くにさくロゴ
1979/04/02 第91回国会 参議院 参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第19号
姉妹サイト
 
1979/04/02 第91回国会 参議院

参議院会議録情報 第091回国会 予算委員会 第19号

#1
第091回国会 予算委員会 第19号
昭和五十五年四月二日(水曜日)
   午後三時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     山崎  昇君     久保  亘君
     瀬谷 英行君     勝又 武一君
     丸谷 金保君     松前 達郎君
     広田 幸一君     村沢  牧君
     大木 正吾君     高杉 廸忠君
     馬場  富君     塩出 啓典君
     中尾 辰義君     渋谷 邦彦君
     渡辺  武君     下田 京子君
     立木  洋君     山中 郁子君
     市川 正一君     内藤  功君
     柳澤 錬造君     栗林 卓司君
     市川 房枝君     山田  勇君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     佐藤 三吾君     丸谷 金保君
     勝又 武一君     瀬谷 英行君
     久保  亘君     浜本 万三君
     小野  明君     赤桐  操君
     高杉 廸忠君     穐山  篤君
     吉田 正雄君     広田 幸一君
     上林繁次郎君     三木 忠雄君
     塩出 啓典君     黒柳  明君
     渋谷 邦彦君     馬場  富君
     和泉 照雄君     柏原 ヤス君
     下田 京子君     渡辺  武君
     内藤  功君     神谷信之助君
     中村 利次君     藤井 恒男君
     栗林 卓司君     木島 則夫君
     山田  勇君     喜屋武眞榮君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     浜本 万三君     吉田 正雄君
     瀬谷 英行君     佐藤 三吾君
     広田 幸一君     片山 甚市君
     赤桐  操君     勝又 武一君
     松前 達郎君     坂倉 藤吾君
     村沢  牧君     大森  昭君
     丸谷 金保君     大木 正吾君
     穐山  篤君     高杉 廸忠君
     黒柳  明君     渋谷 邦彦君
     三木 忠雄君     桑名 義治君
     柏原 ヤス君     内田 善利君
     馬場  富君     塩出 啓典君
     神谷信之助君     橋本  敦君
     渡辺  武君     佐藤 昭夫君
     山中 郁子君     沓脱タケ子君
     藤井 恒男君     井上  計君
     木島 則夫君     柳澤 錬造君
     喜屋武眞榮君     山田  勇君
 四月二日
    辞任         補欠選任
     高杉 廸忠君     丸谷 金保君
     佐藤 三吾君     瀬谷 英行君
     坂倉 藤吾君     村沢  牧君
     大森  昭君     山崎  昇君
     片山 甚市君     穐山  篤君
     塩出 啓典君     阿部 憲一君
     渋谷 邦彦君     中尾 辰義君
     桑名 義治君     渡部 通子君
     内田 善利君     馬場  富君
     佐藤 昭夫君     渡辺  武君
     橋本  敦君     安武 洋子君
     柳澤 錬造君     栗林 卓司君
     山田  勇君     市川 房枝君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山内 一郎君
    理 事
                亀長 友義君
                下条進一郎君
                桧垣徳太郎君
                安田 隆明君
                栗原 俊夫君
                山崎  昇君
                原田  立君
                沓脱タケ子君
                栗林 卓司君
    委 員
                浅野  拡君
                岩動 道行君
                石本  茂君
                金丸 三郎君
                北  修二君
                成相 善十君
                林  ゆう君
                真鍋 賢二君
                八木 一郎君
                山本 富雄君
                穐山  篤君
                大木 正吾君
                勝又 武一君
                安恒 良一君
                吉田 正雄君
                中尾 辰義君
                馬場  富君
                渡部 通子君
                市川 房枝君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       法 務 大 臣  倉石 忠雄君
       外 務 大 臣  大来佐武郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  谷垣 專一君
       厚 生 大 臣  野呂 恭一君
       農林水産大臣   武藤 嘉文君
       通商産業大臣   佐々木義武君
       運 輸 大 臣  地崎宇三郎君
       郵 政 大 臣  大西 正男君
       労 働 大 臣  藤波 孝生君
       建 設 大 臣  渡辺 栄一君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       伊東 正義君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       宇野 宗佑君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  細田 吉藏君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       正示啓次郎君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       長田 裕二君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  土屋 義彦君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  園田 清充君
   政府委員
        内閣法制局長官 角田禮次郎君
        内閣法制局第一
        部長      味村  治君
        内閣総理大臣官
        房同和対策室長 小島 弘仲君
        警察庁交通局長 池田 速雄君
        防衛庁防衛局長 原   徹君
        法務省民事局長 貞家 克己君
        法務省人権擁護
        局長      中島 一郎君
        外務省北米局長 淺尾新一郎君
        外務省条約局長 伊達 宗起君
        大蔵省主計局長 田中  敬君
        文部省初等中等
        教育局長    諸澤 正道君
        文部省社会教育
        局長      望月哲太郎君
        厚生省社会局長 山下 眞臣君
        農林水産大臣官
        房長      渡邊 五郎君
        農林水産大臣官
        房予算課長   田中 宏尚君
        農林水産省経済
        局長      松浦  昭君
        農林水産省構造
        改善局長    杉山 克己君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    二瓶  博君
        食糧庁長官   松本 作衞君
        中小企業庁次長
        労働省職業安定 相沢  均君
        局長      関  英夫君
        建設省住宅局長 関口  洋君
        自治省行政局長 砂子田 隆君
        自治省財政局長 土屋 佳照君
   事務局側
        常任委員会専門
        員       道正  友君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○昭和五十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○各分科会主査の報告
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山内一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、理事の補欠選任を行います。
 委員の異動に伴い理事三名が欠員となっております。
 理事の補欠選任につきましては、先例により、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に山崎昇君、沓脱タケ子君及び栗林卓司君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(山内一郎君) 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算、昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 これより各分科会における審査の経過について、各主査から順次報告を聴取いたします。
 まず、第一分科会主査桧垣徳太郎君。
#5
○桧垣徳太郎君 第一分科会における審査の経過について御報告申し上げます。
 当分科会の担当は、昭和五十五年度予算三案中、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(警察庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁、環境庁、国土庁を除く)、法務省及び外務省所管並びに他の分科会の所管外事項であります。
 以下、日程の順序に従いまして質疑の概要を申し上げます。
