざおいでいただいて恐縮なんですが、あと二分なものですからお伺いできないかもしれません。
 最後に一つだけお尋ねしておきたいのは、これはどなたに伺ったらいいのかわからないのですけれども、省エネルギーについて、国民に「周知徹底を図る。」とあるのですが、これはお答えを聞いてやっておりますと時間がないものですから、全部まとめて言ってしまいます。質問が二つあります。
 いろいろな国民運動機関に補助金出しているものですから、力いっぱいそれががんばるんだというお答えがもしあるとしますと、聞きたいのは、総理府が新生活運動三億五千九百万、言っているのは補助金の額です。それから経済企画庁、省資源国民生活改善促進指導補助金一億六千九百万。通産省、紙類再利用促進費補助金二千二百万。資源エネルギー庁、エネルギー使用合理化推進事業補助金八千六百万円。これがまた一つずつぐらい引きずってやっているんだけれども、これは本気で省エネルギーにかかるんだったら、一元化の必要はないんだろうか。これが一つです。
 それからもう一つ、省エネルギーの日を四月一日に決めて云々とあるのですが、むしろそれよりも、時間がありませんからもう前置き抜きにして、サマータイム、あれはもう取り入れるべきではないんでしょうか。
 以上二点伺います。
#211
○国務大臣(佐々木義武君) 最後のサマータイムからお答えしますけれども、これは私どももぜひ実現したいと思いまして、ずいぶんいろいろ協議を重ねたのでございますけれども、問題はどこにむずかしさがあるかと申しますと、国際飛行場でございまして、これを実行しようといたしますと、どうしても国内の、特に成田あるいは大阪方面の国際飛行場でいろいろ契約を取り交わしたものもございまして、時間的な制約がございますから、それを変えなければいけません。これは大変むずかしいということ。それを変えないとすれば、むしろ出発する方の、外国の出発時点を早める以外にありません。これを早めるということになりますと、いろいろな国際的なダイヤの改正とか、あるいは監督官庁の許可を得るとかいったようなことで、これはやっぱりどうしても一年や二年くらいはかかるということでございますので、かかってもいいからひとつ進めようじゃないかというので、せっかく各省いま集まりまして相談しているところでございます。
#212
○国務大臣(正示啓次郎君) ただいま栗林委員がお述べになりましたように、一元化というふうな考え方もあろうかと思いますが、私は、産業関係は通産省で法律によってやっていただく、これも大変効果を上げております。それから国民運動としての展開は総理府を中心に各省庁が協力をしてやっております。私は、最初この運動を始めたころ党の方におりまして、国民運動本部長をやっておったんですが、これは各省庁にわたって、もう政府を挙げてやっぱりやった方がいいと、こう思っておりましたが、いまのところやっぱりそういうふうにやっておりますので、たとえば今度の故紙の回収というふうなことにも発展いたしてまいりました。やはりこの際は、国民を挙げて、また政府を挙げてやっていくという現在の態勢で進んでよろしいんじゃないかと、一層の御支援をお願いしたいと思っております。
#213
○委員長(山内一郎君) 以上で栗林君の質疑は終了いたしました。
#214
○委員長(山内一郎君) 次に、前馬英三郎君の質疑を行います。前島君。
#215
○前島英三郎君 電気・ガス料金、いろいろなものの引き上げによりまして、まさに物価日本は異常とも言える展開が続いているわけなんですけれども、そこで、まず厚生大臣に伺いたいと思うんですが、とにかくこのしわ寄せはまともに弱者の上に押し寄せてまいります。これは大変深刻な問題です。生活保護世帯、老人世帯、そして障害者世帯にとって家計へのしわ寄せはもう甚大なものなんでございますけれども、政府はこれに対してどのような対策を考えておられるのか伺いたいと思います。
#216
○国務大臣(野呂恭一君) お答え申し上げます。
 電気・ガス料金などの引き上げが予定されておるわけでございますが、これが生活保護世帯、老人世帯あるいは障害者の世帯にとって大きなしわ寄せになっておるではないか、これは甚大な影響をもたらしておるのであるが、政府はこれに対してどう対応していくのであるかということでございます。