 まず、国会関係所管につきましては、「行政事務の処理に当たっては、行政官庁ではコンピューターを使用してスピードアップがなされている。国会でも国会図書館を中心にコンピューターが導入されているが、現在の整備状況及び将来の計画はどうなっているか。」との質疑があり、これに対し、植木参議院事務総長及び関係職員から、「コンピューター使用の業務は、現在は国会図書館では、会議録索引をインプットしている。将来は、オンラインで検索できるようにし、また調査業務に関してソフトウエアを開発し対応したい。」旨の答弁がございました。
 次に、科学技術庁所管関係につきましては、「静止衛星「あやめ二号」の失敗の原因は何か。失敗による通信・放送衛星への影響はないか。エネルギー特別会計の新設に当たり、予算の効果的使用についての所信を聞きたい。」との質疑があり、これに対し、長田科学技術庁長官並びに関係政府委員から、「「あやめ二号」はアポジモーター点火後に通信が途絶したので、衛星サイドの事故ではないかと思われる。「あやめ」ではロケットとミリ波の二つの実験目的があったが、ミリ波の実験が実用通信の前提となっているわけではなく、今回の失敗が根本的な検討ということにはつながらない。エネルギー特別会計予算の使用に当たっては放漫にならないよう戒め、研究員の使命感の高揚に努めることが大切だと考えている。」旨の答弁かございました。
 次に、外務省所管関係につきましては、「外相とブラウン国防長官との会談で、日本の防衛努力に対する強い要請や、中期業務見積もりの一年繰り上げ達成の話があったと聞くが真偽はどうか。五月の総理訪米の際には米国側から防衛努力への強い要請があると思われるが、これと従来の全方位外交政策との調整はどうするのか。」との質疑に対し、大来外務大臣及び関係政府委員より、「ブラウン長官との会談で、日本の防衛努力についてある程度の話はあり、日本の従来の基本政策の方向の線は外せない。着実な努力はできるが、顕著な努力は基本線から見てむずかしいと答えた。全方位外交とは、平和憲法を持ち、資源小国であるという前提で世界じゅうのあらゆる国と友好関係を持つべきだが、これには濃淡があり、少なくともシリアスな関係を持たないということだと考える。また、日本は専守防衛から踏み出せないが、これらのあり方についてはブラウン長官も理解している。」旨の答弁がございました。
 次に、会計検査院所管関係につきましては、「会計検査院の検査は予告なしにできないか。」との質疑に対し、柴崎会計検査院事務総長及び関係政府委員より、「必要あると認めたときは、予告なしに検査を行う。一般的には短期間のうちに効率的な検査を行うため予告する。」旨の答弁がございました。
 次に、行政管理庁所管関係につきましては、「大平内閣の行政整理は従来言われていたものだけであり、物足りない。地方自治体への中央省庁の縦割りの通達が非常に多く、仕事をふやしている。三月三十一日に出された天下り白書では、天下りの人数が多い。」などの質疑に対し、宇野行政管理庁長官及び関係政府委員より、「高度成長期に肥大化、ぜい肉化したものが特に特殊法人に目立つので、この外郭から整理をしたのであり、本城は忘れていない。国民の声を背景にしたからこそ二、三カ月の間に一割以上の削減の成果をおさめ得た。また、判こ行政である許認可事務を整理する方向で改革を進めたい。天下り問題については、特殊法人の役員定数を一割カットし、残りの定数の五割以上は民間を用いるよう閣議で報告が行われた。」旨の答弁がございました。
 次に、総理府所管関係につきましては、「同和対策事業は特別措置法を延長して行ってきているが、目標には達していない。」との質疑に対し、小渕総理府総務長官及び関係政府委員より、「同和対策事業は広範多岐にわたるが、一番の重点は生活環境整備であり、これは相当に進捗している。その他の就労、教育問題はまだまだ時間がかかる。」旨の答弁がございました。
 次に、内閣所管関係につきましては、「シベリア抑留者への政府の補償はなぜなされないのか、補償しても憲法違反とならない、政治的判断で補償してもよいではないか。」との質疑に対し、伊東内閣官房長官及び関係政府委員より、「戦争の被害は各方面にわたっている。シベリア抑留者だけに補償するのはどうか。特別の措置をとることをしないということを一貫してとっている。」旨の答弁がございました。
 次に、法務省所管関係につきましては、「いわゆる地名総鑑の法的規制はいつを目途に行うのか。公職選挙法の連座制の規定が不適用になるのは裁判が長引くためだが、長引く原因は何か。」との質疑に対し、倉石法務大臣及び関係政府委員より、「地名総鑑の法規制の方法には二つ考えられる。第一には、図書の出版そのものの規制であるが、憲法上の表現上の自由や、適法手続保障との関係でむずかしい。第二には、これを出版する興信所等の業者の登録や認可制についてであるが、業態、規模が多様で実態がつかめない。法的規制は以上のことからむずかしいが、有効な方法を出さなければならないということで関係省庁で協議を進めている。百日裁判の長期化の原因は、訴因の数が多く、被告人が事実を争う、多数の証人が必要となる、弁護人の事由で集中審理ができない等が挙げられる。審議促進については、検察、最高裁等で交わされた昭和四十二年の四者間申し合わせを一つ一つ徹底していくことで実現されるが、訴訟関係人の協力が大事である。」旨の答弁がございました。
 このほか、各所管事項について、三月二十九日、三十一日、四月一日、二日の四日間にわたり、熱心に質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 以上、御報告を終わります。(拍手)
#6
○委員長(山内一郎君) 次に、第二分科会主査栗原俊夫君。
#7
○栗原俊夫君 第二分科会における審査の経過を御報告申し上げます。
 当分科会の担当は、防衛庁、経済企画庁、大蔵省及び通商産業省所管の予算であり、三月二十九日から本日四月二日まで四日間にわたり、審査を行ってまいりました。
 以下、審査順に従い、質疑の主な事項について簡単に御報告申し上げます。
 まず、大蔵省につきまして、「公定歩合の引き上げに比べ、預金金利の引き上げ幅が小さいのはなぜか。グリーンカード採用に関連し、プライバシー保護の立法が必要ではないか。政府の対策にかかわらず円安が続いているが、今後の見通しはどうか。オイルマネーによる株式取得がふえているが、どのように評価しているか。」との質疑がありました。これに対し、竹下大蔵大臣及び政府委員より、「第五次公定歩合引き上げに伴う金利の改定を現在日銀で審議中であるが、一般論として、公定歩合は短期の金融政策として弾力的に行うもので、金利全体のバランスや、長期金利の動向を勘案して決められる預金金利とは性格が異なり、必ずしも連動するものではない。グリーンカード採用に当たっては、プライバシー保護のため、徴税事務だけに使用するなど、関連法規の整備に注意を払っている。内閣としても情報公開法との関連でプライバシーの保護立法には関心を持っている。各国と協調して行った円防衛対策はそれなりの効果があったが、その後アメリカのインフレ対策によって減殺されたと思う。変動相場制なので、先行の確たる見通しは困難であるが、急激な市場の変動には機動的かつ適時適切な措置を講じていく。産油国からの資金流入については、特定の金融資産に集中せず、バランスのとれたものになることが資金の安定から見て望ましいと考えている。」との答弁がありました。
 通商産業省につきまして、「各省ばらばらの溶接技能検定を統一化すべきではないか。省エネルギーや公害防止に役立つ電気自動車の普及にどのような対策を講じているか。日米間に数量規制が実施されているアクリル紡績糸がダンピングと認定されたが、今後の政府の対応策と他の繊維への影響いかん。」との質疑がありました。これに対し、佐々木通商産業大臣及び政府委員より、「労働省の呼びかけで溶接検定に関し意見を交換したが、種類によって要求される水準が異なっている。しかし、重複する点もあるので各省と協力し、技能検定の統一を検討していきたい。一般の自動車に比べ、電気自動車は省エネルギーや公害の防止の点でまさっているが、量産体制になっていないため価格が高いのが欠点である。昭和六十一年度二十五万台の普及を目標として、研究開発に力を入れるとともに広報、普及のため電気車両協会に助成を行っている。アメリカが被害認定もせず、アクリル紡績糸にダンピングの認定を下したのは遺憾である。認定書を分析中で、今後政府、業界一体となって正すべきは正していきたい。場合によってはガットの場を通じて問題を詰める必要がある。数量規制の行われている他の繊維にも波及すれば重大であり、現段階では提訴の動きはないが注視していく。」との答弁がありました。
 防衛庁につきまして、「アメリカからの防衛力増強の要請が強まっているが、どのように対応するのか。リムパックヘの参加で日本が集団防衛体制に組み込まれるおそれはないか。スパイ事件後の秘密保全体制は改善されたか。」との質疑がありました。これに対し、細田防衛庁長官及び政府委員より、「ソ連軍の増強や中近東の不安定など、最近の国際情勢からアメリカは顕著な防衛力の充実を望んでいる。防衛庁は「中期業務見積り」に従い、装備の近代化や抗たん性の確保を重点に防衛力の整備を進め、速やかに「防衛計画の大綱」の水準まで到達するよう努力していく。リムパックについて演習の性格、目的を事前に調査し、従来の日米共同訓練の範囲等の検討も行い、法律に抵触しないことを確認して参加した。今後も集団的自衛権を前提とする演習に参加しないことを政府も表明し、歯どめをかけている。秘密保持について二月の次官通達に続いて、三月二十八日決定した基本方針に基づき、秘密保持のための専門委員の設置、重要部門の個所集中など、組織の変更を行うとともに、自衛隊員に対する秘密保持の必要性の教育や情報部門の他の職域との人事交流を行うなどの対策を講じ、秘密保全体制の確保を図っていく。」との答弁がありました。
 経済企画庁につきまして、「円が続落しており、経済見通しを改定する必要はないか。物価のミニ狂乱を防止するため、公定歩合をさらに引き上げるとともに、地価凍結を行うべきではないか。」との質疑がありました。これに対し、正示経済企画庁長官及び政府委員より、「経済見通しは作業開始前一カ月の円レートの実績「二百三十七円で計算しており、現在の水準と大幅に乖離している。今後、物価も安定し、国際収支も改善されれば、レートも現在の円安で推移することは考えられず、直ちに見通しを改定する必要はないと思う。公定歩合は最高水準の九%まで引き上げているが、予算が成立すれば公共事業の執行に配慮するなど、財政面からも適切な総需要管理政策を行い、物価の正念場に対処していきたい。土地については地価の抑制と宅地供給という二つの要請があり、この調節を図っていくための検討を行っている。」との答弁がありました。
 質疑はこのほか広範多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 以上をもって御報告を終わります。(拍手)
#8
○委員長(山内一郎君) 次に、第三分科会主査下条進一郎君。
#9
○下条進一郎君 第三分科会における審査の経過を御報告申し上げます。
 本分科会の担当は、国土庁、農林水産省、運輸省、郵政省及び建設省所管の予算で、三月二十九日から本日までの四日間にわたり審査を行ってまいりました。
 以下、日程の順序に従い、質疑の主な事項について簡単に御報告申し上げます。
 まず、運輸省所管につきましては、「東北、上越両新幹線の開通見通しはどうか。鹿児島空港滑走路のサンドマットは手抜き工事であり、安全性からも問題ではないか。地方ローカル線は赤字だけの理由による安易な廃止には慎重であるべきではないか。航空審議会の関西新空港の建設工法検討は、埋め立て工法有利の資料に偏しているのではないか。」などの質疑がありました。これに対し、地崎運輸大臣及び政府委員より、「新幹線の早期完成は、用地買収等、支障もあることは事実だが、予定どおりの開通を希望しており、その可能性はある。鹿児島空港の滑走路については、当時のデータを精査し、再検査を行いたい。国鉄地方閑散線は廃止するとしても、バス等の代替輸送機関を配慮しており、不便にはならぬよう、地元住民の要望は十分傾聴して取り組んでまいりたい。関西新空港の建設工法については、一方に偏した資料の提供はしておらない。」旨の答弁がありました。
 次に、建設省及び国土庁所管につきましては、「公共事業の抑制が離島振興開発事業に対しても一律に適用されると、生活基盤の格差拡大となって問題である。地震対策は東海地域では二十四時間観測体制が敷かれているが、東京や南関東地域は不十分な体制であり、東海地域同様整備すべきでないか。五十五年度予算のように公共事業費抑制策が今後も続けられると、社会資本整備がおくれる危険があるのではないか。」などの質疑がありました。これに対し、渡辺建設大臣、園田国土庁長官及び政府委員より、「離島振興開発は、ほとんどが公共事業であり、離島の特殊事情を考え、一律に抑制が行われないよう配慮いたしたい。地震対策の二十四時間観測体制は、東京、南関東地域についても整備拡充を図ってまいりたい。五十五年度の公共事業費は、前年度並みとなったが、社会資本の充実と国民生活の安定基盤をつくるためにも、今後一層増額の方向で努力いたしたい。」旨の答弁がありました。
 次に、郵政省所管につきましては、「身障者に対してもスピーカーホーンの利用方途を講ずべきではないか。いわゆるKDD収賄事件に対してどのような対応をされたのか、基本的な考え方を聞きたい。簡易郵便局受託者の待遇改善は積極的に推進さるべきだと思うがどうか。」などの質疑がありました。これに対し、大西郵政大臣、政府委員及び電電公社当局から、「スピーカーホーンは業務用に開発されたものであるが、身障者にも使用できるような方向で検討いたしたい。KDDの監督官庁である郵政省に逮捕者が出たことはまことに遺憾なことで、心からおわびしたい。このような不祥事が再び起こることのないよう、厳正に対処してまいりたい。簡易郵便局受託者の処遇改善については、毎年、物価と賃金の動向を見きわめつつ手数料の改定を行ってきたが、今後とも、従来どおり改善に努力いたしてまいりたい。」旨の答弁がありました。
 最後に、農林水産省所管につきましては、「わが国は穀物の需給率が低く、外国からの輸入依存度が高いため、万一の場合にはたちまち食糧危機の事態に追い込まれるおそれがあるが、対策はどうか。五十五年度予算中、水産庁関係経費が低い伸び率となったのはなぜか。」などの質疑がありました。これに対し、武藤農林水産大臣及び政府委員より、「食糧危機に対処するため、一ないし二カ月の食糧備蓄は確保されており、短期的な事態には対応し得る。なお、国内産の食糧の需給率の向上を図ることが、食糧危機回避の上からも有効な政策と考えられており、適地適産を柱に総合的に農業政策を推進することにいたしたい。五十五年度の水産関係予算の伸びが小さかったのは、財政再建のため予算全体が緊縮型となったことに伴い、やむを得なかった。しかし、水産庁としては、五十五年度に予定している諸施策の実施には、この予算で支障はないと判断している。水産業の振興が国民の食生活と密接な関係があることは十分承知しているので、今後とも予算の確保に一層の工夫と努力をしてまいりたい。」旨の答弁がありました。
 質疑はこのほか広範多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 以上をもって報告を終わります。(拍手)
#10
○委員長(山内一郎君) 最後に、第四分科会主査亀長友義君。
#11
○亀長友義君 第四分科会における審査の経過を御報告申し上げます。
 本分科会の担当は、昭和五十五年度予算三案中、警察庁、北海道開発庁、環境庁、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管でありまして、三月二十九日から本日までの四日間にわたり、熱心な質疑が行われました。
 以下、質疑の要旨を日程順に簡単に御報告申し上げます。
 まず、警察庁、北海道開発庁及び自治省所管につきましては、「米国スリーマイル島原子力発電所の事故から一年を経過したが、人口稠密なわが国で事故が発生した場合、その被害ははかり知れないものがある。防災計画、防災訓練などの防災体制はいかように進んでいるか。高いと言われる地方公務員の給与水準を一律に国家公務員と同水準まで引き下げることは、地方自治体それぞれの事情から問題がある。給与水準が国より二〇%程度は高くても住民が納得しておれば許されるのではないか。」との質疑があり、これに対し、後藤田国務大臣並びに関係政府委員から、「原子力発電所事故に対する防災体制整備は、緊急な課題である。関係の地方自治体では、防災計画を立ててはいるものの、いまだ十分とは言い切れない点があり、特に迅速な情報の伝達、避難体制など平素の計画も必要である。スリーマイル島の事故以来原子力安全委員会で科学的に検討されているので、これができ次第、防災計画、訓練体制の練り直しをしなければならないと考えている。また、警察、消防関係の防災車両等の装備の整備も地域の防災活動に資するよう緊急に行われねばならない。地方公務員の給与水準が二〇%も国家公務員より上回っているものについては、これを肯定するわけにはいかない。給与水準が高くなるということは一定条件では起こり得ず、わたりとか一斉昇給しない限り発生しないはずである。税金を納める住民が給与が高い事情を十分に理解し、納得しているということはあり得ないのではないかと思う。たとえ納得しているとしても、最も同職種に近い国家公務員の給与水準には合わせてほしい。」との答弁がありました。
 文部省所管につきましては、「五十年に新規学卒者の就職差別解消策として統一応募様式が出されているが、依然として同和地区出身者に対する就職差別が後を絶たない。差別解消のために努力を払っているか。幼稚園、保育所の制度一元化の要請にどう対応していくつもりであるか。」との質疑があり、これに対し、谷垣文部大臣並びに政府委員から、「同和地区出身者の就職については基本的人権尊重の立場から十分な留意を求めてきたところである。能力以外の事柄で就職が不利とならないよう、統一応募様式の一層の厳守を指導していかなくてはならないが、一般的に言って、文部省のみでは十分指導を行えない面がある。今後、労働省ともよく協議していくが、少なくとも文部省の管轄については、差別解消が実現できるよう十分努力していきたい。幼・保の制度一元化については、現実的問題として、幼稚園を重視しているところと保育所に力を入れているところなど地域的なばらつきがあるほか、幼稚園と保育所の保育時間にも差異があるなど、要は両者の制度的な出発に違いがある。調整策としては、幼稚園に付設して保育所を設置する考え方もあるが、幼稚園及び保育所に関する懇談会での議論を見守り、その結論を待って考えて行きたい。」との答弁がありました。
 環境庁所管につきましては、「環境庁は、燐を含む合成洗剤の国の機関での使用を禁止する方針を打ち出したが、各省庁に対しどのように協力を要請しているか。環境アセスメント法案の要綱が決定されたが、法案の国会提出の日程はどうなっているのか。」との質疑があり、これに対し、土屋環境庁長官並びに政府委員から、「燐を含む合成洗剤の使用禁止に当たり、閣議において各省庁に対し積極的な協力を要請したほか、担当官が各省に出向いて各所管機関に対する指導を要請しているので十分協力願えるものと思っている。環境アセスメント法案の要綱は関係閣僚会議において決定したものであるが、法案の作成段階で、都市計画法との調整を特例として盛り込むこととなり、その協議のために作業がおくれているが、最大限の努力を払い、四月中旬を目途に提出できるようにしたい。」との答弁がありました。
 厚生省所管につきましては、「腎臓移植の普及推進を行っている腎臓移植普及協会の財政はきわめて脆弱である。腎不全患者救済のため大幅助成をすべきではないか。人口急増地域の保育所職員の調整手当は、国の措置基準が実態に合わないため均衡を欠いている。早急に是正すべきではないか。」との質疑があり、これに対し、野呂厚生大臣並びに政府委員から、「腎臓移植の普及は患者及び医師にとって大きな励ましであるが、腎臓移植の普及推進に当たっている協会に対する国の補助率は腎臓摘出費用の二分の一となっているため、ケースによっては十分なものとは言いがたいので、今後、経費の増額について一層の努力をしたい。保育所職員の調整手当に対する国の措置費は、人事院規則、すなわち国家公務員の甲地、乙地の区分に準拠して決めているが、首都圏、近畿圏では、局部的に地域区分の指定のない地域があり、実態に合っていない点がある。これまで例外措置として官署指定によって不備な点を補ってきたが、今後も人事院等と協議し弾力的に対応したい。」との答弁がありました。
 最後に、労働省所管につきましては、「労働省予算において高齢者の労働対策が最初に掲げられているが、高齢者対策を最重点課題としてとらえているものと理解してよいか。労働基準法適用事業所が大幅に増加しているのに、労働基準監督官の数はこれに対応していない。人命尊重の立場から大幅に増員を図るべきではないか。」との質疑があり、これに対し、藤波労働大臣並びに政府委員から、「八〇年代の新しい経済社会に労働行政は積極的に対応していかなくてはならないが、その中で高齢化社会への移行が急速に進行しており、これに早目に手を打っていかなければならない。高齢者の雇用の確保、定年のあり方など、総合的に最重点課題として高齢者の労働対策を進めなければならないと考えている。労働基準監督官の増員については、三次にわたる公務員削減計画の中でできる限りの努力を払ってきた。五十五年度は三十名の増員を行っているほか、労働基準局内部においても思い切った発想で行政能率を高め、適切に対処しなければならない。今後とも労働者の生命の安全を守るため、労働基準監督官の要員確保に努力していきたい。」との答弁がありました。
 質疑はこのほか各省庁について広範多岐にわたりましたが、詳細は会議録をもって御承知願いたいと存じます。
 以上をもちまして第四分科会の報告を終ります。(拍手)
#12
○委員長(山内一郎君) 以上で各分科会の主査報告は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#13
○委員長(山内一郎君) 次に、締めくくり総括質疑に関する理事会における協議決定事項について御報告をいたします。
 質疑を行う日は、本二日から明後四日までとすること、質疑時間総計は百九十四分とし、その各会派への割り当ては、日本社会党八十八分、公明党四十四分、日本共産党二十六分、民社党十八分、参議院クラブ及び第二院クラブはそれぞれ九分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。
 右、理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#15
○委員長(山内一郎君) それでは、これより栗原俊夫君の締めくくり総括質疑を行います。栗原君。