 生活保護世帯あるいは社会福祉施設の入所者の生活費というものにつきましては、従来から政府の経済見通しの上におきまして、国民の消費の動向及び物価の動向を総合的に勘案して改定をいたしてきておるわけでございます。そういう点において、五十五年度におきまする場合において八・六%のそれぞれ引き上げを行っておるわけでございます。したがって、当面予定されております電気・ガス料金などの引き上げを含む物価の変動につきましては、総体として今回の改善に織り込まれておるものと考えておるのでございまして、生活保護世帯及び社会福祉施設入所者の生活はこのことによって対応できるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 また、身体障害者など社会的に弱い立場にある者につきましても、物価変動など国民生活の実態の変化を見込んで各種の給与の改善を行おうとしておるわけでございます。
 しかしながら、御指摘のように、生活保護世帯及び社会福祉施設入所者の方々につきましては、物価の変動の影響を受けやすい立場、つまり生活基盤というものが脆弱でございますから、今回の電気・ガス料金の認可に当たって、九月まで旧料金の据え置きを処置してもらいたいということで、その処置がとられることになったわけでございます。今後とも物価の動向は予断を許さない情勢にあると思いますので、物価動向に対しては十分注目をし、異常な物価上昇ということが起こり得ますならば、それに対して機敏に対応して今後どうしていくかという対策は考えなければならないと思いますが、いまの段階においては何とか処置し得るものだと、かように考えておるわけでございます。
#217
○前島英三郎君 当面九月までということでございますけれども、まさにこれはいままでの物価上昇から見ますと、本当につけ焼き刃的な何かスズメの涙的な部分でしかないというふうに思いますので、私は、やっぱり今後このしわ寄せがあらゆる公共料金の値上げに伴って怒濤のように弱者の上に押し寄せてくるということを十分御考慮いただきたいというふうに思っております。
 物価上昇が障害者福祉を直撃している一つの例を挙げたいと思うんですけれども、障害者のリハビリテーションにおける補装具の位置づけについて伺いたいと思うんです。これまで補装具というのは、単に失われた身体機能を補うものといったとらえ方を政府はしてきているわけなんです。したがいまして、私が乗っております車いすは四年間は一台で乗りなさい、こういうことなんです。現実に私はこの一台の車いすが約一年間で壊れていきます。このぐらい補装具というものは動かない足にとっては社会参加の上で重要な位置づけになっているわけなんです。しかし、日常生活全般、社会生活、さらには就労あるいは雇用ということが盛んにいま問題になっている昨今を含めますと、やっぱり総合的にハンディキャップをカバーするためのものというとらえ方をしていただかないと、単に部屋の中で寝起きするだけの生活ということにどうしても補装具という位置づけがなってしまいますと、これはとんでもないことになるわけでありますが、その補装具の位置づけを厚生大臣はどのようにとらえておるのか伺いたいと思います。
#218
○国務大臣(野呂恭一君) 御意見ごもっともでございますが、この補装具を含めた身体障害者の用具の給付制度のあり方ということにつきましては、目下、身体障害者福祉審議会に検討を実はお願いをいたしておるわけでございます。その意見を踏まえて長期的な観点から改善策について研究をしていきたい、御要望の趣旨に沿っていくように努力をいたしたいと考えます。
#219
○前島英三郎君 ところが補装具行政というのが、御検討いただくということでありますが、いま大変危機に直面していると思うんです。物価上昇のあおりが結局のところ障害者のところにしわ寄せがきているんです。じゃ業者がもうけているのかといいまして業者にいろいろ聞いてみますと、業者も責められない部分というのがあるわけですね。補装具は公費で給付されているわけです。公費で給付されておりますが、その価格は政府が決定をしているわけなんですね。その政府が決める価格が物価上昇を全く無視しているという現状があるんです。たとえば日銀の物価指数月報によりますと、ことし一月の数字で昨年の同じ月の比較で見ますと、補装具の材料の主なものを見ますと、牛革が三三・三%値上げしておるわけです。プラスチックが四七・六%、アルミ合金板が二四・六%、補装具に使う木製品は三四・一%も値上げになっているんですね。しかし、このような激しい上昇を見ますと、さらに追い打ちをかけるように電気・ガス料金が上がってくるわけでありますから、これはもう業者は責められない。いま七千五百人のこの補装具に携わっている労働者がおりますが、そのうちの大体二割から三割は身障者がやっているんです。身障者がみずから自分の立場の中から小さな町工場を営みながら、本当に心を生かした補装具づくりというのをやっているわけなんですが、こういう現実を見ていきますと、やっぱりこの補装具というもののとらえ方、その料金というものに対して政府が価格決定する上には、実際補装具をつくっている方々がこれ以上悩むようなことがあってはならない。しかし全体的に見ますと、厚生省からお願いした大蔵省の答えでは〇・七%ぐらいの伸び率でしか大蔵省は計算をしていないような雰囲気を若干私は感じているわけでありますけれども、こういう意味でこの現実をどうなさるのか、厚生大臣並びに大蔵大臣に伺いたいと思います。
#220
○国務大臣(野呂恭一君) 御指摘の五十五年度の価格の決定作業、いま検討をいたしておるわけでございますが、関係方面とも調整をいたしまして十分この点を配慮していきたいというふうに考えております。
 詳しくは政府委員から御答弁申し上げたいと思います。
#221
○政府委員(山下眞臣君) ただいま大臣から御答弁があっりましたとおりでございますが、この補装具の単価改善につきましては毎年予算編成の段階では全体としてのアップ率を決めまして、具体的にこの品目につきまして何%アップというのは、予算が成立いたしました後、身体障害者福祉審議会の意見を聞きまして厚生大臣が決定をする、こういう仕組みに相なっておるわけでございます。
 御指摘のとおり、皮革製品でありますとかプラスチックとか、その原材料が大変最近においては上がってきておるという事情をよく承知をいたしておりますので、大臣の御答弁にもございましたとおり、関係方面と十分協議をいたしまして、そういった点につきましても配慮がなされるように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#222
○国務大臣(竹下登君) 補装具の原材料価格につきまして最近かなり上昇しておる、これは私どもも承知をいたしております。したがいまして、先ほど説明がございましたとおり、補装具の五十五年度の各種日別単価につきましては、いまのお答えにございましたように、現在厚生省で検討中というふうに私も承っております。これから厚生省から当然のこととして協議があります。そのときには適正な単価となるよう相談をしてまいりたい、このようにお答えをいたします。
#223
○前島英三郎君 先ほど申し上げましたように、この補装具というものに取り組む人たちは、片足のない人、左腕のない人、その人が自分の補装具という立場をみずから考えながら仕事に取り組んでいるケースが非常に多いんです。政府は最近非常に身障者の雇用促進ということを叫ばれておりますが、実際問題としてなかなか大企業では一向に雇用率は上がらない。こういう現状の中にあって、まさにこの人たちにとりましてハンディキャップを持っている人たちが、わが身という立場の中でこの補装具の製作に取りかかっております。そういう意味では政府で決める価格の枠の中で青息吐息というのが現状でございます。さらに、その補装具というものの開発が日本は大変おくれておりますので、パーツの部分では輸入に頼るというところが大変多うございます。実際諸外国の例を見ますと、まあ西ドイツと日本は大変経済的な背景も似ておりますが、その西ドイツでも、補装具に対しては日本の政府価格の方が約五倍というような状態です。そういうことを考えていきますと、非常に補装具というとらえ方が政府の中にやはり単に機能を補うものという形のものでしかないような気がするものですから、来年は国際障害者年を迎え、さらに身障者の完全な社会参加へと平等というテーマもございますので、これから大蔵省との価格決定におきましてはひとつ前向きにぜひとも取り組んでいただきたいと思います。これはもう大蔵大臣、ぜひともお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
#224
○国務大臣(竹下登君) 審議会の議を経て厚生大臣がお決めになるということでございますが、予算の編成の調整をするのが大蔵省でございますから、当然のこととして御趣旨を体し、すなわち補装具というものの持つ役割りと、その背景におけるお働きになっている方々の立場、そういうようなものの認識の上で厚生省から御相談があろうかと思っておりますので、その相談に十分こたえていきたいというふうに考えます。
#225
○前島英三郎君 ありがとうございます。