#16
○栗原俊夫君 総括質疑の一番バッターということでございますが、後ほどわが党の山崎理事から本格的な締めくくりをやっていただくことにいたしまして、私自身は、言うなら落ち穂拾い的な質疑をひとつ幾つか展開してまいりたいと、このように思います。事前に連絡した先々あるわけでございますが、実は、ただいま申し上げましたとおり、落ち穂拾い的なというような立場から事前通告のない部分も幾つか飛び出すかもしれませんが、ひとつ誠意を持って答弁に当たっていただきたいと、このように思います。
 まず最初に、老人の問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。わが国の人口年齢が大変高まってきて非常に高齢者社会になってきておる、こういうことで大変喜ばしいことでございますが、老人社会日本で老人をどのようにめんどうを見るかということについていろいろ政治上の工夫が図られておると思います。わが国の老人福祉についてどのような制度があり、どのような行政が行われ、施設があるか、概略についてまず御説明を願いたいと思います。これは厚生省ですかな。
#17
○政府委員(山下眞臣君) 厚生省で行っております施策のうち、大きくは年金制度あるいは老人保健医療制度、こういったものは老人の福祉のための非常に大きな制度でございますが、いわゆる老人福祉対策というところに限定をしてごく概要を申し上げますれば、大きく分けますと、在宅福祉対策と施設福祉対策というふうに分けることができるかと考えます。
 在宅福祉サービスといたしましては、きわめてメニューを多くいたしておりますが、寝たきり老人あるいは一人暮らし老人等を対象にいたしますきめ細かい施策を幾つかやっておりまして、たとえて申し上げれば、家庭奉仕員の派遣事業あるいは一人暮らし老人の在宅者に対する福祉電話の設置事業、あるいは在宅の老人の方を施設へお連れいたしましてしばらくお預かりする、いわゆるショートステイと申しますが、短期保護事業でありますとか、あるいはデイ・サービス事業だとか、そういった各種の施策を行っておるところでございます。
 施設対策といたしましては、そこに収容申し上げる施設と利用をしていただく施設と大まかに申し上げまして二通りございまして、老人福祉センターでありますとかあるいは老人憩の家というようなものは、利用施設として外からおいでいただいて御利用願うという施設でございます。収容いたしておるものといたしましては養護老人ホーム、特別養護老人ホームあるいは軽費老人ホーム、こういったものが老人福祉施設としてあるわけでございます。
 まだ多々ございますが、ごく簡単に概要だけ御説明申し上げます。
#18
○栗原俊夫君 ただいま行政上のいろいろな施設について御説明を願ったわけでございますが、直接行政の関係しない部面で老人福祉という形でいろいろとめんどうを見る施設がある、こういうことでございますが、そういうものについて御説明願えますか。
#19
○政府委員(山下眞臣君) ちょっと御質問の趣旨が明確に理解できませんでしたのですが……。
#20
○栗原俊夫君 行政上の施設でなしに老人福祉というような形でいろいろな諸施設があるやに聞いておるけれども、そういうものがあったら説明をしていただきたいと、こういうことです。
#21
○政府委員(山下眞臣君) 行政上の施設ということでございますれば都道府県、市町村あるいは国という公的機関が設置するものであろうと思うのでございますが、先ほど申し上げました養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、こういったものにつきましては民間の社会福祉法人という形で設置をしておる形のものがございまして、行政施設上の施設ではございません。ただ、そういったものは老人福祉法上で老人福祉施設と位置づけられておりまして、これに対しまして老人をお預かりいただくという、措置という言葉を使っておるわけでございますが、お預けをしてその費用を国、都道府県でめんどうを見る、そういう行政上の措置を講じておるわけでございます。
 御指摘の行政が余りタッチしない福祉の分野ということでございますと、あるいは有料老人ホームのことかと思うのでございます。有料老人ホームにつきましては、老人福祉法上老人福祉施設とはされておりません。しかしながら、お年寄りの方をお預かりする施設だから届け出をしてくださいという形で、緩やかな規制で民間の創意工夫にゆだねてその存立がなされておるという形に現在なっております。
#22
○栗原俊夫君 実はいまのお話の問題なんです.が、最近新聞紙上で報道を見ますと、有料老人ホームで向陽会サンメディックですか、というようなところが莫大な金を集めたけれども、うまくいかなくなってつぶれて大変なことになっておるというようなことが報道されておるわけですが、無論、行政そのものではないけれども、このような社会問題化したものについてはすでに耳にも入り、調査もできておると思うんですが、もし調査等ができておったらひとつ御説明を願いたいと思います。
#23
○政府委員(山下眞臣君) 向陽会有料老人ホームの倒産事件の事実関係を簡略に御説明申し上げます。
 向陽会サンメディックという名前の有料老人ホームでございます。これは経営主体は向陽会福祉開発センターという株式会社でございますが、昨年の五月から事業を開始しております。との有料老人ホームの建物建設の工事代金は、その有料老人ホームに入居される方の入会金を充てる、こういう予定で建てたわけでございますが、収容定員百五十名に対しまして昨年四月開所いたしました後入居いたしました方たちが予想を大幅に下回りまして三十五名にすぎなかったということから、工事代金の支払いが遅延をいたし滞ったわけでございます。このためにこれを建設いたしました建設会社が工事代金の支払い訴訟を提起いたしまして、その結果、これに伴いまして、なおあいております部屋を封印するという仮処分が行われたわけでございます。その後も向陽会におきましては、すでに入所しておられる老人を対象といたしましてホームの経営を進めてきたわけでございますが、何せ百五十人の規模のものを建てました、人も配置をした、それに対しまして三十数名の入所者からの費用しか入らないということで非常に資金繰りが困難になりまして、去る三月二十六日に銀行取引を停止されるということで事実上倒産をいたしたわけでございます。
 この事態に対しまして、私ども東京都と相談をいたしながら対処いたしているわけでございますが、昨日四月一日の状況でございますが、東京都の担当課長を初め職員の方が現地に赴きまして関係者と協議をいたしておるところでございますけれども、状況は大変むずかしゅうございまして、ただいまのところもその老人ホームの運営はその日暮らしという状況に相なっております。入居者が三十人ということに対しまして二十人余りの職員を置いていたわけですが、これは多過ぎるわけでございますが、かなりの職員が退職されまして、昨日現在では七、八人の職員が残られて生活を維持いたしておられると、また老人ホームの運営には少なくとも五百万程度はかかると思われるのですが、いまの三十名の方から入ってくる月々の収入は二百五十万程度ということで、どう切り詰めても二百五十万程度は赤字になるということでなお解決のめどが立っておらないわけでございますが、ただいまのところ、この数日間はガス、水道はとめないで動いていくという状態でございまして、今後その立て直しに努力をいたさなきゃならぬという状態に相なっておるわけでございます。
#24
○栗原俊夫君 これはお話を聞くと、行政には直接関係がない、老人福祉法に基づいて、ある特別な営利会社が金を集めて老人を収容する、そういうことについては届け出をするということだけしか法定はされていない、こういうことらしいのですが、とにかくお年寄りが老後を安堵に暮らそうということで、なけなしの金といいますか、ありったけの金といいますか、とにかく持って集まった。しかし数が少なかったためにうまくいかない、パンクをする、あすがわからないと、こういうことはこれは大変なことだと思うんですね。したがって、こういうことが二度と起こらないような段取りというものは、少なくとも国が中心になり、具体的には関係都道府県等が、そういうばかげたことの二度と起こらないような段取りはしていかなければなるまいし、さらにまた、具体的に起こったこの人たちに対して、自由契約でやって、見込み違いをやったんだから仕方がないだろうということで果たしてほっておけるものなのかどうなのか、この点についての御所見をひとつ承りたいと思います。
#25
○国務大臣(野呂恭一君) 向陽会の有料老人ホームの倒産の実態につきましては御報告申し上げたとおりでございますが、御指摘のように、老人福祉法の「(有料老人ホーム)」第二十九条には、その施設の所在地の都道府県知事に届け出を命じております。もう一つは、都道府県知事が有料老人ホームの設備あるいは運営が老人の福祉を損なうものであると認めるときには、地方社会福祉審議会の意見を聞いて当該有料老人ホームの設置者に対して必要な勧告を行うことができる、つまり設置の届け出と勧告ということにとどまっておるわけでございます。したがいまして、こういうような事態が発生いたしまする――私は、根本的には有料老人ホームを経営しようとする者がその社会的な責任の重さを認識する、そして慎重な計画を立てることがまず大事であると思います。また入居される人も十分に入念な調査をしていくことが必要であると考えるのでございますが、厚生省といたしましては、今回のこの事例を教訓として、再びそういうことの起こらないように都道府県とも十分協議をしてこの対策を検討しなければならない。ただ、今日の老人福祉法に定められておることだけでは、こういうふうな老人に大変迷惑、心配をかけることが起こるのでないかというふうに思いますので、今後、このことによりまして、どういうふうにしていくことがいいか、十分協議し対応してまいりたい、かように考えます。
#26
○栗原俊夫君 ただいまの大臣の御意向で、ある程度わかりましたけれども、何かこれは非常にお年寄りを食い物にでもするような感じを受けないでもありません。したがって、ただいまお話がありましたとおり、おそれがある場合には云々というんじゃ手おくれだと思うんですね。したがって、こういう収容施設をつくる以上は、これはもう少なくとも国なり都道府県が必ず後ろに立って保証するというようなたてまえが必要なんじゃないでしょうか。実際これは生涯をかけてきた金を持ち込んでこんなことになったら大変ですよ。これは率直に言って、あすはお互いの身かもしれませんから、こんなことがあっては大変ですよ。そういう意味合いでひとつ積極的に、都道府県が恐らく第一線になるとは思いますが、国を中心にして、特に高齢化社会になってきた日本でこういう悲惨なことが二度と再び起こらないような施策について万全の段取りを立てると、こういうひとつ強い所信表明を大臣からお聞きしたいと思います。
#27
○国務大臣(野呂恭一君) 制度であるいは法律でそれをきめつけるということができるかどうか、これは大変むずかしい問題であると思いますが、その認可する責任でございます都道府県と十分に話し合いをして、こういうことがもう起こらないようにするにはどういう対応を国としてもやっていけばいいのかということについて協議をいまやっておるわけでございます。今後そういうことのないようにこの教訓を生かしてまいりたい、かように考える次第でございます。