 最後に、郵政大臣に伺いたいと思いますけれども、障害者の社会参加にとって情報、コミュニケーションの占めるウエートというのはきわめて大きいわけであります。そして障害者の中には視力障害者、聴力障害者のようにコミュニケーションの面で直接的なハンディキャップのある人も大変多いわけでございます。車いすにとって階段や段差が困るように、コミュニケーション上の段差というものもなくしていかなければならないと思うわけでありますが、現実はなかなかむずかしい問題があります。具体的に郵便料金が大幅に上昇をいたします。聴力障害者の人々は電話によるコミュニケーションが全くできません。そこで、どういう形でそれぞれの情報を交換し合っているかといいますと、ラジオも聞くわけにはまいりません。テレビも見るだけでありまして、手話などというものがなかなかテレビの電波の中でも使われておりません。そこで、郵便によるコミュニケーションというものが比重がきわめて大きいわけでございます。そこで、聴力障害者の郵便料金を免除してほしいという声が大変強まっているわけでありますけれども、視力障害者の場合、すでに点字郵便物に対しましては実施されている例もございますし、そういう意味では聴力障害者のハンディキャップという面はきわめて大きいわけでありますので、郵政大臣の御決断を仰ぎたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
#226
○国務大臣(大西正男君) お答えいたします。
 現在、先生がおっしゃいましたようなことに関しましては、特に聴力障害者の方だけに対する料金の優遇措置といったものはございません。そこで、第三種の郵便物の制度の中で、御承知と思いますけれども、心身障害者を構成員とする団体が発行する定期刊行物、これにつきましては認可条件を緩和することといたしておりますとともに、他の第三種郵便物よりも安い料金とする措置を講じておるわけでございます。したがいまして、聴力障害者の団体が発行する第三種郵便物につきましてもこの制度が適用されるものだと思います。でございますが、そのほかにはないわけでございまして、いま先生のおっしゃいました視力の障害を持っておられる方々、こういう方々に対しまして例の盲人用の点字郵便物というのがございます。これにつきましては、それがそのもの自体として一見をされるわけでございます。判別がつくわけでございます。ところが、一般の郵便物と同様のものであると考えられますのは、このいま御指摘になっておる聴力についての障害をお持ちの方々の郵便物というものは、個々の郵便物はこういった区別がつかないものではないかと思います。ですから、そういう意味で郵便局ではこれを判別することがなかなかできませんので、そういった取り扱い上の問題が一つございます。
 それからもう一つは、特定の郵便物についての料金面の優遇といったことは、その分だけ他の基本サービスの利用者に御負担をおかけするものでございますので、郵便の制度の中でこのような問題に対処するといったようなことにはおのずから限度があろうかと存じます。したがいまして、御指摘のことにつきましては、郵政省としては慎重にならざるを得ない、こういうことでございます。
 ただ、いま一つつけ加えて申し上げたいことは、例年これは郵政省でやっておりますが、ことしもそういうことを予定をいたしておりますが、四月の二十一日から身体障害者福祉強調運動にちなむ郵便葉書を発行をいたします。それで重度の身体障害者の方々に、お申し出がありましたらお一人二十枚ずつ差し上げるということにいたしております。でございますから、聴力障害の方がこの条件に当てはまりますならば、そういう措置をとることになるわけでございます。
#227
○委員長(山内一郎君) 時間が超過しておりますから、簡単に願います。
#228
○前島英三郎君 最後に、二十枚ずつ差し上げることは大変結構でございますけれども、何か聴力障害者は、葉書を使ったりすると、点字なら区別がつくけれども、見分けがつかないので、やり方に問題があると。それは聴力障害者をやっぱり信じていただきたい。障害者のいろいろな社会参加に対して信じていただきたい。やはり政治に不信があるように、そういう不信を国民が抱いてしまうからそういう結果になるということを私は申し上げたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#229
○委員長(山内一郎君) 以上で前島君の質疑は終了いたしました。
#230
○委員長(山内一郎君) 次に、青島幸男君の質疑を行います。青島君。
#231
○青島幸男君 まず通産大臣に二、三の点をお伺いするところから始めたいと思いますけれども、このたび予定されておりますところの大幅のガス・電気料金の値上げでございますけれども、先般のこの円高差益の問題の折にも、なかなか還元というものは一般の消費者の手元に届かないという状態はもう御存じのとおりだと思うんですけれども、特に小麦だの灯油だのというように、直接影響力の強いものを即座に還元してもよさそうだという気がするんですが、原油価格も円高も非常に不安定なので即座に対応するわけにはいかない。もし円高の分で利益が残ったら、その差益は次の値上げを少しでもおくらせるということに働けばいいんじゃないかというようなお答えを一般の方々にも政府はさんざんなさっておられたわけでした。ところが、この値上げの方になりますと、非常に敏感に即応するということに、単にただ値上がりするということに対する憤りと不安のほかに、そういうやり方自体に心理的な不信感があるんじゃないかと思いますね、ユーザーの。そういう不信感を取り除くということが一番重大な要件になってきやしないかと思うんですが、それに対処するにはどういうおつもりでおいでになりますか、その点からお伺いしたいと思います。
#232
○国務大臣(佐々木義武君) このたびの電力ガス料金の値上げ問題でございますけれども、これはそもそもの原因は、御承知のように、原油の値段がいままでなかったような急激な大幅な、二倍、二倍半というふうな値上げになりまして、これを多量に消費をしています電力等では、もろにその値段をかぶるわけでございますから、いままでの料金のままじゃとてももち切れないということで、四年ばかり前に値上げしたまま据え置いておいて、三月の末まではどうしても値上げまかりならぬということで抑えておったものですから、それではその三月末が過ぎました四月一日には、ひとつ申請を査定、もちろん査定するのは結構ですが、上げてもらいたいという強い希望を電力八社は申し述べておりまして、その間それでは原油は値上がりしているわけですから、どうしているかと申しますと、内部留保を食って、そして食いつないでいるわけですね。会社経理としては非常に不安定な状況のままいままで来たわけでございますから、なるべく希望どおりその時期には上げてやりたいというのが、別に急いだわけではなくて、実情でございます。
 そこで、消費者の意見等は余り聞かぬのじゃないかという、そういう議論もございますけれども、これはそういうことはございません。私どもも何回か参りましてよく意見もちょうだいいたしました。また真剣に考慮もいたしました。物価に対する反映はどうか、これももちろんでございまして、これほど波及力の大きいものはございませんし、大幅でございますから、物価面に対する、あるいは生活面に対する影響等も十分考慮を払ったつもりです。
 そういう二つの面のほかにこの電力問題には非常に特殊な問題がございまして、先ほど栗林さんからも御質問がございましたけれども、何と申しましても、いま日本が民族の生きるか死ぬかという問題は、もちろん物価の問題もございます。重要ではございますけれども、長い長期のレンジでもって考えていけば、油にかわる代替エネルギーというものをつくっていく以外に民族の生きる道はございません。それを長い間かかって膨大な投資をしてやり遂げていかなければならぬわけでございまして、原子力とか、あるいはLNGだとか、石炭とか、その他の新規のエネルギーに投資をして、みずからそれに切りかえていく者はだれかというと電力会社しかないわけでございまして、電力会社がみずから切りかえていくわけです。そういう投資をそれではどうするかというと、経営が安定していなければできないという一つの別の使命と申しますか、ございますので、先ほど申しました物価の問題とか、あるいは消費者側のいろんな御意見等もちょうだいしますけれども、それと、いま申しました本来の使命と申しますか、そういうものともかみ合わせまして、幸い法律はそういう両面をにらんでつくれるような、いわゆる原価主義というものを命じておりますから、厳正な原価主義にのっとりまして慎重かつ公正に査定したつもりでございます。
#233