#28
○栗原俊夫君 次に、同和対策の問題について少しくお尋ねをいたしたいと存じます。
 同和対策事業特別措置法が期間を延長し、三年間の延長ということになりました。すでにその半ばを経過しようとしておるわけでございますが、三年を延長するときに、三年で足る足らぬというような議論もたくさんあったようでございます。また、三年間に何をなすべきかということについて附帯決議等もついたようでございますが、翻ってみて、三年であったということについて、これでどうであったかという所見を主管の総理府の長官にお伺いしたいと思います。
#29
○国務大臣(小渕恵三君) 同和対策事業特別措置法は五十三年に改正をされたわけでございまして、現在二年目の予算審議をお願いしておるところでございます。これが短かったか長かったかというお尋ねでございますが、その時点で、国会におきましてこの時限が適切であり、その中ですべからく事業について推進をすべきだという御判断のもとにこの法律をお通しをいただいたものと、こう考えております。
#30
○栗原俊夫君 法案が成立するに当たって附帯決議がついておりますね。附帯決議は三つだということでございますが、これについて大臣は今日までどのように実行され、今後残された期間中にどのように実行が進行すると考えておられるか、お考えをひとつ聞かしてください。
#31
○国務大臣(小渕恵三君) 法案が成立する過程で、本院におきましても三項目にわたる附帯決議がなされたこと、承知をいたしております。政府といたしましては、院の附帯決議を尊重するという立場でその問題について対処しておるところでございます。
 第一点は、実態を見直せと、こういうことでありますし、また総合的な法の改正も少し検討せよと、こういうことだったと思います。で、実態の調査は昭和五十年に総合的な調査をいたしておりますが、その後それぞれの地区の増加等もありますので、現在鋭意各地方自治団体の協力を得、各省庁の御尽力を得ながら調査をまとめつつあるところでございまして、特に三カ年ということに相なっておりますので、五十六年度予算編成までにはどうしても一応の結論を得なければならぬと、こういうふうに考えておるわけでございます。
 二点は、地方自治団体の財政負担についてでございますが、この問題につきましては自治省も大変御努力をいただいておりまして、その解消にこれまた政府を挙げて努力をいたしておるところでございます。
 最後に、啓発の問題につきまして、国民全体がこの問題について深い理解を示していただかなきゃならぬということでございますので、この点につきましては、労働省あるいは法務省等合わせまして私ども総理府と、五十五年度二億三千万の予算を計上さしていただきまして、できる限り幅広く国民の理解を求め、同和対策に対して国民的コンセンサスのもとにこの問題解決のできるように鋭意努力をいたしておるところでございます。
#32
○栗原俊夫君 実態を把握するということでありますが、もちろん各地方官庁を通じてそれぞれ努力をされておるとは思いますが、何といっても御本人、大臣自身が現地を見られるのが一番これは確実だと思うんです。大臣はすでにごらんになりましたか。あるいはまだであったら、これからどこかごらんになる決意はございますか。
#33
○国務大臣(小渕恵三君) 大変申しわけありませんが、予算審議その他ありまして、現在まで十分な視察を行っておりません。したがいまして、国会が終了いたしますれば早々に現地を視察いたしまして、それぞれの地区の問題点につきまして、はだ身に触れて勉強いたしてまいりたいと思います。
#34
○栗原俊夫君 いろいろ過去の経過を見ますというと、それぞれ関係大臣は努力をされて、七九年七月には時の栗原労働大臣が福岡方面を視察しており、また同じく七九年七月には澁谷自治大臣が奈良県を視察しておる。さらに八月には橋本厚生大臣が広島県を視察しておる。あるいは三原総理府総務長官が大阪府寝屋川市等を視察しておる。その他通産、農林、法務、大蔵、それぞれ関係各省庁が非常に努力をしてくださっておることは今日までよくわかっておるわけでありますが、ひとつ延期されたこの三年間、特に第一段ではすでにこういう努力がされておるわけでありますが、続いてひとつ現在の内閣を担当しておるそれぞれの大臣の方々もぜひ努力をしていただきたい、このように思います。
 そこで、二、三の大臣にひとつ御所見を承りたいんですが、地方公共団体の財政上の問題でひとつ自治大臣の御所見を承りたいと思います。
#35
○国務大臣(後藤田正晴君) お答えを申し上げます。
 自治省としましては、同和対策事業特別措置法の基本を踏まえながら、同時にまた、国会の附帯決議の趣旨に沿って、従来から交付税計算上の特別の措置あるいは起債上の措置、つついっぱいの努力を積み重ねておるつもりでございます。
 なおまた、残事業等もございまするので、いま総理府で御調査をしていただいておりますが、できる限りひとつこの法律の有効期限内に残事業を処理をすると、その際に必要な地方としての財政上の措置には遺憾のない処置をとってまいりたいと、かように考えております。
#36
○栗原俊夫君 この問題は、特に啓発活動というものが非常に重大な問題だと、私もかつて地元で村長をやった時代から非常に重大関心を持っておるのでございますが、啓発活動の中心をなす文部大臣はどのようなひとつお立場であるか、文部大臣の御所見を承りたいと思います。
#37
○国務大臣(谷垣專一君) お答えをいたします。
 これは学校教育及び社会教育を通じまして、人権を尊重するという物の考え方の基本を国民の各位によく理解をしていただく必要があると思います。そういう努力を重ねておるわけでございますが、同和地域におきます教育格差の解消と申しますか、あるいはまた教育、文化の向上と申しますか、そういうこともやっていかなければならない問題点だと考えて努めてまいっておるわけであります。具体的にはこれらの地域を指定いたしましたところにおきまするいわゆる教員の加配の問題、それから高等学校等への進学を奨励をいたしますための補助事業をいたしてまいっておるわけでございます。それから社会教育の面におきましては集会所等の設置をずっと進めてまいっておりますが、集会所等の施設の整備と同時に、社会教育のために必要な集会を催すためのその中心の指導をいたしまするような諸君の派遣その他、こういうことを努めてまいっておりますが、今後ともにこの努力を進めてまいりたいと、かように考えております。
#38
○栗原俊夫君 大平総理大臣、ただいま主管の総理府総務長官を初め関係諸大臣からいろいろと御意見の開陳をいただきました。大変同和対策問題というものは重大な問題であり、そしていま三年間延期され、それが半ばを過ぎようとしておる。三年たったらそれでいいとか、そんな問題じゃなくて、やはりこういう問題の必要がなくなる、そういう理想的な事態を一日も早く求めなくちゃならぬわけでございますが、ひとつこれらの問題を総括して、総理大臣としての同和対策問題について所信、所見というものをこの際明らかにしていただきたいと、このように思います。
#39
○国務大臣(大平正芳君) この問題は基本的人権にかかわる問題として、政府におきましても国会におきましても論議を呼んできた問題でございます。いろいろな経緯を経てまいりました結果、特別措置法が三年延長されて五十七年三月三十一日まで延長されたと承知いたしております。したがって、それまでの間に、あなたのおっしゃるように、実態をよくきわめまして、残事業がどのようになるのか、それをどのようにこなしていかなければいかぬものか、そういった点につきましては十分検討を遂げて、この三年間の時間帯の中で最善を尽くしてその消化に努めなければならぬと存じております。
 国会の附帯決議につきましては、これは十分念頭に置いて政府はその善処に努めなければならぬと考えておるわけでございまして、いずれにいたしましても、三年延びたからということで一服しないでこれから精力的に対応してまいらなければならぬ課題だと思っております。
#40
○栗原俊夫君 次に移ります。
 自動車事故と自動車免許に関連しながら、少しく提案をしつつ質問をいたしたいと思います。
 いま、日本で自動車免許を持っておる数はどのくらいございますか。
#41
○政府委員(池田速雄君) 二月末現在の数字でございますが、約四千百万人というふうになっております。
#42
○栗原俊夫君 四千百万人の免許保有者は、更新のときには必ず更新してまいりますか、あるいは相当更新期には落ちていますか。その辺の経過はどんなぐあいになっておりますか。
#43
○政府委員(池田速雄君) 昨年の更新者の数が約一千二百万人でございますので、ほとんど大部分の方が更新されておるというふうに考えております。
#44
○栗原俊夫君 自動車交通事故の数字をちょっと知りたいんですが、自動車の交通事故は年間どのくらいありますか。そして、ここ数年間の傾向はどんなぐあいでございますか。
#45
○政府委員(池田速雄君) 昨年の交通事故の実態でございますけれども、事故件数は、人身事故でございますけれども四十七万一千五百七十三件でございます。亡くなられました方が、警察統計でございますけれども八千四百六十一名、負傷されました方が五十九万六千二百八十七名と、こういうことになっております。死者につきましては前年度に比べましてマイナスでございますけれども、件数、負傷者につきましてはほぼ横ばい、こういったような傾向でございます。
#46
○栗原俊夫君 そこで、交通事故は大変なことであるんですが、免許更新をするのはいま三年ごとですね。更新するときには、更新をただ届ければ更新できるようになっているんですか。それとも何らか講習とか、あるいは再度更新を与えるために必要な何らかのやり方をやっているんですか。
#47
○政府委員(池田速雄君) 三年ごとの更新でございますけれども、必要な適性を検査するということになっておりまして、身体的な条件でございますけれども、たとえば手足、運動能力でございますとか、聴力、視力、そういったものをチェックいたしております。その結果、昨年のサンプル調査でございますけれども、大体三・七%ぐらいの方につきまして、たとえば目が悪くなっておられますので眼鏡使用を条件にするとか、あるいは精密検査をして免許を与えるとか、そういったチェックをいたしておるわけでございます。
 なお、四十七年からはそれぞれ二時間程度の安全運転に必要な講習を実施させていただいております。
#48
○栗原俊夫君 これはそういうことが分析してあるかどうかわからぬのですけれども、免許者でマイカーも持っていない、免許を持っているが自動車を運転する業にも携わっていない、言うならマイカーも持たない、仕事にも使わない、まさに文字どおりペーパードライバーと称する者がどれくらいいるかということをこれは分析してありますか。
#49
○政府委員(池田速雄君) 御質問のいわゆるペーパードライバーはどの程度の方を指すのかという大変またむずかしい問題ございますけれども、私どもサンプル調査いたしましたところでは、大体一〇%ぐらいの方がめったに運転をしない、こういう実情を把握いたしております。
#50