○青島幸男君 一般の消費者団体も原油が値上がりしていることはよく承知をしておりますし、代替エネルギーを探求しなきゃならぬということよくわかっているはずなんですがね、それで公聴会開いたりいろいろ行っておりまして、原価主義も査定を民間団体なりにやっているわけですね。ところが、その査定のあり方と通産省の査定と大いに食い違うじゃないかということがいま問題になっておりますし、その辺の吟味が足りないんじゃないかということの不満を一般の消費者は持っておられるわけでして、それの証左というんですかね、官営の公聴会よりも民間が主催する公聴会の方が非常に活発に行われたり、参加者が多かったり、活発な意見が交換されたりするということは、通産省がやっていることはどうも業者寄りで、おざなりなんじゃないかというような不信感がまずある。その不信感をまず取り除いていかなきゃならないだろうということも私先ほど申し上げた趣旨でございまして、大臣の説明もよくわかるんですけれども、もう少し密接に民間の方々に対応するという親切さが欲しいような気がするんですが、その点いかがでございましょうか。重ねてお伺いいたします。
#234
○国務大臣(佐々木義武君) ごもっともでございます。お言葉返すようで恐縮ですけれども、公聴会というのは実は法律で決まった規定に基づきまして、通産省が料金改定の認可をする前には必ず広く各界の意見を聞いて、それを参考にしてそして査定をしなさいと、こういうことで公聴会というものは開くようにすると。いまお話ございました民間公聴会と申しますか、普通、説明会と言っていますけれども、この方は事業者が開催するものでありまして、その趣旨は、意見を聞くというのじゃなくて、相互の理解を深めるということで、したがって質問があれば応答すると言って質疑応答を繰り返して、そうしてお互いにそうかということで理解を深めるというのが一番実は目的でございます。したがいまして、むしろやはり説明会の方に行って、わからぬところは説明して答弁いただくと、あるいはまた再質問するというふうなのがそれは質疑者にとって一番有益なことでございますから、恐らくはその説明会の方にたくさん人が行かれたんじゃないかと思いますと申しまして公聴会というのは少数かと申しますと、決してそんなことはございません。一ヵ所で陳述者が百五十名ですから。八ヵ所といいますと千何百名でございますか、質疑者合わせましてもっと多くなります。それくらいの陳述者でございますから、これは大変なものでございまして、しかも、それの何倍かの希望者から選定しているわけでございますから、決して無意味なものと思っておりません。そういうことでございますので、公聴会の中には、先ほど申しましたように、国民生活における物価に大いに配慮しろという意見もございますし、反面また、中長期のエネルギー政策というものは国の根幹だと、これに対する配慮を忘れてはいかぬぞという意見ももちろんございます。そういういろんな熱心な意見を聞きまして、そして丹念にこれ記録をとってございまして、今度は認可が済みましたから、その公聴会の各意見に対しましては、私どもこういう理由でこういう査定をしましたという点を書き添えましてこれから送ることになっています。また新聞にも公表したわけでございます。そういうことで、決して鈍ったわけでもなし、よく公聴会等意見は聞きまして査定したつもりでございます。
#235
○青島幸男君 そこで問題になりますのが、独占事業なん、だから、同一地域に競合がないんだから企業の内容を公表する、あるいは明確に発表してもいいじゃないかという意見がかなりあるはずなんですね。いま直ちに原価その他を公表しろということは私も申しませんけれども、今後値上がりのたびにこういう政治に対する不信みたいなものが根底にあって出てくることですからね、方向として原価を公表するとか、企業秘密ということは成り立たない筋のものだと思いますね、同一地域に競合はないわけですから。ですから、公表する方向へ向かおうとするのか、現状のままでいいとお考えになっていらっしゃるのか、その点だけ端的にお願いいたします。時間ございません。
#236
○国務大臣(佐々木義武君) 査定が済みまして認可をしましたので、その日に大変膨大なものでございますけれども、こういう資料を新聞の方には発表しておきました。それから社会党さんの方からは三三%アップという案が出ていましたので、それに対する回答と申しますか、こちらの査定とどういうところが食い違うかという返答を求められて、衆議院の予算委員会で確かにお答えしますという約束をしておりますので、ただいまその返答を作成している最中でございまして、必ず社会党さんの方にお答えする予定になっております。
 それから最後に、会社の経理、いまの電力料金の値上げ問題ばかりじゃなくて、会社自体の経理を公開すべきじゃないかという御質問も含んでいるように見られましたので、その点をあわせて御説明申し上げますと、これは電気事業あるいはガス事業の公益性にかんがみまして、従来からできる限り明らかにすべきだということは一貫した私どもの態度でございます。特に、昨年三月の電気事業審議会あるいは総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会の中間報告ではなるべく公開しろという報告になっておりますので、それを踏んまえまして可能な限り、どうしてもこれは公開できないものはいろいろありますけれども、そういうものは別といたしまして、可能な限り公開するよう引き続き指導してまいるつもりでございます。
#237
○青島幸男君 わかりました。そのようにぜひ御努力いただきたいと思います。これは要望でございます。
 せっかく公取に来ていただいているんで、時間もございませんが、話を変えまして、私一つここに投書を持っているんですけれども、実は通産省はどういう指導をしているかわかりませんが、東京瓦斯の問題なんですけれども、スナックを開店したいと思ってガス工事を依頼したと。そのガス器具をつけるに当たりまして、東京瓦斯のガス器具をつけてくれれば一月ぐらいでつけるけれども、よその器具を使うんだったら一ヵ月半かかりますよというふうに言われまして、せっかく決めておいたガス器具をキャンセルして東京瓦斯指定のものに切りかえて、とにかく開店には間に合ったと。しかし、どうもすっきりしない気分が残って腹立たしいと。これはちょっとおかしいんじゃないかということですね。独占事業であるということをかさに着て、自分のところの器具を無理やり押しつけたというのはちょっとおかしいんじゃないかという投書なんですけれども、この趣旨で公取の方ではどういうふうに御解釈になりますか。
#238
○政府委員(橋口收君) 東京瓦斯のおそらくは認定工事事業者の問題ではないかと思いますけれども、ただ先生おっしゃいましたようなケースにつきまして二、三公取委にも申告がございます。これは東京瓦斯ばかりでなくて、他のガス会社につきましても似たようなケースについて苦情が寄せられているわけでございまして、私どもといたしましても、独占体の行為と関連がございますから関心を持っておるところでございまして、一部すでに任意で東京瓦斯等に対しましては事情を聴取しておるところでございます。
 こういうケースはガスばかりではございませんで、たとえば金融機関が融資をします場合に、自分の関係の保険会社の保険をつけるようにという要請をしたり、あるいはこれは極端なケースでございますが、たとえばお寺さんが境内の墓地をいじります場合には、お寺さんの指定する墓石業者の工事でなければ承知をしないとか、了承しないとか、こういうケースがずいぶんあるわけでございます。したがいまして、これはこれらの行為の社会的な影響度も十分考えまして、極端な場合には法律違反ということになるわけでございますから、不公正な取引方法に該当するわけでございますから、十分注意してそういうことが起こらないように対処いたしたいというふうに考えております。
#239
○青島幸男君 なぜ私この問題を取り上げたかと申しますと、こういう日ごろのガス会社の一般の
 ユーザーに対する対処の仕方などがどういう指導をしているかわかりませんが、通産省に対する不信の念となって一般に定着すると、こういう値上げのような事態になったときに、それぞれ持っておられました不安とか怒りというものが固まったかっこうで出てくるということになりはしないかという懸念がありましたので、通産省もよくよくそんな間違いのないように、国民の間に不信の起こることのないように御指導をいただきたいという要望をあわせて申し上げたくて例を取り上げたわけでございますけれども、これは答えは要りませんけれども、ひとつ通産省の方もそのように御努力をいただきたいと思います。
 時間が参りました。ありがとうございました。
#240
○委員長(山内一郎君) 以上で青島君の質疑は終了いたしました。
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会します。
   午後四時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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