○栗原俊夫君 私がなぜこういうことをごにゃごにゃ聞いておるかというと、更新するときに、ペーパードライバーで身体的な検査とかいろいろな検査をやって、二時間ぐらいの講習をやってまた免許を更新して与えるというところに何か危険がひそんでおりはせぬかということを感ずるわけなんですよね。言うならば、たとえばそれでは更新するときに路上一教程運転してみろと言われたときに、それはとてもだめだというのがかなり出るんではないかと私は思うんですよ。全然車に関係せずに三年たって、それで更新するときに、更新時にひとつ路上を一教程乗ってごらんなさいと、そういうこともせずにただ二時間講習を受ける、視力はあるということだけでさっと免許更新をして安全なのかなということについて大変危惧の念を持っているんです。この辺どうですか。
#51
○政府委員(池田速雄君) 御指摘のペ−バードライバーの件でございますけれども、まあ実態が大変つかみにくい、このサンプル調査の場合も御本人の申告によりまして調査しているわけでございますが、そういった技術上の問題は別といたしまして、三年ごとの更新は、御案内のとおり、大変一般的な、しかも画一的な制度でございますので、いま申し上げましたように、技能につきましてはチェックいたしてないわけでございます。したがいまして、諸外国等の例を見ましても、おおむね一定期間ごとに技能の検査をやるというところはないようでございます。しかしながら、それならば場合によりましてはやはり運転をされませんと技能の低下される方もあろうかと思いますので、私どももできる限り機会をとらえまして、めったに運転されない方につきましては、再運転されるような場合にはできるだけ再教育をお受けになりまして、これは自発的にお受けいただいて運転していただくようにお勧めいたしておりますし、また、そういった再教育の機会の場が与えられるようにということで教習所その他につきましても指導をいたしておるところでございますので、その方向を進めてまいりたいというふうに考えております。
#52
○栗原俊夫君 確かに純然たるペーパードライバーを見出すのはむずかしいというお話ですが、しかし、とにかく文明の利器ではあるが、見方を変えればこれは最大の凶器をもって走ることを許すわけですからね、一たび暴発すればとんでもないことが起こるわけなんですから。そこで私は、やはり免許更新をするときには、マイカーを持っておる、あるいは自動車を運転することを業とする、こういう立証がある者は別として、その証明が取れないいわゆるペーパードライバーについては、やはり何らか具体的な運転をしてみてもらう、少なくとも路上の一教程ぐらいはやってもらう。このくらいのことをやはりやらぬことにはかなり免許更新について危険が伏在しておる、こう思うんですが、あえて提案を申し上げますけれども、所見をひとつ伺っておきたい。
#53
○政府委員(池田速雄君) 先ほども申し上げました講習の際でございますけれども、従来画一的にやってまいっておりますけれども、だんだん整備いたしまして、たとえば婦人の方であるとか青少年であるとか、対象別にできる限り分けてやりたいと思いますので、その際の講習の扱い方等につきましても十分考慮してまいりたいと思いますが、なお技能の点につきましては、実は一昨年御審議いただきました改正道路交通法の成立の際に附帯決議をいただいておりまして、国民皆免許の時代に従来の制度だけでいいか、やはり根本的に見直す必要があると、こういう御指摘をいただいておりますので、現在、運転免許制度の研究会というものを発足させておりまして、学識経験者多数の方で御検討いただいておる段階でございますので、貴重な御意見でございますので、その先生方にもお伝え申し上げまして制度のあり方について十分検討していただくようにお願いしたい、こういうふうに考えております。
#54
○栗原俊夫君 次に移ります。
 これはまあちょっと人をばかにするないというような質問になっていくかもしれませんが、大変いい社会の日本ということであるけれども、いろいろ考えてみると、その社会の一番根本であるお互いというものが果たしてどうなっておるかということを考えるというと、どうもわからぬことが多いんです。
 そこで、一問呈します。総理大臣大平正芳さんは、あなたがあなたでないと言われたら、おれは大平だということを立証できる方法はありますか。
#55
○国務大臣(大平正芳君) 御質問の通告をいただきまして、私もはっと思ったのでございますが、一般論として、運転免許証でございますとか旅券であるとか、勤務先の発行の身分証明書とか、いわゆる印鑑登録手帳というようなものがあると聞いておりますが、私の場合は外務大臣発行の旅券というのが写真つきでございますが、これが私を証明する唯一のものであるように思いますが、これを提示いたしましてどうしてもまだ御承知いただけないというような場合には地縁、血縁関係等を通じまして証明してまいるよりほかに道はないと思います。
#56
○栗原俊夫君 唐突な質問をしてびっくりされておると思うんですが、この間新聞に、東久邇宮が戸籍上の妻を訴えるという報道がありましたね。どうも日本の家族制度は非常にしっかりできているようだけれども、一番根本の骨組みのところがおかしいんだと思うのですよ、これね。これは東久邇宮さんのところへ知らぬうちに嫁さんが座り込んでいたという事件なんですね。
 そこで問題は、われわれが日本人として地位を得るのにはまず戸籍法によって出生届が必要だと思うんですけれども、出生届は基本的には何を要求しているんですか、ひとつ説明してください。
#57
○政府委員(貞家克己君) 出生届につきましては、戸籍法に規定がございまして記載の事項が書いてございまして、それにつきまして届け出人が署名、押印をするということになっております。署名いたす届け出人が署名して判を押すと……
#58
○栗原俊夫君 判を押す。
#59
○政府委員(貞家克己君) はい。
#60
○栗原俊夫君 そういう書類が出てくれば、何にも確かめずにこれは受けつけるんですか、どうなんですか。
#61
○政府委員(貞家克己君) 特段の事情がなければ、そのとおり受けつけるわけでございます。
#62
○栗原俊夫君 よく自分の子だと言うのはお母さんだけだということを言いますが、お父さんが届け出てお母さんが知らなかった子供が入っておるなんという場合もよくあって事件を起こしておりますが、こういう問題等については特にチェックポイントとか、そういうものはないんですか。
#63
○政府委員(貞家克己君) 具体的に申しますと、戸籍の出生届の記載事項がいろいろございまして、たとえば子の男女の別、嫡出子、非嫡出子の別、出生の年月日、場所、父母の氏名、本籍というような事項がございまして、医師、助産婦その他の出生証明書を届け出に添付すると、こういうことになっております。恐らく御質問の趣旨は、その本人の同一性ということをお尋ねだろうと思うんでございますが、この点につきましては御指摘のとおり、認め印でもこれは受理をすることになっておるわけでございまして、もちろんそういう疑いがあるとかいう考慮からいたしますと、もっと厳格にすべきであるという御主張もあるかと思います。しかしながら、他方におきましてこういった届け出をなるべく速やかにどこでも容易にできるという要請もあるわけでございまして、そのためには、そういった印鑑等につきましてむずかしいことを要求しないというのが現在の戸籍のたてまえになっているわけでございます。
#64
○栗原俊夫君 いまのは出生届の場面を聞いたんですが、それでは婚姻届の方はどうでございますか、婚姻届。
#65
○政府委員(貞家克己君) 婚姻の場合には、記載事項としてそれぞれ所定の事項がございまして、さらに証人二人以上の連署を求めると、でございますから、届け書に証人二人の署名、押印がありまして、当事者の署名、押印、これらが要求されるということになるわけでございます。ただ、その署名、押印の点につきましては出生届の場合と同様でございます。
#66
○栗原俊夫君 これは事件になっておる問題だから説明ができぬとおっしゃるかもしらぬけれども、「東久邇氏〃戸籍上の妻〃を訴え」というのがこれは出ているわけなんですけれども、自分の嫁さんの天皇陛下の皇女であった方が亡くなって、その後独身でおったと、ところが東久邇宮のかあちゃんがいるというので調べてみたら、戸籍にはちゃんとはまっていたと、こういう事件らしいんですが、これは一体どうやってこんなことがはまるんですか。
#67
○政府委員(貞家克己君) お尋ねの件がどのような経緯によってそういうことになったか、私つまびらかにいたしておりませんが、恐らく正規の届けが出まして、それを受理して戸籍に記載したということだろうと思うわけでございます。市区町村の窓口におきまして実質審査をするということは、これはとうていできないことでございますから、いわゆる形式的審査をいたすと、その場合に不心得者がありまして非常に間違った、誤った届け出を受理するというようなことも、希有な例としてはこれはあり得るかと思いますが、そのような場合におきましてはやはり法律上の手続をとっていただきまして、婚姻無効でありますとか、あるいは逆の離婚無効というようなことになる場合もございますが、そういった裁判によりましてその間違った記載を消していくと、こういうことにせざるを得ないと思うのでございます。
#68
○栗原俊夫君 これはそんなことがあっちゃならぬわけなんだけれども、あり得るということは、やろうと思えばできるというすきがあるということだと思うんですね、これは。だから、こういうことをやろうと思ってもできないようにするという方法は考えられませんか、これは。一番基本的な身分関係、日本人であるということの証明、そういう一番根源のものが、やろうと思ったらいたずらが幾らでもできるというようなことじゃこれは大変なんで、やりたくてもできぬというような制度はできぬものですか。
#69
○政府委員(貞家克己君) 確かに仰せのとおり、非常に厳格に同一性の証明と申しますか、本人であることの証明をやらせると、たとえば印鑑証明書を添付させる。それにしても一〇〇%安全ではございませんけれども、いろいろあり得ることだと思います。しかしながら、たとえば婚姻の例で申しますと、婚姻につきましてはいわゆる創設的な届け出でございまして、届け出によって身分上の効力が初めて生ずるというような関係でございます。しかも戸籍法上の届け出は、他のたとえば登記とかいろいろなものと違いまして、国民のすべてがこれは経験することでございまして、すべてが届け出の対象になるという関係になっているわけでございますし、また速やかにそれを届け出をしてもらわないと困るわけでございます。そうでございませんと、届け出のないまま身分行為が行われるというような状態になります。これは身分法上の効力を生じないままになる。あるいは出生、死亡などにつきましても、戸籍にそれを速やかに正確に反映させる必要があるわけでございます。そこで、これにつきましては速やかに国民の届け出がなされるということが非常に望ましいわけでございます。そういうような趣旨からいたしまして、戸籍の届け書に押します印鑑につきましては実印でなければいけないということ、あるいは印鑑証明書を添付しろというようなことを実は要求していないわけでございまして、これは確かに一長一短がございますけれども、非常に希有の例を予想して全体を不便にするというのはいかがなものであろうかと、こういう利害得失の考慮からだと思いますが、現行法ではそういった点につきましては必ずしも実印を要求していない、こういうたてまえをとっているわけでございまして、全体のバランスを考えますと、やはり私どもは現在の法制のあり方の方がメリットがあるのではないかというように考えている次第でございます。
#70
○栗原俊夫君 いま慣行的に、お話があった実印ということがございましたが、実印のほかに認め印というものがあるんだけれども、認め印というものの効果というものは一体どうなんですか、認め印の法律上の効果というものはどういうものなんですか。
#71
○政府委員(貞家克己君) 認め印一般にどうかと言われますと、必ずしも私の所管ではございませんけれども、一般的、常識的に申しまして、法律上どういう効果があるかというようなことはないと思います。一応、本人の意思を推認させる手段であるという抽象的なことを申し上げざるを得ないと思うわけでございます。
#72
○栗原俊夫君 私はその立場でないと言うから、本当に立場の人から答弁させてください。
#73
○委員長(山内一郎君) だれかいますか。
#74
○政府委員(角田禮次郎君) 実印と認め印との違いというところから御説明した方がいいと思いますが、実印というのは、市町村長に届け出てあって、いつでも印鑑証明が受けられる個人の印章だと思います。それに対して認め印というのは、実印以外の印である個人の印章であるわけですが、両方の違いという点から御説明しますと、慣習上実印というものは非常に重要視されている。それに対して認め印というのは慣習上重要視されてない。したがって、重要な経済取引などはすべて実際上当事者の間で実印が要求される。それ以外の簡易な場合には両当事者の間で認め印で満足するというような違いがあるわけです。しかし、その厳密な意味の法律上の効力としては、それ自体が真実であればいいわけで、特別に実印と認め印というものが社会的な取引の上で違った法律上の効力を持つということはないと思います。ただ実際上、そういう証明力について実際上の差があるということになろうと思います。
#75
○栗原俊夫君 大事なものは実印で、大事でないものは認め印だと言うけれども、じゃ、言ってみれば実印は値打ちがあるけれども、認め印は値打ちがないと、こういうことですか、はっきり言えば。
#76
○政府委員(角田禮次郎君) 結局、先ほど申し上げたことなんですが、争われたときに実印の場合には非常にそれが意味を持つけれども、認め印の場合にはなかなかそれが困難である、そういう差があるということでございます。
#77
○栗原俊夫君 なぜこんな議論をしているかと申しますと、土地の区画整理をやるとかいろいろな問題で、地権とかあるいは金銭上の負担をする、いろいろな合意書に認め印で一般にはやられているわけなんですよ。しかし、詰めていって、問題が本当に詰まっていくと、執行部がやろうとすれば、その金銭負担は税金に準じて徴収することができると、こういうような規約のある法律が区画整理とかいろいろなものについていますわ。そのときに認め印で集まっただけで徴収できるかどうかというので実際私は争ったことがある。争って、それは認め印じゃだめだということで、結局、執行部が負けたと、こういうようなことがある。だから、いろいろ大きな事業等をやるときに、ぎりぎりまでいって効力のないようなもので事業を組み立てていくというものはいかがなものかと。だから、もっとはっきりと手続法を決めて、そして、そういうものについては実印でやるんだというようなことをやるべきではないか、こういうことを言いたいのが私の質問なんだ。法制局長官どうですか。
#78
○政府委員(角田禮次郎君) 私からお答えするのが適当かどうかわかりませんけれども、先ほど民事局長からも御説明申し上げたように、確かに争いを生じないように、また争いが起こったときに、その争いを確定するようにするためには実印を常に要求するという方がいいと思いますが、いろんな手続の場合に、それぞれの手続を比較的迅速に、またそれが励行されるようにという場合には実印を一々要求するということが非常に煩瑣であると、困難であるということだろうと思います。要するに、やはりそれはそれぞれの当事者の良識で解決をするというのが現在の法律的な考え方であろうかと思います。
#79
○栗原俊夫君 大変わかったようなわからぬことなんですが、結局、印が役に立つというときは争いのあるときなんですよ。争いがないときは印なんか必要がない、実際は。証文も何も要らない、これは。争いがあるから証文が必要であり、印鑑が必要なんだから、そのときの印鑑が役に立たない印鑑なんというようなものは意味がないじゃないですか、どうですか、これ。
#80
○政府委員(角田禮次郎君) お言葉を返すようですけれど、私いま良識に従ってというのを申し上げましたけれども、そういう争いを予想するような場合は、それぞれの当事者は自己防衛の手段として実印をみずから要求しあるいは用意をすると、そういうことがそれぞれの国民の常識といいますか、良識として要求されて、法律的にそれを強制するというところまでは、いまの法のたてまえとしては少しいろんな面でまたマイナスの面が出てくる、こういう考え方であろうと申し上げているわけでございます。
#81
○栗原俊夫君 一般の民間の間の関係では、いまの法制局長官の話も通るんですが、私が言ったのは、さらに区画整理法とか、そういう問題で最終的には税金に準ずる金銭負担をしなきゃならぬというようなものを取りまとめる下部構造のときに、後で本当に争いのときに役に立たぬような認め印で取りまとめていく慣行を許しておいていいのかと。そうではなくて、やはりそういうものは初めから、あるいは争いは起こらぬかもしらぬけれども、数多くの中では、冗談ではないということでもってしりをまくるやつだって出ぬとも限らぬから、そのときにはちゃんといただいておりますよ、したがって、税金に準ずる金の集め方ができますよと。こういう段取りができるようなやり方をやっておくことがやはり法制社会の世の中のあり方ではないかと、このように思うわけなんです。
 少し理屈っぽくなりましたけれども、総理大臣いかがですか。
#82
○国務大臣(大平正芳君) 大変示唆に富む御提言だと拝聴いたしました。
#83
○栗原俊夫君 それでは、初めの総括のときに国防と食糧問題についてある程度質問して、そのまましり切れトンボになっておったわけなんですが、きょうは総括という意味合いにおいていま少しく詰めてみたい、このように思います。
 先般、外務大臣、アメリカへ行ってまいりましたが、最近、日本の国防費がいま少し増強できないかというようなアメリカの要望にどうこたえるかというような問題がいろいろな角度から論議されておるようでございますが、アメリカでは、大平総理の訪米を前にして、特に地ならし的にいろいろ御相談があったのではないかと世間からは言われておりましたが、その間の事情をお話しできる限りのものをひとつ話していただきたいと思うんです。
#84
○国務大臣(大来佐武郎君) 今回ワシントンに二日間おりまして各方面の人々に会いましたのですが、主な議題といたしましては、現下の世界情勢一般、これは主として国務長官との意見交換でございましたが、それから日本とアメリカの関係、この関係につきましては、一つが防衛関係の問題、一つが経済関係、大体主なテーマとしては以上のようなことで、バンス国務長官、それからブラウン国防長官、ブレジンスキー大統領補佐官、その他の方々と話し合ってまいりました。その内容につきましては、また御質問に応じて申し上げたいと思います。
#85
○栗原俊夫君 前回もいろいろ論議したんですが、国を守っていくという上において、われわれは必ずしもにわかに賛成しないけれども、武力を持つ、いま一方やっぱり命を守るために食糧を持つ、こういうことなんですが、先般与党の玉置委員からいろいろお話がありました。アメリカで戦争何法というんですか、戦争権限法か、こういうものができたと。こういう話を聞きますと、日米安全保障条約というのは一体どういうことになっていって、どうなるんだろうと、こういうぐあいに率直に考えるわけなんですよ。
 そこで、ここで改めて防衛庁長官にお聞きします。われわれが習った憲法では、国際紛争を解決するために武力の行使をしない、したがって、陸海空の武力を持たない、こういうことを教わってきたところへ、自衛権があるんだというようなことで自衛隊を持ったわけなんですが、自衛隊はどういうときに発動するわけですか、そしてどなたが発動を指揮するわけですか。
#86
○国務大臣(細田吉藏君) お答え申し上げます。
 自衛隊は直接または間接の侵略を受けた際に出動をいたすことに法律上決められておりまして、その命令権者は内閣総理大臣でございます。
#87
○栗原俊夫君 そういうことで自衛隊が生まれた。しかし、自衛隊だけでは頼りないということなんでしょう、日米安全保障条約というものが結ばれた、足らぬところを補ってもらう、こういうことだろうと思うんですが、アメリカが日本のために安全保障条約を発動するのはどういうときであり、どなたが発動するんですか。
#88
○国務大臣(大来佐武郎君) 日米安保条約の第五条にございます、日本の領土、領海が武力攻撃を受けた場合に安保条約が発動することになっておるわけでございます。
#89
○栗原俊夫君 それを決めるのはどこが決めるわけですか、大臣。
#90
○政府委員(淺尾新一郎君) お答えいたします。
 ただいま大臣から御答弁いたしましたように、第五条において、日本国の施政のもとに攻撃があった場合、これは日米が共同対処するということになっておりまして、それぞれどういう経路をとって対処するかということは、自国の憲法上の手続あるいは規定に従って行うということでございます。
#91
○栗原俊夫君 私は頭が悪くてよくわからないんですけれども、そうすると、アメリカ軍が行動を開始するのは、アメリカ軍の考え方で行動を開始する。日本からお願いしますと言ったときに、必ずしも動くかどうかについてはわからないと、こういうことがあるんですか。
#92
○政府委員(淺尾新一郎君) 米軍が、先ほど申し上げましたように、日本に対して武力攻撃が行われた場合に日本に対して来援するということは、この第五条でアメリカ側が条約上誓約し、さらにその後累次にわたって日米両首脳の会談においてアメリカ側としては誓約しているわけでございます。ただアメリカの大統領がどの時期にどういう方法で兵隊を投入するかということは、まさにアメリカ側の内部の憲法上の規定と手続に従って行うということでございます。
#93
○栗原俊夫君 一応わかったような気がしますが、そこヘアメリカで戦争に対して議会の力を云云する法律ができたということでありますが、その法律は何という法律であり、その内容はどういうものなんですか。
#94
○政府委員(淺尾新一郎君) いま御指摘になりました法律は、名称は戦争権限法でございます。戦争権限法は、要するにアメリカの中で従来から大統領・行政府と立法府との間で憲法の解釈が分かれておりまして、統帥権については行政府たる大統領にございます。ただし、戦争宣言それ自身については立法府たるアメリカの議会にございます。その両者の権限をどういうふうに解釈するかという問題が昔からの議題でございましたけれども、その後、特に第二次大戦後アメリカの行政府が戦争宣言なしに軍隊を投入してきたという歴史がございまして、それに対して議会の方から戦争宣言なしに軍隊を投入していくということはいかがなものであろうかという議論がございましてこの戦争権限法というのができたわけでございます。
 戦争権限法の内容は、一口で申し上げるならば、戦争布告がない場合にアメリカが軍隊を投入した場合、その場合に行政府に対して、直ちにアメリカ議会に対して報告させる、そしてその六十日以内にアメリカの議会は行政府に対して撤兵を求めると。ただし、その場合に三十日の余裕がございますから、九十日以内にアメリカの軍隊の投入をやめさせるというのがこの戦争権限法の内容でございます。
#95
○栗原俊夫君 やめさせることができる、議会でやめさせようとすればやめさせることができると、こういう法律ですか。
#96
○政府委員(淺尾新一郎君) そのとおり理解していただいて結構でございます。
#97
○栗原俊夫君 まあ先ほど来余り荒つぼ過ぎて、これはあんな議論にはならぬと言うかもしれませんけれども、まあまあ国際紛争ではなくて、自衛権を侵害される、これに対して自衛隊は立つ、これに対して日米安全保障条約の条章にのっとりアメリカ軍も協力、参加すると。ところがそこへ戦争権限法ですか、これによってやめなさいという答えが出る。そんなことが出るはずはない、信頼関係だからそんなことはないと、恐らくこうお答えになるんだけれど、そういう場合もあり得ると、こう考えてよろしゅうございますか、総理大臣。
#98
○国務大臣(大平正芳君) 安保条約第五条の規定する米国の日本に対する防衛義務は、議会も含めた米国の国家としての日本に対する義務を設定したものでありまして、この義務を承認した同じ議会が他方におきましてこの義務の履行を妨げるような措置をとることは本来考えられないと思います。また、国家としては、国内法のいかんにかかわらず、条約の義務を履行すべきであるということは一般国際法上確立した考えでございまして、わが国としては、日米国家間の関係としては、あくまでも安保条約第五条を念頭に置いて本件に対処して間違いはないと考えております。
#99
○栗原俊夫君 日米安全保障条約は軍事的な日本の安全を保障するばかりでなくて、食糧についても安全を保障してくれていますか。どういう御認識ですか、大臣。
#100
○国務大臣(大来佐武郎君) 食糧については、条約上の約束はないと考えます。
#101
○栗原俊夫君 まあ腹がすいては戦ができぬ、これは昔から言われているわけなんだけれども、食糧の保障はない。しかも現在の日本の食糧自給率は穀物で四〇%を割っておる。しかも足らぬ部分を供給する主力は日米安全保障条約の相手方であるアメリカであると、こういう状況だと思うんです。そこで問題は、昨今食糧が非常に戦略物資化されてきた、石油以上であると。確かに石油以上であるべきです、生き死に関係する品物ですから。そこで条約上日本の食糧の安全を守るということにはなっておらぬけれども、食糧についてアメリカが協力してくれると、このように受けとめていいんですか。
#102
○国務大臣(大来佐武郎君) そのとおり考えております。特別に日米の関係が外交上悪化するというようなことになれば、これは絶対安全とは申しませんけれども、そういうことがない限り供給は確保されると考えて差し支えないと思っております。もちろん輸送その他、戦時状態、いろいろな問題が起こりました場合にはそれぞれの条件に応じて考えなければならないと思いますが、アメリカ側が日本との友好関係がある限り、供給を基本的には確保するということが期待できると思います。
#103
○栗原俊夫君 農林水産大臣にお尋ねいたしますが、この前もお聞きしてしつこいようですけれども、日本は今後食糧問題について中心になる主食を何にすると、どういうお考えでしょうか。
#104
○国務大臣(武藤嘉文君) 私ども従来の国民の食生活からいたしましても、また日本の農業の実態からいたしましても米が主食であるべきだと考えております。
#105
○栗原俊夫君 その米が現実には余るというような形の中で米の生産調整、転作いろいろなことが考えられておるわけでありますが、米を主食とする以上、やはり主食というものは国民の責任において守っていかなきゃならぬと、こう私は考えるわけです。主食である米を一億一千万の国民の連帯責任で守っていくと、こういう方向こそが日本のとるべき食糧政策ではないかと、このように思うんですが、この考えについて農林水産大臣の所見をお伺いしたい。
#106
○国務大臣(武藤嘉文君) 私ども現在食管法を維持していきたいと考えておりますのも、主食である米をやはり必要なだけは政府の責任で確保していきたいと、こういう考え方を持っておるわけでございます。ただ、米について今日までの消費の状況を見てまいりますと、確かに戦前は一人当たり百三十とか百五十キロぐらい食べておられたものが現実にはいま八十一キロまで減ってきておるわけでございまして、その辺をどうしていくかということもやはりこれからの農業としては考えていかなければならないとは思っておりますけれども、いま申し上げますように、あくまで主食である米については今後とも食管法という法律に基づきまして政府が直接必要な量だけは確保していかなければならないと、こう考えておるわけでございます。
#107
○栗原俊夫君 そこで、いま食管の問題が出たわけなんですが、確かに日本人が米を食わなくなってきた、食生活の内容が変わってきた。だからといって、国民が粉を食いたいから、あれを食いたいからということで、国民のいわゆる嗜好、恣意に任しておいて一国の食糧政策というものが貫けるかどうか、ここにやっぱり問題はあろうと思うんです。国民の食いたい物、それなら国外でできる物ばかり食いたいと言った場合に、これは極論ですけれども、そういうことになっていいのかどうか。そうではなくて、つくろうと思えばつくれる日本の主食に指定すべき米というものをやはりずでんと据えて、食わないからしようがないじゃないかというんでなくて、食わせる工面、そしてやはり主食の生産を守るためには国民が食わなきゃならぬという義務意識といいますか、こういうものを持たせるのが政策であり政治でなくちゃならぬ、このように思うんですけれども、この点に対する所見はいかがでしょうか。
#108
○国務大臣(武藤嘉文君) 私ども、いま五十四年度におきましても、たしか約百三十億近い金を用意をいたし、予算化いたしまして、米の消費拡大については一生懸命努力をいたしておるわけでございます。これ強制ができれば、それはもう大変私ども楽なのでございますけれども、なかなかそういうわけにはいかないわけでございまして、私どもとしては、国民の皆様方に米を食糧としてより食べていただきたいということで相当の予算を用意してやっておるわけでございますが、残念ながら、いまのところそれだから消費が思い切ってふえておるというような状況には至っていないわけでございます。
#109
○栗原俊夫君 いま農林大臣が言った心情はわからぬではありませんけれども、どうも弱いところがある。食管法は、基本的には足らないときにできた法律です。で、何をやったか。百姓のところへ土足で乗り込んで、飯米だとしてとっているものまでみんな強制で、強権供出させたのですよ。そうしてお互いが生き延びたんだ。いまは何とかなっている。再びそんなことはない、こういうことを頭に描いて、もう百姓に再びそんなことはしないのだということを描けば話は別ですけれども、しかし、食糧が窮屈になった場合にやはり農民に作付を強制し、これだけとれたはずだという、はずの米の供出を強制するということを一方には持たなければならぬと思うのです。また、そういうことがあるからこそ今日まで食管法を、ほとんどもう空洞化したと言われながら、やはり捨てるわけにいかない。それは足らなくなったときには発動しなければならぬということがやっぱり食管の持つ大きな面ですからね、これの片一方のやいばがついていないわけだ、何とかなるときに。これこそ一億一千万が共同責任で主食の生産を守っていく。強制できないからといまおっしゃったのだけれども、強制できないですか。日本の食糧を本当に守るということなら――税金よりもっと大事ですよ、米をつくることを守っていくことの方が。札なんかじゃ生きていけないのですから、現実の食い物がなければ生きていけないのですから。まあ二年ばかり前にNHKがドキュメントで、「輸入食糧ゼロの日」というのを報道しました。また、海上自衛隊でもいろいろ海上輸送がうまくいかなかった場合に日本の海外輸入食糧はこうなるだろうというような数字も発表しました。みんな本当にお互い日本人が生きるための食糧をどうするかという熱意の中から出てきた一つの数字だと思うのです。米の食管、これは守らなければならぬ。その内容は、赤字が出たから二重米価を解消するために消費者米価を上げるのではなくて一般家庭、あえて最低レベルとして保護世帯で買える米の値段で消費者価格を決めて、そうした消費者価格を決めた以上は全戸で買ってもらうと。うまいから食うとか食わないとかじゃなくて買ってもらう、そして貯蔵してもよかろう。とにかく国民の連帯によって主食の生産を守るということを制度化する。それは二重米価で金がかかるかもしれません。金がかかってもいいじゃないですか、命を守るのですから。私はそう思う。これは一農民、百姓の問題ではないのです。一億一千万日本民族が生きていくための食糧を守る手だてなのだ。これが政治なのだ。この政治がなくてどこに政治がありますか。この間も大平総理に言ったように、何が一番大事だと、命でしょう。命が一番大事なのだと、命が一番大事なら、命を守る一番大事なものは食い物だということになるんだ、これは。幾らきれいごとを言ったって、何を言ったってそれ以外にはない。人間が生きる食い物は土地から生産する以外にはないのですよ、土地から農民がつくり出す以外にはないのです。無論、魚類のたん白は海からもとれますけれども、一般穀類というものはそういうものだ。そういう意味で私はこの前も力を入れてお願いしたのだけれども、食管法というものを守る。それは単に足らなくなったときに生産する農民の方ばかりいじめる法律として残しておくのじゃなくて、何とかなるときには、挙げて一億一千万が連帯で自給食糧の生産を守るのだと。こういうことを言うと私は農民の仲間に首をくくられるかもわからぬけれども、べらぼうに生産米価が高い必要もないです。再生産ができるということで私はいいと思う。それには中心のとり方にも工面もあるでしょう。そうして、とにかく日本が米を主食に据え、主食である米の生産を守っていく、こういうことに全力を挙げてもらいたい。
 最後にひとつ大平総理大臣の決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#110
○国務大臣(大平正芳君) 栗原さんの真剣な憂慮を込めた御質問は、私もよく理解できるところでございます。そして、現に政府がとっておりまする食糧政策の基本、これは米を中核に置いての食管制度の堅持にあなたのお気持ちはあらわれておると思うのでございます。ただ違う点は、今日の食管制度の中では、強制力を用いないで経済の原則でできるだけ補強をしながら運営をしていこうということでございますが、あなたの言われるように、もっと積極的に、強制力までいかなくても、相当の勧奨を国民にお願いし理解を求めて、主食である米の位置というものを確立していくということを鮮明にする必要があるではないかということ、御指摘はよく理解できます。その点につきましては、今後政府といたしましても十分考えていかなければならぬ問題だと思います。
 基本的には、あなたが抱懐いたしておりまする食糧政策の基本、政府がいまとっておりまするものとは違ったものではないと思うのでございまして、政府といたしましても、米を中心にいたしました日本の食糧政策というものはあくまでも堅持してまいることが根本的に大事だという認識は堅持してまいるつもりでございます。
#111
○委員長(山内一郎君) 以上で栗原君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト